大蔵委員会 第4号
- 発言数
- 258 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 1986/03/20
会議録
○委員長(山本富雄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。 租税特別措置法の一部を改正する法律案の審査のため、来る三月二十六日午後一時、本委員会に、税制調査会会長代理木下和夫君、明治大学教授西野萬里君、東京経済大学教授市川深君及び日本長期信用銀行産業調査部小沢雅子君、以上四名の方々を参考人として出席を求め、御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本富雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(山本富雄君) 次に、昭和五十九年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は、去る二月十四日に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○鈴木和美君 まず最初に、六十年度補正の骨格で示されております本年度の税収減でございますが、四千五十億円というようにされておりますが、現在でもこの見込みは変わっておりませんか。
○政府委員(水野勝君) 六十年度税収につきましては、委員御指摘のように、去る二月の補正予算の審議におきまして四千五十億円の減収を計上さしていただいているところでございます。 これは、それまでの時点での課税実績、改定された経済見通しにおきますところのもろもろの指標、それから主な企業に対しますところのヒアリング、こういったものを基礎として、個別税目ごとに積み上げにより見直しを行ったものでございます。そうしたもろもろの根拠に基づきましてこの時点におきまして適正に見積もったものであると現在考えておるところでございまして、この見通しは現在特段これを変えるという環境にはないものと考えております。
○鈴木和美君 大蔵大臣、巷間、新聞とかその他報道で、場合によっては六千億、大きい人は一兆円というような減が出るんじゃないかというようなことも伝えられておるのでございますが、そういう事態になったときに、つまり決算調整資金というようなものを取り崩すというか、使うというような事態が想定されるんじゃないかと私は心配しているんですが、大臣の見通しはいかがでございますか。
○政府委員(保田博君) 我々といたしましては、心情的に甚だ想定したくない仮定の御質問かと思いますが、先ほど主税局長から申し上げましたような税収見込みでございますので、歳入が大幅に下回ったということを前提とした答弁は差し控えさせていただきたいと思うのでございます。 いずれにしましても、年度末におきまして、まず歳入を確保していただくと同時に、歳出の節減等によりましてそのような大幅な歳入不足が生じないように最大限の努力をさせていただきたい、そういうふうに思っております。
○国務大臣(竹下登君) 今保田次長からお答えいたしましたことが偽らざる私どもの心境でございます。 きのう発表しましたQEなんか見ております と、十−十二月、割にいいなと、そうするとやっぱりおれたちの積み上げ、そう大きな狂いはないかなと思ってみましたり、しかし予想以上に原油価格が落ちるとか、そういうことがありますと、まさにそれは一喜一憂の一憂の方に入るでございましょうが、かれこれ毎日のように心配しておりますが、大筋私は現段階において今の見積もりを変えようという考えはございません。 今保田次長からも申しましたように、やはり税外収入でございますとか、あるいは歳出そのもので少しでも節減とか、そういうものが効いてくるようなという考え方は毎日持ちながら財政運営をやっていきたいと思っております。
○鈴木和美君 私が今お尋ねしていることは特別、剰余金という問題に直接ではないんですけれども、結局税収の問題というものは、次の財確の問題を討議し六十二年度を討議するという出発点になるものですから、そこのところをはっきり押さえておかないと議論の展開が非常に難しいわけですね。 それから、かねて大臣は約一%ぐらいの誤差というのは誤差のうちに入らぬというようなことも時々言われるものですから、四千五十億でおさまっていけば私はそれはそれで結構なことだと思うんですよ。しかし、先に行って大変な誤差が出たということになりますと、政府の見通しというのは一体どういうことなのかということで非常に信頼性を問われると思うんですね。そういう意味でもう一度お尋ねしますが、四千五十億にはそれほどの差はないというように今日段階で見てよろしゅうございますか。
○国務大臣(竹下登君) 今日段階で私どもは大筋妥当な数字であろうというふうに思っております。
○鈴木和美君 それでは、後ほど財政の基本的な認識について時間があれば大臣の見解をお尋ねしていきたいと思いますが、まずこの剰余金問題について若干先に触れさしていただきます。 まず大変基本的なことで、いつもこの国債問題や剰余金問題、つまり減債制度というものを議論するときにむなしさを私は感じているのですが、そういうむなしさを感じながらもなおかつ原則もう一回お尋ねしたいんですが、財政法第六条という立法趣旨、これは私が言うまでもなく、健全財政主義の建前から、決算剰余金の二分の一以上は国債の償還財源に充てて国債に対する国民の信頼を確保するというための措置だと思うんですね。これについての財政法六条の立法趣旨について改めて大蔵省の見解を聞いておきたいと思うんです。
○政府委員(保田博君) 先生がただいま御質問の中でお述べになりましたとおり、財政法第六条の立法趣旨は、まさに公債及び借入金の償還を確実ならしめることによりまして国民の公債に対する信頼を確保するというためのものでございます。
○鈴木和美君 まさに今答弁があったとおりだと思うんです。 そこでもう一度、これも経過でございますが聞いておきたいんですが、昭和五十年十月二十九日、当時のこれは大平大蔵大臣だったと思いますが、衆議院の予算委員会においてこの剰余金の問題につきまして、「従来は、原則として剰余金の二分の一に相当する金額を充ててきましたが、特例公債償還までの間は、その全額を充てる予定であります。」こう発言なさっておりますね。大蔵省はこの後この発言をそれこそ重く受けとめて、決算剰余金のつまり扱いをやってきたと思うんですね。そこで財政運営の今日までの実績、それをちょっと示してくれませんか。
○政府委員(保田博君) 御質問にありました大平大蔵大臣の発言の後、昭和五十年度から五十九年度までに十回の決算が行われたわけでございます。そのうち、昭和五十六年度には剰余金が出ませんでしたので、剰余金が出ました年度は九回でございます。 そのうち、当時の大平大蔵大臣の御発言どおり全額を償還財源に繰り入れましたのが昭和五十年度、五十三年度及び五十四年度の三回でございます。それから五十二年度及び五十八年度には、公債発行額を縮減したいといったような要請もございましたので、財政法六条に基づく二分の一だけの償還費繰り入れは行いましたけれども、残余の二分の一は一般財源にこれを使用さしていただいております。それから昭和五十一年度、五十五年度及び五十七年度の三回は、減税のための財源としましてこれを全額一般財源に充当さしていただいております。その後で、今回の五十九年度決算の剰余金を六十年度の補正予算の財源に一般財源として繰り入れさしていただきたい、こういうお願いでございます。
○鈴木和美君 今実績をお伺いしたわけでありますが、大臣にちょっと感想をここで聞いておきたいと思うんです。 今御発言があったとおり、大平発言の後十年間の中で全額償還財源繰り入れという方針について実施したのは五十年と五十三年と五十四年だけですね。それで、公債財源確保のための剰余金処理というこの財政法六条などの経緯、それから今の大平大臣の発言の経緯などから見て、さっぱり実効が上がっていないということに対して大臣はどういう見解をお持ちでありますか。
○国務大臣(竹下登君) この大平発言というのはやっぱり重きをなす発言であるというふうに考えております、昭和五十年十月二十九日。やっぱりいつも反省しなきゃならぬのは、この間も竹田さんからの御意見にもございましたが、やっぱり我々にもなれがあってはいかぬと思います。率直に言って、大平さんが私に、五十年というのは赤字公債発行した初年度になるわけでありますが、税の先食いをした、財政を担当する者として取り返しのつかぬ、表現ちょっと忘れましたが、そういう趣旨のこれは私的に発言なさったことを私も記憶に残っております。したがって、非常に当時自分でもそういう物の考え方が背景にあるだけに重きをなす発言として言われたと思います。 減税財源に充てた場合はいいとしましょう、これは与野党が話し合ってやることでございますが。そうでない場合のことにつきますと、まことに私自身も、何かそういう当時重い重い発言であったものがいささかなれというものが生じてきているんではないか、こういう感じがしてしようがありません。今年度の場合、私もとっさにいわゆるベースアップ財源等を考えましたときに一番先やっぱり考えついたことでございますから、私の財政運営にも一つのなれが来たのかな、こんな自己反省もしながら、しかし赤字公債発行するよりも許容していただけるのか、こういう気持ちで対応しておりますので、やっぱり大平発言の重みというものはいつまでも忘れてはならぬことだというふうに考えております。
○鈴木和美君 せっかくの答弁でございますが、私はどうもそこのところがすとんと落ちないんです、実は。大平発言の問題というのは、御案内のとおり、赤字国債をいよいよ出さなきゃならぬというようなことで、償還財源を一体どうするのかということを本当に真剣に考えたと思うんですね。それがお金がないからというようなことで全く安易に今日その重みというのは軽視されているように思うんですよ。そこへきて定率繰り入れも全くないというようなことになってまいりますと、いわゆる国民の国債に対する信頼度、財政運営に対する信頼度、または財政の健全性、それから国債整理基金制度の持つつまり意義、こういうものが全くなくなっていくと思うんですね。 それで、大臣初め首相は、苦労は苦労としてわかりますけれども、重みをいだく感じているとか、基本は維持しつつとかよくおっしゃるんですが、全くそれは言葉だけのことであって、実態はまさに軽視されたことになっていると思うんです。これで国民の国債に対する信頼度というものは一体守れるのかということをつくづく私は感ずるんです。この剰余金という問題は、剰余金だけにとどまらないで、これはいわゆる減債制度のつまり基本のことだと思うんですね。だから、もう少しきちっと私は受けとめてほしいと思うんです。 そこで、先般六十年の財確法のときに私が問題提起をしたことについてこの際もう一度伺っておきたいと思うんです。 定率繰り入れも行われない、さて剰余金も今回ゼロであるということになると、一体、先ほども申し上げましたように、減債制度というものはこれは守れていくのかということから考えたときに、先般の財確のときにたまたまNTTの株の問題が新しい問題として出まして、日本たばことそれからNTTの株の売却益及び配当というものの帰属をめぐって私はある問題提起をいたしました。その問題提起というのは、私は三つの角度から問題提起をしたわけです。 まず一つは、五年間も定率繰り入れが停止されているということはこれは大変なことだ。大臣も衆議院の予算委員会の中で、これはもうゆゆしき問題だ、十分これは配意していかなきゃいかぬという答弁がなされているにもかかわらず、定率繰り入れというものが相変わらず停止されている、一体これはどういうことだという問題提起を一つしたんです。 それからもう一つの問題提起は、整理基金特会に繰り入れるつまりお金の順序の問題を私は問題提起しました。いろんな今日までの慣行や指導文書などを見ても、繰り入れの順序というものは、まず定率繰り入れ、それから剰余金、それから予算繰り入れという順序というものは歴然としているんじゃないのか。ところが六十年の財確のときにはその順序を変更しようとしているじゃないか、これはおかしいじゃないかという二番目の問題提起しました。 それから三番目の問題は、定率繰り入れという問題は一・六である。ところが大臣のときどきの発言の中に二分の一とか三分の一とかという話が出てくる、おかしいじゃないかと言うたときに大臣は、いや二分の一とか三分の一とはとょっと誤解がありますよ、よくよく考えてみたら一部停止というような言葉に置きかえてもらってもいいんだというような発言もございました。しかし私は、法律改正というものが行われない限り定率繰り入れというものは一・六の数字というものは歴然としてあるんだと思うんですね。だからその数字の変更というのはあり得ないんじゃないかということを問題提起したんです。 そして結語として、NTTの株の売却益や配当の金があるから定率繰り入れをやってない。結局これは、十六条で規定したNTTの株の売却とか配当は、つまり償還財源、元本の償還に充てると書いていながら、結果としては、一般財源がないからそこに入れておって、NTTの株の金額があるから今度は定率繰り入れもやらない。つまりこれは裏を返せば一般財源化しているんじゃないかという問題を提起したはずなんです。そのときの議事録をもう一回読んでみたんですが、大臣の最後の見解は、NTTの株が現在どういう状態で、売れるか売れないか、方法をどうするかまだ決まっていないので、とにかく断言することはできない、こういうお答えが前回の財確法のときの議論の経過なんです。 そこで私はもう一度ここのところの点をはっきりしておきたいと思うんです。つまり、一般財源化するかしないかということは別にして、私が問題提起をした前段の三つですね、四年も五年も定率繰入制度がありながら行われないということは一体どういう見解に立つのか。それから二番目は、順序は定率繰り入れ、剰余金、予算繰り入れという順序が歴然としているんじゃないのか。この順序を変更しようとしているということに対しての見解をはっきりしてください。そして定率一・六%の率は変えないということははっきりしているのか。ここをもう一度財政当局からしっかりした見解を聞いておきたいと思うんです。
○政府委員(保田博君) 手厳しい御質問が幾つかございましたが、まず定率繰り入れの停止が五年も引き続いているのはまことにけしからぬではないかというのが第一点の御指摘でございます。 御承知おきのような現下の極めて厳しい財政事情のもとで、六十五年度の特例公債依存体質脱却という目標を目指しまして、政府としてはこれまで歳出歳入の両面にわたってぎりぎりの努力を積み重ね、とにかく新規の公債発行額を可能な限りこれを縮減するということをまず第一目標として予算編成を続けてきたわけでございます。そのような財政事情のもとでは定率繰り入れにつきまして御指摘のような五年間の停止をせざるを得なかったということでございます。償還財源を積み立てるとしますと、今のような財政事情のもとでは新規の公債発行を、いわばそれだけ発行しなければならぬ、どちらをとるかというような事情にあることを御理解いただきたいということでございます。 それから、六十一年度予算におきまして、公債償還財源を確保するための順序として、まず定率繰り入れを優先させるべきではないかという順序の問題が次の問題でございました。 これは我々としましては、基本としまして先生の御指摘のように、まず定率繰り入れが基本でございます。これを補完すべきものが剰余金の二分の一以上の繰り入れであり、さらに足らざるところがあれば予算繰り入れを行うということによりまして国債の償還に遺漏なきを期するというのが基本であろうかと思うわけでございますが、先ほど来申し上げておりますような財政事情のもとではその基本どおりになかなか財政運営が難しいという事情にあるわけでございます。六十一年度予算におきましては、先ほど申し上げましたように、定率繰り入れの停止はこれを引き続き行わざるを得なかったわけでございますし、六十年度の補正予算におきましては、五十九年度の剰余金の全額を一般財源に繰り入れざるを得なかったということもとにかく御理解をいただきたいのでございます。 最後に、予算繰り入れになったじゃないかということなのでございますが、御承知おきのように、定率繰り入れを五年間にわたりましてこれを停止してきた、それから五十年代に入って大量に、発行されました国債の償還期が参ったということでございますので、従来のように定率繰り入れを停止しただけでは国債の償還財源がどうしても不足をするというようなことから、国債整理基金の残高等をも考慮しまして四千百億円の償還財源の繰り入れを行ったということなのでございます。 これを、定率繰り入れの一部停止といいますか、一部を繰り入れるということで理解をするのか、あるいは予算繰り入れと理解するのかという点でございますけれども、定率繰り入れというのは、国債の残高に対しまして一定の割合で、これは国債整理基金の状況等とはいわば無関係に一定の割合で繰り入れるものでございます。が、今回の四千百億円の繰り入れは、まさに国債整理基金の状況を勘案しまして必要最小限の額を繰り入れるということでございますので、この実態から考えますればこれを予算繰り入れと理解していただいた方が正確なのではないか、こういうふうに考えたわけでございます。 それからNTTの株の問題でございますが、我々といたしましては、NTTの株式、これは国民共有の非常に貴重な資産でございますから、その売却収入は国債という国民共有の負債に充てるということが最も適切であるというふうに考えまして、昨年御審議をいただきました法律におきまして国債整理基金特別会計にこれを帰属させるということにさせていただいたわけでございます。このNTTの株式、これは今後の国債償還を進めていく上で大変心強い支えであるというふうに理解をさせていただいております。 先生の御指摘は、法律の定めるところに従ってまず定率繰り入れはこれを実施する、さらにNTT株の売却収入はいわば国債の繰り上げ償還に充てるべきではないかという御趣旨かと思うわけでございます。まことに卓見でございまして、我々といたしますればそれができればそれにこしたことはないというふうに考えておるわけでございます。特例公債の残高をできるだけ速やかに減少させるために今後の財政事情のもとで可能な限りの努力をしなければならぬというふうに考えておりますけれども、先ほど来申し上げておりますような財政事情のもとでは、今直ちにNTTの売却収入を国債の繰り上げ償還に充てるというところまではなかなか踏み切れないというのが現実の姿ではないかというふうに思うわけでございます。まことに残念な事態でございますけれども、御理解をいただきたいと思います。
○鈴木和美君 私は大臣がそういう答弁をされるならまだしようがないと思うんですよ、ある意味で、ある意味でしょうがない。だけれど、財政当局が今のような答弁では私は納得できないんですよ。少なくとも法律があって、慣行があって、役人というのは法律に従ってやっぱりきちっとしたものをやらなきゃいかぬことでしょう。財政事情のもとで云々ということの財政事情のもとというのは、支出をどういうふうにするかということは政治家の問題ですよ。だからそういう意味では、もう少し省は省なりのよって来る国債の信用度や財政の膨張の歯どめをちゃんときちっとするという減債制度を守った上で私はやらなきゃならぬことだと思うんです。極めて不満な答弁だと言っておかなきゃならぬと思うんです。 それからもう一つは、NTTの株が、また配当が、その金額があるから定率繰り入れはやらなくてもいいんじゃないかというようなことで裏返しの議論になっているんですね。ここが私は問題だということを言っているんですよ。 それから、この前問題提起したのは、法律の出し方がよくないということも言ったんです。あの十六条を見たときには、NTTの株の問題は国債の償還財源に充てますと書いてあるわけでしょう。なるほどそのとおりなんですよ。ところが定率繰り入れが行われていないと当時六千億不足するという話だったわけだ。それが四千百億ぐらいになったんですか。それは結局一般財源化しているじゃないかということを言ったんです、私は。法律では償還財源に充てますとなっているけれども、金に色がついているわけじゃないんですから、結局は一般財源化しているじゃないか、そういう法律の出し方はおかしいんじゃないかということをこの前指摘したんです。しかし、それは数だからしようがなくてああいうことになっちゃったんですが、私は今でも納得できないんですよ、ここよ。 そこで、大臣、私はぜひ考えておいてもらいたいんですが、先ほど予算繰り入れの問題と理解してもらってもいいと、四千百億はね。そうじゃない。これは私はやっぱりおかしいと思うんですよ。確かにそういう性格のものであるかもしらぬ。しかし、予算繰り入れというのは、順序を追ってきてそして一番最後の措置なんですよね、どういうふうに見ても、慣行として。大平大臣もそのことを当時述べておりますね。だから、順序としても私はおかしいということをなおかつ指摘せざるを得ないんです。 そこで、私はここで大臣にひとつ提言があるんですが、一つは、今の国債に対する信用度というのは、非常に財政運営に対して国民の中には大変な不信になっているわけですね。そこで、定率繰り入れが一・六ということが決まってはいるんだけれども、どうしてもできない財政事情だというんであれば、法律を出し直して、もう少し確実、健全な償還の方法をとるということはできないのか、これが一つなんです。 それから、NTTの株、現在いろんなことを言われておりますけれども、時間がございませんので私から述べますが、大体売却をするのは三分の二ですから一千四十万株ですね。それで四年間でやることになれば、まあとりあえず七百八十万株、今回百九十五万株ですか、これで四千何億ですね、予定しておるのは。しかし、これはやっぱりNTTの株の最初の割り当てをどうするのかとか、それから市場に出回った場合にどういうことになるのか、大変議論はあると思うんです。しかし、私の個人的な想定ですが、市場に出回るときには三分の二を売ったときには四兆円、もっと超えるんじゃないでしょうか。そういう財源があるものですから、どうしても片方は安易に流れちゃうわけですね、定率繰り入れの方も。ますます信用度が逆効果になる。 そこで、私はNTTのその株の問題の、何%でもいいから元金の繰り上げ償還に何ぼか充てるということはできないのか。そういうことをやらない限り私は国民の国債に対する信用度というのは持ち得ないと思うんですが、大臣いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 今おっしゃいましたまず第一点の、私もちょっとそういう議論をしたことがございますのは、たとえきっちり半分とか三分の一とかでないにしても、定率繰り入れの二部停止と考えて残しておけば、定率繰り入れそのものの基本は、金額は小さくても残っておる。しかし、まあいずれにするかと随分部内で最終的に議論した問題でございますが、先ほど保田次長から御説明申し上げましたような議論の経過で、やっぱりこれは予算繰り入れということにしよう。これは考えようによればどっちにでも本当はできることですが、鈴木さんのいわゆる法律体系の中の原則から言えば、一部繰り入れ停止、結果的には大分繰り入れ停止になったとしても、いわゆる減債制度の芽だけ残すという論理はそれなりに成り立つ論理だとは思いました。いろいろ議論した結果このような形にしたということでございます。 いずれにせよ、一方に六十五年度赤字公債体質の脱却という旗があるわけでございますから、そこでこのNTTの株式というものにつきましても、本来は、鈴木さんがかねての御主張のように、NTT分は元金の繰り上げ償還に充てるべきだという論理はそれなりに私は当然主張されるべき議論だと思っておりますが、現状を見ますと、そのことは現実問題として難しいということをお答えせざるを得ない。 そうなると、これもなれではないか。NTT株が、いずれにせよ今の見積もりは見積もりとしてあるとしても、実勢価格がどうなるかは別として、それが期待できる。期待できるから、定率繰り入れはまあまあしなくても、それによって補えるわという安易感を持ってはならぬということは、私も御指摘のとおりだと思っておりますが、六十五年赤字公債脱却というその旗というものが先行いたします限りにおいて、今いろいろな御指摘をなさっているような苦心惨たんの財政運営をしていかなきゃならぬというふうに思います。 私も、先般の財政法の議論をなさったときから考えてみますと、昭和二十二年三月二十日でございますが、このときもやっぱり、最も基本的に安易になるべきでないという趣旨でこの法律案が提出されておるのだな。今とは予算の規模も違います。それは昭和二十二年ですからいわゆる生活水準も違いますが、財政の基本というのはやっぱり先輩が考えておられることがこの提案理由等で読み取ることができる。いつもそういう原点を忘れないでいないと、一遍やるとそれが惰性惰性でイージーな対応策になりがちだ。私自身が割に長く大蔵大臣をやらせていただいておっても、その都度反省しつつも、ああこれをこうすればいいなという考え方がやっぱり安易さの範疇に入るんじゃないかと思って自戒しておるというのが素直な現状の心境でございます。
○鈴木和美君 ちょっと余談になりますけれども、大臣、きょうの新聞を見ても、宮澤さんがいろんなまた御発言をなさっておりますね。私は、中曽根内閣の大蔵大臣竹下登ということについて、ある意味では同情しているんです。中曽根さんの大蔵大臣であるために、ニューリーダーでも出おくれしているんじゃないですか、もう新聞でも点数がついちゃって。ちょっとそんな感じなんです。しかし私は、ほかの方々と比較しても、少なくとも内政という面では、長い間財政運営に携わってきた竹下大臣でございますから、他の人よりは内政の面について堂々と物を言える、また言わなきゃならぬ、そういう条件、環境にあるんじゃないかと思うんですね。 だから、別にポスト中曽根というようなことで冷やかしを言っているわけじゃないんですけれども、六十五年の赤字国債からの脱却とか、増税なき財政再建とか言ってみたって、既存の枠組みの中ではどうにもならないんですね。かつて五十七年のときに鈴木前総理がおやめになったときと、今この国債の問題をめぐる環境というのは同じ状況じゃないですか。総理大臣が三年やってかわるごとにまた変わるというような状況じゃないでしょう。 私は、だからそういう意味からすれば、今定率繰り入れという問題に対して、法律改正をやって一部繰り入れでもやったらいいじゃないかということは具体的指摘ですけれども、裏を返せば、大臣が所信表明で述べている対応力の問題であり、財政改革の問題であり、そういう問題につながってくることだと思うんですよ。そのことをしない限り、私は国民の国債に対する信用度というのは本当に下落するばかりだと思うんですね。だから、そういう意味でしっかり私は受けとめてもらいたいと思うんです。 特に今回の剰余金は、今まで五十年それから五十二、五十四とやってきたけれども、そのほかは、先ほどの話の中で、たまたま減税財源という与野党の話があったからということがありましたね。しかし今回の問題は財政当局が初めてやることですよね、千七百億という問題に対しては。それは給与費をどうのこうのとすぐ言うんですけれども、それは予算編成上の問題なんであって、私はそんなこと知りませんよ。今回初めてこういう措置を財政当局がとるんですよ。それだけに私は今までの剰余金の問題の議論とはちょっと性格が違うと思うんですよ。非常に異例だと思うんですね、こういうやり方は。 私は、ここに藤井先生おいでになりますけれども、藤井大蔵委員長のときにも、ぜひこの問題について、財政当局とか大臣だけじゃなくて委員会としても何か審議をして新しいものを示唆すべきじ神ないか、理事会で協議してほしいということをお願い申し上げたところなんですよ。そのくらいこの問題というのは単なる剰余金という問題だけの問題じゃないと思うんですよ。もっと深い根本的な財政改革のものが潜んでいると思うんですよ。そういう意味に立って私は今回の問題というのは納得できないんですよ。何としても納得できないんです。 そういうことを踏まえて、もう一度大臣の見解をお尋ねをいたしまして、あとは竹田理事にあとの質問をお願い申し上げます。
○国務大臣(竹下登君) 既存の枠組みの中で今掲げておる目標というものは難しいじゃないか。私も大変困難な問題であるということは承知をいたしておりますが、今その旗をおろす考えはございません。 ただ、思いますことは、いわば超物価安定というような中で今日来ておりますと、国債というものの信認の度合いということになりますと、減債制度からいえば鈴木さんのおっしゃるとおりだと思うんですが、現に物価の安定下において国債というものが、これは別の角度からすると、国民になじんだ大変な健全な金融商品としての価値というものに今日位置づけされておるというふうに私は別の角度からはそうも思っています。ただ、この残高はふえておりますが、少なくとも今日いわゆる国債依存度というものはこうして逐年下げてきておるということはやはり財政改革の進んでいく経過の中で実績として、評価してくださいと言うわけじゃありませんが、心の中で幾ばくかの下がってよかったというような感じを持つ一つの因子であるというふうに思っております。 したがいまして、前回も出ましたように、委員会等でも本当のあるべき姿、もう一遍ある意味においてはガラガラポンにしてもとから議論してみようじゃないか、私どもも絶えずそういう観点から物を眺めていくと同時に、それらが一つの結論として出るのはやっぱり国民の理解と協力をいただくための時間もかかるだろうというところから、今の時点において六十五年度赤字公債依存体質からの脱却というこの努力目標をかたくななまでにも担いでおるというのが私の心情でございます。 まあ、毀誉褒貶は時の習いと申します。 —————————————
○委員長(山本富雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。 昨十九日、藤井孝男君が、また本日、赤桐操君及び桑名義治君が委員を辞任され、その補欠として林ゆう君、安永英雄君及び太田淳夫君がそれぞれ選任されました。 —————————————
○竹田四郎君 竹下さん、去年の、NTTの株式を国債整理基金勘定へ入れるというふうになってから、あなたの発言もそうですけれども、大蔵省筋の発言というのは、非常にNTTが入ったから気強い、あるいは新しい要素が入ったという御答弁がずっと続いていますね。予算委員会でもそうですし、この前私がここで所信についての質問をしたときも竹下さんは新しい要素が入ったと、こう言うんですが、その新しい要素が入ったということは国債償還がそれでできちゃうという意味ですか。その辺が私明らかでないんですよ。私が計算して、NTTの株が五倍になったところで返せるものじゃないし、幾らを考えているのかこれはわからないし、市場の相場がどうなるかわからないんですがね。何か先ほど保田次長も力強い味方を得たと、こう言っているんですが、本当に味方になるんですかどうですか。その辺はどのくらいに考えたらいいんですか。
○国務大臣(竹下登君) かなり難しい問題でございますが、毎年毎年中期展望なり仮定計算を出しますときに何にも新しい要素が描けないままに出すというのは、大変お世話になる私どもの側にとってもこれは苦しいことでございます。少なくともことしの中展やらあるいは仮定計算の中へそれを、まだ値段の問題は別としまして、書き込むことができるようになったということは本当に力強いとでも申しましょうか、それだけは今までと違った要素がそこに入ったという意味においては、少し表現がオーバーな嫌いは反省しなきゃなりませんが、幾らか心を、ほんのちょっぴりでございますが安んじておる要素にはなっておるというふうに思います。 そこで、余りこれを言い過ぎますと、自分の頭がもう定率繰り入れ等はないものと前提にして、その肩がわりを極端に言うと株の売却収入がしてくれるというようなことに硬直的に考えやすくなっちゃいかぬなということも我と我が身には言い聞かせながらも、確かに新しい要素が出たという意味において、少しオーバーなぐらい申し上げてきたではないかというような反省をも含めた心境でございます。
○竹田四郎君 反省されているようですから私は結構だと思うんですが、もうことしになってあなたのところから国債の話が出るとNTTの株の話が必ずついているわけです。こういうことをずっと聞いていますと、このNTTの株を基礎にして考えているということになると、果たして今後の国債というのは一体どうなるんだろうかということがちまたでいろいろ話しされているわけですよ。私なんかも国債は一体どうなるんだという質問を受けるわけですね。そうすると、これはやっぱり戦後と同じようにそのうちにインフレにしちゃってそしてただ同然の紙切れにしちゃうだろうという議論もかなりあります、これは経験者が多いですから。いやそうじゃなくて、これはイギリスのように永久国債にしちゃうんだろうなと。十年で返すという赤字国債だってもうあれは借りかえになっちゃっているんです。 二、三年前の議論で、建設国債と赤字国債、こんなものは借りかえによってわけがわからなくなる、もとの帳簿だけしかわからぬ。こういうふうになっちゃうと結局永久国債で、我々一生懸命国の財政を助けようと思って買った国債は、まあ金利ぐらいが返ってくるだろうけれども元金は返ってこないんじゃないか、永久国債になるんじゃないか、こういう議論もちまたに随分されていますよ。ある程度国債のわかった人はむしろ、これはこれから永久国債だよ、こういう議論があるわけですね。現実に一人一人国債を持っている人のときは今だって返ってくるかもしれませんけれども、何年度の国債あるいは何回発行の国債というものは果たして六十年たったら返ってくるものやらどうなのやら、私はわからなくなってきたと思うんですね、はっきり。 そういう時代を今迎えつつあるということなんですが、そういう形で実質上、形の上ではいろいろな名目つけられるでしょうが、実質上永久国債などということはあり得ないですか、ことによるとあり得るんですか。
○国務大臣(竹下登君) 個人個人にはそれは元金が返ってくるわけでありますが、その調達の手段として、永久国債のように借りかえが続いていけば今のような御心配もあろうかと思いますが、私どもとしては、まずは、この前も議論されましたとおり、それは残高へ入ってしまえば建設国債も赤字国債も確かにこれは同じものになってしまいますが、少なくとも、より不健全であると言われる赤字公債の依存体質からは六十五年度には脱却をしようじゃないか。そしてその後対GNP比等からして残高を落とす努力をしていかなきゃならぬ。しかし、今日、いわゆる公共事業の耐用年数等から決められた六十年償還という問題を、中には百年償還にしたらどうだとかいう議論も町の議論としてはあり得る議論でありますが、今私どもは、今の建設国債のときにとった、そしてそれに準じてとっておる今日の赤字国債をも含めた償還という方針を変えていく考えはございません。したがって、これが永久国債の性格を帯びるということはないというふうに御理解をいただきたいと思います。
○竹田四郎君 言葉の上ではそのようにおっしゃっているわけですが、既に先ほど鈴木さんがお話しになりました一・六%の定率繰り入れというのは停止になっているわけですよね。一・六の定率繰り入れというのは、六十年後には返しますよという約束ですよね、ある意味で、それを停止しているということは六十年が終わって八十年になるかもしれぬ、こういうことですから、それには私はちゃんと定率繰り入れをしていくということがはっきりした国民への約束だと思うんですよ。アメリカが減債制度がないとか、ほかの国にないからということで、日本の国民性というものから、それも同じだというふうな考え方は間違っている。でありますから、私はやっぱりそういう意味で定率繰り入れをしていくべきであるし、まさに今度の補正予算でやったような剰余金を全部入れてしまうというようなことはこれはもってのほかだと思うんですね。 でありますから、私はもう時間がありませんから、きょうは竹下さんもある程度反省もなさっているようなふうに承っているわけでありますけれども、まず、今度の剰余金の一般会計への繰り入れというのは、もうこれが臨時異例の措置だ、ことしは臨時異例の措置だ、もう今後はいたしません、こういう約束をひとつしてほしい。それは難しいと思うんです。しかしそのくらいのみずから枠をはめてもらわないと困る。 それからもう一つは、赤字国債が発行されたときの大平さんの、赤字国債の残高を減らしていくという減債基金をつくっていくためにとにかく剰余金は全額減債基金に積み立てる、これも大変難しいことだと思うんです。財政法以上のことなわけですから難しいと思うんですが、これは少なくとも尊重するぐらいな態度で私は進んでもらわないと困ると思うんです。 この二つのことをお約束してほしいと思うんですね。私はこれはむしろ委員長さんから御発言になっていただきたいというくらいに実は思っているわけでありますが、この二つの点はひとつお約束をしていただきたい。 それからもう一つ、時間がありませんから、どうも大蔵大臣のお話を聞いていますと、頭隠してしり隠さずという財政運営のような気がするんですね。予算を当初組むときには六十五年度赤字国債ゼロというそのことで頭を隠す。しかし、終わってみますと国債を発行していたり、今のような形で剰余金をこっちへ繰り入れたりしていまして、あとはもう何といいますか、最初の予算の考え方がぐっと違っちゃってきている。こういう意味で、私は、まさに六十五年度赤字国債ゼロの話というのは頭隠してしり隠さず、こういう財政運営のあり方だと思うんですが、これは今後のまた批判に私はしたいと思いますけれども、さっきの二つのことだけはお約束していただきたいと思うんです。
○国務大臣(竹下登君) まさに私自身が、たまたまことしベースアップ財源とほぼ似たような数字であったということもございますから、ああこれしかないなという感じを瞬間的に持ちました。持ったことが本当はそれだけやっぱりなれというものが自分に生じておるという反省もございましたが、結果として異例の措置としてお願いをした、こういうことになりますので、元来あっていい方法ではないと私も思っております。 それから二番目の大平発言というのは、やっぱりあれは原点として、昭和二十二年の財政法ができたときが一つと、それからその次は、福田さんの大蔵大臣のときの、いわゆるオリンピックの翌年の二千億でございますか、あのときのいろんな問答と、それから三番目が大平さんの、いわば赤字公債を初めて発行した財政担当者としての物すごい良心の苦しみの中から発言されたであろう財政法の限りのさらに上塗りした精神を発表されたわけですから、これはやっぱり持ち続けていかなきゃならぬな、私以後の大蔵大臣も持ち続けていかなきゃならぬな、あるいは以後の大蔵大臣の方が私が言った発言の中で持ち続けていかなきゃならぬなというものがもう一つ加わるとしたら幸いだと思っておりますが、まだ加わるほどの立派な発言はどうもしていないような反省もいたしております。
○竹田四郎君 終わります。
○多田省吾君 私は、法案質疑の前に二、三当面の経済財政問題について質問しておきたいと思います。 一つは、円高不況問題です。昨年九月のいわゆるG5を起点といたしまして円高は急速に進み、対ドルレートは百七十五円を切るという状況です。そのために大変な問題が起こっているわけでございますが、六十一年度予算とのかかわりがどうなるのかも心配でございます。六十一年度の予算編成時には一ドル二百九円でございました。現在百七十円台の現状が推移するといたしますと、執行上もかなり影響が出てくると思います。大臣は、六十一年度の税収見込み、法人税等の相当な落ち込みもあると思いますが、他方円高メリットも多少あると思いますが、これらの予算への影響をどのように判断されておりますか。
○国務大臣(竹下登君) きょうのところが、今寄りつきが百七十六円六十七銭、十時現在が百七十六円九十銭、こういうような状態でございます。 それで、二百九円というものとこの百七十六円。二百九円というもののとり方は直近の平均値をとるわけでありますから、いわば予算編成上は技術的な範囲に入るということが言えると思います。したがって予算執行の段階におきましては、おっしゃいますとおり円高メリットということがかなり出てくるだろうというふうには思われます。そのほかに原油価格の下落等の問題もあります。ところが逆に今度は歳入面で考えますと、原油価格の下落、まだ具体化してどんどん出ておるという状態ではございませんが、従価税に属するものが減収になるというのはこれはやっぱり当然のことであろうというふうに考えられます。 そしていま一つ、景況感の問題でございますが、六十年度補正でお願いしました、いわば減額補正の土台の上に立って、政府の諸指標とかヒアリングとかいろんな積み上げで、現状においてはこれが適切だということで御審議をいただいておるわけでありますが、私は、円高デメリットと円高メリットというものの、何といいますか、時間的タイムラグがあるということはこれは実感として感じておることは事実でございます。 今円高メリットで一番感じていらっしゃる方はこれは何と言っても海外旅行者の方でございます。一方、デメリットの点で一番苦労していらっしゃるのが今御指摘なさいました中小企業、なかんずく産地で、韓国、台湾等から追い上げられ、ぎりぎりの競争をしておる方が非常に苦労していらっしゃるというふうに考えます。それから円高メリットの方は、税収、これはずっと続いたと仮定いたしますと、それは電力会社を初めとしてメリットの出る産業も多々あろうと思いますので、経済見通しのときは二百四円、予算は二百九円ということを前提にしておりますが、その経済見通しの場合、私はこれからの推移を見なければわかりませんが、現状においてそう大きな狂いはないではないか。例えば昭和五十六年、五十七年のように、合わして九兆円、こんないわゆる歳入欠陥というようなものを恐れておるという状態ではないというふうに考えております。
○多田省吾君 大臣おっしゃるように、輸出関連を初めとする中小企業の影響は大変なものがございまして、与党内からすらも補正予算を組んで対策を考えた方がよろしいというような意見も出ているわけでございまして、私はやはり昨年九月のG5というものが、大臣は二百円台ぐらいを予想されていたとは思いますけれども、もう現在百七十円台で推移しております。私はデメリットの面が非常に大きい、このように強く感じますし、六十一年度予算にも法人税の落ち込み等大変な問題が起こる、このように感ぜられてなりません。 それで、きのう日銀がニューヨーク市場等で逆介入をしたわけですが、それでようやく一円九十銭ばかり安くなったわけでございますけれども、この逆介入を今後再三なさるというお考えがあるのか。これは日銀でございますけれども、大臣のお考えをここでお聞きしておきたいと思います。また、公定歩合の第三次引き下げも早急に行うべきだという意見も高まっておりますが、その点もあわせてお答えいただきたい。
○国務大臣(竹下登君) 逆介入、言うなればドル買い介入とでも申しましょうか、どっちが逆でどっちが正かというと、ちょっとその国々の立場によって違うかもしれませんけれども、今おっしゃっているのは、まさにドル買い介入という意味を逆介入とおっしゃっておる。日本の立場から言えばそういうことで、私も言葉として別に間違っているとも思えません。 結構だと思うのでありますが、介入というのは、要するに我々がG5で合意しておりますのは、いわゆるディスオーダリーと言っておりますが、無秩序な状態が続いたと判断した場合には介入もあり得るということでございますので、介入は、やったかやらぬか、どんな場合にやるのかやらないのかわからないところに介入という意味の持つ市場に対するシグナルあるいは警報とでも申しましょうか、そういう役割を果たすわけでありますので、介入というものはいわば無秩序な場合には当然あり得るものである。ただ、どういう状態が無秩序かということになりますと、それをきちんと定量的に示しますと、それこそ相場観を示すと同じ結果になりますので、あくまでも原則的なお答えにとどめなきゃいかぬ。 それで、この問題難しい問題でございますが、行天国際金融局長、専門家が来ておりますので、あるいはさらに付言をいたさせることにいたしますが、本来介入権限というのは大蔵大臣でございます。ただ、大蔵大臣が、いわば大臣が売り買いをやるわけじゃございませんので、日銀に厳密に言えばある種の方向を示して委託しておるというふうな理解がいいかもしれません。が、もう一つのマル公、すなわち公定歩合はこれはやっぱり法律上まさに日本銀行そのものの権限でございます。私どものG5の合意というのは、いわば物価が安定し、利下げの環境が整っておる、したがって今後は中央銀行同士それぞれ協議されて適切に行われるであろうというところまでしか、特に日本の場合、大蔵省と日銀の関係非常によろしゅうございますが、時によっては、政権がたびたびかわる場合、金融の中立性を保つために、財政当局が関与することに対して非常に中立性を特に主張される嫌いもないわけではございませんが、やはり中央銀行の専権事項としてこれは置くべき問題ではなかろうか。 ただ、一般論として言えますのは、この間の二回目のマル公の引き下げというのが現実預貯金金利、プライムレートにあらわれますのは今月の三月三十一日でございますので、したがって本格的にあらわれるのは三月三十一日からということは言えるのではなかろうかというふうに思います。
○多田省吾君 円高問題でもう一点質問しておきますけれども、日本の産業は二百十円台がぎりぎりだ、あるいはぎりぎりいっても二百円台でもう最後だ、こういう産業界の意見でございます。ところが百七十円台まで円高が急激に推移したということで大変な問題が起こっているわけでございます。本来ならば、こういった為替問題のほかにアメリカの財政赤字の縮小とかあるいは金利の引き下げ、あるいはアメリカの輸出努力、こういったものが全部加味されて初めて貿易摩擦問題が片づくわけだと思いますけれども、そうじゃなくて円高だけが急速に進んでしまった、ここに問題があると思います。 大臣が昨年の末に百九十円台でも日本の企業は大丈夫だというような発言をなさったと新聞に出ました。大臣はあからさまにそういったことは言わないとおっしゃいましたけれども、私は、適正レートというものを大臣がお考えになっているとすれば、そのレートでやっぱり具体的対策を強力に進めなければ大変なことになる。中にはやはり大臣の派閥からでさえもう大蔵大臣の責任を追及する声さえ上がっているではありませんか。そういう点、大臣はどう考えていらっしゃいますか。
○国務大臣(竹下登君) 適正レートというものは、これはそれこそ日本の大蔵大臣がそういう一つのターゲットを設定いたしますと、これは大きな投機の機会になりますので、適正レートというものは差し控えさしていただくというのが私と日本銀行総裁に課せられたこれは発言の限界であるというふうに思います。 ただ、私がロンドンG5の後ワシントン、ニューヨークへ参りましたときに、確かに一部新聞記者さんが、二百一円でございましたから、百九十九円になったらどうかと言うから、それは市場が決めることじゃないか、こういうふうに言いましたのが、何か百九十円台許容発言、こういうふうにロイター電か何かで飛びまして、それでなくても比較的為替レートについては口のかたい私でございますが、なおのことこれは注意しなきゃならぬなという気持ちでございます。 ただ、今多田さんおっしゃいましたような分析というのが私にもわかりますのは、いわば本来の適正レートというものの中で安定するためには、やっぱり五カ国がそれぞれ抱えている問題、日本の場合は市場開放であるとか内需拡大であるとか、そしてアメリカの場合はおっしゃるとおり財政赤字の縮小、高金利の是正、そういうものと総合的にやって本当は初めて適正レートというものは落ちつくべきところへ落ちつくものであって、まあいわばいささか急速に過ぎるではないかという気持ちは私も否定いたしません。 したがって、私自身の責任追及ということになりますとこれは別問題でございますけれども、私の作為によってそんなに毎日の相場が動くわけでもございませんけれども、特に産地のいわば韓国等から追い上げられておる、競争力がその程度であるところの中小企業等の方に大変な心理的にも実態的にも不安を与えておる。したがって、通商産業省におかれて先般産地の調査をされ、そしてこの間上げていただきました中小企業の事業転換法等の法律を実施に移すことによってこれらに対応しておられる。その法律の範囲内において私ども財政当局あるいは金融当局がこれに適切に対応していかなければならぬという気持ちは十分持っております。
○多田省吾君 次に、政府税調の問題で一つお伺いしておきたいんですが、昨年の参考人質疑のときにも小倉政府税調会長が見えられまして質疑に答えられました。その際も、中曽根総理が、本年前半で減税案だけ政府税調に山さして、それで増税案は秋以降でよろしいのだ、こういう発言もなさっておりましたけれども、我々の追及に小倉税調会長は、それは好ましくない、減税、増税一緒にやるのが筋ではないかというような御答弁もなさっていたわけです。ところがやはり政府は強引に、政府税調に減税案だけを先に出せ、こういうような諮問をされまして、大変我々も不満であり、また憤激にたえない次第でございます。まさにこれは選挙目当てではないか、このように言わざるを得ません。 また、予算委員会等で中曽根総理が、中堅サラリーマンの年収四百万から八百万クラスの減税を図りたいと言えば、第二特別部会等では早速四百万から九百万までの減税を図れ、そのようにやはり総理や大臣の意向を体して審議がどんどん進められているように感ぜられるわけです。 その上で御質問しますけれども、この前も学者から成る専門小委員会から第二特別部会に対しまして二つの報告が出されたわけです。一つは、給与所得控除の問題で実額控除を選択制にするという問題。これも一歩前進ではありましょうけれども、これは大変な作業も考えられます。それからもう一つは、税率の問題で報告がなされましたけれども、大変意外に感ずるのは、一部の委員が反対したそうですが、最低税率の引き上げとか課税最低限の引き下げで税収を確保する、低所得者層に対してむしろ増税を図るんだ、こういう内容が含まれているのは大変おかしい、このように思います。もしこのような税調答申がなされたときには、大臣としてそれを尊重してそのまま行おうというお考えなのか。いかがですか。
○政府委員(水野勝君) ただいま税制調査会は、委員御指摘のような中身を取り上げて議論はされてはおるわけでございますが、現段階におきましては、御指摘の給与所得控除、税率と申しますか、累進構造のあり方、もう一つ課税単位のあり方、この三つのテーマにつきまして専門的、技術的な観点から、学者から成りますところの専門小委員会にその検討を委嘱したところでございます。その委嘱の結果がそれぞれ三つのテーマにつきましてこれまで逐一第二特別部会に報告がなされた、こういう段階でございます。 今後税制調査会におきましては、この第二特別部会あるいは総会におきまして、こうした専門小委員会からの報告を受けましてここでさらに掘り下げた検討が行われる、こういうふうな段階でございますので、専門小委員会の報告にはいろいろな方向でのものが、あるものは明示的に、あるものは抽象的に盛られているところではございますけれども、あくまでこれは今後の特別部会、総会等の審議にかかるものでございまして、そうした審議の結果を受けて政府側としては適切に対処してまいる、これが現在の政府サイドの姿勢でございます。
○国務大臣(竹下登君) 今経過について水野局長から御説明申し上げましたとおりでございまして、したがって、いわば委員会の学者先生方が議論してちょうだいしたものは、むしろいろいろ議論の根拠にしてもらうようなというようなことで外へ出しておるわけでございますが、これから特別部会でその三つの点、給与所得控除の問題、いろいろ選択制の問題でございますとか、あるいは源泉徴収ばかりやっておって、いわば自分が申告したという意識がないから重税感が多いんじゃないか、まあ選択というものは必要じゃないか、こんなような意見がございましたり、それから税率も刻みは余り多くない方がいいじゃないかとか、あるいは税率の刻みが上がりますときに重税感が生ずるから、ある層はずっと押しなべて同じ税率の方がよりいいじゃないかとか、いろんな議論。それから課税単位の問題について、いわゆる二分二乗の問題を初めとする議論がございました。 さらに、いわゆる課税最低限の問題等も議論はなされておると思います。確かに課税最低限は世界で一番高いところにありますし、税率は一番低いところにございますし、イギリスみたいに初めから三〇%というのでかなり三〇%が長く続くにしましても、そういうものがなかなか考えられるものでもございませんでしょう。が、確かに水野局長から申しましたとおりその手順で進んでおりますから、それで最終的に出てきたもので最大限これを尊重しながら政策選択をしていくということでございますから、いまだやっぱり中間の位置づけであるというふうに御理解をいただきたいと思います。
○多田省吾君 この問題で最後に質問をしますが、私は、答申を尊重するのか、このように質問いたします。 政府の審議会は隠れみのとも言われるように、ほぼ政府の意向に沿って答申が出されるのが今までの常でございますけれども、それはそれとしまして、最近やはり党の税調が主導権を握りまして、この前のたばこ増税のように、もう政府税調の答申をはねのけても党の税調が主導的に行っているという感がございます。ですから今度も、選択ということを大臣おっしゃいましたけれども、選択というような名のもとに、政府税調の答申を曲げて党主導でやるような姿になるんじゃないだろうか、このように考えられますけれども、その辺のお考えはどうなんですか。
○国務大臣(竹下登君) 確かに党税調というものもございますが、一方、私もさすがだなと思っておりますのは、この間の与野党の幹事長・書記長会談で、所得税問題については今年中に成案を得る、ははあ、やっぱり政府税調の流れを横目で見ながらそれに反映をさせたりというようなことでああいう目標を設定されたのかなと思って、やっぱり偉い人はさすがだと思ったことが一つございます。 それからもう一つの問題は、今まで確かに党税調と政府税調とが若干の違いがあって、政府税調のとおりにとれなかった問題もございますが、最近におきますたばこの問題は、あれは両方とも答申をもらった後でございましたので、あればっかりは手続上はもうひたすらおわびを申し上げるということでございます。
○多田省吾君 一つだけ確かめておきますけれども、大臣のお考えとして、最低税率の引き上げとか課税最低限の引き下げなんということは、大臣としてどう思いますか。
○国務大臣(竹下登君) そこのところ、やっぱり一番予見を申し上げてはいけないことではなかろうかな。税調様は神様である、それに影響を及ぼす国会はそれ以上の神様である、こういうことでございます。
○多田省吾君 私はそのような低所得者層に対する増税というのは大反対でございまして、絶対なさらないように願いたいものでございます。 次に法案質疑に入りますけれども、このような形で剰余金を一般会計の財源に充てなければならなくなった状況についてまず御説明いただきたい。
○政府委員(保田博君) 六十年度の補正予算の編成におきまして、災害復旧費の追加でございますとか給与改善費の追加でございますとか、いわゆる追加財政需要が一兆円を超えるというような巨額に上ったわけでございます。が、一方税収の方は、当初予算で見込みました額を四千五十億円下回らざるを得ないというようなことで、非常に財政事情が厳しかったわけでございます。 したがいまして、まず第一に、この財源対策としましては、災害復旧費について建設公債を増発することによってこれを賄うということにいたしたわけでございますが、その他の経常的な経費の追加財政需要につきましては、既定経費の節減によりまして約三千三百億円を捻出いたしました。それから税外収入の増収等によりまして約千三百六十億程度捻出をするといったようなことでぎりぎりの努力を払いましたのですが、なお財源が不足をするような状況にございました。その結果としまして、残念なことでございますが、特例公債の増発によって足らざる部分を補わなければならないというまことに苦しい状態になったわけでございます。 毎年度の予算編成におきましては、我々としまして、当初予算はもちろんのこと、補正予算の編成の際にもとにかく新規の特例公債は極力その発行を圧縮するという方針でございますので、先ほど来おしかりを受けておるわけでございますけれども、五十年度の大平発言の趣旨からしまして、我々としましてまことに残念なのでございますけれども、やむを得ない臨時の財政措置、臨時異例の措置としまして剰余金千七百五十五億円の全額を一般財源に充当しまして補正予算の財源に充てざるを得なかったということでございます。
○多田省吾君 今お答えになった中で、給与改善費等の追加財政需要だとおっしゃいますけれども、給与改善費なんというのは当初予算で当然見込んでおかなければならない問題でございます。ましてや六十一年度予算なんかはもってのほかだと私は思います。補正を組めば何とかなるんだというような安易な考えがあるように思いますけれども、大臣はこの点はどう考えておられるのでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) やっぱり、少なくとも本予算を審議していただいておるさなか、あらかじめ補正を前提にすべきでないという考えは私もそのとおりだと思っております。特に多田さん御指摘なさっております点につきまして、言ってみれば、六十一年度予算には給与改善費去年まで組んでおりました一%も組んでいないことも事実でございます。しかし、この問題はかつて五%とか二・五とか一とかいろんな推移がありますが、いわば現在の財政上の問題であるというふうに御理解をいただいて、このことが人事院勧告そのものを尊重しないというあかしては決してないというふうに御理解を賜りたいと思っております。 私どもといたしましても、あらかじめ補正を念頭に置いた予算というものを当初予算の中で申し上げたり、そういうことを念頭に置いて御提案申し上げるということは慎むべきことであるというふうに思っております。
○多田省吾君 政府は、当初予算に給与改善費を計上することと人事院勧告をどのように取り扱うかということは必ずしも直接的な結びつきはない、このような答弁もしておられるし、また今大臣からそのような趣旨のお答えもございました。じゃなぜ昭和五十八年度及び五十九年度の過去二回完全実施ができなかったのか、その理由をお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(保田博君) 大蔵省当局からお答えするのがいいのかどうかちょっとと思いますけれども、いずれにしましても、五十八年度、五十九年度の人事院勧告、政府としましては制度尊重の基本的姿勢は終始これを貫いておるわけでございまして、その完全実施に向けまして最大限の努力を尽くしたつもりなのでございますが、当時の社会経済情勢、それからまた非常に厳しい財政事情、国民世論の動向といったようなことを総合的に勘案いたしました結果、給与関係の閣僚会議で完全実施は見送らざるを得ないという結論に達した、そういうふうに聞いております。
○多田省吾君 大蔵大臣は、昭和六十五年度の特例公債依存体質からの脱却、この旗をかたくななまでにおろさないとしょっちゅう言われておりますけれども、最近はかたくななまでにというのはどうかなと、こういう反省もなさっているようでございますが、政府の今年度の財政の中期展望によっても、六十五年度に特例公債依存から脱却するためには今後毎年一兆三千百億円ずつ特例公債の減額が必要となってまいります。 六十年度当初予算で一兆円を減額したと政府は言っておりますけれども、一兆円のうち特例公債分は七千二百五十億円でありました。しかも、これも年度内の補正予算において四千五十億円の追加発行を行っておりますので、実際の減額はわずかに三千二百億円にすぎないわけです。来年度も税収の大幅な不足が言われている中で、一兆円以上の特例公債を毎年減額していくということは到底不可能のように思いますけれども、再度お尋ねいたしますが、今のお考えはどうなんですか。
○国務大臣(竹下登君) 六十五年度までに特例公債依存体質から脱却するという努力目標の達成は容易ならざるものがある。しかしながら、財政改革の推進は我が国経済社会の安定と発展を図るためにぜひともなし遂げなければならない国民的課題であるので、目標達成に向けて今後とも全力を挙げて取り組んでいきたいというのが私がまず最初まくら言葉として申し上げておるところでございます。 ただ、かたくななまでにと言いましたのは、実際私の気持ちを言ったつもりでありましたが、衆議院の予算委員長報告を聞いておりましたら、これらの質問に対し、政府からは、かたくななまでにもこの姿勢を貫くとの答弁がありましたという報告を私も壇上で聞いておって、かたくななまでにというのは余り聞こえがよくないなと、こういう印象を受けたということをどっかで申し上げましたら、新聞にかたくなさがとれて何か楽になったような記事が出されましたが、気持ちの上では、私は容易ならざる目標ではあるがこの旗はおろしてはならぬということを今日も言い続けておるのが実情でございます。
○多田省吾君 それでは具体的に、今後六十二年度以降毎年一兆三千百億円以上の赤字公債の減額を具体的にできるとお考えなのか、その具体的な方法はどうなのか、それをもう一度お答え願います。
○国務大臣(竹下登君) これはやっぱり毎年毎年の予算編成の中で歳入歳出両面にわたって厳しい対応をしていかなければならない、まさに容易ならざる課題であるというふうに今思っております。現在段階におきまして、増税で何ぼやりますとか、あるいは歳出減で何ぼやりますとか、そういう計画自身をお出しできないことが、すなわち歳入歳出両面にわたって不断の努力の継続の中に初めてあり得る課題だと、非常に具体的ではございませんことをみずから承知の上でお答えをいたしたわけであります。
○多田省吾君 先ほども御質疑がございましたが、昭和五十年十月二十九日の衆議院予算委員会で、当時の大平大蔵大臣が特例公債の償還計画につきまして、「剰余金の繰り入れに関しては、従来は、原則として剰余金の二分の一に相当する金額を充ててきましたが、特例公債償還までの間は、その全額を充てる予定であります。」と、まあ財政法第六条の剰余金の繰り入れについての基本方針というものを述べているわけでございます。しかし、その後全額が公債財源として償還されたのはわずかに昭和五十一年度、五十四年度及び五十五年度補正予算の三回だけでございます。こうしたことは政府が基本方針を全く無視してきたものと言わざるを得ないわけでございますが、まあ今日は臨時異例の措置としてこの法案を出したと言われております。まことに遺憾ではありますが、しかし、今後この大平大蔵大臣の基本方針というものは私はどこまでも守っていくべきである、このように思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(竹下登君) やっぱり昭和二十二年に財政法ができたときの提案理由、そして昭和四十年補正予算で二千億円でしたかの公債が発行されたときの提案理由、そして今の赤字公債を初めて発行することをお許しいただいた五十年度予算の際に大平当時大蔵大臣がおっしゃったことは、我々にとかくなれに陥りやすくなってはならぬぞという大きな教訓であろう。この考え方は今後とも守っていかなきゃならぬし、したがって、今回たまたまベア財源と金額がほぼ一緒だから、自分自身もああこれしかないなと感じたことそのものが、やっぱり自分にもなれが生じておるんだなという反省もいたしておりますので、臨時異例の措置であると考えるべきであるというふうに思っております。
○多田省吾君 最近、残念ながら減債制度というものが大変ないがしろにされまして、憤激にたえない次第でございますけれども、本来減債制度というものは、一般会計からの財源をその骨格として公債償還に充てるものでございます。それが財政運営を慎重にして、公債の累積残高の減少につながるというものでございます。しかるに、今回のように剰余金をもって一般会計に繰り入れるというのは全く逆の姿でございます。 今後国民の公債に対する信頼を失わないためにこの減債制度をどこまでも尊重していく、こういう態度が大蔵当局にこれからますます必要である、このように思いますが、その御決意のほどをお聞かせいただきたい。
○政府委員(保田博君) 先ほど来御答弁申し上げておりますが、政府は、現在極めて厳しい財政事情のもとで、とにかく六十五年度には特例公債依存体質からの脱却ということを目標にしまして、歳出歳入の両面でぎりぎりの努力を続けておるわけでございます。このような情勢のもとで、定率繰り入れを五年間停止せざるを得なかったということは我々としてはまことに残念だというふうに思いますが、ただ、公債の償還に支障を生じてはこれは絶対に許されることではございませんので、六十一年度におきましては四千百億円の予算繰り入れを行いまして、償還財源はこれを確保する。同時に、先ほど来おしかりを受けておるわけでございますけれども、NTTの株式の売却収入をもちまして基金の円滑な運営はこれを確保するという最低限の措置は講じたわけでございます。 六十二年度以降この公債の償還財源をいかに確保するかという問題はさらに深刻になるというふうに予想をされておりますけれども、この点につきましては、今後の税収がいかに動いていくのか、それからNTTの株式の売却収入、これもまた余り大きく期待しては相ならぬと先ほど来おしかりを受けておるわけでございますけれども、そういうものの動向等も見きわめまして、財政全体の状況を見きわめて、さはさりながら、現行の減債制度の基本は維持してまいりたいという従来からの基本的な考え方はこれを堅持しつつ、来年度予算編成の際に適切な対処策を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
○多田省吾君 最後に大臣にお伺いしますが、今回の財政法第六条不適用措置並びに定率繰り入れ停止の措置、大変遺憾でございますが、今後ますます厳しくなる財政におきまして、大臣はこの減債制度についていかなる展望と所見を持って臨まれるか、最後にお聞きして終わります。
○国務大臣(竹下登君) やっぱり、いわばそれだけを、減債制度を維持するためにそれだけの赤字公債を増発していくということに対する議論は当初からございましたが、先年財政制度審議会におきましてもいろいろ御議論をいただきまして、やはりその根幹は堅持すべきものであるという報告をちょうだいいたしておりますので、私は、減債制度はこれは維持するという基本的な物の考え方で今後の予算編成にも臨まなければならないというふうに考えております。
○近藤忠孝君 まず、この法案についての態度でありますが、財政法第六条の規定は、巨額の国債を抱えた今日こそこの規定を厳格に守り、多少なりともその減額に努めなければならぬと思います。 今回の措置の経過については先ほど答弁がありましたが、この補正財源不足の最大の原因は租税収入の落ち込みであります。過大な税収見積もりにその原因が発していると思います。仮に税収不足がやむを得ないものであるとしましても、その補正財源としては、不要不急の歳出を真っ先に削減すべきだ。さらに、我々の立場から申しますと、軍事費など削るべきだ、こう思いますが、そういうことをせずに、そういう点では財政再建の努力を放棄するもの、こう言わざるを得ません。こういう立場から反対であります。 そこで、この財源不足の最大の原因、それが税収不足でありますが、どこにその問題があったのか、このことについて答弁を求めたいと思います。そのことは、先ほど答弁があった、この補正の額で大体大丈夫だということが果たして本当かどうかということとも関係すると思うんです。補正額のマイナス要因、源泉分九百億円、法人税三千四百九十億円、石油税五百八十億円、関税七百九十億、これはどういうことでこういうことになったのか、この点についてこれは要点的で結構ですが御答弁いただきたいと思います。
○政府委員(水野勝君) 御指摘のとおり減収額は四千五十億円でございますが、その中の一番大きなのは法人税収三千四百九十億円でございます。 法人税収といたしましては、一番大きな要素としては鉱工業生産なり卸売物価なりがこれに影響をしてまいるわけでございますが、六十年度の政府経済見通しては鉱工業生産は六・五%、これが四・一%に改定をされております。卸売物価、これは一・一%というのがマイナス二・四%、このような低下になっておるわけでございます。なお、消費者物価指数も二・八%の見込みが二・一%に改定をされておる。このようなもろもろの諸指標等を参考にいたしますと、法人税収としてはやはりある程度の減収は見込まざるを得なくなった、こういうところでございます。 そのほかのものは、源泉所得税、若干給与の個人所得、雇用者所得の伸び等の低下もございます。これらが原因でございます。また石油税につきましては、円高の点それから原油価格の低下、こういったものも見込む。これは御承知のとおり石油税は従価税でございますので、こうしたものが見込まれるわけでございます。また関税につきましては、円高の点もございますし、またアクションプログラムにおきまして、年度途中におきまして減税と申しますか税率の引き下げが行われておりますので、こういった点を織り込みまして七百九十億円の減収を見込んでおるというのが主な中身でございます。
○近藤忠孝君 それは一月段階ですが、今後の年度末までの経過で果たして大丈夫なのか。というのは、進捗割合を見ましても、例えば法人税などは五〇%ぐらいですからね。果たして本当に大丈夫なのかどうか、その点どうですか。
○政府委員(水野勝君) 全体といたしましては、現在判明しております一月末税収でございますと前年比では九・八%の伸び、それからまた進捗割合では六六・四%でございます。これは前年同月をとりますと、六六・四につきましては、前年同月は六六・一で若干上回っておる。また伸び率で申しますと、補正後予算で見ます伸び率は九・三%でございますが、九・八%。一月末現時点におきましてはまだこうした状況であるわけでございます。 ただ、法人税収等につきましては三月決算の割合が年度間ではかなりなウエートがございます。その三月決算の法人を見込みまして三千四百九十億円の減収を見込んでおるわけでございます。法人税につきまして申し上げれば、現時点での一月時点末現在での法人税の進捗割合は五二・九%、これは前年をとりますと五一・一%でなお一・八%進捗が去年よりよい、こういう計数になっておるわけでございますが、専らウエートの大きい三月決算につきまして聞き取り調査等、それから先ほど申し上げましたもろもろの指標等を織り込みまして、やはりこれは予算額には達しないのではないかということから先ほど申し上げましたような減収を立てておる、そういうことでございます。
○近藤忠孝君 次の問題としまして、昭和六十年度について当初見込んだ税収の伸びが予測が外れたということは、今後の問題、例えば「中期的な財政事情の仮定計算例」で出ております昭和六十二年度六・三%、六十三年度以降七・二%、これ自身がやはり過大見積もりに変わりはしないかと、これのやっぱり修正が必要になりはしないか、こういう心配が出てきますが、この点大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 七と六の中間値をとって六・五で計算さしていただいて、それに弾性値を掛けさしていただいている、こういう前提になっておりますが、私どももちょっとそれは考えてみました。ここのところ二年間見ますと、名目成長の問題がそこへ行ってないじゃないか、まあ実質成長は別といたしまして。そこで経済審議会でリボルビングをなさいまして、今日の時点ではこの期間を通じて変更する必要はないというのが十二月末に出ましたので、それではやっぱりその数字を使った方がいいと思って変えなかったということでございます。
○近藤忠孝君 この点は、先ほど議論があった六十五年度赤字国債脱却の問題とも関係するんですね。かたくなは聞こえが悪いからということで、その点は先ほど答弁ですが、しかしこの旗はおろさない、おろしてはならないという決意だと。私どうも、決意はいいけれども実際実情はそういかぬのじゃなかろうか。 この六十五年度赤字国債脱却の旗をおろさないための前提として私は三つあると思うんです。一つは、一般歳出の伸びゼロがあと四年続くということ。しかも、その間に要調整額がありますから、この要調整額、仮に伸び率ゼロとしたって毎年、六十四年まであるわけですからその間を埋めなきゃいかぬ。やっぱりこれ増税。増税は結局要調整額の財源に持っていかれるんじゃなかろうかと思いますね。そしてあと、今言った税収が確保されること。税収の伸び率は先ほど言ったのをとりあえずこれを使ったということですが、やはり修正の可能性というのは出てくると思うんですね。 この今申し上げた三つのどれ一つが欠けてもだめですし、しかも、私が見るところは、恐らく竹下さんも腹の中はそうだと思うんですが、一般歳出の伸びゼロにしたってこれはなかなか難しいことですし、要調整額を埋めることだってこれは増税なしには難しい、また減税問題もあるということですから。となると、この三つの全部がだめになる可能性があるんではなかろうか。となると、いかにこの旗はおろすまいと決意したっておろさざるを得なくなって、そこでかたくなが消えたことが大変心配になるんですね。 この三つ、今私が指摘したようなことがいずれも確実に大丈夫か。確実に大丈夫で初めて竹下さんの決意が実現できるんですが、その点それぞれについていかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 容易ならざることであるがこの旗をおろしておりませんと、こう申しておるわけでございます。 まず、今おっしゃいました三つの中で、歳出カットという問題もまだ制度、施策の根本にさかのぼって対応していかなきゃいかぬ、もうこれで済んだわと、こういう考え方になっちゃいかぬという気持ちがまず根本にございます。 それから、それは期待の中には、いわば経済動向、景気等によるいわゆる自然増収というようなものが入ってほしいものだという期待ももとよりございます。 それから、いわゆる新たなる税目を設けて租税負担率を大きく変えるようなものが増税と仮に定義づけいたしたとしますと、この問題については、増税なき財政再建という筋はやっぱりこれもまだ旗をおろしたわけではない。ただ、税制全般のあり方については、増収を目的としたものではございませんが、今税制調査会で御審議をいただいておるという実態であるというふうに考えます。
○近藤忠孝君 そういう点で、やっぱり要調整額を埋めること自身が大変困難だと思いますし、例えば公共事業にしたって、それは竹下さんの支持母体からだって、今のままではぐあい悪いというのがこれはどんどんわき出ていることだと思うんで、そういう点で果たしてこれが確保できるかどうか大変心配だと思います。 さて、あと残った時間、もう一つの問題ですが、財投の使い残し、二年連続大幅だということが大蔵省の発表でありました。中身を見てみますと、日本輸出入銀行、これが消化率九・四%、海外経済協力基金、これが消化率八・三%、合計しても四五・四%という状況ですね。なぜこんな使い残しが続くのかという点が第一点。 そして、これに対してはやはり見直しをしていこうということですが、しかし昭和六十一年度の財投計画を見てみますと、必ずしも見直しがされているんだろうかどうか。若干されていますけれども、景気から見て極めて不十分じゃないか。例えば日本輸出入銀行はマイナス一二・一にすぎませんし、一番消化率の少ない海外経済協力基金については逆に〇・八%計画がふえているといいますと、果たしてどういう反省があり、そしてそれに対して十分に対応したのかどうか、この点が大変問題だと思うんですが、御答弁いただきたいと思います。
○政府委員(窪田弘君) 政府関係機関、財投機関のいわば使い残し、貸し残しといいますか、不用額につきましては、五十九年度に一兆三千億出まして、その反省に立ちまして、六十一年度の財政投融資計画では、内需振興に役立つ公共事業実施機関でありますとか住宅金融公庫は大幅に伸ばしましたが、いわゆる金融機関は全体で三・二%のマイナスを立てております。 金融機関系統で不用が生じた原因でございますが、これはやはり今の資金の需給にゆとりが出ているという全体的な背景が一つあると思います。そのほかに御指摘の輸銀、海外経済協力基金につきましては、やはりプラント輸出の不振でございますとか、資源需要の低迷によるプロジェクトのおくれでございますとか、対外取引でございますので、相手国側の事情もございましてたまたまそういう資金の余剰が出ておりますが、今も御指摘のように、輸銀につきましては、六十年度の財投計画をつくりますときに既に二四%のマイナスを立てております上に、六十一年度ではさらに一二%マイナスを立てております。 そういう形で極力その事情を反映さしていただきましたが、ただ、何しろ相手のあることでございますので、この辺はどうなるか心配をして見ているところでございますが、ただ、例年の姿を見ますと、三月にどっと貸し付けるというふうなパターンでございますので、三月の様子を見ますと、計画等をヒアリングをいたしますと、それほどの不用は出ないんではないかというふうに見ております。
○近藤忠孝君 終わります。
○栗林卓司君 御提案の剰余金の処理の特例に関する法律案でありますけれども、一言で申しますと、臨時異例というまくら言葉つきではありますけれども、財政法六条を踏み倒した法律案になるわけでありますけれども、財政の節度ということを考えますと、財政法を守るというのが最低の条件ではあるまいか、こう思うんです。 そこで、財政法を踏み倒すということに大蔵大臣もなれたとおっしゃいますけれども、どうも余りに我々はなれてき過ぎたんではないだろうか。臨時異例だからこの条項を踏み倒すということになりますと、一体この先どこまで財政法を踏み倒していくんであろうか、そういった不安を非常にかぎ立てる問題だと思うんです。 剰余金というのはいつの時代に限らず大変目立つ存在でありまして、締めてみたら幾ら余った、じゃこっちへ使えと、こうなるのが理の当然でありまして、そうされては困るから財政法六条が書いてあるわけですね。書いてあるのに、いや臨時異例だからと言って踏み倒してくる。特例公債も発行はいけませんぞと書いてありながら、臨時異例、ことしだけの措置と言って発行してくる。 こうした財政法を踏み倒すことに鈍感になってくる風潮がはびこるということについて、一体大臣どうお考えになりますか。
○国務大臣(竹下登君) 確かに、僕はなれと言いましたが、なれというのも、慣習の慣というよりも、あるいはけものへんに甲というなれかなというぐらいいつも感じます。なれというよりも、今おっしゃった鈍感になるということがあるいは適切かなと今承っておりましたが、実際歴史を振り返ってみましても、あの時点で、昭和二十二年の時点で要するに財政法というのがあれだけのいろんなことを予測してやられておる。これはやっぱりある意味において財政憲法だったかな、こんな感じがいたします。 それから二番目は、四十年の福田大蔵大臣の、まあ佐藤内閣でございますが、私は内閣官房副長官をしておりましたが、あのときの閣議の模様を想起してみますと、やっぱり物すごい議論であったと思います。あのときは必ずしも建設国債と銘打っておりませんでしたから、実態は建設国債でございましたけれども、大変な議論がなされた。 その次がやっぱり、それから建設国債はやや鈍感と申しますか、当たり前になって、特例債の発行の五十年の大平さんのときというのが一つの大きな転機だった。その転機に立った人は本当に真剣に考えておられたから、それをいつも思い出していかなきゃならぬ。 そうなると、その次の転機は何したかというと、いわゆる定率繰り入れの停止を行った、これは私の時代になりますが、これが一つのやっぱり鈍感とかなれの惰性の上に行われたことか次。だから、臨時異例の措置としていつも御説明申し上げておりますが、本当は臨時異例の措置を毎年毎年国会で苦衷を打ち明けて御審議いただくというのは、平気で、まあ平気でもございませんが、平気で出てくる私自身がやっぱり鈍感になっているんじゃないかという自己反省もいたしております。
○栗林卓司君 法律で書いたことも守られてこないということになりますと、それは大平大臣の約束まで踏み倒すのは当たり前でありまして、六十五年赤字公債依存体質からの脱却も、これは法律には全然書いてないんですから、いつ踏み倒されるか、それはもう目の前の話だと思うんです。しかも、前の状況を見ますと、制度としての償還財源がだんだんなくなってまいりましてね。そうすると国債の償還というのは財源があろうとなかろうとこれはしなきゃいかぬわけですから、その償還財源をどこに求めるのか。これまでのような定率繰り入れがない、しかも予算繰り入れも特段ございません、また剰余金の二分の一繰り入れも行わない、こうなってくるとそのときどきで調達せざるを得ない。しからば公債を発行して調達に充てるのか、それは決して珍しい方法ではございません。むしろ行く道はそこしかないんだろう。そうなってきますと、といってその公債というのはだれが引き受けるんだ。もう動かしてはならない財政法の基本原則がありますね、そこをやっぱり臨時異例の措置という格好で踏み越えてしまうんだろうか。 そこでお尋ねしたいのは、この点とこの点だけはいかに臨時異例であろうと踏み越えませんという点がございますか。
○国務大臣(竹下登君) これはやっぱり日銀引き受け、これは踏み越えてはならぬことではないか。とっさに感じたことを申し上げただけでございます。
○栗林卓司君 お話をしておりますと、一番強く感じますのは、ないそでは振れない、ないほど強いことはないんですね。ない実態を背中にしょって臨時異例と言われますと、もううんもすんもない。日銀引き受けだめだと言われたって、その道しかないとなったら、やっぱりかつてそうであったように逃げ込んでいくのかもしらぬ。したがって、これからの財政運営に、こんにゃく問答みたいな議論を長年続けてまいりましたけれども、これだけではなくて、もっと踏み込んだ議論をしていかないと私はいけないんではないだろうか。 さっき同僚議員が、こういう剰余金の特例に関する法律案はもう出してくれるな、財政法六条は守ってくれよということがございました。それもひっくるめて、少なくも財政法を守るという、財政の節度は守ってまいりますということをまず確認してこれからの財政の改善のための私は議論を積み上げていかなければいけないんではないかと考えます。あくまでも事実を踏み台にして、既成事実を踏み台にして臨時異例と言われますとこれは論議のさたの外になるんですよ。しかも、NTTの株の売却というのはこれは制度じゃなくて事実論ですからね。幾らで売れるかというのは売れてみなきゃわからないんですから。たまたまあったのでよかったなというだけであります。政府として償還財源なるものを整理をしなきゃいかぬことも目に見えている。では、一体一日も早く定率繰り入れをするためにはどうしたらいいんだろうか。 そういった議論を私もこの大蔵委員会で早くしなければいけないことをまた痛感しているわけでありまして、一層の御努力を要請申し上げて質問を終わります。
○野末陳平君 財政再建の内需拡大の関連でもって幾つか周辺の問題で質問したいんですけれども、最近、大蔵省にこれ直接関係ありませんけれども、都心の一部の商業地区とか値上がりが非常に激しい、これはもう余りにも有名になっている話ですね。そこでインフレの懸念を言う人もあるし、それよりも政府として国土庁がやっぱりこういうことに歯どめをかけなきゃとか、いろいろな議論があるようには聞いておりますが、さらにこの高騰が続いて周辺にも波及していって全国的に土地の値上がりが、せっかくここのところ値上がりがなくていい傾向だったのが、これがもし値上がり傾向が全国に及ぶようになるということになりました場合に、大蔵省として税制の発動なんぞを考える事態になるのか、その辺、今のところではないでしょうけれども、今後さらに続いた場合にお考えがありますか。
○国務大臣(竹下登君) 今確かに都心の中心地が物すごい値上がりをするときに、私なりに感じますのは、たしか東京が十七万、ニューヨークが五十万、ロンドンが七十万でございましたか、数字違うかもしれませんが、金融人口がおる。そこで世界の金融の自由化、国際化をすると東京もその三大市場になる。そうなりますとやっぱり、世界じゅうの銀行や証券が来ますのにまさか世田谷の方へ本店、三多摩の方へ本店建てるわけにいきませんとやっぱり都心に集中してくるから、金融の国際化、自由化というのも土地の値上がりのいわゆる需給関係から言えば要因になっているんじゃないかな、こんな感じすら時には持つわけでございます。しかし、国土庁の御答弁等を聞いておりますと、私どもの田舎といいますか、の方は全く落ちついておるという状態でございます。 したがって、民活の花盛りで、いわば高層ビルを建てる環境を整備して、土地の持つ部分を滅していくとか、あるいは土地信託制度を活用するとかいろんな議論がなされておりますが、さて税制ということになりますと、土地税制をあれだけ議論して行われておりまして、いわばある種のこれは恒久的な措置であらねばならぬという鉄則からいいますと、税制が出動することによってそれをどうこうしていくというのは非常にやっぱり限定的な措置になるんではないかな、こんな感じを持っております。したがって、いつも土地税制、基本は土地税制の問題、住宅の問題にしてもあり得るわけでございますが、これはやはり恒久的な物の考え方の上に積み上げられなきゃならぬというので、今税制当局が発意者になってそれを促進していくという立場はとっていないというのが現状でございます。
○野末陳平君 住宅問題からいうと土地の値上がりは好ましいわけないんですけれども、しかし、今大蔵大臣がお答えになりましたように、土地の値段に対して税制が余り手出しをして、いいときもあるでしょうけれども、いけないときもあって当然で、どうも今回は経済の流れに征しておくのがいいだろうと思っているんですね。 これは当然、内需拡大と言われますが、都市開発を中心に考えれば土地の値段はこれは上がらざるを得ないわけだし、それから今言ったように東京も国際金融市場の中心にもうなりかかっている。これを考えれば、この土地の値段を下手にここであれこれいじることは結果的に内需拡大という政策にも反することになりますし、僕個人の考えなんですが、この際、民活という点から考えれば、一部地域に限ってくれれば一番いいんですが、今回の土地の高騰がやや異常ではあっても自然の流れに任すべきじゃないか。少なくも税制をあれこれ議論に持ち出すのはよくない、そういうふうに考えているんですけれども、重ねてどうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 基本的に、税制の立場から土地の問題に対してアプローチしようという考えは税務当局は元来からやっぱり消極的でございます。で、今の御議論も私もよく理解できることでございますが、国土庁等でいろんな議論がなされておるという実態は私も時に仄聞しておる程度でございます。
○野末陳平君 それから次に、やはりこれも新聞なぞにもこのごろかなり出るようになったんですけれども、やはり内需拡大絡みで言うんでしょうけれども、最近政府がデノミのことを本格的に検討しているんじゃないかというふうなことが随分まことしやかというか、かなり真剣な記事で出てくるんで、さてどんなものだろうかと思っているんです。これは実施するしないということは全く別に考えまして、デノミというのは内需拡大という面でどの程度のプラスがあるというようなお考えを、これはもう大臣個人のお考えで結構なんですけれども、ちょっと参考に聞かせてください。
○国務大臣(竹下登君) ちょっと数字を忘れましたですが、デノミネーションというものの歴史をちょっと振り返ってみますと、やっぱり切り下げを行うとか、あるいはインフレを調整するとか、そういう政策手段によって使われたことはございますが、先進国の中で単純に呼称の変更だけで使われた例は率直に言ってございません。 したがって、今考えていないことはもちろんでございますが、デノミによる内需の問題になりますと、確かに印刷がございますとかあるいはコンピューター等の組みかえがございますとか、金銭交換機等の改修がございますとかいう内需が一方で上がって、これだけ高度化しておりますとかなり大きなまた企業の支出にも影響がある。したがって、それは企業収益が悪くなるわけですね、うんとそれをかえなきゃいかぬところは。かえる作業をするところは利益が増しますが。そういうことをやってみますと、持ってくればよかったんですが、また届けますけれども、少し昔の資料でございますけれども、それによって企業収益のダウンの方が大きいという見方もございます。
○野末陳平君 関連しますけれども、内需拡大というのはかけ声は大きいんですけれども、もちろんこれから政策が打ち出されてきて効果が徐々に上がってきてもらわなきゃ困りますけれども、今のところ日本の企業そのものが輸出中心型になっていますね。あるいは産業構造そのものが輸出中心できましたから、今内需拡大といって政策を打ち出したところですぐに効果が上がるかどうか。つまり、企業そのものがその政策期待にこたえられるかどうかというのは非常に疑問だと思うんですね、企業差はあるにしても。 そこで、内需拡大の政策も大事ですが、しかし産業構造そのものをやはりこれからは内需志向というか、輸出から内需へというか、そっちへ変えていくということが非常に重大で、むしろそっちが先で、何か片々たる政策を出していってこれが内需だと言っても、どうも結果的にはそれほどの効果が上がらず、ひいては財政再建にも寄与していかない、こう考えますけれども、この点については大臣はどうお考えでしょうか。大蔵省直接ではないにせよ。
○国務大臣(竹下登君) いつも悩みますのは、一つは今の円高の問題がありますが、人の口をかりて言うならば、これは日本の産業構造の中でいつの日か必ず受けなければならない試練の場所だという評価をなさる人もございます。私がその評価を表面に出すわけじゃございませんけれども。なるほどそういう背景の中で初めていわば同じ業種であっても輸出型から内需型へ転換していくという努力も生まれてくるであろうし、それに対してはいろいろな環境づくりのための助成措置も行わなきゃならぬであろうというふうに、私が為替の面から見たらそういう印象を一つ受けております。 それから、基本的におっしゃいますのは、本当はいわゆる原粗油、原材料、これはみんな輸入に仰ぐわけでございますから、それに見合う輸出というものがないことには貿易立国としての体をなさないという意味におきまして、さてその輸出産業の分野の中で日本が果たす役割は何かということになりますと、恐らくまた、これは私だけで申し上げる話ではございませんでしょうけれども、いわゆる我が国の産業構造そのものを変化さしていかなきゃならぬという宿命に逢着しておると申しますか、そんな感じを持っております。それが総理のところで前川さんが座長になってやっていらっしゃる一つの課題なのかなというふうに、私もその都度議論の経過を読ましていただいたりしておりますので、基本的には、国際分業というと少し大げさになるかもしれませんが、そういうものをも踏まえた我が国のあるべき産業構造というのはいずれは避けて通れない課題であろうという感じは私も持っております。
○野末陳平君 先ほどからも財政再建出ましたけれども、今までの歳出カット、国債減額とか、そういう堅実な努力はこれはそれなりに評価しますけれども、しかしそろそろそれも限界に来ているのも事実だと思うんですね。 そうすると、従来のこの方針をこのまま、さっきもかたくなの話が出ておりましたけれども、続けているとかえって再建をおくらす結果になっちゃって道を誤るんじゃないか、そんな気も最近してきているわけですね。だからここらで軌道修正というものも、新しいいろいろなここ一、二年に生じた環境に応じて財政再建のやり方も軌道修正も必要になってきたんじゃないか、率直に言ってそう思うんですね。これについても大臣の一言お聞きしたいんですね。いつも努力目標だと言っても、どうもそんなもの通用しないのがわかり切ったときにむなしくそういうことをお答えいただくのもちょっと残念なんですが、最後になりますが一言。
○国務大臣(竹下登君) 私もこれで五回目の予算を編成さしていただいて、年々おろしてはならない努力目標ということを申し続けておりますが、さればこのたがが緩んだ場合に一体どうなるかということを考えてみますと、やはりそれこそかたくななまでにもこの旗を今おろすわけにはいかぬな、こういう心境に最終的には自分の気持ちを整理して申しております。 弾力的対応という言葉は私も好きな言葉で、弾力的柔軟な対応というのは大変好きな言葉でございますが、弾力的柔軟性というものが間々、先ほど来議論しております間違ったなれの方向へ行くことは、また慎んでいなきゃならぬのだなというふうに思っております。大変正確にお答えする答弁にはなりませんが、心境を申し上げたわけであります。 —————————————
○委員長(山本富雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、林ゆう君が委員を辞任され、その補欠として添田増太郎君が選任されました。 —————————————
○青木茂君 財政再建と申しますか、国債償還と申しますか、とにかく日本の財政は国債を抱いた財政ではなしにむしろ国債に抱かれた財政なんですね。借金返済で首が回らない。しかし我々は、国会としては必死になって首が回るようにしなければならない。ただ、この剰余金剛題も、回るようにしなけりゃならぬやつをまたより一層回らなくしちゃったような点があるわけですね。甚だ遺憾なんだけれども、その首を回らせる方法ということについて二、三提言を兼ねた御質問を申し上げたいと思っております。 第一は、先ほどもちょっと出ましたように、今財投資金がかなり使い残しがある。使い残しのある財投資金、これを短期国債の引受対象にするというのか、国債の大量償還の借りかえ対策の一環にするとかいうような物の考え方、それは当局としてはどういうお考えでしょうか。
○政府委員(窪田弘君) 財投資金のいわゆる余裕資金と申しますか、これは昔は政府短期証券とか短期のものにしておりましたが、短期のものはどうしても利回りが低いものでございますから、今は長期の国債、利回りのいいものに運用しておりまして、短期のものは千億程度に非常に減らしてきております。 確かに短期国債も今後遊資運用の有力な対象の一つになると思います。なると思いますが、ただ、実際二回の公募入札をやってみまして、市中の応募が非常に多うございました。五千億ずつ公募して実際倍の応札がございましたので、むしろ資金運用部としてはもっと長期の、市場が発達しておりますからいつでも処分できますので、長期のものに運用をしてまいりたいと思っております。ただ、運用対象として考えていることは事実でございます。
○青木茂君 財投資金を一回徹底的に洗ってみまして、せっかくの資金が使い残しがあるということはやはり残念だと思うんですよね。その使い残しの部分だけでもいわゆる国債に抱かれた経済の首を回すように集中的に配慮をなさってみたらどうかということなんですけれども、その方向は御検討中ではあるわけですか。
○政府委員(窪田弘君) 戦後の再建から高度成長の時期には民間の資金不足が多うございましたので、財投資金はむしろそっちに回しておりましたが、現在は国、地方の資金不足が多いものでございますから、国債、地方債というふうな公的部門の資金不足に向けておりますので、国債というのも重要な運用対象の一つとして考えております。
○青木茂君 第二の提言でございますけれども、これはもちろん言ってはいけないことを前提にして申し上げるわけですけれども、仮に第三次の公定歩合の引き下げですね、これがある、ありそうだというふうに仮に一つの予想が立つとするならば、それまで新規国債の発行を引き延ばしまして、できるだけ低利の国債を発行する。つまり、我々は何とかして国債発行費を削減をしなければならないんですね、とにかく国債整理基金がこれだけ窮迫しているんだから。そうすると、ある程度理屈は抜きにしてもあの手この手というものを思いつくままどんどん使っていかなきゃいけないわけですよ。そうなりますと、金利の水準がより一層下がりそうであるというならば国債発行をそれにスライドさせる、タイミングを。そういう考え方も一つ成り立つんじゃないかと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(窪田弘君) 確かにそういう魅力的な考え方なんでございますが、ただ私どもとしては、二十二兆四千億円、六十一年度も二十二兆円という大量の国債をとにかく消化する責務があるわけでございまして、これを資金余剰のある月に重点的に出していく、こういう必要があるものでございますから、金利が下がるまでいつまでも延ばしていくというわけにはいかないと思います。 ただ、安いときにはできるだけたくさん発行する、高くなるとそこは控え目にするというふうな操作はできるだけ考えておりますが、ただ、長年のシンジケート団との交渉の経過で、調子のいいときばかりではないんで、難しいときもあるわけです。そこでやはり市場実勢に合わせるというルールは確立しておきませんと、いざというときになかなかうまくいかないという要素もございますので、その辺いろんな事情を勘案しまして、できるだけ金利の安いときに余計出すようにという御指摘の方向では考えております。
○青木茂君 第三の提言ですけれども、ちょっとこれ伺いたいんですけれども、アメリカの国債の一番長いのは何年でしょうか。
○政府委員(窪田弘君) 三十年というのが普通でございます。イギリスも三十年でございます。西ドイツは二十五年が最長だと思います。
○青木茂君 そういたしますと、かなり今の低金利が長引くというふうに予想されるならば、日本でも、超長期と申しますか、これも臨時異例であるかどうかは別問題として、かなり長期の国債発行ということにこれは踏み切らないと本当に首が回らないんじゃないかという気がして仕方がないんですけれども、この点はどういうお考えでしょうか、大臣。 これは、実は大臣が一昨年でございますか、本会議でどなたか、議事録確認しておりませんから記憶にすぎませんけれども、本会議の質問の中で、二十年、三十年の長期を考えてみたらどうかというような質問があったときに、それはちょっと現実的でないというお答えをなさったような記憶がちょっと僕はあるんですけれども、それを含めて、超長期国債の発行ということに対して大臣どういうふうに、現在の御心境はどうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) あの時期と若干今違ってきたと思います。いわゆる満期構成の長期化、こういうことになります、満期の長期化、これは検討してまいらなきゃいかぬ課題だと思っております。 今でも二十年、これも超長期のうちに入るでございましょうけれども、随時やらしていただいておる。それの引き受け手も大体わかるようになりまして、今の比較的、何といいますか、長期金利水準が歴史的な低水準にある、そして四月以降もこのような状態が継続して超長期国債を有利な条件で発行できるのであるとすれば、低利で安定した資金調達を行って、満期構成の長期化を図るという観点から超長期国債の発行について検討をしてまいりたいというのが今の素直な心境でございます。
○青木茂君 時間があと四分しかございませんから、一般論と申しますか、だけ少々お尋ねをしておきますけれども、財政再建が問題になっておりますけれども、これは増税なき財政再建という意味ですね。ここのところをまず一つ確認いたします。
○国務大臣(竹下登君) 理念で簡単に申し上げますと、安易に増税考えちゃいかぬぞ、退路を遮断する、したがって歳出削減しろ、こういうのが最初の増税なき財政再建の理念であったというふうに私は思っております。
○青木茂君 それは最初の理念であって、今でもそうですね。
○国務大臣(竹下登君) そのとおりです。
○青木茂君 そうすると、とにかく増税なき財政再建の旗は決しておりてない。おりてないんだけれども、例えば相撲で例えるならば、これ生き体なのか死に体なのか、何かもう土俵の外へすっ飛ぶような加速度がついているんじゃないかということですね。そういう感じがして仕方がない。しかも、心構え論であるとか努力目標論、姿勢論ですね、ちょっと学校の道徳教育に近いようなものでは事は簡単に済まないということになりますと、私はここで時間がございませんから確認だけにとどめますけれども、増税なき財政再建というものの具外的な定義はこう考えでいいですか。 増税なきという意味は、新しい税目を起こすとか、税制の根幹にかかわるような変更はしないというのが増税なきという意味だと。それから再建ということの意味は、非常に議論になっておりますけれども、六十五年度を目標に赤字国債依存体質をゼロにするという意味だという定義をしてよろしゅうございますかどうか。
○国務大臣(竹下登君) 第一は、全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たなる措置を基本的にはとらないということを意味しておるぞよということは、これは臨時行政調査会の第三次答申で一応定義づけられておるということでございます。これをてこにして歳出の徹底的削減をやりなさいよと、こういうことでございます。 それから第二の問題につきましては、財政の対応力を回復するその第一の目標年次が赤字公債依存体質から脱却する六十五年度だぞよ、その後は残高そのものを対GNP比どういうふうに減していくかというのは第二段階の問題だ、こういうことでございます。
○青木茂君 今の私の質問とお答えをめぐりまして、一問一答を本当は一時間ぐらいやりたいことがたくさんございますけれども、もう時間が参りましたから、今のお答えを伺って終わりにいたします。
○委員長(山本富雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本富雄君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もなければ、討論はないものと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 昭和五十九年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(山本富雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本富雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 午後三時三十分まで休憩いたします。 午後零時二十九分休憩 —————・————— 午後三時三十分開会
○委員長(山本富雄君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 国民年金特別会計法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は、去る三月七日に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○村沢牧君 基礎年金に関する経理を明確にするために国民年金特別会計に基礎年金勘定を設けるという本改正法案は、大蔵省が主管をし、当委員会で審議をすることになっているけれども、基礎年金に関係する特別会計の実際の管理は大蔵省なのか、それとも厚生省なのか伺いたい。
○政府委員(保田博君) 国民年金特別会計は、その根拠を国民年金特別会計法の第一条に置いております。これによりますと、国民年金法による国民年金事業を経営するためにこの特別会計がつくられておる、こういうことでございますが、その第二条におきまして、「この会計は、厚生大臣が、法令の定めるところに従い、管理をする。」こういうことになっておりまして、一般的な管理は厚生大臣にゆだねられております。
○村沢牧君 基礎年金勘定の予算案を見ると、運用収入に五百五十五億二千余万円を計上し、同額を予備費として歳出に計上しておるわけでありますが、初年度においてこうした運用収入の発生する理由とその運用について述べてください。
○政府委員(山内豊徳君) ただいま御指摘のように、この新しくお願いいたしております基礎年金勘定の六十一年度予算では、今お示しのように運用収入として五百五十五億円の計上がございます。これは、後ほどまた御説明するべきかと思いますが、実は過去に国民年金に任意加入で入っておられましたサラリーマンの奥さん方の分としまして私ども一応七千八百億と考えておりますが、このファンドだけは基礎年金勘定に移すことが法律の議論のときからも仕組まれておりまして、それだけは基礎年金勘定に置くことが今回新しい政令でも決めることにしております。その分はどうしても一年間に利子を生みますものですから計上したというのがこの数字でございます。 なお、運用は、従来のほかの国民年金、厚生年金と同じように資金運用部に預託しまして、そこから生ずる収益を計上しているわけでございます。
○村沢牧君 この予備費は剰余金として翌年度に繰り越すものですか。
○政府委員(山内豊徳君) 今申しましたように、収入面では五百五十五億の運用収入が予定されるわけでございますが、同時に支出面でも予備費として五百五十五億を計上しております。ただし、これは予算の計上の一つの仕組みとしては予備費となっておりますが、それに使ってしまうという考え方でございませんで、御案内のように、基礎年金は全国民といいますか、非常に幅の広い加入者からの賦課方式、その年その年で必要な給付を全部頭割りで負担していただくということになっておりますので、もしその予備費を一応支出するにしましても、それが本当に不足であれば追加的な御負担をお願いする。もし、今先生のお話があったように、それが余剰金のような形で出るんであればこれははっきり翌年度の歳入に繰り入れることになっておるわけでございます。 この点が、ある意味では今回基礎年金勘定をおつくりいただくことの明確になる点でもございますので、端的に申し上げれば、もし決算上剰余金が出た場合はそれは必ず翌年に繰り越される。その意味は、その分だけは今申しました全加入者からの御負担を軽減といいますか、その負担を軽くする効果を持つように仕組まれております。
○村沢牧君 予算によると、給付に必要な額のそれに見合うものは各年金勘定からの歳入になっているわけでありますから、この予備費の多くのものは剰余金として翌年度に繰り越される、このように理解してよろしいですか。
○政府委員(山内豊徳君) そのとおりでございます。予備費と申しますか、五百五十五億の運用収益は法令上も必ず剰余として残る仕組みになっております。
○村沢牧君 法十三条によると、決算上剰余金を生じたときは翌年度の歳入に繰り入れるものとなっておりますけれども、その繰り入れた剰余金をどのように将来運用していくのか、その点について必ずしも明確でないんですが、答えてください。
○政府委員(山内豊徳君) これは剰余金の処理というよりも、今申しております五百五十五億円がどう使われるかということから申し上げたらいいかと思うのでございますが、実は、先ほど言いましたように、過去国民年金に入っておられたサラリーマンの任意加入の奥さん方の積立金のファンドは、これは法律上は基礎年金勘定に移すということがはっきりしておるわけでございますが、これはその部分を被用者保険、つまり国民年金以外の方々の拠出金の軽減に充てるということが法律段階での議論でも決まっております。 したがいまして、今の先生の御質問の点は、その五百五十五億は使ってしまわないことはわかるけれども、それをどういうふうに割り振るのかという御質問かと思いますが、この点は、実は現在では政府関係省間でもはっきりとした配るルールは結論を出し切れないでおりますが、考え方はあくまでサラリーマングループ、つまり厚生年金あるいは各共済制度からの拠出金の軽減に充てるということを一応関係省の間でも了解しております。その配分ルールについては、なおこの剰余金の決算がはっきりいたします時期までに政府としても結論を出し、かつ法令上、具体的には政令でございますが、それで明確にしたいと考えているところでございます。
○村沢牧君 そうすると、これはどういうふうに配分していくかということは法文上もあるいはまた各年金間においても明らかでない。これは政令で将来規定するわけですね。
○政府委員(山内豊徳君) さようでございます。どういうルールで配るかを政令で書くということを関係省間で約束したいと思っております。
○村沢牧君 そこで、国民年金法附則には、「基礎年金についての検討」という一項があって、「基礎年金の水準、費用負担のあり方等については、社会経済情勢の推移、世帯の類型等を考慮して、今後検討が加えられるべきものとする。」このように規定をされております。法律審議の際にこれに関連をする国会の附帯決議もつけられておるわけであります。この規定が挿入されたということはこれは議院の修正によってなったわけでありますけれども、この法案審議の際に、基礎年金五万円という水準は低い、また国庫負担が三分の一も低過ぎる、こういう議論があって、その背景によってこうしたものが持たされているものでありますけれども、厚生省はこの附則の趣旨をどのように解釈しているのか、理解しておるのか。また、こういう規定が盛られたんですから、今後どのように対応していこうとするんですか。
○政府委員(山内豊徳君) お話しのように、年金法案改正の際に大きな議論がございまして、衆参両院にわたる議論の結果附則四条という形で明記されたわけでございます。私どもは、その法案審議の際にも申し上げておったと思うのでございますが、なかなか一人で五万円、夫婦で十万円という水準を直ちにどういう水準に直すべきだという議論をするには、率直に申しまして保険料負担との見合いからいってもなかなか結論を出しにくい点がある。また、今お話もございましたように、費用負担という点では、当時、特に国会では税方式を導入しての基礎年金の維持ということもあるのではないかといったしか強い御意見もあったように聞いております。そういう意味で、正直に申しますと、非常に重たい課題を附則ではっきりと国会の御意思としていただいた格好になっておるわけであります。 そこで、私どもとしましては、これは新制度発足後ということにはなりますが、まず基礎年金の水準につきましては、老後生活の基礎的な部分として一応これをもって現制度の原点として考えたいのでございますが、しかし、今のような国会での議論もございましたので、次の財政再計算と申しますか、まあ年金全体の財政を見直すときまでには、やはりこの水準についてはいろんな議論を政府部内でもしなけりゃならないんじゃないかというふうに考えております。財政再計算は従来遅くとも五年ごとにとは育っておりますが、そのあたりは今後の経済情勢のもとで五年でいいかどうかという問題も含めて検討を進めなきゃいかぬと思っております。 もう一つの要素の費用負担のあり方について検討すべきである点は、国会で議論されました税方式の導入という点ではなかなか難しい問題ではないかと私ども思っておりますが、冒頭に先生から今お話もありましたように、拠出者年金からのいろんな負担の割合とかそういう議論になりますと、意味はちょっと広がってくるかもしれませんが、基礎年金というものを今後どうやって運営していくかという問題にもなるわけでございますので、まあいつまでにという言い方はちょっと私ども約束しにくいのでございますが、政府部内にもいろんな意見が技術的にもある面もございますので、そのあたりは新制度発足後鋭意やはり私どもも研究、検討しなきゃならないと思っております。もちろんこれは厚生省だけで結論を出せるものではございませんで、共済年金に関係する関係省はもとより、財政当局とのお話し合いをしなきゃいかぬわけでございますが、私ども、附則の趣旨に従って新年度発足後やはり鋭意研究を進めなきゃならないテーマであるというふうに考えております。
○村沢牧君 本法改正案が出されたとき、厚生省もいろいろな意見を持っており、答弁もあったけれども、なおかつ国会でこの修正条項を加えたということは、それだけに重みを持っておるというふうに思うわけです。したがって、こうした法に基づいて前向きに検討しなければならないわけですけれども、今、次の財政再計算までには何とか方針を出したいというふうにおっしゃっているんですが、これからさらに検討していきますか。ただ国会で法律はこういうふうに決められ、附則は入ったけれども、ちょっと厚生省としてはなかなか難しい問題で検討ができないということなんですか、どうなんですか。
○政府委員(山内豊徳君) 非常に難しい問題を含んでおるということは申し上げたいのでございますが、決してだから検討しないということは申し上げたくないと思っております。
○村沢牧君 大蔵大臣にお聞きをいたしますが、大蔵省は財政当局であると同時に国家公務員の年金なんかも所管する省庁であるわけですが、今申しましたように国会でこのような附則が加えられた、こういう条項が設けられたことについて大臣としてはどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(竹下登君) 確かに年金改正法審議の国会修正におきまして、「基礎年金の水準、費用負担のあり方等については、社会経済情勢の推移、世帯の類型等を考慮して、今後検討が加えられるべきものとする。」と規定が織り込まれたことは承知いたしております。いわゆる基礎年金の五万円の水準というのが、高齢者の実際の生計費等を総合的に勘案すると、老後生活の基礎的部分を保障するものとしては、当時いろいろ議論いたしましたが、妥当な水準だ、こういうことを申し上げたわけでございます。 この水準の設定に当たっては、保険料負担とのバランスを考慮する必要がある。将来、一万三千円、これは五十九年度の価格でございますが、保険料負担が必要となることを考えますと、いわば保険料負担というものとの兼ね合いで考えますと、これ以上引き上げるということは困難である。六十一年度のスライド価格では五万一千九百円でございますか、となっておるわけでございますので、なお、そのときの議論にもございました基礎年金の費用負担のあり方については、税方式の導入の提案がありました。社会保険方式が定着しているという状態からすると、やっぱり税方式というものには問題があるから現行の費用負担方式を変更することは直ちには私は困難ではなかろうか、問答をおおむね整理しますとそんな議論をいたしました。 いずれにしても、基礎年金のあり方につきましては、法律の規定の趣旨を踏まえて引き続きやっぱり検討していかなきゃならぬ課題だという問題意識だけは私も持ち続けております。
○村沢牧君 大蔵大臣、問題意識を持っているだけでなくて、せっかく国会で議院の修正によってこうした条項を加えたんですから、これを素直に受けとめて政府としても対応しなきゃいけない、そのことを強く申し上げておきたいと思います。 そこで厚生省に聞くけれども、今無年金者と言われるのはどのくらいあるんですか。
○政府委員(山内豊徳君) 一定の年齢に達した方で、そのほかの方であれば年金をもらっていらっしゃる年代であってもおかしくないのに年金をもらっておられない方という意味で、厚生行政基礎調査という調査から数字を申し上げますと、大体、六十五歳以上の年齢の方で九十万人程度が年金を受けていない方の数であるというふうに見込んでおります。
○村沢牧君 これまた国会で本法改正の際、無年金者をなくせという要請があった。また附帯決議もそのようにつけているんですね。したがって、無年金者を減少させるためにどういう取り組みをしているんですか。
○政府委員(山内豊徳君) 放置しておくと将来無年金者になるおそれのある方という意味を含めての無年金者対策でございますが、御指摘のように、これも、先ほど申しました年金法の国会審議の際に非常に重ねての強い議論がございまして、両院において附帯決議を付せられた事項でございます。 無年金者になるケースといいますのは、年金制度への加入手続を全くとっていない、初めから入っていない方とか、せっかく加入手続はとっておられるんだけれども、保険料が滞納になっているという二つの面があるわけでございますが、前段の加入手続をとっていないことによる無年金者の発生の防止につきましては、市町村におきます住民基本台帳とか国民健康保険、これ主として従来的な国民年金の世界の話になるものですから、国民健康保険の被保険者の台帳等を基礎に未加入者に対する文書なり、場合によっては電話といった方法も講じて加入勧奨を行う、あるいはお話がついたところで直接役所の方から年金手帳をお送りするというようなことを鋭意努力しております。また、こういうことは一般的な広報の背景、新聞なり雑誌を含めた広報の背景も必要でございますので、その点については社会保険庁の一つの大きな年金制度運営上の懸案として努力をしているつもりでございます。 二番目に、加入手続はせっかくおとりになったんだけれども、保険料の滞納が長くなるとこれまたやはり年金権に結びつかないという方があります。これにつきましては、実は今回法改正におきましても国会でもお認めいただきまして、例えば毎月納付、今までは三月分をまとめて納めるというふうになっておったのでございますが、毎月納付の道も開いていただいた。あるいは事務体制上 銀行の口座振替などの方法もできるようになっておりまして、実は制度上はこの四月から全国的に毎月納付に切りかえてもいいような条件をお認めいただいたのでございますが、なかなかこれをすべて一挙にやることが難しい点がございますが、こういった方法を講じて、先生もお話のございました国会での御審議、附帯決議の趣旨に沿った年金行政を進めていきたい、そんなように考えているわけでございます。
○村沢牧君 ぜひ積極的に無年金者をなくすための対応をさらに講じなければいけないというふうに思います。 そこで大蔵大臣にお伺いしたいんですが、国民皆年金だとかあるいは年金一元化と言っても、今言われたように六十五歳以上の人九十万人もこの基礎年金ももらえない人があるんです。これはただ手続上やってないというのは指導によって是正もできるでしょうけれども、納めることができない、つまり掛金を滞納する人たちですね、これが随分あるんです。したがって、無年金者をなくすためにも、基礎年金の国庫負担を順次拡大して、将来税負担で何とかすべきではないか、こういう議論のあることは先ほど大臣からも答弁があったところでありますが、私はそのように思うんです。 大臣はニューリーダーと言われて、将来政権を担当していくという意欲を持っているんですから、やっぱり国民皆年金と言われる今時期に、このぐらいのやっぱりビジョンをあんた出してもいいというふうに思うんですが、どんなものですか。
○国務大臣(竹下登君) 我が国の公的年金制度というのは、いずれも国民が拠出と給付の両面にかかわり合いを持つ社会保険制度、これで国民の参加と連帯感、こういうようなことで大体考え方としては定着しておるということであろうと思っております。 それで、目的税を導入して基礎年金を全額国庫負担にすることは本当は一つの考え方だと私もいつも思います。が、今まで拠出した者と非拠出者との方のバランスでございますとか、そういうこと、それから新たな財源というのはやっぱり巨額なものになっていくということも考えますと、国民の一体合意が直ちに得られるものかということになりますと、やはり困難ではないかな、こういう感じも率直にございます。 これからますます高齢化の進展に伴いまして年金給付額が増大するわけでございますから、それをどのようにして賄うかというのは、それこそ本当はかなり時間をかけた濃密な議論が行われて、国民サイドの合意ができるということがやっぱり前提ではないかなということをいつも感じております。所得付加税はどうだとか、あるいは間接税はどうだとか、いろんな議論があることは私も十分承知いたしておりますが、いつも検討するに値する課題だというところから、まだ国民のコンセンサスを得られる、これなら得られる課題だというところまで私の考えもまとまっておりません。 それで、実際問題、審議会の意見でも出てきたことも承知しておりますが、今度は純粋に財政論からいいますと、いわゆる税というものはやっぱり色のつかないものが徴収されて、それで優先順位に応じて配っていく。したがって、目的税あるいは特別会計というようなものが財政論、税制論の中ではオーソドックスだとは必ずしも言えない。しかし、今後の課題として、それは審議会でもあるいは各党の主張の中にもございますので、国民のコンセンサスを得られる時間と、それからもっと濃密な勉強というのがやっぱりその前提に置かれるべきものではないかなと、いつも行きつ戻りつ考えております。
○村沢牧君 時々大臣のその哲学めいた話をよく聞くんですが、しかし、高齢化社会を迎えていく、しかし国民の中にはこの基礎年金すらもらえない人たちがだんだんふえてくるわけですね。これはやっぱり政治として放任をしておくわけにはいかないと思うんですよ。むしろこういうところへ目を向けなけりゃいけないと思うんです。 そこで、どういうふうにするという答弁を今すぐ求めても、適切な答弁はなされてくださらないと思いますので、今大臣がいみじくも話があった社会保障特別会計ですね、つまり社会保障関係費を一般会計から切り離して特別会計を新設する、これについては厚生省は、六十一年度の予算折衝の際、試案なるものも明らかにして大蔵省にも示しておるし、当時の厚生大臣はかなり前向きな答弁を国会の中でもしておるんです。 そこで、厚生省に聞きたいんだけれども、こうした構想を出す背景は何か。そしてまた、あの当時国会の中でも答弁があった、それから今日に至ってもその構想を示唆したような発言をしておるわけですけれども、そうした気持ち、意欲には今日も変わりないですか、厚生省は。
○説明員(岸本正裕君) 社会保障予算につきましては、高齢化がこれから進んでまいりますし、それから年金の成熟化等もますます高まっていくわけでございますので、毎年相当規模の当然増が避けられないという性格を有しているわけでございます。そういう事情が背景となりまして、このような社会保障予算について一般会計から切り離して、社会保障に関する給付と負担の関係を明確に示す、こういう構想が前厚生大臣の御発想として打ち出されたことがあるわけでございます。私どもも、こういう背景をバックにいたしまして、このような構想を真剣に勉強していかなければいけないというふうに思っているわけでございます。 ただ、この問題は国の財政構造の全体にかかわる問題でございますし、また今後の社会保障の進め方にも大きく影響する問題でもございますので、このような考え方を進めるにつきまして幅広い角度から検討していきたいというふうに考えております。
○村沢牧君 大蔵大臣から先ほど答弁というか、大蔵大臣の考え方について発言があったわけでありますが、竹下大臣も、今国会の総括質問の中なんかで、示唆に富んだ構想であるというような発言をして、大臣も何かこのことがやっぱり考えなければならないと思わせるような答弁をなさっておるんですけれども、大蔵大臣としても、今後前向きにこうしたことを検討していくというお気持ちなんですか。
○国務大臣(竹下登君) 確かに示唆に富んだ御提案だということは、増岡私案ももとよりでございますけれども、五十四年ぐらいのときから国会の議論でもいろいろありまして、私も当時から示唆に富んだ提案だという認識は持っておりますが、今、社会保障の基本にかかわるというところは、いわば生存権保障のいわゆる生活保護費との関係の問題等も生じてくるでございましょうし、あるいは基礎年金に限らずもっと広範な社会保障というような面でとらえた方がいいじゃないか、こうおっしゃる方もございますし、福祉目的税というような議論ももちろんございますし、だから財源も巨額になってくる。だから財政当局からいえばどうしても硬直化しがちになってくる、こういうような嫌いもありますが、重ねて言うようですけれども、もう少し濃密な議論を本格的にしてみなきゃならぬではないかな。 だから、厚生省中心でお考えいただくことでございますけれども、私個人を含めて本当は、前向きと言われると、いかにも近い将来それが実現するというほどの私にまだ自信がございませんので、もちろん後ろ向きではございませんので、真ん中ぐらい、まあ真ん中ぐらいで本当は勉強するいい課題だなというのは、ここのところもう六、七年思っておることは事実でございます。
○村沢牧君 どうもはっきりしませんが、でも竹下大臣の国会における発言が少し変わってきておりますからね。私は、大蔵大臣もそういう気持ちになったのかなというふうに受けとめておるわけなんです。 それはそれとして、厚生省試案だか増岡私案だか知りませんが、これを見ますると、歳入として、財政再建中は社会保障のための新たな特定財源を導入する、特定財源として特別調整保険料または福祉目的税を考慮する、こういうことになっておるわけですね。さらにその次は、特定財源については、今後予想される税制改正の動向、財政再建の状況、社会保障制度の再編成等を踏まえて、また、我が国社会保障制度の過度の一般会計依存の解消を勘案して長期的なあり方を検討する。これは当然のことでしょうが、いずれにしても財源が問題になるんです。こういう構想に対して大蔵省としてはどういう見解をお持ちなんですか。
○国務大臣(竹下登君) 今おっしゃいましたとおり私も記憶もいたしておりますし、先ほど来申しましたように、社会保障全般、そうすると生存権の保障にいわゆる生活保護費というものが存在し、それと基礎年金というものとをどういうふうに調和させるのがいいのかというようなことは、これは私も国家公務員等共済の主管大臣ですから、まんざら全く資格がないわけじゃございませんけれども、やはり専門の厚生省でいろいろ議論をしていただける課題であろうと思っております。 問題は、特別会計という柱といま一つは特定財源、これになりますとまさに大蔵省自身の首突っ込んで当然議論しなきゃならぬ問題だ。随分この問題は議論しておりますし、示唆に富んだということは本当に私もそう思っておるわけですけれども、これは村沢さん、それじゃあと勉強期間がどれぐらいかかったらおまえ結論出すかと言われると、そこのところまでのお答えするだけの自信がないというのが偽らざる私の現状の心境といいますか、でございます。 それは当然高齢化社会というのは好むと好まざるとにかかわらずやってまいりますし、その長寿社会はまたいいことには違いないのでございますから、それが暮らしの憂いなく平和な暮らしをしていただけるような漠然とした理想像が私の頭にもありますが、税法と特会というものをどういうふうに構築していくかということになると、本当に重ねて申し上げて失礼ですけれども、もっともっと濃密な議論の中に、国民次元もなるほどそれはもっともだというコンセンサスが得られる状態まで、まあ世論誘導という言葉は適切じゃございませんが、世論の盛り上がりというものが必要な課題ではないかなと思っております。
○村沢牧君 大蔵省の検討が進められておるわけでもないという話でありますから、余りこれからこの問題についてお聞きをしていくことは困難かと思いますけれども、しかし一般論として言えることは、特定財源をつくるとするならば今後予想される税制改正とも関連してくるというふうに思われますけれども、しかし、大型間接税による財源調達は明らかに増税なき財政再建にこれは反する。また、一度新税が導入されるとその後安易に増税がなされる可能性もある。非常に問題を含んでいると思いますが、どういうふうに考えますか。
○国務大臣(竹下登君) それは私も同感でございます。自分の反省からきてやっぱり一番、私がよく税調の皆さん方と議論しますときに、いわゆる間接税というのは一遍入れると、歳出圧力があると、まあ比率を上げておけば何とかなるわと、こういう安易な考え方であってはならぬ。それが一番取り上げられやすいのがたばこだから、そういう点は注意していなきゃならぬと言いながら、結局たばこを今後地方財政計画といえやったんですから、したがって慎重ならざるをやっぱり得ないなと思っております。特に、ヨーロッパの大蔵大臣と話しますと、本当にみずからの実感としてそういう反省をも含めた御発言がよくあるものですから、心していなきゃならぬ問題だと思っておることは、その限りにおいては、間接税がいいとか悪いとかという基本論は別といたしまして、とかく安易に税率等に手を触れる危険性と申しますか、そういうのはあるなと。自分がその罪、まあ罪を犯したという表現はいけませんが、今度の地方財政対策のときにひょっとやっぱりたばこを思いついたというのは、みずからに言い聞かすべきことだな、そんな感じがしております。
○村沢牧君 非常に抽象的ないずれも見解になってきますが、私は申すまでもなく大型間接税なんというものは絶対反対という立場を今日まで主張してまいっているところであります。しかし、この大型間接税に反対があるから、福祉目的税、こういう構想を掲げていくならば反発が少しでも和らいでくるのではないか、こんなねらいがあってはいけないというふうに思いますが、そんなことありませんね。
○国務大臣(竹下登君) いわゆるかつての一般消費税(仮称)というようなものを入れやすいために福祉目的税と銘打ったらどうだという考えは、やっぱり税制をまともに考えるときには、まず福祉目的税ありきというような感じからアプローチしていくというのは本筋じゃないと私も思っております。
○村沢牧君 本筋ではないし、そんなねらいでもってやってはいけないということを私は強く指摘をしておきたいと思うんです。 そこで、財政が厳しくなるといろいろな特別会計の構想が生まれてくるというふうに思うんです。しかし、安易にこれを認めると一般会計との区分、仕分けが不明確になってくる。そしてまた実質的な一般会計からのツケ回しになる。私はそういうおそれがあると思うんですが、大蔵大臣はどういうふうに思いますか。
○国務大臣(竹下登君) 特別会計というものの持つ相対的な性格の中の欠点の部分が今おっしゃったことではないかと、私もその点についての問題意識は大体同じじゃないがなという感じでございます。
○村沢牧君 そうすると、重ねてお伺いしますが、この特別会計を新たに設けるということについては、大蔵大臣としては、大蔵省としてはこれは慎重に取り扱っていく、必ずしも賛成でない、あるいはある面では抑えていく、こういう気持ちなんですか。
○国務大臣(竹下登君) これは財政という立場で見ますと、特別会計は可能な限りつくらない、福祉であるとかなんとかそういう議論は別として、財政の本質からいうと、特別会計というのは可能な限りつくらないというのがそれは考え方の基本に置かなきゃならぬ問題だと思います。ただ、いろんな議論の中で、政策選択の一つの柱としてあり得るかどうかということになりますと、これはまさに国民世論等の動向を見ながら政策選択の一つの柱としてはあり得ることでございましょう。が、財政という立場あるいは会計という立場からいうと、可能な限り特別会計はない方がいいという原則であろうと思います。
○村沢牧君 そういう基本的な考え方を持っておるということがわかったんですが、それはすべてのものについても特別会計を聖域としない。したがって、例えば今防衛庁が自衛隊施設整備の特別会計をつくるという構想も持っておるやに聞くんですけれども、これについても今お考えになっておるような基本的な考え方ですね。防衛庁だから認めていくとかなんとかいうことはありませんね。
○国務大臣(竹下登君) 従来とも一般会計でやっておって余り特に支障のないことではなかったかと思うわけでございます。それがもし一%カウントの外に置くためにそういう仕組みを考えたかと言われますと、それはやっぱり考えるべきことじゃないというふうに思っております。
○村沢牧君 その辺はまた今後の参考としてよく承っておきましょう。確認しておきます。よろしいですね。 次は年金の積立金ですけれども、国民年金及び厚生年金の積立金は六十年度末に五十三兆円を突破するであろうということが言われております。年金の積立金の運用については、運用事業で得た利益を年金財政本体に組み入れてそれを年金資産の増加につなげ、負担率や給付に反映すべきと思いますけれども、厚生省の見解を聞きたい。
○政府委員(山内豊徳君) 年金積立金は、御指摘のように、加入者、労使負担のいわば、言葉は強いかもしれませんが、強制的、義務的に加入していただいて集めている資金でございますので、やはりその運用は、年金制度そのものの長期的な安定なり、あるいはでき得れば保険料負担の将来にわたる軽減の方に回したいというのが私どもの率直な気持ちでございます。その意味では、年金資金にふさわしい運用というのはいかにあるべきかということは、年金制度を預かる厚生省としては非常に大きな問題意識を持って取り組んでいることの一つでございます。
○村沢牧君 そこで、今申しましたように、積立金もかなりの額になっているわけでありますが、私が言ったように、これを厚生省が自主運用によって利用するとするならば、年金財政にどのくらいの影響があるのか計算してありますか。
○政府委員(山内豊徳君) 今お話しの、自主運用といいますか、どのような仕組みで運用するかは別といたしまして、より有利な運用をもし実現することができればどのくらいの利回りが期待できるかということは、いろいろな計算ができるわけでございます。もちろん、現在の現実の金利情勢を考えますと、そう私どもが仮定計算するようにはいかないと思うのでございますが、端的な数字、これは金利をあと何%より有利に運用できるかというのは非常に難しい問題ございますが、ある仮定の数字、一%なら一%というものを上乗せして考えますと、やり方にもよりますけれども、一年間で数百億というような感じの利益収入がさらに期待できるということは計算上は言えるんじゃないかと考えております。
○村沢牧君 今申した年金積立金の自主運用について、大蔵省はどういう見解を持っていますか。
○国務大臣(竹下登君) これは六十一年度予算編成に当たりまして厚生省から要求があって、それで現状は、大臣折衝においてことしは見送ろうということにしたわけでございます。その際、意見の相違はあるが、今後とも両省間で引き続きこの問題について検討、協議を行うということで処理をしたわけでございます。 したがって、両省間の協議の問題は別として、今日までのこの考え方というものは、言ってみれば、国の信用、制度において集めたものは一元的な運用をするということが筋であるということで私どもは考えておるわけでございます。したがって、財政金融政策との整合性を図りながら、公共の利益の増進に寄与するような運用が必要であるという限りにおいては、やはりいわゆる統合運用の仕組みが望ましい、こういうことを私どもの方で主張して、そこで議まとまらず引き続き検討、こういうことになっておるわけでございますから、大蔵省の基本的考え方、こうお尋ねがあれば、今日までとり続けてきたお答えを踏み出すというわけには今日の段階でいかないということであります。
○村沢牧君 その問題については両省で今後検討していくという方向のようですが、午前中も論議がありましたように、財投の消化率は、例えば政府系金融機関の分についても必ずしも全部使っているとは言い切れない。あるいは不用額が出ている。このことは、金融の自由化あるいは金利の問題などで政府系金融機関の魅力も失われてきた、これも一つの原因であろうというふうに思うんですが、したがって、このあり方についても大蔵省は検討するでありましょうけれども、こうしたことから、今申し上げました年金積立金についても自主運用していく、そういうふうな、本格的に検討すべき時期だと私は思いますけれども、まあ検討するということでございますけれども、財投資金のあり方等もあわせて、現状等を照らし合わしてみて検討しなきゃいけない、具体的にやっぱり大蔵省としても方針を出さなきゃいけない時期ではないかと思いますが、どうですか。
○国務大臣(竹下登君) 私どもの一つの背景にありますいわゆる臨調最終答申でも、「公共的な性格を有する資金をできるだけ有効かつ整合的に配分するためには、統合運用の現状は維持されるべきである。」それからもう一つございますのが行革審の意見で、「厳しい財政事情の下において、「第二の予算」として一般会計予算と密接な関連を有している財政投融資については、資金運用部による統合運用の現状を維持する」「必要がある。」それに対して最大限尊重するという閣議決定の筋を引いていきますと今の答弁になってくるわけでございます。 ただ、今村沢さんの御指摘なさいました、では政府関係金融機関等、いわゆる財投のあり方について議論すべきじゃないかということにつきましては、確かにいろんな変化が来ております。輸銀にいたしましても、もともとは輸出奨励、今やそれが輸入奨励のような変化に来ておりますし、それから開発銀行にいたしましても、私よく考えますが、ホテルとか旅館とかの融資は、最初の目的は外貨獲得のため、こういうことになっておりますが、外貨獲得は相当なことになっておりますので、この変化も生じておる。 その都度それぞれを訂正しながら今日に来ておりまして、また開銀融資なんかが国際競争力をつけるための融資というような性格は全く変わってきて、今は基礎研究とか技術開発とかいうようなところへ変わってきたり、そういうことをかれこれ考えて、今度の財投計画の中も、総じまして、二十数%の、輸銀はもとよりでありますが、そういう金融関係はうんと減らして、結局公共事業的なものへうんとこれを傾斜さしたという変化は今日生じておりますが、今のところ、いわゆる理財局長の勉強機関として財投研究会というものでいろんな勉強をしておるさなかでございます。
○村沢牧君 財投の検討していくことは当然のことだと思いますが、それとの関連においても、年金積立金のあり方について今後検討していくということになっておるようでありますが、大蔵省も今までのようなかたくなな態度だけでなくて、社会保障関係の予算がこういう形になっているときでありますから、もっと前向きに検討して、そして少なくとも六十二年度の予算編成までには何らかの方向を出していくという態度があってしかるべきだと思いますが、どうですか。
○国務大臣(竹下登君) したがいまして、大臣折衝の際、意見の相違はあるが、今後とも両省間で引き続きこの問題について検討、協議を行うということで、継続審議と申しますか、ことしは見送るということの決まりになって措置をしたということでございます。
○村沢牧君 ことしは見送るけれども、次の年度には何とか方向を出しますか。
○国務大臣(竹下登君) それこそ両省間の引き続き協議というものの結果をあらかじめ予測するというわけにもまいらない。いわゆる郵貯、簡保の問題、それから今おっしゃっています厚年、国年の問題、そして財投のあり方、総合的な観点からも議論をして進めていかなきゃならぬ。あらかじめ予見を申し上げるほど私自身も頭の整理ができていないというのが現状でございます。
○村沢牧君 そっちも口が重い。 もう一つお聞きをするけれども、年金の国庫負担分の四分の一カット返済の問題です。これは六十一年度予算においても実行できない。この問題については、大蔵大臣は年金改革法審議の際、国の財政改革をさらに強力に推進をし、できる限り速やかに繰り入れに着手する所存でございますという答弁を繰り返した。まさに竹下大臣の哲学に終わっているわけですね。そこで、これまた哲学ではなくて、一体どういうふうにするのか。明年の税制改革に関連をさしてこの問題も何とか考えようとするのか、それとも財政再建が成就するまではこれはだめですよというお考えなのか。年金の積立金の運用もだめ、こっちもだめじゃ、これは社会保障ますますだめになっちゃうんですけれども、その辺どうなんですか。
○国務大臣(竹下登君) この問題こそよく御批判をいただきます。繰り入れ特例によって、言ってみれば、金を貸せ、その返済計画はあるか、必ず返しますという哲学だけで具体的な計画ないじゃないか、そんな金の借り方は世界じゅう探してもないということで毎度御批判を受けておる問題でございます。 この問題はやっぱり、今日やむを得ざる措置としてお願いをしておるわけでございますが、結局はいわゆる法律上の、今哲学とおっしゃいましたが、基本的考え方を明らかにしておるというのが現状でございまして、返済の期間とか方式とか具体的内容は、今後の国の財政状況を勘案する必要があるので現時点では明らかにできない。一般会計が特例公債依存体質から脱却した後において、行革関連特例法及び今回の措置による年金国庫負担金の減額分につき、積立金運用収入を含め、できるだけ速やかな繰り入れに着手する所存であるということでお許しをいただいて今日に至っております。がしかし、その際、年金財政の運営に支障を来すことのないよう計画的に繰り戻しを行うこととしておりますという考え方を述べるにとどめさしていただいておるというのは事実でございます。
○村沢牧君 去年の法案審議のときと時間も大分たっていますので、大臣やはり真剣に考えて何とかしなければならないという方針でも出したと思ったら、そっちの方は全然まだ手がついておらないという話ですが、ですから、こっちもだめ、それから年金積立金もだめ、それから特別会計も思わしくない、ただ基礎年金勘定だけはつくりましたよということでは、ことしの厚生省のこの政策にも見られるように、来年の予算編成やったって、ことしは老人保健法を改悪してまた悪くした。何かにまたしわ寄せをしなきゃならないということになってしまいますね。これじゃやっぱり本当に国民のための政策じゃない、政治じゃないと思うんですよ。 そのことについて御答弁をいただきたいし、もう一つは、例えば補助金のカットの問題についても、六十年度一年度というのを別途法律を提案して三年間も延ばす。それから、午前中審議をした五十九年度決算剰余金の一般財源充当の問題、あるいは公債償還財源の定率繰り入れの不実行等々を合わせると、国民はやっぱり政府の施策に対して、大蔵省の財政運用について信頼を失ってしまう。何言ったってこんなものはだめだということになっちゃうんですね。約束したことはちっともやらない。法律にも違反をする、公約も実行しない、これでは竹下さんらしくない方針だと思いますがね。もっとやっぱり国民に、この制度に約束したことだけは特にやっていく、その構えがなくてはいけないと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) それは原則的にはおっしゃるとおりだと思っております。今大変苦しい折でございますから、確かにその苦しい折、そしてまた将来にわたってそうヨーロッパのような国民負担率を上げるわけにはいかないということになれば、中長期的な視点からいろんな制度、施策の根本に踏み込まなきゃならぬ。その一つが、あるいは老人保健法の問題もその一つであると思っております。そうして補助金、補助率の問題につきましても、生活保護費の問題については検討委員会から両論併記の形のものをもらいましたが、去年は一年としましたのは、一年間に本格的な審議を行いますからとりあえず一律で一年にしてください。今度の分は、一応本格的な審議は行いました、両論併記のものもあったにいたしましても、したがってこれは三年間の暫定措置としてお認めいただきたい、こういうことで、やっぱり年々知恵を絞ってきておることは事実でございます。 行き当たりばったりでやりませば、当然また国民というものの不信を買えば、私どもも政権の座を去らなきゃならぬことだって、それは議会制民主主義だからあり得ることでございますから、したがって今日の苦しい財政状況の中においても、二十一世紀を展望し、いわば中長期的に安定していくにはこのような施策でございますということを極力理解をしていただく努力を毎日毎日続けていなきゃならぬではなかろうかというふうに考えております。
○村沢牧君 時間ですから終わります。
○鈴木一弘君 初めに保険料納付の免除の問題でお伺いしたいんですが、国民年金保険料の免除の適用を受けている人が、先ほども御指摘がありましたが、年々ふえて、昨年の三月末現在で一七・四%にもなっております。ことしはさらにふえるんではないかというふうに思いますが、この増加の原因をどうつかんでいるか、まず伺いたいんであります。
○政府委員(山内豊徳君) 今数字を示して御指摘のように、五十九年度末で実は国民年金の保険料の免除を受けている方が一七・四%という率になっておるわけでございます。これがここ数年ふえてきておることは御指摘のとおりでございます。 私ども、端的な原因の土台には、景気の低迷といいますか、所得上昇率が一般的に低下したという最近の経済事情の反映が一つあろうかと思いますことと、やはりここ数年間保険料が段階的に引き上げられておるわけでございます。これを三カ月分まとめる、御夫婦であれば二人分ということになるわけでございますが、これは非常にまとまった額になるということから保険料納付を難しくしている面があるんじゃないかというわけでございます。それに対応してどういうことを講じていくかということについての問題があるわけでございますが、その点は後ほど申し上げますとしまして、原因の見方についてはそのような見方をしておるところでございます。
○鈴木一弘君 これが、今の保険料免除者数の割合が昭和四十九年度では八%ですね。それが現在に至ると五十九年度で一七・四%。こういうことになりますと、やはり今の話のように、保険料が高いということから、家計の状況が本来ならよくなったら払えるけれども悪いから払えない、こういうことなわけですから、この免除者については、家計の状況がよくなったら未納の保険料も納入するということになっておるはずだと思うんです。 実情はどうなんですか。大部分が家計がよくならないということでそれがそのまま続いているという状況じゃないでしょうか。
○政府委員(山内豊徳君) ただいま御指摘の点は、いわゆる私どもが保険料の追納と申し上げている制度が余り実態が伸びていないじゃないかという御指摘でもあろうかと思います。 ちなみに五十九年度におきます追納の状況を数字を挙げて申し上げますと、件数にしまして約二十万、十九万二千件ということで、追納額こそ四十数億という額になっておるわけでございますが、私ども、今お話しのように、免除された期間はあるとしても、所得を回復された場合には何とか追納の道をとっていただいて、またそのことによって、最終的には老後に支給される年金額が一定の水準に達するわけでございますので、何とかこれを免除者に対するいろんな意味での周知徹底策あるいは勧奨を通じて追納を伸ばしたいと考えておりますが、実情はそういう姿になっておるところでございます。
○鈴木一弘君 全国的に見ると、免除率の低い県が石川県の九%、福井県の一〇・五%、神奈川県が一一・一%。高い県になると沖縄県は四二・四%もなっておりますし、北海道が二五・七、福岡県が二五・六、長崎県が二五%、こういうように六十年三月ではなっているわけですが、県によってこれだけ大きな違いがある。はっきり言えば、一体何が原因かと言えば、政府や地方公共団体の地域振興の対応に問題があるから、それだから収入の機会がないということでこうなっているんじゃないか。実際には納付の場合には連帯納付義務者もいるわけですから、その人たちも納められない。つまり御主人が納められない場合奥さんが納めるということもできない。そういうような職業や中小企業の人、個人企業の人がいるということを意味しているわけですけれども、これはどういうふうに、その辺の地域振興問題とか、夫婦共働きもできないような職場なのかどうかということをちょっと伺いたい。
○政府委員(山内豊徳君) 都道府県別といいますか、全国的に見てばらつきがあることは今数字を挙げてお示しのとおりでございます。 私どもも、その一つの、一つといいますか大きな原因は、今おっしゃいましたその地域の経済情勢の反映といいましょうか、いろんな意味での経済状態のあらわれであろうと思っておるのでございますが、私ども自身ももう少し分析を加えた上で御答弁申し上げるべきかと思いますが、実はこの国民年金保険料の免除率というのは、全県民、全住民の何%という意味じゃございませんで、御案内のように、その県での自営業を中心とする適用対象者の中の割合になるわけでございます。そうなりますと、やはり単に経済情勢の反映だけではない、今先生もお話のありました行政上の働きかけの差異のようなものもあるんではないかということもございまして、今後ともこの分析面を含めて綿密な検討と、またそれに対する対応を考えていかなきゃならないというふうに考えております。
○鈴木一弘君 これは沖縄県は今言われた強制適用の被保険者数が二十一万五千人、ところが免除されている者が九万一千人という大変高い、半分近いということ。北海道にしても八十六万人を超える強制適用被保険者数がいるのに保険料免除者の免除された被保険者数が二十二万人というふうに、全国では三百十八万という大変な数字になっているわけです。ですからこれは今のような答弁だけでは私は本当は不満なんです。 実は本人が納められなくたって連帯納付義務者もいるわけですから、両方から来ている。当然であるべき免除の人と、それから申告で免除になるのとあることもわかっておりますが、それがこういうふうになっているということですから、やはり、これは何かほかがこんなでございますというのじゃなくて、各地域での、これは厚生省の問題じゃないでしょうけれども、連絡を取り合って就労の機会とかそういうものをふやすような方法をとらさなきゃいけないんじゃないかと思うんですね。こういうことはきちんとした連絡会議等が必要だろうと僕は思うんです。これはひとつ大臣、全体に絡まりますので。
○政府委員(山内豊徳君) 厚生省に対する御質問の意味とは裏腹であろうと思いますが、何かこういった県のばらつきを考慮した地域政策の道があるんじゃないか、そのために厚生省はもっと幅広い行政の立場から何か工夫すべきではないかという御指摘だと思いますので、私も、年金行政をあずかるという狭い立場だけじゃなくて、何かやはり考えていかなきゃいかぬテーマという気がいたしております。
○国務大臣(竹下登君) 例えば財政が出動して仮にもし失業対策事業とかいうようなものをやると、これも本当は前向きではございませんし、そうすると、地域振興のために考えられる一つの手法としては公共事業の傾斜配分とか、そういうことは考えられる手法の一つだなとは思います。 それから、例えば民活にしても、いわば都市周辺だけでなしに、草の根民活のようなところへ焦点を合わしたもろもろの知恵を絞っていくとか、あるいは企業分散、これもなかなか法律で追い出したりするわけにいきませんが、そういう指導をしていくとか、そんなようなことが地域振興に役立ち、ひいてはそういう方の数が減っていくというようなことになるのかなこれはまことに当を得たお答えにはなっていないと思います、私自身も。常識の範囲でそんなことかなという感じを持ちました。
○鈴木一弘君 これは今申し上げたのは政治的な判断の問題だから大臣にお伺いしたんですけれども、イコールフィッティングなんという答えが出るわけないんですから、しようがないと思います。 そこで、免除された中の申請免除の適用の基準、これは何かそのものの見直しを考えているということが言われているんですが、これは本当なんですか。
○政府委員(山内豊徳君) お話しのように、免除のうち特に申請して免除を受けることにつきましては基準がございます。 現在、これは上限と下限と申しますか、わかりやすく申し上げますと、市町村民税が課税されてないような世帯の場合はいわば下限というか、免除をする。逆に所得税を課税されておられるような世帯の場合は非課税とするというふうな上限、下限を設けておりますが、その中間に位置する世帯の方についてどうするかということが私ども免除基準と言っているわけでございます。これは大体大きな年金改正をやります、私どもで言いますと、財政再計算をやりますたびにこの基準も見直すということで、現在実はその上限、下限の間の基準について現行基準を現状に即したものに、あるいはまた運用しやすいものに見直す作業をしておりますが、おっしゃるように何とか新年度の適用に間に合うように新しい基準を定めたいと思って今鋭意見直し作業をやっている段階でございます。
○鈴木一弘君 厳しい基準の見直しがあるというようなことが報道されている。そういうことになると低所得者盾に過度な負担をかける。いわゆる免除率を低くするために、今まで免除されていた者を免除できないような条件に持っていくということですから、こういうおそれが出るわけですけれども、そういうことが既に報道されているので、大臣、そういうふうに今の話のように考えているとなると、どっちの方向をとるんですか。
○政府委員(山内豊徳君) ただいま申しましたように、私どもの免除基準と言っておりますのは、決められた上限と下限の間での基準でございます。このことがまず前提にあるわけでございますから、例えば従来は市町村民税が課税されない世帯には免除だったけれども、今後はこれも免除しないということは全く考えておりません。また逆に、所得税が課税されている世帯でも免除の対象にしてもいいじゃないかという、何といいますか、緩和された考え方も全くとっておりません。中間という言葉を使いましたが、実は中間にある方でもいろんな実は生活状態の方がいらっしゃるわけでございますから、どう申しましょうか、非常に市町村段階での行政の恣意といいますか、漫然とやれば免除がふえるけれども、そうでなければ厳しくなるというようなそういう行政上の幅の余りないようなものにできるだけしていきたい。 しかし、その一面で、余り硬直的なものになりまして、今先生も御指摘のように機械的になってしまってはいけないものですから、どのような要素に着目して中間的な運用を図っていくかということの見直しを考えておるわけでございます。できれば要素ごとに点数制のようなものをとりまして、少なくとも、所得税非課税だけれども何点以上だったらやはり何とか免除じゃなくて納付をお願いしたい。その辺、先ほど申しましたように毎月納付の仕組みを加味するというふうなことでお勧めしていくというふうなことを考える。そういう意味での、基準そのものを、何と申しますか、年金制度を運用していく立場からきちんとしたものにするということを言っているつもりでございまして、決してより厳しくとか、より緩和されたということを単純に考えているわけでは全くございません。
○鈴木一弘君 そういうおそれが大分報道されていますので気をつけてやっていただきたいと思うんです。 保険料も納められない、しかし免除の申請もしない、そういう人は長期的な未納者になるわけですな。この数は一体どのぐらいあるんでしょうね。
○政府委員(山内豊徳君) 私ども、今のような加入者に該当する方、滞納者という方を実は保険料の収納率を示します検認率という概念でつかまえておるわけでございますが、五十九年度これが九四%にだっております。言いかえますと残りの五・九%が滞納ということになりますので、まあ人の加入者の数としても大体五・九%の方が今言ったような支払っていない方、免除の手続もとっていない方というふうに私ども把握しておるところでございます。
○鈴木一弘君 庶民の生活のいろんな調査とかアンケートとか出ていますね、そういうのを見ましても、最近家計の厳しさが示されている。そういう場合がございますが、国民年金の保険料の免除をされている人の増加と、今の五・九%というのは大変な数に上るわけですが、この方々の増加、長期未納入者の増加、こういうことから、これは一体何が原因かというと、毎年保険料が引き上げられてきたからだ。私はそういう点から見ると、これからの国民年金の行き方で、またまた今度引き上げということが予想されるということになりますと、ますますこれが増加していくんじゃないかというふうに思うんですけれども、そういう点はどう考えておりますか。
○政府委員(山内豊徳君) 確かに御指摘のように、昨年の法改正によりまして、国民年金水準につきましてもかなり保険料負担を緩和して給付そのものを適正化させていただいた。その結果、従来制度のままであれば、将来的には現在価格で二万円近くなる、一万九千円といったオーダーの保険料負担を何とか将来の姿でも現在価格で一万三千円程度に抑えるということを改正させていただいたわけでございますが、そうは申しましても、現在のこの四月で七千百円という保険料が現在価格でそこまで段階的に引き上げられてまいりますと、今先生がお話しの問題が起こることは私どもも考えているところでございます。 そこで、先ほどちょっと申しました、ことしの新しい年金制度では、今まで三月に一遍だったものを、毎月納付の道を法律上開くとか、あるいは口座振替というのは一定の口座をお持ちになった方に限られた発想かもしれませんが、口座振替の形で納めやすい環境をつくっていくというようなことを組み合わせることによりまして、何とか現在の状況を少なくともより悪くしない方向で努力していきたい、そのように考えているわけでございます。
○鈴木一弘君 ですから、今の答弁ですか、先ほどありました答弁でも、強制加入対象者のうちの長期未納入者が約六%近い、百万人近い者がいる。その上に保険料の免除者が先ほどのように三百十八万人にも上っている。こういうことになると、あわせて四百二十万人程度、いわゆる国民年金対象者の約二三%の人が年金が将来受けられなくなるか、それとも免除期間が長ければもらう金が少なくなる、年金が少なくしか受け取れないという現象になるわけですから、これはちょっと制度上の欠陥、いわゆる空期間の計算は結構だけれども、そのために、本来ならば一番受けなきゃならない人にいかないということになりかねない。そういう人は一体どこで救われたらいいのかということが出てくるわけです。これは制度上の欠陥だと思うんですよ。
○政府委員(山内豊徳君) 先ほども御答弁申し上げましたように、現状の高齢者の実態調査からも九十万人という方が年金をもらわない状態におられる。そのほかに、先生の御指摘のように、免除期間が長いと国庫負担に伴う三分の一の水準しか保障されませんので、かなり低い年金になる方がそのほかにもいらっしゃるということになるわけでございます。 この点を制度上の欠陥という言葉を使っての御指摘でございますが、社会保険システムをとった公的年金としての一つの帰結であることは私も率直に認めざるを得ないのでございますが、しかし、これを納めなくてもいい年金制度というふうに変えるには、またこれ一つの考え方の飛躍にもなりかねないものですから、私どもは、繰り返しでございますが、納付の方法あるいは追納の勧奨、あるいは免除基準の一面でのきちんとしたものに直すということを通じて何とかこの数を極力減らし、またふやさないようにしたいと努力するということで御答弁申し上げさしていただきたいと思うわけでございます。
○鈴木一弘君 答弁は答弁でわかるんですけれども、公的年金の持つところの一番大きな役割は所得再配分機能だと思うんですよね。ところが、今の話からすると、最も公的年金の受給を必要とするという所得階層の大部分が、いざ年金を受けるというときになると、長期未納者であったということでもらえないとか、あるいは免除が長かったということで支給が少なくなるという人が多数出る。そうなると、この方々はどこへいくかといったら、生活保護へいく以外にないだろうと思うんですけれども、これじゃ制度があって年金なしということにならないかということで、私はそういうことを改めていく方法を考えるべきだろうと思うんです。何もその方々からたくさんの年金のいわゆる保険料を取りなさいということじゃございません。 その点はお考えになったことはありますか。
○政府委員(山内豊徳君) ただいま申しましたように、社会保険の仕組みの上に公的年金を形成するということ、これは一面においては、それ自身、現役の時代に能力に応じて拠出をし、老後を迎えるという原理としては、もちろん国際的に全くそうでない、社会保険をとってない国もないことはございませんが、一応私どもも確立された一つの年金の手法と考えておるわけでございます。 その意味で、それをがらりと変えまして、何か抜本的と申しましょうか、非常に超制度的な改正をやるということについては必ずしも考え切れないでいるということは事実でございます。と申しますのは、やはり年々膨大な保険料をいただいて社会保険として運営してきた年金制度を、一挙にそのような議論の方向だけで変える、変えないということを議論することは、やはりこれまで加入されていた方との均衡の問題も残ってまいりますので、そういった意味でも、何かこれを保険料システムでないものに全く変えてしまうということについては、なかなか私ども検討ということを言えない立場にあるように考えております。
○鈴木一弘君 先ほどの村沢委員の質問の中にありました、大型間接税というか、そういうものをもって福祉目的税をつくるというようなことがあったんですけれども、そういうことをやる前に、現行の、定額の保険料システムになっているわけですが、その定額の保険料システムをある程度所得比例制の保険料の納入に変える、そういう導入をする、そういう部分の導入を図るというようなことによって、今国庫からの支出の三分の一のものだけしかもらえないという人たちも、若干それに上増しすることができ得るようになるんではないかというようなことも考えられるんですけれども、そういう所得再配分機能も持たせたような何らかの対策を検討すべきじゃないかと思うんですが、これはいかがですか。
○政府委員(山内豊徳君) 確かに今御指摘の、ある意味では所得に応じた保険料というようなものを今までの国民年金の制度の中に導入できないかという議論は、実は昨年の年金法審議の際にも国会で御議論がありまして、また検討につきまして法律上の附則としてもお示しをいただいているわけでございます。ただこの場合、特に所得再配分効果があることは私どもも認めるのでございますが、より所得の高い方が非常に所得の低い方の分を負担する、つまり自分が納めた所得比例保険料よりもやや下回る水準の給付で御納得いただくという形をとるためには、かなりやはり多様な業態である自営業者を中心とします国民年金の場合、非常に国民的な合意からいっても難しい点があるんじゃないだろうか、もちろん技術的な所得の把握という点もございますが。 そんなことから、私ども国会での修正の趣旨を体して検討をすべき方向とは考えておりますが、今直ちに結論を出す方向がお示しできないというのが現状でございます。
○鈴木一弘君 先ほどの大蔵大臣の社会保障特別会計のときの国民のコンセンサスと同じ答弁が出てきちゃって、国民の合意が得られるかどうかなんという話です。 ここで私は大蔵大臣に、先ほどの発言の中にありました、また最近の発言にもあった社会保障特別会計の問題が先ほども取り上げられたんですが、その中で、福祉目的税をつくるとかなんとかということになればこれは大型間接税ということの導入を示唆したと、こう報道されているんですが、もしやるとすると、この大型間接税ということなら個別な間接税的なものになるか、一般的な間接税的なものになるのか、その辺はどういうふうに、まだ考えは至ってないかもしれませんが、お考えでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 目的税問題というのは、増岡提案、それから審議会では所得付加の税というのもありまして、いわば所得水準によっての負担を変えるということはある意味において所得付加税みたいなものじゃないか、こういう議論もなされるわけでございます。 今、間接税を念頭に置いて示唆に富んだということを言ったつもりではございません。中長期の安定した社会保障制度の確立という意味において、私は前厚生大臣の提案も含めて示唆に富んだと、こういうことを言っておるわけでありますが、そもそも税制調査会でどういう経過をたどるかと申しますと、いわゆる間接税というものについては、今までの税調の流れから見ますと、課税ベースの広い間接税の論議というのはそれはなされるでございましょうが、そもそもはやっぱり今の税調の審議の手順からいいますと広範に審議される課題である。さあそのときに、目的税というようないわば政策選択の問題まで議論されるかどうかということについては私も判断をいたしかねておるということでございますので、今特別会計とかあるいは特別な財源問題とかについての関心を一般論として申し上げておるんであって、それはいわゆる大型間接税そのものが直ちに連動して念頭にあるという状態ではございません。
○鈴木一弘君 わかりました。 国民年金の還元融資のことで伺いたいんですが、御承知のように、年金福祉事業団には厚生年金、国民年金の還元融資が入っておると、こう予算や財投の計画の説明にあります。年金福祉事業団には六十一年度に九千七百三十五億円出る予定に計画が組まれていますが、この九千七百三十五億円の内訳をちょっと言っていただきたい。
○政府委員(山内豊徳君) 今ちょっと手元に数字を取り寄せて御説明いたしますが、大きく区分けしますと、いわゆる住宅資金の貸付事業に当たる分、これはかなりの額になっております。そのほか事業主の建設なさる保養施設あるいは社宅の建設に対する融資でございます。あと、かなり償還が始まってはおりますが、大規模年金保養基地の整備に必要な分というのが入っておりまして、その数字につきましては今御答弁申し上げたいと思います。 手間取りまして申しわけございません。今先生お示しの数字は、資金運用部から還元融資として入る額をおっしゃったと思いますが、これに回収金などを含めまして資金計画ベースというのがございますが、これは昭和六十一年度一兆四千億ばかりになるわけでございます。その中で、私今申しましたように一番大きな額は約一兆という額が被保険者住宅に対するローン事業でございます。それから年金担保事業という年金受給者にお貸しする分が九百五十億、それから大規模保養基地の整備関係が百十六億、あと新たな資金運用事業に三千億という計画をした。その全部を合わせますと一兆四千億という資金計画規模になるわけでございます。
○鈴木一弘君 答弁が違っておるんです。
○委員長(山本富雄君) 数字の追加ありますか。
○政府委員(山内豊徳君) ございません。以上でございます。
○鈴木一弘君 私が聞いたのはそうじゃないんです。年金福祉事業団に昭和六十一年度に九千七百三十五億円の還元融資がなされる、国民年金、厚生年金から。そのうち国民年金からの還元融資はどのくらいですかと、こう言っているわけです。
○政府委員(山内豊徳君) 失礼いたしました。 還元融資はその時点の年金資金の増加額の約三分の一ということになっておりますが、国民年金分は御案内のように余り新規の積立金増がございませんので、このほとんどは厚生年金関係の新規預託分の三分の一から資金充当されたというふうにお考えいただきたいと思います。
○鈴木一弘君 今までの借入金の累積残高等お知らせいただきたいんです。また貸付金の残高。
○政府委員(山内豊徳君) ちょっと手元に単年度ごとの数字しか持っておりませんもので、その累積につきましては至急数字をちょっとお示ししたいと思います。
○鈴木一弘君 私の方が要求したのが来ていますが、そちらから答弁していただく方が確認できると思って申し上げたんです。 還元融資の累計額が五十九年度末で六兆六千十九億円に上っております。そのうち大規模年金保養基地分が一千三十四億円あるんですけれども、この一千三十四億円、今これは残っているわけですが、残高として。しかし、この大事な大事な年金の金を使ってこういう保養基地をやるということは、そこから利子を生んで年金の原資にしていかなきゃならないわけです。 そこで伺いたいんですが、この取得した土地が、個々別々ですと時間も食うでしょうから全体的でまとめて結構ですが、取得時のときと現在価格とで何%ぐらい上がっていったのか、それを一つ。それから建物について、これはまだそんなにないと思いますが、これの取得時価格と現在の償却残高、これ両方をお知らせいただきたい。
○政府委員(山内豊徳君) 先ほど御指摘の保養基地関係の残高はお示しの数字のとおりでございます。 今御質問の保養基地の土地のまず取得価格でございますが、単純な取得価格の合計を申し上げますと三百八十九億という金額になっております。それが現在どのような評価と申しますか、価格と見るかにつきましては、実は、基地が開設されております土地につきまして、例えば取得時の課税標準額と現在の課税標準額がどのくらい伸びているかという数字を勘案して調べますと、十一基地の平均で七・五倍ぐらい上がっているというふうに数字を手元に持っております。 まず、建物につきましては、取得時の価格で百八十三億でございますが、現在の価格が百七十九億、言いかえますと、その間の償却がなされておる額になっておるということでございます。
○鈴木一弘君 私がいただいた資料だと、大規模年金保養基地の土地の取得時の価格というのは、課税標準額で、価格は三百八十九億円と言われたんですが、これは数字が違うんですかね。二億七千八百万になっている。どう違うんですか、これは。
○政府委員(山内豊徳君) これは私が今申しました——課税標準額の数字をお示しじゃないかと思いますが、取得価格は実は二億では済みませんで三百八十九億かかったわけでございます。それが先ほど申し上げました、平均的には七・五倍ぐらいに課税標準額として伸びておるということを申し上げたわけでございます。
○鈴木一弘君 これが全部で十一の大規模保養基地の土地が取得されておりますが、現在できているのは二カ所、償却されたのが二カ所ですから、まだ五カ所はできていない。ことしからオープンする、来年オープンするというのがあるようですが、これはどうしてこんなふうにおくれた——おくれたというとおかしいですけれども、私聞きたいのは、指宿とか、あるいは非常にいわゆる取得時の価格に比べて土地の価格の上昇の少ないような横浪、こういうところが多いというのはどういうことなんですか。三木のように物すごく価格が上がっているところもあれば、どうなっているんでしょうか。
○政府委員(山内豊徳君) その点は、実は課税標準額というのは、基地が開設されまして特に利用が始まりますと非常に評価が改められるわけでございます。したがいまして、今先生御指摘の三木基地は一番開設も早く、現在もう既に利用状態に入っておりますために、課税標準額を例えば三千万台としますと、それがもう現在十四億の計算になるというようなことでございます。 ところが一方、指宿などはことしおかげさまで開設させていただいたのでございますが、この時点ではまだ開設前の土地の姿でございますので、約四・九倍ということになっているわけでございまして、このあたりは、課税標準額で申し上げることは問題かもしれませんが、こういった施設は開業が始まりますと、またそれが非常に有効に運用されますと課税標準額も伸びてくるというその結果でございます。
○鈴木一弘君 これは大分問題になって前から言われていたんですが、各基地について収入に対する支出の方が多過ぎる、これは年金に対しての足を引っ張っていくことになるんじゃないか、悪影響を及ぼすということが大分指摘をされたわけですが、現状は改善されてきているんですか。
○政府委員(山内豊徳君) 端的に申し上げますと、三木基地の前例を率直に申し上げたいと思うのでございますが、実は五十九年度収支で約四千九百万の赤字を出しております。これにつきましては、いろんな状況分析もいたしまして、おかげさまで六十年度の実態ベースとしては何とか収支とんとんでいけるという見通しをほぼ確実に持っておるわけでございます。そういう意味で、現在開設済みのものが六カ所にはなるわけでございますが、今後ともそういった経営努力を続けることで何とか、創設時の一時的な運営上の赤字は別といたしまして、経常的には運営費から赤字が出ることは何とか避けたいと思っておりますし、また避け得るんではないかという見通しを持っております。
○鈴木一弘君 この基地の問題で、そのために厚生年金、国民年金に対して、そこから還元融資したけれども、いざ必要なときには金が戻ってこないという、足を引っ張るというおそれを大分言われたわけでありますから、最初の建設費から全部を含めて、今後本気になって考えていただかなきゃならぬと思います。 いま一つ最後に伺いたいのは、年金福祉事業団の中に資金確保事業三千億円というのが昭和六十一年度から出ている。これは一体何をやるんですか。聞くところによれば、既発債の売買をやるとかそういうようなことを聞いているわけですけれど・も、これは、年金事業団で一方で赤字をつくっているのに片方でそういうものをやって、いわゆるマネーゲームに参加したい、こういう意思表示に受け取れるんです。何だか財投の中にまた一つ別のこういう自主運用部門ができてくる。だから虫食い事業のように、財政投融資の中から、これだけは私の方の金でございますといっていくような風潮があるように思えてならないんですよ。 これは厚生省に伺うのと一緒に、最後に大臣から、そういった傾向について政治的な判断をお願いしたいと思います。
○政府委員(山内豊徳君) 今お話しの資金確保事業は今年度の新しい事業で、関係の法改正につきましても現在国会に御審議をお願いしているわけでございますが、今既発債の売買という例を出されましたが、私ども、事業団の事務体制からいいましても、この運用事業そのものは現在では金銭信託、つまり信託会社への委託という形以外にはとれないと思っております。したがいまして、事業団自身がマネーゲームに参画するという趣旨ではございません。 この趣旨は、御案内かと思いますが、そういった運用をすることによってできるだけ有利に運用し、その運用によって得た利益を事業団自身が住宅に貸し付けますときの原資に当てたいという発想から、私どもとしても還元融資の一つの事業として大蔵省と御相談し、お認めいただいた新規事業でございます。
○政府委員(窪田弘君) 還元融資の歴史は昭和十七年のこの年金発足以来ございますが、先ほど御指摘のような年金保養基地のように、加入者にできるだけ安いお金を還元しようという思想の時代もございました。しかし今日、先ほどからも御指摘のように、できるだけまた年金の資金を有利に運用してみたいという考え方も出てまいりまして、今山内審議官からお答え申し上げましたように、有利に運用する事業もひとつやって、それをまた加入者に還元する、年金の事業団の原資に当てるという試みの一つとして始まったものと理解しております。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる両大臣、両省の協議事項として差しかけになっておる問題とはやっぱり別の問題ではないかなというふうに私も当時理解をいたしまして、この限られたものが有利運用されることによって、かつてのやっぱり低利で公共性のあるものに使っていく、その一環としての、言ってみれば還元融資の範囲内の仕組みだというふうに私なりに理解を予算編成のときにいたした次第でございます。
○近藤忠孝君 我々は年金制度改悪に強く反対いたしましたが、この法案は、基礎年金がこれで創設されまして、それに伴う勘定区分のためのものだということで反対せざるを得ないものであります。 まず最初に質問したいのは、一部の自治体に誤解があって誤った指導が一時されたような問題で、その辺確認したいんですが、夫を亡くして厚生年金の遺族年金受給者になっている人が、まだ年はそんなにいっていないために国民年金を掛け続けてまいったわけですが、今回の制度改革によって今後の掛金は掛け損にならないかという問題であります。すなわち、厚生年金、これは遺族年金ですが、と同時に、将来国民年金はこれは本人として受給される、この両方の支給を受けられるかどうか。一部の自治体の中では掛け損になりますよという指摘があったんですが、もしそうだとしたら大変な話なんですね。その辺について明快にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(山内豊徳君) 今回の年金改正は、二つ以上の年金をもらう場合に調整する、併給を原則として認めない、一人一年金の原則ということが大きな柱になっております。そのために、あるいはそういう発想からのPRの取り違いが起こったのかと思いますが、確かにそういう原則でございますが、実は六十五歳からもらう老齢基礎年金と、いわゆる従来的な厚生年金の遺族年金とは六十五歳以上併給されるという、いわば例外がございます。今の点、市町村指導における問題でございますれば、社会保険庁を通じましてさらにそういった誤りのないように十分指導さしていただきたいと思います。
○近藤忠孝君 次には、これは竹下大蔵大臣とも昨年の共済年金の法案のときに内閣委員会で議論した問題であります。問題は、年金財政破綻論ということが我々に言わせれば改悪の根拠になっているんですが、しかし、その破綻論の根拠の数字というのが、GNPの伸びと賃金上昇率とを同じ五%で計算しておるんですね。しかし、政府には「一九八〇年代経済社会の展望と指針」というのがありまして、その中ではGNPの成長率は六・五%となっているんですが、この六・五%を使わずに同じ五%。とすればこれは破綻が出てくるのは当然なんです。しかし、この経済成長率六・五%で計算をすればせいぜいピーク時でもGNP比率一〇%以下。となれば、現在の世界先進諸国のGNP比率に比べても同じか低いというか、そういう状況ですから、決して破綻論の根拠にならないんじゃないかと思うんです。 この点を昨年十二月十三日の内側委員会で指摘をいたしましたところ、大蔵大臣の答弁は、「今の問題につきましては、私も年金数理学はわかりません。したがって、近藤さんの新たなる資料をちょうだいして、その上で私の方で正確に整理して、その問題についてのお答えは改めた機会に」したい。この宿題の回答を求める前に法案が成立してしまいまして、この回答を求めることのないままに宿題を出しっ放しということなんで、おくればせながら、今度はごく技術的な問題でありますけれども、しかし問題が関連しておりますので、この機会にこの宿題に対する大臣の回答をお願いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 結局、勉強してみますと、一つの前提をどう置くかということだなというふうに感じました。確かにあのとき内閣委員長さんにお願いをして、答弁する、また正確なお答えをする機会を与えてください、しかしそれの前に法案は通っちゃった、こういうことでございますので、せっかくの機会でございますから、基本的にはあるいは厚生省からお答えになるべき問題かと思いますが、我が方の事務当局からもお答えをいたさせます。
○政府委員(山内豊徳君) この問題は、確かに厚生省は、給料とかそういったものが五%伸び続けるという前提あるいは年金資金が七%で運用されるという前提でいろいろな数字をお示ししております。そのときは、先生前回も御指摘ございましたように、分母にする国民所得の方も五%伸びるという前提で御説明していたのは厚生省としては事実でございます。しかし、もし国民所得の伸びを六・五%と見るべきであるならば、私どもは年金の給付水準も同じ率で伸びなければおかしくなる。したがってまた、保険料収入に、かかわります加入者の月給も六・五%伸びないとそれに合った保険料が入ってこないという意味では、その点は、もし六・五ということを採用すべきであるならば、その数字で全部を置き直しますとやはり対GNPの比率は同じように上昇すると考えておるわけでございます。 と申しますのは、あくまで五%計算の年金給付額を分子に置きまして分母だけのGNPを六・五に伸ばしますと、これは当然余り負担は出てこないのでございますが、そうなりますと、その時点その時点の年金支給額は国民経済の全体の伸びに対しまして見劣りをしてくるということになるので、それは私ども取り得ないということを、ちょっと十分な説明できずに前回誤解を与えてしまったかと思いますが、申し上げてきたつもりでございます。
○近藤忠孝君 そうしますと、将来の問題としまして、賃金の伸び以上、賃金の伸びは一応五%と予測をしていますから、伸び以上に給付の内容を充実をする、そういうことを今あなたはそこで約束したのだ。これは結構いいことなんですよ。大臣もそいつを約束してくれればそれはなかなかいいことなんだけれども、これはどうですか。
○政府委員(山内豊徳君) ある意味ではお約束申し上げたいと思います。と申しますのは、五年に一度の財政再計算におきましては、その間の国民生活の上昇を織り込まなければやはり年金水準は見劣りしてまいりますので、本当に六・五%続きました場合は、やっぱりそれに見合った給付水準を少なくとも財政再計算の際にはお約束しないと、これは公的年金として許されないと思っております。
○近藤忠孝君 そうしますと、GNPが六・五%で伸びていったとなりますと当然賃金も六・五%で伸びていくという前提になりますね。そうすると、給付水準はその六・五%以上、あるいは六・五%の伸びということですか。
○政府委員(山内豊徳君) さようでございます。五年に一度の再計算ではやっぱりそれだけの高い給付水準の伸びをしないと、賃金に対して給付が見劣りしてまいりますと、現役の賃金の何%という表示が狂ってまいりますので、それはお約束しなければならないと思っております。
○近藤忠孝君 そうしますと、それはそれで結構なことなんだけれども、財政破綻論自身に問題が出てくるんじゃないか。財政破綻は別にしないじゃないかということになりませんか。要するに、GNPの伸びとそれから賃金の伸びとに差をつけて、GNPの方を大きく見たんでは結局もう破綻してしまうんじゃないか。いや、同じに見たんでは破綻してしまうんではないかというんですね。しかし今の答えでは同じ程度の給付水準ということになっていくんでしょう。
○政府委員(山内豊徳君) GNPも年金給付額も同じ率で見ても、現行制度のままでは、端的に、申しますと、受給者の数の増大要素が大きくて大変な負担になる。したがって給付そのものを適正にさしていただくという意味で申し上げておるわけでございますから、新年金制度による限りは大体私どもが見通しておる掛金の負担率で済むというふうに考えております。つまり、賃金も六・五%、給付も六・五%伸ばしましても大体私どもが想定しておりますような掛金率で済むというふうに考えております。
○近藤忠孝君 私がこの数字を申し上げた六・五%というのは、これは先ほど指摘したような政府の数字ですね。しかも、それは物価が安定しかかった昭和五十三年度以降のGNPの平均伸びとほぼ一致するんですね。それから賃金の伸びもその間の伸びと一致をする。これはやはり比較的安定した経済情勢のもとでの状況ですよね。当然そうなればその差を見ていく。これはやっぱり実情で、将来もそのことは予測できる。となれば、私は厚生省の言う財政破綻論というのはやっぱりおかしくなってくるんじゃないかと思うんですがね。
○政府委員(山内豊徳君) 私も確かに、昨年申し上げましたように、いかにも今後の経済の伸びを五%であるかのごとく厚生省の数字を御理解いただくとするとそれは誤りであるというふうには申し上げたつもりでございますが、私どもが、負担が大変になる、破綻といいますよりも、負担が大変になるという意味は、あくまでそのときそのときの現役の賃金に対する掛金の割合、賃金に対する年金給付の数字の割合で議論しておりますものですから、どうしても私どもとしましては、五%計算ならばそれぞれすべてが五%、もし六・五になるんであればやはり給付も、掛金の基礎になる収入の方もそれに応じて伸ばさないと、私どもの考えでいる負担の割合を示すことにならないと本心から考えておるわけでございます。
○近藤忠孝君 それから、先ほど、賃金の伸び以上に給付を中身を充実するということを約束されたとなりますと、最初からそういう約束しているんだったら、何も前回の改悪、我々改悪と言ったのは、保険金は高く給付は低くと、そんなことをしなくたって、もうちょっとそれを緩和したってよかったんじゃないか。何もあんな改悪しなくてもよかったんじゃないか、今の答弁から私はそう思うんですが、どうですか。
○政府委員(山内豊徳君) 私ちょっと今言葉が不十分で、賃金は五%しか伸びないのに由民所得が六・五で伸びるからその分は給付だけよくするというふうにお聞きになったら、それは誤りでございます。といいますのは、六・五%で伸びるような経済社会では賃金も六・五で伸びるであろうからという前提で申し上げておるわけでございますので、賃金の伸びよりもっといい改善率にすることは今の財政ではとても考えられないと思っております。
○近藤忠孝君 そうしますと、前提はやはりGNPの伸びと賃金の伸びと同じということでもとへ戻っちゃうんですよ。私が前回批判したことは、それは現状にも合わないし、そして実際GNP六・五%というのはこれは政府の数字なんだからね。片や五%というのもそれなりの根拠のある数字でしょう。しかもそれが昭和五十三年から今日までの伸びの平均でもある。ならばなぜそれを使わないのか。それが前回私が質問したところなんですよね。それに対してはまた的確な答弁になっていないんですが。
○政府委員(山内豊徳君) その点は、端的に言えば、世の中を見ておけば五%なんていう賃金上昇率でモデルを示すことがおかしかったではないかという御指摘であろうと思いますが、もし御批判があるとすれば、その点はこの前申し上げましたように訂正すべきかと思います。 ただ、率直に申しまして、私ども、五%と金利利回り七%というシミュレーションでしか計算をしていないものですから、端的には、六・五伸びた場合の計算をお示しして、このとおり対国民所得は変わりませんと申し上げればいいんでございますが、ちょっと今の状況ではコンピューターを回して作業する手間ございませんので、まことに残念ながら五%というシミュレーションでの数字しか持ってないのは事実でございます。
○近藤忠孝君 大臣、事務当局に答弁回しちゃったんですけれども、やはり前回の私の疑問に対してどうも勉強した形跡ないし宿題には答えてないんじゃないか、こう思わざるを得ませんけれども、最後に大臣の見解をお聞きして質問を終わります。
○国務大臣(竹下登君) 今厚生省との一問一答のように、やっぱりあの際、恐らく賃金の上昇率を五%に置いて、そして運用利回りを七%に置いた計算ならあのとおりだと思います。 六・五というのも、考えてみると、八〇年代後半の予測でございますから、したがって恐らく、先がどうなるかわかりませんが、二十一世紀というようなところを展望してやられるということになると、作業としては六・五だってできぬことはないと思いますが、あの場合、保険数理の上で五と七でおやりになるというのも決して私は当を得ないと言うべきものじゃなかろう、やっぱり何らかの前提を置かなきゃいかぬわけですから。八〇年代後半、この際だけの計算値なら、政府が一応この間リボルビングしましたけれども、通じてはそう変わりないだろうというので今でも使っておりますから、だから保険数理の計算上は厚生省の計算もあり得ることだというふうに思います。
○近藤忠孝君 宿題に残しておきます。
○栗林卓司君 今回御提示の法律案そのものについて申し上げますと、これは経理処理に関する法律案でありまして、基礎年金勘定を設けて経理区分を明確にしていこうということですからまことにもっともでありまして、私は、こういった種類の法律案というのは国会の質疑を省略して処理をすべきではないかとかねて思ってまいりました。その年来の私の主張をいたしまして、今回質問は省略をします。
○野末陳平君 先ほどから時々出ておりましたけれども、国民年金ですけれども、一カ月単位の納入に切りかわるというお話がありまして、まことに結構なことで、私も予算委員会で一日も早くそれをとお願いしたんですが、これはもう今度の四月から年金法改正と同時になるのか、それとももっと先になるのか、その辺の事情を説明してください。
○説明員(植西常郎君) お答えいたします。 国民年金の保険料につきましては、今までは三カ月ごとに納めてもらうというふうな形になっておりましたけれども、だんだん保険料も上がってきておりまして、ここ数年前から毎月保険料を集めるというふうな形で市町村を指導してまいっておるわけでございまして、もう既にかなりの市町村でそういう形で仕事を進めております。今回法律改正で毎月納付に改めることになりましたので、この機会を機にしましてさらに毎月保険料を集めるような体制をより強く進めていきたいと思っておりますけれども、今回行われました法律改正につきましては、六十四年の四月までに全市町村につきまして毎月納付を実施するというふうなことになっております。できるだけ切りかえを早くやるように指導してまいりたいと思っております。
○野末陳平君 同時にPRの方もどんどんしていただくと、皆さんきついと思っている方が非常に安心すると思いますのでお願いします。 それから、新年金法によりましてサラリーマンの妻は二通りてきて、保険料を払わなくていい人と払う人とできますね。例による一号と三号の区別ですけれども。問題は、これが一般の新聞、雑誌その他、それから厚生省関係のPR資料なども見ますと、どうもサラリーマンの妻は、共済年金も含めてですけれども、みんな今度は四月から保険料を納めなくていいんだ、厚生年金の方でまとめてちゃんと負担してくれるんだというところの方が何となく強調され過ぎておりまして、実は払う人も出てくるという、その辺がどうもまだ徹底してないように思うんですがね。ですから、それはもう完全な誤解なわけですから、サラリーマンの妻でも収入によってあるいは所得によって保険料を納めなきゃならないんだと、その辺の徹底が足りないように思いますけれども、さらにこれは周知徹底させるべくPRしなきゃいかぬと思うんですが、どうですか、その実態は。
○政府委員(山内豊徳君) ただいまの点、御指摘のとおりの面があると率直にお認めしたいと思います。どうしても、サラリーマンの奥さんは第三号被保険者ですということを強くPRしておりましたので、その中でも健康保険の被扶養者になってないような方、つまり奥さんの方に収入がある方の場合は、実は三号被保険者でなくて、本人自身の保険料負担の要る第一号被保険者であるということをはっきり申し上げなきゃいかぬわけでございます。 私も実は自分の住んでおります地元の区役所の広報紙をコピーしてもらったのでございますが、よく読めばそのことは書いてあるのでございますが、どうしてもこの種の広報に、何を重点にするかということで、さらに工夫をしなきゃならぬと思います。このことは、実は四月時点での一回限りの手続だけじゃなくて今後の長い話でございますので、今の御指摘の点を十分踏まえて、何かわかりやすい、しかも区分のわかるPRについて今後とも少し工夫なり努力をさせていただきたいと思っております。
○野末陳平君 それは非常に重要なことなんですね。やはりもらうことが一番気にはなるのが年金ですけれども、二十代、三十代あるいは四十代ぐらいの人はどうしても払う方の負担が先に来ますからね。払わなくてよくなるんだと思っていると、実は違うんだ、あなたの場合は払わなきゃならないんだ。だんだんこれからそれが自分に振り返ってきますと、話違うなんて変に誤解されるとこれはやっぱり政府の責任というようなことになりますので、その点のPRだけはどうしてもしなきゃいけないというふうに思っておりますから、お願いします。 それで、サラリーマンの妻でありながら、あるいは公務員の妻でありながら、人によっては保険料は払わなくていい、人によっては払わなきゃならない、だけれども給付の時点では、過去の実績は別として今後は平等である、こういうふうになってはいますけれども、その問題の認定の基準ですね、それを分ける、それが今のお答えに出てきましたけれども、いわゆる健康保険の問題ですね、健保の被扶養になっているか、あるいはもうそこから外されて国保に加入しているか、その辺の実態の把握ですが、とりあえずどのくらいの人数が払わなきゃならないような立場になるんでしょうか、サラリーマンの妻。これは大体ある程度の試算はできておりますか。
○政府委員(山内豊徳君) サラリーマンの妻の方で新たに三号被保険者、つまり保険料を払わなくてもいい方の数というのは約千二百六十万ではないかと考えております。ただし、先生の御質問の、そのほかに払わなきゃならない妻がどのくらいあるかということにつきましては、残念ながら実は私手元に厚生省として資料を持っていないのが実情でございます。
○野末陳平君 一号の場合は中身がいろいろとありますから。 そこで、私が一番心配するのは、これは税金との関連があるので、四月以降できるだけ納税をし、同時に保険料を負担するサラリーマンの妻の人たちが余りいらいらしないようにという配慮からあえてお聞きするんです。 健康保険の問題ですが、今までのはいいと思うんですね。これから例えばパートの年収が九十万を超えるというような主婦は相当ふえてくるだろうと思いますね。そうした場合、納税の面はともかくとしまして、これは割と周知徹底しているんですね。ところが九十万を超えると、これはみずから年末調整などで申告した結果生じてくることなんですが、御主人の健保から外されて自分が国保に加入せざるを得ない。国保の保険料の負担の上に加えて今度は国民年金の保険料もある月から、あるいはある年から、これは八万円からの、四月から七千百円ですからね、これを払わなきゃならないというと、ここから先は余り言いたくないんですが、やっぱりそれがわかってしまうと、じゃなるべく申告しないでおこうなんということになってきますと、納税の面とそれから保険料の面と両方で、きちっと申告した人と、何となくしなかった、あるいは忘れちゃったかサボったか、そういう人とのおかしな不公平というのが非常に目立ってくるんじゃないか。何しろ負担は相当な額違いますからね。そこで、そういうことのないようにしなきゃいけないんですけれども、なかなかこれ技術的にも難しいかもしれない、というのは結果的にはその本人の申告にかかってきますからね。 そこで今後の問題として、社会保険庁にも考えてほしいのは、やはり御主人の健保の被扶養になっているかどうかというところはかなり御本人の申告いかんによりますから、そうすると納税の面と保険料の面と両面でもって相当な開きが出る。これをほっておくというわけにいきませんから、あくまでこれは本人の問題というものの、こちらも捕捉の体制というんですか、きちっと把握するようなシステムができてないと非常に困るんじゃないかなと、この辺心配しているんですけれども、どうでしょうか、当局としては。
○政府委員(山内豊徳君) 今御指摘の点は、私も実は同様と申しますか、同じ角度から考えなきゃいかぬ問題と思っております。 どちらかといいますと、現在の社会保険は、健康保険の場合もそうでございますが、性善説と申しますか、本人がきちんと申告するということを前提に、例えば事業主の方に配偶者の異動届を出して、それを事業主が社会保険事務所に出すという仕組みになっておるわけでございますが、おっしゃるように必ずしも励行されてないわけでございます。健康保険組合などでは別の意味もございまして、特定月にその辺を調べるという作業をしておるのでございますが、今お話しのように、それは健康保険の家族にはしないで国民健康保険に行っていただくための作業なんですが、今度はそのほかに御指摘のとおり七千百円の国民年金保険料を納めるという負担もかかってくるわけでございます。今直ちにどういう制度上の工夫をすればこれがうまく連動し、また不公平にならないかという点はございますが、現段階ではそのことを、正直者が何と申しますか損をすることのないように行政指導を強めるという御答弁にとどめさせていただきますが、何らかのやはりこれ場合によりましては制度上の工夫も加味していかなきゃならないというふうに考えております。
○野末陳平君 実際その点で私自身も全くいい工夫がないというか、手間ばかりかかっちゃってなかなか離しいと思うんで、今後宿題にしなきゃいけないなという気持ちで質問しているんですけれどもね。 これは大蔵大臣、今は年金の保険料に関して質問をしたわけですが、結果的にこれはそもそもさかのぼるとパートの問題にもなるんですね。九十万円で抑えれば税金問題でセーフだから、自分の税金、それから例の配偶者控除のあるなしによって御主人の所得税、住民税、その辺は徹底して九十万で抑えるというのはわかっているんですが、しかしもう超えざるを得ないぐらいにかなり収入も上がってきていますからね。そうすると超えてきたときにどうするか。損になることはしたくないというのが人情ですからね。そうすると、税金の面ともう一つ国民年金の保険料負担の面でこれをやはりやっていただかなきゃ困るんですけれども、その辺やる人やらない人の差ができちゃまた困りますね、不公平が出て。 そこで、年末調整にきちっと申告することからすべては始まるわけですけれども、まあ必ずしも今答弁にもありましたけれども励行されていない。これは税金面でも言えることなんですね。何かこういうところに、性善説もそれは結構なんですけれども、しかし、年金については年間八万円あるいは今後はまた九万円負担しても負担しなくても、結果はもらうときには同じだとなったら、だれだってそれは逃げたくなるだろう。そこが非常に気になっているところなんです。ひとつ知恵を絞って、大蔵省にも厚生省と同時にこの問題は検討していただかないと、変な意味の不公平が出て、かえって納税意欲の問題あるいは年金制度への不信、そういうことにならないように願っておくわけで、一言お考えをお聞きして終わりにしたいと思います。
○政府委員(水野勝君) 扶養控除なり配偶者控除の適用の件につきましては、現在まさに、納税者の申告によりまして扶養控除等申告書をお出しになるならない、その中に配偶者控除なり扶養控除の適用ありなしということで、御本人の申告によって毎月の源泉徴収あるいは年末調整がされておるところでございます。ただ、それが適正なものであるかどうか、これは源泉所得税の調査等によりましてチェックをさせていただく。さらにはいろいろな各種の支払調書、それから地方公共団体に対しましては給与支払報告書の提出制度があるわけでございます。税務署に対しましては五百万円以上でございませんと支払調書なりが出てまいりませんが、地方団体に対しましてはすべての給与支払いにつきまして報告が行くわけでございます。そうした報告書に基づきまして各市町村がチェックをする。それによりまして、非違があれば国税の方にも御連絡がある。そういったようなシステムでもってそこらの厳正な運用を期しておるところでございます。 それから制度面につきましては、先般来税制調査会におきまして、課税単位の問題に関連しまして今のような点も含めて検討をされ、先般専門小委員会の報告が第二特別部会に提出されておりまして、その中にもここらの点につきましてもろもろの制度的な工夫があるかないか、そこらについても検討をするような方向での報告書が出されておるわけでございます。こうしたものを踏まえまして、私どもも、制度的にそこらが無理のないようなものが、そこらの中で解決の方法があるのかないのか、そういった点も含めまして、税制調査会の御審議の結果を踏まえまして適切な対処をしてまいりたいと思っております。 —————————————
○委員長(山本富雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、藤井裕久君が委員を辞任され、その補欠として倉田寛之君が選任されました。 —————————————
○青木茂君 この法律案は賛成すべきなのか反対すべきなのか非常に難しいところで、まだ迷っています。これが終わるまでには決断をしなきゃならない。年金システムそのものについて反対でも、通っちゃったら、これは単なる会計処理規定ですから、年金の骨子に反対したからそれにつながるものは全部反対なのか、単なる会計処理規定はこれはしようがないじゃないかという両様の解釈がございますね。だから、この法律案そのものについての御質問はいたしません。もう少し基本的なところでひとつお願いをしたいと思います。 今、日本の国民は税金に対しては不満を持っている、年金に対しては非常に不安を持っていて、一方においてちょっとばかばかしいという年金不信論みたいなものも出ておるわけなんですよ。そこら辺を中心に伺いたいんですけれども、まず基礎年金五万円ですね、この五万円というのはどこからどう計算したら五万円になってくるのか。僕はこの基礎になるところの計算根拠があいまいだとやっぱり不信感持たれると思います。これはちょうど、税法で言う人的三控除が二十九万円から三十三万円になったことはいいんだけれども、どうしてそういうふうになったかという計算根拠は必ずしもはっきりしていない、それと同じなんですよ。だからこの五万円なるものの計算根拠というものをまず教えていただきたいんですれども。
○政府委員(山内豊徳君) これは法案審議のときにたびたび申し上げた問題でございますが、五万円を立案当時考えましたときは、昭和五十四年の全国消費実態調査の数字を一応頭に置いておりました。六十五歳以上の無業の単身者の世帯の方の消費支出をその統計から見ますと、全部何もかも入れますと七万二千円ぐらいのデータがあったわけでございますが、そのうち雑費としてくくられておる費用を除きますと実は四万六百円ばかりの数字が出たわけです、五十四年時点でございます。それに、立案しますのは五十九年度がベースでございますから、その間の物価上昇ということで一七%、一・一七倍を掛けまして四万七千円という数字を頭に置きまして、五万円ならばそういった消費実態の、六十五歳以上の単身者の生活の基礎的部分と言えるのではないかという観点からつくったわけでございます。 もちろんこれだけで五万円を決めたというわけではございませんで、その時点での、例えば五十九年度での生活保護基準などでも二級地、一級地、額は差がございますが、五万八千円、五万三千円という男女平均の基準がございました。 それからもう一つ申し上げさしていただきたいことは、やはりそういった水準を将来にわたって保障します場合に、現役の方にどのくらいの保険料になるか、それが先ほど申しましたようにピーク時で一万三千円、御夫婦で二万六千円払っていただけばそれが賄える。そのような総合的な勘案から五万円という立案をさせていただいたつもりでございます。
○青木茂君 生計費に基づいて数字を計算する場合に、何か雑費というのはいわゆる選択的支出というのか、不急不要の支出であるというふうに考えるのは僕は少し時代おくれではないかという気がして仕方がないんですよね。 生活保護基準額を見てみましても、大体一級地、二級地、三級地、一番低い数字をとったって七十歳の男子で七万一百二十円ですか、そういう数字が出ておりますし、それから人事院が国家公務員の初任給を決める場合に毎年やります標準生計費計算ですね、これを見ましても、例えば六十年四月で見て、単身者ですが、食費が二万七千八百五十円。二万七千八百五十円というのは一日にすれば大体九百円ですからね、三、九の二十七で。そんなに多い数字じゃないし、住居費一万九千一百三十円、これは借家だったらこんな安い家賃のところありゃせぬし、それから被服費に至っては月に四千九百六十。雑費一、保険医療だとか交通通信、教育、教養娯楽一万五千六百五十、それから雑費二、身の回り品だとか交際費、これはいわゆる小遣いを含めてですからね、一万九千二百九十。合計で八万六千八百八十あるんですよ。 ただ、これは若い人も含めますから、仮に老齢者世帯八掛けで見たって六万九千五百だから、ちょうど生活保護基準の三級地の七万一百二十とほぼ見合うわけですわ。せめてここらあたりまで基礎年金の金額を上げないと、いわゆる「健康で文化的な最低限度の生活」というのとは、かなり低い金額が五万円というのは出ているんじゃないかというふうに思いますけれども、どうなんでしょうね、ここのところ。
○政府委員(山内豊徳君) 今先生御指摘の点は、老後生活にとって基礎的な部分、基本的な部分とは何ぞやという議論になろうかと思うのでございますが、最後に「健康で文化的な」という憲法の条項をお引きになりましたが、私ども実は、国民年金制度は三十六年発足以来、国民連帯の考えのもとに、貧困生活に陥ることを防止する意味での憲法上の仕組みであるというふうに理解しております。だから余り上げなくてもいいと申し上げるつもりは全くございませんが、生活保護基準と比べます場合に、やはり生活保護基準の場合はいろんなものが、条件整わない方、特に先生七十歳以上の数字をお挙げになったんですが、確かに七十歳以上は老齢加算を一万四千八百円加味いたしますので、その同じ時点でも実は六十五歳ですと五万八千円ぐらいになるわけでございます。 そういった意味で、私ども五万円が老後生活の、何と申しますか、望ましき生活のすべてであると主張する気は全くございませんが、繰り返すようで恐縮でございますが、国民連帯のもとに負担できる老後生活の公的保障水準としてはやはり五十九年度価格で五万円、現在五万一千九百円でございますが、そういうものを想定させていただくのが妥当ではないかというふうな決心のもとに提案させていただいたつもりでございます。
○青木茂君 どうも年金を出す側の論理が優先して、受け取る側の論理というのが何となく無視されている感じがあるんですけれども、五万円なら五万円でいいですわ、いいですというよりこれは仕方がない。せめて五万円というのを最低保障額に持っていくという将来展望はどういうことでしょうか。
○政府委員(山内豊徳君) 五万円を最低保障額に仕組みますと、やはり加入年数の長い方は八万円、九万円と年金を仕組む。実はそれがまた議論が戻りまして、もしそういう水準を用意すると一万九千、二万円という保険料をお願いしなきゃならない。そのあたりの選択が今回改正の大きなチョイスであったと私ども考えているわけでございます。
○青木茂君 時間がございませんから、次へ移ります。 ひとつ今度は給付と負担のバランスの問題ですけれども、グローバルと申しますか、マクロのレベルでは収支をうまく償うようだけれども、ミクロの数字というのは、例えばここに一人のサラリーマンがいまして、どれだけ払ってどれだけ受け取れるかという計算を大ざっぱにやりますと、何となくばかばかしいという感じが出ないことはないんですよ。 これは数字のことですからいろいろ仮定を置かなきゃならないけれども、ここにある一人のサラリーマンがいたとしますね。その平均標準月額が二十五万四千円であったと仮にします。これを二十歳から六十歳までの四十年間払う。そうしますと、二十五万四千円に〇・〇六二掛けて十二を掛けて四十を掛ければ大体出てくる。しかし、これをもし払わないとすればこれだけの金額を毎年複利運用できるわけですね。仮に七%で複利運用するとすれば、六十歳の定年時には四千三十六万円も大体原資が出る。それから企業負担分を入れればこれの二倍ですから八千七十三万。八千七十三万とにかく出すわけですよ。じゃどれだけ受け取れるか、いただけるかというと、例えば報酬比例部分で、二十五万四千円に〇・〇〇七五掛けて十二を掛けて四十を掛けて、それから定額部分を積み上げて、それから妻のものを積み上げて、いろいろいたしますと、私がやりました計算結果によりますと、受け取り額は、仮に奥さんなしで本人だけだとすれば大体二千二百七十一万円ぐらいなんですよ。奥さん入れるとして三千一百七十一万円。例えば本人の場合は大体受け取るときから平均寿今までもらい続けたとして、奥さんの場合は六十五歳から八十歳ちょっとまでもらい続けたとしてこのような計算になる。 そうすると、負担するのが八千七十三万円であって、受け取るのは本人だけだと二千二百七十一万、奥さんを入れたって三千一百七十一万なんという計算をやりますと、こっちが払ったものを本人だけで計算すれば二八・一%しかもらえないわけですわ。それから奥さん入れたって三九・二%しかもらえないわけです。そうすると何となく、えらいたくさん払っているんだけれども見返りはえらい少ないなという不満をサラリーマン層は持つんではないか。ばかばかしい、年金やめて自分で貯蓄しておいた方が得じゃないか。やっぱりこういうばかばかしいという印象を個々のサラリーマンに与えるという年金の計算、年金財政の安定ということだけで物を考えちゃいけないんじゃないかという気が大変しておるわけなんですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(山内豊徳君) ただいまの点はぜひ御理解をいただきたいんですが、端的に申しますと、七%で複利で回すという前提で八千万の負担とおっしゃったわけでございますが、先生お示しの百五十一万の年金額が四十年先では幾らになっているかという問題があるわけでございます。そこが公的年金でございまして、決して五十九年価格そのままに四十年先をほっておくことは全くいたしませんので、まず御理解いただきたいと思います。 それから、いろいろ実は計算の前提に御指摘のような問題がございます。例えば、十五年間とおっしゃいますけれども、十九年給付とかいろいろありますが、ただ、一つだけ申し上げておきたいのは、今の御計算の前提は、毎月毎月の保険料を全くだれのためにも使わないで四十年間自分のためにだけ積み立てておくという私的年金でございます。それは許されません。現在既に一千万の年金受給者がいらっしゃるわけでございます。我々が毎月負担する保険料は実はかなりの部分そのまま回るわけでございます。そのまま使われてしまうわけでございます。基礎年金はその最たるものでございますが。 そういった意味から、我々掛けておくものが七%四十年間複利で回るという発想がやはり現時点ではとれなくなっている。これは私どももう少し上手にPRしなきゃいけないと思うのでございますが、やはりその年金額を今のような計算なさる方が世の中に多いのでございますが、ひとつ今のお年寄りに今の年金保険料を使っているという厳然たる事実をお認めいただいて、ぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○青木茂君 年金額は、これから四十年であるか五十年であるか三十年であるかは別問題として、給付額がふえるとすれば保険料も当然スライドしてふえますわね。それはそういうことになると思いますね。だから、私は年金制度というものが相互扶助方式であるという事実を否定するわけではございません。ございませんけれども、物の考え方が、年金財政の安定というだけで物を考えてしまって、やはり個々の人のレベルで見れば、幾ら払って幾らもらうかということを考えるのは当然ですからね。それに対する配慮というものも必要なんだということを言いたかったわけです。 それからもう一つ申し上げておきたいことは、これは非常に事務的というのか、技術的な、行政レベル的な問題ですけれども、国民は、自分の年金が何十年か先に幾らぐらいくるであろうかということでもって生活設計を立てるわけですね。ところが、こういう個々の人のケースを言って、私の年金は受給時にどれぐらいくるでしょうかということを社会保険庁へ聞きに行くわけですわ。そうすると、答えてくれないというのか、答えてくれないより答えてくれる能力のある人が各地にいないんですよ。非常に不満が私どものところへ集まっている。こういう問題につきまして、もう少し答え得る能力のある人を各出張所と申しますか、各地に配置するぐらいの行政の誠実さというものが欲しいんじゃないか。ほとんど答えてくれないですよ。ほとんどというのが決して過言でないぐらい答えてくれないということがございますね。
○政府委員(山内豊徳君) 今の点、年金行政上の大事な問題と思っておりますが、言いわけを言うわけじゃございませんが、特に今度基礎年金で四月から大きく変わりますと、今までの期間、これからの期間の組み合わせで、非常に私ども立案に当たった者でさえ実はとっさに返事できないような面もございます。 先生お話しのように、それができるベテランを育成し配置することだと思いますが、残念ながら、高井戸にございます業務課には数十名オーダーでそのベテランがおりますが、これも毎日三千通の電話を受けて応待しております。これをできれば全国の社会保険事務所に少しずつ配置していくこと。それからもう一つは、コンピューター時代でございますので、少なくとも過去の記録だけは窓口で御本人という立証があれば本人にお示しする。これを、仮定を置きますが、将来三十何年お入りになったらこうだというぐらいはできるようにぜひしたいと思っております。現在切りかえ時でございますので、ちょっと社会保険事務所も混乱しておりますが、今年中にはそういう体制をやはり少しでも前向きに考えていきたいと思っておりますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
○青木茂君 大臣に伺いたいことがございましたけれども、終わりにします。
○委員長(山本富雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本富雄君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もなければ、討論はないものと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 国民年金特別会計法等の一部を改正する法律案を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(山本富雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本富雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時五十五分散会 —————・—————