P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
104回国会参議院1986/03/26

大蔵委員打合会 第1号

発言数
58
登壇者
11
会派数
6
開催日
1986/03/26

会議録

山本富雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(山本富雄君) ただいまから大蔵委員打合会を開会いたします。  租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として、税制調査会会長代理木下和夫君、明治大学教授西野萬里君、東京経済大学教授市川深君及び日本長期信用銀行産業調査部小沢雅子君、以上四名の方々の御出席をいただいております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。参考人の方々から忌憚のない御意見を承りまして、法案審査の参考にいたしたいと存じます。  これより参考人の方々から御意見をお述べ願うわけでございますが、議事の進行上、最初に参考人の方々からお一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じますので、よろしく御協力のほどお願いをいたします。  陳述いただく順序は、お手元に配付してございます参考人名簿の記載順でございます。  それでは、まず木下参考人からお願いいたします。

木下和夫税制調査会会長代理

○参考人(木下和夫君) 木下でございます。  租税特別措置法の一部を改正する法律案について考えるところを述べよという御要請でございますので、税制調査会が昨年十二月に提出いたしました昭和六十一年度の税制改正に関する答申に即しながら、改正の考え方について述べることといたします。  最初に、六十一年度税制改正の基本的な考え方についてでございますが、まず第一に、シャウプ税制以来の抜本的見直しの審議を現在私ども進めているところでございますが、その審議がまだ途中の段階にあることを考えまして、昭和六十一年度改正では税制の骨格に変更を加えることは適当ではない、また基本的には現行税制の枠組みを動かさないという態度で臨むべきであると考えました。  第二に、極めて厳しい現在の財政状況を考慮いたしますと、まず歳出面においてさらに徹底した節減合理化を要請いたしますとともに、税制につきましては租税特別措置の整理合理化等に一層の努力を払い、税負担の公平化、適正化を推進すると同時に、税制の抜本的見直しの障害とならない範囲内において何らかの増収措置を講ずることもやむを得ないと考えたところでございます。  第三に、内需拡大等の政策的要請につきましては、その政策自体の重要性を否定するものではございませんが、個別の政策目的達成のために税割を手段とすることは、公平、簡素及び中立といった税制の基準に照らして慎重に考えるべきことであり、税制の抜本的見直しとの関連から見ても、新規の措置の創設等を行うことは、基本的には適当でないと考えました。  なお、政策目的や費用対効果の関連等について十分検討した上で、例外的に必要最小限の措置を講ずることも考えられないことではございませんが、その場合におきましても十分慎重に対処することが必要と考えたわけでございます。  次に、六十一年度改正におきます個別の事項についての考え方を申し上げます。  まず所得税でございますが、所得税のあり方につきましてはさまざまな論議が行われておりますが、現在税制の抜本的見直しの中で、その基本的仕組みを含め、広範な角度から検討が進められておりますので、所得税の負担のあり方につきましては、その検討の中で明らかにされるべきものと考えました。したがいまして、昭和六十一年度において所得税減税を行うことは、現下の厳しい財政事情を考え合わせますと適当ではないと考えたわけでございます。  また、単身赴任や教育費の問題等、家計の負担を緩和するための税制上の特別措置を求める要望がございますが、これらについてどのように対処すべきかにつきましては、税制の抜本的見直しの中で検討していくことが基本と考えました。ただ、さまざまな国民の生活態様の中から特定の条件あるいは特定の家計支出を抜き出しまして、これらを税制上しんしゃくするにはおのずから限界があると考えております。  次は法人税でございますが、法人税の上積み税率措置につきましては、厳しい財政事情にあることを考慮すれば、これを延長することはやむを得ないと考えます。ただ、法人税の負担水準のあり方については、先ほどから申し上げております税制の抜本的見直しの中で今後検討していくべきものと考えております。  なお、法人税の欠損金繰越控除制度の一部停止措置につきましては、現在の財政事情のもとで抜本的見直しに反しない範囲内での増収措置というやむを得ない処置と考えております。  次に、租税特別措置でございますが、この問題につきましては、税負担の公平確保が一段と強く要請されておりますところから、六十一年度においてもさらにその整理合理化を進めるべきであると考えます。なお、海外の特殊関係企業との取引を通ずる所得の海外移転に対処して適正な国際課税を実現するため、移転価格税制を導入すべきであると考えました。  また、間接税につきましては、昭和五十年度以降、負担水準の適正化と財源確保等の観点から、ほぼ毎年にわたって負担の見直し、課税範囲の拡大等が行われてきたところでございますが、それでもなお従量課税による税収が約半分を占めているということ、サービス課税の割合が低いということ等から、国税収入に占める間接税のウエートは連年低下してきている実情にございます。  このような状況のもとで、現行の間接税制度につきましても、税負担の公平、税制の中立性等の観点からさまざまな問題が提起されておりますが、既存の税制の枠内で個々に解決を図ることが難しい面もございますので、今後、税制の抜本的見直しの中で掘り下げた検討を進めていくことが適当であると判断をいたしました。  なお、たばこ消費税の引き上げ措置につきましては、税制改正の手続としては異例なことでございますが、補助金等の整理合理化に伴う地方財政対策としてやむを得ずとられた措置であることは理解できるという考え方をとります。  最後に、税制の抜本的見直しについて、その検討状況を若干申し上げたいと思います。  税制調査会におきましては、三つの特別部会を設け、昨年内に現行税目について一わたり検討を行っておりまして、その過程で、理論的、専門的検討を要することとされた幾つかのテーマにつき専門小委員会で検討することが委嘱されました。これらのテーマのうち、専門小委員会での検討を終わったものから順次特別部会へ報告して審議しておる状況にあります。既に二月下旬からこの特別部会における審議を始めて、今日に至っておるところでございます。  以上のほか、本年に入ってからは、執行当局から税務執行の現状と問題につきヒアリングを行い、また大阪及び昨日は広島で公聴会を開くなど、税制調査会としても広範な角度から抜本的見直しに取り組んでおります。  この春には、税負担の軽減合理化を中心とした中間的取りまとめを行う予定でございますが、その方向、内容につきましては、今後の税制調査会での審議にまたなければならず、現時点で私から憶測に基づく発言を申し上げることは差し控えたいと思います。  以上で終わります。

山本富雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(山本富雄君) ありがとうございました。  次に、西野参考人にお願いいたします。

西野萬里明治大学教授

○参考人(西野萬里君) 西野でございます。  私も、木下先生のお話の中でのように、今回のこの租税特別措置法の改正案というのは、全体的に現行制度の枠内での改正というような限界を持ったものであるというふうに見ておりますが、もちろんそれは、六十二年度以降に予想されております抜本改正というのを控えているためということでございますので、一応やむを得ないというふうに考えます。しかしながら、そういう意味で今回のこの改正案にはおのずから限界もあるわけでございまして、部分的な手直しといった枠を出ていないということになるかと思います。  しかし、今回の改正を見ておりますと、若干違った事情、とにかくある種の改正を必然化させるような問題もあったかと思います。それは言うまでもなく、国の内外から要求されておりますような内需の拡大といったことや、それから財政上の必要、つまり財源の確保といった問題、それからさらには、適用期限の到来した制度の検討といったようなことから要求された改正もあったかと思います。  法人税を中心としてちょっと申し上げてみたい点を幾つかこれから申し上げさせていただきたいと思います。  法人税の改正につきましてのポイントを見ますと、まず、特別措置の廃止されるもの、それから縮減合理化という形で整理されるもの、そのほかに、これとは反対に新しく創設される制度というのがございます。  そんなものを二、三見て、ちょっと検討をしてみたいと思うわけですけれども、まず、特別措置の廃止でございますが、エネルギーの利用効率化設備の特別償却等というのが廃止になりまして、これは新しい形、装いを新たにしてエネルギー基盤高度化設備の特別償却等という形になるようでございます。  それと、価格変動準備金が廃止されるわけでございますが、これはかなり縮減が進んでまいりまして、五十九年度の準備金残高が八百四十五億円というそう大きくない規模になってきておりまして、廃止されてもそう大きな影響はないというふうにも言われております。しかしながら、そのうちの四百数十億というような数字が五十億以上の資本金を持つ大企業に属しているということを考えますと、それなりにかなりこの廃止には意味があるだろうと思われます。  そのほか、特定鉄道工事償却準備金の廃止というようなことも提案されております。  それから次に、特別措置の縮減合理化の方でございますが、これは、特別償却の割り増し償却率を引き下げるとか、あるいは準備金、例えば海外投資等損失準備金とか中小企業等海外市場開拓準備金といったような準備金の積立率の引き下げというような形で提案されております。  それからざらには、新しく創設される制度でございますが、特別償却制度として注目されますのは、先ほどちょっと触れましたエネルギー基盤高度化設備の特別償却等というのに加えまして新しく、民間事業者の能力の活用により整備される特定施設の特別償却、そして電線類の地中化設備についての特別償却というのがございます。この後者の方は、特に社会生活環境の整備を税制面から促進するものとして注目されるものと思います。  それからさらに、新しく導入されるような提案がございますのが移転価格税制でございます。これは、問題になっておりますところの海外の特殊関係会社との取引につきまして、独立企業間の価格を基準にして課税しようというものでございまして、これも注目に値すると思います。  そのほか、法人税率の特例制度を一年間延長するということと、欠損金の繰越控除の一時停止、これが直近一年間に生じた欠損金に限って停止するというものでございますが、そういうものが両立ったところかと存じます。  全体として言えますことは、租税特別措置の整理合理化がかなり進展してきている。今回もそういうようなものの一環として整理が行われているのではないかと思うわけでございます。  五十一年度から租税特別措置の整理合理化が行われ、毎年それが継続して行われてきたわけでございますが、五十一年度の第一次一律縮減というのと、五十五年度の第二次一律縮減というのを含めまして、五十一年度以降毎年、期限が到来する分についての見直しとかあるいは重点項目の見直しが進んでまいりまして、六十年度までに既に五十項目の特別措置が廃止されております。そのほか多項目の特別償却率の引き下げも実現いたしまして、その結果といたしまして、四十年代では特別措置、法人税関係でございますが、特別措置による減収分、これの法人税収に対する比率というのを見ますと、大体平均で十年間で七・二%ぐらいでございましたが、五十一年度以降の整理合理化の進展に伴いまして、五十年代では大体三・四%ぐらいになっております。ちなみに、六十年度、六十一年度では大体減収予想額が四千六十億円ということでございまして、法人税収に対する比率は三・二%でございます。  最近の米英の法人税率の引き下げ案とかあるいは引き下げ計画というようなものの財源が、そういう国における特別措置の廃止というようなところに求められている状況というのがございますが、これと我が国の場合を比較いたしますと、我が国の特別措置の整理合理化の進展は目覚ましいものがあるのではないかと思うわけでございます。もちろん政策税制の役割の重要性というのは認めるわけでございますけれども、しかし、昨今求められておりますような税負担の公平化とか適正化あるいは中立的税制というのを実現する上からは、こういうような動きは極めて重要であって高く評価できるのではないかと思うわけでございます。今回の改革もそのような一環としての性格を持っているというふうに言えるだろうと思います。  ただし、ちょっと異なりますことは、今回の場合には、内需の拡大とかあるいは社会経済情勢の変化への対応といったことから幾つかの新しい措置の導入も試みられているというわけでございます。しかしながら、こういうふうに進展してきたという特別措置の整理合理化について手放しで称賛できない面もあるわけでございます。といいますのは、特別措置が、過去におきまして、一度導入されますと次々に新しい制度が導入されるというようなそういう連鎖反応的な経緯を思い起こすことができるわけでございますが、そういう点から見て、少しでも残っているということは、それが真に必要なものであるかどうかということを十分に検討した上でないと非常に問題が多いのではないか、問題が残るのではないかと考えますので、既存の制度については常に再検討する必要がございますし、それからまた、新設のものにつきましては十分な検討が必要かと考えております。  以上でございます。

山本富雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(山本富雄君) ありがとうございました。  次に、市川参考人にお願いをいたします。

市川深東京経済大学教授

○参考人(市川深君) 租税特別措置法にはそれぞれの政策目的がありまして、目的に対する適合性という観点では一定の有効性を持つものであることは言うまでもありません。しかし、税負担の公平性という観点から見ました場合、租税特別措置法は所得課税制度を根本的に侵食しまして、税制に抜け穴をつくり、勤労所得には重く、事業所得、特に大企業ほど有利な逆進課税構造として作用しています。こうした税制のもとでは、弱きを助け強きをくじくという社会正義が、弱きをくじき強きを助けるものとして逆作用いたしまして、租税特別措置は租税制度の根幹にかかわる国民の税感情、公平感覚を損なうものとなっています。人はだれでも、自分以上の暮らしをし、それを支える所得や資産があると思われます隣人がはるかに少ない税金しか納めていないとしたら、正直に税金を払う気をなくします。  ちなみに、現行税制において国民の税負担はどのようになっているかを統計資料で見ることにいたします。  一としまして、国民の税負担の割合。国民所得に対する租税負担率は、昭和四十九年二一・四%から昭和五十八年二四・五%に急増しました。この内訳を給与所得者について見ますと、昭和四十九年と比較して昭和五十八年の給与支給額は二・○六倍にとどまっていますが、源泉所得税は二・九三倍になります。給与に占める源泉所得税の割合は四・〇七%から五・七九%に上昇し、その後も増加を続けていると見られます。この増税は勤労者に対する重課として特徴づけられます。  法人企業は、昭和五十一年以降著しく高収益となり、その後昭和五十六年から低下の傾向にありますが、法人所得に対する法人税負担割合は収益の増加とは逆に低下を続けまして、昭和五十年度に七五・七%であった税負担割合は、昭和五十八年度には六二・三%まで低下しています。これは表の三であります。さらに表の四を見ますと、法人税資本金別の実効税率負担割合を見ますと、資本金一億円以下の法人が二七・五%でありますが、資本金百億円以上の法人が二〇・五%と大企業の負担割合は軽減され、逆進構造を示しております。しかも、表五を見ますと、昭和五十九年度で見ましても、全法人百六十二万社のうち欠損法人九十万社で、全法人の五五・四%は赤字法人で法人税等は納付していません。  このような不公平な税負担の実態は租税制度のゆがみに基づくものでありまして、その主要な原因は租税特別措置による所得課税への侵食であると言っても過言ではありません。  次に、今回の租税特別措置法の一部を改正する法律案との関連に限って若干の項目につきまして意見を申し述べます。  移転価格税制の強化ということについて、今回の法律案にある移転価格税制、租税特別措置法第六十六条の五は、企業の多国籍化、国際化が進展する中で、海外の特殊関係企業との取引価格操作を通じての租税回避行為を防止しようとするものであります。この限りにおいては十分その成果が期待されるものでありますが、多国籍企業は法の盲点を突く現代の怪獣と言われておりまして、移転価格税制の実施に当たっては、法制上及び行政上の整備がなければその目的を達成し得ないものであります。  移転価格税制を一九六二年以来実施しているアメリカについて見ますと、アメリカの石油産業は子会社によって事業を行い移転価格、タックスヘーブン、外国税額控除、課税の繰り延べによってアメリカ国内課税のほとんどすべてを回避していると言われます。また、アメリカ上位百社のアメリカ系多国籍企業の一九六九年平均税率二六・一九%、それ以外の企業の平均税率は四四%であります。  多国籍企業は、低税率国、タックスヘーブン国に子会社を設立し、本国か第三国より低価格でその子会社に原材料、製品等を輸出し、その子会社は高価格で国内またはその他の国で販売します。この価格操作で低税率国に多額の利益をもたらします。多国籍企業の本国または他の高税率国の税務当局は、移転価格に疑問を持ち、調査をするとしましても、商品の種類、品質等の差異が多いこと、低税率国の協力が得られないということがあります。確かに、移転価格税制によって製品、部品、原材料等の価格については、独立価格比準法、再販売価格基準法、原価基準法その他の方法によって比較可能な資料を収集して、適正取引基準でその妥当性を測定することは理論上可能でありますが、技術援助報酬、本社費の配賦負担額の算定などは関係会社の決定に依存しなければならず、適正な算定は困難であります。  要するに、移転価格税制は、主権を異にする諸国までの調査が困難であります上に、低税率国としての発展途上国は、経済発展のために多国籍企業の誘致が必要でありますから、多国籍企業に有利な税制をとりまして、配当、権利等使用料、みなし配当に課税しません。したがって、多国籍企業を送る側と誘致する側の法制上及び行政上の整備、国連を舞台としての討議、互恵的な租税条約の広く締結されることが強く望まれます。  次に、外国税額控除制度の見直しということについて。移転価格税制との関連で外国税額控除制度の見直しが必要とされています。  外国税額控除には次の三種類があります。外国にある支点が、その外国で生じた所得に課せられた外国法人税等を本国の法人税等から控除するもの、法人税法第六十九条一項から三項。出資比率二五%以上、ただしアメリカ、オーストラリア、ブラジルは一〇%以上の外国子会社が納付した外国法人税で、本国の親会社へ配当したその配当に対応する部分は、本国の親会社が納付したものとみなす間接外国税額控除、法人税法第六十九条四項。みなし外国税額控除、これは租税条約によって認められたもので、発展途上国が外国から企業誘致、資本の導入を図るための誘因として税の減免をした場合、その減免をした租税を本国の法人が納付したものとみなして法人税等から控除します。この制度がある条約国はタイ、マレーシア、インド、パキスタン、シンガポール、ブラジル、スリランカ、ザンビア、韓国、スペイン、アイルランド、フィリピン、インドネシアの十三カ国があります。これは租税条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令十であります。  以上三種類の外国税額控除のうち、外国にある支店の場合には二重課税控除を根拠としますが、その他はそうではなく、外国子会社の場合は、外国に支店として進出した場合に比べ税制上の不利のある扱いを受けることを理由としますし、みなし外国税額控除は発展途上国の投資促進を理由としています。いずれも対外直接投資による経済協力、発展途上国の経済の発展、当該企業の資本蓄積の強化という側面を持っています。しかし、この制度によって本国の雇用機会は失われ、課税権もその外国に移り、本国の税収は悪化します。しかも、本国の親会社は移転価格税制で外国、例えばアメリカで支払った税金を本国の法人税で控除するという方法で回収することも可能であります。  事実、昭和五十八年三月期に、大手商社のうち国内法人税を納めたのは住友商事百十七億円とニチメン四億円のみで、他の三菱商事、丸紅、日商岩井、トーメン、兼松江商の各社は国内法人税等の納付額はゼロであります。これは外国法人税額控除によるものであり、こうした傾向は国内企業の税負担を加重させることによって本国の財政収支のバランスを保つことになりまして、税負担公平の原則が阻害されます。外国税額控除制度の見直し、厳重なチェックが強く望まれる次第であります。  特別償却制度についてでありますが、租税特別措置法における特別償却制度は連年縮減の措置がとられることは望ましいことでありますが、新たに創設される次の三つの特別償却制度は検討が必要とされます。一、エネルギー基盤高度化設備にかかわる特別償却または税額控除、特別措置法第四十二条の五。二、民間事業者の能力の活用により整備される特定施設の特別償却、租税特別措置法第四十三条の二。三、電線類の地中化設備についての特別償却、租税特別措置法第四十三条一項七号。  特別償却は、課税の延期及び無利子の国家金融という効果をもたらし、資産が絶えず更新、拡張される状況のもとでは、加速償却によって半恒久的に償却費を拡大させ、課税所得を圧縮します。この特別償却による加速償却を行うには、それを吸収することができる膨大な利益が前提とされるところから、その利用は独占的な利益のある大企業に限られできます。特にエネルギー基盤高度化設備が輸入機である場合には、特別償却または税額控除が二割増しとなります。円高による利益もありまして、屋上屋を架することになります。  電線類の地中化設備についてでありますが、御承知のとおり、電力会社は膨大な円高差益を得ておりますから、その差益で充当すべきものでありまして、特別償却により国家が税制上保護するほどの必要はなかろうかと存じます。  次に、欠損金の繰越控除の一部停止及び繰り戻しによる還付の不適用。直近一年間に生じた欠損金に限り繰越控除の適用を停止する、租税特別措置法六十六条の十三。欠損金の繰り戻しによる還付の不適用、租税特別措置法第六十六条の十六。  欠損金の繰越控除制度は、企業の税負担を調整する見地から平均課税を行うものでありまして、ある年度に生じた欠損金を五年間にわたって所得から控除します。この繰越控除制度は、不確実な将来の予想を基礎として将来の税負担軽減を約束するものでありまして、新企業に刺激を与え、投資を促進するものであると説かれています。しかし、その利用度を考えますと、倒産率の高い中小企業は低く、破産してしまえば利用できるものではありませんから、欠損が五年続いても残存するにはそれだけの力のある企業が前提とされますから、この制度は利益の大きい企業にとってこの上もなく利用価値の高いものとなります。  欠損金の繰り戻し制度は、ある年度に生じた欠損を前年度の所得から差し引く意味で、前年に支払った税金を払い戻しします。欠損金の繰り戻し制度は、過去に純収益があり納付していることが前提とされますから、既存の収益会社にとってのみ利用し得るものでありまして、新設企業や倒産率の高い小企業では全く利用し得ませんから、利用度は限られできます。  他方、勤労者が長年勤めていたが、事情があって失業した場合、所得がなく、企業で欠損を生じたと同じ状態でありますから、欠損金の繰り戻しによって前年に支払った所得税が戻ってくるかといえば、そういうことはさらさらありません。また、失業中の欠損金を再就職後の所得から差し引かれる欠損金の繰越控除ということもありません。  この欠損金の繰越控除、繰り戻し制度は、個人企業と個人家計、大企業と中小企業との間に税負担の不公平を生ずるものでありまして、不公平を阻止するという観点から、欠損金の繰越控除の一部停止及び繰り戻しによる還付の不適用は望ましい措置であると考えます。  結びといたしまして、今回の租税特別措置法の一部を改正する法律によって、同法はスクラップ・アンド・ビルドが行われますが、同法にはまだ数多くの特別措置が残存しており、今回の改正によってもまだ租税制度のゆがみは正されるわけではありません。否、むしろ財政規模の拡大と高い課税水準のもとにおける現在の累進的租税構造は不可避的に各種の特別措置という減免措置を生み出して不公平を生じます。  つまり、租税特別措置は等しく公平にすべての企業に適用されるかのようでありますが、その実質は大企業に有利に適用されます結果、累進的課税構造はその中に逆進的構造をつくり出しまして、給与所得者を中心とする勤労者に累進課税と、大企業と中小企業との間に逆進課税を含むものとなります。このことは所得課税制度を侵食しまして、売上税、殊に付加価値税への依存を余儀なくさせ、国民の税感情と公平感覚を著しく損ない、政治不信を高めるものとならざるを得ないと考えるものであります。  以上です。

山本富雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(山本富雄君) ありがとうございました。  次に、小沢参考人にお願いいたします。

小沢雅子日本長期信用銀行産業調査部

○参考人(小沢雅子君) 小沢でございます。  実は私、先ほどからお話しされました木下先生、西野先生、市川先生とは全く異なっておりまして、税制の専門家でもなければ法律の専門家でもございませんでして、全くの素人でございます。なぜこの場に呼ばれたのか、いろいろ考えてみますと、どうも二つの理由がありそうであります。一つは、至って庶民の税金を納める納税者として呼ばれたのであろうと。税金を納めている人の大半というのは、別に税金の専門家でもなければ法律の専門家でもございませんでして、全くそういうことには素人の国民大衆でございます。そういう大衆の意見というのもこういう場に反映させることが必要であろうと恐らくお考えになりまして、そういう大衆の一人を引っ張ってこようということで私が呼ばれたのだと解釈させていただいております。  ただ、私ごらんのようにまだ若輩でございまして、それほどたくさん所得を得ているわけじゃございません。至って低所得でございます。ですから、納めております税金の額も大変小さなものでございます。ですから、有名な多額納税者として新聞やテレビにお出になる方々のように、納税者の代表というほどの立場は全くございませんでして、低所得の庶民の代表、こういう立場が一つあろうかと考えております。  じゃ、二番目に、なぜ私が呼ばれたか考えてみますと、ここ四、五年ほど私は、国内の消費需要がなぜ盛り上がらないのか、消費需要を回復させるにはどうしたらいいか、こうした問題について少しく考えてまいりました。特にここ一、二年、海外から、日本の国内の需要をもう少し拡大させるべきである、特に消費需要を拡大させるべきである、こういう要請が強い折でもあり、先ほどから木下先生、西野先生、市川先生などの専門的なお話を聞いておりましても、今回の税制改正において、そういう内需拡大、こういう政策も織り込まれているというふうな御意見でございましたので、消費需要を拡大するためにはどうしたらいいか、それを考える立場から私がこの場に呼ばれたというのが恐らく二番目の理由であろうと考えております。  二番目の、消費需要を拡大するにはどうしたらいいかという観点から今回の税制改正案というのを眺めてみますと、恐らく関係がありそうなポイントというのは二つありまして、一つは住宅取得促進税制の創出ということで、二番目が住宅取得金にかかわる贈与税の軽減、こちらの方ではなかろうかと考えております。  住宅ローンに関して少し述べさせていただきますと、まず、日本の国民の貯蓄率というのが大変高い、これは海外からいろんな批判を浴びているわけでございます。  現在日本人の家計の貯蓄率は一八%でございます。この一八%という数字は、貯蓄の金額を可処分所得で割った数字でございます。御承知のように、可処分所得と申しますのは、国民が給料とか、あるいは自営業の方ですと利益とか、こうしたことによって稼いだお金から税金等を引いた金額でございます。この貯蓄率一八%というのは海外と比較しましても大変高うございまして、アメリカですともう七%ぐらいになっております。ヨーロッパ諸国も大体一〇%から一二%ぐらいで、日本より高いのはイタリアぐらいである、こういうふうな数字が出ております。非常に貯蓄率が高いので、日本人は生活にゆとりがあるんじゃないかと海外から批判されているわけでございますが、実はこの一八%という数字、必ずしもゆとりを示してはおりませんでして、むしろこれまでのツケを払っている、こういう側面もあるわけでございます。  と申しますのは、貯蓄率一八%の三分の一に当たります六%の部分というのが、実はこれは預貯金がふえたわけでも株式の保有株数がふえたわけでもございませんでして、これまでにしてきた借金を支払っている、この金額に当たるわけでございます。この六%というのが、実は借金を背負っている家計も背負ってない家計もすべて平均した数字でございます。  ちなみに、借金を背負っている家計というのは全体の国民のうち何%いるかと申しますと、まず、日本の人口は大体一億人強でございますが、そのうち所得を稼いでいる人が六千万人と言われております。その六千万世帯のうち半数に当たります三千万世帯が大体住宅ローンを保有しております。この住宅ローンを保有している人々がどのくらい可処分所得のうちローンを返済しているかと申しますと、一四%に当たるお金を返済いたしております。大体平均の可処分所得が五百万円といたしますと、一四%ですから年間七十万円、月にいたしますと五万円強を住宅ローンの返済に充てているわけでございます。ですから、こうした方々が仮に住宅ローンの債務残高の一%を税額控除されるとすれば、それによってかなりの程度消費が盛り上がるわけでございます。  ところが、ここに難点が二つございまして、一つは今回の改正というのが、六十一年一月一日以降に居住に供する住宅について適用されるということが一点でございまして、二番目の点が、居住用財産の譲渡所得の課税の特例を受けた場合にはこの制度は受けられない、この点でございます。  これがなぜ問題になるかと申しますと、現在の日本人の持ち家率、自分名義の家に住んでいる率というのが既に六〇%近くになっております。これから住宅を買う人というのは、今まで借家にいて新たに持ち家を持とうとする人であるよりは、むしろ今自分の名義で持っている家が例えば狭いとか古いとかあるいは勤務地から遠過ぎるとか、こういったもろもろの理由によって買いかえていこうとする人々であるわけでございます。こういう買いかえ需要が今後の住宅需要の大半に当たるわけでございますので、仮にこうした買いかえ需要を拡大させて内需を拡大しよう、あるいは買いかえ需要によって新しく住宅を買った人々の税金を軽減してあげて、その分消費需要を拡大しようということであれば、やはりそれなりの配慮が必要ではないかと思われます。ところが、今回の税制改正ですと、どうも買いかえ需要ということは余り盛り込まれていなくて、今借家に住んでいる人たちが新たに買う場合に大変恩恵を受けるような形になっております。  先ほどからおっしゃいました税制の公正、中立、簡素という原則からいえば、こうしたやり方の方が恐らく望ましいと思われるのでございますが、ただ、内需拡大という面からいいますと、恐らく今後の住宅需要は買いかえが中心になることから考えますと、それほど金額的な住宅需要の拡大あるいは消費の拡大というのは見込めないのではないかというふうに考えております。  これが内需拡大という点から見た場合の今回の改正法に関する若干の難点でございます。  以上、消費需要を拡大するためにどうしたらいいかということに対する私の意見を若干述べさせていただきましたが、最後に、庶民の納税者として今回の税制改正についてどう思うかという私的な感想を述べさせていただきますと、先ほどから木下先生、西野先生、市川先生が繰り返しておっしゃいましたように、税制というのは公正、中立、簡素の三原則をもってすべきであり、そのためには租税特別措置法はなるべく見直すべきである、こういった御意見を拝聴させていただきました。もちろん専門的な難しいことは素人の私にはわかりかねる面が多うございましたが、ただ、庶民の一人として、低額納税者の一人として実感として申し上げさせていただければ、全く賛成でございまして、やはり租税というのは公正であり中立てあり、なおかつわかりやすいものであってほしいと願っている次第でございます。  以上、全く素人的見地で、なおかつ簡単なもので恐縮でございますが、私の意見を述べさせていただきました。

山本富雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(山本富雄君) どうもありがとうございました。  以上で参考人の方々の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人の方々に質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 社会党の村沢牧でございます。参考人の皆さん方には、お忙しいところを御出席いただきまして、貴重な御意見ありがとうございます。  最初に木下参考人にお伺いいたしますが、その一点はたばこ消費税の引き上げについてであります。  竹下大蔵大臣は当委員会でもたびたび、税調は神様でございます、こういうふうに言明されておるわけでありますが、今回の措置は神様のお声がかりでもなく、また神様に何ら相談をして決定してというわけでもないというふうに思っておるわけであります。  そこで、先ほど参考人の御意見をお聞きいたしましても、この神様の方も、やむを得ない、怒りを覚えて政府に天罰を下そうというような声も余り見られないわけでありますけれども、この間の経過をどのように税調としては受けとめていらっしゃるかどうか。そしてまた、この措置は一年限りだと言っておりますが、一度引き上げたものを一年間でもとへ戻すようなことが実際問題できるものかどうか。その辺について参考人の御意見を一点お伺いしたいと思います。  もう一点お伺いします。  次は赤字法人課税の問題でありますけれども、これも非常に評判が悪く強い反対の声も上がっております。今中小企業が円高不況で塗炭の苦しみを受けているときに、まさにこのような措置は時代の要請に逆行するものである。それからまた、こうした繰越制度をつくった歴史的経緯からいっても、あるいはまたこの制度をつくる意味からいっても、何としてもこうした問題は撤回してもらいたい、こういう強い要請が私どものところへ参っておるのであります。  税調の答申では、赤字法人について「所要の措置を講ずることも考慮してよいものと考えられる。」こういうことになっておりまして、こうしたことが引き金となって、政府がこの答申に悪く言えば便乗してこのような改正になったものというふうに思われますけれども、今回の措置について税調としては、やっぱり赤字法人の繰越金をこのような措置をすべきだというふうに考えておられたのかどうか。  その二点についてまずお伺いしたいと思います。

木下和夫税制調査会会長代理

○参考人(木下和夫君) 村沢先生の御質疑に対してお答えいたします。  第一のたばこ消費税の引き上げの問題でございます。  私どもの基本的考え方は先ほどもちょっと申し述べましたが、昨年十二月十七日の税制調査会の答申に述べておりますとおり、抜本改正を前にしておりますから、基本的には現行税制を動かさないという姿勢で対処するというのが一貫した態度でございました。ところが、六十一年度予算編成作業が進みます中で、補助金等の整理合理化に伴いまして地方財政への影響が非常に大きいものである、これを何とかして救わなければならないというところで地方財政対策としてたばこ消費税の引き上げが必要であるという話が出たのが十二月二十日でございます。実は、余計なことでございますが、閣僚協の御趣旨を受けまして補助金の問題に関する検討会が設けられたわけでございますが、私はその座長をしておりましたのでこの間の事情はよくよく存じ上げております。急遽十二月二十日の夜、税制調査会では運営小委員会を開きまして御相談を申し上げた上、翌二十一日の午前に総会を開いてこの問題を決定をしたわけでございます。  もちろん二十一日の総会ではさまざまの御議論が出されまして、最終的には、小倉会長から談話を発表してほしいということになりまして、御承知のとおり、税制改正の手続としては異例なことであって好ましくない、またその内容について委員の中には異論もあったところであるが、政府としてはまことにやむを得ずとった措置であるということは理解できる、ただ、また補助金の整理合理化の取り組み方には特段の留意を要するという会長談話を発表すると同時に、このたばこ消費税の税率アップについて承認をしたわけでございます。もちろんこれは御意見のとおり問題はあろうかと思いますが、私どもとしてはやむを得ないということで、しかも地方に対する財源措置でございますので、どうしてもこれは仕方がないというところでのんだといういきさつでございます。  それから、第二番目の赤字法人課税の問題と申しますのは、御承知のとおり、もう数年前からたびたびいろいろな形で御論議があったところでございます。しかし、法人税といたしましては、利益あるいは法人の所得がない場合に法人税を課税するというわけにはいきません。したがって、何らか別途の方法はないものかというような御議論があったことは私も跡づけをしておりますけれども、六十一年度の税制改正に関する答申におきましては、全法人の半数以上が赤字申告を行っているという実態、これは赤字の申告でございまして、赤字法人と直ちに言えるかどうかは問題でございますが、赤字で申告をしておるのが全法人の半数以上に及ぶという実態。それからまた、これらの赤字法人における諸般の経費の支出状況というものを見てみると、これらの法人についても実質的に過大な負担を求めることにならないように配慮しながら所要の措置を講ずることも考慮してもよいという考え方を示したところでございます。  したがって、むしろ積極的というよりもやむを得ない措置として私どもは考えだというのが基本的な方針でございます。  今回の措置は、政府において我々の答申を踏まえて現在の財政状況にかんがみて採用された措置であると理解をしておりますが、今回とられました措置は、青色申告書を提出した事業年度において生じた欠損金の繰越控除制度につきまして、直近一年間に生じた欠損金に限って適用を停止するというものでございますが、この措置は、当該年度に黒字である法人について適用されるものでありまして、当該年度において赤字である法人については決して課税を強化するというたぐいのものではないと思います。また、その黒字法人は、二年前、三年前、四年前及び五年前に生じた欠損金については当年度において繰越控除ができます。直近一年間に生じた欠損金は全く繰越控除ができなくなるわけではございませんので、翌朝以降は四年間繰越控除のチャンスが残っているわけでございます。  このような措置であれば、現在の財政事情のもとでは、先ほど申し上げましたようにやむを得ない措置であると考えております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 大変恐縮ですが、重ねて木下参考人にお伺いいたしますが、先ほどの私の質問の中で一点お答えがない部分について後ほどお答えいただきたいと思いますが、たばこ消費税の引き上げについて、一年限りだということになっておるわけですが、こうしたことが一年限りで済むものであるのかどうか、税調の考え方もお聞きをしておきたい。  それからまた続きまして、実は今回の予算審議で野党は所得税及び住宅などの政策減税を要求いたしまして、与野党幹事長・書記長会談では「所得減税については、今国会中に各党間で合意を得るよう協議し、昭和六十一年中に成案を得る。」「住宅、教育、パート等政策減税については、できるだけ速かに実施できるよう今国会中に実務者間で結論を得る。」このようなことを申し合わせをいたしまして、政府はこのことを尊重いたしますというふうに言っているわけなんです。  そこで、今税調も政府の要請を受けて、まず減税を先に論議をしてくれというような政府の要請であるようでありますが、この春ごろにはその方向も出されるようでありますけれども、税調の出される減税案というのは、この与野党合意にも非常に関連を持ってくるというふうに思いますけれども、その規模は一体どのぐらいのことを考えていらっしゃるのですか。あるいはまた、この場合、所得税に限らず今申し上げました政策減税等についても税調としては考え方を示していただけるのでしょうかどうか。  そのことと関連いたしまして、減税案を出すにはその財源措置も当然出していただかなければならないというふうに思うわけです。そうでなければ、ただ単に選挙向けのPRにすぎないと言われてもいたし方ないと思うんですが、この点について、昨年小倉会長が参考人として国会に出席された際、財源措置を示さないまま減税案だけ先に出すことはいたずらに国民を惑わすものだという旨の発言をされておるわけですけれども、税調としては減税案とあわせて財源措置もお考えを示されるのかどうか、その点です。  もう一つ三点目には、減税の内容が既にマスコミ等を通じていろいろ伝えられておるところでありますが、そのうち最高、最低税率あるいは課税最低限についてお伺いしたいんです。  すなわち、最高税率の引き下げは何か当然のことのように言われておるわけでありますが、逆に、最低税率と課税最低限については、最低税率は引き上げられ、課税最低限については引き下げられる、このような方向だということが報道されておるわけでありますけれども、税調としては今、私が述べたような方向で議論がなされていらっしゃるのかどうかお聞きをしたいと思います。

木下和夫税制調査会会長代理

○参考人(木下和夫君) 先ほどお答えを忘れておりました点について申し上げますが、たばこ消費税の税率引き上げの問題は、先ほど申し上げましたように、国がら地方に対する補助金の削減合理化の問題と密接に関連をしております。したがいまして、私どもは、六十一年度における補助金の整理合理化に関連して生ずるところの地方負担の増加を何とかして救おうという発想からこのような案をやむを得ず認めたところでございますので、六十二年度以降補助金の整理合理化がどのような形で進められるのか、全く今のところ私自身も見当つきません。したがいまして、あくまで五月一日から来年の三月末でございますか、その間の措置としてお考えいただいてよろしいと思います。  それから第二番目に、ただいまお話がございました所得税に関する減税措置あるいは政策減税についての与野党間の合意につきましては、私自身は新聞等で拝読いたしました程度で、恐らく四月になりますれば税制調査会の席上で事務当局から御説明があろうと思います。したがいまして、私の頭の中には新聞等で承知しております問題点しか入っておりませんけれども、税制調査会では、昨年九月に総理から出されました諮問を受けまして、本年の秋ごろの全体的な答申に向けて、今いろいろな角度から税制の見直し作業を進めておるところでございまして、御質問の与野党間の合意事項につきまして直ちに税制調査会として何らかの意見あるいは考え方を申し述べる立場にないということを御理解願いたいわけでございます。これらの問題につきましては、当然全体的な税制の見直しの中に含まれる問題点であることは疑いのないところであろうと思います。  それから次は、財源措置をあわせて考慮する必要があるのではないかというお話でございますが、ただいま申し上げましたように、春ごろにまず税負担の軽減合理化のための方策について答申をまとめまして、それを踏まえた上で、財源確保のための方策などを含めた税制改革の全体的方向について秋ごろに恐らく答申を取りまとめるということをめどにして目下審議中でございます。  問題は、最初から財源の問題を考えるべきではないかというお話でございますけれども、私どもの考え方といたしましては、会長の御意見もさることながら、審議の手順といたしましては、最初から財源論というものを持ち出すのはこれは適当ではあるまい。いわば所得、法人両税を中心にしてさまざまの租税の負担の見直しということをやる作業を行いました上でないと、どのくらいの財源が要るかということは到底見当はつかないわけでございます。したがって、順序といたしましては、初めから財源の話にいかないで、税に関するいわば不公平感、重圧感を除去してまず国民の理解を得たい。その上でこれの財源をどうするかということが問題として浮かび上がってくるというような感じで私どもは総理の御諮問を受けとめて、そのような線に沿って議論を進めておるところでございます。  それから、第三番目にお話がございました減税の内容、特に所得税における最高、最低税率の問題、課税最低限の問題につきましては、御承知のとおり、専門小委員会におきまして累進構造について勉強いたしました結果を先般第二特別部会に報告をいたしました。この場合でも、基本的な考え方だけを述べましたわけで、具体的な税率の高さ、あるいは課税最低限の大きさ、これはもちろん課税最低限と申しましても基礎控除、扶養控除、配偶者控除、それに給与所得者の場合には給与所得控除等を合計したものが課税最低限を構成するわけでございますから、私どもは基礎控除や配偶者控除、扶養控除、給与所得控除等々の問題をそれぞれ煮詰めた上でないと、課税最低限がどこに行くかということについて明示的にまだ御報告を申し上げておりません。  したがいまして、第二部会の審議におきましても、新聞その他には何やら一定の率が出ておりますけれども、第二部会の審議に関する限りは、あるいは専門小委員会の審議に関する限りは、一切こういう具体的な数字というものなしで基本的なあり方というものについて審議をしたところでございまして、御指摘のような問題は今後の審議において次第に煮詰まってくるもので、果たしてそれが春の中間報告で明示されますかどうかも私は現在のところはっきりしためどは立っていないと申し上げるのが正直のところでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 ありがとうございました。  もう一、二点お伺いしたいんですが、私が与野党合意のことを申し上げたことは、これについて見解はどうかということをお聞きをしたわけではないんです。このことは私どもがやったことですからこのとおりになるでしょうが、税調は、答申と与野党で協議をしてくることとは関連をしてくるわけですね。政府としても税調の御意見を聞かないとということになってくると思いますが、したがって、税調のこの減税に対する考え方は大きな影響を及ぼしてくると思うんです。  そこで、例えばこの税調委員の中にも、いわゆる暴れ馬ということをマスコミに書いているんですが、こういう十人ばかりの特別委員を総理が追加をした。この暴れ馬の一人は、税制の発想転換として、五兆円減税で日本を救えるというような論文が、最近ですがある雑誌にも載っているんですけれども、それはまことに結構な発想だというふうに思いますが、四十人も税調の皆さん方が、権威者がおられる中で、こういう暴れ馬の力をかりなければやっぱりこういう減税の発想の転換ができないのか、大変失礼な言い方ですが。そのことをお聞きをしたいんです。例えばこの五兆円減税、そうしたことも税調の今後の論議の対象として今検討されていらっしゃるのか、そのことについて重ねてお伺いをしたいというふうに思うわけであります。  それから財源の問題についても、私は、大幅減税をするにはどういう財源でやるのかということが国民の前に明らかにされないと、ただこれだけ大きな減税をしますといって打ち出しただけではどうも国民も納得しないし、税調としてもそういう減税を打ち出すならやっぱり財源のことも同時に考えてもらうべきではないかというふうに思いますので、重ねて御答弁をいただきたいというふうに思うんです。  それからもう一点、これは木下参考人にひとつ教えてもらいたいんですが、中曽根総理は税制改革の目標として公平、公正、簡素、活力、それに最近選択という言葉をよく国会で言われるようになったんですけれども、税制改正の中で選択ということは一体どういうことであろうかということで、私も実は非常に不勉強でありましてわからないんですけれども、もし税調に問われたら、選択というものはこういうものでございますというようなことが、お考えがあったらぜひ教えてもらいたいんですが。

木下和夫税制調査会会長代理

○参考人(木下和夫君) まず第一に、減税の規模の問題でございまして、ある特別委員が雑誌に書かれました論文を引用なさいまして五兆円という金額をお示しになりましたが、私どもは減税の規模は多ければ多いほどいいと思いますけれども、しかし、それじゃ五兆円というのをどういう減税の項目の積み重ねによって行うかということになると極めて問題がございまして、ここで、私の口からどのぐらいの減税の総規模を考えているというようなことは全く申し上げかねるわけでございます。それはあくまで特別委員のある方の御意見というふうに御理解を願いたいと思います。  それから第二番目は、財源の問題はどうしても触れるべきだというような御議論も実は世の中にはかなりあると思います。ただ問題は、私個人の意見をつけ加えさしていただければ、所得税で税率を引き下げるということになれば、できるだけ所得税の中でこれを処置したい、まず第一に。それから法人税の税率を引き下げるならば、法人税における今のさまざまな措置の中で問題を片づける余地はないものかということを最初に考えるわけでございます。  その点から申しますと、先ほど市川先生からお話がございましたように、租税特別措置というのが不公平の源泉であり、これを一切やめろという御意見でございます。  市川先生の御議論によりますと、例えば法人税では、目下租税特別措置による減収額が六十年度ベースにおきまして四千億余りになっておりますが、このうち千六百億を超える金額は中小企業分でございまして、他方、資源エネルギー対策、科学技術の振興などに関する減収分が二千四百五十億となっておりますが、これも不公平ならやめろという御意見でございましたので、もしできますならば、やめることができれば、少なくとも法人税の減税を要請されます場合に四千億余りはこれで助かるという感じで先ほど承りました。  また、所得税などにおける特別措置もやめろという御意見でございましたが、まことにありがたい御意見で、例えばマル優制度というのは五千億余りの減収になっておりますし、利子配当所得課税の特例が五百三十億、生命保険料控除、損害保険料控除等が二千五百二十億。住宅取得控除、これは先ほどはこれをもう少し拡充しろという御意見でございましたが、まさに租税特別措置でございまして、住宅を獲得する人だけが受け取る一種の便益でございますから、これも不公平だと言われる意見があれば確かに不公平でございますが、これもやめる。あるいは社会保険診療報酬の所得計算の特例千億余り、これもやめる。あと租税特別措置としては、青色申告控除、みなし法人課税五百三十億という減収になっておりますが、こういうものをやめるのが不公平是正になるならば、可能であれば、私はまず第一にこういうものをやめて減税の財源をつくるというのが筋だろうと思います。  しかし、それで足りなかった規模というものがどのぐらいになるか目下見当つきませんが、別途の財源を獲得しなければならない、こういう順序になろうかと思います。まず最初は、所得税の減税は所得税の中で不公平と言われるものをなくしましょう、法人税の減税は法人税の中で不公平と言われるものをなくしましょう、こういう議論から出発したいと私個人は思っております。  それから第三番目に、公平、公正、簡素、活力の次に総理が選択という言葉をお使いになった。これは、選択という項目はほかの項目と違いまして、租税を立案する場合の基準とか租税の準則というものとはやや意味が違うと解釈いたします。したがって、私もこの言葉が出ましたときにどういう意味かということを迷いました。ただ、いろいろ聞いてみますと、選択というのは、一つの断定的な結論というのを出さないで、幾つかいわば代替的な考え方を述べてほしい、その中からどれかを国民に選んでいただくというのが選択という意味だということでございますので、もしそれであるならば、私どもは、報告書では幾つかの代替案を出しまして、その中から御議論をいただいてどれか一番賛成の多いものをとっていただくというのが選択という言葉の意味に沿うやり方だと考えております。  以上でございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 どうもありがとうございました。  西野参考人にお伺いいたしますが、法人税の特別措置の整理合理化が進んでいるし、さらにこれはすべきだという御意見でありますが、これはもし先生お気づきの点がありましたら、これからどんなことをやらなきゃいけないのかというような御意見があったらお聞きをいたしたい。  それから、新たに必要のあるものについても設けているけれども、これは十分検討する必要がある、そういう御意見だったのですが、それに関連をいたしまして、東京湾横断道路の建設資金を得るために新たな措置を今度の法律で提案をしているんですけれども、これはいろいろ今日まで経過があったようでありますが、最初は免税債を考えたがどうも批判が強い。したがって割引債として今回法改正をした。東京湾横断道路についてもいろいろ批判のある面もありますが、このような道路投資を、あるいは社会資本の投資を、特定の地域でこのような措置をつくってどんどんやっていって、新たにこういう制度をつくっていいものかどうか、その辺について御意見をお伺いしたいと思うんです。

西野萬里明治大学教授

○参考人(西野萬里君) まず、東京湾横断道路の問題から申し述べさせていただきますが、これに代表されますようないろいろな新しい措置が導入されようとしている動きが見られるわけでございますが、私は基本的には税制というのはまず公平でなければならないというふうに考えまして、特に法人税関係につきましては、企業間、産業間あるいは企業規模間、そういったものの中で中立的な税制でなければならないというふうに考えます。  そこで、政策手段の一つとして租税特別措置というような政策減税というものがあるわけでございますけれども、私の考え方では、政策減税というのはできたら最小限にとどめて使わないのがよろしいのではないか、そして別の措置を講ずることができないのだろうか、そういう基本的な立場をとっておりますので、個々に具体的には深くまた研究をしておりませんので、はっきりと今ここでは申し上げられませんけれども、基本的にはそのように考えております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 ありがとうございました。  市川先生にお伺いしますが、先生御説明いただきましたように、いろいろと税の負担も伸びておるわけであります。そこで、政府は今日まで増税なき財政再建を堅持する、これを盛んに述べてきたわけでありますけれども、お話がありましたように、租税負担率は年々上昇して、六十一年度予算では私どもの調査でも二五・一%、シャウプ税制以来最も高い負担率を記録しているんですが、こういう実態を、税制の基本は余り動かしてないから増税なき財政再建だというふうにお認めになるでしょうかどうか。その辺のことが一点。  それから、赤字法人の繰越控除についても御意見をいただいたわけでありますが、私は、企業を継続していくという面から見ても、あるいはシャウプ勧告において税の公平に基づいてこういう制度をつくった、ですからこの欠損金の繰越控除は必要だ、これは先生のおっしゃったとおりでありますけれども、一時的にせよある意味でこの制度を弱めてはならない。いろいろとお話があったように影響も出てくるわけでありますが、私は一時的にせよこれはやっぱり緩めてはならないと考えるんですが、先生の御意見はいかがでしょうか。

市川深東京経済大学教授

○参考人(市川深君) 税負担が、先ほど統計数字でも申し上げましたようにふえておりまして、その負担が多くとも、問題はやはり不公平なところに一番問題がございますわけです。先ほど木下先生からもお話がございまして、私が申し上げたことに関しまして、租税特別措置法というものをなくすれば税負担の公平が図られるというふうに——端的に私もきょうは租税特別措置法に限って意見を申し上げましたので御理解をいただいたかと思うんですけれども、一般の法人税法、つまり本税の中にやはり妥当でないものが多いわけでございます。  若干の数値を、これは有価証券報告書でございますけれども、申し上げたいんですけれども、例えばトヨタ自動車は、売上高が六兆円ございまして、この六兆円というのは、国民総生産の二%で、三百五十万農家の米というのは三兆円ですから、トヨタの大体半分ということになるわけですが、経常利益が六千四百億円で売上高の一割を占めております。  法人税等は、有価証券報告書に計上されておる金額を見ますと、二千六百五十二億円納めておりますけれども、しかし、このトヨタ自動車における引当金を計算いたしますと千九百八十八億円、受取配当金が百五十六億円、株式払込剰余金が千五百億円を占めております。  この引当金については、本税の中に費用性を持つものとしてこれは一般に認められたものだというふうになっておりますけれども、引当金というのは将来の費用であって、これについては問題がございまして、御承知のように、当初貸倒引当金が設けられたときも戦後これは租税特別措置法の中にあったわけでありますけれども、それが次第次第に本税の中に繰り入れられてきております。受取配当金につきましても、これは法人擬制説というような虚構の論理に基づいて受取配当金を益金に算入いたしません。それから、同じように株式払込剰余金というのは、額面額と発行価額との差額から生ずるものでありますけれども、これについても同じような考え方に基づいて益金に算入されないわけであります。  したがって、今申し上げたようなものをトヨタ一社に限って例をとりましても、三千六百四十四億円、ざっと六〇%の税率として計算しますと、トヨタ自動車に関しても千四百五十八億円の税金が軽減されているということであります。  今のような制度のもとにおきましては、やはり弱い者に、特にサラリーマンに対する税というものが重く課せられる逆進的な構造にあるんだ、したがって、やはり所得課税というのは税の中では一番合理的な制度である、こういうものを正していくということがまず第一である。もちろん、私が申し上げたのは、一挙にこういうことを廃止するということはいいことではありませんけれども、総理も言われているようなことがもし、本当にそういうことを考えるならば、やはり租税特別措置法、それから本税の中に入っている不合理なものを是正していくという措置をとることが国民の合意を得られる一番基本になることかと考えるわけであります。  第二番目の、赤字法人の先ほどの欠損金の繰越控除、それから繰り戻しの停止の問題でありますけれども、私が申し上げたのは、サラリーマンと比較しましたときに、サラリーマンの場合には、失業いたしましてもその前に納めた税金というのは戻ってくるわけではありませんし、それから再就職をしたときもやはりそういう企業と同じような繰り戻しということもございませんので、つまり、現行の税制というのは非常に国民各層の間に不公平と差別を生ずる税制になっているというところが非常に問題があるわけであります。したがって、理論的な見地からするというと、欠損金の繰り越し及び繰り戻し制度という今回の措置というのは理論的には認められると思うわけでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 ありがとうございました。  最後に小沢参考人にお伺いいたします。  先ほどいろいろと、実際の社会というか仕事に携わっておってその体験から御意見を聞いたわけでありますが、私たちは、内需を拡大するという観点から所得税の減税を強くかねてから要求しています。しかし、減税をしても個人消費には回らなくて貯蓄に回ってしまうのではないか、こういうこともよく言われるんですけれども、この点を先生分析でもしたことがあれば御意見をお伺いいたしたいというふうに思うんです。  それから次は、先ほども木下参考人に伺ったところでありますが、税調の方では、税率の構造を、今は結論を出したわけではないというふうに言われているわけでありますが、報道されているところによれば、最高税率は引き下げる、しかし最低税率は引き上げるんだ、課税最低限を引き下げる、こういうことが言われているわけでありますが、こういうことが果たして国民の感情からいって、今の実態からいってどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。  それからもう一点は、住宅減税についてもお話がありました。私は、この程度の措置で住宅建設が促進をされるということについては極めて疑問に思っているわけであります。したがって、住宅を取得したいという意思は、税制面もさることながら、将来の賃金上昇等の見通しの中で、こういうところで左右される面が多い。そのためには労働分配率を高めて、それから住宅を皆購入することができる、そういうふうな政策へ積極的に向けるべきではないかというふうに私は思うんですけれども、先生の御意見はいかがでしょうか。

小沢雅子日本長期信用銀行産業調査部

○参考人(小沢雅子君) まず、内需拡大という点から所得税減税並びに住宅減税について考えてみますと、住宅減税の方がより効果的であると考えております。  一番目の御質問として、所得税減税を行っても減税分が貯蓄に回るのではないか、こういう意見があるとおっしゃったわけでございますが、割にそのとおりでございます。ただ、減税分が丸々貯蓄に回るわけではございませんでして、先ほども申しましたように、おととしの貯蓄率というのが一八%でございます。これは借金を背負っている家計も背負っていない家計もすべて平均した数字でございます。  実を言いますと、借金を背負っている家計と背負っていない家計とで、貯蓄に対する選好といいますか、消費と貯蓄とをどのぐらい振り分けるか、これがここ十年ぐらいかなり変わってきております。借金が全くなくて、一八%の貯蓄が、丸々預貯金がふえたり、あるいは保有株式がふえたりしている家計の場合には貯蓄に回る可能性が高こうございます。一方、借金を背負っておりまして、その分だけ借金のない家計よりも消費に回るお金が少ない家計、これは私の計算によりますと、先ほども申しましたように、借金があるかないかで年間に消費に回るお金が七十万ほど違っております。これは五百万ほどの所得を得ている家計について見たものでございます。こちらの、七十万ほど消費に回るお金が少ない、借金を持っている家計につきましては、所得税減税分は恐らくその大半が消費に回るであろうと見られております。  と申しますのも、御承知のように、日本人の九割ぐらいがみずからを中流だと位置づけておるように、実際のところかなりの程度所得もしくは可処分所得に個人差が出てきているにもかかわらず、庶民の意識というのは依然として平等あるいは中流意識が強うございます。ですから、資金繰りにおいてかなり差のある二つの家計、その差はなぜ出てきたかと申しますと、借金があるかないかというところから出てきたわけでございますが、こうした二つの家計におきましても消費欲求というのは余り差がないわけでございます。したがいまして、借金のあります家計というのは満たされない消費欲求がその分だけ大変高うございます。ですから、こうした家計は所得税減税によって資金繰りに多少でもゆとりができればそのほとんどを満たされない消費欲求に回すであろうと予想されるわけでございます。  ちなみに、借金を持っている家計と持っていない家計の配分でございますが、先ほども申しましたように、全国平均で半々、首都圏だけについて見ますと大体七、三ぐらいで借金を持っている家計の方が多くなっております。  それから二番目に、ちょっと順番は逆になりますが住宅減税について申し述べますと、先ほど、現行の改正では余り内需が拡大しないのではないかと申しました。その理由としまして、居住用財産の譲渡所得の特例を受けた場合には適用が受けられないことと、それから六十一年一月一日以降に買ったものでなければ適用されないことと申しました。  実を申しますと、今住宅需要が余り盛り上がらないのは、先ほども申しましたように、新規の住宅というのがもう既にある程度持たれてしまっておりまして、今後起こってきます住宅需要というのは、今あります住宅をレベルアップして買いかえていくという需要でございます。では今回の特別措置によって買いかえ需要が盛り上がるのではないかというふうな御意見も出ると思うんですが、実は買いかえを行うためには、御承知のように既にある程度の頭金というものを持っていなければならないわけでございます。ところが、今住んでいる家を売って、よりグレードの高い家に買いかえようと思っている人たちの大部分というのはまだ多額の借金を抱えておりますので、頭金になるだけの純資産というのを保有していないわけでございます。したがいまして、現在住んでいる家の借金で消費を抑えられている人々を減税によって軽減しない限り、住宅需要も、さらには消費も余り盛り上がらないのではないかと考えております。  ちなみに、この措置を、例えば六十一年一月一日以降に買った住宅についてだけじゃなくて、現在自分の居住用に持っている家を買うために保有している現在の借金残高について仮に適用してみたとして試算いたします。そうしますと、全国で住宅ローンを保有している人の一世帯当たりの平均債務残高が大体五百万円でございます。保有している世帯が三千万世帯でございます。これを掛けますと大体一兆五千億円ぐらいのお金が出てまいるわけでございます。この部分が仮に今、先ほど申しましたような事情でそのほとんどが消費に回るとすれば、これだけ消費の需要が拡大するわけでございます。さらに、この一兆五千億円部分というのは、単に消費が拡大するだけではございませんでして、それによって債務が若干でも軽くなれば、その分だけ次の住宅の買いかえ需要というのが促進されるという面があるのではないかと考えております。  それから、最後になりましたが、所得税の減税についての意見を申し述べよというお話でございましたが、課税最低限の引き上げというのは、これは物価の上昇等にかんがみますと妥当なことではないかと考えております。  税率の問題でございますが、これについてはいろんな意見があるようでございまして、例えば日本の累進税率が高過ぎるという御意見もあるようでございます。確かに、最高税率を引き下げて最低税率を引き上げるということは、そのことだけをとってみますと累進性を弱める働きをするわけでございます。ただ、それと同時に課税最低限の引き上げも行われ、さらにその税率の刻み等についても配慮が行われるとすれば、最高税率と最低税率だけをもってして不公平が是正されると言い切ってしまうことは少し難しいのではないかと考えております。  税法につきましては、前にも申し述べましたように、私は専門家じゃございませんので、余りはっきりした意見は申し述べられないのでございますが、以上で私の考えを終わらせていただきます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 ありがとうございました。

藤野賢二自由民主党・自由国民会議

○藤野賢二君 参考人の皆様には本日は貴重な御意見を聞かせていただきましてありがとうございました。  西野、市川、小沢参考人の皆様にも一言ずつお聞きしたいと思ったのでございますが、諸般の事情により、木下参考人にだけ一点だけ御質問させていただきたいと思うわけでございます。  間接税の問題でございますが、今お話のあったとおり、六十一年度の税負担率は二五・一%でございまして、これは五十年度以降すっと上昇の一途をたどっているわけでございます。日本と同じように直接税中心主義をとっているアメリカでも二六・六%、こういう状況であるわけでございますが、一方、間接税を中心に税制をとっておりますヨーロッパでは、イギリスで四〇%を超え、また西ドイツでも三〇%を超えているわけでございます。  日本やアメリカは数字だけ比較すれば低いわけでございますが、国民の税に対する負担感というものは非常に高くなってきているわけでございまして、今お骨折りいただいておりますように、抜本的改正に取り組まなきゃならない、こういう状況であるわけでございますが、しかし、いろいろ検討しても、大体直接税中心でやりますと二五から三〇が限界ということが言えると思うわけでございまして、いまお話しのとおり、中をいろいろ不公平を是正する等方策は考えられると思いますが、しかし、やってまいります高齢化社会あるいは財政需要を考えますと、ますます税負担の増大も避けては通れない、こういう状況になってきていると思うわけでございます。そういう意味では間接税中心主義を導入していかなくてはならないのではないかという意見もあるわけでございますが、税調または先生の御所見をお伺いしたいと思います。

木下和夫税制調査会会長代理

○参考人(木下和夫君) 藤野先生にお答えいたします。  税制調査会のただいまの審議ではまだ間接税についての勉強に入っておりません。恐らく中間の答申を春に出しまして後の作業になるかと思いますので、これから申し上げることは私の個人の見解にとどまります。  先ほど申し上げましたように、財源問題ということを別にいたしましても、現行の我が国の間接税制度については非常に大きな問題があるということは御指摘のとおりでございます。税収構造から申しまして、税収の約七割を個人及び法人の所得課税に仰いでおるということに基づくところの重税感といいますか、あるいは不公平感というのはどうしても否定できませんので、まずこの辺を最初に検討してみようというのが目下行っております作業でございます。  それと離れまして、現在の間接税、特に物品税等を中心にいたします間接税の仕組みというものが、直接税と言われます所得税、法人税及び相続税と比べましてウエートがいかなる比率になることが望ましいかということは一概には申し上げることはできません。ある人は五〇、五〇という比率がいいという方もおられますし、理論的に詰めて経済学者がやっておりますのは、所得税、法人税のような所得課税というのは個人の勤労意欲を害するおそれがある、しかし所得の再分配という目的には非常に望ましい税だという長所、短所をあわせ持っている。間接税の方はそれと違って、いわば勤労と暇と申しますか、レジャーというものの配分について直接に影響を与えないという意味では中立的な効果を持っておる。そういう点に長所はあるけれども、往々にして逆進的になりやすいという短所もある。これらの長短をいわば組み合わせて短所をなるべく少なくするのが租税政策の一つの重大な役割だと思います。  その場合に割合をどうするかということは、先見的に最上の組み合わせというのはなかなか理論的には出てきませんが、また仮に直接税、間接税の比率を例えば六対四にしなさいという御命令を受けましても、実際にこれを執行いたしまして税収を得るまではどのような比率になるか見当がつかないというのが実態ではなかろうかと思います。  したがって、私どもは、直間の比率というようなものを正面から取り上げずに、直接税の問題点を個々に吟味する、また現行間接税のさまざまな欠点を検討してみるという形で間接税のあり方についての私どもの考え方をお示ししたい、こういう気持ちでおるわけでございます。

多田省吾公明党・国民会議

○多田省吾君 参考人の皆様には、本日は大変御所用の中を本委員会においでくださいまして、また貴重な御意見を承り、心から厚く御礼申し上げる次第でございます。  私は最初に木下参考人にお伺いしたいと思います。  私たちは、内需拡大あるいは国民生活を豊かにするためにということで、昭和六十一年度は二兆三千億円ほどの減税をすべきであると、各野党並びに多くの労働団体等がそれを主張いたしましたが、残念ながら所得税減税はなりませんでした。六十二年度以降に税調では持ち越されました。またさらに、たばこ消費税の増税が、六十一年度予算編成の過程で、突如税調答申になかったことが打ち出されたということで我々も大変遺憾だと思っているわけでございます。しかし、こういったことは先ほどの質疑で木下先生からお答えがございましたので、また私は別の問題で御質問したいと思います。  どうしても腑に落ちないのは、去年小倉税調会長がこの委員会に参考人としておいでになったときには、いろいろなお答えがございましたが、私どもがお聞きした限りでは、昭和六十二年度の、いわゆるシャウプ以来の税制改正と言われるこの改革におきまして、減税案と増税案はやはり一緒に報告し、また答申すべきであろうと、こういうふうにお伺いしたのでございます。しかしながら、政府の方は、先に四月の中間答申で減税案を出してもらいたい、そしてそれ以後増税案をといいますか、財源の対策を打ち出してもらいたいというような、そういう諮問があったということで、今減税案の答申を急がれていると思いますけれども、私は、本来やはりどの程度減税するかは財源の出し方いかんによるわけでございまして、どうしてもこれは一体不可分なものだと思います。ですから、別々に研究なさったとしても、報告ないしは中間答申等を出される場合はやはり減税案あるいは財源案両方出すべきではないか、一緒に出すべきではないか、こう思われてならないわけでございます。  この点、木下参考人におかれましては、個人的なお考えでも結構ですから、どう思われるか、一点お伺いしたいと思います。  それからもう一点は、どうしてもまた腑に落ちないのは、この前、学者から成る専門小委員会から第二特別部会に報告があったということで、先ほども御質問がありましたけれども、いわゆる課税最低限の引き下げと、それから最低税率の引き上げですか、すなわち低所得者層に対する増税というものが報告に出ているわけでございまして、減税案を論議する中で、高所得者だけを減税の対象にし、そして低所得者に対しては増税を図るということは私はいかがなものかと大変遺憾に存ずるわけでございます。先ほど小沢参考人もお答えになっておりましたけれども、こういう物価が上がっている現状においては、物価調整減税という立場からもやはり課税最低限の引き上げが必要ではないか、これは私は一般常識だと思うんです。  新聞にはたしか、一部からそういう低所得者層に対する増税に対しては反対意見があった、このように出ているわけでございますが、実情はどのようでありましたか、お話しいただきたいと思います。  この二点をお伺いします。

木下和夫税制調査会会長代理

○参考人(木下和夫君) お答え申し上げます。  第一点の問題は、税制改革の審議をする場合、税制調査会ではやはり財源論をあわせて考えて減税の論議をすべきだという御指摘でございます。  この点について小倉会長が、一月の末でございますか、財源論を踏まえてやるべきであって、減税論議を先行するのはおかしいといったような意味の批判をなさったということも私聞いておりますが、しかしながら、先ほど申し上げましたように、私どもの目下御下命を受けて審議しております問題は、所得税の税率構造、あるいは給与所得控除、あるいは課税単位という個別の諸問題について専門家に勉強していただきまして、それを問題点をえぐり出して、これをどういう方向へ持っていくかの検討を進めておるわけでございまして、現在のところどのぐらいの減税の規模になるのかというようなことを頭に置いておるわけではございません。したがいまして、いわば定性的と申しますか、定量的な問題については全く今のところ議論をしていないわけでございます。  これから私個人の意見でございますが、ただ、税負担の軽減合理化について検討いたしていく場合にも、いつの日か税制全体の姿ということを頭の中に描いて、十分これを念頭に置きながら議論を進めていく必要がございますので、その限りにおいては減税の規模ないし財源という問題も議論の背景に置いて議論をしなければならないという感じでおります。したがいまして、一切財源論とか減税の規模というのは頭の中にないんだということではなくて、我々の答申は恐らく定性的なものに限られると思いますけれども、その後ろには私どもは何らかのイメージというものを持たなければいけないだろうという考え方を個人的に持っております。  それから第二番目の問題でございますが、先ほど私が申し上げました累進構造について専門小委員会で検討していただきまして、これを第二部会に出したわけでございますが、そのときの結論、ないしは、今後どういう問題について税制調査会の皆様方の御議論のポイントになるかということについて検討の方向というものを打ち出しておりますが、それは税率を適用いたします所得階層区分を幅を広げる、今非常に細かい区分になっておりますので幅を広げる。それから税率区分を、刻み数でございますが、これを削減しよう。そして、最高、最低税率を含めて、税率構造全体としては累進度を相当程度緩和するという方針が第一でございます。  その場合に、高いところを低めて、そのかわりに低いところをもっと高めるというような考え方を持っておられる方も税制調査会の中にはいらっしゃいます。それと別に、高いところをある程度削減することは必要だ、しかし低いところは現状維持というような御議論の方もいらっしゃいます。その御議論をなさった方の御意見が、恐らく先生ごらんになった新聞やその他で強く紹介されたんではなかろうかと思います。  したがいまして、最低税率あるいは最高税率をどうするかということも決まっておりませんので、全く今申しました一般的な枠しか私どもは御相談申し上げておりません。  それから第二点は、大多数の納税者の集まる所得階層というものをカバーするところに適用される限界税率をできるだけ一律にしたい。これは一本ということも含みますけれども、数段階の一本、フラットと申しましても、厳密な一本ということでも必ずしもありませんので、なるべく少なくしよう、しかし一定の税率化していく、そちらの方向へ進んでいく。  それから第三番目には、累進構造の緩和にあわせて所得課税における公平確保の見地から課税ベースの拡大、今控除されておりますいろいろな問題を含みますが、それを整理することによって課税ベースを拡大していこう。  この三点を私どもの検討の方向として示したわけでございまして、先ほど御指摘のように、最高税率を下げるけれども最低税率は上げるんだとか、あるいは課税最低限を引き下げるんだという御議論は私どもは承っておりません。

多田省吾公明党・国民会議

○多田省吾君 現在の所得控除を改めて、所得控除と実額控除の選択制ですか、これを考えておられるというようなことも言われておりますけれども、四月に中間答申なされると思いますけれども、いわゆるその目玉になるもの、柱になるものはどういうものか、お答えいただきたいと思います。

木下和夫税制調査会会長代理

○参考人(木下和夫君) 目玉になるということで何が出てまいりますのか、私には見当はつきませんが、ただ、ただいま御指摘の給与所得控除につきましては、現在、現行制度は概算的な給与所得控除ということになっておりまして、マクロ的に平均して約三割というものが差し引かれておることは御承知のとおりでございますが、それは本当の意味の給与所得者について適用されておると同時に、そのほかにも、本来の給与所得のほか青色事業専従者給与、またみなし法人課税を選択した場合の事業主報酬にもこれは給与所得控除が適用されておりますし、さらに公的年金の所得につきましても給与所得控除が適用されております。いずれも給与所得とみなして給与所得控除が適用されております。  そのような実態を踏まえまして、改革の方向として私どもが専門家グループでまとめました意見は、まず第一に、給与所得者の勤務費用にかかる概算控除部分と、それからほかの所得との負担調整、給与所得の特有の性格に基づいてほかの所得とバランスを保ちたいというところで配慮しておる負担調整措置というもの、そういう特別控除とを分解いたしました形で組み直してはどうだろうかという意見を第二部会に提出をいたしました。御賛成の方もありましたし、必ずしも御賛成でない方もございました。  それから、それでは次に給与所得者の勤務費用につきましては、その前者の方でございますが、勤務費用にかかる概算控除の部分につきましては、選択制を設けて実額控除を認めることとして申告納税の道を開くこととしてはどうかということも私どもから第二部会に提出をいたしました。この点についてはかなりの御賛成があったと感じております。  それから第三番目には、給与所得者が非常にたくさんの数に上りますし、一概に給与所得といっても職務の内容等において多種多様のものがございますので、そういうことを念頭に置きながら、他の所得者、給与所得以外の他の所得者との関係だけではなくて、現在給与所得とみなされておる人たちあるいはみなされておも所得、それらの相互の関係においても実質的な公平が保たれるような配慮が必要であろう、私どもはこういう意見を提出したわけでございますが、これについてもさまざまの御意見があったわけでございます。  今後第二部会においてさらに煮詰めた御検討をいただくものと期待をしておるわけでございます。

多田省吾公明党・国民会議

○多田省吾君 どうもありがとうございました。  次に西野参考人にお伺いしたいと思います。  西野参考人には、シャウプ勧告の再評価の作業というものをなされて、政策提言等もたくさんなさっておられるわけでございます。私も多少拝見させていただいたわけでございますが、特にシャウプ税制で重要であったキャピタルゲイン課税が、一九五三年ですか、なくなってしまったということが大変遺憾であるというような御所論も拝見したわけでございますが、そのキャピタルゲイン課税を私どもも復活すべきであると考えておりますが、その点と、そのほか税負担の公平を図るためにどのような措置が必要であるのか、もしお考えがございましたならばお伺いしたいと思います。

西野萬里明治大学教授

○参考人(西野萬里君) キャピタルゲイン課税のことでございますけれども、私も再三そのような主張をしてまいりましたけれども、キャピタルゲイン税といいますのは、個人部分につきましては事実上非課税ということになっております。しかしながら、キャピタルゲイン税は、法人所得と個人所得との受取配当を通じての関係というものに非常に密接な位置にある税でございまして、資本所得をつかまえて課税する場合になくてはならない税というふうに考えております。  いろいろインピュテーション方式とか、いろいろほかの制度を取り入れましてつかまえることはできるわけでございますけれども、最後のとりでといいますか、いろいろな税、特に法人税などが課税標準が小さくなる、つかまえられないといったことが株価を通しましてキャピタルゲインに反映するというようなことを考えますと、やはり非常に重要な税であると考えるわけでございます。よその国ではかなり導入されて、実現したキャピタルゲインにつきましては税を持っているわけでございますが、我が国はこれを把握するのが非常に難しいというような理由等によりまして廃止、事実上個人の分についてはないというわけでございます。この辺につきましても抜本改正では私はぜひ検討していただきたいというふうに強く感じております。  ほかの部分につきましては、お尋ねは所得税につきましてでしょうか、法人税に関連しての御質問でしょうか。

多田省吾公明党・国民会議

○多田省吾君 できれば両方お願いします。

西野萬里明治大学教授

○参考人(西野萬里君) 私、専門が法人税でございますけれども、今申し上げましたように、個人所得税との関連におきましては、このキャピタルゲイン税がとにかく個人段階で必要な税だというふうに考えております。所得税につきましては、先ほど御指摘にもございましたけれども、租税特別措置法での政策税制による不公平というのは不公平ではないといえばそうかもしれませんけれども、そういう問題のほかに、法人税法の本則の方にも、よその国では租税特別措置の方に入っているような、例えば引当金などのようなものがかなりございます。私は、引当金につきましては、引当金課税といったもの、それが取り崩しといいますか、実績率以上の積み立てが行われているようなものについては厳重にチェックするようなことが必要であろうかと思います。  それから、先ほど申し上げましたように、特別措置につきましては、基本的には特別措置というのは隠れた補助金とかタックスエクスペンディチャーという考え方から見ますと、やはり不公平な税負担という、見方をすればそういう一面も持っているわけでございますので、税以外の政策手段がとれない場合に限って特別措置、政策税制というようなものはいたし方がないと考えますが、できれば別の政策をとれるものであれば別の手段によってそういう措置を講ずべきであって、簡単明瞭な、見かけと同様に表面上と本質と同じような税負担になるような税が本来的には好ましいと考えております。

多田省吾公明党・国民会議

○多田省吾君 どうもありがとうございました。  次に市川参考人にお尋ねしたいと思います。  今、法人税率のことで実効税率につきましては日本は国際的にももう最高の方に行っているんだ、西ドイツ等を除いては日本は最高ですから、法人税はもっと引き下げるべきだ、こういう論が税調等にもございます。しかし、先生の先ほどのお話をお聞きしますと、表の四に見られるように、法人税資本金別負担割合は大企業になるに従って逆進的になっている、このようにお述べになられました。確かに東京都企画調整局方式による試算では逆進性がはっきりと出ているわけでございます。  これもやはり私は、先生今おっしゃった法人税法の本法にある引当金制度というものが日本にだけあるような姿でございますので、それによって大企業ほどこのような逆進性になりまして負担が軽減されている、このように私は思うのでございますけれども、市川先生は、引当金あるいは準備金等を中心とされて企業課税あるいは商法改正等の問題で相当本もあらわされているわけでございますけれども、そういう大局的な見方をすると、私は、実効税率はそうであろうとも真実の実質税率というものは日本の場合はそんなに高くないんだ、このように思われてなりませんが、先生の御意見をお伺いしたいと思います。

市川深東京経済大学教授

○参考人(市川深君) 多田先生のおっしゃいましたように、結論的に申し上げますというと、表面税率は確かに日本の税率は高いように見られますけれども、費用でないものをも費用とする、収益であっても収益にしないという、これは本税の中もそうでありますけれども、そういうものを見直しまして調整をして計算いたしますと、実際的に納める税金、つまり実効税率というものは非常に低いものになっております。  それから、先ほども申し上げましたけれども、特に御検討をお願いをしたいのは外国税額控除であります。国会等の答弁を聞いておりましても、二重課税の排除という世界的に認められた制度として外国税額控除は必要だというふうに述べられておりますけれども、みなし外国税額控除、先ほど申し上げましたけれども、これは今問題になっておるフィリピンも含まれるわけでありますけれども、ここに子会社をつくって事業を行った場合に、その企業に対してフィリピンで税を課さなかった場合、実はその子会社があるいは支店がフィリピンで企業を営んで収益を得ても税金を払わなければ、本国で日本の法人税をその向こうで払わなかっただけを払うわけです。これは二重課税の控除じゃないわけなんです。こういうことが発展途上国に対する支援とかいろんな名目で合理化されておりますけれども、これは全く論理からいっても、それから最近見られる事象からいっても不正と腐敗の根源をなすものでありまして、これについての厳重な見直しを必要とされるわけです。  そういう点も含めますと、先ほど申し上げましたけれども、あの大きな、個人企業を挙げて大変恐縮でありますけれども、三菱商事のような世界的な多国籍企業が日本における法人税を一銭も払っていない、地方税においても均等割しか納めていないということはゆゆしい問題かと思うわけでございます。  それから、今との関連でございますけれども、勤労者に対して、先ほど木下先生からもお話ございましたけれども、給与所得控除というのは三〇%であります。例えば月二十万のサラリーマンが三〇%の給与所得控除でありますと、それだけ見ますというと六万ということなんです。それに基礎控除も含めましてもまことに微々たるものでございまして、そういうので一体生活ができるのか。サラリーマンに対しては必要費部分も課税対象にされていることが現行におけるところの不公平税制の最たるものかと思うわけでございます。

多田省吾公明党・国民会議

○多田省吾君 どうもありがとうございました。  最後に小沢参考人にお尋ねしたいのでございますが、先ほどからお話を承っておりまして、「新階層消費の時代」という御論文も書いていらっしゃるわけでございます。その中に、確かに一九五〇年代、六〇年代は日本人の所得格差は縮小していた、しかし七〇年代、八〇年代になるに従って賃金格差というものが続いており、男女別の格差も拡大している、それで、税制や社会保障による所得の再配分効果というものが日本の場合は他の先進国に比べても小さいというデータもある、このようにお述べになっているわけでございます。私も、労働分配率が最近かえって低くなっているとか、可処分所得もこの十年でやっと一〇%しか上らない、ここ二、三年で言えばほとんど横ばいだ、そういう状況もございまして、確かにおっしゃるとおりだと思います。税制による再分配効果というようなものは、不公平税制の是正とか、やはり今サラリーマンに大変な負担になっている所得税大幅減税、こういったものが大いに必要だ、このように思います。  また、小沢参考人は住宅減税の方がずっと効果があるんだということもお述べになりましたけれども、まことにそのとおりだと思いますが、これからそのほかにどういうやり方で再分配効果というものを強めていくべきか、その辺もしお考えがございましたならばお伺いしたいと思います。

小沢雅子日本長期信用銀行産業調査部

○参考人(小沢雅子君) 今、多田先生がおまとめいただいたことに大体私の意見は尽きるわけでございます。  ただ、一言つけ加えさせていただきますと、賃金の格差というのは、これは多分に経済成長率の高さと絡んでいるように考えております。高度経済成長時代のように、経済成長率が非常に高い時期というのは往々にして失業率が非常に低くなり、世の中が人手が足りないような状態になりますので、こういう時期というのは賃金の格差はほうっておいても縮小する傾向にございます。一方、一九七五年以降のように、経済成長率が低くなり、失業率が相当に高くなり、人手が余ってくるような環境になりますと、賃金格差というのは拡大しやすい傾向にございます。  ついでに申しますと、内需という点から申し上げますと、これは検証されているわけではないのでございますが、レーガン政権が登場したときに、ラッファーという先生が、レーガン政権の課題というのは貯蓄率を高めることであったわけでございますが、貯蓄率を高めるためには格差があった方がいい、そういう理論を出されたわけでございます。この理論が正しいかどうかはまだ検証されていないわけでして、そういうことを軽々に言うべきではないと思うんですが、もしこの考え方が正しいとすれば、逆に内需を拡大することが要請されている時期であれば、格差は縮小した方が望ましいということが言えるかもしれません。  以上、簡単でございますがこれで終わらせていただきます。

多田省吾公明党・国民会議

○多田省吾君 ありがとうございました。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 小沢参考人から順次聞いてまいりますが、持ち時間が十一分ですので、木下参考人のところまでたどり着くかどうかわかりませんので、御了承いただきたいと思います。  今も御指摘がありました、小沢参考人でありますが、今の指摘のうち、特に六十年代から資産の格差が広がっているというその根拠、また具体的データでもう少し詳しく御説明いただければありがたいと思います。

小沢雅子日本長期信用銀行産業調査部

○参考人(小沢雅子君) かしこまりました。  六十年代に資産の格差が拡大しました原因は土地の値上がりでございます。  御承知のように、生産の三要素というのがございまして、これは土地と労働と資本でございます。生産構造というのはこの三つを使っていろんな財、サービスが生産されるわけでございます。ただし、それぞれの国並びに社会におきましてこの三つの生産要素の包含する量が異なってくるわけでございます。御承知のように、日本の場合土地というのがかなり希少、つまり量が少ない状態でございましたので、高度経済成長のように非常に高い成長率を示しますと、まず一番最初に土地が不足してまいります。ですから、当時は、生産の三要素について言いますと、土地の値上がり率が一番高く、次いで労働の値上がり率、つまり賃金でございます。それから三番目に資本の上昇率、つまり金利、こういう順番になっていたわけでございます。したがいまして、六十年代には、かなり早い時期に土地を持っていて、それを高度成長末期に手放した人は大変多額のキャピタルゲインを得ましたが、逆に、高度成長末期になって値段の高い土地を買った人は大変多額の借金を背負ったわけでございます。  実を申しますと、高度成長が依然として続いていればこういう格差というのは余り表面化しなかったわけでございます。と申しますと、高い時期に土地を買った人も、もっとそれを上がってから売ることができればキャピタルゲインを得ることができるわけでございますが、問題は、一九七五年以降がらりと経済構造が変わりまして低成長になったことでございます。このために、御承知のように今はむしろ金利が高い時代になっております。六〇年代から七〇年代初めにかけてキャピタルゲインを得て、それを今の高金利で回している人が大変多額の純資産並びにそこから生ずる収益を得ているわけです。一方、七〇年代初め土地が値上がりし切ったときに多額の借金を背負って土地を買った人が、今度は高金利のもとで逆に多額の借金の支払いに追われているという事態になっております。  したがいまして、仮に賃金が全く同じであったとしましても、一方にはそういう純資産から来る収益があり、一方には負債から来る借金の支払いがあったとしますと、それによって消費に回ることができるお金というのは相当に異なってくるわけです。その金額については、先ほど申しましたように、大体年間で七十万、月額にして五万円強の違いが、平均的な、借金を持っている人と持っていない人の差となってあらわれております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 次に市川参考人でありますが、企業が保有する株式や土地などの時価評価による含み資産益が大変な膨大なものになっている、こう思うんですが、これに対する課税についてのお考えがあればお聞かせいただきたいし、また、その課税が妥当だとすれば、それについての方策についてお考えがあればお聞きしたいというのが第一点。  それから、特に大企業などに対する特別措置あるいは本税における不公平というお話がありましたが、片方、特に通常の事業所得者の場合に課税最低限が大変低いですね。特に白の場合には、さらにそれに加えて自家労賃が認められない。実際に生活費にまで食い込んで課税されていますし、特に自家労賃が認められないということは労働力の再生産費用にまで課税されているということだと思うんですが、このあたりについてのお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

市川深東京経済大学教授

○参考人(市川深君) 含み資産、株式並びに一番大きいのは固定資産でありますけれども、特に土地なんかでありますけれども、現行の制度のもとにおいては、こういう所有している株式にしましても、それから土地を初めとしての固定資産について、実現しなければ、つまり売却しなければ課税をしないという実現主義の原則というのがありまして、それは理論的には全くそのとおりでありまして、保有しているものについて課税するというのはやはり妥当性を欠くかと思うわけであります。というのは、企業がそれだけの、例えば土地にしましても今膨大な値上がりをしている、だからそれだけの実益があるとして課税するとするというと、それに見合う貨幣性資産の裏づけがありませんので、企業に対してそれだけの税負担をかけるということは、やはり公平というか、企業そのものを、資本そのものを存立を危うくする問題になろうかと思いますので、含み資産についての課税ということはやはり行うべきではないというふうに考えます。  それから第二点の、大企業の不公平と、それから、お話がありました、特に零細企業その他のいわゆるみなし課税の問題かと思うのですけれども、やはりそういう幾つかの問題はありますけれども、サラリーマンと比較したときに、また現行税制というものが幾つかの差別税制をすることによって相互にいがみ合う。ですから、零細企業を問題にするときには、零細企業と個人企業を問題にし、それから個人企業とサラリーマンを問題にするからそこに不公平が出てきているわけであります。したがいまして、零細企業というものを考えるときに、やはり大企業との関連で物を考えていかなきゃいけない。そういうときに二重に三重にやはり弱められた立場にあるということであります。しかも、現代の企業というのはピラミッド型の構成を成しておりますので、そういう観点から、この中小零細企業については税制上においても大企業との比較において優遇措置がやはり暫定的には考えらるべきだというふうに考えます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 それでは次に西野参考人にお伺いしますが、いま自民党税調などでも提案されている大型間接税の問題ですが、その逆進性についてお考えをお聞きしたいんですが、そしてその関係で、逆進性緩和のために食料品に非課税の措置なども言われていますが、それがどれほどの効果を持つのか、そしてまたそのことによって逆進性を取り除くことが可能かどうかという点であります。  それからもう一つは、所得税の課税ベースを現状のままで税率控除を緩和した上で大型間接税を導入したらどうか、こういう意見もありますが、こういう税制改革がされた場合、課税の公平はどうなるのか。また、そういう選択をなすべきかどうかということについて参考人の御意見があればお聞かせ願います。

西野萬里明治大学教授

○参考人(西野萬里君) 大型間接税の逆進性でございますが、一般的に言いまして、やはり逆進性は免れないと思いますけれども、しかしながら、税率を例えば食料品等の必需品については考慮する、あるいは税をかけない、あるいはその他のものについても一律ではなくて若干差別税率を導入するというようなことによって、その逆進性は緩和が不可能ではないというふうに考えます。  それと、所得税の課税ベースにつきましてちょっと聞き落としたのでございますが、課税ベースを今のままでとおっしゃいましたか。今のままにして税率をということでございますか。今のままで税率を引き下げる可能性があるかということでございますか。税収をそのまま、税収を同じに確保するという……。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 じゃもう一度申しますと、こういうことなんです。課税ベースを現状のままで税率構造の緩和、その上で大型間接税を導入したらどうか、こういう意見なんですね、それについてのお考えを。

西野萬里明治大学教授

○参考人(西野萬里君) 私は、先生がおっしゃった課税ベースをそのままにということについては若干問題があるかと思いますけれども、税率を引き下げることは課税ベースそのままでも可能だと思います。そして、それを埋め合わせるという意味で、先ほど申しましたような措置を講じた上で大型間接税を導入することもこの際、つまりこういう配慮が裏にあるわけでございます。  私は従来ずっと所得税が最も公平な税であるというふうに考えてまいりました。しかし、所得税の持つ限界というのもまた最近つぶさに見てまいりまして、やはりもう課税ベースこのままということであれば、ほかのところに財源を求めるよりほか仕方がないのではないかという、絶望的な考え方なんですけれども、そういうような視点からいきますと、今おっしゃったようなこともやむを得ないのではないかというふうに考えます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 木下参考人にお伺いしますが、今の特に大型間接税ですが、税調としてはまだ議論してないということでありますが、木下参考人側自身のお考え、特に逆進性について御意見があればお聞きしたい。

木下和夫税制調査会会長代理

○参考人(木下和夫君) 大型間接税という言葉が私どもにはよくのみ込めないのでございますが、いろいろのタイプがあると思います。例えば蔵出しに中心を置きました製造業者税という形もありましょうし、卸売課税という方法もありましょうし、それから米国のように州、地方で徴収しております小売段階の売上税という方式もあろうと思います。また最後にはEC型の付加価値税というようなものがありますので、どれをとるかによりましてまた今度はその税のいわば転嫁と申しますか、その税の実質負担がどこの階層に帰着するかということをにらみ合わせないと、今申し上げました幾つかの類型が全部低所得者にかかってくるとは必ずしも言えないと思います。  先生の御質問の趣旨は、主としてEC型の付加価値税を念頭に置いておられるのではないかと思いますが、この税は本来は各段階で生じました付加価値分に対して課税しますが、次々と税が転嫁されていきまして、最終的には消費者にかかってまいりますから、全部税の負担は消費者が負担するという前提をまず置きます。中には、税を転嫁し切れない、自分が負担しなきゃならないとおっしゃる方もいらっしゃいますので、その場合には税額分だけ価格は上がらないわけでございますから転嫁は行われないわけですけれども、仮に全部が転嫁された場合には、すべての財貨、サービスに課税をいたしますケースをとりますと、確かに低所得者には高所得者よりも大きな負担がかかってくる可能性がございます。  その場合、それを避ける方法というのが、先ほどからお話に出ております例えば食料品の非課税とか、あるいはゼロ税率というやり方もありましょうし、あるいはもっと食料品以外のものまで広げまして非課税の物品をつくるということがありますが、しかしこれは本来のEC型の付加価値税の中立性というものを破るものでございまして、市場で決まる価格に不当にそこにゆがみを与えますから、本来は好ましくないんですが、それよりも低所得者にかかることを避ける方が大事だという判断に立ちますれば何らかの方法を講じなければなりません。  その場合に、じゃ食料品はどうかといいますが、食料品についても非常に高価なぜいたくな食料品もございますし、それから日常使います食料品もございますので、高価なものは排除したいわけでございますけれども、食料品の中でそういう選別をするという作業も非常に困難であろうと思いますから、一括して食料品課税ということにならざるを得ないと思います。  それからまた、今度は食料品以外のものをどこまで、例えば教育費とかその他いろいろな義務的に近い支出というものを非課税にしろというような御議論もございますので、そういうものも考慮すると逆進性はそれだけ減ってくると思います。  そのほかに、そういう税目ごとの税率の差をつくるよりもむしろほかの方法で救おう、例えば極端には課税最低限をもっと上げるという方法もございましょうが、米国で一部の州でやられておりますのは、例えばネガティブ・インカム・タックスの考え方で負の所得税、言いかえれば、一定額以下の所得の層については政府からむしろお金を渡す、交付税の税負担もそこで払ってくださいという式の考え方も構想としてはあり得ると思うんです。ただ税制として非常に複雑になり非常に難しいという問題が残っておりますが、これはかって申し上げたことがあると思いますが、OECDで調査をいたしまして、ヨーロッパ各国のさまざまの消費税を持っておる国を調べまして、それがどのくらいの逆進性を持っておるかということを調査したものがございますが、これが全部正しいとは思いませんけれども、しかし逆進性は非常に少なくなって、一種の比例税に近いというような結果も出ておりますので、我が国でこういうものをどう構想するかは別問題にいたしまして、逆進性を非常に少なくする、そしてほかの税目やほかの政府の施策でもってカバーをするというようなことは考えられないことではないという感じでございます。

野末陳平新政クラブ

○野末陳平君 私は一問だけにしておきますけれども、参考人の皆さんの共通したところで、税は公平で公正でなくちゃいかぬ、これは当然のことでして、これを何とかするのが緊急の課題だと思いまして、不公平を直すことをした結果減税になるというのが当然一番望ましいわけで、それを来年度はぜひとも実現しなきゃいかぬ、こう思っておるわけです。  その場合に、先ほどから議論になっておりますけれども、例の財源の問題ですね。この財源が一番大事なんですが、不公平を直した結果これだけの減税になる、その場合財源の有力な一つとしてはマル優に手をつけざるを得ないというところに落ち着くんじゃないか、そういう気がするんですね。別にこれが簡単だという意味じゃありませんで、やはりこの辺が合意を得やすいだろうというふうに考えますが、その場合、参考人の皆さんに個人的感想でも結構ですし、専門的お立場からの御意見でも結構なんですが、お聞かせいただいて参考にしたいと思います。  このマル優に手をつける場合、要するに大ざっぱに言うと三つありまして、初めは、手をつけるんじゃなくて、要するに今のままでいい、マル優は今のままにしておかなきゃいけないんだということですね。つまり非課税の枠を残す、ただし管理はきちっとやらなきゃいかぬ、つまり現状維持に近いですね。ですからこれをやるという意見が一つあります。  それから次は、いわゆる枠というものは、優遇の枠は今のまま残すけれども、その枠に対しては、低率の分離課税ですから、一〇%なら一〇%あるいは五%というような低率の課税をする。マル優というのは全くの非課税でなくて優遇課税という形でいわゆる優遇枠だけは残すという、これが二つ目ですね。この場合も管理の枠というのはきちっとしないと不公平が続きますから、いろんな問題がありますけれども、考え方としてはこれが二つです。  それから三つ目は、そういう管理枠をきちっとするしないという問題がつきまとう以上、むしろ一律に課税する方がいいんだということになりますと、これはいわゆる租税特別措置が所得税法の本則に戻るようなもので、二〇%あるいはそれ以上になるか知りませんけれども、一律の課税をする。となると、これは百万円でも一億円でも同じ課税ということになりまして、また別の問題起こりますけれども、いずれにしても、わかりやすいとか、取りやすいとかいろいろなこともありますから、一律の課税ということも考えられる。  大ざっぱに言うとこの三つだろうと思うんですね。それぞれに長所短所その他いろいろ問題点あろうかと思いますが、参考人の皆さんはこの三つについてそれぞれどんなようなお考えか、それをお聞かせいただきたい、こう思います。

木下和夫税制調査会会長代理

○参考人(木下和夫君) まとめて御提示をいただきましてありがたいと思いますが、この議論は、一昨年の年末に税制調査会としては一定の方針を示しましたので、税調の意見としてはあそこでとどまっておりまして、その後議論をしたことはございません。したがって、これから申し上げることは私個人の判断でございます。御了承を得ます。  第一に、このままというのは私はおかしいと思いますが、ただ政治的判断といたしまして、これがやりやすい、相対的にやりやすいんだという判断が正しいのかどうか私にはよくわかりません。非常に難しいかもしれないという判断もあり得ると思います。しかし、比較的やりやすいんだとおっしゃれば、少なくともこのままはやめていただきたい。  第二番目の御提案は、三百万等の枠は残す、しかし低率の一〇%ぐらいの分離課税をやる。これは一昨年の十二月に税制調査会が大体まとめた案でございますが、この制度をまずとにかく一応最初に順序としてはとるべきではなかろうか。いわば激変緩和といいますかあるいは継続性といいますか、そういうものを重視するならば、やはりとてつもない別の制度にするということはなかなか受けつけられないだろうという配慮からでございます。  しかし、しばらくそれで過ごしまして、第三番目に御提案になりました一律の課税。この税率は別といたしまして、いわば三百万円という枠を取っ払って青天井で一律に課税をするということは、当然いわば課税の公平からは考えちれることでございますが、その場合の税率は、現在の三五%という源泉分離課税の税率とどのように調整をしていくか、この問題があろうかと思います。  私の個人の意見は、まず二というステップを踏みながら第三番目の方へ行くことが望ましいのではなかろうかと思いますが、これは少し遠慮し過ぎかもしれません。いわば現実性とか継続性とか、あるいはそういう税制の極端な変化ということを好まない人々にとっての配慮が非常に優越し過ぎているという御批判が出るかもしれませんが、私は二という段階を経て三に行くのかなという感じておりますが、しかし、諸外国のようにこれは総合課税にするのが本来のあり方であって、やっぱり分離で、例えば先ほど二割ということをおっしゃいましたけれども二割では足りないので、もっと高い所得層にはもっと高い税率を適用してもいいのではないかという考え方は依然として持っております。  以上でございます。

山本富雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(山本富雄君) 西野参考人、簡略にお願いいたします。

西野萬里明治大学教授

○参考人(西野萬里君) 私は、最後の一律課税、つまり総合課税というのが理想的だと考えます。  その際、今木下先生おっしゃいましたように、継続性とか激変を嫌うというような点から考えますと問題でございますが、そういうことは政治の世界の方に任せることにいたしまして、私の理想といたしましては総合課税、一律課税ということでございますが、ただ、高齢者とかあるいは低所得層については、取った税を後で還付するというような手続を組み込んでもいいのではないかというふうに考えます。

市川深東京経済大学教授

○参考人(市川深君) 理論的には三番目の一律課税でありますけれども、ただしこの場合に、勤労所得に基づく貯蓄についてはこれは既に課税済みのものであります。ところがキャピタルゲイン、先ほどの株式その他の課税をされないものについてはやはり税を課すべきだというふうに考えるわけです。したがって、一定額を超えたものについての総合課税でございます。

小沢雅子日本長期信用銀行産業調査部

○参考人(小沢雅子君) 私は、低所得者の立場で申しますと、野末先生の三つの選択肢の中では限度額管理がよろしいのではないかと思います。と申しますのは、もし何らかの形でマル優が全廃されまして預貯金に課税がなされるとなりますと、恐らく低所得者もしくは年配者の多くは預貯金というものを全く保有しない層が必ず出てくるのではないかと思われます。  そうなった場合、二つ問題がありまして、一つは、預貯金を持つことによって発生していた家計の計画性というのが、全く預貯金を持たずにすべてを現金で決済する、たんす預金だけでやっていくということになりまして、家計の計画性が損なわれるという面が一点でございます。  それから二番目の面としまして、現在預貯金の自動引き落としによってかなりの取引の決済が行われております、ところが、預貯金を保有しない世帯がふえまして、すべてが現金で引き落とされるということになりますと大変な面倒が発生しますし、経済混乱も場合によっては起こるかもしれませんし、第一安全性が損なわれるという面もあるのではないかと思います。

野末陳平新政クラブ

○野末陳平君 ありがとうございました。

青木茂参議院の会

○青木茂君 両先生とも、十一分で四人の先生方に一わたり伺うという大変器用なことをなさいましたけれども、ちょっと乱そういうわけにいかぬで、ほかの三先生に申しわけございませんけれども、木下先生にだけひとつお答えいただいて時間が終わってしまうと思いますから、お許しをいただきたいと思います。  私がこの大蔵委員会に参加さしていただいた立場は、まさに参考人の先生方の中に小沢先生が参加なさったと同じ立場なんで、私も税法の専門家じゃございませんし、庶民、サラリーマンの感性を代表しての立場でございますから、そういう意味でひとつ御質問を申し上げます。  税調の中にもいろいろなそういう意見があるというふうに言われてまいりましたサラリーマンの経費の実額と概算の選択の問題、これは私ども年来の主張がやや実現しかけてきたという、これは大変うれしいですけれども、そこでこの問題につきまして御質問を申し上げます。  実額を認めてくださるのはありがたいけれども、何か新聞紙上によりますと非常に狭い範囲である。特にサラリーマンの感性の立場からの最大の願いである背広だとか靴だとか、そういうものが一切どうも排除されるらしい。私ども、六十一年の二月六日から二月十六日にかけて無作為抽出でサラリーマンの税制に対する意識調査を行いました。そのときの望ましい必要経費というのを調べましたら、背広が二六・四%、医療費三六%、靴代二五・三%、その次に続くものが交際費の一九・四%で、あとはもうほとんど三%だ、四%だという状況でございます。  そこで、背広だとか靴代を認めないというのが真実であるとするなるば、これの理由。これは家事関連費としてしか見れないのか、あるいは関連費でもなしに家事費としてだけしか見れないのか。つまり、家事関連費ならば、自営業の方も例えば光熱水費を分割していますわね、それと同じ扱いでいいじゃないか。私もきょう背広を着てまいりました、商売ですから。木下先生も背広を着ていらっしゃっている、お仕事ですから。これはやっぱり職業上の経費という意味があるのではないかと思うわけでございます。これが一つ。  それから、もしサラリーマン特有の経費ではないから認められない、こういうことならば、サラリーマン固有の経費ではないかもしれないけれども、職業上の経費であることは間違いない。そうすると、これは自営業者にもそれを認めればいいので、その公平は保たれるんじゃないか。この点を御質問したい。  それから、一方的にしゃべってこれで終わりますから、二つのお願いがございます。  一つは、本当のサラリーマンと疑似サラリーマンですね、青色申告その他の、このアンバランス、いわゆる所得分割の不公平、これが一番大きな問題でございますから、木下先生これから税調をリードする場合において、税調はかってその意に反してみなし法人というのを認めたんだから、今度はひとつみなし個人という立場をお考えになってはどうかということがお願いの第一でございます。  それからお願いの二。シャウプ以来の税制の抜本的改革、これはシャウプ以来という言葉を、シャウプ税制の見直しという角度でなしに、シャウプ税制の原点に返れという角度でお考えをいただきたい。  質問が一つとお願いが二つでございます。これをお答えいただいて終わります。

木下和夫税制調査会会長代理

○参考人(木下和夫君) お答えいたします。  まず第一の問題は、背広とか靴というお話、また、意見を聴取された場合に二五%を超えるという御要望があったそうでございますが、どの範囲で給与所得を獲得するために必要な経費であるかを選別するという作業は大変難しい作業でございますが、私どもが一応の目安として考えましたのは、その勤務や職務の遂行のために支出した費用のうち、その者の職務に照らして通常必要であると認められるものであって、その勤務または職務の遂行以外のためには支出することがないと認められるものに限定してはどうかという案を第二特別部会に提出をいたしました。  これについてもさまざまな御意見があろうかと思いますが、その場合に、お触れになりましたように、家事関連と申しますか、日常生活でも使う、勤務の場合にも使うというようなものをどの程度認めるかは非常に難しいわけでございます。  したがいまして、例えば制服であってそれが全部雇い主側から支給されるものならこれは認めるわけにいかない。しかし、制服の場合でも自分が一部を負担するという場合には、勤務にのみ必要な制服でございますから、自分が負担した分はやはり必要経費と認めるべきであろうというような判断が個々にできるのではないか。したがいまして、先ほど交際費とおっしゃいましたが、一九・四%という数字を出されましたが、交際費でも本来被用者として雇い主から支給される交際費であるならば、これはもう必要経費と見ることはできませんけれども、みずからが支出をせざるを得ない上積みの分とか、超過分とか、あるいは超過分ではなくてこの費用は自分のポケットマネーで払ったというようなものは、これはやはり営業上の必要から出てきたものである限りは認めるのが適当ではないかというのが専門小委員会で多くの議論があったわけでございます。  この辺の選別というのが非常に難しい問題でございまして、一体どの辺までを職業上の経費と見るかという点については、まだ議論が固まっておりませんので、これから具体的なそれぞれの支出項目について、これを実額控除の対象にするとか対象にしないとかという作業が残されております。これは今後御趣旨の点もございますので、十分考慮しながら検討をしてみたいと考えております。  それから最後に、御希望として二点おっしゃいましたが、私もいずれも賛成でございまして、同じような考え方を昔から持っております。

青木茂参議院の会

○青木茂君 終わります。

山本富雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(山本富雄君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々には、長時間にわたり御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗