予算委員会 第11号
- 発言数
- 557 件
- 登壇者
- 62 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1986/03/18
会議録
○委員長(安田隆明君) 予算委員会を開会いたします。 昭和六十一年度一般会計予算、昭和六十一年度特別会計予算、昭和六十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 ―――――――――――――
○委員長(安田隆明君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和六十一年度総予算審査のため、本日、日本銀行総裁澄田智君、日本国有鉄道再建監理委員会委員長亀井正夫君、中小企業事業団理事長森口八郎君の三名を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(安田隆明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(安田隆明君) 前回に引き続き、総括質疑を行います。 これより久保田真苗君の前回残しておりました質疑を行いますが、村沢牧君の関連質疑が政府答弁をめぐって中断しておりますので、まず村沢君の関連質疑を続けます。
○国務大臣(江崎真澄君) かねて村沢さんから御質問のありました件につきましては、まだこれから一年間法の期間もありますので、鋭意残事業等については推進をする、こういう決意に立って仕事を推進していくわけでありますが、政府委員の方から詳しい数字等については答弁いたさせます。
○政府委員(本多秀司君) お答え申し上げます。 現段階では確たることは申し上げられませんが、地域改善対策特別措置法制定時予定いたしました事業のほかにその後新規に加わった事業を加えますと、地対法期限内に実施されないと見込まれます事業量は、建設省約三千三百億円、厚生省約八百億円、農林水産省約五百八十億円、文部省約十七億円、自治省約十五億円と各事業省庁では把握いたしておりまして、これらにつきましては各事業省庁で今後十分精査をされるものと承知いたしておるところでございます。
○村沢牧君 法務省に聞くが、法務省が把握している差別事件は年間どのくらいあるのか。またその中で悪質な人権侵犯であると判断される事案について、具体的に明らかにしてください。
○政府委員(野崎幸雄君) 法務省が過去五年間におきまして同和関係事件として把握いたしておりますものは、昭和五十六年度が百四十九件、五十七年度が百六件、五十八年度が百五件、五十九年度が百八件、六十年度が九十六件でございます。 これらは就職、結婚等にかかわるものが多いのでございまして、私どもといたしましてはいずれも悪質なものであるというふうに考えておりますが、その中でも著名なものといたしましては、大蔵住宅事件、それから司法書士等と称して戸籍謄本を不正に入手した事件、それから地名総鑑事件などが挙げられると考えております。
○村沢牧君 法務大臣、法務省に届けのあった事件も今説明があったとおりでありますが、これ以外にもたくさんあるわけです。部落問題は法務省の掲げる人権擁護で大きな柱となっていますけれども、このような差別事件が後を絶たないことはただ残念だと言って済まされる問題ではありません。差別撤廃のために政府として総合的な施策を講ずべきだというふうに思いますが、法務大臣はどのように考えますか。
○国務大臣(鈴木省吾君) お答えいたします。 新憲法ができてからもう四十年になろうとして、その間そういった考えをなくするように基本的に憲法で定められておるわけでございます。ただ、法務省といたしましては、先生も御案内のとおり、人権擁護の取り組み方は権力的ではありませんで、あくまでも指導、啓蒙、啓発、こういうことを基本としてやっておるわけでございますから、さような観点から一般に対処いたしておりますけれども、なおそういった人権侵犯等の事件があれば調査をし、またそれに対する是正等の勧告をいたしておるわけでございます。 しかし、ただいま政府委員から報告いたしましたとおり、実は地対法で御案内のように大変環境等はよくなっておりますけれども、そういった心の中のいわれなき差別と申しますか、こういうものがまだ後を絶たない、こういうことで甚だ残念に考えております。しかし、これは心の問題、心理の問題でございますから長くかかると思います。 さようなことで、ただ法務省だけではありませんで、これは総理府の総務庁の方で総合的に御検討をいただき、そして法務省といたしましてはその一翼を担って、あくまでも啓発、指導、こういうことでやってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○村沢牧君 総務庁長官は、今までの国会答弁で、差別については心の問題が残っておるので一日も早く是正しなければならないと言っておりますけれども、先ほど政府委員から答弁がありましたように、地対法計画事業については法期限内に完成させる、こういう政府の公約にもかかわらず四千七百億余の事業が残っておるわけです。このほかにも地対法計画に掲上することのできなかった事業が全国各地に散在しています。したがって、ハード面についても多くのものが残されておりますが、これをどうしますか。さらに、ソフト面では仕事、福祉、教育、産業など実態的差別が存在しています。 こうした現実は、単に心の問題、精神面だけで解決することはできません。総務庁長官の基本的な認識を改めてもらいたいが、どうですか。
○国務大臣(江崎真澄君) 私が心の問題と申し上げたのは、大変な精神的苦痛を伴うすべてについて申し上げたわけでございまして、今お話のあったような結婚問題で破談になるような情報を入れる悪いやからがいる。これなどもソフト面の重要な部門だと思って憂慮をいたしております。就職などの職能教育の面については十分配慮をしておるつもりでありますが、いざ就職になるとそれについていろいろなまた情報を入れる面があって差別待遇を受ける。これは本当にその人自身にとっては大変な悩みであり苦しみであるという認識に立っております。こうしたソフトの面全体について私どもとしては十分今後啓蒙を徹底し、教育の面でも徹底し、同じ日本人でありながら、しかも民主政治四十年、一体何事であるか、本当に焦りを感じ、また深くこれらの人々の差別待遇に同情もし理解も示しておるものであります。したがって、これらは御承知のように、一月から基本問題検討部会で十分今後の対策について調査をするとともに、私ども総務庁におきましてもスタッフがおりますので、私を初め真剣にこれらと取り組んでいきたい。 それから、事業については、これは御存じのように駆け込みのものもあります。それから、既に計画を推進いたしております中にも土地の事情によって十分話し合いができない、例えば土地区画整理の問題とかあるいは住宅の建てかえの問題等においてもそれぞれの困難な個別の事情によって遂行されていないものもあることは御存じのとおりであります。こういった面も含めて十分今後の対策は、まだ時間もあることでありますから、これらをどう処理していくかということを含めまして検討する決意であります。
○村沢牧君 総務庁長官、私が今指摘した問題は心の問題あるいは精神的な問題だけとしてとらえることはできない。ですから総合的な対策をしなければならないということを私は申し上げたんです。 そこで、地対法は本年度をもって失効するわけです。今まで申し上げた現実が明らかになっている今日、基本問題検討部会の答申を聞くまでもなく、政府の責任において新たな対応をするという方針を示すべきですがどうですか。
○国務大臣(江崎真澄君) これは今後の切実な問題ということで、今申し上げたように検討をしておるところであります。御意見も十分承りました。 ただ、今の段階でさてどうしたらいいのか。これは新しい法律をつくったらどうかという意見も衆議院等では社会党の同僚の方からも御質問がありました。さて、これを同和対策から地域改善対策特別立法へと、十七年間の経緯をたどって考えてみますと、果たして法律でまた新たに対策をすることが本当に適当なのか、そういう面において取り締まりを厳しくして効果が上がる面もありましょう。そうかと思うと、また法律であるがゆえに、本来同じ日本人が同じこの民主主義の時代に差別を受けるという不当なことを解決していく上に逆の効果が出てきはしないか、リアクションはないか、そういう面も慎重に検討する必要がある、こんなふうに私考えます。したがって、これらを含めて十分まだ時間もありますから鋭意検討を継続的に進めていきたい、これが現況の考え方であります。
○村沢牧君 いずれにしても現行法は明年度をもって効力を失うわけなんです。したがって、本年度中にいろいろな面を含めて新たな対応を示す、そのことをお約束できますか。
○国務大臣(江崎真澄君) 今申し上げたように、そのあたりを含めてどういう対応が一番適切であるか、これはやはり適切であり効果が上がることが私ども第一だと思いますので、よく検討をしてまいりたい。もうしばらく時間をおかし願いたいと思います。
○村沢牧君 総理に伺います。 本国会、衆参両院で部落問題について質問要請をした議員は、我が党だけでもこれまで二十名に及んでいます。議員の指摘に対して各大臣は、差別の実態や残事業のあることを率直に認めて、差別問題が後を絶たないことは恥ずかしいことであるという答弁をしているんです。総理は差別の実態についてどのように考え、また部落問題の解消のためにいかなる方針をお持ちですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本の社会にまたそのような陋習が残っているということはまことに残念で、政府としても全力を注いでこのような陋習を破り、皆様方が本当に幸せで生きがいがあるという明るい世界をつくっていかなければならぬと思います。やはり生活の安定、福祉の向上、教育の充実というふうな事々が重要でございますから、そういうような面におきまして残事業等の完成も含めて積極的に努力いたしますとともに、法務省や総務庁を中心にいたしまして、人間の心の改革に向かってまた努力してまいりたいと思う次第でございます。
○村沢牧君 ハード面においてもソフト面においても部落問題の課題は非常に多く残っています。ということは、今までの法律及び政府の対応が部落差別の現実に十分こたえていなかったと、こういうことであるというふうに思いますが、これはお認めになりますか、総理。
○国務大臣(中曽根康弘君) 与野党を通じましてこの問題については真剣に取り組んできたつもりであり、特別措置法もつくりまして努力しているところでありますが、まだその陋習が完全に払拭できないところを見ると、まだまだ努力の足らざるところがありまして、今後とも努力してまいりたいと思う次第でございます。
○久保田真苗君 郵政大臣に伺います。 NTTのキャプテンにピンク情報が流れましたね。高度情報社会の一つの盲点だと思うんですが、これは大臣どうなさいますか。
○国務大臣(佐藤文生君) 先生も内閣の官房の方で婦人問題をずっとやられ、海外生活も長いと聞いておりますが、二十一世紀に向かって、小さな川の流れの情報からもう大河の流れになっていくという、こういう時代に今向かっているわけでございまして、それに一番先行して、情報のソフトの面の先進国アメリカにも先生行かれたと思うんですけれども、テレビとかあるいはキャプテンとか有線放送とか、そういう中でちょっといかがわしいものが出たときに家庭の中では、子供さんにもう早く休みなさい、こう言ってペイテレビによって成人以上の者がそれを見る、家庭の中にそういう秩序ができているように私は現実に友人の家に泊まって感じたし、一般の放送の面でもってそういう面が出たときには婦人のグループがその放送局に押しかけて行って猛烈な抗議をするという、そういう情報社会に向かっていく過程の中で社会と家庭の秩序がバランスよくできていっておる、こう私は思います。 ところが、ハードの面で非常に今積極的に放送の面でもあるいはキャプテンの面でもどんどん拡充強化されておるこの中で、どちらかというと、そういうチェックの面が大衆の中においても家庭の中においても、残念ながらおくれておるというのが現況でございます。 したがって、今先生が言われたキャプテンの中に先々週から御承知のとおりに、私も先生のお話があるというので初めてコピーでとって見ましたら、「楽しく遊ぶ十カ条」とか、それからだんだん進行していくというと女性の顔写真が出て、そして「電話をかけてくださいね」とか、そういうのが出てきたわけでございます。そこで、このお話を承りまして、これは一体どうしたらいいかなということです。 全国で約五百二十カ所の方々にNTTの赤坂のコンピューターセンターから約十七万五千の絵と字でもって、御希望の方々に向かって有線テレビで家庭のテレビにも事業所のテレビにも申し込みした方々には出すようになっておるわけでございます。したがって、自分の希望によってそれを選択して見るという、要するにリクエストしてアンサーを受けるという、今度は新聞とかテレビとは違った情報の流し方がキャプテンでございます。そういうのがどんどん流れてきましたので、どういう対策をしたらいいかというと、これはなかなか正面切りますというと表現の自由ということで、郵政省としてはそういうのはよろしくないなと言うわけにはいきませんけれども、おかげで五百の申込者の中の約二百五十ぐらいの方々が自主的に組織をつくりまして、法律に違反するようなもの、風俗営業、風俗で極めて卑わいなものを出すというようなことは自主的にやらないようにしましょうという組織ができております。 ところが、一週間ほど前から出されたそれはアウトサイダーで、入っていないんです。いないものですから、だんだんおもしろくなって電話をかけてリクエストして次のカードのところを引っ張り出しますというと、もう裸になったようなのがだんだん出てくる、こういう仕組みになっておるので、これは困ったことだなと、こういうぐあいで、一昨日先生の質問があるのでこれはどう答えたらいいか非常に難しくなってきたと。情報がたくさん流れてくるけれども、その中で自主的にそういうものをチェックする機能が大衆の中に浮き上がってきておりますけれども、そういうアウトサイダーが流したということで、昨日さらにそれをコピーでとりまして見ましたところが、先生の質問があるということが新聞に載ったんでしょう。「いや―まいった大変お騒がせしました。ソープランド情報は今日をもってインフォメーションを中止します。しかし、キャバクラ・飲み屋情報、あるいは皆様とゲームなどができる楽しい画面を間もなく制作して流しますので待っててね」と、こういうぐあいに出たわけでございます。 したがって、この委員会でそういう先生の御質問が出るということでその業者に自主的にやめるという判断が出たことは、私はまだ日本はこれは常識あるなと思いまして、こういう業者に対してはできるだけ自主的なそういう組織に入っていただいて、そして一つのルールの中に入っていくことを希望するように指導していきたいと、こういうぐあいに思っております。
○久保田真苗君 大臣、大蔵住宅に戻るんですが、同和地区に建て売り住宅を建てた、それを購入した人が大量の部落差別ビラをまいたという事件があるんです。もしこういうことをキャプテンを使ってやろうとしたときにどうなさいますか。
○国務大臣(江崎真澄君) あの問題は私も詳しく調べましたが、まことに遺憾至極な問題だと思っております。いかにも土地が安かったということで買った、その後同和地域であるということがわかったなどと言いながらああいう挙に出るなどということはもってのほかである。それがチラシをまくことによって精神的にも、また婦人、子供などを含みましてどれぐらいのショックを受けておるかということを思うときに、二度とそういうことが繰り返されてはならないということをしみじみ考えておるものであります。こういった対策についても今後の重要な問題として何らかの方策を講じたいと思います。
○委員長(安田隆明君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。
○久保田真苗君 郵政大臣にお答えいただきたいんです。こういう情報が流れる可能性をも自主性に任せますか。
○国務大臣(佐藤文生君) 私はやはり、ようやく民間の斎藤英四郎さんが会長になりましてキャプテンの申込者の組織を今拡大しつつございますので、そういったような組織の中にできるだけ入ってもらう、アウトサイダーをだんだんとなくしていくという、そういう指導をしながら、ただいま先生が言ったようなそういう問題がキャプテンの中に堂々とまかり通るようなことのないようにしていきたい、こういうぐあいに思っております。
○久保田真苗君 総務庁長官、この大蔵住宅の件は裁判で不法行為と認めさせた、訴訟によってやっと救済されたんです。でも、この種の情報がキャプテンのふうなもので今までとは比較にならないほどの拡散ぶりを見せたときに被害は非常に大きい。こういう状態になったときに、一々それを訴訟に訴えて事後救済を頼まなければならない、こういう重大な状態になっていると私は思うんですけれども、この点どう思われますか。
○国務大臣(江崎真澄君) 全くそのとおりだと思います。そういうことがあってはならない。だから基本問題検討部会などを通じ、また私どもも鋭意これらの対策にどう今後こたえていくか、これを十分現実的な問題として対処する考えであります。
○久保田真苗君 そうしてみますと、地対法によりまして今まで地域主義で地域対策をやっていたということではこういう問題は到底片づかない、不十分だと、こういうことになりますね。
○国務大臣(江崎真澄君) 地対法でやってきたこととはまた別な面で、教育とか啓蒙とかいろんな方法もあると思います。ただ、先ほどちょっと申し上げましたように、時間の関係もあるでしょうから、社会党の方から衆議院でも、新立法で取り締まったらどうだと、これはもうさっきお答え申し上げましたから繰り返しませんが、そういうことを全部ひっくるめて深刻に対応をしたい、こう思っております。
○久保田真苗君 私は、啓蒙とか啓発とか教育、それとこの問題とはちょっとずれていると思うんですよ。啓発で人権を保護する最低線を維持することはできないんです。ですから、啓発結構、これも大いに国や地方公共団体の義務としてやっていただきたいけれども、しかしそれだけではどうにもならない。こういうことがどんどん起こったとき一々訴訟に訴えるのでは、当事者は奔命に疲れてしまいます。ですから、この問題を含めてというよりは、これはもう人権保護の歯どめは必ずする、そういう姿勢で臨んでいただきたいんですが、いかがですか。
○国務大臣(江崎真澄君) 全く同感です。
○久保田真苗君 今子供のいじめの問題が問題になっています。でも、これは大人もやっているんですね。部落差別という大人の弱い者いじめが子供のいじめの精神的風土だと思うんですよ。そうしますと、これは同和だけの問題でもないし、また局地的な問題でもないんです。ですから、この精神構造に揺さぶりをかける、これがない限り子供のいじめも直らないんじゃないかと私は思うんですね。ですから、国の姿勢を新たな立法措置によってぜひ正していただきたい、前向きに取り組んでいただきたい、このことについて御答弁をいただいて質問を終わります。
○国務大臣(江崎真澄君) 先ほども申し上げましたように、新たな法律を設けて取り締まることが本当に適当なのか、あるいはかえって同和していく上に、もともと一緒なんですから、同じ日本人ですから、それを法律によってやることがいいことかどうか、もう少し時間がありますから、これは地対法の終末までの間に十分私ども責任を持って対応策を講じたい、かように考えております。
○久保田真苗君 御検討いただくのは結構なんですけれども、既に問題点は明らかだと思うんです。ぜひ前向きに取り組んで納得のいく結論を出していただくようにお願いいたします。 どうぞお願いします。
○委員長(安田隆明君) 以上で久保田真苗君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(安田隆明君) 次に、中野明君の質疑を行います。中野君。
○中野明君 日銀総裁が大変お忙しい中をおいでいただいておりますので、最初に円高問題についてお尋ねをしたいと思っております。 既に御承知のように、円相場がきのうの終わり値は百七十五円五十銭、過去最高の記録をしたんですが、その前に百七十四円台に突入をしたということで為替市場大変な混乱でございます。日銀総裁は、この円高の状況をどのようにごらんになっておるのか。そして、これは行き過ぎと思われておるのじゃないかというようなことも思うんですが、考えてみますと、昨年の秋のG5以降わずか半年で三八%の円高であります。介入される気持ちがあるのかないのか、その辺を含めてお答えをいただきたいと思います。
○参考人(澄田智君) お答えを申し上げます。 円相場は、二月の半ばごろから百八十円前後の水準で推移しておりましたが、先週末から再び上昇したわけでございます。 背景は、年初来の原油価格の下落、また先行き下がるだろうというような話、これを背景とした米国長期金利の低下といった事情に加えまして、先週末発表されました米国の二月の生産者物価や鉱工業生産指数等がいずれも市場でドル安材料というふうに受けとめられて、そして主として円を買うという形でドルが売られた、そういう状況が挙げられると思います。かなり投機的な動きが先週末から今週の初めにかけてあったわけでございます。ただ、一段の円高・ドル安につきましては、一方において警戒感もかなり市場に出てきております。昨日の午後の東京市場、あるいは昨日のロンドン、ニューヨーク市場における相場の動き、やや落ちついてまいりまして、警戒感がかなり市場にあるということをうかがわせるものがあるような状況に見ております。 それから、ニューヨークG5以降のドル高の修正の動きにつきましては、繰り返して申し上げておりますように、円高の基調というものは対外不均衡是正の上において方向としては望ましい方向である、こういうふうに思っておりますが、ただそれが余りに急激に進むということは、これは我が国経済の対応を著しく困難にするという面もございますし、また世界の通貨情勢の安定という上からも望ましくないという面もございますので、当面におきましては安定をするということがより望ましいと、かように考えておる次第でございます。 それから、介入の点についてお話がございましたが、一般論として申し上げますれば、介入は相場が無秩序に乱高下をするというような場合に適時適切に行うべきものである、そういうふうに考えておりますが、具体的にいつどのような方法でどのような介入を行うかということについて申し上げますことは、市場に接しております当事者として、私の立場から申し上げますことはこれは無用の憶測ないし思惑を生ずるというおそれが多分にございますので、その点は差し控えさしていただきたいと存ずる次第でございます。一
○中野明君 大蔵大臣にもお尋ねをするんですが、あれよあれよといううちに過去最高値を記録したんですが、大蔵大臣としてはこれをどうごらんになりますか。
○国務大臣(竹下登君) 昨日も記者会見を求められまして発表したところでありますが、米国経済が予想ほど好調でなかったこと、石油価格が低下していること等を背景にドルの先安感があったところへ、先ほど日銀総裁からのお答えにもありましたように、市場の思惑的な動きが加わったと、こういうことであろうと思っております。 したがって、最近の為替相場は一月ばかり安定しておりましたが、先週末以来の動きはかなり急である、当局としても為替市場の動きを十分注視していきたいと、このような談話を発表いたしたところでございます。 先ほど日銀総裁からもお答えがございましたように、介入という問題につきましては為替市場への影響があり過ぎますので、お答えを差し控えさしていただきたいということであります。
○中野明君 総理大臣にも円高のこの急激な状態、特に過去最高を記録して、まだどうなるかわからぬというような状況について総理大臣の所見をお伺いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) いわゆるフローティングシステムをとっておるところでございますから、相場がどういうふうになるかということは市場の実勢によって決められるべきもので、政府がとかく言うべきものではないと思います。 ただ、政府といたしましては、余り急激な変動が起こりますとそれが経済関係にショックを与える危険性があります。そういう意味において急激な変動とか乱高下というものは回避するように政策的に努力すべきものであると考えております。しかし、それらのことは、一応日銀なり財政当局に征してあることでありますから、そちらの自主的判断によって処理さるべきものであると考えております。今日の事態は非常に変動が急激過ぎると、そういうふうに私自体は感じております。 それから、このような状態のもとに中小企業関係にかなりのショックを与えているのではないかと思いまして、通産省をして全国を調査させました。きのう報告を受けましたが、やはり産地におきましては相当な打撃を受けて契約が停滞しておったり、あるいは見込みがまだつかないという状態で、既存契約でようやく生きているという状態のものがあって、いずれそれが切れる危険性も出てくるところもありました。そういう面から至急にこれに対する対策を立てるように内閣全体協力してやるように指示したところであり、けさも政府・与党の会議におきまして、自民党と一緒になってその対策を講ずるように指示したところでございます。
○中野明君 今総理の答弁にも、急激に来てこれはやっぱり政策的にも考える余地があるということなので日銀とか大蔵省に住してあるというお答えなのですが、もともとこのドル安・円高といいますか、この介入というものはG5で政策的な介入、これから端を発しているわけです。ですから、入り口で国際協調をして、そして世界経済を安定させるために円高誘導をしたわけですから、先ほどから日銀総裁も大蔵大臣も言葉を非常に慎重におっしゃっていますけれども、日本の現状というものは、百七十五円では、きょうの新聞でも各紙が報じておりますけれども、実質成長も本年は一・九%ぐらいになるだろう、中小企業で外国輸出向けのところはもうお手上げた、こういう大騒ぎになっているわけですが、せっかく入り口で介入をしたんですから、やはり今度は日本経済がもたなくなっそくるという、こういう状況になれば当然いわゆるG5、特に日本が中心になってG5が運営されているやにも私聞いているのですが、竹下さん、その意味では竹下さんなりあるいは日銀総裁はこれは仕掛けた人ですから、仕掛け過ぎてもうどうもならなくなってきたのですから、この辺でもう一遍仕掛け直すという、そういうことをやはり思い切ってやらないと大変なことにならないかという心配なんですが、その辺どうでしょう。
○国務大臣(竹下登君) したがって、私どもはこの為替市場の動向につきまして注視しておるという言葉を使わしていただいております。中野さんのおっしゃるような御意見もあるというようなことは十分承知いたしておるところであります。
○中野明君 国内でも百五十円説というようなことを言う人も出てきたり、アメリカでは百円がいいんじゃないかというめちゃくちゃなことを言う人も出てきているような、こういう状況のもとで今のような悠長なことをお考えになっていていいのだろうか。ぜひこれは国際協調ですから、今度は日本から協調を求めてやるべきじゃないかと思うのですが、日本政府独自の介入もさることながら、一国の介入というのはやはり限界があると思います。やはり国際協調で介入をしていくという、こういう行動をおとりになりませんか。総裁どうでしょう。
○参考人(澄田智君) ニューヨークG5以降とりわけそうでございますが、その前からも連絡は随時とっておったわけでございます。ニューヨークG5以降、国際的な協調ということの前提におきまして常時連絡をとりつつ為替市場に対応している、そういう状況でございます。こういうふうな昨今の状況でございますだけに、一層私どもといたしましてはG5の趣旨にものっとり連絡を密にしてまいりたい、かように思っておりますが、先ほど申し上げましたように、介入自体につきましてのことは、協調介入を含めまして私どもの方から申し上げることはこれは差し控えさせていただきたい、かように存ずる次第でございます。
○中野明君 大蔵大臣、どうでしょう。
○国務大臣(竹下登君) 本来はウィリアムズバーグ・サミットの際に、有用と認めるときは介入もあり得る。しかし、その実行行為が行われたのが今中野先生おっしゃいましたニューヨークのG5以降、あのときは完全に認識が一致した、こういうことでございます。現実、協調介入でありますとかあるいは介入でありますとかという問題につきましては、日銀総裁から今お答えがありましたように、私ども通貨当局者としてこれについては非常に非礼な言い方をすればノーコメントと、すなわちお答えができませんということでお許しをいただきたいと思います。
○中野明君 どうも私、そういう言い方、確かに立場上そういう言い方をなさるんでしょうけれども、入り口で政策的協調介入しておいて、そしてここまで来たんでしょう。そして様子を指くわえて見ていますというのじゃ困るんであって、何とか手をお打ちにならないといけないんじゃないかと、こういうことでお尋ねをしているわけですが、こんな状態ではもう中小企業というのはこれはひとたまりもありません。大企業でもこんなに急に来れば対応力を失うんじゃないかと心配しておりますし、何かもう中小企業でもことしの賃上げは見送るというところが去年の倍以上出ているという報道もあります。こういうことを考えますと、これは何とか早急に手を打たないといけないんじゃないかと思います。 もう一つは、相場もさることながら、先ほどからお話が出ているように、円相場の安定ということがやはり大事だろうと思います。そうなりますと、これはどの程度が安定の目安かということ、これまた大問題になってくると思いますが、恐らく東京サミットあたりでこれはもう重要な政策課題になってくるのじゃないかと思いますが、この点について大蔵大臣はアメリカで、二百円ぐらいなら日本も対応力があるだろうということを二百円にならぬときにおっしゃったことが、また第二の引き金になって円高が進んだということも言われておりますが、この東京サミットでの安定の目安といいますか、その辺を含めて東京サミットで一応の安定のラインをつくるというようなお考えがあるかどうか、総理と大蔵大臣にお尋ねします。
○国務大臣(竹下登君) 私が発言しましたことでよく言われておりますのは、ちょうど二百一円でございまして、それで百九十九円になったらどうするかと、こんな質問がありました際に、それは市場がお決めになることであるというふうに答えたわけでございますが、ある一紙は百九十円許容発言とか、こういうような報道をしたということも承知をいたしております。 いずれにせよ、やっぱり今おっしゃる安定ということは何よりも大事なことでございます。しかしながら、フロート制であります限りにおいては、市場が神様であるといった場合に、いわば通貨当局者が一つの値ごろ感とか相場感とか言うことは、やっぱりこれは差し控えるべきであるというふうに思っております。私どもお互いが一番大事なことはやっぱり可能な限り政策の協調をしていこう、そしてインフレなき持続的成長というものに先進国みんなが心がけて対応すればおのずから為替相場というものも安定するという共通の基調でもってこれに対応しておるということでございます。 それから、先ほど来の中野さんの私見を交えた御意見でございますが、それは私どもも十分承知をいたしていなければならない課題だと思っております。
○中野明君 それでもう一点は、公定歩合の再々引き下げということでありますが、これはもう必至だろうというふうにみんなが思い出しますと、なるべく早く手を打ってあげないとかえって投資を手控える、歩合が下がるまで投資を待っておこうというようなことでまた手おくれになるということもあるのですが、公定歩合の再々引き下げについて日銀総裁の考えをお尋ねします。
○参考人(澄田智君) 日本銀行は景気、物価、為替あるいは内外の金融情勢等を総合的に勘案いたしまして一月末に公定歩合を引き下げましたが、それに引き続きましてさらに去る三月十日に公定歩合の引き下げを実施したばかりでございます。現時点におきまして公定歩合をさらに引き下げるということは全く考えておりません。 なお本日の新聞に、来月上旬にも公定歩合引き下げかというような報道がかなり多くの新聞に出ております。しかし、実は昨日私は記者会見を行いまして、その席上、今申し上げましたとおり、現在公定歩合を引き下げることは全く考えていない、こういうことをはっきり申し上げたばかりのところでございます。
○中野明君 新聞には、今おっしゃったように、言われたことのないことが載っているというんですが、どうもこれは新聞としては推測でそう書いたのかもしれません。 しかしながら、ああいう報道がなされてくるということになると、これはどこかに根拠があるのであって、そうなりますと投資を手控えるという逆効果が出てくるわけです。ですから、もし再々引き下げをされるのなら可及的速やかに手を打ってもらわなければいかぬ。そうしないと機を失するということを申し上げているのでありまして、大蔵大臣、その辺はどうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 公定歩合の操作は、今、日銀総裁からのお答えがありましたように、これはまさに日本銀行の専権事項で、適時適切な対応をされるであろうということをいつも思っております。
○中野明君 この問題で時間を余りとるわけにまいりません。 総裁、大変お忙しいところありがとうございました。 それで、本年の予算なんですが、六十一年度の税収見積もり、いわゆる六十一年度当初予算を組むときの発射台というものが、六十年度の補正予算の減額分、これだけ違ってきているわけです。まず発射台が違ってきております。そこへ今の円高と、こういうことで、六十年度当初と六十一年度当初との増加分の差というものが、補正によって、今まで出しておられた増加分の差が変わってきているわけであります。補正予算後の、六十一年度当初予算と六十年度当初予算との差、これは大変変わってきております。 そこで、大蔵省にお答えをいただきたいんですが、法人税、所得税がどれぐらい増加が変わってきたか。そして石油税はどれくらい減少となるか。その三つをお答えいただきたい。
○政府委員(水野勝君) 御質問でございますけれども、昭和六十一年度税収見積もりは六十年度の補正後の数字を一応土台といたしてございますので、補正減の分だけが変わってくるということはないのではないかと考えておるわけでございます。 確かに、補正後予算は二月に御提出申し上げてはおるわけでございますが、そのもととなる計数につきましては六十一年度税収見積もりと一緒に算定いたしておりますので、補正によりましてその分が変更になってくるという心配は、その点につきましてはないのではないか、こんなふうに考えております。
○中野明君 今のお答えでは、一緒に補正も含めて六十一年度は税収を当初予算で見ている、こういうことでしょうか、もう一度。
○政府委員(水野勝君) 大筋そのとおりでございます。
○中野明君 そうしますと、この税収見積もり、これが今の円高によって法人税その他が落ち込んでくる、こういうことを当然見なければならぬのですが、これはどう読んでおられますか。
○政府委員(水野勝君) 昭和六十一年度税収につきましては、六十一年度予算編成の一環といたしまして、現時点と申しますか、予算編成時までの課税実績、それから六十一年度に想定いたしております経済の姿を示すところの政府経済見通しの諸指標、そういったものを基礎といたしまして、個別税目ごとに六十年度補正後予算額を土台として適正に見積もったものでございます。 御指摘の法人税につきましては、私どもとしても諸指標それから課税実績、こういったものを基礎といたしまして六十一年度税収予算額それ自体を見ますと、むしろ六十年度当初予算額に対しましては一千億円程度の減収を見込むような結果となるような数字を見積もっておるわけでございまして、現時点におきまして、これが現時点でのもろもろのデータ等を基礎といたしました適正なものであると、このように考えておるわけでございます。
○中野明君 今、予算審議の最中ですから、どうもそういうお答えしか出ないんじゃないかと思いますが、この予算を組まれたときの円というものは二百九円で大体見ておられるはずです。ですから、それなんかを含めまして企業の収益あるいは個人の所得の動向というようなものを見ていきますと、今おっしゃっているような、そんなのんきなものじゃない、必ずこれは減収で歳入欠陥が出てくるというふうに我々は心配をしているんですが、大蔵大臣、その辺は大丈夫なんでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 御説のとおりの前提、例えば石油税で言いますならば、この原油輸入量を二億五百万キロリットル、円レートを二百四円というような計算で組んでおります。したがって、従価税部分なんというのは、確かにこの状態が続いた場合は減収になりましょう。 それから、法人税全体の問題でございますと、またいわゆる円高メリットの部分もあるわけでございますので、これは見積もりでございますから、これが絶対で一銭一厘違わないものとは申し上げませんが、あの予算編成の段階において諸指標を基礎にして積み上げたものでございますから、私は現状においてはやっぱりこの見積もりというものが最も適正だというふうにお答えをすべきであろうというふうに考えております。
○中野明君 これは私は、今回の円高の状況の推移から見て必ず歳入欠陥が出てくる、そして成長も、たびたび経企庁長官も述べておられますが、四%成長というのは不可能になってきたと、このように思うわけです。きょう伝えられるところによると、このままの水準で行けば一・九%ぐらいにならぬかと、こういうことなんですが、経企庁長官、大丈夫なんでしょうか。
○国務大臣(平泉渉君) 今、段々お話しのとおり、国際経済情勢に非常に大きな変化が起こっておる、こういうことがございますが、我が国の経済の方そのものの実体はこういう情勢を十分乗り切っていけると、そういうふうなことで私どもは、その後例えば輸出が減少してくるんではあるまいかというようなことがいろいろございますが、しかし実質成長率四%というところは、これは円高のメリットという部分も出てまいりますし、交易条件がよくなってくると、こういうこともございますし、また物価にいろいろ変動がございましても実質の価格というものはそのメリットを十分表現できると、こういうふうに考えておるわけでございます。
○中野明君 随分のんきなことをおっしゃって、今だからいいんですけれども、後で青くならないようにしてもらいたいと思います。これはとてもじゃないが、円高のメリットというのはもう年末過ぎでないと出てきません。企業の収益ががたがた落ちてきて税収が欠陥するのはもう間違いないと、私はこう見ております。警告をしておきたいと思います。 次の問題に入りますが、地方財政と行政改革ということでお尋ねをしたいと思います。 まず、今回また、昨年のお約束をお破りになって補助金の一律カットということをやってこられているわけです。これはもう完全に約束をほごにされたと言う以外にありませんが、それに先立って、大臣もかわられたことですし、補助金問題に覚書を交わされた厚生大臣、自治大臣、両大臣に地方財政の現状をどのように認識しておられるか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(小沢一郎君) 地方財政につきましては、六十一年度末における借入金も五十八兆八千億に達しております。そして、個々の地方公共団体におきましても公債費負担率が非常に高まってきておる現状でございます。したがいまして、地方財政は大変厳しい状況の中にあると認識いたしております。
○国務大臣(今井勇君) 基本的には国も地方も極めて厳しい状況にあると認識いたしております。このような厳しい状況ではございますが、国と地方は言ってみれば車の両輪のようなものでございますから、ともに福祉水準、これの維持向上に努めていかなければならない、このように基本的に考えております。
○中野明君 地方の財政の現状をまずお尋ねしたんですが、国も苦しい、地方も苦しい、そして車の両輪と、こうおっしゃるんです。これは総理も絶えずそういうことをおっしゃいます。 それで、この補助金の一律カットというのは、昨年はもうことしきりだということをはっきりこの場でもお約束になって、今度やるときにはいわゆる負担区分のあり方、抜本的なものまで含めて検討をしますというお約束になっているんですが、それをまた同じことを繰り返されたというのは大蔵大臣、どういう理由でしょう。
○国務大臣(竹下登君) 確かに御指摘がありましたように、昭和六十年度における高率補助率の引き下げは一年間の暫定措置であります。六十一年度以降の補助率のあり方につきましては国と地方の間の役割分担、費用負担の見直し等とともに政府部内において検討を進め、その暫定期間である一年以内に結論を得ますということを百二回国会におきましても申し述べてきたとおりでございます。そこで補助金問題関係閣僚会議、これをつくりまして、その下部機関として補助金問題検討会をつくってそれを随時開催いたしまして、六十一年度予算におきますところの補助率の見直しは、その閣僚会議の経緯の上に立って十二月の二十一日に関係閣僚会議で決定をしたということでございます。政策分野の特性に配慮しながら、社会保障を中心に事務事業の見直しを行いながら補助率の総合的見直しを行ったということでございます。ただ、検討会の報告でも、いわゆる生活保護の点につきましては両論併記と申しましょうか、そういう報告をちょうだいしたことは事実でございます。
○中野明君 総理、総理も去年、今大蔵大臣がお述べになったことと大体同じようなことを補助金特別委員会でお答えになっている。六十年度限りの暫定措置でございます、六十一年度以降は補助率のあり方については国、地方の役割分担、費用負担の見直し等とともに十分検討を進めて結論を得ると、こういうふうにお約束になったわけです。しかもその論議の過程では大蔵大臣も、このような手法はもうこれはよろしくない、正常なものじゃないというニュアンスで物をおっしゃっておったんですが、また同じパターンで、しかも今度は三年という暫定。結論を出すと言って、役割分担とか費用負担の見直しということを一切何もやらないで同じ手法でまた三年延ばす。これは地方の人たちから見ればだまされたとしか言いようがないと思うんですが、総理、どうしてお約束になったとおり役割分担、費用負担の見直し等も含めておやりにならなかったんでしょうか。どうなんでしょう。
○国務大臣(竹下登君) 先ほども申し述べましたように、私どもは、補助率のあり方につきましては、「補助金問題検討会の報告を最大限尊重することとし、その趣旨を踏まえて、予算編成を行うこと。」、これは十二月二十一日に補助金問題関係閣僚会議で決定をいたしました。しかし、「生活保護に係る補助率については、昭和六十一年度から六十三年度の三年間は十分の七とし、その後のあり方については、改めて、大蔵・厚生・自治の三大臣が協議して定めること。」、このようなことを決定をいたしたわけであります。それは、先ほども申し上げましたように、生活保護に係る補助率については検討会でもいわば両論併記という形であったから、いずれかの選択を迫られたからこのような結論にいたしました。その他の問題につきましては、やはり費用負担のあり方等々を根底に置いて、検討会においてもそしてこの閣僚会議においても議論をしたところでありまして、六十年度の措置というのはいわば一律カットであった、だから一年間の間に見直しをいたしますと、こう申しておったわけでありますが、今回は費用負担のあり方等基本にさかのぼった議論を行った上で決定したことは事実であります。
○中野明君 これはどうせ補助金問題の法案のときに詳しく議論したいと思いますが、地方の方から見れば、これはもう完全にだまされたとしか言いようのない措置であると、私はこのように言わざるを得ません。 そこで、総務庁長官にお尋ねをしますが、こういうやり方、国から地方に肩がわりと、こういうやり方をもって行政改革とあなたはお考えになりますか。
○国務大臣(江崎真澄君) 大蔵大臣も答弁しておりましたように、全く緊急やむを得ざる特例の措置と、こういうことでありまして、こういう形は正常ではない、やはりもっと秩序正しくやっていくべきであるというふうに認識をしております。
○中野明君 これをもって行政改革だと思われたら、私はこれはもう情けなくて物が言えません。詳しいことは法案のときにやりますけれども、今回のこういうやり方は、地方を納得させるために、肩がわりをしているけれども財源措置はしている。財源措置をして、あとの足らぬところは地方債で認めているから、それで地方は困らぬのだというやり方、これは結局国債を地方債に肩がわりしただけじゃないか。そんなに十分手当てをしてやれるのだったら、今のままで国の方で手当てをしていけばいいのであって、ねらいは、結局国の財政の負担を軽くするために国債でやらなきゃならぬところを地方債に肩がわりをしただけと違いますかと、私はこう言いたいのですが、大蔵大臣どうでしょう。
○国務大臣(竹下登君) 例えば事業費を確保するための公共事業等につきましてのいわば補助率の改定に伴う地方負担等につきましては、起債充当というような措置で行われるということも事実でございます。が、私どもは、まず、地方財政計画というものはいわばマクロで見る立場にございます。マクロで見た場合の不足分に対しては、このような方法で出口ベースではきちんと整合性のとれたものにいたしますということにおきましてこの地方財政計画というものの合意に達した。ただ、率直に申しまして二千四百億円のたばこの臨時措置につきましては、これは別の角度からまた御議論もあろうかと覚悟をいたしております。
○中野明君 そこで、まず行政改革ということなんですが、行政改革の一つの大きなやっぱり柱は補助金、この補助金の削減、いわゆる役目の終わった補助金は切る、そういうことと、もう一つはやはり補助金の受け手である地方公共団体側は手続がもうとても大変だ、これを簡素化してほしいというこの二つが行政改革の一つのねらいになっているんですが、総務長官はこの地方自治経営学会という磯村さんがやっておられる「地方が求める国側での改革」というアンケートを地方からおとりになったんですが、これはなかなか本音が出ないところを本音を出していると私はある程度認めます。今まではまともにいったのじゃなかなか本音は出ません。これはごらんになりましたでしょうか。
○国務大臣(江崎真澄君) これはもう十分拝見しております。そしていかにも労力がかかり過ぎておる。ちょっと私どもも反省してこれは調整しなければならぬなということをしみじみ思います。それからまた、中には極めて少額の助成金を要請して、そして地元負担が多いというケースもあります。この場合は、地元の福祉に貢献したり、地元の要請にこたえるために中央から何がしかの助成があると、地方の豊かな財政事情にある市町村などにおいてはその原資が出しいいと、こういうために中央に求めてくるというケースもあるようですが、こういったものは極力今後整理をしていく必要があるというふうに考えます。
○中野明君 昨年、後藤田さんが総務長官で補助金の審議のときに、いわゆる今の手続、率をカットされて手続が一緒だったら地方はもう負担が余計かかってたまらぬということで、やります、手続を簡素化しますということをおっしゃっているわけなんですが、その後どの程度簡素化されたかということなんです。一例を挙げて建設省にまずお尋ねしてみたいと思いますが、公共下水道の整備事業というのは申請から決定までに八回から十回県へ行って、一回の資料が百三十ページで厚さが十六センチから二十四センチ。一回の資料づくりに二人から四人で十日から二十日かかって、手間にかかる人件費は八回で四百万円に上ると、こういう実情が報告されておるわけです。建設省はこれは少しは簡便になったんでしょうか、その辺どうでしょう。
○国務大臣(江藤隆美君) そのような報告も聞きましたので、早速実態を調べて実地に合うように今改善に努めておるところでございます。
○中野明君 だから、これは去年やってもらわなきゃいかぬことなんです、お約束だったんですから。 文部大臣にお尋ねしますけれども、公立学校施設整備事業、これは計画書の提出から精算払い請求書の提出まで十一回県へ行って、県を通じて文部省。一回の資料が五十枚から百二十枚、二人の職員がその都度三日から七日かかって資料をつくり、手間にかかる人件費百三十万円と、こうなっているんですが、これらはもっと簡単にならぬでしょうかね。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、できるだけ簡素合理化しなければならないというので取り組んでおりますが、具体的には従来二部必要としました関係書類の提出を一部にするとか、添付書類を省略化するとか、その他のことについてなるべく簡素になるように努力をいたしております。
○中野明君 ぜひこれは実行に移してもらいたいと思います。もう地方が悲鳴を上げているのはこれのようです。とにかくもう県においては各市町村から提出されたもののヒアリング、取りまとめ、中央省庁への提出、説明に相当な日数と労力がかかり、そしてその後会計検査院の問題がありまして、大体今申し上げた金額の二倍から三倍かかると、こうなっております。 しかも、先ほど総務長官ちょっとおっしゃいましたように、零細な補助金ですね、この報告によりますと、三万八千円の補助金をもらうのに事務手続に要する経費が四万五千円。だから、四万五千円の経費を使って三万八千円の補助金をもらっている。あるいは八万四千円の補助金をもらうのに四十二万円事務経費がかかっている。全部あります。これは農水省の関係のようですよ。それから十四万三千円の補助金をもらうのに十八万八千円。まず事務経費にそれだけかかるんです。これは自分のお金だったら、まさかこんなことはしないと思いますね。けれども、役所のお金ですから余り自分の腹が痛まぬものですから、職員には苦労を強いて徹夜で作業させて、そしてこんなばかなものをもらっているんですね。 こんなのは地方の方からもう要望が出ているんです、やめてくれと。ところが、やめてくれない。こういうのをきちきちしていくのが行政改革じゃないだろうか。これはむだな金です。それはもう全部地方にどうかさせて、そして一般財源で財源をつけてあげて、やりなさいとしてあげるのが正しいと思いますが、どうでしょう。
○国務大臣(江崎真澄君) 全く同感です。これはもうお互いに政治家ですからよくわかります。さっき申し上げたようなケースもありますが、わずかなことで時間を要するなどということはとんでもない話です。そこで、昨年こういった御質問が同様にありまして、当時の後藤田総務長官が答えておりますね、それを受けて行政監察を十月から十二月にかけてやっております。目下それについて取りまとめ中でありますから、速やかにその成果について、また今後はこういうふうになるという御答弁ができるようにいたしたい、こう思っております。
○中野明君 それから行政改革は、これはもうこれから始まると言ってもいいぐらいまだまだあるんです。総理にお尋ねをしますが、臨時行政改革推進審議会、これは六月末で一応期限が切れることになっているんですが、これは残されるお考えなんですか、それともこれで一遍もう終わりにするお考えなんですか。
○国務大臣(江崎真澄君) 総理からの御答弁を要請されましたが、これはまだ総理とも御相談をしていない問題でございます。それはなぜか。それは臨調における総まとめの今答申をいただく場面でございまして、いわば総まとめの作業中に、さてどうするかということを議論することはこの際見送って、もっと実質的ないわゆる卒業論文的な成果ある答申をいただこうと、こういうわけですから、まだ時間もあることでありまするので、総理とも、また関係大臣ともよく相談をしながら、こういったことについては結論をつけたいというのが現在の立場であります。
○中野明君 総理、どうでしょう、やっぱりこのまま残しておくべきだと私は思うのですが、総理のお考えは。
○国務大臣(中曽根康弘君) 目下作業中でございますから、総務長官が御答弁申し上げたとおりでございますが、中野さんの御意見は御意見として承っておきます。
○中野明君 行革はまだ緒についたばかりでございます。やはりこれは後をひとつしっかり監視をしてもらって、そして行革の助けにしていただかなければならぬと私は思うので、意見を申し述べておきます。 次の問題に移りますが、対外経済協力の問題なんです。 既に総理も御承知のとおり、我が国も経済大国になりまして、対外経済協力というものは国際的な立場から我が国の重大な政策としてやらなきゃならぬことは事実でありますし、貿易摩擦その他の解消にもこれは非常に有力な裏づけになると私は思っております。ぜひこれはやっていただかなきゃなりませんが、最近起こりましたフィリピンのいわゆる政変といいますか、マルコス前大統領が国外に退去されてそしてアキノ新政権が生まれたわけですが、連日伝えられているように、マルコス前大統領が膨大な資産をアメリカとかあるいはその他に、フィリピン国内はもちろんなんですが、蓄積をしておった、こういうことで非常に批判が強まり、アメリカの議会でもこれを追及しようという姿勢が出ているように承知しております。非常に遺憾なことでありまして、フィリピンの現状は我が国の強力な経済協力にもかかわらないで、経済が困難に陥り失業率も高い。国民の側から見ても、この経済協力というのが本当に正しく使われたんだろうかという疑問というのか不安というものがあるわけです。 もしも、そんなことはないと私たちは信じたいわけですけれども、マルコスさんの膨大な蓄財の中に我が国の経済援助が一部でも加わっているということになるとやりきれない気持ちなんですが、総理としてこのマルコスさんの蓄財といいますか、為政者としての立場からどういう御感想をお持ちになっているのか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 新聞報道でいろいろ拝見はしておりますが、我が国のODA、経済協力というようなものは一つ一つ事項ごとに事前の調査、それからそれが妥当であるか否かの判定、そして協議、それから交換公文の交換、そういう厳重な外交手続を経て進められ、また事業が実施された後におきましても、果たしてそれがどういうふうに進められたかという評価等も行っておりまして、日本が行っている経済協力について不正があるというふうには考えておりません。 マルコス氏のいろいろな財産につきましては報道されておりますが、外国の元元首のやったことでおりますから、いろいろ批判したり論評することは差し控えたいと思います。しかし、政治が清潔でなければ民主政治は成り立たないということは大いに考えておかなければならぬことであると思います。
○中野明君 マルコスさんが国民の指弾を受けて失脚をしたといいますか、国外に出なきゃならなくなったという大きな理由の一つに私財が余りにも大き過ぎたということがあるやに私は思いますが、総理はそう思いませんか。
○国務大臣(中曽根康弘君) フィリピンの国民がみずから判定して民主政治の名のもとにいろいろ対応すべきことであります。外国の元首の行ったことについていろいろ論評することは差し控えさせていただきたいと思いますが、民主政治というものは政治が清潔でなければ成り立たないということは先ほど申し上げたとおりであります。
○中野明君 とにかく一説では、五十億ドルから百億ドルの私財を蓄積したと言われているし、フィリピンのアキノ政権では行政規律委員会というものをつくって、そして徹底的に追及しようとしておるようであります。これが五十億ドル、百億ドルといいますと、フィリピンの国家予算が三十一億ドルですから、国家予算の二年分あるいは三年分というものを蓄財したということになると、これは大変な騒ぎになっているはずだと思います。特に先ほど総理から御返事いただきましたが、日本の経済援助が正しく使われていると信じる、こうおっしゃっております。私も外務省が出しておられる、この「経済協力評価報告書」というものを見せていただきました。非常に熱心に調査、評価をされているようですけれども、ところが、こういうことをおっしゃっているんですね。総理もよく御存じの方ですね、朝海浩一郎さん。これは初代のフィリピン大使、そしてアメリカ大使も最終的に歴任をされております。この方がこういうことを言っておられます。 三十一、二年ごろのマルコス前大統領にまつわるエピソードとして、「当時、マルコス氏は切れ者の下院議員。第二次大戦で破壊された教会の再建用に日本から送られてきた大量のセメントを、他の議員ともども自分の選挙区の構造りに流用するなど、相当あくどいことをやった」、「「日本からの援助はかなりでたらめに使われ、貧富の差を助長する結果につながった。援助のあり方を見直し、フィリピンの自助努力も求めるべきだ」と年来のうっぷんをぶちまけた。」と報じられておるんです。だから、現職の大使でじかに見ておられた方がこういうことを今になって述懐されているということは、何かこの報告書がそらぞらしいなという気持ちもするんですが、外務大臣、これはどう理解されますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今御指摘の点につきましては、私も朝海元大使にその発言の趣旨について確かめたわけでございますが、この発言は、援助を受ける側の自助努力がまず必要であるにもかかわらず、当時のフィリピンにおいてはそれが十分ではなく、その一つのあらわれが貧富の差の拡大とか農地改革を実行しないことに見られたという趣旨のものであった、こういうふうに聞いておるわけでございますが、朝海大使が強調されたのは、やはり自助努力というのが必要である、それに対して援助が適正に行われなきゃならぬということであろうと思います。 しかし、今フィリピンの援助につきましてそういう発言から疑問が持たれるというふうな御趣旨の御質問でもございましたが、これは先ほど総理からも答弁がありましたように、我が国の援助というのは相手国の要請に対しまして十分事前に協議等もいたしておりますし、調査等もしておりますし、これは積み上げた形でこれを行っておるわけで、そうして行われた、また実施されたフォローアップ、評価等も御案内のようにいたしておるわけでありまして、私はそういう意味で我が国の開発途上国に対する援助は、その国の要望にこたえた、また国民の福祉の向上等に直接つながる援助が行われてきたというふうに確信をいたしておりますし、そういう点では開発途上国の国々も日本の援助を高く評価いたしておるわけでございます。したがって、私はフィリピンの今日までの経済の安定にはこれは大きな裨益をもたらしたというふうに考えておるわけでございます。 新しい政権との援助についての相談はまだいたしておりませんが、要請もありますし、それにこたえて近々協議チーム等も派遣いたしまして具体的に今後の援助方針等も詰めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○中野明君 外務大臣、この朝海さんが言っておられるように反省も含めて、全部がただ間違っているとは思いません。しかし、そういうように一部にでもそういうことがあったということ、あるいは援助をしておいて向こうの政府は喜んだかしらぬけれども国民は不満たらたらだというのじゃ、これは出した方の日本の財政当局だって、これは苦労をして捻出してそれで向こうの国民に喜ばれぬということになったら、これはもう本当に何とも言いようがありません。現地で外務省にはそういう情報は僕は入っていると思うんですね。だからそういうことを集約して、今後ますます経済協力は世界に先駆けてしていかなきゃならぬ我が国ですから、それだけに事前調査、事後評価、あるいは協力をするときの話がまとまったときに結果を報告してもらう、こういうことをやっぱりちゃんと最初から義務づけておくというのか取り決めておくという必要があると思いますが、その辺を含めてお答えいただきたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 我が国の援助は、今おっしゃるように、その国の民生の安定、福祉の向上に結びつく、あるいは経済の安定に結びついたものでなきゃならぬということは当然のことであります。それには、これまでの援助のあり方等につきまして我々としてもいろいろと問題点等も含めて検討もいたしておりますし、この援助を的確に、効率的に行うということは大事でございますから、そうした反省も踏まえて、今後とも十分相手国と協議をして、この援助が本当に相手国の国民の経済あるいはまた福祉の向上に役立つように、これからも協議し慎重に対応していかなきゃならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。
○中野明君 それじゃ、ぜひそういうことを踏まえて効率的な、向こうの国民が喜ぶような、そういう援助をお願いしたいと思います。為政者というのはえてして大きな建物とか、病院とか、そういう目に見えるものをつくって、国民はそれを余り喜んでいないということも聞いております。あるいは近代的なものを援助して、こっちが手を引いたら向こうはもう使い方もわからぬ、雨ざらしになっているという話も聞きます。これでは何の援助かということになります。 次の問題として農業問題に移りたいと思います。 御承知のように、我が国は未曾有の高齢化社会に入りまして、農家の高齢化というのは特に他の産業よりも進んでおるわけであります。現在私が気になりますのは、農作業中の事故が非常にふえてきた。これがやはり門戸開放ということで日本の農業の自立をするためには生産性向上ということになります。生産性を向上させようと思ったらどうしても機械化、こうなってくると思います。ところが、今まで比較的安全な産業と思っておった農業が、農作業が機械化することによって大変危険な産業になってきているという現実。 そこで、農林水産大臣にお尋ねをするわけですが、過去どれほど死亡者あるいは負傷者が出ているかということについて、農水省はどうつかんでおられますか。
○国務大臣(羽田孜君) ただいま御指摘がございましたように、農業が近代化する中で、機械につきまして御婦人方あるいは年をとった方々も作動といいますか、これを利用されるということであります。そういう中で確かに事故が大変多くなりまして、これは機械というだけではありませんけれども、四十九年の死亡事故が四百四十五人、これに対しまして五十八年には三百九十九人と、事故の総数は多少減少しております。ただ、これが機械では一体どうなんだということでありますけれども、十万台当たりの事故発生率で見ますと、乗用型のトラクターで昭和四十九年十二・三件から、昭和五十八年には六・三件になっております。また歩行型のトラクター、コンバインにつきましても、その年によって多少増減がございますけれども、減少傾向となっているというふうに私どもは見ておるところであります。以上であります。
○中野明君 大臣、今お答えになったようにこの二十年間といいますか、農業の就業人口は一千万人から五百万人ぐらいに半減しております。それで死亡事故は大体二百人ぐらいであったのが四百人。死亡事故は倍になっております。そうすると四倍になったわけですね。ほかの産業で死亡事故が四倍にもふえたら大騒ぎでしょうね。ところが意外に農水省は余り騒いでいないんですよ。そして安全対策ということについては本気でお考えになっているんだろうかという気がするんですが、農林行政の中で、機械化に備えて安全行政というものは私は非常に薄れていると思います。安全のない生産性の向上というのはありません。安全対策について大臣の所見を聞かしてください。
○国務大臣(羽田孜君) 確かに中野先生のおっしゃるとおり農業人口が減っておる、それに対して、死亡率が多少減ったといっても全体的には比率としては非常に高くなっている。確かに機械もふえてきたということもありますけれども、しかし御指摘の点は私たちも踏まえなきゃいかぬというふうに思っております。 そういう中で、私どもといたしまして農作業の事故を防止する、こういうことのために、事故の状況を調査する一方では、安全対策といたしまして農作業の安全指導員、この人たちによる巡回指導というものをやっております。また老人、婦人に対します安全講習会というものを開催したり、また農業機械の型式検査あるいは安全鑑定などの実施によりまして、農業機械自体の安全性の向上というものにも努めております。なお、全国ネットによりますテレビ放映、また普及啓蒙のポスター、こういったものの配布等によりまして安全性を高める、事故をなくなす、そのための努力を今続けておるところであり、さらにこういった努力を続けなければいけない、こんなふうに思っております。
○中野明君 大臣、私が農水省からいただいた資料でも、一年間で大体三千人ぐらいけがをしていますね。指が取れたとか足がちぎれたとか、もう大変です。それで死亡が四百人。こういう状況でのんきなことをしておったら、これはもう一番危険な産業になってしまうと思います。特にトラクターの安全整備、要するに農機をつくっているところは能率本位でいくものですから、フレームをつけておったら命が助かっているというのにつけていなかったり、その辺通産大臣どうなんでしょう、農機具の安全対策ということについて。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 非常に重要なことだと思いますが、技術的なことでございますので事務当局から答弁させます。
○政府委員(杉山弘君) お答えをいたします。 通産省といたしましても、御指摘のような農業機械によります災害の多発化にかんがみまして、昭和四十九年以来、学識経験者を集めまして、農業機械の安全問題について個別具体的な機種ごとにいろいろ対応を検討いたしてきております。そういう検討の結果も踏まえましてJISの制定を行いまして、素人の方でも容易に操作できるような操作方法の統一でございますとか、また農業機械全体を通じます安全通則、例えば可動部分がございます場合にはそこに対して防護措置を講ずるようなこと、また走行しますようなものにつきましては、クラッチをニュートラルにしてないと始動ができないというようなことをJISで決めております。 また、それとともに、農業機械の販売をいたします際には取扱説明書等におきまして安全上の注意をよく周知するようにというようなことも指導いたしております。また御指摘のございましたトラクターにつきましては、安全フレームの取りつけということが非常に重要だということになっておりますので、昨年の四月以降発売されましたトラクターにつきましては、これは購入者のオプションでございますが、オプションがございました場合にはすべて安全フレームが取りつけられるような構造にいたしております。こういうようなことを今まで指導としてやってきております。
○中野明君 徹底して指導をお願いしたいと思います。どうしても能率本位になって安全がおろそかになっているように思います。 それから、農水省にもお願いをしておきますが、茨城県に機械の安全研修の施設があるようですが、ここに置いてあるトラクターがもう二十年ぐらい前のものらしいんですね。これはそこで研修した人が嘆いていました。あれじゃ、何ぼ習っても使いものにならぬのでこれはけがもしますということのようです。どうでしょう。
○政府委員(関谷俊作君) 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、全般的な機械につきましては農業機械化研究所の安全鑑定というのを中心にしましていろいろ防護措置を講ずる、こういうことをやっておりますが、茨城県にございます私どもの農業研修所、御指摘のように多少予算の制約もありまして機械の古い面もあったということでございますので、これから十分整備に心がけていきたいと思います。
○中野明君 予算の制約はわかるんですけれども、二十年も前のトラクターで練習さしたって、これはもう話になりません。そこは強力にお願いをします。 そこで、労働省にお尋ねしますが、要するに農業に従事している人は労災の特別加入になっているわけです。この一年間で農業で亡くなった人で一体何人ぐらい労災を受けておられますか。
○政府委員(小粥義朗君) 農業従事者の方が労災保険の特別加入制度に入ります筋道として二つございまして、一つは中小事業者として入るケースでございまして、これは約三万人強の方が入っておられます。それからもう一つが、労働大臣の指定します農業機械を使う作業に従事している方という範疇で加入の道が開けているわけでございますが、こちらの方が十一万人強でございます。したがいまして、合わせて約十四万人強の方が特別加入制度に入っておられるんですが、それらの方方の中で一年間に労災給付を新しく受けられる方は約千七百人強、そのうち死亡された方が五十八年では十件、五十九年では七件という数字になっております。
○中野明君 農水大臣、四百人亡くなった中で労災で面倒を見てもらった人は十人ですよ。ほかの三百九十人はどうするんですか。ですから、労災に強制加入といいますか、法制化が必要なときが来たんじゃないか、こう思うんですが、労働大臣の御見解はどうでしょうか。
○国務大臣(林ゆう君) 労災保険の制度は、本来が雇用労働者についての災害補償を行うということを目的といたしているわけでございます。農業従事者というのは大体におきまして自営事業者というような範疇に入ろうかと思います。こういった方をすべて強制的に加入をさせるというようなことは、この趣旨からいたしまして問題があろうということは御理解いただきたいと思います。 しかし、現在の加入制度につきましては、その加入の方式など種々の問題があることも承知いたしておるところでございます。したがいまして、労災保険審議会におきまして、労災保険制度のあり方を引き続き検討していただくことになっておりますので、その際これらの特別加入の問題も含めて今後検討してまいりたいと思っております。
○中野明君 農水大臣の見解はどうですか。
○国務大臣(羽田孜君) 今、労働大臣の方からお答えがありましたように、確かに雇用労働というのは労災保険の基本でありますけれども、農業につきましてもその範囲というものをできるだけ現状に合わしたものにしていかなければいけないということで今日までも努力をしてきておるところであります。農作業というものがいわゆる日常の生活となかなか区別しがたいという問題点もございますけれども、しかし今御指摘のあったことも私ども踏まえながら、実情に合ったものに一つずつ進めていくように努めてまいりたい、かように考えております。
○中野明君 加入者が余りにも少ないということは農水省として本当に農民を守るための努力、これが欠けているんじゃないかと思うんですが、今後どうされますか。
○国務大臣(羽田孜君) 確かにこれは全部が該当しておらないというようなことで、自分じゃ大丈夫だろうというような、これは個人が判断するものですから、そういう点があると思います。しかし、事故が起こりますと今御指摘のように大変なことになるわけですから、要するに入っていないといけないんだということを我々としてもいろんな機関を通じながらこれからPRすると同時に、今御指摘のありましたことを踏まえて、できるだけ事故の実態というものをよく調査して、そういったものが対象になるような方途というものをできるだけ私たち開いて、やはり加入しなきゃいかぬなという気持ちを持っていただくように努めていきたいというふうに考えます。
○中野明君 労災の方でも研究をしてもらわなければいけませんが、農水省としても、四百人死んだ中で十人しか労災をもらっていないんですよ。あとの三百九十人はどうなっているんだということを考えたら背筋が寒くなります。そういう行政のあり方じゃいかぬと思うんですよ。ますます就業者は減りできます。そして機械化が進んできます。そこのところを踏まえて労災加入への一つの方途というものを労働省と検討して、至急に講じてあげていただきたいということを私は強く要望しておきますが、もう一度大臣から。
○国務大臣(羽田孜君) これは任意制度でございますけれども、先ほどから申し上げましたことを私ども踏まえまして、また今先生から御指摘がありましたことを踏まえながら、これから労災に入りやすいように、また入るように十分PRすると同時に、先ほどの研修の機械につきましてもやっぱり現状に合ったものでなきゃならぬということも御指摘のとおりでありますので、私たちもそういったことを十分踏まえながら対応していきたいと思っております。
○中野明君 時代が変わってきましたので、他産業に比べて農業労働者が非常に不公平な取り扱いにならないようにしてあげなきゃいかぬし、農業従事者を機械化の犠牲にしちゃいかぬと思います。その辺をぜひお願いしたいと思います。 それでは時間が経過してまいりましたので、総理に別の問題をお尋ねいたします。 先日来、この委員会でも問題になっておりましたが、大蔵大臣のお答えは私も仄聞して承知しておるんですが、NTTの株式、これが本年の予算にも計上されてくるようになったわけですが、一般の企業というのは社員持ち株制度というものをとっております。この社員持ち株制度について総理のお考えをお聞きしたいんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 民間の私企業の場合は、従業員との一体感を持たせるためにそういうことをおやりになって結構なことではないかと思います。ただ、NTTの場合は、全部これは国のものでありまして、国のものということは国民全般のものである。そういう意味におきまして、この株を処理するというときには公正にして国民全体に開放するというのが私は筋として正しいのではないか。そのやり方についてはいろいろ方法があると思いますが、主義としては国民全体のものであるという観念に立ってやるべきではないかと思っております。
○中野明君 郵政大臣はこのことをどうお考えになりますか。
○国務大臣(佐藤文生君) 従業員の持ち株制度は、今総理が言われたとおりに、民間会社としては企業と従業員の一体感の醸成とか、愛社精神の高揚とか、あるいは安定株主の育成等の観点から我が国では広くこれが採用されておりまして、五十九年度の上場会社千八百六社のうち千五百八十八社がこれを実施しておりまして、実施率は八七・九%と聞いております。しかし電電株の従業員の持ち株会というのがございまして、その会に対する割り当てについては今後政府部内での具体的な売却方法等の検討の中で慎重に検討してまいりたい、こういうぐあいに考えております。
○中野明君 先ほど総理お答えになりましたが、国際電電も持っていますし、将来の社員の持ち株制度というもののメリットを考えると、市価より安い値段で渡せというんじゃなしに、やはりそれだけのことは、逓信委員会で私ども審議した一人なんですが、審議の過程でも、私の持論というのは、とにかく今電話を持っている人に一株ずつ持たすのが一番いいという考えです。今も変わりませんけれども、これは方法としてちょっと無理があるんじゃないかということで、その次に社員持ち株制というのが議論として大きく出てきておったわけです。ですから、研究会の方でも国会の議論を通して検討するということにもなっておるようですが、大蔵大臣、委員会の経緯を踏まえて、持ち株制度について改めてもう一度御見解を。
○国務大臣(竹下登君) 先国会におきましても私がお答えしたところでございます。確かに今、総理からもまた郵政大臣からもお答えがございましたように、私も社員持ち株制度というもののメリットは本当は承知しておるつもりでございます。一方、売却に際しては、「株式が特定の個人、法人へ集中せず、広く国民が所有できるよう」にとの観点からの附帯決議がなされておる。そこで今御指摘なさいましたとおり、国有財産中央審議会の了承を得た上で設けました株式売却問題研究会、これで四月におおよその考え方をちょうだいしたいと思っておりますところでございますので、それをさらに国有財産中央審議会の方へ報告して、それから結論を得るべきことである。したがって、学識経験者といってもどこまでが学識か経験者か、大きな初めてのことでございますので、それらの先生方の、国会の議論等もすべて踏まえた、今かなり濃密な研究がなされておるさなかでございますので、その推移を見守りたいと思っております。
○中野明君 私は、電電公社が今日ある功労者の一人として従業員の人も一生懸命やってきたということも認めなければならぬと思います。加入者はもちろん全国民です。そういうことから会社員持ち株制度、全部持たせいというんじゃないんです。放出のごく一部をやはり社員の励みとして持たす、しかもそれは市場価格で持たす、こういうことは必要だろう、こう考えております。 そこで、委員長にお願いを申し上げますが、暫定予算のことについて当委員会の理事会で検討されております。公明党の総括は私で終わりでございますので、暫定の結論が出ることについていろいろ意見を申し上げたいこともありますので、残余の質問を保留さしていただきたい、このように思います。
○委員長(安田隆明君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。 中野明君の残余の質疑は後日に譲ります。 午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十三分休憩 ―――――・――――― 午後一時一分開会
○委員長(安田隆明君) 予算委員会を再開いたします。 昭和六十一年度総予算三案を一括して議題といたします。 これより稲村稔夫君の質疑を行います。稲村君。
○稲村稔夫君 私は、具体的な項目で通告していた形にはなっておりませんけれども、それと大変密接に関連をする問題でございますので、ただいまの大変急速な円高問題についてどのようにお考えになっているかを、まずお聞きをしておきたいというふうに思うわけであります。 きのうきょうあたりの新聞を見ておりますと、新聞に報ぜられている範囲の中では、政府の方もかなり積極的に、何か今後円が暴騰するならば、逆協調もあり得るというようなニュアンスのことがうかがわれるのでありますけれども、同時にその新聞の中で、けさの新聞の中では、大蔵省の方ではこれは明らかに為替相場が乱高下をしているという見方をしているというのにもかかわらず、アメリカ側は逆にヨーロッパ通貨との関係は安定をしているし、円高を理由に介入することについては強く難色を示しているというようなことが書かれております。その辺のところがどういうふうに展開をするのであろうか、またどうしようとしておられるのか、その辺のところを伺いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 午前中の前場の終わりが百七十四円八十銭、出来高が二十六億四千七百万ドル、こういうことでございます。確かに先週末以来この円高基調が速過ぎる、こういう印象は持っております。したがって、これらの対応策というのはまさにG5等で合意しておりますところの、いわば有用と認めた場合には協調した介入もあり得るという大原則が存在しておるわけでございますが、じゃ、いついかなる場合が介入する時点であるとかいうことについては、それこそ為替市場に思惑が大きく走りますので、それは御勘弁をいただきたい、こういう基調で対応しておるわけでありますが、少なくとも大変注目して事態の推移を見守っておるということは本朝来、日銀総裁も私もひとしく申し上げておるところでございます。
○稲村稔夫君 この大変急速な円高というのは、これはもう国内経済に本当に重大な深刻な影響を及ぼしているということはお認めになっていると思うわけであります。 そこで、この急速な円高について、この辺をどう大蔵大臣お考えになっているのだろうか、私はかねがねちょっと疑問になっていたのであります。それは、昨年のG5以降ということの円の動きを見てまいりましても、九月のG5から大体四カ月くらいの間で約四十一円のアップというような格好になっております。ところが竹下さんが、百九十円台容認発言と一般的に言われていると思いますけれども、一月二十四日に発言されてからこの一カ月の間の値上がりというのが非常に激しいということになると思うんでありまして、これは日本自身が円高この程度はやむを得ないのじゃないだろうかということをお認めになったということが一つの大きな要因になるのじゃないだろうかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) ロンドンでG5で反省会がありまして、やったことがよかった、今後も後戻りしないようにお互いが政策の協調をやっていこうということ、そして政策協調の一環として、またインフレがおさまっておるから、各国それぞれの国内事情等を抱えておるものの、利下げの環境が整ったというのがこのロンドンのG5でありました。 それから、私がアメリカへ参りましたときに、あの新聞記者会見というのは、本当はちょうど二百一円でございまして、それで非常に自律的にその二百一円という相場は形成されておる、だから質問がありまして、百九十九円になったらどうかという話がありましたから、それは自律的に市場が決めるということについて二百一円ならよくて百九十九円なら悪いという議論もなかなかできないじゃないかというような懇談をしておりましたが、ある社はそれをして百九十円容認発言と、こういうようなとり方で喧伝されたことを私も承知しております。やっぱり通貨当局者でございますから、本当に発言は大変注意しなきゃならぬという、私自身に対する大きな警告ともなったというふうに思っております。しかし、その発言がいわば加速せしめる一つのきっかけになったというようには私自身はもちろん受け取っておりません。やはり市場の実勢の中でそういう状態が続いて一時百八十円前後で一月ばかり安定しておりましたのが、先週未来また少し急ぎ過ぎというか、そういう状態が出ておる。これは今朝来、日銀総裁も申されておりましたように、アメリカの諸指標が必ずしもよくなかった、あるいは原油のまだ先安感があるというようなところから多少スペキュレーティブと申しましょうか、思惑が走り過ぎておるというふうに受けとめておる。したがって、十分注目しながらいろんなことを絶えず考えていなきゃならぬという局面であろうというふうに思っております。
○稲村稔夫君 私は、今の急速な円高がどういう思惑に基づいて、あるいは何がきっかけになったかというところにいろいろとまだ議論もあるところであろうと思いますし、そのことは別に議論の場があればと思います。ただ、これから先もかなりこういう乱高下という、下というのは余りあるいはないかもしれませんが、こういう形が続いた場合に、こうしたあれを調整するために逆協調ということもあり得るわけでありましょうか。
○国務大臣(竹下登君) どういう場合、いついかなるとき、どういう状態のときということは、これは差し控えるべきでありますが、一般論としてそれは介入ということはあり得るということであります。
○稲村稔夫君 そこで、通告をしておきました質問の方に入ってまいりますけれども、最初に総理にお伺いをしておきたいと存じます。 あなたが国の行政を進めるに当たりまして、基本理念というものは一口に言ってどういう言葉で表現できるでありましょうかということでありまして、例えば税制問題などでは公平、公正、簡素何とかというふうにうまく単語を並べて表現をされるのがお上手でいらっしゃいますけれども、行政一般どういうふうな姿勢で取り組んでおられるか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 心構えとしましては、国民の御要望、御不満というものをできるだけ早期にキャッチしてそれに対する対応を迅速に行って、そして常に国民の皆さんと対話をしつつ前進していく。ですから、わかりやすい政治とか申し上げたのはそういう意味であります。
○稲村稔夫君 これから私は御質問申し上げていきながら、そうした総理の理念に合っているかどうかということを少しずつ検証をしていければありがたいというふうに思っております。 そこで、我が国の経済と海外各国との経済摩擦とその対応策についての関係でありますけれども、大蔵省が本委員会に提出をされている資料の中に、海外における投資状況の数字がありますし、また通産省関係でも産構審の中間取りまとめ等の中にいろいろと触れられている面もございます。 そこで、これをどのように評価をし、今後どのように進展をするか、この海外投資がですね、というふうにお考えになっているか。これは大蔵大臣、通産大臣、それから経済企画庁長官、それぞれお伺いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) まず私の方からお答えしますと、海外投資の形態としましては今おっしゃいますように直接投資あるいは間接投資と、こういうことが言えると思います。 貿易摩擦に対処するために、直接投資などを通じて投資先国におきます産業貿易構造の高度化、雇用の創出、技術及び経営ノーハウの移転等に貢献して世界経済の活性化と拡大均衡に資しますとともに、国内においては新たなる技術革新の成果を生かすことなどによって、産業構造の高度化を図ることによって多様な雇用機会というものの創出を図っていくことが重要であるということは原則でございます。 我が国の対外直接投資は近年着実に増加しておりまして、五十九年末残高は三百七十九億ドル、ここ五年間で倍になっております。さらに現在、世銀グループにおいて民間直接投資の増大を目的といたしまして国際投資保証機構、これはMIGAと申しておりますが、この設立が提唱されておりますが、これにも我が国は積極的な参加を推進をしておるという立場にあるわけであります。したがって、直接投資というものが相手国に与える雇用の問題でございますとか、いろいろいい面がございますが、かといって一方の間接投資、すなわち証券投資等も今度は世界的な資金の効率的運用を図るという意味におきましてはそれなりの役割を果たしておる。これは悪ではないというのはもとよりやございますが、いわば資本提供国というような役割を果たしておるということも、やはり認識としては十分持っていなきゃならぬことではなかろうかというふうに金の流れの点から私の方のお答えを終わらしていただきます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいまの大蔵大臣の説明でほとんど全部尽きておる、そう思いますが、一つはやはり特に東南アジア等に対しては、その国を工業国化していかなきゃならぬ、そういうためにはやはり技術の移転、資本の投資ということが必要である、そういう面が一つございます。それからもう一つは、日本の従来の産業というものはやはり発展途上国に委譲するような形に将来はならざるを得ないと、そう思います。それから、外国から部品を輸入しろとかいろいろ言われるんですが、なかなかこっちの思うような部品が手に入らない、それから納期が守られないというようなこともありまして、海外に日本の投資が行われて、そこでつくられればそういう点が非常によくなる。納期も守られるし、こちらに本当に注文どおりのものができるというような点もありまして、国内でつくるのはいいんですが、やはり貿易の輸入の増大という点からも海外投資はそういう点で役立つ、相手の国の雇用にも役立つ、そういうことになろうかと思います。
○国務大臣(平泉渉君) 大蔵大臣が通貨金融面で、通産大臣が実物の面でそれぞれ答えられたわけでございますから、大体もう大筋はそれで尽きておりますが、私としてつけ加えることがあるとするならば、我が国の経常収支の黒字傾向というのが相当長期間続いておるのみならず、今後も相当長期間続くであろう。この経常収支の黒字というものはどういうふうに処理されるのかということになりますと、これはやはり今現在ほっておきますといわゆる金融投資になりますが、当然自動的にそうなるわけですが、やはりそれは直接投資をした方が、今通産大臣も申しましたように、技術の移転にもつながるし、いわゆる開発途上国の発展向上にも役立つ。いろいろな意味で直接投資が望ましいことである、貿易摩擦の解決の一つの大きな手段である、こういう見方もあるわけでございます。
○稲村稔夫君 今それぞれ出されましたように、言ってみれば間接投資というのは、これは投機的にならないようにいろいろなまた方策も考えなきゃならぬのでありましょうが、直接投資の方が大体皆さんの方は望ましいというふうにお考えになっているし、また本委員会での参考人の御意見の中にもそういうものがございましたし、学者の御論文等にも随分あります。しかし、その直接投資がふえていくということが我が国の経済にどういう影響を及ぼすかということについては、やはり十分考えていかなきゃならない問題じゃないかというふうに思うのであります。 そこで、直接投資が今後ともふえていくであろうと私は思うんですが、その点いかがでございましょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 当然それは影響がございます。今まで技術移転をしたり資本を貸したりして、例えば繊維のようなものでも日本人の資本と技術でつくられたものが日本に舞い戻ってくるという現象がございますし、鉄などでも同じようなことが言える。将来は自動車についてもあるいはそういうものが言えるということになります。これは仕方のないことでございます。そうなりますと国内の雇用の場がその分減るではないかと、当然のこれは議論でございます。それに対しましては、将来やはり国内ではさらに一歩先に進んだ新技術の開発をやってそこで吸収していく、あるいは情報その他のサービス産業をもっと育成をしていく、そこでまた収益が高い企業は当然に労働時間の短縮というものを行っていく、それによって雇用の調整を図るというようなことを将来は好むと好まざるとにかかわらずやらなければならない、そう思っております。
○稲村稔夫君 私は、これは先進国への直接投資と、それから新興工業国あるいは途上国への直接投資というのはいろいろと違いがあると思います。特に先進国への投資について言えば、我が国で今までトップの企業を支えていた中小企業がいっぱいあるわけであります。我が国の経済、二重構造と言われてきたよさでもあるわけですから、このトップを支えていたその一部が海外へ投資をする、そうしたときに我が国のすそ野を支えていたものがどういうふうになりましょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは投資の規模にもよりますが、一緒にみんな連れていくわけにいきませんから、当然に先ほど言ったように雇用に影響が出てきますということを申し上げたわけです。ですから、当面そんなたくさん一遍に出るというわけじゃありませんが、将来はやはり影響があるんです。だから、それには新しい技術の産業を興していこう、そのための勉強を怠らない。だから、新素材とかマイクロエレクトロニクスとかあるいはその他のバイオとか、そういうものの研究を今からどんどん進めていこう、情報産業等ももっとすそ野を広げていこうと、こういうことを言っているわけであります。また、産業構造の組みかえといいますか、当然隆昌する産業で衰退する産業の雇用というものを吸収をして、そして失業者をふやさないというやり方もやっていかなけりゃならぬと思っております。
○稲村稔夫君 やっていかなければならぬということは、それはお話としてはわかりますが、実際にそういうふうにするためにはどうしたらいいのだという問題がやはり残ると思うんです。というのは、果たしてそれだけの雇用者を吸収できる労働のマーケットができるのか。特に中小零細企業ということになりますと、就業年齢層も随分高い者が多いわけでありますから、高くなってからほかの職種にというのはなかなか難しいというものを持っております。その辺のところがあって、その時代になったら働かない者が多くなるだろうなんというふうにまさか大臣は思っておられないと思いますけれども、こうした雇用問題というものは簡単には解決できないんではないだろうか、そう思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは本当に難しい問題をいっぱい抱えているんですよ。アメリカの経済を悪くした一つには、アメリカの中で自分たちがつくるよりも海外でいろんな製品をつくらして輸入した方がもうかるというようなことをかなりやりまして、それがアメリカに安くていい物がどんどん入ってきたからアメリカの産業が衰えた、それを加速した。だからそのまねをしちゃいかぬのです。そこのところはやはりある程度秩序あるものにしなきゃならない。だから、直接投資をやるにしても、極端なことを一遍にできるわけはないわけですから、当然我々は国内の雇用という問題を頭に入れながら、それを時間短縮でどの程度吸収できるのかというようなことなども考えながらやるわけであって、それは直接投資を政府が奨励するからといって一遍にどんどん出してしまうというところまでは進まないし、私はそこはよく考えながらうまく産業界と話し合っていくということだと思います。
○稲村稔夫君 一遍に進まないといっても、結局マーケットのキャパシティーが決まっていれば、そうすればただ早くなるか遅くなるかというだけのことにもなるわけでありますから、その辺は大変私は重大な問題だと思うわけであります。 そこで、今時間短縮などということが提起をされましたが、労働省の方では時間短縮について何か具体的にこういうこととあわせて考えておられますか。
○政府委員(小粥義朗君) 労働時間短縮は、勤労者の生活の問題はもちろんでございますけれども、そのほかに長期的に見た雇用機会の確保といった観点からも必要であるということで、かねがね労働時間短縮を行政指導で進めてまいっております。昨年六月に「労働時間の短縮の展望と指針」というものを中央労働基準審議会に諮りまして策定をいたしまして、これに基づいて週休二日制の普及を重点に、それ以外に年次有給休暇の取得の促進であるとかあるいは連続休暇の定着といったことをあわせ推進するということにしておりますが、特に中小企業の場合は具体的に一社だけでどうこうというわけになかなかまいりません。どうしても同業他社との関係あるいは取引先との関係といったものが労働時間短縮の問題には常について回りますので、できるだけそうした中小企業の集団を対象として労働時間短縮が進められるような手法を今後進めていきたいというふうに考えております。
○稲村稔夫君 我が国の今の産業構造の中でいきまして、特に中小企業の占めている比重が非常に大きい、特に従業員の数の上でいきますと諸外国に比べてずっと大きい、こういうことにもなるわけでありますし、それだけに我が国経済を支えているものは中小企業で働いている労働者という極端な言い方をすれば言えるかもしれない、そう思うわけであります。 ところが、そういう中で、例えばそれの見通しが計数的にどうかといろいろ議論あるかと思いますけれども、通産省の産構審の方で取りまとめられました中間取りまとめ、「二十一世紀産業社会の基本構想」の中でいきましても、こうした海外投資の関係を受けて約五十六万人くらいの雇用の問題が出てくるであろうということが指摘をされております。私はもっと大きな問題が出てくるという心配をしているわけでありますけれども、それだけに雇用の場をどうやったらできるかということは、私は簡単ではないのじゃないかと思うのであります。 先ほど新しい分野とおっしゃったけれども、その新しい分野には若い労働力は吸収できるでありましょうけれども、中高年齢層という層は大変厳しいことになるのじゃないか、その辺のところにどう対応していくかというのは、通産省だけの問題ではなくて政府全体の政策の問題ではないか、私はこんなふうにも思うわけでありますが、その辺を総理はどのようにお考えになっておりますか。
○国務大臣(江崎真澄君) 一応、私から国際経済対策の特命相でもありますからお答えをさしていただきます。 渡辺通産大臣の答弁で尽きておると思いますが、今アメリカだけに限って言えば、アメリカへの投資金額は大蔵大臣が申しましたが、約二十万人の雇用に貢献をしておる。アメリカ側は日本商品の輸入によって百七十万人の失業者を創出しておる。これはその積算基礎に私どもは疑問を持つものでありますが、俗にそういう言い方が言いならわされておるわけです。二十万人ということはそんなにまだ大きな規模にはなっていないわけです。しかし、おっしゃるように、そのすそ野をどうするのだ、これは大変な問題だと思います。しかし、アメリカとの間にもっと分業制度を活発化する、組織化する、話し合いをする、こういうことがやっぱり今後どうしても必要です。 他の方にお答えしましたから繰り返して申し上げませんが、総輸出のうちの三〇%はまさにアメリカそのものの逆上陸であったり、あるいはOEMというアメリカブランド商品の合弁の商品であったり、それから完成製品のための部品の輸出であったり、アメリカで全く生産されていないものの輸出であるということ。 それからもう一つ、サービスという話がさっきありましたが、金融の自由化に伴いまして日本の金融マンは現在十七万人ということが言われております。ロンドンは五十万人、ニューヨークは七十万人、金融の自由化そして日本の実勢からいいますと、これはやはり相当金融のサービス面での雇用の場というものが今の十七万から、日本は相当能率をよくする民族でありますから、合理化をするとしても相当そこに三十万以上の雇用の場が考えられてくる。 それから、さっき通産大臣が言うような付加価値の高い技術分野をどんどん開発していくこと、これは先進国に対しても発展途上国に対しても双方に向かって言えるこれは重要な要素、企業努力も大切だと考えております。
○稲村稔夫君 私が伺っておりますのは、そうした新しい分野での雇用の創出ということもそれは大事でしょうが、そういうところに今の中小企業、経済のすそ野を支えている中小企業は対応できないのではないか、できるものが少ないのではないだろうか、特にそこの従業者は。だから、そういうものに対してどう対応するのかということが非常に大きな問題だと思うんでありますが、その辺はどう考えておいでになりますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) だから、そういう構想が出たとしても、すぐに来年からどんどんそれはそういうふうに進むというわけじゃないんですよ。それは、二十一世紀に向かってそういうような構想でいくのがいいじゃないかという構想の段階なんです。 仮にイギリスならイギリスに自動車工場をつくったとしても、それは部品やなんかを全部現地調達でやるといっても、当初はなかなかそうはいかぬのですよ。やはり日本でつくった部品のかなりのものが最初のうちは行くわけですから、工場は向こうに進出したから直ちにそこで自動車がつくられるから、日本の下請がだめになってしまうのだということにはならないんです。むしろ、その新しい自動車ができる分だけは日本から輸出がある程度できる、だんだん減ってきますが。 また、東南アジア等の問題でもやはり同じことが言えます。投資をして彼らの所得水準を高めてやらなければ、農産物だけ引き取れ、引き取れと言われましてもなかなかそんなに食べ切れるものじゃありませんから、日本から品物を買うのには、開発途上国の購買力もつけてやらなきゃならぬ。そういう意味でも海外投資というものは必要であって、やはり商売というものは自分だけもうかるわけにいかないので、共存共栄でいかなきゃならぬ。そのためにも必要であるということであります。
○稲村稔夫君 そのことは私もわかって御質問申し上げているつもりなんです。 先ほど申し上げましたように、経済全体のキャパシティー、ある一定程度のものを考えていけば、そうすればそれは早いか遅いかという違いだけであって、究極はやっぱり問題になるじゃないか。それを今のうちからきちんとしておかなかったら困るということで私は提起を申し上げているので、今おっしゃられたようなことはわかっていて申し上げているつもりなんです。 それからさらに、そうはおっしゃるけれども、今円高等を目前にして、というよりもそれを控えて中小零細企業はもう大変な状況に今現実になってあるわけですよ。ここでもっておっしゃるような二十一世紀を目指しての方向なんと言う前に、今すぐ対応を迫られているものが随分あるわけでありますが、これはどういうふうに対処されますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは非常に予想外の急スピードの円高によって、それになかなか対応し切れないという状態が現在起きておるわけであります。したがって、それに対しましては中小企業者の事業転換法等の法律もこしらえて、極力現在の窮状を救うために政府としては金融上のいろいろな措置を講じてやっていこうということで今やっておるわけであります。
○稲村稔夫君 事業転換法もわかりますけれども、ではどういう事業に今転換できるというのでありましょうか。もう本当に今すごく困っているんですよ。もう受注がなくなってつぶれるかどうか、持ちこたえられるかどうかというその手前まで来ている。どういう事業に転換してこれは生き残っていくことができるということになりましょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは中小企業といえども、自由経済の社会でございますから、だれが何に転換するかということにつきましては、それぞれの企業の自主的な判断によってそれは決められることでありますから、あなたは何に転換しなさい、何に転換しなさいということを政府は申し上げるわけにはいかない。ただ、当面ともかく輸出の成約が切れると、そのために非常につなぎ資金に困る、あるいは返済に困るというようなものに対して、とりあえず政府としてはそれに対する援助をしていこう。中には円レートが非常に乱高下するために将来の見通しが立たないという方もあるんですね。したがって我々としては、もう乱高下しないで、大体ここらの水準ぐらいのところ七一服してもらわぬとなかなか大変なんです、実際は。 だから、そういう点で国際的な話し合いの場ももちろん必要でしょうし、転換もできない、どうしてもやれないという場合には、それは廃業するという方も中には出てくる。これは残念ながらそういう場合も私はあり得ると思います。そういうときには、やはり雇用保険の問題とか、その他の就職口のあっせんとかいうようなことである程度の時間を稼いで、そして職業訓練なり何なり労働省などと一緒になって、要するに失業者をふやさない、そして一時的には失業することがあっても、その間生活に困らないというような面倒は政府全体として極力見ていかなきゃならぬと、そう考えております。
○稲村稔夫君 その場合に、例えば労働者は今の雇用保険などということもおっしゃいましたけれども、経営者はどうなりますか。経営者も路頭に迷うということになりますし、さらに大きくは、大きな借金だとか何かということで大変な厳しい状況の中に置かれると思いますけれども、その辺の救済はあるんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは御承知のとおり、各事業というのは個人のそれぞれ責任において自由にやってきておるわけでありますから、そこでいろいろ知恵を絞りまして、転換できる人は転換をするし、それからもう一つ、合理化をもう一遍断行して立ち直って、今までの仕事でやっていけるという人はそれでやっていくし、どうしてもだめだというのも中には、私は全くないというようには考えられません。それはあるかもしれません。あるかもしれませんが、それをどうしてやるかということにつきましては、やはり経営者自身が考えていただかなければならない問題であると、そう思っております。
○稲村稔夫君 どうも私は、今円高に直面をして悲鳴を上げている中小企業者あるいはそのところで働いている労働者の不安というようなものが、通産大臣には理屈としてはおわかりになっているけれども、感情的なものまではなかなか御理解できていないのじゃないだろうか、そんなふうにも思うわけであります。もう本当に差し迫っているんですよ。それで、今おっしゃったような合理化しようとかなんとかというよりも、今どうやって持ちこたえてどうするかと、こういう状況になっているのが非常に多くあるわけであります。ですから、それだけに私は、今度何か中小企業対策で総理が指示をされたというふうにも新聞記事にありますから注目をしているのでありますが、その辺はどのような対応をされるんでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、我々としては一刻も早く予算を成立をさせていただいて、そして全省庁挙げて最善の策をどうするかということについて検討しようと。ですから、またいい意見があれば与党の方、野党の方、一般の方からも、こうしたらいいじゃないか、ああしたらいいじゃないかという御意見があれば大いにひとつ披瀝をしていただいて、私は採用できるものは大いに積極的に採用していきたい、そう思っております。
○稲村稔夫君 総理はどういう御指示をされたのですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 現実の為替相場に干渉するということはできるだけ控えた方がいいので、この水準の問題は市場の実勢で決められていくべき問題であります。しかし、急激な円高、為替相場の変動というものは産業関係に異常なショックを与えて、過渡期的に非常にまずい結果が呼び起こされており、現に起こされつつあります。そういう意味において、急激なショックを起こさないようにいろいろ手当てをする。そういう意味で、中小企業庁等を中心にしまして、内閣全体で取り組んでいくためのきめ細かい政策を用意するようにと指示したところであります。
○稲村稔夫君 どうも中身はまだ具体的にはわからないようでありますから、今後十分私どもも注目をし、また御意見を申し上げるというふうにしていきたいというふうに思います。 そこで、二十一世紀を展望してということも非常に大事でありますが、当面する対応の問題と、それからその当面する問題が二十一世紀を展望しての長期の問題と非常に密接にかかわってくる、そういう中で非常に大きく雇用問題というのは深刻な問題であろうというふうに思いますので、これはやはり政府を挙げていろいろと検討していただく必要がある、こういうふうに思いますので、その辺は御要望を申し上げておきたいと思います。 そこで、次に農業の問題に入らせていただきたいというふうに思うわけであります。ちょっと質問の通告をしていた順序が違うのでありますけれども、けさの新聞を見ましたところが、国土庁で「農水産業の展望と課題」というのを、何か四全総のための資料なんでしょうか、ということで発表されたようでありますが、これはどういう見通しをして、農業はどうしなければならない、こういうふうに提言をしておられるのか。農林水産省以外の、担当以外のところから出されてきた提起として私も大変注目をしておりますので、お聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(星野進保君) ただいまの先生の御指摘は、国土審議会の計画部会で御検討をいただいた資料についての御質問だと心得ております。その審議会の検討資料につきまして要点だけを簡単に御紹介申し上げますと、まず第一のポイントは、農業従事者に関しまして、農業従事者というのは国民に対する食糧の供給や重要な国土資源でありますところの農地を適正に管理する担い手であるというまず認識を持ちまして、第二点目としましては、そういう農業従事者が今後二十一世紀に向けまして大幅な減少をしていくということ及び著しい高齢化に直面するだろうということになりますと、今申し上げましたような食糧の供給及び農地の適正な管理ということについてかなり大きい影響がもたらされる可能性があるという問題点をまず指摘いたしまして、それを受けまして今後どうしたらいいかということにつきまして、これは全般的にわたっての提言をしているわけではございませんが、できるだけしっかりした担い手を中心にした集団営農化と申しますか、そういう形態をとりながら、優良農地を高い生産力を維持しながら確保していくことが非常に重要ではないかということを結論的に述べておるわけであります。そのことが先ほど申し上げましたように食糧の供給を維持していくこと、あるいは今後の農業の生産性の向上に資していくということにつながるということの御議論かと思います。
○稲村稔夫君 農林水産省はこれをどのように受けとめておいでになりますか。
○政府委員(田中宏尚君) 昨日、審議会の素材が出されまして、我々といたしましても現在その中身について精査しているところでございますけれども、これから具体的中身につきましては国土庁ともいろいろ相談してまいりたいと思っておりますが、確かに過去のトレンドから推計いたしますと、ああいう傾向というものもそれはあることも事実でございますし、老齢化とそれから土地を手放すということが、ある意味では規模拡大なりあるいは中核農家への土地の集中というためへの一つのチャンスでございますので、そういうものを将来の農業の発展にどうやって転化していくかということにつきまして、政府部内でこれから相談いたしまして一定の方向を見出してまいりたいと思っております。
○稲村稔夫君 総理は、農は国のもとということを言われたこともあるようでありますし、食糧安保の観点から農業というのは大事にしなきゃならないということも言われたことがあったと思います。その方針についてはお変わりないですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 変わりはございません。
○稲村稔夫君 国のもとになるにしては、今の農業というのは大変厳しい状況の中にあるのではないかと、こんなふうに思うわけであります。 そこで、我が国の食糧の状況についていろいろとお伺いをしてみたいと思うわけでありますが、今、穀物の自給度につきましてはどのようになっていますか。それからさらに、穀物の備蓄について数量がわかればお聞かせください。
○国務大臣(羽田孜君) お答え申し上げます。 まず、食物の自給率でありますけれども、これは主食用の穀物を計算しましたときには七割程度これを維持しております。なお、飼料用の穀物、これを含めた場合には三二%となっておるのが現状でございます。 なお、備蓄と申しますのは、今、米の場合には御案内のとおり水田利用再編対策を進める中におきまして、毎年四十五万トンずつ備蓄をするという方向で進めておるところであります。そして、そういう中で四十五万トンで、ことしでちょうど百万トンぐらいになるであろう、私どもはそのように予測をいたしております。なお、そのほか麦、それから大豆、えさ、こういったものをそれぞれ備蓄をいたしておるところでございます。
○稲村稔夫君 麦、大豆は幾ら備蓄していますか。
○政府委員(田中宏尚君) 食糧用小麦につきましては、外麦需要のおよそ二・五カ月分に相当いたします八十八万トン。それから、飼料用穀物につきましては、配合飼料用主原料の約一カ月分ということで、トウモロコシ及びコウリャンを六十八万トン、大麦を三十七万トン。それからさらに、大豆につきましては食品用ということで約一カ月分で八万トンを備蓄しております。
○稲村稔夫君 総体的にいきまして、米のことはちょっとまた別のお考えがいろいろとあるのでありましょうが、食糧の主要な穀物関係の備蓄ということでいきますと、えさは一カ月、あといろいろなものをあれしても大体一カ月から二カ月程度という形になるわけでありますけれども、これは食糧安保という観点からごらんになったとして適量であるとお思いになりますか、どうでしょうか。
○国務大臣(羽田孜君) 米の備蓄といいますか、確保しております量につきまして、私ども適量であろうというふうに考えております。なお、飼料穀物につきましてどういうときにというその想定があると思うんですけれども、私どもといたしましては、今日までの推移を見たときにこの分で対応できるのじゃなかろうか、かように考えております。
○稲村稔夫君 数量的な備蓄を中心にした問題については、私はいろいろと問題があるのではないかというふうに思います。短期的な輸入の阻害ということに対しては対応できるでしょうけれども、何かの都合で長期的なものが起こってきたときには非常に大変な問題になってくる。これに対応した量的な形でいけばあれですが、国内の生産体制というものとのかかわりはどのように農林水産大臣は考えておいでになりますか。
○国務大臣(羽田孜君) 確かに、畜産の飼料というのは輸入に大きく頼っておるというところで日本の全体の自給率というものを下げているのが現況であります。そういうことで、私どもといたしましては、少なくも酪農ですとかあるいは肉用牛、こういった大家畜に対します飼料というものを確保する必要があろうと、そういうことで粗飼料を確保する必要があるのじゃないかということで、草地開発の計画的な推進ですとかあるいは既耕地における飼料作物の作付の拡大、あるいは優良種子の確保ですとかあるいは生産、利用の技術の改善など、そういったものを総合的に進めておるというのが現状であります。
○稲村稔夫君 量的な確保の問題につきましては、そうすると例えば草地の確保にしても何にしても、かなり大きな努力をしなければ対応できないということになると思いますが、そういう大きな事業というものをこれから進めていけますか。
○国務大臣(羽田孜君) これはもうざっくばらんに申し上げまして、そんな大きな開発というのはなかなか難しいであろうというふうに考えております。ただ私ども、里山の開発ですとか草地開発、これによりましてこれからもまだ肉牛のための飼料開発、あるいは酪農の方についてもやっぱりある程度やっていかなきゃならぬ。そのほか稲わらですとか、そういった未利用資源というよりもう活用を始めておりますけれども、こういったものも十分活用できるような技術の開発なんかも十分していかなければいけないと思っております。
○稲村稔夫君 大臣はよくおわかりになっていると思うだけに、そういうお答え、私はちょっと残念なのでありまして、もっともっと我が国の今の耕地面積、耕地、可耕地の割合だとか、そういうものというのは非常に制約を受けているわけなんでありますから、そういう中で今おっしゃったような政策を展開していこうとするといろんな制約、限界にぶつからざるを得ない、こう思うのでありまして、その辺のところも十分に考えてもらいたいと思いますが、これはまた委員会等の議論にゆだねるといたしまして、こうした数量的な確保の問題にもいろいろ問題があると思いますが、同時にもう一つ、食糧の安全という観点からも問題があるのではないかというふうに思います。 輸入食糧についてその安全性をチェックするのは厚生省だと思いますが、厚生省、どういう対策をしておられましょうか。
○国務大臣(今井勇君) 御案内のように、輸入いたします食品の安全性の問題でございますが、これは全国で十九カ所あります海と空の港に私どもは検疫所というのを設けてございますが、そこで食品の特性だとかあるいは生産地の事情、輸送中の事故の有無などにつきまして、腐っていないかあるいは変質していないか、あるいはまた有害な物質やあるいは指定外の添加物が含まれていないかどうかといったことにつきまして検査を実施しながら指導監督を行っておるところでございます。 〔委員長退席、理事桧垣徳太郎君着席〕 今後とも検査機器の整備を進めるほか、監視員の増員なども考え、また技術研修ということの強化に努めまして輸入食品の監視体制というものの充実を図ってまいりたい、このように考えておるものでございます。
○稲村稔夫君 有害な物質の存在とか指定外の農薬が使われていないかどうかとかいうのは、これ何が含まれているかわからぬということで全部検査されるのですか。
○政府委員(北川定謙君) 実際には輸入食料品、非常に件数それから品目数も多いわけでございまして、すべてを検査をするということは事実上できないわけでございますが、書類では全部検査をして、それでいろんな実績がございますから、非常に安全な実績を持っていたものについては場合によっては書類審査だけで済ます。しかし、非常に危険なもの、例えばフグ毒だとかあるいはアフラトキシンだとかそういうものの検出の危険性の高いものについては金品を検査するというようなことで重点的にやっているわけでございます。
○稲村稔夫君 重点的にやられると言いましたけれども、では例えば農薬なんかの場合はどういう形でチェックをされるのですか。
○政府委員(北川定謙君) 農薬等につきましては日本で認めているもの、認めていないものがございます。そういうものが使われておるかどうかにつきましては現地のいろんな情報もとっておりまして、危険なものの入ってくる可能性のあるところについてはサンプリングをしてチェックをしていくというようなことで安全の確保を図っているわけでございます。
○稲村稔夫君 輸入する相手の国、対象国の方でどういう農薬を使って、あるいはどういう保存剤を使ってというようなことについては、これは厚生省もチェックをしておられるわけでしょうか。それからもう一つは、農林水産省の方もこういうことについての調査というのはやっているんでしょうか。
○政府委員(北川定謙君) 厚生省としても、港の段階でいろいろ輸入をする業者あるいは検査の実際のデータ等から情報もとっておりますし、農水省さんとも連携をとって現地の情報もとらせていただいております。
○国務大臣(羽田孜君) お答えいたします。 私どもの方も食品衛生法に基づきまして、輸入する段階において安全性をチェックしております。特に残留農薬、これにつきましても輸入時にサンプルを抽出いたしましてチェックするということをやっております。それと同時に、輸入業者あるいは関係国に対しても、我が国ではこういうものは使えませんということ等につきまして連絡をとっておるところであります。
○稲村稔夫君 時間の配分の都合もありまして、そのことについてさらにいろいろと伺いたいこともありますけれども、私がここで申し上げたいのは、食糧というものについては数量の面で確保するということも極めて重要なことでありますが、同時に安全ということを考えるということが非常に大事だと思うんです。そして、特に国内で生産するものであれば全部戸籍がわかるわけでありますから、どういう措置がされてきたかというのは追及のしようもあります。しかし、輸入についてはいろいろとその辺のところにそごが出てくることは、去年の韓国米の輸入の問題だとかいろいろな問題で起こることがあるわけであります。私は、体制が必ずしも十分だとは思えませんし、いろいろこれは議論をしなければならない問題だというふうに思いますが、食糧安保、こういうふうにいろいろと言われるけれども、その辺は数量の問題と同時に安全の問題というのにも相当精力的な政策的な対応をしていただかなければならない、このことを特に強調したいと思うのでありますが、その辺は全体を統括をされる総理はどういうふうにお考えになっていますか。
○国務大臣(羽田孜君) ただいまお話しありました特に後段の点につきましては、私どもかつて貿易摩擦問題がございましたときに衆議院の農水の委員会等でも議論いたしましたときに、消費者の方も多少値段が高くてもやっぱり安全性ということを考えたときに、国内の生産というものの安全は我々もある程度チェックはできるが、どうも輸入というのはなかなか難しい問題があるんだというような話をされまして、私どももさらにこの安全性ということについて十分気をつけなければいけないなということを考えております。
○国務大臣(中曽根康弘君) 食糧というものは国民の生命、財産に直接関係する大事な問題で、特に口から入るというような問題については最大限注意を要すると思っております。アフラトキシンの問題であるとか、あるいは食品添加物の問題であるとか、そういうたびごとに我々も厳重な対策を講じてやっておるところであります。
○稲村稔夫君 そうじゃないんです。要するに、食糧安保という観点から数量の確保ということも大事であるけれども、それと同時に安全対策というのを総合的に考えた食糧安保という考え方をもって対応してもらえるかどうかと、こういうことを伺った。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点については政府も同感でございまして、国全体の安全保障面において食糧の貯蔵という面は欠かすことのできない点であります。ただ、過去におきまして、古米だ古々米だと、過剰な在庫を抱えた苦しみを持っておりますので、適正在庫量を行政の観点から弾力的に把握し、それを調節しつつ経済的合理性も重んじて進めていこう、そういう形で今進めておるところであります。
○稲村稔夫君 次に私は、我が国の農業の中心になっております水田についての考え方を伺いたいと思います。 これは、国土保全という観点から国土庁はどのようにお考えになっているか、それから建設省はどのようにお考えになっているか、お聞きをしたいと思います。水田の持っている役割、機能。
○政府委員(星野進保君) 昨日も国土審議会の議論であったわけでございますが、水田というのは、かなり水の保全性だとかそれから緑の維持でありますとか、本来の米の生産ということ以外に、私ども国土管理全般をお預かり申し上げます立場からいいますと、そういう国土資源を維持しそれから緑を培養するといったような非常に多角的な機能を持っているということで大変評価しておるということでございます。
○政府委員(廣瀬利雄君) お答え申し上げます。 水田から流水が流出いたしますとなだらかになりまして、我々河川管理上非常に好ましいという効果を持っております。しかしながら、ダムのように計画的に流出を調節するという効果はございませんので、その辺はやはり専門のダムにゆだねるということでございまして、我々は両々相まって国土保全に万全を期していきたい、このように考えております。
○稲村稔夫君 両々相まってという大変お上手な御答弁をいただきました。 今もいろいろと出ましたように、水田というのは食糧としての米を生産するというだけではなくて国土の保全というものにも重大な役割を持っておる、こういうことにもなるわけであります。という観点からするならば、そこの辺のところは、水田がこれから荒廃をしていく、なくなっていくということに対しては何かのいろいろな歯どめ策がなければならぬと思いますが、その辺はいかがですか。
○国務大臣(羽田孜君) 今お話がございましたように、水田の機能は確かに米を生産するというだけでなく国土の保全という非常に重要な部門がございます。それともう一つは、非常にやはり生産性の高い農地であるというふうにも考えております。そういうことで、できるだけ水田というものを活用しようということで、水田利用再編対策なんかの場合にも他用途利用米というようなものをつくっていただくこと、これもお願いしてきたところでありますし、また水田を汎用化していこうということで、そういった基盤整備なんかも進めておるところであります。
○稲村稔夫君 減反というのは、私はこういうこととそういう点では逆行するのではないかというふうにも思うわけでありまして、そうすると国土保全の観点から、米の生産とのかかわりが非常に難しければ、それなりのまた対応策というのを考えていただかなければならないのじゃないか、そう思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(羽田孜君) 本来でございますと、これは米の生産を全部する、これが最もいいことでありますけれども、もう御案内のとおり、やっぱり米の需要というものがいまだに減退しておるというような事情でございますので、今申し上げましたように、私どもとしてはなるべく水田として活用するということで他用途利用米なんかを考えております。えさ米をつくれというような議論も実はございます。ただ問題は、まだ現在の状況では価格の面でとても引き合うものでないということでございますので、水田をただつぶしてしまうというのではなくて、汎用化するということになりますと非常に幅広く使えるということがございますので、特にこういった点は私ども留意しながら進めなければいけないというふうに思っております。
○稲村稔夫君 そこのところの議論もまだまだ尽きないところでありますから、今後もまたいろいろ論争の種になっていくというふうに思いますが、いずれにいたしましても、そういう状況の中にあって、それじゃ農業経営はどうなっているだろうか、こういうことが問題になるわけでありますけれども、今農業経営は実際に国際的な関係というものを無視できないような形でどんどんと攻め込まれてきている、こういう状況になっていると思いますが、農林水産省としてはこうした国際的な環境の中でどう対応しようとしておられますか。
○国務大臣(羽田孜君) これはしばしば申し上げてまいったわけでございますけれども、私どもとしては、まず国内で生産できるものについては、やはり国内で生産できる態勢というものをきちんとつくっていくということが重要であろうというふうに思っております。そういう中で、例えば飼料穀物のようにこれはどうしても不足する、こういったものについては、やはり先ほどの先生の御指摘のように、安全なものを安定して供給してもらえる態勢というものをつくっていく必要があろうというふうに存じます。
○稲村稔夫君 そういたしますと、今の大臣の御答弁でちょっと私はわからなくなるのでありますけれども、農畜産物の、これは今畜産審議会でもいろいろと肉の値段がやられるわけでありますが、行政価格、そういうものとそれから諸物価の値上がりというものと比べていきますと、諸物価の値上がりと余りにも格差があるのではないだろうか、そう思うのであります。行政価格の方がずっと抑えられやすくなって片方が上がっている、こういう格好なんですが、その辺はどういうふうに理解したらよろしいですか。
○国務大臣(羽田孜君) これにつきましては、やはり生産性が上がってきているということが一つであります。それからもう一つは、飼料穀物がこのところ各国とも、これは肉ですとかあるいは酪農関係でありますけれども、割合と安定して、しかも低位でずっときておるということですから生産費そのものが比較的安くなってきておるというところがあるというふうに考えております。
○稲村稔夫君 生産性が上がっていると言うけれども、本当に上がっているのでしょうか。じゃ、生産性とはどういうことでしょう。
○国務大臣(羽田孜君) 例えば労働時間の短縮ですとかあるいは収量の増加というものが挙げられると思います。そしてもう一つは、これは外因的な問題として金利なんかが下がっておること、あるいは飼料穀物の値段が下がってきておるということ、こういうことも挙げられるというふうに考えます。
○稲村稔夫君 穀物の方だけに限っていきましても、特に米に限定をしていきましても、確かに労働生産性は飛躍的に上がっていますよ。しかし、そこに使う化石燃料は物すごくふえております。あるいは化石エネルギーという換算でいきますと、もう膨大なものを使うようになってきています。それに対して収量が見合うだけ上がっているでしょうか。
○政府委員(田中宏尚君) 化石エネルギーにつきまして、投入エネルギーに対して産出エネルギーがどれだけあるかという計算は、いろいろな前提を含めてみないとなかなか的確な計算ができないわけでございますけれども、ここのところ農業技術の発展ということに伴いまして、肥料でございますとかあるいは農機具、こういう技術体系の発展につれて、確かに投下するエネルギーというものはふえていることは事実でございます。
○稲村稔夫君 計算の方法はいろいろあると思いますが、人によっては、昭和三十年代に比べればもう四倍も化石エネルギーを投入するようになっているという計算もあるわけであります。だが私は、その収量のエネルギーはどういう計算をするかということは別にしましても、それに見合って収量というのが上がっているだろうかということを伺っているんです。
○政府委員(田中宏尚君) 機械でございますとかそれから肥料という、そういう生産資材等を多投するということで投下エネルギーがふえている割に、収量という点では確かに先生おっしゃるようにパラレルに上がってきてないことはもう確かでございます。
○稲村稔夫君 私、これからは農業の専門家から伺わないで、これはどなたに伺ったらいいでしょう、経済の専門家として経済企画庁長官にでもお伺いするか、あるいは通産大臣にお伺いするかということですが、こういう経営は普通は成り立つでしょうか。
○国務大臣(平泉渉君) 燃料の単価が高い場合、燃料の消費を節約することが必要だと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 牛や馬にかわって機械、トラクターとかコンバインとかそういうようなものにしたが、その投下効率は上がっているかと、こういうお尋ねだと思いますが……
○稲村稔夫君 いや、そういう経営は経営ということで成り立つかと聞いているんです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ですから、これは効率が上がれば成り立つし、効率が上がらなければ成り立たないということになるわけであります。したがって、これはどこまでも過剰投資をすれば成り立ちませんし、適正な投資をすれば成り立つ。したがって、皆さんが牛や馬を使うよりもトラクターを使った方が労働力の節約になるし、その方が効率が上がるなら、黙っていても機械近代化が進んだわけであります。しかし、中にはやはりやり過ぎて機械貧乏になっている人もある。これも事実であります。
○稲村稔夫君 それじゃ、農水省に伺います。こういう全く経済性の原則から考えたらおかしな形になるわけですね。どうしてこういう状況になったと判断をしておられますか。
○国務大臣(羽田孜君) 先ほど官房長の方からお答えしましたときも、前提がいろいろとあるというお話ししたのですけれども、今渡辺通産大臣からお答えいたしましたのを聞きながら私も感ずるのですけれども、結局、機械に投資する、そしてそれによって生産性が上がるというだけではなくて、やっぱり労働時間が短縮される。そうすると、ほかで収入を得る機会を得るということもありますから、機械の使い方にいろんな前提があるのじゃないかなと思います。ただ、中核農家といいますか専業農家、こういった皆さん方の場合には、私はそれで相当生産量なんかも上げているんじゃないかと感じます。
○稲村稔夫君 私はその辺のところまだいろいろ聞きたいところがあったのでありますけれども、要は私は、農業というものが農業自体の持っているものよりも外因的ないろいろな要因からと、それから農業経営の経済的な側面からと、両方から攻められた形でそうなっていかざるを得なかった、こういうことじゃないかと思うんですが、その辺はどうですか。
○国務大臣(羽田孜君) 今まさに御指摘の点が私は大きな一つの要素であるというふうに思っております。
○稲村稔夫君 そうすると、これから先農業経営というのを今のままで続けていくということは本当に困難だということになってまいります。それに対する対応をどうしたらいいのだというような問題にもなってくると思うのであります。私は、農民の経済と農家の経済というものはこれからもなかなか上がるような状況の中にないということを非常に重視をしているわけでありますけれども、それにさらに高齢化とかいろいろな問題が加わって、農業の将来は、どなたかがおっしゃったように、二十一世紀になると灰色だと、こんなふうに言わざるを得ないのではないだろうかというだけに、農水大臣にはまた頑張ってもらわなければならない、こんなふうにも思うわけであります。 〔理事桧垣徳太郎君退席、委員長着席〕 時間もありませんから、次に私は、山の緑についてお伺いをしたいというふうに思います。 国土庁にこれも伺いますが、先日、国土庁はそうした山林の管理についてのものを発表されましたけれども、これはどういう根拠に基づいて出されたものですか。
○国務大臣(山崎平八郎君) お答えいたします。 ただいまの御質問は、国土審計画部会の資料におきまして「森林と国土管理」という問題について触れておりますけれども、これで緑の保全がうまくいくかという御質問と存じます。 そこでお答えいたしますが、確かに森林に対しまする国民の関心がただいま非常に高まっております。しかしながら一方、森林の置かれております状況は厳しい状態でございます。なかなか前向きになっておりません。このために国土審議会の計画部会におきまして、森林等を国民全体で守ることが重要であるという国土庁の基本的な考え方、これを示しまして、森林と国土管理のあり方についての御議論を願ったところでございます、 そこで、ただいま秋に向けて策定に努力いたしております四全総の策定に当たりまして、部会でのただいまの御議論を踏まえまして、緑の保全について長期的な観点から総合対策等を今後検討してまいる所存でございます。
○稲村稔夫君 今国土庁から厳しい状況にあるという話がありましたが、それでは林野庁、今間伐を必要とする面積はどのくらいありますか。そして、その間伐は計画どおり進むと思っていますか。
○政府委員(田中恒寿君) 我が国は、戦後大変な努力によりまして、一千万ヘクタールという世界に冠たる人工造林地がございますが、その中の間伐を必要といたしますのは二十年から三十五年くらいまででございまして、国有林、民有林を合わせまして大体五百五十万ヘクタールくらいが当面必要な面積となっております。緊急に必要といたします面積は五年間で百九十万ヘクタールぐらいでございますので、ざっと年に四十万ヘクタールぐらいでございますが、これまではいろいろ努力をいたしましても大体二十五万ヘクタールぐらいが限界でございました。 本年からは、御案内の林業の活性化五カ年計画におきまして大変な重点を間伐には置いてございます。予算的にも八割増というふうな予算でございますし、必要な作業道、毛細管のように一番必要な道路でございますが、これなども倍以上の延長を確保するということで五カ年計画の最重点に置きまして、これを完遂するべく現在県の担当者とも非常に熱心な打ち合わせをしているところでございまして、何とかこれはやり遂げたいというふうに考えております。
○稲村稔夫君 何とかやり遂げたいはわかるんだけれども、現実に今の予算の中でそれが達成できますかということを伺っています。
○政府委員(田中恒寿君) 先ほど年間四十万ヘクタールぐらいと申し上げました、この補助等によりますものが大体十七万ヘクタールでございます。そのほかに融資によりますもの、あるいは自力によりますものがございますが、やはり有利な条件にある助成を受けたものが先の道を開くと申しますか、どんどん需要の流れていく道筋を開きまして、その後に自力などが続いていく、それを期待いたしまして完遂をいたしたい。予算的には四十万のうちの十六、七万がついておるところでございますが、それを核にしまして拡大することは十分可能であるというふうに考えております。
○稲村稔夫君 いろいろとそれも可能であるかどうかというのには疑問が出てくるのでありますけれども、さらにもう一つ伺います。 松くい虫の被害はどの程度になっておりましょうか。そして、どういう対策を立てておられましょうか。
○政府委員(田中恒寿君) 松くい虫の被害は、最大でございましたのが昭和五十四年ころでございまして、量的には二百四十万立方ぐらいの被害が出ております。全体的に量としては百三十万立方ぐらいまでに昨年あたりから落ちておりますから、量的には減ったようなことではございますけれども、発生の態様、状況と申しますものが北陸あるいは東北等、今までの処女地に対しまして非常に伸びてきておるということで、これは今や北海道、青森くらいが被害が余りないというふうな、このままでは大変憂慮さるべき状況にございます。したがいまして、いろいろ現地に合いましたきめの細かい対応をしなければならないわけでございますが、本年からは特にそういう新機軸も盛り込みましてきめ細かな対策がとれまずように鋭意努力をいたしておるところでございます。
○稲村稔夫君 新機軸というのは何ですか。
○政府委員(田中恒寿君) 例えばスプリンクラーを設置しまして随時重要な松林に対しまして散布いたしますとか、あるいは移動式チッパーをもちまして現地に行ってその場でチップにするとか、あるいは炭化炉をつくりまして現地で炭化するとか、そういう軽便な方法で機動的に被害木を処理できるような方法を六十一年からは実施いたしたいというふうに考えております。
○稲村稔夫君 被害をこれから食いとめるというには被害木を倒して焼き払うというようなことでもしなければ、あれは線虫ですから撲滅をするということはなかなか困難だと思うんですけれども、現在侵されているものをそれだけ切るだけの能力というのはあるのでしょうか。
○政府委員(田中恒寿君) 予防的には空中散布によりますものが非常に効果的でございまして、既に相当の発生を見た木につきましてはおっしゃいますように伐倒して焼却をするあるいは破砕をする、あるいは薬剤をかけまして虫を殺すという方法でございますが、そういうものがどんどん行われますためにはやはり被害木の利用方法も大いに必要なわけでございますが、現在の本質関係の資材といいますものはなかなか市場性を失っておりまして、そこらもあわせまして今後は対策に組み込んでまいりませんと、対象木を効果的に全量処理するというのはなかなか難しい道とは考えておりますが、鋭意努力をいたしておるところでございます。
○稲村稔夫君 林野庁長官は一生懸命努力します、努力しますと、こうおっしゃっていますけれども、努力をされるにはかなり膨大な経費が必要なんであります。間伐にいたしましても、それから今の松枯れ対策にいたしましても大変な経費が必要なんであります。そういうことになってまいりますと、先日与野党の幹事長、書記長で確認をされました事項の中に、これはまさに大事なことが今回は入ったので私大きく評価しているわけでありますけれども、緑を守るためにきちんとした財政的なことも考えてやっていきましょうと、こういうことのようでありますが、あの確認というものは内閣としてお守りになりますか。これは総理から確認をしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) そのように思います。
○稲村稔夫君 そうすると、その対策はかなりの経費とか必要なんでありますけれども、その財政的措置はきちんとしていただけますね。
○国務大臣(中曽根康弘君) 財政当局とも相談しまして、できるだけの努力をいたしたいと思います。
○稲村稔夫君 それじゃ、農水省はどういう要求をされますか。
○国務大臣(羽田孜君) これは政府に対して与党、野党の合意で私どもに向けられたものですから、私の方から御答弁申し上げたいと思います。 この問題につきましては、もう先ほどから長官からお話し申し上げましたように、また先生がいろいろと御心配なさっていますように、今日の置かれております森林というのは非常に問題がございます。そういう意味で、民有林につきましては例の森林の活力回復五カ年計画、こういったものをあれしながら対処しようとしております。そして国有林につきましては経営改善、これを審議会の方からちょうだいして今日までやってきておりますけれども、なかなかこれも進まないということもございまして、これをもう一度改めて今少し見直しをしていただいております。こういうものを踏まえながら与野党の合意というものを、これは私たちも尊重して六十二年度の予算に対して対応していきたいというふうに考えております。
○稲村稔夫君 ぜひその確認事項はお守りをいただきたい、このようなことを重ねて要望を申し上げておきたいと思います。 最後に、私がこういうことをいろいろとお伺いをしてまいりましたのは、実は中小零細企業にいたしましても、これから先非常に厳しい状況の中にあって転廃業や従業者が問題になってきます。それから、農業も林業も、きょうは触れられませんでしたけれども、漁業も日米のあれでもってもう九年後からは母船方式はベーリングから撤退しなきゃならないという問題が起こったりしていますね。こういうことになってまいりますと、それらのそこで働いている人たち、船主も船長だとかあるいはその従業員だとかいう人たちも、これは雇用の問題としても極めて重大な問題を持っていると思うわけでありまして、二十一世紀を目指してということで、こうしたきれいな文章はいろいろな形で各省から出てきますけれども、本当にこういうところをどうするんだ、一番国民にとって深刻なところをどうするんだと、この問題をぜひとも明らかにしていっていただきたい、その対応をはっきりさせていただきたい。そして私は、ことしの予算がそうした形の中で本来出発点になるような幾つもの片りんが見えるものであってほしかったのでありますが、その辺は大変不満が残ります。だから、この問題についてどう今後対処していかれるか、基本姿勢、総理は先ほどわかりやすいというふうに言われましたから……
○委員長(安田隆明君) 稲村君、時間が参りました。
○稲村稔夫君 わかりやすく対応していただけるように、我々の前に明らかに今後していっていただけますか。その辺のところを最後に総理にお伺いをして、時間もないようでありますから終わります。
○国務大臣(中曽根康弘君) 与野党間の話し合いもあり、また政府はかねてから計画的にこれを進めさせておるところでございまして、財政当局とも相談をして最善の努力をいたす次第でございます。
○稲村稔夫君 ちょっとそれは聞いていることと違うよ。
○国務大臣(羽田孜君) 農業、林業、水産業ともにこれは国の安全という、いわゆる国民の生活の安全というものをやっぱり確保するということもありますし、私どもといたしましてはそういったことを頭に置きながら、また地域社会というのはみんなそれぞれの分野の皆さん方がこれを担っているわけでございますから、ここに対して本当に生活する人たちがきちんと生活できるような体制をとらなきゃいけない。そうでなければ本当の意味での安定供給ということもできなくなるということもございますので、そういったことも頭に置きながら対処していきたいというふうに考えております。
○稲村稔夫君 いや、答えてないんだよ、聞いていることに。ちょっと答弁になっていないんです。
○委員長(安田隆明君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。
○国務大臣(中曽根康弘君) 農政全般を見ますと非常に厳しい環境にあるように思います。農業の問題にいたしましても、林業にしましても、あるいは水産関係にいたしましても同じであります。そういう中にありましてできるだけ関係者に希望を与えるように、特に水産等の問題についてはおっしゃいますようにベーリング海峡の撤退等の問題もありますので、これは外交当局とも協力をいたし、かつまた事後処理等につきましても、不安のないように我々としてはあらかじめ努力しておく必要があります。そういう各方面にわたりまして目を見張って、皆さん方が心配のないように最善の努力をしていくつもりでおります。
○稲村稔夫君 聞いていることに答えになってないんですよ。私はそれぞれから聞いていったものが……
○委員長(安田隆明君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。
○国務大臣(中曽根康弘君) 農業あるいは水産業あるいは林業、ともかく農政全般というものを考えますと非常に厳しい環境にあります。
○稲村稔夫君 農政を聞いているんじゃないです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 雇用問題等の問題もあり、そういうようなあらゆる方面に目を注ぎまして、ともかく政府全体としての計画を立て、あるいは諸般の財政的な措置も講じつつ、国民の皆さんにわかりやすいように、御了解も願って、努力していくということであります。
○委員長(安田隆明君) 以上で稲村稔夫君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(安田隆明君) 後藤田内閣官房長官から発言を求められておりますので、これを許します。後藤田内閣官房長官。
○国務大臣(後藤田正晴君) 逗子の米軍家族住宅の建設に関するチラシの配布について、政府としてお答えを申し上げます。 逗子米軍家族住宅の建設に関するチラシの配布は、施設及び区域の提供の事務を所掌しておる防衛施設庁が、防衛庁設置法の定めるところにより、所掌事務の周知宣伝の一環として、昭和六十年二月から数次にわたり、関係住民の正しい理解を得るため、国の事務遂行上の必要から行っている正当な広報活動であり、文書の内容、配布の経緯、態様等の諸般の事情を総合的に勘案して、地方自治法第八十五条第一項によって準用される公職選挙法の規定には抵触しないものと考えます。 なお、今後とも広報活動については慎重を期してまいりたいと思います。 以上でございます。 ―――――――――――――
○委員長(安田隆明君) 前回留保しておりました佐藤三吾君の質疑を行います。佐藤君。
○佐藤三吾君 ただいまの政府見解は到底承服できかねます。 防衛施設庁のビラまき行為は、住民自治への中央政府公権力の介入であります。それは、地方自治法の立法趣旨に著しく背馳するものであるばかりか、公選法における公務員の地位利用に抵触する疑いが極めて強いものと言わざるを得ません。それは自治省の選挙関係通達からも容易に類推されるところであります。したがって、ただいまの政府見解は撤回されるべきであると考えますが、この点の質疑は留保して後日に譲ります。 通産省に資料要求をしておりますが、その内容を回答願います。
○政府委員(浜岡平一君) 前回審議の際に御要求のございました資料につきましては、既に先生のお手元に御提出申し上げてございますので、これを御詳覧いただければありがたいと思います。
○佐藤三吾君 具体的に言ってください。
○政府委員(浜岡平一君) ただいまのお話は、先日先生の方から私どもの方へ直接お話のございました資料のことかと存じます。基本的には、提出をいたすように最大の努力をさせていただく所存でございます。 ただ、現在捜査当局の方に既に押収をされておりまして、私どもの入手できないもの、あるいは保存期間が過ぎているもの等もあるわけでございますが、そういうものは御容赦をいただきたいと思っております。 具体的に申し上げますと、撚糸工連の事業概要「一般事項」に記されてございます通産省と撚糸工連の打ち合わせ、懇談会への出席者の氏名、役職等につきましては、できるだけこれを明らかにさせていただきたいと思います。 また、出張の内容につきましても同様でございます。 設備廃棄を行いました関係組合の総会議案資料等につきましては、古いものは入手が困難でございますけれども、最近の一、二期のもの等につきまして、これを整理して提出をさせていただきます。 また、賦課金の決め方等につきましても、一般ルールを整理いたしまして御提出をさせていただきたいと思います。 また、石川県の構造改善工業協同組合の決算書、事業計画書等につきましては、最近数期のものを御提出させていただきたいと思います。 また、廃棄事業の実施時期、各自治体の負担比率等につきましても、整理をいたしまして御提出をさせていただきたいと存じております。
○佐藤三吾君 石川県工業協同組合の昭和四十七年以来の決算書、事業計画、その結果、さらに撚工連の決算書について、税務署の認定した分のうち特に五期以降の税務署印のついた決算書全文、これはどうなっていますか。
○政府委員(浜岡平一君) 前者につきましては、石川県の撚糸工業組合も捜査当局の捜査を受けておりまして、関係書類が押収されておりますが、直接の監督庁でございます県の方に保有されております資料がございましたら、できるだけ最近時の決算書類及び事業計画書を提出させていただきます。 また、廃棄事業の状況につきましては、多分私どもの手で調査できると思いますので、整理して御提出をいたします。 なお、関係税務官庁へ撚糸工連が提出いたしました書類等は捜査当局の方に押収をされておりますので、私どもの方で入手することができませんので、事情を御賢察の上御容赦をいただければと思うわけでございます。
○佐藤三吾君 いつごろまでに出してくれますか。
○政府委員(浜岡平一君) 最善の努力をいたしまして、一週間ぐらいのうちにはと思っておりますが、順次お届けいたしたいと思います。
○佐藤三吾君 篠島局長が八月二十四、五、三十一、九月一日、九月二十九、三十、短期間に福井、石川に連続して三泊六日の旅行をしておるわけですが、通産省の資料によりますと、単身で行っておる。講演なら私はわかるんですけれども、内容を見ると、懇談会に単身で行くというのは不可思議でならぬわけでございますが、どういう会議があったのか、秘密を要するものがあったのか、ここら辺はいかがですか。
○政府委員(浜岡平一君) 御指摘の日時に行われております会合は、当時の合繊繊維不況状況に対応いたしまして、通産省あるいは合繊メーカーサイド等で講じようとしております施策の内容等につきまして広く関係方面に理解を求めると同時に、地元の意見を直接聞き取るというようなことを目的に行われた会合でございます。そういう目的の会合でございますので、いわば非常に微に入り細をうがった質疑応答というよりは、政策の考え方を基本的に理解をしていただき、それについての地域の反応ぶりというようなものを直接聴取しようというような観点からの会合でございまして、そんな観点から直接担当局長が出席をしたものというぐあいに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○佐藤三吾君 この一連の懇談を通じて、稻村さんの選挙区では局長さんがおいでになったということで今でも評判になっておるわけですが、稻村さんも小田理事長も同行しておったわけですか。同行と言っては悪い、一緒だったんですか。
○政府委員(浜岡平一君) 御指摘の日時の会合には今お話しの方の御出席はなかったと私どもは承知いたしております。
○佐藤三吾君 小田さんおったと言ったじゃないですか、十五日は。
○政府委員(浜岡平一君) ただいまのはちょっと私が聞き過ちまして、国会議員の先生の方のことのみをお答え申し上げましたが、石川県で行われました意見交換会の際には、当人の記憶によりますと小田理事長が出席していたんではないかと思うというような話でございました。
○佐藤三吾君 それは篠島さんの証言ですか。
○政府委員(浜岡平一君) 御指摘のとおりでございます。
○佐藤三吾君 余りそれは証拠にならぬですね。 五十七年-六十年、この間に、撚工連の総会資料によりますと、小田理事長、井上専務は局長と九回、課長と二十回、場所不明の懇談をやっておるんですが、どういう内容ですか。
○政府委員(浜岡平一君) 御指摘の撚糸工業連合会の三つの事業期間にまたがります総会議案資料に打ち合わせあるいは懇談というような記載のございます件数を累計をいたしますと御指摘のような数字になるのではないかと思います。 私どももこの日誌の原稿を作成いたしました当事者から事情を聞いてみましたけれども、打ち合わせないしは懇談の間に明確な性格上の相違をつけて必ずしも記載したわけではないということのようでございます。この全体の記載の中身を見てみますと、当時問題になっておりました設備廃棄事業等につきましてその事務打ち合わせ等を行ったという性格のものもかなりございますし、また関係連合会の理事長が例えば局長室へ参りましていわゆる陳情というような性格のことを行ったというようなものも含まれておるように思われるわけでございまして、かなりいろいろな性格のものが含まれているというぐあいに受けとめておるわけでございます。
○佐藤三吾君 会議場所、懇談場所は不明なんですが、例の四谷の料亭ですか、ひとつできれば明らかにしてほしいんです。 その間に、日誌によれば、小田、井上氏が五十八年十月から一年間に八十二回、五十九年十月から一年間に六十三回、六十年十月から一年間に六十七回役所との折衝をやっておるわけですが、これはどういう問題が中心ですか。
○政府委員(浜岡平一君) 当時、撚糸工業組合連合会をめぐりまして最大の問題になっておりましたのは、六十年度からスタートいたしております設備廃棄事業の問題でございまして、この設備廃棄事業につきましてかなり広範な、また長期にわたる話し合いが必要でございます。特に二十府県にまたがりまして産地組合が存在をしております全国連合会でございますので、その辺の打ち合わせには大変多くの時間が必要であったのではないかというぐあいに思われるわけでございます。 また、先ほど来申し上げておりますが、合成繊維織物の輸出が米国での在庫増加あるいは中近東市場の不振等によりまして大変大きな不況状態に陥っておりまして、在庫凍結等が行われております。その影響は産地全体に及んでいたわけでございまして、その辺の打ち合わせ等も行われているようでございます。 また、そのほか設備の近代化あるいは取引の近代化、情報問題等々、かなり広範な問題がこの日誌の中には浮上してきているというぐあいに思われるわけでございます。
○佐藤三吾君 先ほどの課長、局長の懇談会の場所、これはひとつ資料要求しておきます。 そこで、六十年の九月十一日に三谷の不正が報道されたわけですね。その日の十八時にあなたは記者会見をやって三谷の使い込みであるという断定をしたわけですね。これは何か根拠があったんですか。
○政府委員(浜岡平一君) 緊急の記者会見を求められましたときの私の発言であろうかと存じますが、大変申しわけございませんが、極めて詳細には記憶しておらないわけでございますけれども、当時問題として出てきておりましたのは、元経理課長三谷健一氏の有印私文書偽造あるいは詐欺といったような問題でございまして、この段階におきまして、この事件についての性格づけをそういうぐあいに説明をしたのではなかろうかというぐあいに記憶をたどっているところでございます。
○佐藤三吾君 まだこのときは警察も表に出ていなかったわけですね。それをあなたが断定なさった。その翌々日、三日後ですか、十四日の日に告発があったわけですね。その日の二時に、石川県の撚工連の支部である県工組合ですか、百九十四回の理事会が開かれておったわけです。その席上、理事長が、不正が発生して申しわけない、二十億円と聞いて動転したけれども、調べてみたところが十七億程度だ、しかしまことに申しわけないということが一つ。しかし、今進んでおるこの買い上げ資金、これについては皆さんに支障のないように小田理事長が責任を持って措置をします。本日午後三時に衆議院商工委員長から連絡があって、万一、九月中に出なければ十月十日までに出す、こういう電話があった。また局長から電話があって、買い上げ金は、三億六千万の三谷の穴埋めを全力投球して努力する、こういう電話があった、そして、予定どおり十月八日に百二十六億円が出されておるわけですが、これはいかがですか。
○委員長(安田隆明君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。
○政府委員(浜岡平一君) 金額的にはまだ司直サイドでの確定が行われておりませんが、先生御指摘のような規模の資金不足というようなものが明らかになっておったわけでございます。 あの時点におきまして私どもが最も苦悩いたしましたのは、六十年度上期と俗称いたしておりますけれども、当該連合会の傘下の約千三百の中小企業でございましたけれども、既に設備を廃棄いたしておりました。現在の仕組みのもとでございますと、設備買い上げ事業はすべて転廃業政策とリンクして運用するということになっておりまして、自分の持っております設備を全部破砕をしたというような状況になっていたわけでございます。現在の仕組みでございますと、まず設備を破砕いたしまして、その上で融資申し込みを行うというような手順になっておりまして、既に融資申し込みが行われ、融資決定が行われる直前というような状態になっていたわけでございます。ところが、この設備廃棄事業に伴います返済原資の管理を行う特別会計にも御指摘のような穴があいているというような状況でございまして、このままでは融資を長期間にわたってとめざるを得ないというような状況でございまして、大変苦悩をいたしたわけでございます。 そこで、連合会の持っておりますビルの資産価値というようなものがほぼ穴のあいております金額とマッチをしているというような状態を発見いたしまして、私どもといたしましては、必要ある場合にはこのビルを抵当に入れまして、金融機関から借り入れをいたしまして特別会計の穴埋めをするというような方法ででも、この千三百に余りります中小企業の苦況を救う方法はないんではないかというぐあいに考えまして、そういうぐあいに関係方面を指導いたしました。 私が直接理事長に電話をしたかどうかは記憶いたしておりませんが、この問題につきましては、確かに私が非常に緊急事態だと判断をいたしまして、そういうような方向づけを行いました。 また、大変御関心をお持ちで、いろいろと御照会のございました方面に対しましてはそういう考え方で対処しているというような私の考え方をお伝え申し上げたことは確かに記憶いたしております。 以上でございます。
○佐藤三吾君 その結果、使い込みの穴埋めに撚工連の会館を担保にして融資資金を出し、それで肩がわりをした。本来、使い込みをやったら、その相手の使い込んだやつを押さえていくのはこれはわからぬことはないけれども、これを担保にまた穴埋めする、こういうやり方を通産省も承認した、こういうことなんですが、いかがですか。
○委員長(安田隆明君) 佐藤君、時間が参りました。
○政府委員(浜岡平一君) あの時点で判明しておりました使い込みの当事者は三谷元経理課長でございまして、あの時点で私どもが連合会側から聴取いたしておりました状況では、三谷個人に返済請求をいたしましてそれを担保に供するというようなことは残念ながら現実的でないというぐあいに判断をいたしたわけでございます。 その後、問題、関係者の範囲が広がってきておりますので、今後司直サイドにおきまして事態の全貌が明らかになりましたところで、当然民事上の返済請求その他の手続は関係連合会において行うべきものだというぐあいに考えておる次第でございます。
○佐藤三吾君 時間がございませんから、以上、十五日から私はいろいろこの問題について追及したり明らかにしてきたんですが、通産省、中小企業事業団、政治家関与についていろいろ議論してまいりました。この点につきましては当然捜査当局は現在捜査の対象に含められておると思うんですが、この点の見解がどうか、それが一つ。 それからさらに、この取り上げた事件については、まず私は第一弾であって、今後も追及していくことを明らかにしておきたいと思います。 同時にこれは、総理、あなたも四十七年-四十九年の通産大臣であります。そういう意味では、この不況業種に対する救済がこういう金の使われ方、これについては私は国民の皆さんも怒りに燃えておると思うんです。そういう意味で、この問題についての総理と通産大臣の見解を聞いて終わりたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 今後ともこのやり方が果たしていいのかどうか、政府がこれで責任がとれるのかどうかということの制度の根本の見直し等も含めまして、二度とこういう問題が起きないように対処をしてまいりたいと存じます。
○国務大臣(中曽根康弘君) このような事件が起きましてまことに遺憾に存ずる次第でございます。通産大臣が申し上げましたように、事態を厳重に究明いたしまして、こういうような不祥事件が再び起きないような措置を行政的にも講じたいと思います。
○政府委員(岡村泰孝君) 撚糸工連をめぐる一連の事件につきましては、現在東京地検におきまして鋭意捜査を継続いたしまして、事案の実態の解明に努めておるところでございます。その過程で法令に触れるような行為があるならば、これは検察当局といたしまして厳正に対処するものと思っております。
○委員長(安田隆明君) 以上で佐藤三吾君の質疑は終了いたしました、(拍手) ―――――――――――――
○委員長(安田隆明君) 次に、小柳勇君の質疑を行います。小柳君。
○小柳勇君 総理に国鉄問題を中心に質問をいたします。 私が生涯をかけてまいりました国鉄問題が今大きな日本の課題であります。恐らく総理に、重要な予算委員会の審議で質問いたしますのは最後になるかわかりませんが、誠意をもって満足する答弁をしていただけたら幸せであります。 まず第一は、四全総が九月には答申されるようであります。その計画会議の議案の中に、多極分散型の国土を形成するあるいは全国にわたって快適な居住環境を形成する、こういうことがあります。日本社会党も産業構造の分散ということに大きな二十一世紀に向けての政策を持っています。総理のロマン、理想、四全総にかける総理の期待をお聞きしたいわけであります。
○国務大臣(中曽根康弘君) 目下策定中でありますから、私がとやかく申し上げるのはできるだけ遠慮しておいた方がいいと思っておりますが、今御指摘のように、国土の均衡ある発展、それから各地域地域の住民の皆様方がその地域にふさわしいような産業なりあるいは生活形態を営めるように、また文化等につきましても社会経済圏ごとにしかるべき文化生活あるいは文化的所産が成就するような、そういう社会を建設することが正しいと思っております。
○委員長(安田隆明君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。
○小柳勇君 かつて元総理大平さんは田園構想なるものを発想されました。国土庁長官、この四全総に対するあなたの夢をお話し願いたい。
○国務大臣(山崎平八郎君) お答えいたします。 総理からもお話がございましたけれども、二十一世紀への国土づくりの指針を示すため、本年秋に四全総を策定する予定でございまして、ただいま懸命努力中でございます。 そこで、四全総におきましては国土の均衡ある発展を目指しまして、個性豊かな魅力ある地域づくりや地域間の交流の活発化、このための基盤整備などの方向を明らかにいたしまして、安全で活力ある美しい、また世界に開かれた国土づくりを推進してまいるというのが私の考えのもとでございます。
○小柳勇君 西暦二〇〇〇年における人的交流の増加及び物的交流の増加はどのくらいに御判定ですか。
○国務大臣(山崎平八郎君) 二十一世紀に向けまして、経済活動規模の拡大、自由時間の増大等を背景といたしまして、地域内、地域間の交流量は着実に増加すると思っております。国内におきます二〇〇〇年の交流量は現在と比較いたしまして、これはあくまで試算でございますけれども、人的交流で約一・四倍、物的交流で約一・五倍と試算いたしております。
○小柳勇君 今そういう数量を想定しながら四全総の計画部会がいろいろ論議しておられるようです。九月の答申が楽しみであります。 そこで、国土庁長官、あなたも福岡だが、北海道や福岡では産炭地が大変荒廃している、企業誘致しようにももう企業が来ない、しかも福岡ではローカル線九線廃止、こういうような実態を見て国土庁長官並びに通産大臣などは、産炭地域振興についてどういうような計画を持っておられるか、聞いておきたい。
○国務大臣(山崎平八郎君) 各種交通機関の発達いたしました今日におきまして鉄道、自動車、航空等の各交通機関がその特性を生かしながら相互補完的な交通体系を形成することが一番望ましいと考えております。そこで、輸送密度のかなり低い特定の地方交通線につきましては、鉄道よりもバスの方がその特性を発揮しやすく、このような観点から昭和五十五年に国鉄経営再建促進特別措置法が制定されまして、特定地方交通線のバス転換等の措置が講ぜられることになったわけでございます。このような経緯にかんがみまして国土庁といたしましては、特定地方交通線の廃止に当たっては地元の意見を十分尊重するとともに、貨物輸送を含めまして代替交通機関の整備を図るべきことを運輸省に対し述べてきたところでございます。
○小柳勇君 閣僚の一人が地方ローカル線に対するそのような浅い見識では、私どもは本当に心寂しい。 これは秋田県知事佐々木さんが先般参議院の運輸委員会に見えましてこういうふうに公述されている。「本来、交通体系は線ではなくて網、いわゆるネットワークによって構成されるべきものと存じます。」、「過疎なるがゆえに交通ネットワークから外されるということになれば、その地域は永久に過疎地域ということになりましょう。」。佐々木さんは、ローカル線を残しておかないと、後この産業の分散したときにはまた鉄道は建設できないぞと切々と訴えられた。長官、そのようなことでは、福岡県に帰ったらこれは大問題だ。もう一回あなたの答弁を求めます。
○国務大臣(山崎平八郎君) また一方、国鉄再建監理委員会、この「国鉄改革に関する意見」の取りまとめに当たりましても、特定地方交通線以外の地方交通線を含め新会社が引き継ぐこととなる全線区を維持、整備できるような方策を用意すべきことなどを国土庁として述べてきたところであり、これらは再建監理委員会の意見の中にも、また今回の国鉄改革九法案の中にも十分反映しておるものと考えております。
○小柳勇君 後でいろいろ論争しますが、運輸大臣はどうですか、見解。
○国務大臣(三塚博君) 地方交通線が地域に果たしてまいりました役割は御指摘のとおりでございます。同時に、総合交通として現代の経済社会にどのように特性を発揮し対応するか、こういうことに相なりますと、公共交通としての国鉄、また関連の鉄道、私立の鉄道、バス、他の交通手段、こういうものがどのように機能するかはその地域と一体になって判断されるべきものであろうと思います。 特定地方交通線は、国鉄の再建という国民の期待にこたえる改革のために廃止に踏み切ったわけであります。しかし同時に、ただ切り捨て御免というのではなくして、地域交通、地域民の足をいかようにしてこれを確保するかという観点で地域協議会の中でもろもろの御意見を賜りながら、そのことで地域が過疎化あるいは陥没することのないように、逆に前進ができるように、その辺の意見をくみ上げながら取り組まさせていただいておるところであります。
○小柳勇君 地方交通線については後でまた論争しますが、通産大臣、産炭地域振興で北海道や福岡はどんどん企業誘致しても来ない。特にレールが取っ払われるので運搬の道がないから誘致企業が来ない。産炭地域振興臨時措置法はありますが、どういうふうなレールかあなた方ちゃんとやっぱり腹に入れて、もし速度が遅ければ速度つけるような工夫をしなければならぬと思うが、いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 産業の振興には物によって鉄道が非常に重要であるということは承知をいたしております。産炭地の振興についてどういうような企業を将来誘致をするかどうかという問題につきましてはケース・バイ・ケースでございますから、鉄道があった方が非常にいい場合と、なくてもできるという場合もあろうかと存じます。それはケース・バイ・ケースで一概にはなかなか言えないのではないかと、そう思っております。
○小柳勇君 産炭地域振興に対して福岡県も北海道も、鉄道も一つ計画の要素の中に入っているわけですよ。後でまた論争いたします。 そこで、総合交通体系の緊急整備と公共輸送の拡充でありますが、本当は絵をかいてくればよかったのですけれども、粗末な私のパンフを配らせてもらいました。交通渋滞は朝晩ラジオで放送している。この実態を総理どうお考えになりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 近来におきまして高速道路網あるいは地域間の輸送道路等も大分込んできておるようであります。産業活動の活発化と比例して出てくるものであると思いますが、道路の建設等についても各地域に第九次の道路の計画に従いまして、できるだけ交通に便なるようにできるものから逐次実行してまいりたいと思っております。
○小柳勇君 この資料は警察庁からもらったのでありますが、警察庁から道路交通の実態について御説明を求めます。
○政府委員(八島幸彦君) お答えいたします。 道路交通の実態というお尋ねでございますが、交通渋滞の現状について申し上げますと、自動車交通量及び道路実延長の伸びを過去九年間について見ますと、自動車走行キロは昭和五十年を一〇〇としました場合、昭和五十九年は一四五と大幅に伸びておりますのに対して、道路実延長は一〇五と低い伸びにとどまっております。この間、建設省の全国道路交通情勢調査によりましても国道、主要地方道等の交通混雑度は次第に上昇してきております。 ちなみに国道一号、二号及び三号の渋滞の顕著な八地点につきまして三百メートル以上の渋滞を生じた年間の延べ時間を見ますと、昭和五十五年と昭和五十九年とを比較しますと、それぞれ一・一倍から二・六倍となっております。また警視庁が都内の主要交差点三百四十四カ所について実施しました交通渋滞状況調査によりますと、昭和六十年中の一日平均の渋滞時間は平均四時間でありまして、五年前の調査に比べますと四二%ほど増加いたしております。
○小柳勇君 図がありませんから、ただ説明だけではようわからぬのでありますが、一日十万台通行している場所がたくさんあるわけです。一秒間に一・二台通過であります。 そういうことで、交通事故も起こっておりまするが、死者を含んで交通事故の発生件数について御説明を求めます。
○政府委員(八島幸彦君) 昨年の交通事故発生状況でございますが、発生件数が五十五万二千七百八十八件でございまして、これは前年と比べますと六・六%増加いたしております。死者数につきましては九千二百六十一人でございまして、これは前年に比べますと、一人でありますが減少しております。負傷者数は六十八万一千三百四十六人でございまして、前年と比べますと五・七%増加という状況でございます。
○小柳勇君 この間、日航事故で五百名の方が亡くなられました。大事故であります。ところが、自動車事故で約一万人の方が年間死んでいる、これは交通混雑の一番の犠牲だと思うわけです。したがって建設大臣、道路の建設状況について御説明を求めます。
○国務大臣(江藤隆美君) 昭和二十九年に第一次道路整備五カ年計画ができたときが二千六百億の事業費でありました。今日第九次が進んでおりまして、六十二年をもって終わるわけでありますが、三十八兆二千億。これでもって、国道から市町村道入れますと、大まかに申し上げまして道路の改良率がおおよそ三八%、それから道路の舗装率に至っては五八%。それから高速道路は、御承知のように昭和四十二年に七千六百キロの指定をいたしまして約二十年間鋭意建設に取り組んできたわけですが、供用開始になったものがおよそ三千七百キロ、大体今世紀末でもって完了するということになっております。 以上であります。
○小柳勇君 道路の建造は、延長も拡幅もなかなか進まないのであります。 自動車産業の前進はどうですか。通産大臣、自動車は一年間に何台できますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 機械情報産業局長から答弁をさせます。
○政府委員(杉山弘君) お答え申し上げます。 四輪自動車の生産台数でございますが、五十九年は千百四十七万台、六十年は千二百二十七万台でございます。そのうち国内で販売されましたものが、五十九年では五百四十四万台、六十年は五百五十六万台でございます。保有台数で見ますと、五十九年末が四千四百五十二万台、六十年末が四千六百二十二万台でございまして、それぞれ各前年末の保有台数に比較いたしまして五十九年末は百五十九万台の増加、また六十年末は百七十万台の増加でございまして、このところ毎年百六十万台ないし百七十万台程度の保有台数の増加が見られております。
○小柳勇君 道路の延長は、一般道路で百十二万キロ、大体それから延びませんのに、車は年間千三百万台もふえるわけです。しかも、半分外国へ行きますが、半分は道路の上に増加してきます。五年いたしますとこのくらいの道路交通渋滞じゃないと思う。この道路の渋滞を解消するには一体どういう対策を立てておられますか。運輸大臣に聞きましょうか。
○国務大臣(三塚博君) 「交通渋滞と貨物輸送」という小柳先生の力作を拝見させていただいて思うのでありますが、要すればモータリゼーションの今日の時代にどう経済社会そして政治が対応するかという基本問題では、先生も私も認識は同じだと思うんです。ただ、自由社会、多様な交通手段を選択してまいりますこともこれまた我が国の制度の帰着点、その帰着点とどうバランスをとるかというのが国土計画であり、交通政策であろうというふうに思うのであります。そういう意味で着実な道路計画が進められることが一点ございます。 それと同時に、私ども国鉄改革を、つらいつらいこの改革を将来の国民のために、また今日のためにやり抜かなければならぬと決心をいたしましたのは、実は旅客輸送もさることながら貨物輸送、これが確実に機能してまいる貨物会社に生まれ変わっていただきたい。生まれ変わらせるためにはどうするか。これは法案を提出いたして、その段階で先生からも専門家としての御提言、御意見を賜りながら論争をし、帰着点を見つけていかなければなりませんけれども、そういう総合交通体系の中におきましてこれを解決していく。海運に特性を持つ荷はそちらでやる、トラックでいいものはドア・ツー・ドアでこれはまいる、しかし同時に大量のものは貨物鉄道としてこれを進めてまいる、こういうバランスある輸送体系を構築してまいることが緊要であろうと考えております。
○小柳勇君 言うことだけは立派だけれども、それじゃ、今の国鉄の貨物の輸送量と新会社、貨物会社の輸送量は幾らですか。数字も頭に置かないで言ったってつまらぬ。
○国務大臣(三塚博君) 私から概要を言いますと、貨物は、今五千万トンであります。
○小柳勇君 新会社は。
○国務大臣(三塚博君) 新会社はこれを継承するということでありますが、正確に岡田担当常務から答えさせます。
○説明員(岡田昌久君) 現在約七千万トンでございまして、新しい会社では五千五百万トンを計画いたしております。
○小柳勇君 ちょっと大臣、答弁を修正しておかなきゃいかぬ。
○国務大臣(三塚博君) ちょっといろいろな数字が頭に入り過ぎておりまして、七千万トンであります。
○小柳勇君 ただ理想論とか口だけで、皆さん本当にこの数字が頭に入っていなくて計画して、亀井さんの答申をそのままうのみにしてやっているから、この鉄道の改革は私は反対なんだ。まあそれは後でいいけれども。 今、六十億トンの貨物の中で七%しか鉄道は運搬していない。それを四%に下げようとしている、鉄道の新会社。もううんと削減している、ことしの予算、時間があれば後で聞きます。 それでは、運輸省が総合交通体系をやるために組織変更した、今までは許認可官庁だったのが、一年半ばかり前に総合交通体系をやるということで組織変更されたが、その成果はどうですか、運輸大臣。
○国務大臣(三塚博君) この点は、陸上交通の整備という点で全力を尽くしておるところでありまして、特に今回の国会に複々線化の特別措置法を御提案さしていただきまして、大都市交通の緩和を図るということで御提言をさしていただきました。さらに内航海運の整備、安定した運航のために解撤を中心とした船腹過剰の調整のための方式をこれまた新たに措置を講じ、外航船とのバランスの中でやることにさせていただきました。さらにもう一つは、バスの振興という意味で、過疎バス対策を引き続き六十一年度予算で前年度比増額という形でこれを措置させていただく。さらに基本的には貨客体制ということで、ただいまの鉄道の問題、さらに航空ジェット化、さらにコミューター方式の採用を空にどう取り入れるか。こういう点で陸海空、地域に合った形の中で人的交流、物流の基本を踏まえた体系を構築いたしながら今日進んでおるわけでありまして、さらに引き続き運輸政策審議会において各界代表にお寄りをいただき、ただいまも各部会において御勉強をいただいておると、こういうことでありをする。
○小柳勇君 抽象的なたくさんきれいな言葉を使われますが、総合交通体系というのは人と物をうまく運ぶことですね。 じゃ、貨物の運搬について質問いたします。今、貨物トラックが何台あるか、その中で営業トラックが何台あるか、答弁を求めます。
○政府委員(武石章君) 現在トラックの台数は、登録自動車数で八百三十二万台、うち営業用が六十二万台でございます。自家用が七百七十万台、営業用は七・四%というところでございます。このほかに軽貨物の八百万台がございますけれども、これはほとんどが自家用でございます。
○小柳勇君 労働省、労働大臣、今二七通達というのがありまして、トラックの運転員の労働基準を決めている。二七通達はどのくらい適用されておるか御存じですか。ちょっと大臣から、大きな筋ぐらい大臣から答弁しなきゃつまらぬ。
○国務大臣(林ゆう君) 大変恐縮でございました。 大体五〇%でございまして、前よりは多少よくなっているという現状でございます。
○小柳勇君 総理、二七通達というのがありまして、これは青ナンバーのさっき言った六十二万台の運転しか適用しない。あとはもう白トラのトラックは全部野放し、適用しないんです。しかも、その適用すら今おっしゃったように五〇%。完全に二七通達を適用したら、もう九州からも四国からも北海道からも東京までで採算に合わない。そういうことで道路が今混雑しているわけです。この道路混雑を解消するためにどういう知恵を出したらいいか。通産大臣、自動車産業の総量規制なんて考えたことはありますか。
○政府委員(杉山弘君) 先ほどお答え申し上げましたように、このところ自動車の保有台数にいたしまして毎年百六十万台ないし百七十万台ずつふえておりますが、これはそれなりのニーズがあってのことでございまして、今私どもといたしましては、これを生産台数の総量規制というようなところまでは考えておりません。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま担当局長から答弁したとおりでございます。
○小柳勇君 それでは、またこれは本論ではありません。鉄道の貨物が七%から四%に下げられようとしている。これはもう将来運転できなくなるでしょう。営業できなくなるでしょう。それはこの道路交通渋滞を解消するためには逆行だと言いたいわけですよ。もう少しトラックが野放しでやるようなことを規制しながら鉄道の貨物というのを大事にすると、そういうことを言いたいために命ずっと基礎をやっています。この交通渋滞を解消するために関係大臣から知恵をお聞きしたい。 まず、ひとつ運輸大臣、具体的にはこの私の本の後ろにも書いておりますね、五項目。運輸大臣からひとつ知恵を。
○国務大臣(三塚博君) お答えしますが、これに御提言をいただいておりますが、自動車総量規制という方向がこれはできればいいわけですけれども、生産制限であります。なかなかそれは我が国の経済体制の中ででき得ない相談であります。そういう中で今日的な課題にどうこたえるかということでありますと、まあ精神論でありますが、やはりそれぞれの、今、二七通達の問題もございました。そういう形が浸透してまいるということが一つでありましょうし、さらに自家用、白トラ等等につきましてもその辺がきちっと整理をされていくことでありましょうし、時間帯による運送体系をつくり上げるという専用バスレーンなどというのも知恵として執行されて効果を上げておるわけでございますが、そういうもろもろの問題点を摘出しながら、現制度の中でやり得るぎりぎりの点を追求しつつ実行していくということが今日課せられた直ちの道であろうかと、こんなふうに思っております。
○小柳勇君 建設大垣、いかがですか。
○国務大臣(江藤隆美君) 大体国道総延長の三五%ぐらいが渋滞をする区間でございます。県道で大体総延長の三六%ぐらいだと思います。ですから、これらにつきましては、やっぱり拡幅、道路改良、それからバイパスの建設、これを急がなきゃならぬということ。それから、先ほど先生のパンフレットを拝見させていただきましたが、高速道路が満杯だと。これはもう東名、名神が年間約六千回渋滞するわけですから一日十六回、首都高速では八千八百回ですからもっとひどいと、こういうことになります。したがって、こういういわゆる高速自動車道路の整備ということが一つ必要になるということと同時に、例えば東京で言いますというと内環状道路、外環状道路、こういういわゆる高速道路を受けるそういう高速道路あるいは湾岸道路、こういうものの建設が必要になってくる。これらが解決すると随分と高速道路の渋滞は私は解消されると思っております。 したがいまして、これから先私どもは、先ほど約三千七百キロ供用開始しましたと言っておりますから、あと残りがあるわけであります。同時に、第十次道路整備五カ年計画の中で今度はまた高規格幹線自動車道路の指定をしながら、さらにこうした高速自動車道路の整備をやっていく、こういうことを続けていきますと我が国における道路事情というのは著しく改善されてくる、そういう目を私どもは目標にして懸命の努力をしておると、こういうことでございます。
○小柳勇君 今、建設大臣がおっしゃいましたけれども、道路建設、拡幅も延長も自動車産業の生産に追いつかないと。ただ、社会党も総量規制などはやっぱり考えられません。かつて自動車産業や電機産業が日本の不況を支えてまいりました。そこまでいきませんけれども、やっぱりこれだけの閣僚がいらっしゃるから、知恵を出して早急にこの道路交通渋滞というものを解消しなきゃならぬ。NHKのテレビを入れますと、朝晩、しかもラジオもそうですね、このような国を、大臣これだけおられて恥ずかしくないかと言いたいわけですよ。 そこで、もう一つは排気ガス、環境庁長官、このアセスメント法制化についてのあなたの決意を聞いておきたい。
○国務大臣(森美秀君) 環境基準が六十年度達成できなかったことは、殊に大都市で達成できなかったことは大変遺憾なことだと思っております。昨年十二月に取りまとめました中期展望によりまして、今後関係省庁、地方公共団体等々と連携して総合的な対策で強力に進めてまいりたい、こう考えております。
○小柳勇君 総理にもこの点お聞きしたいが、東京の空が排ガスで大変だ、これの排出を規制するため環境庁だけではどうも力が足らぬようにこういうのを読みますとありますが、どうですかね。
○国務大臣(中曽根康弘君) 環境基準が設けられておりますので、これを厳正に守らせることがまず第一であると思います。それから、これからの将来に向かってのいろいろな変化に対応できるような政策を事前に用意しておく、そういうことも大事であると思います。
○小柳勇君 そこで、総合交通対策を考える上で、道路予算及び港湾、鉄道、空港の四つの予算の金額を教えていただきたい。
○政府委員(栗林貞一君) 鉄道、港湾、空港の関係について申し上げますと、まず、鉄道の建設費といいますか整備費、これは鉄道については国鉄、鉄道建設公団、本四公団の鉄道分、それから地下鉄などの建設費を合わせますと、建設費で六十年度一兆一千二百九十三億円、それから港湾は地方単独分なども含めまして六十年度六千三百四十二億円、空港整備事業費については六十年度二千百六十六億円、こういう状況でございます。
○政府委員(萩原浩君) 道路の事業費でございますが、一般道路事業、有料道路事業、さらに地方単独事業、これを全部合わせました全体の事業費で昭和六十年度は実績見込みで六兆九千七百七億円でございます。なお五十九年度は六兆三千六百五十六億円でございました。九%余りの増になってございます。
○小柳勇君 今御説明のように鉄道、港湾、空港、道路、道路の予算が大体七五、六%で、私が大蔵大臣に提案したいのは、道路交通の会計、特別会計がありますね、それを交通特別会計として交通関係は関係省庁でずっと配分していくようにしたらどうかと思うが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 特別会計がいいか悪いかという原則論はさておきまして、今おっしゃいましたこの問題に限ってのお答えをいたしますと、これは一つの考え方であろうと思います。それで、かっても一度議論されたことがございまして、しかし財源問題をどうするか、こういうことが議論の焦点になりまして、いわゆる道路特定財源をさらに拡充して全部総合交通体系の中に入れるべきではないか、こういう議論もございましたが、結局その財源問題の話が煮詰まらない上に、メリット、デメリットを考えてみたらどちらがあるかということで、その際は議まとまらずと、こういうことになって、それぞれの省でそれぞれの担当でそれぞれの予算要求をするが、その前に総合交通体系の中に位置づけられておる役所同士がもっと話をして現実的にやればいいじゃないかと、今のところはそういう結論でございます。
○小柳勇君 さっき報告ありましたように、道路財源がうんとありまして、あと鉄道などはみずからの借金でやって今日の鉄道の現状を招きました。したがって我が党としては、早急に交通特別会計制度を設立してもらいたい、こういう念願であります。総理の見解も聞いておきたいんです。
○国務大臣(竹下登君) 一つの考え方であるというので検討をしたわけでございますが、そもそも、いわゆる特別会計というものを設けることの是非という問題の議論もまず基本的には存在して、その後が今度は今道路特会があるわけですから、これをさらに拡充してこの特別会計でやったらどうか、やるべきかどうか、こういう議論を二段階でやったことが確かにございます。 それで、かねての御提言は、私どもも、それは全く意に介すべきものでないという考え方は持たないで議論をいたしましたが、一つの考え方と思われるが、まずは財源問題をどうするかというところからやっぱり慎重にならざるを得ない。さようしからば各担当が予算編成の中に十分協議して、一応関係をお互いが緊密にしながら年度年度の予算編成に臨もうということになって今日に至っておるというのが平たく言えば現実でございます。
○小柳勇君 時間が足りませんから、この交通渋滞の問題はまた別途論議しなければなりませんが、ちょうど監理委員長も見えておりますから、運輸大臣、貨物会社の計画はできましたか、鉄道貨物会社。
○国務大臣(三塚博君) 今、最終の数字の整理をいたしておりまして、監理委員会が出されました基礎的な諸元を検討しながら運輸省独自の精査を行いまして、法案御審議をいただきますときにそれぞれのパーセンテージを前提としたもので出させていただくと。それと新スタートでありますから、少なくとも言われますように赤字でアウトになるということであってはならぬわけでありますので、各諸元を精査いたしまして、最終の収支計算書を今詰めてほぼでき上がるかなと、こんなところであります。
○小柳勇君 初めからの論議は今の交通渋滞ですね。渋滞を解決するためには鉄道の貨物輸送というのを大事にしておかなければならぬということで、貨物の問題は後でまた論議いたします。 亀井委員長がお忙しいようでありますから、三問ばかり質問いたします。 今回の法改正におきまして、新幹線の取り扱いでいろいろ答申を出しておられます。それに対する最近の政府の動き、新聞報道でありますが、後でまた運輸大臣からあるいは総理から聞きますけれども、監理委員長からの意見を聞きます。
○参考人(亀井正夫君) 当面、新聞に報道されましたのは整備新幹線の取り扱いについてだと思いますが、整備新幹線につきましては、ある程度一、二の線については手続的に進んでおる点がある。そして、私どもの案によりますと、来年の四月から新しい体制になる。そこにすき間ができないようにということで、現在の国鉄が申請しております、この申請をしたというその地位をそのまま新しいものが受け継ぐ、こういうことでございまして、あの施行法の内容によって整備新幹線について事態が進んだ、進展したということには私どもは理解をしていないわけでございまして、新線の建設は、整備新幹線も含めまして、新しい事業体がその主体性においてやるべきものだというふうに考えております。特に整備新幹線につきましては、非常に膨大な費用を要するという点と、それから在来線の収支に非常に大きな影響がある問題でございまして、これにつきましては、政府及び与党におかれまして財源問題等検討委員会というところで詳細これからお詰めになるということでございますので、私どもの趣旨は今度の法改正に当然それが含まれたものということで理解を……
○小柳勇君 当然、何ですか。
○参考人(亀井正夫君) 私どもの趣旨が法改正の中に含まれておる、こういうふうに理解をしております。
○小柳勇君 新幹線の問題についてあなたの初めての答申は、新幹線問題につきましてはまだ相当の金もかかるし、これは別途の問題であるという答申が出ています。監理委員長が、この政府の今の進捗状態に対しまして、当然答申に含まれるなんと言うことは私は聞き捨てなりません。それは。もう一回答弁を求めます。
○参考人(亀井正夫君) 今私どもの答申は、整備新幹線につきましては非常に莫大な投資を必要とするということで、いろいろな観点から検討して慎重な判断を求める、こういう趣旨で出しております。それが現在の施行法案の中に当然織り込まれておるというふうに私どもは理解したのでございまして、今先生は、私の答申に何か含まれておると言いましたが、そうじゃなくて、施行法の中に私どもの答申の趣旨が含まれておる、こういうふうに理解しておると申し上げた次第でございます。
○小柳勇君 監理委員長の答申にはこう書いてあります。膨大な投資を必要とし、新会社の経営に大きな影響を及ぼすことが予想され、在来線の収支に与える影響等を考慮して慎重に判断する必要がある、慎重に判断するという役所の言葉というのはやるなということでしょう、普通は。今監理委員長が何か政府のやっていることを全部追認するような話でありますけれども、もう一回答弁されますか。(「まじめにやれ」と呼ぶ者あり)
○参考人(亀井正夫君) まじめにやっております。私どものそれを政府が真剣に取り上げていろいろ議論をした結果その結論になった次第でございます。
○小柳勇君 二カ年間密室でいろいろ論議して、それを国民に問わないまま、ばんと答申されて、それで今政府が進めている。ところが政府は、政治的にこの新幹線の整備を急いでいる。私ども全面的に反対ということじゃなくて、やり方が正直納得できない。 三塚運輸大臣に聞きましょう。 この新幹線の扱い、最近百十四億の金を使って急速度にこれの整備を急いでおりまするが、その真意を聞いておきたい。
○国務大臣(三塚博君) 本件につきましては、監理委員会の答申を尊重申し上げておりますし、同時に、五十七年の閣議の決定、当面見合わせるというこの趣旨を踏まえながら、さはさりながら、盛岡以北、北陸、九州地域の切なる整備新幹線建設への願い、それは先般来言われました総合交通体系の基本にこれが据えられておる。二十一世紀は二十二世紀に向けて生き残れる鉄道の最終の戦略、交通手段であろう。しかしながら、これは国鉄再建という至上命題の中で新しい経営企業体の負担に帰せしめることはあってはならない、こういうことで、昨年八月工事認可申請書を受け付けるに当たりましての政府と党の間における申し合わせをさせていただきました。 その中に明記さしていただきましたことは、整備新幹線財源等検討委員会を設けさせていただきまして、事業主体、運行主体、さらに財源問題、並行在来線のあり方を検討し、結論を得た上で、五十七年の当面見合わせるという閣議決定を見直した上工事の認可をする、こういうことであります。ですから、検討委員会の中における財源問題をどう解決するかということで、そのめどを、分割・民営体がスタートするであろう六十二年四月を目途にその検討を急ぎ結論を出す、こういうことでございまして、今鋭意検討を進めておるところでございます。 施行法の中におきましても、本件につきましては、運輸大臣は運行主体の意見を聞きこれを行う、こういうことでありまして、一方的に運行主体に工事費の負担をお願いせしめてやるという趣旨ではございません。それは法令的に明確にさせていただいておるところであり、政府・与党という立場の中で、財源問題をどうするのかという今日の財政再建の歩調等もにらみつつ、本件に対する結論をどう与えるかということで鋭意検討中というのが今日の時点における姿でございます。
○小柳勇君 百十四億円六十一年度予算では計上いたしておりますが、この使い道と、それから線路はまだ将来何年かかかるのに駅だけを改造してやっている。それは第三次ローカル線の問題などあって、非常に今貴重な金を、そういうふうに線路ができないのに駅だけ改造していくということは我々は納得できない。どうですか運輸大臣。
○国務大臣(三塚博君) これは在来本線の駅改良及び周辺環境整備事業ということでございま、して、このことは、駅改良することによりまた環境整備、駅広等の整備をさせていただきますことにより、在来本線の姿の中におきましても利用いただく旅客の皆様に利便を与える、こういうことでやらせていただいておるわけでございまして、言うなれば、百十四億と言われましたが、御案内のように国鉄分に計上した部分であります。盛岡以北青森までの建設費、それと九州新幹線分と、十四億は御案内のように調査費でございます。ですから、この建設費を執行するということに相なりますと、御案内のように、着工の認可をいたしませんければ執行でき得ませんことは御案内のとおりでございます。 よって、本件につきましては新幹線工事ということではございませんで、在来線の改良でございますけれども、しかし、地域住民の切なる願いにこたえてまいるという意味で、出戻りにならぬ点で本線の改良に加えさしていただく。同時に、前段申し上げました検討委員会において法令的に結論を出し明確にすることによって進めさしていただく、こういうことであります。
○小柳勇君 そして、その新幹線ができたら新しい旅客会社に任せる、こういう構想ですか。
○国務大臣(三塚博君) この点は、自由民主党から財源は公共事業方式でやってほしい、こういうことで新幹線建設の財源が提起されておるわけですね。ただ、これは自由民主党の党議決定でございまして、政府は再建という至上命題の中にございますから、建設国債といえども利払いを伴うという意味で財政再建の足を引っ張るという観点でいまだ結論を出しておらないわけであります。 そういう点などを考えてみますれば、基本的に政府・与党で合意をいたしておりますことは、新しい経営体にいささかの負担もかけない形でつくり上げていかなければならない。言うなれば、国家プロジェクトとしてこれを認定することでスタートを切るというふうに私自身は理解をいたしておるわけであります。ですから、国家プロジェクトとしてこれが進められるということでありますと、運行だけが旅客会社がこれをとり行うということに相なるわけでございますから、資本費の支払いが生じません。先生も御案内のとおり、その場合は、運行時から黒字になりますということは既に明確にされておるところでありまして、そういう意味でこのことの扱い方を財源等検討委員会の中で真剣に全体の展望の中で財政再建をにらみ合わせ、また地域交通、また今後の鉄道交通という観点の中で、国民交通の観点の中で最終結論を得てこれをとり行う、こういうことでございます。
○小柳勇君 総理のおひざ元の群馬県下に北陸新幹線の新安中駅というのが予定されておると聞きますが、総理御存じですか。駅の費用の負担などはもう決まっておりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) よく知っております。負担区分については県知事さん、県会の皆さんもいろいろ苦労しておるようです。
○小柳勇君 整備新幹線につきましてもまた後で問題にいたしますが、亀井委員長、余剰人員対策についてですが、九万三千名が今余剰人員と答申が出ております。ところが現在汽車が動いているわけです。そして所要定員で汽車が完全に動いております。これは今始まったんじゃないですね。一つの会社が倒れてそして新会社をつくる、そのために定員を計算されるのはわかります。しかし今全部完全に動いているその定員が、一年の間に九万三千名が余剰人員だということはどうしても私納得できないから、先般から計算してきました。おたくの方の計算も若干数字の操作がありまして、我々、オープンにしてなかった問題がありまして、それが今一番問題なのは、国鉄職員は辞令を一本しかもらえない。ところが民間の方では規則によりまして、地方鉄道係員職制、大正八年にできたのがあります。これは二つ以上、二つも辞令をもらうことができると書いてある。それともう一つは、余りしゃべり過ぎますけれども、関連企業、関連事業がありますね。関連事業の比が国鉄よりうんと高い。そういうものを、私鉄六十一社を基礎にして計算されたその理由をお聞かせ願いたいと思うんです。
○参考人(亀井正夫君) 私鉄を基礎に置いたという理由でございますが、国鉄の現状において生産性が低いというのはもう一般的な国民の常識になっておると思うのでございますね。そしてこの際抜本的に、大きな借金の負担というのは間接的に国民の御負担をいただきたいということに、ある部分はやむを得ない。そうしますと、この予算委員会、衆議院でも申し上げましたけれども、私どもの基本は、民間並みに国鉄の方に働いていただくという前提だったらどうなるか、こういうことを基本に置いた次第でございます。 そうすると、民間並みといいましても、これは製造会社もございますしいろいろ種類がございますから、やはりそこで一つの基準にとるのは私鉄ということになるということで、私鉄からいろいろ参考資料をちょうだいいたしまして、それから計数をはじいた結果、やれば九万三千人。しかし三万二千人これは新しい事業体にアローアンスとして、あるいは関連事業として引き受けていただこうということで、実際に出てくる余剰人員は六万一千人というふうに計算をした次第でございます。
○小柳勇君 日本社会党も日本鉄道株式会社法なるものを今つくりました。したがって、民営的手法を取り入れることは賛成であります。ただ、分割をされる、そのことについて問題がありますが、私どもは二十六万九千人、来年の四月、そして四年間のうちに四万人、これは一万人ずつ希望退職をとりますと、ちょうど六十五年ではおたくのような考えになるわけです。二十二万一千人になりますね。したがって、九万三千名の中の三万と二万の希望退職、これは命ずっと問題が進んでいます。四万一千名の者を旧国鉄にそのまま背番号をつけて三年間やる、何とかこのことをやめてもらいたい、変えてもらいたいと思いますが、いかがですか。
○参考人(亀井正夫君) 今も申し上げましたように、実際に出てくる人数は六万一千人、その中で二万人は来年の四月までに希望退職で他へ転換をしていただくということになっておりますが、残りの四万一千人につきまして、ただいま小柳先生が国鉄の大先輩としてあるいは国鉄の従業員の大先輩として、そういうふうな人々を他へ転換するのは忍びない、これをもっと軟着陸をさしたいというお気持ちは私は痛いほど重々わかります。私も長年労使関係をやってまいりました。 しかし、基本的に、新しく発足する会社は、やはりいろいろな難しい状況下においてこれから需要を喚起し、そして本当の国民の鉄道として生き返っていく前向きの大変な経営努力をやらなきゃいかぬわけです。そこに四万人からの人を抱えて、これを希望退職とかいろいろ他へ転換、そういう後ろ向きの仕事をごっちゃにさせるということはかえって国鉄の再建という問題にマイナスになるんではないかという判断で、私どもの委員会の中でも先生のような考えもあり、いろいろ議論した結果、やはり私どもが出した答申のように、四万一千人につきましては清算事業団で三年間引き受けて他へ転換をしていただくということよりやむを得ないという結論になったわけでございまして、最近においては民間においても相当採用しょう、してやろうという声も出ておりますし、あるいは行政府、市町村においても雇用対策には協力するという意見も出ておりますので、雇用の場の確保という点についてはほぼ見当がついてきたのではないか、こういうふうに思っておる次第でございます。
○小柳勇君 おたくの方の計算と、根室本線及び土讃本線、現在の人間と計算の結果を比べてみました。根室本線は現在千七百十二名で働いている。そして列車は安全に運行している。おたくの計算によりますと、千三百二十五名。それから土讃線、これは現在千百五十二名で汽車が動いています。それにおたくの計算では七百九十一名。 何十年間ずっと歴史を持ち、一職種限定の辞令をもらって、それで訓練教育されてやっている職員がこれから移行していくのです。ほかから入るのではありません。その職員をこれだけがばっと一年の間に滅していくということについては、列車は非常に危険だと私は思う。同時にその労使関係、国鉄総裁もここに見えておるようだけれども、これから四万一千名に背番号をつけなきゃならぬ、一年の間に。大変なことです。そういうことをやめて、例えば我々の案のように四年間かけてやりますとちょうど六十五年には黒字になります。千五百億も年間補助がありますと、これで年間一万人ずつ希望退職しますと、ちょうど六十五年では一緒になるわけだ。何で四万一千名を背番号をつけて缶詰にしてやらなきゃならぬか、私はどうしても許せない。 もう一回、監理委員長の答弁を求める。
○参考人(亀井正夫君) その小柳先生の切々たるお気持ちというのはよくわかるわけです。しかし、やはり国民の足、国鉄というのは、これは長年先輩が築き上げ、そして国民は財産と思っております。これを活性化するということが今国民世論の一番基本ではないか。そうしますと、やはり新しい発足のところはあらゆる覊絆から脱して伸び伸びと経営をやって、本当に国鉄が、先ほど貨物のお話もございました、貨物会社として民間会社になれば必ずや今の需要というものは二倍、三倍ということに伸びてくる可能性がある。これは私どものところへ宅配の有力な経営者の方も、国鉄を使いたいんだ、しかし今のやり方では使えないというのが声でございます。 そういう意味におきまして、前向きの仕事をやるところでは、そういう人をあっせんをしたり、あるいはそれに交渉も伴いましょう、そういうようなことに追い倒されては新しい仕事はできないということでそういう結論に達したというふうに御理解いただきたいと思います。
○小柳勇君 国鉄総裁。
○説明員(杉浦喬也君) これからの新しい鉄道に切りかえていくということが非常に重要なことだと思います。その場合に、今亀井委員長がおっしゃいましたように、やはり明るい鉄道ということで本来の鉄道事業に専念させたいというところに本問題の、先生御指摘の問題点があろうかと思います。 余剰人員を四万人、新しい会社が抱えまして、これの行き先を考えることに忙殺されるということでは、やはり新しい会社は本来の仕事はできないというふうに判断をすることができると思いますし、一方ではまた、清算事業団が四万一千人を抱えることによりまして専ら専門的に当該職員の職業あっせん、教育指導等々の仕事に従事することができるわけでございます。必ずや四万一千人は一人たりとも欠けずに職をあっせんしたいというふうに考えておるところでございます。
○小柳勇君 もう一つ労働大臣に質問しますが、今まで五カ年の間に十三万五千百十二名、団体交渉によってずっと国鉄職員が縮減されてきています。今も三万八百ぐらいの者が十一月ダイヤ改正によって削減の提案がなされている。 したがって私は、現代の労働法下では、労使ちゃんとしていれば、その企業が縮小するならば、赤字であるならば労使で話し合って、団体交渉によって定員は減っていくものだと思う。それで決まったものが六十二年四月の定員だと思うが、いかがでしょうか。
○国務大臣(林ゆう君) お答えいたします。 現行の労使関係は、労使の相互の理解、それとまた、労使間の問題の自主的解決というものが基本になっていると思いますので、こういったことにつきましては、私どもは労使間で十分に意思の疎通を図りながらお互いに話し合いをしてやっていただきたい、このように思っておるわけでございます。そして、今後とも私は、そういったようなことで、国鉄の中での労使間がいろいろな話し合いの上で意思の疎通を図りながら、国鉄改革に向けていかれることを大きな期待を持っているわけでございます。
○小柳勇君 国鉄総裁、まだこれからいろいろ団体交渉事項ありましょうが、前の協約協定もまだ調印してない組合があると聞いています。今申し上げましたように、これから言うなら、悪い言葉ですけれども背番号づけなきゃならぬ。団体交渉というものをもっと本当に尊重してもらいたいと思います、いかがですか。
○説明員(杉浦喬也君) 労使間の問題は、非常にこれからも重要な関係であると思います。ただいまの将来の合理化の問題、あるべき要員の全体の数の問題等々につきましては、既に全体の数字を私ども検討の結果組合に提案をいたしておりまして、本社事案といたしまして問題があるところについて、今本社と各組合との間では交渉を行っております。それからまた、そうしたものを各管理局別、それぞれ現場の機関におろしておりまして、現場におきましても、今合理化の事案の中身を詰めております。中身が詰まり次第、組合にこれを提示いたしまして団体交渉をしていきたいというふうに思っておるところでございます。
○小柳勇君 亀井さん、お急ぎのようですから。もう一つは、公明党が二分割案を出されました、本土の二分割案を。我々は、もう本土線も分割したら九州も四国も北海道もこれは五年したらだめになる、そういう見解です。したがって、我々は全国ネットワーク、そして四全総でも地域の発展が段差ができないように、日本国全部が平等に発展するようにという願いですが、公明党の二分割案についての見解を聞きます。
○参考人(亀井正夫君) 公明党さんの案というのは、昨日の私新聞の報道で知っただけでございまして、詳しいことを聞いておりませんので、細かいことについての意見というのは差し控えさしていただきたいと思うんですが、読みました印象で、あれは旅客も貨物も一体にして本州は二つに分ける、そして三島は分離する、こういう案のように理解したのでございます。旅客の方については本州二分割の根拠が、首都圏及び関西圏の交通が分断されるから二分割だという案なんでございますけれども、私どもの案は、首都圏及び関西圏の交通分断ということはしない案になっておりますので、これはなぜこういうことをおっしゃるのか、何か理解しにくいということでございます。 それから、旅客と貨物を一体というのは無理ではないか。といいますのは、先ほど来先生も貨物のことを非常に熱心に言われましたけれども、貨物というものを一体にして考える場合に、五つの分割というのはだめでございまして、これは旅客と貨物は全く性格が違うと思うのでございますね。旅客の場合は、自分が足を運んで乗ってくれて、そして大体往復乗ってくれるわけです。ところが、貨物の方は大体が片道で、四国のミカンが青森とか北海道へ行って、それが今度は帰るときは何かそこで集貨しないと満杯にならない。現在の日本の国鉄は、片道がいっぱいで片道が空、ここに非常に大きな問題がある。 でありますから、足の長いところ、とにかく貨物についてこれは分割をいたしますと非常に地域間の乗り入れというのは多くなるわけでございまして、やはりこれは一体で運営する方が貨物会社としてのこれからの復旧にいい。これは感想だけでございまして、詳しいことはまた、公明党さんからいろいろ根拠なり御案を聞きまして勉強さしていただきたい、そういうふうに思っております。
○小柳勇君 亀井委員長はどうぞ退席してください。また別の機会に皆さん聞くでしょう。
○委員長(安田隆明君) どうもありがとうございました。
○小柳勇君 それで、私ども日本社会党は分割反対でありますが、運輸大臣、分割のためにいろいろ機器の変更とかありましょうが、分割のために一体経費はどのくらい予算を組んでいますか。
○政府委員(棚橋泰君) 新経営形態へ移行いたします場合の物件費といたしましては、例えて申し上げますと旅客の案内用掲示機器類の改修とかコンピューターのシステムの改修とか、そういうような作業があります。このために約百五十億、それから工事の経費といたしまして券売機の改良、電気施設の分界設備というようなもののために約七十億、一応合計で約二百二十億程度ということを想定いたしまして、六十一年度の予算案でお願いを申し上げているところでございます。
○小柳勇君 まだ国鉄改革法、分割法というのは国会に上程されていない。決まるか決まらないかわからない。にもかかわらず二百二十億の予算を今年度予算に計上するということは越権じゃないかな。
○国務大臣(三塚博君) これは既に監理委員会は御案内のとおり、五十七年法律に基づきスタートを切らさしていただきまして二年余、改革案の御答申をいただいた、それを政府は最大限尊重申し上げるという法の精神のもとに、これの取り組み方を決定をさせていただき、余剰人員、長期債務両問題についても閣議決定をさせていただきました。 同時に、六十二年四月スタートをさしていただくことによりこの改革を国民のために、また大きな意味では鉄道再生のためにこれをとり行う、こういうことでありますものですから、所要の経費を六十一年度予算にお願いを申し上げて計上さしていただきましたし、同時に国会に九法案、自治省からの固定資産税の法律もお出しをいただきまして、ただいま院に提出をさしていただき、衆議院運輸委員会等における再開に備えてお願いを申し上げておるということでございますから、政策と予算を一体として提示をし御審議をいただきますことが政府としての最小限とらなければならぬ態度であろう、こんなふうに思い提示をさしていただいておるところであります。
○小柳勇君 その問題は後でまた理事会にかけてもらうが、国鉄総裁、国鉄本社を売却し、あるいは大阪鉄道管理局を売却すると。その後の移転先の庁舎などの工事経費を計上しておると聞いているが、どうですか。
○説明員(杉浦喬也君) 将来の売却すべき財産の目標の中に本社等を入れていることは確かでございますが、それをさらにどこに移転をしていくかというようなことについてのまだ考えは持っておりませんし、予算上も措置しておりません。
○小柳勇君 まだ法案が通らないのに、こういうふうに二百二十億の予算を六十一年度に組んでおるということは越権だ。そこのところを諮ってください、理事会に。
○委員長(安田隆明君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。
○政府委員(茂串俊君) ただいまの御質問は、法案を提出していないのに予算を編成した上でその構想を予算に盛り込んで先に出すことはいかがかという御質問と承りましたが、これはたしか先年も同じような問題が、この国会で、この委員会で取り上げられたのではないかと思いますが、一般論的に申しまして、政府は第一には予算の提案権を持っておるわけでございます。それから、それとまた別に、法律案の提出権も同時に持っておるわけでございます。そして予算というものは、これはもう申すまでもないことでございますが、ただいま出しております予算は、これは六十一年度の予算といたしまして、年末に編成をいたしましてお出し申し上げておるわけでございますが、その裏づけとなる法律が必要となるものがたくさんございます。そういった場合に、その予算編成と並行的に法律案を作成いたしまして提出をいたしまして、そして予算の審議と並行して、あるいは時間的には若干前後するかもしれませんけれども法律案についても御審議を願うというのが常例になっておるわけでございまして、いわば来年度における予算の執行と、それからその執行に必要な法律案、これを国会で御審議の上成立をさしていただきまして、そうしてこの法律案とともどもこの予算と法律案が一緒になって、そして政府が企図しておる政策、これが実現してまいる。こういうようなことでございまして、予算に盛り込まれた政策とその裏づけとなる法律案の御提出ということは、当然にこれは政府の権限として持っておるわけでございますから、そういう意味で常々そういう形でお願いを申し上げておるわけで、特に問題があるとは全く思っておりません。
○小柳勇君 この法案が、国鉄法が通らないときにはあなた問題でしょうが、きょうはこれでいきます。 それから、長期債務の返済についての具体的な計画はできましたか。これは大蔵大臣ですか。運輸大臣ですか。
○国務大臣(三塚博君) お答えを申し上げます。 本件は、閣議決定で既に御案内かと思うのでありますが、政府の責任において処理をする、こういうことで決めさしていただいておるわけであります。要すれば、十六兆七千億円を国民の皆様に御負担をお願いを申し上げるというのが監理委員会の検討の結果の答申であります。それを政府が検討いたしました結果、今日時点における負担やむを得ないだろう、こういうことで十六兆七千億円の負担を政府の責任で決定をする。処理方式は、法律を通させていただきますれば清算法人たる旧国鉄がスタートさせていただきます。御案内のように非事業用用地を売却処分対象として振り分けをさせていただきまして、五・八兆程度にプラスアルファをさせていただきました額でこれを処分させていただきまして、さらに四万一千人の余剰人員の各位を、公務員グループを初め一般会社にお願いを申し上げる。これは三年計画でございますけれども、そういう中でその動向を見つつ、一般歳出の政府予算の関係との歩調を合わせつつこの処理方式を考えてまいる。財産処分については五・八兆を一気に売りますと大変な困難を生じますから、有利な適正な価格でこれを売るということでありますと、十年程度これは要するのであろうという、そういう基本的な枠組みは既に決定をさせていただき、申し上げているところであります。
○小柳勇君 国鉄再建法は第一項が効率的な経営、第二項は長期債務の処理。したがって、分割だけが先行して長期債務の処理がまだ十分な説明ができないということについては重大な問題でありますが、時間がありませんので、いま一つローカル線の問題を質問しておきたい。私どもは新聞でありますが、先般の政府の方針について聞きたい。 二次線、三次線のローカル線廃止について新会社に移行した場合はこうこうするのだという新聞報道がなされました。この点に対する運輸大臣の見解を聞いておきたい。
○国務大臣(三塚博君) 既に第一次線、第二次線については進行中であり、第一次線は三十七線バス転換等第三セクターへ転換を完了いたしておるところであり、第二次特定地方交通線については目下協議をお願い申し上げておるというところであります。第三次線予定されております十三線につきましては、国鉄が諸調査をほぼ完了したやに聞いておりますが、それを諸調査の上に立ちまして運輸大臣に向けての申請をいつにするか、またしないか等を含めまして最終の検討に入っておるというふうに聞いておるわけでございまして、第三次特定地方交通線につきましてはその申請を待って、出るということに相なりますれば知事の意見等もお聞きをいたしながら進めてまいりたい、このように考えておるところであります。
○小柳勇君 文部大臣に質問しますが、先般、十三線三次線のうちの一つ人吉の湯前線を見てきました。ところが、三十四キロの中に五つの高等学校が駅から二、三分のところに、しかも最近三校つくってある。しかも乗車人員が三千六百。四千には足りない。私は、これは三次線の性格として、全国的なものをよく調べたら、ただ人数だけじゃなくてこういうように質的なものが相当あると思う。特に文部大臣に聞くのは、こういうものが廃止されようとしたときには、閣議の中でうんと総理にも意見を言うべきだと思うが、どうですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 文部省の立場から申しますと、その学校を利用しておる生徒の学校へ行く往復の足ということにまず大変な関心を持つわけでございます。その問題につきましては、数年前より文部省と国鉄との間でいろいろな話し合いもいたしましたが、国鉄、運輸省の方から、そういった場合には児童生徒の足が困らないようにバスなりその他の代替機関を使って必ず確保します、こういう書類等もいただいておりますので、そういう御処置があわせてとっていただけておるものと考え、期待をしております。
○小柳勇君 バスでは国道の往復しかないから通学ができないんです、これは千三百名ですね。こういうのは運輸大臣、よく考えてください。 社会党としては、五カ年間時間をかしてくれ。あと二年でやろうとしておる。そして県知事や市長、地方自治体が中心になって整備委員会をつくって、今県には交通部なんかないけれども、県知事にも言っておきました、交通部をつくって県がもう少し鉄道というものを自分の鉄道として見るべきではないかと。そういうことで、社会党はローカル線整備の委員会をつくるような法律を前に運輸委員会に出しております。今度もまた出しますが、少なくとも五カ年間ぐらい地方の皆さんで整備するような方向でローカル線を考えてもらいたいと思うが、運輸大臣いかがですか。あと総理の見解も聞ておきたい。
○国務大臣(三塚博君) 御指摘の湯前線については私も承知をいたしておる線区でございます。 先ほど申し上げました第三次線の取り扱い、国鉄総裁のただいま最終判断ということに相なっておると私は思います。それを受けさせていただきまして、その時点で判断を進めるということになろうと思います。法律の建前は、先生も御案内のように特定地方交通線、これが鉄道としての特性を失いつつあります。しかしながら、政令除外事項で、一時間、ピーク時一千人を超える場合でありますとか、一人の乗車キロが三十キロを超える場合でありますとか、代替道路が整備されておりませんという場合は、政令除外事項としてこの選定から外すという、こういう法律の取り決めもございますわけでありまして、その辺の取り決めを重視しつつ、さらに第三次交通線が出てまいりました場合に、御説のように知事の御意見なども賜りながら、内閣として、その前に運輸大臣として判断を進めていかなければならぬ問題であろうと、こういうふうに思っております。基本的にはそういうことでありますが、しかし三次線が法律に制定されておるというこの重みも、運輸大臣としてしかと踏まえていかなければならない職責であろうということは先生も御理解をいただけるのではないだろうかと、こんなふうに思います。
○小柳勇君 総理から見解を聞いておきます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 運輸大臣と同じでございます。
○小柳勇君 理事会における暫定予算論議の推移を見るために、残余の質問は後刻に行います。
○委員長(安田隆明君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。 小柳勇君の残余の質疑は後日に譲ります。 ―――――――――――――
○委員長(安田隆明君) 次に、上田耕一郎君の質疑を行います。上田君。
○上田耕一郎君 初めに十八歳選挙権問題を取り上げたいのですが、昨年国際青年の年で、その中の参加というテーマの中で政治参加が重要だと思うんですね。後藤田さんが昨年私どもの三浦委員の質問に答弁されて、将来の課題としたいという慎重な答弁でした。 江崎総務庁長官、かなり多面的な意欲をお持ちだと思いますので、この十八歳選挙権の問題、非常に要望が強く、全国の青年団体も要望しているんですけれども、遠い将来じゃなくて検討を始めるという態度をぜひとっていただきたいと思っておりますけれども、いかがでしょう。
○国務大臣(江崎真澄君) 本問題は、私も速記録を拝見いたしました。そこで厳密に言いますと、この選挙権を与えるかどうかという問題は自治省の所管ということになりましょうが、前任者が答えておる問題ですから私からもお答えしたいと思います。 基本的には民法上の成人年齢とかあるいは刑法上の規定、そういった全般的な整合性関連との問題もありましょうね。御承知のように、日本では少年法というのが二十歳未満の者を少年と呼ぶ、それから民法では二十歳未満を未成年者と呼ぶ。二十歳になると成人式を行うというような習慣が根づいておりますね。そういうような意味で満二十歳ということになっておりますが、例えば政党活動などにおいては青年部とか学生部とかいろいろありまして、十八歳でも党員として認めておる。これは将来選挙権を持ったときの意識を高揚する意味からも、また勉強する意味からも認めておるわけでありますが、それらの整合性を踏まえてよく検討していくと、こういうふうに考えております。
○上田耕一郎君 民法で二十年というのは明治のころからで、もう一世紀たっているわけですね。 労働大臣、労働基準法では何歳ぐらいをもって大人並みに扱っておりますか。
○政府委員(小粥義朗君) 労働基準法上は十八歳未満の者を年少者といたしまして、したがいまして十八歳以上を一人前と、こういうことにしてございます。
○上田耕一郎君 大蔵大臣、納税義務は何歳からですか。
○政府委員(吉野良彦君) 正確なことをお答えできませんので、今調べまして正確にお答えさせていただきます。
○上田耕一郎君 私、電話で聞きましたら、大蔵省の担当官は、赤ちゃんでも所得があれば納税義務がある、だから年はないんですよ。驚いたね、これは。ですから、十八歳以上は労働基準法では大人並みに扱われて、もちろん所得があれば納税義務が生まれるということでしょう。それから自民党も共産党も、恐らく他の党も、十八歳で入党できるわけですよ。入党して党活動をやる。それで、働いて大人並みに扱われる。いろんな罰則も受ける。しかし、選挙権だけ二十になるまでないという非常に大きな矛盾があるんですね。江崎さんも、この前首相も、いろんな法律との整合性ということを言われたけれども、明らかに矛盾があるんです。その矛盾がもう一世紀以上たっているわけなんです。 外務省、世界に議会のある国が何カ国あって、その中で十八歳以下の選挙権の国は何カ国になっていますか。
○説明員(小野寺龍二君) 我々の承知しておりますところでは、国会のある国は百四十七カ国でございます。 ただ、先生御指摘の、選挙権の年齢については全部調査は行き届いておりません。
○上田耕一郎君 去年三浦さんが聞いたときも外務省は調べていないと言う。もう一年たって、まだ調べていないんですね。
○政府委員(妹尾正毅君) お答えいたします。 私どもの調査で、はっきりとわかっているのが九十六カ国でございます。
○上田耕一郎君 民主青年同盟が各国大使館を全部歩いて調べたところが、十八歳が百一カ国、それから十六歳、十七歳が六カ国。世界で百六十八ある国の中で百七カ国が十八歳以下ということになっているんですね。 総理大臣のお好きな西側の国、これはどうなっていますか、外務省。
○政府委員(妹尾正毅君) 御質問の御趣旨は、十八歳選挙権を認めているかどうかということでの御質問と思いますが……
○上田耕一郎君 西側のです。
○政府委員(妹尾正毅君) 西側の国は、西欧に一部二十歳、二十一歳というふうなところがございますが、北米、それから東欧、全部十八歳ということになっております。
○上田耕一郎君 サミット七カ国はどうですか。
○政府委員(妹尾正毅君) 全部十八歳でございます。
○上田耕一郎君 日本を除きでしょう。
○政府委員(妹尾正毅君) おっしゃるとおりでございます。
○上田耕一郎君 こういう状況で、これは非常におくれていることなんでね、いよいよ踏み切るべきだ。五月四日から東京サミットが始まるんですけれども、首相、ほかのことで胸を張るんじゃなくて、こういうことで胸を張ってお出になるためには、やはり整合性という点でこの際検討をスタートさせるべきだと思うんですが、この問題で最後に総理の見解をお伺いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 研究を続けてみたいと思います。
○上田耕一郎君 それでは次に、今大きな問題になっているいじめ問題についてお伺いしたいと思います。 文部省、最近調査結果を発表しましたが、文部省の高石初等中等局長は新聞で、正確に実態をあらわしていないというふうに述べているんですけれども、実態はどのぐらいになっていると海部さんはお思いになりますか。
○国務大臣(海部俊樹君) よくわかりませんでしたので調査をしたんですけれども、調査にもばらつきがあったり、またそれぞれの対応の仕方が、最初のことでしたためかいろいろございまして、我々から見てもこれは完璧ではないのじゃないか、もっとあるのじゃないかと思いますけれども、どれくらいかと言われましてもちょっと憶測で数字を申し上げることはできませんので、今後のときにはさらに徹底を期していきたい、私はそう受けとめております。
○上田耕一郎君 都道府県別の件数を発表していないのですけれども、せめて東京だけでも教えてくれませんか。
○政府委員(高石邦男君) 全国の発表と同時に東京都の教育委員会が発表した内容によりますと、東京都は、発生件数が九千二百七十二件、一校当たりの発生件数が四・一件ということでございます。
○上田耕一郎君 都の教育委員会はかなり詳細な調査を数字も既に発表しているんですけれども、今お話しのように、東京で昭和五十九年の例だと約一万件近く発生しておるんですね。中学校八五・五%。大変なものです。小学校が七一・九%ですね。中学校の八五%でいじめが起きているということは、非常に深刻で規模が大きいということを示していると思うんです。 中曽根総理、これだけやっぱり非常に深刻で規模の大きいいじめ事件について、首相としてはどう認識し、どういうふうにこの国民的問題を解決しなきゃならぬとお考えになっておりますか、認識をまずお伺いしたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 悲惨な事件も起きておるわけでございますから、実態を究明して、これを速やかに根絶するように努力してみたいと思っております。
○上田耕一郎君 量的規模が相当なものであるだけでなく、いじめの質も非常に異常なものがあります。 海部さん、昔からあったいじめと今のいじめとの違いですね、問題行動に関する懇談会などでも提言がありますが、海部さんはどう認識していらっしゃいますか。特徴です。
○国務大臣(海部俊樹君) 学問的、理論的にきちっと区分けは難しいんですけれども、私自身の受けとめ方を申し上げますと、昔は取っ組み合いをやったり殴ったり殴られたりしても、比較的その場限りといいますか、からっとしておって、陰湿あるいは繰り返しというようなことがなかったのではないか。一人一人の児童生徒の心の中に、やっぱり越えていけないのりがあった。それは社会のいろいろな人口構造の変化なんかで、家庭における兄弟の数の変化であるとか、親のしつけにおける態度であるとか、学校における徳育教育の問題とか、いろいろ絡み合っておると思いますが、最近はどうも特定の人に対して集団で繰り返し繰り返し、言葉は嫌ですけれども、陰湿ないじめが続けられておるのではないか、こんな受けとめ方を私はしております。
○上田耕一郎君 海部さん、雑誌「世界」で安江編集長どこの問題でもって討論されていて、僕はかなり事態はよく認識されていらっしゃると思うんです。去年文部省の検討会議もアピールを出しましたが、ここでも海部さんが今言われたような新しい特徴、以前と違う長期にわたって集団で陰湿ないじめを続けている。自分たちのそのインフォーマルな群れ、群れというか、群れから異質の者に対してそういういじめをする。それから傍観者たちは、やっぱり群れに入りたいのでとめに入らない。自分もいじめの方に体を寄せる等々の新しい質の、日本の今のいじめにしかない特徴が生まれているわけです。 じゃ、なぜこういう質のいじめがこんなに大規模に広がったのか。解決するためにはやっぱり原因の探求が必要だと思うんです。この提言などにもありますけれども、幾つもの原因がありますが、文部大臣のまずその認識をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) これは、一人一人の児童生徒がその発達段階の過程において、やっぱり人間には動物的な欲望を一〇〇%満足させたいという衝動的な心と、それからそういったものを抑えなきゃならぬという理性的な心と両面があるはずでありまして、その理性的な心、社会的な自我というものを確立させるような、そんなことを教育の場ではしっかりと身につけるようにまず教えていただきたい。我が身をつねって人の痛さを知れという簡単な言葉がありますけれども、やっぱりそういったことをお互いにみんなが自戒して、相手の人の立場、友達の立場というものを考え、そして人間が生きていくためには、自分も大切だけれどもお友達も、相手も大切にしなきゃならぬという、生命の根源というものをしっかり身につけるようにしてもらうことが私は当面の急務だ、このように考えております。
○上田耕一郎君 ここに東京都教育委員会の去年の七月に出した「「いじめ」に関する指導の手引」というのがある。ここに資料が載っています。調査によるものですけれども、「児童・生徒の問題」という項目が二十七ページにあります。今の子供たちの問題です。「楽しさや充実感を味わった経験に乏し」い、それから「他人に対する思いやりを十分に身に付けていない」、「物事に熱中して満足感を得ることのできる機会に乏し」い、「慢性的な欲求不満状況の中にある者が少なくない。」、「将来の生活について目標や明るい見通しを持ち得ない不安や迷いを抱いている者が少なくない。」。 小中学生がこういう、とにかくやったという喜びとか満足感ではなくて欲求不満をしょっちゅう持っている、将来についても不安を持っている。こういうストレスをいじめとして発散させるものだ、ほぼこういう状況になっているのだと思うんです。なぜこういう子供が生まれているのか、海部さん、どう思いますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 発達段階の子供には、知育、徳育、体育と申しますか、さまざまな生活体験の中から人間形成をしていかなきゃならぬ問題がたくさんあると思うんです。御指摘のように、今の学校の現場に当てはめてみますと、体ごとぶつかり合って汗を流してスポーツやあるいは体育に打ちこんでいく、そういったもののウエートと、勉強勉強と追われなきゃならぬ点数中心のものの時間とがあるのではないか。私たちは、結果としてですけれども、人間の時間とかエネルギーというものはいろいろな生活体験で健全に導かなきゃならぬと思うんです。文部省が始めました自然教室、要するに都会の子供が先生と一緒に自然の山間の学校へ泊まり込んだり、そうやって一週間ぐらい暮らしてくることが彼らに非常に生き生きとした活力を与えたということや、学校の教育課程以外に部活動と申しますか、そういったクラブ活動に打ち込むことがいかにその人に健全な時間とエネルギーの向け場所を与えたかという報告等もたくさん来ておりますので、結果として申しますと、さまざまな生活体験を児童生徒が喜んで身に受けることができるような指導が必要であろう、こう考えております。
○上田耕一郎君 これは原因は、家庭の一部の崩壊状況だとか、それから学校の問題、受験競争の問題、地域社会の問題、たくさんあるわけですね。私は、もうきょうは時間がありませんので全部取り上げることはできませんけれども、学校、特に文部行政、この問題を一つとして取り上げたい。 東京都教育委員会のこの指導では、「学校の問題」として教師が問題行動を鋭くとらえる目がない。指導の効率を考える余り、効率ですよ、それで子供をしかってはかりいるというようなことが挙げられているし、この文部省の検討会議の緊急提言の中にも、「教師が行う一面的な見方による叱責、体罰、えこひいき」、これがいじめの契機になることもあると出ているんですね。雑誌「世界」のシンポジウムでは、茨城大の教授、それから日弁連の弁護士さんがシンポジウムでかなり詳しいレポートをされている。 ここで一つ学校行政の問題として大きいのは、やっぱり学校指導要領、あれでは一時、九年間、集合なんという難しいのをやりましたね、もうやめたけれども。あれで落ちこぼれは生まれる、非行は生まれる。そうすると、その落ちこぼれ、非行を救うために学校で厳しい校則をつくる。その校則を守らせるためには、話してなかなか言うことを聞かないから体罰を振るう。これは先生によるいじめですよ。こういう子供の人権を無視したやり方が、子供による子供に対するいじめという長期、陰湿なこういうものを生んだのだという一つのルートが告発されている。これはいろんなルートがありますよ。私はここにただ一つ絞ろうとしないけれども、解決するためには、ここで指摘されておりますような教育行政の、特に学校の管理主義教育の強化ということが、勤評以来主任制とかいろいろありますわ、ここの問題がどうしてもあると思うんだけれども、いかがですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘でありますけれども、学校はやはり初めて同世代年齢が集まって集団生活を営む場でもございます。しかも、さっきちょっと触れましたように、家庭における兄弟の何といいますか、兄弟げんかの適正規模と言うとまたしかられそうですが、何か数が少なくなって、お互いに切磋琢磨、思いやりを家庭の中で兄弟として身につける家庭の教育機能がなくなっております。いい悪いは別です。したがって、共同生活を行う学校が守るべきルールをつくって、集団生活を営むためにはこれくらいのことは守りなさい、みんなでそれを守っていくようなことをするのも教育の持っておる一つの大切な目的であると私は考えておりますので、そういったようなこと等は児童生徒の立場を踏まえながら、今ちょっと言葉が出ましたが、教師がそれによって体罰に走るなんということはこれは論外のことでありまして、教師の指導力の問題にそれは議論の場が移っていくだろうと、こう考えております。
○委員長(安田隆明君) 関連質疑を許します。佐藤昭夫君。
○佐藤昭夫君 今の管理主義の教育の問題と関連をして、今校則の問題というのが大きな議論になってきておると思うんです。ところが、文部省の指導はこの校則については全くない。しかし、現実は驚くべき姿になっておると思うのであります。昨年の日弁連第二十八回人権擁護大会シンポジウム、ここにおいて校則問題について詳しい報告が行われているのでありますが、この報告について文部大臣はどのように受けとめておられますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 今御指摘の日弁連の報告もいろいろ読ませていただきまして、なるほどなと思うところもありますし、またこれはどうかなと思うところもございます。例えて申しますと、「通学上の心得の内容と問題点」というところがございますけれども、何かこれは交通安全に重点を置いて歩行通学者に二列縦隊、一列縦隊を強要したり友達と並んで歩くことを禁止したりするのは憲法上もどうかと思うなんて書いてありますけれども、これは地域の実情に応じまして、地域の実情においてどうしても子供に危ないと思ったら、一列で来なさいとか二列縦隊で来なさいということを話し合って校則で決めても、私は憲法上の問題までいかないのじゃないだろうか、児童生徒の立場を思っての規則だろう、こう思います。あるいは、ここに指摘されていることで体罰その他の問題なんかになりますと、これはなるほどな、我々も体罰は禁止しなきゃならぬというふうに見ておるんですから、同感の意を表するところもございます。 それからもう一つ、先生最初に、文部省は校則のことで何にも指導しておらないとおっしゃいますが、お言葉を返すようですが、生徒指導資料というものは、研究資料を随分つくりまして、現場の声や現場の実例等も入れまして、何しろ学校は三万五千もございますから、山の学校や町の学校やいろいろございます。それぞれの地域の実情に応じて、学校当局そして父兄と話し合いながら、守ることのできるような校則がつくられるように指導は資料をたくさんつくって出しておりますので、全然知らない顔をしておるわけではございません。御理解を賜りたいと思います。
○佐藤昭夫君 文部大臣は現状を肯定できるようなそこの部分だけとらえていますけれども、しかし、これは問題じゃないかという内容が多々あるんじゃないですか。法務大臣の受けとめはどうでしょう、人権擁護という角度から。
○国務大臣(鈴木省吾君) 児童生徒といえどもその基本的な人権は守っていかなければなりません。まして、これから日本を背負っていく青少年に対する教育、これはもう基本的人権を守る、そういう教育をしていただかなきゃならぬ、かように考えております。しかもまだ、教育基本法十一条で体罰を加えることは禁止されております。さようなところからいたしまして、そういった状況はこれは人権の重大侵害である、それは文部省の主とした御指導にお願いするわけでございますが、そういうことのないようにお願いをしたい、かように考えております。
○佐藤昭夫君 文部大臣、この報告書に挙げられておるこういった例はどのようにお考えになるでしょうね。 例えば、登校時は一切しゃべっちゃいかぬ。発言するときは右腕を約七十度前方に挙げて、五指をそろえて手のひらを前へ出す。さらに掃除は無言、無音。しゃべるなはともかく音を立てて掃除をしているのはだめだ。こういう校則をつくっておるところがあるんですよ。休憩時は廊下で遊ばず教室で静かに過ごせ。頭髪は男は丸刈りか三分刈り、女は後ろを洋服カラー下まで、前はまゆ毛まで。違反者は直ちにはさみを入れる。ソックス、ハイソックスは白一色。学校内外での勝手な飲食は一切認めない。夜の外出、夏は午後七時、冬は六時まで。映画館、盛り場は必ず保護者同伴でなくちゃならぬ。特別な用もないのにデパート、書店、本屋も行ったらいかぬ。ラジオ、テレビ、課外読み物は先生の指示に従え。私服での外出は一切禁止。各種コンサート、エレキバンドなどへの参加は禁止。 こういうことがずっと調査の中で問題になってきているわけですけれども、文部大臣、これでもおおむね妥当だというふうにおっしゃるんですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 三万五千校からありますから、御指摘のような随分細かいところまで規制しているのは希有の例としてはあるかもしれません。またそういったようなことはそれぞれの地域の実情に応じてやはりやっていかれるべきものであって、余り音を立てて掃除をするななんということは私今初めて承ったのですが、掃除をやろうと思ったらやっぱり音ぐらい立つでしょうから、そこはよく聞いて調べてみますけれども、その報告書の中にはやっぱりいろいろなことがいっぱい細かく書いてありますので、私は最初申し上げたように、これはなるほどと、改めていった方がいいなという受けとめ方をした点もあるし、ここまではひど過ぎるな、こんなことまでしてはいけないなと思った点もあるということを正直に申し上げておるわけでありまして、文部省の出しております指導書なんかによりますと、そういったようなこと等については実態に合うようにこれはよく改善をしていきなさいという指導もするわけでありますから、そういった点については私の方でよく調査をしてみます。
○佐藤昭夫君 このようながんじがらめの校則から二つの問題が出てくると思うんです。一つは、当然子供のストレス、反抗、校内暴力という問題になってくる。もう一つは、校則違反者に対して体罰によって制裁を加えて抑えつける。こういうやり方が出てくるわけですけれども、この日弁連の報告書によりますと、体罰による制裁が数多くある。最もひどい実例として千葉県の例を挙げていると思うんですけれども、法務省、その千葉県の要点を紹介してください。
○政府委員(野崎幸雄君) ただいま委員御指摘の報告書によりますと、千葉県のいろいろな中学においては、例えば体育の教師が常に竹刀を携帯しておる、あるいは私語をしたということで口にガムテープが張りつけられた、あるいは丸刈り規制を破った者に対して髪の一部にバリカンが入れられた、連帯責任を強調するために忘れ物をした子供がいると班全員が正座とか、場合によっては体罰を加えられた、成績が平均点以下になると五点につき一回びんたをとられた、あるいは反抗的な女生徒に対して相当期間体罰を加えたために加療約十日間を要するような傷害を与えた結果になったといったような事例が報告されておることは、私どもも承知いたしております。
○佐藤昭夫君 一例であります。似たような姿が十二県の調査の結果出ているというのが、この報告書によって明らかだ。こういった体罰の頻発が実は子供の暴力に対する感覚、人権意識を無批判にして、いじめに突き進む土壌となっているんじゃないかと思うんです。こうした点で、その淵源であります管理主義的な校則をぜひ是正すべく、一つは文部省としてまず実態調査をやってもらいたい、実情がどういう姿になっているかと。それと、余りにもがんじがらめ、管理主義一点張りの校則のこの姿を改善するための指導方向を明らかにしてもらいたいというふうに思うのであります。どうでしょう、文部大臣。
○政府委員(高石邦男君) 先ほど大臣も申し上げましたように、学校の校則はそれぞれの学校で校長を中心として教職員が父兄の意見等も十分聞きながら決めるわけでございます。したがいまして、文部省が三万五千余りの学校の校則を全部調べるということは事実上できないことでございますし、仮に調べたところで、それを画一的な形の物差しで指導するということは実情に合わない結果になるわけでございます。したがいまして、文部省の指導の基本的な姿勢としては、その校則が子供たちの生き生きとした生活の規範になるようにというような観点でやってもらいたいということを原則として指導しているわけでございますので、個別の問題についてはそれぞれの県なりそれぞれの市町村で十分実情に合うように整備をしてもらいたいと思っております。
○佐藤昭夫君 局長の答弁でなくて、ちょっと大臣。あんな局長の答弁ではだめですよ、大臣。
○国務大臣(海部俊樹君) 申し上げましたように、それぞれの地域の実情とか立場とか、それから三万五千も学校があるわけでありますので、そこに対しては総論的といいますか、児童生徒とその学校とが、みんなが守るべき校則ですからそれを常に話し合って決めていくように、先ほどお示しした指導要領、何回も何回も作成して配っておるわけでありますから、現実に具体的にそれに著しく反するようなものはそういった方に改善もしなさいということはその指導要領の中に書いてあるわけでありますから、それによって各都道府県で行われるものと私は期待をして見守っていきたいと思います。
○上田耕一郎君 東京都が去年の十一月に出したこの問題では、行き過ぎた校則を是正しろという指導と、体罰禁止、ちゃんと入っているんですよ。文部省の資料を私はいただいて全部調べた。それで去年の六月二十九日の局長の指導通知、あれも教育相談日でしょう、それから転校結構でしょう、それから体罰禁止でしょう。校則はないんですよ。行き過ぎた校則を検討しろというのはないんですよ。結局文部省はこれの実態調査もしていない、校則について。行き過ぎた校則をこれは問題があるので是正しろという指導もないです。文部省はそういう通知を一切出してないです。こういう校則をやれというのは出しているけれども、行き過ぎたものを直すというのは出していないですよ。 それで海部さん、どうですか、いじめの実態の全国調査をしたんだから、こういう行き過ぎた校則が日弁連でもあれだけ報告されているんだから、その調査と、行き過ぎたものについては是正せよという指導通知、これをぜひお出しいただきたい。
○政府委員(高石邦男君) 先ほど来論議がございますように、校則というのはそれぞれの学校が地域の実態に応じて決めるわけでございます。そして文部省としては、学校の校則を決めるに当たってはそれぞれの学校の教育目的を達成できるように、そしてまた子供たち自身が生活行動の規範になるような内容になるようにということを五十五年に指導上の対策としての手引を出して今日まで指導してきているわけでございます。したがいまして、いろんな主管課長会議等の場においては周知徹底していますけれども、文書で殊さら、もう既にやっておりますので、改めて出す必要はないということで出していないわけでございます。
○上田耕一郎君 もうこの問題終わりますけれども、私どももこの間三月七日にいじめ根絶のための提言を出した。海部文部大臣、校則問題改めて出したくない出したくないと言っているんだけれども、行き過ぎたものについては是正せよと、こういう問題をなぜ出せないんですか。私はぜひこれを要望したいんです。 あなた方が校則問題について目をつぶっているのは、結局文部省の反動的な学校に対する管理主義の強化、その結果だからですよ。この校則問題を認めると自分たちの責任問題になるので、この問題については東京都教育委員会が問題にしているのに、文部省はあくまで今のような無責任な態度をとる。これじゃ、いじめ問題はなくなりませんよ。子供はいつまでも犠牲になりっ放しですよ。本当に子供の自主的な態度を育てるためには、子供が参加したようなそういう校則を自主的につくらせることが必要だと思う。最後に海部さんの御意見を聞きたいと思う。
○国務大臣(海部俊樹君) 局長が御答弁申し上げたことと同じですけれども、私は校則というものは、最初に申し上げたように、最初に集団的な生活体験するところですから、適切な校則があってそれを守っていくことも教育の大切な目的の一つである、こう思っておるんです。現に、日米の中学校の教師のいろいろな世論調査の資料もございましたが、それを見ますと、生徒指導では学校全体の規律を保つことが第一だというのが日本でもアメリカでも中学の現場の教師の皆さんの回答としてここに出てきておるわけであります。また現場の教師の皆さんの声としては、小さな服装の乱れなどが非行に結びつきやすい。ですから、生活上の態度とかけじめというものをやっぱりみんなで校則を決めてやっていくのはいいことだと思いますから、不必要な行き過ぎたものはきちっと教育委員会等か通じて指導を続けてまいります。
○上田耕一郎君 まだいろいろありますけれども、また別の機会にやりたいと思います。 では三番目のテーマの核防護問題に入りたいと思いますが、資料の配付をお願いします。 〔資料配付〕
○上田耕一郎君 一月のハワイ事務レベル協議で、ある新聞の報道によると、日米のシーレーン防衛共同作戦研究の四つのシナリオの一つにトマホーク、この使用のケースがあるということがあって、私代表質問で取り上げましたが、首相は答えませんでした。三月五日の衆議院予算委員会でこの問題に対して西廣防衛局長は、具体的シナリオは御勘弁いただきたいと答えましたが、一体そのトマホーク使用のケースが含まれているのかいないのか、西廣さん、はっきり答えていただきたいと思います。
○政府委員(西廣整輝君) シーレーン防衛研究は、日米のガイドラインの基本的な枠組みの中でやっておりますし、本研究を始めるに際しまして、改めて日米防衛協力小委員会におきましてその枠組みを定めております。その枠組みの中には、核戦争は扱わないということになっておりますから、その種の研究はいたしておりません。
○上田耕一郎君 シナリオは入ってないんですね。
○政府委員(西廣整輝君) 個々のシナリオについてああだこうだというふうに申し上げますと、だんだん中身が出てしまいますので、中身については御勘弁いただきたいということを従来から申し上げておりますが、御質問の件につきましては、この研究の最初の枠組み、基本的枠組みの中でお互いに確認してある中で核戦争は取り扱わないということになっておりますから、それでおわかりいただけると思います。
上田耕一郎君 それを確認しておきましょう。 防衛庁長官、衆議院で問題になりましたけれども、アメリカ海軍の雑誌に公表された公式戦略、ワトキンズ論文が問題になりましたが、もう一つ、米海兵隊司令官のケリー論文というのがあります。このケリー論文によりますと、ここに資料がありますが、ヨーロッパで米ソ戦が起きると、同盟国の対潜水艦作戦戦力はソ連の潜水艦部隊を捜し出して破壊すると。これは太平洋のことも書いてあるので、太平洋じやP3Cを持っているのは日本です。日本のこと。その次に第三段階では、米海兵隊は千島、サハリンに上陸すると、そういうことまで書いてある。これは公式戦略ですよね。こういう相手とやることになると、当然ヨーロッパの戦争が起きる。日本は安保条約に基づいて巻き込まれることになるけれども、防衛庁長官はアメリカのこういう公式戦略公表に対して抗議するつもりはありませんか。 ○
○国務大臣(加藤紘一君) 米国の戦略は、かつて水平理論の戦略だとか、それからスイング理論だとかいろいろそのときどきで変わります。そしてそのときどきで米国としては、その理論に基づいて必ずしもソ連側の有利な戦略が通用するものではないということを表現しながら抑止効果をねらっている部分がかなりあるだろうと思っております。 しかし、いずれにいたしましても、我が国は、いわゆる我が国有事のときでない限り米側と共同対処するということはないということは米側も十分理解いたしておりますし、我が国を巻き込むようなことが米側ができることではないということも十分承知いたしております。そして我が国の政策もそれに基づいて行われておりますので、私たちは一つ一つの米側のそのときどき変わる理論につき一々コメントする立場にはないし、それについてこちらの方から申し上げることも必要ないと思っております。
○上田耕一郎君 公式戦略として公表されたその中に、日本という同盟国がアメリカと一緒に戦うと、攻められていなくても。公表されてもコメントもしないし抗議もしないという態度なんですね。私はまことに残念だと思いますが、こういうアメリカが危険な戦略をとっている状況の中で、きょう私が取り上げる中心テーマである問題、この自衛隊の核防護研究・訓練、これが非常に重大な新しい段階に入ってきていると思います。 河野科学技術庁長官、原子力基本法第二条の平和目的、この中に防衛庁による核防護研究、これは入るんですか。
○国務大臣(河野洋平君) 我が国の原子力の研究、開発及び利用は、原子力基本法のもとで平和の目的に限りこれを進めていくということになっております。御指摘の防衛庁が行っている研究は放射線防護の観点からのものと承知いたしておりまして、原子力基本法の平和利用の趣旨に何ら反するものではない、こういう理解ております。
○上田耕一郎君 自衛隊が放射性同位元素、アイソトープあるいは核燃料物質を使用する場合、これを許可する責任者はだれですか。
○政府委員(辻栄一君) 核物質の使用につきましては内閣総理大臣、それからRI関係の使用につきましては科学技術庁長官が許可権者になっております。
○上田耕一郎君 この自衛隊に対するアイソトープ、核燃料物質の使用状況、使用許可をいつやったか、これを述べてください。資料の③にあります。
○政府委員(辻栄一君) 防衛庁技術研究木部第一研究所におきまして密封されましたプルトニウム239三十二グラムを測定器の校正用の標準線源として用いておるわけでございますが、これに対する許可は昭和四十七年八月四日付で行っております。
○上田耕一郎君 アイソトープ、これも答えてください。
○政府委員(辻栄一君) アイソトープにつきましてはいろいろな事業所で行っておりますので、許可年月日を一々申し上げるわけには……
○上田耕一郎君 今の技研でいい。
○政府委員(辻栄一君) 技研でございますか。第一技研につきましては昭和三十四年十二月十日付になっております。
○上田耕一郎君 化学学校に対してはどうですか。
○政府委員(辻栄一君) 陸上自衛隊化学学校につきましては昭和三十四年七月十日付でございます。
○上田耕一郎君 第一研究所で四十七年にプルトニウムを許可したと言うんだが、これは当時の総理大臣はだれですか。
○政府委員(辻栄一君) 田中総理大臣でございます。
○上田耕一郎君 実際に首相がやるんですか、やっぱりこれも科学技術庁長官が実際上おやりになるんじゃないですか。
○政府委員(辻栄一君) これの実際の許可は科学技術庁長官におろされております。
○上田耕一郎君 化学学校、第一研究所に対するアイソトープ、プルトニウム、これを許可した科学技術庁長官はどなたですか。
○政府委員(辻栄一君) 中曽根科学技術庁長官でございます。
○上田耕一郎君 お配りした③の資料のいろんな自衛隊の師団に配付されているのは、これはガイガーカウンターが多いんですね。研究所に対して許可をした長官は中曽根科学技術庁長官ただ一人です。中曽根さん、どういう理由で許可されました。
○国務大臣(中曽根康弘君) 申請が適法であったから許可したと思います。
○上田耕一郎君 原子力委員会にかけましたか、原子力委員長として。
○政府委員(辻栄一君) この許可は、中性子の標準線源といたしまして測定器の校正に使用するそのための標準線源として使用するということで許可をいたしております。 この使用許可につきましては、原子力委員会に諮問するという制度にはなっておりませんので、諮問はいたしておりません。
○上田耕一郎君 今の答弁は非常に重大です。資料⑧を見てください。この資料は、目黒にある技研本部の第一研究所の対原子力研究室、この概要が防衛庁から出てきたものです。 「研究内容」には「放射線センサーの研究」と書いてあって、測定器の校正なんというものに使うんじゃ全くないんだ。プルトニウムを測定器の校正に使うなんてとんでもない話で、全くうそっぱちだ。うそっぱちのそういう申請が出て、そのうそっぱちの申請に基づいて中曽根さんは許可したことになる。おかしいじゃないですか、これ。
○政府委員(辻栄一君) 放射線関係のセンサーの研究を行います場合に、あるいはこれを使います場合に、中性子源としてプルトニウムを使うという、あるいはほかの放射線源を使うということは広く一般に工業的に利用されているものでございまして、この防衛庁の許可につきましてもこれは放射線校正用の線源として使用するということで許可をいたしておるわけでございます。
○上田耕一郎君 この第一技研が何を研究しているかというので、私はここに科学技術庁から八つのテーマを、資料をいただいています。 資料の⑨です。科学技術庁、第一技研この八つのテーマ、内容について説明してください。
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。 国立試験研究関係費として科技庁で一括計上しました防衛庁の関係のものにつきましては、八テーマございますが、放射線の防護及びその関連の検出機能研究等でございます。
○上田耕一郎君 八つのテーマについて説明してください。
○政府委員(中村守孝君) お答えします。 内容が非常にたくさんございますから、テーマだけそれじゃ申し上げます。放射線血液病の発生予防治療剤の研究。生体内部放射線源の障害に関する研究。半導体放射線検出器の研究、これはガンマ線、それからもう一つは中性子の研究。それから航空機の計器類の夜光塗料の実態調査並びに保健物理的研究。それから熱螢光放射線測定装置の研究。それからレム直読チェンバー系の研究。それから組織等価材料に関する研究でございます。
○上田耕一郎君 この中性子の研究を始めたというのだけれども、昭和四十七年に許可されて、どこから買ったんですか、その中性子。それで、量とそれから用途、科学技術庁知っているでしょう。
○政府委員(筒井良三君) 購入いたしましたのは米国からの一般輸入でございます。購入いたしました量は、プルトニウム239とベリウムの合金でございまして、合わせて四十七グラム。その中にプルトニウムが三十二グラム含まれております。
○上田耕一郎君 用途。
○政府委員(筒井良三君) 用途は、中性子の線源として使います。
○上田耕一郎君 中性子というのはどういうときに出るんですか。
○政府委員(筒井良三君) 医療とかいろいろな意味があると思いますけれども、私どもミリタリーという立場から見ました場合に、核爆発が行われたときに中性子とかガンマ線とかいろいろな放射線が出ます。
○上田耕一郎君 中性子とガンマ線と言いましたけれども、残留放射能の中には中性子は出ますか。
○政府委員(筒井良三君) 核爆発が行われました場合に、一般的に初期的に大量に出る放射能と残留性のものとございます。しかし、中性子は一般的に言って残留放射能の方にはほとんどないと思います。
○上田耕一郎君 買ったプルトニウムというのは二キュリーの中性子だそうですね。これは核爆発のときしか出ない。核爆発のときしか出ないのが中性子だ。 さて、この第一技研で今まで、四十二、三年まで研究して制式化されて装備品になったものがありますが、これは何ですか、防衛庁。
○政府委員(筒井良三君) どれくらいの放射能が出ているかということを計測するための線量計でございまして、線量率計の2型というようなもの、それからガラス線量用計測羅とか、その他ございます。
○上田耕一郎君 これはガンマ線用ですね。
○政府委員(筒井良三君) 昔の技術でございますので、通常のガイガー式のガンマ線でございます。
○上田耕一郎君 資料⑩に装備年鑑に載っている線量計があります。線量計3型というのは首からメダルみたいにぶら下げまして、残留放射能のある地域に入るわけですよ。どのくらいの線量を浴びたか、トータルもそれで見て計測器にこうやって乗せるわけですよ。どのくらい浴びたかがわかる。これは既に制式化されて各師団に配備されている。これはガンマ線です。つまり、死の灰なんかを浴びたとき、フォールアウトの残留放射能がどのぐらいあるかと、その地域に自衛隊が入っていく場合のことを想定していろいろやっているんでしょう。中性子の研究をいよいよ始めたということになりますと、中性子というのは核爆発のときしか出ないんですから、これはどういうことになりますか。何のために中性子の放射能測定、これを防衛庁が始めたんですか。
○政府委員(大高時男君) ただいま先生御指摘の線量計の3型でございますが、これは御承知のようにガンマ線のみしか検知できない構造になっております。しかし、核爆発に際しまして放出される放射線の中では、ガンマ線だけじゃなしに中性子線も人体に有害な影響を与えるわけでございまして、核防護の見地からこの両方の検知機能を備えてはどうだろうかということで始めたわけでございます。特に最近、昨年でございますけれども、ある民間の会社におきまして、小型で運搬可能な中性子の検知能力を持つ素子が開発されましたので、これを使って携帯線量計の3型の改良を行おうと、こういうものでございます。
○上田耕一郎君 今大高さんお答えになったように、昨年からこの中性子のセンサーの研究を具体的に始めたわけです。ある会社です。これは大メーカーの一つですわね。それでは、これを一つ確認しておく。核爆発でしか出ない中性子を、その放射能をはかる装備の研究を始めたということですね。 もう一つ、じゃ、センサーができたら、やっぱり線量計として制式化して部隊に配備するわけですね。
○政府委員(大高時男君) 化学学校におきましては、昨年から、ただいま申し上げました素子、これを持ってまいりまして、中性子の放射線でございますが、これが正確にこれに反映されるかどうか。あるいはまた、一般的に会社等の資料を取り寄せまして、果たしてこれが正確なものであるのかどうかといったようなまだ基礎的な研究を始めた段階でございまして、それ以降についてはまだ申し上げる段階ではないかと思います。
○上田耕一郎君 ちょっと先ほどプルトニウムを買ったのは測定器の校正のためと、校正というのはゼロをはかるやつです。そういう申請書が出たと言いましたけれども、今の答弁でどうですか、測定器のゼロ点を押さえる校正ではなくて、中性子放射能を測定するための線源として使っているという答弁がありました。そうすると、その申請書はまるっきりうそを書いた、科学技術庁長官をだましたと。中曽根さんはなかなかだまされない人のようだけれども、意識的かどうか知らぬけれども、だました、だまされたということになるんじゃありませんか。
○政府委員(筒井良三君) 線源といたしましては、校正を専門に使います各所でそういったものが使われておりますけれども、特に技術研究本部で申請いたしましたのは、使用の目的といたしまして、中性子の標準線源として測定器の校正に使用するということでお願いを申し上げております。 測定器といいますのは、私どもが研究しておりますのは、どれだけの放射能が出ているかということを測定するものでございまして、それを測定する部分には計器であらわす部門とそれを感じるセンサー、そういうぐあいに一般的に分かれますが、そういったセンサー類、つまり測定器の感じる部分でございますけれども、それがどれぐらいの能力を発揮するか、そういったものに対して標準線源として校正の正しい中性子のある量を出してそれで研究を続ける、そういったたぐいのものでございますが、先生御指摘の二キュリーの三十二グラムと申しますが、まあ親指程度のものでございまして、こういった計器の校正以上に特段の使用目的はないかと思います。
○上田耕一郎君 それでは、このレム直読チェンバー、これはレムカウンターというんだけれども、この研究というのは何ですか。
○政府委員(筒井良三君) これも科技庁の方から予算の移しかえをいただいて研究したものでございますけれども、ごく簡単に言いまして、私どもが被害を受ける場合には純研究用でございませんので、ガンマ線の被害だけとか中性子量の被害だけとかそういうことを分けても、実際の人体として我々意味がありませんので、そういったものが合算されてどれぐらいの放射能を受けたかということをまとめてはかるためにはどういう計器があるだろうか、そういったことに関連する一般的研究でございまして、研究結果は公表されております。
○上田耕一郎君 その次の組織等価材料に関する研究、これはどういうことですか。
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。 科技庁で防衛庁からの予算要求で計上いたしました組織等価材料に関する研究というのは、人体組織と等価な放射線検出器材料を開発することを目的としたものでございまして、使用原材料の選定とか、成形条件の確認、放射線特性の測定の比較を行う、こういう研究内容と承知しております。
○上田耕一郎君 これは、つまり人間の肉や骨が中性子でいろいろ被害の受け方が違うわけですよ。人間の肉や骨に等価の、そういう組織材料を研究しているわけですよ。おっかないことをやっているわけです。 さて、先ほどプルトニウム、親指ぐらいで大したことないと言いましたけれども、プルトニウムというのは地獄の王プルートーという名前をつけたぐらいに物すごい猛毒な物質なんですから。 さて消防庁、核燃料物質あるいはアイソトープ、これについては東京都が条例で届け出なきゃならぬということになっておりますけれども、目黒の技研から届け出はいつありましたか。
○政府委員(井上孝男君) 六十一年三月十三日でございます。
○上田耕一郎君 それまでの経過を話してください。
○政府委員(井上孝男君) 東京都が現在持っております火災予防条例五十九条によりますと、核燃料物質及び放射性同位元素につきましては、消防庁に届け出を要するということになっておるわけでございます。過去、科学技術庁長官から許可、使用承認等がなされました物質につきましては、火災予防条例に基づきまして東京消防庁に届け出を要するということになっております。 六十一年三月十三日付で防衛庁技術研究本部第一研究所から届け出がなされました内容は次のとおりでございます。 種別及び数量、核燃料物質につきましては、プルトニウム239ニキュリー、放射性同位元素につきましてはコバルト60百キュリー、セシウム137十キュリー、ラジウム226十マイクロキュリー等々でございます。あわせまして、貯蔵・取扱施設の構造、設備等につきましても報告がございますが、この点につきましては省略させていただきます。 以上でございます。
○上田耕一郎君 消防庁としては届け出の要請をアイソトープについてはかってしたことがあるでしょう。いつやりました、文書で。
○政府委員(井上孝男君) 特に届け出の要請を消防庁としていたしたことはございません。
○上田耕一郎君 あなたは御存じないかもしれぬ。私ども電話で聞きました。科学技術庁からアイソトープをあそこに渡してあるというので、昭和四十一年に文書で届け出を要請したと。一切無視されて今まで来ているんだ。 さて、プルトニウムがあそこにあったことは御存じですか。昭和四十八年以来あった。
○政府委員(井上孝男君) 東京消防庁の報告によりますと、承知しておらなかったということでございます。
○上田耕一郎君 五日前に届け出たんです。つまり二十年近く放置してあったアイソトープ。アイソトープがあることは科学技術庁の通知で消防庁は知っていたんだ。プルトニウムは四十八年、物すごい猛毒なものがあそこにあるのに科学技術庁も知らさない、消防庁も知らない。今度の届け出で初めて知ったんです。 五日前になぜ届け出たんですか。なぜ今まで届け出なかったんですか、防衛庁。
○政府委員(筒井良三君) 先生御案内のとおりに、放射性同位元素につきましては、科技庁に承認申請を行いますとその写しが科技庁から消防庁に送付されまして、したがいまして各消防署に通知されるというぐあいに私ども承知しております。 第一研究所におきましては、所管消防署の署員の定期的な検査を放射性同位元素については受けておりまして、消防面の安全性も確認されていると私ども思っております。 核燃料物質に関しましては、たまたま同一場所に保存しているものでございまして、私どもから見ますると、安全面では問題ないと考えておりましたが、いずれにいたしましても都条例におきますところのそういった手続を行っていなかったということは大変申しわけないと存じております。
○上田耕一郎君 私が調べ始めたので慌てて届け出たんですよ。 防衛庁長官、これは都火災予防条例、資料の⑥です、五十九条。核燃料物質、アイソトープ、「その他消火活動に重大な支障を生ずるおそれのある物質で」、消火活動に入ってこういう猛毒物質があったら危ないから届け出ろと。この条例違反を二十年近くやったわけだ。防衛庁長官としてどう思いますか。
○政府委員(筒井良三君) 二十年近く手続を怠ったことは大変申しわけないと存じますが、試料そのものは絶対にあけられないような小さなタンタルその他の中に入っておりまして、三千度Cでも溶けないような金属で囲んでおりまして、それ全体を放射能が漏れないような数十センチの器に入れておりまして、それが同位性元素と同一場所に置いてあり、その場所を消防署からもいろいろ検査をいただいているというので、私どもは勝手に安全面は確保されていると考えていた次第でございますが、実態上その安全面がよかろうと私どもは思ったにせよ、手続を怠っていたということは大変申しわけないと存じます。
○上田耕一郎君 文書で届け出を言われて二十年届けてないんだから、自分が安全だと思ったら届け出ないで条例違反して構わないと思っているんですか。秘密にしようとしているからですよ、これは。もう今のような答弁は続けられないね、ああいうことを言って合理化するんじゃ。どうですか、防衛庁長官。
○国務大臣(加藤紘一君) 特に秘密に隠していようというわけではなく、恐らく同じ場所にあって、実態上は安全面につきましては消防署の人の立ち入りもあるわけですから、そういった意味では実態的には問題なかったと思いますけれども、そういったコピーを回すとか手続上のミスがあったことは、細かなことですけれどもミスでございますので、それは今言いましたように遺憾な点でございます。
○上田耕一郎君 大体防衛庁がアイソトープやプルトニウムを使って研究しているということは、私が調べ始めるまで科学技術庁の担当者も知らなかったんだから。平和の目的ですから、そんなことやらしていませんという返事だった。ところが、しばらくたって、ありましたといって、担当者が知らないんですよ。そのくらい隠しているわけだ。 科学技術庁長官、公開の原則に反しませんか、こういうやり方。だれも知らない、国会の科技特でも一回も議論になったことがない、原子力委員会にもかけてない、だれも知らない。どうですか、公開の原則からいって。
○政府委員(辻栄一君) お電話をいただいたときに担当者が知らないと申しましたことについては、まことに申しわけなかったと思いますけれども、担当者もいろいろかわりますので、非常に古い許認可については知らない場合もあったかもしれません。私どもこの件については、先ほど来申し上げましたように、ずっと許可をしてまいりますのでよく承知しておりますし、この許可の内容につきましては、こういう許可をやったということにつきましては、決して秘密の資料としているわけではございません。
○上田耕一郎君 原子力基本法が三十年にできて、三十一年に閣議決定がありましたね。原子力研究予算についての閣議決定、どういうものですか。
○国務大臣(河野洋平君) 「各省庁所管試験研究機関の原子力利用に関する経費及び原子力利用に関する試験研究補助金等に関する予算は、昭和三十二年度以降においては、科学技術庁に一括計上し、必要に応じ各省の予算に移し替えるものとする。」と、こういうものでございます。
○上田耕一郎君 資料の⑨を見てください。 これがその科学技術庁がつかんでいる第一研究所に関する三十五年から四十一年までの予算と研究内容です。総額四千六百万円ほどになりますけれども、昭和五十二年度以降はどうなっているんですか。
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。 科学技術庁に一括計上いたします研究費につきましては、この原子力委員会としてどういう形でするかということについて毎年各省に通知していただいておるわけでございますが、この経費にはいわゆる人当庁費に相当する、研究費の場合人当研究費とか教官研究費、こういう名目のものもございますが、研究所の頭割りでいくような研究費につきましては研究所で自主的にいろいろ配分される内容のものでございまして、あらかじめどういうプロジェクトでこういう研究をするということではございませんので、見積もり、配分等に際しましてはこの人当庁費は除いております。そういう形で、五十二年以降特定のプロジェクトとして科学技術庁に一括計上したものはございません。
○上田耕一郎君 防衛庁、五十二年以降のこの第一研究所並びに化学学校についての予算、対原子力研究、どうなっておりますか。
○政府委員(筒井良三君) 初めに、技術研究本部の第一研究所の予算の方について御説明申し上げますが、現在高空におけるところの集じん、高空におけるところの放射能の実態の調査等、そういったことに関する費用はいただいておりますが、先生御指摘の核防護関係ということになりますと、現在防衛庁の予算の中には明示的に核防護に関する研究のための経費として位置づけられるような予算は計上しておりませんで、人当経費等の一部を用いて研究を行っているというような状態でございます。研究室そのものも実は研究員三名の非常に小規模なものでございまして、人当研究費で細々とガラスセンサー等、そういったセンサー類の勉強を行っている段階でございます。
○上田耕一郎君 化学学校の対原子力研究の中身と予算についてお伺いします。大宮の化学学校。
○政府委員(大高時男君) お答え申し上げます。 陸上自衛隊化学学校におきましては昭和六十年度において三件研究を行っております。一件は、先ほど先生の方からお尋ねがございましたガンマ線被曝線量を探知するための線量計3型、これを中性子線も測定できるような機能を付加するような基礎的研究でございます。それから二つ目でございますけれども、これは放射性物質を用いずにフォールアウト除染の教育研究を実施できるような擬剤、要するに放射性物質ではないけれども非常にフォールアウトに似ているにせの剤でございますが、それとその検知器の研究。三件目は、雨水に含まれている放射能の継続的な測定というのをやってございますけれども、御承知のように化学学校におきましても日常的に行っておりますこういうような研究の予算は特に計上いたしておりませんで、学校教官あるいは研究員当たりの人当研究費というのがございますけれども、これから研究の所要に応じて出すというふうにいたしております。
○上田耕一郎君 この資料③の表の核種の数量の中にセシウム137、千キュリー、これは相当強力な線源ですね。これはどういう研究に使っているんですか、大高さん。
○政府委員(大高時男君) ただいま先生御指摘の千キュリーのセシウムでございますが、これは広範囲の放射線を測定できます地域用の線量率計あるいは中隊用の線量率計といったものがございますが、こういうものの校正あるいは取り扱いの教育、それからまた金属等に高い放射線を照射しました場合の遮へい効果等の研究、こういったものに使用いたしておるということでございます。
○上田耕一郎君 私が受けたレクチャーによりますと、ヘリコプターを飛ばして、測定器を積んで、このセシウム137千キュリーの鉛のふたを外して空へ出すんですと。それで空で受けて、広大な地域の放射能汚染、これの研究と訓練を化学学校、去年は核シェルターがあるというので追及しましたが、やっているわけですよ。こういう研究も一切予算に出てこないんですか。さっきの閣議決定に入らない、人頭当たりの予算ということで表には出ないんですか。
○政府委員(大高時男君) ただいま申し上げましたように、線源は以前からあるものでございますし、それからまた、そういった実験を行いましてもそれほどの経費はかからないということで、人当研究費等の中でやっておるということでございます。
○上田耕一郎君 事態は大変なことなんです。目黒のあの技術本部の第一研究所で、昭和五十二年以来いよいよさっき言ったように中性子の研究を始めたのに、予算からは隠れたんです。予算の項目出てこないわけだ、人件費に入っちゃって、そうかからぬからというのでね。化学学校はもう三十年来研究しているんだけれども、一切予算に出てこない。原子力基本法をつくって、翌年閣議決定やって、原子力の研究は全部科学技術庁の統一予算だと閣議決定で決めていてもこれでは何もならぬじゃないですか。どうですか、科技庁長官。
○国務大臣(加藤紘一君) 私たちが今御質問を聞いておりますと、大変おどろおどろしい研究をしているような、それこそ重大なことのようにおっしゃいますけれども、私たちは我が国の防衛庁、自衛隊といたしましても核をつくろうというような気は絶対ないわけで、これは非核三原則をしっかり守っておるわけです。そして我が国が核防御に耐え得るような、そういったことも防衛上整備をいたしておりません。それは何千億かかる話でありましょう。そんなことを今やっているわけではありません。ただ若干の放射性のフォールアウトが出たときに、我々がカウンターで数えられるようなことをしたいという程度の研究をいたしておるわけでございます。 そしてその金額も、先生の資料の中に出ておりますけれども、今から十数年前以来その金額は我が技研の予算でも三百万、四百万。五百万台にいったことはないんです。そして、それからいわゆる化学学校でやっておりますのも百二十万円以下のものでございます。したがって、計算にも上がらないような小さなものだから、閣議決定に基づいてそういった一人当たりの研究費百二十万以下のものは、それは一つ一つの申請は要らないということになっているわけで、隠そうとしているのではなくて金額が少な過ぎるのでございます。どうぞそれをもって我が自衛隊、防衛庁が何か今にでも核についての新たな段階に至ったようなおどろおどろしい質問というのはどうかなと。その数字をよく見ていただきたいと思います。
○上田耕一郎君 いやいやあなた、フォールアウトのちょっとした研究と言うが、そうじゃないんですよ。五十八年度から化学学校も第一研究所も中性子の放射線、中性子線の被害についての研究を始めたんですよ。中性子線が出るのは、先ほど答弁がありました核爆発のときだけですよ。核爆発、どういうときに日本の本土で起きるんですか。自衛隊の隊員がそこへ入らなければならぬ。核爆発で中性子線を自衛隊の隊員が受ける場合、日本の本土で核爆発が起きるときだけでしょう。ソ連からの核報復もあるでしょう。アメリカのトマホーク。中曽根首相はおととし、トマホーク積載艦とも共同対処可能だと答弁した。去年は、アメリカが核兵器を公海で使うというときに排除できないと言ったでしょう。アメリカの核トマホーク、これと一緒に戦うときに、自分は核を持っていなくてもその中で自衛隊員は戦わなければならぬのですよ。化学学校関係の防衛庁内局の私にレクチャーした人は、中性子の研究をいよいよ始めて長年の宿願を達したと、そう私に言ったんですから、おどろおどろしい質問どころか、どうですか、加藤防衛庁長官。中性子の出るというのは核爆発でしょう。日本が核戦場になる、こういう場合をあなた方は万が一と言いながら想定しているんですか。はっきり答えてください。何がおどろおどろしいという、おどろおどろしいことを考えているのはあなたの方じゃないか。
○政府委員(西廣整輝君) かねがね御答弁申し上げているように、我が国は……
○上田耕一郎君 かねがねなんて、何も聞いてない。初めてだ。
○政府委員(西廣整輝君) いや、そんなことはないと思います。 核の使用というものは、戦略核に限らず戦術核についても、これは大変な被害を及ぼすということで、相互に非常に抑止をされているということは事実だと思います。さらに、我が国で言えば、核の抑止についてはアメリカに全面的に依存をするということになっておりますので、我が国の装備その他について核戦闘というものを前提としたものを考えるということはいたしておりませんけれども、かねがね申し上げているように、万々一使われた場合に、その汚染からどう防護するかといったような研究なり訓練等は行っておるということは、従来から政府の答弁書なりあるいは国会における答弁で申し上げているとおりであります。
○上田耕一郎君 資料⑪を見てください。私は、去年ここで自衛隊の幹部学校の教科書問題を取り上げました。やっぱり幹部学校の文書です、この「対核装備について」。これは冒頭「はじめに」というところで、「十年後の防衛のことを考えると、核に対する戦斗という事を考えなければならない。」と始まっている。その二ページの冒頭を見てください。「現に第一研究所の対原子力研究室というのは、原子力委員会から認められ、国の予算を注いで研究をしている」と。これは昭和三十六年の陸上自衛隊幹部学校の文書です。また新しいものがどんどん私のところへ参りますので。こういうことでいよいよ日本が核戦場になると、そういうことを想定して中性子線に対する測定器の研究まで始めているわけだ。 河野さん、あなたは軍縮議連の事務局長で私は常任理事で、核兵器廃絶を一生懸命やってきたんだけれども、中曽根内閣の一員だという前に、本当に平和に対するあなたの心情からいって、ここまで来ている放射線防護と核戦争に対してどう思いますか。核戦闘ですよ。
○委員長(安田隆明君) 上田君、時間が参りました。
○上田耕一郎君 自衛隊どう戦うかと。答えてください。
○国務大臣(河野洋平君) 日本の国が核兵器を保持するとか、あるいは核兵器で戦うということであれば、これはまず第一に全然問題にならぬ、体を張ってもとめなければならぬ、こういうことだと思います。 それから、上田委員もいろいろおっしゃっておられましたけれども、私も核廃絶に向けて一生懸命努力をしてきた人間でございます。中曽根内閣の閣僚といたしましても、中曽根総理がしばしば答弁しておりますように、究極的に核廃絶を目指していくという考え方に私は同調をし、その方法について最も積極的な人間でありたいと、こう考えて努力をいたしておるところでございます。
○上田耕一郎君 最後に一問。 原子力基本法の基本が揺らぎかけているんだから、中曽根首相は原子力基本法の提案者でしょう。最後に一言。首相、あなたはあれだけしゃべる方だ、どうぞ。
○国務大臣(中曽根康弘君) 原子力基本法を守って、平和利用に徹するように努力してまいります。
○委員長(安田隆明君) 以上で上田耕一郎君の質疑は終了いたしました。(拍手) 明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時四分散会