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104回国会参議院1986/04/02

農林水産委員会 第5号

発言数
298
登壇者
28
会派数
7
開催日
1986/04/02

会議録

成相善十自由民主党・自由国民会議

○委員長(成相善十君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨一日、稲村稔夫君及び八百板正君が委員を辞任され、その補欠として丸谷金保君及び村沢牧君が選任されました。     —————————————

成相善十自由民主党・自由国民会議

○委員長(成相善十君) この際、御報告をいたします。  去る三月二十八日、予算委員会から、昭和六十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  羽田農林水産大臣から説明を求めます。羽田農林水産大臣。

羽田孜自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(羽田孜君) 昭和六十一年度農林水産予算についてその概要を御説明申し上げます。  昭和六十一年度一般会計における農林水産予算の総額は、総理府など他省庁所管分を含めて、総額で三兆一千四百二十九億円となっております。  予算の編成に当たりましては、厳しい財政事情のもとで、財政及び行政の改革の推進方向に即し、限られた財源の中で、各種施策について、予算の重点的かつ効率的な配分により質的充実を図り、農林水産行政を着実かつ的確に展開するよう努めたところであります。  以下、予算の重点事項について御説明申し上げます。  第一は、土地利用型農業の体質強化を目指した構造政策等を推進することであります。  このため、農業生産基盤の整備につきまして、生産性の向上及び農業生産の再編成に資する事業等に重点を置いて推進することとし、八千六百八十億円を計上しております。また、土地改良事業の促進を図るため、国営土地改良事業の財源として借入金を活用する制度を拡充し、従来の一般会計における国営土地改良事業の都道府県の負担分について財政投融資資金を充てる制度改正を行うこととしております。  また、農用地の有効利用と経営規模の拡大を図るため、新たに構造政策推進会議の設置、農地の改良等に必要な資金の貸し付け等を行うとともに、新農業構造改善事業等関連施策を推進することとしております。  第二は、需要の動向に応じた生産性の高い農業の展開を図ることであります。  このため、水田利用再編第三期対策を引き続き推進し、地域の実態に即した転作の一層の定着化を図るとともに、統合・メニュー事業であります新地域農業生産総合振興対策及び畜産総合対策につきまして、新たな事業種目を追加してその推進を図ることとしております。  また、農業者の自主的な創意工夫を生かしつつ、農業経営基盤の一層の強化を図るため、六十年度に引き続き農業改良資金制度の拡充を行うこととしております。なお、その貸付金の財源に充てるため、日本中央競馬会の特別積立金のうち三百億円を、六十一年度及び六十二年度の二年間に分けて、農業経営基盤強化措置特別会計に特別納付することとしております。  このほか、種苗関係業務を一体的、総合的に実施する種苗管理センターを設立することとしております。  第三は、技術開発の推進等により、農林水産業、食品産業等の生産性の飛躍的向上等を図ることであります。  このため、産・学・官の連携強化による総合的なバイオテクノロジー先端技術の開発を推進するとともに、民間における技術研究を推進するための法人として生物系特定産業技術研究推進機構を設立することとしております。  また、情報化時代に対処して、農林水産情報システムの開発整備を推進することとし、特に六十一年度においては、新たに農村地域等における先駆的、モデル的な情報システム化構想を樹立することとしております。  第四に、農林水産業にいそしむ人々が、意欲と生きがいを持てるような活力あるむらづくりを推進するため、農業・農村整備計画の策定、生産基盤と生活環境の一体的な整備、山村等における定住条件の整備等を推進することとしております。  第五に、国民に健康的で豊かな食生活を保障するため、日本型食生活の定着促進を図ることを基本として、各般の食生活・消費者対策を推進するとともに農林水産物の需給と価格の安定に努めます。  また、食品産業の技術水準の向上や地域食品の振興を図るとともに、食品流通の効率化を進めてまいります。  以上申し上げましたほか、国際協力、備蓄対策を推進するとともに、農林漁業金融の充実、農業者年金制度、災害補償制度等の適切な運営等に努めることとしております。  第六に、森林・林業施策に関する予算について申し上げます。  まず、森林・林業、木材産業をめぐる諸情勢に対処して、その活力を回復させるため、森林・林業、木材産業活力回復緊急対策を実施し、これにより、木材需要の拡大、木材産業の体質強化及び間伐等林業の活性化を推進することとしております。これに要する予算として、六十年度補正予算で四十億円、六十一年度予算で八十億円を計上しております。  また、国土の保全と林業生産基盤の整備を図る観点から、治山、造林、林道の林野関係一般公共事業を推進することとし、二千七百九十四億円を計上しております。  さらに、国産材供給体制の整備、林業担い手の育成確保、松くい虫対策等を推進するとともに、国有林野事業の経営改善を強力に推進することとしております。  第七に、水産業の振興に関する予算について申し上げます。  二百海里時代の定着等に即応した水産業の振興を図るため、漁業生産基盤たる漁港、沿岸漁場等の整備を計画的に進めることとし、一千九百三十二億円を計上しております。  また、我が国周辺水域の漁業の振興を図るため、新たな観点から二百海里水域の開発を進めることとし、産・学・官の連携により「マリノフォーラム二十、」を通じた先進的技術の開発等を推進するとともに、栽培漁業、新沿岸漁業構造改善事業等の推進を図ります。  さらに、漁業経営をめぐる諸情勢に対処して、漁業経営再建資金の創設を初めとする水産業経営対策の充実強化を図るとともに、水産物の消費・流通・加工対策、海外漁場の確保等を推進することとしております。  次に、特別会計予算について御説明いたします。  まず、食糧管理特別会計につきましては、米の政府売り渡し価格の引き上げ、管理経費の節減等食糧管理制度の運営の改善合理化に努めることにより、一般会計から調整勘定への繰入額を二千九百六十億円にすることとしております。また、過剰米の処分に伴う損失を計画的に補てんするため、一般会計から国内米管理勘定へ六百七十七億円を繰り入れることとしております。  このほか、現行の特定土地改良工事特別会計につきましては、前に述べました国営土地改良事業の実施制度の改善に伴い、名称を「国営土地改良事業特別会計」とするとともに、農業共済再保険等の各特別会計につきましても、それぞれ所要の予算を計上しております。  最後に、財政投融資計画につきましては、新たに設立する生物系特定産業技術研究推進機構への産業投資特別会計からの出融資三十八億円を含め、総額八千六百二十一億円を予定しております。  これをもちまして、昭和六十一年度農林水産予算の概要の説明を終わります。

成相善十自由民主党・自由国民会議

○委員長(成相善十君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 水田の利用再編対策に関する問題についてまずお伺いいたしたいと思いますが、従来の休耕転作田等の配分というのは北海道などは非常に多いんです。大体北海道の水田面積の四四・二%ということになっております。北海道の米はまずいまずいというふうな一時キャンペーンが意識的にか行われました。古々米、古古古米にして一番底にとっておいて、何年もたった北海道の米を出してまずいまずいと。しかし最近はそういうことはなくなって、むしろ新しい米であれば北海道米に対する需要も本州方面の各地でも出てきているというような状態に変わってきたと思います。ところが、どうもこういう割合というのは少し不合理でないかというふうに思いますが、ポスト水田対策と言われている次の見直しの段階でもうこれ以上北海道には割り当てをふやさないということを強く要望したいと思うのですが、いかが。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 現在の水田利用再編対策におきます北海道への目標面積の配分の仕方、あるいはそれに伴います転作率の大変な高さについては、丸谷先生の御質疑のとおりでございますが、これは御承知のように、この配分をいたしましたのは、農業生産の地域特性、それから産米の品質、あるいは麦、大豆、飼料作物というような重点的に転作する作物への転作の可能性、こういう点を総合的に勘案して行ったわけでございまして、いわゆるポスト三期の場合にこの辺の問題をどうするかにつきましては、現段階ではまだポスト三期そのものが、その基本的な仕組みなり、あるいは目標面積なり、これにつきまして基本的に検討を要する段階でございまして、これは非常に農業の将来にかかわります問題でございますので、長期的に、また総合的な視点から、また関係方面の意見も十分にお聞きしながら検討して結論を得たいというふうに存じておりまして、こういうような全体の姿の中で地域別の配分という問題が起きます場合にそれをどう処理するか、これも一環として検討してまいることにいたしたいと考えております。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 従来の傾斜配分、非常に不合理だと思うのですが、例えば本州の都市近郊を含めまして、いわゆる兼業農家が非常に多いわけです。農業で主たる生計を立てない農業の収入などというものは幾らでもない、こういうところをみんな同じように考えて、そして北海道へ傾斜配分していますけれども、北海道は専業率が非常に高いのです。ですから、北海道で減反を進めると農業それ自体で生計を立てている者が非常に困る。本州方面の統計から見ましても、農業で特に生計を立てているという率は非常に少なくなってきている。こういうことをもう少し考えていただかないと困ると思うのですが、いかがなんですか。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 水田利用再編対策はいわゆる減反政策という言葉で言われておりますけれども、内容的には、米の需給関係から考えまして、稲から稲以外への作物へ転作をするということでございます。したがいまして、お尋ねのような農業全体の依存度という問題よりも、稲からほかの作物へ転作することが可能かどうか、そういうことが妥当かどうか、こういう基準がかなり中心的になるわけでございます。したがいまして、従来の配分は、先ほど申し上げましたように、稲作としての適地性なり、あるいは稲作以外のほかの作物への転作の可能性、こういう点をあわせて考えているわけでございまして、都市近郊のような場合には、こういう点から見ますと、いろいろ土地条件なり、あるいは市街化区域へ含まれているということもございますので、結果的には北海道ほど高くはないわけでございますが、転作率はやや高い、例えば東京は四〇%近い、こういうような配分になっております。そういう観点がございますので、いずれにしましても、こういう農業への依存度という問題も確かにございますので、ポスト三期の中では、こういう点も含めまして、そういう基準をとることが妥当かどうか、こういうふうな問題も含めまして十分検討いたしたいと考えております。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 これは今までもいろいろ議論されたことだと思うのですけれども、大体都市近郊というのは財産保有的な意味の農業が多うございまして、それに比べて北海道で転作可能ということは——一体それじゃ北海道で転作を可能にしてこういうものに転作せいというふうな指導を農水省としては行っているのですか。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 現在の転作の奨励金の体系の中で、いわゆる特定作物というのがございまして、麦、大豆及び飼料作物でございますけれども、これらのものについては、相当面積的に大きなものを転作しなければいけない。したがいまして、これらのものについては、これは北海道でも相当面積的に大きいものが転作していただかねばならないわけでございますので、いわゆる特定作物として一般のものよりも奨励金を高くする、あるいはそういう作物に集団的に取り組む、あるいはそういう作物を地域ぐるみで組織的に転作していく、こういう場合には奨励金で加算するというような方策によりまして、重点的な作物についてはできるだけそちらの方向へ転作のしやすいような奨励金のいわば厚みをそれにつけておるわけでございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 牧草をたくさんつくらせるといっても、牛乳は制限しているでしょう。大豆も麦も、もう大体ここいら辺でこれ以上つくっちゃいけないというふうなことでしょう。どんどんつくらせることを本当に奨励しているのですか、麦などの場合。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 麦や大豆について、ここらが限度だというようなことは、議論としては、あるいはされているかもしれませんけれども、現在の今やっております政策の中で麦や大豆の転作面積等につきましてアッパーリミットを設けるというようなことは一切いたしておりません。  それから飼料作物の問題でございますが、これも全体として見ますと、いわゆる粗飼料給与率を高めていくという意味では、まだまだ従来の転作面積等による飼料作物の作付状況では足りないわけでございまして、そういう意味で今の現在実施しております水田利用再編対策の中で、これら重点になります麦、大豆、飼料作物については、むしろ奨励金でできるだけやってもらうというようなことで検討しているわけでございます。もちろんポスト三期というようなことになりますと、これから先もそういうようなことでいいかどうか、こういうことは、また転作先の作物の問題として検討する要素にはなるわけでございますけれども、従来のところは、いずれもアッパーリミットを設けていない、こういう状況でございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 水田地帯はもともと酪農地帯でないのですよ、いいですか、牧草をつくれと言っても無理でしょう。無理ですね。それから麦や大豆は、要するにこれ以上つくってはいけないというふうな行政指導をやってない。しかし、これらは輪作を必要とする作物なんですよ。その後に何をつくるのです。一年目麦、いいでしょう、二年目大豆、いいでしょう。あと何つくるのです。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) それは例えば北陸等ではございますけれども、麦と大豆の組み合わせというようなことでやっておりますし、それから一作だけの転作等もございます。輪作というのは非常に望ましいことでございますけれども、全体としては、そういう指導の中で、必ずしも完全な意味での輪作、有効利用が行われているわけではございません。これはひとつこれからの指導の中でそういう作物を組み合わせました作付のいわば輪作と申しますか、そういうことも含めた土地の有効利用を図っていくということが必要であろうかと思います。  また、飼料作物につきましてはい確かに酪農地帯でないところ、あるいは肉牛とか家畜、大家畜を飼ってないところにも飼料作物の作付転作をお願いをしておりまして、そういうところでは、いわゆる粗飼料流通というか、そういう形でほかの地域内あるいは地域間での粗飼料の融通ということをやっていただくこともあわせて指導しながら、これらの転作も進めていかなければいけない、こういうふうに考えております。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 実際のところ、よく実情も御存じで御答弁しているんだと思いますが、北海道は大体今秋まき小麦ですよね。大豆の後に秋まき小麦がやれますか、大豆を収穫した後に。どうなんです。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 私もその辺の事実についてはまだ勉強を要すると思いますが、確かになかなか難しいという状況であると思います。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 どなたでもいいですから、大豆収穫の後に秋まき小麦を入れることが可能かどうか御答弁願いたいと思うんですが。

田中宏尚農林水産省大臣官房長

○政府委員(田中宏尚君) 大豆の収穫期からいいまして、秋まき小麦の播種ということは物理的に困難かと思っております。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 実際にやれますか。物理的に可能だというんですか。

田中宏尚農林水産省大臣官房長

○政府委員(田中宏尚君) 困難ということです。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 不可能と。局長さん、不可能なんです。どうやって輪作をやるんですか、できるというのは。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) これは私、いわば輪作の中心として申し上げましたのは、北陸地帯のようなところで大豆と麦の輪作が行われている、それが転作の一番の優良事例として行われていることを申し上げたわけでございまして、北海道については確かに、麦に限らず、全体として二作ということについては非常に難しいということは事実であろうと思います。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 二作じゃないんですよ。秋まきをとるのは次の年の八月なんです。一作なんです。二作の考え方で北海道に転作を押しつけられたらかなわないです。できないですよ、実際。じゃ小麦を先にやって次の年に大豆をやればいいじゃないかということも言えますね。しかしそれは輪作にはならないです。どうしても輪作の中にはビートだとか小豆だとかバレイショだとかというものを入れざるを得ないんですよ。そうでしょう、それは認めますね。大豆と小麦だけ取り上げて、できるということにはならないでしょう。局長さんがそんなことを知らないはずがないんだね。そういう答弁をされるのは甚だ心外なんです。できないんですよ。認めませんか。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 輪作という言葉の使い方でございますけれども、例えば畑作地帯で輪作と言っている場合には、いわゆる年間二作ではございませんで、大体バレイショ、小麦、てん菜等々、一年一作でもって転換しているものを輪作と称しているわけでございます。したがいまして、二作というのは表作、裏作でございますけれども、これは北海道、東北等については一般的に難しかろうということで、輪作ということになりますと、そういう意味合いであるのが北海道のケースであろうと思います。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 いろんなものを組み合わせていかなきゃ成り立たない畑作農業と、水田のように連作のできるところを休耕して莫大な傾斜配分をしていくと農業それ自体がおかしくなっていく。財産保有的な意味でほかで飯を食えるような二種兼業をやっているところと違うんだ、専業の水田地帯というのは。そういうこともひとつ十分——ほかの問題もありますから、この程度にこの問題はとどめておきますけれども、傾斜配分のときには今度は逆に減らしてもらわなきゃ困りますよ。今、できないことを言っているんだから。それでビートがだめだ、バレイショももう少し少なくせい、いろんなことをやられたら輪作になんかならないんです。これは十分ひとつ大臣、お考えをいただきたいと思いますが、いかがでしょう。

羽田孜自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(羽田孜君) 今お話がございましたけれども、この問題につきましては、道知事さんあるいは道会の皆様方、また北海道選出の各議員の皆さん方からも、転作の量が多いことについて非常に困難な農村の事情は、私どもも実はよく聞かされておるところであります。しかし、大宗につきましては、今局長の方から御答弁申し上げましたように、例えば食味の問題ですとか、あるいは転作が可能な、あるいは転作が割合と効率がいきやすい地域ですとか、そういったものを配慮しながら今日まで配分してきておりますけれども、しかし、この十年間の歩みというものを私ども振り返りながら、今米審の方の一部でも検討していただいておりますし、また私どもの省の中でも今検討を進め、ともかく関係者の皆さん方に本当に理解していただきながら、御協力いただける態勢をつくりながら、秋に向けて一つの方針を固めていきたいというふうに考えております。今先生からお話がありましたことも私たち頭の中に置きながら検討を進めたいと思います。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 それで、まだ審議が始まっていませんけれども、この国会中に種苗法の改正案が出てくるというふうなことで、一応法案を見せていただいたんです。水田の問題について言いますと、例えば今度指定種苗に入りますけれども、既にアメリカではハイブリッド米というふうなものが非常に多収穫で経済効率があるということなんです。しかし、今までは日本ではそういうものは種子法の中で勝手に流通していがなかった。ところが、今度種苗法の中に指定種苗を入れますと、指定種苗というのは、今度は開発者は販売できますでしょう。こういう場合にはどうなるんですか。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 今回の改正の内容でございますが、いわゆる指定種苗という制度は、今回の法律改正に伴いまして加えた制度ではございません。もともとございます指定種苗という制度に若干、対象種苗について、従来の法律に限定列挙されております形態のほかに、政令で必要なものを指定するというふうに改めたわけでございます。  いわゆる種苗の販売という面での規制でございますが、御承知のように、種苗法の中の「品種登録」の部分で、種苗の品種登録の効果が及びます部分については、これは「種苗」というふうにただ書いてございまして、この「種苗」の定義は今回の改正では改めておりません。したがいまして、品種登録制度の効果としての種苗の販売云々、こういう問題については今回の改正は全く関係がないわけでございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 実は、それでこれを見ていて非常に心配なんですが、日本の農業の将来を考えた場合、今貿易摩擦ということで、アメリカからは農産物を買え、買えというふうなことがありますね。しかし、もうアメリカはそういうことよりも大きな経済の戦略上では制度の問題に踏み込んできて、アメリカと同じような制度を、日本だけではなくそれぞれの国に要求して、例えば著作権法によるところのプログラムの問題だとかいうふうに、大体アメリカの制度に合わせるような形にどんどん進める傾向にあります。そうすると、日本にも次の段階で必ず種苗の問題で踏み込んでくる。アメリカの関係筋の間ではそういうことを日本の雑誌なんかにも寄稿している人もいます。そういう状況が来る。そのときに、今のようなこういう種苗法の体系の中では本当の意味の育種家は育たない。そうすると、その点で日本の農業は全くアメリカに種子の問題を頼らざるを得ないところに、もう随分追い込まれてますけれども、さらに追い込まれていく。もうどうにもならなくなってくるのじゃないか。今度は米以下のをそっちに移す。そのうちに今度は制度の改正をアメリカが要求してきてアメリカのような形にしていけというふうになってきた場合に、今のような植物特許の方が発明者の権利は守れるということで私は主張してきましたが、ここまできますと、日本の国内で農水省だ特許庁だというふうなことの争いをやっているうちに全部アメリカに持っていかれてしまうんじゃないか、こういう心配が出てきているんです。そういう点で前からも質問しているんです。  例えばブドウの新しい品種を開発するために何十億という金を農水省はかけたけれども、いまだ一本もできていませんということを一年ほど前に答弁いただいています。それくらい育種あるいは新品種の開発というのは難しい。何というか、天才的なひらめきというか、そういう民間の人たちによっていろんなものができてきているんです。ところが、これの権利が保護されないということでそういうことをやる人がほとんどいなくなってきました。全国見ても、民間で気違いのようになって新しい品種の改良をやっている人なんか幾らもいません、数えるほどしかいなくなったんです。そこへもってきてこういうことになると、大変私は心配されるんで、特にこの問題について、まだ法案の審議が委員会でされておりませんけれども、従来の経緯から見て御質問申し上げたいと思うんです。前置きが長くなりましたが、そういう意味でひとつお聞きをいただきたい。  御承知のように、昭和五年にアメリカで植物特許法ができて、これに刺激されて日本でも植物特許、物それ自体の特許の問題が論議されるようになりました。昭和五年から七年にかけていろんなそういう問題についての論議がなされた中で、経過は省略しますが、農業の発達上特許はできないと、当時農林省の技師がそういう発表をしておるんです。当時は特許庁の方はまだ物それ自体、それは植物だけでなくて物それ自体の特許というのは時期早尚だというふうなことで見送りました。そして戦後、二十二年になっていわゆる種苗法というようなものができてきたんですが、今でも農水省は、農業の発達上特許はできないんだ、植物の新品種については特許の方に任せるわけにはいかぬという考え方は変わらないんですか。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 昭和初期以来のこの辺の制度の検討について先生から大変詳しいお話があったわけでございますが、現在へのつながりはどうかということになりますと、単純に当時の考え方が現在までつながっているということは、これはなかなかないわけでございまして、それは特許法の方もいろいろ変わっておられますし、種苗の開発、流通関係も御承知のように大変変わってきておりますから、昔の考えがそのまま今日まで続いているのかどうか、こういうような問題ではないと存じます。むしろ現状において特許制度についてどう考えているか、こういう特許制度の適用によって新品種保護をやることについてどう考えているかというお尋ねでございますれば、五十三年の農産種苗法改正によりまして現在の品種登録制度を設けました考え方と同じでございますが、植物の新品種の特性ということから考えますと、どうも特許要件を満たすということはなかなか難しい、むしろ特許制度にはなじまないんじゃないかということで植物新品種の特性に応じました保護制度を設けるということが適当であろう、こういうことで法案をつくり、また国会の御審議を経てその実施をしているわけでございます。そういう意味におきますれば、確かに現在の状態において特許制度というものにはむしろなじまない、農業の発達上障害があるかどうかという視点ももちろんございますけれども、それよりも事柄の性質上、植物品種については別の制度で新品種の保護をするということがいいのではないか。こういうことについてはこの五十三年改正以来、私ども変わっておらない次第でございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 特許庁の方ではもう時期尚早ということはございませんね。四十七年にいわゆる植物特許委員会をつくって、それから五十年には審査基準を出しておりますね。特許庁としては、植物は特許の対象としてやっぱりなじまないという今の農水省と同じ見解ですか。

山本庸幸特許庁工業所有権制度改正審議室長

○説明員(山本庸幸君) 特許庁といたしましては、出願が行われれば特許法に定めております新規性、進歩性等の特許要件に照らしまして審査を行いまして、それを満たせば特許を付与するということは従来から変わっておりません。もっとも、今御説明のあったとおり、植物の品種につきまして、従来から植物の特性にかんがみまして特許要件を満たしにくい実情にあるという見方があることは事実でございます。いずれにせよ、特許制度そのものにつきましては、技術立国を目指す我が国にとりまして非常に技術開発の基幹をなすものと考えておりまして、今後とも発明の保護を図るためこの制度の円滑な運用に努めてまいりたいと考えております。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 五十三年のときから私は何回か指摘しているんですが、どんどんと学問が進んでいわゆるバイオテクノロジーの問題を扱わなければならない。従来の考え方で今のようなことができないから、今度の法案の中でも、「バイオテクノロジー等の進展により流通することとなる新たな態様に」対応するためにも法の改正が必要だということを補足説明で言っておりますね。しかし、じゃ実際にこの法の改正でそんなことができるのか。  皆さんもごらんになっていると思いますが、日本経済新聞が「種子ビジネス」という本を書いておりますね。この中でこういうことを言っているんですよ。「戦後できた農産種苗法を改め、時代に合わせて衣替えした種苗法だが、開発者の権利を明確に規定していない。ここが、様々なトラブルを生む原点だ。」ということを言っているんです。いいですか。それからさらに「不服や異議の申し立てができない」。こういうものについては、実は倉方モモのあれなんかでも、要するに、特許の方にも出していますが、そういうふうなものを品種登録で出した場合でも、却下された場合に特許であれば異議の申請ができるんです。そういう点で開発者の権利を保護される道があるんですが、今のこの植物の種苗法でいきますとそれもできない、こうなっているんですよ。そして権利の問題は五十三年に私が指摘したときから一歩も前進しないで、法律的な対応として種苗法は極めて不備な法体系を依然として持っているんです。  私が今お聞きしたいのは、この日経のは何人かで新聞社の人が編集したことですから新聞社が責任を持って出しているんですが、一体、日本経済新聞が勉強不足だからこんなことを書いているのか、どうなんでしょう。そちらにお渡ししてあるので、お読みになっていただいたと思うんですがね。日経新聞社が書いていることはうそですか、どうなんです。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 日経のお出しになっておられますこの「種子ビジネス」という本につきましては、先生の御指摘ございましたので私どももよく検討さしていただいております。全体として申しますならば、第一段の「開発者の権利を明確に規定していない」、こういう点、一般論として申しますならば、これはかねて五十三年の改正のときから丸谷先生が大変この問題等を御質疑になっている点でございますけれども、そのときにも農林水産省の方からずっとお答えしておりますように、いわゆる権利という名前で特許と同じように無体財産権的には構成しておらないけれども、差しとめ請求権とか、そういう問題を通じまして育成をした人の立場というものは実際上保護される、権利と言ってもいいように法的に保護される地位を与えている、こういうことで申し上げておりますので、私どもとしましては、現在の制度による権利という明確な規定はしておりませんけれども、保護の態様で育種者の、育種をしたという育成者の育成の保護という点については一応十分になされているのじゃないかというふうに考えております。  それからもう一つのいわゆる争訟規定と申しますか、異議申し立て、不服の点でございますが、この「種子ビジネス」にも書いてございますけれども、種苗法の場合には特許制度のような法律自体の中に特別のいわゆる争訟規定が設けられておらないことは事実でございます。特許の場合には、特許申請後にその特許申請自体について公開されました場合にも不服や異議の申し立てができる、あるいは特許後についても特別の争訟規定が置かれている、こういうことでございます。種苗法の場合には、これは一般法である、この場合には行政不服審査法に基づきまして異議申し立てができるということになっておるわけでございまして、一般の第三者でございますと、この制度では私どもの施行規則によりまして、出願品種について品種登録をすることが適当であるという状態になりました場合に官報で公表いたしまして、出願が登録要件を満たすものでないという情報を有する方には、その情報提供する機会を与えております。その情報があったにもかかわらず登録がされたということになりますと、その第三者の方は、そういう情報提供した者も含めまして、その登録処分自体について行政不服審査法に基づく異議申し立てをするわけでございます。まあ登録の出願した方自身の拒絶の場合も同様でございまして、そういう意味で一般法による保護は行われておるわけでございますが、特許と同じような特別の争訟規定を設けていないという点については、確かにそういう違いがあるわけでございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 そこのところはよくわかっているんで、御説明は要らないんです。私の聞いているのは、日経のこの文章が事実なのか、勉強不足によって間違った見解を書いているのか、どっちかということなんです。どっちかと聞いているので、そんな長々と要らないんです。農水省としては、日経の書いていることは全然勉強不足だからこの程度のものになるんだというのか、書いているような問題点はあるというふうに理解しているのか、どっちかと聞いているのです。内容の説明は要らないんです、よく覚えていますから。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 間違いであるかどうかという結論の方だけ申し上げますと、まず第一点の「開発者の権利を明確に規定していない」という点は今申し上げましたように、権利は明確に権利という形では規定しておりませんので、それは事実でございます。ただ、「ここが、様様なトラブルを生む原点だ。」と、こういうふうに書いてございますが、私どもはこのことによってトラブルが生まれているというふうには考えておりません。  次に、不服申し立てについては今申し上げましたとおりでございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 そうすると、前段は認めるけれど、トラブルは起きてないということですね。少なくとも新聞社が自己の責任で出している本の中で、具体的なトラブルがないのに、さまざまなトラブルを生むというようなことは書くわけがないと思うんですがね。ないんですね、トラブルは。これは間違いですね。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 「トラブルを生む原点だ。」というふうに書いておられるわけでございますので、新聞社の御判断では、これからも含めてトラブルが生まれる、そのもとになるというふうに判断しておられる。判断はもう書かれた方の御自由でございますが、私どもとしては、この制度がこうであることによってトラブルが生まれていることはないというふうに考えているわけでございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 特許庁の方はどう思っていますか。この文章ですよ。

山本庸幸特許庁工業所有権制度改正審議室長

○説明員(山本庸幸君) 特許庁といたしまして、種苗法の制度に基づくトラブルがあるかどうかはどうもお答えする立場にはないと思いますけれども、ただ特許制度につきまして、御存じのとおり、これは世界共通に確立された制度でございまして、過去百年以上にわたって我が国の産業の発展の基盤となってきたものと認識しております。この意味で、本制度のもとで開発者、すなわち発明者に対しては十分な保護が与えられてきたと考えております。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 実は、種苗法の五十三年のときにも、私は皆さんの御好意で三日間質問させていただきました。しかし、それでも問題点の解明はできないで、結局、国会の会期切れだからということで採決に応じざるを得なくなったんです。今回はそういうことのないように、幸い参議院先議ですから、十分やってもらいたい、バイオテクノロジーの問題、それから権利の問題。私が当時、どうしてそんなに急ぐんだと言ったら、UPOVに加入しなきゃならぬから、もうとにかく早く通してくれ、すぐ加入するんだからと。僕は、このままの法律じゃ、あの当時は無理だよ、加入できないよと言った。それで、アメリカは条件つきで加入しましたね、UPOVに。しかし日本は、いろいろ交渉して、UPOVの方も金がないから、アメリカや日本に入ってもらいたいというあれもあったものですから、相互に妥協した。しかし、それでもUPOVに入ったのは何年ですか。当時の答弁では、とにかくすぐ入りたいからということだったんですよ。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) これにつきましては、先般先生からも一度お尋ねがございましたけれども、当時UPOVに入る準備をしておりまして、その後UPOVの方の改正もございましたので、さらにもう一度改正をいたしまして、現在の加入に至ったわけでございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 何年。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 加入は五十七年でございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 五十七年に加入するんであれば、五十三年の会期切れぎりぎりに法案の審議をさせて、とにかく国際的な関係があるんで早くやってくれ、早くやってくれと言うほどのこともなかったんですよ。もっと審議をして立派な法律唇つくってもよかったはずなんです。当時は今にでも加入するような話だった。今度はそういうことのないようにぜひやってもらいたいと思うんですがね。  それで、一つだけ気になるんですが、今度の改正案を見ますと、第一条の二の中で、「種菌その他政令で定めるもの」というのを新たに挿入しておりますね。これについては、「バイオテクノロジー等の進展により流通することとなる新たな態様の種苗も必要により指定し得る」と言っているんですね。補足説明までつけて御説明しているんだが、その補足説明を読んでもよくわからないんです。「その他政令で定めるもの」は何を指すのか。前段で種苗に対する定義がありますから、その範囲だと思うんですがね。ところが、バイオに対応するということになると、この従来の種苗の定義だけでいくのかどうかという心配があるんでね。この政令では一体どこまでを対象とするつもりでおるんですか。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) これは先生のお尋ねの中にございましたが、従来の種苗という概念の中で指定種苗として対象にするものをここに決めておるわけでございます。当面どういうものかということになりますと、現在法律に書いてあるもの以外で、既に流通をし始めているものとしましては、例えばベゴニア、セントポーリア等の葉でございますとか、菊の芽でありますとか、そういうようなここにあります植物体の一部ではないものがございます。私どもの考え方としましては、当面は薬とかあるいは芽、こういうものを指定する必要があるのではないかというふうに考えております。  次に、いわゆるバイオテクノロジーという言葉等の進展に伴うという問題でございますが、これはバイオテクノロジーという概念の考え方でございますが、葉や芽以外の植物体の一部を用いまして、それがいわゆる種苗として流通するようになりますると、これは種苗の中で対象にする必要があるだろう。これは現在でございますと、例えば人工種苗というようなものもまだまだ検討段階にございますけれども、今現に流通しているもの以外にもこれから出てくる。そういう場合に、それが流通がかなり進んでまいりますると、指定種苗ということで、これは品種登録の制度ではなくて、主として表示の規制の関係の指定種苗制度の対象にする必要があろう。こういうことも含めて政令による指定の道を開いたわけでございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 そうすると、前段の「種苗とは」という解釈は植物体ですね、あくまで。しかし、これからの種苗というのは植物体とは限らなくなるんじゃないですか。植物体の全部、一部ということでくくれますか。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) これはむしろ種苗という定義の方の、指定種苗ではなくて、その親になります種苗という概念の問題でございますが、確かに先生お尋ねのように、植物体の今全部または一部でございますから、薬とか弁とか種も含めて植物体の一部でございますけれども、この植物体の一部という限定をむしろ外れるような形での種苗が出てくるようなことになりましたら、これはもちろんもとの種苗の概念から画さなければならないということになるわけでございます。今日の事態はまだそこまでは私どもちょっと現在の技術開発なり何なりの状況では考えられませんので、もとになります種苗という概念の方は従来どおり置いておる、こういうことでございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 しかし、今バイオではもうどんどん微生物を使った新たな植物体のあれが行われている。微生物は一体その中に入るんですか。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 現在でもキノコ類につきましては、いわゆる種菌というような形で微生物みたいなものを指定しておりますが、これももちろん植物体の一部であるということになり、かつそれがこの法律の定義にございますように植物の増殖に使われる、現実に種苗としての機能をするというような段階になりましたら、これはもちろん植物体の一部である限りは、現行法の中で種苗というふうに考えられるわけでございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 微生物そのもの、微生物そのものは種苗法の対象になりますか。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 微生物そのものは、微生物自身が一つの、何というか、物になるかどうかということでございますが、これは一番大前提が農林水産植物という、植物という概念にまず入るかどうか、そういう問題があると思います。ですから一般的には、微生物が微生物自体として、あるいは菌でございますとか、そういうようなものとして存在している限りは、これはもう植物ではないということになりますれば、これは植物ではないから種苗にもならない、こういうことになるわけでございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 なりますればでなくて、微生物はこの法律の対象になるのか、ならないのか答えてください、ずらさないで。どっちなんですか。これは大変なことなんですよ、アメリカとの関係ではこれから。バイオと言っているんでしょう、あなたは。バイオテクノロジーというのはこういうことをやるのがバイオテクノロジーなんです。いいですか。微生物それ自体。そうすると、それが例えばアメリカならアメリカの方がどんどん進んで特許、植物特許なり何なりで縛ってくる。そうしますと、その微生物は日本では品種改良に使えなくなるんですよ、今度勝手に。そういうものをこの法律で一体おたくたちは対象にするのかしないのか。前段であなたは、植物特許というのは種苗法の方ができたんだからこちらに任せて、余りなじまないんじゃないかという答弁がありましたね。そうするとこういう微生物は一体どうなるんだと。これはこれから大変な問題になってくるんです。五十三年に私が指摘したように、おたくたちはキノコの胞子だとかそういうものだと言ったけれども、それだけではすぐ済まなくなるよ言ったのが、たった五年か七年でもってこういう問題になってきているでしょう。それを入れておかなかったら大変だよ、そのことをはっきりして要するに分野調整を特許庁との間でやらなければ大変だよと言ったけれども、あいまいのまま来て、今出てきているというのにまだそんな答弁ですか。なりますればとかなんとかって。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) キノコの例に一番よく見られるわけでございますが……。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 キノコは聞いてない。それは胞子だよ。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) キノコの例を挙げて申しますならば、やはりそういう農林水産植物というものの一部になる、微生物が。その一部であり、かつその微生物が農林水産物の植物の栽培のように、いわば種苗として機能する限りにおいてはなり得るわけでございます。そういう意味では、一般的に微生物が微生物として使われておる、こういうものはもともと種苗法では対象に予定をされておらない、こういうことになるわけでございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 例えば今バイオで非常に重要な役割を進めております大腸菌、これは種苗法の対象になりますか。大腸菌の新しいいろいろなものをつくってきたそういうもの、これは特許じゃないということになりますか。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 大腸菌は大腸菌として一つの微生物としての存在を持っているわけでございまして、これはどう考えてみても農林水産植物でもなければその一部でもない、こういうふうに考えてよろしいと思います。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 それじゃ、おたくが対象になるかもしれないという微生物にどんなものがありますか。胞子ではございませんよ。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 先ほどのキノコの問題は別にしろということでございますので、キノコの問題は別にいたしまして、それ以外のいわゆる普通の植物について、微生物というものがそれに含まれるあるいは種苗になるということはまず考えられないというふうに考えます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 そうしますと、最近例えばユリなんかでも出てきましたわね、何といいますか、鱗茎といいますか、その中の微生物を取り出して、クローン方法としてそういうものが、同じものが一遍にたくさんできる。できたものはこれは明らかに農産物ですよね。これは流通します。しかし、そういうクローンの方法、そしてそういうことのために微生物を使う、こういう場合はどうなんです。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) これは菊にしても何にしましても、植物体の一部が、だんだん一部が小さくなってきますと細胞になるわけでございましょうが、細胞がある程度結びついて組織になって、それがいわゆる種苗として機能する、一種のこれから開発されようとしている人工種苗などはそういうものに当たるんだろうと思います。そういう状態になったものは、常識的に見て、それは微生物というよりはむしろ植物体の一部であり、ちょうどほかの芽とか挿し芽と同じように種苗として機能し得るものである、こういうことになるわけでございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 そういう製品なり植物として機能するようになる前に開発者は権利の要求をするんです。いいですか。アメリカなんかまさにそうなんですよ。その権利を認めるか認めないか、それが今の種苗法で認められるかどうかですよ。どうしても読めないんです。  そこで、政令の委任事項としてこの改正法に一項入れて、そこでこれから起こり得る何でも場合によっては縛ることもできるし場合によっては縛らぬこともある、こういうふうなことになると大変なんです。あくまでもここで言う「その他政令」というのは、要するに「種苗とは」という一つの植物体に限るのですね、「その他政令」というのは。それでないと大変なことになりますよ、これは。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) これは法律のその箇所によりますと、「「指定種苗」とは、種苗のうち」、こういうふうに書いてございます。ですから、まず種苗になるものでなければこの指定種苗にもならないわけです。先ほど申し上げました菊のような例等で、植物体の一部が種苗として機能し得るいわゆる人工種子のような形で、従来の形にないけれども種苗として機能し得るものが出てくれば、それはもちろんもともとの種苗の定義にも合致し、この法律の対象になるわけでございます。それが先ほど大腸菌の例をお挙げになりましたような微生物そのものであれば、これはおよそ種苗として機能し得ないものでございますので、これは初めから対象にならないということであろうと思います。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 それで、ここに種子、種苗とはこういうものだというのが挙げてありますね。「その他政令で」というのは一体何なんですか、ここに列記している以外に「その他政令で」というのは。微生物はならないと言うのでしょう。そうしたら何ですか。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 先ほど申し上げましたように、当面は葉及び芽を指定したらいかがかというふうに我々は考えております。その後の例えば人工種苗のような現在ない形態のものについては、そういう流通の実態が出てまいりましたときに判断することにいたしたいと考えております。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 特許庁は、そういう場合に流通の段階が出ない前にあなたの方は判断しなきゃならないのだよね、申請が出てきたら。どうするのですか、特許の対象にするのですか。

山本庸幸特許庁工業所有権制度改正審議室長

○説明員(山本庸幸君) 先ほど申し上げましたとおり、一応特許庁といたしまして、出願があれば、特許要件に照らしてこれを判断したいと考えております。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 例えば今具体的にもうおたくの方には出ているでしょう、放線菌の特許が。こういうものは菌とは言っても微生物ですから、植物の対象にはならないのですよね。その場合は、おたくの方は将来植物として機能するようになるかどうかわかるまで特許しないのですか、どうなんですか。

山本庸幸特許庁工業所有権制度改正審議室長

○説明員(山本庸幸君) いずれにせよ、将来どうかということではなくて、その出願のあった時点でその出願の対象について判断いたします。  ちなみに、微生物につきましては、これは国際的にも確立された大きな特許対象分野でございまして、国際的にも相互に、例えばブダペスト条約に基づく寄託制度もあるようにいろんな特許の例がございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 そうすると局長、特許の方ではそれは特許していくのです。いいですか。ところが、今度は特許すればそれは権利です。それを使って植物体的なものをつくっていく場合に、この権利は、今度は種苗になったのだから、おれの方の分野だから勝手なことさせないというわけにはいかないでしょう。どうですか。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) それはとおっしゃいましたのがもし細菌等に含まれます有用遺伝子を組み込みました植物はどうか、こういうお尋ねであるといたしますと、それはそういう植物が開発されました段階では、それは植物の新しい品種として認められ得るし、それに伴います種苗というものもございましょう。どういう形の種苗になるかは、それは物によるわけでございますが、その植物自身はやはり品種保護の対象になり得るわけでございます。  したがいまして、そういうバイオテクノロジー的な、あるいは工学的な手法で開発されました植物については、これはこれからの問題としまして、特許法とそれから種商法の分野とが非常に交錯すると申しますか、重なる分野があるわけでございまして、これについては特許庁とも御相談し、またWIPOあるいはUPOV等のそういう国際機関においても今検討がされておりますので、この辺の問題の検討の中で一つの方向を出していかなければいけない、国際的にも今既にそれが問題になっておる、こういうふうに承知しております。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 問題になっていることはあなた認めたのですが、特許法で微生物その他を特許しちゃうのです。どうしてもその微生物を使わなければそういう種苗ができてこないとなった場合、特許には権利がありますから、それをどうするのですか。そうすると農産種苗法ではどうにもならないでしょう。あなた、今長々言ってみたってだめなんですよ。それを使うことまかりならぬということの差しとめ請求ができるのですよ。そういうもので、種苗法だけでもって、バイオに対応していけますか、あなたはバイオテクノロジーに対応しなければならぬと言うけれども。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) これは先生、微生物の問題をしきりにお尋ねでございますけれども、いわゆるバイオテクノロジーになりますと、微生物ではない、例えばプラスミドでございますとか、DNAとか、ベクターに使われますものとか、そういうようなもの、幅広いバイオテクノロジー的な育種の素材があるわけでございます。素材については、これはもう既に特許の方でも扱っておられるわけでございまして、そういうものが特許の対象になりますと、それを使って品種開発をすることについて、それ自身が特許の効果として制約が及んでくることは事実でございます。したがいまして、そういうものを使いましてできました植物の段階で品種の保護等の関係は非常にあるわけでございますので、これが先ほど申し上げましたように、工業所有権の方、それからUPOVの方と両方非常にそこの部面でダブりますので、これは国際的な機関でも、あるいは国内的にも十分検討しなければいけない、こういう段階にきておるというふうに承知しております。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 時間がありませんので。  この前、私、アメリカのマイケル・ジェイ・アダングさんという方たちから特許庁に申請になっている昆虫耐性植物の書類を農水省にお上げしましたね。これをお読みになっていると思うのですが、こんな大変な方法で昆虫耐性植物ができる。これも植物なんですが、これは特許庁としてはやっぱり検討しなきゃならぬ。これはなじまないからおれの方だと農水省は言えますか。昆虫耐性植物です。書類を上げてあるのでわかると思う。これは特許にはなじまないのだと言えますか。昆虫耐性植物、書類を上げてあるから読んでいると思うのです。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) これは特許庁の御判断になることでございますので、私ども今の段階で特許法になじむ、なじまないということを申し上げるべき時期ではないと思います。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 それはおかしい。要するに植物の範囲に入るものは特許にはなじまなくて自分の方だとさっき言っているのじゃないの。これもおれの方だって言えますか。あなた、さっきそう答弁しているのだよ。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 植物ではあるわけでございます。したがいまして、そこにいわゆるバイオテクノロジー的な手法で微生物あるいはその他の資材を使いましてかなり工学的な手法で開発されたところにつきましてはダブりが出てくるわけでございます。その運用上のダブりについて、これは特許庁とも御相談をし、国際機関でも今検討されている、こういうことでございます。

丸谷金保日本社会党

○丸谷金保君 五十三年に同じことを言っているのだよ。五十三年に僕は、ダブルゾーンできるぞ、どうするのだと言った。依然として解決していない。時間ですからきょうはここまでにしておきます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 まず、予算にも関連して農業の基本問題について数点伺っておきます。  我が国の農業が厳しいことは改めて申すまでもありません。農業基本法ができてから二十五年、農基法農政から総合農政、そして今日の混迷農政としか言い得ないような現状にあるのが日本農業の実態であるというふうに思います。そこで、先ほど説明のあった六十一年度政府予算案を見ると、全体予算の中で今まではどうにか一〇%台を維持してきたけれどもことしはそれを割ってしまった。さらに前年に比べて四・八%もマイナス、四年連続の減であります。これに対して、防衛費の予算を見ますると、防衛費だけは突出して三兆三千四百億、農林予算は三兆一千四百億、ついに防衛予算が農林予算を追い越してしまったんです。人間にとって最も基本的な財である食糧の安定供給を担うという農林予算が一体こんなことでいいのか。農林大臣の見解をまず聞きたい。

羽田孜自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(羽田孜君) 今先生から御指摘がございましたように、確かに農林水産予算はこのところ四年間連続して減額となっております。なお、六十一年度につきましては、一般歳出において一〇%を割り、残念ながら防衛予算を今割り込んでおるといいますか、防衛予算がオーバーしたということ、これも事実であります。  ただ、今までも御答弁申し上げてまいりましたように、そういう中にありまして、内容面におきまして、国営土地改良事業実施制度の改善などによりまして、確かに国費の面では減りましたけれども、事業費の面ではふやすことにいたしましたり、あるいは新しい時代の要請の中で生物系特定産業技術研究推進機構、こういったものを設立するようにいたしまして、新たな先端技術の開発、こういうものを推進するようにもいたしております。  また、農業者の自主的な創意工夫を生かして、農業経営基盤の強化を図るための農業改良資金、これも中央競馬会から二年間にわたって三百億円を投入してもらうことによってこれを拡充いたしました。  また、林業の方につきましても、例の活性化のための五カ年計画を立てまして、昨年の補正で四十億円、六十一年度で八十億円、これを確保して、間伐等につきましても八〇%ほどの事業の進捗を図る。そういう措置なんかを実はしたところであります。  また、漁業につきましても、マリノフォーラム21、こういうものを進めるようにいたしましたり、ともかく今御指摘がございましたように、確かに予算規模そのものにつきましては減少を見ざるを得なかったというのが現状でありますけれども、その中でいろいろと工夫を凝らしながら農林水産業というものを前進させるためのいろんな配慮がなされておるということにつきまして御理解を賜りたい、かように申し上げる次第であります。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 いろいろ説明があり、また努力したことは認めないわけではないけれども、その中で、大臣が先ほど六十一年度予算説明の中で一番最初に、土地改良型事業の推進、こういうことをお挙げになっているし、今もそういう話があったわけです。農業の基盤整備事業は農政の最も基本的な施策と言えるわけでありますが、これもここ数年来予算は停滞ないし減少の傾向にあるわけです。土地改良長期計画は、昭和六十一年度予算を含めて、四年間の事業費ベースの進捗率が私の計算では二一・九%。今後長期計画の達成を図るためには、毎年二五%もの事業費の伸びを必要とされるというふうに私は思うのであります。これは農林予算の現状からいって極めて困難だというふうに思われますが、どうなんですか。

羽田孜自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(羽田孜君) 確かに今長期計画が進捗しておるわけでありますけれども、経済が非常に停滞しておるという財政の厳しい事情、こういうものがございまして、計画そのものがおくれておるというのが実態であります。そういう中で私どもといたしましても、先ほど申し上げましたような方途を講じましたりしてこれからも着実に前進するように進めていきたい、かように考えております。  ただ、これはもう達成できないだろうということにつきましては、これからの経済の進捗というものを考えたときに、これを即断するということはすべきじゃないと思いますけれども、ただ、そう急激に経済が大きく回復するということは、またそれもそんな予測をすることができないものでありますから、厳しい中にあってもいろいろな知恵を使いながら、前進をさせるためにどう対応していくのかというのが今私どもに課せられておる使命じゃなかろうかというふうに思っております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 この長期計画が達成できないということを即断する必要もないし、ぜひ達成しなければならないというふうに思うのでありますが、今内需拡大のための諸事業を行うということで政府を挙げて取り組んでおるところであります。農業基盤整備事業は、事業に占める労務費の割合が非常に高い。したがって、地域経済に及ぼす効果が大きい。私は、内需拡大のための極めて有効な手段であるというふうに思うんです。  ところが、今回の補助金の一括削減のこれを見ても、この構造改善事業、基盤整備事業についても補助金を一括削減しておる。こういう状態であるわけですから、まさにこうしたことは時代の要請に逆行するものである、このように思います。内需拡大と基盤整備について大臣、どう思われますか。

羽田孜自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(羽田孜君) 今先生から御指摘がございましたように、土地改良は、道路ですとかそのほかのものと異なりまして、農地そのものは、土地そのものは農民の方が所有しておるということでありますから、まさに工事費が主になります。そういう意味で、特に地方、ローカルの経済に与えるインパクトというものが非常に大きく、内需拡大に対しても相当なウエートを占めるというふうに私どもも考えております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 考えておるだけじゃだめですからね。これから促進するようにひとつ大臣、期待をしておきます。  次は価格問題でありますが、先日決定された畜産物価格は、生産者の切実な要求を裏切って、制度始まって以来の引き下げになった。ここ数年来米価を初め農産物生産価格は据え置き、あるいは実質的な引き下げになっているわけです。こうした状態の中で一体農民はどのようにして所得を確保していってよいのか。大臣は農産物の価格政策についてはどのようにお考えになりますか。

羽田孜自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(羽田孜君) 価格政策につきましては、私どもとしては、基本的には、生産事情あるいは需給事情等考えながら再生産を確保する、これを旨として決めていくというのが基本的な考え方でございます。  ただ、今度の価格の決めた結論、結果はもう御案内のとおりでありますけれども、そういう中で生産性というものを向上させる。そのためのいろいろな施策をしてまいりましたし、また農業者の皆様方の創意工夫、努力によりまして生産性の向上というのは、着実に見られてきているというふうに私は考えております。  加えまして、今度の場合には、飼料穀物、こういったものが外的な要因によりまして、これは円高も一部ありますし、また豊作であったということで、国際相場が下がったということもあります。そのほか二度にわたる公定歩合の引き下げというものがございまして、そういう中で金利が下がってきているというものがあります。そんなことで特に酪農乳製品の保証価格について下がるということに実はなったわけであります。  いずれにしましても、需要の方も割合と停滞してきておるということがあるし、景気の方も割合停滞しておるということで、消費者の皆さんも非常に価格についてはシビアになってきておるということであります。その意味で、私どもとしてはいろいろな努力をしながら、コストを下げて価格が上がらなくても、その中で生活費といいますか、所得というものを確保できる、そういうことのために私ども役所としても、あるいは自治体としても、また農業者自身としても、お互いに努力していくということが必要じゃなかろうかというふうに考えております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 六十一年度予算は羽田農水大臣が責任を持って編成したものではないと思いますので、余りこの問題ついては追及いたしませんが、しかし大臣に一言聞いておいてもらいたい問題があるんですよ。私は、余り長い期間ではありませんが、九年間この農林水産委員会に所属して、鈴木善幸農林水産大臣からあなたに至るまで十人の大臣と論戦をしてまいりました。そして私の提言したことが農水省の政策として取り入れられた問題も幾つかあるし、また法案の修正や決議の提案者ともなって同僚議員の皆さん方の賛成をいただいて成立した案件も幾つかあるんです。私はこうした議員活動で感じたことは、野にあるときは、すなわち大臣就任前までは農政のリーダーとして活躍され、農業団体からも大きな期待を寄せられておった人でも、一たび大臣のいすに座ると極めて政策も慎重になってしまう、口も重くなってしまう。ある人に至ってはそこにいらっしゃるような官僚のつくった答弁をただ読んでいるにすぎない、こういう人もあったわけですね。それで羽田大臣、あなたは大臣就任前は自民党の農林部会や調査会のまさに実力者、責任者として活躍された人である。私も同県人としてあなたの行動力や人柄についても承知しておりますし、久しぶりに農業を知っている大臣が出たと思っておりますので、その面では党派は異なっても農政の発展のためにあなたに頑張ってもらいたい、こういう大きな期待を持っておるんです。今、日本農業の前途には、またあなたの前途には大きな問題があるわけなんです。そこで、農業がこういう転換期になっているときでありますから、自信を持って、あなたが今まで農政について自民党の農政の中心者として自分でも自負しておったんですから、そういうつもりで大臣をやってもらいたいし、これからのいろいろな答弁についてもそういうつもりでお答えを願いたいと思うんですが、その決意はどうでしょうか。

羽田孜自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(羽田孜君) お答えしにくいんですけれども、きょうはこちらの方に、我が党の、まさにともに苦しんでいろいろと議論してきた同僚の議員もたくさんおられますが、私、大臣に就任する以前と今日大臣に就任してからと、それほど考え方とか行動とか言っていることは違ってないというふうに思います。特に、私は農林水産政務次官を十年前に、今御指摘がありましたようにちょうど鈴木善幸農林水産大臣のときの政務次官をやっておりまして、そのときから特に農林水産行政と深入りといいますか、いろいろと取り組むようになっておりますけれども、この間ずっと見詰めてまいりまして、何というんですか、非常に一面いろんな面で進んできておる面がありますと同時に、一面ではなかなか停滞している面というのがある。そして、このままただ推移していきますと、だんだんだんだん難しい方向へ行ってしまうなということを感じておりまして、その間それこそいろんなほかの政策の方でも勉強しようなんて話がありましたけれども、やっぱり日本の食糧を確保するというこの仕事は何が何でも大切である、そんなつもりで今日まで十年間ずっとこの道を歩んできてしまいました。それだけに、あるときには私はむしろみずからに厳しい、そして何というんですか、対応の仕方によっては、あるときには厳しくしなければ次のステップを踏むことができないというふうに考えるときには案外厳しいことも今日までも実はやらせていただいてきております。そういう中で、本物のあすに向かって展望の開ける農政というものを開いていかなけりゃいけないんじゃないかなということで、割合と率直にいろいろと物を申し上げておるということで、いろんな面でこれからも御指導いただきたいと思います。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 今のは本物なのかどうかはこれからまた見守っていきますから、ぜひしっかりやってください。  そこで、まず越えなければならないハードルの一つとして農産物の市場開放の問題があるわけですね。日米農産物交渉の暫定的合意が切れる四月二十二日を目前にして今重要な段階になっているというふうに思います。大臣は農相就任の当時、農産物の市場開放について柔軟な姿勢を望みたいというような姿勢を示したことが報道されておるわけですが、最近はそのトーンがまた変更してきたようにも見受けられます。今後農産物自由化の要求がますます強まってくることが予想されるわけでありますが、大臣はどのように対応されますか。

羽田孜自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(羽田孜君) この問題につきましても、就任する前も就任した後も全然実は変わっておりませんで、どうも、報道されるものというのは前と後ろの方がなくなってしまったりいたしますし、一面だけ実はとらえられるものですから、何か柔軟な対応というようなことを言っているようですけれども、これは基本的に私が就任する前に、実は、この自由化あるいは枠拡大の反対の大会で私自身が代表してお話し申し上げたそのまんまのことを言ったまでで、短い時間の中でああいう記者会見なんかはしなければならないということでありますから、何か一面ちょっと変わったようにとられたんです。  私の姿勢としては、国際関係というものは重要であるということ、これは考えなければいけないということと同時に、農業というのは、これは各国ともそれぞれが、国境措置といいますか、そういうものを持っております。これの基本的な考え方というのは、まず食糧を安定して供給するという一面がございます。それと同時に、そこの中で地域経済というものが支えられているという一面があります。それからもう一点は、農業の持つ、あるいは林業も同じことが言えると思いますけれども、国土の保全という機能を持つということで、もし農業・林業が衰退しますと、それが水その他自然の体系というものを崩してしまって、それこそ生活も工業もなくなってしまう。まさに国土の崩壊につながってしまうという一面があります。そういう意味で各国とも国境措置というものを持っておる。  今、日本に対して非常に自由化を迫ってきておりますアメリカも、ガットでは譲許されておりますけれども、ウエーバーというような措置が、十品目ぐらいですか、持たれておりますし、あるいはまだ残存輸入制限品目も砂糖なんかで一品目ありますし、食肉輸入法なんという法律があってこれを抑えているという一面が実はあるわけでございまして、私はそういった面をちゃんと踏まえて、ただ、何というんですか、何でも守るということではなかなかだめで、要するに、国内でも生産もしておらない、あるいは競争もしていない、そういったものをただ持っているとしたら、これはいけませんよ。というのは、今までやられた措置の中に、私たちがこんなものもあったのかとかいうものが幾つかありましたよね。だから、そういうものについてはきちんと身ぎれいにした方がいいでしょうということを申し上げてきたわけでございまして、私は、そういったことを踏まえながら国民に食糧を安定して供給する。  そして、日本の周辺諸国というものではそんなにまだ裕福に食事をしているわけじゃないんだということを踏まえ、そしてその中で譲れるものがもしあるんだったらやっぱり話し合いによって出すべきものは出していくべきだろう。しかし、私はその措置というのは今までやってきた中で一応終わっているんじゃないかなというふうに思っております。ただ、今、例のガットにこの前提訴されました十二品目の問題、十三品目ありましたが今十二品目ということになりましたけれども、この十二品目の問題については四月二十二日までにその結論を一応出すということになっておりますので、また私どもとしても、今申し上げたようなことを踏まえながら先方の方に理解を求め、先方はともかくすべて自由化にしなさいということが基本になっておりますので、そんなことはできないんだよということを一つずつ説明しながら、私どもとしてでき得る限りのことは相手にもしてあげるけれども、しかしそれ以上のことはできませんということをはっきり申し上げていくつもりであります。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 後藤局長が見えておるんでこの交渉のスケジュール等についても伺いたかったが、時間がありませんのでまた後からお伺いします。  そこで、今お話があった十二品目についても、これは地域の重要農産物であり、あるいはまたポスト第三期対策の受け皿であって、総合自給率を高める戦略作物でもあるというように思われるわけですね。同時に、アメリカの要求するように十二品目を全部自由化したってこの貿易摩擦の解消に役立つものではない。  そこで大臣、当委員会はこれまで農産物の自由化及び農業を困難に陥れるような輸入枠拡大については絶対反対という決議もしている。本会議の決議もしているんですね。だから、政府はこれらの国会決議を尊重して今度の交渉にも臨むべきだし、臨まなければいけない。申すまでもないことのように思いますけれども、その点についてはどういうふうに考えますか。

羽田孜自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(羽田孜君) 基本的には今申し上げたことであります。今先生から御指摘がありましたように、今残っております十二品目について、地域の特産物、そういったものが相当多く含まれておるわけでございますから、そういったものに悪い影響を与えないように私ども考えながら、先方に対して理解を求めていく、その姿勢をこれからもとり続けていきたいというふうに考えております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 答弁がなかったけれども、国会決議を尊重することは当然のことですね。

羽田孜自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(羽田孜君) その点につきましては、当然、私自身も国会の決議に参加いたしておりますので、国会決議を尊重しながら対応してまいりたいと思います。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 中曽根首相の私的研究会である経済構造調整研究会では四月七日に報告書を提出する予定である。その中で、農産物の輸入制限品目について自由化時期を明示する可能性があるというようなことが報道されておるんです。十二品目の交渉が山場に差しかかる四月十二日には中曽根総理が訪米をする。五月上旬にはサミットがある。こうした時期、首相訪米において農産物の問題について何らかの意見が交わされ、政治決着とも言わないまでも、そのような方向が示されるのではないか、こういう心配もあるわけですけれども、そのようなことがないのかどうか。また、そのようなことがないために、農林水産大臣としてはどういう手を打つのかということです。

羽田孜自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(羽田孜君) 今、確かに経構研の方でいろいろと議論されておる、私どもも承知しております。そして、この中でいろいろと新聞等にも報道が一部されておりましたけれども、そういうことはちょっと基本的に考え方が違いますよということ、こういうこともいろんなルートをあれしながらよくお話をしてきているつもりでございます。そして、これはあくまでも総理の私的な諮問機関であるということでありますから、そこで出されたものを総理がどのように御判断なさるか、私どもこれからもその結論を見ながらお話し合いをしていきたいとは思っております。いずれにしましても、十二品目、これの問題につきましては、非常に重要な問題でございますので、私どもも現実的な解決というものを目指しながら話し合っていきたい。ともかく全部自由化だとかなんとかという話については、これは私どもとしては一切のめませんという話をしていきたいと思っております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 基本問題については同僚議員からも御質問もあったことだというふうに思いますし、私も予算委員会でも取り上げましたので、このくらいにいたしまして、個別の問題について以下質問してまいります。  それは林業振興上非常に障害になっているカモシカの被害対策についてであります。カモシカは昭和九年に天然記念物に指定され、昭和三十年には特別天然記念物に制定されて以来、文化財保護法、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律によって保護されてきています。このように法的に保護されてきていることは、生息数が少ない、ほっておけば絶滅のおそれがあるということであったというふうに思いますけれども、特別天然記念物指定当時と比べて現在の生息数について報告してください。

加藤陸美環境庁自然保護局長

○政府委員(加藤陸美君) お答えいたします。  先生お話がございましたとおり、特別天然記念物に指定されましたのは昭和三十年でございまして、当時は、残念でございますが、その後昭和五十年代になって行ったような調査は当時されていなかったように伺っておりますが、当時の関係者の推計によりますと、数千頭というふうに伺っておるわけでございます。昭和五十二年、五十三年、両年度にわたりまして環境庁で調査いたしたわけでございますが、調査結果では、カモシカは全国三十府県に約七万五千頭が生息すると推定されております。多少の誤差はあると存じます。主な生息域について申し上げますと、本州の東北地方、それから千葉、茨城を除きます関東地方、それから中部、近畿、これは京都の東北部まででございますが、及び四国、九州というふうになっております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 指定当時は数千頭だったけれども、環境庁も随分時間と金をかけて調査したら、七万五千頭もおると。その結果、ヒノキの幼齢林などを食い荒らすだけではなくて、農作物にも被害を与えるようになった。現在までに発生したカモシカによる被害状況について述べてください。

田中恒寿林野庁長官

○政府委員(田中恒寿君) カモシカによります造林木の食害、この森林の被害状況でございますが、四十八年ころから大変ふえてまいっているわけでございます。五十年から五十九年までの十年間の資料で申し上げますと、民有林の被害が約二万七百ヘクタール、国有林が三千七百ヘクタール、合計の約二万四千三百ヘクタールでございますが、この約六割が長野、岐阜両県で占めておるというふうに、非常に被害は偏った状態で発生をいたしております。  農業被害の方につきましては、ちょっと暦年の被害統計がございませんが、五十七年に行った調査では、秋田、福島県を中心に全国六県で畑作、果樹等に約二百ヘクタールの被害が出ておるというふうに承知いたしております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 こうした被害に対して、憲法、文化財保護法、国家賠償法に基づいて損害補償が要求されており、一部地域からは訴訟が提起されておりますが、どのように対応しているんですか。

田村誠文化庁文化財保護部記念物課長

○説明員(田村誠君) カモシカによる食害問題についてでございますが、五十四年八月に関係の三庁でカモシカの被害対策と保護対策につきまして一つの合意を決めているわけでございますが、文化庁としましても、この三庁の合意の線に沿いまして…

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 訴訟問題ですよ。

田村誠文化庁文化財保護部記念物課長

○説明員(田村誠君) 食害防除のための措置を講じているところでございますけれども、ただいまお話がございましたように、六十年一月に岐阜県関係の林業者の一部が国に対しまして憲法、文化財保護法、国家賠償法に基づく損失補償または損害賠償を、約十六億六千円でございますけれども、請求する訴えを岐阜地方裁判所に起こしております。国としては、却下または棄却を求めているわけでございますが、ただいま係争中でございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 今係争中の問題でありますから、この内容やあるいはまた政府の考え方について追及することは本日はやめておきたいというふうに思います。  そこで、今林業が非常に大変難しい状態になってきておる、林業の危機が叫ばれておるときに、せっかく造林しても、カモシカによって幼齢木が食い荒らされてしまう。こういうことでは林業に対する意欲がますますなくなってしまうわけです。今説明があったように、甚大な被害を受けた地域では、政府に対して長年にわたって抜本的な対策を要求してきた。国会においてもこの問題が何回か論議され、質問主意書も出されておる。私も昭和五十三年の第八十五国会で、当院農林水産委員会でこういう政府の対策を求めて質問、要請をしたんです。政府は、こうした要請を受けてどういう対策を講じてきたんですか。

田中恒寿林野庁長官

○政府委員(田中恒寿君) 農林水産省、林野庁におきます被害対策につきまして御説明申し上げますと、被害跡地につきましては復旧造林を行います。そのほか国有林におきましては、個体数の調整のための捕獲あるいは防護さくの設置等の措置を講じているところでございます。

加藤陸美環境庁自然保護局長

○政府委員(加藤陸美君) 環境庁でございますが、大きく二つに分かれますけれども、一つはカモシカの全国的な分布及びその生息数の把握のための調査を実施いたしております。それから、一部の地域でございますが、保護さくの設置に対する助成措置を行ってまいっております。

田村誠文化庁文化財保護部記念物課長

○説明員(田村誠君) 文化庁といたしましては、先ほど申し上げました三庁合意の線に沿いまして、一つは、カモシカを地域を限って天然記念物に指定する方向で対処するため、三庁合意のもとに保護地域の設定を進めていること。  二番目としましては、食害を防止するための措置として、植林地の保護さくの設置、幼獣に対するポリネットの装着、それから忌避剤の塗布を進めるというようなことに対しまして助成を講じてきております。  三番目としましては、植害の原因となっているカモシカの捕獲事業、資料収集も兼ねまして、この事業に対して助成を進めてきましたこと、これは五十九年度まででございます。  それから四番目としまして、保護地域内におけるカモシカ等の管理等のための調査、保護のための標識設置等の事業に対する助成というようなことを進めてきております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 そうした施策を実施するために費やした国費並びに地方自治体の経費はどのぐらいになっておりますか。

田中恒寿林野庁長官

○政府委員(田中恒寿君) 五十四年度以降五十九年度まで六年間ではございますが、この数字で申し上げますと、民有林につきましては、復旧造林に約三千三百万円、国有林におきましては、防護さく設置等に約二億円、個体数調整の捕獲約千頭でございますが、これに一億二千万円、総計では約三億五千万となっているところでございます。  民有林の方の国費以外の経費でございますが、これも五十四年度以降五十九年までの六年間におきまして、民有林の復旧造林は都道府県約一千百万円、森林所有者約六千五百万円、合計七千六百万円と推定されるところでございます。

加藤陸美環境庁自然保護局長

○政府委員(加藤陸美君) 環境庁におきましては、昭和五十二年度から現在までの経費でございますが、まず調査経費が約四千万でございます。これは全額国費でございます。それからまた保護さくの設置に対する経費助成が国費で八千六百万となっております。都道府県の負担が同額の八千六百万円でございます。

田村誠文化庁文化財保護部記念物課長

○説明員(田村誠君) 文化庁の関係としましては、国費で十一億六千万、地方公共団体の方で六億四千万、合計いたしまして約十八億円でございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 これは国庫補助に伴う地方団体の負担だというふうに思いますが、それ以外にも地方団体はたくさんの負担をしているんですね。このことはお認めになりますね。  それで、今まで捕獲したり射殺したカモシカの頭数はどのくらいですか。

田村誠文化庁文化財保護部記念物課長

○説明員(田村誠君) カモシカの捕獲につきましては、五十年度から文化財保護法と鳥獣保護法の関係で許可を行っているわけでございますが、年々捕獲頭数はふえて、五十九年度までふえてきているわけでございますが、合計いたしますと六十年度までで岐阜県が二千四百九頭、長野県が二千五百八十九頭、合わせまして四千九百九十八頭というふうに承知いたしております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 これは大臣にちょっと感想をお聞きしたいのですが、今お聞きしておりまして、天然記念物といっても七万五千頭もおるわけですね。しかもそれが植林木や農作物に重大な影響を与えている。農水省はまさに被害者ですね。この被害防止のために国も地方団体も今ざっと計算すると二十億にならんとするような金を使っておるわけです。なるほど特別天然記念物指定当時は少なかったかもしれないけれども、今は情勢が違うと思うんですね。これを特別天然記念物として保護していく必要があるだろうか。これは大臣の政治的な判断をひとつ聞いておきたい。

羽田孜自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(羽田孜君) 記念物として指定するかどうか、私が今ここでちょっと判断をあれするには少し事が大き過ぎてしまうと思うんですけれども、いずれにしましても、天然記念物に指定したカモシカが森林を食い荒らしてしまうという現実に対しては、何というんですか、その被害を食いとめるためにどのような対応をするのかということについて、私どもとして何らか適切に対処していく必要があろうというふうに考えております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 これは農林水産大臣であるとともに国務大臣ですからね、これから申し上げることも検討してください。  それからカモシカ対策については三庁の統一見解を示してください。

加藤陸美環境庁自然保護局長

○政府委員(加藤陸美君) 先ほど文化庁の方からもちょっと触れておられますけれども、カモシカにつきましては、その保護と被害の防止を図るために、昭和五十四年八月に文化庁、林野庁、環境庁が協議して次のような対処方針を定めておるところでございまして、第一番目が、今後は地域を限って天然記念物に指定し保護を図る。二番目が、これに至る措置として全国十四カ所の保護地域を設定する。三番目、保護地域を設定した箇所においては、保護地域外のカモシカの個体数調整を認める。この方針によりまして進めてまいっておるわけでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 保護地域を設定して、その地域以外のところは有害鳥獣として駆除すると。  そこで、その保護地域の設定状況についてはどうなっていますか。

田村誠文化庁文化財保護部記念物課長

○説明員(田村誠君) カモシカの保護地域の設定状況でございますが、五十四年の三庁合意に基づき三庁協力して順次設定してきているところでございます。現在までに十四カ所設定対象地域として予定してきているわけでございますが、本年三月に伊吹・比良山地の設定ができまして十一カ所が一応完了したというところでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 六十年の十一月までには地域設定をしてそれに対応する方針を出す、こういう政府の約束であったはずですが、どうですか。

田村誠文化庁文化財保護部記念物課長

○説明員(田村誠君) 保護地域の設定で残っておりますのは、本州では紀伊山地のみになったわけでございます。それに四国と九州ということでございますが、できるだけ速やかに設定できるように最善の努力をしていきたいというふうに考えております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 そこで、保護地域の設定だけでは抜本的な対策にならない、これに続いて地域指定をしなければならないというふうに思いますが、保護地域の設定と地域指定との関係、その対応はどうなっていくんですか。

田村誠文化庁文化財保護部記念物課長

○説明員(田村誠君) ただいまの御質問でございますが、全国的に保護地域の設定が終わった段階で三庁としては今度は地域指定に向けて作業を進めるということになりますが、地域指定になった場合にその地域の中でどういう規制を加えていかなければいけないか、このことにつきましては林野庁等にも相当の御意見もあるようでございますので、設定が終わった段階でその協議に入るということにいたしております。その協議ができたところで、今度は山林の所有者等にこういう形で地域指定をしていきたいという御了解をとって、文化庁としては審議会にかけて地域指定に進めていくということになるわけでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 保護地域がまだ全部完了していない、保護地域の全部完了を待って地域指定をする、そして地域指定を終えて、その後にどういう対応をするかというのを協議していく。随分長い話ですね。これから随分時間がかかる問題。  そこで、なぜ十四地域の設定が全部終わらなければ地域指定ができないのか。例えば南アルプスは五十五年の二月に保護地域が設定されているのですよ。ところが九州地区がまだ設定されないから、四国の山地が設定されないから、これは地域指定の作業には入らないというのですね。南アルプスのカモシカが九州や四国まで飛んでいくのですか。五十五年の二月に設定したのがなぜ地域指定ができないのですか。全国全部十四カ所保護地域の設定ができなければ地域指定ができない、そんな理屈は成り立たないでしょう。どうなんですか。

田村誠文化庁文化財保護部記念物課長

○説明員(田村誠君) 地域指定をしていくためには一方で天然記念物のこの種の指定の解除の問題が裏腹にあるわけでございます。今カモシカがどこにいても天然記念物ということで、その捕獲等に対して文化財保護法の規制が加えられるわけでございますけれども、この種の指定の解除というものが裏腹にある関係上、全国の保護地域の設定ができた段階でその指定を行うということにならざるを得ないわけです。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 それが役所の仕事というものですよ。だって五十五年にもう保護地域を設定しているのですよ。こんな古いのはその地域指定をすればいいのじゃないですか。まだ全国一律にできないからそれもできない。それはあなたたちの取り組む姿勢が真剣でないということなんだ。それじゃ地域指定をしたところが被害を受けてもカモシカの捕獲をすることはできない。  林野庁長官に聞くけれども、国有林全部地域指定にしてそこでみんな食わしちゃったって、いいですか。こういう場合には国がせっかく地域指定をするのですから、そこで食われてももう何とも言わないということなんですか。

田中恒寿林野庁長官

○政府委員(田中恒寿君) これまでに指定された地域も大部分が国有林でございますし、これからの分につきましても、紀伊半島を除きましては大変国有林が多く含まれております。国有林としましてもこれだけの地域が指定完了ということになりますれば、その区域内は相当な施業上の制限はやむなしと考えておるわけでございますが、それ以外のところにつきましては、被害があります場合に有害の鳥獣捕獲ということで適正な対応をしていかなければならない、区域内につきましては、これはある程度の施業制限やむなしというふうに考えておるところでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 国有林は国の施策なのでカモシカに食われても我慢するのだけれども、民有林に対してはどうするのですか。政府が地域指定をする、その中のカモシカはとっちゃいけない、そういうことになりますね。その指定を受けたところの民有林はどういうふうになるのですか。損害や何か補償するのですか。

田村誠文化庁文化財保護部記念物課長

○説明員(田村誠君) 地域指定になった地域の中での規制の問題、規制の内容がどうかというようなことにもかかわるわけでございますが、地域指定になった場合にはその地域の中の食害防除対策というのはできるだけ充実したものにしていかなければならないというように考えておりまして、特にそこで補償しなければいけないような被害が起こらないようにということで対応していかなきゃいけないのじゃないかというふうに考えております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 地域指定をしてその中のカモシカはとってはいけないよ、それがあなたの答弁では、その中ではカモシカに食われないようにこれから対応してくれと言う。そんなうまいことができるというふうに思うのですかね。だめですね、そんなことでは。  そこで、六十一年度から三庁の統一見解に基づいてカモシカ対策を実施する予定であったので、文化庁は従来支出していた補助金を予算化しなかった、また関係県に対しては六十一年度はこういう方針でやりますということで徹底して準備作業を進ました。ところが実施直前に国の方針が変わっちゃった。これで地方は大変混乱し、迷惑をこうむった。なぜこんなことをしたのか。  それから、時間が余りありませんから続いてまいりますけれども、新しい方針というのは保護地域を設定した以外のところでカモシカは射殺してもいい、しかし、とったカモシカの肉はとった人が食べてもいいけれども売っちゃいけない。長野県では五百頭の許可をもらったけれども、カモシカ五百頭も地域が違っておっても食べ切れますか。国が許可して射殺するそういう動物の肉を、有償であれ無償であれ、希望する人に分けてやったっていいじゃないですか。これはどういうことなんですか。とってもいい、しかしとった肉はとった人が食べなければいけない、よそへやっちゃいけないというのはどういうことなんですか。

加藤陸美環境庁自然保護局長

○政府委員(加藤陸美君) 先生ただいまお話しの問題は非常に難しい問題と思います。これにつきましては、実は先ほど来御答弁申し上げております林野庁さん、それから文化庁さんと私どもの方と、いわゆる三庁でいろいろと相談を重ね、対策を練ってきたわけでございますが、先ほど来御答弁並びに御質問の中にも出ておりますように、三庁合意の実施、つまり地域設定の問題が五十九年度末までにできなかった、そこで六十年度はどうするか、こういうことになってまいったわけでございます。その合意事項の完全な実施が困難となりましたために、六十年度の当面の対応をどうするかということでいろいろ相談をいたしたわけでございまして、三庁で種々対応策を協議検討の上、六十年、昨年でございますが、十二月に当面の対処方針を決めたわけでございます。その決め方の途中のいろいろないきさつのこと、先生は新聞紙上に出たお話などをおっしゃっておられるのではないかと思いますが、それは最後の決定方針が正確なものでございまして、もちろん検討の過程の中ではいろいろな議論もいたしてまいりましたけれども、それから関係市町村、それから関係府県、それから関係の団体、これは林業関係の団体も、それから自然保護関係といいますか、そういう文化団体の意見もいろいろ聞いてまいっておるわけでございますが、三庁でいろいろ協議をし、調整をした結果、現在の当面の対処方針というものを定めたわけでございます。  さて、例の肉の商品化の問題でございますが、非常に難しい問題をはらむわけでございますけれども、三庁合意による条件がなかなかでき上がらないために、当面どうするかということで扱いを相談して決めたわけでございますので、従来を申し上げますと、皮、肉ともに廃棄の扱いになっておったものでございます。これをどうするかという議論もいろいろいたしましたけれども、何分にもカモシカは特別天然記念物でもあり、それに対するまた子供さんたちを初めとする国民感情という問題もございますので、当面一般的な流通過程に乗せることは適当ではないと判断したわけでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 三庁の皆さんが相談してそんな結論しか出ないものですか。また逆に言えば、特別天然記念物に指定して法律で保護しておる、それをとって食べてしまってもいい。それも余り理屈に合わないのですけれども、とったものはとった人が食べてもいいけれども、よそへやっちゃいけませんよ、そういう理屈、こんなことしかあなたたちは考えることはできないんですか。  じゃ毛皮や角はどうか。一頭を分割することなく、市町村の責任で保管しておけということなんだ。こういう通達が出ているんです。保管をしておくったって、なめしにして保管すると一頭二万五千円ぐらいかかるんですよ。あるいはまた冷凍にしておくんですが、そんな田舎じゃ大きな冷蔵庫なんかないんですよ、角や皮を入れておくようなものは。これは一体いつまで保管しておくんですか。しばらく通知があるまで保管しておけったって、もう猟期を過ぎちゃって、とるものとっちゃったんですよ。後、夏になれば腐っちゃうんですね。これをいつまで保管させるんですか。

加藤陸美環境庁自然保護局長

○政府委員(加藤陸美君) この点につきましても、先ほどまさに先生からおっしゃられましたように、非常に難しい、何かいい知恵ないのかとまさにおっしゃられるとおりだと存じますが、そのとおりの同じような議論で、私ども三庁、なかなか知恵のない者が集まっておるものでございまして、まことに申しわけございません。しかしまたこれは法律上の問題ももちろんございます。特別天然記念物という問題もございますし、それから国民感情と私一言で申し上げましたけれども、野生の生物に対する複雑な感情はそれぞれの立場であるわけでございまして、その辺も考えあわせますのでますます難しくなっておるというのが正直なところでございます。  いつまでつるしておくのかというお話も、本当に先生のおっしゃる趣旨はよくわかるわけでございますが、その結論はできるだけ早く出そうということで三庁でせっかく検討を進めておるところでございますので、その検討をなるべく早く進めるように努力いたしますので、御了承願いたいと思います。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 ですから私は、こういう問題がありますから、きょう私がこの委員会で取り上げるから、せめて今捕獲しているカモシカの皮と角を何とかこういうふうに処分してよろしい、売ってもよろしいとか通達を出してもらわなきゃ、肉は食べちゃったからもうありませんがね、困るじゃないですか。暖かくなれば商品価値が落ちちゃうんです。腐っちゃうんです。いつまでに出すんですか、はっきりしてください。

加藤陸美環境庁自然保護局長

○政府委員(加藤陸美君) 先ほど御答弁申し上げた趣旨と同趣旨でございますが、いつまでというより、できるだけ早くということで努力いたしておるところでございますので、またいろいろなお知恵も関係の府県、市町村の方の御意見、またその後の実情なども伺いつつあるところでございまして、なるべく早く妥当な結論に達するようにいたしたいと思っております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 多くの皆さん方に相談しなきゃいけないし、皆さん知恵がなければ私も相談にあずかりましょう。  そこで、いつまでやっておっても結論が出ませんから、きょうお答えできなければ、四月いっぱいには出すとお約束してください。

加藤陸美環境庁自然保護局長

○政府委員(加藤陸美君) これは関係の皆さんとの御相談がございますので、ここでいついつまでにということは、まことに申しわけございませんけれども、そういう期限を設定してという御返事は残念ながらできないわけでございますが、いずれにしましても、なるべく早くということでその趣旨を体して進めていきたいと思っております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 関係の皆さんと話をするといったって、関係の皆さん方は皮を保管して、早く何とかしなさいといっておるんですよ。森林所有者じゃないんです。だから、三庁で話ができれば統一見解は出るじゃないですか。ですから、そんな答弁納得しませんからね。私はちょっと質問保留しておきます。きょう皆さん三庁そろっているんだから、協議して、午後までにはっきりした答弁をしてください。いいですか。そんなのは、今までできなかったのを幾ら頭ひねったってできっこないんですよ。八月まで待ったってできっこない。  いいですか、私の質問を二、三分残しておきますから、答弁してください、午後。  次に、カモシカの捕獲について従来どのような基準で補助金を出しておったんですか。

田村誠文化庁文化財保護部記念物課長

○説明員(田村誠君) 捕獲費の補助金についてでございますが、従来は岐阜県と長野県の二県であったわけでございます。それぞれの関係市町村から捕獲頭数を聞きまして、必要な頭数を設定しまして、それに要する経費というようなことで、その三分の二の補助金を出しておったわけでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 私の聞くところによれば、捕獲する日当として六千円ないし八千円出しておった。ところが、ことしは予算化してないからその補助金がないわけですね。補助金がないからといってほっておくわけにいかないから、これは市町村が出しているんですよ。ある市に至っては一頭について四万円も出している。それから町村によっては二万円から四万五千円も出しているところがあるんですよ。国が肩がわりさしたんですから、こういうのは一体どうするんですか。どこかで見てくれますか。  私は、あと数分残ってますが、これで質疑をとめちゃってもどうしようもないから、このことを含めて時間を残しておきます。  例えば、くどくど申し上げませんが、皮をどうするのか、いつまでに結論出すか。そして国にかわって市町村が出したこの捕獲費用に対してはどう措置をするのか、二点について検討してください。若干残しておきます。

成相善十自由民主党・自由国民会議

○委員長(成相善十君) 本件に対する質疑は、午前はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      —————・—————    午後一時五分開会

成相善十自由民主党・自由国民会議

○委員長(成相善十君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和六十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

初村滝一郎自由民主党・自由国民会議

○初村滝一郎君 私は、韓国漁船の領海侵犯と不法操業にだけ絞って御質問をいたしたいと思います。大臣は一番最後にまとめて答弁を願いたいと思います。  まず、長崎県を初めとする九州北西岸での韓国漁船の不法操業というものは実に目に余るものがあります。領海の侵犯あるいは我が国の漁船の設置した漁具の破壊、また我が国の沖合底びき網漁の禁止区域での集団操業、数え上げれば切りがないほどであります。  近年における韓国漁船の侵犯の状況は、第七管区海上保安部の調べによりますと、五十九年に百七十一隻のうち検挙数が三十六隻、六十年に二百四十九隻、そのうち検挙数が三十二隻、また六十一年に入ってから二月末の状況は九十七隻が侵犯して、そのうち検挙が十六隻となっております。この侵犯は、昭和五十七年の六百二十五隻の侵犯をピークに、ここ二、三年間減少はしておるのでありますけれども、地方新聞に報道されたとおり、ことしの三月十日前後から五島灘を中心に長崎県西彼杵郡野母崎沖合の領海内に侵入してきている。悪質な船は橘湾の中に入っている。これは断じて許されない侵犯であると思います。  現在、西彼野母崎沖から五島灘、鯵曽根周辺においては、フグ、ノボリダイ等の盛漁期に入っております。現在、百五十数隻の小型漁船によって延べ縄あるいは一本釣りが操業しておるわけでありますが、この沿岸小型漁船が集中操業している五島灘沿岸海域において、特に夜間、早朝、しけ、これを利用して百トンから二百トン型の韓国底びき船が領海に入って沿岸資源を略奪する行為は、沿岸漁業者にとって死活問題であると私は思うのであります。こういうことについて水産庁長官はどういうふうにお考えになっておるのでしょうか、まずお尋ねをいたします。

佐野宏哉水産庁長官

○政府委員(佐野宏哉君) 私ども、従来から韓国漁船の違反操業につきましては、機会あるごとに繰り返し韓国側に対して厳重な申し入れをいたしておる。先生御指摘のように、ある時期までは韓国もまじめに取り組んで違反件数が漸減しつつあるかに見られたわけでございますが、昨年の秋以降残念ながら再び違反件数が増加の傾向をたどっておりまして、先生御指摘のように、先月殊に長崎県周辺で大変乱暴な操業をいたしておる。この点につきましては、長崎県の漁業者の代表者の方々から私もつぶさに余りにもひどい実態の御陳情を受けました。何とかしなければならないということで海上保安庁とも御相談いたしまして、私どもの方の船を集中的にその水域に回しまして取り締まりに当たらせておるところでございます。同時に、先月二十八日には、大臣の御指示もございまして、私が韓国の駐日臨時大使を招致いたしまして、最近の、殊に今先生御指摘の橘湾の中まで侵入して操業しておる実態を強く指摘いたしまして厳重に韓国側で対処するように強く申し入れたところでございます。  私どもといたしましては、今後とも取り締まり態勢の強化と韓国政府に対する強硬な申し入れを引き続き行っていく必要があると認識いたしております。

初村滝一郎自由民主党・自由国民会議

○初村滝一郎君 長官が地元の陳情団からいろいろと陳情を受けて早速今御答弁のあったように韓国の駐日代理大使に対して申し入れをした。この記事が四月一日の日刊水産経済新聞に出ておる。これは私も非情に意を強くして感謝いたしておるわけでありますが、今後こういう事態があればいち早く関係者に厳重な注意を申し入れてもらいたいと思います。  それから長官は陳情書を知っておるのですね。この陳情書の陳情の趣旨は、沖合底びき漁業の対馬東部操業区域、すなわちA区域を全面的に撤廃してもらいたいということが一つ。撤廃した後を周年禁止区域にしていただきたいというのがこの陳情書の内意でございます。  このA海域ではやっぱり国内底びきも違反しておるのですね。それとあわせて韓国の底びき船の違反が相次いでおる。何といっても対馬の漁業は、これをやられては零細漁業は本当に困るわけなんです。この点について長官のお考えがあったら御答弁をお願いしたい。

佐野宏哉水産庁長官

○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。  上対馬のA区域の問題につきましては、三月初めに、実は先生御自身の御紹介で地元の漁業者の代表の皆さん方、あるいは自治体の首長さんとか、町議会の方が私のところへお見えになりました。今先生御指摘の陳情書を携行されますと同時に、こもごも違反操業の実態について立ち入った御説明をいただきました。  その際特に漁業者の皆さん方がお話になっておりましたのは、A区域は御承知のように夜間操業が禁止されておる水域でございますが、その規則に違反して実は夜陰に乗じて操業している者がいる、ないしはそのA区域からさらに沿岸側に近寄って、沿岸漁業者にとって大変不都合な操業をしておる底びき船があるということについて、こもごもお話がございました。私どもといたしましては、A区域の存否そのものもございますが、実は関係漁業者の苦情のうち相当の部分は、実はA区域で定められております夜間操業禁止の規則が守られていないとか、区域外に逸脱して操業しておるとか、あるいはA区域につきましては隻数制限を定めておりますが、その隻数制限上A区域で操業することを認められていない枠外の船までやってきておるとか、そういう違反問題に対する御批判が非常に厳しいように事情をお伺いいたしました。  私どもといたしましては、九州の漁業調整事務所の傘下の船をできるだけこの水域に濃密に回しまして、まず違反操業の根絶ということにつきましてしっかり取り締まりをやらせるように九州漁業調整事務所に督励をいたしておるところであります。関係者の皆さん方も九州の漁業調整事務所が精いっぱい努力しておるということについては、それなりの評価をしていただけているように存じております。私どもといたしましては、当面今申し上げましたような取り締まりの強化によってこの問題に対処してまいりたいと考えておる次第でございます。

初村滝一郎自由民主党・自由国民会議

○初村滝一郎君 とにかくA区域は本当に零細漁民の宝庫なんですから、これについては常に厳戒態勢をとってもらいたいと思います。  それから特に最近、韓国の底引き漁船等による漁具の被害が相当な額になっておる。私は五十二年の九月ですか、あるいはその前にも大臣に質問しておるわけでありますが、相当額になっておると思っておるんですね、この被害額が。これに対して水産庁として何か手当てその他お考えがあるか。実際そういうことをやったことがあるのか、そのまま放置するのか、その被害はだれが払うのか、そういうことについて御見解を賜りたいと思います。

佐野宏哉水産庁長官

○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。  実は、日韓双方の漁船がお互いに相手側の漁業者の漁具に被害などを与えた場合の問題の処理につきましては、日本側の大日本水産会と韓国側の水産業協同組合中央会との間に取り決めがございます。その取り決めに基づきまして両団体間で協議機構が設けられておりまして、その場でただいま先生御指摘のような漁業被害については解決が図られるという仕組みになっておるわけでございます。実際にこの機構を通じて解決しております案件の数ということにつきましては、必ずしも関係漁業者の皆さん方の御満足のいただくような水準ではないのかもしれませんが、ともかくこういう機構を通じて漁具被害等の問題は処理をされております。現実に取るものは取っておりますし、払うものも払っておるわけであります。  ただ、私どもといたしましても、西日本を中心とする韓国漁船による我が国の漁業者の漁具被害等の防止と事後処理の適正化を図るために、六十年度から実態調査等を行います西日本沿岸対策事業というのを始めておるところでございまして、そういう仕事を通じましてこの問題の円満な解決が図られるように指導してまいりたいと考えておる次第でございます。

初村滝一郎自由民主党・自由国民会議

○初村滝一郎君 長官、先月の二十五、二十六日に長崎県の県漁連傘下の漁民が上京して窮状を関係者に訴えておりますね。違反取り締まりを直ちに強化するように強い要請があったと思いますが、これにこたえて水産庁、海上保安庁、外務省は直ちに対応してやった、すぐ実績があらわれたわけです。その翌々日地元海上保安部が一隻を検挙したんです。その対応が高く評価されておるんです。いつでもそうあってほしいなということなんですね。私はその声を聞きまして、関係者の議員として本当にありがたいなとお礼をここで申し上げるわけですが、常にそういう姿勢で事に処してもらいたいと思います。  検挙後にこの五島での出現の情報には接しておりませんけれども、国の巡視船艇等の監視が緩められると再び侵犯操業をやるという危険があるわけです。そこで、私は次のような処置を講じて沿岸漁業者が安心して操業のできるような方策をとってもらいたい。  まず水産庁にお願いするわけですが、監視船の増配備による本件沿岸地域における常時監視体制の強化と検挙体制の確立、それから韓国警備艇、指導船の常駐配備による取り締まりの強化、それから日韓漁業協定遵守の申し入れと本協定の見直し。この協定はもう二十年たっておるんですからね。以上の点について水産庁の御答弁をお願いしたいと思います。

佐野宏哉水産庁長官

○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。  まず、九州の漁業調整事務所には所属の取り締まり船が十一隻ございますが、この過半を長崎県周辺の水域に配備いたしまして、海上保安庁なり県なりの船と協力して監視取り締まりを行っているところでございます。殊に最近の韓国漁船の不法操業の状況に応じまして、沖之島周辺でございますとか野母崎周辺のような要注意水域には、私どもの方の取り締まり船を一隻ないし二隻常時張りつけることにいたしまして万全を期しているところでございます。今後さらに韓国漁船の動向を注視して、必要に応じて増隻ということも考えなければなるまいと思っておりますし、海上保安庁の巡視船との連携も一層緊密にして効果的な取り締まり体制を実施していきたいと考えておる次第でございます。  それから第二に御指摘のございました韓国の指導船の配備でございますが、これは私どもも韓国漁船の違反操業を抑止するために大変効果的な手だてであるというふうに考えておりまして、従来から機会あるごとに韓国指導船の配備強化につきましては韓国側に申し入れているところでございまして、私どもといたしましては、今後とも韓国側に引き続き韓国側の責任できちんとした取り締まりをやるよう十分な船艇を回してくれるように要請し続けてまいりたいと考えておる次第でございます。  第三に御指摘のございました日韓漁業協定の遵守を韓国に申し入れるという点でございますが、この点につきましても従来から繰り返しやっておるところでございまして、今回も韓国の臨時代理大使を招致いたしまして話をいたしました場合には、長崎県周辺水域の最近の事例についてはもちろんきつく申し入れたところでございますが、同時に一般論として日韓漁業協定の遵守について韓国側に強硬に申し入れたところでございます。  最後に、先生、日韓漁業協定の見直し云々ということに言及をなさいましたが、これは総合的な判断を要する問題であるというふうに認識いたしておりまして、なかなか慎重な検討を要するだろうと存じますが、最近見られるような韓国漁船の違反操業、こういう事態がこのまま続くようであれば、これは現存の日韓間の漁業関係の基本を揺るがしかねない事態であるということは十分に認識して対処してまいりたいと思っております。

初村滝一郎自由民主党・自由国民会議

○初村滝一郎君 次に、海上保安庁にお願いした長崎、佐世保海上保安部に三十メーター型の高速艇の常駐配備によって取り締まり体制の強化をしてもらいたい。特に夜間と早朝の重点取り締まりをお願いしたいんですが、いかがなものでしょうか。

垂水正大海上保安庁警備救難部警備第一課長

○説明員(垂水正大君) 韓国漁船の操業実態から見まして、取り締まりに当たりましては、先生御指摘のとおり、高速巡視艇による対応が望ましいと我々考えているわけでございますけれども、昨今の厳しい財政事情のもとに早急な三十メートル型高速巡視艇の増強というのは困難な状況でございます。このため、海上保安庁といたしましては、当面、現在、先月の二十七日から特別監視取り締まり体制を野母崎沖合を中心に講じているわけでございますけれども、これと同様な韓国漁船の動向に応じまして近隣部署から三十メートル型高速巡視艇等を派遣いたしまして、先ほど先生のお話しのとおり、違反の実態が夜間及び早朝ということで、これらに重点を置いた集中的な取り締まりを行うことによりまして万全を期したいと考えております。

初村滝一郎自由民主党・自由国民会議

○初村滝一郎君 それで結構ですから、常にその気持ちを忘れないようにしてやってもらいたい。  外務省にお願いしたいんですが、外務省は外交ルートを通じて侵犯操業絶滅のための申し入れをする考えはないか、御答弁願います。

渋谷治彦外務省アジア局北東アジア課長

○説明員(渋谷治彦君) もちろん従来より水産庁とも協議をしながら、違反操業につきましては、あらゆる機会に韓国側に対して事態の改善のための具体的な措置を要請しております。  それから特に現在の不法な操業が今後激化した場合には、これが日本の国内において政治問題化し、日韓関係に望ましくない影響を与えるおそれがあるという観点から、三月二十七日に在京大使館の政務担当官に対しましても、そういう政治的な観点からの申し入れ、具体的な改善措置の要請をいたしております。今後ともこういった努力を続けていく考えでございます。

初村滝一郎自由民主党・自由国民会議

○初村滝一郎君 外務省はもっとしゃんとしてもらわなきゃいかぬ。国全体が韓国におびえている。だから、国がそういうふうにおびえているから韓国の漁師は日本の漁師をなめておる。だから、しょっちゅう侵犯ばかりしている。  私は最近対馬を四日ずっと回ってきた。ところが、長崎県の沿岸漁業地帯を私がずっと視察してみますと、西日本海域における二百海里設定を要望している声が非常に強いんですね。私も十年前に自民党水産部会でこの発言をしたことがある。だから、二百海里をしかないもんだから、昔の十二海里にまで接近してくるんだ、公海、公海と言って。そして夜陰に乗じて十二海里をさらに接岸してきて、本当に四、五海里まで来て根こそぎとってくるんだ。  私が今言うたような二百海里設定の要望があるんだけれども、国は国としての問題がたくさんあると思う。例えば竹島の問題、あるいは中国、韓国の出方等で非常に国際的に難しい点が多々あると思う。あると思うけれども、やっぱり主張するところは主張しなきゃいかぬと思うな、私は。どうです、皆さん。北方領土四島は太鼓をたたいて返せ、返せと言うんでしょう。ところが、竹島を返せという国会議員は一人もおらない。これじゃ法治国家として日本の立場はどうなる、日本国民としての立場がなくなる。この点は私は非常に残念に思ってならないんですがね。二百海里をしかれなければ何かそれにかわるような暫定的なものがないものかどうかと考えるんだが、外務省、何か考えがないかな。

渋谷治彦外務省アジア局北東アジア課長

○説明員(渋谷治彦君) 我が国の周辺水域での韓国漁船による操業と関連いたしまして、韓国に対し我が国の漁業水域暫定措置法を適用すべきであるという御意見があるということは私どもも承知しておりますし、この点につきましては常に意識いたしております。  韓国漁船に対し漁業水域暫定措置法にかわる方策を講ずることにつきましては、我が国周辺水域への韓国漁船の展開の状況とか、あるいは韓国水域へ出漁している我が国漁船への影響、現在の日韓間の漁業秩序との関連、さらには日韓関係全般に対してどのような影響を及ぼすかというような諸点を総合的に勘案しつつ、今後慎重に検討していくつもりでおります。  なお、これは二百海里の適用の問題とは直接関係はございませんが、北海道沖では韓国側の操業につきまして自主規制が行われております。  それから竹島の問題につきましては、毎年機会あるごとに韓国側にこの問題を提起しております。昨年はソウルで開かれました日韓閣僚会議の際の外務大臣会議でもこの問題を取り上げております。しかし、残念ながら、双方の立場を主張し合うということにとどまり、具体的な結論は出ませんでした。ことしの東京で開かれる日韓閣僚会議においてもこの問題を取り上げるつもりでおります。

初村滝一郎自由民主党・自由国民会議

○初村滝一郎君 北海道のときに二百海里が出たんだけれども、二百海里ということを伏せてしまって、それで日韓の暫定措置というものを結んだと聞いておる。それで今話を聞くと、弱腰だよな。大臣に言ってください、もっと強くやってくれと。それで、しゃんと主張するところは主張しなければだめ。国民がついていけない。それを外務大臣に、特に初村から言われたということを言ってください。  以上で大体時間が参ったわけでございますが、大臣、今までの議論を通じて、韓国漁船の領海侵犯、不法操業あるいはその他の問題、二百海里の問題もちょっとやりましたけれども、これに対する大臣のお考えを聞いて、私の質問を終わります。

羽田孜自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(羽田孜君) 韓国漁船の不法操業の問題でございますけれども、この問題につきましては従来から注意を申し上げ、そうしますと、たしか昨年ぐらいまでは少し減ってきたといういい兆候が実は見えてきたわけでありますけれども、またその後秋以来、今先生から御指摘をいただいたようなふうに違法操業というものはふえてきておるという現況でありまして、先日来先生の地元の皆様方からも現状というものを私どもも聞かしていただいておるところであります。  そういうことで、先ほど長官の方から冒頭お答え申し上げましたように、臨時代理大使を招きまして、今の状況というものを申し上げると同時に、このことを本国に対してきちんと連絡をし、そしてきちんとした措置をとるようにということを実は強く申し上げたところでありまして、これからも違法操業に対しましては私どもは厳しく注意を喚起していきたいというふうに考えております。

大城眞順自由民主党・自由国民会議

○大城眞順君 日本農業の停滞が近年著しく、いろんな面で変化し進歩してきているということは御案内のとおりでございます。そういうことを二、三面から考察してみたいと思います。  まず、手や足を土にまみれてやってまいりました、ほとんど肉体労働によるマニュアルレーバー式な農業、これが原始的な農業であり、また、つい最近までの農業であったわけでございます。それが一歩進みまして、機械化農業というふうになりまして、これは我々メカニカル・カルティベーションと言っておりますけれども、そういった農法に変わってきた。そして今度は二十一世紀に向けてバイオサイエンス、バイオテクノロジーを網羅した一つの農業に変わっていきつつある。これが一面。  二面として考えられることは、産業構造の中で我々は農業を一次産業と呼び、あるいは工業を二次産業と呼び、あるいは観光その他サービス業を三次産業といった概念が崩れつつあるのではないか。ということは、既に企業が農業をやり、生産から加工、精製、流通、販売、すべてやってしまうという例もあるわけであります。したがいまして、必ずしも農業だけをやるから農家でありあるいはまた農業者であるという概念は崩れつつあるんじゃないかと、私はこう考えています。逆に、今度はサービス業である例えば観光産業を見た場合に、三次産業から二次産業、一次産業、全部網羅しないと観光産業も成り立たないということで、最近ではこれは三次産業ではなく総合産業であるというふうな呼び方もあるわけでございます。そういうふうにして、私は農業の面も随分概念として変わりつつあるんじゃないかと考えられます。  具体的なことを、これは第三面になりますけれども、申し上げてみますと、農法が随分と変わってきている。例を申し上げますと、まず言われておるハイポニカ農法。これはトマト一本の木で一万二千個も実らすことができるという証明を万博でもやっておったわけですけれども、あれはハイポニカの象徴たるものだと私は思っております。ほかの言葉で言えば養液農法とも言うらしいんですけれども、これは御案内のとおり、もう土は要らないんだ、水と光さえあれば作目はつくれるんだというような、極端に言えばそういった考え方であり、現にそれが成功しつつある、研究の段階で。そしてそれが長じまして、ビルの中で光と水さえあれば農場ができる。皮肉な言い方をすればコンクリート農場ができるんじゃないか。そのそばのスーパーで、同じ建物の中でできたやつを売る。こういうふうな一つの農法も、まあ農法と言っていいのかどうかわかりませんが、そういった形もある。  それから緑健農業というのがあります。これは三重県が元祖らしいんですけれども、もともと土壌というものは、いい土壌だとか悪い土壌だとかはないもんだ、それに適した作目を植えればいいじゃないか、神様は土くれのところでも石くれのところでも植物ができるようにやったんじゃないか、それを人間が勝手に変えたから変な格好になっているんであって、それなりの作目をつくれば実るんじゃないかというようなことで、そういった原理で緑健農業をやる。これは沖縄でもありますけれども、私は何回も行ってみました。例えばトマトでも、普通のトマトよりも五倍、十倍のビタミンCが含有されている。そして足でその土をつついたならば足が折れるぐらいにかたいんです。耕しているのかというと耕しておりませんと、こういうことなんです。そこにトマトの木を一本植えますと、これがまた五倍、十倍の数でナスビあるいはトマトなんかが実ってくる。これは土耕栽培でしょうけれども、変わった形の土耕栽培。  そうして今の二つよりも先んじたのが水耕栽培。いろいろ地下水を使っている。もちろん施設も必要ですけれども、それには農薬も要らない。農薬というものは、もともと土があるから病害虫が出るというんで、そのために必要になるという原理でしょう。水の中に同じような規格、同じようなサイズで作物ができる。売るのにも非常に便利である。こういったようなのが非常に受けている時代なんです。  これに対して、農政というものは、新しい技術が進歩すればするほど農政というものもある程度変わっていかなくちゃならないと、このように考えまして、こういったことを前提に置いてお聞きいたしますけれども、こういった農法、新しい農法の実態は一体どうなっておるのか、ひとつ時間が許す範囲でまずお答えを願いたい。実態はどうなっておるのか、これら三つの農法がどこまで進んでおるのか。

芦澤利彰農林水産省大臣官房技術総括審議官

○説明員(芦澤利彰君) 先生今御指摘の農業技術の変化、これはハイテクを使っての農業技術の変化もございますし、またハイポニカ等のいわゆる水耕栽培、また極端なものはビルの中で行われているいわゆる野菜工場と申しますか、まあ俗称野菜工場と言われるようなものも一部出てきておりますけれども、しかし、いずれにいたしましても、例えば水耕栽培などは、施設園芸全体の面積が約三万ヘクタールぐらいございますけれども、その施設園芸全体の面積の中で三百ヘクタール、約一%程度が現在のところハイポニカあるいはほかのものを含む養液栽培で行われているというふうに情報を得ています。また緑健栽培、先生御指摘の土を耕さずに、また肥料も少ししかやらずに、しかも有機物をやらないという、今までの農業とはかなり違ったいわゆる断食農法みたいなことを言われている農法のようでございますけれども、静岡あるいは先生の地元の沖縄等々で一部の農家が扱っているようでございまして、千戸ぐらいの農家がこういう農法に取り組んでいるというふうに情報を受けております。

大城眞順自由民主党・自由国民会議

○大城眞順君 このハイポニカ農法なんですけれども、例えばサトウキビを沖縄では一年、十二カ月で約三メーター成長させることができます。しかしこの農法を用いますと七カ月で六メーター、これは大変な恐ろしいテクノロジーでございまして、こういったことで、これは今コストの問題だろうと思うんですけれども、コストさえ合えば、あるいはまた土耕農業とどっかでセットにするような形でまた新しい農法が生まれやしないかと、こういうふうな考え方も自分勝手にやっておるわけです。  これらは三百ヘクタールですか、施設農業のわずか一%だと、こういうことなんですけれども、事実、収穫は大変な結果を生んでおるわけですから、これは農水省としても私はないがしろにできないと思うんです。技術が先に行って農政は、今までのいわゆる手足を汚す農業の前提で農政をやった場合に追いつかなくなる。そういったことであえてお尋ねしますけれども、こういった新しい農法に対して将来の展望はどうなのか、そして現実にまた将来に向かって政府としては助成策をやってこれを進めていく方向にあるのか、あるいは我関知せずということになるのか、そういったものに対する政府の施策をお聞きしたいと思います。

芦澤利彰農林水産省大臣官房技術総括審議官

○説明員(芦澤利彰君) 先生御指摘のように、近年、新技術を活用して品質のいい、例えばビタミンCが多いとかあるいは生産性の高い農業をやろうという動きが各地に出てきておるのは事実でございまして、私ども今後我が国の農業を魅力あるものとして進めていく上でも、また高品質の農産物を生産者に安定的に供給する上でも、バイオテクノロジーを中心とするこれらの新技術の開発には大いに力を入れていかなくちゃならないというふうに考えております。ただ、農業も産業でございますので、やはりつくったものがペイできるようにコストをいかに下げていくかということもあわせて大切でございますし、収量の安定確保ということもあわせて大切でございますので、品質が高く、収量が安定し、しかもコストが安くなる、そういう形での新技術の研究開発をこれからも大いに進めてまいりたいと思っております。また施設園芸等につきましても、例えば野菜工場みたいな形で栽培されるものはかなりコストが高いわけでございますけれども、それをもっと安くしていくような技術開発ができないかということも、民間の人たちの力もかりながら研究し検討を進めておるところでございます。

大城眞順自由民主党・自由国民会議

○大城眞順君 いろいろと私個人として大変関心を寄せている課題ですけれども、いずれにいたしましても、このようにハイテクの時代、バイオサイエンスでもって農薬というものを押し上げていく時代になっておりますので、政府としてもこういった進んでいる形態に対してどうあらねばならないかということを積極的にこれから詰めていかないとおくれをとるんじゃないかというような感じが私はいたすわけでございますので、ひとつその辺の施策をお願いしておきたいと思います。  時間もございませんので、次に進みますけれども、沖縄農業全般についてちょっと大臣を含めましてお聞きしたいと思うんです。何といっても沖縄というところは唯一の離島県であり、また唯一の亜熱帯という地域でございまして、農業はもちろん、あるいはまた文化の面、あらゆる面において鹿児島から北海道までのものとは形の上に、現象の上に相当違っておるのがたくさんあるわけでございまして、そういったものを踏まえて沖縄の農業というのは語らないと、同じ物差しで沖縄農業を見たんじゃ、沖縄農業の発展はないというようなことであえて御質問申し上げます。  まず、沖縄農業のハンディキャップが非常に大きいのです。大きいし、多いのです。まず基盤整備が、二十七カ年間のアメリカ政府時代、農業に対しての力をてんで入れてなかったわけでございまして、それだけのおくれがあるわけでございます。  二番目に、経営規模が零細である。四十二の島からなる、しかも全体でも非常に小さい島々でございますので、経営規模が極めて零細である、そしてまた土壌の関係で生産性が非常に低い、今までの農法によりますとそしてまた流通機構が離れているがゆえにまだ未整備なところがたくさんある。そして有名な台風、干ばつの多発であります。挙げればこういったのが沖縄農業のハンディキャップだと私は思っております。  それでは全然ハンディキャップだけであとプラスの面はないかというと大いにあるわけでございます。将来に向けての沖縄農業の期待性と申しましょうか、期待できるファクターというものは亜熱帯農業ができること。これはどこの県もできないわけでございまして、太陽エネルギーが豊富でありますし、そういったことからいたしまして、野菜、花卉園芸、こういったのが今盛んになりつつあるわけでございまして、特に花卉園芸の場合にはこの十年間で何と十倍の売り上げになっておるわけでございます。野菜が二、三倍になっているわけです。こういった太陽エネルギーを大いに利用しますと、周年、年から年じゅう緑でございますので、肉用牛やその他の畜産についても大変有望なところがあるのではないか、こういうことでございます。  政府のおかけをもちまして、補助率やあるいはまた農業の基盤整備等の採択基準、これが大変緩和されまして、特別な優遇措置をもって今どんどん沖縄の農業振興をやっている最中でございますけれども、しかしまだまだ本土並みにはなっておりません。そういったことで、沖縄の亜熱帯の特徴を生かした農業に我々官体期待をいたして努力しておるところでございます。特に大変な莫大な金額を投じましてつい最近ミカンコミバエが沖縄から一掃されました。この席をかりまして私はお礼を申し上げたいと思います。次はウリミバエが六十六年までに完全に防除できる、こういうことになるわけでございます。そうしますと、六十六年からは亜熱帯で露地栽培で何でもできるわけですから、果樹であろうと花卉であろうと野菜であろうが、大変な伸び方をするのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  以上、沖縄の農業の現実あるいは将来性に向けて私なりに考えてみましたけれども、日本農業の中における一地域ではありますけれども、沖縄は沖縄なりの農業の形態を生かして国策に資するということから考えまして、これからの沖縄農業のあり方についてどうお考えになられるか、大臣からまず総括をいただきまして、他の局長さん方からまた詳しいことについてお聞きしたいと思います。

羽田孜自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(羽田孜君) 沖縄の農業につきましては、まさに今先生からお話がありましたように、亜熱帯の地域であるということで、その地域の特性を生かした農業、これがこれから大きく発展していくであろうというふうに私も考えます。今お話がありましたように花卉あるいは野菜等につきまして、例えば冬の間は私どもの信州なんかの花も相当の部分は沖縄から供給されているという話を聞いておりますし、また、野菜が不足するちょうど冬の時期には関東に対しても野菜なんか供給されておるという実態もございます。そういう意味でこれからの地域の特性を生かした農業を進めていただきたい、これが私どもとしても期待しておるところであります。  ただ問題は、今お話がありましたように、規模がまだ零細であるということ、あるいは土地改良等につきましても非常におくれておったということで、積極的に進めてきておりますけれども、まだ大分おくれておるという現状がございます。それから例の地下ダム等についても投資いたしておりますけれども、まだ水の問題というのは一つの大きな問題であろうというふうに思っております。  そして一番の基本になる例えばサトウキビですとかあるいはパイナップル、この問題がやっぱり一つの大きなテーマになっておりまして、これをより生産性が高く、しかも安定したものにしなければいけないということで、これから我々農政としてもいろんな角度から配慮をしていかなければいけないというふうに考えております。

大城眞順自由民主党・自由国民会議

○大城眞順君 それで、今大臣からもお伺いしましたように、水の問題も一つの課題でありますけれども、水の解決さえできれば、特に宮古島あたりは本島の耕地面積の四分の一を持っておるわけでございまして、あの地下ダムが成功いたしますと、一挙に農業指数はぐっと上がってくるんじゃないかと大変期待をいたしておりますけれども、何か一年おくれで、予算の関係でまだ遅々として進まないわけでございますけれども、促進方をひとつお願いいたしたいと思います。  先ほど申し上げました生産基盤の整備なんですけれども、大変おかげをもちまして、土地改良を初めとして、補助率の問題あるいはまた採択基準のあり方等について優遇措置をとられておるわけでございますけれども、考えてみますと、冒頭に申し上げましたようなこういったテクノロジーの時代なんですから、さらにまたバイオサイエンスというものを考えた場合に、今沖縄の国策としてできることは、北半球にはほとんどなくて南半球しかないという植物資源の確保、栽培、こういったものを日本の国で生かすとするならば、沖縄以外にないんだというふうに言っても決して過言ではない。そういった南半球にしかない、亜熱帯地域を中心にした南半球にしかない植物資源を東北あたりに持っていったってしようがないし、そういったことで資源植物の栽培センターと申しましょうか、保育センターと申しましょうか、名前はどうあれ、そういった試験研究機関、ニューテクノロジーの農法の時代においての試験研究機関を沖縄におつくりになる考えはないかどうか、それについてお伺いします。

櫛渕欽也農林水産省農林水産技術会議事務局長

○政府委員(櫛渕欽也君) バイオテクノロジーのまさに基盤と考えられまする今先生御指摘の遺伝資源でございますけれども、この確保につきましては、農林水産ジーンバンク事業ということで昨年来農林水産省挙げて現在取り組んでいるところでございます。この事業の中では全国的な遺伝資源センターの機能を筑波にありまする農業生物資源研究所に置きまして、北は北海道関係の試験研究機関、南は沖縄にございまする熱帯農業研究センターの沖縄支所、それからさとうきび原原種農場が国頭部にございますが、こういった国の機関をネットワークとして活用いたしまして、今先生が御指摘の熱帯、亜熱帯の関係の遺伝資源の確保につきましては、現在のところ私どもとしては、熱帯農業研究センターの沖縄支所にパイナップル、サトウキビその他熱帯作物関係の遺伝資源を約二千六百品種収集保存している状況にございます。さらに、先ほど申し上げましたようなサトウキビの原原種農場につきましても、こういった観点から今後その全国的なネットワークの中で遺伝資源の関係の保存関係に大いに活用を図りたい、そういうふうに考えております。

大城眞順自由民主党・自由国民会議

○大城眞順君 最後にパイン問題に触れざるを得ません。  沖縄のパイン産業というものは、アメリカの軍事占領、軍事基地の保持と密接にリンクしております。と申し上げますのは、基地自体が農業に適する土地を接収して、全部じゃないんですけれども、そういった土地が接収されて軍事基地ができた。あと農民はどこで何をつくればいいかというようなことになりまして、その一端として、アメリカの施策として、いわゆる何にもできない赤土、酸性土壌にパイナップルをつくれということ。もう一つは南の石垣島、当時マラリアで大変な疫病地帯であったジャングルを開発いたしまして沖縄本島から移住させて、そこでまたパインをつくらせた。こういう歴史があるわけでございます。きょうは一つ一つそういった御認識について尋ねたかったわけですけれども、時間がございませんから一方的にお話を申し上げまして後ほど総括してお聞きしたいわけです。  そういった歴史の中で、特にパインだけは復帰前から政府も相当助成策を講じてまいりました。そのおかげをもちまして一時は十万トンまでいったことがあります。しかし今は四万四、五千トンではなかろうかと思います。大変落ち目になっております。  今までパインの危機というのが二回ございまして、第一回は第一次オイルショック、そして二回目は五十六、七年ですか、円高のとき。当時もちょっとした円高がございまして、そうして今度また円高によって大変な被害をこうむろうとしているやさきであります。しかも、例の貿易自由化への十二品目の一つにも相なっております。  こういった浮き沈みをしながら今日に至っているわけですけれども、現時点では、特に三月、先月末時点で、パッカー側の計算によりますと、円高差損が約十八億出るのではないか。もう売れたもんじゃない。販売業者から大変な低価でたたかれておる最中でございまして、出荷どころの話じゃない。私はこのように現状を苦情の形で申し上げておるわけではございません。政府は沖縄のパイン産業に対してちょっと負い目がある、歴史の中では。それは、冷凍パインを入れましたときに、これはお菓子用に使うんだから心配するな、缶詰にはいたしませんと言ったら、入ってきた途端からもう缶詰にしちゃう。これが一次、二次、そして今回の三次のパイン危機の一つの元凶であります。沖縄の生産者、パッカーがみんな知っております。政府を信じてやりましたら、いつの間にか冷凍パインに押されましてこういうことに相なっておるわけですけれども、政府としてそういった歴史を踏まえつつどういうふうにして対処されていくのか。今十八億の差損が出ようとするこのパイン産業をどうするのか。これからパインを進めるのか進めないのか。そういったものも含めまして、パインの現状に対する施策をお聞きしたいと思いますし、また十二品目の中でありまして、我が党の農林部会でもどんなことがあっても自由化しちゃだめだというようなことになっておりますけれども、その辺についてもお聞きしたい。もとを正せばアメリカがパインをつくれと言った、今度はアメリカが自由化しろと、そんなばかな話はどこにもないと思うんです。そういったところを踏まえて、沖縄のパイン産業に対する施策をひとつお聞かせ願いたいと思います。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 沖縄のパイン産業の今日までの経緯、歴史において先生のお尋ねございましたような占領時の政策との関係、特にアメリカ軍の農務担当官がハワイから苗を持ち込んで沖縄において栽培を始め奨励した、こういうような経緯でございますとか、八重山地域においては軍用地として農地を提供した農民に対して琉球政府がその入植者にパイナップル栽培を勧めた、こういうような経緯がございます。またもう一つ、冷凍パイナップルの自由化の経緯についても、先生お尋ねのように、菓子用として輸入されるという予定であったものが、その後のいろんな関係技術、設備の整備もあって、冷凍パイン缶詰になった、こういうような経緯がございまして、そこへ今日円高と、特に最近見られます缶詰の消費の減退ということで、大変在庫の増大寺苦しい状態に置かれております。  そこで、対策でございますが、基本的には、先ほど来先生の御質問の中にも出てまいりましたような基盤整備を進め、また特にパインの場合に重要でございます省力機械施設を導入するとか加工場関係の近代化を進めるとか、こういう基本的な施策を進めるべきものであるというふうに考えております。また当面、大変今問題になってまいりました需給関係につきましては、先般、沖縄からも生産者関係にも御参加いただいて需給問題の懇談会を開催いたしまして、冷凍パイン缶詰を抑制する、それから国内生産についても若干こういう在庫の今増大の時期でございますので、従来の百万ケースという目標よりは二割減を目標にして少し抑えていただく、こういうような御相談をして、大体こういうことで当面難しい事態に対処しようじゃないか、こういう御相談をした次第でございます。  なお、パイン産業自体に対しましては、先般施行されました特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の指定業種としまして、低利資金の融通でございますとか税制上の優遇、信用保険の特例、こういう経営安定施策を講じまして、この辺の今の厳しい事態に対する経営安定対策、これもあわせてやってまいりたい、かように考えております。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 質問をさせていただきます。  六十一年度農林水産予算の説明を先ほど大臣から伺ったわけでありますが、いろいろ考えるところがありました。私は今ここに一つの新聞の投書を持ってきましたので、大臣に聞いていただこうと思います。   わが国も例外ではなく、戦時中には聖戦遂行のための食糧増産が、戦後の食糧難の時代には強権の発動までして食糧の調達供給が行われてきた。高度経済成長期には「農業基本法」が制定され、工業立国の中での農業の進路を示した。国の強力な指導によって、農業はその形態を自給自足型のそれから、経済性追求のそれへと姿を変えてきた。  しかし、農政が指導力を発揮できたのは、残念ながらそこまでである。昭和四十年代に入ってのコメの減反政策以降、進路を見失い目的地がわからず、墜落した日航ジャンボ機さながら、ダッチロールをくりかえしつつ現在に至っている。  そして、それが、今年もつづくことを昭和六十一年度予算は告示しているかの如くである。  農業には個人の努力ではどうにもならない問題が多すぎる。農林予算しかり、自由化問題しかり、である。農民個人の前に厚い政治の壁が立ちふさがっている。それだけに国の農政のカジ取りは一国の農業の運命を左右する。今年度(六十一年度)の予算でみるかぎり、農業の衰退はさらに加速されそうな気がしてならない。 こういう新聞の投書を持ってまいりました。これを下敷きに予算に臨んでの大臣の御感想をひとつ。

羽田孜自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(羽田孜君) 一つの考え方といいますか、そういうあれもあるのかなという感じを受けますけれども、私は、農業というのがこれから衰退に向かう、あるいは農政というものは指針を失っちゃった、そういうあれは持っておりません。むしろ私自身、先ほどもちょっとお話ししましたように、十年間もこんなことやりながら、またこの農政の問題と取り組んでいくことになったわけですけれども、非常に厳しい、難しい環境にあるかもしれないけれども、しかし新しい時代の中で農業というのはこれから発展していく可能性というのを相当秘めておるということ、そこにまた新しい技術、先ほど御議論があったような技術というものが今どんどん生まれつつあるということ、そして農政は基本的にはずっとこのところ追い求めてきて、それほど進んでいるということは申し上げることはできないわけですけれども、しかし、今逆に高齢化社会等を迎えながら、規模の拡大というものもこれから進むんじゃないかということが私ども見通せるということで、さらにこの面について助長していかなければいけないというふうに考えております。  そういう中で今度の予算。もう予算にあらわれているということであります。確かに予算そのものは、全体的に国の予算が非常に厳しい財政事情の中で、それぞれの分野を切り詰めていかなければならないという中で、農業予算も前年対比、減らざるを得なかったというのが現状であるわけでございます。ただ、私どもはそういった中で前段申し上げたような、これからあり得べき農業の姿というものを追い求めながら、例えば土地改良なんかについても工夫を加えるとか、また新しい技術に対して工夫を加えるとか、また改良資金等のように中央競馬会からお金を持ってきながら、本当にやろうという農業者に対して力をおかししようというような実は配慮というものがなされているわけでありまして、確かに全体の総額としては、ここのところ、去年の対比だけじゃなくて、ずっとここのところ減っておるという現状でありますけれども、しかし私は農政そのものが先細りになっていくものじゃないんだということを申し上げたいと思うわけであります。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 大変力強い抱負をいただきまして、ぜひ大臣の力を発揮していただきたいというふうに思います。  次に、輸入牛肉のことについてお伺いをいたしますが、新聞の記事だけで読みましたが、事務次官の三十一日付の御発言で、円高差益を何らかの形で反映させるために、輸入牛肉の値下げ問題について検討しているということが書かれております。今までこの輸入牛肉の値下げという方向は出されておりませんでした。このたび初めての前向きのあの発言だというふうに思うんですけれども、全国三千の指定店を通してこの輸入牛肉が安くなるのはいつですか。

大坪敏男農林水産省畜産局長

○政府委員(大坪敏男君) ただいま先生が御指摘の、輸入肉に関する差益還元の一環といたしまして、消費者への廉価な輸入肉の提供につきましては目下検討中でございますが、その一つの方法といたしまして、現在私どもの方では「肉の日」というものを月に一回設けているわけでございますし、かつまたそのほかに指定輸入牛肉販売店制度を設けているわけでございます。これにつきましては、売り値の同安といたしまして、一般の市価の一、二割安という小売価格の目安価格を示しているわけでございますが、これにつきまして引き下げの方向で目下検討しております。ただ、具体的内容につきましてはまだ結論を得ていないわけでございます。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 その値下げの考え方なんですけれども、今まで輸入しているのが例えば二百四十円だとしますと、今、百七十八円だから幾ら幾ら、何%下げられるというふうな一つの基準といいますか、ルールをつくって値下げをなさるのか。それとも事業団の考え方でするのか。そのことを確認しておきませんと、これは一つの大事な前例になってまいりますので、その辺の基本的な考え方はどうなのかが一つ。  一、二割程度は安くしたいというふうに今おっしゃっておりますけれども、輸入牛肉は売られている場所によっては非常に価格がまちまちですね、今。例えばコンパをやるなんというときには、スーパーに買いに行きますと、四百グラム入りパック二つで九百八十円で買えます。しかし指定店ではそんな値は出ていません。そうすると、一、二割安くするという、これは大変歓迎すべきことではありますけれども、どの値段を基準にしての一、二割安というふうにお考えなのか。二点について。

大坪敏男農林水産省畜産局長

○政府委員(大坪敏男君) まず先生の御理解を賜りたいと思いますことは、現在、牛肉の価格安定につきましては、畜産物価格安定法に基づきまして制度ができているわけでございます。これは安定上位価格と安定基準価格と、二つの幅の中に価格をおさめるということでございますが、それにおきまして、仮に輸入価格が下がったからといいまして、直ちにその分だけ売り渡しを下げるというわけになかなかまいらないということがあることをまず御理解賜りたいと思うわけでございます。ただ、ことしに関して申し上げますと、安定価格につきましては二・三%の引き下げを行っております。したがいまして、輸入牛肉の売り渡し予定価格もこれに準じまして引き下げを行いたいと考えております。その点まず御理解賜りたいと思います。  それからもう一点、先生、一、二割下げるということをおっしゃいましたが、現在「肉の日」あるいは指定店舗で行っておりますのが、一般市価の一、二割安ということを目安にして特別販売をさしているわけでございますので、その程度をさらに引き下げたいということを現在検討しておるということでございます。ただ、その引き下げのさらに引き下げる程度につきましては、現在検討中でございまして、ここで申し上げるまでに至っておりません。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 消費者にとっては値下げは大歓迎ですよね。ようやってくれた、当然だというふうには思うんです。ただ、それが今度国内和牛との競合の中ではどんなことになりますか。私は両方の立場を踏まえておりますものですから、そんなところはいかがですか。

大坪敏男農林水産省畜産局長

○政府委員(大坪敏男君) 輸入牛肉を売る場合の考え方としましては、輸入牛肉に相当する国産の牛肉、通常私どもは乳用雄牛の肉が相当すると考えているわけでございますが、その時価を一つの目安として輸入価格の販売を考えていく、そういう考えに立ってやっているわけでございます。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 はい、了解いたしました。  次に、先回予算委員会のときに、私どもの中野明議員が農用機具の安全性の問題等についてお尋ねをいたしました。私もそれについて引き続き少しお尋ねをしてみたいのであります。  安全対策の事業がどんなふうに具体的になっているのか。あのときの大臣の答弁でも、これから安全対策に力を入れていかなければならないという御答弁をなさっていらっしゃいましたので、その安全対策の具体的な事業を予算の項目の中から私も拾ってみたわけでありますが、そのことが一つ。それからこの農業機械については共同和用ないしは広域利用ということが一つの施策として打ち出されておるわけでございますけれども、その点が現状どうなっているのかについてお伺いいたします。  私は予算書の見方が上手ではないのですが、それによって見ると、ことしの安全対策というのは、農業機械化対策推進事業の中の都道府県等推進事業、それから市町村農作業安全推進事業、それから農業機械化研究所の費用及びその出資金、この四つの項目の中で安全対策を考えて取り入れているというふうに考えてよろしいでしょうか。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) まず安全対策の関係でございますが、これは大変たくさんの方あるいはたくさんの団体が農機具を使用しておられますので、安全対策ということになりますと非常にいろんな形で対策を講じなければなりません。一つは研修ということで、これは国にもございます、県にもございます。農作業関係の研修のときには安全研修ということを特に重点的に取り上げて実施しておりますし、そういう人に対する指導、それから市町村段階では農作業の安全巡回指導ということで、特に老人、婦人の方を対象にして安全講習会の開催をやっております。こういういわば人に対する研修なり講習等を通じまして安全な運転の仕方を学んでいただくということが第一でございます。  それから普及啓蒙の面では、これはいろいろテレビの放映とかポスターを配りまして安全意識を啓発する。これが第二のタイプでございます。  それから、より基本的には機械そのものの安全性を増さなければいけませんので、これは機械化研究所で機械の型式検査、安全鑑定を実施しておりますが、その中で特に安全鑑定については安全鑑定基準というものを設けまして、倒れたとかそういう場合の人体に対する防護装置をつけるとか、こういうことで機械自体の安全性を増すというような、大体今以上申し上げました三つのタイプで安全対策を実施しております。  なお、関係予算でございますが、先生のお挙げになりました分類とあるいは完全に一致してないかもしれませんけれども、大きく分けますならば、県や市町村の指導推進とか、いろいろ啓蒙とか、そういうものを含めました農業機械推進費ということで二億一千百万円ということでございます。  それから機械化研究所については、これは補助金で七億三千四百万円余り、こういうものを計上しております。これは機械化研究所全体の数字でございます。このほかに安全意識等啓発の委託費ということで二千八百万円余りを計上しているわけでございます。  次に、私用面の問題でございます。これは農機具の入れ方、利用の仕方によっては大変過剰投資になりがちでございますので、いろんな形があるわけでございますが、共同利用ということになりますと、集団的な生産組織をつくるとか、あるいはさらに進んで協業経営までいくということで、この生産の組織他を図るということでございますが、実はこれ自身もなかなか難しい面がございまして、今私どもが予算というものを含めて重点的に実施しておりますのは農業機械銀行、こういう形でございます。これは一つの重点的な仕事として進めておりますが、この中で具体的な例を挙げますと、例えば一つの地域では、農作業をここに機械を持って委託する人、それからそれを引き受ける人、この割合が大体十六対一ぐらいになっておりまして、大体十六人の方が委託するのを一人で引き受ける、こういうような形で広域的な利用がかなり促進されている。こういうことが実例になっておりまして、機械銀行自身についてはこれからも農協の大分協力も得ながらさらに推進していきたい。それによってお尋ねのございました広域利用をさらに進めてまいりたいと考えております。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 今の農作業安全指導研修の実施ですね、これは指導員がじかに巡回指導をして歩くということが一番大事なことなんですけれども、総務庁の行政監察なんかでは、これを見ると、安全指導員のいわゆる委嘱が進んでいない、あるいはまたそういう研修をやっても安全指導員の出席率がまことに悪い、一五・二%とか二五・九%というような比率でしか研修会に参加してないところがあるというような御指摘が、五十九年六月に総務庁の行政監察で出ておりますね。だから、仕組みができていることは私もいろいろ調べて確かにそうかというふうに思いますけれども、その作業の安全指導員の委嘱がなかったり、指導員に域なっていてもその人たちが事実上今研修会を開いていると言われている研修会に参加していなかったりということでは、本当は啓蒙されてないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、その点はいかがですか。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 昭和五十九年六月になされました総務庁の農業機械に関する行政監察、それに基づきます改善措置、改善意見の中で、農業機械化対策推進事業の中で、お尋ねのございましたような、非常にねらいはいいわけですが、なかなか実行がしっかりしてないという点の御指摘もいただいておりまして、これはいただきました以後、ほかの項目も含めまして逐次改善に努めておるわけでございますが、特に六十年度の事業計画以降、これらの審査の徹底を図るということで十分関係の会議で指導しながら、補助事業の実施面につきましては、ここで御指摘を受けましたような事態を解消するように強力に指導してまいる考えでございます。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 いろいろ機械化が進んでいくことは目に見えているわけでして、それだけにそういう安全確保ということに対する事業というのはこれからもとても大事なものになっていくというふうに思うんですね。それで私ども先回の予算のときにもお願いをいたしました次第でございますので、ぜひ安全確保ということで細心の策をとっていただきたいというふうに思うわけでございます。  それから先ほど言われました農業機械銀行のことでございますけれども、これもやっぱり総務庁の勧告にもありますね。それについて少し例えば、今おっしゃった受委託の関係も余りうまくはいってない、それが建前なんだけれども、うまくいっていないというようなことが出てますね。それから機械そのもののいわゆる遊休化というんですか、そういうものも御指摘ございますよね。私は、六十年度の農業機械作業広域調整促進事業でしょうか、これと六十一年度の分とを比較してみたんですが、何か意図を持って置きかえられたのかわからないんですけれども、六十年度分がゼロになっているものが六十一年度でのってたり、それから六十年度にあった事業が六十一年度ゼロになったりしているものがありますね、機械化対策について。これは今の総務庁の勧告なんかを下敷きになさって、より効果的に知るためにこういう形をとられたんでしょうか。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) まさに刈田先生のお尋ねのとおりでございます。従来はどちらかと申しますと、いわゆる機械化銀行的なものなり、中古機械の流通促進とか、いろんな面がややばらばらにございまして、そこへ総務庁の御指摘もございましたし、実は昨年は特にこういう機械の有効利用による経費の削減、こういうことに重点的に取り組もうじゃないかということで、農業資材の懇談会まで開催しまして、その結果として、昨年の秋からでございますけれども、農業機械の高度利用促進、一種の運動的な事業を興そう、こういうことにしたわけでございます。それに従いまして六十一年度予算を組みましたので、こういうふうに従来事業を六十一年度はゼロというふうにしまして、新しく高度利用促進対策六億円余りを計上したわけでございます。その基本的な考え方は、もともとから現在の機械利用について一種の診断的なことが必要であろう、いろいろ過剰導入もございましょう。そういう一種の診断、自己点検というようなことから始めて、それに従って一定の地域内にある機械を有効利用する利用改善計画をつくるとか、それに従って農業機械銀行のような機械のあっせんをするという、そういうふうに対策を総合的に組み立てし直そう、こういうことを六十一年度にいたしたわけでございまして、現在の我々の計画では高度利用促進対策事業、これを当面三年間ぐらいを目標にして、できるだけ機械の効率利用を通じてコストの削減、こういうことにも取り組んでいこう、こういうことが予算面にあらわれている次第でございます。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 今の補助ですね、当面三年ほどの補助というふうにおっしゃいましたね、今。それが今までたしか五年補助でやってきましたね、発足当初は、名目は違うけれども事業内容は同じですね。それで五年の補助でやってきたんだけれども、補助事業が終わった途端に、それが定着してないで結局、解散しちゃっているとか、うやむやになってしまっているというようなことで、検査院の方の指摘の中でもこの機械銀行は入っているんですね。  それで、予算の関係等いろいろあって、確かに補助期間を短縮していくことは私どもも決して反対するわけではないのですけれども、補助をしてきて、そしてやっと積み上げてきたんだけれども、補助金カットしてしまったら、その途端にその機能は有効に働かなくなったというようなものであっては、結局、補助がむだになるということになりますし、会検の指摘なんかでは結局、機械銀行が定着しているものと定着してないものとの比率が半々ぐらいじゃないのかというふうな指摘さえしているわけですね。  したがって、今回の二百五土地区ですか、四分の一から五分の一にしながら、三年継続で補助していくという、このことについて私はちょっと疑問を持つ者の一人なんですが、これはいかがでしょうか。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 補助事業の実施期間については、これはいろんな考え方がございますが、確かに従来割合五年単位というものが多かったわけでございます。それは確かに定着させる安定的な面ではよろしいわけですけれども、反面、だんだん終わりになりますと少しマンネリ化するというか、補助事業に取り組む真剣さがなくなるというような面もございまして、今回はこういう高度利用という理念に支えられて実施をする事業でございますので、余り長くというよりは、三年程度の間にとにかくしっかりと成果を上げよう、こういうことで、従来ございましたような機械銀行の中でも、十分に機械の有効利用が行われてないというまことに好ましくない結果を何とかこの三年を中心にしましてなくすような方向で、名前も新農業機械銀行として、新とつければいいというものでもございませんけれども、その辺の意気込みを含めましてとにかくやっていきたい。こういうことでむしろ期間は少し短目の方がいいんじゃないかという考え方にした次第でございます。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 だから、いわゆる団体とか都道府県ですよ、こういうところへの指導というか目配ばりというか、そういうものをやっていっていただかなければいけないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、共同利用、広域利用というのはこれから必要で非常に大事な事柄になります。それだけにこの事業が完成されていかなければならないというふうに私なんかは思っておりますので、ぜひその辺の御指導をよろしくお願いいたします。  そして一連の高度利用促進事業の中の例の中古農業機械、こっちの方の分なんですけれども、中古農業機械流通促進事業だったですね、前が。今度は施設整備に変えた理由は何ですか。六十年度は中古農業機械流通促進事業でしたね、名目が。それが六十一年度には流通施設整備になっているわけです。事業内容が変わったのかどうなのか。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 基本的には中古機械の流通促進というねらいは変わっておらないわけでございますが、今回は施設整備という施設のポイントになる中心施設の整備に重点を置こうということで名称が従来の流通促進から変わったということでございます。ただ、これも従来のように単独に中古機械の流通促進をやるんじゃなくて、高度利用促進対策の中でできるだけ余っているものは中古の方に出していくというような、全体の利用計画の中にこれを位置づけようということにしたわけでございます。ただ、事業そのものとしては、流通促進というよりは、補助事業の内容が設備の設置でございますので、そのねらいがはっきりするような名前の方がよかろうということで改めたという次第でございます。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 地方を回りますと移動展示が実は人気があるんです。中古農機具の移動展示が人気あるんですけれども、今度これを廃止なさいましたね。それはいかがですか。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) これも、期間移動展示でございますので、どうも補助事業の内容が本当の施設を設置するというよりは、何か消費的なしかも余り大きくない金額に助成するというような形でございますので、補助事業の形態としては、どうも何かそういう期間展示については補助対象として取り上げることを続ける必要はないんじゃないか、こう判断した次第でございまして、別に、先生がお尋ねのように、人気のあると申しますか、人の集まるこういう形の仕事がもう要らなくなったということではございません。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 少し機械の問題に頭を突っ込んでみましたら、非常にいろいろなテーマがありますし、こういうシステムを組織化し、あるいは近代化していくためにはまだまだいろいろなことが考えられていかなければならないなということを実は感じたんですけれども、きょうはそういう細かいところまでお伺いするわけにまいりませんのですが、先ほども申し上げましたように、円滑に運営されていくことを私は期待いたします。  それから次にエネルギー問題についてお伺いいたしますが、ただいま東京でもエネルギーフォーラム、何か世界的な規模のエネルギーフォーラムが開かれているように聞いておりますけれども、エネルギー問題というのは、これは農林水産業だけの問題ではなくて、むしろ日本の国全体のテーマであるわけでございますけれども、農業に投下されているエネルギーというのも実は大変なものがあるわけでございまして、昭和四十八年以降の二度のオイルショックのときに農林水産業が受けた影響は非常に大きかったわけでありまして、それ以降、省エネルギー意識というようなものも浸透してきたんですが、先ほども申し上げたような農業機械の利用とか、あるいはまた肥料、農薬、あるいは諸施設に及びますと、石油及び石油依存型資材を基本にして利便的な、あるいは効率の高い農業技術構造というのができ上がってしまっているというふうに私は思うんですけれども、こうした体質から脱却するということはもはや非常に難しいのではないかというふうに考えております。しかし一方で、農水省の事業の中に省エネ、代替エネルギーの研究費等が含まれておりますけれども、ことしはそれが大幅に削減されておるわけで、一部を除いて大幅に削減されておるわけですが、この農業が消費する、農林水産業が消費するエネルギーというようなものについて大臣はどんなお考えをお持ちでいらっしゃいますか。

羽田孜自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(羽田孜君) 私どもとして考えますことは、これからもエネルギー事情というのはいろいろと変わってまいると思いますけれども、でき得る限り省エネルギーということはこれからも進めていかなければならない。エネルギー生産国じゃない日本の努めるところであろうというふうに思っております。それと同時に、そのための機械その他等についても開発のために努力を続けなければいけない、こんなふうに考えておるところであります。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 私は資料がちょっと手に入らなくて古いのしか持ってないんですけれども、五十五年の資料ですと、日本の全エネルギー消費量の三%が農薬投下量というふうに聞き及んでいるんですが、現在とのぐらいになっていますか。

田中宏尚農林水産省大臣官房長

○政府委員(田中宏尚君) 農林水産業全体におきます石油製品の消費量でございますけれども、今から十年ぐらい前には大体一千万キロリットルをオーバーしておりまして、昭和五十二年がたしかピークで一千三十一万キロリットル使用していたわけでございますが、五十七年度に八百一万キロリットルというふうに減ってまいりました。しかし、その後国際的な石油需給の緩和ということで石油価格が低下したということでございますとか、あるいは五十八年度が冬非常に寒かったというようなことも響きまして、五十九年度に再び増勢に転じまして、五十九年度では全体で九百三十三万キロリットルを農林水産業全体で使っているということに相なっております。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 日本の農業のエネルギー依存度は世界一であるというふうに私は聞いております。アメリカの三・四倍に当たるというふうに聞いておりますんですが、この辺のところのそれだけエネルギーに依存した農業であるということについて何らかの方法を考えていかなければならない。万が一のときのためにということでお考えがあって、代替エネルギーあるいは省エネ等の研究が進んでいるというふうに思うんですけれども、このエネルギーの研究は、農・林・水というふうに分けて、おおよそ実用化されそうな研究というのはどんなものか、どんな研究がこれまで成果を上げてきているんでしょうか。

田中宏尚農林水産省大臣官房長

○政府委員(田中宏尚君) 最初にお話ありましたように、日本のエネルギーの使い方が外国に比べてどうかということでございますけれども、日本農業の場合、先生御承知のとおり、施設園芸というものが世界に冠たる発展を遂げておりますし、それから土地利用型農業でございますとか、あるいは中小家畜、こういうものにつきましても、いろんな知恵を出しまして狭い国土で効率を上げるということで、機械なり技術に対する依存度の高いことは事実でございます。  それからエネルギー関係のいろんな試験研究でございますけれども、これは非常に幅広く基礎的な研究から、応用研究からいろいろやっているわけでございますが、一番なのは、何といいましても、機械につきましてエネルギー効率の高い機械の開発というものは日々進んでおりますし、それから施設園芸あたりの熱カロリーの供給比率の向上というようなものも現実になってきております。それからさらにバイオマス研究というようなことで、技術会議が中心になりまして長期的な太陽エネルギーの活用、それからさらに未利用資源からのエネルギーの吸収ということにつきましても、相当研究は進化してきているというふうに考えております。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 これも申し上げたいことはたくさんあって、何といろいろ使っていることかというのをこのたび発見しました。消費者の立場から言うのは大変恐縮なんですけれども、魚の干物など天日で干してほしいというふうに思ったりいたしておるところでございますけれども、こうした水産加工などというものもほとんど電力エネルギーというようなもので今なされているというようなことですね。これを考えていかなければならないのではないかというふうに思ったりいたしますが、いろいろ意見を持っておりますけれども、これもまた後日に譲らしていただきまして、最後に婦人対策についてお伺いをします。  私は、予算を審議させていただきますとき、農村婦人対策について必ずお伺いをいたしておりますので、ことしもそのことでお伺いをいたします。まず大臣にお伺いをいたしますが、日本の農村における婦人の働きをどのようにお考えでいらっしゃいますか。

羽田孜自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(羽田孜君) 日本の農村における婦人の働きは、確かに御婦人として家庭の生活面、この面で大きな役割を果たしていることは、これはもう当然であります。それと同時に、生産についても婦人の果たす役割が我が日本農業の場合には非常に高いということで、私どもといたしましても、非常に過重な労働ですとかいろんな問題もあるので、この点については今日までも生活改善等を通じながら注意してまいったところであります。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 昨年のこの同じときに、私、委嘱のときにやはりこの問題をお伺いいたしまして、日本の婦人の国内行動計画の中の後期重点目標の中に三点がありますよということでお話をいたしまして、大臣がそのことについて極力努めていくというふうにおっしゃっておられたんで、その三つの項目を申し上げてみます。  国内行動計画の後期重点目標の中に農山村婦人に対する対策があります。それの一つは、近年農業技術の高度化あるいは装置化等によって経営が多角化してきている。知識とか技術を十分発揮しないと労働力として婦人が農業に参画していかれない。その普及、指導をぜひなしていくべきであるということが一点でした。それから二つ目は、婦人が住みよい生活環境の中で適正な労働に従事し、健全な生活を営むことができるよう総合的に指導していくべきであるというのが二つ目で、三つ目が、婦人の実質的な農村社会への参加を進めるということで、農業委員会あるいは農協等の役員、こういうところに積極的に参加できるような環境をつくっていくべきである。こういう三つのことを申し上げ、それに努力していただくことを私お約束していただいたんです。  私が申し上げてみませば、一項目目の技術やあるいは知識を十分吸収して農業労働力として婦人が農業に参画するための普及指導というのは果たして徹底しているだろうかどうだろうかというような例では、先ほどの機械事故なんかに婦人の事故が二一・二%ぐらいあるようなところを見ても、果たしてそういった指導を十分にしていただいているのかどうなのかということが私は心配になります。  それから二つ目の婦人が住みよい生活環境の中で適正な労働に従事し健全な生活を営むというようなことにつきましても、先ごろこれは全農の婦人協で調査したデータによりますと、婦人の生活環境というのは決してよくないというふうなデータが出ております。農村婦人は「いつも疲れを感じている」が二〇%以上。それから健康状態では「医者にかかることが多い」というふうな人がやはり二〇%ありますね。それから病気の種類等もいろいろ挙がっております。健康で健全な生活を営むという環境がこれで整ってきているのだろうかどうだろうかということを感じます。最後には、これまで一生懸命農業を背負ってきたけれどももう農業にも生きがいが感じられなくなったというふうに農村婦人は言っております。これは非常に大変な調査であろうというふうに私は思うんです。六一・三%が婦人の労働ですよね、農業労働力の六一・三%が、兼業であれ専業であれ、婦人の労働力。こういうことを考えた場合に、今私がお願いした三つの事柄は果たして整備されてきているんであろうかどうだろうかというふうに気になります。  それから三番日の婦人の実質的な社会参加を進めるために農業委員会に参画する、農業委員あるいはまた農協等の役員、こういうふうなものに婦人がどれだけ進出するようになってきているのかどうなのか。三点お伺いします。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) ただいまの国連婦人の十年の後期重点目標の三点でございますが、第一点、第二点、第三点とも、これはまさに我々がこれからさらに努力することが多い面は全体として事実でございますが、それぞれについて申し上げますと、特に農葉面での経営技術についての普及指導については、生活改善というものを通じましたその地域の健康な生活あるいは食生活、それからさらに地域において農家の婦人の果たす役割、そういうものを開発していく。こういうことで、これからも私どもも農村婦人役割開発促進事業、こういうものを仕組みながらこれからさらに努力してまいりたいと思っております。  それから生活全般の問題といたしましては、生活の環境整備ということについて、従来ございました生活改善対策事業にかわりまして、いろいろ農業改良資金の中における対応とかいうことも通じて現実的に対応していきたい。その一つとして、六十一年度から農村地域トータルライフ向上対策事業という、かなり全般的に地域なり、八十年人生というようなことも考えました農村地域の生活面での向上対策に取り組んでまいりたいと考えております。  なお、最後のいわゆる社会参加の問題につきましては、これも一つの農村における婦人の役割開発事業でございますが、現実には農業委員会の委員の中で御婦人の占める割合〇・〇八%、それから農協の役員の中では〇・〇四%ということで、大変少のうございます。こういう点については、従来の傾向、大体そのくらいの比率でここのところ推移しておりますが、これは農村社会の中においてこれからも地域の活動の中で解決すべき問題ではなかろうかというふうに思います。  なお、農協の中では全国の農協婦人組織協議会、こういうものを組織されたり、あるいは御承知のような農協婦人部、こういうような組織もございまして、こういうことを通じて地域社会の中での御婦人の役割というものが今後も高まっていくように我々としましても十分心得てまいりたいと思ってわります。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 要するに女性は下支えの役をやっぱりやっていると、こういう感じなんですね。しかし、昨年ケニアで国連婦人の十年の最後の締めくくりの会が開かれて、そこで西暦二〇〇〇年に向けて新しい婦人対策のための未来戦略というものが打ち出された。三百七十二項目にわたって出ております。その中の百七十四項目目に農村婦人に対するあり方、これが書いてありますけれども、時間がありませんので後でよく読んでいただきたいというふうに思います。これは大事な示唆が載っておりまして、これはひとえに発展途上国だけのテーマではございませんで、農業国としてそれなりの地位を持っている我が国の、日本の農村にあってもぜひ——国連が決めた一つの指針であります。しかも来年からは毎年そうした婦人の施策がどのように進んでいるかを国連に報告する義務が出てきております。そのためにも農村社会では婦人対策にもっと積極的に取り組んでいかなければならないというふうに私は思います。  大変恐縮ですが、ここに農水省の高橋課長が書かれた一つの報告が載っておりますので、高橋淳ちゃんがそこにいるのに大変申しわけないんでございますけれども読ましていただきます。  これも全文は読めませんので項目を申し上げますと、「農村婦人問題に関する今後の方策」。大臣よく聞いていてください、私が言わないと聞かないんだから。「農業及び農村生活における婦人の寄与貢献に対する認識と評価」を考えていきなさいと言っていまして、いろいろ彼女が言っていますからこれも後で読んでください。それから「労働に対する適正な評価と報酬が必要であり、また、土地や資産の所有権、管理、相続権が、男性優先にならないように適正に行われる必要がある」。これは私もいろんなところで再三申し上げてきたことですけれども、このこともやはり言われています。それから「農村婦人がおかれている様々な状況改善は、国の政策として総合的に取り組まれること」。こう言っているんですよ。淳ちゃんが言っているんですよ。そして「農村婦人問題は、伝統的な生活慣習や保守的な意識に左右されることがまことに多いから、法律、制度面の整備」だけするんでなく、生活慣習や意識まで変えていかなければいけないと、こういうふうに言っているんです。  それで、そのことについて先回のケニアのナイロビの婦人世界会議で我が国が批准をいたしました婦人の差別撤廃条約ですね、この差別撤廃条約の中にもそのことが実はうたわれておりまして、婦人のあらゆる差別をなくしていかなければならないということの中に、「婦人に対する差別となるいかなる行為又は慣行も差し控え」、さらには、「婦人に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し又は廃止するためのすべての適当な措置(立法を含む)を」しなければならないと書いてある。これが一番問われるのが農村社会なんです。慣習、慣行に至るまで、あるときは立法措置をしてもこれを廃止し、修正していかなければならない。それを今淳ちゃんが言っているんです。ぜひ真剣に取り組んでいただかなければいけないことを私は要望して質問を終わります。

塩出啓典公明党・国民会議

○塩出啓典君 それでは、きょうは林業の問題についてまず最初にお尋ねしたいと思います。  これは林野庁の資料で、いわゆる林地の荒廃の発生状況につきまして、昭和六十年は七千六百九十四カ所で約九百二億八千八百万円の被害額であると示しております。この十年間で一番多いのが五十七年の二千四百八十九億、一番少ないのが五十九年の五百三十七億。しかし方向としては急速に林地荒廃による被害額が増加の傾向にあるように思うわけでありますが、この発生状況とその原因についてはどのようにお考えがお伺いいたします。

田中恒寿林野庁長官

○政府委員(田中恒寿君) 大変御案内のことが多いかと存じますけれども、我が国は一般に地形が大変急峻でございます。日本の川は川ではない、滝であると言われたほどでございまして、そういうふうな地形と、さらに地質が大変脆弱でございますので、またそれに加えてと申しますか、台風、集中豪雨等が毎年のように来るということから、災害が発生しやすい条件にあると思います。特に最近大きい災害が引き続いたように思われますのは、五十七年が長崎災害でございました。五十八年に島根災害、五十九年には長野県西部地震、昨年も長野県では地附山の地すべりなど激甚な災害が多発していたわけでございますが、    〔委員長退席、理事浦田勝君着席〕 一般的な先ほど申し上げました条件に加えまして、最近は毎年気象台開設以来というふうな異常気象的な集中豪雨がありましたし、もう一つ加えますと、開発の形が、最近の都市化の進展に伴いまして、山、山ろく等での開発が進められ、災害により被害を受けるおそれのあるそういう保全対象が増加してきておる、そういうことが相乗的に加わりまして被害を大きくしておるというふうに考えておるところでございます。

塩出啓典公明党・国民会議

○塩出啓典君 私は、最近非常に大きな問題となっております山村の労働力の流出とか、いわゆる間伐等の適正な管理が行われていない森林が増加している、そういう点が被害を増している点もあるのではないか、こういう点を心配しておったわけであります。その点は特にどうなんでしょうか。

田中恒寿林野庁長官

○政府委員(田中恒寿君) お話ございました災害の種類につきましては、忍び寄ると申しますか、だんだん顕在化しつつある。これは放置しておきますと、お話にありましたような間伐の手おくれによりまして林家、地象で亀裂が生じ、脆弱化しておるというふうな森林がふえておりますので、これが原因で直ちに大災害というところまでは、今日まだそう数がございませんのは幸いでありますけれども、この林業不振が続きまして適正な保育管理が行われないと、災害の引き金と十分なり得ると申しますか、非常に懸念される状態にはあるわけでございます。

塩出啓典公明党・国民会議

○塩出啓典君 国土庁が昭和六十年十二月の国土審議会へ提出した資料「森林と国土管理」の中で、人工林が約一千万ヘクタール、そのうちで緊急に間伐を必要とする森林の面積が約百九十万ヘクタールである、現在程度、年十万ヘクタールぐらいの間伐では、二〇〇〇年代には間伐されないままに伐期を迎える森林が約二百七十万ヘクタールになる、このように警告しておるわけでありますが、関係者の話では、もっとひどいんではないか、こういう意見もあるわけです。現在いわゆる間伐が適度に行われなくて放置されている森林の現状というものはどの程度であるのか、林野庁としてはこの国土庁の発表についてどのような認識を持っておられるのか、これをお伺いしたいと思います。

田中恒寿林野庁長官

○政府委員(田中恒寿君) 現在の間伐を緊急に必要とする森林の面積、これは私ども同じ認識でございまして、約百九十万ヘクタール、それは同じでございます。これが緊急と申しますのは、五年以内くらいにぜひともやらなければならないということでございますので、五年でありますと年に三十八万、大まかに四十万ヘクタールが年に必要な面積と言えようかと思います。    〔理事浦田勝君退席、委員長着席〕  現在行われております間伐が、毎年少しずつふえておりますが、二十五万くらいですので、六〇%は実行できておる。六十一年からは例の活性化五カ年計画の重点を置いておりますので、間伐予算なども非常にふやして取り組んでこれをふやしていきたい、それを呼び水にして自力によるものも誘い水でどんどんふやしたいということで一生懸命取り組んでいるところでございますが、今のお話の数字等とは基本的にそう認識は変わっておりません。ただ、途中で我々努力しますので、最後の二百七十万ヘクタールもの森林が手入れ不足のまま伐期にいくということがないように最大限努力いたしたいと思っております。

塩出啓典公明党・国民会議

○塩出啓典君 そうしますと、国土庁の方のは年間に十万ヘクタールぐらいの間伐と言っているわけですが、それは林野庁の調査では大体二十五万ヘクタールぐらいやっておる。したがって大体適度に必要な分についての六割はやっておる、このように理解していいわけですね。この点食い違いはどうしてあるんでしょうかね。

田中恒寿林野庁長官

○政府委員(田中恒寿君) その十万というのは、予算上間伐促進事業で九万五千、その数字でして、そのほかに融資、自力、いろいろ全部取り合わせまして実際に行われておりますのが約二十五万でございます。間伐促進事業で予算上これまで見ておりましたのが約十万程度、その数字であろうと思います。

塩出啓典公明党・国民会議

○塩出啓典君 今回の予算ではこの資料を見ますと、森林・林業、木材産業活力回復五カ年計画として、間伐等林業活性化緊急対策事業、国費が三百五十億、融資が四百億、これは五カ年計画の予算だと思うんですけれども、これはどういう内容のものなのか。また、これによってどの程度、今のお話では大体必要な分の六割ぐらいの現状とお話ございましたが、これはどの程度アップできるのか、内容をお尋ねしたいと思います。

田中恒寿林野庁長官

○政府委員(田中恒寿君) 六十一年の確定した予算で申し上げますと約八割の増加になっておりまして、六十年が五十億でございましたが、六十一年は九十一億、約八〇%の増加でございます。その予算上に見ております補助の対象の間伐面積も約九万を十六万ヘクタールとふやしておりまして、先ほど先生おっしゃいました十万というのは昨年までの九万のことであろうかと思いますが、そういうテンポで、普通の予算ではあり得ないくらいの伸びで組み込んだわけでございます。  大体、伸びの率から申しますと、今後の残された五カ年計画の期間におきましても、この程度のものはぜひとも組み込んでまいりたいと考えてはございますけれども、明確に現在、総量で幾らということにつきましては、ちょっと資料を持ち合わせておりませんので、六十一年の伸びの状態で基本的に考えてまいりたいというふうに申し上げたいと思います。

塩出啓典公明党・国民会議

○塩出啓典君 こういう厳しい財政の中でこれだけ前進するということは、林野庁としてまた政府としても、林業に対する認識において一歩前進した、こういう評価をしたいわけであります。ただ、私の感じとして、いろいろ林業関係者等から聞く話から考えるときに、それだけでは決して十分ではない、さらに努力をしていただきたい、このことを要望いたします。  特に最近は、森林に対するいろいろな、林業生産ということ以外の社会的な要求も非常に高まっているわけですね。しかし、これはある新聞に載った訴えでございますが、国土庁が行った森林に関するアンケート調査で六十歳になる人が訴えた。「森林、林業、山村は、自然環境問題としていかに声高に叫ばれようとも、経済的に自立し得ない限り、むなしいものに聞こえます。」云々。要は、どんなに立派なことを言っても、林業経営者が経済的にやっていける、そういうものでないとなかなか間伐、林業も進まないんじゃないかという、こういう点は私はそのとおりではないかと思います。そういう意味で、現在なかなか林業を経営しても非常に採算が合わないという、こういう声が非常に多いわけですけれども、こういう点は林野庁長官としてはどのような認識を持っていらっしゃいますか。

田中恒寿林野庁長官

○政府委員(田中恒寿君) 確かに林業経営をめぐるいろいろな景況と申しますか、いろいろな条件が大変悪化していると申しますか、非常に厳しい情勢にございますので、産業として見ました場合に林業の基盤は大変弱くなっているようなことは御指摘のとおりだと思います。  一つには、完全な開放経済下で国際的な産地間競争といいますか、北米、カナダあるいはニュージーランド、チリ等の国際的な素材間競争に見舞われておることとか、あるいは木材同士でなくとも他の代替品が非常に進んでまいりましたので、どうしても木材でなければならないというようなものも突き詰めれば見出しがたいというようなこともございまして、素材間の競争、そういう両面からの厳しいあらしの中で経営をしておる、しかも五十年、六十年かかるという長期を見通した仕事でございますので、そういうことから条件は厳しいわけでございますけれども、そういう特質に根差した政策をぜひとも展開しまして、これを支えていかなければならないというふうに考えております。

塩出啓典公明党・国民会議

○塩出啓典君 それで、林業がこのように非常に苦しい状況に追い込まれた原因はいろいろあると思うんですけれども、今問題になっておりますのは、前回の委員会でも私が申し上げた点で、一つは山林の相続税の問題、それともう一つは林道をもっと整備するという問題、こういう点が一つの林業の活性化につながっていくんではないかと私は思うんです。  まず、山林の相続税の問題でありますが、現在、立木の時価の八五%の評価で相続税をかけると聞いておりますが、現行のこの評価というものが実勢よりも非常に高過ぎるという声があるわけです。それについては林野庁としてはどのようにお考えでしょうか。

田中恒寿林野庁長官

○政府委員(田中恒寿君) 相続税の財産評価に用います立木評価額は時価によることとされているわけでございますが、その時価につきましては実勢を反映するべく毎年見直しが行われるところでございます。  お話しのように、昨今木材価格が大変低下いたしておりますので、立木の標準価格につきましても、五十八年度分以降は毎年一割程度の引き下げが行われているところでございまして、六十年度で申し上げますと、例えば杉の場合、対前年八八%でございます。ちなみに、五十五年が最高でございました。五十五年に比べますと六十年は七一%というふうになっておるわけでございます。六十一年につきましても、最近のこのような状況でございますので、この実勢が反映されますように国税庁に、林野庁といたしましても要望いたしておるところでございます。

塩出啓典公明党・国民会議

○塩出啓典君 五十八年からの標準価格、これの資料をいただいたわけでありますが、例えば広島県の場合は、標準伐期にある森林の立木の標準価格として、これは二百万円ですね。ところが広島の場合、いろいろお聞きしてみますと、実際はもう二百万円なんかでは買い手は全くいない。杉が今、米国から輸入するツガと非常に競合いたしまして、米国材が立米で大体二万円である。ところが、一ヘクタールで二百万円といっても、これはもう運賃が非常にかかるし、そういう点で、今、山売っても全くもうただみたいなものだ。しかも一方、山を切ればかなりの植林費がかかるわけですね。植林が広島の場合は大体八十万から百万ぐらい。もちろん国からの助成がありますから、三十万から四十万ぐらいが本人負担。木を植えれば五年ぐらいは下刈りとか、つる切りをやらなくちゃいかぬ。さらにまた間伐をやっていく。そうなると、これは銀行に預金でもしておいた方がよっぽど収入が大きい。  今、山林に相続税をかけるということは、今までいろいろお金をかけてきたものがそれ以上に返ってくるということを前提に相続税をかけるんじゃないかと思うんですね。ちょうど一生懸命息子を大学へ行かして育てて、その息子はうんと稼いでくれる息子であれば相続税かけてもいいと思うんだけれども、大飯食らいで道楽息子、こういうものに税金をかける。もちろん木材の価格というものは、これから十年、二十年、今のような状態がということはわかりませんけれども、いずれにしても、今の現状というものはちょっと現実にそぐわないんじゃないか、これでは山に間伐をして投資をする、そういう意欲はわいてこないんじゃないか。だから少々の助成をしてもなかなか進まないんじゃないか、もっとそういう本質的な問題にメスを入れていかなければ日本の林業は大変なことになるんじゃないか。そういう認識を持っているんですけれども、その点はどうなんですか、林野庁長官としては。

田中恒寿林野庁長官

○政府委員(田中恒寿君) 先生と全く同じような心配は林業関係者広く持っておるところだと私は考えております。これまでですと、造林して悪かったという例はこれまでは全くなく、それはインフレということもございましたでしょうし、やらないということはなかったのですけれども、今、最近の情勢の延長で考えますと、おっしゃいますような懸念もあるし、現に意欲を失って再造林をしない、また家の制度の基盤と申しますか、そういうものも薄らいできまして、非常に長い目で山を見る、林業を考えるという風潮が薄らいだことも確かではございます。そのために公的機関が関与して支える度合いが強くなってきておるように考えますけれども、それだけで広い大きい林業の分野をカバーし切れるものではありませんので、どうしても産業として自立できる道を幾ら苦労してもその中で模索していかなければならない。その大きな柱は、例えば需要開発で大変な御支援を国会の方からもいただきながら広めておりまして、木材の需要が例えば学校におきますごとく非常に広まってきたことはおかげさまの成果であるというふうに考えておるわけでございますが、基本は、何とかして産業として立てる基盤を強くしていく、その方向へ向けてのいろいろ公的な助成の充実を我々としては努力してまいりたいというふうに考えております。

塩出啓典公明党・国民会議

○塩出啓典君 いわゆる農地の場合の相続税の納税猶予制度というものはぜひ林業の場合にも必要である。農水省としてはここ近年この実現に努力はされておるようですが、なかなか実現しないようです。大蔵省の壁が非常にかたいのかもしれませんが、そのあたりはどこに問題があってできないのか。私たちは、筋論から考えて、農地のように二十年間農業を継続する、もっと山林を継続していくという場合には相続税の納税猶予制度を認めるべきだと思うんですが、その点はどうなんでしょうか。

田中恒寿林野庁長官

○政府委員(田中恒寿君) 林地につきましても農地並みの猶予制度をという要求をこれまでも何回かしてまいったわけでございますけれども、いろいろ難しい問題もございます。農地の場合は農地改革から自作農創設と歩んできておるわけですけれども林地の場合にそれがないとか、その結果、所有構造も林地の場合には規模が大変大きいのかも小さいのまで非常に極端な差がございます。あるいはまた相続税という制度の根本の考え方にもかかわるような問題もあり、いろいろな点を林野庁としては十分クリアすることができなかったということであると考えておりますが、昨今の情勢はますます林業経営が苦しくなりまして、そういう中で林業振興をぜひとも図るためにはこの問題が一つあるということと、さらに特に都市近郊などにおきます緑資源の維持確保という観点から見ますと、これにつきましてもまたさらに十分検討をしなければならないと考え、現在いろいろ作業を進めているところでございます。

塩出啓典公明党・国民会議

○塩出啓典君 これは大臣にお願いをしたいわけですが、相続税の問題はすべての林業経営者にいつも同時に起こる問題ではなしに、全国散らばってぽつりぽつりと起きるわけで、そのために大きな一つの結集した力にはなりにくいわけです。税金というものは当然払わなければいけないわけですけれども、その実態というものが大きな経済構造の変化に伴って変わってくれば、当然それに即応して税の制度も変えていかなくちゃいけないんじゃないかと思うんですね。そういう意味で、私たちも日本の緑を守る観点から、相続税は、森林の場合と都市近郊の両方あると思うし、あるいは固定資産税の問題もあると思うんですが、こういう税制についてはぜひひとつメスを入れて、大蔵省に対しても十分現状を説明して納得のいく税制に努力してもらいたい、ぜひ大臣の在任中に結論を出してもらいたい。このことをお願いしたいんですが、御決意のほどをお聞きしたいと思います。

羽田孜自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(羽田孜君) この相続税問題初め森林に関する税については、今先生から御指摘がありましたとおりでありまして、先ほどから長官からも御答弁申し上げておりますように、私どもといたしましても、今日まで税調が開かれるたびに、森林がこのままいきますと本当に荒廃してしまうよということ、それから相続税が払えないからということで山を手放してしまう、しかもその取得する人たちが本当に山というものについての理解はなく、土地、財産をふやすというだけのつもりで買ってしまうという中で、そういったものは放置されて山が荒れてしまって周辺にも非常に悪い影響を与えておるという事例も実はございます。そういうことで、何としてもきちんと相続されて山というものが管理される、そういう方向というものをどうしてもつくり出したいということで訴えてきておりますけれども、残念ながらまだ理解されておらないというのが現状であります。これからも財政当局ともいろいろと話し合いながら、何とかひとつ本当に山が守られるような税制というものを実現するために私どもも本当に精いっぱいこれからも努力してまいりますということを申し上げたいと思います。

塩出啓典公明党・国民会議

○塩出啓典君 それから間伐材をできれば利用する、それだけを利用して価値を生めば間伐の費用も減るわけであります。間伐材の利用状況、またこういう面の研究等はどうなのか、どういう方面に使われているのか、これをお尋ねしたいと思います。

田中恒寿林野庁長官

○政府委員(田中恒寿君) 木材の利用の形態が変わってまいりまして、かつては一〇〇%引っ張りだこでありました間伐材が大変利用されなくなりまして、林葉関係者は利用の拡大に一生懸命努力しておるところでございます。  現在の状況を申し上げますと、建築こん包材などの製材用、それから足場丸太、くい丸太の利用がございます。さらにチップ、おがくず等の原材料として約百九十万立方メートル程度利用されておりますが、これは大体伐採される間伐材の五十数%、半分以上、残念ながら半分近くがまだ利用されないで林地に放置されざるを得ないというふうな状況になっておるわけでございます。この利用を促進することがまさに緊急な重大事でありますので、六十一年度からの活力回復緊急対策におきましても新たな用途の開発を重点に取り上げております。  で、本命というわけでもございませんけれども、比較的既にもうある程度自信の持てると申しますか、相当出回っておりますものに、単板につくりまして、それを重ね合わせ、張り合わせるというLVLとかといっております単板積層材、これをもっと合理的に生産性高くつくり上げる技術の開発。もう一つは木材成分を利用する、特にバイオテクノロジーの活用によりまして木材の成分を分離する、これをやりますと、微生物たんぱくでありますとか、炭素繊維など新しい製品ができるわけでございますが、こういうことを産・学・官の共同技術研究組合をつくりまして、短期間にそういう目的で集中的に成果が上がるように研究を推進したいということに現在取り組んでいる最中でございます。そんな状態でやっているわけでございます。

塩出啓典公明党・国民会議

○塩出啓典君 そういう点、ぜひ御努力をお願いしたいと思います。  それと、もう一点は林道でございますが、林道が整備されるということは山林経営をよくする一つの大きな因になるわけで、そういう意味で私は林道というのは道路以上にある意味においては非常に大事ではないかと思うわけであります。そういう意味で、政府としては昭和五十五年度スタートし昭和百年を目標とする林道の整備の目標があるようでありますが、なかなか現在の予算の状況の中でこれの計画が進んでいない。もちろん計画どおりいっていないのは林道だけではない、ほかのいろいろな諸計画もいっていない点があるわけでありますが、その中でも最も林道はおくれておるんじゃないか。もうちょっとおくれを短くするように努力していただきたいと思うんですが、その点の状況はどうでしょうか。

田中恒寿林野庁長官

○政府委員(田中恒寿君) お話にございました森林資源に関する基本計画の中で、基本的な昭和百年末までの計画がございますが、それの達成度という点から見ますと、六十年度末を見ますと大体四〇%の達成率になっているわけでございます。毎年のテンポから申し上げますと、毎年の必要な開設量に対しましては約五〇%程度でありますので、御指摘のようになかなか計画の達成は難しい状況にあるわけでございますが、林道の必要性につきましては申すまでもないわけでございますので、こういう公共事業としての林道関係事業のほかに、林業構造改善事業でありますとか、あるいは間伐促進総合対策でありますとか、そういうもので、特に重点を置いて必要な地域にそれが充てられますように積極的な推進を現在図っているところでございます。

塩出啓典公明党・国民会議

○塩出啓典君 最後に農林大臣に要望したいと思いますが、本日の委員会でもいろいろ各委員から指摘がありましたように、農林水産の予算が過去四年間連続減っております。昭和四十五年、四十六年ごろは、一般会計の中でも一一・五%、一割を突破しておったわけでありますが、それから以後は下がる一方で、六十一年度は五・六%、一般会計の中に占める割合はピークの半分になっておるわけであります。そして、この四年間は絶対額においても減少しておるわけであります。私はもちろん、国の一般会計の中において、国債費とかあるいは交付税とか、そういうような点で財政が非常に厳しい状況にあることは認識しておりますし、したがって農林水産の予算だけをうんとふやせと、そういうことを言っておるわけではありませんが、少なくとも一般歳出の中で占める農林水産予算の比率は低下さしてはならない。少なくともそれは守っていかないと、内閣として農林水産業というものを非常に軽視するというそしりを私は受けると思いますし、そういうことは今の日本の現状から見て私はゆゆしい問題じゃないかと思います。そういう意味で大臣の決意と、今後の見通しについてお伺いをして質問を終わりたいと思います。

羽田孜自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(羽田孜君) 御指摘のありましたのは、先ほども申し上げましたように、確かにこのところ四年間ほどですか、ずっと減額が続いておるという現状で、これにつきましては本当に私どもも遺憾に存じますし、何とかこれからも確保していかなければならないと思っております。ただ、この減額につきましては、例の食糧管理費ですか、こういった中で合理化できるもの、そういう事務的な経費ですとか、いわゆる管理経費、こういうものを切り詰めたりすることによりまして減額してまいったわけでありますけれども、しかし、その中で先ほど来申し上げましたように、土地改良の問題ですとか、あるいは新しい技術を推進するための機構の創設ですとか、あるいは農業改良資金、こういったものについていろんな知恵を使いながら予算を確保するために努めてまいったつもりであります。  また林業ですとか、あるいは新しい二百海里時代に定着した漁業に対応するためのマリノフォーラム21、こういったことのために特別な資金をつくり上げていく。マリノフォーラムの方はそういうあれではありませんけれども、森林林業の方については、そういったものをつくるとかいって、いろんなもので新しい時代に対応できるような対策というものを知恵を使ったり、いろんな手法を使いながらやってきておるわけですけれども、しかし、私どもとしても何とか、まだ必要な経費というのは幾らでもあるわけですし、やりたい事業というのは幾らでもあるわけでございますので、そういったものを確保できるように厳しい中にあっても努めてまいりたいというふうに考えております。努力の決意だけを申し上げておきたいと思います。     —————————————

成相善十自由民主党・自由国民会議

○委員長(成相善十君) 委員の異動について御報告いたします。  ただいま田渕哲也君が委員を辞任され、その補欠として柳澤錬造君が選任されました。     —————————————

成相善十自由民主党・自由国民会議

○委員長(成相善十君) 環境庁は来ておられますね。  それでは、この際、午前の村沢君の質疑に対し、環境庁加藤自然保護局長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。

加藤陸美環境庁自然保護局長

○政府委員(加藤陸美君) 先ほど村沢先生から御質問いただきました個体数調整を認め捕獲したカモシカの毛皮のその後の処理の問題についてでございます。  捕獲経費、保管経費を負担しておられることもあり、毛皮を保管している市町村の立場に十分配慮して、夏までには結論を出すよう三庁で努力いたします。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 ただいまの答弁に全く不満でありますし、納得ができませんけれども、それが三庁の統一見解であるとするならば、本日これ以上追及しても進展しないと思いますので、答弁に関連して私の持ち時間の範囲で二つだけ質問しておきます。  夏までに結論を出したいということは、通常、夏というと六月から夏になるわけですから、したがって五月中に結論を出す、そのように理解してよろしいですね。

加藤陸美環境庁自然保護局長

○政府委員(加藤陸美君) 夏というのは非常に幅がございますけれども、御趣旨をちゃんと外しまして、極力早くするようにいたします。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 夏まででしょう。

加藤陸美環境庁自然保護局長

○政府委員(加藤陸美君) はい、夏まででございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 それでは五月中に結論を出すというふうに受けとめておきます。  もう一点ですが、環境庁の通達によって、捕獲したカモシカの皮は市町村の責任で保管している。したがって、保管したものをどのように処理するかは次の通達を待たなければならないわけであります。ただいまの答弁から推測すると、保管したものを流通経路に乗せる、つまり売却するという方針であることがうかがわれますけれども、毛皮は梅雨が来ると品質が非常に低下すると言われておるわけでございます。したがって、環境庁の通達がおくれたことによって販売の際に損失が生じた場合においては、当然国が補償すべきものでありますけれども、それについての見解を伺いたい。

加藤陸美環境庁自然保護局長

○政府委員(加藤陸美君) なかなか難しい問題でございまして、私がここで一存でお答えするような問題ではございませんが、そのような事態にならないように、先生の御趣旨を体しまして極力早く結論を出すようにいたします。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 私が言ったことわかりますね、理解してくれますね。——終わります。

下田京子日本共産党

○下田京子君 きょうは商品取引のあり方について質問いたします。  大臣、商品取引所法第一条には、「商品の価格の形成及び売買その他の取引を公正にするとともに、商品の生産及び流通を円滑にし、もって国民経済の適切な運営に資する」、こういうふうに書いてあります。ところが現実はどうかと申しますと、今ごらんになっている一番上のグラフを見てください。生糸の原料となる繭の先物を取り扱う前橋乾繭取引所におきます昨年の乾繭相場の値動きを示したものなんです。特に八月—十二月の動きをごらんください。当限と言われる相場が八月時点でキログラム四千五百円前後であったものが、九月になりますと五千円を突破しまして、十一月には五千九百円までの高値になっています。五千九百円の乾繭というのは生糸に換算するとどうなるか。ざっと二・五倍と言われておりまして、一万四千七百五十円、これに加工賃約三千円を加えますと、一万七千七百五十円もの生糸の値段になるんですね。十一月時点での生糸の実際の相場はどうであったかといいますと、一万二千四百円前後でございましたから、大変異常に高い繭価格が形成されたということになるわけです。  さらに、当限に対して六カ月先の先限の予想値段の方でございますが、この格差も先限の方が安い逆ざやになっておりまして、通常二、三百円の開きはあるものの、ここでは千円から千三百円も開いております。ですから、商品取引所はこういう異常な相場に対して、九月五日時点で、売買取引の自粛ということでの厳重注意を呼びかけた通達を出しているんですね。さらに十一月二十七日、売買取引の受託の適正化ということでもっての指示文書も出しておるわけです。  このように取引所は市場の適正化に努めているような対応はされているんですが、この間、農水省はどういう対応をしてまいりましたでしょうか。

鴻巣健治農林水産省食品流通局長

○政府委員(鴻巣健治君) 農林水産省の対応といたしましては、六十年の九月に乾繭取引所の理事長に対しまして、乾繭の価格形成と売買取引の公正を期するために適正な市場管理を行うように指示いたしますとともに、取り組みの状況に応じて臨時増証拠金の増徴あるいは大口委託者からの建て玉報告の聴取など、市場管理の適正化について指導いたしました。

下田京子日本共産党

○下田京子君 そうしますと、農水省の指導に基づいて、理事長等の判断に基づき、こういう指示文書が出されたということだと思うんです。十一月二十七日の前橋乾繭取引所の指示文書というのは、いわゆる仕手といわれる大きな資金力でもって大量の売買をする、そのことによって価格を操作している、そういう動きに対して公正な価格形成を図れということで出された文書だと思います。現実にこの間の商品の市場における売買取引を「乾繭日報」で調べてみますと、買い方と売り方に分かれて仕手戦の様相を示していることが明白です。その中で、買い方のグループには団地株式会社、それから山梨商事、エース交易等が出ております。この団地株式会社というところは、業界では次期全国商品取引員協会連合会会長というような話が出ているところでもございますが、この団地が特にトップに買い仕手に回っている様相が出ているんです。局長御存じだと思うんですが、売りと買いの差を玉じりと言われておりますが、それを見ますと、団地は八月から十二月、ほとんど連日買い。一日二千枚、三千枚の買い玉じりになっております。最高時は、十二月二日でございますが、四千五百九枚もの買い玉じりになっているんですね。一日に四千五百九枚ということはどういうことかといいますと、繭で一枚約三百キログラムだそうですから、何と約一千三百五十三トンということになるわけです。こういう形で団地がいかなる方法で買い仕手を張っていたか。その一端を示しているのがお渡しの二番目の資料です。  Aさんの資金がどのように仕手戦に組み込まれていったものなのかを示しています。Aさんの資金が、「¬三大阪」と書いてあるのが団地でございますけれども、この団地と朝日商会に分かれて流れていきまして、どういう口座に入って売買取引がやられていたかということが示されております。この資料そのものなんですけれども、これは前橋乾繭取引所でまとめたもので、農水省は確認されておりますから間違いないと思いますが、当委員会で御確認を。

鴻巣健治農林水産省食品流通局長

○政府委員(鴻巣健治君) 間違いありません。

下田京子日本共産党

○下田京子君 資料二は、大臣、きちっと前橋乾繭取引所の印鑑も出ておりますが、このように今確認された形で、Aさんの資金がAさんの口座と、それから三十の仮名口座を通じて流れて取引がなされていたということが明らかになっているわけです。このAさんは、朝日商会の青木さんという人物に、買いの仕手グループは資金量も豊富だ、相場は必ず上がる、こういうふうに誘われまして、仮名口座をつくるために名簿作成を指示されたと言っています。Aさんが最初に提出した名簿の中から、青木さんの指示で、女性はだめよ、あるいは大阪在住の方がいいというような形でもって、団地にかかわる向井幸男氏なる人の分を除く十一名分と明治物産の三名についての名簿がつくられました。その際、団地から念書を入れるようにという指示がありまして、念書のひな形まで送ってきております。それが次の三番目の資料です。この点、農水省は事実確認しているはずだと思いますが、間違いありませんね。

鴻巣健治農林水産省食品流通局長

○政府委員(鴻巣健治君) 間違いはありません。

下田京子日本共産党

○下田京子君 ということは、なぜ念書が必要だったかということなんですね。団地は仮名口座で受託をやっておるわけで、そして、もし実際に損金が出た場合にだれが責任をとってくれるかということで明らかにしておく必要があって念書まで指示したということだと思うんです。さらに、特にその念書の指示に当たっては、仮名口座をやる際の念書の問題ですが、向井という口座に団地の方からこの口座を使用せよという指示もしているんですね。さらに番号を見ていただけばおわかりだと思うんですが、六から十二まではこれは承諾書が出てないんです。ですから、委託のしおりにあるような受領書も出していない。つまり正式な受委託契約が結ばれてないということなんですね。さらに売買取引の指示はAさんから一切されてないんです。全くめちゃくちゃな受委託が行われていたということになります。ですから、法令、規則違反が大変明白になっております。  私は多くをきょうは指摘しませんが、少なくとも二点、一つは、仮名口座をつくるというのは市場管理基本要綱に基づく建て玉制限に反している、売買取引の受託の適正化に反するものだ。これは明らかです。それから二つ目には、委託者本人からの指示を受けないで売買取引をしたということは、商取法の第九十四条第一項第四号を受けた施行規則第七条の三の第三号、「顧客の指示を受けないで、顧客の計算によるべきものとして売買取引すること」に反する、もしくは取引所が定めた受託契約準則第十八条の客外交からの受託等の禁止に反する。これだけは大変明白であります。そうですね。

鴻巣健治農林水産省食品流通局長

○政府委員(鴻巣健治君) 私ども今、現段階での取引所の報告を見ておりますと、大体おおむねそのとおりなんでございますが、間に入ったという人間と実際の取引員との間に果たして共謀があったのかどうか、あるいは仮名口座をつくる経緯にそのAさんという人もかなり自分の意見を言ったというような事実を間に入った者が言っているという逆の事実もございますので、目下調査中でございます。  それから今の解釈でございますが、仮名売買、つまり自分の名前以外の人間の名前を使っての売買を禁止いたしておりますといいますのば、法令とか取引所の定款には定めがございませんで、今御指摘のありましたように、全国商品取引所連合会が決めている受託業務指導基準に基づきまして、前橋乾繭取引所が仮名または他人名義を使って売買を行うことを委託者に示唆し勧めることは、取引所の指示事項において禁止事項とされているというわけであります。ただ問題は、これが一体取引員が勧めたのかどうかというところがもう一つわからないところで、今委託者に示唆して勧めたかどうかのところを調査いたしているところでございます。  それからもう一つの方のいわゆる客外交、お客さんが一般的にまるで外交員のような形ですべて一切取り仕切って指示をしながら売買をやってしまうといういわゆる客外交の受託でございますが、これは法律ではございませんで、前橋乾繭取引所の受託契約準則……

下田京子日本共産党

○下田京子君 そんなこと言っておりませんよ。

鴻巣健治農林水産省食品流通局長

○政府委員(鴻巣健治君) 一緒におっしゃいましたが、前橋乾繭取引所の受託契約準則十八条により禁じられております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 ですから、私が言った二点については今否定はしてないわけです。それは明々白々なんです。そういう明白な問題について指摘があるまで、ただ手をこまねいていたとは申しませんけれども、現実には何の対応もされてないんですね。そういうことで調査しているわけですから、今言った少なくとも二点については違反することは明白である。すぐに対応いただけますね。

鴻巣健治農林水産省食品流通局長

○政府委員(鴻巣健治君) 本件は、私の知っている限りにおいては、もう既に昨年Aさんという方とその弁護士の方が私どもの役所の方にお見えになっていろいろ事情についてお述べになりましたので、当時前橋乾繭取引所の常務理事も立ち会っておりましたが、前橋の乾繭取引所での調停委員会で早速取り上げて問題にしなきゃいけないということを私どもの方でも勧め、今お話しのAさんの方もじゃ早速前橋の方でやろう、乾繭取引所へ持っていって調停委員会にかけようというお話になりました。私たちの方もそういう事情を知っておりまして、そうして現在、今お話しのこともありますが、並行していろいろと事情も調べ、またいろいろ前橋に対しても指示をしているということでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 私は直接法違反に対応する部分についての指摘はしていませんで、市場管理基本要綱あるいは前橋のその受託契約準則第十八条等の違反は明白であるという点で早く対応せいと、こう言ったわけです。その指摘については否定してないんですから、取引所を通じてそれなりの処分というのは早急になされるべきであるということを申し上げます。  さらに私は、これは厳正に対応しないと大変だなという点で申し上げたいのは、単に資金を出させただけでなくて、仕手戦維持のための資金の貸し付けまでしているということなんですね。Aさんが資金がなくなってもう出せないと断りますと、年七・二%という低利で団地は、住所、代表取締役も同一の団地商事から一億円の資金をAさんに貸し付けて、それを取引に回させているという事実も明らかであり、承知のことと思います。まさに十一月二十七日の商品取引所が価格操作を助長するような資金援助などについてもこれを行わないとする指示に真っ向から反するものなんですね。しかも、このことは取引見みずからが価格操作を行っていることを示すものでございますし、商取法や取引所の規則に反した反社会的な受託行為であるという点で、取引所任せにしないで、農水省みずからも厳正な態度で臨むべきだ、これは当然のことと思いますが、よろしいですね。

鴻巣健治農林水産省食品流通局長

○政府委員(鴻巣健治君) いろいろ事実についてはおおむね御指摘のとおりでございますが、私ちょっとまだ実はもう少し調べてみなきゃわからないのは、そのAさん自身が御承知のように会社をおつくりになっていまして、その会社の定款では商品取引所における上場商品の売買や売買の仲介業務をできるような形になっていますし、五十八年の八月からは乾繭の先物取引もおやりになっていますし、それから今のお話のように、これから先行き上がるだろうというので買いの方でかなりの損がされていますが、同時にそのころ売りの方もおやりになっているというところがあって、もう少し事情を調べてみないといけないところがあると思います。そういう意味で、私ども行政としてはこの問題十分注意をしなきゃいけないと思いますが、委託者紛議につきましては、当該取引にかかわります商品の値動きあるいは関係取引の売買、営業の状況を把握しやすい取引所で処理することが適当であるということで、従来からも取引の行われています商品取引所であっせんなり調停を行う仕組みがとられてきておりますので、今回の問題につきましてもやはりこういう方向で進めていきたいというふうに考えております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 仕組み上、取引所が対応するということは十分承知しております。厳正な調査に基づいた厳正な必要な処分で対応しなさいということを私は申し上げているわけでございます。よろしいですね。

鴻巣健治農林水産省食品流通局長

○政府委員(鴻巣健治君) おっしゃるように私どもの方でも、この問題の中で取引がかかわった問題が御指摘のような条項に違反するかどうかは十分に調査して厳正に対処しなければいけないと思っております。  それから、一つ言い間違えてお許しをいただきたいんですが、今のAさんの乾繭の先物取引をしたといいますのは、五十八年八月と申し上げたのは間違いで、五十九年八月が正しゅうございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 そうでしょう。そうですよ、それはいろいろありますよ。ただ、あれこれの方に行かないでどこに重点を置くかなんです。  ついでにAさんの問題ですが、私はAさんの例を出しながら、今まさに商取法違反に値する大変異常な値がつくられて取引がなされている、そこに問題があるということを言っているんですよ。いいですか。ついでにAさんの紛議の問題についてもこれはきちんと解決を見るべき指導を依頼しておきます。  次に国税庁。最初に示しましたAさんの資金の流れにある鈴木喜久氏のことなんですが、この方は全国商品取引員協会の会長を出している豊商事の外務員でもあります。この鈴木氏が証言したところでは、豊商事の仮名口座四名分中二名分は青木さんの準備したもの、他の二名分は豊商事の休眠口座だというふうに言っております。しかもこうした休眠口座はどこでもやっているというようなことまで言われております。  問題は、こうした仮名口座は建て王制限を回避し、価格操作に使われるだけでなくて、脱税の温床にもなりかねません。国税庁として、こうした仮名口座に対して税務行政としてどう対応しているのか。十分調査すべきと思いますが、いかがなものです。

熊澤二郎国税庁直税部法人税課長

○説明員(熊澤二郎君) 商品取引員の仮名口座の問題について、税務行政でも十分課税漏れがないように対処すべきではないかという御趣旨のお話、先生の御指摘かと思いますが、私ども商品取引員の会員に対しましても、申告内容ですとか、あるいはいろいろな情報を見まして総合的に検討いたしました上で、課説上問題があると認められるような場合には、一般の法人に対する場合と同様でございますけれども、調査などを実施いたしまして適正な課税を図るように努めているところでございます。そうした調査の過程におきまして、顧客との取引関係、資金の流れ、そういったようなものが把握されますれば、それに従いまして顧客の課税関係につきましても必要に応じて適正化を図っていくということにいたしておるわけでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 十分に調査はするというふうに理解させていただきます。よろしいですね。

熊澤二郎国税庁直税部法人税課長

○説明員(熊澤二郎君) こういった国会での議論とか新聞情報とか、そういった情報に基づきまして、私ども課税上問題があるというような事案につきましては、十分検討いたしまして、必要な調査を行うように進めてまいります。

下田京子日本共産党

○下田京子君 法務省。仮名口座を使っての仕手がもう日常化しているというところにいろいろ問題が多くなってきているわけなんですね。五十七年の赤いダイヤと言われた小豆買い占め事件の際にも、ただいま問題にいたしました団地が関係しておりました。さらにお年寄りのお金をだまし取って社会問題になっている豊田商事事件の際にも、集めたお金を仮名口座を使って商品相場につき込んだということが明らかになっています。さらに政治家への多額の政治献金を贈った疑惑のある撚糸工事事件でも、小田前理事らが公金を横領して商品相場に手を出し、しかもそこでもうけたものを献金など裏金に回している疑いが出ているわけです。  法務省にお聞きしますが、三月六日、撚糸工連の小田前理事長を再逮捕した、三月二十七日、横領の容疑で起訴したと言われておりますが、公訴事実は何でざいましょう。

原田明夫法務省刑事局刑事課長

○説明員(原田明夫君) お答え申し上げます。  去る三月二十七日、御質問のとおり小田前理事長らに対する業務上横領被告事件につきまして公判請求いたしておりますが、その公訴事実によりますと、小田前理事長は昭和五十九仲二月から十月までの間、撚糸工連のために業務上預かり保管しておりました利付商工債券額面合計六千万円をカネツ貿易株式会社において自分の商品先物取引の委託保証金充用有価証券として同社に預け入れいたしましてこれを横領したとされております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 まさに今公訴事実にありますように、小田前理事長は、カネツ貿易が商品相場をやっていた、それの情報によれば仮名口座を数口座設けてやっていたというふうに言われておるんです。当然農水省として、こういう公訴事実にもあるような撚糸工連の現金預金、有価証券の出納管理等の業務全般を統括している立場にある人が委託を受ける際には、本人からの取引したい旨のそういう理由を明記した申し出書をとる必要が義務づけもれておると思います。そういう立場で対応されていたかどうかという点でカネツ貿易についても問題があるわけなんですが、ちゃんとこの点は相場の実態について調査されていますか。

鴻巣健治農林水産省食品流通局長

○政府委員(鴻巣健治君) その点は御指摘に従ってこれから調査をしなければいけないと思っております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 これからやるんですか、やってないんですか。

鴻巣健治農林水産省食品流通局長

○政府委員(鴻巣健治君) これからやるわけでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 私は、農水省の公正な商品の取引問題をどういうふうに認識しているかという点で大変甘いということを申し上げますが、これから対応するということなので、当然のことですが、きちっとした対応をすべきであることを重ねて申し上げておきます。  農水省、さらにこの小田前理事長が頻繁に出入りしていたということなんですね。資料の四をごらんいただければわかると思うんですけれども、特に五十九年二月二十八日の直前、二月二十四日、農水省の繭糸価格研究委員会に出席して、まさに生糸の価格安定制度の見直しの研究会に出ていて、そこで得た情報をその商品相場に活用したのではないかという疑いを抱かざるを得ないんです。しかもその後たびたび基準糸価引き下げ等で農水省にも要請に行っております。当然その中で得た情報がまた商品相場に使われていたというふうにも考えられるわけですね。この点で通産官僚との癒着が大変今問題になっている中で、農水省としても小田前理事長との接触の事実関係については調べていますか。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 資料四については拝見をいたしております。この中で、繭糸価格研究委員会と申しますのは、これは農林水産省の農蚕園芸局長が制度を検討するために設けたいわゆる私的懇談会に当たるものでございまして、二月二十四日という日であると思いますが、小田理事長は、これは撚糸ということでいわゆる需要者の一人でございますから、意見を聴取いたしております。その他関係の事実のあるところで、小田理事長あるいはその関係の方が基準糸価引き下げを中心にして要請をしておられる、こういうことはあるわけでございます。ただ、これはいわゆる制度の運用についての要請でございまして、具体的にこの辺の制度の結論が出、またそれに基準糸価の引き下げ、そういう問題がございましたのは十一月でございまして、この小田理事長の意見がそれに影響するというようなことはございませんでしたし、また小田理事長がこの辺で私どもに接触したことにより何らかの意味で相場あるいは商品取引に影響するような情報を得たというようなことは全く考えられないわけでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 私は、調査したかどうかを聞いたのです。法務省に再度お尋ねしたいんですけれども、五十九年度の生糸相場というのは、繭糸価格安定制度の見直しの動き、あるいは事業団の在庫糸の放出などをめぐりまして大変な問題があったんです。昨年私も追及したのですけれども、農水省の行政によって人為的に基準糸価大幅引き下げがやられて、かつてない逆ざや異常相場がつくられた、そのとき質問したんです。現実に五十九年五月以降の相場の急下落は、事業団放出量の拡大に関連しており、八月二十一日から先物の低落は繭糸価格安定制度の検討内容が新聞に報じられてそれを契機にもうどんといっているんです。ですから、今局長がお答えになったような関係ないみたいなのは全く事実に反しておりますね。  五十九年の相場で小田前理事長は仮名口座を使って多額の利益を上げたと聞いておるんですけれども、相場の情報を入手し、それに対し金品の贈与があったとすれば、これは当然贈収賄罪が成立するというふうに考えられるんですけれども、当然この点にも関心を持って捜査はされていると思いますが、いかがですか。

原田明夫法務省刑事局刑事課長

○説明員(原田明夫君) お答え申し上げます。  お尋ねの件に関しましては事実関係がつまびらかでございませんので、具体的犯罪の成否に関して申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。  なお、一般的に検察当局におきましては、国会における御論議また各種の報道等につきましても承知しているものと思いますし、事態の推移に応じて適宜適切に対処するものと、そのように思います。

下田京子日本共産党

○下田京子君 最後に、大臣にお尋ねします。  養蚕農家が繭減産だとか生糸価格の低迷で大変苦しんでおりますね。適正に決められるべき商品市場において今述べてきたように大変意図的な価格操作がなされている、あるいは裏金づくりなどにも利用されているというようなことになりますと、商品取引市場の存在そのものを考えなきゃならなくなってきているんですね。それだけに公正な価格形成のための取引所及び取引に対する指導の強化、これは当然やられるべきだと思います。特に委託者保護の観点からの制度の見直しも含めて、商品取引のあり方について根本的な検討を図っていただけるものと思いますけれども、その御決意を聞かしてください。

羽田孜自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(羽田孜君) 今お話をお聞きしながら、本当に遺憾といいますか、商品取引所というものが一体何のためにあるのかなという疑問さえ実は感ずるところであります。いずれにしましても、この商品取引所を通じながらきちんとした市場価格というものを形成していくということ、それによって流通あるいは生産というものを助長していくという、これが最終的には国民経済にいい影響を与えていくというものであるはずが、この制度を変なふうに利用しながらやられた行為というものについては、本当に残念でならぬというのがもう率直な気持ちであります。そういうことで、商品取引の法律あるいは取引所のもろもろの規定がございます。こういったものをきちんと遵守するように、あるいはどうしても抜け穴とかそういったものがあるとするならば、そういったものを正すように、そういう指導を強化すると同時に、必要があれば法改正というものについても考えなきゃならぬというふうに今お聞きしながら感じております。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 大臣、もう朝からずっとそこへ座りっぱなしでお疲れだと思うんです。関係の局長さんたちは交代しているからいいけれども、もうしばらく御辛抱してお聞きいただきたいと思うんです。  私は、第一に、大臣にお答えいただかなきゃいけない点は、昨年の四月に電電が民間の会社になりました。もう明年四月には国鉄が分割されて民営化されようとしているわけなんです。こういうことを一昔前に考えられたかといえば、だれもほとんど考えなかったようなことが今こうやって起きているわけです。  それから、この間、これは学校の名前を聞いていませんが、栃木県の農業学校では百四十人卒業して農業についたのがたった二人だというんですよ、皆ほかへ就職しちゃったという。そういう点では農業政策というものが一つの転機に今来ているんじゃないだろうか。明治時代の農業の延長線上だと言ったんではちょっと言い過ぎになりますけれども、そう言ってもいいようなほどに農業というのはずっと余り大きな変化しないで来たわけなんですから、そういう点でもってこれから二十一世紀に向けて農業と工業というものがミックスされた何か新しい農政といいましょうか、農業政策が生まれてしかるべきではないかと思うんです。  それで、これはお役所の方の御見解はなんて言ったってだめなことですから、農政では権威者である羽田農水大臣の個人的にお考えになっている御意見、御見解をお聞かせいただきたいと思うんです。

羽田孜自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(羽田孜君) 今の私は個人的な見解を申し述べるという立場にはございません。  ただ、今日の農業を取り巻きます環境というものを見ましたときに、まず今の日本の食糧事情というのが飽食の時代ということが言われております。そして国民の皆様方が食べる嗜好というものも、摂取する嗜好というものも、ともかく情報が非常に過多であるという中で大変多様化しておるというのが今日の現状じゃないかなというふうに思うんです。そういう中で、また外国からのいろんな農産物あるいは食品加工された食品というものも多く入ってくるようになってきておるということで、率画に言って、実は私は農林水産省はまだ短いわけでありますけれども、農政をずっと党の方で担当しながら、生産の動向といいますか、生産に対応することについて非常に頭を痛めておったというのがもう率直なところでございます。  しかし、私どもとして、これはそういう中で日本の供給する体制を一体どうするのかって考えなきゃいかぬわけでありますけれども、この体制も私どもは規模の拡大等を進めなければいけないということで今日までやってきておりますし、また過剰するものはある程度減らし、そして不足するものに転換をしていただこうということを進めてきておりますけれども、なかなかほかのものに変わるには時間がかかるということと、生産量というものも、あるいは生産額というものも米と比較すると相当低い、国の方でそれに対して奨励金等つけますけれども、なかなか実はそれは難しい問題であろうというふうに考えております。しかし、そういう中にありまして、私どもとしては進めてきた、進めてきたといいますか、考えてきた基本は、何といっても規模の拡大をしなければいけないというのがどうしても基本であろうと思っております。そして、幸いというわけじゃないんですけれども、今の農業に従事する皆様方の大宗というものを見ましたときに相当高齢化が進んでおるということ、そして高齢化が進んでいる中でなかなか後継者もおらないという現実もあるわけでございます。そういうものを私ども見きわめながら、規模の拡大ということについてもこういう機会に農用地利用増進法のような法律なんかをうまく活用しながら、規模の拡大を図るためにこういった機会をまさに活用すべきじゃないかなということも実は考えておるところであります。そして、そのための基盤整備、これは非常に基本的なことでありますけれども、基礎整備は、財政が非常に厳しいけれども、そういう中でも基盤整備というものを進めていくということが何といっても一番のもとじゃないかと思っております。  そしてもう一つは、今先生からも御指摘があり、先ほど大城先生の方からもお話があったんですけれども、今いろんな新しい農業の技術というものが開発されてきておるわけです。また古い技術、昔からあったような技術ですけれども、新しい時代の中に新しい手法というものを取り入れながらそういったものはまた生かされつつあるという現況もございます。こんなものをこれからの中でどう取り入れていくのかということ、それと同時に、まさに本当の新しいバイオテクノロジーのような技術というものも今研究がされておるわけでありますから、こういったものの研究体制というものをきちんと確立していくということが大事であろうと思います。そして、これは幾ら研究いたしましても、それを今度は受け入れる側の方が受け入れられなければどうにもならぬわけでありますから、農業者の神様方もそういったものに対応できるような担い手を育成していくということが重要なことじゃなかろうかというふうに考えます。  そういう中で、今先ほども御指摘があったんですけれども、工業という考え方が果たして妥当なのかどうかあれでございますけれども、いずれにしましても、例えば今お話があった繭づくりなんかにしても、いろんな飼料についても、ただ桑の葉っぱをやるだけじゃなくて、起蚕のときには加工されたものを食べさして育成する。あるいは一々葉つばを変えなくても済むような方法なんというものをどんどんどんどん開発するようになってきましたし、それからエノキダケなんかもまさにビルの中でつくられておるものもございます。それから私が先ごろ視察に行きましたところも、養液栽培なんかを施設の中でやっておりまして、これなんかも七軒ぐらいの農家が夫婦で十四名でやっておりますけれども、一人当たり五十万円ということですから、夫婦ですと百万円ぐらいの収入をそこから得るというような農業もやっております。こういうものもただ普通の農業がというと、今先生からちょっと御指摘があったような新しい形態の農業であろうというふうに考えます。  そんなことを考えながら、私どもといたしましては、基本は基本として忠実に守りながら、新しい時代のそういったものも取り入れる。そして、そういったものについて本当に安定してできるかどうかということについてきわめるための研究というものも進めていかなければいけないというふうに考えております。  いずれにしましても、そういった問題に対して、ただ苦しい、厳しいだけではなくて、そういうものに挑戦していくという意欲が必要であろうと思っております。そして終わりに、そういう中で農業者の皆さん方の創意工夫、こういうものが生かされるような体制づくりも必要であろうというふうに思います。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 ありがとうございました。  次には、総合安全保障の見地から食糧というものがいかに大切か。だからその自給率を高めていかなきゃいけないというのは、これはもう政府の中でも意思統一がされていると思うんです。ここにも資料が出されている。小麦や大麦や、特に大豆なんか五%となっているんですね。私が調べたのでもそうなんですが、大豆は需要の九六%、五百万トンを輸入している。世界一の輸入国なんですね、大豆は。それから小麦が需要の九二%の五百八十万トンが輸入。大麦の方は需要の九〇%、二百三十万トン輸入。油は日本でほとんどとれないですから輸入せざるを得ないけれども、これらの一番肝心なものは日本で生産ができるわけなんですから、そういう点からいくと、今のようなこんな低い自給率でほとんど外国から輸入しているような状態でよろしいのかどうなのか。  この資料を先ほどから見て、将来的にも六十五年度の見通しというのを見ましても、大豆なんかまだ八%しかないような状態にあるわけですし、各国の食糧自給率を見ても日本が一番低いんで、その辺の備蓄というか、何かそういうものも含めた長期計画ではどういうお考えをお持ちなんでしょうか。

田中宏尚農林水産省大臣官房長

○政府委員(田中宏尚君) 現在の自給率は、ただいま先生から御指摘あったとおりでございますけれども、我が国の風土というものも一つございますんで、それぞれの品目に即して今お話ありました昭和五十五年につくりました長期見通し、これで品目別にいろんな自給計画を立てているわけでございます。中で一番基本になります米につきましては完全自給する。  それから小麦につきましては、残念ながら、パン用の小麦粉は日本の風土にはなかなか適さないということもございますが、伝統的な日本めん用のものにつきましては全量を自給する。  それから大豆等につきましては、特に豆腐等日本的な長い間の食品、これに適するものにつきましては大半を供給する。  こういうようなことで、それぞれ品目ごとに将来の見通しというものを立てているわけでございますけれども、そういう過程におきましても、世界的な不作でございますとか、いろんな摩擦でございますとか、そういうことがございまして食糧の安全保障に心配が出るということになりますんで、ただいま先生からもございましたように、備蓄というものにつきまして請力を注いでいるわけでございます。  特に備蓄につきましては、一時的な食糧供給の減少といいますか、不測の事態に備えまして、特に国民の主食でございます米につきましては、食管でみずから持つことにしておりまして、ここのところ百数十万トンということを目標にいたしまして、生産調整の面積調整というものをやってきているわけでございます。  それからその他小麦なりあるいは飼料穀物、大豆につきましても、それぞれの商品の適性、性格、それから流近状況というものを考慮いたしまして、一定の備蓄というものを政府段階なり民間段階でいたしまして、そういう緊急事態には十分対処できるというふうに考えているわけでございます。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 官房長、緊急事態に対処のできるような数字ではないわけよね。それで、今の生産調整といったお米の減反政策なんかもまだおやりになるつもりでいるのか。  私は、一時ばたばたばたばたつぶしてたころ地方を回っていて、お百姓さんが水田つくるまでといったら大変だと思うんですよね、こねくり回して稲が植えられるようになるまでの。それを結局やめろということになるから、からからに干からびた状態になって、草が太くはえるような状態になっているんだけれども、私が見ておっても何か情けない気になるわけ。何でああいう例えば減反なら減反にしても画一的な何%カットということをおやりになるのか。  それで、私ならば、北海道なんかというのは何年に一度はお米がだめになっちゃうんですから、じゃ北海道は全部お米つくるのをやめようと、コシヒカリだササニシキだといっておいしい米のできるところはそのまま米つくらして、それで北海道のようなところは大牧場にして牛をうんと飼うとか。私はそれが農業政策だと思うんですよ。おいしい米つくるところも、まずい米つくるところも同じに画一的にカットさせるようなのは、それは政策ではないんですよ。だからその辺の点をもうちょっと知恵を働かしていただきたいと思うんですが、そういう減反政策というのはまだおやりになるんですか。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 内容的には減反ではございませんで、あくまでも転作政策でございますから、基本的には現在のお米の日本の国内の何もしない場合の生産能力と、それから実際の需要量と比較してみますと、数量にして三百万トンぐらいと言われていますけれども、水田面積の二割を、現在大体二割ぐらいでございますが、いわゆる転作しなければならないということでございます。  なお、二番にかつての休耕の問題をお挙げになりましたが、現在は休耕という形では奨励しておりませんで、何もつくらない場合には保全管理で、水田としての能力を保全するものに対して割合低い額の奨励金を交付しております。  それから第三には地域別配分の問題でございますが、これは実は一律配分ではございませんで、いつも北海道の関係の先生方から御質問があるのでございますけれども、北海道については転作率四割を超えるもの、それから東北方面では一〇%台の下の方、こういう転作率になっておりまして、これのもとになりました考え方は、いろいろ農業生産の地域特性とか、今先生がお挙げになりましたお米の品質の問題でございますとか、それから麦や大豆等、飼料作物、こういうものに転換の可能性が強いかどうか、こういう点を勘案したわけでございまして、それ自身でかなり地域性については配慮しているのでございますが、現在は、いわゆるポスト三期のときにこの配分の基準について各方面から大変活発な御意見をいただいている段階でございます。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 お役所的答弁だと思うんです。私が今申し上げたことは、実際に減反で、今そちらは休耕だと言うんだけれども、実際地方を回っておって、水田がからからになって、草がぼうぼうと大きく生えたああいうものを見て、一生懸命になってやってきたお百姓さんたちは切なくて涙が出るだろうなと思って申し上げているんです。  それで、今の御答弁は御答弁でそのまま受けとめておきますが、次にそういう意味で非常に大きな問題ですが、日本の農政というものは、私から言わせていただくならば、毎年毎年米価をどうするこうする、あの大騒ぎをするわけですが、米価をどうするということが日本の農業の主役の時代は過ぎたと私は思うんです。さっき大臣からもバイオテクノロジーの話が出たんだけれども、このバイオテクノロジーの開発でもって農業のあり方が大きく変わりつつある。しかも、何というんですか、一代限りの種、種子が今どんどんどんどんやられておって、あれを握ったところが世界の農業を制覇すると思うんです。だから、そういうことを考えていったときに、日本の農業、農政というものは今のようなことでよろしいんだろうかどうだろうか。世界の三大穀物と言われている小麦は、もうECの種子会社がほとんど七割から握っちゃっているわけですよ。トウモロコシはアメリカがもう大部分押さえちゃっている。米も今、アメリカや中国の方がそれについての研究が進んでおって、かなり日本以上に進んでいるというわけなんだ。だから、今まではお百姓さんが種をとっちゃ、その種をまたまいて農業を続けている、そういうことが日本の農業だったんですが、全くそれが今一変して、そしてもう一代限りの種で作物をつくるような時代になって、それを押さえたところが世界の農業を支配することになっちゃうんです。その辺から日本でもいろいろ研究御努力はなさっていると思うんですけれども、どういう状態にあるんですか。

櫛渕欽也農林水産省農林水産技術会議事務局長

○政府委員(櫛渕欽也君) ただいま米のハイブリット、F1品種の我が国の研究開発の状況と、関連して中国あるいはアメリカといったところの研究の状況は比較してどうか、そういうような御質問かと私は受けとめておりますけれども、今の技術開発の段階の問題だけ私の方から……

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 簡単にしてください、大臣に後で答えてもらうから。

櫛渕欽也農林水産省農林水産技術会議事務局長

○政府委員(櫛渕欽也君) 実は日本の稲は、中国で現在大半つくられております中国南部の稲とは種類が違うわけでございまして、これはジャポニカと申しますけれども、日本稲の中では現在の段階ではなかなかそういうハイブリット効果、F1の多収効果というのが現状では余りいってない。しかも、まだまだF1の品種については採種、種とりの技術が非常に困難であります。そういうような問題から、我が国農林水産省としても、現在、そのハイブリット技術は稲の多収技術の一環、育種の一環の中で、全国的な組織を挙げて研究を進めております。同時に他国の研究開発の状況もいろいろと情報としては収集して、比較をしながら検討してございますけれども、我が国の研究開発状況が特におくれているというような状況にはございませんので、そのことについて御報告しておきたいと思います。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 時間がないから、もうやりとりしている間もないんだけれども、少なくとも瑞穂の国なんだから、事、米についてはそんなものどこにも負けないということであるべきはずなんです。だから、現実に今トウモロコシがどういう状態になっているかということは、これは言わなくてもおわかりのとおり。ですから、私は、そういう答弁じゃなくて、大臣からもう少し大局的にお聞かせいただきたいと思ったけれども、時間がないから後にしていただきます。  もう一つ今の日本の農業で私が思うのは、トマトやキュウリやナスなんかが今ビニールハウスで栽培するようになっている。だから今、真冬でも何でも食べられるようになったわけだ。しかし、あそこまでして真冬にトマトやキュウリを食べなくちゃいかぬのかどうかというんです。これは太陽光線が当たらないわけでしょう。人間だって太陽光線が当たらないで穴蔵へ入れておいたり、それから船でいえば潜水艦なんかに乗って一カ月も海の中に潜っているときには、いきなり太陽に当てられないような状態になっちゃうわけです。だから野菜も、お百姓さんは少しでも高く売ろうと思ってああいうビニールハウスヘ入れて、いろいろやって、お金をかけて、結局、高く売るわけだけれども、そういうふうな太陽の直接光線の当たらないような野菜を次々食べているうちに、私たちの健康のあれにも影響を及ぼさないのかどうなのか、またそこまでやらせなけりゃいけないのか。その辺について私は農水省としても御指導していただくことが必要だと思うんですけれども、その辺はどんなものですか。

鴻巣健治農林水産省食品流通局長

○政府委員(鴻巣健治君) お答えいたします。  今の施設野菜というのは、全体の野菜の作付面積の中で全国で六%ぐらいに当たっております。全体では野菜は五十五万ヘクタールぐらいでございます。野菜をやりますと、野菜の場合、施設野菜になりますと成育環境がコントロールできる、温度とかあるいは地温とかというものがコントロールできやすいものですから、どうしてもかなり単収が高いものがとれる。それから安定している。それから何といっても所得が、露地でやりますと、例えば春どりのキュウリですと単当で大体四十四万円というのが、ハウスでやります十二月から五月にとるキュウリは一三十万。大体三倍ぐらいとれるというようなところがありまして、農家にとっても有利な栽培のやり方になっているわけです。  光線が通りにくいじゃないかというお話でございますが、私どもいろいろ調べて、大体太陽光線の九割はビニールでもガラスでも通る。これは試験場の調査です。それから科学技術庁の栄養分の調査につきましても、キュウリ、トマト、ナス、ピーマン、これを施設物と露地物と比べましても、栄養価の比較では、成分によって若干の違いはありますが、両者に明らかな違いは認められないとされております。ただ、おっしゃるように、露地栽培をやってしゅんのものを供給して消費者に食べていただくというのが大変大事なことだと思っております。そういう意味で、露地は露地なりの生産対策、価格安定対策をこれからもやっていきたいと考えております。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 もうこれ以上言うのをやめようと思います。  それで、大臣、将来展望を持った日本の農政、農業政策というものはどうあるべきかと考えないとね。今のように、農家の収入がたくさんあるから、こんなものは当たり前のことである。あるいはキュウリをわざわざ一本ずつビニールかけて曲がらないようにやって、それで売るときは高く売れるから収入が多くなる。しかし、お百姓さん、農家が今油をどのくらい使っているかということなんです。今、油の輸入が減ってきたからいいけれども、昭和十六年の日本の軍隊が使う油まで全部ひっくるめたものがお百姓さんだけで今使われているわけでしょう。今、盛んに日本は輸出がどんどんふえて少々油を買ったって困らないような貿易関係にあるからいいけれども、長い将来においてそういうあり方がよろしいのかどうなのか。メロンをつくるぐらいは、あれはある特定の人たちのところだけだから少々高くなってもいいけれども、一般の野菜やなんかのそういうものまでもそういうつくり方が果たしていいかどうかということを私は考えておく必要があると思うんです。  それで、最後に大臣、もう時間がないんで私は御要望で申し上げておきたいと思うことは、日ソ漁業交渉でいよいよソ連の方に行かれることになったって新聞で見たわけで、大変御苦労なことだと思うんだけれど、日本の水産業、漁業に携わる人たちのために頑張ってきていただきたいと思うんです。ソ連という相手はなかなか手ごわいです。まあ羽田大臣のことだから心配ないと思うけれども、日本の国家の代表として行くんだから、そういう点では余りぺこぺこしてなにせぬで、堂々と交渉してきてほしいと思うんです。昔、名前を申し上げるといけないから言いませんけれども、ある農水大臣が行かれたときには、お湯も満足に出ないようなひどいホテルに泊められたそうです。それでも黙って、何とかして魚を取らせてくれといって交渉して、それでまた日本に帰ってきてからも、私は向こうへ行っていかにひどい目に遭ったか言うかと思ったら、一言も言わないでおった。羽田大臣はそういう情けないことはしないで、少なくても日本の国家の代表として行かれて、言うべきことを堂々と言って、毅然たる態度で、そうして何としてでも最後はまとめてきて、関係者の人たちが喜ぶようにしてあげなきゃいけないので、そういう点でいろいろ御苦労も多いと思いますけれども、頑張ってきていただきたい。これはもう御要望だけ申し上げておきます。  終わります。

喜屋武眞榮二院クラブ・革新共闘

○喜屋武眞榮君 私は、質問に移ります前に次のことを前提に申し上げます。与えられたわずかな時間にお聞きしたいことがいっぱいございます。それで、一つの問題についてやりとりをして深めていきたいんですけれども、ここはそういう余裕がありませんので、一応私が聞きたい趣旨をキャッチしていただいてずばり答えていただきたいと、こういうことをあらかじめ要望いたしておきます。  まず初めに、大臣にお尋ねしたいことは、食糧安定ということと需給のバランスということ、食糧の安定的供給と需要のバランスということは非常に大事な問題でありますけれども、またなかなか実際問題として困難であると、こう私は思っております。そこで一般的に農畜産物の需要は現状においては伸び悩んでおる、こう言えるのではないかと思うんですね。価格も低迷状態です。そうして生産抑制を余儀なくされておる。その一方では海外からは強い市場開放要求がある。農産物も厳しい国際競争に直面せざるを得ない。こういう状態の中で消費者米価のごときは二年続きの豊作にもかかわらず三年連続値上がりとなっておる。こういうことを思うときに、先ほども大臣申されたとおり、食生活の多様化という面からもだんだん米の消費量が落ち込んでいっておる、いわゆる米離れがだんだん進んできておる。こういう状態である日本の現状を大臣はどのように認識しておられるか、まずそのことをお聞きしたい。

羽田孜自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(羽田孜君) 今御指摘ありましたように、確かに今日現在まだ米の消費というものは多少といえども減少しておるという現状であります。そういう中で、私どもは二年間連続の豊作であったということ、そしてことしの場合には特に生産者米価は据え置いたという実情もあります。そういうことで、非常に財政上いろいろと問題がありますけれども、消費者米価を上げるということについてはでき得る限り抑えていきたいということで、最終的には一・四八%、家計費に与える影響というのはおよそ〇・〇一%ぐらいそのウエートが高まるであろうということ、そして勤労者世帯で三十五、六円ぐらいの値上がりということであったわけですけれども、まあ低いからいいやということでなく、実情に合わせて本来だったらやるべきじゃないと思うわけですけれども、しかし財政事情等もありまして、家計になるべく影響を与えないようにというつもりで一・四八%という値上げになったということであります。

喜屋武眞榮二院クラブ・革新共闘

○喜屋武眞榮君 次にお聞きしたいことは、日本も含めて地球上と言ってもいいでしょうが、人類は、特に日本の立場を強調したいんですが、飽食の悲哀、いっぱいあるかと思うと飢餓の苦しみに泣いておる人々も地球上にはいっぱいおる。あれこれ思いますと、飢餓に飢えている人々の層がアジアを中心としていっぱいおるわけです。具体的にはごく最近の数は確認しておりませんが、その最近の状況がどうなっておるかということも含めてこの後の答弁でもらいたいんですが、こういった人々にこたえるためにも、日本のまた国際親善、外交という立場からも、飢餓に苦しんでおる人々に救援米をできるだけ送ってあげる。といいますことは、時は流れてもう二十一世紀も近づいてくるわけですが、二十一世紀に向けて平和で幸せな人類の二十一世紀をつくり上げていく根本の心は何だろうかと私は考えた場合に、分かち合う心の一点に尽きるんじゃないかと思うんです。分かち合う心の中から平和は生まれる。こういうことを思いまして、しかも我が国の米の消費拡大とも結びつけて救援米を送ってあげるという一石二鳥を実践したらいかがなものだろうか。こういうこと。  さらに、米離れを呼び戻すということ。大臣の予算説明の中に「日本型食生活の定着促進」とありますが、多様化の中においても日本型食生活の根本は米を大事にすることじゃないだろうか、私はこう思いまして、そういった面から生活に結びつけた米の備蓄ということとも関連しまして、音ありましたように、米の備蓄奨励といいますか、そういう意味を含めて米びつを各家庭に備えつけていく。このことを提案すると同時にお尋ねした

後藤康夫農林水産省経済局長

○政府委員(後藤康夫君) お尋ねの前段の点についてお答えを申し上げたいと存じますが、世界全体の飢餓人口と申しますのはなかなかはっきりつかみにくいわけでございますが、一九八五年にFAO、国連食糧農業機関のやりました調査によりますと、発展途上国におきます栄養不足人口、中国などのいわゆる計画経済諸国は除いてございますが、一九七九年から八一年に少なくても三億三千五百万人というふうな数字が挙げられております。  飢餓ということを申しますと、一昨年来アフリカの飢餓が世界の非常な関心を呼んだわけでございますが、昨年は比較的雨にも恵まれまして、アフリカの食糧事情も昨年に比べますとことしはさしあたり改善を見てきている、こういう状況でございます。  我が国としましては、こういった食糧不足に直面します国に対しまして、緊急措置といたしまして食糧援助を行っておりますほか、これら諸国の食糧増産のための支援を申し上げるという意味でいろいろな農業開発協力を行ってきているところでございます。また、政府ベースだけではなくて、民間のボランティア活動と申しますか、そういうものでもさまざまな援助活動が展開を現にされておりまして、これは政府ベースの援助を補完するものとして非常に有効なものではないか。一例を挙げますと、昨年、農業協同組合系統で飢餓問題に対処いたしますための募金を全国的に農協職員等から募りまして、二億円ほどの募金をFAOの世界食糧計画に拠出をいたしたというような例もあるわけでございます。そのほかにも、例えば農民組合系統の皆さん方が救援米というような活動もやっておられるということもございますが、ただ、物で集めるということになりますと、現地までどうやって輸送するか、まず一カ所に集結してどういうふうに輸送するか、そのコストをどなたが持つかというような問題がございましたり、また一般的に先進国が食糧援助をいたします場合に、できるだけ先進国はお金を出してほしい、そして開発途上国の中でも食糧の余剰を持っている国がございますので、開発途上国の食糧を買い付けてそれを飢餓に悩む人たちがいる開発途上国に持っていってほしい、こういった要請もございます。そういったこともいろいろ踏まえながら、政府レベル、民間ボランティア活動、その両方でこの飢餓の問題に私どもも力を注いでいかなけりゃいけないというふうに思っておるわけでございます。

喜屋武眞榮二院クラブ・革新共闘

○喜屋武眞榮君 金で援助するということにはマルコス政権の追放に絡んでいろいろと問題になっておるわけでありますが、それはそれといたしまして、技術援助あるいは物で公平にやる、こういった命を支える、暮らしを支えていくということが何といっても当面の問題でありますから、それをどうより早くより広く日本の真心を施していくかということは大事なことであると思うからであります。  次に、大臣にお伺いしたいことは、農村地域における先駆的と申しますか、進歩的と申しますか、モデル的な情報システム化の構想としていわゆるグリーントピア構想があります。ニューメディアを導入することによって生産性の向上、農産物の流適合理化、農村の活性化を図るというねらいがあるわけですが、このねらいは、沖縄の特殊性、地域性から離島地域としてその必要性が最も高い、こう思われるんです。  それで、先ほども大城委員からもありました特に沖縄の亜熱帯気候、亜熱帯性という立場からも、政府の計画しておられるこのシステムをぜひ沖縄にも候補地域の一つとして指定していただきたい、このことを強く要望するものであります。このことに対する大臣の御所見と、また私の要望をぜひ入れてもらいたいと思うんですが、その面における予算の裏づけがどうなっておるか、お願いしたいわけです。

田中宏尚農林水産省大臣官房長

○政府委員(田中宏尚君) グリーントピア構想につきまして、今先生からお話がありましたような趣旨で始めたわけでございますけれども、実は今年度は全国で十五地域ということで設計いたしまして、一地区当たり千二百万円の事業費ということで考えているわけでございます。現在のところ各県からいろいろと要望を聞いているわけでございますけれども、この事業はことしで全部けりをつけるわけじゃございませんで、それぞれの地域の計画の内容なり、それから計画の熟度、こういうものを見ながら年次的にこれから考えていきたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、各県の事情をもう少し我々も精査しながら、どこをことしやり、来年やるかということを含めまして、検討さしていただきたいと思っております。

羽田孜自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(羽田孜君) 今官房長の方からお答え申し上げましたとおりでありまして、これに対して相当各県からも強い要望が実はございます。そういったのをよく私ども精査さしていただきながら、今度指定するのはこれはまさにモデル地区的なものでございますので、そういう中で計画というものがきちんとしておって、これが一つのモデルとなるようなケース、こういったものを頭に置きながら私どもとしても慎重に対応していきたい、今先生からお話がありましたことも頭に置きたいと思います。

喜屋武眞榮二院クラブ・革新共闘

○喜屋武眞榮君 先を急ぎますので、次へ移ります。  次は日本農業の現状及び将来を見た場合に、先ほども触れられましたが、この後継者の育成ということが絶えず強調されます。ところが、せっかく農業高校を卒業しても、卒業生がホワイトカラーにあこがれて自分の身につけた学校における技術を放てきしてほかの道を行く。必ずしも一〇〇%その道を行けと言うわけにはいかぬ点もあると思いますが、しかし現状は余りにもそれが果たされていないんじゃないか。  そこでお聞きしたいことは、一体後継者の育成、日本農業後継者の育成の確保という点から今後どのような施策をおとりになるのか、そして見通しとして必要な人数というのは一体どれぐらいなのか、現在どれぐらい不足しておるのか、こういった点を明らかにしていただいて、将来の必要人数あるいは現在不足数、このことに対しての御見解を賜りたい。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) 後継者の就業動向でございますが、新規学卒者で見ますと、昭和六十年四千二百人就農しております。また一方、一回他産業に就職しまして、それからいわば戻ってくるという形で就農する、こういう方で三十四歳以下のそういう離職就農者を見ますと、昭和五十九年で一万六千百人という数字が把握されております。  全体のどのくらいの数が必要かということについては、今後の農業についての後継者を必要とする農家の数というようなものの把握がなかなか難しいということもございますが、単純に申しますならば、この二つを足したものの数字だけでは全体として世代交代に対して後継者の数はかなり足りないというか、低い水準にあるということは言えようかと思います。ただ、部門別に見ますと、酪農とか養鶏とか施設園芸のような部門では、規模の大きい農家では後継者の定着している割合が相当高い、こういうふうに承知しております。  今後の対策でございますが、これは従来からも実施しておりますけれども、農業者大学校、これは国にもございますし県にもございますが、そういうものを中心としました実践的な研修、教育を行うこと、それから各地域でいわば若者が仲間づくりをするというような形での自主的な集団活動を助長していく、さらに農業改良資金あるいは農林漁業金融公庫資金のような制度資金の中で、特に後継者の経営の開始のときに必要とする資金を供給していく、こういうような対策を中心にしまして、お尋ねのように高い経営能力を有するすぐれた後継者の育成のためにこれからも大いに努力していきたい、かように考えております。

喜屋武眞榮二院クラブ・革新共闘

○喜屋武眞榮君 次に、農業就業人口がだんだん減少しつつある傾向にありますね。ところが、それには検討すべき点があるんじゃないか。といいますのは、サラリーマンをやめて自分で新しく農業に従事しようと思っても、あるいはまた大学で農学部の道を専攻し、卒業したサラリーマンの子弟が、自分で新しく農業の道を切り開いていきたい、従事したい、こう思っても、なかなか自由に農業に従事することができないという日本の現状になっておりますね。制度からくる制約がありますね。その制度の概要と、なぜそのような制度になっておるのか、その理由を明らかにしてくださる中からその道は開けてくる、私はこう思うんですが、その点承りたいと思います。

佐竹五六農林水産省構造改善局長

○政府委員(佐竹五六君) 農業への新規参入の問題でございますが、今御指摘のございましたようなサラリーマン等の非農家が農業を営もうといたします場合に、問題はその基本的な生産手段である農地が取得できるかどうか、かようなことであろうかというふうに思うわけでございます。新たに農地を買ったり借りたりする場合には、農地法三条により原則的に農業委員会の許可を受けることが必要になるわけでございますが、この許可に当たりましては、現在農業を行っていない、非農家であるという理由で許可をいたさないということにはなっておりません。これは四十五年に法律改正をいたしまして、非農家であっても農地が取得できるようにしておるわけでございます。もちろん新たに農地を取得されようとする方がきちっと営農をやっていただくということが担保されなければならないわけでございますので、一定の要件を設けております。具体的に申し上げますと、例えばその取得する農地のすべてを耕作するというふうに認められること、あるいは必要な農作業に従事するというふうに認められること等、一定の要件は設けておりますけれども、非農家であるという理由で農地が取得できないというふうには現在の制度はなっていないわけでございます。  ただ、事実上の問題といたしまして、資金的な裏打ち等いろいろ実際にやろうとする場合にスムーズにいかないという問題はあろうかと思うわけでございまして、これらにつきましては、今後私どもとしては、新規参入をされた方の営農が非常にうまくいっている事例が結構多いわけでございますので、積極的にこれを支援する必要があるかどうかというようなことは今後の検討課題として検討してまいりたい、かように考えておるわけでございます。

喜屋武眞榮二院クラブ・革新共闘

○喜屋武眞榮君 ぜひひとつ希望する者に道をあけていただきたいという点、要望しておきます。  最後に農薬関係について、日本の商魂のたくましさはわかるけれども、商業倫理と申しますか、その倫理面からいかがわしいと感ずる点があります。それで農薬関係の問題をお伺いしたいんですが、農薬取締法の第十六条の三には、「農薬を輸出するために製造し、加工し、又は販売する場合には、この法律は、適用しない。」、こう定めておりますね。そうしますと、我が国で使用を禁止されているような危険な農薬でも、外国に輸出する場合には自由に輸出することができるという含みがあるわけなんです。なぜこのような定め方をしておるのか。国内では危険だが危険な農薬を外国に出すのは構わない、こういった売ればよいといったような、もうかればいいといったような、このような条文は速やかに削除すべきである、私はこう考えるわけですが、その点。  時間が差し迫りましたのでもう一言。  最近、南九州地方で牛の異常出生が相次いでおると聞いております。全国では千七百頭も出ておる、こう聞いております。このことは畜産農家の経営にも重大な支障を及ぼすものと思われますが、その発生状況、原因、今後の対策を、簡単でようございますから承りまして、農薬の問題どこの点、二つお伺いしまして終わります。

関谷俊作農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(関谷俊作君) まず農薬の方でございますが、御引用になりました農薬取締法第十六条の三は、昭和二十六年の本法改正のときに挿入されたものでございまして、その趣旨は、農薬取締法の目的が国内の需要者の保護にあることと、いわば製造、販売全体を規制しておりますので、国外における販売、使用のところまでなかなか国内法では規制できない、こういうようなことからこの条文が設けられたというふうに承知しております。  ただ、現在の実態でございますが、私ども指導によりまして、国内で販売禁止されております農薬を外国に輸出するというようなことは控えるべきだということで、例えばBHC、DDT等がございますけれども、これらも輸出を自粛するよう指導しておりまして、現在国内で販売禁止されている農薬が輸出されておるという実態は我が国については全くございません。これは指導によりそのように措置しておるわけでございます。

大坪敏男農林水産省畜産局長

○政府委員(大坪敏男君) それでは牛の異常出産につきまして御説明申し上げます。  昨年の十一月以降鹿児島県を中心といたします九州地方におきまして、虚弱、盲目または神経症状を呈します新生子牛の分娩例が発生しておるわけでございまして、その件数は先ほど先生御指摘になりましたように、本年二月末までに約一千七百頭という報告を受けておるわけでございます。  この病気の原因究明についてでございますが、現在私どもの家畜衛生試験場を中心といたしまして、関係県とも連携をとりながら、異常産牛の病性鑑定に鋭意努力いたしているところでございますが、現在のところ、病理組織の検査等から見まして、本病には何らかのウイルスが関与しているのではないかというふうに推察されているわけでございます。  そこで、家畜衛生試験場では総力を挙げまして異常産牛からウイルスの分離を試みているわけでございますが、昨年の秋に我が国で分離されましたウイルスの中に本病との関係を示唆する成績が得られたものがありますので、目下その性状等につきまして検査を実施している状況にございます。  そこで、本病の防疫対策についてでございますが、何と申しましても原因を究明することが肝要でございます。さしあたっての防疫対策につきましては、先月関係県の家畜衛生担当者を集めまして種々協議したわけでございますが、その結果といたしまして、当面の対応として飼養農家に対しまして早期に授精の励行を行わせること、さらにウイルスを媒介とする可能性のある吸血昆虫の防除等につきまして指導を行うこと、そういう点につきまして方針を協議したわけでございますので、現在その線に沿いまして指導の徹底を図っているところでございます。  今後とも原因究明に努めますとともに、その進展に応じまして必要な防疫体制の強化に努めてまいりたいと、かように考えております。

成相善十自由民主党・自由国民会議

○委員長(成相善十君) これをもって昭和六十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

成相善十自由民主党・自由国民会議

○委員長(成相善十君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十四分散会      —————・—————

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