農林水産委員会 第2号
- 発言数
- 198 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1986/03/20
会議録
○委員長(成相善十君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(成相善十君) 異議ないと認めます。 それでは、理事に刈田貞子君を指名いたします。 ―――――――――――――
○委員長(成相善十君) 農林水産政策に関する調査のうち、昭和六十一年度農林水産省関係の施策に関する件を議題といたします。 本件につきましては、前回既に説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○山田譲君 この前大臣の所信表明をいただいたわけであります。大分それから時間もたってしまいましたけれども、私から大臣の所信表明を中心としていろんな基本的な問題をお伺いしておきたい、かように思います。多岐にわたるものですからあんまり突っ込んだ御質問はできないかもしれませんし、やや総花的になるとは思いますけれども、ひとつできるだけ大臣に直接お答えをいただきたい、こんなふうに考えます。 最初に、大臣御就任以来いろいろなところでかなり活発にいろんな前向きの積極的な発言をしていらっしゃるわけで、私もそれを見ていて、今度の大臣はなかなかファイトを持ってやるんだなというふうな気持ち、非常に心強く感じているわけであります。そういうお言葉の中でどうもこれはよくわからない、少し詳しくお聞きした方がいいというふうなこともありますので、そういうことについてまず最初にお伺いしてみたい、かように思います。もちろん、新聞で報道するようなことですから間違いがあるかとは思いますけれども、率直にそれは新聞が勝手に書いたんだというふうに言っていただいて結構であります。 一つは、一月の四日の日本経済新聞の記事で、「新経済政策を聞く」というふうなことで経済関係の閣僚からインタビューしていろいろ聞いている記事が載っておりますけれども、その中で、まず市場開放問題について大臣はこういうことをおっしゃっておられる。どういうことかといいますと、市場開放について「何でも守るだけでは通用しない時代だ。」、それから「守るべきものをしっかりと見定めた上で、競争力のある分野では積極的、機動的に対応して、身ぎれいにすることが必要だ。」、こういうふうなことをおっしゃっておられる。何となくわかるようではありますけれども、わからないところもあるんで、この辺、一体守るべきものとは何のことを言うか、あるいは競争力があるものというのは大体どんなものを念頭に置いて言っておられるのか、大臣にまずこの辺からお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(羽田孜君) お答えをいたします。 この身ぎれい論といいますのは、今先生から御指摘がありました記者との会見のところでお話ししたということで報道されております。実は、この問題につきましては、何というんですか、私が党にありましたころ、例えば農業者の皆様方の農産物自由化阻止あるいは枠の拡大反対ということの大会なんかがしばしばございました。そういったところで私、党を代表してごあいさつ申し上げましたときから、そのときにも実は申し上げておるわけであります。ですから、実は、何というんですか、一般論的なあれでございまして、この品目がどうだということでは実はなかったんです。ただ、何でも守る、これもだめ、こういう話し合いもできないということであると、結局、本当に守らなきゃならぬというものに対して迫力が なくなってしまいますということで、私どもとしても、いろんな各国からの関心品目がございますが、こういったものについては精査しながらその中で守るべきもの、あるいはこれは譲っても大丈夫だろう、また競争できるというものがもしあるんだとするならば、そういったものに対しては、例えば関税の引き下げだとか、そういったこともやらざるを得ないのではないかというようなことで実は申し上げた。そのことがたしか頭にあって、記者さんからの質問に対してそのことをお答えしたというふうに思っております。
○山田譲君 当然、一般論としては当たり前のことになると思うんですけれども、これから実際に農林水産行政をやっていく上において、これは一般論だけじゃ済まない問題で、具体的に交渉しなければならないというときに、大体これはもう最後まで守り抜かなければいけないとか、これは多少緩めていいんではないかというふうなことを具体的にこれから、大臣、考えていかなければいけない段階だと思うんですけれども、その辺はどうですか。
○国務大臣(羽田孜君) もうおっしゃるとおりでございます。ただ、これからそういった問題について各国と話し合っていかなければいけないということでございますので、いろんなことが言われますけれども、日本の農業というものはこうあらなければいけないということを基本にしながら、原則的に、日本の国内で生産してないとか、そういったものについてはいろいろと考えていかなければいかぬと思いますけれども、今ちょうど十二品目を初めといたしまして交渉をこれからしていかなければならない、今またしている最中であるというようなことでございますので、ここで余り多くのことを申し上げることができないことをお許しいただきたいと思います。
○山田譲君 十二品目の話はまた後で詳しくお伺いしたいと思うんですが、同じく同じ日の新聞で、同じ場所で、食管制度について触れておられます。食管制度についてはタブーに挑戦をしなければいけないということを言っておられる。つまり「食管はいわゆる聖域で、変更はタブーだったがタブーに挑戦しなければ農業の発展はないのも事実。生産者米価だって引き下げてもおかしくない環境にある」。つまり「引き下げるつもりはないが、皆でよく話し合えばおのずと方向は出てくる」、こういうことをおっしゃっておられます。 そこで最初にお伺いしたいのは、今まで食管はタブーであった、聖域であって変更はタブーだった、だけどこのタブーに挑戦しなければいけないということを言っておられますけれども、タブーとは一体どういうことを考えておられるか、このタブーに挑戦するとは一体どういうことを具体的に考えていらっしゃるか、そこら辺をお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(羽田孜君) 実はちょっと私よくあれしてないんですけれども、私が多分報道で申し上げたのは、これからの農政を展開していくためには、今ちょうど一つの曲がり角といいますか、転期に来ておる、そういったときに、今までこうだったからこれはこうするんだというだけではだめです。そういったものに対しても、何というんですか、乗り越える、挑戦する気構えがなければいけないんじゃないか。その中には、どうもこういうことをあれするとみんなから怒られちゃうからなというんで、つい口にしないようなことがもしあるとするならば、そういったタブーというものにも挑戦しなければいけないということを実は申し上げました。たしかそれについて国会の質問の中で、食管というものも聖域だったんじゃないかというお話がございました。基本的には、食管は別に今までも聖域じゃなくて、今日までも食管法の改正をやってまいりましたし、あるいは流通改善等についても昨年の末でしたか、やっております。そういうことで食管そのものは私はタブーだと思っていません。 それから価格を下げるという話は、それもちょっとあれなんですけれども、私がもし何かでお話ししたとすれば、例えば食管の今度その差がなくなりましたね、そしてこれからコストにまでも踏み込むのかというような御質問がございました。コスト逆ざやまで踏み込んでしまうんだったら、食管はもう要らぬじゃないかというような御論議の中でそういうお話がありました。ただ、私といたしましては、コストについてもやっぱり考えなきゃならぬと思いますと、そのコストについて考えるということは、例えばお米の検査のばら検査ですとか、あるいはばら流通の問題ですとか、あるいは交通手段、こういったものをより効率的なものを使って、そしてそういった管理経費なんかを縮められるものがあれば、これは今財政が厳しいときですから、そういったものをやる必要があるんじゃないですかということを実は申し上げたりなんかしたことは今記憶いたしております。
○山田譲君 このことは日経の「新経済政策を聞く」という大臣とのインタビューの中で答えたような記事になっております。当然新聞ですから若干間違いもあると思うけれども、私がちょっと気になるのは、この中で「生産者米価だって引き下げてもおかしくない環境にある」、こういうふうに言ったことになっておりますけれども、こんなこと言った覚えないというならそれで結構ですが、もしこれに近いことをおっしゃったとすれば、どういう環境、引き下げてもおかしくない環境というのはどういうことを考えておられるか、そこら辺はどうですか。
○国務大臣(羽田孜君) あれはいろんな議論の中を通じてあるいは記者の方がそのように判断されたのかもしれません。私は今米価を下げてもいい環境にあるとか、そういうことを申し上げたんじゃないんです。ただ、私が一般論としてみずからがたまに考えることは、例えば米なら米というものを考えたときにも、これから規模の拡大がなされていく、そして全体にコストが下がっていくということであるならば、国がそういったものに対して援助したり、いろんな指導しながら、あるいは地方自治体、農業団体の中でもコストを切り下げる運動というのが今盛んに数年前からやられていると思いますけれども、そういうことによってもし下げられる環境というのができれば、それはいいことじゃないかなといりような話は、あるいは何か全般の話の中で申し上げたことがあると思います。ただ、今下げる環境にあるとか、そういったことはまだ申し上げたあれはないと思います。
○山田譲君 それならわかりますけれども、もし大臣がこのような御認識だったとすれば大変大きな問題です。ここで最後には、この記事によりますと、今すぐに引き下げろとは言わないということは言っていますけれども、環境としてはもう引き下げてもおかしくない環境にあるんだというふうにこれには書いてあるわけですね。だから、これを読んで私もその辺が気になったんですけれども、この辺、記者の方が適当にでっち上げでこんなふうに書いてしまったということかもしれませんが、その辺は、今大臣がおっしゃったように、そうすると逆に今すぐ引き下げてもいい環境にはないというふうに考えてよろしいかどうか。
○国務大臣(羽田孜君) 今まだ米価の実際の審議というものがありませんから、今申し上げることはどうかと思いますけれども、ただ今日の、何というんですか、米をつくる構造の現況、この中で今引き下げる環境にあるというふうには私は思っておりません。ですから、規模の拡大等はどんどん進められ、あるいは多収穫品種なんか生まれてくる、そういう時代になったらあるいは米を引き下げるといいますか、そういう時代が来ればいいなというようなことはしばしば考えますし、また農政というのはそうあるべきじゃないかなということは考えますけれども、今日の状況ではとてもそんなことは一般論として言うことはできない、私はそう思っております。
○山田譲君 それでは大臣の御発言をめぐるいろいろな記事に書いてあるような内容については以上で終わりたいと思います。 その次に貿易摩擦の問題であります。 まず、ごく事務的なことでお伺いしたい。これ は大臣でなくて結構でありますけれども、よく昔は十三品目、十三品目と言っていたやつがいつの間にか十二品目になっているというふうなことで、それがどういういきさつでもって十二品目になったかという、その経過をひとつお話しをいただきたいと思うんです。
○政府委員(後藤康夫君) 一言で申しますと、いわゆる十二品目と言われておりました品目の中に一時貯蔵のオレンジ・タンジェリンというものが入っておりました。二年前の日米の農産物協議の際に、牛肉・かんきつ交渉とあわせまして、水産物を除きます農産物十三品目についてアメリカがそれをガットに持ち出した。そして結局、日米二国間の話し合いによりまして決着が図られてガットの手続が一時停止されている。こういう状態になっているわけでございますが、実は、その当時から一時貯蔵のオレンジ・タンジェリンというのは、前回の牛肉・オレンジの合意の際に輸入枠のオレンジの拡大の問題がございましたが、そういうときも、その実績を見る場合には、一時貯蔵のオレンジ・タンジェリンというようなものの輸入実績があるとすれば、そういうものも含めてやった方がいいかなというような議論も実はそのころからあったわけでございます。三月の一日に日米の貿易委員会を開催いたしましたときに、アメリカ側がこの問題を取り上げましたときに十二品目という言葉を初めて使いまして、オレンジ・タンジェリンの問題は今回の協議とは別に、むしろオレンジとの関連で将来取り上げた方がいい品目ではないかという判断のもとに十二品目という言い方をいたしましたので、その後その会議の正式な発言を踏まえまして、今まで十三品目というふうに俗称いたしておりましたものを十二品目というふうに改めたと、こういうことでございます。
○山田譲君 それはわかりました。 じゃ具体的に、その一時貯蔵のオレンジというのはどうなっているんですか、その扱い方は。
○政府委員(後藤康夫君) 今回、実はこの十八日にサンフランシスコで十二品目の正式協議を、最初の協議を行ったわけでございますが、その際もこの一時貯蔵のオレンジ・タンジェリンにつきましては議論の枠から外しております。牛肉・かんきつの合意の期間は四年でございまして、十三品目につきましては二年ということになっているわけでございますが、恐らく、したがいまして、四年目といいますか、今から数えれば二年後の牛肉・かんきつのときにかんきつの問題とあわせて論議がなされ、協議がなされる、こういう扱いになると思っております。
○山田譲君 今ちょっとお話が出ました、十八日に交渉がサンフランシスコであったそうですけれども、今までの十二品日についての交渉の経過、それと今後の見通しですね。何か聞くところによると四月二十二日までだということですけれども、そうすると、それまでに決着すればもちろんいいんでしょうけれども、決着しなかった場合にどういうふうになっていくか。政府としては、大体どういう態度でもってこの十二品目についての問題を扱おうとなさっていらっしゃるか。これからの交渉の見通しといいますか、めどというか、そういうものと、もしだめになった場合に、四月二十二日以降どうなるかということをあわせてお伺いしたいと思います。
○政府委員(後藤康夫君) 十八日のサンフランシスコにおきます協議がいわば最初の正式協議ということでございまして、丸一日かけて行ったわけでございますが、この協議におきましては、アメリカ側からは、輸入制限を四月の二十二日以降撤廃すべきであるという基本的な立場の表明がございました。我が方は、これに対しまして、自由化をコミットできる立場にないということを応答いたしますと同時に、十二品目の品目ごとに自由化のできない事情、そしてまたそれぞれの産品の国内事情というものを詳細に説明いたしました。それに対しまして、アメリカ側からはいろいろ質疑があり、また応酬もございましたけれども、アメリカ側は結局最後に、この第一回の協議の日本側の説明なり、あるいは日米間での質疑応答といったようなものを含めてワシントンに帰って上司に伝えるということで、今後四月二十二日に向けましてさらに協議を続けていこう、こういうことで第一回の協議を終わっております。アメリカ側は、原則自由化の考え方に立ちまして厳しい態度で臨んでいるところでございますけれども、我が国農業の厳しい実情なり、十二品目のそれぞれの日本農業あるいはまた地域農業に占める重要性にかんがみまして、我が国の農業に悪影響を及ぼしませんように、現実的な解決を目指して最大限の努力をしていきたいと思っておるわけでございます。 今お尋ねがございました、四月二十二日までにまとまらなかった場合にどうなるのか、こういうことでございますが、二年前にアメリカとの間で決着、アレンジメントができましたときに、その中で、その内容としましては、枠の拡大とか部分自由化とか、幾つかの品目につきましての関税引き下げというようなもののパッケージであったわけでございますが、それを日本がきちんと実行している間はガットの二十三条一項の手続をアメリカはサスペンドする、中断して前へ進めないという決着になっておるわけでございます。したがいまして、四月二十三日までに話がまとまりません場合は、アメリカはガットの手続を再開できることになる、こういうことでございますけれども、私どもとしましては、前回の決着のような現実的な解決策、そして日米双方にとって受け入れられるような解決策を探求する努力をあくまでも続けていきたい、こういうことで考えておるわけでございます。
○山田譲君 今二十二日と二十三日、二十二日が正確ですか。今局長言われたのは、二十三日とちょっと言われたけれども、二十三日以降という意味ですか。
○政府委員(後藤康夫君) そういうことでございます。
○山田譲君 わかりました。 その次にお伺いしたいのは、ECとの関係ではこの問題はどうなっているか、そこら辺をちょっと教えてもらいたいと思います。
○政府委員(後藤康夫君) この十二品目の問題につきましては、日米間の問題でございまして、ECとの間でこの十二品目につきまして特別の議論が行われているわけではございません。もちろん、例えば前回の二年前の合意の結果、関税の引き下げでございますとか、あるいは枠の運用について幾つかの品目につきまして枠の拡大というようなことを取り決め、決着を図ったわけでございますが、そういう結果が出ますと、これはアメリカだけに適用するわけではございませんで、最恵国待遇の原則がございますし、日本はガットにも入っているわけですから、例えば関税の引き下げというのはすべての国に適用されるということになるわけでございますけれども、ECとの間に特別の今この問題をめぐっての議論なり協議があるわけではございません。
○山田譲君 具体的な協議はしていないまでも、新聞の報道なんかによると、ECからも今後これに類する問題について相当のいろんな厳しい態度があるというふうなことを書かれておりましたけれども、その辺はどうですか。
○政府委員(後藤康夫君) ECとの間でも我が国はかなり大きな貿易黒字を持っておりまして、ECが日本に求めておりますのは製品輸入の拡大、その中には農産加工品も含めて製品輸入を拡大してほしい、そして我が日本側は計画経済国でないのでそういう数字の目標は立てられないということを言っておりますけれども、何らかのそういう将来の農産加工品も含んだ製品輸入のビジョンみたいなものを示してほしいというような要請が一般的に出ておりますのと、農産加工品の中では特にECはワインについてはかなりいろいろな会議で強い関心を表明いたしておるところでございますが、この十二品目の中に含まれておりますような品目につきまして、特に特定の分野を限って日本と突っ込んだ話し合いをしたい、協議をしたいというような具体的なお話が来ているわけではご ざいません。
○山田譲君 次に、前の日銀総裁が座長をやっております国際協調のための経済構造調整研究会、こういうものがありますけれども、これが先日新聞発表で、正式にはまだのようでありますけれども、農産物の原則自由化ということを打ち出していく、これに対応できるような農業構造の改革をしていかなきゃいけないというふうな内容のものが報告書としてそのうちに出てくると、こういうことのようでありますけれども、これについての農水省の考え方はどうですか。まず局長に伺って、それから大臣にもぜひこれは伺っておきたいと思うんですけれども、それをお伺いしたいと思います。
○政府委員(後藤康夫君) 経済構造研究会につきましては、私ども各省が会議に直接参加さしていただいているというような公式な研究会ではございませんし、私どもその研究会で農業なり農産物の問題についても若干の議論が行われているということは漏れ承っておりますし、委員の方々から貿易の問題などについて説明を求められたりということはございますが、まだ研究会としての意見が一定の方向に固まったというふうには私ども承知をいたしておらないところでございます。 私どもといたしましては、かねて申し上げておりますように、農産物の輸入と申しますものは、国内の需給動向を踏まえて、そしてまた国内農業の健全な発展というものと調和のとれた形で行われなければいけないということを基本的な考え方にいたしておるところでございます。そのような私どもの考え方、もちろん現在の我が国の置かれております国際的な立場、そしてまた世界の農業が全体的に今過剰基調にございまして、アメリカもECもいろいろな意味で農政の見直しを迫られ、そういう中で生産性の向上なり構造改善も含めたいろいろな努力をしていかなければいけないという状況にあります中で、私どもも農業の生産性の向上なり構造改善のためにできるだけの努力はしていかなければいけないというふうに思っておりますが、貿易なり輸入につきましては、先ほど申し上げましたような考え方に基づいて私どもの意見を求められました場合には申し上げているところでございます。
○山田譲君 優秀な局長の答弁とも思われないんだけれども、つまり新聞でこれだけでかく「農産物は原則自由化」ということで記事も載っているわけですよね。その中で、首相に報告するのは四月の十日ごろになる予定だということで、内容は、報告書については基本認識と提言、二つに分かれていまして、今の提言というところでもって私がお話ししたように農産物は原則として自由化しろ、そしてそれに対応できるような農業構造の変革をしていかなきゃいけないということを提言しているというふうにはっきり書いてあるわけですね。もちろん、これはまだ正式なものでないから知らないと言っていればそれまでですけれども、新聞に少なくとも出ているからにはお目通しもらっていると思うんですね。そうすると、それに対応して、総理に報告書が出てきたら農水省としてはこう言ってやろうとかというある程度の覚悟をなさっていると思うんだけれども、それは全然やっていない、全然それは知らないと言い切れるかどうかです。
○政府委員(後藤康夫君) 先ほど申し上げましたように、研究会の意見の集約ということが行われているというふうには承知をいたしておりません。ただ、この種の研究会などがございますと、個別の委員の方々に新聞社の方々などがアプローチをされまして、いろいろ委員の御意見を承ってそれを新聞に載せるというようなことも間々あるところではないかというふうに考えておるところでございます。私どもは先ほど申し上げましたようなことで、構造改善、生産性の向上のための農政上の努力というのは今後ますます強めていかなければいけないというふうに考えておりますけれども、現在ございます農産物の輸入制限というものを即時完全自由化というようなことはでき得ないことであるというふうに考えております。
○山田譲君 少なくとも今私が言ったようなことで四月十日くらいには出るという話のようでありますから、ひとつ農水省も十分それに対してどういう態度でいくかということを研究しておいていただきたいと思うんです。 そこで、これは大臣にお伺いしたいんですけれども、先ほどもちょっと触れましたが十二品目の問題、あるいはECからも若干問題が出されている、さらにまた前川さんがやっているこの懇談会でもそういうふうな農産物は原則自由化である、農業もそれに対応するように改革をしていかなきゃいけないというような提言が出るとか出ないとか、こういうような世間の雰囲気もあるわけであります。そういう客観情勢を踏まえて、今や一般論でもって言っている時代じゃないんで、ある程度具体的に決めなきゃならないようなところまできている。一番端的なのは日米経済の交渉の問題だと思うんですけれども、そういうときに当たって大臣はどのような考え方でこの日米交渉に臨もうとなさるか、あるいは世間のそういう声にどうこたえようとしておられるか、そこのところをちょっとお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(羽田孜君) 今のお話の十二品目につきましては、一昨年でございましたか、例の肉とオレンジ、このときに話し合いまして、暫定的な一つの結論を得て二年間ということで今日まで推移してきた。そしてその後についてはまだ四月二十二日までに一つの結論を出そうということで今話し合いを進めておることは、今局長の方から申し上げたとおりであります。そういう中で私どもといたしましては、アメリカの方は、先ほどお話がありましたように、また新聞等で報道されるように相当厳しい、ともかく完全自由化をしなさいという実は話であります。ただ、私どもとしては、自由化といって本当に自由化できるんだろうか、あなたの国の場合でもこうこうこういうものがありますよということを申し上げながら、部分的に一つの問題について、例えばこれだったら少しは枠があれすることができるんじゃないか、そんなことについてもっと現実的な話し合いをしましょうよということを実は強く言っておるところであります。これから私どもはまた二十二日に向けて何回かの協議があると思いますけれども、そういう姿勢で貫いていきたいというふうに考えております。 ECの問題につきましては、ECも関心品目というのは持っておるわけでありますけれども、これは今現在こうこうこういうものについてすぐ話し合おうというような環境の中にない。ただ、私どもといたしましては、昨年千八百五十三品目にわたるアクションプログラムというのを日本が独自で、普通ですとああいうものの場合には先方の方も必ずじゃ私の方はこれだけ下げましょうということがあるんですけれども、千八百五十三品目につきましては日本は自主的にやり、しかも基準ですとかいろんな規制、そういったものの緩和についても我が方が独自に実はやっておるということでありますので、そういう事情をよく説明しながら先方の理解を得ていきたいというふうに思っております。 なお、経構研での議論のお話が今あったわけでありますけれども、確かにあれは総理大臣の私的諮問機関であるということであります。しかし総理の諮問機関でありますから、これが私的に総理に手渡されたとしましても、それは相当大きな影響を及ぼすものであろうというふうに思っております。ですから、私ども直接話す機会というものは今まではそんなに多くあるわけじゃありませんけれども、しかしこれからいずれにしてもまとめに入っていく段階においては、幾ら私的諮問機関といえども、全然実行できないことをそんなむちゃくちゃに言うことはできないというふうに思います。その意味では農林水産省の意見というものが当然ただされるとき、そこで意見を述べる機会というものをこれからも与えてくれるものであるというふうに思っておりますので、そこの中で私どもは我々の考え方というものを述べていきたいと思っております。 部分自由化というのが何か新聞に報道されまして私どもも実は非常に驚いたんですけれども、集まる方たちがフリーに議論をされておりますから、そういう過程の中で出てきたんじゃないかな、そしてそれがまとめの中に入るということは私はないんじゃないかなと思いますし、またそんなことが入らないように私たちとしても機会があるごとにそのことを述べていきたいと思っております。 いずれにいたしましても、原則自由化といいましても、これこそ日本だけで一方的にやってしまうという性格のものじゃありませんし、各国ともそれぞれ国境措置というものをみんな持っておるところであります。そして今その問題については、この間は国境措置という問題だけじゃありませんでした、農業構造全体の問題としての議論だったんですけれども、OECDなんかでもやっぱり議論をいたしております。それと同時に、ガットでは今ニューラウンドに向けてこの問題について話し合っておりますから、果たしてEC各国が今自分たちが持っております残存の規制品目、こういったものに対してどういう主張をするか、あるいはアメリカもウェーバーを洗いざらい出すわけであります。アメリカは十品目に及ぶものがありますね、たしか。そのほか砂糖関係はもう残存のものとしてあります。食肉輸入法なんというものもあります。こういったものについて全体で議論するわけですから、ちょうど今国際的にそういう議論をしているときでありますから、原則自由化というのは日本だけでやってしまうということはできるものじゃないんじゃないか、私はそう確信をいたしております。
○山田譲君 ぜひそういう気持ちで頑張っていただきたいと思うんです。 最初に戻りますが、守るべきは守るけれども、守らないやつは守らないで、身ぎれいになってやっていくんだというふうなことがちょっとあったから私も心配になったわけであります。だから、今がいかにも身が汚い、汚いところの部分だけ捨てていって身ぎれいになるというふうなことは新聞記者が勝手に書いたものだ、今の大臣がおっしゃったのが大臣の本音だというふうに思って私も納得したいと思います。 次に食管制度に入りたいと思うんですが、これは今まで食管を扱ってきたお役人の方で結構ですが、一つ伺っておきたいのは、消費者米価は上がっていわゆる売買の逆ざやというものはほとんどなくなったと同じである、コスト逆ざやが今残っている、こういうときでありますけれども、一体どこまでコスト逆ざやを縮めるのか。かつてはずっといわゆる売買逆ざやが相当あった時代もあるわけです。そうすると、食管会計のこの問題は、別に特別な哲学はないんで、要するに財政の状況によって左右されていいものかどうか。それとも、食管会計についてはここまではやるんだ、これ以上は解消はしないというふうな何らかの哲学というか原理原則があっておやりになるのか、その辺についての考え方は今までどうだったわけですか。また、これからどう考えていこうとなさるのか、それをお伺いしたいと思います。
○政府委員(石川弘君) 売買逆ざやの問題は、五十年代から、これは物を高く買いまして安く売るということでございますが、売り値自身にそういう逆ざやがあるということについては物の価格形成からいっても不自然だということで、政府とすればかなり前の時点から売買逆ざやは順次解消していこうという方針だったわけでございます。昨年の米価のところで実質的にはほぼ売買逆ざやがなくなったということでございます。 政府が責任を持って米を管理するわけでございますから、そのために必要ないわば経費、特に例えば政府は備蓄をいたしますから、そういう米を持っておりますれば金利、倉敷がかかるわけでございます。こういうものを適切に次年度に売っていくために、そういうものがかかったからといってそれを高くしますれば、売れぬわけでございますので、そういうコスト逆ざやにつきましては、私ども一度もまだ解消というようなことは言っておりませんが、問題は、そのコスト自身がなるべく安い方がいいということについては、これは異議がないところでございますので、御承知のように今まで一俵一俵検査していたものを、抽出でやるとか、ばらでやるとか、そういうことは物事の合理化ということでございますのでどんどんやっております。それから例えば輸送手段一つをとらえましても、極力安いものを使ってやっていくとか、そういうような努力はやっておるわけでございます。しかし逆に、例えば品質よく米を保管するために低温保管する、これは経費が若干かかるわけでございますが、こういう必要なものはやるということで、コスト逆ざやにつきましては、コスト自身を縮める努力は今後もやっていこうと思っておるわけでございますが、これを解消する手段としてコストを売り値の方にぶっかけていくというやり方は、これはかなり慎重な考慮がなければやれないということを私どもはっきり申し上げておりまして、そういう意味で昨年の消費者米価の改定の際も、コストの部分まで繰り込むような値上げ要請というのは、財政の面からもあったわけでございますが、私どもはそういう方針はとれないということで、売買逆ざやのほぼ解消する時点でとどめたわけでございます。 今後の食管経費の削減問題は、そういう売り値で解消していくということではなくて、そういう経費自身をなるべくかけないようにできるだけ努力していく、むしろそういう方向に向けますけれども、ただその場合、コストと一般論で言っておりますものの中にかなり広い幅がございまして、それが例えば一銭一厘切れないかどうかというような議論はまだ技術的にありますが、大ざっぱな議論で申しますと、売買逆ざやとは性質が違っておりますので、コストを縮減する方の努力でやっていきたい、そういうのが基本方針でございます。
○山田譲君 売買逆ざやは最近大体解消になったと。ただ、過去ずっと見ますと、売買逆ざやがかなりあったわけですね。これもだれか他人がやったわけじゃなくて、農水省がおやりになったわけですけれども、そうすると今までの農水省のやり方は間違っていたというふうにお考えになりますか。
○政府委員(石川弘君) 決して間違っていたということではございませんで、要は二つの違った原則で米価はつくられておりまして、生産者に対する再生産の確保ということと消費者に対する価格安定ということでございます。消費者米価を比較的安く抑えてきてきたということには、それなりの時代時代における家計に占める米価の位置づけとか、そういうものの中でこの程度しか消費者には負担をしていただけないということで計算をしていたわけでございます。御承知のように、米が家計に占めます比重というのはだんだん下がってきておりまして、いわば家計の範囲内というものにかなり余裕が出てきてまいりましたので、消費者米価は若干上げてきていただいている。それから生産者米価についても、再生産確保という観点から見ましても、ある種の合理化が行われておりますので、どちらかというと、生産者米価の上げ水準よりも消費者米価の上げ水準を大きくすることによって解消が行われたということでございますので、今までの方針が間違っていたということではございませんで、そういうことが可能なような条件がつくられたと考えております。
○山田譲君 そうすると、売買逆ざやあるいはコスト逆ざやにしても、単なる財政上の理由から逆ざやを解消しようとしているんじゃなくて、今長官おっしゃったように、コスト逆ざやについてはコストそのものを下げるということは当然努力をしなくちゃならないけれども、コスト逆ざやは逆ざやだからいかぬということで、これをただやたらに解消しようというふうなことは考えていないと。売買逆ざやについては、従来はかなりあったわけですけれども、これは消費者のいろんな家計等を考えて安く提供しなきゃいけない、片っ方ではまた生産者にもそれなりの価格を保証しなきゃならぬ、そういうことの結果として逆ざやが出て きたのであって、何も売買逆ざやをつくることが食管会計の目的ではないんだと、こういうようにおっしゃるわけでありますか。
○政府委員(石川弘君) 委員の御指摘のとおりだと考えております。
○山田譲君 そこで、これは大臣にぜひお伺いしたいと思うんですけれども、大体今まで、今の長官のお話はわかったんですが、大臣のコスト逆ざやあるいは売買逆ざやについてのお考えは、今の長官の言われたのと同じだというふうにお考えになるのか、それとも特別なお考えをまたお持ちかどうか、そこら辺どうですか。タブーと言っておられますけれども、そこらの関連で。
○国務大臣(羽田孜君) 基本的に今長官からお答え申し上げましたとおり、私も同様に考えております。ただ、今長官からもお話ししましたように、財政が非常に厳しい今日の現状であります。そういうところで我々の方として合理化を進められるもの、こういったものを縮減すること、そういう中でコストを少しでも縮小しようというものは、これは常に努力していかなければいけないものであるというふうに思っております。しかし、いずれにいたしましても、基本的には生産者が再生産できるもの、そして消費者の皆様方には価格を安定させるという意味で、特に管理のものについてある程度国が負担していくということは、私は国民生活に非常に大きな影響を米というものは与えるわけでございますから、その意味である程度の管理経費がかかるということはやむを得ないんじゃないか、また国民の理解を得ることもできるんじゃないかなというふうに思っております。
○山田譲君 この食管制度の問題に関連して、最近いわゆるやみ米といいますかね、俗に言う、これが非常に横行している。NHKあたりもかなり大きく取り上げているわけですね。しかも、白昼公然とそれがやられていて、平気でもってテレビにも出てくる、そいつらがのさばっているというふうなそういう法違反が平気で行われているというふうなことをどういうふうにお考えかどうか。つまり食管法、法律そのものが実態に合わなくなってきているというふうに考えるのか。もしそうでないとすると、そういうふらちなやつは取り締まらなければいけないということになるわけです。例えば八郎潟の問題にしましても、何か今では八郎潟の中には水もろくにない、いつの間にかみんな外に出ていったというふうな状況にあるようですけれども、そこら辺についての長官の考え方はどうですか。
○政府委員(石川弘君) 五十九年と六十年、二年続きで一〇八、一〇四という豊作が続いたものでございますから、政府が管理しております七百万から八百万トンという大きな米の流れは適切に動くわけでございます。例えば八ポイントというと八十万トンあるわけです、四ポイントというと四十万トン外側にあるわけでございます。そういうものを例えば限度を超過しても集めるというような努力がいたされませんと、どうしてもそういう流れに乗りがちでございます。 したがいまして、私ども、基本は二つございまして、一つは、私どもが五十六年の法改正で集荷の業者あるいは卸の業者さん、あるいは小売の業者さんが活発な商業活動をやって、いわば正しい道で堂々と商売をしていただくということが必要なわけでございますが、そこの商業努力が十分なされませんと、どちらかというと横道へそれがちだということで、先生も御承知のように、五十六年の法改正後は、例えば小売も一万数千店舗ふやしまして、余り御不便のないようにみんな配置をしたわけでございますが、時々何軒かでそういうことが出てくるとか、それから今のお話の八郎潟にも関連しますが、集荷も農協が実は九五%集荷しているわけでございますけれども、限度いっぱい集荷してしまうと安心して集荷しない。ところが、豊作で一〇八ということで外側に八十万トンあれば、そういう米は集荷しませんとどこかへ流れ出すわけでございますので、昨年、集荷についても、限度が来ました後は相互乗り入れしてでも集荷をしなさいというのをやりましたが、そういう努力をしていただくとか、片側ではそういう既存の、既存と申しますか、正規の業者の人が活発に仕事をしていただくという道も開きますと同時に、どうやりましてもそういうことを守られない方が出ます場合は、これを一生懸命まず行政指導でやるわけでございます。どちらかというと、刑事のところへ行く手前に行政でできるだけのことをやりまして、例えばここ数年間の経緯を見ましても、そういう違法な行為について、ほほ九七、八%の人はそういう指導に従ってくださるわけでございますが、あと残りの数%の方は何がおかしいというのがございまして、その一番極端なのが八郎潟でありまして、これは実は、我が方としまして、食管法に違反しているということで告発の手続もとったわけでございます。 今後もそういうことで行政でできるだけのことはやりますが、どうしても行政の手では十分でないということにつきましては、司法的な手段を使いましてそういうことがなくなるように。ですから、既存業者の方の活性化と、どうしても聞いていただけない方に対する厳正な手続ということでやってまいりたいと思っております。
○山田譲君 冒頭に申し上げましたように余り突っ込んだ議論はきょうはしないつもりでいますから、残念です。 いずれにしましても、法律がちゃんとあって法律が守られていない、しかも守らないやつが大威張りでテレビあたりに出て威張っている。これは国のやり方が間違っているんだ、むしろおれのやり方の方が正しいような言い方をするようになっている。そうなりますと、これは法規範として、一体法律がどういうふうな意味を持ってくるのかどうか。法を守れ守れといってもなかなかそのとおりにいかない面も確かにあるとは思うけれども、そういう点で、食管の制度ぐらい、実態と法律とが今乖離しているという状態が激しいのはないと思うんですよね。そういうことですから、守らせる方もなかなか大変だとは思うけれども、やみ米をやって平気でそいつが大威張りして、大もうけしているというような事態は、これはどう考えてもおかしいと思うんですけれども、長官、どう思いますか。
○政府委員(石川弘君) 実は、法に違反しているというお話でございましたが、ああいう出た方自身が何か違反していないというようなことも次の日の新聞に出しましたり、何か必ずしもそういう私どもの一言う確信犯的なところもございませんで、ああいうのに出ますと、非常にああいうもののボリュームが多いように見えますけれども、実際は私どもの見る限りではそんな大きな数量ではないわけでございまして、例えばあのテレビで百万俵というような言葉が出ました。百万俵というのは、三十キロ袋で考えれば三万トンでございますね。御承知のように、農家の周辺にも相当な米があるわけでございます。農家が供出なさっております米の外側にかなりの数量があるわけでございますが、これは御承知のように、五十六年の改正の際に、贈答とか縁故で米をお渡しするようなことは、今の時代では追っかけ回す性質のものでないということで外したりいたしております。先生御指摘のように、そういう大きなルートとして不正規なものが動くということでは、米のコントロール上、大変まずいわけでございます。私、そういうような意味で、大きな太いパイプで流れるそういう不正規の米というのを抑えることに集中をいたしてきておりまして、成果は、徐々にではございますが、上がってきていると思っております。
○山田譲君 ぜひ、ちゃんと法律があるんですから、法律のある以上は守らせるようにして、一生懸命やっていただきたいと思うのですね。この問題はこの程度にしておきます。 次に、ちょっと話が古くなるんですけれども、去年の六月に、経団連が食糧安全保障について中間取りまとめという形をもって出しております。かなり長いもので、これで見る限り、農業過保護論なんというのは全然ここにはなくて、むしろ積極的に食糧安全保障のために農業は非常に重要な んだというふうなことを言っているんで、私はその限りではこれを評価していいと思うのですね。もちろん、内容的にはおかしいと思うところがあるにしても、こういう問題に真剣に取り組んだという経団連の態度は私は立派だと思います。 それに対して早速農水省も一定の見解を出しましたし、それから農業会議所の方からもこの安全保障についてに対する見解を出しておられます。全国農業会議所ですね、これが七月五日に出している、農水省は六月二十六日ですか、出しているわけです。いずれも経団連の考えはある程度評価しながら、こういう点においてはどうも納得できないというふうな考えが述べられております。農水省も同じですね。ただ、せっかく経団連はかなり長文なものをつくって、かなり細かく分析しているんですから、農水省は、こんな簡単なものじゃなくて、もう少し緻密にやってよかったんじゃないかという気がします。 そこで、私が問題にしたいのは、その中で自給力と自給率というふうなことについてのかなり突っ込んだ議論が展開されております。これを見まして、この自給力と自給率についての議論を私が前の国会のときに官房長とやり合ったことを思い出したわけですよね。どうもあのときの官房長の言い方からすると、自給率と自給力とは違うんだと。これは違うことは当然です。だから、自給力は上がっていて、自給率は必ずしも上がらなくてもいいんだと言わんばかりの物の言い方をなさったわけですね。それは間違いないですな。つまり自給力は今非常に上がっているんだ、しかし自給率は下がらぬにしても上がってはいない、それでもいいんだというふうな言い方をして、私は自給力が上がれば自給率も当然上がるんじゃないかというふうなことで、結局平行線のまま終わったんです。 この経団連のを見ても、やはり自給力と自給率についてこれは違うんだと。世の中では往々にして混乱しているというふうなことも言っておりますし、農業会議所の方の見解によると、はっきり違うけれども、しかし自給力が上がれば、当然その結果として自給率は上がるんだという言い方をしている。どれが本当かどうかはこれから議論しなきゃならないと思うんだけれども、農業会議所あたりが言うように、自給力が上がっていく、自給力を上げるためには、例えば土地とか資本とか労働、こういう三つのものが総合的に加味されていってそれで自給力というものが上がっていくんだ、そうすれば当然それに伴って自給率も、全く同じ率じゃないとは思いますけれども、自給率というものも具体的に数字の上で上がるんだと言わんばかりのことを言っておられます。官房長のお考えは一年前と今も変わっておられないかどうか。農水省の見解はその点に全然触れていないんですけれども、そこら辺どうですか。
○政府委員(田中宏尚君) 自給力が向上しますと自給率自体も上がってくれるということを我々も期待していることはもちろんでございますけれども、ただ、具体的数値としての自給率というものが、政策目標でございますとか、あるいは自給力が上がったらそれとパラレルに上がっていくという性格ではないことは御理解いただきたいと思っております。
○山田譲君 いや、僕が言っているのは、パラレルじゃないにしても、自給力が上がれば自給率が上がる、だから、逆に言うと、自給率が上がるということは逆に自給力がやっぱり上がったことだというふうに考えていいんではないかと思うんですよ。ところが、官房長の言い方は、自給力は日本は上がってきている、だけれども自給率はちっとも上がってきていない、だけれどもしようがないと言わんばかりの言い方ですけれども、そこら辺どうですかね。
○政府委員(田中宏尚君) しようがないと言った記憶は余りないのでございますけれども、ただ自給率という数値だけで見ますと、例えば消費が減退すると結果的に自給率が上がるということにも数字の面ではなるわけでございまして、そういう消費構造であるとか、いろんなことと絡み合って、結果として数字が出てくるわけでございまして、単に数字だけを議論するだけでは農政の前進につながらないんじゃないかということを前回も申し上げたつもりでございますが、我々といたしましても、自給力が上がり、その結果として自給率も上がっていくということにつきましては、大きな期待を抱き、そういうことが実現することをこいねがっていることはもちろんでございます
○山田譲君 自給率三二%とかいう、これは飼料穀物をも含めての話ですから、穀物だけからいうと五〇%以上になるんですかね。でも、ここの見解の中にもありますけれども、五〇%そこそこというのは、これでも低いと言っているわけですね。これをもっと上げなきゃいけない。これは自給率の問題ですね。自給力もやはり上げておかないと、何か事があるとき、これもかなり細かく二つに分けて、短期的な食糧が途絶えたという事態と、かなり長期的に食糧が全然来なくなった場場、その場合に自給力を上げておかないとだめだというふうな言い方をしておりますけれども、こういう言い方があるところを見ると、やはり自給力が上がっているということと同時に自給率も上げなきゃいけない、数字の上でも上げなきゃいけない、そういう努力をしなきゃいけないんじゃないかと思うんですね。ところが残念ながら、それは細かく一々見ていけばいろいろありますけれども、全体として穀物の自給率あるいは飼料穀物の自給率にしてもちっとも上がっていないわけです。これは自給力そのものがまだまだ上がっていないんじゃないか、逆に考えて。そういうふうに思われるんですけれども、その辺どうですか。官房長は、日本は自給力が上がっているんだ、だけれども自給率の方は上がっちゃいないんだ、こうまだ強弁なさるつもりかどうか、そこら辺もう一遍聞かせてもらいたい。
○政府委員(田中宏尚君) 自給力で表現しております労働であるとか土地であるとか水、こういうものにつきましては、いろいろと問題がないわけじゃございませんけれども、いろんな手だてというものを講じてまいりまして、潜在的な力としては徐々に強まってきていると思っております。しかし一方で、ただいま御指摘がありましたように、特に飼料穀物を中心といたしまして、自給率が三二%というようなことがたびたび指摘されるわけでございますけれども、これにつきましては、こういう土地に制約のある狭い日本の中でございますし、それからこれからも畜産物の需要というものがふえていく、こういうことでございますので、残念ながら、飼料穀物そのものの自給率を上げていくということは、これはなかなか限界があろうかと思っております。しかし、飼料穀物そのものは無理にいたしましても、自給飼料でございますとか、具体的に申し上げますと、草地でございますとか飼料作物、こういうものの増強を含めまして、自給飼料の率というものはできるだけ高めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○山田譲君 そうすると具体的に、飼料穀物についての自給率はこれから上げようとしておられるか、それとも今のままである程度いかざるを得ない、輸入せざるを得ないというふうに考えるか、そこら辺どうですか。
○政府委員(田中宏尚君) 現在三二%という穀物自給率を、飼料を含みましてなっておるわけでございますけれども、前に公表しております昭和六十五年の長期見通し、これにおきましても三〇%ということで、現在の三二から三〇になるという見通しを残念ながら立てさせていただいておるわけでございます。しかし、飼料トータルとしての自給率、粗飼料を含めまして、これにつきましては、五十九年段階では二八%でございますけれども、先ほども申し上げましたように、草地の開発でございますとか、あるいは飼料作物というようなことを通じまして三五%まで上げたいということを我々としては政策的に念願としておるわけでございます。
○山田譲君 三五%まで上げる具体的な方法としてはどんなことを考えておられますか。
○政府委員(田中宏尚君) 草地開発でございますとか、あるいは水田利用再編に絡みまして飼料作物の導入でございますとか、そういう地道な努力というものを積み重ねてまいりたいと思っております。
○山田譲君 まだほかにもいろいろこの点問題がありますけれども、自給率・自給力、いずれにしても、自給力も上げなきゃならないし、自給率も当然上げていかなきゃいけない、もちろんパラレルじゃありませんけれども。そういうことにおいては、私はやっぱり当然それが必要なことだと思うんですけれども、大臣その辺どうでしょうか、大体今お聞きになっていてわかったと思うんですけれども。
○国務大臣(羽田孜君) 実は、自給力・自給率の問題につきましては、ちょうど五十五年四月に国会で、衆参両院におきまして食糧自給力強化に関する決議というものをやりました。実はこのとき私、衆議院の方の理事をやっておりまして、各党の代表の皆様方とそれこそ四、五日ぐらいかけましてこの自給力・自給率論議というものを実はやったものでございます。その結果、確かにおれたちとしては気持ちとして自給率を上げたいんだけれども、確かに国民の食糧に対する嗜好というのがどうも畜産の方にまだ伸びていく傾向があるなということになると、どうしても粗飼料の分は、もちろんこれからつくっていきますけれども、しかしなかなか粗飼料を完全にそれによって大家畜なんかがあれすることは難しいということになると、どうしても飼料穀物を輸入せざるを得ないなあ。そうすると、何というんですか、自給率というのは、なかなかそういったものも考えたときには上げることができないなという結論のもとに、実は「食糧自給力」ということになったわけであります。 そして、そのときの考え方のもう一つのあれとしては、いずれにしても、何か問題があったときにいつでも対応できるような力というものをつけておかなければいけない。そういったことのために、例えば今お話がありましたように、基盤整備、こういったものも、水田なんかが例えば汎用化できるような、いざというときにはほかのものなんかももちろんつくれるし、そういう態勢をやっぱりつくっておくことが必要じゃないか、力をつけておくことだ。もう一つは、そういった農業生産に携わる人たち、こういった人たちも新しい技術をきちんと身につける、そういう人たちも養成していく必要があるんじゃないか、これも自給力のうちの一つであろうという実は話があったことをこの機会に申し上げ、自給力と自給率がパラレルでこうやってうまく上がればいいんですけれども、どうも食べるものの食べ方がむしろ肉とかそういったものに向いておるという現況の中で、今官房長の方からお答え申し上げましたように、なかなか率も一緒に上げることは難しいなと思っております。しかし、そういった努力は私たちはやっぱりしていかなきゃならぬというふうに思います。
○山田譲君 じゃあこの問題はこのくらいにして。 最後になりましたけれども、最後に、ついこの間新聞に出たからごらんになったかと思いますけれども、国土庁が、四全総についての報告、四全総そのものじゃありませんけれども、それに対する報告の一つとして出されたのが大きく載っておりました。毎日にも載っていたわけで、このテーマを見ますと、「21世紀の農業に警鐘」ということで農業従事者が三分の一に減り、放出耕地が百万ヘクタール減る、二〇〇〇年までに、こういうことを言っております。これは非常に大きな問題だと私は思うんです、もしこのとおりになったとすれば。 まず国土庁にお伺いしたいのは、この新聞記事になっていたような内容はこのとおりであるかということと、もしそのとおりであれば、これはどういう計算でもってこういうふうなものにしたかということ。それからもう一つ伺いたいのは、国土庁は、当然四全総に反映されていくと思うんですけれども、そのときにこういう現状を踏まえて農業がいかにあるべきか、農業政策が、こういうことまで四全総では触れられるのかどうかというようなことをお伺いしたいと思うんです。
○説明員(糖谷真平君) お答えをいたします。 第四次全国総合開発計画の策定に向けまして現在国土審議会の計画部会におきまして各分野の御議論をお願いをしているわけでございますけれども、先日の計画部会におきましては、農業就業者の問題につきまして、農業就業者が国民に対する食糧の供給の面でも、あるいは国土資源でございます農地を適正に管理するという面でも重要な役割を果たしているという観点から、農業就業者の将来展望の問題を中心に御議論をいただいたところでございます。 農業就業者の将来展望に当たりましては、近年の年齢階層別の農業就業者の減少傾向を加味いたしまして趨勢延長的に二〇〇〇年時点の姿を描いたと、こういうことでございます。試算結果によりますと、農業就業者八五年の六百三十六万人から二〇〇〇年には四百十六万人、それから農業就業者に占めます六十五歳以上の高齢者の割合は、八五年の二九%から二〇〇〇年には五四%程度になる、こういう試算結果になったわけでございます。 それから高齢者農家を中心といたしまして今後流動化が予想される農地が百万ヘクタール程度に上るのではないか、これも試算結果でございますけれども、一定の前提を置きまして計算をいたしますとそういうような結果が出るということは新聞紙上報道されましたとおりでございます。 これの意味するところでございますけれども、私ども今回の推計は単純な趨勢延長的な推計でございますので、このとおりになるということで提出をしたわけではございませんけれども、試算結果が持っております問題点、意味を的確にとらえて今後のあり方を検討していく必要があるのではないかということで、例えば中核的農家へ流動化いたします農地をいかに集積をしていくか、後継者をいかに確保していくか、高齢君農業にも適切な位置づけを与えていく必要があるとか、そういった問題につきまして先日計画部会で出ました御議論等も踏まえまして、今後さらに各方面の御意見をいただいて国土計画上の農業のあり方を詰めてまいりたい、かように考えております。
○山田譲君 ところで、農水省、今お聞きになったとおりですけれども、こういう非常に大きな問題ですね、農業従事者が三分の一に減るし、放出耕地も百万ヘクタールになるというふうなこういう事態、こういうことについて国土庁と会って話し合いがなされたかどうか、もしなされていないとすると、黙っていれば四全総にこれは反映されて四全総ができ上がってしまうわけですけれども、そういうことについて農水省は何らかの考え方をそこへ出していくのかどうか、そこら辺どうですか。
○政府委員(田中宏尚君) ただいまの国土庁の方からお話がありましたように、過去の趨勢を将来に延ばしまして一応の試算としてはじいた数値と承知しておりますけれども、我々といたしましても重大な関心を持ちまして、この試算の過程でもいろいろ相談を受けておりますけれども、この数字自体につきましては、いろいろこれからもう少し精査いたしまして我々詰めてまいりたいと思っております。ただ、ここに書かれております高齢化でございますとか、あるいは農家が減っていくということは、これは避けられない事態と思っておりますが、ただ、これはある意味では農林水産省にとりましても、規模拡大でございますとか生産性向上、このためへの一つのチャンスでございますので、こういうものをどうやって将来の施策につなげていくかということにつきましてこれから国土庁と積極的に話し合いを進めてまいりたいと思っております。
○山田譲君 もう時間ですからこれで終わりますけれども、大臣、今お聞きになったとおりで、こういう二十一世紀に向けて非常に重大な変更が農業の従事者数あるいは耕地にも影響を及ぼしてく ると思うんですけれども、これはもちろん試算ですからこのとおりになるかどうかは別として、大体この傾向は否めないことだと思うんです。こういう傾向に対して、大臣としてはどういうふうに今後の日本の農政を持っていこうとなさるか、官房長も若干触れてはおられるけれども、そこについて大臣に一遍お伺いしたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) 今、数値につきましては官房長の方からお話を申し上げたような状況であります。そして国土庁の方としては、これは秋に向かって四全総の作成に当たるということで今作業を進めておられるというふうに承知しております。 私も実はこの「農水産業の展望と課題」というのを拝見いたしたわけです。これは私の私見でありますけれども、これを拝見しておりまして一つの方向を示しておるということ、それから高齢者の農業の中における位置づけというものもきちんとされておるということ、それから本当の意味でのこれからの農業産業の中で働く後継者についてもこうあるべきじゃないかという方向も一つ示されておりまして、私は非常に関心を持ちまして読んでおります。 いずれにしましても、私どもの考えますのは、これからのこういう事態というものを迎えるに当たりまして、我々農政担当の者といたしまして考えなければいけないことは、国民に対して本当に食糧を安定して供給する、そしてその供給する農業者の人たちが生き生きと農業の中で生活ができるような環境づくりをしなければいけない。それには今のように零細ではならぬということで、こういった機会を十分活用しながら本当の意味での規模を拡大しなければいけないというふうに思っております。 それから第二点目は、これからそういうものを進めていくためにはどうしても、予算が厳しい中ですけれども、いわゆる生産の基盤整備というものをこれからもさらに進めなければいけないなということ。新しい技術なんかがどんどん生まれできます。それから、これからは情報化社会の中でいろんな情報というものを農業者自身がキャッチすることができる、そういうものに対応できるような農業後継者というものを育成していく必要があるんじゃないかなというふうに考えまして、そういうものを考えたときに、私はこれを拝見しながら一つの方向を示しておられるなと。これからも国土庁ともいろいろと私どもお話し合いしながら、農業者にとっても、あるいは国民の皆様方にとっても、日本の食糧は大丈夫だ、あるいは農業をやっていて大丈夫なんだというものの方向づけをしていかなければいけないというふうに考えております。
○山田譲君 では終わります。
○菅野久光君 大臣の御就任を心からお祝い申し上げます。何にしましても、大変農林水産業が厳しい中での就任でありますから、それだけに大変なことで、まさにお役目御苦労に存ずるということかというふうに思います。 また、この厳しい状態に置かれている農林水産業を守り、さらに発展させるという点では私どももまた全力を尽くしたいというふうに思いますし、大臣が国会議員になられてから今日まで農林水産関係について果たされてきた功績というものを関係者がよく知っているだけにまた期待も大きいのではないかというふうに思いますので、ひとつ期待にこたえるように頑張っていただきたい、このことを冒頭に申し上げておきたいと思います。 今、山田委員からいろいろ御質問を申し上げましたけれども、私はまた別な点について御質問申し上げたいと思います。 まず初めに、水産関係についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。日ソ漁業交渉に関することでございますけれども、昨年の十二月に交渉開始以来難航続きで二度にわたって中断をした交渉が、この十七日にモスクワで約一カ月ぶりに再開されました。ソ連はそれまでの交渉で北方領土周辺の三角水域など四水域での全面禁漁だとか、東サハリンと二丈岩・宗谷海峡水域での着底トロール漁の禁止、ソ連二百海里内での底刺し網漁の全面禁止あるいは多額な漁業協力金の支払いだとか、ソ連漁船の日本の港への寄港の問題、こういったようなさまざまな問題がありまして、日本側はこのソ連案ではのむわけにはいかないというようなことなどもあって、話し合いがつかなかったということで今日に至ったわけであります。 私はまた、けさの毎日新聞を見ましてさらにショッキングなことになったわけでありますが、「ソ連、日ソ漁業断絶も覚悟」というようなことが報道されております。これはまた関係者にとっては大変な状況になってきたなというふうに思うわけでありますが、まず、今日までの若干の経過も含めて、現在の状態について、可能な限りの御説明をお願いいたしたいというふうに思います。
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。 日ソ双方の対立点につきましては、今先生御自身が要約的にお述べになったようなことが日ソ双方の主要な対立点でございます。 その中でも、私どもから見ますと、一番の問題は、ソ連水域における日本漁船の操業条件について、本年から新たに一段と厳しい規制措置を導入しようというふうにソ連側が企てていることであります。その主体は、先生言及なさいました底刺し網でございますとか、着底トロールでございますとか、そういう着底漁具の使用について大変厳しい態度をとっておるということでございます。 ソ連側がなぜこういう厳しい態度をとっておるかということについてのソ連側の見解は、先ほど先生が引用なさいました、昨日行われました鹿取大使とカピツァソ連外務次官との間の会談の際のソ連側の考え方は、要約的に申しますと、ソ連側から見れば、このような困難な事態に直面している主要な原因は、日本水域におけるソ連漁船の操業に対する規制が厳し過ぎるということが原因である。その結果、ソ連側としては日本水域での操業ということを縮小してソ連水域にシフトしていかざるを得ない。そういう観点から眺めてみると、ソ連水域での漁業資源の保護ということが従来にも増して一層重要な課題になってくるわけで、その結果、ソ連水域における日本漁船の操業条件について、殊に資源的に見て有害であるというふうにソ連側が考えております着底漁具の使用に対して厳しい態度をとらざるを得ないのである。そういうのがソ連側の認識であります。 カピツァ外務次官も、何も日ソ双方の漁業の分野での関係を断絶してしまって、お互いに相手国漁船を追放してしまうのがいいというふうな言い方をしたわけではないようでございまして、私ども報告を受けているところによりますと、カピツァ外務次官の真意も、日本水域内でのソ連漁船の操業条件の緩和ということを重点に発言なさったものというふうに認識しております。日ソ漁業委員会の場で先方のグリゴリエフ代表が私どもの京谷代表に対して述べておりますのも、全く同様の趣旨のことを述べております。しかしながら、実はその点が大変難しい問題でございまして、我が国の周辺の水域は、御高承のとおり、我が国の沿岸漁業によって極めて集約的に利用されておるわけでございまして、現在以上にソ連漁船の操業条件を緩和する余地というのは皆無に等しいわけであります。その点をソ連側でよくわかってもらうということが大事なんでありますが、どうもその点がなかなか御理解がいただけていないといいますか、ないしはその点を理解しちゃうと、その上で、ソ連側から見て、一体どういうふうに日ソ間で利害の均衡状態をつくり上げていったらいいのであるかということについて、どうも今とっておるような態度以外に考えようがないというふうにソ連側が思っているということが、やはり交渉上の一番の難しい問題であるというふうに考えております。
○菅野久光君 カピツァ外務次官の発言されたということについては、今まで交渉をやっているそこの範囲からそう出るものではないというふうに受けとめておられると。端的に言えば、そのように理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(佐野宏哉君) そのとおりでございます。従来からああいうことを申しておりました。
○菅野久光君 それにしましても、この交渉の妥結がおくれただけで今もう大変な状況になっておるわけですけれども、これはサケ・マスの交渉にも大きく響くことになるわけですね。サケ・マス漁につきましては、八六年度については、八六年の二月三日から日本で決めることになっていたわけですが、これが今の交渉が延びているためにいまだにこの日ソ漁業合同委員会は開かれていない。こういったような事態を今招いておるわけですね。昨年と同じようにまたこのことがずっとおくれていって出漁がおくれるということになれば、またかということになるわけですが、こういったような事態を迎えて、この事態を何とか打開する、早急にこの局面の打開を図るために大臣が訪ソするということが極めて大事な時期になってきているんじゃないかなというふうに私は思うんですけれども、その辺は大臣どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(羽田孜君) 今行われております交渉につきましては、この三回目の今交渉しておるという中で、しかもカピツァ氏の話が今御論議ありましたけれども、いずれにしましても相当厳しいものであるということで、特に底魚等をすり身で使うその一番の需要期というものを失ってしまうということになると、とんでもない時期になってオーケーされても、これはそういう意味で漁民の皆さん方あるいは加工業の皆さん方の立場というものを今私どもも本当に憂慮しておるところであります。 そこへもってきて、今お話しのとおり、サケについても余りおくれてしまって、またこれが出漁期に出られないということになってしまうと、これは本当にゆゆしき事態でありまして、御案内のとおり、この事態に対処するために今日までアブラシモフ大使を二度ほど私も役所の方にお招きしましてお話をいたしましたり、また外務大臣等を通じてお話をしたり、また先日も総理その他の皆様方にも実はこの問題について御報告を申し上げたところであります。 私としましても、訪ソして妥結をできる何かその兆しみたいなものがある、そういう中ででしたら、それは私はいつでも出ていくことについてはやぶさかじゃございません。ただ、今まだその環境というものが本当にできているかということになると、ちょっとなかなか問題がある。そしてこの魚の問題は、もうずっと日ソ地先沖合協定ですか、これによって委員会で処理するという実務的な中で話をしていくということでありますので、その中で私が本当に訪ソすることによって打開できるその兆しがあれば、本当に私はいつでも訪ソしたいと思っておりますけれども、今、京谷部長以下真剣に実は交渉いたしておりますので、私たちも側面からいろんな面で応援していきたいというのが今日の状況であります。
○菅野久光君 訪ソの時期というか、そういうような状況が生まれれば、行って何らかの打開の道が開けるような、そういう状況が生まれればいつでも行くということでありますが、できたら行く、行くことによってできるのか、そこら辺の判断というのは、これはいろいろあるんじゃないかというふうに思うんですが、いずれにしろ、そこら辺の判断をひとつ誤らないように、ただ手をこまねいていただけでは事の解決にならないような気が私はしてならないということを申し上げておきたいというふうに思います。 この日ソ漁業交渉の難航によって一月六日以降我が国の漁船は全くソ連の二百海里内に入漁できなくなっているわけです。二百海里時代に入ってからは初めての異常事態に、釧路だとか根室などの北洋漁業の町は極めて深刻な影響を受けております。まず、事ここに至った政府としての責任をどのようにお考えがお伺いいたします。
○政府委員(佐野宏哉君) これは日ソ地先沖合漁業協定によりますれば、日本の二百海里におけるソ連漁船の操業条件、これは日本国政府の責任で決定をするものであります。それからソ連水域における日本漁船の操業条件というのは、これはソ連政府の責任において決定をするものであります。したがいまして、ソ連水域における日本漁船の操業条件について日本側として受諾可能なような決定をソ連政府が行う用意が現状ではないわけでありまして、この事態について、ソ連水域における日本漁船の操業条件の問題につきましては、私どもはこれは第一義的にソ連政府の責任に属する問題であるというふうに認識をいたしております。 ただ、ソ連側の交渉当事者を説得するに当たって、私どものネゴシエーターの議論の仕方が拙劣であってうまくいかないということでありますれば、それは日本政府も責任を免れないところであるというふうに思っておりますが、私どもは交渉の経過を見て、京谷君は最善の努力をしてくれておって、彼の交渉ぶりについて私どもとしては十分立派にやっておるというふうに考えております。
○菅野久光君 日本の地先における漁業の問題は日本政府が、ソ連の地先における漁業の問題はソ連がと。そんなことは当たり前ですよ。そんなことを私は聞いているのじゃなくて、少なくともこれは外交交渉によって決定されていくものでしょう。だけれども、水産庁の京谷海洋漁業部長が行っている、それに手落ちはない、だから政府は一切このことについて責任を問われるということはないんだ、そのようにはっきり言い切っておられるというふうに今受けとめていますが、そういうふうに受けとめてよろしいですね。
○政府委員(佐野宏哉君) 日ソ漁業委員会の日本側代表の交渉のやり方について、私どもは落ち度はないと考えております。
○菅野久光君 落ち度があるとかないとかということだけではなくて、こんなに一月六日以降出漁ができなくなってきているのは、日本とソ連の間における外交交渉の中で決着できないからおくれてきているわけでしょう。そうじゃないんですか。だから、そのおくれているということについて、現実的に漁業者の人たちは大変な状況に陥っているわけですね。そういうことなどを含めて政府としては何らの責任もない、私どもがやっていることはまともなことをやっていて、あくまでもソ連側が我々ののめるような条件を出さないからだめなんだと、そういうふうに政府は思っているという答弁だというふうに受けとめていいんでしょうか。
○国務大臣(羽田孜君) 先ほどから長官からお答えを申し上げておりますように、今度のソ連側の日本に対する提案というのは、従来と違って新しい厳しい提案をしてきておるというのが現状でございます。例えばカピツァさんがこういうことを言われた、そして交渉の中でもそんなような話があったんじゃないかという話がありましたけれども、そのぐらいまでソ連邦が要するに漁業に対して今までと迷った考え方を持ってきておるということで、今の提案は、私どもはこの点はだめですよ、これじゃ水しかとれませんよということを申し上げたり、私どもとしてもある程度の負担すべきものはしましょう、しかしあなたの言っているものじゃどうにも水しかとれませんよというような実は話も申し上げているんですけれども、なかなかソ連邦の方も全然引き下がってこないということですから、相手のある交渉事なものでございますから、ただ責任とかなんとかということで済むものじゃないと思う。ただ、実際に漁業者、それから加工に当たる皆さん方というのは非常に困窮な状態にあるということを私たちも踏まえながら交渉をこれからもやっていくということであろうというふうに思っております。
○菅野久光君 実際に漁業者の人たちや関連産業を含めたそういったような地域の人たちの心の痛みも十分踏まえながらやっておられるとは思いますけれども、先ほどの長官のような答弁ですと、それは地元の人たちも納得できませんよ。我々には手落ちはないんだ、あくまでもそれはソ連が悪いんだ、だから政府には一切責任はありません、やるべきことはやってますと。そういうことだけ では実際の政治という場からいくと済まないように思うものですから、何回もこのことについて私は真意を尋ねているわけです。今の大臣の答弁を受けとめていきたいというふうに私は思っております。 いずれにしても、この二月、三月が抱卵スケトウダラの漁期であったわけですね。もう既にその時期は過ぎてしまった。しかし出漁ができなかったわけでありますから、業界の受ける損失は巨額なものになっていっているわけであります。このことについては、それぞれ関係業界などを含めて救済対策についていろいろ要望があるわけですね。そのことについて現状どのように対応されておるのか、そのことをお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(佐野宏哉君) 操業不能な状態が続いておる関係の漁業者につきましては、私どもとしては、地方公共団体なり関係の金融機関と御相談をいたしまして、当面の金繰りに対処するためにつなぎ融資をお願いしているところでございます。ただ、つなぎ融資と申しましても、だんだん期間が長くなってきておりますので、三月以降の問題につきましては、殊に集中しております北海道におきましては、道庁におかれまして道単融資の措置について目下検討していただいているところでございまして、そういう方法で交渉決着までの間何とか金繰りをつないでいくように手当てをしてまいりたいと思っているところでございます。
○菅野久光君 道やあるいは関係業界の方から要望のあった件については、可能な限り迅速に対応していただくようにお願いを申し上げたいと思います。 また日米の関係であります。これはどうにかこの八日に決着を見たわけでありますけれども、これも今回の合意によって、基地式については東経百七十五度の禁漁ラインを西側に一度ずらせる。さらに漁獲されるサケ・マスが米ソいずれの大陸の河川で生まれたものかについて科学的な調査を続け、その結果に基づいて三ないし五年後に禁漁ラインの適否を見直すことになった。また日本漁船の違反操業について取り締まりを強めることも合意された。母船式については、ベーリング海公海を二つに分け、百八十度を挟んで東側は、ことし、来年と段階的に操業回数を減らし、三年目の八八年からは禁漁となる。西側も同様にして、九年目の九四年から日本漁船は完全に撤退することになる。その他のこともあるわけですけれども、こういったようなことで、八日の日に一応日米のサケ・マス非公式協議が決まり、今後の日米加の三国での交渉、こういうふうな形で最終的に決まるわけですね。このことについて水産庁としてはどう受けとめ、評価をされているのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。 私どもといたしましては、元来、昨年までの操業水域なり操業回数なりを温存したいというのが私どもの希望でありますから、そういう意味では、このような譲歩をせざるを得なかったということは、私どもから見ても残念なことではございますが、現在の漁業の分野での日米関係というものを眺めてみますと、現在の客観情勢の中ではやむを得ざる譲歩であり、かつ我が方の被害を最小限に食いとめることができたものというふうに認識いたしております。
○菅野久光君 先ほどもちょっと日ソの関係で申し上げましたけれども、ソ連も何か日米交渉の結果を見ながら日ソのサケ・マスの関係について何らかのことをやってくるんじゃないかというような見方もあるわけですけれども、日ソのサケ・マスの関係については、先ほども申し上げましたように、二月三日からのやつが、今の交渉が延びているためにいまだに入れないでいる。そして日米との関係が先ほど申し上げたような結果になってきている。そういうことを踏まえて、今後のロンのサケ・マスの交渉についてどのように見通されているのか。大体交渉は、今のやつが決まらないわけですから本当にこれも困ったなと思っているんですけれども、水産庁としては早くにということなんでしょうけれども、その辺、日米との関係も含めて非常に厳しい状況になってきているのではないかというふうに思いますが、どのようにお考えですか。
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。 まず日程の面でございますが、先生御指摘のように、元来、二月三日からというのが昨年の合意でございました。日ソ漁業委員会がソ連共産党大会の関係で二月十四日に中断いたしました後、共産党大会の関係でモスクワで仕事ができないのであれば、東京でやる日ソ漁業合同委員会の方は、モスクワの党大会という事情とは関係ないんだから、東京で日ソ漁業合同委員会の方を始めようではないかという問題をソ連側に提起いたしましたが、結局、サケ・マス問題も二百海里問題も、代表団メンバーがかなり重複するというような事情もあってかと思いますが、ソ連側はどうも都合が悪いということでございました。現在のところ、私どもは四月の初めから東京で日ソ漁業合同委員会を開きたいということをソ連側に提起いたしておりますが、現在のところまだソ連側からは正式の回答がない状態でございます。恐らく、実際問題としては、日ソ漁業委員会の方の協議が難航しておるという事態が障害になっているものだろうというふうに考えております。 私どもといたしましては、二百海里の方自体が、既に先生からもお話がございますように、現在もうこれ以上我慢できないぐらい遅くなっておるわけでございますから、日ソ漁業委員会の方を可及的速やかに決着をつけまして、日ソ漁業合同委員会を早期に開催できるようにしたいというふうに思っております。 それから日米のサケ・マス協議の日ソ交渉に及ぼす影響でございますが、これにつきましてはいろいろなことが考えられないわけではございませんが、ただ、ソ連との来るべき交渉を目前に控えますと、交渉に及ぼす影響を考えれば考えるほど、日ソ交渉に及ぼしかねまじき影響についていろいろ論評することについては、またはばかられるところもございまして、気にはなりますが、ちょっとあからさまに私も議論しにくいような感じがいたしております。ただ、ロンのサケ・マス交渉自体は、昨年、御高承のとおりの経過で、大変関係者にも御苦労をおかけしましたので、ことしはそういうことのないように、漁期に間に合うように円満な決着が見られるよう、私どもとしても全力を傾けて協議に当たりたいと考えております。
○菅野久光君 いずれにしても、厳しい二百海里時代というか、海洋法条約にかかわる母川国主義というような、こういう時代を迎えておりますけれども、激変だけはひとつ避けるような、そういうことで最大限の努力をしていただきたいというふうに、この日ソのサケ・マスの関係についても要望しておきたいというふうに思います。 今回の日ソ・日米交渉を見るまでもなく、本当に我が国の二百海里時代への対応が余りにも甘過ぎたのではないかというふうに思わざるを得ません。政府は、この点を深く反省して今後の対策を確立する必要が私はあるというふうに思います。特に、私はこれまで何回もこの委員会で指摘してきましたが、減船が避けられない以上、減船救済対策を制度として確立すべきではないかというふうに思うんです。いつでも減船になりますと、共補償とかなんとかということが従来の形でいけばいくわけですけれども、もう共補償すべき共が既に厳しい状況になっていてできない状況でありますね。それから時の政府の財政状況によって大きく左右される。こういうことであっては、これはもうどうにもならないわけであります。したがって、ここのところは、財政がどうであろうが、こうなったときにはこうするというような制度というものをきちっとしておかないと、いつもそのために――昨年なんかも五月、六月段階のやつが暮れにならなければ決着を見ないというようなわけで、そんなに半年も雲やかすみを食って生きているわけにはいかないわけであります。しかも借り た金というやつは寝ていても利子でふえていくわけですね。そういうことを考えれば、制度としてきちっと確立をしていくということが私は極めて大事だというふうに思いますが、どのようにお考えでしょうか。
○政府委員(佐野宏哉君) 私どもが現在持っております漁業再建整備特別措置法、これによりまして共補償の資金について公庫から融資をするとか、あるいは特定漁業生産構造再編推進事業、これによって共補償の負担軽減の利子助成とか、あるいは不要漁船処理の費用の助成とか、そういう仕組みを持っているといえば持っているわけであります。ただ、先生御指摘の点は、そういうことで処理し切れない事態に対してどういうふうに対処するかという問題提起をしておられるわけでございまして、この問題は確かに私どもも十分検討してみるべき問題であるというふうに考えておりますが、今申し上げましたような既存の制度との関係とか、あるいはそれに充てる財源の調達方法をどうするかとか、そういういろいろ検討すべき困難な問題がございます。しかしながら、我が国の漁業の今後の姿ということを展望いたしまして、いかなる施策を講ずることができるかということについて研究を進めてまいりたいというふうに考えております。
○菅野久光君 今までいろいろやられてきた施策については私もわかっています。もうそれでは対応できなくなってきているという状況だというふうに思いますので、あえて私の方から提起しているということで、その点については長官も理解をしてくださっているようですから、ひとつこの点は本当に真剣に早急に取り組んでいただきたいというふうに思いますが、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(羽田孜君) 基本的には今長官からお答え申し上げたとおりでありまして、私どもといたしましても、今日の漁業者の皆さん方の困窮の状況というものを十分踏まえながら適切に対処していかなければいけない、またできるだけ迅速に対処するということが必要であろうというふうに考えております。
○菅野久光君 いずれにしろ、このままずっと推移していけば、毎年毎年といってもいいぐらい減船をしていかなければならないような状況が生まれてくるのではないか、また生まれざるを得ないのではないかというふうに思いますが、そうなれば漁船員、乗組員の方々が失業するというようなことが避けられなくなってくるわけであります。この人たちが再就職をしようとしても、なかなか現在は就職戦線は厳しい状況で、陸上、海上ともに就職先を見つけるということは困難な情勢にあるというふうに思うんです。現在政府は水産を核とする海洋開発、すなわちマリノベーション構想を検討中というふうに伝えられておりますが、減船による失業漁船員の受け皿となる職場を創造するというような観点から、この構想の内容をさらに拡充させるということが私は必要ではないかというふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(羽田孜君) 先ほどからお話ありましたように、二百海里問題が定着した。私も実は政務次官をやって、ちょうど十年前ですけれども、そのときにこの二百海里問題というのは本格的に始まりました。そして、そのときは、鈴木さんもずっとソ連ですとか、あるいはニュージーランドなんかに出かけていかなければならないような状況でした。その後、魚というもののたんぱくというものに対して各国が関心を持ち始めたこと、そして漁業というものが商売になるということもみんな知り始めてきたということで、本当に今度大臣に就任して改めてこの交渉の衝に当たりながら本当に定着したということを合しみじみと思っております。 そういう中で、第四次全国総合開発計画ですか、この中でちょうど海の利用の仕方というものをきちんと位置づけていかなければいけないということで、水産庁の方でマリノベーション構想、こういうものを打ち出しております。これはそれぞれの地域に合ったものということでございまして、いろんなところが今名のりを上げていらっしゃいますけれども、今先生から御指摘があったように、新しい職場といいますか、こんなものも生み出そうというような努力をされる、あるいは構想の中にそういったものを大きく含ませている、そういう方々も、そういう構想といいますか、そういったアイデアを出されているところもあるというふうに承知しておりまして、私どもとしてもこういったマリノベーション構想、これは積極的にやっていかなければいけないなということを今感じております。
○菅野久光君 海で暮らした者はやっぱり海のところで仕事をしたい、そこに生きがいを見出すといいますか、そういうことというのは、もういろいろな方に聞いてもあるわけですから、私はこの構想を拡充してそういう場というものを見つけていくということは非常に大事なことではないかなというふうに思いますので、ぜひその点をひとつよろしくお願いいたしたいと思います。 そこで、この二百海里の問題なんですけれども、外国に行く二百海里はこういうことでやられながら、国内へ戻ってきますと、韓国に対する二百海里というのは全然ないわけです、やってないわけです。それで、沿岸漁業というものを振興するというようなことはいつの場合でも言われるわけでありますが、日本漁船が日本の二百海里内の漁場を守っていく、その資源というものをふやすためにいろいろな努力をしている。そして漁獲についても一定の制限をしているんだけれども、残念ながら韓国漁船は日本の漁船よりもはるかに何倍も大きい、そういう漁船でもって日本の漁船が操業しないようにしているところへ来て目の前でトロールでやっていくわけですね。このためには国もそれなりのお金をかけている、漁民の人たちも金をかけている。韓国の漁船が来てそっと横から持っていく。それをただ黙って手をこまねいて見ていなければならない。そして外国からはどんどん二百海里だということで締め出されてくる。どうやって日本の漁業を守っていくということができるのか。日本の二百海里というものをどうやっていこうとされるのか。北海道は特に韓国漁船による被害がひどいところですし、相当荒らされているけれども、今のうちならまだ海の底が少し残っている、しかしもうこれ以上やったら海の底は真っ平らになってしまうということを漁民の方々に言われます。もう待てない状況だというふうに思うんですよ。韓国に対する二百海里設定の問題についてどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。 北海道沖の韓国漁船の操業の問題につきましては、現在日韓間に操業規制についての合意がございまして、それに基づいて規制されておるわけでありますが、この日韓問の合意が本年の十月末をもって期限切れになります。その後の事態をどういうふうにするか、その後の事態のための韓国との話し合いをどうするかということは、日ソに続いて私どもとして引き続き取り組まなければならない今年の最も重要な漁業の分野での国際問題であるというふうに認識をしております。 それで、北海道の関係漁業者の皆さん方が今先生御指摘のようなお気持ちを持っておられるということは、私どもも重々承知いたしておりますので、これからの日韓問題についてはそういう関係漁業者のお考えを十分念頭に置いて対処してまいりたいというふうに考えておりますが、具体的に二百海里の問題をどうするかということにつきましては、なお慎重な検討を要するものというふうに感じておる次第でございます。
○菅野久光君 まあ慎重に検討ということですが、政府間でいろいろ話をされたことが、それが現場に行くと確実に守られていないというのが現状なんです。幾ら政府間できれいな話をしていても、海の現場に行くと全く違う状況になっているということをしっかり胸におさめてもらわなければなりませんし、このことは北海道の漁民だけではなくて、今、西の方の方たちもやらなければだめだという声が非常に強くなってきているということを私も聞いております。したがって時期を失 しない、そういうことでこの韓国への二百海里設定の問題をやらなければ、日本の二百海里の漁業というものを守っていくということができなくなってしまう、手おくれにならないようにということを私はまだこの場で重ねて申し上げておきたいと思います。 水産の関係については以上で終わりまして、時間がなくなりましたので、林業の関係であります。 昨年は、国際森林年を機に山や緑を守り育てる運動が地球的規模で展開されてまいりました。我が国においても緑だとか水、きれいな空気、そして国土保全など、山の果たす役割に対する国民的な要求はかつてなく高まっておりますし、それに対する理解も深まっているというふうに思います。にもかかわらず、木は物を言わないわけでありますが、投資価値が薄いといいますか、五十年サイクルということになるわけでありますから、この経営は非常に厳しくて、政治の片隅に追いやられているのではないかというふうに思います。我々は次の世代に緑豊かな山、緑豊かな国土を引き継ぐ責任を持っているわけであります。今日の我が国の森林・林業、林産業の置かれている状況は、国産材の売れ行き不振と木材価格の落ち込みによる山づくりに対する意欲の喪失による山の荒廃、山づくりの基盤である山村の過疎化と林業労働力の量的不足、質的弱体化、木材価格の大幅な値下がりによる収入減と資源造成段階にある国民共有の財産である国有林の財政の悪化と森林の荒廃の現状は、もうまさに危機としか言いようがないというふうに思うんです。このまま放置すれば、日本国民の生存にとってもゆゆしい事態を招くのではないかというふうに私は考えますが、今の国有林の現状等を踏まえながら大臣としてどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(羽田孜君) ただいま先生から御指摘がございましたように、まさに日本の森林・林業をめぐる環境というのは非常に厳しい状況であります。ともかく山というものはただ木材を提供するというだけでなくて、非常に公益的な機能を果たすということを考えたときに、私どもは今の不健全な山というものを何としても健全なものにしていかなければいけない。そのために、昨年はちょうど国際森林年ということもありましたけれども、この数年来そのことを方々で役所としても訴えてまいりましたし、また今日の状況というのを各マスコミの皆様方も取り上げるようになってきたということで、国民的にもこれに対する理解というものは非常に深まってきたんじゃないかなというふうに考えておるところであります。その中で、特に国有林につきましては経営が非常に悪化しておるというのが現状でございまして、こういったものに対してどう対応するのか。五十九年の六月ですか、経営改善計画というものが出されて、それを進めてまいっておるわけでありますけれども、さらに厳しいというような状況で改めて今この問題について実は御議論をいただいておるところでございます。 そういうことで、この間には、例えば一般会計なんかからの繰り入れ、こういったものも徐々にふやしてきておるわけでありますけれども、まだ今日非常に厳しいという状況がございます。そういう中で、先般衆議院の方で予算御審議をいただいているさなかにも、与野党の書記長、幹事長の皆様方がお集まりになりましてお話をした中で、この国有林の経営改善についても実は御指摘があったところでございます。私どもは今日審議会の方で御議論をいただいております経営改善についての結論を見守りながら、また各党の皆様方のいろんな御指摘というものをちょうだいしながら、そして私ども自身が内部でやれることはやりながらも、今申し上げたようなことを頭に置いて、何とかひとつ健全なものにつくり上げていかなければいけない、こういうことを今考えております。
○菅野久光君 何といっても今緊急に取り組まなきゃならない課題が幾つかあるわけですけれども、そのうちで国民共有の財産である国有林野の事業が今赤字ということで大変な状況になっているわけですけれども、ここをまず再建してかからなければならないのではないかというふうに思うんです。国有林野事業の財政悪化の要因というのは、木材価格の下落だとか高度経済成長期の乱増伐による資源的制約による伐採量の大幅な落ち込み、それから本来一般会計で負担すべき公益的機能に対する費用の丸抱え、こういったようなことに要約されるのではないかというふうに思います。昭和七十二年の収支均衡に向けて資源造成期にある国有林野事業に対して公益的機能発揮のための費用の一般会計からの繰り入れだとか、あるいは財投資金からの借入金について民有林並みの利子だとか償還方法に改善をし、国有林野事業の再建というものを軌道に乗せるべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(田中恒寿君) 国有林野事業の経営方式につきましては、林産物収入が大宗を占めるという性格からいたしまして、現在のこの長期の木材不況の影響が大変きつくあらわれているところでございます。またさらに国有林の資源内容が、かつての木材需要が大変伸びておりましたときにそういう社会的要請にこたえるということからの、それもまた国有林の大きい使命でございますので、そういうことから齢級配置と申しますか、資源の構成にひずみもございます。したがいまして、なかなかまだ、今後の伐採量はふえますけれども、当面は大変苦しい事情にあるとかいうこともございます。一口で申しますと、林業全体の不況からの影響と保内部的な問題から来る問題点と両々が重なり合いまして、現在が非常に苦しい状態にあるわけでございますが、お話ございました財政措置全般につきましても、改善に取りかかりましたのが五十三年から本格的でございますが、そのときに保安林の造林に一般会計が入る、そして林道、さらに本年は間伐林道の開設などと逐次充実改善も行われているところでございます。相まちまして自主的な努力も相重ねておるところでございますが、長期借入金の償還条件等につきましても、本年は林道、造林等で差がございましたのを一本化してその改善が行われたなど可能な限りの措置が行われているところでございます。 今後の問題につきましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、林政審議会におきましても財源措置も含めましていろいろと深い御検討をお願いするようにいたしておりまして、それらを踏まえまして、私どもといたしましては、関係省庁とも十分な御協議を申し上げまして将来の方策を打ち立ててまいりたいというふうに考えております。
○菅野久光君 財政問題から逃してはならない間伐の作業だとか、そういったようなことがおくれたりしないように今後ともひとつ努力をしていただきたいというふうに思います。 時間がございませんので、また別な機会に他の問題についてはいたさせていただきたいと思います。 最後に、米の減反に伴う水田利用再編対策のポスト三期の問題でありますが、北海道に対しては、転作率が、六十年は都府県平均が一七・七%に対して本道は四二・二%、六十一年度は都府県の約二・四倍の四四・二%という非常に極端な傾斜配分になっております。専業農家の数を見ますと、北海道の稲作農家は八二%であります。そしてまた二ヘクタール以上は、都府県では全体の三%でありますが、北海道は六三%というふうに非常に大きな違いがある。いわゆる専業稲作農家によって北海道の稲作は支えられているといいますか、そういうことでやられているわけです。ところが、このような極端な傾斜配分をされていて、その傾斜配分をされた転作は畑作にもろにいっているわけですね。畑作の方では、生産過剰などを招かないようにということで生産団体で作付面積などをそれぞれつくって、そして計画的な生産をしている。ポスト三期でさらにふやさなきゃならぬというような方向が出されるやに聞いていて、北海道はこれ以上ふやされたら大変だという状況になっているわけです。これはただ単に稲作だけではなくて、そのことが畑作にも影響してき ている。 そして北海道の稲作というのは、以前は北海道といったら、またうまくない水か、というようなことがよく言われたわけでありますけれども、最近は食味も非常によくなってきまして、北海道の米はいいというようなこともありましたし、かつて臭素米のときにも、北海道の米があったから私は助かったのではないかというふうに思うんです。そういう意味では非常に大きな貢献をしているわけであります。今や北海道は良識を超える傾斜配分から食糧基地を守ろうというのが農民を含めた北海道民のみんなの気持ちなわけです。それだけにポスト三期の問題が非常に重要な問題としてみんなの関心が高いわけでありますが、このことについての今後の作業の手順なり、あるいは結論がいつごろになるのか、あるいは今私が申し上げましたような北海道の現状、大臣も十分御存じだと思いますけれども、そういったようなことなども含めてお答えいただければ大変ありがたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) 実は、今先生からお話ありました問題につきまして、道知事さん、あるいは道議会の皆さん、また農業団体の皆さん、それぞれの皆様方からしばしば北海道の実情について聞かされております。私ども、水田利用再編対策、ちょうど六十一年度で十年計画が終わるということでございまして、そういったものを振り返りながらポスト三期は一体どうしたらいいのかということを今検討始めておるところであります。手順といいますか、それはもちろん審議会その他でも御議論いただきますし、また省内でも議論してまいります。そういう中で現場の皆様方のいろんな声というものも吸い上げていかなければいけないなというふうに考えております。そして、時期はおよそことしの秋、この時期に向かって固めていきたいというふうに考えて、今その作業を進めておるところであります。 この間に水田利用再編対策を進めると同時に、米の消費拡大、こういったこともいろんな機会をとらまえて進めてまいりました。しかし、御案内のとおり、多少下げ幅は少なくなってきたということがありますけれども、残念ですが、まだ現在下げがとまっておらないというのが現状でございまして、そのあたりをこれからどう全体の中で配慮していくのか、先生から今お話がありましたことも私どもは頭に置きながら対応していきたいというふうに考えております。
○委員長(成相善十君) 本件に対する質疑は、午前はこの程度とし、午後一時十五分まで休憩いたします。 午後零時十四分休憩 ―――――・――――― 午後一時十六分開会
○委員長(成相善十君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○刈田貞子君 私も、まず大臣の所信の中から少しお伺いをしていきたいわけでありますけれども、私はむしろ、大臣が発言をなさったり、あるいは書かれておることの中でよく探しても見えにくい部分のところからまずお伺いをいたします。 それは食料、食品を扱うかなめになる農林水産省が一番大事に考えなければならない食の安全ということに関して大臣は比較的アバウトに触れられていると私どもは思います、これもひいき目で見まして。所信の中に「食糧需要に適切に対応しつつ国民の健康的で豊かな食生活を保障すること」ということを第三項目でおっしゃっていますが、強いて言えば、この「国民の健康的で豊かな食生活」ということの健康的な生活の中で大臣はこの安全性というようなものをフォローしてくださっているのではなかろうかというふうに思うわけでございますが、まず大臣の食等に関する安全の問題についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) 実は、私はかつて衆議院の農林水産委員長をやっておったことがございます。そのときに農水産物の自由化問題がございまして、こういう問題であるから、生産者の方あるいは流通関係の方あるいは学者の方だけでなくて、消費者の代表の方もおいでいただくことが必要じゃないかということで、消費者の代表の方にもおいでをいただきました。そして、そのときに、委員の皆さん方の頭にあったのは、多分消費者の方だと、安い品物をどんどん輸入しなさいという声が返ってくるんじゃないかと、非常に恐れながら難しい期待をしておったんです。ところが、その方が言われたことは、私たちは、食料というものを考えるときに、まず何といっても安全というものを考えるんですというお話でございました。そういうことを考えたときに、国外の農産物の中にどんな薬品が使われているのか、どんな肥料が使われているのか、どうもまだ余りはっきりつかめない場合があるんだ、そういうことを考えたときに、私は主婦の立場として、多少値段が高くはあっても、国産の方がそういったものをチェックできます、そういう意味で私は国産のものを大事にしていきたいなと思っております、ただし安全であると同時に、できるだけ安くておいしいものをつくってくださいというお話だったんですけれども、しかし私たちが初めに予測していた答えではなくて、むしろ安全ということに非常に大きな重点が置かれておりました。 そのことは私の頭の中にずっとございまして、食品というものは、最近いろんな化学薬品ですとか、いろんなものが出てきておりますから、そういうことに十分これから気をつけていかなければいけない、今まさに健康ということが問われている時代だという中でさらに安全性については気をつけていかなければいけない、こんなふうに思っております。
○刈田貞子君 中曽根総理も、食品の問題について御質問申し上げたときには、食品、食料は安心、安全、安定であると、大変ごろのいい答えをいただきましたけれども、まさにそのとおりだというふうに思いますので、このことについては、ぜひ農水省としてもこれをしかと踏まえていただきたい。 今の大臣の御答弁に触れて言わせていただければ、大臣の御就任当初のいろいろなインタビューの中で、消費のない生産はないのだということをおっしゃっておられまして、私もまさに同じ立場におりますものですから、今、我が意を得たとばかり大変喜んでおりますので、生産者側だけでなく、消費者側からも大変理解のある農水大臣が誕生したということで期待が大きゅうございますので、ひとつよろしくお願いしたいというふうに思うわけでございます。憲法二十五条でも、健康で文化的な生活を国民が権利として持つとすれば、国はそれに対して公衆衛生の向上及び増進を図る、このことは立派にうたわれているわけでありますから、ぜひその点御留意をお願いしたいというふうに思います。 私が最近、消費者団体の方々からいろいろお尋ねをされたり、あるいはまた苦情を言われたりすることの中に、生鮮野菜の着色、漂白、発色というテーマがございます。これは大変にみんな関心がございまして、今、農薬以前の問題であるということで、消費者団体自身もみずからの検体を持ってきてこれを分析しようというようなことも素人ながらやっているようでございますのですが、この生鮮食品の発色、漂白、着色について、まず、きょうは厚生省にお忙しい中を来ていただいておりますので、その規制等を法律的にちょっと御説明いただきたいと思います。
○説明員(内山寿紀君) 先生の御質問の件でございますけれども、野菜に使用します食品添加物に関しましては、現在、食品衛生法に基づきます食品添加物の使用基準におきまして、着色料それから漂白料の亜硫酸塩及び発色剤の硝酸塩あるいは亜硫酸塩などにつきましては野菜に使用してはならないことになっております。
○刈田貞子君 そうすると発色剤についてはよろしいんですね。
○説明員(内山寿紀君) 発色剤につきましては、発色剤の硝酸塩と亜硫酸塩については野菜に使用してはならないということになっておりまして、その他のものについては一応制限はございません。
○刈田貞子君 そこで、これは東京都の市場検査所が分析したデータでございますけれども、五十二年と五十九年で検査を行っております。特に消費地におきましては、野菜類に使用されているその他化合物の中で一番使用量ないしは使用回数の多いものは燐酸であろうというふうに言われておりまして、東京都のデータによりますと、細かい数字を申し上げると時間がないんで、五十二年では検体に対する比率が七三・三というふうに燐酸が使われている、つまり陽性で出てきているということです。 その後、東京都はこの燐酸についてだけさらに五十九年に調査をいたしております。それによりますと、三六・一に使用率は低下いたしております。ですけれども、使われ方の問題で逆に苦情の方がふえている、こういう結果を私いただいてきておるわけでございます。ちなみに調べた検体は、野菜名で言えばショウガ、レンコン、ヤマトイモ、ゴボウ、サツマイモ、ニンジン、ナガイモ、大根、葉ショウガ、カブ、モヤシ、白菜、ハスという種類のもの。この種のものにどうして燐酸が使われますか。
○政府委員(鴻巣健治君) 例えば今お話がありましたレンコンなどは、レンコンを掘っている間に表皮に傷がつきますと、一日か二日たちますとそこの表皮の色が変わってきてしまう、紫色に変わる。どうもそれが見た目に悪いということで、燐酸化合物を含みます液を掘り取って出荷する前のレンコンにひしゃくで二、三回かけるというようなことをやる。あるいはサツマイモでも同様でございまして、洗ったサツマイモは時間とともに、一、二週間たちますとだんだん色が変わってまいりますので、これを防いでしかも鮮度を保つという意味で、サツマイモをやはり燐酸化合物を含む水溶液の中につけておくというようなことをやっているというのが実態でございます。
○刈田貞子君 とても赤いきれいな色のサツマイモが市場に並んでいるのはまさにおっしゃるとおりなんですけれども、これは今言われたように、様態、形状というものが市場における価格と相当密接な関係を持っております上で、出荷時においてそういう作業をしなければならない必要性のようなものも生産者の側に立ってみれば私もよくわかります。 それからまた、燐酸のあるものは、例えば加工食品においてもこれはそのもの自体は害がないということには今なっております。けれども、厚生省の課長にもお伺いいたしますけれども、燐酸というのは割合に有能な添加物でありまして、いろんな働きをするわけですね。あらゆる場所で使われているわけでございます。これが生鮮野菜にまで使われているということに対して、そのもの自体は許容値も守り、そして害がないとしても、複合というような作用はどうなんだろうかというふうなことも含めまして、この燐酸使用の頻度について非常に消費地で不安を持っているわけであります。 かつて曲がったキュウリの話が出ました。消費者は曲がったキュウリでも買うよというふうに盛んに論議が出たわけです、どうせ刻んで使うんだからと。だけれども、それをあらゆる作業をして、そしてコストをかけて真っすぐにしたキュウリを生産するのは、生産地と流通業界がそういう作業をしてくださるにすぎないというふうに私は消費者団体の一員として当時言ってきたわけです。今また発色、漂白、着色というテーマを考えるならば、消費者はこういう野菜は望んでいないんですよね。 まず、厚生省の課長に燐酸の働きと害の問題、それから食品流通局の方には消費地では望んでいませんがどういたしましょう、これにお答えをいただきたい。
○説明員(内山寿紀君) 燐酸塩につきましては食品添加物として幾つか指定されておりまして、その用途といたしましては、結着剤とか品質改良剤とか、それから醸造用とか、さまざまな用途を持っておりまして、これにつきましての安全性というのは、刈田先生言われましたように、相当高いものであるというふうに私ども考えております。
○政府委員(鴻巣健治君) 消費者が望んでいないがどうするんだというお尋ねでございます。 私どもの方は、食品衛生上は別に制限されておりませんけれども、一般の消費者に対して鮮度なり品質を誤認させるような着色剤などを使うということは、公衆衛生上も、それからまた野菜の正しい生産、流通、出荷の面からいっても、決して望ましいことではないというのが基本的な態度でございまして、四十四年に最初の注意を喚起を促す局長通達をいたしましたが、最近、そういう事情がございますので、この一月に地方農政局の生産流通部長会議でもう一回口頭で厳重に注意して、また最近になりましてもう一度地方農政局に対して、これは文書でございますが、望ましくないということで、二月十八日付で地方農政局の生産流通部長にあてて通達をいたしまして、改めて県に対する指導、県を通じて生産者団体に対して、こういう望ましくないという方向を明確に指導してくれというように改めて指導し直したところでございます。
○刈田貞子君 私は、農林水産委員会にいて生産地の様子もよくわかりますので、少しでも市場に持っていって高く売れなければならないという事情、大変にいたく思います。ですけれども、だからといって安全性を無視してはいけないという立場に立っておりますものですから、ぜひそういう御指導をお願いしたいというふうに思います。だんだん消費地におきましてもシビアになってきました、そういう選択について。 もう一つは、こういう野菜はおいしくない。レンコンなんか材木をかじっているようですよ、おいしくない。これはぜひに心得ておいていただきたい。品物を供給すればいいということだけではなく、生活の質も変わってきている今日、どうせ供給するなら、おいしいもの。ことし公明党が六十一年度の予算編成に当たって御要求申し上げました事柄の中で、農林水産関係について、消費者ニーズに合わせての食糧の安全、安定な供給を図ると同時に、おいしいものを供給するということ、これは今まで公明党が入れたことのない言葉でございますけれども、消費地がそういうおいしいもの、生活の質を要求しているもの、こういうものについて食品流通局あたりも考えていっていただかなければならないというふうに思いますので、申し上げておきたいと思います。 次に、EDBのことについてお願いしたいんですが、これは私どもの党の近江議員が衆議院の予算委員会で、例のグレープフルーツにかかわるEDBの問題を申し上げまして、その回答も厚生省及び農水省からいただいております。一番私ども消費地におりまして遺憾に思うことは、アメリカでは禁止されているかんきつ類のこの防虫のEDBが、当国内で禁止されているものを輸出用には使用して、そしてこれを出すということ、またそれを受け入れなければならない事情があるということ、こういう問題について、大臣、どんな御見解をお持ちでしょうか。
○国務大臣(羽田孜君) EDBの薫蒸と同時に薬剤を使うというのは、例えばミバエですとか、そういったものを退治する、そういったことのためにこれが使われるわけなんですけれども、それと同時に、残留があった場合に人体に相当大きな影響を与えるということがございますから、私どもとしても相当きつくこういった問題に対して対処していかなければならない、これは先ほど申し上げたとおりであります。 そういう中で、私どもとして、従来ずっとアメリカの方でも許可しておった、あるいはそのほかの国でもこれを使うことがある程度、一定の基準を設けて使うということが許されておったということで、今日までずっと輸入されておるものがございます。ただ、そういうものの中で、各国に対 して、我が方としては、アメリカでもこういう措置をとったけれども、我が国としてもこういうあれをしたいから早く一つの方法を開発してもらいたい、これは厚生省の方からも連絡をいただきながら、私どもとしても各国にお願いをしておるところであります。そういう中で、幾つかの国によりまして、低温の処理ですとかあるいは蒸熱処理というような新しい方法というものが開発されておりますし、またそういったものによって輸入されておるというような話も聞いております。それと同時に、私どもは、こういったものを、こういった処理方法、これについて、特に開発途上国に対しても、こういう方法がありますということで、何というんですか、その新しい方法についての技術協力、こういうものも実は進めさせておるところであります。
○刈田貞子君 内山課長にお伺いするんですが、これは新聞のコメントに課長は、「現在はEDBに代わるべきものが開発されるのを待っている段階。農水省がいつまでも動かなければ、応急措置として」、現在の〇.一三ppmのことだと思いますけれども、「基準値をより厳しくすることも検討したい。」というふうなコメントをお出しになっておられるわけですけれども、ここで言うところの、農水省がいつまでも動かなければということの意味はどういう意味ですか。
○説明員(内山寿紀君) EDBにつきましては、先ほど農林水産大臣から御答弁がありましたですけれども、私どもの方につきましてもこの問題について大変関心を持っております。これにつきましては、御指摘のあった後、二月二十五日に再度農林水産省の方に、代替方法の採用の時期とか、それからEDBの諸外国における使用状況とか規制内容とか、さまざまなものにつきまして問い合わせをいたしておりまして、農林水産省さんの方も相当前向きな形で今その対応をしていただいております。したがいまして、私どもの方としましては、このものにつきまして、EDBがいつまでもあってはならないとは思っておりますけれども、ここにつきまして、代替方法ということでございますから、安全性を確認するとかということで時期はかかりますから、そういうものにつきましては、農林水産省さんの方の対応をよく見守っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○刈田貞子君 そこで課長に再度お尋ねいたしますが、アメリカでは、これにかわる方法というふうには私、確実には聞いておりませんけれども、いわゆる放射線の照射処理について国内許可をするということが出ておりますんで、私ども団体の方からもお話を承っておりまして、照射処理のようなものがそれにかわる方法というふうなことになって出てくる可能性はないのかどうかということを聞かれましたんですが、これはいかがでしょうか。
○説明員(大澤進君) 今御指摘の点でございますが、ただいまも農水産省の方からお答えがありましたように、EDBの対策としては、薫蒸処理等の代替法、これを現在農水省において検討され、また幾つかの国においても実現しつつあると聞いておるわけでございますが、今御指摘のかんきつに対する放射線照射、この点でございますが、これにつきましては、まずその放射線を行うことの必要性、これについては現在のところ農水省において検討しておるとまだ聞いてない状況で、私どもはそれ以上のことをコメントする段階に至っていない、こういう状況でございます。
○刈田貞子君 いずれにいたしましても、先ほど大臣が言われたように、輸入食品に至っても、安全な形のものを確認していただいた上で食品の輸入ということはしなければならないというふうに思いますし、これは当然のことだと思いますので、強く要望をいたしておきます。 こういう問題についてはまだまだたくさんの申し入れやら苦情やらをいただいておりますものですから、機会がありましたらまたさせていただきますけれども、次のテーマに移さしていただきます。 次は、農業への新規参人に関する問題でございますけれども、これも大臣の御発言の中でおっしゃっておられることを私は読みました。大臣の発想はなかなかおもしろいんですね。そしてソフトというか柔軟というか、大変に意を得たというようなのがあります。ユニークな桑の実のジャムの話などは、私は早速消費者団体の人に話をいたしまして、皆拍手喝采でございました。私の周囲にブロッコリーをつくっている方がいらっしゃる。ブロッコリーというのは中身の花の部分、実の部分というんですか、あそこを食べるんだけれども、実は回りの葉の部分の方が大きいわけでございますが、その葉の部分を使って中身よりもはるかに収益を上げているという農業集団を知っているわけでございます。これを急速冷却いたしまして粉末にいたします。そしてビタミンCが中身のおおよそ十七倍ということも国立研究所の方からいただいていて、これが健康食品としてまだラベルなしの状況で既に大変引っ張りだこであるという、こういう話のグループを知っているわけでございますけれども、この桑の実のジャムの話は大変ユニークで、私も感激をいたしておるわけです。このユニークな発想のずっと延長線上に、大臣はその新規参入者がこれから農業という場面にどんどん入ってきた方がいいんだというお話をしていらっしゃいます。その中でいろいろの条件を挙げておられますけれども、この新規参入者に対するいろいろな課題というものが具体的、現実的にあろうかと思います。これについての大臣の御所見からまず伺います。
○国務大臣(羽田孜君) この新規参入問題、もう少し幅の広い話が実はあったんですけれども、と申しますのは、これからの日本の農業というものは非常に今厳しい中にある、厳しい厳しいと言っているだけではどうにもならないんで、安定して国民に安全な食糧を供給しなければいけない、またおいしい食糧を供給しなければならないということになりますと、規模の拡大をすると同時に、何というのですか、いろんな技術というものも新しい技術が必要になってくるであろう、あるいは情報化社会というものがあって、今農水省の方でもグリーントピアというようなものを進めておりますけれども、こういったものを駆使しながら情報というものもきちんとつかんでいかなければいけない。ということになりますと、これからの農業産業というものに入っていく方々というのは、ただ長男だからしようがない、土地くれるからやるんだというようじゃ困りますよ、もっと活発に本当にこの農業の中、農業産業という中で生きていこうという後継者というものを育て上げていかなければいけないんじゃないかということが実は前段にございまして、そしてそういう中で、例えば全然違った方が入ってくる。私もいろんな農民の方と話していまして、そういう方の中に物すごく意欲がある人がある。例えばサラリーマンであった人が農業に入ってきまして、この人が物すごい活動をしているという現状もよく知っております。 それから話はちょっと別になって申しわけないんですけれども、今さっきも野党の皆さんとお話ししてたんですが、例えば酪農なんかでナチュラルチーズをつくる。この場合、私の知り合いで、奥さんが中央公論、御主人は週刊新潮に勤めてたんですね。お父さんは信州で酪農をやっているんです。その二人が脱サラになりましてチーズをつくり始めた。そこで新しいナチュラルチーズをどんどんつくり出す。非常にうまいもんです。ところが、それだけじゃなくて、ナチュラルチーズでクリームチーズみたいなものをつくるんです。そこにジャムを、それこそ桑の実のジャムなんかを入れたものとか、そのほかコーヒーだとか、チョコレートなんかを少しまぜて、ちょうどクリームのお菓子みたいにしてチーズを売っているんです。それが物すごく喜ばれて売れていくんです。そういうものなんかも、なかなか今までチーズづくりをやっていた人の中から生まれてくる発想じゃないというふうに思います。 そんなことで、全然違う分野から入ってきた人 も本当にやる気のある人、そして全然違った分野からの発想で農業というものもやってもらう、それがまた周辺に大きな影響を与えていくんじゃないかなというふうに思うんです。ただしかし、これは思っても、なかなかそれは言うはやすく行うは実際なかなか難しい。特に農業の場合には土地が必要である、特に土地利用型の農業の場合には土地が必要であるということで、なかなか資金なんかでも難しいということで、実際に今私どもの農水省の方で調べましたあれですと、現在一応、これは農業改良普及所の方で調べたようですけれども、二百九十五人ぐらいというのですね、まだ寂しい限りなんですけれども。しかし、そういう人たちが今だんだん参入し始めているということはあるでしょうし、そういった人たちが活躍しているということばあります。そういうことで私どもとしては、そういった人たちが入りやすいような、何というんですか、土地を取得するといってもなかなか難しいんですが、借りたりなんかするための資金ですとか、あるいは施設をする資金、こういったものについてもできるだけお手伝いをしてあげたいなというふうに考えております。
○刈田貞子君 今まさに大臣おっしゃられたように、二百九十五人の人が入った、しかも四十歳以下が八割というふうなデータをいただいてこれを見ているんですが、この中でその当人たち自身が感じていることは、今大臣も言われたように、入る前の段階ではできるんだろうかという不安が一番高いですね。しかもその不安の中身は農地取得に関してどうなんだろうかというテーマでしょうか。それから就農後については素人だったために技術不足、経験不足ということを実に感じておる。次が資金不足だというようなこともありますね。 私はこれは農水省で初めてつくられた資料と伺っておりますけれども、大変に大事な資料だというふうに思いますので、こういうものを下敷きにしながら、せっかくこういう志を持って今大変だという農業という産業に参入してくる人たちへの入りやすい環境をつくると同時に、特に新たな人たちが本当に意欲が持てるような環境づくり、これをいろいろな形で進めていただきたい。このことのテーマだけでもあらゆる言い分がありますので、これもまた後日させていただきたいと思いますけれども、大変いい資料をおつくりになりましたというふうに思いますので、ぜひこれをそちらの立場からも分析をなさいまして御利用ください。お願いいたします。 次に、農業という産業への参入のもう一つのテーマで、私はこれは前々から農水省の見解をお伺いしたいと思っていたものです。これからもどんどん出てくる課題で、人の新規参入というものではなくて、鉱工業分野からの新規参入というようなテーマのことになりますけれども、平たく言えば野菜工場のようなものの話です。こういうものもこれからどんどんとあるであろうというふうに思います。 例えば我孫子の工場の研究所の例ですけれども、ホウレンソウは通常二カ月と私たちは聞いているんですが、これが十五日から二十五日ででき上がってしまうとか、それからサラダナだと私たちは二カ月と聞いているんだけれども、それが二十五日ぐらいででき上がっちゃうとかいうふうな温度、湿度、日照などコンピューターで調節しながらつくるような、しかも無農薬でできるというふうな、こういう科学技術を駆使したかつてないもの、これは農業と言えるかどうかわかりませんけれども、技術が農業という産業分野に参入してくるということがあります。こういうものについて農水省はどういうお考えをお持ちですか。
○政府委員(関谷俊作君) ただいまの御質問の中に出ました野菜工場のような非常に設備中心に野菜等をつくるという例は幾つかございます。私の知っております一番典型的な例はいわゆるカイワレダイコンでございまして、これは全然土地を使わずに大根の種からそれをつくりまして、たしか三日ぐらいの間で今市場に出ておりますカイワレができるというようなことでございます。 そのほか、多少従来の農耕方法に近いものとしては、水耕栽培のように温室の中に水槽をつくりまして、そこにいろいろな配合した状態で液肥を流して栽培する、そういうことで短期的にできるということはございますし、それから私の承知しておりますのでは、例えば家電会社等で完全に光を使いましたレタスの栽培とかサラダナの栽培とか、そういうことも実験的にはやっていると思います。 恐らくそういうものは、効率的に見ますと大変設備を使い、それから光熱費を投入しますと割合短期にできるんだろうと思いますけれども、問題は採算なんでございまして、それが我々の目で一般農家あるいは普通の農業の一つの形として政策的に推進するというようなところまでは、まだ技術的にも経営効率的にも来てないんじゃないかという感じがいたします。ただ、民間の方でそういうことをおやりになるについては、御承知のように、農地を取得するについては農地法上の一つの要件がございますけれども、農地を全く使わないで設備を中心にそういう農業を営む場合には制度的な要件が設けられておりません。ただ、農林漁業金融公庫その他の制度融資になりますと、従来の農家というような方がそういうことをやられる場合に資金を融資するということになりますので、現状では普通のいわゆる民間企業、一般企業が農業に出てくる場合に、直ちに制度資金を融資するというところまではまだ道は開いておらない状況でございます。
○刈田貞子君 水田利用再編対策について次にお伺いします。 四十四年からでしたか始まりましたこの水田利用再編対策、六十一年度、本年で終了するわけですけれども、この事業の実績を大臣はどのように評価なさいますかお伺いします。
○国務大臣(羽田孜君) これは実は、ちょうど私が政務次官のときこれを始めたんですけれども、実績をずっと振り返ってみますと、例えば飼料作物ですとかあるいは大豆ですとか、また小麦、こういったものについてある程度所期の目的というものを達しつつある、飼料作物についてはちょっとまだ不足している部分があると思いますが、ある程度達しつつある。ただ問題は、これも奨励金というものが後ろ支えになっている。というのは、もともと奨励金を出すときには、お米との格差、この差、乖離しているものを埋めてあげましょうということで出したんです。確かに生産性は上がってきましたけれども、まだ実は差があるということでございます。 それから果樹関係、こういったものはある程度定着したものがあるんじゃなかろうかと思っておりますし、また中にはお米よりはもっと大きな収量を上げておるというものも実はございます。しかし、総じてこれをずっと見ましたときに、まだなかなか難しいなというのを率直に認めざるを得ないと思っております。 それと同時に、私どもはその間に例の他用途利用米というようなものもお願いした。水田というものは非常に生産力もあるということ、それからいや地という現象みたいなものも起こさないということ、そういったことから水田というものを活用すべきであるということで、他用途利用米というものもお願いをしてまいりました。 例の臭素米問題なんかがありまして、非常に困難な状況がありましたけれども、しかし昨年のあれでは予定どおりで、また今年度のものについても我々目的にしたもの以上のものを何か生産してくださるような状況にあるというのが現状であります。
○刈田貞子君 今大臣まさにおっしゃったんですけれども、定着したあるいは成功したというふうに評価すればいいかどうかというふうにはすっきり言えない部分もあるというニュアンスだろうと思うんですけれども、四十四年以来十八年間で転作奨励のために使ったお金、ざっと計算してみたら四兆円近くになるんですね。だけど、結局、転作ということが根づいたかどうかという問題がまだ残っているんじゃないか。つまり米に見合うた けの収入を本当に得られるものを農民が得たかどうかということですね。 これはこの間関東のある地域に行って聞いたんです。茨城ですけれども、ここは組合の実績では、麦と大豆の一年二作体系でやっていて、大豆を大体三百キロ、それから小麦が四百から五百ということを目標にして、五十九年度の実績を聞いてみると、小麦は大体四百二十だから少し目標には達していないが、大豆の方は三百キロを上回っているから目標を達している。だけれども、その結果としては九万四千を確保したにすぎないというふうに言っているわけですね。水稲所得に比較すると一万四千は足りないというように言っているわけです。大豆は特定作物ですから、これに交付金やらそれから対独自の加算金やら第一種奨励金やらが乗るとそれで七万二千円乗るそうです。そうすると水稲一作よりは上回るんだけれども、この下支えを取られたんでは、とてもじゃないけれども困るんだと。これが今の実情ですよね。これは優秀な地域の話でございます。これは今後ポスト三期対策に向けてこれから検討なさるというふうに伺っておりますけれども、方向としてはどんな方向を考えておられますか。
○国務大臣(羽田孜君) 今先生が御指摘のとおりでありまして、今のお話の農家というのは相当優秀な農家だと思います。そういう中にあってもなかなか厳しい、まさに対独自でやっておるような加算金まであって初めて何とか米よりはいいという状況であります。しかし、お米と比べ、投下労働時間、そういったものを考えると、やっぱり米の方が有利なのかなという感じもあります。しかし、そういうものをあれしましたときに、ポスト三期というものについて、まさに今先生御指摘のとおり、ことしの秋に向けて今鋭意検討を続けていただいておる最中でありますけれども、私ども米の需給状況を見ましたときに、まだ米が減少傾向をたどっておるという現状でありますから、消費がない米をまた余計につくるということができないものですから、どうしてもこれは続けていかざるを得ないなというふうに考えております。そのときに、私ども厳しい財政事情の中で転作奨励金を一体どうしたらいいのか、こんなことについても相当論議をしていかなきゃいけないと思っております。 いずれにしましても、県あるいは地方自治体の代表の方、農業者の代表の皆さん方、こういった方々と十分お話し合いしながら、理解が得られない中で進めることは実はできないというのが現状でございますから、その辺をよくお話をしながら進めていきたいというふうに考えております。
○刈田貞子君 これは食管会計に、第二次過剰米の処理は終わったんだけれども会計が残っていて、六十一年度で六百七十七億の損失補てんをいたしますね。それでもなおかつ六十一年度末で千八百四十二億が残りますね。これは六十四年までに穴埋めできますか。
○政府委員(石川弘君) これは法律に基づきまして計画的に処理しているわけでございますんで、六十一年度では六百七十七億の補てんを予定いたしておりますが、六十二年から六十四年、あと三年間ほぼ本年投入しましたような規模のものを投入いたしますれば完全に終わるわけでございます。そういうように計画的に処理するつもりでございます。
○刈田貞子君 昨年十一月に米の流通改善対策について打ち出しをなさいました。超過米の集荷を集荷業者にさせるというようなこと、それからまた政府米の売却に当たっての一部競争原理を導入する入札制ですとか、それからまた卸売業者間の競争確保のための複数卸売制度の導入、この三つの制度をお取り上げになったわけでありますけれども、このねらいは何でしょうか。
○政府委員(石川弘君) 集荷につきましては、御承知のように、生産者と集荷業者を結びつけておりまして、量的に言いますと圧倒的に農協でございますが、九五%の方は農協と結びつき、あと五%の集荷量は商系の集荷業者に結びついているわけでございますが、単一に結びつけておりまして、途中で入れかえというような形の結びつきを交代させることはできるわけではございますけれども、これは非常に定期的なものでございます。そうなりますと、昨年とか一昨年のように一〇八とか一〇四というような形で米が余計出てまいりました場合に、限度いっぱい集荷をいたしますとどうもそれ以上集荷をなさらぬ。そのことが結果的に横へ流れるということになるものですから、限度量を超過します段階で他の地域あるいは他の系統の集荷業者が集荷をしてよろしいということにしたわけでございます。これはことしから始めておりまして、東北あたりを中心に一月ごろから、それから二月以降はほとんどの県で実施をされておりまして、そういう意味では集荷の努力が進んでおると思います。ただ、なかなか超過米を集めるということにはいろいろと問題がございますものですから、これからもう少し知恵を働かせましてこの集荷の競争原理が働きやすいようにということで、ことしは初年度でございますので、今後もいろいろと考えていきたいと思います。 それから政府の売却方針の改善は、割り当て的な売却になりますと、どうしても真の末端の需要とつながらない売り方になるおそれがある。例えばある地域では業務用の米を非常に欲しがっておっても、これをただ平等に分けていくというようなことになりますと、それが結果的に流れが真っすぐ行かないで例えばほかのルートの方へ流れるということがございますので、真の需要を知りますために、一定のものにつきましては、いわば値段を入れさせましてそれに応じて売っていくという形にしたわけでございます。これはほとんどの県で現在採用されております。その結果、例えば今までならば無理に買わされたというような話もあるわけでございますが、辞退するという業者も出てきたり逆にそれ以上に欲しいという方も出てくるというような形で、売却方法について少しずつ改善が行われてきていると思います。 最後の卸の結びつきでございますが、これは小売屋さんがいろんな品ぞろえをするために、単一の卸だけではなくて別の卸屋さんからも小袋詰めの精米は買ってよろしいということをやったわけでございますが、これは主として大都市から始めるということでやっておりますので、まず東京、大阪から既に開始をいたしておりますが、逐次周辺のいわば消費地におきまして採用されつつございますので、例えばそういうことによりまして小売屋さんは二つの卸屋さんから別々に品物を仕入れてそれを店頭に置きまして、両方の品物をどちらがすぐれているかというような形で競争が行われる。これも徐々に展開できると思っております。 いずれにいたしましても、まだ緒についたばかりではございますが、私ども、販売業者あるいは集荷業者の地位を特定いたさせましたことは、きちっとしたルートに流すために必要な措置ではございますが、そのことが競争を阻害してはならないということで始めたことでございますので、今後この種のことについて実情を見ながら必要な改善はさらに行うつもりでございます。
○刈田貞子君 一のいわゆる集荷業者に競争的な要素を取り入れるということで、今九五%農協系というふうにおっしゃったんですが、これを取り入れることによって今の商系と農協系との競争の激化というようなことが起きるのではないか。これが一つ。 それから二番目の政府米の売却に当たっての一部入札制度、これは二〇%を取り入れましたね。これについて、一月から始まったこの中で、私ちょっと拾った記事なんですが、せっかくつくってみた入札売却だったけれども、初めてやったことだからと言えばそれっきりなんですが、その以前に卸同士の談合をやったから結局、政府価格と同じものになって出てきたというふうなことになると、この制度は骨抜きだし、意味がないのではないかというふうな話もあるんですけれども、これは今後この制度が成熟していくことによってそういうところは解消されていくのかどうなのか、これが一点ですね。 それから三つ目の卸から小売への複数制の導入ですけれども、これについては、私は一挙両得みたいな考え方も持つんです。つまり流通在庫というものをたくさんふやさなければならなくなりますね。小売も卸も品ぞろえをしていくことに恐らくなろうと思います。そうすると、いわゆる流通在庫をふやしていかなければならないということは、政府在庫の方が確かに少なくなるのではないか、私は素人考えですけれども、そうなるのではないかというふうに思ったりするわけです。この三つの点についてお答えいただきたい。
○政府委員(石川弘君) 最初の過当競争になるんではないかというお話でございますが、むしろもう少し競争をしていただきたいというのが私の本音でございまして、九五対五というのは、実は競争の原理から言いますと圧倒的に一方が有利でございます。それからこれは単に農協と商系だけで競争をしていただきたいと申し上げているんではなくて、農協が隣り合っている場合でも、余り片方がお集めにならなければ隣の方から集めてもよろしいというようなことも考えておりますので、実は私は率直に言いますと、集荷問題は、何と申しますか、本当に超過米を集めるためにはもう少し厳しい競争があった方がいいんではないか。どうしても限度数量は農家の方の対応も、正式の表向きの集荷に乗ってまいりますと、いろいろ所得の問題、税金問題があったりしまして今までもなかなか集めにくかったわけでございますが、そういうことが集荷を阻害しているという実情がございます。超過米の発生量とその集荷量を考えてみますと、超過米の発生量に比しては超過米の集荷というのは十分じゃないと思っておりますので、これはむしろ競争を恐れるというよりも競争をもう少ししていただきたいと思っております。 それからもう一つの政府の売り方のところでございますが、これは談合とかいろいろ言う人がございます。特に最近は、御承知のように、どちらかというと、私ども必要と思うものは十分差し上げますという態度で売っておりますから、決して絞り込み等もいたしませんから、そういう意味で比較的卸業者自身も在庫が豊富の中での販売でございますから、特段競争をしなくても必要量がとれるということでございますれば、一定の高さ以上に出してこないということは、これは十分あり得るわけでございます。こういう制度は、在庫が多いときあるいは少ないとき、いろんなときに動くわけでございます。現に比較的要望の強い、どちらかといいますと値段の安い米についてはそれなりの競争が行われている実情もございますので、これは決して何か談合して全く動かぬということではなくて、現に我々の手元の数字でも明らかに競争が行われますし、それから逆に言いますと、競争の行われないような品物についてはどうしても引きが弱い、そういう実需が弱いと見るべきだと思っておりますので、それなりの働きは十分いたしておると思っております。 それからもう一つ、先生もおっしゃいましたように、初めての試みでございますので手探りでやっているところは事実でございますが、各地域からの話を聞きましても、それなりの動きはいたしていると思っております。 それからもう一点の小売との結びつきでございますが、これは別に在庫をふやすという必要はございません。例えば十なら十の品物を今まで一つの卸だけから買ったものを、七は今までの卸から買い、三は別の卸から買って、小袋詰めになりました製品を店頭に置けばいいわけでございます。それで例えば三の方の売れ行きがどんどんふえできますれば、そちらをふやしてくればいいとか、そういうことでございますので、別に在庫量をふやすという働きをねらっているわけではございません。あくまでも品ぞろえを豊かにする、それから結果的には値段と内容という、要するに表示されたような構成でどのくらいの値段で売っていくかというときに、別々の品物が競争されることによってお互いに勉強していく、そういうシステムでございます。
○塩出啓典君 それでは最初に畜産の問題についてお尋ねをしたいと思います。 最近の畜産局長の報告によりますと、酪農経営等では、酪農を経営している戸数は減っているが頭数は横ばいだ、そういう意味では規模は着実に拡大しておると、こういうようなお話でございますが、ずっと今日まで大きな問題であったのは負債の問題ですね。特に酪農家の話でよく出るのは、政府の方針に従って協力した人ほど借金が多い、こういう声が多いわけでありますが、最近の酪農経営の方々の負債額の状況、これは好転しておるのか、横ばいであるのか、そのあたりの状況をお尋ねしたいと思います。
○政府委員(大坪敏男君) ただいま先生御指摘の酪農家の負債の状況でございますが、酪農経営の中でも急速に規模の拡大を行った経営とか、あるいはまた素畜価格が高い時期に規模拡大を図った、そういった経営の中には経営力なり資金力なり技術力等が伴いませんで負債が累増する、あるいは固定化するというふうな事態に陥った農家の方々もいらっしゃるわけでございます。 私どもといたしましては、このような酪農経営の中での負債対策といたしましては、昭和五十六年度から五カ年計画で酪農経営負債整理資金制度というものをつくりまして、借入金の中で償還期に達したものでありながら償還が困難なものにつきまして毎年見直しながら、これを長期低利資金に借りかえていくという方法でもって負債の整理を行う。あわせまして、このような金融面の対応と同時に、関係機関の経営指導も同時に行うということを通じまして実施しているわけでございまして、収益性、生産性とともに逐年向上してまいっておると、かように考えている次第でございます。 ちなみに酪農経営の負債額でございますが、農家経済調査によりまして一頭当たりの負債額の動きを見ますと、五十六年度をピークにいたしまして減少に転じておりまして、五十九年度にはほぼ前年並みの約五十二万という状況でございます。一方また一頭当たり資産についてみますと、最近においても増加の基調にございまして、五十九年度では二百三十一万円ということでございまして、負債額を大幅に上回るような状況になっているということでございまして。生産調整という厳しい中ではございますが酪農経営の収支は着実に改善に向かっておると、かように考えている次第でございます。
○塩出啓典君 今、国会でも問題になっていますように、非滝に急速な円高、それから公定歩合も二度にわたって引き下げられたわけで、円高というのはプラスとマイナスがあるわけですね。プラスの面は大いに活用していかなきゃならぬと思うんですがね。いろいろ聞いてみると、必ずしも酪農家の庭先の価格はそれほど下がっていない、こういうように思います。このあたり農水省としては円高のメリットというものが庭先まで徹底しているように考えているのか、またそういう点の指導をどうされるのか。これはぜひ全力を挙げてやってもらいたいと思うんです。 もう一つはいわゆる金利です。こういうように公定歩合が下がればそれに従って制度金融も本当は下げていかなければ経済効果というものはあらわれてこないと思うんですけれどもね。いろいろ聞いてみると、借りかえというのは原則としてはなかなかやってくれないと、こういう状況ですね。制度金融のみならず一般の民間金融機関に対しても、特に農水省としてそういう金利を早く下げるように強く要請すべきじゃないか。この二点についてのお考えをお尋ねしたいと思います。
○政府委員(大坪敏男君) それでは私からまず、畜産農家にとりまして大変重要な生産要素でございます配合飼料価格につきましての円高関連の問題につきまして御説明申し上げたいと思います。 この配合飼料価格につきましては、原則的には半年ごとに価格の設定を行うということでやってまいっておるわけでございますが、その際には、飼料穀物の国際価格なりフレートの動き、さらに加えまして為替レートがどのように変わっているか等々につきまして適切に反映させ、適正な価格 形成が行われるよう全農等に対しまして指導を行っているところでございます。 そこで、最近の配合飼料価格の動向でございますが、一昨年の七月以降おおむねこの一年半の間に前後五回にわたりまして値下げが行われておりまして、値下げ額の合計額はトン当たり一万四千八百円、これは率で申しますと約一九%に相当するわけでございまして、このような値下げが行われてきているわけでございます。とりわけ円高が急速に進行いたしました昨年の十月以降の扱いといたしましては、期中ではございましたけれども、十月―十二月期につきまして、期中改定といたしましてはトン当たり約三千円、率で申しまして四・四%の値下げが行われましたし、またさらにこの間トン当たり千二百円の配合飼料価格安定基金への積み増しも行われたということでございます。さらに本年一月から六月期の価格改定に当たりましてはトン当たり約二千七百円、率で申しまして約四・一%とその値下げが行われたところでございます。今後とも私ども為替相場の動向には十分注意を払いながら、円高差益が配合飼料価格の面に適切に反映するよう指導してまいりたいと、かように考えている次第でございます。
○政府委員(後藤康夫君) 金利の点についてお尋ねございましたが、公定歩合あるいは財投金利、そしてまた預貯金金利の引き下げに伴いまして、これは政府関係金融機関の金利全体の見直し、あるいはまた近代化資金の基準金利、利子補給のもとになります金利水準の引き下げというような指導をいたしまして、農林公庫につきましては二月の二十八日と三月十四日に、それからまた農業近代化資金につきましては三月の十四日に金利の改定を行っておるところでございます。こういった金利の変動に伴いまして、できるだけそれが実際の貸し付けに反映されますように、これからも関係省庁とも連携しながら対応してまいるつもりでございます。
○塩出啓典君 それから先般、農林大臣が畜産振興審議会の方に、六十一年度の指定食肉の安定価格、あるいは加工原料乳の保証価格、あるいは基準取引価格、あるいは加工原料乳の数量の最高限度、こういうものを諮問し、この畜産振興審議会で検討しておるわけでありますが、この見通しはどうなのかですね。 もう一つは、これは農林大臣として幾らぐらいにすべきであるという、こういうものは全然出さなかったのか。そのあたりいささかちょっと無責任というか、農水省として確固たる一つの方針を示すのが筋ではないかなという、そういう気がするんですが、その点どうでしょうか。
○政府委員(大坪敏男君) ただいま先生御指摘のように、三月十四日、畜産振興審議会の総会を開催したわけでございまして、その際農林大臣から、ただいま先生お話ございました畜産物価格の決定についての留意事項についての御諮問を行ったことは事実でございます。ただ、この総会ではむしろ、諮問事項よりも最近の畜産をめぐる諸情勢、あるいは畜産に関する最近の施策等につきましていろいろ御論議をいただいたところでございまして、ただいま先生お話しの六十一年度の畜産物価格についての具体的御審議に関しましては、食肉の安定基準価格等につきましては二十六日に食肉部会を開きまして御審議いただきますし、また加工原料乳の保証価格、限度数量等につきましては二十七日の酪農部会においてそれぞれ御審議いただくことになっているわけでございまして、具体的な政府の試算値につきましては、その際お示しをするという予定で目下作業をしているところでございます。したがいまして、現在、生産費調査その他のデータの出そろうのを待って作業に入るということでもございますので、何とも内容等については申し上げる段階にないわけでございますが、いずれにいたしましても、法の定めるところによりまして、それぞれの生産条件なり需給事情、その他の経済事情を総合的に勘案いたしながら、畜産振興審議会の御意見をお伺いした上で適正に決定いたしたい、かように考えている次第でございます。
○塩出啓典君 ここ数年価格は諸物価の高騰の中でも実質的には据え置きで来ておるわけで、今回は原料が円高で下がったんだから当然値段を下げるべきだという、そういうふうな意見もあるわけで、そういう点非常に生産者は心配をしているわけですね。上げるときには余り上げないでおいて下げるときだけ下げるというのは、そういうことはあってはならないと思いますし、適正な価格に決定すべきである。その点、農林大臣のひとつ御努力をお願いしたいと思いますが、その御決意を承りたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) 決してお言葉を返すわけじゃないんですけれども、過去において、酪農、畜産を相当振興しなければならないときに、これはいろんな生産費の調査、そういったものを見ながらも政治的にある程度配慮した時代もあったんじゃないかなというふうに思います。ただ、今日の状況というのは、御案内のとおり、えさの価格というものも何回かにわたって下げてまいりましたり、あるいは金利等なんかについてもある程度の措置というものをしてまいったところであります。しかし、いずれにいたしましても、その価格の諮問につきましては、これは今局長の方からお話し申し上げましたように生産費を命ずっと精査をいたしております。この生産費を見ながら私どもとしては適正なものを諮問していかなければいけないというふうに考えております。
○塩出啓典君 それからもう一つ農林大臣にお願いしておきたいことは、先ほどのいわゆる金利の低下ですね、これは農林部門だけではなしに中小企業庁の分野にも全般的に言えることであります。また円高のメリットの還元の問題も、電力料金はいまだに下がらないが、こういうものはできるだけ速やかに下げていくということが私はいろんな面で大事なことじゃないかと思うんですね。したがって、この金利の低下等も、結局、銀行と借り主の関係で、強いところは早く下がるけれども、弱いところはなかなか最後まで下がらないという、こういうことになりますので、そういうことのないように、これはぜひ閣議等を通してお願いをしたい、このように思います。 それから次に、お米の消費の問題についてお尋ねをいたしますが、米国上院におけるマクガバン報告がかつて日本でもかなり問題になりまして、アメリカにおいては、心臓病が非常に多い原因は砂糖と肉のとり過ぎである、したがって、日本型食生活を手本にせよという、こういう方向に出されておるわけです。ところが、日本の方は逆に洋風化して児童のコレステロールも非常に高い。こういうことで、私たちは今こそ日本型食生活というものを定着さしていかなくちゃいけない。そのことが結果的には米の消費拡大にもなっていくわけで、米の食い過ぎは健康によくないというのは逆で、もちろん食い過ぎはよくないかもしれぬけれども、今のように少なくしが食べないというのは余りよくないんじゃないかと思うんですね。そういう意味で、農水省といたしましては、努力をされてきていると聞いているわけですが、どのように努力をされてきておるのか、これのお話を承りたいと思います。
○政府委員(石川弘君) 御承知のように、米の消費拡大という面につきましては、項目で申しますれば、圧倒的に大きいのは学校給食でございますが、これもかなりの県が御努力いただきまして、特に米の生産県等につきましては、二回をかなり上回る水準までいっているわけでございますが、どうしても大都市の学校給食の伸びが悪かったわけでございます。昨年末、文部省ともよく相談をいたしまして、余り急に回数を高いところへ持ち出してもなかなかできないということから、まず一回いってないところは必ず一回やりましょう、それから一回台のところは二回へと、二回台のところへいっているところは週三回の最終目標までということで一応目標を具体的にしまして、それに応じまして、我々も大変財政上厳しいときではございますが、六十一年度も昨年度と同じ助成率で学校給食の予算をつけております。 そのほか、いろんな消費拡大のための催し物 等、これは国だけではございませんで、都道府県の協力をも得て行っておりまして、なるべくこれも効率の上がるようにということでやっておるわけでございますが、米単品の問題だけではこれは非常にやりにくい問題でございまして、むしろ先生御指摘のように、日本型の食生活全体を好ましいものとして誘導します中で、結果として米も消費が拡大されるというのが一番望ましい姿だと思っております。したがいまして、私どもも、そういうPR関係の予算等も、何か米単品という形ではなくて、日本型食生活を進めていくというようなことに相乗りをいたしながら実はやってきておるわけでございまして、ここ数年の一人当たりの米消費の減少度合いが大変低くなってきたということも、だんだんそういうことがしみ渡ってきたんではないかなと思っております。今後も、そういう意味でこの日本型食生活の推進ということの中で米を位置づけまして、消費拡大のためいろんな努力をしていくつもりでございます。
○塩出啓典君 下げ方が減ってきたということ、それも効果と言えば効果ですけれどもね。 農政審議会に出した農林水産省の資料「食生活について」の四ページでは、将来、昭和六十五年には五十九年の七百三十四キロカロリーが六百三十ぐらいになると。これはどこまでいけば下げどまるわけですか。
○政府委員(石川弘君) ここ数年の趨勢は、実はその六十五年の見通しをつくりましたよりも実は低い下がり方になっておりまして、ただ、全量で申しますと、六十五年想定しましたときよりも一人当たりは減ったんですが、人口の増加率がおさまって全体の量としては大体その線ということになっております。私ども今考えておりますのは、御承知のように、同じ主食の一つの麦が実は三十一キロ水準ということで、これはほとんどとまっております、ここ数年間ほぼ毎年三十一キロ。水も、私もどこということはなかなか申し上げられないんですが、当然一定の水準でとまるところに来るわけでございます。またそうでございませんと、食生活全体のバランスを大変失することになるわけでございます。 最近は、御承知のように、先ほど先生も御指摘になった穀類の消費というものはある水準絶対要るんだということは、むしろ欧米の方で盛んに言われているわけでございますので、PFCバランスのいい日本の食生活を考えました場合に、私どもとすれば、七十キロを余り大きく割らない水準で米の消費がパーヘッドで決まるというそのあたりをねらって、今後もいろいろとPRその他施策をやっていく必要があろうかと思っております。
○塩出啓典君 いろいろな政策は効果が出なければ、幾らやっていますと言ってもこれはいけないと思うんですが、米の消費拡大をいわゆる日本型食生活の定着という中でやっていくという方向は私も非常にいいと思いますし、今までの方法はもちろん学校給食等も非常に効果のある方法だと思いますが、さらに何かいい方法がないか。私も今こうした方がいいという考えはないわけですけれども、例えばNHKの朝のドラマの中に、それを見ているうちに米を食べたくなるような内容のドラマをお願いするとか、余り金のかからなくて日本型食生活をPRできる方法を厚生省等から考えて、そういう点をぜひ農水大臣としても御検討いただきたい。このことをお願いしたいと思うんです。
○国務大臣(羽田孜君) 今ずっとお話がございましたように、日本型食生活というもの、これを定着さしていくこと、これを真剣に考えることが米の需要拡大にもつながり、そして我が農業の基盤というものをもしっかりさせるというふうに考えております。 どこの国もそうなんですけれども、その国に根づいた食糧、これがどこの国でも実は中心になっております。ですから、日本の古来の食生活というものを振り返ってみると、米、そして例えばみそ汁、漬物、こういったものも今実は新しい時代の中で改めて評価されつつあるということでありますし、特に魚なんかも、今二百海里問題が定着してきたということを申しておりますけれども、しかしこの二百海里の中でとれるイワシ、こういう多獲性魚なんかも、栄養の面から、例えば高血圧なんかをある程度防止する力があるなんということも言われるようになってきております。そういうものが、何というんですか、ちょうど四十数年たった今日、今もう一度また見直されるときが来ているんじゃないかなというふうに思いまして、こういうせっかくのときというものを逃さないようにして、今先生から御指摘があったようなことも含めて、もっと自分の国の中でとれるものをみんなが喜び、そしてそれがやっぱり健康にいいんだということがわかるように、消費者に対する啓発というものをもっともっとやっていく必要があろうというふうに思っております。 ただ問題は、片方でNHKでそういう番組をと言われたんですけれども、また今テレビというものが、何というんですか、いろんな国の料理を、しかも値段が安くて割合と簡単にできるものを次から次へと教えるんですね。ですから、そういう中で消費者も選択に迷ってしまっておるというのが現状じゃないかと思います。そういうものに対してどう判断したらいいのかという資料を国としてきちんとあれすることが必要かなということを今改めて感じております。
○塩出啓典君 それからお米の表示の問題ですね。先般、灘生協へちょっと見学に参りましたときに、あそこの米はいろいろとこの産地の米かということを書いておりました。けれども、我々が東京で買うお米は、産地が書いてあるのもあれば書いてないのもあるわけで、いろいろお聞きしてみますと、米のどこどこ産の何々銘柄まで入れちゃうと余りにも数が多いから、第一類とか二類とかそういうようなので表示をしているんだと。私はそれはそれなりに悪くはないと思いますが、ただ、今時代の変化というものは、よく大衆から公衆だと言われていますように、非常に国民の嗜好というものが物すごく個性化してきているわけですね。だから、私はほかの人とは違うものを着たいとか、違うものを食べたいとか、そういうような時代にだんだんなってくるんじゃないか。したがって、生産する方も同じような米を十把一からげでたくさんつくるのではなしに、とにかく我が町のこの米は、もう一村一品運動があるように、これはあくまでもこのブランドでいくんだ、東京の人がこの米を食ったら非常にうまいから、じゃその米をぜひもらいたいと言って逆に指定して注文が来るような、こういう方向に行くのも私は一つの流れじゃないかと思うんですね。 先般、ある緑健農法の方のお茶を私もらったんですけれども、そのお茶にはちゃんとどこそこのたれべえがつくったということを書いているわけで、ああいうのも一つの行き方じゃないか。私は生産者サイドにおいても、これを一つの法律でこうしろ、ああしろという問題じゃありませんけれども、自主的にそういうような方向も育てていかなければいけないんじゃないかな。こういう感じがするんですけれども、そういう点は食糧庁長官としてはどうお考えか承りたいと思います。
○政府委員(石川弘君) 御承知のように、表示をさせまして、表示してあることと中身をはっきり合わせる、こうでありませんと、普通、消費者の方はお米をちょっとごらんになっただけではわかりにくいわけでございますので、そこで今のやり方は、販売業者の業務運営基準という中で、表示をはっきりさせなさい、その場合に必要的記載事項、必ずこう書いてくださいよという場合と、任意的に書いてもよろしいという任意的表示事項と分けております。必要的な記載事項としましては、もう御承知のように一類とか二類とか、玄米がどんな構成になっているかということ、それから販売の価格とか正味重量、搗請年月日とか搗精工場、そういうことは必ず書けと書いてあるわけでございます。 ただ、今先生おっしゃいました、どこ産のというようなことになりますと、これは任意的記載事項で、三つをあわせて書け、例えば新潟県、コシヒカリ、六十年産米、これを三点セットと言って おりますが、こういう任意的記載のこともいいということになっているわけでございます。 こういう表示の仕方には実はいろいろと論議がございまして、今先生御指摘のように、例え点生産者の名前まで、山形県の何という農家がつくったササニシキということまで何か表示したいというようなお話があると同時に、そういたしますと、何か特定の米の過当競争を導き出すというようなことがありまして、県によっては必ずしもこの三点表示というのは好ましくないというような感じを持つところもございます。ここは国は基準をつくりまして、県が表示基準に基づきまして米穀の適正流通協議会、これは生産、流通、消費の方が入った協議会ですが、そこで県がどういう表示をしようかということを決めさしております。 一つは、確かに先生のおっしゃいますように、商品の個性化といいますか、そういうことで信頼性をより増すというのも一つの方向かと思います。ただ米の世界の中で、必ずしも品種だとか地域だとかということで特定できない。御承知のようにとこの米がいつもいいというのだと楽なんですが、災害にぶつかりますと良質米地帯でも品質を落とすこともございます。いろいろなことがございますので、今御指摘のありましたようなことも含めて、どういうことをやっていけば消費者の人に一番わかりやすくて、しかも流通段階でいろんな混乱がないかというようなことで、さらに検討させていただきたいと思います。
○塩出啓典君 それから減反政策というか、お米をやめた、米のかわりに何をつくるかという、こういうことがいつも問題になっているわけですが、そういう意味で、いわゆる薬草、生薬ですね、漢方薬の原料になる生薬は日本は輸入に大半を依存しておるわけで、そういうものをもっと国内でもふやすように、そういう政策をとるべきではないか。現実にはふえてきているわけですよね。 それから将来の問題として、バイオマス・エネルギーというか、日本の農業もエネルギーなくしては生産はできない。我々子供のころは牛を使って、ハチハチドウドウと言って田んぼを耕しておったわけでありますが、今はそういうわけにはいかない。したがって、油を確保することは安全保障の上からも大事なわけで、したがって例えば芋をつくってアルコールをつくり、農業に使うエネルギーぐらいは国内で生産できるぐらいの――今はアルコールの値段が非常に高いからもっともっと技術をレベルアップしてコストを下げるように、こういう余地はあるわけで、通産省等でも研究はしているわけですけれども、農水省としても、こういう米にかわるべき産物、あるいは裏作に活用できる作物とか、こういうものを研究し、そういう中に薬草やあるいは芋を加えていただきたい、こういう点を今後大いに積極的に研究してもらいたい、こういう要望をしたいわけですが、その点どうでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) いわゆる水田転作も含めまして新しいいろんな形での需要にこたえるような作物、あるいはバイオマス利用というような観点から有用な作物を開発するということは、これは大変大事なことだと思っております。 薬用作物自身につきましては、先生のお尋ねにございましたように、六十年の輸入額が金額で百十五億円ぐらいございまして、この五年で倍額ぐらいにふえております。 こういうことにも見られますように大変需要が強いものですから、収穫面積としても、国内でも五十年ごろの五百ヘクタール余りから現在既に千ヘクタールを超えるという収穫面積に達しておりまして、水田転作の中でも地域特産作物としての加算を所により行うということで、転作面積総体として、五十三年百三十八ヘクタールから六十年度の五百九ヘクタールへと拡大をしてきております。 こういう問題も含めました作物の範囲の拡大ということになりますと、これは農林水産省でも技術会議の方で非常に重点的な研究課題として、バイオマス変換計画でございますとかグリーンエナジーの計画ということで、サツマイモもございますけれども、生物の持っております一種のエネルギー創出機能というのを大いに活用する、こういうようなことで研究開発を進めております。 行政部門では、いわゆる特産農作物というような面で、新規導入の事業として、こういう薬用作物でございますとか、少し前にはステビアというような甘味資源になるような作物とか、いろんなものが出てきております。こういう意味で、水田転作という視点だけではなくて、日本の農地の有効利用という面でこれらの面についてはこれまで以上に大いに力を入れていかなければいけないというふうに考えております。
○塩出啓典君 それでは林野庁長官にお尋ねします。 国産材時代ということを言われているわけですが、確かに三十年代に造林した木が二十一世紀には伐採できる期間に入るということは事実ですが、しかし国際競争力というものがついてなければ、山に木はあっても実際には切れないんじゃないか。そういうように口では国産材時代と言うけれども、本当にそういう時代が来るのかどうかという点を心配している専門家は悲観的な見方の人が多いように思うのでありますが、これをどう考えるのか。国産材時代を招くには解決しなければならない問題はどういうものなのか、このお考えを承りたいと思います。
○政府委員(田中恒寿君) お話にございましたように、日本の現在持っております人工林が一千万ヘクタールという大変営々たる努力によってつくり上げて現在あるわけでございますけれども、資源的な力からいたしますと、大体二十一世紀初頭には大変な生産力を発揮し得る年齢構成ではあるわけでございますけれども、それでは手をこまねいていてもそれがどんどんと売れましてそういう国産材時代が来るかと申しますと、先生おっしゃいますようにそうではないだろうと思います。特に昨今の情勢を見ますと、針葉樹につきましては、随分と産地間競争と申しますか、カナダ、北米あるいはソビエト、最近はニュージーランドとかチリまで入りまして、その激烈な競争が特に素材でございますので、それに耐える体質の日本林業につくり上げないとならない。その一番大事な点は国産材の需要拡大であろうと思いますし、二十一世紀にいわゆる主伐、大きな伐採が入りますまでの間にも間伐がずっと続くわけでありますので、国産材の間伐材が市場性を持ちまして使われますように、いろいろ新製品の開発研究等を五カ年計画におきましても重点事項として組み入れているところでもありますし、まずはそういう間伐の促進、それから引き続き国産材が市場性を持って行えるような需要の開発、それから競争力を持つには生産性が高くないといけませんので、特に搬出関係が低廉にできますような林道、作業道の整備でありますとか、流通、加工の体制を整備する等々各般の施策を行っているところでございますが、昨年あたりから需要拡大につきましても随分各省庁の御協力を得ておるところでありますし、業界の努力も徐々に実りつつありまして、こういう傾向を助長しながらしっかりした需要拡大をしてまいりたいと思っております。
○塩出啓典君 きょうは時間もございませんので、一つだけお願いをしておきたいことは、税金が大変重い、相続税のために山を切らなくちゃいかぬ、結局、木材の価格は低いからどんどんたくさんの面積を切らなくちゃいかぬ。こういうようなことで税制というものが林業経営にも大きな圧力になっておるという、こういうことが最近問題になっております。 六十年度の税制改正においては相続税の延納期間を五年延長して二十年にするとか、こういうような一部の前進は見られているわけでありますが、諸外国の税制等に比べてかなり高いんではないか。例えばイギリスなんかの場合は立木一代一回課税です。木というのは切ったときは収入は入らないわけですから、そういうときに課税をするというか、そういう意味で、これは大蔵省のOBである高木文雄元国鉄総裁等が中心になってこういう林業が自立できる税制を研究していこうとい う動きもあるわけで、これは大変うれしい応援団じゃないかと思うんです。私たちもこれはもう少し抜本的に研究はしようとは思うのですが、林野庁としても、この税制問題については徹底的に研究して合理性のある税制を確立すべきではないか。この点はどうでしょうか。
○政府委員(田中恒寿君) 林業税制につきましては、林業の超長期性からそれなりのいろいろな特例措置はあるわけでございますし、これまで山持ちは大体お金持ちと同義でございまして、相続税などもそうまでは問題にはならなかったわけでございますけれども、最近は木材価格の低迷等もありまして、林業経宮を継続する上で相続税が大変大きい問題になっておる。あるいはまた、特に都市近郊等で緑地が貴重になっておるところが、かえって宅地並みに地価の上昇がまた林地にまで響くということから緑地の開発が進められていくような問題が指摘をされております。 林野庁におきましても、そういうふうな問題意識から農地並みの納税猶予制度につきまして、これまで数回その創設を要求しておったところでございますが、私どもの力不足と申しましょうか、実現には現在至ってないわけでございますけれども、先生おっしゃいましたような最近の情勢、まことに顕著にもなっておりますので、改めまして、この林業の特質に根差しました相続税その他税制一般につきましてさらに検討を深めまして、これを推し進めてまいりたいというふうに考えております。
○塩出啓典君 最後に、これは農水大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、農政審議会に出す資料などをたくさんいただいてみて、農業の論議というものはいろいろな分野でそれなりに非常に立派な論議もしておる。しかし、そういう論議を実際の生産に生かすのでなければ効果がないわけですし、それを生かすのはやっぱり人間じゃないかと思うんですね。そういう意味で、農業というのはよく言われることですが、天候学とか栄養学とか市場の経済学とか、そういう意味では自動車工場に働く人に比べればはるかに優秀な人が、そういう意味では先端産業とも言えるわけで、そういう意味で本当に優秀な人が農業に従事できるような、またこういう農業に従事している人の教育というものを、そういうものを私は本当に考えなくてはいけないのじゃないかと思うのです。夜間農業大学をつくって働く青年が勉強する機会をふやすとか、あるいは刈田先生から質問がありましたように、非農家の青年であってもぜひ農業をやりたい、第一線の中で働きたい、こういう青年はどんどん参加できるという、もちろんそういうものには一部反対はあるかもしれませんけれども、私はそういうものが農業の活性化になると思いますし、そういう若い人が農業にいそしんでいける態勢、またレベルアップ、こういうものに、人づくりに力を入れていかなければいけないのじゃないか。そういう点での農水大臣のお考えをお伺いして、質問を終わります。
○国務大臣(羽田孜君) 先ほど刈田先生にも御答弁申し上げましたように、これからの農業というのは新しい技術が進んでくるであろう、これを的確にキャッチしなければいけない。また情報化時代の中で市場の要請、こういったものもとらまえていかなければいけない。あるいは畜産等を経営するに当たっても、例えば飼養効率ですとか、そういったものなんかについてもいろいろなチェックをしていかなければいけないということになりますと、どうしても高い技術あるいは高い知識というものが必要になってくるということで、まさに農業こそ創意工夫が非常に求められる。私は今の農業というのは、特にこれからの農業というのは、労働集約型というよりは知識集約型、そういうものに変貌していくのじゃないかなというふうに思います。その意味で、そういった農業に耐え得る人たちを私たちも懸命にこれから育成していかなければいけない、かように考えております。 今日は、農閑期といったものを利用しながら、そういった皆さん方の教育あるいは実際に現場に出て視察をするというようなことも、いろいろな補助制度の中でも進めております。ただ、今先生から御指摘がありました大学において夜間大学みたいなものを活用したらどうだろうかという御指摘がありましたけれども、農業というのは実際に現場を見たり、あるいは育苗ですとか、いろいろなものに対して実際に土をいじったり何かするというようなことから言って、果たして現実的なのかなという一部の疑問は持ちますけれども、しかし今先生が言われるのは、そのぐらいのことも考えながら本気で若い人たちの教育をしなきゃいかぬよという御指摘だというふうに私は受けとめます。そういう意味で、これからも私たちも精力的に、こういった若い本当に農業の中で生きていこうという青年たちを養成するために、懸命にこれからも勉強していきたいというふうに考えております。
○下田京子君 大臣、冒頭に、きょうは所信に対する質問でございますので、できるだけ大臣の責任において的確な御答弁をお願いいたします。 世界最大の穀物メジャーと言われるカーギル社の日本進出問題との関係で、畜産行政のあり方について御質問します。 大臣はカーギル社のえさ工場進出につきまして既に、需給問題についての判断は農水省の任務であり、また南九州全体の飼料需給はどうか、きちんと判断したいというふうな意味のことを答弁されているわけです。最初にはっきりさせたいことなのですけれども、全国需給につきまして、現在のえさ工場の設備が過剰か否か端的にお答えください。
○国務大臣(羽田孜君) これは端的に申し上げるということになれば、例えば南九州で今既に五社が名のりを上げ、一応県はそこに土地を売却するということで、南九州の飼料については今まださらにこういったところで新たなものができるという状況にある。地域によってある程度の差があるのじゃないかというふうに思っております。
○下田京子君 私は全国需給についてという質問をしたわけですが、お答えを避けられた。 それで、畜産局が一昨日畜産振興審議会のえさ部会に提出しております飼料関係資料の三十九ページにこう書いてあります。配合飼料産業の問題として製造施設の過剰による低稼働率が問題だ、こうはっきり述べているんです。ですから、全国需給で見ますと、今のえさ工場の設備は過剰であると農水省自身が指摘しているわけです。そうでしょう。
○政府委員(大坪敏男君) ただいま先生御指摘のように、私ども先般の審議会に出しました資料によりますれば、施設の過剰によります低稼働率、畜産立地の移動に伴う流通経費の増大等の問題が出ていることについては問題点として意識はいたしております。
○下田京子君 大臣に私が全国需給はどうなんだと聞いたのですから、よく御認識をして御答弁ください。 それで、今畜産局の指摘しております低稼働率ということは一体どうなのか、私から説明申し上げます。これは農水省からいただいている資料なんですけれども、五十九年度の生産能力は月産で約百五十五万トン、実際の生産はどうかと言えば、年産量にしますと二千四百四十九万四千トン、月産に直しますと約二百四万トン。それで百五十五万トンの生産能力からいきまして稼働率が一三一・四%になるわけです。この百五十五万トンという生産能力というのは一体何なのかといいますと、定時能力といいまして、一日八時間、月二十五日ということで月産の定時能力を出しているわけです。全農だとか、えさ関係の皆さん方に聞きますと、えさ生産の場合というのは二交代で二〇〇%操業がもう常識だ、採算のとれるぎりぎりのところは一六〇%台だ、こういうふうに言われております。 次に、採算のとれている主なメーカーの操業が一体どうなのかというようなことで、これも資料を見てみましたら、全農に次いで第二位のシェアを持つ日本農産工の場合に、五十九年六月から六十年五月の一年間に、平均操業率は定時能力から 見て一八八・八%、そして六十年六月以降の計画では二三三・八%見込んでおります。さらに日清製粉の場合にはどうかといいますと、これは一七七・九%、六十年四月以降の計画ではさらにこの一七七・九%操業率をアップしようということを計画に織り込んでおります。また昭和産業の場合にはどうなのか。五十九年六月から六十年五月、既に二〇〇%を超えまして、何と二四五・一%操業率。全国平均では一三一・四%ですけれども、大手メーカーは既に二〇〇%もしくはそれ以上の操業率になっているのでございます。御承知でしょう。
○政府委員(大坪敏男君) 先生が御指摘のデータにつきましては私も承知はしております。全国的に見れば、地域的にはいろんな差があろうかと思いますけれども、おおむねそういった線ではなかろうかというふうに考えております。
○下田京子君 明確に全国的に言って今のえさ工場の設備が過剰だということをお認めになったかと思うんです。今私が申し上げたのは承知のとおりで、有価証券報告書を見て調べたわけです。私が言いましたら、個々の企業については言えないとか、わからぬとか、説明のときにはあれこれ逃げてましたので苦労しましたよ。ですから、南九州問題につきましても、全国需給がどうなのかということを抜きにして考えられないんですよ。そこをしっかり押さえること。 次に申し上げたいのは、今えさ業界の常識であるこの二〇〇%操業率で見ますと、定時能力が百五十五万トン、こう言われておりますが、真に生産能力は二倍になるわけですから、約三百十万トン生産可能だということになるわけです。御存じですね。実際に今は二百四万トンですから、二百四万トンと三百十万トンの差、百万トンの余力がまだあるということになるわけなんです。それで現在の操業の約五〇%増の生産が可能、こういうことになるわけですね。この百万トンの余力についてはえさの需要増から見ても過剰なんです。 農水省が出しております長期見通し、今見直し中だと、こういうことでございますけれども、五十三年―六十五年見通しの際には、七年間で約二二%伸びると、こう言っていたんです。しかし実際には二〇〇%のえさ工場設備を稼働させたとしたらまだ百万トン余力があるというようなことからいっても、今後少々の需要の増を見込んでも設備が過剰、こういうことになるんです。だからこそ今まで工場の新設に当たっては、工場閉鎖だとか生産ラインの廃止による生産能力をダウンさせるだとか、そういう設備過剰にならないための、あるいは操業率アップにつながるような指導という、つまり端的に言えばスクラップ・アンド・ビルド、こういう形での行政指導をやってきたのではなかろうかと思うんです。ところがカーギル社の場合にスクラップする工場がありますか。ないでしょう。ですから、仮にカーギル社進出を認めるということになりますと、これまでのスクラップ・アンド・ビルドというこの方針を投げ捨てることになるんです。それとも、日本の飼料メーカーにはスクラップ・アンド・ビルドでやるけれどもカーギル社は特別扱いいたしますよと、こういうことですか。大臣、お答えください。
○政府委員(大坪敏男君) 極めて技術的にわたる御質問でございますので私から御答弁さしていただきます。 まず第一点としてお断りいたしたいのは、先生先ほど来おっしゃっていますことは、確かに全国的な規模での御議論であるわけでございますが、カーギルにつきましては専ら南九州を対象としたえさの供給を目的とする工場でございますので、問題は南九州に関するえさの需給環境をどう見ていくかということであろうかと思うわけでございます。その点をまずお断りさしていただきたいと存じます。 次に、スクラップ・アンド・ビルドの問題についてお触れになったわけでございますが、私ども配合飼料工場新設につきまして検討する際は、先生御案内のように、四十四年の次官通達がございまして、これにおいて審査基準が規定されているわけでございまして、その審査基準の第一項におきまして、ちょっと読み上げさしていただきますと、「当該工場の新増設等による生産能力の増加が、飼料の需給事情および畜産の動向からみて著しく過剰とならないこと。」というふうな規定が置かれているわけでございまして、従来から私どもこの基準をもとに判断をしてまいっているわけでございます。 ところで、先生今おっしゃいましたスクラップ・アンド・ビルドの原則というものにつきましては、あくまでも供給の過剰を来さないというふうにするためには原則的にはビルドのときはスクラップを伴った方がいいというようなことを象徴的に示すために用いているものであると考えておりまして、常に正確な意味で新設される際にはこれに見合った工場ないしは設備が廃棄されなければならないというふうに私どもは考えてないわけでございまして、現実にそういった運用をしてきているつもりでございます。したがいまして、ただいま先生御指摘の場合のように、仮にスクラップする工場がない場合といえども、全体としての需給上問題がないということであれば認めることもあり得るというふうに私どもは理解しているわけでございます。
○下田京子君 いろんな問題をごっちゃに言われましたよね。私が予想していたとおりですわ。 需給の事情、あるいは著しく過剰にならないように配慮して新設工場どうのこうのと、こう言われておりますが、このことでは一体需給事情、著しく過剰にならないとは何なんだ、ペーパーに落として持ってらっしゃいと言ったら、今までそういうことについて深く検討したことはございません、公式的には何も御答弁できないですと。そういうことをやって二十年来指導してきたんですよ。これは非常に問題だということを申し上げます。 それから南九州という地域需給ということを今言われましたね。このことで申し上げたいと思うんですが、五十九年度における配合飼料の地域別の需給状況、大臣、ごらんになっていますか。えさの生産と消費で一〇〇%を割っている地域、つまり不足している地域はどこかといいますと北陸なんです。北陸三七・一%ですね。ですから消費に対して約三分の一しか生産できてないということです。詳しく言いたいですけれども、一方、過剰地域はどうかというと近畿なんです。一六五・八%です。九州全域で見たらどうかといいますと、一〇一%でほぼ現状でとんとんということになります。畜産の伸びを考えましても、九州地域の操業率を二〇〇%まで操業させると約二〇%程度の需要の伸びに対応できる能力があるというようなことが農水省の資料によっても明らかなんですよ。 この地域需給の問題をさらに南九州に絞ってお話になっていますから、私もそこを見てみたいと思うんです。 鹿児島と宮崎に限るこの南九州の消費量が、五十九年産で三百二十一万トン、月産二十七万トン、生産量が年で三百五万トン、月産にしますと二十五万トン。ですから月二万トンの不足ということになります。しかし不足分は、現在は福岡等から供給されています。鹿児島から出るのもあり、入るのもある。全体としてバランスをとっている。ですから、今全国需給が関係ないみたいなお話をされておりますけれども、今後の南九州の需要増を考えても、南九州にえさ工場を新設するという場合には、九州全域あるいは全国のどこかの需給バランスが崩れるんです。――うなずいていますよね。そうでしょう。
○政府委員(大坪敏男君) 先生のお話を伺っておりますと、南九州の今回の問題につきまして、私ども既に需給上問題がないという判断に立っているかのごとき御質問ではないかと思うわけでございますが、率直に申しまして、私ども需給の判断をするにつきましては、南九州の各県から、それぞれ各県は畜産振興計画をつくっているわけでございますので、一体各県は家畜の飼養頭羽数の伸びをどう見ておるか、これに伴う配合飼料の需要 についてはどのような伸びを見ているか等々につきましてまず各県からヒヤリングをしなくてはなりません。さらにまた今回志布志湾岸に造成されました工場用地に進出を予定しております、現在七社でございますが、これにつきまして、まだ二社につきましては県の判断がおりていないわけでございますが、その判断の方向が出てまいりますれば、私どもこの進出希望各社から生産計画、販売計画等々、詳細にヒアリングをしたい。その上で需給上問題があるかないか、適切であるかどうか、かつまた南九州の畜産に悪い影響を及ぼすか及ぼさないかどうか等につきまして判断をいたしたいと思っている次第でございます。
○下田京子君 現在はとんとんだということは否定しないわけで、これからの南九州地方全体の畜産の生産の伸びがどうなのかという話をしているわけよね。それは大いに結構なことなんです。ただ、これまた皆さんの資料の中で、じゃ日本の国民全体が食べるそういう畜産物がふえていくのか、見込まれないと言っているんです。ですから、逆に言えば、南九州で伸ばすことは私は否定していませんけれども、そのことは逆に他の地域が減るということにもなるわけなんです。 そういう状況で、今の志布志の進出計画の問題でも言われましたけれども、大臣、今の答弁というのは非常に無責任です。大臣が言ったことと矛盾しているんです。需給問題というのは政府の責任でやると大臣は述べているんですよ。これは二月。なのに、これから改めて何か各県から聞いていって、需給がどうなのか、いろいろ問題ないか考えていくという。七社進出のうち一つはカーギルで、もう一つは児湯食鳥というところ。ほか五社については、鹿児島の場合には、志布志臨海工業団地をつくるときから約束もしていた経過があるので、内々にはもう承諾している、こう言っているんですよ。その五社だけのことにつきまして見ましても、今、月産定時能力五万トンになるんです。この五社の計画を私は見せてもらった。五万トンになるということは、操業率二〇〇%でいったら十万トンですよ。月産十万トンというのはどのくらいの規模が。肉用牛、豚、ブロイラー生産で全国一はこの鹿児島でしょう。この鹿児島県のえさ消費量が約十五万トンですよ。ですから、鹿児島県のその消費量の約三分の二が今回五社だけでも出てくるということになるわけですよ。しかも、この五社進出の関係のその裏では、スクラップ・アンド・ビルドの原則できちっとやりなさい、こう言われているんです。現地でいろいろ聞いてきましたら、全農さんも言われましたよ。どこどこの工場をつぶすかな、私たちはこういう計画で出たいと、こう言っているんです。 そういうところまで来ているのに、何かこれからみたいなかっこうというのは非常に問題がある。ですから、非常に問題だなという御認識を大臣はお持ちになったでしょう。どうですか。
○国務大臣(羽田孜君) 今局長のお話し申し上げたことと私が二月二十四日の日に御答弁申し上げたことは、決して別に狂っているわけじゃないんであって、鹿児島県があの志布志湾の工場団地の中にあと二社についてどうするかということを今検討しておるということを申し上げ、そしてその結論が出た暁には私ども農林水産省として判断したい。もちろん、この判断をするに当たっては、各県の畜産のこれからの計画というものを見きわめるのは当然のことでありまして、決して答弁そのものは別に違っておりません。 それと同時に、これを許すことによってほかにも影響が出てくるんじゃないかというお話がありましたけれども、いずれにしましても、私どもは畜産の生産動向ということもその中で申し上げてきておるわけでありまして、そういうことからしましたときに、日本の場合に大家畜その他伸びる可能性というのを私たちは計画の中にも感じておりますし、持っております。それともう一つは、南九州というのはこれからも畜産団地として相当伸びていくところであろうというふうな判断を実はしております。 いずれにしましても、鹿児島県が結論を出した暁には、私どもとしてそういったものを総合的に判断しながら、このカーギル社に対してよろしいといいますか、大丈夫であろうということを言うか言わないかというのは、その全体を把握した上で申し上げたいというふうに申し上げておるところであります。
○下田京子君 カーギル進出については鹿児島県の結論を見てと、こうおっしゃっているのは、つまりは県にげたを預けた農水省、政府の需給問題についての判断は、私どもに課せられたと言いながら、ちゃんとしていないという点で問題だ。これはマスコミも随分書いていたでしょう、ボールの投げっこだ、おかしいじゃないかと。今そうおっしゃっているじゃないですか。 私ははっきりしたいんですけれども、何かスクラップ・アンド・ビルドの方針がなかったように言っていますけれども、さっき私がちょっと大きな声で申し上げたのはなぜかといいますと、この点について大変心配しているんですよ。農業団体の皆さん方が、三月十三日、畜産酪農対策・価格要求実現全国農協代表者会議で決議されている文。大臣のところにも届いていると思うんですけれども、「配合飼料工場の新・増設にあっては、スクラップアンドビルドを原則とするとの国の行政指導を得て、総需要に見合った配合飼料の製造に、関係者が一体となって努力をつづけている」と。なのに、農水省の言い分というのは、スクラップ・アンド・ビルドのことが何かなかったみたいなような言い方になって、事実に反する大変なことではないかというふうにお怒りになるでしょうし、私もそう思うということを申し上げておきます。 そこで、この農水省の言い分、農業団体の決議の一体どっちが本当なのか。事実が物語ると思うので、この十年間の生産能力の推移をお知らせいただきたいと思うんです。今までの農水省の指導の結果、昭和五十年の月産能力は何トンでしたか、今日何トンになっていますか。
○政府委員(大坪敏男君) ちょっとお待ちください。―― 甚だ恐縮でございますが、手元に十年前のデータがございませんので、この席で御説明いたしかねます。
○下田京子君 月産の生産能力の推移は私のところにはちゃんと資料がありますよ。五十年に百五十三万六千トンです。五十九年は百五十五万四千トンです。さっきから言っているでしょう、局長、五十九年百五十五万トンだって。ですから、この十年間にどのぐらいふえたかというと、約一万八千トンなんです。それしか逆に言えばふえていない、ふやさなかったということなんです。この間工場の新設はどうだったかというと、五十一年から五十八年までに二十二工場新設されております。しかし、いかに忠実にスクラップ・アンド・ビルドを守ってきたかというのは、今の二十二工場が新設されても十年間で生産能力から見てふえたのはわずか一万八千トンだったというところを見てもこの実態が証明されたと思うんです。しかも、スクラップ・アンド・ビルドの原則を投げ捨てて、地域需給という言い方でいきますと、その地域の需給だけで判断する、こうなったらどんなことが推測されますか。カーギル社が地域的に不足しているところにどんどん出ていくことがもう是ということになるんです。北陸、東北、さらに北海道、えさ工場進出を拒否できますか。
○政府委員(大坪敏男君) 先ほど来、私、県の土地分譲に関する方向が明らかになった段階で進出予定企業から生産計画、販売計画の具体的ヒアリングをしてみたいと申し上げましたのは、当然のことながら、先生もおっしゃいますように、一社ないし二社がネット増で増設された場合過剰生産を来すことは火を見るより明らかでございます。ただ、これらの工場も当然一定の販路確保を考えて工場をつくるわけでございますので、その工場が五社になるか七社になるかによりまして、既存の五社の生産計画、販売計画は大きく変更するはずでございます。したがいまして、私どもは、まず県の方で果たしてカーギル・ノースエイジア社 その他一社につきまして土地を売るのか売らぬのか。そうなりますと、その段階で当然のことながら販売先に関する調整が行われるはずでございます。したがって、私どもは先生がおっしゃるように二社ないし一社が新規に進出した場合、その増分が、生産分が当然にオンされるものとは考えていないわけでございまして、当然それにつきましては、その場合は他の既存の五社について生産なり販売の縮小が行われるというふうに考えているわけでございます。
○下田京子君 いや、もうカーギル社と他の五社と一緒にして話をしているわけ。いいですか。カーギル社が実際に進出してきたときにどうなるんですか。スクラップ・アンド・ビルドの原則は崩れますね、カーギル社に限ってはスクラップするところないんですから。カーギル社は生産を一切やっていませんから売り先ないでしょう。新たな開拓ということになりますね。カーギル社自身は畜産分野に進出して自社のえさを供給するということになっていくわけでしょう。この点が畜産農民が一番心配しているところなんですよ。ですから、鹿児島県の農協中央会の方も県の畜産担当の方々も、これまでのカーギル社の事業拡張のやり方からして畜産分野にまで進出してくるんじゃないだろうか、こういうことで心配しているんです。これは確認、知っているかどうかだけでいいですよ。カーギル社がどういう計画を持っているか。県に説明しているところを私どもお聞きしましたが、一年目年産三万トン、二年目六万五千トン、三年目が十万トン、四年目に十四万トン。十四万トンという数字は、月産能力約六千トンで申請は出していますから、それから見ますと七万二千トンということで、カーギル社の定時能力からしてまさに二〇〇%稼働になるんです。さらに五年目には十九万トンです。これは操業率が二六三・三%です。ですから、まさに最初は少ないけれども、年々とふやしていきますよ、拡大していきますよ。操業率は二〇〇%どころか、農水省の一六〇%目安なんてもうあっちへふっとんじゃって、どんどん拡大していくということになっているんです。計画自体はそう言っているんです。承知しているでしょう。しているか、していないか、イエスかノーか。
○政府委員(大坪敏男君) 私どもあくまでもカーギル・ノースエイジア社からは土地の分譲が明らかになった段階で正式にヒアリングをいたしたいと考えております。その際、ただいま先生がおっしゃいました、かつまた鹿児島地域の農民の方々が御懸念になっておりますところの畜産分野への進出問題、さらにはえさの需給なり価格に対して混乱を起こすおそれがないかどうかにつきましては、私どもしっかりとカーギル・ノースエイジア社の責任者から話を聴取したい、かように考えております。
○下田京子君 正式にはこれからヒアリングだといったて、工場進出を認めた上で正式にヒアリングも何もないでしょう。そんなことで実際にストップできますか。しかも畜産分野に進出できないなんていうことで確約できますか。できるんですか、できないんですか。
○政府委員(大坪敏男君) 県が土地を売るという方向が明らかになった段階で、私ども正式にカーギル・ノースエイジア社の責任者から各般の面にわたりまして事情聴取をしたいと言っているわけでございまして、その際、ただいま先生がおっしゃった点を含めまして、しかとカーギル・ノースエイジア社の真意を確認いたしたい、かように考えております。
○下田京子君 今県にもう出しているんですよ。鹿児島県知事あての「カーギル飼料についての御質問にお答えいたします。」という文書が出ているんです。そこでは、私たちは生産者でないと考えている、こういうことを言っているんですけれども、カーギル社が生き物である畜産に手を出さないなんてことは、とてもじゃないけれども、だれも信じられない。鶏の生産では、アメリカの雑誌のポートリートリビューン誌が一九八五年に調査した結果、アメリカ最大の採卵会社であるカーギルが一千二百万羽も飼養しているんです。 それから、もう時間がなくなってきて余り言えないんですけれども、もう実際に生き物を生産してやられている。しかも、そのやり方というのはどういうことかといいますと、これは知事への回答の中で、一九七一年に台湾に飼料工場を建設して以来、畜産事業に一切携わっておりません、こう答えているんです。ところが、現にどうなのかということで事実を見ますと、全く相反する結果でありまして、台湾に進出したカーギル台湾とは、資本構成はカーギル六〇%、台湾製糖が四〇%で、七一年に台湾に、七八年に高雄に工場を建設しまして、八四年に約五十万トンのえさを生産し、台湾第一位のえさメーカーになっているわけです。ですから、農業団体も畜産関係の方々もみんな畜産分野へのおそれを言っているんです。それであなた方は畜産分野に進出しちゃいけませんよなんてことを言えるかというと言えない。なぜかといえば、今現に日本のえさメーカー企業が畜産にまで手を出しているいわゆる直列経営というかインテグレーションというのが進んでいるんですから、日本の商社や食肉加工資本等の合弁方式、あるいはダミーを使う、あるいは畜産農家との契約生産、いろんな形で直接やらなくたってできるという格好になってくるんです。違うとはっきり言えますか、大臣。
○国務大臣(羽田孜君) 私どもは先ほどから申し上げておりますように、えさの需給事情というもの、あるいは畜産の生産動向、こういったものを見きわめて、そういうことでこれをどうするか鹿児島県が一つのサインを出したときに、私どもとしてはこれから判断をするということを何回も申し上げておるところであります。そして、やるかやらないかということについては、もし今県に対してやらないと言っているものをやるとしたら、これはうそになるんであって、もしそういうあれが来たときにはきちんと、私どもは話し合う機会が得られることになりましたときには、そのことを確認するということであります。
○下田京子君 それは進出を認めた上での話になって、国内企業がやっていることを、カーギル社さん、あなただけやめなさいなんてことを言ったら、それこそアンフェアだということで大変なことになりますよ。しかも、そのカーギル社自身がどんな企業なのかということを御指摘して私は質問を終わらなきゃならないんです。いいですか。 カーギル社の特徴というのは多国籍化と多角化なんです。多国籍化というのはどこの国にも責任を負わないということなんです。多角化というのは、もうけのあることは何でもやるという弱肉強食でやっていくということなんです。現に種子、生命保険と何でもやっておりますね。そういう中で明確にその本質をあらわしてくれたのが、恐らく農水省もつかんでおるでしょう、昨年一月、このカーギルがアルゼンチンの小麦を米国に輸入しようとした。なぜか、アルゼンチンの小麦の方が安いから。その当時アメリカの穀物生産農民は不況であえいでいたんです。アメリカの農民のことも考えないカーギルが日本の農民のことを考えますか。そういうことを明確にしておいて、カーギルの飼料工場進出というのは、第一にスクラップ・アンド・ビルドの原則を空洞化いたします。そしてえさの販売からやみ増羽から、いろんなことで今まで苦労に苦労を重ねてきた畜産農民に大きな影響を与える、これが一つ。
○委員長(成相善十君) 時間が来ましたので簡単にしてください。
○下田京子君 はい。 第二番目が、カーギル自身の鹿児島の志布志だけでなくて、既に茨城の鹿島、北海道への進出が言われている。ですから、それを認めると全国へのえさ工場進出の突破口になるということ。三つ目は、もうカーギル社自身が説明されております、なぜ志布志に出てくるか。地理的にアジアにとっていい距離にあるということで拠点化してアジア戦略をねらっている。第四に、直接あるいは間接的に畜産分野に進出あるいは企業的な形で農 外資本という格好で農民の中に支配が強まっていくでしょうということで、まさにこれは大変なことなんだということを申し上げておきます。 種子問題もありますけれども、現に北海道等で、伊達市なんかで種子問題の生産等にも取り組んでおるようですが、今までの私の発言、やりとりを聞いていたら、これはもう大変なことだということがおわかりいただける。だから、単に工場の土地分譲問題じゃないんだ、日本の畜産のあり方、農政のあり方が問われているということを重ねて御指摘して終わります。
○喜屋武眞榮君 私は、大臣の所信表明について時間の範囲内でお尋ねいたしたいと思います。 まず、何と申しましても、政策の裏づけは予算の推移を見ることが大事であると私は常日ごろから思っております。そこで、大臣の所信表明の中で、「我が国農林水産業に新たな展望を切り開いていけるよう必要な予算の確保を図ったところであります。」と述べておられます。 ところで、六十一年度予算は対前年比で九五・二%になっている、総額では三兆一千四百二十九億円と、辛うじて三兆円台を維持した縮減予算ということであります。ところが、農林水産予算の推移をずっと振り返ってみますというと、昭和五十年度までは少なくとも国の総予算の一〇%以上を保持したおった、これが農林水産省予算の一つのめどづくりであったと私は思います。ところで、五十一年度以降は年々そのシェアが低下している。六十一年度においては五・八%まで落ち込んできておる。この予算の推移と大臣のおっしゃった政策との結びつきを考えるわけでありますが、大臣はどのような見解を持っておられるか、まずそのことをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) ただいま先生の御指摘がございましたように、確かに五十一年から今日までシェアの面で非常に縮小してきておるというのは事実であります。確かに例の国債発行費、そして国債を返還していかなければならないという中で、国債費も五十六年あたりのころに比べますと構成比が相当大きくなってきておるというような現状もございまして、こういったものが相当全体の予算に食い込んできておるということであります。そういうことで、これはもう本当に残念なことでありますけれども、私ども農林水産省の予算、これが現実に縮小されてきたということ、これはもう認めなければならないというふうに私は存じます。 ただ、これも例えば先ほどからお話ししました食管経費ですとか、また一部はこれは消費者の皆様にも実は御負担をいただいたというようなことで処理をしてまいっておるわけでありますけれども、現実には総予算が小さくなっておるというのが現実であります。 そういう中で、一体じゃ何をあれしたんだということでありますけれども、例の国営土地改良事業、こういったものについて生産性を高めるためにはどうしても基盤整備というのが重要であるということで、これは財投からお金を持ってくることをやりました。それから生物系特定産業技術研究推進機構、こういったものもバイオテクノジーの研究等を進めるために設立する、今それを進めておるところであります。また農業者の自主的な創意工夫を生かして農業を積極的に進めてもらおうということで、例の中央競馬会から特別納付、これは臨時特例措置としてお願いをしたわけでありますけれども、ここから六十一年百五十億、六十二年百五十億ということで合計三百億円、このお金をいただきながら農業改良資金制度、こういったものを拡充いたしております。 なお、森林・林業、木材等につきましてはどうしても、先ほどから御指摘がありましたけれども、間伐とか保育、そのための作業道、林道、こういったものをつくっていかなければいけないというようなことで、これの拡充をすると同時に、これは特別な措置として森林・林業活性化五カ年計画というものを組みまして、こういったものも力を入れております。 また二百海里時代、これが定着したということで、私どもとしても沿岸、また沖合の漁業というものを活発にしなければいけないということでマリノフォーラム21というものをつくりまして、この中で新しい漁業というものを開発するための研究等を進めていただく、実際の施策を進めていただく、こういうことなんかを、非常に厳しい予算の中ではありますけれども、一応めり張りをつけて予算編成をしたということについて御理解をいただきたいと存じます。
○喜屋武眞榮君 厳しい予算であるけれども、結果的にはその名よりも実を取るという、花よりだんごという、この実績をつくるのは、生み出すものは、何と申しましても、そこに科学的な計画、実践、そして処理、反省、そしてやる気を起こさせるという、このことが最後の大事なかぎであると私は思います。そういう意味で、あぐらをかいてと言えば失礼ですけれども、とにかく汗水を流して働く第一線の生産の王様を本当にその気になって立ち上がらせる、このことが大事である、そういうことによって厳しい財政が一二〇%の、一三〇%の成果を上げたんだと、このことを私は期待いたします。 第二点に林業については、木材需要の低迷、経営諸経費の増高などで採算が極度に悪化しておる、財政難による国の森林整備計画のおくれとも相まって、森林の持つ公益的機能の維持が危ぶまれておる、こういうことでありますが、このため水源林の整備、間伐などの実施によって来るべき国産材時代を確実なものとすることが重要な課題となっている。このような森林・林業の財源対策として水源税の創設構想があったわけでありますが、その水源税の構想の大綱、その後の経過、そして今後の見通しを伺いたいと思う。
○国務大臣(羽田孜君) 今先生から御指摘がありましたように、山はまさにいろんな面で荒れておるというのが現状でございます。そして、先ほどから皆さんの中でも議論があったわけですけれども、二十一世紀ちょうど十五年後ぐらいに、そのころにはどうしても国産化時代になるであろう。しかし、それに対応するためには、きちんとした間伐ですとか保育というものが必要ですよという考え方がございます。 ですから、そういったものに対して、先ほど申し上げたようなことを積極的に推進しようということでありますけれども、特に水源地、特に水源涵養保安林等が存する場所というのは、これはなかなか採算というものは余り合うものじゃございません。そして、そういったところになかなか手が行き届かないということの中で、水源地が本当に荒れてきて、私たちとしてもどうしても手をつけなければいけないということで、水源税というものをお願いをしたわけであります。この水源税のあれにつきましては、水によって利益を上げ得るといいますか、事業等を進める、そういった皆様方にそれぞれ応分の御負担をいただこうという構想で実はお願いをいたしたわけであります。 ただ、この構想に対しましては、森林というものが非常に公益的な機能を持っておるということ、公益的な機能を持っているということは、例えば空気の浄化の問題ですとか、あるいはレクリエーション等に空間を提供するという問題もありましょう。そのほか相当幅広い機能を持っておる、この大きな機能を持っておる水源地について一部の産業、そういったところから税を取るというのはちょっとおかしいんじゃないかということで、また強い実は反対があったところであります。残念ながら昨年の税調の中でこれを認めていただくことができなかったわけでございます。 しかし、そういった論議を通じて、国民の幅広い皆さん方、それから反対される方々も、全部の方が実は森林というものは大切である、あるいは水源地というものはいかに大切であるかということは、全部まくら言葉で必ず皆さんが言うようになったということ、これは私は森林を理解していただく面では一つの成果というものがあったんじゃないかなというふうに思っております。しかし、それは言葉で幾らありましても、実際に進んでいかなければどうにもならないわけでございま して、私どもこれから秋にかけまして、この水源税というものについて果たしてどうみんなに理解していただくことができるのか、このまま持っていくことがいいのか、こういったことについて今実は議論を進めておるところでございます。 いずれにいたしましても、本来ですと、みんなの意見からあれしますと、一般会計から何とかしなさいという話なんですけれども、残念ですが、税調が終わった後、一般会計の中でも少しでも多くをということで、ほかのものに比べると前進はしておるんですけれども、しかし残念ながら今私どもが早急にやらなきゃならぬだけの額というものは確保できておりません。その意味でこれから私たちも検討していかなければいけないと思っております。
○喜屋武眞榮君 いかなる政策を実施する場合でも利害対立ということはあり得ることであります。その場合に、完全に相入れないという場合もあるかもしれない。ところが、国民的コンセンサス、粘り強く本当の合意を得るとするならば、納得するならば合意を得るということもあり得ます。 そこで申し上げたいことは、本当に初心にもとらず、いかなることがあっても国民にあるいはその該当者に利益する、国民の側にプラスになる、こういうことであるとするならば、その理解を求めるという誠意と努力を持って貫く必要があると思うんです。そういったことを申し上げまして、御検討願うかあるいは断念されるのであるか、この点の御判断をお任せいたしたいと思います。 次に、沖縄の問題に触れたいと思います。 所信表明との関連におきまして、何と申しましても、農業問題は、農水問題は、基盤整備というものが問われるわけでありますが、沖縄の復帰後基盤整備が急速に進んできたことは間違いありません。けれども、戦後二十七年、そして復帰十四年になりますけれども、その基盤整備がどういう状況にあるかということをまた知ってもらわなければならない。すばらしく立派になった、進んだという形でのしをつけられますというと、とんでもないということを私はよく知っておるのであります。 それで、六十年度の末までで約一万ヘクタールに整備状況が進んでおります。ところが、一万ヘクタールというのは第二次沖縄振興開発計画、いわゆる第二次振計の最終年は六十六年度でありますから、その中で策定されている圃場整備の要整備量は四万四千ヘクタールですね。それからしますと、約一三%に当たっておるんです。目標の二二%しか六十年度末で済んでおらない。ところが、この四万四千ヘクタール、すなわち二二%の率というのは、その整備率は全国平均に比較した場合にどうなっておるかということなんです。全国平均は五十八年度末現在三六%となっておりますね。もうこれだけ申し上げただけでも、はるかに本土におくれをとっておる、低い状態にある。ですから、一層どころか、本当に拍車をかけて政府が力を入れてもらわなければまた引き離される、追っつかないと、こういう状況を知ってもらわなければいけない。大臣いかがでしょうか、そのことに対して。
○国務大臣(羽田孜君) 確かにお話がありましたように、沖縄における農業基盤の整備、これは復帰がおくれたということがございまして、相当おくれておるというのが現状であります。 そういうことで、予算面におきましても、今日まで厳しい中でも沖縄につきましては、例えば六十一年度の予算案でございますけれども、これも対前年比、これは本当にわずかでありますけれども二・八%、これは一般会計の中でも、実は国費の中でもふやしておる。全体の方は九八・八%と引っ込んでおるわけですけれども、沖縄については特別の配慮をしておるというのが現状であります。 しかし、お話がありましたように、沖縄の生産条件というのは非常に厳しいものでありますし、また水寺についてもなかなか確保できないという現状がございます。そういう意味で、水資源の確保等も含めまして、私どもこれからもさらに厳しい中でも沖縄については特別に配慮していかなければいけない、このように考えております。
○喜屋武眞榮君 今の基盤整備の問題ですね、沖縄の場合、基地の中に沖縄があるというこの特殊事情で、特殊事情は特殊の配慮でしか解決ができないということなんです。次元の違う本土の物差しをそのまま当てただけでは百年河清を待っても追っつくはずがないわけですから、そこを私は当然の権利として要求したいと思います。 次に、今国際的にも問題になっております市場問題と日本の農業生産物との問題、アメリカとの市場開放の問題、いろいろふくそういたしまして、それから円高・ドル安の問題とも関連しまして今また大問題になっております一つが、沖縄産のパイナップル缶詰の問題でありますが、最近の円高で競争力が急激にまた低下している。輸入品に押されて農家は生産継続の瀬戸際に立たされておるきょうこのごろであります。昨年十一月末の時点でパイナップル缶詰の在庫は四十二万二千ケースに達している。この四十二万二千ケースというのは前年の同期に比して二・三倍、この量は年間の生産量のほぼ半分に相当する量が在庫しておるわけなんです。本年一月にはさらに冷凍パインの関税が三五%から二八%に下がった。このことでさらに側圧を受けまして、パンチを受けまして、このことは、米国が自由化を要求している農産物の十二品目の一つでもあるという立場から、さらにさらに輸入枠が拡大される可能性が十分にあると思われます。申し上げるまでもなく、このパイナップル産業、沖縄のかけがえのない地域産業なのでありますが、この危機に政府として一日も早く対策を講じてもらわなければいけない、こう思うわけなんですが、このことについて大臣の御答弁を求める前に、次のことで私はぜひ今の問題に触れたいと思います。 この沖縄のパインの缶詰の問題、冷凍パインの問題は、毎年のように今日まで右往左往してきたいきさつがあることは御存じだと思います。そこで、去年パイナップル缶詰の国内需給の見通しを一応検討いたしまして、沖縄の生産農家とパッカー、工場側、そして政府の指導のもとに長い時間をかけて検討しまして出した結論が、年間消費は二百四十万ケースと抑える、そして沖縄産は百万ケース、外国輸入は九十万ケース、冷凍パイナップルは五十月ケース、計二百四十万ケース、この内訳を合意いたしておりますね。ところが問題は、去年このような取り決めをするまでには、値段も協定して、そして少なくとも五カ年間でしたか、これでいくという、その協約のもとにこの結論が紳士的に協約されたわけであります。ところが、今政府としてこの二百四十万ケースを二百三十万ケースに減じていこうと、こういった考えがあるということを聞いておるわけです。 その修正計画は、沖縄産の去年までの百万ケースを八十万ケースに落とす。マイナス二十万ケースですね。外国産は依然として九十月ケース、据え置き。そして冷凍パイナップルは六十万ケース。去年は冷凍パインは五十万ケースだったんです。それをプラス十万ケース。外国物は十万ケースふえる。こういうことになっておるということを聞いておりますが、これが事実であるのか。もし事実であるとするならば、去年までのあの紳士的な協約は一体何なのか。これは黙っておれない。こういうことでお尋ねするわけですが、このことが事実であるのかどうか。もし事実であるとするならば、なぜ沖縄産だけに削減を押しつけるのか。農水省の真意がさっぱりわからないというのが私の問いたい意図なんですが、いかがですか。
○政府委員(関谷俊作君) 沖縄のパイン缶詰の需給のいわばフレームと申しますか、そういう問題についてのお尋ねでございます。 従来の方針と申しますのは、国産につきまして大体百万ケース、冷凍パイン缶詰は今五十万ケースというお話でございましたが、大体五十五万ケース標準というような考え方がございました。輸入につきましては、御承知のように、日米間の 合意もございまして九十万ケースというラインでいかなければいけないわけでございまして、今お尋ねの新しい状況に応じて、現在沖縄県あるいは生産者団体、それからさらに冷凍パイン缶詰の工業組合と協議しておりまして、来週早々にでも最終的に六十一年産の生産のいわば枠取りをどういうふうにやっていくかということを関係方面と東京で御相談することになっているわけでございます。 その場合の考え方は、国産につきましては、従来の百万ケースという目標につきましては、これを今基本的に変えるという時期ではございませんが、ただ最近今お尋ねの中にございましたような大変な在庫増、こういうことで、四十数万ケースというお話もございましたが、私ども把握しておりますのは三十四、五万ケース程度にはなっているんじゃないか。こういうことでございまして、国内生産の方が従来の百万という目標よりも実際には減っておりまして、八十万あるいは六十年度九十万ケースぐらいになっております。こういう状況では、現在の厳しい在庫の状況に対応するとしますと、国産についてはこの際、百万ケースという基本的な目標は変えるわけではないけれども、当面六十一年は八十万ケース目標というぐらいのところで生産をひとつ考えなければいけないんじゃないか。一方、冷凍パイン缶詰につきましては従来五十五万ということでございましたが、五十九年が七十万ケース、六十年見込みが八十万ケースということで大変増加をしてまいりまして、この際工業組合の力によりましてこれを抑える、こういう相談をしているわけでございますが、最近の三年間平均程度であり、かつ組合の指導力と私どもの指導を通じまして達成可能な目標としてはやっぱり六十万ケースぐらいではなかろうか。こういうような感じを持っておりまして、今まだそういう方針を決めたわけではございませんけれども、先ほど申し上げましたように、六十一年の生産に向けまして今申し上げましたような考え方で関係方面と御相談をしながら、ひとつこの厳しい在庫増の状況を乗り切るということで考えていったらいかがかという御相談をしている段階でございます。
○喜屋武眞榮君 国民の食生活の多様化によって二百四十万ケースを二百三十万ケースに減すということはわかりますよ。 ところが、沖縄のパインについて、国内産業を育成するという基本方針に照らして、その生産を、国内工場を最大限育成すると、こういう大前提が所信表明の基本精神である。そうですね大臣、そうでしょう。
○国務大臣(羽田孜君) はい。
○喜屋武眞榮君 これは歴代の大臣もまたそのようなことを一貫して表明してくだすった。それを受けて、今までいろいろの形でのトラブルもありましたが、とにかく県産品を優先消化する、県産品という枠を入れず国産品と言ってもいいでしょう、国内産品を優先消化するという配慮で実は今日までのトラブルを静めてくださったいきさつがあるわけなんです。 そういう道義的立場からも、このように沖縄の地場産業の基幹作目の一つであるパイン、しかも国産品として大事に育成すべきものであるそれを、安ければという国際分業論の見地に立って押しつぶしていく。今問われておる市場開放、自由化の問題にへこんで、大事な農産品、食生活の基本的な問題に触れる、このことをここで考え直してもらわなければいけない、こういうことなんです。 ですから、もし私のこの問いが杞憂であれば幸いであります。ぜひその基本に、原点に戻って見直してもらう、このことを確約してもらいたい。大臣いかがですか。
○国務大臣(羽田孜君) 基本的な問題について申し上げますけれども、実はこのパイナップルの輸入問題につきましては、今日まで私自身も、いろいろな国との話し合いのときにみずから出かけていきまして、ともかく沖縄の事情というものをよくお話ししながら、ともかく何とか少しでも防いでいきたいというつもりでやってまいりましたし、今度のいろいろな議論の中でも、これの基本的な枠のあれというものについて私どもはいじるつもりはございません。いずれにしても、沖縄でサトウキビとこのパイナップルが一番の基幹であるということを私どもよく承知し、これからもそういうことを頭に置きながら施策を進めていきたいと思っております。 現実の問題については局長から。
○政府委員(関谷俊作君) 需給関係についてこれからの御相談の方向というものは先ほど申し上げたとおりでございますが、国産につきましては、最近栽培農家、栽培面積、生産量、減少傾向にございまして、そういうことで百万ケース目標のところが実際には八十万、多いときで九十万ケース分ぐらいしか生産できない。にもかかわらず、ここのところ消費需要の減退とかいうことでかなり在庫がふえているという状況では、百万ケース目標ではあるけれども、当面八十万ケースというあたりを六十一年度の目標とせざるを得ないんじゃないか、そういうことで御相談をしたいと思っている次第でございます。 また、冷凍パインにつきましても、確かに従来の数字から申しますと少し多いわけでございますが、これがまた輸入がかなりふえました状況で、この三年間の状況とか、あるいは工業組合を通じまして生産を抑制する場合の実現可能な程度ということになりますと、六十万ケースというような実現可能な線をねらって生産抑制をしてもらう、こういうことがいいのではないかということで、そういう御相談をこれから月末に向けましてやってまいりたいと考えている次第でございます。
○委員長(成相善十君) 喜屋武君、時間が参りましたので、終わってください。
○喜屋武眞榮君 これで終わりますが、一言。 どうか今までの大事な協定もありますし、それを大事にしていただいて、希望と勇気を与えてくださるよう御配慮をお願いしまして終わります。
○委員長(成相善十君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
○委員長(成相善十君) 次に、主要農作物種子法及び種苗法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。羽田農林水産大臣。
○国務大臣(羽田孜君) 主要農作物種子法及び種苗法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 種苗は最も基礎的な農業生産資材であり、優良な種苗の生産及び流通を確保することは農業の振興を図る上で極めて重要であります。 このため、我が国の基本食糧であり、かつ基幹作物である稲、麦、大豆につきましては、主要農作物種子法に基づき、優良な種子の生産及び普及を図っております。また広域にわたり流通が行われている一定の種苗につきましては、種苗法に基づき、品種その他の事項の表示を義務づける等により、その流通の適正化を図っているところであります。 しかしながら、近年、種苗の分野においては、バイオテクノロジー等新技術の開発の著しい進展に伴い、国、都道府県等の公的機関のみでなく、民間事業者を含め、積極的な技術開発及び品種の改良が進められており、これらの技術開発等の成果を活用して優良な種苗の生産流通を促進し、もって我が国農業の生産性の向上及び農産物の品質の改善を図ることが重要な課題となっております。 政府におきましては、このような情勢に対処して、主要農作物種子法について、農業者に対する優良な種子の供給を確保するための国及び都道府県の主導的な役割を堅持しつつ、優良な種子を生産し得る民間事業者も主要農作物の種子の生産の分野に参入し得る道を開くとともに、主要農作物の種苗を含めた種苗の流通の一層の適正化を図るため、種苗法の指定種苗制度の拡充等を行うこととし、この法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。 まず、主要農作物種子法の改正であります。 第一に、主要農作物の種子は、都道府県が指定した圃場で生産を行うものとされておりますが、委託を受けて主要農作物の種子を生産する者の圃場は、一般にこの指定を受けることができることとしております。 第二に、都道府県は、現行どおり、必要な主要農作物の原種及び原原種の生産を行わなければならないこととするとともに、都道府県以外の者で適格性を有するものによる原種及び原原種の生産の道を開くこととしております。 次に、種苗法の改正であります。 第一に、指定種苗の指定対象を拡大することとし、主要農作物たる稲、麦及び大豆の種苗を追加するとともに、種苗に関する技術開発により流通することとなる新たな態様の種苗も必要により含めることができることとしております。 第二に、指定種苗の表示内容を充実することとし、農林水産大臣は、その品種の栽培上または利用上の特徴を識別するための表示が必要であると認められる指定種苗について、その品種の特徴に関する表示の基準を定めて公表し、これを遵守しない種苗業者に対し勧告及び命令を行うことができることとしております。 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。 以上であります。
○委員長(成相善十君) 次に、補足説明を聴取いたします。関谷農蚕園芸局長。
○政府委員(関谷俊作君) 主要農作物種子法及び種苗法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。 本法律案を提案いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下その内容を若干補足させていただきます。 まず、主要農作物種子法の改正について御説明申し上げます。 第一に、指定種子生産圃場の指定対象の拡大であります。 都道府県が指定種子生産圃場として指定する圃場は、現在、譲渡の目的をもって種子を生産する者が経営する圃場のほか、市町村または農業者の組織する団体の委託を受けて種子を生産する者が経営する圃場に限られておりますが、これらのうち委託を受けて種子を生産する者が経営する圃場については、委託者を市町村等に限定しないこととし、市町村等以外の者も主要農作物種子の生産を委託する道を開くこととしております。 第二に、原種及び原原種の生産に関する規定の整備であります。 主要農作物の原種及び原原種の生産につきましては、その重要性にかんがみ、現行どおり、都道府県は、必要な原種及び原原種の確保が図られるようその生産を行わなければならないこととする一方、新たに、都道府県以外の者が原種または原原種を生産する道を開くこととしております。すなわち、都道府県以外の者が経営する圃場において主要農作物の原種または原原種が適正かつ確実に生産されると認められる場合には、当該園場を指定原種圃または指定原原種園として指定することができることとするとともに、指定種子生産圃場と同様に、圃場審査及び生産物審査を行うこととしております。 次に、種苗法の改正について御説明申し上げます。 第一に、指定種苗の指定対象の拡大についてであります。 主要農作物の種子の流通は、今後多様化することが予想されることから、現在、指定種苗の指定対象から除外されている稲、大麦、裸麦、小麦及び大豆の種苗を指定種苗の指定対象に追加することとしております。 また、現在、指定種苗の指定対象は、従来販売されている種子、根、苗等に限られておりますが、バイオテクノロジー等の進展により流通することとなる新たな態様の種苗も必要により指定し得ることとしております。 第二に、指定種苗の表示内容の充実についてであります。 農林水産大臣は、指定種苗のうち、その需要者が自然的経済的条件に適合した品種の種苗を選択するためその品種の栽培適地、用途その他の栽培上または利用上の特徴を識別するための表示が必要であると認められるものについて、その品種の栽培上または利用上の特徴に関する表示について種苗業者が遵守すべき基準を定め、これを公表することとしております。 また、その基準を遵守しない種苗業者があるときは、当該種苗業者に対し、その基準を遵守すべき旨の勧告及び命令を行うことができることとしております。 このほか、種苗法に基づく農林水産大臣の権限の一部を都道、府県知事に委任する規定を設ける等、主要農作物種子法及び種苗法について所要の規定の整備を行うこととしております。 以上をもちまして、主要農作物種子法及び種苗法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
○委員長(成相善十君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時十三分散会 ―――――・―――――