科学技術特別委員会 第8号
- 発言数
- 161 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1986/05/12
会議録
○委員長(馬場富君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。 初めに、委員の異動について御報告いたします。 去る九日、片山甚市君が委員を辞任され、その補欠として松前達郎君が選任されました。 また、去る十日、後藤正夫君、福田宏一君が委員を辞任され、その補欠として吉川芳男君、吉村頂事君が選任されました。 —————————————
○委員長(馬場富君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 研究交流促進法案の審査のため、本日の委員会に各省直轄研究所長連絡協議会研究交流問題特別委員会委員長渡邉昭三君を参考人として出席を求めること。に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(馬場富君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(馬場富君) 研究交流促進法案を議題といたします。 この際、河野科学技術庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。河野科学技術庁長官。
○国務大臣(河野洋平君) 去る五月九日の本委員会における研究交流促進法案の御審議の際、穐山委員が御質問の中でおっしゃられたいわゆる防衛技術に係る国際研究交流と本法案との関係の問題につきまして見解を申し上げます。 本法案には国際研究交流に関連する条項を含んでいるが、これは国際研究交流における法制上の隘路を一般的に改善しようとするものであり、殊さら防衛技術の国際研究交流の促進を目的としたものではない。 他方、防衛技術に関する国際研究交流を行う場合には、必要に応じ何らかの取り決めが結ばれることになる。このことは本法案によって変わることではない。 それぞれの分野において具体的にいかなる国際研究交流を行うかは、当該分野における政策判断に基づくものであることは申すまでもない。 以上は、私どもが防衛庁、外務省、通産省とも相談して取りまとめたものである。 以上でございます。
○委員長(馬場富君) それでは、前回に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○松前達郎君 研究交流促進法案に関連しまして若干の質疑をさせていただきますが、私自身も実はかつて科学技術会議の専門委員でもありましたし、研究業務等もずっとやってきた経験も持っておりますから、この法案については非常に注意をしておるわけでございます。 そこで、いろいろと委員会で今まで質疑等が行われたと思いますが、私、今までのは出ておりませんので、あるいは重複するかもしれませんけれども、日ごろ考えておりますことも含めて質疑をさせていただきたい、こう思うわけでございます。 まず第一には、この法案が提案されるまでの経緯の問題でありますけれども、ある新聞に「気になる研究交流促進法案」という見出しでもって記事が出ておったわけです。これを見てみますと、確かに、この法案が出るまでのいきさつとしては、国の研究機関における研究活動が非常に限られたといいますか、それぞれの研究所で独立したような形で行われておりますので、それをお互いに交流していこうという問題、さらに研究活動に伴っては、当然学会とかあるいは研究集会とかに研究者が出席をするということは非常に大きなプラスになること、これはもう言うまでもないと思うんですが、そういったようなことに関して研究集会参加ができるようになる、そのほか、これは何も研究集会といいますと国内だけじゃございません、個際酌本研究集会もございますから、そういった国際的な活動もある程度できるようにしたい、また同時に、逆の面で外国人の研究員を招聘をして参加させるとか、いろいろと必要であろうと私は思っておるわけなんです。 ただ問題は、いきさつということを私申し上げたんですが、経緯として、最初に皆さんがお考えになったときには、どうやら防衛庁が入っていなかった。防衛庁は特別公務員ですね。ところが後からこの研究交流促進法に加えてくれというふうないきさつがあって、最終段階といいますか、終段の部分で防衛庁が加わってきた、こういういきさつだというふうに新聞記事では書いてあるわけです。 まず最初にお伺いしたいんですが、本法案の本来の基本的な目標といいますか、目的といいますか、これは一体どういうところにあったのか、これについて最初にお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 松前先生もうよく御存じの分野でございますから、私どもから御説明を申し上げるのも少しどうかとは思いますけれども、今日の科学技術政策について私ども考えてみますというと、日本の国の二十一世紀を展望いたしてみますと、科学技術を重要視して、この進歩発展なくては二十一世紀に明るい展望は持てないのではないかというふうにまず基本的に考えているわけでございます。科学技術の振興こそがまさに大きな国家的な重要課題というふうにも思っているわけでございます。ところが、科学技術が大変レベルアップしてまいりまして、異なった分野が相互に交流し合う、あるいは、先生今おっしゃいましたような国際的な交流、こういったことを思い切って進めていかなければならない状況になってきている。そこで、科学技術は各省庁それぞれの分野でそれぞれ懸命の取り組みをいたしておりますが、政府としてもひとつ一本筋の入った政策というものをつくらなきゃいかぬということで科学技術政策大綱というものを昨年度末閣議決定させていただいたわけでございます。 この科学技術政策大綱では、次の時代の技術をはぐくむ基礎的研究の強化を中心として創造性豊かな科学技術の振興を図る、それが一番重要だ、そしてその際、人間及び社会のための科学技術という原点、これと調和ある科学技術の発展を図ること、そして科学技術面における国際的貢献というものが重要である、したがって国際性を重視した展開を図らなければいかぬ、こういうふうに考え方がまとまってきたわけでございます。 そういう考え方を基保健にいたしまして、今日我々が限られた人材あるいは限られた資源、財政的にもかなり限られているということになると、もう一度いろいろな面を見直してみて、制度上の隘路をまず直して、制度上の隘路を取り除くことによって現在の仕組みでも研究交流を促進する方策があるのではないかということから、この法案の取りまとめを急いで、先生御承知のとおり、さまざまな分野で非常に問題も多うございますけれども、この法律案を何とか御理解をいただいて取りまとめさせていただいた、そして国会の御審議をいただいているというところでございます。法案の中身は、逐次局長からも御説明を申し上げますが、先生も今御指摘がございましたように、身分法の問題あるいは財産法の問題、こういった点の法制上の隘路を取り除くことを本法案の一番のねらいといたしておるわけでございます。
○松前達郎君 今、長官がおっしゃったことはそのとおりだと私は思うんです。最初の本来の目的、基本的な目的はそこにある。これは私どももいろいろ体験もしているんですが、国家公務員あるいは特別公務員も含めてでしょうが、国の研究機関が比較的がんじがらめになった中で研究を自由に展開していこうというのが非常に困難であった。ですから、これはもう全くそのとおりではなかろうかと思います。文部省の方はいち早く外国人の教官の登用、任用といいますか、これについての問題に取り組んで国籍制限の廃止というものを打ち出してきておるわけでありますが、それと同じような意味で科学技術庁の方でも研究開発に関する外国人の登用というものも考えられたんじゃないか、かように思うわけです。 これは臨調答申の中で、第三次答申でしたか、科学技術研究を総合的かつ効率的に推進するための方策として「産・学・官の連携」ということを言っておるわけです。これは何も臨調が言ったからというわけではなくて、もう当然の話でありまして、この連携を促進するということ、これがまず最初に手をつけなければならない分野であろう。それから恐らくこの改革法案というものが出てきた。 制度上の問題というのをまず取り去るということを今おっしゃったわけでありますが、その中でいろいろまた問題が出てくるんですね。制度上の問題というか、例えば学会に参加するとか、そういうものも含めた制度上の問題、あるいは休職の問題とかいろいろ含めて、そういうものは確かにネックとしてあったわけですから、これは僕は取り去って結構だと思うんですが、それを包含した中でいろいろ問題が出てきている。その中で幾つか基本的な問題について質問させていただきたいんです。 例えば国の研究所、国立研究所というのがどういう定義がよくわかりませんが、国立研究所で行われた研究成果について、これは原則的には積極的に公開するということになっていると思うんです。研究成果の公開、あるいは研究者相互間の評価、これは学会等で評価できますので、あるいは公開も学会でやるとすればできると思うんですが、こういうことが可能になるようになったんじゃないかと思うんですが、今後も研究成果を公開するという意味においてはどういうふうに取り扱っていかれるのか、積極的にやっていかれるのか、その点をひとつお伺いいたします。
○政府委員(長柄喜一郎君) 一般的に国の研究成果は、国立研究所で行われた成果に限らず委託研究等のものも入りますが、一般的に公開され、それが国民全体に還元されるというのが原則であるというふうに考えておりまして、具体的にはいろんな論文の形で学会で発表される、また研究所の所報というような形で外部に公開され、またそれが例えば科学技術情報センターというふうなところで抄録の形でデータベース化されてオンラインで各研究者の方にアクセスできる、そういうふうな形に持っていきたいと考えている次第でございます。 ただ、特許権等を取得するために一時的に研究成果の公表を差し控えるというふうなことはございますけれども、その場合でも権利が確定すればそれは公開する、このように考えております。
○松前達郎君 原則的には、原則というか積極的に公開するというふうに私ここで理解をしておきたいと思いますが、特許を取るということは公開してしまうことになりますので、特許がおりる前は周知の期間を除いて公開にするものではない、これは当然の話だと思います。 また臨調を例に挙げるんですが、第五次の答申で、公務員の区分なんですが、これについても「一般公務員制」の「研究・教育公務員」について流動性を持たせるということが答申に出ておるんです。これ、ちょっと私よくわからないんですが、一般公務員制の公務員というのは一体どういうものなのか、ちょっとよくわかりませんけれども、一般公務員というのは一体この場合何を指していると解釈をしておられるか、その点をお伺いしたいんです。一般公務員制というふうにうたっていると思うのですけれども、一般公務員というのは一体どういう公務員なのか。
○政府委員(長柄喜一郎君) ただいま先生のおっしゃいました臨調の第五次答申というもの、今手元にございませんが、私の記憶では、各省庁間のこれは我々行政官のことでございますけれども、いろいろ流動、お互いに人事交流を図って、その間の意思の疎通を図るというふうなことで、各省庁間の人事交流を盛んにしようという趣旨のことがあったかと思いますが、そのことを指しているんじゃないか、こう思います。
○松前達郎君 そうしますと、余り神経をとがらして一般公務員とは何かというふうに考える必要はないというふうなことだろうと思うんですが、研究公務員というのがありますね、そういう区分が。それから教育公務員、こういうふうな区分があると思うんですけれども、研究公務員というのは一体どういう範囲といいますか、各省庁いろいろあると思いますけれども、一体どういう区分について考えておられるのか。例えば文部省あたりの研究所ですね、こういうものは教育公務員なのか研究公務員なのか。いろいろな問題があると思いますが、その辺、概略でいいですから、概括してちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(吉村晴光君) 今御指摘ございました研究公務員というのは一応我々が申し上げております俗称でございまして、法令で出てまいりますものは、いわゆる給与法の中でどういう俸給表が適用されるかということで区分がされる、したがいまして、研究職俸給表の適用を受ける方、それから教育職俸給表の適用を受ける方といった形で区分がされるわけでございます。研究公務員というふうに科学技術庁が俗称で申します場合には、各省の試験研究機関で働いておられる方で研究職俸給表の適用を受ける方というものを通常指して研究公務員というふうに申し上げている次第でございます。
○松前達郎君 給与法の方で仕分けをするということをおっしゃったと思うんですが、またもう一つ、これまた答申の中から引用しますが、国立試験研究機関という名称が使われますね。これは一般的に言うとすぐわかるんですけれども、細かく言って国立試験研究機関というのは一体どういうものを指しているのか。これ後でまた質問続けさせていただく中で防衛庁の問題が出てまいりますけれども、防衛庁の研究機関が果たしてこれに相当すると以前から考えておられたのか、この辺をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(吉村晴光君) 国立試験研究機関という言葉も定義があるわけではございませんで、いわゆる便宜的に使っております俗称でございます。したがいまして、ここからここまでが入る入らないというのは明確な定義がないのが現状でございまして、そのときの目的に合わせて使っておるというのが実情でございます。なお、この研究交流促進法におきましては、そういった俗称であるということを念頭に置きまして「試験研究機関等」という言葉を使いまして、それを第二条において定義づけをするということにいたしておるわけでございまして、そういった意味からも俗称であるということを御理解いただきたいと思います。 それから防衛庁の問題でございますけれども、私どもこの法案を最初に考えましたときに、およそ国の研究所について法律的な推進が必要であるということで、およそ国の研究所につきましては幅広く適用したいという考え方で進めてきたわけでございまして、その際、いろいろな従来の法体系との関係がございまして、法技術的な議論を途中経過でしたことはございますけれども、国の研究所、国の研究、国の研究機関全般を対象にするという考え方は当初から一貫して持っておったところでございます。
○松前達郎君 またさっきの新聞の方に戻りますけれども、この記事によると、皆さん集まりまして、五十八年ごろから通産、農水、建設、厚生、運輸、郵政、環境の各省庁が官民の交流を図る研究会を発足させて研究を始められた。これは非常に結構なことだと思うんです。こういうふうな状況の中で、当初、防衛庁どうも頭の中になかったというふうな記事があるわけなんですが、もしか私がやっても全くそのとおりなんですね。頭にないんです。 と言いますのは、研究所の目的というものが大きく異なっている場合、そういうものを包含した中で一括してまとめ上げていくというのが、どうせ問題が出てくるんだということですから、もっとはっきり言えば特別職については、あるいはこの際別に法律をつくるべきであって、この範囲に包含させる必要はないんじゃないか。こう言いますと防衛庁の方々、全く御不満があると思いますが、防衛庁が研究やって悪いと私は言っているわけじゃありません。しかしそういった全体的に包含できるような法律というものをつくる場合には、やはりこの辺をすっきりした格好で持っていっておきませんと、恐らく後になっていろんな問題がこれ派生的に出てきてしまう、そういうことになるのじゃないかと思うのです。 いきさつというのでさっき私質問させていただいた中で、当初防衛庁が入っていたのか入っていなかったのか。これはなかなかここではっきり申されるわけにいかないかもしれませんが、私だったら防衛庁はちょっと対象としてはもともと考えていかない、あるいは考えつかないと言いますか、そういうことになるのじゃないかと思いますが、その点いかがですか。
○政府委員(長柄喜一郎君) この法案を具体的に検討を始めましたのは昨年の夏でございますけれども、その際、当初から国の研究機関等で研究に従事していらっしゃる研究員の方全部を対象にするという考え方で検討を続けてまいりました。この検討は科学技術庁が中心になりまして関係省庁のいろいろ御意見を伺いながらまとめたものでございます。 この法案に限らずどの法案でもそうでございますが、いろんなアイデアと申しますか、いろんな案があり得るわけでございます。その中で、この身分法関係につきまして、防衛庁の研究者の方はこれは特別職である、その他の省庁の研究者の方は一般職である、こういう双方の研究者の方を同一の法律で取り扱うのはどうかという立法技術上の問題として検討したのは事実でございます。ただ、その場合防衛庁の研究者の方は研究交流が必要ないという意味ではございませんで、他の研究者と同様に扱うことは当然でございますが、立法技術上の問題ということでどうかということを検討したわけでございますが、他の法律でも一般職と特別職を同一の法律で取り扱ったものもございます。こういうものの例に倣いまして、現在提案中の法案のように防衛庁の研究者も一般の省庁の研究者も今回の法律で扱うという結論に達したものでございます。
○松前達郎君 今長柄さんがおっしゃった経過ですが、確かにこの記事の中にも「「法案に検討中の項目」と題する文書」を科学技術庁が各省庁に提示をされたということが出ておりますが、「今年二月六日付の四度目の文書までは、防衛庁関係は含まれていなかった。」、こういうふうに書いてあるのですね。ですから、これ以降防衛庁が含まれるようになったのじゃないか、かように思うわけですが、これは防衛庁が含まれるのがどうのこうのということを逆に見ますと、かえって防衛庁自身として後でお困りになるのじゃないかというふうな気も私はしないではないわけですね。というのは、もうちょっとまた後で申し上げますが、研究目的が限られたものだ、防衛庁の場合。これは法律にもちゃんとそういうふうになっておりますから、そういったようなことが包含されるとなると、受け取る方はいいんですが、防衛庁側の方が案外後でやりにくくなってしまう、そういうことも考えられますから、私そういう点で御質問させていただいておるわけであります。 さて、その防衛庁に関与していろいろと私自身お伺いしたいことがあるのですが、まず特別公務員という呼び方、さっきから出ておりますけれども、これはその中でしかも研究職とか教育職あるいは医療職とか俸級上の区分けがある。これは特別公務員も法律の中に入れているものもあるという今答弁がございましたので、これを必ずしも除外しなければいけないという理由はないということはわかるわけなんです。 まず、最初に防衛庁にお伺いしたいのは、防衛庁で現在研究活動を行っておられると思いますが、この中でとりわけ技術本部がございますね。そこが恐らく中心で一番大きな研究機関として置いてあるのだと思いますが、これらについて研究活動の結果を発表する。先ほどのお話によりますと、これは公表しなければいけませんから、そういうことが今後可能になってくるし、また積極的にそうされるということになるでしょうか、その点をお伺いしたい。
○説明員(小池清彦君) お答えいたします。 現在、防衛庁におきましては、防衛大学校や防衛医科大学校などにつきましては教官の研究成果はほとんど学会誌等に発表されております。技術研究本部につきましても、可能なものは学会誌等に発表いたしております。また、防衛大学校、防衛医科大学校、技術研究本部の研究誌は、他の大学等の研究機関とも交換等を行っております。 技術研究本部につきましては「技術研究本部技報」というそういう論文関係のものを載せる研究誌もわざわざ持っておりまして、これは他の研究機関、大学等と交換等を行っておるわけでございます。防衛大学校につきましては「防衛大学校紀要」というものがございます。それから防衛医科大学校につきましては「防衛医科大学校研究年報」というようなものがありまして、私どもから見ますと大変活発に研究成果の発表をいたしておるというふうに考えております。
○松前達郎君 可能なものとおっしゃいましたけれども、九九%不可能であったらやはり九九%は発表しない。可能であるかどうかというのはどういう段階で、どういう基準に基づいて判定をされるのですか。
○説明員(小池清彦君) まず、防衛大学校、防衛医科大学校につきましては、これはもう本当に九九%発表しておると承知いたしております。と申しますのは、教官自身につきましても、どんどん研究成果を発表いたしませんと研究業績の評価に結びつかないものでございますので、むしろ皆争って発表するというような状況でございます。 技術研究本部につきましては、これは事柄の性格上公表できないものももちろんございます。ございますけれども、そういうものばかりではございませんで、ただいま申し上げましたように「技術研究本部技報」というような研究誌をわざわざつくっておるくらいでございまして、やはり発表可能なものはこの「技術研究本部技報」に載せるとか、あるいは学会で発表するとか学会誌に載せるとか、極力そういうふうにいたしておるわけでございまして、研究の成果が九九%発表してないとか、そういうふうな状況にはないわけでございます。
○松前達郎君 もうちょっとお伺いしたいのですが、今の大学校の場合は、これは恐らく基礎的な研究といいますか、純学術的な、そういう研究対象を選ばれている方が非常に多いのだと思うのですね。ですから、これは当然発表するのがほとんどじゃないか、これは私もわかります。技術研究本部なんですね、問題は。これは技術研究本部の中でも恐らく基礎研究あるいはそれに続く実用化研究ですね。研究の段階というのは大体大きく分けるとそういう二つの段階を踏んでいくわけです。それからあるいは試験的に物をつくっていくとか、だんだんと大きな分野に入っていくわけなんですが、現在では、技術研究本部は基礎研究、実用化研究、どちらを中心にしてやっておられますか。
○説明員(太田眞弘君) お答え申し上げます。 技術研究本部は自衛隊の装備品を研究開発することを目的といたしておりますので、そのために必要な研究、どちらかと申しますと応用研究的なものを主としてやっている。ただし、研究は先生御承知のように幅広うございますので、あるものは基礎的なものからもやらなければならないという状況でございます。
○松前達郎君 恐らく応用研究といいますか、それが主体になるのがこれは本来の研究所の姿であろうと私思うんですが、防衛庁設置法の中でははっきりそれがうたってあるわけですね。「装備品等の規格の統一及び研究開発」それからそれに関連する「技術的調査研究、設計、試作及び試験の委託に基づく実施に関すること。」、こういったようなことを防衛庁の中でやるということがまずうたってあって、技術研究所については、これを設置しながら、主として防衛庁の装備品がいわゆる対象となる、そういう研究を行うのが主である、こういうふうに私は理解しているんですが、その点でよろしゅうございますか。
○説明員(太田眞弘君) お答え申し上げます。 先生のおっしゃるとおりでございます。
○松前達郎君 そうなりますと、さっきお話があったように、実用化、これが主体、あるいはそれに伴う多少の基礎研究ということになるんですが、ちょっとそこで問題が出てくるんですね。 私は、今回のこの法案について、研究交流促進を行うというときに中心となってくる内容というものは一体何かと考えてみますと、恐らく基礎的な部分がほとんどじゃないか、こう思うんです。例えば民間の企業の研究所あたりですと、応用研究あるいは実用化研究というのはこれは企業秘密なんですね。ですから、その企業秘密を乗り越えてまでお互いに情報を公開し合って協力していこうというような事態というのは恐らくなかなか実現できないだろう。かつて、やはり科学技術庁の法案だったと思いますが、いわゆる先端技術に関する問題の特別な分野だけを促進していくというような法律があったと思うんですが、この場合も、ある企業に他の企業から、あるいは他の組織から研究員を派遣するという場合やはりそこが問題になるんだという議論が随分行われたわけです。民間は企業秘密という範疇で交流をそれ以上やれないという一つの体質を持っているということが一つありますね。 ですから、さっき申し上げたように、研究交流促進法としてこれが有用になってくるのは恐らく基礎研究部門である、こういうふうに思うんです。そういうふうに考えていきますと、ただいまの技術研究所の目的からして、ほとんどが応用研究であり、あるいは実用化研究といっていいでしょうか、具体的なものを対象として研究展開をしていく、そういう研究所だろうと私は解釈しておったんです。そこで異質なものだと私は思っているんですね。ですから、こういったような研究所は別に考えていった方がいいんじゃないか。公開ということ一つ挙げても非常に制約を受けてくるし、あるいは公開するということが、もしか自衛隊として隊の秘密であるとか、あるいは防衛上の秘密であるとか、そういうものになるとすれば、当然これはもうできない。これは法律で決まっているわけですね。ですから、そういう制約がある中で、個人として参加して、個人の意見、個人の研究成果を発表する、そういうことなら話は別ですが、どうもそうはいかない。非常にここが難しい点があるんじゃないかと思うんです。 そこで、もう一つお伺いしたいのは、自衛隊の隊員、これは技術研究本部の皆さん方、研究に従事される方も隊員には違いないですね。そうなりますと隊員としての制約というのが当然出てくるんですが、その点いかがですか。
○説明員(小池清彦君) 研究交流促進法案の関連で申しますと、自衛隊員であるという制約と、それから研究交流促進法に基づきます研究交流を行うこととの間には矛盾するところはないというふうに私ども考えております。
○松前達郎君 法律上そういうふうな解釈であるのかどうか、それをお伺いしたのではなくて、秘密を守る義務というのが前衛隊にはあるんですね。これはもう法律で決められております。この場合、例えば研究上の秘密も防衛上の秘密として当然対象になってくると思うんです。研究者が、今私たちはこういうことをやっていますよ、将来こういうことが開発されればこういうふうに防衛的な効果が出ますよ、こういうことを堂々とみんなの前でしゃべれるかどうか、あるいはそれに関連した技術について公表できるかどうか、考えてみるとこれはできないと思うんですね。これは隊員というのは五十九条に守秘義務があるわけです。「隊員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」、しかも職を離れた後でも同様であるというんですから、相当厳しい制約があると思うんですが、こういう制約があっても、かつこの研究交流促進法に基づいていろんな部面で、例えば学会に参加する、あるいはその他の交流を行うという場合、どうなんですか、これ大丈夫ですか。
○説明員(小池清彦君) 先生がおっしゃいましたように、防衛上の秘密にかかわる部分につきましては公表はできませんけれども、それ以外のものは、繰り返すようでございますが、たくさんあるわけでございまして、そういう分野につきましては私どもも研究交流を望んでおるわけでございます。これも繰り返すようで恐縮でございますが、現在でも、技術研究本部におきましても「技術研究本部技報」というような公開の雑誌、研究誌を発刊しておるわけでございまして、秘にわたる部分があるからといって研究交流ができないということにはならないと考えるわけでございます。他省庁におきましてもやはり秘というものはあるのだろうと思いますので、その辺は基本的には同じことではなかろうかというような気もしておるわけでございます。
○松前達郎君 どうもさっきから私が申し上げると、防衛医科大学校とそれから防衛大学校のことばかりおっしゃるんですけれども、こんなことはいいんです。私も大学の一員ですし、そんなことは十分わかっていますから、その点はもう結構でございます。 今私が問題にしているのは純然たる研究、いわゆる防衛上の研究をやる技術研究本部の問題をお伺いいたしておるんですが、大体国会でも防衛庁の皆さん、いろいろお聞きすると、最後は国家機密だ、いや防衛上の機密というんで大分煙幕を張っていられるので、今までいろいろと私もその経験も幾つか持っておりますが、本当に防衛上の秘密だったら、これは私の方は別にそこから先強引な質問等をしないつもりでございますけれども。 やはりこの法案の趣旨からいって、交流をする、これは確かに研究者は交流を望んでいるはずです。自分が研究をすることが内分の職務ですから、あるいは自分の例えばライフワークとしてやっているわけですからね。そういう意味では交流をするということは、自分自身のレベルも上がるし、将来の研究に大きなプラスになる、これは当たり前の話なんですが、問題は、その成果について個人として交流をする範囲を超えて公表していく、あるいはお互いに質疑応答等を繰り返しながらそれを説明できるかどうかという問題を今お伺いいたしたわけなんですが、この問題について、そうすると防衛技術研究所ですか、これについては、例えば外から研究者が研究に参加するとか、あるいは外国人がその中に入ってきてやるんだとか、こういうことについてもオープンにされますか。
○説明員(小池清彦君) 外国人の登用の件でございますが、これはこの法案にもございますように防衛庁職員は除外されております。現在でも技術研究本部の者たちは、学会等にも大いに参加しておるわけでございまして、例えば研究交流促進法にございます、「研究集会への参加」につきまして、いろいろ便宜を与えられるというようなことは、この技術研究本部の者たちにとりましても研究者にとりましても大いにプラスになるわけでございます。
○松前達郎君 何か防衛庁だけが堂々と交流をする、自分の方も出してくる、向こうからももらいたい、情報も含めてですね、そういうことじゃなくて、どうも参加していってお茶飲み話でいろんな情報を集めてくる情報収集のために参加するだけのような気がするんですが、今お伺いしていますと。それだと余り意味がないんじゃないかと僕は思うんです。また、同時に、外国人の問題とかいろいろ法案の中に入っていますが、そういうものも例外措置があるんだとなればそれこそ別にした方がいいんじゃないか、こんな感じを私ますます強固に抱くわけなんです。まま子扱いじゃありませんから参加する、そして学会でもっていろいろ情報を収集してくる、その程度で考えておられるのか、あるいはもっと積極的に皆さんとの研究交流をやっていくのか、その辺がちょっと私はまだすかっとしないところがあるんですけれども。 先ほどいろんな技報とか研究成果の発表の手段として印刷物で発表されているということを伺ったわけなんですが、それは結構な話だと思います。それはそれとして、それではどうなんですか、現在、現状において防衛庁が外部と共同もしくは委任され、試験研究開発等を行っている現状というのは一体どういうふうな現状なんでしょうか。
○説明員(小池清彦君) 現在、共同研究というようなものは防衛庁はいたしておりません。委託研究は何件がいたしておる、こんな状況でございます。
○松前達郎君 共同研究は現在ないというのは、理由はやはり守秘義務からくるんですか。それとも共同研究するような相手がないというのか、相手からしても全然効果がないと思われているのか、どうなんでしょうか。
○説明員(小池清彦君) 特に理由がということではないのでございますが、たまたまやっておらないということであると承知いたしております。
○松前達郎君 余りやるような性格のものがないということに私解釈したいと思うんです。 それからもう一つ、委託研究ですね。これは民間などに恐らく委託研究出しておられるはずです。これについては、訓令かなんかで非常にまたやかましい守秘義務といいますか、そういうものが附帯としてくっついて委託が行われているわけですね。この委託研究、何件かあるとおっしゃいましたけれども、大体どのくらいの数ですか。それ発表はできないんですか。
○説明員(小池清彦君) お答えいたします。 昭和六十年度で委託研究いたしましたのが九件ございます。
○松前達郎君 委託先は、これはもう民間ですね、恐らく。民間に委託された、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
○説明員(太田眞弘君) お答え申し上げます。 委託先、契約相手先は例えば日本航空宇宙工業会というような法人、それから一般の民間の企業などでございます。
○松前達郎君 ちょっと細切れで質問して申しわけないのですが、その内容としては、恐らく私はいわゆる装備ですね、いわゆる兵器と言っていいと思うんですが、これに関連した委託研究じゃないかと思います。ある程度内容を私も知っていますけれども、ここで具体的に一つ一つ言うつもりはございません。というのは、なぜこういうことをお伺いするかというと、委託研究もやはり共同研究の体制の中の一つですね。こういったようなものは、やはり内容をよく見てみるとほとんどが対象が装備品、飛行機や航空機にしろ戦車にしろ、あるいはつい最近は短距離ミサイルの開発でパターン認識の技術があったですね。アメリカにこれどうかといって売ろうと思ったら、アメリカの方はうんと言わないというような報道もあったわけですが、そういったようなもの全部あわせて考えてみましても、対象物が割とはっきりしている。これがこの技術本部の研究の内容だと私は思っているんです。 ですから、さっき申し上げたように、本来この交流促進というものが行われる分野というのは基礎研究的な部分であって、いわゆる応用研究それ以降の研究の開発に関しては恐らくこれは企業の方も企業秘密でがんじがらめになるであろうし、例えばもしか防衛庁が参加されたとしても、恐らく今申し上げたような守秘義務とかそういうものも含めて非常にがんじがらめな点があるから余り意味を持たないのじゃないか、こういうふうに私は考えておるわけなんです。 これは私、調べてみましたら、防衛庁の訓令というのがたくさん出ていまして、秘密保全に関する訓令、秘密の保全に関する特約条項ですか、これは契約のときの特別契約の条項ですね。それから防衛秘密の保護に関する訓令等、訓令がたくさん出ております。ですから、これはがんじがらめなんです。そういうことでございますので、とりわけこれは試験研究機関とよく言いますが、試験というよりも基礎研究機関というふうに読み直したらこの研究交流促進法というのは生きてくるんじゃないか、こういうふうに私は思うんです。そうなれば特別な目的を持つ対象物が決まっているような研究開発に関してはこの中に入らない方がかえってやりやすいのじゃないか、こういうふうに考えておるわけなんですが、大臣いかがですか、その点。
○国務大臣(河野洋平君) 先生ももう御承知のとおり、この法案は国の研究機関、試験研究機関と言ってもいいと思いますし、あるいは研究機関と申し上げてもいいかもしれませんが、国の研究機関に関して交流を促進しようという法律でございまして、先ほど来から御質問がございましたように、防衛庁のみならず文部省その他できることならすべての国の研究機関にこの法律がかぶることが一番立法上の形としてはいいというふうに私は考えておるわけでございます。 この法案を作成する経過では、先ほど先生が御指摘のとおり、いろいろな考え方があって、防衛庁の問題はどうだったのか、あるいは文部省、教育公務員についてはどうだったのかというようなことも含めていろいろな経緯がございまして、その経緯を踏まえて、文部省に関する教育公務員については既に教育公務員特例法等で身分については措置済みだということから、身分法の部分ではある部分取り除いておりますし、防衛庁の関係につきましては、先生御指摘のとおり、かなりの特殊性があることも私は承知をいたしております。この法律にもその特殊性にかんがみて外国人の任用等は除外をするという一項も設けてございますが、いろいろなバックグラウンドはありますけれども、まずは国の試験研究にかかわる交流の促進という意味で、特殊性の部分というよりは共通項に着目をしてこの法律でできるだけ多くの部分に網をかぶせた、こういうことでございます。 したがいまして、特殊性があるではないか、この特殊性に着目をして別建てにした方がいいのではないかという御意見も私は御意見としてあると思いますけれども、一方で立法技術上、共通項に着目をして全体に網をかぶせるという考え方も間違った考え方ではない、私どもはそうした考え方をとったということでございます。
○松前達郎君 制約されていたいろんなものがあって、今までずっと研究促進について見渡してみるとそういうものがまずネックとしてあるから、その部分だけをまず取り除いていくんだというのは私は結構だと思っているんです。ですから、そうであれば基本法的なものをつくった方がいいじゃないか、これはいろんな学者の皆さん方が随分そういうことを勧告されておりますから。そういった面でやはり基本法があって、その上でこういう具体的な問題についてそれぞれの法案の中で、法律の中で検討しながらやっていくというのが本来の姿だと私は思うんですけれども、今回これはもう出ていますから、その点は希望として私申し上げておきたい、こう思うんです。 いろいろ問題が出てくるだろうと思うんですが、その中でもう一つだけ、ちょっとこれ飛びはねた考えかもしれませんが、さっきの軍事技術と関連して、私は実は外務委員会に所属しているんですが、その中でもいろいろSDI問題をやったんですけれども、SDIと直接これは関係ないといえばそれっきりなんですが、SDIの研究参加というのはかねがねアメリカあたりから圧力がかかって、早くどうするのか決めろとかいうことで大分言われておるようであります。もう既に三回ですか、調査団が出て、その結果も報告をされておりますし、本来ですと閣議でもってある程度この問題を検討して具体的な判断をする時期がもう既に来ているんじゃないかと思うんですが、まだまだおやりにならない。私は参加しろと言っているんじゃないんですよ。そういうふうな状況だと思うんです。専門家が見た目では、このSDIに関しては参加しろとは言っていませんね、報告で。参加しろというんじゃなく、評価できると言っている程度だと思います。これ東京サミットがあるにもかかわらず、その前にもまたそれを決めない。サミット終わりました、今度選挙がある、選挙が終わるまで決めない、いろいろあるんですが、これ関連ないですか、この法案とは。この法案通るまで待っていようなんということをまさか考えているんじゃないでしょうね。その点いかがでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) この法律は、そうしたSDIを初めとする特定の問題を意識してつくったものではございません。そのことは繰り返し本委員会でも御答弁を申し上げてきたところでございます。
○松前達郎君 くどいようですけれども、法案はそうなんですよ。政府の皆さん方のお考えが、この法案が通ればSDI参加のときうまくこれを使えるんじゃないかとか、そういうふうなことが皆さん頭にあって、そんなに皆さん頭いいかどうかは別ですが、とにかくそういうことで決定を延ばしておられるんじゃないか、僕はこれ邪推ですから、そうでなければ結構な話なんですけれども。 時間も大分来ましたので最後に二、三大臣にちょっとお伺いしたいんですが、科学技術に関する研究の促進といいますか、この問題、これは非常に重要だと思うんです。例えば科学技術庁が何で庁のままいるのかとか、もっと大きな分野を分担する組織になるべきだろうと私は思うんですが、それはどうしてかといえば、これはもう日本の場合は特に科学技術で食っていく以外にないですね。資源、エネルギーが幾らでも余っていればそれを売ればいいんですけれども、ないんですから。当然頭脳を使ったその成果を生かしながら我我としては生きざるを得ない、これはもうどなたでもそういうふうに思っておられると思うんです。 アメリカの場合見ますと、つい近年になって例えば自動車産業がだめになったとか、あるいは鉄鋼の産業が非常に沈滞をしている。そのほか、いわゆる民間の産業、こういうものが非常に低迷を続けていた時期があったわけですね。まだそれの余韻が残っていると思います。これをよく見て見ますと、どうも軍事的な先端技術だけは物すごいですね。これはソ連もそうです。ただ、それが民間の中におりてきていない。アポロ計画といってアポロ計画が民間の、いわゆる国民のためにその成果を生かすんだと言いながら、おりてきたのは何でしょうかね、ほとんど大きなものはない。ゴルフのブラックシャフトぐらいなもので、あとスポーツで着るアルミの服ぐらいなもの。そのほか食料とかそういうものはあったと思います。たけれども大きなものはないですね。ですから、軍事的には非常に高いレベルの研究成果を誇っているアメリカでも民間の産業に対するそういった成果の生かし方というのはほとんどありませんでしたが、日本の方はそうじゃなくてその逆でしたから、どんどんとアメリカを追い越していくということになったと思うんです。 そういうふうな中で、やはり我々としては、研究促進に関してそういう見方をしながら、しかも民間というのが主体になって今まで進めてきている、それと官が一緒になって基本的な問題として交流を進めていくという中で我々の研究をさらに今後発展をさせていくことが必要だと思うんです。ですから、そういう今後の課題を考えるとき、やはり科学技術庁は相当大きな役割をしょっているんじゃないかと私は思うんです。今までだと科学技術庁といったら原発問題ばかりやっていましたから、大変だったでしょうけれども、原発といえばソ連の方も多少最近事故等があった影響がありますが、これはちょっと別の問題として置いておきたいと思うんです。そういった今後の科学技術庁の政策展開、あるいはもっと大きく見て、日本における科学技術庁の役割、必要とあればもっと中を整理し、あるいは拡張してもいいと僕は思うんです。行政改革というけれども、切るのが行政改革なら、つくるのも行政改革ですから。だからそういう意味で、今後、長官として科学技術政策に関しての展望をお持ちでしたら、それを最後に聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 私も松前先生の御指摘になった点にかなり同意見の部分が多うございます。 戦後四十年間、日本の国がここまで科学技術を進めてきた、今や幾つかの分野で世界の最先端に近い実力を備えてきたのは、軍事技術がすべての技術を引っ張るというのではなくて、民生といいますか、我々が独自に考え出してきたやり方が実ってきたんだというふうに私も思っております。このやり方をこれから先もやはり守っていくべきではないかというふうに私は考えている次第でございます。 科学技術庁という役所が原子力という現場といいますか、ああいうものを持っておりますが、現場主義にいくことがいいのか、むしろ総合調整機能を発揮していくことがいいのかということについてはさまざまな御議論がございましたが、科学技術会議での議論、あるいは行革審での議論等にもありますように、また私どもも総合調整機能を強めてそうしたことをしっかりやっていく必要があるというふうに考えまして、この夏には科技庁内部の組織替えもする予定をいたしております。組織替えは組織替えといたしまして、日本はそれぞれの分野で相当な技術革新が進んでいるわけでございますが、それでもなおまだまだ完全にすべての分野の技術革新の進み方がバランスがとれているかどうかということになると、まだそうでもないのじゃないか。例えば通信関係は非常に進んでいるけれどもそうでない分野もあるとか、あるいはバイオについてもっといきたいけれどもまだ、もうちょっとというところまでいっているんだけれども、乗り越えなければならない部分があるとか、いろんな分野についてのそれぞれの動きがあるわけで、そうしたものをよく見ていかなければならない。 さらには、官の分野でございますけれども、やはりともすれば縦割りのセクト主義といいますか、そういうものがある。しかし今の我々の社会、あるいは我々が目指していかなければならない技術革新はそうした縦割りを乗り越えなければならない分野が非常に多いわけで、そうしたことを調整をし、乗り越えていくためには、科学技術庁の果たすべき役割は相当大きいというふうに思います。また、一方で民と官の関係から言いますと、これは先生御承知のとおり、七兆数千億の研究投資の大部分が現在民でございます。その大部分を占める民がまた目指しているのは、商品開発という分野に重点が置かれていることもまたやむを得ない部分でございますから、そうしたことをよく考えて、国際的役割などを頭に入れて基礎研究重視というふうに重心を置きかえるためには、官がいかなる指導力を持つかというのも非常に重要な場面になってきたように思うわけでございます。 先ほどもちらと申しましたけれども、科学技術が人間及び社会にいかなるかかわり合いを持っていくか、そして国際社会の中で科学技術先進国とのつき合い方、あるいはアジアの諸国との科学技術面におきます協力の仕方、こういったこともよく考えて進まなければなりません。二十一世紀を目指す日本の進み方の中に科学技術をどう健全に活用していくか、あるいは伸ばしていくか、我々は大きな責務を負っているというふうに自覚をいたしまして、懸命にこの職責を果たしたい、こう考えている次第でございます。
○佐藤昭夫君 私も、まず今次法案の第二条で研究公務員の中に防衛庁の研究員も同列に加えられたという、このことによる軍事研究強化のおそれの問題について質問をいたします。 今までの政府の説明によりますと、今回の法案は国と国以外の者との間の研究交流を促進するための幾つかの制度を定めるものであって、国と国との間の研究交流問題は制度的に今までと何の変更もない、現行どおりだ、この点、まず議論の前提として確認を、そういうことですか。
○政府委員(長柄喜一郎君) そのとおりでございまして、今回の法案は国と国以外の者との間の研究交流を促進するために隘路を改善するというものでございまして、国の機関の間、具体的には国立研究所相互間、あるいは国立研究所と国立大学、この相互間、これの研究交流については、今回の法律では何ら規定しているわけではございません。
○佐藤昭夫君 しかし、今回の法案で研究公務員の中に、従来特別公務員として幾つかの法体系の中でも別個の扱いをしてきた、例えば給与法であれば一般職給与法、片や防衛庁職員給与法、いろんな服務規律、こういうものを定めるあれでは国家公務員法、片や自衛隊法、こういう別個の法律で位置づけられておった防衛庁の職員の一員であること紛れもない防衛庁研究員、これが今回の法案では一般職研究員と同列に扱われる、こういうことになったわけでありますから、したがって、これを機会に国立の研究機関と防衛庁の研究機関、この間の研究交流問題については、これを制限するという方向じゃなくて、今度の法案を通して拡大、促進をしよう、こういう方向に今後の方策が出る。新しい制度をつくるということじゃないにしても、そういう制限をしようという方向じゃなくて、拡大、促進をしようという方向に向くんだろうというふうに見るのは至極当然ですね。
○政府委員(矢橋有彦君) 申すまでもないことでございますけれども、各省庁はそれぞれ設置法の範囲内で事業を行う。研究開発についてもしかりでございます。その関係が今後とも変わらないわけでございまして、ただいま先生の御指摘のように、この法案をきっかけとしてそのようなことが促進をされるという事情にはございません。
○佐藤昭夫君 法案を通したい一心からそういうふうにおっしゃるのかもしれないけれども、私はにわかに信じがたいわけです。通産省、どうですか。
○説明員(山浦時生君) 工業技術院は鉱工業の生産技術、科学技術に関する研究をしておるわけでございまして、工業技術院の設置法に基づいた研究に限られております。
○佐藤昭夫君 それならばさらに具体的に聞いてまいりたいと思いますが、防衛庁に尋ねます。 防衛庁の職員、すなわち自衛隊員は自衛隊法でその職務や身分規定がなされております。特にその第三条で自衛隊の任務が規定をされているわけでありまして、その中で「わが国を防衛することを主たる任務」、こうなっております。そのほか「必要に応じ、公共の秩序の維持に当る」ことも規定をされていますが、これはいわば従の任務に当たるものかと思いますが、この自衛隊法に定められた主任務、これは防衛庁研究員も含めてすべての防衛庁職員、自衛隊員にかぶってくる任務であることは言うまでもありませんですね。
○説明員(小池清彦君) おっしゃるとおりでございます。
○佐藤昭夫君 同時に、自衛隊法では第五十二条、服務規定、そして第六十条、隊員の職務専念義務も規定をされています。ここで言う自衛隊の職務とは、さっき触れました第三条に規定された任務をベースにしたものである。当然でありまして、つまり自衛隊員の職務は自衛隊の本務と離れては存在しない、この点も確認をしたいと思います。
○説明員(小池清彦君) 自衛隊員の職務は、その本務と離れては存在しないということはそのとおりだと思います。その場合に、個々具体的な職務につきましては、例えば防衛大学校の教官でございますれば、他の一般大学の教官と同じような教育研究に携わっていく、そういうことになろうかと思います。その本務はベースにございますが、個々具体的な任務ということになりますと、特殊防衛庁的なものばかりであるかということになりますと、そうでないものもあるというふうに考えます。
○佐藤昭夫君 第三条に定めるこの自衛隊の本務、これがすべての防衛庁職員の任務のベースだということは言われつつも、今その防衛大学などを例にしてほかの大学と同じだというふうに言わんばかりのことをおっしゃる。しかし防衛大学の教官は、大学の教官に適用されておる教育公務員特例法、この適用対象ではありませんね。
○説明員(小池清彦君) 教育公務員特例法の適用対象ではございません。
○佐藤昭夫君 だから明白な違いがある、法的には。そこを議論の前提としてはっきりさせておく必要があると思います。 そこで、もう一遍念のために科技庁に確認を求めますが、科学技術庁設置法第三条、ここで科学技術庁の任務、科学技術庁傘下の研究機関の任務、こういうものが規定をされているわけでありますけれども、そこで言う「科学技術の振興を図り、国民経済の発展に寄与するため、」という任務規定、科学技術の概念の中にはいわゆる防衛技術や軍事技術、こういうものは含まれていませんね。
○政府委員(矢橋有彦君) 科学技術庁設置法第三条には「科学技術の振興を図り、国民経済の発展に寄与するため、科学技術に関する行政を総合的に推進すること」を科学技術庁の任務としているわけでございます。このような書き方でございますので、科学技術庁の所掌の中には防衛技術に関するものは含まれていないと解釈をいたしております。
○佐藤昭夫君 文部省に聞きます。 学校教育法第五十二条だと思いますが、大学の任務、役割、これを規定していますが、それを述べてください。
○説明員(佐藤次郎君) お答え申し上げます。 学校教育法第五十一条が大学の目的を定めておるわけでございますが、その条文を申し上げますと「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」、そういう規定になっております。
○佐藤昭夫君 したがって、その大学の任務の中にはいわゆる防衛、軍事にかかわる科学技術研究、とれは含まれない、当然ですね。
○説明員(佐藤次郎君) お答え申し上げます。 ただいま条文を申し上げたわけでございますが、この条文の中で「大学は、学術の中心として、」という規定が規定されているわけでございますが、これは大学が学術の中心であるということを根本性格とするということを記したものでございます。大学におきます学術研究は広く真理探求を目指して研究者の良識と自主的な判断により自由濶達に展開されるべきものであるというふうに考えておるわけでございます。このような大学における学術研究の目的、使命等から考えまして、大学の研究者が軍事研究に取り組むことは到底考えられないというふうに理解をいたしております。
○佐藤昭夫君 通産省傘下の研究機関の主なものとして工業技術院があるかと思いますが、その設置法第一条の目的、さっきもちょっと触れられましたが、「生産技術の向上とその成果の普及を図り、もって経済の興隆に寄与する」というこの目的、ここからいって工業技術院の行う試験研究に軍事研究は含まれない、当然ですね。
○説明員(山浦時生君) 含まれないと考えております。
○佐藤昭夫君 いろいろ逐一お聞きをしたわけでありますけれども、以上から明らかなように、防衛を専らの任務とする防衛庁の研究機関、それと防衛技術、軍事研究、そういったことは任務外とする科技庁や通産省や大学、この間における研究協力というものはあり得ない、あってはならないというのが当然の帰結であるというふうに思いますが、大臣、どうでしょうか。
○政府委員(矢橋有彦君) いわゆる防衛技術に関する共同研究はあり得ないと考えます。ただし、汎用技術についての共同研究はあり得ると考えております。
○佐藤昭夫君 汎用技術についてはあり得るというふうにおっしゃっても、その汎用技術の研究に防衛庁の研究職員が従事をしている場合、その防衛庁の研究職員は、冒頭確認をしました第三条の任務あるいは五十二条の服務の本旨、六十条の職務専念義務、これから免れて汎用技術の研究に従事しているという関係ではありませんね。
○政府委員(矢橋有彦君) 大原則は、それぞれ各省庁は設置法に定められた範囲の仕事ができる、定められていないものについてはできないというのが大原則でございます。あとはそれの延長であろうと思うわけでございます。科学技術庁は、防衛技術は除外されておりますが、民生用技術及び汎用技術については大いに研究開発を推進すべき立場でございます。そして、それらについて他省庁と共同研究をするということは設置法の許容することであると考えておるわけでございまして、仮にそのことについてのパートナーとして防衛庁が適切であるという場合があればそれは可能であるというふうに考えているわけでございます。
○佐藤昭夫君 防衛庁に確認しましょう。 念のために申し上げておきますが、五十二条の服務の本旨、科技庁も長官もよく聞いておってくださいよ。「隊員は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、」「専心その職務の遂行にあたり、」、この書いてある。そして第六十条職務専念義務、ここで「隊員は、法令に別段の定がある場合を除き、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職務遂行のために用いなければならない。」、こう書いてある。そうすると、防衛庁の研究員が汎用技術の研究に従事をしておるというこのときでも、今言いました五十二条、六十条の規定は何ら免れることなく、その規定を背中に背負って汎用技術に従事している、すなわち「その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職務遂行」すなわち防衛の職務遂行に注ぎ込んで仕事をしなくちゃならぬというふうに位置づけられておる防衛庁の研究員と科技庁の傘下の研究員とが、汎用技術だということで一緒にやるということが、これがあり得るんですか。
○政府委員(矢橋有彦君) ただいま先生がお述べになりました防衛庁職員の自衛隊関係としての特別の立場ということが仮にあるといたしましても、私どものサイドから見ますと共同で研究をするというパートナーとして適切であるか否かという観点で物を考えるということでございまして、ただいま先生がお述べになりましたことと私が申し上げておりますこととの間には矛盾はないようなふうに私どもは受け取っております。
○佐藤昭夫君 防衛庁に確認しましょう。 防衛庁の研究員が汎用技術とはいえ、そういう研究に従事をする、そういう場合には、先ほど来何回も言っています「勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職務遂行」すなわち防衛という本務を遂行するということ、このことを離れて、そういう職務専念義務を離れて汎用技術の研究をやっているというこういうことはあり得ませんね。
○説明員(小池清彦君) 職務の遂行に専念するためにその汎用技術の研究に専念をするということであろうと思います。
○佐藤昭夫君 だから、それはいろいろな戦車の訓練をやる、射撃の訓練をやる、あらわれ方はさまざまだけれども、防衛のためにということの共通した使命、任務に基づいて汎用技術の研究という形をとりつつ勤務時間及び職務上の注意力のすべてを注いでいるわけでしょう。それと科学技術庁が一緒にやること、あり得ると。どうして防衛のために勤務時間と注意力のすべてを注いでおるそういう人とどこで一緒にやれるんですか。大臣、答えてください。
○国務大臣(河野洋平君) 研究の一つの側面としてそういうことはあるかもしれないというふうに思うわけでございます。もし、先生の言われるようなことだけがすべてであるとすれば基礎研究はできなくなりますし、防衛庁におきます防衛医科大学の研究でございますとか、そういった研究が他の分野の研究と共同することもできなくなるというふうに私は思います。
○佐藤昭夫君 防衛庁の研究機関が汎用技術の研究をやることのよしあしを論じているんじゃないんです。それと科技庁傘下の、通産省傘下の、文部省傘下の研究機関が一緒に共同研究をやるということは、あなた方が口を開けば言う、それぞれの設置目的に照らして、それは合致する部分があるのか、この点を繰り返し言っているんだけれども、この点については結局ついに答えがないじゃないですか。 こればかりで時間とりますからこの先へ進みますけれども、とにかくそういう重大な危険、問題点をはらむ、そういうことが、今回の法案を通して制限をするという方向に進むんじゃなくて、拡大、促進をするという方向に進んでいくんじゃなかろうかというふうに私は見ている。しかしさっきの最初の答弁で、科技庁も通産省もそんなことは現行どおりです、こう言って、この法案通したいから、そういう一心ですけれども、防衛庁はできたら広がってほしい、拡大、促進してほしいと本心思っているんじゃないですか。
○説明員(小池清彦君) このたびの研究交流促進法は研究交流を行う上におきましての隘路を取り除くということでございますので、この法案によりまして別に共同研究を促進するとかそういう存念は私どもにはございません。
○佐藤昭夫君 念のために科技庁に聞いておきましょう。 今は科技庁研究機関と防衛庁研究機関の問題を聞いておったんですけれども、汎用技術であれば共同研究あり得る、こうおっしゃる。そうすると、科技庁傘下研究機関とアメリカ国防総省傘下の研究機関、こことの汎用技術についての共同研究も理論上あり得る、こういう立場ですか。
○政府委員(矢橋有彦君) これも理屈の上では先ほど来申し上げていることの延長であろうと思うわけでございます。でございますので、汎用技術、民生用技術に関しましてはだれとも、
○佐藤昭夫君 民生用技術なんて問題にしていない。
○政府委員(矢橋有彦君) 共同研究はあり得るということでございます。 ただ、具体的にそれをやるかやらないかということにつきましては、個々の事案に応じまして慎重に考えなければならないという要素もあろうかと考えております。
○佐藤昭夫君 いよいよ重大になってきましたね。 この間、穐山委員が質問をされておった点でもありますが、私もちょっとそれと同様の問題でもう少し聞いておきます。第五条の問題でありますが、研究公務員が共同研究や委託研究に従事するために民間企業などに出向した際に、当初の研究目的、研究計画から逸脱した研究を指示された、そういう場合には、その研究公務員は出向期間半ばでも引き揚げることはできるのですね、この前の答弁では。
○政府委員(矢橋有彦君) そのとおりでございます。
○佐藤昭夫君 先日の御答弁では、仮にそういうケースの場合には上司と相談した上で対応するものだ、こう答えられておりますが、この場合の上司とは自分の身分所属をしておるもともとのそこの国立研究機関の上司なのか、出向した先の民間企業の上司なのか、どちらでしょう。
○政府委員(矢橋有彦君) 先日私が御答弁いたしましたときに私の頭の中にあった上司というのは、親元の方の、つまり、もとの国の研究機関の方の上司のことを申し上げたつもりでございます。
○佐藤昭夫君 その関係が果たして本当に貫徹をするかどうかという私はおそれがあるんです。研究公務員が休職をして出向をする。そうすると、公務員としての身分は保有をしているが職務専念義務は外れて、そして民間企業へ行ってそこの指揮系統に入る。こうなりますと、この出向期間中は国立研究機関の上司の指示に従うというよりは、出向した先の民間企業のそこの上司の指示に従わざるを得ないという関係も生まれるんじゃないか。そういった点で、政府が言われる各国立研の設置目的、研究目的、これに対して、それと著しく反するというような場合にはそんなことはやめたらいいんだとおっしゃるんですが、そのことが貫徹をするかどうか。大丈夫ですか。
○政府委員(矢橋有彦君) 貫徹をいたします。 具体的に申し上げますと、確かに、ただいま先生がおっしゃいましたように休職出向の場合の性格、これはこちらでの職務専念義務が免除されるという関係になるということはそのとおりでございます。ただ、研究者が派遣されている場合には、国の委託研究あるいは国と民間等との間の具体的な共同研究に従事するために休職出向をしているわけでございまして、それらが設置法の枠内であることは当然でございますが、加えて具体的に内容を特定をいたしまして休職出向をするというわけでございます。そこで、仮に当初のつもりと異なりまして、当初の目的を逸脱するというような事態に立ち至りましたならば、その場合には引き揚げるのが当然であろうということでございまして、人事院規則の上でもそのような扱いが可能であると私どもは考えているところでございます。
○佐藤昭夫君 そのような答弁はしっかりと確認をしておきましょう。しかし私はなお不安があるんですが、そこまで言われるんであれば、なぜこの法案の第一条の目的条項あたりにそういう平和、民生の目的に限るというそういう趣旨の文言を入れなかったんですか。それが入ってないから絶えず不安、疑問がぬぐえない。なぜ入れなかったんですか。
○政府委員(長柄喜一郎君) この法案は国と国以外の者との間の研究交流を進める上での隘路を改善するということでございまして、国家公務員法または財政法、国有財産法等の特例措置を設けたものでございます。そういう意味でございまして、今先生のおっしゃった平和等のいわゆる研究開発の原則に関することをこの法律に入れることはなじまないもの、こう考えた次第でございます。
○佐藤昭夫君 そういう目的条項を入れるのはなじまないものというふうに勝手に思ったわけで、勝手に思ったわけじゃないですか。そういう隘路を打開するのもそれは結構でしょう。しかし同時に、こういう道を開くことに伴ういろんな危惧、問題点、これを全部きちっと氷解をして、そういう法律の整備をやっていくというのは当然じゃないかと思うんですよ。依然として私の疑問はぬぐえるものじゃありません。 次の問題に移ります。 特許権の問題、第六条の問題ですね。国の委託研究の成果に係る特許権についても受託研究の成果に係る特許権の問題も、ともに国に帰属するのは不平等だ、こういう経団連などの主張もあって、まず委託研究の成果に係る特許権等については、国から委託を受けて研究を行った民間企業などに随意契約で有償で譲渡する措置が昨年の十月予算決算及び会計令の改正で行われたと思うのでありますが、そのとおりですね。
○政府委員(長柄喜一郎君) そのとおりでございます。
○佐藤昭夫君 続いて今回の法案で受託研究の成果に係る特許権などについても委託した側の企業などにその一部を無償で譲与することができるという道を開こうというわけであります。こうなりますと、委託の場合も受託の場合も特許権が当該企業などに渡されるということになる。これは国民全体の奉仕者である研究公務員の知的活動に基づく財産、いわば国民の財産でありますから、これがごく限られた私企業に渡ってしまって国民全体は国の財産を利用できなくなる。特定企業への奉仕策だと言わざるを得ないと私は思うのですが、どうでしょう。 〔委員長退席、理事塩出啓典君着席〕
○政府委員(長柄喜一郎君) 昨年十月の予算決算及び会計令の改正におきまして、国の委託研究から生まれた特許権の一部を随意契約により譲渡できる、こうなったわけでございますが、この際は無償でございませんで、有償でございます。 なお、今回の第六条の受託研究の特許権につきましても、全部を委託側に譲渡するのではございませんで、一部を譲与する、こういうことでございまして、国側としては特許権の残りを持っているということで、結果としては民間企業と国の共有になるわけでございます。そして、これは第三者の民間企業等がその実施を要求されましたときに、その実施許諾できるために国がその一部を保有している、こういうことでございまして、従来から国有の特許権につきましては非独占、非差別という原則で行ってきておりますが、今回の法律ができたといたしましても、その原則に従いまして国の持っております特許権を第三者の企業に許諾することが可能でございます。
○佐藤昭夫君 今の局長の答弁の中に非差別、非独占という言葉がありましたけれども、これは衆議院で我が党の山原議員がこの問題でまさに今の非差別、非独占という国有特許の運用の基本原則に反するのじゃないかという質問をしたのに対して計画局長は、非差別、非独占というこの原則は特許権の実施許諾の原則だ、権利の所属の変更を規定した本条文と関係ない、こういう答弁をなさっているわけでありますけれども、しかし実施許諾に関する非差別、非独占という原則がどうして確立したのかというこの背景、理由については触れられていないのであります。 〔理事塩出啓典君退席、委員長着席〕 御存じのとおり、ことしの二月十二日、科技庁資源調査会、ここが「政府資金による研究成果の取扱いとその有効利用に関する調査報告」というものを出しています。その第二章第五項「国有特許の原則と職務発明」、十二ページ。その中で「政府の負担において獲得された財産であり、政府自身が実施利用する場合を除いては、その国有財産としての公益的性格から国民に広く、公平な利用の機会を提供することが必要である」と指摘している。新技術の民間への移転についての原則として非独占、非差別、適正な対価の徴収を挙げているんでありまして、特許権の実施許諾の場合という狭い限定はしていないのであります。国有特許権を一部とはいえ無償で譲与する本法案の規定は、この国有特許に関する原則に反するものだと私は思うのですが、いかがですか。
○政府委員(長柄喜一郎君) この十二ページにございます三原則でございますけれども、これはかねてより政府がとってきた方針でございます。ここに書いてあります趣旨は、国の財産である特許権を民間企業等に実施許諾する場合の原則でございます。
○佐藤昭夫君 依然としてそういうことを繰り返しておるわけですけれども、それならまあそうだとしましょう。しかしこういう報告が出てきた背景には、国有特許に関する原則、すなわち、さっきも引用しましたが、「その国有財産としての公益的性格から国民に広く、公平な利用の機会を提供することが必要である」というこの原則自体は否定ができないはずであります。ところが、国有特許権を譲渡または譲与するということは、さっきも言いましたように私企業に特許権そのものを渡してしまう、こういうことになるわけであって、この報告が原則として強調をしておる「国民に広く、公平な利用の機会を提供する」ということに反するものじゃないですか。
○政府委員(長柄喜一郎君) 第六条は、国が受託しました場合の特許権の一部を委託者側に譲与できるという規定でございます。逆の場合、国側が民間企業に委託した場合の特許権は資金を負担した国側に属すというのが従来のルールでございます。それで、受託についても国が取得する、両方とも国が取得するというのが従来やってきたことでございますが、それは余りにも不公平ではないか、資金を出した方が特許権を取得するということを原則にしようということで、受託研究につきましてはお金を出された相手方に権利を渡すということを考えたわけでございますが、国は公益性というものを持っております、第三者に実施許諾できるようにということで、全部ではございませんで、一部を国側に留保するということにしたわけでございまして、受託研究の場合と委託研究の場合はお互いに双務的になっているということから、公平なものというふうに考えています。
○佐藤昭夫君 不平等な扱いじゃないかということが言われてきたとおっしゃっても、そのことを唱えてきたのは、経団連を初めとする財界が中心になって言ってきたことじゃありませんか。だから、こういう物事の考え方、原則、このことだけじゃない。実際にどういう結果が起こるか。衆議院でも明らかにされた数字だと思いますが、委託、受託、共同研究に参画している民間企業の資本金別の参加件数、これを調べてみますと、科学技術庁関係で言えば資本金十億円以上を超える大企業が委託、受託件数で八一%を占める、圧倒的に多いわけであります。一億円未満の中小企業の参画割合、これはわずか三%。この数字このとおりですね。
○政府委員(長柄喜一郎君) そのとおりでございます。
○佐藤昭夫君 でありますから、結局特許権という形での国民の知的財産、研究公務員の方々が努力をされた知的財産、こういうものが大企業のためにどんどんと渡されていく、こういう仕組みになっているということは明瞭じゃありませんか。大臣、この数字からどう思われますか。
○国務大臣(河野洋平君) 資本金だけで判断をするという見方もあるかもしれませんけれども、研究の質という点も考えなければならないと思います。高い研究のレベルを維持し、それをさらに進めていく、そういうことにも着目をする必要があるのであって、一概に資本金だけで不公平である、どうであるという判断はできないのではないかと思います。
○佐藤昭夫君 この国民の知的財産が、今数字を挙げて示しましたように、大企業の結果として利潤の道具になるということだけじゃない、これまた、そのことを通して軍事目的に転用されるおそれが出てくるのであります。 例えば、科技庁の委託、受託、共同研究、その成果にかかわる特許権、これを実施したいとの要請が民間企業あるいは外国機関から出された、そういうときに、その利用をしようとする目的が軍事にかかわるものらしいということが明らかになった場合、実施許諾はできるのですか、できないのですか。拒否できるのですか、許諾は。
○説明員(吉村晴光君) 特許権の実施許諾は国有財産法に基づいて許諾をするわけでございます。本来であれば国有財産法の所管であります大蔵大臣が管理をすべきものでございますが、技術的に非常に特殊であるということで各省庁の長にその運用を任されておるということでございます。 国有財産法におきましては、どういう利用の仕方については許諾ができるが、どういう利用の仕方については許諾ができないといったような規定はございませんで、私どもとしましては、具体的なケースに応じて、先ほど資源調査会の報告にございましたような国有特許の扱いの一般原則に従って個々具体的に検討をするということになろうかと思います。
○佐藤昭夫君 特許権の実施許諾がこういう場合には拒否できる、そういう法的定めがないというわけですね。そうしますと、民間企業に特許権が渡った、その特許権をどういう目的に活用するかということは、これはもうすべて譲渡された側の権限に属する問題である。そうすると、それをこっそりと、最初は民生の目的、そういう目的でずっと研究がやられて成果として特許権に至ったものであるが、それが軍事目的に使われるということだって、それはだめだと言えないわけですから、拒否できないわけですから、そういうことだってあり得るということになるわけですね。
○政府委員(長柄喜一郎君) 委託研究の場合も受託研究の場合もそうでございますけれども、譲渡したといたしましても、先ほど申しましたように全部を譲渡するわけではございませんで、一部を譲渡する、有償なり無償なりで譲渡するということでございまして、国と民間企業側の共有関係になるわけでございます。 特許の実施許諾の場合には、共同特許の場合、共有特許の場合は相手方の同意を必要とするということになりますので、相手方の民間企業は勝手にものを第三者に許諾するということは不可能なことになっております。
○佐藤昭夫君 しかし、一部とはいえ渡すわけでしょう。しかも、そういう共同の所有だから、いかにも許諾を与えない場合があり得るかのような言い方をされるけれども、さっきの最初の答弁では法的な権限はないということじゃありませんか。これは実際問題として、国との共同の研究に参画をしている企業の多くは大企業である。これらの大企業が今日軍とのかかわりを持ってきているということは、これは天下周知の事実になってきている。こういう場合に、研究公務員の知的財産であるそれが、最初の目的がすりかわって軍事目的のために転用、使われていく、こういう危険というのは大いにあるわけです。ないと言うんであれば、そうしたことは絶対に来さない、そういう明白な、明確な法的防止策はどこにきちっとあるんですか。
○政府委員(長柄喜一郎君) 国の研究機関が企業と共同研究、委託研究、受託研究等によって研究開発を促進する、そして国の成果が民間側にも一部移転され、また民間側の成果が国側にも移転されるということはあろうかと思いますが、この研究内容につきましては、先ほどから官房長が答弁しておりますように、それぞれの省庁の設置目的の範囲内で行われるわけでございます。 そういうふうに一般技術と申しますか、民生用技術がだんだん高まってきたというふうなことはあろうかと思いますが、それが一般化した段階で防衛技術に転用されるということについては法的にそれを歯どめすることはできない、技術というのは情報でございますのでこれは拡散する、拡散といいますか、一般に公開されていますから、その公開された技術が軍事技術に利用されるということは法律的には防止できないというふうに考えております。
○佐藤昭夫君 そうでしょう、だから危険なんですよ。軍事目的に使われる、そういう余地、条件というのは大いにあるじゃないですか。 もう一つの問題を挙げましょう。この法案の大企業奉仕のもう一つの危険の問題ですね。 この法案の第九条、ここで国の試験研究施設を使用した側がそれによる記録、資料などを政令で定める条件、その政令とは、政府からいただいた説明資料によると、その結果を国側が自由に使えるという条件、そういう条件で提供する場合には使用料を時価よりも安くすることができるという定めをしています、第九条。これは、例えば民間企業が国の研究施設を使ってその記録や資料などを提供すれば使用料を安くするということであって、基本的に企業側に国の施設を使った場合のその結果、記録、資料などこういうものの公開をさせる、公開しない場合には使わせない、こういうことをこれを機会にきっちりしようということを定めたものではありませんね。
○政府委員(長柄喜一郎君) 第九条は「国有の試験研究施設を管理する機関が現に打っている研究と密接に関連し、かつ、当該研究の効率的推進に特に有益である研究を行う者に対し、」ちょっと飛ばしますが、「記録、資料その他の研究の結果を当該機関に政令で定める条件で提供することを約するときは、」ということになっておりますので、この条項によってデータ、資料等が国の研究機関に提供されるという場合には、その成果は国が自由に使うことができますので、それらの成果を使ってまた国の研究を進める、国の研究は一般的に公開が原則になっておりますので、その成果は公開する、したがってそれがまた国民の皆様に還元される、こういう仕組みになっておりますので、得られたデータを隠すというようなことばないと思います。
○佐藤昭夫君 私が聞いているのは、今度の法案を、こういうものをつくったことを機会に、わざわざ国の研究施設を使って企業側が研究をしたその研究の結果、記録や資料、こういうものは基本的に公開をしてもらいたいというのを法案の精神として盛り込んでいるということじゃありませんね。
○説明員(吉村晴光君) 法案の第九条は、国の試験研究施設を使ってやりますときに、そのデータを国側に提供する、そういった場合には時価よりも低く定めることができるということでありまして、国は提供されますと、そういうデータを生かして国としての研究を行うということになるわけでございます。 そういたしますと、国の研究成果の公表の一般原則との関連になるわけでございますが、いずれは国の研究成果の中にその試験の結果が一部含まれまして原則的には公表されるという形になるわけでございます。ただ、この資料そのものは要するに国以外の者の研究でございます、試験でございますので、それそのものの何といいますか、それに対する権利というのはそれを試験をする方に属するわけでございます。国としてはそのデータをもらって、国の研究の中で生かして、そしてその結果を国の研究の形で公表をするということになるわけでございます。
○佐藤昭夫君 だから、長官、あなたの所属されます新自由クラブも情報公開制度には非常に御熱心だと聞いていますからあえて言うんですけれども、こういう法律をつくったということを機会に、とかく企業秘密と称して情報の公開をしない企業に対して、せめて国の研究施設を使ってやった研究の結果得られたものぐらいはひとつきちっと公開をしてもらいたい、こういうことを原則的にこの法案の精神として盛り込んだ、こういうことにはなっていないんですよ。公開をしたときには使用料を安くしましょうということを決めただけというので、こういうことでいきますと、結局かなりの国費を投じてつくった貴重な研究施設、これを民間は使いながら依然として企業秘密と称して得られた結果を隠す、公開しない、こういうことが依然として横行するということになるわけです。 ですから、そうやって貴重な国の施設を使いながら、そこから得られたものを秘密と称して、しかし結果としてはそれも利潤の道具になっていく、利潤の手段になっていく、こういうことに国の施設を開放しようというのが結果としてこの第九条の意味になってくると思わざるを得ない。これまた大企業奉仕の一つのあらわれじゃないかというふうに私は思うのですけれども、長官、どうでしょう。
○国務大臣(河野洋平君) 廉価で使用させるということであって、無償でさせるというわけではないわけでございます。たとえ廉価であっても民間はその対価を払って施設を使用するわけでございますから、その点に留意しなければならないと思います。その結果の得られたデータを生で公表する、生で皆さんに提供するというわけにはいかないのはその点にあるのではないかというふうに考えます。繰り返して局長から御答弁を申し上げておりますように、たとえ生での資料は公開されませんけれども、その成果を使って国の研究が進む、それによって国民に還元されるということにはなるわけでございまして、それが廉価使用の一つのメリットだ、お互いが持つメリットだというふうに私は理解をしておりまして……
○佐藤昭夫君 すべてがそういうことにはならないんですよ。
○国務大臣(河野洋平君) いえ、この九条で言っているものは、その点に着目をして九条をつくっているというふうに私は理解をいたしております。
○佐藤昭夫君 本当に歯がゆいぐらい消極的な姿勢ですね。
○国務大臣(河野洋平君) 大分進みました。
○佐藤昭夫君 次の問題へ行きましょう。 大分時間食いましたが、各省直轄研究所長連絡協議会の研究交流問題特別委員会の委員長をなさっている渡邉さんに御多忙の中御出席をいただきましたので、少し御質問させていただきますが、直研連から今まで何回か研究交流に関する要望書が出されています。そのうち昨年の六月七日、本年二月二十一日付の要望書を拝見しておりますが、これらの要望書の要点といいますか、真髄ですね、これは何なんでしょうか。
○参考人(渡邉昭三君) 真髄を申せという御質問でございますので、一言で申し上げますと、ただいまの科学技術研究の進展状況ということから考えまして、研究交流ということが私ども研究の現場を預かる者として非常に大切なことでございまして、これの促進ということは私どもの研究の活性化を達成、そして国民の皆様に御奉仕申し上げるという立場から非常に大切なことであるというふうに考えております。 それからもう一つ、特に二月二十一日付の要望書の中で、私どもの委員会といたしまして、いろいろ御要望申し上げたいことは重々ございますけれども、特に私ども現場を預かる者として研究公務員の研究集会参加の考え方というようなところは非常に私ども重点事項として関心を持ったところでございます。 それから、六月に出させていただきました要望書、これは正確に申し上げますと直研連の幹事会全体として扱った書類でございまして、直接私どもの交流特別委員会の扱いではございませんが、これの中におきましては、国際研究交流の枠を拡大しまして、私ども研究機関の研究者の活性あるいは情報の交換の効率化を図りたいというところでございます。
○佐藤昭夫君 この二月二十一日の要望書でも少し触れられていますが、詳しくは去年の六月七日の国際研究交流に当たっての要望書に触れられていますけれども、いわゆる研究休職制度の改善、海外派遣者の給与などの改善が要望をされております。具体的には現職と比べてどのような不利な面、格差が起こっているのでしょうか。
○参考人(渡邉昭三君) 私の立場からお答え申し上げるとしますと極めて定性的なお答えしか申し上げられませんのでお許しいただきたいと思いますが、研究休職の場合に、これは研究者が研究の必要性から海外に研究をしてとどまるというようなときに給与の上で五〇%に減額をされることになっております。そういうことでは、非常に研究者として自主的な研究をしたいわけでございますけれども、給与の面で五〇%の減額になるということでございます。
○佐藤昭夫君 科技庁にお尋ねします。 今回の法案で退職金問題は一定の解決策が打ち出されたわけですね。その他の問題、この研究休職に伴うそういう現職とのいろいろな差が出てくるその他の問題、これは今回のこの法案を機会に、法律には入ってないけれども、規則などで今回を機会にどういうふうに改善、解決をされたのでしょうか。
○政府委員(長柄喜一郎君) 今回の法案の第五条は、共同研究、委託研究等のために国の研究者が一定期間研究休職する場合退職手当上の不利益をなくするというものでございまして、従来からございました研究休職の場合の給与、昇格等については今回の法案では何ら手当てをしていないわけでございます。
○佐藤昭夫君 それはしかし私は重大だと思いますね。退職金問題は解決の方向が出た。しかしその他の問題は未解決のまま見切り発車的にいわばこういう法案を出したということで、しきりに隘路の打開を図った、図ったと言われるけれども、隆路は残っているじゃありませんか。
○政府委員(長柄喜一郎君) 休職者、研究休職の場合の処遇の問題でございますが、研究休職で相手方に行かれるわけでございますが、その際、相手方からの報酬を考慮しまして、それぞれの省庁の長がその給与を定めることとなっているわけでございますが、各省の長が給与の額を定めるに当たりましては、現給保障、現在の給与よりも低くならないようなこと、こういうことを考慮しまして職員に不利益が生じないよう配慮しているところでございます。 それから、昇給昇格等につきましては、研究休職していた方が現職に復帰した場合、昇給昇格について在職者に比べ均衡を失しないよう配慮されております。
○佐藤昭夫君 給与については各省庁の責任で現給保障云々、こう言われましたけれども、現行の規則は百分の七十の範囲内において保障をするということでしょう。一〇〇%保障ではありませんわね。この点がこの直研連の要望書でもひとつそういう差をなくしてくれということで何回か、今回に限らず何回か言われてきたこと。直接研究機関を預かっておるそこの責任者、長の皆さん方の切実な思いで言われている、同時に労働組合からもかねてより何回となく研究休職に伴う身分、給与上の改善問題は言われてきた、こういうことでありますので、長官、政令決定までにひとつ労働組合などともよく話し合って、この問題の解決のための努力をしっかりやってもらいたいというふうに、現職者との差が起こらないように何とかそこを埋める方向での問題の検討をやってもらいたいというふうに思いますが、大臣。
○政府委員(長柄喜一郎君) 先ほど先生が百分の七十と申されましたが、百分の七十以内の給与は出るわけでございます。研究休職によって他の職についた場合は相手方から報酬が得られますので、相手方からもらう給料が現在の給料よりも下がったような場合は百分の七十ということで保障ができるような仕組みになっているわけでございます。 なお、この昨年の要望書で出ております在外研究留学における休職の場合の扱いでございますが、これは職務に従事していないということでございますので、給与等の面で現に職にある者と同一扱いにすることはできないというふうに我々は考えている次第でございますけれども、先ほど申しましたように、復職後他の職員との均衡を失しないようにいろいろ配慮していきたいと考えております。 なお、本件の政令の件でございますけれども、この研究休職につきましては本法律では何ら扱っておりませんし、したがって、この法律に基づく政令に研究休職の場合の一般についての不利益をどうするということは、これは難しいというふうに考えております。
○国務大臣(河野洋平君) この法案は、当初から御説明申し上げておりますように、研究交流に当たっての問題点を少しでも整理しよう、乗り越えていこうということでこの法律案を御審議をいただいているわけでございまして、この法律に書かれておりますこと以外にもまだまだやらなければならない点もあろうかと思います。私ども科学技術庁といたしましては、研究交流が促進されますようないろいろな問題を、これは法律事項もございましょうし、運用の問題もございましょうし、研究者の研究環境を改善するという側面もございましょうし、いろいろな面に問題点があれば、そうした点に十分注意をしながら一層の研究が促進されるように努力をしてまいりたい、こう考えております。
○参考人(渡邉昭三君) 先ほど佐藤先生の御質問に対しまして不正確な誤りを申し上げておりますので、おわびして訂正をさせていただきます。 五〇%と申し上げましたのは、退職金通算期間が五〇%になるということでございますので、おわびして訂正いたします。
○佐藤昭夫君 人事院……
○委員長(馬場富君) 佐藤君、時間が来ておりますので簡潔に。
○佐藤昭夫君 わかっておりますけれども、もうちょっとですからお許しください。 人事院、この問題は人事院規則の改正も必要とする部分もあろうと思うのですけれども、ぜひひとつその点について人事院としても労働組合との必要な話し合いを含めて検討の努力をしてもらいたいと思うが、どうですか。
○説明員(松浦知彦君) お答えいたします。 研究公務員の休職等の問題につきましては、現在の制度でかなり復職時等におきまして不利が生じないというような制度になっておりますので、それほど大きな問題が起こっているというふうには考えておりません。
○佐藤昭夫君 何という答弁ですか、今のは。
○委員長(馬場富君) 佐藤君、時間です。
○佐藤昭夫君 とにかくかねてから何回となくこの改善の要望が出ているんですから、人事院としてもっとこの検討をやってもらいたいんです。
○説明員(野村興児君) 給与局給与第二課長の野村でございます。 ただいま研究休職者の関係でございますけれども、基本的な考え方はあくまでも先生から先ほど御指摘ございましたように、職員としての身分を保有するけれども職務に従事しないという基本的な性格があるわけでございます。したがいまして、先ほど来議論がございますように、現在のところ、相手先から、相手機関等から給与、報酬等もあるわけでございますので、百分の七十という一つの枠内であわせて給与上の手当てをしているわけでございますが、実は全く次元は違いますけれども、今回特別昇給の制度の見直しを行ったわけでございますが、その中の一環といたしまして、特に研究休職につきまして、休職される前、または休職された後の段階で特昇を行うことができる、こういう規定を新たに設けているわけでございます。そのようなことからお考えいただきまして、直研連からのいろんな要望等私ども十分承知しておりますが、そういうことも手当しておりますので御賢察をいただければと、このように思うわけでございます。以上でございます。
○佐藤昭夫君 最後に……
○委員長(馬場富君) 時間ですから。(発言する者あり)それじゃ最後の質問にしてください。
○佐藤昭夫君 最後です。どうも済みません。 今次法案の最大の焦点である第二条研究公務員の中に防衛庁の研究員を含めるという問題、それから第十条で条約、国際約束の誠実履行義務、こういうことが含まれることになったんですが、この問題の可否について、政府案決定前に政府側から直研連といいますか、直轄研究機関のそこの責任者の皆さん方に意見を求められた、こういうことはあったのかどうか。そういうことはなかったんじゃないかというふうに私は思っているんですけれども、もしあったとすればどういう意見をお述べになったのか、その点を最後にお聞きしておきます。
○委員長(馬場富君) 答弁、簡潔にお願いいたします。
○参考人(渡邉昭三君) お答えいたします。 先生御質問のそういうことが直研連の私どもの委員会の方に連絡、質問があったかということにつきましては、全くございません。と申しますのは、私ども直研連の性格からいたしまして、各省直轄試験研究機関の連絡協議の任意団体でございますので、特にさような御連絡をいただいたことはございません。
○委員長(馬場富君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○稲村稔夫君 私は、日本社会党を代表して、ただいままで審議をしてまいりまして今採決が行われようとしている研究交流促進法案について、反対の立場から討論を行うものであります。 まず、本法案に反対をする主な理由について述べます。 その第一は、防衛庁技術研究本部初めその傘下の試験研究機関等、専ら軍事技術の開発研究を目的としている試験研究機関とその研究者が本法案の対象に加えられているということであります。この点については、政府がいかに本法案は軍事技術の研究とは直接関係がないと説明をされようとも、それは奇弁であります。どうして国家公務員であるという、身分上同じであるという理由だけで、何をするかという職種には関係がないとして一般職の公務員と防衛という特殊な任務に当たる自衛隊員とを全く同じ法律的扱いをしておけばいいということになるでありましょうか。納得ができません。各省庁の試験研究施設と研究者とはその研究目的において全く異質である軍事技術の開発研究を目的とした試験研究機関とその研究者があえて本法案の対象に加えられているのであります。これでは試験研究の分野での産官軍共同の体制づくりへの布石ではないかと言われてもいたし方ありますまい。仮にもしそうだとすれば憲法上の重大な問題であります。 その第二は、外国との共同研究についてであります。この点については、SDI研究への参加について政府は検討中であると言っておりますが、さきの官民合同の調査団の報告書には参加への期待が込められていると思われますし、中曽根総理の姿勢にも参加を考えているのではないかとの疑惑をうかがわせるものがあるからであります。SDI研究は明らかにアメリカが生き残るための軍事目的の研究であり、絶対にこれへの参加は容認できないものであります。 第三には、SDI研究など軍産学官一体の方向を持っているアメリカなどとの共同研究の場合は、当初の研究目的が全く軍事目的とは関係がなかったものであっても、いつその研究が軍事目的に利用されることになるとも限らないのであります。もし不幸にしてこうした事態に至ったとき、研究者の良心に従って軍事目的の研究に参加しない自由が国際的に担保されていなければ、その研究から抜けることができなくなるおそれもあります。したがって、平和目的であることを明記した取り決めを行うなど、その他各省庁の設置目的の範囲を超えないという保障がなければその外国との共同研究への参加ができないなど、危険な方向へ巻き込まれないための何らかの歯どめの措置が必要であります。にもかかわらずこれらの配慮はどこにも見当たらないのであります。それどころか逆に、配慮事項として国際的約束の誠実な履行、条約の遵守の方だけが明記されているという点でも納得ができないのであります。 第四には、この外国との共同研究という面でも、防衛庁と他の各省庁とでは質的に全く異なっているという点であります。それは、防衛庁のみはその設置法のもとで軍事技術の研究開発を現に行っているのでありますから、軍事目的の共同研究に加わってもその設置法の範囲を超えるということにはならないでありましょう。前にも述べたとおり、外国との共同研究には特に留意しなければならないものがあるはずでありますが、この面でもなぜ位の省庁と全く同等に扱われているのか、これもどうしても納得がいきません。 第五に、本法案によってどれだけ国立の試験研究機関の研究者と民間の研究者あるいは外国との研究交流が、さらには異分野間の研究交流が促進されるか、その効果にいささかの疑問があるということであります。なるほど、休職して出向する場合の退職金計算期間に不利益をなくすこと、学会等の集会に参加しやすくなること、外国人の研究者の採用できる範囲を若干広げることなど評価されるものがありますが、研究交流を阻害しているもっと大きな要因を取り除かなければその実効は上がりますまい。たとえ身分上のことは解決しても、国の試験研究機関の定員が少ないことや、帰ってからのポストの問題などのために国の研究者の参加がふえないという事実が参考人の意見として明確に述べられているのであります。また、現在採用が認められている範囲においても国立の試験研究機関には外国人の研究者が一人もいないと答弁をしているではありませんか。そのほか本法案に取り入れられているものよりも研究交流の阻害要因としてもっと大きいものがあるにもかかわらず、本法案をもって研究交流促進というのはいささか竜頭蛇尾だとは思いませんか、 以上、反対する主な理由のうちから五点を挙げましたが、そのほか特許権、実用新案権の問題、国の施設を民間に使用させる問題、企業秘密とのかかわりの問題、その他まだ多くの疑問が残るわけであります。 最後に、それは我々が国立、民間、外国を問わず、あるいは分野の違いを問わず、研究者の自由で活発な交流が行われてこそ科学技術の進歩を速め、そして人類の幸せに貢献するものとして偉大な前進を遂げるであろうことを確信しているからこそ本法案に反対であることを強調しておきたいのであります。平和目的のもと、自主、平等、公開の原則を貫き、それを阻害する要因を取り除いた研究交流促進の制度の確立こそ今緊急の課題になっていると確信しているからにほかならないことを申し添え、反対の討論を終わります。
○岡部三郎君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となりました研究交流促進法案について賛成の討論を行います。 我が国が、二十一世紀に向けて豊かで活力にあふれた社会を築き上げ、国民生活の向上を図っていくためには、唯一の資源とも言うべき人間の知的創造力を大いに発揮して科学技術の振興を図ること、すなわち科学技術にその立国の基盤を求めていくことが極めて重要であります。 近年、我が国の科学技術水準の向上に民間企業が積極的に取り組み、大きな役割を果たしつつあることは歓迎すべきことでありますが、我が国の科学技術が世界的レベルに達した今日、創造性豊かな科学技術の振興が強く求められており、この面で国の役割がますます増大していることも事実であります。一方、近年の研究は高度化、複雑化し、境界領域、複合領域にますます拡大するとともに、既存の領域においても基礎のすそ野が広がり、その推進に当たっては既存の研究組織の枠を超えた取り組みが必要となっております。このような状況下にあって、国の研究の効果的かつ効率的な推進を図っていくためには、国際的側面を含め、異分野あるいは産学官の研究交流を大いに促進していかなければなりません。 しかしながら、現在、国と国以外の者との研究交流に関しては、公務員制度や財産管理制度に係る法制上の隘路が見られ、必ずしも十分な交流が行われているとは言えない状況にあり、関係各方面からも早急にこれらの隘路を改善することを強く求められているところであります。 本研究交流促進法案は、このような要請に的確に対応するものであり、我々は、この法律の制定により、国と国以外の者との研究交流上の法制上の隘路が改善され、あわせて既存制度の運用の弾力化が図られることにより研究交流が大いに促進され、国の研究の一層の効率化、活発化が図られるものと期待しております。 以上をもって、賛成討論を終わります。
○佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表し、研究交流促進法案に反対する立場から討論を行います。 反対の第一の理由は、本法案が科学研究の軍事利用に大きく道を開いているということであります。第二条で、防衛庁の研究機関やその研究員を他の一般の国立試験研究機関や研究公務員と同列に規定したことは、防衛庁と一般の公的研究機関や大学との研究協力に法的根拠を与え、これを大規模に促進しようとするものにほかなりません。防衛庁との研究交流の合法化ということにとどまりません。本法案はSDIなど対米武器技術供与の推進に対応した内容ともなっているのであります。第十条の「条約その他の国際約束」には日米安保条約、対米武器技術供与に関する日米間取り決めが含まれますが、仮にSDI研究協力に関する日米間協定が取り交わされることにでもなれば、そのSDI協定も誠実な履行につき特別の配慮を払う対象となるのであります。まさに技術が新しい防衛システムの開発に決定的な貢献をし得る時代を認識した法整備であると言わざるを得ません。 第二の理由は、民間活力の名のもとに、国の人材、知的財産、施設などのすべてにわたって民間大企業に奉仕する施策が講ぜられている問題であります。このことは、国の研究機関における研究活動とその成果の公共的性格をゆがめ、全体の奉仕者たる研究公務員を一部の大企業の奉仕者へと変質させかねないものであります。 第三に、軍事機関や私企業との研究協力の推進と相まって、国の研究における自主、民主、公開の原則が侵害される危険が大きいということであります。本法案には研究の自由と研究者の自主性を尊重する観点も研究交流の成果を公開する原則もありません。特に、国際的な研究交流においては自主、対等、公開が指導的原則として据えられるべきことは当然であります。ところが、その原則が明記されていないばかりか、第十条により社会主義諸国との研究交流に大幅な規制が加えられる一方、対米軍事技術協力への特別な配慮のもとで、我が国の研究活動に機密保護の網がかけられかねないことを指摘しなければなりません。 第四に、本法案が研究活動に日々携わっている多くの研究公務員、大学教官などの意向を反映したものではないということであります。日本学術会議は、研究交流も含めた我が国の科学研究のあり方や国立研究機関の活動の改善について多くの提言を行っていますが、本法案はその根幹部分をことごとく無視しています。 以上、主な反対の理由を申し述べましたが、本法案が広く国立試験研究機関や大学の研究活動に重大な影響をもたらすものであり、我が国の科学技術の将来にもかかわる性格のものである以上、私が繰り返し主張した公聴会の実施や他の委員会との連合審査などを含め、徹底した慎重審議が行われてしかるべきであります。この点で、短時間の参考人意見聴取を含めて、わずか三日、実質二日間の審議で終局し、本日異例の形で、非定例日まで使って採決に付すこと自体極めて不当であることを強調し、私の反対討論を終わります。
○塩出啓典君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました研究交流促進法案について賛成の立場から討論を行います。 賛成理由の第一は、国の試験研究機関等の研究に従事する研究公務員に外国人を任用できる道を開くことは、時代の要請であり、世界の中の日本として国際協調のためにも、また我が国の研究推進のためにも必要であると考えるからであります。 賛成理由の第二は、研究公務員の学会出席の道を開くため職務専念義務の免除の措置を講じたことは、研究活動の活性化のために必要であると考えるからであります。むしろ遅きに失した感があり、さらに今後学会出席のための予算措置等も必要に応じて考慮されるよう、この際要望しておきます。 賛成理由の第三は、国の研究公務員が共同研究、委託研究、受託研究等を行う場合の障害となる点を改善していることは時代の要請にこたえたものであるからであります。これら共同研究等の推進に当たっては、国民全体に奉仕する国家公務員の立場を守り、特定企業に奉仕するようなことがかりそめにもあってはならないことは当然であります。この際、政府の適正な運用を強く要請します。 賛成理由の第四は、外国政府等との共同研究を推進する上での障害となる点を解消した点は、国際化時代を迎え、諸外国との共同研究推進の重要性にこたえたもので、時宜を得たものと考えるからであります。ただし、外国との共同研究は世界に誇る我が国の平和憲法の精神に沿って行われるべきは当然であります。 最後に申し上げたいことは、科学技術の進歩は常に両刃の剣であり、その成果は、人類の福祉向上に活用できる一方で、人類の不幸に活用される危険性を常にはらんでいるのであります。しかしこのような危険な側面があるからといって科学技術の進歩に歯どめをかけることは国民の総意ではないと考えるものであります。本法案で科学技術の進展のために数々の改善措置がなされるわけでありますが、これらを人類の福祉向上に役立つ方向に進めていくことは人類の英知であり、平和憲法を持つ我が国の責務でもあります。政府としても十分これらの点に配意され、慎重に推進されんことを強く要請し、賛成討論を終わります。 以上です。
○委員長(馬場富君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 研究交流促進法案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(馬場富君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、岡部君から発言を求められておりますので、これを許します。岡部君。
○岡部三郎君 私は、ただいま可決されました研究交流促進法案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、以上四会派の共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 研究交流促進法案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行に当たり、次の諸点につ いて遺憾なきを期すべきである。 一 本法に基づいて研究交流を促進するに当たっては、日本国憲法の理念である平和国家の立場をふまえ、全世界の科学技術の発展と国際平和に資するよう努めること。 二 研究交流の促進に当たっては、本法の趣旨に照らし、責任ある運用に努めつつ、研究者の意欲、創造性が十分尊重されるよう十分配慮し、あわせて異分野間の交流を促進し、新しい時代に即応した調和のとれた総合的研究の推進を図ること。 三 研究公務員の民間企業等への派遣に当たつては、国家公務員の地位及び試験研究機関等の設置目的の範囲内でのみ研究に従事させること。 四 民間企業との研究交流を進めるに当たっては、中小企業に対しても十分配慮し、公正の確保を期すること。 五 外国との研究交流を進めるに当たっては、特定の国に偏ることのないように留意するとともに、相互の文化、制度、生活慣習等の違いに十分配慮すること。 右決議する。 以上でございます。 委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(馬場富君) ただいま岡部君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(馬場富君) 多数と認めます。よって、岡部君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、河野科学技術庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。河野科学技術庁長官。
○国務大臣(河野洋平君) ただいまの御決議に対しましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、政府といたしまして万遺漏のないよう意を用いてまいりたいと思います。 なお、科学技術に関する外国との共同研究の状況につきましては、御要請に応じて十分御説明する所存でございます。
○委員長(馬場富君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(馬場富君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(馬場富君) 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案、及び原子力基本法及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題とし、政府並びに発議者から順次趣旨説明を聴取いたします。河野科学技術庁長官。
○国務大臣(河野洋平君) 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。 この法律案は、大別して二つの内容から成っております。 第一は、放射性廃棄物の廃棄の事業に関する規制の創設であります。 エネルギー資源に乏しい我が国にとって、石油にかわるエネルギー源としての原子力の重要性は極めて大きなものがあります。原子力の研究開発に乗り出してから約三十年が経過し、今や原子力は我が国の主要なエネルギー源の一つとして、確固たる地位を占めるに至っております。しかし、一方、原子力の開発利用の進展に対応し、原子力活動に伴って生ずる放射性廃棄物の処理処分を適切かつ確実に行うととが、原子力の開発、利用を着実に進めていく上で極めて重要な課題となっております。 このため、原子力委員会及び原子力安全委員会におきまして、かねてより精力的な検討が行われてきたところでありますが、昨年十月には、放射性廃棄物の処理処分のあり方及びその安全規制の基本的考え方について提言がなされたところであります。 また、現在、青森県におきまして、各原子力施設に保管されている低レベル放射性廃棄物を集中的に処分する計画や、海外に委託した使用済み燃料の再処理に伴って生ずる放射性廃棄物を受け入れ貯蔵する計画が、まさに具体化してきていることは御高承のとおりであります。 この法律案におきましては、原子力両委員会の提言を踏まえ、放射性廃棄物の処理処分に対する安全規制に万全を期すため、放射性廃棄物の廃棄の事業に関する規制を新たに設けることとした次第でございます。 第二は、原子力施設の検査体制等の充実であります。 原子力の開発利用の進展に伴い、原子力施設の建設も増加してまいりましたが、特に今後は、高速増殖炉等の新型原子炉の建設や、濃縮施設、再処理施設等の核燃料サイクル諸施設の建設が本格化することが目前に迫っております。また、あわせて、核燃料物質の運搬等の増加にも対応する必要がございます。 このような状況に対応し、適時に厳格かつ入念な検査等を実施し、原子力利用の安全を確保していくことが求められております。 このため、これらの検査等のうち、基準が明確で手法も確立しているものにつきましては、国の厳格な指導、監督のもとに検査等を行う中立公正な機関を活用することにより、検査等の体制の充実を図ることとした次第でございます。 以上、本法案を提出いたします理由につきまして御説明申し上げました。 次に、本法案の要旨を述べさせていただきます。 第一に、放射性廃棄物の廃棄の事業に関する規制につきましては、放射性廃棄物を埋設の方法により最終的に処分する廃棄物埋設の事業や、放射性廃棄物を最終的な処分がされるまでの間管理する等の廃棄物管理の事業を行おうとする者は、それぞれ内閣総理大臣の許可を受けなければならないことといたします。内閣総理大臣は、その許可を行うに際しては、慎重な安全審査を行うとともに、原子力委員会及び原子力安全委員会の意見を聞き、これを十分に尊重して許可を行わなければならないことといたしております。 また、廃棄物埋設の事業の許可を受けた者に対しては、埋設しようとする廃棄物及びその廃棄物埋設施設が技術上の基準に適合することにつき内閣総理大臣の確認を受けなければならないこととし、廃棄物管理の事業の許可を受けた者に対しては、廃棄物管理施設について、その建設に先立って設計及び工事の方法につき内閣総理大臣の認可を受け、かつ、使用前に内閣総理大臣の検査に合格することを義務づけることとする等の規制を行うことといたしております。 なお、廃棄事業者を原子力損害の賠償に関する法律上の原子力事業者と位置づけ、廃棄の事業に係る原子力損害賠償責任を一元的に負わせることといたします。 第二に、原子力施設の検査体制等の充実につきましては、原子力施設の検査業務のうち、その基準が明確で、手法も確立されている溶接検査について、国の指定する中立公正な検査機関が行えるようにするとともに、核燃料物質等の運搬の際の確認、放射性廃棄物に関する確認の業務のうち定型的な業務につきましても、同様に国の指定する中立公正な確認関係が行えるようにすることといたします。また、指定機関の指定基準、指定機関に対する監督等につきまして所要の規定を整備することといたしております。 以上、この法律案の提案理由及びその要旨を御説明申し上げました。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○委員長(馬場富君) 発議者稲村稔夫君。
○稲村稔夫君 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま議題となりました原子力基本法及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 多くの国民が心配する中で、近年強引につくられてきた原子力発電所の稼働によって多量の放射性廃物が生み出されていますが、これらを無謀にも敷地外に持ち出し、遠く運搬して安易に廃棄しようとする動きが急になっております。しかも、そのために廃棄事業者なるものが設けられ、安全確保、損害賠償の発生者責任が免責されかねない事態になっております。国が厳格に実施すべき検査等を民間機関に代行させることによって安全性の確保が犠牲にされようともしております。 使用済み核燃料再処理施設についてはパイロットプラントでさえ事故続きで、根本的な解決は不能な実情であるにもかかわらず、その四倍もの規模の商業施設を建設するという危険きわまりない計画が強行されようとしております。 しかし、これらの動きは次のような点から重大な誤りであります。 第一に、放射性廃物こそは最も厳格な管理を要する有害で処分困難な廃物であって、発生者責任の原則を厳格に貫く必要があります。 第二に、それゆえにまた、安易に敷地外へ持ち出して運搬したり廃棄処分したりすることが許される性質のものではなく、あくまでも発生者みずからが発生敷地内において恒久的に回収可能な状態で管理貯蔵すべきものであります。 第三に、使用済み核燃料は特に高いレベルの放射能を内蔵しており、これを切断して相当な量の放射能を大気中や排水中に放散しながら大規模に再処理するのは、セラフィールドを見るまでもなく非常に有害であります。しかも、再処理によって抽出されるプルトニウムは低濃縮ウランに比べて余りにも高くつき、それを使用する高速増殖炉の発電コストも、およそ経済性は成り立ち得ないほど高くつくことがフランスの大型実証炉において最近改めて実証されたところであります。 アメリカでは既に再処理工場の建設計画が中止され、使用済み燃料が再処理されぬままで長期貯蔵され始めております。イギリスでも、セラフィールドの実態を調査した下院の環境問題委員会は、建設中の再処理工場を含め再処理の必要性そのものを再検討するよう求める報告書を提出しております。 特に、日本の国民にとって水産物はたんぱく源等としてかけがえのないものであり、これが放射能によって汚染されることは何としても防がなくてはなりません。 以上が、この法律案を提案した理由であります。 次にこの法律案の概要を御説明申し上げます。 その第一は、原子力基本法において、「目的」の中に、放射性廃物(使用済み核燃料を含む)の発生者の保管責任を明確にすることによって放射性廃物による災害の防止を図ることを明記いたしました。 第二は、同法の「原子炉の管理」に放射性廃物の発生者の管理・保管責任を加え、放射性廃物は発生者みずからの責任において、安全の確保のための管理の可能な状態で、十分な保安措置を講じつつ、恒久的に保管しなければならないことといたしております。 さらに具体的には、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律において、次のような改正を行うことといたしております。 第一に、製錬、加工、原子炉の設置、運転、核燃料物質の使用等の各事業者等は、放射性廃物をその発生する工場または事業所内に設置された廃物保管施設において、安全の確保のための管理の可能な状態で恒久的に保管しなければならないことといたしました。 第二に、各事業者等は、放射性廃物の保管について、総理府令、通産省令で定める技術上の基準に従って保安のために必要な措置を講じなければならないものといたしました。 第三に、内閣総理大臣及び通産大臣は、放射性廃物の保管に関する措置が前項の技術上の基準に適合していないと認めるときは、各事業者等に対し、放射性廃物保管施設の使用の停止、改造、修理または移転(当該工場または事業所内の移転に限る。)、保管の方法の指定その他保安のための必要な措置を命ずることができることといたしました。 第四に、外国原子力船巡航者も、日本の領海内において放射性廃物をその船内から持ち出しまたは廃棄してはならないことといたしました。 第五に、再処理については、研究のみにとどめ、事業はしてはならないことといたしました。 第六に、各事業者は放射性廃物の保管の委託をしてはならないことといたしました。 第七に、言うまでもなく、海洋への廃棄も、引き続きしてはならないことといたしております。 第八に、国は、生活環境に対する放射能の影響を防止するための措置を適正に実施するため、各事業者等の施設周辺の大気、水質及び土壌について、放射線に関する監視及び測定を行わなければならないことといたしております。 以上、この法律案の提案理由及びその内容について、御説明申し上げました。御審議の上、速やかに御可決あらんことを切望いたします。 以上であります。
○委員長(馬場富君) 以上で両案の趣旨説明は終わりました。 両案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十二分散会 —————・—————