法務委員会 第5号
- 発言数
- 223 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1986/04/02
会議録
○委員長(二宮文造君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る三月二十八日、倉田寛之君が委員を辞任され、その補欠として林ゆう君が選任されました。 昨日、寺田熊雄君が委員を辞任され、その補欠として秋山長造君が選任されました。 本日、秋山長造君が委員を辞任され、その補欠として寺田熊雄君が選任されました。 —————————————
○委員長(二宮文造君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(二宮文造君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に寺田熊雄君を指名いたします。 —————————————
○委員長(二宮文造君) 去る三月二十八日、予算委員会から、四月二日一日間、昭和六十一年度一般会計予算、同特別会計予算及び同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管についての審査の委嘱がありました。 この際、昭和六十一年度一般会計予算、同特別会計予算及び同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管を議題といたします。 まず、鈴木法務大臣及び草場最高裁判所事務総長から順次説明を求めます。鈴木法務大臣。
○国務大臣(鈴木省吾君) 昭和六十一年度法務省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。 まず、法務省所管の一般会計予算額は、三千九百二億二千七百万円であり、登記特別会計予算額は、八百八十三億七千五百万円でありまして、その純計額は、四千二百七十八億三千五百万円となっております。 この純計額を昭和六十年度当初予算額四千六十七億四千万円と比較しますと二百十億九千五百万円の増額となっております。 次に、重点事項別に予算の内容について、御説明申し上げます。 まず、定員の関係でありますが、昭和六十一年度末定員で申し上げますと、当省の総定員数は、四万九千九百三十一人で、昭和六十年度末に比較いたしますと純増十四人となりております。 昭和六十一年度の増員は、新規に四百二十三人、部門間配置転換等による振りかえ増員五十三人の合計四百七十六人となっております。 その内容を申し上げますと、一、検察庁における特殊事件、財政経済事件、公安労働事件等に対処するとともに、公判審理の迅速化を図るため、百一人、二、法務局における登記事件、訟務事件及び人権擁護関係の事件に対処するため、登記特別会計の百五十八人を含め、百六十七人、三、刑務所における保安体制及び医療体制の充実を図るため、百二十三人、四、少年院及び少年鑑別所における処遇体制の充実を図るため、三十九人、五、保護観察活動等の充実を図るため、二十八人、六、出入国審査及び在留資格審査等の業務の充実を図るため、十八人となっております。 他方、減員は、昭和五十六年九月の閣議決定に基づく「定員削減計画(第六次)の実施について」による昭和六十一年度定員削減分として四百四十三人、その他削減分として十九人、合計四百六十二人となっております。 次に、主要事項について御説明申し上げます。 第一に、法秩序の確保につきましては、二千二百六十二億六千四百万円を計上し、前年度予算額と比較しますと九十五億五千七百万円の増額となっております。 その内容について申し上げますと、まず、検察庁関係では、検察活動の充実を図る経費として七百九億二千二百万円を計上し、刑事事件の増加等に対応する経費、検察官の人材確保のため、検察官の初任給調整手当の増額に要する経費を含んでおります。 矯正施設関係では、刑務所等矯正機能の充実を図るため一千三百億四千二百万円を計上しており、この経費の中には、収容人員の増に対応する経費、被収容者の処遇の確保のための生活備品、日用品の改善及び食糧費の単価改定等に要する経費を含んでおります。 更生保護関係では、保護観察の充実を図る経費として百十四億二千九百万円を計上しております。 訟務関係では、国の利害に関係のある争訟事件の処理経費として九億一千五百万円を計上しております。 公安調査庁関係では、公安調査活動の充実を図る経費として百二十九億五千六百万円を計上しております。 第二に、国民の権利保全の強化につきましては、一般会計で六百十八億六千五百万円を計上し、前年度予算額と比較しますと、実質四十二億一千百万円の増額となっております。 その内容について申し上げますと、まず、登記関係では、登記事務費として五百七億六千七百万円を計上しております。 この登記事務費は、登記事務を円滑、適正に処理するために設けられている登記特別会計の財源の一部として繰り入れるための経費であります。 法務局のうち登記を除く関係では、国籍、戸籍等の事務処理の充実を図る経費として百五億五千四百万円を計上しております。また、人権擁護関係では、地域改善対策としての啓発等人権擁護活動の充実を図るため五億四千四百万円を計上しております。 第三に、非行青少年対策の充実につきましては、三百四十七億八千五百万円を計上し、前年度予算額と比較しますと十七億七千四百万円の増額となっております。 その内容について申し上げますと、青少年検察の充実経費として十一億五千九百万円、少年院教化活動の充実経費として百五十七億七千九百万円、少年鑑別所業務の充実経費として七十四億八百万円及び青少年保護観察の充実経費として百四億三千九百万円をそれぞれ計上しております。 第四に、出入国管理業務の充実につきましては、百十億九千九百万円を計上し、前年度予算額と比較しますと二億一千二百万円の増額となっております。 その内容について申し上げますと、出入国及び在留管理業務の充実経費として四億八百万円及び外国人登録事務処理経費として十五億一千百万円等を計上しております。 第五に、施設の整備につきましては、老朽、狭隘化が著しい基幹の大行刑施設を含めた法務省の庁舎、施設を整備するための経費として、百七億八千二百万円を計上し、前年度予算額と比較しますと、十六億二千百万円の増額となっております。 第六に、登記特別会計につきましては、総額八百八十三億七千五百万円の歳入歳出となっております。 歳出の主な内容といたしましては、登記所等管理経費六百五十九億二千七百万円、登記事務のコンピューター化計画の推進及び登記簿謄抄本交付事務の適正、迅速化を図る経費百十一億三千九百万円、登記申請事件の審査等経費十七億一千万円、法務局の支局出張所等を整備する施設整備費として六十億三百万円等をそれぞれ計上しております。 以上、昭和六十一年度法務省所管の予算の概要を御説明申し上げました。
○委員長(二宮文造君) 草場最高裁判所事務総長。
○最高裁判所長官代理者(草場良八君) 昭和六十一年度裁判所所管歳出予算要求額について御説明申し上げます。 昭和六十一年度裁判所所管歳出予算要求額の総額は、二千二百九十七億九千二十六万四千円でありまして、これを前年度予算額二千百八十三億九千二百二十八万三千円に比較いたしますと、差し引き百十三億九千七百九十八万一千円の増加となっております。 これは、人件費において百五億二千七百五十六万八千円、裁判費において三億八千六百七十六万二千円、施設費において一億五千四百七十七万円、司法行政事務を行うために必要な庁費等において三億二千八百八十八万一千円が増加した結果であります。 次に、昭和六十一年度歳出予算要求額のうち、主な事項について御説明申し上げます。 まず人的機構の充実、すなわち増員であります。 民事執行法に基づく執行事件、破産事件、簡易裁判所の民事訴訟事件等の適正迅速な処理を図るため、判事八人、裁判所書記官十人、裁判所事務官二十九人、合計四十七人の増員をすることとしております。 他方、定員削減計画に基づく昭和六十一年度削減分として裁判所事務官等三十八人が減員されることになりますので、差し引き九人の定員増となるわけであります。 次は、司法の体制の強化に必要な経費であります。 裁判運営の効率化及び近代化のため、庁用図書等裁判資料の整備に要する経費として四億七千六百十四万三千円、複写機、計算機等裁判事務能率化器具の整備に要する経費として四億百八十三万一千円、調停委員に支給する手当として四十九億八千百九十九万二千円、裁判官に人材を確保するため、裁判官の初任給調整手当として一億八千五百五十七万八千円、裁判費の充実を図るため、国選弁護人報酬に要する経費として二十七億六百三十六万三千円、証人、司法委員、参与員等旅費として六億六千四百二十五万六千円を計上しております。 また、裁判所施設の整備を図るため、裁判所庁舎の新営、増築等に必要な経費として七十九億二千六百二万九千円を計上しております。 以上が昭和六十一年度裁判所所管歳出予算要求額の大要であります。よろしく御審議のほどをお願いします。
○委員長(二宮文造君) これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○寺田熊雄君 法務局の整理統合、法務局といいましても支局は入らないんでしょうが、出張所、これの統廃合はどういうふうに計画され、どういうふうに進んでおるでしょうか、ちょっと御説明 いただきます。
○政府委員(枇杷田泰助君) 法務局の出張所につきましては、少人数の庁がたくさんございましてかなり問題であるということから、昭和三十年代から適正配置に努めてきておるところでございます。 最近の状況を申し上げますと、昭和五十八年に臨時行政調査会の答申で、さらに今後二百七十五庁を五カ年間で統合するのが相当であるというふうな答申が出ております。それに基づきまして閣議決定がなされておるわけでございまして、昭和五十九年度には七十二庁、六十年度は五十一庁、六十一年度は五十一庁という目標が立てられております。残りを六十二年、六十三年で合計百一庁ということになっておるわけでございまして、私どももその線に従いまして整理統合をすべく努力してまいってきておるところでございます。その結果が、昭和五十九年度におきましては、目標は七十二庁でございましたけれども、実際にできましたのが六十八庁でございます。昨年度の六十年度におきましては、目標五十一に対しまして、前年度の積み残し分の整理ができましたので五十三庁実施ができておるという状況でございます。
○寺田熊雄君 これは、法務局の事務は次第に増加しますね。だから職員はできるだけそれに見合うように増員をせよということが大体衆参を問わず法務委員会全体の意向のようですから、職員は減らすということはないんでしょう。一に財政的なメリットを追求しているわけですか。地元の民衆は、やはり法務局出張所が地元にあった方がいいということをみんな希望しますね。そのために土地を提供するというようなことも過去に幾多もあったわけですが、これをやはり整理統合をやるというのは事務の能率化という面もあるわけですか。それと財政上の理由とこの二つでしょうか、ちょっとその点を説明してください。
○政府委員(枇杷田泰助君) 登記所の整理統合を進めなきゃならない理由はたくさんあるわけでございますけれども、一つには、ただいま御指摘ありましたような人員の配置の問題がございます。登記事務が非常に繁忙をきわめておるということで増員を毎年いただいておるわけでございますけれども、事務量の増加に必ずしも見合うものではありません。そこで、法務局の職員全体を効率的に配置をするというためには、どうしても小規模庁につきましては配置上のロスが出てまいりますので、これを何とか整理したいということももちろんございます。それから、全国で本局、支局合わせまして千二百ほどの出先機関があるわけでございますけれども、これの庁舎の維持整備というのもこれまた大変なことになります。そういうふうなことから、財政的な事情から整理統合しなきゃならないということも御指摘のとおりあるわけでございますが、そのほかに実は職員の配置の問題がございまして、一人庁とか二人庁とかという、どちらかといいますとそれほどの人口のないところに配置をするということは、実際上人事異動の面について大変難しいという問題が出ております。 それから、週休二日の問題もございまして、開庁方式でございますと、そういう小規模のところにつきましても土曜日は職員を休ませるということになりますと代理要員を派遣しなければならぬということもございます。 それから、地元の方ではなるべく近くに登記所があった方が便利だということはもちろんあるわけでございますけれども、最近、国土調査であるとか土地改良事業であるとかというものが進められますと、大量にそういう小規模庁に事件が出るわけでございます。そこで、一人庁とか二人庁とかというところは弾力性がございませんので、ちょっと事件が大量のものが出ますと直ちに処理能力を失ってしまうというような面もございます。そういうことで、全体といたしましてなるべく小規模庁は整理をしていくようにしなければ法務局全体としてうまく機能できないんじゃないかということから整理統合を進めておるということになるわけでございます。
○寺田熊雄君 次に、韓国における裁判というのは私ども今まで法務委員会でもたびたび質問をしたところでありますけれども、例えば有名な金大中事件、これのかつて死刑判決があったわけですが、その判決をぜひ取り寄せてくれと外務省のアジア局長にこの法務委員会で要求をいたしまして、アジア局長におかれても大変御努力になったようでありますけれども、韓国の方で前例がないというような理解に苦しむ理由でいまだにその判決さえも手に入らないというようなことであります。このほか最高裁の判事が五人連袂辞職をするというようなこともある、裁判官室の隣室にKCIAが頑張っている、それから金大中事件の判決でも証人調書の任意性を否認しておるのに、それについての調べをせずに証拠に採用しておるとか、いろいろの批判が日本で渦巻いておるわけであります。 そういう裁判で日本の留学生がことしの三月にスパイ罪の容疑で懲役七年の言い渡しを受けた。本人は非常に認定事実を争っておるわけであります。母親は今でも息子が無実であることを信じているということを涙を流しつつ話しておるということであります。 それから、在日韓国人も随分やはり同じような容疑で裁判を受けております。昨年の一月二十二日には金炳柱という、これは二世ですね、これがやはり死刑判決を受けて執行が非常に懸念されておる。それから、今までにしばしば外務当局にも要請をいたしました徐俊植、これが裁判を受けて懲役刑の執行を受け終わった後、保安監護処分といういわば思想犯を思想のゆえに拘置するという処分があるようで、もちろんそれは法律があるようでありますが、既にこの五月で八年を経過しようとしておる。在日韓国人の家族というようなものが恐らく外務省の皆様に何とかしてくれということを要求しておるようであります。西ドイツでもやはり同じようなことがあって、西ドイツ政府は、同じように西ドイツ在住の朝鮮人が韓国に行って裁判を受けたその結果について非常に厳しくその理由を問い詰めたり、速やかな釈放を要求したりという手段を講じておるようであります。 そこで、日本の外務省におかれても、やはり日本人の裁判、在日韓国人の裁判、これは内政干渉にわならないようにという配慮があるのでありましょうけれども、何とかこれを救出する手だてを講じてもらえないだろうかと私ども思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(福田博君) ただいまの御質問、いろいろ多岐にわたりまして、金大中さんのケースと、それから日本人で裁判になっておりました、これは稻葉さんという方ですが、最近刑が確定いたしましたが、それとあと在日韓国人が韓国へ行かれて政治犯として取り扱われて刑務所に入っている、そういうようなケースそれぞれと申しますか、そういうものを通じて日本政府の態度はいかがであろうか、そういう御質問ではないかと思います。 金大中さんの事件につきましては、もうこれは解決して大分たちますので特につけ加えることはございませんが、日本人の稻葉さんという方につきましては、確かに先方でそういう裁判が行われまして、つい先日のことでございますが、たしか私の記憶が正しければ懲役七年の実刑判決が確定いたしました。ですから、今刑務所に収容されたところであろうと思います。この方につきましてはもちろん御家族大変御心痛でございましたし、私どもも大変心配をいたしまして、御家族の方が行って面会をされるとかあるいは弁護士を紹介するとか、それから先方に対して種々の人道的配慮を要請するとか、そういうことは常にやったつもりでございますし、先方もそれなりの取り扱いはしてくれたのではないかと期待しております。 先生先ほど最後のところでおっしゃいましたように、裁判というものはその国がその法令に基づいてやるということでございますから、司法的な内容の話について立ち入ったことを外国政府が言うというのはなかなか難しいわけでございますが、稻葉さんのケースについてはそういうことを やっております。 それから、在日韓国人の方で現在政治犯として韓国で刑の確定を受けて収容されている方というのが、私どもの把握している限り、現在二十五名おられます。ただ、この数はもうちょっと多いのかもしれません。私どもが把握していない部分もあるかとも思います。いずれにしても在日韓国人の政治犯と言われる方については、基本的な法律的な考え方からいえば、韓国が韓国の法令に基づいて裁判を行うということなので、なかなかそれに対してどう言うかというのは難しゅうございます。しかし私どもは、在日韓国人というのは日本に生活の基盤があって、かつ親族の方も多いわけでございます。したがいまして、日本に特に関係が深い外国人であるということから、この問題に従来から大きな関心を持って取り組んできております。 具体的には、それぞれの個々のケースで事情は違いますけれども、とにかく適当な機会をとらえては韓国側に対して、待遇の改善あるいは面会についての好意的な配慮、そういうものを要請してきておりますし、例えば病気なんかになられる方もございます。そういう方については薬品を差し入れるとか、そういうようなことについて特別の人道的な配慮というものを要請してきております。 二十五名と申しましたが、過去においていろいろの際に特赦とか恩赦とか、そういうことがあって釈放されたりあるいは減刑されている方がございますが、その二十五というのは、私どもの把握している限り、現在その結果として、おられる方の数でございます。私どもはいわゆる政府間の協議の際に、大臣レベルで一般的にそういうことを申し入れたり、それから個々のケースに応じてそれぞれの家族の方の御心配あるいは御通報等がございますから、そのたびごとに特別の配慮というものを人道的な見地からぜひ認めてほしいということを先方に申し伝えてきております。 例として申せば、先ほどおっしゃいました数々の方の中で、金さんという死刑判決を受けられた方がございますが、この方なんかにも御家族が大変心配されているということをお伝えして、健康状態なんかを問い合わせておりますし、韓国側もこれは国内問題であるということは常々言っておりますが、私ども等の働きかけもあってそれなりの配慮をしているのではないかということをうかがわせる面もあるかと思っております。
○寺田熊雄君 外務当局におかれてそういう苦しいいろいろな困難がある中で御努力になっていることは私も評価しておるわけです。ただ、死刑になっている人間がこれは執行されてしまうと後はどうしようもないものですから、在日韓国人の諸君が何とかならぬものだろうかということを熱望しておる。それから、思想犯のように刑の執行を受け終わった後、非転向、転向しないということで八年もとめ置かれるというようなことが現在の人権思想の中で我々としてはどうも耐えがたい苦痛なものですから、なかなかあなた方の御苦心が要ると思いますけれども、大臣レベルでも局長レベルでも、あなた方のレベルでも、今後もひとつやはり何とかそういう点をできる限りの努力をしていただきたいと思いますが、どうでしょう。
○政府委員(福田博君) まさに先生御指摘のとおり、他国の司法的なプロセスといいますか、その過程に立ち入るということはいやが上にも慎重でなければいけないわけですが、他方、日本に関係の深い韓国人の方がそういう裁判で服役されているというようなことにつきましては人道的な配慮というのを我々としても申し上げ得る立場にあるのではないかと考えておりますし、ケースごとにそれぞれできるだけの対応はしておりますが、今後とも先生のおっしゃった趣旨を体して努力していきたいと思っております。
○寺田熊雄君 今、人権擁護局長お聞きになったと思うんですが、我々の同胞が韓国で裁判を受ける、これは外国の裁判でありますので、余りこれについてとやかく言いますと内政干渉になるというおそれはあるわけです。それから、今お話しした思想犯が刑の執行を受け終わった後、無制限のように拘留をされてしまうというのは今の近代的な刑事司法の分野でちょっと我々のやはり常識を超えているものですから、何とか人権擁護の立場からこういう問題についても発言する機会はないものだろうかと私は考えるんですが、どうでしょうか。
○政府委員(野崎幸雄君) 私どもは日本国内における人権擁護行政というものを担当しておるわけでございまして、海外における日本人や在日韓国人の人権擁護につきましては、外交ルートを通じて対応していくほかはなかなか手段はないというふうに考えております。 ただいま外務省からいろいろ御指摘になりました事件につきましても適切な対応がなされておるようでございますので、私どもは今後ともそういう努力が継続されることを期待しておるところでございます。
○寺田熊雄君 次に、脳死の問題が非常にマスコミで取り上げられてまいりました。医学者の間、殊に臨床医の間では、何とかして瀕死の患者に臓器を移植すればその生命が救い得るんだという観点から、脳死を死と認めるようにという強い要求が秘められておるようであります。これは、最終的には裁判で決着を見るのでありましょうけれども、しかし立法でこれが解決できないかというとそうでもない。最近の脳死を死と認めよという臨床医等の突き上げに対して法務省としてはどんなふうに考えていらっしゃるのか、それをお伺いしたいんです。
○政府委員(岡村泰孝君) どのような状態に立ち至りましたときに死と判定するかという問題につきましては、法律のいろいろな分野に影響してくるわけでございますが、この問題は国民感情とか生命観あるいは倫理観、こういったものと深くかかわってくるものでございまして、私どもといたしましては、基本的にはやはり医療のあり方などを含みます医学の問題である、このように考えておるわけでございまして、医学界におきますコンセンサス、こういったものを前提としていろいろな角度から検討すべきものである、かように考えておるところでございます。
○寺田熊雄君 これは、判例はまだ脳死を死と認めるところまでいっておりませんね。判例の傾向について何か最高裁の方で御存じのところがあれば、ちょっと御説明いただけますか。
○最高裁判所長官代理者(吉丸眞君) 判例についてつまびらかに研究はいたしておりませんが、私の知る限り、今までこれに直接触れる判例はないのではないかと考えております。
○寺田熊雄君 そうすると、現在の判例ではまだ脳死を死と認めるところまでいっていないわけですね。従来の、心拍の停止そのほかいろいろな四条件ぐらいありましたね。あの従来の判例をずっと踏襲している、脳死をまだ認めるに至っていない、局長がおっしゃった該当する判例がないというのは、そこまでまだ判例がいっていないということなんでしょうね。どうでしょう。
○最高裁判所長官代理者(吉丸眞君) 脳死の問題が広く議論されて以後、判例の対象となるような適切な事例がないというのが実情ではないかと思います。そういうことで、委員御指摘の、従前の判例が維持された形になっているということであろうと思います。
○寺田熊雄君 次は、陪審制度の問題をお尋ねしたいと思うんですが、これは昭和十八年法律第八十八号で停止されておるわけですね。ただ、附則のいわゆる三項を見ますと「陪審法ハ今次ノ戦争終了後再施行スルモノトシ其ノ期日ハ各条二付勅令ヲ以テ之ヲ定ム」と規定されておる。四項を見ると、「前項ニ規定スルモノノ外陪審法ノ再施行ニ付必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム」とある。だから、これを停止した時点においては、戦争が終われば復活するのだということを考えておったのではないかと思われるんですけれども、もう戦後四十年を経過しておる今日、私どもは陪審裁判のよさというのは、これはやっぱり郷愁がありますね。なかなかあれはいいものですから、も うちょっとやっぱり真剣に復活ですか、それを考えていただきたいという気がありますけれども、法務当局はどうでしょう。
○政府委員(岡村泰孝君) 委員既に御承知かと思いますが、陪審制度は主としてイギリスあるいはアメリカにおきまして発達した制度でございまして、ただいま御指摘のありましたように、大正十二年の陪審法によって一時期陪審制度が採用されておったわけでございますが、昭和十八年以来停止されて現在に至っておるわけでございます。 最近また、特に誤判防止というような見地から見まして陪審制度を採用してはどうかという意見がなされていることは私どもも承知しているところでございます。また、陪審制度は国民と裁判を結びつけるものであると、そういう意味におきまして一つの意義を持っているものであるというふうに考えられるわけでございます。 しかしながら、我が国でこの陪審制度を復活するとした場合にやはりいろいろな問題があるというふうに思われるのでございます。 まず第一は、陪審制度が採用されておりました間も、実績という面では非常に陪審事件の数が少なかったということが言えるわけでございます。昭和四年ごろに百四十件ばかり陪審事件がありましたけれども、これが順次六十件台、五十件台と減少いたしまして、昭和十三年には四件、それが一件あるいは二件という程度にまで減少いたしておるわけでございまして、そういう意味から申しますと、我が国で陪審制度が採用されておった期間におきましても、いわゆる陪審事件というものは非常に少なかったということになるわけでございます。 また、これが停止されましてから既に四十年になるわけでございまして、陪審制度なしに行われてきました我が国の刑事司法の実態というものを見ましたときに、現在、我が国の一般国民の感情といたしまして、陪審制度の採用、これを直ちに行うべきだ、あるいは行ってはどうかと、そういう積極的な関心を果たして国民が持っているのであろうかという点におきましては非常な疑問がある、こう思うのでございます。 また、陪審制度のもとでは、陪審員を一定期間外部から遮断いたしまして集中審理を行う。また、その間、陪審員に対しまして、犯罪報道等につきましての影響、こういったものを与えないようにする、そういったものを排除するといったようなことも必要になってくるわけでございますが、我が国の現実問題といたしましてこういったことがうまくいくのだろうかという問題点もあろうかと思います。 また、現在の職業裁判官によります裁判制度にかえるといたしまして、どういう積極的な利点があるのだろうか。むしろ、かえってマイナス面もあるのではなかろうかという問題もあろうかと存じます。 また、陪審制度を採用いたしました場合、陪審の判断を尊重するという意味で、いわゆる事実審は一審限りということになろうかと思うわけでございます。しかし、日本の国民はやはり現在の三審制になじんでいるのではなかろうか。三審制を持ちます我が国の刑事司法制度に国民はなじんでいるのではなかろうかというふうにも思われますので、その点も問題があろうかと思うわけでございます。また、現に陪審制度を採用しております国におきましても、陪審の弊害を指摘する声もあるわけでございます。 こういったいろんな点を考え合わせますと、陪審制度を復活するということにつきましては、なお多くの検討すべき問題があるのではなかろうか、かように思っておるところでございまして、いろいろな面からの総合的な検討が必要である、こういうふうに考えておるところでございます。
○寺田熊雄君 あなたのおっしゃるように、やっぱりいろんな見地から総合的に検討して結論を出すということはこれは必要なことだと思うんです。ただ、あなたの御説明を聞いておりますと、否定的な考え方の方が非常に強烈ににじみ出て、なかなか一般の意見を聞くというような心境にあるようにはどうも見受けられないんですね。やっぱり積極的に国民の意見を聞くような手だてを講じられてもいいんじゃないでしょうか。 それから、昭和の十年代に事件が少なかったということもそれは事実だと思うんです。御承知のように、あの当時はもうだんだんきな臭くなってきまして、裁判所自体も余り面倒くさい陪審裁判なんというものを希望しないし、弁護士もまだああいうものにはなれていませんから、積極的に被告人を説いて陪審裁判に踏み切るという決断がなかなかできなかったようにも思うんです。それから、被告人の方も素人の方々に事実認定を任して大丈夫だろうかという懸念もやはりあるし、確かに国民性が、あるいは国民の習性が陪審裁判にまだなじんでおりませんから、そういうことがあるでしょう。しかし、初期の段階ではやっぱりそれはやむを得ないと思うんですが、もうちょっとやっぱりこの問題を積極的に前向きに考えてもらえないだろうか。 民衆が司法の分野に参画するというのは、今は検察審査会制度がありますけれども、それにも増して陪審制の意味というものは大きいですから、やっぱり余り否定的でなくて、刑事局長、積極的に国民の意向をただしてみるという努力もしてほしいと思うんです。どうでしょうか。
○政府委員(岡村泰孝君) 陪審制度復活論といいますか、採用論があることは承知いたしておりますが、これも決して国民の多くの中から出てきている強い声だとも私思えないわけでございます。これを採用するといたしますれば、先ほど述べたようないろいろな問題があるわけでございます。こういった問題につきましては法務省といたしましても引き続き十分検討はしてまいりたい、かように思っておるわけでございます。
○寺田熊雄君 それから、これは停止されている法律ですからやむを得ないのかもしれませんが、陪審法の十二条一項一号を見ますと、陪審員は三十歳以上の男子たること、こうありますね。それから、第十三条一項三号を見ると、聾者、唖者、盲者、これ除くというふうになっておる。聾者、唖者、盲者を除くという点、これも余りよくないと思うが、ひとまずおくとしましても、三十歳以上の男子たること、これはもう明らかに憲法十四条に違反する性による差別でありますけれども、あえてこれを直さないというのは、この法律が停止されておるからという、それによるものですか。
○政府委員(岡村泰孝君) そうでございます。
○寺田熊雄君 やむを得ぬかもしれないけれども、余り望ましいことじゃないが、時間の都合もあるのでこれは一応これで終えて、今度は最高裁の方にお尋ねをしますが、簡易裁判所の統廃合が今法制審で審議されておるというように聞いていますが、これを最高裁におかれてお考えになる、あるいは促進を図るということのメリット、これはどういうところにあるんでしょうか。それからまた、デメリットとはどういうふうなものが考えられますか。一応我々もそれなりに考えを持っておるけれども、最高裁の御意見をちょっとお伺いします。
○最高裁判所長官代理者(山口繁君) 寺田委員御承知のとおり、簡易裁判所は昭和二十二年に発足しているわけでございますが、それから四十年の間に、人口の都市への集中でございますとか交通事情が格段に発達したとか、いろいろ社会事情の大きな変化があったわけでございます。ところが配置はそのままになっておりますので、それが事件の関係にも影響してまいりまして、都市部の簡易裁判所におきましては事件はかなりふえてきており、地方の簡易裁判所におきましては事件が極端に減少してきておる、こういう事件の極端な偏在化の状況があるわけでございます。その結果、裁判所運営上におきましても簡易裁判所を御利用になられる国民の側から見ましても、裁判所利用という点からいたしますと、かなり多くの問題が出てきているわけでございます。 例えば裁判官を一人常駐するに足るだけの事件がございません裁判所におきましては裁判官を常 駐いたしませんで、月に一回とか二回とかのテンポで事件を処理なさる。そういたしますと、利用される国民の側からいたしますと、月一回、二回の裁判官の出張をお待ちいただかなきゃならない。やはり非常に利用しづらい状況があろうかとも思うわけでございます。 そこで、私どもといたしましては、そのようなことになりましたのは、社会事情が大きく変わっているのに簡裁の配置が社会事情にマッチしていないためではないだろうか。交通事情が非常によくなっておりますので、小規模の独立簡裁で事件数の少ないところは最寄りの簡易裁判所に集約をする、そのことによって残された簡易裁判所を人的、物的にも整備していく、充実していく。そういたしますと、国民サイドにとりましても、より利用しやすい簡易裁判所というものができてくるのではあるまいか。 具体的に申しますと、職員の配置を見直しまして、裁判官非常駐庁あるいは一般職が二人しか配置されていない庁というようなものはできる限り解消していく。未整備の庁舎の新営を初めといたしまして、各種の設備、備品の充実整備を図る。大都市部の簡裁におきましては、事務処理の専門化、効率化を進めていきたい。このような手だてを講じまして、全体としての簡裁における裁判手続及び裁判所の運営の充実を図っていきたい、こう考えているわけでございます。 今御指摘のデメリットにつきましては、現在の簡易裁判所を御利用いただくよりはやはり足を伸ばしていただかなきゃならないというデメリットはあろうかと存じます。しかし、裁判官の常駐している裁判所を、しかも設備の行き届いた裁判所を御利用いただけるというメリットも出てくるわけでございますので、そこら辺のところを考えていかなければならないかとは思っております。 以上でございます。
○寺田熊雄君 大体、統廃合の対象となる裁判所というのは、何庁ぐらいありますか。そして、また、それをあなた方は今法制審にかけていらっしゃるから、法制審の答申待たないと何とも言えないだろうけれども、あなた方の希望なさる、大体何庁ぐらいあって、それを何年ぐらいの間にやりたいというふうにお考えになっていらっしゃるのか、ちょっとそれがもしあったら……。
○最高裁判所長官代理者(山口繁君) 寺田委員が仰せになりましたように、現在法制審議会においていろいろ審議をお願いしておるところでございます。これは全国的に統一的な見地から集約、統廃合というものを考えていかなければなりませんので、法制審におかれましていわば集約の基準についての御答申をいただきたいというふうにお願いしているわけでございます。 その基準を御答申いただきまして、それから地方の自治体その他地元に十分御説明申し上げ、御理解、御協力をいただいて初めてどの庁を整理統合するかということが決まってくるわけでございまして、今の段階で裁判所といたしましてこれくらいということはまだ申し上げられる段階ではございませんので、ひとつお許しいただきたいと思います。 それから、時期の問題でございますが、これは法制審の答申をいつお出しいただけるかもまだわからない状況ではございますけれども、ただいま申し上げましたように、現在の状況というのはもはや放置できないような状況であろうかと思いますので、私どもといたしましては、答申をいただきました後、地元の方に御説明にお伺いし、地元の実情も十分踏まえながら具体的な庁を選定いたしまして、できる限り早く法律案の作成をお願いいたしまして国会審議をお願いできるような状況に持っていきたいというように考えております。
○寺田熊雄君 今あなたの御説明をお伺いすると、地方自治体に御了解を求めたいというお話がありました。大変結構なことで、地方自治体が簡易裁判所をつくるときにいろいろ協力していますし、かつ地元の住民の利便に大きく影響いたしますので、できるだけ地元の意見を大切にしてもらいたいと私は思うんです。 同時に、やはりあなた方と一緒に裁判所を活用するのは検察庁と弁護士会ですね。検察庁はやはり大体あなた方のお考えと一緒でしょうから、弁護士会の意見も十分に聞いてやっていただきたいと思いますが、この点はいかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(山口繁君) これまで法務省、日弁連、最高裁で組織いたしております三者協議会でこの適正配置の問題の御協議をお願いしてきたわけでございますが、その過程で、やはり日弁連におかれましても、地元の単位会の意見を聞いてもらいたいというようなお申し出がございました。私どもも、先ほど申しましたように、地元の関係の方々の御意見は十分伺いながら御理解をいただくように御説明申し上げてこの作業を進めていかなければならないと考えておりますので、法制審議会の御答申が出ました後に地元の弁護士会の方々にも十分御説明申し上げ、御意見を伺いながら作業を進めてまいりたいというように考えております。
○寺田熊雄君 それから、この間新聞に出ていたことなんですが、最高裁が車いすの傍聴を制限したという記事がありました。御承知のように、裁判の公開原則というのは、これは憲法上の規定に基づくわけで、国民にやはり傍聴権というのがありますね。その傍聴権というものが身障者なるがゆえに、肉体的な欠陥のゆえに制約を受けるというのはどうしても我々として好ましいことのようには思えないのであります。今、身障者に対してもいろいろ配慮をする、できるだけ健常者と同様の社会的活動の機会を得せしめるということが国家的な方針になっておるように思います。そのときにどうして最高裁だけが、あるいは裁判所だけが障害者に対してもう少し温かい配慮をしないのだろうかという疑問があるわけです。この点どういうことになるのでしょうか、御説明を願いたいと思うのです。
○最高裁判所長官代理者(山口繁君) まず最初に事実関係について御説明申し上げますと、ただいま寺田委員御指摘の新聞記事が出ましたのは、本年の一月二十一日に最高裁の第三小法廷で口頭弁論が開かれました大原訴訟の関係であろうかと存じます。 実は、このケースにつきましては身体障害者の方々が傍聴にいらっしゃるということが事前にわかっておりましたので、そのためのいろいろな配慮もしたわけでございます。当日は一時ごろに傍聴希望者が五十八名集まってこられました。そのうち車いすを御利用になっていた方が十三名でございまして、目の御不自由な方が四名いらしたわけでございます。 御承知のように、傍聴人をどのようにするかということは裁判長の法廷警察権にかかわる事柄でございます。このときは裁判長の御指示もございまして、傍聴席が四十五ございますけれども、車いすのまま法廷にお入りいただく方は二名、車いすが今非常に重うございますので、かなり急な階段等がございますものですから、車いすをそのまま持ち上げて法廷の方へお連れいただかなければなりませんので、車いす一台につき四名の介護者が必要でございます。二台の場合は八名の介護者が必要でございますので、その方々の分の傍聴券も用意したわけでございます。それから、耳の御不自由な方のためには四枚、その補助者、これは手話通訳をなさる方でございますけれども、その方の分として二枚、合計で十六枚を身障者の方々の分として用意したわけでございます。残りの二十九枚を一般の傍聴希望者にお配りするということで傍聴券の交付をしようといたしました。 ところが、そこへお集まりになった十三名の車いすに乗った方々、それからそれを支援される方方が、全員を車いすのまま傍聴席に入れろと、こういうふうに御主張になったわけでございます。先ほど申しましたように、車いすのまま法廷にお入りになります場合には急な階段を抱えていかなければなりませんし、全員を車いすのまま法廷にお入りいただくというわけにはまいりませんので、そこでトラブルが生じまして、結局は車いすの方々は全部お入りにならなかったということで ございます。 実は、この訴訟につきましては三月二十五日に判決の言い渡しがございました。そのときは車いすに乗られた方が六名ほどいらしたかと思いますが、やはり傍聴券交付の際に今と同じような方法でお配りしますと申し上げたんですが、やはりまたトラブルがございました。しかし、このときは車いす一台に乗っておられる方がそのままお入りになりました。四名の介護者もおつきになって法廷にお入りになって傍聴されました。それから、耳の御不自由な方もやはり法廷にお入りになって傍聴をされた、こういう形になっておりまして、決して全く完全に制限したわけではございません。傍聴券交付の際のトラブル等がございまして、結果的にはお入りにならなかった、こういうことでございます。
○寺田熊雄君 これはもう裁判長の権限だというように余り権限を振りかざして希望や要請を全く顧慮しないで、おれが決めるんだからというようなことでやるのはやっぱり好ましいことじゃありませんね。余り権限の意識というようなものじゃなくて、どうすれば妥当な結果が得られるだろうか、裁判所の温かい配慮が理解されるだろうか、そして身障者の傍聴券というようなものが確保されるだろうかというような視点で対応していただきたいと思うんですよ。裁判官によりましては、余り民衆の意向を聞くと裁判所の権威を失墜するのじゃないかというような誤った考え方を持っておられる方もないではないように思うんです。そうじゃないんで、できるだけ体の悪い人なんかには温かい配慮をする方がむしろ裁判所の権威を高めるゆえんであると私は思うんですよ。 ことに、何か手話通訳を立ったままやってはいけないんだ、座ってやれというふうな命令をされたようですが、傍聴席に立って手話をやると裁判官に何か目ざわりになるんでしょうか。それによって裁判所の厳粛な雰囲気というものが壊れるというような考え方をなさるんでしょうかね。しかし、そういうものでもないように思うんですよ。ですから、一つ一つを私はいい悪いを決めつけるような気持ちはありませんけれども、余り権力的でなく、身障者に健常者と同じように社会参加の機会を与えるという、そういう温かい配慮を基本として傍聴の問題も考えてほしい、そういう要望をするわけです。それはそうしていただきたいと思うんですが、どうでしょう。
○最高裁判所長官代理者(山口繁君) それぞれの裁判長も決して権力的に法廷警察権を行使するというようなお考えでないことはもちろん私ども確信いたしております。ただ、先ほど申しましたように、建物の構造、法廷の傍聴席の数あるいは法廷の構造その他から来る制約がございますわけで、その制約の中でできる限り御不便のないような措置はとらせていただきたいとは思いますが、先ほども申しましたように、車いすのままお入りになる方の分は現在の法廷の構造上から申しますと二名が限度ではなかろうかというように考えております。この前のときも、それ以外の車いすに乗られた方々は介添えの方にあるいはおんぶしてもらうなりあるいは抱きかかえていってもらって傍聴席でお座りいただければ結構ですよということも申し上げているわけでございまして、今後ともできる限りそのような配慮は考えていかなければならないというように考えております。
○寺田熊雄君 結局、具体的に法廷がどのくらいの大きさだとか、どういうふうに車いすがスペースを占めるというようなことを私が何も実際に見たわけではないですから、あなたに反駁する確固たる根拠というものは持っていないから、余りこれについてやりませんけれども、国会でも身障者のために階段を上がる設備なんかをこしらえました。それから、議場にも身障者の人は特別にやはりいろいろな配慮をするということをしておるわけですね。例えば設備をいじるということになりますと、またエレベーターが必要だということになればエレベーターをつくるのは大変でしょうし、なかなか裁判所の乏しい予算で困難だろうけれども、できるだけ温かい配慮で納得させていくという努力だけはひとつ考えてください。 それから最後に、先般広島の地方裁判所で証人が、これは女性の証人でありますが、証人が傍聴者から暴行を受けて傷を負った。その加害者である傍聴人というのは暴力団員で覚せい剤の患者であったということのようでありますが、しかしこれはやむを得ないというふうに断ずるわけにもいかないので、やはりできればそういうことがないように、証人が安心して証言ができるように特段の配慮をしなきゃいかぬと思うんです。この場合はたまたま被告人を介護しておる刑務所の看守がおったから、ぱっと捕まえることができたけれども、もしそういう者がいなかったら一体どうなったのだろうと思うと寒心にたえないものがあるので、これはどうお考えでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(吉丸眞君) 適正な裁判を実現する上で証人から率直に真実を証言していただくことが極めて重要であり、それだけに、裁判所として裁判所構内における証人の保護に万全を期する必要があることは御指摘のとおりでございます。 従前、各裁判所においては、事件の性質あるいは証人の立場等から、証人が被告人または傍聴人から危害を加えられるおそれがあるのではないかと危惧されるような場合におきましては、あらかじめ検察官または弁護人とも十分打ち合わせを行って、できる限り正確な情報を収集した上、それぞれの事案に応じて、例えば証人の出頭に当たってはできる限り検察官または弁護人に同道してもらうなどの配慮をし、また裁判所に到着した後は、法廷などではなく、書記官室など安全な場所に待機していただき、証言直前に職員がエスコートして法廷に案内する、また法廷では証人席の位置をできる限り被告人席及び傍聴席から遠ざけるなどの工夫をする、さらに状況によっては法廷内に警備のための職員を配置するなど、証人の身辺保護についていろいろ気を配っているところでございます。 今回の事故につきましては、事情を調べてみますと、これは第八回の公判で起きたことでございますが、それまでの公判では被告人または傍聴人の挙動等に何ら不穏なところがなく、静穏に審理が進んでいたこと、また当日の公判でも傍聴人らの態度とかあるいは法廷の雰囲気等に全く異常が認められなかったというようなことから、裁判所においては、傍聴人がまさかさくを乗り越えて証人席に駆け寄り、証人に乱暴するというようなことは予想することができず、とっさのことで乱暴を阻止するすべがなかったというのが実情のようでございます。 それにいたしましても、御指摘のとおり、証人が公判延で証言中に暴行を受けるという事態が生じたことは、私どもとしても深刻に受けとめておりまして、今後は検察官、弁護人の御協力も得て、一層正確な情報の把握に努め、個々の状況に応じて、さきに御説明しましたような証人保護の施策に一層意を用いまして遺憾のないようにしてまいりたいと考えております。
○寺田熊雄君 時間がなくなったのですが、少年審判事件の再審について局長から簡にして要を得た御説明をちょっとしていただいて、質問を終わりたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(猪瀬愼一郎君) 寺田委員御指摘の最高裁の第一小法廷の決定は、いわゆるみどりちゃん事件についての二度目の保護処分取り消し事件の再抗告審の決定のことであろうかと思いますが、この決定の要旨は、少年に対する保護処分の執行が終了した後において少年法二十七条の二、第一項によりその保護処分を取り消すことができない旨の判断を示して、このように解しても憲法十三条、十四条、三十二条に違反するものではないという趣旨のものでございます。
○寺田熊雄君 もうきょうは時間がないので、これで終わりますが、局長、保護処分が終わった後はもう再審の余地はないというのは、少しやっぱり国民感情と背馳しているように思うんですよ。これは最高裁の判例だから、今さらあなた方行政当局の人がとやかく言い得る余地がないのかもし れないけれども、保護処分にせよ、それから少年院に入って少年院から退院せられた人間といえども、やっぱり何か黒いものを認定されたわけですから、それを払拭してやるというような温かい配慮がそこにあってもいいようにも思うんです。むしろそれを大衆は望むのじゃないかと思うんですが、そういう方向に将来お考えいただくということはどうでしょう。
○最高裁判所長官代理者(猪瀬愼一郎君) 最高裁の決定そのものの内容につきましてはただいま御説明したところに尽きるわけでございますが、この問題について、一般論としまして現行少年法の考え方について若干御説明申し上げますと、少年法の保護処分は刑罰と異なりまして、少年の健全育成を目的とした保護、教育処分の性格を持っているわけでございます。それと同時に、保護処分は少年の自由を制限、拘束する一面をもあわせ持っておりますことから、現に保護処分の執行を受けている少年について非行事実のないことが明白な場合には少年をその保護処分から解放するということは、少年の権利保障の見地から現実の必要があるわけでございますので、これを現行制度のもとにおいては、先ほど申し上げました決定にございますように、少年法二十七条の二の第一項の解釈で運用しようとするのが裁判所の実務の一般的な考え方でございます。 しかし、保護処分の執行が終了した段階においては、非行事実不存在と宣言して保護処分の取り消しをするということは少年の名誉回復の意味合いが強いわけでございますが、この点については、保護処分の保護的な性格というものを強調することからいいますと刑罰とは差異があるのではないか、保護処分は刑罰とは差異があるのではないか、こう考えられておりまして、この考え方は現行の少年審判手続構造にも密接に反映しているわけでございます。 と申しますのは、現行の少年審判手続におきましては、非行事実が認められない場合には、刑事手続と異なりまして、非行事実の不存在を主文中で明確にすることも、また理由中で明確にすることも必要的なものとしては要求されていないのでございまして、単に審判不開始または不処分、要するに審判を開始しないあるいは審判処分をしない、こういう決定で手続を終了することを現行法は予定しているところでございます。 このような手続構造は非行事実のなかった少年の権利保障の見地から見ますと不十分ではないかという見方も成り立つものと思われますが、他方、非行事実のあった少年の保護の見地からしますと、現実にはこの場合が非常に圧倒的に多い場合でございますけれども、黒白を手続上明確にしない方が少年保護という見地からしますとよろしいのではないか、こういう見方も成り立つわけでございます。 このいわば衝突する二つの価値の調和をどこで線を引くのが適当であるか、こういう問題になってこようかと思いますが、現行少年法は少年審判手続の保護的な性格を強調する考え方に立っていると言えようかと思います。そして、このような現行の少年審判手続構造を前提にしますと、非行事実の不存在を手続上宣言して明確にすることを要求する刑事訴訟法上の再審制度は現行の少年審判手続とは整合しないことになりまして、現行法の解釈論としてこれを取り入れるということは非常に困難であるというふうに考えられていると言えようかと思います。 したがいまして、この再審制度を少年審判手続に導入するということは、少年の権利保障を強化するという見地から、少年審判手続の保護的性格にある程度のいわば譲歩を求める意味合いもあるわけでございまして、それは少年法の理念及び手続構造とも関連する大きな問題であるわけでございます。 ただ、昭和五十二年の六月の法制審議会の少年法改正に関する答申では、この点につきまして、非行事実が認められない場合に行うべき決定の規定を整備するとともに、刑事訴訟法上の再審に相当する非常救済手続の新設を提言しておるところでございます。私どもとしましても、立法論としましては大筋としてこのような方向の改正が十分考慮さるべきものというふうに考えておるのでございます。
○寺田熊雄君 よくわかりました。 保護処分であれ、既に少年院から退院処分を受けた者であれ、一般の人はやはり何か悪いことをしたのだろうというような目で見ますから、その汚名を晴らすという手だてを講じてやる。そして、再審によってその汚名を晴らして名誉を回復さしてやるというような制度が生まれることをぜひあなた方がお考えくださるように、私もなるべく早くそうなるように希望しておきます。
○飯田忠雄君 最初に、先ほど大臣及び最高裁から御説明願いました予算の点について二、三お伺いいたします。 御説明によりますと、増員が四百七十六名で減員が四百六十二名、純増十四と、こういう御説明でございました。そして、増員の方を見ますと新規が四百二十三で配置転換が五十三だと、こういうことでございましたが、こういう御説明、数字の上だけのことはそうなりますが、実態はどういうことかということが気になるわけでございます。新規採用分が四百二十三、それから仕事の御説明もございましたが、その仕事の説明を見ますと、必要な増員すべき仕事が随分並べてございました。それでいきますと結局、増員ということは新しい仕事のできる人をふやすということであって、減員という方は役に立たない人を減らすと、そのように思われるんですが、この間の実際の事情はどのようになっておりますか、御説明お願いいたします。
○政府委員(清水湛君) 増員の具体的な内容でございますけれども、この減員というのは役に立たない人を減らすという意味じゃございませんで、国家公務員の全体の定員の数を計画的に一定の率で毎年削減する、こういうことに、これは法務省のみならず、各省統一でなっているわけでございます。そういうことで決まります中身が、昭和六十一年度の計画削減の人員が、先ほど申し上げましたとおり、合計で四百幾つと、こういう数字になるわけでございます。そういう計画削減をした上で、さらにそれぞれの組織の事務の状況等を勘案いたしまして、その削減された数字では業務の適正な運営が確保できない、こういうことが判断されました場合に新規に一定の定員の増を図る、こういうことで従来から行われているわけでございます。 法務省につきましては、それぞれの所掌分野におきまして非常に事件の事務量がふえておる、また複雑、困難化しておるというような事情が勘案されまして、差し引き総計で十四の純増、定員の純粋な増加があったと、こういうことになっておるわけでございます。
○飯田忠雄君 どうも御説明がはっきりわからないんですが、先ほどの大臣の御説明によりますと、増員、減員をお述べになった後で仕事別の増員を述べられておりますね。「検察庁における特殊事件、財政経済事件、公安労働事件等に対処するとともに、公判審理の迅速化を図るため、百一人」増員すると、こう書いてあるわけですよ。ということは、減らす人たちを見てみますと結局、事務員から減らしておると、こういうように見えるものですから、そうしますと、事務員を配置転換して検察官の仕事をやらせるというわけにいかぬのだから、検察官をふやそうと思えば純増でなければならぬわけですね。そして減らす方は、言葉がちょっと不適当かもしれませんが、馘首、首を切るということにならざるを得ないのではないか、こういう疑問がわいてくるわけです。予算書の帳面の上では数字合わせはできておるけれども、実態からいきますと相当の血が出るようなことになるように思われるものですからお尋ねをするわけです。 それから、なぜこのような疑いを私は持ったかといいますと、退職手当の項があるわけですね。これは四ページに、法務本省のところで、退職手当として三百三十四億四千六百五十七万円組まれ ておるわけです。こういう膨大な退職手当を決めておられるということは、実際上の配置転換をすることができない人を馘首する金をここで用意しておられるということではないか、そういう疑念が持たれるわけですね、この予算書を見た限りでは。それで、実態はどうなのかということをお尋ねするのです。
○政府委員(清水湛君) 計画削減で数字の上で法務省の定員が一たん減った形になり、さらに増員で純増が十四となるような形で増員が図られておる。つまり、法務省全体の職員の数はふえておる、こういう形になっているわけでございます。 退職手当の関係でございますけれども、この退職手当につきましては、先般施行されました六十歳定年制によりまして定年で退職されるという方もふえておりますし、それから決して無理にやめさせるというようなことは法務省は行っていないわけでございまして、第二の職業を見つけてそちらの方に自発的に進むということで任意に退職される、こういう方ばかりでございます。そういうような方々が最近この定年制の施行等の問題に伴いましてふえておるというようなことから退職手当金なども相当な額になっておる、こういう実情でございます。
○飯田忠雄君 念のためにお尋ねしますが、増員の方は新規で四百二十三、配置転換が五十三ですね。六十一年度の増員はそういうふうに言われております。配置転換はわかりますが、新規というのは退職される人の穴埋めということになっておるのかどうかということなんです。定年その他でやめられるのが大体四百二十三人おる、こういうことかどうかということです。
○政府委員(清水湛君) 新規の四百二十三というのは退職された方の穴埋めをするという意味ではございませんで、法務省全体の定員が一たん削減された上で、さらに新規に合計四百七十六人ふえたということでございまして、法務省の定員の数といたしましては、六十一年度は六十年度に比べてさらに十四人多くなっているわけでございます。そういう意味でございまして、退職する人が多ければその分の人数というのは、この予算で決められた定員の枠内である限り、当然に新規に補充をすることができる、こういうことになるわけでございます。
○飯田忠雄君 それじゃ、配置転換五十三というのはどういうことなんですか。
○政府委員(清水湛君) この部門間配置転換と申しますのは、実は各省庁によりまして非常に職員の数が多いというようなことがございます。そういうことから、ちょっと語弊がございますけれども、比較的暇な役所の方々が忙しい役所の方に配置転換を受ける、こういうことが現在計画的に行われておるわけでございます。 法務省につきましては、先ほど申し上げましたとおり、事務量が非常に増加しておるというような事情がございまして、主としてこれは、詳細はちょっと手元にございませんけれども、林野庁とか農水省関係でございますが、そういうところにお勤めになっていた職員の方々が法務省の方に振りかわってくると、その振りかわった分だけ法務省の定員がふえる。もっと正確に申しますと、農水省から法務省の方へ移った数の七五%相当の数字が法務省の定員としてふえる、こういう措置が講ぜられているわけでございます。その結果としてこの部門間配置転換等による振りかえ増員が五十三人認められておると、こういうことでございます。
○飯田忠雄君 そうしますと、配置転換というのはよその省から法務省へ入ってきた人、こういう意味だと。それで、法務省の仕事が他の省の職員でうまくできるかどうかという疑念がありますが、それはどういう仕事なんですか。
○政府委員(清水湛君) 部門間配置転換を受けておりますところは、これはほかにもございますけれども、一番の大口は主として登記所でございます。農水省等で長年にわたってその分野では非常に専門的な知識を持っておられる方ではございますけれども、法務省の仕事は何分にも法律的に非常に厳格な事務内容になっておるということから、そういうふうな形で配置転換を受けてこられた方が当初は非常に戸惑うというようなことがございます。そういうこともございますけれども、研修等によりましてできるだけ短期間のうちに法務省、特に登記所の仕事に習熟していただくというような努力はいたしているわけでございます。 また、登記所の仕事の中にも非常に法律的な専門的な知識を要する分野とそうでない事務的な分野もございます。そういう事務的な分野につきましてはそれほど法務省と農水省の仕事が違っておるというわけでもございませんので、その人たちのそれまでの経歴等を勘案いたしまして、有効に非常に気持ちよく働いていただいておるというのが実情でございます。
○飯田忠雄君 それでは、ついでにもう少しお尋ねします。 減員は四百六十二名と、こうなっておるのですが、実際にやめるのは四百九ということですかな月それで、退職金がここに掲げられておるだけの退職金ですが、この四百九名で割りますと、一人が大体八千万弱の退職金ですね。これは今の公務員の相場ですか。
○政府委員(清水湛君) 退職者の数が四百九人ということではございませんで、法務省全体では恐らく千名を超える数になろうかと思います。ここで書かれております新規の増員あるいは減員というのはあくまでも法務省全体の定員の数字がふえたり減ったりするという計算上の数字でございます。
○飯田忠雄君 それでは予算書の明細書の三十五ページのところをちょっと見ていただきたいのですが、三十五ページのところを見ますと、積算内訳のところで説明に宗教謝金というのが出ておるわけです。こういう書き方は少し疑問があるのではないかと私は思います。 御承知のように憲法の二十条一項で信教の自由は絶対的に保障されておるわけですけれども、その三項で官庁がそれを行うことは禁ぜられておるということになりますので、それで囚人が自分の信教の自由権を主張して刑務所に便宜を計らえというのは、それは当然そういう権利があるのですから、その要求に対しては刑務所はいろいろ便宜を計らってやらねばならぬわけですが、そのことは刑務所が宗教をやるわけじゃないのですよ。 宗教をもし行うということになると、これは憲法に触れますので、そうではなしに、囚人が信教の自由を主張していろいろの設備を要求したり人を呼んでくれといった場合にそれの便宜を計らってあげる。この問題は、憲法の二十条の第一項というのは何人にも認められた絶対的な一つの権利ですから、そういうことを刑務所がおやりになることは国として当然のことだというんですね。 しかし、そうだからといって、予算面に宗教謝金といったような説明をされるということは困るのではないかと、こう思われるわけです。その上の方を見ますと、講師謝金だとか指導謝金だとか篤志面接謝金という内訳の説明があるわけです。それに含めればいいわけじゃないでしょうか。篤志面接あるいは指導あるいは講師というところで含めて説明すればいいので、わざわざ宗教謝金という表現をされる必要はなかろうと思いますが、そういう点について、これは法務省の御説明を得たいんですが、これは予算書は大蔵省のものですから大蔵省の答弁を求めるのが至当かもしれませんが、原局は法務省ですからね。
○政府委員(石山陽君) ただいま飯田委員仰せのように、宗教教護は政教分離の建前から、国が戦前やっておりましたように国の公務員であります宗教教講師をもって実施するための経費というような位置づけには新憲法下ではなっておりません。 したがいまして、国は個々の被収容者の信教の自由を保障する建前から、先立つのは援助的な活動といたしまして、その希望を入れて、民間の篤志家であります宗教家と会っていろいろ信教の自由の保障される見地から宗教の情操教育を受けたいとか、信仰に目覚めたいということに対する協 力助成活動を行っておる、こういう意味でございます。したがいまして、これがもし国の経費で当然なすべきものでありますればむしろ経費という形になりますので、宗教謝金という言葉はちょっとおかしいわけでございますが、この趣旨を考えまして私どもは現在、予算的に見ますと、たまたま三十五ページは現在の少年院の被収容少年に対します宗教家の経費としての宗教謝金を書いておりますが、金額は三百万程度のごくわずかなものでございます。 実態を申しますると、おいでいただきます教誨師の先生方の交通費、実費にも足らない程度のものでございます。その趣旨といたしましては、謝金はそれぞれ全体としては目として諸謝金で統一されまするけれども、従来から大蔵省要求の際等には、各謝金いろんな性質のものがございますので、積算の内訳でそれぞれで違った積算方法をとっております。それの積み上げの金という形により、積算の内容の明細上は区別して各目の細分ごとに金額を書いておると、こういう形になっておるわけでございます。
○飯田忠雄君 よくわかりました。これは単なる計算上、仮に書いただけだということで了解をいたします。 それから、三十三ページ、三十六ページ、三十七ページを見ますと、そのほかのところにもありますが、燃料費と光熱水料というのと分けてありますが、光熱水料の光熱というものと燃料というものと区別しなければならない特別の理由は一体何でございますか。
○政府委員(石山陽君) これは、小規模の施設でございますると光熱水料という中に、ただいま委員仰せのように、例えば水道料、それから電気代、それから都市ガスのごく小さな湯沸かし程度のもの、これらを含めて光熱水料という例もあるやに伺っておりますが、私どもの矯正施設は二十四時間生活をつかさどる収容施設でございまして、かなり大きな部門の燃料費というものが要るわけでございます。そこで、従来から伝統的に積算上これを二つに分けまして、燃料費は被収容者の炊事あるいは入浴あるいは寒冷地におきます舎房の暖房料、こういったものに使います重油とか白灯油あるいはプロパンガス、こういったものの購入経費を示すものとして積算され、それから光熱水料は、基本的な生活経費のやはり一部でございまするが、水道料あるいは照明あるいは工場で使います機械の動力用の電気代、こういったものを示すという形で従来から分けられているものでございます。
○飯田忠雄君 わかりました。 それで、この光熱水料というのは、これは庁費の方にもございませんか。これは、ここで今おっしゃったのは被収容者の光熱水料の意味でしょうか。
○政府委員(石山陽君) 三十三ページの表を拝見しますと、確かに庁費の中に光熱水料と入っておりますので、これは一般的に庁舎の維持管理その他を含めました基本的な生活費として必要な分でございます。私どもの燃料費は収容諸費という費目の中に別途に計算しておりますので、燃料費と光熱水料を別目に分けてそれぞれ積算しているのが実情でございます。
○飯田忠雄君 それでは、次に四十四ページのところをごらんになっていただきたいですが、ここでは地方入国管理官署の予算が書いてございます。 そこでお尋ねしたいのは、入国管理をするに当たって届け出主義をとっておられるのか、あるいは調査摘発主義をとっておいでになるのかという点です。これはどちらの主義をとっておられるかによって予算が随分変わってくると思われますので、お尋ねするわけです。
○政府委員(小林俊二君) お答え申し上げます。 入国管理官署におきます業務は、大別して二つに分けることができます。一つを正規業務と言い、他を不正規業務と私どもは呼んでおります。 正規業務と申しますのは、入国あるいは上陸の許可であるとか、あるいは既に上陸、入国しておる外国人の在留期間の更新であるとか、あるいは在留しておる外国人に与えられた在留資格の変更であるとか、そういう業務でございます。これらの業務は、いずれも入国しあるいは在留している外国人の申請に基づいて業務が行われるものでございます。申請があって初めて業務が行われるという種類の仕事でございます。 一方、不正規業務と申しますのは、出入国管理法に違反する疑いのある事案の処理でございます。最も典型的なものが不法入国であり、あるいは定められた在留期間を超えて在留する不法残留の問題であり、あるいは認められた業務を超えてそれ以外の業務に従事する資格外活動といったような案件でございます。これらの不正規事案は、当局の方からさまざまの情報に基づいてあるいは端緒に基づいて摘発を行って処理するということでございます。 したがいまして、先生の御質問に対するお答えといたしましては、申請に基づいて行われる業務とそれから当局の方から調査摘発をする業務と双方があるということでございます。 一つつけ加えますと、最近の業務量の推移を見てまいりますと、もちろん正規業務も増大いたしておりますけれども、特に目につきますのは不正規業務の増大でございます。すなわち、不法入国あるいは不法残留といった案件に関する処理が極めて量的に増大しておるというのが最近の目につく傾向でございます。端的に申し上げますと、過去五年間に不正規業務の案件は三倍に増大しておるということが言えるのでございます。
○飯田忠雄君 わかりました。 それでは、次の問題に入りますが、四十五ページと四十六ペ−ジに例をとってみますと、そのところには、いわゆる報償費というのと、それから調査活動費というのと調査旅費というのと、三つ出てくるわけです。この三つは、その金の使い方、内容からいきますと、どうも大体同じようなものではないかというふうに考えられますが、実体的な問題で、あるいはこれは実体的に同じものではない、だからこう別にするのだということかもしれませんが、もし同じようなものなら予算面で一本にできないかという疑問でございますが、こういう点についてはどうでございますか。
○政府委員(小林俊二君) 先生御指摘の三つの費目はそれぞれ異なった目的を持っておるものでございます。 第一の報償費は、これは出入国管理法に規定のございます報償のための経費でございます。報償と申しますのは、部外者からの通報に基づいて法違反事案が摘発され、そして不法入国者等に対する退去強制令書が発行された場合には、この通報者に対して協力に対する謝礼として報償を行ってよろしいという規定がございます。これが最も典型的な例でございまして、こうした事例に対して報償の意味で一定の金額を支払うというのが最も典型的な例でございます。それから、そのほかに入国管理行政について特に功労があった部外者に対して慰労あるいは報償を兼ねて経費を支出するということもございます。金額はさして大きなものでございませんけれども、そういう趣旨の費目がこの報償費でございます。 次に調査活動費は、出入国管理行政の適正な運営という一般的な目的のために情報の収集あるいは調査活動を行うというために設けられている経費でございまして、ただいま申し上げましたような個別的あるいは一時的な功労ないし貢献のあった部外者に対する報償とは全く趣を異にするものでございます。 第三の調査旅費は、これはただいま申し上げました一般的な施策の充実等の目的ではなくて、個個の案件の処理のために必要な調査に要する旅費でございます。すなわち、さらに具体的に申し上げますと、在留関係の諸申請、先ほど申しました在留期間の更新申請あるいは在留資格の変更申請といったような個々の申請がございましたときに、その申請の背後にある理由あるいは事情が真実のものであるか、信憑性に問題はないかといったような点を把握するために職員が実地に現地に 赴いて事情を調査するために必要な旅費でございます。それは在留関係でございますけれども、先ほど申し上げた違反調査についてもこの調査旅費は使われるわけでございます。すなわち、不法入国者がおるあるいは不法残留者がおるといった情報が入手されましたときに現地に赴いて個々の案件について調査をする、そのための旅費がこの調査旅費でございます。 したがいまして、以上三経費は、いずれも極めて明確に異なった目的を持っている費目であると申し上げることができます。
○飯田忠雄君 それでは、次に三十七ページのところに、被収容者食糧費というのが二億二千九百二十五万円組まれておりますが、これだけの費用で賄えるかという心配があります。大体一人当たり年額どのくらいの勘定でこの予算が組まれておるでしょうか。
○政府委員(石山陽君) 三十七ページの御指摘の被収容者食糧費とございますのは、これは私どもの矯正組織の中の一部門をなします少年鑑別所に収容される少年、その部分だけについての食糧費でございます。したがいまして、金額的には二億二千九百万程度ということになっております。ただ、矯正全体で申しますというと、被収容者食糧費は六万人余り入っております成人受刑者等を含めますので、かなり多額の金額になるわけでございます。
○飯田忠雄君 現在、大体少年関係の人数はどのぐらいございますか。
○政府委員(石山陽君) 少年の正確な今数字は持ってきておりませんが、昨年の年末現在で約一日平均収容人員が五千五百から七百ぐらいの間だと記憶いたしております。
○飯田忠雄君 それでは、その次に四十六ページの船の問題ですが、舟艇維持費とか建造費がございますが、この舟艇というのはどういうところに配置されておるでしょうか。
○政府委員(小林俊二君) 地方入国管理官署に配属されております舟艇は、現在合計三十三隻でございます。これらの舟艇は、特に臨船審査のために用いられておるわけでございます。すなわち、港に着岸しないで沖待ちの間に、特に乗員でございますが、その上陸審査を行うという際に係官がその船に赴いて審査を行う、そのための舟艇でございます。 この三十三隻の舟艇のうち二十八隻が十二メートル艇と申します。残りの五隻がより大きな十五メートル艇でございます。これらの舟艇の建造あるいは維持のための経費が舟艇に関する経費として予算に計上されておるわけでございます。
○飯田忠雄君 裁判所の方の明細書の中の八ページのところにございます費目を見たわけですが、裁判費の中で証拠収集のために用いられる費用というのはどのぐらいあるでしょうか、お伺いいたします。
○最高裁判所長官代理者(吉丸眞君) 検証その他証拠調べに要する予算としては、項、裁判費の中に計上されております。その主なものとしては、現地検証のための出張旅費として、目、裁判旅費、また証人、鑑定人等に裁判所に出頭してもらうための旅費として、目、証人等旅費がございます。 これらの予算は、直近の年度の支出額、事件数の傾向等を勘案して計上しておりますが、昭和六十一年度の予算案におきましては、裁判旅費といたしまして十一億七千六百万円、証人等旅費といたしまして一億一千六百万円を計上しております。
○飯田忠雄君 その中からいろいろ裁判官が検証なさる旅費その他が出るということでございますか。
○最高裁判所長官代理者(吉丸眞君) さようでございます。
○飯田忠雄君 それでは、次の問題をお尋ねいたしますが、これは実は法務省及び裁判所の明細書の中には載っていない費目でございますけれども、人権保障という観点から他の官庁に組まれておるものでありましても関心を持つという意味で、これは法務省の人権擁護局関係の問題ではないかということでお尋ねをするわけです。 実際にはほかの省がやっておられるということで、まず第一が、現在、中国から帰ってこられるいわゆる孤児という人たちですが、こういう人たちの救済費というものはやはり人権保障という点からなおざりにできないのではないか、こう思われるわけでございます。御承知のように、この人たちは自分が好きこのんでおったわけではない、明らかに日本政府の政策によって捨てられた人でございますから、これは当然、政策によって捨てた以上は、政策をもって救済すべき人たちである、こう考えられるわけでございます。 そこで、どういうような方策でやっておられるかという問題につきまして予算委員会でも少しくお話を承りましたので、詳しい説明は要りませんのですが、大綱ですね、どこの省の予算書の中のどういう費目にどのように組まれておるかということについてお尋ねをいたしたいと思います。
○政府委員(野崎幸雄君) 各地の法務局の人権擁護部や地方法務局の人権擁護課あるいは人権擁護委員の自宅では人権擁護に関する相談を受けております。このほか、大勢の方が集まるデパートでございますとか公民館といったところに特設相談所を設けて人権相談もすることがございます。これらの相談におきましては、非常に多岐にわたった相談が行われるわけでございまして、必ずしも法務省の所管事項に限らず、いろいろの他の官庁の所管に属する事項についても相談がございますが、このような場合につきましては、私どもは、その所管の官庁をお教えするとともに必要に応じて連絡をとって差し上げるといったような処理をいたしておるところでございます。 このような予算関係といたしましては、職員がそこへ出張して行う場合のために人権相談関係の旅費、また特設相談所開設のための借用料といったものが予算化されております。また、相談事案の調査、照会のための通信連絡費としては事件調査費が計上されておりますので、こういった費目の中でやりくりをしておるというわけでございます。また、人権擁護委員がそういった人権相談に出ていただくということについてはいろいろ費用がかかるわけでございますが、それにつきましては人権擁護委員に対する実費弁償金が計上されておりますので、それの中から必要経費を支払っておるというのが実情でございます。
○飯田忠雄君 ただいまの調査費だとか人権擁護に要する費用というのは、法務省の予算でございますか、それともほかの省の予算なんですか。
○政府委員(野崎幸雄君) 今申し上げたのは法務省の予算でございます。
○飯田忠雄君 それでは、そのほかの例えば養父母を日本に招待してみるとかあるいはこちらに帰ってきて日本に永住することになった人たちの生活をどのように保障するとかという問題、こういう問題についての予算は法務省じゃなくてよそのところでしょうか。もしよその方の官庁だとすると、それはどこの省で、どのような予算が組まれておるかという点は御調査になっておるでしょうか。
○説明員(浅見敏彦君) 飯田先生御指摘の、いわゆる満州近辺の中国残留孤児の問題でございますが、これは人権の観点から御相談を受けた場合等につきましては人権擁護行政ということでお受けするわけで、今法務省の局長から御答弁申し上げましたように、法務省に計上された予算で対応することになるわけでございます。一方、先生御指摘のように、今問題になっております中国残留孤児の問題あるいは養父母の問題ということになりますと、これは厚生省のいわゆる援護行政ということでいたしておりますので、いわゆる厚生省予算の中にしかるべく計上されているわけでございます。 本来ですと担当の省庁お越しでございますからお答えいただけばいいかと思いますが、時間のこともありますので概略、先生御高承のこととは存じますが、御説明申し上げますと、この中国残留孤児の問題は人道上の問題で、非常に早期解決に 向けて政府、国民とも全力を挙げて取り組むべきだということで、大変厳しい財政事情の中ではございますけれども、六十一年度はこういった関係の予算、前年度の六億五千二百万に対しまして十三億七千二百万ということで、二・一倍にふやしているわけでございます。 こういった配慮、例えばいわゆる肉親捜しのために訪日していただく方の対象人員を四百人から七百人にふやして、おおむね本年度中に終了をしたいというようなことでございますとか、あるいは孤児のいわゆる定着を促進するために中国帰国孤児定着促進センターというような施設を新たに建設いたしまして、その収容能力も、現在延べ三百三十人でございますが、これを六百六十人にするというようなことですとか、定着自立促進事業を地方公共団体等とも緊密に連携をとりまして充実強化を図るといったような施策を講じております。この予算は、お手元の法務省の予算からはごらんいただけないわけでございますが、厚生省の予算の中で私どもとしては最大限の努力をしておるということでございます。御理解を賜りたいと思います。
○飯田忠雄君 それでは、次の問題に入りますが、最近いろいろ陳情を受けるわけですが、その陳情の中にシベリア抑留旧軍人の補償の問題でいろいろの陳情がございまして、外務省の方でいわゆる条約の翻訳を間違えているという陳情がございます。「捕虜条約のあやまり訂正に関する件」という陳情ですが、これにつきまして、この捕虜条約というのは国会でも承認をいたして今日有効なものとして行われておりますので、誤りだということになりますと、これは国会の責任でもあるということで大変重要な問題ですので、もし間違っておれば国会で訂正する必要があると思うものであります。 そこで外務省にお尋ねしますが、この捕虜条約というのには全抑協の方から申し入れておられるような誤りが実際にあるのかないのか、その点について御研究になったかどうか、お尋ねをいたします。
○説明員(谷内正太郎君) ただいま先生から御指摘のございました捕虜の待遇に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーブ条約第六十七条の邦語訳の問題に関しましては、本件条約の作成経緯及び訳文の作成経緯、その他関係国の見解あるいは実行等、今綿密にかつ誠意を持って調査しておる段階でございまして、現在の段階で最終的な結論を申し上げることはできませんけれども、今後さらに一層誠意を持って調査を続けまして最終的な結論を出したいと、このように考えております。
○飯田忠雄君 これはぜひ早くやっていただきたいのは、陳情が出ているのは去年の十二月二十日で、数カ月たっておりますので、ひとつ馬力をかけてやっていただきたいんです。 その部分は余り多くはない、ほんの一部分でございますが、これはやはりこれを承認した、つまり政府として条約を結ばれ、批准をしたわけで、それを国会が承認しておるわけですから、国会が十分調査せずに承認したからいけないという御非難はちょっときつ過ぎるので、そういう非難はされないで、外務省でぜひ早く調査をしていただいて、国会が正しい行動に出られるようにしていただきたいということを申し上げておきます。いつごろまでにできるかちょっと言ってください。
○説明員(谷内正太郎君) ただいま先生の御指摘の点につきましては私どもも全く同様に考えておりまして、可及的速やかに最終的結論を出すということで今努力しておる段階でございます。実は三月八日の予算委員会におきましても安倍外務大臣より六カ月を目標に全力を挙げたいという趣旨の御答弁をなさっておりますので、私どももそれを踏まえまして、できるだけ早く結論を出すべく、さらに努力を続けたいと思っております。
○飯田忠雄君 本件に関しまして、シベリアに抑留をされた旧軍人の補償の問題はまだ片がついていないようですね。これは補償するということが我が国の法規上無理なのか、あるいは何か融通をつければできることなのか、そういう点についてはどのような御見解でしょうか、お尋ねします。
○説明員(谷内正太郎君) ソ連に抑留された人々が強制労働を強いられるなど大変御苦労なさったことはまことに遺憾なことであったと考えておりますけれども、さきの大戦に関しましては、戦中、戦後を問わず、国民のすべてが多かれ少なかれ戦争による各種の犠牲をこうむっているということもまた事実でございます。これらのいわゆる戦争犠牲については国民のひとしく受忍しなければならなかったところでございまして、国に補償する義務があるとは必ずしも考えておらない次第でございます。 また、戦後強制抑留者問題を含め、戦後処理問題について二年半にわたる検討を行ってきた民間の有識者によります戦後処理問題懇談会は、シベリアに強制抑留されたこともまた国民がそれぞれの立場で受けとめなければならなかった戦争損害の一種に属すると言わざるを得ず、戦後強制抑留者問題を含め、戦後処理問題についてはもはやこれ以上国において措置すべきものではないとの意見を取りまとめまして、昭和五十九年の十二月二十一日、内閣官房長官に報告しているところは先生御承知のとおりでございます。
○飯田忠雄君 次に、これも陳情案件ですが、台湾人で戦時中日本軍人の身分を持って活躍した人が軍人恩給について救済、補償をしてくれと、こう言ってきておりますが、こういう問題については政府はどのような対応を考えておられるのか、お尋ねします。
○説明員(木本忠男君) お答えいたします。 いわゆる台湾人元日本兵問題につきましては、昭和六十年五月二十四日でございますが、総理府に台湾人元日本兵問題関係省庁連絡会議というものを設けまして、以後その連絡会議及び幹事会でこの問題についてどう考えるかについて鋭意検討しているところでございますが、本問題につきましては、御承知のとおり現在最高裁判所において係争中でございますので、最高裁判所の最終的な判断を注視する必要があると考えております。 そのほか、この問題につきましては、日台間の全般的な請求権問題が未解決であること、他の分離地域等との公平及び波及あるいは我が国の財政事情といった種々困難な問題がございますので、今後とも誠意を持って検討を続けていく必要があると考えております。
○飯田忠雄君 終わります。
○橋本敦君 私は、まずマルコス疑惑関係から質問に入りたいと思います。 法務大臣の御所見を伺いたいのでありますが、この問題は文書が公表されて、フィリピンへの海外経済協力に関連をして日本の企業が大体一五%のいわゆるコミッションあるいはリベート、これを支払ったという事実が極めて大きく浮かび上がってきているわけであります。第一次から第十三次までのフィリピンへの海外経済協力総額は約四千六百億でありますから、仮にこの一五%がリベートとしてマルコス及びその側近に行ったと仮定いたしますと、約七百億という大変な金になるわけであります。いずれもローンアグリーメントによる借款だとはいっても、この円借の基金は国民の税金であり、あるいは年金や郵便貯金という国家の公金でありますから、それが七百億もリベートに使われたという事態はまことにゆゆしい事態であります。昨日の報道に接しますと、サロンガ行政管理委員会のダザ委員長代行は、この献金総額は五億ドルに上るというように言っておるようでありますが、五億ドルといえば現在一ドル百八十円として約九百億、一五%を超える巨額のものであります。 そこで、こういったマルコス疑惑と称せられるこの問題については、法の公正と秩序をあずかる法務大臣としても徹底的な解明を含めて厳正な対処をなさるべきが当然だと私は思っておるわけでございますので、この点について、まず大臣の御所見をお伺いしたいのであります。
○国務大臣(鈴木省吾君) ただいまのお尋ねの件は、案件そのものがまだ具体的にわかっていない わけですから、その件について私がどうこう言うことは、これは差し控えなきゃならぬと思いますで一般的には、たびたび申し上げてありますように、刑罰法令等に触れる事案があれば検察当局は適正に対処していくでしょうと、こういうことでございます。
○橋本敦君 刑罰法令に触れる事案があれば厳正に捜査をする、これは当然であります。大臣の政治姿勢として、こういった重大な問題について性厳しい態度で臨むという、そういう御所見が私はあってしかるべきだと思ったものですからお尋ねをしたわけでありますから、その点はそれとして、それでは刑事局長に伺いますが、前回も私は質問したんですが、日本の企業、日本の会社の人がフィリピンで受注に関して便宜な取り計らいを得たいという目的で、権限のあるフィリピンの公務員に対して法の規定にない金を支払ったとすれば、それがわいろだと認定されれば当然フィリピンの刑法において贈収賄罪の適用を受けるはずだということをお尋ねをしたときに、フィリピン刑法詳しくわからないが、そうなるだろうというお答えがございましたが、それは間違いございませんね。
○政府委員(岡村泰孝君) 私どもの承知いたしております範囲では、フィリピンにも刑法典等がございまして、贈収賄の規定があるということを承知いたしておるわけでございます。具体的にその法令に触れるかどうかは、フィリピンの国内法の問題でございますので、私も正確なことは申し上げかねるわけでございますが、一般的に言いますれば、贈収賄という規定の要件に当たるような行為があればそれに触れるだろうと、これはまことに一般論でございますが、そういうような感じを持っているわけであります。
○橋本敦君 具体的にその問題が具体化し始めているわけであります。今お話ししたサロンガ行政委員会のダザ委員長代行は、フィリピンの反汚職・贈賄法、それから改正刑法、これがリベートに関連をして日本の企業に適用が可能であるという見解を示したと報ぜられています。特に五企業が問題のようでありますが、捜査中のためにその名前は明らかにされませんでしたけれども、そのうち二企業については証拠が明らかだというように報ぜられているわけであります。したがって、一般論として今おっしゃった問題は、具体的にフィリピンの改正刑法あるいは反汚職・贈賄法、こういった法律の適用が可能だという、こういう方向に動いている状況がこの報道によって明らかになっているわけであります。 そこで、法務省にお願いしておきたいのは、現在のフィリピンの伝えられている刑法、贈収賄法、反汚職法、この法律を速やかに入手をされて私にも報告していただきたいのでありますが、いかがですか。
○政府委員(岡村泰孝君) 私ども、一般的に外国の法律、制度等も調査いたしておりますし、必要に応じましてそういう調査はいたしたいと思っております。
○橋本敦君 現に問題がこう動いてきておるから国会としても論議をする必要があり、私も検討したいので、資料として、外国の法律ですから、取っていただいて提出してほしいという要求でありますから、これはこれにこたえていただけるのではありませんか。別に秘密のことでもない、捜査の問題でもない。
○政府委員(岡村泰孝君) 国内で現に有効に行われている法律ということになろうかと思いますし、恐らくその辺のところは外交ルートを通じて、もし照会するのであれば照会するということになろうかと思いますが、検討させていただきたいと思います。
○橋本敦君 ぜひその点は検討をお願いして、外交ルートを通じて、現在適用される法律を明らかにしていただきたいと思います。 そこで、フィリピン側は恐らく捜査を進行させるでしょう。そして、日本にとっても総理も徹底的な調査解明が必要だとおっしゃっておられるように、日本側としてもこの問題の調査が必要でしょう。そこで、具体的に今言ったフィリピンの刑罰法令に触れる事案のこれからの捜査や調査ということになりますと、企業が日本ですから、フィリピンの国内だけでフィリピン捜査当局が捜査をするということで十分でなくて、日本に対して日本での捜査協力を要請するという事態に発展する可能性がある。私はこういう問題を予測した上で刑事局長に対して将来の対応を質問したのでありますが、刑事局長は事態の発展の推移を見て国際捜査共助法等の適用を含めて検討していく姿勢だということをお話しになりました。 そこで、事態の発展に対応して今後どういうような問題が検討される必要があるかということを個別的に私は考えてみたのでありますが、まず第一にフィリピンの捜査官が日本に来て、フィリピンの法に触れる犯罪容疑についての事情聴取と資料調査等をしたいということを外交ルートを通じて申し入れがあった場合に、どういうように問題はなるでしょうか。
○政府委員(岡村泰孝君) 国際捜査共助法によりますと、共助の要請を受けまして、その要請に応じて国内で証拠の収集活動を行う場合は我が国の検察官あるいは警察官等が行うという定めになっておるわけでございまして、フィリピンの検察官あるいは警察官が日本に参りましてみずから取り調べ等をするということはこの法律の趣旨等から見ましても相当でないことである、かように思っております。
○橋本敦君 そうすると、国際捜査共助法によって、外交ルートを通じての正式の依頼があれば、日本の捜査官憲が捜査に協力するということになるわけですね。
○政府委員(岡村泰孝君) これは、具体的に捜査共助の要請がありましたときに、その具体的案件につきまして国際捜査共助法の要件に従っているかどうか、ここをまず判断しなければならないわけでございまして、その要件を満たしておるという場合は我が国の検察あるいは警察官等において証拠の収集を行う、こういうことになるわけでございます。
○橋本敦君 その要件というのは、具体的に言うとどういう要件ですか。
○政府委員(岡村泰孝君) これは国際捜査共助法の二条に規定されておるわけでございますが、一つは共助犯罪、すなわち相手国がこういう具体的犯罪について証拠の収集をしたいという要請をしてくるその当該犯罪でございますが、これが政治犯罪であるときには共助はできない、あるいは政治犯罪について捜査する目的で行われたものと認められるときにも行われないということが一つの要件でございます。 次に、二つ目の要件は、その共助犯罪に係ります行為が日本国内において行われたとした場合において、その行為が日本国の法令によれば罪に当たるものでないときも応ずることはできない。いわゆるフィリピンから仮に要請があったといたしますと、フィリピンで犯罪とされる行為、その行為が我が国においてもやはり犯罪とされるものでなければならないというのが第二の要件でございます。 それから第三の要件は、日本が仮に当該外国に同様の捜査共助を要請いたしましたときに、当該外国がその要請に応じるという保証がないときも応ずることはできない、いわゆる相互主義の保証があるということが要件になり得ます。 第四番目は、証人尋問あるいは証拠物の提供をしてもらいたいという要請につきましては、その証拠が捜査に欠くことのできないものであることを明らかにされないとき、これは要請に応ずることはできない、こういうことになっております。 その他、一般的に外交関係その他諸般の事情を考えまして要請に応ずるのが相当でないと判断される場合は応じない、こういうことになっております。
○橋本敦君 今要件の御説明がございましたが、私は今の御説明によっても非常に明確になったと思うのであります。 フィリピン側は、日本企業とフィリピン官憲の間における総額五億ドルに上る献金問題につい て、これは政治犯罪とはとらえておりませんで、贈賄あるいは収賄、こういった刑法犯としてとらえていることが明らかですから、第一の要件はクリアできる。第二番目に、同様の行為が日本国内の法令に照らしてどうかということになりますと、日本でも刑法上贈収賄罪の規定は現にあるわけですから当然第二の要件も合致をする。それから、第三の相互主義でありますけれども、フィリピン側はしばしば、報道を通じてでありますけれども、日本との調査の協力を言っておりますから、明白にこの点については外交ルー小を通じて話し合えば相互主義が貫かれる、そういう状況が客観的に明らかであります。そして、仮に嘱託尋問やあるいは証人尋問等の問題になれば、当然犯罪の捜査に欠くことのできないそういった要件を明示することは、これは常識からいっても当たり前のことでありますから、恐らくこの要件も満たされる場合に限って要請があるであろう。 こういうことを考えますと、私は、現在フィリピン側が捜査を進めようとしている汚職犯罪については国際捜査共助法の要件をクリアをして、当然日本側からもこれに対して協力するという方向が可能性の問題としては十分にあるというように見るのが当然だと思っておりますが、いかがですか、法の解釈、適用の問題として。
○政府委員(岡村泰孝君) 先ほど来申し上げておりますように、一般的には私が先ほど御説明いたしました要件を満たしているかどうかを判断して、満たしておれば、かつ相当と認めるならば要請に応じるというわけでございますが、要は、その具体的に要請を受けましたその具体的案件につきまして判断されるべき事柄であると思っております。
○橋本敦君 それはもっともですよ。もっともですが、今私が指摘したこの問題に関して要件に明らかに合致しないという事情は今のところ存在していないということもまた言えますね。例えば政治犯だとか日本国内法令で処罰できないという事情はありませんね。
○政府委員(岡村泰孝君) 仮定の問題または一般論の問題でございますが、そういうことに一応考えられるだろうと思います。
○橋本敦君 犯人引き渡しの問題については、アメリカと日本は犯罪人引き渡し条約がありますが、フィリピンとの間にはない。具体的な犯人引き渡しという段階に進んでまいりますと、これはフィリピンとの間ではどうなるでしょうか。
○政府委員(岡村泰孝君) この点につきましては、逃亡犯罪人引渡法というものが日本の国内法としてあるわけでございまして、逃亡犯罪人の引き渡しの請求を受けましたときには、この法律に従って判断していくことになるわけでございます。フィリピンとの間には引き渡しの条約がございませんので、もしフィリピンから引き渡しの要請を受けましたときには、やはり先ほど申し上げましたような相互主義の保証があるということ、これは一つの要件でございます。その他いろいろな、例えば政治犯罪であるときとか逃亡犯罪人が日本国民であるときとか、そういった場合には引き渡しに応じないといういろいろな要件がまた規定されておるわけでございます。
○橋本敦君 したがって、今私が指摘した問題についてもそういった要件をクリアできるならば、犯人の引き渡しということも当然出てくるわけであるということですね。 ここで話題を変えまして経企庁にお伺いしたいのでありますが、端的に言ってフィリピンへの円借款、これについて一五%前後のコミッションが入っているかどうかということについて全然これまで検討されなかった、発見されなかったという事態は、これは手続上の問題としても反省すべき重大な内容を含んでおるわけでありますが、どういう書類で審査を今までしてきたんでしょうか。
○説明員(小川修司君) 本件は手続との関係がございますので若干御説明させていただきますと、円借款の手続には、まず日本政府と相手国政府との間でこの円借款供与に関する取り決めということで交換公文というのが結ばれます。そういう過程が一つあるということでございます。第二番目には、その交換公文に基づきます政府間の取り決めの枠組みの中で、相手国政府とこの円借款の実施機関であります海外経済協力基金との間の借款契約を結ぶという過程がございます。その過程で経済協力基金としてもその事業の適切性あるいは達成可能性ということについて審査をいたすわけでございます。それからさらに三番目に、そういうことで借款契約が締結された後に、今度は相手国政府がその借款の資金を前提といたしまして実際その事業を実施に移すという過程がございまして、この段階で事業実施のためのいろいろな工事の発注あるいは契約というようなことを行うという過程がございます。 それで、今回いろいろ問題が起こったとされておりますのは最後の段階、すなわち相手側の政府と受注の企業との間で起こったということとされている問題かと存じます。したがいましてこの過程は、基本的にはまず相手国政府の調達の行為であるということでございますけれども、この過程におきましても経済協力基金といたしましては、その発注、あるいはいわゆる調達の段階と我々呼んでおりますけれども、調達の段階でいろいろなチェックは行っております。すなわち、入札関係のいろいろな手続のチェック、これは原則としてこういう調達をやるときには国際競争入札に付してもらうということで、そういう国際競争入札に付しているかどうかというようなチェックをいたしております。さらにまた実際、向こうの政府と受注企業との間の契約締結の段階につきましてもチェックをいたしておるということでございます。それで、このような……
○橋本敦君 どんな書類を最後の段階でチェックしたかという私の質問です。プロセスは私もわかっていますから。
○説明員(小川修司君) それで、この受注契約の実際の価格につきましてでございますけれども、基金といたしましては、これが国際競争入札によって自由競争のもとで決められた、そういう過程を経て決められた価格であるということでチェックいたしておりまして、それがその中の原価構成というところまで立ち至ってチェックはいたしておりませんで、そういう国際競争入札の結果決められた価格をもって妥当な価格とするということにせざるを得ないというのが基金のチェックの実際でございます。 いずれにしましても、今回こういう問題が起こっておりますので、私ども、外務省、大蔵省、通産省と一緒に円借款の問題を取り扱っておりますけれども、いずれにせよ今回のどういうことが起こったかという真相究明には努めてまいりたいと思っております。
○橋本敦君 入札をしてその価格が出てくるそれをチェックするといっても、価格の中身にまではチェックをやっていないというのですから、一五%にしろ一〇%にしろ、これのコミッションあるいはリベートが価格に水増しされておったって、これは発見のしようがないということになりますね。端的に言って、結論としての価格だけ見るのでしょう。
○説明員(小川修司君) その点につきましては、入札の結果決まった価格をもってそういうふうにやっております。
○橋本敦君 だから、もう一つ聞きますが、今日まで一次から十三次まで随分と今言ったような手続でチェックをされてきたというんですが、実際上一五%前後、こういった、言ってみれば法外なコミッションが支払われることになっているというような契約内容やあるいは価格システム、そういったものは全然見当たらなかったと、こういうことですね。
○説明員(小川修司君) 基金がチェックいたしました契約上はきちんと事業目的のための契約であるということでございます。
○橋本敦君 発見できなかったというのは客観的事実ですね。もし一五%というような法外なコミッションを入れてあるということがわかった場合は、監督指導の仕方はあるのですか。
○説明員(小川修司君) 経済協力基金と相手国政府との間の借款契約におきましては、この円借款の資金がこの事業の実施達成のために使われるということが取り決められておりますので、仮にそういう契約条項を逸脱するようなことにその資金が使われていたということがわかれば、契約違反ということで契約上の責任追及ということはできると考えております。
○橋本敦君 それは今まで一回もやった件数はありませんね。あるかないか。
○説明員(小川修司君) この辺は、そのようなことをチェックをして、その事業目的に使われるということを認定いたしましてから貸し付けの実行をいたしておりますので、そういうことはございません。
○橋本敦君 きれいにだまされてきたわけですよ。報道によれば、リベート相当分は日本側の粗利益の中に巧妙に隠されておって、受注額の一〇%から一八%、ひどい場合は三〇%も要求されたこともある。こういう相手の要求を入れながら入札価格をいかに安くするか、これが日本企業の頭痛の種だった。ある新規参入会社がリベート水増しの慣行を知らずに工費を見積ったところが、商社から忠告をされて、そしてロドリゲス次官と相談したこともあった。一五%の上乗せをその際公然と要求されたという報道もある。 それから、さらに私が見逃せないのは、あなたの方に出している書類と実際のフィリピン政府と企業との交わす書類とが違うという二重構造があったという重大な情報があるんですよ。そういう操作をやっているという事実なんですけれども、これはマニラからの報道によりますと、複数の人たちの証言からわかったことだけれども、日本の経済協力基金への提出書類のほとんどは、今言った一五%、こういったコミッションを入れ込んだ操作をやっている。それを含めた金額で書類をつくるということを組織的、構造的なリベートづくりとして最近までそういうことをやってきた。そしてもう一方、今度は、一五%はこれは官憲に渡してしうわけですから、実際の政府と受注企業との契約はそれを抜いた実際の価格を基本にした契約書をもう一本つくる、こういうようにして二種類の見積書ができ上がると、水増しした方で日本政府から円借款を引き出し、正規分で実際の建設工事を行うというようにやっていたという重大な情報があるんですね。もしこういうことが事実だとすれば、これは本当に許せないと思うんです。 ここで刑事局長に私は御見解を聞きたいんですが、国からこれは直接に企業がローンアグリーメント及びLCを開いてもらって、プロジェクトに関する企業が、これは基金から直接に受け取るわけですね。この口座は御存じのとおり。国からこの金を受け取るのにこういう二重の帳簿操作、契約操作をして一五%の上積みを隠して国から金を引き出して、そして一五%のリベートを官憲に贈る、こういうことをやっているのは刑法上の詐欺罪に当たりませんか。一つの法律適用上の問題としていかがでしょうか。
○政府委員(岡村泰孝君) 仮定の事実につきましてどういうふうな犯罪が成立するかということは非常に申し上げにくいわけでございます。特にこの円借款の関係でございますと、フィリピン政府等も入った一つの複雑な仕組みがあるわけでございますので、単純にこうだということを今の時点で申し上げがたいわけでございます。
○橋本敦君 お医者さんが診療報酬請求やるのにごくわずかのことでも水増しやったら、これはすぐ問題になる。刑事局長、これは詐欺で立件された例があるんじゃないですか。
○政府委員(岡村泰孝君) そういう単純な仕組みの場合は恐らく詐欺罪の成立ということが考えられるだろうと思います。
○橋本敦君 今私が指摘した場合は、これは事実を正確に把握をして、まず事実が大事ですから、その上で法律の適用ということになるということでありますから、事実の究明がまず第一であることは私も異存ありません。しかし、少なくとも詐欺ということに該当するような不法な行為の一環であるという状況はあり得るんですよ。 経企庁にお尋ねしますが、こういう事実があるかないかは、私が今報道によって指摘したんですが、当然調査をしてもらわなきゃ困りますが、調査してくれますか。
○説明員(小川修司君) いずれにせよ、真相の究明には全力を挙げてやるということにいたしておりますので、そういうことの一環としていろいろ調査いたしたいと思います。
○橋本敦君 会計検査院にお伺いするのでありますが、会計検査院は会計検査院法の権限を定める二十二条あるいは二十三条によって、このフィリピン経済援助問題については、経企庁は当然でありますけれども、海外経済協力基金に対する会計上の検査はその権限の中で行うことは当然できるでしょうか。
○説明員(深田烝治君) お答えいたします。 海外経済協力基金で実施しております経済援助の検査につきましては、毎年二回ほど同基金本部におきまして、経済援助に関する関係書類、交換公文とか借款契約あるいは事業の進捗についての報告書等でございますが、その関係書類を検討いたしまして、経済援助が計画どおりに執行されているかどうか、その検査をしているところでございます。
○橋本敦君 今まで基金を検査されたところでは問題はなかったということですか。
○説明員(深田烝治君) そのとおりでございます。
○橋本敦君 これはまた巧妙な手法によって会計検査をごまかしておると私は思わざるを得ないんです。実際に一五%というコミッションがコミットメントされていると公表文書で明らかになってきておる事実は、支払ったという会社だって言っているわけですから、この仕組みの解明が会計検査によってもこれまででは足りなかったということであります。 そこで、もう一つ私はお尋ねをしたいのでありますけれども、海外経済協力基金、これについて定めております海外経済協力基金法がありますが、これの第二十一条は、次の各号に該当する場合に限って貸し付け、出資をすることができるとして、その第二号に「その開発事業に係る事業計画の内容が適切であり、その達成の見込みがあると認められる場合」という規定がある。また、前の第二十条は「第一条に掲げる目的」、つまり海外経済協力、民生安定も含めて、その「目的を達成するため、次の業務を行なう。」として貸し付けを決めている。だから、はっきり言って、マルコス及びそのクローニーと言われる側近グループに不法な資産形成利益を得させるようなそういう海外経済協力援助というのはあり得ないし、またそういうことをやればこの二十条、二十一条の趣旨に、基本的には第一条の目的に違反するということは明確だということは明らかだと思いますが、会計検査院もそのようにお考えでしょうか。
○説明員(深田烝治君) お答えいたします。 二十条、二十一条の件でございますが、この二十条、二十一条で規定しておりますことが今回の事案とどういうふうに関係するのかということでございます。この点につきましては、先ほども経企庁の方からお答えがございましたように、それぞれ外務省とかあるいは経済協力基金等で今見直し作業をやっている、そういうことでございまして、私どもといたしましてはその結果に基づきまして検査を行う、そういう考えでございまして、現段階におきまして今回の事態の内容というものをまだ十分把握していない状況でございます。したがいまして、今回の事態が二十条、二十一条に違反するのではないかという点につきましての判断といいますか、それにつきましては答弁を差し控えさしていただきたいと思います。
○橋本敦君 それは、私は明確にしてもらった方がいいと思いますよ。経企庁は、先ほど私が言ったように、この法律に基づいて三十三条で監督権を持っておるんですよ。だから、もしも申請した書類を分析検討して、法外なコミッションを支払うというような内容が隠され含まれているとする ならば、それは是正するようにチェックをするということを答弁されたんです。当然だと思うんですよ。 だから、会計検査院としても累次検査をなさってきたわけですが発見されなかったということはわかりましたが、仮に公表文書で指摘されたような一五%に上るこういうコミッションがマルコス及びその側近グループ等官憲に贈られるという状況が仮にあったとするならば、それは会計検査をされるあなたの方の立場から見て、違法事項というように会計検査院法の三十四条で指摘すべき事柄ではないかと、三十四条の解釈、適用の問題として私は聞いているんです。もう一度御検討して御答弁をお願いしたいと思います。
○説明員(深田烝治君) 会計検査院法の三十四条といいますのは、「検査の進行に伴い、会計経理に関し法令に違反し又は不当であると認める事項がある場合には、直ちに、本属長官又は関係者に対し当該会計経理について意見を表示し又は適宜の処置を要求し及びその後の経理について是正改善の処置をさせることができる。」ということで、いわゆる処置要求事項というものがこの三十四条に当たるものでございます。もう一方、二十九条の三号には「検査の結果法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項」、これがいわゆる不当事項と言われるものでございます。 それで、この不当事項にしろ処置要求にしろ、その原因となった過失の程度、あるいはその法令違反、あるいは不当の程度、そういったものを総合的に検討いたしまして、そして国会に報告をすべきものと認めたものが不当事項でございます。 したがいまして、先ほども申し上げましたように、先生が御指摘になりました点につきまして今、外務省あるいは海外経済協力基金におきまして見直し作業をやっている。そして、私どもはその結果に基づきまして検査を行いたいということでございまして、仮定の条件でお答えいたしかねることをひとつ御理解いただきたいと思います。
○橋本敦君 これから検査するのだからということですけれども、はっきり言って、会計検査はやるんです。また、やってこられたんですよ。それで、会計検査院は権限があって、違法、不当事項の指摘、これはその職務としておやりにならなくちゃいかぬ問題なんです。 そこで、いいですか、どの企業がどうだと私言っているんじゃないんです。一般的に今度の問題で一五%以上のコミッションが基金から出された金の中から支払われた可能性が出ている、こういう事態ですよ。だから、経企庁の方も、それがわかっていたら当然チェックして是正させましたと、こう言っている。だから、会計検査院の方も、当然のことだけれども、こういうようなコミッションは国家資金の引き出しなんですから、それは相当だと言えないことは当たり前じゃないですか。 法に照らして言えば、今私が指摘した海外経済協力基金法、あるいは法ではないけれども、交換公文に示されている、適正に使われなきゃならないという交換公文の条項、こういったものとの関係において、検査の結果、三十四条あるいはあなたがおっしゃった二十九条に基づいて違法または不当事項として指摘をする可能性が十分ある問題だと、問題の性質からそれは当然のこととして言えるのじゃありませんか。これはもう常識ですよ。
○説明員(深田烝治君) 私どもが検査をいたしまして二十九条三号の不当事項あるいは先生が御指摘になりました三十四条、そういう事態に当てはまる事態がございますならば、それぞれの条項によって処置されるということになろうかと思います。
○橋本敦君 当てはまることがあったらやるとおっしゃるのは当たり前のことなんです。やらなきゃなりません。 私が言うのは、こういう一五%というコミッション、これを海外経済協力基金というところから引き出して、そしてマルコス蓄財に使われたという状況が明らかになっていくようなプロセスがこれから解明されるのでしょうけれども、いずれにしても、こういうコミッションを明確に明示をして、それで認可を受けてやっているんならいいですよ。今言ったように、全然わからなかったじゃない、経済企画庁は。検査院も検査してわからなかったじゃないか。それだけ巧妙な手口で隠匿をやっている。そういうコミッションがあるということが検査の過程でわかったならば、私が指摘した法や交換公文その他に照らして、それは違法あるいは不当事項だというように検査院としてやる、当然そういう可能性がある問題としてとらえて真剣に取り組んでもらわなかったら、だまされたままじゃ、国政はこれは腐敗したままじゃありませんか。 会計検査院に対する私の期待としても、当然こういった一五%リベート問題は、検査の結果、今私が指摘した違法、不当事項ということになる可能性があるという認識でやってもらわなきゃ困りますが、いかがですか。もう一遍聞きますが。全然そんなものは問題ないという今の認識なんですか。私は、そういうことはあり得ないと思いますよ。
○説明員(深田烝治君) この問題につきましては、先ほど来御説明申し上げておりますように、ただいま担当官庁でございます外務省あるいは経済企画庁、海外経済協力基金等におきまして見直し作業をされているということでございます。それで、私どもはその結果につきまして検査を行いたいと考えておりますし、その検査の結果、先ほど申し上げましたように、二十九条三号の不当事項、それから三十四条の処置要求事項、そういう事項に該当するような実態がございますれば、それぞれの条項に基づきまして処置をする、そういうことになろうかと思います。
○橋本敦君 同じ答弁の繰り返しですな。それはもうちょっとはっきりした姿勢を示してもらわぬと、これは会計検査院に対する信頼の問題もありますよ。 端的に聞きますけれども、一五%というこういう巨額のコミッションを経済協力基金から引き出している事実が明らかになったら、それは会計検査上問題は全然ないということですか、どうなんですか。問題あるでしょうが、私が指摘したように。全然問題はないという考えで今の答弁されたのか、問題がないとは言わぬけれども、慎重に検討しなくちゃならぬという立場で、私の指摘している問題よく理解した上でおっしゃっているはずだと私は思うんですけれども、はっきり言ってください。全然、会計検査上問題はないですか。経企庁は、問題があったのだと、わかっていたら是正したのだと、こうおっしゃっている。私は正しいと思いますよ。どうですか、これは会計検査院、問題ないですか、一五%コミッションは。
○説明員(深田烝治君) 会計検査院法上、私どもの検査がどこまで及ぶかという問題も一つございます。 御承知のように、基金が行います援助につきましては外国政府等に対して円借款という融資により行われているものでございまして、その融資の相手方に対しては会計検査院法上、検査権限が及ばないということになってございますし、また援助の相手方が外国政府等であるということから主権の問題との絡みもございまして、援助に係る外国政府等が行った契約の内容、金額の適否にまでは及んでいないということでございます。したがいまして、私どもの検査対象でございます海外経済協力基金の会計経理におきまして、先生がおっしゃられますような事実といいますか、それがございますれば不当事項なりあるいは処置要求という形で処理する事態もあり得るかもしれない、そういうことになるだろうと思います。
○橋本敦君 今の答弁、当然だと思いますよ。そういう姿勢でなくちゃならぬと思って、時間が随分かかっちゃっている。そういう姿勢でやってもらいたいと思うんですよ。当然だ。だから会計検査院というのはある。 そこで、もう一つ、今私が指摘したような二重の契約書を使って経企庁や基金をごまかしてやっ ているというようなコミッションの巧妙な隠匿手法というものが出てきますと、今はなくなりましたが、これは昭和五十二年、三年当時、輸出貿易管理令、これがありまして、それによれば、一〇%以上のコミッションは貿易管理令に基づく通達で大臣に別に申請をして許可を受けなくちゃならぬ、こうなっていたと、こういうことでありますから、その点は虚偽記載ですから輸出貿易管理令違反という問題もあった。それから、今私が指摘したように、事実いかんによっては今度は日本企業が日本政府に対する詐欺、これはいろいろ法律上、適用、問題あることは私知っていますよ。知っていますが、詐欺ということも考えられる事態も生まれてくる。そのほかどういう違法事態があるかもしれない。 そこで、会計検査院法三十三条は「会計検査院は、検査の結果国又は日本国有鉄道の会計事務を処理する職員に職務上の犯罪があると認めたときは、その事件を検察庁に通告しなければならない。」こうなっています。 そこで、経企庁なり基金、これからいろいろお調べいただくわけですけれども、業者との癒着でこういう不法なことが行われているようなことが仮に出てくれば、会計検査院は犯罪の通告義務に基づいて検察庁に通告しなくちゃならぬ、こういうこともあり得ると私は思っておるわけであります。これは法律にそう書いてあるから、犯罪が発覚を認知されれば、そうされるに違いない、こう思います。いずれにしても、私が指摘したように、この問題は今後の事態の究明と進展に待たなくちゃなりませんけれども、ないがしろにできない重大な問題を数多く幾つも含んでいるわけであります。 法務大臣にもう一度重ねて聞きますけれども、今後の事態の進展に即応して厳正な対処で不法、違法な事態を厳しく明らかにし、かつまた対処していくという御決意のほどが例えれば聞きたいということで御所見を伺いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木省吾君) 冒頭申し上げましたように、一般論として申し上げたわけでございますけれども、国内の刑罰法令に触れる事案があれば厳正に対処するべきであろうと考えております。
○橋本敦君 そこでもう一つ、法務大臣、刑事局長も事態の進展の具体的状況によってということで御答弁いただいたわけですが、フィリピン政府はフィリピン刑法に触れる贈収賄問題について捜査をやるという決意を表明し、日本に対しても協力を要請しているという状況が報道されております。したがって、国際捜査共助法の適用という事態が予想されますが、これについては法の規定に基づいて真相究明ができるように前向きに対処をしていくということが私は必要だと思いますが、法務大臣のお考えはいかがでしょうか。
○政府委員(岡村泰孝君) 具体的に捜査共助が参りました場合は、国際捜査共助法に基づきまして適切に対処いたしたいと思っております。
○橋本敦君 それじゃ、大臣も同じ御答弁だと思いますので、これで終わります。 時間がなくなりましたので、警察の方お越しいただいておりますので簡単にお伺いしますが、最近の私どもの言葉で言えば、にせ左翼過激暴力集団でございますけれども、金属弾を撃ち込んだり、もうあの犯行は目に余るものがあると思うんです。警備の方ももちろん大変だと思うんですが、こういう事態が国民の皆さんに非常に大きな迷惑をかけないという保証はないです、あんなものはどこへ飛んでいくかわからぬですから。 そしてまた、新聞でも報道されましたが、金属弾の威力は、最近は新種火薬を使うなど、殺傷力を持つようになっているということでありますから、一層厳しい対策と取り締まりが必要になっていると思うんです。そして、同時にまた、こういった過激セクト派は一般的な国民への擾乱をねらって、まことに驚くべきことですけれども、新幹線、これに自動車を投げ込んで妨害するとか、車を落として混乱をねらうというようなメモも押収されているという状況ですね。 一体、こういった過激派集団は今どういう状況なのか、今後の警備としてはどういう対応で進もうとされているのか、まずお伺いしたいと思います。
○説明員(鏡山昭典君) 先般二十五日、東京で皇居の半蔵門、それからアメリカ大使館に対する発射物が出ましたし、それから二十八日には大阪府警本部に対する事件が起こった。さらに三十一日、赤坂御用地に対する発射弾事件があったわけでございますけれども、私どもは極左暴力集団と言っておりますが、今五流二十二派といって二十二のセクトがございます。 その中でこういうようなゲリラをやっているセクトというのが五つございまして、その五つの中でもああいうような発射弾を使っている組織は三つございます。この二十五日に皇居、アメリカ大使館に対して事件をやったのは戦旗荒派、彼らは正式には戦旗・共産主義者同盟と言っておりますが、このセクトでございます。それから、二十八日に大阪府警本部に対してやりましたのは一般的に中核派と言われておりますけれども、正式には革命的共産主義者同盟全国委員会という組織でございます。それから、三十一日に赤坂御用地に対して行いました迎賓館をねらいましたのは、これは革労協狭間派と言われておりまして、革命的労働者協会全国協議会というのが正式な名前でございます。この三つのセクトが大体現在ああいうような発射物を持っておるわけでございまして、これが日にちを合わせるようにしてああいうような事件を敢行したわけでございます。 今御指摘のように、彼らの武器というのはだんだんエスカレートしておりまして、前回のサミットの五十四年でございますけれども、この際ああいうようなゲリラをやりましたのは二つのセクトだけでございました。ところが、そのときにはああいうような発射装置を使ったセクトはなかったわけでございますけれども、この発射装置が出始めたのは五十九年の後半でございます。これは関西で初めて出ておりますが、その後これがだんだん大型化しておりまして、昨年、昭和六十年の四月十二日になりますと、羽田空港とそれから成田の新空港に対しまして、羽田に対して五発、それから成田で十発という発射装置が使われております。これは、この砲弾の中に爆発物が入っておりまして、大体千メートル飛んでおる武器でございます。今、極左暴力集団が持っておる凶器、武器ではこれが一番大型ではないかと思います。ただ、彼らは日夜社会を混乱させるために、自分たちの革命を目指すということで、この武器を非常にさらに大型化しようという努力をしているわけでございます。 なぜああいうようなゲリラをやるかというと、要するに国民の皆さん方の支持を得られなくなって、例えば街頭闘争で集会デモをやっても多くの方々の参加を得られない。それから、警察の取り締まりが厳しくなってすぐ捕まる。それならば、捕まらぬような形で自分たちの組織を温存しながらやっていく方法は何かということでゲリラにのめり込んでおるわけでございまして、こういう形は今後も出てくるだろうと思いますし、それから武器自体ももっと悪質になるかと思いますが、先ほど御指摘のように、四キロメートルとかいうのがいろいろ報道されておりますけれども、実際にはまだそういうのはできてないのじゃないかと私どもは見ております。ただ、彼らの機関紙を見てみますと、そういうようなものもつくるんだぞということを言っております。 それから、国鉄新幹線に対する妨害行為なども、私どもとしては押収資料の内容については答弁差し控えさしていただきたいと思いますが、先般、昨年十一月二十九日に全国三十三カ所で国鉄のああいうような通信線を切ったというようなことをやっておりまして、それを非常に高く評価しております。今度のサミットあるいは天皇陛下御在位六十年式典を目指しての、これをどうしても爆砕するんだということで、そうしたライフラインと申しますか、国民の生活基盤を破壊して世の中を混乱させるというようなことも考えているよ うでございますので、我々警察といたしましては、極左暴力集団の動向把握ということと検挙など取り締まりを厳重にするとともに、関係方面、国民の皆さん方の御協力、御理解を得ながら万全の警戒警備をしていきたいと、こういうふうに考えております。
○橋本敦君 こういった武器を製造するアジトというのはまだ発見されておらぬのですか。
○説明員(鏡山昭典君) 例えば中核派でございますと革命軍というのがございまして、今御指摘のようにアジトがございます。昨年以来ごとしまで十カ所のアジトを摘発しておりまして、ことしも三月の初めに長野県で松本アジトというものを摘発して、その後またすぐ、同じ長野県の諏訪市でございますけれども、ここでやはり摘発しております。そういうことで、非常に非公然軍事組織というのは防衛が厳しゅうございまして摘発が困難でございますけれども、各県全力を挙げてやっている状況でございます。
○橋本敦君 委員長済みません。質問時間が過ぎているのをうっかりいたしました。
○委員長(二宮文造君) おさめはよろしいですか。
○橋本敦君 一言だけ最後に言わせていただいて、まだ二、三聞きたいことがありますが、この次の機会にいたします。 かねがね私どもはこういった暴力行為を厳しく糾弾をしてまいりまして、厳しい取り締まりも要求をしてきたところでございますので、今後引き続きまた法務委員会で議論をさせていただきたいと思います。
○委員長(二宮文造君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(二宮文造君) 速記を起こして。
○抜山映子君 警察庁にお伺いいたします。 いじめに起因する事件ですが、いじめによる事件、いじめの仕返しによる事件、これはどういう数になっておりますでしょうか。
○説明員(根本芳雄君) 警察庁で六十年中に認知して処理しましたいじめが原因とされる事件、これは六百三十八件でございまして、前年に比較しまして百七件増加しております。それから、そのうち、いじめの仕返しによる事件でございますけれども、四十九件でございまして、罪種別に見ますと殺人とか放火とか凶悪なものが目立っております。
○抜山映子君 いじめの原因、動機をどのように把握しておられますか。
○説明員(根本芳雄君) 六十年の上半期に処理した事件を少し調査しましたところ、いじめの動機というか直接の原因というか、そういうものは、目立つ子供に対する腹いせとか、それから弱い者とか無抵抗な者に対するからかい、こういったものがほとんどを占めております。実際、なかなかこの原因というのは難しいと思いますけれども、いろいろ複雑な要因が絡まっていると思いますが、家庭とか学校とか地域社会等が抱えるいろんな問題が複雑に絡み合って、直接的には少年自身の批判意識とか他人に対する思いやりが欠けてきたのじゃないだろうか、こういうふうに考えられます。
○抜山映子君 いじめられた側の行動別の状況ですね、どうなっておりますでしょうか。
○説明員(根本芳雄君) これも先ほどの調査で一部出ておりますけれども、いじめられたいわゆる被害少年の行動をちょっと調べてみますと、昨年の上半期で五百六十七人ございましたが、じっとだれにも言わないで我慢をしていた、こういう子供が二百五十一人、全体の四二%ほどになっておりました。それから、保護者に相談をした、これが百九十六人、学校の先生に相談しましたという者が百二十四人、友達に相談した者が五十三人、こういうことでございます。
○抜山映子君 学校の先生に話した者のうち、先生がどういうように対応してくれたか、これは把握していますか。
○説明員(根本芳雄君) 学校の細かい数字でございますけれども、学校の先生に話した者の中で、加害少年に注意してくれた、これが三十八人、それから警察に連絡してくれたという者が四十三人、それから何も相手に言ってくれなかったあるいは何もしてくれなかった、こういう者が三十五人、こういうデータがございます。
○抜山映子君 文部省にお伺いいたします。 いじめに対する日教組の緊急提言、それと全日教連のいじめ問題に対する意見書、それぞれ出ておるわけなんですが、奇妙なことに全く矛盾するものがあるわけです。共通の意見としては、教師に大いにこれから責任を持って対処してもらわなくちゃいかぬ、この点は共通しておるんですが、全く矛盾しているところがあるんです。 例えば日教組の方は、「この機を利用して一方的に「道徳」教育とか「規範」重視の名の下に、管理を強めようとすることにも反対」であると、さらに「学校における管理体制の克服を」しなくちゃいかぬ、こういうようになっておるんです。ところが、全日教連の方を見ますと、「道徳教育、特別教育活動を重視する。」あるいは「基本的行動様式を系統的に指導する。」あるいは「校則を精選し、児童・生徒とともに順守する。」、こういうように、同じ教職員の組合でありながらこのように矛盾した意見を出しているんですね。これについて文部省はどのようにするのが正しいと思っていらっしゃるんでしょうか、御意見をお聞かせください。
○説明員(林田英樹君) いじめの問題につきましては、これが文部省の調査によりましても非常に小・中・高等学校を通じまして広範に見られるというふうなこと、それから、いじめが原因と考えられます児童生徒の自殺というふうなものが多発するなど、深刻な状態にあるわけでございまして、私どもも指導の充実に努めてまいっているわけでございます。今御指摘の、各方面からいろいろいじめにつきましての取り組みが進められておるわけでございまして、私どもも心強く思っているわけでございますが、一部御意見の違うところも御指摘のようにあるわけでございます。今のお話の中に出てまいりました校則の問題、それから道徳教育等の問題、それから学校の管理運営体制というふうな問題につきましても、往々にして考え方の相違が出てくるところでございます。 第一点の校則についてでございます。これは最近いろいろな機会に、現在の学校におきます校則というものが余りにも詳細になっているのではないか、そのことが管理主義に陥って児童生徒のいじめの一つの原因になっているのではないかというふうな御指摘もあるわけでございます。私どもといたしましては、校則につきまして余りにも瑣末なものが決められ、かつ十分適切な指導なく、一方的に押しつけるようなことであってはならないと思うわけでございますけれども、ただ学校が知徳体の調和のとれた指導をしていきますためには、適切な規則、校則、生徒心得等を定めまして、具体的に児童生徒が守るべき規範を明示いたしまして、これを適切に指導していくということは学校の重要な機能の一つであると思っておるわけでございます。そういう意味で、校則というものの果たす役割というものが適切に学校現場においても認められる必要があるのではないかというふうに私どもは思っているわけでございます。 もう一点の道徳教育でございますとか特別活動というふうなものも往々にして議論になるところでございますけれども、私ども、現在のいじめ問題の背景というものは多様な複雑な要素があるとは思いますけれども、一面におきまして幼少時からのしっけというふうなものの不足というふうなこと、それから基本的生活習慣等が不十分であるというふうなことが現在のいじめの原因にもなっておるというふうなこと、それから他人を思いやる心でございますとか対人関係の適切な確立というふうなことが欠けているのではないかということも指摘されておるわけでございまして、道徳教育でございますとか特別活動を通じまして、こういうものを適切に子供たちに植えつけていくことも必要であろうと思います。 それからもう一点、学校におきます一致協力態 勢の問題でございます。学校が一つの組織体といたしまして適切な教育活動を進めていきますためには、学校長を中心にいたしまして、学校長のリーダーシップのもとに学校が適切な運営をなされなければならないということは当然のことでございまして、このようなことまで含めて管理体制の強化であるというふうなことを言われるのは当たらないのではないかというふうに思います。校長が適切なリーダーシップを発揮し、適切な管理運営が行われることは重要なことであると思っているわけでございます。このような方向で適切な指導態勢がとられますように私ども努力してまいりたいと思っております。
○抜山映子君 今はっきりはおっしゃいませんでしたけれども、瑣末な校則はともかくとして、道徳教育それから秩序を重んじるということは重要である、すなわち文部省の意見は日教組よりも全日教連の方に近いと、こういうように理解してよろしいですか。
○説明員(林田英樹君) 文部省といたしましては、いずれにいたしましても、学校の規則それから適切な管理運営が必要であるということは従来から言っておるわけでございます。それぞれどちらの御主張にどの程度遠くどの程度近いかということは、適切なはかりを持つのは難しいかと思いますけれども、そういう点では両団体の主張と文部省の主張の間には違う面もあるわけでございますし、適切な管理運営が必要であるという点に関しましては、私どもとしては、どちらかと申しますと全日教連の御主張に賛同する面が多いというふうなことは感じるわけでございます。
○抜山映子君 先ほど警視庁の発表で、教師に話した、しかし話したにもかかわらず相手にされなかった少年が三十五人いる。いろいろ先ほど、注意をしたとかあるいは警察に話したとか教師に話しても相手にされなかったとか、その他全部の数を含めますと百二十四人いるわけですね。そのうち、教師に話したけれども相手にされなかった少年が三十五人もいる。百二十四人の先生のうち三十五人が相談しても相手にしなかった。これはやはり先生に大いに私責任があると思うんです。 今、いじめの大変に困ったことは、とめる先生が少ない、それからとめる生徒がない、こういうことが大きな問題なんです。いじめを絶対許さないという教師の姿勢を確立しなくちゃいけませんし、また思いやりの心を育てなくちゃいけないんですね。ところが、学校で道徳の教科書があるけれども、学校の先生が道徳の教科書をほとんど教えていないという事実を文部省は把握していますか。
○説明員(林田英樹君) 私どもといたしましても、いじめの原因、背景につきましてはいろいろな要因はあるにいたしましても、学校がまず責任を持ってこれを真正面から受けとめまして指導の充実を図っていただきたいというふうに力説をしておるところでございます。 今お話ございました道徳教育も、その点で今後一層充実していかなければならない重要な課題だと思っているわけでございますが、御承知のように、道徳教育につきましては、これは教科ではございませんで、現在の制度で申しますと、教科書という形ではなくて、副読本というものがかなりの学校で使われて教育が行われているというのが実態であるわけでございます。必ずしも全部が全部ではございませんけれども、多くの学校で副読本が使われているというのが実態でございます。 私どもも、普通の教科の場合と異なりまして教科書を必ず使わなければならないという制度にはなっていないわけでございますけれども、御指摘のように副読本などを利用して教育をするのがかなり効果があるというふうないろんな報告もあるわけでございまして、副読本が多く使われていくのが望ましいというふうには思うわけでございます。いずれにいたしましても、このようなことも含めまして今後道徳教育の一層の充実には努めてまいりたいと思っております。
○抜山映子君 そういうことでしたら、この際副読本を教科書にするように文部省として方針を固めることが必要じゃないですか。道徳の教科書の中には、読んでみますといろいろ事例を挙げて、こういうように思いやりが必要なんだというようなことがちゃんと書いてあるわけなんですよ。そういうものをさっぱり学校で教えていないというのであれば、やはり文部省として方針をきちっと確立してそういうことを教えるように持っていかなくちゃいけませんが、いかがですか。
○説明員(林田英樹君) 道徳教育の実態につきましては、私ども先般各学校の実態調査をいたしましたところ、各校長の認識といたしましても、必ずしも現在十分であると思っていないという方がかなりあったということを私どもも重要な課題として受けとめておるわけでございます。 御指摘のような副読本を使うということも一つの考え方であろうかと思います。現在、教育課程審議会におきましても道徳教育の今後の充実方策というふうなものが議論をされておるわけでございますし、臨時教育審議会におきましても御指摘のような副読本を使うようにさせてはどうかというふうなことも含めましていろんな議論もされておるわけでございますが、文部省といたしましても、道徳教育の全般的な充実の中で御指摘のようなことも含めて検討し、かつ推進をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
○抜山映子君 道徳教育というとすぐ保守反動である、こういうような言い方をされるのが大変怖くて、大体世の中の識者という人は道徳教育について逃げ腰であると思うんです。しかし、私が子供のころを想起いたしますのに、ナイチンゲールのやさしさ、そういうものは修身の教科書で習いましたし、ジェンナーの種痘、これは自己犠牲ということを習いましたし、ワシントンの木を切る話、これは正直ということを習いました。やはり子供心に正直でなくちゃいけないな、やさしくなくちゃいけないなと深い感銘を覚えたものでございます。したがいまして、文部省がすぐ保守反動というレッテルを張られるのを怖がって逃げ腰の態度であるのは、私はよくないと思います。この点いかがですか。
○説明員(林田英樹君) 御指摘のように、現在の学校教育の中で、道徳教育と申しますか、心の教育というものが必ずしも十分ではないという御指摘は私どもも重要な問題として受けとめておるわけでございます。 道徳教育につきましては、これが導入をされました際には非常な抵抗があったのも事実でございますが、文部省といたしましては、それでも現在の学校教育の中に必要であるというようなことで、一つの領域として設けるなどの努力をしてまいったわけでございますし、その後も、各都道府県の教材の充実のための援助でございますとか研修の実施でございますとか、そういう形で従来できるだけ努力をしてまいったところでございます。 ただ、御指摘のように、導入されましたときのいきさつなどもございまして、教員の中に道徳という言葉に対するいろんな抵抗感のあるのも事実でございますけれども、最近におきましてはこういう問題行動などを契機といたしまして、心の教育の充実の必要性ということはかなり認識もされてきておると思いますので、私どももそういう点も踏まえまして今後一層の充実に努めてまいりたいと思っております。
○抜山映子君 道徳という言葉の響きが悪いのでしたら、心の持ち方、生活のあり方と、こういうように変えてもいいわけです。どうしても、やはり子供というのはしつける、教えるということが必要なので、ぜひこれをやっていただきたいと思います。 というのは、大阪市立大学の調査によりますと、いじめの傍観者が小学校では三三・二%、中学校では四四・二%という数字が出ておるわけです。要するに、とめる人間がいない、傍観する、これがいじめをますます野放図にさせておく、こういうことになっておると思うんです。今のいじめの態様は、もういろんな方が指摘しておられますけれども、昔の一対一のけんかとは全く様相が 違うんですね。非常に陰湿で、ばい菌と言うのが非常に多いんです。 これはもう本当に私の身近の親戚の子供なんですが、地方から東京に転校してきまして、地方の言葉がうつるということで、ばい菌、ばい菌と言っていじめるわけですね。それにとどまらず、靴の中に押しピンを入れておいたり、座るところに押しピンを置いておいたり、そういうようないじめ方をする。それから、物を隠すんですね。教科書を隠す、鉛筆を隠す、靴を隠す、こういうことをやる。本当にその子は一遍自殺を図ったんです。自殺を図って、先生にお母さんが言いに行きました。そうしたら先生が注意してくれた。注意してくれたはいいんですけれども、注意をされた、これはお母さんが言いつけたんだからといってますますいじめが激しくなってしまった。そのいじめが激しくなったことを今度先生に言ったら、先生が、もう転校より仕方がありませんねと、こういうように言われたそうです。注意をするとますますいじめがひどくなるからやめましょうねと、こういうような逃げの姿勢があるわけですね。決して悪い先生ではないと思うんですけれども、そのような逃げの姿勢が先生にある。これは大変に嘆かわしいことだと思います。 このように先生に非常に逃げの姿勢が多いということ、この点をどういうように思っておられますか。
○説明員(林田英樹君) 確かに御指摘のように、最近中野区におきまして発生いたしました事件におきましても、先生が今御指摘のような類似いたしましたケースがあったように聞くわけでございます。 確かに、いじめの問題と申しますのはまず第一に発見が難しいということが一つあるように思います。実際に子供たちの生活の実態は、きめ細かく接触し、かつ注意を傾けませんとなかなかわからないというようなことがございます。それからまた、いわゆる遊び型というふうないじめも非常に多いというふうに聞いておるわけでございます。こういう点につきまして、従来教師の間に必ずしもいじめの問題の深刻さというものが認識されていなかった面が一つあるのではないかというふうに思います。 それからもう一点は、実際に発見いたしましてもこれに対する指導というものは単にいじめておる者に対して注意を与えるというだけでは終わらない、もう少し幅広い学校、クラス全体の指導を改善をしていくというふうなことも必要になってくるような面がございます。それから、単に教師一人だけでは対応できない、学校全体として対応しなければならないというふうな面が非常にあるのでございます。こういう点につきまして、従来ややもすれば学校全体としての取り組みがおくれているのではないかというふうなことも、私どもとしても感じております。 不幸な事件を契機にいたしまして、こういう点につきましての学校の認識というものもかなり私どもとしても深まってきておるように思いますし、私どもも一層深めてまいるようにいたしたいと思っておりまして、そういうことを通じていじめが根絶されますように努力してまいりたいと思っております。
○抜山映子君 申し上げたいのは、学校全体で取り組みたいということを言われましたけれども、現在、各学校において校長先生は全く浮き上がった存在なんです。ほとんど学校の先生方が校長先生を無視しているという状態、この点を文部省は把握しておられますか。
○説明員(林田英樹君) 御指摘のように、学校におきまして教職員の一致協力態勢ができにくい場合にいじめ等の問題行動などが多発しがちであるということは、私どもも感じておるわけでございます。これも都道府県、学校によってかなり違いがあるわけでございますけれども、確かに、御指摘のような校長の職務権限と申しますか、こういうものが十分に発揮できないような状態にあるということはいずれにいたしましても遺憾でございますし、問題行動ばかりではなく、学校運営全体に支障が出てまいるわけでございますので、こういう点については適切な校長のリーダーシップの確立ということにつきまして従来、各都道府県教育委員会を指導してまいっておるわけでございますけれども、今後とも一層その指導に努めてまいりたいと思っております。
○抜山映子君 自殺者がたくさん出ていますが、自殺している学校というのは全部公立学校なんですね。私立ては、いじめによる自殺というのが統計の上では出ていないわけです。もりろん、私立の学校はある程度レベルがそろっているということもあるかもしれませんけれども、やっぱり校長先生を初めとして学校の先生が教育にまじめに取り組んでいるということがあると思うのですが、この点はいかがですか。
○説明員(林田英樹君) 私立の学校のことがよく話題に出るわけでございますけれども、現在の例えば中学校で申しますと、学校数で申しましても約五%程度であったと記憶しておりますけれども、それから生徒数も約三%前後ということでございますので、絶対数におきましてかなり相違があるわけでございます。 それから、公立の学校でございますから義務教育でもございますので、いかなる子供たちをも公立の学校は受け入れなければならないということであるわけでございます。したがいまして、そういう意味で公立学校というものは非常に重い役割を担っているという点も御理解をいただきたいわけでございますけれども、いずれにいたしましても学校がその責務を発揮いたす努力という点において問題があるといたしますと、私どもとしてもこの改善に努めなければならないと思っているわけでございますし、最近におきましても都道府県教育委員会、学校関係者におきましても相当改善のための努力が続けられてまいっておるものと考えておるわけでございまして、私どもも一層その方向で努力してまいりたいと思っております。
○抜山映子君 アメリカのいじめと日本のいじめとの対比ということを行われた統計がございますね。これによりますと、米国のいじめは一対一のけんかが多い、ところが日本は弱い者を全員でいじめる、こういうことがあるわけです。 アメリカになくて日本にあるもの、これはおのずから明らかだと思いますけれども、今私が一番問題なのは、学校の先生が月給以外のことはやらない、こういうような不文律があるようです。ですから、子供とコミュニケーションを図るための課外の活動にはなるべくタッチしない、タッチする先生がいると村八分にする、こういうような傾向が物すごく多いわけです。 大体、しかるということは大変に時間のかかることであり、手間のかかることであり、エネルギーを要することです。悪いことだからいじめをやめさせようと思うと、やはり先生が自分の人格を生徒と発止とぶつけて、そして直させなければいけないのですけれども、そういうことは月給の範囲外である、こういうような空気が学校に蔓延しているので、いじめを学校で処置できない、こういうことになっていると思いますが、文部省はその点どうお考えになっていますか。
○説明員(林田英樹君) 日米の比較の問題が出ましたので、簡単にその点について先に御説明させていただきたいと思います。 一つは、日米の問題行動全体を比べてみますと、米国におきましても暴力行為を初めといたしまして非常に問題行動が多いというのは事実でございます。統計的なそういう問題行動全体で見ますと、格段に米国の方が多いということが言われておるわけでございます。今御指摘のいじめ問題につきましても、先般ある財団から調査結果が発表されましたけれども、その中で出ておりましたのでは、日本の場合は大勢で少数の者をいじめる、米国の場合は大勢で大勢をいじめておるというふうな調査統計が出ておりました。それぞれ行動の形態は違うと思いますけれども、いろんな形で問題行動に対して苦労しておる実情はかなり似通っている面もあるのではないかというふうに思っているわけでございます。 それから、教師がいじめの問題に対する取り組みにおきまして決められた範囲の業務しか行わないというふうなことの御指摘がございました。確かに、今の特に中学校などにおきましては、多くの先生方がまじめに取り組んでいただいておるわけでございます。先生方のお話を聞いておりますと、本当に頭の下がるような方がたくさんいらっしゃるわけでございます。夜中の十時、十一時まで家庭訪問やら地域の巡回というふうなこともなさっている方が非常にたくさんいらっしゃることもお認めいただきたいと思うわけでございますけれども、御指摘のように、教員の職務と申しますのはなかなか時間ではかれないような業務もいろんな形で出てまいるわけでございます。そういうときに私どもといたしましては、ぜひ教師としての使命感を持って、時間が来たから生徒指導においても必要であるけれどもかかわらないというような形のことがないようにはお考えをいただきたいと思っておるわけでございます。
○抜山映子君 もちろん使命感を持って一生懸命やっていらっしゃる先生も多数あることは私も認めますけれども、全体の雰囲気として、月給外のことはやらない、教師は労働者である、こういうように言われておる言葉が既にそのことを物語っておると思います。 ところで、いじめによる転校ですね、区域外就学は今どれぐらいになっておりますか。
○説明員(林田英樹君) この件につきましては、昨年、文部省が通知を発しました際に、いじめによりまして心身の安全が脅かされるような深刻な悩みを持っている場合につきましては転校でございますとか区域外就学の適用が可能であるということを確認をし、かつ運用の適切を指導したわけでございます。 それで先般、二月に発表いたしました文部省の調査によりますと、昨年六月二十九日に今申しました通知を発したわけでございますが、それ以降十月三十一日までの間に、いじめによりまして就学校の指定の変更または区域外就学の受け入れを認めた事例のある市町村は六十六市町村ということになっておるわけでございます。
○抜山映子君 いじめ問題に対応して多くの都道府県で児童相談所とか警察とか法務局等と連絡会議等を持っているということを聞いておりますけれども、幾つの都道府県でそういうことを行っておりますでしょうか。
○説明員(林田英樹君) 各行政機関、中央段階におきましても各省庁が協力して非行防止のために取り組もうというようなシステムはあるわけでございますが、この非行防止対策推進連絡会議におきまして、昨年の十一月十五日に申し合わせをいたしまして、関係省庁の連携の強化でございますとか地方における連携体制の整備ということの申し合わせをいたしまして、都道府県等に対しましても通知を流しまして協力を要請したところでございます。 これによりまして、総務庁の方で先般開かれました会議におきまして席上報告のありましたところによりますと、都道府県レベルにおきましては、すべての都道府県におきまして都道府県の関係機関の間の連絡協議の場ができましたし、それから国の機関等につきましても、多くの場合はオブザーバーというような形での出席でございますけれども、参加をされるような体制が整備をされておるというふうに伺っておるわけでございます。
○抜山映子君 いじめを転校によって処理しようとしたり連絡会議を設けたり、もちろんこれは必要ではございますけれども、これは抜本的な解決にはならない。三十年かかってこういう事態が今生まれておるわけですから、かなりこれを矯正していくのも時間がかかるであろう。学校の中でいじめが起こるんですから、いじめの解決は学校がまず責任を持って当たるべきだ、これは日教組も言っておることですから、ひとつ文部省として真剣に取り組んでいただきたい、このように要請して、私の質問を終わります。
○中山千夏君 最初に、人権擁護制度運営費について少しお伺いしたいと思います。 六十年度の予算に比べまして六十一年度、前年のように少し増額がされておりますが、その増額されている部分の中で、諸謝金というところがございますね。これは、六十年度は前年から据え置きで四百二十三万ちょっとということだったようですが、六十一年度は百三万円ぐらいの増になっていますね。これは、増額分は講演謝金に充てられているようにこの書類を見ると思うんですが、講演謝金の増額というのは啓発のための講演回数をふやすということのあらわれなんでしょうか。それとも、単価と言うと変ですけれども、一回講演をしていただくそのときの一回の金額が上がるのであるということなんでしょうか。細かいことで、もしおわかりになれば、ちょっとお話をしていただきたいと思います。
○政府委員(野崎幸雄君) 今予算の点については通告がございませんでしたので細かい数字を持ってまいっておらないのでありますが、本年度は、いじめ体罰につきまして新規に予算要求をいたしまして、これにつきまして新たに新規予算として七百万円余りの金額が認められております。この中に今委員が御指摘になりました諸謝金百三万九千円というのが入っておるわけでございますが、これは、いじめ体罰に関する啓発としていろいろ講演会、シンポジウム等を計画いたしておるわけでありまして、これについての予算の総額でございます。
○中山千夏君 そうすると、いじめ体罰を新設したことに伴って結局は、単価を上げるということではなくて、講演の回数がふえる、啓発のために運動が活発になるということだと理解していいんですね。
○政府委員(野崎幸雄君) さようでございます。
○中山千夏君 それから、人権侵犯事件の受理件数の推移を事前に表でいただいたんですけれども、五十八年、五十九年、六十年と三年分の数をいただきました。これを見ますと、五十八年に比べて五十九年は受理件数が下がりまして、六十年度になると再び上がって、上がった結果、五十九年度よりもふえているというような結果になっています。それで、今年度もこの受理件数はふえるのではなかろうかと私は思うんですが、とにかくもとの数が私が予想していたよりもとてもたくさんなので実はびっくりしまして、一つの局でどのくらいの方たちがどのくらいの件数を処理していらっしゃるか知らないけれども、とにかく今はどこでも人員不足ですから、とても大変な目をして処理をしていらっしゃるんだろうと思うんです。これは受理をした件数だけですから、さらに相談に来られて受理までは至らなかったとかというようなものまで入れていたら、とても大変だろうと思うんです。 この受理件数というのは、今六十年度が一万四千六百八十二件ですか、大体このあたりの上下なんでしょうか。それともことしはもうちょっとふえるだろうとか、その辺の見込みをお話しいただきたいと思います。
○政府委員(野崎幸雄君) 人権侵犯事件の受理件数につきましては年ごとに多少差がございますが、ここ数年は一万五千を大体上下しておるという状況でございます。
○中山千夏君 そこで、人権擁護に係るお金というのは結果が形になって出てこないものですから、非常に予算をお取りになるときも難しいというふうなことも聞いておりますし、何かと技術的なことがあるのだろうと思うんですけれども、各目明細書の中に人権擁護業務庁費というのがありますね。そこの内訳の中に、さっきおっしゃった、いじめ体罰問題ですか、その対策費というのが新設されています。それから、その内訳の中で、地域改善対策事件処理経費という、これも千三百万円弱増額されています。ところが、人権侵犯事件処理経費というのは二百二十六万円余の減額というふうに数字の上では前年と比べまして出ているんですね。これはどうなんでしょうか、一般の人権擁護業務の後退を招くようなことにはならないであろうか。中でいろいろ技術的にそうで はないということがあるのかもしれませんけれども、字面だけ見まして、ちょっとそういう気がしたものですから、お伺いします。
○政府委員(野崎幸雄君) 御承知のように、今国家の財政状況というものは非常に厳しいものがございまして、それが予算要求にも及んでまいってきておるわけでございます。私どもは今年度の予算要求をいたすに当たりまして、いじめ体罰の問題についてもどうしても新規要求をしたいということを考えました。これを出すに当たりまして、在来の予算の中でこのいじめ体罰の問題と比較して劣位にあると考えられるものがございましたので、その分を二百二十万ばかりスクラップをいたしまして、そしてこのいじめの予算の要求を立てたということでございます。 現在は新規の予算というものを原案の中でお認めいただくのが非常に困難な状況にあるわけでございますが、本年度の予算原案におきましては、先ほども申し上げましたように、いじめ体罰関係の予算を七百万円余り認めていただくことができました。これは私どもといたしましては非常によかったというふうに考えておるところでございます。
○中山千夏君 一般の今までやってきた業務の中で、予算が減額するということのために人権擁護業務の中で後退する部分が出てくるのじゃないだろうか。いじめ体罰の方はいいんです。それは私もできてよかったと思いますけれども、そういう心配も一方にあるんです。 本当に一番いいのは、今までの予算でいじめ体罰の方もできるとよかったというふうに局長もお考えではないかと思うんですけれども、そういう予算の関係で、人権みたいな目に見えない部分が圧迫されていくという、もしそういうことがあれば、非常に問題だと思うんですね。この予算の割り振りでもって十分今までのような対応ができる、あるいは今まで以上にもっとよくできるのだということは言い切れますでしょうか。
○政府委員(野崎幸雄君) いろいろな施策を展開してまいりますためにはどうしてもお金が必要になるわけでございまして、予算額というものはそういった意味でできれば多くいただきたいという気はどなたも多分お持ちになっていらっしゃることであろうかと思うのであります。しかし、今の財政状況のもとでは我慢すべきところは我慢してやっていかないといけないということであろうかと存じます。 この本年度の予算原案におきましては、例えば人権擁護委員の実費弁償額というものが一千百五十万増額されておるわけでございますけれども、これはこれまで数年に一度増額があったのが、昨年に引き続き増額をお認めいただいておるわけでございます。また、地対関係におきましても相当額のアップをいただいておる。それから、先ほど申し上げましたいじめ体罰につきましては新規の予算を認めていただいたということでございまして、私どもとしては、ことしは人権擁護活動というものが十分認められた予算案であるというふうに考えておるところでございます。
○委員長(二宮文造君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(二宮文造君) 速記を起こして。
○説明員(浅見敏彦君) 突然の御指名でございますが、先生御高承のように、私どもも日本国憲法が基本的人権の尊重をその代表的柱に掲げておるということを十分承知いたしておりますし、今日、特に先ほど来御議論のございましたいじめ問題等を初め、人権の擁護という仕事がやはり国の行政の中でも大変重要だということを念頭に置いて仕事を進めているわけでございます。 ただ、ただいま局長からもありましたように、そうは申しましてもこの行政だけは厳しい財政の中で例外だというようなことを頭から決めてかかることは、これは各種施策それぞれに重要性がございますので、なかなか難しい面がございます。そこで、従来の事業の中でいろいろ節減合理化等、努力によってカバーできるところはその点頑張っていただく。そういった面で努力をした分、今まさる分を新たな施策に向けていくというようなことで、先ほど局長から御説明のありました、新たにいじめ問題を人権擁護の観点からもやっていこうということで、新たなシンポジウムの経費、ささやかではございますが、新規にお認めするなど、私どもとしても限られた財源の中でよく法務省さんとも御相談をして、できる限りのいい予算をつくるという努力をしているわけでございまして、その点、今後ともよろしく御理解と御協力、御支援を賜りたいと存じます。
○中山千夏君 お金が足りないのは仕方がないところもありましょうから、ぜひその中で努力をしていただきたいんですが、そのことに関連しまして、ちょっと一つの事例を取り上げたいと思うんです。 これは一九八五年十二月二十日付の週刊誌にこういう見出しの記事が載っているんです。「女性被拘禁者を男性が監視する人権無視」という題なんです。ちょっと冒頭読みますと、「今年の一〇月二〇日、成田空港反対デモで、女性四六人(男女合わせて二四一人)が逮捕されたが、これらの女性被疑者を千葉県の警察署では男性看守が監視している。友人の弁護士からそのことを聞いた時、私は耳を疑った。」と、この著者も弁護士なんですが、そういうふうに書いていらっしゃいます。 警察にちょっとお伺いしたいんですが、これは事実なんでしょうか、全く女性の看守がいないということは。
○政府委員(小池康雄君) 警察の留置場に女性の被留置者が留置されている場合の看守でございますが、男性と分隔した場所に留置されておりますけれども、一般的には男子の留置担当業務者がその業務に従事しております。ただ、身体検査、入浴などにつきましては、その性質上、婦人警察官や女子職員が行うというようにいたしまして、女性の被留置者の人権を尊重した処遇を行っておるというのが実情でございます。
○中山千夏君 そうすると、これは特に千葉県下だけの現象ではなくて、一般に日本の警察署のいわゆる代用監獄に女性の被疑者が入った場合、その場合には男性が監視するというのが一般的なありようなんでしょうか。
○政府委員(小池康雄君) 例えば警視庁のように、女性だけの留置場というのがございまして、そういうところでは当然、看守、いわゆる留置業務を担当する者は婦人警察官なり女性職員ということになりますけれども、そういうところは全国的には大変少のうございまして、先ほど申し上げましたように、留置室としては分隔したところではございますけれども、留置場という施設の中では男子の被留置者それから女子の被留置者がおりまして、これを同時に監視する業務に当たっております留置業務担当者は、先ほど申し上げましたように、女性の入浴の立ち会いとか身体、衣服のの検査とか、そういう女性の被留置者の羞恥心を害したり不当な精神的な苦痛を与えるようなおそれのある事柄については婦人警察官なり女子の職員がこれを行うということにしておりますけれども、その他の一般的な処遇につきましては男子職員、普通警察官でございますが、男性が当たっておるというのが実情でございます。
○中山千夏君 今最後に、女性に羞恥心を与えるような、屈辱感を与えるおそれのあるようなことは女性職員が行っているということをおっしゃったんですけれども、実際私はこの千葉県の場合の被拘禁者の方たちの陳述というものを大体全部目を通させていただいたんですが、これは身体検査の際とか、そういう限られた問題ではなくて、四六時中男性看守が監視の任に当たっているということ自体が、女性が入った場合には大変な屈辱感を持つことであるし、羞恥心を持つことなんですね。 というのは、その態様を具体的に考えてみるとわかることなんですけれども、まず大体多くの房は最近房内にテレビカメラというのを設置しているわけですよ。そのテレビカメラで監視しているのは男性なわけです。そうすると、一日中その房の中での生活を男性に見られるという結果になる わけなんです。それから、もちろん巡回で来る場合もあります。その場合にやっぱり一番入っていた人たちが問題にするのはトイレなんですね。これももちろん御存じだと思いますけれども、多くの警察署では水洗の操作を房の外でするようになっていて、それについてもやっぱり何かと看守の方が気を使っているわけですよね。看守の方から言えば気を使っていることになるのでしょうが、中に入っている女性からすれば男性にいつも見られている。一々男性に水を流してくれとか言わなくちゃならない。これは普通一般の世間で言えば、ここでも男性のトイレと女性のトイレと分かれています。分けてすら、男の方にトイレに行ったということを知られるというのは女の人は恥ずかしいという人が多いわけですよ。しかもその都度、紙をくださいと言って、一々男の人から紙をもらわなきゃならない。 それから、もう一つの大きな問題は、生理用品です。生理用品も一々言って男の人からもらわなくちゃならない。それから、もっと私はこれは係の方も大変だなと思ったのは、その処理ですね。使用済みの生理用品の処理も、設備が整っていないためにその係の男性に手渡さなきゃならないというようなことがあるわけです。それから、さっきおっしゃった入浴とか身体検査の場合も、確かに婦警さんがついておられるということはあっても、やっぱり男性の看守というものが主体になっていますから、その場で男性の看守が一緒に立ち会いをなすったり、それからまた下着の検査などのときでも、男の看守の方が婦警さんと一緒になって下着を改めるというようなことがある。これはちょっと、普通一般の女性の感覚からすると、もう耐えられないことなんですね。確かに男性がもう大多数、ほとんど全部と言っていいぐらい男性の監視下に警察が置かれているという状態では、そういうことが起こっても仕方がないという感じがするわけなんですね。 そうすると、男性の看守ということをもともと決めていること自体が、入ってくる女性にとっては、これはもう大変な人権侵害になってしまうわけなんですよ。これはやはり考えて、お改めいただかないと、突然というわけにはいかないでしょうけれども、少なくとも改める姿勢を持っていただかないと困ることだというふうに私は思ったんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(小池康雄君) ただいまいろいろ具体的な事例について御指摘があったわけでございますが、女性の被留置者について女子の留置担当業務者がその処遇の業務に当たるべきではないかという御意見というふうに思いますけれども、先ほど申し上げましたような、当然婦人警察官や女子職員が行うべき問題と私ども考えている事柄につきましてはそのように女子が処遇に当たっているわけでございますが、すべての処遇を女子が行うことにつきましては、勤務体制等いろいろ検討しなければならない点も多々ございますので、直ちにそのようにすることはできないと思いますけれども、ただいま御指摘のような女性の被留置者にとって大変これは苦痛であるというような事柄につきましては、その中で女子の職員が当たるというようなことを今よりもさらに若干検討して改善していくということは考えたいと思うわけでございます。
○中山千夏君 ぜひそうしていただきたいんです。 それから、もう一つお願いしたいのは、言葉によるからかいといいますか、その訴えが大変多いんです。からかっている側の方にすれば、つまり男性の看守の側の方にすれば気安く声をかけているつもりかもしれないんだけれども、それが女性という立場から考えますと、例えばここで口にするとちょっと国会を侮辱したというので私が懲罰にかかりかねないような、そういうたぐいの言辞まであるわけなんですよ。 それは私、世間一般のいろいろな男性のありようからして、あり得ないことではないと思うんです。やっぱり警察署に勤めている方だってそういうことはあると思うんですけれども、世間一般の男性とは立場が違うわけです。特に、中に入ってきた人たちの人間的な尊厳というものについてしっかり教育されていれば、そんなこと口にするはずがないと私は思うんです。だから、その辺が女性差別に関する考え方でおくれているところがいっぱいあるので、警察は悪事を取り締まるのに忙しくてそんなことまでなかなか考えていられないかもしれないけれども、少なくともそういう点にもちょっとお考えを伸ばしていただいて、そういう女性を性差別的な言辞でもってからかったり話かけたりというようなことはしないというようなことは徹底させていただきたいんです。
○政府委員(小池康雄君) そのとおりでございまして、警察官なり警察職員というのは、ただでも大変まじめで冗談も言わないというようなことも言われておりますけれども、特に留置場における処遇というのは大変人の自由を拘束してこれを処遇するという厳粛な業務でございますので、その中で今御指摘のような大変不謹慎な勤務態度があるとすれば、私は大変問題だと思います。そういうことのないように、今でもそうないとは思いますけれども、さらにそういう点についてせっかくの御指摘でございますから、徹底しなければならない、こういうふうに思います。
○中山千夏君 ぜひよろしくお願いいたします。警察の方はもう結構です。 それで、先ほど申しました記事の中で、これは警察署だけの問題ではありませんで、千葉刑務所内の拘置区についてもやはり若干、警察ほどではないにしても問題がある。それについても調べたんですけれども、確かに昼間、夕方ぐらいまでは女性がいるけれども、夜はいなくなってしまう。そうすると、夜は男性が監視をして、巡回というんですか、巡視というのですか、して回ることになってしまう。前にも数を伺ったんですけれども、やっぱり数的に見ても、女性の刑務官が完全に女性の被収容者を管理できるような体制には人員の上からもなっていないですね。それで、大体拘置支所で女性が配されているところあるいは配されていないところ、配されていないところを言っていただいた方がいいかもしれない、どのくらいの数に上るんでしょうか。
○政府委員(石山陽君) 全国に拘置支所と申しますと百八庁ございますが、そのうち女性看守が一人も配置されてない施設というのは六十九庁ございます。ただし、この六十九庁の中には、女性看守という正規の刑務官はいないが女子の行(一)あるいは行(二)の職員がいて女子被収容者のためにその都度必要な業務を弁ずることができる職員がいる庁というのは二十五片ございますから、それを差し引きますと残り四十四庁、これが現在までのところ女性が配置されていない施設ということになります。 ただ、もう一つお断りしなければいけませんのは、この四十四庁のうち予算上女子の非常勤職員を必要の都度配置することができるよう予算配分をしてあります庁が三十七庁ございますので、純然たる予算の措置もなければ職員もいないというのは残り七庁でございます。なぜ七庁だけ全然手当てがないかと申しますと、これは毎年、女性被収容者がその年に生じたか生じないかを過去にさかのぼりまして統計的に処理しておりますけれども、過去三年、一遍も女性が収容されたことがない僻地の施設、その分だけ除いてございますので、残り七庁は手当てが全くない、こういうことに御理解願いたいと思います。
○中山千夏君 やはり千葉の例のように、昼間はいるけれども、例えば朝夕の点呼は男性看守が行っている。それから取り調べの呼び出し、差し入れ通知、裁判所の文書等を持って房まで男性の看守が来ることはある、それから上級の男性の見回り、巡回があることはある、それから朝夕の点呼、着がえをしているころ、そういうときに男性が回ってくるとか、実際、文字づらだてではなくて、運用上考えてみますと、やはりこれは完全に女性の人権が守られているとは今の状態では言えない状態だと私は思っているわけなんです。 もう一つ千葉の場合で大変問題だと思いました のは、一日間ですけれども、いわゆる保護房に入れられた方がいるわけです。これは私ちょっと、保護房に入れるというのは男女を問わず問題はありますけれども、殊に女性の場合はえらいことだと思うんですよね。大声を上げたからだという理由は入れられて三日後に聞いたらしいですけれども、とにかく六人の男性看守がその人をばっと取り囲んで有無を言わさず保護房に連れていく。保護房というのはどういうものかというと、これは私も視察をさせていただきましたので存じておりますけれども、とにかく中が全部丸見えなんですね。トイレにさくも何にもない。そこで二十四時間男の人たちに監視されながら入っていなければならない。これはやはりちょっと女性に対する一種の差別的な扱いになってしまう。女性の場合には特にと私は思うんです。女性の場合には、どんな理由があろうともこういう扱いは少なくとも拘置所ではしていただきたくないということを私は痛切に感じたんですけれども、その辺いかがでしょう。
○政府委員(石山陽君) 最近、成田で少し過激派集団等によりますデモその他があって、規制がありまして、確かに新しく数十人の被収容者が千葉刑務所の拘置区に入所したという事実がございますし、今の委員の仰せの事例に適切に当たるかどうか知りませんが、女性の被収容者で一日保護房に入ったという事例がたしかあったように私も記憶しております。 今おっしゃいますとおり、保護房というのはもともと房内等で、本件の場合でございますと、シュプレヒコールをやりまして幾ら制止してもやめない、ほかの被収容者の静ひつを妨げるということでやむなく入れたわけでありますが、そういう女性の被収容者を女性だけで手当てできませんので、時に男子が応援に出ますけれども、こういう場合は刑務官というのは非常に気を使いまして、毛布を何枚も持っていきまして、直接手取り足取りはしないようにとか、それから中へ入りましても、千葉の事例は実際にあったわけでありますが、普通は保護房に入りまして自殺防止等の見地もございますものですから、天井にテレビカメラがついております。ただ、本件の場合には相手が女性でございます。それで、確かに全部見通しがよくて何も遮へい物ございませんが、天井のテレビカメラには何かあらかじめ紙を張っておいて本部の方に見えないようにしたとか、そういう報告も受けているわけでございます。 確かに、男性に監視される保護房に女性が入るということについて、心理的に差別を感ずるということはよくわかります。ですから、昼間等はできるだけ女性看守に当たらせるようにいたしておりますけれども、すべて女性の被収容者に限って保護房に入れないようにしようという措置もちょっとできかねますので、その点につきましては、女性なるがゆえの人権的な配慮というものは男性側も十分配慮して今後やっていかなければいかぬ、このようには考えておるところでございます。
○中山千夏君 時間がないので余り詳しいところにまで立ち入れないんですが、ちょっとこれは石山局長の御意見を伺いたいんです。 いろいろな法令ですとか、それから国際的な基準というようなものがありますね。その中で、女性の被拘禁者に対しては女性が例えば身体検査に当たりなさい、監視に当たりなさいというような、いろいろたくさんそういう決まりがありますね。我々の日本の法令の中でも、監獄法や何かにもありますよね。それは、なぜそういう女性には女性という決まりが設けられているのだというふうに考えていらっしゃいますか。
○政府委員(石山陽君) ちょっと哲学的な御質問でございますので、そうすぐ私も即答いたしかねるわけでございますが、我が監獄法の第三条に「監獄ニ男監及ヒ女監ヲ設ケ之ヲ分隔ス」、分隔という意味はできるだけ仕切りをもって完全に分離する、こういうふうになっていまして、これは古く江戸時代にさかのぼりましても、伝馬町の牢屋でも女監と男監は全然別でございました。 男子と女子を混合で収容するということでは、やはりそれぞれ男性は男性特有、女性は女性特有の心情もありましょうし、それからいわゆる房内における生活におきましても男性と女性の場合にいろいろまた生活の様式も違う場面もございましょうし、先ほど来仰せのような男性、女性という性の区別によるいろいろな処遇の差異もございます。そういうことから、我が国では近代的な法制以前からやはり男性と女性は別々に分隔したところで処遇しなければいかぬ、これが常識として現在まで引き継がれているのじゃないかというふうにとりあえず考えるところでございます。
○中山千夏君 それも確かにそうなんでしょうが、もう一つやはり近代ではつけ加わっていることがあると思うんですね。そこが一番大切に矯正局の方では考えてやっていただきたいところなんです。つまり、男性は同性の監視を受けるわけですよ。で、女性を男性が監視するということになると、女性であるがゆえに異性の看守を受けるわけなんです。だから平等じゃなくなるわけですよね。だから、男女は平等な扱いをされなければならないという考え方が強くあって、ただ管理者側の都合で分離してやった方がいいというようなことだけではなくて、最近の考え方ではやはりその点が強く出てきているので、わざわざ女性には女性をという考え方があちこちの条文などで強く出てきているんだと思うんです。その点はひとつよく考えてこれからよい方向に持っていくようにしていただきたい。これは石山さんに対するお願いです。 それからもう一つ、人権擁護局長の方に、こういう問題、これはすごく大変な人権問題だと思うんです。お忙しいでしょうけれども、こういう行政側の人権侵犯に当たると思われるような事例について、具体的にはこの拘置所に限りますけれども、拘置所それから警察署の代用監獄、そこの女性の被収容者の扱いというものについて人権の見地からよく調査をして、ぜひとも意見を出していただきたいんです。行政側のそういう人権侵犯というようなものを正していくのには、先日も部落差別問題のときにおっしゃっていましたが、やっぱり擁護局が大変力を発揮し得るところだと思って私は期待しているわけです。その点を擁護局の方にはお願いして、それでおのおの御答弁をいただいて私の質問を終わります。
○政府委員(石山陽君) 今、我が国の拘置支所等におきまして、先ほど申し上げましたように女性の看守の絶対数が足りないというようなことのために、やむなく夜間の舎房の視察等については男子に頼らざるを得ない場合というのも、これは現実にはたくさんございます。これにつきましては、私どもも将来、女性看守、正規の女子刑務官の逐次増員に今後とも努力して、女性なるがゆえに男性の刑務官による舎房看守その他について言うに言われない心理的な屈辱感があると、そのお気持ちはわかりますので、そういうものをできるだけなくすように今後とも努力はしたいと思います。 ただ、これが今現在直ちに人権無視だと言われますと現場の刑務官もちょっとかわいそうなんでありまして、例えば、もうこうなったら一例だけ申し上げます。多くは論証いたしません。 我が国の拘置所では、男性看守は夜間女子刑務官がいないときに巡視します場合には、舎房にございまする例えば食器孔、食事等を出し入れする開口部がございまして、そこには特殊錠をかけまして、刑務官自身絶対そこから手が入らない、女性からも手が握れない、こういう措置まで講じて実はゆえなき批判を受けないようにということを考えております。 それから、所長やあるいは監獄の医師というのは、舎房を巡回します場合に単独で房内に入っていわゆるカウンセリングでございますね、これを行うための規定というのは監獄法施行規則の二十九条にございますが、これも夜間独居でおる婦人房には、ほかに人がいない場合には所長以外の男性の刑務官にはこれを許さないというような形でそれなりの配慮をしているわけでございます。で すから、男性が女子区に入りまして舎房の視察等をするという事態は現在の人員事情や勤務事情によってまことにやむを得ざることでありますが、これは今後とも私どもは行政努力で直していきたいと思いますが、決して人権を無視したり、いじめとかそういうものにつながることだけはさせないし、また、そういう実態もないつもりでおると、これだけはぜひ御理解いただきたいと思います。
○中山千夏君 ありようそのものが人権問題ということで……。
○政府委員(野崎幸雄君) 警察の留置場や拘置所に監禁されておられます被収容者、収容されておられる者に対してもその人権というものに対する十分な配慮というものがなされなければならないということは当然のことでございます。 今、いろいろ女性の被収容者の処遇につきまして女性の目から見た問題点を御指摘になったわけでございますが、警察におきましても、また矯正局におきましてもいろいろ今後その処遇については考えていきたいということを申されておられるようでございますし、私はいろいろこれから配慮をしていかれるであろうということを確信いたしております。この問題は人権擁護上も非常に難しい問題がございますが、私どもはこういった警察それから法務省の矯正局の対処につきましてもその推移を見守りますとともに、もし仮に人権を侵犯したと見られるような事件が出てまいりましたときには厳正適正に対処してまいりたいと、かように考えております。
○委員長(二宮文造君) 他に御発言もなければ、これをもって昭和六十一年度一般会計予算、同特別会計予算及び同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管についての委嘱審査は終了いたしました。 なお、委嘱審査報告書の作成については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(二宮文造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十六分散会