地方行政委員会 第11号
- 発言数
- 20 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1986/05/20
会議録
○委員長(増岡康治君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る五月十五日、水谷力君が委員を辞任され、その補欠として加藤武徳君が選任されました。 また、去る五月十六日、海江田鶴造君、志村哲良君及び竹山裕君が委員を辞任され、その補欠として福田宏一君、上條勝久君及び古賀雷四郎君が選任されました。 また、去る五月十七日、福田宏一君が委員を辞任され、その補欠として岩上二郎君が選任されました。 また、昨五月十九日、井上計君が委員を辞任され、その補欠として三治重信君が選任されました。 また、本日、三治重信君及び神谷信之助君が委員を辞任され、その補欠として井上計君及び下田京子君が選任されました。 —————————————
○委員長(増岡康治君) 地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、提出者から趣旨説明を聴取いたします。衆議院地方行政委員長福島譲二君。
○衆議院議員(福島譲二君) ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。 御承知のように、近年、土地の有効利用の手法として土地信託が注目を集めておりますが、この制度は、土地の開発利益を十分に享受できる仕組みであり、また、信託契約によって信託期間終了後に土地の所有権を返還させることができるとともに、信託銀行等の知識、経験等を活用して建物の建築やその管理、処分を効率的、弾力的に行うことができる等のため、民間において急速な普及を見せているところであります。 最近では、地方公共団体においても、このような土地信託制度のメリットを考慮し、民間活力の活用によって公有地の有効利用を推進する観点から、その導入を検討しているものが見受けられるところであります。また、この土地信託制度は、その活用によって現在緊急な課題となっている内需の拡大に資するとともに、都市再開発等のまちづくりの事業を行うに当たって土地の売買を必要 としないため、地価の高騰を回避することもできると考えられるのであります。 しかしながら、現行の地方自治法では、公有財産の管理、処分の態様として、貸し付け、交換、売り払い、譲与、出資及び私権の設定を規定しているものの、信託については特に規定がなく、これを予定していないものと考えられております。 そこで、本案は、このような土地信託制度のメリット及び地方公共団体の動向等にかんがみ、民間活力の活用によって公有地の有効利用を促進する手段として信託制度を地方公共団体の公有地について導入するため所要の措置を講じようとするものであります。 なお、国有地につきましても、今国会に提出されております国有財産法の一部を改正する法律案におきまして、これと同様の措置を講ずることとされております。 これが、本案を提出いたしました理由であります。 次に、その内容について申し上げます。 第一は、信託の対象は、公有財産のうち普通財産である土地及びその定着物に限り、当該普通地方公共団体を受益者として、建物の建築、土地の造成等政令で定める信託の目的により、議会の議決を経て信託することができることとしております。 第二は、不動産の信託の受益権については、これを公有財産の範囲に加えることとしております。 第三は、普通地方公共団体の長は、その信託期間中に公用または公共用に供する必要が生じたとき等においては、信託契約を解除することができることとしております。 第四は、普通財産である土地等の信託に関し、その受託者を監査委員の監査及び普通地方公共団体の長の調査権等の対象とすることとしております。 第五は、普通地方公共団体の長は、普通財産である土地等の信託について、事務処理状況を説明する書類を議会に提出することとしております。 このほか、地方公営企業法において、土地等を信託する場合には議会の議決を必要としないこととする等関係規定の整備を行うこととしております。 以上が、本案の提案の理由及び内容であります。 何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(増岡康治君) これより質疑に入ります。——別に御発言もないようでありますから、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○下田京子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。 この法案は、地方自治体が保有する土地の管理、処分の態様に土地信託制度を導入しようとするものであり、提案理由説明によると、土地信託制度は売却よりも土地の開発利益を十分享受できるとか、地価の高騰を回避することができる、あるいは民間活力の活用によって公有地の有効利用を促進するものと言われています。 しかしながら、第一に指摘したいことは、地方自治体が取得、保有する土地は、売却して利益を上げるためではなく、公共の目的に利用するためのものであり、普通財産といえども今日では貴重な都市の開発空間であり、利益優先の利用であってはならないという点です。この点で、法案は、契約終了後あるいは公共の用途に供する必要が生じたときに契約の解除を行い、土地の返還が可能であるとしていますが、しかし、一たん信託され、建物が建設された土地や利用者のいる建物が簡単に返還可能であるのか、また、たとえ返還されたとしても、果たして公共の用に立ち得るのかどうか、極めて疑問が多く、公共優先が保障されていないことです。 第二に、公有地の有効利用等の問題です。 駅前ターミナル等市街地における土地利用にとって最も重要なことは、その地域の町づくりに合った利用を住民の納得と協力を得て行うことです。ところが、信託制度では、こうした土地利用を受託者である信託銀行等に守らせる何らの保障もありません。これでは有効利用とは言えません。 問題はこれだけではありません。国公有地に信託制度を適用するに当たって、信託終了後に残存する建物をどう扱うのか、建物を利用しているテナント業者と受益者である地方自治体との借家関係はどうなるのか、土地所有者が期待する土地利回りを確保する信託配当がどうすれば可能なのか、建物の運営が破綻したとき信託財産への追求は免れるのかどうか、多くの問題を残しています。こうした多くの問題を残したままなぜ土地信託制度の導入を急ぐのでしょうか。 ある信託銀行の責任ある担当者は次のように言っています。例えば、学校等を信託でつくってそれを借り上げていただく、あるいは図書館、公民館、博物館、そういうものを民間の方でおつくりしましてそれを借りていただく、一種のオーダーリースということになろうかと思いますと。これは、普通財産のみならず、行政財産へも信託制度を拡大し、本来、地方自治体が行うべき公共施設を民間の営利本位の建設、管理、運営にゆだねることを意味するものではありませんか。これは、まさに地方自治体の行政責任の放棄につながるものと言っても決して過言ではありません。 この法案による土地信託制度の導入がこのような多くの問題と矛盾を持ちながら成立を急がれている背景には、中曽根内閣の財界本位の内需拡大を目指す民活路線があることを見逃すわけにはまいりません。こうした中曽根内閣の民活路線は、内需の拡大はおろか、子々孫々に及ぶ町づくりと公共施設の建設、管理までも大企業のもうけ仕事に提供しようとする極めて危険な政策であることを指摘し、私の反対討論を終わります。 以上です。
○委員長(増岡康治君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(増岡康治君) 御異議ないものと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 地方自治法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(増岡康治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、佐藤君から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤君。
○佐藤三吾君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 地方自治法の一部を改正する法律案に対 する附帯決議(案) 政府は、本法施行令の作成及び実施に当たり、次の事項に特段の配慮を払うとともに、適切な指導に努めるべきである。 一、公有地の信託制度は、信託による土地の利用目的が一般的な営利の追求ではなく、地域住民の生活利便の向上と地域の健全な発展に資する目的に沿って活用されるべきものであることを周知徹底し、適切な信託契約の締結について留意すること。また、信託される土地の利用については、周辺住民との紛争回避に特段の配慮を払うこと。 二、信託の受託者については、業務の適正・公正な執行が確保されるよう、その選定方式等に特段の配慮をするとともに、受託者が行う各種契約については、地方自治法の契約方式に準じて行うよう留意すること。 三、地方公共団体の公用、公共用施設の建設等は、地方公共団体の本来の責任と負担において行われるべきものであることにかんがみ、これを主たる目的として信託が行われることのないよう十分に留意すること。 四、地方公営企業における信託制度の活用については、当該公営企業の本来の事業を勘案し、その支障とならないよう十分配慮するとともに、公営企業会計に対する一般会計からの繰り入れを的確に行い、信託による収益に経営基盤を求めることのないよう適切に措置すること。また、地方公営企業の信託については、政令で定める基準に従い、地方公共団体の予算で定めなければならないものとすること。 右決議する。 以上であります。 何とぞ満場一致御賛同いただきますようお願い申し上げます。
○委員長(増岡康治君) ただいま佐藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(増岡康治君) 全会一致と認めます。よって、佐藤君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、小沢自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小沢自治大臣。
○国務大臣(小沢一郎君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重して善処してまいりたいと存じます。
○委員長(増岡康治君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(増岡康治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(増岡康治君) 次に、請願の審査を行います。 請願第六号個人年金共済の共済掛金にかかわる地方税法上の別枠所得控除限度額引上げに関する請願外九十一件を議題といたします。 本委員会に付託されております請願は、お手元に配付の付託請願一覧表のとおりでございます。 これらの請願につきましては、理事会で慎重な審査を行い、協議いたしましたので、その結果を御報告いたします。 請願第六号個人年金共済の共済掛金にかかわる地方税法上の別枠所得控除限度額引上げに関する請願外九十一件はいずれも保留とすることに決しました。 以上、御報告いたしましたとおり決定することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(増岡康治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(増岡康治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(増岡康治君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。 地方行政の改革に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(増岡康治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(増岡康治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時十五分散会 —————・—————