農林水産委員会 第6号
- 発言数
- 315 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1986/04/10
会議録
○委員長(成相善十君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨九日、田渕哲也君が委員を辞任され、その補欠として関嘉彦君が選任されました。 —————————————
○委員長(成相善十君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。委員の異動に伴い、現在、理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(成相善十君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に菅野久光君を指名いたします。 —————————————
○委員長(成相善十君) 主要農作物種子法及び種苗法の一部を改正する法律案を議題といたします。 —————————————
○委員長(成相善十君) この際、参考人の出席要求についてお諮りいたします。 本日の法案審査のため、全国農業協同組合中央会常務理事櫻井誠君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(成相善十君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(成相善十君) 本案につきましては、既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○稲村稔夫君 このたびの種子法並びに種苗法の一部改正案を審議するに当たりまして、最初に、なぜ今この種子法、種苗法のこうした一部改正をしなければならないのか、その辺のところが若干私にはまだ十分理解し切れませんので、その辺からまずお伺いをしたいと存じます。 一九八二年の本農林水産委員会の種苗法の一部改正に当たりまして、そのときには附帯決議が付されたわけでありますけれども、この附帯決議につきまして政府はどのように対応してこられたか、努力をしてこられたか、まずそのことを御説明いただきたいと思います。
○政府委員(関谷俊作君) まず、附帯決議の処理の状況でございます。 五十七年の種苗法の一部改正の際に、本委員会におきまして附帯決議をいただいております。その各項目について概略申し上げますと、まず第一点は、新品種保護制度の目的に沿った育種の振興等のための迅速な品種登録の審査に資するようデータの蓄積等の問題でございます。これにつきましては、当面、まずコンピューターを活用しました審査登録事務の効率化を図ろうということで、一部簡単な機械を導入してその関係に取りかかっておりますが、基本的には筑波にございます情報センターと連絡等を図りながら種苗情報の収集整備システムの開発をするということで、そういうシステムの開発に取り組んでいるところでございます。さらに、この項目の中で述べてございます種苗の特性分類の調査による審査基準の設定、こういう関係について進めておりますし、またさらに審査技術の向上の面では、香りだとか辛みとか、こういう審査がなかなか難しい項目について科学的な技術開発調査、審査技術を開発しようという調査を実施しているところでございます。さらに、種苗管理センター等を今年度つくりまして、これからでございますが、こういう技術調査の面についてはさらに拡充をしてまいりたいと、かように考えております。 第二点が、種苗の国際交流の円滑化、農業者の適切な種苗選定に資するため品種特性の公表等の推進、こういう問題でございます。まず品種登録制度におきましては、内定公表、品種登録、こういう場合の品種特性の公表を行いますほか、各種の品種の普及奨励施策を活用しまして品種特性の公表を行っているところでございます。それからこの項目の中の品種の特性の維持管理という問題でございますが、五十八年度以降、EC向けの輸出野菜種子について品種特性を維持するために公的に検査するというようなことで、この維持のための努力を続けておりますし、さらにOECD種子証明制度の中で従来飼料作物を実施しておりましたが、五十八年以降てん菜を実施するということで品種特性の維持管理を拡充しておるところでございます。 それから第三点が、生産流通基準の設定の問題でございます。これにつきましては、当面、五十八年度でございますが、野菜について指定種苗の生産等に関する基準を策定しまして、これに基づいて種子の発芽率とか病害、品種純度に関する検査等を実施しておりますし、また種苗業者に対する指導等についても、この基準に基づきまして実施をしているところでございます。 なお、その他の品種等につきましては、指定種苗の表示についての検査、それから種苗業者等からの依頼に基づくいわゆる種子検査を実施しておりまして、種苗課の三つの分室においてこれらを実施しておるわけでございますが、この辺は、先ほど申し上げました今年十二月から設立される種苗管理センターにおきまして、これら検査業務をさらに拡充して、ほかの種苗関係業務と一体的に実施したいということで考えておるところでございます。 それから第四点が、遺伝資源の収集・保存等試験研究体制の拡充、こういう問題でございます。これは基本的には技術会議の所掌に属するわけでございますが、五十八年十二月、これら特に遺伝資源の収集・保存、そういう関係の試験研究体制の整備のために農業生物資源研究所を設置いたしました。また、同じ五十八年からでございますが、農作物を対象とする作物遺伝資源・育種情報の総合的管理利用システムを進めておりますが、六十年度からはさらに植物、微生物、動物、林木、水産生物、そういう生物全般を対象としまして、遺伝資源・情報の総合的管理利用システムということで、いわゆる農林水産ジーンバンク及びこれに必要な遺伝資源の保存管理施設の整備に着手しておるところでございます。さらに六十一年度、この生物資源研究所の遺伝資源研究センターの機能強化をすることにしております。 全体としましては、今申し上げましたように、若干手をつけて実施しているところもございますが、さらにこれら附帯決議の趣旨に沿いまして努力してまいりたいと考えております。
○稲村稔夫君 まず第一点の、例えばデータの蓄積整備、これはコンピューター導入と、それから適切な対応をしていくためのシステム開発というようなことが今取り組まれておられるということでございます。この点は、こうしたエレクトロニクス関係の技術を活用した整理とかあるいは分析とかというような、そういう体制というものはもう既に民間ではかなり大幅に普及している、そういう手法にもなっているわけであります。それだけに急いでその体制づくりを完成していただきたい、こんなふうにも思うわけであります。 それから第二点目の品種特性の維持管理等の問題ということでありますけれども、例えばEC向けの野菜種子等についての対応はされているというようでありますが、最近はかなり東南アジア関係等にも種苗業者等は進出しておりますし、そうしたところとの関係というのがかなりあるんではないだろうかということもちょっと気になるところであります。その辺の現状と対応はどうなっておりますでしょうか。 それから三点目は、それこそ今までの御努力を一層強化していただきたいと思います。 四点目の優良な品種については、これも体制が遺伝資源研究所その他の形でいろいろと整ってきているんだと思いますけれども、ちょっとお聞かせをいただきたいと思いますのは、例えば小麦の遺伝資源というようなことでは木原均先生が随分長い間努力されたいろいろな小麦、それこそこれは世界的にもかなり貴重な存在ということになっておりますけれども、その辺の取り扱いといいましょうか。これは大学との関係がいろいろあるんじゃないかとも思いますが、少なくとも作物の遺伝資源は総括的に何か管理するといいましょうか、そういう体制が必要なのではないかと思いますが、その辺のところはどのようになっているかおわかりでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) 第一点の問題でございますが、これは先ほどのお話の中でも少し申し上げましたが、民間ではこういう面、情報管理の面で大変進んでおられると思いますが、私どもの方では先ほど申し上げました種苗の情報収集整備システムを一つの基本として考えたいということでございまして、大体毎年ここのところ五、六百万円ぐらいの予算を計上しましてこの関係のシステム開発をいたしておるところでございます。これはいろいろシステムの設計等からございますが、私ども考えますのに、筑波に試験研究機関の情報センターあるいは計算センターがございますので、こういうところに品種登録あるいは特許の状況等いろいろ含めました品種開発関係の情報が整備されておりますので、こういうものとの連携もとっていく。同時に、いろんな意味で、申請があったり、あるいは審査の上でいろんな検索等の便にも資するようなコンピューターシステムを開発したいということで取り組んでおる次第でございまして、これは今段階、計画的に進めておるところでございますが、こういうことによりまして審査事務の正確・迅速化を期することもできるし、今後の育種の面でも非常に役に立つんではないか、こういう面でさらに努力してまいりたいと考えております。 それから第二点の品種特性の維持管理問題に絡みまして東南アジア方面はどうかということでございますが、現在のところでは、野菜種子証明的な意味での品種特性維持管理については、東南アジアは対象にしておりません。これからの課題として、東南アジア方面のこういう関係の制度の整備等々を相またねばならないかと思いますが、現在のところではまだ実施しておらないわけでございます。 それから第四点でございますが、現在の農林水産省関係あるいは農作物関係の遺伝資源の保存状況というのは、御質問にございましたように、県、国の試験研究機関にあるもののほかにいろいろな機関にあるわけでございまして、いわゆる大学の植物園のようなところ、それから一部薬用植物については例えば厚生省の植物栽培試験場というところにもございますし、それから国の研究機関でも各種の作目別に応じまして専門部門の試験場にございます。小麦については、例えばお挙げになりました木原先生の機関におきます品種保存がありましたり、そのほか例えばビール麦関係については民間会社にもそういう遺伝資源の蓄積がある。こういうようなことでございますので、基本的な考え方としましては、先ほども申し上げました農林水産ジーンバンクというようなものの事業の中でこういうものの保存状況を全体として管理していくということが必要であろう。そういう意味で、保存状況に対するチェック、いわゆる検索をできるだけやりやすくするとか、あるいは国の持っておるものについては既に始めておりますいわゆる配布制度、こういうものを活用していくということで、遺伝資源の収集と同時にその利用の面でさらにこれからも努力していく必要があると考えています。
○稲村稔夫君 私は、昨年東南アジアといいますか、タイ、インドネシア、フィリピンという国々を訪問する機会があったわけであります。その際、フィリピンには日本の種苗会社が進出しておりまして、そして向こうから種子を持ち出すことは今いろいろと戦略物資化しておりますから面倒なんだそうでありますけれども、日本の種子を持ち込みながら向こうの適地の種子開発ということに一生懸命努力しておられるというような現場も見せていただいてきたりしたわけであります。ですから、今お話しのように、東南アジア関係は対象にしておられないというお話でありましたけれども、今後、技術協力とかいろいろな形で東南アジアとはこうした交流がふえていくわけであります。それだけに、我が国から出ていく種子についてのきちんとした体制をつくっておかないと信用問題にもかかわることも起こりかねない、こんなふうにも思いますので、その辺はぜひ早急に御調査をいただき御検討をいただきたいというふうに思います。 それからもう一つの点の民間の遺伝資源の問題でありますけれども、今局長のお話で、これは必要である、したいと思うというお話がそれぞれ出てきておりますけれども、遺伝資源は非常に重要な問題でありまして、それは民間のルールの問題やら、いろいろなこともありましょうから、何といいましょうか、国の管理にする、全部大きな力でもって統制するというふうなことは私は問題があると思いますけれども、しかし少なくともその重要な遺伝資源というものについては、どこで何がつくられてどういう保存がされているかということを総合的にデータとしてきちんと管理しておくというくらいのことはしておきませんと、諸外国ともみんな遺伝子は戦略物資になりつつありますので、そういうふうにしておかないといけないのではないか。これは今のようにいけないのではないかというお話でなくて、もう具体的に本来は手をつけていただかなければならなかった問題ではないか、こんなふうにも思うわけであります。 附帯決議についてはその御努力はわかりました。しかし、もっといろいろと御検討いただいたり御努力いただいたりしなければならない面がある、こんなふうにも思うわけであります。 その次に、今日はバイオテクノロジーの時代などというふうにも言われておりまして、随分ハイテクというのは脚光を浴びた形になっているわけであります。かつて、ちょっとしばらくの間、農業が斜陽だなどということで大学の農学部受験生がうんと少なかったという時期がありましたけれども、最近はほとんどバイオを扱っていれば人気学部になる、こういうような格好になってきているわけであります。それだけにこれからのバイオテクノロジーの技術的発展というものについて私は重大な関心を持って見ていかなければならないと思うんです。そのハイテクの発展というものは、今までの私どもが古い時代に教わってきた、学んできたそういう常識というものをいろんな面で崩していくという面も持っているわけです。それだけに、種子の問題ということでいきましても、ハイテクとのかかわりを全然離れて考えることができなくなってくる、そういう時代になってきているということになるわけであります。ということですから、私はもう少しその辺のところハイテクとのかかわりなども問題点を煮詰めるということも必要だと思う。そういうあれでいきまして、今回改正をしなければならない意味はわかるんでありますけれども、しかしせっかく改正をするのであれば、もっと煮詰めて、問題のできるだけ少ないようにした法案ということにしたらどうだったんだろうか。こんなふうに考えているんですけれども、その辺はいかがでございましょう。
○政府委員(関谷俊作君) 今の稲村先生の問題提起について、私ども基本的に同じ認識をしているつもりでございます。と申しますのは、先ほど申し上げました農業生物資源研究所の設立等にもあらわれていますように、新しい意味でのバイオテクノロジーを使いました特に育種の面では、まさに国も本格的に取りかかったところでございまして、そういう中から一つの開発された新しい品種なりあるいは育種の方法なり、さらに申しますならば種苗、こういうものが具体的な形で出てくるということになりますと、これは恐らく制度的な面でもかなり問題になろうかと思います。現状はそういう方向が予測され、またそういう方向に向かって国も民間もあるいは都道府県もみんな努力しているわけでございますが、具体的な形としてあらわれているものはまだごく一部でございます。例えば主として培養方法を使ったような意味での品種の改良とかいう面、あるいは種苗の開発とか、こういう面はかなり進んできておりますが、そういう面以外の遺伝子の操作にわたるような部分になりますと、これからの問題であるということで、現在の状況では、当面主として主要農作物種子の生産流通関係につきまして現状では民間の参入の道が開かれてないということを中心にしまして、それなりの対応を今の時点でやっておく、それからバイオテクノロジーに絡みます本当にこれから出てくる革新的な技術の面については、さらにこれからの研究課題として制度的な面も含めて検討を行っていく必要があるのではないか、こういう判断を現状ではしている次第でございます。
○稲村稔夫君 私は、民間参入というお話もありましたが、その辺のところ、ある程度いろいろと問題点を煮詰めていきながら、民間参入がいろいろと今後問題を残さないようにという対応というものがどうしても必要なんだと思うのでありまして、これは今後逐条審議の中でもいろいろと触れてお伺いしてみたいというふうに思っております。いずれにしても、私はもう少し煮詰めた改正案が出てもよかったのではないかという問題意識を持っていることだけは申し上げておきたいと思います。 次に、きょうは全中の櫻井常務に大変お忙しい中わざわざ参考人ということでおいでをいただきましてありがとうございました。 大変恐縮でありますけれども、最初の入り口のところで、一応今回の改正というものについて、言ってみれば、直接種苗を扱う、そしてまたそれを利用する、そういう立場でどういうふうに受けとめておられるかということをまずお伺いしたいと存じます。後で法案審議に入りましたら、その初めの方でまた幾つかの点についてお伺いをする、そんなふうにさせていただきたいと思うんですが、ひとつよろしくお願いをいたします。まず今回の両法の改正というものをどのように受けとめておられるか、お願いいたします。
○参考人(櫻井誠君) 参考人として意見を述べさせていただく機会を与えていただきましてありがとうございます。 稲村先生の方からの、今回の改正法案につきまして種を利用するあるいは扱う団体の立場からどんなふうに受けとめておるかというふうな御質問であったかと思います。 御案内のとおり、米麦の種につきましては、従来、国、都道府県の方で品種の開発あるいは育成ということを行いまして、その原種あるいは原原種につきましては都道府県の義務づけという形で政策が行われ、種につきましては都道府県の指導監督、厳重な管理のもとに採種農家が種子の生産をいたしまして、その流通につきましては農業者の組織する農協、経済連が中心になって担当してまいったわけであります。今般の法改正といいますのは、民間の事業者にも米麦等の種子への参入の機会を与えようという趣旨に受けとめておるわけでありますが、御案内のとおり、今回の法改正におきましては、国、都道府県の優良な米麦種子の安定供給、こういう指導的な役割はそのまま存置いたしまして、その上で民間の事業者に米麦種子の生産分野への参入ということも認めるということでありますので、私の考えでは、国全体といたしまして農家が求めておりますのは、いい種が欲しい、こういうわけでありますから、お互いに競い合うという面もあろうかと思いますけれども、レベルアップもあるわけでありましょうし、そういう意味では期待される面があるというふうに思うわけであります。 ただ、問題になりますのは流通面でございますけれども、御案内のとおり、現在都道府県に種子協会がございまして、農協、経済連中央会、関係団体等で組織いたしておるわけでありますが、この種子協会が米麦の種の需要量を把握いたしまして、そのもとで採種計画をつくる、それから配布の計画をつくるということで、それが農協、経済連を通じまして農家に渡っていく、こういうことになっておるわけでありますが、今回、法改正には直に関係ありませんけれども、流通分野につきましても農協、経済連以外の民間事業者の参入、これも認める方向にあるわけでありますけれども、私どもとしましては、種の需給安定というのは極めて大事な要素でございますので、民間事業者の方にもこの種子協会に加入していただくということが必要ではないかというふうに考えておりまして、これらの点につきましては、行政庁の方にもよろしくその方向での指導をお願いいたしておるということでございます。 それから第二点目の種苗法の改正の問題でございますが、これにつきましては、今回の案におきましては、米麦、主要農作物種子法の対象であります種も指定種苗に入れる。それからもう一点は、必要によりましては、その品種がどういう地域に適するか、あるいは病虫害にどういう抵抗性を持っておるか、あるいは収量はどの程度上げられるものであるか、あるいは用途はどうだというふうなことで、栽培上、利用上、品種のどういう特徴を持っているかという表示を義務づけるという案も入っておるわけでありますが、これは利用する農家の方からいたしますと、その品種がどういうものかというのがそういうことによってよくわかるわけでありますので、私は農家の立場からいたしますと、そういう方向は望ましいものである。種苗業者の方からいたしますと、やや面倒くさいというふうな点はあろうかと思いますけれども、そういう意味では今回の改正案は望ましい方向になっておるんじゃないかというふうに考えております。
○稲村稔夫君 どうもありがとうございました。 ちょっと質問の順序の都合で、あと一つの問題でこれから質疑をいたしまして、それからまた櫻井常務にお伺いをするという形になりますが、よろしくお願いいたします。 今、民間参入がいろいろと議論になったわけでありますが、そのこととかなり密接に関係があると私は思いますので、直接法案の内容とは関係しておりませんけれども、最近関西で発生いたしましたコシヒカリのにせ票せんの問題につきまして若干お伺いしたいと思います。 私は新聞で見たという形でありますけれども、にせ票せんというのはいつ判明して、そして食糧庁としてはどの程度掌握しておられるのか、まずその点を御説明いただきたいと思います。
○政府委員(石川弘君) この事案につきましては、一月下旬でございますが、神戸の弁護士会長より私どもの新潟食糧事務所長あてに票せん、検査の票せんでございますが、この票せん四枚についてそれが真実のものか否かという確認を求めてまいりました。私どもこの四枚の票せんをただしましたところ、これは五十九年産と六十年産の票せんでございましたが、いずれもその等級印章の大きさだとか、あるいは検査をいたしております検査官の確認印、それから生産をしております生産者名等について真実ではございませんで、この四つの票せんにつきましては、いずれも偽造されたものであるということになりましたので、これを弁護士会長の方に答えますと同時に、あるいは、それ以前ではございますが、そういう事実につきまして当初問題となりました兵庫の食糧事務所、それから新潟の食糧事務所を通じまして事実を調査いたしておるわけでごございます。 現在までにはっきりいたしておりますことは、兵庫を中心といたしまして関西で三人の小売業者の中でこの米が動かされておりまして、その中にさっき申しました四つの票せんがあるわけでございますが、その米が最終的に三番目の小売の段階で非常に品質が劣悪であるということから返品をされますと同時に、民事の損害賠償という事案になっておりまして、このことを立証するために事務所にそういう照会があったということ。それから、これらの米については、一部は既に販売されておりますが、相当部分についてはなおある小売の倉庫に保管をされておりまして、私どもそういう内容につきまして、それ以外の票せんについてもそれが真実かどうか、現に入っております米がどういう種類の水かというようなことの調査を進めておるところでございます。それと同時に、この米がどういうルートでこの業者の方に入ったかということも調査いたしておりますが、現時点では最初に扱いました業者は、これをどこから入れたかということにつきましては、電話による売り込みによって注文をし、名古屋あるいは岐阜ナンバーのトラックで運んできましたものを現金決済で買い受けたということ以上には申しておりませんで、したがいまして、それ以上のところについてはなおこれを確かめる必要がある状態でございます。 事実としてわかっておりますのは、ほぼ以上のとおりでございますが、その後の対応、それが起こりましてからの対応といたしましては、これは御承知のように公文書のいわば公印を偽造するという案件でございます。刑法の犯罪でございますので、事実判明と同時に新潟及び兵庫の各事務所におきまして、各県警とも連絡をとりましてこの捜査につきましてお願いをいたしますと同時に、県をまたがる案件でもございますので、本庁といたしましても、警察庁に事犯をお話いたしまして、現在その処置の仕方について協議をいただいておるところでございます。既に指示がなされていると思っております。
○稲村稔夫君 今の長官の御説明でほぼ全容というのが出たんだろうかとも思います。全容というか、今度の事件の発端に至りました全容がある程度出たんだろうかとも思います。しかし、この問題はかなりいろいろと根が深いものもあるんではないかということも想像されるわけであります。そして、今の長官の説明の中でちょっと新聞報道と違っているところがあって、その辺をただしたいと思うんですがね。 地元の新潟日報紙によりますと、これは具体的に名前が挙がってまいりました水原町農協、そこでの話で、「昨年十一月ごろ、新潟食糧事務所から話を聞いた。生産農家の名や検査日も全くでたらめということで迷惑している。」、こういう談話が載っているんです。十一月に話を食糧事務所から聞いたということであります。食糧事務所というのは新潟の食糧事務所なのか、新発田のあれなのか、それはわかりませんけれども、要するに役所の方から聞いたというふうに言われているんであります。そうすると、先ほどのお話では、弁護士からの照会があったことが発端ということのようでありますが、ちょっとその辺がわからぬです。
○政府委員(石川弘君) 正式に一月二十三日付で神戸弁護士会長から照会文が来ておりまして、私どもの今お答えしたことに間違いはございません。
○稲村稔夫君 そうすると新潟の食糧事務所にはまだお確かめになっていませんね、こういうことは。事前に聞いたことがあったかどうかというようなことについては。
○政府委員(石川弘君) 今申し上げたとおりでございますので、多分記事の間違いだと思います。そういう時分に私ども全く耳にしておりませんし、ここに弁護士会からの公文書もございまして、一月二十三日付でございます。
○稲村稔夫君 私もそのコピーを拝見しているんでありますが、今の弁護士会からの正式なものはそうでありますけれども、いろいろと報道関係のあれなんかを聞いておりますと、既に業者の中でいろいろとやりとりがあって、そして地元の方にいろいろ電話をかけたりなんかしているという話も聞いているわけなんでありまして、そういたしますと、どうも十一月ころから問題が出始めていたというのは、そうなのかなと思われる節もあるんでありますけれども、その辺のところは、今おわかりになっていないようでありますから御調査をされる意思がありますかどうですか。
○政府委員(石川弘君) 確かめてみたいと思いますが、間違いはないと思っております。
○稲村稔夫君 私のところは何といいましてもコシヒカリの産地なんでありまして、このコシヒカリがとんでもない不人気になるようなことがあっては大変だという気がするわけでありまして、それだけに今後こういうことが発生するということがあってはならない、こういうふうに思うわけです。私は警察の方にも伺いましたが、警察庁の方も重大関心を持って対応する、こういうことのようやあります。要するに証票の偽造ということについてはこれは警察の手によって最終的には裁かれるという、そういう性格の事件になりましょうが、しかし米の流通にかかわる問題というのは、食糧庁の対応ということでこれが防ぐことができるかどうかということは決まると思うんです。そこで今後どういう対応をされようとしているのかお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(石川弘君) 一つは、何と申しましても、米につきまして大分格差が出てまいりまして、そういう偽造をしてでも何か利益があるというふうなことになりますと、証票の扱い自身が今までよりもさらに厳重な扱いをしなければいかぬのではないかというふうなこともございまして、この証票自身がもう少し偽造とか、そういうことが難しいようなものに直していく必要があるんではないかという考え方が一つあるわけでございます。これは御承知のように、証票をつくりますのは生産者の負担ということになるものでございますから、その辺の調整にいろいろと時間がかかっておりますが、どうもそういう証票自身をもう少しきちっとしたものにしていきたいというのが一つの考え方のようでございます。 ただ、こうなりますと、今度は証票の保管自身を非常に厳格にやっていただきませんと、またそれを悪用されるというおそれがございまして、その辺も含めまして、現在、農業団体等にも相談をかけているのが今の実情でございます。しかし、これはどうやりましても、今度は流通段階で悪いことをするというのがいては、精巧にすればするほどまた悪用されるということもあるものでございますから、基本はきちっとした集荷ときちっとした販売という、我々が今やっております集荷販売ルートの特定ということを守っていただくということが第一義的なことでございます。何かちまたに、こういう一種の不正規のものが必要悪でそれなりに意味があるようなことを盛んにおっしゃる方もあるわけでございますが、現実に調べてみますと、いわば商業道徳のいろはと申しますか、そういうところを守らない形で行っている方があるわけでございますので、今回の事案も、これは生産者もしくはもちろん消費者に対しても大変米の流通の一種の信用を失墜させることでございますので、まずそういうことにかかわりました人を明白にするということを徹底いたしますと同時に、それがわかりました段階で、あるいはそれ以前の段階でも、米の流通に関してせっかく検査をし、きちっとしたルートで集め、それなりの機能を果たしてもらって流すということをやっているわけでございますから、こういうことを明らかにしまして、こういうルートというものをきちっと守っていただく。 それから品質等の問題で、例えば新潟コシについて非常に過大の期待と申しますか、ないものねだりみたいなものがあるというのであれば、それ以外の米も含めて、これは工業製品と違いまして欲しいからといって幾らでもつくれるという品物ではございませんから、そういう品物を適切に分けていく。それから消費サイドでも、何か名前だけで物が売れるということではなくて、この前から例えば流通改善の中で複数なんということをやっておりますのも、品質と内容が伴うような米が流れるようにということでやっておるわけでございまして、ああいう流通改善のこともさらに徹底していく。今までやっておりますありとあらゆるそういう手法を動員いたしまして、必要なものが適切に流れるようにということを私どもはやっていきたいと思っております。
○稲村稔夫君 この問題は今回が始めてということではないようでありまして、この前にも三重県で発生しているということなんであります。私は、今回の事件というのはある意味では起こる可能性というものを今の体制の中では持っていたんではないだろうかということを懸念するわけです。本当かどうかということは別にいたしましても、よくコシヒカリの赤札がひとり歩きしているなどということも耳にいたします。札は本物であっても中身はにせものだというようなことが、これは事実であっては困るわけであります。そんなことがだんだんだんだんエスカレートしてこういうことにもなってくるのじゃないかと思うんで、特に米の流通問題というのにはもっとしっかりとした対応をしていただかなければならないのではないかと、こんなふうにも思うわけであります。コシヒカリのにせものが出た場合というのは、天一坊の事件みたいにして喜んでいるわけにもいきませんので、おれの方の名前が上がったからといって喜んでいるわけにいかない重大問題でありますので、どうぞ食糧庁も、これを一つの機会にしまして、流通にこうした不正が起こらないようにしっかりとした体制をぜひつくっていただきたいということを、法案審査の関係で申し上げておりますので、時間がございませんので要望でとどめておきたいと思います。よろしくお願いをいたします。 そこで、時間が経過してまいりましたので法案の内審に入りたいと思っております。 今いろいろとコシヒカリのにせ票せんの問題で伺ったわけでありますけれども、私は民間参入のときに民間を愚物にしてはいけないと思いますが、しかし同時に商行為というものの中にはいろいろな誘惑といいましょうか、そういうものがついて回るわけでありますから、それだけに民間参入のときにはそうした誘惑が起こらないように、あるいは一生懸命やろうとすればそれだけ何か誘惑というものが必要なのかもしれませんけれども、しかしそれが実際やろうとしたらできないという体制というものもいろいろと考えておく必要があるのではないか、こんなふうにも思うのであります。 そこで、最初に参考人としておいでをいただきました櫻井常務にお伺いしたいのでありますけれども、現在、先ほどもお話がありましたように、種子の流通については種子協会を通して皆やられているという形になるわけであります。それだけに現在は主要農作物については、特に米についてはそういう面では公共的な対応ということで、もちろん人間の集団ですから不正はやろうと思えばどこでもできるということになるのかもしれませんが、少なくともそういうことで公正を期するような努力はされてきていた、こんなふうに思うんですね。しかし、先ほど来のお話にもありましたように、もし民間参入ということが許されることになりますと、一つには現在種子協会の中で大半の種子について取り扱いをやってきておられる農協関係のシェアというものが、これが一つ気になるということがあります。 それから今申し上げました民間との競争ということで、民間の中の競争ということの中でいろいろと問題点が出てくるのではないだろうか。種子については先ほどのは米、食糧としての米であります。食糧としての米は、不正が見つかればその場でもって売らないでとめておくということにしても、またほかに米の操作の余裕があればそれで対応ができますけれども、種子は、それを購入する者がもし違うものを購入すれば、一年間はそれでパアになってしまう、そういう性格も持っております。あるいは、そうだと思って手配した種子が違って、慌てて今度は違ったからといって新たな種子の手配をしようとしてもなかなか大変だ、時期までに間に合わないとか、そういうようなことだって起こり得る。こういうことになりますので、民間参入というのはいろんな心配がある。その辺のところはそれこそ今まで取り扱ってこられた立場としてどういうふうにお考えになっていますでしょうか、お感じになっていますでしょうか。
○参考人(櫻井誠君) 民間参入につきましては、生産分野への参入と流通分野への参入と両方あると思うわけでありますが、生産分野への参入につきましては、特に相当な資本投下が必要でございまして、簡単に米麦種子の開発育成と原種、原原種も持つということになりますと、先ほど言いましたような資本投下が必要でございますから、この部面ではそんなに問題がないと思うわけでありますけれども、流通の面につきましては、御案内のとおり、現在食糧管理法に基づきまして、稲の種につきましては農林水産大臣が指定いたしまして、許可した者でないと取り扱いができないということになっておるわけでございます。これは今回の主要農作物種子法あるいは種苗法の改正がありましても、食管法上従来どおりの法令措置がとられるというふうに聞いておるわけでありますので、問題は、民間事業者が稲の種の流通に参入します場合の指定の要件、こういったものが極めて大事になってくるというふうに思っております。従来は農協、経済連が指定を受けておりましたので、今稲村先生から言われたような一年を棒に振るというふうな種の流通はなかったものというふうに考えておりますが、悪いものを売ってもうけるというふうな民間事業者が稲の流通に参入してまいりますと、これは極めて大変な重大問題でございますので、私どもとしましては、特に指定の要件につきましては適正、厳格なものでなければいけない、こんなふうに考えております。 それからもう一点はシェアの問題が出たわけでございますが、これは指定の要件等とも絡むと思いますけれども、種を生産いたしますのも農家でございますし、それからこれを需要するのも農家でございますし、農協の方はそういった農家が組織いたしておる団体でございますので、系統農協自体の努力、農家から信頼を得まして真剣に対応してまいるということによって、現在のシェアが大幅に違ってくるというふうには私ども考えておりませんし、現在のシェアをできるだけ確保していかなきゃいかぬ、こんなふうに考えておるところでございます。
○稲村稔夫君 ありがとうございました。ちょっと時間が経過してしまっておりますので、櫻井さんには以上でありがとうございました。 ちょうど今そういう話題が出ましたので、それでは今指定の要件がいろいろ問題であろうというふうに言われましたけれども、その辺は政府の方はどういうふうにお考えになっておりますか。
○政府委員(関谷俊作君) これは今櫻井参考人のお話ございましたように、従来から種子用米穀を取り扱う者の農林水産大臣の指定という制度もございまして、これまでは専ら農業団体が指定を受けていたわけでございます。今回、民間事業者の種子生産への参入ということがございますので、これに伴いまして民間事業者が自分のつくった種を流通させる場合にこの指定を受けられるようにする、こういうような問題が出てまいると思いまして、この関係について今、改正というか、そういう民間事業者の指定の道を開くということも必要であろうと考えております。 その場合にどういうような指定の要件をとるかでございますが、これは食糧庁ともよく御相談をすることでございますけれども、基本的には現在集荷業者等におきまして、御承知のように民間系統があるわけでございますので、現在の主食用米穀の流通業者の指定あるいは許可の要件、これはいろいろございますが、そういうものも参考にしながら、種の取扱業者の指定をするということで、集荷業者については経験要件とか資力信用要件とかいろいろございますので、そういう面を十分考慮しながら指定要件の改正をするというようなことを考えたらいかがかと思っております。
○稲村稔夫君 私は、今の指定要件次第で参考人が言われましたように、これを農家の立場から見て大変ぐあいが悪いということだって起こり得るということを懸念しているわけであります。その辺のところはひとつこれから十分に配慮した指定の要件を決めていっていただきたい、このように思うわけであります。 また、今も参考人からお話がありましたが、種子の生産にはかなりの経費投入をしなければならない、そういうことがございましたが、それだけに積極的に種子を民間が開発しようとするときは、そのためにかかる開発費が今度は価格にはね返ってくる、こういうことにもなるわけであります。今までは都道府県あるいは国で開発費は全部持っていたということになるわけでありますが、それだけに民間参入のときには場所とかあれによってかなり高い種子を購入させられるというような、そういうことが起こるんではないだろうかということも懸念されます。その反対に、今度は優良な種子を開発したということで、実はまだ安定していないとかいうようなものがどんどんと出回ってぐるということだってあり得る。高い経費をかけて高い種子代は取れないから、そうすると適当にやって一部いいのができたからそれでよかろうというような話で物が進められてしまうということだってあり得る。実際にまいてみたら、いろいろばらばらでは、それこそ種子としては劣悪な種子ということになるわけでありましょう。そういうことだって起こり得ると思うんですね。 ですから、今度の改正の対象になっておりませんけれども、第一条に言う「優良な種子の生産及び普及」ということにそういう面でいったら懸念も生じてくるということになるんじゃないだろうか。先ほどのコシヒカリの問題がありますだけに、種ということになるから私は大変その辺気になるんでありますけれども、その辺はどのような対応を考えておられましょうか。
○政府委員(関谷俊作君) これは今回制度改正をしまして民間参入の道を開く際に、主要農作物種子制度の基本的な面をどうしようかということで、私ども基本的な枠組みは維持すべきである。その内容はどういうことかと申しますと、まさにお尋ねのございましたような優良な種子の生産流通を確保するということにあるわけでございまして、従来どおり奨励品種の決定、試験調査、これは県が実施して優良品種の普及を図っていく。それから圃場指定、これは自然、土壌条件等に適した圃場指定をする。さらに生産に当たっても圃場審査、生産物審査を行う、合格種子に証明書を交付してそれを表示させる。さらに今度はあわせまして種苗法の方で、主要農作物の種苗を加えまして、流通面でいろいろ表示の規制のほかに、従来からございます種苗の検査とか、種苗業者からの報告徴収、こういう流通面の規制もあわせて加えるということで優良な種子の流通を確保する。従来どおりの制度の枠組み以上に種苗法も含めて努力したいということで、劣悪な種子の出回り防止については万全を期したいと考えておる次第でございます。 さらに価格の問題等もございますが、これは先ほど櫻井参考人の御意見の中にもございましたけれども、従来、種子協会という場で主として農協系統の種子については価格の決定をしているわけでございます。今回、民間参入に際しましては、できるだけ種子協会に参加してもらう、参考人の御意見でも民間参加を促進するようにやってほしいという御意見がありましたが、そういうことでございます。価格面については、これは基本的には民間と農協ということになりますと、それ自体としては一つの競争的な要素がどうしても出てまいると思います。現在、率直に申しますと、民間でこれから米麦等の種子生産に参入したい方は、むしろ国や県が中心になって農業団体等につながっております今の種の生産では非常に価格がそちらの方が安いので、自分たちが出ていってもなかなか太刀打ちできないということを心配しているような次第でございます。私どもとしては、稲、麦のような基本的なものは、国や県の品種開発も含めて安定的に適正な価格で供給するということが使命だと考えておりますので、そこに民間が出てこられる場合には、自分で非常にいいものを農家の信頼を得て売るということが基本でございますので、そこでは基本的には自由競争だけれども、いいものこそ売れる、こういうようないい意味での競争がそこに出てくればいいんじゃないかと考えておる次第でございます。
○稲村稔夫君 ここにことしの二月に出された日本化学工業協会の、これは主としてハイテク関係を中心にして述べられているんでありますけれども、中間報告というのがあるわけであります。その中で特に奨励品種の問題とか、それから原種、原原種段階での問題に触れて述べられている部分があります。 それを見ますと、例えば現在の制度では、奨励品種については「私企業の研究開発成果を早期に活用することができない。このため、私企業の試験データの受入れを含めた試験方法の簡素化を図る必要がある。」、つまり都道府県や国が直接試験をするんじゃなくて、民間で試験をしたデータを見たらそれを信用しろ、チェックの体制は外せと、極端に言ってしまえばこういうことが述べられております。それから原種、原原種の生産については、「種子段階のみならず、原種・原々種段階においても農産物検査法による農作物検査が義務付けられている等、県が生産する場合に比して、過重な規制がなされている」ということで、この農産物検査というものを省略するというようなことが要望されるというふうに書かれていたりいたします。 そういたしますと、民間の参入ということを考えていきましたときには、民間の方からは当然こうした強い要望が出てくるということになるわけでありますが、その辺に対しては農水省はどういうふうに考えておられますか。
○政府委員(関谷俊作君) この化学工業協会の御意見は、私どもいろいろ関係の業界の方からも一部御参加いただいた研究会によって方向を出しまして、法案の内容もある程度固まりつつある段階で出されたものでございます。これの中を見ますと、まだまだ民間としては今回の法律改正のようなことが行われても十分に参入できないんじゃないか、こういうような懸念を持っているというようなことがあらわれているんじゃないかと思っております。 具体的にお挙げになりました二点につきまして、奨励品種の決定調査につきましては、私どもこれからの考え方として、民間の試験研究等のデータは、これは民間から出てまいりますので、それは県でチェックしまして活用できるものは活用する。これは一般の農薬等でもそういうことを行っておりますが、民間研究データをただ丸のみにするんではなくて、せっかく民間機関でもなかなか優秀な研究スタッフ、農場等持っておるところもございますので、そういうデータは活用してチェックした上で採用できるものはする。こういうような考え方で臨んだらいかがかと、かように考えております。 また、検査の点については、農産物検査法で米麦は全体的な強制検査になっておりまして、これと主要農作物種子法の方の生産物審査とが、検査項目が大分ダブったりしておりまして、確かにこの点は、この民間参入の問題がないとしましても、かなり行政運営としても問題になる点もございますので、今回これはいわゆる二重検査の防止ということで、検査項目の両方ダブっているものは分担し合ってどちらかが基本になってやっていく、こういうような方向に検査の項目、検査の仕方を改めていったらいかがかと考えておる次第でございます。
○稲村稔夫君 民間のデータの活用については、それを私も全面的に否定するものではありません。それなりに専門家が見てある程度信用に足るものというようなものも、あるいは経験的にそういうものも出ているものもありましょうし、それらのことも含めていろいろと参考にしながら勘案するということについては私も賛成であります。しかし、これから出てくるいろいろな事柄の中では、実証試験などもいろいろとやっていかなきゃならない問題というのが非常にたくさんあるんじゃないかというふうに思うんですね。そういたしますと、必ずしも機械的に私企業の試験データの受け入れというふうに単純にはいかない部分というのがあるんではないか。その辺は特に後のバイオとの関係も出てまいりますだけにきちんとした対応を考えていただきたい、こんなふうに思うんです。 それからその次の問題は、ここで言っていることは、農検を廃止しろと言っているんですよ、言ってみれば種子については。今の局長の答弁は、ダブるところを整理してお互いに分担し合って検査しよう、こういう体制だというふうに言われたんで、私はそれならばいいと思うんですけれども、ここでは「県が生産する場合に比して、過重な規制がされている」というふうに述べながら、この農検を廃止しろと言っているんですけれども、これは廃止するなんということはないでしょうな。
○政府委員(関谷俊作君) 私ども、農産物検査法は米麦等含めました全体的な検査のシステムの中の一つとして種についてもそういう検査が行われていることでございますので、種についてこれをやめるということは全く考えておりません。また別途行政改革審議会等におきまして規制緩和という世界での御議論も、いわゆる二重検査的なこと、重複を整理せよということでございまして、片一方、あるいは農産物検査をやめろというふうな御指摘は受けておらない次第でございます。
○稲村稔夫君 次に第三条関係なんです。ここで指定種子生産圃場の面積制限が出てくるわけでありますけれども、何で面積制限をするのかという意味の問題をもう一度考えてみなければならないんではないだろうかというふうに思います。 第一点は、なぜこの面積割り当てというものを都道府県単位に決めているのかということを伺いたいんであります。今いろいろなものが出ておりますけれども、特にまとまったものの一つの例として日本化学工業協会のがあるものですから、これを例に引いて申し上げるんですけれども、ここでも指定種子生産圃場については、私企業が開発した品種の種子を生産する場合には、指定種子生産圃場に指定されるように、改められたとしても、その指定は農林水産大臣が県別に定めた面積の範囲で行われているために、一県内において複数県を対象とした種子の生産を行うことが極めて困難になっている、このため複数県を対象にした生産が可能となるようにする必要があるというようなことが述べられております。事実、これからもし民間で、例えばハイブリッド種子などというものの生産をするということになりますと、この主要作物の場合は、特に稲の場合などに取り組むということになりますと、これは圃場はかなり広いものを必要とするでしょう。そうすると制限面積の問題をどういうふうに考えているのかという問題が一つ出てまいりますし、それから圃場の確保が数県にわたってというようなことも起こり得るんだろうというふうに思うんでありますが、その辺のところはどのようにお考えになっていますでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) 現在の面積制限は、基本的には種子の需給の安定ということで過不足両面問題がございますので調整するということでございますし、これを県単位に行っておりますのは、今の米麦等の生産が県の品種あるいはそういうような観点で県中心に生産が行われているということで、面積を調整する場合には種子生産についても県単位の調整が一番実態に期するということで行われておりましたし、今回の改正でもそれを継承することにした次第でございます。その場合に、一つの県の中の指定種子生産圃場で数県向け、他県向けも含めてつくると、こういう場合の問題は確かにございまして、ハイブリッドは現在まだ出てきておりませんけれども、現状においてもそういうことが必要になっておるわけでございます。そういう場合には、県ごとに計画を決めます場合に、ほかの県向けのものも、B県、C県向けのものもA県でつくるということであれは、A県の生産計画の中に入れてA県の中で指定されます圃場の中でつくる、こういうようなことで、そいう一種の広域調整と申しますか、そういうことは圃場指定の面で従来もある程度やっておりますし、これからも民間が入ったりしますとそういう面のことは必要でございますので、そういう意味で農林水産大臣が面積指定をしますので、その際にこういう面もあわせてやっていくということで対処してまいりたいと思います。
○稲村稔夫君 今減反政策なども進められて、そして麦の生産というようなこともいろいろと一方では努力されたりしているわけですね。そういうときに、例えばビール会社がこの種子をぜひ生産してくれということで、言ってみれば、民間の中のまた民間の依頼を受けてすべてが民間でやられたときに、私どもの新潟県ではビール麦というのはつくっていないといっても今後つくるということになりました、長野県でもつくることになりました、何県でもつくることになりました、こう各県でつくることになったときに、そうすると、民間の側から言わせれば、各県からみんな一々一々奨励品種の指定をとるなんて厄介なことはやめてくれ、これは行革に反するじゃないかなんというような意見が出てきたときはどう対処しますか。
○政府委員(関谷俊作君) 先ほどの県の間の問題は、私の先ほどのお答えを指定種子の生産圃場の指定についてお答えしたわけでございますが、奨励品種の問題になりますと若干様子を異にしてくると思います。これは種子を使って栽培する方でございますので、同じ一つの品種が二県以上でつくられるという場合には新しくつくられる方の県についても、県として、これは奨励品種として自分の県でもつくっていいかどうかということは、ビール麦に限らず、場合によっては既につくっている県のデータ等も参考にしながら自分のところも奨励品種にするということを決めていく、その上で県もその品種をつくる、こういうような運びの方が現在の稲、麦等の生産の方針としては妥当なんではなかろうかと考えております。
○稲村稔夫君 これは民間参入することによっていろんなことが起こってくるような感じがするんです。そこのところはいろいろなケースを考えて対応をぜひお願いしたいというふうに思います。今ちょっと私も前後関係を勘違いしているところがありましたけれども、原種、原原種圃についてのまた民間からのいろいろな要望も出ておりますし、それを見ますと、それなりにもっともな点もあるし、さりとてその種子という特徴からいってそう簡単には答えられないんではないかと思われる面などもあるわけであります。その辺のところは十分にかみ分けをしていただいていると思いますけれども、種子はまさに国内におきましても商業戦略の面でいつでも戦略物資にもなるということになりますので、ぜひ慎重に対応をお願いしたいというふうに思います。 次に、もう時間がなくなりましたから十分な議論ができなくなりましたけれども、この種苗法の一部改正の中で、特に「農林水産植物」という言葉が使われていますが、「農林水産植物」という概念はどういうように理解したらいいんでしょうか。特にバイオテクノロジーの発展等の中で工業的な生産体系の中で生産されてくる植物というようなものがあるわけでありますけれども、その点はどういうふうに考えたらいいでしょうか。 一遍にいろいろと伺って恐縮でありますけれども、特にそういう中で種子などのことについては「その他政令で定めるもの」というふうになっています。「その他政令で定めるもの」というのはどのようなものを考えておられるのか。また特にこのことをお伺いする意味は、バイテクなどの発展によりましていろいろな生命単位というものが出てきていると思うんですね。これは「農林水産植物」という概念に当てはめてどの部分が当てはまるんだろうというようなことがいろいろとこれから議論になってくるんじゃないだろうかということも心配されるので、その辺まず概念からで恐縮でありますし、また幾つもあわせて伺って恐縮ですが、御説明いただきたいと思います。
○政府委員(関谷俊作君) まず第一に種苗法上の「農林水産植物」でございますが、これは法律の定義にございますように、農産物、林産物、水産物の生産のために栽培される植物で政令で定めるということがございまして、大体栽培という言葉がございますので、常識的な意味でのいわゆる植えると申しますか、これは温室等そういう施設の中で植えるものもございましょうけれども、要するに栽培という行為が伴ったものが植物と、こういうふうになっておるわけでございます。したがいまして、やはり専らその植物自身が何か工学的に合成される、このようなことになりますと、これはどうしても植物に当たらない、栽培行為がないというようなことになりますと植物に該当しないということがございます。 それから次に、今回の改正で加えます。その他のもの、こういう関係でございますが、これは法律上、種苗という概念がまずございまして、この種苗の中でも特にこの表示等の規制をかける必要があるものを指定種菌として指定するということでございます。その前提になります種苗というのが、今申し上げましたような植物体として増殖することを目的としてそれに使われるものでございますので、そういう広い概念の種苗がまずありまして、その中でも特に表示等の規制をかける必要がある。それはどういうものかと申しますと、従来法律に限定列挙しておりますもののほかに一般に販売されているものということになりまして、現状ではベゴニアとかセントポーリア、そういうものの薬とか、あるいは菊の芽とか、そういう葉とか芽というのはかなり流通してまいりまして、販売という面でこの「その他政令で」ということで指定種苗にする必要があろう、こういうふうに考えております。 さらに、これがもっと進みまして、例えば人工種子というような何らかの意味で違う形態の種苗が出てまいりまして、それが流通して販売上の表示等の規制が必要であれば、これは将来の問題として検討する必要があろうということでございます。 さらに、バイオテクノロジー等によって開発されるものでございまして、これはいろいろなものが考えられると思います。細胞とかあるいはそれ以下のレベルのものも含めてございますが、その中には、これはまず種苗になるかどうか、あるいは植物体になるかどうか、この二点で問題になるわけでございますが、そういうものは、それ自体はいずれにしても植物体ではないわけでございましょうが、むしろ種苗の方として該当するかどうか、こういう問題がございます。現在の時点では、細胞及び細胞より以下のレベルのものが増殖して植物体になるということは現状では見通されておりませんけれども、もしも本当にそういうことが技術的に進展して出ましたらこれは種苗に該当するということで、これは指定種苗というよりはその前の種苗という概念に当たると思います。現在のところではそういう技術がございませんので、そういうふうにそういうものも一般に種苗であると断定することはできない段階ではなかろうかと思います。
○稲村稔夫君 今のお話を伺っていると、わかったようなわからないようなことになるんですがね。そうしますと、私は概念的には、先ほど局長が言われた栽培という行為を伴ってということになるとして、そこで植物体として育成されるもの、そのもとになる種子というふうに考えてきています。でも今のバイオテクノロジーの発展に伴っていろいろなことが今研究されてくるわけでありますけれども、それが植物体に将来なるということになれば、これは種子ということの概念の中へ入るのじゃないかというお話もまた今ありました。 そこのところがちょっとわからなくなるというところですけれども、例えば今局長は、細胞以下のもので生命を営むものは今のところないというふうに言われたのですが、しかし細胞と果たして言えるかどうか、そういうことが言えるものに、例えばバイラスだとかなんとかというようなものもあるわけなんですね。そしてそれで既に遺伝子を、DNAを持っているものがあるわけであります。しかもそのDNAの利用ということは、例えばタバコモザイクのウイルスだとか何かいろいろ今研究されていて、それはどういう形で実用化するかということはまだ全然わかりませんけれども、しかしそういうあれの中でいくと、ある程度自己増殖もし得るというものもあり、先ほど私が私どもが教わったり学んできたものの常識をいろいろと崩すものがあると言ったその範囲の中に入る部分というものが今出てき始めている、その辺の研究がいろいろと進み始めてきている。 そうすると、例えばそういう中で遺伝子そのものを持って、例えば今のバイラスのように、寄生するというかほかの細胞に入ればそれが成長して、そして新たな生物体をつくる、植物なら植物をつくる、こういうことも起こり得るわけです。現にそういう形で組みかえということがいろいろと研究もされているわけですね。そういたしますと、一体生命を営む単位としてのあれは細胞にあるのかどうかということだっていろいろ議論が出てくるところにもなってきます。それをずっと稲子、種子と、もとになるものを種子、種子というふうにたどっていってしまうと、何かそこのところは非常にけじめがつかなくなるような気がするのですが、その辺はどのようにお考えですか。
○政府委員(関谷俊作君) バイオテクノロジー関係の問題としては、細胞あるいは細胞よりもっと小さいレベルのいろいろなものがございましてそれが使われるわけでございますが、そういうものは種苗という概念に当たるかどうかという問題もございますけれども、率直に言えば、そういうものはいわゆる育種の素材として使われているのではなかろうか。それ自体が種苗として機能するかどうか、これはちょっと別問題でございまして、いろんなバイオテクノロジー利用育種の場合に使われますものは、実験室的な中で一つの品種をつくる場合に材料として使われている。ではそれを持ってきてフィールドに持っていって仮に種苗として使えるかと言えば、これは使えない場合の方が多いのじゃなかろうか。 そういう意味で、種苗の概念というよりは、むしろ育種の素材ないし方法の問題として出てくるわけで、それは今回の指定種苗制度の問題というよりは、もともとの品種登録の問題として、これから出てくるバイオテクノロジー育種の保護の仕方ということでこれからさらに研究すべき問題がある、こんなふうに考えております。
○稲村稔夫君 私は、今局長の言われた種苗というものについての判断の問題というのは、これは専門家等を加えていろいろと今後議論し検討していただかなければならない問題点があるのではないか。どこまでを種苗として扱っていくかということですね、そういうようなことについてはきちっと内部の検討体制をつくっていただきたいというふうに思うんです。それでないと将来禍根を残すことになるのではないかということを心配いたします。 たまたま今品種登録の問題も出てまいりましたから、次の品種登録制度の問題に移らせていただきます。 品種登録制度というものについては今のバイオとのかかわりというのがいろいろとあって、ここのところは制度の見直しということが必要になってきているのではないかと考えておりますけれども、その辺はどんな問題意識をお持ちになっていますでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) これはまさに先生のお尋ねになったような関係の技術の進展によりまして、従来の品種保護という問題の中で一つ問題が出てまいりますのは、バイオテクノロジー的な方法あるいは素材を用いて開発された場合に、それが特許という制度の中で、そういう方法あるいは素材からさらに及んで植物体という問題まで特許の、あるいは保護の範囲に入るというようなことになりますと、そこで品種登録という制度と制度上の一つのダブりが出てくるわけでございます。 そういうことになりますので、これは我々の方の品種登録制度の問題でもある、また国際条約の問題でもあるということで、国際機関の中でもいろいろ検討が始められておりますが、私ら品種登録制度を預かる者としてもこれを早急に検討しなきゃならぬ、そのためにいろいろ技術会議あるいは研究機関の方の技術陣と私ども行政部局と本当に一体になって研究しなければならない問題だ、かように考えています。
○稲村稔夫君 この品種登録の問題はかつて、私が知っているところでは、ヨモギの新品種ということで特許庁に申請を出された新品種の問題がありました。そういうようなことからいろいろと特許問題ともかかわってくることではないかというふうに思うんですね。特に最近、今局長が言われましたようなバイオの発展とともにいろいろな新しい品種が生まれてくる可能性が出てきました。例えば筑波大学の内宮講師の研究では、稲の遺伝子組みかえということで、まだ植物体まではできてないけれどもプラスミドを利用しての組みかえ、ある薬についての耐性ということで成功したというようなことが新聞等にも載っております。 そういたしますと、仮にカナマイシン耐性ということが新しい品種としてどれだけ有用かということは別にいたしまして、こういうことが開発されてくるとそれだけに新しい品種が生まれできます。個々の品種のあれのところは、例えば今の組みかえのそういう技術でできてきた最初のものについては特許になるということになりますと、それをもってつくられる稲はすべて特許がかかわってくる。品種登録でということになると、先ほどの話のように二重登録ということになってまいります。もう二重登録にならざるを得ません、こういう新しいものがもし今の制度の中で出てきますと。こういう問題などもあります。 それからまた、これはあるいは後ほど丸谷先生から出るのかもしれませんけれども、こうした新しい手法、生物学的な手法といいますのは、工業的な手法とまた違って再現がマニュアルどおりに必ずきちんといくという保証もまだない部分が結構あります。言ってみれば、DNA地図が全部わかっているというわけじゃないわけですし、まだ未解決ないろんな問題があります。そうすると、特許制度だけでも、あるいは今の品種登録制度だけでも、なかなかカバーし切れないというような分野が新たに生まれてきているのではないだろうか。こんなふうにも思うんですけれども、その辺はどういうふうに考えておられますでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) 大変難しい問題でございまして、今お挙げになりました稲の研究のようなそういうタイプの研究については生物資源研究所でもかなり重点的にやっておりまして、そこでは分子育種と細胞育種という大きな二系列によって今研究を進めております。そういうところの研究の状況なんかを聞きましても、確かにそういう方法でできましたものについて、特に育成者あるいは研究者の保護というものが特許制度の場合に植物に及ぶということになりますれば、そういう問題が出てくるわけでございまして、最終的な見通しについて、今先生のお尋ねになりましたようないわば特許と登録以外のまたもう一つ第三の道ということを、断定する時期でもないかと思いますけれども、あるいは最終的には国内的にも立法的な解決を必要とする場合もあるかもしれませんし、またさらにこの前提として国際機関における工業所有権の保護の制度、あるいは品種保護の制度、それがどういうふうに調整されるかという問題もございまして、これは本当に今現実に出てきている問題でございますので、私どもの内部でも技術者と行政部門、両方一緒になりまして真剣に検討したいと思っておりますし、また特許庁あるいは外務省、そういう関係省庁とも十分連絡をとりながらさらに研究を進めてまいりたいと思っております。
○稲村稔夫君 時間もございませんから、後また丸谷先生からいろいろと出ると思いますので、私はその点はこの程度にさせておいていただきますが、さらに簡単に二点ばかりお伺いをしておきたいというふうに思っております。 一つは、主要農作物は種苗法の対象に今度入りましたけれども、林業用の種苗というのは今回も対象から外れています。この理由は何ですか。
○政府委員(関谷俊作君) 林業用の種苗の関係でございますが、これは林業種苗法という法律がございまして、こちらの方でかなり、ある意味では主要農作物種子法より以上の大変厳しい制限と申しますか、がしてございますので、そういう状況を見ますと、今回そちらの方との絡みで、あえて林業種苗法の適用になる方まで稲苗法に含める必要はなかろう、こういうようなことで従来どおり除外したままにしておく次第でございます。
○稲村稔夫君 でも、この林業用種苗と言われるものは、流通するのは林業関係だけじゃないでしょう。
○政府委員(関谷俊作君) それは確かにそのとおりでございますが、林業種苗法の方の規制分野というものが、生産事業者の登録制度、それから採取源を指定する制度、さらに配布用種苗の表示制度、こういうところにまで及んでおりますので、これら全体的に総合的に見ますと、流通面の表示の問題までも含まれておりますので、もちろん使用される面はいわゆる林業だけではございませんけれども、林業種苗についてはこちらの、主として種苗法の方の流通的な面については加える必要はないのではないか、こういう判断をした次第でございます。
○稲村稔夫君 私は今の御説明ではまだ納得し切れないものがございます。将来の問題、今いろいろと世の中、動いておりますから、その辺は将来の問題としてまた私は見ていきたいというふうに思っております。 もう時間が参りましたから、私は、特に今回の種子法及び種苗法の改正につきましては、民間参入という非常に大きな大転換をすると言っていい部分があるわけでありますから、その部分についていろいろとまだ検討しなければならない問題があるんではないか、こんなふうにも思います。それからまた附帯決議についても、私にしてみればまだ御努力不満であるという面もございます。というようなことで、どうもまだもう少し煮詰めてから議論をできるような、そういう法体系にして出していただければありがたかったというふうにも思います。しかしいろいろと申し上げました問題点、これから重大な問題だと思いますので、十分今後の中で留意していただきたいということも要望して私の質問を終わりたいと思います。
○丸谷金保君 どうも今の局長さんの答弁を聞いていましても、私たちが肌で感じている、大変な時代に入っているということに対する認識が非常に足りないんじゃないかという気がするんです。 種苗法の問題を私はもう何回も取り上げてきているんですが、今回も、御丁寧に答弁してもらっていると、とてもじゃないが、一日では済まないような大きな問題を持っておると思うんです。しかし、大臣も今北海道のためにソ連に行ってくださっているんですから、そういうこともありますので、法案の成立には御協力しなきゃならぬと思うんです。しかし問題点がないということでなく、たくさんあるんだということで、きょうは、そういうことを列挙するような形で質問をさせていただきたいというふうに思っております。私は、問題点をいろいろ挙げますけれども、決して皆さんを困らせようと思っているわけでも何でもないんです。 先日、局長さんの方に北海道新聞の記事をお上げしましたね、「ブドウの挿し木が始まる池田町」というやつです。ことしも約八万本の挿し木をやっているんです。そして、そのうちの三万本は池田町で開発している「清見」という種類で、ようやく種苗法の品種登録にも出せるような段階です。二十五年かかっているんです。去年も出たかと思いますが、ことしもおたくの方のお世話になることにしようということになっているんで、この制度が全面的にだめだと言う気はないんです。 しかし、五十三年のときから繰り返し申し上げておりますように、最初はこの品種登録では無性繁殖は守れないということだった。ブドウの品種の開発をして、それを無性繁殖で挿し木でどんどんふやしていくような場合には困った、つまり法律が出たときに、よしの髄から天井をのぞくように、うちの苗木はこれじゃ困るなというところから私は始まったんです。ところが、やっているうちによしの髄からのぞいた天井がだんだん広く見えるようになってきたんです。そうしましたら、とてもとてもそんな問題でなくて、日本の農業の将来にとって大変大きな国際的な競争の中において打ちかっていかなきゃならないという問題をたくさん包含している。しかし、それに対する現在の農水省なり各省の考え方というのは、まだそういう肌で感じる危機感を持っておられないので、幅広い勉強をさせていただくことになり、しつこく何遍でも御質問しなきゃならないことになってきたわけなんです。ひとつ答弁するときにそこのところをよく理解しながら答弁していただきたい。また困ったことを質問したなんというふうに思わないでくださいよ。 それで、今の御答弁を聞いていましても、例えば人工種苗の問題で、現在のところはまだないけれどもと、こういうふうなことをおっしゃっているんです。もうすぐ真近に来ている問題について言うと、必ず、現在のところはない、現在はまだそこまでいっていないというふうな御答弁が返ってくるんです。繰り返すようですが、五十三年のときも私たちは、バイオの問題、もうすぐこの問題が来るのにこの法律でどうするんだ、こういうことを再三にわたって質問したはずなんです。お酒をやっていますと、酵母のことが割と素人なりにわかるんです。酵素を中心にした遺伝子組みかえとか、人工酵素をつくるとか、合成するというふうなことがアメリカで始まったのはもう一九五六年なんです。ですから、五十三年当時も僕たちはもう肌で感じていたんですよ。それが全然その当時感じられていないんです。今の答弁を聞いていてもそうです。 人工種苗の問題なんというのはもう農水省自体の中でもちゃんと出しているでしょう。これは大臣からいただいたんですから農水省に間違いないわけですわね。「バイオテクノロジー 農林水産省」というんです。局長、人工種子の問題はここに出ているんですよ、ちゃんと。今のような何かのんびりした御答弁は、僕は非常に遺憾なんです。全部読みませんが、「大量に生産することが可能になります。」と書いてあるんです。おたくで出しているんですよ。 それで、これから入るつもりなかったんですが、今聞いていて、余りにも何かずれがあるんでもう一度聞きます。遺伝子の組みかえのところで、人工種苗なんかの場合、特許の申請が出る。これは一体どこからが種苗なんですか。これによりますと、「分化し始めた組織」ということを言っているんです。しかしその細胞分化する前に上下に単細胞が割れるでしょう、遺伝子組みかえして。それが二つになり、四つになり、八つになりと、こうふえていきますわね。そしてそれが結局、組織になっていく。茎や根の茎頂といいますか、根端ですね、こういうふうなことが明らかになったところからが植物なんですか。どうなんですか。
○政府委員(関谷俊作君) 人工種子の出題について、種苗という概念の問題と植物という概念の問題と二つお聞きになっておられるわけでございます。従来の人工種子、言葉としては種子と言っていますが、人工の胚という言葉が英語の原語だそうでございまして、今お尋ねございましたが、組織培養技術が進展しまして、植物体のいわゆる胚横体の分裂しました組織で、ある程度胚に似たような状態になってきたものにコーティングをすることでいわゆる種子というような機能を持つようになったものが人工種子だと、こういうふうに私ども理解しております。農林水産省のパンフレットにもございますように、農林水産省でも野菜試験場に種苗工学研究室というのをつくりまして、ここでこの辺の問題をやっておるわけでございまして、もちろん民間の方もございます。 種苗ということになりますと、仮に一般に販売されるということになれば、俗にまくというか、まきつければ、あるいは土壌に施せば、そこから植物体が出てくる、こういうようなものが種苗として販売されるとしたらされるんじゃないか。こういうようなことで、今これが研究中であるということでございます。 遺伝子の操作等の問題は、これは必ずしも人工種子に使われるものばかりではないと思いますが、そのもっと前の段階として、新しい品種をつくり出す場合の方法として使われるものである、こう考えております。 特許制度の適用については、私ども今十分にお答えし得るような段階でございませんし、また特許庁のお考えもあろうかと思いますが、植物体あるいは種苗、こういうようなものについては大体今のような考えを持っておるわけでございます。いずれにしても、この辺の技術についてはかなり進んでまいりましたが、これからそういう形での種苗が出てまいりますことになりますれば、種苗法の方でも対応が必要になろう。私ども申し上げたのは、いわゆる種苗という概念の問題というよりは、指定種苗の方でそういう人工種苗の流通がかなり出てまいりましたら対応する必要があろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
○丸谷金保君 それはちょっとおかしいんですよ。だって、この法律では、先ほど稲村先生も指摘しておりましたけれども、種苗というのは、「植物体の全部又は一部」と言っていますわね。この場合には私たちは、この一部というのは挿し木する、芽接ぎするとか、いろんなこういうものだと思うんです。しかし、「その他政令で定めるもの」でもって、今おっしゃったようなことについて、今はわからぬけれども、これから出てくるものはそのときそのときによってやっていくんだと。それじゃかなわないんですよ、はっきりしてくれないと、特許と品種登録の関係では。 それじゃ、例えばここにもある「組織培養」。これは農林大臣からちゃんと手紙つきで送ってきたんですよ。今の大臣ではないですね、十一月三十日ですから。これを見ると、「組織培養」の中でいろいろあれしているんですが、じゃカルスのような場合どうなんですか、植物体ということになるんですか。
○政府委員(関谷俊作君) 大変技術的にお詳しい先生でございますので、私では恐らくなかなか十分なお答えができないと思いますが、いわゆるカルスというのは、私の理解では、細胞が幾つか増殖してくっついた状態ということでございまして、何らかの意味で器官分化をして植物の器官としてまだ発展していないような状況ではなかろうか。こういうふうに考えますので、それが種苗として機能することはなかなか難しかろうと思います。ただ、植物体の一部がどうかというふうになりますと、植物体の一部を細かく割っていけば最後には細胞になるわけでございますので、細胞それ自体も植物体の一部ではある、こういうふうに理解するのがいいんではなかろうかと考えている次第でございます。
○丸谷金保君 それは突き詰めれば、物質の根源は何だという話になれば、みんな地球の子であることは間違いないんです、動物でも植物でもね。いいですか。そういう答弁じゃ困るんだよ。突き詰めていけば、一体そのうちのどこまでを言うのかということなんですね。 それで、栽培行為のできるのは根と茎とが出てくるようなもの。ところがカルスというのはこれを割ってしまうんです。ある程度分裂が進んでいって、これが根になる分、茎になる分というふうなところを真ん中でちょん切っちゃいますと、その上の茎になる方の分については根が生えないんですよね。特殊なことをやれば別ですよ。その状態でカルスの大量栽培による天然色素シコニンの生産なんというのはやっているんです。もうやっているんですよ、おたくで。いいですか。これで色素がとれるんです、この状態で。そうすると、こういうものでもって大量に栽培行為しないでどんどん培養でできてくると、こういうのが特許にいったらそれは植物だということになるんですよ。 〔委員長退席、理事北修二君着席〕
○政府委員(関谷俊作君) 今お尋ねのような場合で、カルスというのは細胞段階のものが培養してそれ自身いわゆる細胞培養ということで、何か色素その他の有用物質を生産すると、細胞体あるいは細胞体の分泌物がなんかで有用物質が出てくることになりますと、その過程自身は、これは全体が農林水産植物というところまでは参っておらない、こう考えるのが妥当ではなかろうかと思います。
○丸谷金保君 そうすると、種苗法で言うところの「その他政令で定める」という中には、カルスから単細胞の間のそこまでのものは入らないというふうに理解していいわけですね。
○政府委員(関谷俊作君) その他の政令の前の種苗という概念で申しますと、カルスが種苗として機能し得るかどうか。その種苗というのは何かというと、最終的に植物体をつくるという目的のものが種苗でございますから、カルスが、あるいは細胞が培養だけしておって、それがもうそこで生産過程おしまい、こういうことになりますと、これは植物になるわけじゃございませんので、その場合のカルスは、これは植物の種苗ではもともとないわけでございましょうから指定種苗の対象にすることもないということでございますので、お尋ねのような場合に、常識的にはカルスが種苗として機能することはなかろうと、現段階ではこう思っておりますので、お答えについて言いますならば、カルス自体は種苗というふうになかなか考えにくいんじゃないか、種苗の機能するまでになるというのは、なかなか今の技術ではちょっと予想しにくいんではないかというふうに思います。
○丸谷金保君 局長さん、ですから私たちこの問題を繰り返しやらざるを得ないんです。そういう認識で、そういう緊迫感がない状態では困るんですよ。例えばもう大量培養は始まっているんです、色素なんかとるのに、カルスの状態で。これはその植物の特性を単細胞のときに本当は持っていますわね、あらわれてないけれども。分裂が始まってある段階に来ると、それぞれの遺伝子が根になったり葉になったり茎になったり、こういうふうに分かれていって一つの組織体ができてくる。その中の特性だけをとって、それを今度は植えたりなんかしないで培養することによって、例えばユーカリなんか使ってアルコールをつくる。これもカルスの培養でできる段階に来ているんですよ。そうするとブドウなんかだって植えなくてもよくなるかもしれない。今、何十年もかかって、二十何年もかかって花粉交配でやってどういういい酒ができるかというふうなことをやっているが、こういう中で大量培養されるようになったらアルコールは全く栽培なんかしないでもできるようになる。そうすると、そういう技術なり、そういうことによる体制づくりを早くやって権利保護をされておかないと外国に全部持っていかれっちゃうんですよ。手も足も出ないことになるんです。いいですか。そうすると企業をやっている者にしてみれば大変なことなんです。ところが、いまだにまだ特許だ、農水省だといって、日本国内でダブルゾーンができているような状態で、今局長さんのようなそういう認識では、アメリカから膨大な特許が、この間もお渡ししたように、こういうふうに出てくると、それはとてもじゃないけれども、やられちゃいますよ。この議論だけでも一日欲しいんですよ。しかし時間がないんで、そこのところが一体どこまでだというのを次の機会までに出してください。常識的にじゃだめなんです。 私だって素人ですよ。もともと何にも知らなかったんです。この二十年ぐらい仕方なしにやって覚えてきた。たたき大工みたいなものですよ。まあ稲村先生は設計屋さんで、それでもこういうことで心配なのに、局長さん、もう少ししっかりしてもらわないと、ここのところは。おたくの方で出しているんですからね。恐らく園芸局長さんはこれを読んでおられないんでしょう。これは読むというよりも見るあれですがね。これをごらんになっているだけでも今のような御答弁にはならないはずなんです。 それで、今質問を聞いているうちについこのあたり興奮しちゃってあれなんですが、本題に戻りまして後ろの方からこの問題に関連してやります。 特許庁に伺います。今特許庁にもう出ていると思うんですが、不和合性の問題、和合性を不和合性にするという特許が出ていますわね、植物の。これはあれですか、特許法で規定している不特許事由に該当しますか。
○説明員(堀内貞夫君) お答えいたします。 特許法で規定する不特許事由には二つございます。公序良俗に反するものと、それから原子核変換により製造されるべき物質、この二つでございますが、本件につきましてはその二つのいずれにも該当しないものと判断されますので、不特許事由には当たらないと考えております。
○丸谷金保君 それで、これが出てきておりますね、昭和六十年五万一千二百ということで、自家不和合性糖たんぱく質の問題についてアメリカのアグリジェネティクスリサーチアソシエイツ、つまり農業の遺伝子研究開発協会から。こういうものは不特許事由になりませんね。ならないと言ったんだからならないね。 それで局長さん、こういうふうなものが今たくさん出てきているんですよ。これは明らかに植物です。こういう形でアメリカから出てきているのをこれは不特許事由にならないから取り上げるんです。特許になる、ならないは審査官のあれですから、我々はかり知れないことです。独特の権限でおやりになることです。こういうことでアメリカの方からどんどん出てきている。日本では植物については農水省の管轄だというふうなことを言ってたら特許はみんな押さえられちゃいますよ、どうしますか。
○政府委員(関谷俊作君) 今お挙げになりましたような特許も含めて一つの育種ないし育種方法、それに使います素材の特許から、さらに植物体まで特許請求が及びましてそれが認められるというようなことになりますと、植物体の段階で品種登録制度と二重の問題が出てまいります。これは国内法的にももちろん問題でございますし、国際的な条約、UPOV条約の条項から見ても問題の事態でございますので、これは早急に国際的な解決、また国内的な解決が必要でございますので、これはとにかく特許庁と私どもとの連絡協議による早急な検討を必要としていますし、また外務省にもお願いをしまして、関係省庁での検討と同意を、またあわせまして、農林水産省の内部におきましても技術陣、行政陣一緒になりまして早急に検討いたしたいと思っております。
○丸谷金保君 おたくの方ではUPOVの条約その他国際法的なものがあるというけれども、国際的にはそれだけでは通らないんですよ。知的工業所有権の中に農業新品種を加えるということのパリ条約は植物の新品種の保護に関する国際条約よりずっと重い条約なんですよ、UPOVに比べれば。いいですか。そうしますと、こういう条約があるんだからということで、アメリカは今攻勢をかけてきているんですよね。早急に相談してと言うけれども、おたくの方ではまだ六十年の六月にこういう文書を出しているんです。「かねて懸案になっていたヨモギ」、日本新薬の特許出願については「UPOV条約の効力が発生する以前に出願された案件であることにかんがみ、本件の処理について権限を有する特許庁の判断に委ねることとする。植物品種に特許が与えられることは、今後事実上まずない旨関係省庁間で了解したところであり、更に今後における植物品種に係る法的保護については、二重行政の問題が生じることのないよう関係省庁間で連絡調整を図ることとする」。こういうのをおたくの方で出しているんですね。 これが新聞に出て「植物特許権 種苗法に一本化」なんて、去年の六月の日経にこれが出ているんです。 いいですか。あなたはこれから相談してやると言うけれども、一方ではもうそんなものはないんだ、こういうことを言っているじゃないですか。これは間違いですか、園芸局の「ヨモギ特許問題等について」という文書は。
○政府委員(関谷俊作君) 先生のお読み上げになりました農蚕園芸局のペーパーについては、ヨモギの案件について、特許庁それから外務省とも御相談の上で、これは条約加盟前の問題であるということで特許庁の判断にお任せする、こういうようなことになった次第がそこに書かれているわけでございます。 それ自体はもちろん間違いではないというふうに考えておりますが、いわばそのヨモギの問題と、もう一つバイオテクノロジーを中心にしました新しい育種でできました品種保護については、そういう今後の問題が非常に対応を必要とするということについては、あわせて特許庁との間で今後ともこの問題については協議をしていこう、検討をしていこう、こういうことになっているわけでございまして、その点の記述がそこにつけ加えてないのがあるいは不十分かと思います。また新聞等の報道については、必ずしもそのときの処理の仕方について正確な報道をしていないものがあったことは事実だと、かように考えております。
○丸谷金保君 じゃ、この新聞報道は正確でないというふうに理解してよろしゅうございますね。
○政府委員(関谷俊作君) 見出しが非常に割り切った見出しをしておりますので、それは農蚕園芸局の発表に使いました説明用のペーパーとは必ずしもマッチしていない、こういうふうに考えます。
○丸谷金保君 見出しだけじゃないですよ。本文読みましょうか。本文の最後に「今回、特許法の権利保護から植物品種をはずし、開発手法に限る形で決着。ただ、ヨモギは種苗法の施行以前に特許申請されているため、例外的に特許法で取り扱う」。これを特許庁に聞きますが、特許庁でもこんなことで話し合いつけたんですか。
○説明員(山本庸幸君) 今回の御指摘のヨモギの案件につきましては、ただいまお話がございましたように、一つは、私どもが特許要件に照らしてこれを検討した場合、これは特許に該当するということで判断を下したわけでございますが、ただ、その場合の私どもの見通しを申し上げますと、一般に植物の品種につきましては、特許、要件にこれを当てはめて考えた場合になかなか特許が与えられるということは事実上、まずないと一応考えた次第でございます。 ただ、今後のお話でございますが、一つにはUPOV条約との関係もあるわけでございますし、他方、特許法それから種苗法それぞれ保護の趣旨及び対応がまた異なっております。そういったことも考えまして、一応今後ともこういった案件の検討に当たっては十分関係省庁と相談しながら進めていきたいと考えております。
○丸谷金保君 あなたはUPOV条約だけのことを言うけれども、いいですか、WIPOの条約もあるんですよ。日本はそれに加盟しているんですよ。だからアメリカその他からは条約に加盟している日本に対して特許申請が出てきている。日本の国内ではないだろうと、そんなことを言っていたら僕は大変だと思う。そういうことで今後ないということをあなたたちが言うこと自体おかしいんだよ。これは五十三年にはっきりしている、審査官の専権事項ですよ。 既にもうこんなにたくさん出ているんですよ。いいですか、受け付けて公開もしているんです。そうするともう審査官に渡っていれば、あなたたちがあるとかないとかと言える資格のものじゃないでしょう。今言ったのを直しなさいよ。今後ないだろうなんて、そんな予見ができますか。特許庁どうですか。あなたの方は、ないだろうというふうな予見を黙って聞いているのか。まず通産の方。
○説明員(山本庸幸君) それは私どもの一つの見通してございまして、私どもとしては、具体的な案件が出た場合に、例えば新規性、進歩性などの特許要件に対してこれを厳正に審査したいと考えております。
○丸谷金保君 特許庁。
○説明員(堀内貞夫君) お答えいたします。 審議室長も特許庁でございまして、現在のお答えは特許庁の答えでございますので、私が答えても同じ答えになります。
○丸谷金保君 そうすると、たくさん出ているけれども、植物に関連する問題については特許はないだろうというふうに考えているんですか。そういうふうに理解してよろしいですね。それならいいんですよ。アメリカから何ぼ出てきても、今後はないだろうというんであればね。
○説明員(山本庸幸君) ちょっとお答えが足りなかったかもしれませんけれども、一つは、植物自体と、ただいま先生いろいろ御関心の植物の細胞とか、さらにその前にあるカルスとか、そういったものとはまた別の話だとは思いますけれども、私が先ほど申し上げた点は、要するに高等植物としての例えば一つのヨモギみたいな案件についてお答えしたわけでございます。
○丸谷金保君 そこで、バイオの問題を中心にしてきょうの法案が出てきているんです。その中でまだそんなことを言っている。じゃ植物というのはどこまでだということになれば、物の根源の話になっちゃってはっきりしないんですよ。向こうから出てきているのは、明らかに今申し上げた拒絶理由にならないという、不特許事由にならないという案件、植物ですよ。そうでしょう。 それからこの間申し上げた昆虫耐性植物、これは植物ですよ。これはならないんですか。
○説明員(山本庸幸君) 例えば、先生先ほど御指摘ございました自家不和合性糖たんぱく質にかかわるものにつきまして、私どもこれから審査請求があればそれに基づいて審査するということになるわけでございますが、御参考までに申し上げますと、この出願の特許請求の範囲に記載されておりますのは、糖たんぱく質と糖たんぱく質の利用方法でございますが、一般的にこの種の物質及び化学物質の利用方法につきましては、これまで特許がされた例は数多くございます。いずれにしても、例えばこの案件につきまして、そういったことで出願、審査の請求があれば、新規性、進歩性など、そういった特許要件に照らして十分審査してまいりたいと考えております。
○丸谷金保君 これは私、意地悪く言っているんじゃないんで、素直に聞いてくださいよ。 五十七年の八月に微生物の発明に関する運用基準を特許庁は出していますね。この中で、「微生物とは」ということで、「酵母、かび、きのこ、細菌、放線菌」、その他たくさんありまして、さらに「動植物の組織培養物を含めるものとする」。こういうことになると、私が先ほど申し上げた問題等も当然、カルスですか、こういうものもその中に入りますね。そうすると、そこまでは品種登録の対象にはならないと、はっきり言って、そこで切れるんですよね。ここまでは入らないというふうに特許庁の方では理解して受けつけて審査しているというふうに理解していいんですね、今のお答えでは。 そうしますと、局長さん、もうその段階で特許を認める、ここに言うところの微生物、酵母からカビからキノコまで入っているんですよ。何はキノコは胞子だから我が方だって言ってみたってだめなんです、対象になるという形の運用基準が出ているんですから。そうしますと、国内ならまだ行政指導とかいろいろな方法があるけれども、外国からどんどん出てきているのを使った品種改良が日本でできなくなっちゃうんです。これは植物の方じゃないですが、既にアメリカから来てますね。血栓溶解剤、TPAについて日本の七社に対して中止の要請が。これはまだ特許になってないが出願しているのだからということで警告が出ている。こういう形で身動きとれないことになっちゃうんです、こんなことをやっていると。 しかも、これは一月七日の日経ですけれども、この中で、「日米欧の先進国は知的所有権の保護で国際協議グループを結成する」。特許、ソフトウェア、著作権などいろいろありますけれども、この中に当然植物特許だって入るわけです。そして、これで相談して新しいラウンドをつくろうと、こう言っているんです。この中で、特許権だけでなくて、バイオテクノロジーのソフトなども対象にしようと。しかも、これについては日本は前向きに支持しているんです、この提案を。外務省もこれに出たんですか、それで前向きに支持したんですか。
○説明員(美根慶樹君) 国際的には、御承知かと思いますけれども、バイオテクノロジーのみならず広く知的所有権一般につきまして、権利保護の側面と貿易の側面がある。そういう二つの側面について、技術の進展に伴いまして、いろいろ検討していかなきゃならない、こういう考え方がだんだん強くなっております。その貿易との関係につきまして、特にニューラウンドにおきましてどうするか、こういう問題がございます。その検討の一環といたしましていろいろな準備が行われております。 先生先ほど御指摘ありました協議グループの件でございますけれども、私どもといたしましては、今申し上げましたような広い意味での準備をやっておるところでございまして、その一環を指すものかとも思います。いずれにしましても、正式にそういう協議グループを決めて、そういうグループの活動が始まったということではございません。
○丸谷金保君 そうやろうということで、アメリカが結局この貿易摩擦の関係や何かいろいろなことをくるめて外交攻勢をかけてきている、こういうことですね。 通産省はこのことに対してどう対応をしてきたんですか。特許庁のほかに僕は通産省というふうに言ったはずなんだよ。というのは、貿易摩擦に関連する問題だから特許庁の問題じゃないんだよ、技術的なことではなくて。絡んできているのは貿易摩擦に絡んで新ラウンドをつくれ、こう言ってきているのだからね。通産省が来てないのなら仕方がない。それじゃ農水省はどうなんですか、これに対して。
○政府委員(関谷俊作君) ただいま外務省からのお答えがあったような状況でございまして、この知的所有権の問題について、これが特にバイオテクノロジーの問題とどう絡むかということについて私どもまだ状況を見きわめ得ない状況でございます。そういう状況でございますが、一方、先ほども申し上げましたUPOV、WIPOの場でもバイオテクノロジーの保護について検討されているのでございますので、これらを含めまして、この知的所有権問題の検討の状況については私ども十分関心を持って今後対処してまいりたいと思っております。
○説明員(美根慶樹君) 先ほど私ども外務省の方からお答えしました問題につきまして通産省の御意見を求められましたけれども、本日の御審議に際しまして私ども準備をいたします段階で通産省の方のお考えも確かめることはいたしております。基本的には、本件、先ほどの御質問につきましては、通産省の方のお考えも私どもの方から御説明しましたことと同じであるというふうに了解しております。
○丸谷金保君 外務省と通産省の間ではそういうコミュニケーションをやっているわけですね。大体同じなんです。農水省はこれからよく検討してということで、違うんですよ。農水省はそういう外圧なりいろんなそういう問題に対して敏感でない面が非常にあるんで僕ら心配なんです。 厚生省、これは薬用植物の関係がありますので、厚生省はどうなんですか、この問題について。
○説明員(山口剛彦君) 厚生省も、医薬品産業等知的所有権の保護と少なからざる関係を有する産業を所管いたしております。漢方の問題も当然でございますが、そういう立場にございますので、ただいまの知的所有権の保護の問題がどういう取り上げ方をされるかということにつきましては大変関心を持っております。ただこの問題、対外的な問題でもございますので、今後、外務省とも十分密接な連絡をとって対処してまいりたいと思っております。
○丸谷金保君 局長さん、結局、外務省窓口でも、通産省、貿易が絡みますから、貿易の問題を中心に、経済の問題を中心にしていくとどうしてもアメリカの言い分を入れることになる。こういう形でアメリカからの貿易攻勢がかかってきているんですよ。それだけに私たちは大変だと思っているんだけれども、皆さんの方はこれから検討してと言われる。少なくともバイオテクノロジーの問題のために法律改正が出てきたんなら、そういうことに対応できるような特許法、それから品種登録、これの間の分野調整、あるいはダブルゾーンならダブルゾーンでいくとか、何とかそこら辺を十分煮詰めた上で当然法律としては出てこなきゃならない。 〔理事北修二君退席、委員長着席〕 ところが、今のお話を聞いてみても、植物というのは何ぞや、どこまでを言うんだ、あるいはこの法律でもって対応するのはどこまでだというのがすきっとしませんでしょう。どこまでだ、そこから特許だと、きちっとそれくらいの分野調整はできてなきゃならないはずなんです。しかし、先日の質問でも、結局、局長さんはダブルゾーンを認めています。この間の二日の日の私の質問に対してもダブルゾーンを認めているんです。だから、ダブルゾーンを認めるなら認めるでいいんです。もう今私たちもこれは仕方がないという気もします。法的に多少のことはあっても、とにかくもう対外的なことの方が大変になってきているので、日本の国内としてどうしていくかということになれば、もうダブルゾーンを認める。ところが、UPOVの中で、一つの物それ自体については一つの権利保護のあれしかだめだというふうなUPOV条約があります。やっぱり依然としてこれに制約されるんですか、入った以上は。
○政府委員(関谷俊作君) これは条約の解釈、条約の効力の問題でございますが、私どもこれは外務省とも御相談の上でのことでございますが、その条約、UPOV条約の条項から見て条約違反になるような事態、つまり俗に言う二重行政というか、そういう事態は何とかして回避しなきゃいかぬ。こういう方向で特にこれから、私ダブルと申し上げましたバイオテクノロジーの保護については、これはもう十分に検討しなきゃいかぬ、こういうふうに考えている次第でございます。
○丸谷金保君 この条約のあれは二条の一項だったですかね、二つではだめだ、一つでなきゃと。しかし三十七条で特許法と新品種保護法と二つの制度で植物に対する権利保護を与えている国でも、条約加入の際に事務局長に通告すれば、第二条一項の規定に関係なくUPOV条約に参加できるとあるんですよ。アメリカはこの規定に基づいて事務局長に通告して二つの保護制度のもとでUPOVの条約に入っているじゃないですか。そうでしょう。どうなんですか。
○政府委員(関谷俊作君) アメリカにつきましては、御質問のとおり、この三十七条を援用しまして、これによります通告をして、この規定によって制度を持っている、こういうふうに理解しております。
○丸谷金保君 だから、ダブルゾーンがあって二つの制度で保護されても、この条約に入れないことはなかったんですよ。しかし、この三十七条の法文というのは最初なかったですわね。アメリカを入れるためにつくったというふうに言われています。日本だって日本の特許制度、それから品種登録の制度というふうなものでダブルゾーンが当然出てくるということが予見されている中で、私たちはそれを随分言ったはずなんだけれども、結局、何らそういった条件もつけないで入りました。それで今条約に入っているんだからと。条約に入っているんだから守らなきゃならないが、守れないでしょう、今もう。例えばヨモギの特許をしたじゃないですか、特許庁。あれは前に出願されていたからこれだけは認めたんだというふうなことを言ったって、国際的には通りませんよ、条約に入った以上は、そういう意味では。しかしUPOVの条約というのはその程度のものだから、まあしようがないやということで通っているんですよ。そこのところを考えてもらわないと困るんです。そういう点で国内の体制の問題については悠長なことを言ってないでやっていただかないと、私たちが困っちゃうような事態に追い込まれそうだということなんですよ。 調べてみますと、大体WIPOとUPOVといったって、同じビルの中で、しかもこの事務局長に通告すればと言っているけれども、その事務局長はWIPOとUPOVの両方を兼務しているのですよ。しかもアメリカ人なんですよ。だから、ちゃんと制度的ないろんな問題でもアメリカナイズされるような形にきちんと組み込まれた大きな世界戦略を持って襲いかかってくるのに対して、一体どうなんですか、そういう危機感を農水省は持っているのですか。その点についてもう少ししっかりした答弁をいただきたいと思うんです。
○政府委員(関谷俊作君) UPOV条約、WIPO条約の事務局の関係について、私どもも今先生のお尋ねになりましたような事情は承知しております。 また、アメリカが今後この辺の問題についてどういうふうに行動するか、あるいは対応してくるかという見通してございますが、現在までのところは我が国に対して直接そういう方向での働きかけは国同士の間ではございませんけれども、ただ聞くところによりますと、アメリカはそういういわゆる特許と二重保護と申しますか、両方適用になる状態について、自分の国だけの問題ではなくて国際的にもそういう方向に持っていこうと申しますか、そういう関心を持っているのではないかということは十分感じられる状況でございます。しかし日本一同だけの問題ではございませんで、UPOV、WIPO両条約のいわば基本的な組み合わせの問題になりますので、日本の問題としても検討しなきゃなりませんし、国際的な機関の検討も早く進めてもらわなきゃいかぬ、かように考えております。
○丸谷金保君 局長さんは、現行でバイオの段階に入ってくると特許法と品種登録のダブルゾーンができてくるということをお認めになっているけれども、それほどUPOVに義理立てしなきゃならない問題じゃないと思うんです。たまたまことしの一月にもWIPOとUPOVのジョイント会合がジュネーブでありましたね。農水省から担当官、それから特許庁からも担当官が行っています。この席上で種苗課長さんがこう言っているというふうに私たち聞いているんです。これは確認情報でないんですが、もう一度これを確認しておきたいと思うんです。 植物の保護を特許法でするか種苗法でするか、UPOVではどちらかを選択することを義務づけている。ダブル保護となると権利の強い特許法に流れる。政策的に種苗法で保護する道を残したい。こう言っているというんです。この発言はドラフトを残さないということで言いっ放しですから、私はそのことをどうこう言うわけじゃないですが、しかし念のために、まさかこんなこと、ここまで踏み込んだ話をするはずがないとも思いますが、巷間流れているんです、種苗課長さんがこういうことを言ったというのは。ですから、ここでそれを明らかにする意味で、種苗課長さんが来ておいでのようだからお答えしておいていただきたいと思うんです。
○政府委員(関谷俊作君) ただいまの会議については、全体としては今お取り上げになった問題についての検討会議でございますので、お許しがございますれば種苗課長からお答え申し上げます。
○説明員(蛎灰谷操君) お答え申し上げます。 本年の一月十日に、先ほど先生からお話がありましたUPOVとWIPOの合同で、バイオテクノロジーによる発明の法的保護に関する情報会合というものがジュネーブで開かれました。これは個人的資格で参加する政府機関の関係者と非政府機関の専門家が出席して非公式な意見交換をやるという会合でございました。したがいまして、先ほど先生からお話がありましたように、当初から結論等は出さず、議事録も作成しないということで集まった会合でございます。 そこで私がどういう発言をしたかという今の先生のお話でありましたが、この会議には日本から特許庁それから団体の方も出席されていましたが、発言をしておりません。念のため、私、途中で会議の様子を見ながらその場で発言をしましたので、それを帰りましてメモしたものがありますので、できれば読み上げさせていただいても結構ですが、いずれにしましても、私は、今おっしゃられたようなことは発言しておりません。
○丸谷金保君 じゃ、メモを読んで。
○説明員(蛎灰谷操君) はい。 本日の会合の主目的が民間団体の専門家の意見を聞くことにあり、また、一日という短い会合であるため、なるべく耳を傾け、発言を控えてきたが、これまでの見解表明を伺っていて、我々にとって最重要な点、すなわち、会合に提出されたUPOV文書の最終ページに対し注意を喚起したい。 ここにUPOV条約の主要な利点についての要約があり、パラ(ix)及び(x)は次のように述べている。 パラ(ix)UPOV条約は、社会の重要な利害間の注意深いバランスを基礎としており、育種産業、農業全体及びユーザーの関心を同時に考慮している。これは、最も典型的には、保護の範囲に関する規定に適用されている。 パラ(x)また、UPOV条約は、保護されている品種を次の品種を育成するために使用する自由を保障している。これは育種が常に既存の素材を基礎として行われるためにとられた論理的なものである。 これらの二点は極めて重要なことであるが、果たして特許においても実現可能なことであろうか。これは疑問形でアイ・ワンダーと言いました。 また、ハイテクによる発明をUPOVと特許との二つの方法により保護するというアイデアも出されたが、これにはついていけない。アイ・キャノット・ゴー・アロング・ウィズと言いました。 なぜならば、二つの方法のどちらかを選択するのは申請者一人であり、彼は自分の利益になる保護の程度の強いものを選ぶのが自然であり、これによっては前述の政策的目的が達成されないと考えられるからである。 私が発言しましたのは以上でございます。
○丸谷金保君 結局、一番最後のところのおたくのそういう表現が、逆に、何か間違って伝えられたんだろうと思います。メモを持っている御当人の御答弁ですからおたくの言ったとおりであって、私の方に聞こえていることの方が多少オーバーに表現してきたんだろうと思います。ただ、それにしましても、UPOVの中でもWIPOとの関係というのは今それぞれ非常に問題になっています。何も日本だけの問題でなくてヨーロッパでも、どうするんだということは、例えば西ドイツなんか、ここに文献がございますけれども、そういうことについて西ドイツではこれは大変問題だというふうなことを、その前のジョイント会議で西ドイツの、ヨハン・シュトラウスではない、ヨゼフと言ったかな、あのお父さんと同じような名前の人が発言しております。だから何も日本だけの問題では私はないと思うんです、いろいろそういうことがバイオを中心にして出てくるということは。 そこで、一つの方法であれすると、どちらを選ぶかというのは、結局はそれは発明者の意思だということになりますわね。そして、先ほどのバイオの関係で、これは二日の日にも局長さんから、「バイオテクノロジー的な、あるいは工学的な手法で開発されました植物については、これは」特許法と種苗法の分野とが非常に交錯するというか、重なる分野があるわけでございます、これについては特許庁とも御相談してWIPO及びUPOVの国際機関においても検討していかなければならない、こういうふうに先日はお答えになった。それから最後でさらに、ずっと進んでいきまして、人工種苗の問題も言っております。特に「工業所有権の方、それからUPOVの方と両方非常にそこの部面でダブリますので、国際的な機関でも、あるいは国内的にも十分検討しなければいけない」段階に、来ておると承知しておりますと、こういう答弁を最後の方でしている、この問題については。 だから、局長さんも、そういう点では国際的にもいろいろダブリの問題が問題になっているということは御承知になった上でのこういう御答弁だったと思うんです。そうしますと、このダブリがあるということをお認めになっている以上、一の権利でなきゃならないというUPOVの二条の一項の条項ですね、これについてもどちらか一方であればいいということになりますよね、条文を読みますと。特許でも保護される。条約上も別に差し支えはないわけですよ、どっちかであればいいんですから。特にUPOVの条約というのは物それ自体、品種ごとのあれですね。ですから、それをもう一つ登録の方に出さなけりゃ二つの保護する権利は出てこないわけです。こういうふうに理解してよろしいですか。
○政府委員(関谷俊作君) これは一つのこれからの想定の問題でございますけれども、いわゆるバイオテクノロジー的な手法で開発された品種、植物というのがあるとしまして、それが今の課長の会議での答弁のように、申請者の判断でこちらへ行ったりこちらへ行ったりすることに伴う結果としての一つの問題というのはあるんではなかろうかということで、ある品種についてこういうものはこちらの制度、こういうものはこちらの制度、こういうふうな場合もありましょうし、それから一つの方法が大変広い範囲に応用されるとしますと、植物の範囲の大変広いものが例えば特許なら特許の方で権利が及ぶということになったりしますと、そこに国内的にも制度の運用上のいわば混乱と申しますか、が生じるんではないか。こういうふうに考えますので、どっちかでいいということだけではないんで、何かある考え方に従ってこういうものは、あるいはこういう場合はこちらで客観的に見て妥当であるとか、そういう判断がされて、二重の問題が回避されるという状態に目がけて何とかどういうふうにやったらそういうことができるかということがこれからの研究課題ではなかろうかと思っておりますので、何かどちらか、同じものにせよ、どちらか一つであればいいということだけでは、どうも問題の解決にならないような気がいたしている次第でございます。
○丸谷金保君 それで、私も私なりに現実的にどう解釈していくことが日本農業の将来のためにいいんだろうかといろいろ考えている。そして法体系両方いろいろ考えてみますと、品種登録の方は、流通を中心にして品質のいいものをというふうなことに重点がある、いわゆる流通過程での品質を保護していくんだというところにどうも重点があるような気がするんです。それから特許の方は、生産された物それ自体を保護していくんだ、そういう育成者を保護していくんだと。ですから、特許の方はこっちから来るわけで、それから種苗法の方はこっちから来まして、それでここでダブる。しかし知的所有権というのは法的に確立されている。種苗法というのは反射的な権利はあってもそれ自体に憲法で定められたところの財産権としての権利はない。財産権としてですよ。法制局長官もいろんなことを言いましたけれども、財産権という言葉をついに出さなかったです。 それから法案にもどこにもないというのは、既に権利として、特許法というものの中で植物の品種登録というのは権利として国際条約に入っている。そうするとそこにぶち当たるところまでしか行けないという運命を種苗法というのは持っているんじゃないか。そうすれば、多少のダブルゾーンはあっても、ぶつかるところまで行って重なるところがあっても、こっちから農業振興という立場で品種を保護していこうという立場で来る法律と、育成者の権利、財産権、それを守っていこうとするところと、接点がちょっとぐらいダブるようなことがあっても——今までのように、いや植物特許は絶対おれの方なんだ、植物の品種登録で植物の特許はさせないというふうなことでなく、早くこういう調整をしていただかないと、先ほどから申し上げているように、アメリカが大きな世界戦略の中で種子の問題をとらえてシステム的にきちっと押さえてこようとするのに、日本が対応できなくなるんじゃないか、こう思うんです。いかがですか、その辺。
○政府委員(関谷俊作君) 丸谷先生からこれからの問題のいわば核心と申しますか、に入った御意見がございまして、私も今この段階でそういう方向が考えられるというようなことがお答えできる段階にはございませんけれども、ただ非常に現実的にどういう事態が生じるかという面から考えますと、例えば応用性の非常に広いバイオテクノロジー、育種方法が開発されたとしますと、非常に広い範囲の品種がその対象になる、こういうようなことになるわけでございまして、そういう場合に、そういう方法でできたものと、それから在来の交配的なものでできたものと、品種という面ではまあ同じようなものなんだけれども、育成方法、つくった方法で非常に保護が違う、こういうふうな事態が一体どういうことになるかなと、こういうような結果の面からの心配が非常に大きいんじゃないかと思います。これが私ども農業の面なり種苗の流通の面から見てもどうかということを心配しているわけでございまして、いずれにしても、育種あるいは種苗開発というのは非常に生物的であり、技術的な問題と法制の問題が非常に密接に絡み合った難しい問題でございますので、今先生の御提起になったような問題、考え方も一つのお考え方であろうと私ども思いますので、これからとにかく国際的な機関の動向も見ながら、私ども真剣に特許庁とも検討してまいりたいと思います。
○丸谷金保君 真剣に、そして急いでください。これは全部おれの方だというふうなことで、特許だ、種苗だといって国内でやってないで、特許だって例えば独禁法に違反したらだめだとか公序良俗でいかぬとか、いろんな法的な制限はあるんですから、そこら辺は考えて、共同してやってもらわなきゃ私はならぬと思うんです。 例えば、それじゃ特許がオールマイティかというと、特許を与える場合に、先ほど稲村先生もちょっと触れていましたけれども、連続して同じものを出していくには培養試験なんかやらなけりゃならぬでしょう、微生物でも何でも。そういう点では特許庁、そういう機関はおたくは持ってないでしょう。
○説明員(堀内貞夫君) 特許庁には培養試験をするような施設、機関は持っておりません。
○丸谷金保君 そういうのは、特許庁から頼まれたら、農水省はたくさん持っているんですから、よしおれの方でそれはやってやる、そして特許はそっちで結果が出たらこのデータによって安心して特許を出しなさいと、こういう調子にいかないと私はうまくないと思うんですよ。 こういうことのために一つ障害になるのは、法制局、このときに、法制局長官が五十九年の三月二日の衆議院の予算委員会で言った答弁が一つの垣根になってくるんです、いよいよもって。ここで法制局長官は、「条約に日本が加盟いたしますときにいろいろ」、これはUPOVの条約ですね、「いろいろと関係者の間で協議が行われまして、その結果、この条約に定める育成者の権利を担保するものは種苗法のみである、特許法は別の目的で、いわゆる工業所有権という面での保護を与えるものであって、これは別個のものである」、二つの方式がある場合には一つの方式に限るという条約があるんだからということで、これは法制局長官がこういう答弁をしているんです。これはおかしいということで私も呼んだんですが、何か時間がちょっとないので突っ込んで法制局長官に対して訂正させるところまでいかなかったんですが、工業所有権といってもパリ条約もあるんですし、植物の保護条例もWIPOの中でもあるんですから、それを何かUPOVの方だけで御答弁なさったようなんで、今の局長さんのような考え方をしていく場合に、この法制局長官のこういう考え方を直してもらわないとにっちもさっちも進まないんですよ。いかがですか。聞いていておわかりでしょう。
○政府委員(関守君) 三月二日に私どもの長官が今お話しのような答弁をしましたのはそのとおりでございまして、私ども今の段階ではUPOVに入りましたときの経緯等から考えまして、UPOVの条約上は一つの方式に限るんだということでございますので、育成者の権利、UPOV条約での育成者の権利は種苗法の方式による登録制というもので担保されているんだというふうに考えている次第でございます。
○丸谷金保君 これは即答できなかったら、検討して後で返事をもらってもいいんですが、UPOVの条約によればという解釈ですわね。ここで逃げているんですよ。国際条約はUPOVだけじゃないんです。パリ条約だってあるんです。これはWIPOの方で工業所有権に、私的所有権の中に植物の新種の育成も入れるという国際条約なんです。これもこれで生きているんですから。どうですか。
○政府委員(関守君) 大変恐縮でございますが、突然のお尋ねでございますので、ちょっと私、その辺の検討までいたしておりませんので御了承いただきたいと思います。
○丸谷金保君 あなたが、長官が言ったのは要するにUPOVの条約によればこうだと、こういうことをおっしゃったと言うから、少なくとも長官は条約はUPOVだけじゃないことぐらい御存じのはずだし、おたくたちもついているんだから、だから新品種のWIPOの条約もあるんだということぐらい御存じでこういう御答弁をなさったというふうに私は思ったんです。だから、ここのところは調べてWIPOの条約があることを知らなかったというんなら別ですよ。しかし、これからそういう育成者の保護という問題について法制局長官の言ったということは非常な重みを持ってきて、最後にいくと、そこでもって各省庁がいろいろやってみても、今局長さんが大変前向きの答弁をされても、それはということで法制局までいったらここでもって暗礁に乗り上げちゃう。そこに穴を開けておかないと進まないんですよ。そういう意味でさらにきょうの私たちのこの論議を踏まえて、法制局としても、この答弁では困るのでひとつ考えておいていただきたいです。 それからもう一つ同じことですが、これは中川農林大臣のときに、先ほどの答弁と同じようなことなんだが、「特許庁が審査も受け付けれるし、審査もできます。」—それは私に答弁しているんですがね。「そして、特許の許可もできます。しかし、現実は過去もなかったし、今後もありませんでしょうから、ひとつ農林省でやっておきましょうと、こう言っただけなんです。」と。こういうことを言っているんですよ。現実には起きてきました、ユリやヨモギの問題で。この大臣の答弁もこれを訂正しておいてもらわないと壁にぶつかるんですよ、法制局長官の答弁のように。このことについて、大臣、局長さんどちらでもいいですが、この点も検討しておいてもらわないと困る。これは国会での大臣の答弁ですから生きてます。しかし現実は今聞いたとおりそうでないんです。「過去もなかったし、今後もありません」と言っているんですよ。だから、植物は特許になることはありませんということを言っているんですがね。これらもきょう即答できなきゃ十分農水省内で検討し直していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) ただいま中川大臣の答弁を御引用になりましたが、確かにその時点とその後の問題において、特にバイオテクノロジー育種関係で先生の御指摘のような問題が出てまいりまして、現に国際機関でも検討が始められている状況でございます。そういう状況に基づきまして、先ほどお答え申し上げましたように、農水省の中でも技術陣、それから私ども行政随一緒になりまして真剣な検討をいたしたいと、かように考えております。
○丸谷金保君 その場合、それは各省庁の壁、法制局とか前大臣の答弁とかというふうなものを取り払っていくことによってできると思うんです。 ところで、農水省内部、先ほど林野庁の方で林業の種苗はやっていると言いましたね、林野庁の方で。ところが、それじゃ米麦はどこでやっているんですか、種苗の問題は。
○政府委員(関谷俊作君) 米麦につきましては、制度的には主要農作物種子法ということで、これは生産面の問題については私の局の農産課が担当しております。 種苗の品種登録の方でございますが、これは種苗課が米麦も含めまして全部所管しております。
○丸谷金保君 ずっと言っちゃいましょう。果樹、野菜、大豆、キノコ、牧草、ビート、それから海藻、こういう種苗があるんですよね。これらは一体どこどこの課が所管しているんですか。種苗についてはいいんですよ。しかし種苗のいろんな行政上の運用とか監督。
○政府委員(関谷俊作君) 今お挙げになりましたのが全部網羅しているかどうかと思いますが、果樹につきましては農蚕園芸局の果樹花き課、野菜につきましては食品流通局の野菜振興課及び野菜計画課、それから海藻類については水産庁の関係、林業については林野庁、こういうことで、そういうものはそういう所管です。
○丸谷金保君 牧草は。
○政府委員(関谷俊作君) 牧草は畜産局の自給飼料課でございます。
○丸谷金保君 ビートは。
○政府委員(関谷俊作君) ビートは、生産の方は農蚕園芸局、私の局の畑作振興課でございます。
○丸谷金保君 ビートの品種改良なんかについても畑振の方を中心にして北海道なんかにビートの研究所ができていますが、それらを所管しているのは種苗課でなくて畑振の方ですわね。
○政府委員(関谷俊作君) てん菜の育種につきましては、これは北海道農試が大体主体になってやっております。
○丸谷金保君 それで、これから大臣にお願いするんですが、各省庁のこともあるんです。もう少し協力して強力なものをつくらなきゃならぬが、まずその前に、農水箱の中の種苗行政がこういうふうに分かれているんですよ。これらのものをそれぞれのところがとっていくと、種苗課は一体何をやるんだ、品種登録だけしか残らぬじゃないかと。それではおかしいんですよ。種商行政というものは本来種苗課だと、今の登録制度というふうなことではくくり切れなくなってきているんです。僕らはできれば種苗庁くらいつくって国際化時代に対応しなきゃだめだと思うんだけれども、その前に少なくともアメリカ並みの植物特許法くらい考えていってもらわなきゃね。今のこんなことではおさまりつかなくなりますよ。これについて大臣から、今ずっとお聞きしておっての見解というか、御感想でも結構ですが、いただいて、せっかくきょうは政務次官にもずっとお聞きいただいたので、それぞれコメントをお願いいたします。終わります。
○国務大臣(山崎平八郎君) ただいまの先生の御高見、よく了解いたしました。ただ、このために本年の十二月には、新品種の登録に必要な栽培試験の実施等、種苗関係業務を一体的、総合的に実施しますところの稲苗管理センター、一応こういうものを設置いたしまして、技術開発の進展等に対応した種苗行政の充実を図ることにしておるわけでございます。
○政府委員(福田宏一君) 今後におきましては、さらにバイオ技術の飛躍的な発展も予想されますところから、その動向に即応した適切な保護方法のあり方について、農林水産業の振興に資することとなるよう留意しながら、各関係省庁と十分に協議しながら検討してまいる所存でございます。
○委員長(成相善十君) 本案に対する質疑は、午前はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。 午後一時一分休憩 —————・————— 午後二時一分開会
○委員長(成相善十君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、藤原房雄君が委員を辞任され、その補欠として中野明君が選任されました。 —————————————
○委員長(成相善十君) 休憩前に引き続き、主要農作物種子法及び種苗法の一部を改正する法律案の質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○刈田貞子君 質問をさせていただきます。午前中は大変深いお話を聞いていて、お役人の神様は講義を聞くという感じであったようなんですけれども、お昼からは私が本当の質問をいたしますので丁寧に答えていただきたいと思います。 まず法令の関係の方から伺います。 主要農作物種子法の三条のところですね、その三条の中で、種子生産圃場の面積は一定範囲においてというふうに言っておられるわけですけれども、この一定範囲ということについては、先ほど稲村委員の方からも面積指定等の話がありましたので話が重なるかとも思いますけれども、範囲を一定に決めておくことによって民間の事業者がどのくらい参入してこられるかということが一つ疑問に思いますのでその点を伺いますとともに、民間事業者が圃場指定の対象に加わることによって、都道府県の指定というものをめぐって末端においてシェア争いのようなものが起きるのではないのかというふうなことが考えられるのですが、そうなった場合の調整とか、あるいはそういう事実は考えられないとかというふうなことも含めて、まず一定の範囲内についての見解をお伺いいたします。
○政府委員(関谷俊作君) 主要農作物種子法の第三条の面積の問題でございますが、これは基本的には種子の過不足がないような調整を図るという趣旨でございます。それを農林水産大臣が県ごとにしますのは、県ごとに稲、麦の生産は大体指導奨励が行われておるという前提でございまして、その数量を決めますについては、全体の稲の作付の状況とか、それから特に種子の需要については、稲の場合にはいわゆる自家採種でもって、自分のところの種でもって来年もつくるというものと、それから種を買っていわゆる種子更新をする、こういうものの二つございますので、その種子更新で種を買う需要量がどのくらいあるかを見きわめてさらにそれを品種別に大体見込みをつける、こういうことで需給の調整を行う必要があるわけでございます。その場合にこれをうまく調整しなければいけないわけでございますが、従来は、指定種子の生産者というのは大体農業者団体、具体的には経済連等の一系統でございましたのでこの辺の調整がある意味ではやりやすかった。そのために県に種子協会というのがございまして需給調整をやっておったわけでございます。 今回こういうことで民間事業者の種子生産の道を開くことになりますので、そこで民間がどんな品種を販売するかということ、またそれに対する需要がどのくらいあるかを見きわめまして、全体の種の需要量の中でそれぞれの県でどのくらい民間分があるか、こういうふうな簡単に言えばシェアの調整と申しますか、をやるわけでございますが、基本的には種の品種別に希望に応じた種子生産をやっていくということが基本でございます。その辺が、これから県段階で指定種子生産圃場の面積を決めます場合に内訳において民間といわゆる農協系統と両方の調整をやる、言ってみれば、そういう新しい仕事が今回の改正後には必要になってくるわけでございます。
○刈田貞子君 先ほど参考人の方からのお話で、今の種子協会にみんな新規参入の人は入ってもらいたい、それが計画生産あるいは計画配布というようなことに大変必要なことなのでというふうなことを言っておられたわけです。この種子協会ですけれども、これもちょっと伺わしていただいたところによると、先ほど食管法の三条というふうなお話が出てましたが、種子協会の人格、これは都道府県によって違うようにきのう私、伺ったんです。そういたしますと、私企業等の方が入る場合において、指定要件というか、入会の要件というか、そういうふうなことが違ってくるんじゃないかと思うんですが、種子協会の人格についてちょっと伺わしていただきたいんです。
○政府委員(関谷俊作君) 稲子協会は現在四十七都道府県にございますが、種子協会自身は民法の公益法人になっているものと、それから任意団体になっているものと両方ございます。今回の改正によりまして民間でも種子生産をするということになりました場合には、先ほどの参考人の御意見にもありましたように、この協会にできるだけ民間の人に入ってもらうということで、その協会の中で需給問題等について調整、話し合いをしてもらおう、こういうことがねらいになるわけでございます。もちろん、いわゆる系統と申しますか、もともとの成り立ちが違いますので、純然たる種苗会社と経済連等の農協系統ではなかなか話し合いがうまくいくかどうかという問題がございますけれども、種子の需給安定のためにはできるだけ種子協会という場で調整してもらうのがいいんじゃないか、こういう考え方に立っているわけでございます。ただ、そう申しましても、別にいわゆる強制加入ということではございませんから、できるだけ入ってもらう方向で、その中で需給調整をしてもらう、こういうことでございます。 なお、今四十七都道府県と申し上げましたが、沖縄にはできておりませんので四十六都道府県に種子協会がございます。
○刈田貞子君 私わからないから伺うんですが、指定種子取扱業者という業者がありますね。これは農林大臣の任命でしょう。この種子協会と取扱業者とはどういう関係になるんですか。
○政府委員(関谷俊作君) 種子協会の方はあくまでも種子の関係の生産者団体等が入った一つの協議会的なものです。指定種子取扱業者という食管法上のものは、これは個々の指定種子を取り扱う販売業者でして、それは大臣指定になっておりますが、具体的には経済連とかそういうものが指定になっているわけでございまして、その経済連は種子協会なんかの一つのメンバーになっているわけでございます。そのほか中央会とかいろいろなものが入っておるわけでございます。ですから、種子協会はいろんな団体や何かが集まって需給問題等について調整をする団体、指定種子取扱業者の方はまさに種子を販売する業者、現在でいえば農協系統、経済連、そういう個々の取扱業者、こういうことでございます。
○刈田貞子君 そうすると、今回のこの法改正でこの指定種子取扱業者に民間が入ると、この指定を受けるということはどういう方法になりますか。
○政府委員(関谷俊作君) 民間がつくりました種は自分で売るということになると思いますので、従来は農協系統しか指定しておりませんのを民間業者も指定種子取扱業者として指定する、そういうことにするわけでございます。 その場合に、要件等については若干民間も入れるようなふうに拡大するわけでございますけれども、それは基本的には、御承知の普通の主食用米の米の集荷業者でございますね、これは御承知のように農協系統と商系統両方ございますので、それと同じような考え方でもって指定種子の取扱業者も、従来の農協とこれから指定の道を開きます民間業者それぞれが指定になるわけでございます。
○刈田貞子君 次は六条の二の2、圃場指定の問題です。 原種間及び原原種圃の指定に関して、「適正かつ確実に生産されると認められる場合」というふうに書かれておるわけですけれども、この「適正かつ確実に生産されると認められる」という「適正かつ確実」というのはどういうことに該当するのか。それから「認められる」というのは都道府県が認めるということでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) この「適正かつ確実」という判断は都道府県が指定するわけでございます。どういうようなポイントをチェックして指定するかということでございますが、民間事業者としてしっかりしているということになりますと、第一に、種子生産の責任者がまずこういう種子生産に必要な農学上の知識経験を有しているということ、またそこで生産、増殖いたします品種の来歴とか形質に係る特性について熟知していること、さらに増殖する品種のいろいろ固定度とか変異型の出現頻度その他、原種、原原種をつくります過程での増殖が適正に行われるような意味でその種類の増殖上の特性について熟知していること、さらにまた委託生産の場合にその受託者が指導能力があること、こういうふうなことでございます。第二に機械や施設の関係についても、原種、原原種でございますので、品種がいわばまじってしまったり、あるいは傷になる種、傷種子が発生しないよう専用の栽培、収穫、調整、貯蔵、こういうような関係に必要な機械施設を有すること、こういうようなことでございます。第三につくります圃場については、ほかの品種とまじったりなんかしないように、例えばほかの花粉源が入りまじってしまう、こういうようなことがないように、ある程度ほかの圃場から隔離というか、そういう危険のないような状態になっていること。こういうような点、責任者あるいは機械施設、それから圃場、これらの点が適正、確実の判断のチェックポイントになろうかと思います。
○刈田貞子君 さっき一定面積のところでお話をしたからまた話は重なるかもしれないんですけれども、主要農作物の原種とか原原種の生産というのは、これまでその生産体制が都道府県段階できちっと計画されてできていたわけですね。さっきお答えもあったように、つまり流通の量とか配布する量とかいうふうなものがその生産段階から決まっていくわけでしょう。しかもこれまでは都道府県が全量生産を大前提としていた。その中に今度民間が入っていくというのですから、これはかなり私は難しいことになると思うんですけれども、どういうことが働くと民間が本当に参入できるようになるんでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) これは現実に存在する例ではビール麦がそれに当たるわけですが、民間で品種を自分で育成をします、ビール麦についてはビール会社に育成した品種がございますけれども、そういう品種をつくりました場合に、これからの制度でございますと、そのつくりました元種を恐らくは自分の直営圃場か農家に委託して原種、原原種をつくる、その原種、原原種から今度は農家の使います普通の種を採取していくというふうな段階でございますので、これはどうしても従来のように育種から原種、原原種の生産までを県がやって、それから採種の方は農協がやる、こういうふうなのとは系列が違うわけでございます。その二系列をうまく調整するというわけでございますので、どうやったらできるかということになりますと、一番基本は、民間でもっていい品種をつくる、これをひとつ世に出そう、こういうことで民間の方がいい品種をつくってくるというのが一番出発点になろうかと思います。それが特に稲のような場合に、今までも民間の育成した品種がないわけではございませんけれども、これから相当販売量を上げていくというふうなことになりますと、まだ相当研究を要するんじゃないかと思いますが、出発点は民間育種ということが具体的にどのくらい出てくるか、それが世の中にどのくらい受け入れられるか、こういうことが出発点になるわけでございます。
○刈田貞子君 これまで主要穀物の種子というのは国が一括して官の立場でやってきて、その技術というものはまことにウエートの高いものがあるけれども、一方、これは公的立場で押さえられていたから、民間が今いい種子をたくさんつくればというふうにおっしゃったけれども、これはむしろ差がかなりあるというのが実情だろうと思いますよね。そうしますと、今の条件の中で民間がいい種子をつくる力をつけてきたときに参入の機会が初めて出てくるというふうな感じになると、これは法律ではこのように改正はしていくものの、この部分で、特に圃場の指定なんというような部分でなかなか参入していくのは難しいのではないかというふうなことも考えられますけれども、次に進めます。 それで、今の国の原種及び原原極の生産体制のことを言うんですが、つまり体系的に一貫されていないということを昨日もちょっと申し上げておいたんですね。例えばバレイショとかサトウキビとかお茶というふうに直属の国の農場でつくっているものもあれば、また今のように都道府県の生産の指定によって公的機関が対応しているものがあるというふうにして、同じ国が管理してきたものでも体系が一貫してない、そこへもってきてまた今度民間が入ってくる。こういう構造になっていくというふうに思うんですけれども、このことで考えるならば体系的な一資性という面ではどうでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) 現在の種苗生産の体系が、主要農作物の場合、原種、原原種は都道府県で、種苗は現在は農協が委託しました生産者でやる、それからバレイショ、サトウキビ、お茶については、原種、原原種の生産それ自体を国がやるとか、いろいろその作物の特性に応じまして違いがあるわけでございます。全体的に申しますならば、国や県が原種、原原種の生産を直接自分でやるというのは、性格的に見ると、その作物が非常に大事な作物であるとかあるいは特別な施設を必要とする難しい作物である、こういうようなことによっているわけでございます。そういう意味で、作物ごとの重要性とか、原種、原原種のつくる難しさと申しますか、こういうことが影響するわけでございますので、作物全体を通ずる一つの一貫した方策というのになかなかなりがたいわけでございます。そういう中で主要農作物については現在、国、県のみが制度的に一種の独占的な状態でやることになっておったわけでございますが、これからということになりますと、民間も自分で育種すればそういう生産ができるというふうな道を開いて、両々相まっていくべきじゃないかという判断をしたわけでございまして、そこは作目別にそれぞれ実態に応じた考え方をしていくべきじゃないかと思っております。
○刈田貞子君 バレイショとお茶とサトウキビの話が出ましたので、国の農水省直轄の農場でつくっている原種、原原種の採種のことにつきまして、昨年の五月の総務庁の行政監察の指摘があるわけです。この中で、御意見を伺いたいんですが、まずバレイショとサトウキビについては 原原種の配布について、農家に供給されるまでの間に原種圃、採種圃でそれぞれ十倍に増殖してそれを供与せよということになっているんだけれども、それがそのように適用されていないということで農場の設置の効果が減殺されているというような指摘があるわけですが、私はこのことを非難申し上げるのではなくて、こういう事態、つまり原原種ないしは原種をそのまますとんと渡してしまわなければならないような何かそういう背景というようなものがあるのではないかというふうに思うんですが、この御指摘についてはどのように考えておられますか。
○政府委員(関谷俊作君) この総務庁の指摘で基本的に問題とされましたのは、これはバレイショ、サトウキビ、まあお茶も同様でございますけれども、例えばバレイショで申しますと、原原種農場といっているんだけれども、国が原原種を提供するのはいいんだが、その後の原種圃、採種圃の方がうまく整備されてないということになりますと、往々にしてもとの原原種がそのまま直接、例えば最終過程に回ってしまうということで、国はもとの方をやるんだけれども、実はもと以上に機能を果たしてしまうということになりがちでございます。お茶なんかの場合には特にそういう傾向が見られまして、国がその本来の原原種あるいは原種と決まっている機能以上にその先の段階までやってしまう。こういうことがありますと、国として本来の機能以上のものを担当することになりますので、総務庁の勧告の一番の御趣旨は、国は本来の使命であるバレイショならば原原種というところまでにとめておいて、その先の原種圃あるいは採種圃というものは県なり民間なりがやるように、そういう体制を整備しろということでございます。ですから、そういう意味では、確かに今までの同の農場から原原種を提供する場合の仕方、その先どうなるかという点があるいはチェックが十分でなかったりしまして、それで段階を飛ばしましていきなり原種として使われたりなんかする、こういうような不十分な点があったと、こういうことでございますので、これからは本来の機能を逸脱しないようにということで県や民間の方の増殖体制をもっと整備していかなきゃいかぬ、こういうことで指摘にこたえたいと思っております。
○刈田貞子君 それから同じ指摘の中でバレイショ、サトウキビについて言えば価格の問題が出ています。その他の種苗、種子等の価格の問題にも私は大変興味あるところなんですが、価格の問題でいきますと、六十一年産からそう実施したいとあなたの方は答えているんですね。現在のバレイショは一袋九百六十円で売っておられる、本来は千七百五十円だと、こういうことなのよね。サトウキビは千本単位で出しまして、千本当たりで九百円だと、こういう御指摘があるわけですけど、この価格の見直しについてやりなさいということが出ているわけですね。これについては、それを受ける農家の方への影響も出てくる、栽培農家への影響もあるように思うんですが、この価格の問題についてちょっと教えてほしい。
○政府委員(関谷俊作君) これは国の事業ではございますけれども、原価を全部回収するというようなことはもちろん考えないわけでございますが、総務庁の御指摘は、ある程度資材の動向なども見ながら、今の価格が少し低過ぎるんじゃないかということで見直しを指摘され、私どもも六十一年産から引き上げることにしたわけでございます。国のこういう種苗の場合にどういう計算方法で価格を算定するかというのは、実は統一的な基準がないわけでございますけれども、実態に即して引き上げていき、また御指摘のように、余り急激な引き上げになりますと、今度は反面、利用者の方にも御不便をかけますので、全体を勘案しながら、今までが少し安過ぎたというのを是正するというような感じで今回引き上げをしたいと考えておる次第でございます。
○刈田貞子君 それからお茶の方ですね、お茶の方は廃止する方向で考えられますか。
○政府委員(関谷俊作君) お茶の農場は現在三つございますけれども、この総務庁の御指摘自身は廃止というところまではございませんで、まさに茶の原種農場であるにもかかわらず、その農場から出ました苗木が、原種じゃなくて、すぐ生産過程に回るとか、極端な場合にそういうふうな機能を果たしているので、本来の原種農場に徹すればもっと小さくてもいいんじゃないかというようなことでございます。 したがいまして、御指摘の中に廃止自体は含まれていないと思いますけれども、私どもの考え方としては、現在の三つの農場を将来的に考えますと、例えばそれだけ農場の供給する原種の量が現在よりは大分減ってまいりますので、そうしました場合の農場をどうするかということで、一つは、ことしの十二月から設置します種苗管理センターに茶原種農場も所属させますので、その全体の中で、農場のそれだけ業務量の余裕ができる分を、例えば種苗法の登録の審査の栽培試験とかあるいは種苗法に基づくいろんな民間の検査、規制の関係ですね、そういうこれからの新しい業務に活用していく。しかし、それにもかかわらず今の規模のまま三農場を置いておくことが必要かどうかということになりますと、何らかの意味で整理統合というようなことも課題になってくるのではないかと、かように考えておりますが、その辺は種苗管理センターを今回発足させまして、しばらくその推移状況を見ながら茶原種農場の扱いについては考えてまいりたいと思っております。
○刈田貞子君 国が直営で管理していても、原種圃、原原種圃というのは、そういう指摘事項にあるような事実が出てくるということを踏まえますと、これから主要農産物の圃場指定なんかを民間が受けていくというようなことになりますと、そういうふうなチェックとか管理とかいうふうなものはどうなっていくんだろうかなという危惧があったものだから、こういう質問を重ねてしてみたわけでございます。 それからジャガイモの話が出ました。大変恐縮なんですが、このジャガイモの話については日本化学工業協会の要望が来ていますね。これは私は実は大変に意を得た要望であろうというふうに思うわけでございまして、ほかの野菜が比較的需要が落ちるという感じがある中で、きのうも農水省の方が言ってらっしゃいましたけれども、ジャガイモの需要というのは横ばいないしは上向きですよね、今。それでジャガイモの新種ないしはそうした栽培というようなことに対して熱意を持っているところがあるんだろうと思うんです。この民間参入ということが行われなければならない場合、貿易を盛んにして外国からいろんなサンプルをとりたい、こういう要望が出ていますでしょう。ところが、研究開発のためにいろんなサンプルを入手したいんだけれども、植物防疫法による検疫で物すごく時間がかかって研究の用に立たぬということが一つ出ていますね。それからまたもう一つは、検査のために一年間隔離栽培をしなさいというのがあるでしょう。そんなことをやっているうちにもっと事は進んでいってしまうということで、このジャガイモ栽培に対して民間からの大きな要望が出てきているんですね。こういうものについては今後どのように対応なさいますか。これは新種あるいは品種の開発というようなことに意欲を持っている人たちからの声なので、ぜひこれを教えていただきたい。
○政府委員(関谷俊作君) ジャガイモの品種開発の問題で、特に今御指摘になりました外国からのいろいろ品種導入の問題がございます。これは現在、ジャガイモということになりますと、一般的にはジャガイモシストセンチュウ等の日本にとって大変警戒すべき病害虫がございますので、そういうことで一般的には輸入を禁止し、また入ってくるものについては非常に厳格な検疫等が必要になってくるわけでございまして、こういう面で大分緩めるという御意見もあるんでございますけれども、現状では植物防疫上の問題が非常に大きいので自由に入れてくるというわけにはなかなかまいらないわけでございます。これは日本の国内のジャガイモ生産の安定という面では大事な問題でございますので、私どもとしても、もちろん問題の検討はいたしますけれども、一般的にはかなり慎重に対応せざるを得ないということでございます。 ただ、ジャガイモの品種開発自身については、いろいろホクレンとか農協関係機関でも大分行われておりますし、それから大分民間でも関心が高まっておりますので、こういう面での開発は大いにこれからも進めていただきたい、かように思っております。
○刈田貞子君 それから今回の改正案を見ますと、生産圃場の指定、原種圃及び原原種圃の指定、あるいはまた、後で伺いますが、奨励品種決定試験制度等が、先ほども稲村先生の方から出ていたように都道府県という単位で事が行われているということです。先ほどの回答を聞いていますと、生産圃場指定、原種圃、原原種圃の指定についてはある程度広域調整ができるであろう、あるいはする必要があるであろうというふうにおっしゃっておられましたね。ただ、奨励品種決定試験制度については、これは県別あるいは都道府県単位にするのが妥当であろうというふうにたしかおっしゃっておられましたが、これはいかがですか。
○政府委員(関谷俊作君) 大体そういうようなことでございますが、稲、麦等主要作物の生産または生産指導、これが県単位を中心に行われてきているということで、今回の改正でもそういう基本的な枠組みは維持していこうということにしたわけでございます。 ただ、運用の実態としまして、種子をつくる方、例えば原原種圃なり指定種子圃場については、二県以上に流通しますものをつくる場合には、それは県の間で調整して、それで数県のものを一県の指定種子圃場でつくるような需給調整は可能でございますし、これからもしなければいけないというふうに思っております。 奨励品種の方はどうしてかと申しますと、これは栽培でございますので、それぞれの県の中に合ったものをつくるということになりますと、県によっていろいろ気象条件とか土壌条件もございますし、各県のいわば品種に対する政策と申しますか、そういうものもございますので、県ごとに奨励品種として制度は置いておく、こういうことにいたす方が一番実態に即するんじゃないかというふうに考えた次第でございます。ただ、既にほかの県で奨励品種になっているものを次の県で奨励品種にする場合とか、そういう場合でございますと、既にほかの県で行われておりますいろんな栽培試験なり実態、実績、資料、こういうものを有効に使うという形での実質的な調整は奨励品種の方でもできるんじゃないか、こういう面についてはこれから指導してまいりたいと考えておるわけでございます。
○刈田貞子君 つまり四十七都道府県全部で奨励品種試験に通りたいといったら、四十七ずっと歩けばいいということですね、そういう意味ですよね、今おっしゃったのは。日本は北から南まで長いんだから、全部通用するような品種があろうとは考えられませんけれども、強いて言えばそういうことですよね。わかりました。 今の奨励品種の試験についての話でございますけれども、いろいろ言われています。それでまず、決定試験の審査員の人選の問題がかなりシビアに現場からも出されているんですね。これをどういうふうに考えておられるのか、改良の方法があるのかどうなのかというふうなことです。これは都道府県と農協関係の方で占められていて、例えば純粋な風聞ニーズみたいなものを今後こういう奨励品種というものの中に反映したいというようなときには、決定メンバーの人選がとても大事になってくると思うんです。だけれども、現在では都道府県と指定の農協さんの関係でもってできているわけですね、この人員構成が。だから、この辺のところはこれから大事なことになるのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) 現在、県に奨励品種決定審査会というのが置かれておりまして、その構成は、県の農業試験場の職員、それから種子対策関係の県の職員、農業委員、生産指導農業団体代表者、それから学識経験者、こういうような方たちが構成主体になっておりますが、これからの問題としましては、民間産業ということを意識するならば、こういう審査会等につきましても民間の方にも参加してもらう、こういうような方向での改善が必要であろう、こういうことにいたしたいということで、例えば民間育種関係者、それから農産物の需要者等を加えるというような方向で指導してまいりたいと思っております。 ただ、現在でも、今の学識経験者等の範囲ということでございましょうが、稲、麦等につきましては、いわゆる実需者ということで、例えば食糧の集荷業者あるいは商系の食糧の卸業者、それから精麦、製粉というようないわゆる需要者、それからみそ関係というような加工関係の業者の代表の方、そういう方を学識経験者として入れておりまして、むしろこれが実需者代表というような形で入れて既にやっておる例はございますが、今後はこれにさらに民間の育種関係者についても審査会に入っていくような方向で指導することが必要であろうと考えております。
○刈田貞子君 それから奨励品種決定試験にかかわる期間短縮の問題、これも声が大きく出ていますね。民間がある研究開発の成果を早く欲しい、実用化するためにも早くその結果が欲しいんだというような場合にも、三年も五年もかかっていたのではとても奨励品種なるものの意味が生かされてこなくなるということで、期間の短縮ということがかなり出ておりますし、あわせて簡素化ということも言われておるわけですね。私企業の方々から言わせると、自分たちの研究データなんかも大いに取り入れてほしいということがあるわけですけれども、そういう点も含めていかがでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) これは今回の法律改正に至りますまでの過程で、いろいろ研究会等でも御議論いただいた点でございまして、一つは、期間短縮については、従来の国や県が育種する場合には、育種の最終段階でむしろ奨励試験をいわば途中で並行スタートさせるというようなことが行われたりしております。そういうことでございますが、しかし、いずれにしても、奨励品種決定調査で、ある程度の期間、三年とかそこらはどうしてもかかってしまうような状況でございますので、これをできるだけ速める方向ということになりますと、いろいろ人員なり施設なりそういう面の改善も必要でございますが、そういう面で新しい育種の動向にこたえて、いいものを早く使えるようにしたい、こういう方向での改善をしたいと思っております。 なお、民間データ等につきましても、民間でこういう育種をされる機関では十分いろんな栽培試験とかのデータを持っておられるわけでございますから、それを御提供いただいて、それを十分活用し検討してこういうデータは信用が置ける、こういう判断に達すれば、それを奨励品種決定の段階で十分取り入れ活用するというようなことはすべきである、かように思っております。
○刈田貞子君 私企業の試験データを受け入れることもやぶさかではないということだと思うんですが、行革審答申でも、奨励品種決定調査の内容等の改善方の指摘が出ておりますね。ですから、これはそういう方向で解決して、できるだけ早く要望に沿った形にしていっていただきたいというふうに思います。 それから、さっきちょっと種の価格のことを申し上げたんですが、主要農作物種子の適正な価格ということでお伺いをするわけです。これも先ほど同僚の稲村委員の方から出ていたというふうに思いますけれども、今後民間が自分で研究開発して新品種を送り出したような場合と、それから都道府県段階でできてきたものとでは、かかっているコストが違うというふうなこともあって、この価格の決定をどういうところでだれが勘案してやっていくのかというのはこれから大事な問題になるというふうに思うんです。流通の問題、価格の問題、そして圃場試験の問題というふうなのが一つの大きなネックになってくるというふうに思うんですけれども、価格の問題についてはいかがでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) 種子の価格については、従来の制度というか運営でございますと、先ほど来申し上げております種子協会という場が実際上価格決定のいわば中心の役割を果たしております。種子協会で決めておるというか、種子を販売する経済連等が決めておるというか、そういうところの協議の中で決められておるわけでございます。民間ということになりますと、これはもう全然品種開発のところから違う系統、違う手順で開発が進められておりますので、我々としては、種子協会に民間の方も入っていただいて、そういうものについての価格問題も含めた相談をしていただく、協議をしていただくことが必要だろうと思いますが、民間としては、自分がつくって販売します種についての価格は、基本的には自分で決めるということになろうかと思います。 その場合に、国や県の開発した品種、それの種子と比べますと、どうしてもコスト回収ということになりますと割高になるという点は、これは既に民間の方が非常に心配しておられる点でございます。これはそのことだけとってみますと、何か民間の方に酷なようでもありますけれども、半面、稲、麦等については、国や県というものがいい品種をつくって世に出すという責任を負ってやっておるわけでございますので、そういう意味では価格の考え方というのはどうしても違うのじゃないか。それだけ政策的に国や県の育種というものが期待をされておるわけでございます。そういうことで、単純に国や県の方の価格を上げるというようなことで何か足並みをそろえるというわけにもまいりませんので、民間の方ではある程度コスト回収を考えながら本当にいい種をつくっていただく。そこに価格の面では、ある意味ではいい形の競争と申しますか、品質、価格両方兼ね合わせた競争というのが行われるというようなことになるのではなかろうかと思います。
○刈田貞子君 そうすると、国が税金を使ってやるから安くできて、民間は自分の自己資本でやるから高くついて、それを同じ土俵の上で勝負させるということになれば、優秀性ということを除けば、安い方を買いますね、みんな。一方で、民間というのは利益の追求、利潤の追求ということを必ずやるでしょう。そうすると、この辺のところは非常に難しい課題になっていくのじゃないかなというふうに私は思いますが、今後のことを見させていただきたいというふうに思います。 そこで、今回民間がこうした主要種子生産に関与してくるという一つの大きな場を開いたということでは、今回非常に前進があったというふうに考えなければならない部分もありますけれども、一方で今のようなことをいろいろお伺いしていくと、場所は開いてあるけれども事実上はなかなか入ってこられない要件がたくさんあるというふうに私は思うんです。 そこで、お伺いするのは、これから国あるいは都道府県が主導的に果たす役割と、それからこれから入ってくるであろう民間が、つまり民間の活力を利用してとか、あるいは生かしてとか、こういう言葉で表現させていただくのならば、こういうところに入ってきて、民間が果たすべき役割というのは何か機能分けというようなことが考えられますか。
○政府委員(関谷俊作君) これは主要農作物の世界で申しますと、品種の育成も含めて考えると、こういうものは民間で、こういうものは国や県でというような機能分けというのはなかなか難しいかと思います。非常に率直な申し上げ方をしますと、例えば国や県の育成した品種にもたくさんございまして、奨励品種でもいっぱいございます。その奨励品種の中でも、言ってみれば、一種の競争、選択が行われているわけでございまして、いろいろ稲をとってみましても品種の変遷等があるわけでございます。そういう意味で種子の世界、品種の世界というものはどこかで競争というか、いいものはどんどん普及していくという関係にありますので、最初から民間のものはこういうもの、国、県のものはこういうものというものを稲や麦について分けることはなかなか難しかろうというふうに思います。 ただ、現状では、御承知のようなビール麦については需要者がビール業界ということもございまして、かなり品種をビール会社で開発しておりまして、この中には奨励品種になって実際に契約栽培の中でつくられているものも相当ございまして、もちろんそうかといってビール麦に全く国や県の育成した品種がないかと申しますと、例えば栃木県というような産地をとりましても、栃木県の農試がかなりビール麦の育種もやっておりますので、いろんな意味で競争と申しますか、本当にいいものをつくるためにみんなが努力する、こういうような考え方ではなかろうかと思います。
○刈田貞子君 次は種苗の方に入らせていただきますが、一番最初の一条の二のところの種苗の中に林業の用に供される樹木の種苗が除かれているということについて私も大変疑問を持っておりましたが、先ほど稲村委員の方に御答弁なさっていらしたのでそれは私も聞きおきますけれども、果たしてそれでよろしいのかなという疑問を持ちましたので、これは質問を外しておきますけれども、まだいかにも疑問が残るということでおきます。 それからその次は、一定の事項の表示ということでございますが、この表示規定について遵守すべき基準というのを調べてみましたらばここに出てきたので、私はこれを見たんですが、この中で、全種苗については業者名及び住所でしょう、それから種類及び品種、生産地、採種の年月日または有効期限及び発芽率と書いてありますね。採種の年月日を書けば有効期間は要らないのか、両方書くのか、どっちですか。
○政府委員(関谷俊作君) これはどちらかを書くということです。
○刈田貞子君 この改正点も読ましていただきまして、この表示全般にわたって言えることは、さっき証票のことで稲村委員が問題をお出しになっていらっしゃいましたけれども、この中で禁句というのかな、書いてはいけない方、表示してはいけない方みたいな物の言い方をする必要はないか。つまり例えばJASなんかではそういう表現の仕方がたくさんあるでしょう、表示について。ところが、この表示にはこういうのは書いてはいけないという禁句みたいなものの規定がないんですね。こういう表示に対する考え方はどうでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) 恐らく先生のお尋ねの趣旨は、いろんな食品あるいは薬類でもあるかもしれませんけれども、誇大広告的なこととか間違っていることを書いてはいかぬという御趣旨だろうと思います。 種苗については余りそういう禁止条項というのは今まで問題になったことがございませんので、検討しておりませんけれども、余り目に余るようなことがございましたら、将来の問題としては出てくるかと思いますが、従来のところではこういうことを書いてはいけないということでは規制しておりません。
○刈田貞子君 それから全種苗に書かなければならない表示義務の中身をもっと充実してほしいという声があるのですが、もしこの一、二、三、四、五項目に対してさらにつけ加えるとすれば何かありますか。
○政府委員(関谷俊作君) これは法律を改正しないでも省令でできる事項でございますので、私どもそういう事項があれば検討したいということでございますが、現在のところではまだそういうような要請と申しますか意見というのに接しておりません。
○刈田貞子君 それから権限の委任についてでございますけれども、六条の二のところで、三条の四項、第四条、五条の二項及び三項と五条の二に委任事項が書いてある。「その一部を都道府県知事に委任することができる。」。これは各都道府県に委任してしまうことによって、「することができる。」ですから、国全体としての整合性がとれるだろうかどうだろうかということがあるんです。その一つ一つの項目は罰則規定みたいなもんですよね。この辺のところはどうでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) これは政令で委任することを決めるわけでございますので、政令の中ではこうこうこういう権限は委任されたということになります。その場合の運用の仕方が多少地域的に県によってふぞろいであるというようなことになりますと、御指摘のような、罰則その他制裁的な面でも不公平を生ずるし不均等を生ずるということになりますので、我々としてはそういう命令その他の権限を委任した場合には、その運用についてはよく基準を指導いたしましてふぞろいのないようにしたい、かように思っております。 なお、これは委任事務でございますので、委任事務としての監督と申しますか、地方自治法上の監督はこれには及ぶわけでございますが、問題は、その運用の仕方において基準を不公平、不整合のないような指導を十分してまいりたいと思っております。
○刈田貞子君 その次は、一般の生産農民の人たちが優秀なそういう品種の知識を持つためにどんなインフォメーションの方法があるのか私はいつも疑問に思っているんです。種子協会が推薦して取扱業者が持ってきてという形のものでおりてくるのか、それともそれは生産する人自身の選択の余地があるのかということを率直に素朴に疑問に思っていますのでお伺いするわけです。ガイドブックみたいなものが一般農家に行っているのかどうなのか、あるいはまた品種のコンクールみたいなものが絶えずいろいろな作目について行われているのかどうなのか、あるいはまたその展示の状況等、そういうふうなことについて品種のいわゆる普及ですね、普及についてどういうふうに考えたらよろしいんでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) 品種につきましては、これは主要農作物でございますと、もともと奨励品種というものがございますので、この奨励品種というものは、各県で決めましたいわばお勧め品というか、こういうものはつくっていいですよ、あるいはつくりなさいよ、そういうことになっているわけでございますので、奨励品種制度の運用の面を通じて優良なものを普及していく、こういうようなことになっておるわけでございます。 その他につきましては、これはいわゆる普通の民間流通になっているわけでございますので、それはそれぞれの販売業者、種子を扱います人たちの俗に言う宣伝的なことの世界になっているわけでございますけれども、これは農協その他農薬者の立場に立った販売業者の問題としまして、どういう品種があるか、それぞれどういう特性を有するか、こういうようなことについてPRしていく、あるいは普及していくというような、そういうことに期待をしなければいけないと思います。 今度の改正法では、若干表示の面で、当面、主要農作物を考えておりますけれども、表示の基準というものを決めることにして、その栽培上や利用上の特性を明らかにする、こういうような規定を新設しましたのは、そういう農家の品種の選択に対してもっといい資料を提供する、表示をしてもらう、こういうことがねらいでございます。 いずれにしましても、現在は先生のお尋ねのようなハンドブックというものはございませんで、一般に専門家の間では、国等で関係者の人が執筆してできました一種の品種一覧というような本等はございますけれども、農家の段階まではまだそういうものが徹底していない、こういう状況でございます。
○刈田貞子君 すごい写真入りのカラフルなカタログなんかを種屋さんなんかがたくさん出すでしょう。ああいうのを見ながら一生懸命カタログで品種を選んで、自分で買って作付するというふうなところまで日本の農家はいっていないのか、いっているのかというような感じのことが聞きたかったものだから伺っているわけです。聞くところによると、アリメカなんかでは、こういうことに非常に敏感で、六十一年度産トウモロコシというのを競ってみんなそのカタログで選んで買うというようなことがちゃんと地についているというようなことを伺いましたものですから質問してみました。 それから品種の問題についてお尋ねしておきたいのは、先ほどからこの品種登録の問題についていろいろ大変深遠なお話を伺っておりまして、大変勉強になったわけでありますけれども、一点だけお伺いしておきたいのは、品種雑録制度に基づいて毎年何件ものいわゆる新品種というんでしょうか、新しい品種が登録されて実用化されていくと思うんですけれども、そういう新しい品種というのは実際に生かされているんでしょうか、どうなんでしょうかということが、先ほどの問題と関連して伺いたいわけです。つまり、こういうものというのは、たくさんの人を使い、そして予算を使ってやってきている一つの制度の中から生まれてきているものでありますから、生産農家あるいはそうした業界でもって有効に生かされていかなければ品種登録などしても仕方がないわけであります。離しい問題ではなく、この点一点だけ伺わせていただきたい。
○政府委員(関谷俊作君) 今の品種登録制度の意味合いは、品種を育成した人に登録によって一定の地位を認める、こういうことでございますので、その品種がどう使われるか、あるいは大いに使われるかということについては、育成していった方がそれをどうやって販売するかというのは、育成者あるいは種苗業者の方々の努力にまっているわけでございまして、なかなかそこのところまでは国の行政の手は回りかねるわけでございます。現実には登録品種というものはそれだけ一つの信用を持っているわけでございますので、かなり普及をしている、こういうふうに思います。 普及状況についてはこれからもいろいろ調査するつもりでございますが、業者、業界でも、品種登録制度を自分のつくった、あるいは売っている種のいわば信用というような意味合いでもとっておられますので、そういう面の努力はされておられる、こういうふうに思います。
○刈田貞子君 調査をなさるということになっているようです。ぜひ調査をなさる方がいいと思います。 それから新品種というようなことが非常に言われる一方で、いわゆる在来の品種というものがありますね。この在来品種についても、これが漸次消えていくということに対して憂いを持っている筋もなくはないということで、例えばハイブリッド化が進むとか、あるいは種子の画一化が進むとかいうふうなことの中で、これまで日本の農業が営々としてつくってきた、地域とか気候とかそういうものに合わせてつくってきた在来品種みたいなものに関してはどのような対応をなさいますか。
○政府委員(櫛渕欽也君) お尋ねの在来品種の問題でございますけれども、最近非常にすぐれた品種が大々的に普及いたしますと、おっしゃるように、従来各地域でつくられておりました非常に多くの在来品種が失われていくわけでございます。世界的にそういう状況は最近非常に共通の状況でございますが、その在来品種には最近の新しい品種にない特殊なそういう特徴といいますか、優良形質、こういったものもあるわけでございまして、これは実際、将来の品種改良にとっては非常に重要な遺伝資源とも評価されておりますし、そういう観点から、農林水産省といたしましても、ずっと以前から、国内の在来品種はもちろんですけれども、海外の在来品種も含めまして、積極的にそういった在来品種が失われないような対策を講じて、その収集と保存に努めてまいっております。 それからまた各都道府県の段階でも、その都道府県の特産作物等についての在来種については、それぞれがかなりきめ細かな収集の体制をとっている状況でございます。
○刈田貞子君 それから、五十八年の九月に農水省がお出しになりました野菜の指定種苗の生産等に関する基準のことですけれども、種子生産農家にとってはとても厳しい中身だというふうに言っているところがあるわけです。そうしたら、基準だから守らなくてもいいんだという話もきのう伺った、一応の目安だという話も伺ったのですけれども、例えばカボチャの採種栽培を行う場合に、一農家で採種する品種の数は一品種。そしていわゆる開花時期にはどうなんですか、雑交配が行われないように、その他のものについては何か六百メーター間をあけておかなければいかぬとか、いろいろ規定があるんでしょう、こういうのに関して。そうするとこの種の種苗を生産するには、そういう技術やら膨大な土地やら持ってそういう環境が整備されてこなければこの種のことはできないのではないかというふうに言われているんですね。一方で、種子の栽培については、ある種の関心を持っている生産農家がありますね。そして転作の作物として種もみなんかが話題になっていますね、伺いますと。 私は、この稲子生産というのは、いろいろバイオの話やなんかも出てくるわけですけれども、そういう段階とは別に、これまでの日本の農業が育ててきた種子栽培の一つの手法というのは、バイオがどんなに発達してこようと続くと思うんです。そのための条件整備というのをしてやらなければならないと思うんですけれども、今の六百メーターはいかがですか。
○政府委員(関谷俊作君) 具体的な六百メーターというようなお話も出ておりますが、全体的に申しますと、この基準は、野菜種子の生産、調整、保管、包装について遵守すべき基準ということで、私ども決して守らなくてもいいという気持ちじゃなくて、守っていただきたい、守るべきである、こういうことでやっているわけでございます。 現在、いろいろ例に挙げられました発芽率のほかに、交雑花粉源との隔離距離、こういうようなかなり基本的な基準値がございますが、これの決定の経過としましては、ECとかOECDの国際的な基準に準拠しながら、また日本でつくられております野菜の種の現状、そういうものに留意しながらつくってございまして、我々の考え方としては、通常の採種管理で大体基準に対応できるんではないかと考えておりまして、そう厳しいものとも言えないんじゃなかろうか、このぐらいは守っていただきたい、こういうふうに思っている次第でございます。
○刈田貞子君 それからOECDの種子品種証明制度への加盟についてお伺いします。牧草とかてん菜がこの制度に我が国でも加盟しているというふうに伺いますが、これは今後どういうふうに対応していかれるのか。これに加入していることによってどんなメリットがあるのか。
○政府委員(関谷俊作君) この制度でございますが、ねらいとしましては、優良な品質の種子の使用を推進するということと、それから国際間の種子の流通を円滑にするということでございまして、加盟国共通の種子の生産管理規則を決めて、その規則に準拠して生産されて、公的機関の検査を受けた種子が証明の対象になるわけでございます。種子の品種純度というようなところがポイントになるわけでございますが、このメリットとしましては、国際的な種子の流通が進んでいる中で、いいものが国際的に流通する、こういう面では大変大事な効果を挙げていると思います。 現在、OECDでは七種類の種子についてこの制度を設けておりますが、日本では昭和四十二年に牧草と油糧種子、五十八年にてん菜種子、それぞれの制度に加入しておりまして、今後の問題としては、だんだん国際流通も盛んになってまいりますので、こういう範囲をもう少し広げていくというふうな方向で考えなければいけないし、もとの制度についてもさらに拡充、充実が図られるのではないか。それに対して日本としても十分その趣旨に従って対応してまいりたいと考えております。
○刈田貞子君 遺伝資源のことについて少し伺います。日本の植物遺伝資源の保存点数は、いただいた資料にたしかついていて、数を見せていただきましたが、非常に低いわけですね。櫛渕さんは「農林水産ジーンバンク元年」というのをお書きになっていらして、読ましていただきましたんですけれども、我が国が植物遺伝資源を確保していくということ、これは今後非常に大事な課題になっていくというふうに、午前中からのお話も伺っていて、私は思うわけでありますが、今後、こういう問題についてどんなふうに進めていかれますか。
○政府委員(櫛渕欽也君) ただいまお話がありましたように、現在のところ、現在のところと申しましても、毎年毎年、我が国の保存遺伝資源数はどんどんふえておるわけですが、ちょうど現在は約十二万三千点ということで、大体その八割ぐらいが種子保存で、残りが栄養体、果樹とかお茶とか、そういうものでございます。 それで、実は昨年からまさに遺伝資源元年といいますか、ジーンバンク元年といいますか、そういうことで六十年を起点にしまして、農林水産ジーンバンク事業というのを長期的な事業として始めたわけでございまして、この事業の計画といたしましては、当面、昭和六十七年度を目途として、植物の遺伝資源としては二十三万点を収集目標に具体的に確保の計画を立ててございます。 もちろん、こういった収集をした遺伝資源について、国内ではそれを効率的にその特性の評価をしたり、そういったデータベースを一元的に整備したり、こういったことを図るための体制を整備しておりますし、それから昨年から国内の農林水産省関係機関、国立の試験研究機関や原原種農場等々ですが、そういった全国にあります機関を筑波に遺伝資源のセンターバンクを置いて、今みたいに全国的な機関をサブバンクという形で、そういう機関も遺伝資源の保存に全面的に協力する、そういうネットワークの体制をつくったわけでございます。 もちろん今後の遺伝資源の収集の中で一番大事なことは、遺伝資源の宝庫と言われる熱帯、亜熱帯を中心に、非常に最近急速に貴重な遺伝資源が失われておりますので、そういったところに研究者を派遣しまして、相手国との研究協力あるいは技術協力、こういったことを深めながら、しかもそういった遺伝資源に関する国際機関として国際植物遺伝資源理事会、IBPGRというのがございまして、ここへも参加して、その活動の中で我が国は非常に活発に活動しておるわけでございますが、こういった国際的な遺伝資源収集の活動あるいはバイラテラルな技術協力、研究協力、こういったものを基本にしながら、諸外国の遺伝資源の収集に積極的に努めてまいりたいと考えております。 なお、こういった体制といたしましては、六十一年度から筑波の農業生物資源研究所に遺伝資源のセンター的な機能を強化いたすことに、そこで体制の整備を図ることにいたしてございます。
○刈田貞子君 そこで、その遺伝資源を民間に提供するという問題なんですが、種苗業界あたりは、国の機関も、それから大学の附属機関もこういう研究あるいは資料というものを、あるいは現物というものをたくさん持っているんだ、だけれども、今ネットワークというふうにおっしゃいましたけれども、そういうところで、なかなか民間がそういうところに入っていく余地というんでしょうか、それがないんだということを訴えに来ました。これからは、ぜひそういう大学の公的機関と私たちはこれから先、国際競争に勝つためにも、そういうところとの密な連絡をとっていきたいんだ、自分たちにもわからない分野がたくさんある、したがってそういう公的機関の進んでいる研究を、ぜひ提供してほしいし、教えてほしい、こういう話を間がされたんですが、こういう意味でのネットワークはいかがでしょうか。
○政府委員(櫛渕欽也君) 私は先ほど農林水産省の中での遺伝資源の体制の整備のお話を申し上げましたけれども、大学におきましても民間におきましても、それぞれの利用目的に応じまして特徴のある遺伝資源をそれなりにいろいろと確保、保存していることは大体伺っておりますけれども、私どもは民間がどのくらいの遺伝資源の保存を行っているかという調査をいたしまして、大体平均一民間企業が植物の遺伝資源の場合には一千数百点とかいろんな数字は得ておりますけれども、なかなか具体的なことはよくわかっておりませんし、大学の場合には、現在のところ、かなり特定の大学の教授の研究の必要上、ある教授が例えばゴマの研究の大家がおりますと、そこにはゴマの遺伝資源をたくさん持っておるわけでございますが、その教授が退官しますと、それはもう全くだれも引き継ぎ手がいないとか、そういうことを聞いておりまして、そういったところとの連携ネットワークは現在不十分でございまして、そこで私どもとしては、農林水産省のその遺伝資源について今年一月から、民間、大学等にその遺伝資源の提供を図るということにいたしましたので、こういった提供活動を通じながら大学や民間との遺伝資源の関連での交流、こういったことを深める中で全体のネットワーク体制のようなものを考えていただきたいと考えております。
○刈田貞子君 まだまだたくさん用意したんですが、時間も来たようですので、意見を最後に言わしていただけば、今回のこの改正案によって民間が参入してくる一つの場所を与えたということについては、我が党は大変にこれを評価するところでありますし、また、これによってバイオテクノロジー等による品種開発を促進することにもつながっていくであろうということを期待はいたしますが、これから新しい新品種等が出てきて植物というような分野にでも入ってくるということになりますと、その適格性をどういうふうにチェックしたらいいのかというような問題等もまたありましょうし、あるいはまた生態系を破壊するというようなテーマもあろうかというふうに思いまして、こういう問題についても十分な事前評価が行われる体制をつくらなければならないというふうに思います。 また、バイオテクノロジーについては、これからさらに実用化が進んでいくということを考えるならば、今言った事前評価というようなことは、いろいろな意味での事前評価が体制として必要になろうかというふうに思います。 それから午前中からも出ておりましたバイオテクノロジーの法的保護についても、国際的に論議が始まったところでございますので、我が国におきましても、そうした国際的な立場におくれないよう調和のとれた保護体制をきちっと早急に考えていくべきである。これは午前中の先生方の御指摘と同じでございます。 そして、最後に申し上げたいのは、これはFIS総会といえばこれは世界の種屋さんの総会だというふうに聞きましたけれども、FIS総会で見た情景だということでございますが、世界会議が外国で開かれると、こうした種苗協会あたりの会合に一国を代表する大統領とか、あるいはまた国を代表する皇族等が出てきてあいさつをする、こういうのが慣例になっているんだそうですね。それはつまり種、種苗を生産するというような産業を基幹産業と位置づけて、そして国規模でこういうものに取りかかっている、あるいは保護していくという、こういう国の一つの歴史と申しましょうか、そういうものがあるように私は思います。我が国では、どこで種屋さんの総会が開かれたのか、どこでどんな研究発表があったのか、私どもはそういうことは一向にわかりませんし、それからニュースの種にもならないというのが我が国の実情ではないかというふうに思うんです。これは何を象徴しているかといえば、種苗等を含めたこういうものに関する国の関心の低さに私はあるのではないかというふうに思いますので、今後国際社会の中でこうしたテーマを前提に日本が太刀打ちしていくには、国規模で今までいろいろお話し合いしてきたようなことに取りかかっていっていただきたいということを希望いたします。 最後に、大臣の御感想をひとつ伺って私の質問を終わります。
○国務大臣(山崎平八郎君) お答え申し上げます。 種苗は最も基礎的な農業生産資材でありまして、優良な種苗の生産及び流通を確保することは農業振興を図る上で極めて重要であると存じます。このため、従来から優良な品種の開発育成、優良な種苗の生産普及、種苗の流通の適正化等に関します各般の施策を推進してきたところであります。一方、バイオテクノロジー等新技術の開発の著しい進展に伴い、我が国農業の発展を図る上で種苗が果たすべき役割につきましては従前にも増して期待が高まってきております。 このような情勢に対処いたしまして、今後の種苗対策につきましては、種苗をめぐる技術開発及び品種の改良を一層促進するとともに、これらの技術開発等の成果を活用して優良な種苗が生産され、農業者に適切に供給されるよう、その充実強化を図る必要があると考えております。 以上のような観点から、今般種苗関係業務を一体的、総合的に実施する種苗管理センターを設立いたしまして、業務の実施体制を整備するとともに、主要農作物種子法及び種苗法の改正案を提出したところであります。
○刈田貞子君 これで終わります。
○塩出啓典君 それでは主要農作物種子法及び種苗法の一部改正について質問をいたします。 まず最初に、この指定種子生産圃場制度というものが昭和二十七年以来あるわけでございますが、こういう制度の意図はどこにあるのか。また諸外国でこういうような制度をとっている国はあるのか。これは我が国独自のシステムであるのか。それだけお尋ねします、簡単で結構です。
○政府委員(関谷俊作君) 指定種子生産圃場でございますが、趣旨としましては、稲、麦、大豆という主要農作物の種子につきましては、生産に必要な技術、知識を有する者の経営する圃場で経営し、生産し、またその生産物及び圃場についても都道府県において審査を行うということで優良な稲、麦、大豆の種子を確保する、こういうような観点から設けている制度でございます。 外国ではどうかということでございますが、この日本の制度とぴたり合うような形での制度を設けておりませんけれども、一般に優良種子の生産を確保する制度としましては、欧米では種子証明制度、種子の証明をする制度、こういうようなものができております。これは最終的に優良な種子であるという旨の証明を受けるための制度でございますが、その中に、日本とちょっと似ておりますが、種子を生産する圃場についても、指定制というのはとらないにしてもなかなか厳しい要件を設けている。いろいろ種子の混入とか他の花粉源からの隔離、こういうような点についての要件が定められている。こんな状況ではなかろうかと思っております。
○塩出啓典君 そこで、我が国は、こういう種子の生産に対して助成をしてきておるわけであります。六十一年度予算では二十八億四千三百二十三万五千円。アメリカの場合は百二十億で、これは大分古い資料かもしれませんが、いずれにしても我が国に比べれば四倍、五倍の予算でありますが、こういう点、我が国の助成というものはどういう方面に行われてきておるのか、これはアメリカの場合と比較してどういう違いがあるのかをお尋ねいたします。
○政府委員(関谷俊作君) ちょっとアメリカの場合とぴったりした比較はできないかと思いますが、日本の種子生産につきましては、かつてはいわゆる指定種子生産圃場自体での生産について補助金を交付していた時期がございますが、これは一つの零細補助でもあるし、指定種子生産という農業者自身が行いますような団体に対する補助ということで、三十三年度限りこの補助を廃止しております。したがいまして、現在の主要農作物種子法関係では、この制度を運営いたします県のいろいろ審査とか、原種、原原種の生産、そういう関係について補助金を県に交付するということでございます。 お尋ねになりました種子対策全般ということになりますと、これは主要農作物種子法の運営以外に、例えばバレイショ原原種農場、茶原種農場、サトウキビ原原種農場、これら農場によります種苗の供給についての農場の運営費とか、それから作目ごとに、例えば具体的な例で申し上げますと果樹、花卉、そういうものについては、例えば果樹の品種等の更新のための対策とか、そういう関係でいろいろ作目別に種苗対策を講じております。そういう関係でございますので、全体としては挙げられました金額ぴたりかどうかわかりませんけれども、大体そういうような考え方でございまして、アメリカの場合には、私ども詳しくは承知しておりませんけれども、いわゆる種子の生産過程そのものに対する補助金というのは一般的にはなかなか各国とも行われてないんじゃないかという感じを持っております。
○塩出啓典君 今回民間事業者の参入を認めると、こういうことでございますが、どの程度の参入が予測されるのか。また指定種子生産圃場の指定については、現行法どおり「あらかじめ農林水産大臣が都道府県別、主要農作物の種類別に定めた種子生産は場の面積をこえない範囲内において」行う、こうなっておるわけで、したがって全体の指定をする面積は決まっておるわけでありますが、そうするとこの民間の要望が非常に多かった場合、今までの県のやつもあるし、そのあたりのシェア争いといいますかね、こちらに幾ら、こちらに幾らという、こういう振り分けはどのようにして行われるんでしょうか、お尋ねをいたします。
○政府委員(関谷俊作君) 主要農作物につきまして、民間参入のこれからの見込みになりますと、現状では稲、麦、大豆、特に稲につきまして、民間で種子分野に参入することについての期待は非常に多うございます。したがいまして、かなり期待を持っているわけでございますが、反面、実際に民間で品種を開発しまして、その開発した品種の種を販売する、こういうところにいくのにどのくらいの時間がかかるか、現状ではかなり時間がかかるんではないかと思います。 そういう動向も見ながらでございますが、実際に出てくるということになりますると、先ほどお挙げになりましたような制度の運用の中で、県、大臣が決めます生産の圃場面積等の中で民間のそれぞれの品種分が幾ら、それから農業団体等がっくりますものが幾らと、こういうようなことを調整することになろうと思います。恐らく具体的にすぐに問題として出てくるのは、ビール麦のように既に民間品種がありますもので、そういうものについては種子生産の段階でそういう調整が必要になろうかと思います。ほかのものについてはかなり先になろうかと思いますが、いずれにしましても、今回の改正によりまして、国、県育成品種と、それから民間品種と、それの種生産の過程におけるシェア争いというか、いい意味での競争をこのシステムの中で調整していわゆる過不足のないように、需給が安定するように、こういうふうに運用していきたいと思っております。
○塩出啓典君 そこで民間事業者の圃場指定申請が出た場合の指定の基準ですね、そういうものをはっきりさせて、余り民間が出てくると県の方が圧迫を受けるからいいやつも抑えるとか、こうなってはいけないわけで、本当の意味での正しい競争が行われ、いい品種が発展することが日本の農業ひいては農家のプラスにもつながっていくんではないかと思います。そういう意味で、この基準というか、このルールづくりが非常に大事だと思うんですが、これはどういうルールなのか、あるいはこれからどういうようにしてつくられるのかお尋ねをいたします。
○政府委員(関谷俊作君) これは基本的には従来の圃場指定の基準をそう著しく変えるというような意味合いでもございませんので、むしろ現在の基準がどういうものであるかと、こういうようなことになろうかと思います。内容としては、種子生産の責任者において種子生産の技術、知識、経験、こういうものがあるかどうか、それから種子生産地として適正があり、病害虫の発生とかそういうようなことの可能性がどうか、それから圃場の規模が必要な種子をつくるに十分であるかどうか、こういうようなことの圃場の指定の要件を設けておりますので、大体これを継承するということで十分やっていけると思いますし、特に特別従来の基準よりも民間業者に厳しくするということは考えなくてもいいのではないかということで、この辺の基準を十分徹底いたしまして圃場の指定をしたいと、かように思っております。
○塩出啓典君 もちろん私は余り完全に自由にして変なのができても困るわけですけれども、しかし余り枠をはめて、じゃ実際国が指定してそこでできたものが悪ければ国が責任を持つかといったら、そこまで国は責任を持てないわけですからね。そういう意味で、方向としては余り、農水省による統制というか、不必要な規制は除いて、本当の意味での農家の保護になるような規制にとどめるようにしていくべきである。今後そういう内容等も時代とともに検討すべきだと思うんですが、そういうお考えはありますか。
○政府委員(関谷俊作君) 圃場指定の基準につきましては、今ちょっと概略考え方を申し上げましたように、従来としても、圃場としては備えるべき最底の要件というようなことでやっておりますので、これを特別緩くするということも現状では妥当ではなくて、むしろこの指定農作物種子制度のいわば一番大事な点でございますので、この程度の要件はやっぱり守っていただきたい、またそういうことの枠内で民間がむしろ大いに力を発揮していただく、こういうことがいいのではないかと思っております。
○塩出啓典君 それから民間の種苗業者、これは野菜とか花とか、そういうような分野では海外に種子の生産圃場を求めているところがふえてきているようであります。例えばタキイはカリフォルニア州サリナスに育種実験場をつくったとか、さらには坂田も、こういうように海外につくる、その理由はいろいろあるようであります。今後指定種子等については海外生産を認めるのか。今の法体系ではそんなことはとてもできないわけですけれども、そういう点についてどのように農水省は考えておりますかお尋ねをいたします。
○政府委員(関谷俊作君) 主要農作物につきましては、現状では海外で生産しました種子を日本に持ってきて使う、いわゆる種子の輸入というのは実際にもございませんし、私どもも現在の予見し得る段階ではそういう事態は考えておりませんし、大事な作物でございますので、そういうことにはならぬように、むしろ国内での育種なり種子生産を充実すべきだというふうに考えております。 従来の民間業者の場合には、海外で研究農場等を持っておりますが、これは稲、麦、大豆以外の一般的な野菜、その他の種子の開発なり、また基本的な研究のために設けておられるようなことでございまして、種子生産ということになりますと、全体としては、特に主要農作物については国内生産というのがどうも建前になるし、そういうような理解、考え方で進むべきだと思います。 また、そのためには日本の国に本当に向いております優良な稲、麦、大豆等の品種を開発していくということによってその実効を確保していかなければいけないと考えておりますので、一般的な意味では別に、国際的な種苗の流通が活発になっておりますので、そういうことを禁止するとか、あるいはそういうことに対して理解を持たないということではございませんけれども、少なくとも主要農作物についてはこういう自給というか、そういう考え方で進むべきではないかと思っております。
○塩出啓典君 アメリカからの日本に対して主要農作物の種子を購入せよという圧力はないのか。我が国の植物防疫法というものは、稲の場合は台湾、韓国以外からの農作物の種子の輸入を禁止しておりますし、今さっき言った農作物の種子法に基づいて、現在アメリカにどんなにいい品種があっても輸入はできないわけであります。そういうものが非関税障壁であるという、こういうようなことをアメリカが主張しておるようにお聞きしておるわけでありますが、その点についてはアメリカの考えはどうなんでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) 広い意味での種苗ということになりますと、物によりましては、これは家畜の方の関係ですと、例えば凍結精液の輸入というふうな形で種苗の輸入の問題が二国間の場で問題にされることがございますが、稲、麦、大豆の種子については、私ども承知している限りでは、そういう意味での特にアメリカからの日本への持ち込みというか、輸出の要求が出てきたことはおよそございませんし、そういうふうな意味での話もまた全くないと言っていい状況ではなかろうかと思っております。ただ一度話題になりましたものとしましては、これは例の中国で開発されましたハイブリッドの種の売り込みがあった。こういうようなことは記憶しておりますけれども、国の要求として非関税障壁というふうな形で問題にされるというふうなことはまだ承知しておりません。
○塩出啓典君 そういう危険性が多分にある、将来においては。したがって、そういうことにも対抗できるように、現在のキャベツとかその他の分野では日本が逆に進出しておるわけですから、そういう力を蓄えるように努力してもらいたい。今回の法改正もそういうところに一つの意図もあろうかと思いますので、今後の農水省としての御努力を期待したいと思います。 それから主要農作物の範囲でございますが、これは当初は米、麦であったのが大豆も加わっておるわけでありまして、これを拡大する必要はないのか。むしろ日本の農政は脱米というか、米以外をもっとつくれといっても、なかなかつくるものがないという、こういう状況ですから、例えば芋などはどうかと前回当委員会で申し上げたんでありますが、減反しているそういうところにサツマイモを入れて、芋でアルコールをつくって、農業で使うエネルギーぐらいは自家産しろと、今コストはまだ差はあるわけですけれども。そういう意味で、例えば芋などを指定するとか、そういう考えはないのかどうか、これをお伺いしておきます。
○政府委員(関谷俊作君) これは一般に主要農作物とは何か、そういう概念としてそれだけで考えますと、手とかその他の問題がいろいろ出てまいると思いますが、現実にこの主要農作物種子法の中で設けられております制度というのは、御承知のように奨励品種の決定を県がやるということと、それから原種、原原種の生産は今回の改正で民間参入の道を開きますけれども、基本的には県がやる。それから指定種子生産圃場という制度によって実際に種をつくります圃場については、生産物審査、圃場審査をやる、また指定制度を設ける、この三つのことが基本になっております。その三つのことを全部適用するようなという意味で農作物の範囲を考えますと、バレイショに限らずその他の品目について奨励品種決定とか、あるいは原種、原原種の生産を国や県がやるということ、それから一般の圃場についても規制をする、これらをやるようなところまで、いわば優良な種子生産の確保の必要性から見て、そこまでなかなかいけない。また現実の行政の組織から見ても手が回らない。こういうようなこともございまして、私どもとしてはこの種子法における主要農作物を広げるということについては実際問題としてなかなか難しい、そこまでなかなか行政の手が及ばないのではないかと、こういう感じを持っております。
○塩出啓典君 それから次に、我が国の種苗の分野における国際競争力でございますが、小麦についてはヨーロッパが大変強い、大豆、トウモロコシはアメリカが非常に強い、そのように理解しておるわけでありますが、しかし日本はキャベツとか野菜、花が強い。例えばブラジルのキャベツなどはほとんど日本が占めておる、あるいは米国市場のブロッコリーの七割を日本が占めておる。逆に日本のデントコーンのF1種子は九〇%がアメリカに占められておる。こういうように我が国の国際競争力というものは非常に強い分野と弱い分野があるわけでありますが、こういう現状についてどう認識しておるのか。 〔委員長退席、理事北修二君着席〕 それと、特に主要農作物については、今まで指定種子の生産体制というものは完全に統制の中にあり、自由な競争というものが発揮されなかったために、本来野菜とか花において示された日本のすぐれた技術というものがこの主要農作物に及ばなかったんではないか、こういう意見があるわけで、私も客棚的に見てなかなかいいところをついているなとも思うんですが、農水省はそういう点ほどのようにお考えですか。
○政府委員(関谷俊作君) 全体の認識については、私どもも今塩出先生の御指摘になったような事実については、大体そういうことは言えるのではないかという感じを持っております。 種子、種苗全体で申しますと、日本の非常に強い分野というのは野菜、花等のように、非常にきめ細かい育種でもって、しかも比較的新しい分野でいいものを出す、こういうような分野でございますし、反面、飼料作物のような欧米諸国、特にヨーロッパの方がとにかく長い伝統があるという分野ですと、なかなか日本の方が、もちろんいろいろ開発しておりますけれども、ついて行けないで、飼料作物の分野では非常に輸入に依存している、こういうような歴史的な関係がございます。 それから種子の生産ということになりますと、例えば野菜の種その他で日本向きの品種を日本の国内でつくっても、種の生産になるとどうも生産コストとか気象条件の関係で、日本で開発した品種の種を外へ持っていって、外国でつくってまた輸入してくる、こういうようなのもあるわけでございます。そういう種子生産面でのコストなり気象条件、こういう面からの、 〔理事北修二君退席、委員長着席〕 どうも日本の方が弱いという面もございますので、全体、かなり作物分野によって違うと思いますが、基本的な考え方は、こういうものでもって実力をつけていくのは、種苗業者あるいはこれから種苗業界に参入される民間企業も含めた民間の力というものをかなり活用するという方向で、国や県もそういうことで力をつけていくようなことも考えなきゃいけないだろうということで、例えば野菜の育種については、国はそういう民間育種に役立つような中間母本でありますとか、あるいは育種方法とか、そういう基礎的な部分を担当し、本当の品種開発は民間にやってもらう、こういうような形で力をつけていかなければならないと思います。 主要農作物については、私どもとしては、従来の種子法の体系、つまり民間がない状態が品種の開発自身を何か阻害してきたというふうには私ども考えておりませんけれども、ただ、今回の改正のよう、民間育種から種子生産につながる道を開きますと、民間としては、稲というようなものでございますので、かなり期待をかけてそこに進出してくるんじゃないか。こういうような感じがいたしますので、この辺は現状ではどういうふうになるかわかりませんけれども、とにかく道を開くことによって民間のそういう努力の出てくる余地を設けて状況を見る、こういうような対応の仕方がいいんじゃなかろうかというふうに考えております。
○塩出啓典君 国の原種及び原原種生産の体制を見ます上、バレイショとかサトウキビの原原種あるいはお茶の原種については農林水産省が直轄の農場を持っているが、主要農作物の原種、原原種については都道府県がその生産に当たっている。そういうように公的機関の対応もさまざまのようでありますが、これは何も全部一律にする必要はありませんが、そういう生産体制の一層の組織の整備が必要であると思いますが、そういう点、今後の方向としてはどう考えておるのか。 それと、もう一つは、国の研究機関と民間との共同研究の現状はどうなのか。今度国会に研究交流促進法案が科学技術庁から出されて、国の研究機関と民間の研究機関との交流を促進していこうと。私は国の研究機関は国民全体に奉仕すべきで、一部の民間企業に奉仕してはいけないと思いますが、その精神を根底にして民間企業との共同研究によって新しい分野が開ければ、結果的には国民全体に大きくプラスになるし、そういう点を推進すべきであると考えておるわけですが、これについてのお考えをお聞きしたいと思います。
○政府委員(関谷俊作君) 前段の原原種、原種の生産の問題でございます。現在バレイショ、茶、サトウキビについてはそれぞれ非常に地域的な作物であるけれども地域産業上大事で、かつなかなか地域ではそういうことができない、こういうような状況にあるものでございますとか、生産方法が非常に難しいとか、反面また国全体において広く流通するとか、いろんな事情からこの三作物については原種または原原種を供給しているわけでございます。 ただ、我々の考え方としては、こういう行財政改革の状態の中では国や県がこういう作物全体の原種、原原種の生産というようなところまで手がけることについては、どちらかと申しますと批判的な意見の方が強いんじゃないかと思っております。我々はだからと申しまして現状をこれより、簡単に言えば、国や県がもっと撤退するという考え方を必ずしもとっておらないわけでございまして、それぞれの作物について、バレイショ原原種、お茶、それから県の場合には主要農作物、これらについて現在果たしております原種または原原種の供給機能についてはこれを適正に運営するように維持していく。ただ、これ以上に拡大するという考え方は今のところございませんので、こういう方向で今までやってきました責任というものは果たしていく、こういう考え方で進んだらどうかということで、作物別の事情がございますので、統一的な原理というよりは非常に実態に即した判断をいたしておりますので、我々としてはそういう中で、今回の法案のような、民間の道が閉ざされているものについてはそういう力が出てくる、発揮し得るような可能性を設けるということにしたらいかがかと考えておる次第でございます。
○政府委員(櫛渕欽也君) 国の研究機関と民間との共同研究の状況でございますけれども、先生御指摘のように、国の研究機関はかなり基礎的な研究領域を中心に研究蓄積を大分高めておりますけれども、国の研究機関とはまた持ち味の違う民間の研究陣と国とのお互いのノーハウを提供し合った共同研究、この共同研究によって農林水産にかかわる重要な大事な技術開発を一層効率的に進める、そういう観点で昭和五十六年度から共同研究を始めております。 現在までの共同研究の実施件数は四十八件に上っておりまして、いろいろ研究の内容、それからくるいろんなことから、全体としては食品の関係とかあるいは農産物の加工の関係、こういった関係が比較的多いわけでございますけれども、昭和五十九年からその共同研究の中に育種あるいはバイオテクノロジーの関連を加えることにいたしまして、現在共同研究のより有効な、より内容のある共同研究体制を図っていきたいと、そう考えております。
○塩出啓典君 次に、種苗法の関係についてお尋ねをいたします。今まで種苗生産とは無縁の存在であったいわゆる異種産業から熱い視線が注がれているわけであります。そういう点から、昭和五十六年にバイオ関連技術等で共通の基盤を持っているビール会社とか食品メーカーとか製薬会社とか繊維メーカー等が会員となって新品種保護開発研究会が発足し、種子、種苗に関する調査研究を行っておると聞いております。将来、種子戦争と言われるように、我が国のそういう面における技術開発力が弱いと、その面で諸外国の支配を受けるという心配があるわけで、そういう点から、我が国の種苗産業が発展をする意味では、こういうようないろいろな企業が参加するということは、ある意味ではこれはいい面もあるわけですけれども、しかしそういうものが今日まで営々としてやってきた分野を侵すという心配もあるわけで、そういう点がお互いに競争しながら全体が前進していかなくちゃいけないと思うんでありますが、こういう問題については農水省としてはどのように認識をされておるのか、お伺いをいたします。
○政府委員(関谷俊作君) 今お尋ねの中に挙げられました新品種保護開発研究会、これは任意団体でございますので、農林水産省のいわゆる監督には属してないわけでございますが、この研究会に集まられた、主としてこういう新品種開発関係に関心の深い二十八の参加しておる会社に対しましては、その動向と申しますか、この方たちの育種なり品種開発についての関心と申しますか意欲と申しますか、そういうものに対して大変私どもも関心を持っております。従来ですと、こういう品種開発関係については国、県中心でございましたが、我々としてもこれからの品種開発を進める上でいわゆる民間活力というものを活用しようという意味で、いい意味での競争、いい意味でのまた連携と、こういうようなことが必要だろうと思いまして、先ほど櫛渕局長がお答えになりました共同研究という形、それから例えば細胞融合とか、それから相苗の生産技術とか、そういう面ではこういう研究会に参加しておられるような方たちの協力も得ながら一種の研究をしている。 こういう状況でございまして、全般的には、いわゆる国際的な種子戦争という中で、外国の資本が種子あるいは品種を通じて日本の農業をある意味では支配すると申しますか、進出してくると申しますか、そういう形にならないということのためには国や県による育種と同時に、民間企業においてもそれぞれの力を持ってもらうということが必要であろうと思います。さらに民間企業の中でも、従来の種苗業という関係で携わっておられた方、従来例えば化学工業とかあるいはビールその他の食品産業とかいう面の業界の方から品種開発という問題に大変関心を持ち技術研究機関を持ったりしております方が、そういう形で企業進出するということに対して、これを拒否すると申しますか、批判するということばかりではいけないんじゃないか。こう思っておりまして、我々も現にそういう関係の企業の中からかなりバイオテクノロジー等の分野でいい研究成果が出そうな動向も承知しておりますので、この辺は先ほど申し上げましたが、いろんな意味での競争と連携、こういうことがうまく行われますように私ども行政運営をしていかなきゃいけないと思っております。
○塩出啓典君 それから次に品種の登録制度があるわけであります。 午前中にもいろいろ当委員会で論議になった点でありますが、この品種の登録制度、その登録に伴う試験体制、そういうものが諸外国と比べて非常に貧弱である。例えばフランス等は百八十人とか西ドイツは百九十六人、オランダが八十四人、スペインが二百六十三人、スウェーデンが六十二人、日本の場合はたった四人である、こういうことであります。 また、これは新聞の記事でございますけれども、 日本の種子行政の中枢を訪れる外国人は、まずそのオフィスのみすぼらしさに驚き、次に新品種の登録審査官と、行政指導の役人が同居しているのにあきれて帰る。厳正中立に新品種の審査を行うべき審査官が独自のオフィスとスタッフを持っていないのは種子の重要性を知る欧米の感覚からは想像もつかない。「日本は本気で開発者の権利を保護しようとしているのか」と不信の目でみるわけだ。 種子を制するものは食糧を制す。食糧を制するものは経済を制し、外交の主導権を握る。国際種子戦争はすでに始まっている。 云々と、これは新聞の記事で、私はこれがすべて正しいというわけではありませんし、そこまでの十分な知識は持ち合わせておりませんが、いずれにしても、我が国として今までの姿勢を抜本的に改めるべきではないか。この点はどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) 品種登録関係の審査体制についての外国の例、私どもの職員等がドイツその他の国へ行ってまいりました状況を聞きますと、人員もございますし、大変圃場も持ちましてかなり品種を常時保存しながら、またいろいろ比較栽培試験等もできるような大変立派な体制をしいておるというふうに承知しております。日本の場合には、種苗法による品種登録制度が発足しましてから現状では審査官十人、それから大学試験研究機関の専門研究者七十数人を現地調査員として委嘱するというような形で行っているわけでございますが、いわゆる栽培試験という問題になりますと、大変体制が十分でなくて、いろいろ実際上、県の試験場等にお願いをしたりする例もございます。 今回、私どもとしましても、こういう点は不十分であるということで、ことしの十二月から種苗管理センターというものを設置することを予定しております。これは現在の種苗課の三つの分室、筑波、大阪、久留米にございますが、それと全国にございますお茶、バレイショ、サトウキビという原原種農場合わせて十三、これ全部統合しまして一つの機関として、本部を筑波の果樹試験場の隣にございます現在の種苗課の分室、これは現状ではこじんまりながら大変立派な二戸を構えておる機関でございますけれども、ここを本部にしまして、全国的に連絡をとりながら、栽培試験の問題を重点としまして審査体制を充実したい。それから筑波には各種の研究機関等もございますので、連絡をとるということと同時に、本部には例えば技術調査ということで、種苗の審査なり品種保存の問題とか、種苗生産技術とか、そういう面についての研究的なことをやる調査部門を設けるとか、こういうことでこの種苗管理センターの設置を一つのスタートとしましてこれからこの辺の関係を本格的に強化充実していきたい、かように考えておるわけでございます。
○塩出啓典君 それでは、時間も参りましたので終わりたいと思いますが、最後に、いわゆる遺伝資源の問題につきましても、保存件数、保存体制、あるいは情報の流通、そういう点において我が国は大きなおくれをとっているように思います。その点、米国政府は種子貯蔵施設について中国と技術協力協定を結ぶとか、あるいはきょうは羽田農林大臣はお留守でございますが、何年か前にフィリピンの国際稲研究所にも二晩泊まり込みで低温種子貯蔵を見て回ったそうでありますが、ロックフェラーが大口出資者としてこういうものに参加してアメリカは国際的にも大きな手を打ってきておる。 そういう意味で、我が国も、もともとそういう野菜とか花の場合を見てもわかるように、優秀な技術を育てる潜在的力は私は十分あると思いますし、そういうような力を発揮して、これからは世界にもこういう面で貢献できるような日本の国の力をつけていかなければいけないんじゃないか。そういう意味で、いろいろ新しい今のお話のような施策も打ち出されてはいるわけでありますが、さらにもうちょっと目の色を変えるぐらいの力を注いでもいいんじゃないか、そうすべきじゃないか、こういうような気がいたします。そういう意味で、この法律の改正を契機として我が国の種苗の面における充実に農水省としても努力をしていただきたい。その点についての御決意をお聞きして質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(山崎平八郎君) ただいま伺いました種苗対策につきまして、いずれ羽田大臣と引き継ぎを開始する時期も参りますから、きょう先生からのお話の御趣旨を十分含めまして、もっと積極的にこの種苗問題等に取り組むことを進言いたしまして責任を果たしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○下田京子君 種子及び種苗法の質問に先立ちまして、農産物の輸入問題で一、二お聞きしたいと思います。 中曽根総理の訪米を前にいたしまして、去る四月七日、国際協調のための経済構造調整研究会、略称経構研の報告書が急速発表されたわけです。中曽根総理はこの報告に対しまして、まことに時宜を得た適切かつ重要な報告として高く評価する、こういう談話も発表されております。しかし、その中身を見ますと、積極的産業調整と称しまして、結局のところ中小企業や石灰産業、そしてまた農業についても壊滅的な打撃を与える内容になっている、とても許せるものではないということを私はまず申し上げておきたいと思うんです。 そこで、具体的に農業についての報告部分でお聞きしたいのですけれども、この経構研の報告の特徴は、自給率向上という言葉は一言もございません。もちろん国会決議となっている自給力向上という言葉もないですね。それどころか、むしろ内外価格差の著しい品目については着実に輸入拡大を図れと提起しておりまして、従来、農水省は、可能な限り国内生産で賄い、そして不足するものを輸入だというような方針を説明されてきたんですけれども、これを見ますと、今後内外価格差の著しい品目については一層輸入拡大を進めていくんだというようなことへの政策転換ということになると思うんですけれども、そういう状況で皆さん方も対応されるのでしょうか。
○政府委員(福田宏一君) ただいまの御質問でございますが、総理大臣の私的研究会であります国際協調のための経済構造調整研究会の報告におきまして、農産物の市場アクセスの改善について提言されております。提言内容は、今後の政策努力の方向としては理解されるといたしましても、厳しい内容を含んでいると考えておりますが、いずれにしましても、政府としてはこの報告を参考としまして、今後関係審議会等における調査審議も含め検討を行うこととなっております。農政審議会等の御意見もよく承って検討してまいりたいと考えております。
○下田京子君 大変厳しい内容だ、しかしこれから検討するというお話なんですけれども、昨年の七月三十日に定めましたアクションプログラム、その際には農産物市場開放を一層促進するんだということをうたっておりますけれども、一方では輸入制限品目の取り扱いについては、「我が国農水産業の実情に配慮しつつ」と、少なくともそういうことが明記されていたのですね。今回そういうことが全然なくて、全く欠落したような状況の中に理解を示してやるんだというようなことは、私は大変問題だと思いますよ。 しかも中曽根総理は今回の報告について、自由な立場から精力的な御議論を積み重ねてきた成果だという格好で高く評価されているのですけれども、一体このメンバーを見たらどうなのかということは、もう何を言わんかは明確だと思うのです。農業、農民団体を代表する人は一人も入ってないんですね。それどころか、むしろ逆に、今の日米の貿易摩擦の日本側における原因をつくっております例えば日産自動車の会長石原さんを初めとしまして財界の代表がずらりでしょう。そういう中で中曽根総理の進める臨調行革推進派の人脈がみっちりあってやられているわけですよ。大企業の輸出急増のそのツケを農民や国民の犠牲によって、片やアメリカ、そしてまた一方で日本の特定の大手企業に利益を保障するというようなことが明確になっているだけに、私はこれは大変なことだと思うわけです。これはきちっとした対応をすべきだと思うんですよ。 ですから、中曽根総理の一私的諮問機関の報告に対して、きっぱりとした今までの農水省の態度を明確にして、農業そして農民、さらには国民の食糧を守るという点からより積極的な対応を図っていくという態度に出るべきだと思うのです。そういう点でこれは決意が必要だと思うのですけれども、再度。
○政府委員(後藤康夫君) この研究会の報告の取り扱いでございますが、一昨日、四月八日の経済対策閣僚会議におきまして、先ほど政務次官からお答えございましたように、総理の私的諮問機関ということでの研究会の報告でございますので、政府はこの報告を参考として、関係審議会等の調査、審議も含めて必要な検討をこれから行っていく、こういうことが対外経済対策会議で方向として決められておるわけでございます。 農産物の輸入問題につきましては、従来から申し上げておりますように、関係国との友好関係にも留意をしながら、我が国農業の健全な発展との調和を図りながら、そしてまた国内の需給動向等を踏まえて適切に対処してまいりたいという考え方には私ども変わりはございません。
○下田京子君 変わりないと言っても、今の報告そのものは大変変わっていますよ。今までの可能な限り国内で生産して不足するものを輸入するんだというような点での政策転換がこの報告によってあったのかなかったのか、こういうことについての答弁が明確になされなかったことは大変問題だと思うのです。その点を指摘し、また時期を改めて問題にしてまいりたいと思います。 次に種子法改正問題等についての質問に移りたいと思うのです。今回の改正案の中心、これはもう言うまでもございませんが、主要農作物、つまりお米、麦、そして大豆、この種子の生産、販売に農業団体以外の民間の事業者が参入できるように道を開いたところがポイントだと思うのですね。 種子は、言うまでもございませんけれども、農業生産における最も基幹的な資材ですし、特にお米は国民の主食であります。そして日本農業の柱でもございます。だからこそ今まで、お米の種子の安定供給体制ということについては国民的な重大な課題だということでもって、主要農作物の原原種、原種の生産、これらがすべて都道府県の責任において担われてきたと思うわけです。その種子生産が、今度は、一方では販売も含めて民間が入れるわけですが、今までは農業団体が責任を持って対応してきたんですね。そういう中で今回民間が参入できるような道を開いたわけですけれども、端的に言って、どういう民間が参入されるというふうに予想されていますか。
○政府委員(関谷俊作君) 現状で申しますならば、稲、麦、大豆について民間企業がすぐに参入してくるという分野としては、私どもの予想では、ビール麦について既にビール会社の開発された品種もございますので、みずから種子の生産に取り組むということが予想されるわけでございます。その他、一般の麦及び、さらに申しますならば稲については、私ども現在の時点では、どういう会社がどういう形でどういう品種を持って入ってくるか、こういうことは予想できないところでございますが、ただ特に稲等になりますと、民間会社でも品種開発の関心が大変高いようでございます。これからこういう辺に取り組んで、品種をつくった段階で具体的に登場してくる、こういうことが予想されると思います。
○下田京子君 バイオテクノロジーを活用した育種の技術研究開発に乗り出しているのは、既存の種子メーカーというよりは、どちらかと言えは、大手の食品メーカーあるいはまた大手の化学工業メーカーであることは局長ももう御存じだと思うのですね。既に五十九年、農水省が官産一体になった協力体制の具体化を進めていこうということで検討を行います育種新技術研究会を設置したと思うのですけれども、これらの参加企業、十四企業だというふうに聞いていますけれども、改めて局長の方から今お知らせいただけませんでしょうか。
○政府委員(櫛渕欽也君) 参加企業でございますが、旭化成、味の素、カゴメ、キッコーマン、協和醗酵、麒麟麦酒、サッポロビール、サントリー、帝人、三井石油化学、三井東圧、三菱化成工業、明治製菓、積水化学、キューピーでございます。
○下田京子君 今お話しになりました中で特に三菱化成工業株式会社の場合なんですけれども、昭和五十七年、三菱商事と共同出資でもって植物工学研究所を設立されておりますね。この植物工学研究所と農水省とが、六十年の一月十日から六十一年三月三十一日までの間、農水省の細胞育種部細胞育種研究室とが一体になりまして、稲の細胞融合技術についての共同研究を進めてきたと思います。 その研究のポイントを聞きますと、双方で三百万円ずつ六百万円の研究費を出し合って、耐冷多収を目指す、そういうバイオでの稲の品種改良であったというふうに聞いておりますけれども、今後の対応はどうされるおつもりでしょうか。
○政府委員(櫛渕欽也君) ただいまの植物工学研究所と農業生物資源研究所の共同研究でございますが、この内容は、まだ品種改良というそういった分野以前の稲の細胞融合の技術開発でございまして……
○下田京子君 中身はいいですから、今後の対応だけ。
○政府委員(櫛渕欽也君) 現在、今後さらに共同研究を継続するかどうか検討中でございます。
○下田京子君 聞くところによると、当初の再分化という点では成功されてなかったということで検討中というお話なんでしょうが、いずれにせよ共同でやられているということはわかりました。 次にお聞きしたいのは、育種新技術研究会の今お話しになった参加十四社には入っておりませんけれども、化学メーカーで最大手の住友化学工業株式会社、これが既に米国の大手化学メーカーでございますローム・アンド・ハース社と共同でもってお米のハイブリッド種子づくりの研究を始めたというふうに報じられておりますが、これは御存じだと思います。念のために、このローム・アンド・ハース社は、小麦については既にハイブリッド種子を米国で商品化しているということも述べておきたいと思います。
○政府委員(関谷俊作君) 今お挙げになりましたのは、住友化学と米国ローム・アンド・ハース社のハイブリッドライス育成の共同研究でございますが、研究の課題は、雄性不稔化剤を利用して稲のハイブリッド種子を生産するための共同研究である、こういうふうに承知しております。
○下田京子君 独自にそういう研究を外国の大手化学メーカーと組んでやられている住友化学工業株式会社というのは、既に六十年の七月十八日ですか、稲の品種登録をしておりまして、吉豊一号と言っていますか、お米で登録されております。ですから、実態としては、もう既に農業と直接関係のない大手の企業が種子開発、とりわけ今回の法改正の対象となっておりますお米、麦等に力を入れているということがわかりました。つまり、これら大手メーカーの種子開発の一層の促進のために今回の法改正も出されてきたというふうに思います。そして財界の団体であります経済同友会が五十九年ですか、七月に「バイオ革新と地域農村の活路」という提言の中で「主要農作物種子法自体の見直し、すべての作物の品種開発への競争原理の導入について検討を進める要がある」というふうに指摘をされておりますけれども、今回の法改正というものはこれら財界の要望にもこたえて出されたものであるというふうに理解してよろしいですね。
○政府委員(関谷俊作君) 私どもは財界の要望に応じてというよりは、直接のこの問題検討の契機になりましたのは、行政改革審議会の答申の中でこういう問題も含めました種子、種苗制度の改善が必要である、こういう指摘に応ずるというのが直接の契機でございます。
○下田京子君 直接は行革審ということですが、どちらが直接かは別としても、事実単に必要性を要望するだけじゃなくて、具体的に法令から通達の内容にまで立ち入って改正点を提起しておるわけですよね。これは日本化学工業協会がことしの二月二十五日にまとめました「バイオテクノロジーに関する研究開発の環境整備について」の中間報告の中に述べられております。 今回の改正案にはこうした日本化学工業協会の提起がかなり取り入れられております。例えば二点ほど指摘したいんです。そのうちの一つ、「私企業自らが原種・原々種を生産できるようにする必要がある。」という提起ですね。そっくり今回の改正に入っていますでしょう。さらに「私企業が開発した品種の種子の生産を行う場合も指定種子生産は場に指定されるよう制度を改正する必要がある」。これもその指摘のとおり改正案に盛り込まれたと思います。 ですから、日本化学工業協会の提言、こういったものを最大限尊重してまとめられたものだなということがわかるわけです。そうでしょう。
○政府委員(関谷俊作君) 日本化学工業協会の提案を尊重したということではございませんが、行革審答申の内容と工業協会が言っておられることが内容的に同じことの部面があるという意味では、まさに工業協会の提言の内容が今回の法案で一部実現される、こういうことは事実でございます。
○下田京子君 暗にお認めになったわけです。 念のためにこの日本化学工業協会というのはどんなものかといいますと、百七十二社六十四団体でできておりまして、会長は三井東圧化学の社長さんであるということは御承知だと思いますね。そういった方々の提言も受けて改正になったということなんです。私はこの大手企業参入によってどんな問題があるのかということで具体的に一つは種子の需給調整機能問題について指摘したいと思うんです。 第一に、現行制度によれば種子法第三条で、農水大臣が都道府県別に定めた面積の範囲内で都道府県知事が指定種子生産圃場として指定すると、こうなっていると思うんですが、この枠組みは変わらず改正案にも引き継がれるわけですね。
○政府委員(関谷俊作君) そのとおりでございます。
○下田京子君 ところで、種子生産圃場面積の指示を農水大臣があらかじめ行うということになっているこの意味することが何かという点なんですが、農水省で監修されました法律解説書によりますと、「採種山に対する補助金か廃止された現在においては、この規定はさほど重要な意味はない、この指定は事務処理土地方農政局長の専決事項になっている」というふうに書いているわけです。このことは何を意味するかというと、実態的には冷害などの大災害のとき以外は種子の安定的な供給がなされていて特に問題は生じなかった。つまりそれは都道府県一円の地域を事業区域としている農業団体で組織されている種子協会が農協組織を活用して実際的に種子の需給を把握して、そして的確な採種計画を立てて取り組んできたということだというふうに言っているんだなと思うんですけれども、そういうことですね。
○政府委員(関谷俊作君) 農林水産省の職員の書いた解説書に今のような記述があるとしますと、これは現在というか、特に今回の改正以後はそういうような言ってみれば大事でないというような判断ではまさにやっていってはいけないわけでありまして、ここの県による圃場の面積指定、これが大変大事でございまして、これは過不足調整、それから特に今後民間の種子生産が出てまいりますれば、民間のどんな品種がどのくらいその県でつくることになるのかという需要の動向と応じました調整か必要でございますので、今解説書にそう書いてあるとすれば、そのような意気込みではなくて大変大事な仕事になる。 それから種子協会の問題については、現状が県の種子協会が掲げられましたような需給調整等の実務を担っております。これについてはこれから我々も、種子協会については今後もこれは存置しまして、できればここに民間参入もしてもらって、民間も含めたいわゆる需給調整、需給安定を図っていくという意味での活動を期待したいと思っております。
○下田京子君 つまり言わんとすることは、種子協会が現実に採種計画をきちっと立てて、実務的にはそこが対応しているんだということなんだと思いますよ。だからこそ、今も民間も種子協会等に入れてやっていくというお話なんです。 これは四十年の七月七日ですか、「主要農産物採種事業の運営について」ということでもって、採種計画の適否は種子更新の成果を左右し、直接には生産種子の多量の配布残だとか、あるいは供給不足を出さないようにするんだというようなことをちゃんと書いているわけなんですよ。だからそれだけに、今お話ありました民間が種子協会に入るということは大事な側面でありますけれども、しかしそれだけで果たしてきめ細かな対応が可能なんだろうかということなんです。 具体例でちょっと福島県の場合を申し上げたいんですけれども、福島県の場合には、気象条件等の関係から言いまして、お米の品種というのは極めて多種多様になっております。六十年産を見ますと、ササニシキ、農林二十一号、コシヒカリ三銘柄のほかにトヨニシキであるとかハツニシキ、日本晴、キヨニシキ、アキヒカリ、ハマアサヒ、初星、中部四十一号など主食用ウルチ米の種類が実に十一種類です。それだけにこの採種計画というものには大変な苦労と緻密な計画が必要なんですね。しかもなおかつ初星というこの品種の場合には、栃木県で育成されたものなんですけれども、福島県で適性試験を実施して奨励品種に指定する以前に、もう既に栃木県との隣り合わせであります白河を通じまして県内に入ってきたという事実があるんです。 販売を業とするメーカーが大量に売り込んできた場合には、本当に的確な採種計画ということが一体可能なんだろうか。二県にまたがる、あるいは三県にまたがる、全国の多数の県にまたがっていくというような形になるわけですね。どう対応されるんですか。
○政府委員(関谷俊作君) 現在の制度が、一方において農林水産大臣が圃場面積を指定する、こういうことになっておりますが、現実には種子協会がお尋ねのような機能を果たしているわけでございまして、現在のような民間参入がない状態でも、ちょっと例にお挙げになりましたような実際の種の動きがなかなかそのとおりいかない面も出てまいりますし、種というのは、ある程度人気と申しますか、期待によって動く面もございますので、基本的には需給の安定を図っていく、こういう意味で従来どおりの種子協会の機能は大事であるというふうに考えております。 ただ、そこへ民間が入ってきた場合には、種子協会へ参入ということでやっていきたいわけですけれども、なかなかそれだけでは十分ではなかろうということになりますと、行政的な機能として農林水産大臣の指定による県の調整、こういうことが大変大事になってまいる、かように考えております。
○下田京子君 県の調整で可能でしょうか。種子協会の立てる採種計画というようなきっちりした枠の中だけでとても営業活動を民間の場合には限定できないだろうというようなことだから、今、局長は、県の行政指導が重要だみたいな話をされましたけれども、大手メーカーというのは一県だけで活動するんじゃないですよ、さっき言いましたように。全国的に営業活動を展開するんです。県ごとの種子協会が立てる採種計画には乗りにくいというのは明確になりましたし、さらにメーカーの販売というのは農協や他社との競り合いになっていくわけでしょう。ですから、あらかじめ販売計画というものの手の内をオープンにするわけがないんですよね。しかも本格的に民間が入ってくれば、主食であるお米の種子の安定的な生産あるいは供給体制というようなことには大変な支障が出てくるだろう、つまり過不足云々ということが予想される。そういうことはないというふうに言い切れますか。
○政府委員(関谷俊作君) そういうことが生じないようにこの制度の運営をしてまいりたいというお答えに尽きるわけでございますが、現在でも全体流通量の五%程度が県間にまたがって流通しておりまして、これが広域化するような民間種子生産が入ってまいりました場合には、特定の県で、二県以上に供給される種をつくる、こういうような事態も出てまいるというふうに思いますので、こういう点もこの制度の枠組みの中で、農林水産大臣と県とさらに種子協会、この辺の連絡を密にして、御指摘がございました混乱が生じないように努力してまいりたいと思っております。
○下田京子君 決意は大事なことですよ。 ただ、三菱化成が開発いたしますと販売するのは三菱商事です。全国各地で企業活動をしておりますね。独自の販売計画によりまして企業活動しているんですから、協会の体制はもう変わってしまうということで、種子の安定的供給に支障が出ないというふうには言い切れない大変な問題があるということは、局長もうなずいているようですが、指摘しておきます。 次に、民間参入による問題の二番目、これも議論はありましたが、価格の問題です。この民間参入によってどういうふうに種予価格が変わっていくのかということです。 現在では、主要農作物採種事業実施要領、これに基づきまして種子協会が、種子生産農家の意欲を失うことがないようにということでもって、最低買い入れ価格と一般農家の種子更新意欲を損なわないよう十分考慮した最高配布価格というものを決めておりますね。そしてこれは都道府県知事の承認を得ることになっておると思うんです。これまでお米のように品種開発が国や県で行われて、そして原原種、原種の生産も県が責任を持って行っていたわけでありますから、これらの費用というのは種予価格には織り込まれないできたわけですけれども、民間が参入してくるとなりますと、当然開発コスト等が回収されるように考えるのは当たり前ですから、国、県が開発した種子よりも高くなるわけです。これはもう否定できない。そういうことは先ほどももうお認めになっているわけです。としますと、これまでのこの最高配布価格であるとか、あるいは最低価格であるとか、そういう種子協会が決めて知事に承認を得るというような制度というものはもうなくなってくる。ですから、今回の改正に伴って、この価格決定の仕組みは変えられるというふうに理解してよろしいですか。
○政府委員(関谷俊作君) これは制度改正に伴う価格の扱いについては、種子協会という段階で、いわば協会参加者ばかりの状態のときと、協会の中に入る民間業者あるいは協会に入らない民間業者がおる状態で大分違ってくると思います。そういう段階では、確かにいわゆるインサイダーの決定としての種予価格の決定、それを知事が承認する、そういうシステムが全体に及ぶということは、これはもうとても不可能でございますので、そういう状況から見ますと、今の知事承認等による種予価格決定の仕組み、こういうのはなかなか維持できなくなるという感じは確かに持っております。
○下田京子君 感じで答えられましたが、今、法案の議論の中でですから、感じというのは、結局は無理だろうということをお認めになったことだと思うんです。 結局、つまりそのことは、さきの経済同友会の提言の中でもこういうふうに言っているわけですよね。種苗革命と言われるように欧米での種苗開発の取り組みに比べて日本がおくれている。その根本的な問題は何かといえば、「民間投資意欲をそぐような種予価格に原因がある」、つまり種予価格が安過ぎるから民間の投資意欲が出ないんだと、こうはっきり言っているわけです。つまり現在の種子協会等が決めたもので知事の承認を受けるというような枠組みが崩れていく中で、民間が開発コストを見込んだ種子を流通に乗せるということは、種子が高くなるということを認めることになるわけですし、そういう点で、これは単に民間の種予価格が上がるというだけじゃなくって、まさにより高い種予価格の形成が可能になってくるということだと思うんです。 先ほど来から、いい意味での競争かと、こうおっしゃっておりますけれども、競争というのは、同一条件のもとに出てくるものなんですよね。ですから、結果として、さっきのような知事の承認という価格の制度自体が崩れていくということになれば、民間以外の他の種子も結果として価格が上に引っ張られていくというふうになるわけですね。
○政府委員(関谷俊作君) そういう危険性は確かにございます。その点につきましては、国、県が育種しましたものを使っております従来の農業団体系統の種子については、これは民間に引っ張られないように、これは価格の承認という形でやるよりは、団体の活動それ自身として、民間に引っ張られて、民間が高いから自分だちも高くするんだということのないように十分指導してまいりたいと思います。
○下田京子君 これまた十分に指導というのが大事だと思うんです。しかし指導であって、決してそれがないというふうにはならないということもまた明らかになったわけですね。 さらに問題なのは食管制度との関係でございます。指定種苗取扱業者に今度民間も入るわけですね。これはさっきも言われたんです。言うまでもありませんけれども、お米の場合には、種子用といえども食管制度に基づいて全量管理という体制にあるわけですよね。そしてその流通については農水大臣が厳格な規制に基づいて指定しているんですね。そういうことでこの指定種子の取扱業者というものは大変限定されているわけです。今回の改正によって、指定要件はどうするかは別にしても、民間参入が認められるということでもう既にお話があったわけで、とすれば、私が言いたいのは、このメーカーの中に例えば世界最大の穀物メジャー、カーギル社の子会社であります日本のカーギル・ノースエイジア社を通じましてお米、麦の種子を販売するというふうな場合には、当然この指定種子取扱業者になり得ると思うんですね。現に、このカーギル社の場合には、北海道の伊達市で四種類のF1小麦の種子の原種を使った適性試験を進めておるのは御存じだと思うんです。結果が良好でありますと、当然これは日本で販売ということになりますから、指定種子取扱業者に入るというふうになりますね。
○政府委員(関谷俊作君) 指定種子取扱業者の指定については、改正後は民間事業者の参入ということに対して道を開くということになろうかと思います。その場合のいわゆる外資系企業については、これは外資系の企業であるからというだけの理由で拒否するわけにはまいらないと思いますが、これは指定要件あるいは実態に照らして、指定種子取扱業者としての業務を確実に実行できるかどうか、こういう点を十分審査した上で対処する必要があろうと考えております。
○下田京子君 ですから、指定要件が十分に満たされておれば、国内企業であれ、外資系企業であれ、それは差別することなく認めるということになるということを述べられたんだと思うんです。 さらに聞きたいことは、食管法の第十一条によれば、米麦の輸入については種子用といえども許可なしては輸入できないということになっていますね。ところが、現にカーギル社の場合には伊達市で試験栽培をしております。これは小麦の原種については食管法上どういう取り扱いをしておりますでしょう。
○政府委員(関谷俊作君) 稲、麦の種子の輸入でございますが、食糧管理法第十一条の規定による許可制度でございますが、この許可制度における若干の例外がございます。これは船舶もしくは航空機の自用に供する米または麦とか、試験用、標本用、見本用に供する米または麦で通じて百キログラムを超えないもの、旅客の携帯品たる米または麦で通じて百キログラムを超えないもの、国際郵便により送付される米または麦、加工貿易原材料として輸入割り当てを受けて輸入する米または麦、それから日本国の大使館、外国軍隊の使用に供される米または麦等々でございまして、こういうものについては輸入許可というようなことの対象になり得るわけでございます。なお、稲については別途植物防疫法による制限がございます。
○下田京子君 植物防疫法上の制限があることは承知しているんですが、私は、今の局長がお読みになったのは、食糧管理法の施行に関する告示の八項の(一)あたりのことを述べられたんだろうと思うんです。現在カーギル社が伊達市で試験栽培している小麦の原種について食管法上どういう取り扱いをしたんだと、こう聞いているんです、具体的に。
○政府委員(石川弘君) 数冊は四キロだそうでございます。それは先ほどの試験研究ということで四キロということで許可を要さず入るものでございます。
○下田京子君 そうしますと、今食糧庁長官がお述べになったのは、私が申し上げました食糧管理法の施行に関する告示の八項の(一)の試験用に供する米穀は通じて百キログラムを超えないものということで、四キログラムだからもちろんいいということで入ってきたものだと思うんですね。だから、局長が言われたように植防法の規定があるからということで抑えることはできなかったということを逆に示していると思うんです。そうですね。
○政府委員(関谷俊作君) 植物防疫法で禁止しておりますものは朝鮮半島、台湾を除く外国からの輸入について種子もみの輸入を禁止しております。今小麦の問題でございますので、これは防疫法の問題はございません。
○下田京子君 もう一度。
○政府委員(関谷俊作君) ハイブリッドの小麦でありますると、植物防疫法上の制限がありますのは種子もみの稲の方でございます。
○下田京子君 お米の種子だということですね。
○政府委員(関谷俊作君) そのとおりでございます。
○下田京子君 だから、小麦の原種だから植物防疫法上はひっかからなかったということを言いたいわけですね。ただ、植防法上問題がないということになれば、これはオーケーなんですよ。そうですね。
○政府委員(関谷俊作君) 種子もみについては、これは一定の病害虫がございますので、朝鮮半島及び台湾以外は全部認めてない、こういうことでございます。
○下田京子君 何度言ってもあれですね。まあいいですわ。 要するに外資系企業も日本で種子生産を行えば、種子販売もできるようになるわけですよね。さらに原原種や原種については海外で生産したものであっても日本で採種生産をするということになれば、輸入を許可せざるを得なくなるんではないでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) 現在、私どもとしては、いわゆる種子についてこれは稲、麦等を通じまして正式の輸入許可をする、こういう考え方は私どもはございません。ただ、外資系企業でも俗に言う国内の方で種子を生産する、日本国内で生産するということになれば、主要農作物種子法に載ればできるということになるわけでございます。
○下田京子君 つまり、いわゆる種子は輸入できないが、外資系の企業が原原種や原種については海外で生産したものであっても日本で採種生産をするということになれば、これは政治的にはとても拒否はできないんだというふうになるわけですね。念のためにもう一度。
○政府委員(関谷俊作君) 国内の種子生産についてはお尋ねのとおりでございます。
○下田京子君 以上限られた時間ですけれども、質問してきて幾つかの問題が明らかになりました。つまるところ、日本の民間企業参入を認めたということは、内外無差別という理由によりまして外資系の種子分野進出にもつながりますし、そのことは結局は初め試験用、次いでは原種あるいは原原種の輸入、さらに販売用の種子そのものの輸入というような形でもって、お米の輸入規制という食管制度に風穴があけられることになるというふうに私は思います。そしてハイブリッド種子となれば、これは言うまでもありませんけれども、毎年更新ということになりますし、既にアメリカからも日本に対してお米のハイブリッド種子の売り込みがありましたが、日本の主食であるお米の種子まで海外の巨大資本に握られるというようなことになる重大な問題をはらんでいるのが、今度の法改正であるということを指摘して、質問を終わります。
○関嘉彦君 私、きょうは田渕委員のピンチヒッターで、この農水委員会には初めて出席いたしましたけれども、午前中非常に専門的な質問を拝聴しまして大変勉強になりました。しかし二、三時間勉強しましても直ちに専門家になることはできませんので、私の質問は非常に初歩的なものになるかと思いますけれども御了承願いたいと思います。 まず最初に、最も初歩的な素人の質問をいたします。専門家にとっては当然のことかもしれませんけれども、この種子法の条文を読みましてどうもよく理解できないテクニカルタームがございますので、それを質問いたします。 この種子法の中には、例えば「種子生産ほ場」であるとか「指定原種ほ」、単に「ほ」ですね、というふうな言葉が使われておりますけれども、この「ほ」というのと「ほ場」というのとはどういうふうな違いがあるんでございますか。
○政府委員(関谷俊作君) 結論的には同じことを指しているというふうにお考えいただいてよろしいと思います。ただ、何か割に慣用的な用語になってしまいまして、指定種子生産圃、別の言い方で言うと採種圃については、まことに妙でございますが、法律上の用語として「指定種子生産ほ場」はと「ほ場」といい、原種、原原種については「原種ほ」と、「ほ」でとまっているという、非常に慣用的な言葉でございます。なお、法律には用いておりませんけれども、種子の生産圃場の場合には 原種圃、原原種圃ということになりますと、その次は採種圃という言葉を多く使いますんで、こちらの場合は圃でとまるわけで、どうもいずれも慣用的な言葉で恐縮でございますが、意味するところは同じということでございます。
○関嘉彦君 採種圃というふうな言葉も使われるんでしたらますますわからなくなってくるんです。私、もう五十年ぐらい前に法律の講義を受けたときに、法律上使う言葉というのは概念が明白な言葉、はっきりしている言葉を使わなくちゃいけない、同一概念の言葉を別な言葉で表現してはいけないんだというふうな講義を聞いてきたんですけれども、どうもその感覚から申しますと、何か殊さら素人にわからないような言葉が使われていて、非常に混乱すると思うんです。将来これを機会があったときに改定される気持ちはございませんでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) まことに恐縮ではございますが、言葉のもともととしては、どうも採種圃、原種圃、原原種圃という方が何か淵源的に古いような気がいたします。ただ、この法律をつくりますときに「指定種子生産ほ場」というような言葉で登場してまいりましてそれが使われたということでございまして、まあその辺の沿革について私どもつまびらかに承知しておりませんけれども、どちらかというと指定採種圃というような言葉になるわけでございますが、何となく法律用語として指定採種圃という言葉が余りうまくなじまないので、法律上は「指定種子生産ほ場」という言葉にしたんだろうと、こういうふうに考えまして、これからということになりますが、どうも我我としてはこういうことで大分長い間使ってまいりましたので、法律上はこういう形でいくということで今後も考えたらいかがかと思っております。
○関嘉彦君 その点は見解の相違ですからそれ以上は追及いたしません。 法案の内容で、この改正種子法の第六条の二の2で「都道府県以外の者が経営するほ場において主要農作物の原種又は原原種が適正かつ確実に生産されると認められる場合には」、この「適正かつ確実」という言葉、先ほど刈田委員からも質問もあったように思いましたけれども、そのときには原原種あるいは原種をつくる技術力、あるいは採種を指導する指導力、そういったふうな答えがあったようでございますけれども、それ以外に何か条件ございますか。
○政府委員(関谷俊作君) 「適正かつ確実」の判断基準でございますが、先ほどのお答えでも申し上げました点は、一つはその原種、原原種の生産の責任者についていろいろ知識、経験等についての要件が必要であろうということ、それから機械、施設の面、それから圃場の面、この三つを挙げたわけでございまして、私ども適正、確実の判断基準、ポイントとしてはこの三つということになろうかと思っております。
○関嘉彦君 これを判断するのは都道府県でございますね。そうすると、あるAの県ではパスしたけれどもBの県では「適正かつ確実」の基準に合わない、そういうケースが出てくるわけですか、それとも農水省として一定の解釈基準を示されるわけですか。
○政府委員(関谷俊作君) これは改正法施行の際には私どもとして解釈基準を通達するつもりでございます。それに従いまして各県で適正に判断していただいて、御指摘のような特別の県が緩い、こういうようなことのないように指導してまいりたいと思っております。
○関嘉彦君 そうであれば、これは「都道府県は」というふうにせずに、農水省なり国がというふうにはっきり書かれた方が問題がないように思うんですけれども、どうですか。
○政府委員(関谷俊作君) これを確実に認める主体は都道府県でございますので、法律上はそう書いたわけでございますが、法律の施行の適正を期するということで、法律によって都道府県が処理する事務について農林水産省が指導する、こういうような考え方になっているわけでございまして、国があるいは農林水産大臣が直接認めて原原種、原種の指定をするわけじゃございませんので、そういう意味で法律上はやはり都道府県の判断、都道府県が認めると、こういうことになるわけでございます。
○関嘉彦君 その基準に合えば外資系の企業でもこれに参入できるという話は、今の下田さんの質問で大体わかりましたから、ここでは同じ質問は繰り返しません。 それから重複しております検査の問題。種子法第四条第二項の種子としての生産物審査と農産物検査法第三条の商品として流通する種子の検査とで重複する点があるんであれば、今後それを重複しないようにしていくと、そういう御答弁があったんですけれども、それでよろしゅうございますですね。
○政府委員(関谷俊作君) これは従来まことに運用上の問題としては問題だったわけでございますが、検査項目の重複がございまして、両方の検査が、生産物審査と農産物検査が同じ項目について適用されていたということがございますので、先ほどもお答えしましたとおり、両方の検査項目の調整をしようと、こういうことを考えておりまして、例えば病虫害粒とか雑草種子の混入とか、あるいは発芽率というような非常に種苗的な面の項目については生産物審査の方で行うということにいたしまして、農産物検査の方では従来からやっております量目、包装、容積重等々を実施するということでございますが、その中で既に生産物審査の方で合格になりました項目については、それを審査上確認しまして省略するということで、二重検査を排除するという方向で運用してまいる考えでございます。
○関嘉彦君 今度は種子法の第三条で、これも既に午前中からの質問もあったんですけれども、ちょっと聞き漏らした点がありますので、もう一度確認の意味で繰り返しになりますけれどもお答え願いたいと思います。第三条では、都道府県の指定種子生産圃場の指定に当たって「あらかじめ農林水産大臣が都道府県別、主要農作物の種類別に定めた種子生産は場の面積をこえない範囲内において」、この条文だけ読むと、あらかじめ農水大臣がちゃんと最高限を決めておいてそれを割り当てしていくというふうに読めるんですが、何か実際はそれぞれの都道府県で決めてそれを積み重ねていく、そういうふうな趣旨に聞いたんですけれども、それは間違いございませんですか。
○政府委員(関谷俊作君) 法文上は書いてございませんけれども、運用としましては、県でもって調整しまして、県の一種の申請というか申し出に基づいてこの面積を定めているということでございまして、これからもそういうことは必要であろう。もちろん、その全国的な調整を行っておるのは農林水産省でございますので、県の申し出を必ずいつでも丸のみにするというわけではございませんで、必要がございましたらその決定までに調整してそれでこの面積を定める、こういうことにいたしたいと考えております。
○関嘉彦君 都道府県がその圃場面積を算定する場合に、今度民間会社が新たに新規に参入することになったわけですけれども、その場合に既存の市町村なり農業団体の委託を受けた圃場と競争になるんじゃないか、シェアの争いになるんじゃないかということが考えられるんですけれども、既存のものを減らして新規の民間の会社に割り当てることになるんですか、それとも既存のものの上にプラスアルファという形でその民間の業者の参入を認めるということになるんですか、どちらですか。
○政府委員(関谷俊作君) これは全体の種子の需要量というものをどう見るかでございまして、現在、特に生産調整も実施しておりますし、全体として見ますと需要量がふえるという状況ではございません。したがいまして、民間から出てきた種子生産がございますると、従来との比較におきましては、その分だけ農協系統のものが減るということにもなるわけでございますが、その調整をまさに決定以前の段階で、民間育種のものについて、民間の品種についてどれくらい需要があるか、こういうことを把握しまして、当然前提としては一種の競争があるといえばあるわけでございますが、それを調整した上で全体の面積を決めると、こういうことになるわけでございますので、内容的には民間の進出した分だけ従来系統のものが結果として減るというか、あるいは伸びが抑えられるということは生じ得るわけでございます。
○関嘉彦君 民間のものと競争させるためにはある程度プラスアルファして、もっともそのプラスアルファの額が余り大きいと需給のバランスが崩れてしまうわけですけれども、ある程度ふやしてしないと本当の競争にならないんじゃないですか、既存の枠を減らすだけでは。
○政府委員(関谷俊作君) 需給調整になりますと、一年に使う必要な種だけつくるというわけじゃなくて、いろいろ在庫として、あるいは災害の場合の準備の分とか、そういう多少余裕を見込む点もございますので、ぴたり需給を全く一年の必要な数量そのもので決めるわけでございませんけれども、全体的なやり方として、民間育種がどのくらい出てくるかでございまして、民間分を必ず上乗せして決めなければならないということにならないんで、需給安定のためには総体の需要量の中で民間分にどのくらい需要があるかという、はめ込みと申しますか、調整、こういうことを行った上で面積を決めることにすべきではなかろうかと思います。
○関嘉彦君 その調整がうまくいくかどうかいささか疑問に思っておりますけれども、それも見解の相違と言われればそれまでですから、次の問題に移ります。 種子協会は各府県に大体において一つずつ設けられていると聞いておりますが、種子協会の法人格については先ほど質問がございましたのでお答えいただいたことでわかりました。 それで、新しく参入する民間企業が指定種子取扱業者に指定されるためにはこの種子協会に加入することが条件になるわけですか。あるいはAの県で種子協会に入ってないことをしんしゃくして、Bの県においては種子協会に入ってないからこれを認めない、そういうふうなことがあるわけですか。
○政府委員(関谷俊作君) 種子協会への加入を何らかの意味で条件にするということは全く考えておりません。従来もそういう条件を設けておりませんし、民間の場合には種子協会に入らなければあるいはこちらも指定をしないとか、こういうようなことは考えておりません。 ただ、先ほど櫻井参考人の御意見にもあったわけでございますが、種子の需給安定ということになりますと、できるだけ民間の方にも種子協会にお入りいただいて一緒にこういう種子の問題について協議する、こういう場としての種子協会は必要であろうと思いますので、これはあくまでもお勧めするという意味で考えるべきことだと思います。
○関嘉彦君 これも先ほど下田委員の質問があったんですが、私、ちょっと外に出ましたので答弁の方を聞き漏らしたんですが、現在の種予価格は、種子協会が一定の価格算出方法によって最低買い入れ価格と最高配布価格を決めて県知事がそれを承認するという形になっているわけですか。
○政府委員(関谷俊作君) 現在の運用はそのとおりでございます。
○関嘉彦君 そうすると、今後、民間の会社なんかで、値段は非常に高い、品質は非常にいい、そういうものをつくった場合にこの価格帯の中におさまり切れないようなものが出てくるんじゃないかと思うんですけれども、その場合にはこういった価格の県知事承認制度というのは全然なくなるわけですか。もしあるとすれば、どういう基準でそれをつくられるか。
○政府委員(関谷俊作君) これは民間の方が種子協会にお入りになって、それで種子協会の場で種子協会として今のお入りになった民間分も含めて価格決定をしよう、こういうことになりまして、そういう自主的にそうなりますこと自身まで排斥することはないと思いますけれども、一般的には民間事業者の方が種子協会に入っても価格まで足並みそろえて決めるのはなかなか難しいんじゃないかという感じを持っております。 したがいまして、種子協会の方が従来の農協系統組織の扱うものについて決めていると同じような意味で農協系統のものについて種予価格を今後も決めていくということまでやめろというふうには私ども申せないと思いますけれども、しかし公式な意味での知事の承認制というのは、別の系統が出てまいりますとなかなか承認制を続けていくことは難しい、こういうような考えを持っております。
○関嘉彦君 そうすると、その知事の承認制というのは将来は廃止するというお考えでございますか。
○政府委員(関谷俊作君) 現在の考え方としては、廃止するような方向に行くんじゃないかということで、すぐに廃止するかどうかは別としましても、自主的な意味での価格決定、農協内部での価格決定、こういうものはやれるわけでございますが、知事が関与した形で承認というようなことでの価格決定というのは民間参入が出てまいりますと難しくなるということで廃止せざるを得ないだろう、そういう時期が来るだろう、こういうふうに考えております。
○関嘉彦君 次に種苗法関係に移りまして、品種登録のための審査体制が非常に貧弱であるということを塩出委員から指摘されて、その返事は聞き漏らしたんですけれども、何かその面積なんかも非常に狭いし、職員の数も非常に少ない。それは指摘されたとおりでございますか。
○政府委員(関谷俊作君) それはそのとおりでございまして、塩出先生もお挙げになりましたように、ヨーロッパ諸国でこういう品種関係は独立の役所になっておったりするぐらいのところもあります。また相当の人員、専門家と圃場とを持っておりますが、我が国の場合には、本省にあります品種の審査官と、それから非常勤の形で学識経験者の方に調査員を委嘱してお願いしておりますが、全体としては規模は非常に小さい、また圃場についても、種苗課の分室というのが、これは筑波と大阪と久留米と三カ所にございますけれども、いずれも比較的小さな規模のものである、こういうことが現状でございます。 そのときお答えしましたのは、そういう現状でございますが、ことしの十二月に種苗管理センターというものをつくりまして、既存の茶、バレイショ、それからサトウキビという農場が全国で十三ございまして、北は北海道から南は沖縄までございますので、それぞれの立地条件を生かしてこういう品種登録の栽培試験の業務に従事させよう、こういうことで新しい体制をつくり、またその本部は、筑波にございます今の種苗課の分室を本部にしまして、ここでいろんな技術面の調査も行いながら、全体の栽培試験、この辺のところを強化したいと考えておる次第でございます。
○関嘉彦君 今後もっと強化していただきたいと思います。 それに関連して、これは新聞の記事で読んだ問題ですけれども、ヨーロッパ諸国から新しい品種登録の審査の国際協定を結びたいという申し出が相次いでいるというふうに書いてあります。相次いでいるかどうかわかりませんけれども、例えばお互いに自分の得意な分野について審査を分担し合おう、オランダであれば例えばチューリップならチューリップ、日本で開発したやつでもオランダで審査するとか、野菜なんかは日本でやるとか、そういった、国際的な審査協定、これは今までなかったにしても、今後はそういう申し出が起こってくるんじゃないかというふうに考えられるんですけれども、それに対して農水省の対応、どういうふうに考えておられますか。
○政府委員(関谷俊作君) これは現在行われています新品種登録の審査事務の国際的な一種の協力でございますが、これは植物の品種保護に関する条約、いわゆるUPOV条約に加盟しておる国の間で、その同盟活動の一環として審査協力というのが行われております。例えて言えば、ドイツの例を挙げますと、相手国、四国からの要請で、実際には八カ国を相手にして三十六種類の植物について二百七十二件の協力をしているというのが八三年七月から一年間の実績でございまして、その他各国ございまして、大体ヨーロッパ諸国の間の協力が多いようでございますが、イギリスあるいはニュージーランド等にも一部ございます。 我が国との関係でございますが、昭和五十七年にこのUPOV条約に加盟して間もないことでございますので、従来はこの審査協力には参加しておりません。しかし、まさに今お尋ねのございましたように、日本でもだんだん出願件数がふえてまいりましたし、それから日本と外国との間で新品種の出願が相互に行われるという、こういうこともございまして、欧州の関係国からは審査協力への参加要請が確かにございます。ただ、非常に現在難しいのは、気象条件を異にしておったりしまして、それから日本の方も今ようやく先ほど申し上げました種苗管理センターの設置等によってこの辺の審査体制を整備するという段階でございますので、従来は非常に応じがたいような状況だったのでございますけれども、これからはこういうことが、国際的な技術の交流とかあるいは審査事務の迅速化とか、あるいは審査情報の集中化と申しますか、いろんな面で望ましいことだというふうに考えておりますので、これからこの辺の問題については前向きに取り組まなきゃいけない、かように考えております。
○関嘉彦君 わかりました。現在直ちにそれに応ずることはできないにしましても、将来こういったふうな問題は、国際的に協力できる面はできるようにした方がお互いの利益のためじゃないかと思いますので、そのことを希望しておきます。 まだ持ち時間が余っておりますけれども、私が質問しようと思ったことはみんな前の議員が質問されましたので、同じことは質問しない主義でございますし、皆さんたちも大分お疲れのようでございますので、人道主義的な配慮から、これで質問を打ち切ります。
○喜屋武眞榮君 私は、本委員会でたびたび農は国のもとであるということを述べてまいりました。その国のもとである農、農のもとは種子である、だから種子はまた農のもとである、こういう認識に立って、これから特に改正法の要点に結びつけて、そして私のまた要望も織り込んで質問をいたしたいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。 まず、大臣にお伺いしたいんですが、世界の主要な穀物と申しますと、何と申しましても麦あるいは大豆、トウモロコシ、稲、こういうふうに絞られると思うのであります。ところで、この小麦はヨーロッパにおいて企業が中心となって多収穫をねらって争っておる、主導性を握っておる。それから大豆とトウモロコシはアメリカ企業が中心となって優秀な品種を占めようとして頑張っておる。ところが稲については、米と言えば一応我々は日本というイメージを持っておるわけなんですが、米の優秀性ということについてはむしろ世界各国が今争って力んでおる、こういう状態じゃないかと私は認識しておるんです。 そこで、我が国の、日本の米に対する、取り組む姿勢といいますか、諸外国と比べて、新しい品種を開発していくとか、あるいは遺伝資源の確保をするとか、あるいは種苗産業の活動、こういった面から、実情がどのようになっておるのであるか、どのように、また考えておられるのであるか、そのことをまずお伺いしたいと思います。これは基本的な問題ですので大臣に。
○政府委員(関谷俊作君) 状況でございますので私から先にお答え申し上げます。 特に稲を中心にしまして新品種開発とか、種苗産業の状況でございますが、全般的には、稲については、日本の場合には新品種の開発、それから種苗のいわゆる種子の生産、いずれも国内で大体処理するということでございまして、国際的な水準の比較というのはなかなか難しゅうございますが、日本のような一つの特別の気象条件で、また日本のような独特の米の嗜好、品質嗜好を持っております国に向きますようなそういう稲の開発については、大変歴史も古うございますし、そういう新品種開発の中で種子の生産についても専ら国内で行うということでございまして、我々の考え方としましては、外国から稲の品種なり種子なりを日本が取り入れる、こういうようなことはこれからも考えられないのじゃないか、またそういうことがないように日本の品種開発なり種子生産をしっかりやっていかなきゃいけない、かように思います。 なお、ただ育種の問題としては、これはあるいは技術会議の方からお答えがあろうかと思いますが、これからの稲の特に超多収品種の開発等につきましては、外国の稲を使いまして、それを日本向けにいわば改良していくというような、そういう外国の品種を育種の過程で使う、それで日本に合った稲をつくる、こういうようなことについては新品種開発面で今積極的に取り組んでおるところでございます。
○喜屋武眞榮君 次に、この改正案によりますと、優良な種子を生産することのできる民間事業者も、今度の改正案の中には主要作物の種子の生産の分野に参入し得る道が開かれたということがうたわれております。そうしますと、民間事業者の活躍の場を与えることは、これはまことに新しいアイデアで間口が広くなったと思うのですが、しかし国民の主要作物、しかも国の責任において安定的に供給するという責任の立場からしますと、主食である稲、麦、大豆、この種子の開発で、もしそこにうまくいかないことがあった場合に、果たして改正の目的が十分達せられるだろうかと、こういう不安もあるわけなんです。そういう不安の立場から、民間参入をさせるということの可否といいますか、一体反間参入をさせるということをどのように考えておられるのであるか伺いたいのです。
○政府委員(関谷俊作君) 今回、法律改正によりまして民間の種子生産の道を開くわけでございますが、基本的に私どもまず品種の開発、いわゆる育種の問題として考えますと、稲、麦、大豆もほぼ同様であると考えますが、特に稲、麦については国と県の育種というものの責任は依然として従来と変わらない。現実にも実際に流通しているものは大体国や県の公的研究機関で育成した品種が生産されているわけでございます。また種子生産の面においても、従来からやっておりますような県が原原種、原種を生産する、それからそれを受けまして主として農業団体系統で種子生産を担当していく、こういう基本的な仕組みも変わらないというふうな前提で法律案をつくっておる次第でございます。そこで、民間の問題については、私どもとしては、現在の制度が今申し上げましたような前提の中で、簡単に言えば制度的に、法律制度で民間の種子生産の道を全く閉ざしている、こういうことはいかがであろうか、民間の方でいいものができるならば民間も頑張ってやってみたらどうか、こういうような道を開くというような感じで考えているわけでございまして、民間の方からしますと、法律制度で道を閉ざしているからやれないんだ、こういうような批判、不満というのがあるわけでございまして、それならば道を開いていくからやってみろと、こういうようなのが率直な感じではなかろうか。こう思いましてやっているわけでございまして、積極的に民間に基本的な農作物について、種子生産あるいは品種開発について何か荷物を乗せる分担しろと、こういうような意味まで考えているわけではございません。
○喜屋武眞榮君 プラスになるという前提で参入されたということはよく理解できますが、しかし企業人が企業の利益のためにという立場から考えた場合に、何かしらそこに不安を感じざるを得ないんです。 次に、国と都道府県が、稲と麦、大豆という主要作物について、試験研究機関を中心にしてずっと長い歴史の中で明治以来優良種子の開発に努めて、さらにその生産と流通の推進に力を尽くしてきたということは、これはもう過去の足跡から十分知れるわけなんです国民にとって欠かすことのできない食糧を生産する農業は我が国の重要な柱であるということも今さら申し上げるまでもありませんが、そういう考え方に立って、先ほど申し上げましたように、種子は農業生産にとって不可欠の基礎資材である、農のもとであるということを言ったわけであります。そこでお聞きしたいことは、国と都道府県が種子の分野でどのような施策を行ってきたのであるか、また今後どのように進めていこうと考えておるのであるか、その点について伺いたい。
○政府委員(関谷俊作君) 主要農作物関係で申し上げますと、国、県の役割ということでございます。第一にはこれは法律の中の問題ではございませんけれども、先ほども申し上げましたように、主要農作物の育種という面では、従来どおり国や県がリードする役割を果たすということで、今後も育種については国、県が実際上中心になってやっていく、こういうようなことで、今後とも品種の改良を進めてまいりたいと、これが第一点でございます。 それから制度の中に即して申しますならば、まず県が奨励品種を決定する、これは大変大事なことでございまして、実際に農家の方がおつくりになる主要農作物については、県として、我が県ではどういう品種がいいのか、どういうものを奨励するのか、これは十分な試験、調査に基づきまして奨励品種を決定する。 それから原種、原原稲の生産については、これは今回の改正後も従来どおり県が原種、原原種の生産は行う。ただ、民間の方で適正確実に原種、原原種の生産が行えるものがあったらその道を開いて、それについては指定をし、また審査を十分にして適正にやらせると、これが第三番目の点でございます。 それからいわゆる採種段階の種子の生産自身につきましては、従来と同じように農林水産大臣が定めた面積の範囲内で岡場の指定をして、その圃場について生産物審査、圃場審査を行う。こういうことで従来の制度の枠組みにおける国や県のいわば主導的な役割は維持していくということで考えてまいりたいと思います。
○喜屋武眞榮君 次にお聞きしたいことは、熱帯植物を中心とした遺伝資源の問題についてお尋ねしたいんです。最近地球的な規模からも熱帯林が急速に消えつつある、崩壊しつつある。申すまでもなくこの地域には有用な植物も豊富で植物遺伝資源の宝庫と呼ばれておる。日本としましても熱帯植物の遺伝資源の確保に努める必要が当然あると思うわけです。それは熱帯植物だけじゃなくして、他の植物についても同様であるというわけですが、ところが、一方では国際的な視野から見た場合に、植物遺伝資源を国外に持ち出すことを制限するという植物遺伝資源の分野におけるナショナリズムと申しますか、こういった物の考え方に立ってブラジルあたりではそのような方向に行きつつあるということを聞いておるわけです。そこでお尋ねしたい点は、我が国は諸外国に比較して植物遺伝資源の保存点数についてどうなっておるのであるか、あるいは今後の方針としてどのように考えておるのであるか、そのことを明らかにしていただきたいのです。
○政府委員(櫛渕欽也君) まず我が国の植物遺伝資源の確保の現状を申し上げますと、約十二万三千点でございまして、諸外国の中で特にその遺伝資源を豊富に保存しております米国が三十四万点、それからソ連が三十五万点、それから中国が三十万点、こういった大国に比べまして必ずしも十分でないということでございます。 こうしたことから植物遺伝資源の今後の確保の方策でございますが、先生の今御指摘のありましたように、植物遺伝資源の宝庫、まさに熱帯、亜熱帯におきまする資源確保の面でのいろいろな情勢が厳しい状況にあるわけでござますが、特に資源ナショナリズムの問題等に関連しまして、我が国として特に今後力を入れていきたいと考えておりますのは、国際的な技術協力あるいは研究協力、こういったことを基本に据えながら遺伝資源の確保を進めること。それから国際機関でございまする国際植物遺伝資源理事会というのがございますが、こういった国際機関の活動を通じていろいろな熱帯、亜熱帯の国々と協力した形での遺伝資源の確保に努力する。そういうことでございまして、さらには我が国として、これはJICAの事業の中で既にタイ国あるいはバングラデシュ、こういうところでは日本の供与によりましてかなり立派な種子貯蔵施設を供与してございます。さらに今後スリランカ等にもそういったことで計画があるように聞いておりますけれども、こういった熱帯、亜熱帯の遺伝資源を豊富に持っている国の中に国自身がそういった資源を確保できる体制を我が国として大いに支援しつつ、そういった国の中で一緒に資源を確保しながら我が国にもそういった遺伝資源をいただいてくる、そういうような方針でやっております。
○喜屋武眞榮君 十分理解を深めたいんで少し物足らぬ気がいたしますが、次に進んでまいりたいと思います。 次は、熱帯植物に関する遺伝資源の収集あるいは保存体制の強化という観点から聞きたいんです。申し上げるまでもなく、熱帯植物の中には大変有用なものがたくさんあると言われておるとおりで、主なる先進国もその収集あるいは保存に懸命の努力を払っておる。我が国においても欧米諸国に負けないように努力はしておられると思うんですが、特に国土の狭い、そうして人口の欄密な日本においては余計このことに関心を持つべきではないだろうか、こう思うんです。この場合、熱帯あるいは亜熱帯の植物をどのような地域で栽培、管理するかという問題についてでありますが、まあ我田引水のそしりを免れないで恐縮でありますが、気候の上からもあるいは土壌の上からも私はこの日本をずっと眺めてみましても私の沖縄が最適地ではないだろうか、このように自負しておるわけなんですが、いかがでしょう、この点は。
○国務大臣(山崎平八郎君) お答えいたします。 先ほどからパイナップル、サトウキビの話も出ましたけれども、私も何度か沖縄に参りましていろいろ非常に特殊の農業をよく見聞してまりました。そこで植物の遺伝資源の確保ということは品種改良等の基盤となるものでもありますし、我が国農業の発展を期するためには極めて重要だと考えております。このため、現在、農林水産ジーンバンク事業として、全国各地にある試験研究機関、原原種農場等の機能や立地条件を活用いたしましてその確保に努めております。特に、熱帯、亜熱帯の植物遺伝資源の確保については、熱帯農業研究センター沖縄支所の機能の充実に合わせまして、沖縄さとうきび原原種農場におきましても遺伝資源の保存機能の充実を図ることといたしております。またジーンバンクの一層の充実を図るため、熱帯、亜熱帯を中心とする海外遺伝資源について国際協力を積極的に進めつつ、その導入に努めているところでございます。今後ともこうした対策のもとに植物遺伝資源の確保に努めてまいる考えでございます。
○喜屋武眞榮君 ひとつよろしくお願いいたします。 ところで、我が国のこの問題に取り組む姿勢は、より効果的により実績を上げていくという点から一応基本的には考えられておりますが、いわゆる産・官・学、産と官と学の一体の実を上げておるかということについてはまだ満足できる状態ではないと思うわけなんです。この点ではアリメカやソ連に比べてはるかに遜色がある、追っつかない状態にある、こう思うわけなんですので、どうかこの点、産・官・学の協力体制を名実ともにひとつ実らせていってもらいたい、こう思うわけであります。 次に、またこの沖縄に結びつけて要望したいんですが、沖縄農業における国の果たす役割、これは決してセクト的な考え方で私申し上げるのではなくて、日本国土の開発の一環という立場から沖縄をまずとらえるという、こういった観点から、沖縄は亜熱帯地域である、そうして我が国における熱帯農業の中心地域である、その沖縄で生産されておりますサトウキビとかあるいは花弁、野菜、果樹等は、だんだん沖縄の開発にマッチして消費者の嗜好も高級化している、多様化する状況になりつつある、ますますそのニードが高まってくるわけであります。ところで、この生産性を向上さしていくという面から考えなければいかぬことは、病虫害の問題、それからその種類を増加させるという広がりの問題、そして高まる消費者のニードに十分にこたえていく、この沖縄農業の特殊性を最大限に引き出すための施策にますます国として責任を持って取り組んでいただきたい。繰り返すようでありますが、沖縄県民のためにということは、これは結果的には言うわけでありますが、一億二千万の国民の立場からとらえて国土開発の一環という観点から沖縄の特殊性を大事にしていただいて切り開いていただきたい。こういうことで熱帯植物の品種改良を推進するために国はどのような施策を行ってきたか、また今後はどうあるべきか、今までのお答えの中でもある程度理解できるわけでありますが、重ねてもう一遍この点を理解したいと思います。
○政府委員(櫛渕欽也君) 沖縄県におきまして大変重要な地位を占めておりまする作物でありますサトウキビでありますとか、パイナップルでありますとか、そのほか野菜等につきましての品種改良につきまして、現在の取り組みの状況をまず簡単に申し上げたいと思います。 まず、サトウキビでございますけれども、これにつきましては、九州農業試験場と鹿児島県、沖縄県、各農業試験場で分担、協力しながらその品種改良に当たっておるわけでございまして、この品種改良をさらに補強する手段として現地で選抜する仕組み、現地選抜圃というものを昭和五十三年に宮古島に、さらには五十五年に徳之島に設置をいたしましてその育種の強化に努めておるところでございます。 次にパイナップルの品種改良でありますけれども、これにつきましては、沖縄県農業試験場がその育種を実施しておりますが、熱帯農業研究センターの沖縄支所におきましても、諸外国から多様なパイナップルの遺伝資源の収集を行いまして、そこで有用ないろいろな特性の調査をしまして、沖縄県の試験場の品種改良の素材として提供する、そういうような関連の研究を行っております。 野菜でございますが、これにつきましては、特に夏季の野菜不足に対応する一つの方向で新しい野菜の開発を試みておりまして、最近シカクマメを導入しまして、それを特に沖縄あるいは我が国の暖地に適応性のある品種に改良しております。これは新品種として石垣一号という系統名のものを育成したところでございます。 サトウキビにつきましても、今年度NiF4という沖縄県に非常に適応します大変優良な新品種を開発している次第でございます。 こうしたことからこういった亜熱帯作物の育種に力を入れているわけでございますけれども、今後は特にバイオテクノロジーを活用した方向も加味しまして、具体的には熱帯農業研究センター沖縄支所で既に組織バイオの技術をパイナップルの育種に適用して、新しい成果を期待しつつ研究を進めておりますけれども、特に六十一年度から二十一世紀を見通したハイテク植物育種に関する総合研究というものを、こういった大型のプロジェクトを国としても始めることにしておりまして、こういった研究の成果を今後の熱帯、亜熱帯作物の育種にも大いに活用してまいりたいと考えております。
○喜屋武眞榮君 今のに関連いたしますが、この熱帯植物に関するバイオテクノロジーの問題に触れたいと思うのであります。沖縄では亜熱帯性気候を生かして、御承知のとおりバナナ、パパイヤ、マンゴー、グァバ、レイシ等熱帯果樹が栽培されており、さらにまたこれが広がりつつあります。それにことしの二月に大変みんなが喜んでおりますのがミカンコミバエの根絶が宣言されたこと。沖縄農業の重要性が日々高まりつつある、こういうことでございますが、そこで今後は生産性の向上あるいは作物種類の増加、さらに台風銀座とも言われておりますが、台風に対する耐久性が課題になると思うんです。バイオテクノロジーが万能ではないと言いながらも、熱帯植物の品種改良に力をぜひ注いでいただきたい。 そこで、熱帯植物を初め植物全体に関するバイオテクノロジーについて、その実情と今後の方策について伺いたい。
○政府委員(櫛渕欽也君) バイオテクノロジーの研究開発についての現状でございますけれども、大変研究の領域が広うございまして、既にもう実用化されておりまする組織培養を中心といたしました、例えばイチゴ等のウイルスフリーの研究、あるいはその他果樹等のウイルスフリーの種苗増殖とかいろいろあるわけですけれども、そういった面から、さらには先ほどの組織培養を利用した育種、あるいは細胞融合あるいは組みかえDNA、基礎的な研究段階を含めて非常に幅が広うございます。国といたしましては、現在筑波にございます農業生物資源研究所、これをバイオテクノロジー研究の中核機関といたしまして、さらに専門研究機関としては野菜試験場とか果樹試験場いろいろございますが、こういった専門機関、さらには地域にありまする農業試験場、こういったところのバイオテクノロジーの研究体制を現在強化しつつございまして、全体としてハイテク、特にハイテク育種に力を入れてまいりたいと考えているわけでございます。 先ほども申し上げましたように、六十一年度から国の大きな組織研究といたしまして、「ハイテク育種二〇〇〇年」と銘打ちました中で、一つはバイオテクノロジーを利用した植物育種の研究をプロジェクトとして始めたいと思っておりますし、もう一つは、全国各地域で非常に最近活発に行われております、地域の生物資源の開発という観点からのハイテクを組織的に支援する、そういった観点から地域ハイテク研究開発の促進、こういった新しい事業を取り上げてまいりたいと考えておるところでございます。
○喜屋武眞榮君 時間も差し迫ってまいりましたので、結びの質問にいたしたいと思います。 我が国の品種登録のための体制と申しますか、種苗の分野においては、このバイオテクノロジー等の新技術の開発の著しい進展に伴って、国、都道府県等の公的機関のみでなく、民間事業を含めて積極的な技術開発と品種改良が進められてきておる。このためばかりでなく品種登録の出願件数も急にふえてきつつある。ところが現在は、諸外国に比較して著しく低位にあると統計は示しておりますが、この品種登録のための体制の実情は現在どうなっておるのか、今後どのように改善する必要があるのかということをはっきり理解したい、これは将来のためにもどうしてもこの辺を具体的に掘り起こしていかぬといけないのじゃないか、こう思うがゆえにお尋ねしまして、時間が参りましたので終わります。
○政府委員(関谷俊作君) 品種登録に係る審査体制を中心にしてのお尋ねでございますが、現在は確かにこの辺の体制が不十分でございまして、本省も含めまして品種の審査官が十人と、それから学識経験者と十人余りの方に現地調査を委嘱する、こういうような体制でございます。今回ことしの十二月を期しまして種苗管理センターというものを設置しまして、これまでございました本省の種苗課の三カ所の分室と十三カ所の農場、これはお茶、バレイショ、サトウキビでございますが、これら農場を統合しまして一つの種苗管理センターとして本部を筑波に置く、こういうようなことで考えております。 この全体の体制の中で、北海道から沖縄まで農場が分散してございますので、そういう体制を十分に活用しまして植物の品種登録の審査関係のいわゆる栽培試験を中心にした審査と、それからお尋ねの中にもたびたびございました遺伝資源の収集保存、この両面を中心にしまして大いに業務を拡充しまして、全体として日本の種苗行政の遺憾なきを期する意味でこの十二月から拡充し、さらに今後この種苗管理センターを中心にしまして行政面で十分対応するようにしたいと思っておりますし、また筑波の段階では、ここにございます試験研究機関との連携を密にしまして、いわゆる種苗の関係の業務に必要な技術的な面についても開発を進めていく、こういうことで対処したいと考えております。 —————————————
○委員長(成相善十君) 委員の異動について御報告いたします。 古賀雷四郎君及び板垣正君が委員を辞任され、その補欠として吉村真事君及び松岡満寿男君が選任されました。 —————————————
○委員長(成相善十君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を、明らかにしてお述べ願います。
○下田京子君 私は日本共産党を代表し、主要農作物種子法及び種苗法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。 今回の改正案の中心点は、米、麦、大豆という主要農作物の種子の生産及び販売に民間事業者の参入の道を開くもので、問題は、参入しようとしている民間事業者が住友化学、三菱化成、麒麟麦酒など大手化学・食品メーカーであることです。これらの企業は、巨大な資本力と長期的戦略でバイオテクノロジー等を駆使した新品種開発を行い、日本国内はもとより世界の種子市場への進出をねらっております。 今回の法改正は、こうした大手企業の要求にこたえたものであるというのが最大の特徴です。このことは、財界の団体である経済同友会や大手化学メーカーで構成する日本化学工業協会が主要農作物種子法の見直しを提言し、特に、日本化学工業協会の提起した具体的な制度改正内容がほぼそのまま今回の改正に取り入れられたことを見ても明らかです。言うまでもなく、米麦等は我が国農業の基幹作物であるとともに、国民の基本食糧であり、何よりも安定的な生産と供給が第一義的に求められます。また種子が農作物生産の基礎をなし、生産に決定的影響を及ぼし得るものです。したがって、これまで米麦等の種子の生産、流通については国や県による厳格な管理のもとで、地方公共団体や農業団体の一元的な責任体制のもとで対応してきました。にもかかわらず、今回の改正で大手企業の参入を認めることは、米麦等の種子の安定的な供給体制を崩し、ひいては国民食糧の供給を不安定にするものです。これが反対する第一の理由です。 第二に、現在、国、県によって開発された種子には種予価格に開発コストは含まれていません。また最高配布価格等については都道府県知事の承認制になっております。ところが、民間参入により知事の承認制は廃止され、また民間企業は開発コストを種予価格に織り込むことになり、結局、農家はより高い種子を買わされることになります。 第三に、種子とはいえ、お米の販売に民間事業者の参入を認めることは、カーギル社等の外国巨大資本の進出にもつながり、ひいてはお米の輸入規制という食管制度の根幹に風穴をあけることにつながりかねません。 本来、主食であるお米の安定供給を図るためには、その種子についても、開発、生産、流通にわたって国がしっかりとした責任を果たすことが不可欠です。しかし、今回の改正案は、民間活力の名のもと、お米の種子にまで大企業の利潤追求の自由を保障するものであり、国の責任を大きく後退させるものであります。 以上で反対討論を終わります。
○委員長(成相善十君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 主要農作物種子法及び種苗法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(成相善十君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 星君から発言を求められておりますので、これを許します。星君。
○星長治君 私は、ただいま可決されました主要農作物種子法及び種苗法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び二院クラブ・革新共闘の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 主要農作物種子法及び種苗法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 種苗は農林水産業の最も基礎的な生産資材であり、農林水産業経営の安定と生産性の向上を図る上において極めて重要な役割を担っている。よって政府は、本法の施行に当たり、優良な種苗の安定的供給を確保するための国及び都道府県の主導的な役割を今後も堅持しつつ、最近におけるバイオテクノロジー等による技術開発の進展に適切に対処するとともに、次の事項の実現に遺憾なきを期すべきである。 一、指定種子生産は場の指定対象の拡大及び都道府県以外の者に係る主要農作物の原種又は原原種生産は場の指定に当たっては、優良な種苗の生産が確保されるよう指定基準を作成するとともに、指定後における指導・監督に万全を期すること。 二、奨励品種制度の運用に当たっては、奨励品種の決定基準を農産物の需要の多様化等に弾力的に対応し得るよう作成するとともに、奨励品種決定審査会の構成と運用については、技術の高度化等に対応し、より的確な制度の運用が図られるよう改善すること。 また、奨励品種の決定のための試験については、その水準を維持しつつ、試験方法の改善等に努め、試験に要する期間の短縮を図ること。 三、指定種苗に係る品種の栽培上又は利用上の特徴に関する表示制度については、その対象となる指定種苗の範囲を農業上の重要性を勘案して適切に定めるとともに、需要者が種苗を購入するに当たって、その品質や品種の遺伝的形質を的確かつ容易に識別することができるよう十分に配慮すること。 四、植物新品種の開発、特にバイオテクノロジー等の新技術による開発を推進する上で重要性を増している遺伝資源については、その収集、保存体制の整備に努めるとともに、改良品種の作付けの増加に伴って懸念されている在来品種等の消失を招くことのないよう、特に配慮すること。 五、種苗行政の円滑かつ的確な推進を図るため、行政組織の整備、充実及び関係省庁との連携に努めること。 特に品種登録のための審査体制については、バイオテクノロジー等の新技術の開発に対応して、多様な特性の品種開発の活発化及び出願件数の増大が予想されるところから、これに適切に対処できるよう審査体制の一層の充実を図ること。 六、国際的な新品種開発競争の激化に対処するため、公的機関における主要農作物等の新品種開発を一層促進するとともに、優良な種苗の安定的供給に万全を期すること。 右決議する。 以上であります。 何とぞ委員の皆様方の御賛同をお願いいたします。
○委員長(成相善十君) ただいま星君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(成相善十君) 全会一致と認めます。よって、星君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、山崎農林水産大臣臨時代理から発言を求められておりますので、この際、これを許します。山崎農林水産大臣臨時代理。
○国務大臣(山崎平八郎君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
○委員長(成相善十君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(成相善十君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時十八分散会