社会労働委員会 第14号
- 発言数
- 113 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1986/05/15
会議録
○委員長(岩崎純三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、和田静夫君が委員を辞任され、その補欠として片山甚市君が選任されました。 —————————————
○委員長(岩崎純三君) 労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案並びに地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所及びその出張所の設置等に関し承認を求めるの件の両案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○糸久八重子君 私は、公共職業安定所等にかかわる国会承認につきまして若干御質問させていただきたいと思いますが、まず、大臣にお伺いをしたいと思います。 職業安定行政の使命というのは、申すまでもないことなのですが、労働者の失業の予防を図るとともに、失業者の生活の安定と再就職の促進を図り、完全雇用を目指すことにあるわけでございます。今日、サービス経済化や人口の高齢化、ME等技術革新の進展、そしてさらに女性の職場進出等によりまして、労働力の需給構造が急速に変化をしてきている中で、公共職業安定所における職業紹介業務の果たす役割というのはますます重要になってきていると思うわけでございます。 今回、公共職業安定所及びその出張所の再編整理が予定をされておるわけでございますけれども、再編整理に当たっての基本的な姿勢についてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(林ゆう君) 公共職業安定所等の再編整理につきましては、先生御指摘のように、近年労働市場圏の状況が大変変化を来しておるということでございまして、それに対応をした効率的な安定所等の組織体制のあり方を見直すと、こういった考え方に立ちまして、必要な地域には新設、昇格をも行うスクラップ・アンド・ビルド方式によりまして、第二次臨調の最終答申も踏まえまして再編整理をするというところでございます。
○糸久八重子君 地域の実情の変化に対応して、円滑で効率的な行政体制の整備というのは確かに必要なわけですけれども、臨調の最終答申によりますと、「支所・出張所等については、行政組織の減量化・合理化を一層推進するため、」「全体として五年間を目途に一二%程度整理統合する。」としてあるわけですし、労働基準監督署については十五カ所、職安及び出張所については六十カ所整理するとされているわけでございます。 初めに整理統合の数が示されていて、まさかこの数に沿うように地域の実情を合わせていくような整理統合をしていくのではないと思うわけでございますけれども、労働省としまして、労働基準監督署、公共職業安定所及び出張所の全体の数につきまして六十三年度末でどのくらいの水準にまで持っていく見通しなのでしょうか、お伺いをいたします。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。 臨調での行政改革の第五次答申について、今、先生からお話があったわけでございますが、この数の問題につきましてはその間いろいろ議論がございまして、政府全体としましては五年間に一二%程度の整理統合ということになっていたわけでございますが、いろいろとやりとりの中で、監督署につきましては、これはほとんど本省で占めているということ等もございまして、はるかに少ないパーセントで整理していくということになっておりますし、公共職業安定所及び出張所、これに分室も加えておりますが、これらにつきましては失業者の状況に配慮しながら約六十カ所を整理していくということで、全体のパーセントの中では低い数字になっているわけでございます。 この六十という数字については、鋭意検討の上整理していかなければならないわけでございますが、この臨調の問題の以前から安定所の問題につきましてはいろいろと議論のありましたところで ございまして、例えば「雇用対策に関する行政監察結果」というのが行管によって五十六年に行われております。これらの中でも、公共職業安定所が昭和二十二年に戦後の新しい形でできまして、そのときの産業都市地域や労働力供給地域等の関係で国全体に配置されているわけでございます。その後の増加は沖縄の五カ所を含みまして十九カ所ということになっておりますが、必ずしも戦後四十年の間の経緯の中で、現在の労働市場に適切にその管轄区域がまた配置が見合っていないという等の指摘もございました。それらを検討しながら、最近の産業の状況や労働市場の状況を検討いたしまして、それらで安定所の配置を検討していこうということは、従来から行政の内部でもやっていたわけでございます。 それと、臨時行政調査会が持ちます行政の効率化という面から検討を加えまして、労働省としましては、スクラップはスクラップとしながら、新たな観点から必要のあるところにつきましては、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、昇格それから新設等も含めましてビルドを行っていくということで、現在、昭和五十九年度には八カ所、昭和六十年度には十五カ所、昭和六十一年度にはまた十五カ所ということで整理しながら、ビルドの方もそれぞれつくり上げて現在に至っているわけでございます。
○糸久八重子君 そうしますと、やはり六十三年度末までには臨調の答申のように六十カ所は減らしていくと、整理をするということなのでございますね。私、先ほども申しましたとおり、最初に臨調の数が示されていて、その数に合わせて整理をしていくというのは何かおかしいのではないかと、そう思うわけですけれども、これにつきましてはまた後で大臣の御意見もお伺いしたいと思います。 そこで、安定所それから出張所につきましての新設とか統合、廃止はどのような基準で行われるわけでございますか。考えられる基準といたしましては、事業所数とか労働力人口とか有効求人倍率とか雇用保険の受給者数とか求人求職者数、それから地域の労働事情とか通勤事情、さまざまな指標が考えられるわけでございますけれども、具体的な基準を明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。 前段の御質問に関するわけでございますけれども、六十カ所というのは、整理対象として目標が六十カ所になっているわけでございまして、先ほど申し上げましたように、例えば五十九年には八カ所、六十年には十五カ所の整理を行ったわけでございますが、しかし、それにビルドが加わっておりますので、安定所の数では五十八年と比較しまして六十年は同数、それから出張所も同数、分室で十九カ所が減少しているというのが状況でございます。 そういうようなことで、六十カ所をそのまま減らしていくということではなくて、先ほどから申し上げておりますように、労働市場の状況を見まして、例えば今度の北九州の場合につきましては、北九州に非常に安定所が集中しているわけでございますが、そこを整理することによりまして非常に最近人口がふえたりいろいろ労働市場が拡大しております福岡に新たに新設をするとか、そういうようなことで対応をいたしているわけでございます。その辺は六十カ所純減ということではないということを御理解いただきたいと思います。 それから基準でございますが、基準につきましては、そういうような今申し上げましたような立場から、しかしこれも全国的な労働市場を十分見て進めていく必要があるわけでございます。しかし一方、各都道府県でのいろいろな関係もあるわけでございまして、都道府県とも協議しながら適切な配置となるように検討いたしている次第でございます。 基準としましては、今、先生おっしゃいましたように、労働市場圏を基礎としまして、管内の労働力人口、管内の事業所数、それから隣接所までの所要時間等を全国的な標準と比較しながらその近接している安定所を統合するとか、今申し上げましたように、非常に労働力人口がふえている管内に新設するというようなことで行っている次第でございます。
○糸久八重子君 それでは具体的に、兵庫県の場合に現在三カ所の出張所が統合されて一カ所になる。統合するこの背景事情は具体的にどういう事情があるのか。それから飾磨と網干の公共職業安定所を統合する背景事情についても簡単に説明をしていただきたいと思います。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。 具体的に申し上げますと、ことしの場合兵庫県の姫路地区があるわけでございますが、姫路市に、姫路公共職業安定所、網干公共職業安定所それから飾磨公共職業安定所がございまして、それぞれこれは三十分から四十分以内のところ、キロ数でいきますと一番近いところでは五・三キロぐらいのところにあるわけでございます。 今回の案は、この網干と飾磨とを統合して姫路南公共職業安定所として新設したいというふうに思っているわけでございますが、同一市に三カ所の安定所が設置されている、労働市場の全国的な規模からいきますと安定所数が多いということ。 それから姫路市の労働市場は、第三次産業を中心としますいわゆる北部、現在の姫路所の管内でございますが、と播磨臨海工業地帯等の第二次産業を中心とします南部、先ほど申しました飾磨所でございますが、とに二極しているのでございまして、新たにつくります南部の安定所でこの二所を統合することが合理的だろうと考えたのが二番目でございます。 それから、両所は所要時間が約三十分ぐらいで近接しておりますし、管理部門を中心に統合することによりまして効率的にその事務を行っていこうということでございます。 それからなお、この点につきましては、先ほども申し上げました五十六年の行政管理庁、現在総務庁でございますが、の勧告でも、姫路市の三所については再編成をすることが適当であるというような指摘を受けているところでございます。
○糸久八重子君 今の兵庫のように、安定所の数が減るということは地域の労働市場に与える影響が懸念をされるわけですけれども、行政サービスの水準が低下しないように、人員面とかそれから予算面の手当てについて十分配慮をすべきだと思いますけれども、どのように対応をするのでしょうか。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。 今回の再編整理は、先ほどから申し上げておりますように、行政改革の一環として、地域の実情の変化に対応して行政体制を効率的に整備するわけでございますが、このスクラップ・アンド・ビルドの中でスクラップされるところの地域につきまして行政の後退を招くことのないように、その統合された地域の事後処理につきましては、必要な事務処理体制をとることによって、再編整理による住民サービスの低下を招かないように十分配慮してまいりたいというふうに考えている次第でございます。 一般的にはそういう対応で進んでまいりますが、兵庫のこの二所につきましては、先ほど申し上げましたように、この間の距離は十キロぐらいでございますし、もう一つございます姫路安定所との間も五キロから数キロでございます。そういうような関係で、この二所を統合することによりまして姫路南公共職業安定所を設置することにいたしておりますが、この姫路の場合につきましては、両所の中間地点に新庁舎を設置することを検討いたしまして、地域住民に不便を招かないように対応してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○糸久八重子君 今回、公共職業安定所やその出張所を分室へ降格させる例が幾つかあるわけですけれども、出張所と分室の違いはどこにありますか、業務内容とか人員について明らかにしていただきたいのですが。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。 出張所の場合には、ほぼ管理部門を除きましては一般的な業務を、一部新規学卒者の職業紹介を取り扱ってない所もございますが、取り扱っているわけでございます。 分室の場合は、地域の実情に応じまして例外的に設置されるものでございまして、本来的にはその安定本所の内部組織として位置づけられているものでございます。したがいまして、業務の取扱範囲も、各分室の地域の実情に応じまして限定的に行われているというのが実情でございます。 そういう差が出張所と分室との間にはございます。
○糸久八重子君 統合や新設に関しましては、地方自治法の百五十六条によりまして国会承認を求めることになっておるわけですけれども、廃止の場合は法にはうたっていないわけですね。しかし、地域の労働市場への影響を考えますと、職安やその出張所を廃止する場合や、それから分室に降格させる場合こそ、より慎重にしていかなければならないと思うわけです。したがって、こういう場合こそ国会の承認案件の範囲であるべきだと思うのですけれども、法の範囲から離れて、労働省はこの辺はどうお考えでございますか。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。 確かに、地域住民の立場、それから行政の立場から申しますと、今、糸久先生が御指摘になったとおりでございまして、廃止の問題もそういう意味では地域住民に非常に影響を与えるわけでございます。しかし自治法上は、今、先生御指摘になったように、新設の場合に国会の承認を得るということになっているのでございますが、先ほどから私お答え申し上げておりますように、専ら新設よりは廃止のところの方が先生方からの御質問も御指摘も多いわけでございまして、これらにつきましては、今御指摘になりました点も十分配慮しながら我々としては検討を進めてまいったというふうに考えております。 確かに、安定所の仕事というのは、所におりましていろいろな求職者、求人者の来所によって、どちらかというと受け身のサービスを行う機関でございますので、数が多ければ多いほどサービスの手は行き届くということではございますが、一方、行政の効率化または安定所に限りませず政府全体の、特に臨調その他で指摘されております行政の合理化から申しますと、すべて数が多ければいいということではないわけでございまして、全国の安定所の配置状況、そしてまた各都道府県のそれぞれの状況を見ながら、先ほど申しましたようなことで、なるべくスクラップのみじゃなくてビルドをつくるということで対応いたしている次第でございます。 そういう意味で労働省におきましては、これらの行政改革を実施するに当たりましては、具体的に各都道府県の知事の意見を求めまして、知事の了解を得ながら現在の施策を計画いたしたわけでございます。
○糸久八重子君 五十七年度から五カ年計画で総合的雇用情報システムの開発を労働省は行っているようでございますけれども、計画の実施状況につきまして明らかにしていただきたいのです。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。 先生御指摘のとおり、五十七年度から総合的雇用情報システムということで計画を実施いたしております。最近、コンピューターその他が非常に進んでまいりまして、これらに伴います合理化、それから情報の提供の拡大等については、労働省としましても従来から施策を進めているわけでございますが、従来はどちらかと申しますと、雇用保険関係の業務につきまして、これがコンピューターで処理されることによりましてそのスピードを上げるというようなことで、また全体を、石神井にございますが、そこに集中することによりまして一元的に処理していくということで進めてまいったわけでございますが、さらに機械が進むことによりまして、求人や求職のデータにつきましても、これをコンピューターの中で処理することができるということがだんだんできてまいりまして、そういうようなことで、情報化社会に対応いたしまして、全国の公共職業安定所をオンラインで結びまして、求人求職に関するデータを一元的に処理していこうということを考えているところでございます。 現在では、その試みとしまして、本年十月から首都圏——東京、茨城、埼玉、千葉、神奈川の一都四県におきまして先行実施を図るために準備を進めておりまして、この十月から、首都圏につきましては一つの安定所におきまして他の安定所の求人求職状況がわかる、それからまた、全体の求人求職状況や労働条件の状況が把握できるというようなことで、この情報が迅速に、かつきめ細かく提供できるようにできるものというふうに思っております。
○糸久八重子君 職安においての職業紹介業務については、いかに地域の労働市場の中でシェアを高め労働市場に影響力を持っていくかは、これは大きな政策的な課題であると思います。各種の広告とか、それから求人情報誌等がシェアをどんどん伸ばしている中で、さらに労働者派遣事業法が制度化されたわけですけれども、安定所のシェアは低下するのではないかと大変心配されるわけでございます。 職安は、本当に労働力需給調整の中核機関として機能していかねばならないと思いますけれども、安定所のシェアを高めるためにはどのように対応をなさいますか、お尋ねいたします。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。 安定所のシェアにつきましては、従来からいろいろ議論がございまして、三割とか三割弱とかいろいろ言われております。一方、各種情報誌等が出まして、華やかに販売されているわけでございますが、しかし数字等をとらえてまいりますと、必ずしも全産業対象としての雇用動向調査等を見ますと、この五年間ではむしろ割合が増加いたしておりまして、必ずしも減っている状況ではないというふうに考えております。 しかし、この安定所のシェアが拡大するということは必要なことでございますし、今、先生御指摘になりましたように、一般的な就職等が容易な人々にとっては別でございますが、今後我が国におきます高齢化の進展や女子の職場進出、それから技術革新等に伴います労働力面でのミスマッチ等をなくしていくというような、いろいろな手を加えなければならない職業紹介の分野につきましては、安定所のシェアを拡大していく、そのためにいろいろな施策を、先ほど先生御指摘の総合的な需給システムもございますが、そういうものを活用して機能を高めていかなければならないというふうに考えている次第でございます。
○糸久八重子君 今回の再編整理によりまして、公共職業安定所は一カ所減、そして出張所は五カ所減となります。従来安定所の数は、先ほども御答弁の中にありましたけれども、四百八十一カ所、そして出張所は百二十九カ所で推移をしてきたわけでありますけれども、そういう意味からいいますと、今回削減されることの影響は非常に大きいと思います。 行政サービスを低下させないために特段の配慮が重ねられていく必要があると思うのですけれども、労働大臣の御決意をお聞かせください。
○国務大臣(林ゆう君) 今回の再編整理は、行政改革の一環として行うということだけではなくて、地域の実情の変化に対応いたしまして、円滑そしてまた効率的な行政体制を整備するという観点から行うものでございまして、スクラップ・アンド・ビルドの考え方に基づきまして、行政需要の増大をしている地域につきましては組織の拡充も行うことといたしております。 総合的雇用情報システムの活用などと相まちまして、職業安定行政におけるサービス提供機能の充実をさらに図ってまいる所存でございます。
○糸久八重子君 終わります。
○中西珠子君 労働省は、今回、昭和六十一年度は十五カ所の公共職業安定所を再編整理するという予定で地方自治法第百五十六条六項に基づいて国会承認を求めていらっしゃるわけでございますが、臨調の昭和五十八年三月十四日の最終の答 申、これに、今後五年間に公共職業安定所などについては約六十カ所を整理統合することが必要だと、このように指摘されているということで、五年間に六十カ所をどうしても整理統合しなければいけないという考え方で、大変苦心して、また無理して数字を合わせて、六十一年度は十五カ所、昨年度も十五カ所、五十九年度が八カ所で、もう既に三十八カ所整理統合ということをされているわけですね。残るのは結局二十二カ所ということになります。 これにつきまして労働大臣は、今後やはり臨調答申で言われたとおりに整理統合しなきゃいけない、そういうお考えなのか。また、全体像というものはどのように描いて、今度はどの辺をやろうとお思いになっているかというふうな、そういうお考えがございますか。それとも、地域において何とか合意に達したようなところだけを整理統合して再編整理していくというふうな行き方をなさるのか。これにつきましての基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(林ゆう君) 公共職業安定所等の再編整理につきましては、先ほども糸久委員にお答えいたしましたように、最近におきますところの労働市場圏の状況等に対応した効率的な安定所等の組織体制のあり方を見直すという考え方に立ちまして、必要な地域には新設、昇格も行うというスクラップ・アンド・ビルド方式によりまして、第二次臨調の最終答申に沿って六十カ所を再編整理するとしたところでございます。 その結果、五十九年度及び六十年度でそれぞれ八カ所及び十五カ所の整理をしたところでございますが、六十一年度におきましては十五カ所を、そしてまた六十二年度及び六十三年度で二十二カ所を整理することといたしております。労働省といたしましては、この中で、地域の実情に即した安定所の適正な配置、組織の効率化、集約化による行政の質的向上を図ってまいる所存でございます。 なお、今後の具体的な再編整理案は、各県とも相談の上に、各年度ごとに作成をしてまいるつもりでございます。
○中西珠子君 整理統合を非常に慎重におやりになっていただきたいし、また地域での労働力需給関係のニードというものも十分に取り入れて、行政的なサービスとしての効率化、そしてまた地域住民の働く権利の確保、職業選択の自由の確保並びに企業側の労働力のニードというものをうまくやはりマッチさせていただきまして、公共的な職業安定行政というものが非常に利用度が低まっている、と同時に、一方では技術革新の進展、それから高齢化社会の進展、また婦人の労働力化に対する意欲というものが高まっている中で、たくさん仕事があるように見えながら利用度が大変低い。二割以下、地方によっては三割以下という利用度のところもあると思います。 そういった状況につきましてはどのようにこれを効率化していこうとお考えになっているか。また、利用度を高め、本当にもっとサービスの向上に努めるということをお考えになっているか、この点に関しまして大臣のお考えをお伺いしたいのでございます。
○国務大臣(林ゆう君) 公共職業安定所の利用数は、求人求職ともそれぞれ年間五百万人近くに上っておりまして、必ずしも利用率が低いとは私どもは考えていないわけでございます。しかしながら、求人求職の結合状況や安定所の職業紹介を通じまして就職する者の割合につきましては、まだ十分とは言えないように私どもは考えているところでございまして、また今後予想される厳しい雇用失業情勢を考えました場合には、公共職業安定所の利用率をこれまで以上に高めることとともに、求人求職の的確な結合を促進していく必要が重要である このように考えておるところでございます。 このため、今後公共職業安定所の労働力需給調整機能の一層の強化を図りますとともに、利用者に対するサービスの向上を図ってまいり、公共職業安定所が地域において信頼され、そしてまた利用しやすい真の総合的雇用サービス機関となるように努めてまいりたいと考えております。
○中西珠子君 大臣の御決意を伺って非常に心強く思いました。一層の御健闘を期待いたしますが、私は、ちょっと婦人の立場から男女雇用機会均等法施行後の職業安定行政の対応について、この際お伺いしたいと思うわけです。 均等法の審議の過程におきまして、その当時、男性の求職票、求人票はブルーであり、女性の求職票、求人票はピンクであるということで、仕分けがはっきりとできていまして、そして初めからこれは男性向きの仕事、これは女性向きの仕事という、求人も求職もそういう考えで職業紹介が扱われていたということは差別につながるのではないかと、非常に論議があったわけでございますが、その後均等法の施行に備えまして、男女ともに同一様式の求人票、求職票というものを御用意なさり、またその内容につきましても改善を加えられたことは大変結構だと思っているわけです。私は、それをちゃんと窓口へ行ってもらってきましたから、どういうのをお使いになっているかということはよく存じております。 こういう様式の上での対応の仕方ということは結構でございますが、もっと心構えとして、また技術的な求人受理とか求人開拓、それからまた職業の紹介というふうなものの窓口の対応、これについてはどのような指導をなすっていらっしゃいますか、それをお伺いしたいと思うんです。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。 求人票の点につきましては、今、先生御指摘になりましたように統一をさせていただきまして、共用で使えるようにいたした次第でございます。 それから窓口等が分かれていた安定所があるわけでございますが、これも、全国でそう多い数ではございませんが、随時統一するようにいたしております。ただ、従来の慣習からいきまして、公共職業安定所において公開の求人をいたしておるわけでございますが、これももちろん統一が望ましいわけでございますけれども、やはり従来の経緯から選ぶ求人その他がございまして、それらについてはどういうふうにすれば便利なのか、どういうふうにすれば求職者に親切なサービスになるのかということについては、その安定所安定所によって工夫しながら検討いたしているところでございます。 それから一般的な求人開拓その他、窓口の対応の問題でございますが、これは男女機会均等法の施行に当たりまして、その趣旨及び内容について事業主等の理解を深めることがまず重要であるというふうに考えておりまして、このため、求人と求職を受理し職業紹介を行うことを基本業務とする安定所におきましては、法及び同法に基づく指針のうち、特に募集、採用に係る事項について、求人受理や事業主に対する説明会等の機会にリーフレットを配布する等、事業主に対する周知を図っているところでございます。 それから求人受理に当たって、求人申し込みの内容が指針の目標に達していない求人や法の規定に抵触する求人につきましては、均等法の趣旨に沿った求人が行われるよう必要な条件緩和等の助言指導や是正指導を行っているところでございます。 それから求人開拓につきましても、求人求職に係る職種、性別等の需給状況を勘案しながら、安定所に申し込まれたすべての求職者の就職機会の確保という観点から、先ほども申しましたように、求職者へのサービスも考慮しながら各地域の実情に応じて実施いたしている次第でございます。
○中西珠子君 求人受理におきまして、求人の申し込みの内容が指針の目標、労働大臣が指針をお出しになりましたね、その指針の目標に達していないときには、受理に当たって指導なさるということですが、求人条件の緩和などの助言指導を行うということがこの局長名の通知にも書いてありますけれども、これにつきまして、助言指導をなすったときの求人側の反応というのはどうでしょうか。ちゃんと助言指導を受け入れて、そして求 人の条件を緩和するとか変更するということをやる企業が多いでしょうか。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。 ちょっとそこのところまで私、的確に把握いたしておりませんので、先生の御趣旨も受けまして、第一線に行く機会がございましたら十分調査さしていただきたいというふうに思います。
○中西珠子君 職業安定所の窓口に私の知っている人たちにちょっと行ってもらったわけなんですね、あちらこちらに。そういたしますと、結局、求人条件の緩和なんかの助言をなすっても、募集、採用に関しては、これは差別禁止規定ではなくて、使用者の努力義務規定になっているから、せっかくの助言指導が余り効果がなくて、やっぱり努力義務じゃだめですねという、そういう反応をされた職業安定所の係官がいらしたわけでございます。ですから、これはなかなか難しい問題であって、これからも労働大臣の指針の目標に達していない求人につきましては、均等法や指針の周知徹底を大いに図っていただいて助言指導を行っていただきたいと思うわけでございます。 とにかく、募集、採用などばかりではなく、求人に来た企業の側の雇用管理が均等法の九条から十一条までの規定に違反しているとかという、そういう場合も把握がおできになるわけでしょう。そういった場合は、やっぱり雇用管理の見直しというものを助言しておやりにならなければならないわけですが、その場合は一応差別禁止規定になっていますけれども、どのような求人の受理の仕方をなさいますか。一応指導をして、そしてそれが直ったから求人受理なさるのか、それとも一応求人は受理しておいて、そして雇用管理のあり方を変えるという指導をなさるのか、どのようになすっていますか。
○説明員(矢田貝寛文君) 御説明申し上げます。 まず最初に、先ほど局長に御質問ありました件でございますけれども、事面に申しまして、業種、職種によりましてかなり比較的スムーズに男女で能力を活用しようという業種と、なかなか、ちょっと従来の慣行とかいろいろな意味で難しいというところもございます。例えば、例に出してよろしいかどうかわかりませんが、非常に職人かたぎ的なすし屋さんとか、こういったところはなかなか円滑にいかないというような部分もございますが、いずれにしましても、私ども受理いたしますに際しまして、先ほど局長が御説明いたしましたような説明をして、徐々に直していただきたいというようなことをやっています。 それから、今お話しのございましたいわゆる禁止規定といいましょうか、均等法上の例えば福祉施設とかそういったものについて、必ずしも均等法に沿った制度が行われていないというような事業所も結構ございます。これにつきましては、人事体系の見直しとか、労働組合とのお話し合いとか、いろいろな問題で時間がかかるものもございますので、求人といたしましては先ほど申しましたように一応指導いたします。 それで、じゃ求人を受理しないかということも実は私ども検討したわけですけれども、やはりそういった一定の時間がかからなければならないというような状況があるならば、そこで求人を受理しないということになりますと、均等法の七条の趣旨でもございますような、かえって公募の機会も失われるというようなこともあっちゃいかぬ、そういうふうなことで時間をかけながら、今、先生の御指摘ありました雇用管理の面等々についても、私ども専門家がおりますので、そういった者が助言しながら直していくということで、若干の時間はかかると思いますけれども、法の趣旨に沿った求人活動が行われるように指導しているところでございます。
○中西珠子君 その場合、婦人少年室とは連携協力なすってなさいますか。
○説明員(矢田貝寛文君) 各安定所なり県の段階で、必要に応じまして婦人少年室等とも専門的な立場での御助言等をいただくというようなことで連携を図るようにということで指導いたしております。
○中西珠子君 これは職業安定所自体がなさることではないと思いますが、民営の職業紹介事業や何かに対してはどのように指導をなすっていますか。これは職業安定行政として労働大臣の指針の周知徹底をどのようになすっているかということですね。民営の職業紹介事業ばかりでなく、例えば、このごろ大変ふえています就職紹介雑誌ですね、ああいうものだとか広告、そういったものに対してはどういう指導をなすっていますか。
○説明員(矢田貝寛文君) 民営の職業紹介機関でございますが、まず原則論を申し上げますと、こちらの部分はやはり国と違いますので協力してもらうということになろうかと思います。したがいまして、均等法の趣旨等につきましても、民営の職業紹介機関の団体等を通じましていろいろな研修をやっております。そういったところでこういった趣旨等を説明するとかということで、局長名でもちましてそういった関係のところにも通達してございますし、今申しましたように、例年、毎年一、二回そういった職業紹介担当者の研修会等々もございますので、そういった中でこういったお話をしていくということで御協力をいただくということにいたしております。 それから、いわゆる情報誌等々につきましては、婦人少年局あるいは婦人少年室等が中心になりながら、これも全国求人情報誌協会なり新聞案内広告協会といったようなところに対しまして趣旨を説明し、御協力をいただくということで、そういった協会の中で一定の自分たちの、私ども権限的にどうせよこうしろというよりか、やはりそういった社会的な情報誌等の役割、使命というものを御理解いただいて直していただきたいというようなことで、自主的な倫理基準といいましょうか、こういった扱いをしようというふうなことで現在進めていただいている段階でございます。
○中西珠子君 これは渋谷の公共職業安定所が五月一日にお出しになった求人情報なんですけれども、女性と男性と分かれて求人の情報が簡潔にリストアップされているわけでございます。これを見ますと、本当に中高年の女性の求人というのは少ないんですね。それからまた、男性の側においても、大体四十歳、五十歳とか以上の人の求人というのは非常に少ないんですね。たった一つですね。男性の方に五十歳から五十八歳までの営業の求人がありまして、これは、また本当に相当高齢化社会に対する労働力需給似問題について理解のある企業だなと思って見ましたら、労働省の共済組合の恵比寿会館が募集なさっている営業マンだったわけですけれども、率先垂範していらして大変結構と思ったわけです。 とにかく、男性の高齢者、中高年者の求人が非常に少ないし、また女性は、殊に集金係とか調理とか婦人服の縫製とか雑役とか清掃、そういったものしかなくて、それも賃金の非常に低い常用雇用の求人しかないわけでございます。こういう中高年婦人の求職求人状況、また中高年の男性の労働者の求職求人状況というのはやはりなかなか改善できなくて、そして失業率も高いということですが、一方パートだけの求人は大変ふえているし、また就職率も大変いいわけでございます。こういった状況、また、七月一日から労働者派遣事業法が施行になりまして、専門的な技能や知識を持った人たちばかりでなく、そのほかも、ビルメンとかいろいろの業種で派遣労働者というものの法的な需給ということが可能になるわけでございますけれども、そういった状況に対して、やっぱり公共職業安定所の現在までの業務のあり方とか求人開拓のあり方というものは相当考えていらっしゃらなくちゃいけないんじゃないか。 それから、とにかく高齢化社会に向かっていって、そして高齢者ではありながら仕事をどうしてもしていきたいという人たちのために、もちろんシルバー人材銀行とか、またパートをやっていきたい中高年婦人のためにはパートバンクとかあるわけですけれども、公共職業安定所という公共の職業紹介の機関としてでは、これはもっともっと雇用関係の情報もお集めになる必要がある。先ほどもいろいろオンラインで情報も集めるとおっし やっておりました。また求職者に対するガイダンスなんかも大いに強化していただかなくちゃいけないし、また均等法施行に伴っていろいろ面倒な指導もなさらなくちゃいけないということもありますけれども、これから先の職業安定所のあり方というものについて、また職業安定行政というもののあり方について労働大臣はどのようにやっていこうとお考えになっておりますか、これからの御方針につきましてちょっとお伺いさせていただきたいと思います。
○政府委員(白井晋太郎君) 具体的問題について私が先にお答え申し上げまして、あと大臣にお答え願いますが、確かに先生御指摘のように、中高年齢者、特に高年齢者の労働市場の状況は厳しいものがございまして、全国の公共職業安定所の六十年十月の四十五歳以上の中高年齢者の有効求人倍率を見ますと〇・二六倍でございます。女子だけを取り上げますと〇・二三倍ということになっておりますが、そういうことで厳しい状況にございます。 高齢者の問題につきましては、先般、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の御審議をいただきまして、この国会で法律を成立さしていただきましたので、これに基づきまして全体的なPRを進めながら、法律による指導を、または行政措置を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。 それからパートの状況は、これも先生が御指摘になりましたが、確かに求人倍率は一・四六倍ということになっております。そして、パートバンクも六十年度までに全国に三十二カ所設置いたしてまいりました。このように、それぞれのパート、それから人材銀行等の利用のあり方につきましても検討を進めながら、利用しやすいように進めてまいらなければならないというふうに考えております。 それで、全体的には、先ほど御説明申し上げまして、先生からもお話ございましたように、機械化も含めまして、総合的な労働市場の雇用需給システムを結びまして、求人や求職の状況が、小さな一管内ではなくて、全体的な立場で把握できるように、情報の拡大を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。 そういうことで、今後の労働市場に対応いたしまして、安定所の果たす役割は非常に大きいわけでございまして、しかし一般的に数字が合えばいいということではなくて、高齢化、パート、それから今の女子労働力の問題等、それぞれきめ細かい対応が必要なわけでございますので、質的にもこれらに対応できるような形でのあり方をさらに検討していかなければならないというふうに考えている次第でございます。
○中西珠子君 大臣の御決意のほどを伺いたいんです。局長からはよく御説明がありまして、おっしゃったとおりにどうぞ頑張ってやっていただきたいと思いますが、大臣の御決意のほどを伺いまして、私の質問を終わります。
○国務大臣(林ゆう君) ただいま局長の方から御答弁申し上げましたけれども、労働省、私といたしましては、今後ともいろいろと組織の拡充もしなければならぬ、そしてまた、今、総合的な雇用情報システムを導入いたしまして活用しているわけでございますが、これをさらに広めまして、そして求人求職者あるいはまた地域の社会に対しまして細かな情報の提供に努めてまいりたいと考えております。
○中西珠子君 終わります。
○佐藤昭夫君 限られた時間でありますので、問題を絞ってお尋ねいたします。 まず、労災年金と社会保険年金の調整の問題でありますが、御存じのように、労災保険審議会の使用者側委員その一同ということで、基本問題懇談会における検討事項として六点の意見が提起をされております。その中の第三番、「労災保険の年金給付と厚生年金の老齢年金が併給される場合、減額調整がなされるよう規定を整備すること。」という問題が出されているわけであります。一方、昨年十二月の労災保険審議会の建議には、「労災年金と社会保険年金の全体としての支給体系のあり方」、要するに調整問題を検討し、「所要の措置を講ずる」とあるわけでありますが、この建議に言うところの支給体系のあり方とは、使用者側委員の言う減額調整、このことを含めているということでありましょうか。
○政府委員(小粥義朗君) 審議会の基本問題懇談会の場においていろいろ議論がございました調整問題は、専ら厚生年金の老齢年金との調整問題でございました。今御指摘のように、使用者側委員からそうした指摘が最初なされたわけでございますが、一方公益委員の中でも、いわゆる年金制度全体の整合性といった観点から、そういう同種の年金が支給される場合の調整は必要ではないがといった意見も一部あったわけでございまして、したがって、建議として今後の検討課題にされております他の社会保険の年金との調整問題には、やはり老齢年金との調整も含んでいるというふうに私どもも受けとめております。
○佐藤昭夫君 答弁のように、老齢年金との調整も含んでおるということであるとすれば、これは非常に私は重大だと思うんです。こういう労災補償としての年金と、自分が長年掛金を払って積み立ててきた老齢年金、これとはそもそも年金の性格を異にするわけであります。一九八二年九月十六日の使用者側の要望、そのうちの六点目、その中には民事損害賠償と労災保険給付との調整幅の拡大の要望、これも出しておる。要は、労災保険給付の削減のみを主張するという姿勢になっているんじゃないかと思わざるを得ないわけであります。五十五年改正では、既に民事損害賠償との調整を主張するなど削減要求がますますエスカレートしてきている。本来、主に事業主の責任で発生する労働災害であって、その被害者である労働者と家族への責任をどう感じているのか甚だ疑問を抱かざるを得ない、こういう態度というのは不当と言わなくちゃなりません。 労働省としては、安易に減額調整を許さない、こういう姿勢を守って今後対処をしてもらいたいというふうに思うんですが、そこの基本姿勢はどうでしょうか。
○政府委員(小粥義朗君) 老齢年金との調整が問題として論じられました一番のきっかけになりました問題点は、実は、現在厚生年金の障害年金との調整はしているわけでございますが、厚生年金の制度の中で障害年金と老齢年金の選択ができるということになっておりますので、従来障害年金をもらっていたけれども、老齢年金をもらうことになると今度は調整がなくなるということで、その点が制度としていかにも不合理ではないのかというような問題の指摘があったわけでございます。ただ、だから労災の方をすぐ減らせという議論では必ずしもございませんで、厚生年金との調整のあり方としていろんなパターンが考えられるわけでございますが、例えば労災の方が先に出るべきではないかという議論もあるわけでございます。 この点は、実は労災保険に年金制度が導入された当初からのいろいろないきさつがございまして現在のような調整の方式をとっているわけでございますけれども、そうした調整のあり方自体も、むしろさかのぼって検討してみる必要がありはしないかといった問題指摘もございまして、全体を含めてあり方を引き続き検討しよう、こういうことになっておるわけでございまして、ただ単に減らすという観点だけの議論ではないというふうに私どもも踏まえて対応したいと思っております。
○佐藤昭夫君 ところで、労働者側がこの間一貫して求めてきたのは、むしろ労災保険給付の改善充実であります。基本問題懇談会に出された労働者側代表委員の意見書でも、療養補償給付、休業補償給付、傷病補償年金、これらの諸給付の改善が列挙をされているわけでありまして、給付の基礎日額についても、その算定に一時金その他の賃金を含めること、最低保障額を大幅に引き上げることを要求しているのであります。ところが今回の法案では、年齢層別最低保障額という形で若干の引き上げを図ったその反面、最高限度額を設け て頭打ちにするという改悪を一緒に盛り込んできている。これは給付改善という労働者側の要求に逆行するものだと言わざるを得ません。 さらにもう一つ、給付改善の上で問題なのが年金のスライド制であります。現行では労働者の平均給与額が六%変化した場合に改めていく、こういうことになっておるわけでありますけれども、この制度のために、年金額の改定は実際には二年に一回しか行われないということになってくるわけでありまして、これは現状、労働者側の要求にそぐわないものとなっています。毎年賃金変動に合わせてスライドができるように改善をすべきではないかと思いますが、どうでしょう。
○政府委員(小粥義朗君) スライドのあり方についてはいろんな論議があるわけでございますが、一応労災保険制度の建前としては、労働者が労働災害で失いました稼得の補てんという性格上、賃金に基づいてのスライド制をとっているわけでございまして、賃金によるか物価によるかという問題の取り扱いの違いはございますが、例えば外国の労災保険の各種年金制度を見ましても、制度の仕組みはいろいろ違いますけれども、やはり給付の安定性といったような観点も踏まえまして、一定の幅を持ったスライド制を実施しているのが大勢でございまして、私どもも一方で、厚生年金のスライド制は物価による五%という仕組みをとっておりますが、ほほそれに見合う形で、賃金に準拠した場合は六%が大体ほぼ見合うというような観点で現行の仕組みをとっているわけでございまして、これを完全スライドにするということはなかなか大変なことであるというふうに考えております。 したがって、現行スライドについては、現状の制度でなお引き続き行くのが適当ではないかと思っているわけでございます。 〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
○佐藤昭夫君 しかし、今も触れられたように、年金のスライド条項に比べればなおシビアなそういう基準に六%というのはなっていることは紛れもないわけでしょう。だから、今のままでいいというふうに断言できるそういう科学的な根拠がある問題でもない。だから現状のこの制度について、これを改善の方向に向けて少なくとも検討をやってもらう必要はあるだろうというふうに思いますが、どうですか。
○政府委員(小粥義朗君) 厚生年金が物価に基づいて五%の変動があった場合にスライドにする。労災保険は、先ほど申し上げました理由で、賃金のアップ率を見てそれの六%としておりますが、その賃金のアップ率が通常物価の上昇率を若干上回る傾向に従来ずっとあるわけでございまして、ほぼ見合う水準にあるという意味で先ほどそういうお答えをしたわけでございます。 ただ、いわゆるスライドにつきましては、年金のスライドのほかに休業補償のスライドの問題も審議会の内部ではいろいろ議論もされました。そうした点はまた今後の検討課題にもされているわけでございますので、そうした給付の実態というものが賃金あるいは受給者の生活の実態に合う形で今後も絶えず点検をされていかなければならないという点は、私どもも同様の考え方を持っておりますので、そうした点は今後の検討の中でも十分対応していきたいというふうに思っております。 〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
○佐藤昭夫君 賃金のアップに見合う形にということでこの六%というものが出てくるというふうに言われてみても、近年の春闘の賃金引き上げ状況を見たって平均して六%上がっていますか。そうなっていないでしょう。だから実情にそぐわない、労働者の側からこういった制度についてはひとつ改善をしてもらいたいという要求が出てくるのは当然じゃありませんか。 とにかくそういう立場で年金のスライド制、これと比べてみても制度的にシビアだということで、ひとつこの制度の改善方について検討の俎上にのせるということで大臣やってもらいたいと思いますが、どうですか。
○国務大臣(林ゆう君) スライド制の問題につきましては、厚生年金との絡みもいろいろとございますので、それは、今後いろいろと賃金の状況も変わってくるということは十分に想定されますけれども、現在のところは先ほど局長が申し上げたようなことでございますし、そして、今後大きな変化ができるというようなことになりましたら、その時点において私どもとしてはまた考えていかなければいかぬのじゃないか、このように考えている次第でございます。
○佐藤昭夫君 ぜひひとつ、もう繰り返しませんけれども、よく検討を俎上にのせてください。 次の問題でありますが、遺族補償給付の問題でお聞きをします。 この遺族補償給付は男女によってその取り扱いが異なっています。例えば共働き夫婦の場合、言うまでもなくこういう世帯というのはどんどんふえているわけでありますけれども、遺族補償年金、夫が死亡をした場合、妻の年齢に関係なく支給をされる。妻が死亡したという場合には、夫が五十五歳未満のときは年金でなく一時金、一千日分一時金で出る、夫が五十五歳から六十歳未満のときは六十歳から年金を支給する。こういうふうに男女によってその取り扱いが異なっているわけであります。もちろんこの扱い、制度、これは経緯のある問題とは思うわけでありますけれども、昨年男女雇用均等法というものも成立をした。その法律の内容は多々問題を含みますけれども、少なくとも政府としてはいろいろ褒めちぎってきたこの法律が成立をしたわけでありますから、男女平等の促進という見地からいっても、この制度については一遍検討、研究を要する問題になってくるんじゃないかというふうに思うんでありますが、大臣、どうでしょう。
○政府委員(小粥義朗君) 御指摘の問題、実は労災保険審議会の御論議の中にも出たことがございます。 ただ、現在の労災年金でとっておりますこの遺族年金の取り扱いの仕組みといいますのは、厚生年金であるとかあるいは国民年金と同じ扱いになっているわけでございます。それは、いずれも形の上で男女均等ということであればそのとおりにすべきだという議論もあり得るわけですが、現実のそうした女性の雇用の実態から見て、男子の雇用の姿と大きな隔たりがあるといったところを踏まえて現行の制度がつくられているわけでございます。それが今後の男女平等、男女雇用機会均等といった問題との兼ね合いで点検あるいは見直しを必要とするということも十分考えられると思いますが、現状においては、今直ちに労災保険だけでどうこうというわけにはまいりませんので、今後の検討課題ということでは十分あろうかと思いますから、これからの引き続きの検討課題の議論の中でこの問題の扱い方については研究をしてまいりたいというふうに思っております。
○佐藤昭夫君 相当以前からこの制度があるのはもちろんでありますから、そういう経緯があるということは認めつつも、昨年、雇用均等法というものが成立をしたというこの新たな局面、そういう新たな見地、ここから検討の俎上にのせてしかるべきじゃないかということで言っているんです。大臣、どうでしょう。
○国務大臣(林ゆう君) 今後におきます雇用実態の動向や、あるいはまた関連制度における検討の状況をも踏まえながら対処すべき課題であるということを認識いたしております。
○佐藤昭夫君 ぜひひとつそういう方向での検討を、努力をしてもらいたいというふうに思います。 次に、労災保険未加入中の事故に関する費用徴収の問題についてお尋ねをします。 労災保険未加入中に災害が発生した場合に、これまでなら未加入事業主が過去二年間分の保険料をさかのぼって払えばよかったわけですけれども、今回の改正案によりますと、さらに保険適用となった後に保険給付費用の一部を未加入事業主から罰金的に徴収をするという、こういう方向になってきます。 労災保険は強制適用でありますから、当然未加入というのはあってはならない。しかし現実にはある。この未加入事業主というのはほとんどが零細事業主であります。先日の委員会で私は京都の西陣の例を挙げましたけれども、労災保険への加入率が五〇%に満たないというのが実態であります。こうした原因はいろいろあるでしょうけれども、零細事業主の多忙、また制度への無理解、こうしたこともあるわけでありまして、したがって、この加入率を引き上げていくためには、今度の改正案のような一罰百戒とも言えるような罰金的な費用徴収という方向じゃなくて、零細事業主にも制度の趣旨の理解をよく図って保険加入させていく具体的な改善努力を行うというのが本筋ではないかというふうに私は思うんであります。こういう罰金的な方向をとりますと、事業主の中には、負担がふえるということでかえって労災保険未加入中の事故の労災適用を避ける方向、すなわち、いわば労災隠しとも言うべき方向に作用して、保険適用を困難にし、結果は被災者の救済を遠ざける、こういうことになりかねないのであります。 本筋の加入促進への行政努力を中心に据えるべきではないかと思いますが、どうでしょう。
○政府委員(小粥義朗君) 御指摘のように、加入促進は本来行政としても力を入れてやっていかなければならない事柄でございまして、従来からも、例えば労働保険事務組合の育成といったようなことを通じましてそうした加入促進の努力をしているわけでございますが、何分にも零細企業の場合には、その企業の浮沈が非常に激しいといったこともあってその捕捉が極めて困難であるということもまた二面の事実でございます。 したがって、こうした制度の趣旨を理解してちゃんとした加入手続をしている企業とそれをしない企業との公平性を欠くといった面からも、やはりそれなりの対応が一面においては必要とされるわけでございまして、単にこれだけでもって加入促進の効果が上がるというふうにも私ども考えておりません。御指摘のような加入促進そのものの努力というものも一方で当然あわせてやっていかなければならないというふうに考えております。
○委員長(岩崎純三君) 佐藤君、時間です。
○佐藤昭夫君 それでは最後に、承認案件にもかかわって一問申しておきます。 先ほど、労災保険未加入事業者の問題で、零細事業主の加入促進への行政努力を強めていくということはこれは当然だと答弁をされておるわけでありますけれども、労災保険にしても雇用保険にしても、零細事業主の加入は五割前後というのが現実であります。この水準を引き上げていくためには、現場の監督署や職業安定所の業務量増加は大変だと思うんでありますが、加入促進、労働環境改善のために、第一線の監督官や職員の皆さん方の御苦労は大きく予想をされるわけであります。この努力を質的な水準引き上げまで結実させていくためには、どうしても今の人員体制でできるものではありません。 今回の職業安定所の設置再編成は臨調行革に基づくものでありますが、今日の労働を取り巻く情勢、労働行政に求められている業務の水準からいって、現場の人員体制の拡充こそが必要だと思いますが、大臣の所見を最後に伺っておきます。
○国務大臣(林ゆう君) 御指摘のように、大変作業量も多くなっておりますけれども、今度のこの再編と整理につきましては、内閣としては行政改革の一環としてこれに対応していくということで、第一線の職員たちが大変な過重にはなってくるようなことにもなろうかと思いますけれども、そこはやはり行政の簡素化を求めながら、効率ある作業をさせながら、業務に遅滞のないような方向で努力をしていかなければならない、このように考えておるわけでございます。
○佐藤昭夫君 ちょっと済みません。 私がお尋ねしておるのは、行革のそういう枠もあるけれども、しかし可能な限り人員増を図って職業安定所、監督署の施策の充実を図っていくという、そういう枠の中での努力もこれは大いにやってもらう必要があるんじゃないかということを言っているんです。
○国務大臣(林ゆう君) 定員増につきましては、私どもといたしましても精いっぱいの努力を今後も続けていかなければならない、このように考えております。
○佐藤昭夫君 終わります。
○高杉廸忠君 労災保険法等の改正法案審議の最終段階に際しまして、私は、今までの本委員会における各委員の質疑を通じて問題点であります幾つかの事項について、労働大臣を初め行政当局の対応について確認質問を行いたいと存じます。以下、具体的に伺います。 まず、事業主の意見の申し出についてただし、確認をいたしたいと思います。 省令の中で、労災保険の支給決定に当たり、事業主にも行政庁に対する意見の申し出の機会を付与する旨の制度を新設しよう、こうしているようですけれども、事業主の意見の申し出は、本来法的には認められない使用者の不服申し立て制度、この実現への足がかりとなるものであって、それは保険給付の決定を事業主の支配下に置く、こういうことになりかねないと思うんです。したがって、事業主の意見の申し出の制度の創設については慎重に対処、考えるべきだと、こう思うんです。 そこで、具体的に確認いたしますけれども、労災保険給付申請事案について、支給決定前に事業主は意見の申し出を書面により行うことができるようにすると聞いていますけれども、その場合、第一に、事業主の意見の記載内容は、感情的、主観的なものであってはならない、事実に基づいた客観的、科学的なものでなければならない、こう思うんですが、どのように労働大臣は考えますか、伺います。
○国務大臣(林ゆう君) 意見具申し出としてどのような内容を行政庁に対して申し出るかは、事業主の判断にゆだねられるところになりますけれども、意見具申し出の制度を設けるからには、やはり行政庁が業務上か否かを的確に判断するために参考となり得る客観的な事実などを出していただきたいと考えておりまして、そうしたものが出されるように指導してまいりたいと考えております。
○高杉廸忠君 第二に、事業主の意見、これは支給決定に際して、本委員会における質疑を通じても明らかなように、単なる参考意見として扱わなければならないと、こう考えるんです。その点確認いたしますが、いかがですか。
○政府委員(小粥義朗君) 事業主の意見具申し出制度は、事業主が労働者の健康管理に責任を有する立場にあるといったことなどを考慮して、労災保険審議会の建議に基づきまして当該制度を設けることが適当だとされているものでございますが、申し出られます事業主の意見は、場合に応じ参考資料として活用し得るものであるわけです。しかしながら、支給決定はあくまで行政庁が主体的に行うものでございまして、事業主の意見に拘束されるものでないことは当然のことでございます。 —————————————
○委員長(岩崎純三君) この際、委員の異動について御報告いたします。 ただいま森下泰君が委員を辞任され、その補欠として上田稔君が選任されました。 —————————————
○高杉廸忠君 第三に、事業主の意見書の内容、これは当該被災労働者に告知するとともに、その当該被災労働者等の十分な抗弁、あるいはその他意見の陳述の機会が与えられるべきだと、こういうふうに考えるんです。これらについて制度上保障すべきである、このように考えますが、その点はいかがですか。
○政府委員(小粥義朗君) 労災保険給付の支給決定は、先ほどもお答えいたしましたように、あくまで行政が主体的に行うものでございます。事業主の意見は場合により参考として活用するものであって、その意見に拘束されるものでないわけですし、また一方、迅速な認定を行うためには、意見の内容のいかんにかかわらずすべての場合に労 働者に対してその通知をしてその意見を求めるということは、いろいろ問題もまた生ずるわけでございまして、その必要はないのではないかと考えておりますが、意見の内容いかんによっては、事実の確認のため被災労働者から事情を聴取するなどの必要が生じる場合もあり得ようかと考えている次第でございます。
○高杉廸忠君 確認いたしますけれども、被災労働者に不利益があったり、あるいは補償に支障がないように特に要請をいたしておきます。 次に、特別加入の問題について確認をいたしたいと思うんですが、特別加入制度に関して省令の中で、特別加入者の加入時に健康診断書の提出、これを義務づけようとしているようですけれども、これは真に保護の必要性のある特別加入者の加入に障害を設けることになって救済の道を困難にするものにほかならない、こういうように思うんです。 そこで確認をいたしますけれども、加入時の健康診断書の提出、これは慎重に考えるべきである、このように思います。省令によって、特別加入をしようとする者のうちの業務歴ですね、これから見て、じん肺あるいは振動障害等の職業性疾病にかかっていると考える者に対して健康診断書を提出させるように聞いているんですけれども、この場合、第一に確認をいたしたいと思いますのは、健康診断書を提出すべき労働者等の職業性疾病の範囲、これはじん肺、振動障害、鉛中毒等に限定をして、不当に拡大することのないように留意することとすべきであると考えるんです。確認いたしますが、いかがですか。
○政府委員(小粥義朗君) 特別加入制度は、先生も御承知のように、希望するときに任意に加入できることとなっておりますために、加入後短期間でじん肺症や振動障害等の遅発性疾病にかかっていることが確認されたり、極端な場合は、既にじん肺症等にかかっている者が加入し、その後直ちに保険給付の請求を行うといったようなケースが見受けられるわけでございまして、これらの場合は、保険加入時に罹患している疾病について保険給付を行うという結果となりまして、保険の原理に反するような結果が生まれているわけでございます。 今回の特別加入時の健診は、このような不合理な点を是正しようとするものでございまして、そこで、事前健診の対象となる疾病はこの趣旨に沿って検討されるべきものでありまして、特別加入に関する業種のすべてについて健康診断を義務づけることを考えているわけではございませんで、具体的にはじん肺症、振動障害等特定の疾病に罹患する可能性のある業種についてのみ診断義務を課することを考えている次第でございます。
○高杉廸忠君 第二に、健康診断書の記載内容ですね、これは必要最小限度のものとして、記載事項、書式等を定めるに当たっては、労災、職業病の専門家、特にお医者さんを含んでいますけれども、あるいは労働組合並びに関係労働者の意見というものを十分聴取することとすべきであると、こう考えるんです。その点はいかがですか。
○政府委員(小粥義朗君) 健康診断の内容といたしましては、じん肺法なりあるいは労働安全衛生法に定めております特殊健康診断に準じたものを考えているわけでございますが、具体的な詳細な内容につきましては、あらかじめ労災保険審議会に諮ることといたしておりますので、当審議会にはもちろん労働者の代表の方も、あるいは公益委員としての医学の専門家も入っておられるわけでございまして、そうした場におきまして関係者の意見を十分聞いて定めるようにしてまいりたいというふうに考えております。
○高杉廸忠君 第三に、事前健康診断の対象となる疾病にかかわる健康診断にはかなりの費用がかかると、こういうふうに聞いているんです。 そこで確認をいたしたいと思うんですが、その費用をすべて加入希望者の負担とすれば、特別加入が事実上困難になることが予想されるんです。労働省はこの点についてどういうふうに考え、こういうことのないようにできれば確認をしたいと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(小粥義朗君) 具体的なその健康診断の費用のあり方については、なお今後至急に検討しなければならないと思っておりますが、健康診断に要する費用については、要はその負担が特別加入の阻害とならないように十分配慮してまいりたいと考えております。
○高杉廸忠君 ぜひひとつ阻害にならないように御配慮をいただきたいと思います。確認をいたしておきます。 第四に、この制度の改正を機に、この際労災保険制度への加入、この推進をするためのPRですね、労働省はもっと積極的に行って周知徹底方について強力に取り組むべきだ、こういうふうに考えるんです。特にこれは労働大臣の姿勢にもかかわる問題であります。大臣、積極的にひとつそういう対応をし、取り組んでいただきたい、要請を含めて申し上げます。いかがですか。
○国務大臣(林ゆう君) 特別加入の促進を図りますために、各種業種団体あるいはまた労働保険事務組合等を通じまして特別加入制度の周知徹底を図っているところでございます。また、地方自治体等を通じましてリーフレットの配布にも努めているところでありまして、今後ともこうした周知徹底につきましては最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
○高杉廸忠君 ぜひひとつ強力に進めていただきたいと思います。 次に、在監者等の休業補償給付の不支給についてただしたいと存じます。 労働省は、在監者等について休業補償給付、これを不支給とすることに関連をして、労働基準法の災害補償規定による使用者に対して休業補償の請求をすることをできなくするようなことを考えでいるようですけれども、この問題の処理に当たっては慎重に対処すべきであると、こう考えるんです。したがって、第一に中央労働基準審議会、これと労災保険審議会、この合同会議を設けて検討に当たるべきではないか、ぜひひとつそういうふうな角度から慎重にしていただきたい、要請を含めて申し上げたいと思うんですが、この点についてはいかがですか。
○政府委員(小粥義朗君) 在監者等に対します休業補償の取り扱いについては、今回の労災保険法の改正に合わせまして労働基準法上の災害補償についても、労働基準法の施行規則において労災保険法の改正と同趣旨のことを明確にすることを考えている次第でございます。この場合における労働基準法施行規則の改正は、当然中央労働基準審議会にお諮りをすることになるわけでございます。 その際の審議の具体的方法について、例えば合同審議会といった御指摘も今ございましたが、その具体的方法については、最終的には審議会がお決めになることでもございますので、現段階において、私ども行政当局の立場としてそのあり方について具体的にお答えできる立場にはないわけでございますが、要は、在監者等に対する休業補償の取り扱いが、労災保険法、労働基準法の両法において整合戦のとれたものとなるようにすることが肝要であると考えておりまして、両審議会の運営については、こうした観点から適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
○高杉廸忠君 第二に、労働者の団体ですね、それから労働法の学者あるいは弁護士等々の意見を十分に聴取すべきである、こういうふうに考えます。この点はいかがですか。
○政府委員(小粥義朗君) 先生も御承知のとおり、労働省の審議会は原則的に三者構成をとっておりまして、労働者の代表はもちろんでございますし、また公益委員の中にはそれぞれ労働法に詳しい専門の先生方も入っていただいたりしているわけでございます。 そこで、在監者等に対する休業補償の取り扱いを改めるに当たりましては、労働組合の代表者あるいは労働法の学識経験者等を構成員とするそれぞれの関係審議会にお諮りをして、そこで関係者の御意見もお聞きした上で措置を講ずることにし てまいりたいというふうに考えております。
○高杉廸忠君 第三に確認をいたしますけれども、今回、在監者等が休業補償の請求をすることをできなくするようなことを考えているようですね。このことは、将来その範囲が拡大をされていく不安、その危惧、これを抱くんです。 そこで確認をいたしますが、出産休暇並びに育児休職期間中の者あるいはまた懲戒処分を受けた者等については、休業補償の請求をすることをできなくするようなことはない、こういうふうにここで確認をいたしたいと思うんですが、この点はいかがですか。
○政府委員(小粥義朗君) 休業補償が不支給となる者の範囲については、関係審議会に今後お諮りをしていくことになるわけでございますけれども、今回の改正に伴い、御質問の出産休暇並びに育児休職期間中の者あるいは懲戒処分を受けた者についてまで不支給となる範囲を拡大することは考えておりません。
○高杉廸忠君 それは重要ですから確認をいたしておきます。 第四に、改正後の労災保険法第十四条の二で言う監獄ですね、それから少年院等に準ずる施設の範囲、これは極めて限定的に解釈されるべきで、不当にその範囲を拡大してはならない、こういうふうに思うんです。 そこで、この際確認をいたしますけれども、その範囲を具体的に明らかにしていく必要がある、こういうふうに思うんです。確認いたしますけれども、いかがですか。
○政府委員(小粥義朗君) 不支給となります施設の範囲については、保険給付を支給しないという不利益を課す以上、当然その範囲は明確にされるべきものというふうに考えております。 具体的には省令で規定することとしておりますが、現時点では、改正後の労災保険法第十四条の二第一号については監獄、労役場及び監置場が該当し、また同条第二号については少年院及び教護院並びに婦人補導院が該当するものと考えております。
○高杉廸忠君 第五に確認をいたしますけれども、今回の労災保険法改正によって新設される第十四条の二ですね、これによりますと在監者に休業補償給付を行わない、こういうふうにしているんですね。この場合、大事ですが、刑の確定しない未決者については給付制限をしない、こういうふうにすべきであると、こういうふうに考えますけれども、重要ですから確認をいたしますが、いかがですか。
○政府委員(小粥義朗君) 改正された後における労災保険法第十四条二の規定によります休業補償給付が不支給とされる対象者は、具体的には労働省令で定めるということにしておりますが、その際、労災保険制度は事業主の災害補償責任に基づく保険制度であることにかんがみまして、判決により刑が確定したいわゆる既決者に限定して、いわゆる未決者については対象としない考え方でございます。
○高杉廸忠君 大事ですから、これも確認をいたしました。 第六に、完全職場復帰を目指して就労してやむなく一部休業して療養している被災労働者について、今回の法改正によって収入が減るのは問題なんですね。そこで、減額の対象となる者は療養を行いながら就労する被災者であることを考慮して、社会復帰あるいは職場復帰の意欲を阻害することのないように配慮すべきであると、こういうふうに考えるんです。この点は極めて大事であります。労働大臣からお答えをいただき、確認をいたしたいと思います。いかがですか。
○国務大臣(林ゆう君) 業務上の傷病を克服いたしまして社会復帰のために努力をしている方々に対しましては、各種の援護措置を活用するなど、その努力が報われるよう十分に配慮いたしますとともに、社会復帰を一層促進するために、職業安定行政、職業能力開発行政等関係行政間の連携を図りながら効果的な施策の推進に努めてまいりたいと考えております。
○高杉廸忠君 最後の確認質問になりますが、今回通勤災害に関して、労働者の通勤経路からの逸脱または通勤の中断後の往復が通勤とされる行為の範囲、これを省令で拡大して、学校だとかあるいは公共職業訓練施設への通学等を加える、このことについては私どもも一定の評価をするところであります。 したがって、今後とも当該逸脱または中断後の往復が通勤とされる行為の範囲については、できれば適宜かつ随時見直していただいて、労働者の通勤の実態だとか生活の実態の変化に即応するようにすべきである、こういうふうに考えるんです。確認いたしますが、その点はいかがですか。
○政府委員(小粥義朗君) 今回の改正は、最近におきます労働者の通勤の実態等を考慮し、現行の通勤災害保護制度における逸脱、中断の取り扱いについて必要な修正を加えようとするものであるわけですが、逸脱または中断後の往復が通勤とされる行為の範囲の見直しについては、今後とも関係審議会の意見を聞きつつ、労働者の通勤の実態等の変化に即応し得るように対処してまいりたい、このように考えます。
○高杉廸忠君 この際、大臣の所見を伺って私の質問を終わりたいと思いますけれども、これまでの審議を踏まえまして、私どもは災害防止の観点を含め幾つかの提案もし、要請もいたしてまいりました。 労働省としてどのような姿勢で行政を進めていくのか、大臣の決意を伺い、少なくとも、今後ともいろんな問題が多くあり、財政的には大変な時期だろうと思いますけれども、私は、やっぱり労働行政の推進、労働大臣としての一層の御指導をいただきながらこれらの問題に対処していただきたい、このように要請を含め、最後に大臣の所見を伺って、私の確認質問を終わりたい、このように思います。
○国務大臣(林ゆう君) 労災行政の基本は災害防止にあると考えております。今後ともこれを最重点課題の一つといたしまして、これに取り組んでまいりたいと思います。 また、不幸にして災害をこうむった労働者の方及びその遺族に対しましては、適切な補償の実施につきましても、これまでの御議論を踏まえながら一層努力してまいりたいと思います。 —————————————
○委員長(岩崎純三君) この際、委員の異動について御報告いたします。 ただいま、田代由紀男君が委員を辞任され、その補欠として高平公文君が選任されました。 —————————————
○委員長(岩崎純三君) 他に御発言もないようですから、両案件に対する質疑は終局したものと認めます。 それでは、労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表して、労働者災害補償保険法等改正案に反対の討論をいたします。 政府は、五十五年に主に財界の要望に沿って、民事賠償分を労災年金から減額調整する改悪を行いました。財界は不遜にも、さらにこの調整幅の拡大や老齢年金との減額調整まで主張し、残念なことに、財界のこの要求が今後の検討課題に上るに至っています。 本改正案は、労働者の給付改善要求はほとんど無視され、財界の労災保険制度を根本的に転換しようとする意図の線上での経過的な改定と言えます。 この際、政府に厳重に警告をしておきたい。そもそも事業主は、労働災害被災労働者とその家族の生活を全面的に補償する責務を負っているのであります。これが労災保険制度の原則であり、したがってその給付水準は、賃金水準や国民生活の向上を反映したものに改正されるべきものであります。この労災保険制度の基本的性格から見て、 今後は安易に財界要求に屈服されないよう注意を促しておきたい。 以上が、私が本改正案に反対する総論的な理由であります。 各論的には、まず、年金給付の最高限度額の新設であります。最低額の引き上げを見返りに最高限度額を設けることは、先に述べた労災保険の本旨から見ても、現実に高齢被災労働者と家族に与える打撃は大きく容認できません。 次に、被災労働者が収監された場合、休業補償を打ち切ることとしますが、これは運輸関係労働者に与える影響は大きく問題であります。 また、本改正案では、未加入零細事業主に百罰一戒的な保険給付の一部を徴収することとしていますが、この改正は、小規模事業主の実態を無視したもので、零細事業主に過酷な負担を強いることになります。小事業主の理解と協力のもとに加入促進を図る行政努力を先行さすべきであります。 以上の理由により、本改正案に反対であります。 私は、重ねて政府に、特別支給金の充実や最低保障日額の引き上げその他保険給付の改善に努力されんことを強く要望して、反対討論を終わります。
○委員長(岩崎純三君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(岩崎純三君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 高杉君から発言を求められておりますので、これを許します。高杉君。
○高杉廸忠君 私は、ただいま可決されました労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、所要の措置を講ずべきである。 一、最近における高齢化の進展を踏まえ、高齢被災労働者の介護施策について、積極的に検計を進めること。 二、技術革新等労働環境の複雑多様化に即応して、職業性疾病の認定基準の見直しを進めるとともに、労働災害防止対策の強化を図ること。また、メリット制度の適用の拡大に伴い、多発のおそれのある「かくし災害」等の防止に努めること。 三、被災労働者の社会復帰施策に関し、職業訓練、職業紹介等の分野との連携を密にして、その充実に努めること。 四、労働災害の防止、給付事務処理の迅速化等を図るため、必要な職員の確保に努めること。 五、諸外国及び他制度の動向を勘案しつつ、今後とも給付水準の改善に努めること。 六、特別加入制度の加入時健康診断に関し、健康診断書を提出すべき疾病の範囲等を定めるに当たっては、加入が不当に妨げられることのないよう配慮すること。 右決議する。 以上でございます。
○委員長(岩崎純三君) ただいま高杉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(岩崎純三君) 全会一致と認めます。よって、高杉君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、林労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。林労働大臣。
○国務大臣(林ゆう君) ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存であります。
○委員長(岩崎純三君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所及びその出張所の設置等に関し承認を求めるの件を議題とし、討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。−別に御発言もないようですから、討論はないものと認めます。 これより採決に入ります。 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所及びその出張所の設置等に関し承認を求めるの件を問題に供します。 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(岩崎純三君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(岩崎純三君) 社会保険労務士法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、提出者衆議院社会労働委員長代理理事稲垣実男君から趣旨説明を聴取いたします。稲垣実男君。
○衆議院議員(稲垣実男君) ただいま議題となりました社会保険労務士法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。 近年、社会経済情勢の著しい変化と進展に伴い、労働及び社会保険諸制度についても大幅な整備改善が行われ、その内容は、極めて複雑かつ専門的なものになっております。そのため、これらの業務に熟達した社会保険労務士の活動に対する要請は、量的にも質的にもますます増大しております。 このような状況の中で、社会保険労務士の行う業務の公共性、専門性及び重要性にかんがみ、その職務内容等を充実するとともに、資質の向上を図ることは、極めて重要な課題となっております。 また、昭和五十六年の法改正に当たっては、衆参両院の社会労働委員会において、事務代理制度の実施の検討等について、決議のなされているところであります。 このような実情を踏まえ、社会保険労務士制度の整備充実を図るため、ここに本案を作成し、提出した次第であります。 次に、その内容の概要を御説明申し上げます。 第一に、社会保険労務士の職務内容の充実を図るため、社会保険労務士は、労働社会保険諸法令に基づく申請等について、または当該申請等に係る行政機関等に対する主張、陳述について、事務代理ができるものとすることであります。 第二に、事業所に勤務する、いわゆる勤務社会保険労務士について、事業所の名称等の登録を義務づけるとともに、その勤務する事業所の事務処理の適正化等に努めるものとすることであります。 第三に、社会保険労務士の資質の向上を図るため、社会保険労務士会等の行う研修について、社会保険労務士は、その受講に努めるものとするほか、事業主も、勤務社会保険労務士にその受講の機会を与えるように努めるものとすることであります。 なお、この法律は、昭和六十一年十月一日から施行するものといたしております。 以上が本案の提案理由及び内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(岩崎純三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。——別に御発言もないようですから、質疑はないものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようですから、討論はないものと認めます。 これより採決に入ります。 社会保険労務士法の一部を改正する法律案を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(岩崎純三君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十五分散会 —————・—————