法務委員会 第4号
- 発言数
- 315 件
- 登壇者
- 39 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1986/03/27
会議録
○委員長(二宮文造君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨三月二十六日、中村鋭一君、谷川寛三君及び吉村真事君が委員を辞任され、その補欠として抜山映子君、林ゆう君及び大坪健一郎がそれぞれ選任されました。 また、本日、林ゆう君が委員を辞任され、その補欠として倉田寛之君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(二宮文造君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案並びに検察及び裁判の運営等に関する調査のうち、法務行政の基本方針に関する件を便宜一括して議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○寺田熊雄君 この法務省から配付していただきました法律案の資料によりますと、簡易裁判所の訴訟事件、督促事件、調停事件の増加が著しいのでありますが、その原因と対策についてお伺いをいたします。
○最高裁判所長官代理者(上谷清君) 簡易裁判所の訴訟、督促、調停事件は近年増加が著しかったのでございますが、昭和六十年度で見ますと、訴訟事件は増加しておりますが、督促事件はほぼ前年度並みに推移いたしました。それに対しまして民事の調停事件はかなり大幅に減少いたしております。パーセントにいたしまして昭和五十九年度に比べて約四〇%余り減ということになっております。そうは申しましても、ここ数年来非常に事件は多うございますので、調停事件が五十九年度に比べてかなり減ったとは申しましても、なおかなり高い水準にあるというふうに言ってよいかと存じます。 その原因でございますが、訴訟事件と督促事件につきましては、これほど急激に増加いたしました主な原因は、いわゆるクレジット関係の事件が大幅に増加したということでございます。そのクレジットの中にも、分割払いによる商品の売買というようなものもございますし、それから金銭の貸借というふうなものもあるわけでございますが、そういうものに加えましてサラ金関係の事件も増加する、こういうふうなことが最近の事件増の原因だというふうに見てよいかと思います。調停事件につきましては、最近の急増の原因は、これは専らサラ金からの取り立てに対して債務者側が救済を求める調停事件、これの増加が最近の調停事件増加の大きな原因でございます。いわゆる民事調停の中に占めるサラ金調停の割合がここ数年来、少ないところで六、七〇%、多いところでは八〇%というふうな割合を占めておりますことから見ましても、今申しましたような原因は裏づけられるかと存じます。 これに対しまして対策の問題でございますが、先ほど申しました訴訟事件、督促事件につきましては、いわゆる消費者信用、クレジットあるいはサラ金関係の事件でございますので、一つは利息、損害金の計算事務が大変多うございます。したがいまして、そういうふうな計算事務を効率的に行うという趣旨から、私どもといたしましては、事件の多い簡易裁判所に、特に訴訟それから督促事件用にはパーソナルコンピューターを配付いたしまして、それから調停事件の処理用には、やや小型でございますが、ポケットコンピューターなどを配付いたしまして、計算事務を迅速に行うというふうな対策を一面とっております。 それから、このようなクレジット関係の事件は大体定型的な主張が多いわけでございます。したがいまして、訴状あるいは支払い命令の申立書あるいはまた判決書、そういうふうなものもほぼ類型的な定型で処理することができるわけでございます。そういうふうな定型的な書類を例えば窓口に備えつけまして、当事者の方にはできるだけそういうふうな定型的な書類で要件を漏れなく、必要かつ十分に主張していただく。そうすることによりまして裁判所の方も事前に数字をチェックし、ミスをチェックするのに便利なような方策を考えておりまして、幸いにしまして、当事者等も最近はかなりそういうふうな定型的な書面を利用して裁判所の事務処理に協力していただくようになってきております。そういうふうな形で定型的な処理をいたしますことによって全般的な効率的な処理を図っておるわけでございます。 そういうふうな、今申しましたのは、どちらかと申しますとハード面の工夫でございますが、もう一つ、やはり裁判所の事務処理体制についていろいろ工夫して効率を上げていかなければならない。例えば法律問題の解釈一つにつきましても、最近割賦販売法の改正がございましたとかあるいは貸金業の規制法の改正がございまして、その解釈についていろいろ難しい問題が出てまいります。そういうふうなものについて会同あるいは協議会等を精力的に開催いたしまして皆様方に御議論いただき、その結果を執務資料という形でまとめまして各庁にお配りする、そのようなことをいたしますと同時に、各裁判所でいろいろ効率的な処理のために工夫いただいておりますところを取りまとめまして全国の裁判所に御紹介して、できるものから順次取り入れていただいている、そのような対策を講じているわけでございます。
○寺田熊雄君 今、六十年度が五十九年度に比較して減少している数字があらわれているというお話がありました。これは時間の関係がありますので、六十年度の数字がおわかりでしたら後で届けていただけませんか。
○最高裁判所長官代理者(上谷清君) はい。
○寺田熊雄君 それから、地方裁判所の不動産競売事件、債権に対する強制執行等の事件の増加、これもまたこのお配りいただいたパンフの数字によりますと非常に増加が著しいですね。これも同じような原因なんでしょうか、ちょっと御説明ください。
○最高裁判所長官代理者(上谷清君) この執行事件の増加の原因というのは、ちょっと正確にはつかんでおりません。 一般に言われておりますところから申しますと、不動産の競売事件あるいは抵当権、担保権実行のための競売事件、そういうようなものについては、やはり全般的な経済の不況とか、そういうふうな影響がかなりあると言われておりますし、それからいわゆるマイホームを購入したけれどもその代金が支払えないというふうなことで抵当権を実行されるというふうなケースがふえてきているとよく言われております。あるいは当たらずといえども遠からずというところではないかと思いますが、裁判所として特別その原因、傾向等の調査はいたしておりませんので、はっきりしたことはちょっと申し上げかねます。 債権執行の関係では、恐らく、やはり先ほど申しました督促事件あるいは簡易裁判所の訴訟事件の増加に伴いまして債務名義が必然的にふえてまいります。そういうふうなものの支払いかないために、給料の差し押さえというような形で債権差し押さえの事件がふえてくるという要因はあろうかと思います。それ以上の特別の原因というのは、ちょっと正確にはまだ把握いたしておりません。
○寺田熊雄君 破産事件の増加が著しいのですが、これはどういうふうに把握しておられますか。
○最高裁判所長官代理者(上谷清君) 破産事件は、これは裁判所で実情を調査してみますと、最近の急増の原因はいわゆるサラ金苦に責められて自己破産を申し立てる、こういうケースが非常に多い、これが増加の原因でございます。これも、各裁判所によりましていわゆるサラ全自己破産の占める割合は若干違っておりますが、少ない庁でも六〇%、多い庁になりますと八〇%がそういうサラ全自己破産で占められておる、そういうことになりますので、最近の急増の原因はいわゆるサラ金関係ということが中心になっていると思います。 なお、この点につきましても、昭和五十九年度まではもう急増を続けてまいりましたが、幸いにして昭和六十年度はやや大幅な減少になっております。ただ、全体といたしましては破産事件数が数年来増加したままいわば高いところで安定してきた、そういうふうな傾向でございます。
○寺田熊雄君 それでは、そうした六十年度の数字も全部やはりお届けください。 今回、裁判官の増員が極めてわずかですが、ありましたね。書記官の増員の必要はないのでしょうか。最近かなり大規模な出資の預け入れを目的とする会社などの倒産がありまして債権者が非常な数になる、万を数えるような数になるというような事件もあるようであります。そういう場合、その処理にかなり書記官の事務が増加するのではないだろうかというふうな考えが当然起こるのでありますが、これはどうでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(山口繁君) 御指摘のとおり、豊田商事の破産事件などに象徴されますように、昨今の破産事件の中には比較的大型なケースが見受けられるわけでございます。事件の動向につきましてはただいま民事局長から御説明したとおりでございまして、私どもといたしましては、これに対処いたしますために昨年まで、わずかずつではございますが、書記官、事務官等につきましても増員をお願いしてまいりましたし、内部的に申しますと、比較的余裕のある部門から忙しい部門へ人員を振り向ける等の努力もいたしました。かたがた、民事局長の御説明にございましたように、事務処理上の工夫などもいたしまして対応してきたわけでございます。 本年度におきましても、民事執行法に基づく執行事件処理の充実強化のために書記官は四人、事務官は六人、それから破産事件処理の充実強化のために書記官二名、事務官四名、簡裁における民事訴訟事件処理の充実強化のために書記官四名、事務官九名、それから督促事件処理の充実強化のために事務官十名の増員をそれぞれお願いしているところでございます。
○寺田熊雄君 それで賄えれば結構でありますが、もし賄えなければ、現場の職員であるとかあるいは全司法労働組合などの意見も十分お聞きになりまして、その事務処理に遺憾のないように、労働強化が急速に高まらないようによく御配慮いただきたいと思うんです。 それから、私どもが絶えず関心を持っておりますのは、やっぱり裁判官、検察官の充実の問題であります。この充実というのは、単に十分な人員が確保できるというだけではなくして、その質がやはり大切だと考えております。 私どもは、よく昔はとかあるいは最近の若い者はとかいうような老人の決まり文句が正しいなどとは少しも考えておりません。若い者も皆優秀な方がそろっておると思うのであります。しかし、我々同期の裁判官の友人などといろいろ話してみると、例えば最近の民事判決などちょっとどんな結論になるか心配だというような声があることはやっぱり事実なんです。我々の常識では当然勝訴になるようなものが敗訴になる、これはだめだと思ったものが案外勝訴判決が出ると、そこは大分年代の断絶がありますからやむを得ないのかもしれませんけれども、一面また裁判官の質、ことに民事関係の事件に対する見方であるとか事実認定あるいは法律判断、そういうようなものにどうもやっぱり多少裁判官の質が影響するのではないだろうかというような、多少手前勝手な判断もできるのであります。 どうなんでしょう、修習生の中で裁判官志望はかなり成績のいい者、もっとも成績がいいから必ずしもいい裁判官だとも限りませんが、私どもの過去の経験でも、試験の成績がトップだった者がさて裁判所に配属されますと、ベテランの裁判官の評価はその人がナンバーワンではなかったようで、だから成績には限らないけれども、総合的な判断であなた方が見て優秀だと思う人が多く志望している現状なのか、その点率直に見ておられるところを述べていただきたい。 これは、同時に検察官についても言えるんですね。最近検察官志望が極めて少ないということも聞いておるんですが、これは事実かどうか。やっぱり検察官も優秀な人が検察官でないと困難な事件は処理し切れない。もっとも最近は特捜部のような大変たくさんの充実した組織があって集団的に処理なさるので、非常に困難な事件もどんどん処理していくというような、そういう姿も見られるのでありますけれども、やっぱり個々の検察官の質がよくなくてはいけないと私ども考えておるんです。ことに地方にばらまかれた場合にそれがやはり大切でありますので、現状はどうなのか。裁判官と検察官、それぞれお答えをいただきたいと思うんです。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 私どもの後輩としてたくさんの優秀な裁判官を得るというのは、これは司法行政に携わる者の最も大切な仕事であり、そしてその仕事、特に司法研修所あるいは大事に当たる者といたしましては、常にそのために心を砕いているわけでございます。もちろん、裁判官の優秀さというのは単純な法律知識あるいは判決技術というものだけでは判断できるわけではございませんが、そういったすべてのものを含めました総合的な能力あるいは事実認定、法廷の運営等の上での総合的な意味での人格、識見という点でできるだけ優秀な者を得たいというように常に心がけ、そして年度によって多少の違いはございますが、現在でもやはり裁判官を希望して、そして判事補として任命されていく者は大体において優秀というふうに考えていい者が来てくれているものというふうに考えております。
○寺田熊雄君 数はどうなんでしょうか、志望者の数。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 志望者の数につきましては、昭和五十年代後半から少し数が減り始めまして、六十名台の希望者でまいりまして、昨年は五十三名という非常に少ない希望者であったわけでございます。昨年のそういった状況、そればかりではございませんで、ここ数年の漸減傾向ということから、私ども、裁判官の仕事の重要性を理解してもらう、あるいは裁判官の仕事の魅力というものをできるだけ修習生に理解してもらうということを心がけ、そのほか、昨年の委員会で寺田委員からも御指摘がございましたが、初任時の待遇の問題につきましても、今年度の予算案に初任給調整手当を二万三千円から七万三千六百円という三倍以上の額に引き上げるという内容も盛っていただくことになり、そういったいろんなことがあるいは影響いたしましたのか、ことしは現在のところ七十名の希望者を得ておる状況でございます。 もちろん、これでもってまた回復していったものというふうに考えられるかどうか、これは予断を許さないところでありますので、さらに努力を続けていきたいと思っておるわけであります。
○政府委員(根來泰周君) 検事の関係について申し上げます。 まず、数の問題でございますが、過去十年、毎年大体五十人程度の者が司法修習生から任官しております。ただ、これも大体五年サイクルで極端に下がる場合がございます。例えば五十六年には三十九人ということで、来年度六十一年には今のところ三十四人の希望者がおるということでございまして、そういうことから検事の任官者数が少ないのではないかという御批判もあるわけでございますけれども、私個人の考えといたしましては、一年だけ少ないから検事の数が少なくなっているという現象ではないと思うわけでございまして、来年、再来年も見まして今のような状況が続きますと非常に憂慮すべき状況だと思いますけれども、ことし三十四人だから非常に憂慮すべき状況だというふうなことではないと思います。五十人程度の任官者を得られれば定員を充足する数だというふうに考えておるわけでございます。 それから、質の問題でございますけれども、ただいま最高裁からお話がありましたように、私どもも一般的には検事には優秀な者が来てくれておるものと確信しておるわけでございます。私も最近、地方検察庁に勤務いたしましたけれども、個個に見ますとやはり足らざるところがあるというふうにも思いますけれども、若い検事を指導する場合には人格、識見ということがまず肝要でございまして、それの陶冶を通じまして立派な検事に育てていくということが必要だろうというふうに考えておるわけでございます。私ども古い者から見ますと、やはりおっしゃるように、若い者はというような感じもいたしますけれども、最近のいろいろ技術革新等から見まして、むしろ若い者から教えられる点がたくさんあるわけでございまして、そういう面でいろいろ優秀な面があるというふうに思っているわけでございます。
○寺田熊雄君 志望者の人数が非常に少ないというのはやっぱり余り軽く見るわけにもいかぬわけですから、これはどこに原因があるのか、その原因があなた方で除去できるならば除去するという努力も考えていただかないといかぬわけです。 人数が少ないというのはやはり裁判官についても言えるけれども、どうしてもかなり窮屈な身分関係がありますね。私どもも判事やめたときには本当に気が楽になった記憶がまだはっきり残っている。かなり窮屈だし、仕事も難しい。だから、自由に飛び回れる、自由に抱負経綸を生かすことができる弁護士の方が若い者には魅力があるんだろうけれども、それをこちらに引き寄せるというならば、使命感を持った人なら来てくれるだろうけれども、どうしたら来るのか、来ない原因はどこにあるのか、そういう点をやはり慎重に考えて、待遇が悪いなら思い切って待遇の是正を求めるという努力もしなきゃいかぬし、十分その点を考えていただきたいと思いますが、これは官房長どうですか。
○政府委員(根來泰周君) 御趣旨はごもっともでございまして、最高裁からもお話がありましたように、待遇問題等につきましては、ただいま御審議いただいております予算案の中で飛躍的に初任給調整手当をふやしまして、任官直後の検事の待遇改善を図っておるところでございます。そのほか、検察庁の内部の問題あるいは最近の司法試験の問題、いろいろな問題がございますけれども、そういう問題を総合的に検察庁と法務省が協賛して、その打開を図っているところでございます。
○寺田熊雄君 検察審査会の存在意義は私ども高く評価しているのだけれども、一体第二条一項一号事件というのはどのくらいあるのだろうか、それからその中で起訴相当の議決をした件数がどのくらいあるのだろうか、検事正がこれに従ったものと無視されたものとはどのくらいの比率なんだろうかという点を、これは大事な問題だから後で表にして出していただけませんか。それから、法第二条一項二号事件がどのくらいあるのだろうか、その主な内容はどんなものだろうか。これは検察審査会制度を見直す上で非常に重要なものだと思いますので、これはひとつ委員会の方に、各委員に配るぐらいの御配慮をいただきたいと思います。 それで、時間がないので、なるべく簡潔に今の点をひとつ答えていただけませんか。
○最高裁判所長官代理者(吉丸眞君) 検察審査会が取り扱いました受理件数、簡単にということでございますので、最近の三年間について申しますと、昭和五十八年は受理件数が千九百七十一件、またこの年度内に起訴相当、不起訴不当の議決をした件数は六十四件でございます。次に、五十九年につきましては受理件数が千四百五件、この期間内に起訴相当、不起訴不当の議決をした件数は五十七件でございます。六十年度におきましては受理件数が二千二百四十四件、この期間内に起訴相当、不起訴不当の議決をした件数が五十八件でございます。 また、起訴相当または不起訴不当の事件につきまして検察庁がどのような処理をされたかという点でございますが、五十八年につきましては九十七件のうち七件について起訴、九十件について不起訴維持ということになっております。また、五十九年につきましては六十八件中八件について起訴、六十件について不起訴維持でございます。六十年につきましては四十九件のうち十五件について起訴、三十四件について不起訴維持ということになっております。 なお、建議、勧告につきましては、最近五年間では五十六年に一件、五十九年に一件、このような数字でございます。
○委員長(二宮文造君) 先ほど寺田君から要求のございました資料は、委員会に御提出願えますか。
○最高裁判所長官代理者(吉丸眞君) 資料は委員会に提出させていただきます。
○寺田熊雄君 それからあと二問ほど残っているのだが、我々が訴訟を担当します場合に、不法行為による被害者を救済する場合、それを目指す場合、弁護士報酬というものを日弁連の規定で大体考えるのが妥当でありますけれども、しかし例えば検察官の犯した人権じゅうりん事件というようなものを民事訴訟で提起して、それで勝訴判決を得るということはこれは大変な努力で、私どももやはりそういう事件を担当した場合に、裁判所の認定額が例えば五万円なんというものが認定されるんだけれども、裁判官の一カ月の労働以上の労働をやる。それもやっぱり人権を守るという弁護士の任務から来る使命感に燃えて、我々はほとんどただ働きをするぐらいなつもりでやって、その結果がそういう非常に安い評価しか受けないという点では、どうもこれは裁判官の常識を疑わざるを得ないような問題がある。 それで、ここに今一つ私は現実に判決を持っている。この判決は、おとついの質問でもちょっと顔を出しました岡田理という、これが警視庁の機動隊から大変な暴行を受けた。それで損害賠償の訴訟を起こした。これで勝訴判決を得て、弁護士報酬を十万円という認定がある。この事件なども恐らく何年もかかっているし、その弁護士の労働というものは裁判官の何カ月分の労働に相当する。これは裁判官が弁護士になってみるとわかるんだけれども、それを十万円という評価をするのはどういう常識によるのだろうかと考えざるを得ないわけです。 昔、関宏二郎という戦前に大変立派な裁判官がおりまして、これは生きておられたら昔の大審院長になること間違いないと言われた人です。こういう優秀な裁判官ほど、離婚の際の慰謝料など、ほかの裁判官がもうけちけちした額しかやらないのを、思い切ってぽんと高い額の判決をなさったことをいまだに私記憶がある。少壮判事時代に関民事部長の判決というのは、我々にとっては模範的な判決だった。裁判官が弁護士報酬などをやる場合に、やはりもうちょっと現実に即した判断をしていただけないものだろうかと考えるのであります。 殊に名誉棄損に対する損害賠償額などについても、これは小野清一郎先生が大変名誉の保護の問題については研究をしておられたんですが、日本の裁判官は名誉というものに対して非常に低い評価をしているんじゃないかと思われる。個々の判決を余り問題にするわけにいきませんので、最高裁でいろんな研究の場があるわけですから、これはぜひひとつこういう問題を考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
○最高裁判所長官代理者(上谷清君) ごく一般論として申しますと、弁護士報酬に限りませず、いわゆる精神的、知的労働と申しますか、そういうふうなものに対する評価は非常に重要な問題だと思います。我が国では比較的そういうふうな精神的、知的労働に対する評価が十分ではないのじゃないかという議論がよくあるわけでございますし、その点は私どもも十分認識いたしております。各裁判官もやはり同じような仕事をしておるわけでございますから、そういうふうな精神的、知的労働に対する評価については十分高い評価を与えるべきだというふうなお考えは恐らく持っておられるのではないかと思いますが、今委員からの御提案もございましたし、今後、例えば協議会、研究会の機会でもできますれば、そういうふうな話題をいろいろ御協議をいただくというふうなことを考えてみたいというふうに存じます。
○寺田熊雄君 最後に石山局長にお尋ねをしますけれども、あなたが局長時代に大変精魂を傾けられた刑事施設法、これがいろんな事情で上程に至らない、上程しても審議未了に終わる、大変あなたにとっては不本意な結果になったようですね。あなたの御努力が報いられなかったことは非常にお気の毒だと思っているんですが、留置施設法の問題がなければ、刑事施設法自体だけならば、これは今の監獄法が明治四十一年の法律ですから、これを改善すべき面が多々あることは疑いないんですから、十分審議の対象足り得て、あなた方のよき目的というものが達成しただろうにと私は考えるのですが、今国会も提案に至らなかった主原因はやはり警察庁との意見の調整ができなかったことによるのだろうと思うんです。その間の事情を、差しさわり多少あるかもしれないけれども、我々の理解を完全なものにするためにできるだけ率直に、なぜ提案することができなかったのか、どうすれば提案するに至るだろうか、こういうような点をちょっとお聞かせいただきたいと思うんです。
○政府委員(石山陽君) ただいま寺田委員仰せのように、昨年の三月期まで、前国会におきまして、私どもといたしましては刑事施設法、それから警察庁の留置施設法、この両法案の提出に向けていろいろ努力、調整をいたしましたが、ついに両省庁間の協議整わず、両方とも提出をしないという措置で推移いたしたことは御承知のとおりでございます。 結論的に申しますると、前回の経験にかんがみまして、私どもといたしましては速やかに刑事施設法案を成立させていただきたいという気持ちにはいささかも変更ございませんので、今回は昨年の秋早々から両省庁間でいろいろ協議いたしました。その結果、警察庁さんにおきましても、今生として反対の焦点になっておりますのは留置施設法案であるという現状にかんがみまして、この点については一度日弁連との間に意見の交換を率直にやってみたいというお申し出がありました。 私どもといたしましては、刑事施設法案につきましてかつて一年有余にわたりまして日弁連と意見交換会をやり、その結果を踏まえまして弾力的に法案の修正にも応じた。そして、その新しい修正案を次期通常国会にお願いをしたいと、こういうふうに考えておったという経緯もございましたので、率直に申しまして、対立しております留置施設法案の問題について日弁連と警察庁側が率直な意見を交換をされるということはまことに結構だという建前から、その実現につきましては私ども賛同の意を表しておったわけであります。 ところが警察庁側で、できれば今期通常国会前までに意見交換をしたいという前提で、日弁連に対しまして意見交換会の開催を昨年晩秋に申し入れたわけでありますが、結論的に、日弁連の事務の都合で今度の通常国会までに意見交換会を開催しあるいはこれを終了するのは日程的に無理である、したがいまして次期執行部においてその最終判断をするので、この問題は少し継続審議として先に延ばしてほしい、こういう申し入れといいますか、回答が警察庁に対してあったようでございます。 その結果、警察庁側といたしましては、自分の方から申し入れている手前もございますので、今期通常国会に日弁連との意見交換会を経ないままに出すということは国会方面の御示唆にも背く形になり、いたずらに反対運動の機運を強めることになるので、今国会はぜひ法務省も協調して両法案の提出をもう一度だけ延期してほしい、しかしながら次期通常国会までには何とか日弁連との意見調整を終えて、より弾力的な姿勢のもとで次期通常国会の審議を両法案同時でお願いをするようにいたしたい、こういう申し入れがございましたので、私どもも緊急性、必要性は少しも変わりませんが、その間の事情をやむなく子といたしまして、今回の両法案の提出はあきらめた、こういうふうなのが現在までの経緯でございます。
○寺田熊雄君 大変あなたはお立場があってなかなか率直にお話しできない面があることはよくわかるけれども、法務省と警察庁との意見の対立点というのがあるだろうと思うんですよ。私は開いておるんです。それは簡単に言うとどこにありますか。それをちょっと御説明ください。
○政府委員(石山陽君) 前国会の際には、留置施設法案につきまして警察庁側が、現在予定しています法案につきましては内容修正等は行わない、そのかわり法務省が修正したいわゆる十四項目の修正点というのがございます、その法案につきましては全部同調するという御回答で、両法案同時提出を図ろうとしたわけでありますが、それではとても代監問題を中心とする留置施設法案に関する根本問題が解決にならぬ、こういう反対が強くて、国会の審議日程もないことだからということで警察庁側が断念の意向を示したわけであります。 そこで、今次通常国会にもし提案できるといたしますならば、やはり主たる問題は留置施設法案の中に盛り込まれております代監問題を中心とする日本弁護士連合会の種々の疑惑と申しましょうか、問題点とされるところ、これらにつきまして率直に警察庁側がその理由等について説明をされ、私どもも協力いたしまして、現実の行政の面から見て、代用監獄が即時撤廃ということはなかなか難しい問題ではあるけれども、より正しい運用がなされるような理解がある法案、あるいは内容の修正、あるいは運用の弾力性、こういうものを持つようにいたしたい、こういうことで協議をいたしておったわけでございます。 結論的に申しますると、警察庁さん側と今私の方で特に意見が対立し、そのために今国会は調整困難になったという事情はございません。前回の経験等にかんがみまして、警察庁さんも日弁連に対して積極的な意見交換会をしたいという姿勢が出てきておりますので、この点を考えてみますれば、その交換会の結果等を踏まえまして、次期通常国会までにはよりいい形で両法案の提出ということが図れるのではないかというふうに私ども事務としては考えておる次第でございます。
○寺田熊雄君 これは法務大臣にお尋ねしますが、代用監獄制度を永久化するという問題が解決されないと、これはやっぱり漸進的に廃止という方向が決まりませんとなかなかこの両法案を通すということは難しいと思うんですよ。ですから、その点は十分御配慮をお願いして、警察庁に対してこの点は十分理解をさせませんとあなた方の刑事施設法を何とかしたいという目的は貫徹しにくいと思うので、その点十分に御配慮いただきたいと思うんです。
○政府委員(石山陽君) 明治四十一年の監獄法によりまして警察の留置場を当分の間代用監獄とするという方策が決まったわけでありまして、当時その性格は暫定的なものというふうに言われておりました。当時は、それ以前の旧監獄法時代と申しますか、警察の留置場は当然監獄であったわけであります。四十一年に代用監獄という性格に変わりました。それからその後七十数年を経る間に、やはり社会的な進展につれまして捜査行動が一変しております。特に、戦後いわゆる地方自治体が創設されたことに伴いまして地方自治体警察という制度ができ、さらに現在の都道府県警察に移行しているわけでございまして、国と地方とのいわゆる費用分担を含めました、あるいは治安の維持責任の分業の問題、こういう点においていろいろ構造が変化しております。 さらに戦後、新刑事訴訟法によりまして警察に第一次捜査権が付与されることになりました。つまり、警察官の令状による第一次捜査、逮捕、勾留というものの請求、こういうものにつきまして、検察官経由ではございまするが、そういった第一線に警察が捜査に関与する制度が認められておるわけでございます。したがいまして、現状から考えますると、代用監獄を全部廃止しまして警察官に逮捕時間だけの留置を認め、その後の勾留はすべて私ども矯正施設で担うということになり案ずると、現実に数は全然足りません。人が大変要ります、費用がかかる、その問題もございまするので、理論の問題は別といたしまして、運用面におきまして、現実処理としてはなかなかその辺は困難ではないか。 したがいまして私どもは、次善の策かもしれませんが、現状は現状とし、その運用にいわゆる代用監獄批判論が生じないよう、さまざまな運用の改善をとる方法はできないか、この点につきましては警察庁側も真剣に考えておるのでございまして、そういう面から留置施設法案ともども法的なきちんとした規整が行われることを前提として両法案の同時提出をお願いしておる、これが現在までの情勢でございます。
○小島静馬君 誠実なお人柄をもって知られる鈴木先生、このたび法務大臣に御就任されましたことを委員の一人として大変喜んでおります。 また、先ごろは法務大臣の所信表明を承ったわけでありますが、当面の問題として五つに大別をされました。その中の四番目に取り上げられました出入国管理行政について、いささか中身について触れてみたいと思うのであります。 国際化社会の進展を迎えまして、出入国管理行政が極めて重要であることは言うまでもございません。 まず、実情でございますが、直近の数字は六十年であるか五十九年であるか、直近の外国人の出入国者の総数と国籍別の分類をお伺いいたしたいと思います。
○説明員(秋本健志郎君) お答え申し上げます。 六十年の入国者総数は百九十八万七千九百五人でございます。 そのうちで主な国の入国者数を申し上げますと、アメリカ合衆国は四十五万九千人でございます。これが一番多い数でございます。次に台湾三十五万五千人でございます。次にイギリス十七万四千人、韓国十四万七千人、それから中国、これは大陸でございますが、六万二千人。以上、端数を切り上げまして主な国について上位から申し上げました。
○小島静馬君 ただいまの数のうち観光目的で来られた方々は何人ぐらいか。いかがですか。
○説明員(秋本健志郎君) ただいまの入国管理法上は観光査証という単独な査証はございませんで、短期査証というのがございまして、この短期査証は、短期の商用、親族訪問等、観光者も含む短期査証でございますが、その在留資格で入りました者が百八十三万一千人でございます。
○小島静馬君 近親者訪問とか、いろいろあるでしょうけれども、大体大多数が観光というふうに理解されるじゃないだろうかと思います。 そうしますと、在留の外国人の数はどのぐらいでしょうか。それから、その内容でございますね、国籍、職種をお伺いします。
○政府委員(小林俊二君) ただいま入審課長から御答弁申し上げましたのは、昨年一年間の入国した外国人の数でございますが、在留外国人と申しますと、これは外国人登録をしておる人間がほとんど大多数となります。外国人登録をしておりますのは入国が九十日以上に及ぶ人々でございます。こうした人々の数は全体として八十三万人でございます。この八十三万人のうち約六十八万人が朝鮮半島出身者ということで、いずれにせよ、その大半は永住者でございます。
○小島静馬君 最近の入管法違反事犯の内容についてお述べいただきたいと思います。
○説明員(書上由紀夫君) 昨年私どもで摘発をいたしました入管法違反事件の総件数は七千六百五十三件でございます。 その内訳は、不法入国が四百六十件、不法上陸が百二十三件、法に定められた在留資格以外の活動を行います資格外活動、これが二百十八件、残りの大半は在留期間を徒過して、なお本邦に在留した不法残留ということで六千五百九十二件等となっております。
○小島静馬君 この中身ですけれども、もう少し具体的に、内容的にはどのようになっておりますか。
○説明員(書上由紀夫君) あるいは御質問の趣旨を取り違えているのではないかという気もいたすわけでございますが、特に大半を占めております不法残留及び資格外活動の分野を見ますと、最近我が国を取り巻く東南アジア諸国から出稼ぎ目的で、先ほど来問題になりました観光等の短期在留資格で入国をいたしまして、日本で風俗関係の業務に従事する等の資格外活動ないしは不法残留というものが大半を占めているのが実情でございます。
○小島静馬君 昨年の数字があるかどうかですが、いわゆる風俗営業への参入、最近急増傾向にあるように聞いておりますが、どの程度ございますか。
○説明員(書上由紀夫君) 私どもで統計を把握しております数がすべて風俗営業関係に従事した資格外活動ないしは不法残留かということについては必ずしも的確な数字はないわけでございますが、これまでの実態の把握から見まして、おおむね風俗営業関係に従事して資格外活動ないしは不法残留として摘発されているものと考えられております実数は、特にそのうちの大半を占めております女性について見ますと、昨年一年間全件数は四千九百四十二件と、五千件に近くなっているという実情でございます。
○小島静馬君 この風営参入の問題ですけれども、これはどういう形でチェックされたものでしょうか。
○説明員(書上由紀夫君) 御案内のとおり、私どもで入管法違反の外国人の方々を摘発するといいますのは、大きく分けますと、問題になっている外国の方々が在留期間の切れた後に出稼ぎ目的を達成したと申しましょうか、一応もう仕事はしたということで母国へ帰るという形で出頭してくる場合が一つございます。それ以外に、関係捜査当局等が風紀関係の規制をしていく中で違反者として摘発をし、当入管局に引き渡しをしてくるという場合がございます。さらに、一般の市民の方からこれこれの法違反者がいるということで情報が提供され、それに基づいて当局の方からみずから出向いて摘発をするという場合がございます。そのほかにも幾つか態様はございますが、大きく分けますと以上申し上げたような三つのカテゴリーに分かれるのではないかと思います。
○小島静馬君 三つに大別されましたが、その比率はいかがですか。パーセンテージでも人数でも結構です。
○説明員(書上由紀夫君) 手元にちょっとその細かい件数を持ってございませんが、これまでの私の経験から申し上げますと、その大半は、冒頭に申し上げました、外国人みずからが一定の目的を遂げた後、当局へ出頭してくるというのがほとんどであるというふうに承知しております。
○小島静馬君 いわゆる風俗営業への外国人女性の参入というのが今非常に広がっておりますね。地方都市でもそうです。観光地でもそうですね。相当大々的に客寄せの手段にもなっているという状況で、ある意味では非常に大きな社会的問題であろうというふうに思います。 そういう中で、現状のチェックを聞いてみますと、出稼ぎ目的を達成してある程度金がたまったからみずから出頭してくるという非常に消極的な面と、もう一つは通報によって摘発をするという中間的な部分と、積極的に捜査当局がこれを摘発する三つあるけれども、その大半は非常に消極的な、目的を達したから帰国をしたくなって出頭してくるということでございますが、これは非常に捕捉しにくいのかもしれませんが、入り口でチェックするのもあるようですね。捕捉しにくいのかもしれないけれども、これはこのままでいいかどうか、どう考えますか。
○説明員(書上由紀夫君) ただいま委員が御指摘になりましたように、私どもといたしましては、この種の問題につきましては、このような違反を未然に防止するということをまず第一に心がけております。 ただいまお話に出ましたように、まず当該外国人が本国から出国するに当たりまして、既に過去に本邦において違反を犯した前歴がある者は我が国において把握されておりますので、そうした人間につきまして、外務省へ資料を提供いたしまして、本国から出国の際に重要な参考資料としていただくということにしております。 また、当該外国人が本邦の海空港に参りまして、そこで上陸審査をしているわけでございますが、その際にも当該本人の入国目的あるいは入国後のスケジュール等について十分お話を伺いまして、それに見合った所持金を所持しているかどうか等々をも慎重に検討いたしまして、未然にこのような資格外活動あるいは不法残留に至る者についてチェックを行っているという点もございます。 またさらに、一たん本邦に入国いたしました後には、一定期間が徒過いたしますと在留期間の更新という問題が生じます。そのような更新の審査に当たりましては、今まで申し述べましたような視点から十分これを厳格にチェックをしているという実情にございます。さらに違反者が、当該外国人がこれまでお話に出ておりますような法違反を犯した場合につきましては、先ほど申し上げました三つのカテゴリーに分かれるわけでございますが、できるだけ早期に違反を摘発し、関係当局とともにこうした違反者を導く主たる原因等についてその根絶を期するべく努力を続けているところでございます。
○小島静馬君 なかなかこれは社会的な問題として考えましたときに、国内的な問題としても右翼、暴力団等との結びつきというようなことが出てきておるようでございますし、野放しにしていい問題がどうかということは問題があろうかと思います。それからまた、国際的な国民感情、そういうことの中で、何か東南アジアのジャパゆきさんと呼ばれる人たちを通して両国の国民に悪い影響を与えるんじゃないかというふうな心配もございます。これは日本人の外国人に対する人種的な偏見を醸成する原因にもなりはしないだろうか、非常に心配をされるわけであります。 また一方、じゃどういうふうにチェックするか、取り締まるかという問題を考えますと、お話を承っておりまして、今以上にやるということになりますと、それは大変な増員も必要でしょうし、なかなか難しい問題ですけれども、こういう点につきましては、ぜひ管理局長、それなりの御検討をお願い申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(小林俊二君) ただいま警備課長から御説明申し上げましたようなことで、さまざまの段階においてチェックを厳しくするということに努めておるわけでございます。しかしながら、先ほど冒頭にございましたように、入国外国人の数は年々激増の一途をたどっております。一方、入国管理職員の増強の問題は、ただいまのような厳しい行財政事情のもとで遅々たるものがございます。そこで、空港におきましては一人当たり多くの時間をかけることはできないといったような制約もあるわけでございます。したがって、関係のない多くの善良な外国人に迷惑をかけるということも避けなくてはなりません。そういうことで、私どもとしては何とかこれを合理的に摘発する方法を開発していかなくてはならないというふうに考えておるわけでございます。 最も困りますのは、頭の痛いのは、一遍退去になった人々が別名で旅券を持って入ってくるという事情も多いということでございます。そういった事情はフィリピン、時々にはタイもございます。そうしたことから私どもとしては非常に苦労をしておるわけでございますけれども、フィリピン当局あるいはタイ当局とも連絡を密にしながら、何とかこれを抑圧していきたいと思っておるわけでございます。 最近、フィリピンの政権の交代に伴いまして、フィリピン当局としてはこの問題にさらにまじめに取り組みたいといった気配も感ずるところでございまして、近い将来にフィリピン当局の担当者が日本側と話をしに日本にやってくるといったような、話もございますので、こうした点をとらえて、何とか共同でこの問題に取り組んでいきたいというふうに考えておるわけでございます。
○小島静馬君 せっかく御努力お願いしたいと思います。 次に、外国人労働力の問題で、きょうは労働省、外務省お見えになっていらっしゃると思いますが、労働省は現状を簡単に御説明をお願いし、また外務省の方は、そういうふうな要請が外国から来ておるかどうか、その二点をお伺いいたします。
○説明員(井上文彦君) お答えいたします。 現在、日本での就労を目的として入国しようとする外国人に関しましては、日本で貿易または事業、投資活動を行う外資系企業等の役員、管理者、それから日本人では代替できない技術、技能を生かして就職しようとする者、それからまた日本では充足、養成が困難な熟練労働者等につきましては入国、在留を認めております。 他方、単純労働者につきましては、我が国の雇用失業情勢等に悪影響を及ぼすおそれがあること、低賃金労働者等の導入につながるおそれがあり、日本人の労働条件を引き下げる要因となりかねないこと等から原則として受け入れを行わない方針をとっております。
○説明員(大島賢三君) ただいま労働省の方から御説明がありましたうちの外国人、特に開発途上地域の諸国からの技術技能研修員の受け入れの現状につきまして御報告さしていただきたいと思います。 我が国が行っております開発途上諸国に対する技術協力の重要な一部分が技術研修員の受け入れでございます。昭和二十九年に早くもこの研修員の受け入れが始まりまして、百三十八人受け入れておりますが、その後毎年着実に人数が増大しておりまして、今年度、昭和六十年度で約五千七百人という規模に達しております。この間、三十年間に受け入れました研修員の累計は六万人を少々超える規模に達していると見込まれます。相手国は約百三十カ国に上っております。 以上でございます。
○小島静馬君 今の技術技能研修員の派遣の国は百三十カ国ですか、主な国はどこでしょうか。それからどういうふうな技能研修をなさっておられるか、大まかな考え方でよろしゅうございます。
○説明員(大島賢三君) 対象国につきましては、アジア、アフリカ、中南米、南太平洋諸国、開発途上地域のほとんどすべての諸国にわたっておりますが、大口は何と申しましてもアジア地域でございます。八割近くがアジア地域でございます。わけてもASEAN諸国が主体になっておりますが、最近では中国も数がふえている、こういう状況でございます。 それから、我が国が行っておりますこういった技術研修の分野でございますが、これの一番大きな部分は公共であるとか公益事業、すなわち運輸、交通であるとか社会基盤、通信、放送、こういった分野、インフラ部門に関連した分野が一つの大きな分野でございます。それから農林水産、鉱工業、エネルギー、さらに最近では人づくり分野と呼ばれております人的資源の開発分野、あるいは保健医療、社会福祉その他各般にわたっている現状でございます。
○小島静馬君 これのあっせん機関といいますか、対象国側と日本側の受け入れ側と、どうなっておりましょうか。
○説明員(大島賢三君) ただいま説明を申し上げましたのは政府ベースで行われている技術協力でございまして、これを行っております機関は国際協力事業団、JICAでございます。
○小島静馬君 それでは、民間ベースではどういうものがありますか。
○説明員(大島賢三君) 政府ベース以外に民間ベースでさまざまな技術研修員の受け入れが行われておりますが、私どもも承知しております限りでは、例えば海外技術者研修協会であるとか、あるいはオイスカ産業開発協力団、これはいずれも財団法人になっておりますが、こうした団体、あるいは日本ILO協会であるとか海外漁業協力財団でございますとか、そうした民間の財団法人が数十名あるいは百名、二百名程度の研修員の受け入れを別途やっておられる、こういうふうに承知しております。
○小島静馬君 受け入れの基準と申しましょうか、こちらでの待遇と申しましょうか、受け入れ側としては主にどういうことを審査をなさっておられるのか、その基準についてお伺いしたいと思いますが、これは入国審査課長。
○説明員(秋本健志郎君) お答え申し上げます。 研修制度につきましては、この制度が初めて導入されたのは昭和五十七年の入管法の改正のときでございますが、そのときの目的は、発展途上国の技能の向上を通じて、これらの国の経済開発等に寄与するとともに、日本国の企業の海外発展というものを助けようという目的で導入されたわけでございますが、我々といたしましては、この新しい在留資格を導入するに際しまして、政府部内の関係省庁とも協議いたしまして、どのような基準で在留を認めるか、どのような企業、それから派遣される研修生についてはどのような資格を要求するかということについて基本的な合意をいたしておりまして、それに基づいてやっております。 その中で、今お尋ねになりました研修手当等でございますが、研修手当につきましては、現在政府としては特にはっきりとした基準を設けておりません。これは、我が国の方の受け入れ先である一般企業等におきまして常識的な設備を提供するということで、額あるいは設備を提供するということで問題が実際上解決されているというふうに考えております。
○政府委員(小林俊二君) 若干、答弁に混乱があるようでございますが、ただいま外務省の方から御説明申し上げましたのは、既に三十年を超える政府ベース、それからそれに近い民間の財団、これは補助金を政府から受けている財団が多いわけでございますけれども、そうした経路を通じての研修生の受け入れでございます。 また、入審課長が御説明申し上げましたのは、これは民間がそうした政府の活動あるいは政府の補助とは全く関係なしに、個々に低開発国等から研修生を受け入れる、そして自分の施設で研修を行うといった事態が非常にふえてまいりまして、これは例えば企業が海外に進出すると、進出先の工場で稼働する工員、職員を日本で研修をする必要がふえてきたといったようなことから、だんだん広がっていったわけでございます。こうした民間の個々の研修生の受け入れというケースが広がってまいりましたので、従来はその他というカテゴリーの入国在留資格でこれを扱っておりましたけれども、その件数が非常にふえてまいりましたので、昭和五十七年の法改正で研修という在留資格を新たに設けたという経緯がございます。両方がそれぞれ相まって目的を達しておるわけでございますので、ここで一つつけ加えさせていただきます。
○小島静馬君 いわゆる技術技能研修の中身ですけれども、技術技能というのはやっぱりハイテクばかりじゃないわけですよね。そういう面でどういうお考えを持っておられるのか。技術技能とは一体何ですか。
○説明員(秋本健志郎君) お答え申し上げます。 研修制度の対象となります技術研修生の範囲は非常に広うございまして、先生のただいま御指摘になりましたハイテク関係の研修生から、そのような非常に高いテクノロジーに関係ない農業等の一次産業まで含んでおりまして、技術技能というものについてははっきりした定義は持っておりませんけれども、その範囲は非常に広くとらえております。
○小島静馬君 今のお話で、政府間ベースの問題、それからもう一つは主に民間ベースといっても財団法人等が当たっているというようなお話ですが、それ以外のケースが相当あるということは局長の御答弁で伺ったわけで、そのとおりだと私は思うんです。 そこで、そういうことをやりたいというふうな日本側の事前相談業務というものは今どういうふうになっておりますか。
○説明員(秋本健志郎君) 研修生の招聘について必要な相談というものは、入国管理局及びその地方支分部局におきまして招聘人等の方々の相談に応じているところでございます。
○小島静馬君 入管当局そのものが応じていらっしゃるんですか。
○説明員(秋本健志郎君) さようでございます。
○小島静馬君 場所はどこですか。
○説明員(秋本健志郎君) 本省でも受けておりますし、入国管理局の地方部局において承っております。 そこで行っておりますのは、必要な手続とか大体どのような政府の受け入れ方針であるかというようなことをアドバイスをしているわけでございます。
○小島静馬君 今の相談業務の問題は非常に足りませんよ。こういう事例がどんどん激増しておりますし、その持っている意義というものも極めて大きいわけでして、対象国との国際交流を深めていく、そのことを通じて日本の信頼をかち得ていくというような面で、むしろ片手間でなくて、専門的にこういうふうな相談に積極的に親切に応ずるということ、私はこれが非常に大切なことだろうと思うんですが、これが充足されているとは全く考えておりません。しかし、時間もありませんからやめますけれども、これはぜひ御留意をいたきだいと思います。 それから、受け入れの基準の問題につきましても、受け入れの設備、宿舎等の問題もあるでしょう。それから手当の問題もケース・バイ・ケースである。人数の点についてはお話がなかったわけでありますが、人数等につきましても、もう少し基準といいましょうか、業態によってこうだというようなことになってくるかもしれませんが、そういうふうな受け入れ側の整備というものをもう少し充足させる必要があるんじゃないか、ケース・バイ・ケースでは、私はやっぱりいけないのじゃないかという気が今いたしております。 それから、この問題に関連しまして、先ほど労働省から御答弁をいただいたわけでありますが、外国人労働力の問題についてはそのとおりだと思うんです。これを認めたならば、国内の労働力需給というものは極端な変化をいたしますし、これは大きな国内問題に発展しますので、そのとおりだと思うんですね。そういう状況の中で、技能研修制度というものをどういうふうに生かしていくかということは、これはまた一つの方向として考えていい問題ではないだろうか。 そのことの中で不当なチープレーバーですか、外国の安い労働力を輸入をしているんだというふうな批判が一部にはございます。端的な例としては、マスコミの取り上げましたところのミネベアの研修制度があります。ミネベアの研修制度をちょっと一言だけでいいですが、どういう内容で、どういう結末になったのか、ちょっとそれを言ってみてもらえませんか。先ほど来のは要望でございますが、今のミネベアの問題。
○説明員(秋本健志郎君) お答え申し上げます。 ミネベアは、現在ボールベアリング等を生産しているわけでございます。その生産は本邦で行われる場合と、それから海外の工場、シンガポール及びタイ、この二カ所で生産しているというふうに承知しております。その生産の内訳はほぼ九〇%以上が海外で行われておりまして……
○小島静馬君 いや、ミネベアの内容を聞いているんじゃないんです。ミネベアの不祥事件のごとくに書かれています。これ持っています。週刊ポストに出た記事についてどう考えますかと言っている。
○説明員(秋本健志郎君) その点につきましては、昨年一部のジャーナリズム等から事件について指摘されましたので、私どもの方も調査団を派遣いたしました。 その内容は、その労働状態、それから実際に研修としての妥当な技術格差があるかどうか、その他本当の研修であるかどうかという点について調査いたしました。研修条件等につきましては、既に私どもの方が調査をする前にミネベアサイドで非常に改善を行ったということでございました。それから、実際に研修について妥当な技術格差があるか等につきましては、我々の検討いたしました範囲では、問題があるというような事実を発見できなかった次第でございます。
○小島静馬君 どうぞもっと勇気を持っておっしゃっていただきたい。 内容を調査したところが、違反に類するものはなかったんでしょう。発見できなかったんですか、なかったんですか。
○説明員(秋本健志郎君) 実地研修と申しますのは、一般の学術的な研修と違いまして、生産工程の中に研修生が入って一般の労働者と同じ職場で働くわけでございますので、具体的に外から見てこれが研修であるかないかという点についてはなかなか識別が難しいわけでございますが、私どもが見たところでは、ジャーナリズム等が取り上げているような事実があったということは確認できなかったという次第でございます。
○小島静馬君 確認できなかったんですか、なかったんですか。もう一度聞きます。
○説明員(秋本健志郎君) 確認できなかったということでございます。
○小島静馬君 確認できなかったということは、あったということですか、なかったということですか。
○説明員(秋本健志郎君) なかったとは、はっきりは申し上げられませんが……
○委員長(二宮文造君) ちょっと待ってください。指名を待ってから発言してください。
○説明員(秋本健志郎君) 必ずしもはっきりした事実があったということを申し上げられなかったということでございます。
○小島静馬君 それじゃ、もう押し問答はやめましょう。 なかったとは言い切れない、あるいはあったかもしれないという印象をあなたの答弁は与えております。あったか、なかったかと言うのは、技能研修というのは一体どういうものだということを考えたときには、確かに技能研修にはなっているのだが、しかし同じことばかりやらしていたのだから、これは技能研修ではなかったとあるいは言えるかもしれないと思うんですよ。その辺のところの判断というものは非常に難しいと思うんです。 私は、やっぱりこういう研修制度というものをより活発にしていくということは、それなりの両方の得失というものを考えてみる必要がある。大いに東南アジア諸国あるいは中国から研修生を迎えることの中でもって技能を習得して、それをそれぞれの母国へ帰ってもらって広めていただく、非常にいいことだろうと思うんです。同時に、受け入れ国側としては、やっぱり慈善事業だけではできないわけでありますから、ある意味で、技術を教えると同時にその技術の習得度が進んでくることの中で生産に寄与する、経営に寄与するという面があっていいんじゃないだろうか。 しかし、こういうふうにジャーナリズムに取り上げられたりいたしますと、どうしてもお役所の方はそういう点が憶病になってしまって、せっかくのすばらしい計画というものを積極的に受け入れていこうとしない、むしろ半分に減ずってしまうとか、そういう傾向がどうしても出てくるのではないかということを心配をするわけでございまして、どうぞひとつ勇気を持って、意義あるこういう研修制度でございますので、労働力として受け入れていくのじゃなくて、技能研修として受けとめていくのであるので、これを迎え入れる企業等においては犠牲を強要されるということであっては私はいけないというふうに思うわけでありまして、憶病でなく、もう少し勇敢に積極的に取り組むことの方がむしろ必要ではないか。さりとて、やっぱり違反に類するような計画を無秩序、無計画に許せということなんか決して言っておりません。 だから、内容的な問題を極めて小さく小さくとしていくような傾向があるように判断をいたしておりますので、それについての特に御配意を煩わしたいと思うわけであります。いかがですか。
○説明員(秋本健志郎君) お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、政府ベースで受け入れる研修と違いまして民間の企業が受け入れる場合には、我々といたしましては、ある程度そういう民間の活力が引き出されるようなインセンティブが必要であるというふうに考えておりまして、実際の運用においてもそのようなふうにいたしております。 ただ、具体的な人数とか期間というものにつきましては、それぞれの対象となっております技術の難易、それから日本と派遣する国の関連分野におきます技術の格差等を勘案いたしまして妥当なものを決定しているところでございます。
○小島静馬君 非常に大変な業務だと思います。しかし、必要度はますます高まってくる、いわゆる国際化社会の中におけるところの出入国管理行政でございますので、既に大臣も事務の適正迅速な処理に努めてまいりたいと明確におっしゃっておられるわけでありますが、許された質問時間の中では入り口だけで終わった感を受けます。しかし、非常に検討を要すべき問題が山積している部門であろうかと思いますが、今後せっかく御当局におかれましてはさらに御努力をされたいと御要望申し上げます。 大臣の御決意をお伺いして終わりにしたいと思います。
○国務大臣(鈴木省吾君) ただいま具体的な問題についてのお尋ねございましたが、その点については私はよく承知をいたしておりませんけれども、全般的に入国管理業務の適正な運営、執行に努めてまいることは私の所信表明でも申し上げたとおりでございますので、さような方針で対処してまいりたいと、かように考えております。
○委員長(二宮文造君) ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(二宮文造君) 速記を起こしてください。
○飯田忠雄君 数日前に、乗用車を盗みましてその乗用車から皇居、それからアメリカ大使館にロケット弾まがいの、焼夷弾まがいのものを撃ち込んだ事件がございました。こういう事件は、現在の刑罰法規でいきますとどういうことになるのでしょうか、お尋ねいたします。
○政府委員(岡村泰孝君) 本件につきましては、現在警察におきまして捜査中でございます。火薬類取締法違反は、今の段階でもその容疑があるということになろうかと思いますが、その後の状況につきましては、捜査の状況に応じまして判断していかなければいけないと思っております。
○飯田忠雄君 法務大臣の所信表明を拝聴いたしまして、大変立派な御所信でございますが、実はいろいろその実体がどうも明確でない点がございます。そこで、いろいろこれに関連をいたしましてお尋ねをいたします。 まず、刑法の全面改正という問題が取り上げられておりますし、それから最近における犯罪情勢の問題が取り上げられておりますので、それに関連をいたしまして、根拠となる法律の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 まず、最近学者がいろいろ議論をいたしまして、青少年の保護条例というものに書いてある犯罪の構成要件が大変不明確であるとか、あるいはそのほかいろいろの問題を論じております。この青少年保護条例というのは、条例でございますから、自治体が決めるものでございます。憲法の第九十四条によりますと、地方公共団体は「法律の範囲内で条例を制定することができる。」と、こう書いてございますが、この「法律の範囲内」という言葉をどう理解するかによりまして大変違った結論が出ると思います。条例で罰則を決めることができるか、条例で処罰することができるかという根本問題が存在するわけでございます。 明治憲法のもとでは主権者は天皇でございましたから、そして行政官は天皇の行政官でありましたので、主権者の意図するところ、それをそんたくをいたしまして行政官庁で何でもできた。法律で禁止していない限り、どのようなことをやっても差し支えなかったわけでございます。 しかし、今日の憲法は天皇制から国民主権制に変わっておりまして、主権者は国民だというふうに憲法で書いてあります。 そこで問題になりますのは、法律の範囲というのはどういうことかという解釈の問題につきまして戦前の明治憲法では、法律に決めていないことならば、すなわち法律で禁止していない範囲、それが法律の範囲だと、こういう理解の仕方をしておりましたが、今日ではそういう理解をしていいかどうかが問題であります。国民が主権者ですから、主権者の意図に反するような法律範囲というものがあり得るかどうか。例えば法律で禁止していないから何をしてもいいという、そういう理論が国民主権制のもとにおいて成り立つかどうかということであります。地方公共団体はなるほど国民が選挙によって選任したものでありますから、国民の意思が反映されておる。しかしそれは全国民ではない。一部の、一地方の国民の意思の反映にすぎないわけであります。そういう地方公共団体が法律で禁止していなければ何を決めてもいいといったような、そういう考え方で条例を制定できるかどうか、こういう問題です。このことについてどのようにお考えになっておりますか、お尋ねをいたします。
○政府委員(岡村泰孝君) 地方自治体に条例の制定権が認められておりますのは、それぞれの地方と申しますか、地方自治体の特殊性の上に立ちまして必要な条例を設けるということであると思うのでございまして、この条例と法律の関係でございますが、やはり条例は法律に反しない範囲のものである、こういうふうに私どもは理解いたしておるわけでございます。
○飯田忠雄君 法律に反しないという意味は、これはまた大変わけのわからない内容を持つわけですが、法律に反しないということは法律で禁止されていることに反しないという意味なのか、あるいは法律で決めてあること以外は一切してはいけない、こういう意味であるのか、これは随分違いますね。法律で決めたことだけを役人はやり得るのだ、こういうことと、法律でやってはいかぬと言っていることはいかぬけれどもあとのことは何でもできるのだ、これでは随分やれる範囲に開きがございます。 今日の行政法学者の大体の見解は、国民主権制においては法律で決めた内容に限って行い得るのだ、つまり行政権の範囲というものは法律で決められた範囲内のことだけなんだ、法律に決めていないことまで行政作用を及ぼすことはこれは国民主権制においては許されない、こういう見解が相当強い見解に最近はなってきておるんですね。昔はそうではなかったんですけれども、そういう問題がございますので、この点についてどうお考えになっておるか、御答弁をお願いいたします。
○政府委員(岡村泰孝君) 条例が法律に反しない範囲のものであるかどうかということでございますが、これはやはり個々の条例につきましてその趣旨あるいは条例を制定するような動機、こういったものをいろいろ検討いたしまして、また一方におきましては法律全体の趣旨と申しますか、そういったものを考慮してやはり個別に検討しなければいけない問題であろうかと思っております。
○飯田忠雄君 私がお尋ねを申し上げておりますのは、条例で罰則を決めて処罰することが一体許されあかと、こういうことなんです。つまり、条例で罰則を決められる範囲が法律で決められておる場合は、その範囲内で罰則を条例は決め得るはずだ。ところが、法律で条例に罰則を委任していないことについてまで条例で罰則を決め得るのか、こういう問題なんですが、これは憲法の三十一条の問題にも関連しますので明確にしておかねばならないと思います。 従来は条例処罰を平気で裁判所もやってきておられるようですが、裁判官というものは憲法と法律だけに拘束されると書いてある、憲法と法律以外のことに拘束されないはずなんです。そうでありますならば、条例で処罰する場合はその条例が法律の範囲内であるかどうか、この検討が一つ一つの事件についてなされなければならぬはずでございますが、そういうことはどうも裁判所によってやられておるとは思われないようなことが多いのでお尋ねをするわけです。もちろん検察官の方におかれましてもそういう検討はどうもなさっていないようです。検察官のおやりになることについて裁判所はただ無批判にこれに従っておると、こういうように受けとれるわけですね。これは憲法上重大な問題だと思いますので、この際明確にいたしておきたいと思いますので、お尋ねをいたしておるわけでございます。
○政府委員(岡村泰孝君) 例えばいわゆる淫行防止条例と申しますか、これを例にとって申し上げますと、この条例につきましては、青少年と淫行する行為、これが条例で罰則をもって禁止されて処罰されることになるわけでございます。一方、児童福祉法によりますと淫行をさせる行為が処罰されることになっております。また、売春防止法によりますと売春の相手方となる行為自体は処罰されないことになっているわけでございます。そういう意味で法律と条例との罰則の範囲が違うと言えば違うわけでございます。 しかしながら、例えば児童福祉法の二条におきまして「地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」というふうに規定しておるわけでございます。こういう規定の趣旨から申し上げまして、青少年の健全育成のための地方公共団体の施策を積極的に要請されておるということが言えるわけでございます。そういう要請に従いまして地方公共団体が各地域の特殊性に応じまして青少年保護育成条例をつくりましてその中に罰則を設ける、これはやはり法律の範囲内と、こういうふうに言えるものと思うのであります。
○飯田忠雄君 どうも法律の範囲内という意味につきまして私どもの理解では、刑罰法規の場合は、条例に法律が刑罰を委任しておる範囲を示して、この範囲でやってよろしいよと委任しておる場合は差し支えないけれども、先ほどおっしゃいましたような地方自治法に書いてある内容というのは、これは刑罰法規の問題ではないわけです。刑罰法規の問題は、やはり罪刑法定主義というのが従来からあるわけですから、罪刑法定主義に従わねばならないと私は実は考えるわけです。 そこで、なぜこんな質問を私したかと言いますと、刑法の全面改正を考えて今準備しておると、こういうお話でございましたので、全面改正ということになると、従来のいわゆる罪刑法定主義、こういうものを全面的に改正してしまわれるのかということが考えられるわけです。例えば従来はいろいろ刑法以外の法律で両罰規定の規定がございます。それから、最近は法人処罰の問題がしばしば取り上げられる、こういうことになってまいりますと、従来の刑法の理論とは大分違ってくるわけなんでございますが、そういうような問題も検討になっておるのだろうかという疑いを持ったわけです。 といいますのは、現実に条例で処罰するその条例処罰で、ほかの法律で処罰する範囲と犯罪構成要件も違うし刑罰の範囲も違う、そういう条例があって、しかもその条例で処罰を実行しておられるということになりますと、そういう既成事実をつくっておいて刑法の改正に持っていこう、こういうお考えなのだろうかというふうに疑うわけでございます。それで御質問を申し上げたわけですが、私どもはこういう問題につきましてはやはり法律で範囲を示していただきたいと思うわけですよ。 例えば児童福祉法の中でいろいろそういう青少年保護条例に書いてある刑罰に類する刑罰がある。その場合に、児童福祉法の刑罰で賄い切れないようなもの、例えば児童との売春あるいは売春まがいのこと、あるいはわいせつ行為については条例において刑罰を設けることができる、こういう規定が児童福祉法なり売春防止法なりになければならぬ。そういうものを置くようにして、少なくとも刑罰法規の手続だけは厳格にやっていただかないと困るのではないか、そういうことを考えまして御質問を申し上げておるわけです。 それで、都道府県の方において法律の研究が不足しておるためにまあ適当な条例をつくったという場合、それは裁判所なり検察庁でよく審査されて、実際の適用の場合にはこれをチェックするという作業をしていただかないと大変これは危険なことになると思いますので、御質問を申し上げているわけでございます。私が今申し上げましたことについてどのようにお考えか、御答弁を願います。
○政府委員(岡村泰孝君) まず、刑法の全面改正でございますが、これは現行刑法を全面的に見直しまして、現在特別法でつくられているような罰則につきましても刑法典の中に入れるべきかどうか、あるいはまた新たな犯罪類型を刑法典の中に入れるべきかどうか、こういう形で検討しておりますので、これを刑法の全面改正と申し上げておるわけでございまして、罪刑法定主義というものは、これはやはり刑法の原則といたしましてあくまで堅持しておるわけでございまして、そこまで改正しようというものではございません。 また、条例につきましては、それが憲法あるいは法律に適合すると申しますか、法律の範囲内のものであるかどうかということにつきましては、検察官がその条例を適用して処罰を求めるに当たりましては、そういう角度からこれは当然に検討しておることでございます。
○飯田忠雄君 それでは、そのことはお願いをいたしておいて、次の質問に移りますが、同じくそういう法律の問題に関しますが、六法全書を見ますというと爆発物取締罰則というのが載っております。明治十七年の太政官布告三十二号というものでございますが、この取締罰則でいろいろ裁判が行われた事例もあると思いますが、どのくらいの裁判が行われたか、件数で結構ですが、お尋ねをいたします。
○政府委員(岡村泰孝君) 昭和五十年から五十九年までの数字で申し上げますと、この十年間に二百四十七件を受理いたしました。そのうち百六十九件について起訴いたしております。
○飯田忠雄君 爆発物取締罰則は明治十七年の太政官布告でございますが、これの効力の問題です。効力を保障する規定があるかもしれませんが、私は実はその法律を発見することができないのでお尋ねするわけですが、例えば昭和二十二年の法律第七十二号日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律、こういうのがございます。これの中に、一条の四で「左に掲げる法令は、国会の議決により法律に改められたものとする。」として、その法律が羅列してあります。この中には爆発物取締罰則は入っていないので、この爆発物取締罰則はどの法律でこの法的効果が保障されておるのでしょうか、お尋ねいたします。
○政府委員(岡村泰孝君) この件につきましては、既に最高裁判所の昭和三十四年七月三日の判例以来、その後同旨の判例が三つほどあるわけでございます。 そこで、この爆発物取締罰則が現在も法律としての効力を有するということにつきまして御説明申し上げることにいたします。 なるほど、この爆発物取締罰則は、委員御指摘のように、明治十七年に太政官布告三十二号として制定されたものでございまして、その制定の際には議会の関与はいたしておりませんので、議会の関与により成立したものではないということになるわけでございます。 しかしながら、明治二十二年に旧憲法が制定されましたときに、その七十六条一項によりまして、「憲法ニ矛盾セサル現行ノ法令」であって「遵由ノ効力ヲ有ス」るものと、この罰則が認められておるのであります。また、現行刑法が明治四十一年十月一日から施行されるに当たりまして、その刑法の施行法二十二条の二項におきまして、「爆発物取締罰則第十条ハ之ヲ廃止ス」というふうに規定しておるわけでございますが、十条を廃止するということを規定しただけでございまして、爆発物取締罰則のそのほかの条項については、これを廃止するとも効力を否認するとも、そういったことは何も言っておらないわけでございます。さらに、大正七年の法律三十四号といいます、帝国議会の協賛を経ました旧憲法上の法律の形式を持ちまして、この爆発物取締罰則の一部改正が行われておるわけでございます。すなわち、旧憲法の施行とともに旧憲法上の法律と同様の効力を有するものとして取り扱われておるわけでございますし、また明治四十一年に至りましては、形式上におきましても旧憲法上の法律と同一の効力を有することとなっておるわけでございます。 こういうような経緯にかんがみまして、爆発物取締罰則は新憲法施行後の今日におきましてもなお法律としての効力を有するものでございます。
○飯田忠雄君 大変御丁寧な御説明で、大体経過はよくわかりましたが、ただ、ここで大変疑念に上りますことは、旧憲法につきましては、昭和二十一年十一月三日の勅語によりまして、天皇が、帝国憲法を全面的に改正するんだ、こうおっしゃっておるわけでございます。当時の主権者がそうおっしゃっておるわけです。そうしますと、帝国憲法を基礎にした法解釈というものの効力については大変疑念が生じてくるわけでございます。したがいまして、爆発物取締罰則がこの昭和二十二年の法律第七十二号によって、特に「国会の議決により法律に改められたものとする。」という、こういうところに入れてくだされば何ら疑念は残らないわけでありますが、ところが実際には今でも法とはなっていないので、明治十七年の太政官布告第三十二号だとされておって法律とは書かれていない。それは明治憲法下における解釈で法律扱いをしたというだけでございますので、そういう点で現在の日本国憲法下においては大変疑わしいことになると思われるわけです。 ですから、こういうものにつきましてはできるだけ早い機会に、法律にする必要があるならば、法律とされた方がいい。つまり、刑法の中に一部取り入れるなり、あるいは特に国会で、この取締罰則については昭和二十二年の法律第七十二号の第一条の四に入れたものとするといったような、これでもあれば疑念がないんですが、そういう点について現在の憲法下における疑念を一切払拭する措置を今後おとりになるおつもりはあるかないか、お尋ねをいたします。
○政府委員(岡村泰孝君) 先ほど来御説明いたしました刑法の全面改正作業を現在継続しておるわけでございますが、昭和四十九年に法制審議会が答申いたしました改正刑法草案には「爆発物及び危険物に関する罪」というものを新たに設ける、こういう内容のものになっておるわけでございまして、それを含めました改正刑法草案の実現に、刑法の全面改正に向けて現在鋭意作業中であると、こういうところでございます。
○飯田忠雄君 この問題はこの程度で一応やめまして、次の問題に入ります。 未成年者飲酒禁止法という法律がございます。その第一条第三項について罰則が決められておりますが、最近いろいろ問題になっておりますのは、いわゆる自動販売機でお酒が売られておる、たばこが売られておる、それを児童なりあるいは未成年者が自由に購入できるので、購入しましていろいろな事故が起こっておるということでございます。まだ未成年者が酒を買ってきまして酒盛りをして酒に酔っておるということもテレビでも放送をいたしております。こういうようなことになりますと、未成年者飲酒禁止法という法律があって禁止しておるのにそれを堂々と破ることができる社会事情をつくり上げておるというこの矛盾があるわけです。これにつきましては父兄の御心配も相当あるようでございまして、非難がわいてきております。そこで、これに対してどういう御処置をおとりになるのかという点を質問をいたすわけでございます。 それで、その前に、自動販売機による販売につきまして、この販売の許可あるいは認可なりあると思いますが、それを御担当になっておる官庁にお尋ねをいたしますが、この自動販売機で酒なりたばこなりを売れば、それがだれでも購入できるということをよく御認識の上で許認可をなさっておるかどうかお尋ねいたします。
○説明員(宗田勝博君) 御承知のように、昨今は自販機時代と申しますか、日本におきましては各種の自動販売機が非常に広く普及いたしまして、消費者の利便に供されておるというところでございます。そして、御指摘のように、酒類の自動販売機につきましても消費者の面から非常に強い需要がある、こういうことも無視できない事情ではございます。 ただ、お酒と申しますのは、御存じのとおりでございますけれども、嗜好飲料でありますと同時に致酔性、飲むと酔うという意味でございますけれども、致酔性のアルコール飲料という特異性を有しておりますので、自動販売機によります酒類の無秩序な販売は、未成年者の飲酒あるいは自動車運転手の飲酒等、社会秩序維持等の観点から見て問題である。したがって、酒販業者といいますのは免許を得て営業しておるわけでございますから、これらの社会的な側面について十分留意して社会的責務を果たしていく、こういう必要があると考えております。 そこで、私どもといたしましては、その自動販売機でお酒を販売する場合にも、かねてから酒類の販売が秩序を持って行われるようにということで、小売業界に対しましても、例えば未成年者に対しては飲酒が禁止されておるという表示を明瞭に行うこと、あるいは酒類の販売を深夜は自粛すること、そして最近割と清涼飲料水と若干紛らわしいような外観を有する酒類が販売されたりする例がございますけれども、そういうものについても、これがそういう混乱が起きないように、お酒であるということをはっきりと示して売ることというようなことを指導してきております。 そしてさらに、従来は自動販売機のみによる免許ということも可能であったわけでございますけれども、そういうことは昭和四十八年以来、自動販売機のみが免許として認められる、こういうことは行わないというような措置も講じてまいりました。そして、酒類小売業界の方といたしましても、先ほど申し上げましたような社会的責務を自分たちも果たさなきゃいけないという強い自覚を持ちまして、昭和五十五年六月には公正取引委員会の認定を受けまして、酒類の表示に関する公正規約というものを設定いたしまして、その中で販売時間の厳守あるいは未成年者飲酒禁止についての表示を徹底する、こういうことで業界一丸となって未成年者の飲酒防止化に努める、こういう姿勢を明らかにしておりまして、私ども所管官庁といたしましても今後とも十分業界の指導の遺憾なきを期したいと、こういうつもりでおります。
○飯田忠雄君 それでは、未成年者飲酒禁止法の違反が行われると、酒を飲ませた者が処罰される。飲んだ者は処罰されないで、飲ませた者が処罰されるんですが、この場合、酒を未成年者に飲ませた者というのはこの販売業者ではないかという疑念が出てまいりますね。つまり、未成年者が酒を買って飲むであろうということを認識して売るんですから、入れておくんですから、やはりそのいわゆる犯人は販売業者だということに解釈ができるのですが、あるいはそれはできないならできないという根拠を示していただきたいのと、それから未成年者飲酒禁止法という法律は、現状ではまことにこれはあってなきがごとき状態の法律なんですが、これでは国会が決めた法の権威というものが全くないではないかと思われるわけです。この点についての御見解を法務省とか、あるいはこの未成年者の飲酒について教育をなさっておる文部省とか、あるいは大蔵省とかの御答弁をお願いいたします。
○政府委員(岡村泰孝君) 自動販売機によりまして酒類が販売されておる場合でございますが、未成年者がその販売機で自分が飲酒するために買い受けたといたしましても、自動販売機を設置した者におきまして、未成年者が自分で飲む、未成年者の飲用に供するものであることを知って販売するという、そういう具体的認識があったかどうかということにつきましては、いろいろやはり立証上難しい点があるというふうに思われます。 それから次に、未成年者飲酒禁止法が有効に機能しておるかという趣旨の御質問でございますが、この未成年者飲酒禁止法違反で受理しております人員でございますが、大体毎年百数十件から二百件ぐらいは受理をいたしておるわけでございます。ただ、罰則が非常に軽いと言えば軽いわけで、「科料二処ス」ということになっておるわけでございますが、この未成年者飲酒禁止法が全く有名無実のものになっているとは言えないと思っておるわけでございます。
○説明員(下宮進君) 児童生徒の飲酒や喫煙防止に関します教育の問題でございますが、児童生徒の飲酒や喫煙は健康に大変悪影響を及ぼすだけではございませんで、非行などの他の問題行動にもつながるということもございますので、学校におきましては、保健体育、特別活動の学級指導やホームルーム等を通じましてアルコールやたばこの有害性に関する指導の徹底を図っておるところでございます。こういった指導を徹底いたしますために、文部省といたしましては、従来から教師の指導資料といたしまして、生徒の問題行動に関する基礎資料を作成いたしますとともに、教職員を中心にいたします研修会等を開催いたしまして、そういった研修会の中で教師の指導方法の向上にも努めているところでございます。今後とも教育の充実に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○説明員(宗田勝博君) 私どもお酒等が社会的に認められまして国民の方々にいつまでも愛飲していただきますと申しますか、そういうことが一番大事なことではなかろうかということで、それはただお酒の消費量がふえればいい、こういうことではいけない。やはり社会的に十分受け入れられて国民の方々の理解の上でお酒が飲み続けられる、こういうことが一番大切じゃなかろうか、こういうぐあいに考えておりまして、いわばこれを適正飲酒運動と、こういうぐあいに申しておりますけれども、こういうことで酒及び酒類業界そして酒販業界というものが十分国民の方々の支持が得られるようにということで業界を指導しておるところでございます。 そういうことでございまして、青少年の飲酒運動についても十分その問題の重要性をよく認識して対応するようにということで、かねてより指導しておるところでございます。
○飯田忠雄君 ただいまの御答弁の中でいろいろ私疑念に思いますのは、今テレビだとかあるいは新聞、雑誌でどんどん宣伝をいたしておりまして、酒類が売られておる自動販売機で子供たちが買っているんだということは、もう業者は十分御承知の上なんです。御承知の上でなおそういうことをされておるということになると明らかに未必の故意がある。未必の故意によるこれは故意犯だということにならざるを得ないのです。それから、同時にその故意犯を援助するようなことをもし官庁がおやりになるということであれば、これは国がいわゆる教唆をしておるということになってしまう。これはひとつ何か手を打って処置を考えていただかないと困る問題だと思います。 それから、この未成年者飲酒禁止法の第二条によりますと、酒類の器具の処分をできるようになっております。例えば押収、没収するとか、そういう処分をした事例は今までにございますか。法務及び警察の方でそういう処分をされたことがあるかどうかお尋ねします。
○説明員(根本芳雄君) ただいまの法二条の問題でございますけれども、未成年者が自分でお酒を飲んでいて、そこで注意、補導される、そういうときに持っていたお酒をどうするか、こういう御質問だろうと思います。この場合、ここの条文「没収シ又ハ廃棄其ノ他ノ必要ナル処置」、こういうふうに書いてございます。没収の部分については、私ども憲法その他論議があることを承知しておりますが、必ずしもこれは法律にあるいは憲法に違反しているとは考えておりませんが、しかし実務的には、本人にお酒を飲むことがまずいのだということを十分に説得しまして、そしてみずから廃棄させる、こういう措置をとっております。
○政府委員(岡村泰孝君) 本件の取り扱いにつきましてただいま警察当局の方から答弁がございましたが、そういう取り扱いをしておられることは検察当局も承知しておるところでございます。
○飯田忠雄君 この件に関しまして、その酒とか酒のびんだとか杯だとか、そういうものの所有権は一体だれの所有権であるとお考えでしょうか。
○説明員(根本芳雄君) ただいまの御質問でございますけれども、基本的にその本人が持っているというようなことで、処理の点ではなかなか任意のために難しいんですが、本人のものだということでも、ただ本人が持っていたのでは十変好ましくない、こういうことで保護者等に特に高価なものとか問題のあるものについては引き渡すように、そういう措置をとっております。
○委員長(二宮文造君) 両案件に対する質疑は、午前はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。 午後零時八分休憩 ―――――・――――― 午後一時十一分開会
○委員長(二宮文造君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案並びに検察及び裁判の運営等に関する調査のうち、法務行政の基本方針に関する件を便宜一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○飯田忠雄君 午前中に引き続きまして御質問を申し上げますが、まず最初に、午前中に申し残しました点がございますので、自治省のお方にお願いをいたすわけでございます。 条例の制定権の問題につきまして憲法の第九十四条では、法律の範囲内で条例を定めることができると、こう決めておりますので、この場合の法律の範囲内というのは法律に決めてある範囲と、こういう意味に解するのが今日の法理上の常識になっております。したがいまして、条例を制定される場合に、法律の委任規定がないのに罰則を勝手に決めるということがあってはならないと思われます。条例で罰則を決められる場合は必ず法律の委任規定によられることが必要だと思いますので、その旨について都道府県の方に何らかの機会にお話しを願いたいと思うわけですが、この点について自治省の方でどのようにお考えになっているか御答弁願います。
○説明員(濱田一成君) お答えいたします。 憲法九十四条では、地方公共団体は「法律の範囲内で条例を制定することができる」こととされているわけでございますが、これは地方公共団体の条例制定権を保障いたしますとともに、それが法律の範囲内で行われるべきことを定めているものと考えるわけでございます。したがいまして、地方公共団体は法令に違反しない限りにおいて条例を制定することができるものでありまして、このことは地方自治法第十四条にも明定されているところでございます。 さらに、罰則の関係でございますが、地方自治法の十四条の第五項で、一般的な条例の罰則の範囲というものが決められておるわけでございまして、法令に特別の定めがある場合を除いて、「その条例中に、条例に違反した者に対し、二年以下の懲役若しくは禁錮、十万円以下の罰金、拘留、科料又は没収の刑を科する旨の規定を設けることができる」、このようになっておるわけでございます。 先生のおっしゃいます個別法でそれぞれ委任をしている例もあるわけでございまして、例えば屋外広告物法でありますとか風俗営業等取締法でありますとか、こういった関係のものが従来からあっておるわけでございます。そういうことでございますので、個々の法律の委任がある場合はもちろんそれによりますが、一般的に条例の罰則につきましては、その十四条の根拠に基づいて各地方公共団体において適切な選択をしていくということになるかと思います。
○飯田忠雄君 実は、罪刑法定主義の原則によりますと、何を処罰するか、それを処罰できることに対する刑罰はどうするかというものは全部法律で決めなければいかぬと、こうなっておりますが、地方自治法の一般的な規定でもって刑罰の範囲は一般的に決められておるというだけの問題ですと、罪になるべき行為というものが明らかにされないで、つまり一般的に刑罰を決めておるだけですから、罪刑法定主義の精神からいきますと疑問があるのではないかと、こういう質問なんです。それで、各個別法でいろいろのことを決めておりまして、それに犯罪となる事項がかなりございますね。そういう場合には罪刑法定に合致するのですが、構成要件の部分を白紙委任をするという形で一体罪刑法定ということがあり得るかと、こういう問題があるんですが、どうですか。
○説明員(濱田一成君) お答えいたします。 十四条の一項では、まず地方公共団体の事務に関して条例を制定することができるようになっておるわけでございます。そこで、その条例を制定いたします場合に、何が犯罪になるかというその構成要件につきましては、それぞれの条例で明定をすることになるわけでございます。法律の具体的な委任に基づいて条例で構成要件を定めることもあり得るわけでございますが、地方自治ということで広く自治立法権を認めております関係で、非常に多様な条例があり得るわけでございます。そういうことで、自治立法権ということで、条例につきましてはそれぞれが的確な構成要件を決めていく、こういう趣旨でございます。
○飯田忠雄君 どうも私の考え方と根本的に違っているような気がするんですね。 憲法の三十一条によりますと、法律に基づかなければ処罰できぬと書いてあるんですよ。法律の根拠があって初めて処罰できるのだということは、法律に処罰規定があって、どういうことを処罰するかということが法律に書いてある。そして、それに対応する刑罰が書いてある場合に処罰できるんだと、これは罪刑法定主義の原則です。条例は、これは法律ではありませんので、条例の処罰規定で処罰するのは憲法の三十一条に抵触することになりはしないかと、そういう疑いがある。それで、条例で刑罰をお決めになる場合は、法律の中で構成要件が決めてあるようなものについて、それと同じようなことを条例でお決めになることがございましょう。その場合に刑罰をつけられるというものであるならば罪刑法定に一応合致すると思われるので構わないが、そうでないのに一般的におつけになるのは、罪刑法定主義の観点からいきまして、憲法の三十一条に抵触しはしないかと、こういう疑いがあるので申し上げておるわけですが、いかがですか。
○説明員(濱田一成君) 罪刑法定主義との関係でございますが、条例で構成要件を適正に定めている限り、これはそれに抵触しないという理解でございまして、判例におきましても、憲法第三十一条の手続違反ということはないということになっておるわけでございます。
○飯田忠雄君 現在の憲法では国民主権でございますね。国民主権ということになりますと、その主権者である国民の代表が国民の意思を反映したいろいろな法律をつくることになっているわけです。今日の憲法の明文によりますと、主権者国民の代表というのは国会議員だけなんですよ。これは国会議員だけが代表と書いてある。そのほかの人はたとえ総理大臣であっても国民の代表じゃないんです。国民の代表だとする規定はないんですよ。まして都道府県の議会なり都道府県の知事が国民全般の代表ということにはならない。これは都道府県の代表ではあるかもしれませんよ。それで、少なくとも全国民を対象にした処罰規定を設ける以上は、国民の代表である国会において決められたものでなければいけないのではないかという国民主権制の根本から発するこれは疑問なんです。それで申し上げているんですが、どうでしょうか。
○説明員(濱田一成君) 地方公共団体の条例はその効力が区域的に限られることとなっておるわけでございます。したがいまして、そういった限界の中で条例が効力を有するわけでございますが、条例が法律とは別の自治立法であることは御承知のとおりでございますが、そこで条例というものが民意を代表する都道府県あるいは市町村の議会の制定するものであるということから、憲法の趣旨に反するものではないという理解をいたしておるわけでございます。
○飯田忠雄君 都道府県の条例の中に青少年保護条例というのがございますね。この青少年保護条例を見ますと、法律で決めておるいろいろの犯罪構成要件を超えた構成要件を決め、あるいはちょっと読んでもわからぬような明確でない構成要件を決めて、しかもそれに刑罰を科するということをやっておられるわけですよ。そうしますと、この青少年保護条例において処罰されるのは青少年ではなくて一般の国民が処罰されるわけです、これに触れると。それで問題になるのではないか。少なくとも青少年保護条例でお決めになる場合には、法律に違反しない、つまり法律で決めておる範囲内の問題について処罰規定を設けるなりあるいは刑罰の範囲を設けられることが必要ではないか。 ここでは、問題になっているのは淫行という言葉です。この淫行の問題を青少年保護条例で全部取り上げておりますので、それが問題になっておるんですね。未成年の女子と男の間の問題ですが、未成年の男子でも十八歳の男子が十七歳の女子と関係をして引っ張られるということが現実に起こっておるわけです。そういうような問題はここでもう少し反省を加えるべき問題ではないか、こう申し上げておるわけですよ、都道府県の条例で勝手にそういうことをお決めになって、法律で決めてもいないようなことを都道府県だけでおやりになるというのはおかしいのではないか。 処罰でなければいいんです。処罰というのは、国民の基本的人権を侵害するものが処罰ですから、基本的人権の侵害が公共の福祉ということを理由に合法化されているわけだ。処罰というのは、本来、公共の福祉に関してということがなければ処罰は違法行為なんです。そういうことをよく理解をされて都道府県でも慎重な態度をとりませんと、条例で決める権利があるからいいんだといったようなことでは困るではないか、慎重な態度をとっていただきたい、こういう趣旨で御質問申し上げているんです。
○説明員(濱田一成君) 都道府県や市町村で条例を制定いたします場合には、特にそれが刑罰を伴うようなものにつきましては事前に慎重な検討をすべきであるということにつきましてはまことにごもっともなことでございまして、それぞれの法律との関係あるいはその刑罰の適否、そういった問題につきまして都道府県や市町村が条例の制定前に関係の省庁に十分御相談になったり、あるいは指導をお受けするということが一般的に行われておるわけでございますが、今後とも刑罰を伴う条例等につきましては各団体が慎重に取り組んでいくように、私どもとしても引き続き指導してまいりたいと考えております。
○飯田忠雄君 関連ですが、青少年保護条例のような条例を出す場合に、法務省とか文部省におかれては全然これは関知しておいでにならないのかどうか、監督権はこういうところには全然ないのかどうかという問題、それから青少年の性の問題について文部省はどういう教育方針を持って教育しておられるかという問題についてお尋ねをいたします。これは順次、法務省と文部省でお答えください。
○政府委員(岡村泰孝君) 各地方自治体が条例を制定するに当たりましては、対応いたしておりますところの検察庁の検察官に相談に参っておる、検察官も法律的な観点から適切に指導いたしておる、こういうような実情でございます。
○説明員(林田英樹君) お答え申し上げます。 青少年保護条例等につきまして文部省としてはどのように関与しておるかという御質問でございますけれども、文部省独自の立場で個別の地方公共団体におきます条例の制定につきまして直接の関与ということは少ないわけでございますけれども、実際には各都道府県等におきまして教育委員会サイドが非常に青少年保護につきましては、健全育成につきまして重大な関心等を持っておりますので、具体的な各都道府県におきます制定の際には十分御相談をしておるものと私どもも考えております。 それから、性についての指導をいかにやっておるかということも御質問にあったように思いますけれども、性教育につきましては、私どもも最近におきます児童生徒の問題行動の状況から非常に重要な課題だと考えておるわけでございます。学校教育におきましてはそれぞれ保健体育等の教科、それから特別活動、道徳等を通じまして、学校全体を通じまして児童生徒の発達段階に応じて指導を工夫してやっておるということでございます。
○飯田忠雄君 それでは、この問題はこれだけにしますので、自治省の方どうもありがとうございました。 次に、裁判でいろいろ第一審と第二審あるいは最高裁と意見が違う判決が下されることが多いわけですが、刑事の場合にはそれほど国民にとって迷惑なことはありませんが、民事については国民は非常に迷うわけです、どちらが正しいのかという問題。最高裁が正しいと言えば言えるんですけれども、まだその最高裁の判断が出るまでに随分時間がかかる。一審と二審とで意見が違うというような場合に、その疑いが生ずるような法律は、これは正しい法律じゃないのだから、疑いが生じないように早く立法をし直していただくことが必要ではないか、こう考えるわけです。立法されていないことについての争いならば、その問題を取り上げて早く立法していただく、また立法されておることについての争いならば、言葉が不明確でないように、明確になるような立法化をしてもらう、そういう措置が早急にとられることが本来必要なことだと思うわけでございます。 こういう裁判に保っておる事件につきまして国会が直接立案をするということは大変難しい問題がございますので、政府の方で、国会の方では政府にもうお任せしているんですから、立案をしていただいて、早くやっていただけるのがいいと思いますが、そういう措置をおとりくださることが難しいかどうかということ、あるいはそんなことは行政官庁の知ったことではないというお考えなのか、いろいろの御意見があると思いますが、御意見も交えて御答弁を願いたいと思います。よろしくお願いします。
○政府委員(枇杷田泰助君) 御指摘のように、一審と二審とで法令の解釈を異にする場合はしばしばあるわけでございます。むしろ一審の法律解釈について疑義がある、それを覆そうということで控訴されるケースもしばしばあるわけでございまして、民事訴訟の手続自体から各審級によって法律解釈を異にすることがあることはむしろ前提といたしておると思います。そういうふうな状況でございます。 また一方、控訴審を主に扱っております高等裁判所におきましても、八つございますので、その高等裁判所ごとに意見を異にする場合もあるし、また一つの高等裁判所の中でも部によって意見を異にするということもないわけではございません。そういう場合の裁判所としての法令の解釈の統一という問題は、ただいまもちょっとお触れになりましたけれども、これは最高裁判所の判例統一機能というところに期待をされておるわけでございまして、それによって実際上はうまく賄われておるというふうには思いますけれども、物によりましては、判例によってすべての法律関係が整合的に示されないために混乱が生ずるということもないわけではございません。したがいまして、物により、それから国民生活への影響の度合いによっては、そういう場合に立法措置をするということも必要でございますし、またそのようなこともしてきたこともたびたびあるわけでございます。 しかし、ただいまおっしゃいましたように、一審と二審との法令上の解釈を異にするからといって、だからすぐに立法というのは私はいかがなものかというふうに考えております。先ほど申し上げましたように、裁判所における判例の上級審における統一機能というのにまず着目をして、そこで調整をされていくということで、いわば法令の解釈、適用について専門的に扱って、それはその職務の内容とされている司法の問題でございますので、そこに任せるのが第一義的にはいいのではないかと思います。ただ、物によっては、おっしゃるように、むしろ解釈の統一とか、あるいは判例だけでは賄えない部分を法律制度全体として整合的に決めていくということのための立法が必要である場合もこれは否定し得ないところであろうと思っております。
○飯田忠雄君 それでは、次の問題に入ります。 刑事施設法案の問題につきまして、大臣の御所見の中にもございましたが、刑事施設法案と留置施設法案というものが、関連があることはあるのでございますが、どうしても一緒でないと都合が悪いという何か特別の御理由がございましょうか。別々に、ことしは刑事施設をやり、来年は留置施設をやるという方法ではどういう障害が生ずるのでしょうか。お尋ねいたします。
○政府委員(石山陽君) 刑事施設法案におきましては、前回提出しまして廃案になりました政府提出法案の第百六十三条というのがございまして、その中で、留置施設法案の成立を前提といたしまして、留置施設法に定める刑事留置場を監獄としてかえて用いるという表現があるわけでございます。したがいまして、この法案は同時提出、同時成立をそもそも前提としてつくった法案でございまするので、片方だけ先にできると、つまり刑事施設の方が先にできてしまうと、できていない留置施設法案に基づく刑事留置場というのができてしまう、こういう形で法の欠缺をやっぱり生じますので、現在までの法案形式ではいわゆる車の両輪と申しますか、そういう形で同時成立をお願いせざるを得ない、かように考えております。
○政府委員(小池康雄君) ただいま矯正局長から御答弁があったところとおおむね同じでございますが、若干実質的な問題について警察庁の立場から御説明申し上げたいと思います。 留置施設法案は、留置施設に留置される被逮捕者、被勾留者等の処遇等について規定するものでございます。留置施設に留置される被勾留者は、刑事施設法案の規定によりまして、刑事施設に収容することにかえて留置施設に留置されることとなるものでございますが、これらの警察の留置施設に留置される被勾留者の処遇は法務省所管の刑事施設に収容される被勾留者の処遇と均衡のとれたものでなければならないということが一つございます。また、留置施設に留置される被逮捕者につきましても被勾留者の処遇と均衡のとれた処遇を行うことが必要でございます。このように両法案は相互に関連いたしまして、一体として被収容者の平等処遇を保障するものでございまして、このため両法案が同時に成立することがぜひ必要であると考えておるわけでございます。
○飯田忠雄君 わかりました。 それじゃ、次に入ります。 大臣の御説明の中にもありましたが、人権保障の問題に関連いたしまして、今日大変世間を騒がしておりますいじめの問題、それから教育職員による体罰の問題、それから部落差別の問題、こういうような問題があるわけですか、こういう問題について法務省及び文部省ではどのような取り組み方をしておいでになるのか、御説明をお願いいたします。これは人権保障という観点からお願いいたします。
○政府委員(野崎幸雄君) いじめの問題につきまして私どもは、これは心身ともに健全に育成されるべき児童生徒の人権にかかわる問題であるという観点から、昨年の三月以来、全国の人権擁護機関を挙げてこの問題に取り組んでまいっているところでございます。私どもといたしましては、いじめというものがいかに相手方の人権を侵害する行為であるか、またそれがどれだけ相手の心を傷つけるものであるかということを啓発することにより、いじめを生んでおる土壌を改めてまいりますとともに、現に発生しておりますいじめにつきましては、その情報を収集いたしまして学校にこれを通報するとともに、学校と協力していじめの根絶に取り組んでいきたい、かように考えておるところでございます。 また、教職員による体罰につきましては、明らかに法律により禁止されているものでありますにかかわらず、なお体罰が後を絶たないということはまことに遺憾に考えております。 最近の世論調査などによりますと、体罰を肯定する風潮というものがかなり根強く残っておるように思われるわけでございますけれども、私どもは、体罰というものが法律により許されないということ、そして体罰というものがなぜ許されないのかということを人権擁護の観点から国民の皆様に御理解いただけるよう啓発をしてまいりたい、また現に発生する体罰事件につきましては人権侵犯事件として厳正に対処してまいりたい、かように考えておるところでございます。 次に、部落差別の解消についてでございますが、私どもは人権思想の普及啓発機関といたしましていわゆる心理差別の解消の面に取り組んでおるわけでございますが、残念ながら部落差別を生んでおります精神的風土、土壌というものはまことに根が深いものがございまして、なお相当の時日を必要とするように思われます。しかしながら、部落差別というものは、この土壌というものを根本的に改めない限りいつまでも残ってまいりますものでございます。そうして、この土壌というものを根本的に改めることができますものは啓発であり、啓発以外にはないというふうに考えておりますので、今後とも積極的に啓発活動を展開して部落差別の解消に近づいていきたい、かように考えております。 また、せっかく私どもが啓発活動を展開して事態の改善に努力しておりますにもかかわらず、なお残っております怖いもの意識、いわゆる同和は怖いという意識を利用いたしまして、これによって利権をあさったり、金もうけをたくらむという、いわゆるえせ同和行為というものが最近大きな話題になっておるわけであります。私どもは、この問題についても今後は大いに取り組んでまいりたい、かように考えておるところでございます。
○説明員(林田英樹君) お答え申し上げます。 いじめの問題につきましては、私どもの調査によりましても、これが小中高等学校を通じまして幅広く見られるということがわかってまいりましたし、また児童生徒がこれを原因といたしまして自殺をするというふうな事件が後を絶たないというふうな状況でございまして、私どももこの問題を、子供の人権という観点もさることながら、教育上の重要な課題といたしまして受けとめまして、現在その指導の充実に努めてまいっておるわけでございます。 いじめの原因、背景というものを考えてみますと、非常に幅広い学校、家庭、社会全体のいろんな要素があろうかというふうに思ってはおりますけれども、まず学校におきまして、これを教育の専門機関といたしまして正面から受けとめて指導の充実を図っていかなければならない、こういうふうに考えております。 文部省といたしまして、従来から教員の研修でございますとか指導の手引というものの発行というものを通じまして指導の充実に努めてまいっておるわけでございますけれども、特に昨年六月には学識経験者から成ります検討会議の提言をいただきまして、いじめの原因、背景、これに対する取り組みというふうなものを浮き彫りにいたしまして、その周知徹底を図ってまいっておるわけでございますし、さらに学校、家庭、社会の関係者から成ります全国のいじめの防止のための推進会議というふうなものの開催というふうなことも実施をいたしました。さらに先般、いじめの実態、それから都道府県、市町村の教育委員会、各学校におきます取り組みの実態等につきましても調査をいたしまして、いじめの実態を明らかにいたしますとともに、各都道府県の取り組みの推進の機会にもなろうかと思いまして、そういう実態調査をいたして発表いたしたわけでございます。 学校におきます取り組みというものはかなり進んでまいっておることがわかったわけでございますけれども、先般の東京中野の事件などに見られますように、まだまだ学校現場におきます深刻さの受けとめ方というものにつきましても不十分な点もあろうかということで、改めて文部省としての指導通知を発するというふうなことによりまして、一層この問題に対します認識を深め、指導の充実を図ってまいっておるわけでございます。 それから、体罰につきましては、御指摘のように学校教育法の第十一条で体罰が法律上でも明確に禁止をされておるわけでございます。しかしながら、この体罰の事件につきましても、先般の実態調査の中で調べてまいりますと、体罰として指摘をされて、学校、教育委員会などで調査をした事例というものもかなりあるということもわかりましたし、文部省として、懲戒処分等の措置を受けた者の報告を調べてみましても、昭和五十九年でも百二十名という者が懲戒処分や訓告等の措置を受けたということがわかったわけでございます。 まだまだ教員の中に体罰の禁止の趣旨というものが十分周知されていないというふうに受けとめまして、この点につきましては、昭和三十二年に既に通知が出ておるわけでございますけれども、さきの実態調査の結果の発表の際にも、改めて体罰の禁止の趣旨が一層徹底されるように都道府県教育委員会に対しまして求めたわけでございますし、さらに、特に若年の教師に多いというふうなこともわかってまいりましたので、文部省が今計画的に進めております教員の研修の中でもこういうものの指導を一層徹底していただきたいというふうなことをあわせて指導、通知いたしたところでございます。
○説明員(熱海則夫君) 部落差別問題について学校でどのような教育が行われているか、こういう観点でお話を申し上げたいと思います。 学校では同和教育という形でこれが行われているわけでありますが、これは対象地区の有無を問わず、全国すべての小中高等学校において行われることになっているわけであります。その基本的なねらいは、基本的人権の尊重の精神を高める、こういうところに重点を置いて、それぞれ社会科、道徳、特別活動、こういった場で適切に行うことになっているわけであります。 ただ、同和教育の具体的な進め方につきましては、これは学校の置かれている地域の状況によって多少違いがありまして、同和地区を有する学校などでは、それぞれの地域の持っているいろいろな教育上の課題がございます。例えば基本的な生活習慣を確立していこうとか、あるいは差別意識を解消しようとか、こういった問題も強く出ている地区がございますので、こういった学校ではこれを盛り込んだ具体的な指導計画をつくって、それぞれ指導しているのが実情であります。 なお、文部省は従来から、学校におけるこういった教育を進めるために、例えば地域ぐるみの同和教育を進めようということで教育推進地域というようなものを毎年指定をしてやったり、研究指定校を設けたりしてやっているわけであります。 ただ、一昨年、地域改善対策協議会というのがございますが、この意見具申で、学校における同和教育について教員自体の知識、理解、こういったものをもっと深める必要があるとか、あるいは学校と家庭がもう少し協調してやらないとこういうものは効果が上がらないというようなことも御指摘を受けておりますので、こういった面を今後考えながら一層充実してまいりたい、こういうふうに考えているわけであります。 以上でございます。
○飯田忠雄君 時間が来ましたので、最後に一つだけお尋ねします。 大臣の御所見の中で外国人弁護士法のことが触れられておりました。私、この問題をお聞きしまして、憲法との関係でちょっと不審に思ったんですが、外国人の職業の自由というものは憲法の第二十二条との関係で一体どうなるのであろうかということであります。これは、資格の問題は別です。資格の問題は別にしまして、職業自由の問題、憲法の二十二条では「国民は」という言葉を使ってなくて「何人も」と書いてあるわけなので、そうしますと、この場合外国人も、日本に住んでおる外国人は憲法によって保障されているのではないかというふうに理解できぬでもないわけなので、その点についてどのようにお考えになっておるかという問題が一つです。 それから、弁護士法における自治権の保障ということをおっしゃっておりましたが、それは別に弁護士法を持ち出すまでもなく、憲法上、職業の自由権、それから国民の自治権というものは憲法の問題として認められておるのではないかというふうに考えられるんですが、その点についての御見解はどのようなものでありますか、お尋ねします。 私の質問これで終わりますから、法務省の御見解を承って、あと全般的な問題として法務大臣の御見解を承りたいと思います。
○政府委員(井嶋一友君) 憲法二十二条で、何人も職業選択の自由を有するわけでございまして、この保障は外国人にも及んでおるということは御指摘のとおりだと思います。 この弁護士の問題ということに限ってお答えを申し上げますと、今委員御指摘のように、職業の選択の自由は内外人無差別に認められておるわけではございますけれども、やはり国内において一定の資格を要する職業につきましては、公益上の見地から、公共の福祉の見地からその資格者にしか職業の選択を認めないという制度になっていることも委員御承知のとおりでございます。弁護士について申し上げれば、外国の資格を持っておる外国の弁護士でありましても我が国におきまして自由に活動ができないということは、資格制度というものからくる制限であることも御理解いただけると思います。 ただ、この司法試験法及び司法修習生あるいは弁護士になる資格と申しますのは、規定上、外国人を排除をいたしておりません。したがいまして、外国人といえども司法試験に合格し、司法修習生となり、弁護士に登録をする道は開かれておるわけでございまして、そのような意味におきまして、外国人が日本の弁護士になる道は内外無差別に認たられておるということであろうと思います。 それから、弁護士会の自治権の問題でございますが、これは委員御案内のとおり、昭和二十四年に現行弁護士法ができました際に、かねてからの弁護士団体の自治の獲得というような運動が新憲法下で認められたものでございまして、当時議員立法といたしまして、国の行政権を排除した完全な自治権が弁護士団体に認められたというものでございます。それ以後四十年、今日までこの自治権を持った弁護士団体が自律をするという制度のもとに弁護士制度が運用されてきておるということは御案内のとおりだと思います。
○国務大臣(鈴木省吾君) ただいま政府委員から御答弁申し上げましたように、弁護士につきましては自治権を認め、またその弁護士会に登録していない弁護士については現在は日本の国内法の法律事務を行うことができないと、こういうふうに定めておりまして、これは今政府委員から申し上げましたように法律等に規定されて、何ら私は憲法その他に抵触するものではないというふうに信じておりますが、先生御案内のように、アメリカあるいはECから、外国の弁護士の資格を持っておる者も日本の国内で法律事務を行えるようにしてもらいたいということを、これは貿易摩擦との関連において出てまいっております。 政府もかねてから、それを可能な限り受け入れようと、こういうような方針で鋭意検討をしてまいりまして、アメリカあるいはEC諸国とも交渉し、さらにまた、当然これが日本の弁護士制度と関係をいたしてまいりますので、日弁連等とも十分協議をいたしまして、日弁連といたしましても、この程度ならよかろう、こういうことでひとつやったらどうだという意見等もいただきましたので、その線に沿いましてアメリカその他とも実は交渉いたしまして、おおむね妥結する状態になりました。やがてこの法律を国会に提出して皆さんに御審議を賜りたい、かように考えておる次第でございます。
○橋本敦君 外務省のアジア課長が時間の御都合があるようでございますから、最初にお尋ねをさしていただきます。 埼玉県の川越市出身で韓国の延世大学史学科に留学中の稲葉裕君というのがいるのですが、新聞報道によりますと、ことしの三月十日にスパイ罪で懲役七年の判決を受けたと、こういう報道に接しております。どういう事実、どういう経過なのか、まずその点の御説明をお願いしたいと思います。
○説明員(渋谷治彦君) 稲葉氏は、昨年の九月十一日、延世大学に留学中であったところ、国家保安法違反容疑で逮捕されました。起訴された後、昨年十二月九日以降九回にわたる公判が行われまして、二月二十四日第八回公判におきまして検察側より懲役十五年が求刑され、三月十日第九回の公判におきまして懲役七年、資格停止七年の判決が言い渡されております。その後稲葉氏は控訴を行っておりませんが、稲葉氏が控訴を行わなかったのは稲葉氏自身の判断によるものと承知いたしております。
○橋本敦君 具体的にスパイ罪として指摘をされた事実は、簡単に言えばどういうことかわかりますか。
○説明員(渋谷治彦君) 一つは、韓国内で禁止になっております出版物を持ち込んだ、それを学生に渡して見せた、それから学生運動の過激派とつき合ったというような事実が挙げられております。
○橋本敦君 私は他国の裁判に国会の論議であれこれ干渉的に申し上げるつもりはないんですが、私が聞いておりますところによりますと、稲葉君は高校時代から朝鮮問題に深い関心を持って、わざわざ朝鮮語を勉強して韓国の大学にまで入って勉強しているという青年であります。それで、考え方としては、日本人でありますから、北と南の厳しい緊張といった相手国の国情にもなかなか学生としてなれない状況も一つあったのではないか。一つは、今お話しのように、禁止された書籍という問題でありますが、簡単に日本でいえば言論、表現の自由という考え方がある。こういった違いから韓国官憲の嫌疑を招いたのではないかという気もいたしまして、人権あるいは人道上の問題として早くこの問題が解決をして祖国に帰れるように人道上の見地から尽力してやっていただきたい、こういう気持ちで質問しておるわけですが、今後本人の身柄の釈放、こういった問題について外務省として御尽力をいただきたいということをお願いしたいんですが、いかがでしょうか。
○説明員(渋谷治彦君) 三月十日に判決が下されたわけですけれども、この判決の内容はそれはそれといたしまして、同じ三月十日に外交ルートを通じまして韓国政府に対し、良好な日韓関係にもかんがみ、韓国政府による稲葉氏に対する穏便な措置を要請いたしました。その後も累次の機会に同様な要請を行っております。政府といたしまして、今後とも本件の成り行きを注視するとともに、邦人保護の観点からも必要な措置をとっていくつもりでおります。
○橋本敦君 わかりました。以上でこの点についての質問は終わります。ありがとうございました。 次に、最高裁にお尋ねをしたいのでありますが、けさ起きまして、さわやかに目覚めたつもりでありますけれども、大変さわやかでないニュースが飛び込んでまいりました。 私もかつて学んだ司法研修所、ここの修習終了に際しての試験で修習生の諸君の中でカンニングが行われていた事実がある。しかも、カンニングをした人の中に、これは先輩から伝授をされた手法だというようなことを言っておるのがあるという報道がありました。私は先輩の一人としてそんなことを伝授した覚えはありませんし、カンニングが常態化になっているはずもありませんし、一体どうなっているのだろうか。しかも、法曹といえば、社会的にも一応信頼ある立場で仕事をしなくちゃなりませんので、人格的にも不正を許さない清潔さが必要ですし、なぜこういうことが起こったのか。最高裁、事実を今どの程度把握していらっしゃるかも含めてお話しいただきたいと思うのであります。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 昭和六十一年度の司法修習生の考試、いわゆる三十八期司法修習生の二回試験でございますけれども、そこでカンニングと言われるような事態が発生いたしまして、私どもも先輩といたしまして、また司法修習生を所管している最高裁判所といたしまして本当に残念であり、また申しわけないと思っておる次第でございます。 今年度の二回試験、四百五十名の司法修習生が受験をしたわけでございます。試験の方式といたしましては、これは例年ほぼ同じようなものでございますが、各科目についての筆記試験と、それから口述試験とがあるわけでございます。筆記試験は二月二十七日が最初の日でございまして、二月二十七日から三月の五日まで、中に一日日曜日がございますけれども、六日間行われたわけでございます。 このカンニングと言われるようなことが発生したのは、この筆記試験のときでございます。この二回試験は司法修習生考試委員会という最高裁判所に常置されている委員会が所管しているわけでございますが、そこで試験の日程その他詳細を決めるわけでございます。そして、さらに司法修習生に対しましては応試の心得を配付いたしまして、そして試験当日使う六法全書については各人の持ち込みということになっております。これも昔からの制度でございます。ただ、その六法全書は書き込みのないものということに定められていをわけでございます。これも昔からの定めてございます。 六法全書を使います場合に、もちろん私どもでも傍線を引いたりすることは、これは通常あるわけでございますし、そのようなものまでは書き込みとは通常は言わないわけでございますが、それに試験に役立つような記入をした六法全書を使っていた者がいたということでございます。試験の開始に先立ちまして試験の係員から、試験には書き込みのない六法全書を使うことになっている、もしそういうものを持っている人があれば、申し出があればこちらに備えつけの六法全書を使っていただきますと、こういうふうに六法全書の交換を促しまして、それで取りかえた人も何人かはあったわけでございますけれども、その後、その取りかえをしないで試験を受けようとした人の中に何人か、調べてみましたところ、少し看過できないような書き込みがしてあるのがあったということでございます。さらに、試験が開始された後、係員が見回りをずっといたしますが、その過程でも何人か看過できないような書き込みをしている者があったということで、これは一日だけではございませんで、第一日目と二日目と二日間にわたって、最終的には八名の者の六法全書に明らかに試験の用に役立てるための書き込みをしてあるものが見つかったということでございます。 この点につきまして、私どもの方でその修習生から十分事情の聴取もいたしました。修習生の方で申しますには、先輩から教えられたというようなことを言う者もあり、あるいは現在の修習生の仲間の間でも公然の事実になっている、人によっては、六法全書に教える会というのがあって、あなたはもう六法全書に教えたかというような言葉まで交わされるんだというようなことを言う人もありましたけれども、そういうことで以前からある程度行われていたということではあろうかと思いますが、私どもには昨年の試験までは全くこれはわからなかったわけでございますが、そのような事態が二月の終わりから三月の初めにかけてあったわけでございます。 そこで、司法修習生の行状としましては、このような行為は到底無視できないということで、三月の十九日にその八名の者全員に対しまして司法研修所長から厳重な書面による注意が行われたということでございます。
○橋本敦君 先輩の皆さんもたくさんおられるわけですが、何かちょっと重症な感じですね。公知の事実なんということになると聞き捨てなりません。知らぬは教官ばかりなんというようなことになりますな。しかし、これがやっぱり裁判所や司法に対する国民の信頼を損なうということにもなりますので、この問題については厳しく襟を正していただきたいということをお願いをして、処置はどうせい、こうせいということは私申しませんけれども、二度とこのような不祥なことがないようにぜひお願いしたいというように思いますので、その点は今後の処置として厳正にやっていただけることを期待して、この点の質問は終わります。 さて次に、問題の撚糸工連事件についてお伺いしたいのでありますが、考えられたことではありますけれども、ついに通産省に事件が波及をいたしました。これはまさに国民から見ても、いよいよそこまで事態が深まったかという意味で重大な問題と受けとめざるを得ないわけでありますが、まず法務省に伺いますけれども、収賄側の容疑事実を簡単に説明していただきたいと思います。
○政府委員(岡村泰孝君) 高沢課長につきましては、昭和五十七年七月から六十年八月までの間、都内のクラブにおきまして撚糸工連の小田前理事長らから、設備共同廃棄事業等で好意ある取り計らいを受けた謝礼などの趣旨で、合計約三百四十万円相当の供応接待を受けたという事実でございます。 それから次に、高萩係長につきましては、昭和五十八年四月から六十年五月までの間、新宿区内の料亭におきまして撚糸工連の井上前専務理事らから同じような趣旨で合計約百万円相当の供応接待を受けたと、こういう事実でございます。
○橋本敦君 具体的にどういう便宜を図ったかという事実の特定はできますか。
○政府委員(岡村泰孝君) この点につきましては現在捜査中でございますので、具体的なことにつきましては答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
○橋本敦君 しかし、今おっしゃった廃棄事業に関連をして便宜を受けたということに関して職務上の収賄ということが容疑として特定できると、こういうことですね。
○政府委員(岡村泰孝君) そうでございます。
○橋本敦君 回数にして、それぞれ、どれくらいの回数と今のところ認定しておりますか。
○政府委員(岡村泰孝君) 高沢課長につきましては七十五回、高萩係長につきましては二十二回でございます。
○橋本敦君 金額が一千万近いのではないかというような説もあるのですけれども、回数が五十七年から六十年まで三年といえども七十五回、わかっているだけでですよ。ということは、もうかなりの回数ですから、まさに業界との日常的、恒常的癒着という関係がここから推測されるわけです。まさに公務員としてはもう襟を正さねばならぬどころか、癒着にのめり込んでいるという姿がここでわかるわけですね。 この高沢氏及び高萩氏の当時の監督上司は、職制上はどなたになりますか。また、ポストはどういうポストですか。
○政府委員(岡村泰孝君) 当時のと申しますと、要するに撚糸工連の設備共同廃棄事業等で好意ある取り計らいをいたしました当時ということでお答え申し上げますと、高沢課長につきましては通産省生活産業局原料紡績課の課長補佐をいたしておったわけでございます。高萩係長につきましては同じ局の原紡課化繊班化繊係長兼同班の加工糸係長をしておったわけでございます。したがいまして、上司ということになりますと、この職務のポストの上の課長あるいは局長と、こういうことになろうかと思いますが。
○橋本敦君 局長は篠島生活産業局長ですね。
○政府委員(岡村泰孝君) ただいま、ちょっとそこまで準備してきておりませんので、何ともお答えいたしかねます。
○橋本敦君 通産省はおわかりでしょう。
○説明員(江崎格君) 私も今手元に準備しておりませんが、当時高沢が、私の記憶ですが、課長補佐をしておりました時代の局長は篠島ではないと思います。
○橋本敦君 そうですか。どなた……。
○説明員(江崎格君) 十年ほど前でございますので、篠島が局長をしておりましたのは昨年の六月まででございますので、違うと思います。 それから、高萩がそのポストにおりましたときには、これも恐らく違っておるかあるいは後半少しタブっておるかという、ちょっと記憶でございますが、という程度でございます。
○橋本敦君 それから、篠島局長も業者の皆さんといろんな事務打ち合わせあるいは出張等をやったという事実が国会でも論議されておるんですが、篠島生活産業局長ですか、これはいつからいつまで局長の地位におられましたか。
○説明員(江崎格君) 昨年の六月に局長をやめておりますが、その前約一年間だと思います。
○橋本敦君 この問題についてもう一つ伺っておきたいことは、五十七年あるいは五十八年から六十年ごろにかけては、この撚糸業界というのは大変市況ダウンあるいは不況状況で、いわば業界としては非常に厳しい状況のあった時代であるというように思いますが、通産省いかがですか。
○説明員(江崎格君) 御指摘のとおりでございまして、撚糸業は糸を織物にする前による段階を担当しておる工程の業界でございますが、業界全体として非常に中小零細企業が多くて、非常に構造不況にあえいでおるという状況でございます。
○橋本敦君 法務省にお伺いいたしますが、この撚糸工連事件で融資に使われた金額、総額でどれくらいの金が出ているというように把握しておられますか。
○政府委員(岡村泰孝君) 現在捜査中でございまして、その辺のところを私どもの方から申し上げることはひとつ御容赦いただきたいと思います。
○橋本敦君 そうすると、総額がどれくらいかという金の全容についても現在捜査中であるということはわかりましたが、この金について言うならば大変な額であります。 まず、容疑事実から関係者について言いますと、元経理課長、これが使い込みで発覚をしておりますが、横領金額は幾らですか。
○政府委員(岡村泰孝君) 三谷元経理課長でございますが、起訴いたしました事実は、利付商工債券二億七千万円を業務上横領したと、こういう事実でございます。
○橋本敦君 一説には十億を超える横領というようにも言われておりますが、まだ捜査中ですか。
○政府委員(岡村泰孝君) 今ちょっと正確じゃございませんが、告訴事実もこの二億七千万円よりも多い金額、数億であったかと思います。その差額につきましてはなお捜査中であると思っております。
○橋本敦君 それから、詐欺によって小田清孝ほか起訴されておりますが、詐取された金額はどのぐらいということになっておりますか。
○政府委員(岡村泰孝君) 小田前理事長ほか三名を詐欺の事実で起訴いたしておりますが、この詐欺いたしました金額は約四億二千万円でございます。
○橋本敦君 それはまさに起訴された今の時点での金額でありますが、撚糸工連に対する制度融資全体としての総額は五百六十億、五百億を超える巨大な金が動いたという状況だというように報ぜられておりますが、今捜査中というお話でありましたけれども、起訴されて表に出ている金額は全くその一部で、制度融資全体としてこの間動いた金は数百億、五百億以上に上るということは言えるのではありませんか。
○政府委員(岡村泰孝君) 融資がありました金額すべてが不正というわけでもなかろうかと思うのでございまして、私が申し上げられますことは、起訴いたしました事実はこの程度だという先ほど申し上げたところでございます。
○橋本敦君 通産省にお伺いをしたいのでありますが、問題となりましたまず第一の繊維工業構造改善臨時措置法による問題でありますけれども、この法律はそもそも附則第二条で昭和五十九年六月三十日までにこの法律は廃止されると、こうなっていたことは間違いありませんね。
○説明員(江崎格君) 本法律の附則第二条で、五十九年六月いっぱいとなっておりました。
○橋本敦君 法務省もこの事実はよく御承知だと思うんですね。これが百一国会の昭和五十九年に五年間延長になりました。その当時これを五年間延長してもらいたいというのは業界の熱心な要望であったという事実は法務省御存じですか。
○政府委員(岡村泰孝君) ただいまの点につきましても、検察当局におきまして撚糸工連の一連の事件を捜査いたしておる段階でございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
○橋本敦君 通産省に聞きますが、当然、当時の不況状況の中でこれの五年間延長は業界としての切実な希望の一つであったということは事実ですね。
○説明員(江崎格君) 私の承知しておりますところでは、業界がそのような要望を持っておったかどうかということは私自身実は正確には承知しておりませんが、ただ通産省としてその時点で、今後も繊維産業の構造改善を進めていく必要があるというふうに判断したわけでございます。
○橋本敦君 通産省としてそう判断したという背景に業界の希望があるという状況が当然あって決して悪いことはないですよ。当たり前のことですよ。業界紙見たら一遍にわかる。そんなことがわからぬでは答弁になりませんよ。業界が希望もしないのに延ばしてやったという意味ですか。そうじゃないでしょう。どうですか。
○説明員(江崎格君) 業界としても構造改善を進める必要があるという認識を持っておったことは事実だろうと思います。
○橋本敦君 それからもう一つの問題で、大臣命令として調整規則で官報に公表されて、それで機械の登録という問題が、これが一つの本件でも問題になってくる大事な問題でありますけれども、この機械の登録という問題について言うならば、これは通産省も御存じのとおりでありますけれども、中小企業団体の組織に関する法律によって、大臣命令でもって未登録設備の使用禁止とか新増設の制限とかということがやられることになっておるわけですね。この問題について言うならば、業界としては不況カルテルとして引き続きぜひこれも実施してほしいという要望の強い課題であったということも間違いないはずですが、通産省どうですか。
○説明員(江崎格君) 先生御指摘の中小企業団体の組織に関する法律の第五十七条及び第五十八条に基づく通産大臣の命令でございますが、毎年中小企業安定審議会でその命令を出すべきかどうかを審議しておりますが、その時点で、昨年でございますが、業界から調整規則を続けて制定してほしいという希望があったことは承知しております。
○橋本敦君 そういう希望が昨年もあったが、その前もあったはずだから、したがって中小企業便覧、これによりましても、撚糸についてのその問題については五十九年の十一月までのものが六十年十月にまで延長されるということで、未登録設備の使用禁止あるいは新設、増設の禁止という不況カルテルが続けられていることになるわけです。こういう経過があることは法務省もよく御存じだと思うんですが、設備の廃棄に関して好意ある取り扱いを受けたというのは、こういう制度の延長も含めて当然業界の意向をくむということで好意ある取り扱いをしたというのが当時の事情から見て明らかだと思うんですが、法務省いかがですか。
○政府委員(岡村泰孝君) 検察当局といたしましても、本件、贈収賄で捜査いたしておりますので、一連の経過は承知しておるところであろうと存じますが、具体的に好意ある取り計らいの中身ということになりますと現に捜査中でございますので、お答えは差し控えたいと存じます。
○橋本敦君 しかし、こういった業界が希望する制度の継続、延長という面で業界が希望し、かつ、今通産省もお話がありましたが、通産省の意見としても、制度をそういうように延長することについては通産省としてもやるということに判断をしたという答弁があるわけですから、この面について職務権限とのかかわりあるいは業界の働きかけとのかかわり、これは当然捜査の重要な一環として捜査を遂げていかれるべき課題だと見ておりますが、いかがですか。
○政府委員(岡村泰孝君) 職務に関して供応接待を受けるということ、これが収賄でございますので、どういう職務に関したか、その内容といたしまして、先ほど申し上げましたように共同廃棄事業等で好意ある取り計らいを受けたそれの謝礼である、こういう容疑事実で身柄を拘束しておるわけでございますから、その中身につきましては検察当局において具体的に捜査をするものと思っております。
○橋本敦君 もちろん、おっしゃるとおり検察当局が中身について捜査はやっておられるわけで、厳正な捜査を求めておるわけですが、その捜査の視野の一つとして今私が指摘したような制度の存続をめぐる業界の要望と通産省とのかかわりも視野の一つとして入れておかなくちゃならぬじゃないかという私の意見についてどうですか。
○政府委員(岡村泰孝君) 検察当局が何分捜査に着手いたしたばかりでございますので、いろんな国会での論議あるいは新聞の報道、こういったものも、当然これは検察当局も承知することになるわけでございまして、そういう中で必要な捜査を行うものと思っております。
○橋本敦君 そういう必要な調査の中に今私が指摘したことも当然入らなくちゃおかしいじゃないかという意味で言っているわけです。あえて否定はなさらぬと思うのです。 そこで刑事局長、次に私の述べることに耳を傾けていただきたいのでありますが、通産省に伺いますが、五十八年十月に繊維工業審議会、産業構造審議会が「新しい時代の繊維産業のあり方について」という答申を出しているわけです。この繊維工業審議会、産業構造審議会というのはどういう権限を持ち、どういうことをする審議会ですか。
○説明員(江崎格君) 繊維産業についてのあるべき姿を描きまして、それを実現するためにどのような施策が必要かというような繊維政策の基本的な問題を提出するのがこの審議会でございます。
○橋本敦君 これは正式に法律上の答申を出す権限を持っているわけですか。
○説明員(江崎格君) 審議会として答申を出す権限は持っております。
○橋本敦君 一般に政府は、中曽根総理も含めて、審議会や諮問委員会の答申は極力尊重するという姿勢を行革等でも貫かれておるんですが、通産省も同じですか。
○説明員(江崎格君) 私どももそのつもりでおります。
○橋本敦君 そこで、私が問題にした五十八年十月の繊維工業審議会、産業構造審議会の答申で、設備登録制についてはどういう答申をしていたか、手元にございますでしょうか。
○説明員(江崎格君) ございます。 この答申の要旨、登録についての要旨を申し上げますと、五十一年に審議会は、登録制という現状固定的な仕組みは政策的な意味を失いつつあるのではないかという提言を既にしているわけですけれども、しかし「登録制を実施している業界においては、これについて議論の浸透、進展等がなお十分とは言えない状況にある。」ということを言っております。 したがいまして、この審議会としては、「審議の過程で示された停止までの猶予期間の問題等具体的内容については、このような状況にある現時点で結論を出すことは尚早であると判断し、真に繊維産業の発展を期すにはこの問題にどう対処すべきか業界関係者で真剣かつ広範な検討が早急に行われることを期待」するということを言っております。「さらに審議を重ね、この答申全体の意義及びその一体性が損われることのないよう速やかに結論をとりまとめることとしたい。」という答申を出しておられます。
○橋本敦君 法務省、ここのところをよく聞いていただきたいんです。この答申では、設備の登録制はもう五十一年ごろから、提言によって、これはもう政策的意味を失いつつあるという判断、こういう判断が出ていた。そこで、段階的な解消の方法の検討を含めて早急に必要な準備を進めて、できるだけ早期にこの延長を停止すべきであるという、こういう基本方向を示していた。つまり、ここなんです。不況カルテルに重要な役割を果たす設備の登録制はこの答申としてはやめる方向を打ち出していたんです。だが、業界はやめられたら困るという立場にあるんですよ。通産省は普通なら答申は極力尊重するということを今もおっしゃったし、政府はいつもそうおっしゃるんですが、この答申についてはやめる方向で尊重されるのではなくて、業界の要望どおり継続の方向で今日まで来ておられるんです。 そこで、私は捜査の問題として法務省にお尋ねをし、かつ申し上げたいのは、今収賄ということで逮捕されているこの二人の人の職務上の地位からいいますと、こういった制度の答申に反してまでも業界の要望を入れて前向きにしていくという通産省の判断を出させていくには、この二人はちょっと職務権限及び地位からいって低いのではないか。 したがって、今度の捜査の一つの重要な問題としては、こういう政策的な問題が答申に反しても業界の要望どおり進められているという事態がどうして起こってきたか。そういう問題にメスを入れて、今逮捕されているこの二人の上司やらあるいは通産局の中の状況等を踏まえて、捜査を上にも伸ばして、目を光らしていかなければ真相はつかみにくいという状況が出てくるから、そういう面で捜査は厳重に、この問題を徹底的に解明する方向でも進めてもらいたいというのが私の意見ですが、法務省、いかがですか。趣旨はおわかりだと思うんです。
○政府委員(岡村泰孝君) ただいまの御指摘の御意見はよく承ったところでございます。検察当局も現在撚糸工連をめぐります一連の事件につきまして鋭意捜査中でございまして、その間に刑罰法令に触れるような事実がさらに他にあるならば、これは厳正に対処するものと、かように思っております。
○橋本敦君 逮捕された小田は、政界はもちろんですが、官界にもいろいろ働きかけを行ったということを公然とあちらこちらで述べて、隠していない状況もある。 したがって私は、この撚糸工連事件は、今逮捕されている二人だけにとどまらない、通産省の業界に対する姿勢を含めて上部の責任を明らかにしなきゃならぬ重大な問題があるということを指摘したんです。 もう一つ大事なことは、これは全部、今お話ししたように、第百一国会で延長が決められる、あるいは大臣命令で延長がなされるというように、国会の審議絡みであります。だから、そうなると国会議員は全部これに関して審議するという、そういう場を通じていわゆる問題の職務権限を持っている範囲に国会議員が入ってくる可能性のある問題があるんですね。国会議員の職務権限として、法案の審議、決定、これが一般的に職務権限に入ること、これは間違いありませんね。
○政府委員(岡村泰孝君) そうでございます。
○橋本敦君 そこで、通産省の幹部だけではなくて、この業界が三、四十人を超える政治家にいろいろ、パーティー券を渡したとか献金をしたとか盆暮れに渡したとか、あるいは御三家に政治献金を出したとか、いろいろな風聞が出ておるわけですけれども、それなりの根拠が、今私が指摘したような問題から構造的にあるということなんです。 したがって、もう一つ重ねて聞きますけれども、自治省にお伺いしたいのでありますが、国との直接、補助金あるいは融資等で関係がある団体から選挙の寄附やあるいは政治献金を受け取るということは、法律的にはどうでありますか。
○説明員(中地洌君) ただいまの御指摘の撚糸工連が選挙活動あるいは政治活動のために寄附をするという点でございますけれども、その具体的事実については承知してございません。 ただ、解釈といたしましては、公職選挙法の第百九十九条、それから政治資金規正法では第二十二条の三という規定が関連規定でございます。 公職選挙法の第百九十九条第二項は、国または地方公共団体から利子補給金の交付を受けている者から融資を受けた会社その他の法人の寄附を禁止しております。御指摘の撚糸工連でございますけれども、撚糸工連に融資を行っている中小企業事業団が国から受けておりますのは利子補給金ではなくて出資金ということでございます。したがいまして、公職選挙法第百九十九条第二項には該当しないということになります。 それから、政治資金規正法の第二十二条の三第一項でございますけれども、これは国から補助金等の支出を受けている会社その他の法人が国会議員等に対して政治活動に関する寄附を行うことを禁止した規定でございます。撚糸工連につきましては、中小企業事業団から融資を受けているわけでございますので、国から直接補助金の支出を受けていないわけでございます。したがいまして、同条には該当しないというふうになります。
○橋本敦君 そこで、国と密接なかかわりがある問題であり、そして国の制度的な融資に絡む問題であるのに、今言った公選法及び政治資金規正法の限界が形式的に解釈上あって、それが直接適用されないということは、逆に言えばこの撚糸工連は政治献金や寄附を野方図にやっても公選法や政治資金規正法にひっかからぬということなんですよ。 そこで問題は、今私が言った、まさにこの業界の要望するとおりの方向に政策を決定していく、法案を通していくということを期待をして政治家に金がばらまかれたとしたら、それは政治家の職務権限との関係で政治家の贈収賄という問題を厳しくチェックをしていかなかったらチェックするところがない、こういう事件なんですね。 そこで、法務省に伺いますが、我々の調査では五百六十億、そして不正に使われた金がそのうちの何ぼかはともかくとして、詐欺で受け取った金でも今おっしゃったように四億を超すわけですから、かなりの金、これが不正な金として動いておるわけですが、この金の使途がどこへどういうように行ったかということも含めて金の使途は徹底的に調べる、政界への使途も含めて徹底的に調べることがこの事件の真相究明では極めて大事だとこう思うんですが、法務大臣の御意見はどうでしょう。
○政府委員(岡村泰孝君) 捜査一般といたしまして、詐欺あるいは横領という財産犯につきましては、やはりその使途の解明というのが犯罪捜査の裏づけ捜査という意味におきましても通常行われておるところでございまして、本件におきましてもそういうような形の捜査は行われるものと思われます。
○橋本敦君 そして、その金の使途の関係から政治家への政治献金の持つ意味等も含めて徹底的に究明をしてもらいたいと捜査の責任を持つ法務大臣に望むのでありますが、いかがですか。
○国務大臣(鈴木省吾君) ただいま刑事局長からも御答弁申し上げましたように、刑罰法令等に触れる事案がありますれば、捜査当局は厳正に捜査するものと思います。
○橋本敦君 会計検査院にこの問題で伺いますが、予算委員会でも答弁されておるんですが、撚糸工連については、これまで五十二、五十三、五十四年、検査報告を出して、その答弁をされておりまして、それによりますと、一定の貸し付け等に関する不当事項を含んでおったということが出されておるんですが、その後五十五年以降は集中的な調査、検査をしておられない。五十九年に一部検査を行ったけれども問題なかったというんですが、今はっきりいたしました、もう連続的に料理屋で飲み食いという異常な状態が続いておる問題の五十八年から六十年にかけて、これは一部検査ではとても真相が究明できませんが、会計検査院としても検察の捜査と相まって集中的に検査をしっかりやる必要があるというようにお考えになりませんか。私はぜひ必要があると思うんですけれども、いかがですか。
○説明員(深田烝治君) 私どもも今回の事態につきましては深い関心を持っておりまして、今後十分な検査をいたしたいと、そのように考えております。
○橋本敦君 それは会計検査院としての、今後も十分な検査を行う、こういうお約束ですから、ぜひやってほしい。検察としては、政界工作も含めてこの事件が持っている、今の私が指摘した問題点と構造に照らして、徹底的に刑事犯罪の嫌疑がある限り、政界工作も含めて捜査を遂げていただきたいということを強く要求をして、撚糸工連についての質問は一応終わります。 次は、フィリピンの経済援助関係についてお伺いをしたいのであります。 まず、平泉経企庁長官の発言でありますけれども、私どもは陳謝ということでは済まされない重大な問題だと思っておるんです。中曽根総理も外務大臣も調査をしっかりやると答弁されておる。野党各党はフィリピンへも調査団を派遣をして、国政上の重大な問題として、不正があればたださねばならぬと、こう言っているときに、とやかく言うのは内政干渉だとかあるいは女房に財布を渡して、渡した金がどこへ使われようが、それはもう勝手な問題だというようなことを言うというのは不見識そのものだと私は思います。私は、まさに対外経済協力関係所管大臣として罷免に値する重大な発言だと、こういう考えを持っておりますが、法務大臣はこの点についての御所見はいかがでありましょうか。
○国務大臣(鈴木省吾君) 先般来、総理並びに外務大臣からそれぞれ、ただいまおっしゃったような御答弁があるわけでございます。私も全くその点は同感でございます。
○橋本敦君 平泉経企庁長官の発言は是認されることはないという意味ですね。
○国務大臣(鈴木省吾君) 昨日も衆議院で総理の釈明ですか、また御本人の陳謝もあったようでございます。私も全くそのとおりだと思っております。
○橋本敦君 よく意味がわからぬのですが、そのとおりというのは、要するに総理が厳重注意をされるのは当然のことだと、こういう意味ですね。 時間がありませんから詳しくはもう申し上げませんが、今度公表された文書で非常に重大なことは、円借款に絡む事業で大体一五%の手数料が常態化しておる、こういうことですね。この一五%の円借款の一覧表まで出てきているわけであります。BBBという符号で出ているということも明らかでありますが、このBBBと言われる、この手数料と称する金がどういう性質の金だというように外務省見ておられますか。
○説明員(林暘君) 先生御指摘の書類はソラーズ委員会で公表された書類だと承知しておりますが、我々現在それを研究しているところでございます。そこに確かにBBBということで一五%という記載がございますが、それがどういう種類のお金かということは我々承知しておりません。
○橋本敦君 それでは、公表された文書で東陽通商の亡くなった小竹常務がアンジェニット社の会長あてに出した書簡が公表されておりますから、外務省もこれはお読みになったと思うんです。国会にも資料として提出をされた。これによりますと、その性質が非常に明らかなんです。 端的に言いますと、伊藤忠が手数料ということをなくそうという、コミットメントをなくそうということでカルテルをつくってやったんだけれども、結果はどうなったかといいますと、それは亡くなった将軍、今はその人の名前はこれはもう具体的には割り出されておるわけでありますけれども、その人によって凍結をされてしまっている。このコミットメントが復活をするとそのプロジェクトがまた生きてくるわけですから、一五%というのはまさにプロジェクトを生かしていくということに深くかかわっておるということが一つわかるでしょう。 それから、この手紙によりますと、その将軍が亡くなった後、アキノ大臣が仕事を引き継ごうとしてきたんですが、それはやめた方がよろしいですよというアドバイスをこの小竹はしている。その理由はなぜかといいますと、アキノ氏が集金係や問題のことに手を出すと、はっきり書いてあるんですが、それは田中首相が投獄されたロッキード事件のような騒ぎになるかもしれませんから、それはやめた方がいいというリコメンドをやっているわけですね。その理由は、この手紙によればはっきり書いてあって、そのアキノ大臣というのは、これは政府職員で海外経済協力基金と延べ払いプロジェクトの直接責任者だからですと、こう書いてある。 つまり、端的に贈収賄罪が適用される職務権限を持った人間だからやめた方がいいですよという忠告をするということは、この手数料なるものがわいろ性を持っている金であるということを自白していることですよ。だから、そういう意味で、今出されている公文書で公表された一連の巨額に上る一五%あるいはそれ以下もありますけれども、このBBBで表示される金はわいろ性を持った金としてマルコス政権も見ていたし関係者も見ていたということが当然この文書から明らかですが、外務省どう思いますか。当然でしょう。
○説明員(林暘君) 先ほど申し上げましたように、ソラーズ委員会で公表された書類の中に今先生御指摘の書簡があったことは承知しておりますし、我々もそれを読んでおりますが、事実関係がどういうことになっているのか、まだ事実については承知しておりません。
○橋本敦君 私が指摘したような観点がこの私が指摘した文書から推測されるんですが、この問題についてどういう性質の金であるということになるか外務省も調査すると約束しているんですから、これからも調査の中で検討しますか。
○説明員(林暘君) 外務大臣もこれまでほかの委員会で答弁されておりますように、政府といたしましては、フィリピンに対する経済協力について、これまでもその適正な実施のために可能な限りの措置を講じてきておりますし、我々としては全体として協力が所期の目的を達成しているものというふうに考えております。しかしながら、対比援助に関して種々の議論が行われることを踏まえまして、真相究明のためにできる限りの努力を行いたいと考えておりまして、現在、先ほどより御指摘の公表された資料の内容を検討しているところでございます。この結果、改善すべき点があれば改善に努めてまいりたいというふうに考えております。
○橋本敦君 要するに、調べるということで了解しますけれども、巨額の金が動いた事実プラスこれは一体いかなる性質の金か調べなきゃいかぬですよ。 フィリピンにも贈収賄罪というのは当然刑法上あると思うんですが、法務省教えていただけますか、私フィリピンの刑法知らぬので。
○政府委員(岡村泰孝君) 私どもが承知している範囲でございますが、フィリピンの刑法典等におきまして、公務員が職務の遂行に関して何らかの行為をした、あるいはまた、しないことの報酬としてわいろを受け取るような場合収賄になる、贈った方は贈賄になる、いずれもこういったものを処罰する、こういう規定が置かれていると承知しております。
○橋本敦君 当然だと思います。だから、その公務員の中に大統領も入るんでしょうね。
○政府委員(岡村泰孝君) そこまでは私も詳しく承知していないところでございます。
○橋本敦君 入らないと憲法十四条どころでなくなってくるわけですからね。 そこでもう一つ、フィリピンからこのいわゆるBBBの金を受け取りに閣僚が来た、それに日本国内で渡した、こうなりますと、その閣僚は職務権限の関係で収賄罪になる可能性がある、フィリピン刑法上もあるとして、日本の企業の責任はどうなるんでしょうか。
○政府委員(岡村泰孝君) 先ほど申し上げましたように、フィリピンの刑法典等において贈収賄の処罰規定があるわけでございます。そのフィリピンの刑法典等によるとどうなるかという問題であろうかと思います。具体的な事実関係がもう一つ明らかでございませんので、今の段階でお答えは少しいたしかねると思っておる次第でございます。
○橋本敦君 フィリピンの国内で日本企業がわいろと見られる性格のある金をマルコス政権関係の公務員に支払ったということで収賄罪が成立する場合、日本企業の責任はどうなるでしょうか。
○政府委員(岡村泰孝君) 日本企業と申しますか、法人処罰ということにつきましては、フィリピンの国内法どうなっているか、私よく存じませんが、贈賄をした者につきましては、フィリピンの国内法に言うわいろの罪の構成要件に当てはまるならば、恐らくフィリピンの国内法に言うわいろ罪が成立するのではないかと思いますが、具体的な事実関係わかりませんので、それ以上のことは申し上げかねる次第でございます。
○橋本敦君 私もそう思うんです。したがって、今私がこのBBBという金の性格を検討しなきゃならぬと言うのは、単なる不正なリベートを贈ったというだけでじゃなくて、フィリピン刑法から日本企業あるいは自然人が贈賄罪ということの適用を受けて調べを受けなくちゃならぬ犯罪行為に加担をしているということにもなる、そういう重大な問題があるということを今私は一つは言ったんです。 それから、時間がありませんので、次の問題で端的に聞きますけれども、国税庁ですが、昭和五十七年にフィリピン関係で、シーランド・エンタープライズ・ジャパン社が使途不明金があってペナルティーの重加算税が課せられた。その申告漏れが一億五千二百万、このうち七千万円が経理操作でつくられた簿外資金ということで問題になった事実があったということが報道されておりますが、事実ですか。
○説明員(林正夫君) シーランド・エンタープライズ・ジャパン社につきまして、三月二十五日でございますが、各紙に報道されている事実は私どもよく承知いたしております。 そして、私ども一般論でございますけれども、海外取引に関しましてはいろいろ手数料等の支払いなどあるわけでございますが、そういう場合につきましては、まずその資金の源泉は何であるか、それから支払っている内容、これはどういうものであるかというようなことにつきまして、税法上これが支払い内容につきましては経費として認められるか、そういうようなものであるかというようなことについて念査をするということをいたしております。そして、資金の源泉の問題でございますけれども、もしその資金が税法上不正な方法で捻出されたものであるということになりますと、そういう不正行為によりまして捻出しました所得の隠ぺいにつきましては重加算税の対象にするということでございます。 それから、支払い内容の問題でございますけれども、支出先がもし明らかにならない場合、これは使途不明金として経費性を否認いたしまして、所得として課税の対象といたします。また、仮に支出先が明らかでございましても、それが手数料と言えるかというようなことも検討いたしまして、もしそれがそうでないという場合には、その態様に応じまして、交際費あるいは寄附金という形で、それぞれ限度額を超える分については課税の対象にいたしております。もちろん、それが手数料として認定できるということになりますれば、これは経費ということになるわけでございます。 ただ、ただいま先生御指摘の具体的な問題につきましては、今申し上げたようなものは一般的な話でございますが、個別にわたる事柄につきましては、申しわけございませんが、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○橋本敦君 この場合は、帳簿操作で簿外資金で一億五千万の申告漏れがあり、そのうち七千万がフィリピンの方から来た閣僚に渡されたということですから、フィリピン内部だけじゃなく、日本国内もそういった犯罪行為の場として一つはあったという問題は大事なんです。 それで、国税庁にもう一遍聞きますけれども、一般論ですけれども、一五%の手数料というのはかなりのものですよ、巨額のプロジェクトになれば。それが正当な手数料としてちゃんと経理上されておるのか。そう認定できるのか。あるいはこのBBBという金は、さっき私が指摘したように薄暗い金ですから、この新聞報道のように簿外操作をしてつくり出すということになって、あるいは使途不明金があるいは申告漏れか、あるいは場合によっては、調査によっては脱税か、いろいろなことが問題になる可能性があるわけですね。したがって、今度この公表文書で多くの企業の名前とそれから支払った手数料なる金がほぼ推定できる状況で具体的に何百何万何ドル何セントまで出ているわけですから、こういった会計操作がそれぞれの企業で適当であったかどうか、政府は全面的に調査をすると言うんですから、国税庁も必要な企業については洗い直しをするという方向でやらなくちゃならぬと思うんですが、いかがですか。
○説明員(友浦栄二君) 今先生御指摘のありました文書等につきましては私どもも外務省を通じて入手しております。これらの資料につきましては新しい貴重な情報としてこれを受けとめ、適正に処理してまいりたいと考えております。
○橋本敦君 この間の新聞でも丸紅の社長が、調査にはみずから進んで協力すると、こう言ってマルコス資産問題で言っているわけですから、今おっしゃったように、情報に関心を持って必要な調査をやるということでは、私はやっぱり洗い直しはやっていくべきだと、こう思います。 そこで、もう一つ重大なニュースが飛び込んできました。 この新聞報道によりますと、アメリカで巨額の資産を蓄えているという問題が出ているのはよく知っておりますが、日本にもマルコス・ファミリーは二億ドルに上る資金を預託しておるというようなことで、これの調査の必要があるということをフィリピンの方が言っておるというニュースが飛び込んできておるわけですね。これに関連して言いますと、アメリカはマルコス氏の資産凍結という検討をやっているという情報があります。また、スイス政府も、異例中の異例ですけれども、マルコスの資産凍結命令を出している、こういうことになっている。フィリピン政府の要望があれば、これはフィリピンの国の資産だ、マルコスあるいはそのファミリーの個人資産ではないという問題で要望があれば資産凍結ということを我が国はできるのかどうか。我が国では戦前のような資産凍結令がありませんからできないと思うんですが、どう対応するか。大蔵省、どうでしょうか。
○説明員(藤原和人君) ただいま御質問のございました、スイスでどのようなふうに措置をとったのかということにつきまして、私ども詳細を承知しておりませんので、はっきりしたことは申し上げられないわけでございます。 日本で預金の凍結がどうであるかというお話でございますと、基本的には、これは私的契約に基づくものでございまして、金融機関にいたしましても預金者の利益を保護するという義務があるわけでございますから、法律的に申しましても、また運用面で申しましても、預金の凍結ということは、先生もおっしゃいましたけれども、非常に難しい問題ではないかというふうに思います。
○橋本敦君 新聞報道では、今東京の銀行に日本の対フィリピン円借款、これに関連をしてマルコス前大統領が金二億ドルを口座に入れておるということで、フィリピン政府当局が関係者に調査に乗り出すように指示したと、こうあるわけですが、もしこれが公式に要請として出てきますと、預金者保護と、こう言うけれども、アメリカもスイスも慎重に検討した上でそれなりの対応をして、単に預金者保護ということでぽんとはねつけるというようなことじゃなしに、まさにフィリピンの国民の正当な資産を不正蓄財から守るという方向で進んでいるわけですよ。日本もそういう姿勢を私はとらなきゃならぬと思うんです。 その場合に、預金者保護と言うけれども、その預金者が架空名義があるいは偽名か、つまり通常の特定できる状況でない、そういうような偽名もしくは架空名義を使った預金であって、そしてフィリピン政府から、それはフィリピンの国家資産の一部だというような主張が出てきて、本当の債権者が特定できない場合は、銀行としてはどうなさいますか。通常は真の債権者が特定できるまで支払いというのは事実上押さえられるということもあるのじゃないですか。
○説明員(藤原和人君) 御質問いただいて、そのまま駆けつけてまいりましたので、十分な検討もいたしておりませんが、基本的には、先ほど申しましたように、私的契約でございますので、それを凍結をするというようなことは大変難しいのではないかというふうに思います。
○橋本敦君 いや、凍結せいとは言ってない。事実上の対処の仕方として工夫の余地があるんじゃないか。
○説明員(藤原和人君) 運用上も、先ほど申しましたようなことで、なかなか難しいのではないかという感じでございます。
○橋本敦君 それじゃ、日本ではまさにアメリカやスイスとは違ってタックスヘーブンじゃありませんが、マルコスヘーブンですよ。フィリピン政府から要請があっても日本はそういう態度しかとれないということは、これは国際協調からいって問題じゃないでしょうか。私は、預金者保護はしなくていいとは言っておりませんよ。不正蓄財について徹底的捜査をやると日本政府も言っているんだから、フィリピン政府の要請があれば慎重に検討するという姿勢を持つべきだと、こう言っているんです。 そこで、法務大臣に伺いますけれども、ロッキードのときは司法共助協定というのをつくって、ロッキード事件の真相究明に大いに役立ったわけであります。今度の場合も、私が指摘するように、手数料はわいろ性を持っている。フィリピンで渡せば日本の企業も贈賄罪ということでフィリピン刑法で犯罪の対象になる可能性が法律上ある。日本の国内なら日本の国内法の適用ですけれども、今言ったように、税法の関係やら、あるいはまた外為その他いろいろ関係が出てくるでしょう、あるいは政治家へのキックバックがあれば、それもまた問題になるでしょうけれども、日本政府がこの問題について対外経済協力をしっかり洗い直すというそういう必要な課題、これは総理もしっかりやるとおっしゃっている、フィリピンのアキノ政権もマルコス蓄財の不正を国民のためにたださねばならぬと、こう言っているんですが、私はこういう日比双方の調査のためにしかるべき手続をとる方法を検討すべきだと思うんです。現にラウレル副大統領がこの間のNHKのインタビューでも、日本に調査員を派遣したいと、こうおっしゃる。調査員ということになりますと、フィリピンの捜査官憲が来るということになりますと日本の主権との関係が出てきますから、そう簡単に来れない。インベスティゲーターを派遣したいとおっしゃっていましたが、インベスティゲーターとおっしゃる意味が捜査官憲まで含むかもしれませんが、これは検討しなくちゃならぬ。そういうことになりますと、国際的なグローバルとまではいきませんが、海を越えた両方にわたるスキャンダルなりあるいはブライベリーにかかわるこの疑惑を徹底究明歩るためには、向こう側の政府の意向もありますけれども、司法共助協定を結んででも解明をしたいという意向が表明されれば、日本側も積極的に検討すべきだというように私は思うんですが、法務大臣あるいは法務省のお考えはいかがですか。
○政府委員(岡村泰孝君) 一般的に申し上げますと、外国との間の捜査共助ということにつきましては、我が国では国際捜査共助法というものがございまして、この法律の要件に合致するならば、そしてまた捜査共助を行うことが相当な事案につきましては、国際捜査共助法の規定に従いまして証拠の収集等を行うところでございます。 こういう国際間の捜査共助につきましては、もとより具体的な犯罪の嫌疑があるということ、これが一つの前提ではございますけれども、両国間に何らかの取り決めなり協定なり、こういったものを結ぶということ、これは必ずしも不可欠の要件ではないわけでございます。また、フィリピンとの間ではこれまでの間にも、相互主義の保障のもとに、お互いに共助しておる過去の例もあるわけでございます。 そこで、ただいま御指摘の、何らかの協定を結ぶべきではないかということでございますが、これはやはり個々の事案に即しまして、事案の推移に応じまして、あるいはその必要性に応じまして判断すべき事柄であろうかと、かように思っておる次第でございます。
○橋本敦君 わかりました。だから、現在でも協力共助関係はできておるのだが、事態の推移によっては検討に値する問題だという御意見だというように理解して質問を終わります。
○抜山映子君 法務大臣の所信表明の中に、過激派集団の法と社会への挑戦というべき反復行為、そういうものに対しては厳戒を要するものがあると、こういうように言っておられるわけでございます。同僚委員が先ほども申されましたように、先般、米大使館にロケット弾が発せられた、こういう事態がございまして、恐らくこれはサミットに対する一つの牽制もあるかというように新聞報道されておりますが、このような過激派集団に対する国民のいら立ち、不安、そういうものははかり知れないものがあると思います。今後こういうものに対して厳しい警戒態勢をとる必要があると思いますが、どういう対処をなさるかお聞きいたします。
○説明員(鏡山昭典君) ただいま御質問ございましたゲリラとそれに対する対策の問題でございますけれども、対策に入ります前にちょっとゲリラの内容を御説明いたしたいと思います。 これは、新聞などでロケット砲というようなことが書かれておりますけれども、実は三月二十五日、一昨日の午後一時十五分ごろでございますが、皇居半蔵門付近の道路上と、それからアメリカ大使館付近の道路上から、普通乗用車の、これはいずれも盗難車両でございますけれども、これの後ろのトランクに中に時限式の発射装置を入れておりまして、それが時限が参りまして中から火災物おのおの三本、この火炎物といいますのは、二十センチ足らずの火炎瓶様のものの後ろに三十五センチぐらいの木の棒をつけておりまして、その木の棒を発射筒に差し込んで発射する、こういう装置でございまして、性能的には火炎瓶程度のものでございますが、ただこれを二百メートル以上飛ばして皇居、アメリカ大使館に撃ち込んだと、こういう事件でございます。 幸い人的にも物的にも被害はございませんでしたけれども、非常に悪質な事案でございますし、これは先生御指摘のように、来月それから再来月行われます天皇陛下御在位六十年式典あるいは東京サミットに対する極左暴力集団の前段階ゲリラというふうに考えまして、今警視庁では特別捜査本部を設置しまして強力に捜査をしておるところでございます。 なお、この事件と関連しまして、やはり二十五日の二時半ごろでございますが、神奈川県の東名高速の港北パーキングエリアというところに、やはりこの事件で使用されたと全く同じ火炎物発射装置を備えました盗難された普通乗用自動車が発見されております。とれにつきましても、この事件との関連ということを含めまして神奈川県本部で捜査本部をつくって捜査中でございます。 私ども警察といたしましては、天皇陛下御在位六十年記念式典それから東京サミットを間近に控えておりまして、この行事が平穏に挙行できますことを決意しておりまして、国民の皆さん方の御協力を得ながら、今後極左暴力集団に対する取り締まり、動向把握等、諸対策を強力に推進してまいりますと同時に、重要防護対象につきましては現在もいろんな形のゲリラというものを想定しまして、各種の警備態勢をとっておりますけれども、こういう事案を踏まえまして、さらに改善、検討を加えまして、一層警備を強固にいたしまして警戒警備の万全を期してまいりたいと、このように考えております。
○抜山映子君 このような過激派集団に対する処罰が迅速に行われていない、非常に裁判が長引いているその結果、司法は新しいほどいいと言われておりますが、過激派集団に対する見せしめの効果を果たしていないという傾向があると思うのでございます。したがいまして、全部が全部と申しませんけれども、過激派の事件についての主なものについて、その審理がどのようになっているかちょっと御説明ください。
○最高裁判所長官代理者(吉丸眞君) 私どもでは過激派というようなカテゴリーでその事件の審理期間等についての統計はとっておりませんので、全体的なことを申し上げるのは困難でございます。ただ、比較的最近、判決がございました事件について幾つかの例を挙げまして、大体こんなところというふうなところで御承知いただきたいのでございます。 一例といたしまして、五十八年十月十八日に第一審の判決がございました黒ヘル集団の交番爆破の事件がございます。この事件は、第一審に約三年六カ月を要しております。また、五十九年の十一月二十八日に日大の内ゲバ事件についての一審の判決がございましたが、この事件につきましては約十一カ月を要しております。また、六十年三月十三日に、いわゆる連続企業爆破の宇賀神被告に対する第一審の判決がございましたが、この事件にいきましては二年七カ月を要しております。また、ごく最近でございますと、六十年の八月に、いわゆる成田用水の事件の公務執行妨害事件でございますが、これについて第一審の判決がございましたが、これは約九カ月を要しているということでございまして、一概に過激派事件と申しましても、やはりそれぞれの事件の規模あるいは内容などに応じて審理期間はこのようにいろいろ変わっております。
○抜山映子君 諸外国に比べまして日本の裁判というものは非常に遅延している、こういうような批判が行われておるわけでございます。平均的にはどれくらい審理に、刑事、民事についてかかっているか、数字が出ますでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(上谷清君) 私どもの統計によりますと、昭和五十九年の統計が一番新しい統計でございますが、昭和五十九年度に既済になりました民事通常訴訟事件、これについて申し上げますと、まず一審でございますが、地方裁判所におきましては六八・五%、まあ七〇%近い事件が、訴えが提起されて後一年以内に処理されております。一年を超えまして三年以内に処理されたものの割合は二三%、さらに、三年以上かかっております事件が八・五%というふうになっております。これを全体の事件のいわゆる平均審理期間という形に直してみますと、十三カ月、一年一カ月というふうな数字が出ております。 一方、第一審のもう一つの簡易裁判所でございますが、こちらの事件では九一・四%の事件が、訴えが提起されまして後六カ月以内に処理されております。一年を超えた事件は全体の二・六%、非常に少なくなっておりまして、これを先ほどと同様、平均審理期間という形で統計をとっておりますが、これで見ますと三・四月というふうな数字が出ております。 地方裁判所、それから簡易裁判所とも、それぞれ十年前に比較してみますと、かなり審理期間は短縮されておるのでございまして、地方裁判所ではこの十年間で約四・四カ月ばかり短縮となっておりますし、簡易裁判所でも一・九カ月ばかり平均審理期間としては短縮されております。 以上が第一審でございますが、控訴審について見ますと、やはり昭和五十九年度の既済となりました民事通常訴訟事件でございますが、まず高等裁判所では平均審理期間で申しますと十三・九カ月、それから地方裁判所の控訴事件におきましては平均審理期間が十三・八カ月というふうになっております。この点も十年前に比較いたして見ますと、特に高等裁判所においては短縮化傾向がかなり著しくなっておりまして、五・八カ月、約半年近く短縮されている、このような数字になっております。地方裁判所の控訴事件につきましては、昭和五十七年度まではほぼ横ばいの状況でございましたが、五十八年からやや短縮化の効果があらわれてまいりまして、昭和四十八年度、十年ほど前に比べまして三カ月余り平均審理期間で短縮されております。 最後に、上告審でございますが、同じく昭和五十九年度に既済となった事件で見てまいりますと、民事通常訴訟事件でございますが、最高裁判所では平均審理期間が八・八カ月、高等裁判所の上告事件では平均審理期間が五・七カ月という数字が出ております。このそれぞれの平均審理期間をやはり十年ほど前の四十八年に比べてみますと、最高裁判所の事件では三・七カ月短縮、高等裁判所の事件におきましては七・一カ月短縮と、このような統計数字が出ておる次第でございます。
○最高裁判所長官代理者(吉丸眞君) それでは、刑事事件の審理状況について、簡単に御説明申し上げます。 刑事第一審である地裁の平均審理期間は約三・六カ月でございます。全体の約九二・二%の事件は、起訴後六カ月以内で結審に至っております。反対に審理期間が二年を超える事件は全体の約一・一%に過ぎません。また、同じく第一審裁判所であります簡裁の平均審理期間はさらにこれよりも短く、二・六カ月でございます。 次に、控訴審でございます高等裁判所におきましては、その平均審理期間は約四・九カ月でございます。 また、上告審であります最高裁判所の平均審理期間はやはり四・九カ月でございます。 以上でございます。
○抜山映子君 このたび裁判所職員の定員がほんの少しふえることになっておりますけれども、現在裁判官一人当たりどれぐらいの件数を扱っているのか、ちょっと大まかなところで結構ですが、御説明してください。
○最高裁判所長官代理者(上谷清君) 民事事件でございますが、これは実は裁判官が例えばある地方裁判所におります場合に地方裁判所の事件だけをやっているわけではなくて、例えば家庭裁判所の事件も担当しておられたり、あるいはまた簡易裁判所の事件も担当しておられる、あるいはまた、同じ地方裁判所の中でも民事と刑事を担当しておられる、そういうふうなこともございますので、余り正確な事件数は算出しにくいのでございますが、ごく大ざっぱな数字でよろしゅうございますれば、私どもとしてその程度のことは申し上げられるかと思います。 これは、地方裁判所の第一審民事通常訴訟事件ということで数字を申し上げたいと思うんですが、これを昭和六十年度の数字で申しますと、民事の裁判官一人当たり平均して大体百二十件前後になるのではなかろうかと思います。もちろん、この通常訴訟事件のほかに、例えば執行事件でございますとか保全事件でございますとか破産事件でございますとか、たくさん事件がございますので、それらの事件を通常訴訟事件とどのように換算するかということがございまして、これはちょっと数字にしにくいわけでございます。それから行政訴訟事件、手形訴訟事件、そういうふうな特殊訴訟事件もございますので、それらは数は余り多くございませんが、この上に上乗せになるということでございますので、余り正確な数は計算しにくいのでございますが、ごく大ざっぱなところということでございますと今申し上げたような数字になろうかと思います。
○抜山映子君 先ほど民事の事件処理期間として十三カ月というような数字が出されました。この委員の中にはかつて弁護士でおられた方も多いと思いますけれども、平均が十三カ月というのはちょっと経験からいくと短過ぎるということが言えると思うんです。普通はやはり一審だけでも二年ぐらいかかるというのが我々弁護士仲間の常識みたいなようになっている。恐らくこの十三カ月の中には和解かなんかで非常に簡単に済んだものも含まれていると思われますが、この点いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(上谷清君) 和解あるいは欠席判決等の既済事件も含まれてございますし、それから取り下げになったものも含まれております。
○抜山映子君 当然そういうことだろうと思います。 私が幾つか外国人の事件を扱っておるのですけれども、非常に日本の裁判は長い、日本の裁判は緻密ではあるけれども迅速においては甚だ欠けるのじゃないかという苦情が大変に多いのでございます。 そこで、参考までに伺いますが、日本のロッキードの裁判でございますが、御存じのとおり、昭和五十一年に逮捕されて以来まだ控訴審で、いつ控訴審の判決が出るかというようなことでございますけれども、外国においてこのロッキード関連の判決がどういうような経過になっているか、ちょっと参考までに、わかりましたらお聞かせください。
○政府委員(岡村泰孝君) 外国における事例でございますが、イタリアにおきまして元国防相らを贈収賄で訴追したという事実があることを承知いたしておるわけでございます。この件につきましては、昭和五十二年の三月に訴追いたしまして、五十四年の三月にイタリアの憲法裁判所において判決があったと、こういうふうに承知いたしております。
○抜山映子君 今の事例からもわかるように、日本は大変に長引いておるわけです。どうしてこのように訴訟が遅延しているのか、その原因についてはどのように分析しておられますか。
○最高裁判所長官代理者(吉丸眞君) 先ほど御説明申し上げましたとおり、我が国の刑事裁判は、一般的に申しますとほぼ迅速に行われていると申せるかと思います。ただ、御指摘のような一部の大型複雑な事件につきまして一審だけで数年を要するというようなこともあるわけでございます。その最大の原因は、この種の事件におきましては、やはり事件が複雑困難だということから非常に多数の証人を取り調べる、必然的に多数の開廷を重ねなければならないというところが最も大きな原因でございます。このような多数の開廷を重ねながら、しかも審理の長期化を防ぐためにはできるだけ開廷間隔を詰めて継続的に期日を指定するほかはないわけでございまして、現在の刑訴法あるいは規則もこのような継続審理の原則を規定し、裁判所はこの方向で努力いたしておるわけでございます。 ただ、このような継続審理につきましては、裁判所だけでなく訴訟関係人全員の協力がぜひとも必要でございまして、例えば多数開廷の見込まれる事件につきましては月に二回、さらには週に一回というようなペースで審理を進める必要があるわけでございます。多忙な弁護人の中にはそのようなペースにはついていけないと難色を示される方もございまして、このような点も継続審理を困難とする大きな原因となっているところでございます。 また、審理の内容につきましても、審理の空転を避け、事件の核心をついたむだのない充実した証拠調べを行う必要があるわけでございます。このためには裁判所の適切な訴訟指揮ということも要請されますとともに、検察官及び弁護人が十分な準備に基づき活発な訴訟活動を行っていただく必要もあるわけでございます。これらにつきましては全国の各地方裁判所に第一審強化方策協議会を設け、検察庁及び弁護士会等、具体的な方策についていろいろ検討を重ねるなどしていろいろ努力しているところでございます。
○抜山映子君 先ほど過激派の事件について、黒ヘル交番爆破の事件が三年六カ月三日かかっている、それから連続企業爆破事件は二年七カ月十二日かかっている。これらについてはまた控訴しておるわけですね。控訴して、さらにまたその上上告する、こういうことになりますと判決が確定するのはもう十年近くも先になってしまうかもしれない。そういうことだと、もうみんなが忘れたころに判決が出る。そうすると、過激派に対する見せしめ、社会に対するフレッシュな、ああ、こういう判決がおりたのかという感じが全くなくなってしまうわけですね。この訴訟遅延の防止について何か制度的にこういうことができるのではないかとか、そういうような構想はありませんか。
○政府委員(岡村泰孝君) 審理の促進を図るということは刑事裁判におきましても非常に重要なことでございます。制度的に今の制度を変えるというよりは、運用面におきましていろいろ審理促進のために訴訟関係者が努力し合うということ、これがやはり一番望ましい姿ではないか、かように思っておるところでございます。
○抜山映子君 運用面にと言われましたけれども、それでは運用面においてどの点を改善すれば訴訟の迅速が実現できるでしょうか。
○政府委員(岡村泰孝君) 運用面につきましても審理促進のためにいろいろ問題があるわけでございますが、一つには、起訴いたしました事実が多いとかあるいは争点が多いとか、そのために双方の立証に手間がかかる、こういうような問題もあるわけでございますが、いずれにいたしましても公判期日を集中的に指定いたしまして、できるだけ短い間隔を置いて公判を開くということ、これがまずもって審理の促進に寄与する面であろうかと思うわけでございます。
○抜山映子君 私は単に公判期日だけの問題じゃないと思うんです。例えば最高裁に上訴して書面審理でもう随分長く放置されている事件が現に私の抱えている事件でもございます。このようなことは公判とは全く関係なく、まさしく裁判官がいつ判決を書いてくださるのかという問題に帰一するわけでございまして、こういうことであるならば、やはりアメリカでやったように、迅速な裁判を実現するための法律をつくって、最低何日以内には判決しなくてはいけないとか、そういうような法律をつくることも考えなくちゃいけないんじゃないかと、こういうように思うんですが、その点いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(吉丸眞君) ただいま最高裁の上告審のお話がございましたが、刑事の上告について申しますと、先ほど御説明申しましたとおり最高裁の平均審理期間は四・九カ月でございまして、弁論を要しないような事件についてそれほど長期を要しているということはないように思われます。 また、いつまでに公判を開かなければならないあるいは判決をしなければならないというようなことを法律に定めるということも考えられるところかもしれませんが、我が国の実情から申しますと、非常に大型な事件から簡単な事件まであるということで、これを一律に定めるということはいかがかという考え方もあろうかと思います。
○抜山映子君 私はこのような問題を提起しましたが、御参考までに申し上げますけれども、裁判官訴追委員会というのが国会の中に、ございまして、訴追してくれと上がってきた事件の中で、弁論を結審したのをまた再開して、二年に至っていまだ判決に至っていない、その間にいろいろ証人の鑑定とかということもあったんですけれども、並みいる委員の法曹界出身でない議員の方はみんな、この事案はおかしいということでむしろ訴追の方に傾いていた、法曹出身の者は、大体こんなに長くかかっているのはもう当たり前なんだというようなことで訴追には値しないという意見に傾く。そうすると、やはり一般の人はこの裁判の長期化ということについて本当に不信を持っているのだなということを痛感したわけです。 ですから、裁判の迅速化を図るということで法曹三者において定期的に協議を持って、いろんな意味で迅速化を図っていくことが必要ではないかと非常に痛感させられたわけです。例えば検察官が証人を何十人申請するとか弁護士が証人を何十人申請するとか、幾ら大がかりな事件であってもちょっと常軌を逸しているような申請については、やはり裁判官も訴訟指揮をして、そんなにダブっているものについては採用しないとか、あるいは調書の作成コンピューター化によって、今どき書記官の読みずらい字で裁判官がそれを読むのに非常に難航して、どういう字なのかとそれを判定するのに時間がかかるというようなナンセンスなことがないように、ワープロなどを利用してどんどん読みやすい調書をつくるとか、いろいろ方法があると思います。ひとつそういう問題について真剣に御検討いただきたいと切にお願いするものでございます。 ところで、この裁判の長期化の問題につきましては、裁判官の定数の問題等もあると思います。先ほど裁判官、検察官の任官者が少ないということで若干数字も挙げられましたので、私は裁判官、検察官の中途退官者が一体どれぐらいあるのか知りたいと思いますが、御教授いただけませんか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 裁判官の中途退官について申し上げます。 年度によって多い年、少ない年いろいろございますけれども、判事の中途退官は平均いたしますと大体毎年三十名前後でございます。それから、判事補の中途退官、これは一けた、五、六名というくらいの数でございます。
○政府委員(根來泰周君) 検事の退官者について申し上げますと、大体ざっと申しまして、一年間に五十人程度の検事がやめております。そのうちのほぼ半数ぐらいは在職年数二十年以上ということで、いわゆる勧奨退職ということでやめておるわけでございまして、残る半分の二十五人程度の者は在職年数二十年に及ばない段階でやめておるというのが実情でございます。
○抜山映子君 今お伺いして、大変な数字だと思うのでございます。もう少しこの数字の内容を明らかにしていただきたいと思うんですけれども、要するに退職時まで、満期まで勤め終えられた方が何人で、そして中途退官された人は退官者全体のうちで何人かと、こういう数字で言っていただいた方がもっとはっきりすると思うのですが、ひとつお願いいたします。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) ただいま申し上げましたのは中途退官でございます。定年まで勤めて退官した方は含まれていないわけでございます。定年まで勤めて退官する者は、これはもちろん判事だけでございますが、これも年度によってさまざまでございますが、最近は十名前後であろうと思います。
○抜山映子君 私がいただいた資料で見ますと、昭和五十九年度で退官者数が三十二名、そのうち定年退官者を除いた退官者は二十八名、昭和六十年度においては退官者数四十五名のうち、定年退官でなくて退官した者が三十七名と大変に多くなっておるわけでございます。もちろんこの中にはもう定年に非常に近い時期でやめられた方もあるかもしれませんし、あるいは公証人になるためにおやめになった方もあるかもしれませんが、それにしても五十九年は三十二名中二十八名、六十年度は四十五名中三十七名と、このように中途退官者が多いのは大変問題ではないか。これは私の聞き知っておる範囲では、中年において退官する人は転勤が中年になって苦しくなったからやめてしまったという方が圧倒的に多いように聞いております。 そこで私、日本は全国的に裁判官、検事を動かして、どこにいても平等の司法救済を受けられる均質化ということで非常に意味があるというように伺ってはおりますけれども、転勤の場合に例えば関西エリア、関東エリアで、出身地周辺というような形で動かせば退官者もかなり減るのではないかと、こういうように思いますが、その点についていかがお考えでございましょうか。
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) もう少し申し上げますと、例えば今述べられました五十九年度で申しますと、退官者数三十二名で、そのうち二十八名が中途退官である。四名が定年ということになります。六十年度ですと、四十五名の退官者中三十七名が中途退官であり、八名が定年ということになります。実はこの五十九年、六十年に定年に到達する判事はもっと多いわけでございます。といいますことは、この中途退官者のうち何人かは定年の本当に直前に例えば簡易裁判所判事に任命されるとか、あるいは大学教授の方に転身するとか、そういった理由であと半年とか一年未満を残して退官されるという方がおられるわけでございます。それから、中途退官者のうち半数ぐらいは大体公証人に任命される方でございます。公証人に任命される方と申しますと大体は六十を超えたぐらいの方でございまして、あとわずかを残して退官される。したがいまして、中途退官者の半分以上はそういった定年をかなり間近に控えてやめていかれる方であるわけでございます。 私たちの理解としましては、転勤を直接の原因としてやめていかれる方は余りないように理解しているわけでございます。もちろん毎年転勤の問題があり、そして一、二名はその任地へは行けないということでおやめになる方もありますけれども、そんなにはその数は見られないわけでございます。もちろん、中途退官者の公証人等に任命される方以外の方、これは大体弁護士に転身されるわけでありますから、弁護士に転身されるということは、ここらでそろそろ転勤生活には終止符を打ちたいということが心の底にあってそちらに転身していかれるということもあろうかと思います。そういう意味で、転勤が退官と全く無関係というふうに申し上げるわけではありませんが、転勤がつらいからということが直接の引っかかりとなってやめていかれるという方はそんなにはないように理解しているわけでございます。弁護士に転身される場合でも、転勤問題だけではなくて、例えば親の跡を継がなければならないとか、いろんな事情があるように伺っているわけでございます。 今御指摘の地域別の転勤という問題でございますが、これは私たち転勤はもちろん各人の家庭的な事情等も十分考えて、余り無理な形にならないような転勤というものを考えてはおりますけれども、しかし裁判官を全国に適正に配置していくということとか、あるいは一人の人を余り長期間一つの場所に置くということはまたその裁判所の沈滞という問題も起きてくる。そういったことを防がなければならないとか、あるいはやはり任地によっては好まれる任地と好まれない任地がございます。そういうことで任地の公平ということも考えなければならない。そういったいろんなことから、ある程度の範囲での転勤というのはやむを得ないものと考えているわけでございます。 その地域内での転勤というふうにしてしまいますと、好まれる地域を動く方はいいのですが、好まれない地域に定着してしまって、その中だけしか動けないというようなことになりますと、これはまた人事の公平という観点から問題があろうかというふうに考えられますので、現在のところはなるべく人事の必要ということと各人の個人的な事情ということを、十分両方を考慮に入れながらやっていくほかはないのではないかというふうに考えております。
○抜山映子君 最後に一言。もう終わりますが、私の知っている範囲の任官者、大変皆さん使命感に燃えて任官されて、やめるときには大っぴらには転勤が嫌でやめますというようなことはおっしゃっておらないと思います。しかし、プライベートにいろいろお伺いすると、実はということで、転勤が大きな障害になっているのが事実でございます。したがいまして、その地域、関西エリアとか広いエリアにおいて転勤をある程度緩やかに認めて、個人の事情を勘案してあげればかなり退官者が減るのでないかということをもう一度申し上げて、御記憶におとどめくださいますようお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○中山千夏君 まず、法務大臣にお伺いしたいと思います。 毎回、新しく大臣がお越しになったときに必ずのようにお伺いしている問題なんですが、死刑制度というものがございます。これについて大臣はどういうお考えを持っておられるか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(鈴木省吾君) 死刑制度につきましては、国民がどう考えているかということを尊重しなければならないというふうに考えておりますが、何回かの世論調査等を拝見いたしましても、廃止すべきだという回答が十何%かにすぎない、存続すべきだという御意見が七〇%をたしか超しております。そういうことを考えますると、やはり国民一般が凶悪犯罪の抑制等を考えて今にわかに廃止すべきでないだろうという御意見が多数であると考えますので、私もさように考えておる次第でございます。
○中山千夏君 法務大臣のお立場としてはまさにそういうお考えになろうかと思うんですが、私自身は、死刑制度は将来にわたっては廃止をした方がいいというふうに考えているんです。その間に廃止に持っていくやり方はいろいろあるでしょうけれども、そう来年とか短い期間で考えられることではなさそうだという感じもしております。 それで、法務大臣としてのお立場からだけではなしに、政治家として長い展望でもってこの問題を考えたときにはどういう御意見をお持ちかということもあわせて伺いたいんです。
○国務大臣(鈴木省吾君) 先生が毎回死刑廃止を御熱心にお唱えいただいていることは承知をいたしております。 しかし、ただいま申し上げましたように、やはり国民の世論というものを考えていかなきゃなりませんから、現職の法務大臣として、今私の考えをどうこう申し上げるのはいかがと思いますので、御了承賜りたいと思います。
○中山千夏君 それからもう一つ具体的な問題として、帝銀事件の平沢氏の問題がありまして、参議院でも超党派で平沢氏を救おうというような議員連盟も締成されました。その平沢氏の問題についてはどのようなお考えをお持ちか、お伺いしておきたいんです。
○国務大臣(鈴木省吾君) 平沢被告、これは御案内のように第一審の東京地裁、控訴審の東京高等裁判所、それから最高裁、三審を経て、いずれも慎重にしかも十分審議された結論でございます。さらにまた、その後も十七回に及ぶ再審請求が出ておりまして、十六回いずれもこれが棄却になっております。ただいま十七回目の審査中と聞いております。審査中でございますが、そういうことを考えますと、私はこの判決が本当に何ら誤りのないものであったというふうに考えております。
○中山千夏君 その後、去年でしたか、三十年を獄中で過ごしたということで、また三十年は非常に長い、もう三十年だったのだから、事の是非は横に置いておいて、ともかく恩赦というような形か何らかの形で人道的な対処をするべきではないかという議論が持ち上がっていたのですけれども、そういうことについてはどうお考えになられますか。
○国務大臣(鈴木省吾君) この問題についても、前にそれぞれの手続を経て結論が出ておるようでございます。さらにまた、先ほど申し上げましたように、現在十七回目の再審の請求が出て審査中でもございますし、また恩赦の点でも過去三回申請が出ております。中央更生保護審査会においてそれぞれ不適当というような決定が下され、その後、第四回、第五回と二回出ております。これまた、ただいま審査中でございますから、そういう過程の中で私がいろいろ申し上げるということは差し控えさせていただいた方がよろしいと思います。
○中山千夏君 法務大臣には最後の質問になるんですが、これも非常にお伺いしにくいことなんですが、今まで歴代法務大臣に私なりほかの委員なりからお伺いしてきたことでありますので、やはり今回もお伺いしたいと思うんですが、とても大変な任務の一つとして死刑の判こを押すというお仕事をお持ちなわけですけれども、それについてこの間、どこかの週刊誌に歴代法務大臣を務めた方々のいろいろな意見というものが載っておりまして、やはりあれは職務なのであるから感情を交えずにきちんと処理をするのが職務であって、それを感情的に怠るというようなことは職務怠慢であるというような意見の方もいらっしゃいましたし、それからまた、そういう非常に職務を大切にするお気持ちからとてもたくさん判こを任期中に押して、あまつさえ記者会見も開いたというような非常に元気な大臣もおられたというようなことも読みました。 そこで、その職務について法務大臣はどのような意見をお持ちで、どのような態度でその職務に臨もうとなさっていらっしゃるのかということをお伺いしたいんです。 というのは、死刑が将来なくなった方がいいなというふうに考えておる者たちの間では、制度は残っていても実質的にだんだん執行というものがなくなっていくということを望む声が高いものですから、そういう意味からも、どういう姿勢、お考えでいらっしゃるかというのは非常に関心が高いところですので、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(鈴木省吾君) 今お話しのように、職務の一つであることは間違いございません。ただ、私もなったばかりでございますから、具体的にそれにまだ当面をいたしておるわけでもございません。ただ、やはり法律に従った行為をせざるを得ないということもありましょうけれども、具体的にはやはり十分慎重に対処しなければならない、かように考えております。
○中山千夏君 どうもありがとうございました。ぜひ十分慎重に対処していただきたいというふうにお願いしておきます。 それから、定員法の方につきまして、もう大体いろいろ質問をしてくださいましたので、大して異論ということもないのですが、ちょっと二、三私にとってわからないようなところがありましたので、お答えいただきたいと思います。 減員、つまり定員を減らしているところで「事務の簡素化、能率化に伴う減員」ということがこの資料の内訳に書いてあるのですが、これは具体的にはどういう簡素化、能率化が行われているのかということを教えてください。
○最高裁判所長官代理者(山口繁君) 法律案関係資料の十五ページにございますように、司法行政事務の簡素化、能率化でございます。司法行政事務と申しますのは、例えば裁判所職員の人事でございますとか給与計算あるいは物品の調達、庁舎の維持管理あるいは資料の整備等もございますけれども、いってみれば庶務、人事、会計、資料のような仕事でございまして、他の行政省庁の同種の事務と性質内容を同じくしているわけでございます。 したがいまして、例えばこの部分につきましては、上級庁あるいは他の関係機関への連絡とか報告を簡素化いたしますとか、あるいは給与計算、会計等につきましてはパーソナルコンピューターとかそういうOA機器の導入によりまして簡素化、合理化を図ることもできるわけでございます。他方、ワープロとかゼロックスの活用によりまして、ここでもまた簡素化、合理化を図ることができる。大体そのような方法でもって簡素化、合理化を図っているわけでございます。
○中山千夏君 減員の数字を見ますと、殊に地方裁判所と家庭裁判所が割合、数が多いようなんですが、ここは何か原因があるのでしょうか。例えばコンピューターが非常にいいのが入っているとか、そういうことですが。
○最高裁判所長官代理者(山口繁君) 法律案関係資料の十七ページをごらんいただきますと、各審級別にそれぞれの事務官とか書記官の員数を掲げてございます。御指摘の地裁あるいは家裁におきましては、やはりそのもとになる母数が大きいわけでございます。司法行政部門に従事している事務官の数も、地裁、家裁はそれ相応にございますので、減員の方も比較的数字が大きくなってくる、こういうことでございます。
○中山千夏君 そうすると、特に対応が違うということではなくて、もともとが大きいから減る率も大きかったということなんですね。
○最高裁判所長官代理者(山口繁君) 先ほど申しましたような事務の簡素化、合理化は、高裁、地裁、家裁、これらにおいても図られているわけでございまして、同じような処理上の工夫はいたしておりをすけれども、もともとの母数が大きいものですから、それによって定員削減ができるところも大きくなってくる、こういうことでございます。
○中山千夏君 それから、先ほど裁判官の方の欠員のお話が少し出ておりましたけれども、裁判官以外の裁判所職員の欠員についてちょっと説明をしていただきたいんです。全部の数の中では、合計数に対しては本当の欠員しかないわけですが、内訳の方を見ますと欠員がかえって過員と言ってふえているという場合もありますし、それから一方、実際人が欠員しているという場合もありますので、できるだけわかりやすくこのあたりの事情を御説明いただけたらと思います。
○最高裁判所長官代理者(山口繁君) 法律案関係資料の十九ページに、昭和六十年の十二月一日現在での過欠の状況が示してございます。一番右端の方に欠員欄がございますが、事務官につきましては三角印で百七十名という過員でございます。それ以外はいずれも欠員数ということであるわけでございます。 実は、裁判所におきまして年度途中で書記官等が退職する場合がかなりございます。そのような場合、書記官につきましては書記官研修所の養成部等を出ました者から任命していくわけでございまして、任用資格に制限がございますので、すぐ補充することはできないわけでございます。したがいまして、年度内で退職されましたような場合は書記官の欠員を抱えていかなければならない。しかし、裁判事務に支障を来すわけにはまいりませんので、事務官を配置いたしまして可能な限り書記官事務の補助に当たらせる、こういう必要がございます。したがいまして、書記官の欠員を見合いに事務官の過員が生じてくるということが一つございます。 それからもう一つは、事務官の中には書記官研修所に入所しておりますような、書記官に任用されていく、書記官の予備軍というものが常時入っているわけでございまして、書記官研修所に入所いたしましたときには、原庁の事務を処理するためにやはり事務官を補充する必要がございます。そういう点から、こういう事務官の過員というものが生じてくるわけでございます。 書記官の補充ということになりますと、年度当初、つまり四月に補充ができまして大体欠員は解消される、こういうことになります。家裁調査官につきましても、やはり任命するにつきましては一定の資格が必要でございますので、年度途中で欠員が生じましたときには一応欠員を抱えていかなければならない。やはり春になりますと調査官研修所を卒業した人から任命していく、こういうことになるわけでございます。
○中山千夏君 人事の技術的な問題で、私なんか非常にわかりにくいところが多いんです。この事務官の現定員というのがありますね。それと内訳の定員数というのがありますね。そうすると、その年度の初めにはその定員の人数の事務官を置くわけですか、まず形としては。
○最高裁判所長官代理者(山口繁君) 事務官は、先ほど申しましたように、書記官研修所に入所している者等がございます場合にはそれに見合った者を置かなければなりませんので、年度当初で過員が全然ないということはないだろうと思います。若干の過員はあるだろうと思います。ほかの方の欠員を見合いにいたしまして若干の過貝が出ている場合もございます。それから、過員を解消してスタートするときもございます。年度によって多少変わっているようでございます。
○中山千夏君 この内訳の方の定員数、これは何が根拠になっているのでしょう。その法令といいますか、それは。
○最高裁判所長官代理者(山口繁君) 法令の根拠になりますのは、裁判所職員定員法で一般職の員数もお決めいただいておりますので、それと、それから予算、これが基礎になっています。
○中山千夏君 何年か、数年前からの資料を、同じような表を裁判所からいただいて拝見したんですが、大体恒常的に過員というのが、事務官では大体多いときで二百何名、少いときでも百名台というふうに出ていますね。そうすると、こういう書き方がしてあると私などは非常にわかりにくいので、事務官なら事務官の中にその数を含めてしまうとか、もう少し何かうまいことできるのじゃないだろうかと思うんです。それとも、こういう過員を置くというやり方あるいは表現をした方が非常に便利だ、合理的であるというようなことがあるんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(山口繁君) 先ほども申しましたように、四月時点でスタートしていくわけでございますけれども、年度の途中でどうしてもおやめになる方というのが出てくるわけでございます。そういうことから過員、欠員というものが年度内には流動的に出てくるわけでございまして、お手元に差し上げております表はいずれも十二月一日現在でございまして、四月からしますと八カ月ほど経過した時点でございますので、どうしても欠員が出てまいります。それに見合った形で過員というものも抱えていかなきゃならない、こういうことになるわけでございまして、これはやむを得ないことかなというように思っております。
○中山千夏君 それから、確かにいただいた資料はすべて十二月一日現在のものなんですが、年度初めからすると、今おっしゃったように大体八カ月ぐらいの時点です。その間にいつごろだれがやめたかみたいなことは余り細かくなってわからないとは思うんですが、この資料をずっと見ていますと、大体欠員というものが出てはいるのだけれども、それはやっぱり最初に定員をお決めになるときに出ざるを得ないものなわけだから、勘案して大体欠員がこのぐらい出るであろう、それで仕事に支障を来さないというふうに考えてお決めになっているわけですね。
○最高裁判所長官代理者(山口繁君) 年度内の退官等につきまして一応予想できるところはきちんと予想してやるわけでございますけれども、一身上の都合というようなことで突発的に退官される方もございますので、その辺のところは予想できない事柄ということにはなってまいりますけれども、できる限りその辺の目配りはいたしまして定員設定はいたしております。
○中山千夏君 それから、年によりまして、全体の数に対して欠員が比較的少ないという年がありますね。この昭和六十年十二月一日現在の表ですと、全体の定員数に対して九十九名という欠員ですね。その前は、五十四年で言えば百五十六人、それからその翌年百八十五人、翌年が百六十人、翌年が百二十九人、それから百三十一人と、このいただいた資料、五十九年の十二月一日というのが一つ抜けているものですからそこはわからないんですけれども、そうするとそこは非常に何か工夫があって割合減ったのか、偶然六十年という年に減ったのかということをちょっとお伺いしたいんです。
○最高裁判所長官代理者(山口繁君) 従前でございますと、定年制が施行されておりませんので、一応勧奨退職のような形で年度内に、例えば八月あるいは十月、十二月、また五月、六月もございますけれども、おやめになっておられたわけでございますが、定年法の施行に伴いまして、年度内に定年を迎えられる方も翌年の三月三十一日でおやめになるということになりましたものですから、数が少なくなった、こういうことでございます。
○中山千夏君 それからもう一つ、一年の間には定員数と実質の人数というものが変わってくるということは、これはなるほどという話なんですが、その変わっていく中で例えば定員数というものをふやしてある部分がありますね。そうすると、見ましたところ、やはり欠員があっても現員数も幾分ふえるというのがほとんどのところなんです。ところが、家裁の調査官の場合に五十八年度の定員数から定員数は六名ふえていますね。六十年度と比べてみますとふえているんですけれども、現在員、つまりこの十二月一日現在の実数は全く変わりがないんですね。五十九年を挟んでいますから、そこのところはどうなっているのかこの資料でわからないんですが、これはどうなんでしょう、定員数をせっかくふやしても現実に人がふえなかったり、あるいは減ってしまうというようなことはないんだろうと思いますけれども、そういうことでは仕方がない。定員をおふやしになった最初の意図が生きないんじゃないかという気がするんです。どうしてこういうことが起こってしまうのか、それからそれはちょっと意図が生きないのではないかしらという疑問と両方なんですが。
○最高裁判所長官代理者(山口繁君) 仰せのとおり、せっかく定員をふやしていただきましても欠員が生ずるようであっては困るわけでございますが、家裁調査官の欠員の場合も、やはりこれは中途で退官されたりする方が出るわけでございます。そういうことで、せっかく定員をふやしていただいても、結局埋めることができなかったということが場合によっては生ずるわけでございますが、年度当初におきましては、先ほども申しましたように、お決めいただきました定員どおり充足してスタートしているのが毎年の習いでございます。
○中山千夏君 結構です。どうもありがとうございました。これで終わります。
○委員長(二宮文造君) 以上で、検察及び裁判の運営等に関する調査のうち、法務行政の基本方針に関する件につきましては、質疑はこの程度とし、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案につきましては、他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(二宮文造君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(二宮文造君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(二宮文造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(二宮文造君) 次に、扶養義務の準拠法に関する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。鈴木法務大臣。
○国務大臣(鈴木省吾君) 扶養義務の準拠法に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 昭和四十八年にヘーグ国際私法会議において、扶養義務に関する各国国際私法の統一を目的として扶養義務の準拠法に関する条約が作成され、同条約は、昭和五十二年に発効し、現在までにフランス、イタリア、スイス等七カ国が批准または受諾をしております。この条約は、扶養義務の準拠法、すなわち国際的性質を有する扶養について適用されるべき法律を定めるものであります。 この法律案は、我が国がこの条約を締結することに伴い、国内法上、所要の措置を講じようとするものでありまして、夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養義務の準拠法に関し必要な事項を定めることを目的としております。 この法律案の要点を申し上げますと、第一に、扶養義務は、扶養権利者の常居所地法によって定めるものとしております。 これは、扶養の問題は、扶養権利者が現実に生活を営んでいる社会と密接に関係するため、その者が常居所を有している地の法律によって規律するのが妥当であるとの考えによるものであります。 また、扶養権利者の保護を図るため、扶養権利者の常居所地法によればその者が扶養義務者から扶養を受けることができないときは、扶養義務は、当事者の共通本国法によって定めるものとし、さらに、当事者の共通本国法によっても扶養を受けることができないときは日本の法律によって定めるものとしております。 第二に、傍系親族間及び姻族間の扶養義務の準拠法の特例を設け、これらの親族間の扶養義務については、扶養義務者は、一定の要件のもとに、扶養権利者の請求に対して異議を述べることができるものとしております。これは、傍系親族及び姻族のような身分関係の遠い親族間の扶養について、扶養義務者を保護しようとするものであります。 第三に、離婚をした当事者間の扶養義務は、離婚と密接に関係することから、特則を設け、これらの者の間の扶養義務は、その離婚について適用された法律によって定めるものとしております。 第四に、公的機関の費用償還を受ける権利の準拠法及び扶養義務の準拠法の適用範囲等について若干の規定を設けております。 第五に、経過措置として、この法律の施行前の期間に係る扶養義務については、なお従前の例によるものとし、また、この法律の制定に伴い、法例に所要の改正を加えることとしております。 以上が扶養義務の準拠法に関する法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(二宮文造君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十一分散会