予算委員会 第17号
- 発言数
- 520 件
- 登壇者
- 45 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1986/03/29
会議録
○委員長(安田隆明君) 予算委員会を開会いたします。 昭和六十一年度一般会計予算、昭和六十一年度特別会計予算、昭和六十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 —————————————
○委員長(安田隆明君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和六十一年度総予算審査のため、本日、国際協力事業団総裁有田圭輔君、日本国有鉄道再建監理委員会委員長亀井正夫君、海外経済協力基金総裁細見卓君の三名を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(安田隆明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(安田隆明君) 昨日に引き続き、一般質疑を行います。中西珠子君。
○中西珠子君 まず、円借款の問題についてお伺いいたします。 国民の税金や郵便貯金などで賄われている円借款が日本企業のリベートの形で前フィリピン大統領マルコスに流れ、その膨大な資産形成に役立つということがうわさされておりましたし、その上長年にわたる腐敗した独裁的政権の維持にも役立っているといううわさが非常に長い間にわたって流れており、疑惑が深まっていたわけでございますが、最近米国議会が秘密文書を公表しました。そのために疑惑はますます強まり、その公表された文書の一部分が外務省から本委員会に提出されましたが、これには第一次の借款から第五次借款に至るリベートに関する断片的な資料しか入っておりません。 それで私は、今月二十四日の質問通告のときに、過去十年間の円借款プロジェクトの名前とそれを受注した企業名などのリストを要求いたしました。それで、昨日佐藤委員の同じような要求がございましたが、それは受注額のリストも入っていたために理事会預かりとなったわけでございますが、受注額それから契約の実額などが入っていない企業のリストだけならば提出することができるでしょうか。また同じ二十四日に私が要求したもう一つのリスト、これは過去十年間の日本のフィリピンに対する経済援助プロジェクトにかかわる事前調査や案件発掘に関与した企業やコンサルタントの名前のリスト、これを要求したのでございますが、これは提出していただけますでしょうか。
○政府委員(藤田公郎君) ただいまの委員の御提起されました第一の資料でございますが、過去十年間のフィリピンに対します円借款のプロジェクト名及び円借款の供与限度額、これは交換公文に明記してございますので、これは御提出てきます。それから、それを受注いたしました企業名それから契約金額、これは先方の行いました先方政府と我が方の企業との間の契約の内容にかかわりますことでございますので、金額それから企業名ともに、政府として当事者でもございませんので御提出ないし公表する立場にはないというのがただいままで政府として御答弁申し上げていた立場でございます。 それから、第二番目に御提起になりました過去十年間の円借款に関連した調査等に従事した企業ということでございますけれども、これはいろいろ千差万別でございまして、調査をいたしましてこれが調査計画書を先方政府に提出をいたします。調査自体は実は先方政府のために行う調査なものでございますから、先方政府から、当該国の政府の内部の資料でございますとかいろいろな対外的には発表してもらっては困るというようなものを先方政府から見せてもらいまして、それに基づいて調査することが多うございます。それで、それが資金協力に結びつきまして円借款という形になって結実するというわけでございますけれども、調査自体が例えば国際協力事業団によって行われました場合には、ある期間を過ぎまして公表し得るものとして国会図書館に納入されているものもございます。したがいまして、プロジェクトによりまして公表されているものもございますし、それから全く先方政府との約束によって公表し得ないているもの、それから公表過程といいますか、しばらくたてば公表し得る状況になるものと、いろいろのカテゴリーに入るということが言えるかと思います。
○中西珠子君 ポイントは、日本の企業が売り込み合戦をやって、そして要請主義に基づくものだから先方の政府から要請を出させるために事前調査も行い、また案件発掘にもかかわったのではないか、そういう観点からリストを出していただけませんかと言っているので、今のような御返答ではちょっと満足いかないんです。
○政府委員(藤田公郎君) 円借款を供与いたします場合には先方政府の要請がまずございます。先方政府が要請をよこします場合には、通常はそのプロジェクトの計画内容はもとより、通称フィージビリティースタディーと申しますけれども、その計画の実行可能性を保証する報告書というものが付されて提出されております。それに基づきまして、まず日本の国内で関係省庁が審査をいたしまして、その後現地に赴き、政府ベースでの審査、それから海外経済協力基金での審査という二重の審査手続を経まして、我が国の円借款の対象として協力するに足るものかどうか、協力する場合にどのくらいの金額を協力すべきかということを先方政府の意向も聞きながら協議し、それで決定していくという過程をたどっております。
○中西珠子君 今の審査につきましてはもっと後で詳しくお聞きいたしますけれども、いずれにしても国民の血税で賄われている円借款、この使い道についてやはり国民は知る権利があるし、実態を調査し真相を明らかにするのが国会の国民に対する義務でもあり、また政府の国民に対する義務でもあると思うわけです。ですから、できる限り多くの資料をなるたけ早い時期に提出していただきたいと思いますが、委員長いかがでしょうか。
○委員長(安田隆明君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。
○中西珠子君 それではこの間、二十四日の日に外務省を通じて本委員会に提出されましたマルコス関係の資料、これはほんの一部分にすぎないそうでございます。それで、新聞などによりますと、例えば三月二十八日の読売などによりますと、米国議会で公表された秘密文書の全文を国税庁は外交ルートを通じて入手している。そして、もう分析を始めて調査もできるところから始めているということでございますが、この委員会にも全文を提出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(後藤利雄君) お答えいたします。 マルコス前大統領が持ってまいりました文書は全部で二千数百ページに上るそうでございます。そのうちの二千ページ余をいわゆる公表文書として渡しまして、二千ページ余につきましては私ども入手しております。その中で特に日本に関係ありますのをまず私ども入手いたしまして、それが百七十ページで、それは既に理事会に提出申し上げたわけでございますが、残りの二千ページ弱につきましては、私ども入手しておりますから、御要望がありますれば提出いたします。ただし、それ以外に公表されていないものが若干ございます。これは公表をアメリカの方でしておりませんので、今の先生の御質問につきましては、公表された分については全部提出する用意はございます。
○委員長(安田隆明君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。 中西君、今の要求に係る件につきましては、理事会へ提出するということになっておりますから、さよう了承してください。
○中西珠子君 それでは、なるたけ早く御提出いただくようにお願いいたします。 とにかく不完全な資料しかないのですけれども、円借款というものは非常に大きなウエートを政府開発援助の中で占めていると思うんですね。大体、我が国の政府直接借款の中の比重はどのくらいなんでしょうか。また二国間の政府開発援助の中では約三分の二と言われておりますけれども、これは確認していただきたいと思います。
○政府委員(藤田公郎君) ただいまの御質問は、我が国のODAの中で占める借款の比率はどのくらいかという御質問かと思いますが、これは年によって若干変動がございます。大体半分程度の場合、それから今委員がおっしゃいましたように、一九八四年の実績では三〇%程度でございます。ときによっては五〇%に至っているときもございます。
○中西珠子君 借款の調達方式についてお聞きしたいんですが、フィリピンに対する一次から五次までの借款の調達方式はどうなっていますか。
○政府委員(藤田公郎君) 第一次から第三次までがタイドローンでございます。それから、四次から六次までがLDCアンタイと申しますか、日本及び開発途上国に対して調達が開放されているもの、それから七次以降が一般アンタイ条件、日本及びOECD諸国それから開発途上国に調達が開放されているという方式になっております。
○中西珠子君 フィリピンヘの円借款は累計にすると相当なものになると思うのですけれども、その累計額は幾らですか。
○政府委員(藤田公郎君) 円借款だけをとりますと、昭和四十三年度から本昭和六十年度、これは約束額でございますけれども、約束額の累計で四千六百六十七億三千九百万円ということになっております。
○中西珠子君 今、外務大臣おいでになりましたからお聞きしたいのでございますけれども、なるたけ早い時期にこのマルコス関係の円借款の問題の実態の究明をしていただきたい。これはやはり国民の前に明らかにする義務が国会にもあるし政府にもあると思いますので、ぜひこれはなるたけ早い時期に資料をいろいろ提出していただいて究明するような御決意を伺いたいと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) フィリピンに対するこれまでの経済援助につきましては、最近のいろいろの問題等も踏まえまして外務省としましてもいろいろと検討し、あるいはまた書類を調査する必要もあると思います。全体的にはフィリピン経済の安定にはこれまで資してきたというふうに思っておるわけでございます。しかし、問題が問題だけにこれは重要視して、今後のやはり援助もあるわけでございますからいろいろな面で見直しをしてみたい、こういうことで今努力を重ねておるわけであります。国会でも調査委員会もできるわけでございますし、できるだけ御協力を申し上げたいと考えております。
○中西珠子君 円借款を決めるにはいわゆる四省庁体制でお決めになるのだそうでございますけれども、円借款をリベートに使っていいと、手数料というと非常に商習慣に基づいた公正な手数料という感じがいたしますけれども、一五%もしくはそれ以上のリベートという言葉もこのマルコス文書の中には出てくるわけでございますが、そういうものを使ってもいいと大蔵大臣お考えになっていらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) いずれにせよ贈収賄に類するものは、これはいけないと思います。
○中西珠子君 通産大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは大蔵大臣と同じでございます。
○中西珠子君 経済企画庁長官はいかがでしょう。
○国務大臣(平泉渉君) 前二人の大臣と同様の見解でございます。
○中西珠子君 この予算委員会におきまして同僚の委員が何度も、円借款がマルコスの隠れ財産を形成するのに役立ったのではないかというふうな御質問を安倍大臣にいたしましたときに大臣は、そんなことはありませんと、政府は厳しい審査をして、そして民生の安定と福祉の向上というものに役立つような援助だけをやっておりますと、こう何度も言明なすったわけでございますが、審査の仕組みというのはどのようになっているのでございますか。 まず四省庁体制というのもあって、そしてそこでもう非常に厳密に審査されるから、これは借款が決まるまでなかなか時間がかかってしようがないという批評もあるし、一方また、四省庁が非常に厳密に意見を述べて検討され、そしてその四省庁のアグリーメント、合意がなければ全然借款は出てこないという話もございますね。それで、とにかく政府としてはどのような審査をなさるのか、また海外経済協力基金としてはどのような審査をなさるのか、これを詳しく御説明いただきたいと思うわけでございます。
○政府委員(赤羽隆夫君) 円借款に関します審査でございますけれども、まず四省庁が中心になって審査をするわけでありますが、相手国からの援助要請を受けますと、相手国の経済開発に与える効果、外交、財政、国際金融、通商、こういったような各政策の観点から検討いたします。これは、それぞれ担当者レベルあるいはそれ以上のレベルにおいて検討する場合、その案件によって違う場合がございますけれども、いずれにいたしましても四省庁が検討いたします。その結果、借款供与の概要、案件でありますとか金額、条件というものを決定をいたしまして意図表明をしております。この際、基金の事前審査結果というのが重要な参考資料になることは言うまでもございません。 そこで、基金でございますが、基金としては相手国政府から提示されております事業計画、フィージビリティー・レポートといったような各種の関連資料や現地調査をもとに、当該事業につきましてこの事業計画が適切であるか、事業達成の見込みがあるか、こういったような点につきまして詳細な事前審査を行っておる、こういうことでございます。
○中西珠子君 交換公文が締結されてから初めて経済協力基金は審査ができるのだという体制にずっと、つい最近まであったというふうに理解しておりますが、どうですか。というのは、ことしの一月に出ました、外務大臣が序文をお書きになった外務省のさる人が書いた本の中にも、交換公文が締結されてから経済協力基金は審査をすると、こうなっているわけですよね。 それで、経済協力基金からいただきました審査のダイヤグラムによりますと、アプレーザルミッションというのが、政府が意図表明をする前にちゃんと基金が行くということになっているんですけれども、これはちょっとそごがありますのでお聞きしたところが、つい最近このアプレーザルミッションなんというものが基金から出るようになった。それまではもう四省庁体制で全部決まってしまって、そして意図表明が行われて交換公文が締結された、その後の段階で基金がやっと審査をするというふうな、それこそ実行のための審査をするというふうな、そういう体制であったということを聞いておるんですけれども、そういうことであるならば、なかなか基金が悪いということも言うことができないし、だれが悪いと言うこともできない、責任の所在が本当にはっきりしないということになるのではないかと思うんですけれども、この点はどうなんでしょうか。監督官庁である経済企画庁の長官からもお返事をいただきたいと思います。
○政府委員(赤羽隆夫君) 今御質問の件につきましては、最初のころはそういうような状態だったそうでございますけれども、過去数年間は事前にいろいろな調査をする、こういうことだそうでございます。 それで、アプレーザルミッションにつきまして事前の派遣といったようなことがいつ起こりましたのか、調べたら後ほど御報告申し上げたいと思います。
○中西珠子君 二、三年前ではないかと思いますが、厳密な日にちを教えてください。 それから、経済企画庁長官は今度の事態に対して、とにかく長官の監督下にある経済協力基金に関する、そこが扱う円借でございますから、こういうことが起きたということに対して責任をお感じいただかないと困ると思うんですね。いかがでございますか。
○国務大臣(平泉渉君) もとよりいろいろ言われておりますようなことがもし事実であるとしますならば、これはもう当然我々として非常な責任を感じて真相を究明していかなきゃならぬし、またかかる事態の再発を防ぐような手だてを考えていかなきゃならぬ、当然のことだと思っております。
○中西珠子君 新聞にも報道されましたけれども、入札の段階でどういうことになるかということをお伺いしたいんですが、新聞報道によりますと、船積みの価格それから海上運賃とかそれから保険料とか、こういったものが水増しされて出されている。それを入札のときに、入札評価というものを経済協力基金がなさるはずなのに、そういうことはちっともおわかりにならなかったのでしょうかという疑問が非常に私あるわけなんですけれども、この点はいかがなんでしょうか。
○政府委員(赤羽隆夫君) 基金が融資の契約をするにつきましては、当然のことといたしまして、契約の内容につきまして、主として納期、数量、支払い条件、これが妥当であるのかという観点から、借款の目的が達成されるかどうか、こういったようなところを確認をしております。そういったようなチェックをした上で入札の結果を承認する、こういう形になっていると理解しております。
○中西珠子君 きょう海外経済協力基金の総裁を参考人に要請したんですけれども、一人しか参考人は来ていただけないということでおいでいただけなかったので大変残念だと思うんですけれども、入札の評価の段階で、評価して調べるというところにやっぱり手抜かりがあるんじゃないか、だから契約の前の段階でいろいろ調べるということも大変重要なんじゃないかというふうに考えておりまして、この資料の中でも、大変薄い資料ですけれども、新聞記事に出ているのは全くうそではないという事実がこの中に示されていると思うわけでございますけれども、とにかくこの点に関しましては違う日に改めてまた基金の方に来ていただきましてお伺いしたいと思いますので、今の御答弁は全然当たっていないので、私はこの質問は留保しておきます。 日本の政府開発援助は非常に国際的にも質がよくないという評判がございます。大変絶対額では大きくなりまして、一九八四年には米国に次いてもうDAC加盟十七カ国中第二位になりましたけれども、国際的な尺度である対GNP比で見ますと、DAC加盟国の十七カ国中第十一位でございますし、質的に見ますと贈与比率が四六・一%、グラントエレメントが七三・七%というくらいでございまして、これは何とDAC加盟国の中の第十七位、最下位であるわけでございます。 それで、質の悪いということは国際的にも定評があるわけでございますけれども、今度のようなマルコスの事件が出てきますと、ますますもって日本のODAが、これは日本の経済的利益に結びついたなんというどころじゃなくて、本当に不透明な不正の温床というふうな印象も与えかねないわけでございますから、これは真剣に実情の究明をやっていただきたいということをお願いいたしておきます。 それからまた、今回経済協力費の伸び率というのは七%なんですね。それで、ほかの社会保障関係費の伸び率が二・七%、文教や科学振興費の伸び率が〇・一%という非常に緊縮財政の中でODAだけが特別扱いされているわけですから、一層のこと、これは明朗な公正な効果的なものにしていただかなくちゃいけないと思うわけでございますが、この際やはりマルコスの事件の究明も必要です。そして、それはなるたけ早くやっていただかなくちゃいけませんが、ODA全体の見直しというものをやっていただきたいと思うわけです。 それで、理念というものもはっきりと確立していただきたいし、安倍外務大臣はしょっちゅうおっしゃっておりますけれども、ODAの理念というものを確立して、そして今十五省庁に分かれて予算が支出されておりますけれども、これをやっぱり一元的に統括するところがなくちゃいけないし、そういった理念をはっきりさせた、また一元的に支出を可能ならしめるような開発援助基本法というものがどうしても必要だと思うんです。この際、これも含めて考えていただきたいと思うのでございますが、外務大臣いかがでございましょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) ODAにつきましては、今お話のように各省庁問にもまたがっておるわけでございますが、世界の中で日本のODAは、全体の総額はアメリカに次いで二位になっております。しかし、GNP比でいきますとDACの中ではまだまだ低い順位にあるわけでございますし、またその内容等についてもいろいろと批判もあることは事実でございます。しかし私は、最近世界の中で援助疲れという空気の強い中で、日本がこれまで三年倍増、五年倍増、そして七年倍増という積極的な援助増額を打ち出してきたということは、全体的には世界の中では非常に評価をされておる。私も外国を回りましてそれを痛感しておりますし、また日本はそれだけのことをやっていかなきゃならぬ国際的責任があると、こういうふうに思っておるわけでございます。 そして、この援助がこれからの開発途上国の開発発展に大きく役立っていくようにいろんな面でやはり改善をするところはしていかなきゃならぬと私は率直に思うわけでございます。今までのやり方が正しいというようなことでその上にあぐらを組んではならないのであって、こうしたフィリピンの問題等も起こってきたことを契機にいたしまして、いろいろとやはり改善するところはひとつ改善して、そして本当に援助を受ける開発途上国の国々の国民の皆さんから歓迎をされるような、そうした援助の姿にこれからもひとつ持っていく努力を積極的に行わなきゃならぬと、こういうふうに感じておるわけであります。
○中西珠子君 基本法についてはいかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日本の援助はもう御承知のように、日本独自の基本的な理念に基づいて行っておるわけでございまして、いわゆる人道主義、相互依存という二つの基本理念を柱にいたしまして独自の援助体制をしき、援助を進めておるということでございます。これは御承知のとおりであります。この基本方針は今後とも変える考えはもちろんありません。
○中西珠子君 今おっしゃいました基本方針をやっぱり法的にはっきりする必要があると思うんですが、海外経済協力基金の法律には目的として別のことが書いてございますね。経済企画庁長官いかがですか。
○政府委員(赤羽隆夫君) 海外経済協力基金法の第一条、目的でございますけれども、「基金は、東南アジア地域その他の開発途上にある海外の地域の産業の開発又は経済の安定に寄与するため、その開発又は安定に必要な資金で日本輸出入銀行及び一般の金融機関から供給を受けることが困難なものについてその円滑な供給を図る等のために必要な業務を行い、もって海外経済協力を促進することを目的とする。」と、このように書いてございます。
○中西珠子君 海外経済協力基金の目的として法律に書いているのはそのことですし、また目的を達成するための業務ですね、第二十条に書かれていることも、これはやっぱり日本の経済的利益というものも開発途上国の経済発展とともに助長していくという理念でございますね。そういうものも大変必要なんでございますけれども、これだけが行き過ぎて、日本の経済的な利益につながる、企業の利益につながる、それであれば何でもいいと、ですから借款を使って海外に日本の企業がどんどん進出していった。これが公正に行われていたならいいんですけれども、リベートだとかそういったものも絡んでやられてきたということに対しては、これはやはり大きな国際的な批判があると思うわけです。 それで、これも大事なんですけれども、先ほど大臣がおっしゃったような、やはり草の根の国民の民生の安定とか福祉の向上、そして経済開発並びに社会開発というふうなそういう理念を一つの法律にまとめて書いて、そして、開発援助基本法という名前でなくても結構なんですけれども、そういうふうにちゃんと理念というものは外務省がお出しになった文書には出ていますね、パンフレットにも出ていますね。しかし、法律としてはないわけですから、そういったものが、もう経済大国になって世界のGNPの一割も占める経済大国日本に対して、開発途上国ばかりでなく先進国も、やはり国際的な責任を果たしてもらいたいという期待を大いに持っているわけですから、そういったきちっとした形のものを持っている、そういった法律の形できちっと理念があらわされているということが必要なんではないでしょうか。いかがでございますか。大蔵大臣、どうお思いになりますか。
○国務大臣(竹下登君) 私の担当でよく参りますのはIMF、世銀でございますが、いつも感じますのは、我が国が世銀から大層な金を借りまして、それが新幹線になったり、製鉄所になったり、東名高速になったり、そして今まだ一億ドルほど借金残っておりますが、総会に行きますと、どうぞお返しにならないように、こんな優良債権はございませんと。そのことのたびに思いますのは、やっぱり自助努力というものを私どもの先輩がしてくれたんだなと。したがって、借款の方がそういう意味においては自助努力というものを誘発するという意味においていいんだなと。その意味においては、ある意味においては模範生かもしらぬ、こんな印象を受けるわけです。 そこで、どちらかといえば、私はそういう海外機関への出資とかそういうことは国会が挙げて賛成していただきますし、そして円借款等にも協力的でありますが、しかし九月の十八日に安倍さんと徹夜でお話ししましてODAを決めて、それは大蔵大臣そう言うが、やっぱり質的な面も考え直さなきゃいかぬということにしまして、したがってその一項目もちゃんと入れさしていただいた、そういう基本認識でございます。
○中西珠子君 通産大臣はどうお思いになりますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 援助はどうしても義務的にも必要ですが、これが有効に使われないとむしろ反日運動の温床になるんですよ。どうしても独裁国家みたいなところはデモンストレーションをやりがちなんです、自分の好き勝手なことを。ですから、それが効果をあらわさないで、ダムをつくったけど水を使う場所がないとか、製紙会社つくったら水が足りないとか電気がないとか、これは昔はそういうのが非常に多かった。だけれども、最近はかなり各省庁で目を光らして、それで個別的に一件ごとに、総枠主義でなくて個別ごとに審査をするということになってきておりますから、これからは私はそういうことは非常に少なくなる、そう思っております。 問題は、やはりそれは一割もリベートを取られては業者だってもうからないから、結局今度は工事で手抜きをやる。手抜きをやるから、今度はつくったものがすぐ数年たったら道路ががたがたになっちゃったとかということになりかねないんですね。したがいまして、そういうようなでたらめな政府にはもう援助をしない、一番これがいいんですよ。だから、それが嫌ならばきちっとまじめにやってください、そういうつもりでこれからよく相談してやります。
○中西珠子君 もうそれこそ相手の言いなりで要請主義ということが行き過ぎになりませんように、本当に経済発展を助けることも大事ですけれども、相手国の自助努力がまた一層大事なことでございますし、また経済発展の成果が国民の一人一人に均てんしていくような、そういう社会開発のための援助も必要だということを申し上げて、経済協力の方の総元締めでいらして責任者でいらっしゃる長官はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
○国務大臣(平泉渉君) 段々お話のありましたとおり、海外経済協力というのは非常に重要な今我が国の国策の一つでございます。 今のお話の円借款なども、それぞれ当該国政府との間に国際法上の協定、交換公文が行われて、当該国政府の責任も明記されておる、こういうことでございますから、十分こういう協定が守られるということが重要なことであると考えております。
○中西珠子君 とにかく、与えるときには本当に厳密な審査をしていただく。殊に円借款の場合はやっていただかなくちゃいけないということを申し上げて、いつまでも円借款の話じゃなくて、少し技術協力の方に移りたいと思うのでございます。 政府開発援助第三次中期目標、これを設定されたときに、とにかくODAの実績を七年間で倍増する、しかしその質もよくするように努めますということが倍増計画の中で初めてはっきりと明記されたということを私は大いに高く評価しているわけでございますが、その中で殊に無償の資金協力とか技術協力を拡充するというふうなことをおっしゃっております。そしてまた、国際機関との協調も強化していくというふうなことをおっしゃっているわけでございますが、とにかく日本の技術協力が政府開発援助全体の中で占める割合というものはどのくらいでございますか。
○政府委員(藤田公郎君) 一九八四年の実績で申しますと、我が国の場合には全ODAのうち一〇・一%が技術協力に向けられております。
○中西珠子君 DAC加盟国平均は幾らですか。
○政府委員(藤田公郎君) 同じく八四年が二〇・七%でございます。
○中西珠子君 とにかくDAC加盟国平均の二〇・七%の半分以下なんですね。それで、とにかく七年間でODA全体を倍増するということにして、技術協力の比率も一〇%じゃ少な過ぎますから、これは今約五億ドルぐらいだと思うんですけれども、これをDAC平均二〇%まで持っていくといたしますと、全体が二倍になるわけですから、この技術協力の比率というものは四倍、約二十億ドルぐらいにしなければだめなんではないかと思うんです。 JICAの総裁がお見えになっておりますが、JICAの総裁がことし一月の「国際協力」というJICAがお出しになっている雑誌の中で、緒方前公使、現在の上智大学の教授と対談をなすっていまして、この倍増計画の中で技術協力を四倍にするぐらいの意気込みでやらなければいけないというふうにおっしゃっているんですけれども、どのような取り組みをなすっていくおつもりでいらっしゃいますか、お伺いします。
○参考人(有田圭輔君) お答え申し上げます。 最近、途上国の人たちといろいろ会っておりますと、彼らの中でも国づくりの原点というのは人づくりだということで、技術協力の要請も大変多いわけです。いろいろ急速な、大規模な工業化をする以前にやはり人づくりが大切と、そういう認識が非常に広まってまいりまして、私どもも非常に喜んでいるわけでございます。私どものキャッチフレーズも、「人造り・国造り・心のふれあい」ということで、技術協力の促進に努力しておりますわけでございます。 ODAは七年倍増計画ということで、財政事情の厳しい中に政府が御努力なさっている、これは大変私は結構なことだと思います。同時にソフト重視という点も、最近は大分いろいろ各方面で支持を得てまいりました。私どもの六十一年度の政府予算の原案におきましても、技術協力の伸び率が一番大きくて、八%いただいております。 そういうことで、こういう流れがだんだんに大きくなってまいりますれば、ODAの中の人づくりの割合というのもだんだん多くなっていくんじゃないか。そういうことで、途上国に対する協力もより一層効果的にできるんじゃないか、このように思っております。「国際協力」に出た対談は、その趣旨は、そういう流れをつくってまいりたい、こういうことでございますから、御理解いただきたいと思います。
○中西珠子君 JICAの行う技術協力のほとんどが二国間の協力だと思いますが、中には国際機関などとの共同事業もやっていらっしゃいますか。例えばWHOとかFAOとかILOとか、そういったところ、それから新たにまたどこか、ハビタットだとかなんかが要請した場合、そういうときにはJICAとしての対応は、方針としては可能なんでしょうか。
○参考人(有田圭輔君) 私どもそれとは直接関係ありませんけれども、技術協力の中でも、二国間であっても第三国研修というのをやっております。例えばタイのモンクット王工科大学で通信関係をやっておりますけれども、これは日本が二十年にわたって協力してきて立派な大学に育った。そういうところを拠点にして、周辺諸国のASEANの国々の方に研修に来てもらう。その研修の期間中、必要な専門家、機材を供与する。こうすれば旅費も節約になり、また言葉の関係もより容易になり、非常によろしい。こういうシステムは最近はたしか十九コース、二十コースぐらいになっております。中米の方面でも、電子顕微鏡を中心にこれをやるとか、いろいろやっております。そういうことの中には、すべて日本の国内でやる、日本だけでやるということでなくて、やはりいろいろ協力の方法があるんじゃないか、こういう発想でございます。 国際機関につきましては、研修員の受け入れも二国間ベースが本来でございますが、WHOその他各種の国際機関から要請を受けて、そして日本で研修をさせるということもやっておりますし、それからさらには、二国間でやっている事業の中、あるいはその関連で国際機関と協力するということもあり得るわけでありまして、例えばトンガでWHOが、あそこはたしかヘルスポストと申しますか、診療所のようなものを援助しております。それに日本側が必要な専門家を送る、機材を送るということで協力をしております。これはわずかであります。 それから、例えば先般バングラデシュでビタミンAの不足で失明する者が非常に多いので、ユニセフがビタミンAを配布するという事業をやっているのにつきまして事業団の方で協力ができないかということを検討したことがございます。そういうようなことで、先生のおっしゃるような方向で有効なものは、そういう方式もあり得るんじゃないかということで研究してまいりたいと思っております。
○中西珠子君 ODAの実施効率化研究会の中で国際開発大学というものの構想が打ち出されておりますけれども、これはどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。外務大臣、いかがですか。
○政府委員(藤田公郎君) 外務大臣の私的な勉強会ということで出発しましたODA研究会で昨年十二月に出されました報告書の中で、我が国の国際協力に従事する専門的な人員の養成、それから開発途上国からの受け入れと、若干多目的でございますけれども、そういう目的を満たすための国際開発大学の設立構想を積極的に推進するようにという御提言が出まして、その御提言を受けまして、早速私ども事務レベルでは、文部省それから学界、報道界、財界の方々にいろいろお話を伺いながら、その設立を考える検討準備会と申しますか、そういうようなものをつくる準備を今進めているところでございます。
○中西珠子君 最近のJICAの受け入れられる研修員はもう五千人を突破しているわけでございますが、開発途上国へ参りまして日本でかつて研修してきたという人にお会いしますと、研修員に何か資格を与えてほしい、ただ修了証書だけではなくて、何か客観的に評価できるような資格が与えられないものかというお話がよくあるわけでございますね。それで、この点に関しましては何かいい方法がないものかといつも私は考えるわけでございますが、この点が一点。 それから、国際開発大学のようなものができました場合、これが大学院レベルということで研修生を開発途上国から受け入れた場合、少し便宜的に早く学位を与えるというふうなことをこの大学をつくってできるかな、そういうことは不可能かなというふうによく考えるわけなんです。なぜこのようなことを申しますかといいますと、昨年ケニアのナイロビに参りまして、その郊外にございますジョモ・ケニヤッタ農工大学というところに行ったわけですが、これは日本の無償資金協力とプロジェクト方式の技術協力の本当の成功例なんで、先輩の人たちからもぜひ行った方がいいと言われて行ったわけでございますけれども、ここに専門家として日本の人がJICAから派遣されておりまして、これが教授陣を形成しているんですけれども、この人たちが帰った後で、研修してきた研修員では資格がないからどうしても教授陣に入れないし、それからまた日本に研修にある短期間行くんじゃなくて、国費の留学生として呼ばれて行った人については割り当ても大変少ないし、たった二名ぐらいしかケニアには割り当てがないけれども、その割り当てを満たすだけのケニアの方の人の要望はないのだと。 どうしてかといいますと、日本に行くと日本語の勉強から始めて、学位、例えば修士が取れるまでに五、六年かかってしまう。ですから、特別の配慮と措置で一年半で修士を与えるイギリスの大学があるからそういったところに行ってしまう。そうすると、近い将来、日本人の専門家が引き揚げた後では、教授陣はほとんどイギリスで勉強した人になってしまう、だからこの留学生問題というのは本当に文部大臣にお願いして、何か早く途上国の人に対しては資格が取れるような便宜的な措置を与えてやっていただけないだろうかという要請があったわけでございます。 それで、文部省は留学生を、殊に国費留学生の枠を大幅に広げて、そして受け入れ体制も大いに充実していくということで十年計画がなんかお持ちですけれども、こういった点ほどのようにお考えでいらっしゃいましょうか。何か便法が考えられないものでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 留学生の学位取得の問題でお尋ねでございますが、先生御承知と思いますけれども、我が国の留学生全体として見ますと、修士課程は九八%、博士課程の理科系では七九%がそれぞれ学位を取得してもらっておりますから、これは日本人の学生のレベルよりはちょっと幅広くいっておりますから、留学生に対する配慮というと言葉が悪いかもしれませんが、いろいろ気を使った指導をしておる結果ではないかと思います。 期間が長過ぎるということになりますと、なるほどおっしゃるように長いわけでございます。しかし、日本の大学教育にも一定のきちっとした基準、レベルがございまして、それをどうやっていくかということについては、それぞれの大学が学位を付与するときの判定の基準には権威もございますはずですから、外国語による学位論文の作成とか、あるいは学生の特性に応じた教育研究指導体制の充実とか、あるいはまた博士制度の活用と申しまして、論文を出してもらってそれを認定して博士にするとかいうようなこと等をなるべく考えて、先生の御指摘のように、せっかく来てもらったんですから喜んでいただけるような制度にならないものかと、いろいろな方面で今知恵を絞っておるところでございますが、御趣旨に沿って努力をしていきたいと考えます。
○中西珠子君 なるたけ弾力性のある柔軟な対応をして、そして技術協力の大きなパートを留学生の受け入れは占めるわけでございますので、ぜひ前向きにお考えいただきたいと思います。 次に、実施体制についてお伺いしたいんでございますけれども、開発援助の物すごい急激なふえ方に対応できないほどの現在定員が不足という状況があると思うんですね。これは国際協力事業団もそうだし、海外経済協力基金もそうだし、それから青年海外協力隊の事務局も非常に少ない人数でやっているという状況でございまして、その一人一人の仕事の負担というものは大変なものだと思いますし、またJICAやOECFのそれぞれの海外事務所においても非常に人が不足しているということなんでございますけれども、行財政改革のもとで定員を横並びにしかできないということではなくて、OECDの対日援助審査の審査団も報告書の中で指摘したように、増大している開発援助をこなしていくためにはそれに対応するだけの行政的な経費と定員の確保が必要である、こういうことを言われたということは、援助実施体制が整備されていないということを認識されたのではないかと思いますが、外務大臣いかがでございましょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日本は非常に膨大な援助を行っております。国もアジアが中心ですけれども、最近では中東であるとかあるいはまたアフリカであるとか、幅広く世界の声にこたえてやっております。それにはやはりそれだけの実施体制が必要ですけれども、急激な倍増、倍増ということですから、なかなか体制の方が追いつかないということは現実の姿でございまして、やはり財政の問題もあります、定員の問題もありますから、そういう中で精いっぱい努力を重ねてまいりたい。しかし、そういう点についてはいろいろと御理解を得て、政府としてのいろいろな面の温かい配慮をしていきたい、こういうふうに思っております。
○中西珠子君 これまで昨年の本会議とか、それから予算委員会は昨年も一昨年も第三者的な評価が必要だということをうるさく申し上げて、今回の予算の中には、ほんの少してございますけれども第三者的な評価をするための費用とか、それからフォローアップの必要性もうるさく申し上げました。今度はフォローアップのミッションを出してくださるということで、これは大変結構だと思っているんでございますけれども、評価したものの報告書をなかなか公表なさらないということはまずいのではないか、やはり公表ということを原則にしていただきたいし、それをまた現在のプロジェクト、また将来のプロジェクトに対してフィードバックするという体制づくりをしていただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがでございましょうか。
○政府委員(藤田公郎君) ただいま御指摘のとおり、評価事業の拡充ということには一生懸命努力を払ってまいっております。評価報告書も既に今まで三冊を、三年度分を公表いたしておりますが、現在第四冊目の公表準備を行っている状況にございます。 それから、フィードバックでございますが、これは先ほど委員が御指摘になりましたODA研究会の提言の中にもフィードバックの必要性というものが強調されておりまして、いろいろ問題点の指摘等があります場合には、この評価報告書の公表を待たずに直ちにフォローアップを行い、必要な欠陥の是正等に努めるという作業を行っております。
○中西珠子君 昨年、政府開発援助というものを一元化して総合調整なさるところが必要なんじゃございませんかと申し上げまして、結局のところどの省庁の意見も合わないときには内閣総理大臣が総合調整することになりますでしょうというふうな官房長官のお返事があったんです。私はその後、内閣の中に外政調整室ができるということをお聞きしまして、これは七月一日から発足して、国家安全保障会議の法案が通ると同時に政令でこういうものをおつくりになるということだそうでございますけれども、外政調整室というものが内閣官房にできると、これは外交の二元化ということになって、外務省、殊に外務大臣はお困りになるのではないかなと私は思うんですけれども、いかがでございますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今度外政調整室ができるわけですが、これは外政調整室が対交をやる室ではないわけであります。外交はあくまで外務省がやるわけでございまして、その辺は内閣との間でもきちっと調整をつけて私としてもこれを認めたということでございますから、外交に関してはそういう御心配は要らない、こういうふうに思います。
○中西珠子君 今、官房長官いらっしゃいましたからお聞きいたしますけれども、今内閣の官房に内政調整室、外政調整室などというものができまして、殊に外政調整室などができますと外交が二元化して外務大臣お困りになるんじゃないんでしょうかなんてお聞きしたんですけれども、そういうことがございませんように、官房長官の方はどのようなお考えか、この際はっきりとお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(後藤田正晴君) 中西さんおっしゃるような心配が一部にあったことは事実ですよ。しかし、そんなことになるのじゃこんなものをつくるわけはないのでして、やはり最近の外交上のいろんな問題は直ちに内政にすぐにはね返る課題なんですね。ところが、どこの国でもそうかもしれませんが、我が国もなかなかそういった外交課題から活生した内政課題、これは各省のいろいろな立場がありますから、政府の方針が決定しないんです。それじゃぐあいが悪いということで、こういうものをつくりまして、そうすることによって政府の意思決定を適時適切にやれるようにしていこうと。もちろん、これが外交をやるわけじゃありません。その方針が決まればもちろん外務省が全部当たるわけでございますから、御心配要らないように運営をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○中西珠子君 外交の二元化になりませんように、どうぞ気をつけていただくようにお願いいたします。 それから、私はODAの中にもっともっと国際機関との協力、それから民間非営利団体との協力、それからそういったものの活用というものをもっとやっていった方がいいんじゃないかと思うのでございますね。質をよくするためにも、またいつも外務大臣おっしゃる民生の安定と福祉の向上を図ってやる、草の根の国民にも経済発展の恩典が均てんしていくようにしてやるという、そういう目的のためには国際機関を使ったり、それから非政治的な中立性、それから国際機関の専門性というものを利用していくという面で使ったらいいんじゃないかと思いますし……
○委員長(安田隆明君) 中西君、時間が参りました。
○中西珠子君 それからまた民間団体を使うということは、ボランタリーなオーガニゼーションを使ってやっている国が多いわけでございまして、国によってはODAの中の資金の一部をコファイナンシングに使っているというふうな国もございますね。
○委員長(安田隆明君) 中西君、時間が参りました。
○中西珠子君 ですから、その点について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今おっしゃるように、ODAについては、いろいろな弾力的な立場で、今後これが真に開発途上国の国民の福祉の向上等に寄与するような形で持っていかなければならぬ、おっしゃるとおりであります。いろいろと研究する面もあると思っております。特に民間団体との協力関係ですね、その点については、アフリカの問題等もやってみまして、そういう協力関係の必要性というものを痛感いたしました。そういう点で、今後とも幅広くこの問題に対する効果、効率というものを考えて研究は進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
○委員長(安田隆明君) 以上で中西珠子君の質疑は終了いたしました。(拍子) —————————————
○委員長(安田隆明君) 次に、和田静夫君の質疑を行います。和田君。
○和田静夫君 フィリピン問題についてまず伺いますが、日本でもどうもマルコスグループの隠し資産があるのではないかという話に今なってきていますけれども、サロンガ委員長もそれを示唆しているわけですがね。そうなった場合には外務大臣は一体どういうふうに対処されますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) フィリピンの日本における公的な財産については、外務省としても非常に関心を持っていろいろと調査も進めておりますし、またフィリピン政府との間の連絡も進めておるわけでございますが、その他のいわゆるマルコス資産と言われるものがあるかどうかということについては、我々としても何もまだ調査するという立場といいますか、そういう機能を持っておりません。しかしフィリピン政府からそういう点についての要請があれば、これは関係各省とも連絡の上で御協力できる面は協力しなきゃならぬ、その辺がどの程度協力できるのか、いろいろと相談はしなきゃならぬと、こういうふうに思っております。
○和田静夫君 私は、当然そういうことがあった場合には資産凍結の措置がとられるべきだと考えているんですが、この辺はいかがでしょう。
○政府委員(小和田恒君) お尋ねの問題は、実は政府のいろいろな部局にかかわることでございますので、私が有権的に申し上げられるわけではございませんけれども、大筋どういうことになるかということだけ申し上げます。 先ほど外務大臣からお答えいたしましたように、フィリピン政府側からそういう要請がありました場合には、我が国として国内法上できる範囲において協力する、こういうことになるわけでございますけれども、我が国の国内法上どういう措置がとれるか、こういうことになってまいりますと、二つのケースがあると思います。 一つは、先方から捜査共助等の要請がございました場合には、我が国にございます国際捜査共助法その他の法令に従って処理すると、こういうことになると思います。それから、我が国が国内法令に違反するような問題が出てくるということになりますと、刑事訴訟法でありますとかその他の関係の国内法令に従って処理するということになると思います。
○和田静夫君 今言われましたように、隠し資産に限らず贈収賄についてフィリピン政府から調査ないし捜査の協力要請があった場合、外務省の見解は今一応わかったんですが、警察庁、法務大臣、いかがですか。
○国務大臣(小沢一郎君) 現在の段階では仮定の御質問でございますが、一般論として申し上げますと、外国政府からの共助要請あるいは国際刑事警察機構からの協力要請がありました場合には、国際捜査共助法にのっとりまして適切に対処してまいる所存であります。
○国務大臣(鈴木省吾君) ただいま自治大臣から御答弁がありましたのと全く同じでございます。
○和田静夫君 ちょっと検察の答弁を求めておきます。
○政府委員(岡村泰孝君) ただいま御答弁のありましたように、国際捜査共助法というものがございまして、これで捜査の共助要請を受けましたときに、どういうような要件があればこれに応ずるか、あるいはその手続はどうなのか、こういうことを決めておるわけでございます。したがいまして、この国際捜査共助法の要件に合致するような形で要請があり、かつ相当と認めます場合は、その嘱託に応じまして、要請に応じまして所要の作業を行う、こういうことになるわけでございます。
○和田静夫君 それでしっかり受けとめてやると、こうなりますね。
○政府委員(岡村泰孝君) 国際捜査共助法の要件に当たるかどうかということは、具体的に共助の要請がありましたときに、その具体的案件につきまして個別に判断されるべき事柄でございますので、一般的にどうということはちょっと申し上げられないと思います。
○和田静夫君 仮定で恐縮ですが、要件を満たした場合にはしっかりそれに対応すると、よろしいでしょうか。
○政府委員(岡村泰孝君) 国際捜査共助法に定めます要件を満たしそれに応ずるのが相当である、こう判断いたしましたときには嘱託に応じる、こういうことでございます。
○和田静夫君 外務省、この公表文書中の一九七三年三月二十三日のマニラ地区洪水制御排水事業計画、これから七七年四月二十八日の南マニラ迂回道路立体交差事業までの受注企業名、受注額、これはこのとおりでよろしいですか。
○政府委員(藤田公郎君) ただいまのこの二つの案件でございますが、第一のマニラ地区洪水制御排水事業、これは七一年度の第一次円借款でフィリピン側に供与いたしましたプロジェクトを指すものかと考えられます。 それから、第二番目の南マニラ迂回道路立体交差計画、これは第五次の七六年度に供与いたしました円借款のことを指すものかと考えられますが、この受注企業名につきましては、従来より御答弁申し上げておりますように、先方政府と当該企業との間の契約の問題でございますので、政府といたしまして、企業名について発表する、ないし御確認をするという立場にはございません。
○和田静夫君 一番最初と終わりだけ答えられましたが、最初から終わりまでずっとあるわけでしょう。
○政府委員(藤田公郎君) どうも失礼いたしました。 受注企業名という御質問でございますが、これは従来より御説明しておりますように、円借款は我が国政府と相手国政府との間の交換公文に基づきまして、相手国が実施する特定事業のために必要な資金を供与するということになっております。その特定事業をいかなる企業が実施するかということは、先方政府と当該企業との間の商契約の問題でございまして、当該契約の当事者でない我が国政府としましては、円借款にかかわる実施企業名を公表する立場にはございませんし、また受注金額等契約の内容について公表する立場にもございません。
○和田静夫君 今、言われた〇一五八三から、おたくのナンバリングで〇一五九七、これはこのとおりですかと言っているんです。
○政府委員(藤田公郎君) この御提出申し上げました資料すべてについてそういう態度であるかという御質問でございましたら、そのとおりでございます。
○和田静夫君 私は資料要求を一つしますが、フィリピンに対するすべての円借款事業のプロジェクトごとの受注企業名、受注額及びOECFの審査報告書、これは外務大臣、出ませんか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは今しばしば経済協力局長が答弁いたしたような次第でして、なかなか御要望にこたえて日本政府の判断で御提出するということはまず困難じゃないか、こういうふうに思っております。
○和田静夫君 前段の部分は公表された文書で、今局長に大体確認をしてもらったんですがね。それでけさの理事会もある。そういうような経過を踏まえながら、これは委員長、やっぱりお互い努力しなければいけませんしね。予算が上がりましても、その予算の次週ぐらいには、もし本院において特別委員会ができ上がらないのならば予算委員会を開く、そして予算委員会を開いて議論をし直す、そこまでにはこの資料を間に合わせるように政府としては我々に協力をする。これくらいのこと、どうです。
○委員長(安田隆明君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。 ただいまの和田君の発言の取り扱いにつきましては、理事会において協議することといたします。
○和田静夫君 外務省が企業秘密だとか、あるいは理屈をこねて国会に受注企業名すら明らかにしない。このことの背後には、私はどうも特別の理由があるように思って仕方がないんですよ、外務大臣。 経協局長、外務省は企業秘密だと言うんだが、どのプロジェクトをどこの企業が落札したかということは業界紙に逐一掲載されていて天下周知の事実でしょう。出したらいいじゃないですか。
○政府委員(藤田公郎君) いろいろ新聞の方等が取材をされまして報道されているものもあるということは私どもも承知しておりますけれども、政府といたしまして契約の当事者でもございませんので、日本政府として公式にこれを公表する立場にはない、こういうことでございます。
○和田静夫君 いかに公表しなきゃならぬか、おいおい明らかにしますが、受注企業名を明らかにするということは、これは内政干渉でも何でもないわけですね。入札は公開入札で行われるわけでしょう。公開入札なら秘密でも何でもないんで、むしろ外務省は国民の税金を使っているということからすれば、不正をチェックする意味でも積極的に国会に受注企業名を報告すべきですよ、これは。どの企業が何を幾らで受注したかを報告する義務がむしろあなたにはある。大臣、どうです。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは大体公開入札で、向こうの政府と日本の企業が関連してやるわけで、大体この辺は明らかになっているんじゃないか、調べればわかることだと思います。私もこれは当然出したっていいんじゃないか、こういうふうな感じは持っていますけれども、そしてまたそれはすぐ明らかになる問題だと思います。過去においては既にそれはもう明らかだと思います。けれども相手の国のやはり立場、外務省からしますと、しばしば言っていますように、相手の国とそれから企業との契約ですから、相手の国の立場というものを踏まえますと、日本政府、外務省として公然と、調べればわかることですけれども、公然どこれを明らかにするということは差し控えさせていただきたい、こういうことでしばしば答弁をいたしておるわけであります。
○和田静夫君 大臣の心境のとおりだと思うんですね。外務省は日本政府が当事者でないということを言うんですが、しかし円借には国民の税金が使われているわけですね。プロジェクトファインディングが絡んでいるんで、フィージビリティー調査などもこれは日本が行っているわけでしょう。そしてさらに審査も日本が行っているわけですね。日本は円借款の当事者ですよ。これは大臣が言われる前段のとおりにやってください。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今申し上げましたように、外務省としてこれまでずっと言い続けてまいりましたように、やはりその国の政府と企業間の契約でございますから、それについて政府としてこれを具体的に明らかにするということは公の場においては差し控えさせていただきたい、こういうふうに思います。
○和田静夫君 これはずっと言い続けられてきたことだから今回もだめだということにはならないのであって、言い続けられてきたことを今回は改めて真相究明のために努力するというのは、総理、外務大臣の国会に対する約束なんですから。これはもう政府委員じゃないですよ。これは総理と外務大臣が約束されていることの後追いなんだから。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 全体的にやっぱりこれをお出しするということは、これまでずっと外務省として、また国会の御了承も得ながら答弁をしてきておるわけでございますし、これは勘弁していただきたいと思いますが、しかし具体的にいろいろとマルコス文書等で企業名なんか出ておりますし、明らかになっている点はあるわけでございます。そういう問題を踏まえていろいろと御質疑等があれば、これは私自身も明らかにするところは明らかにするべきだということを言っておりますから、これに対してお答えすることはしなきゃならぬ、こういうふうに思っております。
○和田静夫君 大臣のは、公開の場ではちょっと困るけれども、しかし質問者との関係においては接触を保って対応する、そういうふうに理解していいですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) それについては、御協力できる点は御協力申し上げたいと思います。
○和田静夫君 それで局長、どうも私はあなたの答弁が気に食わないというか理解できない、納得できないのは、援助に対する認識の根本に実は問題があると思っているからです。 あなたは「国際協力情報」という業界誌の三千号でどういうふうにお書きになりました。
○政府委員(藤田公郎君) ちょっと「国際協力情報」の三千号で何を書いたか私も記憶しておりません。(和田静夫君資料を手渡す)
○和田静夫君 私がアンダーラインを引いたところ。十八ページ。「さて、日本のODA」から始まって、ちょっと読み上げてもらいましょうか、その書かれているところ。
○政府委員(藤田公郎君) 「さて、日本のODAも予算の事業規模一兆三千億円という額の援助量になりましたから、国民の関心が集まり、意見や批判が出てくるのは当然ですが、その関心の向けられ方が未だにワンパターンで、やれ”黒い霧だ”とか、”商社先行だ”とか、二十年、三十年前の賠償の時の話と全く同じ。要するに批判の視点が全く進歩していない。日本の援助は」……。
○和田静夫君 それで結構です。 大臣、今の答弁を受けて、どういうふうにお考えになります。
○国務大臣(安倍晋太郎君) やはり援助については、常にいろいろの面から御批判とかあるいはまた御忠告いただくということは、援助をより効率的、効果的に行うためには非常に大事なことである、私はそういうふうに思って、終始国会での御意見等も傾聴させていただいておるわけであります。
○和田静夫君 局長、時代おくれの批判あるいは進歩のない批判ですかな。
○政府委員(藤田公郎君) あれは私が実際座談会といいますか、対談で申し上げたことを記録されたものでございまして、私が考えておりますのは、経済協力というのはやはり相手国が主導、相手国の事業に日本としては協力するんだという基本的な姿勢といいますか、視点というものが欲しいということをたしか後段の方でも申しているかと思いますけれども、被援助国という立場で、例えば東海道新幹線でも援助を受けてきた日本でございます。東海道新幹線は日本の事業であると。確かに世界銀行から援助は受けましたけれども、その事業の主体は日本なんだと。援助を受ける国に対してもそういう同じ態度で接するというのが被援助国から援助国に変わってきた日本のあるべき姿なんじゃないかということを、実はこの対談の中で私が繰り返し申し上げている点だと思います。
○和田静夫君 私は本予算委員会で、既に三年ぐらい前からこれを指摘し続けてきているわけですね。大臣からも答弁をいただいた。見通しは私のとおりになったのであって、大臣の見通しは誤ったし局長たちの見通しも誤った。そういう上に立ってこれを論議しているんですからね。いかがでしょう。
○政府委員(藤田公郎君) 私は、別に先生の今までおっしゃった御批判に云々申し上げたということでは全くございません。
○和田静夫君 外務大臣、リベート問題を追及すること、企業と現地の政府高官との関係を問題にすること、これは進歩のない批判ではないでしょうね。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は、援助については国民的な立場でやっているわけですから、そういう意味で国会で議論をしていただいているというのは援助を進める上において大変有益だと思っております。そうした批判というものを踏まえながら援助はしていかなきゃならぬ、こういうことで実は慎重に取り組んでまいりましたし、それなりに国会の意見も援助の中に組み込んでいったと私は思っております。 しかし、こうした少なくとも疑惑が出るような問題が起こっていることを非常に残念に思っております。したがって、いろいろな面でやっぱりこれは再検討して援助の正しい方向をこれから追求していくというか、構築していく必要がある。しかし、全体的にはフィリピンのマルコス問題で言われているほど日本の援助というのは疑惑的なものじゃない。各開発途上国に対して効率的、効果的な面が非常に多かった。私も開発途上国を回りまして、日本のそうした援助に対する非常な感謝の言葉も聞いておりますし、最近の援助というのはそういう意味では相当やっぱり成果を上げてきている、こういうふうに思っておりますが、しかし反省が大事ですから、反省をしながらよりよいものに持っていきたい、こういうふうに思っております。 そういう意味では、やはりいろんな問題が日本政府としてなかなか明らかにできない、相手の国の問題でそういうもどかしさもあるわけでございますが、そういう中でできるだけ問題の解明というのは必要じゃないか。少なくとも日本の企業が参加しているということについては、これはやはりできれば解明をされるということが必要であろう、こういうふうに思っておるわけでございます。
○和田静夫君 藤田さんはもちろん性格的にまじめな人だからあれですが、こうも言っているんですね。「特に私などは現場の第一線で経済協力をやって来たので、商社の人と組んで他の援助国の大使館や業界のグループ相手にいろいろ知恵を出し合って戦って来た戦友だという気持ちの方が強い」。
○政府委員(藤田公郎君) そこで申し上げておりますのは、商社先行と申しますか、商社が経済協力プロジェクトをつくって、それが政府ベースでの経済協力につながっていくということが非常に悪いことであるという、押しなべて悪いという批判がありましたのに対しまして、同じ日本の出先としまして、いろんな方がそれぞれ知恵を出し合って日本の経済協力というものを進めているというのが第一線での実態であるということを私自身の経験から述べたものでございます。
○和田静夫君 既にあなたが発言する前に私は予算委員会で問題を取り上げている。そういう事態をわきまえながらこう述べられた。あなたは商社と、業界と組んで何をおやりになったのか、逐一ここで述べてください。
○政府委員(藤田公郎君) 組んでと申しますと何か、(「何か悪いことをしたみたいだね」と呼ぶ者あり)そういう印象をお持ちかもしれませんけれども、開発途上国におきまして、御承知のとおり我が国の場合にはほかの宗主国等に比べまして知識もございませんし経験もございません。しかも、後発でございますので、常に先発の諸国からの妨害、中傷等にさらされながら実際に仕事をしていくというのが実態でございます。その際、私どもの大使館は、必ずしも知らない分野でございますとか、地方でございますとかにこのような住民のニーズがあるというようなことを伺いながら、それではそういうニーズを満たしていく援助というものが考えられないものかということでいろいろと知恵を拝借し、かつ当該国の政府の話を聞きながらプロジェクトを進めてきたというケースはございました。
○和田静夫君 局長と商社が戦友と、こう言われるんですからね。したがって、商社のビヘービアを援助行政当局はすべてつかんでいたと、私はこれを読む限り思うのは当然でしょう。
○政府委員(藤田公郎君) 私が在勤しておりましたのがベトナム戦争下のベトナムだったものでございますから、戦友という若干言葉を使わしていただきましたけれども、私が少なくとも第一線で援助を担当しておりました際には、商社の方々とともに働き、かつ少なくとも私の知る限り、巷間言われておりますような黒い霧と申しますか、不正のようなことというのは全く経験もいたしませんでしたし、批判的な気持ちになったということもございませんでした。
○和田静夫君 私、揚げ足取りにこれを例に引いたんじゃありませんがね。大臣、今回の事態を招く土壌というのは、こういう援助行政の中に私はあったと思ったからなんです。我が国の援助行政そのものの中にリベートやら癒着を招く土壌があったのではないだろうか、あるいは外務省はこれまで受注企業名すら国会に報告しなかった。それは今明らかにしたように、援助行政当局を受注企業との癒着関係の中に置いているからである。これを機会に援助プロジェクトをガラス張りにする、最低限プロジェクトの受注企業名、受注額は国会に報告されるべきだ、こういうふうに考えてきょうの第一回目の質問をしているわけです。あとは四月一日、これを踏まえて集中審議でやりますけれども、先ほど今後の要求には接触を誠意を持ってやられると、こうお答えになっていますから、それを経ながらあとの問題は集中に譲ります。
○委員長(安田隆明君) 和田静夫君の質疑は午前はこの程度にとどめ、午後零時四十分まで休憩いたします。 午前十一時三十七分休憩 —————・————— 午後零時四十三分開会
○委員長(安田隆明君) 予算委員会を再開いたします。 昭和六十一年度総予算三案を一括して議題といたします。 休憩前に引き続き、和田静夫君の質疑を行います。和田君。
○和田静夫君 建設大臣、まず筑波研究学園都市でまた研究員が自殺されたんですが、この自殺の原因、それを生み出した研究体制の問題、どう把握しますか。
○国務大臣(江藤隆美君) 森下弥三郎君三十四歳でありまして、春秋に富むこうした人がみずから命を絶ったということを大変残念に痛ましく思っておるところでございます。 本人は、アメリカのNBS、国立標準局火災研究所長の招聘によって昨年の九月二十日一年間の予定で同所に研究に赴いたものでございますが、精神的な疲労が重なっておるということで実は帰国をいたしまして、芦屋の自宅で病気療養中であった。たびたび研究所からも電話をいたしまして、そうしておりましたところ、三月二十八日、同君の自宅に電話を入れたところ家族から二十四日に筑波の研究所に出かけた、こういうことでありました。二十八日午後七時ごろ同君の宿舎に訪れてみましたところ、既に亡くなっておった。検視の結果、四十八時間を過ぎておった。こういうことでございまして、まことに残念に思っておるところであります。 原因については、米国での研究中精神的疲労により途中帰国したものでありまして、医師の診断によりますというと神経性疲労に基づくものである。こういうことに実はなっておりまして、私どもけさも実は幹部集まりまして、研究所のああいう特殊な研究体制の中でありますから、研究体制の中で問題はないのか、上司あるいは同僚との間に問題はないのか、今後どういう点を改善したらいいのかということを実は幹部の間で話をしておるという状態でございます。
○和田静夫君 これまで八人の自殺者が出ているわけです。したがって関係大臣、自殺の原因、研究職員管理体制の問題の把握について。
○国務大臣(河野洋平君) 和田先生御指摘のとおり、研究学園都市で有為な研究者の自殺がございます。私ども科学技術庁の関係でも三件の自殺者を出しております。自殺の原因についてはそれぞれ個別に事情もおありだろうとは思いますけれども、いずれもこうした研究に従事しておられる方方でございますから、その研究環境でございますとか、あるいは研究業務に起因する部分も相当多いであろうというふうに考えております。 私どもから見ておりましても、これらの研究者の方々は、いずれも国際的な非常に水準の高い研究に従事をしておられる方々でございますから、その研究開発では相当しのぎを削って日夜努力をしておられたに違いないと思いますし、最先端の未知の分野に取り組んでおられるわけでございますから、心身ともに相当な負担があったであろうことは想像にかたくないわけでございます。常に緊張の連続であっただろうと思いますし、そうした精神状況の中にそういうものを解きほぐしてやる、そういう何かがなければいけなかったのではないかというふうに思っております。 そして、こういう状況を踏まえまして各研究所におきましては、所長の一番重要な仕事は研究管理体制を快適な状況に置くというための努力が必要だというふうにそれぞれの所長は考えておられたようでございます。例えば研究者の心身の健康管理に努める、あるいは研究所内における自由闊達な雰囲気づくりに努力する、あるいは研究所の運営については職員の意見などができるだけ取り入れられるようなそういう状況をつくるということが必要だというふうに考えておるわけでございます。 学園都市という都市機能についていろいろ御議論もあるようでございますけれども、私どもといたしましては、我々の関係する研究所の所内の雰囲気づくりのためにさらに一層努力をしなければならないと、こう考えておる次第でございます。
○国務大臣(海部俊樹君) 文部省に関係いたしましては、昭和六十年一月十五日に筑波大学の非常勤講師を兼ねております茨城大学理学部教授の小沼直樹氏が飛びおり自殺をしたことがございました。その原因の詳細はよくわからないのでありますけれども、昭和五十六年に茨城大学教授に就任される前後から家族の話では抑うつ症があり、病院などにも通院しておられた模様でございますし、自殺の動機、原因と研究面との関係、これも詳細にはつかみがたいのですが、大学教授の研究活動は自由に本人の意思に基づいてできるようにもなっております。 ただ、茨城大学におきましては、この事件がありました後直ちに学内において、今後は研究者相互の意思の疎通をもっと図るようにしていかなきゃならぬ、このような努力を重ねて、再びこのような事件が起こらないようにしょうと努力をしておると報告を受けております。
○国務大臣(三塚博君) 気象庁の台風研究部第三研究室長の荒井さんという方が三月二十一日、飛びおり自殺をされたということであります。遺書がございまして、定年退職を苦にということで奥さん初め何人かに手紙があったようでございますが、真の自殺原因はわからぬというのが実情のようであります。 筑波学園での自殺者がその前にもあったものでございますから、気象庁とすれば昨年の七月ごろから医学者を呼びまして精神衛生上の問題、また研究生活というようなことで勉強会を全員集めて開きましたり、各省と協議をしながら、自殺未然防止というのでしょうか、そういうことでミーティングなどを開き、万全を期しておるやさきの出来事であり、極めて残念であります。 こういうことであり、自後対応をさらに研究をする、こういうことになると思います。
○政府委員(等々力達君) 通商産業省では、現在九つの研究所が筑波にございます。五十四年に移転いたしまして既に六年経過するわけでございますが、私ども二千人の研究者を有しております。 現在までに二人の研究者が自殺をしております。原因につきましては、なかなか難しい調査でございますが、いずれも病気を苦にした自殺というふうに調査の結果なっております。 私ども、従来から研究者といいますか、あるいは職員の健康管理の徹底についてはいろいろ努力しておるわけでございますが、特に精神衛生面についても専門医を配置いたしましてカウンセリングを実施する等の配慮を行っているところでございます。そういうことで、今後とも職員の心身両面の健康管理には十分留意してまいりたいと思っております。 私、五年ほど筑波の研究所の所長として勤めてまいりまして、大変周囲の自然環境などよろしいわけでございますが、やはり移転直後の長距離通勤であるとかあるいは単身赴任であるとか、そういうようなこともかなり影響があったかと思います。職員にはなるべく運動その他のクラブ活動に参加するとか、あるいは運動施設もかなり整っておりますので、そういうところを十分利用するようにというようなことはふだんから指導しておるところでございますが、今後とも、こういうように研究に行き詰まったときでも十分気を紛らわすということを自分たちなりに解決していくように十分な指導をしたいと思っております。
○和田静夫君 人事院総裁、この筑波学園都市における職員管理、労働安全の実態などというのは、人事院としては例えば衛生管理者の配置状況などを踏まえて、法的な義務づけというものを踏まえて把握をされていましたか。
○政府委員(内海倫君) お答え申し上げます。 人事院におきましては、筑波に限らず国家公務員の自殺とかというふうな問題につきましては、在来その都度、一応事情の調査は行ってきておるわけでございます。とりわけ最近、筑波地域におきまして自殺者が多発と申しますか、相次ぐ状態に関しまして、どういうふうな問題があるのか、これに対する調査をしてまいっております。 在来、私どもとしましては、精神衛生上の重要な問題といたしまして、これの対策、とりわけこういうものを担当する各省庁のお医者さんあるいは衛生管理者、あるいはそれぞれの職場における人事管理者というふうな人たちと会合を持ちましてその対策をとってきたわけでございます。とりわけ筑波地域につきましては、ことしの二月にも私どもの方から参りまして、筑波地域で関係の研究所の担当の課長さん方にお集まりを願ってその実情について話を聞きますとともに、今後いかようなる対策をとっていくべきかというふうないろいろ論議もいたしたわけでございます。 また、昨年におきまして私どもは、筑波だけでなく、公務員の自殺等に対する防止対策としてどういうふうな措置をとるべきかというハンドブックをつくりまして配付するというふうなことで、対策はとっておるのでございますが、さて、それではどういうふうに衛生管理者あるいはカウンセラーというふうなものを配置したらいいか、あるいは自殺防止について各省庁の研究機関がどういうふうな具体的な対策をとるべきかということにつきましては、現在も非常に努力は私どもいたしておりますけれども、今後さらに、しかも早急にそういうふうな対策について各省と御相談を申し上げたいと、こういうふうに思っております。
○和田静夫君 私は、やっぱり研究体制の改善問題というのは政府に強く要求をしておきたいし、きょうはお聞きをする暇がありませんが、安全衛生管理者など義務づけられているものはしっかり各省庁がそこに配置をする、そういうこともおやりになるべきでしょう。 もう一つは、これは官房長官か建設大臣にお答え願いたいのですが、先ほど科学技術庁長官のお答えにありましたが、都市機能を十分に考えてみる必要があると思うのです。私は世界いろいろなところを歩きながら、住民生活と都市という問題は、これは私は非常に密着した問題だと思うのですね。一定の目的を持った孤立した都市というのは往々にして人間の精神状態をこういう形に追い込むという、そういう条件もあるだろう。その辺のことをひとつまとめて答弁をしてもらいたいと思います。
○国務大臣(江藤隆美君) 今回の事故について、優秀な方がこういう事態に陥るということは非常に残念でありますが、私ども今、都市の再開発、新しい町づくりということをよく言うわけでありますが、今回も国会に実は法律をお願いいたしておりまして、今までは例えば多摩地区のニュータウンでありますと住宅だけということでありましたが、このような研究施設あるいはまたそれに準ずるような公害、騒音等のないような職場は職住同居の形で新しい町づくりの中に組み入れていこうではないか。ですから、研究機関だけがもうまるっきり隔離されて独立するということではなくて、自分の住宅から通勤ができる、そういうふうな方法も今まで実はなかったわけでありまして、住宅は住宅団地だけと、こうなっておりましたから、ひとつそういう職場と住宅とやっぱり結びつけていく新しい町づくりというものも必要であろうということで、今国会にもまた御提案申し上げておりますので、そこらもまた十分御審議を賜りたいと思うところでございます。
○国務大臣(後藤田正晴君) こうした痛ましいことでございますから、政府としましては今、和田さんがおっしゃったようなことも頭に置きながら、やはりこういった不測の事故の防止ということについて、精神衛生上の問題もありましょうしあるいは研究者特有の生活環境、それに対応する整備の問題、あるいは職場の中の人事管理といいますか、そこらを十分気をつけておれば、ああこのごろ少しおかしいなというのは実はわかるんですよ。そうすれば家庭との連絡であるとかいろんな面を考えなきゃなりませんが、そういった面についてさらに各省を督励をしましてできる限りひとつ事故の防止に努めたいと、こう考えております。何せこれは難しいんですよ。私も長い間役人をやりましたけれども、みんな頭のいい人ばかりでして、政治家のように、お互い修羅場で毎日やっているようなタフな精神じゃない、非常にデリケートな気持ちの方が多いんですね。そこをよく理解してあげないと思わざる結果になるおそれがあるものですから、非常に難しいことだと思いますが、痛ましいことでございますから、政府としても全力を挙げて取り組みたいと、こう思います。
○和田静夫君 国鉄問題に入りますが、国鉄改革法案が国会に提出されておりますが、これを提出されるに至ったいきさつですが、まず臨調以来の論議を踏まえてのことでしょうが、初めに伺います。
○国務大臣(三塚博君) 提出の経過は、御案内のとおり五十五年、再建法が制定をされ地方交通線以下出ました。五十八年、再建監理委員会法、仮称でありますが、これが制定をされ、監理委員会の二年余にわたる再建のあり方の答申を昨年いただいたわけであります。これを受けて政府はそれを精密に精査をしつつ、先般、関係九法案、これを提案申し上げたわけでございますが、まさに提案の趣旨は御案内のように分割・民営、これで鉄道の再生を期してまいりたい、これが基本的な考え方と経過であります。
○和田静夫君 そこで大臣、二月十四日の私の補正のときの質問に国鉄は破産ではないと答えられたわけです。答申は破産状態と言っているわけですが、破産なのか破産でないのかというのは……。
○国務大臣(三塚博君) 総理も破産状態という言い方をいたしております。監理委員会も破産状態と言っております。まさに状態であるわけでございますが、鉄道は国民の足でございまして国民経済生活の基本でありますものでありますから、そのとおり受けとめまして、破産手続きをするということができ得ない、またしてはならない。再生ができないのかということで研究、検討いたしました結果、再生ができる、こういうことでありますから、持つ貴重な財産を駆使しつつ、また国の最終的な援助も必要なものについてこれを行いつつこれをやり抜いてまいる、こういうことで、状態ではありますが破産ではない、破産せしめてはならないし、国民のためにこれを生かしてまいらなければならぬというのが基本的な取り組みであり認識でございます。
○和田静夫君 大蔵大臣いかがでしょう。
○国務大臣(竹下登君) 今の三塚大臣のお答えに尽きると思いますが、私、今とっさに考えておったのは、少なくとも破産宣告は法律的には受けていないということは言えるのかなと、全く当を得たお答えではなかろうと思いますが、感想を述べました。
○和田静夫君 そうすると運輸大臣、答申で言うところの民間なら破産状態というその認識は否定をされていない。
○国務大臣(三塚博君) このまま今の流れの中で経営を進めていくということになりますと、破産状態から究極的に破産というような状態に追い込まれていくのではないかという認識であります。
○和田静夫君 監理委員会の答申は否定をされない。
○国務大臣(三塚博君) さようでございます。
○和田静夫君 そこで、今言われますように、このまま進めていくと破産に追い込まれるのではないだろうかということになりますと、真剣、誠実に検討されてきたと言われているわけでありますから、この時価による貸借対照表というようなものがないと判断ができないんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(三塚博君) そこがこれからの御論議をいただくポイントであろうかと実は思っております。 時価による貸借対照表というのも一つでありますが、前段申し上げましたとおり、破産状態にありますが破産ではない、また究極を救済をして鉄道の再生を期したいと、こういうことでありますものですから、簿価をそのまま載せさせていただくと、こういう手法をとらさせていただきました。 それは、先般もお答えを申し上げましたとおり、なぜ簿価なのか、なぜ評価をしないのかと、こういうことであるわけでございますが、これは鉄道資産として活用してまいるということでありますものですから、さような意味で簿価で見ていただきたい、こういうことで、法律提案の基本もそこに置いておるわけでございます。
○和田静夫君 ところが、国民に十六兆七千億円という負担を新たにお願いをすると、まさに血税を出していただくということになるわけでありまして、どういう根拠に基づいているかということがきちんと計算されませんと、これはなかなか理解できないわけであります。そういう意味で時価による貸借対照表を出すべきである、これは私の主張なんですがね、大臣。
○政府委員(棚橋泰君) 大臣と大蔵大臣からお話のございましたように、現在の国鉄の状態は、御指摘のように破産に近いような、破産のような状態である。しかし、それをどういうふうにするかという手法というのは、破産宣告をしてその資産を、再建とのバランスを考えて、一体債権者にどれだけ返せるかというようなことで処理をしていくという処理の方法ということではないんではないか。 御承知のように、破産になりましたら資産を正確に算定をいたしまして、債務との間において債権者にどれだけ返せるかということを正確に算定をして配分を決めるというような手法をとるわけでございますけれども、今回の国鉄は、大臣が申し上げましたように、これから鉄道として再生をしていく、そういうことでやっていくわけでございますから、それらの資産は売却ということを対象として考えるわけではございません。したがいまして、健全な会社として立っていけるためにはどの程度の債務をしょわせてやっていくべきかということについては正確に算定をして、健全な経営の会社として再生をする。残ったものにつきましては、極力残った資産等について処分をし、その上で残るものについては国において国民の御理解を得て処理をする。 したがいまして、監理委員会の御答申でもございますように、今回の土地の売却というのは五兆八千億しかないというふうに決めつけておるわけではなくて、少なくとも五兆八千億程度はということでございまして、さらに政府においてもっと正確に、それをさらに上乗せできないかというようなことを検討した上で国民負担というものを最終的にはお願いしていく、こういうことになっておるわけでございまして、したがいまして今後これからの手続といたしまして、健全な会社を成立させました後に極力資産等の処理をして、残りの分については国において処理をすると、こういうふうな考え方で処理をしたい、こういうことが今回の趣旨でございます。
○和田静夫君 あなたの答弁を聞いていると、国民の存在なんて全く無視されているんですね。それは十六兆七千億円を負担させようというわけでしょう。してくださいと、こういうわけだ。その立論を教えてくれと、こう言っているんだ。
○政府委員(棚橋泰君) 十六兆七千億というのは五兆八千億ということを差し引いた残りでございまして、極力五兆八千億というのに上乗せをする。これは監理委員会の御答申でも、少なくとも五兆八千億ということでございまして、さらにもっとそれが多くなれば国民の御負担は少なくなる、そういうふうな処理でございますので、国民に対しては極力負担を少なくするという考え方で処理をしていると御理解をいただきたいと思います。
○和田静夫君 おいおい私は素人としての意見を述べていきますが、素人としての意見というのは、国民の意見だと受けとめてもらいたいんです、国鉄関係問題というものをある意味では熟知していない。この間総括のときに申し上げておきましたが、まさに心のふるさととして国鉄を考えている国民の意見、そういう立場で物を申し上げていきますからね。 そこで、亀井委員長にお見え願ったんですが、答申発表のときの委員長談話で、民営・分割の答申が唯一最善の案だとおっしゃったんです。その論拠ですね、どう国鉄が破産状態なのか、非常貸借対照表を検討されたからそう言われたんだろうと思うんですが、その辺いかがでしょう。
○参考人(亀井正夫君) 私どもあの意見を提出しましたときに記者会見で、現在我々委員として努力をした最善の案だと、こういうふうに申し上げた次第でございます。
○和田静夫君 ここのところは、亀井委員長は民間の非常に成功されている企業の責任者でいらっしゃいますから、この辺のところはぴんとこられると思うんですが、非常貸借対照表をもし作成をされていないとしたならば、破産状態だなどというような論理は出ないんじゃないだろうかと私は考えるんですが、いかがですか。
○参考人(亀井正夫君) 私は破産状態にあるということをいろいろのところで申し上げましたときに、あれはたしか参議院の運輸委員会でございましたか、社会党のある先生の方から、国鉄は破産能力がないのに破産状態と言うのはけしからぬと、こういうお話もございましたのですが、民間企業の経営から見ますと、現在の国鉄の状態というのは本当にもう寒心にたえない。これは売上高が三兆一千億でございます。それに対して毎年二兆五千億という借金の繰り返しをしておる、こういうシステムがいつまで続くのかという非常な危機感のもとに、やはり和田先生と同じように、私どもは百年以上の歴史を持つ国鉄というものに国民の立場から愛着を持っております。これをつぶしちゃいかぬ、こういうことからああいう案を苦労しながらつくり上げたと、こういうことでございます。
○和田静夫君 国民に十六兆七千億の負担を、これは増税という形になりますが、税負担をお願いするということでありますので、ここのところはどうしても非常貸借対照表というものがつくられるべきだろう、つくらずに論議をされるはずがない、それを出していただきたい。
○参考人(亀井正夫君) 私どもの委員会で検討いたしましたところは、はっきり申し上げて時価による評価というこの作業は全然いたしませんでした。これの趣旨は、先ほど運輸大臣がお話をされたとおりでございますから、それを出せと言われても困るわけでございます。 それから、時価に評価すべきかどうかという議論もいたしました。しかし、もし新しい企業体が、これは私ども新しい企業体にするという前提ですが、それが今度は評価したものをそのまま借金という格好で背負った場合には、これは大変な今度は金利負担がかかってくる、あるいは大変な償却費というものを生み出さなきゃいかぬ、こういうことでございまして、事実上国鉄というものを新しい形で再スタートすることが不可能であるという結論に達しましたので、そういう評価はいたしませんでした。
○和田静夫君 私はずっとこの論議を聞いてきて思うんですが、運輸大臣、運輸省の理屈にのっとって私たちが、ずっと同僚委員が議論をしている。ところが、どうもその議論の根拠になるもの、理屈の根拠になるものが示されない。これで一貫しているんですね。運輸大臣、そういうふうにお思いになりませんか。
○国務大臣(三塚博君) これは決してそうではございませんで、今回の九本の法律で委員会で一つ一つ御審議をいただく、またそれについて提案をいただく、それに対する反論をさしていただく、また資料提供をさしていただく、こういう論議のかみ合いの中で最終的な結論が出されると思うのでありますが、私ども、監理委員会の答申は答申としてお受けさしていただいた。尊重をするという、そのとおり内閣が声明を発しまして、これに基づき政府は政府としての精査の中で分析検討をし、法律案作成ということでまいったわけでございまして、まさにその心は、前段申し上げましたとおり、国有鉄道がこのままであっては破産状態から破産へ追い込まれていくであろうというその根拠は、亀井委員長も先ほど言われましたとおり、収入が三兆前後なのにもかかわらず、経費がその倍近く、元利償還を含めての話でありますが、アバウトの計算で申し上げますとそういうことに相なっております。 五十九年現在で二十二兆円の長期債務残が決算上出ておりますと、こういうこと。そういたしますと、それの元利利払いだけで実は気の遠くなるような金が出てまいる。利子だけで七分に計算いたしましても一兆五千というのがすぐこれは出てくるわけであります。一兆五千の金利負担を負いづつ企業というものが公企体といえどもいくのであろうか。行きつくところまで行ってみようかという一つの議論もあろうかと思うのでありますが、国民共有の財産を支えつつ、なおかつ鉄道という公共企業としての交通手段を今より高めていく、今より落とすことのないようにしてまいるということでありますと、やはりそこに分割いたしまして、機動的なコンパクトな地域鉄道としての機能が発揮できる状態にこれをしていくことが大事なのかなと。そしてそれは同時に、そうでありますから、株式会社形式、株式会社としてこれがスタートを切るということの決断が正解なのかなと。社会党からは民営体として一本という、こういう御提言もいただき、私も読まさしていただいておるところでございますが、そういう案もある。 そういう中の議論を踏まえて、何が鉄道再生の道かということで今回の法案御審議を和田先生の言われるようないろいろな観点から御指摘をいただき、私ども気づかしていただく点については真剣にまたそれに取りかかる、また私どもの申し上げておりますこともそれなりにまた分析、御検討をいただきまして御批判をいただく、こういうことの中で取り組んでまいりたいということであり、そのことが国民の御負託におこたえを申し上げていける道かなというふうに考えておりますものですからお願いを申し上げておるというのが今日の状態であります。
○和田静夫君 どういうふうに言われましても、どう一体破産状態なのかということを私たち国民がまさに素人の立場で判断する場合に、非常貸借対照表の存在なくしてはその判断はできない、こういうことになるわけでありまして、これは安田委員長に私の要求としてここのところはもう要求をいたしたいと思いますから、ちょっと御協議願います。
○委員長(安田隆明君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。 和田君御要求の資料につきましては、理事会でその取り扱いを協議いたします。
○和田静夫君 我が党の田邊書記長の質問、それから三月六日衆議院予算委員会第七分科会の佐藤分科員の質問で、運輸省は売却予定の土地の箇所と面積の資料を提出されると述べられましたね。
○政府委員(棚橋泰君) 監理委員会の五兆八千億、二千六百ヘクタール、こういうのは監理委員会の御試算でございまして、その後現実にそのお考え方をもとに国鉄におきまして一個一個の資産を洗いまして、どの程度が売却の方に回せるかというのを現在検討中でございます。したがいまして、それは国鉄改革法の御審議の際までにはその中身というものは御提出を申し上げる、こういうふうに申し上げております。
○和田静夫君 箇所というのは地番でしょうね。
○政府委員(棚橋泰君) 国鉄の用地は大変広いものでございまして、地番という表示は余り適当ではないかと思います。例えて言えば、汐留なら汐留、新鶴見なら新鶴見というのは大変広い面積でございまして、地番で表示するというのは余り適当でない。したがいまして、普通、例えば汐留であれば汐留貨物何とか跡とか、そういう表示でいたしております。ただ、そこの面積というものは明確にわかる、そういう形でございます。
○和田静夫君 二千六百ヘクタール全部についてと、こう理解していいですか。
○政府委員(棚橋泰君) 二千六百ヘクタールは監理委員会が御計算になったものでございまして、今回やっておりますのは国鉄が独自に積算をしておるものでございまして、それがどの程度の面積になるかというのは結果の問題でございます。
○和田静夫君 監理委員会の計算でいいんですが、五兆八千億円をはるかに上回るというふうに推定されるわけですが、そういう作業の状況にありますか。
○政府委員(棚橋泰君) ただいま国鉄において調査中でございますので、結果は改革法の審議の段階までに提出をいたす、こういうことにいたしております。
○和田静夫君 予算委員会で要求しているものをほかの委員会までという答弁はないでしょう。
○説明員(杉浦喬也君) 今運輸省から申し上げましたように、一生懸命令売れる土地の境界線、これの区分の作業をずっと続けているところでございます。いずれその境界線がはっきりするということでございますが、その段階で省とも相談をしながら発表の方法あるいは委員会への提示の方法等を十分お答えするようにしてまいりたいと思います。 ただ、値段の点でございますが、私ども同時にその土地の公示価格等あるいは最近の売買実例等等によります価格の単価というものを勉強はいたしております。したがいまして、ある程度の推測を立てることはできるわけでございますが、今までもいろいろな御議論がございましたように、その当該土地の単価を発表するということは、これからの処分に当たりましてのいろんな点の問題が出てくるということでいかがなものか、やはり将来これは一般公開入札を原則とすることによりまして初めて値段というものは決まってくるというふうに思いますので、我々の勉強は公表を差し控えさせていただきたいというふうに思っております。
○和田静夫君 作業の進捗状態を私の締めくくり総括までに私に対して報告をする、よろしいですか。
○説明員(杉浦喬也君) 鋭意検討いたしておりますが、その時点におきます検討状況は御答弁申し上げたいと思います。
○和田静夫君 先ほど来も、国鉄は赤字赤字だと、こう言われるんですが、実はその赤字原因をどうとらえたのかということは国民には全くわからないんですよ。これはよく知られているように、国鉄の赤字というのはかなりの部分が政治的なものです。損益状況の推移を見てみましても、五十九年度の決算で純損失が一兆六千五百四億円、このうち特定退職手当純損失が三千七百八十八億円、特定年金損失相当額が三千二百八十三億円、これは引揚者の分で国鉄が国で見てほしい見てほしいと言い続けてきたものですね。これはつまり国の雇用対策を国鉄が引き受けた分だ。それから、東北・上越新幹線資本費相当額三千六百六十五億円、とれは国策で建設したもので、やはり国で見てほしいと国鉄言ってきたものですよ。合計一兆七百三十六億円。純損失の六五%、三分の二は政治的赤字なんですね。その上に金利負担がある。運輸大臣、そういういきさつをよく御存じのはずであります。あなたは専門家ですから、したがって赤字原因別の説明をしてください。
○国務大臣(三塚博君) これは和田先生、いろいろ見方があるわけでありまして、視点をそういう視点で見まするとただいまの御見解になります。決して私はそれが過ちだとは言うつもりはございません。それぞれの国家政策の中で戦中の輸送力強化、戦後の雇用対策等々、恩給との関係の追加費用等の関係等、それをどう見るか、それは視点の違いであり判断でありますが、事実は事実として残る点においては同じでありまして、事実関係から申し上げますならば、五十九年度末の実績で長期債務累積赤字の総計とすればアバウト二十二兆円というふうに言われておりますことは御案内のとおりであります。二十一兆八千億、こういうことであるわけでありますが、そのうち、かねがね申し上げておりますとおり、おおよそこれもアバウトな言い方で恐縮なんでありますが、フィフティー・フィフティーだ、建設国債分あるいは赤字国債分という分け方でやりますとそうであります。 しかし、正確にこれを申し上げさしていただきますならば、線増及び改良工事等のための借金として九兆五千億円残っております。運営資金不足、いわゆる収支の不足分を借入金によって賄ってまいりました部分が七兆八千億円あります。さらに、減価償却相当分として当然収支経営の中で行われるべきものが、赤字決算なものでございますから借り入れを起こすことによって行っております分四兆五千億円。そういたしますと、設備増強というマクロでとらえてまいりますと、この分は十四兆円というふうになります。さらに、累積赤字という会計法上の区分からいいますと十二兆三千億ということになりまして、ここから出てまいります四兆五千の差はまさに減価償却費相当分をどちらに入れるかということでありまして、三分割いたしますと、七兆八千の運営資金不足による分、減価償却費相当分四兆五千、純粋線増改良工事等九兆五千、こういうふうに相なるということであります。
○和田静夫君 今も言われたように十四兆円が設備投資。そうすると、つまり六四%、三分の二は設備投資によるものだと、こうなりますね。 設備投資のうち四兆九千億円というのは新幹線建設に関する長期債務ですね。新幹線は御承知のとおり国がやらせたものです。これは原因者負担の原則からして国が責任を負うべきものでしょう。
○国務大臣(三塚博君) まさに鉄道敷設の場合は、輸送需要、投資採算性というものを厳密に計算いたしましてスタートを切るわけです。よって、国有鉄道の新線建設におきましては、手持ち資金及び不足資金は他の借入金をまちましてこれを行い、営業開始と同時に十五年あるいは二十年、二十五年という償還計画に基づきましてこれを償還してまいるということでございまして、本来、国有鉄道の判断にまってこれを行う、こういうことであるわけでありますが、いわゆる政治決定ということが——鉄道建設審議会の議がそういうふうにとるとすれば、これまた政治決定という概念に入ることは私も否定するつもりはございません。そういう中でありますけれども、この政治決定といたしましても、地域の要望また国家的な交通政策の展望に立ってこのことを決めてまいるということになりますと、さらにこれを受けて国有鉄道がこれを敷設してまいる、鉄建公団がこれを敷設してまいる、こういうことでありますれば、結果的にこの運行をしてまいる鉄道の責任においてこれを償還するという形になるということでありまして、そういう点からそれて十二分にいけるというものであったわけでございますが、大きな社会経済の変革の中で、また鉄道自体の持つ現状認識の不足の中で、また経営上の諸問題、労使間の問題も残念ながらあったわけでありまして、そういう複合要素の中で計画どおり機能してまいらなかったということも言わざるを得ない現況にあったように思います。
○和田静夫君 言ってみれば、国がつくれと言っておいて利子つき財投資金を回した、赤字が出ると国鉄が悪いと言って民営・分割する、赤字は国民に転嫁する、こういうやり方というのはサラ金と余り変わらぬですね。一体どこに政治の責任があるのだろうかということで非常に疑問に思うんですよ。国鉄財政再建十カ年計画では、総工事費の一五%、一兆五千億円を政府が出資することになっていました。ところが、これを実際には三年目、三千七百八十億円で打ち切ったわけでしょう。これは政府の出資不履行ですよ。なぜ打ち切ったのか。それによって債務構造の悪循環が生じた責任、これはだれが負うのだろう。大蔵大臣いかがです。
○政府委員(棚橋泰君) 先生御指摘のようなことがあったことは事実でございますが、その後そういう出資分を打ち切りました……
○和田静夫君 あなた政治家としての責任をとるの。委員長、大臣だよ。そんなのだめだよ。そんな話聞いてやしないよ。
○国務大臣(竹下登君) ちょうど昭和三十九年に、私は内閣官房副長官をやっておりました。佐藤内閣であります。そのときに、三十九年、新幹線が開通して快哉を叫びました。ただ、結果的に三十九年初めて国鉄が赤字を出したということであったと記憶しております。したがって、そのときとっさに私が感じましたのは、やっぱりモータリゼーションの変化というものがかくあらしめたのかな、こういう感じを率直に持ったわけであります。それ以上随分勉強しておったわけじゃございませんので、とっさにそういう感じを持ちました。 それから、今度の監理委員会の御答申によって初めて、そういう経済的変化に対応できなかった、こういう一つの国鉄の赤字の原因が総称して書かれておるということで、私もなるほどなと思ってきたわけであります。しかし、先ほど来の三塚運輸大臣等のお答えを聞いておりましても、私自身、そのときどきの財政事情によっての変化はあったであろうと思いますけれども、いわば出資するという約束の不履行というものが今次の赤字の原因であるかどうか、いわゆる単年度主義の予算の中でそれは不履行と言える性格のものであるかどうかということになりますと、私も当時の事情を定かに承知しておりませんので、正確にお答えするだけの備えがございません。
○和田静夫君 運輸大臣いかがです。
○国務大臣(三塚博君) 本件はたしか五十二年の第三回の再建法であったかと記憶するのでありますが、出資にかえまして三・五%の利子補給ということで振りかえさせていただきます、そのことの方が全体の展望の中で国鉄収支の再建に役立つのではないだろうか。同時に五兆三千億円の長期債務の一部を棚上げさせていただき、相当利子分を助成に切りかえさしていただくという措置を総合的にとらさしていただくことの中で御指摘の制度を撤退いたした、こういうふうに思います。
○和田静夫君 国鉄監査委員会は、五十八年版で読むとこう言っているんです。 毎年度の欠損の処理については、これを借入金によって補てんするという欧州諸国に例を見ない措置がとられてきたが、このことは欠損と借入金とが相互に増大していくという悪循環に陥ることになったのみならず、問題の処理を先送りしてきたものであって、国鉄財政の今日の窮状を招いた大きな要因である。 この指摘は全く生かされなかったんですね。これの政府責任、政治責任といいますかね、官房長官、どういうふうに考えたらよろしいですか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 私は和田さんのような専門的な御質問にはなかなかお答え困難でございますから、事務当局から答えさせます。
○政府委員(棚橋泰君) 鉄道施設の投資というものの考え方でございますけれども、鉄道施設というのは、国民に御利用いただいて、非常に長期的に見ますと基本的には収支相償っていく。ただ、非常に懐妊期間が長い関係がございまして、過渡的にはその借り入れたものの金利負担というものがのしかかってくる。これはもう先生御指摘のようなことだと思います。したがいまして、先ほど大臣が申し上げましたように、それを出資で賄うか、ある意味での、三・五%超の利子補給に切りかえましたけれども、そういう助成で行うか、そしてさらにそれについての金融というものを見て、長期的にこれを処理していくか、いろいろな考え方があるかと思うわけでございますが、過去においてはそんな考え方で処理をした。しかし、それがいろいろなそのほかに国鉄がそれらの鉄道施設を使って長期的に事業を行っていく段階において、国鉄の経営に必ずしも適切でなかった点があって、さらに赤字借りかえがかさんだ、そういうようなことが今日の事態を生んだというふうに考えておるわけでございます。
○和田静夫君 そもそも国鉄は、私鉄と比べてみまして異常に資本金が少ないわけでしょう。現在の資本金が四千五百六十億円、私鉄との延長キロ数、これはもう余剰人員の算出で用いている論法でいけば、十一兆八千七百億円になるわけでしょう。もしこれだけの出資がなされておれば、国鉄の赤字というのはほとんどゼロか、ないしははるかに小さいものになっていたことは間違いありませんよ。この財政責任ですね、政治責任、それをさておいて、破産状態だとこう言うんですね。国民に負担を新たに求める、こういう論理というのは私は本末転倒だと思うんですよ。そうお思いになりませんか。
○政府委員(棚橋泰君) 御指摘のように、資本金というものをふやして、それによって低利の資金を得て事業を行っていくというのも一つのやり方でございますけれども、国鉄という性格から見まして、出資金というよりも助成ということで単年度の助成を、出資金はおっしゃるようにその程度しかございませんけれども、最盛時七千億という年間の助成を国鉄に出しておるわけでございまして、出資で見るか助成で見るかという一つの政策判断ではあったんではないかというふうに思います。その結果、助成で見て、再三やりましたがなかなかうまくいかないので何回も棚上げをした、そして金利負担というものの軽減を図った。御承知のように五兆円余の棚上げをやったわけでございますけれども、ただ、経営そのものの方にいろいろ問題があった結果、単なるそういう金利の棚上げたけではなくて、抜本的な経営体質というものに手を入れなければ改革ができないというのが今回の判断であったというふうに考えております。
○和田静夫君 大蔵大臣、これは日本国有鉄道法に違反しませんか。
○政府委員(棚橋泰君) 先生おっしゃるのは日本国有鉄道法の一条の「目的」だというふうに理解をいたします。「国が国有鉄道事業特別会計をもって経営している鉄道事業その他一切の事業を経営し、能率的な運営により、これを発展せしめ、もって公共の福祉を増進することを目的として、ここに日本国有鉄道を設立する。」、こういうことでございまして、したがいまして、基本には能率的な経営というものがあったんではないかというふうに考えます。公共の福祉を増進するというためには能率的な経営が必要であった。問題は、その能率的な経営が行えるような形として行えてきたかどうかというものの判断ではないかと思います。
○和田静夫君 第五条との関係は。
○政府委員(棚橋泰君) 五条は、「日本国有鉄道の資本金は、別に法律で定めるところにより、昭和二十四年五月三十一日における国有鉄道事業特別会計の資産の価額に相当する額とし、政府が、全額出資するものとする。」ということで、これは「昭和二十四年五月三十一日における日本国有鉄道事業特別会計の資産の価額に相当する額」、こういうことではなかったかと思っております。
○和田静夫君 それから財政事情は一体好転をしたのですかね大蔵大臣、その後は。
○国務大臣(竹下登君) 当時と今日の財政事情の、好転したかどうかというのは、見方、角度によって違うであろうと思っております。少なくとも公債発行はしていなかったということは言えるわけでございますけれども、どだい国の財政全体の規模はもとより、二十九年が一兆円でございますから、ちょっと記憶しておりませんが、もとより千億オーダーであったろうと思っておりますから、その規模は大いに違っておりますが、中身の点については、それは見方見方ではなかろうかと思っております。
○和田静夫君 新幹線の問題との兼ね合いでちょっと考えてみますが、少し時間の関係がありますから飛びますが、昨年十二月二十七日の政府・与党確認メモ、これですね。新幹線建設にゴーサインが出された、整備新幹線財源問題等検討委員会という委員会、五十七年九月の閣議決定を変更して建設費を執行するという方針が出された。新幹線の建設費が国鉄赤字の大要因で、その赤字処理のために国民に新たに負担を転嫁するという民営・分割案を出しておいて、もう一方ではまた建設凍結の路線を変更して赤字をふやそうと、そういうものを認める、こういうことにこれはなるんですかね、官房長官。
○国務大臣(三塚博君) 後で官房長官に補足いただければと思いますが、この政府の申し合わせ、決定、その前に昨年の八月の政府・与党の申し合わせ、関係閣僚と党三役の申し合わせがございます。 本件は、財源等検討委員会を設けて新幹線建設に要する財源のあり方、それから国鉄再建というスケジュールの中にありまして、六十二年四月以降は、法律制定いたしたと仮定いたしますと分割・民営体に相なっておるわけでございますから、事業主体をどうするのか、さらに新幹線の運営、運行主体をどうするのか、それと並行在来線のあり方をどうするのか。と申しますのは、国鉄収支の中でいつも論議をされますのは、東海道新幹線、単年度で三千数百億の黒字を出しておるわけでありますが、在来東海道本線これに匹敵する額の赤字決算になります。そういう点で、並行在来線はどうあるべきなのかなという真剣な議論が実は国民間にもございます。そういうものを検討し、結論を得た上で五十七年の、整備新幹線の建設はこれを見合わせるという決定がございます。これを見直しまして整備新幹線建設をとり行うという手はずを実は決めさしていただきました。この中で、この財源等検討委員会の結論を得るというのが第一であります。得るように最大の努力をすると、こういうことであるわけでございますが、まさにそのポイントは財源であります。 なぜ財源に最大の重点を置きましたかというと、御指摘のように、従前の借入金方式で仮に仮称東日本旅客鉄道会社が盛岡以北を敷設いたしたといたしますと、資本費の償還に相当苦しみ、東日本旅客鉄道株式会社の全体の運行に大きな障害を来すであろう、このことも容易に想像されますものでありますから、新しい会社に少なくとも一銭たりとも御負担をかける形であって建設をしてはならぬだろう。再建は今先生御指摘のように、こういう破産状態から脱して新しい鉄道を再生させるためにという、こういうことでスタートをするのに、これに借金を背負わせてやるということでありますれば、御指摘のように矛盾に相なります。よって、その矛盾は、やるとするならば国家プロジェクトとして決定をするという、これはまさに財源が国費によってこれを賄うということになればそうなりますし、既に御審議をいただいた法律が地財法の適用除外ということで、整備新幹線法の一部改正で、地方公共団体も公費の負担ができるという道を聞かさせていただき、公費負担による整備新幹線の建設ということで取り組むという、そういう意味で歯どめができておるという意味で、今度の再建法は関連の旧再建計画法に矛盾をしないと、こういうことで御理解をいただきたいと存じます。
○国務大臣(後藤田正晴君) 五十七年の閣議の決定は、これは第二臨調の答申を受けまして、まあ新幹線そのものを否定したわけじゃありません、ただ、ああいった状況の中で当分見合わせると、こういう御提言を受けて閣議決定をしたわけでございますが、その後、今運輸大臣がるる御説明をいたしましたように、財源問題等検討委員会で在来線の問題であるとかあるいは工事主体の問題であるとか、あるいは財源問題、それらをひっくるめまして、結論の出た段階で新幹線の着工に踏み切るかどうするかということを決めていこうということでございますから、現在、五十七年閣議決定はそのまままだ生きておる、かように御理解をしておいていただきたい、かように思います。
○和田静夫君 どうも官房長官そう言われますけれども、政府・与党で確認メモをつくったのはゴーサインであるというのはどうも政界の常識のようになっていまして、一たん撤回した後、建設を推進できる環境が整ったところで建設を考えるべきであって、今国民に新しい負担、大増税が予想されるそういうときに、国鉄の赤字増大につながるべきそういうことに着手するというのは、これは反省がない。これは言い逃れができないんじゃないかと私は思うんですが、そういう意味では完全にもしあれならば凍結をする、こういうことが必要だと思うんですがね。
○国務大臣(後藤田正晴君) おっしゃることわからぬわけじゃありませんけれども、新幹線の整備については地域住民、これの非常な強い要望があるわけでございます。したがいまして我々としましては、自由民主党とも緊密な連絡をとりながら、おっしゃるように今まだ凍結、当分見合わせるという閣議決定は生きておりますけれども、しかし一般的な受け取り方は、これは前向きで処理していくであろう、こう理解しておられると思いますが、それは私はそれなりの御理解で結構だと思います。 ただしかし、私どもとしては、検討委員会の結論を待って、そこで改めてこの閣議決定をどう考えていくかということは今後の課題であろう、こう思っておるわけでございます。
○和田静夫君 ところで国鉄再建監理委員会、そして閣議決定した国鉄の長期債務には、本来国民に負担転嫁すべきでないものが私は入っていると思う。第一に年金の負担、これはたくさん本会議やその他で論議された。退職者が大量に発生するからといって、その事業者負担を旧国鉄が全額負担する、つまり国民が肩がわりすべきであろうか。これは年金制度の問題であって、年金財政の中で考えるべきではないだろうか。そうしないで、なぜ国民に新たな負担を求めるのか。その論拠を明らかにしてもらいたいですね。
○参考人(亀井正夫君) 和田先生の論拠をはっきりしろということでございますけれども、債務につきまして、あそこに書きましたように総額で三十七兆三千億、それを新しい事業体並びに新幹線保有主体で十四兆二千億返して、あと土地の処分あるいは株式処分で合計六兆四千億以上となって、残り十六兆七千億は結局持っていきどころがないのでこれは政府において処理をしていただきたい。ところが、政府に金が先生御承知のようにない。そうすると、結局これは、この金の出どころというのは税金か国債かというところへ落ちつくわけですね。しかし、こんな一年間の税収の半分にも匹敵するような金額を一挙にはできませんから、これは長期的視野で、しかも総合的に全国民的な見地から国で御判断をいただきたい、この処理を。国というのは、これは私ども解釈しておるのは政府並びに国会であるというふうに理解をしてああいう答申を出したということでございます。
○和田静夫君 大臣どうなります、今の答弁を受けて。ないですか。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる私の分野においては、例の国家公務員等共済組合の関係の国鉄関係の年金部分についての範囲であるといたしますならば、前回来いろいろな御議論をいたしてきておるところでありますので、正確にその順序を記憶いたしておりませんが、たびたび国会で申し上げておるとおりの措置の方向で対応したい、こう考えております。
○和田静夫君 それから、鉄建公団建設施設に係る資本費負担一兆六千億、本四公団建設施設に係る資本費負担、これは六千億ですね、それに長期債務に含まれている東北新幹線建設費用、それらの費用はこれは本来新事業体制が引き継ぐべきであって、というのは、これは新事業体がそれを使って営業していくという計画ですからね。それがなぜ営業努力で埋めないで国民に新たな負担を求めるのか、ここのところも非常に私はわからない。どうでしょう。
○政府委員(棚橋泰君) 今回の改革によります新しい経営形態は、先ほど申し上げましたように健全な経営形態として出発させる、そして国民の足を確保する、そういう関係から過去の国鉄の長期債務というものについて経営としてしょえる範囲内においてしょわせよう、こういう考え方でございます。 おっしゃるように、青函トンネルを例えて申し上げましたら、青函トンネルを使うのは北海道会社だろうから北海道会社が全部負担したらいいじゃないかというお考えもあろうかと思いますけれども、そういう債務を負担しては健全な経営がやっていけない。したがって、そういうものは清算の事業団の方へ移して、そしてしかるべき処理をする。その意味ではほかの長期債務と同じような性格を持つということとして、こういうことを考えておるわけでございます。
○和田静夫君 これはもはや破産状態である、それから大臣の言葉をかりれば破産に行き着くだろうと。最後の清算なら国民負担もお願いしてよいかもしれないわけですね。しかし、本来新事業体が使う、新事業体の経営努力でカバーすべき分まで国民に負担を転嫁するということは、これは許せませんよ。文字どおりこれはもう悪乗りだと言っていいと思うんですね。これは再検討されるべきです。大蔵大臣いかがですか。
○国務大臣(三塚博君) これは今それぞれの立場で答弁がありましたわけでありまして、大体基本的に目指す方向は一致をいたしておると思うのでありますが、問題は、この鉄道を破産状態から破産という宣告をしましてきちっとばらしちゃうのか、それともやはり私が申し上げますように鉄道として再生をさせるのか。後者を私どもは選択をすることが国民の御負託にこたえる道だということで実はスタートを切らさしていただいておるわけでございまして、本来この論議が起きました際に、衆参の運輸委員会も通じて、この赤字、長期債務はすべて国民の負担で処理すべきものである、特に年金追加費用等々、さらに新線建設に伴う建設費等も国民の足確保のための公共機関であるならばという前提でそうあったわけでございますが、それも一つの考え方でありますけれども、しかし、やはり国有鉄道すべてが国家命令でさように相なったとは言い切れない一面なしとしないという国民世論の背景もございまして、しからばそういう中で、自助努力の中で行い得る限界は何かという仕分けが実は監理委員会の答申に見られます三十七兆という分の仕分けに一覧表として出てまいったわけでございます。その辺の受益と負担というバランスをどう求めるかというのが一点。 それともう一つは、再生をせしめるわけでございますから、余計な借金を、国民負担を恐れるの余り、お願いをすることを恐れると言った方が、言葉適当でございません、御理解をいただきたいと思うのでありますが、こちらにその借金をつけて頑張れよということで、また借金の利払い、元利償還につぶされていったのでは、最後の改革と言われるこの改革がだめになるのではないだろうか。その辺の実はぎりぎりの選択であるわけでありまして、この辺を今後のやはり御議論の中で十二分にお詰めをいただきながら、私どもはこれがベストだということで御提案をさせていただいておるわけでございますから、理解を得たいというのが真意でありますけれども、さようにおとりをいただきたいと存ずるわけであります。
○和田静夫君 あなたの説もわかる、しかし私の説はこうだ、こういうことでありますから、ちょっと再検討を求めまして、あとの時間残します。
○委員長(安田隆明君) 和田君の残余の質疑は次回に譲ります。
○委員長(安田隆明君) 次に、久保田真苗君の質疑を行います。久保田君。
○久保田真苗君 マルコス問題から始めます。 細見総裁、きょうはお忙しいところありがとうございます。そのときその場で御質問しますので、どうぞよろしく御協力をお願いいたします。 マルコス問題につきましては先日来いろいろな閣僚の御答弁や御発言を聞いておりますけれども、どうもこれじゃ国民の大事なお金が権力者の私的なぜいたくや蓄財に使われても、横流しされても当然のように思えてくるんですね。おまけに官僚の方はひた隠しです。こういう状態では今後もまたかくありなんと思われますので、この問題についてお伺いしたいと思うんですが、それでは大蔵大臣、今私が申し上げました各閣僚の御認識についての疑問、大臣はどう思われますか。このままではかくてありなんと思われますけれども、どういうふうな御認識ですか。
○国務大臣(竹下登君) 私の方は財政金融当局といたしまして、円借款の効率的、効果的な実施を図るために、関係省庁とともに円借款供与案件、供与金額等の決定に参画いたしております。したがって、援助資金は最も効率的に使用さるべきものであって、途上国の経済社会の発展に真に役立つように最も効果的に使うべきものであって、疑いが持たれるようなことがあってはならないという基本認識であります。
○久保田真苗君 では、企画庁長官。
○国務大臣(平泉渉君) 大蔵大臣が答弁したとおりでございます。
○久保田真苗君 私は、こういう御認識だと今後も改まらないだろうと思うけれども、どうかと伺っているんです。どうぞそこをお答えください。
○国務大臣(竹下登君) よしと言って立ち上がりましたが、先生のおっしゃる意味は私にも十分理解できます。したがって、今回の問題等について総理、外務大臣等からたびたびお答えがあっておりますように、まずは調査をし、改めるべき点があるならば当然それを改めていく、こういうことではなかろうかということであります。
○久保田真苗君 じゃ、細見総裁にもお伺いします。
○参考人(細見卓君) お答えを申し上げます。 いろいろなことが言われておりますし、こういうことを起こしましたことはまことに残念でございますから、速やかに事態を究明いたしまして、改めるべきは改めなければならないと深く考えております。
○久保田真苗君 外務大臣後回しにしまして、大蔵大臣と基金の総裁に伺いますけれども、このリベートがあるという問題はいつごろから御存じでしたか。
○国務大臣(竹下登君) リベートという的確な定義ということになりますと、これはまた難しい問題でございますが、今回そういうものが現実存在したと断定する状態にあるとも必ずしも思っておりませんが、種々の問題がいろいろ報道されておるという事実は、今回の報道等によって初めて私も想像のつくところとなりました。
○参考人(細見卓君) 表向きにきれいにやっておりますと、あり得べからざることがもしあったといたしますれば、これから真相を調査してそれに対処していきたいと思います。
○久保田真苗君 外務大臣に伺います。 今回のこのリベートに絡まる問題ですね、これはいつごろから大臣はこういうことを御存じてしたか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いわゆるマルコス文書が公表されたと同時ですね。
○久保田真苗君 この問題は随分昔から言われていることなんですよ。野党は何度も警告してきたんですよ。それは御存じですね。大使館とかアタッシェとか、それから基金の総裁の方のマニラの駐在事務所、こういうところから報告や情報はなかったんでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) それは何も聞いておりません。
○久保田真苗君 細見総裁もお願いしました。
○参考人(細見卓君) 今までのところ聞いておりません。
○久保田真苗君 今まで駐在事務所や大使館からこういう問題を本省に全然持ち込まなかったんですか。そうだとしますと、これは大使館の大変な怠慢じゃないかと思うんです。なぜなら、このマルコス文書の中にも、大使館に相談に行ったとか駆け込んだとかということがいろいろあるんです。こんな重大な問題を報告しないなんて、情報も流さないなんて、そんなばかなことあるわけがない。そんなことは信じられないんですよ。外務大臣どうですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 一般的なうわさとしてはそれは確かにあったことは事実です。ただしかし、フィリピン政府とこれは企業との関係でして、その点については日本政府としては関知しておるわけじゃないですから、その後どういうふうになっているかということまではもちろん知り得る立場じゃありませんし、そういううわさ的なものは聞いておりましたけれども、外務省のいわゆる援助は効果的に効率的に行われておるかどうかという、やはり評価が問題ですから、そういう観点からいけば、日本の援助というものは私は評価のいろいろの結果等を見れば、きちっと行われておるというふうに受けとめております。
○久保田真苗君 そこが問題なんですよ。後の評価なんかをしてリベートとめることできないんですよ。ともかく和田委員からも言いましたように、国民の税金や貯金、こういうものが安い利子で長期間にわたって貸し付けられるんですよ。それを相手国と企業との間の問題だなんてどうしておっしゃれるんですか。そんなことだったら、外務大臣、何もこんな経済協力なんか担当する資格ないですよ。
○国務大臣(安倍晋太郎君) それは、経済援助は無償、技術協力それから円借と三つのものがあるわけで、今お話しの部分は円借だろうと思っております。 円借につきましては、政府間で協議をして、プロジェクト決まって、積み上げ方式で、そしていろいろと事前の調査、フィージビリティーやって、それから交換公文でお互いの約束を書くわけですから、外務省としてはその交換公文どおりやっぱり事業がきちっと行われるというところが一つの援助の問題の一番最大のポイントだろうと。せっかくの大事な国の税金も含めたお金ですから、援助が効果的に行われるということが大事なことでありますから、その点については交換公文というのがあって、交換公文がきちっと守られているかどうかということを政府としては、これは二国間の約束事として確認しなきゃいかぬ。そういう意味でのフォローアップとかあるいは評価とかいうのをやっているわけでございますから、おっしゃるように向こうの企業と政府とのいわゆる入札とかそういう点については、これはもう向こうの政府の問題ですから、そこまでこちらが入るということは、それは私は今の援助のあり方から見てできないと、こういうふうに思っております。
○久保田真苗君 外務省、交換公文の適正使用条項の意味を説明してください。
○政府委員(藤田公郎君) 意味は、この交換公文によって供与されます円借款によって調達されます物資及び役務が当該援助の目的のために適正に使用されること、それを確保する、それを相手国政府に義務づけるものでございます。
○久保田真苗君 それ以外の目的に使用されてはならないとあるんですね。そういたしますと、不適正な使用とはどういうものを想定しますか。
○政府委員(藤田公郎君) 当該交換公文で規定されております援助目的以外のものということになるかと思います。
○久保田真苗君 どういう場合を想定しますか。
○政府委員(藤田公郎君) 特にどういう場合を具体的に想定しているということではございませんで、相手国が援助資金の適正な使用、それから援助によってつくられました施設、それから供与されました機材等を適正に使用し維持するという義務を負わせているということに尽きるかと思います。
○久保田真苗君 そうしますと、このお金がリベートという形で、円借款のお金がそのときの政権の最高の人の懐に何らの役務に対するものでなくて流れるというこのケースはどうなんですか、不適正ですか。
○政府委員(藤田公郎君) ただいまお挙げになりました例が、果たしてこの交換公文に規定しております当該援助目的のために使用されたものかどうかということを判断いたしまして、それによって決定されるものではないかと思います。
○久保田真苗君 そうだとしたらどうですか。
○政府委員(藤田公郎君) 交換公文に規定されております援助目的以外の目的に使用されたということでございましたら、この交換公文に相手国政府は違反をしているということになるかと思います。
○久保田真苗君 個人の懐に入れば違反だということでよろしいですね。 ともかく日本国民のお金が私的な蓄財に、それが世界じゅうに、うわさですけれども一兆とか二兆とかと言われるようなものですよ。その結果のツケがフィリピン国民の累積債務になっていくわけですから、もしこのことが事実であるとすれば、そして非常に高い確率で今事実になってきているんで、これ以上不適切きわまる使用法はないんですよ。そうですね、外務大臣。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 全くあきれております。
○久保田真苗君 それでは外務大臣、この交換公文の適正使用条項が守られるようにするのはどこの省庁、または機関の責任でしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは、交換公文は外務省が一元的に外交ルートで二国間で調印するわけですから、それは政府を代表して外務省が責任を持たなきゃならぬ、これが実施されるかどうかということは、そうだと思います。この円借の問題は、これは関係省庁ありますから、四省庁でやっていくわけですけれども、また基金が貸すわけですけれども、しかし交換公文という形をとれば、それは外務省が責任を持たなきゃならぬと思っております。 今、先ほどからのお話しで、私もそういう実際に何かフィリピンの話でも、そういう一部が例えばマルコスさんに直接行くということになれば、フィリピンの贈収賄とかそういう法律が恐らくあるはずだと思いますし、そういう形の中で処罰されるのじゃないかと思っております。その辺のところはフィリピンの法律の問題、フィリピン政府とそれから企業の問題ですから。企業が口銭とかあるいはまたそういうものは、これは利潤を乗せていろいろと入札するんでしょうから、それはそれなりに一つの商行為ということなら、それはあり得ると思っておるわけです。しかし、それを越えたような形で、いわゆる贈収賄的な形で、まあ我々の常識からすればですよ、そういうことで行われたということになれば、これは極めて残念ですし、ちょっと我々の常識を越えた形になっておると、こういうことに対してはこれからやはりいろいろな面で気をつけていかなきゃならぬ、特に日本の企業が関連しているということになれば、これは気をつけていかなきゃならない問題だろうと、こういうふうに思います。
○久保田真苗君 相手国の義務であるということですが、こちらにしてみると、円借款を供与するこちらの条件になるわけです。そしてこちらの権利になるわけです。その権利が、外務大臣にとって必要なのは、これは国民の金を使ってやっているからであって、政府の国民に対する義務なんですよね。私はその点を外務大臣に本当によく考えていただきたいんです。これは相手国と企業の問題だということで済まないんです。これは国民のお金を使ってやっている仕事なんですよ。しかも、逆ざやまでやってね。ここのところを外務大臣に本当に、交換公文が守られるようなその責任を感じていただいて、その体制をとっていただかなかったらこれ以上経済協力なんて続けられませんよ。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 交換公文はお互いの合意のもとにサインするわけですから、やはりこれは信頼関係がなければこういう条約にしても交換公文でも意味がない。ですから、これはお互いに守るというのが大前提なんですよね。ですから、援助する場合においても、交換公文を取り交わす場合には、お互いにこれは守っていきましょうという信頼関係が大前提になっておるわけで、そしてそれが守られていくかどうかというのは、やはり二国間の中で外交ルートを通じていろいろとやはり日本としても相手国に対して確かめる点は確かめなきゃならぬ。そして、援助そのものが的確に効率的に行われているかどうかということも、これは大事な援助ですから、確認する必要がある。そこで、フォローアップとかあるいは評価というのをやっているわけであります。 その途中の段階で、利潤とかなんとかでどういう形になっているか、それは先ほどから申し上げましたように向こうの政府とそれから企業の関係なんでして、実際に行われている事業というものが円借あるいはまたその他の事業にふさわしい効率的、効果的であるかどうかというのが我々としては大きな問題なんで、その辺をフォローアップし、あるいは評価するということをこれからもやっぱりきちっとやらなきゃならぬと、こういうふうに思っています。
○久保田真苗君 ところで外務大臣、今、四省庁でとおっしゃいましたが、その四省庁はそれぞれどういう責任でこれに絡んでいますか。
○政府委員(赤羽隆夫君) 円借款の審査に当たりまして四省庁が協力をするわけでございますけれども、まず相手国の援助等の要請を受けまして審査をいたします。そうした場合に、相手国の経済開発に与える効果あるいは外交、財政金融、国際金融、通商政策、こういったような各視点から検討する。経済企画庁は経済開発。外交政策の観点から外務省。財政金融政策、特に国際金融の立場からは大蔵省。通商政策といったような観点から通商産業省。これがそれぞれの観点において審査に、検討に協力をする、こういう関与の仕方でございます。
○久保田真苗君 企画庁長官は交換公文が適正に守られることに責任がありますか。
○国務大臣(平泉渉君) 先ほど外務大臣が答弁いたしましたが、交換公文は国際法上の文書でございますから、そのことについての主管官庁は第一義的には外務省と、こういうことになると考えております。
○久保田真苗君 そういたしますと、円借款を実際に支払うのはどこなんですか。
○政府委員(赤羽隆夫君) 海外経済協力基金でございます。
○久保田真苗君 そうしますと、企画庁長官はこの経済協力基金に一体どういう監督をなさっているんですか。
○国務大臣(平泉渉君) 経済企画庁は基金を監督するわけでございまして、基金は借款対象事業の達成に必要な財役務の調達に際し、公正な競争を確保する。そのために当該国の事業実施機関に対し、原則として国際競争入札を行わしめる。またそれとともに、入札書類、入札評価、契約の承認を行っており、資金の適正な使用の確保を図っておるわけでございます。経済企画庁としては、かかる基金の業務に対し指導監督を行い、またその執行状況につき適宜報告を求め、個別具体的にも必要が生じた場合には指導を行う、かようなことをいたしておるわけでございます。
○久保田真苗君 基金の総裁は、適正使用についてどういう責任とお仕事をしていらっしゃいますか。
○参考人(細見卓君) この機会に基金がどういうことをやっておるかを多少順序を追って申し上げた方がおわかりになっていただけるかと思いますので申し上げますと、先ほどお話が出ました交換公文ができますと、それがいわば貸し出しの限度ということになるわけでありまして、それに基づいて相手の政府から事業計画書というのが出てまいります。で、そういうものとほぼ同じ時期に私どもの方では借款契約というのをいたしまして、今の交換公文の枠内で事業が行われること、しかもその事業が交換公文に言われておる適正な事業が行われておることを見まして、そして借款契約をいたすわけです。 そういたしますと、相手の実施官庁はいわゆるLC、普通の貿易の場合と全く同じでございまして、LCというものを、信用状というものを外国の銀行、このフィリピンの例でありますと、フィリピンの外国為替銀行にLCの開設を要求するわけであります。それをフィリピンの銀行は日本の為替銀行へ送ってきまして、こういう信用開設をやってほしいということを日本の銀行に要求するわけです。それを見まして私どもは、借款契約をいたしました金額と合致しておるものでありますとLCを是認するわけです。 つまり、レター・オブ・コミットメントといいますか、そういう事業については借款契約の中に書いてあって支払いに応じますということを申しますと、それで各銀行は今度は日本で契約を実際に実行しておる人たちに対して、支払いの要求に応じてそのLCの範囲内で支払いをする。これは全くの通常の取引と同じで、品物を送りましたから代金を払ってくださいという格好で、入札とかあるいは契約書とかいうようなものをベースにしまして、日本の銀行がその事業を実際に受注しておる人に払うわけでありまして、したがってフィリピン政府というようなものがその意味では関与しておらないというところが、あるいはおわかりにくいところかと思います。
○久保田真苗君 ODAの直接借款の実施機関は海外経済協力基金ですね。
○参考人(細見卓君) 私どもは金の支払いをいたしておるというわけで、金の支払いが実施者ということであればそうかもしれませんが、金の支払いを可能にしておるのはその交換公文でございますから、我々が本当の意味の実施者になるのか。つまり、その実務家という意味なら実務家でございます。
○久保田真苗君 外務大臣、そうなんですか。円借款の実施は外務省なんですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今総裁が申し上げたとおりだろうと思います。交換公文を外務省が結ぶわけですから、その限りにおいては外務省は責任を持たなきゃならぬ、こういうふうに思います。
○久保田真苗君 プロジェクトの審査はどこでされますか。
○政府委員(藤田公郎君) プロジェクトの要請が先方政府から参りました後、まず政府部内で関係省庁が集まりまして審査をいたしまして、その後必要がある場合、大体は参りますけれども、現地に調査団を出して現地で調査を行い、かつ相手国政府と協議を行うという手順を踏んでおります。
○久保田真苗君 プロジェクトの審査は基金でなさるんじゃないんですか。
○政府委員(藤田公郎君) 政府ベースでの調査を行いました後に基金による審査が行われます。
○久保田真苗君 そうしますと、フィージビリティースタディーを、相手国のそれを審査するのはどういう仕組みになっていますか。
○政府委員(藤田公郎君) フィージビリティースタディーは、先方がプロジェクトを要請してまいります際に、私どもがこの事業が借款の対象としてふさわしいかどうかということを審査します場合の参考資料になるわけでございます。したがいまして、通常はフィージビリティースタディーを付して借款と申しますか、資金協力の要請を行ってくるというのが通常の場合でございます。
○久保田真苗君 資金につきまして、相手国が言ってきた資金を審査するのはどこですか。
○政府委員(藤田公郎君) 御質問の趣旨がどこかの機関がということかどうかよくわかりませんが、どういう姿で流れていくかと申しますと、先方政府が要請をしてまいります。通常はフィージビリティースタディーを付して要請してまいります。その際にまず政府ベースでの審査が行われるということでございますから、先ほど来御説明がございましたように、その審査は四省庁が行うというのがお答えになるかと思います。
○久保田真苗君 そういたしますと、金額についての審査は四省庁でする、基金はただそのお金を丸のみにして流すだけと、こういうことになりますか、総裁。
○参考人(細見卓君) お答えします。 四省庁と私どもと申しましても敵味方ではございませんから、随時御質問があり、御相談に応じてやっておるわけでございます。
○久保田真苗君 そうしますと、基金の方から出ているこの書類ですね、例えばプロジェクトを承認するというのは総裁が判を押すんじゃないんですか。
○参考人(細見卓君) プロジェクトの承認は、先ほど来の交換公文でこのプロジェクトをやりましょうということになっておるわけで、その内訳として金額は幾ら幾らかかりますというものについて、なるほどその金額が要りましょうということを承認すると、それが先ほど申し上げました貸付協定ということでございます。
○久保田真苗君 じゃ、藤田局長に伺いますが、プロジェクトの審査をして、お金の審査は四省庁ですると、例えばそのときに、その金額について増額あるいは減額することがありましたか。
○政府委員(藤田公郎君) 先方側の要請に対してという御質問でございます場合には、通常は先方が要請してまいります金額を変更することの方が多いと考えます。先方はいろいろの要請をしてまいりますが、それはどちらかというと交渉事になります。したがいまして、政府ベースでこのような大きな規模は必要はないんではないかとか、このような機材はもう少し規模を減らしたらどうかとか、いろいろなお話をしまして、それによって、お話し合いの結果供与の限度額というものが政府ベースで決定し、これが交換公文によって政府間で約束されるというわけでございます。その後、今度は先ほど総裁が御説明いたしました基金の貸付契約の段階に至るということでございます。
○久保田真苗君 外務大臣、先ほど交換公文の適正使用条項については一義的に外務大臣に責任があると、こういうお話なんですね。 ところで、きのう会計検査院の方が答えておられるのは、検査院は相手国の政府に行って検査はできない、しかし、外務省または基金の書類を調査させてもらってそれで検査をすると、こう言っておられるんですね。それで、外務省には一体そういった例えば水増しあるいはリベート、こういうものをチェックするような書類というのはあるんですか。
○政府委員(藤田公郎君) 先ほど来申し上げておりますように、政府ベースで行いますのは先方からの要請、それの根拠になりますフィージビリティースタディー等の計画書の詳細、それをもとにしまして関係省庁が検討しまして、それから相手国政府と話し合いをし、調査をし、交換公文における限度額の決定に至る。その過程が私どもの関与しておりますところでございます。その後、もちろん基金におかれて貸付契約を先方との間で結ばれ、それから以降は先方政府が原則として公開入札によって事業を進める企業を選択されるという過程になりますが、その過程におきましては、交換公文におきます適正使用条項でございますとか、そういう縛りと申しますか、義務を相手に課してはおりますけれども、先方の政府が入札を行い、落札者を選定し、契約を結んで事業を実施していく、こういう姿になります。
○久保田真苗君 ともかく今度のリベート問題で、これを日本側が交換公文に沿って適正に実施されているかどうかというのをチェックするのは一体どういうチェック機能があるんですか。そういうチェック機能が、窓口あるいは交換公文の主体である外務省あるいはこれの円借款を施行していく基金、こういうところにそのチェック機能はあるのかないのか、それをどうぞお答えください。
○参考人(細見卓君) 先ほど来の御答弁にありますように、事業の施行の責任者は相手国政府で、相手国政府は貧しい中でこれが一番大事な事業だということでやってこられるわけですから、したがってなるべく金の少なくて効率のいいものをやろうとしておられる。そこへ我々としましては公開入札という制度で市場が不正をチェックするというシステムを入れておるわけで、先ほど来のお話のように施行責任は相手国政府で、その相手国政府ができるだけ公正にやっておってくれるというのを公開入札と。あるいはその新しい契約に入ってくるものがもともとの事業計画書の中にきちっとはまり込んでおるものであるかないかということをチェックするというのが我々のやっていることでございます。
○久保田真苗君 その公開入札なんですが、今度のマルコス文書の中で東陽の手紙がございますね、これは署名入りで。ともかくこれがにせの文書だとおっしゃるなら別ですけれども、それはいずれはっきりするでしょう。この中で、アンジェニットに向けて非常に伊藤忠を中心とするカルテルが何とかリベートをあれしようと思ったけれども、プロジェクトを凍結されちゃって、それで音を上げさせられ締め上げられているというのがありますね。またもう一つ、これは日本の会社ではないと思うんですけれども、ペスコという会社があるんですが、これがマルコス大統領直接あてに手紙を出しているんですね。それで、これをアンヘニットが仲介しているわけです。そしてその中で見ますと、的確な最低の入札をしたんだからやってくれ、しかし一年もたなざらしにされて受注できないんで困っていると、そしてついにアンジェニットを通して、これこれの条件でアンジェニットにコミッションを払う、こういうふうな手紙が出ているわけですよ。 ですから、公開入札、公開入札と一口におっしゃるけれども、駐在事務所だってあるんですよ、小人数でもね。こういうことがそんなに簡単にわかるもんじゃないということはよくおわかりになると思うんです。そうしたら、それなりの対応というものをやらなければ、これはこのまま続きますね。このリベート問題というのは、フィリピンでなくてもどこかで続く。こういう体制が放置されているということは、私は非常に問題だと思うんです。総裁、その辺についてはどうなんですか。
○参考人(細見卓君) ただいまうわさされているようなことが本当でございましたら、これから我我も努めて注意を払いまして、あらゆる情報を集めてそういうことが二度と起こらないように努力してまいりたいと思っております。
○久保田真苗君 どういうやり方が考えられるんですか。
○参考人(細見卓君) 相手国の政府のやられることですから、こうこうしなさいというようなことはできないので、いろいろ我々が情報を知っておりましたら、こういうことも聞いているから十分気をつけてくれというようなことを申すことになろうかと思います。
○久保田真苗君 外務大臣、これは結局外務省単独で責任を負っていらしても、この状態じゃとてもどうにもならないと思うんですよ。こういうことは次々とあって、外務大臣のところへみんな攻撃が来るわけです。私は、今のこの体制を改めない限り、こういうことは延々と続くと思うんですね。 それで、幾つかの提案をしてみたいと思うんですけれども、例えばこれは新聞情報ですけれども、日本の場合はたった一人の調達官、その調達官を通して入札、受注、それが行われているんですよ、円借款の場合は。アメリカやドイツの場合は、行政ベースの関係者の委員会ができて、そこでそういうことが見守られる、こういう情報がありますね。こういうことは検討に値すると思うんです。やっぱり多数の目で、多数の機関で見ない限り、調達官一人を通してやっていたという実態は向こうにとってもうまみがあった、こっちの業者にとってもうまみがあったという、そういう非常に癒着の構造になっていると私は思うんです。こういう点、反省していただきませんと、そして検討していただきませんと、私はどうにもならないと思うんです。どうですか、総裁、何かそういうことが検討できませんか。
○参考人(細見卓君) 私どもの方は組織としてやっておるわけで、特定の者が関与しておるというようなこともございませんし、直接には経済企画庁の監督を受けておるわけでありますし、四省庁と絶えず連絡をとっておるわけですから、私どもが何か単独に独断で物をやっておるという感じは私は持っておりません。
○久保田真苗君 独断でおやりになろうとやるまいと、ともかく円借款を執行するのは総裁の責任なんですよ。これを何とかしていただきたいと言っているんです。
○参考人(細見卓君) ENといいますか、交換公文で決められた計画が適正に執行されるといいますか、その事業計画書に従って計画が行われて実施されておるということをチェックするわけでございまして、それ以上のことは国と国との関係でなかなか難しいんじゃないかと思いますが、向こうにお約束を守ってくださいと言っているだけのことしかなかなかできないと思います。
○久保田真苗君 アメリカやドイツはやっているという報道があるんです。まさか新聞社がうそ書くわけがないと思うんですよ。少なくとも調査検討に値するのじゃないんですか。ともかくこのままの体制だったらこれは延々と続きますよ。
○政府委員(藤田公郎君) 先生の恐らく御質問は、フィリピン側の調達官のことを聞いていらっしゃるんじゃないかと思いますが、フィリピン側の制度は、インプルメンティング・オフィサー、IOと言っておりますけれども、調達官と訳されておりますが、そういう人がいることは事実でございます。ただ、このIOは、フィリピン側におきましては各省の関係大臣、経済開発庁長官を議長といたしまして、公共事業省、運輸、通信省等等の大臣を議長とし、次官を委員として構成されます委員会で円借款プロジェクトの契約の内容について協議をし、その最終的に出た結論をこのIOというのが授権をされましてサインをすると、こういうシステムになっていたわけでございます。IOというのが非常に権限が大きいのではないかということでいろいろ報道等されておりますけれども。実際のIO、調達官の権限というのはこういうものであるというふうに私どもは承知しております。 それから、アメリカ、ドイツという御質問でございますが、御承知のとおりアメリカもドイツも借款というものは非常に少ないわけでございます、フィリピンに対しましては。無償援助というものが特にアメリカの場合は多うございます。したがいまして、米国、ドイツが供与します借款がどういうような手続で受け入れられているのか、日本とは違った形で受け入れられているのかどうか、私ども詳細には承知しておりませんけれども、かなりまれなケースだということで、恐らくは違う様式で受け入れを決定する組織になっているんじゃないかというふうに思います。
○久保田真苗君 局長、法律解釈ばかりしたってだめなんですよ。この調達官というのが悪名高い、あるいは有名なオスカー・ロドリゲスさんでしょう。そんな御返事じゃとても納得できませんよ。これは一体、本当にこの体制は何とかしていただかないとだめだと思うんですけれども、外務大臣、これはこのままやるつもりですか。
○政府委員(藤田公郎君) 個人の相手方のことについての御質問でございますが、現在現職でお務めの次官のことでございますので、オスカー・ロドリゲスさんとおっしゃいましたが、この方について私がどうこう申し上げる立場にはございません。
○久保田真苗君 大臣、どうなんですか。ともかくこんなにだれでもが知っているこの収賄の事実、それを外務省は、ただこの調達官の役目というのは法律上こうなんだと、まるっきりずれた答弁しているんですよ。私は、この執行体制を改革しない限りこれは続くと言っているんです。こんなこと続けられちゃたまらないんですよ。大臣、少しは検討調査して何かいい案を出していただきたいんです。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 何といいましても、相手の国のことでありまして、その相手の国の問題について日本がとやかく言うということは、それこそまさに内政干渉にもなりかねないことじゃないかと私は思います。それは相手の国でそういう間違いを起こしたら、相手の国の法律で当然罰せられるというのがもう当然のことだろう、そういうふうに思いますし、私は、新しい政権のもとでは、これからのいろんな経済協力関係を詰めていきますけれども、今までの関係というものを十分反省しながら、その上に立って間違いのない方向で、形で援助がきちっと国民の手に渡っていくように持っていきたい。こういう努力は具体的にこれはフィリピン政府とこれから新しい援助、残っている援助等を話し合うわけですから、その限りにおいては今後とも批判の起こらないように持っていきたい、こういうふうに思っております。
○久保田真苗君 抽象的なこと言っていただいても、これはどうにもならないんですね。私は、よその国もやっているんでしょうと言っているんですよ。だから、おわかりにならなきゃ調べたらどうなんですか。よその国でやっていることがどうして日本にできないんですか。それで向こうの、よその、相手国のことだっておっしゃるけれども、これは交換公文の条項を守るために必要なセッティングなんですよ。 〔委員長退席、理事桧垣徳太郎君着席〕 これは、日本国民のためにもやっていただかなきゃならない。大臣、本当にこれは相手国のことなんだというそういう御認識だったら、私これからちょっと大臣を見直さなきゃならないんですけれども。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いや、相手の国のことと言いますけれども、例えば具体的に今名前をお挙げになりまして、この人をやめさせるとかやめさせないとかいうことは、これは今の日本政府の立場から言えることではないわけです。ただ、交換公文がやっぱりきちっと遵守される、守られる、それについて日本政府が守られているかどうかということをフォローアップしながら注文をつける、これは私は当然のことだと思っております。これまでもやってきておりますし、これからもさらに厳しくこれは交換公文を遵守していく。交換公文は両国の信頼関係で成り立っているわけですから、これを守っていくためには、これからさらに外交ルートできちっと注文をつけるところはつけていかなきゃならない、こういうふうに思っております。
○久保田真苗君 誠意はわかりましたけれども、私はたった一人の人を通じてこういうことをするんじゃなく、たくさんの官庁のいろいろな大勢の人の目に触れるような、つまりガラス張りのところで入札とか受注とかというのをやる体制をつくるように相手方に交渉していただきたい、こう言っているんです。どうぞやっていただきたい。どうですか、大臣。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 交換公文で約束したことは、これはいわゆる公開入札その他いろんな面で、具体的に私は今申し上げるほど知識はないんですけれども、いろいろとそうした公開入札その他について約束事が交換公文に書かれていると思いますから、これは相手に対してちゃんと守るように、外交のルートを通じて外務省が責任を持って行わなきゃならない問題であろう、こういうふうに思います。
○久保田真苗君 重ねて体制改革の方法論の考え直し、これを要求しておきます。 それから、きょう円借款に比較的関係の深い省庁の大臣に御出席いただいておりますので、私がお伺いしたいのは、今までに一次の円借款からずっとプロジェクトがありました。さっき外務省は、それがマルコス文書の中にあるものだ、同じだと認められたんですね。 そこで、各大臣にお伺いしたいんです。通産、運輸、建設、農林、それから郵政、お伺いしたいんですが、この円借款について、それぞれの実務官庁はどのようなかかわり方をされたのか。そして、どういう段階でこれをチェックする立場にあったのか、そのことを一言ずつお願いいたします。
○国務大臣(江藤隆美君) 円借款に関する決定に建設省が直接参画したことはございません。ただ、そういう対象プロジェクトができました場合に、関係省庁の要請に基づいて技術的な見地からいわゆる参考意見を述べるあるいは助言をする、その程度のことでございまして、そうしたプロジェクトを採択するかしないかというような決定に建設省は参画する立場にはございません。
○国務大臣(羽田孜君) 私どもの立場もちょうど今建設大臣からお答えしたとおりでございまして、先方の国の農林水産業の振興にどのようにこのプロジェクトが働くかということについての妥当性について意見を述べる立場にございます。
○国務大臣(三塚博君) 二省庁と全く同じ立場でして、運輸省、直接これに関与したことは一つもございません。意見を求められたのは二、三度、こんなプロジェクトという程度の話でございまして、四省庁が主体的に行っておるというふうに理解をいたしております。
○国務大臣(佐藤文生君) 郵政省も大体同様でございまして、四省庁から照会があったときに専門的なあるいは技術的な意見を述べるようになっております。
○久保田真苗君 この四省庁体制というのは一体何なのか。この四省庁体制をやっていく事務局といいますか、所管庁はどこなんですか。
○政府委員(赤羽隆夫君) 四省庁は外務省、大蔵省、通産省、経済企画庁でございまして、先ほども申し上げましたようにそれぞれの観点、経済政策の観点、経済開発の観点、それから財政政策、国際金融政策、通商政策、それから外交政策、それぞれの観点からそれぞれの見方につきまして、それぞれが事務局といいますか主管の作業をする、こういうことになっております。
○久保田真苗君 主管しているのは経済企画庁だということでよろしいのでございますか。
○政府委員(赤羽隆夫君) 経済企画庁が監督官庁として主管しておりますものは経済協力基金でございます。この四省庁体制におきまして経済協力案件につきます主管というのは、それぞれのもち屋という立場におきましてそれぞれが主管省と、こういうことだと思います。
○久保田真苗君 そうしますと、四省庁体制というのは、そこで決まったことはそれぞれの大臣が皆御承認になったと。そうすると、今の四省庁がこの実施体制について共同して責任を負っている、こういうことでございますか、外務大臣。
○政府委員(藤田公郎君) ただいま経企庁調整局長からお答え申し上げましたように、経済協力基金の主管省は経済企画庁でございますが、大蔵省、外務省、通産省、それぞれが協議官庁ということで協議を常時受けるということになっております。
○久保田真苗君 それが不思議なんですね。このプロジェクトを見ますと、これはどれを見たって農林、それから運輸、通信、そして建設。橋だとか、これはみんなここにお出になっている実務官庁が関係がありそうなプロジェクトなんですよ。それがどうして四省庁、それも大蔵省でしょう、それから外務省でしょう、経済企画庁でしょう、みんな事務屋さんじゃありませんか。通産省だけが若干の実務的な官庁だけれども、でもこんな幅広い、それから労働も厚生も含めたそんなものを全部通産省が代表なされませんよね。この四省庁体制の理由というのは一体何なんでしょう。何か共同責任だとおっしゃるから、全部伺いましょう。どうぞ。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは今経企庁の局長から答弁いたしましたように、責任の立場というのははっきりしている、それから分担というのははっきりしているんじゃないか、こういうふうに思っておりますが、そういう中で外務省は何といっても対外関係ですから、国内的な調整をそれぞれの関係各省でやると同時に、対外的には外務省が相当責任を持ってこれは推進をしなきゃならない、これはもう当然のことだと思います。 そういう意味で、むしろ経済協力については、対外的には外務省が先頭に立ってやる、そのかわり外務省がそれなりの責任を負うというのが、これは法律的にどうだこうだということではなくて、やはりその心構えが最も大事であるというふうに実は考えて、これまでもODA、経済協力の問題には対応してまいったわけであります。
○久保田真苗君 どうもその辺に問題が、非常に皆様悪いことがあったときは逃げ回っている、いいことのときは自分に、みんな取り込みだという、そういう官僚機構の非常に悪い面がこの経済協力に端的にあらわれていると思うんですよ。それで、実施官庁の中ではこぼしているところもあるんです、正直に言いまして。外務大臣、民生重視だとおっしゃったでしょう。民生重視、そのことは間違いないんですね、経済協力の重点は。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日本の経済協力は今御承知のように円借でいく場合と、それから無償援助でいく場合、それから技術協力、大体この三木立てになっておるんじゃないかと思います。今中心として論じられておるのが円借の分でございますが、これは主としてプロジェクトを中心にして行われております。それはやはり相手の国の経済の開発とか民生の向上とか、そういうものに資するということの基本的な観点に立っておるというふうに私は思っております。もちろん無償援助等については人道援助ということが大きな面を持つこともこれは当然のことであります。人道主義、いわゆる相互依存、こういう建前から基本理念として進めておるということであります。
○久保田真苗君 我が方の婦人議員が行きまして、アキノさんに会いまして注文をもらってきているわけですよ。それは民生に役立つこと、自立のための職業訓練、そして子供の疫病を治すための予防医学、こういったものについての注文が出ているわけですね。こういうものを重視していただきたいんだけれども、今のこの体制では、もちろん円借款はそうですけれども、無償援助の方についてもこれが非常に弱いと思うんですね。 そうすると、私はやっぱりこの四省庁体制というのに抗議せざるを得ないんですよ。なぜこんな事務官庁ばかりがこうやって主導権を握っているんですか。各分野の専門ということがおわかりにならない、その分野に熱意もない、熱意がないからこういうことになっているんじゃないんですか。本当に子供のことを思う、女のことを思う、こういう人たちが先頭に立っていかない限りだめなんですよ。だから私は、そこのところ、四省庁体制の見直しということをぜひ提案したいんです。外務大臣、どう思われますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは私も外務大臣になりまして、例えばODAの七カ年計画をつくる場合は大蔵大臣、通産大臣、経企庁長官の四人で相談をいたしましてその方向を打ち出したわけで、そういうことでそれぞれ責任を持ってやっております。しかし実際的には、対外的な関係についてはこれはいいことも悪いこともやはり外務省が責任を持たなきゃならない、そういう立場で努力を重ねておるわけです。それから、確かに無償援助等についてはこれは外務省が中心でやっておるわけですし、あるいはまた技術協力等についてはこれはJICAでございますので、そういう意味では、四省庁体制と言いますけれども、それぞれの役割に応じた非常に機能的な効果の生まれるような体制でもある。それが今日の日本の援助というものが開発途上国等において、いろいろとこういう問題は起こっておりますけれども、全体的には評価されているゆえんじゃないか、こういうふうに私は考えております。
○久保田真苗君 全体的な評価というのも私はやりたい。だけれども、ともかく腐敗独裁政権を育てているようなことが経済的な援助と差し引きしてどうかと言ったら、私は民衆にとって腐敗独裁政権を育てて押しつけられるほど嫌なことはないと思うんですよ。でも、それはそれでやめておきます。 ともかく問題はこの四省庁体制、外務省は確かに対外的な窓口です。だから外務省はまとめでいいんですけれども、全部の省庁、労働省も厚生省も農林省も、ここに並んでいらっしゃる省庁の皆さんになぜ発言と参加の機会を与えないんですか。四省庁と言って何の四省庁ですか。法律なんかに何にもないんですよ、それぞれの所管に入っているというだけであとみんなほかのところはほかの法律に入ってそしてやっているんですよ。だから日本の経済協力はこんなに技術援助が弱いんじゃありませんか。質が悪いんですよ。この体制だったら経済協力なんかよくなりっこないんです。外務大臣、どうですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 全体的に見まして、各国それぞれ援助のやり方が違いますけれども、日本の援助の質が非常に悪いという批判もそれは一部にはありますけれども、日本がこれほどアジアを初めとする広範な各国、開発途上国に対して幅広く援助を行うという立場からいえば、これはまた国としての責任ですが、そういう立場からいえば、今の形をやはり全体的にはとっていかざるを得ないんじゃないか。非常に濃密なことになればそれは部分的なものに限られてしまうわけで、やっぱり日本の場合はアジアだけじゃなくてアフリカとか中東とか南米とか幅広くやっていかなきゃならぬわけですから、そういうことを考えますと今の形はそう私は基本的には間違ってないんじゃないか、こういうふうに思っておるわけでございます。 とにかく、今の体制がどういう形でか沿革は私よく承知しておりませんけれども、今の四省庁体制の形というものは我々やってみまして、そう不便を感ずるとか、これが非常に間違っておるというふうなそういう感じを受けるとか、そういうことはありません。非常にうまくいっているということは言えるんじゃないかと思います。
○久保田真苗君 大臣、不便を感じているのはよその省庁なんです、外務省じゃないんです。大蔵大臣どうお思いになります、この四省庁体制というのを。
○国務大臣(竹下登君) 私も歴史的経過を必ずしも存じておりませんが、私どもがやりますときには、今度ODAそれじゃ七カ年倍増、それで金額四百億ドル以上。中身の議論はいたしません。私のサイドから言いますと、国際協力の立場からIMFだの世銀だのアジア開発銀行だの、そこへの出資をしておりますね。そして我が国からそれぞれ理事や総裁も出しております。したがって、それとの調和の中に個別のまた経済協力、円借もあらねばならぬわけですから、そういう角度から、これはいいところには出て悪いところには引っ込んでということじゃなく、いいも悪いも表面へ出でちゃんと協議をしていく。したがって今度、個別の案件になりますと、実は私どもは技術者をおっしゃるとおり抱えておりません。それは、財務局に公務員宿舎の設計ぐらいする人はおりますけれども、そういう大型プロジェクトは、そういう財政金融の立場以外の問題につきましては、我が国のまさに技術陣営の粋を集めたそれぞれの御官庁の方の御意見を承っていくというのは当然のことであろうというふうに思います。
○久保田真苗君 基金の理事はどこが出身省庁ですか。
○参考人(細見卓君) 外務省、大蔵省それから通産省と三省で、総裁、副総裁は別、各省というような感じはございません。
○久保田真苗君 大蔵大臣、総裁が大蔵省、そして大蔵省は理事も一人いる、ちっちゃな理事会で。私は大蔵省が監督官庁かと思いましたよ、初め。だけれどもそうじゃない、企画庁が監督官庁だ。大蔵省は大した実力なんですね、天下りもずば抜けて多いし。こういう状態なんだけれども、私お金を取ることよりも使うことにたけた人がこういう理事会や総裁や副総裁の中枢を担うべきだと思うんです、実務官庁から。このことをどうお思いになります。
○国務大臣(竹下登君) 大蔵省はお金を取る方ばかりではございませんので、予算等の調整措置も行う役所でございます。 〔理事桧垣徳太郎君退席、委員長着席〕 だから、取る方のエキスパートばかりが集まっておるというふうにはどうぞお考えいただかないで、お願いしたいと思っております。 私が先ほど理事等を出しておると申しましたのは、海外機関の金融関係には全部理事を出しておる。国内のそういう政府関係機関のいわゆる役員構成というものは、その都度最も適任の方がおなりになるべき筋のものであって、初めから株が存在しておる、大蔵の株だとか通産の株だとか世間で言われますが、株ということはどの法律にも規則にも書いてありませんから。
○久保田真苗君 ともかくこの基金の構成、それから経済協力における四省庁体制というのは、私はこれは今後の経済協力のあり方だとは思われない。少なくともこのリベート問題についてまるっきりこれは無能だということを証明したのですよ。
○委員長(安田隆明君) 久保田君、時間が参りました。
○久保田真苗君 こういうことを要望しまして、私外務大臣に、ともかく体制づくり、このことをやっていただきたいと思います。最後に誠意のほどを示していただきたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いろいろ御指摘がございました。やはりこういう問題が起こっておりますから、政府としても率直にお話を承って、これをこれからのよりよい援助に結びつけるような形で参考にさせていただかなきゃならぬと思っております。大変傾聴すべき御意見もございました。これから全体的に検討することはやはり検討すべきじゃないかと私も思っております。いろいろな面で勉強をし、研究したいと思います。
○委員長(安田隆明君) 以上で久保田真苗君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(安田隆明君) 次に、和田教美君の質疑を行います。和田君。
○和田教美君 政府と民間企業二十一社のSDIに関する合同調査団がもう既にきょう成田を出発したはずでございます。そこで、SDIの問題をまず最初にお聞きしたいと思います。 今度で現地調査は三回目ということになるのですけれども、既に中曽根総理がSDI研究に理解を表明いたしましてからもう一年三カ月になるわけです。政府としてはもう十分、SDIというのは一体何なのか、SDIの全体像というものは一体どういうものかというふうなことについて知識なり情報なりを得ておると思います。ところが、今まではどうも断片的な答弁に終始しているということでございますから、この際、SDIとは一体何なのか、SDIの全体像についてひとつお聞かせを願いたいと思います。
○政府委員(藤井宏昭君) SDIの全体像と申しますのは、大変にSDIというものが広範にわたっておりますので、これをかいつまんで申し上げることは大変に時間のかかることでございますけれども、要するにSDIと申しますのは、核の恐怖に基づく均衡、いわゆる相互確証破壊、MADという状態から、核の恐怖ではなくて、これはアメリカの大統領の言葉でございますけれども、信頼によるMAS、ミューチュアル・アシュアード・セキュリティーという、相互安全保障と申しますか、という関係に持っていきたいということでございまして、そのためにハイテクの技術を使いまして、飛来してくる弾道弾を四段階に分かれてそれを捕捉し、それを無力化するという構想でございます。 SDIは現段階におきましては研究の段階でございまして、この研究というものがどの程度続くかということは明確でございませんけれども、少なくとも一九九〇年代初頭あるいはそれ以降、人によって五年、七年、十年といういろいろな説がございますけれども、かなり長期の期間この研究は続けられるということでございます。 この研究というものは何のために行うかということでございますけれども、この研究は要するにそういうシステム、これはいろいろな可能性があるわけでございますけれども、そういうシステムが技術的に、かつ残存性、そういう盾ができますと当然これに対する矛というものができてくるわけでございますので、攻撃等があり得るわけでございますが、その攻撃に耐え得るという意味での残存性というものを含めまして、そういうシステムが技術的に、また費用対効果ということで可能であるかどうかということがこの研究の目的であるというふうに承知しております。 その研究がアメリカにおきまして開始されておるわけでございますが、一応の目安といたしましては五年間で二百六十億ドルということで、これはもちろん全部予算化されておりませんけれども、というめどで研究が開始されておるということでございます。
○和田教美君 今度の調査団派遣で、一体何がまだわからないんですか。
○政府委員(藤井宏昭君) SDIの技術というものは極めて広範な技術分野にわたっております。一つは、粒子ビーム等あるいはレーザー等の部分でございますし、もう一つは全体のシステム、これは捕捉しそれを追跡するというようなシステムでございますし、極めてこの技術の内容が広範でございますし、かつこれからの研究でございますので、不確定なところがいろいろございます。一応の概念といたしましては、既に二度における調査団である程度の概略はわかっておるわけでございますけれども、やはり基本的にその技術につきまして深い知識を、そういう知見を有しておりますのは我が国においては民間の方々でございますので、その民間の方々が直接、SDIの技術というものはどういうような技術であり、それは日本の技術にとってどういうようなインプリケーションを持っておるかということを含めまして、直接の知見を持っていらっしゃる、一番深い知見を持っていらっしゃる民間の方々が直接今回ミッションとしてアメリカに行くということでございます。
○和田教美君 SDI研究に参加するかどうかについての決定はこの調査団が帰ってから決めるというお話でございますけれども、今の答弁を聞いておりますと、調査団は十日に帰ってくるわけですが、そう簡単に調査報告ができるというふうには思えない。外務委員会での外務大臣の答弁ですと、調査団の報告はしっかりしたもの、権威のあるものにしてもらわなきゃならないということで、早くとも四月末あるいは五月になるかなというふうなお話でございましたが、そうなりますと、政府の態度決定というのは、いろいろ言われておりますけれども、物理的にサミットの後ということになりますか。そういうふうに理解していいかどうか、外務大臣の答弁を願います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は前々から御答弁申し上げましたように、このSDIの研究に参加するかどうかということを決めるに当たって、何も時日、期限を設定する必要はないのじゃないかということであります。それほどSDI問題というのは非常に日本にとっても重要な課題である、ですからしっかり研究して慎重に判断して決めるべきであるというのが私の考え方でございます。 したがって、今三次の調査団を派遣しておりますが、この調査団が帰ってきて、そしてその報告を受けるわけです。一次、二次とありましたから相当これはもう突っ込んだ調査をしていただくわけで、その報告を受けまして、その受けた中でいろいろと政府の関係者、研究をしてそして方向を打ち出していくということになろうと思います。そういう中で今サミット前とか後とかいうことに私はとらわれる必要はない、とらわれるべきでもない、こういうふうに思います。
○和田教美君 そう申しましても、今言ったように物理的にサミット前というのは難しいのじゃないですか、調査団の報告を受けるということであれば。
○国務大臣(安倍晋太郎君) それは、物理的といいますか、難しいか易しいか調査団が十日前後ぐらいに帰ってくるわけでしょうから、これはまとめることが時間かかるかかからないかというところにかかっておるわけですから、今から予測はちょっとできないのじゃないかと思います。
○和田教美君 しかし、政府の動きは全体の流れとしては参加という方向に向かって手続を踏んでいるという印象を私は持つわけなんですが、それにしてもさっぱりはっきりしない。仮に参加するということを前提として考えた場合に、参加形態を一体どういう形でやるのかということがさっぱりはっきりしません。西側でもイギリスだとかドイツだとかそういうところが参加の決定をしているんですが、それぞれ参加形態が違うわけですか。主な国、サミット参加国だけでも結構ですから、どういう形態をとっているかという問題も含めまして、それとの関連で政府は大体どういうことを考えているか、お聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(藤井宏昭君) お答え申し上げます。 各国でございますけれども、イギリスにつきましては昨年十二月にアメリカとの間に国防省間でイギリスのSDI参加につきまして取り決めを結んでおります。この取り決めは公表されておりませんけれども、この内容はイギリスの政府及び民間がSDIに協力するということで、それに関連する詳細な取り決めであるというふうに了解しております。 それから西独でございますけれども、昨年十二月に参加の方針を決定いたしまして、その後経済相が代表になりましてアメリカと交渉を続けてまいったわけでございますが、去る三月二十七日に取り決めに署名したようでございます。この取り決め自体も公表されておりませんけれども、この内容は、西独といたしましては政府は直接参加しないけれども、民間が参加するに当たって政府がそれをファシリティーとするという意味での取り決めであるというふうに了解しております。 それからイタリーでございますが、イタリーはまだ態度を決定しておりませんけれども、情報によりますればそう遠からず態度を決定するであろうということでございます。 なお、カナダでございますが、カナダは既に昨年の九月に政府としてはSDI研究に参加する立場にないけれども、民間が自主的に参加するということは自由であるという方針を明らかにしております。 それからフランスも同様でございまして、政府としてはSDI研究に参加はしないけれども、企業の自主的な参加は自由であるという方針を宣明しておるわけでございます。
○和田教美君 日本はどうするか、日本の参加形態はどうするかということについての答弁が全くございませんが。
○政府委員(藤井宏昭君) 理論的に先ほど申し上げましたように、各国ともいろいろな参加の形態があるわけでございますので、日本につきましてはその辺も踏まえまして、参加するかどうかということを含めまして、累次御答弁申し上げておりますように検討しておるわけでございます。したがいまして、日本がどういう形の参加をするであろうかということについて、参加をするかどうかを含めまして現段階で憶測するということはなお時期尚早であるというふうに存じ上げる次第でございます。
○和田教美君 何でも検討中、検討中で一年以上たっているわけなんですけれども、仮に参加ということを前提として考えた場合に、非常に重要な問題になるのが宇宙の平和利用に関する国会決議との関連でございます。御承知のとおり、衆議院が昭和四十四年の五月に「わが国における宇宙の開発及び利用の基本に関する決議」というものをいたしましたけれども、この平和利用の決議というものは、当時の政府の見解でも、平和利用とは非軍事に限るのだということを述べられております。そうなりますと、仮にSDIへの研究参加ということになりますとこの決議に抵触しないかどうか、科学技術庁長官の見解を聞きたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) ただいま北米局長御答弁申し上げましたとおり、政府としてのSDIに対する対応の仕方については目下調査団を派遣をして、その調査結果をまってさらに検討を深めるという段階でございまして、現在、国会決議とどういう関係になるかということについて私から申し上げる段階ではないと思います。しかし先生御指摘のとおり、政府の対応は当然国会決議を遵守するという立場をとるべきものであると、こういうふうに考えております。
○和田教美君 中曽根総理がこの問題について政府がまず態度を決定して、その上で国会決議との関係を考えるというふうな答弁をされておりますが、この発言はまことに国会軽視だというふうに私は思うんですけれども、外務大臣いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) まだ何も決めてないということ、もちろん先ほどから申し上げておるとおりです。これは決める場合において私が慎重にと言うのは、決める場合におきましてはやっぱり国内の法律もあります、あるいは国会の決議もあるでしょう、それから日米安保体制とかいろいろの国際、国内全体の今の日本の立場というのがありますから、そういうものをやっぱり十分クリアした形でなきゃならぬと思いますので、そういうあらゆる問題点をやっぱり検討し、研究して、その上で決め、方向を打ち出す。方向を出す中でそういうこともやっぱり当然検討しなきゃ方向を出せないわけですから、今どういう方向を出すということを言っているわけじゃありませんで、今せっかくの御質問でございましたから申し上げるわけですが、いろいろの問題あわせてこれは検討の対象にしなきゃならぬ、こういうふうに思います。
○和田教美君 アメリカのワインバーガー国防長官が最近訪米しました公明党の竹入委員長に対して、SDI研究参加に当たっての秘密保護の問題ですけれども、新たな秘密保護の取り決めを必要としないということを言っておられます。これはかなり重要な発言だと私は思うんですけれども、政府、外務省もこの秘密保護の問題については大体そういうふうにアメリカ側の意向を受け取っておられますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはワインバーガーさんかどういう気持ちで言われたのかわかりません。まだ日米間で何もこの点について話をしてないわけでありますし、日本の考え方も述べておらぬわけでございますから、今後これは日本がいろいろと調査団帰って、我々は研究をして、そういう中で政府の方針が出せるという段階になったときに、そういう問題も含めてこれは話し合いになる可能性は私はあると思いますけれども、今ここでワインバーガーさんが言ったからといって私どもがこれに対してとやかくコメントすることは適当でないと、こういうふうに思います。
○和田教美君 それでは、仮定の問題ですけれども、仮にワインバーガーさんの言っているように新たな秘密保護の取り決めを必要としないということになれば、つまり現行の日米相互防衛援助協定、MDA協定ですか、これに伴う秘密保護、これでいいということになるわけですか、これは仮定の問題ですけれども。
○政府委員(藤井宏昭君) 現在検討中の問題でございますので、仮定につきましていろいろ御議論申し上げることはいかがかと存じます。 現在の我が国の体制と申しますのは、おっしゃるようにMDA法が一つございますし、国家公務員法、それから自衛隊法等もございます。それから、もちろん民間の契約によりましての私的な契約というようなことで情報を外部に漏らさないというようなこともあるかとも存じます。いろいろな形があるわけでございます。いずれにしましても、現在秘密保護と申しますか、その問題がアメリカとの間で話されるのかどうか、これは日本の今後の方針にもかかわってくることでございますし、理論的に現段階でどうであるというようなことを申し上げるのは時期尚早というふうに考えます。
○和田教美君 これは時期尚早の答えでは困るわけでございます。 条約局長いらしていますか……。条約局長が二月の二十日の衆議院の予算委員会で武器技術の共同研究開発についての答弁をされております。そして、アメリカに対しては武器技術供与の取り決めがあるから、共同研究開発だけでなくて輸出に結びつく供与もできると。しかし、その他の国の場合は、一般に武器技術の共同開発は禁止されていないけれども、それが武器技術の輸出つまり武器技術の移転に結びつく場合は武器輸出三原則が適用されるので許されない、そういう趣旨のことを答弁されておるわけですけれども、これをSDI研究に当てはめると、仮にアメリカとの間には武器技術供与に関する取り決めがあるから供与ができる、技術の移転というものができると、日本の立場から見て。としても、ヨーロッパの国々とはそういうものはないわけですから、それができないのではないかというふうに私は思うわけで、そうなると、必然的に各国が参加してくるわけですから共同研究になるわけなんですけれども、それによって得たノーハウ、それをどういうふうに各国が利用するかという問題について、日本の立場から見て非常に微妙な問題が起こってくると思うんですが、その点はどうお考えなんですか。
○政府委員(小和田恒君) 衆議院の予算委員会におきまして私がいたしました答弁について申し上げますが、先ほど来外務大臣が御答弁申し上げておりますように、SDIに我が国が参加するかどうかという問題についてはまだ検討中でございますので、私が衆議院予算委員会でお答えをいたしましたのはSDIとの関係ではございませんで、一般的に共同研究というものがどういう位置づけになるのかということについて申し上げたわけでございます。 御承知のとおり、武器輸出三原則との関連におきましては、武器技術もこの範囲内において同じ取り扱いをするということが決まっておりますので、原則としては武器技術の輸出、武器技術が外に出ていく場合はこの武器輸出三原則の原則に従って処理をすることになるわけでございます。ただ、米国との関係におきましては武器技術供与の取り決めができ上がっておりますので、米国との関係においては武器技術供与取り決めによって処理をされることになる。それ以外の国につきましては、そういう特別の取り決めがございませんので、武器輸出三原則によって処理されることになる、こういう趣旨のことを申し上げたわけでございます。 したがいまして、その原則から申しますと我が国が米国との間で武器に関する共同研究をするということになり、それに伴って武器技術が我が国から米国に対して出ていくということになります場合には、これは日米間の武器技術供与取り決めの対象になり得る事態が生ずるであろう。その他の国につきましてはそういうことがございませんので、武器輸出三原則によって処理をすることになるであろう、こういうことを御答弁申し上げたわけでございます。
○和田教美君 しかし、研究開発ということと技術の移転という、どこからどこまでが移転であり、どこからどこまでが研究開発であるかということは非常に微妙な問題だというふうに私は思うわけで、その限界ははっきりしないのではないかというふうに思います。そうなると、この武器輸出三原則というもので西欧諸国などとの関係を律するとすれば、これらの国々との共同研究は事実上できないということになるのではございませんか。
○政府委員(小和田恒君) 先ほど御答弁申し上げましたように、私が申し上げておりますのは理論的な問題として、武器の共同研究というものは技術供与との関係ではどういうことになるのかということについての仕組みの問題を申し上げているわけでございます。具体的に現実に武器の共同研究開発というような事態を考えてみました場合に、武器技術の供与という問題とどういう関係になるのかということにつきましては、個々の形態についていろいろな形があり得るであろうと思います。 私は、条約局長として、理論的にこの問題を整理すればどういうことになるかということを申し上げたわけでございまして、現実に武器の技術の供与というものが共同研究との関係においてどういう具体的な形があり得るかということになりますと、これはその共同研究開発の態様が千差万別でございましていろいろな形があるであろうと思いますので、その個々のケースに当たって具体的に考えてみるということが適当であろうと考えております。
○和田教美君 次に、SDIと我が国の非核三原則との関係についてお尋ねしたいと思います。 SDI計画には、言うまでもなく周りを多数のエックス線レーザー発生器で取り囲んだ装置の中で核爆発をさせるエックス線レーザー兵器というものが研究されるわけでございますが、このエックス線レーザー兵器というのは核兵器ではないか。もしそうであれば、日本の非核三原則の核をつくらず、この条項に、日本が参加するとすれば触れてくるんではないか。何回も言われておることですが、念のためにもう一度確かめたいと思います。
○政府委員(藤井宏昭君) お答え申し上げます。 エックス線レーザー兵器というものが検討、研究の一つの対象になっていることは事実でございます。しかしながら、これは指向性エネルギー兵器、それから運動性エネルギー兵器と、まあ大きく言って、大別して二つの兵器の形があり得るわけでございますけれども、そのうちの指向性エネルギー兵器と申しましても、その中で自由電子レーザーとか化学レーザー、それからエキシマレーザー、中性子ビーム等がございまして、その一つとしてエックス線レーザー兵器というものが可能性として研究されているということでございます。 さらに、このエックス線レーザー兵器というものをなぜ研究しているかということにつきましては、最近もアメリカのこのSDIを担当しておりますSDI局のエイブラハムソン局長が公に述べておりますけれども、ソ連がこの研究を行っておるという関連で、先ほど申し上げました残存性でございますが、これがSDIシステムでも仮にできた場合に、その際にそれが攻撃されるというようなこと、その可能性があり得るので、その関連で研究しているんだということを言っております。 いずれにしましても、この兵器というものは現存しないわけでございます、概念は存在するわけでございますけれども。それが一体いわゆる核兵器になり得るのかどうかということでございますけれども、核兵器というものは御存じのとおり定義がございまして、それは原子核の分裂または核融合反応により生ずる放射エネルギーを破壊力または殺傷力として使用する兵器をいうということでございますけれども、このエックス線レーザー兵器というものが、まず第一にSDIの研究の中でどのような、現在でも大きな部分ではございません、非常に小さな部分でございますけれども、それがどういう部分を占めるのかということ。それから、この兵器が一体今の核兵器の定義に照らしましてどのような兵器になるのかというと、現段階におきましては研究のまだ途上、緒についたばかりでございまして、わからないということでございます。
○和田教美君 次に、私はかねがね条約と国会の審議権という問題について、政府が自分だけでいわゆる三原則という基準を決めて、なるべく国会承認案件を少なくするというふうにしているということについて非常に疑問を持っておるわけでございます。しかしそのことは別といたしまして、昭和四十九年に当時の大平外務大臣が国会で答弁しましたこの基準ですね、これは三つございまして、法律事項を含む国際約束、第二番目に財政事項を含む国際約束、三番目に政治的に重要な国際約束で批准を条件とするもの、これが国会の承認を必要とするということでございまして、その基準に基づいて外務省はこれまでやっておったわけでございます。 そこで、SDIに参加するということを前提に考えた場合に、第一の法律事項を含むかどうかは今の答弁でもはっきりしませんけれども、私が特に聞きたいのは、財政事項を含むかどうかという問題でございます。最近の新聞報道によりますと、SDIの構想の第一の推進者であるエドワード・テラー博士が、日本が参加する場合に財政面での協力を行い得ない場合には、研究から得られた特許技術などはすべてアメリカに帰属するから、これは日本についても例外ではないということで、なるべくとにかく財政負担も含めた広範な参加が望ましいという見解を出しております。アメリカの財政もなかなか手元不如意でございますから、果たしてあの膨大なSDI研究費というものを全部アメリカが長期的にわたって負担するのかどうか。将来お金持ちの日本にひとつ出してくれというふうな話が出てこないかどうか。もしそういうことが予見されるとすれば当然国会の承認を求めるべきである、その取り決めができた場合に。そういうふうに考えるわけですが、その辺はどういうふうにお考えなんでしょうか。
○政府委員(小和田恒君) 昭和四十九年のいわゆる大平外相答弁との関連についてお尋ねがございますので、若干その点について御説明を申し上げたいと思います。 御承知のように、憲法のもとでは第七十三条の規定によりまして、条約の締結は行政権に属することとされているわけでございます。ただし御承知のとおり、事前に、または時宜によっては事後に国会の承認を経なければならない、こういう形で処理をされておるということでございます。 そこで、昭和四十九年の大平外相答弁と申しますのは、この憲法第七十三条三号との関係におきまして同会の承認を要する条約というのは何であるか、その範囲について述べたものでございますので、先ほど和田委員の御質問にもありましたように、SDIとの関連についてこの問題を考えますならば、それが国際約束、条約という形に仮に何らかのその問題が取り上げられたときにそれが国会の承認を要する条約になるかどうかということで今、問題になってくるわけであろうと存じます。一般的にSDI研究参加の問題そのものだけを取り上げて考えますれば、これは従来から政府がお答えをしておりますように、基本的にはこれは政府の権限に属する事項であって、政府として慎重に判断をした上でどうするかを決定する問題である、こういうことを申し上げているわけでございます。 そこで、それでは国会の承認を要するような条約になる可能性があるかどうかということになってまいりますと、これはもちろん将来の問題でございますので今ここでどうこうということを明確に申し上げることはできませんけれども、一点だけ事実関係との関連で申し上げますれば、このSDI研究、現在アメリカが他国に対して参加の希望があれば参加をすることを歓迎しますという形で呼びかけておりますSDI研究というものは、米国が自分の財政支出によって行う研究に対して他国が参加をすることを許す、あるいは参加することを期待するというような形で提起されているわけでございまして、現段階において財政支出云云という問題が生じているわけでないことは御承知のとおりでございます。 したがいまして、このSDI研究に対する我が国の参加という問題だけを現段階において考えますれば、国際約束を締結する、あるいは財政事項にわたるような国際約束をつくるというような問題は現段階においては全く生じていないということであろうと思います。
○和田教美君 私は別にSDIの取り決めを早くつくれと言っているわけでは毛頭ないわけでございまして、基本的に安倍外務大臣の慎重論に私は非常に賛成でございます。総理の早く早くというのは私は納得できないわけでございますが、今私が幾つか指摘した問題点でもなかなかまだいろいな問題があるということはおわかりになったんだろうと思いますから、十分慎重にこれからも時間をかけて検討していただきたい、こう思います。 それでは、SDIの問題はこれで終わりまして、次に、午前中から論議されておりますフィリピン円借款をめぐるリベートの疑惑の問題について質問をしたいと思います。 アメリカの下院が発表しましたマルコス文書、これはまだ全容ではないということはもちろんでございますけれども、しかし、それにしても日本の企業がフィリピンに対する円借款事業の受注をめぐってマルコス前大統領及びその周辺にリベート合戦を演じていたという事実そのものはもう明確だと思うわけでございます。先ほども久保田委員の指摘もございましたけれども、この円借款の供与の決定に当たってはいわゆる四省庁体制というものが行われておるわけなんですけれども、それぞれにですから四省庁の長である外務、大蔵、通産、経済企画庁、この長は責任を持っておると思うわけなんです。中曽根総理はこの真相を究明するということを言明しておるわけですが、先ほどの答弁にもございましたように、この四省庁協議体制に対する、関与の仕方はそれぞれの立場から関与しているという答弁でございました。そうなりますと、真相究明に当たっての各省庁の対応というものもそれぞれにまた違ってくるんではないかというふうに思うわけでございまして、抽象論でなくて、具体的に何を始めておるのか、またこれから具体的に何をしようとするのか、今の指摘をいたしました四大臣に順次お答えを願いたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 中曽根総理大臣も真相究明をしなきゃならぬということを言っているわけでありますし、これは中曽根内閣全体として、特に関係のある我々閣僚は、そうした基本方針に従ってあらゆる角度からこの問題を解明するために御協力申し上げるところは御協力しなければなりませんし、またみずから進めるところは進めなきゃならない、こういうふうに思っております。
○国務大臣(竹下登君) 大蔵省としてということになりますと、真相究明のためには関係省庁が一致して協力して当たることが重要と考えておりますが、独自の観点からこれに取り組むということを直ちには思い当たりません。が、予測されるのは、外為、それから税務等々が関係があろうというふうに思いますが、具体的に今その角度からやりますとかいうところには至っていない。やはり総理、外務大臣からお答えがあっております線に最大限の協力をするという立場でございます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) このようなアメリカ側からの資料の発表によりまして、今までのマルコス政権の腐敗状況といいますか、それとの関連での援助問題というものが浮き彫りになってきた。これをよく調べていただくことは、今後のいろいろな経済協力等をやる上においてのいい指針になるのではないか。そういうような意味におきましてもこの全貌というものをある程度、どこまでわかるか知りませんけれども、調べることは決してむだではないと私は思っております。
○国務大臣(平泉渉君) 先ほどから段々御答弁申し上げていますように、経済企画庁は海外協力基金の監督官庁、こういう立場でございますから、海外協力基金が行っております業務というものを通じまして問題の究明、そういうことが必要であればますますこれをひとつ明らかにしていかなきゃならぬと考えておるわけでございます。
○和田教美君 先ほどから私答弁を聞いておりまして非常に疑問を持つんですけれども、この交換公文あるいは円借款供与というものは政府間の取り決めであるから、それに基づいてできた入札それから落札、そういうふうな経過を明らかにすることはできないという答弁がしばしば行われているわけなんです。しかし、相手の政府というものが変わっておるわけでございまして、新しいアキノ政権ができておって、アキノ政権には、マルコス政権時代のそういう不正蓄財というふうなものについてこれを徹底的に究明するという姿勢がありあり見えるわけでございます。そうなると、今の一連の政府の答弁を聞いておりますと、あくまでとにかくマルコス時代のフィリピン政府というものとの取り決めを尊重する、こういうことにならざるを得ないわけでございますけれども、仮にアキノ政権に、例えば入札のいきさつだとかあるいは関与した受注商社、そういうふうな名前を出してもよろしいかという相談は幾らでもできる状況になっていると思うんです。それについては一向に答弁がないわけなんですが、その辺はどう基本的にお考えなんでしょうか。
○政府委員(藤田公郎君) ただいま委員御指摘のとおり、政府間の交換公文で両国政府の国際約束ができております。先方は我が国から供与された資金を利用して事業を行うわけでございますが、この交換公文に基づきまして基金が貸付契約を結びまして、原則としてその事業は公開入札によって行われなければならないということになって、大体公開入札ということで進められております。この公開入札は、累次今まで御説明申し上げておりますように、そもそも事業は先方の事業でございますので、先方政府が入札を実施し、その入札の評価についてはもちろん一応私どもにも結果を見せてもらい、かつその相談にあずかるわけですが、我が方が同意をしました場合には、その入札の結果、落札者との間に契約を結ぶ、その契約をまた我が方に承認のために回してくる、こういう姿になっております。 したがいまして、現在、新しい政府が前政権の真相究明にいろいろと取り組まれまして、よい政府のための綱紀粛正委員会みたいなものが内閣にできまして、サロンガ前上院議員がいろいろ活動しておられますが、その過程でどういう要望が出てきたり公表がされたりするのか私どもは現在つまびらかにいたしませんけれども、いずれにしましても、先方が責任を持ちまして行いました入札及び契約の事情でございますので、それについて私どもが今いろいろと先方に注文をつけるという立場にはないというのが、今まで御説明している私どもの立場でございます。
○和田教美君 そうなると、相手のアキノ政権の対応次第では、つまり現在のところは政府は名前その他は出せないということであるけれども、将来アキノ政権が積極的に真相究明に動いて、そして例えば訴追が行われるというふうな状況になってきて、もうだれが見てもこれはリベートが厳然たる事実だということがそういう状況でも立証されてくるというふうな段階になると、態度を変えるということはあり得るわけですか。
○政府委員(藤田公郎君) フィリピン側がいろいろ調査、真相究明等をされる過程におきまして我が方にいろいろの協力を求めてこられる場合には、その協力の内容等を調べまして、それに応じた対応をするというのが、従来外務大臣からもお答えを申し上げているとおりでございます。
○和田教美君 どうもよくわかりません。その対応するというのは、今言ったように、今までは出さなかったものも出すというふうに方針を変えることを含むんですか。
○政府委員(藤田公郎君) 今、公表と申しますか、その企業等々のことでございました場合には、これは先方の政府がむしろ承知している契約の当事者でございますので、私どもに照会してくるということはないと思います。そのほかの協力要請に対してどうするかという御質問に対しましては、その協力要請の内容に応じて我が方が対応する、そういうことでございます。
○和田教美君 そうすると、要するに今までとっておるように名前は出さないという方針は今後も変えないということに受け取らざるを得ないわけですけれども、先ほど来指摘されておりますように、それでは、この第十三次円借款の交換公文の全文がここにありますけれども、ここにありますこの「事業計画借款及び商品借款が、適正に」使用されなければならないという状況から見て、それに明らかにとにかく違反するということが明々白々になっても、これは過去の問題だからもうそれは出せないということでこれからの問題と、専らその問題に限定して事を処理していこうとされるんですか。外務大臣、ひとつお答え願いたいと思います。
○政府委員(藤田公郎君) 十三次円借款は、まだ交換公文を了しましたのみで貸付契約にも至っておりません。従来の、過去の交換公文において同種の文言があるので、それに対しての態度はどうかという御質問といたしますと、仮にこの「適正に」使用されなければならないという両国間の取り決めに明らかに違反するような状況というものが明らかになりました場合には、それに対応した措置を政府としても考えるということになるかと思います。
○和田教美君 とにかく一五%というリベートというものを考えますと、円借款は一九七一年の第一次以来もう既に十三次まで、総額四千六百六十七億円に達するわけです。今、局長の答弁にありましたように、十三次はまだ契約をしてないということですから、それを除いて十二次までを仮に計算いたしましても、一五%掛けると六百億、日本円で六百億円以上の膨大な金が動いたかあるいは動くかという計算になるわけでございます。どうも一連の政府の発言を聞いておりますと、これが国民の税金、政府の説明によると大体一般会計が一でそれから財投が二という割合で円借款は出ているそうですけれども、国民の税金を使っているという意識がまことに薄いのではないか。内政干渉だとかなんとかという発言を見ましても、まるでとにかくどこからかわいてきたような金を自分で使っているような、そういう意識が非常にあるのではないかという感じがするんですけれども、その辺は大蔵大臣どうお考えですか。
○国務大臣(竹下登君) おっしゃるとおりでございますので、私どももこの円借供与に対しましては厳正であるべきだ、いやしくも安易に流れてはいけないということを心しておるつもりでございます。
○和田教美君 外務大臣、大蔵大臣にお聞きしたいんですけれども、大体リベートという、この文書にも出てきますけれども、業者はこれは正常な手数料だと言っているわけですが、これは手数料なんですか、わいろ性の強いリベートなんですか。それとも、例えば一〇%なら手数料だけれども一五%になるとわいろ性のあるリベートだというふうに考えるべきなのか、その辺の基準は一体どういうようにお考えなんでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) なかなか難しいことですが、常識的に見て、相手の政府とそれから企業との関係で公開入札ということになるわけなんですけれども、その中で例えばリベートが動くとか口銭が動くというのは、これは商慣習としてそれが認められる範囲内においてはそういうこともあるかもしれないわけですが、しかし同時にまた、いわゆるその金一五%、一五%というようなものが例えばマルコスさんの方に渡ったということになれば、これはリベートとかなんとかいうことじゃなくて、贈賄といいますか、ストレートにそういうことになっていくんじゃないでしょうか。ですから、それはもうフィリピンのまさに法律によって罰せられるべきは罰せられるであろう。 この円借の場合は、我々のもちろん貴重な資金でございますが、同時に返していただく金です。ですからフィリピンとしても、返さなきゃならぬ金をフィリピンの事業に日本から借りて使うわけでございますから、フィリピンにとっても国家として非常に重要な資金であろうと思います。そういう資金が膨大に動くというようなことはちょっと常識では考えられません。今までの円借を合わせた分で、全部一五%ずつ何か行っているようなお話もちょっと今のお話の中にあったわけですが、そんなことは到底考えられないわけで、業界としても利潤の範囲内の中での口銭とか手数料というのはそれはあると思いますけれども、しかしそれが犯罪性を持ったものであるということならば、これは非常に問題だし、これは日本も非常に問題にしなきゃならぬと私は率直に思っております。 したがって、そういうことがこれからあってはいけないわけですから、交換公文がやっぱりきちっと実行されるという建前からいけば、そういうことは予想されていないと私は思っておりまして、そういう点等もこれからいろいろと明らかにされるべきは明らかにされなきゃならぬし、日本としてもそういう点は解明することがこれからの新しい援助をきちっとする上においても重要なことであろう、非常に大事なことであろうと、こういうふうにも考えております。
○和田教美君 円借款にはプロジェクト借款とそれから商品借款とありますね。そこで、プロジェクト借款の場合に具体的に日本の企業がフィリピンの入札で一体どの程度のシェア、何%ぐらい落札しているんですか。それは円借款について大体わかっていますか。
○政府委員(藤田公郎君) 先ほどの御質問に対しても若干お答え申し上げましたが、フィリピンに対します円借款の場合には、第一次から第三次まで抗日本タイドということで日本のみが調達の適格国という形になっておりました。その後LDCアンタイドということで日本及び開発途上国ということになりまして、第七次、五十三年以降は一般アンタイドということでOECD諸国、開発途上国及び日本に調達は開放されております。 数字の御質問でございますが、便宜一九八三年度について見ますと、現実の調達、日本企業が調達に成功した例でございますね、落札をした額は七割程度でございます。一九八四年が約七割五分程度になっております。これはプロジェクト部分だけでございます。
○和田教美君 次に、海外経済協力基金総裁がいらっしゃっていますからお聞きしたいんですけれども、基金は平たく言えば援助実施機関だというふうに私は思うんですが、総裁に聞きたいポイントは、円借款を中心に日本の対外援助のシステムですね、援助の仕組み、これを徹底的に洗い直して、援助に絡む腐敗だとか癒着だとかいうふうなものをいかに防止するかという体制をやっぱり根本的に整える必要があるんじゃないか。経済協力基金で入札が行われた段階で、この外務省からいただいた表によると、基金による入札書類の審査承認とか、基金による入札評価結果の審査承認というふうなことが行われるわけで、そういうシステムになっているんだけれども、それにもかかわらず伝えられるような膨大なリベートが上乗せされておるということになると、この円借のシステムそのものが非常に欠陥があるんではないかというふうに考えざるを得ないわけでございますけれども、細見総裁はその点はどういうふうにお考えでしょうか。
○参考人(細見卓君) 実施の段階にいろいろ不正がまざってくるということは、これはもう厳正に我々が処理をして、相手にそういうことをさせないように絶えず注意を促すということは、それはこれからも大いにやらなきゃいけないと思います。しかし、やっぱり一番大事なのは、適正な案件を選びまして、そしてそれが向こう側の相手の政府によって本当に切実にむだのない計画であるかどうかというそのプロジェクトを選ぶ段階というのを一方で非常に重視しなきゃならないと思いますし、実施の段階におきましてはできるだけ、先ほど申し上げましたように、個々の原価というようなものをなかなかチェックするのは難しいですから、競争原理というものが働いて不正が入りにくい状況というものにより近づけることを考えなきゃならないと思います。
○和田教美君 それからこれは——外務大臣いらっしゃらないのかな。外務大臣いらっしゃらなければ細見さんにお聞きしたいんですけれども、この援助の基本原則として日本政府は要請主義ということを言っているわけですね、相手の要請を中心に考えると。この問題を少し再検討する必要がないかどうか。相手の政府が仮に腐敗していた場合には要請主義ではろくなことが起こらないわけでございますから、相手の国民に本当に役立つようなものを基金その他が自主的に開発をして、そして援助プロジェクトを開発する努力をするという必要が今非常に重要じゃないかというふうに考えるんですが、その点どうお考えでしょうか。
○参考人(細見卓君) 今のことは、御指摘の一面はまさにそうなんでございますけれども、同時に、私どもの援助というのは二国間で、相手の国がこうしてほしいと、外務大臣おられませんが、外交的にいい関係を持とうということでもあるわけでございまして、向こうの政府との交渉において、いや、おれはそんなのは必ずしも今は要らないというのを、これはいいものだからおまえぜひやれというところへなかなかいかないというのが世銀とかあるいはアジア開銀というような国際機関と二国間の微妙な違いでございます。ただ、そうは申しましても、発展途上国ですからなかなか案件の発掘あるいは技術的に検討というようなことができませんので、けさ午前中にお話があったかと思いますが、JICAその他とも協力いたしまして、できるだけ本当に役に立つ案件を日本でも積極的に探していくということを考えたいと思います。
○和田教美君 会計検査院の方がいらっしゃっていると思うんですけれども、財政資金に不正不当な使われ方がないかどうかを監査するのが会計検査院の重要な役割だと思うんですが、きのうの会計検査院長の答弁でも、今まで調べても不正不当はなかった、そして相手のとにかく契約の内容、入札の内容なんかまでは立ち入ってはやらなかったということでございますけれども、一体会計検査の限界というのはどういうふうに考えておられるのか。そしてまた、それでとにかく国民の税金がむだに使われてないかどうかの会計検査として十分なのかどうか、その点について明確な見解をお聞きしたいと思います。
○説明員(秋本勝彦君) お答えいたします。 会計検査院は、海外経済協力基金の検査を実施しておるわけでございます。その経済援助の検査と申しましても、私どもは基金の本部におきまして経済援助に関しますところの、先生もお手持ちになっていらっしゃいます交換公文とかあるいは借款協定であるとか、あるいは基金に出てきておりますところの各事業の進捗状況であるとか、そういった報告書類を見せていただきまして、そういうものを調査しながら援助計画がその計画どおりに進行しているのかというところを検査しておるわけでございます。 しかし、御承知のように、基金の行いますこの円借款の仕事は外国政府に対する融資となっておりまして、私どもがこの借款にかかわっております外国政府そのものが各企業と行っております契約の内容とか金額の適否についてまでは検査が及ばないわけでございまして、昨日会計検査院長答弁のとおりの状況でございます。
○和田教美君 しかしアメリカの場合には、とにかくこの供与に当たって会計検査の資料を出せという、そういう条件をつけているというふうに聞きますけれども、今のようなシステムでいいのかどうかということをお聞きしているわけです。
○説明員(秋本勝彦君) お答えいたします。 経済援助に限らず、私ども、政府関係の金融機関の検査というものにつきまして直接貸付先の権限はございません。いろいろ御協力をいただきながら、実はその他金融機関におきましても国内の融資先について検査ができている状況でございますけれども、このような経済援助の場合におきましては相手国は外国でございますので、なおさら主権の問題等もございまして私どもの検査は及ばないということでございまして、またそれをどうするかというようなことに相なりますというと、外交の問題でもございましょうし、政府あるいは国会でお取り上げになるべき問題かと思いまして、私、ここでお答えできるような性質の問題ではないというふうに考えます。
○和田教美君 それでは時間も大分たちましたので、防衛問題を少しやろうと思ったんですが、時間もございませんので、一つだけ、海峡封鎖問題というのを一つ取り上げたいと思います。 ワインバーガー国防長官が二月五日、アメリカの議会に提出をいたしました一九八七年の会計年度の国防報告、この日本関係部分に日本の地理的位置、それの重要性というものを非常に強調するとともに、日本の対潜水艦戦及び機雷戦能力を非常に評価したくだりがございます。それに類するものは、二カ所出てくるわけでございます。これはアメリカがやはり非常に日本のいわゆる三海峡封鎖能力というものを重視しているというあらわれではないかというふうに私は思うわけでございますが、防衛庁はこの国防報告のこの部分についてどういう評価をされておりますか。
○国務大臣(加藤紘一君) 我が国がいわゆる防衛計画の大綱に従って対潜水艦能力とか、それから対機雷戦能力をいろんな意味で整備いたしておりますことは、累次この国会等で御審議いただいているとおりでございます。そして、その努力を最近アメリカ側が客観的に評価いたしまして、その整備が進んでいることについての記述をしていることは事実でございます。特に米側は、いざ我が国有事となりますと、条約の義務上我々とともに共同対処をしなければならない国でありますから、多大な関心を持っているということは当然のことでありまして、また最近その評価が上がっておりますことは日米防衛関係の定着性、緊密性を示しているものだと思っております。 しかし、いずれにいたしましても、この我が国のそういった対潜能力及び機雷戦能力の整備というものは我が国の憲法及び我が国の基本的な原則に従って整備されるものであり、なおかつ、その運用につきましては我が国の基本的な原則、集団的自衛権に背馳しないように、そういった側面で行われることは当然のことであり、それが大原則でございます。
○和田教美君 最近の一部報道に、シーレーン防衛に関する日米の共同研究というのがかなり進んでおるという報道がございました。そして、その中にシーレーン防衛研究で日米共同対処の場合、この作戦分担については自衛隊が本土防空あるいは対潜哨戒機などによる港湾周辺海域、シーレーンでの対潜水艦作戦それから来援する米艦船の護衛、こういうもののほかに宗谷、津軽両海峡及び対馬東水道のいわゆる三海峡、これの封鎖を担当することになっているという報道があったんですが、それは事実ですか。
○政府委員(西廣整輝君) 御案内のように、シーレーン防衛といいますのは海上交通の保護そのものでございますので、そのやり方としては、今先生の御質問、海峡封鎖という言葉を使われましたけれども、海峡における各種の阻止作戦なり、あるいは航路帯の防衛なり、あるいは沿岸における哨戒とか、そういった各種の作戦の総合的な戦果の累積といいますか、そういったことでシーレーン防衛を果たしていくわけでございますから、海峡における各種作戦についても当然ながらシーレーン研究の対象にはなっております。 ただ、お断り申し上げておきますが、海峡を封鎖するというようなことになりますと、御存じのように、国際海峡について艦艇のみならず、一般船舶の通行をとめてしまうというようなことは大変なことでございまして、これにはもう非常に慎重な配慮が必要になるということと同時に、海峡そのものをとめてしまうというようなことは軍事技術的にもなかなか難しいことだと私どもは考えております。 例えば、第二次大戦中に宗谷海峡あるいは対馬海峡等はいずれも我が国の領域の間の海峡であったわけですけれども、そこにいろいろ計算をして、宗谷海峡についていえば二千数百個、対馬海峡についていえば六千個近い機雷を敷設したけれども、アメリカは一つも被害を受けなかったというようなことでございまして、実際問題として封鎖というようなことはなかなか難しいということもあわせて御理解いただきたいと思います。
○和田教美君 二月六日の衆議院の予算委員会で、公明党の矢野書記長が例のシーレーン防衛の問題につきまして、いわゆる日本の施政権下有事、それからシーレーン有事、極東有事というふうな一覧表に分けて答えを求めて非常にわかりよかったと思うので、きょうはシーレーン一般のことを私は聞いておりませんが、この海峡封鎖ないし海峡防衛というふうな問題に限定して同じような表を資料としてお渡ししてあると思うんですけれども、それについてひとつ質問をしたいと思います。 まず、前提として日本の施政権下が有事、第二番目が施政権下、シーレーンがともに有事、それから第三番目に施政権下は有事ではないけれどもシーレーンが有事、それから第四番目に極東の有事、極東の有事という意味は説明いたしますと、日本の施政権下もあるいはシーレーンも別に有事ではない、攻撃を加えられていない、しかしその周辺の極東では米ソの対決があって非常に状況が緊張している、こういう状況でございます。そういう四つのケースについて、それぞれ以下三つの場合にどうするかという対応をお答え願いたい。 なるべく簡明にお答え願いたいんですが、第一は日本が単独でそういう海峡封鎖をするかどうか。今の話ですと、海峡封鎖は難しいけれども海峡防衛の作戦はするかどうかというふうなことですね。それから第二番目に日米共同対処をアメリカが要求した場合に、それにどう答えるかということ。第三番目にアメリカ側が封鎖をやる、日本にはやってもらわなくてもいいけれども、それの同意を求めてきた場合にどうするか。この三つのケースについてそれぞれお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(加藤紘一君) 先ほど防衛局長がお答えいたしましたように、海峡封鎖というものはそう軽々にやるべきものではないし、また軍事技術的にそう簡単にできることではないということは歴史的に証明されていることでございます。したがいまして、その海峡封鎖という言葉を用いることは私たちは避けておりまして、海峡防衛という前提でお答えしたいと思います。 それから、シーレーン有事という言葉は、矢野委員の質問のときに、そういう前提でシーレーン有事という言葉で私たちの方もお答えしましたけれども、いわゆるそのシーレーン有事という概念が条約的、法律的にあるわけではなくて、施政権下でない公海上において我が国の船舶が組織的、計画的、意図的に攻撃されたというような場合というふうに解釈いたしたいと思います。 それから、日米共同対処というのは、日米が共同して海峡防衛のための作戦を行う場合であり、それから米国が封鎖について同意を求めた場合とは、米国がみずから封鎖を行う場合、こう理解したいと思います。 それで、以上につきまして、四つの場合と三つのケースですから全部で十二になるわけでございますが、基本的に申しますと、日本の施政権下が有事の場合には日米が共同対処をすることが条約上の義務でありますので、日本が単独であろうと日米共同であろうと、米側が封鎖について同意を求めてきた場合であろうと、それぞれいわゆる通峡阻止のための作戦をやることは可であろうと思います。ただその場合、当然のことながら、この場合には日本有事の場合であって、日本側が中心となって防衛努力を行い、アメリカ側がそれに対して援助を行うという形になるだろうと思います。 それから、施政権下が有事であり、またいわゆる施政権下でないところもともに有事であるというのは、これまた当然のことながら三つのケースとも可であろうと思います。 それから、シーレーン有事とおっしゃいますケース、つまり施政権下でない公海上において我が国の船舶がそういった組織的な攻撃を加えられたような場合につきましては、これはいわゆる我が国が有事のケースでございますから、この場合も三つのケースとも可であろうと思います。ただその際には、いわゆる安保条約第五条に基づく条約の義務上の米国の来援ではなくて、第四条に基づきます協議に基づきまして我が国が来援を要請し米側がそれに応じた場合という前提がつくわけでございます。 それから、いわゆる極東有事の場合でございますが、我が国が有事でないわけですから、我が国が単独で海峡防衛のための通峡阻止行動をとることは憲法上不可でありますし、それから日米共同対処ということもあり得ないわけでございますから不可でございます。 極東有事の場合に、封鎖について米側が我が国に同意を求めてきた場合、これは従来国会で大分難しい論議のあった部分でございますので、この点につきましては防衛局長から間違いのないしっかりとした答弁をさせたいと思います。
○政府委員(西廣整輝君) 我が国有事でなくて極東有事の際に、米側からその種の要望があったというときでございますが、そういったことが大体あるかないかということについても、ありそうもないような感じもいたしますけれども、通常の場合、そういったような要請に応ずること自身が我が国自体の安全の確保のために必要というように判断されることはないというように考えられますので、原則的にはこれはノーであろうというように考えております。 ただ、全く理論的な問題といたしましては、我が国に対する武力攻撃が発生していないけれども、我が国の艦船が国籍不明の艦船等によって非常に大きな被害をこうむっておる、そういったような事態があるあるいは我が国自身に対する武力攻撃というものに緊迫性がある、仮にそういったような状況があったといたしますと、これは我が国自身の安全の確保のために米側の要請に応ずるといったようなことも必要になるといったような判断をされるということを全く否定してしまうというわけにはいかないのではないかというように従来からお答えしておるわけであります。 いずれにいたしましても、我が国の対応というのは、我が国自身の安全の確保と国益の関係という点から自主的な判断をして決定するということになろうかと思います。
○和田教美君 今のお答えで大分明快になったと思うんです。要するに、さっきの防衛庁長官の答弁では、私は海峡封鎖というふうに問題を提起したんだけれども、そこを海峡防衛というふうに何か少しすりかえられたような感じがするんです。 それにしましても、海峡封鎖ないし海峡防衛という問題は非常に慎重にやってもらわなければならない、考えてもらわなければならないというふうに私は思う。というのは、シーレーンの有事あるいは極東有事というふうな事態の場合に、もし軽々に日本がアメリカに協力するなり、あるいは日本単独ででもとにかく海峡封鎖なりそういう海峡防衛行動をとった場合に、それが引き金になって不法占領されるというふうな事態が日本に起こらないとも限らないというふうに私は思うわけで、とにかく、いやが上にもこの問題については慎重な対応が必要であろうというふうに私は思うんですが、その点は防衛庁長官どうお考えでしょうか。
○国務大臣(加藤紘一君) 今の御質問のシーレーン有事と極東有事は、我が国に対する意味合いというのは基本的に違っておると思います。繰り返しますが、シーレーン有事という言葉は法律的、条約的に若干誤解を招きますので、我が国の施政権下でない部分において我が国の艦船が組織的、計画的、意図的に攻撃された場合というふうに定義したいと思います。 これもかなり理論上の問題ですが、そういった際は、我が国が直接攻撃を受けているわけでございますから、我が国は当然のことながら対処しなければなりません。しかし、その自衛権の発動も極めて自衛のために必要最小限度であるということはまた当然のことのように思います。我が国がそういった有事ではなくて、極東における有事という場合には、これは当然のことながら私たちが憲法に反して集団的自衛権を行使していわゆる行動をとるということはあり得ないわけでございますので、当然のことながらその場合も極めて慎重に物事を考え、その集団的自衛権の原則に踏み込むようなそういった間違った行動は当然とらないということは、従来から累次答弁申し上げているとおりでございます。
○和田教美君 あと二分ございますから、OTHレーダーの導入問題についてお尋ねしたいと思います。 このOTHレーダーは中期防衛力整備計画で導入することになっておるわけなんですけれども、聞くところによると、米海軍も、一つはアリューシャン列島のアムチトカ島ですね、それから一つはグアム島にOTHレーダーを置くという計画があるというように聞きます。そうすると、日本のOTHレーダーは当然その真ん中ということになるわけなんですけれども、どこに設置するか、いろんな説が出ておるようでございますが、それはもう大体お決めになっているのかどうか。 それから、米海軍の二つのOTHレーダーの設置は大体八八年というふうに聞いておるんですが、その前に日本の物を置くのか、その辺はどうでしょうか、後になるんでしょうか。
○政府委員(西廣整輝君) 先生御承知と思いますが、このOTHレーダーにつきましては、昨年政府決定されました防衛力整備五カ年計画によりまして、この五カ年の期間中に洋上防空等のために有効であるかないか、そういった整備の可否についてまず判断をする。そして、有効であり整備すべきだという結論が出た場合にはその整備に着手をするというように定められておるわけで、目下そのための有用性の可否についての研究を始めているところでありまして、現在のところ、いつから整備をするといったような段階でもございませんし、どこに整備をするという具体的な地名等についてまで詰まっているわけじゃございませんが、これもまた前々からお答え申し上げているように、OTHレーダーの性能なり特性から見ますと、仮に我が方の所望の地域の監視等を行うためには、小笠原諸島であるとかあるいは南西諸島といった本土周辺の島嶼部に置くことが適当であるということが言えるかと思います。 一方、その時期については、先ほど申し上げたように、我が方としてはまだこれから採用の可否そのものについて検討することでございますので、いつになるかということは申し上げられないわけでございますが、アメリカ側の方の予定は、今先生が言われたように、八五年中に試作品ができて中米カリブ海で実験をするというように聞いております。そして、それがうまくいけば八八年ごろからまず第一番目にアムチトカ島に設置をし運用を開始するということでございますので、いずれにしましても、私どもはそういったアメリカの方の研究開発の成果あるいは運用の成果等も踏まえて設置をしていくことになろうと思いますので、仮に採用する場合でもそれより遅くなるということは間違いないと思います。
○和田教美君 このOTHレーダーを日本が導入した場合に、情報解析のためのソフトをアメリカが提供するのかどうかということが報道でいろいろ問題になっておりましたけれども、ワインバーガー長官は、日本が導入を決定した場合には情報解析のためのソフト技術を提供するというふうに言っております。しかし問題は、このソフトというのはいかなるソフトであるか、日本の一基のOTHについての基本ソフトなのか。アメリカとしては、要するにアムチトカ島とグアムとそれから日本のOTHと三つ、それからいろんな偵察衛星みたいなものの情報、そういうものを総合した総合情報解析センターといいますか、そういったものをどうも日本の横浜の上瀬谷の基地でそういうものをつくりたいというふうな報道もあるわけで、そうなると総合情報というものをアメリカが握っておってそう簡単にくれないのか、その辺のところがやっぱりこの問題を考える一つのポイントだと思うんですが、その点はいかがでございますか。
○委員長(安田隆明君) 和田君、時間が参りました。
○国務大臣(加藤紘一君) OTHレーダーを導入することを今検討しておりますのは、このレーダーを設置することによって我が国の防衛のために的確な情報が得られるのではないかという観点から検討いたしておるわけでございます。したがいまして、その設置をしたけれども我が国が直接その情報を使えないというようなものであったら、我が国の防衛のために余り意味をなさないと言えると思います。世上よく、これはある種の総合的な判断をしないと意味のないいわゆる情報収集機材であって、またそのソフトについてはアメリカ側が日本によこさないのではないかという報道がございますけれども、その点につきまして私たちはそういうことはない、我が国自身が使えないようなものは設置する意味はないと申し上げてきておりましたし、また公明党の竹入委員長がワインバーガー長官と会ったとき、その従来の私たちの答弁はワインバーガー長官によっても確認されていると思います。したがいまして、私たちとしては、我が国の情報として使えるものということはしっかりとその原則を守っていきたいと、こう考えております。
○和田教美君 終わります。
○委員長(安田隆明君) 以上で和田教美君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(安田隆明君) 次に、稲村稔夫君の質疑を行います。稲村君。
○稲村稔夫君 最初に、過日の総括質問のときに私はどうしても最終的にまだすとんとこなかった我が国の経済の底を支えている中小零細企業問題ということについて、通産大臣にお伺いしたいと思います。 あのときも私は、円高により中小企業でうめいている声というのは本当に大変だということを繰り返して申し上げました。そしてそれは直接輸出をしているものだけではなくて、いろいろな形で産業の底を支えているいろんな人、中小にみんな影響していると、こういうことになるわけなんでありまして、緊急の対策と恒久の対策と私は大きく分けてあると思いますが、一つは緊急対策としても融資等でいろいろと配慮をしていただかなけりゃならない問題などがあるのではないか。事業転換資金もあれでありますけれども、通常の例えばマル経金利にいたしましても年六・八%ということになっておりますけれども、長期のプライムレートが六・四%というようになってまいりますと、まさに逆のといいましょうか、厳しい状況がますます厳しくなると、こういうことにも相なります。緊急の対策というものもいろいろな形で立てていただかなきゃならない、こんなふうにも思うわけであります。 また、もう一点は、将来を見越しての我が国経済、二重構造をにらんでの抜本的な産業構造対策というものを考えていただかなきゃならない、こんなふうに思うんでありますが、そこのところについて通産大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 後の方からお答えをいたします。 将来の日本の産業構造をどうするかということについての基本的な考え方ということでございますが、御承知のとおり、日本が将来は高齢化社会になってくる、一方で非常に労働時間が多過ぎるということが言われております。そうすれば労働時間も欧米並みにしなけりゃならぬ。それからもう一つは、発展途上国にいろいろ資本の投資、技術の移転、そういうことを継続的にやってまいりますから、やはり今、日本国内でつくられているような物についてかなりの競合が出てくる。せっかく投資をしてやって、今度は安くて同じような物を入れないということなら貿易摩擦になるということになってまいりますので、やはりそれは入れざるを得ないということになりますと、どうしても日本の現在の産業構造に変化をさしていかなければなかなか高い所得水準の雇用の場所というものは探せないということになってまいります。 したがって、二十一世紀に向かっては、やはり科学技術の革新ということが必要でございますから、通産省、科学技術庁その他の役所でも同じでございますけれども、それは新素材の面やバイオの面やエレクトロニクスの面等においていろいろと新しい情報化時代に向かっての新しい産業を勉強して構築をしていかなきゃならない。それによって付加価値の高い高所得の雇用の場をつくってやらなければならない。大ざっぱに将来のことはどうするんだというお話でございますので、時間の関係もありますから詳細は申し上げませんが、そういう方向に持っていかざるを得ないのではないかというように考えておるわけであります。それらに対する準備を着々進めていく必要がある、そう思っております。 当面の問題につきましては、御承知のとおり非常な円高が、将来に向かっては資源のない日本が安い原料を買えるんですから結構なことでありますが、余りにも予想外の急スピード、大幅ということがいろんな戸惑いを起こしておりまして、国内の摩擦が出ております。これに対しまして、政府は内需拡大でいろいろそれを救っていこうということを今やっておるわけでありますが、その一環として、一つは特定中小企業者等の事業転換法ということのそれを決めたわけであります。 ところが、これについても今御指摘のように、当時決めたときよりもプライムレートも下がっておるし金利水準も下がっておるんだからもっと下げるべきじゃないかという御指摘でございます。これもごもっともな御指摘でございますので、これらにつきましても誠意を持ちまして前向きで、ひとつ下げる方向で一生懸命やっていきたい。こちらも余りひどいことは言わぬでございましょうからぜひともそうやっていきたいし、それから今いわゆるマル経資金のお話がございましたが、これらにつきましても下げる方向で、幅はまだわかりませんが、温情ある竹下大蔵大臣でございますから、大体お認めをいただけるのではなかろうかと強く期待をして目下交渉をいたしておる次第でございます。
○稲村稔夫君 目下交渉というお話でありますから、ぜひその交渉は実現をしていただきたい。これは後でまた大蔵大臣にもいろいろと伺いたい部分がありますが、とにかく中小零細企業の厳しさというものは本当に並み大抵のものではございませんので、ぜひ通産大臣よろしくお願いをいたします。大臣に確かめておきたかったことはその一点でありますので、結構でございます。 次に、経済企画庁長官にお伺いいたします。 今のような状況の中で特に事業所の、製造業でいけば九八%、九九%ぐらいですかね、という中小企業、あるいはそこで働く人たち、労働者の七〇%以上、そして農民、こういう人たちの所得の向上、生活の安定ということを考えなかったら内需拡大というのはできないんじゃないかと思いますけれども、いかがでございましょう。
○国務大臣(平泉渉君) 当然なことでございまして、我が方も先般来地方の実情を調査いたしておりまして、その景気の状況というようなものは十分にできる限り把握をしてまいりまして、そのときどきの経済政策に敏活に反応するように努力をいたしておる次第でございます。
○稲村稔夫君 まだいろいろとその点では伺いたいところもあるんでありますけれども、きょうは予定をしておりますので、もう少し農政のことも伺いたいと思っております。 ただ、ここで私はぜひ大蔵大臣に御所見を聞いておきたいんでありますけれども、政府の予算の伸び率をずっと見てまいりますと、経済の底を支えている大事な中小企業対策費というのが大分少ない、極めて少ないような感じもいたしますし、一体政府の予算の上で中小企業対策費というのはどういう位置づけをしておられるんだろう、お聞かせをいただきたい。
○政府委員(吉野良彦君) 事実関係だけちょっと御説明をさしていただきたいと思いますが、おっしゃいますように、六十一年度予算の中小企業対策費、これは金額にいたしまして二千五十二億円でございまして、前年度の予算額に比べましてマイナスになっております。マイナスになっておりますが、いわゆる産投会計、これを合わしたところで比較をいたしますと前年度とほぼ同額、若干のプラスというような、産投会計を足したところで比較をいたしますと、そんな姿になっております。この金額もさることながらでございますが、内容的にはかなり工夫をいたしまして、現在におきます中小企業をめぐる情勢にかんがみまして、いろいろ工夫をしてきめ細かな対策は織り込ましていただいているつもりでございます。 それからもう一つ、中小企業につきましては、一般会計の歳出予算といいますよりは、例えば税制でございますとかあるいはいろいろな金融上の措置、こういったものが政策的にかなり重要な地位も占めているわけでございますので、この一般会計の歳出予算の金額だけで御判断をいただくのは、あるいはいかがなものかという気もいたすわけでございます。この一般会計の予算でも、先ほど申しましたように内容的にはいろいろ工夫、努力をさしていただいているということを御理解いただきたいと存じます。
○国務大臣(竹下登君) 大要、主計局長からお話申し上げましたが、私も今から二十三年ぐらい前に通商産業省政務次官というものをやったことがございますが、その当時の印象から申しますと、何と通産省というところはいわゆる一般財源の予算の少ない役所だなということを、当時何も知らなかった私もそういうことを直感的に感じたことがございます。が、今も申しますように、財政と税制と金融の組み合わせの中に通産予算というのはあるんだなと、なかんずく中小企業ということになりますと、先ほど来の議論のように転換でございますとかあるいは緊急経営安定対策とか、事業転換の円滑化とか、そういうことからまたいわゆる人材養成、あるいは技術力の向上とか、そういうようなところへ指導的な役割というものを厳しい財政の中で、通産省の方で、中小企業庁の方でよく工夫して、重点的予算配分を行っていらっしゃるなという印象は、ここのところ四年連続して実額で減りながら、ことしは産投会計を入れますとちょっとプラス〇・〇になりますけれども、マイナス○・○じゃございません、プラス〇・〇%になりますものの、随分経常部門の経費等の概算要求基準で厳しくしております中で、優先順位をそれぞれ配慮していらっしゃるなという印象は率直に持っております。
○稲村稔夫君 どうもわからぬのですよね。全体に経済の底を支える、しかも労働者特有、事業所の数からいきましても我が国のものの半数以上、五〇%以上、どこの計数をとってみても。そういうものに対する対策が全体として非常に少ないということ。中曽根内閣は、私は確認させていただきましたが、わかりやすい政治ということをスローガンにしておられるそうですけれども、これはどう見てもわかりづらいんじゃないかと思いますが、その辺いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 確かに事業所の数にしてたしか九九・四%でございますか、そういう我が国産業の大宗を支えていただいておる立場にあられると。しかし、いわゆるやっぱり中小企業は企業でございますから、したがって、指導的役割を果たすのが言ってみれば財政の役割であり、そして企業自身の収益の向上等につきましては、税制とか金融とかいうことで対応していきますので、いわゆる生の予算で見たときに、他の予算と比べたときに非常に少ないという印象を受けることはやむを得ざることではなかろうかというふうに考えます。
○稲村稔夫君 その辺のところは私はやっぱり納得をするわけにいかないのですけれども、これはずっとまだ議論をしなきゃならない問題だというふうに思いますが、きょうのところはその程度にしておきたいと思います。 続いて科学技術庁、それから通産省にお伺いをしたいのでありますけれども、英国の下院の環境問題委員会で放射能廃棄物に関する報告書というのが出て、例の核燃料再処理工場のセラフィールド再処理工場のことがいろいろと問題になったようであります。この点は、その報告書については入手しておられますか。そしてそれをどの程度、どういうふうに受けとっておられますか。まずお聞きしたいと思います。
○政府委員(辻栄一君) 報告書の主要部分は既に入手いたしております。
○政府委員(逢坂国一君) 通産省におきましても同様に主要部分につきまして入手しております。
○稲村稔夫君 内容をちょっと説明してください。
○政府委員(辻栄一君) この報告書は、三月の十二日に英国議会下院環境特別委員会が出したものでございます。 中身につきましては、放射性廃棄物の取り扱い、それから健康と線量限度、再処理、一般公衆、五番目は組織及び法制度と、こういう五部の構成になっておりまして、それぞれの問題について勧告を行っております。 勧告の内容は主要六点ございますが、第一は、低レベル放射性廃棄物につきましてはドリッグという低レベル放射性廃棄物処分場の運営の改善についていろいろ述べております。それからもう一つは、海洋投棄は他国を説得できないならば処分方法として考えることは適当ではないのではないかという意見を出しております。第二点は、しかしながら海洋底処分等の新たな放射性物質の処分方法、新しい方法について研究開発や関連する政策を進めるべきであるということを言っております。第三点は、セラフィールド再処理工場等からの放射性物質の放出につきましては、放出制限値を低く設定し直すこと、また可能な限り放出量を低減する努力を行うこと。第四は、現在建設中のソープ再処理工場につきましては、建設中止に伴う経済、雇用面からの影響を評価いたしまして、建設継続が正当化されない場合には建設は中止すべきではないかということ。第五点は、一般公衆の理解と協力を得るためさらにいろいろな努力をしなさいということ。第六点は、放射性廃棄物の処理、処分に関連する政府機関、各種諮問委員会及び産業界は、役割分担を明確にしてそれの取り組み方を一層強化しなさい、これは各機関ごとにいろいろコメントが述べられております。 以上でございます。
○稲村稔夫君 そうすると、これはセラフィールドのことがいろいろと触れられていると思うんですけれども、このセラフィールドではその後事故等がございましたか。
○政府委員(辻栄一君) セラフィールドの再処理工場からの事故の関係でございますけれども、最近、本年に入りまして英国のBNFL社、これはセラフィールド再処理工場の運営をやっている会社でございますが、これがプレスリリースをいたしまして、その中において幾つかのトラブルを説明しておりまして、これらはすべて重大な事故というわけではございませんが、そのプレスリリースの内容は四点ございます。 第一は、一月二十三日に再処理工場のウラン蒸発管の故障によりまして約四百キロのウランを含む溶液が海洋放出用の廃液タンクに流入した。BNFL社は環境に影響がないと判断してそのまま海へ放出いたしました。 第二点は、二月五日、再処理工場のプルトニウム、ウランの精製分離工程でポンプを修理中に誤って圧縮空気が廃液に吹きつけられまして、プルトニウムを含む溶液が室内に飛散して、初期の検査では十五名の従業員が被曝したかもしれないということで、現在精密な測定を実施している途中である。しかし、屋外に排出されたアルファ放射能は五十マイクロキュリーと推定しておりますが、モニターでは検出されておらないということで、操業は翌日の夜間に再開をいたしております。 それから第三点は、二月十八日、使用済み燃料の貯蔵プールの水約千百リットルがパイプから施設内の溝に漏えいをいたしまして、漏えいした水はすぐ処理されて施設は復旧したと。 第四点は、三月一日、セラフィールド・サイト内のプルトニウム、ウラン混合酸化物取り扱い建屋内におきまして空気中の放射性物質濃度が上昇いたしまして、数名の作業員について体外汚染を検知した。直ちに除染を実施いたしまして、内部被曝については調査中、環境への影響はなかったと、こういったような報告が出ております。 それで、今回の一連のトラブルに関連いたしまして、イギリスの原子力施設検査局はセラフィールド再処理工場の安全性総点検を開始いたしました。安全性総点検は工場の運転を停止せずに行われますが、約六カ月ぐらいかかる見込みである、こういう報告が出ております。
○稲村稔夫君 そういたしますと、ここのところ続いて事故が起こっている。その事故の評価についてはいろいろとあるでありましょうが、しかしこれはセラフィールドの工場が場合によっては操業できなくなるということもこの下院の委員会の報告書等をあれするとあり得るのではないかと思いますが、その辺の判断はどうですか。
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。 セラフィールドの再処理工場につきましては、ただいま安全局長の方からお答えございましたように幾つかのトラブルが生じておりますが、英国政府並びに直接これを運転管理いたします英国核燃料公社につきましては、再処理事業を実施していく上で問題はないという立場をとっておりまして、公式にプレスリリースという形で見解を表明いたしておりますが、英国燃料公社といたしましては、再処理を継続するとともにソープ工場を建設する意向であり、今回の報告書によりこの意向を変更することはないという旨の公式発表を行っております。また政府機関といたしまして中央電力庁も、ソープ工場の建設を強く支援するという旨のプレスリリースを行っておりまして、これらのことから今後とも英国政府並びに英国燃料公社は再処理を引き続き実施していくものと考えております。
○稲村稔夫君 そうすると、議会の方はかなりこのセラフィールドのやり方がでたらめだということで問題にしているようでありますけれども、議会の大きなあれによって停止ということはあり得ませんか。
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。 現在のところ、先ほど申し述べましたような英国政府及び英国燃料公社からの公式声明にもございますような状況にございまして、私どもといたしましては、英国としては再処理を継続することに自信を持っているのだと、そのように承知しております。
○稲村稔夫君 この点は私は大変心配になるのでありまして、もし再処理がストップいたしますと、あと我が国の使用済み燃料を委託しておるわけですから、それが一体どうなるのだという大きな問題などもあります。この点は私は細心の注意を持って対処をしていただかなきゃならぬというふうに思いますし、私はイギリスの方の対応が、ただ大丈夫だと思うと確信しているというだけでは済まないので、いろいろなことを配慮して我が国の対策を考えなきゃならないと思うのですが、その辺長官、いかがですか。
○国務大臣(河野洋平君) 御指摘のとおり、十分注意を払ってやっていかなければならないと思います。イギリスにおきましてもいろいろなトラブルがあったというふうに私ども聞いておりますけれども、それらの問題を克服してさらに新しい工場の建設にも取りかかる、こういう状況でございまして、そうした点も十分注意を払いながら私どももやってまいりたいと思っております。
○稲村稔夫君 まだこれはそれぞれの、今度所管の特別委員会でもいろいろと議論をしなきゃならない問題だと思います。きょうはその点十分に留意をしていただきたいということだけ申し上げておきたいというふうに思います。 次に、農林水産関係のことについて伺いたいというふうに思います。 最初に、国際化の波ということを私はいつも問題にするのでありますけれども、そうした中で特に需給と輸入とのバランスと、コスト面でどういうふうに考えるか、国際水準が達成できるのかどうかということについて御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) お答え申し上げます。 我が国の農業は、もう既に先生もよく御勉強のとおり、中小の家畜ですとかあるいは施設園芸、こういった土地に依存する部分の少ない分野、こういったものについては生産性が非常に高い経営というものが今生まれてきておるというふうに思います。殊に鶏卵等につきましては国際水準あるいは国際水準以上まで到達しておる分野でもあろうというふうに思います。ただ、穀物なんかのようにどうしても土地に依存しなければならない分野におきましては、国土資源というものに限界があるということでなかなか問題がございます。 特に、今規模の拡大等を進めながらコストを下げる、価格が上がらなくてもその中で吸収していけるような体制をつくりたい、そんなふうに考えておりますけれども、なかなかこの方についてもそんな大きなまだ成果が上がっておらないというのが現状でございます。こういうことで、私どもといたしましては国際的な、例えばアメリカですとかあるいはオーストラリアですとか、そういったところのあれと本当に合うかというと、そこまではなかなか難しいというふうに考えておりますけれども、しかし、そういう中にあっても土地の流動化によって規模の拡大を続ける、あるいは技術や経営能力、こういったものにすぐれた中核農家を育成していくということ、それから先端技術いわゆるバイオテクノロジー等、これから研究開発をし、またそれを普及していくということ、こういうことを進めるべきであろうというふうに思っております。 なお、それと同時に、きちんとした経営体をつくり上げるために、何というのですか、日本の場合には列島が非常に長くいろんな地形もやっぱり変わっておるということもございます。そういうことで地域の特性あるいはその地域の創意工夫、こういうものを生かしながら経営体というものを私はきちんと構築していくべきであろうというふうに考えております。
○稲村稔夫君 今の大臣のお話は、それは将来そういうふうな方へ向けていって何とかそういうふうになったらと、こういうことだと思うのですけれども、しかし、現在の段階というものはそれとはほど遠いという感じですからね。そうすると、そういう中で価格対策などにはいろいろと私どもは問題があるのではないかというふうに思います。畜産価格、今も議論になって、私どももこれも随分問題があると思っておりますし、また米価のときにはどうするのですか、こういうこともあります。きょうは価格のことを議論するわけではありませんけれども、価格のことを考えていったときに、コスト面でというのは非常に重要な意味を持っていますが、本当にそういうアメリカ、ヨーロッパ並み、あすこ並みじゃなくても、水準達成できるとお思いになっているのかどうか、もう一度。
○国務大臣(羽田孜君) 私どもは構造政策等を強力に進めながら、少なくもECと競争できるといいますか、ECと競争できるということじゃありませんけれども、ECに近づける、そのぐらいのものまで持っていきたいというふうに考えております。
○稲村稔夫君 北海道でEC並みを超していますけれども、借金で苦しんでいるというのはこれはどういう理由でそうなったんでしょうか。
○国務大臣(羽田孜君) 今ECよりというお話しですけれども、私どもはECをずっと調べたり勉強したりしておりますけれども、ECの方が日本の現状より、北海道はある程度部分的に大きくなっているところありますけれども、経営そのものについては、私はECより今劣っているという感じは実は受けておりません。ですから、ただ本当にそれじゃ経営がもう完全に安定したかといいますと、確かにまだ負債が相当残っておるというようなことで厳しい現状はありますけれども、このところ負債整理資金ですとか、そういったものを駆使することによりまして、非常に健全な農家というものが生まれつつあるというふうに私どもは確信し、またこれを助長していかなければいけないというふうに思っております。
○稲村稔夫君 それじゃ、健全な農家が生まれつつあるというのは百歩下がって認めましょうということになったら、健全でない農家がどのくらいいて、それがどうなるのですか。
○国務大臣(羽田孜君) ちょっと今の、後ほどまた細かく数字の面で申し上げるのは政府委員の方からお答えいたしますけれども、例えば負債整理なんかをやりましたときにも、着実に負債が整理されている農家というものはふえ、それと同時にある程度の蓄積というものも今生まれつつあるというふうに思っております。
○稲村稔夫君 私は細かく数字を伺いたいということじゃないのですよね。要するに、そうするとうまくいかない農家という方がかなり多くいっているんじゃないですか。そうするとうまくいかない農家というのはどうなるんでしょうか。要するに農業をやめてどこかで吸収する場所があるというのでしょうか、あるいはそのほかのものに転向してやるように指導がしていけるというのでありましょうか。そういうやっぱり全体的なものがなきゃ困るんじゃないですか。政策展開について伺っておるのです。
○政府委員(鶴岡俊彦君) 残念ながら今具体的な数字を持ち合わせていませんけれども、考え方といたしましては、酪農等の話だと思いますけれども、先ほど大臣からも申し上げましたように、現在の負債と資産額を見てみますと、資産の方が多いというのが実態だと思います。それで、北海道等見ましても、規模の点、一頭当たりの乳量にしましてもEC並みあるいはその水準を超えているかと思います。ただ、残念ながらヨーロッパの酪農の歴史は数百年にわたっています。我が国の酪農は戦後、特に三十年代以降発展したというようなことから、採算は十分とれていると思いますけれども、資金繰りその他の点で困っているという農家があるのも事実でございます。それらにつきましては、かねてより負債整理のための資金あるいは自作農維持資金等によって対処いたしております。今後とも発展をすべき経営部分に対しましては、それを助長していきたいというふうに考えております。
○稲村稔夫君 後また細かくは常任委員会で議論をすべき問題だというふうに思いますし、その今の点は、特に、経営はうまくいっているけれども借金はふえているし、なかなか返すこともできないでいる農家がいっぱいいるというのは、幾ら口でいろんなことを言われても簡単に納得できないし、現実があるということ、このことだけ申し上げておきたいと思います。 それから次には、漁業問題について伺いたいと思います。 日米サケ・マス協議の決着の意味するものは一体何だったんでしょうかということをまずお聞きしたいと思います。
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。 サケ・マス問題をめぐります日米間の協議は、発端は一昨年の日米加漁業委員会のころからアメリカ側が、新しく鱗相分析の結果によると称して、アメリカ起源のサケ・マスの回遊範囲が現在の日米加漁業条約の改定交渉当時考えられておりましたものよりもさらに大幅に西側に張り出しておって、現在の日米加漁業条約で定められております規制措置によってはアメリカ系のサケ・マスが十分には保護されていないという問題を提起したことに端を発するものであります。 今回、一部我が国の操業水域を縮小することによって問題の決着を見ることになりました。来るべき日米加漁業委員会において最終的な処理が行われることになるわけでございますが、これによりましてアメリカ側の先ほど申し上げましたような苦情に対処し、かつその中で我が国のサケ・マス漁業の今後の存続に支障を来さない範囲で処理し得たという意味におきまして、もちろん漁場を失うことは決していいことではございませんが、現在の状態のもとで日米間の漁業の分野における関係を考えますれば、やむを得ざる決着であったのではないかと認識をしておる次第であります。
○稲村稔夫君 どのくらいの打撃を受けるんですか、ここでは。
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。 四十六度以南の水域におきまして禁漁区が一度西へ張り出しますが、これにつきましては、恐らく量的にどうこうというほどの影響があるものというふうには考えておりません。いま一つは、先生お手元にごらんになっております海図のベーリング公海の部分につきまして、八年間操業した後、九年目からはベーリング公海の操業水域が閉鎖されますが、従来の実績によりますれば、母船式の漁獲量の約二〇%程度、年によって変動がございますが、大体その程度の見当というふうに御理解をいただけばよろしいわけでございます。 ただ、そこの漁場が失われることによりましてそれだけの漁獲量が丸々逸失することになるかどうかということになりますと、現実に日本漁船の操業に加えられております規制措置といいますのは、日米加の関係と日ソの関係と両方重なってかぶってまいりますので、日ソの側で決まる規制措置いかんによりまして、そのままストレートに二〇%分の漁獲がなくなってしまうということに必ずしもなるとは限らないというところがございますので、そこら辺はしかとは申し上げかねるのですが、従来の実績から言えば約二〇%分程度の漁獲量を失うことを意味しておるということでございます。
○稲村稔夫君 そうすると、今、日ソが出ましたが、日ソの方は今どんな状況なんですか。随分厳しいんですか。そしてここに影響しそうですか。
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。 日ソの方につきましては、日ソ漁業合同委員会におきましてこの問題を審議することになっておりますが、それで昨年の日ソ漁業合同委員会におきましては、本年二月三日から日ソ漁業合同委員会を開催するということに日ソ間で合意を見ておったのでございますが、御高承のとおり、相互の二百海里水域に関する問題を審議しております日ソ漁業委員会の審議がいまだに続いておりますので、その関係で、残念ながら現在のところ、日ソ漁業合同委員会を始められずにおるわけでございます。 私どもといたしましては、可及的速やかに日ソ漁業委員会の作業を終了して日ソ漁業合同委員会が開催できるようにしたいというふうに希望いたしておりますが、現在のところ、まだ日取りを確定するには至っておりません。
○稲村稔夫君 先日大臣は、これは下手をすると我が国北洋漁業は壊滅的打撃を受けることになりかねないというようなお話もして語られました。それこそ我が国の漁業という、言ってみれば伝統産業でもおり、非常に大事なたんぱく源の確保でもあり経済的にも大事な役割を果たしてきた、これはもうどんなことがあっても確保してもらわなきゃならぬ、頑張ってもらわなきゃならぬということでありますけれども、これは農水省にもぜひ頑張っていただきたい、直接的にも。 しかし、外交ルートにおいても精いっぱいの努力をしていただかなきゃならないんじゃないだろうか。今、サケ・マスではありませんけれども、いろいろと厳しい状況の中にあるようでありますが、これはひとつ外務大臣にも一肌も二肌も脱いでいただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) もちろん大事な日ソ漁業交渉、これまでの実績があるわけですし、これは確保するために最大の努力をしなきゃならぬと思っておりますし、また行ってもおるわけでございます。 先般もアブラシモフ・ソ連駐日大使を呼びまして、シェワルナゼ外相に対する私の強い要請を伝言していただきました。三カ月にわたっておりますが、この二百海里内の漁業についての日ソの合意が見られない。日本も相当譲歩しておるわけでありますし、これまでは実務的に円満に解決していた日ソの関係でありますから、全体的にまた日ソ関係、改善の状況にあるわけですから、漁業関係でせっかくの空気が壊れないように日本もできるだけの協力をしているわけだし、ソ連も解決のために大いに努力してほしいということを強く要請をいたした次第であります。
○国務大臣(羽田孜君) ただいま外務大臣からも御答弁いただきましたように、外務大臣を通じましてもアブラシモフ大使に対して話していただくと同時に、まさにシェワルナゼ外務大臣の方にもそれを伝えていただいたということであります。また私どもの方も、そのための今準備をしながら、もしあれでしたら私自身が訪ソしながら、閣僚レベルでやっぱり話し合いたいということも先方に実は申し入れしておるところでございます。ただ、今お話がありましたように、操業の方法ですとかそういったものが非常に難しいという現状でございますので、私どもも相当腹を固めながら出かけていかなければいけないというふうに考えております。
○稲村稔夫君 労働大臣に伺いたいんですけれども、今お聞きのように、北洋は大変厳しい状況になって、これは撤退をするものがかなり出てこざるを得ないという現実にあると思います。もう既にアメリカ側の方では撤退をしなきゃならないタイムリミットも出てきているわけであります。そうすると、これはやはり労働市場として受け入れていただくという場所もなきゃならないと思うんですけれども、これらはどのような見通し、この程度のことだったらすぐにこの時代には吸収できるというふうにお考えになりましょうか。
○国務大臣(林ゆう君) 労働省といたしましては、従来から国際協定の締結によって減船を余儀なくされた離職者が出る漁業のうちの一定の要件を満たす者につきましては、運輸省などと連携をとりながら、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法というのがございまして、これに、特定漁業に指定いたしまして求職手帳の発給を行い、きめの細かな就職の指導、職業訓練を行うほか、就職促進手当など、職業転換給付金の支給を行いながら漁業離職者の生活の安定と再就職の促進を図ってきたところでございますけれども、今回、このような漁業交渉の結果、どのような結果が出るか現在のところ不明でありますけれども、私どもといたしましては、水産庁あるいは運輸省などと連携をとりながら、そういった方々の救済の方法に全力を尽くしていかなきゃいかぬ、このように思っておりまして、今すぐこういう問題を収束できるほど職場があるかという御質問でございますけれども、こういった事態が起きたら、なるべくそういうことのないように、いろいろな方法の許す限りの手当てをしてまいるということでございます。
○稲村稔夫君 これはもうタイムリミットがはっきりしているものでありますから、後は具体的なことはひとつ関係のところといろいろ御相談をいただいてぜひ万全を期していただきたい。炭鉱離職のときのように、穴に入っていた者を電工に仕上げるというようなことは大変難しいということもございます。海の男に今度は山へ行って木を切れというのはなかなか難しいと思いますので、その辺もぜひひとつ御理解をいただいて対応していただきたいと思います。 次に、国土庁にお伺いしますけれども、先日ちょっと伺いましたが、国土庁が四全総に向けて出された文書の中に、いろいろと山村の過疎化とか高齢化などが指摘をされておりますけれども、中には具体的にどういう方向へ行ったら振興できるというようなことについては特別になかったわけでありますが、この辺はどういうふうにお考えになっていますでしょうか。
○国務大臣(山崎平八郎君) お答えいたします。 ただいま御質問のございました山村振興のことでございますが、既に四十年の山村振興法制定以来、山村地域の産業基盤や生活環境の整備のため各般にわたる山村振興対策が実施されてきておりますが、山村には依然として過疎化、高齢化、こういう問題が進行しておることは事実でございます。しかしながら、一方、国土の保全、水源の涵養など山村地域の果たす役割は近年ますます重要なものとなってきておりますので、そのあたりを踏まえまして、昨年三月山村振興法が一部内容を充実の上、有効期限が昭和七十年三月まで延長されたところでございます。 今後の山村振興対策につきましては、延長された山村振興法の趣旨にのっとり関係各省庁と緊密な連携を図りながら引き続き産業基盤の整備や生活環境の改善等を図るとともに、新しい視点から地域産業の創出や都市との交流などを推進する所存でございます。 仰せのとおり、四全総は秋に向けて策定でございますが、ただいまそういう問題を中心にいろいろと議論を交わしておるところでございます。
○稲村稔夫君 山村振興のために特別にたくさんの予算を割いていただきたい、こういうことも申し上げたいところでありますけれども、国土庁の全体のあれもありましょうが、その辺は今後私どももいろいろと議論していきながら、何とか少しでも明るいものを見出したいというふうに思っております。 そこで、外務大臣にちょっと伺いたいんでありますけれども、木材も輸入とか国際間の問題がいろいろとあって困っているところがあるわけでありますが、しかし同時に我々が協力する面も考えなきゃならない。そうすると協力のために、その国の緑を守るために、材木を輸入するのはいいけれども、切りっ放しというふうにならないように、そういうふうにするために援助ということの中には何かいろいろな仕掛けがしてありますでしょうか。
○政府委員(藤田公郎君) 事実関係を説明さしていただきます。 我が国が材木を輸入しております国のうち援助を供与しております国ということではインドネシア、マレーシア、フィリピンというのが大口国として挙げられると思いますけれども、この三カ国に対しましては、それぞれ森林保全という観点から具体的に申し上げますと、インドネシアでは熱帯降雨林研究センター、それから試験造林訓練センターを無償資金協力及び技術協力で供与をいたしております。マレーシアにつきましても造林・入植計画というのを行い、またフィリピンにつきましても、森林保全研修センター、それから広域森林情報分析管理計画というような形で技術協力ないしは技術協力と資金協力を組み合わせた協力を行っております。
○稲村稔夫君 大臣、私は、緑を守るということに警鐘が鳴らされておる時期なんでありますから、これでは対応がまだ少ないんではないかと思うが、いかがでございましょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今局長から答弁いたしましたように、インドネシアとかマレーシアその他に対しまして、緑を守るための日本の援助は十分ではないと言われればそうですけれども、相当のプロジェクトは行っておるわけです。また技術員等の研修等も進めておるわけでございますが、これは非常に大事なことでございまして、今後とも援助の一つの大きな柱として考えていかなきゃならないのじゃないか。実はアフリカに対してはアフリカの緑の革命ということで、これまたアフリカの緑を再活性化するための援助等も進めておりますし、そういうものとあわせて世界の緑、特に日本が材木を輸入しているそういう国々の緑を守っていくために、いろいろな面で各省の協力を待ちながら努力はしてまいらなきゃならぬ、こういうふうに思います。
○委員長(安田隆明君) 関連質疑を許します。村沢牧君。
○村沢牧君 本国会予算修正をめぐる与野党合意の中に「森林、林業の健全な育成と国有林野事業の経営改善方策については財源措置を含め、昭和六十一年中に結論を得るよう最善をつくす。」という一項が入っています。予算修正でこのようなことが合意されたことは異例のことであります。農林水産大臣はこのことは重要な問題として受けとめなければならないが、どう考えていますか。
○国務大臣(羽田孜君) 国有林の経営につきましては、もう既に数回ここでも議論されましたように非常に悪化しておるというのが現状でございます。そういう中で五十九年ですか改善計画をつくっていただきましてそれを進めてきておりますけれども、さらに今それについて見直しを実は行ってきていただいておるところであります。そういうものを踏まえながら、もちろん自主的な努力というものは当然してもらわなきゃいかぬと思いますけれども、私どもはそういった審議の議論を踏まえて、また先日の与野党の合意というもの、これは非常に重要な合意であろうというふうに考えながら、関係機関、関係のお役所とも十分お話をしながら改善を前進させるためにこれからも努力していきたいというふうに考えます。
○村沢牧君 大蔵大臣、このような合意がなされた背景には、日本社会党が要求した六十一年度予算修正の項目の一つとして、国有林野事業の財政再建として一千六億円の増額修正案について与野党で大事なことだ、重要な問題であるとして取り上げていただいたわけであります。合意文書には「財源措置を含めことなっておりますけれども、大蔵大臣の見解を伺いたい。
○国務大臣(竹下登君) 六十一年中に財源措置も含めて結論を出す、こういうことでございます。この問題について、私ももともとが日本林道協会会長でございますので中身のことも承知しておりますが、その私的な立場は別といたしまして、結局今農水大臣からお答えがありましたように、林政審の審議をひとつ急いでいただけるような環境をつくっていくならばお互いが協議をし合う環境が整うじゃないかと、こういうふうなお話し合いをしておるところでございます。非常に重要な問題として受けとめておることは事実でございます。
○村沢牧君 五十九年度決算及び六十一年度予算について、国有林野事業の歳入構造はどうなっていますか。
○政府委員(田中恒寿君) 歳入の構造につきまして申し上げます。 五十九年度の決算は、発生ベースで歳入四千九百七十七億円でありまして、業務収入、林産物関係でございますが、これが二千七十九億円、四二%に当たります。林野、土地の売り払い代が三百七十億円、七%に当たります。一般会計からの受け入れは九十八億円、二%。借入金が二千二百七十億円の四六%でございます。 六十一年度の予算案におきます歳入の構造でございますが、総額五千六百三十六億円、先ほどの業務収入は二千三百五十七億円、四二%でございます。林野、土地売り払い代は六百十五億円。一般会計からの受け入れば百十億円、二%。借入金は二千三百七十億円、四二%、以上でございます。
○村沢牧君 国有林野事業の債務残高の推移、利子並びに償還金の支払い状況について説明してください。
○政府委員(田中恒寿君) 債務残高の推移でございますが、五十三年度末で約二千二百億円、五十五年度末で約四千七百億円、五十八年度末で約九千五百億円、五十九年度末で約一兆一千五百億円となっております。六十年度末で約一兆三千三百億円でございます。利子償還金につきましては六十年度で一千三百三十億円程度となる見込みでありますが、六十一年度予算におきましては一千六百二十八億円を計上しているところでございます。
○村沢牧君 今までの答弁で明らかなように、国有林財政の特色は業務収入が少ない。一般会計からの受け入れがわずかである。したがって、山や土地を売ったり、借入金に頼らざるを得ない状況であります。五十九年度決算の歳入に占める業務収入は、今答弁があったように四二%。借金の方が多くて四六%、この実績が示すように大変な事態であります。しかも、六十一年度末には一兆五千百億円の借金を抱えたことになります。民間企業ならとっくに倒産してしまいます。今後もこうした傾向が続くであろうというふうに思いますが、六十一年度の予算編成はどうにかつじつまを合わせたけれども、こんな状態では六十二年以降の予算は容易ならざる事態に陥るのではないかと思われますが、どうですか。
○政府委員(田中恒寿君) ただいま申し上げましたような財務内容から現在の経営改善目標を達成することは、さらに現在の林業関係の諸情勢を考えますと大変難しくなることも予想されるところでありまして、六十二年度予算につきましては極めて厳しいものがあると受けとめているところであります。こういう難局を打開するために、現在経営改善の方策につきまして林政審議会におきまして審議をお願いしているところでございますが、それをも踏まえまして、関係省庁とも十分協議を重ね適切な対応をしてまいりたいと考えているところでございます。
○村沢牧君 大蔵大臣、今答弁があったように、国有林財政は大変な状態であります。だからこそ与野党が重大な合意をしたんです。大臣は国有林の実態をどう見ていますか。国有林に対しては、国民は国有林と言うからには政府がかなりの金を出しているというふうに思っている人もあるけれども、五千六百億円のうち一般会計からの支出分はわずかに百十億円、その実は二%。まさに森林面積の三分の一を占める国の山に対して、F15一機にも達しないような金しか出しておらない。このことをどう思いますか。
○国務大臣(竹下登君) 歴史的に振り返ってみますと、やっぱり国有林事業というのは本来、公益的機能を含め独立採算原則に基づいて企業的に経営されるべきものである。そして材価がそうであった時代、あるいは民間の小規模とは違いますから、その可能性は包含をしておるという立場に立って今日までやってきたわけでございますが、厳しい財務状況になりまして、昭和五十三年、御案内の例の特別措置法を制定して、それでいわゆる一般会計からの繰り入れの道を開き、さらに林道の災害復旧、治山勘定はもとよりでございますが、それから退職手当の財源の借り入れとその利子相当額をまた一般会計、これは五十九年から入れるようにしたと。そこで、六十一年度においても今おっしゃった百十億と、こういうことになって、それで新たに保安林にかかる間伐林道というのをまた繰り入れ対象としたというふうに今日まで積み重なってきておるわけでございます。 そこで今、田中長官が申されましたとおり、財源問題を含め、現在林政審で御審議をお願いしておると、これがやっぱり土台になって、いわゆる与野党合意の実が上がっていく基礎になるではないかというふうに期待をしておるところでございます。
○村沢牧君 一般会計から支出していることは承知をしているけれども、先ほど申しましたように五千六百億の予算のうちたったの百十億、二%、このことについてどう考えますか。
○国務大臣(竹下登君) それはいかに二%でも、いわゆる間伐林道につきましての対象範囲を広げたというところにやはり政策的選択というものがあったのではないか。予算編成の際に、いわゆる財源問題についてもいろんな議論があったことも承知しております。したがって、それらをも含め林政審の、本当は林政審はこちらからいつまでに答申をという性格のものではあるいはないかなと思ったのでございますけれども、その辺を私も相談をして、六十一年中と書いていただいたのは、それまでに平仄を合わせてこの答申が出ることを林野庁当局も期待していらっしゃるのではなかろうかと思っております。いずれにせよ、その後農林水産省と十分誠意を持って対応をすべき課題であるという問題意識を十分持っております。
○村沢牧君 農林水産大臣、国有林財政悪化の原因は木材価格の低迷など林業の構造的要因によるものだけではない。つまり、業務収入の減少は、戦後の乱伐や高度成長期の過伐、乱伐によって資源を食いつぶしてきたそのツケが今日回ってきているんですけれども、どういうふうに思いますか。
○国務大臣(羽田孜君) 国有林野事業はそれぞれの時代の要請、これにこたえてきたと思います。戦後の復興期あるいは高度経済成長期、こういったときに大量の木材需要、これが出てきた。これに対して価格の安定あるいは需要に対する供給ということで相当量を切ってきたというのが現状であろうというふうに思います。そういう中で蓄積しておったものが減ってきておるということもございますし、あるいは事業規模が急速に拡大してきたということで、相当多くの人数を抱えるようになってきたということがあります。このような事情に加えまして、四十年代に入りまして外材が相当輸入されてきたということがあり、それと需給というものが緩んできたということで、材価の低迷というものがあったのだろうというふうに思っております。そういうことで、なかなか特別会計の中で材の収入によって経営するというのが今日非常に難しい状況にあること、これは今御指摘がありました現実であろうというふうに考えております。
○村沢牧君 大蔵大臣、森林、林業を育てるのは御承知のとおり長い年月がかかる、こういう特殊性を無視して目先の利害だけにとらわれた経営であってはいけない。今日の国有林財政の危機を招いたのは今までの政治や行政の失政によるものだ、そのようにお考えになりませんか。
○国務大臣(竹下登君) 林業をめぐる経済情勢の変化、これは歴史的な経過は極めて端的に羽田大臣から御説明がありまして、私もなるほどだな、こう思っております。その間、いわゆるたくさん人を抱えたというような問題もございました。過去のことを私は失政であったという批判をしようとは決して思っておりません。健全な労使関係も育っておると私は信じております。が、今後の問題については今、羽田大臣からも示唆されましたように、いわゆるかつての特別会計独立の原則というような環境にあるとは思わないからこそ法律改正も行われ、一般財源を繰り入れる範囲も徐々に広がっていく、こういうことであろうと思いますので、まさに財源問題をも含め検討されるであろう。 私自身が大変喜んでおりますのは、かねて主張いたしておりました「ふれあいの森林」というのが大変評判がいいということは、ある種のロマンを感じております。
○村沢牧君 過伐、乱伐を含めて森林資源の増伐によって国有林が利益を上げた時代もあったんですが、その当時の黒字はどういう処理をしたんですか。
○政府委員(田中恒寿君) 過去におきまして損益計算上の利益が出ました際は、それを一部を内部留保とし、一部はいろいろ一般会計への繰り入れその他林政協力として外部に処分をいたしたことが過去においてございます。
○村沢牧君 大蔵大臣、国有林特別会計は独立採算性を建前としたことは承知をしておりますが、黒字になったときには一般会計に資金を繰り入れる、赤字になったときは借入金や土地を売って回していけと言う、これでは経営が成り立たない、ちょっと無理じゃありませんか。
○国務大臣(竹下登君) これはまさに林業を取り巻く環境の変化は私も偉大なるものであると思います。一番林業の中で自然にいわゆる経済環境の中に調和されたものは何であったかという反省をしてみますと、私は木炭じゃないかというふうに思います。かつての木炭というようなものがプロパンガスにかわりましたが、その当時ちょうど高度経済成長期であって、その炭を焼いていらっしゃる若者はいわば公共事業の労務提供に吸収され、そしてまた炭屋さんがプロパン屋さんをやりますとちょうど格好が、数が合うというようなことで、あれだけは何の保証もなくこの近代社会に調和されていったということを、私はかつて炭焼きでございましたから、実はそんなことを考えておったことがございますが、今そういう自然現象の中でいわば吸収されていくほど生易しいものじゃない。やっぱり私は森林とはすなわち緑のダムである、これこそふるさとの根源であると思っております。
○村沢牧君 そんなことを聞いているんじゃないですよ。答弁になってないですよ。だめですよ。
○国務大臣(竹下登君) 特別会計独立の原則というものに立って、経済情勢の変化の中にそれが変化が生じておる。ただ、かつて特別会計独立原則の中でいわば財源調達したが、今は財源調達がなされないから、それをそのままトタで、生の一般財源でそれに返すべきであるという論理には必ずしも私はくみしておりません。なお、経営の合理化等の余地はおのずからお互いが模索していかなければならない課題であろうというふうに考えます。
○村沢牧君 いずれにしても大蔵大臣の答弁なっておりませんが、また後ほど指摘することにしておきましょう。 そこで、国有林面積七百六十万ヘクタールのうち事業収入の上がらない非経済林、つまり公益的機能発揮のための森林面積はどのくらいな割合を占めていますか。
○政府委員(田中恒寿君) 国有林七百六十五万ヘクタールのうちに保安林は約半分、五〇%でございます。また自然公園は全体の約三割、二八%でございますが、さらにこれらはいろいろ程度はございますけれども、いろいろ施業についての制限が国土の保全あるいは水資源の涵差等の立場からなされておるところでございます。
○村沢牧君 国有林野の中には非経済林が今答弁があったように七八%も占めている。しかし、国有林の使命を達成するためには、また国土と緑を守るためには、たとえ収益に結びつかないとしても、こうした林木に対しても必要な投資をしなければならないが、どのように対処しているのですか。
○政府委員(田中恒寿君) ただいまの保安林と申し上げましたものの中には、水源涵養保安林のように、一回の皆伐面積につきましては規制がございますが、そのほかにつきましては、林業経営上の規制はそうまで厳しくはないという性格の保安林もございます。最もその規制の厳しい禁伐的な取り扱いをしなければならないような国有林は全国で約二百万ヘクタール、これは一番厳しい規制でございますが、現在そういうふうな国有林の持つ森林がどのような機能を持っておるか、それに対しましてはどのような施業をすべきか、あるいは費用負担はどうあるべきかということにつきましても、これは臨調の最終答申以来でございますが、そこでも指摘をされ、さらに林政審議会におきましてもこれのあり方についての早急な調査検討を御提言いただいているところでございます。五十九年以来この問題を林野庁におきましても検討を深めておりまして、本年内にこれをまとめまして、それに従いましてのいろいろ諸施策を考究いたしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○村沢牧君 私が聞いたのは、非経済林であっても投資をしなければならないではないか、どんな投資をしているかということです。
○政府委員(田中恒寿君) 一般の経済的な対応をする森林と一体となりましてその管理、経営、施業等が行われているところでございます。
○村沢牧君 しかし、収入が上がらないけれどもその山に対して金は投じなければならない。したがって、今答弁があったように、費用分担のあり方について何か検討しているということでありますけれども、その検討の結論が出たならば財政当局としても積極的に対応していく、そういう用意はお持ちですか。
○国務大臣(竹下登君) 幹事長・書記長会談でも六十一年中という言葉をお使いになったのは、恐らく六十一年中にその審議会の結論が出るということを横目でにらみながらお決めになったことだと私は理解をしております。その結論を得たら十分農林水産省と協議しなきゃならぬと思っております。
○村沢牧君 国有林会計の借入金が多い現状の中で財投資金の借入金の利子あるいは償還期限についても再検討すべきだと思うが、どうですか。
○政府委員(田中恒寿君) 国有林の借入金の問題につきましては、これまでお話が出ておりますように大変重要なウエートを持っているわけでございますが、今日いろいろと改善の措置もこれまでとられておりまして、例えば六十年度におきましては林道の償還期限、これが十年でございました。これを造林と同じく林業の基盤整備という性格を持っておるということから、造林と一本化をいたしまして、二十五年の償還期限に延長する措置が講ぜられたところでございます。この問題は、やはり国有林の経営改善方策全般にわたる問題の一環といたしまして十分検討をしてまいりたいというふうに考えております。
○村沢牧君 このような国有林事業の経営を改善するために、昭和五十三年に改善措置法を制定して改善計画を立てたが、この計画は功を奏しなかった。したがって、五十九年に第二次計画を策定して現在進行中でありますけれども、その進捗状況について示してください。
○政府委員(田中恒寿君) 改善の大きい内容といたしまして、いわゆる減量に当たります人員の縮減あるいは組織機構の簡素化あるいはいろいろな収入の増大策等々があるわけでございますが、採用管理を厳正にしました人員の縮減でありますとか、あるいは営林局署の統廃合を含みます組織機構の簡素化、合理化等々につきましてはほぼ計画どおりの達成を見ておるところでございます。 なお、非常に計画とそごを来しますのは、やはり市況のこのような悪化によりまして収入が予定どおり入らないためにいろいろ投資活動が低下するとか、あるいは林野土地の売り払い等が予定を下回っておる等々、そういう外部因子の影響いたしますものにつきましてはなかなか計画どおりの達成に至っておらないという現状でございます。
○村沢牧君 改善計画は機構、人員縮小、請負の増加をねらった計画であって、今答弁のあったようにそれはおおむね達成できるであろうと。しかし、国有林の危機を克服し果たすべき使命を達成するにはふさわしい計画ではない。先ほど答弁があったように、このまま推移するならば改善計画の目標を達成することが困難である。大臣は今までの実績を顧みまして、将来展望をする中で、この計画を見直し抜本的な対策を講ずべきだと思うが、どうですか。
○国務大臣(羽田孜君) 先ほど来申し上げておりますように、現在、五十九年の改善計画、これをもう一度見直す勉強をしていただいております。そういうものを私ども踏まえながら、ともかくやっぱり国有林そのものが本当に不健全なものになってしまったらこれはまさに国土の保全そのものをなさなくなるということでありますから、私ども真剣にこの問題についてはこれから議論してまいりたいと、かように考えております。
○村沢牧君 議論だけじゃなくて、私が指摘をしたのを聞いておってもこのままじゃだめだということを皆さんはお気づきになったというように思うんですよ。 そこで、林業の活性化五カ年計画は立てたけれども、これは民有林だけであって国有林は入っていない。ですから私たちは昨年主張いたしまして、国有林も入れろと、その際に国有林の整備については引き続き検討するという項目が入っているけれども、どのようにやっているんですか。
○国務大臣(羽田孜君) これはまさに昨年の暮れの予算の中で五カ年計画というものをつくり上げたわけでありまして、そのときにも申し上げましたように、ともかく今私が前段で申し上げましたように、その改善計画というものを今審議をいただいておる、そういうものを踏まえてどう対応するかということを私たちも、これはただ放置しているということじゃなくて、今検討いただいていることを踏まえながら対応していきたいということであります。
○村沢牧君 大臣、私が聞いたのは、林業の五カ年計画をつくって活性化をするんだと盛んに宣伝していますね。しかし、その中には国有林は入っていないじゃないですか。どうするんですか。
○国務大臣(羽田孜君) ですから、今私が申し上げましたように、国有林につきましては今改善計画がちょうど検討されておりますから、それを踏まえてきちんとやっていきたいということであります。別にこれは逃げているわけでもあるいはそれをおくらしているということでもなくて、今審議していただいているものをきちんと踏まえて私たちとしてどう対応するのかということをこれから進めていきたいということであります。
○村沢牧君 建設大臣に伺うが、国有林を含めて今林業が大変危機のときに、公共建築物やあるいは住宅建築について国産材の優位性を指導する、そのために財政的な裏づけ等もすべきだと思うが、どういうふうに考えていますか。
○国務大臣(江藤隆美君) 今ほど聞いておりましたが、国有林の赤字がふえたということは一にかかって木材の需要が減退したということであろうと思っております。日本の気候風土に一番適するのは木造住宅であることは論をまたないところでありますし、ちょうどまた我々は国会議員として考えることは、これほどいわゆる国土の七割を覆っておる山林が、本当に山林資源国家になるようにしなきゃならぬ、それが今荒れようとしておる。やっぱり木材の需要を拡大するということが私は政治の国家的命題だと思っています。したがいまして、まず、一般の方々が木造住宅をつくってくださることが大事でありまして、そのためには、私どもはやっぱり耐震耐火という面を踏まえてしっかり技術の開発をしなきゃならぬということが一つございます。 それからもう一つは、今年度から県やら市町村の協力も得まして公庫の二百万の割り増し融資をする。公庫使用木造については、優良なものについては二百万の割り増し融資をする、こういうことをやる。それから公営住宅については、私は特に今言っておるんですが、まだ建築は少ないではないかと。しかし、土地によっていろいろな制限がございますから無条件というわけにはまいりませんけれども、公営住宅等についてやっぱり人々の模範になるような優秀な木造住宅をしっかり建てていくということが必要であろう、そういうふうにこれから取り組んでいきたいと思っております。
○村沢牧君 大臣がそういうお考えを持つならば、公共建築物を建築する場合に建築基準法も見直しをしなければならない部分があるんですが、それはどういうふうに考えますか。
○国務大臣(江藤隆美君) 建築基準法の前に、さっき先生が公営住宅その他官庁とおっしゃいましたけれども、私が発見しましたのは、昭和二十六年に官公庁施設の建設等に関する法律というのが実はできておりまして、これで、普通の都市計画区域内においては三百平米以上、その他の地域には千平米以上のものは、そういう公の官公庁は木材では建てられないということになっておるわけです。やっぱり戦後の台風でよく倒れたということ、あるいはまた戦時中火災でよく燃えたというそういう反省から、特にこの官公庁の施設を木材でつくるなという、こういう法律が戦後間もない時期に私はできたのではないかと思っております。しかしこれから先、これほどのやっぱり国有林野の問題が大問題になり、日本の林業問題が大問題になる。これを解決するには、もう木材需要の八割というのは住宅ですから、住宅に使わなかったら木材というのは用をなさないわけでありまして、そういう意味では建設省として、ことしからやはり新しい時代に適するようなしっかりした技術開発をやって、そして優良な住宅を建てるような新技術を開発していこうということが一つあります。 それから、建築基準法で今申し上げましたようなこと等もございますから、先般来から羽田農水大臣と相談をいたしまして、今回の住宅整備五カ年計画、六百七十万戸建ててみたらコンクリートばかり建っておった、こういうことじゃしようがありませんので、ひとつ農水省と建設省とで実務者の一番詳しい課長を出しまして、木造住宅をもっとこれから建てていくためにどういうことを改善し、どういう取り組み方をしたらいいかということを近くひとつ両省間で正式に協議をしよう、こういうことにいたしましたので、来週にでもそういう協議の場所が開かれると思っています。そこでしっかり協議をしまして、今後木造住宅を建てる際のいろんな隆路となっておることを発見し、それを取り除くための努力をしていきたい、こう考えておるところでございます。
○村沢牧君 私はいろいろ指摘をしてまいりましたが、私の主張は、財政状況が厳しいから企業会計制度をやめてしまえというのじゃありません。ましてや生産活動を切り離して請負に出したり民間に任せたり、それによって計画以上に国有林に働く人たちの人減らしをする、こういうことは絶対反対であります。あくまで林政審の前向きな検討の中で、林野庁の自助努力と一般会計を初め他の会計から資金調達などを求めて再建を図らなければならないと思いますが、大臣の決意を聞きたい。
○国務大臣(羽田孜君) 今、村沢先生からも御指摘いただきましたように、私どもといたしましても特別会計というものは健全なものにしていく、そのためにこれからも改善計画について十分審議をいただきながら、これを踏まえて対応していきたいというふうに考えております。 またそれと同時に、今、江藤建設大臣からもお答えいただきましたように、やはり本当の意味での需要拡大というものが生まれてくるということになりますと、材価も上がってくるということでございますから、そういった自主的な創意工夫、こういうものも十分取り入れながら、国有林野特別会計というものを健全なものにしていかなければいけないというふうに考えております。
○村沢牧君 最後に大蔵大臣、あなたは列島ふるさと論なるものを唱えていますけれども、山の経営は大事であります。特に国有林は模範林とならなければならない。目先の利審だけにとらわれずに将来展望に立って投資すべきものは投資をする、あなたも炭焼きだというふうに言われましたけれども、あなたの決意をお伺いしたい。
○国務大臣(竹下登君) 本来的にやっぱり羽田農林水産大臣の決意表明と私も同じ認識であるべきだと思っております。
○稲村稔夫君 もう時間がなくなりましたから、ちょっと私、大蔵大臣の方にお伺いをしながら、自治大臣の見解も伺いたいというふうに思っています。 それは、朝日新聞に「緑をむしばむ税」という記事が連載になっておりましたので、あらかじめそれをお目通しいただいておきたい、こういうふうに申し上げておきました。「緑をむしばむ税」でありますが、ロマンを御披瀝になりました大蔵大臣はこれをお読みになってどうお考えになったでしょうか。自治大臣は、都市がいろいろと工夫をしている部分があるわけでありますね、横浜市等でもって借り入れて。それが相続税のためにうまくなくなったということがあるんです。こういうことについてどういうふうにお考えになるか、お感じになっているか。感想で結構であります。
○国務大臣(竹下登君) 前からのこれは横浜と川崎等を中心とした取材でございます。したがって、例のナショナルトラスト、あれを追加いたしました。 それから、相続税の問題ということになりますとこれはなかなか難しい。だから、やっぱり本当は故人がそこまで大事にして公共に提供してもらったものを、本当はその故人の遺志で、その相続財産をお亡くなりになった方の遺志で地方団体へ寄附してもらうとすべての問題が一番解決つくなというような印象を、これは前々から本当は持っておりました。
○国務大臣(小沢一郎君) 税の問題を見ますと、自治省といたしましては固定資産税の問題でございますが、この点につきましては、緑地保全地区内におきましては二分の一という軽減措置を講じております。あと先生御指摘のように川崎等、そしてまた東京都におきましても、今度そういうことでやっていこうということにしておるようであります。 自治省といたしましても、できるだけそういうようなことにつきましては全面的にバックアップしていこうと思っておりますが、いずれにいたしましてもこれは一つは都市政策といいますか都市計画全体、特に田舎よりも大都会の中から考えられていくべきものであろうと思っておりますし、あとは今大蔵大臣お話ありましたが、相続税の本質的な問題にもかかわってくるようなことではないかと私は思っております。 いずれにいたしましても、そういうようなことで、各地域におきまして緑の保全という観点からやっておりますことにつきましては、自治省としてもできるだけ支援して指導してまいりたいと思っております。
○稲村稔夫君 大蔵大臣、寄附をしてもらいたいと寄附を期待するというのは私はいただけないと思うんですよね。というのは、無償で提供して、そして自治体でやっている緑、それを相続するときに税金がかかるというんですから、これが問題だと言っているんですから。それで故人の財産、寄附を前提にして物を考えるというわけにはいかないと思うんですよ。その辺いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) いや、前提にしておるわけじゃございませんが、相続財産ということになれば、財産の価値というものに評価せざるを得ない。だから、本当に公共に提供しておったという、お亡くなりになった方の遺志がそのまま生かせる何か便法はないかということで考えた場合に、公共団体あるいは公益法人等に寄附していただければ一番遺志が残るんじゃないかなと、非常に甘い考え方だと思いますが、相続税法の中でこれを措置するという難しさから私がふと考えたという程度のものでございます。
○稲村稔夫君 ちょっと考えた程度での御返事では困るんでありますので、これは本来、私は大事なことだと思うので御検討をいただきたいというふうに思いますが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 相続税法の中でどうするかというようなことになりますと答えにくくなりますから、勉強さしていただきます。
○稲村稔夫君 最後に、いろいろと議論をしてまいりました中でも、また農林水産関係の予算は政府予算の中で占める位置は大変問題があるんじゃないか。どのように位置づけておられるのかということが、これは私は本当に大事だと思うんです。農は国のもと、これを確認したんですからね。にもかかわらず、今いろいろと出たって、あれはみんなお金のかかる仕事です。それを一体どういうふうに対処をされるつもりですか。これは財政当局の責任者として大臣の御見解を伺いたい。
○国務大臣(竹下登君) 本来農林水産大臣からお答えなさるべきものかと思いますが、確かに食管会計等々を年々削減していただきまして今日に至っておることも事実であります。しかしその中で、あるいは補助から融資へとかいろんな知恵を絞りながら、これからも農は国の基なりという考え方のもとに立って、これは専門である農林水産省に対応してもらい、我々もそれに調和すべきものであると考えております。
○委員長(安田隆明君) 以上で稲村稔夫君の質疑は終了いたしました。 次回は、明後三十一日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時十分散会