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104回国会参議院1986/05/09

科学技術特別委員会 第7号

発言数
237
登壇者
31
会派数
6
開催日
1986/05/09

会議録

馬場富公明党・国民会議

○委員長(馬場富君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。  初めに、委員の異動について御報告いたします。  昨日、伏見康治君が委員を辞任され、その補欠として高桑栄松君が選任されました。  また、本日、亀井久興君が委員を辞任され、その補欠として竹山裕君が選任されました。     ―――――――――――――

馬場富公明党・国民会議

○委員長(馬場富君) それでは、研究交流促進法案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 それでは早速質問をさせていただきます。  研究交流促進法は私の願っておりましたことで、大変ありがたい、ぜひひとつよろしくお願いしたいと思っております。  まず第一条「国的」のところで、括弧書きで「人文科学のみに係るものを除く。」と書いてあるんですが、この理由は何かということをお伺いしたいと思います。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) 近年、独創的といいますか、非常にオリジナリティーのある研究を日本でも大いに進めなければいかぬということが言われておりまして、そのためには多分野、多領域の方々が交流をして、お互いに接触しながら研究を進めるというふうなことをしなければいかぬということが言われておるわけでございます。このことは、一昨年の科学技術会議の十一号答申にしろ、昨年の行革審答申でも指摘されたところでございます。十一号答申ないし行革審答申、いずれもこの科学技術と言う場合、自然科学を中心にお考えいただいたというふうに理解しておるところでございます。  自然科学の発達のために、人文社会科学も同時に発展し、これが相まって科学技術全体の進歩につながるんだということについては、我々としては十分承知しているところでございますが、自然科学の研究と人文科学の研究というのが果たして同じ振興の方法でいいのかどうか。自然科学は先生御存じのとおり集団で研究する場合が多うございます。人文科学は個人でやるというようなこともございまして、我々としては、行革審答申等では自然科学を中心にこういう法案をつくれというふうな指摘を受けたものと考えておりまして、今回の法案では人文科学のみのものを除く、人文科学と自然科学相まざったようなものを進めるということでこういう法案にしたわけでございます。  なお、人文科学の研究の大部分は文部省所管の大学なり研究所でなされているというふうに考えておりまして、文部省所管の大学なり研究所におきましては、既にこの身分的な点につきましては教員特別措置法、いわゆる教特法によって既に手当てをされている部分が大部分でございますので、念のため申し上げたいと思います。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 今のお話はお話としてわかりましたけれども、ただ、一つは、実験心理学なんかは自然科学と非常に近い実験方法を用いているわけです。したがって、実験心理学なんかは、心理学そのものは文科系ですけれども、そういうことがあるということと、学会出席の義務免ですね、私がこれは特にお願いしたいと申し上げたのはここが一つあったわけですが、義務免は、自然科学系は義務免で学会に出られるが、人文科学系の研究所の先生が出られないというのは何か不公平なような気がするんです。  ついでに職務専念義務免ということについて、教特法と同じようなものか。一応お尋ねしたいと思うのは、例えば日数制限というのは、非常識に研究者が学会に行くということはありませんけれども、日数制限なんかあるのか。それから、外国へ行く場合も教特法と同じようにこれは施行されるのだろうかということについてお伺いいたします。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) 教特法におきまして教員の方々が、大学だけではございません、その他の高校なども入りますが、この方々が「勤務場所を離れて研修を行うこと」ということは教特法で、いわゆる職務専念義務免除によって許されているところでございます。今回の法律の条文の規定ぶりというのは、表現ぶりは異なりますけれども、学会等への参加につきましては、より円滑に行われるという点につきましては全く同じ効果を持っているというふうに考えております。なお、日数制限等の件でございますが、教特法では「授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる。」、こういうことになっておりますし、今回の法案では業務に支障のない限りということになっております。そういう意味で、「試験研究機関等の研究業務の運営に支障がない限り、」という意味からいいますと、無制限にできるというわけではございませんで、おのずから限界があろうかと思います。ただ、何日以内というふうなことは考えておりません。それから、第四条の適用範囲でございますけれども、国内はもとより国外についても適用するものでございます。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 ついでにと申し上げると大変あれですが、科学研究基本法というのが日本学術会議から勧告として既に過去二回出されております。昭和三十七年五月十八日、時の会長和達清夫会長でございまして、池田勇人総理に出しております。二回目は、五十一年六月三十日、越智勇一会長のときに三木武夫総理に出しております。これに対する処理状況は、文部省は趣旨に沿って検討をするということになっておりますし、科技庁は関係省庁と十分連絡して慎重に検討する、こうなっておりますが、その後、検討された、二十何年もかかっておりますから、十分検討されたと思うのですが、御見解を承りたいと思います。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) 日本学術会議からの御指摘のような勧告、昭和三十七年及び昭和五十一年に出ていることは十分承知しておりまして、それぞれの関係省庁で検討中でございます。  先生御存じかと思いますけれども、科学技術庁が中心になりまして、かつて科学技術基本法というのを原案をつくりまして国会に提出したことが昭和四十三年にございます。が、いろんな事情がございまして廃案になったというふうな経緯がございます。私、当時の詳しいことを存じませんが、国の行います研究というのも、大学のように非常に自由のある研究から、各省庁の行政目的に応じた研究もあれば非常に大きなプロジェクトもあるというふうなことで、こういう基本法、日本の国で行われていますいろんな研究を一つの基本法で律するということはいかに難しいかということは御理解いただけるかと思うのでございます。そのような経過があったのでございますが、科学技術政策というのは、やはり長期的、総合的また計画的にやらなきゃいかぬという観点から、かねてより科学技術会議が日本全体の総合政策をつくり、またこれを受けて政府としても科学技術政策大綱を決めている、こういう大綱に沿って各省庁がそれぞれ政策を実施されるという仕組みになっておりまして、我々としては、その計画的、総合的、長期的な研究の促進ということに従来に増して意を配っていきたい、こう考えているところでございます。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 今の件は、ひとつよろしく御検討を続けていただきたいと思っております。  次に、我が国の研究の推進ということについて伺いたいんでありますが、基礎研究の重要なことは、もう科技庁長官も百も御承知のことでございますし、総理大臣もそういう発言をしておられたと思いますが、この基礎研究費というものがどういうことになっているのかということで、アメリカ、西独、フランスと比べて、まず研究費の実力ですね、実額でどういう割合になっているかを一応お示し願いたいと思います。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) 主要国の基礎研究費でございますが、これは統計によって若干年次が違いますが、最新のもので申し上げますと、約で申しますが、日本は一兆円、米国は二兆九千億円、西ドイツは、ちょっとこれは三年ほど前のものでございますけれども、七千億円、フランスは、これも五年ほど前のものでございますが、約五千億円、イギリスが、これ十年ほど古いのでございますが、二千七百億円というふうなことでございまして、研究費全体の中での基礎研究の比率ということで申しますと、日本が、一四%、米国が一二・六%、西ドイツ一九%、フランス約二一%、イギリス一八%ということで、比率で申しますと日本は米国とほぼ同じでございますが、ヨーロッパ諸国におきましてはいずれもおおよそ二〇%前後になっている、こういうことでございます。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 比率で言われますと分母が大きいともう問題にならないので、やはり実力は、お金が実際にどれだけ投入されたかということだろうと思うんです。同年次で比べないと話になりませんので、私の持っているデータで申し上げますと、一九八一年、政府研究機関における研究費を、日本を一といたしますと、フランスが一・一、ドイツ二・〇、米国三・〇、三倍でございます。フランスと日本は、非常にこれはポイントとしておもしろいと思うんですが、私はフランスの政府予算の全額知りませんが、人口から考えると日本の六割かなにかぐらいじゃないのかなと思うんですが、それが政府機関における基礎研究費で日本の一・一倍ということであります。これは非常に重要なことではないかと思うのです。  それで、我が国の研究費の推移を年次を追って調べてみますと、昭和五十六年までは少なくとも基礎研究費も上がってきております。それから、トータルの研究費は、昭和五十九年までのデータでは年次ごとに少しずつ上がってきております。研究費です。トータルです。ところが、基礎研究費は、昭和五十六年をピークにしまして逆に下がってきているんです。つまり、トータルとの比率でいくと基礎研究費の割合は減っているということになります。これは、基礎研究費を充実するとか拡大するとか、基礎研究を尊重するということとは、金額の上ではちょうど反対ではないのかという気がいたします。  これにつきましては、我が国は基礎研究を充実するということで、研究のプライオリティーであるとか、世界をリードするためにやるわけじゃありませんが、人類の福祉に貢献する意味での基礎科学振興は非常に重要だと思うんです。今後どういうふうに進めていくか、科学技術については科技庁が大元締めでございますから、大臣、いかがでしょう。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) 基礎研究費、特に基礎研究を重視しなきゃいかぬということは、科学技術会談の答申にしろ、今回この三月に決定されました科学技術政策大綱にしろ、これからの日本の科学技術振興の中心は基礎研究の強化であるということではっきり決められておるわけでございます。  基礎研究費につきましては、政府としてもいろいろその拡充に努力してきているところでございますが、一方、民間の方の研究開発投資が、景気が余りよくないにかかわらず、非常に研究開発投資はふえております。そういう関係で、基礎研究は政府が中心でございます。開発の方は民間企業が中心ということで、基礎研究の比率が近年、少しずつではございますが、下がってきている、こういう事態でございます。我々としては、これでいいと思っているわけではございませんで、今後とも基礎研究の充実に努めてまいりたい、こう考えております。  六十一年度予算におきましても、科学技術振興調整費、また創造科学推進制度、また理化学研究におけるフロンティア計画、また文部省における科学研究費補助金、こういうものにつきまして、いろいろと財政当局の御理解も得られ、非常に苦しい財政事情ではございますけれども、ふやしていただいた、こういうふうな事情もございます。

河野洋平自由民主党・新自由国民連合科学技術庁長官

○国務大臣(河野洋平君) 高桑先生からいろいろ基礎研究について御指摘がございました。基礎研究を重視しなければならないというのは、これはもう当然の状況だろうと思います。  日本の科学技術が先進国よりレベルの低いころには、先進国の基礎的研究の成果をいただいて応用する、加工するということでよかったと思いますけれども、いろいろな、部分によって違いますけれども、非常に世界をリードする先端技術を日本が持つようになった、あるいは研究も相当進んできたということになれば、日本みずからが基礎研究に携わらざるを得ない、これは好むと好まざるとにかかわらず基礎研究をやらざるを得ないという状況に今なっているわけでございますが、それはそれとして、やはり国際的な役割、例えば開発途上国に対する我が国の役割を考えても、あるいは科学技術の世界で日本が蓄積してきた相当な知見というものを考えましても、我が国が基礎研究に力を入れていかなきゃならない時期が当然来ているというふうに考えております。それにもかかわらず、先生御指摘のように研究費が必ずしも十分でない、いや、実数で先生御指摘のように少し減っているじゃないかという御指摘でございますが、この基礎研究の研究費をどの数字で見るかというのにもなかなか難しいところもあるいはあるかもしれません。  私は、実は先日、民間の研究所をずっと少しずつ時間を見ては回って歩いておりまして、今局長申しましたように、民間はどちらかというと商品際の技術開発に熱心で、基礎研究はどちらかというと国がやらざるを得ない状況だろうという先入観で回ってみましたけれども、最近はそうではなくて、民間の研究者は非常に基礎研究に注目をしている。自分たちはもう新たな基礎研究をやらなければ勝てないといいますか、リードできないというふうな自覚が非常に強うございます。したがいまして、今、先生、この何年かの数字をお述べになりまして、私もその数字についてはもう少し関心を持って精査したいとは思いますが、一般的に、私どもも基礎研究を重視すべく指導をするつもりでございますし、民間もそういう気分に非常になってきているという状況だということを御理解をいただきたい。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 大臣は、比較的と申し上げると失礼かしれませんが、若いゼネレーションの政治家でございますから、私は大臣の将来に期待いたしまして、今のことをぜひひとつ頑張っていただきたいと思うんです。それに、民間は、これは常識的というか、アベレージで申し上げますとやはりターゲットは利益に結びつくかどうかだと思うんです。政府機関は直接的な利益を目標としないで、そういう意味での、広い意味での基礎研究に力を入れていくということですから、やはり政府機関の投資というものはその意味で非常に重要なんですね。ですから、ぜひひとつこれはまたお考えいただきたいと思うのです。  それでは次に、この研究交流促進法の中でもう一つ欲しいと思って、去る三月の予算委員会総括でお話をいたしまして、大臣からも御返事はいただきましたが、研究者の学会旅費についてもう一度お願いをしたいと思うんです。  自分の研究した成果を学会に発表するということは幾つかの利点があるわけで、まず発表することは義務であるということがある。そして、その学会の席上で意見の交換ができる、研究交流ができるというのがございます。それから、いろんな批判があって頭脳が刺激されていくということがあります。それから人間交流ができるということでありまして、学会に出るということは非常に重要なファクターでございますから、これに対して旅費がなければ困る。ようやく出席の、休まないで義務免で行けるということで研究者は大変喜んで、私には何通か手紙が来ておりまして、「ついては」というのが実はついておりまして、旅費をどうにかならないかと。この前、大臣は、一万人の研究者に一億円の旅費が今まで大体使えるようになっていた、今度はもう一億円ふやして二億だとおっしゃっておったと思うんです。一人一万円が二万円になったということで、これは非常に大事なことで、予算が正式にあるということは大事なんですが、私たちの経験から言いましても、これはやっぱりプールされてしかるべき人が行く形になると思うんです。  ところが、研究というのは幾つか手がけておりまして、あるいは研究費を取った研究というのはまた別にありまして、それについての学会出張ができない。例えば文部省で言いますと、教授で十万円ぐらいですからね。私は北大でございましたから、東京に一度で往復旅費五万円かかりますから二度しか出られないということなんです。それで学会は年間数回は出なければ全くおくれてしまうわけです。ですから、それを何とかするということでございますから、何とかというのはよくないことではあるわけです。  それで、文部省の科研費でいきますと、研究費の中に旅費に流用できるということになっているんです。ところが、国立試験研究所というのはなかなかそれが面倒のようでありますが、少なくとも研究費の中で何かうまい方法で旅費を出せないかということなんです。例えば一千万の研究費が当たったとしますと五%で五十万ですね。そうすると数名の人が東京を中心に北海道または札幌に行けるということでありますから、その研究を分担しておる人がその研究についてはそれを使って行けるというふうなことは何かできないでしょうかね、いかがでしょうか。

内田勇夫科学技術庁研究調整局長

○政府委員(内田勇夫君) 先生御指摘の点でございますが、予算委員会でも御質問ございました話でございまして、私どもは、国立試験研究機関の研究者が学会に出席することは、研究の交流の促進、研究基盤の強化を図る上で非常に重要なことだというふうに認識しておるところでございます。  それで、国立試験研究機関に計上されております旅費でございますが、ちょっと集計してみましたところ、六十一年度で国内旅費で十八億八千万ほどあるわけでございますが、特に学会出席ということは重要だということで、学会出席旅費として特に特許して一億一千百万が計上されておるということでございます。それに加えまして、昭和六十年度からは科学技術振興費によりまして国立試験研究機関の基礎研究の推進を図ることといたしまして、この中で学会に出席するための旅費を配分することとして約一億円をこれに充てるということにいたしたわけでございます。  それで、今先生から御質問がございましたように、研究費を流用できないかということでございますが、そこのところは、いろいろ制度上の問題もございましてなかなか難しい問題ではございますけれども、この振興調整費を配分いたしますときには各基礎研究課題ごとの必要性に応じて積算をいたしまして、それを研究所に一括して配分いたしまして、所長の裁量によりまして適切な運用を行えるというようなことでこれを運用していただくということにしておりまして、先生御質問ございましたような点につきましては、所長さんの判断で弾力的に運用できるというように配慮してあるというふうに考えておるところでございます。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 今のお話は、旅費がある意味で倍増したということで、私は現場の先生方は非常に科技庁の御努力を多としておられると思うんです。しかし私の申し上げたのとはちょっと趣旨が違うんで、制度上の問題というのは、私もいろいろと伺ってみてみますと、どうもやはりお金を出す側の大蔵省の方の会計法というんですか、何かよくわかりませんが、アメリカなんかですと、もうちょっと気軽にというのはおかしいですけれども、研究費を主任研究の人の裁量で出せるということになっていて、結果は、研究費をもらっても成果が上がらなければ次の研究費が取れないというシステムですから、上がったかどうか発表しなきゃだめなんです、自分だけ主張したってだめなんですから。ですから必ず発表する。こっちの方が実験を進めると同じくらい大事なんですね。そしてプライオリティーというのがあるわけです。一刻も早く発表しなければ、一日おくれてもノーベル賞を逸するということがあるわけでございますから、ですから、これはプライオリティーの問題で学会に直ちに発表しなければだめなんです。そういう意味で、私はこれは急ぐことではないかと思うんですね。  大蔵省にお願いしておったんですが、うまい方法という言葉しかないかと思うんですが、何かうまい方法考えてもらいたいと思うのです。いかがでしょうか。

武藤敏郎大蔵省主計局主計官

○説明員(武藤敏郎君) ただいまの御質問の件につきましては、研究費から旅費への経費の流用という、技術的な表現でございますけれども、ことになるわけでございます。研究費と申しますのは、御承知のとおり、消耗品、備品。光熱水料等のために立目されておるわけでございます。そういう経費の性質から考えまして、それを旅費の方に流用するということは、これは極めて慎重にしなければならないものであろうと予算統制上の問題として考えておるわけでございます。ただ、御指摘のような学会出席旅費の確保の必要性、重要性というものは私どもも十分認識しておるところでございまして、科学技術庁の方から答弁のありましたとおり、六十年度及び六十一年度におきまして、従来と比べますとこの財政事情のもとで相当思い切った措置を講じたわけでございます。  何か工夫がないかという御質問でございますけれども、結局この科学技術振興調整費を活用して対応していくということではなかろうかというふうに考えております。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 今の、もう一度私説明さしていただきます。  研究費というものは、動物を買ったり薬品を買ったり機械を整備したり、そのための人、出面賃ですけれども、雇ったりということだとおっしゃったのは、そこにもう一つ忘れてやしませんかというのがあるわけですよ。森の石松ですよ、忘れちゃ困るのは。清水の次郎長が強いというのの中には森の石松がやっぱりいなきゃ困るわけだ。つまり、発表するということが研究の中の重要な要素であるということを今申し上げたんです。ですからこれは研究費なんです、やっぱり。  それを義務免のときも、大臣ね、これはあっちの省へ行けば、私のところだけじゃだめだという、各省でそうだったんです。これも学術会議の方で何回か勧告をしてもできなかったことでした。それで、あれは総理府だということで時の後藤田長官にお願いをしたわけですね。そうしたら科技庁と御相談をいただいて義務免が今度成立したわけです。あれと同じですよ、大臣。ですから、これはもう考え方をはっきり加えてもらいたいんですね。忘れちゃいませんかというのをばんと入れて、そして、それは一部であると明確に持ち出すことで、私はあのとき申し上げましたが、筑波で自殺者がふえるということも、人間交流だとか頭脳の刺激だとか研究交流だとかということが閉鎖の中ではないんですね。ですから、これは僕は非常に大事だと思うのです。もう一度科技庁側の御見解をどうぞひとつお願いします。

内田勇夫科学技術庁研究調整局長

○政府委員(内田勇夫君) ただいまの点でございますけれども、私どもも研究発表が非常に重要な研究の一部であるということは認識しておるわけでございまして、そのためにこの振興調整費を配分したということでございます。振興調整費はもともと研究費でございまして、その研究費を旅費として使えるように配分をいたしたということでございます。  それから、科研費と違いますのは、科研費の場合は、科研費をもらった方が基本的には、大学でも私の承知しておりますところ流用が若干認められておるのは科研費だけだと思いますが、それ以外の経費はやはり同じことだと思いますが、科研費につきましては若干の弾力的運用が図れるようになっておるわけでございますけれども、これは制度の違いとして初めから分けるかどうかということでございまして、科研費の場合は、その科研費を個人に渡して、その方がその判断でやるわけでございますが、今回の場合は各試験研究機関が重点基礎研究を行うということでございまして、その課題。とに予算の配分を決めるわけでございます。そのうちの旅費を集めまして、これは旅費の間で弾力的に運用ができるように所長さんにお預けして適切な運用を図っていただく、こういうことで実質的には同じような運用が図れるような配慮をしておるということだと理解しております。

河野洋平自由民主党・新自由国民連合科学技術庁長官

○国務大臣(河野洋平君) 先生の御指摘、非常によくわかります。きょうは大蔵省も来ておりますし、それから与党の都会の幹部の先生方もいらっしゃいますし、十分御相談をして研究をさせていただきたいと思います。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 ありがとうございました。大蔵省の方もよくひとつ、私の申し上げたことは本当に大事なことだと思いますので、研究項目別の発表なんですね、ですから研究奨励の方のあれとちょっと違うわけで、ぜひひとつお願いいたしたいと思います。  それでは、あと時間の中で二題ひとつ質問したいと思っているんです。  一つは人材の確保でございまして、四月二十日の読売新聞に大きく出ておったんですが、バイオ研究の第一人者米国へ再流出ということが出ておりました。これは北大の農学部出身の村井博士というお方で、農水省の農業生物資源研究所に新しくできた分子育種部・形質転換研究室長に二年前に呼ばれて、ここの室長に就任をした。新しい分野の研究であります。この方が二年後に、とても日本では研究ができないということで再びアメリカに戻るということが出ておりました。村井さんだけじゃなくて、あとお二人の名前が載っております。  これは農水省のことなんで、来ていただいておりますのでひとつ伺いたいんですが、起きてしまったことをどうこうというのじゃなくて、今後のことを考えなければ、日本では偉い学者が、あるいは新進気鋭の学者が研究ができないということで、やはり外国へ行った方がいいと思うのでは困るのではないかというんですね。  その退職理由を一つ挙げてみますと、海外学会出張一つとっても融通がきかないと書いてあります。今度はいいんです。大臣、今度は金さえあれば自分で行ってこれるということになりましたから。これ、ちょっと前で惜しかったと思いますけれども。もう一つあります。研究評価体制もなくて、やればやるほどどうも角が立つと言うたんですね。そして何かあるごとに、ここにお役人の偉い人おられますが、事務的なチェックがありますよ。私も大学から筑波の研究所に行きまして、はっきりやはり、これは難しいことがいっぱいあるんだなと。もう本当にここと思えばまたあちらで、それが義経のように跳ぶんじゃなくて、あっちこっちしがらみがある、関所がある。どうしても面倒なんですね。  ですから、こういうものの取りまとめは科技庁だと思うんですが、農水省に、その経過をお聞きするんじゃなくて、私は残念だと思っておりますので、そういうことをやっぱり今後どうするかということと、もう一つは、きのう文教委員会でデータベースの質疑がありまして、そのときにわかったことは、データベースが日本はアメリカの後を追うなんというものじゃなくて、日本の五倍くらい進んでいる。しかももうこれははっきり差がついていくんですということは参考人がおっしゃっています。私が心配したのは農業関係の種の保存、登録ですよ。同じように登録があるはずだったと思うんですが、これは国際的な比較においてどうなっているのか、今後どうするのかということをひとつ、同じことが各省庁の研究にあると思うんです、大臣。だからそういうものを総まとめでございますから聞いていていただきたい。農林省の方、お願いします。

西尾敏彦農林水産省農林水産技術会議事務局首席研究管理官

○説明員(西尾敏彦君) ただいま先生からお話がございましたように、村井博士でございますけれども、昭和五十八年十二月に農業生物資源研究所に入ってまいりまして、バイナリーベクターの開発、その他バイオテクノロジーの研究の推進に大変努力を願ったわけでございますけれども、残念ながら去る四月一日に退職をいたしました。農林水産省といたしましては、村井さんが研究しやすいような環境の整備に十分配慮してまいってきたつもりでありますけれども、村井さんのように海外経験の長い研究者にとりましては、我々行政機関に設置された研究機関というものになじみにくいということもあったのではないかというふうに考えております。バイオテクノロジーの研究の推進のためには、先生がおっしゃいますように優秀な研究者の育成確保ということが極めて重要であると私どもも常々認識しておりまして、今後とも研究環境の改善に努め、研究者の育成確保に努めてまいりたい、そういうふうに考えております。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 新聞によりますと、村井先生という人は世界の本当に第一人者、エキスパートであって、この人がいるかいないかで日本のバイオテクノロジーに大きな差が出てくるのではないかと心配しております。  種の保存と登録の件はいかがだったでしょうか。

丸山玉樹農林水産省農林水産技術会議事務局連絡調整課長

○説明員(丸山玉樹君) ただいまの御質問は遺伝資源に関するデータベースなり確保の状況のことだと理解したわけでございますが、バイオテクノロジーの先端的な研究の極めて重要な基盤でございますので、従来から農林水産省におきましても努力を重ねておるところでございますが、六十年度からいわゆる農林水産ジーンバンクという名前で、全国にあります国立の農林水産省関係の研究機関あるいは農場とか牧場とか、そういったものとネットワークを組んで、現在、体制の整備を行ってなお強化をしておるところでございます。  先生ただいま御指摘のございましたように、現在の我が国の確保の状況なりデータベースの状況でございますが、植物の場合で申し上げますと、現在十二万三千点というレベルでございまして、このレベルにつきましては、例えば米国が三十四万点、それからソ連が三十五万点、中国が三十万点ということでございますので、ただいまも御指摘がありましたように、それらと比較いたしますと約三分の一のレベル、こういうことでございますが、現在このジーンバンク事業におきまして、六十七年度をめどにいたしまして、先進国並みの遺伝資源のレベルに急速到達するように鋭意努力を重ねているところでございます。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 時間がなくなりましたので意見だけ申し上げさしていただきますと、きのうのデータベースのことでわかったことは、一遍確保されたらそれはこっちが手をつけられないということなんです。ですから、その先というのはよほど急がないと、遊んでいるものがないわけだ、あきがなくなっちゃいますよ。そのときには全部外国の登録のもとで一々金を出して借りなきゃだめになるんです。ですから、バイオテクノロジーの分野というのは、非常に今急いで整備しなきゃだめなときに村井さんのような人がいなくなったということで、どうするんだろうかと私は日本の将来のために憂えたんです。  では最後の質問をさせていただきますが、実験動物の取り扱いにつきまして、五月二十六日、東京で実験動物の苦痛を考えるシンポジウムというのがあるというんです。文部省御存じだと思いますんで、後であるかないか教えていただきたいと思いますが、そういうふうに私伺ったんです。ところが我々というのは、私を含めまして昔の研究者は、動物実験というものが人間の幸せに奉仕するものですからいじめるという意識はないんですね。注射をして痛がったり嫌がったりしても、それは殺すわけですから当たり前だと思い込んできていたのが、今は動物愛護というところから動物福祉に及んだんです。これはびっくりするんです。一九七六年アメリカではアニマル・ウエルフェア・アクトというのができたんです。これに違反すると千ドル以下の罰金、または状況によっては一年以下の懲役なんて書いてあるんですよ。大変なものです。輸送途中でいじめてもいけないと書いてある。  ところが日本では、京都の犬山にある霊長類研究所、モンキーの実験をやるのに一々ひっかかれちゃいけないものだから一遍つかまえたらモンキーチェアに――チェアに腰かけさせると立派に見えますが、動かさないで水を飲ませたり、なにを食べさせるけれども、後はそのまま注射したりいろんな実験をする、大変な苦痛である。それを見て帰ったフランスの学者がそれを報告しまして、日本に抗議を申し込んできた。それからそんな動物に愛情を持たないような日本人であったら日本からは物を買うなという不買運動が起きているとか聞いたんです。  これについて、時間が来たようでございますから、まず文部省はさっきの実験動物の苦痛を考えるシンポジウムについてと、それから、文部省は管下にたくさん持っておられるし、動物実験ガイドラインが出ておりますから、これにどう対処していくのかを聞きたいと思います。それから、厚生省は一番やはり研究の機関としては動物を使うだろうと思うので厚生省にもお伺いをしたい。最後に、総まとめを科学技術庁にお願いをしたいと思うんです。これについてどう対処するのか。例えばガイドラインというふうなことで何か考えていくのか、それともアニマル・ウェルフェア・アクトというふうなものを長官お考えになるかどうか、この辺をひとつ伺いたいと思います。

西尾理弘文部省学術国際局学術情報課長

○説明員(西尾理弘君) 先生御指摘のとおり、この五月二十六日に、日本実験動物学会におきまして東京の都市センターホールで実験動物の苦痛に関するシンポジウムを開催するということになっておるわけでございます。これは我が国の実験動物学者のみならず国語学者も入れまして、一体苦痛とは何かというような基本的な問題にさかのほりながら論議を深めていくということに相なっているように聞いております。  また、先生から御指摘いただきました京都大学霊長類研究所での猿を使った実験のケースでございますが、これは事実関係といたしまして、この研究所の神経生理研究部門において、猿を保定具で拘束した状態で前頭葉に電極をセットして猿の前頭葉の働きのメカニズム解明のための研究を行っていたということは事実でございまして、またその拘束期間が長期に及んでいたという事実もあります。  しかしながら、一九八五年に米国のNIHで実験動物のあり方についての指針の改定があって、それを受けまして、猿を不必要に長期間拘束するということについてはできるだけ避けるという方針が出されまして、またそれを受けまして関係の国際学会ではこういう基準から論文審査等を行うようになったというような事態がありまして、これを受けまして霊長類研究所でも本年一月中旬以降、猿の保定具による拘束は実験に必要な時間にできるだけ限って行うということに改善しております。また、同研究所ではこの四月に所内で委員会をつくりまして、実験動物、特に猿の実験に関する指針策定を行いまして、これに基づいて今後一層適切に行っていくという形になっておるわけでございます。  また、こういう状況にかんがみまして、文部省におきましても、文部大臣の諮問機関である学術審議会の場におきまして、特にバイオサイエンスの研究推進上重要性が高まっている動物実験の適正なあり方ということを審議しつつ、それに加えて、最近の世論の高まりを受けまして、動物実験には動物福祉の、あるいは愛護の精神の観点からも配慮していくということで、そういう観点を踏まえまして、できるだけ早くこの大学等における実験動物のあり方について基本的な考え方をまとめるということになっておるわけでございます。この結果がまとまれば、それを受けて文部省といたしましても、関係大学等に対してこの実験動物のあり方についての考え方を適宜示していきたい、こういうように考えておる次第でございます。  以上でございます。

下田智久厚生省大臣官房ライフサイエンス室長

○説明員(下田智久君) 厚生省でございますけれども、厚生省では人間の健康を守るという観点が第一でございまして、そういった観点から病気の原因解明あるいは医薬品開発などの研究を強力に進めてきておるところでございます。そういった過程の中で、動物実験というのはどうしても必要不可欠なものであるということを考えておるわけでございます。  ただ、こうした動物実験に関しまして、現在、欧米諸国で先生御指摘のようにいろんな動きがある、動物愛護といった観点から社会的な関心事にまで高まってきておるということも十分承知をいたしております。したがいまして、当然こういったことに十分留意しまして、実験動物の苦痛をできるだけ減らすといった配慮をしながら科学的な実験が行われるべきであるというふうな基本的な考えでおるわけであります。このため、厚生省におきましては、所管の試験研究機関に実験動物委員会というものを設置いたしまして、適正な実験が行われるように指導しておるところでございます。また、昭和六十年度からは化学物質の毒性を動物実験でやっておりますけれども、その犠牲となる動物をなるべく減らせないか、しかも、科学性を担保できるといった実験方法につきまして研究を現在進めておるといったところでございます。

河野洋平自由民主党・新自由国民連合科学技術庁長官

○国務大臣(河野洋平君) 基本的には、すべてのものが人間のためにあるという思い上がった考え方を持ってはいけないということなんだろうと思います。我々がやっと豊かな社会というものに今生きることができるようになった、そこで実験動物にまで心を向けることができるようになったということであるかもしれません。しかしいずれにしても、我々人類がいかなる境遇にあろうとも、すべての生きとし生けるものと共存をしているという基本的な心構えというものを失ってはならぬというふうにまず考えております。  私もたまたま先週、放射線医学総合研究所へ参りまして、そこで内部被曝の実験に相当数の実験動物を使っておるのを見てまいりました。非常に複雑な思いで実は見て帰ってきたのでございます。動物を飼育管理いたしますのに、非常にきちっとしたビルディングの中で管理しているわけですが、説明をなさった方のお一人が、ずっとおてんとうさまの光に当たったことがない、実は天井だけでもガラス張りにして日の光を当ててやりたいという気持ちもあったけれども、なかなか予算が許さなかったというような話を伺ったりして、本当に複雑な思いでございました。人間の医学その他に貢献をしてくれる彼らにとって、実験の目的の限度内で彼らにその役割を果たしてもらうということであってほしいと願わずにはおられません。  今厚生省からもお話がございましたように、実験、研究の手法、手段、方法について、命を奪うのでなくて細胞を取り出すことによってその実験ができるようになるための研究といいますか、そういうものも進んでいるやに伺っておりますし、そうした研究も大いにしなければならぬと思います。また、諸外国がどうこれに対応していくかということも見る必要もあろうかと思いますけれども、日本人の持つ信仰心といいますか宗教心といいますか、そういうものとも合わせながら、私どもこの問題に対処する心構えをつくっていかなければいけない、こう考えている次第でございます。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 ありがとうございました。

馬場富公明党・国民会議

○委員長(馬場富君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      ―――――・―――――    午後一時三分開会

馬場富公明党・国民会議

○委員長(馬場富君) ただいまから科学技術特別委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  ただいま高桑栄松君が委員を辞任され、その補欠として伏見康治君が選任されました。     ―――――――――――――

馬場富公明党・国民会議

○委員長(馬場富君) 研究交流促進法案を議題といたします。  これより本案について参考人から意見を聴取いたします。  本日、参考人として新技術開発事業団理事長久良知章悟君、立教大学教授服部学君、スタンレー電気株式会社社長手島透君、名古屋大学理学部助教授澤田昭二君に御出席をいただいております。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人の方々には、御多忙のところ貴重な時間をお割きくださいまして、まことにありがとうございます。  議事の進め方でございますが、お一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  それぞれのお立場から忌憚のない御意見を承り、当委員会における審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、まず久良知参考人から御意見をお述べいただきます。久良知参考人。

久良知章悟新技術開発事業団理事長

○参考人(久良知章悟君) 新技術開発事業団理事長の久良知でございます。  今後、創造的な科学技術の振興を図りますには、異なった分野あるいは研究組織の枠を超えた研究の交流がますます必要となってくると認識しておりますので、このための産学官の連携は極めて重要であると思っております。  本日は、私どもの事業が産学官の連携をフルに活用して行っておりますところから、その経験を踏まえまして、今回の研究交流促進法案の御審議の参考になればということでお話し申し上げたいと思います。  事業団が設立されました昭和三十年代の産業界は、競って外国技術の導入を行っておりました。これでは我が国独自の科学技術の育成や振興に支障を来すため、国内で生まれたすぐれた研究成果に企業化の機会を与える新技術開発事業が開始されたのでございます。自来二十数年になりますが、数多くの新技術の開発を行っており、その多くが国立研究所、大学の成果であります。事業団は、まさに産学官連携のオルガナイザーとしての役割を果たしてまいったわけでございます。  その成果は、電子顕微鏡や電子ビーム露光装置等の高性能電子源として、世界市場の大部分を占める電子ビーム放射源等、世界最高水準の技術として評価されているものも数多くございます。このような成果を上げることができましたのは、事業団が研究者と企業との間に入ることにより、国、大学側の積極的な協力が得られ、研究者の技術指導がスムーズに行われて開発が効率的に進められたことなど、産学官連携の実を上げることができたからであると考えられます。  また、一般に研究者がひらめきのもとに研究に着手してから実用化されるまでには、十年とか十五年といった長い期間を必要とするのでございますが、これも産学官の研究者間の交流が活発になり、研究の初期段階から企業も参加できれば研究開発のスピードアップに寄与すると考えられます。  次に、事業団のもう一つの業務であります創造科学技術推進事業についてお話し申し上げたいと思います。  ここ数年貿易摩擦が大きな問題となっております。日本から輸出される高品質で低価格の工業製品は、その基礎となる発明のほとんどが欧米諸国の手によるものでありまして、今後は、我が国としても基礎的研究分野において国際社会における地位にふさわしい貢献が求められておるのでございます。そこで、将来の革新技術のもととなるような芽をつくり出すことを目的とした新しい基礎研究のシステムといたしましてこの事業が昭和五十六年に発足をしたのでございます。  創造的な発想は、人中心の仕組みの中で、異なる考えを持った研究者の自由な議論を通した相互啓発の中から生まれると考えられます。そこで、卓越した研究者を選び、この方に研究の指揮をお任せし、産学官、海外から若手のすぐれた研究者を集めていただくことにより、学際、業際、さらには国際的広がりを持った研究集団を一定期間形成して研究を展開いたします。研究実施場所は、中核となる研究者の出身元の大学や企業等の研究所の一部を借用いたしております。  本事業を開始してことしで五年目になりますが、現在九つのプロジェクトに百五十五名の研究者が参加しており、例えば、銅に近い電導度を有するグラファイトフィルムの合成、物質表面の原子の動きの視覚化に成功するなど、世界の注目を集めた成果が数多く得られております。この背景には、産学官、海外といった組織、あるいは専門分野等既存の枠を超えた流動的な研究者の交流の効果が働いているのでございます。  ただいま御説明申し上げましたように、産学官の連携をベースにいたしました私どもの事業は、おかげさまで関係各位から一応の評価をいただいておりますが、より充実させるためには、さらに若干の周辺環境の改善が期待されるところでございます。例えば創造科学技術推進事業におきましては、国立研究所の研究者の参加や、実施場所としての国立研究所の借用について、必ずしも順調に参ってはおりません。本法案のねらいとするところが実現できれば、これらの問題も好転するものと期待しておるのでございます。  最近の研究開発は、バイオテクノロジー、メカトロニクス、メディカルエレクトロニクスなどに見られるように、境界領域、あるいは多分野の協力を要する領域での著しい発展が見られます。また、異なった発想を導入して創造性を高めることも重要であると思います。このような科学技術の現状を見ますと、共同研究の推進、研究者の交流等、産学官の連携は時代の趨勢でありまして、欧米等でもこれらの連携、協力は積極的に推進されているところであります。  我が国の産学官連携の兆しは、ここ数年確かな手ごたえとなって感じられますが、いまだ十分ではないと思います。本法案は、国と民間及び外国との研究交流を進める上での法制上の隘路を取り除くものと伺っております。産学官の連携を進めるに当たっては、法制上の是正はもちろん重要でありますが、さきに述べましたような運用面での改善、ひいては研究者や管理者の意識、社会慣習等の改善も必要であると思います。本法案の成立を契機といたしまして、これらの改善が図られ、産学官連携の機運に一層のはずみがつくことを期待いたしまして、私のお話を終わります。

馬場富公明党・国民会議

○委員長(馬場富君) ありがとうございました。  次に、服部参考人にお願いいたします。

服部学立教大学教授

○参考人(服部学君) 立教大学の服部でございます。  私は立教大学の原子力研究所というところに勤めておりまして、原子力の安全性に関する研究を行っております。つまり、今回のチェルノブイリ事故のようなことが起こらないようにするには一体どうしたらいいのか、そういったことを中心にして研究を続けております。御存じのように、原子力の研究というものは、これは非常に広い分野の総合研究でございます。研究の交流というものが最も必要な分野でございます。その立場から、きょうこの研究交流促進法について意見を述べさせていただきたいと思います。  私たち、この原子力の研究を行いますにつきましては、昭和三十年に制定されました原子力基本法、これがやはり一番私たちの基本的な課題となるわけであります。この原子力基本法第二条には、「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。」こういうふうに記されているわけであります。  この原子力基本法の制定のもとになりましたのは、伏見先生もおられますが、これは日本学術会議の原子力平和利用三原則と言われるものでございます。これは一九五四年の四月に開かれました第十七回総会の「原子力問題についての対的声明」という中に述べられたことであります。その中に、日本の原子力研究はあくまでも平和目的に限られなければならない、そして「わが国において原子兵器に関する研究を行わないのは勿論外国の原子兵器と関連ある一切の研究を打ってはならないとの堅い決意をもっている。」という決意を表明したわけであります。その精神を保障するための原則として、一切の情報が完全に公開されて国民に周知される、その公開の原則というものは、そもそも科学技術の研究が自由に健全に発達を遂げるため欠くことのできないものである、こういうふうに述べられております。  実は、この原子力平和利用三原則の声明のもとになりましたのは、これは伏見先生も所属しておられました日本学術会議の原子力特別委員会、あるいは私も委員をしておりました原子核特別委員会、この委員会は朝永振一郎先生が委員長をしておられたわけですが、その委員会等におきまして種々検討の結果この原子力平和利用三原則というものが生まれてきたわけであります。  朝永先生がまとめられまして、三月二十日付で朝永振一郎先生のお名前で第三十九委員会の藤岡由夫先生に提出されました「わが国の原子力研究についての原子核物理学者の意見」というものの中にもこういうことが述べられております。「この研究はあらゆる分野の数多くの研究者の衆智を集めて始めて可能になることからいって、常に研究状況が公表され、意見とデーターの自由な交換によって、いつでも、いかなる研究者もが、その知識と技術を提供して協力し得る素地を作らねばならない。発表が秘密という制限を受け、研究が閉じた集団のなかでひそかに行われるのでは、それは遅々として進まないか、或は不健全なものとなり、決して真にわが国に根をおろしたものにならないであろう。外国から秘密のデーターを受けて研究することは、一時の研究速度を加えるには役立つかもしれないが、同様な理由により、永い目でみればそれはマイナスである。」、こういうふうに朝永先生はまとめられたわけでございます。そういった立場から、私はこの研究交流促進法を拝見いたしまして。これは非常に危険なものではないかという気がするわけであります。  時間がございませんので簡単に結論から申し上げますと、この研究交流促進法というものは、研究公務員と並列して特別公務員の自衛隊職員を包含することによって日本の研究体制の中に軍事研究を公然と持ち込もうとすることに道を開くのではないかというふうに考えるからであります。防衛庁で行われる研究というものは、これは明らかに軍事研究であります。たとえその研究の性格が防衛的なものであろうと、あるいは攻撃的なものであろうと軍事研究であることに変わりはございません。また、兵器というものには、いわゆる防衛的な兵器とか攻撃的な兵器とかいったものの区別はあり得ないわけであります。例えば今問題になっておりますSDIで開発しようとしているものの一つに、相手の飛んでくる戦略ミサイルを撃ち落とすためのBMD、この各種兵器、これは攻撃してくる戦略ミサイルを撃ち落とすのであるから専ら防衛的な兵器であるというような解釈が一部に行われておりますが、これはとんでもない誤解でございます。一方で膨大な戦略核戦力というものが保持されている、さらに例えばアメリカでは戦略核戦力の近代化計画というものが着々と進付している、その中で相手の核ミサイルを撃ち落とす技術を開発するということは、これは報復攻撃の心配をせずにみずからが先制核攻撃を行うことができる、その能力を高めることになるということにほかなりません。あるいは自分の側の戦略核戦力の脆弱性、これを少なくするということにほかならないわけであります。また、BMDに関する技術というものが、もう一つASAT、対衛星攻撃の技術に通ずるものであります。その兵器として使われるならば、これは明らかに攻撃的な兵器ということになるわけであります。  いずれにしても、とにかく軍事研究というものには、これは必ず秘密保持というものがつきまとってくるわけであります。完全に公開された軍事研究などというものはこれまでに存在したことがございません。もちろん、近年軍事研究そのものの中にいろいろな基礎研究の要素というものが非常に強くなってきております。今や軍事に適した研究というものとそれからそうでない研究というものは、非常に区別がしにくいわけであります。これは科学の内容が変わったのではなくて、軍事的要求が変わってきたからであります。  兵器というものは、現在では宇宙とか深い海の中とかジャングルとか、すべての環境に広がっております。また新しい兵器、通信体系、あるいはセンサー、支援装置、こういったものはいろいろな新しい形のエネルギーあるいは物質といったものが含まれております。したがって、軍にとって興味のない科学の研究の分野というようなものはあり得ないわけであります。兵器体系が入り込んだこの新しい環境の中で物質あるいはエネルギーがどういうふうに振る舞うのか、そういう問題はこれは基礎研究でしか答えられないわけであります。したがって、その軍事研究の中でいろいろな基礎研究というものが今後行われることになると思いますが、そういったことは逆に基礎研究そのものの中に秘密がいろいろな形で紛れ込んでくる、こういう危険性を私たちは強く感じるわけであります。ですから、私たちは自分たちのやっております研究が軍事目的に役立つのか役立たないのか、そのことを何によって判断するのか、大変難しい問題に迫られております。  実は、伏見先生が前に会長をしておられました日本学術会議は、一九四九年一月創立に当たって、これまで日本の科学者がとりきたった態度について、これは当時の議論の中で、戦争中に日本の科学者がとりきたった態度であるということが討議の中で明らかにされております。「これまで日本の科学者がとりきたった態度について強く反省するとともに科学を文化国家、世界平和の礎たらしめようとする固い決意を内外に表明した。」ということを声明しております。そしてまた、一九五〇年四月の第六回総会では、戦争を目的とする科学の研究を行わない、こういう声明を発表しておられます。その後半を読ませていただきますと、「われわれは、文化国家の建設者として、はたまた世界平和の使徒として、再び戦争の惨が到来せざるよう切望するとともに、さきの声明を実現し、科学者としての節操を守るためにも、戦争を目的とする科学の研究には、今後絶対に従わないというわれわれの固い決意を表明する。」しかし自分たちの研究が、どうやって軍事目的につながっているのかどうか、これは、だれがその研究をさせているのか、だれがお金を出しているのか、だれがそれを利用しているのか、そのことでしか判断せざるを得ないわけであります。ということになりますと、この研究交流促進法によって防衛庁との研究交流が促進されるということは、私たちの研究そのものがゆがめられる、そしてまた、その中に秘密保持というようなものが持ち込まれる危険性が非常に大きいと思うわけであります。  実は、私たち物理学者は、一九六六年に日本物理学会が主催いたしました半導体国際会議に際しまして、この会議の実行委員会に米軍の資金が導入されたことがあります。そのことを問題にいたしまして、中で非常に熱心な討論をした結果、一九六七年九月九日、第三十二回の臨時総会を開催いたしました。第三番目の決議といたしまして、日本物理学会は、今後内外を問わず、一切の軍隊からの援助、その他一切の協力関係を持たない、こういう立場を鮮明にしたわけであります。これは私たちの研究そのものが、基礎研究そのものが軍事研究によってゆがめられないように、これはまさに私たちの学問そのものを真に発達させるためにという気持ちから出たものであります。  その点で、特にこの研究交流促進法の第十条でございますか、に書かれている文句、言葉というものは非常に危険なものを含んでいるように思うわけであります。この十条に「国は、国の研究に関し国際的な交流を促進するに当たっては、条約その他の国際約束を誠実に履行すべき義務並びに国際的な平和及び安全の維持について特別の配慮を払うものとする。」、こういう文句が書かれております。これは読みようによっては、日本の研究は平和のためにあるべきだから、そういったSDIなどには絶対協力してはならぬぞというふうに、私たちは素直に読めば読めないことはないんでありますが、現在の政権、中曽根政権のやっておられるいろいろな政策というようなものから考えますと、世界の安全を深く考慮するということは、私たちの考えるのとは全く別の意味でSDIの研究に道を開くものというふうに考えざるを得ないわけであります。  安全保障というものは、これは政治学あるいは経済学のテーマとして考えるのは大変結構なことだと思います。しかし安全保障を高めるために科学研究を行う、あるいは交流を促進するというのは科学の真に自由な発展を妨げるものにほかならない、私はこのように考えております。参議院の良識をもってこの法案を廃案にされることを強く希望するものであります。

馬場富公明党・国民会議

○委員長(馬場富君) ありがとうございました。  次に、手島参考人にお願いいたします。

手島透スタンレー電気株式会社社長

○参考人(手島透君) ただいま御指名にあずかりました私が手島透であります。  先般、参議院科学技術特別委員会から送られてまいりました研究交流促進法に関する資料について、民間企業の代表として私の意見を申し上げたいと思います。  また、私は現在スタンレー電気株式会社の取締役社長でございますが、当社が昭和四十四年研究所を設立してより昭和五十八年までの十四年間を一貫して技術研究所長を務めてまいりました。したがいまして、この経験を生かして、ただいまから私の意見を申し上げたいと思います。恐らく世界で十四年間技術研究所長を一貫して務めておるというのは比較的数が少ないだろうというふうに私は思っております。  本法案の趣旨に私は賛成であります。そして、本法案の一刻も早い成立を特別委員会の諸先生方にお願いいたします。何ゆえなら、日本が今後世界から正しく公平に評価される残されたただ一つの道ではないかなというふうに私は思っておりますからです。  特に、この際お願いいたしたいことは、そして配慮していただきたいことは、本法案の成立のみならず、本立法の目的のために、この運用については弾力的かつ積極的に運用していくことが極めて重要であろうというふうに思っております。何ゆえならば、未踏の新技術開発やあるいは重要な基礎研究は必ずしも研究計画どおりには進まぬことが数多いと思います。したがいまして、研究開発の進展途中において計画の修正とか変更とかあるいは追加とか、そういうようなことが過去の偉大な成果を上げた研究事例からもよくうかがえることだと私は思っております。  特に、独創的であればあるほど、あるいは未踏の新技術開発であればあるほど、新しい発明や発見であればあるほどに本法案の運用が弾力的に、かつ積極的に行われることが非常に重要じゃないかなというふうに私は思っております。こういう法案を積極的かつ弾力的に運営することが研究開発の成功の近道ではないかというふうに思い、また私の経験からいっても効率的な運営であるというふうに思っております。  諸先生方もおわかりのように、昨今の我が国の貿易摩擦などに始まる厳しい情勢において、我が国が世界の中で孤児にならないためにも、また企業がこの厳しい直面している中に生き残っていくためにも、世界から高く評価された独創的な新技術開発を核として続々と新しい分野を確立していくことが国際的に正しく高く評価される、かつ公平に評価される残された大事な道ではないかと私は信じております。このような重要な基礎研究こそどしどし国立の研究機関が開発して国際的に公開していくことがまた友好親善関係を築くもとではないかと思います。その結果が新しい産業を生んだり新しい文化や技術を生み、そして真の国際協力の時代を生み出していくものではないかと思っております。  このような、将来世界的にも社会的にも重要で期待される基礎研究の分野で国立の研究機関が大いに海外に向かって門戸を開き、お互いの知恵と力を出し合って、将来成功の保証のない新しい分野に積極的に取り組み開拓することがこれから求められる真の国際協力の姿であり、期待像ではないかと思います。この方法を実現し、実践することが、私はこれからの国家間の義務でもあると思っております。  当然のことながら、国際間の技術開発の分野では相互主義の原則を貫き、国際的な慣行に倣っていくことが必要であります。そうでないとこの分野でも日本は世界の孤児になってしまうおそれがあります。スタンレーは、この原則によって実施しております。私企業でもそういうふうなことを積極的に進めておりますけれども、国におかれても同様に行っていただくことが必要ではないかというふうに思っております。  私が十四年間研究所長としてやってきました中での実例で、最近スタンレー電気がハイテクとかニューテクとか、そういう分野の成功事例を少し申し上げてみたいと思います。  それは高輝度発光ダイオードであります。また美しいカラーで表示する液晶ディスプレーでございます。当然のことながら、十四年前あるいは十二、三年前には、こういう新しい専門の技術分野は従来のスタンレーでは持っておりませんでした。これらは非常にハイスピードで技術の開発競争が進んでおります。しかもそれは単純な技術ではなく、複合された技術であります。だから、人材教育や研究設備の増設とか、そのすべてを自力で、独力で研究開発しているのでは資金の面でも人材の面でも極めて困難でありますが、それ以上に開発競争のスピードにおいて時代おくれになるような、のろまなスピード開発では役に立たない。私は国内外のそれぞれの分野における独創的な技術を代表する研究機関に開発委託や研究委託あるいは共同研究をし、かつ人材教育も含めて効率よくハイスピードでこの研究開発を進めてまいりました。したがって、従来当社になかった世界的に評価される独創的な、世界で最も明るい高輝度発光ダイオードや、世界で最も広い視認角度を持っている美しいカラーLCDなどの開発に成功しております。  民間会社では、御承知のように、長期的かつ独創的な基礎研究開発には十分な資金力や専門的な人材を兼備することは極めて困難であります。このような民間の企業でできない重要な基礎研究を国立の研究機関が独自もしくは民間と共同して推進していただけることは、激しい、進歩の早い新技術開発の時代にとって大変よいことだと私は思います。  また、中小企業の技術開発の促進についても、本案の成立に伴って中小企業の技術革新、近代的新技術分野への進出もより一層効果的に容易になると思います。そして、従来の殻に閉じこもることなく、殻を破ることもできると私は思います。それが資金的にも設備的にも人材的にも極めて有効であると思うからです。特に、従来不可能である分野を国立研究機関の専門家が担当し、国立研究機関の近代的な諸設備を活用したり、あるいは受託研究や委託研究や共同研究などの制度をうまく有効的に活用することによって、高度な複合の技術をそれぞれの企業体で共同したり分担したりして産業化することができる道が開かれると思うからです。だから、中小企業の新分野移行、育成への道も開かれることになり、これは大変有意義であり、これが中小企業の近代化に生き残る道ではないかというふうに思っております。  こうしたことが本法案の成立と弾力的かつ積極的な運用によって実現すれば、そして研究成果が実現すれば、日本は諸外国より正しく、かつ高く評価され、尊敬され信頼される日本になることに大変役立つと私は確信します。これこそが真の技術立国であり、物まねの国と言われなくなることを強く力説していきたい。現在のようなぎくしゃくした諸外国との国家間の関係も、こういう結果から生まれる成果と相まって徐々に解消されていくのではないかと思います。  よろしくお願いします。

馬場富公明党・国民会議

○委員長(馬場富君) ありがとうございました。  次に、澤田参考人にお願いいたします。

澤田昭二名古屋大学理学部助教授

○参考人(澤田昭二君) 私は、物理学の研究、教育に携わっている者ですが、この半年の間、「核戦争の危険をたかめるSDIに反対する物理学者の声明」の署名集約を担当してまいりました。この声明には、全国百四十以上の大学の学部、研究所から約二千名の物理学者の署名が寄せられました。また、三月末には日本物理学会で、アメリカの物理学会の前会長も参加しまして、SDIに関連したシンポジウムが開催されました。こうした中で、多くの物理学研究者が、日本の科学技術の研究体制が急速に軍事化に向かっていくことに強い危惧を抱いている、そういうことを確認することができました。一九八三年十一月に武器技術供与に関する交換公文が米国との間で取り交わされ、SDIへの研究参加が参加の方向で検討され、そして、ただいまここで審議されている研究交流促進法案に防衛庁職員を突然含めて法案が提出されるということに至りまして、私どもの心配が予想以上に早く現実のものになっていることについて極めて憂慮しております。  研究交流促進法案につきましては、研究公務員の身分保障や、自主、民主、公開の原則を内容とした日本学術会議の科学研究基本法制定勧告に照らしても、また、一九七四年にユネスコが行いました科学研究者の地位に関するユネスコ勧告に照らしてみましても、日本における学術研究上多くの問題点がありますけれども、本日は科学の軍事利用に絞って意見を述べさせていただきたいと思います。  まず初めに、御承知のように、日本の科学者を内外に対して代表する機関であります日本学術会議は、先ほどお述べになりましたように、その発足に際して、われわれは、日本国憲法の保障する思想と良心の自由、学問の自由及び言論の自由を確保するとともに、科学者の総意のもとに、人類の平和のため、あまねく世界の学界と提携して学術の進歩に寄与するよう万全の努力を傾注するべきことを期する。と決意を表明いたしました。また一九五〇年には、これも先ほど服部さんがお述べになりましたが、戦争を目的とする科学の研究には今後絶対に従わないというかたい決意も表明いたしました。  日本学術会議は、法によって、日本における科学に関する重要事項を審議する職務を持っています。また、政府は日本学術会議に諮問することができることになっております。研究交流促進法案は、今後の日本の科学技術の進展にとって大変重要な問題を含んでおりますので、政府は前もって日本学術会議に諮問すべきであると存じます。とりわけ本法案は、日本の科学者が広島、長崎の被爆の体験や第二次世界大戦にとった態度についての深い反省から日本学術会議が行った決意の表明に抵触する軍事研究の問題がかかわっておりますので、なおさら諮問を行うことが重要であるというふうに思います。  次の問題は科学研究の公開の問題であります。  今日、特に日本では平和憲法のもとで民需用の技術は著しく発達し、国際的にも最先端をいくものが多くなってまいりました。高度な科学技術が日常生活の中に深く浸透してまいりまして、民需用の技術をほとんどそのまま軍事に利用できるようになって、軍事利用と平和利用との区別は極めてあいまいになっております。したがって、その区別を行うには、同じ技術をどちらの目的で研究するか、どちらの目的に利用しようとするのかが問題になってまいります。その区別をどこで行うかということですが、結局それはその研究者の所属やその研究資金の出所によって線を引くほかはないと考えます。  研究のスタートの時点では汎用技術として出発したといたしましても、軍関係の機関がかかわっている研究の場合には、それが兵器として実用可能な段階になりますと軍事機密扱いになります。SDIの研究に参加する場合にはまさにこのことが問題になります。この機密というのは、当の軍事研究に直接携わっているプロジェクトに限定されるわけではありません。一つの研究を進めるためには、その研究規模が大きくなればなるほど多くの関連分野の支援や研究支援組織が必要となるのでありますけれども、機密の問題はこういう支援組織にまで及んでくるのであります。次第に機密の範囲が広がっていきまして、それに従事する大勢の人に機密護持の義務が及んでまいります。身元調査や思想調査が行われ、身元保証を受けられない研究者や技術者は配置転換や職を失うことも起こる可能性があります。さきの国会で廃案になりました国家機密保護法案の再提出が準備されているというふうに聞いておりますが、軍事研究はこうしたものと不可分な関係にあると思います。  試験研究機関の研究開発の成果は国民に開かれたものになるべきでありますが、成果の公開が制限されることになりますとさまざまな弊害が生じてまいります。科学技術の活発な研究活動を制約し、国内外の研究交流にも大きな障害となります。既に、SDIに絡んでアメリカの物理学会で研究発表がストップさせられてその分科会が流会になるという事態が起こっております。研究開発の公開の原則が破られることになりますと、科学や技術の軍事利用、悪用を許すことになり、科学の発達にとって、ひいては人類にとって非常に不幸な結果につながることは、核兵器の例や公害の問題など、これまでに私たちは苦い経験をしてきたわけであります。このようなわけで、軍事研究につながる本法案は公開の原則とは相入れないものと思います。  第三は、研究の調和のとれた発達の問題であります。特に本法案の成立によって軍産学官の共同研究が推進されることになりますと、現在の防衛予算、特にその中で防衛研究費の伸び率が突出していることを考えますと、我が国における軍事研究はいよいよ本格化し、軍事研究開発に従事する科学者と技術者の数は急速に増大することが予想されます。SDIへの研究参加となればなおさらのことですが、それによってその他の民需用、あるいは汎用技術の研究開発は資金的にもマンパワーの面からも圧迫されることになると考えられます。これまでも応用研究に重点を置かれて大学における純粋研究や基礎研究は根が枯れそうな状況にありますが、我が国の科学技術の長期的発展にとってこうした状態は大きなマイナスになることが予想されますので非常に憂慮しております。これが今後一層圧迫されるのではないかというふうに懸念しております。人類が科学技術の成果を正しく利用して、核兵器のない、さらに軍備もない人類の未来を展望するためにも、科学の調和のとれた発達は不可欠であると考えます。  第四に、技術開発が軍事研究に傾斜していくことの技術の発達そのものへの弊害、さらには経済へのはね返りの問題があります。軍事研究開発は受注とともに研究開発費がその成否にかかわらず保証されるというわけで、短期的に魅力を持つ企業もあると考えられますが、開発された技術が機密となり、用途も限定され、さらにその評価は相手のある実戦で初めて本格的に行われるなどの問題があります。一方民需用の技術は、それが日常的に利用され、商品として優劣が絶えず競争状態に置かれます。変革や改良が加えられて常に競争力を強めなければなりません。かつては軍事研究が科学技術を発展させたという例が多くありましたが、科学技術が日常生活に浸透した今日では、むしろマイナスの面が目立つようになってきました。このことは先端技術の幾つかの分野でアメリカが日本に追い越されるようになった原因としてアメリカの科学者の間でも議論になっております。今後はますますこうした傾向が強まると思います。SDIに参加して開発された技術の波及効果を期待することは、こうした面からも、また軍事機密の壁があることからも期待してはならないと思います。  最後に、軍事研究が本格化すると、それが自己運動を起こすガンとなるという問題であります。現在のSDIもそのような側面から見ることができます。アメリカの核爆弾の開発、設計を行ってきた二つの研究所の一つであるリバモア研究所で三十年近く研究に従事してきた物理学者が書いているのですが、これらの研究所の科学者が核軍拡競争をドライブし続けてきた主な力であったと結論づけております。それは、核爆弾の技術は成熟した技術になってしまってもはや成長には限界がある。そこで知的な刺激を満たすためには新しい概念のものが欲しい。スターウオーズの核爆発によるエックス線レーザー兵器のアイデアはこうした中から生まれたと書いております。  以上、本法案の軍事研究にかかわった問題点として私の考えを述べさせていただきました。  先日開かれました日本物理学会のシンポジウムで、レーザーの研究者の方が次のような発言をされました。これまでレーザーが医療技術やコンパクトディスクなど、民生用に実用化するところまで歯を食いしばって頑張ってきた。やっとここまでこぎつけてきたのに、それがSDIのような軍事利用に持っていかれるのは大変困る、このように述べられました。これはさまざまな分野の多くの科学者、技術者の共通した率直な気持ちであります。現在の研究交流促進法案を廃案にしていただき、日本学術会議が勧告いたしました科学研究基本法や研究公務員特例法をぜひ制定していただいて、日本の科学技術が自主、民主、公開の原則に従って正しく発展し、人類の平和に大いに貢献できるように御尽力くださるようにお願いして、私の発言を終わります。

馬場富公明党・国民会議

○委員長(馬場富君) どうもありがとうございました。  それでは、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

岡部三郎自由民主党・自由国民会議

○岡部三郎君 参考人の皆さん方には、御多用なところにもかかわらずおいでいただきまして、ただいまはまた非常に貴重な御意見をいろいろ承りまして本当にありがとうございました。  せっかくの機会でございますので、今お述べになりました御意見の内容等につきまして若干の質問をさせていただきたいと思います。ただ、まことに申しわけないのですが、私の持ち時間は二十分でございますので、一応四先生に私の考えました質問内容を先に申しまして、それにつきまして簡潔にお答えをいただければ大変幸せだ、かように存じておる次第でございます。  最初に久良知理事長さんにお伺いをいたしたいと思うわけでありますが、理事長さんは、既に新技術開発事業団という特殊法人におかれまして大変苦心をされながら産学官連携による研究開発ということを実施されておりまして、それで、先ほどのお話にもございましたように、相当の成果を上げられておる。私ども非常に敬服をいたしておるわけでございますけれども、こうした御経験からしまして、産学宵連携を進める上にはいろいろな隘路があるということを痛感されておられることだと思います。そして、そういうものを少しでも取り除いて創造的な、独創的な研究を進めるために今回の研究交流促進法が相当の効果を発揮するののかどうか。先ほど創造科学推進事業で官側の研究者の参画が比較的少ない、こういうものもこの法律ができれば相当改善されるのではないかというような御評価もいただいたわけでございますが、そうした面でこの法律がどれだけの力を発揮するだろうか。もしこの法律では不十分だという点があれば制度的な面でどういう面かということをまずお伺いをしたいと思います。  それから服部先生でございますが、服部先生は大学人とされまして特にこの原子力の安全性の面で非常に独創的な研究をされておりまして、立派な成果を上げられているということで、私どもも常に敬服をいたしておりますし、また、特に御専門の分野においても組織の枠を超えた研究の交流ということが非常に大事だということも御指摘をいただいたわけでございますが、ただ、この法律が軍事研究の推進に利するのではないかという御意見でございました。この点はいささかこの法律の内容とかけ離れる分野があるのではないかというふうな感を持ったわけでございます。と申しますのは、言うまでもなく、この法律は国の研究者、国立の研究所の研究者が民間との研究交流を促進する、そのためにいろいろな障害を除去していくというための法律でございまして、御案内のように、日本の軍事研究というのは、これは防衛庁の研究所がやっておる。これは国の機関でございます。その他の国の研究所がこの国の機関である防衛庁の研究所と研究交流をするということは、何もこの法律を待たなくても今のままでもやろうと思えばできるわけでございまして、この法律の成否とは余り関係がないことではないかと思うわけでありますが、その点をひとつお伺いをしたいと思います。  それから手島社長さんにお伺いいたしますが、手島さんが社長をされておるスタンレー電気におきましては、今もお話がございましたように、東北大学で開発をされたエレクトロニクス分野での革新的な研究成果というものにいち早く着目をされまして、その開発を積極的に推進されて今日目覚ましい発展をされたということは私どもも十分承知をいたしております。心から敬服をいたしておるわけでございますが、そうした産業界の立場から、大学のみならず国立の研究所の研究内容につきましても、これから産学官で協力を進めることで相当成果を上げる分野というものがまだまだたくさんある、スタンレーの場合には発光ダイオードというふうな、あるいはその他いろいろな面で御成果を上げられておるわけでありますが、まだまだたくさんそういう分野があるというふうにお考えかどうか。恐らくそうだろうと思いますが、その場合に国と民間との研究協力を進める、さらには国の研究者が民間の会社の研究所に行ってそこの研究者たちとひざを交えながら研究を進めるということになりますと、いわゆる癒着が生ずるのではないかといったような批判が一部にあるわけでありますが、この点についてはどのようにお考えがお伺いをしたいと思います。  それから最後に澤田先生にお伺いをいたしますが、先生は軍事研究との関連で研究開発の基本的なあり方といいますか、技術の公開の問題であるとか、あるいは機密の問題であるといったようなことについての御意見をお述べをいただいたわけでありますが、実はこの委員会は今研究交流促進法の審議をしておるわけでありまして、これは今も申しましたように、国の研究機関の職員が民間との研究交流を進める、あるいは外国との研究交流を進める、そのために公務員の職務専念義務の免除の問題であるとか、あるいは外国人の研究者を国の研究機関に採用することができるようにするとか、そういった今までいわばネックになっていた問題を取り除こうというそういう法律であるわけでありますので、そうした意味で、国の研究機関と、あるいは民間と、あるいは大学も含めて研究交流を促進しようとすることにはどういう御意見をお持ちか。そういうことは必要ないと言われることはないんだろうと思いますが、そうした場合に、この法律はそうした面から考えればやはり一歩前進ではないかと私どもは思っておりますが、その点についてひとつ御意見を承りたいと思います。

久良知章悟新技術開発事業団理事長

○参考人(久良知章悟君) ただいま岡部先生から、私ども創造科学技術推進事業を代表とするわけでございますが、産学官の交流による技術開発というものを進めてきた経験からこの法案をどう評価するかというお尋ねが第一でございました。  私どもの立場からこの法案の効果というものを非常に期待しておるのでございます。昔から三人寄れば文殊の知恵ということを申します。経験なりあるいは生育の過程の違う人、いろいろな立場の科学者、技術者が集まって、共同して技術開発を進めると非常な効果が上がるということは、私どもの経験からしても全く正しいことであると考えておるのでございます。一方、我が国は今まで明治維新以来非常な成長をしてきたのでございますが、これはやはり我々国民性として、一つの組織の中で掲げられた目的に向かって邁進するということにおいては非常に特徴があると思います。これが現在の科学技術の成果、あるいは工業製品が世界に雄飛をするということの一つの大きな要素であろうかと思うのでございます。その反面、我々といたしましては、やはり独創的な技術を生み出すということがその裏腹としてなかなかできがたい、あるいは異なった組織、あるいはその組織に属する人たちの間で共同して一つの仕事をするということがなかなかできがたい反面があろうかと思うのでございますが、最近、先ほど申し上げましたように、産学官の交流ということがこの素地といたしまして成長しつつあることは確かであろうかと思います。この法律が成立をいたしまして実際に実施に移りますと、産学官の交流というものに対する認識、特に学の方々での認識というものが飛躍的に高まるのではなるまいかと考えるのでございます。最近の創造科学技術の、私どもPLと呼んでおりますが、総括責任者として指揮をとっていただく方々、大学の有能な先生にお願いすることが多いのでございますけれども、数年前に比べましてこういう点に対する認識というものが格段に進歩してきておると感ずるのでございます。  それからさらに、この法律の内容から効果を上げるための裏づけとして何か改善をする点があるかどうかというお尋ねでございました。私どもそういう期待の面からこの法律のこのままでの成立ということをこいねがうわけでございますが、強いて申し上げますと、やはり実を上げるためには、この法律の目指す内容についてのPRというものをよくやっていただく必要があるのではあるまいかと思うのでございます。  それからまた、国立の研究所の皆さん、研究者あるいは研究室を使って事業を進めるということにおいて若干の難しさがあるわけでございます。これはやはり現在の定員あるいは研究室の余裕というものがほとんどないというところに起因があるのでございまして、これは非常にこの時代には難しいことでございますけれども、そういう点についての御理解を今後賜りたいと思うのでございます。

服部学立教大学教授

○参考人(服部学君) 先ほど申し上げましたことのあるいは繰り返しになるのかもしれませんけれども、岡部先生の御質問にお答えさせていただきたいと思います。  岡部先生は、防衛庁は国の研究所である、したがって、この法律を待たなくともそういう民間との交流はできるのであるというふうにおっしゃったわけでございますが、現在の国家公務員法の中で自衛隊職員というのは特別公務員ということになっております。これはいわゆる研究公務員とはいささか性格の異なるものではないかと思うわけであります。その研究公務員と特別公務員の自衛隊職員というものを並列に並べるということによりまして、自衛隊の研究――自衛隊の研究というのは、先ほど申しましたように、あくまでもこれは軍事目的のために行われる研究でありますから、それと一般の研究公務員あるいは民間の研究者との交流を促進するということに結果としてなってくるわけであります。先ほど申し上げましたように、私たちは研究者として、研究の交流、学者の間の交流というものが学問の発達にとって最も重要なものであるというふうに考えております。しかしその交流が自由に行われるためには、お互いが対等であること、そしてまたそこの中で自由に意見の交換が行われること、すなわち秘密保持というようなことが持ち込まれてはならないというふうに考えているわけでありまして、その点で実はこの法案に非常に危険を感ずるわけであります。  以上でございます。

手島透スタンレー電気株式会社社長

○参考人(手島透君) 御指摘いただきましたように、御質問いただきましたように、これからまだ国立の研究機関なんかを活用する価値があるだろうかというような点から考えますれば、私自身、一つの商品の寿命とか、それから時代の流行の変化とか、そういうようなことを考えると、最近は非常に技術開発のスピードが速い、変化が速い、なおかつ高度な技術を要求するというようなことでございます。こういう中で、本当に世界から堂々と、独創的な、評価される、そして公平に産業を進められるというようなことから考えればまだまだやらなければならぬことはたくさんあって、そして私たちは非常に困難に直面しております。したがって、こういう意味からも、大いにこういう制度、法案というものが大変必要ではないかというふうに思っております。  かつ、先生の御質問にありましたように、癒着の問題はどうかということでございますけれども、それは、私はゼロとは思いません。だけれども、本法案とか本研究開発を進めるということにおける運用上の配慮だと思っております。進め方、管理の指導のやり方だと思っております。例えば新技術開発、あるいは未踏の、やったことのない研究開発、そういうことを進める上においては必ず障害にぶつかります。そのぶつかったときに、一体全体どうしてこいつを解決するかというようなときに、人間というものは、研究者というものは必ず迷いとかいろいろの、要するに出くわさないことが出てくるものじゃないかと思う。そのときに管理者とか指導者とか、あるいは周辺で温かい運用上における配慮とか評価とか判断とかいうことが冷静に行われることが必要であって、私自身がほとんどギブアップし、そして、もうこれはだめだと思った研究開発の過程においてもやはり第三者からそういうふうな御指摘なり御指導があったり、そして励ましがあったり、そしてかつ真剣にやったおかげで一つ一つ新しい道が開拓された。  十八年前から十七年前にはゼロであった新しい商品分野が、一体全体私たちがやっていなかったら今私の会社はどんなふうになっておるかと言えば、先ほども申し上げたように、商品の寿命は十年ももてばいいんだというようなことでおさまっておれば、これは成功だと思って自己満足しておれば今日は大変苦しい状態に陥っているというのが実態ではないかと思います。  だから、大いに新しい分野に、こういうことは、行く道は、やらなければならない道はたくさんある。しかしそれは運用の妙、それから派遣した側、受け入れた側の管理者がよくそこのところを、やらせっ放し、行かせっ放し、そしてかつ困難なときにどういうふうにするか、あるいは任務が終わってもとに戻るときに安心して戻れるか、そういうようなことが確実に配慮されて運用されることが大切ではないかと思う。そういうことをすれば今岡部先生の御質問にあったような御心配はないんじゃないか、もし御心配があるとすればそういうところには派遣しないということが大切ではないかと思う。私も、本当にこの先生は情熱を傾けて教えてくださる先生だろうかということは、当然受け入れる側の責任者として、失礼ながら先生をその面からチェックをさせていただいたということも事実でございます。立派な先生にチェックと言って申しわけないんですけれども、そこは私の職責であると思っておりますので御容赦願いたいというふうに思います。

馬場富公明党・国民会議

○委員長(馬場富君) まことに恐れ入りますが、全体の審議時間が限られておりますので、答弁はひとつ簡潔にお願いしたいと思います。

澤田昭二名古屋大学理学部助教授

○参考人(澤田昭二君) 先ほどの御質問ですが、我が国の科学や技術を発展させる上ではいろいろな分野の研究交流が必要なのは当然であると思います。ただ、そのやり方を誤りますと当初予想した期待と外れたことが起こるということを申し上げたいわけであります。例えば、「むつ」の研究開発をやりましたけれども、あれが失敗した理由は、やはり現場の科学者や技術者の意見を十分に取り入れることができなかったということが一つの大きな原因だと思っております。そういう研究交流を大いに促進するためには、やはりそれに携わる研究者の自主的な判断、これを抜きにしては独創的な研究は大いに発展しないと思います。  それから、海外との研究交流、民間との研究交流というのは、これは非常に大事だと思いますが、現在の情勢を考えてみますと、特に武器技術供与とかあるいはSDIということが求められているような情勢の中でこれをやれば、当然そういうものが真っ先に入ってくることは予想されるわけであります。そういうことになりますと、かえって我が国の科学技術の発展にとって非常に大きなマイナスを及ぼすということを危惧したことを先ほど述べたわけであります。

岡部三郎自由民主党・自由国民会議

○岡部三郎君 どうもありがとうございました。    〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕

稲村稔夫日本社会党

○稲村稔夫君 社会党の稲村でございます。  きょうは、大変お忙しい中を私どものこの委員会に参考人としてそれぞれ貴重な御意見をいただきましたことをまずお礼を申し上げ、そして若干お伺いをしたいと思います。しかし時間が大変限られておりまして、今私がお尋ねをしてお答えをいただく合わせて二十分という私の場合の持ち時間になりますので、ひとつよろしくお願いをしたいと存じます。  そこで、まず久良知理事長さんとそれから手島社長さんの積極的推進の立場からのお話しございましたけれども、現在の国立の研究機関の研究者の皆さんが積極的に参加をされていくというために、現在のこの法案というもので一番重要な隘路というものが取り除かれるんであろうか、隆路はもっと大きなものが何かあるんではないだろうか、こういう気もしておりますので、その辺お考えがあったらお聞かせをいただきたいと存じます。  それから、服部先生は先ほど朝永先生のお話を御引用になりました。私はもう少しその辺のところを、軍事目的の研究というものが秘密のベールの中へ包まれていくと科学の進歩には長い目で見たらかえってマイナスだという意味、わかるような気もいたすのでありますけれども、もう少し詳しく教えていただいたらありがたいと思っております。  それから、服部先生にはもう一点お伺いしたいと存じます。それは、平和目的の研究と言っておりましても、それがいつの間にか軍事目的に取り込まれてしまうということは過去の例ではよくあったわけでございます。特にこれは、外国との共同研究ということが今度の法案の中でも取り上げられているわけでありますが、外国との共同研究というときに、我が国と同じような平和、公開、民主、自主というような、そういう原則が余りはっきりしていないような、そういう国との共同研究になってきたときなんかにたまたまそんなふうになる危険性があるんじゃないだろうか、こんなことも心配をするのでございますけれども、先生はSDIとか、そうした研究もいろいろとされておられる。SDIの研究についての問題点も研究しておられるというお話でございましたので、お教えをいただければありがたいと思います。この二点でございます。  それから澤田先生には、交流、このことには反対というお立場で述べられたわけでありますが、そうすると、その研究交流のために今なすべきことは何かということについてお考えをお聞かせいただければありがたいと思います。  以上です。

久良知章悟新技術開発事業団理事長

○参考人(久良知章悟君) ただいま稲村先生から、国立研究所の研究者が参加をするために隘路は完全に取り除かれるのかというお尋ねでございました。  私どもは、創造科学技術推進事業の経験から申し上げますと、国立研究所からの参加者というのは当初の予期よりも少ないのでございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、やはり現在の国立の研究所の定員に余裕がないというところに原因があるのでございまして、身分上の問題につきましては、私どもの制度では既に五年前に、今回の法律と同じように、休職をして来た場合に身分上の不利益にはならない手が打ってあるのでございまして、その点についての問題というものは今回の法律改正で消えるのではないかと思うのでございます。ただ、定員の余裕がないということからくるわけでございますが、来る研究者については、五年間休職をして来た場合に、さらに研究所に帰ったときに自分の能力なり経験に合うポストがあるかどうかということの不安というのは依然として残るのではあるまいかと思うのでございます。

手島透スタンレー電気株式会社社長

○参考人(手島透君) 久良知参考人から御指摘になったと同じように、任務が終了して帰られたときに、やはり完全な身分保障ということ、そこらと、もう一つは、研究者であれば研究の専門分野という一つのプロフェショナルな分野がありますので、そこが保障されるということが非常に大切なことではないかというふうに私は考えております。ここらを配慮され、そして弾力的な運用がなされればできるんではないかなというふうに思っております。  また、新しい分野でございますので、当初予想したとおりにうまくいくか。研究開発はそのとおりにはいかないというのがいろいろありますので、そこらも評価の仕方とか助言の仕方とか、そういうことが実際に進める上において出てくる問題じゃないかというふうに思います。  以上でございます。

服部学立教大学教授

○参考人(服部学君) 私、先ほど原子力基本法、それから学術会議の原子力平和利用三原則、あるいはそのもとになりました我が国の原子力研究についての原子核物理学者の意見というようなものをもとにして申し上げましたが、これは私自身が原子力の研究分野に携わっているから特に原子力の問題についてお話をしたわけでありますが、これは何も原子力に限ったことではなくて、すべての科学研究あるいは技術の開発についても同じことが当然成り立つものであろうというふうに考えております。  ただ、原子力の研究というものは、何しろ第二次世界大戦中に原子爆弾の研究開発というものと結びついて大変不幸な発足をいたしました。そのためにこの研究の性格自体が大変ゆがめられたという歴史を持っているわけでありますから、私たちが日本で原子力の研究を始めるかどうかということを議論いたしました際に、その点、特にこの軍事研究とのかかわりをどうやって断ち切るかということを真剣に議論したわけであります。その点につきましては、先ほど申し上げました学術会議の原子核特別委員会での朝永振一郎先生の御努力というものに対しては、今思い出しても本当に頭の下がる思いがするわけであります。  私たちが議論しましたのは、どうやって日本の原子力研究が軍事研究にかかわりを持たないようにすることができるか。そういうところで考え出しましたのが、公開、民主、自主といったこの三つの原則だったわけでありますが、特にこの公開の原則というものは、これを確立することによって軍事研究の歯どめがかけられるのではないか。軍事研究というのは必ずこれはもう秘密研究で行われるものである。それを何とかしてすべての成果を公開するということによってこの歯どめをかけたいということを私たちは考えたわけであります。それには幾つかの、第二次世界大戦中のマンハッタン計画でのいろいろな実例、あるいは第二次世界大戦が終わってから後の原子力開発に伴ういろいろな実例、そういったものが実は大変参考になったわけであります。  例えば、アメリカのオッペンハイマー博士、これは実は原爆の開発の中で大変大きな役割を果たした方なんでありますが、水爆の開発に反対するということで、後にマッカーシズムの旋風の中で公聴会でつるし上げられるといったようなことが起こっております。あるいはまた、フランスではフレデリック・ジョリオ・キュリー、原子炉の最初の特許を取ったフレデリック・ジョリオ・キュリーが原子力庁長官の地位から追放されるというような事件が起こりました。そういったことが起こらないようにという、私たち物理学者のいろいろな過去の経験に学んで、公開、民主、自主、この三つの原則を打ち出したものでありまして、それはほかの分野の研究にも当然共通するものではないかというふうに考えております。  それから、SDIの問題になるわけでありますが、これはやはり大変大きな産学官の、それから軍、産軍官の国際的な大きな協力のプロジェクトということになるだろうと思います。その意味ではやはり原爆製造のマンハッタン計画というものを思い出さないわけにはいかないわけでありますが、マンハッタン計画の中で、先ほどもちょっと話に出しましたけれども、秘密保持というものではこれほどまた激しい、厳しい秘密保持の中で進められたプロジェクトというものもないわけであります。  一例を申しますと、オッペンハイマー博士がロスアラモスの研究所の所長となって赴任いたします少し前に、昔の愛人のうちへ一晩行って泊まってきたということがあるんだそうであります。それが後の公聴会の席で暴露されているわけでありまして、つまり、そういうところまで完全にスパイ網といいますか、尾行がついていて個人の私生活が全部調べ上げられていた。そういう状況の中でなければやはり軍事研究というものは進められないものだろうと思います。  私は、このごろ若い人によく言うんですけれども、もしSDIに参加しようと思ったら、よほど身辺をきれいにしておかないと大変なことになるよというふうに言っているわけでありますが、そういった個人の問題にまでかかわってくるような秘密保持というものがどうしても軍事研究にはつきまとってくるものであろうと思います。そういう点を非常に心配するわけであります。SDIというのは、まさにマンハッタン計画以上の巨大なそうした軍事研究のプロジェクトであるということを忘れてはならないと思います。

澤田昭二名古屋大学理学部助教授

○参考人(澤田昭二君) 民間、あるいはいろんな分野の研究活動交流を発展させるためにどうしたらいいかという御質問なんですが、これはやはり我が国がこれまでやってきたプラスの面を大いに生かして、マイナス面をなくしていくということを図らなければいけないわけでありますが、これまでプラスの面であったということは、平和憲法のもとでそういう軍事研究に従わない形で、いろんな民間も含めてそれぞれ技術開発に努力されてきた。こういう方面を大いに伸ばさなければいけないわけですが、本法案はその点と逆になっております。  それから、逆に今度はマイナス面を解決しなければいけないわけでありますが、そのためには研究者が自主的に、あるいは民主的にいろいろ判断していけること、これを大いに発展させなければいけないと思うわけでありますけれども、例えば試験研究機関の研究者がいろいろなところに出かけていって大いに科学者、技術者としての役割を発揮するという道は必ずしも大きく開かれているわけではありません。ましてや、民間の研究機関にいらっしゃるそういう方々はもっと制約が強いわけであります。そういう方々が官主的に判断をして、大学や、大学でも必ずしも自主性が十分保障されているというふうに言えないかもわかりませんが、そういうところと対等にできるような、そういう体制をつくる必要がある、これが我が国の長期的に見た場合の研究交流が大いに発展する道だと思うわけであります。  そういう意味で、先ごろ学術会議が勧告いたしました科学研究基本法や、それから研究公務員特例法をぜひ制定していただきたいというふうに願っておるわけであります。

稲村稔夫日本社会党

○稲村稔夫君 四分ばかりありますので、服部先生にもう一度お伺いしたいと思います。  共同研究という形で、民間あるいは外国との研究に公務員の研究者が交流をするというそういうことが今度の法案では盛り込まれている形になるわけでありますが、そこでその場合に、いつの間にか軍事研究に取り込まれてしまうという危険性というのはないだろうか。特に外国の場合にそれが気になるなというのが私に一つありましたので、その辺ひとつよろしくお願いいたします。

服部学立教大学教授

○参考人(服部学君) 先ほどの御質問にございましたのに、大変失礼いたしました。  私たちは、やはりこの研究の国際交流ということは、これは非常に大事なことだと思っております。学問というものはもちろん国際的な交流によって発展するものであります。しかしその辺についても、実は一九六一年の十月に日本学術会議が「科学の国際協力についての見解」という声明を出しておられるわけであります。その中で、科学の国際協力というものはやはり平和への貢献を目的とすべきこと、それから全世界的であること、それから自主性を重んずべきこと、科学者の間で対等に行われるべきであること、また成果は公開されるべきである、その原則を明示すべきであるというふうに述べておられるわけでありますが、やはり国際的な交流についてはその点が一番大事なことではないだろうか。  例えばSDIの問題に関係いたしましても、この点をやはり日本の研究者、また日本の研究公務員の皆さんがきちんと守っていただかなければならないと思います。特にこの公開の問題ということは、国際協力を進める上でも最も重要な問題であろうというふうに考える次第でございます。

稲村稔夫日本社会党

○稲村稔夫君 ありがとうございました。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 まず、久良知さんに伺いますが、先ほどから話題が出ております創造性何とかという長い名前のプロジェクト、それで実際いろんなところで働いておられる研究者の、これはと思われる方を引っ張ってきて一つのチームをおつくりになるというやり方でやってこられたと思うんですが、その際に、実際今までの研究公務員の制約のもとではうまく連れてくることができなかったといったような実例は相当あったのでございましょうか。

久良知章悟新技術開発事業団理事長

○参考人(久良知章悟君) この制度の発足の当初におきましては若干難しい点があったようでございますが、私、二年余り前からこの仕事をやらしていただいておりますが、私にかわりましてから、こういう研究協力にある組織からお出しいただくという点についての抵抗はほとんどなくなってまいりました。一ただ、先ほどお話し申し上げましたように、国公立の研究所の研究員につきましては若干の問題があるわけでございますが、これは研究者その者、あるいは研究所の幹部自身は協力をしたいということでございますが、やはり定員に全く余裕がないというところにあるようでございます。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 余り時間がないと思いますので、二言ずつ伺いますが、服部さんと澤田さんは似たような大学の関係者でいらっしゃいますから一緒に伺いたいと思いますが、この法律の中で主眼は、普通の意味の国立研究所の所員の方々が大学の先生並みにいろんな学会に自由に出席できる、あるいは民間の方と一緒に仕事ができるといったような道を開こうというところに主眼があるということは疑いないと思うんですが、その方の方は評価できるとお考えになるんでしょうか、どうでしょうか。

服部学立教大学教授

○参考人(服部学君) 必ずしもその点でも十分なものではないと思います。国立試験研究機関相互、あるいは国立大学との交流も組織の枠を超えた非常に広い範囲の研究者の交流を目指したというものではなくて、国と国以外の者に限定している。研究公務員の私企業への派遣であるとか、あるいは国有施設を安く使わせるとか、あるいは委託研究に伴う工業所有権の相手方企業への一部譲渡を定めるというようなことによって一方的に国立試験研究機関の人材、施設、成果を私企業の技術開発に参加させることを可能にしているわけですね。これは国の機関としての中立、公平あるいは公開といった公共的性格をゆがめるものになるのではないだろうか。また、研究公務員の主体性、自主性といったものは全く触れられておらず、研究集会への参加などについてもその範囲と条件を限定している、その上で承認する。下手をすると研究公務員の管理を一層強化する可能性があるのではないかというふうに私はこの法案を読ませていただいたわけであります。

澤田昭二名古屋大学理学部助教授

○参考人(澤田昭二君) 国立試験研究機関、あるいはその他の大学関係以外の研究公務員の自由度を広げるというふうにこの法案の趣旨が述べられているわけでありますけれども、実際には、そういう例えば学会に出席するとかあるいはいろいろな研究交流を進めるというときに、その学会出席あるいは研究交流をするということをだれが判定するかということが問題になるわけです。つまり、そういうことを行っていくプロセスが問題になってくるわけでありますが、それは研究公務員の地位の問題と不可分な問題であります。研究公務員がそういう自分の研究に根差して、あるいは自分の現在やっていることに根差して、あるいは自分の良心に根差して行動できるように身分が保障されていくということが、逆にそういう学会活動あるいは研究交流活動を活発にし、それを自主的にやっていける道だと思うわけでありますけれども、そういう点でこの法案は保障されていない。むしろ命令で学会に行ってくるとか、あるいはいろんな民間企業に出向を命ぜられるとか、そういうことになる危険性というのは非常に強いと思うわけです。したがって、この法案のやり方ではかえってそういう正しい交流あるいは学会出席というようなことが行われるということにはならないように思います。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 もう一つ、服部、澤田両氏に伺いたいんですが、二十年ぐらい前かな、大学の先生が産業界と一緒に研究すると産学何とかということで学生に騒がれて、大変弱った時代があったんです。近ごろは余りそういう騒ぎが起こらなくなっているんですが、産業界とこういう研究者とが大いに交流するということ自身は私はいいと思うんですけれども、二十年前ぐらいのああいう雰囲気というものはいまだに大学にはあるのでしょうか。

服部学立教大学教授

○参考人(服部学君) 大学と産業界とが協力することそのことが悪いのではなくて、そのあり方が問題なんだろうと思います。大学の自治あるいは自主性といったものが損なわれるような形での産学協同というものは、これは現在でも決して望ましいものではないと思います。  一例を申しますならば、私どもの立教大学原子力研究所の原子炉は、これはもう私どもの大学だけではなくて一般の皆さんに利用していただいております。しかしその際に私たちは、原子力基本法あるいは平和利用三原則の線に基づいてその成果が確実に公開していただけるかどうか、そのことを条件にして、それを満たしていただける場合には産業界の方にも利用していただいております。場合によっては、私たちはこれは秘密にしておきたいんで、じゃ、そういうわけではおたくの原子炉を使うわけにはまいりませんと言って辞退される例も幾つかございます。大学と産業界が協力することが悪いのではなくて、その協力のあり方が問題なんだろうというふうに考えております。

澤田昭二名古屋大学理学部助教授

○参考人(澤田昭二君) 科学や技術の発達にとって、実際の社会で行われているそういうものとの関連というのが大いに交流されることが必要であるということは申すまでもないことだと思うわけでありますけれども、それが正しい形でやられない場合には、先ほどから問題になっております癒着とか汚職とかいろんなそういうものが絡んでくるわけであります。そこにはやはり公開の原則というのがあって、それによってそういうことが行われないようにしていかなければいけないということが一つであります。もう一つは、そういう研究を発展させていくためには、その科学や技術の研究の中身とのかかわりで発展させていかなきゃならない側面があるわけです。これは直接それに携わっている人が一番責任を負うべき内容であると思うわけですけれども、そういうことが尊重されるような交流でないといけないと思います。  そういう意味で、私どもの大学でも、現在産学の共同どうあるべきかということについて真剣な議論が行われておりますけれども、それはそういう弊害を取り除いて、しかし科学や技術の発展に不可欠であるそれを実用した社会でのいろんな成果との交流、あるいは要求との対応というのをどうするかということが議論されているわけであります。ですから、そういうことが保障されるような、そういう体制をどうつくっていくかということが問題なわけでありますけれども、そういう科学や技術の発展の中身に沿った形での問題解決の方向がこの法案にはなくて、そういうことではない面の方がむしろ強い内容となっていますので、その点で私たちは非常に危惧しているわけであります。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 もう一遍お伺いいたしますが、今のおっしゃる点は、法律で決めるべきことと、それから当事者のいわば心構えといったようなものとがいささか交錯しているように思うんですけれども。  もう一つ、ついでに伺いますが、先ほど澤田さんも繰り返されているように、近ごろ研究対象が一体軍事研究なのか平和産業のための研究なのかわからなくなっている。例えば私の関連していた核融合研究で、強烈なハイパワーレーザーをつくりましてそれで核融合を起こさせようという研究は、今度のスターウオーズと非常に紙一重の研究でございました。これを軍事研究と考えるか平和研究と考えるかというのは、本当に紙一重だと思うんですね。これは法律で決めるようなことじゃなくて、やっている方の心がけの問題だと私は大いに考えるんですが、そういう考え方は甘過ぎますか。

澤田昭二名古屋大学理学部助教授

○参考人(澤田昭二君) もちろん、それに携わる科学者、技術者がその良心に照らしてやっていくということは非常に大事な問題で、御指摘のとおりだと思いますけれども、同時に、現在の科学技術というのはその開発のためには莫大な資金が要るわけであります。そのためには資金源として国あるいは産業からその資金を得なければいけないという事情にあるわけであります。したがって、研究者が実際にその研究を進めようとする場合にはそういう資金を仰がなければいけない。それがどういう性格のものであるかによって、研究者自身が本当は平和のためにそれを活用していきたいんだというふうに考えておりましても、その資金源が軍の資金であるということになりますと、結局その部分はそういう形では保障されませんで、その研究をやめざるを得ないということになります。  ですから、現在のような、そういう個人で研究できるという状況でないそういう時代にありましては、やはりその資金源も含めて、あるいはその研究体制も含めて考えなければ、個人の力では何ともならない、科学者や技術者の良心だけに任せておいたのでは何ともならないという問題が含まれているわけです。そういう意味で私どもは、科学者自身の良心をきちんとしていくということも大事だと思いますけれども、同時にその体制をきちんとしていくことも大事だというふうに考えております。

服部学立教大学教授

○参考人(服部学君) 伏見先生には昔いろいろ科学のあり方などについて教えていただいた立場でございますので、きょうは何か伏見先生の口頭試問を受けているような気持ちがいたします。  お言葉を返すようですけれども、法律で決めるべきことと心構えとが交錯しているのではないかというふうに先生おっしゃいましたけれども、まさにその点であって、科学者の良心だけでは非常に難しい。だからこそ、どこからそのお金が出ているのか、あるいは法律的に、どういう法律に基づいてその研究が進められるのかというようなことをどうしても基準にせざるを得ないわけでして、その意味で防衛庁の介入ということは、私たちの研究体制というものに非常に何といいますか、混乱を持ち込むものになる、こういうことを申し上げたかったわけでございます。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 ここで問答していいんですか。――国としては、防衛庁をちゃんと存在さしていて、ちゃんとそこにお金をつけて、研究している人もつけているというような、国としてはほかの国立研究所の方々と防衛庁関係の方とを区別するということは不可能なわけですね。実際、いろんなところで共通のところ、お役所の中でのお話を申しますと、例えば科学技術会議が調整費というのを使うときにいろんな省庁と交渉があるわけですが、そういうときに防衛庁から何か出てきたとしてもそれを区別することなくやはり議論をする、初めからそれをシャットアウトするということはできないわけなんだと思うんです。  そういう体制の中での、今服部さんや澤田さんのおっしゃるような意味のことを警戒するためにはどうしたらいいかというと、これはやっぱり私は心がけの問題だと思うんですね。つまり、一切防衛庁をなくしてしまうというような意味の国全体の方向が決まっていればお二人の言ったようなことは非常にはっきりと法律に書けると思うんですが、そうでないという状態の中でどうして処置していくかということは、むしろ一人一人の研究者の心がけの強さだと私は思うんです。

服部学立教大学教授

○参考人(服部学君) 防衛庁の研究者がいかに良心的な方であったといたしましても、その研究成果を完全に公開するということは恐らく不可能なことであろうと思います。防衛庁の研究者の心構えだけで解決する問題ではないかと存じます。

澤田昭二名古屋大学理学部助教授

○参考人(澤田昭二君) 現在、外国も含めまして世界で軍事産業というか軍事研究に直接携わっている科学者、研究者の数は科学者、研究者の総数の約四分の一だというふうに言われているわけです。日本ではそれが約一%というふうに言われているわけです。それは日本には平和憲法があるということもありますが、同時に、科学を戦争のために役立てないという科学者のかたい決意があって一%を超えていないという結果になっているのだと思います。もし本法案のような軍事研究への道が大きく開かれるものが通るということになりますと、科学者、技術者の良心に頼ってということがますます難しくなってくるということになると思いますので、そういう意味でもこの法案というのは軍事研究を大いに促進するということになって、科学者の良心がますます貫きにくくなるというそういう側面を持っているというふうに思います。ですから、科学者の良心というのはもちろん大事なわけでありますけれども、それをますます難しくするこの法案はやはり廃案にしていただきたいというふうに思うわけです。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 余り時間をとるとしかられてしまうと思いますが、服部さんは僕の質問を意識してそらしたのかもしれぬと思うんです。私の言ったのは防衛庁以外のところの研究者の心がけのことを言ったのであって、防衛庁の方に触れたわけではないのですが、余り押し問答しているとおかしなことになりそうですからこの辺でとめまして、手島さんに伺いますが、この法律によって随分民間とそれからお役所との研究者の間の交流がよくなって、近ごろ国全体の方針である民活というのでしょうか、今まで国のしていた仕事をできるだけ民間にお任せするというふうな意味合いからいっても私はこういう傾向のことはいいとは思うんですが、従来ならば、もし民間が国立研究所の研究者を欲しいと思ったときには引っこ抜いてくればよかったのではないかと思うんですが、そういうやり方では不満足なんでしょうか。

手島透スタンレー電気株式会社社長

○参考人(手島透君) なかなか私たちでは引っこ抜くだけの魅力が先方にないかもしれません。したがって、まずそこが一つ。  それから私は、引っこ抜くよりも、よりともに携えながら信頼し、尊敬しながら、そして新しい産業なり技術を官民一体で建設的に育てていくべきが日本の技術立国の姿ではないかというふうに思っております。同時に、民間企業はそれだけ将来に向かって競争の激しい中に入っておりますので、国立の研究機関で特別なスペシャリティーを長く幸せにするという保障もまたこれ難しい問題があると思います。やはり有益な国家的人材であるならば、持つべきときに持ち、力を発揮しやすいときに発揮し、そして任務が終わったらまたもとで次世代の先端技術の開発にチャレンジしていただくというのがすばらしい結果ではないかなというふうに思っております。    〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 ちょっと足を出すかもしれませんが、今おっしゃったことはこういうふうに理解してよろしいでしょうか。日本は終身雇用体制ですね。アメリカはお互いに引っこ抜く、引っこ抜くということをしょっちゅうやって成立している社会だと思うんですが、それに対して日本は終身雇用ですから、引っこ抜くということ自身がいろいろとトラブルを起こす、当人も嫌がるということで今おっしゃったようにぐあいが悪い点が多い。つまり、こういう法律によってそういう制約の中で交流を実現するというやり方だというふうにおっしゃったんだと理解してよろしいわけですか。

手島透スタンレー電気株式会社社長

○参考人(手島透君) そのとおりでございまして、良識にもとるようなことでなしにスムーズにやれればそんなすばらしいことはないなというふうに私は理解しております。

伏見康治公明党・国民会議

○伏見康治君 ありがとうございました。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 参考人の皆さん方、御苦労さまでございますが、私の持ち時間十分ということで極めて限られておりますので、全員の方に御質問できないかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。  澤田参考人にまず二つほどの点でお尋ねをしますが、汎用技術であれば防衛庁と大学や一般の国立研究所などとの研究協力はあり得る、こういう論がしばしばあるわけでありますけれども、しかし既にお話の中にも出ていますように、防衛庁の職員はわが国を防衛することを主たる任務とするという自衛隊法の規定に基づく職務専念義務がある。したがって、防衛庁との研究協力の成果が防衛技術、すなわち軍事技術、こういうものに転用されていく危険は当然含まれておると考えられるわけであります。兵器であってもいわば汎用技術の固まりというか集合体というか、そういうものだということもできるわけでありまして、したがって、汎用技術だからといって軍事研究ではないという理屈は私は成り立たないというふうに思うわけでありますが、その点、先生のお考えがありましたらお聞かせを願いたいということが一つであります。  それから二つ目は、SDI研究参加の根拠、理由の一つとして、日本の科学技術や産業への波及動果が期待されるメリットがある、こういう論がこれまたあるわけでありますが、これは多くの日本の新聞も報道をしたところで、西ドイツとアメリカとの間のSDIについての協定文書、この内容は日本の全国紙ほとんどといっていいほど報道いたしました、先日。一昨日、私も当委員会でこの問題を取り上げたところでもあります。  この協定の内容を見ますと、そういう日本の科学技術の発達発展に期待が持てるどころか、何が秘密かということはアメリカが一方的に決める、それから相手国、すなわち西ドイツが第三国に研究の結果得られた技術を勝手に輸出をするようなことは断じて認めない、アメリカが拒否権を持つとか等々、非常にがんじがらめのアメリカのかたい枠がはめられておるというこういう内容が暴露されてきておると思うわけでありますが、澤田先生、最初の自己紹介の中で、SDIに反対をする物理学者の署名運動、反対運動の事務局的な仕事をなさっているというお話でありましたけれども、こうした点について、専門家の物理学者の万々の中で何か話題に上っているかどうか。それと、これを機会にSDIそのものについて何か先生の御所見があればお聞かせをいただきたいということであります。

澤田昭二名古屋大学理学部助教授

○参考人(澤田昭二君) 汎用技術と軍事技術の間の区別が非常に難しいのではないか、どこで区別したらいいかという御質問でありますけれども、技術というのは、先ほど伏見先生もおっしゃったんですが、伏見先生は紙一重という表現をお使いになりましたが、紙一重よりももっと、むしろ同じものが両方に使われるという側面もあるわけであります。ですから、コンポーネントにするとか部品にするとか、そういうふうにしますと、全くそれは区別のつかないものもたくさんあります。したがって、軍事研究に携わっているのか、あるいは民生用の、あるいは民需用の研究に携わっているのかという、その技術の面についている形容詞で技術の中身を判定するということは、これは不可能なわけであります。現在のように科学や技術が日常生活に浸透し、広く行き渡れば渡るほどそうなってきますし、これは将来においてますますそういう方向が強まってくるだろうというふうに思います。  そういうわけですから、先ほど服部先生の方から御紹介がありましたが、軍事研究には一切従わないという日本学術会議のあの決意表明に従って、これは私たちの物理学会でもそうしようという議論が行われております。その際に、軍事研究は何かということについての議論がしばしば行われました。これは伏見先生も御存じだと思いますが、そういう中で、結局それは軍事研究に携わっている者の所属がどこであるか、それから、その軍事研究のための資金がどこから出ているか、これによって判定するほかはないということが物理学者の間の議論の結論であります。  ですから、そういう意味で、この法案に防衛庁職員が入るということは、軍事研究が実質上入ってくるということにならざるを得ないだろうと思います。そういう意味で、軍事研究か汎用研究が、あるいは民生用の研究が、汎用研究という言葉は非常にあいまいな言葉でありますけれども、民生用か軍事利用がという判定は、先ほど申しましたように、研究者の所属している機関、したがって日本では防衛庁関係、それからSDIが絡んでくるといたしますと、これは国防総省が絡んでくるわけですけれども、そういうところから資金が出ているかどうかということが判定の基準にならざるを得ないというふうに思います。  それから、SDIに参加しないとバスに乗りおくれるのではないかという論調が新聞などにも出ております。しかしこれは非常に甘い考え方だと私は判断しております。アメリカがSDIを打ち出している一つの背景といたしましては、これは軍事的な優位を求めるという、先ほど服部先生の方からも御説明になりました、そういう核優位を求めるという側面が一つあるわけでありますけれども、もう一つは、核凍結とかあるいは核兵器廃絶という声がアメリカの国内でも大きく起こっておりまして、これまでのように核兵器開発を一方的にどんどん進めていくということについてはアメリカの国民も納得しなくなってきている、そういう事情があるわけであります。  そういう状況の中で、特にアメリカの軍産複合体というふうに呼ばれていますけれども、これまで核ミサイルをつくってきたそういう産業界が、次の手を打たなければ干し上がってしまうというそういう危機感から次の手を考える。これは先ほど私が申しました科学者の例もあったわけですけれども、産業界としても同じような自己運動というのがありまして、その中で、次の計画としてはアメリカの国民も納得できるような核兵器を無力化する、そういう軍事技術を開発するというふれ込みでスタートしているのが一つの理由であります。実際には、技術的に分析いたしましても、それから軍事的に見ましても、核兵器を無力にするどころか、核軍拡競争を激化させる内容でしかないわけでありますけれども、しかしアメリカ国民にはそういうふうに説明してきておりますし、日本への研究参加にもそういう説明の仕方をしてきているわけであります。  そういうわけでありますから、アメリカといたしましては、日本の先端技術、アメリカよりもすぐれている部分をその中に吸収していこうというのが大きなねらいになっております。したがって、SDIというのは当然軍事研究でありますから、そういう日本の企業からあるいは日本の産業や日本の技術を吸収したそういうところはどんどん貧欲に取り入れていきますけれども、日本がSDIに参加するということによって日本の産業界や技術界に及んでくる波及効果というのはほとんど期待してはならないと思います。というのは、先ほども佐藤先生がおっしゃいましたように、軍事機密の枠がかぶせられていまして、それを漏らしてくるということはあり得ないと考えられるわけです。  したがって、SDIが波及効果があって、それに参加しなければバスに乗りおくれるというのは全く誤った論調であるというふうに考えております。  私自身広島で被爆した体験を持っているわけですけれども、科学や技術が戦争のために使われるということは決して今後あってはならないというふうに思っておりますが、科学者が、あるいは技術者の方々がこれまで非常に苦しい状況の中で日本の科学技術を民生用を主体に開発してここまで伸ばしてきたわけです。ですから、そういう努力を水泡に帰するような方向というのはぜひやめていただきたいし、むしろこれまで問題点であった基礎研究に重点を置くとか、あるいは研究者の自主性をもっと尊重しなければいけないというそういう点、大いにこれから改善するようにこの科学技術特別委員会でもぜひ御尽力願いたいというふうに思います。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。

山田勇民社党・国民連合

○山田勇君 私も、同様ちょっと時間がございません。一問に絞って私の意見を述べながら御質問さしていただきたいと思います。  四参考人、大変御苦労さまでございました。科学技術の振興は社会経済発展の基盤、国民生活の水準、福祉向上に寄与するものであります。そこで、いわゆる情報革命だとか第三次革命と言われております知識の発展と技術の革新など、科学技術の果たす役割はこれまで以上に重要性を増そうとしておりますが、さらに従来の科学技術における先進性は新しく展開される科学技術における優越性を保証するものではないと言われておりますが、四参考人の先生方、こういう今後の科学技術の進路と申しましょうか、あるべき姿についてぜひ御意見を伺って私の質問を終わりたいと思います。

久良知章悟新技術開発事業団理事長

○参考人(久良知章悟君) 非常に難しい御質問でございますが、私ども強く感じておりますのは、今後進歩する科学技術というものは、学際と申しますか、業際と申しますか、従来、昔からあるいろんな産業分野なり技術分野単独ではなくて、その二つないし三つを総合したもの、あるいはその境界にあるものに属するものが多いのではないかと思うのでございまして、これを伸ばすためにも、やはりそういう分野の異なる科学者ないしは技術者が共同して研究開発に当たるということが必要になってくるのではないかと思います。  それからもう一つは、やはり変化のスピードとかあるいは進歩のスピードというものがだんだんと速くなってきておるのでございまして、私ども先ほど申し上げましたように、経験からしますと、一つの新しい研究というものが着想されまして、それが製品となって世の中に実際に出てくるということのためには十五年とか二十年というふうな長年月が必要なのが実情でございます。これをいかにして短縮するかというのが現在世界で産業界あるいは会社がおくれをとらない一つの一番重要な問題であると申し上げていいかと思います。こういう問題については、やはり異業種あるいは異組織間の協力によって初めて解決できることではないかと思うのでございます。

服部学立教大学教授

○参考人(服部学君) 二点申し上げたいと思います。  一つは、今回のチェルノブイリ原子力発電所の事故、あるいはスペースシャトルの事故、あるいは昨年のジャンボ機の墜落事故、こういった問題というものは、現在のいわゆる巨大技術の開発、それに絡む安全性の問題というものについてもう一度私たちが考え直さなければならない、そういう警鐘を発しているのではないかという気がいたします。私たち決して科学技術そのものを否定するつもりはありませんし、私たちは科学技術を今後ますます発展させていかなければなりませんが、その際に、今行われている巨大科学あるいは巨大技術の開発、これについてはもう一度考え直してみる必要があるということが一点でございます。  それからもう一つは、先ほどの佐藤先生の御質問にも関連してくることでございますが、軍事研究の問題について一言申し上げさせていただきたいと思います。  昔よく戦争は発明の母などということが言われたことがございます。確かに軍事技術の開発というものは、その技術の開発の中である一定の大きな役割を歴史的には果たしてきたことは事実であります。しかし核兵器に関する技術の発達というものは、そのことの危険性というものを非常に明確に示してくれたわけでありまして、先日、伏見先生もお入りになっております二十二人委員会の先生方が各閣僚に対して意見書をお出しになっておりますが、それをこの前見せていただきましたが、その中に、日本の戦後の技術開発、これは軍事研究と手を切ることによってむしろ発達させてきた、そういった軍事研究と結びつかないで技術を発展させるということが十分に可能であるということを証明したのである、そういう意味のことが述べられていて、私も大変感銘したわけでありますが、やはり今後の科学技術というものは、その点に留意して発展させていかなければならないものだろうというふうに考えております。

手島透スタンレー電気株式会社社長

○参考人(手島透君) 一つお答え申し上げたいと思います。  私は、学校を卒業したのは昭和二十四年でございます。御承知のように、そのときは日本は失業の時代で、就職することもできませんでした。そして、やっとこさ就職をしまして今日ここまでになってまいりました。その間には、とてもこんなふうに日本がなるとは想像できませんでした。同時に給料も二回払い、三回払い、もちろん賞与もないというような時代を克服してここまで来ました。言い方をかえれば、技術立国で、そして当時は、昔は、今から二十年前、三十年前は安かろう悪かろうというのが日本の代表的なレッテルでありました。  ところが、現在はすばらしい評価、それどころかやきもちをやかれるというところまでになってまいりました。これはトップランナーになって入ってきたんです。技術立国としてトップランナーになったら、このトップランナーをいかにして維持し続けるかということが、私たちの企業としても、国民としても、従業員を大切にするということにしても、日本を大切にするということにおいても大事なことだと思います。それを維持し続けるためには、やはり基礎技術、独創的な技術あるいは独創的な新しい分野、そういう分野で、世界各国から正しく、公平に、公正に評価され続けるということが大事であると思います。そういう意味でこの法案は大変すばらしいものじゃないかなというふうに思っております。  一方、今日まで私の役職柄海外ともいろいろと共同研究なり研究開発をしております。そういう相手国のかなりレベルの高い研究開発者の私に対して発言する要旨の中に、日本は成熟した技術、あるいは完成した技術でおれのところの国に企業進出をしたり産業進出をしてくる、これはいわゆる産業の侵略だ、これから求めるものは、何が必要かといえば、これから将来に向かって必要であろうという新しい産業を多分生むであろう、国家間が裕福になるであろう、そういう成功の保証のない、しかし成功させたい技術なり研究開発を相互の信頼と理解と協調によって建設的に完成に近づける、完成する、新しい産業を生んでいくということがすなわち大切な最も求められる道であるというふうに言っております。私もそのことがこれから非常に大切なことじゃないかと思う。  そういう意味でも、本立法の成立は求められる将来の有益な道しるべになり、また運用の妙を得ていけばこの結果が成果として結び、そして国家間で非常に評価されるんじゃないかなというふうに思います。  以上でございます。

澤田昭二名古屋大学理学部助教授

○参考人(澤田昭二君) 現在の日本の科学技術の発達は、平和研究に徹したということが大きな寄与をしてきたというふうに申し上げましたけれども、科学や技術を大いに発展させるためには非常にすそ野の広い分野の発展が必要でありますし、長期的視点に立った計画が必要だと思うわけですけれども、そのためには、今もうこれは実用になるというふうにわかったものだけに投資をするというようなやり方ではなしに、もっと基礎的な、それがまた芽が出るかどうかわからないようなものに対してもきちんと対応する必要があるかと思います。そういう意味では、これからますます軍事研究の方に予算がふえていくというような傾向があって一般の研究費がだんだん厳しくなっているという現状を考えますと、非常に日本の長い将来の科学や技術の発展、あるいはひいては経済の発展にとっても大きなマイナスになるのではないかというふうに憂慮しているわけですが、それと同時に、科学や技術の研究を大いに発展させるためには、国際的な視野というか、全人類的あるいは全地球的な視野で考えていかなければならないと思うわけですが、そのためには国際交流を大いに発展させる必要がある。  これはアメリカの物理学会の例を申し上げますと、アメリカの物理学会はアメリカの市民権を持っている人以外も物理学会の会員になれるわけでありますけれども、SDIが絡んできまして、物理学会の会員には開かれた学術的な研究会が、例えば社会主義国のアメリカの物理学会の会員がいるわけですけれども、そういう人は参加できないということが起こったり、あるいはその金そのものが流会になるということが起こっております。これは日本にもそういう問題が起こってきておりまして、現在、例えば社会主義国から日本に研究交流に来たいという方が、スーパーコンピューターが絡むんではないかということでビザが出ないということが起こったりしているわけですけれども、そういう国際交流を大いに発展させるということは、全地球上のいろんな考え方の違う人たち、社会体制の違う国の人たちとの交流が大いに発展してお互いに理解が進むということにもなるわけです。それは長い目で見れば、現在の地球上の人類が抱えているいろんな軍事的な対決の問題を緩和して、そして明るい人類の未来を展望することにもつながってくると思いますので、そういう意味でも、科学研究が国際的に自由に交流できるような、そういうシステムをつくっていくことが必要だと思うわけです。  そういう意味で、軍事研究絡みになるこの本法案というのが、非常にそういう点で逆にネックになるだろうというふうに思って非常に憂慮しているわけであります。

馬場富公明党・国民会議

○委員長(馬場富君) これをもって参考人の意見聴取を終了いたします。  この際、参考人の方々に御礼を申し上げます。  限られた時間ではございましたが、皆様の貴重な御意見、忌憚のない御発言によりまして濃密な論議ができましたことを、委員一同を代表して感謝申し上げます。本日はまことにありがとうございました。  速記をとめてください。    〔速記中止〕

馬場富公明党・国民会議

○委員長(馬場富君) 速記を起こしてください。  それでは、本案に対する質疑を続行いたします。  質疑のある方は順次御発言願います。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 最初に、この研究機関あるいは研究員のあり方の問題についてお伺いをします。  昨年の六月に日本学術会議議長から、研究公務員の特例法を、仮称ですけれども、制定をしてほしいと、非常に整理されました提案があるわけですが、この問題について科技庁としてはどういうふうに受けとめておるんでしょうか。具体的に、もし作業に入っているとすればどういう方向で勉強しているのか、まずその点からお伺いします。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) ただいま御指摘の、日本学術会議からの「研究公務員特例法(仮称)の制定について」という要望は昨年六月にいただいておりまして、この内容についても我々としては十分承知しているところでございます。  それで、今回研究交流促進法案をまとめるに当たりまして、私たちは国と国以外の機関の研究交流促進のための隘路を打開する、隘路を改善するという趣旨で今回の法案を提案さしていただいたわけでございますが、先ほどのこの日本学術会議の要望のうち、研究交流の促進の観点からいろいろ提言がなされているものもございます。このうち、特に法律的に手当てをしなきゃいかぬような問題ということで、この要望にも入っております外国人の研究公務員への任用、さらに職務専念義務免除による学会等への参加、こういう問題につきましては、今回の研究交流促進法に盛り込まれているものでございます。  なお、この要望書の中では、何点かございますが、その他の交流に関する問題といたしましては、これは運用で対処すべき問題でございまして、法律の中には含んでおりません。この運用につきましては、この法律の施行と同時に我々としては関係省庁とも相談し、運用基準の見直し、改善、そういうことを別途やる予定でございます。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 今私が申し上げた問題は、何も昨年の六月に急に出たわけではないんです。かつて伏見先生が会長をやっておりました昭和五十五年にも、鈴木総理大臣に対して具体的に一つ一つ問題を提案しているわけです。そのうち、今いみじくも説明がありましたが、やりやすい問題、つまみ食いと言っては語弊がありますけれども、そういう感じがしてならぬと思うんです。昭和五十五年十一月一日の「国・公立試験研究機関の運営の改善について」という勧告の中にも、これまた「法制整備の必要性について」ということで、条理を尽くした提案がされているわけです。  したがって、この種のものはやりやすいところからやるという気持ちはわからぬわけでもありませんけれども、研究機関の基本的なあり方あるいは研究員のあり方という問題は抜本的な問題なんです。そういう意味で私どもは重視をしているわけですけれども、科技庁の勉強が余り進んでいないということを非常に遺憾に思うわけです。何が障害になっているのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) ただいま先生が御指摘になりましたのは、日本学術会議からかねてよりいろいろな勧告が出ております科学技術基本法の制定の問題ではないか、こう理解するわけでございますが、日本の科学技術を振興していくために、長期的で計画的で総合的に、しかもいろんな諸原則を盛り込んだような法案ということと理解するわけでございますが、日本の科学技術研究と申しましても、大学で行われております非常に個人の自由というものを、自由な発想というものをベースにする研究から、国立研究所のように行政目的を持った研究、さらに非常に開発的な大規模プロジェクト、いろんな多種多様な研究開発がなされているわけでございまして、これらのものを一つの法律、一つの原則で律するということは非常に難しいということで、いろいろ関係省庁では検討はしているのでございますけれども、まだその成案を得るには至っていないのが現状でございます。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 去年人事院勧告が出されましたときに、給与体系の問題や、あるいは勤務のあり方の問題について従来ない勧告が出されて、国会はそれを処理いたしました。その人事院勧告の提案に当たっても、人事院としては公務員の意見あるいは現場の方々の意見というものを十分に参酌をしながら勧告というものを出した経緯があるわけです。  その立場から言いましても、研究公務員の基本的なあり方、法律の整備の問題については、学園都市をつくられました直後から、現場の方々は非常に強い意見、要望を持っているわけです。そのことについて科技庁が耳を傾けていなかったはずはないと思うんです。その意味で言いますと、科技庁はまだまだ十分に現場研究機関の責任者や、あるいは現場の方々、公務員の皆さん方の意見というものを十二分に取り上げていない、こういうふうに言わざるを得ないと思うのですが、大臣、いかがですか。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) 国立研究所の研究者の方の研究環境なり処遇の問題につきましては、科学技術庁としてもぜひその処遇改善をしたいということで、実際に研究に携わっていらっしゃる現場の意見をいろいろお聞きし、それをまた具体的には人事院の方にその実現方をお願いしているというのが実情でございまして、例えば筑波の研究学園都市の手当の問題とか毎年の給与アップの改善、これを、研究公務員と大学の先生の給与較差がある、この較差の是正をしてほしいというふうなことを人事院に具体的には申し入れているわけでございます。  科学技術庁といたしましては、研究者の一人一人から意見を聞くというわけにはまいりませんので、それぞれの研究所長さんから構成されております各省の直轄研究所長連絡協議会というのがございます。こちらの方からいろいろ要望をお聞きいたしまして、そして科学技術庁でそれらを取りまとめて人事院当局にお願いしておるというのが実情でございます。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 予算委員会で、御案内のとおり公務員、なかんずく研究公務員の不祥事故というものが多発をしまして、それについての原因の究明や対策というものが相当議論をされたわけです。そのお互いのやりとりの中で、研究公務員の身分の保障あるいは生活の安定、さらには研究について情熱が十分に持てるような体制の整備というものが厳しく指摘をされているわけです。  したがって、この研究公務員の法整備の問題については今が一番いいチャンスではないか、こういうふうに考えるわけなんです。もう十年も十五年も前から問題が指摘をされ、問題意識をお互いに持っていながら、何らと言えば語弊がありますけれども、重要な部分が確立をしていないということではこれはうまくないと思う。私は今が一番最高のチャンスだ、こう思いますが、いかがですか。

河野洋平自由民主党・新自由国民連合科学技術庁長官

○国務大臣(河野洋平君) 予算委員会等でいろいろ御議論がございましたことも承知をいたしております。優秀な研究者が不幸な状況になったということを非常に残念に思っております。研究者の方々の研究が非常にレベルが高くなってきた。それは周りの期待も大きいこともあるでしょうし、それから未知の世界への挑戦ということもございましょうから、時には非常な孤独感とかあるいは社会的なプレッシャー、あるいは研究者としての、研究者が持つさまざまなハードルを前にして、心理的に非常に不安定になるということも一つあると思います。それから、先生御指摘のように生活の保障でございます、具体的に言えば給与の問題を初めとする生活環境の整備、こういった問題もあるというふうに思います。あるいはまた、もし筑波ということに特定して言えば、筑波研究学園都市のいわゆる町づくりの上でさらに知恵を出す、改良を加える、そういう余地があるのかもしれないと思ったりもいたします。  ただ、先般来いろいろ御討議がありますのは、非常に不幸な事件が幾つかございますけれども、それらは一つ一つが固有のケース、固有の背景を持っておられる。もちろんどこかに共通項があって、その共通項に着目をしてそこを直すということも必要でございますけれども、非常に感受性の豊かな、神経の非常に研ぎ澄まされたような方々が多いと思いますから、とりわけそうした点に十分な配慮をしなければならないというふうに私どもは考えておりまして、確かに先生がおっしゃるように、今いろんなことをやる時期だというふうに思っております。  ただ、一方で研究公務員は言ってみれば全省庁にわたってそれぞれさまざまな態様で作業をしておられる。研究をしておられる。それを一つの法律で、基礎的な基本的な法律というものをつくってやるということがなかなか障害も多いわけでございまして、先ほど局長御答弁申し上げましたが、今回御審議をいただいております乙の研究交流促進法にいたしましても相当な年月がかかって、大蔵省とのやりとりを初めとして、人事院初め幾つかの省庁と非常に熱心な慎重な検討を加えた結果、まだまだ先生からおっしゃられれば極めて不十分で、こんな程度ではとおっしゃられるものであるかもしれませんが、しかしそうした討議、検討を加えた結果、とりあえず隘路となっている部分だけはこれで乗り越えようということでこの法律案を取りまとめたものでございます。  御指摘の研究公務員特例法、私も拝見をいたしましたけれども、その中にもこの部分はもちろん内のりとして入っている部分がございます。大変微力で十分御期待にこたえられないことを恐縮に存じますけれども、そうした内側一つ一つ前進をさせていく、整理をしていくという点でぜひ御理解をいただきたい、こう考える次第でございます。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 先ほど参考人の意見をいただいたわけですが、その参考人の意見の中にも、研究公務員の特例法、もちろんその法律の名前は仮称でありましょうけれども、非常に意欲的に問題の提起をしているわけです。それから、科学技術政策大綱がことしの三月二十八日閣議で決まっておりますが、この中にも、ストレートには入っておりませんけれども、例えば「若手研究者等の人材の養成及び確保」、こういうふうに述べられていますけれども、これだけでは養成ができるわけでもないし、優秀な研究者が確保できるわけでもないわけです。そのもとになる基盤整備がきちっとしていなければならぬというのは当然だと思うんです。  そこで、人事院に伺いますが、今局長からは、科技庁の方からも意見を聞いている、科技庁の方から意見を出している、こういうふうにお話がありましたけれども、具体的に人事院は科技庁からどういう要請を受けて具体的な話し合いが進んでいるのか、その点をひとつ人事院の方から説明をしてもらいたい。

松浦知彦人事院管理局参事官

○説明員(松浦知彦君) お答えいたします。  人事院といたしましては、毎年科学技術庁を初めといたしまして各方面から研究公務員の処遇の改善その他いろいろな方面につきまして御要望等をいただいております。したがいまして、それらを踏まえまして毎年それに対応すべくしかるべく検討をしている、こういう実情でございます。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 どうも余り積極的ではないような感じがします。バランスの問題もありますから、例えば研究公務員がこういうスタイルのものができ上がりそうだということになりますと、じゃ医療職もとうた、何々はどうだというふうな意味で話が広がりますと、いいと思っているものもできなくなる、そういうおそれがないとも言えないと思うんです。しかし二十一世紀の科学技術の展望をした場合に、特別な位置づけをする必要があるというのは、私は長官も否定をしまいと思うんです。  そこで私は、きょうはイエスかノーかを問い詰めることはないと思いますけれども、この研究公務員の基盤整備の問題について積極的に取り組んでもらう、少なくとも来年の政策の一つに本問題が柱として入るというぐらいの前向きの努力をしてもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) 研究公務員の方は、本当に研究に没頭し、自分の持っていらっしゃる才能、創造性をいかんなく発揮していただくということが、もちろん給与等の処遇も大事でございますけれども、研究者の方々の研究環境をよくするということがまず第一に大事だ、こう考えております。  そういうことで、科学技術会議で現在国立研究所の中長期的あり方ということについて検討しておりますが、その中で、基盤整備と申しますか、研究者の方の働きやすい環境というのはどういうものか、どうやったら研究者の独創性、創造性が生かせるかというようなことも非常に大きな検討課題になっております。こういうものを踏まえて科学技術庁としてはしかるべく対策を持っていきたい、そして研究者の方が本当に生き生きと、伸び伸びと研究できるように持っていきたい、こう考えております。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 仮に研究公務員の特例法が将来できたからといって、それで満足できるものじゃないと思うんですね。現実にそれぞれの研究員の方あるいはそれぞれの職員団体からも、例えば超勤の問題から始まって出張旅費の話から各般たくさんあるわけです。そういういわゆる実際の運用面と法体系の整備の問題と両々相まってこれらの研究体制というものは円滑にいく、そういうふうに考えるわけです。したがって、科技庁の方も人事院の方もひとつ積極的にその両面の問題について取り組んでいただきたい、このことを特に注文をしておきたいと思うのですが、いかがですか。

河野洋平自由民主党・新自由国民連合科学技術庁長官

○国務大臣(河野洋平君) もう先生十分御承知の上での御発言でございまして、こういうことを申し上げるのはどうかと思いますが、研究者の研究環境を整備すると一概に私どもが申し上げて、その責任の広さ、深さということを考えますと、非常にその責任が重いというふうに思うわけでございます。つまり研究者の方々が快適な研究環境を持つということは、必ずしも非常に安穏だということではないと思うのですね。意欲的に研究に取り組むということができるということでなければならない。  ところが、研究の成果を一体ではどうやって評価していくかということになりますと、これはなかなか難しい点もあるわけでございます。ある人のエッセーなんかを読みますと、研究者、科学者は芸術家と非常に似たところがある。何時何分から何時何分までどうすればどうなるというものではない。しかし、それをどういうふうにでは評価するか。どういうふうに見るか。研究に没頭したからといって必ずしもその研究が成功をおさめて立派な研究成果が出るとも限らない。立派な研究成果が出なかったからその研究に注いだ意欲とか努力とかというものは全部評価できないかというと、必ずしもそうでないというようなところがあるわけでございまして、研究者の快適な研究環境というものを一体どういうふうに見るかということも、私どもはもっとそれこそ考えなければならぬというふうに思うわけでございます。  ただ、今先生が御指摘のものは、むしろもっとずっとファンダメンタルな問題で、非常に基礎的な問題について言及をしておられると受けとめておりますので、そうした点についてはできるだけやはり整備のために私どもも努力をしていかなければいかぬというふうに考えておりまして、先ほど局長から申し上げましたように、よく現場の意見なども聞きまして、人事院その他とも十分御相談をさせていただきたい、こう考えておる次第でございます。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 次に、この研究交流促進法の中の、軍事技術のものを除きますよ、除いたものを対象にしてこの法律と科学技術協力に関する既存の国際協定、これとの関係を少し詰めてみたいと思っておるんです。これは科技庁と外務省と両方になると思うんですが、今、日本とソビエト、それからフランス、西ドイツ、ポーランド、アメリカ、中国、オーストリア、インドネシア、ユーゴスラビア、これだけ科学技術に関します協力協定があるわけですね。そのほかに、エネルギー問題では日本とアメリカで協定があるわけです。私はこの法律案との関係をただしておきたいと思うんですが、例えばこういうのがあるわけです。日本とフランス政府との間の科学技術協力協定、これは昭和四十九年七月十七日にできたものであります。この第二条の中に次のように書かれております。「科学技術協力は、特に、次の方法によって実施される。(a)科学者及び技術者の交流」、こういうのが特定をしてあるわけです。「同 両国の科学者及び技術者が参加する討論会、セミナー等の会合のいずれか一方の国における開催」、これも参加ができる。「同 共同研究計画及び共同出版の実施 (b)科学技術に関する情報の交換」、これは代表的に今私が読み上げたわけですが、そのほかの国と締結をしております科学技術協定というのはほぼ似たような内容で結ばれているわけです。  そうしますと、この科学技術協力協定で、軍事研究は別ですよ、それを外した、それ以外の国対国の技術協力協定というのがあるわけですから、これで有効に研究者が交換できる、共同研究ができるという協定があるわけです。そうしますと、今回の交流促進法案とのかかわり合いをどういうふうに理解をするのか、あるいは取り扱いをどういうふうに現実的に変えていくのかいかないのか、その問題はどうですか。

藤咲浩二科学技術庁振興局長

○政府委員(藤咲浩二君) 今先生が引用されました日仏の科学技術協力協定の中には、例えば第九条に「この協定は、各国の法令に従って実施される。」ということになっておりまして、現在までフランスとの間にはいろいろ協力が行われておりますけれども、今までの協定はそういうことで、現在我が国で施行されている法律の規定に基づいて行われているわけでございます。今度この交流促進法で法令の特例ができますれば、例えば共同研究に当たっての財産権の取り扱いとか、そういうことが今まで以上に弾力的に行える、そういう関係になろうかと思います。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 この協定は、たくさんあるわけですけれども、みんな十年あるいは十五年前に締結をされたものばかりですよ。今日までの間、それぞれの協定に基づいて専門家、技術屋さんの交流が行われたり、共同研究が現に行われているわけです。別にこの法律を出さなくても、予算上の問題やあるいは退職金、その他の問題はありますよ、ありますけれども、共同研究、技術者の交流という面だけでいくならば十分これは担保していると思うわけです。その点どうですか。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) 現在の法律、現在の法制でも研究者の交流等については、これは予算の問題でございますので、予算措置等があれば現在の法律ないし現在の協定でできるわけでございますが、さらにそれを超えまして大型のと申しますか、国際共同研究等をやろうといたしますと、特許権の無償ないし廉価使用、また損害賠償請求権の相互放棄、この今回提出しています法律では第七条、第八条に相当するところでございますが、そういう国内法がないと、そういう特許権の無償ないし廉価使用とか損害賠償請求権を相互に放棄しなきゃいかぬというふうな条件の国際共同研究には現在の法律では参加できない、こういうことがございます。そういうことで、現在の法律でもある程度は国際的な研究協力はできるわけでございますが、さらにそれを促進するために今回の法律の第七条ないし第八条を設けている、こういうことでございまして、協力の枠組み全体は、先ほど先生申されましたその本にございますいろんな両国間の協力協定ございますが、それをさらに促進するために今回の法案のうち国際的な側面を持つものが入っているわけでございます。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 特許権の話は後で専門的に詰めますけれども、共同研究という事業は、それぞれの協定で予算上の問題、勤務上の問題、いろんなことは障害はあるにしてみても、共同研究あるいは委託研究、受託研究ということは可能なんですね。だから今までも技術屋さんのあるいは専門家の交流が行われている。ある部分では共同研究が、完成までいかないにしてみても積み上げ、積み上げで継続をしてきた例がたくさんあるわけです。私はこの協定と現実動いてきました過去の実績をそういうふうに認識しているわけです。  さて、そこでもう少し具体的に詰めたいと思っているんですが、この交流促進法案で、事務的な話ですよ、一応軍事技術研究も外して考えてみたいと思いますが、例えば農業の分野で共同研究をアメリカとやりたい、あるいは情報の分野でフランスと共同研究をしたい、こういうことで話し合いがまとまって初めてこの交流法案の実施ということになろうと思いますね。  そこで、事務的なことなんですが、例えば日本国とアメリカとの間に総括的な協定ないしは交換公文も結んで、その後事務的に農業は農業の研究団体、研究機関との間に具体的にどういう分野をどういう時間帯で何年間共同研究をしましょう、そういうふうな協定といいますか、事務的な扱いはどうなるんでしょうか。この法案が成立をすればストレートに各省庁が、例えばバイオならバイオの関係でそれぞれの国の研究あるいは研究機関と話し合いがまとまれば、それは勝手にできるというものですか。あるいは日本が共同研究をしたいと言ってフランスに申し込んだけれどもフランスはそれを拒否をした、うちには適当な研究機関がないのでそれはスイスとやったらいかがですかというふうな話もなきにしもあらずですね。そこで、具体的にこれを実施に移した場合の事務的な取り扱いです。これは国対国の問題です。民間は後で質問します。

藤咲浩二科学技術庁振興局長

○政府委員(藤咲浩二君) 具体的に日本、我が国と諸外国との間の共同研究を行う手順といいますか、手続的な面について御説明いたしますと、科学技術協力協定というのが両国間にございまして、今おっしゃいましたようなフランスとかアメリカとの間には協定を円滑に実施するために合同委員会というのが大体設けられておりまして、両国の政府関係者が定期的に一年に一回とか二年に一回集まりまして、お互いにどんなプロジェクトを協力しましょうかとか、あるいは今までに協力している問題につきましてはもっと改善する必要がないか、そういうディスカッションをする場がございます。したがいまして、どういうテーマを取り上げるか、そのテーマについてどういう機関が参加するかという点につきましては、その合同委員会というような場所で政府対政府の間で決めております。  一方、それが決まりますと具体的に実施に入るわけでございますが、その段階で両国で指定された機関、日本の某研究所それからアメリカなりフランスなりの某研究所の、多くの場合は所長さんでございますが、その間で細かい実施に必要な実施取り決めというふうなものを、一種の契約でございますが、これを締結いたしまして、その実施取り決めに基づいて具体的な研究が進められる、そういうことになっております。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 その場合に国を選別をする、先ほど私が申し上げましたように、ソビエトにしろユーゴスラビア、政治体制の違うところも一応技術協力協定を持っているわけですよ。こういうところとは一応総括的な協定があって、その中でさらに細部の協定を結んでいく、その意味では国を選別をするということはないわけですね。

藤咲浩二科学技術庁振興局長

○政府委員(藤咲浩二君) いわゆる東欧諸国等との間にも協定なり取り決め、実質上協定と同じものでございますが、そういう取り決めがございます。それに基づいて具体的な先ほどのような手順で協力を進めるわけでございますが、私どもが例えば委員会のような場所でどういう協力テーマを取り上げるべきかを提案する際には、各省それぞれの研究機関あるいは研究者に意見を求めまして、関心あるテーマを求めるわけでございます。それを我が国側から提案し、また相手国側も同じような手順で提案してくるわけです。それを持ち帰りまして、相手方の提案を、その場で決められるものもございますが、多くの場合は持ち帰りまして、国内で例えば相手国から提案されたテーマにつきましては、我が国の関係のありそうな研究機関に、こういう提案があるのだけれども受ける用意があるかどうかというような問い合わせをして、ぜひやりたいというところがあればそのテーマが取り上げられるというような手順になっております。  したがいまして、私どもが意識的に選別しているようなことは全くございませんで、研究新関の意見を提案する場合にも受ける場合にも、聞いてテーマを取り上げているということでございます。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 その場合に問題になりますのは、共同研究をしていくとある一定のところで特許という問題にぶつかる。あるいは損害賠償という問題にぶつかる。なかんずく特許の場合は特許に関するパリ条約に加盟をしている、批准をしている国との間でなければうまくない状況になるおそれがあるわけです。そこで、そういう点でいきますと、特許に関するパリ協約に調印をしている国以外とはこの交流協定を結ぶということが非常に難しくなる、こういうふうに私は認識しますが、いかがですか。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) 共同研究でもいろいろなものがあり得るわけでございます。単なる人物交換、人材交換とか情報交換、お互いでそれぞれ研究した成果を交換しましょうというふうなケースから、双方がそれぞれかなりの資材なり資金なりを提供して、一緒になって仕事をするというふうなケースまであります。  それで、特許権が問題になるケースでございますけれども、一般にはかなり規模が大きくて、情報交換だけではなくて一つの共通の設備で双方の研究者の方が一緒になって仕事をするというふうなケースが特許権の帰属の問題が問題になるわけでございます。  そこで、パリ条約というのは特許権等の扱いについての国際的な約束でございますが、現在加盟国として約九十カ国ございます。科学技術の先進国また中進国と言われているような国はほとんどが参加をしているということでございまして、従来の経験でございますと、そのパリ条約に入っていないから協力できなかったというふうな事例は過去にはございませんでした。それから、仮にパリ条約に入っていない国でありましても、日本とその国との間で二風間条約によって相互に特許を平等に取り扱うというふうな協定を結んでいる国でございますれば、これはパリ条約に加盟したと同じ効果を持っているということで、そういう二国間協力があればパリ条約に入ったものと同じ効果を持っているということで、お互いに平等な立場でこの研究に参加できるというふうに考えております。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 パリ協定に参加しているのは九十カ国、署名をしているのが三十五カ国、それから実際に効力を持ちますのは三十二カ国になっていますね。  さてそこで国際出願、特許権の共有という問題が出ます。これは日本とアメリカ、日本とフランス、機関と機関との間に、あるいは研究者と研究者が対等の立場で研究、開発したものにつきましては、特許の共有という権利が発生をするわけです。ところが、共同研究ということなんだけれども、アメリカの方が主体で日本の行った研究者の方が副である、従であるという場合につきましては、その特許は、アメリカの国あるいはアメリカ側が特許権という権利を有するわけです。その場合に国際出願をどうするかという厄介な問題にぶつかると思うわけなんです、これは将来ですよ。  そこで、あえて私がお伺いをしたのは、どこの国とも研究交流ができる、選別はしませんと言ってみても、国際的な制約の中で、あるいは特に特許の場合には工業所有権の問題が生じるわけですから、結果的に特定な国と交流協定を結ぶということにならざるを得ないのではないかという懸念があるわけですけれども、その点はどうですか。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) 先ほど御答弁申し上げましたように、パリ条約に加盟されていて、当然そのことは国内法的にも、日本の特許法と同じような法律を国内的にもう措置されているという国が既に九十カ国あるわけでございまして、その九十カ国の国と共同研究をやる場合は、この特許権の帰属の問題で特に共同研究の契約締結が非常に問題になるというふうには考えていないわけでございます。  なお、特許権の帰属の問題でございますが、これは個々の契約によって取り決めるわけでございますけれども、一般には、これはアメリカとかヨーロッパの一般の慣行でございますけれども、例えば日本の研究者と米国の研究者が共同して何か物を発明したというふうな場合、その発明した場所が米国の領土内でございますと、米国における特許権は米国が持つ、日本における特許権は日本が持つ、第三国における特許権は、これは米国で発明されましたので、第三国における特許権は米国の権利になる。逆に日本で発明されますと、その権利は、日本においては日本のもの、米国においてはアメリカのもの、第三国においては日本のもの、こういうふうな属地主義と申しますか、どこの領土内で発明が起きたかということによってその権利の配分をするのが普通でございます。  ただ、その際実施権はどうなるかといいますと、今度は相手方が必ず無償ないし廉価の実施権を持つということでございまして、両国がお互いに平等になる、こういう仕組みが通例でございます。こういうふうな仕組み、これは属地主義の配分と考えてよろしいかと思いますが、場合によっては属人主義ということで、だれが発明したか、人に着目して配分するケースもございますし、それはケース・バイ・ケースでございますが、いずれの場合も平等と相互主義ということを基本原則としているわけでございます。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 この法律の六条、七条に関係をするわけですが、国対国で共同の研究をして共同の特許を得る、その場合、国が責任出願者になる、権利者も国である、これは一般的に国対国という意味では理解ができます。  さてそこで、しばしば民間でも行われているわけですが、民間の場合に、ある工場の研究機関の責任者が責任者になって、あるチームをつくって研究開発をする。そうしますと、最終的に特許権が個人といいますか、職務特許といいますか、そういう形で持っている人が民間にはあるわけですね。会社の社長が持っていないで研究の主任者が持っている。この例を国対国の研究の場合に当てはめてみた場合に、例えば科学技術庁であるとか農林水産省であるとか運輸省であるとか、その専門の研究者がアメリカならアメリカの研究機関あるいは研究団体と研究を始めた場合に、場合によりますと、国対国の特許でなくて職務特許というふうな形も理屈上成立するような感じがするわけですが、その点はどういうふうに今回の法律案の中では意識されているのか。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) 今回の法律では、発明者とそれから発明者を使用しています使用者と申しますか、国内でございますと研究所ないし会社でございますけれども、その間の権利義務関係については何ら規定しておりません。ということは、これは従来どおりでございまして、日本の特許法によってそれは決まっているということでございます。今回の法律では、その点については何ら変更はございません。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 そうしますと、この科学技術庁が出しました法案の参考書にあります国有財産という問題、それから財政法の何条かによってこの特許の問題が規定をされている方向で、従来は簡単に特許を特許法によれば譲ることができるわけですけれども、それを国の場合には、今度の法律改正の中でその国有財産なり特許権というもののあり方について法律改正をしてそれで適用をする、こういう考え方でいいんですか。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) 今回の法律では、特許権に関するところの条項は二つございまして、一点は第六条でございます。これは、国が受託した研究の場合の特許権をどうするかという問題でございます。  これにつきましては、従来国が受託しました場合、と申しますのは、国内でございますと、民間団体が研究資金をすべて負担されて国に依頼される、こういう場合の特許権でございますが、従来は、この特許権はすべて国に帰属するということにしておったわけでございます。これは、なぜそうやっていたかといいますと、これは財政法の規定がございまして、この財政法の規定によって国の権利にしていた、こういうことでございます。また一方、逆に国が委託した場合の権利はどうなっていたかと申しますと、この場合、国がすべての研究資金を提供したからということで、特許権は、契約によるわけですが、国側が無償で譲渡していただいていた、こういうことでございます。これでは、委託の場合も受託の場合も、両方とも国が権利を取ってしまうというのは不公平ではないか、これは研究交流を促進する上で余りにもおかしいという意見がございまして、それで、受託研究の場合は、特許権を民間側に、全部ではございませんが、一部無償で譲渡できる道を開いたということでございまして、これは財政法の特例措置を設けたものでございます。  それからもう一点、特許権に関する条項といたしまして第七条がございますけれども、これは国際共同研究の場合に限っての特例措置でございまして、これももとは財政法がネックになっていた。これにつきまして御説明いたしますと、米国とかヨーロッパ諸国は、一般に共同研究をやります場合に、その特許権については、片っ方が権利を取ってもその一方の当事者は無償ないし廉価の実施権を持つというのが一般慣行になっております。日本がそのような国々と共同研究をやろうと思いますと、こういう国際慣行に合わせないと国際共同研究契約を結べない、こういう事情がございますので、国際共同研究に限りまして、その国際慣行に合わせて無償ないし廉価の実施を認めるという特例措置を設けたわけでございます。これも財政法の特例ということでじざいまして、特許法の特例ではございません。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 そうすると、財政法の第八条あるいは第九条というものを根拠にして手直しをするためには、どうしてもこの交流法の七条あるいは六条、こういう法律をつくることによって特例措置ができるんだ、こういうふうにしたというわけですね。そういう理解でいいのですか。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) 特許権につきましては、これは国の財産でございます。財政法の第九条に国の財産の処分及び管理という項がございまして、「国の財産は、法律に基く場合を除く外、」「適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない。」、こういう条項がございます。それで、今回の法律によりましてこの除外規定を設けたということでございます。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 そこで、もう一度もとに戻りますけれども、幾つかの科学技術に関する協定を締結しているところはそれが総括協定になるわけですね。それから、協定を結んでいないでこれからお互いに共同研究をしましょうという合意ができるとすれば、その国と新たに総括的な科学技術に関する協定を結んで、そして共同研究なら共同研究、交流なら交流、セミナーならセミナーというものを具体的に協定をしていく、取り決めをしていくという手続になるわけですね。

藤咲浩二科学技術庁振興局長

○政府委員(藤咲浩二君) 現実に、科学技術面での協力を行っている国との間に全部科学技術協力協定等があるわけではもちろんございません。そういう場合に、それでは全然実際上の協力が行われていないかというと、またそれも必ずしもそういうことではございませんで、それほど数は多くございませんが、幾つかの協力が行われているということでございまして、その場合には、協定はございませんが、実際の協力の相手方になります両国の機関同士の間でいきなり実施取り決めのようなもの、契約を結びまして、それに基づいて協力を行うというようなやり方をやっております。そういうものがある程度ふえてまいりますと、やはり全体として上にかぶさる協定があった方が便利だということで協定が結ばれるようになるというのがこれまでの実態でございます。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 さて、そこで第一回の委員会からすべての人が共通して質問をしました問題、防衛庁の研究者の問題が急に事務的レベルにのって、従来各官庁が集まって勉強してきましたものとは異質の交流促進法が出てきたわけですが、これはどうしても私どもとしては奇異に感ずるわけです。それから、先ほどの参考人の御意見も産学官というふうな気持ちでこれを評価しているわけです。産学官軍という軍のところは全然意識がないわけですね。ですから、発想はよかったけれども結果がまずいというそういう感じを受けざるを得ないわけです。  この点について、いろんな説が飛んでおりますけれども、どうしてこの防衛庁関係の職員をこの促進法の中に入れなければならぬのか、あるいはいかなる理由で入れたのか、その点、明確にしてもらいたいと思います。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) この法案は、国と国以外の者との間の研究交流を促進し、限られた研究資金ないし研究資源、研究人材、これを有効に活用するという目的でつくられたものでございまして、しかもそれを進めるための隘路を改善するということでつくられたものでございます。  それで、我々といたしましては、この法案の検討の当初から国の研究者すべてを対象とするというこういう考え方でいろいろ検討を行ってきたものでございます。その検討の過程では、いろんなアイデアがある、こういう案もある、こういう案もあるということで、政府部内で幅広くいろんな案について検討をしたわけでございます。その中で防衛庁の研究者の方々は特別職である、その他の省庁の研究者の方は一般職であるということで、この両方を同一の法律で、同一の規定でするのが適当かどうかというふうなことを検討したことは事実でございます。このことは、特に防衛庁職員について研究交流促進のための措置が不必要という意味ではございませんで、他の一般の省庁の研究者と同様に扱うべきことは当然でございますが、立法技術上どうかということで検討したものでございます。そして、結果といたしましては、現在この提案しております法律のように、同一の規定をしても特に立法技術上問題ないということで現在の形に落ちついたものでございます。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 この研究者の交流促進というのは、その昔、一遍機が熟したことがありますけれども、つぶれた。臨調答申が出て、それで具体的な作業に入ってきた。それで、科技庁が中心になってしております研究会の議事録というものを幾つか読ませてもらいましたけれども、この防衛庁職員が出てきましたのはごく最近なんですよ。法律案を確定しようかどうしようかという間際になってずっと入ってきたわけです。それほどなじまない問題だ、あるいはそれほど心配の問題だ、そういうふうに考えざるを得ないと思うのです。  ですから、今まで民間の人、あるいはそれぞれの科学技術会議の人たちは、産学官という意味で、平和的な科学技術の振興、そういうものを念頭に置きながら勉強してきたわけですよ。ところが急に入ったわけですから、これは国民が戸惑うのも、また我々が問題にするのも当然です。立法技術上と言いますけれども、それだけの説明で納得はとてもできるものじゃないんですよ。  先ほど私がお示しをしました日本とフランス、西ドイツ、いろいろ科学技術協定があるわけです。この中には自衛隊とか国防とか軍事技術というものは全然想定をしていない協定なんですよ。ですから、この軍事技術の研究というものが入れば、今まで結んできた科学技術協定というのは根本から否定せざるを得ない問題に発展するわけです。その点いかがですか。

藤咲浩二科学技術庁振興局長

○政府委員(藤咲浩二君) 今まで先生が御指摘になりましたような各国との間に結んでおります協定では、確かにおっしゃるように、軍事的な色合いのある研究を取り上げるということは想定しておりません。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 想定をしていないというわけですね。平和的な目的ということを念頭に置きながら協定が結ばれておるわけです。しかし今度これがもし可決されて発動されるということになれば、この総括的な協定の中に軍事技術の研究、共同研究という問題が一項挿入されることになるのでしょう。これははっきりしてもらいたい。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) この研究交流促進法案は、国と国以外の方、すなわち民間企業とか民間団体、また外国政府等でございますけれども、それらとの研究を進める上での陸路を是正するという一種の制度法で、特例措置をつくった制度法でございまして、この法律によってどのような研究を促進しようかとかいうことを規定しているわけではございません。こういう制度をつくりまして、この制度によってどういうプロジェクトを国内ないし国際的な協力を進めるかということは、これは別途の問題でございます。それはそれぞれの所管されております省庁が判断される問題でございまして、この法律は一般論としていろんな交流を促進するための特別措置をまとめたものであるということを御理解願いたいと思います。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 それはごまかしですよ。もう一度私が整理整とんして言いますけれども、これが成立したと仮定をします。そうすると産学官と軍が入るわけですね、軍が入る。軍を除いたもので共同研究をしようと思えば、既存の協定を結んでいるところは総括協定があるわけですから、あとは細かい技術的な協定を結べば交流ができ、あるいはセミナーに参加ができ、共同研究ができ、場合によっては特許権を得ることも可能なんです。ところが、今度軍というものが入りましたから、既存の協定では軍は入っていないわけですから、この協定は民間だけにしか使えないと。そうすると、自衛隊関係の軍事技術の共同研究については、日本とアメリカ、日本とフランス、日本とどこどこというふうに改めて総括協定を結ぶことになるのでしょうな、逆に言えば。その点はどうですか。

藤咲浩二科学技術庁振興局長

○政府委員(藤咲浩二君) 先ほど、現在存在する協定等でそういった軍事的な色合いのある研究を取り上げることは想定していないというふうに申し上げましたが、協定によりましては、平和目的の研究をやりましょうというようなことが考え方として協定上書いてあるものもございます。いずれにいたしましても、私どもとしては、これはそういう科学技術庁が所管しているような分野の研究の推進のためにある協定だと理解しておりまして、恐らく相手国もそのように理解しているんじゃないか。  どのような分野を取り上げるかにつきましては、先ほど御説明いたしましたように、相互に提案をし合いまして、それがそれぞれの国で受けたいようなテーマであればそれを取り上げましょうという話し合いになるわけでございますので、今度の交流促進法でいろいろ便利になる面もございますけれども、今までの協定下において進めております研究の性格がこの研究交流促進法によって、性格と申しますか、分野と申しますか、そういうものが大きく変わってくるということは全くあり得ないと私どもは考えております。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 交流なり共同研究に阻害になっていた要因をこの法律で担保しようというのは理屈上よくわかるわけです。だから、それはそれで片方に置きますよ。  それで、具体的に産学官の場合には、今まで科学技術に関する協定を結んでいないところはこれから総括的な協定を結んで、具体的な申し合わせなり何なりというものをつくってそれで共同研究ができるようになる、これも素直にできるわけです。既存のものも使えるし、今まで結んでいないところは総括的な科学技術の協定を結んでそれでやればできるわけです。それは産学宮の問題ですよ。そうすると、軍の問題というのは、これは新しい協定を結ばなければ、総括的な協定を結ばなければならぬわけですよ。その点はどうですか、先ほどからくどく私は申し上げておりますけれども。

藤咲浩二科学技術庁振興局長

○政府委員(藤咲浩二君) 軍事に関する研究は私ども科学技術庁の所管ではございませんので、私どもから答えるのが適当かどうかちょっと判断に苦しみますが、先ほど申し上げましたように、私どもが担当しております協定はあくまで軍事的な色合いのある研究は入っておらないわけでございますので、これの外でやるとしたら研究協力が行われるのだろうと思います。その場合、外でどういう形で行われるのかはちょっと私どもでは答えかねると思うわけでございます。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 それは少し無責任じゃないかな。そんな態度じゃとてもこの話は進められませんよ。大臣、わかるでしょう。私が今整理をしたように、既に科学技術の協定を結んであるところはそれが総括協定だから、それに基づいて具体的な交流の問題、共同研究の問題について別の申し合わせなりあるいは協定を結べば十分に効果が出るわけです。それは産学官ですね。それから、総括的な科学技術の協定を結んでいないところは、これから共同研究しようとするところはお互いに総括的な協定を結んで、その中で具体的な共同研究なり交流なりセミナーなり何なりというものを申し合わせをしていけばできるわけです。それは産学官だけですよ。軍の問題は、現に協定をされているもの、あるいはこれから結ぼうとする平和的な目的のための科学技術の協定の中には軍の話は入らないわけですよ。そうすれば別の協定を結ぶことになるでしょうなと私は聞いているわけです。これは科技庁が責任を持って提案をしている以上、賛成とか反対の気持ちは別にしてみても、技術的にそこの話が詰まらなければこの話というのは前に進まないんですよ。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) この法案はあくまで国内法でございまして、国内の財政法とか国有財産法とか国家公務員法とか、そういうものの特例措置を設けたものでございます。  それで、先生今御指摘の防衛研究と申しますか、防衛研究に対する国際協力をどうするかというのは、この法案とは全くこれは別の問題でございまして、科学技術庁は専ら防衛に関するようなことについては取り扱わない、こうなっておりますので、その防衛技術の共同研究の問題につきましては外務省なり防衛庁の方がいろいろお考えになって対処されるもの、こういうふうに考えております。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 この提案の主管大臣は科技庁じゃないんですか。あなたの方で責任を持って答弁しなければこんなのは話にならぬですよ。ほかの官庁、例えば防衛庁とか外務省にも意見を聞きますよ。聞きますけれども、責任の主体は科技庁ですよ。そこが自信を持ってこういうふうにしますとか、こういうふうにできませんとか、はっきりした態度を示してもらわなければこの法案の審査というのは前に進みませんよ。これはもう自民党の皆さんだって、今私の話を聞いておってどうですか、その辺はおかしいと思いませんか。委員長、しっかりしてくれ。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) 何度も申すようで恐縮でございますが、この法案は国内法の特例措置を求めたものでございまして、それぞれの特例措置を使ってどの国とどういう研究をするか、そのためにどういう協定をつくるかというふうなことにつきましてはそれぞれの業務を担当されている省庁で判断される問題でございます。  それで、この法律は関係の省庁が非常に多いということもございまして、科学技術庁がその取りまとめ役を買って出たといいますか、取りまとめ役を仰せつかって取りまとめたというものでございまして、科学技術庁長官がこの法律の所管大臣とか主務大臣ということにはなっておりません。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 提案者無責任じゃないか。

小野栄一防衛庁装備局管理課長

○説明員(小野栄一君) 防衛庁管理課長でございますが、先生今御指摘の軍事技術の面におきます国際協力の問題につきましては、我が国は、現在アメリカとの間で日本とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約というのを結んでおりまして、これに基づいて一部アメリカからの装備品の輸入などをやっているところでございます。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 これ、ますますおかしくなりますよ、法律的に言いますと。日米安保条約に基づいて武器技術の協力とか情報の交換とか、それは可能性はありますね。どこまで国民に公表されているかは別です。この協定、促進法がなくても自衛隊は自衛隊なりの受託なり委託なり共同研究をしようと思えば、日米安保条約の範囲内でできる可能性を持っているわけです、そうでしょう。別にこの交流法で位置づけなくても日本とアメリカとの関係においてはできるわけでしょう。その点ひとつはっきりしてもらいたい。  それから二つ目は、これ大事なところ、日本とアメリカは日米安保条約の範囲内において、程度、深さのことは別にしてみても、何らかの研究ができる、情報交換ができる。ところが、この法律が成立をしますと、理屈上は協定を結んでいないフランスだとか西ドイツだとかイタリアだとか、いろんな国を対象にして軍事技術の研究とかセミナーだとかいろんな問題が発生するわけですよ、そうでしょう。そうなりますと、産学官以外の軍に関する共同研究、交流、集会、情報の交換というものは、別に総括協定を結んでいかなければ筋が通らなくなるでしょうねと、私はそう聞いているわけです、いかがですか。

岡本行夫外務省北米局安全保障課長

○説明員(岡本行夫君) 御議論が日米安保条約に及んでまいりましたので私の方から一言御説明させていただきます。  御承知のように、我が国は我が国の安全、極東の平和と安全を確保するために米国との間で日米安保条約及び関連取り決めを結びまして、そのもとで協力関係を維持しているわけでございます。その枠内で武器技術に関しましても一定の枠組みがございまして、これは既にそのような枠組みのもとで実際の協力関係が発足してございます。したがいまして、今後、米国との間で行われ得る武器技術に関連する協力につきましても、これはあくまでもこれまでの既存の枠内で行われるものでございまして、本法案とは直接関係がないというのが私どもの理解でございます。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 日米安保関係の中の問題は、いい悪いの議論はありますけれども、一応それはそれで存在をするわけです。私が聞いているのは、この法律が成立をすれば、極端なことを言えば、無差別に相手国との間に合意ができれば協定を結んで交流をするということに理屈上発展するわけですよ。無差別にと言えば語弊がありますけれども、特許権その他の問題もあるから多少の制約はあるけれども、産学官の場合にはいいんです、それは。国内法上障害のある部分を取り除くということが主要なところになっているから、それは取り除くというのも、これまたわかるわけです。しかし軍の問題になりますと話は別ですよと私は聞いているわけです。平和目的をうたったそれぞれの国との科学技術の協定の外に軍の問題は出ますよと。そうすると、軍事関係の共同研究については、日米安保条約は別にして、もしそういう必要性が発生をすれば、フランスなり西ドイツなりイタリーとの間に軍事技術の共同研究に関する協定というものを結ばなければできないでしょうな、こういうふうに聞いているわけですよ。これは大臣聞いておってわかるでしょう、意味が。  それと同時に、主管庁は科技庁だから、そういうことはありませんとか、そういう相談にはなっていませんとか、そういう危険はありませんとか、そういうことをはっきりしてもらわないとこの法律の審査のしようがないのです。

河野洋平自由民主党・新自由国民連合科学技術庁長官

○国務大臣(河野洋平君) 先生に多少誤解があるようにも思います。私どもも先生の御指摘をさらによく理解しなければならぬかと思いますが、まず最初に申し上げますことは、この法律ができたならば、無差別にといいますか、どこの国ともそういうことができるんじゃないかという御指摘については……

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 いや、合意ができればのこと。

河野洋平自由民主党・新自由国民連合科学技術庁長官

○国務大臣(河野洋平君) それは、この法律ができるできないにかかわらず、例えばこの法律がなくても合意ができればやれることでございますし、この法律のできるできないとは関係がないということでございます。その点はぜひ御理解をいただきたい。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 それは、それぞれ結んであります科学技術に関する協定というのを全部それぞれ読んでみて、みんな科学技術の振興、民生の云々と、当然平和目的でありますよ。ですから、それは産学官という範囲のことを念頭に置いて、軍事問題を含めないで協定が全部結ばれているわけですよ。ですから、少なくとも産学官については私は意味は十分に理解ができる、こう言っているわけです。残る問題は軍の問題ですよ。軍に関する、軍事技術に関する共同研究というのは既存の協定ではできないですね、既存の協定ではできない。そうすると、新しい軍事技術に関する協定というものを、もし合意ができるとすれば、それぞれの相手国との間に協定を結ばなければできないことになるでしょうねと私は聞いているわけですよ。

河野洋平自由民主党・新自由国民連合科学技術庁長官

○国務大臣(河野洋平君) 専ら防衛の技術にかかわる問題については、実は科技庁の所管ではございませんので、従来私は寡聞にしてどことどういう関係があったかということを承知をいたしておりませんが、今先生が御指摘のように、専ら防衛の技術にかかわる問題について言えば、今そうしたことを私どもが具体的に承知をしているわけではございませんけれども、そうした問題をどこかとやろうということであれば、それはこの法律ではなくて別の問題としてそれはあるかもしれない、しかしそれは具体的にまとまらない、あるいはまとまっている、それはそれで専ら防衛技術にかかわるものを所管している防衛庁及び外務省がその外国とのやりとりについて所管をされることだというふうに思うわけでございます。この法律についてはそういうことではなくて、交流を促進する、つまり、それぞれの立場で研究交流をやっている者の隘路を取り除こうということであって、この法律がそういうものをやらそうとかやらすまいとかということを拘束したりする種類のものではないということを御理解いただきたいと思います。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 少し理屈に飛躍があるんですよ。交流に当たって、共同研究に当たって、国内法で障害になっているものを取り除こう、例えば休職の問題あるいは退職金の問題、さらには特許権の問題、損害賠償の問題、いろいろあるでしょう。それはそれとして十分認識ができるわけです、産学官という範囲において。この防衛庁関係の研究者が共同研究というものに、今度の法律の中に入っていなければ、それほどもめる、もめると言っては語弊がありますけれども、整理できない問題じゃないんですよ。防衛庁の研究者が防衛技術に関する共同研究のためにこの法律に乗っかっているから問題になっているわけです。  具体的にお伺いをしますけれども、防衛庁、今防衛本庁研究本部がやっている技術研究、それから第一から第五まであります研究所、それから試験場、試験場と言ってみてもこれも研究も入っているわけですね。防衛庁が行っている研究というのはどういう範囲ですか。

小野栄一防衛庁装備局管理課長

○説明員(小野栄一君) お答えいたします。  防衛庁では自衛隊の装備品に係る研究開発をやっております。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 防衛ハンドブックによりますと、「研究開発」という項目がありますね。これは私は一々読むことはしませんが、装備品等の研究開発、防衛技術水準の向上のため、具体的にミサイルだとかあるいは装甲車であるとかいろんなものが列記してあるわけです。それから第一から第五までの研究所でやっている研究の具体的な任務、これも列記してあるわけです。そうですね。  そこで、この法律によりますと、防衛庁の研究職員が調査をしたり共同研究をするというのは、ここに書かれております、あるいは第一から第五までの研究所の具体的な研究項目を対象にした共同研究になるのは当然でありましょう。それは単に防衛庁がバイオの研究に行きますという話じゃないんです、これは。軍事技術の共同開発なんです。そうでしょう。  そうすると、私が言っているのは、いい悪いの議論はまたありますよ。あるけれども、科学技術の立場からいえば、産学官の協定はできる、共同研究もできる、こうなるわけですが、それを除いて、軍が入りますと、軍の、自衛隊の共同研究という問題は全然別個に日本とどこかの国との間に協定を結ばなければならなくなるでしょうねと、こう聞いているわけです。

小池清彦防衛庁長官官房防衛審議官

○説明員(小池清彦君) 防衛庁は現在外国と共同研究を行う計画は持っておりません。アメリカとの共同研究についての計画も持っておりませんし、アメリカ以外の国との共同研究の計画も持っておりません。ただ、仮定の問題として申し上げますと、防衛庁の今度の研究交流促進法の対象になる機関といたしましては、技術研究本部のみならず防衛大学校、防衛医科大学校、そういうものが入ってまいります。ところが、防衛大学校でございますと、これは他の理工系の大学と全く同じ教育を行いまして、学生に大学教育を授ける機関でございます。そこにおります教官は必ずしも防衛技術ということではございませんで、一般大学教育に必要な研究をやっておるわけでございます。防衛医科大学校についても同じでございます。  そこで、全く仮定の問題でございますけれども、そういう分野における外国との共同研究ということも仮定の問題としてはあり得るだろうと思うわけでございます。したがいまして、防衛庁の所掌しております技術研究はすべて防衛技術研究であるということにはならないわけでございます。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 それは防衛医科大学もありますし、いろいろな分野で交流があるでありましょう。しかしこの法律が通れば理屈上私が再三指摘するような事態になる可能性を持っているわけでしょう。ただ、今言われたのは、アメリカ以外とはやりませんというのは政策の問題ですよ。しかし理屈上はあり得るわけですよ、ほかの国と防衛技術の共同研究ということは理屈上あり得るわけですよ。それも、今いみじくも医科大学の話が出ましたけれども、本来の防衛庁の研究開発というのは、ここにも書かれておりますように、軍事技術に関する研究であるし開発であるわけですよ。だから私がその点を再三聞いているわけです。  長官、これは私のみならず皆さんそれぞれが疑問を持つ問題ですよ。だから、私は本件については、そこの部分について政府の統一見解を次回明らかにしてもらいたい。気に入る気に入らぬの問題はありますよ。ありますけれども、政府の態度というのは必ずしも明確じゃないんです。その点いかがですか。

岡本行夫外務省北米局安全保障課長

○説明員(岡本行夫君) 大臣がお答えになる前にちょっと事務的な御説明をさせていただきます。  あるいはこれは通産省の所管に属するかと思いますけれども、今まで先生が御指摘になっておられます防衛技術の共同開発、共同研究といったものは、これは必ずしも明確な定義があるわけではございませんけれども、その協力の態様によって種々の形態がございます。その具体的な形態に即して判断されるべきものでございまして、一般的にこれを我が国として、今後、現在の規則との関係でどう扱うかということについて一概に申し上げることはできません。  ただし、そのような防衛技術あるいは武器技術の共同開発、研究の結果、武器技術の移転が対外的に行われるという事態になってきますと、先生御承知のように、我が国は武器輸出三原則がございまして、そのようなことはできない仕組みになってございます。その唯一の例外といたしまして日米武総技術供与取り決めができまして、米国に対してはその道が開かれているわけでございますけれども、そのほかの国に対してはそのようなことはできない。これは昭和五十八年の官房長官の談話によりましても、政府としても今後とも、米国に対してはそのような措置をとったけれども、基本的には武器輸出三原則を堅持していくと明確に述べられておるところでございます。

河野洋平自由民主党・新自由国民連合科学技術庁長官

○国務大臣(河野洋平君) 大変しつこいようで恐縮でございますが、私申し上げておりますのは、この法律は、今先生が御指摘のような点で、この法律によって仕組みが変わるという性質の法律ではございません。したがいまして、ちょっとこれ表現が適当かどうかわかりませんが、やろうと思えば今でもできる。しかしそれはまさに先生のお言葉をかりれば政策判断でやっていない。しかしこの法律が通れば今度はやれるようになるというのではないのでございまして、今でもやろうと思えばできるけれども、政策判断でやっていない。この法律ができればやっぱり政策判断としてやらないというならやれない、しかし強いて言えば、この法律ができることによって、やるときにやろうと思えばやりやすくなるという、やりやすくなるというような表現は適当でないかもわかりませんが、海外への研究員の派遣その他が他の横並び、他の研究員が海外へ出張するのと同じようにやりやすくなるということはあるかもしれませんが、この法律によって今やれなかったものがやれるようになるという性質の法律ではないということをぜひ御理解をいただきたいと思います。  ただ、私こういう御答弁を申し上げましたが、委員もしくは委員長から御指示があれば整理して次回きちっと御答弁をさせていただきたいと思いますが。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 それで、政令案も見ているわけですよ。その中で防衛庁に関して言えば技術研究本部、それから第一研究所、第二、第三、第四、第五、それから試験場としては札幌、下北、土浦、新島、岐阜、それから中央病院、これだけあるわけですね。医師の方々が、医師というのはお医者さんですね、これが医療機関同士で共同研究をする、勉強し合うというのは、これは一般論として納得はできるわけですよ。ただ、今私が具体的に読みました研究所の研究員が行きやすくなることは当然でありますけれども、行くには何か特定な目的を持って研究に入るわけですね。あるいは共同研究に入るわけです。お医者さんを別にすると、残りの自衛隊の研究員というのは軍事技術オンリーなんです。お医者さんを除くと軍事技術全部ですね。そこであえて私がお伺いをしたわけです。産学官だけでやるならばそれほどねちっこい議論にもならなかったわけですが、自衛隊の研究者諸君も入ることによって問題が複雑になったわけです。  そこで私は、本問題については統一見解をひとつ求めるということと、理事会でもこの取り扱いについて勉強してもらいたい。いかがでしょうか。

馬場富公明党・国民会議

○委員長(馬場富君) 速記を中止してください。    〔速記中止〕

馬場富公明党・国民会議

○委員長(馬場富君) 速記を起こして。

河野洋平自由民主党・新自由国民連合科学技術庁長官

○国務大臣(河野洋平君) ただいま委員長からも御指示がございましたので、大変恐縮ですが、次回に整理をして私から御答弁をさせていただきたいと思います。  繰り返して大変恐縮をいたします。私どものこの法案提出の趣旨は、そうした特定の目的とか意図を持ったものではございませんが、誤解があったりするといけませんので、整理をして御答弁をさせていただきたいと思います。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 次は第十条の関係ですが、国際配慮の問題です。これは憲法九十八条の第二項に、国民全体に対しても次のように書かれているんです。「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」というふうに規定が書かれております。これは当然だと思います。  さてそこで、第十条は国際配慮をしなければならぬ、意味もわかります。その場合に、この研究交流促進に関して国際配慮をすべき具体的な法律、国際的な法律あるいは慣行というのを具体的におっしゃってもらいたい。

小林二郎外務省国際連合局科学課長

○説明員(小林二郎君) お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のとおり、第十条に規定いたしております条約その他の国際約束を誠実に履行することとか、あるいは国際的な平和及び安全の維持について配慮を払うといったようなことは、国といたしまして守らなければならない当然の義務でございます。  なぜこういうことを規定することになったかという点につきましては、やはり昨今の科学技術交流の重要性とか、あるいは本法案が成立いたしますことによりまして今までの隘路を除いたというような点から、交流が促進しやすくなるといったような点に配慮いたしまして、そういう点にかんがみまして、第十条というものを配慮事項としまして特別に設けまして配慮していくという趣旨で規定したわけでございます。  具体的なものとしてはどういうものがあるかという御質問につきましては、例えば現在の条約とかその他の国際約束というのはたくさんあるのでございますけれども、諸外国との研究交流に関連しました条約その他の国際約束といったような点になりますと、例えば核不拡散の条約であるとか、あるいは二国間の原子力協定、はたまた、例えば細菌兵器及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約といったようなものとか、あるいは二国間の科学技術協定といったようなものとか、それから、条約とか国際約束といった厳密な意味のものではございませんけれども、例えば原子力資機材等に関しましての国際移転についてガイドラインをつくっておりますロンドンのガイドラインとか、あるいはココム規制、それから国連におきましての対南アに関する諸決議といったようなものが具体的にはございます。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 今いみじくも言われましたが、原子力に関する協定だとか、核兵器の不拡散に関する条約であるとか、毒ガスなどの禁止に関する議定書であるとかたくさんあります。  そこで、きょう参考人の意見でもありましたけれども、基礎的な研究を進めて一定の段階になりますと、その研究の成果を何に使うかという部分になりますと抵触するおそれなきにしもあらず、そういう意味で産学官軍とも相当の条約あるいは国際法規というものを念頭に置かざるを得ない。それから、研究者としては平和目的であると思って研究を始めても、一定の段階になりますと国の意思によってそれが別なものに採用をされるという可能性が常にあるわけであります。そのことについての長官の決意というものをきちっとしておいてもらいたいというふうに思います。いかがですか。

河野洋平自由民主党・新自由国民連合科学技術庁長官

○国務大臣(河野洋平君) この第十条は、今外務省からも御答弁申し上げましたけれども、この法案を非常に苦心をしてまとめる中で、政府部内でもいろいろ御注意があって、こういうことで研究交流が促進をされるというときには、内にあってはこういう国際約束を遵守しなければならぬということを研究者の人たちにもきちっと言う。さらに外に向かっては、国際的に日本の国の研究交流はこういう国際約束をたがえることのない研究交流をいたしますよということを示すという意味で、この十条は非常に意味のある一条なのだ、こういう御意見があったわけでございます。私もそうした御意見をきちっと踏まえて、この法案を御審議をいただき、この法案が成立をした暁には国際的にもきちんとした責任を果たすという意味でこの十条を遵守するべく努力をしたい、こう考えておる次第でございます。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 私があえてこの問題を取り上げておりますのは、実は四月二十三日のSDI官民合同調査団の報告書を読みまして、非常に憂慮すべき事態だなということを感じましたのであえて申し上げているわけです。  この報告書の出だしが私は非常に認識の問題で問題にしなきゃならぬと思う。「(SDI)の目指すところは、非核の防御的手段により弾道弾を無力化し、」というふうに頭から信じ込んでいるわけです、この報告書は。これは例えばICBMにいたしましても、一万キロ、どっちが先に撃つかは別にいたしましても、これの報告書によりますと、まずは捜索をする、捕捉をする、そして迎え撃つ、こうなっておるわけです。発射地を捜索する、捕捉をするということも意味に含まれているわけです。ですから、ICBMをどちらが打ち上げるかは別にしても、打ち上げる瞬間に捜索をして、捕捉をしてたたいてしまおうということがあり得る研究なんですよ、これは。その研究の報告の中に、きょう参考人も言われましたけれども、軍事技術の分野でも十分に使えるし、産業発展のためにも大いに使える、こういうふうに報告書は書いておるわけです。紙一重じゃなくて表裏の関係です。それだけに私はこの第十条が、具体的に共同研究を始める、あるいはセミナーに参加をしても、平和目的以外にもしそれが使われるようなことがあるならば、これは国の意思としても、あるいは科学者、研究者の意思としてもそこから撤収すべきだ。それだけの任務を国は与えなければならぬ。そうしなければその研究者はずるずる組織の中に埋没していくわけです。これは過去の研究もずっと、戦時中の研究あるいはその後のベトナムの研究でもそうでありますが、みんなそういう仕組みになっておるわけです。ですから、軍事目的に使われる、あるいはこれは軍事目的だなということが明瞭に捕捉されるような事態になったならばその研究者は撤収をする権利を与える、そういうものが担保されなければこれは研究者を絞め殺すばかりですよ。その点いかがですか。

河野洋平自由民主党・新自由国民連合科学技術庁長官

○国務大臣(河野洋平君) 先生の御指摘は必ずしもSDIについてだけではないと思いますが、まず最初にSDIについて御答弁を申し上げれば、御答弁というところまでいかないわけですが、現在SDIについてはせんだって報告書の説明を受けてこれから慎重に検討しよう、こういう段階でございますので、SDIについてはそれ以上申し上げられる段階ではございませんし、この法律自身がSDIを念頭に置いてつくった法律ではございませんので、SDIに関して申し上げることは、それ以上きょうは申し上げられないわけでございます。それ以外の部分につきましては局長から御答弁をさせていただきたいと思います。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 その答弁の前に。  私の主張しているのは、平和目的のために共同研究をしましょう、それは民生の安定であったり産業の振興であったり、いろいろなことを前提に考えてやるわけですね。なおかつ技術をもっともっと高度化していく、そのためには基礎的な研究だ、こういうごく常識的なところはいいと思うんです。しかしそれが平和目的ではなくして軍事目的に使われる可能性を秘めている、あるいは明らかにその共同研究は、表は平和と書いてあるけれども実はしの技術の共同研究、共同開発の結果は軍事技術に転用するという可能性があると研究者が認定をした場合には、その研究者は研究から撤収する権利を持つ、こういうことでなければあくまでも平和目的を達成しようとするこの交流促進法に違反をする。そういう意味で撤収のできる権利を持たせることになりますか、なりませんかと聞いている。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) これは国の研究機関を対象にして答弁したいと思いますが、国の研究機関はそれぞれ設置目的というのを持っておりまして、科学技術庁でございますと、金属とかそういうものの共通的、基礎的な研究を行うという設置目的を持っておりまして、先ほど大臣から答弁ございましなように、科学技術庁は専ら防衛技術のための研究は行いませんというふうなことで、これは科学技術庁の設置法から決まっているわけでございます。同じように他の省庁においてもそれぞれの設置目的というのを持っておりまして、防衛のための研究というのは私の理解では防衛庁以外ではできない、こういうふうに理解しているところでございます。したがいまして、それぞれの省庁がどういう研究テーマを取り上げられるかということはそれぞれの省庁の設置目的に従って自動的に決まるものであるというふうに考えております。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 かつて自衛隊の研修会でアンケート調査が行われたんですよ。その結果も読んでおりますけれども、個々の隊員はそれぞれ常識的にいい悪いを、是非を判断します。しかし組織の中に入りますと組織の判断にいや応なしに従わざるを得ない。特に自衛隊の場合にはそれがきちっと法律で書かれておりまして、義務化されているわけです。先ほどの参考人の御意見も、それは科学者、研究者の良心と、こう言っておりますけれども、属人の立場では良心でありましょう。しかし団体なり組織なりシステムの中に入ればもはや個人の良心というのはなかなか発揮ができないわけです。  そこで、私が言うのは、そういうことはしないことになっているとは言いながら、現実の共同研究というのはそうは簡単にいきません。そこで、こういう事態になれば、私はとてもそれ以上この研究に参加することはできません、科学者なり研究者の良心として撤退をします、そういう留保の道を担保をしてやらなければ、この法律ができたところでその研究者を苦しめるだけなんですよ。  そこへ特に産学官のみならず軍が入っているだけに、軍の研究の場合も軍隊対軍隊の研究ばかりじゃないですよね。自衛隊の研究員が原子力の勉強に行くかもしらない、それから生物科学の共同研究に入るかもしらぬ、いろんな分野が考えられるわけですよ。そうなりますと必ず危ないという壁にぶつかるわけです。その点、私はこの法律には賛成ではありませんけれども、研究者、専門家を殺さないためにも、その壁を十分きちっと法律の上で明文をすべきだ、そう考えますが、いかがですか。

河野洋平自由民主党・新自由国民連合科学技術庁長官

○国務大臣(河野洋平君) これは、ただいま局長が御答弁申し上げましたように、国の試験研究に際して国以外の者との場合を想定してこの法律ができているわけでございますから、国の試験研究機関はそれぞれの設置法によって設置目的がきちっと決まっておりますから、その設置目的を外れるということになればそれは撤収をする、終わりになる、そこが壁だというふうに考えております。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 確信ある答弁をもらいましたけれども、これは委員会でそれを決議しただけでは担保にならぬですよ。法律上明文をしなければその方の基本的な人権というものを保障することにならない。  それから、その研究者あるいは専門家がアピールできる権利をきちっと明示をしてやるという必要があると思うんですよ。その点、私はもう一遍明らかにしてもらいたいし、また、それがきちんとしなければ危なくてとても共同研究に出られないという不安を持つわけです。いかがですか。

矢橋有彦科学技術庁長官官房長

○政府委員(矢橋有彦君) 例えば科学技術庁の場合には、科学技術庁設置法第三条、これは任務の規定でございますが、そこではっきりと科学技術庁の任務が決まっておりますし、また、それを受けまして第四条の所掌事務で明文をもって具体的に科学技術庁の所掌事務が決まっておるわけでございます。つまり法律ではっきりしているわけでございまして、それを越えるような事態に立ち至りましたならば直ちに撤収をするということは当然でございまして、それは既に法律で明文をもって決まっているというふうに私ども理解しているわけでございます。  そこで、具体的適用の場合、本人からの申し出があればよく本人とも相談し、かつまた事態をよく調べまして、そのような事態になっているのかいないのかということについては慎重かつ公正に判断をしたいと考えているところでございます。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 そうしますと、本人のアピール権、防御権というものは全部保障をしているというふうに、法的にも完備されているというふうに理解をしていいんですか、確認していいですか。

矢橋有彦科学技術庁長官官房長

○政府委員(矢橋有彦君) 官庁がその設置法に従うのは当然でございまして、それに関する本人の申し出があれば、よく調べ、公平に判断をするということは官庁としての当然の義務であると考えております。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 委員長、一応そういう政府側からの答弁がありますけれども、まだ不安なしとしないわけですよ。私はその取り扱いについて理事会で十分にひとつ協議をしてもらいたい、これを要望しておきたいと思うのですが、いかがですか。

馬場富公明党・国民会議

○委員長(馬場富君) ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕

馬場富公明党・国民会議

○委員長(馬場富君) 速記を起こして。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 そこで、もう一つそれに附帯をする問題として、研究者のアピール権、それから防御権というものはそれぞれの設置法に書かれているから撤収ができるんだと。それはそれで認識を私も新たにするわけですが、その場合に、アピール権なり防御権を行使をしますと守秘義務の問題にぶつかるわけです。実はこれこれこういう共同研究をしていました、ところが、ここのところまでいったらそれが軍事目的に使うための共同研究であった、それで私は撤収をしますとアピールするわけですね。そうするとそれは公表をせざるを得ないわけです。そこで起きますのは、公務員の守秘義務の問題は今のアピール権の問題とどういうふうに調整がされるか、その点をひとつ答弁をいただきたいと思います。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) 国の研究機関がみずから行います研究とか民間企業等との共同研究等につきましては、これは一般原則でございますけれども、この成果を広く国民の皆様に利用していただくというのが通例でございまして、研究成果等については原則として公表するということになっております。ただ、その際例えば特許権を確立するために成果の公開を一時的に留保するというふうなことはございますけれども、原則として研究開発の成果は公表するということになっておりますので、その成果に関する守秘義務ということは特にないと思います。先ほど申しましたように、特許権を確立するまではやはりその情報を外に漏らさないというのが従来からの慣行でございます。

矢橋有彦科学技術庁長官官房長

○政府委員(矢橋有彦君) ただいまの答弁を若干補足をさせていただきます。  公務員の守秘義務という場合には、外部に向かっていたずらに秘密を漏らすという意味だろうと私は思うわけでございますが、先ほど来審議の対象となっている事項に関して政府部内で上司に対して事情を申し述べるという場合には、それは守秘義務の対象外ではないか、これはあくまで内部の公務上必要な意思の伝達でございますので、守秘義務の問題とは関係のないことではないかと考えている次第でございます。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 私が言いますのは、一般的な平和的な共同研究で、それが特許権を得るまでは秘密のうちにやるというのはごく常識でありまして、特許出願をして、特許権がおりればあるいはそれは公開が十分できる、そのことは私は了承しますが、主として軍事技術の分野にわたる場合に公務員あるいは研究者、専門家が撤収ができるということになりますと、それはアピールをして初めて撤収の意思表示をすることになるわけですね。その場合に守秘義務とか処罰だとかという問題が可能性として存在をする、そういうことを意識するものですからあえて聞いたわけです。  時間がありませんから外務省に聞きます。  先日も同僚委員から質問が出ておりましたが、米国と西ドイツにおきますSDIの研究協定、私の了知しておりますものについて言いますと二つあるわけですね。SDIの研究協力に関する協定と二つ目は技術移転に関する協定、こういうものが存在をすると聞いております。外務省に伺いますが、これは入手をしておりますか。

岡本行夫外務省北米局安全保障課長

○説明員(岡本行夫君) お答えいたします。  西独は昨年十二月十八日の閣議決定を受けまして、三月二十七日に米国防長官と西独経済相との間で西独企業等のSDI研究に参加する取り決めを署名しております。ただしその内容は不公表でございます。同じくもう一つ、米国との間で西独は技術情報等の相互移転のための枠組みに関する取り決めも合意してございますけれども、これも不公表となっております。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 ということは、その内容は了知をしている、承知をしている、こういうことですね。

岡本行夫外務省北米局安全保障課長

○説明員(岡本行夫君) ただいま御説明申し上げましたように、その内容は不公表でございますので、我が国として知るべき立場にございません。ただ、報道等でその内容が漏えいし、その内容が掲載されている、そのようなことについては私どもも了知はしております。

穐山篤日本社会党

○穐山篤君 もう私の時間が来ましたから、今の問題につきましてはまた別のチャンスに具体的にこの問題を指摘をしたいというふうに思いまして、以上で私の質問は終わりたいと思います。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 まず第一に、前回に続いてSDI研究と今次法案との関係についてもう少し質問をいたします。  前回、私はSDI研究についてのアメリカと西ドイツとの協定文書の内容が科学技術研究の根本原則、すなわち自主、対等、公開の原則に全く反するものであることを取り上げ、日本のSDI研究参加の可否を検討する際の重要な基礎となるので、ぜひ政府として事実の調査と国会への報告を求めました。しかし長官を初め外務省も科技庁当局もこの協定が秘密文書であることを理由として調査すること自体も拒否をされたわけであります。しかし私は思うんです。なるほど報道では秘密文書と言われているかもしれませんが、二国間の協定文書そのもの、協定に基づく活動によって得られた技術や情報の一定部分が軍事に関係することなので秘密だというのならともかく、協定文書全体が、協定文書そのものが秘密だなんというのは、およそ民主主義国家を名のる限りそういう論法というのは私は信じがたい。  そこで、外務省にまず聞きます。このような協定文書全体が秘密だという例は、日本に何かほかに例があるんでしょうか。

岡本行夫外務省北米局安全保障課長

○説明員(岡本行夫君) 我が国を当事国といたします国際条約は御承知のとおり国会の御審議をいただくわけでございまして、全文について内容が当然明らかになるわけでございます。また、政府間の取り決めてございます行政取り決めにつきましては閣議決定が必要とされております。したがいまして、その行政取り決めの内容は、条約の場合も同様でございますけれども、すべて官報に掲載されることになっておりまして、したがいまして、我が国におきましては秘密の国際条約または行政取り決めといったものは存在しておらないわけでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 長官、今の答弁にありましたように、日本の場合、国会承認手続をとっておるものはもちろんのこと、閣議決定で行政取り決めを行っておるものについてもこれは官報に掲載をしているということで、国民には周知の問題になる。だから二国間の秘密協定文書、こういうものは日本にはないと。私、日本が世界で最も民主主義の発達した国だというふうには必ずしも思いません。これは情報公開制度一つとってみてもむしろおくれた国だと、その点では。こう言われておるこのときに、西ドイツとアメリカで、この二国間のこれが秘密文書ということにされておるということは本当に信じがたい。  聞きますが、しからば西ドイツ、アメリカで、そのほかにもそういう二国間協定文書が秘密文書扱いになっておる事例というのはあるんでしょうか。

岡本行夫外務省北米局安全保障課長

○説明員(岡本行夫君) 当然のことでございますけれども、私どもといたしましては、第三国のそのような仕組みについては承知する立場にございませんので、ただいまの先生の御質問に対して有権的なお答えを差し上げることができないわけでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 しかし、外務省も前回の答弁では、秘密文書という扱いになっていると承知しています、こういう答弁ですね。しかし大体、本当に秘密だったら秘密なのかどうかもわからぬわけなんです、そういうものがそもそもあるのかどうかなどというのも。しかしこの前の答弁にあったように、両国政府がお互いに署名、調印をして文書がつくられておる、協定文が。ということはこの前のこの答弁の中にもあった。こういった点で、よその国のことはよくわかりませんというそういう態度で済ますんじゃなくて、日本のSDI参加問題を目下慎重に検討中と言われるが、この参加問題の可否を検討する重要な判断の基礎になる、そして今度の法案を通して国際的な共同研究あるいはある国からの委託を受けて行う研究、こういうもののあり方をいろいろ議論する際の重要な一つの例になる。こういった点でぜひ、外務省の仕事になろうと思うんですけれども、西ドイツ、アメリカでこういう例が一体あるのか、本当に今回のSDI協定が秘密文書の扱いなのかというのはよく引き続き調査をしてもらいたいと思うのです。

岡本行夫外務省北米局安全保障課長

○説明員(岡本行夫君) SDIに関する米独取り決め、そして技術移転に関する米西独間の取り決めが署名されたという事実は、例えば本年三月二十七日の米国国防省のプレスステートメントにも明らかでございますし、西独政府もそのように発表してございます。したがいまして、私どもは両文書の存在は承知しておるわけでございます。ただし、その後両国とも対外的に説明してございますように、その内容は不公表ということでございます。  私どもといたしましては、およそ第三国が不公表としております文書につきまして、どのようなものがこれまで不公表とされているのか、また不公表についての制度的な仕組みがどうなっているのか、このようなことを私どもの政府として調査する立場にはない、この点を御理解いただきたいと思います。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 もう一つ念のために聞きます。  引き続きそういうふうにアメリカも西ドイツも不公表文書だと言っている、それは言っているかもしれません。そのことについて外務省、日本政府は何の疑問も差し挟まないのか、持たないのか、アメリカ、西独政府がそういうふうに言ったらそれを信じていますというのか、どっちですか。

岡本行夫外務省北米局安全保障課長

○説明員(岡本行夫君) ただいまの先生の御質問に直接お答えいたしますならば、私どもは、およそ一つの主権国家の政府が不公表といった説明を行うときには、当然のこととしてそれを信用するわけでございます。それが我々の判断の根拠でございます。  もう一つつけ加えさしていただきたいのでございますが、SDI参加問題については、米国が昨年三月に十八カ国に参加招請書簡を発しまして以来、それぞれの招請を受けました国々の対応はそれぞれの制度、事情に応じまして異なっております。したがいまして、私どもとしては、米国と特定の国がSDIについて何らかの取り決めないし約束を行っている、それをそのまま私どもの直接の参考とすることは必ずしも自動的には行えないではないかという考えでおるわけであります。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 ともかくアメリカと西ドイツの間でSDIについての協定文書がつくられたということは、これは事実だ。ただ、それはアメリカも西ドイツも不公表の文書だというふうに言っているのでそれを信じています、こうなりますと、まさにそのこと自体が、アメリカとか西ドイツとか民主主義を名のる国家が、しかし不公表ということにせざるを得ないほど危険な内容を持ったSDI研究なんじゃないかということを逆に私は示すんじゃないかというふうに思うのですよ。したがって、本当に我が国がSDI問題について参加するかどうかということをそれこそ本当に慎重に判断しなくちゃならぬという重要なバロメーターになると思うんです。しかしこの問題を何遍繰り返しておってもあれですので、私は長官にも重ねて閣僚の一人としてお願いをしておきたい。日本の参加の可否を判断する重要な基礎になるんだから、また今回の法案の国際的な共同研究のあり方、あるいは外国からの委託を受けてこの研究を行うその研究のあり方、これの重要な一つの例になるわけでありますから、ぜひひとつしっかりと真実をつかむということでやってもらいたいというふうに要望しておきます。  次の問題ですが、前回も言いましたが、政府はしきりにSDI研究への参加は日本の科学技術水準の発展に役立つということを言いますが、こんな、先ほどから明らかになってきておるような秘密扱いにしなくちゃならぬような協定文自体を、そういう代物で一体科学技術の自由闊達な発達、これが期待できるか。そういう科学技術の発展というものは断じてそういうところから生まれてこないということを改めて強調をする。そのことを前提にして以下少し議論をしていきたいと思うんでありますが、さっき穐山委員の議論の中でもちょっと出ていました、四月二十三日に発表されておりますSDI研究計画についての対米官民合同調査団報告、これによりますと、五分野に大別されるそういう研究分野がある。そのそれぞれの五分野に即してどういう技術の研究開発、これがテーマに上っているんですか。

岡本行夫外務省北米局安全保障課長

○説明員(岡本行夫君) ただいまの点は官民合同調査団の報告書そのものにも明らかでございまして、五分野を「捜索、捕捉、追尾及び破壊評価」「運動エネルギー兵器」「指向性エネルギー兵器」「残存性、破壊力、打上げ能力及び動力源」及び「システム・アーキテクチュア」に大別いたしまして、それぞれにつきまして五分野の目標を達成するための細かい個別的な技術の検討を行っているわけでございますが、内容は報告書に掲載されておりますので省略させていただきます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 いや、その内容が大事なんですね。この第一分野でいけば、レーダー、赤外センサー、信号処理などの技術研究。第二分野では誘導制御、電磁加速、センサー、これらのもの。第三分野で高出力のレーザー、高出力の粒子ビーム、レーザー制御の光学装置など、ここらの技術研究、これというのは、まさに基礎技術、先端技術、こういうふうに称せられる、そういう技術ですね。  ところで、法案の第十条の問題でありますが、さっきもありましたが、国の研究について国際的な交流を進めるに当たって、条約や国際約束の誠実履行義務を定めている。すなわち政府も調べてきたSDI調査団報告、この中でSDIの研究を通してこういう新しい技術の研究開発がテーマに上りますというふうに書いておる。これらの問題は、まさに基礎研究の分野に属する、紙一重だとか裏表だとか一体だとか、いろんな表現がありますけれども、まさにそういう技術に属するもの、これは当然のこと国立大学や国立の研究機関でもやっている。  ところが、この研究が第十条で定める国際条約や国際的な取り決め、誠実履行義務、ここで関係が生まれてくるというこの第十条の仕組みになっているわけですね。すなわちSDI研究、これにいよいよ日本がもし参加するとすれば、これはもういよいよもって明白な問題になるでしょう。そこまでいかなくても、日本の場合、安保条約体制のもとで武器協定、武器技術協定、さまざまそういう協定を結んでいるのですから、この協定、取り決め、約束、この誠実履行義務ということとの関係で、国立大学や国立研究機関、ここにおけるこれら基礎技術研究、これが関係を持ってくる。いわば誠実履行義務、これが前提になってこういう研究をやる、こういうことになりますね。

岡本行夫外務省北米局安全保障課長

○説明員(岡本行夫君) まず最初にお断り申し上げなければならないわけでありますけれども、SDI研究につきましては、先ほども河野大臣が御答弁されましたとおり、私どもはまだ検討中でございまして、私どもとしてどのような義務を果たしてSDI研究参加によって受けることになるのかならないのか、誠実な履行義務といったようなものが生じるのか生じないのか、およそそういったこともすべて含めましてまだ白紙の状態でございますので、SDIとの絡みでこの問題をまだ御議論できる立場にはないわけでございます。  ただ、この法案の十条の趣旨に即して言えば、これはあくまでも日本が国際国家、技術大国としての立場から、条約その他の国際約束を誠実に履行すべき義務や国際的な平和及び安全の維持について特別な配慮を払う必要があることを、そのことを定めたものでございまして、特定のプロジェクトやSDI研究計画といったものを念頭に置いたものではないと了解しております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 SDI問題は目下日本政府として慎重に検討中だ、だからそれとは関係ない、そう言われたって、そうですかということで信じられるんでしょうか。それは関係ありますというようなことは国民を前に口が裂けても言えぬでしょう。だから言わないだけのことであって、例えばそれならば、あなたは大臣のお一人だから聞きますけれども、この調査団報告書もその一つの例でしょうけれども、このSDI研究参加問題についてよくよく考えてみると、この参加はやめた方がよさそうだという意見が強まってきていますというようなことが言えるんですか。この報告書を見たって、とにかく参加をする方向への議論がずっと台頭してきているというのが日本政府の実態じゃないんですか。

河野洋平自由民主党・新自由国民連合科学技術庁長官

○国務大臣(河野洋平君) この報告書は、官民合同調査団というのがアメリカへ出まして、官民合同調査団が調査をして帰ってきたまさに報告書でございまして、先生御指摘のように、全体的に現在日本の国にとってSDIに参加することの可否について報告をしてきたものではないと承知しております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 しかし全体を読めば、SDIの研究を通して我が国の技術開発にとってかくかくのメリットが予想されます、また日本の技術水準に照らしてこういう面で貢献できる分野が大いにありますという、否定面よりも積極面の表現が大部分じゃないですか。危険な道だということで、これはやめた方がよろしいよというようなことがにじみ出ているような文章がどこかありますか。あったらおっしゃってください。

内田勇夫科学技術庁研究調整局長

○政府委員(内田勇夫君) ただいま大臣が御答弁申し上げましたように、このSDI計画についての官民合同調査団報告と申しますのは、今回派遣されました第三次調査団が調査団として独自に取りまとめたものであるということでございまして、これはあくまで調査団参加者の御意見である。政府としてはこれを一つの参考資料とし、これだけをもとにするわけではございませんで、いろいろな観点から慎重に検討するというのが政府の立場でございまして、これ一つについてどうこうということではないというふうに了解しております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 私は、これを一つの例として取り上げたにすぎないわけです。少なくとも、今それで日本の政府は目下慎重に検討中だと言いながら、しかし一歩一歩進んでいる姿は、もう参加をやめておこうという方向じゃなくて、参加するという方向へ一歩一歩じわじわ進んでいるというふうに国民は見ざるを得ない。こういう状況のもとで第十条をどういうふうに解釈、理解をするかというこの意見が出てくるのは、これは当然のことでしょう。SDI参加問題、このことが当然高い確率をもってあり得る問題として、そういう前提での議論をやるということは何も不当なことじゃありませんよ。そうしたときに、SDI協定を結ぶ、結ばれるだろう、そのときにその協定の誠実履行義務から基礎研究としての、先ほどあったようなレーザーの研究だとか、粒子ビームの研究だとか、こういう研究が制約を受けてくるとなるのじゃないでしょうか。いわんや西ドイツの協定の例のように、もうそういった事柄は、何を秘密とするかは一切アメリカに権限があるのだ、こういうことになれば、結局は国立大学や国立研究機関、ここにおけるそういった基礎技術研究、これも秘密だという形での枠がかかってくるというのは当然の予想される方向じゃないかということで私は問題を提起しておるんですから。大臣、どうですか。

河野洋平自由民主党・新自由国民連合科学技術庁長官

○国務大臣(河野洋平君) 参加の可否を含めて日本は日本独自の判断を持つべきだと私は考えております。もちろん、先生が御指摘になった、アメリカと西ドイツの不公表とされる文書というものがある、それを研究すべきじゃないかというのは先生の御意見として伺いますけれども、我々はあくまで我々の置かれた立場、あるいは我々の独自の判断ということが当然のことながら必要なのであって、よそがどうであったからということを、よそ並みにいこうとか、よそがどうであったからなどというふうにはいささかも考える必要はない、こう考えております。  また、第十条につきましては、先ほど来外務省からも御答弁を申し上げておりますように、私どもは第十条が極めて重要なものだと思いますのは、やはり先ほど御答弁にありましたように、核不拡散条約でございますとか、生物兵器の問題でございますとか、あるいは南アの問題でございますとか、やはり国際的に見て我々が誠実に条約、協定、遵守しなければならない幾つかのものがあって、それをやはりきちっと守っていくということが重要なことだということをこの第十条は言っているという意味で極めて重要だと考えているわけでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 SDI問題については、日本の政府はまた立場は別だと言われても私は信じられないんですけれども、まあそこはさておきましょう。その問題を外しても、片や厳粛な日本の置かれておる現実として日米安保条約体制、そしてそのもとでのいろんな武器や武器技術についての日米協定がある。その中には当然一定の秘密部分が含まれたそういう約束事がある。こういう状況のもとで、それらの条約や国際約束誠実履行義務、これが前提になって、それが足かせになって大学や国立研究機関における基礎技術研究、ここが制約を受けてくるんじゃないかということは当然予想される。SDIを考えなくてもあり得る問題。  こういう点で、一体今回の第十条というのは何を示しているのかということでありますけれども、本当にそういうことで国立大学や国立の試験研究機関の基礎研究が秘密の枠がかけられて、もう研究自体が、その根幹が封殺をされるという、発表もできない何もできない、こういうことになったらそれこそ大変なことだ。そこで、逆に言えば、私は思うんです。この第十条というのが殊さら入ってきたというのは、これらの先端研究、基礎研究を秘密裏にアメリカ主導の軍事目的にひとつできるだけ動員をしよう、こういうために殊さら第十条というものが入れられたんじゃないかというふうに私は言わざるを得ないと思うんですが、大臣、どうですか。

河野洋平自由民主党・新自由国民連合科学技術庁長官

○国務大臣(河野洋平君) 佐藤議員いろいろ御心配をいただいておりますが、私どもがここに第十条として掲げてございます意味は、先ほど来申し上げておりますように、決してさような意味ではございません。    〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕 私どもは健全な科学技術の発展ということを願っているわけでございまして、今先生御指摘のような意味合いをいささかも込めていないことを御理解いただきたいと思います。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 それには承服できません。  次に、第六条の問題であります。国が外国から受託をした研究に基づく成果、特許権などを外国に譲与できるということを定めておるわけでありますが、まず、科技庁に聞きます。こうしたことを同様に法律で定めている外国の例はありますか。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) 国それぞれによっていろいろ制度が違っておりますが、米国では委託研究、といいますとちょうど受託の逆でございます、国が金を出して相手方に研究をやってもらったというような場合につきましても特許権等の所属は相手方になっているというふうなことでございます。したがいまして、受託についてはよくわかりませんけれども、これは法律でございませんで、ケース・バイ・ケースで決めているようでございますが、受託についても相手方にやる場合もあるし、自分が持つ場合もあるようでございます。カナダ等につきましては、いろいろのプログラムございますが、国の持つ研究開発能力を民間に利用させるためのプログラムもございます。これでは国の受託研究の場合、民間側に特許権を与えるというような制度になっております。イギリス等についてはケース・バイ・ケースで決める。西ドイツでは一般に、これは一般原則でございますが、発明を行った側が特許権を取得するということでございますと、受託の場合には国側が持つ、委託の場合には相手方に与える。いずれにいたしましても双務的になっている、受託の場合と委託の場合が逆になっているというのが通例でございます。  日本の場合でございますと、従来委託の場合も受託の場合も両方とも国が持っていたということで、それは余りにも不都合ではないかというふうないろんな意見がございまして、今回受託の場合には、全部じゃございませんが、一部を資金を負担されました相手方に無償で譲渡する。逆に委託の場合は国が金を出しておりますので、これは一部じゃございません、全部を国がいただいているということでございまして、国は公益性というものを担保していますので、委託の場合はすべていただきます。受託の場合にはすべてじゃなくて一部だけを差し上げるというふうに双務的にしたわけでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 いろいろ言われましたけれども、日本のように特別に法律の定めでこういうことをやっているという例は余りないわけですね。  さらにもう一つ確認しますけれども、第六条によって特許権などを外国に譲与する場合、これも一たんはまず我が国の財産として特許権の設定をする、しかる上のある時期の外国への贈与、こういうことになってくるだろう。特許権の設定をするからには当然それは天下に公開をするという、このことを一遍確認をしておきます。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) 受託研究の場合の特許権の出願でございますけれども、これを受託した国側が判断して、それが商業的価値があると思った場合に出願しその権利を確立するわけでございます。特許権でございますので、当然のことながらこれは公開されます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 そこで、我が国の財産として特許権として確立をされておるそのもの、これを外国に譲渡する、こういう場合、その公開性はどうなるのか。特許権として確立しているんですからその段階で公開になっている、外国へ移した場合、贈与の暁は外国が非公開、秘密だ、こういうふうに決めたら日本もそれに従う、こうなるのか、どうなんですか。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) 特許権でございますので、日本の国内についていいますと、特許庁に出願し、そこで公開されて、一たんは日本国の国有特許ということで成立するわけですが、その特許権を米国側に、例えば米国に渡したとしますと、その登録者が米国の例えば政府になるということでございまして、その特許というのはすべて公開されております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 日本で一たん公開したものは、米国へ移ったその段階でもあまねく公開をされている、こういう意味ですか。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) 日本国における特許権というのは日本の特許庁がすべて公開しております。アメリカにおける特許権というのはこれはアメリカの特許庁が公開しているものでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 いや、私が聞いているのは、この権限がアメリカに移るわけですね、形式上渡すから。そうなった場合に、アメリカがこれは非公開、秘密だというふうに決めたら日本はどういう関係になるんですか。

長柄喜一郎科学技術庁計画局長

○政府委員(長柄喜一郎君) 特許権の所有権が移転するだけでございまして、特許の内容は公開され続けるものでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 そうしますと、今度は出願前の段階です、特許としての。すなわち、まだ国の権利、国有財産として権利化されていない、そういう段階の研究成果、ノーハウやら技術情報やら、そういうものも含めてでありますけれども、それは国有財産ではありませんから、しかも出願前ということは非公開な段階。したがって、それは秘密のまま、非公開のまま相手方に渡る、こういうこともあるわけですね。

吉村晴光科学技術庁長官官房審議官

○説明員(吉村晴光君) 先生お尋ねの件については二つに分解した方が理解しやすいかと思います。  一つは、特許権になる前の特許を受ける権利、財産権としてなる可能姓があるといったものかと思いますが、それにつきましては、当然国有財産ではございませんが、国の財産の一種でございますので、これは特許権にまで持っていくというのが当然であると思っております。それが特許権になりました段階で特許権の持ち分を一部譲与をするという形になります。  それから、技術情報と申しますか、財産権にならない情報を委託をした方との関係でどういうふうに処理をするかということでございますが、これにつきましては、私どもの受託研究内部のそういった規定におきましては公開を原則にする。ただ、財産権の保護とか受託をする際に、相手方は既に取得をしております技術情報をいただくといったことによって、相手方の財産権の保護をしなければいけないといったような場合は例外でございますけれども、そういった例外を除きましては一般的には公開をするということが条件になっております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 ちょっとこの問題の議論は後からまた立ち返りますけれども、一応ここで中断して次の問題へ移ります。  次の問題は、国家秘密を理由に国際的な研究交流活動が現にいろいろ阻害を受けておる、これが一段と阻害をされるおそれがあるんじゃないかという問題であります。質問の通告をしておきましたので御存じと思いますが、ことしの一月二十七日の朝日新聞の「論壇」に北海道大学の大野教授、この方の投稿記事が載っています。その内容の要点は、東ヨーロッパのある学者を日本に呼んで共同研究をしようとしたが、その学者のピザがおりなくて来円できなかった。それは予定していた共同研究が大型計算機を使うものであり、近い将来にはスーパーコンピューターも使うことになっていたことが問題になったと思われるということであります。  そこで外務省、この事例、なぜビザの発行が認められなかったのか、その点どうですか。

荒船清彦外務省大臣官房領事移住部外務参事官

○説明員(荒船清彦君) お答え申し上げます。  御指摘の案件は、去年の六月、日本学術振興会の招聘に基づきまして、北海道大学理学部におきます共同研究目的のためとして査証申請を行っておりましたチェコ人の物理化学者に対する査証を発給しなかった事案に関するものであると考えておりますが、まず一般的に申し上げますというと、査証申請がございました場合に、その者の入国が我が国の国益を維持する上に問題はないかという観点からケース・バイ・ケースで総合的に判断させていただいております。  本件につきましては、本件の査証発給の可否につきましても共産圏諸国に対する高度技術流出防止の観点をも考慮に入れまして総合的に審査しました結果、査証を発給しないとの結論を出したものでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 そうすると、やはりこの大野教授の「論壇」で言われておる要点はこのとおりだということですね。

荒船清彦外務省大臣官房領事移住部外務参事官

○説明員(荒船清彦君) この個々の査証審査の内容、特に拒否の理由につきましては、一応国際慣行上我が国を含めましていずれの国もこれを公表することはしておりませんので、本件につきましてもその詳細を明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 とにかく否定はなさらない。事実このとおり、少なくとも現職の国立大学教授がみずからの実名入りでここまで書いておられるんですから、事実であることは間違いないでしょう。  そこで大臣、先ほど穐山委員との応答の中にもあったんじゃないかと記憶するんですが、国際的な研究交流を促進するというこの見地は、世界どこを差別するということじゃなく、本当に平等の観点で、学術に何が役立つかという、研究に役立つかという、こういう角度からやっていくべきものであるという基本的な立場というのはありますね。  そこで、そういうふうに見たときに、それがたまたまこのケースのように大型計算機を使う、そのことがそういう技術情報が流出をするおそれありということで、理学部の研究ですから、まさに基礎科学の研究でしょう。そこの共同研究のために外国の研究者を呼ぼうというのがこれが妨げられる、こういう事態というのはどう思われますか、大臣。

河野洋平自由民主党・新自由国民連合科学技術庁長官

○国務大臣(河野洋平君) 私は、本来科学に国境はないという言葉を非常に気持ちよく聞く人間でございます。科学に国境はないというのが本来の理想だろうと思います。しかし一方、現実は、それぞれの国家にはそれぞれの国家の存立のためにやらなければならないいろいろなものがある。その理想と現実をどう調和させていくかということが政治の仕事なんだろうと思っております。  ただ、現在少なくとも今日の段階で日本が国家としてここに存立をし、一億を超える国民の生命、財産というものを安全に守っていこうということを考えればそれなりの政策というものも必要だ、これは否定ができないところだと思います。一方、私が現在科学技術庁の長官として科学あるいは学問あるいは研究、こういうことにフォーカスを当ててみれば、優秀な学者ができるだけ自由な立場に立って研究ができる、いい研究環境のもとでレベルの高い研究ができるということが望ましいということもまた私の願いでございます。そういった点をどこでどう調和させていくかということのために微力を尽くしたい、こう考えております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 科学に国境はない、国境があってはならないという、その理想と現実との、そこの難しさだとおっしゃるけれども、しかし科学に国境があってはならないというのは理想ですか。本当に行政として貫かなくてはならぬ原則ではありませんか。それを理想だというその言い方で、それが時には曲げられることがあったってしようがないよということになったら、それこそ大変なことが次々起こってくるんじゃないでしょうか。もう一遍再答弁を求めます。

河野洋平自由民主党・新自由国民連合科学技術庁長官

○国務大臣(河野洋平君) 繰り返して恐縮でございますけれども、国それぞれ置かれた立場、与えられた前提条件、さまざまな環境の中からそれぞれの国はそれぞれの存立のために知恵を働かし、政策決定をしているわけでございまして、その中の一つの政策決定というものがあれば、私は理想へ近づく努力をしつつも与えられた前提条件の中でベストを尽くすということが今私の立場だと心得ております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 問題を進めましょう。  通産省に聞きます。ココムで決めておるということでありますが、対共産圏輸出規制品員、このリストを要求しているんですけれども、なぜ出してもらえぬのですか。

白川進通商産業省貿易局輸出課長

○説明員(白川進君) ココムにおきます戦略物資の規制の内容につきましては、先生の御要求でございますけれども、これは参加国の申し合わせにより対外的には公表できないという扱いになっておりまして、その点、御理解をいただきたいと思います。  ただ、ココムでの議論を踏まえまして具体的に戦略物資の輸出規制をいたします場合には、それぞれの国がそれぞれの国の輸出管理法令におきまして所要の措置を講ずるということに相なっておりまして、我が国の場合におきましては、外国為替及び外国貿易管理法四十八条に基づきます輸出貿易管理令一条一項一号、この中に輸出に際して通産大臣の承認を受けるべき貨物として別表第一が掲げられております。今先生お尋ねのココムに基づきます戦略物資関係の物資はこの中で百六十四品目、別表品目全体が戦略物資ではございませんでして、その中に百六十四品目含まれております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 しかし、このリストは秘密だ、こういうこと自体私は全く納得できないんです。さっきのSDIの西ドイツ協定じゃありませんけれども。しかも聞いてみると、申し合わせをしているというだけで、何も公表をしないという文書協定をしておるわけじゃないでしょう。単なる申し合わせと称してそういうものを発表しないというのが国の民主的運営とは断じて言えない。ただ、個々のケースでココムの規制品員だということが一つ一つ明るみになってきている事例なんかは出ていますね。そういう貿易上あるいは商業上の品目というよりは科学技術研究にとって欠かせないコンピューターやあるいはその一部である高度の集積回路、こういうものも規制品目に入っているんですね。

白川進通商産業省貿易局輸出課長

○説明員(白川進君) 今申し上げましたように、貿管令別表第一に掲げる貨物のうち、これは政令でございますので官報でも公表されておりますが、その中の百六十四品目がただいま御答弁申し上げましたように戦略物資の関係でございます。今お尋ねのコンピューターあるいはICなどの高度の技術、いわゆるハイテク技術を駆使したような物資についてはかなり多くのものがこの百六十四品目の中に含まれております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 その際の技術情報、いわゆるソフト、これも規制対象になっているわけですね、今のコンピューター関係の。

白川進通商産業省貿易局輸出課長

○説明員(白川進君) ただいま御答弁いたしました貨物につきましては、輸出貿易管理令の体系で規制をいたしておりますが、技術につきましては、外為法二十五条に基づきます外国為替管理令十八条及びこれに基づきます関係省令に基づいて戦略的な技術の対外供与につきましては通産大臣の許可が必要ということに相なっております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 大臣、よく念頭にとどめておいていただきたいと思うんです。今度の法案を通して国際的な研究交流がこれでどんどん促進進展をするんだというふうに言われても、最初に挙げたような、外国から研究者を呼んでひとつ研究を進めようと思ってもそれがビザが出ない、それから研究にとって欠かせないそうしたものを外国が欲しいというときに、それを渡そうと思ってもそれが禁止を受ける、こういう状況を放置をしたままで、幾ら口先で国際的なそういう研究交流がこのことによって、この法案を通してどんどん進みますと言ったって、それはうたい文句にすぎないということをよく念頭に置いておいていただきたい。  もう一つ、今度は文部省に別の事例で聞きましょう。文部省、今回の第三条、国立研究機関にその道を開くというんですが、もう既に国立大学は法律で措置をされて、国立大学に外国人の教官、研究員が採用されておるというのでちょっと資料をもらいました。「昭和六十一年一月一日現在」というので、特に人文科学、語学の関係は外国人が多いに決まっているからこれは外して、むしろ自然科学系で外国人教員の採用状況はどういうことになっているかというあれをもらいました。  そうすると、教授、助教授、講師、これを含めて国立大学自然科学系、トータルで六十一年一月一日現在二十九名。そのうち自然科学系十三名。そのうちいわゆる共産圏、社会主義圏、これは十三人のうち一人なんです。そしてサミットですね、お好きなサミット国、これが七人。その他とありまして、ただし在日朝鮮人、在日中国人の関係は合わせて五人あるんですが、これの国籍がどうかちょっとまだはっきりわからぬというので、これを加えて十三人、そのうちいわゆる共産圏一人。文部省、こういう数字ですね。

佐藤次郎文部省学術国際局学術課長

○説明員(佐藤次郎君) ただいま先生から御指摘いただいたとおりでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 そうしますと、国立大学の現状がリアルに示すように、今度の法案を通して、第三条で国立研究機関にも外国人研究者をどんどん必要な場合招き入れてそういう研究の発展を期すと言ったって、国立大学のこの姿というのは現状が示しているとおりです。それも結局はうたい文句にすぎないという、この例が問題としてもう一つあると思うんですね。さっきから言っているんですけれども、ビザを妨害する、あるいは学術研究技術の発展のために研究機器を、あるいはそのソフトも含めていろいろ交流もし合って、全体としての国際的な発展を期そうと思ってもこれも禁止を受ける、うまいこといかない。    〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕 外国人教員の採用もこういう形で決して言っておるとおりに進んでいない、こういう状況を本当に解決し打開をしない限り今度の法案で進みますと言っているような国際的な研究交流というのは進むはずがありませんよ。いや、私の、科技庁の権限じゃないという、国立研究機関の採用問題は科技庁の話になってくるわけですからね。  ということで、大臣、ひとつあなたの、この私が提起しておる問題、本当に打開をする、解決をするということについて決意のほどを聞きたいんですが。

河野洋平自由民主党・新自由国民連合科学技術庁長官

○国務大臣(河野洋平君) 今文部省から御答弁がありました外国人教員の人数の問題でございますけれども、佐藤先生ちょっとどこがお気に召さないのかよくわかりませんが、確かに、人数がこんな少なくちゃだめだ、もっと大勢呼べ、こういうことでございますれば、私はおいおいこれは数はきっとふえてくるに違いない、こう思います。それから……

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 ちょっと答弁食い違っている……

河野洋平自由民主党・新自由国民連合科学技術庁長官

○国務大臣(河野洋平君) いや、それともう一つは、地域が例えば共産圏というものにいろいろ弊害が、ガードがあってなかなか入らないじゃないか、そこが御質問の趣旨であろうかと思いますけれども、研究者を呼ぶ場合には、私は地域のバランスということも全く考えなくていいとは思いませんけれども、本来はやはり研究の目的に合致するかしないかということが一番重要なものではないかというふうに思うのでございます。したがいまして、私どもも、地域のバランスをとる、北米から何人とったら中南米から何人とらなきゃいかぬ、北欧からどうで、何がどうでというよりは、やはりどの研究にどういう研究者が来てもらうことが一番重要かということがまず一番前に来なければいけないと思うんです。  そこで、先生今御指摘のように、せっかく来ようと思っているのにビザを出さないなんということじゃいかぬじゃないか、こういうことをおっしゃったわけでございますけれども、私は、それにはそれなりに、外務省には外務省のお考えもきっとあるんだろうと思いますが、私は、この法律がお認めいただけて成立の暁には、従来よりは交流が相当に促進されるであろうと期待をしているわけでございます。  しかし、これができたからといって、それはもう何でもかんでもできてしまうというわけにはいかない。やはり制約がある。例えば財政的な制約もあるでしょうし、あるいは定員の制約もあるでしょうし、外交政策上の観点もあるでしょうし、一遍にすべてがよくなるというわけにはいかないと思いますが、しかし従来よりは相当に進む。私は、こういうふうにちっともうまくいかないからこの法律はだめだとおっしゃらないで、この法律をやることによってやはり三歩か五歩は前進する。十歩進むことがいいんだけれども、とりあえず五歩前進するなら今五歩進んでみよう。あとの五歩は不満だけれども、それは次の段階でやったらいいじゃないか、こういうふうにお考えがいただけると大変ありがたい、こう思っているわけでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 大臣は、基本的なあり方についてはいろいろ言っておられますけれども、この国立大学におけるさっきの数字ね、研究の目的、また呼ぼうという側の意向というところに何か問題を転嫁しておるようですけれども、私は、やはりこの十三人のうち社会主義国関係が一人しかいないということは、明らかに政治的な力が有形無形に働いているというふうに言わざるを得ませんよ、この数字というのは。そして、今度の法案を通してうんとよくなりますよと。一歩先んじて道を開いた国立大学の例えば外国人教員の採用の状況がこういう姿でしょう。あるいは最初に申し上げた北海道大学におけるビザの妨害問題、あれだって国立大学じゃありませんか。一歩道を先に開いたという国立大学でそういう問題がいろいろ起こっているんです。さらに問題言えというんだったら言いますよ。私いろいろ耳にしている。  例えば地質学の関係で、海底地質の調査をやろうということでソ連との共同調査を計画した。ソ連からもう日本の岸辺の近くまで調査船が来るんだけれども上陸できない、こういう状況が何年か続いたというんですよ。あるいは東大のある研究所、ここで海底重力のいろんな調査をやってきた。この問題でその調査をやってきた学術的な調査の結果、これをソ連の学者に送った。そうしたら、それについて後から文部省からかなり圧力がかかったそうですね。警察の尾行もある段階ではついたというそういう話さえ耳にします。そういう姿になっているんですよ。  だから、この数字がリアルに示すように、政治的な力が働いておると言わざるを得ない。しかしそういうのはどう見たって道理の通った話じゃありませんしね。とりわけ科学技術行政にとっては有害無益な問題だと思うんですよ。本当にあまねく全世界に開いた平等な科学技術行政でなければならない。そういう研究交流でなくてはいかぬ。そういった点で、ぜひひとつ長官、思いを新たにして、これらの問題を打開をせずして幾ら今度のこの法案で何だかんだと言っても始まらないということで、やってもらいたい。もう一週、答弁を求めます。

佐藤次郎文部省学術国際局学術課長

○説明員(佐藤次郎君) 先生から御指摘いただきました外国人教員の任用のことでございますが、先生御承知のように、国立大学の教官の大事につきましては、これは大学自治の根幹でございまして、大学の教授会の自主的な判断で行われているわけでございまして、日本人の教官を採用すると全く同様に外国人の採用が、手続が行われているわけでございます。念のため申し添えさせていただきます。

河野洋平自由民主党・新自由国民連合科学技術庁長官

○国務大臣(河野洋平君) 研究交流を促進する意味で、法制上の隘路になっているものもあるわけでございます。先生の御指摘のような問題も先生御指摘のようにあるのかもしれませんが、法制上の隘路があるということであれば、まず法制上の隘路を取り除く。しれは法制上の隘路を取り除かないことには、幾らいろいろ先生御心配をいただく点を私ども伺っても超えられないものがあるわけですから、法制上の隘路を取り除こうというこの法律にはぜひ御理解をまずお示しをいただきたい。先生からいろいろ御指摘をいただいた問題については、十分私も聞き取って、私の留意事項として覚えておきたいと思っております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 頑張ってください。

河野洋平自由民主党・新自由国民連合科学技術庁長官

○国務大臣(河野洋平君) 一生懸命頑張ります。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 本日はこれで終わります。

馬場富公明党・国民会議

○委員長(馬場富君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。  次回は来る十二日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十五分散会      ―――――・―――――

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