外務委員会 第4号
- 発言数
- 171 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1986/05/15
会議録
○委員長(最上進君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る四月二十三日、水谷力君、宮島滉君及び橋本敦君が委員を辞任され、その補欠として大鷹淑子君、夏目忠雄君及び立木洋君が選任されました。 また、四月二十四日、板垣正君及び杉山令肇君が委員を辞任され、その補欠として後藤正夫君及び森山眞弓君が選任されました。
○委員長(最上進君) 雇用政策に関する条約(第百二十二号)の締結について承認を求めるの件、人的資源の開発における職業指導及び職業訓練に関する条約(第百四十二号)の締結について承認を求めるの件、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、以上三件を便宜一括して議題といたします。 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。安倍外務大臣。
○国務大臣(安倍晋太郎君) ただいま議題となりました雇用政策に関する条約(第百二十二号)の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 この条約は、経済の成長及び発展の促進、生活水準の向上、失業等の克服を図ることを目的として、昭和三十九年六月にジュネーブで開催された国際労働機関の第四十八回総会において採択されたものであります。 この条約は、この目的達成のため、加盟国が完全雇用、生産的な雇用及び職業の自由な選択を促進するための政策を宣言し及び遂行すること、かかる雇用政策に関して労使団体の代表者と協議すること等を定めております。 我が国がこの条約を締結することは、経済の成長及び発展並びに完全雇用の実現に関する国際協力に寄与する見地から有意義であると認められます。 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。 次に、人的資源の開発における職業指導及び職業訓練に関する条約(第百四十二号)の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 この条約は、昭和五十年六月にジュネーブで開催された国際労働機関の第六十回総会において採択されたものであります。 この条約は、雇用と密接な関係を有する職業指導及び職業訓練に関する包括的で調整された政策及び計画を採用し、発展させること、かかる政策及び計画の策定及び実施に関して労使団体と協力すること等を定めております。 我が国がこの条約を締結することは、人的資源の開発における職業指導及び職業訓練に関する国際協力に寄与する見地から有意義であると認められます。 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。 次に、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 政府は、中華人民共和国政府との数次にわたる交渉を経て、昭和六十年七月三十一日に東京において、我が方本大臣と先方呉学謙国務委員兼外交部長との間でこの協定に署名を行った次第であります。 この協定の主な内容としまして、両国政府は、専門家及び情報の交換、核物質等の供給並びに役務の提供等について協力することとなっており、この協定に基づいて受領された核物質等は、いかなる核爆発装置の開発または製造のためにも、また、いかなる軍事的目的のためにも使用してはならないこととなっております。また、このため、両国政府は、この協定に基づいて受領された核物質等に関し、国際原子力機関に対し保障措置を適用することを要請することとしております。 この協定を締結することは、日中間の協力の分野を広げることになり、日中関係を長期にわたり、より安定的に発展させることに資するものと考えられます。また、この協定は、我が国として中国に対する原子力発電に関連する資器材等を輸出することを可能にするものであり、特に、核拡散防止条約の非締約国で核兵器国である中国との間で、国際原子力機関の保障措置の適用に関する規定を含む協定を締結することは、核不拡散のための国際的努力に資するとの点からも意義は大きいものと考えられます。 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。 以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
○委員長(最上進君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 これより三件を一括して質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○松前達郎君 ただいま趣旨説明がございました三件のうち、ILO関係の二件、これについては大して問題はないんじゃないか、こういうふうに私は理解をいたしておるわけでありますけれども、それはそれといたしまして、これは外務大臣にお伺いいたしたいんですが、もう既に国会においても何回か核実験関係に関連する決議が行われているわけでありまして、これはもう十分御承知だと思います。例えば一番近い決議だと九十六回国会で、でれば参議院の本会議でありますが、第二回国際連合軍縮特別総会に関する決議というのが行われておるわけでありますが、これは対象がやはり核という、核兵器も含めた核の製造、実験、貯蔵、使用の禁止というものを目指していこうという趣旨の決議もその中に入っているわけですね。さらに、核実験全面禁止条約の早期実現を訴えるということもこれに含まれておりますし、また、さらに非核武装地帯構想というものが評価をされておる。その他もありますが、大体こういったものが中心となったような決議でございますけれども、我が国として核実験に関して、今後やはりこういった趣旨を踏まえた上での国際的な努力を進められるかどうか、その点について、まずお伺いをいたしておきたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 核実験につきましては、もちろん全面的禁止というのが我が国の基本的な方針でございまして、これに基づきまして、これまでも国連とか、あるいは軍縮委員会等で日本の立場を強く推進をしてまいったわけでございます。 なお、核実験が行われるたびに、いかなる国に対しましても、核実験が行われる場合はこれに抗議もいたしてまいったわけでございますが、しかし、ただ、現在の状況から見ますと、一挙に核実験全面禁止ということに持っていくことは、なかなかこれは現実的に難しい。最終的な目的を達成するためには現実的に、段階的にステップ・バイ・ステップで行うことがむしろ現実的で、そして核実験全面禁止を可能ならしめる。こういう判断から、実は私が外務大臣になりまして、ジュネーブの軍縮委員会に日本のステップ・バイ・ステップ方式を提案いたしまして、今軍縮委員会でいろいろとこの提案につきまして論議が行われておるわけでございまして、我々はぜひともこの日本の提案を米ソを含めて各国が積極的に論議をしていただいて、これが実現、実行をされる。そして最終的な核実験禁止に結びつくことを期待しております。
○松前達郎君 一挙に直ちにこういう問題が解決できないというのは、全くおっしゃるとおりだと思うんですが、しかし、やはりどこかでこのジャンクションがなければ、話し合いが始められなければ、これはいつまでたっても同じでありますから、米ソが一番中心になると思いますが、そういった両国が話し合ってくれるということを我々としては期待したいんですが、その点いかがでしょうか。
○政府委員(中平立君) 先生ただいま御指摘のように、やはりこの問題の解決のためにはアメリカ及びソビエトの間で話し合いがつくということが必要ではないかと思うわけでございますが、その両者の間で実りある話し合いが行われるためには、アメリカが近年提案しておりますが、検証問題に関する両国専門家間の会合とか、あるいは最近行われましたアメリカのCORRTEXという検証手段に関しまして、そのソ連の専門家を現地に招待するというアメリカの提案がございますけれども、このような提案につきましてソ連が前向きの姿勢を示すということが一つのステップではないかというふうに考えておるわけでございまして、いずれにいたしましても、この検証問題ということが非常に大きなネックになっておるわけでございますので、検証問題に関しまして、ソ連とアメリカの間の協議が進展いたしまして、核実験禁止の実現が図られるということを日本としては期待しておるわけでございます。
○松前達郎君 そこで、もうこれはお聞きになったんじゃないかと思うんですが、ソ連のゴルバチョフ書記長が国営テレビのニュース番組で二十五分ほど演説をいたして、その内容として、今回のチェルノブイル原子力発電所の事故に関して触れていたと思うんです。これは現地時間ですと、昨日、日本だとけさになるんでしょうか、この原子力発電所の事故については、これは非常に不幸なことである、一言で言うとそういうことになってしまうんですけれども、これについてはまだ後で触れたいと思うんですが、その演説の中でやはり核実験に関する事項が出てきているわけなんですね。特に核実験に関してはソ連が一方的に今まで停止をしてきた。アメリカが応じないからまた再開をする。ところが、さらにこの停止を再び延長をいたしまして、今後その停止期間を八月の原爆記念日というんですか、そのころまでソ連としては一方的に延長するというふうな内容の演説が行われたわけなんですが、しかもその演説の中で、核実験停止について首脳会談をやる用意がある。首脳会談といっても完全なトップの会談かどうかわかりませんけれども、とにかく担当者を含めた首脳会談をやる用意がある、その場所としてヨーロッパもしくは広島のいずれかを提案するというふうなことが演説の内容に含まれていたわけなんですね。これについではどうでしょうか。広島といいますと、日本は唯一の被爆国、しかもその被爆地でもありますし、そういった意味も含めて非常に意義がある候補地であろうと私は思うんですが、その点について外務大臣いかがでしょうか。
○政府委員(中平立君) ゴルバチョフ書記長のモラトリアム延長に関しましては、既に我々政府といたしましても承知しているところではございます。 今回のソ連のモラトリアム延長につきましては、従来から再三にわたってソ連は言っておるわけでございますが、そういう意味でソ連の出方を注目しているわけでございますけれども、他方、先ほど申し上げましたアメリカの現実的な提案に対してソ連は全然反応しておらないということもございまして、今回のソ連の提案が核実験禁止を含めましていわゆる米ソ間の核兵器削減交渉に対する積極的な態度を示すものであるかどうかということは直ちに判断しがたいというふうに考えている次第でございます。 来ソ首脳会談の場所といたしまして広島が言及されているわけでございますが、先生御存じのように、昨年のジュネーブにおきます米ソ首脳会談におきまして、ことし行われる第二回目の米ソ首脳会談というものはゴルバチョフ書記長がアメリカを訪問いたしましてやろうということに合意されているわけでございまして、広島という話は全く突然に出てきたわけでございまして、我々政府といたしましてソ連側から根回しといいますか、何ら事前にそういう話を聞いてもいないというのが事実でございます。 いずれにいたしましても、米ソ首脳会談の開催地につきましては当事者であるアメリカとソ連が話し合いによって決めるという問題でございまして、そういうことが行われないで、ソ連が一方的に広島の名前を言うというのはややいかがなものかというふうに考えられますし、そういう意味から広島はいかがかという御質問を受けましても、直ちに政府としてはコメントしにくいというふうに申し上げられるのではないかと思うわけでございます。いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように核実験停止問題につきましては、アメリカとソ連の意見もかなり現在のところ異なっておりますし、アメリカは首脳会談というものは特定の問題を討議するというよりは、非常に幅の広いいろんな問題を討議するというふうに考えているようでございまして、そういうことからこの段階で広島につきまして政府が積極的に意見を申し上げるということは差し控えたいと、こう思うわけでございます。
○松前達郎君 米ソ会談ですから日本がどうやれこうやれということは言えた義理はないわけですね。これは当然ですから今おっしゃったことも理解はできるんですが、広島という場所を挙げながら、多少これを意識しながらヨーロッパのほかにつけ加えているというのは多少の見方の変更が少し伴っているんじゃないかという気もするわけです。やるやらないはお互いに米ソで決めることですから我々としては何とも言えないが、もしかですよ、そういうふうになるとした場合には、これは政府としては歓迎をするということになりましょうか。
○政府委員(中平立君) 先ほど申し上げましたように、第二回首脳会談というものはアメリカで行われるということになっておりますので、ソ連の一方的なそういう提案はございますけれども、両者で決めることでございますので、恐らく、私ども考えておりますのは、そういう可能性はまずないのではないかという感じがいたしますし、そういうことでございますので、今の段階でもしそういう提案がなされたらどうするかということについては意見の表明は差し控えさせていただきたいと思います。
○松前達郎君 政府としてはその程度になると思いますね。そこから先はもう申し上げません。ただ、広島というのが意識的に入っているものですから、これは意識的に入れたのか、あるいは八月というのにひっかけて、原爆記念日といいますか、それとのかかわり合いを考えてそういうふうに言ったのか、それはよくわかりませんが、多少でもこういった核に対する人類への影響というものを認識したと私自身は評価をしているわけです。結論としてそれが行われる行われないは別として、その問題はそれだけにいたします。 次に、外務大臣にお伺いいたしますが、去る一月にシェワルナゼ外相が来日をされまして、外相会議、政治レベルでの話し合いというものが行われたわけでありますが、その結果として文化交流協定の締結、この問題があったと思うんですね。それからもう一つは、北方領土墓参問題、これもあったと思うんです。これはいろいろとあと、解決がまだ延びていると思いますが、恐らく政治レベルでは、外相同士ではこれについて積極的に努力しようという合意がされたんじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 文化協定についてはまだ最終的に詰まっていないんですが、これは鋭意詰めようということになっています。 北方領土に対する墓参の問題ですが、これは人道的な立場で解決しよう、日本の立場、日本人関係者の気持ちはよくわかるということで、我々の間では今おっしゃるようにシェワルナゼ外相は相当な理解を示した、こういうふうに私は受け取っておるわけでございます。
○松前達郎君 その問題は、その後日ソ間で事務レベルで恐らく話し合いがある程度進んでいるんじゃないかと推察をするんですが、これは多分欧亜局長とカピッツァ外務次官との話が行われているんじゃないかと思うんですが、その点いかがですか。
○政府委員(都甲岳洋君) お答え申し上げます。 四月に欧亜局長が日ソ経済合同会議に出席するため訪ソした際にカピッツァ外務次官とこの問題について話し合いましたけれども、先方は本件についてなお検討中であるということで具体的な考えは特に示さなかったというのが実情でございます。
○松前達郎君 どうもその辺が問題なんで、考え方によってはソ連側はこの問題は高度の政治的な問題であるから政治レベルでの問題として取り扱いたい、こういうふうに考えているんじゃないかと私は思うんですね。そうなりますと、やはり大臣同士の話し合いあるいは担当の最高責任者同士の話し合いというものでこれを解決するのが一番早道じゃないか、こういうふうな気がするわけなんですが、さてそうなりますと、今度の外務大臣が訪ソをするという問題ですね。これもそれにひっかかってくるはずなんですね。外務大臣、訪ソをするとおっしゃったり延ばしたり、いろんなことが裏にあってなかなかその決断がおつきにならないんじゃないかと思うんですが、私はできるだけ早くこういう問題については熱いうちに討議をしながら決めていくというのがいいんじゃないか、こう思っておるわけなんです。北方領土の問題があるからといってすべてにひっかかっていたんじゃ話になりませんので、そういった観点から見て、なるべく早い時期に訪ソをしたらいいと私自身は思うんですが、外務大臣の御意向はいかがでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私の訪ソにつきましては、共同声明で合意してうたっておりますし、またシェワルナゼさんとの会談でもぜひ行こう、シェワルナゼさんもぜひいらっしゃいということにお互いに話し合って分かれているわけですから、基本的にはこれは行かなきゃならぬ、行きたい、そういうふうに思っておるわけでございますが、客観的なそういう情勢もありますし、今ここで議論に出ているような見通しの問題等もありますし、相手側の日程もありますし、いろいろとその辺のところを実は折衝いたしておる、こういう段階でありまして、できるだけ早くこれは結論を出さなきゃならぬと、こういうふうに思っておりますけれども、今ここではっきり申し上げられるという段階ではないわけでございます。
○松前達郎君 できるだけ早くということは私申し上げたんですが、今まで安倍外務大臣一生懸命やってこられた日ソ間の問題があるわけですね。ですから、やはりそこまでいかないとそれの仕上げができないんじゃないかという気もするんです。外務大臣が次はかわるということを言っているんじゃないですよ。仕上げをするために問題としてやはり積極的な取り組みをひとつされたらいいんじゃないかと私は思っておりますし、また墓参問題というのは人道的な問題もございますから、そのためにもぜひ積極的な取り組みをしていただければと思うんですが、また同時に、今回ソ連の原発事故ですね、これに関しても私自身も情報をいろいろ集めるんですけれども、どうもソ連側でもわかってない。どういうところが壊れたのか、あるいはどういう原因があったのか、それもなかなか判明しなかった。現在でも確定的な判明はしていないと思いますが、ただし、その結果として起こったことだけは厳然として事実になっておるわけです。被曝者も大分いるようですし、またそれらについての対応ですね、手当て等についてもソ連はまだ経験がほとんどない。ですから、こういった問題で、ソ連側が例えば医療とかそういうものも含む分野ですが、被曝した方々に対する手当てとか、情報とかあるいは方法等の援助ですね、こういうものを求めてくるかどうかわかりませんが、もしかそういうことを希望しているとすれば、そのこともひっ提げて外相会談に臨まれたらいいんじゃないか、これもやはり人道的な問題、そういうふうに私は思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 大変御激励をいただきましてありがとうございました。できれば訪ソしまして、領土問題を初めとしまして、日ソ間のまだ懸案問題がありますから、これを解決して日ソの関係をひとつ改善してまいりたい、空気はそういう方向だろうと思っておりますし、なお今のチェルノブイル原子力発電所事故問題についても、これは世界じゅうが注目しておりますが、日本としても非常に重大な関心を持っておりますし、サミットでも既に取り上げられまして、これに関する声明も出されたわけでありますし、日本も原子力発電所を多く運転さしておりますし、原子力関係では相当な研究も進んでおりますから、日本として何かこの事故に関してお役に立つことがあればお手伝いはしましょうということで、例えば医療なんかの問題についても既にソ連側に政府間で申し入れておるわけでございます。協力の申し入れをしておりますが、まだソ連側からはこれに対して返事が来ておらないということでございます。 しかし、まだ状況は把握できないような事態になっておりますし、今後もしソ連側から要請があれば、申し入れていることでもございますから喜んで協力をしたい、こういうふうに考えております。
○松前達郎君 恐らく医療の問題が出てぐるのはこれからの問題だと思うんですね。今までは緊急措置の方に忙しくてとてもそこまで回らない。実態がだんだんわかってくるに従って医療について出てくるんじゃないかと私は思うんです。ですから、まだ、今おっしゃったことはこれから十分協力態勢をとる可能性も出てくるんじゃないか。ただ、国と国との交渉みたいなものになりますと、やっぱりメンツがあってなかなか頼むぞと言いにくい、こういうこともあるんですね。ですから、それに関してあるいは民間等が協力をしようという、学術的な面も含めて、そういう態勢がもしか出てきたら、これはまあ私はそう大きな問題にはならないでスムーズにやれるんじゃないか、こういうふうに思うんですね。ですから、国としても申し入れをされているということでありますので、これについて何らかの協力ができるような協力の要請等があればひとつ積極的に対応すればいいんじゃないか、こういうふうに私は思っております。 そこで、今度は同じ原子力でありますが、日中原子力協定、これは仮称でありますが、これに関する問題を取り上げたいと思うんですが、これは外務省の皆さんだけしかおられないので技術的なことは余りここで質問さしていただいてもちょっと違う面になってしまうので、基本的な面だけお伺いしたいと思うんですが、まず最初に、この協定の中でいわゆる核物質というのがございますね、専門家及び情報の交換、核物質、原子力資材等の移転、役務の提供というふうになっておりますが、この専門家及び情報の交換、これは別に問題ないと思うんですね。核物質というのは一体どういうものなのか、具体的にわかっていましたらひとつこれを説明していただきたい、こう思うんです。いかがでしょうか。
○政府委員(松田慶文君) 御質問の核物質につきましては、第一条定義条項の(e)におきまして明確に定義してございます。 読ましていただきますと、 (e) 「核物質」とは、次に定義する「原料物質」又は「特殊核分裂性物質」をいう。 (ⅰ) 「原料物質」とは、次の物質をいう。 ウランの同位元素の天然の混合率から成るウラン 同位元素ウラン二三五の劣化ウラントリウム 金属、合金、化合物又は高含有物の形状において前記のいずれかの物質を含有する物質 他の物質であって両締約国政府が文書により認める含有率において前記の物質の一又は二以上を含有するもの 両締約国政府が文書により認めるその他の物質 (ⅱ) 「特殊核分裂性物質」とは、次の物質をいう。 プルトニウム二三九 ウラン二三三 ウラン二三五 同位元素ウラン二三三又は二三五の濃縮ウラン 前記の物質の一又は二以上を含有する物質 両締約国政府が文書により認めるその他の物質 「特殊核分裂性物質」には、「原料物質」を含めない。 以上でございます。
○松前達郎君 それは協定の中の文章なんですが、ちょっと質問の仕方が悪かったと思うんですが、それじゃ例えば核燃料とかあるいはなんというんですか、燃料だって固体化した燃料、粉末を固体化した燃料がありますね。そういったような具体的な対象物をひとつ教えていただきたいんです。
○政府委員(松田慶文君) お答えを申し上げますと、御指摘のそのような燃料等々は当然に両国間の協力の対象の物質となっております。
○松前達郎君 核燃料というのは、これは例えば日米の協定とかその他の国の協定でございますね。その中で提供国、もとのウランの提供国といいますか、核燃料の提供国との協定の中にこれを他に持っていっていいとか悪いとか、そういうのは入っていなかったですか、他の国に移動してよろしいとかそういったような条項が。いかがでしょうか。
○政府委員(松田慶文君) 締約両国間のやりとりにつきましては、当該協定に従って移動することが当然前提とされておりますが、さらにそれから先第三国への移転に関しましては種々条件が付されております。
○松前達郎君 その条件を踏まえた上で第三国へ締結国から提供された核燃料物質、それを移転してよろしいという、例えば日本でウランを濃縮いたしますね、そしていわゆる燃料にいたしますね、そういった燃料が日本の原発で使うんなら提供国との間の協定によってそれはオーケーだけれども、それを日本で使わないで中国へ持っていってしまうというふうなことが考えられるということですか、この協定では。
○政府委員(松田慶文君) この協定はあくまでも、我が国と中国との間の協力関係を律しておりますので、今御指摘のようなケースが出てまいりますのは、日本から中国へあるいは中国から日本へ来たものが、燃料等も含めましてそれぞれの国以外に行くときには相手方の事前の同意が要る、そういったことがこの協定内容の一つになっております。
○松前達郎君 そうしますと、あくまでも中国から例えばウラニウムの提供を受けたら、そのものについては中国にまた戻してもいい、その間の二国間のやりとりなら一向差し支えない、こう理解していいですね。まあこれは当然だと思うんですけれども。
○政府委員(松田慶文君) 戻すというのはまた別途の話でございますが、先ほど御質問の第三国へ行くかどうかということは、第五条にございますとおり相手方の事前の同意があって初めてなし得ることでございます。
○松前達郎君 例えば再処理とかそういうものについてはこの規定に入っていない、別に定めるということになっているんですね。ですから、協力体制はないけれども中国の核燃料物質を日本が再処理をするとか、そういうことが対象になり得るかどうかということが頭にあったものですから、それでちょっと質問させていただいたんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(松田慶文君) ただいま先生御指摘のとおり、再処理につきましては合意議事録に明記しておりますとおり、その扱いは別途両国間の取り決めでやることにしよう。逆に言いますとそういう特段の取り決めがない限り日中間ではやらないことにしようという理解がございます。したがいまして、使用済み燃料の再処理ということは、当面日中間の協力のアイテムには考えておりません。
○松前達郎君 それから、もう一つだけお伺いしておきたいんですが、中国で現在計画をしている、あるいは建設中の原子力発電所が幾つかあるわけですね。その中で今日まで我が国から原子力発電所の器材として、例えば圧力容器とかそういうもので現に輸出されてもう既に使用すべくその態勢に入っているというのがどのくらいあるか、これは大ざっぱで結構ですからお聞かせいただきたいんですが。
○政府委員(松田慶文君) この協定がまだ発効しておりません現在では、日中間の原子力機器の移動は特別な扱いを必要とするわけでございますが、実例といたしましては一件のみ、先般秦山原子力発電所三十万キロワット炉の圧力容器を平和利用を担保するという約束を付した上で提供することになっておりまして発注済みでございますが、まだ引き渡しに至っておりませんし、稼働に至っておりません。
○松前達郎君 それはもう発注する予定ですか。発注になったわけですね、それで製造を開始したということですか。
○政府委員(松田慶文君) そのとおりでございます。
○松前達郎君 そうしますと、それが中国へ行って実際に組み込まれていくというのはこの協定が発効した後じゃないとできないのか、それともこれと関係なしにもう既に今さっきおっしゃったように条件をつけてということですから、それでもう可能になっているのか、もう一度そこをはっきりしておきたいと思います。
○政府委員(松田慶文君) この案件は、日中協定が締結を見る以前の案件でございまして、将来この協定ができるということの確たるめどのない段階でございましたものですから、日中政府間で話し合いました結果、書簡交換をもってその提供いたします圧力容器が平和利用に限って利用されることを確認した上で一件処理としてその提供を約束いたしました。
○松前達郎君 この原子力の平和利用における協力のための日中協定なんですが、今回この協定は今までの協定と違うところがあるんですね、大きな基本的な問題で違っている。それはどういうことかといえば、いわゆる中国側の原子力開発技術の方が要するに日本よりも劣っている部分がある。劣ると言うとちょっとまずいかもしれません。低い部分があるから日本の原子力開発の技術を取り入れたい。技術にしろ製品にしろ取り入れたい、こういう中国側の要望がこの中に含まれているんだと思うんですね。今までの日本が結んできた協定はその逆で、日本側が今度外国側からそういう提供を受けるという、そういう大きな何といいますか、ストリームの流れが違うわけですね。 そこでもう一つだけお伺いしておくのですが、この協定を締結するときまでのいきさつとして、中国側としてこの協定に対して要望が最初にあったのか、日本側から誘い水をかけたのか、その点いかがでしょうか。その経緯をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(松田慶文君) この協定の締結交渉は、五十八年九月の第三回日中閣僚会議において合意を見て始められたものでございますが、それに先立って日中間では民間レベルで原子力分野における協力がそれなりに進められておりました。したがいまして、当事者間では安全性の問題あるいは将来の原子力発電の建設の基礎的な問題等でかなりの意見交流がございました。それらを含めましてこの五十八年の閣僚会議では、両者からそれぞれ原子力協力分野に日中協力の場を広げることの重要性が指摘されまして、急速に協定締結の機運が醸成された次第でございました。
○松前達郎君 そうしますと、第三回の日中閣僚会議ですか、ここで中国側が提案してきたということじゃなくて、両者で同時提案というのですかね、そういう格好になるのですか。
○政府委員(松田慶文君) 基本的には双方が共通の関心事として提起し合ったということでございます。
○松前達郎君 この辺のいきさつが、またこの協定に関していろんな判断をする面で非常に重要だと思うんで、今お伺いをいたしたわけであります。 それでは、次に移りますが、私が日ごろ大臣に申し上げており、またSDIだということになるわけですが、これはSDIに関して私自身非常に興味を持っているものですから、興味というのはいい悪いは別として、ちょっとこのSDIの参加問題について最近多少の進展があったようですね。これについてお伺いをいたしたいと思うんですが、まずSDIの研究参加問題を検討する外務、通産、官房、防衛、科学技術の閣僚会議が十三日行われた、こういうふうに報道されておるわけですが、この結果として米国の考え方を理解することで一致というふうに報道されています。これは前にもう大臣、おっしゃったことなんですね、理解するということについては。ですから、これじゃ余りそれから先の進歩になっていない、進歩しなくても結構なんですけれども。そんなに進歩になっていないと思うんですが、今後この問題の取り扱いについてのスケジュールというのは決まっていますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは非常に慎重に検討、勉強しまして、調査団も三回も行ってきて勉強し、その調査報告も我々受けております。閣僚会議も二度にわたりましてやりまして、第一回目は調査団の技術的な立場からの報告を受けました。これは技術的にはよくわかると、研究に参加することがこれからの将来の日本の高度技術の発展ということを考えるとそれなりに意義があるのじゃないだろうかというふうな雰囲気がありました。これは技術的な問題ですが、前回やったのはSDIの戦略的な立場からの説明を受けました。これに対していろいろと質疑応答が行われたわけでございますが、これは今おっしゃいますように今のSDIというものが防御的な兵器体系である、さらに非核、そしてミサイルを結局撃ち落として最終的には核兵器を絶滅する体系にまでなっていくんだ、体制にまでなっていくんだと、そういう戦略的な背景とかそういう問題を我々説明を受けたわけです。 十分理解のできない点もありましたけれども、理解できないというのは非常に難しい問題もありましたけれども、全体的にはどうも我々が初めアメリカに中曽根総理とともに行ったときにレーガン大統領から受けたその感じ、そしてそれは理解すると述べたわけですが、そういう感じを裏打ちするものであったと。特にその後のニッツ代表の演説もありますし、あるいはまたレーガン大統領のその後の演説もありますし、いろいろとアメリカから詳しい戦略的な立場からの説明もいただいて、さらにそれを敷衍していろいろと勉強した結果がさらにそれを裏づけたということで理解したということになったわけでございます。 これからはもっと具体的に制度面からの我が国の制度との関連、関係等、それからまたヨーロッパ各国がどういう形で参加しているか、そういう中でいろいろな法律的な面をどういうふうに整理しているのかというようなこと等もこれからひとつ勉強してみようというふうに考えておりまして、まだまだ議論する余地といいますか、そういうものは随分あるように思っております。
○松前達郎君 議論の余地はうんと残しておいていただきたいんですが、今、技術的な説明が理解できると、技術的という言葉の意味が大臣の使われた意味と私とは違うかもしれませんが、閣僚の中で技術的にわかるなんという人はいないわけですよ。いたら大変なことになる。ですから技術的なことはやっぱり技術屋の方がよくわかる。学者とかそういう方々の意見を聞く方がいいんじゃないか。それもいわゆる参加推進学者と反対学者といますかう、そういう方々の意見を取り入れていかれた方がいいんじゃないか、こう思うんです。そのほかの政治的判断とかそういうものはこれは別ですけれども。 もう一つ、報道されているのに、これはイスラエルの無任所相のアレンスという方ですか、これは前の国防相だということですが、この方が日本に来られた、七日ですか来られて外務大臣がお会いになったわけですね。それから、防衛庁長官も科学技術庁長官もお会いになっているという報道があるんですが、この方は報道によるといわゆるイスラエルがSDIに研究参加することの立て役者だったというふうに言われているわけなんですが、このアレンス無任所相とお会いになったときの何か内容について、もしかよろしかったらお聞かせいただきたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) そう難しい話はしなかったように思っておりますし、日本のアラブ政策とか中東政策等について説明もいたしたわけでありますが、それからまた日本とイスラエル二国間の関係等についても意見の交換を促したんですが、今私も初めて知識を得たわけですが、SDIについて特別なエキスパートであるということは私も承知しておりませんでしたし、意見の交換もSDIについては一切ありませんでした。
○松前達郎君 科学技術の専門家だというふうに報道されているものですから、また同時にイスラエルのSDI参加問題で大きな役割を果たした人材であるということですので、当然SDIに関することをいろいろ意見を言われたんじゃないかと私推察をしたものですから、お伺いをいたしたわけなんです。 そこで、現在までは、例えば英国、ドイツ、フランス、カナダ、こういった国々がSDIに関する研究参加を打ち出しておるわけですね。ところが、各国それぞれの立場で検討してみると、これに関してはいろいろな問題が派生的に出てくる。ただその技術開発のバスに乗りおくれまいというので参加はしてみたけれども、よくよく考えてみたらいろいろな制約が多過ぎてどうもうまくないというふうな意見も出てきているよう。であります。イギリスあたりあるいはどこの国だったですかね、これはもう完全にそういった先端技術に関する製品の受注を受けるという、そういう問題だけで参加をする、それを主眼として参加をするというような、そういう参加の仕方を考えてやったところもあるようでありますが、参加の際に問題となった点、各国違うと思いますが、これをそれぞれの国に関して情報を集めておられますか。
○政府委員(藤井宏昭君) お答え申し上げます。 先生御存じのとおり、SDIに関します取り決めはいずれも、イギリスの場合、それからドイツの場合も秘密扱いとなっておりまして、我々としてもいろいろな公開その他の情報は集めておりますけれども、一定の限界と申しますか、そういうものがあるようです。
○松前達郎君 公開はしない、だけれども、中には情報が漏れて報道されている面もありますね。ですから、恐らく正式な公開がない限り研究する必要はないんだというのだったら、これからSDIに関する研究はできないですよ。その辺いかがですか。
○政府委員(藤井宏昭君) 先ほども申し述べましたように、各国の公開、非公開の情報を我々としてもできるだけ収集しております。
○松前達郎君 その結果としていろいろ問題があることを恐らく御存じだと思うんですね。具体的な点でいろいろ出てきているはずです。ですから、先ほど今後のスケジュールを大臣にお伺いいたしたんですが、やはり相当慎重にこれらについては検討されることを要望をいたしたいと思います。 しかも最近の報道では、米国の研究者がSDIへ参加しない、拒否といいますかね、この数がどんどんふえてきているわけですね。これについてもおよそ学者の皆さんは東海岸が多いんですね。これはもう皆さん御承知のとおり、東海岸の方が、西と東と比べますと東の方が多少レーガン政策に対しては批判的なグループが多いですから、こういったようなアメリカの学者もどんどんこれに参加拒否をする。ということは、実際にそういった研究開発をする担当者ですね、そういう方がだんだんと拒否がふえていくということですね。これについてはどういうふうに判断をされますか。
○政府委員(藤井宏昭君) 最近の報道では、学者六千五百名が反対の意見を述べたというような報道もございます。しかしながら、アメリカ全体といたしましてはこのSDI研究の世論調査などにおきましても、これに対して積極的な結果というものが、世論調査にもよりますけれども大体六〇%ぐらい出ております。さらにSDI研究そのもの、これはかなり広範な研究機関、それから会社、それから場合によっては大学等にわたっておるわけでございますけれども、この研究自体が、先ほどの第三次の調査団の報告によりましても、この一年間と申しますか半年ぐらいの間にも、第二次以降の間にも大変に進んでいるということでございます。
○松前達郎君 簡単に言えばそうかもしれませんが、例えば大学あたりの学者がこれに参加したいというのは、これは研究費を欲しいからなんですよね。SDIそのものに大賛成で、それじゃ研究費を自分で捻出してまでもそれに参加するかというと絶対しない。やはり研究費というのは、アメリカの大学あたりだとほとんどがどこかから研究費を持ってきてそしてその研究を達成していくという、その持ってくる率の、持ってくる能力の高い教授ほど評価されているという、そういうふうな状況ですから、当然これは研究費が絡む。会社に至っては当然ですね、会社自身がそれによって利益をこうむるということもあります。ですから、全般的に世論であるというふうに見るのはちょっとおかしいんじゃないかと私は思うんですが、国民世論がSDI参加を支持するといっても、SDIというものが恐らくこういうものだというのを十分知らないアメリカ国民が非常に多いんじゃないか、かえって日本人の方が知っているんじゃないかと思うくらいですね、これは私の意見でありますけれども。いずれにしても今後の成り行きというのは非常に重要だと思うんですね。ですから、さっきから申し上げているように、あらゆる情報を集めていただいて、そして間違いのない判断をひとつお願いをいたしたい、これを外務大臣に要望しておきますが、いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) そういう立場で慎重にあらゆる情報を集めながら検討を進めておるわけです。これは別に期限があるわけじゃありませんが、いつまでもというわけにもいきませんけれども、あらゆる角度から勉強を進めていきたい、こういうふうに思っています。
○松前達郎君 そういうふうにお願いしておきたいんです。 さて、また話題が変わるんですが、ニュージャージーですね、この問題について、差し上げた通告にはなかったんですが、これについてちょっとお伺いしたいんですが、これは、実は昨年日本に寄港するといっていたんですが、それが延びているものですね。いよいよこのニュージャージーがトマホークを搭載する、これは古い船ですがトマホーク搭載艦に変えられて、いよいよ戦列に、戦列といっちゃおかしいんですが配備が行われる、こういうことになったわけなんですが、これが八月に日本に寄港するという話が出ているんですが、これについては外務省の方には通告がございましたか。
○政府委員(藤井宏昭君) 本件については、本日も一新聞が情報として掲げておりますけれども、本件につきまして、ニュージャージーが我が国に寄港するという具体的な計画は外務省の方では正式に聞いておりません。
○松前達郎君 訓練をするということについてのステートメントは出ているんだろうと思うんですね、計画があるということは。それで、その際日本のどこかに寄港させたいという希望があるようですね。ですから、寄港するということが決まっているわけではないと言えばそれきりなんですが、さて、こうなりますと、もしかこれが来るとなると、やはりまた昨年と同じような問題が多少出てくる。トマホークというものが積載されている、これがニュージャージーの主たる戦力になるわけですね。そうなると、トマホークにはまた核弾頭を搭載するものと通常弾頭のものと二つあるということになろうと思います。そうすると、また当然そこに核という問題が出てくるので、この辺の問題も、まだ決まっていないと言えばそれきりですが、しかし我々としては多少頭に置いて考えておかなければいけないんじゃないか。しかも、これが日本海でもって、ウラジオストクの前でもって訓練をやるとなると全くリビアと同じことになるんじゃないかと思うんですね。リビアと同じというのは、目的は違うかもしれませんが、いわゆる示威行動といいますか、あるいはそれをやってみていかにソ連が対応するかを探る必要があるのかもしれません。しかし、こういった非常にきわどい場所で訓練をするという、演習をするということについては、これはアメリカはいいですよ、遠いですから。ところが日本は隣の国ですから、やはりそこを刺激するということになるとすれば、これに対して我々としてはそう簡単に参加するなんてことを決められないんじゃないかと思うんですけれども、その点どうですか、どういうふうに理解されますか。
○政府委員(藤井宏昭君) 先ほど御答弁申し上げましたように、ニュージャージーが我が国に寄港するという具体的な計画は一切承知しておりません。また同時に、ニュージャージーが自衛隊と共同訓練を行いたいというアメリカの報道されている希望についても外務省としては承知しておりません。したがいまして、本日の報道によりますとそれが日本海ということでございますけれども、そのニュージャージーと自衛隊の共同訓練ということについて仮定の議論を述べるのは尚早かと思いますけれども、一般論として、共同訓練ということが公海上において行われるということ自体は、これは日米安保条約の趣旨には沿うということだと思います。ただし、これは本日報道がありましたようにニュージャージーが日本海において共同訓練を行うということについて意見を述べているわけではございません。
○松前達郎君 まだ決まったわけじゃないとおっしゃれば、そういうことですからそれ以上のことはないわけですけれども、仮にこれが日本海でやって、しかも挑発的な意味を持った訓練であるとすると、これは我々としては神経を使わなきゃならない、こう思うんですね。砲艇外交という、前にこの委員会で、後ろに軍隊というか強力なる戦力があるということは外交しやすいとどなたかおっしゃったんだけれども、そういうふうなことだったら話は別ですが、しかし一般的に言いまして、何もソ連と戦争しているわけじゃありませんから、やはりこういった刺激的なことをもしかやるとすれば、これに対してはやはり慎重に対応しなければいけないと私は思っております。 そこで、もう一つだけこれに関して、今の訓練とかそういうふうな計画をアメリカ側が持った場合に、これらの通告といいますか、これらに対する打診といいますか折衝といいますか、こういうものはアメリカ側からまず外務省に来るんですか、防衛庁に来るんですか、いかがでしょうか。
○政府委員(藤井宏昭君) 共同訓練の場合でございますと防衛庁に来るのが通常でございます。
○松前達郎君 そうしますと寄港ですね、これについては外務省ですか。
○政府委員(藤井宏昭君) 寄港につきましては、先生御存じのとおり安保条約によりましてアメリカが日本の港を使用する権利があるわけでございます。しかしながら、この権利は権利といたしまして、日本政府に対して特定な場合には事実上通報してくるということはあるわけでございます。それは外務省に来るということが通常でございます。
○松前達郎君 この問題はそのぐらいにしておきます。またニュージャージーが来てからにしたいと思います。 もう一つだけ最後にお伺いいたしておきたいんですが、これも非常に新しい事件ですが、ジャカルタの砲弾事件というのが起こりましたですね。これもやはりサミットの声明に対する反発だというふうにとらえている面が非常に多いんですが、これは実際どういうふうに外務省としては解釈をしておられるか、この問題。
○政府委員(福田博君) 事実関係について御説明をいたします。 新聞報道でもいろいろ出ておりますが、昨日五月十四日、ジャカルタ時間の午前十一時三十分、日本時間にいたしますと午後一時半ごろでございますが、手製の弾丸といいますか砲弾と見られる金属パイプがジャカルタにございます我が日本大使館の四階の外壁にぶつかり駐車場に落下いたしました。大使館の館員が目撃したところによりますと、その直前に大使館の南東約二百メートルのところにプレジデント・ホテルというのがございますが、そこのホテルの一室から白煙が上ったという模様で、同ホテルの八百二十七号室に金属パイプを発射したと見られる約二メートルの鉄パイプ及び時限装置があり、火薬のにおいが残っていた由でございます。 なお、その部屋の宿泊者として記載されているキクチ・シュンスケと名のる者は現在行方はわかりません。 我が大使館では被害はございませんでしたが、事件直後直ちにインドネシア警察に連絡し調査方要請しております。 なお、右の関連もあるかと言われておりますが、ほぼ同時刻のインドネシア時間午前十一時三十分ごろ、ムルデカ広場の独立記念碑周辺の駐車場に設置された二基の発射台から発射された三発の手製の弾が米国大使館の屋根と庭に落下したということでございますが、爆発は起こらず実質的な被害はなかった模様でございます。 なお、右の事件に引き続きまして午後零時五分ごろ、現地時間でございますが、カナダ大使館が入居しております大きなビルがございますが、その駐車場に爆発が起こりまして大使館の公用車一台を含む四台の乗用車が破壊されたということでございます。また、現場付近に居合わせた運転手数名が負傷した模様であるという話もございますが、この点は確認されておりません。 以上が事実関係でございます。
○松前達郎君 今のは新聞に全く同じことがありますからわかっておるんですが、この事件についての解釈ですね、これをお伺いしたかったんです。これはサミットにおけるリビア問題と関係がありそうだと外務省はとっておられるかどうかということです。最後にそれをひとつお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(妹尾正毅君) お答え申し上げます。 一つ関係と申しますか、気がつきましたことは、十四日の夜、反帝国主義国際旅団のメンバーと名のる男から共同通信の本社等に対しまして、ジャカルタのアメリカ、日本、カナダ大使館を攻撃したのは東京サミットへの我々の回答である、こういう犯行声明を伝えてきたという話がございます。そのことは私どもも聞いております。それがどういうことかというのが一つございます。しかし、今までのところですとこの反帝国主義国際旅団というものにつきましてはその実体とか、あるいは仮にそういうものがあるとしてそれが今度の事件とどういうふうにかかわり合っているのか、その辺のところは全然不明なわけでございます。 現在、その犯人とか背景等、事実関係の詳細につきましてはインドネシアの警察当局が捜査中でございまして、この国際テロに関する東京サミットにおける宣言あるいはそこでリビアへ言及したということと関係があるとかないとか、そういうことは現在のところその事件そのものの実態もよくわかりませんので判断を申し上げるのは不適当ではないかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○黒柳明君 大臣、あと今国会も一週間でおしまいになりますので、大臣のプライベートのことということになりますし、またこのプライベートのことが日本政局のこれからの大きな問題なんで一、二御質問したいんですが、昨日立派な励ます会で六千名ぐらいお集まりになって新しいスタート台についたと、それから、十日ですか、福岡でももういつまでも中曽根の時代じゃない、こういうようなことをおっしゃいました。どうも私も客観的に見ますと、宮澤さんの場合には中曽根経済政策にいろいろ批判的な態度というんですか、特別に批判ということでもないんでしょうか、対案を出して経済政策はこうあるべきだと、こういうことを出しております。それから竹下さんの場合には、一昨日も言いましたように全面的中曽根内閣協力だと、禅譲をねらっているような。安倍外務大臣の場合には、つくのかつかないのか、禅譲なのか、あるいはむしろ新しい勢力を結集するのか、ちょっとわからないような面があるんです。いずれにせよ、あと一週間、そして続く参議院の選挙、その後はもう総裁選に日本の政局は入るわけでありますが、中曽根時代いつまでもじゃないとか、きのうのスタート台に立ったとか、これは文字どおり新しい総裁選を目指しての意欲満々だと、こう活字には出ておりましたが、外務大臣の意図のあらわれである、こう判断していいと思うんですが、その点が一つ。 それからもう一つ、ぜひそれについて聞きたいのは、同時選挙はなくなった、九割九分。ところが、きのうきょうあたりちらちら載っかっているのが円高臨時国会で引き続き、参議院に続いて衆議院選挙と、こんなことが、可能性がまたちらちら出ているんですが、外務大臣は今のこの円高のやらなきゃならないときに引き続き臨時国会を開いて、ダブル選挙はもうこれはできないから、引き続き参議院に続いて衆議院の選挙と、こういうような昨今のうわさ、これを実現することについて賛成か反対か。この二点、いかがでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはなかなか二問とも国会でお答えしにくいきわめて私にとりましては難解な御質問でございまして明快な御答弁ができないわけですけれども、時代はどんどん移っていっているということはこれは事実で、そういう中で我々も政権を担当しておりますし、私もおかげさまで二十五年永年勤続の表彰を受けましたし外務大臣もやらしていただいているわけですから、この辺でしっかりやらなきゃならぬということをいろいろな言葉で言っておるわけでございます。 政局の方も国会が終わるという段階になりまして、定数是正については議長の裁定も出たわけでございます。これはやはり議員として受けなきゃならない、これは当然のことでございますが、これからどういうことになるか、やはり政治のことですからこれまでの長いいろいろな我々も戦後の政治の歴史を振り返ってみましてもただ予想どおり進むかどうか、これはなかなか予測しがたい点もあるんじゃないだろうか。すべて予想どおり進んだということは余りないわけですから、その辺はやっぱりいろいろと問題を残しておる。特に今、円高の問題等大変難しい事態に差しかかっておりますし、それからまた定数是正の法案そのものが果たしてどうなるかというような問題も残っておるわけでございますし、いろんな要素がかみ合ってきているわけです。総理自体がどういうふうにお考えになっているかちょっとうかがい知れない、はかり知れない問題もありまして、そういうことでなかなかはっきりお答えできる状況にはないんじゃないか、こういうふうに思います。
○黒柳明君 今の立場でしっかりじゃなくて、この次の立場でしっかりという、そのしっかりという四字、これは非常に意味が深いと私は受けとめました。 総理大臣も、この二、三日衆議院の本会議でもサミットで決まりました協調体制のようなことを発言しておりまして、ちょっと円が安くなりましたけれども、これはどうなんでしょうか、当然目標というものはないにせよ、これは小康状態ですけれどもこれで一服ということじゃないとは思うんですが、外務大臣としましてもこの円高問題での各国の協調体制の呼びかけ、せっかくサミットで合意したものですからこれについての目標ということはないというのは今私言ったばかりですが、目標がないとするとどういう時期にどういうチャンスに実際に呼びかけていくのか。サミットでせっかく合意したばかりのことですから、ぜひこれについて外務大臣の考えをお聞かせいただきたいと思うんです。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これもなかなか難しい問題であり、ターゲットを設けてやるということではなくて、いわゆる為替の相場というのは経済の実勢が反応するということなんだろうと思いますが、しかし今の円高・ドル安の状況というものはやはり余りにも急激過ぎて、そしてそれがやはり円高の急激な状況というものが日本経済に大変大きな打撃を与えつつあるということは、これは事実でありまして、今の円高は少し行き過ぎているんじゃないかと、私個人として言わしていただけばそういう率直な気持ちもあるわけでございますが、また反面、米国なんかにおきましてもベーカー財務長官の国会の発言等を見ますと、あるいはボルカーさんの発言等を見ましても、むしろ円高というよりはドル安がこれ以上進むということはアメリカの経済にやはり悪い影響が出てくる。これは金利を上げなきゃならぬとか、あるいはアメリカに蓄積された資本が逃避していくとか、あるいはまたアメリカの物価にも影響がこれからも出てくるとか、むしろ円高というよりはドル安が進むことがアメリカ経済にとって問題が起こる。ですから、この辺でそろそろ限界がきているということは私はよく理解ができるような気がするわけです。しかし、どの辺のところにおさまるかということはなかなか難しい問題で、我々も判断がつかないんですが、いずれにしてもやはりこうした相場というものが安定していく、これ以上急激に円高にならないとかドル安にならないとか、大体この辺である程度おさまるんじゃないかというひとつの安定感というものが生まれることが今非常に大事じゃないだろうかと思っております。 そういう中で、果たして協調介入という、いわゆるG7、これはサミットの経済宣言の中で枠組みができたわけですけれども、このG7というものが開かれる状況かというと、一つの枠組みはありますけれども、今そこまで行われるような情勢がどうかということになると、これは我々の判断では決まらないので、通貨当局その他が慎重に判断をして決めるんだろうと思いますが、そういう枠組みができているということは、これはやはり協調体制が残ったということでありますし、それは世界の金融経済情勢を安定させるためには非常にいいことじゃないだろうか、こういうふうに思っております。
○黒柳明君 先ほどもありました昨日のゴルバチョフ演説の後半の部分ですけれども、IAEAの体制の中においての協力関係、項目が三つに分かれていましたでしょうか、最後は広島の問題であの中で原発を持っている国がお互いにもっと国際的に協調していこう、あるいはIAEAのバックでジュネーブでですか、国際会議を開こうとか、三項目ありました。これはむしろ提案ですか、あれについて外務大臣どういう受けとめ方をされておりますですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) ゴルバチョフらしい発言だろうと思います。これまでもそれに類した発言があったように思うわけですが、しかしアメリカ側は実験全面禁止なんというそういうモラトリアム構想等に対してはこれを断って、峻拒しておるわけでございます。今度の演説を受け入れるかどうかということについても私は疑問を持っておるわけです。一時に広島を指定したということは、それはゴルバチョフさんの一つの構想だろう、アイデアだろうと思っておりますし、それはそれなりに訴える力は私はあると思いますが、しかしアメリカの立場からすると、これが受け入れられるかどうかということになると大変私は疑問があるように思います。 ですから、これはなかなか政府としてもまだアメリカ側の出方というものを見なければ判断ができない、私はそう簡単に今のゴルバチョフ提案というものをアメリカのレーガン大統領が受け入れるという状況にはならないのじゃないかというふうに予想しております。
○黒柳明君 スピークス副報道官が拒否するという非常に対応が早かったわけですね、向こうの拒否反応が。ただ、今外務大臣おっしゃったように開催地は広島とか、あるいは八月六日までモラトリアムを延長する、もう明らかにゴルバチョフ書記長が世界に対する訴えの中に日本を特別に意識して訴えだということが、これは明らかなわけですよね。そうなりますと、中曽根総理がけさマスコミに対して全く拒否反応だったと、こういうようなことが報道で流れておりますけれども、これは全体的には米ソ間の問題ですけれども、だけれども今言ったIAEAの原発関係のところは必ずしも全面的に拒否してというようなことでもなかろうかと、こういうような感じもする。特に、今申しましたように日本を特に意識して発言している。こういう中でアメリカに追随して、これはもうだめなんだとむげに拒否していいものかというような、非常に私考えざるを得ないのですが、いかがでしょうか、その点。そこに書いてあるとおりお読みいただければいいと思うのですが。
○国務大臣(安倍晋太郎君) ちょっとこれ読みにくい字で……
○黒柳明君 そうですか、きれいに書ければよかったのですが、済みません、汚くて申しわけない。(笑声)
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今般の事故に関する説明は、現時点では一応意を尽くしたものと考えられ、従来のソ連の一般的姿勢に照らし、それなりの努力を示しているものと評価いたしております。東京サミットの声明については、これを反ソ宣伝と述べているのは我々の意図を理解しないものでありまして残念でございますが、今後の原子力発電の安全性の強化のための国際的協力については、声明で提唱したものとほとんど同一であって、この点は評価し得ると思います。また、ソ連の今後の協力も期待をいたしたい、こういうふうに思っております。
○黒柳明君 七日の日、向こうのサロンガ委員長が現地で記者会見して、それを受けてダザ委員長代行が、先日オンピン蔵相が来まして、それで日本から圧力がかかったと、こういうことが記事になって出ていまして、私すぐ電話をかけて聞いてみたのです。これは失礼だけれども、ただ単なる予測記事なんですかと、こういうことをダザさん言ったんですか、あるいはオンピン大蔵大臣からそういう圧力がかったみたいな電話があったんですか、それじゃだれがそんなことを言ったんですかと、いろいろ聞きました。 ここはフィリピンの委員会の場じゃありません、十六日にありますものですからあれですけれども、外務大臣はお会いになったと思うのですけれども、だれかがああいうことを言いまして、二項目出ていました、記者会見でやった内容は。要するに調査資料があったらば政府間外交ルートで流してくれと、それからいろんな調査や何かにうかつにいろいろ物を言わないでくれと。こういういわゆる日本政府から圧力があって、それをオンピン大蔵大臣が仲介してサロンガのところへ来た、これをサロンガ委員会で受けとめて、黙っていりゃいいんですよ、あったとしても。ですけれどもそれは正直ですね、そういう体制なんです。それを記者会見で言った。こういうことで私もすく電話をかけてこの事実関係を聞きました。 事実はもう間違いないのです。向こうで記者会見して、一〇〇%この活字どおりだったと私言いません。ですけれども九〇%あの活字と同じようなことを言った。まさか外務大臣がそんなことを、資料出すな、何かあったら外交ルートでくれなんていうようなことをおっしゃったと私思いません。大蔵大臣も通産大臣もお会いになりましたからね、現に通産の方がOECFの担当省ですからね。ですから私はこんなことが向こう側から活字になって出てきますと、非常にこれはうまくない。しかも記者会見でこんな発表することはうまくない。ということは向こうがうまくなくて、やっぱりこちらがそういうものがあったからそれを発言したんだと、こう思わざるを得ないわけでありまして、私はだれがかれがということじゃなくして、これから事実関係を究明しなければならない問題ですから、それが一番当事者の向こうの委員長代行からそういう発言を記者会見でするなんていうことを疑われる原因をこちらでつくったんであるならば、これは問題だと、こう思うんですけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私もオンピン大蔵大臣に会いましたし、私以外の閣僚も会ったわけで、率直にいろんな問題を話し合ったことは事実です。やはり日比関係をさらに大きく前進させたい、大いに日本も協力をしたいんだと。そこで、十三次、その他命懸案になっている問題を積極的に進めたいということでいろいろと話をしたことは事実ですが、これは何もおっしゃるような圧力なんというようなそんなものをかけた覚えはありませんし、今また日本は日比関係で圧力をかけるような立場じゃないわけですから、お互いに主権のある国家ですし、そういうふうな思いは全くないわけでありますし、これは何か間違いじゃないだろうか。そういうことならいろいろとフィリピン政府から言ってくると思いますけれど、全くそういう話もございませんし、そういう受けとめ方をもしされたとするならば、これは非常に残念だ、こういうふうに思います。
○黒柳明君 最後ですけれども、先ほどのジャカルタの問題ですけれども、「反帝国主義国際旅団」というのは何であるか。きのうのきょうですから調査中だと思うんですけれども、ホテルから発射したとか鉄のパイプを使ったとか、それから砲弾が八センチの四十センチですか。何かサミットのとき新宿から出たのと非常によく類似しているわけですけれども、そういう点について調査中で、ジャカルタ当局からのまた調査内容も待ってからということになると思うんですが、今現在の報道に接して、感じはどうですか。中核派が日本でサミットのときにやったのと全く同じような客観情勢だというような感じがするんですけれども。状況がよく似ていると思うんですけれども、いかがですか。
○説明員(笠井聡夫君) 種々情報は収集に努めておるわけでありますが、現在までのところ、御指摘の極左の一連のゲリラ事件と関連をさせる具体的な裏づけとなるものは把握するに至っておりません。
○黒柳明君 ちょっと済みませんけれども、もう一度……。
○説明員(笠井聡夫君) 国内の極左とそれから今回の事件との関連づけといいましょうか、関係を裏づけるものは今のところございません。
○黒柳明君 何かパスポートも、盗まれたものであれしたらしい。それから、百七十センチで赤髪で英語が達者でなんというようなことが活字には出ておりますけれども、そういうことも、あるいは日本赤軍との関係とかいろんな推察されることはあるんですが、日本の極左との関係ということもそれはこれからの捜査だと思うんですが、私は客観情勢が、今申しましたようにホテルの窓から、こっちのサミットではマンションの一室から、それから鉄パイプをコンクリートで固定してとか、それから砲弾とか、非常に類似したような客観情勢が感じられる。 国内の左翼との接点は今調査中だということですから、報道に接した直観としまして、非常に何か国内のサミットで中核派がやったと言われているあれと、この反帝旅団というものがきのうやったのと客観情勢が類似しているんじゃなかろうか、接点があるんじゃないかなという感触をあれしているんですが、皆様方は専門家ですから感触以上のものを当然持っているんじゃなかろうかなと、こういう意味でお伺いしたんですけれども。
○説明員(笠井聡夫君) 国内の極左との関連というものにつきましてはただいま申し上げたとおりでございますが、また犯行に日本人が関与しているかどうかというのも関心事の一つだろうと思いますけれども、これにつきましては、ホテル宿泊に日本人名義のパスポートが使われていたという事情もございますけれども、これにつきましては裏づけ捜査の結果、現に神奈川県下に住んでいる青年が別途おる、こういうことでございますので、日本人との関連性につきましても目下のところ不明と、こういう事情にございます。 いずれにいたしましても、今後必要な情報の収集等には努めてまいりたいと考えておるところでございます。
○黒柳明君 国際テロあるいは日本赤軍の海外の動き、サミットにおける国際テロ宣言なんかを踏まえての、そういうものについて動向を注意するということはなかったのですか、海外における、あるいは当然国内も含めて。それから、日本赤軍なんかの動きらしきものは何もなかったのですか。そういうものについてはいかがでしょうか。
○説明員(笠井聡夫君) 今回のサミットでテロ声明が出ておりますけれども、かねて警察庁といたしましては、インターポールその他を通じまして国際テロの防止ないしは対策については関係の警察当局と連絡をとってまいっておるところでございまして、これについては引き続き努力してまいりたいと考えております。
○和田教美君 議題になっております条約、協定について幾つかお尋ねいたします。 まず、原子力の平和利用における協力のための日中協定ですけれども、ここで一番私が注目しますのは原子力の平和利用を確保するため日中両国が受領した、つまり受け取った原子力資材等に関して、IAEA、国際原子力機関に「保障措置を適用することを要請する」ということになっているわけなんです。また、合意された議事録によりますと、中国はできる限り速やかにIAEAとの間に協定を締結することとなっております。 中国は、これまで保障措置のうちでも最も直接的な手段である第三者による査察の受け入れを非常に強く拒否をしてまいりましたが、今度我が国の要求を入れて、とにかくIAEAの保障措置の適用を受け入れるということに同意したのはどういうふうに我々としては理解したらいいのか。つまり、日本との長期的な協力関係というものを非常に重視するという立場からそうなったのか。それとも中国全体の一般的な政策の変更なのか、その辺について、できれば外務大臣の見解をお聞きしたいんです。
○政府委員(松田慶文君) 交渉経緯に関することでございますので、私から御説明させていただきたいと存じます。 御指摘のIAEAの保障措置の適用につきましては、三年前交渉開始当初におきましては、中国は御言及ございましたとおりかなりの消極姿勢を示しました。その根拠は、平和利用に限定することは中国国家として確実にそれを実行するが、第三者が査察するという形は中国の国家としての理念上合わないところがある。これが先方の根拠でございました。 〔委員長退席、理事宮澤弘君着席〕 しかしながら、同時に私どもは、条約上の約束事に加えて、それが確実に実行されていることが担保されるためのIAEAの保障措置、これが国際常識であって、我が国も多くの国もそれをやっているということをじゅんじゅんと説きました結果、中国がそういった現に行われている国際的な仕組みに理解を示してきたことが第一点。第二点は、日本以前に締結いたしました各国との原子力協定ではすべてこれを断ってきましたが、我が国は、広島、長崎の被爆国として、国民の原子力に対する感覚が他の国とは違うこと、平和利用に対する非常に厳しい国民の意欲があること、これを説きまして、それでは日本だけに特に認めようということでこの協定に盛り込まれる次第となった、これが経緯でございます。
○和田教美君 そうなると、今後中国は我が国から原子炉等の供給を受けようとする場合には、IAEAとの協定による保障措置の適用が可能な状態になっていることが前提になるわけなんですけれども、しかしIAEAとの保障措置の協定というのはまだできていないわけです。そうなりますと、中国はすぐにもそういう保障措置協定というようなものを取り結ぶ動きを示すように見ておられるのか、それともそういうことにはやはりかなり時間がかかって、実際に我が国から中国に対して原子力発電関連資器材を本格的に輸出するというふうな時期になるのは大分先ということに解釈していいのか、その点はどうでしょうか。
○政府委員(松田慶文君) 現在この協定がまだ発効していない段階で、中国としてはともあれこの発効を待つと、その上で正式にIAEAとの接触を始めるということと考えております。現時点では予備的接触は行っておりますが、まだこの保障措置に関するIAEAとの正式協定締結交渉は始めておりません。このため、この協定が成立いたしまして、その上にいろいろと日中間の協力が今後展開するものと思いますが、情報交換とかそういった分野ではない資器材の供与という形が将来とられますならば、それが実行されるまでには中国としてこの協定をIAEAと結ばなくてはなりません。それがない限り私どもは輸出の許可を出すことができません。これは十分中国も承知しておりますので、今後の展開の速度に合わせてIAEAとの仕事を進めるものと考えております。
○和田教美君 中国が現在建設中の秦山、さっきお話のございました秦山原子力発電所を初め建設計画中の原子力発電所、広東とか華東、金山などですね、いずれも加圧水型ですね、PWRなんですよ。さっき秦山発電所の圧力容器について日本の企業が受注をしたという話がございましたけれども、しかし日本の原子力発電メーカーは、日立、東芝がいずれも沸騰水型ですね。そして三菱重工だけが加圧水型ということになるわけですが、そうなると、今中国が建設中のものは全部加圧水型だということになると、その計画が変わらないとすると、結局三菱のものだけしか実際には受注の対象にならないということなのか、それとも部分品についてはいろいろ幅が広く使えるのか、その辺はどうお考えでしょうか。
○政府委員(松田慶文君) 現状では、御指摘のとおり、加圧水型の軽水炉の建設に絞っているようでございます。したがいまして、我が国では御指摘のとおり三菱重工がその炉心部分の唯一のメーカーでございますが、原子炉にはその周辺に多くの冷却系統を含めて器材がございますので、その部分は別途の会社も当然に参入できるものでございます。
○和田教美君 ソ連のチェルノブイル原子力発電所の原子炉損壊事故ですね、損傷事故。この被害については、日がたつにつれてその影響が深刻かつ広範であることがはっきりしてきたわけですけれども、そこで原子力発電所の安全性という問題が改めてクローズアップされてきております。 政府は、日本の原子力発電施設については安全確保の措置は十分とられているから今さら見直す必要はないというふうなことを言っておりますけれども、今後、将来の問題として中国に原子炉を輸出するというふうな場合に、こういう事故の経験を踏まえて設計、建設、運転に至るまでの間に万一にも事故が起こらないようにさらに安全性について慎重な検討をする必要があるんじゃないかと思うんです。決して、売り込みに拙速でやるというようなことは、厳に避けるべきであるというふうに考えます。特に中国が現在計画中の原子力発電所は、エネルギーが非常に不足している大体太平洋岸、その近辺ですね、そういうところに建設を予定しておるわけですから、そういうところに将来我が国の原子力発電所が行くというふうなことになった場合に、もし万一事故があった場合には、これはチェルノブイルの比でないわけですね、その影響は。その辺について基本的にどういうふうにお考えかを聞きたいと思います。
○政府委員(松田慶文君) 我が国国内におきまする原子力発電の計画及び実行は三十年の歴史を持つわけでございますけれども、この間、安全の確保につきましてはそれぞれの所管庁、関係事業者において最大の意を用いてきたものと考えております。我が国が中国に輸出することが将来ある場合にも、この長年の経験蓄積に基づいて同様の安全の考慮をしたものを当然輸出することになるわけでございましょう。また中国も、実は、この交渉経緯でもるる言っておりましたが、安全に対しては非常な関心がございまして、例えば国家原子力安全局という新しい安全専門の機関を一昨年設置いたしまして、これに特別の考慮を払う努力をしておりますし、これを受けまして今度の協定でも、協力の項目の中に特に軽水炉及び重水炉の安全について協力すると明記いたしたほどでございます。したがいまして、輸入者の立場としての中国も、特に諸外国からの器材の輸入には安全ということを、その他の能率とあわせて考慮するものと考えております。また我々もそれに十分の協力を進めていきたいと思っております。
○和田教美君 ぜひそういうふうにお願いしたいと思います。 次にILOの雇用政策に関する条約についてお聞きしたい。 この条約は完全雇用などを主要目標として宣言して遂行することの義務を負うという内容のものですけれども、それは当然のことであって、内容そのものについては非常に結構なことだと思います。 ただ、私問題だと思うのは、この条約がとにかくILO総会で採択されたのは一九六四年なんですね。既に二十年以上たっているわけです。外務省自身これは憲法の諸規定と軌を一にしているというふうなことを説明書に書いてありますけれども、そういう結構な内容のものをなぜ今まで二十年もほったらかしておったのか、どうも我々には理解ができないというふうに思います。その点については人的資源の開発における職業指導及び職業訓練に関する条約についても同様でございまして、この条約もILO総会で採択されたのが一九七五年、十年以上たっているわけなんですが、なぜそういうふうにおくれたのか、その理由を説明していただきたい。
○政府委員(中平立君) まず、百二十二号条約について申し上げますが、確かに、先生御指摘のように、二十二年もたっておるということは時間がたち過ぎではないか、こういう御指摘は理解し得るところではございます。しかし、昭和三十九年に採択されまして、その後、労働省は雇用対策法というものを昭和四十一年に制定いたしました。それから新しい職業訓練法を昭和四十四年に制定するということで雇用に関する施策の充実に努めてきたわけでございます。それからその後、政府といたしましてはこれを批准していただくべく国会にかけようと思っていたわけでございますが、たまたま、先生御存じのように、昭和四十八年に石油危機というものが起こりまして、その石油危機後世界の経済情勢、雇用状況というものが急変したわけでございます。したがいまして、ILOといたしましては、この経済情勢の変化を勘案いたしまして昭和五十年ごろからこの雇用政策に関する条約を改正しようではないかという動きが出てきたわけでございます。したがいまして、政府としてはいろいろ考えていたやさきにILOのそういう動きが出てきましたので、とりあえず、ILOがこの条約を改正するのかどうかということを見きわめようではないかという方針をとったわけでございます。それで、かなり時間はかかりましたけれども、ILOといたしましては昭和五十九年になりまして結局改正を行わないという結論を出したわけでございます。したがいまして、そういう結論が出ましたので、政府といたしましても直ちにこの条約を最終的にまた検討いたしまして今回の国会に提出していただいた、こういうことでございまして、確かに常識的にはやや時間はかかり過ぎという御疑問はございますけれども、そういう事情でございましたので御理解をいただきたい、こう思うわけでございます。 それからILO百四十二号条約につきましては、これは昭和五十年に採択されたわけでございますが、確かに、これも十一年たっておるということで時間がかかり過ぎではないか、こういうことでございますけれども、やはり批准するに当たりましては国内法との整合性ということを十分検討しなきゃならないということでございまして、この分野につきましては雇用対策法とか職業安定法、それから職業能力開発法等がございますが、そういう法律で、この条約の国内的なものが十分手当てされておるかということを慎重に検討しておったわけでございまして、そういうことから、やや時間がかかったわけでございますけれども、今般この検討を終わりましたので国会にかけさしていただいたと、こういう事情でございます。
○和田教美君 これまでILOで百六十一の条約が採択されておりますね。日本はこのうちで三十七に署名しているわけですが、これに今回の二本を加えて三十九ということになるわけですね。まあ未批准の比率がヨーロッパ先進国などに比べると多いのではないかというふうに私は思うんですが、もちろん中には日本の事情というふうなことでなかなか締結が難しいというのもあるかもしれませんけれども、国会に対する請願などを見てみますと、しばしばILO未批准条約の早期批准というのが出てくるわけです。まあ国際国家日本ということを最近は盛んに強調されておるわけなんですが、そういう点から見ると、やはりもっとこういう条約の批准を全般的に促進するべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(中平立君) 確かに、御指摘の点はございます。先生御存じのように、我が国は締結した条約につきましては世界に類を見ないというぐらい誠実に履行しておるということでございまして、これは相対的に申しますと、よその国よりも、日本といたしましては、条約を締結するに当たりまして非常に慎重に国内法との整合性その他を検討しているわけでございます。その結果、そういうことができるということでございまして、ILO条約につきましてもこのような非常に慎重な方針で対応しておるということでございまして、そういうことから、確かによその西欧諸国に比べまして批准した条約の数は少ないということは言えるかと思いますけれども、先生御存じのように、平均いたしますとILO加盟国の平均が三十四条約ということになっておりまして、まあ日本は平均よりややいいということでございまして、今回二条約をもし承認していただければ、これは三十九になるということでございますし、今後とも、御指摘の点もございますので、批准をすることが適当だと思われるILO条約につきましては慎重に検討を積極的に進めていきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○和田教美君 次に、東京サミット関連のことで幾つかお尋ねしたいんですけれども、その前に、先ほども黒柳委員からちょっと話が出ましたけれども、サミット後の国内政局が非常にさま変わりをしてきているというふうに私は思うんです。 そこで、安倍外務大臣はきのうも内政は外政の延長だというふうなことも言われたというような報道がございましたので、それに関連して、ニューリーダーとして特に解散問題についてもうちょっと明確なお話をお聞きしたいと思うんです。というのは、解散問題については、六月二十二日の衆参同時選挙というのは、これは物理的になくなったと思うんですね。ところが、ここ二、三日ちらほら出てきているのは、この国会が閉幕になったらすぐ臨時国会を開いて、三十日間の衆議院定数是正に関する周知期間ですか、それを済まして、そして少し参議院選挙の時期をずらして、それに衆議院の解散、総選挙をぶつけると。そして、七月の六日ぐらいに同日選挙に持っていくという考え方がちらほらしているということが一つですね。それから、秋の、つまり臨時国会を開いて、そこで解散、総選挙と、これは参議院選挙の後ということになりますね。それから、いや、中曽根さんの総理の任期がもう来るんだから、その後で新総裁のもとで解散、総選挙と、大体三つのケースが言われておるわけなんだが、どれが一番好ましいとお考えか、もう少し明確なところをお聞かせ願いたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私田さんと二人だけで、だれもいないところなら率直な話ができますけれども、なかなかこれはこういう場では非常に難しい質問なんですね。とにかく一番大事なことは、定数是正を今国会で処理するということではないかと、こういうふうに思いますね。それが終わって、これからどうするかということはいろいろと出てくるんじゃないだろうか、そういうふうに思っておりますし、党内でも、一部には臨時国会、同時解散という線もくすぶっているように思いますし、そんなことはおかしいという声ももちろんありますし、その辺のところはこれからどういうふうに動いていくか、これはまさに政治そのものですから、ちょっと予想ができないわけです。しかし、我々も自民党の政権を担当している政治家の一人として、特に閣僚として、これからの政局に当たりましては十分全体的な状況というものを踏まえて、特に政党政治というものをやはり発展をさしていく。それから、我々の立場からすると、やはり自民党が結束をしていくということが大事だと、こういう立場から判断をしていかなきゃならぬ、こういうふうに思っております。 なかなか明快には御答弁できないのが非常に残念に思います。
○和田教美君 それでは次に、東京サミットの幾つかの問題についてお尋ねしたいんですけれども、まず国際テロリズムに関する声明についてはさっき質問が出ておりましたけれども、 〔理事宮澤弘君退席、理事石井一二君着席〕 ジャカルタでの手製砲弾事件、どうもこれを実行したグループはサミットのこのテロリズムに関する声明についての反撃だというふうなことを言っておるわけなんですが、この声明はリビアを名指しで非難しているわけなんですけれども、この声明に日本が加わったということもいろいろ問題になるわけです。我々はテロを断固排撃するということにはもちろん異存はないわけですけれども、しかし同時に、米国のリビア爆撃などの過剰反応ですね、これを全く問題にしないままで、リビアだけを一方的に非難するということについても問題だというふうに私は考えておるわけです。 それで、安倍外務大臣は、日本の中東政策はこの声明に同調したからといって変わらないとおっしゃっておりますけれども、しかしアラブ諸国の反応は、やはり日本は変わった、結局アメリカに同調したという見方が多い、つまり政策の転換だというふうに受け取る者が多いわけです。ただ、私が特にお聞きしたいのは、この政策変更が十分外務省の間で討議を重ねた上で行われたものではなくて、結局レーガンさんやサッチャーさんに、何といいますか、せっつかれて、中曽根さんの決断という形で押し切られた、そういう転換というふうに我々には受け取れるわけですね。そういう点では、安倍外務大臣の創造的外交路線というものと中曽根さんの考え方とは食い違ってきているのではないかというふうな受け取り方もするわけなんですが、その点はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は、今度のサミットにおけるテロ声明によって日本の中東外交の基本が変わったという印象を、そういう感じを中東諸国、アラブ諸国が持ったと、こういうふうには思っておりません。日本政府としても、中東政策については、今も在外公館等を通じまして十分説明もいたしておりますし、不動の姿勢でもってこれは進めていくんだと、中東和平とかイラン・イラク戦争とか、そうした日本の姿勢、政策、これはアラブの国々は、それぞれ反響も我々得ておりますが、全体的には私はむしろ日本の立場を理解しておるというふうに考えておりますし、また日本の中東政策は変わっていないという、そういう心証を得たんじゃないかと思っております。ただ、リビアのカダフィ大佐が日本からの輸入については禁輸措置を行うという点等は、あるいはそれに関連する声明等は日本がアメリカ、イギリスの圧力に負けたんじゃないか、そういうようなことを言ってそれに関連して出ておるわけでございますが、全体的には私はそうじゃないと思います。実際日本も議長国としてまた七カ国の一国として声明の中にリビアをメンションしたということは、中東政策を変えるということにつながるものではないと私は思っております。 とにかくこれはどういう地域で行われてもテロに対しては絶対反対、防止しなきゃならぬ、そういう立場でこのテロ声明というのは打ち出されたわけでございますし、特にリビアの問題が出たというのは、これはサミット前のいろいろの累次のテロ事件にリビアが深く関与しておったということをアメリカもあるいはヨーロッパ諸国もこれをはっきりと認める、そして日本も詳細な説明を受けてその認識を深める、こういうことでリビアという名前が出てきたわけでございますが、これはそれでもってアラブ全体に対してこの声明で対応していこうということじゃないわけですから、決してこれは中東政策を変えることにはならないと思っておりますし、この限りにおいては私は十分理解はできておるし、我々は今後とも日本の基本政策を進めて中東和平あるいはイラン・イラクの平和的解決のために努力をしてまいらなきゃならぬというふうに考えております。
○和田教美君 時間が来ましたから、もう一つだけ質問をして終わります。 急激な円高の問題ですね。これがしかもサミットで日米を中心とするいわゆる円高防止のための協調介入ができなかった、失敗したということからそれに余計弾みがついて、円高という状況、棒上げの円高ということが続いているわけです。きのうはベーカー米財務長官の発言で多少冷えだということですが、きょうはまた午前中の東京市場の終わり値は百六十二円六十銭、きのうよりも一円四十銭ばかりまた高くなっているわけですね。ですから、結局基調が変わったというふうなものではない、ベーカー発言というのも大した抑制力にならなかったということじゃないかと思うんですね。 それで、本会議の中曽根総理の答弁などを聞いておりますと、とにかく経済宣言ですか、あの中にも必要な場合には要するに協調介入するというふうなことができるという文言があるんだから、これを今や、やるべき時期に来ているんだと言わんばかりの発言もしばしばされるわけですね。ところが実際にはなかなかアメリカに働きかけたりヨーロッパに働きかけたりという、そういうことをおやりにならない。どうも市場に任せるという、そういう動きのように思うんですが、そしてむしろ国内対策を一生懸命やるんだ、国内のしわ寄せを一生懸命とにかく対策をとるんだということに非常に重点が置かれているように思うんです。 要するに一番難しいアメリカの壁というものに何とか働きかけるということを避けて、国内のしわ寄せだけに何かびほう策をとるというのでは、これはやっぱり外交不在だと言われもしようがないと思うんですけれども、その辺は基本的に外務省としてはどうお考えなんでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは私もサミットに参加した閣僚の一人として申し上げさせていただきますが、率直に言いますと、やはり円高問題についてはサミットに対する期待の方が先行し過ぎたと私は思っております。サミットでこの急激な円高に歯どめがかかる何かの合意ができて、むしろ円高が円安の方向へ少し動いていくんじゃないかという期待ばかりが先行してしまった。そしてまた、そういう空気だけが盛り上がっちゃって、それだけにサミットの結果として今の合意ができなかったということが非常に逆に反発とか、いやサミットが成功しなかったというふうな声につながったんですが、これは通貨当局だってそうだったと思いますし、中曽根総理だってそうだったと思いますが、今回のサミットでそんなに円高にブレーキをかけ、これを抑えるというふうなことができるとは我々は初めから思えなかったわけです。 私もサミットの前にOECDの閣僚会議等へ行ってみまして、今の円高の実態、我々からするとこれは大変なことなんで、非常に日本経済にとっては危機的状況が出ておるわけですから、何とかもう一回ひとつ協調介入してもらいたいという気持ちを強く持っているわけですが、今のやはりアメリカにしてもヨーロッパ諸国にしても、なかなかそういう気持ちにはなれないということを、私自身もOECDの閣僚会議等の議論の中でそういう感じを持ったわけでございますし、サミットはまたそういう協調介入の場じゃないわけですから、ここで期待するというのは無理だったと思うわけでございますし、またそういう考えもなかったわけで、むしろサミットでは今までのG5というのをG7という形にして、こういう協調介入の枠組をはっきり確認するといいますか、そういうところに大きなウエートがかかっておった、そしてそれはそれなりにきちっとしたものになった、こういうふうに考えておるわけです。それはそれなりに私は一つの成果だったと、こういうふうに思います。 サミットが終わりましても、残念ながらやっぱり依然としてむしろ期待に反したという形で円が上がったということでございますが、これは逆に円高というのはドル安にもつながるわけですから、アメリカ側としましても、ベーカーさんのああいう発言が出るとかボルカーさんのような発言が出て、むしろドル安の方へ非常に危機感も出てくるということは私は当然のことじゃないか。ですから、大体私はそろそろ安定という方向へ動いていく空気じゃないだろうか、そういうふうに考えておるわけでございますし、いつどういう形で通貨当局の協調的なものが行われるかということは、これは我々のはかり知れざるところでございますが、私は世界の経済の安定ということを考え、あるいは金融、為替の安定ということを考えれば、それなりの協調体制は残っておるんですから、これは動いていくだろうと、こういうふうに思うわけでございます。 我々としては、今の円高というのは少し行き過ぎじゃないか、何とかしてもらいたいものだなという気持ちは持っておるわけで、しかしだんだんとこれは安定化の方向へ、それよりも何よりもやっぱり安定ということが大事ですから、安定化の方向へ動いていくんじゃないだろうかと、こういうふうに思っております。そういう努力を日本もそれなりにする必要もある、こういうふうに考えます。円高に対する国内対策はまた別の問題だと思いますがね。
○和田教美君 終わります。
○関嘉彦君 議題になっておりますILO関係の条約及び日中原子力協定に対しては賛成でございますけれども、ちょっと若干質問したいと思って質問通告をしておりました。しかし、大体今の和田さんの質問とダブっている点が多いと思いますので、重複している点はできるだけ避けるようにして質問したいと思っております。 最初に質問したいと思っておりましたのは、ILO関係では雇用政策及び職業訓練、いずれにしましても採択されてから非常に時間がかかっているということはなぜかということを質問するつもりでおりましたけれども、雇用政策に関しては修正の動きがあったのでそれを見きわめていた、それでおくれた、これは理解できますが、職業訓練の方がおくれた理由としては、私の想像では、職業指導、訓練なんかについてすべての人に平等にしなければならないというふうなことがありますね。これが男女の平等ということで、男女雇用均等法、あれができるまで待っていたのかというふうに想像するのですけれども、それで間違いございませんですか。
○政府委員(中平立君) ILO百四十二号条約につきましては、職業指導、職業訓練というものが中心となっておるわけでございますが、これら職業指導、職業訓練の政策、それから計画の範囲等につきまして条約との整合性を検討しておったということでございまして、今の男女雇用均等法の関係でおくれたということではございません。
○関嘉彦君 さっき和田さんの質問の中にもありましたけれども、採択されている条約の中で、日本が批准しているのは今度二つ批准して三十九、これは諸外国に比べると、平均すると多いのだというふうな話でございましたけれども、諸外国の中には旧植民地なんかに関するやつもあるわけですね。そういう点から考えると、必ずしも日本は平均以上に進んでいるとも言えないのではないかと思うのですが、こういった経済摩擦なんかで日本が、特に外国から日本は特殊な国じゃないか、あるいは劣悪な労働条件のもとで日本が輸出ドライブをかけているのじゃないかというふうな非難もときどきあるわけでございますから、そういう点からそういう誤解をなくする意味でももっと早くそれ以外の採択された条約についても批准を急ぐべきじゃないかというふうに思いますが、あと残りのもので批准できないような事情のものがかなりあるのですか。
○政府委員(中平立君) 先生御存じのように、現在までILOにおきましては百六十一の条約が採択されておるわけでありまして、今度二つの条約を承認していただきまして、それを批准いたしますと三十九になるということでございまして、数字のことを申し上げて恐縮でございますが、そうしますと残りが百二十二本ということで、非常に膨大ではないか、こういうことで非常に成績が悪いではないかというおしかりでございますけれども、百二十二本の条約は確かにございますけれども、既に他の条約によって改正された条約とか、それから我が国には適用し得ない非本土地域に関する条約とか、そういうものを除きますと、 〔理事石井一二君退席、理事宮澤弘君着席〕 百二十二本と言いましても実際は七十本近くということで、かなり少なくなるわけでございまして、ですからそれで満足してよいということでは必ずしもございませんけれども、先ほど申しましたように、日本は国柄批准するに当たって非常に慎重に国内法との整合性というものを検討するわけでございまして、そういうことからペースとしては必ずしもほかの国と比べて非常にスピードがあるというわけではございませんけれども、御鞭撻、御指摘もございますので、将来にわたりまして他の条約につきましても鋭意検討してまいりたい、こう考えている次第でございます。
○関嘉彦君 安倍外務大臣、今お聞きのように必ずしも非常におくれているとまでは言えないけれども、日本は経済摩擦なんかで非常に外国から特殊な目で見られているわけですね。そういう誤解なんかを排除する意味でも、差し支えないものはもっと急速に批准すべきじゃないかと思うのですけれども、大臣、もう少しハッパをかけて、お役人は慎重にやるのは結構なんですけれども、もっと批准を促進すべきじゃないかと思いますが、大臣の御所見いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 率直に言いまして、できるものはどんどん批准すべきだと思いますけれども、日本の場合は非常に批准した以上はちゃんと守っていかなければならぬということで、外務省だけの判断でいけない面がある。やはり関係各省にまたがっているわけですから、そういうところと国内法の整備がありますから、国内体制の。ですから、そういう見通しをはっきりつけて批准するということになるものですから、やはりその辺は非常にきちょうめん過ぎるという点はあるかもしれません。あるかもしれませんが、日本の国としてはそれを国内体制も十分しないで無責任に批准だけというわけにもいかないと思いますし、この辺はなかなか難しいところですが、しかし、いずれにしてもできるだけひとつ批准できる条約については積極的に対応してまいりたい、また外務省としても国内体制を整備するために積極的に動いていかなきゃならぬ、こういうふうに思っております。
○関嘉彦君 これは技術的な問題で後学のためにお伺いしたいと思うのですけれども、雇用政策に関する条約の方では、第六条の1に、「この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から十年を経過した後は、」云々、一定の手続に従って「この条約を廃棄することができる。」、「廃棄」という言葉が使ってありますね。ディナンシエーションという言葉なんですけれども、私の理解でも、普通多国間条約の場合は脱退するというのだったら話はわかると思うのですけれども、廃棄という言葉、これを使うのですか。
○政府委員(斉藤邦彦君) 御指摘のとおり、この条約の第六条に「廃棄」という言葉が使われております。これは英文のディナウンスを訳した言葉でございますが、このILO条約のような多数国間条約におきまして廃棄という言葉が用いられる場合には、これは当事国がその条約から離脱する意思を一方的に表明することを意味しております。それで、脱退という言葉、これも使われますが、通常の場合、ある国際機関を設立するような条約、これから当事国が当事国でなくなるような行為をする場合、これを通常脱退、英語ではウィズドローと言っておりますが、こういう言葉を使っております。そうでない場合には通常は廃棄、ディナウンスという言葉が使われております。
○関嘉彦君 そうするとILO関係条約だけの特殊な用語ではないわけですね、これは。
○政府委員(斉藤邦彦君) ILO関係だけではなくて、ほかの条約にも通常使われております。
○関嘉彦君 はい、わかりました。 次は、日中原子力協定なんですけれども、これもほかの国にないIAEAの査察を受け入れるようになった理由、これはさっき和田さんが質問されまして、中国がだんだん国際的な枠組みを理解してきたということと、日本人の特殊な感情を理解してそういうふうになったということで、これは私わかりました。ただ、協定の中身に関しまして、第八条に「両締約国政府は、いずれか一方の締約国政府による第四条、第五条又は第六条の規定に対する違反があるときは、他方の締約国政府の要請に基づき、直ちに相互に協議を行い、第四条、第五条又は第六条の規定の遵守を確保するための適切な措置をとる。」という言葉がありますですね。この協定違反とかなんとかという問題が生じたときには適切な措置をとる、この「適切な措置」という言葉の中には、もし中国が違反した場合には買い戻し請求権が含まれているというふうに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(松田慶文君) ここで書いております「適切な措置」とは、いかなるものをも排除しないすべての措置で、当該事情に対応する、双方が適当と認める措置と理解されております。この点は交渉経緯で明確に理解されておりまして、特に御案内のとおり、この規定がほかの原子力協定で間々見られます返還請求権というものも含むかどうかという形での議論の帰結として出てまいりましたものですから、返還ということを含むということについては了解が成立しております。 ただ、ただいまの御質問で返還買い戻し請求権を含むかという御質問であったかと記憶しますが、これは権利としての買い戻し権、請求権ではなくて、適切な措置という行為の中に、買い戻し返還という行為も双方合意の上で含まれ得るという意味で包含されるものでございます。
○関嘉彦君 私がそういう質問をしましたのはこの協定はかなり前から交渉が行われていたわけですね。その一番のネックになったのは国際査察の問題と、それとこの買い戻し請求権がネックになってなかなか交渉が成立しないというふうに承っておりましたので、最初の方の問題は解決したからいいんですけれども、後者の方の問題は何か玉虫色の表現といいますか、日本の方はそう理解しているかもしれないけれども、中国の方もそれを明確に理解しているんですか、日本と同じような意味で、
○政府委員(松田慶文君) 一般に返還請求権という権利として条約上権利権限の関係が明定されますときは、一定の要件のもとでは一方が他方に対して権利として買い戻し、払い戻しを請求することができますが、 〔理事宮澤弘君退席、委員長着席〕そのような形の権利関係は今回は含まれておりません。そのかわりにそれぞれの態様に応じて適切な措置をとろうという約束事でございまして、それが何であるかはそのときの協議によります。そして協議によって定まる行為の中には、返還買い戻し等も含まれるということは交渉経緯で明確になっております。決して玉虫色ではございません。
○関嘉彦君 何かわかったようでよくわからないのですけれども、それはそのままにしておきます。 私は原子力発電なんかの問題についての中ソ関係のことに関心を持っているんですけれども、最初のころは原子力に関する技術なんかの援助はソ連がしていたわけですね。ところが、中ソの間がおかしくなってきてからソ連の援助はなくなったと思うんですけれども、最近また両国の間の経済交流なんかが復活しつつあるようで、一年ほど前に、これは新聞の報道ですけれども、ソ連のアルヒポフ副首相が訪中したときに中国とソ連との間の経済交流を促進する、そのため一つの方法として中国は黒龍江省で計画中の原発の建設にソ連からの機器の購入を図っているというふうなことが新聞に載っておりました。私はやはり中国とソ連との関係がどういうふうに動くかということは全般的にこれは非常に日本としては関心を持っていなくちゃならない問題だと思いますが、その一つのあらわれとして今申しましたようなことが実際に行われる、あるいは実現の可能性があるのかどうか。外務省としてはどういうふうに把握しておられるか、そのことをお伺いしたいと思います。
○政府委員(松田慶文君) 御指摘のとおり一九五〇年代にございました中ソ間の原子力協力は、五九年の協定破棄、六〇年の専門家引き揚げによって途絶えて現在に至っております。 昨年来の中ソ間の交流の強化の過程で原子力問題が提起されていることは事実でございます。その一つの事例といたしまして、本年四月李鵬副総理の談話で述べられておりますが、今般行われた中ソ経済貿易科学技術協力第一回会議において、原子力発電所問題が話し合われ、その結果中国は代表団をソ連に派遣してソ連の発電所を視察することで意見の一致を見た。これは純粋に技術的視察であって、我々は既に米国、日本、西独、フランス、イギリス等々の原子力施設はもう視察をしているので、ソ連も見た上でいろいろと将来のことを考えたいと、このような談話を記者会見で述べております。したがいまして、これから中国としては専門家をソ連に派遣するというような段階にあろうかと思います。委員御指摘の黒龍江の発電所云々は一部報道にございましたことは承知しておりますが、政府としては確認しておりません。
○関嘉彦君 条約関係の質問はそれで終わります。 あと、東京サミット関係について二、三お伺いしたいと思います。 国際テロに反対する宣言につきましては、先ほど来ジャカルタの事件との関連で質問がございましたが、私はちょっと違った観点からこれを取り上げたいと思います。あの中でリビアを名指したということがやはり一つの問題だと思うんでありますけれども、リビアが西ベルリンの爆破事件なんかに関与している、そういう証拠をアメリカ及び西ドイツ政府から示されたので、それで日本としても議長国としてああいう宣言を出したのだというふうに理解しておるんですけれども、そのとおり間違いないですか。そして、もし間違いないとすればどういう証拠を示されたのか。詳しいことは言えないにしましても、やはり国民としてはリビアをなぜ名指して入れたのかということに対しては疑問に思っている人たちも少なくないんではないかと思いますので、その点を国民に十分理解せしめる上において可能な限り御説明願いたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) リビアがベルリンのディスコテロ事件に国として関与したということについてはアメリカ側から、さらにまたヨーロッパの国からも、特にアメリカサイドからは詳細かつ具体的に日本政府として説明を受けております。その結果としてリビアが関与したという日本としても認識を深めたと、こういうことでありまして、これはサミットが始まる前に日本の立場は述べたわけでございますが、その具体的な内容についてはこれは詳細にここで申し述べるということは差し控えさせていただきたいと思いますが、局長の方からその概略といいますか、これまで明らかにされた点については説明をさせたいと思うわけであります。
○政府委員(三宅和助君) ただいま大臣が御説明いたしましたように、三日の前の時点におきまして米国からかなり具体的な説明がありまして、また、ヨーロッパの一部からあったわけでございます。ただ、アメリカもヨーロッパも、これは将来の予防措置に関係するだけに、それについては発表してほしくない、将来の予防措置に実は関係するということでございます。 したがいまして、約束もございますが、ただ一つ、レーガン大統領が四月の十四日に記者会見で明確にかなりの部分を言っておりますので、そこの部分を繰り返し申し上げますと、西ベルリンのディスコ爆破事件に対するリビアの関与については、三月の二十五日、トリポリより東ベルリンの人民事務所に対し、米国人を攻撃し最大限の無差別的損害を与えるよう指示が発せられた。その後リビアの要員は爆撃を仕掛けた。四月の四日、同人民事務所は翌朝、つまり五日ですが、翌朝爆破を実行する旨トリポリに通報している。翌日、すなわち五日でございますが、これが大成功であった旨報告したと、レーガン大統領の説明が続きまして、我々は、カダフィが米国の施設及び米外交官さらには米国人旅行者に対し計画していた他の攻撃に対する確実な証拠を有しているということを言っております。また、同種のことが全く別の西独政府から来ておりますが、またそれ以外の事件につきましてもかなり詳細な説明が参っておりますが、これは将来の予防措置とも関連する問題でございまして、それ以上のことは私たちとしては申し上げられないので御理解いただきたいと思います。
○関嘉彦君 余り詳細なことは発表できないだろうと思います。 この宣言に対しましてソ連は一体どういう反応を示しているのか、それからソ連とリビアとの関係がどうなっているのか、これは四月二十二日でしたか、そのときの外務委員会でも、サミットの前でしたけれども質問いたしましたが、そのときはまだ詳細はよくわからないというふうなお話だったんですが、その後、つまりアメリカの爆撃以後ソ連とリビアとの間で例えば武器供与、そういったふうな交渉なり協定なりが行われているのかどうか、その点について外務省として把握しておられることを教えていただきたいと思います。
○政府委員(三宅和助君) まず今回のサミットに関するソ連の反応でございますが、例えば六日付のイズベスチヤでございますが、みずから国家テロ政策をとっている米国はこのテロ声明によりみずからをむち打っていることになるというようなことなど多かれ少なかれ米国非難ということでございます。それから詳しい声明を今持っておりませんけれども、その後一部にはその他のEC、日本などがそれに同調したというような論調でございます。 それから第二の質問でございますが、その後のソ連とリビアの関係につきましては、リビアの立場を支持するということを抽象的に言っておりますが、その後のさらに軍事援助なり経済援助は具体的にどう発展するかということにつきましてはまだ詳細に発表しておりませんし、情報につきましても十分な情報は得ておりません。
○関嘉彦君 ソ連は国際テロそのものにはソ連人自身が被害を受けたことがあるわけで、国際テロ自身には反対しているわけですね。そうすると先ほどの声明というのは、リビアは国際テロには関与していないということをソ連は認識している、その上での声明と見てよろしゅうございますか。
○政府委員(三宅和助君) まず、ソ連は国際テロそのものには反対であるという立場は明確にしております。 それから第二の点は、リビアその他の現在やっているテロというものを中東和平との関連におけるいわばアラブの大義と申しますか、解放運動の性格としてとらえているという面がございますが、ただ、今回のリビアのテロ事件そのものに対してはこれがどういう性格のものであるかという定義はしておりませんけれども、ソ連の一般的な態度は、解放運動に対する武力闘争としてのものを国際テロとは峻別して考えているということでございます。
○関嘉彦君 わかりました。 それから、チェルノブイルの原子力発電所の破壊の問題、損傷の問題についても宣言を出したわけですけれども、それについてソ連の反応はどうであるかということが第一点。 それから第二点は、あの事故の後に一部の新聞の報道によりますと、ソ連の政府の方が日本の外務省を経由することなしに日本の原子力学者あるいは技術者に対して事故の対応策その他の問題について助言を求めるためにアプローチしてきたんだ、そういう報道がございましたけれども、それは事実であると外務省としては把握しておられるかどうか、その二点。
○政府委員(松田慶文君) 第一点でございますが、東京サミットにおきます原発事故声明に対しましては、ソ連は基本的にはこれを一種の反ソ宣伝、反ソキャンペーンであるという認識を示しつつも、この声明の骨子についてはそのまま報道する、あるいはゴルバチョフ演説におきましても東京声明が提唱いたしました国際協力の三項目をそのまま提唱するなど、実態的には東京声明と軌を一にした主張をなしております。したがいまして、一方でこれは政治的な意図がある反ソ宣伝であるとは言いつつも、内容的にはこの声明の持つ意味を評価しているものと私どもは理解しております。 なお、御質問の第二点につきましては別途御答弁申し上げます。
○政府委員(都甲岳洋君) 御質問の第二点でございますけれども、この原発事故に関連いたしましてソ連側から我が国の民間に対して種々の要請なりアプローチが来ているということは私ども承知しております。しかし、本件は民間に対するものでございますので、私どもから詳しく申し上げるという筋合いのものでもないと思いますので、その点は控えさせていただきたいと思います。
○関嘉彦君 つまり、そういった技術者に対するアプローチなのか、あるいはお医者さんなんかに対するアプローチなのか、それも言えませんですか。
○政府委員(都甲岳洋君) ソ連側のアプローチは種々なものがあるようでございまして、おっしゃったような種類のものもございますし、それから資材、材料的なものについてのアプローチがあるというようなことも承知しておりますけれども、具体的なことは先ほど申し上げましたように、個々の民間の方へのアプローチでございますので、私どもの方から申し上げる立場じゃないというふうに思います。
○関嘉彦君 それじゃ、東京サミット全体の問題について安倍大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、サミットの声明及び議長総括、私は新聞で拝見したんですけれども読みまして、これはアジアで開かれたわけですからアジアの問題、例えばカンボジアの問題であるとか、韓国の問題であるとか、フィリピン問題であるとか、あるいはアフガニスタンの問題なんかについては触れられているんですけれども、どうも私は奇異な感じがするのは、中国について一言も触れていないわけですね、議長総括の中では。あるいは触れられたかもしれないと思うんですけれども、討議の中で中国についてどういう意見の交換がなされたか、中国をどういうふうにサミット諸国が見ているかという問題に関連すると思うんですけれども。
○国務大臣(安倍晋太郎君) やはり中国についてはこれは議長総括では特に触れられてはおりませんが、しかし、アジアの最も大きな人口を持っている国としまして、中国問題あるいはまた中ソ関係、中米関係ですね、そういう問題についてはやはり各国とも大変な注目、関心を持っておりまして、日本がアジアの一国である、中国との深い関係にあるということで日本の説明を求められました。私は中国についての日本の率直な説明をいたした次第です。これは恐らく首脳会談等におきましても、中国問題はやはり事に触れて時に触れて出たんであろう、こういうふうにもちろん思っておるわけでございまして、今ここで特に触れられてはおらないということでございますけれども、存在として非常に大きいということは皆認識しておったことはもう間違いないです。
○関嘉彦君 議長総括の中に触れられていないということは何か特別な配慮でもあったのかなというふうに考えるから質問したわけなんですけれども、サミットに参加した諸外国で中国の最近の動向をどういうふうに見ておるのか、それをお聞きしたかったわけなんです。差し支えない限りお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) この議長総括は非常に簡明に書き過ぎてあるわけですけれども、アジアにおける問題としては、例えば、朝鮮半島の問題、あるいはまたカンボジアの問題、フィリピンの問題というのが今焦点としてあるわけで、これも、やはり朝鮮半島の問題を論議する場合においても、あるいはカンボジア問題を論議する場合においても、中国というものを無視して論議できないわけで、朝鮮半島問題等については、当然、中国あるいはソ連というものが北に対してどういう影響力を持っているか、あるいは南北対話についてどういう姿勢を持っているかということ等、やはり中国あるいはソ連、アメリカ、日本、そういう関係国の努力が背景にないと南北対話は進まないし、これを積極的に推進していくための努力をするべきだという面から、いろいろと情勢分析、中国の立場等についても話し合いをいたしましたし、またカンボジア問題につきましてはベトナムと中国との関係、ASEANと中国とのベトナム問題、カンボジア問題についての協力関係、そういうものを背景にいたしましていろいろと話が進みまして、ASEANの外交努力を支持するというのがサミット参加国の姿勢でございます。これは今の中国の専らカンボジア問題に対する姿勢と軌を一にするところもあるわけでございます。 なお、ここでは出ておりませんけれども、中ソ関係がやはり何といいましてもサミット参加国の非常に大きな関心事項でございまして、これについてはいつも日本が説明する場でありまして、私から中ソ関係について説明もしました。また日ソ関係、日中関係といった問題も非常に注目されて、この点についても説明をした経緯がございます。そういうことで、全体的には、アジア問題を討議する場合においてやはり中国というものは非常に大きな存在ということで、各国とも関心も深かったことはこれはもう事実でございます。
○関嘉彦君 私がその問題を出しましたのは、やはり中ソ関係がどう動くか、したがって先ほどの中国とソ連との間の原子力協力の問題なんかもそれを占う一つのインデックスとして役に立つのじゃないかと思ったので質問したわけです。当然みんな関心を持っている問題であるにかかわらず議長総括の中に何ら触れていないということは、何か参加国の間で意見の不一致でもあったのか、あるいは意図的にそれに触れるのを避けたのか、それを考えたので質問したんです。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは、特にそういう意図的な問題ではなくて、やはりアジアにおける一つの緊張といいますか、今の焦点ということになれば、どうしても朝鮮半島問題、それからカンボジア問題、フィリピン問題ということになるわけでございまして、そういう三点にライトを当てたという形で実はこれをクローズアップしたことになったわけでございます。 ソ連、中国問題も、そういう意味では、別に意見の対立があるからこれをわきに置いたということではありません。
○関嘉彦君 最後に、皆さんもお触れになりましたけれども、円高の問題についてちょっと触れておきたいと思いますが、これは私は、東京サミットの問題だけとしてこの問題を考えて成功か不成功かという議論をしても余り実り多き議論にはならないんじゃないか。円が騰貴するのは私は当然だと思うんですけれども、ただそれが余りに去年の九月以降急激であったというところに問題があるわけであって、この外務委員会でも和しばしば取り上げましたけれども、一つは、日本側の対応として、日本の内需拡大のために財政的にやはり出動すべきではないか。財政再建ということは、日本の政府の一つの重要な目的ではありますけれども、それが唯一の目的ではないわけであって、やはり為替相場の安定というふうなことも重要な目的なんであって、それを、今まではそういう問題に対して余り注意を払わずに、専ら財政再建ということで財政的な支出は一切すべきでないというふうな態度をとってきたところに問題があるんじゃないかということが一つと、それからもう一つは、これもこの委員会で申し上げたことですけれども、アメリカの財政当局が去年の九月までは何かドルは高ければ高い方がいいんだというふうな間違ったフィロソフィーに立って、むしろドル高を放任してきた、そこに私は問題があるんじゃないかと思う。このことを言いますのは、今度は逆に、もし同じフィロソフィーに立つのであるならば、ドルは安ければ安いほどいいんだというふうな態度をとられたら、これは周辺諸国は大変な迷惑をこうむるわけであって、私は、その点についてはやはり日米両国政府がもっと早く対策をとるべきであったというふうに考えるんですけれども、大臣、いずれは総理大臣になられると思いますので、将来の問題もありますので大臣の御見解をお伺いして質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 円高の問題については、今おっしゃるようないろいろと問題を含んでおると思いますし、反省もあると思っております。特に、急激な円高というのは予想以上のものでありましたし、そうして今これが日本経済にも相当な打撃をやっぱり与えておるということで我々も心配をしておるわけで、何とか早く安定状況になることがこれからの日本経済を運営していく上においても大事なことであろう、それにはせっかくサミットで枠組みもできているわけですから、こうした協調の枠組みというものを大いに活用する必要が出てくることも私はあると思うわけでございますが、幸いにして、きのうからベーカー発言等で円高については大体自分たちの意図する方向へ進んできた、まあこの辺でいいんじゃないかというふうな、まさに少し抑える発言が出ておる、これは非常に歓迎すべきことであろうと思いますが、これからの状況を見ながらいずれにしてもやはり安定という方向で、日本だけではなくて、せっかく枠組みもできたんですから、そういう枠組みの中で主要国が相談していくということが大事なことであろう、こういうふうに考えます。 ―――――――――――――
○委員長(最上進君) 委員の異動について御報告いたします。 ただいま秋山長造君が委員を辞任され、その補欠として上野雄文君が選任されました。 ―――――――――――――
○立木洋君 大臣、今国会で大臣に質問するのはこれが最後の機会にどうもなりそうですし、それから今後外務大臣としての安倍さんにお尋ねすることがあるかどうか、これは政治は動いていますからわかりませんので、今まで何回か私は大臣に質問してきた内容として、日本の外交姿勢の問題ですね。これまた新しくて、今までも何回もお尋ねしておりますけれども、今度のサミットの問題も関連しますし、円高等々の問題を協定の前に若干お尋ねしておきたいと思います。 先ほどの同僚議員の質問に対しても、今の円高というのが非常に深刻な状態で、急激過ぎて、これは行き過ぎだというふうな認識を大臣は示されたわけですね。しかし、これまでの経過を見てみますと、例えば、去年の九月のG5で、結局、アメリカ側からつまりドル高の是正ということが出されて、日本政府としても円高の方向で努力をしようということで合意がされた。ことしのまた一月のロンドンでのG5ですか、この場合も同じように、アメリカ側の代表からは百七十円台でどうかと。そうしたらベーカーさんはいやもっと円高でないと困るんだというふうな話が出された。これもまた、日本政府としては合意してきているという経緯があるんですね。それから、四月の首脳会談が開催されたときに、御承知の問題になりました前川レポートですか、これを示して、これに対してレーガンさんから称賛されるというふうな経緯があって、急激に円高が進行するという経緯があるわけですね。 こうした今日の状況を見てみますと、経済的な側面でどうこうということを私はお尋ねするつもりはないんですが、アメリカのこうした要望に応じるということが進行する過程の中で、もちろんそれだけが問題ではありませんけれども、そういうことと絡んで、商社や銀行などのいろいろな思惑も関連して、急激な円高が進んできた。だから、外交的な側面から見て、こういう対応がどうだったのかということを、行き過ぎたという今の時点に立って言われるならば、これまでの対外的な対応の仕方でどうだったのかという点については、大臣どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は、去年の九月の二十二日のG5にしても、あるいは前川レポートにしても、前川レポートで政府がこれをどうするかというのはこれからの問題ですけれども、決して日本政府の進めてきた、あるいは進んできた方向というのは間違っていなかった、こういうふうに思っています。これはむしろ、日本がアメリカから押しつけられたというよりは、日本みずからが取り組んでいったことでありますし、ああいう去年の九月の状況からして、やはりG5が行われて、どんどん黒字がふえていく、貿易のアンバランスが進んでいくという中で、頼るのは為替の調整以外にないという、これはもう大方の意見だったように思います。そういう中でG5が行われて、円高に基調が移っていったということは非常な歓迎をされたわけで、私はこれは世界経済を考えてみても、その後の世界経済を考えてみても、一つの好ましい方向であったと、こういうふうに思います。 また前川レポートも、総理の私的諮問機関ですが、あそこで論ぜられた内容というのは、日本の今後取り組んでいかなければならない、全部これを実現できるかどうかということは、これは中長期的な問題もあるし、当面の問題もあるし、選択の問題ですけれども、しかし、これは日本が直面している一つの構造改革、そういうものをはっきり打ち出しておる。その路線を日本みずから打ち出しているという点では、私は評価はされてしかるべきだ。アメリカも非常に評価しているわけです。 ですから全体的に見て、そういう点は間違っていない。ただ問題は、やはり余りにも円の上昇が急激であり過ぎた、わずか半年の間に四割から五割というふうな状況でどんどん上がったというところに予想を超えた状況が出てきて、その反動が出てきて、ダメージも出てきたということになるんじゃないか。 ですから、この辺で一つの修正といいますか、是正というものが何らか行われる必要はあるんじゃないか、日本も、実勢に応じた相場だと言いますけれども、むしろ実勢を超えたと言ってもいいような状況にもなりつつある、このままいけば。その反省も日本にもアメリカにも出てきておるということも、今の時点では事実だろうと思います。
○立木洋君 私は、その点に外交上の対応があったんじゃないかと思うんですね。今度のサミットの場合、円高が急激に進行してきたから何とか是正してほしいと望むいわゆる一般の状況というのはあったと思うんですね。ですから新聞等を見ますと、本当に今度のサミットの中で、円高是正の問題で日本政府は努力をしてくれたんだろうかというふうな問題が一般紙にもいろいろと出される。また、お聞きしますと、自民党の与党の内部でもいろいろ意見が出されているように聞いているわけですね。この問題というのは、やっぱり日本経済に対して極めて深刻な状態だった。 しかし、サミットの経過を見ますと、経済宣言の中ではいわゆる円高を誘導してきたG5での協調を歓迎すみという方向で出されているわけでしょう。そして結局今度の相互監視制度、十項目ですか、指標が決められて、これはいわゆるベーカープランが基礎になっているということですし、そして結局はこの問題についても今後いろいろと、お互いに痛み分けだということを中曽根さん盛んにおっしゃいますけれども、アメリカ側としては今の状態でいわゆる円高の是正を受け入れるというふうな状況にないわけですから、そうすると結局は日本側にさらに要望が強まってくるという事態が今後の推移としてはやはり考えられるんじゃないかという懸念等々も示されているわけですが、この点はどうお考えですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは今、日本とか西ドイツは非常に経済が強いわけですから、それなりに責任もあることは、これは事実だろうと思います。これは避けては通れない責任があると思いますけれども、しかし、あの監視制度ができたからといって、日本とかあるいは西ドイツが目標にされるということじゃなくて、アメリカにしても問題を抱えているわけです、金利の問題にしても、財政赤字の問題等にしても。あるいはイギリスにしても雇用の問題等ちょっと深刻ですし、やっぱりそれぞれの問題を抱えておりまして、それぞれお互いに指摘し合いながらサーベーランスを続けていくということで、そういう意味では政策協調といいますか、そういう面が非常に強調された、そういう面が強く打ち出されたというサミットではあったんじゃないか、こういうふうに思います。
○立木洋君 先ほど来、問題にされているいわゆる協調介入ですね、この問題をやはりやるべき時期ではないかという質問が二、三の同僚議員から出されましたけれども、明確にそれに対して大臣はお答えになっていないんですね。これはアメリカ側は今協調介入を出しても私は同意しないだろうと思うんですよ。ですから、出さないのか。それとも今協調介入する時期ではない、そういう必要はないというふうに判断されているのか。そういう必要はあると判断するけれども、いわゆるいろいろとアメリカ側の模様も見ながら、今無理だというふうに判断されているのか。一体どういうふうな判断の基準、判断をされているのか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは外務大臣がなかなか判断しにくい問題なんですけれども、しかし、いろいろとサミット等の論議、あるいはまた、その他の議論等も踏まえて私なりに判断をすると、なかなかそう協調介入といいましても、これは一つの機が熟するということが大事なことじゃないかというふうに思いますね。G5が行われたときはやはり機が熟したということであろうと思います。ですから、無理やりにやったからといって、それでもって成功するわけじゃない。成功しなければそれだけ反動が大きいわけでございますし、これはやはりタイミングを見るということは非常に大事なことであろう、こういうふうに思っております。 今なかなか、それじゃ率直に言って各国が応ずるか、欧米の諸国が応ずるかということになると、サミット以来、まだ日がたっていないわけですし、そういう状況には必ずしもないようにも思います。しかしアメリカなんかも少し様子が変わっていることは事実で、ベーカー発言等を見れば、これは明らかですから、状況は移っておる。状況は動いておるということは言えると思いますね。しかし、判断するのはやはりいわば通貨当局等が中心になって、十分意見の交換をしながら判断をしていただかなければならぬ、こういうふうに思います。
○立木洋君 サミット前後からの経過、今日の状況ですね、今の機の熟するというふうなお話ですが、結局、私は国内的にいえばいろいろな手を打つということですね。これはそれなりに私は重要だと思う、今の国内経済についてもどうするかという問題について手を打つということは。これはまた別の委員会で当然議論されるでしょうけれども、対外的な姿勢の問題として言うならば、結局、今日のこういう円高・ドル安という状況の根源的な問題を見ていけば、アメリカの財政赤字の問題を抜きにしては、これはやはり論じられない。 何しろ年間、アメリカ自身が二千億ドルですか、軍事予算などを中心とする財政状態というのが赤字を生み出す主要な要因になっているわけですし、こういう問題なんかについてもやはり率直にこちらから指摘をして、アメリカ自身も責任ある対応を求めるということが私はやっぱり必要だろう、そういう議論の中でそういう状態を改善していく。だから、一方的に日本だけが先ほど来いろいろ問題になっていますけれども、ターゲットとされるというような状況ではなくて、双方で痛みを分け合うならば、そういう主張をもっと積極的にしていくべきだ。ですから、期を熟するということがわからないわけではありませんけれども、そういう点についてはもっとやっぱり日本の外交の自主性ですね、これを発揮して、そういう点を積極的に今後とも述べる努力を要望したいと思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは当然のことだと思います。まさにそういうことを行うための今度のサーベーランスの枠組みだろうと思いますね。これは日本だけが批判されるということじゃなくて、日本が大いに主張するということはアメリカに対しても主張をすると、そういう枠組みができたということですから、これは大いにやらなきゃならぬ、こういうふうに思いますし、そういう制度は別にしてのやっぱり日本の外交の姿勢としても、おっしゃるように、これは言うべきことはきちっと言わなきゃならないし、これは通してきたというふうに自負もいたしております。
○立木洋君 私としてはどうもそういうふうに通してきたと思えないから改めて強調したいわけで、今後ともそういう点は、外務大臣がいつまで外務大臣でおられるかどうかわかりませんけれども、いろいろと動いていますけれども、この点ではアメリカの言い分に追随するということじゃなくて、自主的な立場を積極的にとるように私は努力していただきたいということを重ねて要望しておきたいと思うんです。 さて、リビアの問題ですが、これは当然リビアがテロを行ったという明確な証拠を我々自身が手にするという状況にはもちろんないわけですけれども、しかしいかなるものであれ、テロには我々断固として反対であるということは、これは明確だと思うんですね。問題は、それならばテロを行った場合の対抗措置としてアメリカが行った武力行為、これが正当化されるかどうかという問題だと思うんですね。これは衆議院の外務委員会で大臣自身も、何もそういう武力行為を我々は支持しているわけじゃないと、またそれを国際法上どうか、こうかということを認定する立場に日本があるわけではないという答弁をされている。しかし、今度のこの国際テロに関する声明を見てみますと、もちろんテロに対しては批判をしている。そして、特にやはりリビアを名指しで批判をしている。しかし、アメリカの武力行為についてはもちろん何も言及していないわけです。 そこで実際状況から見ますと、そういう声明が出された後、それがどういう効果を持つか、国際政治において。あるいは政治的にどういう歩みが今後生じてくるかということを見ますと、これは大臣自身が支援、支持しているわけではないと言うけれども、実際には支持したという効果が生まれてきているんであります。レーガン大統領自身もこの後の声明で、一〇〇%我々は目標が達成されたということも述べているわけですし、そして今後とも外交、経済、軍事面での一致した行動をとるというふうなことまで述べているわけで、この問題というのは私は、大臣がそのように弁明されようとも、結局ああいう声明が出された。そして、効果としてはアメリカの武力行為を支持する形態になってしまっているということに大変危惧の念を持つわけですよ。このような現在の状況について、大臣どのようにお考えになりますか。アメリカの武力行為について日本の政府としてどういうふうに判断されておるのか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今度のテロの声明では、少なくともリビアをメンションしたということは参加国が一致したわけですが、これは日本も欧米から、先ほども御説明しましたけれども、詳細、具体的にリビアがテロに関与したということを聞きまして認識を深めた。その結果として、テロの中へこのリビアという名前を入れたわけですが、これはいかなる地域においても、あるいはいかなる国が行ったことに対しても、とにかくテロというものに対しては絶対にこれは許すことはできない、断固として防止しなきゃならぬと、そういう立場を貫いておる。その点では参加国は一致したわけです。しかし、アメリカのリビア攻撃については、これは明らかに七カ国で考え方は違っていますよ。フランスなんかは反対、それも支持しておらないことは明らかです。イタリーだってそうですね。ですから、日本だって日本の独自の立場があるわけですから、この点は決して足並みがそろったといいますか、一致しているわけではない。 これは、国としての独自な外交政策で判断しているわけですから、今おっしゃるように日本がテロの声明に参加したからとか、あるいはフランスが参加したからといって、あるいはまたイタリーが参加したからといって、それじゃアメリカのリビア攻撃を、あの攻撃をそれじゃ支持したかということになりますと、そうではないということであります。
○立木洋君 しかし、今後とも必要があればあらゆる措置をとるということも公言されているわけですね。だから、こうした事態を考える場合に、やはりそうした点は日本の政府としても今後明確にさしていく必要があると思うんですよ。その点を改めて指摘をしておきたいと思うんです。 時間の関係上、次にこの原子力協定に関する問題でお尋ねしたいんですが、今まで日本の原発の事故というのがどれだけあったのか。
○説明員(神田淳君) 事故につきましては、電気事業法及び原子炉等規制法で政府に報告すべきものが定められておりますが、五十九年度の実績を見てみますと、事故、故障の件数が十八件。これは日本の原子力発電所、運転しているやつで割りますと、一炉につきまして平均〇・六件、この程度が事故の件数でございます。
○立木洋君 原発が開始されてからの件数は何件になりますか。
○説明員(神田淳君) 昭和四十一年から六十年までで三百十七件でございます。
○立木洋君 これらの事故あるいは故障といいますか、これらの原因について、そういう事故や故障が起こった原因について、すべてほぼ完全に解明されているのかどうなのか、その点はいかがでしょうか。
○説明員(神田淳君) 事故の解明システムにつきましては、電力会社に原因を調査させまして、また報告がありまして、通産省で入念な原因究明に努めます。その結果、原因を究明いたしまして、対策を確定して、原子力発電所をまた再開するという、一つ一つそういうことでやってきていまして、全部解明されているというふうに考えてよろしいと思います。
○立木洋君 先ほど来問題になっているソ連のチェルノブイルの事故ですね、これは極めて深刻な状態になっている。ですから、これについては情報は速やかに公開すべきであるというふうなことも大きな問題になっているわけですね。それで、きのうのゴルバチョフ書記長の報告によっても、この問題についてはまだ完全に解明されていないという趣旨のことを、だから今の時点で断定できる結論を出すわけにはいかないということも言っていますけれども、今までも日本の原発で、例えば福井県で起こった敦賀の原発だとか関西電力の原発だとか、これも実際にはなかなか報告がされなかった。新聞でいろいろ指摘されてから問題になった。あるいは国会で取り上げられてから初めてその事態が明らかになる。そして、通産省から原発に要請されて、そうしたら、報告されていない件数が二十件もあったとかいうふうなこともこれまで国会でしばしば議論されてきたわけですね。今まで原発で起こった事故あるいは故障というものが完全に完璧に報告される、そういうシステムになっているんですか。
○説明員(神田淳君) これにつきましては、原子炉等規制法及び電気事業法で報告すべき事故の対象範囲が必ずしも明確に決められていなかったというふうなうらみがございまして、敦賀発電所の事故があったときを契機といたしまして、省令を改定いたしまして、詳しく、以下の対象については報告するというふうに細かく決められまして、それ以後はそれに該当するものは全部報告するというふうになっております。
○立木洋君 アメリカの報告制度というのは極めて厳しいですね。そして報告された内容というのがすべて完全に検討されるという体制をとっておりますよ。それで、それによりましても、例えばアメリカの場合、原発一基当たり年間発生しているトラブルの件数、故障の件数というのは、大体五十件から百件起こっているんですよ。日本の、先ほど報告を聞きますと、四十一年からというんですから、今日まで十九年間三百十七件だというんですね、事故、故障。これは極めて私は少ないと思うんですよ。これは実際にアメリカと比較してのことを言っているんですね。日本の原発というのは、御承知のようにアメリカから技術導入してやっているわけで、アメリカより技術がすぐれていて、アメリカよりも立派だ、だから事故と故障が少ないんだということには私はならないだろうと思う。だから私は、報告制度の問題にやはり問題点があるんじゃないか。あるいはまた、かつての原発のように事故とか故障だとかというのが完全に報告されていないのがあるんじゃないかというふうにどうも思わざるを得ない。そんな根拠があるかというと、根拠があるわけではなくて、調べてきて言っているわけじゃないんですよ。アメリカとの対比で私は言っている。どうしてこういうささいな事故、故障というのを問題にするかというと、科学者のいろいろな発言を聞きますと、事故というのは突発的に起こるものじゃないというんですよ。あらゆる形で積み重ねられてきてそれが起こるというんですね。あの日航の、それこそひび割れですか、あれだってそうだというんですね。だからそういう問題について、もっとやっぱり厳格にこの際チェルノブイルのああいう事故に関して、これはこの間科学技術庁長官が国会でこの問題に関して発言されたときに、いわゆる日本の安全性は十分だと確信しているというふうに述べられたけれども、私はなかなかそうは思えない。だからこの点はやはりこの重大なソ連の事故を警告として、安全の問題、いわゆる公開制の問題、もっと徹底して点検し直すという必要が私はあるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○説明員(神田淳君) 先ほど、事故の対象について諸外国との比較でございますが、これは必ずしもはっきり明確にはわかりませんが、NEA、OECDの原子力機関にある一定の基準を設けて報告されているわけですが、そういったものを見ても、特に日本の報告が甘いというふうなことは考えられません。 それからもう一つ、法律で対象としている事故のほか、さらに軽微な故障まで通達によりまして通産省に報告しろというふうな行政指導ベースでやっておりまして、その件数は今申し上げたような件数の中には含まれております。 それからもう一つ、ソ連の事故に関するあれでございますが、通産省の方でも情報収集、分析に努めておりまして、また原子力安全委員会の中にも特別委員会を設けまして調査をしておりますが、そういったところでの原因究明というものがわかってきた段階で、また日本の原子力発電所に反映すべきものがあれば反映していく必要があるというふうに考えております。
○立木洋君 これはソ連と日本との原発それ自体が違うとか、いろいろな議論もあるようですけれども、ソ連の場合もまだ原発の事故原因というのが明確にされているわけじゃない。それから、アメリカ自身でも、御承知のようにいろいろと事故があったし、スリーマイル島のああいう事故も重大な事故としてあったわけですし、アメリカのあれを見てみますと、結局いわゆる全身被曝の危険地域というのが炉心から半径十六キロというふうに言われている。それから、飲み物や食べ物なんかの場合では、体内被曝というものの危険地域というのが半径約八十キロ。そうすると、日本の原発が置かれている状態というのは、もう住民がこの範囲内にはほとんど存在しているわけですね、大量に。そういう状態の中で日本の原発というのはあるわけですよ。だから私は、地震が極めて多い日本なんかの状況を考えますと、安全の上に万全を期すということがさらにあっても私は行き過ぎは決してない。だから、そういう意味では私はもっと全力を尽くしてほしいと。 また、今度のこの日中原子力協定の問題で言えば、こういう状態にあるという安全性の問題について、私自身としてはこれは完全に安全性が確立されているというふうには判断できませんし、そういう問題も含めて中国側にもきちっと情報を提供するなり、努力はやっぱり払うべきではないかというふうに私は思うんです。 それで、最後に一括してお答えをいただきたいわけですが、ですから私たちの考え方というのは、相手国の要望に応じて我が国が原子力の問題で必要可能な協力を行うということは、一般的には私たちは否定しているわけではもちろんないわけですけれども、重要なことは、日本の原子力協定が日米原子力協定に見られるように対米従属下にやはり置かれている、原子力行政が。また原子力発電の安全性が完全に保障、確立されていないということをも考えるならば、こうした協定などの問題について考える場合に、こういう従属性を拡大するような意味を持つようなことや、あるいは安全性の保障のない技術をいわゆる無責任に外国に輸出するというふうなことになる場合に、我々は相手国のいかんにかかわりなく、それに賛成しないという態度をこれまでもとってきたし、現在でもとっているわけですね。 今回の日中原子力協定というのは、相手国は確かに社会主義の中国でありますけれども、この主要な内容は、我が国の原子力発電の機械だとか技術なんかの中国への輸出というものも含まれているわけですね。そうすると、安全性の問題が依然として多くの問題を抱えていると見られている今日の状況、これは原子爆弾を開発するという過程の中で、平和利用というのがいわゆる若干それを借りてつくられてきたという経緯があるわけですから、抜本的にやっぱり平和利用の問題を最初から考え直す必要があるということをも念頭に入れるならば、これまでも、無責任な増強計画はすべきではないし、いわゆる現存する原子力の発電所の問題については全面的に総点検せよということを私たちは提起しているわけです。 そういう見地から見て、今日、この原子力協定の承認案件については私たちは棄権するという態度をとるというふうにしているわけですけれども、今言った安全の問題をさらに完全に確保するという点で全面的な努力をしてほしいという問題と、中国側にも情報を提供するということについて、その二点、最後にお答えをいただきたい。
○委員長(最上進君) 時間がございませんので、端的に御答弁願います。
○説明員(堀内純夫君) 前段の問題に対してお答えしたいと思います。 原子力安全委員会は、特に昭和五十四年の三月に発生いたしましたスリーマイルアイランドの原子力発電所事故を教訓といたしまして、設計の安全基準、それから審査基準、安全設計、運転管理の方法、防災及び安全研究という広い範囲にわたりましてかなりの検討項目を拾い上げ、それをまた実施に移してきたところでございます。それの結果と申しましょうか、最近におきましては稼働率もかなり上がってきているところでございます。 それから、今回の原子力発電所の型式は日本の原子炉とは違うとはいえ、いろいろとその事故を詳細に調べますれば、恐らく我々にとりましてかなりの参考になるものが出てまいるものと思われます。このため、原子力安全委員会におきましてはチェルノブイル発電所に関する事故調査の特別委員会を設けまして、あすを第一回といたしまして調査に入るつもりであります。この際、IAEAその他、OECD・NEA寺ともよく連携を保ちまして、情報の的確なる入手に努めたい、かように思っております。
○政府委員(松田慶文君) 安全性の向上は日中間の今後の重要な課題でございます。協定第三条にもこれを協力分野とすることが明記されております。私どもは今後の協力において格段の努力を払いたいと思っております。
○委員長(最上進君) 他に御発言もなければ、三件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(最上進君) 御異議ないと認めます。 これより雇用政策に関する条約(第百二十二号)の締結について承認を求めるの件、人的資源の開発における職業指導及び職業訓練に関する条約(第百四十二号)の締結について承認を求めるの件の両件につきまして討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより順次採決に入ります。 まず、雇用政策に関する条約(第百二十二号)の締結について承認を求めるの件の採決を行います。 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(最上進君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 次に、人的資源の開発における職業指導及び職業訓練に関する条約(第百四十二号)の締結について承認を求めるの件の採決を行います。 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(最上進君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(最上進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十二分散会 ―――――・―――――