予算委員会 第19号
- 発言数
- 511 件
- 登壇者
- 41 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 1986/04/01
会議録
○委員長(安田隆明君) 予算委員会を開会いたします。 昭和六十一年度一般会計予算、昭和六十一年度特別会計予算、昭和六十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 ―――――――――――――
○委員長(安田隆明君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和六十一年度総予算審査のため、本日、日本銀行総裁澄田智君、海外経済協力基金総裁細見卓君の両名を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(安田隆明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(安田隆明君) 本日は、対外経済援助・円高問題に関する集中審議を行います。 質疑者等は、お手元の質疑通告表のとおりであります。 これより順次質疑を行います。和田静夫君。
○和田静夫君 まず、フィリピン問題についてお尋ねをいたしますが、今回の事態に直面して、日本の経済援助というものは一体どういうことであったんだろうかということを深く考えざるを得ない、そういう状態だと思うのであります。日本の援助は、外務省によれば民生の安定を目指す、こういうことであったのでありますが、どうも実際には独裁者の私腹を肥やす、蓄財に役立つ、そういう結果になっているのであります。この辺を総じて総理はどういうふうに御判断になっていましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) フィリピンに対する経済協力等についてさまざまな情報が出ておりますが、もしこれらが真相であるとすれば甚だ遺憾なことであり、事態の究明に今努めておるところでございます。 我が国の対外経済協力というものは、やはり人道主義に基づきまして、その国の自主的努力というものを前提にしてその国と相談をいたしまして民生の安定あるいは福祉の向上、それに役立つこと等について先方の御意見を聞きながら協議して決定しておるものでございます。そしてそれらの内容につきましては、事前にかなり厳格な調査をいたしまして、そのプロジェクトごとの効率性あるいは必要性等々もよく検討をして、それを見きわめること、それからこれが実行については、交換公文をもちまして相手側に対してもそれが誠実に履行されるような義務を負ってもらうということ、それから事後におきましても、その結果の評価等も外務省を中心にして行う、こういうような手続を厳格にやっておりまして、間違いはないと確信しておるところでございます。しかし、現在の事態につきましては、正確な情報及び真相の究明に努力をしておるところでございます。
○和田静夫君 援助を途中で政治家や役所がかすめ取るということになって目減りをしてしまう、あるいは援助関係者の間ではリベートは何か潤滑油だというような言い方がずっとされていた。私自身も、そういうような実態があるのではないかということをこの予算委員会の同じ場所から数限りなく指摘をずっとし続けてきた。結果は、どうも私の指摘を裏づけるような状態にもなってきている。そうすると、政府も知らぬはずがなかったのではないだろうか。あるいは、現地の大使などからはそういうような情報がもたらされたというような報道もかつてある。外務大臣はなぜそういう実態にメスを入れられようとされなかったんでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日本の援助につきましては、しばしば申し上げましたように、全体的には非常にきちょうめんにこれをやってきておる、開発途上国の国々からそれなりの評価をいただいておる、こういうふうに私は思っておるわけでございますが、援助につきまして今問題になって大変いろいろと批判をされておることについては、我々も率直に反省をして、いろんな面で真相の究明に努力をしなきゃならぬと思っております。 これまでの援助につきましては、確かにいろいろと国会でも批判があったことは事実であります。和田さんからも御指摘をいただきましたし、あるいはまた新聞報道等でもいろいろと言われていたことも承知いたしております。そういう中で、私自身としても、こうした援助のあり方については、やはり慎重の上にも慎重を期さなければならないということで、具体的には相当配慮はいたしてまいったつもりでございます。しかし、そういう中で今回このような事態が起こりましていろいろと疑惑が提示されておるということは大変残念でありまして、この点については、ひとついろいろの点を明らかにして、そして今後の援助に間違いのないように持っていかなければならない、こういうふうに考えております。
○和田静夫君 マルコス文書の中の小竹書簡は、伊藤忠がリベートを払いたくない、したがって払わないようにするためにOECFと現地日本大使館に相談に行ったという事実がはっきり書かれています。通産省はリベートを払うなという警告を発したというふうにも書かれているわけですね。そうすると、政府が知らなかったということにはならないわけでありまして、この辺の事実関係はどうでしょうか。
○政府委員(藤田公郎君) この小竹書簡に書いてございます大使館に駆け込んだ云々の事実関係についての御質問かと思いますが、リベートを支払わないような手だてを講ずるために現地OECF事務所や大使館に相談に行ったということが書かれておりますが、過去の記録を調べてみましたけれども、こういう事実は確認されておりません。OECFにつきましても、こういう事実を示す記録はないというふうに承知いたしております。
○和田静夫君 さらに言うなら、アキノ元道路省長官ですか、OECFと日本大使館のブラックリストに載っているというふうに小竹書簡は述べていますね。そういうようなブラックリストをつくるということは、リベートがあることを政府は知っていたということになるようにも考えますが、外務大臣いかがでしょうか。
○政府委員(藤田公郎君) 大使館の方で駐在しております国の大臣等高官についてのブラックリスト等をつくっていることはないと考えますし、本件についてもそういう事実はございません。
○和田静夫君 援助の受注に伴うリベートは潤滑油である、これはJICAでもOECFでもアジ研でも、多少とも援助の内情を知る人ならだれでも口にしてきたことでありますが、もし外務省がそういうような実態があることを知らないとすれば、これは行政の怠慢ではないだろうか。伊藤忠がカガヤン電化計画でOECFと日本大使館に出頭した事実は間違いありませんな。ここの経緯はどういうふうになりましょうか。
○政府委員(藤田公郎君) 伊藤忠が云々という文書を私どもも読んでおりますけれども、当然のことながら大使館とそれから現地に駐在しておられる企業の方々とは日常のコンタクトというのはあると思いますけれども、ここの文書に記載してありますような、陳情に駆け込んだ、ないしはとりなしてくれと大使に頼んだというような接触はなかった。接触があったという事実は確認するに至っておりません。
○和田静夫君 これは私の調査というか、我が党の調査団の調査によれば、カガヤン計画をめぐって伊藤忠は明確にOECFと現地大使館に行っているのでありますから、ここのところは企画庁長官、外務大臣、締めくくり総括までに調査を求めますが、いかがでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 調べてみます。
○国務大臣(平泉渉君) 調査をいたします。
○和田静夫君 そこで通産省、警告を発せられたですね。
○政府委員(黒田真君) 先ほど来御指摘の、昭和五十二年十月十四日付の書簡に東京の通産省が警告をしたという記載があることは承知しておりますが、当時の資料等によっていろいろ調べておりますが、現在までそのような事実があったことを確認するには至っておりません。
○和田静夫君 そうすると通産大臣、ここのところは御調査願えますか。よろしいですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 調べる材料があれば調べてみます。
○和田静夫君 要するに私が問題にしたいことは、援助受注に伴うリベートはどうも常識的な事柄であるということ、そしてそのような実情は多少とも援助の実情を知る者ならば、何回も言いますが、だれでも知っているということで、行政はそういうような実態を見て見ぬふりをしてきたということ。 それで、ここに実は持ってきているのは、八三年十一月に外務省が発行した経済協力の評価報告書ですが、この中に第一次借款、第二次借款で実施された高収量種子生産配布事業の評価が載っているんですが、二百十二ページからですけれども、このプロジェクトは、マルコス文書によりますと太平、酒井重工業、豊田通商、東陽通商が受注して、そして酒井と東陽はそれぞれ一五%のリベートを支払ったという代物です。そうすると、この評価報告には当然のことながらリベート云々については一行も触れられていないのでありますが、そのようなことからするならば、この評価というのは実は欠陥評価ではなかろうか、そう考えざるを得ないんです。最も重要な問題が抜け落ちている。外務大臣、そういうふうにお思いになりませんか。
○政府委員(藤田公郎君) ただいま御指摘の評価でございますが、おっしゃいましたように、高収量種子生産配布事業に対する評価を八二年の八月に行っておりましてその評価報告書を公表いたしております。この評価は、我が国の行いました経済協力の事業が当初の目的としておりました効果を上げているかどうか、住民の福祉等々に貢献しているかどうかということを評価いたすものでございまして、そういう見地から種々のポイントを絞りまして評価を行っていることは委員ごらんのとおりかと思います。 第二のいわゆるリベートの問題でございますが、基本的にはコミッションと申しますか、被援助国政府と関係企業の間の契約ないし商取引に伴うコミッション、これがどのくらいの額であるか、それがどこに行くか、こういう問題かと考えられます。フィリピンに対します援助につきましては、累次大臣からも御説明申し上げておりますとおり、政府といたしましては正規の手続に従って処理をしておりまして、その実施は適正に行われているというふうに信じておりますけれども、これに関連していろいろな点が指摘をされておりますので、真相究明のためにできる限りの努力を行いたい、こういうことでございます。
○和田静夫君 言ってみれば、今指摘をされているところの問題が浮き彫りになり、そしてそれが確定をすれば、大臣、この評価報告書というのはやっぱり欠陥評価なんですね。これはそうでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 評価というのは、援助をするという一つの限度額を決めてこういうプロジェクトを行いますということで両国でいわゆる交換公文を交換いたしまして、その交換公文に従って事業が行われるわけでありまして、事業が行われるに当たっては、向こうの政府と企業との間の入札その他いろいろと選定が行われるわけですが、実際に行われた事業の効果というものが交換公文で約束されたような効果というものが出てくれば、これは援助が適正に実施された、そうしてそれは相手の国の経済あるいはまた民生の安定にそれなりの貢献をすることができたという評価が成り立つのじゃないだろうかと、こういうふうに思っておるわけで、実際はこの交換公文によるところの成果がその事業に生まれるということを見るのが私は評価じゃないだろうか。そういう意味においては、外務省の評価というものは、いわゆる適正かどうかということについては私は間違っていないのじゃないかと、こういうふうに思っております。
○和田静夫君 現実にはリベート部分という大きなところの視点が、後ほどもこのチェックポイントについては論議をいたしますが、欠落をしているんですから、その意味では評価は余り正しいものではないというふうに私は思います。 ところで藤田さん、この間のときも問題にしたんですが、「国際協力情報」誌でのあなたの発言ですが、黒い霧だとか批判の視点が全く進歩していないというこの発言ですね。これはやっぱりあなた、今日になれば少しはあなた自身が自己批判されてもいいんだろうと思うんですね、誤りであったと。明確に誤りであったと認めなければ、これからの先の議論というのは進まない。まさにODAにまつわる黒い霧を審議するときに、担当の局長であるあなたが、黒い霧などというものは全く進歩していない批判である、こういうふうに言って、そしてあなた自身は商社と組んだという、そして知恵を出したという、そういうふうに言っておられるのではもう話にならぬわけでありまして、この辺でどうですか。理屈は要らない。
○政府委員(藤田公郎君) 第一の黒い霧、商社先行ということで批判の視点が進歩していないという点でございますけれども、国際的にいろいろ援助というものについては、みんな援助国がそれぞれ問題を抱えいろいろ議論を行っております。そういう国際的な議論、例えば援助の商業化というのをどういうふうに阻止していくかとか、そういう国際的な議論と比較してみますと、やはり日本の援助についての議論というのは、日本自身が援助の後進国だということはございますけれども、もう少し第二の援助国として建設的と申しますか、私どもを奮い立たせていただけるような批判が欲しいという気持ちを、実は若干浅学非才のために御不興を買うような表現で申し述べたというのが実態ではないかと思います。 それから、商社と組んだ云々という御指摘でございますが、この文章をお読みいただければおわかりかと思いますが、援助の場合に、もちろん相手国に対する協力でありますとともに、先進国同士が借款等の場合には入札をめぐって競争するという側面もございます。そういう場合に、後発の日本としましては、特に日本が一番強いと言われておりますアジアにおいてすら欧米に対する崇拝の気持ちが非常に強い。先進各国からの妨害等もある。そういう中で、後発の日本として官民がいろいろ知恵を出し合って、例えばテレコミの案件ですとか電話網の建設ですとか、そういうものについて日本の製品がいかに優秀かということを相手国の官民にPRし、そして我が国の技術、製品が当該国で受け入れられ、かつそれが援助の案件として実っていくというように努力をしている。そういう第一線での苦労というものも評価していただきたいという趣旨で書きましたのがこの文章でございます。 その点が非常に官民癒着と申しますか、現在のいろいろ起こっております問題との関連で誤解を招く表現じゃないかという御指摘でございましたら、これは私の筆の至らなさを示すものかと思いまして反省をいたします。
○和田静夫君 いろいろ述べられていることはこの間も聞いたのであれなんですが、反省をいたしますということはそれだけで受けとめておいてもいいんですが、前段でちょっとひっかかるのは、あなた方の指摘には進歩がないのだと、こう言われる。そうだろうか。少なくとも三年前に私がここで指摘したことが現実になっている以上、私の論議には進歩があった、そのことをあなた方は受けとめなかった。ODAのやり方についても、たくさんのことを私は述べてきたし提言もしてきた。きょうもこれから提言をしますが、その提言にあなた方は謙虚でなかった。謙虚でなかった結果が今日の事態を招いているんです。それにもかかわらず、奮い立たせるような論議がなかった。では、今回私たちが指摘をしていることによってもあなた方は奮い立たない、こういうふうなことですか。
○政府委員(藤田公郎君) 進歩がなかったと申しましたのは、和田先生及び国会におきますいろいな議論に進歩のないという批判を申し上げたわけではございません。私としましては、私どもの援助行政と申しますか、第一線で援助をやっております者が、なるほど国内でこれだけ支援してくだすっているかという勇気づけていただくような批判をいただきたい。諸外国は、とにかく日本の欠点ばかりを御承知のとおりあげつらう雰囲気でございますので、その中でせめて日本の国内で国会、マスコミによくやっておると言っていただかなかったら、一体だれに評価していただけるのかという非常に寂しい気持ちがあるということも御理解をいただきたいと思う次第です。
○和田静夫君 この答弁はだめです。ちょっと協議してくださいよ。そういう反省のない答弁を繰り返されるのでは、これ以上の論議はできませんよ。
○委員長(安田隆明君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。
○政府委員(藤田公郎君) 表現が適切でなく、委員におしかりを受けるような文章を用いましたことを反省いたしております。
○和田静夫君 外務省の姿勢は、現地での受注関係なり受注企業等、発注先である現地政府機関との関係をどうもなるべく世間の目に触れないようにさせている、そういうような姿勢なのではないかということを疑わざるを得ない。そうすると、正しい援助などというようなものは実現しないのじゃないだろうか。外務省はそういう姿勢をやっぱり改めるべきだと私は思うんですが、外務大臣いかがでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は、国会のこれまでの論議は慎重に謙虚に受けとめながら、やはり援助に対してこれを生かしていかなきゃならぬという基本的な考え方で取り組んだつもりであります。例えばODAの今の評価の問題にいたしましても、外務省だけで評価するというのは非常に独善的になる嫌いがあるので、やはり第三者も交えた形の評価というのも必要じゃないかということも実は今進めておる一つでありますし、あるいはまたODAの研究会を開いていただきまして、常にODAのあり方等について新しい改善の道を探求するということもやってきておるわけでございます。 そういうことで、やはりこれから日本は援助を拡大していくわけですから、おっしゃるように援助というものに対して本当に相手の国から信頼されるような形の援助でなければならない、こういうふうに思っておりまして、そういう点では今後とも、外務省だけの専売ではありませんけれども、関係各省とも相談をしながら改める点はやっぱり改めていかなきゃならない。積極的にそういう姿勢で取り組んでまいりたいと、こういうふうに思っております。
○和田静夫君 総理、いかがでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 政府も、外務省も一生懸命発展途上国のためを思いまして努力してきたことでございますが、もし我々のやり方に不十分な点があれば十分反省もしなきゃなりませんし、改革しなければならぬと思います。 今回のこういう事件を機に、さらに一層正確に事態を把握するようにいたしまして、改善するところがあれば改善してまいりたいと思います。
○和田静夫君 この援助と政治家との関係も、援助に携わる人々の間で半ば公然とささやかれている、それが事実であるかどうか別問題として。例えばバングラデシュは亡くなった某代議士のシマであるとか、あるいはマレーシアはだれだれのエリアであるとかいうような言い方がされるんですね。その国の援助に関係をしようとする企業というのは、だれそれ代議士のところにあいさつに行かなけりゃ参入できないというようなことが流布される。総理はそういうことをお耳にされたことがありますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は聞いたことはありません。 しかし、いわゆる今のようなうわさのあるという場合、大部分はそれらの方々がそれらの国々と友好関係を考えまして、特にアジアの場合は日本は奉仕をするという気持ちが強うございますから、そういう意味でその国々の発展のためにいろいろその国々の政府の要請を受け、相談もし、そうしてそちらの方へ日本の援助を向けていくように努力をして、それらの国々と日本との友好を図ったという点が非常に強い。その場合に個人の利益を図るというようなことはないと私は信じております。
○和田静夫君 日本政府は、別の意味でも今回の事態には私は責任を負っていると言わなきゃならないと実は思っているんです。フィリピンヘの援助がマルコスの不正蓄財に流れて、そして政治資金に流れたということ、これはまさに内政干渉そのものではないだろうかということを実は考えるからです。特に、マルコス政権の末期の援助につきましては、フィリピンの反マルコス派の人たちは何度も何度も、援助を行うことはマルコスに肩入れすることだからやめてくれというふうに言われた。その声が日本にも届きましたし、自由民主党の内部からも援助を停止すべきだという声が上がっていました。これは大臣経験者の中からもそういう声が上がっていた。にもかかわらず、日本政府はマルコスの要請を受け入れた。そういう責任は非常に重大なはずですよ、これは。それで日本政府は独裁者、圧制者、不正蓄財者に肩入れしたという結果になっているわけでありますが、総理、この辺の見解はいかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本政府は一貫して、一政権を助けるというようなつもりで経済協力、援助をやっておるものではございません。それはそのときも申し上げたとおりでございます。 フィリピンにおけるその場合におきましても、フィリピン経済が危殆に瀕しておりまして、そしてビラタ首相がIMFあるいは世界銀行と協力もし、アメリカそのほか関係諸国とも相談をしまして、そういう意味でフィリピン経済というものが危殆に瀕しているのを救わなければ、フィリピンの失業問題あるいは民生安定、そういう意味においてフィリピン国民に大きな被害が及ぶ、そういうのを助けなけりゃならぬと、そういう関係各国と協調して実は努力をしてきたことでございまして、一政権を助けるという考えでやっておるものではございません。
○和田静夫君 外務大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私も今総理のおっしゃったような基本的な立場でやってまいったわけであります。
○和田静夫君 反マルコス派のリーダーの一人タニャーダ元上院議員はある新聞記者のインタビューに答えまして、民主主義の理想をうたった憲法を持つ日本がなぜ独裁政権を助けるのかと述べた。またこのタニャーダ氏は、日本は借款や援助を通じてマルコス独裁体制にてこ入れしているということを我が党の同僚議員の調査団に対して述べたのであります。日本政府が意図してマルコス体制をてこ入れしたかどうかということはともかくとしまして、客観的には結果としててこ入れの役割を果たしたことはどう見ても間違いがない。そうすると、フィリピン現地にそういう声があったことは、日本政府も在外のそれぞれの大使館等を通じて知らなかったはずはありませんね、これは。
○政府委員(藤田公郎君) これはただいま御指摘のタニャーダ議員が、昨年の夏、七月にフィリピンに行かれました社会党の平和戦略研究会の調査団に対して言われているということもございますし、従来からフィリピンの中、国内の一部におきまして我が国の対比経済協力について批判的な見解が存在していたということは承知しております。 ただ、累次におきまして外務大臣からも御説明申し上げておりますように、我が国のフィリピンに対します経済協力は、同国との全般的な協力関係を踏まえまして、経済社会開発、民生の安定、福祉の向上ということで実施しているわけでございまして、全体としてそういう所期の目的は達成しているものと考えております。
○和田静夫君 五十九年一月にマルコス前大統領から中曽根総理あてに電話があった。その電話でマルコス前大統領は借款の話を早く固めていただきたいと要請をした。総理はできる限り努力をすると約束されたと、こう報道されていたわけでありますが、この事実関係はどうなりますかね。
○国務大臣(中曽根康弘君) 借款の話が電話であったというような記憶はございません。マルコス大統領との電話というのは、私が就任したときでありましたか、あいさつの電話をした、それからフィリピンを訪問した前後ですか、お礼の電話とかそういうようなものが記憶に残っておりますが、先方から借款を早くしてくれというような電話があった記憶は全くございません。
○和田静夫君 実は、この五十九年一月という時期は、マルコス政権が非常にピンチな時期でありますね。マルコス批判が吹き荒れていた時期です。しかも奇妙なことは、これは五十八年十月にそれまでプロジェクト借款で要請していたものを商品借款の要請に切りかえる時期なんですね。この援助というのは、五十八年五月にプロジェクト借款で要請をされて、同年九月には四省庁ミッションが行った。それから十月にはOECFのミッションが調査に入っているわけですね。ところが、十月に商品借款に切りかえられるということになったわけです。企画庁長官、いかがですか。
○政府委員(藤田公郎君) ただいま御指摘のとおり、当初、十二次円借款につきましては、十五のプロジェクトについて要請がございました。これはその前数年と同様、フィリピンの場合にはプロジェクト借款ということになっておりまして、過去数年のパターンを踏襲したわけでございますが、その前後から御承知のとおりフィリピンの経済悪化というのが非常に顕著になってまいりまして、五十八年の末に至りまして、十一月だったと記憶いたしますが、従来、五月に要請をよこしましたプロジェクト借款十五の内容を変更いたしまして、商品借款主体の要請に切りかえるという要望が参りました。私どもは、当時のフィリピンの置かれております経済困難、特に国際収支の困難ということにかんがみまして、それに対応して翌年、御承知のとおり四月末に商品借款を主体とする第十二次円借款の交換公文締結に至った、こういう事実関係でございます。
○和田静夫君 プロジェクト借款から商品借款に切りかえた理由はこれは何かということをちょっと私は素人なりにずっと考えてみまして、プロジェクト借款よりも商品借款の方がマルコス資金づくりにはメリットがあったからではなかろうか。ともあれ、マルコス批判が吹き荒れて、あのときはIMFすら実は融資を渋っていたその時期なんですね。その時期に日本政府は借款にオーケーを出すわけですよ。それで、総理が今言われましたけれども、事実の流れはそういうふうな証明になっているわけですね。そうすると、五十九年四月の五百五十億円の借款の供与というのは、腐敗した政府のてこ入れ以外の何物でもないというふうに私は考えざるを得ないんですが、総理の御見解を伺いたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) あの当時の私の記憶では、フィリピン経済が非常に悪くなりまして、そしてビラタ首相が世界銀行とかIMFへも行き、相当きついコンディショナリティーの要求を受けて厳しい経済をやらせられ、輸出を促進するようにという国際機関からの勧告を受けて、フィリピン経済は相当窮乏してきつい時代に入ったと記憶しております。そしてかなり失業も出てくるということで企業を活動させなきゃならぬ、企業を活動させるためには原材料を与えなけりゃならない、原材料を買う資金がないと。そういう意味で、フィリピンの企業を活動させ輸出を振興させるためにその原材料を与えよう、そういう考えに立って商品借款に切りかえた、そういうふうに記憶しております。
○和田静夫君 なかなか総理の答弁納得するわけにはいかないのでありますが、日本が借款供与を決定した後、五月二十九日にマルコス前大統領から総理あてに電話が入っているわけですね。そうすると、この内容はどういうことでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私、五月二十九日に電話があったということは今記憶にありませんが、もしあったとすれば調べてみます。しかし、いずれにせよ、そういう借款問題云々ということであるということはないと思っております。
○政府委員(後藤利雄君) ただいまの御質問の点でございますが、実はきのう共産党の佐藤先生からも御質問がありまして、私、事実関係はっきりしておりません、事実にないという御答弁をさしていただいたのですが、その後調べましたら、五月二十九日にマルコスさんから電話がありました。実は五月二十七日が中曽根総理のお誕日でいらっしゃいますので、それのお祝いということが主たる電話の内容であるというように承知しております。それから、ロンドン・サミットの件についても若干お話しされたというように承知しております。
○和田静夫君 ともかく日本のフィリピン援助、特にアキノ氏暗殺事件以後の援助というのは、マルコスてこ入れ以外の何物でもなかったのじゃないだろうかということをつくづく思うんですよ。これは外務大臣、お認めになるべきじゃありませんか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 我々は、日本政府として当時のマルコス政権と日本の政府との間に友好関係はもちろんあったわけですが、援助につきましては長い間フィリピン国、フィリピン国民そのものに対して行ってきているわけですし、やはりフィリピンのその当時の状況というのは大変窮迫しておった、IMFも新しい融資を行うかどうかということで調査をしておったような状況でありますし、インフレはどんどん高進するし、それから失業が町にあふれて経済的に大変な苦しい状況にあった。これは日本も友好国として見逃すわけにはいきませんし、何とか国民経済の回復のために日本としても援助の協力をしなきゃならぬという立場で行ったわけです。しかし、行うに当たっては非常に事務的にも詳細に詰めた上でこれを行っております。 また、IMFとも協調をとりながら行っておるわけでございまして、ですから今おっしゃいますように、日本の援助が一つの政権を助けるために行われたということでは決してないわけで、その当時のことを私も想起いたしまして、フィリピンの大変な窮状というものから我々もこれは何とかしてあげなきゃならぬということでやったということはひとつ御理解をいただきたいと思います。
○和田静夫君 ともあれ総理、何回もおっしゃっていますけれども、日本の援助がマルコス一族の不正蓄積に使われ政治工作に使われた、そうした事実認識に立って今後の援助は襟を正して行う、フィリピンの民衆、そして日本の国民にそのことを言明すべきだと考えますが、いかがでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の問題につきましては真相を徹底的に究明いたしまして、そしてもし我々の方で改むべき点があれば勇敢に改めていきたい。しかし、要は相手国の国民の民生及び福祉のために行うもので、人道主義的な観点から同じアジアの先進国として行うのであります。しかし、相手に政権がある以上は、承認している間柄でありますから政権を相手にせざるを得ないので、まさか野党を相手にしてやるというわけにはいきません。そういう意味から、その国民を代表している、我々が承認している相手と話をしていくべきものである、こう考えております。
○和田静夫君 総理、三月二十七日のマニラ発時事によりますと、フィリピンの有力実業家の証言として、マルコス前大統領が一九七二年以来五回の総選挙のたびにほぼ毎回自由民主党の幾つかの派閥代表者に献金をした、その総額は数百万ドルである、こういうふうにされているのであります。昨日も本委員会でこのことが指摘されたのでありますが、かりそめにもこういうような事実があったとすればゆゆしい問題でありますが、自由民主党総裁としてのコメントを求めておきます。
○国務大臣(中曽根康弘君) そういう事実は全くないと私は確信しております。
○和田静夫君 そこで、事実関係の確認ですが、一九七三年三月二十三日に締結されたマニラ地区洪水制御排水事業の受注企業の中に日商岩井、東陽通商などが入っていましたね。
○政府委員(藤田公郎君) 受注企業名についての御質問に対しましては、累次申し上げおりますように、相手国政府と企業との間の契約でございますので、政府としてお答えする、ないしは御確認を申し上げる立場にはないということでございます。
○和田静夫君 これはだめです。全くため。そんなの、この前のあれを踏まえてやっているのだから。これはちょっととめてください。
○委員長(安田隆明君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。
○政府委員(藤田公郎君) いわゆるマルコス文書の中にそういう記載があるということは承知しております。
○和田静夫君 そうすると、同じことですが、同年九月十四日に締結された高収量種子生産配布事業の受注企業の中で酒井重工業、東陽が入っていましたね。
○政府委員(藤田公郎君) マルコス文書の中にはそういう記載はございます。
○和田静夫君 同じく七四年四月二十二日の国鉄通勤輸送強化事業と道路機械管理修繕デポ整備事業、そして立体交差建設事業には東陽通商、それから七六年三月三十日の日比友好道路関連道路改良事業には三井物産、これは入っていますね。
○政府委員(藤田公郎君) 大分早口でおっしゃいましたので、初めの国鉄と道路と立体交差でございますが、その三プロジェクトについては御指摘のとおりでございます。 それから、日比友好道路はちょっと今調べております。――日比友好道路も御指摘のとおり入っております。
○和田静夫君 そこで、企画庁長官と外務大臣、この企業から既に事情聴取されましたか。
○政府委員(赤羽隆夫君) 現在まで事情聴取はしておりません。
○和田静夫君 外務大臣。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いろいろと指摘された企業等につきましては、いろいろと事情は聞いております。
○和田静夫君 企画庁長官、どうなんです。なぜおやりにならないんですか。
○国務大臣(平泉渉君) 今後また十分に調査をいたします。
○和田静夫君 企画庁長官は最も大締めの中心的な大臣、担当大臣ですから、事情聴取を直ちに開始すべきですよ。よろしいですか。
○国務大臣(平泉渉君) 外務省と協力しながら、また調査をいたします。
○和田静夫君 そこで、この文書には「BBB」という項目がありますね。これはマルコス関連企業の手数料、すなわちリベートである疑いが非常に私は強いと思うんですが、外務大臣、通産大臣、企画庁長官、いかがですか。
○政府委員(藤田公郎君) 「BBB」とは、故将軍に送られたものという注記がこの文書の中にはしてございます。
○政府委員(黒田真君) 私どもも今、藤田局長が答えたような内容を含んでいることについては承知しております。
○政府委員(赤羽隆夫君) 私どもとしてもそれ以上のことはわかりません。
○和田静夫君 言ってみれば、「BBB」はリベートなんですね。 そこで、国税庁はどうでしょう。
○政府委員(日向隆君) いわゆるマルコス文書で指摘されています事柄につきましては、時点の古さで課税上の観点から問題にならない点があろうという点はございますけれども、それを別にいたしまして、私ども、課税上大変貴重な資料、情報だ、かように受けとめております。
○和田静夫君 同じくアクチュアル・FOB・アマウントですね、これと見積もりFOB価格と二種類のFOB価格が書かれているんですが、この関係は大蔵省、どういうことを意味していましょうね。
○政府委員(行天豊雄君) お答え申し上げます。 事実の確認をいたしておりませんので、ちょっと御質問の趣旨がわかりかねる次第でございます。
○和田静夫君 質問の趣旨はわかっているんでしょう。事実の確認はないということ。
○政府委員(行天豊雄君) さようでございます。
○和田静夫君 ここはそれじゃ行天さん、ひとつ確認してくださいよ。 どうもアクチュアル・FOBとエスティメイテッド・FOB、この差が何を意味するのかというのは大変疑問なんですが、ここのところは国税庁はもうお調べになっているんでしょう。
○政府委員(日向隆君) 私どもといたしまして、今御指摘の事柄につきましては承知しております。 ただ、その性格が何であるかにつきましては、私どもの方におきます今後の調査の展開によるのではなかろうか、こう思っております。
○和田静夫君 大蔵大臣、ここのところはもう概略の報告を受けてつかんでいらっしゃいますか。
○国務大臣(竹下登君) 外務省を通してその種の資料を全部ちょうだいいたしております。それに対してそれぞれの部署で重大なる関心を持っておるというふうに理解しております。
○和田静夫君 これはあさってまでといっても非常に無理でしょうから、私は出された結論については報告を求めたいと思いますが、大臣、よろしいですか。
○国務大臣(竹下登君) 時効とかあるいは守秘義務に属するものがあるかないか、そういうことは私も定かにここでお答えするだけの自信はございませんが、可能な限り、あさってまでとかというわけにはいかぬと思いますが、御協力申し上げるべきだと思っております。
○和田静夫君 企画庁、このOECFの契約ベースというのは、CIF価格ですかね。
○政府委員(赤羽隆夫君) それぞれによりまして、CIFベース、FOBベース、違うようでございます。
○和田静夫君 そうすると、実際にはこのFOBの段階で操作があるということになるんでしょうかね。
○政府委員(赤羽隆夫君) そういうことはわかりかねます。
○和田静夫君 どうも私はよくわからぬのだけれども、価格が変動するわけですね。そうすると、契約と実際とが違ってくる。契約が適切に履行されないという問題をはらむ。企画庁はそれはどうですか。
○政府委員(赤羽隆夫君) インフレが激しくなりました以後につきましては、これは土木工事に限られますけれどもインフレ条項というのが入っている、このように理解しております。
○和田静夫君 これはもう少しお互いに勉強しましょう。 そこで、マルコス文書の中に、長女エイミーの資産運用を東京海上火災が担うという契約書があります。この文書は印鑑やサインもないので、また空欄もありますから、つくりかけで放棄されたもののようにも思われますけれども、大蔵省、事実関係。
○説明員(関要君) その件につきまして、報道の中に名前を挙げられている会社に尋ねましたところ、報道の中に名前の挙げられている社員は資産運用をするポストについたことはない。また当該会社がそのような依頼を受けたという事実はないという回答を受けております。
○和田静夫君 その返答をいただいてから、私ちょっと考えてみましたが、どうも恐らくこの契約は成立しなかったのだろうと思うんですね。しかし、こういう契約書の原文的なものが少なくともマルコス文書の中にある。ということは、マルコス一族が日本で資産を運用しようと試みたことは間違いがないんだろう、それが成就するまでには至らなかった、そういう証明にはなるような気がするのでありますが、大蔵大臣、こういう解釈、いかがでしょうか。
○説明員(関要君) 保険会社は、先生も御承知のように、保険事業として資産運用を行うという業務はやっておりますけれども、それを超えまして特定の個人から委託を受けて資産運用をするというようなことは業務の範囲の中に入っていないわけでございます。
○和田静夫君 私は、今あなたの方で個人の名を挙げられましたから、個人名があることを言われたから、私は殊さらに個人名は抜いたんですが。したがって、東京海上火災というのに勤めている云々ですね、ここに担わせるというような仕組みのことを考えた、しかしそれは成就しなかった、これはこういうふうな代物ではありませんか。
○説明員(関要君) 保険会社に所属する特定の社員が会社の仕事と関係なく個人として何か行為をするということにつきましては、私ども保険会社を監督する立場からは関心を持つ事項ではないのではないか、こういうふうに考えております。
○和田静夫君 そうすると、法務大臣はここに関心をお持ちになりましょうかな。――これは往復ですから、待っていると大変なことになるんでもういいです。 国税庁、過去に円借款に関連しまして、税務調査によって企業所得なり税額の修正を行った企業、これはありますか。
○政府委員(日向隆君) 私ども最近におきまして、海外取引に係る不正所得の発見の調査の重点項目の一つとしておりますので、今正確な件数等は記憶しておりませんが、海外に支払うコミッション等について申告を修正したり更正決定した例はあろうかと思います。
○和田静夫君 国税庁、マルコス文書の分析を進めていらっしゃって、関係企業の税務調査を開始されたと報道されているわけですが、その進捗の状況というのはどういうふうになっていますか。
○政府委員(日向隆君) 委員も御案内と思いますが、税務調査を実施する場合には、的確な調査対象の選定と調査箇所を的確に選択するということが必要であります。したがいまして、私どもといたしましては、今この問題に関します課税上の問題点があることは十分承知しておりますので、それをめぐりまして有効な資料、情報の収集に全力を挙げているというところでございます。その収集しました資料、情報に基づきまして、必要がございますれば随時調査を実施してまいりたい、かように考えております。
○和田静夫君 企画庁長官、借款の一部をリベートに使用するということは、海外経済協力基金法の二十条及び二十一条に私は抵触すると思うんですが、いかがですか。
○政府委員(赤羽隆夫君) 御指摘の条項は適正使用という趣旨の条項でございます。これはリベートに使うといったようなことにつきまして特に規定がございませんけれども、リベートという言葉自体が問題だと思います。いろいろな商慣行上必要な手数料なのか、その範囲を超えるのかということでございますけれども、私ども基金の審査の段階におきましてはこうした個々の項目についてまで詳細に積み上げ的な原価計算をしていない、こういうことでございまして、今仰せられるような点の確認ということはやっておりませんし、できません。
○和田静夫君 最後の「できません。」は非常に気に食わぬ答弁です。やっておらないのならやればいいんであって、今言われたのは適正な問題だけではなくて「業務の範囲」である二十条も問題ですよ。したがって、明確に二十条、二十一条に抵触する。これは大臣、ここのところは調査をされて明確な返答を締めくくり総括までにいただきたい、簡単なことですから。いかがですか。
○国務大臣(平泉渉君) 御指摘の海外経済協力基金法第二十条、この趣旨に従いまして十分に調べてみたいと思います。
○和田静夫君 さらにOECFの業務方法書第三条の第一項です。この「資金の貸付け」云々「に当っては、資金の効率的利用を図り、その適正を期すをこと。」、これにも抵触しますね。
○政府委員(赤羽隆夫君) 基金の業務方法書第三条におきましては「資金の効率的利用を図り、その適正を期すること。」、こういうふうに書いてございます。したがいまして、それぞれの支出の項目、それがどのような内容のものであるのか、これによって適正かつ効率的な利用かどうかということが決まるわけでございますけれども、それにつきましては先ほど申し上げましたような状況でございます。
○和田静夫君 先ほど申し上げた状況といっても、外務省はもう既に接触したり調べたり事情を聞いたりというような大臣答弁がありましたが、一番中心の企画庁が肝心のところは、自分の所管の法律に照らしてこういう事態が起きているにもかかわらず何の調査もやっていない、何の勉強もしていないというのは、一体これは総理、どんな状態ですか、中曽根内閣というのは。
○政府委員(赤羽隆夫君) これは事業計画等を審査する段階のことでございまして、その段階におきましてはまだ契約という段階に行っておりません。契約につきましての適正性というのは競争入札で決まった価格、これを適正なものと前提をする、こういうことでございます。 今御指摘にございましたようないろいろな問題点につきまして、私どもとして全く勉強していないという点につきましては、大いに調査に努めておるということでございます。御了解願いたいと思います。
○和田静夫君 結果から顧みて、諸法条項に照合しながら早急に結論を出すという姿勢が今求められているんですよ。 そこで警察庁、自治大臣、OECFは供与する借款の一部が本来の目的のために、言いかえれば開発事業のために使われないということを私は今明らかにしてきたんですね。そうすると犯罪を構成する要件たり得る可能性を持つんですよ、これは。私は詐欺罪の可能性を持つと考えるんですが、いかがですか。
○国務大臣(小沢一郎君) 犯罪を構成するかどうかは警察当局から答弁すべき問題だと思います。私は法の運用、判断、それらについては御答弁しかねますけれども、先日も刑事局長が答弁いたしましたように、我が国の国内法規に該当するということがあるかどうか、そういう点も含めまして今いろいろと資料を収集している段階でございます。
○和田静夫君 刑事局長。――それじゃ、法務大臣いかがですか。
○国務大臣(鈴木省吾君) そういう具体案件につきましては、実は御要求がなかったので刑事局長来ておりませんけれども、具体的な問題ではございません。一般的な問題として刑罰法令に触れる場合には、当然厳正に対処していくものと考えております。
○和田静夫君 これは実は通告してありまして、各省に及ぶと言ってあるんですから、したがって両省を早く呼んでください。それまでやらぬとは言わぬけれども。 業者が基金に提出する書類にリベートの記載がない、実際にはその中からリベートを支払う。そうすると提出書類にはリベート分が上乗せされていた、こういうことになりますね。
○政府委員(赤羽隆夫君) 契約の段階での審査でございますけれども、これは先ほども申しましたように入札の結果を審査するわけでございます。この入札というものの考え方は競争入札で決まった価格が適正な価格である、こういう状況、こういう判断のもとに入札結果に基づいて審査をする、こういうことになっております。そうしたときにそれぞれの事業費の原価計算的な内訳、こういったようなものが一部ある場合もございますけれども、そこには今仰せのような項目というものはないわけでございまして、したがいまして確認ができないということだと思います。もし仮にそういう項目がないというような原価計算書の内訳があったといたしまして、事実問題としてそういうものが支払われるということになれば先生御指摘のような事実になろうかと思いますけれども、その点につきましては全くそういうふうに書類はできておりませんし、我々の審査の段階におきましてもそういうことは確認ができない、こういうことだと思います。
○和田静夫君 ちょっと両局長が来るまでマルコス文書の問題については、今のは実は答弁も重要なので、チェックポイントの問題が絡みますから後に回しまして、この機会に私は日本の経済援助の問題点を整理して指摘しておきたいと考えるんです。 まず第一に、ODAの日本企業への還元という問題があります。無償協力は外務省、これはすべて日本企業が受注すると考えてよいでしょうか。
○政府委員(藤田公郎君) 無償資金協力の場合には、契約者は日本法人に限ることになっておりますが、調達はどこから調達してもよろしいことになっておりまして、現実に国によって違いますけれども、例えばASEAN等の国では大体半分ぐらいが日本からの調達、その他半分が現地を含みます第三国調達ということになっております。
○和田静夫君 円借についてもアンタイ化を強めていると言われるんですが、依然としてゼネラルアンタイドというのはこれは少ないわけですね。LDCアンタイドが多いのだろうと私はずっと読みながらそう思うんですが、LDCアンタイドで受注する企業が日本の子会社であるという事例、これはたくさんありますね。そうすると、一見、現地企業が受注しているように見えるんですけれども、実は日本の企業の関連会社であるということになる。そうすると外務省、これまでの円借款で受注企業の何%が日本企業であって、そして何%が現地の子会社であって、何%が純粋な外国企業であるのか、これはフィリピン、タイ、マレーシア、インドネシアについて示されますか。
○政府委員(黒田真君) 現在、先生御指摘のような細かい区分で私所持しておりませんけれども、従来の日本の借款のうち、日本の援助のうちと申し上げた方がいいと思いますが、一般アンタイで行われているものは六、七割になっておつたかと思います。LDCアンタイが三、四割、いわゆるタイドというものは一けたの小さい方の数字であります。そして、大体一般アンタイにおきましては日本企業が六割を受注しております。四割が外国企業の受注である。LDCアンタイにおきましては二割程度が発展途上国、それは当該国に限りません、その他の発展途上国に二割行っておりまして、日本企業が約八割を受注しておる。さらに、その受注した企業がどこから調達しているかということになりますとやや問題が厄介になってまいりますので、すべて今、受注した企業の属する国から調達したのではないと思いますけれども、そういう調査は存在していないのではないかと思います。
○和田静夫君 少し具体的な数字をあさっての締めくくりまでにもらえますか。
○政府委員(黒田真君) 今、私が若干丸めて申し上げた数字に関して、より正確に申し上げることはできると思います。
○和田静夫君 もっと援助の実態に迫れば、日本の企業があるプロジェクトを受注するために円借款をつけてくれと働きかけるケース、これがたくさんあると言われているんですね。まず、そういうことはありますか。
○政府委員(藤田公郎君) 一般論で申しますと、ある開発途上国が一つの事業の国際入札を行いますに際しまして、企業ベースでのもちろん応札を行うわけでございますけれども、その応札の価格、品質等と並びまして、当該企業の属しております国からの金融と申しますか、ファイナンスがあるのかないのか、あるとすればどういう条件がということが先方の入札の決定の際の条件になるという例はございます。
○和田静夫君 私が一例を挙げてみますと、一九八三年夏に対フィリピン円借款が締結されました。その中に製鉄所建設総合計画というのがありますね。
○政府委員(藤田公郎君) 第十一次の円借款で製鉄所建設総合計画七十億円、ミンダナオ島イリガン市に製鉄所を建設するものという計画がございます。
○和田静夫君 この製鉄所の建設をめぐって商戦は激烈をきわめましたね。日本からは川崎重工、丸紅、日本鋼管、日商岩井、宇部興産、伊藤忠などの多くの企業が応札した。ところが、イギリスのデービー・グループの猛烈な攻勢も受けて混戦をした。そこで、円借款をつけることでこの商戦を乗り切ろうという動きが出てくる。結局、紆余曲折を経て、原料ヤードについては三菱重工、三菱商事が落札をする、その他のプラントでは川崎重工、神戸製鋼、宇部興産、丸紅などが受注した、そういうふうに当時のものを読んでみるとされている。そうすると、外務省でも企画庁でもどちらでもいいんですが、原料ヤードの入札日それから応札企業名、これはわかりますか。
○政府委員(赤羽隆夫君) まずもって手持ちの資料がございません。それとともに、企業名等につきましては先ほどから外務省の局長が答えておりますような基本的な考え方でおります。
○和田静夫君 日時は後でひとつ確認をして私に連絡をしてください。これはよろしいですね。 この激烈な国際商戦で日本勢が劣勢な状態、そこにぽんと今言われる七十億円の円借款がつく、そういう経過をたどるわけですね。円借款が受注のために利用されるということはこの経過で実ははっきりしているわけです。業界紙には円借款による対抗がぜひとも必要と、当時はっきり書いていますよ。そうすると外務省、フィリピンの国鉄車両基地に対する円借款は幾らでいつ締結しましたか。
○政府委員(藤田公郎君) 鉄道車両検査修理工場計画のことを御指摘でございましたらば、これは十一次円借款八三年度のものでございまして、四十五億円が供与されております。
○和田静夫君 これはその前に技術入札が行われていますね。そして日本のコンサルタントが受注していますよ。こういうケースは実はまれではなくてしょっちゅうなんですね。日本政府はもっともらしい理由をつけて円借款をやるのですが、実態はアンタイドなどというようなきれいなものではどうもない感じです。まさに商社の援軍として円借款がつけられる、そういうケースがかなりあるのではないだろうかということをいろいろ調べてみて思うんですよ。外務大臣、これは一般論として聞きますが、日本企業の受注のために円借款をつけるとすれば問題なんですが、これは見解を承っておきます。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 円借をつけた場合に、それがLDCアンタイドなんかで、あるいはまた一般アンタイドでもそうですが、競争した結果日本の企業に落ちるということは、これは十分あり得るわけであります。
○和田静夫君 ちょっと答弁の趣旨が違っていますけれども、外務大臣、この日本の援助というのは要請主義だと外務省は言っているわけですよ。それは現地政府の要請であるとともに、日本のメーカー、商社、コンサルタント会社などの要請でもあるというのが実態なんでしょう。むしろ日本の企業がプロジェクトファインディングをやって、そしてそれを現地政府に持ち込んで、現地政府をして要請させる。それがすべてだとは言いませんけれども、そういうケースがたくさんある。したがって、現地政府の要請主義というのはかなり割り引いて見なきゃならないと思うんですね。日本企業によるプロジェクトの相手国政府への持ち込みという実態の中に今日の事態を生み出す一因がある、そう私は考える。それは援助当局が一枚かむという構造をある意味ではいみじくも証明するんじゃないだろうか。藤田局長の発言を再現はしませんが、こういうような実態にこの際メスを入れて全面的に見直していく必要がある、そういうふうに大臣お思いになりませんか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) なかなかその辺のところが私もよく詳細は理解しておりませんが、難しいところだろうと思います。要請主義ですから、その国の政府と日本の政府との間で円借等について交換公文、最終的に契約するわけでございますが、その過程において、やはりその国のそうした円借を求める事業ということになれば日本企業が優先権といいますか、LDCアンタイドなんかでは非常に有力でありますから、コンサルタントとかそういう形がその国との間で動くということは、私はあり得るだろうと思います。 それを踏まえて、結局その国としてこれはぜひとも円借で行いたいということで日本政府に要請が行われておるわけで、日本政府としてはそれは政府間のベースで決めていくわけでありますが、これはただ日本だけではなくて、世界各国の先進国が援助しておりますが、そういう各国の援助がどういうふうになっていますか。恐らく円借というのは日本がある程度独特な面が非常に強いわけですけれども、それに類似した各国の援助の形態というのはあるんじゃないだろうか、私はこういうふうに思っておるわけでございますが、いずれにしてもいろいろの面で研究といいますか、実態は少し調べてみたいと、こういうふうに思っております。
○和田静夫君 総理はいかがお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 政府委員の答弁のとおりであります。
○和田静夫君 よくお休みだったので、今、外務大臣がちょっと答弁されたので、やっぱり総理にもなる人はあれだけ寝ていてもちゃんとわかるのかと思ったら、やっぱりおわかりにはならなかったわけです。 外務大臣、こうした援助の決定過程が全くブラックボックスの中にある。それがこうした傾向を助長しているのではないだろうか。国民の税金を使っていながら個別案件を国会に報告する義務もない。そういう実態が実は援助を国民の目から遠ざけてさまざまなこういう今日のようなリベートを生み出す一因になっているのではないだろうか。個別案件を国会にきちんと報告する。その際援助の具体的目的と内容あるいはフィージビリティースタディーの主体、あるいは調査時期及びその概要、それからプロジェクトファインディングをやった主体。既に当該プロジェクトにつき入札が行われていればその時点、応札の会社などを明記すべきだろう。それが援助の不正使用をチェックする私は当然の方法だと実は思っているのですが、検討されませんか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いずれにしてもいろいろと検討するところは検討しなきゃならぬと思っておりますし、やはりこれから援助をどんどん拡大していくわけですから、真に相手国の福祉に役立つ援助でなきゃならぬ。 そういう立場で改善すべき点は改善しなきゃならぬと思っておりますが、例えば借款なんかの事業のときの、結局入札等はその国とそれから参加した企業との間で行われるわけでして、その辺に問題があるので、そこの実は入札なんかについてもその国が発表していない。フィリピンの場合も明らかにしていないということでございますので、そういう点からやっぱり相手の国の事業でありますから、相手の国が公開しないものを日本の国が明らかにするということも外交的にも問題も出てくるので、その辺が非常に難しい点でございますが、そういう難しい面もありますけれども、交換公文等で相当な私は縛りができるんじゃないだろうかと思っておりますし、そういう交換公文等につきましてはこれは閣議の決定を得るわけでございますから、国会等にもいずれ明らかにしなきゃならぬということは当然のことであろうと思います。できるだけ明らかにすべき点は明らかにしなきゃならぬわけですが、相手の国との関係でなかなかできない面もあることは御理解もいただきたいと思います。
○和田静夫君 私は、援助が終了した時点でも国会に報告されるべきだというふうに意見を述べておきます。 ところで外務大臣、日本の援助は著しくプロジェクト偏重といいますか、公共事業偏重のような気がするんです。OECDのDACの年次報告書でODAの分野別配分を見ますと、一九八三年には日本のODAは五四%が公共事業開発に使われていることになっています。それから、他のDAC主要国は公共事業は二〇%から三〇%。そうすると、日本の公共事業比率は飛び抜けて高いんじゃないだろうか。さらにプロジェクトの比率を見ますと、日本は八〇%を超えてこれまたダントツなんですね。そうすると、DACの平均は約六割ですから群を抜いていますよ。この公共事業偏重、プロジェクト偏重というのも問題を生み出す一つの根であるというふうに私は思ったんですが、この辺は外務大臣か企画庁長官、どういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(藤田公郎君) 確かに委員が御指摘のとおり、我が国のODAは公共事業と申しますか、インフラ整備に非常に重点が置かれているということが申せるかと思います。これは我が国の援助の対象国がアジア諸国であるということと恐らく無縁ではございませんで、相手国の需要、主要対象国たるアジア諸国、七割がアジアでございますが、それが必要としておりますのがインフラ整備というところにあるということが主たる原因なんだろうと思われます。それに比しましてヨーロッパ、アメリカ等はよりおくれた国、アフリカ等々を行っておりますので、よりインフラ整備面に向けられる割合が少ないということが申せるかと思います。 それから、第二点のプロジェクト性が強いという御指摘でございますが、まさに今国際的には非プロジェクト援助を重視すべきだという主張が非常に強うございまして、アフリカそれから南西アジア等の経済的に非常に厳しい状況にあります国はプロジェクトを推進するための内貨もない。そういう状況下では、プログラム援助と申しますか、予算補助的な援助、そういうようなものを強化せよという声がございます。我が国の場合には委員も御承知のとおり、我が国の非プロジェクト援助で一番重点的にございますのは商品借款でございますが、商品借款は形としてなかなか残らないということから、どうしても事業、プロジェクトを、後に残るものといいますか、きちっと橋をつくったとか病院を建てたという形に残るものをやはり重視しようという傾向が私ども援助の執行の任に当たる者にもございまして、非プロジェクト援助と申しますのはせいぜい二割、一割から二割の間を上下しているというのが現状でございまして、何らかのノンプロジェクト援助を重視せよという国際的な要望に我が国がどういうふうに対応していくかというのが、恐らくは今後の非常に大きな課題じゃないかと思っております。
○和田静夫君 援助の評価体制についても私は問題があるような気がしてしようがないんです。私は以前から評価体制について問題提起をここでしてきたわけですが、きょうは二つの点を指摘しておきます。まず第一に、評価をODAの実施主体が行うということは、どうも手前みその評価になりがちなのではないだろうかということですね。この評価報告書をずっと読んでみますと、うまくいかなかった点は、すべからくカウンターパートである相手国の問題になっていて、我が方の問題というのは浮かび上がってきていないんですね。 外務大臣、諮問機関であるODA研究会の報告でも、これは第三者による評価の拡充を提唱する折でもあり、やはり何といいますか、実施主体でない第三者が評価するという体制を私は早急におつくりになるべきじゃないだろうかということを思うんですがね。
○国務大臣(安倍晋太郎君) この点については、和田委員から御指摘を受けていることは私もよく承知しております。私自身もやはり評価のあり方について外務省だけがやるということは問題もあるということで、ODAの研究会の御答申も得て、第三者も入っていただいて評価をしていただくことがODAを非常に効率的にする上において大事だと、こういうふうに思っております。最近も実は鎌田前会計検査院長に委嘱いたしまして、そして評価の任に当たっていただいておるということで、こうした第三者に入っていただく評価体制というものは今後ともひとつ拡充強化していかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
○和田静夫君 私は、民間学識経験者あるいはNGO関係者、そして各党の推薦者から成るODA評価委員会、そういうものをつくるべきだろう、こういうふうに思っておるんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今後ともそういう会の意見をひとつ集約する形でいろいろと検討を進めてまいりたいと思います。
○和田静夫君 このODA研究会の報告では、「評価マニュアルの整備」が必要であるというふうにしているわけですね。この中に今回の反省を踏まえてリベートチェック、それから業者と現地政府高官との癒着も一項入れるべきじゃないだろうかということを思いますが、大臣はどういうふうに思いますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) この点は、実はODA研究会等でもいろいろと議論をしていただいたようですが、なかなか今のODAの研究会といいますか、評価をする委員会でそこまでやはり調査をするということは、権限的にもまた能力的にも難しいということで、一応その辺のところについては、これは法律違反ということになれば相手の国の問題、我が国の問題でもありますし、外務省が動くという問題でもないわけですけれども、そういう点は一応権限外だといいますか行わない、こういうことになって、しかし第三者を交えた評価体制はつくらなきゃならぬということで、今いろいろとその方向を論議しておるところであります。
○和田静夫君 評価の第二の問題点にこれから入るんですが、その前に先ほどの部分に帰ります、両局長来たようでありますから。もう繰り返しません。 警察庁、法務省、業者が基金に提出する書類にリベートの記載はない。実際にはその中からリベートを支払っている。提出書類にはリベート部分が上乗せされていたということ、警察庁はこれをどういうふうに判断されますか。
○政府委員(仁平圀雄君) 警察といたしましては、犯罪となるようなものがあるのか否かということにつきまして現在必要な情報収集を行っておるところでございます。 ただいま先生が御指摘になりました件につきましては、警察としてはまだ実態といいますか事実関係につきまして把握いたしておりませんので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。当然でございますが、刑罰法令に触れるものがあれば、これは適正に処理する方針でございます。
○和田静夫君 マルコス文書で、どの企業もリベートを支払っていたということはその後の円借款にも同様の行為がなされているということになろうと思うんです。そういうわけですから、警察としては、これは重大な関心をお持ちになって調査をされるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○政府委員(仁平圀雄君) 御指摘のとおりでございまして、私どもも十分関心を持って情報収集をしておるところでございます。
○和田静夫君 法務省、いかがでしょうか。
○政府委員(岡村泰孝君) 検察当局といたしましても、いろいろ報道され、あるいは国会で御論議されておりますことは承知いたしておるところでございまして、事態の推移に応じまして適切に対応するものと思っております。
○和田静夫君 通産大臣、このマルコス文書に出てくる円借款の時点では、輸出貿易管理令に基づいて輸出申請書類が提出されていた。その書類の中に一五%もの手数料が書かれていたのかどうかですね、書かれていなければこれは虚偽記載になるわけですが、大臣どうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 手続上のことでございますから事務当局から答弁させます。
○政府委員(杉山弘君) 私どもの方に提出をされます輸出承認申請書につきましては、その当時も現在におきましても、申請様式の中におきまして手数料を記入するという欄はございません。
○和田静夫君 企画庁、OECFの審査、あるいは入札審査、それから契約承認などのチェックポイント、これはきのう夜九時ごろにおたくからもらいましたが、これを見ますと、入札では工事及び役務の代金支払い方法でしょう、それから落札者選定は合理的か、それから契約承認のところでは入札書類と合致しているか、契約書の条項は必要十分か、そういうポイントがあるわけですね。それでなぜリベートを見逃すんです、これで。
○政府委員(赤羽隆夫君) ただいま委員が御指摘になりました審査、入札手続、契約承認手続におきます主要なチェックポイントは、今仰せられたとおりでございます。私どもとして、特に価格の面につきましての審査でございますけれども、これは全体として事業の実行に十分なものであるか、適切な金額であるのかという点は審査をいたしますけれども、しかしこれを非常にブレークダウンして、細分化された費用項目に分けまして、いわば原価積み上げ的なところまではチェックをしていないと、こういうことでございますので、そういう項目につきましての表示をするようなところはない、こういうのが実情だと思います。
○和田静夫君 リベートの存在はフィリピンに限らず援助関係者の常識なんですが、そのことをOECFは知らないはずが私はないと思う。リベートに関しては何よりも注意してチェックしなきゃならないはずである。それを見逃したとすれば、これは行政に瑕疵があったと言わなきゃ私はならぬと思っているんですよ。これは基金法第二十条違反として基金そのものが裁かれなければならない代物である。これは法務省いかがです。
○政府委員(岡村泰孝君) 私ども所管官庁でございませんのでちょっと意見を申し上げにくいわけでございます。また具体的事実関係が明らかでございませんと、犯罪の成否につきましても申し上げかねる次第でございます。
○和田静夫君 これはもう刑事局長よく御存じのとおり、罰則がついていますからね。このところは十分に関心をお持ちになり、調査をされますか。
○政府委員(岡村泰孝君) 先ほど来申し上げましたように、検察当局といたしましては事態の推移に応じまして適切に対応すると思うということでございます。
○和田静夫君 OECFは、借款の承認プロセスで幾重にもチェックするわけなんですが、そのチェックでも明らかにならなかったわけですね。あるいは明らかになったが見逃されたのかもしれません。その辺を確認するために、私はここで改めてOECFのフィリピン円借款に関するすべての審査調書、入札書類承認調書、入札評価承認調書、契約承認調書、業者との契約書、この五点を資料要求いたします。委員長、お取り計らいを願います。
○政府委員(赤羽隆夫君) 円借款に関します各種の調書類の提出でございますけれども、私ども監督官庁としてはこれは適切ではないと、こう思います。円借款の手続に関連をいたしまして、どういう点がチェックポイントであるのか、こういったような点につきましては既に委員に対しても御説明を申し上げているところでございますけれども、例えば審査に関する調書について御説明申し上げますと、これは外国政府からいろいろな資料の提供を受けてそれをもとに審査をしておると、こういうことでございます。もともと内部的な記録と、こういうことで作成をしているものであるという点もまた事情がございます。と申しますのは、もしこれが将来発表される、こういうことでございますと、いろいろな問題点といったものが必ずしも率直に文書の上に記載されないおそれもある、こういうこともあろうかと思います。しかし何よりも、外国の政府から提供を受けまして、公表を前提としない形での文書を基礎としておりますので、これは御提出申し上げるのは適切ではない、こういうふうに考えておる点を申し上げたいと思います。
○和田静夫君 この種の書類につきましては、この予算委員会が実は不幸にしてストップをいたしまして、そして国対間協議を経ながら、過去十年間にわたっては政府・与党はしっかり対応いたしますと。中にはそれはこれから精査しなきゃならぬ、どこの部分は出せないとか何かいろいろあるでしょうがね。したがって、一般論で片づけてもらっちゃ困る。今の政府側の説明というのは、昨日から一日かけてずっとやってきたことなんです。結果的には、事務ベースではどうにもならぬからここで要求をするということにしたんです。ということは、今まではこうであったから出せませんというのが原因なんです。ところが、今までという論理はこの問題については通用しないわけです、国会が明確に約束をしたことなんですから。その意味で委員長にお取り計らいを願う。
○委員長(安田隆明君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。 和田君要求の資料につき、その取り計らいにつきましては理事会で協議をいたします。
○和田静夫君 総理、政府委員の答弁はお聞きのとおりなんでして、この問題は援助がブラックボックスの中で決定されるところに実は基本問題があると私は思っているんです。援助問題、特に疑惑が指摘されていることについては、やっぱり政府は情報を公開するという姿勢は、限られた部分をどうするかは別問題として、まずお持ちになることが必要だと思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 情報公開につきましては、行政改革にも絡みまして種々検討しておるところでございます。私は、できるだけ前向きにこの問題を処理したいと念願しております。 そこで、当面の問題は、各省庁の連絡協議会を行いまして、文書課そのほか等の協議の結果に基づいて、できるだけ情報公開の実を上げるように今やらしております。法の制定につきましては、これは各市町村や都道府県で既にやったのもございまして、それらの成果等も見届け、検討もいたしてまいりたいと考えておる次第であります。
○和田静夫君 答弁がちょっと違っているんですがね。この援助問題、特に疑惑が指摘されているこのことについては、政府はもっと情報を我々に提供をすべきだと、こう言っているんです。その姿勢を持つべきである。
○国務大臣(中曽根康弘君) この問題等に関しましては、いろいろ御論議もございますが、対外関係等をも考慮し、可能な限り御協力申し上げたいと申し上げております。
○和田静夫君 私はここで、あさっての締めくくり総括質問に酒井重工業の牧野進取締役を証人あるいは参考人として出席を要求いたします。委員長、お取り計らい願います。
○委員長(安田隆明君) はい、理事会で協議をいたします。 和田静夫君の質疑は午前はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十分休憩 ―――――・――――― 午後一時二十一分開会
○委員長(安田隆明君) 予算委員会を再開いたします。 昭和六十一年度総予算三案を一括して議題といたします。 休憩前に引き続き、和田静夫君の質疑を行います。和田君。
○和田静夫君 国税庁、午前中の質疑で海外取引の不正について具体的な数字が出ませんでしたが、税務調査で修正させたものが何件過去にあるのか。そして、その中に円借款絡みの取引があったのか。あったとすれば何件であったのか。
○政府委員(日向隆君) 直近の五十九事務年度におきます資本金一億円以上の法人四千七百六十七件について調査した結果、一事業年度三千万円以上の大口の海外取引にかかわる不正、これを四十七件について把握いたしました。その不正所得は百二億円でございます。同様な数字は、五十八事務年度については三十六件、百二十一億円、五十七事務年度については三十件、四十三億円であります。 なお、円借款に関連した数字は私ども把握しておりませんので、御了解いただきたいと思います。
○和田静夫君 これ、フィリピンについてはそれぞれ出ますか。
○政府委員(日向隆君) 現時点におきまして、私どもフィリピンに関連して正確な数字は把握しておりませんので、御了解いただきたいと思います。
○和田静夫君 さて、評価の第二の問題点は、援助の社会的便益分析がなされていないということでなかろうかと私は思うんです。 私はこの席で一昨年、バングラデシュの例を挙げまして、ODAが当該の社会構造に大きな影響を与えて、そして貧富の格差を拡大する、そういう状態という問題について問題提起をしたわけですね。ODAが社会構造にどういうような影響を与えるのかということ、その便益分析がぜひとも私は必要だと、こう思うんですよ。そのあり方いかんによっては、援助は内政干渉になる。貧富の差を拡大するということは、これはもう内政干渉であり、また援助の目的にも、けさ来論議をしているように、そぐわないわけであります。ここのところを企画庁長官、見解を承りたいんですが。
○政府委員(赤羽隆夫君) 援助効果がどの程度出るのか、従来は経済開発あるいは民生の安定、こういう側面について検討してくる、こういうことでございましたけれども、その中で費用便益分析、こういったような指標もまた必要なのか、その場合にどのような費用効果分析、こういったようなものを考えたらいいのか、これからの研究課題ではないかと、こういうふうに思います。その際に先生も御指摘になりました、やり方次第ではいろいろ外交上の関係もあろうかと思いますけれども、その点はむしろ委託調査といったような形で、純学問的な観点からそういう分析をやっていただくといったようなことも一つ可能性として検討すべきかなと、こう考えている次第でございます。
○和田静夫君 長官、よろしいですかな。
○国務大臣(平泉渉君) 海外経済協力基金法の中に規定しておりますように、本来相手国の経済開発ということを中心として行うべき援助であり、その点について基金も十分その協力援助について調査をする、こういうことになっておりますので、十分こういう点は調査をし、研究を進めていかなければならぬと思っております。
○和田静夫君 私はちょっと一例を挙げますが、稲の高収穫品種でIRRIというのがありますね。これはアメリカがフィリピンにつくった国際稲作研究所が開発した高収量品種であると言われているわけですけれども、これが七〇年代に東南アジア諸国に導入されています。アメリカがこれを緑の革命と呼んだわけですが、この緑の革命は農民たちに何を一体もたらしたのだろうか、たくさんの論文が出ています。 それは、第一に農民の階層分化を拡大した。IRRIは化学肥料や農薬を大量投与しなければならないために富農や地主層に有利であって、貧農や小作はその費用負担に耐え切れずに借金を雪だるま式にふやしていた。こういうような事態というのは、フィリピンやタイのケーススタディーで明らかになっています。また農業の機械化、かんがい用ポンプなどが必要なため、持てる者に有利になっていった。結果として小農は土地を手放して、都市に出てスラムの住人となる。都市における失業問題がこうして生ずる。そして社会不安が生まれる。今回のフィリピン政変の社会的背景にはこういうような過程が私はあったと見る。日本もまたODAを通して高収量品種を積極的に推進していったわけですね。 そうすると、外務大臣、このODAというのは、私はそれだけの広さと深さを持っていると認識しなければならないと考えていますから、したがってODAはその策定に当たって極めて慎重でなければならぬということになるはずであります。その評価に際しても、それがどういうような社会的な便益を当該地域の民衆に与えるのかということについてきめ細かく、そして長期的視野に立って見定めておかなければならないでしょう。ODA研究会は、「評価を多角的なものとしていくことが望ましい。」と、こう述べていますね。そうすると、評価の視点に社会的便益分析を今加えるような答弁がありましたが、これはもう明確にやっぱり加えるべきだと考えるんです。大臣いかがでしょう。
○政府委員(藤田公郎君) 確かに委員が御指摘のとおり、ただいままでの評価はどちらかと申しますと、プロジェクトごとのミクロ的な評価というものが中心になっておりました。今御指摘のように、バングラデシュに関連してマクロ分析の必要性というのを御指摘になったということで、ただいま経企庁調整局長からお答え申し上げましたように、マクロの効果、それから二国間の関係に及ぼしている効果の分析ということについてもこういう評価の手法の研究を行っていきたいと今考えている次第でございますが、中間的と申しますか、それに至る間で、ただいま行っておりますのは、セクター分析ということで進めておりまして、五十九年度から農業でございますとか、かんがいでございますとか電力というセクターにつきまして、そのセクターにおいて我が国の協力がどの程度の効果を持ってきたかという評価は行っております。 それから、御指摘のODA研究会におきまして、より多角的な面からの評価の必要性というのが強調されておりまして、むしろ評価の手法にも第三者的な視点を導入すべきであるという御指摘をいただき、今御検討いただいている状況にございます。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今御指摘の点は、今後のODAを考えるときに非常に重要な私はポイントの一つであろうと思います。研究会等でも多角的な立場から今評価の形をいろいろと検討しておりますが、十分念頭に置いて今後のあり方をひとつ考えていきたいと思います。
○和田静夫君 それから次の問題ですが、受注企業と現地政府の癒着、そしてこの腐敗した政府高官のかすめ取りといった問題、こういうものを回避する最もよい方法というのはボランティア、NGOによる経済協力を私は促進することだろうと思っているんです。これも私は、既に一昨年に問題提起しているところでありますが、日本政府のNGOの支援は、これは著しく立ちおくれていると言わなければなりません。外務省がそれなりの努力をされていることを知らないわけではありませんが、まだまだ不十分だと言わなきゃならぬと思うのです。 NGOへの寄附金の免税措置やボランティア活動への便益の供与、あるいはボランティアの身分保障、就業保障、そういうできるところは早急に手をつけるべきだと思うんですが、外務大臣いかがでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) NGOは日本でも相当活動が活発になってきましたし、政府としてもこの協力関係を進めていかなきゃならぬという基本的な考え方を持っております。 特に昨年、一昨年とアフリカの援助等我々が推進する中で、NGOの重要性といいますか、非常にその意義というものは、今後ともこれは大事であるということを痛感をいたしました。いろいろとまだ世界のその他の先進国と歴史的な違いもありますし、なかなかその他の先進国で行われているような活発なNGO活動というのは行われていない面はあるわけですけれども、今後いろいろと工夫もし、またこれは、今おっしゃるようないろいろのこれからの積極的な活動への協力ということが外務省だけでできる面は限られておりますので、関係各省等にもひとつ研究をお願いをして、これを活発化させるために政府なりの努力はしていかなきゃならぬ、これは今後とも非常に大きな分野での活動が期待されるんじゃないか、こういうふうに認識しています。
○和田静夫君 大蔵大臣、NGOの免税措置についていかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 試験研究団体でございますとか、あるいは政府関係の機関でございますとか、そういうところへのいわゆる指定寄附の制度は存在しておりますから、それが積極的に活用されることに対しては、前向きに対応すべき問題だと常日ごろ思っております。
○和田静夫君 NGOについて外務省がどうも選別をしておられるのではないかという疑いを私は持つんですが、大臣、特定のNGOを特に優遇する、そういうことはないでしょうね。
○政府委員(藤田公郎君) 特定のNGO云々ということはございません。ただ、NGOの場合には御承知のとおり、それぞれの自主的な信条等がおありになって進めておられますので、私どもはできるだけその自主性というものを尊重しながら、協力し得る分野で御協力を申し上げていくという立場をとっております。 したがいまして、補助金を交付している団体、それから全くそういう関係のない団体というのはもちろん差がございますけれども、むしろ私どもはNGO自身の組織化に側面的にお力をかすということで、NGO協議会がNGOのメンバー表、リストをつくられるのに側面的にお手伝いをするとか、そういうような形での協力を申し上げているというのが今の状況でございます。
○和田静夫君 私はきょうは名前を挙げませんが、一つの団体がある、NGOの団体で。その団体は、思想傾向といえば八紘一宇を理想とする団体、イメルダ夫人とも親しい間柄であったと言われる。そうすると、外務省のNGO政策を見ていますと、補助金の交付についても、諮問機関への参加や国際機関への派遣を見ましても、すべからくこの団体を優遇しているようにどうも思えるんですね。見えます。外務省お気に入りの団体を優遇するというのではとんでもないことになりますから、そういうことは将来起こらないということを大臣、いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 特別にお気に入りの団体というわけではありませんで、やはりNGOの団体それぞれ自主的に、意欲的に活動を展開されているわけでございますし、我々はその活動を非常に評価もしておるわけで、今後とも側面的な立場ですけれども、これに対するいろいろな面での協力は進めていかなきゃならぬ、こういうふうに思っております。
○和田静夫君 NGO活動に対して外務省が恩恵を与えるからとして介入をする、こういうことはないと承っておいてよろしいですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 特に恩恵を与えるという、私もNGOの団体を随分知っておりますけれども、そういう考え方で接した覚えはございません。これはやはり今後できるだけ公平に接していく、そして協力を求め、また協力をしていくということでなければならぬと思っております。
○和田静夫君 私はこれまで、今回のマルコス疑惑を踏まえまして、日本の援助をめぐり幾つかの問題点を指摘をしてまいりました。そして具体的な提案をしたんですが、また幾つかの点は外務大臣が非常に率直に検討すると約束をされました。 そこで最後に、これらの諸方策を実現していく上でぜひとも必要なのは、やはり過日もありましたが、経済協力基本法とでもいうべき根拠法がどうも必要だということを考えるんですね。経済協力の理念と目的、援助実施体制の整備、国会への個別案件の報告あるいは評価の体制、JICAの内容、NGOへの補助金交付、優遇措置等々は、行政裁量の領域を私ははるかに超えるものだろうと思んですね。法律的根拠がもう必要だ。それらを一本にまとめる基本法を私はつくるべきだと思う。そういう法律が、外務大臣が検討すると約束をされたことが実現するためにはぜひ必要なんだ、そう考えるんですが、大臣、そうお思いになりませんか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今までやってきました日本の援助、お話しのように、我々自身がやっておりますように、四省庁が協議をして進めておりますし、外務省が対外的には窓口になってやっておるわけでございますが、その限りにおいては、私は援助は全体的には適切に行われてきておるのじゃないかと思っております。しかしもちろん、今日のようなフィリピンの問題が起こりまして、これを一つの反省の機会として、いろいろと改善すべきことは全体的な面からひとつ改善するということでとらえていかなきゃならぬ、こういうふうに考えておるわけですが、これからもいろいろと議論が展開されるだろうと思います。そういう中で今の援助体制をどうするかという、そういう面につきましても御意見等も承りながら研究はしていかなければならぬと思うわけですが、今ここですぐ法律の制定とかそういうところを申し上げるような立場といいますか、まだそこまで考えておるわけではございません。
○和田静夫君 改善のための研究、検討をずっと進められていって、その結果必要と考えられる場合には基本法の制定もあり得ると、そういうふうに、今の御答弁とっておいてよろしいですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは外務大臣だけの立場で推進できるという、取り組めるという事柄ではございませんで、関係各大臣等ともこの問題についてもいろいろと話し合ってみたいと、こういうふうに思います。
○和田静夫君 総理いかがですか、今の質問。
○国務大臣(中曽根康弘君) 関係各省検討の結果をまって、最終的に研究をしてみたいと思います。
○和田静夫君 私は、やはり基本法がもう今までの論議を踏まえて必要だと思っていますので、強くそのことを要請しておきます。またODAの量的拡大からしても包括的な根拠法が必要なんだということを考えるんですが、予算の主要経費を見ましても、包括的な根拠法がないのは経済協力費ぐらいなのじゃないですか。これはやっぱり財政民主主義という観点からしてもおかしいと思うんですが、大蔵大臣、その点で今総理答弁、外務大臣答弁がありましたが、ぜひ大蔵大臣が強く、NGOの免税問題一つ考えてもやっぱり基本法必要ですから、主張されたら……。
○国務大臣(竹下登君) 私も今の話聞きながら大いに検討に値する課題であるという問題意識を持ちましたが、言ってみれば訓示規定みたいなものになってもならぬなというような印象を持ちましたことだけつけ加えさしていただきます。
○和田静夫君 大体マルコス問題きょうはこの辺で終わるんですが、ところで、アメリカの議会で公表された資料には円借款関連案件の受注企業名が明らかにされておる、また契約の一方の当事者たる本邦企業が受注の事実を認めている、それなのに政府が企業名を公表も確認もできないというのはおかしいわけですが、これは非常に前向きの答弁を外務大臣は過日もされたのでありますが、もうこの辺で結論的なことを言われたらいかがでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) この点につきましては、いわゆる政府としての統一的な考え方を申し上げさしていただきますが、今回公表されたいわゆるマルコス文書における御指摘の点に関する記述については承知いたしており、それはそれなりの重みを持つものである、こういうふうに受けとめております。ただし、事は当事者たるフィリピン政府及び関係企業の基本的利害、さらには日比関係全般にもかかわる問題でもあり、政府としては、公表文書を含め慎重の上にも慎重を期して検討している段階でございますので、現時点において契約の当事者でない政府として企業名につき確認し得る立場にないことは御了解をお願いしたいと、こういうふうに存じます。
○和田静夫君 米議会で公表された資料に基づいてフィリピン政府に、やはり我が方としては公表をする、そういう旨の申し入れぐらいはやって、今日の問題の重要性というものを認識させる。またアキノ新大統領は、みずから革命政権とまで言い続けているわけでありますから、政権が移動をしているわけですから、今申し上げたような対応を政府としてやられて僕はしかるべきだと、こう思うんですが、いかがです。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 先ほど申し上げましたように、公表された文書についてはそれなりの重みを持って政府としては受けとめております。 ただ、フィリピン政府につきましては、御承知のようにまだ公表もフィリピン政府としてしていないということでございますので、二国間の外交関係から、この点につきましては我々としても微妙な問題でございますので慎重に取り扱わなきゃならぬ、こういうふうに思いますが、フィリピン政府からの御要請があれば、御要請を踏まえて、どういうことで御協力できるかということについて我々十分検討して、協力できるものは協力しなきゃならぬ、あくまでも日比間は友好関係を貫くという形でいろいろと対処してまいりたいと、こういうふうに思います。
○和田静夫君 なお答弁不満ではありますけれども、あとは締めくくり総括の時点に譲ります。 昨年の九月二十二日のG5、それ以降円レートがずっと急上昇しましたね。これはニューヨークのG5の合意を受けての協調介入を契機としたものでありましたが、昨年十一月からことしの一月半ばごろまでは一ドル二百円前後、小康状態にあった。ところが、ロンドンの一月十八日の会議を経た以降、百八十円前後の円高に急騰していますね。ロンドンのG5で何か密約されたとでも言いますか、何か暗黙の了解があったような気がして仕方がないのですが、大蔵大臣いかがでしょう。
○国務大臣(竹下登君) 五カ国蔵相会議というのは、そもそもが通常非公式会合として適宜開催されてきたものでございます。IMFの暫定委員会がございます。その前に集まりますとかというようなことでございました、元来。したがって、具体的に会議録があるとかいうものでもございませんので、内容についてお答えをすることはできないという性格のものだと思っております。だれがどう言ったとか、私がこう言ったとかということにつきましては、インフォーマルなものでございますから。 ロンドンのG5では、昨年九月二十二日、今おっしゃったニューヨークのG5以来の為替市場の状況と各国の経済状況、これについて話し合いをいたしたわけでございます。それで、これはみんなでいわゆる公表するものを整理したわけでございますが、我々はきょうまでの変更及びその達成の仕方に双方満足した。我々は合意が継続すること及び達成されたことが逆転することを許してはならない。私流に表現すれば、後戻りはいけないというふうなことでございます。 それから、財政政策につきましては、グラム・ラドマン法ができましたので、したがってアメリカがあのとき附属文書にうたっておりましたいわゆる財政削減についての法律を制定したというのは、これはお互い評価しようということで、これが継続的削減につながっていくようにという期待をお互いが表明をいたしました。 それから、我々五カ国におきますことしのインフレ見通しについてはかなりの差がございますけれども、総じて従来までの経過から見れば、これは自信を持った、インフレは抑制基調にある、したがってこれが金利の引き下げに有利な環境づくりに寄与すのものと考える。五カ国の中央銀行は密接な協力を維持するであろう。と申しますのは、やっぱり中央銀行の独自性、主体性ということにお互い敬意を払っておりますから、そういうことで合意をいたしたわけであります。したがって、それ以外の問題について、あるいは為替相場のターゲットゾーンを定めたとか、そういうことは全くございません。
○和田静夫君 ロンドンから間もなくして竹下大蔵大臣が百九十円台容認発言をされたわけですが、その後ヤイター通商代表の百七十五円目標発言が出た。それからベーカー財務長官のドル安容認が飛び出した。この一連のことをずっと考えていきまして、ロンドンのG5では、アメリカあるいは西ヨーロッパから一段と円高を求められて、その圧力に屈したのではないだろうかということを疑うんですが、そういうことはありませんか。
○国務大臣(竹下登君) 百九十円台容認発言というのは、ちょうど二百一円でございまして、例えば百九十九円になった場合どうするかというような記者会見で内外記者団の問いがございましたことに対して、いわば一円、二円の問題等でターゲットゾーンを定めるべきものではなく、市場の自律性にゆだねるべきだというようなことがある一つの外国の通信社から何か百九十円台許容発言というふうに伝えられた。慎重の上にもやっぱり言葉は気をつけなきゃいかぬなということは非常に感じております。 ただ、概して日本の大蔵大臣に対して一番、為替相場観を出すことをみんなが非常に注意するようにという空気がわかります。それほど日本の通貨というのが大きな役割を果たしておるという意味でございましょう。したがって、非常に発言には注意いたしておりますが、他の経済機関とかそういうところ、あるいは産業サイドの方がいろいろな御議論をなさいますのは、これはそれなりにお聞きしておるしかないなと。例えば、我が企業はどれぐらいならやれるとか、外国の企業でございますけれども、あるいは純粋に為替相場だけで貿易収支がどう変わるためにはどうあるべきかとか、そういう前提を置いたいろんな議論がなされておるということは十分承知いたしておりますが、やっぱり市場が自律的に判断するということが一番正しいことではないかというふうに思っております。
○和田静夫君 私は、昨年九月のG5以降の円高局面を二つに分けて考えているわけですが、円高の第一局面では、二百四十円から二百円程度まで上昇した時期がニューヨークからロンドンまでの時期である。第二局面は二百円から百八十円前後のロンドンから最近までの時期である。そうすると、別な見方でいきますと、第一局面は不当な円安から適当な円高への是正期、第二局面というのは適当な円高から不当な円高への道、そういう時期と考えるんですが、総理、どう判断されますか。
○国務大臣(竹下登君) これは仮に適当、不当と言いますと、やはりターゲットゾーンを定めたことになりますから非常に表現のしにくい問題でございますが、ニューヨークG5からロンドンG5までの間は、各国ともその推移を評価をしたということだと思います。それからそれ以後今日までは、各国によって若干のニュアンスの相違はございますにしても、いわば急速に過ぎたとでも申しましょうか、そういう印象は私自身持っております。
○和田静夫君 アメリカのレスター・サロー・マサチューセッツ工科大学教授が、百四十三円が日米の経常収支を均衡させるレートだと、こう言ってますね。その他エコノミストの見解を見ますと、バーグステン元財務長官が百六十円、九〇年までに百二十円か百三十円、あるいはクラウス・ブルッキングス研究所主任研究員は将来は百円と、こう言っていますね。あるいはクーパー・ハーバード大学教授、ドフリース・モルガン銀行副頭取さんたちは百五十円から百七十円と、こう言ってますね。それから政府筋は、ヤイター通商代表が先ほど言った百七十五円だし、スマート商務次官は百五十円から百七十円ですね。一段の円高を求める声が非常に強いんですが、こういうアメリカ国内の意見について大臣並びに総裁、どういうふうにお思いになりますか。
○国務大臣(竹下登君) まず私からお話し申し上げてみますと、一つには、いろんな人が各種の前提を置いて種々の試算を行っておられますが、万人が納得するような適正相場水準を特定することは確かに困難でございます。 今、和田さんおっしゃいましたほかに、経常収支均衡レートという考え方からいいますと、やっぱり百四十三円というレスター・サローさんの例示でお出しになりましたが、その他にもそういう計算の方法をなさる人がございます。それからスマート商務次官は購買力平価で見れば百五十円から百七十円じゃないかとか、それからバーグステン所長さんは貿易収支均衡レートから見れば百六十円じゃないかとか、それからヤイターさんはファンダメンタルズから算出すると百七十五円じゃないかと。 〔委員長退席、理事桧垣徳太郎君着席〕 それからバーグステン所長さんとクライン同上級研究員さん、この分は基礎均衡レートという分でやると百九十一円ではないかと。それからボルドリッジ商務長官は輸出競争力回復は、これは去年の十月の段階でございますけれども、百九十三円じゃないかと。それからこれも去年の十月の段階ですが、チェース・マンハッタン銀行は購買力平価で二百円から二百十円見ればいいじゃないかとか、そういうふうに確かにいろんな人によって、そしてまた前提の置き方によって違ってまいりますので、やっぱりこれだというものは現実問題としてお答えしにくい問題であるということであろうと思っております。 ただ、概して言いますと、産業サイドの方はなお円高、そして金融サイドの方は現状的発言が多いということは言えるのじゃないかと思っております。
○参考人(澄田智君) 私どもも、つまるところはニューヨークのG5の合意にあります、我が国のファンダメンタルズを十分に反映するようなそういう為替相場であるべきであるという基本原則、そこに立ち返るほかはないと、こういうふうに考えているわけでございます。そして特定の相場水準をターゲットとして念頭に置くとか、あるいは特定の相場水準を言うというようなことを控える、こういうことでやってきているわけでございます。 いろんな説のあることは今もお話のあったところでございますが、いずれにせよ私の立場、当事者としての立場から特定の為替水準の相場について評価を申し上げるというようなことは、やはり相場に影響を与えるというようなこともございますので、差し控えさしていただきたいと、かように思う次第でございます。
○和田静夫君 アメリカの中にも私は、大臣も言われましたほかにもいろいろのさまざまな意見があることを知っているんですが、特にFRBのボルカー議長は、ドル暴落に強い懸念を示していますね。しかし、ボルカー議長が心配していらっしゃるようなインフレの懸念というのは、原油価格の値下がりが薄らいでいるし、あるいはアメリカの中の大勢はやはりもう一段の円高を求めているというふうに見るべきじゃないだろうか、こう思っているんです。しかし、百六十円、百七十円程度のそういう円高を容認することは避けるべきでしょう。こういうような状態というのはやっぱり不当な円高から異常な円高に移ったと見るというのが私は至当じゃないかと思うんですが、この辺は総裁いかがでしょうね。
○参考人(澄田智君) 重ねて同じようなことを申し上げて恐縮でございますが、私の立場、為替市場の当事者というような立場でございますので、発言はその点を考慮しなければならないわけでございますが、円高が余りに急激に進むということは、これはいろいろ国内における産業界の対応その他を考えてみましても、非常に困難もあるわけでございますし、また国際通貨の安定という意味からも必ずしも好ましいことではないと、こういうふうに私ども思うわけでありまして、基調としての円高ということは、これは望ましい方向と言わざるを得ませんが、しかし安定するということがそれよりも一層現時点においては望ましいことである、こういうふうに申し上げる次第でございます。
○和田静夫君 先々週の三月十八日、円レートが史上最高の値を更新したあの局面で日銀単独介入をやられたわけですが、このときアメリカとの協調介入がなされなかった何か理由がありますか。
○参考人(澄田智君) 三月の十八日にニューヨーク市場においていわゆる逆介入が行われたという報道がございまして、そのことは私どもも十分承知はいたしております。しかし、介入の有無や、あるいはどういう時点でどのような介入をしたかというようなことにつきましては、外国の通貨当局に対する関係におきましても、また日本の立場におきましても、これは為替相場に対する影響というような点から具体的なコメントは差し控えさせていただきたい、かように存ずる次第でございます。
○和田静夫君 円が百八十円程度に落ちたが、結局日銀の逆介入の効果はあったと判断をされるというような質問はどうでしょう。
○参考人(澄田智君) あの時点におきましては円高がかなり急ピッチでございましたために、したがって市場としても警戒感というものが強まっておった、こういう状態であったかと思います。したがって、それ以後は最近のような相場の動きになってきている、かように考えている次第でございます。
○和田静夫君 百八十円台のあの落ちはアメリカとリビア紛争の影響によるものであって、単独介入の効果などというものではないんじゃないだろうか、薄いんじゃないだろうか。大蔵大臣はどうお思いになりますか。
○国務大臣(竹下登君) あの時点でやや円安に戻った背景というのは、直近の米国の経済指標が好調であったことが一つ、およその分析でございますが。それから、今おっしゃいましたリビアと米国との交戦によって、いつでも非常時に強いドルという習性と申しますか、そんなようなことを論評しておるプロが多うございます。
○和田静夫君 総理に伺いますが、よくお休みになっていらっしゃって気の毒ですけれども、総理、昨年来からずっと国際協調ということを言われているわけでありますが、ニューヨークのG5合意を受けた国際協調介入や、あるいは協調利下げを行ってきたわけですが、にもかかわらず、今回はアメリカに協調逆介入を断られたその原因は、総理、どういうふうに判断されていますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 昨年の九月二十二日のG5から大きな潮の変わり目が起きたと私は申し上げておりますが、それはやはり国際先進国間におきまして政策協調ということが明確に意識され、かつ政治意思がこれを推進するという点において合意がなされた。その政治意思の実現ということがやはり円・ドル関係を変化させた一つの大きな要素に結果的に見るとなってきつつあると思っております。 その後の状況につきましては、自然体で流しておるわけでありますが、アメリカ側からしますと、何といっても日本のドルの蓄積が五百億ドルを超えているという状況で、まだその輸入超過が続いておる、こういう状況からして、円の評価というものがまだ十分でない、彼らはそう感じておる。ボルカーさんだけが多少アメリカのインフレを心配しましてやや慎重な発言でありますが、そのほかの方は大体そういう方向に動いてきておる。しかし、我が国から見ますと、何しろ二百四十円台から一挙に百八十円台まで、約三割に及ぶ大きな変動が起きたのでありまして、短期間にこれだけのものに対してとても中小企業や大企業といえども追いつけない、そういう形で一部の苦難が起きておるわけで、今その手当てを懸命にやっておるわけであります。 そういうような経済体質あるいは短期間における変動というものをかなり重要視して考えている我が国とアメリカ側の要請というものに、そういうようなギャップがまだ多少ある。しかし、それらも今大体解消に近づいてきておりまして、自然体がいいなという点においては一致してきつつあるように思います。 しかし、金利の引き下げについては、去年の秋から私が列国の協調的な引き下げが望ましいと言って、大体それが実現してまいりまして、世界的に低金利、低物価時代の幕あけという形になりつつある。これは私は長期的安定という面から好ましいし、発展途上国やあるいは特に債務国に対する影響から見ても好ましい、そう考えておるわけであります。
○和田静夫君 去る二十二日の予算委員会で、総理は百七十四円とか百七十五円の円レートは行き過ぎだというふうに発言をされていますが、私も異常な円高だと思うんですから、こういう点は同じだと思うんですが、そう考えておいてよろしいですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) あの時点においてはそう感じたことを申し上げたわけです。
○和田静夫君 国際協調による政策も確かに必要ではありますが、我が国だけがアメリカなどに踊らされる危険は一体ないんだろうかということを考えるんですよ。現に、円の対ドルレートの上昇幅というのは、他の欧州通貨の上昇の幅と比べて際立っていますね。総理が行き過ぎだと言われた円レートでの逆介入は米国に拒否されているわけですね。そうすると、我が国だけが不利益をこうむるような国際協調、こういうのは私おかしいんじゃないかと思うんですが、大蔵大臣いかがでしょう。
○国務大臣(竹下登君) これは、通貨当局者は絶えず連絡をとり合っております。その都度都度の連絡の中におけるタイミングとかいろいろな微妙な問題を公表するわけにはまいらない立場にございますが、今までは率直に申しまして一定の段階の人で協調をしていただく。だが、今完全に日銀総裁、私の段階で夜と昼の時間の関係を非常に注意するぐらいな協調連絡関係にはあるでしたがって、その都度一方的に日本が不利益を要請されるという環境にはないというふうに私どもは思っております。
○和田静夫君 私は、G5以降の国際協調は実は失敗ではなかっただろうかと考えているんですが、大臣は。
○国務大臣(竹下登君) やっぱり各国が今のファンダメンタルズは適当でないという合意を得たということは、成功ではなかったか。それで、その後の問題としまして、ロンドンG5で、インフレの状態から見て利下げの環境が整った、という合意、これが結果として政策協調の一環として金利下げができた。これはまた評価をしてしかるべきではないかというふうに思っております。 それで、あとは各国が附属文書でいろいろ自分のところでしなきゃならぬ役割のようなものをお互いが述べておりますが、アメリカの場合ですといわゆる法律ができた。今また違憲判決が出たりしておりますけれども、一応きのうもアメリカから会計検査院長さんがお見えになりまして、あそこの会計検査院長さんは御案内のように国会が選任するわけですから、政府に対してはかなり強い立場にいらっしゃいますが、お話も聞いてみましたが、それはやっぱりあの法律は抑制効果というものは働くという評価でございました。そうすると、我が方が受けておりますのは、いわば市場開放と、それから内需拡大。これも予算を通していただくや否や、まさにその新しい対策をいろいろ出すことによってこれに協調していこう。 ただ、恐らく和田さんの頭の一隅にありますのは、レートが日本の方が余計上がって、切り上げ率が高くて、ヨーロッパの特に恐らくマルクのことが頭にあるのでございましょう。ちょうどヨーロッパの共通通貨のEMSの、みんなあそこは抱えていかなきゃならぬ、絶えず部内調整していなきゃならぬわけですから、何か部内調整の時期ときょうこのごろがちょうど一緒になっておるという点はあるようでございますが、私どもとして、日本が国際協調によって被害者になった、いわゆる現状あらわれております中小企業、輸出関連関係の方の問題は私も十分問題意識を持っておりますが、全体として日本だけが国際協調の中で被害を強いられたというふうには理解をしておりません。
○和田静夫君 私のちょっと言いたかったところはそこに帰結するんですが、今回の円相場の急騰というのは、極めて政策的性格が私は強いと見ているものですから、その犠牲を何ら責任のない中小企業が負うという形になっていますので、ここのところはやっぱり許せない。アメリカの圧力で異常な円高を結果的には容認をしている。その結果が月本だけが打撃を受けるという形ですから、今も答弁が先行してありましたが、我が国の国益が十分反映した適当な円高に安定化をさせる、そういう努力は、これは中曽根内閣として当然おやりになるべきだと思うんです。総理、いかがです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 我々は自由経済を信奉しておりますから、今の状態は英語でよく言われますが、マネージド・フローティング・システムとかあるいはマネージドフレキシビリティーとか、そういうような情勢で今流れておるし、それでいいと思うんです。それで、できるだけ各国のいわゆる経済ファンダメンタルズが反映するような形で円ドルあるいは国際通貨関係が実現していくことが望ましい、そう考えております。しかし、幾らが適当であるかというような水準線は為政者が申すべきではない、これは市場マーケットの実勢によらしむべきである、そういうふうに基本的に考えています。 しかし、世界経済全般とかあるいは内需の問題であるとか、そういうものを考えます場合には、世界経済を考えた上の政策協調、大きな意味のマクロの政策協調ラインというものは、各国の首脳部の間において合意をされればそれは好ましい。経済サミットにおける仕事はそこにもあるんではないかと考えております。
○和田静夫君 ところで、六十一年度の政府経済見通しの前提となっている円レート、企画庁長官、幾らですか。
○国務大臣(平泉渉君) 今回の政府経済見通しにおきましては、六十年十一月中の平均のレートを用いまして、六十年十二月以降一ドル二百四円程度として計算をしておるわけでございます。大体六十年十一月一日から十一月二十九日の一カ月間のインターバンクの中心相場の平均ということで二百四円を採用いたしておるわけでございます。
○和田静夫君 そうですね、一ドル二百四円。 そこで前回の、五十三年の円高局面では一ドル百八十円、そういう前後の水準がわずか一カ月という短期間で終わって、そして二百円以上の円高水準も六カ月余で終了した。今回の円高はサミット以後も続けられるのか、あるいは少なくとも今後二、三年間は現状程度の円高が続くものと見てよいのか、この辺は総裁いかがですか。
○参考人(澄田智君) サミット後の相場がどういうふうになるかというような、そういう為替相場の見通しにつきまして、やはり先ほどから同じようなことを申し上げますが、当事者あるいは当局者が発言することはすぐそれが市場の思惑に結びつくわけでございますので、やはり具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。 ただ、対外不均衡の是正という観点からすれば、方向としては今後とも為替相場が円高基調を崩さないということが必要である、そういうふうには考えております。
○和田静夫君 総裁、大蔵大臣がちょっと答弁しにくいということになると、経験者の通産大臣どうです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは結局わからないということですね。
○和田静夫君 円レートが経済見通しの前提と比べて二十円以上も円高になっているんですね。しかも、この円高は五十三年のような一時的なものではないんですね。長期化する、そういう可能性が私は強いと見る。となりますと、経済見通しの前提条件が大幅に狂ってくるわけですよ。予想外の円高、さらには現在以上の円高が相当期間にわたることになると、そういうことによる円高デフレ影響というのは極めてこれは大きくなるんじゃないだろうか、こう思うんですね。これも総裁だめですかな、考え方は。
○参考人(澄田智君) 円高のデフレ的な影響につきましては、これはいろいろと今影響が既にあらわれているということは私どもも承知しておりますし、今後ともそういう点につきましては、日本銀行の立場といたしましても十分に注意していかなければならない、かように思っておるわけであります。 しかし、他方におきまして、円高は交易条件を改善し輸入物価を引き下げる、そして実質所得を増大させる、こういうプラスの効果もござい出ます。また石油価格が下がっているという、そういうメリットもあるわけでございます。また既に二度に及んで公定歩合を引き下げております。そういう金利引き下げの効果というようなプラスの効果というものも出てくるわけでございます。 ただ、このプラス・マイナスの効果というものがそれぞれ出てくる時期にタイムラグがあるというような点は注意をしてまいらなければならない。メリットの出るのがおくれて出てくる、そういう事態になる可能性も十分あるわけでございまして、そういう点は今後とも十分注意してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○和田静夫君 円の急騰で民間機関では成長率を下方修正しているところが多いんですね。申すまでもなく、東海銀行が例えば一・九%とか、ずっと変わっていますね。そこで、昨日通告したとおりですが、OECDの改定経済見通し作業の中でも、六十一年の日本経済の実質成長率を三・五から三・二五%、これも下方修正なんですね。したがって政府においても、当面円高が長期化するというのであるから、円レートの前提を置きかえて暫定試算ぐらいはやっておく必要があるんじゃないですか。いかがです。
○国務大臣(平泉渉君) おっしゃるとおり、円のレートにつきましては変化をいたしておるわけでございまして、その影響もありまして、最近の民間の主要機関などで見通しを改定しておるのがございます。おっしゃるとおり、昨年十二月段階で実質GNPが三・二と見ておった日本経済研究センターは、本年三月には二・七というふうに下げておるわけでございます。しかし、上げておるのもございまして、国民経済研究協会では、前回十二月には三・八と見ておったのが今回は四・〇、こういうふうに見ておるわけでございまして、やはり円高メリットをどう見るか。もちろん、政府といたしましてはさまざまな内需拡大の政策を今十分考えておりますし、その辺、政府の総合的な経済対策というものも相まちまして、私どもとしては今の見通しを変更する気持ちはございません。
○和田静夫君 ここのところは見通しの問題ですが、四%成長は政府は可能だと言っていますけれども、今も言われたが、急激な円高デフレで目標達成は難しい、私はそう見るのが大体普通じゃないかと思っていますが、輸出がより落ち込むとともに、内需の柱である消費、設備投資も低迷をする、あるいは原油価格の低下を織り込んでもこれはもう六十一年度は四%成長は難しい、そういうふうに思います。再答弁求めてもそれ以上出ないでしょうから、きょうはそこにおいておくとして、実質民間最終消費支出ですが、これは政府経済見通しによると、六十年度の三%が六十一年度は三・六%に高まっていますね。その根拠は一体何です。
○国務大臣(平泉渉君) お答えいたします。 最近の百貨店販売額、セルフ店販売額等の関連指標は非常に底がたく推移をしております。また旅行などのレジャー関連支出も好調が見込まれております。また引き続き所得が着実に増加をすると見込まれる。また物価の安定基調が続く中で実質所得の増加が寄与してまいりまして、消費者マインドに好影響を与える。こういったことを私どもは勘案いたしまして三・六%の上昇ということを見ておるわけでございます。 いろいろ細かい指標がございますが、必要であれば政府委員から答弁いたさせます。
○和田静夫君 円高による消費者物価安定ということですが、既に消費者物価は安定し切っているんでしょうが、大幅な低下にはならないでしょう。しかも、春闘相場も非常に厳しいものが予想されているわけです。所得税減税の見送りがある、実質増税の影響、こういうものは無視できないと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(赤羽隆夫君) 最近の経済の状況でございますけれども、先ほど日銀総裁もお答えになっておられましたけれども、確かに円は六十一年度の経済見通しの前提よりはさらに一層高くなっております。その面で円高のデフレ効果というのはあるわけでございますけれども、一方プラスの効果もある。このプラスの効果というのは、いわゆる交易条件効果と言われるものでございまして、この交易条件効果というのは、物価のより一層の安定という形をとりまして最終消費部門であります家計部門に移転される、こういうことだと思います。 最近の消費者物価は、全国の指数は一%台の下の方、こういうことになっております。三月の東京の速報が出ておりますけれども、それを二月の全国指数につなげて六十年度の全国の消費者物価を推計をいたしますと一・九%ということになります。これから一層物価の安定という状況が起こると思いますけれども、この物価の安定は主として円高の効果によります実質所得が家計部門へ配達されるプロセス、こういうふうに御理解願いたいと思います。 そういうふうに状況を理解いたしますと、六十一年度、それも夏ぐらい以降にかけまして次第に勤労者部門、家計部門の実質所得は増加をし、消費もまた伸び率を高めてくるもの、こういうふうに期待しているわけでありまして、そういう観点を入れますと、三、四カ月前に作業いたしました経済見通しの消費見通し、これなども今の時点で実現できない、こういうことではなくてむしろ実現は可能である、こういうふうに判断すべきでないかと考えておる次第でございます。
○和田静夫君 私は、経企庁の見方は了とできません。最近の傾向から見ますと、消費者物価が例えば低下しても消費が伸びていないことはもう明らかですね。おたくの発表されているようないろいろな数字見てみても明らかなんですよ。同じような見通しの誤りを犯すというのは私は論外だと思うんですが、いかがでしょう。
○政府委員(赤羽隆夫君) 物価の上昇率が低下をする、これは特に卸売物価について顕著に言えることだと思いますけれども、二つのファクターがあると思います。あるいは二つの状況のもとで起こると思います。 一つは、景気が悪くて需給が緩んで、その結果物価が下がるあるいは物価の上昇率が低くなる、こういうのが一つであります。もう一つの状況は、円が高くなるとか、あるいは石油のような重要な原材料、国民経済の必要なエネルギー源、原材料源の値段が下がる、そういう形で物価が下がる、この二つがあると思います。 現在の状況は、むしろ第二の状況でございます。外国から輸入される物の値段が大幅に下がる、こういうことは、かつて石油の値段が大幅に高くなりました際に、日本から産油国等へ流出しておりました実質所得がこのたびは返ってくる。この返ってきた所得が家計部門に対して分配されます。そのプロセスが物価の安定、より一層の物価上昇率の低下ということであらわれてきている。このように理解いたしますと、先ほどもお答えいたしましたように、実質消費の上昇率というのは実質所得の伸び率の高まりとともにまた回復するだろう、こういうふうに考えている次第でございます。
○和田静夫君 設備投資でちょっと考えてみますが、政府の六十一年度の実質民間設備投資七・五%、これは民間と比べると約二倍も強目に見ているわけですね。この根拠は一体何なんだろうというのが私よくわからぬのですが、日銀短観によりますと、六十一年度の設備投資の伸びというのは四・七%となっています。しかし、この数字は主要企業のものであって、円高の影響を直接に受けやすい中堅企業、中小企業はそれぞれ一七・七の減、二九・〇の減、これは大幅な減少でしょう。しかも、円高の進展で海外直接投資がふえれば、その分国内投資が減ってくるわけです。設備投資の見通しも、これは私は見直さなきゃならぬと思っているんですが、いかがですか。
○政府委員(赤羽隆夫君) 過去半年間のように急激な円高、円高のレベルというよりはむしろ余りに急激に円高が進行した。そのために企業としてその対応に苦慮する、対応ができない。そのために経済の先行きに対する不安が一層高まった。こういう時期の調査ということになりますと、将来に対します見方が慎重にならざるを得ないというのは当然のことだと考えております。 しかしながら、円高、当然デメリットがある、マイナスの面があるということは事実でありますし、それを軽視することはできないわけでありますけれども、その反面におきまして、先ほども申し上げておりますように、経済の実質所得が高まるということがございます。これは、企業部門で申しますと企業の利益がふえる、こういうことだと思います。現に輸出産業などにおきましては売上高が減っておる。そういう面で、企業の利潤に対しまして非常に影響が出ているということは事実でございます。これは主として製造業の関係でございますけれども、そのほか非製造業あたりはむしろ利益がふえているということだと思います。最近の事態を分析してみましても、従来と同じように利益率が高まるときには設備投資もまた高まる、こういう関係は変わっていないということでございます。こうした経験は、五十三年の秋までの円高期にも見られたことでございます。 さらに加えまして、最近いわゆる第三の産業革命といわれるような新しい先端分野での技術革新の必要性、これは依然として企業家は認識しておられるわけでございまして、利益がふえればそれは積極的に次の発展のための設備投資に向ける、こういう行動が続いている、こう理解しております。したがいまして、大企業では非製造業を中心に底がたい動きがある、こういったような点も、技術革新の見通しそれから利益の見通し、こういうものと組み合わせて考えますと、七%台の政府見通し、これを実質的に変える必要はない、このように認識をしております。
○和田静夫君 結論がそれぞれ出る問題でありますからこの辺はそうしておきますが、この程度でやめておきますが、この円高プラス原油価格の値下がり、名目成長率の一段の低下、これは予想されるわけでしょう。当然、税収入へのはね返りが心配されるわけですが、歳入欠陥のおそれはありませんか。
○国務大臣(竹下登君) それは、財政の方は直近二カ月でございますから、二百九円で計算しておるわけでございます。だから、経済見通しよりなお円安の状態で計算をしております。しかし、これは一つのルールでございますので是認していただけるものと思っておりますが、名目成長率の問題が一つあります。それから、どんずばりでは石油価格が下落すれば従価税のものは完全にそれだけ三角が立ちます。そういうことはございますけれども、そもそも予算を通していただく直前に歳入見積もりが違ったということを言う立場にはもちろんございませんが、一応この予算編成時においてヒアリングをいたしまして積み上げて、そして政府の諸指標を組み合わせてつくったものでございますから、私は現状においては今の見積もりが一番正しいというのが公式的答弁になろうかと思うわけであります。 しかしながら、経済情勢の推移というものを考えながら、いわゆる予算執行の面においてあるいは金融等の面においては適時適切な弾力的対応をしていなければいけないという至上命題は心しておるつもりでございます。
○和田静夫君 経済見通しの前提になっている円レート、原油価格の状況が一変しているわけですが、建設大臣、運輸大臣、あなた方の政策執行の上で何か影響が出ますか、よくお休みですが、建設大臣、答弁。
○国務大臣(江藤隆美君) 何らか出るものと思います。
○国務大臣(三塚博君) 料金体系にまず出てまいりますし、それぞれの分野に出てまいりますものですから、そのことを精査をいたし、やれるものはその場面でやれる、こういうことでやっております。
○和田静夫君 円高デフレによって四%の実質成長が私は困難になってきていると思いますし、名目成長率の低下によって税収の伸びは鈍化しそうだとも思いますね。そうすると、やっぱりこの隣どうも新たな経済見通しの暫定試算を発表すべきだと思うんですが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 最終的には経済企画庁からお答えになることですが、実は経済見通しをたびたびフォローアップして変える傾向がアメリカでございまして、日本は絶えず一定の前提を置いた勉強はしておっても、それを変更として打ち出すということは従来とも非常に慎重であるというのが日本流のあり方です。私もいつも思うんですが、為替レートなんというもの、今二百四円のお話が出ておりましたが、あれを仮に改定をして一定の数値を前提に置いたものにした場合には、これまたよそから見れば一つのターゲットゾーンと思われる危険性もあるわけです。だから、OECDの統計のとり方と同じように一定の期間という機械的な基準の方が、やはりその点は通貨当局から見ますと大変ありがたいことだなといつも思っております。 ただ、おっしゃいますように、部内でいろんな場合を想定した勉強はいつでもやっておれよ、いろんな前提を置いてと、それは私もそうあるべきだと思っております。
○和田静夫君 恐らくこれは最後の質問だと思うんですが、日銀総裁はお帰り願ったんですが、第三次公定歩合引き下げが必要であるという声があるんですが、実は総理から答弁を求めたいから、総裁はお帰り願ったんです。 〔理事桧垣徳太郎君退席、委員長着席〕 それからもう一つは、総理、大規模な減税というのはおよそどのくらいの規模なんですか、総理がお考えになっているのは。
○国務大臣(中曽根康弘君) 金利の問題は日銀の専管事務でございますから日銀に任してあります。 それから、減税の問題も政府税調に今お願いしておるところでございまして、今精力的な御報告を求めておるところで、私自体の希望としてはかなり思い切った減税案というものを希望しておる次第であります。
○和田静夫君 大蔵大臣はいかがですか、今の。
○国務大臣(竹下登君) これは一番上の人のお答えになりましたとおりでございますということに尽きます。 ―――――――――――――
○委員長(安田隆明君) 次に、和田教美君の質疑を行います。和田君。
○和田教美君 私は、フィリピン円借款をめぐるいわゆるマルコス疑惑に集中して質問をいたしたいと思います。 総理はきょうもこの委員会で問題の真相究明を言明されましたし、安倍外務大臣はしばしば国会審議にはできるだけ協力をするということを言っておられます。しかし、きょうは、我々はかねがねリベートの問題で非常に問題になっておりますフィリピン円借款の受注企業の一覧表を出せということを言っておるわけですけれども、きょうの安倍外務大臣のさっきの答弁では、現段階では云云という言葉がつきまして多少ニュアンスが変わったように思うんですけれども、原則は依然としてノーでございます。さらに、きょうの委員会の政府委員の答弁を聞いておりますと、いたずらに責任回避だけが目立つような感じが強いわけでございます。こういうことでは到底言行一致ということは言えないと思うわけでございますけれども、改めて総理にこの問題についての真相究明についての決意のほどをお述べ願いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 真相の究明につきましてはできる限り御協力申し上げたいと考えております。 ただ、この問題は対外関係を含む問題でございまして、フィリピンの政府の意向とかあるいは先方のいろいろな政策の関係とか、そういうようなことも考慮しなければならないのでありまして、日本だけで単独でやるということは国際儀礼上も考慮しなければならぬ点もあるわけでありまして、その点は御理解をいただきたいと思うのでございます。
○和田教美君 きょうの朝日新聞に一九七七年の第五次借款から最近の第十二次借款に至るまでの対フィリピン円借款プロジェクトの受注企業の一覧表というのが載っております。いわゆるマルコス文書に出てまいりますこの受注状況を示すような文書、受領書というものはいずれもその時期が七三年の一次から七七年の第五次の前半までというわけでございまして、最近のものは入っていないわけでございます。そういう意味では、それ以後の最近までのデータがとにかく出たということは非常に注目すべきことだと思うわけです。 実は、私も別のルートから一つの資料を入手いたしましたが、それも大体同じような時期の新しいものでございます。これはここにございますけれども、この三月の二十八日、工業時事通信社というところが発行いたしました「国際協力情報」という通信でございまして、それの三千九十四号でございます。これは昭和五十三年度から五十九年度までの対フィリピン・プロジェクト受注企業一覧表が五ページにわたって載っております。プロジェクトの規模とか受注企業の名前とか受注額などが書いてあるわけですけれども、これはこの情報誌が今までに発表してきました受注リストのバックナンバーをずっと点検をして、それをつなげ合わせたものなんだそうでございますが、もともと円借款のプロジェクトというのはさっきからも出ておりますように公開入札でございますから、それ自体は決して秘密ではないわけです。ですから、各新聞社も恐らく今一生懸命過去のそういう公開入札の発表文その他を突き合わせて受注企業一覧表をつくっているのではないかというふうに思うわけでございます。 いずれ非常に近いうちにこの十二次に至るまでの受注企業一覧表の全容が明らかになることはもう間違いないと思うわけでございますけれども、それにもかかわらず政府が、なお現在の段階では政府の手で明らかにはできない。どうも私は納得がいかない、解せないわけでございますが、なぜそういうふうにこだわるのか、外務大臣の見解を求めます。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはしばしば御答弁申し上げましたが、入札については相手の国とこの入札に応じた企業との関係であります。そしてまた、フィリピンにおきましては、この入札において落札をした企業名はフィリピン政府も発表していない、そういう実情でございますので、フィリピンが公開していない指名企業名を日本政府が発表するというわけにはまいらないということで答弁を控えさせていただいておるわけであります。
○和田教美君 そうだとすれば、フィリピン政府さえ了解すればそれを発表することは別にこだわらないということでございますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) フィリピン政府がどういう姿勢をとっておられるか、少なくとも今日の段階においては公開をしないという立場でございます。
○和田教美君 一次から十二次までの全部の受注企業の名前を出せというのは、現状ではあるいは無理かもしれませんけれども、それなら、少なくともこのマルコス文書の中に明確に一五%のリベートあるいはそれに近いリベートというものが出たということが明記されているような日本の企業については、これはもう非常に大きな疑惑がそこにあるわけでございますから、外国との関係とか企業秘密とかという理由は成り立たないと思うわけでございまして、我々はとにかく全部のリストを出せということを引き続き要求はいたしますけれども、とりあえずそのぐらいの範囲のものを国会審議の場に出すということは当然政府の責任ではないかというふうに思います。 私の調べたところによりますと、マルコス文書の中で日本企業とはっきりわかるもので一五%のリベートを支払ったと明記されているのが東陽通商を初め七社ございます。それから、パーセント欄は空欄だけれども、とにかく名前が出てくる企業が七社ございます。最小限これくらいの企業については受注企業名とか契約内容などをお出しになったらどうか、それが政府の責任であろうと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(藤田公郎君) いわゆるマルコス文書の中に出てまいります日本企業について、一五%と書いてあるものが七社ある、それからほかの七社が記載はされていないということは委員の御指摘のとおりでございます。 それから、それについては最小限政府として確認と申しますかをすべきではないかというただいまの御指摘かと思いますが、先ほど外務大臣から和田委員の御質疑に対して御答弁がございましたように、今回公表されたいわゆるマルコス文書における御指摘の点に関する記述については承知しており、それはそれなりの重みを持つものであると受けとめている。ただし、事は当事者たるフィリピン政府及び関係企業の基本的利害、さらには日比関係全般にもかかわる問題であり、政府としては公表文書を含め、慎重の上にも慎重を期して検討している段階であるので、現時点において契約の当事者でない政府として企業名につき確認し得る立場にないことは御了承願いたいと申し上げているのが政府としての立場でございます。
○和田教美君 この問題、これ以上押し問答しても時間がたつばかりでございますから、これぐらいでやめますけれども、通産大臣にお聞きしたいと思うんですが、通産省はこのリベートの問題で東陽テクニカの役員から、きのうですか、事情を聞いたという新聞記事が出ておりました。引き続き、今私が指摘したような企業を初めとして、個別に事情を聞いていくというふうなことが書いてございましたけれども、そういう方針ですが、大体どのくらいの枠で事情聴取をおやりになるんでしょうか。
○政府委員(村岡茂生君) 実は三月三十日の読売新聞の記事に、本件に絡みまして通産省に提出する申請書に実際には低い手数料を記入してチェックを免れたと、脱法行為の記述があったわけでございます。私どもといたしまして、それが真実であるかどうかとりあえず急いでチェックしようということで、東陽通商を初め数社の方々においでいただきましてこの記事の真実性をチェックしたわけでございます。このような同種の問題がありましたら、私どもまた招致して調査をするのにやぶさかではございません。
○和田教美君 マルコス氏を頂点とするリベートの構造、利権の構造と言ってもいいと思いますけれども、これは現在マルコス文書でクローズアップされておりますアンジェニット社ですね、アンジェニット投資会社、これを通ずるルートのほかに、もう一つ二つあるという報道が盛んになされております。どうも我々も不思議なのは、ベネディクト前駐日大使、このルートということがよく言われるんですけれども、それに以前からフィリピンに一番強いと言われている某大商社がつながっているという説があるわけですけれども、その名前が少なくともこのマルコス文書には全然出てこないというのは非常に不思議だというふうなことも言われておるわけでございますが、こういうふうにリベートの構造が複数であるということは、少なくとも外務省はそういうふうに認識をされておるかどうか。 そうだとすれば、このアンジェニット・ルートといいますか、これはこの構造の一部にすぎないわけでございまして、アメリカにもまだ残った未公開の文書があるし、マニラにもマラカニアン宮殿に相当文書が残っておるということでございますから、そういうことであれば一層残った文書をアメリカ政府なりフィリピン政府に要求をして、そうして出してもらって全容解明を急ぐという態勢をとるのが政府の真相究明の姿勢ではないかと思うんですが、いかがでございますか。
○政府委員(後藤利雄君) 御指摘のように、先日私どもが入手しました二千ページ余の資料のほかに若干の資料があるということがアメリカで伝えられておりますけれども、これは米国政府そのものもまだ発表しておりませんし、私どもの承知する限りにおいては、米国側が公表してない文書には日本の企業に関係するものはないということを米国の国務省あるいは議会筋から聞いております。そういうこともございますので、私どもとしては今直ちにこれを要求するという必要はないということで、現在入手した資料を鋭意分析することが何よりもかによりも大事であろうかと考えております。
○和田教美君 そうすると、これ以上資料要求をアメリカなりあるいはフィリピン政府にやるという意思はないということでございますか。
○政府委員(後藤利雄君) ただいまのところ考えておりません。
○和田教美君 外務大臣の諮問機関でありますODAの研究会、先ほどから出ておりますけれども、これに新たに設置された援助評価検討部会がこの間初会合を開きました。ところが、フィリピン援助の見直しのための調査を始めるように決めたというふうな報道がございましたけれども、まことに私の疑問なのは、その際入札にまつわるリベートの問題など契約内容には一切立ち入らない、そしてマルコスの不正蓄財問題とのかかわりは調査の対象から除外するという態度をとったということですが、これでは現段階で何のための調査なのか全く理解に苦しむわけでございますが、その点はいかがですか。
○政府委員(藤田公郎君) 三月二十四日、鎌田前会計検査院長及び河合三良元行政管理事務次官御出席のもとに援助評価検討部会、仮称でございますが、の今後の取り進めぶりにつきいろいろ打ち合わせが行われました。その結果、最近の対フィリピン経済協力につきましての関心の高まりにもかんがみまして、フィリピンに対します経済協力の評価の取り進めぶりについて特に議論を行い、その結果、明六十一年度の評価計画におきましては対フィリピン経済協力評価に重点を置くということで、具体的にはセクター別の調査団の派遣等で評価を行っていこうということになりました。 その際、ただいま委員御指摘のとおり、同部会といたしましては、援助の適正かつ効果的、効率的確保のための評価のあり方ということで多角的な視点から検討するものでございますけれども、いわゆる入札等の商慣行を含む側面にはタッチしないということで御決定を見たということでございます。
○和田教美君 外務省は、入札それから落札のような契約の問題はフィリピン政府と企業との関係であって、日本政府はそれに余り介入することはできないんだということを主張をされておるわけでございます。ところが、フィリピン政府と結びました円借款の供与に関する交換公文、これはもう既にここにあるのは十三次でございますが、前のも同じでございますが、その中にいわゆる適正使用条項というのが入っておるわけでございます。その適正使用条項には、供与された円借款が事業目的に沿った形で使われなければならないとか、二番目には、機材、施設がこの目的のために使用されることというふうな条件が付されておるわけでございます。 したがいまして、この条項を厳密に解釈すれば、先ほど来、適正という言葉の意味の解釈などが出ておりましたけれども、少なくとも一五%なり最高は二〇%、三〇%というふうなひどいリベートもあるということでございますが、そういうことで我々の税金に基づくところの対外援助が浪費されておる、マルコス一派の不正蓄財に使われておるということが明らかになった場合には、この条項でフィリピンに対してとにかく日本政府がある程度介入する、そうして真相を明らかにしていくということはできるんではないかというふうに思うわけですけれども、この適正というか公正条項というものは一体どういうふうに政府は考えておられるのか、それを外務省にお聞きしたい。 それからもう一つ、海外経済協力基金の総裁がお見えだと思いますから、そういう観点から、基金として今後こういうケースの場合に、とにかく契約内容その他について相当立ち入っていくことができるとお考えになっているのか、その点もあわせてお聞きしたいと思います。
○政府委員(藤田公郎君) 一般論ということでお答えを申し上げますが、円借款の適正使用条項というものが交換公文には含まれております。この適正使用は、第一義的には相手国政府に適正使用を行う義務を課しております。したがいまして、適正使用義務違反の疑いがあるという場合には我が方からこれを提起して、同じく交換公文書には協議条項もございますので、両国が協議を行うということになるかと思います。 それから、第二点のリベートが支払われているということについて、この適正使用条項との関係でどうかという御質問でございますが、一般的にいわゆるリベート、割り戻し金ないしコミッション等の支払いがあったといたしましても、それは関係企業と相手国政府との間の商取引関係にかかわるものと考えられますので、その実情等をよく調べてみないと、私どもとしてはにわかに現在のところこれが適正か非適正かということは申し上げられないと考えます。
○参考人(細見卓君) 私どもが実際にどういうふうに仕事をやっておるかというのは、先日も申し上げましたけれども、借款契約ができ上がりますと、それに基づきまして相手国が施業者になるわけですが、広範な信用状の要求が出てまいりまして、信用状が正しいものであると、つまり百億なら百億のお金を貸しますということは基金が引き受けたことですかという話がございますと、それに対してそのとおりですと。レター・オブ・コミットメントと申しますが、それを出しまして、その後そのレター・オブ・コミットメントの中に書かれたことのとおり向こうの調達が現実に行われておるかどうかを書面で審査するということが私どものやっておる事柄でございまして、例は必ずしも適当でございませんけれども、例えば開発銀行が日本のある会社に対しまして百億なら百億円のビルを建てるという話が出ましたときに、その開発銀行はビルの進行に応じて金を払っていく。その場合にだれから鉄材を買ったとか、だれからセメントを買うべきだとかいうのは金を貸した立場の者としてはとかく干渉することではなくて、まして検収とか実際の工事を監督しておるわけではございませんので、書面上最初に約束いたしましたとおりに相手が仕事をやってくれており必要な資材を買っておるかどうかということをチェックするというのが私どもの仕事でございますので、いわゆるリベートだとかなんとかいうようなことはどうしても書面の上には出てこないようになっております。
○和田教美君 次に、法務省にお尋ねしたいと思います。国際捜査共助法の問題でございます。 先日、刑事局長が参議院の法務委員会で、具体的な犯罪容疑がフィリピンで立証されるということを前提として、フィリピンから捜査協力の要請があれば協力するという趣旨のことを答えられております。 そこでお尋ねしたいんですけれども、向こうからそういう捜査協力の要求があれば協力するということだけなのか、こちらから例えば資料の要求とかいろいろなデータを出せというふうなことについて、この法律に基づいて要求することは可能かどうか、その点をまずお聞きしたいと思います。
○政府委員(岡村泰孝君) 国際捜査共助法は我が国が外国から捜査の共助要請を受けた場合にこれに応ずるかどうか、また応じた場合にどういう手続で証拠の収集を行うかという要件を定めておる法律でございます。したがいまして、我が国が外国に対して捜査を共助する場合は、この法律は決めておらないわけでございます。
○和田教美君 そういう必要が起こってきた場合には、そうすると別の取り決めを必要とするということでございますか。
○政府委員(岡村泰孝君) 我が国の捜査機関が外国に対しまして捜査共助を要請する必要が生じました場合は、国内関係機関と連絡をとりまして外交ルートを通じまして当該外国に対して捜査の共助を要請する、こういうことになるわけでございます。
○和田教美君 次に、今度の問題の我が国の刑事法令の適用の可能性という問題についてお尋ねしたいと思います。 サロンガ委員会は、近くマルコス氏や側近を公金不正取得の容疑で告訴する方針を固めたということでございます。仮にマルコス一派が収賄罪に問われるというふうなことになった場合に、日本国内で贈った側の、つまり贈賄した側の刑事責任というふうなものを刑法で追及することはできないというふうに私は今まで理解しているわけなんですが、贈収賄の関係はどうなりますか。
○政府委員(岡村泰孝君) 我が国の国内法は、日本の公務員に対しまして贈賄した場合、これを処罰することになっておるわけでございます。したがいまして、国内法上、外国公務員に対して贈賄した場合、これを処罰する規定はございません。
○和田教美君 次に、外国為替及び外国貿易管理法、この問題について政府の見解をただしたいんですが、我が国商社の対比リベート送金が正当なコミッションの範囲を逸脱していた場合に、これは不正な国外送金として外為法に違反する可能性があるかどうかお答え願いたいと思います。
○政府委員(行天豊雄君) お答え申し上げます。 いわゆるマルコス文書に記載されております事項につきまして、現在事実関係が明らかでございませんので、外為法の適用について確たることを申し上げられません。 ただ、御承知のとおり、外為法は昭和五十五年に根本的な改正が行われまして大幅な自由化が行われております。したがいまして、その以前とその以後でいろいろと適用が変わっておりますが、通常の貿易外取引にかかわります支払いにつきましては自由化が行われております。したがいまして、具体的にどういう送金であったかということがつまびらかでございませんと、外為法適用上どういう措置が妥当するかということを申し上げることにはまいらない状況でございます。
○和田教美君 次に、我が国の商社の対フィリピン・リベート送金が正当なコミッションの範囲を逸脱している、そしてこれについて税務上損金処理等の方法で処理が行われておるという場合に法人税法等の税法違反、いわゆる脱税容疑ですね、そういう可能性があるかどうかお答えを願いたいと思います。
○政府委員(日向隆君) 伝えられるリベートにつきましては、適正な割り戻しまたは手数料として、委員が今申されましたように、損金に算入される場合以外にはその実態に応じまして交際費、寄附金または使途不明金として課税されることになります。
○和田教美君 課税に限らず、脱税容疑で告発する可能性もあるかどうかということはどうでしょうか。
○政府委員(日向隆君) いわゆる査察の問題でございますけれども、査察を行います場合は、偽りその他不正な行為によって税を免れることを企てるというかなり厳密な構成要件がございます。私ども今の段階ではこれについては何とも申し上げようがございません。
○和田教美君 いわゆるフィリピンから我が国の政治家にリベートが還流している場合、外国人等からの政治資金の寄附は禁止されているわけですから、政治資金規正法に違反する可能性があるかどうか、お答えを願いたいと思います。
○国務大臣(小沢一郎君) この件に関しましては具体的事実はわかりませんから一般論として言えば、たしか政治資金規正法の二十二条の五だったと思いますが、外国人、外国法人、それから国内のいわゆる外国の資本が入っている、正確な言葉は忘れましたけれども、ものから政治資金は禁止されております。
○和田教美君 マルコス文書に登場する七三年から七七年のリベートの場合、これはマルコス文書のリベートは大部分それなんですけれども、これは時効ということで、もう既に時効が成立しているということでしょうか。しかし、最近マスコミ関係あたりで最近までの、十二次借款までの受注というリストが出たりして、仮にそこで依然として一五%のようなリベートが行われておって、それに不正があるということになれば、まだとにかく時効には当然ならないというふうに思うのですが、その辺の関係を説明していただきたいと思います。
○政府委員(日向隆君) 御承知のように、国税の除斥期間は当該企業の法定申告期限から三年ないし五年、五十六年五月に罰則整備法が施行されました以降におきましては七年、こうされております。 したがいまして、今委員御指摘になりましたように、公表されているマルコス関係文書で言われている事実関係につきましては、課税上の除斥期間を過ぎているものがあることは事実でございますが、私ども、そこに指摘されている事柄等は課税上貴重な資料、情報と判断しておりまして、これを十分活用して適正に処理するよう努力してまいりたいと思っております。
○和田教美君 外為法の関係はいかがですか。
○政府委員(行天豊雄君) 一般論として申し上げますと、外為法違反関係の公訴の時効期間は三カ年ということになっております。
○和田教美君 国税庁の方にお伺いしたいのですけれども、国税庁も税務調査に既に着手したということのようでございますが、大体どのくらいの規模の企業を対象に調査を始めておるのか。二十社とか三十社とかというふうなまちまちの報道がございますが、それを明らかにしていただきたい。 それから、大体調べる重点は今どういうことを調べておるのか、その点も明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(日向隆君) 午前中の和田委員の質疑に際しましてもお答えしましたところでございますけれども、私ども今税務調査を実施するに当たりましては、課税上有効な資料、情報の収集に全力を挙げておるところでございます。こうして集められました資料、情報を十分検討して、必要な場合には随時税務調査を実施してまいりたい、こう思っておるわけでございます。 問題点といたしましては、申すまでもなく、リベートの実態の解明でございます。
○和田教美君 次に、今は非常にプロジェクト借款の問題がクローズアップされているわけですけれども、十三次の借款にも商品借款、特に十二次、十三次と商品借款が非常に多いわけなんですが、その商品借款の問題について若干お尋ねしたいと思います。 先ほど和田委員からも御指摘がありましたように、十二次の商品借款の締結が決まるいきさつの中で、いろいろフィリピン国内の政治的混乱というふうな問題があって、そうして我が国に強く商品借款を要請してきたという事実があるわけでございますが、そのために十二次は非常に多額の金、つまり三百五十二億の商品借款が供与されたわけでございます。ところが、実際に供与をしてみるとなかなかそれが消化されずに、ことしの五月に供与の期限が来るわけですけれども、それにもかかわらず、現在までに供与されておるのは約百七十六億円、半分ぐらいにすぎないわけでございます。 そういう関係で、十三次でも商品借款はあるわけですけれども、これはまだ全く未消化のまま契約も締結されていないという状況でございます。なぜこういうふうに商品借款の消化がおくれているのか、そこに単に経済的な理由以外に何か政治的な理由があるのかどうか、明確にしていただきたいと思います、大蔵大臣。
○政府委員(藤田公郎君) 第十三次円借款中に含まれます商品借款は、ただいま御指摘のとおり、本年二月末現在でまだ四九%が消化されているにとどまっております。本年の五月七日に二カ年間の使用期限が到来いたしますので、確かに非常に遅い消化率であるということが申せるかと思います。 こういう状況である要因といたしましては、基本的には、フィリピン経済が御承知のとおり極めて停滞しているということと、緊縮政策をIMFの指導下にとっているということが基本的な要因かと考えられます。第二に考えられます点は、借款使用手続をかなり厳しく縛っておりまして、徐徐に緩和し、使いやすい形にはしつつございますけれども、その手続上の問題も付随的な要因として挙げられるかと存じます。 第十三次商品借款につきましては、昨年十二月末、交換公文が第十三次すべてについて署名を下しましたが、うち商品借款百六十五億円分につきましては、前回の十二次分の商品借款の消化が九〇%を超した後に貸付契約を結ぶことにしようということでフィリピン側と合意をいたしておりまして、いまだ貸付契約の締結には至っていないという状況にございます。
○国務大臣(竹下登君) いつも議論するところでありますが、プロジェクト借款というのは、これは日本の援助によってできた橋であるとか、目に見えます。どうしても、教育援助なんかのときにも先生を派遣するというような問題もございますが、それでも私ども心情的にやっぱり見えたものができ上がるというのにとかく心が動きがちなことは事実でございます。しかし、教育援助とかそういう問題については、あるいは医療援助とかいう問題については人材派遣とかいろいろやっております。 そこで商品借款と、こういうことになりますと、第一義的に大蔵省といいますか、財政当局は可能な限り少なくと、こういう立場をとります。そうなると、やっぱり最貧国あるいは本当に国際収支がもうどうにもならないというようなところから対象にするわけでございますが、あの際のフィリピンは、私どもの方からも理事が出かけておりますが、IMFで物すごいコンディショナリティーを課せられて、内で緊縮財政をやって、本当に買う資金もなくなるという、輸出するために原材料を買わなきゃいかぬそれがなくなる、こういう状況でございましたので、私は協議したことを今でも覚えておりますが、商品借款もいいではなかろうかと、こういう合意に達したという経過がございました。
○和田教美君 今凍結中の第十三次円借款ですけれども、総額四百九十五億円ですが、この一部見直しをフィリピン側が要求してきているという話がございます。それは、いわゆるマルコス・ロードと言われます日比友好道路、これの修復計画の費用がこれに計上されておるわけですけれども、脱マルコス路線ということからか、これはやめてくれというふうな話があるということなんですが、単に脱マルコスというふうなことだけなのか、あるいはこの日比友好道路についてもリベートの問題がそこに大きくクローズアップされてきつつあるようでございますが、その辺の実情をどういうふうにつかんでおられますか。
○政府委員(藤田公郎君) 十三次の円借款のうち、先ほど御提起の商品借款百六十五億円を除きます三百三十億円につきましては貸付契約を行えないままで現在まで推移しております。 御指摘のとおり、新しい政府が成立をいたしまして、このプロジェクトについて新しい政府としての政策の見地に立ちまして検討を加えているということを承知いたしております。先方政府は、ほぼ交換公文で合意を見ておりますプロジェクトについては合意ができると思われるけれども、一、二いろいろな理由でちょっと先に延ばす等のことをお願いすることがあるかもしれないということを言っておる段階でございまして、今までのところどのプロジェクトについて変更を要望してくるのか、ないしは全く変更なしに十一のプロジェクトすべてを貸付契約に進もうという態度に出てくるのか、今のところは先方の態度ははっきりわかりません。私も先般フィリピンに参りまして先方責任者と協議しました際にも、今ちょっと関係省庁で検討しておりますという返事でございまして、特定の今委員御指摘の道路等々のプロジェクト名を挙げての話はございませんでした。
○和田教美君 外務省の経済協力局は評価委員会をつくってプロジェクトの事後評価というのをやっているわけで、既に三回報告書が出ております。どうもすべてがうまくいっている、そして問題はないというふうな評価になっているようでございますけれども、しかしうまくいってない例として、例えばこのパターン輸出加工区という問題が最近クローズアップされてきております。つまり、この輸出加工区には当初の計画では百を超す工場が入るとされていたのが、一九八〇年には五十四社をピークに撤退が相次いで現在は本当に動いているのは大体二十社ぐらいだと、こういうふうなことが言われておるわけでございまして、実際にはこれは失敗ではないかというふうに私は思うのですが、外務省はこの加工区の実態をどういうふうに把握しておりますか。
○政府委員(藤田公郎君) まず第一点の、事後評価ですべてうまくいっていると言っておるではないかという御指摘でございますが、必ずしもそのようなことはございませんで、問題点もかなり評価の結果として出てきているという指摘が一般的には出ていると考えます。問題点の理由としては、相手国側の事由、それから我が方の調査不十分に帰すべきもの等々が一般的には申せるかと思います。 それからフィリピンにつきまして、特にバターン輸出加工区につきましての御指摘でございますが、確かに当初の計画されておりました規模の外国からの合弁企業を中心とする進出というのはなかなか見ないままに、現在のところはかなり活動の規模が当初予定しておりましたよりも少ないということは非常に残念ながら事実でございまして、もちろんフィリピンの経済全体の低迷ということが大きな原因かと思いますけれども、御指摘のとおり、当初の計画しましたほどの活動の成果は上げていないというのが現状でございます。
○和田教美君 次に、この援助政策あるいは援助のシステムという根本的な見直しを今度の問題を機会にやらなきゃいかぬと私思うんですけれども、まず私が指摘したいのは、いわゆる四省庁体制というものを再検討する必要があるのではないか。先日来、四省庁体制についていろいろ答弁を聞いておりますと、一体どこが本当の中心なのかというのがさっぱりはっきりしない。お互いに何となく半分ぐらいしか責任を持ってないような感じで、こういうことが今度のような全体のチェックを甘くするということにつながっているのではないかと私は感ずるわけでございます。一体どこが四省庁体制の中心になるのか、外務省なのかあるいは経企庁なのか、その辺をひとつ明確にしていただきたい。この点については外務大臣と特に通産大臣の見解をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これまで援助はいわゆる四省庁体制でやってまいりました。それなりの役割を踏まえて適切に行われてきたと、こういうふうに思っておりますし、これまでの長い援助の実績は関係国には評価されておる、こういうふうに考えておりますが、こうしたフィリピンの問題を契機にいろいろの問題でやはり改善しなきゃならぬ点は出てくると思います。そういう点も踏まえて今後の検討課題として研究をしていきたいと、こういうふうに思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 援助は世界の国がどこでもやっているんですね。そこで、最近貿易摩擦で世界の大統領とか総理大臣が売り込みに来るぐらいですから、やはり援助の問題でも似たようなことがどこの国でもございます。もちろん、外交的にはある一定の友好国に援助を与えて経済復興その他に協力しようということでお金を出しますが、やはり自分の国が非常にいい条件で出した場合は、いずれの国も自分のところでとろうということはもう世界慣例みたいなものであります。したがいまして、通産省がこれにかかわっておるのは、やはり調和のとれた対外通商政策の確保ということに大きな加わる意義がございます。 それから、それらの援助が果たしてその相手国の経済復興なり民生の安定に役立つかどうかという点で御意見を申し上げることももちろんございますし、あるいは資源エネルギー、日本のような資源のない国ですから、この援助を受ける国というのは、途上国であるが資源が多いなんという因が案外多いのですね、実際問題として。したがって、資源をこちらは確保しなきゃならぬというようなこともありまして、やはり友好も深めなきゃならぬし資源も継続して確保できるようにしていかなきゃならぬと、こういうようなこともございます。もちろん大蔵省は金子元、金子元と言ってはなんだが、お金を出す方ですから、無制限な援助はできるわけはないわけですから、そういう点で有効適切なやはり援助をやるというようなことで、外務省は外務省なりに使命がありますし、大蔵省は大蔵省の、やはり一番のこれは元締めですから、それは使命がある。通産省は通産省、経済企画庁は経済企画庁として全体のバランスを見ていかなきゃならぬというようなことで、会議をしておって全省庁を入れたら、これまたごたごた世帯ばかりでかくなっちゃって、それはなかなかまとまる話もまとまらなくなるということがあるらしい、これはよくわからぬけれども。 したがって、必要に応じではそれぞれの専門家の意見は十分に聞いてやっていくということが一番いいのではないか。したがって、当面、四省庁体制は決して突っかけ持ちにはなっておりません。それぞれの分野で御協力をしておるのでありますということがお答えでございます。
○和田教美君 どこが中心かという話の答えにはなってないと思うのですけれども、まあそれはいいでしょう。 とにかく今までいろいろ質問をいたしてきましたけれども、チェック体制の問題は時間もございませんので余り聞けませんでしたけれども、一つだけお伺いしたい。 先ほどの答弁にもございましたけれども、海外経済協力基金に提出する契約書にはそういう手数料という欄はない、通産省に提出する輸出承認申請書には手数料を書く欄はあるけれども、これは手数料を輸出貨物代金と相殺するときだけ使うもので円借款には当てはまらないということでございます。つまり、全体の構図というものが、リベートというもの、不正というふうなものを頭に全く置いてないようなシステムを現在つくっておるわけでございます。その辺の一つの例でございますけれども、リベート、不正というものが起こり得るという観点から、全面的にこの際見直していく必要があると思うんですが、その点は中曽根総理のひとつお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 公正なる処理ということは交換公文でも約束しておるところでございますから、我々の部内手続においてできるだけそれが確保できるように今後とも注意してまいりたいと思います。
○和田教美君 この際、先ほどの和田静夫先生も証人喚問の要求を出しましたから、私も東陽テクニカ、元東陽通商の代表者を証人として呼んでいただきたいと思います。 そこで、最後にまとめとして会計監査の問題、これについて、金曜日にも会計検査院の人を呼んで聞いたんですけれども、要するに日本の枠の外の問題については会計監査は及ばないということでございました。しかし、例えばアメリカは二国間援助の交換公文において、相手国政府に対して、米国の会計検査に備え会計書類を準備する義務を課するという旨の規定を置いているわけでございます。だから我が国も、全部の国ということには必ずしもならないかもしれませんけれども、問題時に際しては交換公文でこの旨を明記すれば、相手国の主権を侵害することなくある程度の会計監査ができるんではないかというふうに思うわけで、その必要もあり得るのではないか、開発途上国、特に独裁国などに対してはそれがあり得るのではないかと思うんですが、その点政府の見解をお聞かせ願いたい。
○委員長(安田隆明君) 和田君要求の件の取り扱いにつきましては、理事会において協議をいたします。
○政府委員(藤田公郎君) 我が国の経済協力政策の基本は、開発途上国の経済社会開発の自助努力、これを支援するというのが基本的な考え方でございますので、我が国援助の対象プロジェクト、この実施をしている事業の主体は相手国政府であるという立場に立っております。したがいまして、こういう立場から申しますと、援助プロジェクトとの関連で我が国政府が相手国政府機関等に対して会計検査を行うということは、このような基本的な経済協力の考え方から申しましても、また相手国との関係から申しましても不適当であると考えられます。政府としては、むしろ相手国政府の協力を得ながら、援助が所期の目的を達しているかどうかという評価活動というものを重視し、かつ拡充していくことがとるべき態度ではないかと考えられます。 ―――――――――――――
○委員長(安田隆明君) 次に、服部信吾君の質疑を行います。服部君。
○服部信吾君 本日はちょっと質問の中で総理に苦言を呈したい、このように思いますけれども、先般の新聞報道によりますと「「首相官邸が息子の選対本部?」そこへ「後援者が続々上京」」、こういうような見出しが出ておりました。一国の総理として、首相官邸がそうではないにしても……、この辺について私は総理の考えをお伺いしておきます。
○国務大臣(中曽根康弘君) そういう事実は全くありません、首相官邸につきましては、参観というものは官房長官が承認して今までやっていまして、たしか六四年ごろですか、警備の都合上、陳情に来た人とかあるいは面会した人についでにやらせる、大体そういうシステムに変わったと心得ています。 それで私の場合も、私は公邸に住んでおりまして私邸におりません。そういう関係と、また普通の私的な事務所に参りませんものですから、みんな官邸へ来る。来る人は大体市町村長とか、市長村会議員とか、県会議員さんとか、あるいは国の地元の人等が参ります。それらは陳情に来たり面会に来たりする。できるだけそういう方は会わないように、数を少なくするようにしております。しかし、市町村会議員さんや、あるいは場合によっては知事さんあるいは県会議員さんも全国団体の陳情書を持ってきたり、全国団体の方々をお連れしてくるというような場合もあるわけです。そういう場合もありまして、そういう場合は陳情や面会に来るときには時間があればお目にかかっておりますが、それもできるだけ制限するようにしておるわけでございます。 一部にそういうようなことが雑音で聞かれておりますが、そういうことは全くありませんので、ここで申し上げておきます。
○服部信吾君 そこで、ちょっと総理にお伺いしたいんですけれども、いわゆる最近政治不信がいろいろ言われております。選挙をやりますと、投票率もなかなか上がらないというようなこと。一つの原因としていわゆる金権選挙、そういうようなことも言われておりますけれども、その中で、例えば我が国においてはたくさんの人材がいる。出たい人、出たくない人、いろいろあろうかと思いますけれども、出たくてもいわゆるかばん、看板、地盤、こういうものがないとなかなか出られない、こういうのが現状です。こういう状況の中においていわゆる政治家としての世襲問題、こういうものも出てくると思うんですけれども、総理としてはこの点についてはどのようにお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 人材である者は、我と思わん者はみんな出てきたらいい、そう思っています。
○服部信吾君 そこで総理にお伺いしたいんですけれども、私個人的にこういうことではなくて、総理というのはいわゆる国権の最高機関であるし、公務員の長である。例えば今巷間で学校の先生が、あるいは警察の方たちがちょっとお酒を飲んで羽目を外した、これは大変いろいろと批判があります、民間の人でしたらどうということはないことですけれども。そういうことを思いますと、公務員の長である総理大臣、なおかつ御子息が今回出馬する。これは結構。法的には全く問題ないと思います。しかしながら、やはり総理としての地位利用、こういうような疑いも、疑いというか、そういうふうに言われてもしようがないんじゃないか。ある面から言えば親の七光り、あるいは親の何とかとか、そういうようなこと、この点についてはどのようにお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 自分の親類の者を出すについては、私も絶対これを拒否いたしましたし、本人も絶対拒絶して逃げ回っておったのであります。しかし、政党政治というものをやっておりますからには群馬県連には群馬県連のいろいろなお考えもありまして、どうしても出してくれ、そういう強い御要望があって、とうとう逃げ切れないで人身御供みたいに出させられたというのが実情であります。出た以上は一生懸命やるのがこれは政党政治の建前でありますから、一生懸命やらしております。ただし、公職選挙法に触れたり、あるいは政治倫理に触れたりするようなことはやらぬように注意してやっております。
○服部信吾君 そこで、我々も同時選挙反対なんですけれども、例えば同時選挙になった場合、衆議院では現職の総理と元総理が選挙する、参議院では総理の息子さんと元総理の弟さんですか、こういう形になるわけですね。これを国民から見たときにどう映るか。例えば昨日の新聞等、またあれを見ておりますと、大変ある面からいうといろいろ注目的に、おもしろおかしくと言ったらあれですけれども、そういうような報道もされておりますけれども、やはり国民サイドから見たときに、これはちょっとどうなのかな、こういう感じがするわけですけれども、総理としてはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 偶然と運命がぶつかるとこういうことが起こったと思っています。
○服部信吾君 この問題最後ですけれども、総理も困っているんじゃないか。というのは、もう無理やりに公認された、こういうことでございますけれども。やはり選挙、これはもうだれが勝つかわからないわけでありまして、現職の総理としても、もし何かあったら総理の指導力がどうのこうのとか、あるいはもう一〇〇%総理としては公務があれですからなかなか思うようにも応援にも行けない、こういうようなことかと思うんですけれども、そこで、今度ニューリーダーであります竹下大蔵大臣また安倍外務大臣、ちょっと総理大臣のいわゆる地位利用になるかどうか、これについてお伺いしておきます。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる地位利用とは関係ないことだと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) そういうことになったんだろうと思いますね。別に地位利用とは、そういう絡みはないと思います。
○服部信吾君 まあそういうことでしたら結構ですけれども、いずれにいたしましても、総理というものの重みというものがあるわけでありますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。 そこで、総理にお伺いしたいんですけれども、アメリカの下院のソラーズ委員会、これの委員長であるソラーズ委員長がマルコスの好きな国、こういうことで第一にアメリカ、第二に日本、第三にスイス、こういうようなことを言っておる。何でアメリカが好きだと言うと、土地と建物がうまくできる。日本がなぜ好きだ、こう言うと、円借款だ。そしてスイスはどうだ、するとこれは銀行があって貯金がよくできる。こういうことでマルコスの好きな国が三つ挙げられている、こういうことなんですけれども、総理、日本の円借款、これについてはどのようにお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) そういう落とし話みたいな話には日本は関知しません。日本の円借款はあくまで公正に行われておると考えています。
○服部信吾君 そこで、政府の経済援助についてて若干お伺いしたいんですけれども、我が国としてこれだけたくさんの援助を各国にしておきながらなかなか喜ばれない。中には戦略的に西側の一員としての戦略援助、こういうような批判もありますし、またある面からいいますと、例えば我が国が不況になった、造船であるとかあるいはアルミ、そういうときにこれを海外へ援助するというふうな、不況対策として、こういうような批判があるわけですけれども、総理としてはこれについてはどのようにお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 財政がこういう窮乏している折に不況対策などというようなことでやるものではありません。やはり日本の国際的地位にかんがみまして、世界に対する日本の役割意識からこれをやっておるわけです。
○服部信吾君 その中で、例えばフィリピン援助の中でプラントバージ、造船ですね、あるいはインドネシアにアルミ関係、こういうものを、例えば七八年に不況業種云々の法案が出て指定されて、そしてそういうところへもやっておる、こういうような批判。あるいは例えばアフリカですね、日本が八四年に食糧、農業、二十五カ国に援助をしております。その援助も結構でございます。しかしながら、例えば紛争国、まあエチオピアとかソマリアあるいはジンバブエとかモザンビーク、タンザニア、こういうところはいわゆる非常に内紛的な、また東西のぶつかっている大変難しいところ、そういうところに援助をしておるということで、これは西側の一員としての援助じゃないか、あるいはよく言われるように、軍事援助はアメリカがやるんだ、そして経済援助は日本だ、こういう批判もあるわけでありますけれども、この点について総理はどのようにお考えですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 我が国の援助は、御承知のようにその理念として人道主義に基づくものでありますし、相互依存もその大きな理念になっております。紛争している国々に対する援助、これも確かに人道的な援助はあります、食糧援助等あるわけでございますが、紛争を助長するような援助はいたしておらないわけです。全体的にはフィリピンの問題で我が国の援助そのものについていろいろと批判されるのは私は非常に残念に思っておりまして、我が国のこれまでの途上国に対する援助は世界の中で非常に高く評価されておる。これはもう世界のそうした会議等に出ましても、またアフリカの諸国といろいろと会合を持ちましても、アジアの諸国の皆さんの御意見を聞いても、大変評価をいただいておるわけでございます。そういう意味では私は、日本は国際的な国としてその役割を着実に果たしておる、援助を通じて果たしておる、こういうふうに考えております。
○服部信吾君 そこで、ちょっとお伺いしたい、特にフィリピンに関して。いろいろと先ほど来も議論があるわけでありますけれども、我が国の援助の目的、これは民生の安定、人道的あるいは福祉の増進、こういうことでありますけれども、今までフィリピンにいろいろな援助をしてまいりましたけれども、この目的とちょっと外れているんじゃないか、このように思いますけれども、総理はどのようにお考えですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) フィリピンも、その他のアジアの国々、ASEANの国々同様にいわゆる日本との友好関係、そういう中でやっぱりアジアを主力とした日本の援助方針、そういうものに基づいた人道的な立場、相互依存の立場、そういう点でフィリピンに対する援助は行ってきておる、こういうことでございます。特に最近のフィリピンの経済は非常に悪い。この経済の回復を目指して日本がそれなりの貢献をしなきゃならぬという観点から、最近においてフィリピンの援助についても商品借款等これを強化をしていることは事実でございます。
○服部信吾君 特にフィリピンとの商品借款援助でありますけれども、アキノ政権にかわってもこれまた全く今までと同じようにやっていくんですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは今後協議をいたすわけでございます。アキノ政権下でアキノ政権が日本に対しての援助を求められれば、日本としましても積極的にこれに対して御協力を申し上げたい、こういうふうに考えています。
○服部信吾君 先般はサンチェス労働大臣が来られ、また近々中にアキノ政権の大蔵大臣が来られる、このような報道もなされておるわけでありますけれども、その目的はどのようなものですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) フィリピンとの間でもう既に次官級の協議も持っておるわけでございますし、今後とも政府間でいろいろのサイドでの協議を持ちながら具体的にどういう形で援助を進めるか、そういう方策をこれから見出してまいりたい、こういうふうに思っております。もちろん大蔵大臣もお見えになるということも聞いておりますし、またアジア開銀の総会も行われるということも聞いております。また私も、ASEANの拡大外相会議がマニラで行われますので、その際はフィリピンを訪問いたしまして、日比間の協力関係について話を進めたい、こういうふうに考えております。
○服部信吾君 今いろいろ問題になっているリベートの水増し、こういうようなことを協議に来るわけじゃないわけですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) リベートは関係ありません。
○服部信吾君 そこで、ちょっとお伺いしたいんですけれども、先般ソリタ・モンソド経済相が発表しておるんですけれども、今まで日本の国が借款をしてきた。そしてその中でかなり水増し分というもの、リベートがある。そういう今まで四千六百億以上の借款をしてきたその中の水増し分、これはちょっと支払えない、こういうような記者会見等もしているようでありますけれども、この点についてはどのようにお考えですか。
○政府委員(藤田公郎君) 私どもも報道によりまして、先方の経済開発庁長官がそのような電話インタビューに答えて談話をされたというのを読みまして、先方の真意を現在照会中の段階でございます。 一般論といたしましては、当然のことながら前政府の負っていた債務を忠実に継承するというのは当然のことであると私どもは考えておりますし、フィリピンに対します経済協力は政府間の交換公文によりまして供与されているものでございます。それ以外のいわゆるコミッション、リベート云々のお話はそれから以降の入札、それから契約の段階のお話でございますので、特に政府間の援助の供与とは異なった次元の問題であると考えます。
○服部信吾君 そこでお伺いしますけれども、例えばアキノ政権の方でそういうことを要求してきた、そうした場合、我が政府としては、いやそれは契約上違うんだよと、こういうことでいろいろ議論が分かれちゃうんじゃないか、こう思うんですけれども、この点についてはどのようにお考えですか。
○政府委員(小和田恒君) 先ほど経済協力局長がお答えいたしましたように、円借款の取り決めは政府と政府との間で結ばれている国と国との間の国際約束でございます。したがいまして、政権が交代したからといってその効力が影響を受けるものでないことは国際法上確立しておりますし、現在のフィリピンの政権もその点について特段それを拒否するとか、そういう姿勢は示していないというふうに了解しております。したがいまして、具体的な契約のレベルにおきまして生じ得る問題は一応別といたしまして、国対国の関係におきましては、フィリピンの政府が日本政府に対して国際約束を誠実に履行するということは当然のことであるというふうに考えております。
○服部信吾君 こういう問題もひっくるめて外務大臣、一度フィリピンへ行って、よくアキノさんの方と話しをしてはどうですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) アキノ政権が樹立いたしまして、体制も徐々に整っておりますし、そういう中で事務当局間では次官級のレベルの会議もやっておりますし、また最近オンピン大蔵大臣も日本にお見えになる、労働大臣も既にお見えになったということでありますし、日比間には今後ともいろんなルートを通じまして政府間の話し合いは確実に進められていくと、こういう状況でございます。したがって今すぐ私が行かなければならないと、そういう状況でもない、こういうふうに思っておるわけでございます。もちろん問題によっては、そういう時期が来るかと思いますが、今はそういう状況でもないように思います。
○服部信吾君 そこで一つお伺いしますけれども、ことしODA七年計画、こういうものができておるわけでありますけれども、これはこれからの円高、あるいはこういうような状況を考えたときに今後見直すというか、そういうお考えがあるかどうか。 それからもう一つ、今までの対外援助においては、何か言うといわゆるこれは内政干渉になる、こういうことでなかなかきちっとしたあれができなかったというような気もするわけです。そういうことで、例えばこれは我が国としても貴重な財源、要するに国民の税金なんですから、向こうが援助を欲しいと、そういうふうに言ってきたとき、やはりこれはきちっと会計検査ができるとか、あるいはそういうものをきちっと条件をもう少しできるようなものに変えなければ、今までのような内政干渉だからというようなことで余りちゃんとした調査ができない、こういうことがあるんですけれども、この点についてはどのようにお考えですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) ODAの七カ年倍増計画がことし第一年度、初年度でありまして、財政の非常に厳しい中で見事にスタートを切ったわけでございますが、これはぜひとも七年間倍増ということをこれから年度に従って確実に進めてまいりたい。これが日本の世界に対する大きな国際的な責任を果たすゆえんにつながっていくであろう。そして今の日本のODAの倍増計画というのは、どういうふうに確実に実施されるかということが今世界が非常に注目をしておるわけでございます。そういう意味でもこれは実行しなければならない、こういうふうに思っております。 それから、日本の援助のやり方につきましては、これはしばしばこの委員会でも論議いただいたわけでございますが、全体的に見れば、これまでの日本の援助というのは非常にきちょうめんに行ってきておる。そして最終的には、交換公文で相手国との間でこの援助の供与限度額を決めまして、そしてこの実施についての具体的な取り決めをしておるわけでございます。この約束に従って実施が行われておりまして、これはいろいろと評価等もやっておりますが、全体的に見れば、この援助は非常に適正な形で実施をされ、それは相手国からの評価あるいはまた感謝という気持ちをもって、我々として相手国のそうした評価を得ておるわけでございます。したがって、私たちは十分気をつけていかなければなりませんけれども、しかし、この援助はあくまでも相手国の自助努力を補完的に助けていく、お手伝いをするということでございますから、あくまでも主体は相手国の自助努力というのが主体でございますし、そういう点を十分踏まえながらやはり援助は行っていかなきゃならない、こういうふうに考えておるわけでございます。そういう点はやはり外交に属するわけでございますし、二国間で十分詰めるところは詰める必要もありますが、やっぱりお互いの立場を尊重するということも必要なことではないだろうかと、こういうふうに考えます。
○服部信吾君 そうすると、こういう国民の税金ということですから、援助するに当たって相手国に対してもう少しきちっとしたものをしなくちゃいけないと、こう私は思うんですけれども、どうですか、それが今度の教訓ではないかと、こう思うんですけれども。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは援助が適正に行われているかという評価をやはりフォローアップという形で確実に行うのが非常に大事ではないか。これまでは外務省が中心でやってまいりましたけれども、むしろ第三者の学識経験者の皆さんにもお願いをして客観的に見てもらうということが大事なことであろうと思います。 それから、やはり援助については、交換公文を結ぶときにいろんな面で相手国の立場も踏まえながら、尊重しながら、しかし同時に日本の注文もそれに対して述べていく、そして相手側にもそれを納得していただく、こういう姿勢で今後取り組んでいきたいと、こういうふうに思っております。これはこれまでのいろいろの援助のやり方等も踏まえて、そういう点で改善すべき点があればやはり改善していきたいと思いますが、相手のあることでございますから、相手の立場というものを踏まえながら、改善しなければならぬ点は私は率直に改善する必要もあろう、こういうふうに思うわけであります。
○服部信吾君 次に、通産大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、通産大臣この本ですね、「オレは通産省に殺された!」、こういうことでライオンズ石油の佐藤太治さんという方が書かれた本なんですけれども、先日大臣にもこの本を渡しておいたわけです。大変ショッキングな本の内容、名前でありまして、大変この本が売れておると。何か東京の大手のところでもベストファイブだなんということが言われているようなんですけれども、まあ一〇〇%私もこの本がどうのこうのとは思いませんけれども、大変通産省の石油行政に対して不信を持っておる。こういうことでまたこんな本が、こういうようなあれが国民の間に入っていったときにこれは大変な問題になるんじゃないか、通産行政への不信、こういうふうにもつながると思うんですけれども、この点について大臣どのようにお考えですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は本を今見たばかりで、これから読もうかと思って広げたところで、読んでおりませんからわかりません。
○服部信吾君 どなたか、じゃ、読んでいる方、局長さんクラスで。
○政府委員(野々内隆君) 物事にはいろんな見方があるものだという感じがいたしております。 二年ほど前に、このライオンズ石油がガソリンの輸入を企てたわけでございますが、当時は日本の石油製品の安定供給という観点から好ましくないという形で私どもはそれを取りやめるように説得をし、また業法に基づいて勧告をしたわけでございますが、昨年の臨時国会で新しく石油の輸入に関する法律ができまして、本年からは石油が順調に入っております。今後とも国内の石油製品の安定供給に最大限努力をしてまいりたいと考えております。
○服部信吾君 私が言っておきたいのは、通産省ね、佐藤さんが書いたのは、これはもうこういうような問題がある前にも書かれているわけだ。特にフィリピンの問題等についてもかなり詳しく書かれているわけであります。そういうことで例えば内容的には、シンガポール、フィリピン、中国、こういうような要するに我が国が援助をしておる国、こういうところと自主的にガソリン輸入の契約云々等をするときに必ず政府の介入があるんだと、こういうことでもう非常に怒られて書かれているわけであります。 まずお伺いしたいのは、フィリピン国営石油という会社がありますけれども、これはどういう会社ですか。
○政府委員(畠山襄君) PNOCと申しまして、フィリピンの石油の精製その他をやっている会社でございます。
○服部信吾君 もう少し詳しく教えていただきたいんですけれどもね。国営石油ですね、これは。それからどういう仕事をされているのか。石油の製品の販売とか、何かもう少し具体的に。それからまた、もし輸出しているならばどういう国へ輸出しているのか。
○政府委員(畠山襄君) 具体的な業務といたしましては、内需用の石油の安定供給の確保、それから国内の石油資源の探鉱開発、それから石油生産の助成というようなことをやっている会社というか公団のようなものであるというふうに理解いたしております。 それで、どの国へ輸出しているかというお話でございましたが、フィリピンは石油製品の輸出というのは非常に限られておりまして、ごく限られた量の輸出を製品が余ったときにしておるという状況だと理解いたしております。
○服部信吾君 このフィリピン国営石油とライオンズ石油と石油の売買の契約が行われたと、こういう事実は知っておりますか。
○政府委員(野々内隆君) 昨年、このライオンズ石油とフィリピンのPNOCの間で日本向けのガソリンの輸入の商談があったということは聞いておりますが、具体的な契約等については承知いたしておりません。
○服部信吾君 大変具体的にフィリピンの国営石油と、これはスポット物ではなくてやはり一年間契約である、内容的にも日本のJIS規格に合うように全部なされておる、こういうことなんですけれども、それが突然破棄された、こういうことなんです。この事実は知っておりますか。
○政府委員(野々内隆君) フィリピンではガソリンの輸出が承認制になっておりまして、本件につきましては輸出承認が結局なされなかったという情報は受けております。
○服部信吾君 国営石油ですからね、国営石油と日本の民間の石油会社といわゆる契約を結んでおいて、それが簡単に解約された。これはなかなか普通は納得できないと思うんですけれども、どうですか。
○政府委員(野々内隆君) フィリピン国内におきます事情につきましては私どもも承知はいたしておりませんが、当時我が国へはガソリンを輸入するという話が幾つかございました。特にこのライオンズ石油はシンガポールから持ってくるという話がございまして、私どもとしては国内の石油の安定供給上問題があるということで説得をいたしましたが、これに応じませんで、結局石油業法に基づいて通産大臣の勧告ということにいたしまして、最終的に昨年の一月にこのライオンズ石油がシンガポールからの輸入を断念したという経過がございまして、こういうことは新聞にも出ており、国際的にも知られてはおりますが、フィリピンの中においてどういう事情でこの承認が行われなかったかということにつきましては情報は承知いたしておりません。
○服部信吾君 昨年の二月の二十六日に、このフィリピン国営石油とライオンズ石油さんが契約を結んだと。これはきちっとした契約書になっております。先ほど言いました規格なんかもきちっと国内に適応するような石油である。それが突然契約が破棄された、そういうことなんです。 ちょっとお伺いしますけれども、二月のその日、契約ができた二月二十六日に在日フィリピン大使館に本人が、フィリピン国営石油と契約ができた、こういうことでフィリピン大使館の方へ行った、そういう事実はありますか。
○政府委員(野々内隆君) 昨年の二月末ごろに在フィリピンの日本大使館にライオンズ石油の佐藤代表取締役外三名の方がお見えになりまして、商談がまとまったという説明をしたということについては外務省経由で報告を受けております。
○服部信吾君 それで、本人は喜んで日本へ帰ったと。三月二十八日午後五時ごろ、在日フィリピン大使のカルロス・F・バルデスあるいはロマン・G・バルタザー、これは商務官、バルデス大使から呼ばれてフィリピン大使館へ行った、こういう事実はつかんでおりますか。
○政府委員(野々内隆君) 直接聞いておりません。
○服部信吾君 そのときに彼が言われたことは、要するに小川大使がフィリピン首相のところへ行き、ライオンズ石油ヘガソリンを輸出するなど圧力をかけてきた。私カルロス・F・バルデスのところにも、通産省からガソリン輸出を中止するようにと役人が来た。もし輸出するような場合には、日本からの多大な円借款が難しくなる、こういうおそれがあるんだ。またフィリピンには今IMF、国際通貨基金や世界銀行の役人が座っていて、日本からの円借款が不可能になると国は大変なことになる。君がこういうような契約をした場合に大変なことだ。しかし、君は大変よい契約を持っている。この契約を履行するためにも日本政府と話し合いをしてください。こういうようなお話があったそうです。フィリピン国営石油もガソリンを売りたがっている。フィリピン政府の許可を得るためにもフィリピンヘ行き、首相かイメルダ夫人に会いなさい、そして頼みなさい。こういう話があるんですけれども、その中でやはり、日本の国がフィリピンには多数の援助をしてあげているんだ、だからこういうことの言うことを聞かせようと。在比の日本大使館へ行って、そして彼が帰った後にすぐに国営石油へ行って、民間会社に石油を売らないでくれ、こういうまねをした。それはやはり円借款とか援助、こういうものをもしあれするならばストップしますよ、こういう圧力をかけたというんですけれども、こういう事実がここで話されている。ところが、あなたはこの内容はわからないという。しかし私も、今私どもの調査団もフィリピンにも行っておりますし、こういうことがあったとしたらこれは大変なことになると思うんですけれども、通産大臣どうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) そういう圧力をかけたということは聞いておりません。
○服部信吾君 これはなかなか圧力かけましたとは言えない。しかし、やはり国営石油なるものが民間会社ときちっと契約をしておる、それがそんな簡単に要するに破棄されるとは私は思わない。それはなかなか表には出ないと思いますけれども、そういうあれがあったんではないか。それはやはり私どもの円借款、そういうものがフィリピンなんかにはと言っては申しわけないんですけれども、そういうところに援助しているんだから言うことを聞けよ、こういうことじゃないかと思うんですけれども、どうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) どういうことでフィリピン政府が輸出の許可をしなかったかわかりませんが、日本国内においては勝手に石油を輸入するという規則になっておりませんので、それで輸入をさせることについてそれはやめてくれという勧告を通産大臣が法律上できることになっておるわけです。したがって、そういう規則がわかったんじゃないんでしょうか、日本ではそういうのはもう中止勧告するという法律の規則があるということを、友好関係の国ですから。ですから、日本政府のそういう規則があるにもかかわらず強引にその輸出をさせるというようなことはいかがなものかと思ったんじゃないんですかね、聞いたわけじゃありませんからわかりませんけれども。
○服部信吾君 そういうふうに言いますけれども、本人は早速それでまたフィリピンに行きまして、それで向こうのラボイ氏に会った。そうしたら、とにかく今までこういう契約があったし、日本のJIS規格にも合っているということで、バタン港にある、いつでも出せる用意がある、しかし政府の許可がおりなかった、これは夢にも思わなかった、なぜよその国に輸出されて我が国はできないんだ、こういうようなことなわけです。圧力がかかったんだ、こういうことを言っているわけですけれども、この点についてはどうですか。
○政府委員(野々内隆君) この話が出ましたのは昨年の三月ごろでございますが、その前の年の秋にこの同じライオンズ石油がシンガポールからの輸入を企てまして、十二月末には通産大臣から正式の勧告を出しておるわけでございます。当時ガソリンの輸入問題というのは大変重要な課題で各国とも関心を持っておりまして、当特例えばIEAのシュテーク事務局長とかいろんな方が日本にお見えになるあるいは新聞に出るということで、当然フィリピン側もよくその話は知っていたんだろうと思いますし、私どもも機会を見て在京のフィリピン大使にはこのシンガポールのケースについても説明をいたしておりますから、そういう点は十分フィリピン政府でも参考になさったんではないかというふうに推測いたしておりますが、なぜ承認をしなかったかということについての具体的な情報は、私どもも得ておりません。
○服部信吾君 それは今私どもの調査団も行っておりますし、やっぱり言った、言わないという話ですからなかなか微妙なところがあると思うんです。本人としてもいろいろな人に会ってもらえばすぐわかるし、船ももう用意しておいたんだ、いつでも出せるんだと、こういう状態であったにもかかわらずできなかったということでありますので、これはもう少し私どもも調査していろいろとその実情を調べてみたい、このように思っております。 そこで次に、本人がこの契約をやるときに次官クラスといろいろと契約の問題をやっていたと、契約にサインする段階になったときに、サインはこの事務所ではまずいとこう言われて、十分ぐらいのところにシャミーン事務所というところがあるそうでございますが、そこへ行ったと。このシャミーンというのはサウジアラビア人で、フォーミュラとフィリピン国営石油との仲介人である。このシャミーンから別紙契約書にサインしてくれ、これはなぜかと言ったらフィリピン石油大臣に一バレル当たり一ドルのコミッションを支払う、こういうあれだったそうでございます。非常に驚いてそんなことできないと言ったら、フィリピンではみんなこうするんだ、こういうことでありまして、そういう契約書がここにあります。この契約が成った場合には要するに石油大臣に行くんだ。 これは、民間と国営企業とのこういう契約ですけれども、やはりこういうことが平然として行われているということは、今まで我が国政府が行ってきた円借款、あるいはそういうものにおいてもリベート云々、そういうことがここに如実に出ているんじゃないかと思うわけでありますけれども、こういうことについてはどのようにお考えですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 事情を私もよく承知しておりませんので、いろいろとお聞かせを今いただいておるところでありますけれども、円借款は先ほどから申し上げましたように、全体的には非常に適正にこれが行われておる、こういうふうに我々は判断しております。
○服部信吾君 この事実、例えば在フィリピン日本大使館へ行った、一等書記官にも会っていろいろとお話をしておる、またこちらへ帰ってきて、そうしてまたフィリピン大使のバルデスさんあるいはバルタザーさんにも会っておる。そういうことで、そういうあれはないと言ってもこれはこれからいろいろと疑惑といいますか、円借款あるいはそういう海外援助、対外援助を通して圧力をかけるといいますか、そういうことが非常に出てくるんじゃないか、そういうことで私どももこれから調査をしてまた御質問をしたい、このように思っております。 そこで、ちょっときのうあたりまた爆弾テロですか、ああいうような問題があって、これで三回目、最初は皇居あるいはアメリカ大使館、大阪。この一連して昨日またこういう事件があった。これについてどのようにお考えですか。
○国務大臣(小沢一郎君) 昨日もまたあのようなゲリラ活動が行われたわけでありますが、いわゆる極左の暴力集団、彼らは国家と国民に対する挑戦をしておる集団であります。したがいまして、このような不逞のやからに一連のゲリラ行為を許してしまったことにつきましては、警備、治安の責任者といたしましてまことに遺憾に思っております。今後、国民の皆さんの御協力と御理解を賜りながら、全国警察の総力を挙げて警備を強化し、取り締まりを徹底いたしまして、今後サミットに向けまして万全を期してまいりたい、そのように考えております。
○服部信吾君 昨日何か一名逮捕されたと、こういうことでありますけれども、これはどのような状態になっておりますか。
○政府委員(三島健二郎君) きのう発生いたしましたいわゆるゲリラ事件の概要につきまして御報告申し上げます。 起きましたのは昨日の午後七時ごろでございます。これは軽四輪貨物自動車から、その荷台のビール瓶のわきに隠しておりました四個の発射装置から金属弾が発射された、こういう事件でございます。この金属弾と申しますものは、中に火薬あるいは爆発物等が入っているものではございません。全く金属の塊でございまして、したがってそれ自体が爆発するとか、あるいは発火するといったふうなものではないというものでございます。そして、その四発発射されたと思われますが、一発が赤坂の御用地内で発見されておりまして、もう一発がすぐ近く四、五十メートルのところに落ちている、こういう次第でございまして。あと二発につきましては、実はまだ現在も捜索中でございますが、発見できておりません。 そして、被害といたしましては、現場で、この発射装置の近くでもって活動中の機動隊員が一名やけどを負っているということでございますが、それ以外に人的なあるいは物的な被害等は発生いたしておりません。 それで、この事件に関連してでございますが、警視庁といたしましては、この地域、とにかくゲリラが発生しやすいということで警戒を強めておった場所でございます。したがいまして、このゲリラ車両を発見いたしましたとき直ちに機動隊員が現場へ駆けつけまして、そして防爆マットというのですが、それでもって発射物を覆ったわけであります。この防爆マットと申しますのは、爆発物等がございましたときそれをかけますと、例えば中で爆発いたしましても、その破片等を完全にくるみ込んで、マットそのものは飛び上がりますけれども、周辺には余り被害が出ないという、こういうものでございまして、発射弾とか爆発物にはこれをかぶせて対応するということでございまして、この地域にはその防爆マットを配備しておりましたので、直ちにそれをかぶせたという状況でございますが、発射されましたものは複数でありましたので、一発はくるみ込みまして五十メートル近くに落ちた、ほかのものが先へ飛んだと、こういうことであります。 そして、その近くでもってただいま御指摘のように、一名の男をこの事件の容疑人物といたしましてその周辺で発見をいたしまして、格闘の末一名検挙いたしたと、こういう事態でございまして、現在その者につきましてさらに物的、あるいは周辺の聞き込み等を含めまして警視庁で捜査本部を置いて捜査をしている、こういう状況でございます。
○服部信吾君 三回連続あったということで、国民としては何やっているんだということはないんでしょうけれども、もう少ししっかりやっていただきたい、こういうようなこともあろうかと思います。 彼らの目的ですね、その目的はどこにあるんです。
○政府委員(三島健二郎君) 極左暴力集団各派は、この五月に行われます東京サミット及びその直前に行われまする天皇陛下の御在位の六十周年記念式典、これに向けまして、早い時点からこの両者は同一のものである、一体のものであるというふうに見まして、必ずこれを爆砕するということを言っているわけであります。爆砕というのは、爆発して粉砕するというような言葉ではなかろうかと思います。その意味で、今回の一連のこのゲリラ行動もこのようなサミットの会議の開催、あるいは天皇陛下御在位六十年の記念式典に向けましてこれを妨害する意図の行為であろうかと思っております。
○服部信吾君 そこで、最後にちょっとお伺いしたいんですけれども、こんなことがなければいいとは思うんですけれども、先般アメリカの海軍とそれからリビアのいろいろと紛争があった、こういうような状況がありました。そのときに、この報復措置として、いわゆる海外の米軍の基地あるいは海外のアメリカ大使館、こういうものに対する報復措置をするんだというような宣言がなされたと、そういうことがいろいろと報道されていたわけでありますけれども、我が国においても初めはアメリカ大使館がある面からいえばやられたということで、その辺の関連はどのように考えておりますか。
○政府委員(三島健二郎君) 先ほどお答えいたしましたように、極左暴力集団のこのようなゲリラ行動は、昨年の早い時点からサミット会議並びに御在位六十年の式典に対して爆砕するということで、その方針に基づいて行われているものというふうに考えられるところでございます。 したがいまして、ただいま御指摘のリビアとアメリカとの関連というものはないものというふうに我々は考えております。
○服部信吾君 最後に総理、この問題に対する総理の御決意をお伺いいたしまして質問を終わります。
○国務大臣(中曽根康弘君) サミットも控えまして、極左暴力集団に対しては厳重な警戒を行って、万が一にも安全が損なわれるようなことがないようにいたします。 ―――――――――――――
○委員長(安田隆明君) 上田耕一郎君の質疑に先立ち、後藤アジア局長から発言を求められておりますので、これを許します。後藤アジア局長。
○政府委員(後藤利雄君) 昨日の当院予算委員会におきまして、上田委員御同僚の佐藤委員より、八四年五月二十九日、マルコス大統領より中曽根総理に電話があったかという御質問がございまして、私からそのような事実は承知していないとお答えいたしました。 また、本日午前、和田委員の御質問の中でも御言及がありましたところでございますが、その後、事務当局をしてさらに調査させましたところ、本日午前、私より訂正させていただきましたように、電話があったという事実がございます。 電話の内容はきょう午前中も触れさしていただきましたけれども、総理の五月二十七日のお誕生日のお祝いとロンドン・サミットの前でございましたからロンドン・サミットのお話、それから五十八年度の経協のEN署名についての簡単な謝意の表明がありました。そのような電話がございますので、この機会におわびして訂正さしていただきます。 ―――――――――――――
○委員長(安田隆明君) それでは、これより上田耕一郎君の質疑を行います。上田君。
○上田耕一郎君 まず、皇室外交問題についてお伺いします。 法制局長官、天皇あるいはその名代の外国訪問、これは憲法四条の国事行為と私的行為の中間の、象徴天皇としての公的行為ということになっておりますけれども、憲法上の制約についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(茂串俊君) お答え申し上げます。 ただいま御質問にございました天皇の公的行為につきましてどのような制約あるいは限界があるかという御質問と承りましたが、これにつきましては前々から何回か御答弁申し上げておりますように、大略三つのことが考えられます。 第一は、国事行為におけると同様に国政に関する機能が含まれてはならないということ、すなわち政治的な意味合いを持つといったようなものが含まれてはならないということ。それから第二には、その行為が象徴たる性格に反するものであってはならないということ。第三番目には、その行為について内閣が責任を負うものでなければならないということでございまして、このような限界あるいは条件と申しますものは、皇太子その他の皇族が、その皇族という特殊な地位に基づいていわゆる公的行為をなされるという場合におきましても、これに準じて考えるべきものであるというふうに我々としては考えております。
○上田耕一郎君 外務大臣、皇太子の訪韓ですね、これはおととしの全斗煥大統領の訪日への返礼というように言われていますが、やっぱりそういうものですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 全斗煥大統領が韓国の元首として日本を訪問された、それに対する答礼の意味を込めた陛下の名代としての御訪韓、こういうことでございます。
○上田耕一郎君 今の法制局長官の答弁と大分違う重大問題があると思うんですよ。大体全大統領を呼んだのは、憲法七十三条二号、内閣の外交権に基づいて国賓として呼んだのだから、その答礼で行くんだったらこれは中曽根総理大臣が行かにゃいかぬですよ。つまり、国政に関する政治的意味を持って全斗煥を内閣が呼んだんでしょう。その答礼なら当然これは政治的意味を持つので、これは今の答弁とも食い違うし、憲法第四条の、天皇は国政に関する機能を持たないということに反している。しかも、韓国というのは国連で紛争当事国になっているんですからね。どうです、首相。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 中曽根総理が韓国訪問された、それに対して全斗煥大統領も日本を訪問されたことはこれは事実であります。ただ、全斗煥大統領は韓国の元首という立場でございまして、国賓としての扱いをいたしたこともそのとおりであります。こうした日韓関係の親善、友好、そういう立場を踏まえて皇室から陛下の名代ということで皇太子の訪韓ということが、韓国側におきましてもそういう立場での御訪韓を歓迎する、こういうことでございましたし、そういう自然な流れの中で実は外交ルートでもって今いろいろと協議をしておるわけであります。
○上田耕一郎君 今、全斗燥大統領が元首として来たと言いましたけれども、その答礼で天皇が行くのはやっぱり事実上の元首扱いで、これは完全な憲法違反だと私は思います。 それから、李外務大臣はこう言っているんですね。十一日の記者との懇談で、「皇太子殿下が来年、中国に行くという話があるが、それより早く韓国を訪問することに意味がある。」、どうですか外務大臣、この中国と韓国との間でどちらが早く来るかということでいろいろあるんですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 別にありません。今、日韓間で話をしていると、こういうことです。
○上田耕一郎君 首相にお伺いします。 いろいろ新聞紙上で問題になっておりますけれども、公明党の矢野書記長、二十三日に胡耀邦総書記に対して皇室の訪問問題、首相のメッセージを届けて懇談になったと、そう言われています。外務大臣は御存じないという話になっている。宮内庁も知らないと言いますけれども、首相、どういう意味で野党の一つにそういうメッセージを外務省を飛び越えてなさったんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 中国の側においては非公式的に、鄧小平さんや皆さんおいでになったときに、天皇陛下においでいただけば非常にありがたいというような内意が漏らされておりました。今回、韓国への皇太子殿下の御訪問を両国間でいろいろ相談するということになりまして、たまたま矢野書記長が中国に行くということで電話がありまして、向こうの要人に会ったらぜひよろしくお伝え願いたい、日中友好促進という私の考えは一貫してこれは変わりません、そのことはお伝えくださいと。それから、先方は関心があると思いましたから、韓国への皇太子殿下の御訪問の次に中国に対する御訪問ということは次の課題になると考えている、そのことももし話が必要であればお伝え願っても結構であると、そういうことを申し上げて、そして矢野さんはその趣旨のことを話された由と承っております。
○上田耕一郎君 外務省はどうなんですか、話がありましたか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 総理大臣は総理大臣のお立場で話されたと思います。しかし、日中間で具体的にこの話が詰められておるとかそういう状況にはないわけです。
○上田耕一郎君 きのうも韓国への皇室訪問、皇太子訪問、韓国の与野党挙げた賛成が前提だという答弁がありましたけれども、新民党は四九%の得票を総選挙でとった党ですね。それにキリスト教団体も今度の皇太子訪問は全斗煥支援だということで既に反対を決めています。三十日の光州のデモは、ここで金泳三氏は全斗煥は第二のマルコスだという演説までされているんですね。今度の皇太子の訪韓あるいは皇室訪中は、社会主義国が天皇や皇太子に来てくれというのも、社会主義国も社会主義国で唖然としますけれども、しかし、これはやっぱり天皇、皇室の国政に関する機能を持たないという憲法四条に違反した国政関与ですよ。また中曽根首相の天皇の不当な憲法違反の利用だと思います。二つともやっぱりやめてほしいということを要求しますが、首相いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 韓国との間の問題は今話をして相談をしようということであり、中国との関係の問題は私が申し上げましたように、次の課題であると心得ていると、そういうことでありまして、私の考えは変わりません。(「次、次」と呼ぶ者あり)
○上田耕一郎君 これはもう、しかし理事がいろいろ言われているけれども、ほかにもいろんな問題が出ているわけで――何を言っているんだ。
○委員長(安田隆明君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。
○上田耕一郎君 私は、質問テーマはきのうレクチャーして配付もしているんですから、何を言っているんですか。速記がとまったのでもう一度やります。 今度のマルコス金脈問題というのは、ロッキード事件以上に私は重大問題だと思うんです。ロッキード事件というのはアメリカの一企業が当時の首相個人に金品を送って大問題になりましたけれども、今度のマルコス金脈問題というのは、日本という国家とフィリピンという国家の頭部の長期にわたる関係から生まれたものだからです。日本はフィリピンに対して戦争中侵略を行い、戦後賠償、それから七一年以来の円借款と十数年続いているわけです。その中で生まれた問題ですので、しかもこの七一年以来の円借款が、今度その一部が明らかになりましたように、まず第一にマルコス独裁政権との腐敗癒着によってその私腹を肥やした、そしてその独裁を支えたと。 第二に、日本の大企業が新植民地主義的進出を東南アジアの一国のフィリピンに対して行って、現地労働者の法外な搾取を恐らく行い、そうして膨大な利潤追求を行った。 第三に、その結果やっぱりフィリピン経済のまともな発展に決して役立たなかったという問題があると思うんですね。 私は、この不正金脈問題の国会としての調査、これも非常に重要だと思うんだけれども、この円借款、日本の国民の税金の対外援助が本当にフィリピン国民のために、またフィリピンの経済の発展のために一体役立ったのかどうかということが国民にとっても非常に大きな問題になると、そう考えます。 そこで通産大臣にお伺いします。 ここにアジア経済研究所が五十八年三月に行ったフィリピンに対する調査の報告書がございます。「経済協力効果研究報告書」というものですね。これには建設省、通産省のお役人さんも入っています。三つのテーマ、きょうも問題になった日比友好道路、それからバターンの輸出加工区、それから発電のバース、この三つを二カ月にわたって詳細に調べた報告書。日比友好道路については、できてからたった四年なのに「ひび割れ、はく離、破壊などかなりの損傷が見られる。」「交通量は少ないにもかかわらず路面の老朽化が相当進行している」と、そう書いてあります。 そしてこの結論のところでは、「建設後も余り経っていないにもかかわらず、道路そのものの損壊」が非常に大きい、こう述べておりまして、こういうやり方だと、「このまま放置しては、ひいては日本の技術に対する一般人の不信にもつながりかねない。」、一般の人々は「日本援助の道路は質が悪くてこわれてはかりいると信じかねない。」と、そう書かれています。それから輸出加工区についても、やはりこれは宝の持ちぐされだ、もう雇用数でも三九%にしかなってないというような報告なんですね。 通産省、この報告書に対して、もちろん大臣御存じだと思いますけれども、改めて日本の円借款全体、ODA全体にかかわる問題なので、本当にこれが生きて使われるのかどうかという点では、通産省としても特にフィリピンのマルコス独裁政権のもとで行われたこれらのプロジェクト事業をもう一度調査団を派遣して洗い直すべきだと私は思いますけれども、大臣のお考えをお伺いします。
○国務大臣(渡辺美智雄君) せっかくの経済協力なり援助が所期の目的を果たさないということは、結果的に大変私は残念なことだと思っております。どういうわけでそのできが悪かったのか、難工事であったのか、それとも各段階で金が少なくなっちゃったとかいうことで手抜き工事が行われたのか、それはわかりません、調べてみなきゃ。いずれにしても悪い道路をつくったという結果が出ますと非難を受けますから、こういうことが再発しないようにきちっとする必要があります。
○上田耕一郎君 それからもう一つ、この報告書には重大なことが書いてあります。百六十一ページ、ここにはフィリピン側の六六年三月の日比友好道路プロジェクトスタディー報告書が引用してある。これには「このプロジェクトが完成すれば、域間交通が短縮され、われわれの軍事防衛力が強化されこと、こうフィリピン側の報告書に書いてある。それからこのアジア経済研究所の報告書の結論の部分にも「この道路は、フィリピンのいわば背骨を成す幹線中の幹線」だ、「フィリピン政府がこの道にかけた期待も、軍事防衛力の強化こと、まず第一項目に挙げてある。「国家規模的な巨視的効果」だということになっている。ですからこの日比友好道路というのは、調査団が軍事的道路だということを結論に書くような意味合いを持っている。つくって四年でぼろぼろというのだから、自動車は通れないけれど戦車は通れるというような道路かもしれませんが、私が重視するのは、これは国会決議違反だと思うんです。 五十六年三月三十日、衆議院外務委員会決議「経済協力に関する件」、この第二項に「軍事施設等軍事的用途に充てられる経済・技術協力は行わないこと。」とはっきり書いてある。軍事的用途に充てられる道路は行わないと。外務大臣どうですか、こういう報告書が通産省の委託調査団から出ていて、軍事的意味が第一だと、こういうものが出ていてそのまま知らぬ顔していたんですか、外務省は。
○政府委員(黒田真君) ただいま委員御指摘のように、私どもからアジア経済研究所に委託調査をいたしました「経済協力効果研究報告書」におきまして幾つかの点が触れられておりまして、その中でフィリピン側のプロジェクトスタディー報告書というものを引用して、次のように述べられているというふうに書いてあります。「このプロジェクトが完成すれば、域間交通が短縮され、われわれの軍事防衛力が強化され、さらに一連の連鎖反応が生じて国の経済発展を促すであろう。これら以外にこのプロジェクトから期待される便益は」ということで、「沿道の不動産価値の増加」、「人口移動の活性化」、「輸送産業投資の活性化」等々、経済的な効果が十項目ほど列記されておるわけでございまして道路というものは公共財という性格でございますから、それが建設をされることによって軍事面の効果を持ったであろうことは否定できませんが、しかしそれは経済発展あるいは国家としての統一連帯感の増進を主としてねらったというふうな記述もあるわけでございまして、全体として見ていただく必要があるのではないだろうかと、かように考える次第でございます。
○上田耕一郎君 私、アジア経済研究所の報告書を見て、三つのプロジェクトの調査報告でこれだけでも大問題があるというふうに思ったんです。このほかにずっと疑惑の問題も国会で出ているわけですね。中曽根首相に自民党総裁としてお答えいただきたいんですけれども、ロッキード問題のときには国会決議が行われ国会からの調査団も派遣されたわけですね。今度私は、非常に大きな日本の南北問題のODA、経済援助にもかかわる重大問題であるだけに、やはりこの問題でも疑惑の究明並びに円借款の使い方等に関して本当に問題を解明する国会の決議ですね、こういうものが各党の話し合いで必要じゃないかと思うんですけれども、自民党総裁としてこの国会決議に関してはいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 現在の段階におきましてはそういうことを行う必要はまだないと思っております。
○上田耕一郎君 これから衆参両院に特別調査委員会ができて事態が究明されていくだろうと思うんです。その際、例えば三木首相はロッキード問題の国会決議を行った翌日アメリカのフォード大統領に協力のための親書を送られ、決議も送り、いろいろ協力を要請して、関係資料をぜひ渡してほしいという親書を送られた。これからの段階ですけれども、首相として例えばアキノ大統領あるいはレーガン大統領に、国会決議が行われた際、本当に真相究明のために資料の交換等々親書を送られることになると、そういうお気持ちはございませんか。
○国務大臣(中曽根康弘君) どういうふうに事態が進展するかまだ全くわからない今日において、仮定の質問にお答えする立場にありません。
○上田耕一郎君 どうも、これだけ問題になっているのに受注企業の名前さえ明らかにしないというそういうあなたの政府の態度は、やっぱり国民の疑惑と不信を大きくしていると私は思います。 ひとつ法務省にお伺いしたいんですが、アメリカでは七七年十二月、海外腐敗活動防止法、合衆国史上前例のない厳しいわいろ禁止法、これが成立しました。外国政府高官、議員に金品の支払いも禁止する、裏帳簿をつくって秘密資金をつくることも禁止される、違反すると企業は百万ドル以下の罰金、これはアメリカでも類例がないほど高額の罰金、個人には五年以下の拘禁刑もしくは一万ドル以下の罰金、こういう法律ができているわけですね。日本にはないわけです。今度初めて海外におけるこういう企業の不正活動が膨大な資料で明らかになって国会で追及するわけですが、法務省としてはアメリカのようなこういう法律ですね、これについて検討する意思はないか、こういうものがあれば捜査がしやすいということだろうと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(岡村泰孝君) 御指摘の点でございますが、これは海外経済援助の実情とか、これに関連いたしまして外国政府と日本企業等の商取引の実態、こういったものの上に立ちまして検討すべき事柄であろうかと思うのでございまして、今直ちに御指摘のような立法が必要であるかどうかということにつきましてはお答えいたしがたいところでございます。
○上田耕一郎君 どうも積極的でないですね。 次に、私は政治献金の疑惑の問題を幾つか述べたいと思います。 先ほど私は日比友好道路問題を取り上げたんだが、外務省から聞くと、合計円借款約二百八十七億円ですね。これの一五%というとこれは四十数億円、四十億円以上になるので大変なものだと思うんです。既に明らかになったマルコス文書でも、第三次円借款、これで東陽通商、住友、JHA・コンサルタントが受注し、東陽通商は受注額の一五%に当たる一億二千三百万円のリベートを出している。第四次については、住友、三井、東陽通商が受注、やはり三井が二千八百万、東陽通商二千百万のリベートをマルコスに払っているというんですね。 これはマルコスに払ったんだが、こういうものが国内にやっぱり還流してくることもあり得る。雑誌「世界」の四月号、これは援助問題、フィリピン問題も取り上げていますが、この中にある自民党閣僚経験者の弁が載っています。「援助のカネは機密費みたいなもんだ。どの国へいくら、と国会で決めるわけじゃなし、どう使われているか国民にはほとんど知らされていない。おまけに、もっと増やせ、増やせだ。政治資金というタマゴを産むニワトリとしては、とびきり上等だよ」と。どうも渡辺さん笑われたけれども、渡辺さんじゃないかもしれぬが、こういうことを自民党閣僚経験者が話している。やっぱりそういう政治資金という金の卵を産む鶏だというんですな。飛び切り上等の鶏がこういう援助になっている。 大体円借款というのは、僕も本当に驚いたんですけれども、利率三%で十年据え置きで三十年年賦でしょう。そうすると、インフレになって事実上無償みたいなものでね。その円借款に飛びついて日本の大資本がどんどん海外進出していくわけで、そうすると国民のお金でそういう飛び切り上等の条件でどんどん大資本が進出していくと、国民の税金で本当にそれを押し立てているというような性質のものだと思うんです。 きのう私どもの橋本委員、佐藤委員の質問で、自民党の政治献金問題、これに対する警察庁も重大な関心を持って情報収集を行っているということが答弁されましたけれども、これまでの新聞でもなかなか大変なものです。 七二年の田中首相本人あるいは田中派に数回にわたって約五十万ドルという報道がある。それから熊谷組を通じて自民党に流れたという報道がある。七二年以来総選挙のたびに自民党の派閥代表者に献金、総額数百万ドルに上るという報道もあります。東陽通商の亡くなった小竹さんという人は、調べてみましたら私と一高の同窓で同じ学年だったんですね、顔は知らないんですが。この小竹さんは、新聞報道によると、戦争中の内閣情報局次長であった奥村喜和男さんの東陽通商に入って、岸信介、佐藤榮作氏らと、というふうに新聞などで報道されているんですね。やっぱりまだまだ事実は本当に明らかになっていないけれども、いろんな怖い問題があると思わざるを得ません。 この小竹さんが書いた手紙、これがマルコス文書の中にありますが、アキノ道路省長官が集金を始めるようなことがあれば、かつて我が田中首相が投獄される結果に至ったロッキード汚職事件にも匹敵する事件が日本で発生しかねませんと、こういう手紙を書いているんですね。すべてを知悉している故小竹氏が、田中首相投獄のロッキード事件に匹敵する事件が日本で発生しかねませんと書いてある。そうすると、やはり首相クラスの人がかかわりがあったのではないかというふうに私どもは常識で思わざるを得ないんです。そういう性質の問題がここには横たわっていると、そう指摘したいと思います。 そこで、新聞報道では八〇年、八三年の場合はイメルダ夫人が金を贈ったと、そういう報道になっている。そうすると、八三年というのは中曽根内閣のときで総選挙のあったときなんですね。私は、中曽根首相に自民党総裁として、また首相としても、この七二年以来、七一年に円借款が成立してからですから、総選挙のたびごとに贈った、八三年、中曽根内閣のときにまで贈ったということになってくると、政党として総裁として政党の自浄能力をここで発揮して調査をみずからされるべきではないかと思いますが、その決意をお伺いしたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) そういう事実は全くありません。私はそのころから派閥の領袖でもあり、あるいはまた党の幹事長もやり、あるいは総裁あるいは総理大臣をやっておりますが、フィリピンに関してもほかの国に関しても、外国から我が自民党が金をもらうようなことは断じてありません。はっきり言っておきます。
○上田耕一郎君 断じてというところにえらい力を入れられたけれども、私どももまだこういう報道だけです。しかし警察庁も新聞報道に関心を持って情報を集めているというんだから、これはこういう報道、例えばフィリピンの銀行人グループがこういうことを述べているわけだが、彼らは資料も集めている。香港が仲介だというので、香港では暗号による口座があって、それによって日本に行っているというんです。それも調べているというんですよ。そうなってくると、今の中曽根首相の断じてという答弁が事実なのかどうか、あるいは私どもの疑惑、国民の持っておる疑惑、あるいは新聞報道が根拠があるのかどうか、今後事実が明らかにするだろうと思うんですね。しかし、首相が今断じてないと言われたことを私もはっきりお伺いしておきます。 首相に関して指摘されている問題は二つあります。一つは、きょうのこの委員会でもいろいろ質問の出た商品借款です。七八年第七次で商品借款というのは終わっていたのに、マルコス大統領との会談後、なぜ第十二次円借款で商品借款を主にして復活させたのか。それはフィリピンの国会議員選挙の前ではないかということで、新聞もここに問題があったのではないかといって指摘しておりますし、それから本委員会でも問題になりました。 もう一つ、首相に関して指摘されている問題は、いわゆるサンロケ・ダムの問題であります。これは、二年前この予算委員会で秦豊委員が取り上げまして、私も当時聞いておりました。このサンロケ・ダム問題というのは、これもなかなか大きな問題であります。ここに私は、秦委員も取り上げましたフィリピン側の文書四通を持っております。そのコピーでございます。これはマルコス文書の中には含まれておりません。この文書によりますと、首相が五月七日にフィリピンに行ってマルコス大統領と会談される前の三月二十三日の文書。これには、第十二次円借款で取り上げるべきプロジェクトが四十二項目挙がっていて、そのうち十六項目を選びたいというのでリストが全部入っています。この中には、サンロケ・ダムは入っておりません。 その次の文書は、第十二次円クレジットのもとでサンロケ事業計画、この融資問題が大統領あてに出されている文書であります。そしてその文書に、これは英文ですけれども、これも新聞その他で報道されて有名ですが、マルコス大統領の手書きのサインが入っています。ここがおもしろいんですね。この文書は五月五日に書かれた。五月七日に中曽根さんはマルコス大統領と会談し、これは新聞も報道したし、秦さんの質問に中曽根さんはお答えになったけれども、マルコス大統領からサンロケ・ダムの問題が出て、フィージビリティースタディー、これはやろうということをお答えになったんですね。首相が答えたので、マルコス大統領は五月十八日付にチェックド・アイテム・グッド・ビー・フォー・サンロケと、五つチェックしまして、この五つは省いてもいい、サンロケのためにと。中曽根さんと会談したために、そういうサインがマルコスさんのサインでこの文書にあるわけです。 それから三番目の文書、それでそのサンロケのためにどのプロジェクトをやめて、どのくらいの金をこれに回すかというのが三番目の文書であります。これはビラタ首相のマルコス大統領あての文書であります。これにもマルコスさんのサインが五月二十四日付、アブルーバル、承認というふうになっています。 四番目の文書、これはビラタ首相からヨシオ・オオカワ大使、アンバサダー・ヨシオ・オオカワあての文書でプロジェクトのトップにサンロケが入っているという文書なんです。これがだから非常に問題になった。つまり中曽根さんがマルコス大統領と会談してFS、これについて承認を与えられたので、最初の四十二のプロジェクトには名前もなかったサンロケダム計画、これはイタリア政府あるいは世界銀行もだめだと言ったいわくつきの、マルコス大統領のふるさとに大ダムをつくるという計画ですけれども、それが浮かび上がってトップに上がってきたということでいろいろ指摘されているわけであります。 ここに朝日新聞の本、「援助途上国ニッポン」によりますと、丸紅が登場してきます。こういうふうに私もまだ文書しかない。しかしこの文書でこれだけ責任を持ってそれぞれ書かれているんだから、これは調べる必要がある。これは三十四ページです。「フィリピン政府は、大統領生誕の地に近いサンロケ峡谷に多目的ダムをつくる計画をあたため、中曽根康弘首相がきたら円借款をとりつけようと手ぐすね引いていた。公式日程の八三年五月が近づくとフィリピン政府は「約束しないと訪問は不成功に終わる」といい」おどかしたわけですな。「「丸紅によると日本はもう内諾した」とも政府に伝えてきた。これには外務省も頭にきて、丸紅幹部を呼んでたっぷり油をしぼったという。」とありますが、外務省、丸紅幹部を呼んでこの件について注意を与えたことがありますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今、商品借款とサンロケ一ダムのことでいろいろお話がありまして、何か事件が伏在しているような思わせぶりな発言がありましたが、そういうものは一切ありません。 商品借款については、フィリピン国でも、先ほど申し上げましたように、フィリピン経済は窮乏して財政的に極めて苦しくなって、国際的にほっとけないと。そういうことでフィリピンの方もビラタ首相は、何回も世界銀行やIMFへ行って陳情して、そして関係各国、フィリピンに対して経済援助をしている各国が集まって、寄り添って、そうして何とかしなけりゃいかぬ、そういう形でフィリピンに対してかなり強い輸出計画とか対応計画の提出を要請して、そうしてフィリピンの立て直しをやろうとした。そのときに相当財政的に厳しくなって輸出がとまって失業者が随分出てきた。工場がとまった。そういう情勢を見て、これは何とかしなけりゃいかぬと、そういうわけで、それではその輸出に必要な資材を送ろう、そういう意味で商品借款をやるということにしたのでありまして、フィリピンの大衆や失業者を救おうという、そういうとっさの急な仕事があったために行ったということであります。 サンロケ・ダムについては、私がマルコス大統領に会ったときに、たしか向こう側からそういう要望か、要望に近いような話があって、調査しましょうと、そういうことで慎重な態度を持しておりたので、それ以外何物もございません。
○上田耕一郎君 外務省どうですか、先ほどの。
○政府委員(藤田公郎君) サンロケにつきましては、ただいま総理からお答えがありましたとおりでございまして、調査を行い調査報告書を昨年九月先方政府に提出しております。 それから、丸紅を呼んで油を搾ったことは事実かという御指摘でございますけれども、本件はサンロケ・ダム建設計画の経緯にかかわる問題でもございますし、フィリピン政府との関係もございますので、私どもとしてコメントする立場にはございません。
○上田耕一郎君 否定されないと、やっぱりかかわりが僕はあったんだろうと思うんですね。朝日も責任を持って、これは連載ですから、連載を本にしたんだから、連載したときにもしうそだったら外務省から抗議があったはずだ。それがもう一冊の本になっている。恐らく外務省は抗議できない。私の質問にも否定できない。丸紅が恐らくこれはかかわっている。丸紅は東陽通商のルートと違って、マルコス直結だという報道もあります。マルコス文書にも余りあらわれてこない。しかし、恐らく今一端はあらわしましたけれども、やはり深くかかわっているだろうというふうに私は思います。 首相は、今商品借款問題で弁明をされました。これは外務省監修の「フィリピン経済社会の現状」という一番新しい本です。これにもありますように、マルコス政権が中曽根さんに電話をかけたり親書を送ったりというふうにもこれには出ておりますけれども、なぜ当時そんなに商品借款を望んだか、これはアキノ事件以後大変な窮状が起きたからです。これにもそう書いてある。六十九ページ、外務省監修ですよ。「アキノ事件を契機に資本流入の中断および大量流出(推定五億ドル)が生じ」と、こうしてフィリピン経済は深刻な打撃を受けていくんですよ。あのアキノ事件が八月に起きて以後、商品借款を行ったのは日本政府が世界で初めてであります。やっぱりアキノ事件以後のフィリピン経済、それからマルコス政権の腐敗ぶり、国民の怒り、あれが今度のアキノ大統領の登場に直結していくわけですから、どこの国も不安を抱いた。ところが、中曽根首相はIMFとの合意がまだ行われていないのに、その前に、アキノ事件以後国際的に初めて援助の手を差し伸べたのであります。 私は、もう一度この朝日のこれを引用します。この六十ページ、中曽根首相は、日比両国首脳は八三年春の歴訪時の会談で「困ったときはお互いに直接電話ができる信頼関係を確認し合っていた。」と。それでマルコスさんから八四年一月に電話が来たとか、どうもこれはきのう否定したようですけれども、その後の電話は先ほど答弁があったように誕生祝いだというのを認めたわけですね。中曽根首相は、レーガン大統領とは直接電話ができてロン、ヤス関係と言われている。どうもマルコス前大統領とも直接電話で話し合おうという、これはマル、ヤス関係ですな。ロン、ヤス関係と同じようにマル、ヤス関係なるものを結んでおられたように、朝日によれば私は思うんだが、こういう電話で直接話し合おうという信頼関係を確認し合ったんですか、あなたは。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、韓国の全斗煥大統領とも電話でしばしば話すこともありますし、インドネシアのスハルト大統領とも電話で話す、これが最近の首脳外交というものであります。
○上田耕一郎君 なるほどね。そうしますと、八三年十一月にマルコス大統領からこの円借款問題で促進の親書が来たと、これはお認めになりますが。これは外務省に聞きましょう。八四年一月の電話、八三年十一月の親書、これはまだ公表されていないというんだが、これは国会でこう取り上げていて、活字で出ているんだから、やっぱり事実を確認しないとね。外務省どうですか。やっぱり事実はあったんですか。
○政府委員(後藤利雄君) そういう事実は承知しておりません。
○上田耕一郎君 どうも、ないという答えじゃなくて、承知しておりませんとか、記憶にありませんとか、懐かしい言葉が大分出始めておりますね。これはやっぱりロッキード以来、事実がないと言うと後で国会でうそをついたということになるので、記憶にございませんと。首相、きょうもあなたはそう言われましたよ、記憶にありませんというのを午前中。やっぱり、そこら辺はそういう言葉が出る。承知しておりませんと、また今言った。だが、あなたは承知してないかもしれぬけれども、事実はあなたの、今答弁された方とまた別の人が知っているのかもしれない、御本人は承知しておりませんというので。そうすると、私が出したこの問題で事実は否定されなかったと、そう私どもは受け取る。そうやって受け取っていかないと真相は明らかになりませんよ。我々はそう思います。 それで、外務省にお伺いします。このサンロケ・ダムに関してのフィージビリティースタディーですね、この「フィリピン経済社会の現状」によりますと、農業、社会基盤、環境、エネルギーについて八三年、八四年度行っている。それから新聞報道によりますと、昨年九月JICAから企業化可能の調査報告が出たと東京新聞三月三十日付は報道しています。これはそうなっているんですか。企業化可能という調査報告書が出ていますか。
○政府委員(藤田公郎君) サンロケ・ダムにつきましてのフィージビリティースタディーは、五十八年の六月に正式の先方からの要請がございまして、七月に事前調査団を派遣、十月、調査実施細則について両国政府の合意を見まして、同年十一月より本格調査を開始し、昨年九月、最終報告書をフィリピン政府に提出しております。このフィージビリティースタディーは、先ほど委員がちょっと触れられましたが、本来イタリアのエレクトロコンサルトという会社が行いましたフィージビリティー調査で触れられておりません主として環境調査を主とするものでございまして、その点についての調査を終え先方に提出したわけでございます。内容につきましては、調査に際しまして先方政府から内部資料等の提供を受けて行っている調査でございますので、外部には不公表ということになっております。
○上田耕一郎君 もう一つ局長、これまでフィリピン関係でFSをやって、FSをやった結果、企業化は不可能だと、それでやめたものはありますか。
○政府委員(藤田公郎君) 経済協力はやはり交渉事でございまして、先方から要請が来、いろいろ交渉しまして、最終的に合意をいたしたものが両国間の経済協力案件として決定をいたしますので、その過程のことについてはどのくらいどういうものがあったかということを申し上げるのはどうか、いかがかと思いますけれども、非常に概略的に申し上げますと、フィリピンに限らずどこの国でも我が国に対する要請というのは、大体現実に合意いたしますものよりはるかに多い要請が参ります。要請には通常FSというものがついております。ついていないものないしは不十分なもので後刻追加をしなければならないものもございますけれども、通常はフィージビリティー調査というものをつけて要請が参ります。 したがいまして、その要請したもののうちの一番我が国としては協力するに値するものを選択して合意をするという形になっておりますので、かなりの程度のものがはねられているということが申せると思います。
○委員長(安田隆明君) 上田君、時間が参りました。
○上田耕一郎君 最後です。東京新聞三月三十日付は、熊谷組にほぼ内定しかけた、ところが、ふたをあけてみると鹿島建設にひっくり返っていたと報じているんですね。これも聞いたら言わないでしょう。しかし、こういう点で……
○委員長(安田隆明君) 上田君、時間です。
○上田耕一郎君 私は最後に、熊谷組の社長の熊谷太一郎社長、鹿島建設の石川六郎会長を証人喚問したいと思います。――まだゼロですから、まだゼロだからお願いします。
○委員長(安田隆明君) 時間オーバーです。
○上田耕一郎君 ちょっと証人喚問、まだゼロじゃないか。とにかくひどいよ、こういう委員会運営は。何でそうやって抑えるのですか。全くけしからぬよ、こういうことをやっているのは。
○委員長(安田隆明君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。 上田君要求に関する件につきましては、理事会で協議をいたします。 ―――――――――――――
○委員長(安田隆明君) 次に、井上計君の質疑を行います。井上君。
○井上計君 我が党の塚本委員長を団長とする訪問団が一昨日出発をし、到着後、一昨日、さらにきのう、それからきょうも精力的にフィリピンのアキノ大統領を初めとするそれぞれの人たちと面談をして、今回の問題、さらには今後のフィリピン援助の問題、あるいはまたフィリピンとの外交問題等々について精力的に調査を続けております。したがいまして、私はフィリピン問題等につきましては調査団の帰国を待ちまして、また別の機会にこれらの質問を行いたいと、こう考えております。きょうは円高問題に関連する質問を行いたい、こう思います。 昨年のG5以降、政府誘導によるドル高・円安の是正政策が行われました。そのために急激な円高基調になりまして、G5当時と比較をすると三五%程度の大幅な、急激な円高になっておるわけであります。昨年の暮れごろにはだれもが予想しなかった、あるいは日銀や政府当局は予想しておられたかもしれませんけれども、要するに非常に高い円相場をつくり出しておるということであります。さらにまた、現在でも先高感が非常に強いわけであります。今月中旬に総理は訪米される、このように新聞報道で承知をしております。さらにまた、東京サミットを迎えるに当たって一層の円高誘導の政策を政府はとるのではないかという予想といいますか、危惧が現在国民の間に多いことも事実であるわけであります。それらを考えますときに、もう既に多くの輸出関連中小企業の倒産が出ておりますし、さらにまた深刻な事態に陥っておる企業も相当あると聞いておりますけれども、これ以上このような深刻な事態がさらに進むとするとゆゆしき重大問題である、このように考えておりますが、これについて質問通告いたしておりませんが、改めて大蔵大臣にお聞きをしたいと思います。 昨年の九月のG5当時大蔵大臣は、ここまで日本経済が、特に輸出関連中小企業が深刻な事態に陥ると予想されておったかどうか。あるいは予想されておったとしても、なおかつ、それでもそういう事態が起きてもやむを得ないほど日米の貿易摩擦が激化しておったので、やむを得ないというふうなお考えがあったのかどうか、その点ひとつお伺いをいたしたい、こう思います。
○国務大臣(竹下登君) 昨年のG5に参りました際は、その前にいろいろの情報交換をしておりましたが、今のドル以外の通貨の相場が、正常なファンダメンタルズを反映していないと判断せざるを得ない、そういう共通認識でもって参ったわけであります。したがって、およそのターゲットというのを決めておったわけでももちろんございませんが、短期的にもまた中長期的にも日本経済にいろいろな変化が生ずるであろうということは、これはおよそ私でも予測をしておったところでございます。
○井上計君 そのお答えを一応了といたします。 そこで、続いてお伺いをいたしますけれども、去る二十八日に、一般質問の際、関連して私は、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法のさらに拡充、それから運営の拡大等々について質問をし要望をいたしました。特にその当時、法制定の二月十四日の時点あるいはこの法律が検討されておりました昨年の十二月の初めの時点と比べますとさらに円高が進んでおる。そうして公定歩合もその後二度にわたって引き下げをされておるということであるわけであります。したがって、言えば五・五%の特利が必ずしもこの急激な円高に対する中小企業の転換対策としては適当でない、こういうふうなことに現実になっておる、こう考えるわけであります。これらについては昨日同僚委員からも質問がありました。中小企業庁長官の答弁では、仮に激甚災害の特別融資と同じように三%の金利にした場合に、昨日の中小企業庁長官の答弁では、たしか当年度といいますか約十七、八億円、さらに三千万円の融資が丸々融資されたときにおいても七十億円程度と、このようなお話があったわけでありますけれども、六十一年度で十七、八億か二十億足らずのものであるなら、その程度の予算計上をしてぜひ五・五%の特利をさらに引き下げていくべきだと、このように考えますけれども、通産大臣、大蔵大臣、このことについてはどういうふうな御見解をお持ちであるのか。またどのような今後の方針でおありであるのかお伺いをいたしたい、こう思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私どもの方は中小企業を担当する大臣でございますから、いろんな金利情勢等が変わってくれば、また景気の動向等も変化があれば、円高是正のための救済措置は最大限にやりたいという念願がありますから、金利もできるだけ低い方がいいというのは当たり前のことであります。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる五・五%という金利、貸付利率そのものは、実際問題として事業資金としては確かに極めて低い利率のものであります。そして財投金利が引き下げられたからといって、補給金を計上しておる本制度の金利をそのまま引き下げるという性格のものではないという一つの見方を持っておるところでございます。しかし、本制度の金利引き下げにつきましては、円高に係る中小企業対策の重要性を十分認識して、そこで慎重かつ適切に対処してまいりたい。慎重というのはおくらすという意味ではありません。深くと、こういう意味でございます。
○井上計君 通産大臣のお立場から当然のお答えがありました。大蔵大臣まことに明瞭にきょうは明快にお答えをいただいた、このようにひとつ大いに期待をいたしておりますので、ぜひ一日も早い実施を特にまた要望をいたしておきます。 さて、円相場の見通しというのは困難でありますし、またもちろん政府が軽々にこの見通しを述べることはできないことは十二分に国会審議等を通じて承知をしております。しかし、我が国の経済力からして現在のようなレートが果たして妥当であるのかどうか。いわば日本の実力、円の実力が幾らぐらいかということについては、私どもやはり今後事あるごとに考えていかなくてはいかぬ、こういう感じがいたします。 〔委員長退席、理事桧垣徳太郎君着席〕 そこで、現在のいわば異常な円高を醸し出た大きな理由は、何といっても対米黒字が多過ぎるということであろうと、こう考えます。俗に対米黒字が約五百億ドル、四百九十億ドルということが盛んに言われておるわけでありますけれども、通産省にお伺いをいたしますけれども、アメリカの発表によると対米黒字は四百九十七億ドルということになっております。ところが、我が国の通関統計によると対米黒字は三百九十五億ドルということになっております。すなわちこの差が百二億ドルあるわけでありますけれども、どちらが正しいのか、またこの統計発表の違いは何であるのか、これらをひとつお伺いをいたしたい、こう思います。
○政府委員(黒田真君) ただいま先生が御指摘されました数字は、それぞれの国のいわば税関でとっております通関統計の数字と思います。これはそれぞれ大変大きな差があるわけでございますが、要するに税関でとっております関係上、輸出品はその国のその貨物の輸出代金、輸入品はその貨物代金に運賃と保険料を積み増した形で統計に計上されるということになりますので、若干細かいことで恐縮ですが、例えば百億ドルずつ双方で売り合っておっても、双方の国の統計には百億売って例えば一割運賃が乗っていれば百十億買ったということで、両方の国に十億ドルずつ赤字が出るというようなことをもともと内蔵した統計の手法でございます。したがいまして、どちらが正しいかという御質問はなかなかお答えしにくいわけでありまして、あるいは真理は中間にあるというようなことになるのかもしれないとも思うわけでございます。 さらに、百億ドルという大きな差がございますが、昨年はその差が四十億ドルでございまして、急にここでふえております。これはタイムラグその他の要素もあると思われますが、さらにアメリカ側において最近商務省がみずから発表しておりますが、本来八四年に計上されるべき数字の一部が八五年にずれ込んでおるというような統計上り操作上の問題もあるようでございまして、そんなことから八五年の日本との関係の数字が大変大きく出ているという状況にはあろうかと思います。要するに、差額は運賃保険料部分をあらわすものだ、したがってそれをどういうふうに分け合うかというのは若干別の問題だ、こういうことだと思います。
○井上計君 どちらも正しい、あるいはどちらも正しくないと、このようなふうに理解できるわけでありますが、日米の貿易統計のあり方、さらには統計作成ベースの差というふうなものでこのような発表の数字の大きな違いがあるんだ、こう考えるんですが、したがってこれは大蔵省の所管であろうと思いますけれども、これらのやはり統計のとり方、差異、このようなものをできるだけ早く統一して、こういうふうなことによってのまた誤った考え方が起きないようにすべきであろうと、こう考えるんです。 ということは、一般に対米黒字五百億ドルというのがもう完全に定着しておりまして、地方へ行きますと、あるところで聞いたんでありますが、国会議員でさえが対米黒字五百億ドル、したがってアメリカから非難されるのは当然、日本は輸出を減らさなければいかぬということをはっきり堂堂と言っている人がいるわけですね。これらのことをもっと考えていかなければいかぬ。余りにもみずからが黒字を大きくして、そして大変悪い子になっておる、こんなふうな傾向が最近特に強いと、こう感じられるんですね。新聞も、一部の新聞には小さくこのことをちょっと報道したことがありますけれども、ほとんど新聞にもこういうことは書かないというふうなことがあるんですね。 まして、きょう実は見た、きょう配られたところでありますジェトロの発行したジェトロ白書、一九八六年版、最新版でありますけれども、この中に「期待される日本の海外直接投資」というふうな欄に書いてあるのです。「八四年度には米国経済の景気加速化による対米黒字の増大によって四百五十六億ドルへと黒字幅は一層の拡大をみた。八五年度についても上半期で二百九十三億ドルの黒字を計上しており、G5合意以降の円高定着による効果を加味しても、八四年度並みの貿易黒字が達成されることは間違いなかろう。」、だから、ジェトロのこの白書においても約五百億ドルという黒字が発生をしておるというふうな表現になっておるんですね。これらについては十分お考えをいただく必要があると思いますが、統計の問題、これについての協議を大蔵省おやりになるお考えかどうか、それからまた特命大臣はどうお考えであるか、お伺いをいたします。
○政府委員(行天豊雄君) 国際収支統計につきましては、御高承のとおり国際通貨基金、IMFにおきましてかねてからできるだけ国際的に基準を統一するという努力が続けられておりまして、いわゆるIMFの国際収支統計マニュアルというものがございまして、これは適時改正をされております。現在のところ、少なくとも国際収支統計に関しましては、各国ともこのマニュアルに従って作成をしているわけでございますけれども、現実の問題といたしましては先ほど通産省から御答弁ございましたように、どうしても何といいますか不突合というのは出ざるを得ないような面もございます。 それから、通関統計そのものにつきましても、私ども各国の当局と適宜意見を交換いたしまして、できるだけ両方の少なくとも誤解がないような統計をつくるように今努力をいたしておりますが、今後ともそういった努力は続けてまいる必要があろうかと思っております。
○国務大臣(江崎真澄君) やはり大きな貿易インバランスはこれは否定できません。多少の集計の違いは端的に言えばCIFとFOBの関係もありましょう。したがって、今言ったようなことの原則で決まるわけでありますが、あのアクションプログラムというのは相当思い切ったことをやっているわけです。 それから現在の円高というのは、もうかねてからここでも議論されるようにやはり高さに過ぎるということで、我々としても経済摩擦を担当している者から言うならば、やっぱりある程度二百円から百九十円の上のあたりに安定することがいいということは、私はここでも申し上げておるんです。大蔵大臣が言うわけにいかぬでしょう。しかし、安定帯をだれもが言わぬというようなことは、これは政府としてはいけません。やっぱりある程度、このあたりに落ちつくことが大事であって、波乱がいけないんですね。ですから、そういう意味で申し上げたこともあります。日本の市場は本当に開放されておると思っております。しかし、御承知のように九九・四%というのは中小企業ですから、本当に売り込み努力を一生懸命やってくれませんとなかなか入りにくいということもありますね。きょうも閣議で、年度がわりですから、政府調達についてもぜひひとつこの円高の折から輸入品を求めていただくことも配慮してもらうようにという各閣僚への協調のお願いも申し上げたりしておるというような状況であります。 そして、この席で、これは別な場面で申し上げましたが、ジェトロが作成いたしました資料によると、昨年のアメリカの、モトローラを初め在日米企業による輸出が二十億ドル、それからOEM、アメリカのブランドによる合弁企業の輸出が五十億ドル、そして不可欠の部品が八十億ドル、それから米国内では全く生産されていないというのが四十億ドルで百九十億ドル、去年の総輸出量はアメリカに対して六百十三億ドルですから、したがってこれは今の三〇%に当たる。アメリカの経済と日本の経済というものは、その生産においてもう本当に一体化しておる。ウォリス国務次官が来たときに私は数字を示して、ちょっとこれは八四年の古いものであるけれども、間もなく八五年が出るであろう。八五年は二百十億ドルとここに資料がありますが、これを見ても八五年も三〇%のオーバーラップがあるわけで、それだけ下請というか水平分業がアメリカ側となされておるということを、もっともっとやっぱりアメリカに知ってもらう。これはウォリス国務次官は、そういうことを本当にアメリカは知らないんだと。いや、もう我々ミッションでアメリカを訪問したときにも、この数字は印刷物でお渡ししましたよと、いや、私は聞いていない、それは非常に耳寄りな話だというようなことを言って深く理解を示しておられましたが、そういったことなどについても今後徹底していくことが必要である。そういう意味では、ジェトロは大変この面でも活躍をしておるものというふうに私は認識をいたしております。
○井上計君 次に質問をしようと思っておったことを、先に江崎大臣からお答えをいただきましたから質問が省けます。 ただ、今、江崎大臣お話しになりましたが、在日米国企業による対米輸出が約二十億ドル、それからOEM輸出が約七十億ドル、それから部品輸出が八十億ドル、それから米国内ではほとんど生産されていない、いわば絶対的に必要な商品等々の輸出が四十億ドル、合わせて二百十億ドルということになっております。 通産省にお伺いしますけれども、この在日米国系企業による輸出約二十億ドルというのは、通産省所管の製品のみであって、さらにまた投資比率が五〇%以上の企業の輸出のみである。したがって、五〇%未満の在日米企業の対米輸出、あるいは食品等々の通産所管以外の対米輸出というものは含まれていないというふうに聞いておるんですが、その点いかがですか。
○政府委員(黒田真君) ただいま委員御指摘のとお力だというふうに理解しております。
○井上計君 とすると、この二百十億ドル以上に、言えば国内で生産をしている米企業の製品の対米輸出があるということになるわけですね。これは一歩譲って二百十億ドルとしても、今江崎大臣のお答えの中にありましたけれども、これらのものはただ単なる日本の対米輸出というふうな簡単な考え方ではないと、こう考えるんです。そのほかにまだまだ、実際にはアメリカに支払っているロイヤリティーもありますし、それから、これはどの程度あるかわかりませんけれども、中近東産油国から輸入している原油、これがアメリカ国籍のメジャーの扱い分というものが相当あるわけですね。だからそれらを計算すると、確かに黒字はありますけれども、言われているような膨大な対米貿易黒字ではないというふうに私は考えるわけであります。したがって、これらのことをもっともっと強くやはり主張して、江崎大臣は前回からもう強く主張しているというお話でありましたけれども、一層、今度の総理の日米会談、あるいはサミット等におきまして堂々とこれらのことを説明し主張して、日本はこれだけ努力しておるんだと。しかし努力はしておるが、同時にまたこういうふうな実態もあるんだということを明確に、明快にひとつしていただいて、日本に対する言えば四面楚歌的な非難をやはり緩和することに努力を願わなくてはいかぬと、こう考えるわけでありますが、総理大臣、ひとついかがでありますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 御趣旨を体しまして日本経済の実態の説明、よく努めてまいりたいと思います。
○井上計君 同時に、これは官房長官の御担当があるいは通産大臣、特命大臣等々の御担当になると思いますけれども、国内向けにもこういうPRをもっと積極的にしていただかなくちゃいかぬ。国民のほとんどが知らないですね、こういうことを。だから何かみずからアメリカに対してもう黒字が多過ぎる、だから日本が悪いんだ悪いんだというふうな、どうもそんなふうな風潮が非常に高まっておりまして大変私は残念だと、このような気がいたしますが、これは特命大臣、じゃお願いします。
○国務大臣(江崎真澄君) これは国民に対しても大事ですが、特に選挙を控えたアメリカの議員に対してよく説明することが大切なことだと認識をしております。今、ジェトロそれから大使館・総領事館ですね、こういったところもその点に留意して一生懸命やっております。それからまた我が党における議員外交においても、各進出の企業が中心になって、五十州もあるんですから、その州をフォローアップして、そこをフォローして、そういったことをよく宣伝もしよう、また買い付けについてもいろいろできるだけの便宜供与もしていこうと、こういう体制で臨んでおるわけであります。
○井上計君 とはいうものの、やはりアメリカのいろんな世論等も配慮して、できるだけ良好な日米関係を保持していくためにも、さらに一層我が国は努力をしなくてはいけないと、こう考えます。 そこで、総理提唱しておられますけれども、少しでも輸入をふやすというふうなことの中で、これは昨年私が貿易摩擦問題についての本会議での緊急質問で提言をしたことであります。それは、到着空港において免税品の売店を設けることを提言をいたしました。これはウイスキー、たばこ、香水等限定された商品だけでいいと思いますが、この私の提言に対して総理は、検討に値するという御答弁をいただいた記憶があります。ところが、大蔵大臣はまことにつれない答弁をされました。しかしいま一度、当時と大分状況が違っておりますから考慮する必要があると、こう考えます。 同時に、大蔵大臣、円高のメリットはだれが受けているんだ。一番受けているのは海外旅行者だと、こう言って、しばしば当委員会でもお話しになっておりますけれども、昭和四十七年ですか、現在の一万円以上の物品等々の合計が十万円までは免税、それ以上は課税というふうなことになっておりますが、昭和四十七年と現在と比較しますとかなり上がっておりますから、この際これを二十万円に拡大をする。それから単価一万円未満というものを二万円未満に拡大するとかというふうな方法で、やはり海外旅行者が円高メリットをもっと感じられるように、同時に輸入がふえるようなそういうことについてのお考えの意思はありませんか、再度お伺いをいたします。
○国務大臣(竹下登君) 昨年もお答えいたしましたが、あの売店は、私もちはっと正式な名前は忘れましたけれども、国際空港ビルそのものの協定があるそうでございます。したがって、みんなが日本で買うようになったら、一番外国旅行者から見ればお金をたくさん持って歩く日本人が、全部それを日本で買うようになった場合における、他国の国際空港をも含めた協議会か何かでございましたか、そこでなかなかその問題は原則の理解を受けることができないと、こういう難しさがある。が、今おっしゃいました、そして何万円買ってきておるかということについて一斉調査をしたりした金額もございますが、引き続き勉強する課題であるということは私も承知しております。ただ、本当に国際協定に近いようなものだそうで思うように運ばないと、こういうことのようでございます。
○井上計君 到着空港の免税売店については、当時も大臣からそのようなことを伺ったことがあります。しかし、国際協定に近いということでありますけれども、私が申し上げているのはすべての免税品ではなくて、いわばウイスキーだとか洋酒だとか、あるいはたばこだとかという限られたものでありますから、私はそれほどの大きな影響はなかろうと考えます。引き続いての御検討をいただけばと、こう思います。 それから防衛庁に伺いますけれども、アメリカの第七艦隊の年間予算、第七艦隊以外の日米安保条約に基づくところのアメリカの第七艦隊以外の年間予算等々、おわかりであればお聞かせをいただきたいと、こう思います。
○政府委員(瀬木博基君) 先生お尋ねのこれに正確にお答えする資料を持ち合わせてございませんけれども、第七艦隊に加えていわゆる西太平洋というところに展開しております韓国、日本、フィリピンの空軍、それから韓国におります陸軍、これを加えました経費といたしまして、八四年現在でアメリカのそれらの軍隊を維持するのに四百億ドル、当時の換算レートにいたしましておよそれ九円を要したという記録がございます。
○井上計君 私は一昨年ごろであったかと思いますけれども、アメリカのある議員が日本に対する不満の一つとして述べておることを本で見たことがあります。今防衛庁お答えでありますけれども、日米安保条約に基づいてのアジアの駐留軍あるいは第七艦隊の予算等々が四百億ドルということでありましたが、仮に当時のレートでありますと九兆円であります。同時に、第七艦隊の警備している区域、守備範囲を航行しておる船舶の大部分と聞いておりますが、少なくとも七〇%以上は日本の船舶であると、こう聞いておるわけです。とすると、アメリカの第七艦隊のいわば警備のおかげという言い方は適当でないかもしれませんが、日本の輸出入商品等を運ぶ船舶、あるいはまた遠洋漁業等の漁船等々が恩恵をこうむっておるわけですね。アメリカの不満は、九兆円のうち、仮に、じゃ、七〇%あるいは五〇%を直接日本のために使っておるとすると、半分でも四兆五千億円あるではないか。だから、今年度六十一年度の我が国の防衛予算の総額が三兆三千四百億円でありますから、我が国の防衛予算の総額よりも多く第七艦隊が日本のために使っておるという不満が、これはもう言い方が適当かどうかは別にして、アメリカ国民の中にあることもこれは事実であろうと、こう思うんですね。したがって、それらについてのやっぱり配慮も、この貿易摩擦の中で堂々と主張は主張する、言いたいことは言う。同時にまた、そういう配慮も今後ともしていかないといけないんではなかろうかというふうに考えるわけであります。 先般来当委員会で問題になっておりますが、逗子の池子弾薬庫の米軍住宅の建設の問題、あるいはしばしば起きますけれども、佐世保あるいは横須賀等におけるミッドウェー等々の寄港のときのいろんな問題等々考えると、アメリカ国民の間にこういうことから考えても不満が生じてくる、それがさらには日米貿易摩擦というふうな問題を横の方から大きくしておるということになっておる事実もあるであろう、こう考えますと、今後ともそれらの面についても十分の配慮をしていかなくてはいけない、こう考えておるわけであります。特にこれは御答弁要りませんが、もし私の今申し上げたことについて防衛庁長官、何か御見解があればお伺いをいたします。特に難しければ御答弁なくても結構であります。
○国務大臣(加藤紘一君) 現在アメリカの国防省初め政府当局は、貿易問題と防衛問題はこれは別の問題であるというふうに明確に区別して我々に対処をしてきております。そういう意味で非常にクールで合理的な判断をしてくださっていると思いますが、一方アメリカの議会の中には、今、井上委員のおっしゃったようなそういうような空気があることは私たちも十分承知いたしております。そこで私たちとしては、アメリカの国防費と比べますと、アメリカめ国防費の六%か七%ぐらいが我が国の防衛費でございますが、そういう中で我が国のための防衛は精いっぱいの努力をしていかなければならないのではないかな、こう思っております。
○井上計君 そのようなことについての御努力をぜひしていただきたい、こう希望しておきます。同時に六十一年度の防衛予算三兆三千四百三十五億円であります。ところがこの中身を調べますと、人件費は一兆四千六百七十五億円、それから糧食費が四百十一億円、さらに基地周辺整備費、いわば公共事業に類するものであるわけでありますが、これが千四百八十三億二千三百万円というふうな計上でありますから、実際に装備費とい多のは八千九百九十七億円、約九千億円である。そうして、アメリカ駐留軍関係等俗に言う思いやり予算は八百十七億円にしかすぎないわけでありますから、防衛費が多過ぎるという議論、誤ったとは言いませんけれども、国民の中に三兆幾らの防衛予算は直ちにすべてこれが装備費であるという誤解もあるわけですね。これらの点についても防衛庁は国民に真実を理解してもらうような努力を、怠っておるとは言いませんけれども、やはりすべきであろう、こう考えますが、これは防衛庁長官いかがですか。
○国務大臣(加藤紘一君) 我が国の防衛費の構成、その内容は今、委員御指摘のとおりでございます。三兆三千四百億ほどのものでございますが、防衛予算の話のときになりますと、どうしても解説だとかテレビの後ろに出てまいります画面はナイキだとかホークだとか七四式戦車の写真が出てくるものですから全部がそういうふうに思われますが、人件費が四六%前後というのはずっと続いておりますので、こういった防衛費の中身につきまして私たちが今後とも精いっぱいの努力をし説明していかなければならない、こう思っております。
○井上計君 国民の間にそのような誤解が相当あるということをつけ加えて申し上げておきますから、一層の御努力をお願いをいたしたい、こう思います。 時間がだんだんなくなりまして、内需拡大政策について詳しくお伺いするつもりでおりましたが時間が余りありません。もう当委員会でもしばしば質疑が行われておりますけれども、公定歩合の第三次引き下げ、あるいは個人住宅建設の促進政策、あるいはさらに大型減税、あるいは機械等の法廷耐用年数の短縮、公共事業の前倒し発注、それから円高差益の適切な還元と活用等々、内需拡大政策については多くのものを適切に積極的に取り上げていかなくてはいけない、こう考えます。総合的に実施すべきであろう、こう考えます。 同時に、総理は、先般来新聞報道によりますと、建設国債の増額については弾力的な発言をされている、このように報道されておりますけれども、赤字国債脱却のみに目を奪われて建設国債の発行を抑制してきておる現状等々考えると、やはり緊縮財政もちろん結構でありますが、緊縮財政が最近は緊縮財政を通り越して萎縮財政、萎縮経済に陥っている、このような感じがするわけでありますが、総理、この建設国債の増額発行についての弾力的な発言をされておりますこと、同時に、あわせて大蔵大臣のひとつ御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 財政再建の一つの目標として、六十五年、赤字公債依存体質から脱却する。それがために、今、井上さん御指摘なさいました年々の予算の際に、いわば経費の経常部門だけを減すということになるとまたアンバランスが出るから、したがって公共部門に対しても極力抑制をしておるから萎縮しておるではないか、こういうことでございましょうが、そこはそれぞれ知恵を使いまして、補助率等これからまた法案の御審議をいただかなきゃいけませんが、実質の事業費の伸び、こういうことでこれに対応してきたわけであります。 それから、もう一つ忘れがちでございますのは、毎年毎年の予算で公債依存度、今度は全体としての、これを下げていくというのが六十五年までの努力目標の一つになっておるわけであります。三十数%から今二〇・数%というところにまいりましたけれども、このこともやはり考えの基本に置かなきゃならぬということになっております。 しかし、今日まで振り返ってみますと、いわば補正予算の際に災害等につきましては建設国債の増発をさせていただいて今日に至っておるということであります。だから、やっぱり安易に建設国債を考えるという考え方に立つのはとるべき施策ではないではなかろうか。昭和二十二年に財政法ができて、そして初めて建設国債的なものを発行したのが昭和四十年でございますから、そのときも大変な議論をして、インフレになるじゃないか、いろんな議論をして発行して、そして初めて今度は五十年から赤字国債でありますが、したがって赤字国債だけが悪者で建設国債は善玉だという思想になったら――昭和二十二年の財政法そのものができましたときの基本的考え方の原点をやっぱり忘れてはならないという考え方の基本に立っております。
○国務大臣(中曽根康弘君) 中小企業の円高の苦難については全力を振るって機動的に処理してまいります。 財政運営につきましては、大蔵大臣が答弁されたとおりでありまして、臨調路線を守って建設公債の増発につきましては慎重な態度を持してまいりたいと思います。
○井上計君 政府は、現在の財政状態から考えて、なかなか思い切った内需振興政策がとりにくいということも承知をしておりますが、できるだけひとつ知恵をもう出し尽くして、大いにひとつ内需振興、円高デフレにならぬようなそういう御努力を願いたい、こう思います。 それで最後に、政府の負担支出をほとんど要しないで内需振興政策というものが幾つかある、こう思うんです。その一つとしてデノミがある、こう考えるんです。デノミ論議については、本国会の冒頭、本会議で自由民主党の斎藤栄三郎議員からも御提案がありました。また当委員会でも同僚委員からデノミについての簡単な質疑が行われたわけでありますが、その都度、大蔵大臣は全くつれない御答弁のみがなされております。衆議院の解散と公定歩合の引き下げは、うそ、うそとは言いませんが、真実を言わなくってもこれは食言にならぬ、許されるんだということがありますが、デノミは真実を私はおっしゃっていただいてもいいんではなかろうか、こう考えるわけであります。したがって、できますれば大蔵大臣からデノミについてどう考えておるかという明快な色よいひとつお答えを期待するわけであります。 そこで私の提言でありますけれども、私個人の推定でありますけれども、デノミを実施した場合のメリットとデメリットがどうあるかということを考えました。まずメリット、直接的なデノミ需要、これは紙及び印刷関係で約五千億円あろう、こう考えます。それからコンピューター等々の、金融機関が統計をかえるためにソフトの組みかえをしなくちゃなりません。一説によると五千億円を超えるであろう、こう言われておるわけであります。それから自動販売機あるいはまた金銭表示メーター等々の、これまた組みかえ等々を入れると少なくとも一兆円の直接デノミ需要があると、こう考えるんです。とすると、これは相乗効果は大変なものだと考えるんですが、さてそこでデメリットについては私は全く思い当たらないんです。大蔵大臣は直接需要を喚起するためのメリット、さらにはデメリット、あるとするとどういうものがあるのか、お考えでしょうか。 何時にそこで、デノミ実施についてはどういうお考えでありますか、できれは大蔵大臣だけでなくて総理にも、また時間があれば通産大臣、経企庁長官にもお伺いしたいと思いますが、もう時間がありませんから大蔵大臣と総理からひとつお答えをいただくこととしたいと、こう思います。
○国務大臣(竹下登君) そもそもデノミネーションというのは、通貨単位の呼称の変更であって、学問的に言い直すと、経済には中立的なものであるべきだというのがデノミネーションの定義と申しましょうか、本来はそうあるべきものだということでございます。 それから、デノミネーション行いました先進国の例をとりましても、しかし今日まで行われた場合には非常にインフレになって、その通貨を切り下げする前に、一気に心理的な緊張感をもたらすためにやったとか、そういうことでありまして、戦後デノミネーションは必ずしも単純な呼称変更のために行われていない。こういう実情でございます。 今メリットのことは先生おっしゃったとおりを是認したといたしまして、デメリットというのは完全にその逆とお考えいただければいいんじゃなかろうか。すなわちコンピューターの組み直しをやりましたり、自分の方の紙の全部印刷のやり直しをしましたりするものの企業収益の減退と、それから逆にくる今おっしゃったメリットということで相殺されるというのが、一般論として言われるいわゆるメリット・デメリット論でございます。全く仮定の事実でございますけれども、詳しく数字も調べたのもございますから、都合によってまた御勉強の材料に御提供しても結構だと思っております。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大蔵大臣と同じでございます。
○井上計君 終わります。 ―――――――――――――
○理事(桧垣徳太郎君) 次に、田英夫君の質疑を行います。田君
○田英夫君 朝から同僚委員並びに政府の皆さんとやりとりがありましたが、フィリピンのいわゆるマルコス・ゲートと呼ばれるこの問題は、実は先週私もフィリピンへ短時間行ってまいりまして感じたことでありますけれども、現在アキノ政権のこの問題についての関心性、つまりサロンガ委員長を発頭にして行っている作業は、主としてマルコス前大統領が不正蓄財を行ったというその藩財を内外で明らかにして、それを還元していこうというところにあるように思いました。したがって今、日本で非常に関心を集めている日本との関係というととろになかなか至らないということになるんじゃないかという気がいたしますが、しかし考えてみますと日本の国会、我々、そして政府の皆さんがこの問題についてまずやるべきことは、日本の対フィリピン援助というものが過去にそのやり方に誤りがなかったか、正すべきものは一日も早く正さなければならないという意味で、まず対フィリピン援助における仕組み。あるいは過去のいろいろな例の中で起こっている事実というものをお互いに謙虚に反省をし、探していくということにあるのではないかと思います。その意味で、既に同僚委員からも話が出ているわけでありますが、まず一つ、ある国から円借款の申し入れがあったといたしまして、政府部内でどういう手順でこれが交換公文にまでいくりかということを簡単に御説明いただきたいと思います。
○政府委員(赤羽隆夫君) 一国からの援助要請がございますと、相手国の経済開発に与える効果あるいは外交の立場、あるいは財政、国際金融といったような観点、さらには通商政策といったような観点から検討いたします。この場合、外務省、大蔵省、通産省、経済企画庁、いわゆる四省庁が中心になって検討をいたします。その際には、基金で行っております事業審査の結果なども参照いたします。また基金が事業審査などをする場合に当たりましては基金みずからも、ミッションを送る、こういうケースがございます。基金といたしましては、その際あるいはそれから帰ってから、あるいはその前にでありますけれども、いろいろな事業計画、イージビリティーリポートなど関連資料などを送ってまいりますので、そうした事業につきましてその適切さ、事業達成の見込み等につきまして審査を行います。こういったようなものをすべてまとめまして円借款を供与するという形の決定が行われた後、交換公文ということになるわけでございます。
○田英夫君 まずその仕組みの中の問題は、今説明されたことは当然の手順という気が私もするんですけれども、問題はむしろ逆であって、先日もマニラで日本のある商社に関係をする、商社員ではありませんが、いわばコンサルタントというような立場の人に会う機会がありましたけれども、今言われました、向こうから月借款の要請があるとその政府に対して、フィリピンの場合フィリピン政府に対してフィージビリティーリポートを出してくださいということを言っていく、その辺の過程から既に実は日本側のそうした人たちの手によって作業が進められるというのが実態であって、その作業の中で実は一五%とか二〇%とかいうものがいつの間にか水増しされていくという事実を、そのことをやっていた本人の口から聞いたのでありますが、これはもちろん表に出ることのできない、そういう立場で言っているわけですけれども、そこに問題がある。 〔理事桧垣徳太郎君退席、委員長着席〕 しかし、これはあながちそのことだけを攻撃できないと思いますのは、日本からそうした援助、経済協力を求めるそういう国々というのは、みずからの政府ないしみずからの機構の手によってそうした計画案を作成する力がやはり不足しているということも事実だろうと思うんですね。そういう中で日本の企業ないしその周辺の人たちの頭脳というものが働く。問題は、そこで働いたときに上積みされるというところからおかしくなるんじゃないだろうか。この辺のところはやはり相当実態に即して考えないと、そんなところで日本の企業に関連をした人が口を出すからいけないんだという意見があるとするならば、これはやはり相手の御事情も考えてあげないといけない。 大体、四省庁で団を組んで当該国に調査に行かれますね。そういうことをして、むしろプロジェクトファインディングチームというものが派遣されなければプロジェクトが出てこないというあたりが現実なんだと。この辺もひとつお互いにしっかりとわぎまえた上で、そういう中でしかも不正が行われないように配慮するにはどうしたらいいんだろうか、こういうことではないかというふうに今思っているんですが、これは関係大臣、四省庁のどなたでも結構ですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 全体的には日本の援助は、私は適正に行われておるんじゃないかと思います。フィージビリティースタディーもきちっとやりますし、円借の場合の交換公文等も十分両国で合意してこれを交換するということですし、また援助が実際に効果的に実施されているかどうかという評価も最近は随分行っておるわけでして、全体的には私はうまくいっているんじゃないか、こういうふうに思っております。そしてそれは、各国の非常な評価につながってきていると思うわけですが、しかしフィリピンの例に見られるように、必ずしも問題がないとは言えないわけでありますし、こういう事件というものを反省材料にしてこれからのいろいろのやり方、あり方について改善すべき点はやっぱり改善をしていかなきゃならぬ。これからいろいろの面でひとつ情報を集めながら検討したい。 ただ、問題はやはり相手の国が実施の主体ですし、相手の国の自主努力を日本が援助するということが基本ですから、なかなかその辺が、やはり相手の国の主権というものも尊重しなきゃならない、そういう中に非常に難しい問題も内蔵されていることは、これは事実であります。
○田英夫君 フィリピンについて言いますと、昭和三十一年の賠償ということ、ちょうど私は、私ごとですが外務省の記者クラブにおりまして、それが結ばれていく過程も知っているわけで、その後のことも若干は知っているつもりですけれども、そういうところからずっと歴史的に来た事実がありますね。そういう中で日本の企業との関係とかいろいろなことが起こってきた、政府外の問題でありますけれども。 そこで、ここにフィリピンに対するいわゆる円借款の第一次から第十三次までのプロジェクトを書いた資料があるのでありますけれども、これをじっと見ておりますと、非常にいろいろ考えさせられる点がある。例えば第五次のところでスビック修理造船所計画百十一億円という項目が挙がっております。これはスビックといえばアメリカの海軍基地でありまして、しかしよもやアメリカのために修理造船所をつくったわけではなくて、フィリピンのためと思いますけれども、そのフィリピンのためにつくったものがアメリカ軍に供与されるというようなことまでアフターケアができているかどうかというようなことも、これは見ながら感じたという意味で申し上げるならば一つ出てきます。 また、既に出たことでありますけれども、商品借款という項目が第一次から既に入っておりますね。これは七一年ですが百四十四億。以来第二次に至りましては七二年ですけれども、商品借款そのものですね、百二十三億。以後ほとんどの年次に商品借款が実は大部分を占めておりますが、なぜか第八次から十一次までは商品借款という項目がない。十二次から大幅に復活して突然三百五十二億という商品借款が入ってきて、十三次の計画にも百六十四億というのが登場する。 こういうことを見ますと、これはけさからの御答弁で既に明らかでありますが、主としてフィリピンの経済状態によるということも一つの原因でしょう。しかし、非常に悪意にといいましょうか、邪推と言われるかもしれませんけれども、ちょうど十二次に商品借款が復活をして大幅に出ているときは一九八四年、まさにフィリピンの総選挙が行われた年であります。それから十三次、昨年の十二月二十三日に交換公文が交わされておりますけれども、その時点では既に先日の大統領選挙が行われるということが、マルコス大統領によって決定をされていた時点であります。こういうことを見ますと、商品借款といういわば最も使いやすい、現金に等しいものを供与するということの、相手の、その受け入れ側の状況がむしろ第一義的に大切でありますけれども、よほど配慮をしないとそういうことが起こる、あるいはそういうふうに推測されるおそれが出てくるんじゃないだろうか。この商品借款ということが一定の役割を果たすおそれが非常にあるという、このことについてはいかがでしょうか。
○政府委員(藤田公郎君) ただいま委員の御発言の中にもございましたように、フィリピンに対しましては最初商品借款がかなりのウエートを占めておりましたが、漸次フィリピンの国際収支状況が改善に向かいますとともに商品借款の額も減り、シェアも、割合も減ってまいりまして、御指摘のとおり八次から十一次までは商品借款なし、すべてプロジェクト借款でやっております。その後、御承知のとおりの経済情勢の悪化ということで、八三年を通じまして、特に八三年の暮れに先方の第十二次円借款の要請内容が変更になりまして、翌八四年の四月末に交換公文を締結しました第十二次円借款では、商品借款のシェアが非常に大きな結果になったということでございます。全く国際収支の悪化を中心とする、フィリピンの経済情勢の悪化に対応する措置であったということで御理解をいただきたいと思います。
○田英夫君 大変時間が短いんで残念でありますが、お手元に資料をお配りいたしました。読んでいただければ大変幸いでありますけれども、これは実はもう十一年前になりますが、昭和五十年、第七十五国会のときに私が発議者になりまして参議院の外務委員会に議員立法という形で出しました「対外経済協力計画の国会承認等に関する法律(案)」、当時三木内閣、宮澤外務大臣の時代でありますけれども、残念ながら一票差で外務委員会で否決をされたという法律案でありますけれども、ぜひ今のこの時点で、お暇がありましたらと言っては失礼ですけれども、目を通していただきたいという気がするわけであります。 私がなぜこういう法律案を提起したかといいますと、一つは、当時既に私の頭の中にフィリピンと韓国があったということを率直に申し上げておきたいと思いますが、そういう中で、日本からの経済協力、せっかくの経済協力が不当、不正に使われてはいけないということで、最終的には名前のとおり国会の承認をということであります。これに対しては、政府・与党の皆さんからの私に対する質疑ということを通じてわかりましたことは、ある意味では当然なんですけれども、各国から膨大な要請がある、それを一々国会で承認を求めていては大変だ、処理が遅滞をする、実現が遅くなるとそれだけ効力も上がらないではないかという御意見を交えてのお尋ねがたくさんありました。また国会で修正されたり、いわんや不承認というようなことになったら、相手国との外交関係という意味で非常に支障を来すというような御意見もありました。 国会の承認ということは、私はやはり今のこの事態の中で、改めて国民の代表である国会で何らかの形で対外経済協力というものが国会の場を通っていくということが一つ考えられてもいいんじゃないかなという気が今もいたします。これは同僚あるいは政府の皆さんともお考えをいただきたい点でありますけれども、参議院の場合は外交・総合安保調査特別委員会というようなものを置いております。そういうようなところの小委員会という手もありましょうし、予算委員会の小委員会という手もありましょうし、これは確かに余り時間をかけていては遅滞をするという御意見もある意味で妥当と思います。 それからもう一つ議論になりましたのは、今ごらんいただきますとわかりますけれども、第三条に「民主主義の原理に反する統治を行う国に対しては、対外経済協力を打ってはならない。」、また「軍事目的に充てられる対外経済協力を打ってはならない。」、軍事目的の方はこれはもう当然なんでありますけれども、民主主義というこの項目に対しては御議論が集中をいたしました。民主主義とは一体何かというようなことで議論をした記憶があります。私の頭の中にさっき申し上げた国々があったために、当時の政権の状態などからあえてこういう表現をとったのでありますけれども、この辺は、しかしその後アメリカで生まれましたカーター政権は、いわゆる人権外交という名のもとに、民主主義が抑圧されている政権はたとえ西側の同盟国であっても経済協力ないし軍事協力について考えなければならないという姿勢を貫いたわけでありまして、何らかのこういう姿勢というものを日本政府として持っている必要があるんじやないだろうかということを今も感じますが、総理、この点はいかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 田さんの案を私も先ほど拝読いたしまして、いろいろよくお考えいただいていると思いますが、今の点はやっぱり一つの問題点。それから先ほど申された点も、あらかじめ国会で承認されるということは外交の機動性を損なうし、あるいはまた先方に、関係者に全部対象が熟知される、そういう意味において思惑を生んだりあるいはかえって不正が生まれたりする危険性がある、そういう点も問題点だろうと思います。 また、今の民主主義云々という点で、これは非常に理想主義的な一つの立派なお考えであると思いますが、しかし、我々のような国でも明治維新のときはまだ民主主義でもなかったんで、それが内閣制度をつくり、憲法をつくり、政党政治がだんだん成長して、それでもまだ軍部がばっこいたしましたりいろんな経験を経ておるんで、世界の発展途上国というような国々はやはりそういう中から次第に民主主義国家に成長してきておるので、その過程まで否定するということは一概に、余りにも理想主義的ではないかと。よく言われるように、初めは軍人政治であった、それが背広を脱いでいわゆるジェネラルス・デモクラシーになる。そして今度は、そのジェネラルス・デモクラシーからシビリアンズ・デモクラシーになる、ブラジルがそうですね。そういう過程を経て次第、次第に国家は発展していくのであって、その一瞬といえども民生というものは黙視できないものであります。あるいは国家の発展、あるいはインフラストラクチャーを改革してあげるということも黙視できないことであります。そういう点について、やはり広い愛情というか考えを持つこともまた必要ではないか。問題は、人権が抑圧されたり不正が行われることをいかにその中にあって防止していくかという問題ではないかというようにも私読んで感じたところであります。
○田英夫君 最後に、特に総理、外務大臣、防衛庁長官にこの際申し上げておきたいんでありますが、近くワインバーガー国防長官が来日をされて、その後すぐフィリピンヘ行かれる。今フィリピンで最大の問題は、新人民軍との停戦問題だという気が、この間見てきていたします。これはひょっとするとアキノ政権の命取りになるかもしれない、政権の中で意見が違いますから。 ところが、一つ重要なことは、これは特にアメリカが間違っていると思いますけれども、新人民軍というのは明らかに共産主義軍事勢力でありますけれども、それを全体統括しているのはNDF、民族民主戦線という、ちょうどベトナム戦争のときのベトコンと呼ばれた民族解放戦線と同じものでありまして、ベトコンという名前がアメリカがつけた誤りでありますね。ベトナム・コミュニストという名前をつけたんですけれども、あの人たちは決してコミュニストだけの集団ではなくて、むしろそこに共通していたのは民族主義ですよ。アメリカ人は自分たちの気に入らない、反抗する者はすべてコミュニストにする。今全く同じ道をフィリピンでたどろうとしていて、ワインバーガー国防長官はフィリピンに行けばそのことを言うと思います。そして、それを受けるエンリレ、ラモスという軍もそれをやろうとすると思いますよ。しかし、アキノ大統領は停戦をしようとしている。この辺のところをぜひ御理解をいただきませんとフィリピンが第二のベトナムになるということを、機会がありましたらワインバーガー長官に教えてやっていただきたい、このことを申し上げて質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(安田隆明君) 次に、喜屋武眞榮君の質疑を行います。喜屋武君。
○喜屋武眞榮君 私が最後でございます。大変お疲れでしょうが、いましばらく御辛抱をお願いいたします。 私は、時間の関係もございますので、特に円高・ドル安と海外援助のあり方の二つに絞って、しかもなお沖縄に視点を当てて質問をいたしたいと思います。 まず、円高・ドル安の面からお尋ねいたしますが、基地の島沖縄と言われておりますとおり、この基地依存の経済構造というのはもうこれは抜け出すことのできない一つの宿命的なものがあるわけでありますが、例えばできるだけ新しい統計と思いましたが手に入りませんでしたので、昭和五十五年の沖縄の産業別県内総生産を分析してみますと、まず第一は、産業別県内総生産額は約一兆一千四百億円、その中で基地関係収入が約一千一百億円、次に観光収入は約一千八百億円、次に農林水産業が約七百七十五億円、こういう五十五年度のデータが出ておりますが、しばらくたちますので変化はあると思います。したがって、このたびの円高・ドル安にかかわります最もパンチの、影響の大きいのが基地経済に頼っておる沖縄の経済である、このことを強く申し上げたい。 そこで、どういう具体的に影響が起こってきておるかといいますと、在沖米軍の人員の合理化計画、そこで基地従業員に雇用不安が起こりつつあるということなんですね。 そこで、労働大臣にお聞きしますが、このことをどのように考えておられるのか、どうぞ大臣。
○国務大臣(林ゆう君) 今回の円高の急激な進展によりまして、沖縄の基地関連で働く労働者の方々の中に雇用不安を懸念する声があることは私どもも承知をいたしております。労働省といたしましては、先般、今回のこの急激な円高等に対する雇用面からの対策の一つといたしまして、雇用調整助成金制度の改正を行いまして、沖縄基地内で物品、労務の提供を行ういわゆる特免業者などで一定の要件を満たす者は雇用調整助成金の支給対象となり得るような措置をいたしたところでございます。今後とも沖縄県における基地関連労働者の雇用状況の推移につきましては注意深く見守るとともに、この制度の活用をいたしまして雇用の安定に努めてまいりたいと、このように考える次第でございます。 また、基地従業者も含めて基地関連従業者の中で離職者が発生するような場合には、駐留軍関係離職者等臨時措置法その他の関係法律に基づきまして再就職の促進に努める等、適切な対応をしてまいりたいと思っております。
○喜屋武眞榮君 十分なるひとつ御配慮、対策をお願いいたします。 次に、こういうことがまた起こっております。基地内で営業しておるいわゆる特免業者というのがある。特免業者やそれから基地周辺の商店の売上高も激減しておる。あるいは為替差損の問題とのかかわりもあって、中小企業者がピンチに追い込まれて店じまい、もう倒産寸前と、こういう状況にあるわけでありますが、この中小企業者の保護育成に対して、通産大臣、どのようにひとつ考えておられるか所見を承りたい。
○政府委員(木下博生君) 基地内の特免業者の関係でございますが、二月に成立いたしました特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法が二月の二十五日に施行されておりますが、その対象となる業種としては考えられておりませんが、ただ法律に基づく政令によりまして、同じような円高によって影響を受けている事業者ということで個別に、業者ごとに認定をすることになっております。それによりまして、沖縄の特免業者の場合も、沖縄県知事の認定によりまして影響を受けた業者であるということであれば、この法律に基づく援助を受けることはできることになっておるわけでございます。 基地周辺の中小企業者につきましては、直接的に円高の影響を受けるのではなくて、購買力が減ったことに伴いまして間接的な影響を受けるということでございますので、国内におきましてもホテル等で外人の観光客が減ればやはり間接的な影響を受けるわけですが、そういうような業者の方方についてはこの法律の適用を受けにくいということでございます。したがいまして、沖縄県の方と御相談を申し上げまして、沖縄県として国と都道府県との一体的協力のもとで講ぜられております中小企業体質強化資金助成制度というのがございますので、この助成制度の対象にこういう業者の方々を入れるということで、年率五・八%の金利での融資ができるような措置を講じている次第でございます。
○喜屋武眞榮君 御計画がペーパープラン、机上の空論になりませんように必ず中身を盛って埋めていただきたいことを重ねて要望いたしておきます。 このように特免業者がもう日々、毎日大慌てをして、大会を持って対策を講じて、そして国や県に訴える、こういう今準備をいたしておるのでありますが、その点ひとつお含みを願いたいと思います。 では次に、対外経済援助の問題についてまず総理にお伺いします。 連日のようにフィリピンのマルコス政権の崩壊をめぐって醸し出すもろもろの問題がいろいろの角度から究明されつつあるわけでありますが、そこで総理にお聞きしたいことは、対比援助の問題に対する政府の責任と今後の対策、対外経済援助のあり方について、総理とされてどのように今一連の動きを一応締めくくられて、どう考えておられるか、所見を承りたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) フィリピンの問題につきましては、重大な関心を持って推移を見守っておるところでございます。大事な国民の貴重なお金を対外経済協力に使わしていただくわけでありますから、一銭一厘といえども有効に使われるようにすることが本旨でありまして、今回のいろいろな問題等をよく真相を究明いたしまして、それらを参考にして、改むべきところがあれば改めるようにいたしたいと思っております。 しかし、今までの一般的な日本の対外経済協力に関しましては、各国からも非常に高い評価をいただいておりまして、そして仕事にいたしましても、日本人がやったものは非常に的確に、時期もちゃんと施工期日に間に合わしてくれて、やり方も非常に親切だと。そして、現地本位の考えに立っていろいろ経済協力をやってくれておる、そういう点でほかの国のものにも負けない、あるいはむしろ立派に仕事をやり、納期に間に合わしてくれるという高い評価が実は今まであったのでございます。これはビルマにおきましても、あるいはインドにおきましても、あるいはアフリカにおきましても同様でございます。そういうような日本の対外経済協力に対する評価を傷つけないように、今後とも大いに改革すべきところは改革して、努力してまいりたいと思っております。
○喜屋武眞榮君 次に、外務大臣にお聞きしたいんですが、今回明らかになったこの対比援助問題に関して、私は結論的に言いますならば、もろもろの形で前ぶれもあったことも私は私なりに受けております。ところが、政府はその対応が遅かったのではないか、そのときどきにおける対応が。しかも情報化に関心と責任、機能を持っておられる外務省が、まさかと思われることがあるわけなんですが、その取り組みについて伺いたいんです。外務大臣。
○国務大臣(安倍晋太郎君) フィリピン援助につきましては、国会でもいろいろと御論議があったことは御承知のとおりでありまして、いろいろとまた情報等もありまして、私としましても、やはり慎重にこれは行わなけりゃならぬということで対応してきたわけでございますが、このように大がかりな形で問題が出てくるということはもちろん予想もしておらなかったわけでございますが、しかし、全体的にフィリピンに対する日本の援助、これも長い間続けてやっておりますが、それはフィリピンの経済の安定、さらにまたフィリピン国民の福祉の向上のためにはそれなりに大きな役割を果たすことができたと、私はそういうふうに思っております。 ただ、問題が発生しましたので、そういう点我我は事情を十分追及いたしまして、そして今後とも誤りなきを期すようにいろんな面で努力、改善はしていかなけりゃならぬと、このように考えております。
○喜屋武眞榮君 具体的に一つお聞きしたいことがあります。 実は二年前、五十九年の三月ごろのことです。今回アキノ政権を誕生させた主役を演じておられる指導者であるタニアーダ、これはバヤンの議長をしておられますね。八十歳を起される老政治家。その方と、それから現職国会議員であられるサルビエント氏、このお二人が日本に見えて、我我も国会で、国際軍縮議連の会合の場で直接お目にかかったんですけれども、そのときにこういうことを言っておりましたよ。現在の日本の対比援助は、フィリピン国民のためになっていないのでやめてほしいと日本政府に言いに来たと、こう話っておられた。だから、このことを外務省が受けとめておられぬはずはない、こう思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私もフィリピンの各層の方々、特に野党系の方々ともお目にかかっております。それで、フィリピン援助について今お話しのような御意見も承りました。今日外相になられたラウレルさんともお目にかかりまして意見も聞かせていただいたわけであります。そういう意見等も私踏まえまして、なおかつフィリピンにおける経済がますます悪くなっておる、そしてIMFが調査に入ってこれに対する救済を進める、こういう状況でございましたし、日本としてもこの経済の悪化の状況をこのまま見過ごすわけにはいかない。そしてまた、援助もずっと積み上げてきた援助案件でございますから、これを実行に移すということで、あくまでもマルコス政権の援助とか強化とかいうことじゃなくて、フィリピン経済を救う、フィリピンの国民の福祉を祈るという立場から援助に踏み切ったわけであります。
○喜屋武眞榮君 そこで、次に私は、私の意見も交えて次のことを述べたいのです。 今後の対外援助の進め方について、金銭を介在する援助をできるだけ減らして技術協力をふやすべきではないか。例えば、インドネシアにおける米づくりの援助が非常に好感を持たれている、好評であるということを聞いておりますが、フィリピンにおいてはそういうことがどうなっておったのであるかも聞きたいことなんです。このことをまず、金銭的な介在をできるだけ減らして、技術援助の方向へ膨らましていくという、このことを提案したいのですが、大臣どうでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 援助でやはり非常に効果的なのは、今お話しのように技術援助ですね、あるいは人づくり援助。そうした援助は非常に歓迎をされております。これはますます拡大をしていかなきゃならぬと思うわけですが、ただ、援助に当たりましては相手の国の意向もあるわけでありまして、やっぱりできるだけ相手の国の考え方、あるいはまた希望というものをやはり踏まえながら、そういう中で我が国との間の協議の中でコンセンサスを得て進めるということがこれまでの援助のやり方でありますし、そういう点からこれまでも進めてまいりましたし、今後もやっていかなきゃならぬ。しかし、おっしゃるような技術援助、人づくり援助、そういうことは今後の援助の中の非常に重要な、これから取り組んでいくべき、拡大をしていかなきゃならない分野であろうと、これはそのとおりだと思っております。
○喜屋武眞榮君 と申しますのは、途上国の国づくりは結局人づくりにまたなければいけない。その人づくりが不可欠である。ASEAN人づくり協力構想によって各国の人づくりセンターが沖縄にございますね。そこでもっと沖縄に、昨年の四月に発足した沖縄国際センターを充実強化して、そして技術移転をどんどんやっていくと。ところが沖縄において、技術移転を行う沖縄自体の産業、技術教育が高度化し、各種人材が育成され、いろんな施設が整備される必要がある。これが現在における施設は、器はできたが中身がまだまだ。そういうことで今後の沖縄国際センターの運営方針について承りたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 沖縄の国際センターは私も行きましたけれども、非常に私はうまく運営されておると思います。また中で研修をしておられるアジアの諸君も、私参りましたけれども大変喜んでおられました。同時にまた、施設の内部のいろいろな整備も相当私は進んでおるように見受けました。コンピューター関係の学習のための整備も大分進んでおるようで、全体的には非常に建物も立派ですし、また内容的にも充実をしている。また同時に、沖縄の皆さん方が非常に親切にしていただいて、ホームステイというような形で大変親近感といいますか、非常に好感を持ちながら研修にいそしんでおる、こういう姿で、私は率直に非常に感銘を受けたわけであります。しかし、今後ともこれが拡充強化には努めていかなきゃならぬ、こういうふうに思います。
○喜屋武眞榮君 そこで、最後に総理にずばりお聞きいたしたいんです。といいますのは、一体総理はマルコス政権がこのように崩壊するということは全然予知されなかったんでしょうか、心にもなかったんでしょうかという率直な御見解。と申しますのは、マルコス政権のあの崩壊が国際的に、そして日本に、あるいはフィリピン国内においてあのような反響を呼んだということを、このことを思うにつけて、私はこのことを思い出すんです。すべての権力は腐敗する傾向がある。絶対権力は絶対腐敗すると言い残したヨーロッパの政治学者がおられました。
○委員長(安田隆明君) 喜屋武君、時間が参りました。
○喜屋武眞榮君 このことも含めて総理の心境をずばりお聞きしたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) こういう形で崩壊するとは考えませんでした。
○委員長(安田隆明君) これをもちまして対外経済援助・円高問題に関する集中審議は終了いたしました。 次回は、明後三日、午後二時三十分から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時四十八分散会