予算委員会 第18号
- 発言数
- 506 件
- 登壇者
- 57 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1986/03/31
会議録
○委員長(安田隆明君) 予算委員会を開会いたします。 昭和六十一年度一般会計予算、昭和六十一年度特別会計予算、昭和六十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 前回に引き続き、一般質疑を行います。瀬谷英行君。
○瀬谷英行君 最初に文部大臣にお伺いをしたいと思うのでありますが、過日の家永裁判の問題についてであります。 この判決についてあえて論評する気はございませんし、その時間もございません。ただ、新聞報道等で見逃せないと思いましたことは、この判決で文部省が大喜びをしているという記事があったことなんですね。はしなくもこれは文部官僚のおごりがここに露呈をされたという感じがするんです。軍隊のおごりがあの日本を悲惨な敗戦に追い込んだという歴史的な事実は否定ができないのでありますけれども、文部省がこの判決でもって何か裁判官を自家薬籠中のものとしたといったような満足感に浸って、そしてやっぱりおれたちの言うとおりだ、あるいはおれたちの思うとおりだというふうな勝手な考え方がここにあらわれてきたのでは今後に非常に大きな問題を残すんじゃないか、そういう点が考えられるんです。 あの判決はあの裁判官の判決であって、彼がどういう意図に基づいてこういう判決を下したかということはそれだけのことでありまして、その前のいきさつもあるわけであります。そういう前後の事情ということを考えたならば、文部省とすればもっと謙虚な気持ちであの教科書裁判について考えるべきじゃないかという気がするのでありますが、これは責任者として文部大臣がどういう見解を持っておられるのかぜひお伺いしたいと思うのであります。
○国務大臣(海部俊樹君) 最初に申し上げますけれども、あの判決は高等裁判所の判決でございまして、高等裁判所レベルで教科書検定制度というものの一応合法性を認められ、文部大臣が本件訴訟の事件に関して検査権を乱用したり教育基本法に違反したとは認められないという判断を示していただいたことは、私たちは大変妥当な判決であり今後一層みずからを引き締めてよりよい教科書づくりのために対処していかなければならないと、こういうふうな考えを私は述べましたが、文部省があれを大喜びしたとか顔色にあらわしてわあわあ言ったとかいうようなことは私の周辺では全くありませんでしたし、私はそういったことはさらに戒めて、法に従ったより公正な真実を伝える主たる教材でありますから、先生御指摘のように謙虚に対応していかなきゃなりませんが、それが児童生徒のために我々が果たす一つの役割である、このように自覚をいたしております。
○瀬谷英行君 幾ら文部省のお役人でも大臣の前でもってはしゃいでみせるような、そういうはしたないことはしないだろうと思う。しかし、新聞記者が文部省に取材に行ったときの印象として、文部省が大喜びしていると記事に載っているんですから、あなたの前ではしゃいでみせなかっただけの話です。そうすると、やっぱりこれは文部省の役人の気持ちというものがこういうところに反映していると思うのです。このことが私は問題だということを指摘したいんです。特に技術的なあるいは事務的なということではなくて、問題は歴史を正しく国民に知らせるということは、これは絶対に必要だろうと思うのですよ。 そうして見ると、日中戦争あるいは太平洋戦争といったような過去の日本の犯した過失、これは大きな政治的な過失だと思うんですよね。これは十分反省をしなきゃならぬ、またごまかしちゃならぬ、こういう気がするんです。ところが、今度の裁判でもってクローズアップされたことは、これらの教科書問題というものがどのように文部省によってセーブをされていったかといったような過程がはっきりと出てきたことなんですね。これは非常に我々にとっては大きな教訓になったわけです。だから、こういう敗戦の歴史というものを明確に後の世に伝えるべきにもかかわらず、何とかしてこれを薄めていこう、責任を回避するというわけじゃないけれども、過去のものとしてぼやかしていこうという、こういうことは許しがたいことだと思うんですよ。文部省の役人の中にそういう考え方が残っているとすれば、これは絶対に許しちゃならぬことだというふうに私は思うんですが、その点、大臣としてはどのようにお考えですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 教科書問題は、先生御承知のようにもう二十一年にわたっていろいろな経緯を経ながら今日なお未解決ということでございますけれども、この二十一年間いろいろな立場で苦労をしてきた文部省の担当者たちが、この判決でよろしい、合憲であったという判断をいただいたときと、またこれはだめであったという逆の判断をいただいたときは、人間でありますから、やっぱり言葉の節々や顔に笑顔があらわれたり、こういう判決でよかったなと個人の感情をあらわしたことはあったかもしれませんけれども、それはやっぱり大きな全体の流れの中での一現象でございまして、私ども文部省としては公正な客観的ないい教科書を出していかなきゃならぬ、そのために政治的なイデオロギーや大人の社会の主観を入れて、例えばまた文部大臣なんかが先見と憶測を持って基本的な問題にまで踏み込むことはよくないという自覚も十分持っております。 教科用図書検定調査審議会の答申をいただきま して、その審議会の答申に基づいて客観的に公正な物差しで検定制度を行っていき、よりよい教科書を児童生徒の手に渡すようにしなければならぬ、これが基本でございますから、何か一つの目的意識を持ってその方向へ引っ張っていってそこへ落とし込もうというような作為などはございませんし、今回の判決を通じてそのようなことをやろうとも思ってもおりませんし、より公正な客観的ないい教科書をつくって後世に伝えていきたい、この一点に絞ってこれからも指導をしていくつもりでございます。御理解をいただきたいと思います。
○瀬谷英行君 話が抽象的になるとどうしても焦点がぼけできますので具体的に申し上げますけれども、例えば日本の軍隊が中国に対して進攻していった。それを侵略ではなくて進出というふうな表現にしようとしたということが国際的な問題にもなったという事実があります。これはやはり我々としては十分に自戒しなきゃならぬことだと思うんです。進出と侵略じゃうんと違うんですよね、これは。進出というのは大阪のデパートが東京へ店開く、横浜にオープンする、こういうのが進出というんですよね。侵略というのはそうじゃないんですよね。頼まれないのに軍隊が出かけていって暴行、殺人、放火、あらゆることをやって現地の住民に対して迷惑をかけた、こういうのは侵略というわけですよ。だから侵略と進出じゃ全然違うわけですよ。それをデパートのオープン並みに扱うというところに問題がある、私はそう思うんです。そういう根性が文部省の中にあったことは事実でしょう。それに対する反省というものはなきゃいかぬと思うのですが、大臣どうですか。
○政府委員(高石邦男君) 若干誤解があるようでございまして、当時教科書の記述に当たりまして、例えば中国に対する世界列強の進出といいますか侵入といいますか、そういうものは進出であって日本だけが侵略である、こういうような位置づけで表現されるということは、歴史の記述としてバランスを欠いた記述である、こういうのが当時の論議の焦点になっていたわけでございます。 したがいまして、そういうバランスで既に当時から教科書の中で中国との関係で侵略と書かれて、そして列強の行為も侵略と書かれている教科書については、それは検定がパスしているというようなことで、日本だけがあえて意図的に悪い立場に置かれるような表現でバランスを欠く教科書の記述は適当でない、こういうのが教科書のあの当時の論争であったわけであります。 それから、中国問題が生じた際のその後の取り扱いといたしましては、この記述について著者が侵略と書いているものについては原則として意見を付さないというような対応をしておりまして、したがいまして現在の教科書は侵略という表現に書かれているものが大部分でありますが、中には進出ないしは侵入という表現になっているのも一、二あろうかと思いますけれども、そういうようなあの問題についての配慮をして対応してきているわけでございます。 したがいまして、文部省が一貫してこの問題について特定の立場に立って全部それは進出にしなきゃならぬとかこれは侵入にしなきゃならぬとか、そういうようなことを言っているわけではなくて、教科書の検定に当たりましてはそうした中立性、公正性、バランスの問題、そういうものを常に考えて、客観的な記述になるようにという形で検定制度を進めているわけでございまして、今後ともその姿勢には何ら変わるところないのでございます。
○瀬谷英行君 悪いのはおれだけじゃないんだ、ほかのやつだってみんなやっているんだ、こういう理屈でもって日本の軍隊のやったことをぼかそうとするのはよくないと思うのですよ。我々軍隊の経験者は、いかに日本の軍隊が中国へ行って残虐な行為を働いたかということを聞いているのです。捕虜の首を切ったり柱にくくりつけて銃剣で突き刺したり、あるいは強姦をしたり火つけをしたりということを嫌というほど聞いているのですよ。そういう事実がなかったとは言い切れないのです。 だから、こういう事実というものは隠ぺいしないで、我々の反省点として後世に伝えなきゃならぬと思うのです。そこのところを文部省とすれば、何も日本だけが悪いことをしたんじゃないんだ、戦争というものはみんなそんなものだという式の言い方でもってぼかそうとする、その根性が私はいかぬと言うのです。 だから、文部大臣としてはそういう妙な忠誠心というものは排除して、ありのままの事実を我々の後世の国民に伝えるということでなきゃいかぬと思う。それが戦争であろうと原爆であろうと何であろうとですよ。ということを私は言いたいのです。その点を私は文部大臣にお伺いしたいのです。
○国務大臣(海部俊樹君) 教科書のすべてに一貫してあの第二次世界大戦あるいは日支事変の問題については明快に記述がなされておりますし、その中にいわゆる国交正常化のもとになった日中共同声明の文言も明確に出ておりまして、日本はそのことの事実について責任を持って反省する、このことは児童生徒にも事実として教えておるわけであります。ですから、民族の歴史の中にある文化も歴史も伝統も先の部分もたくさんありますが、御指摘のような陰の部分もあったと思います。それはそれとして教科書でも客観的に教えるようにしていきますし、同時にいいことは繰り返す、よくないことは繰り返さないということをきちっとけじめをつけて、民族の文化や歴史を大切に受け継いでいくのが教育の果たす使命の一つであると考えておりますので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
○瀬谷英行君 たまたま高裁の判決がああいう判決になったけれども、多分にあの裁判官自体の考え方、裁判官というのは上になるほどどうも頭が古くなるという傾向があるんですよね。この判決に携わった裁判官もどうも多分に裁判官というよりも役人である、御用ちょうちん的な役人であるという印象を深くしたものですから、これはやはり文部行政に携わる者として十分に自戒をしなきゃならぬ、これは技術的な問題じゃないということを私は申し上げたわけです。文部大臣、これで結構です。 今度は通産大臣並びに農水大臣、環境庁長官にお伺いしたいと思うんでありますけれども、環境汚染へ逆戻りをした、リサイクル産業が風前のともしびであるということで、廃油の回収業者からいろいろな陳情が出ているんです。これは廃油を回収して再生している業者がパーム油の輸入でもって非常に苦境に立っておる。これは円高の影響等があるのでありますけれども、こういう問題が出ておりますけれども、何しろ中小企業といいますか零細企業の人ばっかりでありますから、この訴えがなかなか役所へ行ってストレートに入らないという点があるんですよ。例えば通産省へ行けば農水省へ行け、それから農水省へ行けば環境庁へ行け、環境庁へ行げば厚生省へ行けと、こういったらい回しが続いているんです。だから、こういう事実がやっぱり問題だと思うんですよ。だから、大企業だけではなくてこういう中小企業が今や円高のあおりを食らって非常に苦境に立っておる。その対策を講じなきゃならぬという場合には、例えば通産大臣も農水大臣も自分たちの問題として取り上げてほしいという気がするんでありますので、その点についてまずお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 三月二十五日の日本経済新聞によりますと、そのようなことが報じられております。 この最大の原因は、これは世界のおおよそ六割を占めるマレーシアですね、パーム油の生産地。それが大増産を始めるということを国策にしたために、その値段が一トン八百十ドルもしたのが四分の一に非常に下がっちゃった。そこへもってきて円高で日本は安く買えるというようなことで油が非常に安く手に入るということになってしまったものですから、業者間で使っておったてんぷ ら油の残りとかそういうようなものを今まで回収しておって、それをまた再生してほかの用途に使ったという人が採算が合わなくなっちゃった、新品買った方が非常にいいというようなことであるというふうに私も理解をいたしております。それから原因は、結局マレーシアの増産に最大の原因があるわけでありまして、増産をしてみんなが安い油の新品が使えるようになるということが悪いというわけにはなかなかいかない。このこと自体は非常にいいことであります。 しかし、それはそうかといって今まで回収した油がどんどん川に流されてしまうというようなことになると、これまた別な問題が起きかねないので、もっと回収ができる方法で、ほかにまとめて焼却するとか焼却炉で使うとか、何か工夫がないかなと、これは一つの大きな問題でございますので、何か工夫があるかどうかよく相談をして考えていきたいと思っております。
○国務大臣(羽田孜君) ただいま通産大臣の方からお答え申し上げましたことが基本的なことだというふうに思っております。そういう中で、私どもの方として今どういう対応をしたらいいのか。とりあえずの考え方としては、一番の今の輸出国、日本では輸入国になるわけでありますけれども、マレーシア政府等に対しましても、政府といいますか業界に対しましても何とか余り急激な輸出というものについて控えていただくような、そういうお願いというものを私どもの方からする必要もあるかなということも今実は考えておるところであります。
○国務大臣(森美秀君) 先ほどのお話につきましては、東日本油脂回収事業協同組合等々から陳情が来ております。私どもにとりますと、いたずらに廃棄物が出るということは大変なことになりますので、廃棄物の処理及び清掃に関する法律等に基づきまして後処理を十分にやっていきたい、こう考えております。
○瀬谷英行君 要するに通産大臣も、何かうまい考えはないだろうかと、こういうことで、今の御答弁の中ではうまい考えはまだ出てきてないんですよね。 そこで、大蔵大臣の方にも、パーム油の関税が免除になって価格の暴落に拍車をかけたという記事もあるんですけれども、このパーム油がマレーシアから安く入ってくる、安く入ってくるものに対していけないというわけにはいかぬと思いますが、かといって日本のこういう零細業者が首を締められるような事態になった場合に、やっぱり日本の業者を保護しなきゃならぬと思うんで、その場合、こういう関税でもって便宜を図るということがいいか悪いか。規制をする場合には、ある程度関税面で考えなきゃならぬのじゃないのか。いろんなことがあるんですが、大蔵大臣としてのこの問題についての御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 関税の場合、我が国の生産者との競合関係ということは非常にわかりやすくてみんなが理解がいくところでございますが、今度のマレーシアのパーム油というのは、本当は一月一日から既に実行していただきましたあの関税ゼロにするというのは、言ってみればASEAN対策の目玉であったと思うのでございます。私などのような素人は、まさかそれを使って廃棄物が出て、それがまた再生されておるというようなことは、実は私自身は知ってもおりませんでした、このことは。したがって、やっぱりこの問題というのは、増産がさらに拍車をかけたことにはなりますけれども、これはアクションプログラムの一月一日実施で、まさに臨時国会で通していただいた言ってみれば目玉と申しましょうか、大変な関心品目でありましたので、これをして関税面で対応するという環境には全くないではないかというようなのが偽らざる私の今のところの考え方であります。 通産大臣からお答えがありましたように、別のそれこそ名案といいますか、そういうことが検討さるべき課題ではないかと、とっさの考えでございますが、そのように感じたわけでございます。
○瀬谷英行君 実は私もこの廃油というのがこういうふうに利用されるということを知らなかったんです。そして、輸入されるパーム油に脅威を受けるということも、陳情を受けるまで本当のことを言うと知らなかったんです。 ただ、これが大企業だったならば、円高の影響でもってどうするかというと、やっぱり政治家は一生懸命になりますよ。だけれども、こういう中小零細企業の場合には知らぬ顔をするんですよね。おれの方のせいじゃないよというようなことになってしまうんです。そうすると、どこへ陳情をしていいんだか、どこへ対策をお願いしていいんだかわからなくなるんですよ。まずほっておけば、これは環境汚染という問題になるんです。そうすると堂々めぐりしていたのじゃしようがないから、環境庁としては一体どうしたらいいかと、対策とすればどういうことがあるのかということをまず考えてもらわなければいかぬと思うんですが、その点どうでしょう。
○政府委員(谷野陽君) お答えいたします。 ただいま各大臣からお答えがございましたように、環境の保全という観点から申しますと、あるいは資源の有効利用という観点から申しますと、一度使用されたものが廃棄物として環境に排出されることなく再生利用されるということは大変望ましいことであるということは原則的に言えることであるというふうに考えております。ただ、ただいまいろいろございましたように、種々の事情によりまして、経済的その他の事情でそういう再生利用というものが困難であるということになりますと、これはどうしても廃棄物として処分されざるを得ないという実態も場合によっては生ずるわけでございます。そのような場合には廃棄物の処理及び清掃に関する法律等に基づきまして、これはてんぷら屋さんあるいは揚げ物をつくっていらっしゃる業者の場合も産業廃棄物、こういうことになるわけでございまして、それぞれの責任においてきちんと処理をしていただく。またその処理について、いろいろな機関が規制なりあるいは援助その他の措置を講ずる、こういうような建前になっておるわけでございます。 さらに、実態等につきまして、私どもの立場でもよく実態を調べまして、こういう再生再利用というものが可能であるか、あるいはそれが非常に困難であるという場合につきましては、廃棄物としての処理を適正に行うのにどういう方法があり得るかということにつきまして関係省庁と十分御相談をしてまいりたいというふうに考えております。
○瀬谷英行君 みんな相談をしたいとかいい工夫がないかとかというだけでは問題の解決できないんですね。さしあたって農水大臣としてはどのようにこれは処理をしたらいいとお考えになりますか。
○国務大臣(羽田孜君) この問題につきましては、まず私どもとしては、実際に現状がどうなっておるのかまず調査をすることが今必要だと思っております。そして、今皆さんからお話がありましたように、やっぱり資源の有効利用ということ、これは我が国はずっと各方面にわたって研究してきておることでありますから、これがもしやられない、ただ燃やしてしまうということになるとやっぱり問題だなということを思います。 それと同時に、やっぱり環境汚染の問題がある。そういう中で私どもとしてどういう対応をするかということなんですけれども、確かに関税の引き下げというものが一つの拍車をかけているという、あるいは要素になっているのかもしれません。しかし、ずっと生産状況ですとか輸入の状況を見ておりますと、関税を引き下げたということがすぐ引き金になっておるということじゃなくて、そういう傾向に実はあったというのが今の現状であろうというふうに思っております。 そこで、私どもといたしましてとりあえず今まずやらなければならないと思いますのは、業界の実態を先ほど申し上げたようによく調査しながら、その業界の実情をマレーシアの方によく説明をいたしまして、輸出の急激な増加というものについてお考えをいただくように話し合っていくと いうことが、まず今私どもとしてとるべきことかなというふうに考えます。 そして、今通産大臣からもお話しがありましたように、ほかの分野で活用することができないのかどうか、あるいはもうちょっと付加価値の高いものを何とかあれすることができないのか。いろいろな問題についてはこれから研究しなければならないなというふうに思っております。
○瀬谷英行君 通産大臣にお伺いしたいんですけれども、マレーシアの方から輸入するのを差し控えてもらうというようなことも果たしてできるかどうか。これは通産行政とすればなかなか難しいことだと思うんですけれども、向こうは売りたくてしようがないしこっちは余り来ちゃ迷惑だという状況になったというわけです。こういう場合に通産行政とすればどういうふうに対応するんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 日本は自由貿易、自由経済というのを旗印にして、世界に向かって門戸開放をやりなさいということを言ってもおるし、自分たちもそれぞれ水平分業で、それは適地適産で、安くくていいものはお互いにその国から買いましょうという基本方針をとっておるものですから、日本でパーム油それ自体はつくってないわけです。したがって、輸入制限をするといっても非常にこれは難しい。やはり世の中の移り変わりに従ってどうしても産業の構造変革といいますか再編といいますか、そういう問題はこれは避けることができない問題がたくさんあります。石油がうんと安くなれば石炭は使わなくなるとか、洋服をみんな着るようになれば呉服物が売れなくなるとか、何か別な方に嗜好が向けばその反対の人が被害を受けるというのは、自由社会においてはこれはもう否定できない問題。 そこで、この問題二つあると思うんです。一つは業者の問題ですね。当面業者が新品の油が安いから自分の古い油が売れない、困っちゃった、非常に急激にそうなったというので、何かそこで立ち直る方法があるのかないのか、なければ他に事業の転換をしなきゃならぬと、そういうような場合は、この間通していただいた中小企業者の事業転換等に関する臨時措置法という法律によって、これの拡大解釈をして、輸入がふえたために自分の業種が非常に困った、そのために他に転業するということになれば、その方の融資というようなことで事業転換の対策がとれるのでないか、私はそう思っております。 それからもう一つの問題は、そうやったところで結局廃油自体は出てくるわけですから、今まで回収されたものが今度は回収されないということになれば、てんぷら屋さん自分の責任であなた全部始末つけるんだよと言っても、それは始末のつけようがないですね。これのつけようがなければ、下水に流すとかあるいは何かという問題が必ず出てくる可能性が十分に考えられる。したがって、これはやはり環境庁が中心になると思いますが、何かうまい工夫はもう少しないか、ただ下水に流すだけが能じゃなくて、中和させて流すとか何か方法が、そこらのところは知恵があるんじゃないか。したがって、我々素人はよくわかりませんので専門家の間で検討してもらって、そういう問題も起きてきつつあることは事実ですから、それは何か対応せねばなるまいと、そう思っておりますので、各関係省庁で相談の上適切ないい方法を早急に考え出していくというようにしたいと思います。
○瀬谷英行君 困るのは、どこが中心になってこの対策をやっていったらいいのかということなんですよね。もう今まで、例えばいろいろ質問のレクチャーのときにもみんな突っかけ持ちになるんですよ。通産省はこれは農水省だ、農水省は環境庁だ、環境庁は厚生省だと、こうやってやっておりますと、これはもう山手線に乗っているようなもので終点がないんですよ。これじゃやっぱり困ると思うんです。どこかが中心になってこういう問題に対して処理をする対策を考えるということをしてもらわないと、私は業者としては立つ瀬がないと思うんです。その点、一体どこが中心になってやるのかということをお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ですから、業種がどこであろうと中小企業の問題については、融資等の問題は我が省でやります。廃油の問題は、これは通産省と言われても私の方の所管でありませんので、やはり環境庁が中心でやっていただくほか嫌でも仕方がないんじゃないですか、これは。
○国務大臣(森美秀君) 環境汚染というものが私ども環境庁にとっては大変な事態でございますので、もしこの問題で環境汚染が起きるというようなことになりますと、当然環境庁としては庁を挙げてやらなきゃならない性質のものだと思います。したがいまして、今までこの回収業者にやっていただいたことは、環境庁の仕事を手伝っていただいたような立場だと思いますので、私どもが一生懸命努力をしてやっていきたいと思います。
○瀬谷英行君 じゃ、環境庁が一応窓口になっていただけるんですか、それとも通産省なんですか、どっちですか。
○国務大臣(森美秀君) 環境庁窓口でやります。
○瀬谷英行君 わかりました。退席されて結構です。 国鉄問題について質問したいと思うのでありますが、まず余剰人員対策でありますけれども、広域異動の実施ということでいろいろな問題が出ておるんではないかと思うのでありますが、これらの問題を含めて、国鉄の現状をまず御報告をいただきたいと思います。
○説明員(杉浦喬也君) 余剰人員問題の中の雇用の確保の問題につきましては、政府を挙げまして対策を講じていただき、あるいはまた一般産業界、我々の関連企業等々、あるいは地方公共団体の皆様方、大変御支援をいただいておりまして、続々と採用の人数等も発表していただいておるところでございます。これからなお一生懸命足を棒にいたしましても皆様方のところにお願いにまいるつもりでございますが、その中で一番問題になりますのは、余剰人員の発生する箇所とそれを雇用をしていただく場所とのいわば地域的なアンバランスという点が非常に問題でございます。特に北海道、九州というところにおきましては、こういう予想の数字が非常に歴然としております。 そういうことから、私どもはもう今からその意味での全国的な視野に立っての広域的な職員の配置ということを考えていかなければならないというような観点に立ちまして、先般来、本人の希望というものを中心ではございますが、北海道、九州、それから東京、名古屋、大阪へ今から住宅を確保しながら、三千四百名、第一次の人数は三千四百名でございますが、広域的な異動の計画をもちまして、現在北海道と九州の地域におきまして希望を募りつつございます。現時点におきまして、総数約千名以上の数が出ておるわけでございますが、いずれにいたしましても、長年住みなれました故郷を離れるような、そういう大変な問題でございますので、それの受け入れ方につきましては温かい気持ちで、住宅、教育、いろんな問題につきまして万全を期するように私どもしたいと思いますし、また各組合に対しましても、これにつきましての労働条件の変更ということについて問題の提起がございますれば交渉いたしましょうということで鋭意交渉をしておるところでございますが、既に三組合におきましてはこれを妥結いたしております。一組合につきましてはなお交渉継続中というところでございます。 以上、概括して申し上げた次第でございます。
○瀬谷英行君 国鉄の場合は、赤字の出方というのは人口の少ないところほど赤字が出るようになっているんですよ。私鉄の場合は人口の多いところに集中をしているから営業が成り立っているわけですよ。私鉄並みという言葉をよく使われるけれども、私鉄というのは過疎地帯にはないですよね。過疎地帯じゃ商売にならないから私鉄が過疎地帯にはないわけだ。そうすると、国鉄はその分もやっているから、問題が出てくる場合にはどうしても北海道や九州の人が、じゃ、仕事を求めるといってもありっこないんですね。我々委員会で もって視察をいたしましたけれども、そういう九州でも北海道でも受け入れる余地というのは全然ないです。すると、本州の方へ持ってきますと今度は競合するという問題も出てくるわけですよ。こういう問題点をどのように解決をしたらいいのか、どのようにしようとされておるのか、その点もあわせてお伺いしたいと思うんです。
○説明員(杉浦喬也君) おっしゃいましたような点が非常に問題点であるという認識を私ども持っております。発生する余剰人員の人数と、それからそれを受け入れる雇用者側の、受け入れ側のバランスがとれないというところでございますので、そこで私どもは、これから将来にわたりましても全国的な配慮ということがぜひとも必要であるというふうに考えておるわけでございます。できるならばそれぞれの生まれ故郷、その周辺というところで、先般のアンケート調査によりましてもいわば地域志向型というのが非常に多うございます。こういう点もわかっておりますから、そういう面での努力は今後するつもりではございますが、やはり予想といたしましては、それでは完結しないというふうに予想されますので、そうしたことも考え、全国的な配慮のもとに円滑に進めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
○瀬谷英行君 これは運輸大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、やっぱり政策として考えないと問題は解決しないと思うんですよ。例えば国鉄の仕事を減らすということだけに今主眼が置かれてきたような気がするんですよ。しかし私は、最近でき上がりました埼京線とかあるいは武蔵野線を回って感じたのでありますけれども、埼京線なんかの場合は非常に鉄道ができたということによって便利になったといって利用者から喜ばれているんです。つまり、それだけ利用者が多いわけです。ところが、その駅の方へ行ってみますと、一人でもって改札をやっておる、それからホームにはだれもいない。要員の配置がないんです。 この間こういうことがありました。子供連れのお母さんがホームで電車を待っていたら、子供が線路に切符をおっことしちゃったというんですね。ところが、例えば山手線だったならば、線路に何かおっことせば駅員に話をするとすぐ捨ってくれる。ところが、ホームにだれもいないんですから捨ってくれる人がいない。そのうち電車が入ってくる。その電車を逃がすというと後しばらく来ない、こういうことになるとお母さんはあきらめて乗っちゃったんですよ。後どうしたかわかりませんが、そういうことがあったんです。 それで、今度は駅の方へ行ってみますと、まさに駅舎は、働いている人のいるところは極めて粗末です。駅長室というのはあるのかと思って聞いてみたら、あると言うんですよね。そうしたら、三畳か四畳半ぐらいのところを間仕切りして、それが駅長室だって言うんですよ。この駅長室と言われる三畳か四畳半ぐらいのところにこんな大きなテーブルを置けば、お客が入ってくれば座るところないですね。まるで小菅の刑務所の独房みたいなそういうところへ駅長がちょこんと座っている。何でこんなところに座っているんだと言ったら、本当は駅長室ないはずだった、駅長置かない予定だったけれども、やっぱり利用者が多いから駅長置かないわけにいかないんだと言うんですよね。そういう独房みたいなところに駅長がおさまっている。それから人数はまことに最小限度。担当者に聞いてみました。私鉄並みというけれども、私鉄どころの話じゃない、とても私鉄じゃこんなことをやっちゃいないはずだ、こういうことを口々に聞きました。 つまり、仕事の量と要員とがバランスがとれていないんですよ。これは実際に回ってみますとよくわかります。こういうのが首都圏の実態なんです。ところが、北海道や九州から人をこっちへよこす、その場合に足りないところへ埋めていけばいいんじゃないかというふうに私は思うんですが、どうしても余剰人員というものを頭から決めてその余剰人員を割り振ってしまう、こういうことがあるんです。その点大臣どのようにお考えになりますか。
○国務大臣(三塚博君) どう職員を配置するかは国鉄の経営的な方針で定まるものと思います。 ただいま瀬谷先生の埼京線の御指摘聞いておりまして、いずれ総裁も感懐があろうと思いますからお話があると思うのでありますが、問題は過疎線と過密線、地方線と大都市線というこのとらまえ方がこれからの鉄道経営の視点でありましょうし、運輸省としてこの辺をどうアジャストするかというのも一つかと思うんです。今回の分割・民営も、政府が法律として出さしていただきましたのも、北海道、四国、九州のように極めて公共性の交通として強い地域については長期債務を免除するとかファンドをつくるとかということで収支のバランスをとれるように計算上はさせていただいた。計算上よくても地域鉄道としてやる気があるかないかというのが基本的なポイントだと思いますので、今後はやっぱりそういうことでありましょうし、さらにベストを尽くしてみていけるという私どもの確信でありますから、そういうことになると信じておるわけであります。 大都市線はもともと、埼京線もそうであります、大変御論議のあります常磐新線の問題もそうであります、たくさんの人が交通手段として乗りたいという輸送需要がある。輸送需要がありますれば、結局、借入金でその線を建設いたしましても償還ができる正確なめどが出てまいるわけでありますから、そういう点でそう相なりました場合の配置というものは、まさにしかるべき交通安全という観点も踏まえ、さらに旅客に対するサービスという、こういう観点を踏まえた中で決定をされるべき問題でありまして、瀬谷先生言われましたとおり、何か独房みたいなところに駅長がいて、お客も全然サービス上、切符が取れなくて、また不払いで払って二重払いというような結果が出ては交通事業としての本来の姿ではないわけであります。 そういう点も今後の配転の中で、現在の国有鉄道の経営合理化とい中で今考えられておるのも一つ、そして六十二年四月以降の展望の中でどう考えるかという点も一つあると私は見ておるわけでありますが、そういう点で、それらの総合判断の中で今後交通事業として安全を確保しつつ旅客のサービスに気を配りながら、同時に交通企業でございますから収支採算制というのもそこで担保されていく、こういうことで取り組んでいくべきものである、こんなふうに思っておるところであります。
○瀬谷英行君 総裁、ちょっと旅客サービスの点について要員が少ない、もう改札なんというのは朝はほとんど無改札のような状態になるんです。自動改札機なんての置いたって、あんなもの役に立たないんです。こういう現状をどのようにお考えになりますか。
○説明員(杉浦喬也君) 全体といたしまして国鉄が生き返るためにはどうしても合理化をやっていかなければならない。今先生お話がございました中の一つといたしまして、私鉄並みの生産性というようなものを一つの目標にして今やっておるわけでございますが、ただしそれを適材適所にうまく配置をいたしませんと、これは地域なり管理局なり、駅単位でバランスがとれなくなります。特に東京等の大都市におきましては、そういう意味でうまく人員の配置をやりませんと、サービスなり安全なりという面で疎漏があってはならないというふうに思う次第でございまして、今先生の御指摘のようなサービス面等につきましても十分に細心の気を配りまして、要員の配置につきましては今後とも相努めてまいりたいと思います。
○瀬谷英行君 余剰人員対策、必ずしも計画どおりにすらすら進まないのは無理もないと思うんですが、だからといって古新聞でも片づけるようにその職制の威光をかりて強圧する、強制する、こういうようなことがあっちゃならぬと思うのでありますが、この点について細々としたことは一々指摘いたしませんが、いろんな問題が我々も聞いておりますが、総裁としてはどのようにお考えですか。
○説明員(杉浦喬也君) 特に広域異動の問題の点かと思いますが、この点は、これを管理者側からの強制的な割り当て、ノルマというようなものでやるつもりは全然ございません。やはり十分に本人の希望を聞きまして一人一人の生活設計というものを御相談いただきながら、どれが一番いいかということにつきまして十分に温かい気持ちでこれを実施していきたいというふうに地方を指導しているところでございますが、なお十分に今後とも気をつけてまいりたいと思います。
○瀬谷英行君 分割・民営の根本問題なんですけれども、結局、分割したということは、その分割された会社個々が別経営になるわけですね。経営者がそれぞれ別の経営者になる。そうすると運賃もまた別になる、高い低いが出てくる、これは必然的にそうならざるを得ないと思うのでありますが、その点は運輸大臣としては計算済みであるというふうに考えてよろしいんですか。
○国務大臣(三塚博君) この点は、でこぼこが出ませんように運賃通算制ということを一つ基本に置いております。これが一つであります。同時に、分割体でありますから、それぞれの独自の経営を地域に合った形で、需要者に合った形で行うというのも経営の基本理念に当然入ります。そういう意味で地域運賃制というのがその中にどう加味されるか、通算制と地域運賃制ということだと思います。これは運輸省としての一般論、また経営のあり方の一般論でありまして、先生御指摘のその計算が細密にできておるかということになりますと、それは分割体がその後運賃のあり方を経営としてどう考えていくか、こういうことでありましょうし、当初のスタートは通算制、こういうことで地域運賃の著しい差が出ませんように、かねがね申し上げておるような方向で御指導してまいる、こういうことで進んでおると御理解いただきたいと思います。
○瀬谷英行君 結論として、九州の鉄道、北海道の鉄道あるいは本州の鉄道、別々の運賃になるのかならないのか。なるべく通算制、便宜を図るということを言っておられますけれども、通算制の努力はわかるけれども、要するに結論として別々になるのかならないのかということです。
○国務大臣(三塚博君) 基本的には通算制を基本として進みますから、全体的に共通的な運賃で進む、こう思っております。
○瀬谷英行君 共通的な運賃というのは全国同じ運賃だという意味ですか。
○政府委員(棚橋泰君) 運賃を考える場合、当初の運賃とその後とあると思います。当初は、ただいま大臣が申し上げましたように、ことしの九月に国鉄の新しい運賃改定を行いますが、その運賃のまま移行いたしまして通算制によって相互間の処理をしていく。それから先は個々の会社になりますから、会社の経営状況、経営判断等によりまして、将来的には必ずしも同じ運賃の賃率になるということではない。ただ、相互間についてはあくまでも通算制ということで利用者に御不便をかけないような形で処理していく、こういうことが基本だと考えております。
○瀬谷英行君 私は将来のことを言っているんですよ。さしあたっての話じゃないんです。さしあたってはこうしますというのはわかっているんです。問題は、分けられた会社が会社ごとの同じ運賃なのか、別の運賃なのかということなんです。
○国務大臣(三塚博君) これは分割体でありますから、分割体が地域に合った形の運賃体系を将来は考えていくであろう、このように思います。
○瀬谷英行君 それじゃ、結局分けられた会社は別々の運賃になる、ならざるを得ない、こういうことですね。
○国務大臣(三塚博君) 先々そのようになると理解をいたしております。
○瀬谷英行君 先々のことを私は聞いているんです。 それで、今度は貨物会社のことなんですが、約束の期限を過ぎても貨物会社の内容がはっきりいたしません。去年は十一月までに、十一月は二月までに、二月になってまたダイヤ改正までにと、こういうことだったんですが、貨物会社の赤字が黒字になるというその収支計算等についてでき上がっているのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
○政府委員(棚橋泰君) 基本的な考え方につきましては昨年十一月にお示しいたしたとおりでございます。その後そういう基本的な考え方に基づきまして、地元の通運会社とか荷主さん、そういう方面と具体的に列車設定ができるかどうかということを積み上げて、その結果で新しいダイヤを考える、また新しい会社の収支採算を考える、こういうふうに申し上げておきました。 その点につきまして、現在国鉄で関係の方面と折衝中でございます。相手様のあることでございますので若干おくれております。間もなく結論が出て、それに基づきまして、ただいま先生の御質問にございましたような新しい会社の収支の見通しというものも明らかにいたしたい、かように思っております。
○瀬谷英行君 要するに、答えが出ないということでしょう、結論から言うとね。これは約束の期限が切れたって結論が出ていないということなんですよ。 それではもう一つ最後に、新幹線の問題についてお伺いします。 整備新幹線は、だれが経営をするのかということは答申にもありますけれども、だれが金を持つのかということです。
○国務大臣(三塚博君) もう先生、専門家でありますから、前段の整備新幹線財源等検討委員会の話は省略をいたします。 それで、結論の出方でございますが、想像される結論と、それからこの検討委員会、政府・与党の中で決めました最大の理念は、新しく生まれるであろう鉄道会社に建設をさせる、金を出させる、これはやらない、やらしてはならぬという基本的な理念のもとに政府・与党の中で八月に実は決定をいたしたわけであります。ですから、整備新幹線の建設を行うという国家プロジェクトとしての認定をいただく、こういうことに結論としてケース一の場合はなると思うのでありますが、その場合は国家プロジェクトでありますから公費でこれを行う。その場合の建設主体はどうするのか、こういうことでその最終決定もあわせて政府が行わなければならない。 ケース二以降のことは省略させていただきます。
○瀬谷英行君 結論として新幹線は、でき上がった新幹線と整備新幹線を含めて政府が金も出すしその運営にもタッチする、こういうことになるのですか。
○国務大臣(三塚博君) ですから、検討委員会の結論であるわけでございますが、それができました理念は、鉄道会社に負担をさせる、金を出させるということはいたしませんというのが一点明確になっておることであります。 それから二点目は、運営をどこにやらせるのかということでありますが、私鉄でおれがやるよというところが出てくるかどうかは別として、それも含めて一貫的に、盛岡以北でありますならば東日本旅客鉄道でありましょうし、こちらの北陸でありますならば西日本旅客鉄道でありましょうし、しかしその際、東日本も西日本もその鉄道の運行主体になることは遠慮をいたしますということであればまた別の次元になりますから、別の運営林を探さなければならない。もうどこにも運営体がございませんということになれば、改めて運営体をどこにするか、こういうことでもうそのときには政府がやるのか第三セクターがやるのか、こういうことになるでありましょう。 そのことは、これを決めますときに建設主体が決まる、同時に運行主体も決まるという形でなければならぬという、実は八月の政府・与党の検討委員会の結論もその辺をにらんで総合的に、欠落があってなりませんものでありますから、整合性を持たせた一つの取り組み方をいたしておるというふうに御理解をいただけますればと存じます。
○瀬谷英行君 結論的に言うと、借金による借金 の返済というパターンはどこかで区切らなければいけないだろうと思うんです。そのために累積債務というものが今まで膨大な数になってきているわけです。したがって、借金によって民間会社にはやらせないということはわかりました。借金によってやるということはもはややらない、政府がことごとく責任を持つ。これは赤字ローカル線等についても同じことだと思うのでありますが、その点についてもう一度確認をしたいと思うんですが、どうですか。
○国務大臣(三塚博君) 整備新幹線につきましては従前のパターンの方式はとらない、このことは明確になります。それと地方交通線の場合はなお検討を要するところがあると思うんです。これはAB線の問題もこれあり、第三セクターとしての問題もこれあり、こういうことでありますので、研究をさせていただきます。
○委員長(安田隆明君) 以上で瀬谷英行君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(安田隆明君) 次に、佐藤昭夫君の質疑を行います。佐藤君。
○佐藤昭夫君 最初に、いよいよ重大化してきているフィリピン援助をめぐる疑惑について質問を一たします。 まず初めに外務省に尋ねますが、対比円借款について今日までの契約総額、そのうち貸付累計は幾らになっていますか。
○政府委員(藤田公郎君) ただいままでの政府ペースでの約束額ということで申し上げますと、交換公文の累積額でございますが、六十年度までの累計で四千六百六十七億三千九百万円でございます。ただ、このうち現実に基金が行います貸付契約というベースで見ますと、六十年度はまだ貸付契約には至っておりません。六十年度分、第十三次円借款は四百九十五億円でございますので、これは交換公文が昨年末に締結されました以降、貸付契約に至らず、現在新政府の対応を待っているという状況でございます。
○佐藤昭夫君 貸付累計はどうなりますか。
○政府委員(藤田公郎君) 累計は、したがいましてその四千六百六十七億円から四百九十五億円を引いたものでございます。
○佐藤昭夫君 この財源は、一般会計と財政投融資すなわち国民の税金及び年金積立金や郵便貯金などでありますから、貴重な国民の金が仮に言われるように一五%のリベートとしてマルコス蓄財など不正に使われたとしたら、その金額約六百億円を超えるということで、国民の利益と正義に照らして徹底究明が求められるゆえんであります。 ところで外務大臣、政府は、総理も外務大臣も真相の徹底究明に努力するとたびたび表明しておられますが、具体的にはどうするつもりですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) フィリピンに対する援助につきましては、政府としまして、また私としましてはいろいろと国会等の批判も十分承って慎重に対応してまいりましたし、全体的には、今局長が申し上げましたように、非常に膨大な援助になっておりますが、これはフィリピンの経済の安定、福祉の向上に適切に活用されてきた、私はこういうふうに考えております。 ただ、いろいろとうわさもありますから、大事な援助でありますから、そうした点についてはいろいろと究明すべき点は究明して、日本の援助が本当にフィリピン国民の福祉の向上あるいはまた経済の安定に資するものでなければならないわけですから、そういう意味でいろいろと真相をできるだけ明らかにして、そして援助について改善すべき点があれば改善をしなきゃならぬ、こういう立場で今いろいろと情報も集めながら研究、検討をいたしておる次第であります。
○佐藤昭夫君 内容が抽象的でよくわからないんですが、真相の徹底究明のためにはフィリピン援助に関する全資料の公開が必要不可欠であります。特に第一次から十三次にわたる借款について、それぞれの事業プロジェクトごとに契約に至る経緯、契約企業名、契約内容などを明らかにすべきだと思いますが、どうですか。
○政府委員(藤田公郎君) 一次から十三次に至ります円借款につきましては、先方政府との合意を見ました後に、交換公文の締結という行為を見ました後に、各事業ごとの供与限度額、総額及び各事業の内容を説明いたしました発表を行っております。それに加えまして、ただいま委員の御指摘の受注企業名云々ということでございますが、政府ベースで合意をいたしました後に基金と先方との間の貸付契約が結ばれまして、その後に先方が入札を行い、落札企業との間で契約を行ってまいる。これは先方の政府と当該企業との間の商契約の問題でございますので、我が国政府としては、当事者でもございませんし、それを発表する立場にはないということは従来より御答弁申し上げているとおりでございます。
○佐藤昭夫君 大臣はどういう答弁ですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今局長が答弁したとおりです。
○佐藤昭夫君 私は、何を言うか、というふうに申し上げたいのであります。 相手国を配慮する必要があると言うのだけれども、配慮する必要があるというその相手国フィリピンの行政管理委員会、サロンガ委員会が既に二十八日日本側の企業を呼んで調査を開始をしておるように、こういった政府の論法というのは私は成立しないと思うんです。今一番の問題は、日本政府としても資料を全面的に公開して、フィリピン側と相協力して真相の早期究明に努めるということが一番肝心な問題じゃありませんか、大臣。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今、日本政府としてもいろいろと情報は集めております。いわゆるマルコス文書につきましても、公表された分についてはこれを入手もいたしております。そうした情報を中心にいたしまして、政府自身として解明のために努力はいたしておるわけです。
○佐藤昭夫君 私が聞いているのは企業名を公表するという問題。経企庁長官、どうですか。
○国務大臣(平泉渉君) これは外務大臣が御答弁されておるとおりだと思います。
○佐藤昭夫君 なぜそのように政府は渋るのか、何か都合の悪いことがあるのかと思わざるを得ないのであります。 具体的に聞きましょう。外務省提出資料の八三年七月十八日、交換公文で決められました特別円借款、この中にパワープラントパージという九十六億円のプロジェクトがありますが、これの受注企業名はどれですか。
○政府委員(藤田公郎君) ただいま委員御指摘のとおり、八三年七月十八日付で交換公文を署名いたしました特別円借款、俗に特別円借款と申しておりますが、パワープラントパージ、九十六億円を限度としてフィリピン政府に円借款が供与されておりますが、その受注企業名につきましては、従来申し上げておりますとおり、私どもとして公表する立場にはないということでございます。
○佐藤昭夫君 ここに政府刊行物センターでも売っております情報企画研究所発刊の「経済協力・プラント輸出便覧」一九八五年版というのがあります。この中に、今私が言っておりますプロジェクトについての企業名、これがすべて書かれている。 資料を配付してください。 〔資料配付〕
○佐藤昭夫君 資料一の一をごらんください。今指摘をしております八三年の特別円借款、その中に、左側、外務省資料で挙げておりますパワープラントパージ、これが今私が挙げました「経済協力・プラント輸出便覧」、この三十六ページにその受注企業は日立造船と丸紅だと、こういうふうにはっきり書いているんであります。ここまで示せば、事実これに間違いないということで御確認になるでしょうね、外務大臣。
○政府委員(藤田公郎君) この情報企画研究所というのがどういう種類の団体か私ちょっとわかりませんが、いずれにいたしましてもこのような種類の情報というのは……
○佐藤昭夫君 これは政府刊行物センターで売っているんです。
○政府委員(藤田公郎君) 情報と申しますか、報 道等で企業名が出てくることはございますけれども、政府が当事者でない契約について、受注企業がこうであるということを公に申せる立場にはないと申し上げておりますわけでございまして、ここに示されている企業名がそのとおりであるということを確認する立場にもございません。
○佐藤昭夫君 この便覧は見たことも聞いたこともないかのような言い方でありますけれども、とにかく政府刊行物センターで売っているんですから、そんな怪しげな本じゃありません。 さらに聞きましょう。第五次借款プロジェクトには何があり、その受注企業はどこどこですか。
○政府委員(藤田公郎君) 第五次の借款は、プロジェクト借款が四件、スービック修理造船所計画、南マニラ迂回道路立体交差計画、アブルグ河水力発電計画、それからカガヤン農業総合開発計画、この四プロジェクトと商品借款の計五件でございます。
○佐藤昭夫君 受注企業。
○政府委員(藤田公郎君) 受注企業名は、ただいままで申し上げておりますように、私どもとして申し上げる立場にはないということでございます。
○佐藤昭夫君 この便覧の七八年版に受注企業名を全部書いているんであります。資料の一の二をごらんください。今当局が挙げられました四つほどのプロジェクト、これについて左側に外務省資料に基づくプロジェクト名、そして右側にこの便覧七八年版、ここにぴったりとアブルグ河水力発電については新日本技術。カガヤン農業総合開発、三裕コンサル。MSDR立体交差、東陽通商。スービック修理造船、鹿島建設。こういうことで書いているわけであります。六次の計画の日比友好道路、これも七七年度の供与実績の中に一部含まれてきているということで、金額数字が少し違うのは、外務省資料の方は供与限度額、便覧の方は一九七七年度の供与実績、こういうことで数字が違うということになっているわけでありますけれども、まさにここにぴったりとこういう形で記載されているわけでありますけれども、これでもなお認めないんですか。
○政府委員(藤田公郎君) これは恐らく取材をされてこのような資料をおつくりになったんだろうと思います。この情報企画研究所発行の便覧以外にも、いろいろ独自の取材をされて経済協力関係の受注企業名を資料にしてつくっておられる出版物等もございますので、その種類のものかと存じますが、日本政府として公的にこの企業がこれを受注しておりますということを申し上げる立場にないというのが今までの実は御説明の趣旨でございます。
○佐藤昭夫君 一事が万事でありまして、資料の二枚目をめくってください。資料三、一九七九年版に七七年以降のプロジェクト受注企業名の一覧が出ています。同じく四に八二年版、ここに昭和五十六年度の主要受注案件、プロジェクト名と企業名が一覧に出ている。企業名、これだけでも先ほど指摘しましたものを入れまして二十六企業に上るわけですね。名前を挙げれば日立造船、丸紅、西日本技術、三裕コンサル、東陽通商、鹿島、片平エンジニア、高岳製作、新日鐵、兼松江商、熊谷組、住友商事、小松製作、荏原インフィルコ、三菱重工、新日本技術、戸上電機、ピーアンドエヌ、長谷川鉄工、日本車輌、日立プラント、三菱自工、日本電気、松下通信、荏原製作、積水化学、この二十六企業の名前がはっきりとこういう印刷物として記載をされている。 外務大臣、一部のじゃない、全部について、どの事業をどの企業が受注したかということが市販の出版物にもはっきりと記載されておる。いわば業界では周知の問題になっているわけであります。それでも国会には公表するわけにはいかぬと、こういうかたくなな態度を政府はとり続けるんですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 別に何といいますか、秘密じゃないんですよね、公開入札で明らかになっていますから。ただ、日本政府としては、相手の国のフィリピン政府がこれは入札で決めておるわけですから、日本政府としては相手の国の立場もありますし、日本政府自身としての立場で公表するということは差し控えさしていただきたいというのは従来から政府が答弁しておるとおりであります。その基本的な考え方は変わりません。
○佐藤昭夫君 それならば聞きますが、日本政府は前政権との間にプロジェクトを受注しておる企業名は公表しませんという約束でもしたんですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 別に約束はしておりませんが、日本が援助している開発途上国との関係におきまして、日本政府の基本的な姿勢としては相手の国の立場も踏まえて、日本政府からみずから公表するということは差し控えるという姿勢をとり続けて今日に至っております。
○佐藤昭夫君 しかし、冒頭に触れましたように、貴重な国民の金であります。これが本当に正しく使われたかどうかということを確かめるのは国会の責務であります。この国会の責務、国政調査権、私だけじゃない、同僚委員からも資料公開の問題については多々言っているんですけれども、一体、政府、外務大臣、企画庁長官は国政調査権に協力をしないというんですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは政府としての立場は今私が申し上げたとおりです。しかし、今後いろいろと委員会も新しくできるわけですし、日本政府としましてもこの問題につきましては特に重要に考えて解明を図りたい、こういうふうに思っておりますから、政府として当然できる限りの御協力はしなきゃならぬ、こういうふうに思います。
○国務大臣(平泉渉君) 外務大臣の答弁と同じ趣旨でございます。これは日本とフィリピンとの間の国交上の協定から発生しておることでございますから、そういう意味でフィリピン政府に対して十分に申し上げる、こういうことでないといかぬと思います。
○佐藤昭夫君 フィリピンの前政権との間に発表しないという約束が別にあるわけじゃない。日本政府の判断で発表するのがまずいというふうに考えているにすぎないと。しかし、先ほど来言っているように、この問題については金が不正に使われたのかどうか、リベートに流れたかどうかという問題を解明するかぎが、どの企業がこのプロジェクトに参加しておったかというここが問題なんでしょう。ここを明らかにせずして、抽象的に国政調査権に協力しないわけじゃない、こう言いながら、実際は国政調査権に非協力の態度じゃありませんか。納得できません。再答弁を求めます。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 先ほど申し上げたとおりです。
○佐藤昭夫君 納得できません。
○委員長(安田隆明君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。 佐藤君の要求にかかわります資料要求の件の取り扱いにつきましては、理事会で協議することといたします。
○佐藤昭夫君 とにかく公に出版されておる出版物に全部企業の名前が記載されておると、ここまで来ておるのに政府の口からは一切言うことはできませんという、こんなことが通る道理がないんです。しかもフィリピン側からは真相究明のための日本側の協力をしばしば発言しているでしょう。新政権が生まれた今、前政権との間でどういう経緯があったか、それはともかく、日本とフィリピンが相協力して真相徹底究明に努力することこそ真に平和友好の道、外務大臣がとるべき通じゃありませんか。責務じゃありませんか。重ねて聞いておきます。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 我々は、フィリピン政府がこの問題について日本政府に対して協力を求められれば、これは当然協力をしなきゃならない。どういうことでどういう面で協力できるか、そういう点も検討するのは当然のことですが、まだフィリピン政府との間ではそういう話し合いは行われていないという現状です。しかし、日本政 府としても日本の企業の問題が絡んできておりますから、その間についてはできるだけひとつ解明をしたいということで情報等も入手に努めております。 なお、外務省としましてはこの援助という問題は極めて重大に考えております。この援助が適正に効果的に効率的に行われているかどうかということが非常に問題であって、この点については評価委員会等も設けてこれまで精査してきておるわけでありまして、全体的には我々は日本がこれまでフィリピンに行われた膨大な援助、これは無償もありますし有償もある、あるいは技術協力もありますが、そうした援助というものは全体的に見てフィリピンの経済の安定、発展には大きく寄与してきた、こういうふうに私は全体的には考えております。具体的にいろいろの問題が出れば、その時点においていろいろと問題を明らかにしなきゃならぬと思っておるわけで、その点については今情報等も集めておるということです。
○佐藤昭夫君 言うまでもなく、問題は企業名、契約内容だけじゃありません。マルコス文書でも明らかになっている一五%から二〇%のリベートがあったのかなかったのか、あわせてこの問題も調査して国会に報告してもらいたい。委員長のしかるべき措置を要求いたします。
○委員長(安田隆明君) はい、十分承りました。理事会において協議いたします。
○佐藤昭夫君 次に指摘したい問題は、この腐敗の構図が賠償の時代からつくられてきたことであります。フィリピンとの賠償はどのような形で行われ、その賠償総額、支払い期間はどうでしたか。
○政府委員(藤田公郎君) フィリピンに対しましては昭和三十一年五月九日に署名され、同年七月二十三日に発効いたしました日本国とフィリピン共和国との間の賠償協定に従いまして総額五億五千万ドルの賠償供与を行いました。同賠償は昭和三十一年から同五十一年までの二十年間にわたりまして実施され、公共事業、農業、通信、運輸等の分野に関連する多種多様な資機材等の供与が行われております。
○佐藤昭夫君 この賠償交渉のフィリピン側の使節団団長は故バラオ将軍ですか。
○政府委員(藤田公郎君) 故バラオ将軍は、私どもの資料によりますと一九六六年一月二十三日、在京フィリピン賠償使節団の団長として着任し、一九七七年六月三十日、賠償使節団の閉鎖によりまして離任しております。
○佐藤昭夫君 このバラオ氏はマルコス文書にもしばしば登場し、マルコス時代リベート集金係をしてきた人ですか。
○政府委員(藤田公郎君) いわゆるマルコス文書、今般米国で発表されました文書の中に故将軍という名前が出てまいることは私どもも承知しておりますが、この故将軍がバラオ将軍のことであるかどうかは私どもとして確認ないし承知する立場にはございません。
○佐藤昭夫君 この賠償の時期、バラオ氏がリベート上積み三〇%を要求し、本国へ一五%、本人ないし団員に一五%を配分したと報道がありますが、事実ですか。
○政府委員(藤田公郎君) 政府としてはそういうことは承知いたしておりませんし、また確認する立場にもございません。
○佐藤昭夫君 一九六六年、岸・マルコス会談の結果、それまで民間事業が中心であった賠償が政府事業、公共事業中心に変わったようでありますが、対比賠償において日本企業が請け負ったプロジェクトで請負額の多い企業上位十社はどこですか。
○政府委員(藤田公郎君) ちょっと最後の部分が聞き取れませんでして失礼いたしました。
○佐藤昭夫君 請負額の多い企業上位十社、どこどこか。
○政府委員(藤田公郎君) 賠償協定に基づきます賠償供与に関しましても、経済協力につきまして申し上げましたと同様、賠償自体は東京に駐在しておりますフィリピン側の賠償使節団が我が国の企業との間に契約を結ぶという形で進められております行為でございますので、日本政府としてこれをどこの企業がどういう額の受注をしているかということを発表申し上げる立場にはございません。
○佐藤昭夫君 またこの問題でも隠すのかと言わざるを得ないのでありますが、先ほど来の「経済協力・プラント輸出便覧」一九七五年版、これによりますと、賠償事業の請負企業、請負額すべて出ているんであります。 資料五、三枚目をごらんください。ここに右側に賠償ということで支払い条件の注が入っております。ここを拾っていけば明らかでありますが、フィリピンの賠償の関係で伊藤忠、川鉄商事、住商、兼松江商、東陽通商、日電、太平オーバーシーズ、三菱商事、酒井重工、丸紅、安宅産業、住友商事、トーメン、日新電機等々、マルコス文書にその後借款を通してリベート、金の動きがあったんじゃないかということで、この名前の出てきます企業が賠償の時代からずらりと並んでおる。そのことがこの便覧によって明瞭であります。これまた、この事実は公に販売されております書物でありますから、業界には周知の問題。なぜこういう歴史的事実に属するような問題まで国会に明らかにすることができないという態度をとるんですか、外務大臣。
○政府委員(藤田公郎君) これはもう先ほど来御説明申し上げておりますように、我が国政府は契約の当事者でないという立場でございますので、契約の当事者たるフィリピン側、この賠償の場合には賠償使節団でございますが、フィリピン政府を代表しております賠償使節団と当該企業との間の契約、私契約と申しますか商契約と申しますか、契約でございますので、賠償の場合には、もちろん政府としてこの契約が賠償協定及び年次計画に従っているかどうかという確認だけはいたします、認証という行為によりまして。しかし、当事者ではない以上、これを日本政府として発表する、公表するという行動をとる立場にはないということがこれまで申し上げているお答えの真意でございます。
○佐藤昭夫君 大臣。
○国務大臣(安倍晋太郎君) もう私もしばしば申し上げたとおり、今局長の答弁のごとく、これはどうしても相手の国の政府と企業との関係の契約ですから、政府としてはこれを……
○佐藤昭夫君 いつでも同じことを繰り返している。少し違った答弁を……。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 繰り返さざるを得ないんです、表へ出すわけにいかないという日本の公式的な態度はこれは変わりませんから。
○佐藤昭夫君 資料ごらんのように、一番多く出てきます東陽通商、現在の東陽テクニカでありますが、これは今回のマルコス文書でも明白なように、リベート額の一番多い企業であります。そもそもこの東陽通商の初代の社長奥村喜和男氏、戦前内閣情報局次長を務めた人物と言われていますが、どうですか。
○政府委員(荘司晄夫君) 奥村喜和男氏という方が、昭和十六年十月二十三日から十八年四月二十二日まで情報局次長として在職されたという記録はございます。
○佐藤昭夫君 また便覧に明らかなように、この資料にも出ています問題の丸紅が、直接賠償事業とともに、この時期に関連事業に大きく進出しているのであります。そして、丸紅の桧山は、田中角榮が一九七四年の一月フィリピンを公式訪問したときにマラカニアン宮殿内で一緒にマルコスとゴルフ会談をしたという間柄であって、この報道もあります。間違いありませんね。外務大臣。
○政府委員(後藤利雄君) お答えいたします。 ただいま御質問の四十九年田中総理がフィリピンを訪問されました際に、一月の八日と九日にゴルフをされておりますが、私どもの承知する限り、そのうちの一回は桧山前会長がゴルフを一緒にされているということを承知しております。
○佐藤昭夫君 賠償事業をめぐっては早くから汚職の巣だということで問題になってきたわけであ りますが、今幾つか指摘しましたように、その疑惑はますます深まるのであります。しかし、政府はこの賠償の時期の資料も一切出さないと。本当に真相を徹底して究明するというのであればこういう態度は断じて撤回してもらいたいと思うんであります。しかも、この賠償時期は昭和五十年まで、すなわちマルコス政権が既に始まっている時期であります。この時期まで賠償が続いているのでありますから、当然疑惑の解明、真相究明、このことのためには賠償事業に関してそれぞれの事業名と請負企業、契約額、こういうものを年次別に資料として提出すべきだと思いますが、外務大臣どうでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これからも国会でいろいろと審議が行われると思います。そういう中で政府としてできる限りの御協力はしなきゃならぬと思っておりますし、またできる範囲内の資料の提出は行う考えであります。
○佐藤昭夫君 賠償の時期も含めて究明すべきは究明する、こういう態度で外務大臣としては対処していく、努力するということですね。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 賠償、まあ随分古い話ですけれども、賠償からずっと今度は経済協力に続いておりますから、そういう中でいろいろと問題点があればこれは国会でも調査していただくことになるかもしれませんし、政府としても今後の援助ということを考えましたときにいろいろの点で明らかにしておかなければならぬ点は明らかにする必要がある、こういうふうに思っております。
○佐藤昭夫君 次の問題は、経済援助の露骨な政治的性格、特に中曽根内閣のもとでの援助の問題について聞きます。 フィリピンに対しては、第七次円借款を最後に八四年に至る間商品借款は行っていません。それを突如また、三百五十二億という巨額の商品借款を第十二次借款で復活したのはなぜですか、外務大臣。
○政府委員(藤田公郎君) 委員御指摘のとおり、商品借款は国際収支が極めて悪い国に対しまして輸入の金融を行うという性格のものでございます。 フィリピンにつきましては、今御指摘のとおり、フィリピンの経済が好転しました時期は商品借款の供与を行っておりませんでしたが、第十二次円借款の供与時期のころに、御高承のとおりフィリピンの経済が極めて大きな困難に逢着をいたしまして、フィリピン側がその直面します国際収支の困難にかんがみて、プロジェクト借款よりもむしろ商品借款による協力の強い要望を行ってきたことに対応しまして、かつ国際的なフィリピンに対する支援体制ということも勘案の上、第十二次の円借款におきましては三百五十二億円に及びます商品借款の供与を約束したというのが実情でございます。
○佐藤昭夫君 この第十二次円借款の決定に当たって、フィリピンで商品借款反対の広範な抗議行動が起こったことを当事者である外務大臣、御承知でありましょうか。なぜそれほどの反対が起こったのか、どう考えられますか、外務大臣。
○政府委員(後藤利雄君) まず事実関係だけを申し上げます。 八四年四月に第十二次借款の交換公文が行われましたけれども、その後五月の初めに、確かに先生御指摘のように、フィリピン大使館の周りに約二百名くらいのデモ隊が我が国の援助について抗議の行進をしたという事実はございます。
○佐藤昭夫君 その反対行動をどういうふうに外務大臣としては受けとめたんですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いろいろとそういう反対行動は一部、部分的にはありましたし、また我が国の国会でもいろいろと御指摘もいただいたわけです。したがって、フィリピン援助に対しましては我々としても慎重にこれを行わなきゃならないという考え方で、円借あるいはまたその中の商品借款については慎重の上にも慎重を期してこれを行ってまいった次第です。
○佐藤昭夫君 この時期は、アキノ氏暗殺の半年後で、戒厳令後、初の国会議員選挙が八四年の五月十四日に行われています。この投票日に先立つ円借款がマルコスの選挙資金に流用されるのではないかとの危惧が広範にあったのであります。だからこそ、アキノ氏の実弟であるアガピト・アキノ氏が円借款の実施延期を求めてわざわざ日本に来日をしましたし、日本大使館に抗議行動が現地では大きく起こった。こういうことでありますが、日本政府として、これが選挙資金などに使われるというようなことは、そのおそれについて点検をしたことがありますか、外務大臣。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いや、そんなこと考えたこともありません。日本の援助というものは当時フィリピンの経済は非常に悪かったわけですし、この経済の回復に何らかのお役に立たせなきゃならないという立場で行ってきております。そういう中で、確かに日本政府としましても、私としましても、慎重に行わなきゃならぬということで、フィリピン政府に対しましても日本のそういう考え方を申し述べた経緯はありますし、また当時の、例えば今のラウレル副大統領等もお見えになりまして、この問題に関しまして日本政府の立場を説明いたしまして、これはあくまでもフィリピン国民の経済の安定、福祉の向上のために行うものである、そういうことを踏まえて行っておるということをお話し申し上げたこともあります。
○佐藤昭夫君 交換公文には見返り資金の使用について報告を提出する、こうありますけれども、日本政府はどういう報告を受けておりますか。
○政府委員(藤田公郎君) 第十二次円借款、これがまだ半分弱しか使用されておりませんが、それにより生じました見返り資金の使用につきましては、第一回目の報告が昨年の十二月末に我が方に参っております。 これは当初、見返り資金の使用につきましては、先方から我が国の円借款の内貨分に用いるという要望を徴しまして、我が方がそれに同意を与えて合意をした場合に、我が国の円借款プロジェクトの内貨分に用いるということになっております。我が方が合意をいたしました九プロジェクト、円借款によって実施されております九プロジェクトの内貨分にこの第十二次円借款によって生じました見返り資金を使用する要望が出まして、それを許可し、十二月末までに九億二千万ペソが合計で支出をされているという報告を徴しております。
○佐藤昭夫君 とにかく、見返り資金が選挙資金に流用された疑いは今日も濃厚であります。フィリピンの新政権またはサロンガ委員会、ここも調査をすると言っているようでありますけれども、ひとつ日本政府として相協力して、その使途について調査をしてもらいたい。外務大臣、お願いします。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 援助が適正に使われているかどうかということについては、これはもう政府としてもフォローアップしていかなきゃなりません。評価もしなきゃならぬ、そういう立場で対応していきたいと思います。フィリピンの問題につきましてはフィリピンで今いろいろと調査、追及も行われておる、こういうふうに承知しています。
○佐藤昭夫君 この国民議会選挙でマルコス与党KBLは過半数の議席を得て勝利をするのでありますが、その後の五月二十九日、マルコス氏から中曽根首相に感謝の電話があった、こういう新聞報道がありますが、事実ですね。大臣。
○政府委員(後藤利雄君) 事実関係でございます。 今の御質問の、八四年の五月二十九日にマルコス大統領から電話があったかという御質問でございますが、私どもそういう事実は承知しておりません。
○佐藤昭夫君 八四年の五月三十日付朝日新聞。そこにはっきりと報道があります。外務大臣、どうですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私が受けたわけじゃないのですから、知りません。
○佐藤昭夫君 とぼけても始まらぬわけで、これ は中曽根総理自身が記者の集まりの席で発言をしているのであります。こうしたことから言って、マルコスの選挙資金に使われた疑いは極めて濃厚。さっきの外務大臣の言明にありましたように、ぜひひとつ徹底して調査をしてもらいたいということであります。 さらに、問題があります。それは第十三次借款をめぐる問題であります。またもや百六十五億もの商品借款を、八五年十二月十四日から始まった大統領選挙のさなかの十二月二十三日に決定したんです。なぜですか。
○政府委員(藤田公郎君) 第十三次円借款につきましては、昨年六十年の二月にフィリピン側から要請が出されまして、我が国は政府調査団五月及び海外経済協力基金の調査団同七月の両調査団を派遣いたしまして、この要請内容の調査及び先方政府との協議を行い、検討を行いました結果、十二月二十三日に至りましてフィリピン側との協議が相調い、交換公文の署名に至ったという状況でございます。
○佐藤昭夫君 しかし、十三次の決定をやるとき十二次借款の消化率はどんな姿でしたか。
○政府委員(藤田公郎君) 現在のところは半分弱でございますが、十二月末の時点ではたしか四〇%弱程度の消化率ではなかったかと思います。したがいまして、その決定に至ります過程で先ほど委員が御指摘のとおり、第十二次円借款は総額四百二十五億円のうち三百五十二億円を商品借款ということで供与いたしましたが、今般の第十三次の円借款は四百九十五億円のうち商品借款分は百六十五億円ということで、前回の商品借款の消化率がかなり低いということにかんがみまして、プロジェクトを重点にするという形をとっている次第でございます。
○佐藤昭夫君 とにかく消化率が四〇%にも満たないという状況で円借款を含む十三次借款を決めるというのは、もう全くこれまた選挙のためのてこ入れをやったと思わざるを得ないのであります。この十三次借款には十一件のプロジェクトがありますが、その対象地域はどこですか、経企庁長官。一遍経企庁長官答えてください。主管官庁の長官としてそんなことが答えられないのですか。
○政府委員(藤田公郎君) 十一件全部それぞれ申し上げます。日比友好道路計画……
○佐藤昭夫君 あなた経企庁ですか。
○政府委員(藤田公郎君) 外務省でございます。
○佐藤昭夫君 いやいや経企庁。
○政府委員(赤羽隆夫君) 十三次の借款でございますけれども、日比友好道路、これはルソン島北端を東西に結ぶラオアグ―アラカパン両都市間の現道の改良等を行うもの。地方上水道整備計画、これにつきましてはフィリピン全国の人口二万人未満の市町村を対象に井戸掘削及び給配水設備の設置を行うもの。地方都市上水道整備計画、これはルソン島北西部に貯水槽、導水管、給水管敷設等を行う。それから空港施設近代化計画、これにつきましてはフィリピン国内の空港及び通信・航路管制基地に通信器、空港管制機器等を設置する。それから地方通信計画、これは通信事情の悪いルソン島北部地域の都市を対象とする。それからダム操作洪水予警報システム、ルソン島における主要ダム洪水予警報システムの設置。それから沿岸無線計画、島嶼国である北国の航海安全確保のため沿岸無線局を置く。メトロマニラ環状三号線道路計画、これはフィリピンの首都圏、メトロマニラの交通渋滞を緩和するということでございますからメトロ地区。パンパンガ川下流域洪水制御及びかんがい計画、中部ルソン・パンパンガ川下流地域。それから浮き荷役設備計画、マニラ港にフローティングタイプの荷おろし機器を導入しということですからマニラ港。それから製氷、冷蔵システム、これは水産物の鮮度保持等でございまして、場所の指定がございません。 それから商品借款、これは国際収支の悪化しているフィリピンの経済安定に寄与するために供与されるものであるということで、同国及び同国民が緊急に必要とする物資ということで、地域の指定はございません。
○佐藤昭夫君 とにかくマルコスの出身地でありますルソン島の北西部に異常なほど偏っているというふうに思わざるを得ないと思いますが、どうでしょうか、経企庁長官。今経企庁の役人がお答えになったから大臣の判断を聞いておるんです。
○国務大臣(平泉渉君) この第十三次の円借款につきましては、フィリピンの経済開発上のメリットというものを十分に検討いたしたものと理解しております。
○佐藤昭夫君 十一のうち七つのプロジェクトが北部にいっている。金額で言いますと総事業費の七〇%を占めている。これでも偏っていないと言えるんでしょうか。外務大臣どうでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) フィリピンの援助につきましては、長いタイミングでこれは援助しているわけですから、十二次もありますし十三次もあるし、それ以前の援助の事業もありますから、全体でやっぱり見なきゃいかぬと思いますが、今の十三次については、これは長い間のまた積み上げで、フィリピン政府と日本政府で話し合いをして積み上げて、その結果として両国が合意に達して交換公文ということになったわけでありまして、全体的にはフィリピン経済の回復に裨益するということであろうと、こういうふうに思います。
○委員長(安田隆明君) 関連質疑を許します。橋本敦君。
○橋本敦君 先ほど佐藤委員が指摘した受注企業名、一つでも事実に反するというのがありますか、外務省、あれば言ってください。
○政府委員(藤田公郎君) 私どもこの受注企業名を公表する立場にございませんので、確認をする立場にもないというのが私どもの立場でございます。
○橋本敦君 間違っていればはっきり指摘した方がいいですよ。 先ほどの外務大臣のお話を伺っていますと、結局のところフィリピン政府が公表しても結構だという意思を表明すれば、日本政府としては政府として確認し公表することに何の障害もない、こういうことになると思うんですが、間違いありませんか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日本政府としての立場をさっきから申し上げているわけです。これはフィリピン政府あるいはまた開発途上国に対して日本は全体的に援助しておりますから、そういう政府の立場も踏まえた日本の政府の基本方針を申し上げておるわけであります。この問題についてこれからいろいろと国会でも議論されるわけですから、そういう点については我々も協力すべき面は協力しなきゃならぬ。これ以上のことは申し上げられる今立場にはございません。
○橋本敦君 相手方、フィイリピン政府が結構だと言えば事情は大きく変わるということは事実でしょう。大臣の判断、政治判断を聞いている。
○政府委員(藤田公郎君) フィリピン政府が公表するというのは、これはフィリピン政府の問題でございます。日本政府は公表する立場にはないということを申し上げているわけでございます。
○橋本敦君 大臣の判断を聞いている。
○国務大臣(安倍晋太郎君) フィリピン政府が公表するということになれば、これはもう別に政府が公表する、しないという問題以前の問題じゃないかと、こういうふうに思います。
○橋本敦君 話題を変えます。 外国から政治献金を受け取れば、法律上どのような問題が生じますか。自治、大蔵、法務、各省答えてください。
○政府委員(行天豊雄君) 私ども所管しております外国為替管理法について申し上げますが、取引の個々の内容、性格がはっきりしておりませんので確たることを申し上げられないことをお許し願いたいのでございますが、ごく一般的に申しますと、非居住者から居住者が寄附金等を受け取るという行為につきましては、通常の決済方法で行われます限り、これは外為法上は自由でございます。
○政府委員(小笠原臣也君) お答え申し上げます。 外国から政治献金を受けた場合でございますね。政治資金規正法上の規定を申し上げますと、政治資金規正法第二十二条の五でございますが、何人であれ、外国人、外国法人またはその主たる構成員が外国人もしくは外国法人である団体その他の組織から、政治活動に関する寄附を受けることは一切禁止されているところでございます。
○橋本敦君 法務省はいいんですか。
○政府委員(岡村泰孝君) 特につけ加えて申し上げることはございません。
○橋本敦君 政治資金規正法違反は、罰則はどうなっていますか。
○政府委員(小笠原臣也君) お尋ねの点でございますが、政治資金規正法第二十六条の二で規定してございまして、先ほど申し上げました二十二条の五の規定に違反をして寄附を受けた者については「三年以下の禁錮又は二十万円以下の罰金に処する。」と、こういうことに規定されております。
○橋本敦君 国税庁、脱税問題は起こりませんか。
○政府委員(塚越則男君) 一般的な問題としてお答えを申し上げますが、政治資金規正法上、外国人や外国法人等から政治活動に関する寄附を受けてはならないということになっているわけでございますが、税法上は、政治家が現実に収入を得ている場合には、収入を生ずる起因となった行為が適法であったかどうかにかかわらず、課税の対象として取り扱うことになります。なおその収入が課税上どのように取り扱われるかということは、事実関係を確認の上判断することになるわけでありますが、一般的には雑所得の収入金額となるわけでございます。雑所得の収入金額になりました場合には、必要経費を差し引きまして雑所得というものは計算されます。政治献金を受けたこと自体については別に申告することを求めておりませんが、その場合に所得がどうなるかということによって税法上の扱いが決まってまいります。
○橋本敦君 脱税の可能性もあるという答弁ですね。外務大臣、御存じのように新聞は、日本のフィリピンヘの援助がマルコス政権てこ入れ、選挙資金に使われた疑いがあるかどうかという問題がありますが、同時に一九七二年初頭から八〇年、八三年選挙にかけても、自民党あるいは田中元総理を含めて、マルコス政権から政治献金がなされたという重大な報道がありますね。もしこれが事実だとすれば私は、日韓癒着、さらに日比癒着、大変な日本の民主政治の根幹にかかわる事態だと、こう思うんですが、それだけにこの問題はないがしろにできない。外務大臣のお考えはいかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは単なる報道以上のものではないと思っております。
○橋本敦君 警察庁に聞きますが、報道は捜査の端緒としてマークするに値しますか、値しませんか。
○政府委員(仁平圀雄君) 警察といたしましては、この問題につきましては重大な関心を持って必要な情報収集を既に行っておるところでございます。
○橋本敦君 念のために警察庁、犯罪捜査規範第五十九条、どう書いてあるか教えてください。
○政府委員(仁平圀雄君) 「警察官は、新聞紙その他の出版物の記事、匿名の申告、風説その他広く社会の事象に注意するとともに、警ら、職務質問等の励行により、進んで捜査の端緒を得ることに努めなければならない。」と書いてあります。
○橋本敦君 外務大臣、お聞きのとおりです。単なる風説ということで済まされるというような状況ではない。あなたは先ほど、いろんな情報を収集して真相の究明にも役立つように検討中だとおっしゃいましたが、その情報収集の中には、今私が指摘をした政治献金の有無に関する情報も当然収集すべきだと思いますが、どうですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いろいろの情報は外務省にも入ってきておりますけれども、今お話しになったようなことは単なる情報、単なる風説にすぎないと、こういうふうに思っております。
○橋本敦君 なぜそういうふうに独断できますか、あるいは確定、確認できますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) それ以上のものが何もないからです。
○橋本敦君 それ以上のものを調査する努力をせよと言っているんですよ。警察は重大な関心を持って捜査の端緒になり得るかどうか検討する。そういう外務省の態度で真剣に真相を究明できますか。フィリピンのサロンガ政治倫理委員会がこれからの調査を通じて、日本に政治献金が還流された、あるいはキックバックされたというようなことをマグディワン83グループあるいはその他から情報を得て公式に調査の素材になってきた場合、そういった情報資料は政府として外交ルートを通じて日本に提供を要求するという姿勢をとるべきですが、外務大臣、法務大臣、自治大臣のお考えはいかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) フィリピンからいろいろと協力を求められれば、我々も協力をしなきゃならぬと思っていますし、また援助のあり方について、我々としてもいろいろな面から改善をする必要がある、そういうことも踏まえて解明もする必要があるということで努力をしているわけでございます。一々風説とか情報とかそういうものをとらえてこれをさらに追及するというのは外務省の立場ではないわけです。外務省はそういう権限もないわけですしね。
○橋本敦君 あなたは情報を集めますと言ったじゃないですか。だから集めなさいと言っている。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 情報は集めますけれども、それ以上のことは外務省がやる立場ではない。
○橋本敦君 自治大臣、もう最後の判断ですから、自治大臣の答弁で結構です。
○政府委員(仁平圀雄君) 警察といたしましては、刑罰法令に触れるものがあるか否かということについて必要な情報双葉を行っているところでございます。
○国務大臣(小沢一郎君) 刑事局長が先ほど来答弁していたとおりでございます。 なお、正式にフィリピン政府から要請があれば、それは共助法に基づいて、その判断に基づいてやるということであろうと思います。
○政府委員(岡村泰孝君) 検察当局といたしましても、事態の推移に応じまして適切に対処するものと思っております。
○橋本敦君 法務大臣、同じですか。
○国務大臣(鈴木省吾君) ただいま刑事局長から答弁をしたとおりでございます。
○佐藤昭夫君 いろいろしてきましたが、大蔵大臣、とにかく貴重な国民の金がマルコスなど腐敗政権の支援のために投入をされたというようなことであったら事は極めて重大であります。国の財政の公正な執行に責任を持つ大蔵大臣として、今後こういうゆがんだ方向に膨大な国民資金が投入をされないよう、海外経済協力のあり方について十分検討していくということでの大臣の決意のほどはいかがですか。
○国務大臣(竹下登君) かねがね経済企画庁長官あるいは外務大臣、通産大臣からもお答えがあっておりますように、私どもとしてもこの調査の結果いろいろ改善すべき点があればこれは改善すべきものであるというふうに考えております。
○佐藤昭夫君 最後に、外務大臣に提案をいたしたいと思います。 こういう貴重な国民の金が本当に経済協力の名にふさわしく正しく使われたかどうか、徹底した究明を急がなければなりません。フィリピン側もこの真相究明のために日本側の協力が不可欠と言っているわけでありますし、このため早急に日本・フィリピン外相会談を行うこと、そのため事務次官協議を直ちに始めることなどを検討してもらいたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) アキノ新政権ができまして、日本政府としてはこれを承認いたし、そしてこの日比の友好協力関係をさらに進めたいと いう立場で既に政府レベルにおける協議を始めております。次官レベルの協議も終わったところでありまして、今後ともそうした政府間の話し合い、協議は続行しながら、さらに友好協力関係の発展のために努力をしていかなきゃならぬ、こういうふうに思っております。
○佐藤昭夫君 残り時間が全く少なくなりましたので、円高に伴う中小企業対策について一言だけ聞いておきたい。 異常なまでの円高の急激な進行によって、産地中小企業は壊滅的な打撃を受けています。ことしの初め以来とられてきた年利五・五%程度の融資では焼け石に水で、早くから我が党が提起している激甚災並みの三%の低利融資など、政府の一層思い切った救済策が必要になってきておると思うのでありますが、これを実施するには利子補給としてどれくらいの措置が必要か、ひとつ試算をしてもらいたいとお願いをしておきましたが、どうですか。
○政府委員(木下博生君) 国際経済調整対策のための利子補給の予算は、六十一年度予算として十一億円お願いをして今御審議をいただいておるわけでございますが、もし御質問のように、三%程度の融資で実行するということになりますと、財政資金を借りる金利との差額になりますので、その借りる資金との差額が今動いておりますからはっきりしたことは申し上げられませんが、三%程度と仮定いたしますと、当該年度においてはさほど大きな金額にはならないと思います。十七、八億円になろうかと思いますが、三千億円の融資が全部実行されてそれが平年ベースになるということになりますと、三%の利子補給ということになりますと、九十億円程度になるわけでございます。
○佐藤昭夫君 当年度にとりましては、ほんのわずかの十八億という金であります。通産大臣、本来円高を生み出した貿易摩擦の大きな要因の一つに自動車、電機など特定大企業の輸出ラッシュがあることは周知の問題でありますが、この大企業、例えばコンピューター関係六社だけでも、私、計算をしてみますと、六十一年度通産省所管で二百二十八億の技術開発補助金委託費が組まれて輸出ラッシュに拍車をかけているのであります。一例でありますが、こうした大企業補助金のせめて一部を削ってでも、生死の瀬戸際であえいでいる中小企業救済策を強めるべきではないかと思いますが、通産大臣と大蔵大臣、御見解を求めます。
○委員長(安田隆明君) 佐藤君、時間が参りました。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大企業補助金と申しましても、これは将来の宇宙開発をどういうふうにやっていくかとか、第五世代のコンピューターをどういうふうに進めるかとか、それから大型輸送機、そういうようなものの共同開発を行うというようなことで、非常にリスクの多い仕事で、世界各国どこでもやっているんです。だから、けた外れの金をアメリカあたり出してやっておるんで……
○佐藤昭夫君 せめて一部、全部削れと言っているんじゃない。
○国務大臣(渡辺美智雄君) だから、その必要最小限度の措置をやっておるので、それを削ってほかに回すというふうなことを今ここで申し上げることはできません。
○国務大臣(竹下登君) 今の政策上の意見につきましては、まさに通産大臣からお答えがあったとおりだと私も思います。
○委員長(安田隆明君) 以上で佐藤昭夫君の質疑は終了いたしました。 午後一時二十分まで休憩いたします。 午後零時十七分休憩 ―――――・――――― 午後一時二十一分開会
○委員長(安田隆明君) 予算委員会を再開いたします。 昭和六十一年度総予算三案を一括して議題といたします。 休憩前に引き続き、質疑を行います。抜山映子君。
○抜山映子君 いよいよ明四月一日から男女雇用機会均等法が施行されますけれども、当然労働局婦人少年室の充実が図られると思いますが、現状が何人で、何人増員されることになりましょうか。
○政府委員(佐藤ギン子君) 婦人少年室の職員は、現在百七十人でございますが、十七人の増員が図られることになっております。
○抜山映子君 主要都道府県の婦人少年室の配置人数をお教えください。
○政府委員(佐藤ギン子君) これまでは五人室というのが一番大きな組織でございましたけれども、新しい年度からは六人室が二室にふえます。それから五人室が十七室、それから四人室が五室、三人室が二十三室ということになります。
○抜山映子君 大変に少ないように思うんですね。既に東京の六人のスタッフは、まだ施行前、今年度に入ってきりきり舞いをしているということですから、ほんの一人ぐらい、十七人を割り振りますと一つの少年室に一人ふえるぐらいのことかと思いますけれども、とてもこれでは助言、指導、監督をすることができないと思われますが、この点労働大臣はどのようにお思いですか。
○国務大臣(林ゆう君) 明日から均等法の施行がなされるに当たりまして、先ほど婦人局長から御答弁のありましたような室で十七名の増員があるわけでございますが、当初この法律がそれぞれの企業において十二分に認識をされて定着をいたすまでにはかなりな時間がかかるのではないかと予想され、施行前からもいろいろ啓発の作業をいたしておりますが、今後この限られた範囲の人数ではございますけれども、婦人少年室全力を挙げて、またそれを取り巻くいろいろなセクションも十二分なバックアップの体制を整えながらこういったものに対処してまいらなければならないと、このように考えている次第でございます。
○抜山映子君 今後も状況に応じて増員していただけると、こういうように理解してよろしいですね。
○国務大臣(林ゆう君) 婦人少年室の増員は定員の問題もございますので、今後のいろいろ見通しなどを見ながらそういったものに必要であれば対処するようなことも考えなければいけないのじゃないかと、このように思う次第でございます。
○抜山映子君 再雇用特別措置のことについて伺いますけれども、再雇用と申しましてもいろいろあると思います。再雇用時におきましての身分の問題あるいは就業形態の問題あるいは雇用形態の問題、いろいろあると思いますけれども、この女子再雇用促進給付金の給付がなされる再雇用とはどういうものですか。
○政府委員(佐藤ギン子君) 女子再雇用制度の給付金が行われますものは、労働省でその要件を定めたものでございますけれども、妊娠、出産、育児等で退職した労働者等を再び再雇用する制度を持っている企業に対して支給するものでございます。
○抜山映子君 私がお伺いしておりますのは、再雇用時の身分とか雇用形態、就業形態のいかんを問わずこの促進給付金を差し上げるのかどうか、このあたりどうするのですか。
○政府委員(佐藤ギン子君) 再雇用されましたときの身分が常用であれば、パートタイマーであれフルタイマーであれ給付金を出すということでございます。
○抜山映子君 再雇用の場合にパートタイマーでは余り効果がないと思うんですが、このあたりについて行政指導で、パートタイマーでない本雇いと、こういうように指導していくわけにはまいりませんか。
○政府委員(佐藤ギン子君) 再雇用される女子はそれぞれ育児がまだ完全に終わっていないという方もあるわけでございまして、働く場合にフルタイマーということで朝早くから夜遅くまで働くというのではなかなか働けないというようなことか ら、御自分がパートタイムの労働を希望する方も多いわけでございます。そこで、そのような雇われる側の事情も考慮して、フルタイムの労働者もパートタイムの労働者の場合も両方、国としては援助するようにいたしたいということでこのような制度になっているわけでございます。
○抜山映子君 じゃ、この給付金とは別途に、再雇用の場合について本人が希望するならパートになるのは結構なんですが、そうでない場合についてはフルタイマーで雇えるように行政指導していくのが穏当と思いますが、そのあたりいかがでしょう。
○政府委員(佐藤ギン子君) 確かに、雇われる側としてはフルタイムで働きたい人はフルタイムで、パートタイムで働きたい人はパートタイムで雇われることが理想でございますが、なかなか事業所の実態から、必ずそういう方を雇うことが可能であるかということについてはなかなか難しい点があると思います。これは採用一般について言えることでございますので、私どもとしては両方の措置が弾力的にとれるように、またもちろんおっしゃるようなことが可能になることが理想ではございますので、そういう方向で行くことが望ましいとは思いますけれども、とりあえずは両方の制度ができるようにということで考えております。
○抜山映子君 既に先進工業国あるいは東欧諸国の多くの国々では、育児休業制度が法制化されております。それで、当然労働省としても育児休業法の制定ということをそろそろ射程距離に置いて考えなければいけないと思いますが、そのあたりどうお考えでしょうか。
○国務大臣(林ゆう君) 育児休業制度の法制化につきましては、婦人少年問題審議会から「現段階において全企業に本制度の実施を強制することは困難であり、当面、行政側の積極的な指導、援助等により本制度のなお一層の普及を図ることが先決である」、こういった建議をいただいておりまして、今回のこの均等法では、育児休業普及促進のための国の助言、指導、援助の義務が新たに織り込まれておるわけでございます。 当面、労働省といたしましては、育児休業奨励金の大幅な拡大、また育児休業制度普及指導員の増員、こういったことによりまして今後とも普及率を高めていくための努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
○抜山映子君 均等法の工業的業種、非工業的業種という分類が現場においては大変矛盾、混乱を来しております。工業的業種とは製造業、鉱業、建設業、運輸業と、こういうように説明されておるわけでございますが、実際にはもう昔のように製造業といえば工場の中で粉じんの中で働いているという、そういうようなタイプでなくなってきているわけです。製造業におきましても、コンピューターに従事する者あるいはデザインをやる者、一般事務に従事する者とあるわけでございまして、このような分類は大変不合理だと思いますが、この点について労働大臣いかがお考えですか。
○国務大臣(林ゆう君) この工業的業種と非工業的業種、こういったものを区別したことは、工業的事業に比べて非工業的事業においては労働における体の使い方の負担が軽いとか重いとかそういったようなもの、あるいはまた事業活動の繁閑の差が大きいとか、こういったようなことでの区別がなされておったというふうに私どもは理解をいたしておりますけれども、だんだんにそういったような大きな差というものがなくなりかけているのは先生御指摘のとおりでございます。 そういったことで、労働省といたしましても、こういった業種に対します労働基準法の適用とかいろんな問題で細かな対応をしていかなきゃいけないかと、このように考えておる次第でございますので、今後ともそういった問題に取り組んで、工業的あるいは非工業的、こういったものの中で大きな格差のないようなことに図ってまいりたい、このように思う次第でございます。
○抜山映子君 大臣も既に御存じのとおり、例えばコンピューターとかパソコンとか、そういうものは大変に眼精疲労を伴いまして、仮に非工業的業種であろうと大変に肉体的、精神的疲労度が激しいのでございます。したがいまして、幸いにして均等法には見直し規定もございますから、ひとつ現場の意見をよく取り入れて、例えば職種によって分類するとか合理的な分類をひとつとっていただきたい、このように切望するものでございます。 次いで、均等法でございますが、我が国におきましては労働時間が非常に長い。しかも、婦人が働ける環境整備がなっていないんですね。ホームヘルパーも少ない。保育所も延長保育、長時間保育が少ないと、もろもろあるわけです。 そこで、大蔵大臣にひとつお願いしたいのでございますが、保育料を税額の対象から控除していただく。税のゆがみ、ひずみを直していただくというのであればぜひお考えいただきたいと思うんですが、この点御意見いかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 共稼ぎ世帯における育児に要する費用を税制上保育料控除といった形で個別の控除を設けろと、こういう御主張でございますが、これは抜山さん、税制調査会の税体系の方からこれを議論していただきますと、例えば今の抜本改正以前では、五十八年の十一月に出ました税制調査会の答申が一応一番直近のオーソライズされたものであります。 その答申を見ますと、「国民の生活態様の中から特定の条件や特定の家計支出を抜き出して、税制上しん酌するにはおのずから限界があること、また、そのような特定の条件や特定の家計支出に着目して税制上しん酌する場合の客観的基準を見出すことは困難であること等を考慮すれば、新規の特別控除を創設することは適当でない」と、こういう実は答申があるわけであります。 結論から申しますと、もちろん課税最低限以下の方のお子さんもいらっしゃいますし、結局は、私も保育所長を昔しておったことございますけれども、措置費とかあるいは所得に応じた保育料とかいう社会福祉政策の中でこれは対応すべきものであって、税制の上でこれを取り上げるというのは税体系の中では非常に難しいというのを素直に申し上げようと思って答弁を心の中で整理をしておったわけでございます。
○抜山映子君 控除するのは決して難しいことではないと思うんですよ。保育所から保育料にかかっておる証明書をもらってくればこれでできるわけですから、決して難しいことないと思います。 ところで、大蔵大臣にこれはちょっと所管外ですからお気の毒な質問なんですけれども、保育料というのは一体幾らかかるか御存じかどうかちょっと質問いたします。
○国務大臣(竹下登君) 措置費の単価が何ぼであったか記憶しておりません。
○抜山映子君 これは市町村別でいろいろあるわけでございますし、収入によって違うわけでございますけれども、共働きの夫婦でちょっとした収入がございます場合には四万円を超えるのはざらなのでございます。したがいまして、子供二人がおりましたら八万円を超える。さらに、今のように均等法で夜まで働くということになりますと保育所も二つに預けなければならない、こういうような事態も出てくるわけでございます。そうしますと、これから高齢化に向かうに当たりまして、女性も精いっぱい働いて税金を納めていただく、こういうことが望ましいと思うんですけれども、それでもこれは大蔵大臣の感じとして保育料は控除すべきでないとお思いでしょうか、控除すべきだとお思いでしょうか、どちらでしょう。
○国務大臣(竹下登君) これは保育所の歴史を見ますと、それこそ季節託児所から始まりまして、託児所になって、保育に欠ける子供をお預かりする保育所になって、今日幼保一元化とかいろんな問題の中に、社会の中に大変ないい役割を果たしておると思いますが、やっぱりその仕組みから見ますと、今は税制調査会の今までのところ五十八年十一月というのが一応一番権威づけられた答申になっております。したがって、個別にしんしゃ くするというのはなかなか難しい問題だ。客観的に基準を設けることも非常に難しい問題だ。税の公平の体系の中で議論すると非常に難しい問題だから、確かに家計支出が大きな負担になっておることは私も認めますが、それこそ所得に応じた保育料でございますとかあるいは措置費でございますとか、そういういわば社会福祉政策の支出の中でこれはやるべきものではないか。 ただ、こういう意見、今税調にお伝えしてありますから、今度の抜本策でも私は議論していただける問題だと思いますが、今日私を縛っております今までの税調の論議から言うと、今まで申し上げましたように、個別の事情のしんしゃくによるところの控除というのはこれ以上ふやすべきでないと、こういう答申をいただいておりますから、その限界を出たお答えをすることはなかなか私の立場上難しい問題であります。
○抜山映子君 保育所の控除を私がぜひしていただきたいと申しますのは、女性が長期にわたって勤労しない、すぐ短期でやめてしまう、こういう批判があるのは、実はこの保育の問題がネックになって女性が長期に勤労することができないと、こういうことになっておるわけでございます。 〔委員長退席、理事桧垣徳太郎君着席〕 もう一度これは大蔵大臣として税調とは無関係にこれを控除するのが穏当であるかどうか、個人的にどうお考えかをお聞かせください。
○国務大臣(竹下登君) これは、税というものは垂直的公平とか水平的公平とかいろいろございまして、体系の中で全く矛盾のない論理を構築していきますと、その個別事情のしんしゃくによるところの控除というのは非常にこれは難しい理論になるわけでございます。感覚的に私が理解いたしたといたしましても、今税調というものに一応縛られておる立場からしますと、感覚的に仮に理解したとしてもそれは適当な措置であるというお答えをする立場にはない、残念ながらそうお答えせざるを得ないかなと、余りそれはだめですと言うとつれのうございますから、随分言葉を整理して丁寧に準備をしてきたお答えでございます。
○抜山映子君 労働大臣、御所見をお聞かせください。
○国務大臣(林ゆう君) この保育料の税金の関係でございますけれども、私も今こういった立場におりますと、先ほど大蔵大臣が大変お言葉に気をつけながら整理されて御答弁をされておりまして、私はそれをそばで伺っておりまして、やっぱりさすがは大蔵大臣であるな、こういったような感じを持ったわけでございます。私も今閣僚の一人としてここに座っております関係で、大蔵大臣の御苦心の御答弁のほどを私も体しながら、同じ考えを持って伺っていたということでございます。
○抜山映子君 いまひとつ長期的に検討してお考えいただきたいと思います。 それでは、自治大臣にお伺いいたしますけれども、世帯主の概念について自治省はどういう通達をお出しになっていらっしゃいますか。
○政府委員(大林勝臣君) 住民基本台帳の事務処理につきまして、従来から世帯主につきまして、「世帯を構成する者のうちで、その世帯を主宰する者」、これを世帯主という。なお、「その世帯を主宰する者」とは、「主として世帯の生計を維持する者であって、その世帯を代表する者として社会通念上妥当とみとめられる者」をいうのだと、こういう通達を流しております。
○抜山映子君 私がお伺いしたいのは昭和二十六年七月九日の通達五十六号ですが、そこを説明してください。
○政府委員(大林勝臣君) 二十六年当時の通達につきましては、ただいま手元に持っておりませんので、ちょっとお答えいたしかねます。
○抜山映子君 労働大臣、お引き取りいただいて結構でございます。 それでは申し上げましょう。この通達は、父親が長男、次男とおりましたら父親が世帯主。長男、次男がおったら長男が世帯主。夫と妻があれば夫が原則として世帯主。夫が不具者のため無収入で妻が主として世帯の生計を維持している場合は妻が世帯主。こういうようになっておるわけなんですけれども、これは御存じですね。
○政府委員(大林勝臣君) 住民台帳の前に住民登録というような法制度になっておりましたけれども、かつてはそういった解釈が行われていたと承知いたしております。
○抜山映子君 それでは、この通達は今や全く意味がなくなった、もう死んでいる通達だと、このように理解してよろしいですか。
○政府委員(大林勝臣君) 仰せのとおりであります。
○抜山映子君 それでは労働省の方に伺いますが、就業規則、労働協約について世帯主の概念をどういうように指導していかれますか。(「今、労働省いいと言うから帰っちゃったよ」と呼ぶ者あり) それではこの質問を飛ばします。 保育行政について伺います。 厚生大臣、認可保育所の数と実態についてどのように把握しておられるでしょうか。
○政府委員(坂本龍彦君) 認可された保育所の数等の実態について御説明申し上げます。 最近の数字といたしましては六十年の四月現在でございますが、施設数は全国で二万二千八百九十九カ所ございます。このうち公営が一万三千六百、民間の法人の経営が九千二百九十九でございます。 なお、実際に措置をされております児童数は全国で約百七十七万五百人でございまして、大体この数字といたしましては現在の時点でも余り大きく変わっていないと承知しております。
○抜山映子君 厚生大臣、公的保育の定員割れ、この原因をどのように見ておられますでしょうか。
○政府委員(坂本龍彦君) 定員割れの問題でございますが、かつては保育所というものは非常に不足がちでございまして、ちょうど経済の高度成長時代に婦人の就労が非常にふえておった、あるいは企業が新しく工場等を増設していた時代には不足しておりましたので、各地でかなり保育所の新設にあるいは定員増に努力をいたしました結果、最近ではむしろ全国的に全体を通じてみますとかなりの保育所が整備されまして、定員数としては相当なものになってまいりました。 一方において、子供の出生数がだんだん減ってまいりまして、ちょうどその傾向がクロスするような形になったというのが、全体を通じての一つの原因であろうかと思います。したがいまして、これはマクロの数字でございますから、実際に各地域を見ますとまだ不足をしているところもあるわけでございまして、今申し上げましたのは全体としての傾向ということになろうかと思うわけでございます。
○抜山映子君 多少把握が甘いと思うんですね。今のような御説明ですと、無認可保育所が非常にはやっているということの理由が理解できないと思います。 この定員割れの問題は、単に乳幼児の数の減少ということにとどまらず、入所基準の締めつけがある。あるいは保育料の高額化が原因になっていると思われるのですが、この点はキャッチしておられますか。
○政府委員(坂本龍彦君) 保育所への措置につきましては、児童福祉法で、父母の労働あるいは疾病等によって保育に欠ける児童を措置するということになっておりまして、これについては私どもの方で一定の基準を各地方に示して措置を行っていただいておりますけれども、特に締めつけというようなことは考えておらないわけでございます。 また、保育料につきましては、これはいろいろ負担される方にそれぞれのお考えはあろうかと存じますけれども、私どもとしては実際に保護者の所得に応じまして御無理のない範囲内で負担いただけるような保育料にするよう、いろいろ考慮いたしまして決めておるところでございます。
○抜山映子君 これは入所辞退の統計を行政管理庁行政監察局で昭和五十五年に調査したもので、 多少古いのですが、保育料が高いのが最も多くて二〇・九%という数字が出ているわけなんですね。それ以外にも保育時間が短いためであるとか家で見ることにしたためとかいうのがあるわけなんです。この点についてもう二度、どのようにお考えがお聞かせください。
○政府委員(坂本龍彦君) 保育所は、各市町村ごとに保育に欠けている児童の実態を把握しながらその設置に努めておりますけれども、いろいろと具体的なケースについて見ますと、やはり完全に保護者あるいは児童の需要に対応し切れていない面というのは確かにあるということは否定できないと思っております。そういう意味で、私どもも今、先ほど申しましたように、全国通じてマクロの見方をすれば数としてはむしろ充足されておりますけれども、それぞれの地域ごとにいろいろ保育需要も多様化しておりますので、その実態に見合うようにできるだけ市町村の方で実情を把握しながら、この建設、整備というものに努めていきたいと考えておるわけでございます。 したがって、現在の情勢で、保育時間でございますとかあるいは場所の問題でありますとか、これはいろいろまだ措置していく必要は個別にはあろうかと考えております。
○抜山映子君 均等法の運用のかなめとなる省令、指針によりまして、サービス業などの非工業的業種では時間外労働の範囲が四週二十四時間、年間百五十時間、休日労働は四週につき一日、こういうようになったわけですね。このために非常に女性も長時間遅くまで働くようになった。それなのに保育所がゼロ歳児を受け付けないとか時間外をやらないとか、こういうことでは法律を支える社会的環境が整備されていない、こういうことになると思うのです。 そこでお聞きいたしますが、夜間保育所と、それから延長保育所と申しますか長時間保育所、この保育時間、それから数はどのようになっておりますでしょうか。
○政府委員(坂本龍彦君) 夜間保育所と延長保育所についてのお尋ねでございます。 私どもが夜間保育所と言っておりますのは、大体夜十時ごろまで保育をするような体制になっておる保育所でございまして、一方、延長保育と申しますのは、通常保育所の時間というのは午後六時ごろまででございますけれども、これを七時あるいは八時ごろまで延長してやっておるというのを延長保育というように一応整理をしております。 数字でございますが、いわゆる夜間保育という方の数につきましては現在の段階で全国十九カ所でございます。六十一年度には数カ所また増設の予定がございますが、現在十九カ所でございます。それから延長保育という部類のものは現在全国で三百七十二カ所になっております。
○抜山映子君 今後その増設計画はどういうようにお考えでしょうか。
○政府委員(坂本龍彦君) 私どもといたしましても、いろいろと婦人就労の多様化に伴いまして保育需要というのは今後増大し、あるいは内容的にもいろいろ多様化してまいると考えておるわけでございます。したがいまして、夜間保育にいたしましても延長保育にいたしましても、各地で新しくそういう機能を持った保育所ができるだけ需要に見合って整備されるように、いろいろと私どもの方でも努力をしていきたいと思っておるわけでございますが、六十一年度の予算案におきましても、夜間保育、延長保育、それぞれ箇所数の増が図られるように措置をしておるところでございますし、また実際にこの延長保育、夜間保育を行うものは市町村あるいは民間の法人でございますので、そういった関係者の方にも働きかけまして、私どもとしてはできるだけ必要に見合った施設が整備されるように努めてまいりたいと考えておるところでございます。
○抜山映子君 四月一日に、あすからですが、五つの夜間保育所が開園するわけなんです。この夜間保育所の経営主体は九割が社会福祉法人で、公立はまだ一つもないんです。これはどういう原因だと思っておられますか。
○政府委員(坂本龍彦君) 今御指摘ありましたように、夜間保育は確かに公立が非常に少のうございまして、ただ一つだけ市町村が設置して民間の法人に経営を委託しておるというところもございますが、経営はいずれにしても民間が全部やっておるわけでございます。 私どもとしては、特にこの夜間保育にいたしましても延長保育にいたしましても、公立、私立というものを区別するという考えは全く持っておりませんで、公立であろうと私立てあろうと実際にやっていただけるところには大いにその機能を発揮していただきたいと思っておるわけでございます。 しかし、現実の問題として恐らくいろいろとあると思いますけれども、例えば職員の勤務体制といったような問題などについて、どちらかというと現在の段階では民間の法人立が比較的対応のしやすいような実情になっているのかなというようにも考えておるわけでございますが、いずれにしても、各市町村ごとにそれぞれ実情に見合った方策をとっている結果としてこういうことになっているのだというふうに認識しております。
○抜山映子君 この保育所というものは、赤ちゃんなんですね。ですから、もしその保育の内容が悪かったり保育施設が非常に整備されておらなかったりしても、一々親に通報することができない、したがって親は子供がどういう環境で育てられているか知らないというのが大変に多いわけです。ですから、こういうものについては私は、民活、民活と言ってなびいていくことについては少し危険なものを感じるわけです。 それでは、一般の人が民間の認可されていない保育所を選択した理由はどういうものがあるのか、ちょっとお聞かせください。
○政府委員(坂本龍彦君) これも個別のケースとしてはいろいろな事情があるだろうというふうに推測いたしておりますので、これという一つ二つの大きな理由だけではないというふうに思っておりますけれども、いろいろ調べてみますと、例えば非常に近いところにあったというような例もありますし、また保育の時間が認可された保育所に比べて非常に弾力的だというケースもございましょう。また特色のある保育をやっておるために、父兄としてはそういったところに一つの魅力と申しますか、そういうものを見出して子供を預けたいというお考えの方もおられると思いますけれども、そういったいろいろな理由があろうかと存じております。
○抜山映子君 例えば、夜間保育所なんかでは保育時間はおおむね八時間、こういうような基準になっているわけなんですね。こういうような基準は非常に今不合理になっていると思いますので、こういう基準をもっと広げることをお考えになりませんか。
○政府委員(坂本龍彦君) 夜間保育の時間につきましては、一応八時間という基準を従来持っておりますけれども、これにつきましても最近の実態にかんがみまして延長を私どもの方でもいろいろと考慮しております。また延長保育も従来は一応七時までというところを基準にしておりましたけれども、これもさらに八時までに延長できるように、予算の措置もとるように考えております。
○抜山映子君 ぜひお考えいただきたいと思います。この無認可の民間保育所を選択した理由は、自宅や勤務先の近くにある、保育時間が長い、夜間保育がある、子供の年齢を問わない、一年のうちいつからでも預けられる、こういうようなことが理由になって無認可の保育所が非常にたくさんできている、こういうことだと存じます。 ところで、二週間ほど前でしたか、劣悪なベビーホテルの問題が新聞紙上に載っておりますが、ベビーホテルの検査指導はどのようになっておりますか。
○政府委員(坂本龍彦君) かつてベビーホテルがかなり大きな問題になりまして国会でもいろいろと御論議をいただきましたので、私どもとしても無認可保育所というものに対する実際の点検やあ るいは指導というものを行うことにいたしまして、最近では都道府県に通知をいたしまして無認可保育施設に対する指導監督を実施しているところでございます。特にベビーホテルというのはこの中でも問題がいろいろあるということで指導監督の重点をここに置いておるわけでございます。実際には認可を受けておりませんので、その施設の内容というものがこちらで公的に把握をしていないというものでございますので、その内容というものを十分にチェックをいたしまして、そして改めるべきところがあれば指導をして改めさせるということにいたしておるわけでございます。
○抜山映子君 ベビーホテルが全国に四百五十一カ所あって劣悪施設が三分の二を超すと、こういうようになっておるわけです。これの将来的にわたっての指導監督はどのようになさっていきますか。
○政府委員(坂本龍彦君) ベビーホテルにつきましては、先ほども申し上げましたようにいわゆる無認可の施設でございますので、まずその実態というものを把握する必要があろうかということでございまして、できるだけ多くのベビーホテルについて各都道府県で実情を調査するように指導をしております。またその内容につきましても、認可されました保育所の施設基準がございますので、できるだけそれに見合うような内容を維持するようにいろいろと指導をいたしておりますけれども、今後ともそのような方向で徹底を期してまいりたいと考えております。
○抜山映子君 不適格施設だという指導をした場合、その後のフォローをどうするかと、こう言っているんです。
○政府委員(坂本龍彦君) 実際に立入調査等をいたしまして、その施設の内容が基準に不適合の場合がございます。その場合には行政指導として改善あるいはその他の措置をとるように指導をいたすわけでございまして、これまでにも実際に監視をいたしました結果、内容等について改善を命じておる例も相当ございます。
○抜山映子君 改善を命じた後どういうようにフォローしていますか。もう一度お願いいたします。
○政府委員(坂本龍彦君) これは各都道府県にお願いをしておりますので、それぞれの都道府県において実際に監視をした結果に基づいて必要な措置を命じ、文書をもって改善を命じておるわけで、その結果についてはそれぞれまた都道府県で実情を把握いたしまして、改善を行われたものはよろしいわけでありますけれども、不十分なところはさらに改善を進めるように指導しておるわけでございます。
○抜山映子君 昨年はベビーホテルでの死亡事故が七件、その前年は五件あったといいます、ことしは一件だそうですけれども。その死亡原因はどういうことでしょうか。
○政府委員(坂本龍彦君) 昨年私どもの方に報告がございました件数が七件でございますが、その原因につきまして調査をいたしました結果、突然死、つまり乳幼児急死症候群と言われておりますが、これは乳児に特有のいわゆるポックリ病と言われるような、原因不明で急に死んでしまうというような症候群でございます。これが二人ございます。それから窒息死が四人、それから急性気管支炎が一人、不明が一人、こういう内容になっております。
○抜山映子君 口のきけない子供のことですから、そのあたりも多少保母なんかの過失があったりするようなこともあるのではないかと考えなくてはいけないかと思います。 そこで、無認可保育所の問題点なんですけれども、保母資格のないパートタイマーの主婦がやっているとか、あるいは建物がアパートの三階、四階、五階などにあって避難設備がないとか、給食の実施の内容が非常に悪いとか、いろいろ問題があるわけです。特に行政の届かないいわゆる十人以内の無認可保育所、これに対しては全く現在網がかかっていない状況だと思いますが、この数をどのように把握しておられますか。
○政府委員(坂本龍彦君) 私ども無認可保育所全体に対して指導を行うようにいたしておりますけれども、その中でも、やはりできれば優先的に、比較的預かっている子供の数の多いところから的確に指導してまいりたいと考えております関係上、十人以下の無認可保育所については特に指導しないというわけではございませんけれども、十人以上入所させる施設をまず重点的にやっておるという結果になっておるわけでございます。 一応、数ということになりますと必ずしも正確な数が把握できておりませんけれども、いわゆる無認可保育施設全体としては大体六千程度あるのではないかというように考えております。ただ、これは特に人員別の数字まで持っておりませんので、全体の数でございます。
○抜山映子君 この無認可保育所に、例えば栄養基準をつくるとか、時には抜き打ち検査もあるのだというような形での広い網はかぶせられませんか。
○政府委員(坂本龍彦君) 先ほどお答えしましたとおり、十人以上を重点に置いて指導監督を行っておりますけれども、十人以下につきましても全く何の規制も考えていないということではございませんで、十人未満の子供を預かる無認可施設につきましても、できる限りこの無認可保育施設に対する指導監督の通知に示されました指導基準に準じた運営が確保されるように所要の指導を行うべきであると、こういうことを通知いたしておりますので、一応は私どもとしても対象にしておると考えております。 それから、実際に指導を行う場合の方法といたしましては、これはどういう形でやるか。これは各都道府県が管内の実情を考えましていろいろと考慮をしてやっておるわけでございますので、その監査、指導の方法については、いろいろ私どもの方でもまたしかるべき方法というものをとるように工夫していく必要があろうかと考えておるわけでございます。
○抜山映子君 なお、ベビーホテルの検査について予告して調査しているという話を私聞いておりますが、この点いかがですか。
○政府委員(坂本龍彦君) この方法は都道府県の方で決めておりますので、私ども一律でなければいかぬとも思っておりません。実態としてもいろいろではないかと思っておるわけでございます。予告というようなことも、これは仮にいろいろな時間帯その他、日にち等によって閉鎖している場合もあるかもしれないという考慮からそういうことも行っているのではないかと思いますが、実態としてはいろいろあるのではないかと思っております。
○抜山映子君 やはり調査は抜き打ちでないと意味がないことはもう言うまでもないと思います。 それでは、今度は悪徳商法の規制についてお伺いしたいと思います。 通産大臣にお伺いいたしますが、悪徳商法の規制について今後どういう形で対処していきたいという構想をお持ちでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 悪徳商法といいましてもピンからキリまでいろいろあるわけでございまして、そのうち私どもが今実際法律をつくって被害を少なくしようと考えておるのは、いわゆる現物まがい商法への対応であります。これにつきましては、三月の二十八日に特定商品等の預託等取引契約に関する法律案というものを閣議決定いたしまして、この国会に提出をして成立させたい、こう考えております。 簡単に申し上げますと、要するに現物まがいで契約をいたしましても十四日以内には解約できることになっておりますが、十四日を過ぎると解約できないということなので、これは一五%の違約金を払えば消費者の方はいつでも解約できるというような新しい制度であるというようなことや、セールスマンの威圧的な勧誘、押し売りまがいみたいなそういうようなことを禁止する。それから、そういうものに違反したような者は業務停止もできる。あるいは最高二年以下の懲役、百万円以下の罰金、これはマルチ商法規制法のちょうど 二倍の厳しい罰則を設けるというようなことなど、こういうようなことでひとつ法的には整備をしていきたい。 しかし、どこまでもこれは、幾ら法律整備をしてもだまされちゃ困るわけですから、消費者の方も余り欲張らないことですね。そういう欲張らない教育、そういうこともする必要があるんじゃないか。結局、だまされるということは欲張るからだまされるわけですから、欲張らないように、そんなうまい話はかりは世の中にありませんから、そういうようなことをやはり社会教育としては並行的に知識を与えて進めていくということが大切であろうと思います。
○抜山映子君 訪問販売法でございますけれども、これは特定商品が対象になっておりますけれども、現在非常に商品も多様化しておりますし、指定商品に限らずすべての商品、サービスをこれに含めるように改正するのが穏当と思いますが、この点いかがでしょうか。
○政府委員(松尾邦彦君) 先生御指摘のように、訪問販売法では指定商品制度をとっておりまして、「主として日常生活の用に供される物品のうち、定型的な条件で販売するのに適する物品で政令で定めるもの」を対象として取り上げることにいたしているわけでございますけれども、これは一般消費者が日常の消費生活におきまして訪問販売の形で通常購入する可能性のない商品まで取り込むことは過剰規制のおそれがあり、必ずしも妥当ではないのではないかという立法趣旨に基づくものでございます。 しかし、消費者利益保護のためには、私どもといたしましては政令におきまして、現実の取引の実態あるいは消費者の要望等を考慮いたしまして、できるだけ幅広く指定をいたしてまいってきておるつもりでございますが、今後もこのような観点から機動的に政令指定により対応してまいりたいと考えております。
○抜山映子君 これはぜひ考えていただきたいと思うんです。商品が非常に多様化いたしましたし、専門的知識や情報は売り手の側の方に集中しているということもございます。そういうわけで、ひとつ指定商品の範囲を広げるあるいはこの枠を外すということについて真剣に考えていただきたいと思います。 次いでマルチ商法でございますけれども、このマルチ商法に関しましては、今はやりの信販が大変介入いたしておりまして、これと加盟店契約を結び、消費者にお金を貸し付けて、そしてうまい話を持ちかけて人狩りをやる、こういうことが非常に多いと思います。したがいまして、この信販会社に対して悪徳マルチ業者と結託することのないように指導することが必要と思いますが、この点いかがでしょうか。
○政府委員(松尾邦彦君) 御指摘ございましたようなクレジットをめぐる消費者トラブルを未然に防止するために、私どもかねて信販会社に対しまして、信販会社が販売業者と加盟店契約を締結するに際しましては、その販売方法を十分把握する等、加盟店の審査を厳格に行うよう通達をかねて出し、厳重な指導も行ってまいったところでございますけれども、さらにその徹底を図るために、本年一月から二月にかけまして主要な信販会社に対しまして個別のヒアリングを行いまして、加盟店の審査の厳格化を一層徹底するよう指導したところでございます。 加盟店を選択するに際しましてはもとよりでございますけれども、加盟店と一たん契約した後におきましても、その加盟店の販売方法等を十分把握いたしまして、社会的に大きな非難を浴びているような企業との取引は慎むよう指導いたしているところでございまして、今後ともこのような指導を徹底してまいりたいと考えております。
○抜山映子君 主体を誤認させる商号が今大変大きな問題になっていると思います。 豊田商事の問題につきましても、トヨタと混同されて大変迷惑をしたという話も聞きますし、この豊田商事が鹿島商事というのをつくっておった、あるいは豊田ゴルフクラブというのをつくっておった。そのほか、ゴールドの商法に三和信託とか日興商事、大和信用債券、新日本債券、三和商事、日立商事、ナショナル信金、こういうような一部上場の立派な会社に主体を誤認させるような商号を使っているところが大変多いのでございますが、これについて、非常に難しい問題ですけれども、一挙に商法改正というわけにもまいりませんでしょうけれども、通産大臣、何かこれについて規制するよいお考えはございませんでしょうか。
○政府委員(松尾邦彦君) 先生御指摘のとおり、有名企業の類似商号を用いまして消費者に混同が生ずるような商法があることについては、私どもも大変遺憾に存じているわけでございます。先生御承知のように、商法あるいは不正競争防止法の規定がそれに対応するものとして存在しておりますけれども、ただいま御指摘のような事例につきまして必ずしも十分に対応し切れなかったこともあったかと存じます。 しかし、なかなかこの点、新たな類似商号の無断使用を規制するような、商法の基本原則にかかわるようなことを新たに措置することになりますと、なかなかこれは慎重な検討を要する点もあるわけでございますが、私どもといたしましては、豊田商事の場合の例について申し上げますと、消費者に啓発をするためのいろいろなパンフレットをつくらせていただきましたけれども、そのような際に、一流企業の名前を使って紛らわしいような商法を行っているので、消費者の方々は本当にその名前が一流企業そのものであるのかどうなのか十分注意して対処していただくようにという啓発をきめ細かくやってまいったつもりでございます。今後もそのようなことでとりあえず臨ませていただきたいと考えている次第でございます。
○抜山映子君 先ほど通産大臣が、だまされないように、消費者も欲張らないように注意すべきだと、これはまことにお説のとおりでございますが、トヨタゴールドでもわかりますように、だまされたのはほとんど老後に不安を感じております老人でございます。したがいまして、老人が老後の不安を感じないような施策をとるということが必要と思います。 そこで、新聞によりますと、国が武蔵野方式を導入いたしまして、持ち家を担保にして終生の生活費を支給する、こういう制度が検討されておると聞きますが、厚生省、この実現についてどういうような方針でしょうか。
○国務大臣(今井勇君) お尋ねの資産活用の問題でございます。高齢者の中には土地などの資産を保有している方も随分あるわけですが、こういった資産は売却してしまいますと、現金は手に入りますけれども住みなれた家を出なきゃならぬ、また担保にして金を借りましても、余りの長生きをされますと生きている間にこれを処分してまた家を出ていかなきゃならぬというふうなことになるおそれもあるわけです。そこで、いろいろ方法があるわけですが、自宅に住み続けながらも信託とかあるいは生命保険だとか損害保険などのこういった手法を用いまして、土地などの資産の価値を日々の生活に生かすことができないかということについていろいろ検討をしているわけでございまして、今先生のおっしゃいました武蔵野方式もその一つの例だと思います。 そういった場合に、問題は亡くなられたときに資産を処分して清算することになりますので、この間の地価の変動リスクだとか相続との関係、あるいは同居者がいる場合の居住権の問題、いろいろ問題がありますが、この問題、やっぱりどうしてもいろいろ各省の協力を得まして問題を解決しまして、何とかして実現させたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
○抜山映子君 さて、受験シーズンも終わりに近づきましたけれども、私立大学では受験者が入学する大学が最終決定する前に入学金等を納付させるのが圧倒的多数のようです。これは受験生の弱みにつけ込んだやり方と思いますけれども、文部省はこの納付の時期あるいは納付の方式について把握しておられますでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) それぞれの大学が入学試験あるいは入学に伴ういろいろな経費等を募集要項に明記して、それを承知の上で受験生が選択をされて、受験生と大学との間の、難しく言うと契約みたいなもので入学試験が行われておるわけでございます。しかし、入学金と授業料と設備利用費と、いろんなものをまとめて一括して取られますと、これは受験生の方も一つだけじゃなくて、二つ三つと、より一層自分の志す学校に行きたいというので複数受けられることがある。そういうときに、先生御指摘のように早くお金を納めてしまわないと合格が取り消されて困るというような実情があるようでございます。 文部省は、前年来のいろいろな御議論等も踏まえまして、各大学に通じては、その学校の授業を受けない者から授業料を取って返さないというのは、これは正義に反すると思いますし、施設設備を利用しない者から施設整備費を取るということもこれはいけないことだと思いますので、入学金以外のものに関してはそれは一定の手続を経て返還するように指導もいたしましたし、現在大学の中では約四四%ぐらいがこういう返納方式もきちっと明記しておるところでございます。 さらにもう一歩前進して、合格発表後直ちにお金を全部持ってこいということになりますと、先生御指摘のように、弱みにつけ込んでとかいろいろ嫌なことになってきますのでもう少し明るく、合格発表後入学金なんかを納めてもらわないとどれだけの学生が自分の学校へ来てくれるかという数の目安が立ちませんから、大学側の事情もあろうと思いますけれども、なるべく直ちにということはやめて、入学式の少なくとも二週間前の日以降に徴収するように、ゆとりの期間をしっかりと置くように各大学に指導をいたしておるところでございます。
○抜山映子君 少し把握が甘いようですね。「蛍雪時代」の全国大学受験年鑑によりますと、納入方式ですね、これは二段階方式、返還方式、延納方式、その他の方式といろいろあるわけですけれども、私立大学が三百三十ある中で、返還方式ですね、入学金を取ってあとは返すという方式、この数が一番多くて二百九にも上っておるわけでございます。それで、先ほど文部大臣は、入学金を除いて返還するならばいいのではないかというような御趣旨であったと思いますけれども、入学金を除く授業料とか教材費は後日二次手続で分納させるように指導なさるのがよろしいと思いますが、いかがですか。 〔理事桧垣徳太郎君退席、委員長着席〕
○国務大臣(海部俊樹君) 私の把握しております数字が違っておりましたら、これは後刻また再調査で御報告しますけれども、二回以上の分納をして納入させる方式、延納方式が全体の五六%と把握しております。また返還をする返還方式は全体の四〇%であると承知しておりますので、先生の御指摘とかなり違うようでありますから、改めて我が方で再調査をさしていただきたいと思います。 それから、入学金というものはやっぱり入学の約束を証明する一種の証明料みたいなもので、大学当局としては、もし合格発表しても入学者がそろわぬとはそれこそ第二次募集とかいろいろなことをしなきゃなりませんし、このごろ受験生の要求の中にも受験機会の複数化、なるべくいろいろなところにチャレンジできるような方策をつくれということ等もあるわけでありますので、大学当局がこれはあくまで自主的に判断される問題ではありますが、ただいまの延納方式や使わない設備に対する設備費を取るというような社会正義に反するようなことだけは行わないように既に指導はしておりますけれども、さらに一層促してまいりたいと思います。
○抜山映子君 私が申し上げたいのは、入学金を取るのは差し支えないとしても、その他の授業料とか教材費については後日入学する段階において取るように指導するのが文部省のあり方ではないか、こういうことなんです。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘は返還方式をとっておる学校がよくないというような趣旨にも承りますので、入学のときにはまず入学金を取って確保したならば、入学の前ごろまでにおくれてその他のものは納入するようにしたらどうかという御指摘かと承ります。これは研究に値することでございますので十分研究さしていただきまして、私学に対してもそのような御議論のあったことを伝えてみたいと思います。
○抜山映子君 私がなぜそういうことを申し上げるかと申しますと、返還方式になっておりましても、パンフレット等に返還の手続を小さく書いてあって親御さんがそれを見落としている場合が非常に多い、あるいはまた、返還時期がその次の学校の入学金よりずっと後になっておるために親御さんはそのための資金の手当てをしなければならない、こういうことが多発しておるわけでございます。その意味においてぜひ御検討いただきたいと思うのでございます。 ところで、予備校についても同じような問題があるのを文部大臣は御存じでしょうか。
○政府委員(國分正明君) お答え申し上げます。 予備校の入学金、授業料等の納入方法につきましては、基本的には先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、私立大学等の場合と同様でございます。すべての学校について私ども把握しているわけではございませんが、多くの予備校におきましては授業料の分納方法を採用しておりますし、また大学に合格した後におきましては授業料を返還するという措置を講じている実情にございます。
○抜山映子君 予備校の形態には、学校法人、財団法人、株式会社、個人経営といろいろあると思います。したがいまして、これは文部省だけの問題ではなくて、通産省あるいは公正取引委員会の問題にもなってくるわけでございます。 ところで、納入して返還方式をとっていると申しましても、その返還時期が非情にまちまちであり、またその返還の資格要件について、大学に入学した者という要件をつけているのもあれば……
○委員長(安田隆明君) 抜山君、時間が参りました。
○抜山映子君 はい。あるいは短大の資格も含めているのもあれば、いろいろなのでございます。この点につきまして、公取の方でどういうように指導してくださるか、ちょっとお答えください。
○政府委員(利部脩二君) 御質問のように、予備校につきましても学校法人であるもの、それから私企業的な経営をやっているもの、種々ございます。 学校法人が学校として行っているものにつきましては、第一義的には文部省の御指導あるいは教育機関としてのみずからの規律に服すのが適当だと思いますが、経営のやり方が一般の私企業と同様なものと認められるものにつきましては、公正自由な競争ルールに基づいて行動してもらわなきゃいけないわけでありまして、そういう観点から、好ましくない行為があれば規制は可能でございますし、今までも株式会社なり有限会社がほとんどすべてである中学校、高校への学習塾、進学塾等の不当表示につきましては、最品表示法で規制していたところでありますし、今後も同様な措置を考えていきたいというふうに考えております。
○委員長(安田隆明君) 以上で抜山映子君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(安田隆明君) 次に、田英夫君の質疑を行います。田君。
○田英夫君 先日ある新聞に、今度の国会では防衛論議が非常に少ないという意味のことが書いてありました。事実かもしれませんけれども、同時にその理由として、野党が大変物わかりがよくなったからだというような書き方がありましたが、だとするならば、私は大変問題だと思うわけです。 防衛問題については、政府と野党といいましょうか、国会といいましょうか、その間で一種の緊 張状態が常になければならないという気がするわけです。それは政府、特に防衛庁、外務省というお立場の場合には、アメリカとの間に日米安保条約があり、またアメリカの対ソ姿勢というものも現実にあります。そういう背景と、一方では平和憲法というものがある日本、できる限り防衛力というものは一定の枠の中になければならないという、そういう二つの立場というものが日本の中にあることは事実でありまして、それを反映して常に緊張状態がなければならないというふうに思うわけです。だからというわけではありませんけれども、防衛問題に入りたいと思います。 このことは、昨年の秋の臨時国会での外交・総合安保特別委員会で論議をいたしました。そのときに時間がなくていわば宿題になっておりましたので、引き続きこの問題に触れていきたいと思いますが、それはシーレーンの問題であります。 まず、シーレーンという言葉が使われ出して久しいのでありますが、一般の国民の皆さんの間で必ずしも正しい理解がないように思いますし、私も正確にわからない部分がありますので、その点を防衛庁から御説明いただきたいと思います。
○政府委員(西廣整輝君) 御質問のように、シーレーン防衛ということにつきましては、一方で対潜作戦の一つの態様であります航路帯の防衛といった、似たような言葉がありますので、かなり混乱していた時期もありますが、現在、私どもとしましては、シーレーンあるいはシーレーンの防衛といいますのは、航路の防衛あるいは海上交通の安全の確保といったような意味で使用いたしております。つまり、日本のような海洋国であり海外依存度の高い国としては、有事、国民の生存を維持するあるいは防衛のための戦闘を継続するためには、海外からの海上輸送というものの安全を確保するということが、国土防衛と並んで非常に重要だというように意義づけておるわけであります。そのための防衛というものをシーレーン防衛という言葉で言いあらわしておるわけでございます。 なお、防衛構想上はこのシーレーン防衛というのは、港湾でございますとか海峡等の防衛あるいは周辺海域等の哨戒、船舶の直接護衛といったような各種の作戦の組み合わせによります累積の効果によってその安全を確保しようというのが我が方の考えでございます。
○田英夫君 その範囲はどういうことになりますか。
○政府委員(西廣整輝君) 御承知のように、日本の防衛力の行使、自衛権の行使というのはあくまで国の安全のための必要最小限にとどまるべきものというように考えられておりますので、いわばその範囲というのは、あくまでその事態事態における事態様相に伴うものであって、一概に言えないということはまずお断り申さなければいかぬと思いますが、基本的には、私どもはかねがね、一応防衛力整備の対象といたしましては、いわゆる哨戒等周辺海域というものについては、太平洋側については約三百マイル、それから日本海等の大陸側につきましては百ないし二百マイルというものを一応の範囲に考えており、さらに船舶の直接護衛をする、いわゆる航路帯を設ける作戦をするといった場合には約一千マイルぐらいのものを念頭に置いて防衛力整備の目標を定めておるということでございます。
○田英夫君 オホーツク海も当然そうすると入ることになりますね。
○政府委員(西廣整輝君) 先ほど申しましたように、シーレーン防衛そのものが我が国の海上交通の確保ということが主目的でございますので、オホーツク海で何ほどの我が方の海上交通が行われるかということになると、かなり疑問であるというか、そう多くはないというように私ども考えております。したがいまして、オホーツク海方面については通常の、状況を知り得る監視活動なり、あるいはごく一部の沿岸航路といいますか、内航路帯の防護といったものが中心になろうというふうに考えております。
○田英夫君 これも昨年の秋出した問題ですけれども、今度の新防衛力整備五か年計画という中にP3C百機体制というものがありますね。この百機という数はアメリカに比べても大変多いわけですが、なぜこんなに必要なのかということを御説明いただきたいと思います。
○政府委員(西廣整輝君) 百機が多いか少ないかいろいろな御議論があろうかと思いますが、私どもの知り得る範囲ですと、例えば大西洋における海上交通の保護というものを見ますと、NATO諸国、これはアメリカ、イギリス、カナダ、NATOに入っておりませんがフランスというようなものがございますが、それらの国が所持しておる対潜航空機というものは五百機になんなんとするというように私どもは理解をいたしております。いずれにしましても、それより非常に広い太平洋に所在する日本として百機が多いか少ないかということでございますが、私どもの方の目標として考えられておる百機の対潜用固定翼対潜機というのは、大綱をつくります際に二つの用途、一つは船舶の直接防衛のために使いたい。これについてはいろいろな航路帯、内航航路帯で一つ、外航航路帯で一つというような考え方もございますし、あるいは外航航路で南西航路と南東航路とがある。それぞれで一つという考え方もあろうかと思いますが、いずれにしろ二つの帯を持ちたい、それで二十機である。 一方、周辺海域の哨戒、監視に使う。これは先ほど申し上げたように、太平洋岸約三百マイル、大陸側百ないし二百マイルという相当な広い海域でございますが、そこで所要の哨戒に必要なものとして八十機が必要であるということで整備目標そのものを決めておるわけでございます。
○田英夫君 それでは、現在P3Cは何機あって、どこどこに配備されているか、それを教えてください。
○政府委員(西廣整輝君) P3Cで既に契約をし、取得をしておるものというのは全部で二十五機でございまして、これが四カ所に配備をされております。八戸に七機、それから厚木が場所は二カ所で、同じ厚木でございますが、第三航空隊に八機、それから同じ厚木の第六航空隊に八機、それから第五十一航空隊と申しますか、これも厚木なんですが、二機ということで、それぞれ任務は別にしておりますが、いわゆる実戦任務についております部隊に二十三機でございますか、それと二機ということで配備をしております。
○田英夫君 それでは、そのP3Cというのは、離着陸に必要な滑走距離というのはどのくらい必要なんですか。
○政府委員(山田勝久君) 二千二百メートルで運用いたしております。
○田英夫君 私は、なぜP3Cにこだわるかと言うと、P3Cは対潜哨戒といいましょうか、海上輸送の護衛も含めて非常に防衛的な飛行機と考えていい。にもかかわらず問題にするのは、一機百三十億円と聞いておりますから、現在の値段で、これは百機体制といえば大変な一兆円にもなんなんとする金がかかるという、そういうことになるわけでありまして、それが一つです。もう一つは、対潜哨戒ということを日本がやっていくその結果として、どういうことになるのだろうかというあたりに疑問を持つので、その点にこれから触れていきたいのでありますが、その前に、今挙げられたのは八戸と厚木、二カ所ですけれども、二千二百メートルという滑走路が必要ということになりますと、今後百機体制になったときに一体どういうところが配備の候補地になるんでしょうか。
○政府委員(西廣整輝君) 固定翼対潜機につきましては、かつて百二十数機持っていたことがございますが、そのうちの大型機の置かれていた基地、現在でいえばP2Jが置かれている基地でございますから、北から申し上げますと先ほど挙げました八戸、厚木、それから鹿谷、那覇といったようなところがP3Cを置く対象基地になろうかと思います。
○田英夫君 ちょっとこれは今の議論と外れるんですけれども、今沖縄の石垣島で新しい空港をつ くる問題で、自然の破壊になるんではないかと、特にサンゴの美しい海が破壊されるということで住民が反対をしておられる。参議院の沖縄・北方問題特別委員会で昨秋現地視察をいたしまして、私も行ってきたのでありますが、これが新空港は計画によると最初二千メートル、第二期工事で二千五百メートルの滑走路をつくるということで、現地の住民の皆さんは自然破壊と同時に自衛隊用に使われるのではないかということを心配をしておられますが、この点はいかがですか。
○政府委員(西廣整輝君) 有事におきまして、いわゆる民間飛行場を自衛隊機が使うことがないかといえば全くそれはないということは言えないと思いますが、今お尋ねの特にP3Cについて申しますと、御承知のようにP3Cは航空機そのものもさることながら、これに非常に複雑な電子機器を搭載いたしております。またこのP3Cを運用するためには、地上のこれを支援するシステムと連係しなければいけない。例えばASWOCと申しまして航空対潜システムの支援を受けなければいけないとか、そういったことがございますので、仮に何らかのことで被害を受けて緊急着陸するという以外にそこを恒常的に使用するということになりますと、P3Cの維持整備なり、あるいは実際のオペレーションについて余り他の飛行場で継続的な使用ができるというふうには考えておりません。
○田英夫君 そこで、我が国を取り巻く世界の軍事情勢といいましょうか、米ソの対立といいましょうか、そういう中で特に今米ソ首脳会談が行われ、核軍縮について話し合われているという状況の中ですから、ぜひそうした緊張緩和の方向に向かって進んでほしいと思いますけれども、現実に対立が存在することは事実であります。そういう中でアメリカはソ連に対してさまざまな核を準備している。ソ連も同様であります。 その中の一つに、アメリカの場合は西太平洋、フィリピン沖にミサイル潜水艦を展開していると言われております。かつてはインド洋あるいは地中海と言われたものが、SLBMの射程距離が長くなるにつれて今フィリピン沖は実はアメリカの原子力潜水艦の海であると言われておりますし、オホーツク海はソ連のアメリカに対する原子力潜水艦の海になっているというふうに言われておりますし、これは事実だと思います。そういう中で今自衛隊がP3Cを百機持ち、そのうちの八十機が対潜哨戒を行うということになれば、日本の立場、アメリカとの関係、そういうことから、だれが考えてもそれはソ連の原子力潜水艦に対する対潜哨戒であると思うのが常識じゃないでしょうか。この点は間違っていますか。
○政府委員(西廣整輝君) 先ほどお答え申し上げましたが、まず一つはP3Cの能力といいますか性格から申し上げまして、この飛行機が例えば航空機による攻撃に大変弱いとかあるいは対空能力を持った水上艦に弱いといったようなことで、そういった例えばソ連ならソ連の航空勢力なり水上勢力の強いオホーツク海でいかなる行動ができるかということになりますと、それは非常に難しいものであろうかと思います。 一方、今フィリピンの方のお話もありましたが、先ほど私、防衛力整備の目標として八十機というものを想定していると申し上げましたが、この算定基準は、オペレーションのやり方によっていろいろ使い方があろうかと思いますけれども、基本的にエリア哨戒、海域哨戒という観点でとらえますと、先ほど申し上げた我が国領土の太平洋側三百マイル、大陸側百ないし二百マイルといった海域を仮にこのP3Cで哨戒をするということになりますと、十六、七の海域に分けて一個単位ずつが哨戒をするということで、大体その海域で一日所要の哨戒をやろうとしますと二十四機程度要ると私どもは計算をいたしております。そうしますと、二十四機がともかくその海域に入ってくる潜水艦を発見するために一日十時間なり十数時間飛ぶということになりますと、それらが見つけたときにあるいはもう燃料切れになっていることもございますから、そういうときに、地上にほぼそれと同数のものが待機をしていなくちゃいけないという計算になります。 さらに航空機というものは、特に対潜機はそうでございますが、ワンフライトしますとそれなりに電子機器等につきまして整備をしなくちゃいけないということで、月間の飛行時間というものも有事といえどもおのずから限界がある。そういったことを考えますと、先ほど申し上げた距岸三百マイルといったような海域の哨戒のためにぎりぎり八十機要るというのが計算になっておりまして、それ以上広げるということは、哨戒の仕方にもよりますが、非常に薄い哨戒で、あるとき一日だけするということであれば別でございますけれども、そうでない限り、そういう恒常的な哨戒というものは困難であろうというように考えております。
○田英夫君 私が伺ったのは、ソ連の原子力潜水艦に対する哨戒ではないかということを聞いているわけですが、政府の口からソ連という名前を出してお答えになることは非常に困難であろうということは想定ができますけれども、日本の置かれている状態、国際的な立場、そういうことの中で八十機のP3Cをそろえて対潜哨戒をやるというのは、明らかにソ連の原子力潜水艦に対するものであるというふうに考えるのが常識だろうと思います。 P3Cの航続距離が三千五百マイルあるということになれば、今おっしゃった三百マイルと大陸側が百ないし二百マイルという中で長時間飛べるわけですから、相当その範囲の中では綿密な対潜哨戒の役割が果たせるというふうに考えて当然だろうと思いますが、ここで念のために、ミサイル潜水艦に対してこれをどうやって攻撃するのかというやり方を教えてください。
○政府委員(西廣整輝君) ミサイル潜水艦という御質問でございましたが、私どもミサイル潜水艦に対しての攻撃というものは余り考えておりませんで、いわゆる我が方の海上交通の保護でございますから、艦艇を攻撃する攻撃型の潜水艦、これはもちろん原子力潜水艦というものを私ども念頭に置いておりますが、それに対する防衛パターンというものを御説明したい。よろしゅうございましょうか。 ということでございますと、いわゆる哨戒と護衛と二つがあると申しましたが、哨戒について申し上げたいと思います。 哨戒については、やり方としては大きく分けて二つあると思います。一つはデータムサーチと申しまして、こちらの船舶が何らかの被害を受けたとか、ある程度相手方の潜水艦が何かやったということを前提にして、そういう通報が入ったというときにすかさず出動をして、その周辺にソノブイを落として、そして相手の所在を確かめこれを攻撃するというやり方が一つございます。もう一つは、先ほど来説明申し上げているエリア哨戒と申しますか、かねがね一定のエリアというものについて、そこに相手方潜水艦が進出してくるかこないかということを監視をしておって、入ってきたならばこれに攻撃を加えるといったような、パターンが二種類ございます。 いずれにしましても、現在潜水艦というものは逐次原子力に移りつつありますので、かつてのようにレーダーで相手を発見する、相手が潜望鏡なりシュノーケルを上げているものをレーダーで発見するということは不可能でございますので、ある一定の海域にしかるべき間隔でソノブイというものを投下いたしまして、そしてその上をP3Cが旋回、滞空をいたしておりまして、そのソノブイがキャッチした潜水艦の発生音というものをまず端緒として逐次場所を局限をしていって、最終的に攻撃パターンまで持っていくというのが一般的な原子力潜水艦に対する捜索、攻撃のパターンでございます。
○田英夫君 今のお答えは、自衛隊としておやりになることですから当然そういうことをお答えになったと思いますが、私が聞きたいのはもっと一般的に、アメリカあるいはソ連が相手側のミサイル潜水艦を攻撃する、ミサイル潜水艦を攻撃しな ければ自分のところへ飛んでくるわけですから、八千キロもの射程距離を持っているわけですから、それを発見して沈めたい、これは米ソの場合当然のことだろうと思います、お互いに有事の場合には。それはいわゆる攻撃型原子力潜水艦で相手のミサイル潜水艦をいわばサブロックというようなやり方でやるのかどうか、こういうことを実は聞きたかったんです。
○政府委員(西廣整輝君) どうも失礼いたしました。 今まさに先生おっしゃいましたように、通常そういった例えば大陸間弾道弾等を積んだ潜水艦を攻撃するのは、その攻撃主体というのは攻撃型の原子力潜水艦であろうと思っております。と申しますのは、やはりそういったいわゆるSLBM、潜水艦発射の弾道弾を積んだ潜水艦というものは比較的自分にとって安全な地域に潜在をして、そこから攻撃するということでございますので、そこに入り込んでいってその潜水艦を攻撃できるというものは潜水艦をおいては、ほかになかなかないんではないかというふうに私どもは考えております。そのためにどういうパターンがあり得るかとすれば、かなり長距離からわかる水中索敵のための機材を用いて相手方の潜水艦の所在を確かめる、場合によってはP3C等で見つけることはあると思いますが、先ほど申したように、相手の潜水艦が隠れておるところそのものが安全なところで、P3C等がなかなか近づきがたいところだと思いますので、やはり原子力潜水艦をもってそこまで潜航していって、そして相手を発見し攻撃するというのが一般的パターンであろうと思っております。
○田英夫君 アメリカが持っているサブロックの場合には、これは核弾頭をつけることができると考えでいいですか。
○政府委員(西廣整輝君) サブロックと申しますのは対潜爆雷でございまして、通常これは核でございますが、水上艦が持っておるものというふうに御理解いただいた方がいいんじゃないかと思います。したがいまして、潜水艦が潜水艦を攻撃するといった場合に用いられますのは、例えば核魚雷であるとか、あるいは魚雷をミサイルで撃ち出して、それがパラシュートでかなり遠くまで行って水中に入って以後魚雷としての機能を果たしながら、それが核を持って相当な被害をもたらすといったような、例えば核搭載のアスロックを使うとか、そういったものが多いんではないかというふうに考えております。
○田英夫君 私が聞きましたのは、日本は非核三原則があるので、アメリカのミサイル潜水艦はこれは明らかにトライデントというような核を持っているわけですから日本に寄港しない、これはもう守ってくれているわけですが、攻撃型の原子力潜水艦はしばしば寄港している。最近はむしろ寄港が非常にふえている。その攻撃型原子力潜水艦が持っている今のおっしゃったそうした兵器は当然核を積んでいると考えなければならないにもかかわらず日本にしばしば寄港している、こういうことを心配をして言っているんですが、安倍外務大臣、この点はいかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日本は非核三原則がありますし、日米間では安保条約で事前協議条項があるわけであります。日米間では核の持ち込みにつきましては事前協議の対象になりますから、それは日本はノーだということを国会の席でも明らかにしております。アメリカからいろいろと艦船が入ってきていますが、いわゆる核を持ち込むというのと核搭載能力を持っているかということは別問題で、我々としては核を持ち込む場合は事前協議の対象になる、しかし核搭載能力を持っているかどうかというのは、そこはアメリカの問題であろう、こういうふうに思います。
○田英夫君 それはもういつもの外務大臣としての政府の公式なお答えなんですけれども、今の西廣防衛局長の話で、攻撃型原子力潜水艦がミサイル潜水艦を攻撃する場合の兵器、これは核兵器であるということを今言われたので、なおさら私は心配を強めざるを得ないんですが、防衛局長どうですか。
○政府委員(西廣整輝君) 先ほど私お答え申し上げたとおり、対潜攻撃あるいは対艦攻撃等に爆雷あるいは魚雷等使うことが往々あるわけでございますが、そういった戦術的な対潜兵器について効果をより大にするために核を使うこともあるということはそのとおりでございます。必ずしも核を常に使うというふうには申し上げませんが、核を使う場合も往々にしてあり得るということで、戦術核というものを持っておる場合もあり得ると思います。
○田英夫君 したがって、日本に寄港しているアメリカの攻撃型原子力潜水艦、これは攻撃型だから核はない、こう即断することは間違いだということは改めて確認をしておきたいと思いますが、時間が大分たちましたので、私がるるこのP3Cに絡んで申し上げてきたことの心配の姿勢を、なぜかということを私の方から申し上げておきたいと思います。 それは、今申し上げたような米ソの対立状態そして軍事情勢、その中で潜水艦に関するものは、特に核戦略ということの中でICBMとかあるいは戦域核兵器とかいろいろある中で、SLBM、潜水艦によるミサイル攻撃というものは非常に発見しにくいし、核戦略の中でお互いに非常に脅威である。そういうことを背景にして、しかも日本の周辺がまさに米ソのミサイル潜水艦の海であるというふうに思わざるを得ないという情勢があって、そこに日本が降ってわいたようにP3C百機体制ということを新防衛力整備計画の中でつくる。 これは一体、どういうことだろうかというそうした考えを発展さしていくと、アメリカの側からすれば、オホーツク海に潜っているソ連のミサイル潜水艦を何とか攻撃をし、これをつぶしたい、ソ連はまた逆に、フィリピンないし西太平洋に潜っているアメリカの原子力潜水艦を攻撃したい、そうした攻防が予想される中で日本の百機のP3Cが何らかの役割を果たすということになれば、これは非常にゆゆしい問題である。一兆円もの金をかけて日本がそろえる百機ものP3Cというのは一体何なのかというそういう疑問のもとに今お尋ねをしたわけでありますが、防衛庁長官から私のこうした疑問に対して明快なお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(加藤紘一君) 我が国は少ない防衛力で現在ある程度の我が国の安全を保っておるわけでございますけれども、その基本には、一つは日米安全保障条約そして我が国の自衛隊、その存在があると同時に、地理的な状況も非常に大きな要因ではないかと思います。それは海に囲まれているということでございまして、この海が我が国の防衛にとってどういう状況になっているかということは、自衛隊発足以来の最大の関心であったと私は思います。そういう中で、我が国の周辺海域にいかなる国のいかなる艦船があるかということは常に調べておかなければならないし、P2Jのころから、またP3Cになってもその基本は私は変わっていないと思っております。 よくアメリカやほかの風々の防衛力の規模に比して我が国のP3C百機体制というものが大き過ぎるのではないかという議論がございますけれども、それは我が国が海に囲まれていて、それをうまくテークアドバンテージするというところから本未来ていることなんではないだろうか、ほかの違った地理的条件の国は違った飛行機や違った装備を大きくするのではないだろうかなと、こう思っております。 そこで御指摘の、米ソが核の抑止力ということでそれぞれSLBMを装備したり、かなり激しいことをやっておる中に我が方が巻き込まれないのかという御指摘の点でございますけれども、ただいま防衛局長が御答弁申しましたように、本当に長射程の、そして大変な威力を持った原子力潜水艦、ミサイル潜水艦の場合にはそれぞれ極めて安定したかなり奥地の中で行動をするだろうと思いますし、そういうものが我々のP3Cで直接簡単に探知できるものではないし、またそれを前提と したものでもない。明らかにP3Cというのは我々のこの海域についての哨戒監視だろうと見ていいと思います。 じゃ、オホーツク海で将来有事になった場合には我々はどうするのかということでありますけれども、我が国の防衛にかかわりますこういったP3C体制というものが、そういった米ソがオホーツク海で激しい有事になっているときに、我々がそこにわざわざ行って、そして極めて危険な情報取りをするということはあり得ることなのか、その点は我々当然のことながら慎重にし、多分そういうところには行かないということは、防衛局長がほかの委員会でも答弁申し上げているとおりであります。なぜならば、そういう危ないところを日本の船団がそのときに通るわけございませんので、そういったときに我が国が哨戒監視、それから海上交通路の安全確保という意味でそういうところに行く任務というのもそのときはないし、またその紛らわしいことはすべきではないというような運用をすることが我が国の基本原則ではなかろうかな、こう思っております。
○田英夫君 このP3Cにかかわる問題は、このくらいに残念ながらせざるを得ないのでありますが、先日もフィリピンの政変がありました。そのときに、アメリカのレーガン大統領がマルコス大統領でもいいではないかというようなことを記者会見で述べて、しかもかなり激しい調子で新聞記者に食ってかかるようにして答弁を述べまして内外のひんしゅくを買って、翌日は見解を変えたという事実がありましたけれども、アメリカの場合はやはりスビックの海軍基地というものを、クラークももちろんでしょうけれども、絶対に確保したいというそういう思いがレーガン大統領のああいう姿勢になってあらわれたのではないかと私は見ているわけです。いかにアメリカにとってフィリピンの軍事基地が重要か、これは今私が申し上げたフィリピン沖がアメリカの原子力潜水艦の重要な海域であるということと連動するんだというふうに考えているわけです。この問題はいずれまた勉強さしていただいて議論を続けたいと思います。 韓国の問題、外務大臣に伺いたいんですけれども、昨日も先州で新韓民主党を中心とする五万人の大集会があったということが伝えられております。いわゆる憲法改正の問題について与野党が激しく対立をしておりますけれども、外務大臣は今の韓国状況というものを簡単に言ってどういうふうに見ておられますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今新聞で盛んに報道しておりますように、いわゆる憲法改正問題をめぐりまして与野党が非常に対立状況にある、さらに、これを支持する国民の間にも対立が生まれておる、今度光州でもああした大集会が起こってそれに対する検束等も行われたということで、今韓国ではやはり憲法改正問題が非常に大きな政治問題になっておるということを痛感をいたします。これは何といいましても韓国自体の内政の問題ですから、政府としてこれに対してとやかく言う段階ではありませんけれども、我々は隣国の友国として韓国においてこうした事態がやはり、民主的といいますか、平和的に処理されるといいますか、そういう方向に行くことを念願をいたして見守ってまいりたいと思っております。
○田英夫君 確かにこれは韓国の内政の問題でありますけれども、隣国でもありますし、外務大臣言われるように、人ごとではないということも事実だと思います。特に皇太子訪韓という問題が今両国政府の間で話し合われているというふうに伝えられるわけで、事実だと思いますけれども、外務大臣もここでも何回か述べておられますが、私もやはり皇太子が行かれるということになれば、韓国の政府、与党、野党、国民全部がこぞって心から迎えてくれるようなそういう状況下で行かれなければならないというふうに思うわけです。ところが、新韓民主党の常任顧問である金泳三氏は、皇太子訪韓に真っ向から反対をする態度を表明をしております。私も二週間ほど前に彼と電話で話しましたけれども、非常に明快にこのことを言っておりました。こういう状況の中で、ことしの秋にも行かれるということが言われておりますけれども、果たしてそれはいいことだろうかというふうに私は疑問を持たざるを得ない。 特に、予言をするようでありますけれども、きのうの光州の五万人集会に続いて、釜山、光州ときたわけですが、まだこれから各地で集会をやって盛り上げていく中で、四月十九日の学生革命記念日、李承晩を倒した記念日ですね。それから、五月十八日の光州事件の記念日というところに向けて学生を中心とした反全斗煥政権勢力が大きくこの運動を盛り上げようとしているという中で、私は私見を申し上げるならば、皇太子訪韓ということはそうした状況を見た上で公にすべきではなかったかと思っているわけです。 ここで、宮内庁がおいでになっていると思いますが、宮内庁は一体この皇太子訪韓という問題についてどういうふうに受けとめておられますか。
○政府委員(山本悟君) 三月上旬に韓国政府から公式に皇太子殿下の御訪問をいただきたい旨の招請がありまして、これを受けまして、政府としてこれを推進する方向で検討することとされたということはよく承知いたしているところでございます。 言うまでもなく、皇族の外国への公式訪問ということは、その国と我が国との友好の増進という親善の目的を持ったものでございまして、その実を上げるのに最もふさわしい時期である必要があるということは基本的に常に言えることと存じます。 今回の具体的な皇太子の御訪韓につきましては、先般、先ほど御指摘もございましたように、外務大臣からこの委員会におきましてもいろいろ御答弁があっておりまして、皇室のことであるので非常に慎重に考えておるし、おいでになれば韓国の国民、政府の心からなる歓迎をしていただきたい、こう思っているというような御表明もあっているところでございまして、まさにそのとおりであろうと存じます。 そういうような意味から申し上げますと、いろいろな諸事情というもの、新聞等で報じられているような事情というようなものは、政府におかれても慎重に対応していらっしゃるというように存ずる次第でございますので、現在、宮内庁としてどうだというような表明は避けさせていただきたいと存じます。
○田英夫君 このことでもあらわれているんですけれども、外務省も他の国に比べて人員が非常に少ないと以前から言われていることですけれども、そういう意味で大変だろうと思いますし、大蔵大臣おられますけれども、苦しい財政の中ですが、日本のような外交が国際社会の中で生き抜いていく中で非常に重要な役割を果たす。防衛庁長官もおられるけれども、いわゆる軍事面での役割ということはないわけでありますから、外交が特に重要なので、もっと情報を正しく収集できるような体制というものをとらなければならないと思います。特に先日のフィリピンとかあるいは韓国というような政治情勢の国の場合に、特にフィリピンはマルコス体制時代、そして今の韓国ですけれども、政府としては、その相手の政権がどういう姿勢をとっていようと国と国とのつき合い、政府と政府とのつき合いという中で、例えば今ソウル駐在の日本の大使館の人たちが公然と金大中氏と会っていろいろ情報を聞くということはなかなか不可能だし、もしやれば金大中氏に見合うような大使とか公使とか、そうした位の人が接触をすればあからさまに不快感を表明されることは当然でありましょうから、正しい情報がなかなかとりにくいという事情はよくわかります。 しかし、そうした例えば今度の場合でも野党側の情報というものが必ずしも正確に把握されていなかったために、政府と政府の間で皇太子訪韓ということが表に出してしまって、それに対して、今や強力な野党になっている新韓民主党がこれに反対をするということで、もし野党側の反対がさらに大きくなってきて、ここまで公になった皇太子の訪韓が実現できないような情勢になるという ことはまことに遺憾なことになるんです。そういう意味で外務省の情報収集の体制というものをもっと考えるべきではないだろうか、これは特に政府・与党の皆さんにお願いをしたいという気持ちになるわけでありますが、外務大臣いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) おっしゃるように、我が国の外務省は先進国の外務省と比べますと人員につきましても不足をしておりますし、また予算も財政再建という状況の中で足らないわけですから、そういう意味では大変苦労しております。しかし、それなりに情報収集等については努力もし、予算が足りない割には成果も上げておるんじゃないかと思っておるわけです。 しかし、これからの国際社会というのはますます情報化が進んでくるわけでありますし、いろんな問題が世界じゅうに起こっているわけですから、もっとやっぱりそうした外交の情報収集体制というものを強化することが日本の総合的な安全保障といいますか、日本の外交を強力に推進する上においても非常に大事であるということを私も全く痛感をいたしておりまして、その点についてこれまでも努力をしましたが、これからもひとつ努力を重ねていかなければならない、外務省にとりましては最大の課題であろうと思っております。
○田英夫君 それにも関連をするのでありますが、やはり韓国に絡む問題として、チームスピリットが始まったために今中断をしておりますが、いわゆる南北対話の再開が近いと思いますが、もちろんこうしたことは歓迎すべきことではありますけれども、この南北対話、赤十字あるいはスポーツ、そして国会レベル、経済問題、いろいろな分野で行われておりますが、これはどう評価されますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 南北対話、これは政治の対話あるいは経済、文化、人的交流、スポーツ等についての対話がずっと続いてまいりまして、チームスピリットの演習で一時中断という形にはなっておりますが、しかしこれが終われば両国とも対話を再開するという意欲は十分あるように見受けられますし、既に徐々に成果の上がっておる面も出てきておりますし、したがって私は、この対話は今後とも全体を見通す場合においては相当活発に行われる可能性があるというふうに見ております。日本としましてもこうした南北対話が推進されるようなひとつ環境づくりに日本なりの役割も果たしていかなければならない、こういうふうに考えております。 特に、米ソの首脳会談がこれからどうなるか、あるいはまた、ソウルにおける一九八八年のいわゆるソウル・オリンピックというものを控えてもおりますし、全体的には、また北朝鮮における経済のこれからの活性化、あるいは新しい体制といいますか、リーダー体制がどうなるかというようなことも考えますと、むしろ私は緊張というよりは緩和の方向へいろんな面で進む可能性があるのではないか。それに対して何か役割を果たせるなら果たすのが日本の一つの外交のあり方であろうと、こういうふうに思っております。
○田英夫君 南北の対話はもちろん歓迎すべきことでありますけれども、これも一つの情報ですが、韓国の新韓民主党の中の例えば金泳三氏に代表される人たちはこの南北対話を評して、これは明らかに南北現政権の権力維持のための話し合いでしかないというふうに、評価していないのであります。こういうことも一つの御参考にしていただきたい。もちろん政権同士というものが力を持っているわけですから、それがやっていることは歓迎すべきことでもあり評価をしなければなりませんけれども、一方でそういう意見もある。そのまたそう思う背景もなきにしもあらずということを私は感じます。 一つそれに関連をして、アメリカが最近の韓国のさっきお話ししたような状況を見て、またフィリピンのああいう政変を見て、韓国に対する姿勢を転換しつつあるのではないかという情報があります。私もそれにやや同感なんでありますけれども、例えば三月から来月にかけて、就任したばかりのシグール東アジア・太平洋担当国務次官補、これが急遽ソウルヘ行く、それからワインバーガー国防長官が日本を含めてですが韓国へ四月早々に行く、あるいはシュルツ国務長官も東京サミットの後には韓国を訪問する予定があるというふうなことで、あるいはソラーズ氏が現在行っているということで、アメリカの政府、議会の重要な人物が相次いで韓国を訪問しているという、そんな中で一つの転換が起こるのではないかという気がいたしますが、転換というのは、全斗煥政権に対して厳しい姿勢をとる。つまり、民主主義ということを尺度にして、かつてのカーター政権ほどいかなくとも、レーガン政権としては一つの大きな転換をするのではないかというふうに見られるように思いますが、いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) アメリカにとっては韓国はいわば同盟国でありますし、やはりその韓国の政治あるいはまた経済が安定をしていくということがアメリカにとって好ましいことであろうと、そういうふうに思います。そういう面から、韓国の政情あるいはまた経済に対しましては非常に重大な関心を持っていることも事実じゃないか、こういうふうに考えております。そういう立場からすると、今の憲法改正問題を中心にする韓国の対立というのがどういうふうになっていくかということも、これは日本にとってもそうですが、アメリカにとってはさらに大きな重要な関心事項であろうと思うわけで、そうしたいろんなやはり観点から、韓国との間のいろいろの接触を各面で強めておるということは私はアメリカとしては当然のことであろう、こういうふうに考えます。
○田英夫君 外務大臣は韓国を訪問されるというようなお気持ちはありませんか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 目下のところは、そういう計画はありません。
○田英夫君 外務大臣が先ほど、この南北対話が行われている中で、緊張緩和のために日本もそれなりの役割を果たしたいというお話がありました。これはまことに同感でありまして、ぜひそういう意味で積極的に外交を展開していただきたいと思いますが、ただその場合に、北は国交がないわけでありますしなかなか困難があろうと思います。しかし、与党の自民党の谷代議士も日朝議連の会長代行という形で先日行かれまして、ホ・ダム前外務大臣を招請するということを決めてこられた。私も日朝議連の実は副会長をしておりますが、そういう方向に進むことを政府としてはどうお考えですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私も谷日朝議員連盟会長代行から北朝鮮を訪問されましたその実情、会談の内容等について承りました。ホ・ダム氏を日本に受け入れたい、こういうことでもございました。それで、政府としては、まだ正式にそういう申し入れがないわけでございまして、今の谷会長代行の御意見等は十分私も頭の中に置いておるわけでございますが、そうした正式な申し入れがあった段階で、これまでもそうでございますが、ケース・バイ・ケースという形でこれに対して対応してまいりたいと、こういうふうに思っております。
○田英夫君 ぜひひとつ、前外務大臣というそうした立場の方が日本に来られるということは、一つの姿勢を示す上で大きなことだと思いますし、それをまた政府が認めるということも、そういう意味で、雰囲気づくりということで役に立つと思います。全斗煥政権がどう思うかということも一つの政府間の配慮としてはしなければならないことだとは思いますけれども、それだけにとらわれていたという今までの、率直に言って今までの政府の態度をこの際、アメリカも動き始めていることでもありますし、ひとつぜひ考え直していただいて、朝鮮半島における転換を志していただきたいということをお願いをして、時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○委員長(安田隆明君) 以上で田英夫君の質疑は 終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(安田隆明君) 喜屋武眞榮君の質疑を行います。喜屋武君。
○喜屋武眞榮君 戦後四十一年になりますけれども、我が国にはまだ未処理の問題が対外的にも国内的にもあると思われます。 そこで、官房長官見えておられませんか。――それじゃ、外務大臣を先にしてください。 対外的に考えられる未処理の問題、国内的に考えられる未処理の問題、どのような問題が考えられておりますか。
○政府委員(的場順三君) 戦後のいろんな未処理の問題は総理府でございますので、私その中の台湾人元日本兵問題を担当いたしておりますので御答弁いたしますが、その戦後の未処理の問題の一つとして、台湾人元日本兵の戦没者等に対してあるいは負傷者等に対してどういう補償をするかという問題が一つ残っている、それが戦後未処理の問題の一つであるというふうに認識しております。
○政府委員(田中宏樹君) お答えいたします。 総理府でございますが、総理府として現在検討しております戦後処理問題でございますが、非常に今なお強い要望が寄せられております在外問題を初めとしまして、恩給欠格者問題あるいは戦後強制抑留者問題などのいわゆる戦後処理問題につきまして、五十七年から二年半ほどかけまして戦後処理問題懇談会の報告書をいただきまして、これが提唱しております特別基金でこれに対処をしてまいりたいと思っておりまして、この特別基金の内容その他どういう事業活動を盛り込むかというようなことにつきまして目下検討を進めているところでございます。
○政府委員(小谷宏三君) お答え申し上げます。 沖縄開発庁でございますが、沖縄開発庁で取り扱っております戦後処理問題といたしましては、不発弾処理、対馬丸遭難学童遺族に対する給付、位置境界不明地域内の土地の位置境界明確化、土地関係等事案に係る対米請求権等でございます。 これらの問題の処理につきましては、予算などによりまして沖縄開発庁において今後も鋭意努力していく所存でございます。なお、土地の位置境界明確化につきましては既に立法化もしていただいております。
○委員長(安田隆明君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。
○喜屋武眞榮君 官房長官にお尋ねします。戦後四十一年になりますが、まだ対外的にも国内的にも未処理の問題が考えられます。どういう問題がございますか。
○国務大臣(後藤田正晴君) いわば未処理問題として今論議せられておりますのは、一つは在外資産の問題、恩給欠格者の問題、いま一つが戦後強制抑留者の問題、まあ大体この三つが残っているわけでございますが、これについては御案内のように、官房長官のところに学識経験者を集めましていろんな御意見を聞いた上で、その多くの御意見はいわゆる個別の補償はこの際適当ではなかろう、やはり何らかの基金を設けて、お立場は大変お気の毒な事情の方々でございますから、それらを頭に置きながら基金制度を設けて、何らかの意味合いにおいて慰めといいますか、そういったことに取り運んでいくのがよかろう、こういうことでございますから、今それらを受けまして政府で今のそれら三つの事項について一万名ばかりを無作為抽出をして、それらの方々の御意見を今集めて、それで何らかの結論を出そうということで調査中でございます。 もう一つは何があるかといいますと、台湾人元日本兵の処遇の問題がございます。この点につきましても、これは日中間の外交問題が一方にございますし、それから同時に、たしか私の記憶では最高裁の裁判が今継続中だと思います。そういったようなこともあって今日になっておるわけでございますが、この問題についてはやはり裁判の結果も見なければなりませんが、いずれにせよ補償がいたしてございませんので、これは外交関係という重大な課題が一方にありますけれども、政府としては何らかのこれは処理を要するのではなかろうかというような意味合いにおいて検討すべき課題であろうと、かように理解をいたしております。 以上でございます。
○喜屋武眞榮君 対外的な今挙げられた問題につきましては、ぜひ速やかに解決の方向へ努力してもらうことを要望いたします。 次に対内的な問題につきましては、特に沖縄戦の立場からも、沖縄に問題を絞って厚生大臣に尋ねます。どういう問題がございますか。
○国務大臣(今井勇君) 沖縄におきます遺骨収集の問題と対馬丸の問題であろうと思います。
○喜屋武眞榮君 今尋ねましたのは、未処理の問題でどういう問題に今取り組まれておりますかということなんですよ。
○国務大臣(今井勇君) 失礼いたしました。あとは新国民年金の問題であろうと思います。
○喜屋武眞榮君 それだけですか。
○国務大臣(今井勇君) 繰り返しになると思いますが、沖縄におきます遺骨収集の問題、それから対馬丸の問題、それから年金の問題、そのように思いますが……。
○喜屋武眞榮君 ただいまの厚生大臣の御答弁を承りまして、まことに沖縄問題に対する態度が思いやられます。 それでは具体的に質問いたします。遺骨の収集については今まで幾柱収集されましたか。
○政府委員(水田努君) お答え申し上げます。 沖縄におきましては、御案内のとおり、沖縄県民及び県当局の積極的な御協力を得ながら戦没者の九八%に近い収集を既に終えているところでございまして、残りの二%強、約四千八百柱、この方々は埋没ごうの中にあるものと推定いたしておりまして、ほぼその所在も確認いたしておりますので、私ども沖縄県から要請がございます六十二年の国体が終わるころまでにひとつ完了してほしいという要望を受けておりますので、その線に向けて最大限の努力をしてまいる所存でございます。
○喜屋武眞榮君 遺骨一つとらえても沖縄の戦後はまだ終わっていないという立証だと、このように理解してもらいたい。 次に、今陸上における遺骨収集ですが、海上の遺骨収集についてはどのように考えておられますか。
○政府委員(水田努君) お答え申し上げます。 海上における戦没者というのは、国際的に見ましても船の中で死者が出ました場合は水葬に付すというのが国際的な慣行になっているんでございまして、海上の死没者というのは海の中で安らかに眠っていただくというのが国際的な死者に対するあれでございまして、私どもは海没の遺骨については、最近ダイバーブームになっておりますので、ダイバー等の人目に触れる、大体三十メーターぐらいが素人のダイバーの潜れるところでございますが、そういうところは遺骨の尊厳が損なわれますのでそういうものは収集いたしておりますが、一般的に申し上げまして、海上の遺骨につきましては今申し上げましたように海上で安らかに眠っていただいて、そのかわり御遺族の方に海上の慰霊巡拝という形をとらしていただいて船の上から慰霊の誠をささげていただくと、こういう形をとっているところでございます。
○喜屋武眞榮君 たび重なる私の尋ねによりまして出た答えは、学童疎開の対馬丸の沈没の位置が四カ所提起をされております。その四カ所をどうしても探り当ててもらわなければいけないが、いかがですか。
○政府委員(水田努君) 先生から再三にわたる政府に対する質問主意書でその点御質問を受け、その都度お答え申し上げておりますように、推定される場所が海の深さが八百メーター以上ということになっておりますので、これの位置を確定することは、科学技術庁の方とも御相談いたしましたが、ちょっと技術的に困難であるというふうに考 えておる次第でございます。
○喜屋武眞榮君 今までの質問の段階では今言われたとおりの答弁がありました。ところが、日本の科学技術が著しく進歩しておる、戦艦大和の位置も探り当てられた、こういうことからしますと、どうしても沈んだ位置を調べてもらわなければいけないと、こう私はここで重ねて申し入れますが、いかがですか。
○政府委員(水田努君) ただいまお答え申し上げましたとおり、沈没の位置の確定というものは、大変な深海でございまして、私どもも科学技術庁と御相談いたしておりますが、大体百メーターから百五十メーターぐらいまでが限界ではないかというふうにお聞きしているわけでございまして、その近くの海域に対しましては、私ども六十二年度以降のできるだけ早い時期に南西諸島に対する、その他の沈船も多いわけでございますので、海上からの慰霊巡拝というものを検討さしていただきたい、このように思っておる次第でございます。
○喜屋武眞榮君 拒否の態度はどうしても納得できません。やる意思があるかないかというところに私は来ておると思います。科学技術庁長官いかがですか。
○政府委員(内田勇夫君) お答えいたします。 科学技術庁でございますので技術的な観点からだけお答えいたしますが、対馬丸の沈没箇所の調査につきましては、先生からの質問主意書五十九年十二月にお答え申し上げておりますが、そのときは「広範囲の海域での捜索を要すること、また、海底には岩礁等の存在も予想されることから、こうした深海において対馬丸を発見し、船体の現況を調査することは、極めて困難である。」というふうにお答えしておるところでございます。その後も私ども、海洋の調査技術の開発というのは非常に重要でございまして、いろいろ努力をいたしておるところでございまして、広域探査の技術につきましても若干の進歩はございますが、残念ながら現在の時点におきましてはまだ対馬丸の位置を確定するということは困難な状況でございまして、一昨年十二月お答えしたときと基本的には変わっていない状況でございます。
○喜屋武眞榮君 納得しません。四カ所異なる記録が出たというそれ自体が、私は誠意を持って取り組むならば必ず可能であると思いますが、いかがですか。
○政府委員(内田勇夫君) ただいまのお話でございますが、確かに現在までの資料によりますと四カ所位置がございまして、それぞれ違った幅の中に入っておるわけでございます。南北で申しますと四十キロ弱ぐらいの幅の中に入っておるわけでございますが、こういった調査をいたしますときには、まず船の上から海底を音波で探査をいたしまして、まず地形の状態を調べまして、それからサイドスキャンソナーというものを沈めまして、それを曳航しながら捜すということで、さらにそれで異常があればカメラ等を沈める、こういうのが一般的な調査のやり方でございますが、これだけ広い地域でございますと、こういった方法で、しかも深さが八百メーターあるということでございますと、精度としては非常に低いものでございまして、なかなか位置を確定するというのは現時点ではまだ難しいのではないかというふうに考えております。
○喜屋武眞榮君 困難であるということは認めます。ところが、もうここまで来て、四カ所は記録が出たが、遺族は海上慰霊祭を毎年やっておる。この心境を思いますときに、ここに沈んでおるというその位置をどうしても探り当ててもらわなければいけない。もう一遍その確認を得たい。そのままどうしても承諾するわけにはいきません。
○国務大臣(河野洋平君) 先生のおっしゃる遺骨の所在を捜す御遺族の心情を考えれば、私は大変よく理解ができるわけでございます。ただ、私ども科学技術庁といたしますれば、ただいま政府委員から御答弁申し上げましたように、技術はある程度進んできておりますが、広域を捜査するということになりますとまだ十分な能力がないということでございまして、先生御指摘のとおり、例えば四つのスポットに絞って云々するというようなことでありますれば、私は方法はあるかもしらぬというふうには思います。しかし、これはもう一義的には厚生省の考え方が、御遺族に対してあるいは遺骨というものに対してどういう対応をするかということがまず先であって、厚生省のお考えがはっきりいたしまして、私ども科学技術庁にこういう部分についてこういうことができないかという具体的なお話があれば、私どもは技術的な面からお手伝いをするということは、その具体的なお話があれば十分検討はできる。しかし、現在の技術をもっていたしましても、水深が八百メートル以上、しかも相当広範囲なところを捜すということになると、必ずしも精度は高いものではないというのが現在の状況でございます。一義的には厚生省のお考えということではないかというふうに考えるわけでございます。
○喜屋武眞榮君 既にもう二千メーターの深海技術が可能であるということも発表されております。その科学の進歩した日本において、そういう方向に手がけられぬということはどうしても納得がいかない。まずやってみて、だめだったらそれはまたその時点で考えますか。長官、もう一遍。
○国務大臣(河野洋平君) 今申し上げましたように、科学技術庁としては、技術開発の分野を担当いたしますと同時に、総合調整が私どもの仕事でございまして、今先生がおっしゃるような仕事について厚生省のお考えがはっきりまとまりますれば、技術的にどうするかを具体的に検討をするということはその時点で私ども十分考えたい、こう申し上げているわけでございます。
○喜屋武眞榮君 厚生大臣。
○国務大臣(今井勇君) 先ほどの先生のお話をずっと聞いておりまして、お気持ちは痛いほどよくわかります。問題は、現在の技術では一体できるかどうかという問題があるようでございますが、今後どのようにしていけばそれが本当にわかるのか、できるのかということをひとつ十分に御相談をしながら見守ってまいりまして、そのような形で少しでも先生の御希望がかなえられますようなことをいろいろまた相談をしてみたいと思っております。
○喜屋武眞榮君 現在の技術でできるかどうかとおっしゃったが、できるかどうかをやってみて結果を聞きたい。もう一遍。
○国務大臣(今井勇君) 私も、できるかどうかということを申し上げたのは、十分な知識を持ってないものでございますから、そこらあたりをよくやはり検討いたしませんと、しかとした御答弁ができないという意味で申し上げているわけでございます。
○喜屋武眞榮君 とにかく誠意を期待します。 次に、不発弾の処理について、今頻繁に沖縄では大型不発弾が続々と出ております。 開発庁長官に尋ねます。今までに処理された不発弾の量は幾らか。
○国務大臣(古賀雷四郎君) お答えいたします。 沖縄県における不発弾頭の対策事業におきまして、地元住民の皆さんからの不発弾頭の埋没箇所についての情報に基づき速やかに計画的に探査し、発掘の上に処理を行っております。また建設工事などに際しまして発見された不発弾につきましては、その都度緊急処理を行っておりまして、昭和四十七年度から現在までに約七百五十トンを処理いたしております。 沖縄県はさきの大戦の激戦地でございますし、現在もなお年間相当量の不発弾頭が発掘されておりますし、まだ多くの不発弾頭が地中に埋没しているものと想像されます。そういう状況でございますので、住民の方に大変不安をかけておりますことはまことに残念でありまして、関係方面と十分連絡をとりまして、今後とも所要の措置をとってまいりたいというふうに考えております。
○喜屋武眞榮君 未処理相当量とおっしゃったんですが、どれぐらいを予定しておられますか、予想しておられますか。
○政府委員(小谷宏三君) お答えいたします。 現在どの程度の不発弾がなお存在しているか、この数量は不明でございます。
○喜屋武眞榮君 すると、あと何年で完全に処理されるつもりか。
○政府委員(小谷宏三君) お答えいたします。 現在残っております総量がはっきりいたしませんので、あと何年ということも計算できないような状況でございます。
○喜屋武眞榮君 あと六十年はかかるとあなた方は言っておられると思うんだが、いかがですか。
○政府委員(小谷宏三君) 現在どの程度の不発弾が残っているかにつきまして、巷間いろいろな数字がございます。あるいはその中の数字を現在の一年間の処理量で割ればそういう数字が出てくるのかもわかりませんが、私どもといたしましては、責任を持って現在何トンあり、今後何年で一掃できるかということは申し上げかねるわけでございます。
○喜屋武眞榮君 防衛庁長官、処理を急ぐには防衛庁と重大な関係があるわけですが、いかがでしょうか。
○政府委員(宍倉宗夫君) 不発弾が発見されましたときには、自衛隊の方でその処理に当たっております。
○喜屋武眞榮君 とにかく沖縄の県民は、不発弾をまくらに生活しておるといういまだに実情。 防衛庁長官、ひとつこの不安と危機を救うためにどうしても防衛庁の力をかりなければいけない。長官いかがですか。
○国務大臣(加藤紘一君) 不発弾があるということはいろんな不安もあろうと思いますし、今、官房長がお答えいたしましたように、その発見がありましたら、我が国の中でその処理をしっかりとやれる専門家というのは防衛庁だけにしかいないかと思いますので、私たちがすぐ精いっぱいの努力をして早急に処理をいたしたい、そのように督励をいたしたいと思います。
○喜屋武眞榮君 ぜひひとつ誠意を持って速やかに処理ができるよう努力してほしいということを要望しておきます。 次に、沖縄基地の現状ですが、最近米軍機が民間飛行場に着陸するケースが頻繁になっております。 そこで尋ねますが、一体米軍機が民間飛行場に着陸できるその決め手は何であるか、その根拠を尋ねたい。
○政府委員(小和田恒君) 喜屋武委員御承知のとおり、我が国は日米安保条約どこれに基づく地位協定のもとにおきまして、米国に対して必要な施設、区域を提供しているわけですが、それと同時に米軍の航空機、艦船等が我が国の一般の飛行場あるいは港湾に対しても出入することを認めているわけでございます。これは、日米安保条約に基づきまして、米軍の存在が我が国の安全を含め極東の平和と安全の維持に協力をしておる、そういう中で、我が国としては米軍の我が国における活動の円滑化を図る、確保するということが安保条約の目的達成のために重要であるという考え方に基づいているわけでございます。 具体的には、地位協定の第五条に基づきましてそういうことが取り決められているわけでございまして、米軍の航空機が我が国が施設、区域として提供している以外の飛行場に着陸するというのは、この規定に基づくわけでございます。もちろん、ただいま申し上げましたように、そういう目的でこの第五条の規定というのはつくられているわけでございますから、米軍の活動に伴って我が国の国民生活への影響というものはできるだけ小さくされなければならないということは当然のことでございます。
○喜屋武眞榮君 運輸大臣、どういう状況にありますか。
○国務大臣(三塚博君) ただいま外務省の答えたようなことで処理をいたしておると、こういうことであります。民間航空でありますから、その民間航空がアジャストされまして安全が確立をされるという基本方針のもとに、地位協定第五条、これもやむを得ないことであり、そういうことの申し入れ、今申し上げた状況の中でこれを処理してまいると、こういうことであります。
○喜屋武眞榮君 この規定は地位協定の二条と五条にかかわる問題かと思うんですが、それを言ってください。法制局長官。
○政府委員(小和田恒君) 先ほどもお答えいたしましたように、我が国は日米安保条約とそれに基づく地位協定のもとで施設、区域を提供しているわけでございますが、この施設、区域に関しましては地位協定の第二条で規定をしているわけでございます。他方、第五条はこの施設、区域として提供しているものに限らず、一般に日本国の港または飛行場に対する関係の船舶あるいは航空機の出入に対して規定をしておる。特に、第五条の第一項及び第三項はその点を規定しておる。それで、第五条の第二項につきましては、合衆国軍隊が使用している施設及び区域に対する出入の問題を規定しておる、こういう関係になっております。
○喜屋武眞榮君 そうすると、尋ねますが、緊急事態の場合以外着陸できぬはずですが、間違いないですね。
○政府委員(小和田恒君) 先ほど来御説明をしておりますように、地位協定の第五条一項は、一般的に「合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるもの」という限定を置きまして、そういうものは「入港料又は着陸料を課されないで日本国の港又は飛行場に出入することができる。」という一般的な権利について規定をしているわけでございます。こういう規定が置かれました背景ないしは趣旨というものは、先ほど御説明をしたとおりでございます。 しかしながら、先ほども申し上げましたように、これは日米安保条約のもとにおける米軍の活動が円滑に行われることを保障する、確保するということが目的でございますので、そういう目的に照らして米国の権利というものは行使されるべきものであるということも事実でございます。したがいまして、米軍の活動に伴って国民生活への影響ができるだけ小さくされなければならないということで、いわゆる民間空港の使用につきましては必要最小限度に限られるべきであるというふうに考えておるわけでございます。
○喜屋武眞榮君 給油はどう解釈しますか。
○政府委員(小和田恒君) 先ほど申し上げました基本原則に従って判断せられるべきものであるというふうに考えますが、給油の必要がある場合において飛行場を使用するということは、私が先ほど申し上げましたような原則に合致することであろうというふうに考えます。
○喜屋武眞榮君 あくまでもこの規定の本旨は、緊急事態避難の目的でということはこれはやむを得ぬと思います。ところが、給油ということは、これは緊急事態の避難とは思われませんが、いかがでしょう。
○政府委員(小和田恒君) 繰り返しになって恐縮でございますが、先ほど申し上げましたように、地位協定の第五条に基づきまして米軍の航空機が持っております権利というものは一般的、原則的なものでございます。したがいまして、その権利は米軍が安保条約の目的を達成するため、我が国における円滑な活動を確保するために必要な限りにおいて米軍に一般的に認められておる権利であるということでございまして、そのこと自体に特定の限定が付されているわけではございません。ただ、先ほど申し上げましたように、そういう事柄の性格上おのずからその利用というものはできるだけ必要な限度に限られるべきである、あるいは国民生活への影響というものをなるべく小さくすべきであるということを申し上げているわけでございまして、非常に限定的な、緊急避難的な場合だけに限られるということではなくて、私が先ほど来申し上げておりますような、必要最小限度における使用というものに限られることが適当であろうというふうに申し上げているわけでございます。
○喜屋武眞榮君 なし崩しで恒常化の方向へ行き つつある。そこで、宮古にしても石垣にしてもそのたびごとに大騒ぎをして抗議をしておるのが現状である。このことは許されないことだと思っております。強く念を押しておきます。 次に、昨年十二月二十一日、那覇空港北方における全日空一二二便と米軍機との間に起こったニアミスについては、全日空の機長からの運輸大臣に対する報告と米軍側の報告に食い違いがあるようでありますが、運輸大臣の見解を承りたい。
○政府委員(山田隆英君) ただいま先生お話のございました昨年十二月二十一日の民間機と米軍機のニアミスの問題につきましては、現在運輸省において調査中でございます。この件につきましては、全日空機の機長から報告を受けまして、それに基づきましていろいろ調査をいたしました。また米軍に対しても調査を依頼しておるところでございます。ただ、米軍の方の機長の供述とそれから民間機の報告してまいりました機長の報告との間に大分相違がございます。その辺の事実関係につきまして、フライトレコーダーであるとかあるいは交信記録等をもとにいたしまして現在調査中ということでございます。
○喜屋武眞榮君 とにかく、あいまいもこのままにこれが消されていかないように、あくまでも追及していくという姿勢があるということを申し入れておきます。 沖縄の基地は恒久化の方向に行きつつある、このように理解してよろしいでしょうか、防衛庁長官。
○国務大臣(加藤紘一君) 沖縄にございます米軍の基地は日米安保条約によりまして私たちが提供いたしておる施設でございまして、この日米安保条約は成立以来極めて長い時期にわたって我が国の平和と安全のために寄与しておりまして、私たちも非常に高く評価いたしておりますし、また米側も非常にそれを評価し、双方の政府ともこれを近い将来に廃棄するという考えはないと自信を持って申し上げられると思います。したがいまして、その使用もかなり長期にわたるということにはなろうかと思います。
○喜屋武眞榮君 もう一遍念を押しますが、恒久化の方向に進んでおると理解していいですか。
○国務大臣(加藤紘一君) 条約のことでございますし双方の国の政策のことでございますので、未来永劫絶対恒久化ということはいかなることでも使えないと思うんですけれども、今後とも日米安保条約を私たちは継続していくことが日本の平和と安全のために寄与いたしていくと思いますので、かなり長期にわたりその使用は続くものと考えております。
○喜屋武眞榮君 どうも質問がぼかされていきますが、外務大臣、いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日米安保条約はぜひともこれを守っていかなきゃならないと思うわけでございます。同時にまた日本の国民、特に関係住民の意向というものを調整しながら日米安保条約を効果的に推進するということもまた非常に大事な一面である。やはり両国の安保条約に対する信頼関係を保っていくにはそうした住民の福祉の問題であるとか、あるいはまた住民のいろいろの要請等についてできるだけ調整を図っていく必要もあるだろう、こういうふうに思っております。
○喜屋武眞榮君 外務大臣に関連があると思いますが、沖縄の復帰に際して日米合同委員会で暫定的措置として合意されておる嘉手納RAPCONの返還の問題がございますね。恒久化という決定的な前提でなおその中にある。この際復帰十四年を迎えた今日、いろいろなかかわりを持って混乱のもとになっておるこのRAPCONを返還要求すべきだと思うが、いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 安保条約は、これは日本の平和と安全のために必要であるという観点に立ちまして、沖縄における米軍の駐留等につきましても、これは日本の安保条約を効果的に運用していく上においても必要な面が非常に強いわけでございます。そういう中で沖縄の住民との利害の調整といいますか、沖縄の住民の皆さんの意向もできるだけ反映をしながら安保条約の適切な運用を図っていくというのが基本的な政府の立場でございます。したがって、いろいろの具体的な問題につきましては住民の意向等も踏まえ、同時にまた安保条約の効果的運用という立場を貫くという中で安保委員会等で十分検討をされなければならない、こういうふうに考えております。
○喜屋武眞榮君 強硬に申し入れておきます。これは暫定措置としての取り決めですから返還を求める、そういう方向に努力してもらいたいということを要望しておきます。 次に防衛庁長官、軍用地二十年の強制使用、これは明らかに他府県と沖縄との差別であると断定したいんでございますが、いかがですか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 特借法によるところの二十年間の公用使用の件についてのお尋ねかと存じますが、本土におきましてこれを差別しておるのではないか、こういう御趣旨の御質問でございますが、本土におきましてはその公用使用よりもよりきつい収用を過去において四件やったことがございます。また本土におきましては既に一〇〇%任意の、随意の契約でもって賃貸借料を払って使わせていただいております。沖縄の駐留軍土地につきましては、本件につきまして賛成をいただけない方の説得に努めた結果、九九・六%の方の御理解をいただいて契約を結び賃貸借料をお払いしているわけでございますが、〇・四%の方々がどうしても御納得いただけず、かつ、この土地がどうしても日米安保条約の安定的な運用のために必要であるという公益性にかんがみまして公用使用に踏み切ったものでございまして、本土と沖縄を差別しておるということはございません。
○喜屋武眞榮君 差別ではないと言われたが、それじゃ本土と沖縄との期間、どうなっておるか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 期間と申しますと、任意の契約による賃貸借契約の期間かと存じますが、これは一年でございます。本土の場合も沖縄の場合も一年更新、こういうことでございます。
○喜屋武眞榮君 違いますよ。もう一遍言ってください。本土と沖縄との違いがあるでしょう。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 御指摘の違いと申しますのは昭和二十七年から三十六年にかけての時期の違いかと存じます。その場合六年間という例がございました。今日ではこの問題は全部解決をいたしまして、公用使用その他本土では全部一〇〇%自由の契約でございますので差はございません。
○喜屋武眞榮君 いかにも相談ずくの合意だという表現ですが、あの手この手で裏手があるということはここでは申し上げませんが、本土の場合には一年から二年五カ月でしょう。沖縄は今まで五年だった。その五年を今度二十年に伸ばすという、明らかにこれは差別じゃないですか。どうですか、防衛庁長官。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 沖縄の土地につきましては既に一番新しいのでは駐留軍用地特別措置法、これによりまして五年間の公用使用をしておるところでございますが、その前の段階、復帰後二回にわたりまして五年ずつ十年間公用地の暫定使用法によりまして十五年間今日まで使わせていただいております。今回先ほど申し上げましたように〇・四%、百三十六人だと思いましたが、この方の合意がいただけなかった。それに加えまして嘉手納空港の滑走路のど真ん中に二千平米の土地をお持ちの方がいわゆる一坪運動ということで約千九百人の方にこれを分譲した。一人一平方メートルということでございますが、こういう事態に相なりまして、私どもは十分慎重に考えた上で民法の定める二十年間という賃貸借契約の最長期期間、さらには憲法第二十九条の精神にのっとりまして正当な補償を行った上でこれを二十年間公用使用をさせていただきたいという裁決申請を現在沖縄の土地収用委員会に出しておるところでございます。
○喜屋武眞榮君 同じ法のもとのこのような差別を私追及しておりますのは、沖縄振興開発特借法も十年が区切りでありましょう。それを二十年に した。二十一世紀にまでわたるということは、明らかにこれは恒久化をねらっており差別を強いるという、このことを私は指摘したいのです。日本政府が米軍の沖縄基地の恒久化に加担をして、国民である県民に対しては背を向けておる。今問題となっておる政府の基地行政は、逗子や三宅島に見られるように、世論を無視した極めて高圧的であるということを私は率直に申し上げたい。このように非民主的では困る、その犠牲に沖縄県民をさらすことはできない、こういうことを私は強く要望する。防衛庁長官、いかがですか。
○国務大臣(加藤紘一君) 先ほど申しましたように、日米安保条約というものは両国ともそれぞれ高く評価をしておりまして、今後長い将来にわたって私たちはその信頼性を維持しながら続いていくものだと思っております。 そこで、その施設用地につきましては、確かに沖縄におきましてはかなりの面積がございます。そういう意味で沖縄の方々にもいろいろな思いがあることは承知いたしておりますけれども、私たちとしても住民の人々とじっくり話をいたしてまいりました。そして、先ほど喜屋武委員が沖縄の世論ということをおっしゃられましたけれども、九九・六%の沖縄の土地の地主の方々からは安保条約の意義を御理解いただきましてそして御同意をいただき、一年更新による使用貸借ということになったわけでございます。〇・四%の方々が御同意いただけないわけですけれども、その土地はちょうど滑走路のど真ん中にあったり、なおかつそこでいわゆる一坪運動が起きていたりする状況というものは、私たち国の日米安保条約の有効な推進という事業を担当する者としてはいろいろお考えいただきたい問題であろうと思います。 そこで、その方々も仮に一年ごとの契約をしていただければ一年ごとの話し合いになるわけでございますので、どうぞその方に御同意願って、そしてぜひその契約の話し合いに入っていただきたいと思います。私たちは未来永劫までこの土地を収用しようというのではなくて、公用使用という形に、ソフトな形にいたしてあるわけでございますので、その辺はぜひ御理解をいただきたいと思っております。
○喜屋武眞榮君 九九%という話がありますが、法のもとに平等であるという前提、憲法のもとに確立された個人の所有権を、一%であろうが〇・一%であろうが、わずかだからという論理で押しつぶすわけにはまいりません。納得のいくということは少数意見を大事にするということであるが、あなたが九九%と先ほどから強調しておりますが、こういう論理には納得できません。いかがですか。
○国務大臣(加藤紘一君) 法律論とか具体的なことにつきましては政府委員からお答えさせていただきたいと思いますが、ぜひ私たちの国の安全と平和を守るという政策につきまして御理解をいただきたい。そして、ただいま委員の御指摘は、いわゆる公共の福祉とそれから国益とそれから個人の権利との問題というところに入るのだろうと思いますけれども、私たちはぜひ国の事業、公共の福祉のためにその〇・四%の方々につきましても御理解をいただきたい、こう思っております。
○喜屋武眞榮君 簡単に理解は求められぬでしょう。 次に、思いやり予算による米軍住宅建設問題について尋ねます。 日本政府によるこれまでの米軍住宅建設戸数と建設費を承りたい。防衛施設庁長官。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 沖縄県の場合、六十年度までで建設戸数千六百六十八戸、六十一年の計画は四百五十七戸でございます。 予算はちょっと調べまして後ほど御答弁申し上げます。
○喜屋武眞榮君 では六十一年度に予定している建設戸数と金額を承りたい。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 四百五十七戸で九十三億円でございます。
○喜屋武眞榮君 沖縄における米軍住宅の需要数は幾らですか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 数千戸と承知しております。
○喜屋武眞榮君 間違いありませんか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 御承知のように、一九七三年に海兵隊の人事政策が変わりまして家族を帯同してよろしいということに変わったことから住宅の需要が非常に増大をして、特に沖縄において家族住宅あるいは宿舎の建設要求が大きくなっております。その数につきましては、先ほど御答弁をいたしましたように、ぜいたくを言いますと万を超すことに相なろうかと思います。古いのも全部建て直せ、こういうことになりますと、基地の中には昭和二十年代につくったものなんかございますし、外側で民間から借り上げて使っておるものも二十年代、三十年代のがございます。これを全部建てかえろということになりますと万を超すと思いますが、現在私どもアメリカ側と厳しい財政事情のもと話し合いをいたしまして、現在絞った数は数千戸、こういうことで承知をいたしております。
○喜屋武眞榮君 現在基地内にある戸数は幾らですか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 約六千五百戸でございます。
○喜屋武眞榮君 民間の協力しておる、米人が借りておる住宅は幾らですか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 約五千五百戸でございます。
○喜屋武眞榮君 私の調査では要求は一万二千戸と聞いておるが、そこにずれがあるが、もう一遍ちょっと答弁してください。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 今の両方の数字を足しますと一万二千戸に相なるわけでございます。先ほど申し上げましたように、ぜいたくを言えば一万二千戸ということでございましょうが、やはり財政事情あるいは国民感情その他私ども自主的に判断をして、数千戸ということで話し合いをしておるところでございます。
○喜屋武眞榮君 今予定されておるように思いやり予算でふやしていくと民間の住宅はもう要らないということになりますが、いかがですか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 思いやり予算と言われております提供施設整備費にも、当然現在の厳しい財政事情のもと、財政当局の厳しい査定がございます。したがいまして、六十一年度も五百戸足らず、こういうことに相なっておるわけでございますが、私ども一挙に数千戸建てるというようなことは到底できるわけではございませんで、その意味では需給関係のバランスは余り崩れないであろう。また貸し住宅組合の方々から私どもしばしば陳情を受けておりますので、この方々の御意見もよく伺いまして、調和を図って今後の計画を進めてまいりたいと考えております。
○喜屋武眞榮君 次に大蔵大臣に聞きたいわけです。 思いやり予算は米軍に対する思いやりの心でぐんぐんふえていきつつある。ところが沖縄県民に対しては思いやりになっていない。この予算に対して大蔵大臣はどうお考えですか。
○国務大臣(竹下登君) 日米安保体制というものの円滑な運営ということが一つ基本にございます。それに基づいて今、施設庁長官からもお答え申し上げましたように、現在の財政事情の厳しさとそして国民感情等々のぎりぎりの調和を図って予算編成に当たっておるというのが実態でございます。そして一方、沖縄県民関係予算について思いやりがないではないか、こういうことでございますが、これは私ども厳しい財政事情のもとではございますが、復帰以来、復帰以前の問題は別といたしまして、それぞれの振興計画に可能な限り支障を来さないような対応で毎年毎年対処してきておるというのが実情であります。
○喜屋武眞榮君 実情を申し上げますと、沖縄の民間の沖縄貸し住宅組合というのがある。かつては米軍の家族に住宅を提供するということで依頼 をしてどんどんつくらせた。ところが今日、基地の中に、しかも鉄筋コンクリートで高層ビルがずっと建ちつつあって、もう民間の貸し住宅は空っぽになりつつあるわけなんですね。こういう現状に対して、防衛庁長官はどう思いますか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 貸し住宅組合の幹部の方々からしばしば御陳情をいただいておりまして、私の記憶に間違いなければ六千五百戸の貸し住宅のうち五千五百戸は現在米軍家族が住んでおりますけれども、千戸ほどあいておるというふうに承知いたしております。ただ先ほど申し上げましたように、このあいておる部分は昭和二十年代とか三十年代とかかなり古い時期に建てられたものもございまして、そのためにやはり非常に古くなって、パイプだとかなんとかもうまくないと、こういうようなことからどうも空き家になっておる、こういう事実があるようでございます。しかしながら、あとの五千五百戸につきましては再三御答弁申し上げておりますように、一挙に鉄筋コンクリートで何千戸建てるというようなことは現在の情勢では不可能でございますし、また可能であるといたしましてもバランスを失したことでございますので、そういうことは日米合同委員会施設小委員会において言うべきことは言い、貸し住宅組合の皆様の主張も十分その中に盛り込んで調和を図ってまいりたい、かように考えております。
○喜屋武眞榮君 道義的立場もあるんですから、民間貸し住宅の現状に配慮して必要に応じて関係者の意向を徴していくこととしたいと政府は述べておる、私の質問に対して。そこでどのように配慮し、どのように考慮して話し合ったか聞かせてもらいたい。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 ちょっと答弁を訂正させていただきます。五千五百戸のうち約千戸近い空き家があるということでございました。この貸し家組合の方々がおっしゃることを承っておりますと、喜屋武先生御指摘のとおり、初めは米軍側がそれを奨励し、むしろ協力を求められて建てたんだ、今になって思いやり予算で米軍の住宅を国が建て、自分たちの建てた家がむだになるというのはひどいではないかと、こういうことはまことにごもっともでございます。私どもはそういう御意見を十分拝聴をして、毎年毎年、財政事情の厳しい中でもございますので、戸数をそういう需給関係のバランスを崩すことのないよう配慮しながらやってまいりましたし、これからもやってまいりたいと考えております。
○喜屋武眞榮君 使い捨てのたばこの吸い殻、ちり紙みたいにほったらかさぬで、ぜひひとつ道義的精神で配慮を願う。申し入れておきます。 次に文部大臣、今沖縄で三月の卒業式をめぐって小学校、中学校、高等学校で大変なトラブルが起こっておりますが、御存じでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 報道等によって承知いたしております。
○喜屋武眞榮君 どのように理解しておられるか。
○国務大臣(海部俊樹君) それは卒業式に君が代、日の丸を掲揚したり斉唱したりする問題だと思いますけれども、その角度のお話でございますなれば、文部省といたしましては昭和二十五年以来日の丸、君が代を掲揚することが望ましいという指導をしてまいりましたし、また各教育委員会あるいは学校におきましては、日の丸、君が代が定着した国歌であり国旗である、こういう認識に立ちまして、みずからの国の歴史や文化や伝統をきちっと身につけながら、そして長い歴史の中には光の部分もあり陰の部分もあったと思います。その光の部分のいいところは繰り返し伸ばすように、陰の部分は繰り返さないように、きちっとわかるように身につけていくのも教育の大切な役割の一つだと、こう思っております。 したがいまして、教育委員会とかあるいは学校においては児童生徒にそれを教えてもらうことが望ましい。同時にまた、教えた以上はそういう卒業式とか入学式というようなときにはそれを掲揚し、斉唱し、日本人として自分の国の国歌や国旗を理解しそれを大切にするという気持ちをまず持ちませんと、よその国の国歌や国旗に対しても尊敬の念も持たないことになる。したがいまして、国民のあるべき資質の一つとしてそういったものに対する認識はぜひ持っていただきたい。心から私どもはそれをお願いもしますし、御理解もいただきたいと思っております。
○喜屋武眞榮君 日の丸、君が代の問題でもっと時間をかけて聞きたいですけれども、私は結論を急ぎますので申し上げたい。 沖縄における学園の卒業式に大混乱が起こった引き金は、文部省が去年の卒業式に日の丸、君が代の調査をしておられる。この調査の目的は何でしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 先ほど申し上げましたように、児童生徒の発達段階において国歌君が代は指導してもらいたい。それから国旗は日の丸であるということを教えてもらいたい。義務教育の九年間一度もそれに触れません子供は、まさか大相撲の終わったときのメロディーや高校野球の始球式で上がるときの旗を見て、ああ、あれが国歌なのか、あれが国旗なのかと言うようでは大変先が思いやられる心もとないことですから、教えてもらいたい。特に卒業式とか入学式にそれが目の前に掲げられる、演奏されるということは大変な教育効果もあろうと思いますので、文部省としてはなるべくそれが徹底されることが望ましいというので教育委員会に通達をし、各学校もそれに取り組んでおっていただくはずではございますけれども、私の記憶に誤りがなければ、五年前の調査をしましたときと去年のときとは、何か掲揚したりあるいは演奏されたりした学校の数が少なくなってきておるというふうに聞いております。少なくなったのではいかぬわけでありまして、こちらは心からお願いして、みんなそのことを理解し、掲げてください、国際的にもこれを疑っておるような国は一つもなく、皆日本のものだと認めておってくれる歌であり旗でありますから、どうかそれをそういう式典には上げてもらいたい。どうなっておるかということを調べるために調査をしたものと聞いております。
○喜屋武眞榮君 実施率のかなり低い県、市があるのは問題であるという指摘がありますが、何が問題になりますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 教育は特に全国一律、一定の水準ということをいろいろ考えてやっておるわけでありますけれども、同じ日本の学習指導要領を受けて勉強しておる義務教育の子供で、最初申し上げたように義務教育の間に実施されなかったがために一度も旗にも歌にも接しないで社会人になってしまうというのは大変残念なことでございます。日本国民である以上すべての人がそういったものを理解し親しみ、そしてその上に立って社会へ出てもらうことが最も望ましいことだと、私はこう思っておりますから、なぜ掲げていただけないんだろうか、なぜ演奏が認めていただけないんだろうか、私にとってはそれが大変心痛むことであります。
○喜屋武眞榮君 それでは、もう一点お聞きしますが、この実施率の増減、バロメーターは即愛国心のバロメーターと、こう理解しておられるんですか。またそうしていいんですか。
○国務大臣(海部俊樹君) もっと素朴な、国民として当然知っておってもらいたい問題でありまして、愛国心というのは、そういった経験を乗り越えて社会人になった人が大人の自覚のもとに持たれるものが愛国心であって、義務教育の児童生徒の段階、それにはいろんなことを基礎、基本で教えていかなきゃなりませんから、掲げることがとか演奏したことが愛国心とは思いません。むしろ今、喜屋武先生の御質問でありますから、私も思い出しましたことは、私の記憶に誤りなければ、祖国復帰前の、昭和四十七年前の沖縄に私が青年部の一員で行ったときに、皆さんが祖国復帰のためにこれを振りながらと言って、日の丸を振って私の前でいろいろな大会や気勢を上げられたときに、私はその党派を超えての、日の丸の旗を持っ ての祖国復帰運動に深い感銘を受けて帰ってきたことがございました。 そういったようなことから、みんながやっぱりこの国の歴史の中のいい点と悪い点、光の面と陰の面、光の面を繰り返すためにも、陰の面を繰り返さないためにもやっぱりしっかりとそれを知っておってもらうことの方が私は望ましい、願わしいと思っておりますから、掲揚されたこと自体が愛国心だと思いませんし、また演奏すること、国旗を掲揚することについては別の次元のいろいろな問題もあると報告を聞いておりますので、もっとそういったことについては全国で実施していただくように心からお願いをする次第でございます。
○喜屋武眞榮君 改めて聞くようでありますが、教育の目的は何でしょう。
○国務大臣(海部俊樹君) 教育の目的は、憲法及び教育基本法に明らかにされておりますように、人格の完成というものを目指して、平和的な社会及び国家の形成者として自主自立の精神に富み、勤労をとうとび、心身ともに健康な国民を育て上げていくこと、これが教育の目的であると私は思っておりますが、それは法律の条文をそのままここで引用したことでございまして、学校の場では一人一人の児童生徒の資質や個性がございますから、いい個性はうんと伸ばしていく、いい資質もうんと伸ばしていく、同時に将来社会人として、国民としてみんなのことを思いやりながら連帯の中で生きていくことができるような、そしてこの国の先祖が我が国をつくってきた苦労や歴史や伝統やそういったものをしっかり身につけて社会人になってもらうこと、そういう一人一人を育成していくことが私は教育の目的であると、こう受けとめております。
○喜屋武眞榮君 そうすると、その教育のよりどころは憲法と教育基本法ですね。
○国務大臣(海部俊樹君) 最初に申し上げましたように憲法と教育基本法でありまして、私は教育基本法から引用して、言葉も最初に申し上げたとおりでございます。
○喜屋武眞榮君 民族の独立のシンボルが国旗であり国歌であるということは十分理解しております。ところが問題は、日の丸が国旗であり君が代が国歌であるということに対して国民の間に異論があるということは文部大臣認めますか。
○国務大臣(海部俊樹君) どこの法律にそういうことが書いてあるのかということはちょっと申し上げかねるわけでございますが、私の調査によりますと、君が代は明治二十一年に日本式礼の楽譜であるとして諸官庁と条約国にすべてこれを通告いたしまして、以来百年にわたって繰り返し演奏され、私も主要国首脳会議などにお供をしてまいりましたけれども、それは諸外国がもう理屈を抜きにして、日本の代表団を見ると日の丸を掲げ君が代を演奏して迎えてくださる、これで明らかだと思いましたし、また日の丸の方は明治三年の太政官布告において国旗としての寸法等が決められ、それによって船舶等もそれをつけてすべての港に出入りしておると聞いております。 そんな古い話じゃなくても、最近のオリンピック競技なんか見ましても日本の選手が頑張る、具志堅さんが一生懸命頑張って日の丸が上がるとみんなが拍手してくれます。これは日本の旗だと世界じゅうが認めておる。あのとき演奏されるのは君が代以外はございませんので、そのように定着したものである。 同時に、世論調査をいたしましても、もう日の丸に関しましては八八%を超える方が結構である、君が代に対しましては七七%を超える方が結構である、あるいは調査によっては八〇%を超える方が結構であるとお答えいただいておる点もございますので、世論調査としてはこれは極めて異例の高い支持がいただけておると思いますので、法律的には慣習法的な根拠しかないかもしれぬけれども、この慣習が積み重ねられて国際的にも国内的にも定着しておるものである、私はこう信じております。
○喜屋武眞榮君 文部大臣とこの問題についてはもっと時間をかけて掘り下げてみたいと思うんですが、きょうはその時間がありませんので後日にいたしたいと思うんですが、私が言いたいことは、教育において国家権力による押しつけ、強制をしてはならないというこのことをまず言いたい。 歴史を軽んずる者は歴史に滅ぶという。沖縄県民は、まず一つ、第二次大戦で戦場の悲劇をいろいろと体験しておる、いろいろですよ。そして虐殺ということもありましたが、それはすべてスパイという名において虐殺があったということを私ははっきり申し上げましょう。 第二点は、これは沖縄の一つの歴史の特殊性かもしれませんが、公民化教育の名のもとに、明治以来の教育の中で国家権力で押しつけられてきたという消すことのできない歴史がある。 三点は、平和と民主主義と地方自治の尊重の理念に照らして、少なくとも国家権力の強制に対して不信感を抱いておるということを理解してもらわなければいけない。このような歴史的な背景を持っておるということなんです。 そこで、民主主義を尊重する人間に対して、権力による押しつけが強ければ強いほど反発は大きいでしょう。特に教育の場に強制があってはならない、このことを強調したいが、文部大臣いかがでしょう。
○国務大臣(海部俊樹君) 学校教育の場におきまして、特に基礎、基本を身につけてもらわなければならない児童生徒に対しましては、これは社会に出てもらうときに国民としての資質の一つとしてやっぱり身につけておいてもらった方が望ましいと思うから指導要領等でも御指導申し上げておるわけであって、国家権力によって押しつけるというのではなくて、このことは知っておってもらった方が将来社会人となったときにその児童生徒のためにもなると私は思っておりますから、決して権力的に押しつけるのではなくて、世界のどの国にもやっぱり国旗はあり国歌はあり、そのもとにおいて皆が団結をして行動したいろいろな歴史はあるわけです。 ただ、先生がおっしゃるように、団結をして行動した歴史の中に、一時期陰の面として反省されなきゃならぬ局面があったことも事実だと思います。ですからそれも含めて私は、歴史の中ではいいことは繰り返し拡大し、よくないことは再び繰り返さないようにしていくのも教育の持っておる大切な使命だと考えておりますと、最初にも申し上げたとおりでございます。押しつけるのではなく、今日までの流れ、先人のすべての実績を肩に背負いながら、その中からいいものを繰り返して二十一世紀に役立つ児童生徒になってもらうためには、これはどうしても身につけておいてもらった方がいいと思うんです。 そこで、小学校の場においても中学校の場においても、児童生徒の発達段階において教えてもらいたい。そうでありませんと、オリンピックのときやその他いろいろなときに初めて出会ったというのでは、大人の責任でございます。児童生徒に国民としての大切なことを教えなかったではないかと言われる大人の責任も考えなきゃならぬと思いますので、私はその方針で進めてまいりたい、こう思っております。
○喜屋武眞榮君 語はもとに戻りますが、文部省が出した調査が引き金となって沖縄の教育界にあの卒業式の混乱、混迷が起こったということは、権力による強制が広がっておるというこの結論なんです。そこで私は、あなたがおっしゃることはそのとおりと共鳴しますよ。ところが行政の面からいった事実は、そうでなかったということが事実なんです。その程度にとどめます。 次に、文部大臣、六十二年海邦国体について。 六十二年海邦国体は、戦後始まった国体の第一ラウンドが沖縄国体で一巡となっておりますが、第二ラウンドに向けてのこれは当然発展の国体でなければいかぬと、こう思っておる。 そこで文部大臣は、過去四十一回にわたる国体の反省を踏まえて、その反省の上に立って抱負と決意のほどを述べてもらいたい。
○国務大臣(海部俊樹君) 国体が一巡しましたことは、各都道府県ごとに国民体育大会をお引き受けをいただいて、例えば沖縄がただいまも海邦国体とおっしゃいましたように、その地域の特性とかその地域の心構えを示すようなそれぞれのニックネームなどをつけながら、大いに充実した大会が続いてきたことを私は評価をしておると同時に、国内のスポーツに志す各界の青年男女が国体を通じて大いに交流をする、あるいはそれぞれの都道府県の地域の実態、地域の文化に触れることができた、これは大変大きな成果であったと考えております。 同時に、海邦国体で一巡するわけでございますが、この後どうするかということについては、第二巡目を始めようということが既に皆さん方の御協議で決定をいたしまして、昭和五十八年十月にそのあり方について骨子もまとまりました。できる限り華美にわならないように、質素に堅実に、できるだけ第一巡目で使ったような施設なんかが利用できるときはそれを利用しながらやっていこう。さらにこの後、第二巡目のときには、多くの人がなるべく参加できるようにしようというようなこと等も現在鋭意工夫が続けられ研究が重ねられておると報告を聞いております。
○喜屋武眞榮君 この国体の総括評価についても私は私なりに総括しておりますが、先を急ぎますので、この問題についてはいずれまた日を改めて述べたいと思います。とにかく四十一回にわたる反省の上に立たなければ躍進がない、こういうことを指摘したい。 次に、沖縄県の交通体系について最後に問いますが、沖縄県の交通機関は公営交通機関がない。陸上はバス、タクシー、マイカーだけである。そこで、交通機関の整備は社会資本の充実という面から当然これは考えられぬといけませんが、特に海邦国体に向けてその受け入れ態勢はどうなっておるのか、このことが非常に重大であると思います。国体の成功、不成功にもつながる。 そこで建設大臣、南伸道路の進捗状態はどのように運んでおるか。
○国務大臣(江藤隆美君) 沖縄の国体が成功してほしいと私どもも念願いたしておりますが、南伸道路につきましては鋭意努力をいたしておりまして、ただいま用地買収その他で九七%程度進んでおります。これは石川から那覇までおよそ千三百三十億を要するという大工事でございまして、その中に、御承知かと思いますが、まだ小さな地主を含めまして六十三人ほど実は用地買収に応じない方がいらっしゃるわけでありまして、御協力を一生懸命お願いしておるところですが、この用地交渉がまとまれば六十二年国体までには南伸道路は完成をさせます。
○喜屋武眞榮君 次に、沖縄の場合特に離島県であるがゆえに県外との交通機関が大事である。そこで航空輸送体制について、空の安全について、空港の安全について運輸大臣と防衛庁長官に聞きたい。
○国務大臣(三塚博君) 国体開会につきましては十分に対応できるというのが現状の認識であります。ただいま一日三十六便程度飛んでおりますが、利用率はたしか五七程度でありますのでキャパシティーがございます。しかし、たくさん観光客もおいでになるというのであれば臨時便、チャーター等がこれに加わるということで、御心配はございません。
○喜屋武眞榮君 防衛庁長官は、さっき了解がありましたので、失礼しました。 特に航空輸送体制を重視したいのは、沖縄の空が最も危険であるということがたびたび報ぜられておる、こういうことから先ほど来の質問にもかかわるわけでありますが、その点念を押すようですが、空の安全それから空港の安全ですね、これに関連してもう一遍ひとつ。
○委員長(安田隆明君) 喜屋武君、時間が参りました。
○国務大臣(三塚博君) 先ほどの御論議、よく拝聴させていただきました。安全は運輸行政の基本であります。さような意味で安全第一主義、民間空港第一という意味で調整を図りつつ万全を期してまいります。
○委員長(安田隆明君) 以上で喜屋武眞榮君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(安田隆明君) 次に、前回留保いたしておりました和田静夫君の質疑を行います。和田君。
○和田静夫君 まず外務大臣、フィリピンについてですが、マニラ発三十日の新華社電によりますと、ソリタ・モンソド経済計画相が新華社のインタビューに対して、リベートによる水増し分を除外して実際の借款分を返済し、水増し分は返済しないと語ったと伝えられています。リベートはフィリピンへの借款本来の役割を果たしたものではないわけでありますから、新生フィリピンが返済しないというのは当然ではないかと思われますが、どうですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 本件発言の詳細につきましては、政府としてはまだ確認をしておりません。またこうした内容の申し入れが比政府より我が政府に行われているという事実もございません。政府としましては、右発言の事実関係につきましてフィリピン側に目下照会中であります。
○和田静夫君 このリベートによる水増し分は、日本政府がリベートを支払った企業から、こういうふうになった場合には返済させるべきではないかと私は思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 一般論として申し上げると、フィリピン新政権が、旧政権の負った対外債務をも含め国際法上の義務を履行すべきことは、これははっきりしておると思います。したがって、あえて我が方から北国政府に確認する必要はないというふうに思っておるわけです。また実際に、新しいアキノ政権は、円借款にかかわるところの債務も予定どおり実は返済をしてきておるわけでございます。 なお、リベート云々の話は、基本的には比政府と関係企業間の商取引にかかわる問題でもあり、比政府内部または比政府と関係企業間で処理されるべき問題ではないか、こういうふうに考えておるわけでございますが、いずれにしても、先ほど申し上げましたように、長官の発言に関しては今照会をいたしておる、こういうことであります。
○和田静夫君 ちょっと答弁……。
○政府委員(藤田公郎君) ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、リベート云々というお話は、基本的には、円借款の政府間の取り決めに基づきましてフィリピン政府が入札を行い企業との間で契約を結ぶわけでございますけれども、その間にいろいろ起こっている問題かと考えられます。したがいまして、基本的には、これはフィリピン政府と関係企業の間の商取引の問題でございますし、フィリピン側の内部ないしはフィリピンの政府と当該企業、この間で処理されるべき問題でございまして、日本政府とフィリピン政府との間の関係は交換公文によって律せられているというふうに考えます。
○和田静夫君 そこのところはわかっているんですが、しかし、伝えられるようなことがもしあったとすれば、日本政府はリベートを支払った企業から返済をさせるという措置をとらなきゃならぬようになりませんかね、これは。
○政府委員(藤田公郎君) その点は、事実関係がどういうような形で、どういう支払いが行われたのかということを確認しませんと、にわかに申し上げられないのじゃないかと思います。
○和田静夫君 大臣、僕は理屈を言っているのでね、どうですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは、私からも局長からも答弁いたしましたように、今フィリピンの長官の発言というのをこれは新聞報道として我々聞いておりますけれども、実際どういうものか確認をしないと、ちょっとこちらの立場を明確に申し上げられないといいますか、そういう状況じゃないように思います。 しかし、少なくとも日比間におきましては、私もその辺はいろいろと注意して情報を得ておるわ けですが、これまでの円借の分については、新しい政権になりましても規定どおりずっと返済が行われておるということでありまして、今の状況では、政権を引き継いだということで、いわゆる円借等の国際的な二国間の約束はきちっと守られて今日に至っておる、こういう状況でございます。新しい何か事態が起こったかどうか、それは今照会中でありますし、フィリピン政府の考え方をまたお聞きしまして回答しないと、外交的な問題でございますから、正確を欠いたら大変なことになると思いますので差し控えさせていただきたいと思います。
○和田静夫君 答弁不満ですが、明日フィリピン問題は集中審議で少し詰めますので。 それで、先ほど田委員も述べられましたように、フィリピンの次は韓国だと巷間言われているわけであります。韓国政府も、マルコス体制と同様非民主的な政府であると私たちは認識するんですが、改憲署名をしただけで連行されるというようなことは民主主義国では考えられないことであります。その韓国に皇太子が訪問される。野党第一党である新民党が大きく反対をしている。当該国の有力野党が反対しておるところに訪問をするということは、皇室がどうも政治的に利用されるということにならないかということを非常に危惧いたします。特に改憲運動が高まりつつあるときですから、これはいかにも時期が悪いわけでありますね。これは中止されるべきではないかと考えているのですが、大臣いかがでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 皇室関係の御訪問につきましては、やはり非常に慎重に取り扱わなければならないと思っておりますし、また相手から朝野を挙げて歓迎されるということが大前提ではないだろうか、こういうふうに考えております。 そういう中で、実は皇太子の御訪韓につきましては、韓国政府のこれを歓迎するという御要請がありまして、また日韓関係の中で全斗煥大統領が日本を正式に訪問しておる、こういう経緯もございまして、日本政府としましては外交ルートを通じまして、皇太子の訪韓につきましてこれから協議をしていこうという姿勢で今いろいろと話し合いを続けておるわけでございます。 基本的には、先ほど申し上げましたように、やはり皇太子の御訪問につきましてはあくまでも韓国のいわば朝野を挙げての御歓迎でなければならない。そういう中で訪問が実現されることを我々は期待もしておりますし、そうした立場から、慎重にいろいろと外交ルートを通じて、またさらに詰めるべき点もございますから詰めてまいらなきゃならぬと、こういうふうに思っております。
○和田静夫君 一昨日の国鉄問題の続きですが、どうも国民への負担の転嫁で疑問なのは、さらに株式を売却したとする場合の計算なんですね。民鉄協会長の片桐典徳さんがこういうふうに述べていますね。 新会社というのは東日本鉄道株式会社でも北海道鉄道株式会社でも同じですが、やはり政府出資で会社を設立するわけでしょう。それで三年か五年かたって収支がよくなったところで株式を公開する。すると五百円株が二、三千円になっているとすれば国はがっぽりもうかる。もうかった分で借金の三十六兆円はわけないと思っているんじゃないですか。 それなのになぜ、再建監理委員会の答申は簿価で計上して、新たなる国民負担を求めようとしているのか、理解できません。
○政府委員(棚橋泰君) 私ども聞いております再建監理委員会の考え方というのは、一応新会社の資本金六千億、その株を将来売却するときに必ずしも幾らになるかということについて明確な算定ができない。場合によると大変収益のいい会社もありますけれども、必ずしもそう株価の高くならない会社もあり得るというようなことを考えて、一応そういう意味で安全サイドと申しますか、かたいところで一応資本金で六千億というふうに見込んでおると、こういうふうに聞いております。
○和田静夫君 大臣、私の言ったことにどうですか、答えてくれませんか。
○国務大臣(三塚博君) これはスタートを切りましてからどうなるか、上場することが大前提になるわけでありますから、御案内のように黒字決算というのが一つの前提になろうかと思います。計算上はきちっと黒字になる、こういうことに相なり、たびたび申し上げておりますとおり、地域鉄道として全力投球で進みますならばさようなことに相なると、こう思います。 それともう一つ、北海道、四国、九州等につきまして新しい地域鉄道としての位置づけをしてまいるという意味で、この株の公開は地方自治団体及びこれに準ずる公益団体等にこれの参加をいただく。こういうことを真剣にやはり運輸省として検討すべき事態であるなど、このように思っておりますし、本州三会社、特に東海は利潤の上がる会社ではないのかと、こういうような御指摘がございます。こういう問題につきましては片桐さん言われますようなそのこともあるでしょうし、その場合の株の公開、そしてそれの販売については、やはり相当真剣に、検討委員会等を設けこれの対応を考えていくべきであり、機械的にぼんと出してぼんと売らさせていただくという性格のものではないのではないだろうか、こんなふうに思います。
○和田静夫君 ここのところは締めくくりで少しやりますが、こうした株売買益が生ずるのは、私は主として含み資産からだと考えられるんですよね。そうすると、新事業体になぜ簿価で異常に安く譲っていくのだろうか。国民に新たな負担を求めてまで簿価で譲る、こういうわけですから、そこが全くわからぬのですよ。これを説明してください。
○政府委員(棚橋泰君) 新事業体に簿価で渡し、それに相当する債務をつけるということでございますけれども、それに見合いますものは事業用資産に限定をする。要するに鉄道事業をやるのに必要最小限度なものに限っては簿価で引き渡す、こういうことでございます。例えて言えば、関連事業用の資産等につきましては時価に換算をし、それに権当するものをつけると、そういうことでございますから、鉄道事業そのものをやめてしまうというような形が起こらない限り売却に回せないというような資産を対象といたしますから、そういう意味では簿価で渡すというのは一つの考えで一はないかというふうに思っております。
○和田静夫君 ここもけさからずっとやり合っているところですから後に譲りますが、端的に言って野村證券の調査は、国鉄の資産は簿価の五十五倍と出ていますね。そうすると、帳簿上十二兆円とすると実にこれが六百六十兆円というふうになるわけです。そういう意味で私は、資産の時価評価が必要だと思っているんですが、いかがですか。
○政府委員(棚橋泰君) ここらのところは先生おっしゃるようにいろいろ御議論申し上げておるところでございます。一つの企業というものの資産をどう評価するかという場合に、それを全部やめて売却した場合として想定をするというような資産の評価というのもこれはございましょうし、また最低限事業を継続していくのに必要な評価というような評価の仕方もございましょうし、また表示されておる簿価で評価をするという仕方もあろうかと思います。 野村證券の御調査はどういう立場で御検討になったのか私も十分承知をしておりませんけれども、先ほど来申し上げておりますように、鉄道事業をやめてその資産を売却するというような極端な事態というものを考えました場合には、それはまたそれなりの評価というものがあり得ようと思います。けれども、健全な会社として将来鉄道事業を継続させていくという前提のもとで持っていかせる資産というものに関してどう考えるかといった場合に、健全にやり得るために簿価に相当する額の資産で最低限健全な経営ができる、しかしその範囲は事業用の資産に限ると、こういうのは一つの私ども考え方だというふうに思っております。
○和田静夫君 ここも納得できないんですがね。 そこで、最後ですから、一体国鉄再建監理委員会の答申はどういう赤字分析をして、どういう債務処理方針を立てたかというと、まず赤字の原因分析が全然なされていないわけですね。少なくとも国鉄や国鉄再建監理委員会の言ってきたこと、国鉄再建十カ年計画や新幹線整備法、その附帯決議、そういったものを全く検討していないか、あるいは無視している。しかも、根拠が明らかにされないままに出されている金額は、本来旧国鉄が負って、国民が新たな負担を強いられるべきものでないものが含まれている。これも指摘した。そして土地と株の売却益は、これの詳細で明確な資料が出されないまま異常に低く見積もられていて、結局大手業者がぼろもうけをして国民は新たな負担を強いられるという構造、こうしたことから私は国民が納得いく明確な説明がない限り、国鉄再建監理委員会の答申、国鉄改革に関する意見の上に立った改革は疑問である……
○委員長(安田隆明君) 和田君、時間になりました。
○和田静夫君 それにのっとった一月二十八日の閣議決定は見直すべきであると考える。そういうことを、官房長官、明確に私は述べて一遍政府の意見を承ります。
○国務大臣(後藤田正晴君) 政府としましては、国鉄再建監理委員会は、それなりの適切ないろんな評価をした上で今回のような答申そのものを出してきていると思います。したがいまして、私どもが法案としてお出ししたのは、この国鉄再建監理委員会の答申を基礎として御提案を申し上げているわけでございますから、それをこの段階で政府として提案をどうこうするというような考え方は持っていないわけでございます。 先ほど来の棚橋君の答弁にございましたように、簿価でやっているのはおかしいと、こういう御議論でございますけれども、これは鉄道をやめるわけじゃなくて、そのまま鉄道事業をやってもらうわけです。したがって、それは簿価でいいのではないか。問題は、そうじゃなくて、関連事業をやらなきゃこれはうまく経営できませんでしょうから、だから関連事業用の資産はこれは持っていくと思います。そうなると、これは適切な時価で評価しなきゃいけません。そこで、一番注意しなきゃならないのは、新会社に持っていく資産ともう一つは旧国鉄に残すべき資産を、これは最も厳正な審査を経て分けなければならない。旧国鉄に行く方は、これは時価として売却するわけでございます。そこは政府としても今度の法律案では十分配慮をいたしまして、審議会、これは委員の人選から私は十分政府としては注意するつもりでございます。そうすることによって、国民の皆さん方にいささかの疑惑もないようにいたしたいと、かように私は考えておるわけでございます。
○委員長(安田隆明君) 以上で和田静夫君の質疑は終了いたしました。(拍手) これにて一般質疑はすべて終了いたしました。 明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十分散会