科学技術特別委員会 第6号
- 発言数
- 252 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1986/05/07
会議録
○委員長(馬場富君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。 研究交流促進法案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○稲村稔夫君 ただいま審議をすることになりました研究交流促進法案につきまして、本論に入ります前に、この法案と私は私なりにかなり重大な関係がある、こういうふうに思っておりますので、過ぐるソ連のチェルノブイル原子力発電所における事故の教訓をどういうふうに受けとめていくか、こういう問題について最初に私は少しお伺いをしておきたいと思うのであります。この問題は、きょうさらに後ほど時間をとって、またそれなりの議論をすることになっておりますから、私は本法案に関係をしているというふうに思われる点についてのみ伺いたいというふうに思っております。 詳細がどのようなものであるかということは、まだわからない点が多いのだと思いますけれども、少なくとも私は、こういう重大な事故が発生をしたということの中には、当然人間が操作をしているものというところに一つ大きな要因があるだろうというふうに思うわけであります。 そこで、私はこうした事故を、外国で起こった事故でありますけれども、そのことを踏まえて我々の体制をいろいろ考えていかなければならないものがあるんではないか。その重大な観点の一つとして、今、我が国の原発事故、いろいろな形で国のというか、動燃関係のものもいろいろとありますし、それから電力会社の原発でもいろいろと事故があります。これらの大小の事故というものをそれぞれ総洗いをして、そして、そういう中で専門的な見地からどういうものがあったか、安全の問題とかいろいろとチェックのことはこれは当然やっておられると思いますけれども、もう一点、人間が扱っているということの中で起こってくるミスの必然ということについて、これはやはり科学的に今後解明をしていかなければならない問題なんではないだろうか、そんなふうに私は思うわけでありまして、その辺のところは、例えば科学技術庁は今までそうした観点から検討をしておられたものがあればどんなことをしておられるのかということを伺いたいと思います。 それから、商業用炉の監督官庁であります通産省でも、その辺のところ今まで何か御検討をなさっているものがあればお聞かせをいただきたいし、ないとすれば、今後その辺のところをどう考えておられるかということを伺いたい。 最初にそのことをお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(中村守孝君) お答え申し上げます。 ソ連のチェルノブイル原子力発電所の事故につきましては、その原因等につきまして詳細な情報も入っておりませんので、現段階でその原因が何てあったかということを申し上げる状況にはございませんが、先生御指摘のように、原子力発電所の異常とか故障、こういうものには人的なミスによるものが非常に重要な因子となっているということは、過去の例におきましても実際にそういうことになっておるわけでございまして、こういった人的因子によります原子力施設の事故を防止するということにつきましての方策につきましては、今後とも一層向上を図り、また、そのために必要な研究というものも推進していかなければならないと考えておる次第でございます。 原子力施設におきましては、もともとフールプルーフ、あるいはフェールセーフといった安全哲学に基づきまして、人的エラーによる事故の防止についても多重の配慮をしておるわけでございますけれども、昭和五十四年に米国のTMI事故が発生いたしまして、これは今回のチェルノブイル原子力発電所ほどのことはないわけでございますが、実態は相当大きな事故であったわけでございまして、この事故が人的因子に起因するところが多かったということにかんがみまして、こういった人的事故防止のための対策について一層強化をするということで、運転員の教育訓練の強化、あるいは事故時におきますマニュアルの見直しといったようなことを具体的に行ってまいりましたし、そのために必要ないろいろな研究にも取り組んでまいったわけでございます。 人的ミスによる事故につきましての研究というのは、まずミスの発生を防止する、それから万一ミスが起こったときにその影響を緩和するということ、それからもう一つは人間の振る舞いの信頼性評価に関するものというぐあいに大別されると思いますが、まずミスの発生の防止、あるいはその影響緩和に関するものといたしましては、原子力発電所の安全性、信頼性の向上の一環といたしまして、電力事業者あるいはメーカー等でいろいろな研究もしておりまして、国としてもこれらに対して補助金を交付する等によってそれを推進してまいっておるわけでございます。 具体的には、TMI事故以降のものといたしましては、新しい型の制御盤を開発した、あるいは事故時に運転員が操作するために必要なガイドをコンピューターを使っていろいろ提示をする運転員の支援システム、そういったものの開発なども進めてまいりまして、その成果は随時現実に採用されてきておるわけでございます。 そして、先生の御指摘の人間の実際の振る舞いといいますか、判断といいますか、そういったものについての信頼性を確保するということについて、体系的に研究するということにつきましては、昨年の原子力安全委員会におきましての安全研究の年次計画を策定する段階でいろいろ検討いたしまして、本年度から日本原子力研究所におきましてこの研究を本格的に進めるということでございます。 その内容といたしましては、ヒューマンエラーに関しますデータを収集、分析いたしまして、確率論的な安全評価に用いられるよう体系化していこうということ、それからもう一つは、人間の認識の誤りの評価なども含めまして、人間の振る舞いの信頼性の評価モデルを開発していこうじゃないか、こういうことを目標に今後この研究に取り組んでいくというところでございます。
○説明員(神田淳君) 運転員の誤操作防止対策について通産省のとってきた措置でございますが、最初にまず、原子力発電所は設備面におきまして誤操作を引き起こさないようにインターロックシステム等が設けられているわけでございますが、原子力局長の御答弁にもあったとおり、昭和五十四年のスリーマイルアイランドの事故が運転員の誤操作によって引き起こされたものということで、非常にこの辺の対策が重要であるということから、その教訓を反映いたしまして、例えば中央制御室を人間工学的なシステムの配置にしていく、あるいはCRTの採用、こういったものをやってきたわけでございます。 それから、運転員の教育訓練というのが非常に重要でございまして、電力会社におきましてはBWRの訓練センター、これは福島にございます。それから敦賀の原子力発電訓練センター、これはPWRでございますが、こういったところの訓練を充実させまして、シュミレーターによりましてプラントの異常操作、異常時の対処、こういった連係プレー等の訓練を充実させてきたというところでございます。それからなお、運転員の当直長をさらに資質を向上させるために、運転員の当直長の資格を認定制度にするということでそのような制度をつくりまして、当直長をちゃんとした資格を持った人間にしていくというのをやってきたわけでございます。 そのようにして運転管理の充実を図ってきたところですが、なおこの分野につきましては、例えば運転員の支援システム、こういう事象が起きたときにこういうふうな対応をしたらどうかという、そういった運転員に示唆を与えるようなシステムといいましょうか、そういったものの技術開発も重要でございまして、その辺の技術開発も今後の課題としてやっていっているという状況にございます。
○稲村稔夫君 今いろいろと御答弁をいただいて、現段階というのが少しはわかったような気もいたします。しかし、いずれにいたしましても私は、科学技術という観点から言ったときに、一面では必ずミスとかエラーとかというものはつきまとってくる。それを恐れてはかりいれば、なかなかそういうものには取り組めないという観点が一方ではあると思います。しかし同時にまた一方では、必ず起こるという、これも私は、例えばこの間のスペースシャトルの事故のときも、それこそ宇宙飛行士の中には、もういつか起こるだろうと思っていたというようなことを言っておられた談話を読んだりしたこともありますけれども、そういうふうに、もう安全だと思われているものといっても、やはりそれは必ずどこかでそういうものが起こってくる。 しかもそれが過去の科学技術のように、限定される、例えば何か間違いが起こっても、被害が仮に起こったとしてもその範囲が限定されているときというのは、それはそれなりに対処の仕方も比較的やりやすかったでありましょうが、今日のように組織化をし、さらにそれが効力も物すごく大きいということになってきた時代には、私はこの辺のところはかなりシビアに考えて対応を考えなければいけないんじゃないかというふうに思っているんです。 これは「科学朝日」の五月号ですけれども、たまたま「「エラー」を科学する」という特集が組まれておりまして、それでこれの読後感もいろいろとありますけれども、いずれにいたしましても、そうしたやはり人間はエラーを起こすものだということを前提にして対応を考えなければならない、こういうことになってくるわけだと思うのであります。 そこで、例えば今の原子力局長の御答弁でいきますと、日本原子力研究所で今度は具体的にヒューマンエラー等についての検討にも入っていくというようなお話がございましたが、私は、これが本法案と関係をするというふうに申し上げましたのは、実は次の点をいろいろとお伺いをしたかったからなんであります。それは、今回の法案に人文科学系のみの研究機関というものが除かれております。この辺のところが私にはちょっと割り切れないものが残っております。なぜこれを除いたのかということについてまずお考えをお聞きしたいと思います。
○政府委員(長柄喜一郎君) 独創的な、創造的な科学技術を生み出していくために、異分野間または他領域の分野の専門家が協力して研究しなきゃいかぬというふうな点につきましては、昨年のいわゆる行革審答申、それから一昨年の科学技術会議の十一号答申でも強く指摘をされたところでございます。今回の法案はこれらの指摘を踏まえて作成したわけでございますけれども、十一号答申及び行革審答申のいずれも人文科学のみのものは対象にしてなかったというふうに我々は理解しているわけでございます。 ただ、今後の科学技術政策を展開するに当たりまして、科学技術と人間、また社会、こういうものの調和ということは、科学技術政策大綱にもございますように非常に重要であるということから、我々としても人文科学の発展ということをぜひやっていただかなきゃいかぬ、こう考えている次第でございますが、ただ、人文科学の振興というものと自然科学の振興というもの、同じ方法でいいのかどうか。自然科学の研究につきましては、やはりこれは共同で研究を進めるというケースが非常に多うございますし、人文科学の場合は個人でいろいろ研究されるという場合が非常に多いかと思います。そういう意味で、両者を同じ方法でいいかどうかということについては、我々としても十分それでいいかどうかということについ ては承知していないわけでございます。 ただ、日本におきます人文科学の研究は大部分が文部省所管の研究所ないし大学で行われておりまして、この方々は教育公務員特例法によって既に弾力的な措置がとられています。そういうことでございまして、我々としては、人文科学の振興ということはぜひ必要だと考えてはいるわけでございますけれども、今回の法律からは人文科学のみのものは除いたということでございます。
○稲村稔夫君 こういう表現の仕方をしては大変恐縮なんですけれども、どうも今の御答弁は何か平板な感じなんですよ。といいますのは、我々が取り組んでいるもの、科学技術庁が取り組んでおられるものの中でいきましても、例えばライフサイエンスといった場合には、言ってみれば自然科学系の科学技術ばかりではなくて、いわば人間としてのあれにかかわるもろもろのものがやはり一緒に検討をされる、こういう形になって新しい分野が開けてきている。私は、これが今もう完成をしたものだとはとても思いませんけれども、体系として。しかしそういう方向へ動いていっていると思うんです。ソ連の原発事故、これはたまたま問題を提起をしていく一つのきっかけでしかないんで、それもアメリカのスリーマイル島のときに既にそういうことがもういろいろと言われてまいってもきていたわけでありますから、本来そのときからそういうものが考えられなければならなかったんではないかというふうに私は思うんですけれども、科学技術庁というのは科学技術の進歩のために政府間のいろいろな調整をしていかれる、こういうことであります。 そうすると、国立の研究所と民間との交流ということも、これも私は大事でないとは言いません、大事なことなんです。しかしそれよりも前にこうした巨大科学というんでしょうか、我々が手にした非常に大きな科学の動きというものに生きている人間としての立場からこれにどう対応するかということは、これは総合的に、経済の問題もありましょう。しかし営業ということでいけば経済はもう既に入っているということになるかもしれませんがね。しかし、芸術一つにしたって私は決してないがしろにできないことだ。色という問題もありましょうし、それから音という問題もありましょうし、いろんなあれがあると思いますのでね。 そういたしますと、言ってみれば私は、事故というもう起こってはならないことが起こった。それだけに今急がれているのはそっちの方じゃないだろうか。今局長の御答弁は、人文系はそれぞれ個人が中心だとおっしゃいました。だが、それが逆に自然科学の急速な発達に一方のものが必ずしもうまくフィットしてないといいましょうか、対応してないといいましょうか、そんなところにも社会体制全体の問題としていろいろと問題が起こってきているんではないだろうか、そんなふうにも私は思うのですよ。 そうすると、とりあえずの問題としては、そうした、経済にしても哲学にしても、あるいは芸術系のものにしても、それがこういう例えば今の原発なら原発の例でいけば、ミスを犯させないためにどういうあれができるのか、そういうことをやっぱり総合的に組み込みながら、例えば原発の科学、自然科学的な観点からの安全性の問題だけではない、その辺のところが非常に急がれているのじゃないか、そう思うんですよ。今たまたま原発のことで例を出しましたけれども、原発ということに限らず、いろいろな科学技術の分野では今急がれてきている問題ではないんだろうか、こんなふうに思っておりますので、これは言ってみれば一番基本にかかわる考え方なんで、その辺は長官、もしお考えがあればお聞きしたい。
○国務大臣(河野洋平君) 先生も十分その辺は御承知で御質問だろうと思いますが、この法律はまさに人文科学系のみを除いているわけでございます。まさにそこは人文科学のみの部分を除くということでございまして、今御指摘のように、自然科学と人文科学の重なり合った部分とか、一緒に何かをやっていこうという部分は当然この中でカバーをしていかなければいけない。人文科学系、例えば万葉集を研究するとか、源氏物語の研究をするとか、それはもうそれだけでやっているよという部分を除くということでございまして、御指摘のように、宇宙工学でございますとかあるいは原子力発電における事故防止の研究でございますとか、まさに機械と人間とが共同作業をやる、機械のミスは人間が見つける、また人間のミスは機械がそれをチェックするというような部分についてはこの法律でカバーをしてやっていくというふうに考えているわけでございます。 先ほど局長から申し上げましたように、入文科学系のみでその研究が進んでいる部分については、大学の研究室などを中心にして、あるいは個人で、どう言ったらいいんでしょうか、非常に一人でこつこつやっていらっしゃるという部分についてはこれは実は外しておりますけれども、そうした一緒に研究を進めていくという分野については御指摘のとおり非常に重要なこれから先研究テーマになっていくんじゃないか、そういう部分についてはカバーしていかなきゃいけないというふうに考えて、この法律もそういうものを含めているというふうに理解をしていただきたいと思います。
○稲村稔夫君 長官のおっしゃることも私も理解できるんですけれども、しかし、さらにあえて申し上げていけば、今の科学技術の発展、大きく急速な進歩というものに社会科学の面でついていってない部分というのがかなりあるという感じは、もうこれは否めないと思うんですね。それだけに、そうしたあらゆるものが総合されて検討されていくような新しいシステムというものが必要な時代になってきているんではないだろうか。 私は実は、ここで今人文系だけのことを伺いましたけれども、そういう意味でいけば、大学の研究室が別に法律があるからということでこれも除外という形は、本当は私はその辺も疑問があるんです。といいますのは、もし議論をするならば総合的にすべてのものについて議論をしなければならないものというところに一つ大きな疑問がございます。今のあれも結局大学で研究をしておられる、その研究しておられることの中で何か社会に役に立つ知恵、科学技術と結びつけて考えて発展をさせていくべき知恵というものはいろいろとあるはずです。専門化をしていっている時代というのは、専門化というのは、自然科学だって専門というのは専門以外のことはだんだんわからなくなってきます。私どもみたいな素人の方がむしろ全体をながめるということが、時々やぶにらみでとんでもないことも考えたり言ったりしますけれども、しかしそういう場合もあるということでありますので、そういう研究交流という精神はそれは私はいいと思っております。やらなければならないことだと思っております。 しかし、もう少し違う言い方すれば、場合によっては何というか縦割りみたいな部分が残っている、そういう格好ではぐあいが悪いんではないだろうかということ。これは、私は整合性なんというようなことを本会議でも申し上げましたけれども、そういういろんな意味が含まれている疑問なんであります。入り口で随分時間とって恐縮でありますけれども、やはりこの法案を審議するに当たって一番基本になっている疑問でありますので、そこのところはぜひ申し上げておきたいというふうに思いました。 さらに私は、そういうことが今回のように、これ主として見ていけば民間との交流、外国との交流ということが大体柱になるわけでありますが、そういうことよりも急がれている側面として私は今申し上げているつもりなんですね。そのことは、例えば高学歴社会になってきていますし、あるいは高齢化社会ということも言われるようになってきています。それから、そういうことといろいろまた関係があるんでしょうが、教育の問題も非常に大きな社会問題になってきています。これらのことが私は今の科学技術と無縁には存在しない、いろいろと出てきておる、言われている問題というのは科学技術と無縁ではない、そんなふうに思うんですよ。ですから、総合的な研究交流のシステムをつくり上げていくというそういう役割をぜひ科学技術庁に積極的にやっていただきたい、省庁縦割りのあれを排してですね。ということで、ぜひそういうことをお願いをしたいと思うんですけれども、その点はいかがですか。
○国務大臣(河野洋平君) 私、稲村先生から本会議でも御質問がございましたときに御質問を伺いながらいろいろ考えるところがございました。確かに、法律をつくる立法上の考え方からいいますと、全部にかぶる、こういう法律というものは一つの法律ではっと全部かぶるという方が私もいいように思います。ちょっと先生の質問の趣旨と違うかもわかりませんけれども、文部省の関係もこの法律がかぶるし防衛庁もこれをかぶるし、全部がこの法律をかぶっていく、一つの法律で全体が同じように扱われていくということがいいのだと。どうして文部省の関係だけがこの法律から除外といいますか、別のことになっているのかと言われれば、形としては全部がかぶっている方が形としてはいいなと。実効は別だと思います。実効は、文部省は文部省で既に教育公務員特例法等でかぶっておりますから実効上は違いはないと思いますけれども、法律の姿、形からいうと、こういう法律は全体にばっとかぶる方がいいなというふうに私も実は思いました。 それは、かねてから私もそう思っておりましたから、この法律案を作成いたしますときにも私は何度かそういうことを関係する方々には申し上げたことがございますが、しかし文部省の御関係の方々は、いや、自分たちはもう既にあなた方が言うより先にやっておる、十分同じような実効が保証されておるということでございまして、そういうことならば、形だけを整えるということよりはやっぱり実効が大事でございますから、じゃいいなと。ただし、この現在の文部省のできております法律の中で今回私どもが御審議をいただいております法律案と同じではない部分があるわけでございまして、多少後で考えなきゃならぬ部分も、臨教審の答申なども待ってやらなきゃならぬという部分もあるようでございますから、全く同じではございませんけれども、本当は、形の上からいうとその方がいいなというそういう考え方も確かにある、しかし実効上は問題はないということでございまして、どっちをとっていくかという選択の問題だったと思います。 実効上の問題で特に補足があれば局長から補足をしていただきますが、立法上の姿という意味からいうと私はそういう感じを持ったわけでございます。
○稲村稔夫君 私、皆さんがそうだということを申し上げるのではありませんが、文部省の関係、特に大学の関係の研究者の皆さんはやはり研究の自由の問題であるとか自治の問題であるとか、その辺のところがどう保証されるかということが一番大きな関心事なんであろうと思います。それらのことがどういう形で、納得をしていただけるその方々もこれならやっぱり積極的にそうした方がいいなと言うような条件をつくっていかなければ、長官が希望として持っておられるような形にはなかなか現実の問題としてはいかないと思うんです。これから私もいろいろと疑問になる点を内容について御質問申し上げていきます。そういう点もなかなか大学関係の皆さんと一本化したものができないという要因の一つであろうというふうにも思うわけであります。 いずれにしても、こうした人間というものと科学技術とのかかわり、これをもうとにかく総合的にとらえる、そういう新しい科学の展開、技術だけのと言うと語弊があるかもしれませんけれども、技術だけの進歩というものから、そういう社会全体の中で進歩というそういう方向へいくように、ぜひ科学技術庁としては旗を振っていただきたいということをまず御希望を申し上げておきたいと思います。 そこで、法案の内容に関連をして御質問申し上げていきたいというふうに思います。 最初に、私は本会議の質問でも自衛官の研究者の方を加えたというのはどういうわけかということでお伺いをいたしました。防衛庁お見えになっておりますか。——防衛庁は技術本部の方の第一研究所から第五研究所ですか、までの研究所ございますし、それから札幌以下それぞれ試験場ございます。ここでどういう研究、そして試験をしておられるのかということをまずお伺いをしてみたいと思います。
○説明員(太田眞弘君) 防衛庁装備局開発計画官、太田でございます。お答えを申し上げます。 防衛庁の技術研究本部の研究所及び試験場は、自衛隊の使います装備品等の研究開発におきまして技術研究、試験評価及び試験評価のための研究を行っておるわけでございまして、今御質問のございました五つの研究所及び五つの試験場がございます。 そのやっております内容と申しますか分野を御説明させていただきますと、第一研究所におきましては船舶、船でございます。船舶とか通信機材、電波機材、これはレーダーなどでございます。それから火器、弾火薬類などに関します研究をいたしております。第二研究所におきましては食糧とか繊維製品、それから衛生とか適性に関する研究をいたしております。第三研究所におきましては航空機、それから航空機に搭載します機器、それから誘導武器についての研究をいたしております。第四研究所は施設機材とか車両、それから車両に用います機器についての研究をいたしております。第五研究所は水中武器、音響機材、磁気機材などの研究をいたしております。 それから試験場でございますが、札幌試験場におきましては、これは寒地にございますので、装備品等の寒地とか積雪地それから泥薄地における性能を試験いたしております。下北試験場は、これは青森県の下北郡にございますが、ここで火器とか弾火薬類の弾道性能などの試験をいたしております。土浦試験場におきましては主としてロケットの性能試験をいたしております。新島試験場はミサイルの諸性能の試験をいたしております。岐阜試験場は航空機及び航空機用の機器の性能に関する試験をいたしております。 以上でございます。
○稲村稔夫君 それで、防衛庁のやられる研究なわけでありますから、例えば船舶というものについての研究というのはどんな研究をされるんですか。
○説明員(太田眞弘君) 例えばでございますか。
○稲村稔夫君 ええ、例えば。
○説明員(太田眞弘君) 御質問の船に関するものといたしましては、例えば艦艇の流体雑音低減化の調査研究というのがございます。これは船と船の周りの、船が走っておりますと流れができます。その間に発生いたします雑音が出てまいります。この雑音をできるだけ減らそう、そのためにはどうしたらいいかというような調査研究でございます。このようなことをいたしております。
○稲村稔夫君 その艦艇の今の雑音の例でいけば、そうすると雑音というのは潜水艦との関係というのも出てきますか。ソナーとの関係なんというのもあるんですか。
○説明員(太田眞弘君) 船はできるだけ静粛にする、世界の傾向といたしましてできるだけ音を出さないように静粛に走りたいということでございますので、そのためには雑音の出るところをできるだけ減らしていこう、こういうことでございます。
○稲村稔夫君 それぞれお伺いいたしましたけれども、防衛庁でやられる研究というのは例えば今のお話でも船舶の雑音というお話でありますけれども、これも言ってみれば艦艇というものを中心にしてお考えになるということになります。第一研究所でその地やられていることもそれぞれやはり防衛の関係と切り離した研究はできないと思うのですね。 それで、第二研究所では食糧というふうに言われたけれども、この食糧にしても、多分何というんでしょうか、携帯食糧だとか、あるいは、私もかつて戦争末期に航空機に乗る方の高カロリー食というんですか、そんなものをつくる研究が大学へ来て、それを手伝わされたなんというような経験もございますけれども、言ってみればそういう隊員の行動というものにかかわってのものであるとかというような、やはり防衛とのかかわりで考えられる。あるいは大きな面でいったら、日本全体が食糧が来なくなったらどうなるかなんというようなこともあるいは含まれるのかなというふうにも思います。これはそれぞれのところは、防衛との関係は全然関係しない研究というのをされるわけですか。
○説明員(小池清彦君) お答えいたします。 ただいまお尋ねの技術研究本部の関係でございますと、確かに防衛装備品絡みの研究をやるわけでございますが、その中にはやはり基礎的な分野も含まれるわけでございまして、そういう部分におきましては、例えば車両が寒冷地にも耐えるようなエンジンを研究するというようなことになりますと、それは防衛技術にも役立ちますが、同時に汎用技術にも役立つ、そういう部分がございます。 それから、この研究交流促進法の対象になります防衛庁の機関は技術研究本部のみではございませんで、防衛大学あるいは防衛医科大学、そういうところも含まれております。ところが、例えば防衛大学校でございますと、これは一般の大学と全く同じ大学教育を授けておるわけでございまして、そのほかに訓練とか防衛学とかそういうものもございますけれども、そういう教育にタッチしておる者はこの研究交流促進法の対象にはなっておらないわけでございます。防衛大学校の理工系の教官というようなことになりますと、全く一般の大学の教官と同じ研究を行っておる。したがって、そういう分野におきましてはほとんどが防衛研究とは直接関係のない分野の研究を行う。防衛医科大学校もそのようなことになるわけでございます。
○稲村稔夫君 私が伺っていないことも一緒に答えていただいたんですけれども、私は今防衛大学のことを聞いていたのではなくて、今回のこの対象になるものの中の一つに技術本部が入っておりますので、それの関係のものについて伺ったわけなんですよ。防衛大学の問題でいけばまたそれなりにいろいろと議論もありますけれども、今伺ったのはそういうことなんです。 それでさらに、それぞれの試験場というのは、それこそ装備品の試験というのがこれは主体になるわけでしょうか。装備品のテストか、火器、ロケット、ミサイルのテストというのが主体になるのでしょうか。
○説明員(太田眞弘君) お答えいたします。 先生のおっしゃるとおりでございます。
○稲村稔夫君 この第一研究所から第四、五研究所まで、それぞれの試験場で研究者というのはどういう人たちを言いますか。
○説明員(太田眞弘君) 今回の対象となっております技術研究本部の研究者、これにはシビリアンの研究職とそれから自衛官とございます。そして、それぞれ研究所及び試験場におきまして装備品等の研究に従事いたしておりまして、研究職としての職務の性格とか研究者としての経歴、これらはいずれも他省庁の研究職と同様であろうと考えております。それから、研究者の能力を学歴ではかることもなにかもしれませんけれども、例えば修士卒業者、博士号を持っている者、その他を比べてみますと、大体約半数が修士号を持っている者ということでございまして、一般の他省庁の研究職の方と同様の経歴を持っているとお考えいただいて結構だと思います。
○稲村稔夫君 その研究を、研究職といわれる方がここでそれぞれ基礎研究、基礎試験みたいなことをやられるんですか。それだけの人たちが対象になるのですか。
○説明員(太田眞弘君) 先生のお話しの基礎研究という、基礎という言葉が非常に広いといいますか、広く使われておると思います。もちろん防衛庁の研究所でございますので、いわゆる大学のような、真理の探求というような意味の基礎研究はいたしておりません。どちらかというと応用的な研究ではございますけれども、その範囲というのは開発の基礎となるような段階まで、割合広い範囲を扱っております。
○稲村稔夫君 応用というのは、それは結局装備あるいは広い意味でいけば防衛作戦行動とか、そういうものとのかかわりを持つものについての応用ということになるんじゃないですか。これ、特に試験場についてはそうなんじゃないですか。
○説明員(太田眞弘君) 技術研究本部のミッションが装備品の開発でございますので、そのための試験でございますから、先生の御指摘のとおりでございます。
○稲村稔夫君 そして、今基礎は広いとおっしゃったけれども、基礎が広いということは、私もそれがあるからまあまあ防衛大学校についてもいろいろと議論もありますというつもりでいたわけでありますけれども、たまたま防衛大学のお話が出たから、今ここでそれと同じような研究というようなものがされているのかどうかということも確認をしたいと思いますけれどもね。その辺は、それぞれの研究所あるいは試験場ではやっておられるんですか、防衛大学と同じようないわゆる基礎的な研究というものを。
○説明員(太田眞弘君) テーマとしましては、防衛大学校と同じようなテーマを選ぶということはあり得ると思います。ただ、防衛大学校と比べますと、どちらかというと応用の方といいますか、開発に近いものを研究しているとお考えいただいていいと思います。
○稲村稔夫君 わかりました。防衛庁、大体私が伺いたいと思ったことは以上であります。 そこで科技庁に伺いたいのであります。 先日、衆議院の方の委員会で科学技術庁設置法とのかかわりで質問が出されて、それに対しての見解を出されました。まとめられましたね。その見解とのかかわりで、今の防衛庁の技術研究本部、あるいは特に試験場等とのかかわりというもの、それをどういうふうに考えたらいいですか。
○政府委員(矢橋有彦君) ただいま先生御指摘の、衆議院の科学技術委員会におきましてその問題について私どもの見解をまとめて御報告申し上げました経緯がございます。 ポイントだけいま一度申し上げますと、科学技術庁設置法第三条及び第四条を総合した場合に、科学技術庁の所掌には防衛技術、すなわち専ら防衛のための技術に関することは含まれていないということ。そしてこのことは、本法案によりこの点に変更は生じないものと考えるということ。 それから二番目に、このたび当庁がこの法案のとりまとめを行ったわけでございますが、なぜ当庁がとりまとめを行ったかということについて言及をしております。これについても申し上げますと、これは設置法第四条第一号から第三号までにより、本法案の対象となる主たる部分を当庁が所掌していることによるものであるという旨を御説明申し上げました。 それから、そのほか若干手続的なことでございますけれども、第三点といたしまして、本法案の閣議決定は、関係各省庁の共同の閣議請議によって行った。その際当庁は防衛庁との連絡に当たったという旨及び本法案の、これから先の話でございますが、政令の閣議請議についても同様となる予定である旨を御説明申し上げました。 以上、主として防衛庁との関係に着目しての話でございますけれども、文部省との関係についても同様である旨を御説明した次第でございます。 以上が衆議院段階における私どものまとめた考え方でございます。
○稲村稔夫君 ということだったことは私も確認をしているわけでありますが、そこでやはりひっかかってまいりますのは、科学技術庁というのは、専ら防衛技術に属するものについてはこれは科学技術庁の所掌の範囲には入らない、こういうことになりますと。しかし、この法案の中では専ら防衛のための研究というものが加えられるということになるわけです。あるわけですね。そうすると、取りまとめの主たるものが、多くの部分が 科学技術庁の所掌に当たるものだったからというだけではどうも私はおかしいんではないか。そういう本来の設置目的と合わないものを含めた大きなものをひとつつくろうというのであれば、もっと別の形でこの法案の準備がされなければならなかったのではないか、そう思うのですけれども、その辺はいかがですか。
○政府委員(矢橋有彦君) ただいま先生の御指摘の点は、先ほど私が申し上げました第二点の関連事項であろうと思うわけでございますが、この法律は科学技術庁だけの法律でございませんで、いわば各省庁の共同の産物でございます。そしてこれはだれかがまとめなくてはならないものでございます。その場合だれがまとめるかといえば、一番主たる部分を占める省庁がまとめるというほかにないわけでございまして、そういった意味で、防衛庁との関係はどうかという御指摘につきましては、防衛庁との間では連絡に当たっていわば共同で閣議請議をしたという仕組みでございます。
○稲村稔夫君 その辺のところが私はおかしいと思うんですよ。というのは、設置法からいったらなじまないもの、そういうものを取りまとめるというところに一つ問題があるのではないかということを私言いたいんですよ。ですから、何も法案をまとめる場合に主たる省庁というのが例えば科学技術庁でなければならぬということはないと私は思うんですよ。総務庁なんかで取りまとめていくとかいろ。いろな方法があると思うんです。私は、まさに異質なもの、防衛庁以外のものは、それはそれぞれ多くのものは、中にはあるかもしれないけれども、それはわからぬですけれども、通念的にいきまして平和目的から逸脱をするような、そういう形の研究機関というのはこれはないと思うんですよ。ですから、その平和目的ということにいったときに、防衛庁は一言あるかもしれませんよ。防衛庁だって平和目的でやっているんですという言い方があるかもしれませんが、言ってみれば一つの専ら防衛に関するものという、いわば軍事にかかわるものというそのことでない部分、これを統括をされるというのならそれはそれなりにわからぬではありません。しかし全く性格の違うものがここのところへ入ってくるというところに、そしてそれを科学技術庁がまとめられたというところに私は大きな疑問を持っているのでありますが、その辺はどのように考えておられますか。
○政府委員(矢橋有彦君) 実は、当科学技術庁との関係で異質な省庁が二つあるわけでございます。一つはただいま先生御指摘のように防衛庁でございます。それは御指摘のとおりでございます。いま一つは文部省でございまして、当庁設置法の科学技術云々という場合の科学技術という言葉の中から大学にかかわるものが除かれております。そういった意味で、当庁から見まして防衛庁と同様に文部省はいわば異質といえば異質であるわけでございます。したがいまして、科学技術庁を含むその他の省庁のグループと防衛庁及び文部省、いわば大きく申しましてこの三つのグループと申しますか、の共同作業がこの法案であるという関係になるわけでございます。その場合だれかがまとめなければならないわけでございまして、繰り返しで恐縮でございますが、一番大きな分野を担当する科学技術庁がまとめるのが順当ではないだろうか、かように考えるわけでございます。 そこで、確かに先生仰せのように、総理府本府あるいは総務庁といったところでまとめることも理論的にないわけではないと思うわけでございますが、やはり科学技術の振興を図るための目的を持って科学技術庁というものが大臣を長とする序として設置をされているわけでございまして、やはりここは私ども科学技術庁が大いに努力をしなければならない場面ではないだろうか、このように考えた次第でございますし、また、昨年七月の行革審答申の中でも、科学技術庁は、各省庁の協力を得て研究交流促進法一仮称一をまとめるべきであるという指摘があったわけでございます。だから私どもやったというそれだけの理由ではございませんが、そういった指摘も受けていることは事実でございますので、特に申し添える次第でございます。
○稲村稔夫君 いや、ですから私が申し上げているんですよ、方法がそのほかになかったわけじゃありませんでしょうと。例えば、これも本会議で私は長官に申し上げました、整合性が欠けるのじゃないかという観点で申し上げましたけれども、一方では大学関係というのは別になりますと言いながら、一方では設置法とのかかわりで、専らそれだけで考えていけばその平和目的というのにはいろいろと疑義が入ってくる、そういう防衛庁の研究施設、研究者というこれとの関係を、それを一方は異質だから外しました、だけれども一方は構わないから入れました、これ、どうしても理解ができないですよと言うんです。方法がないのだったら別ですが、方法があるのですもの。その辺はどうなんですか。
○政府委員(矢橋有彦君) 文部省との関係でございますけれども、この法案は大きく分けまして身分法の関係の条項と財産法との関係の条項と二つから成っているわけでございますが、その後者につきましては、それも対象になっているわけでございます。そして身分法のうち一部が抜けているという関係でございまして、このたび私どもはいわば防衛庁と共同作業によってこの法案を取りまとめたわけでございますが、やはり文部省との関係でも同じく共同作業の結果この法案を取りまとめたという関係になるわけでございます。 したがいまして、先ほども申し上げましたように、問題は防衛庁との関係だけでなくて、防衛庁、文部省という二つの別々のいわば異質の省庁がございまして、それと科学技術庁を含む他の省庁、その三つのグループ全体に関係する法案として一番多くの部分をカバーする当庁が取りまとめたという関係でございます。若干繰り返しになって恐れ入りますが、そういった関係でございます。
○稲村稔夫君 溝の壊れたレコードみたいに、こっちの聞くこともあなたの方が答えることも同じところをぐるぐるぐるぐる回っているというような形に今なっているんですがね。 私が伺っているのは、今のようにもっと別の次元からまとめるという方法もなかったわけではないでしょうと。それからまた、本会議で伺ったのは、防衛庁も文部省と同じようにそれなりの対応の法律をつくるという方向でやって、それぞれ国会で審議してもらってやるという方法だってあるでしょうと。だから、そういう質的に科学技術庁とは違うものをなぜあえて入れなければならなかったのかというそこのところがわからぬと言っている。ほかに方法がないんだったらそれは、賛成できるかどうかは別にしてもわからぬではないということになりますけれども、ほかに方法があるんだけれどもあえてこういうふうになった、そこがわからぬ、こう言っているのです。
○政府委員(長柄喜一郎君) 本法案は、国の研究機関と国以外の者ということで、民間企業、外国、こういうところとの研究交流を促進する上での非常に障壁になっている法律的な問題を取り除く、そして国全体の研究開発活動の効率化を図るということを目的としたものでございまして、国の研究機関における研究者からすべてを対象にしているわけでございます。したがって、防衛庁の研究者につきましてもこの法案の対象としたわけでございます。 この際、防衛庁の職員の方と一般の省庁の研究者の方を一つの法律で扱うのがいいか、別の法律にするのか、これはいろんな方法があり得るわけでございますが、特に我々といたしましては、普通の、一般の省庁の研究者の方も防衛庁の研究者の方も同じく研究業務に従事しているということから、同一の法律で扱っていいんじゃないかという結論になったわけでございます。防衛庁の職員の方と一般の国家公務員の方と同一の法律で扱った身分法的なものも幾らかございます。こういう例もございまして、我々としては、同一の法律で扱っても特に立法上問題はないという結論に至ったわけでございます。 なお、文部省の国立大学の教官の方でございますが、これにつきましては既に外国人教員任用特別措置法、また教員特例法等がございまして、身分法的にはこの法律の第三条、第四条とほぼ同様な規定が既にできております。抜けておりますのは第五条でございますけれども、これにつきましては臨時教育審議会等におきましていろいろ大学のあり方について議論がされておりまして、文部省といたしましては、臨教審の答申を得てこの教員特例法を今後改正したいという意向がございましたので、この第五条だけ抜けていると。第六条以降につきましては、財産法関係でございますけれども、これは防衛庁も一般の省庁も文部省も対象となっている次第でございます。
○稲村稔夫君 困ったですね。私がさっきから申し上げているのは、方法としてそういう方法もなかったわけではないということはお認めになっているわけですね、それも考え方の一つだということはお認めになっているわけですよ。だけれども、そういう考え方をとらなかったのはなぜかということを私は一生懸命聞いているわけですからね。それにちっともお答えにならないで、何かほかの方ばかりをお答えになっているから何回も同じことを聞かなければならぬ。
○国務大臣(河野洋平君) 稲村先生のおっしゃる御意見も私は理解できます。 できますが、私どもの気持ちを申し上げますと、科学技術庁としては、科学技術の振興、そしてそれによって国民経済に寄与する、あるいは社会全体の進歩発展に寄与する、こういうことが科学技術庁の役割と心得ておりまして、今いろいろ考えてみて、科学技術の振興のために我々がなすべき重要な仕事が幾つかある。そのうちの一つに、国の研究所あるいは国が、国以外の者との研究交流を促進する上での隘路が幾つかある、この隘路を取り除くことが国の研究あるいは日本全体の研究を進めていく上でプラスになる、つまり科学技術の振興にプラスになる。こういうことを我々は考えまして、これは科学技術庁の仕事である、こう考えたわけでございまして、ぜひ科学技術庁の責任においてやりたいな、こういうふうに思っているわけであります。 しかし、おっしゃるように、それぞれの役所にはそれぞれの役所の設置法があり目的があって、それぞれの役所にはそれぞれの目標があるわけでございますが、科学技術庁が持っておる目標あるいは科学技術庁の設置法に書かれている目的等を考えますれば、大体全体をにらんで、科学技術の振興のためになすべき施策の一つとして、こうした隘路を取り除くその取りまとめ役を我々がやることが適当であろうという少し積極的な意思があってこの取りまとめに当たったわけでございます。 先生御指摘のように、その取りまとめに当たりましては、先ほど来、官房長、局長が御説明を申し上げましたように異質のものがある。あるけれども、その異質のものにつきましてもこれをやることによって科学技術庁の性格、従来とってきた我々の性格あるいは考え方が変わるものではないということを十分に確認をした上でこれが取りまとめに当たったわけでございます。ぜひその点は御理解をいただきたいと思います。
○稲村稔夫君 なぜこうしたかということについてはわかりました。が、それをおっしゃられると、なお私の方は、ここで専ら防衛のための研究というものが十把一からげに加えられた、そのことについては了承をしかねるということになるわけでありますが、この問題は見解が違うということでどうも堂々めぐりになりそうでありますから、それだけで時間ばかり経過してしまいますので、先の方へ進ませていただきます。 次に、本法案の中で退職金問題に触れられているわけであります。それから、これとちょっと共通の問題点があるような気がいたしますので加えてあれしますと、特許権あるいは実用新案権の民間との共同研究の場合、その一部が譲与をされる、こういうことになっております。その辺の問題について少し伺いたいというふうに思います。 最初は、公務員であります国立の研究機関の研究者が民間に出向をいたしましたときの今まであった不利益な点、こういうことが取り除かれるということなんでありますけれども、それは私は、一方では確かに大事ないい面だということがあるかもしれませんが、同時にまた、これが弊害を生むということもあり得るということを危惧するわけであります。私は、もろ刃の剣になるんではないかというふうに心配をしております。みんな人間なわけでありますから、公務員といえども人間なわけであります。これが民間に出向をいたしまして、退職金に不利益はないということになってきて、言ってみれば研究費もたっぷりあるし、それからいろいろと処遇もいいしというようなことで、ずっとそれこそ民間の方のとりこになってしまうというようなことだって起こり得るんじゃないだろうか。その辺のところは何か歯どめがあるのでしょうか。
○政府委員(長柄喜一郎君) この第五条によりまして、研究公務員が国以外の者、民間企業の場合が多く、研究組合等があろうかと思いますが、そういうところとの共同研究ないし委託研究等のために出向するわけでございますが、これらの共同研究等につきましては、国側と相手側とが事前に契約を結びまして、こういう研究についてこういうことをやりましょう、何年間でやりましょうというようなことをやりまして、これに基づいて研究者の方が相手方に移るというようなことでございますので、研究者の方も当然無期限ではございませんで、この仕事のために何年間とか何カ月間相手方に移って仕事をする、こういうことで、はっきりと任期を切るわけでございます。そういうことで、ずるずると相手方の民間企業にいるというようなことは一切心配ないというふうに考えております。
○稲村稔夫君 そうすると、そういう契約などで出向期間がきちっと明示をされるということでありますけれども、それは更新することはないんですか。
○政府委員(長柄喜一郎君) 共同研究契約等が更新されまして、といいましても無制限に更新されるわけではないと思いますが、何らかの理由によって期間が延長された、こういうことに伴って研究者の滞在、出向期間が延びるということはあろうかと思いますけれども、これもおのずから限度があろうか、こう考えております。
○稲村稔夫君 私がこんなことを申し上げたのは、大変その研究職の方には失礼ですし、あるいはそんなことがあってはいけないというふうに思っておりますし、ないとは思いますけれども、しかし巷間で、例えば大学等の先生の中でも特定の企業のところに少し入り浸っているんではないかなどと言われる場合もありますだけに、そんなことがあってはならぬというふうに思いますので、その辺は運用の面でも十分に気をつけていただかなければならない問題だろうというふうに思います。これは本法がもし通ればそれこそ十分に留意をしていただきたいというふうに思うわけでございます。 さらに次は、民間との共同研究の場合に「効率的実施に特に資する」というふうに書かれている部分がありますけれども、これはどういうことを言うのでありましょうか。そして、効率的であるかどうか、「実施に特に資する」というそういう判断というのはどこがやるのでしょうか。
○政府委員(長柄喜一郎君) 今の御質問は第五条の政令の内容についてのお尋ねだと思うわけでございますが、「共同研究等の効率的実施に特に資する」ということは具体的にどういうことかということでございますが、我々、今政令として考えていますことは、第一は研究公務員が従事する業務がその研究公務員の職務と密接に関連があり、共同研究等において重要なものであるということを第一点に考えております。第二点は、研究公務員の住専により特に効率的に仕事がなされるというのを第二点に考えております。第三点は、共同研究等を実施する国以外の者、相手方でございますが、相手方からのぜひ出向してほしいという要請があること。この三つの条件について現在政令 案として考えている次第でございます。 なお、これらの要件に該当するかどうかということにつきましては、この研究者の属しておりますそれぞれの省庁が判断するというふうに考えております。
○稲村稔夫君 ちょっと最後の方から伺いましょう。それぞれの省庁と言うけれども、省庁はそうすると大臣の認可ということですか、承認ということですか。
○政府委員(長柄喜一郎君) それぞれの省庁がこの第五条の政令の要件に合致するというふうに判断いたしますが、本件は退職手当法の特例になるということでございますので、省庁のみではなくて、退職手当法を所管しております、これは総務庁でございますけれども、その長が内閣総理大臣でございますが、特例でございますので、個別、具体的にどうかということで総務庁の方の審査が入るというふうな手続を考えております。
○稲村稔夫君 そうすると、その判断をする者は、その研究機関の所属をする省庁といったときにはどの段階ですか、省庁の中の。
○説明員(吉村晴光君) この第五条は、いわゆる公務員法に基づきます休職の一環で派遣をされるといった場合に適用されるわけでございますので、休職を命ずる人はだれかということになるわけでございます。これは公務員法上任命権者ということになっておりまして、一般的に申しますと、各省の大臣が任命権を有するということになります。したがいまして、各省大臣が判断をされるわけでございますが、部内等で委任があれば委任を受けた方が判断をされるということはあろうかと思いますが、法令上は各省大臣が判断をされるということに相なります。
○稲村稔夫君 ちょっと露骨な聞き方をして大変恐縮なんですけれども、私も役所というところで、判こで随分困ったことがあるんですけれども、一番上の判こというのはどなたの判こになるのが普通なんですか、こういう場合は。
○政府委員(矢橋有彦君) 一般論として申し上げますと、原則としては一番上の判こはその行政処分を行う処分権者でございます。大臣である場合が多うございます。ただし、内部で委任が行われておりますと、その委任を受けた者が最後の決裁者となるわけでございます。そして、その委任を受けた者が処分権者でもあるわけでございます。それからもう一つ専決という概念がございまして、処分権は上の方にあるけれども、非常に数多く、かつ定型的な事例が多いような案件につきましては、内部で決裁をどこまでとったらよいのかということを決めております。それを専決と申しますが、その専決の規定によりまして、例えば大臣が処分権者であるけれども局長までの決裁でよろしいという場合、その場合には局長が最後の決裁者になります。そのような関係でございます。
○稲村稔夫君 私は、今のお役所の立場から言えばそういうお答えになるかと思うんですが、実際の運用の中でいけば、上の方の判こというのは大体めくら判に近い。完全にめくら判と言うと問題がありましょうからあれですが。というのは、いろいろと下から議論をされてきて上がってきたものというのは何か特に問題がない限りは許認可をする、認めるというのが普通なわけですね。そうすると、例えば今の共同研究のためにこれは休職にしよう、それを認めよう、俗な言い方でいけばそういう判断を下す一番大もとになるところはどこになるのでしょうか。それは研究施設の長ですか。
○説明員(吉村晴光君) 余り一般的に申し上げて誤解を与えることを心配をしておりますけれども、一般論として私が考えますのは、これは国と国以外の者が共同して研究をやる場合、それから国の委託を受けて研究をやる場合ということになっておりますので、こういった共同研究とか委託研究を管理をする人というのがまず一つあろうかと思います。それからもう一つは、派遣される研究者というのがおられますので、その研究者の管理をされておる研究所の所長さんとか部長さんといった方がおられるわけでございまして、その両方のサイドで相談をしながら物事が決まっていくのではないかというふうに思っております。
○稲村稔夫君 わかりました。こんなことをちょっと細々と伺いましたのは、やはり共同研究というものに伴っていろいろ今後不測のことが起こらないようにということを考えたときに、その辺のところが大変気になりましたので、あえてお伺いをしたわけであります。 次に、受託研究の場合というのがありますね。その受託研究の場合に、特許権それから実用新案権の一部を譲与するというふうにここはなっておりますけれども、この「一部」というのはどういうことを言うのかということですね。そして、その丸々というのはこれはそれなりのあれでしょうが、譲与をするための基準、その中で一部という、その一部の範囲を決めていく基準といいましょうか、そういうものはどうなるんでしょうか。それをどこが、どなたが判断をするということになりますか。
○政府委員(長柄喜一郎君) 一部の程度でございますが、特許権の全部じゃございません、部分的に相手方に譲与と申しますか、無償譲渡するということで、結果としては国と相手方の共有になる。共有の持ち分が幾らかという御質問かと思いますが、これにつきましては政令で定めたいと考えております。 ただ、従来から国と国以外の相手方との共同研究の場合、これ一般には人材なり資金なりを折半しているというのが通例でございますが、この半々ずつ負担をしてやった場合の特許権の扱いは一般的には五〇%対五〇%になっております。受託研究の場合には研究費はすべて相手方がお持ちになっているということでございますので、相手方の持ち分というのは五〇%は起さないとバランス上まずいということでございますので、六〇になるか七〇になるか八〇になるかということでございます。一〇〇にはならない。 ただ、もう一つの考えなければいかぬ点は、これは国が関与しております。国というのは公益性を持っておりまして、その国の関与した特許権というのを相手方にすべて独占させるというのは非常にまずい。第三者に実施許諾するだけの十分な担保をとっておかなきゃいかぬということになって、国の持ち分を残さなきゃいかぬというふうに考えたわけでございます。でございますので、結論といたしましては五〇%よりは相手方の持ち分が多いということで、その間はどこにするかは今後政令の段階で決めていきたい、こう考えておる次第でございます。 なお、特許権等の管理処分につきましては、現在その特許権の管理はそれぞれの省庁の長が管理の責任者になっておりますので、その譲与するかどうかという判断も各省庁の長が行っていくということになろう、こう考えている次第でございます。
○稲村稔夫君 受託研究の場合といいますのは、国の権利をどれだけ取るかというのが、これ政令で定められるという今お話なんでありますが、幾らが、どの程度がいいのかというのは、これは研究の種類だとかなんとかというようなことでも違ってくることがあり得るんではないだろうかというふうにも思うんですが、その辺は非常に難しいものが出てきませんか。研究の種類によって違いが出てくるということはありませんかね。
○政府委員(長柄喜一郎君) 受託研究の場合の資金負担は全額相手方がお持ちになるということでございまして、国側は資金負担はしていない、国の研究者が知恵を出したということになろうかと思います。 それで、実際の運用といたしましては、個々のケースによって国の持ち分を二〇にしたり三〇にしたり五〇にしたりというのは適当ではないというふうに考えておりまして、我々としては一律国の持ち分幾らというふうにしたいというふうに考えている次第でございます。
○稲村稔夫君 そうすると、それは一律ということにするんですね。それ、ちょっと答えてください。
○政府委員(長柄喜一郎君) 一律を考えております。
○稲村稔夫君 その辺のところは、今度反間といろいろとこれから出てくる可能性があるんじゃないかなという気がするんですけれどもね。といいますのは、例えば金を出したという場合は金額という形でスケールが出てきますので、はっきりといたします。だけれども、知恵を出したというその知恵の価値判断といいましょうか、そういうものはいろいろと出てくることがあり得るわけなんでありまして、その辺がこれから、民間の方から金をみんな出したのに知恵は、結局その出していただいた知恵に対する報酬というんでしょうかね、そういうものについての判断というのがかなり違ってくることがあるのじゃないかということを気にするんです。 そうすると、一律というのはこれは実用新案の場合も同じですね。
○説明員(吉村晴光君) 私どもの発想を申し上げますと、国が民間に委託をいたします場合には、知恵は民間から出るわけでございますが、すべて国の資金によりますので全部国が権利は取得をする、こういう制度になっております。一方受託の場合には、知恵は国の研究者が出しますが、資金は全部民間から出てくると。その際にも現在は国が丸々取っておるということでございますが、これでは両方取ってしまうということで、研究交流の促進上いろいろ問題があるということで、そういった場合にはやはり民間に権利をお譲りいただきたいという要望があるわけでございますが、一方、これは国の機関でやるものでございますので、公益上の必要性があれば国がその権利を行使する、またはほかの方に使わせる権利だけは留保しておく必要があるといった観点で共有といったことを考えておるわけでございます。 したがいまして、私どもといたしましては、研究の中身によって一々率を変えるということは考えておりませんで、研究を始めます受託を受けますときに、これから生じた特許権につきましては持ち分の何%をそちらにお譲りします、無償でお譲りしますといった契約を結んで研究に着手をするといったことを考えておるわけでございます。
○稲村稔夫君 わかりました。これは少し取り越し苦労なのかもしれませんけれども、やはり民間の場合は、金を出して物をやっていけば、それは最大限有効に生かしていくようにしようという、これは経済の原則としてもう動いていることなわけでありますから、それだけにトラブルが出てこないかということを気にいたしております。 それから、次に移りましょう。 それで、今度民間との交流ということを進めていく中で、今度は国の施設を貸す場合というのがありますね。国の施設を貸す場合には、これは国の研究機関が現に行っている研究と密接に関連し、さらに効率的に特に有益であるというふうにあれされていますけれども、ということは、具体的にはどんな場合をいうのでありましょうか。それをまた時価よりも低い対価でもって貸すということになっておりますけれども、その基準などというものはどうなるのでありましょうか。そして、それはどこが判断をするのでありましょうか。
○政府委員(長柄喜一郎君) この「当該研究の効率的推進に特に有益である」という意味でございますが、これは現在国が行っております研究について、国以外の方が国有の試験研究設備を使用された結果得られた成果とか記録とかデータ、こういうものを提供していただく、研究所側に、国の側に提供していただくというふうなことによって国の研究が一部例えば省略できるとか、スキップできるとか、国の研究はそのデータが入ったために非常に速く進むというふうな場合有益であるというふうに考えているわけでございます。 では、だれがその有益であるかどうかを判断をするかということでございますが、これは本来的には各省庁の長の方が判断するのが建前でございますけれども、これは非常に技術的な内容でございます。そういうことでございまして、実際にはその設備を持っていらっしゃるところの責任者、研究所の所長さんが判断していくものというふうに考えております。
○稲村稔夫君 あと、時価よりも低い基準だとか……。
○政府委員(長柄喜一郎君) どのくらい割引するかということにつきましては、これは政令で定めることというふうに考えておりますが、一般的な考えといたしましては、現在、国の設備をお使いになる場合、すべてのコストをいただく、間接経費も直接経費もすべていただくというふうに考えているわけでございますが、時価よりも低くという意味は、少なくとも直接経費はすべていただくというふうに考えております。どのくらいにするかということは、具体的には政令で定めるということでございます。
○稲村稔夫君 この場合は、施設によって随分いろいろと違いがあるから一律というわけにはいかないでしょうね。
○説明員(吉村晴光君) どの程度安くできるかということにつきましては、その限度を政令で定めるということになろうかと思います。 考え方といたしましては、使わせたことによって余分に金がかかるといったものはやはり好ましくないわけでございまして、例えば減価償却費みたいなものはおまけをする、使っても使わなくてもかかる減価償却費みたいなものはおまけをするけれども、電力代みたいなものは全部やはりいただかなきゃいかぬということが一つの考え方としてあるわけでございまして、そういった意味で、これからの検討事項でございますけれども、設備に応じて考えるといったこともあろうかと思います。
○稲村稔夫君 だんだん時間も経過してきますので少し先の方へ進みますが、こうした民間との共同研究ということの中でもう一つ懸念がありますのは、企業といいますのは、新しい技術なり、理論も含まれる場合がありますが、そういうものを独自に開発をしていきますと、それは企業秘密というベールの中に包み込んでしまう場合がよくあります。ということで、共同研究がこうした企業秘密の中などに取り込まれていかないようにということもやはり大事なことだろうと思うのでありますけれども、その辺はどんなふうになりましょうか。
○政府委員(長柄喜一郎君) 一般的に国の研究開発は、自分のみでやる場合もそうでございますし、それから相手方との共同研究という場合もそうでございますが、国というのは公益性と申しますか、国民全体の奉仕者という立場がございますので、国の研究成果は公開されるというのが一般的な基本原則だと思います。こういうことで、共同研究の場合でも原則としては研究終了後この成果を公開するということが原則だろうというふうに考えております。 ただ、これは国内のみではなくて外国もそうでございますけれども、工業所有権、特許権を権利化するというふうなために、一時ある期間だけ成果を公表しない、差し控えるということがございますが、このようなことは共同研究でございますので、相手方の立場というものを十分考慮しなきゃいかぬということで、一定期間だけ成果の公表を差し控えるというふうな配慮も必要だというふうに考えております。
○稲村稔夫君 これは、私は本会議の最後の方で本当に簡単に触れました。特定の企業の利益になるようなことは、これは十分避けていただきたいというふうに申し上げてまいりましたのも、実は今いろいろとお答えをいただいたここの部分があるからでありまして、その辺が随分気になっていたわけでありますので、これもこれから政令で定められる部分もありますし、それから例えば共同研究であっても公開が原則である、こういうことのお答えを今いただきました。あろうと思いますというお答えでありましたので、ちょっと私も不安が残っているんでありますけれども、それは公開を原則にしていかれるということだというふうに受け取るといたしまして、問題はいろいろとあ っても、とにかくよかれと思ってやっていることが逆な目が出てくるなどということがないようにぜひ心がけていただきたいというふうに思うわけであります。 ただ、私は今のお答えを伺っている中でも、実際これが動いていった場合に^企業というものの持っている性格というもの、これはやっぱり競争の原理の中で生き残るために必死になっていろいろとやっているわけでありますから、そういう中へ巻き込まれていくというケースは往々出てくるであろうということを危惧しているんでありまして、今お答えをいただいたから全部安心したというわけにはまいりませんけれども、時間の関係もありますから次へ進みます。 次は、外国人の登用の問題と外国との共同研究についてでありますが、まず最初、国立の試験研究機関では外国人の研究者というのはどのくらいおられますか。研究者の数と、その中で何人いるか、おわかりでしたら、ちょっと。
○政府委員(長柄喜一郎君) 国立研究所につきましては外国人研究者を常勤の公務員として任用した実績はございません。ちなみに、国立研究所の研究者の数は約一万人でございます。
○稲村稔夫君 そうすると、今度の法律によってそこのところは今度は公務員として採用するということですか。
○政府委員(長柄喜一郎君) 従来、当然の法理というのがございまして、甲といいますか、役職につかない研究者については外国人は任用できるということでございましたが、役職についている部長とか研究室長については外国人を任用できないというのが従来の制度でございまして、今回の法律ができますと研究部長、研究室長まで外国人を任用できるということになりますので、この法律ができますれば、それぞれの省庁において外国人の方の任用が始まるものというふうに考えております。
○稲村稔夫君 もっと適切な言葉があるといいんですが、平と今言われましたが、そういう外国人の研究者というのは何人くらいおられるのですか。
○政府委員(長柄喜一郎君) 現在のところ、現在の制度でも任用できる種類の方はいらっしゃるわけですけれども、実績はゼロでございます。
○稲村稔夫君 このことをあえて私伺いましたのは、国立の試験研究機関というものに外国人を任用するということについて、外国人がそこになかなか参加してこれない、そういう要因が一方にはあるのではないかということを私は危惧をしているわけでありますが、もしあるとすればその役職の面を幾ら開いてもなかなかうまくいかないということになるんじゃないでしょうか。先ほどの——何かいい言葉はないでしょうかな、平というのはどうも嫌いですね。特別の役職のない立場の研究者というのは道が開かれていてもいないということであれば、今度は役職の道を開いたといってまたできるという保証もないのではないだろうか、かえってそのことが気になりますけれども、その辺、いかがでしょうか。
○政府委員(長柄喜一郎君) 御指摘のように、従来、これは国立研究所に限らず、我が国の社会制度、習慣等から見ましてややもすると外国の方に対して閉鎖的であったんじゃないかという指摘があちこちでされていますが、それも事実であろうというふうに考えております。今回、法律で外国人の研究者の任用は可能になったといたしましても、その研究所の中の習慣それから物の考え方、こういうものがやはり外に向かって、外国に向かって開かれた形にならないとこの任用もうまくいかないと考えておりまして、我々といたしましては、今回の法的措置に加えまして、さらに外国人研究者の招聘制度を充実させるとか、それから国内の研究者の方の例えば英語の力、英語なり外国語のコミュニケーションの力をつけるとか、相手の方々の文化とか習慣とか価値観、そういうものを理解できるように力をつけるというふうなことで、法律に合わせて外に開かれた雰囲気をつくり出すということは、ぜひ必要だと考えております。
○稲村稔夫君 語学の問題もあると思いますけれども、そういうことばかりではない、いや、それは従たるものではないかという私は気がいたします。というのは、国内の研究者の問題にいたしましても、残念ながら特定の大学を出ている人たちがかなり多いというような形でつくられてきている雰囲気というものが随所にあるわけですよ、現実に。ですから私も、私どもの先輩もある省庁には結構おりますので余りそういう批判をしたくはありませんけれども、しかし特定のグループができてしまいますと、人間の集団ですから、その特定のグループ以外の者というのがなかなか入りづらいというそういう雰囲気が残念ながら試験研究機関というものの中にはあるのではないか。どうやったらこの壁を外すことができるか、こっちの方を先にやらないと、ここで、法律の条文で幾らこう道を開きましたと言っても実効が上がらぬ、こういうことになるのじゃないかと私は思いますが、その辺はいかがでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 外国人の研究者が日本へやってくる場合に、研究者というものは、私の思いますのに、一番何を考えて来るか来ないかを決めるかといえば、自分の研究に合致したいいテーマがあるか、しかもそれが非常に高いレベルで研究されているかどうかということが恐らく一番のポイントじゃないかと思うのです。従来、日本の研究所が非常に高いレベルで、あるいは外国人の興味、関心、非常に研究意欲を燃やすようなものがあってなおかつ来なかったということになると、その隘路はどうかということになってくると思いますが、現在、私ども見ておりまして、相当日本の研究所、研究者のレベルは高くなってきた、そしてしかも欧米先進諸国あるいは開発途上国の研究者、いずれの分野からも相当に注目されるようになってきたということは私は事実だと思うのです。ということになれば、来たいけれども来れない隘路があるとすればそれを取り除くということがまず一つ。 そして、もし来てくだされば、それによって今稲村先生が御指摘になったいわゆる人脈と申しますか、あるいは閥、学閥、非常に端的に言ってしまえば学閥とかそういったものを、言葉は思うございますけれども、ぶち壊す。そして、むしろもっと新しい研究所あるいは研究者の方々の非常に高いレベルの研究がそこに展開をされるということがこの法律の一つのねらいでもあるわけでございまして、そういったものを全部地ならしをして、さあいらっしゃいというのは、礼儀としてやっておくべきものだとは思いますけれども、むしろそういうものは、先生御指摘のように、言うべくしてなかなかこれは難しい部分もあるわけでございますから、むしろ新しい頭脳というものがわっと入ってくる、それによって新しい展開がそこで出てくるということも私は大いに期待したい、こんなふうに考えております。 先ほど局長が申しましたように、日本社会といいますか、日本のそういった部分が持ちます、言ってみれば昔ながらのいろいろなしがらみというようなこともあろうかと思いますけれども、そうしたものはできるだけ取り除かれなければならないわけでございます。つまり、それが研究の進歩、前進に非常に資する、こう私どもは考えているわけでございまして、両々相まってその辺は切り開いて進みたい、こう考えておるわけでございます。
○稲村稔夫君 もう時間も随分経過してしまって私の持ち時間ほとんどなくなってきましたので、この点でもまだもっといろいろと伺っておきたいと思っていた点あるんですけれども、私のここの部分についての意見だけ申し上げて次へ移らしていただきたいと思うんです。民間では結構外国の研究者も来てどんどんとやっているところというのはいろいろとあるわけでありまして、それは、要因は、官低民高なんて、最近よく言われる言葉がありますけれども、国立の試験研究機関と言われるものが持っている一つの雰囲気というようなものもあるのではないでしょうか。それに研究費の問題、施設の問題、こういったものがみんな絡んできていると思うんですね。だから、その辺のところを十分に考えて対応をしていただかなきゃいかぬのじゃないか。それがなければ幾ら条文つくったってどうにもならぬということを申し上げておきたいと思います。 次に私は、外国との共同研究というのがいろいろとやっぱり心配をされる面がございまして、特にアメリカあたりがSDIへの積極的な参加を同盟諸国には呼びかけている。いや西ドイツが結んだとか、いやイギリスが協定を結んだとか、今度はどこが結ぶだろうなんていうような話がいろいろと出てまいりますと、そこへ調査団が官民合同で出かけていきましたとかなんとかというようなことになってまいりますと、外国との交流ということをこの法案ではうたっているけれども、結局はそうしたアメリカ側からのあれに対応する素地がこちらの方でつくられる、そういう形になるんではないだろうかということを私は危惧するのでありますけれども、その辺はいかがですか。
○国務大臣(河野洋平君) 本法案とSDI問題とは全く関係がない、こう考えております。
○稲村稔夫君 長官そういうふうにお考えであれば、ぜひその考え方は貫いていただきたいと思いますが、ただ、やはり私は心配になってまいりますのは、平和目的の研究というものが本来我が国の国是でもあるわけでありますけれども、それが軍事技術への応用ということにいつされないとも限りません、という側面というのは多分にあると思うんですね。平和目的で開発をしていった超LSIが軍事的に重要な役割を果たすことになって活用されたというようなことは往々にしてある。先ほど防衛庁もたまたま言われましたけれども、基礎研究といっても幅が広うございます、その基礎研究だと言っているものがいつの間にか軍事目的の研究というものにつなげられてしまうというそういうことがあります。我が国の中での研究のときには、そこは峻厳に線を引きますよといろいろとあれをするにしてみても、線が引かれてない外国との中で共同研究というものが行われるということになりますと、その辺が随分心配になるのでありますけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(長柄喜一郎君) 一般の省庁ないし大学を含めまして、また企業でもそうでございますが、民生用のためにいろいろ新しい技術をつくり出すというふうなことをやっているわけでございますが、これらは成果として日本全体の技術水準を引き上げている。その一般的な技術になったものを防衛庁の方で専ら防衛の技術に転用されるということは一般に行われることでございまして、技術というのは一種の情報でございますので、そこで垣根をつくってその転用を防ぐというようなことは事実上不可能だと思いますし、科学技術の進歩というものはそういうものであるというふうに理解しております。
○稲村稔夫君 そうすると、平和目的で研究をされていたものが軍事技術に利用されるということについては、それは完全にチェックすることはできない、こういうことになるわけですか。
○政府委員(長柄喜一郎君) それをとめることは不可能であるというように考えております。
○稲村稔夫君 これは非常に重要な問題なんでありまして、国内の場合にはそれでもいい、国内世論だとかいろいろあります。それから防衛庁の位置の問題もあるでしょう、国の中の全体の中での。だけれども、これが例えば外国、特にアメリカのように、産官学だけではなくて軍も入ってというような格好になっているような国のところで、そこで共同研究というものへ入っていったときには、私はそれが軍事技術に利用されるということになると、いつの間にか軍事技術に活用されたときから、軍事技術であれば秘密ということと必ず結びついてくるといっていいわけでありますけれども、その辺のところが大変気になるわけであります。 そこで、外務省お見えになっていただいていますね。——最後の十条に国際関係のことがうたわれておりますけれども、今のような懸念などもありますのであえて伺いたいんですけれども、第十条というのは最初の案の中にはなかったという話だったのだけれども、閣議のときには入っていたんだそうであります。この第十条というのはどうしてもなければならないものと外務省は考えておいでになりますか。
○説明員(小林二郎君) 御質問の第十条につきましては、国の研究機関等に対して国際的な交流を促進するに当たりまして、条約あるいはその他の国際約束の履行とか、また国際的な平和と安全の維持に対する配慮といったようなことを規定している、そういった面に特別な配慮を払うということを規定しているわけでございますけれども、この第十条で規定しております。そういった条約、その他の国際約束を履行するとか、あるいは国際的な平和と安全の維持に配慮するといったような点につきましては、これは申すまでもなく当然の国の責務であると考えております。 しかしながら、この法律ができますことによりまして、国際間の交流活動といったようなものが促進される、従来にも増して促進されるということが期待されるわけでございまして、この際、改めまして国が結んでおります条約、あるいはその他の国際約束の履行並びに国際的な平和と安全の維持といった面に配慮するという点につきまして、特別な注意喚起を行うという趣旨で設けたものでございます。
○稲村稔夫君 どうもわからぬですね。これうたうと、ではどうして国際交流が促進されるんですか。これがなかったら国際交流というのは何かそごが起こってまいりますか。
○政府委員(長柄喜一郎君) ただいま外務省から御答弁がございましたように、この法律で国内の交流にあわせまして国際交流を盛んにしようとするためのいろいろな特別措置が設けられているわけでございますが、先ほど答弁がございましたように、この法律によりまして今後我が国と外国との交流が盛んになることが期待をされるわけでございます。それでその際、我が国として既に外国と約束しておる条約その他の約束等に触れることのないように今回の第十条を設けたわけでございまして、具体的には、例えば核不拡散条約に反するような研究はしないとか、二国間の原子力協定に反するようなことはしないとか、生物兵器に関する条約、こういうものを日本は批准しているわけでございますが、これに反するような研究等はしないというふうなことが具体的なケースでございます。
○稲村稔夫君 もう時間がなくなりましたから、私はもうこれ以上質問ができないわけでありますけれども、国際条約を守るなんということは当たり前のことであって、そこら辺のところを、言わずもがなのことをなぜわざわざここへ入れなければならないのか。そして、これを入れることによってどうして国際交流が促進をされるのか。十条がなければ国際交流が促進できないかどうか。こういうことを私は言っているんですよ。だから、まずあえてそのことをいろいろと言われるからね、そうすると、長官が幾らSDIに参加というのは考えていませんと、こう言われたって、いろいろと今出ている生臭い話というのを我々だって聞いているわけですから、簡単に、はい、そうですかというわけにはいかない。非常にここのところが議論になってしまいますよと、こういうことを申し上げ、私の質問は終わりたいと思いますけれども、なおもう一度長官に、こういうSDI絡みの、言ってみれば軍事機密絡みになることというのは絶対にやらないということであるかどうか、念押して悪いのですけれども、もう一度聞かしていただいて終わりたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) もう外務省あるいは計画局長から御答弁申し上げましたので、重複を避けたいと思いますが、第十条は、先生そこでごらんのとおり「配慮事項」、こういうことでございまして、この十条がどうやって交流を促進しておるのだ、こういう御指摘でございますが、交流を促進しておるのは九条まででございまして、十条はその促進に当たってこういうことに配慮せい、こう言っている条項でございます。なぜそんなことをわざわざ配慮をする必要があるのだ、こういう御指摘でございますが、この法律によりまして、先ほど来るる御説明を申し上げておりますように、従来、国の研究所に一万人も研究員がいるのに外国人の研究者は一人もおらぬではないか、こういう状況、あるいはまた、これから隘路を取り除いて相当に日本からも研究者が出て行くという事態が想像されますので、あくまでも念のためこういう条項が入っておるということだと御理解をいただきたいと思います。 なお、SDI等について御心配をいただいておりますけれども、先ほど御返事を申し上げましたように、SDIとこの法律は何ら関係を持たないというふうにぜひ御理解をいただきたい。先ほど先生御指摘のとおり、そういう答弁、間違いないように対応せい、こういう御指摘でございました。心していくつもりでございます。
○稲村稔夫君 外務省の答弁、ちょっとまだ納得できないところがあるんですがね。外務省はだってさっきそう言ったでしょう、あなたは。この十条は国際交流の促進のために必要なんだと。もう時間があれですからしょうがないです。
○委員長(馬場富君) 午後三時まで休憩いたします。 午後一時四十九分休憩 —————・————— 午後三時三分開会
○委員長(馬場富君) ただいまから科学技術特別委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、研究交流促進法案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○伏見康治君 研究交流促進法案というのは、現在の研究体制そのものは余り変えずにそれの能率を上げようという意図から出たものだと思いますので、少し、法案それ自身というよりは今の日本の研究体制それ自体についての御質問を幾つか申し上げたいと思います。 今度の法案は、国立試験研究機関を対象として、それの研究者の活動の自由度を増そうというところにそのねらいがあるように見えますんですが、国に関連している研究所というものは多種多様あると思うんですね、国立試験研究所として。私のよく知っているのでは電子技術総合研究所であるとか、計量研究所であるとかいうようなのが通産関係でございますが、そのほかに科学技術庁関係では、東海村の日本原子力研究所とか、あるいは理化学研究所とかいったようなものがございますが、この後者の原研と理研というのは何か特殊法人だそうですね。それで、特殊法人なるがゆえなんでしょうか、国立研究機関の研究者と違って、そこの研究者は相当の自由度を持っておられる。従来から持っておられたと思うんですが。 一体こういう国立試験研究機関といったようなもの、古くからあるものと新しくつくられたものの間で何かいろんな格差があるように思われるわけですが、文部省関係の研究所、文部省直轄の研究所もございますが、いわゆる大学関係の研究所の中にもいろいろなタイプがございまして、大学附置の共同利用研究所であるとか、それから文部省が直接見ておる大学共同利用研究所であるとかというふうに、いろいろさまざまあるんですが、何か筋が通っていないという感じがしないでもないわけなんです。このさまざまなものが、要するにそのときそのときの思いつきでできてしまって、ただそれが並列しているという感じが否めないと思うんですが、長官としては、こういう研究所全体の筋を通すというか整理するというか、何かそういうことについてのお考えはあるのでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 先生幾つかの例をお挙げになりましたが、研究所にはそれぞれの生い立ちがあったり、あるいはそれぞれが持つ特殊な目的があったりということで、整理整とんをするというのはなかなか難しい部分も多かろうと思うわけでございます。したがいまして、どこか共通する部分に着目して整理をするということはできるかもしれませんが、すべての形を整えるとかということは実際なかなか難しい部分があるのではないかというふいに考えております。そしてまた、研究所というのは、ある場面におきましてはそれぞれがそれぞれ固有の特徴を持っているということも、時に必要なことも多いのではないかというふうに思います。しかし行政を統括するといいますか、行政の組織の中にそれらを位置づけるという意味では、そういう点に着目をして、共通項を引き出して、どこか一定のレベルに置かなければならないということはあろうかと思っておりますが、今直ちに先生御指摘のとおり、あるいは先生もそこまでおっしゃっているのではないと思いますけれども、全部を整理整とんするということをしようというふうに私は思っておりません。
○伏見康治君 長官が言われたとおりに、それぞれの研究所が長い歴史を持っておりまして、その歴史の中でいろいろ発展を遂げてきておるわけですから、一律な分類に従って分類するといったようなことは必ずしもよくないということはおっしゃるとおりですね。ですが、時勢の変化に応じて変えるべきものはまた変えていかなくちゃならない面もあると思いますので、その辺のバランスをひとつ長官にはとっていただきたいと思うわけです。 文部省の方々が来ておられると思うんですが、文部省の方では従来古くからある大学の附置研というのと、途中から戦後になって始まりました共同利用研、これは亡くなられた朝永先生が非常に熱心で、プリンストンの高級研究所に留学された経験からして、一つの大学にくっついている研究所というものは要するに刺激がなさ過ぎてよくない、オープンにして多くの大学の先生方が出入りできるような研究所をつくるべきだという、そのプリンストンでの経験から出発なさいまして、なかなか文部省のお役人かたかったんですけれども、朝永先生の根強い説得で幾つかの研究所ができました。田無の原子核研究所であるとか、あるいは京都大学附置の基礎物理学研究所とかいったようなものがそういう共同利用研として出発したわけですが、その後、この共同利用研という形態が文部省は大分お気に入ったようでございまして、だんだんその数がふえてまいりました。 だんだんふえてきた段階で考え直しますと、共同利用研というのは、これを預かっている大学にとって非常な重荷になるわけでございます。それで直接文部省がお世話をなさろうという意味の共同利用研ができまして、筑波に高エネルギー物理学研究所であるとか、あるいは岡崎の生物学研究所、分子科学研究所であるとか、そういうようないろいろな研究所が、文部省がいわば直接見ている、しかし大学の先生方の共同利用に供するための研究所というのができたわけですね。 こういういろいろな研究所が多少入り乱れていると思うんですが、少しずつ整理されているという感じはいたします。例えば古くから文部省の直轄研究所であった三島の遺伝研、遺伝学研究所といったようなものが共同利用研究所になったと伺っておりますが、そういう意味で少しその整理はなさっているようにも思うんですが、その辺のところがどうなっているかということを文部省の方に伺いたいと思います。
○説明員(長谷川善一君) ただいま伏見先生から御指摘のありましたとおり、文部省は各種の研究所を持っているわけでございますけれども、研究所の整備に当たりましては、学術審議会の答申などに示されました方向に従いまして、学術研究の動向あるいは社会的な要請、財政事情、そういった点を考慮しながら、特に近年におきましては共同研究体制の推進ということに重点を置きましてその整備を図っておるわけでございます。また、新たな学術研究所の要請に対応するために、大学、研究所みずからが積極的にその見直しを行い、必要に応じまして改組転換を図っていくよう各大学、研究所の自主的な検討を促しておるというわけでございます。 最近における研究所の改廃の状況につきましては、このような方針に沿いまして、昭和五十九年に国立遺伝学研究所、六十年度には統計数理研究所を、それぞれ文部省の所轄の研究機関から大学の共同利用機関に改組転換いたしております。六十一年度には全国の国公私立大学を結ぶ学術情報システムの中核となる学術情報センターを大学共同利用機関として創設いたしております。 なお、大学の附置研究所につきましても、五十九年度には熊本大学の体質医学研究所を当該大学の医学部講座と医学部附属の遺伝医学研究施設に転換いたしましたし、六十年度には岡山大学の温泉研究所を、これまた当該大学の医学部附属環境病態研究施設と全国共同利用施設の地球内部研究センターというぐあいに転換いたしております。
○伏見康治君 緯度観測所というのがありますね、緯度観測所。あれは文部省直轄なんですか、どうなんですか。
○説明員(長谷川善一君) 文部省所轄の研究所でございます。
○伏見康治君 今度の法律の適用範囲というのは、そうすると緯度観には適用されることになるのでしょうか、どうなんですか。
○説明員(長谷川善一君) 研究者の身分に関します条項につきましては、もう既に教育公務員特例法の準用が行われておりまして、そういうような点からこの法律には入らないということになっておりますけれども、財産保護関係の部分につきましては一律にこの法律の適用を受けるということに相なっております。
○伏見康治君 ほかにも文部省直轄の幾つかの研究所がありますが、それは多分「人文科学のみに係る」とかいう形容詞があって、それが除外されていると理解してよろしいわけですか。例えば教育研究所であるとか国語研究所であるとか、そういうのは除外されているのですか。
○政府委員(長柄喜一郎君) この法律では人文科学のみの研究所は除くということになっておりまして、先生が先ほどおっしゃいました国語研究所、教育研究所、これは除外されることになります。
○伏見康治君 ついでに伺いますが、人文社会科学のみにかかわるものは除くということがよく出てくるわけですが、これは科学技術庁が取り扱うからそういうことになっているんでしょうかね。私の考えでは、学問の性格が人文社会科学と自然科学系とでは随分違うことは確かですが、その中間領域的なところがどんどんふえつつあるというのも事実だと思うんですね。それで、人文社会系に関するものは除外するという考え方で処置していていいのかどうかというのは、ちょっと私は疑問を感ずるんですが、将来もそういうかたくなな分類法でいくのですか。
○政府委員(長柄喜一郎君) 人文社会科学系の学問と自然科学系の学問は本質的に違う点があろうかと思います。そういうことでございますが、科学技術会議の答申にしろ行革審答申にしろ、自然科学系を中心にいろいろ議論されてきたものでございまして、その答申を踏まえて今回法律にしたわけでございます。もう一点は、人文科学系の研究というのは大部分が文部省所管の大学で行われているという事実もございまして、それらにつきましては教特法等の適用を受けておりまして、身分的には非常に弾力性がもう付与されているという事情もございます。 我々といたしましては、科学技術政策のいろいろ展開に当たりまして、人文科学、社会科学の発展ということはぜひ必要だというふうには考えているわけでございますけれども、人文科学の振興と自然科学の振興が同じ方法でいいのかどうかという点の議論が十分まだ煮詰まっていないということで、今回の法律では自然科学を対象にし、人文科学のみのものは除外した。ただ、人文科学と自然科学が両方混在してやるような場合は今回の法律の対象に入れるということにしております。
○伏見康治君 人文社会科学、特に社会科学の中には随分自然科学的方法、手段を取り入れて行われている研究が多くなってきているというのも事実だと思いますので、できるだけそういう方面にもいいことはやるようにひとつお願いいたしたいと思います。 研究所の中にいろいろな研究所がございまして、先ほど長官に御質問したように、それぞれ歴史的な理由があるわけなんですが、そういう歴史的な理由の中でちょっとお伺いしたいのは、通産省関係の、昔電気試験所というものであったのが今電子技術総合研究所という形になっているわけですね。それから昔中央計量検定所といわれていたものが今は計量研究所という形になっている。つまり、試験とかあるいは検定とかという業務を初めのうちはなすっていて、日本の産業活動を大いに保護育成してこられるというお仕事をなすっていたと思うんですが、それのいわば研究部門というものがだんだん大きくなっていって、ついに研究所という形に変わられたと思うんです。歴史的にそういうふうになるのは当然な話だと思うんですが、しかしこの古いお仕事の方もそれなりの意味を持っていたわけで、その古いお仕事の方と新しいお仕事との間の関連性をどういうふうに考えてその研究所の変革をやったかというようなことについてお考えがあったら伺いたいんですが、通産にまず伺いたいと思います。
○説明員(山浦時生君) ただいま御指摘のとおり、通産省の工業技術院の試験研究所の多くは設立当初は検査・検定等の業務を主体として行っていたわけでございますけれども、産業社会の発展に伴いまして、研究開発の重要性が高まってきたということでございます。これに対応すべく研究活動の充実に努めるとともに、検査・検定業務については、その効率的な実施といいますか、を図るように漸次外部の機関に、民間機関等でございますが、そういったものへの移管を進めてまいってきております。 例えて申しますと、昭和三十七年八月に電気用品取締法が施行されたわけでございますが、これに伴いまして昭和三十八年に電気用品の安全性試験業務、これを財団法人日本電気用品試験所に移管しております。それからまた、電気計器標準の検定業務につきましては、昭和四十年に特殊法人の日本電気計器検定所を発足させましてその検定業務を移管したという経緯がございます。これに伴いまして、その関連業務、検査・検定業務をその試験所で行っていた職員につきましては、この新しくできました組織の方に移管しているということでございます。こうした状況を踏まえまして、昭和四十五年に名称を電気試験所から電子技術総合研究所と改めまして、電気、電子それから情報技術を中心に研究を進めてきております。 なお、先ほど先生御指摘の、標準とかあるいは検査・検定についても重要な部分があるのではないかという御指摘でございますが、これにつきましては、例えば電総研で申しますと、電気とかあるいは光度あるいは音あるいは放射線、こういったものについての一次標準の維持、設定、それから、それについての外部への供給業務というようなことを行っているわけでございます。 それから、もう一つ御指摘になりました計量研究所のことでございますが、これは、現在の計量研究所と申しますのは、明治三十六年に中央度量衡検定所という名前で設立されまして以来、計量標準の設定、それからそれに伴う検定、あるいは検査業務を通しまして計量標準を国内に供給することによって国内の計量標準の統一、普及の業務を行ってきているということでございます。 しかるところ、近年産業が大変発達いたしまして検定業務が非常に多くなってきました。これは定型的な業務がふえてくるわけでございますが、こういったものを効率的に行うために検査・検定の業務を漸次都道府県等の外部機関に移管しております。しかし一方、測定方法あるいは標準の何といいますか精度の向上とか、そういった時代の要請にこたえるべく計量計測技術の研究活動、こういったものはさらに充実さしてきております。これに必要な研究をする一方、最近国際的な標準の精度の向上とか国際統一ということが要求されておりますが、これに必要な測定方法あるいは技術の向上、こういった基礎的な部分の研究を社会に普及するように努めてきているという状況でございます。
○伏見康治君 同じようなことでございますが、農林省関係でもいろんな試験場が研究所に変わっていると思うんです。例えば昔蚕糸試験場ですか、といったものが今研究所になっているんですが、そこの経緯をちょっとまた教えていただきたいと思うのですが、農林省。
○説明員(西尾敏彦君) 農林省でございます。 お答えをいたします。 蚕糸試験場は明治四十四年に設立された試験場でございますけれども、最近の農林水産業をめぐります厳しい情勢の中で、新しい研究所に対応すべく、スクラップ・アンド・ビルドの原則に立ちまして、昭和五十八年に組織、定員を半減をしております。 それで、蚕糸試験場の研究の内容でございますけれども、蚕糸試験場は桑から絹に至ります広範な研究分野を担当してまいってきておりまして、この研究成果につきましては、例えば世界で初めてハイブリッドの効果を応用した蚕の一代雑種の実用品種を育成する、さらにまた、染色体操作技術の先駆的な業績といたしまして原生品種、これは雄雌で体色といいますか、皮膚の色が変わる品種でございますけれども、そういう品種を育成するというような成果を上げてまいっております。また最近は新しい消費の動向に対応した絹の新用途開発ということを研究の重点に置きますし、また、ホルモンでありますとかフェロモンでありますとか、そういう利用技術についても先端的技術の開発の研究を進めているわけでございます。こういうふうに研究者を振り向けているところであります。 さらに、蚕糸試験場の研究者は、先ほどもお話しいたしましたように、遺伝、育種関係の研究におきまして多くの研究業績があるわけでございまして、今回の組織再編に当たりましては、これらの研究者を新しくできました、昭和五十八年にできたわけでありますけれども、農業生物資源研究所に振り向けたり、それから地域農業試験場というのがございますけれども、その地域農業試験場におきます土地利用型農業に関する研究に従事するというふうに振り向けて今日に至っているわけでございます。 以上でございます。
○伏見康治君 もう一つ伺いますが、現在蚕糸試験場という昔ながらのものはまだあることはあるんですか。その規模は前に比べてどのくらい、あるなら小さくなっているかということ。
○説明員(西尾敏彦君) 蚕糸試験場という名前は現在も続いております。それで、その定員でございますけれども、昭和五十年時点で六百四十四人の定員を持っておりましたけれども、現在、六十一年度には二百五十二名というふうになっております。そのうち研究職が百四十六人ということでございます。
○伏見康治君 時代とともに試験場なり研究所なり、そういうものの性格が変わっていくべきだということは当然だと思うんですが、何か少し変わらなさ過ぎるような感じも受けるんです。明治の初期のころには日本は生糸の輸出が最大の輸出品で、いわばそれが国の財政を賄っていたようなものだと思うんです。そういう時代に非常にたくさんの蚕糸試験場ができたというのは当然だと思うんですが、今や絹の生産はその当時に比べて何十分の一になっているかと思うんです。それに応じては蚕糸試験場の規模は小さくなってないと思う。もっとラジカルな変化があってもいいんじゃないかと思うんですが、それを存続させる理由はあることはあるのですか。
○説明員(西尾敏彦君) お答えをいたします。 蚕糸試験場の研究は、確かに絹に関する研究というのもございますけれども、そのほかに新しい昆虫という、蚕というのは大変昆虫の中では実験材料として取り扱いやすい材料でございまして、こういうものを利用いたしました新しい昆虫の生体機能の開発の研究でありますとか、フェロモンの研究、ホルモンの研究などに研究勢力を振り向けているわけでございます。もちろん、今先生から御指摘がありましたように、蚕糸試験場の研究勢力が今のままでいいと私どもは考えているわけではございませんで、これについては漸次少しずつ減少させるように努力をしているところであります。
○伏見康治君 一つの研究所の体質を変えるということは大変難しいことで、長年かけて粘り強くやらなければならないと思うので、当事者の御苦心のほどは非常によくわかるんでございますが、同時に長い目を持ってその時代への追随ということをひとつなし遂げていただきたいということを希望しておきたいと思います。 それで、研究所の中にいる研究者がどういう気持ちで働いているかということを私は心配するんです。近ごろ新聞を拝見いたしますと、読売の四月二十日号を見ますというと、農業生物資源研究所というところにおられた村井さんという方が、せっかくアメリカから呼んできたにもかかわらず、また嫌になってアメリカへ帰ってしまわれたという記事があるのでございますが、この特別なケースについて御説明を願おうとは必ずしも思わないんですけれども、私が一般的に申し上げてみたいのは、研究者で特に研究のある面に特殊な才能を持ったような人というものは、そういう方面で一つの長所を持っているわけですけれども、天というものはそういう場合には別の面で必ず短所を与えるものでございまして、したがって、例えば人づき合いが悪いとかいうような面が必ず出てくるわけですね。 それで、日本の社会のように欠点の方で採点するという世界では、長所を持った人は同時に欠点も持っているために、その欠点の方で点が悪くなるということが非常にありがちなので、創造性を高めるための研究所というものを運営する際には、人間を長所ではかるという方針をやらない限り、みんな福徳円満な方ばかりになってしまって、長所のない人間がそろってしまって、創造的活動というものは望めなくなると思うんですね。この福徳円満な方ばかり集まるということは、社会の平安な動きというものにとっては大変必要なもので、私は日本の社会はそのおかげで非常に平和な社会になっているんだと思うんですが、事研究生活に限ってはいわば呪縛というものから解き放たれないとだめだと思うんです。そういうことはいろいろな省庁の研究所行政をやっておられる方々の頭の中にあるかどうかということをちょっと伺いたいわけなんです。
○政府委員(矢橋有彦君) ただいま先生が仰せのように、例えば筑波地区を例にとりましても、私の記憶では九件ばかり自殺という不幸な事故、事態が起こっております。科学技術庁の関係でも事例がございます。その事情は、一つ一つでそれぞれもちろん異なっておりますし、中にはいわゆる家庭的事情といったような事情がある場合もございますが、私どもいろいろ試験研究所の所長さんその他とこの問題についてもお話し合いをしているわけでございますけれども、やはりそこには研究者というものに固有の事情もあるということは見逃してはならないと考えているわけでございます。 と申しますのは、いわゆる研究というものはえてして孤独な仕事でございます。そしてまた、特に国の研究機関で行っておりますような研究は、世界でも先端を走る、また走らなければならない研究でございまして、いわば年じゅう緊張の連続であるということでございます。そこに今先生もその一端を御指摘になりましたような性格的な問題もございましょうし、また、何かの外部からのイレギュラーな刺激というものがありますと、それに大変もろいという性格を持っているということが事実であろうと思っているわけでございます。 そこで、私ども科学技術庁関係でもそうでございますし、また、もちろん他省庁の研究機関でもそうでございましょうが、この問題につきまして、いわば所長の最大の仕事と言っていいぐらいの心組みでもって取り組んでいるわけでございます。具体的にはどういうことかということでございますが、精神的な問題も含めまして、研究所の雰囲気を非常に明るい、風通しのいい、自由に物の言えるという雰囲気をつくるということがやはり一番の基本でございまして、それぞれの研究所の状況に応じてその点を努力をしているということが一つございますし、また、健康管理の問題及び精神面での健康管理の問題についての医師の相談とかあるいは研修とかといったもの、考え得るいろんな方法を組み合わせまして、そういった不幸な事態を招かないように努力をしているという状況でございます。この問題は根の深い問題だと思っておりまして、今後とも本当に所長の最大の仕事として取り扱っていただくように、本庁としても各試験研究機関の長にお願いをしているところでございます。
○伏見康治君 創造的人間をつくる私の持論をちょっと言わせてほしいんですが、天才をつくるためには天才を保護する博労役、博労役という意味は、まずそれが天才であるということを発見する人、そしてその天才を教育して天才的能力を引き出す人、そういう人がそばにいない限り天才というものはうまく伸びないと思うのですね。 過去の例を申し上げますと、湯川秀樹先生のノーベル賞の仕事というのは、全く仁科芳雄先生という博労役がおられて、非常に早くからそれに目をつけて引っ張り上げられたからこそ成立していると思うんです。ほかにもいろいろな研究があるんですが、多くの場合、そういう博労役がいないために育たないままでおしまいになってしまっているという例が日本にはしばしばございました。今、研究所長さんがそれぞれの研究者をいわば見てとるということを言われましたが、それは仁科さんが湯川さんを見たごとくに見ていただけるということであるというふうに理解して、この問題から移りますかね。 近ごろ教育界では子供のいじめの問題というのがしょっちゅう繰り返されて議論されているんですが、私はいじめの問題というのは、子供の世界だけじゃなくて、実は大人の世界にもいっぱいあると思いますね。研究所の中にでも私はそういうものが存在すると思うんです。そういうものを保護してやる人が、所長であれば結構です。所長でなくてもいいと思いますが、だれか保護してやる人がいないと、みんないい人はアメリカへ行ってしまうということになりかねないと私は思います。 研究者については、もう一つ先ほどの、特に検定業務的なものから研究生活に変わっていくといったようなことを考えますというと、これは非常に仕事の性格が違うものですから、一人の方が検定業務的ないわばルーチン的な仕事もちゃんとし、それから研究のような創造的な活動も同時にできるということは実はなかなか難しいんじゃないかと思います。ですから、蚕糸試験場といったようなものを何かほかのバイオテクノロジーの研究所に変えるということは、同じスタッフでは実は非常に難しい話だろうと思うんですが、その辺のところのお考えがどうなっているか。つまり人間の入れかえですか、そういうことが非常に難しいことはよくわかるんですが、どういうふうにやっておられるかを承りたいわけです。 特に、研究者になるということは世間の聞こえが極めてよろしくて、いわば格好のいい職業なんですね、研究者というのは。笑い話を一つ御紹介いたしますと、私がプラズマ研究所にいましたときに、一人の研究所の助教授の人が、ふだん無愛想な男で、家へ帰っても余り子供と接触していないらしいんですが、その子供が、うちのお父さんは一体何をしているのかとおやじに聞いたんだそうです。そうしたらおやじが、僕は研究をしているんだと言ったら、その子供がそれまでと打って変わって大変おやじを尊敬するようになったという話なんです。つまり、例えば手塚治虫氏のアトムなんという漫画を見ている人にとっては、お茶の水博士というのが大変偉いものだというふうに思うわけです。すばらしいことを成し遂げる人間だと思うわけです。 そういうわけで、研究者というのは世間では大変高く評価されている職業だと思うんです。したがって、だれでも研究者という名前は欲しがると思うんですが、しかし研究者としての資質がない人が研究者になるということは、いろんな意味で当人にとっても不幸なことに終わることが多いわけです。その辺のところをひとつ考えていただきたいと思うんです。特に研究所の責任をとるかとらないかということが、その人が研究をしているかしていないかということの非常に大きな要因だと思うんです。近ごろ非常に悪い慣習ができてしまいまして、何か大勢がかってやった研究を論文として発表する場合を考えますというと、そこへオーサーの名前がずらっと並んで、場合によっては十人も二十人も名前が並んでいる場合がある。これは日本的民主化の非常に悪いあらわれだと思うんです。 つまり、その研究所の機械の一部分を担当して、その機械のレバーを上げたり下げたりするような役目を仰せつかった人までその研究陣営の人だと思って書いてしまうわけですが、そういう方を研究者の列に加えるということは、私は非常に危険だと思うんです。自分がやっていることの意味がちゃんとわかっている人、その人だけが研究者と言えるのであって、ただお手伝いをしている人が研究者だということは絶対言えないと思うんです。その辺の区別なんというのも実はなかなか難しいのですが、その辺のところをどういうふうにお考えになっておられるかということを、何かありましたら教えてください。
○政府委員(長柄喜一郎君) 研究所は、一種の寿命といいますか、若いときからだんだん年をとってきて寿命がある。やはり研究というのはライフサイクルがあるのだと考えております。先生のおっしゃいましたように、新しい研究所はどんどん生まれる。一方で古い研究所が生まれ変わってくるというようなことが常時なされなければいかぬ。このことにつきましては昨年の行革審答申でも指摘されているところでありまして、国立研究所の見直しということが指摘されて、各省庁それぞれ三年以内に見直し作業をするようにということになっております。別途、科学技術会議でも国立研究所の活性化という観点から、その方策について現在検討しているところでございます。 このようにライフサイクルがあるわけでございますが、その際一番問題になりますのは人の入れかえ問題でございまして、従来、国立研究所は応用研究を中心にやってきた。これを今度基礎研究にシフトしよう、こういたしますと、基礎研究はどうしても若い人が中心にならなきゃいかぬ。応用研究はある程度人の輪が重要だ。基礎研究はどちらかというと個性豊かな方が、その先生のおっしゃいました博労役の指揮のもとに、庇護のもとに研究に没頭する、こういう研究環境が必要だと思います。 でございますから、研究環境も変えなきゃいかぬ、専門も変えなきゃいかぬ、人の入れかえもしなきゃいかぬ、こういうふうな問題が常についてくるわけでございます。先ほどの行革審でも、三年以内に各省それぞれ研究所の存在価値の見直しをやり、また人事計画も改めて考えるということで今作業をやっているわけでございますが、非常に難しい問題でございますけれども、日本がやはり独創的、創造的な研究をやっていくというためには、ある程度の血が出ると申しますか、きしみが出るようなことをやっていかなきゃいかぬ。自然に任せていたんではなかなかその体質は変わらない、こういうふうに考えております。
○伏見康治君 しっかりしたことをやるためには多少残酷というか、気の毒なこともしないわけにはいかないというような点は大いに覚悟してやっていただきたいと思います。 次に、研究者の人数のことをちょっと考えてみたいと思うんです。パーキンソンの法則というのがありまして、お役人の数というものは必然的にふえる一方であるというのは、その理由はよくわかっているわけなんですが、国立研究所の研究者というのがお役人と同じに考えていいかどうかということを問題にしたいわけです。研究所も、大蔵省に言わせると新しくつくるなら前のをつぶせ、スクラップ・アンド・ビルドだというようなことを言われます。それから、お役人の全体の数を制限する法則もあるわけでして、その中に入っておりますために国立研究所の研究員というものはふえるどころか減らされる一方のような感じがするわけですが、研究者というのもお役人一般の中の一こまとして考えていいんだろうかというのを申し上げてみたいわけです。というのは、自然科学は物すごい勢いで発達しているわけですね。科学技術の社会における比重というものはどんどんふえているわけです。したがって、国がやるべき研究もどんどんふえているはずだと思うんです。その方も抑えていくというのはまずいのではないかという感じがするのですが、その辺はどうお考えになっているのか伺いたいと思います。
○政府委員(長柄喜一郎君) 最近の研究者の数の推移について見ますと、これは日本全体の場合でございますけれども、過去十年間で、十年前の統計でございますと、我が国が二十七万八千人研究者がいた。それが一九八四年、最も新しい統計でございますけれども、三十七万人。これ、自然科学だけでございますが、全体で一・五倍に膨れている。こういうことでふえてきているわけでございますが、これはヨーロッパ、アメリカも大体同じように現在ふえております。 その中で国立研究所はどうなっているかと申しますと、これはむしろ減っている、若干減っているということでございまして、科学技術立国というようなことを我々は言っているわけでございますけれども、非常にこれは困ったことであるということで、毎年何とかこのマイナス傾向をプラスに上げたいということで努力はしているわけでございますが、総定員法その他の関係で毎年少しずつ下がってきておるというのが実情でございます。しかしながら、日本がこれから基礎的研究を十分重視し、独創的な科学技術をつくっていくというためには、大学とか国立研究所の役割というのは依然として大きいということで、これを何とか活性化し、かつ、その大きさも弁もふやしていかなきゃいかぬということで、今後ともこれについては努力していきたい、こう考えているところでございます
○伏見康治君 大臣、どうですか、研究所の方を何とか総定員法の枠から外へ出してしまうということは考えられませんかね。
○国務大臣(河野洋平君) 私も、個人的な感覚から言うと、科学技術立国とみずからを標榜しようとするならば、今先生がおっしゃるような考え方に立つことが一つの方法がなというふうには思います。今局長から御答弁申し上げましたように、国研の定員がふえない、十年間で一・〇倍というのですから、現状維持といいますか。あるいは若干ですが目減りしている。この事実は私どもにとっては大変残念なことでございます。ただ、一方で予算的にはふえてきているということは、人数の割には予算が多少でもふえて、研究が幾らかでも充実していてくれればいいな、こんなふうには思っているわけでございます。 パーキンソンの法則かどうかわかりませんが、一時的に膨れ上がった研究所の定員が今やはり相当冷たい風にさらされてぎゅっうと、ぎゅっうとでもないかもしれませんが、一時的に縮小せざるを得ない、縮小というと言葉が過ぎるかもしれませんが、ふえずにきているこういう時期、大変残念な、またつらい時期でございますけれども、こういう時期も時に研究所の中で、そういうことはあってはならないし、なかったと私は確信をしておりますけれども、少し水膨れの部分がもしあったとすれば、そういう部分がこの際少し整理をされるという、いろいろ譲歩して譲歩して考えればそういう多少メリットでもあったのではないかというふうにも思いたいわけでございますが、しかし願わくは、諸般の事情が許されて研究所の体制がますます充実していくということを願わずにはいられないわけでございます。 ちょっと言葉が過ぎたかもわかりませんが、科学技術立国というときには必ずしも国研の数だけで考える必要もあるいはないかもしれませんが、非常に基礎研究の重要な部分を支える意味で国研の充実ということが我々にとっては念願でございます。
○伏見康治君 このことに関連してもう一つ申し上げておきたいことは、日本の今の研究者を組織の中へ雇い入れるという仕組みがいささかまずいと思っております。それは、大学院を出て博士号でも取ったらそれで一人前の研究者ということでその研究所に採用したとしますね、ところが、研究の能力ということと、それから学校の成績がいいということとは全然関係がない、と言うと言い過ぎですけれども、余り関係がないんです。したがって、試験の成績のいい方が研究者として能力を発揮するということにはならないわけでして、実際に研究生活をやらせてみないと何とも言えないわけです。大抵研究生活を二、三年やってみると、これは将来立派な研究者になるか、これはほかの方面へ回した方がいいかという見当が初めてつくわけです。 それで、私は従来から考えているんですけれども、初めから採用するということを決めずに、三年ぐらいの要するに試用期間というのか、そういうものをつくるべきではないかと。文部省の方で申しますとポストドクトラルフェローシップというのがありますね。そういうもので、若い研究者にまずそこで一仕事させてみる、それで、その成績を見た上で本番の研究者の席を与えるかどうか考えるという仕組みをお考えになるべきだと私は思うのですが、何かお考えありますか。
○政府委員(長柄喜一郎君) 伏見先生が先ほどおっしゃいましたポストドクトラルフェローシップに相当するものとして、きょう文部省もおいでになっていますが、文部省の方でいろいろ奨学金制度を設けられまして、大学院生またポストドックについての奨学金を出されている、それが昨年度から今年度にかけてかなり拡大したということは非常に喜ばしいことと思っております。 国立研究所についてでございますが、これは私の多分に個人的感想でございますが、現在の採用試験は、人事院がおやりになっている国家公務員試験によって採用する場合と、選考採用によって、その方の業績等を見て採用できるというようなことがございまして、もしもポストドクトラルフェローシップのようなものを充実させれば、国立研究所につきましてもそのポストドックの期間の業務によっていわゆる筆記試験ではなくて選考採用ができるというようなことで、非常に質のよい、研究者としての資質を備えた方を採用できるのじゃないか、こう思っておりまして、文部省の現在のフェローシップ制度みたいなものをほかの省庁でもどんどんふやして、そういう若手の研究者が指導者のもとである一定期間、徒弟制度ということではございませんけれども、仕事に励んで一人前になる、そして、その成績によって採用される、こういうふうな仕組みが日本にできることを期待しているわけでございます。
○伏見康治君 今のお話について感想を申し述べたいんですが、文部省がポストドクトラルフェローシップをつくっておられること自身は大変結構なことだと思うんです。ただ、そういうニュートラルなところが何かそういう制度を持っていて、そこを通過しないと例えば原子力研究所なら原子力研究所にその人をあてがうことができないというのでは、私は非常にぐあいが悪いと思うんです。つまり、その研究所自身がポストドクトラルフェローシップを持っていて、自分がこれはと思う者をつかまえてきてそこへ据えてみるというのでないといけないと思うんですよ。研究所の意思に無関係なところで合否が決まってしまうというようなシステムというのは僕は余り感心しないんです。それぞれの研究所が御自分でフェローシップをお持ちになるように僕はお勧めしておいて次の問題に移ります。 ところで、一番初めに申し上げたように原研は特殊法人なんです。それで特殊法人の原研とそれから例えば電子技術総合研究所というものと、過去の歴史は大変違うんですけれども、現在研究所の目的としていることと、それから自由度、今度の法律の対象になるのは電子の方で、原研はそれ以前からそういう自由度を持っていたと思うんですが、その辺の差異というものはどういうふうに考えるのですか。
○政府委員(長柄喜一郎君) 身分法上のことで申しますと、国立研究所が従来国家公務員法の適用を受けまして身分的にはかなり窮屈であるということで、今回提案しています法律では、いろんな点で自由度をふやすということを提案しているわけでございます。特殊法人の場合には国家公務員法の直接の適用を受けないということで身分法的には弾力的な運営が可能でございます。そういう意味で、法律上特に身分法上緩和措置をとらなきゃいかぬというようなことは特にないというふうに考えておる次第でございます。ちなみに、今回の法案で出しております学会参加のような場合でございますと、特殊法人の場合には就業規則というのがございます。就業規定と言ったり就業規則と言っておりますが、これによって服務を決めているということでございまして、就業規則ないし就業規定を変更すれば国の場合と同じような措置がとれるということになっておる次第でございます。
○伏見康治君 私の質問は、なぜ原研は特殊法人の扱いを受けて電子の方は国研であるのかという、例えば原研の方がよければ国研も原研並みにしてしまったらどうかというそういう意味なんです。
○政府委員(矢橋有彦君) 国の直轄研究所の場合には、これは建前でございますけれども、国みずから自分の資金でもって国として推進すべき研究を行うために設置をする、こういうことでございます。特殊法人の場合には、目的は国家的目的でございまして、いわば国の業務の代行的機能を持つわけでございますが、その場合、外部資金をより導入しやすくするとか、あるいは人の交流を一般的にやりやすくするということで、特殊法人の方が適当であるという場合に特殊法人を設置する、これが一般的な考え方でございます。しかし先ほど冒頭先生がおっしゃいましたように、それぞれの法人等の設立及びその後の沿革等によっていろいろ状況は変わってまいりまして、明確に今申し上げましたような区分だけで説明し切れるかどうか、必ずしも明確でない面もあろうかと思いますが、基本的には今申し上げたようなことでございます。
○伏見康治君 お話しのようなことであろうかと存じます。そして、すべての国研を特殊法人にしろなんというラジカルなことを申し上げるつもりはないんですけれども、場合によっては中曽根さんのように、民活、民活と言われているわけですから研究所の中に民間の研究費も導入するという意味もありますので、現在の国研の幾つかを特殊法人になさるといったようなこともお考えになる可能性はあると私は思うのですが、よろしく。 同じようなことは文部省の共同利用研究所の性格についても言えるのです。先ほど文部省は共同利用研がお気に入っているようであるというようなことを申し上げて申しわけなかったと思いますが、古い昔ながらの研究所で非常に能率が悪くなっている研究所も間々あるように伺っているんですが、何か変化を起こすことによって活を入れるということも必要だと思うのです。最近、随分共同利用研究所というのはふえましたですね。先ほどのお話だと三島の遺伝研とか、統計数理研究所もそうでしょうか、昔ながらの研究所を新しい体制のものに切りかえておられると思うのですが、そういうことは今後もお進めになるのでしょうか。
○説明員(長谷川善一君) 伏見先生御指摘の今の大学共同利用機関でございますけれども、現在十二を数えております。それから国立大学の附置研究所の中で全国の大学の共同利用に供するもの、これも十二を数えております。これら二十四の研究所がそういう意味で共同研究のために開かれておるわけでございますけれども、現在、文部省といたしましては、そういう位置づけになってない研究所におきましてもできるだけ外部の方々の研究のために門戸を開くように促しておりますし、それから既存の研究所の中で適当なものにつきましては、見直しを行った後で共同利用のタイプの研究所に変わっていくように、これもまたそういう方面で指導をやっておるというような状況でございます。
○伏見康治君 それでは一般的なバックグラウンドのお話は、もう時間がほとんどないので、肝心の法案を議論しないでおしまいになるのはちょっと残念ですから、一つだけでも伺っておきたいと思うのですが、第十条というのがございまして、それが何かいかにもつけたり的な感じがいたします。これは「配慮事項」ということになっているのですが、一種の精神訓話みたいなものではないかと思うんですが、余り法律にそぐわないような感じもするんです。こういうものをつけた理由はどこにあるのでしょうか。
○政府委員(長柄喜一郎君) 今回の提案さしていただきました法律の第三条から第八条までの措置によりまして、国の研究者ないし国の研究所の活動が国際的に開かれたものになっていくということを我々は期待しているわけでございます。これに伴いまして国際共同研究とか国際交流が拡大していく。その際でございますけれども、日本が約束しております国際条約とか国際約束等につきまして、これに違反といいますか背馳することのないようにこの第十条の規定を置いたものでございます。 具体的に申し上げますと、今対象に考えていますのは、例えば核不拡散条約がございます。核の拡散につながるような研究、こういうものに無原則につながるような研究はある範囲内で慎まなきゃいかぬ。それから生物兵器に関する条約、こういうものもございます。それから二国間の原子力の協定などもございまして、技術ないし資材、機材の第三国移転等についての制限が加えられておるケースがございます。こういうふうに条約その他によって技術の移転を制限されておるケースがある、こういう制限に違反しないように十分各省庁ともこの国際交流を進める場合には配慮してください、こういう意味で、当然のことでございますけれども、特に今回の法律ではこれを注意喚起したという意味でございます。
○伏見康治君 もう時間が来たと思いますので、最後に大臣の御意見だけ伺っておしまいにしたいと思います。ただいま局長が言われた点ですが、この第十条で、平和を守るために必要ないろんな制限があり得る、それに従わなきゃならないという注意をつけてくだすったことは大変結構なことだと思うのですけれども、しかしこの同じ条項が今度は逆に戦争の方へ、兵器の研究の方に向けられるのではないかという心配をなさっている向きが非常に多いのですが、そういうことは絶対にないのだということを長官からちょっとおっしゃっていただきたいと思うのですが。
○国務大臣(河野洋平君) この十条の文言を書き込みました意味合い、目的は、今先生御心配のようなことではございません。この点は私からもはっきり申し上げておきたいと思います。 この研究交流促進法案の願うところは、この法案によって、従来少しでも隘路となって国際的な研究交流というものが十分できていなかったとするならば、これによってその隘路を取り除いて国際間の交流が進むであろう。そういうときに、内にあってはこういうことに配慮をしなければいけないよということを注意を喚起すると同時に、外に向かっても、日本が国際交流を積極的にやる、打って出る、しかしそれについては国際的な取り決めを十分守っていくものですよ、ですから安心してひとつおつき合いを願います、こういうことを外に向かっても表現をするという意味合いでございまして、決して御心配のようなことをしないことを明言したいと思っております。
○伏見康治君 ありがとうございました。
○塩出啓典君 それではこの法案の問題についてお尋ねをしたいと思いますが、今回の研究交流促進法案の目的の一つは、いわゆる民間との共同研究を推進する、今まで民間出向の際のいろいろ身分上の不利益を改善する、こういう点が今回の法案の目的の一つでございますが、国の研究機関の研究者が民間とこの法律の対象となるような共同研究をしている実態はどうなっているのか、また、どういう目的でそういう共同研究、いわゆる出向までして行う共同研究があるのか、簡単でいいと思うのですが、大体の方向を御説明いただきたいと思います。
○政府委員(長柄喜一郎君) 民間企業と国立研究所との共同研究の件数というのは年々ふえておりまして、五十八年度に約二百件だったものが六十年には約四百件というふうにふえてまいっております。 こういう共同研究等に国立研究所の研究者が参加する形態として、自分の、国側の研究分野を分担する場合と、相手方の研究分野に参加する場合とありますが、今回の法律で第五条で規定していますのは、相手方の研究分野に相手方に身分を移して参加するというような場合でございます。一般に国立研究所は基礎的研究をやっておりまして、いろんなアイデアが出ております。そういうアイデアを中心に、今度民間で、相手方でそれをさらに発展させようというようなことで共同研究を結ぶケースもございますが、そういう場合に、もともとのアイデアを出した方が相手方に彩られてそこでその研究をさらに発展させられるというような、こういうケースが多かろうと思います。 研究休職の実績というのはいろいろ人事院等で数字はございますが、私が今申しましたような、そういうケースで国と研究組今ないし民間企業との共同研究のために相手方に身分を移して今研究されている方というような方は、約数十人の方がいらっしゃるということでございます。
○塩出啓典君 私が一番心配するのは、やはり大学も最近民間とのいろんな共同研究が進んでおる。これは、もちろん大学は学問の真理を追求する、そういう立場で大学が自主的に判断をして、こういう共同研究は非常にいいであろう、そういうもとで進めていく、この方向もいいと思うのでありますが、ただ、国の研究機関の場合は多少大学とは違うんじゃないかと思うんですね。国家公務員法には第九十六条で、「すべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」というそういう点が確保されなければ、やっぱり共同研究、しかも研究の成果が向こうの企業秘密に守られて発表されない、そういうことになってしまうと私は共同研究というものは間違った方向に行く心配があるんじゃないか、そういう点の歯どめはどう考えておられるのか。大体共同研究をオーケーという判断下すのはだれが判断するのでしょうか。その点をお尋ねしたいと思います。
○政府委員(長柄喜一郎君) 今回の法律案で提案しております共同研究等に関する条項は第五条かと思うのでございますけれども、これは国と国以外の相手方との委託研究ないし共同研究の効率的な推進ということをねらって措置した条項でございまして、これはいわば国の研究を効率化するために国の研究者に相手方に行っていただく、こういう範囲に限っているわけでありまして、無制限に民間企業の一般の商業活動のために派遣されるというもの、そういうものを含んでいるわけではございません。そういう意味で、私どもとしては国の研究、国の委託研究ないし国の共同研究の効率化のために派遣されるものであるということで、御心配のようなことではなくて、かなりの歯どめがかかっているものというふうに考えている次第でございます。 それから、だれが判断するかということでございますけれども、これは派遣される研究者の方が民間側に身分を移される場合には当然相手方からの要請もあるという条件が必要でございますし、そして派遣する方もその方が向こうに身分を移して研究に従事したならばその研究が非常に効率的になるという判断を国側もしなければいかぬということでございまして、だれがということになりますと、双方が相談して決めるわけでございますけれども、最終的にはその研究者の属している研究所の所長ないし、さらに上にいけば各省庁の長が判断するということになろうかと思います。
○塩出啓典君 これは長官にも要望しておきたいわけでありますが、この法案そのものはそういう出向する人の身分に関する問題ですから、この法案そのものが共同研究を推進するとか、しやすい条件をつくるわけですけれども、そういう共同研究の決定というものはまた別な法律でなされるように私は理解しておるわけですが、しかしそういう場合に、やはり国民の全体の利益に奉仕するというこの精神が貫かれなければ国民の批判を受けるんじゃないかと思うんですね。そういう意味で、例えば民間と共同研究をして、ある時期においては企業秘密のために研究の成果を発表できないことがあったにしても、最終的には特許権は国が持つなりして国民全体にやはり奉仕をするというこの精神が貫かれるように私は何らかの処置が必要じゃないかと思うんですけれども、これは、具体的にああしろこうしろということは私もよくわからないんですが、そういう点に十分配慮をしていただきたい、この点はどうでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 御指摘のとおり、国研の目的は我が国の科学技術の振興、発展ということが一つの重要な目的でございます。特定の企業の利益のために国研が存在するわけではございません。ただ、ここで民間との共同研究を図ろう、そういう目的をここに置いてございますのは、民間には民間の非常に高いレベルの研究もございましょうし、国研には国研の高いレベルの研究がございます。そして、それらが一緒に共同研究することによってさらに高いレベルの研究というものができるだろう、そしてそれが国際的にも非常に高いレベルのものになっていくに違いない。これは少しオーバーな言い方かもしれませんが、それらは人類にとっても非常に貴重な英知ということに、知見ということにもなるかもしれないということを考えているわけでございまして、特定の企業の営利ということが目的になってしまってはいけない、その点は、先生御指摘のとおり、我々もよく考えてやらなければならぬところだというふうに思います。 したがいまして、先生御注意がございましたように、特定の民間企業との間に研究の成果が上がって、それが企業秘密といいますか、そういうもので守られて特定の企業のメリットにだけなるということであってはならぬと思います。したがいまして、原則的にそうした研究の成果は公開されるものだというふうに私どもは承知をいたしておるところでございます。
○塩出啓典君 それから、今回の法律の改正の一つに、外国人の任用でございますが、これが今日まではいわゆる一般の平研究員と申しますか、そういう人しか任用できなかったものを、研究部長、研究室長まで任用できるようにする、こういうことでございますが、大学関係については既に教授、助教授、講師まで任用できるようになっておる、そのように聞いておるわけですが、この点、私の感じでは日本の国はそういう外国人を採用するというのが非常に閉鎖的というか、非常に少ない、これが一つの摩擦というか、そのようにも言われているわけでありますが、現在研究所における平研究員はどれぐらいいるのか。この法律改正によっては大体どの程度までふえるものなのか。また、どの程度までふやした方がいいのか、そのあたりはどうなんでしょうか。
○政府委員(長柄喜一郎君) 現在、国立研究所におきまして外国人研究者は、管理職はもとより一般の研究者の採用実績はございません。ただ、先生おっしゃいました国立大学におきます外国人教員任用特別措置法というのが五十七年にできておりまして、約三年経過しているわけでございますが、この間、教授、助教授等に二十九名の方が採用されている、また助手には八十二名の方が採用されて合計百十名ほどの方が採用されているというようなことで、三年間で百十名でございますので少ないかと思いますが、こういう実績がございます。 将来国立研究所について何人ぐらい採用する予定かということでございますが、今既にその採用計画、任用計画を持っているわけじゃございませんが、とにかく今回の法律は外国人の外国国籍の方にも門戸を開くというところでございまして、どうなるかは今後の各省庁のお考えによるかと思います。 ただ、科学技術庁でやっております創造科学推進制度というのがございますけれども、ここでは、現在研究者全員で二百名ほどおりますが、そのうち約一割の二十名は外国人というふうなことで、約一割でございますけれども、外国人の方が参加すれば、違った発想をお持ちになっているし、また研究に対する熱意と申しますか、姿勢も違う、ディスカッションのやり方も非常に厳しいというふうなことで、非常にいい影響を与え、お互いにいい意味での触発を受けているというふうな実績も出ておりまして、我々としては、この法律ができますれば、国立研究所にもかなりハイレベルについても外国人の方が任用され、その方たちが場合によって指導者にもなられていくというふうなことを期待しているわけでございます。
○塩出啓典君 これも長官に御要望したいわけですが、私の友人などもカナダの大学の教授で頑張ってもおりますし、また日本の、特にバイオの関係ではどんどんアメリカに行って、そしてアメリカで頑張っている学者もおれば、日本からそのもとへ行って勉強をして日本の各地で頑張っている学者もいる。そういう点から考えれば、日本はアメリカ等にどんどん行ったわけですから、今度は逆に東南アジアのいろんなそういう学者たちも日本へどんどん来させる。日本は留学生が非常に少ない。東南アジアの若い学生たちはどんどんアメリカへ行きヨーロッパへ行って、日本にはなかなかその次のクラスしか来ないというそういうことが言われておるわけですけれどもね。特に発展途上国の人たちもどんどん研究に参加できるということは、私は日本の大きな安全保障の上からも必要ではないか、そういう意味で、この法律ができるだけではなしに、できた後も実際に成果が上がるようにひとつ努力してもらいたい、この点はどうでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 例えば、アジアの開発途上国の方々の中にはかなり多くの英語圏の方々がおられるわけで、この英語圏の方々は、日本へ来て研究するよりはアメリカへ行って研究する方がまず語学の壁が比較的クリアしやすいということがどうもあるんじゃないか。日本へ来て、研究を英語でするということももちろんございましょうけれども、日常生活を初めとして、どうも語学の、言葉の壁を越えなきゃいかぬ。しかし日本語の壁をクリアして、例えば日本語をマスターしても自国へ帰って利用する部分がさほど大きくないということになれば、その苦労をする時間的あるいは労力の上での余裕は、むしろアメリカへ行くことによって、あるいは英語圏の研究所に行くことによって別の体得すべき何かがあるというふうにお考えになっている向きもあるかもしれませんね。 しかし、今回のこの法案が成立をして、日本の研究所が、相当レベルの高い研究所でございますから、レベルの高い研究所が外国に窓を開く、そしてかなりの外国の方々が研究所に入られることによって研究所自体が非常にインターナショナルな、国際的な場になるということになれば言葉の壁というものも越えやすくなってくる、あるいは英語で研究をするということの可能性が非常に出てくるということになると先生御指摘のアジアの方々の参加もある意味で容易になる可能性もあると思っております。 そうしたことも期待をしながら、そしてまた、それは決してアジアの国々の、開発途上国の方々のメリットだけではなくて、大いに日本の国の研究上のメリットもあるでしょうし、先生御指摘のように、国際的な立場、役割という意味でもメリットはあるわけでございますから、そうした点にも留意をしながらこの法立成立の暁には運用をしていくべきだ、こう考えておるわけでございます。
○塩出啓典君 それから次に、いわゆる研究集会への参加につきまして職務専念義務の免除による道を開いた、こういう点は一歩前進で私も評価をしたいわけであります。ところが、旅費は全部自費でやる、そういうことでいささか不満足であります。 いろいろお聞きいたしますと、大体研究者の研究集会等への参加の旅費が、公務によるいわゆる国の予算が大体一人年間一万一千円である、そして今回この特別な処置によりまして、あれ科学研究調整費ですか、から一億円ですね。一億円だから、一万人で割れば一人一万円になるわけだから、そうすると一人当たり年に約二万円。こういうことで、全体で二億円そこそこですね。私はこれは余りにも少ないんじゃないか。研究者がいろんな研究集会に出て切磋琢磨するということは刺激になると思うんですけれどもね。私たちの友人が民間の研究機関におりますが、彼らはそういう出張なんかも非常に旅費が多いですね。場合によっては、同級会やっても、それに出張して同級会に来るのもある会社ではあるみたいでありまして、そういう点から考えて、一万人で二億なんていうのはちょっとけた外れに少ないんじゃないか。このあたりはもうちょっとふやす必要があるんではないか、この点の御意見を承りたい。 それともう一つは、研究者というものは成果で評価をしてもらいたい。国家公務員法というものは大体公務員を悪人と見ている。だから出勤とかタイムカードとか——研究者というのは、もう二十四時間が仕事だ、自宅へ帰っても一生懸命考えて、そしていい発想を考えているんだから、そういう人たちに、何時に出勤して何時に帰ったかというそういうだけの管理はいかがなものか、我々を悪人に見ておるのか、こういう意見がございました。私はもっともだと思うんです。そういういう意味で、やはり研究者の能力を発揮できるように、ただ何時に来て何時に帰ったというようなそういうことの管理ではなしに、もうちょっと評価も、成果で評価をする、こういうように研究者の評価のあり方を変えた方が研究者の活性化にも結びつくんではないか。この二点について御意見を承ります。
○政府委員(内田勇夫君) 前半の旅費の点につきましてお答え申し上げます。 ただいま先生から御指摘ございましたように、学会出席旅費、これは国内の旅費でございますが、従来より一億一千万ということでございまして、そういうことで数年経緯しておったわけでございますが、学会に出席するということは、研究者の資質の向上あるいは研究の交流さらには研究の活性化のために非常に重要なことだというふうに考えておりまして、これは、さらにこの学会出席旅費等につきましては手当てをせにゃいかぬということでございまして、六十年度から科学技術振興調整費で、先生ただいまお話しございましたように、一億円の配分をするということをいたしたわけでございます。旅費の倍増というのは、財政事情の厳しいところから、なかなか政府としても努力をしたところでございますが、そのような措置をとったわけでございます。 それから、学会というのは国内学会だけではございませんで、国際交流ということも、外国で行われる国際的な学会というものにも大いに出席しなければいかぬということでございまして、統計によりますと、現在、公務で学会に出席した人が百八十人ぐらいで、自費で行った人がそれを上回るというような統計になっておりますが、六十一年度は振興調整費によりましてこの海外での研究集会、学会への出席の旅費につきましても手当てをするようにいたしたいというふうに考えておりまして、今後ともこの研究者の学会出席関係の促進ということについては努力をしていきたいというふうに思っております。
○政府委員(長柄喜一郎君) 先生のおっしゃいました後段の御質問、服務とかまじめであるとかいうことで評価するんじゃなくて、成果で評価したらどうかということでございます。 研究者というのは二十四時間物を考えているのでございますが、現在の国家公務員法の制度では、ウイークデーは一日八時間、土曜日を含めて一週間に四十四時間というのが原則になっておりまして、特別な職業、特別な勤務の方は時間の割り振りの特例ができるというような制度ができております。研究者につきましても、実験設備の都合等によって二十四時間勤務しなきゃいかぬこともございますし、三日間徹夜というようなこともございます。事実そういうことがございますので、我々としては、その研究者の方の勤務の態様については弾力的な運用ができないものかどうかということで、ぜひその方向に持っていきたいということを考えておりまして、これにつきましては、現行の公務員制度との関係もありまして、今後の課題として検討させていただきたい、こう考えている次第でございます。 なお、評価の点でございますが、いろいろな調査によりますと、国立研究所では、その評価しているかどうかということについては、評価しているというのがかなり高いのでございます。問題は、評価の結果を、例えば研究費の割り振りとか、処遇改善とか昇給とか、そういうところに十分フィードバックしていないという点が問題のようでございまして、確かに基礎研究が中心でございますので評価は難しいという点もございますけれども、適正なる評価をし、その結果を処遇なり研究費の配分なり、そういうところにフィードバックする、そういうことによって研究者の方が生き生きとして研究に没頭できるというふうな環境をぜひつくっていかなきゃいかぬ、こう考えているところでございます。
○佐藤昭夫君 私は、四月三日の当委員会でも指摘をしたところでありますが、今次法案のねらいが、研究交流促進の美名のもとに、一つには国立研究機関の研究を大企業の利益のために使う道をつくること、もう一つには国立研究機関を軍事研究に動員する道を開くことにあるという問題を指摘してまいりました。そのあらわれが第二条で、試験研究機関等及び研究公務員に防衛庁の研究機関、研究員が突如挿入をされた、こういう問題でありますし、また第十条で、条約や国際約束の誠実履行義務、これを定めるという問題になってあらわれているのであります。そして、この軍事研究への動員の今日最大の政治的焦点がSDI研究協力問題となっているということは言うまでもありません。 そこで、まずきょうはSDI問題について幾つかお尋ねをいたします。 この四月二十三日、官民合同のSDI対米調査団の報告が出されました。そして、それを受けて同じく四月二十三日、日本政府としてのSDI参加問題について関係閣僚会議を開いたということになっているわけでありますが、この閣僚会議でどういう議論になったのか。一部新聞報道によりますと、その席上、河野科技庁長官は異論を唱えられたとの報道もありますけれども、どのような意見を述べられたのでしょうか。 〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕
○国務大臣(河野洋平君) SDIの関係閣僚会議は、SDI研究参加についての政府としての対応を検討するに当たって、関係閣僚間においても十分な意見交換を行っていくための場として開催されたものでございます。この会合は、官民合同調査団の報告を聴取することを主たる目的とするものでありまして、外務大臣よりSDI研究参加問題の検討経緯について、また同調査団に参加した外務省及び防衛庁の担当官より調査結果について説明が行われました。その後、調査団報告についての質疑応答があったほか、特段の議論は行われなかったわけでございます。
○佐藤昭夫君 長官にもう一つお尋ねをいたしますが、既にこのSDI問題で、例えばアメリカとイギリスあるいはアメリカと西ドイツ、それぞれの間に、形態は違いますけれども、一定のSDI研究協力の取り決めがやられているんですが、その内容がどうなっているかといったようなことは関係閣僚会議での議論の素材に上っているのでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) せんだっての関係閣僚会議は、今申し上げましたように、調査団の報告が主たるものでございまして、今先生おっしゃったようなアメリカと西ドイツとか、アメリカとイギリスという二国間の取り決め等についての報告、議論はございませんでした。
○佐藤昭夫君 四月二十三日は合同調査団の報告をもとにしての一定の協議ということであったとして、今まであったのでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 関係閣僚会議はまだ一回しか行っておりません。その一回が今申し上げたものでございます。
○佐藤昭夫君 ところで、SDI研究参加に関して、最近アメリカと西ドイツとの間での政府間協定文書、これが西ドイツのエクスプレスという新聞、ここに発表されまして、その内容の骨子を日本の多くの新聞も報道したところでありますが、政府は承知をしていますか。外務省でも科技庁でもどっちでも結構です。
○説明員(岡本行夫君) お答えいたします。 私どもといたしましては、アメリカと西ドイツの間で三月二十七日、西独企業等のSDI研究参加に関する取り決め、いわゆるMOUが署名された事実は承知しております。また、その内容につきまして報道でいろいろ出ていることも承知しております。ただし、何分この協定はそもそも不公表ということでございますので、私どもといたしましては、そのような性格の協定の内容につきましてあれこれ述べる立場にはないわけでございます。
○佐藤昭夫君 不公表とはいいましても、例えば日本の新聞でも、四月十八日の日経の夕刊、十九日の朝日、読売、二十三日の毎日新聞、これだけ全国紙と言われる日本の大きな新聞がその骨子を報道しているんですから、その内容がどういうものかということを把握しようと思えばできないはずがない。 私はここに両国政府間での協定文書の翻訳文を持っているわけでありますけれども、また、その内容は一連の新聞報道でも報ぜられておるとおり、この協定の内容が、研究に当たっての、共同研究の基本である自主、平等、対等の原則、これに全く反して大変な内容になっておもということを指摘せざるを得ないのであります。すなわち、研究の内容で何を秘密にするかということはアメリカ側の判断で決まる。特許権など研究成果の利用権、これはアメリカ側にある。技術輸出についてはアメリカ側が拒否権を持つ。西ドイツがそれを出そうと思ったってアメリカがだめだと言ったらだめだ、などなど、こういう一方的な内容になっているわけであります。 政府は、今私三つほどの重要なポイントを挙げたわけですけれども、このことを知っているのでしょうか。
○説明員(岡本行夫君) 私どもも、西独政府筋からこの内容が漏えいした、そして、その協定の本文というものが西独の新聞に報道されたことは知っておりますし、またその記事内容から、この協定が米独いずれの国内法にも変更を加えるものではないといったことや、ドイツ企業はアメリカ企業と同等の権利を有し、また受注が競争原理によって行われること等、あるいはまた、先生が御示唆なさいましたような事項が報道内容としてあることは承知しているわけでございますけれども、私どもとしてはその文書にコメントする立場にはないこと、そしてまた、私ども自身米国政府と参加を前提とした話し合いを行っているわけではございませんので、具体的にいかなる制約をアメリカが同盟国との間で要求してくるのかといったようなことについては、まだお答えする立場にはないわけでございます。
○佐藤昭夫君 大臣に改めてお尋ねをしますけれども、どのようなテーマで行われる研究であっても、それがいやしくも科学技術の共同研究だ、そう言う限り、自主、平等、公開の原則、参加国の 間でこういう原則がきちっと保障をされなくちゃならぬ、それがすべての国の科学技術の発展のために欠かせない原則だというふうに私は思うのですけれども、大臣のお考えはどうでしょうか。
○政府委員(藤咲浩二君) 現在私どもが諸外国と行っております共同研究について、一般的な考え方をまず御説明さしていただきたいと思いますが、共同研究等を行う前提といたしまして、大部分の場合には二国間科学技術協力協定というようなものが相手国との間に結ばれまして、あるいは多数国間の場合にはその機関に加盟するというような形で枠組みがございまして、その枠組みのもとで情報交換とか人材交流を含みます国際協力を行ってきておるわけでございます。その中には共同研究を実施するという場合もございます。 これらの場合には、そもそも参加するといいますか、そのテーマを取り上げるかどうかにつきまして、我が国と相手国あるいは相手機関との間でいろいろ話し合うわけではございますが、その際、我が国といたしましては、共同研究に参加することによるメリット、それが我が国の研究にどれだけプラスになるか、あるいは我が国の研究の進捗状況から見て今共同でやることが適当であるかどうか、あるいは共同研究をこれから続けていく能力があるかどうか等々、我が国が自主的な判断をいたしまして、その上で相手国と相談し、協議が調えばテーマに取り上げるというようなことをまずやります。 それからさらに、それを推進していく場合に、実施、運営していく際にも、その研究協力によって我が国が十分利益を得られるように、多くの場合は時々両国の関係者が合同会議というような形で集まりまして、その研究の進捗状況をレビューしながらさらに先の研究計画を進めていくというようなやり方をいたしておりますということでございますので、一般論といたしましては、当然我が国は我が国の自主的な判断のもとに我が国の利益を十分考えて国際共同研究を進めているということでございまして、これは今後ともその方針でいくことに変わりはないということでございます。
○佐藤昭夫君 長い答弁の割に三分の一ぐらいしか答えていないんですけれども、私の聞いていることだけ端的に答えてほしい。 特定の国の押しつけがあってはいけない、参加国の間での自主的な共同研究でなくちゃいかぬ、それから例えば研究成果の利用については、どこかが独占をするとかということではなくて平等でなくちゃいかぬ、それから研究の成果というのは科学技術のまさにその命である公開の原則が貫かれなければならない、自主、平等、公開という、この三つの点が大事じゃないですかと聞いているのですから、その点だけ答えてください。
○政府委員(藤咲浩二君) 今先生おっしゃったような点につきましては、その前提となる科学技術協力協定に明記してある場合もございます。それから明記してない場合もございますが、その場合においても先ほど御説明したような考え方で共同研究等を推進しているということでございます。
○佐藤昭夫君 そこで、このSDI研究への参加問題について、今日まで政府のいろいろな説明として、それが日本の科学技術の発展にとっても大きなメリットをもたらすというこのことが、まだ最終結論は出してないけれども、参加するとすればその場合の理由の重要な一つとして挙げられてきたところであります。 もちろん我が党は、このSDIというのが宇宙にまで核戦争を拡大をし、世界政治の緊急中心課題である核廃絶に真っ向から反するものとして、一貫して当初から反対をしてまいりましたが、さっき確認をしましたように、政府の立場からいっても、もしもSDI研究参加に当たって、参加国の自主、平等の立場が保障されないということになるとすれば、参加問題については根本的に考え直さなくちゃならぬということになると思うんですが、一般論として聞きます。大臣、どうでしょう。
○国務大臣(河野洋平君) SDIに参加するかし古いかというのは、繰り返し申し上げるようですが、目下慎重に検討中でございまして、それ以上今お答えをする立場にございません。 しかし、SDIという意味ではなくて、全く一般的に、今先生が御指摘になったように、自主的な判断でやるのかどうなのかということでございますれば、これはもう自主的な判断でやるのは当然のことでございます。共同研究という場合には相手があるわけでございますから、相手方との、共同研究のパートナーとの間の話し合いということは当然あろうかと思いますけれども、少なくとも一方が、こういう条件とこういう条件とこういう条件でおまえの方はやるかやらないか、こう言ってくれば、それに対してこちら側としては全く自主的に、そういう条件ならやるとかやらないとかということを答えるのは、これまた当然のことであろうと思うわけでございます。
○佐藤昭夫君 今も確認されたように、自主、平等の原則というのは当然の問題だろうと思うんでありますが、ところが、現実にさっき私が引用いたしましたように、アメリカと西ドイツの協定文書、この自主、平等の原則というのが全く踏みにじられているというふうに言っていいと思うのです。 実は、四月四日の予算委員会で私は、まだ最終的な調印という、協定が取り決められたという内容がまだ明らかになっていない段階でしたけれども、両国の協定交渉、これがアメリカの非常に一方的優位のもとに進められているんじゃないかということを取り上げまして、西ドイツの雑誌、週刊誌だったと思いますが、シュピーゲル、ここにそういう記事がるると書かれているということを取り上げまして、大臣も総括の場でしたから御出席になっていると思うんですが、外務大臣初め政府側は耳を傾けようとしなかった。ところが、果たせるかな、今、きょう私が申し上げているように、いよいよこの西ドイツのエクスプレス紙、ここにその交渉の結果が非常に明瞭に、ある意味ではすっぱ抜かれたということかもしれませんけれども、暴露されている。このアメリカと西ドイツの協定の内容というのは、もしも日本がSDI参加するとするならば日本がたどるであろう道を示唆をしているのじゃないか。したがって、日本のSDI参加問題を国会が判断する非常に重要な基礎になる。 〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕 こうした点で、さっき外務省などは何ですか、そういうことについて調べる立場にないとか何とかですが、もう外務省は結構ですから、大臣にお尋ねをしますけれども、そういうSDI参加問題を政府としてどう判断するか、国会としてどう判断をするかの非常に重要な一つの判断資料、判断の基礎になるのでありますから、政府として、本日私が引用いたしましたこの問題について至急に調査をして国会に御報告を願いたいと大臣に要望しますが、どうでしょう。
○国務大臣(河野洋平君) 先ほど外務省から御答弁を申し上げましたように、今先生御指摘の文章は、アメリカ、西ドイツ両国で不公表、公表しないということでつくられたと承知をいたしておりまして、両国が公表しないといってつくった文章を我々が入手して資料としてお出しすることは不可能であろうと思います。また、もし先生がエクスプレスにある文章について、資料としてという意味でございますれば、私どもといたしましては、両国政府が不公表というものが、仮に一報道機関の手でそれらしく公表されたというものがあったとしても、それを政府として資料としてお出しすることは甚だ不適当ではないかというふうに私は考えております。 また、私どもといたしましても、そうしたものを、つまり一部マスメディアの掲載した文章を国の重要な意思決定の基礎的な資料として、それを基礎として検討するということも非常に疑問だなというのが私の印象でございまして、今先生から御指摘の資料の提出については私としては御勘弁を願いたい、こう思っております。
○佐藤昭夫君 私は今の大臣の答弁ではとても納得ができません。 いわゆる秘密文書という扱いにされているかどうかにかかわらず、これから日本がSDI問題をいよいよどういう最終結論を出そうかというこの時期に、既に取り決めをやったアメリカとイギリスとの間ではどうなっているか、アメリカと西ドイツの間ではどうなっているか、このことについて、可能ないろんな方法を使ってそれをきちっと調べて、国民と国会の前に示すというのが政府の責任じゃありませんか。いわんや西ドイツとはいえ、日本政府から正式にそういった立場で、一遍どういう内容になっているか知りたいということを照会、問い合わせをすれば、まさかノーアンサー、門前払いを食わすというようなそんな国と国との間の関係じゃない、このサミットにも出てきておる関係ですからね。ということですから、本当に日本の未来について間違いのない判断をするための政府と国会の判断資料について、可能な限りそういう方法を使ってやるというのは当然じゃないでしょうか。私は、さらに聞いたって前進した答えが出そうにはきょうはありませんから、委員長に要望をいたします。 今も言いましたように、今回の法案を通して促進をしようという国際的な共同研究、このあり方の一つの具体例として今SDI協定問題というのが出てきている、SDI研究協力問題というのが出てきている。そういう点でこれは法案審議の判断として非常に重要なかかわりがある、重要な関係があるということで、ぜひ委員長から政府に対して、四の五の言わぬと、そんなものは調べなさい、国会に資料として出しなさいということをひとつ勧告を願いたいということで、私は委員長に扱いをお願いをしたいと思いますが、どうでしょうか。
○委員長(馬場富君) 一応お聞きしましたけれども、問題点につきましては、また後で理事会でお諮りして委員に御返事申し上げます。
○佐藤昭夫君 それは、ひとつそういうことでよろしくお願いをいたしたいと思います。 そこで、なぜ法案と関係があるのかということをもう少し法案に即して、あと残っている時間お尋ねをいたしましょう。 まず、法案の第六条で、国の受託研究の成果に係る特許権等の扱いが規定をされておりますが、ここで言います「国以外の者」、ここに特許権等の譲与を行うことができるという「国以外の者」、この中には国内の民間団体に限らず、外国の政府機関、民間企業、これも含まれる、当然ですね。
○政府委員(長柄喜一郎君) 「国以外の者」でございますので、外国政府、国際機関、外国の法人等も含まれます。
○佐藤昭夫君 そこで、今の第六条によりまして、受託研究の成果に係る特許権等の一部が国以外の者に譲与されるそういうシステムをつくるということでありますけれども、この特許権はあくまでも一たんはまず国有、国の財産、こうなって譲与するというプロセスになるわけですね。
○政府委員(長柄喜一郎君) そのとおりでございます。
○佐藤昭夫君 そうしますと、特許権ということで設定をするからには、当然特許権というのはあまねく天下に周知をさせる、公開をするということでありますから、そこで、受託研究の成果を公表するか否かに関する日本の国としての権限、これは法令でどういうふうに担保をされているのでしょうか。
○政府委員(長柄喜一郎君) まず、研究成果のうち特許権につきましては、特許というのは公開するものでございますから、特許は当然公開いたします。特許出願したものは当然公開になる。それから、法律上規定は特にございませんけれども、日本の国立の、国の研究機関が受託したものについては、国の公益性ということもございまして、我々としては、この成果は公開するというのが従来の一般の原則でございます。ただ、特許権、実用新案権等を出願するために公開の時期を若干差し控える、おくらすというふうなことは当然ございますけれども、最終的には研究成果は一般に公開し、国民に広くそれを利用していただくというのが原則でございます。
○佐藤昭夫君 私がお尋ねしておるのは、特許権と設定するからには当然原則的に公開をするのだ、それが原則だとして、そういう公開をするということを保障する国の権限を法的にどういう形で定めているのでしょうかということです。
○説明員(吉村晴光君) 特許というものは、そもそも公開を前提にしておるわけでございますから、特許権という形になれば、それは特許法に基づきまして公開をされる。特許以外の研究成果につきましては、これは国の研究所として研究成果の公表をどうするかという方針の問題として先ほど局長が申し上げたような形で決められておるものでございまして、法律でどういうふうにすべきであるということは決められておりません。
○佐藤昭夫君 ちょっとあいまいな点ありますけれども、先へ進みましょう。 当然の原則だ、公開というのは当然の原則だし、我が国としての当然のそういう権限があるのだ、どこかの国から困るというようなことで言われて、そのことでひるむ、引っ込むというような、そういうものではさらさらない。ところが、さっきから挙げておりますアメリカと西ドイツの秘密協定でありますこのSDI協定文書、この中に重要な内容があるわけでありまして、このSDI研究によって生じた成果を後発情報というふうに用語の規定をしているのでありますが、この協定文書の第七章、情報の保護というそこの章の第二項、ここで後発情報、すなわちSDI研究によって得られた情報でありますけれども、についての最終的機密分類の権限は米国国防省に属する、こういうふうに書いてあります。これはもちろん仮定の話ではありますけれども、仮にこうした内容が日米間協定にもし取り決められる、こうなった場合には、受託研究の成果の公表に対する我が国の国としての権限、これは一体どうなるのか、こういう問題が生ずるわけであります。 また、この研究交流促進法の第十条、ここで、既にお話が出ておりますように、二国間協定などすべて含む国際約束の誠実な履行、これが定めてある。こうなりますと、SDIについて日米間で取り決めをした、そういう協定をした、その協定の内容というのは誠実に履行しなくちゃならぬということで、いわば協定が事実上法律事項として格上げをされてくるんじゃないかというところまで危惧をせざるを得ないような、今回の法律でそういう道を開くということになりかねないというふうに私は言わざるを得ないと思うのでありますが、どうでしょうか。
○政府委員(長柄喜一郎君) 今回の法律は、国を中心とした国内の交流、また国と外国との交流を促進するための隘路になっている点を除去し、その促進を図ろうという枠組みを決めているものでございまして、特定のどのようなプロジェクトを日本として国際共同研究に取り上げるかどうかというような問題、これはまた別途の政策判断であるというふうに考えておりまして、この法案とは直接の関係はないものというふうに理解しております。
○佐藤昭夫君 政府がSDI研究参加の問題を、もうそういうことは断念をいたしましたというふうにはっきり言うのであればまだしも、ところが、目下慎重に検討中であります、しかもこの間の官民合同調査団報告書を見れば、どう見たってあれこれいろんな理由を挙げて参加をしていこうという色合いの方が濃厚ですわね。そういう今経過をたどっておる、こういう時期に今のような説明をされたって、これはなかなか納得しないんじゃないですか。 さらにもう一つ例を挙げましょう。 西ドイツとアメリカとのSDI協定、この中でこういうことも書いているんですね。両政府は、この協定の枠内で、協定に基づいて譲渡された情報が法的規定に基づいて公表されるのを防止するために双方に可能なあらゆる法的措置をとる。だから公表されないようにあらゆる法的措置による防止策をやる。こうなると、大臣も確認をされておる本当に科学技術の共同研究ということであれば、自主、平等、公開、こういう原則というのは欠かせないと言いながら、この問題についての日本の権限がないというふうに言わざるを得ない危険な法律的仕組みが今つくられようとしているというふうに私は言わざるを得ないと思うんですよ。もうきょう時間がありませんので、そのことをひとつ強く指摘をしておきまして、またこの問題のフォローは次回の委員会でやりたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 先生、いろいろ御指摘をいただきましたけれども、どうも私どもとしては、他国間の、他国同士の不公表を前提とした取り決めが一部のマスコミに出た、その一部のマスコミが掲載したものを根拠にいろいろおっしゃられても答弁のしようがないということを残念ながら申し上げなければならないと思います。 と同時に、先ほど私は、一般論として研究に参加するかしないかは自主的な判断というのが当然のことだということを申し上げたわけでございまして、どうぞひとつ、その点も誤解のないようにお願いを申し上げたい。私どもは、この法律について、先ほど来局長がるる御答弁を申し上げましたように、特定の例えばSDIであるとか、そういったプロジェクトを頭の中に入れてこの法律をつくったわけでもございませんし、この法律がそうしたことを目指しているものでもないということをぜひぜひ御理解をいただきたいということを申し上げたいと思います。
○佐藤昭夫君 終わります。
○山田勇君 近年における科学技術の進展は非常に目覚ましく、今や国際的にも国内的にも産業及び社会の新たな展開に向けた科学技術への期待が高まっております。こうした中で、我が国が二十一世紀に向けて多くの可能性を秘めた創造的な科学技術の振興を図っていくためには、我が国唯一の資源とも言える人間の知的創造力にこそその基盤を求めていかなければなりません。このような創造力を積極的に培い、そして独創性にあふれる研究開発活動を展開し、次代における新しい技術革新を生み出すためにも、従来にも増して産学官及び外国における研究交流を活発化し、相互に資金、人材等の研究資源の効果的活用を図っていくことが何よりも肝要であります。 このような状況において国が積極的にその役割を果たしていくことが期待されておりますが、昨年七月の臨時行政改革推進審議会の答申におきましても、国立の試験研究機関及び大学と民間等の間の研究交流を円滑に促進する上で必要なる諸制度の整備改善に努めるよう求めているところであり、今回政府が提案している研究交流促進法案はそのために準備されたものと思います。 そこで、この法案について幾つかの質問をしてまいりますが、初めに大臣にお伺いをいたします。研究交流の促進を図る必要性が各方面で指摘されている中で、大臣としてはどのような認識を持っておられるのでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) バイオテクノロジーでございますとか、メカトロニクスでございますとか、いわゆる境界領域あるいは多分野の協力を要する領域の科学技術が近年非常な勢いで発展してきているわけでございます。こうした研究は従来の研究の枠組みの中ではやり切れない、新たに従来の枠組みを超えて、異なった分野の研究者が交流をするというようなことがどうしても必要になってきたのではないか。それから、日本の科学技術のレベルが非常に高くなった、そして国際的な役割も非常に重くなってきたということなどを考えますと、まさに国際交流というものは我々がどうしても目指さなければならないものであろう。しかしそういうものがもう一息突き抜けないものがある、幾つかの隘路があるわけでございまして、そうしたものを何とかして隆路を取り除くことによって日本の国の国際的役割もきちんと果たすし、さらに日本の国の、今山田委員御指摘のように、自然的な資源が十分でないわけでございますから、人間の英知というものをさらに高めていく、そのためには新しい仕組みをつくっていく必要がある。それによって研究を進めるということが今非常に重要ではないかというふうに考えているわけでございます。
○山田勇君 官及び外国における交流を促進するためには、より幅広く促進措置を講ずる必要があると考えます。本法案が国と国以外の者との間の交流の促進についての措置のみを定めている理由について伺いたいと思います。まず、それ以外の交流について今後どのようにして促進するのか、その方針をお伺いしたいと思います。
○政府委員(長柄喜一郎君) 先ほど先生が申されましたように、昨年の行革審答申では、国と民間、国と大学、それから国と研究所、また産業界と産業界、大学同士、国の機関同士というような多面的な研究交流を促進する必要があるということを指摘しているわけでございますが、今回の法律では国と国以外の者とに限っております。 この理由は、国と大学の場合でございますと、これはいずれも国の機関でございまして、法律上の障壁が特にございません。むしろ運用上の問題なり予算上の問題でございまして、そういう意味で、国の機関の間の交流促進ということは、今回の法律では特に規定していないわけでございます。その必要性がないということでございます。それから民間と民間との協力につきましても特にその必要がない、民間と外国についても特に必要がないということで法律的な手当てはしていない。別にそこを無視したわけではございませんで、その必要がないということで国と国以外の者に限ったわけでございます。 そこで、国の研究機関同士の話でございますが、これは我々といたしましては、この法律が成立し施行されることになりますと、その段階で運用基準と申しますか、そういうものを緩和する、それからまた、予算の措置も講ずるというふうなきめ細かい方策によりましてこの国の機関同士での研究交流促進に努めたいと考えている次第でございます。
○山田勇君 この法案におきまして防衛庁が本法案の対象になっておりますが、これは一般的に国と国以外の者との間の研究交流の促進を図るための措置で、特定の分野を取り上げるものではないと伺っております。しかし防衛庁の職員は特別職で各省庁の一般職とは別の法律で規定されておりますが、本法案では両方とも適用対象となっておりますが、その理由についてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(長柄喜一郎君) おっしゃるとおり防衛庁の研究者の方は特別職でございます。その他の省庁の方は一般職でございまして、身分法上は若干違った取り扱いを受けているのは事実でございますが、しかしながら研究者について見ますと、いずれも研究業務に従事しているということで、研究活動というのは、分野、程度の差はあれ同じようなものであるということで、我々としては一般職、特別職、両方とも一つの法律でやることで何ら差し支えないというふうに考えた次第でございます。 このように特別職、一般職を同一の法律で扱ったケースというものもございまして、例えば国家公務員の旅費に関する法律とか退職手当法の法律というふうなものは一本の法律で両方の職員を扱ったものもございます。こういう前例に倣って一本にしたわけでございまして、そういう理由でございます。
○山田勇君 次に、本法案で措置しようとされております研究交流上の諸点についてお尋ねをいたします。 研究交流の促進といった場合、まず研究者の交流という点が極めて重要であります。独創的な研究を推進していくためにはいろんな発想を持った研究者が互いに啓発し合い研究を進めていくことが重要であります。この点に関し、本法案では外国人研究者の国の研究所への任用、国の研究者が民間に出向する際の特別措置を定めておりますが、これらの点についての現行法制上の問題点及び今回の措置の趣旨についてお伺いをいたします。
○政府委員(長柄喜一郎君) 外国人研究者の任用の件でございますが、外国人の方を国家公務員に任用しようとした場合、明文のやってはいかぬという規定があるわけではございませんけれども、内閣法制局の見解がございまして、当然の法理と言っておりますが、公権力の行使または国家意思の形成に参画する官職には外国人を任用できない、こういう当然の法理という見解がございます。これによって、国立研究所におきましては研究部長とか研究室長、また研究所長というふうな方は任用できないというのが従前の解釈でございます。一般の役職につかない研究者については任用してもいい、こうなっておるのでございますけれども、解釈でございますが、管理職につかれるような方は任用できないということになっているのが現状でございます。 ただ、最近のように非常に研究の幅が広くなってくる、領域が広くなってくる、いろんな違った発想の方が一緒に仕事をする、そして相互に啓発し触発するというようなことが必要でございます。アメリカの研究所を見ましても、国立研究所でございますけれども、日本の研究者がかなり勤務していらっしゃるというふうなことから見ましても、日本も外国人の方に門戸を開放すべきであろうということで、今回特例措置として研究部長、研究室長クラスまでは任用できるようにしたわけでございます。ただ、研究所長につきましては、これは研究業務そのものをやっているわけではございませんので、研究所長、研究所の次長、この二つについては、これは研究所の支所の支所長でございます、については任用できないということにしてございます。 もう一点の、国の研究者が民間企業等へ出向する場合の問題でございますが、現在、人事院規則によりまして国の研究者が研究のために一時的に外部の組織に彩られる場合は研究休職という制度がございます。ただその場合、退職金を計算する場合に、例えば四年間研究組合等へ出向された場合には退職金を勘定する場合に半分の二年しか勘定しない、こういう不利益がございまして、このために研究公務員の方が進んでこの共同研究等のため相手方に一時的に出向するというそういう気持ちになりにくいという事例がございます。こういう点を改善するために、国の共同研究たまは国からの委託研究等のために研究組合等に出向される場合は、その退職手当を二分の一ではなくて二分の二、一〇〇%勘定するという、不利益を是正するという措置をとったわけでございます。
○山田勇君 こうした研究交流を促進するに当たっては、研究の担い手であります研究者自身の資質の向上を図っていくことが大切であります。この点について本法案では、研究集会への参加に当たっての処置が講じられておりますが、いかなる問題意識のもと、どのように手当てをされようとしているのか、お伺いをいたしておきます。
○政府委員(長柄喜一郎君) 近年独創的な、創造的なといいますか、オリジナリティーのある研究が求められているわけでございまして、これは、何といっても優秀な研究者が最新の情報を身につけて、そして自分の創造性を遺憾なく発揮する、こういうことはぜひ必要なわけでございます。 そこで、この研究集会でございますけれども、これは国内のいろんな学会、また国際的な学会いろいろございますが、こういうところへ参りますと、世界じゅうの優秀な方が集まってくる。そこに参りまして自分の論文を発表したり、またそこに行きましていろいろディスカッションを聞いたり、ロビーでいろいろ話をしたり、そういうことをすることによってその研究者の方が非常に刺激を受け、また新しい情報にもアクセスできる、こういうふうなことでございまして、我々としては、この研究集会というものは研究者の資質向上、また創造性の涵養に非常に重要な役割を果たすものというふうに感じているわけでございます。 現在のところ、研究者が自分の仕事に直接関係する業務で学会に参加する場合は出張ということで、公務ということになっているわけでございますが、若干それと離れて、現在の業務に直接関係はないけれども、例えば五年後、十年後のために今から何か身につけておきたいというような場合には、現在の制度では休暇になってしまう、自分のお金で行きましてしかも休暇になるというふうなことで、非常に研究者の方から要望が強いわけでございます。それをせめて休暇扱いにしないということでございまして、今回の制度では国家公務員法の職務専念義務を免除して、そして、これによって休暇にすることなくその研究者の方が研究集会に参加できる、こういう道を開いたものでございます。
○山田勇君 研究交流促進については、国内における産学官の交流のみならず国際的な交流、すなわち、国際共同研究の円滑な実施を図っていくことが重要であります。今日の国際化時代に当たって、国際的にも開かれた体制を整備し、また研究活動そのものを国際的に運用するものとしていくことが大きな課題ではないかと考えております。本法案ではこうした国際的な交流という点について、第七条で国際共同研究に係る特許権の無償または廉価使用、第八条で損害賠償請求権の放棄が規定されておりますが、これらの規定がなければ国際共同研究が進まないのかどうかという点を含め、その措置の必要性についてお伺いをいたします。
○政府委員(長柄喜一郎君) 近年、欧米諸国では研究開発の規模も大きくなった、大変多くの資金が必要だというふうな事情もございまして、国際共同研究が大変多く進むようになっております。その際、特許権の扱い、また損害賠償請求権の扱いでございますが、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ諸国の考え方は、共同研究で行ったものを、例えば特許権についてはお互いに無償で使い合う、無償で利用し合う。損害賠償請求権につきましても、一心同体と申しますか、そういう関係でございますので、共同研究の相手方の何か瑕疵、事故があったりして、そのためにもう一方のパートナーの物的、人的損害があったような場合でもお互いに損害賠償の請求はやめようじゃないか、こういうのが一般的な慣行になっております。 日本の場合、財政法というのがございまして、日本の国有特許というのは財産でございますが、日本の財産を適正な対価なくしては相手に利用させちゃいかぬ、こういう規定がございまして、お互いに無償で利用するということが不可能になっております。損害賠償請求権についても同じような規定がございまして、債権管理の立場から、債権を勝手に放棄すること、無償で放棄することはできないというふうにございますので、今回このような条項を設けまして、現在欧米諸国で一般に使われているルールに参画できるという道を開いたものでございます。 具体的には、従来、損害賠償請求権の問題なり特許権の問題で、国の研究機関が国際共同研究にぜひ参加したいと思いましたけれども、この条項がないために参加できなかったというケースが何件かございます。幸いなことに特殊法人は、例えば日本原子力研究所とか宇宙開発事業団というような特殊法人は日本の財政法を直接適用されません。そういう意味で、こういう特殊法人ではアメリカ、ヨーロッパ流の契約条件で既に参加をかなりしておりますが、国の機関は参加できないという事情がございますので、今回このような条項を設けて国も参加できる道を開いたというのがこの第七条、第八条を設けた理由でございます。
○山田勇君 最後になりましたが、第十条のいわゆる国際的な配慮事項につきましてはさまざまな議論がなされておりますが、私は、国際的な研究交流を進めるに当たっては、国際社会における我が国の立場を十分路んまえ、これを進めていくことは当然であると考えております。そこで、この第十条の必要性について改めてお伺いいたしまして私の質問を終わります。
○政府委員(長柄喜一郎君) この十条の必要性、趣旨でございますが、これから国際共同研究等がどんどんふえていかなきゃいかぬ、日本もそれなりの国際貢献はいたさなきゃいかぬということでございますが、一方、日本政府は条約とか国際約束等によりましていろいろな諸外国に対して約束をしているものがございます。こういうものに違反するような、ただやみくもに国際共同研究、国際協力を進めればいいかというとそうじゃございませんで、国際的な平和とか安全の維持を妨げるような国際共同研究はしてはならない、日本が既に結んでいます条約とか約束に違反するような国際共同研究はやってはならないという趣旨で、当然のことでございますけれども、その当然のことを改めて注意を喚起したというのがこの条項でございます。 具体的にはどういうことがあるかと申しますと、生物兵器と申しますか、細菌兵器と申しますか、こういうものはつくらないという条約に日本が加入している、核兵器の拡散につながるようなことはみだりにはやらないという核不拡散条約にも参加している、こういうふうな条約に参加しておりますので、こういう条約、その他の約束に違反するようなことのないようにということでこの第十条を設けたものでございます。
○委員長(馬場富君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。 —————————————
○委員長(馬場富君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 研究交流促進法案の審査のため、来る九日の委員会に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(馬場富君) 御異議ないと認めます。 なお、参考人の人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(馬場富君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(馬場富君) 科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、ソ連邦チェルノブイル原子力発電所の事故に関する件を議題といたします。 まず、政府から報告を聴取いたします。河野科学技術庁長官。
○国務大臣(河野洋平君) 今般、ソ連のチェルノブイル原子力発電所で発生いたしました事故について、これまでに入手いたしました情報に基づき、経緯及び我が国の対応策につき御報告申し上げます。 本原子力発電所は、ソ連ウクライナのキエフ市北方約百三十キロメーターに位置し、電気出力百万キロワットの四基から成る発電所で、さらに二基が建設中であります。この原子炉の型は、ソ連が独自に開発した黒鉛減速軽水冷却型であり、我が国の原子力発電所の原子炉とは異なる型のものであります。 事故の原因、状況等につきましては、ソ連政府から十分な情報の公表がないため、その詳細はいまだ明らかにされておりませんが、昨日のソ連共産党機関紙プラウダの発表によれば、原子炉及び機械室での爆発、火災により原子炉の炉心が一部溶融するに至る事故であったとのことであります。また、多量の放射能が外部に放出されたと推測され、各国の情報によると、事故のあった原子炉は現在もなお鎮火していないと伝えられており、現地において死亡者も出るなど、極めて大きな事故であったと認識いたしております。 本事故の影響につきましては、ソ連一国にとどまらず、近隣の欧州諸国で放射能の異常が検出されたことが報告されており、また、我が国においても今回の事故に起因すると思われる放射能が各地で検出されるに至りました。今回の事故は、まさに国境を越え、国際的な問題として取り組んでいくべき重要性を含んでいるものと考えております。 私どもといたしましても、今回の事故の重大性にかんがみ、鋭意情報を収集、分析するとともに、所要の対策を講じてまいりました。 まず、本件事故に関します情報収集につきましては、在外公館などを通じて全力を尽くしておりますが、残念ながら事故の実態を伝える技術的情報は全く得られていないのが現状であります。このような状況の中で、一昨日には国際原子力機関のブリックス事務局長みずからが訪ソし、事故の原因究明に努めるなどの動きが出ており、また東京サミットにおきましても、一、ソ連に対し事故に関する情報を求めること、二、緊急事態もしくは事故に際し報告及び情報交換を義務づける国際協定を早期に考察すべきこと等を内容とする声明が出されたところであり、今後は国際的に協力しつつ情報の収集、事故原因の究明等に努めてまいりたいと考えております。 次に、本事故にかかわります我が国における放射能の監視につきましては、科学技術庁といたしましては、この事故の報道に接し直ちに原子力発電所等の周辺の環境放射線モニタリング及び全国三十二都道府県における衛生研究所等から成る放射能監視網による観測を強化し、放射能の監視に努めてまいりました。五月三日に至り、東京都、千葉県、神奈川県におきまして、今回の事故に起因すると思われる沃素131が検出されました。政府といたしましては、五月四日早朝、放射能対策本部会合を開催し、沃素131等の核種分析に重点を置いた放射能調査の一層の充実強化を図ることを決定するとともに、国民に対する注意事項として、一、天水の摂取は問題ないが、直接雨水を摂取する場合はできるだけ木炭等でこして使用することが望ましいこと、二、水道水、井戸水及び牛乳については心配ないこと、また、葉菜類についても問題ないが、念のため十分に洗浄して摂取することが望ましいこと等を周知徹底してきたところであります。 この決定に基づき、放射能調査を鋭意実施し、その結果を逐次公表してきておりますが、現在までのところ国民の健康に影響を与えるような放射能は検出されておらず、今後とも引き続き観測を継続し、その推移を注意深く見守っていくこととしております。 五月二日には、ソ連キエフ地方からの帰国者四名に対し、東京大学医学部において放射能調査を実施したところ放射能汚染が認められ、また、五日には同地方からの旅行者に対し、放射線医学総合研究所による健康診断を実施したところ、百二十三名中四十五名に汚染が認められましたが、いずれも健康上特に影響はないと判断されております。 なお、ソ連及びその周辺におります在留邦人への対策といたしましては、五月三日モスクワ大使館より送付された牛乳、水道水等の放射能汚染について調査を行い、特に問題のないことを確認するとともに、現地で健康上の指導等に当たるため、専門家二名を派遣いたしたところであります。 放射能対策につきましては、今後とも引き続き万全を期してまいる所存であります。 また、我が国の原子力発電所の安全性につきましては、今回ソ連において事故を起こした原子炉が、ソ連が独自に開発した黒鉛減速軽水冷却型炉であり、我が国に設置されている原子炉と異なっているものであること、我が国の原子力発電所が、アメリカTMI原子力発電所事故をも含め内外の原子力発電所の事故、故障の経験を十分踏まえ、格納容器、緊急炉心冷却装置などの安全対策に万全な措置が講ぜられていること、また、さらに入念に定期的な検査を実施するなどその運転面においても十分安全性、信頼性が確保されていることから、その安全性は十分確保されていると考えております。 原子力安全委員会におきましても、原子力開発利用の安全の確保、我が国の原子力安全規制に反映すべき事項の有無等につき検討を進めるため、事故調査特別委員会の設置を決定いたしたところであります。今後は、引き続き事故内容等につき情報収集に努めるとともに、この調査委員会を中心として鋭意調査を進め、必要な対策等について検討してまいる所存であります。 我が国の原子力発電は、その設計、建設及び運転の各段階において安全性が確保され、十分実績を上げてきたところではありますが、今回の事故を警鐘として謙虚に受けとめ、特に運転、保守等では不断の努力が必要であることを再認識し、これを機会に一層の安全確保に努めてまいる所存であります。
○委員長(馬場富君) これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○志村哲良君 ただいま河野長官の報告にありましたように、私どもはこのたび、ソ連のウクライナ共和国のチェルノブイル原子力発電所におきまして大惨事が起こったというまことに不幸な報道に接したわけであります。私自身この報に接しまして大きな衝撃を受けました。また、その中で改めて、原子力の平和利用に当たりましては安全性及び安全の保障の確保が極めて重要な問題であるという原子力の平和利用の原点に関しまして、実は深く思いをいたしたものでございます。 また、このたびの大惨事の報道の中で、一部におきましては、改めて原子力の平和目的の利用に対しましても何がしかの疑義が提出されておるということをも私自身承知いたしております。ではございますが、これらのことに関しましては、既に我々は長年論議を重ねてまいりましたように、有限な化石燃料の存在、あるいは諸般のエネルギー資源政策、例えばサンシャイン計画あるいはムーンライト計画などと呼ばれる政策なども、その実現のテンポに思いをいたしますと、原子力の平和利用こそ今や人類にとりまして全くもって欠くべからざるものであるということに改めて実は深い思いをいたす次第でございます。 このような状況の中でのこのたびの事故の発生でございます。本日は限られた時間でございますし、時間も少のうございますので、若干の点に関しまして御質問を申し上げたいと存じます。 ただいま長官の御報告にもありましたが、このたびの事故は、ソビエトにおきまして独自に開発したと言われております黒鉛減速冷却型の軽水炉であると聞いております。我が国におきましては、もちろん、東海村の一号炉はそれでございますが、大方は例えば沸騰水型あるいは加圧水型等と呼ばれます軽水炉を使用いたしておる現状でございますが、この黒鉛減速冷却型と我が国のそれとを比べまして、安全性の点でいかなる違いがあるのかというような点に関してひとつ説明を伺いたいと思います。
○政府委員(辻栄一君) ソ連の今回事故を起こしましたチェルノブイル原発におきます原子炉につきましては、非常に簡単な概念図でございますが、本日資料としてお配りしたものの十九ページに概念図を設けておきました。この原子炉の特徴は黒鉛減速軽水冷却型炉と呼ばれるものでございまして、ソ連が独自に開発した炉型でございます。十九ページの図の左側にございますのがこの黒鉛減速のソ連の炉でございまして、右側にありますのが日本の軽水炉、BWR、PWR、両方を載せてあるわけでございます。 さっとごらんいただきますように、右側の軽水炉におきましては燃料は非常に厚い原子炉圧力容器に格納されておるのに対しまして、左側の黒鉛減速軽水冷却炉は、これはいわばはしごのように書いてございますが、これは実は練炭を想像していただければよろしいかと思います。この練炭の穴の中に燃料棒が入っておる、こういう構造のもので、この練炭が幾つも横につながっておるという形の原子炉であるというふうに御理解いただきたいわけでございます。 そういったようなもので、しっかりした圧力容器内に入ってはいない、むしろこの練炭を通る一本一本のパイプが圧力容器のかわりをしているというような形に特徴があるわけでございます。この炉心部は、ただいま申し上げましたように減速材であります黒鉛フロックを積み上げまして、その中を多数の燃料チャンネルが上下に貫通しておる、こういうことでございます。燃料といたしましては濃縮度が二%の二酸化ウランが使用されておりまして、燃料の被覆棒は軽水炉と同様にジルコニウム合金によって被覆した燃料棒を組み合わせて燃料集合体として用いられるわけでございまして、日本においては大部分の原子炉は減速材として軽水が用いられておるわけでございまして、ここの原発と同じタイプの型は日本にはないわけでございます。 そこで、いろいろ御質問の安全確保という点からの具体的比較ということになりますと、ただいまの基本的な炉型の違いと比べまして、実は安全防護についてのいろいろな細かい設備につきまして比較をして御検討を申し上げなければいけないわけでございますけれども、その詳細につきましては内容が発表されておらないということから、現段階で私ども責任を持ってここの点が違うということを申し上げることは残念ながらできないわけでございます。そういうことでございますけれども、こういった黒鉛型の原子炉の一つの特徴といたしましては、非常に大きな圧力容器というようなものを必要としないということで、細かい細いパイプを集めてくればいい、こういうことで余り難しい高度な技術を必要としないとか、それから冷却系の配管が複数あるわけでございますから、たとえ事故が起こっても全体の事故にはならないで局所的になるとか、あるいはいろんなコントロールを一本一本のチャンネルごとにやればいいということで比較的つくりやすいということがございますが、それはまた、逆に一方で言えば原子炉圧力容器のようなしっかりとした容器の中におさまっていないという面もありまして、この点は弱点であろうかと思います。 詳しいことにつきましては、先ほど申し上げましたように残念ながら比較が具体的にいかないのでございますけれども、我が国の原子力発電の安全性について、ソ連の事故が起こったからどうかという点がいろいろ言われているわけでございます。その点につきまして少し申し上げさしていただきたいと思うのでございますが、我が国の発電所につきましては、基本的な設計段階から建設、運転、保守、管理に至りますまで原子炉等規制法等関係法令に基づき厳格な安全規制を行っておりまして、もちろん、この設備の設計につきましては厳正な安全審査を行い、それに所要の基準として原子力安全委員会が定めました諸般の安全審査指針を用いて多重防護の観点からの設計が行われるわけでございます。さらに各機器の設計、製作等の各段階で入念な品質保証活動が実施される、安全性の一層の確保、信頼性の向上が図られているということでございまして、私ども、この点については日本の原子力発電所は国際的にもかなり高度の水準の安全性を維持しているというふうに信じておるものでございます。さらに、運転中の原子力発電所におきましても資質であるとか能力の、これは運転員についてでございますが、その維持向上を図る十分な教育訓練を受けた運転員を備えておいて、これに対しましてPWR、BWRそれぞれシュミレーターを持っておりまして、このシュミレーターを使っていろいろな事故対策に対応したオペレーションを、訓練をするといったようなことで保守、管理の面についても十分なことをやっておる。こういったようなことを背景といたしまして、現段階で安全上の問題は特段ないというふうに考えておる次第でございます。
○志村哲良君 今も安全の確保に関する説明があったわけでございますが、反面、最近過剰な安全機器の設計を合理的に見直し、安全性と経済性とを両立させる時代が来たというような発言もありまして、緊急時における炉心の冷却装置などに関しましても、このことが今度の事故におきましても最も肝要ではないかと考えるも一のでありますが、これらに関しても何がしかの検討をという発言が行われておると聞いております。この場合の経済性ということは一体何を意味しておるのかということをひとつお伺いしたい。例えば、既往の石炭、油、あるいは天然ガスというようなエネルギーとの対比の上に立って、コストの上での経済性というような意味であるのか、私はこの点で若干分明ならざるものを実は覚えておるわけであります。むしろエネルギーの自立というような、原子力の平和利用に関する基本的な命題の上に立っ ての経済性、安全性あるいは必然性というようなことも私はあわせて考えなくてはならぬときでは。ないかと実は思うわけでございます。 これらにつきまして、あるいは先ほど発言のありました安全性における多重防護システムがいかが相なっておるかというようなことに関しても伺いたいわけでありますが、最後にひとつ大臣に伺いたいこともございますので、要約した御答弁をお願いします。
○政府委員(辻栄一君) 商業用発電炉の運転をするということで、その発電コストを低減化するための設計の合理化と申しますか、そういった面の追求をしていこうという考え方が起こってまいるのは当然であろうかと存じております。しかしながら、これらの議論につきましても、もちろん原子力の安全というものを前提として考えているということは疑いのないところでございます。今日、日本の原子力発電が高稼働率をとっている。その背景において、原子力の安全確保をきちっと守っておくということが非常に大きく寄与し、これが経済性の向上に非常に役立っているという点については、役所側といたしましても、また民間側といたしましても、お互いに共通の考えでおるところでございまして、あくまでも原子力の安全をベースとした上の諸般の設計の合理化というふうに理解しているわけでございます。巷間、ECCS、緊急炉心冷却装置の設計の過剰があるのではないかというような発言もあるやに聞いておりますが、私ども、その点については、ECCSは原子力発電の極めて基本的な重要な施設でございますので、これについての基準を現在変更するつもりは毛頭持っていないわけでございます。 原子力の多重防護につきましては、先生既に御承知のように、この十九ページの図にもございますように、燃料ペレット、燃料被覆管、原子炉圧力容器、さらには原子炉格納容器、こういったような多重構造をむちまして放射能の拡散防止の基本的な設計を行っているところでございまして、これらの安全規制につきましては、この基本概念を変更するつもりはいささかもございません。
○志村哲良君 けさほど本会議におきまして中曽根総理からも御発言がありましたが、このたびのサミットにおきまして、チェルノブイル原子力事故の影響に関する声明が発表されましたが、基本的には私もこの内容に全く同感でございます。当初、もちろん不測の事態も中であったというようなことも原因にはあったでございましょうが、この情報の提供に関してソビエトが十分な責任を果たしておらなかったというようなことに対する問題に関して、これを求めたというようなことがございましたが、これはまた当然なことであったと考えますし、また、その後ソ連が国際原子力機関の事務局長との討議を今週行うことを声明いたしましたことに満足の意が表されたことも事実でございます。 確かに、原子力の安全確保という問題は、洋の東西南北を問わずに全人類の連帯の中でのみ初めて可能であるということを、三日以降降り注ぎました雨の中に含まれた沃素131に私どもは教えられておるというような思いがいたす現在でございます。殊に私ども日本は不幸な被爆国としての経験を有しておるわけでございます。このような立場に立ちまして、原発事故における情報の提供、あるいは相互の緊急援助の供与等々に関しまして、具体的な国際協力体制の組織化を求めるような行動をもっと強く起こしてはいかがかと考えるものでありますが、河野長官のこれらに対する御所見を伺って私の質問を終わります。
○国務大臣(河野洋平君) 志村先生御指摘のとおり、今回の事故はいわゆる国際的な影響を持つ事故でございます。かつてアメリカのTMIの事故がございましたけれども、あのときと比べてみまして、今回の事故は国境を越えて多くの国々の人たちに大変な影響を与えたという意味で、私どもとしても新たな問題が提起されたというふうに受けとめざるを得ません。私はもう一つ、この事故はどこの国が起こしたとか、その国の体制がどうとかということもさることながら、現代社会に生きる人間として、次の世代にこうした問題の影響を残すようなことがあってはならないという意味で全人類的に取り組む必要があるんじゃないかというふうに考えているわけでございます。 そこで、国際的な問題として幾つかの動きがございました。一つは、今先生御指摘の、ちょうどその時期に開かれたサミットにおきます先進国首脳の意見交換でございます。先進国の首脳は共通してこの問題に非常な関心を持っておられたようでございまして、ソ連政府に対して事故情報の早期提供を求めるとともに、原子力に関する緊急事態もしくは事故に際し、報告及び情報交換をその加盟国に義務づける国際協定の早期策定を求めることなどを内容とする声明が独立した声明として出されたという点でも、その関心の強さというものは明らかでございます。また、こうした状況の中で、一昨日には国際原子力機関のブリックス事務局長が事故原因究明のために訪ソした。その帰国後、IAEA、つまり国際原子力機関の場でも必要な討議がなされるであろう、こういうふうに私どもは考えておりまして、さらにはOECDのNEAにおきましても本件事故の諸影響について検討会合が行われるというふうに聞いておる次第でございます。 我が国としては、このような国際的な協議の場を通じて国際協力に積極的に参加をしていかなければならぬ、こう考えておりますが、二国間でいろいろ議論をするということも必要ではございますが、今回の事故に対する対応策としては、IAEAなどを中心に対応をしていくことが必要ではないか、こんなふうに考えているわけでございます。 なお、先ほども申しましたが、アメリカのTMIの事故が世界の原子力発電所のあらゆる施設あるいは設計等に一定の前進をもたらした。それは事故原因の究明と同時に、そうしたものがはっきりと公開をされ、提示され、そういうことが新たな安全対策に非常に貢献をしたというふうに私は聞いております。今回の事故は極めて不幸な事故ではございますけれども、この事故の原因というものが一日も早く究明をされ、それが全世界に正しく報道をされて、通報をされて、そしてまた、各地の原子力発電所の安全対策が一歩進むということがあれば、それは我々にとっては不幸中の幸いではなかろうかと思うわけでございます。私どもはそうした教訓を得て一歩進む、そういうことを考えながら、一方で、きょうも恐らく放射能の恐怖の中に生きているであろう人たちのことを考え、全人類的な取り組みという心構えてこの問題にこれから先も取り組んでいきたい、かように考えている次第でございます。
○稲村稔夫君 どこの国が起こした事故だというようなことではなくて、やはりこうした事故が起こったということを極めて重大に考えなければならないという長官のお言葉だったと思います。私も本当にそんな感じでショックを受けて今回の事故の報道を見たり聞いたりいたしました。 そこで、限られた時間の中でありますからまとめてまず最初に御質問を申し上げて、また、そのお答えによって時間があればという形にさせていただきます。 まず一つは、放射能の測定を今現在も続けておられるのだと思いますが、その後の動向はどうなんでしょうか。そして見通しはどうなんでありましょうか。これを伺いますあれは、まさか我が国にはという話、最初はそういう気象庁等の考え方等もあったようでありますけれども、それが我が国までやってきたということでありますし、しかもそれが必ずしもジェット気流とばかりとは言えない。その辺の分析も何か今後いろいろと課題があるようでありますが、そういうもの等も、記事を読みますと、なおさらこれからさらにどうなるであろうということが気になりますので、今後の見通しについてぜひお願いをいたします。 それから、最初に細かいことから伺ってまいりますが、放射能の観測体制についてでございます。これは本当に万全なんだろうかという疑問があるわけでありまして、特に私は日本海側に住んでおりますので、日本海側で事故が起こりまして、風に乗ってくる事故がありますとやはり恐怖のどん底に落ちますので、冗談は別にいたしましても、日本海側の観測体制というのが気になる。というのは、実はこれは地元の新聞でありますけれども、気象庁が各地方の気象台、測候所に観測体制の強化を指示したという中で、私どもの新潟の周辺は輪島と秋田にあって、「新潟地方気象台には機器がないため今回の事故のために特別の観測態勢はとらない。」というようなことが載っておりました。その辺のところがやはり心配になるわけです。それは地方の観測体制や何かをいろいろと網羅をしてというふうに多分おっしゃるんだと思うのでありますが、しかし、そのことについてもまた地方の観測体制も必ずしもみんな一致して同じような水準ではないんじゃないだろうかということを心配いたします。 というのは、やはりこれ新聞報道でありますけれども、これは何日でしたか、新聞報道で放射能を検出したという記事が出始めたころですけれども、岡山で水道水から沃素131が検出をされたという報道があって、その後のまた報道でこれは科技庁で調査をしたところが間違いだったというような記事がございました。そうすると、これは検査のそういう水準等に若干ばらつきがそれぞれあるんじゃないだろうか。検査だとか分析だとか、そういう放射能の観測体制について万全かどうかということがやはりいろいろと気になりますので、その辺のところを少しお聞かせいただきたい。 次に、安全の確保ということで万全を期すというふうに言われたわけでありまして、そうあってほしいわけであります。今後の我が国の状況というもので絶対こんな事故が起こっては困るということになるわけです。通産省お見えになっていますね。——これも地元の新聞の記事なんでありますけれども、これによりますと、「日本の原発も疑問」ということで、見出しだけでいきますと、中を読む時間ありませんから、「ボルト摩滅検査でパス」「被ばく量恐れ作業は手抜き」「作動データすべて焼却」というようなことがつきまして、内容は現場労働者がそれぞれしゃべっている記事なんであります。 それで、こうしたことはこれは大変なことなんでありまして、ボルトのねじが摩滅していたんだけれども、それをそのまま締めてふたをして、それで検査が通ってしまったというような話とか、被曝量が怖いから手抜きで早くやめた、切り上げたとか、そんなことがいろいろと出ているわけでありまして、監督官庁としてこの辺のところはチェックをしておられるんだと思いますけれども、先ほどから、定期点検きちんとしているからということを我々もよく聞かされているんですけれども、その定期点検の内容がある程度ずさんなものであるということになれば、この記事が本当だとすれば大変なことだ、我が国だっていつ起こったって不思議ではないじゃないかという気がいたしますので、その辺のところ、チェックはどういうふうにしておられるかということをぜひお聞かせいただきたい。 それから、今回の事故についてソ連に対してどういうデータの要求をしておられるんでしょうか。我が国としてもいろいろと参考にしなければ、よその国の事故であってもそれこそ人のふりを見てという形にしなきゃならぬわけでありますから、どんなデータを今要求をしておられるのかということですね。 そして、最後に長官の御見解を伺いたいんでありますが、きょう午前中の研究促進法のあれに入る前にお伺いをしたいろいろな問題についての一つの根拠になるんでありますけれども、これは朝日新聞のきのうの夕刊だったでしょうか、載った文化欄の論文の中に、中岡哲郎さんとおっしゃる、メキシコのエル・コレヒヨ・デ・メヒコという大学院大学の客員教授になっておられた方が、「技術文明の盲信に警告」ということで、「ソ連原発と米チャレンジャーの事故」について特に触れられて、我々はこうしたもの、大きな爆発物の上に今暮らしているようなものだということで、技術文明に余り頼り過ぎてはいかぬのじゃないかというようなことを言っておられます。その辺のところ、先ほどのあれを大事に、人間が扱うものだということを中心にして考えた、反省を含めてこれからの対応をいろいろと考えていただきたいということを申し上げましたけれども、それと関連をして、特に今度の事故を契機にしてそういうことを考えていただけるのかどうかということをお伺いをしたいと思います。 以上です。
○政府委員(辻栄一君) いろいろ御質問ございましたが、まず第一番に放射能の測定の現状と動向について御説明申し上げます。 これにつきましては、お配りした資料の十五ページにこれまでの観測結果が載せられているわけでございます。なかなか一枚の紙に経過等を収録することはできませんので、この資料は五月六日の十七時現在、放射能対策本部におきまして取りまとめた値のうち、これまでに検出した最も大きな数字を示しているわけでございます。雨が降ったり風が吹いたりで各地いろいろデータについては変動がございまして、なかなか一定の傾向をとるということはできないわけでございますけれども、五月三日以降、主として関東あるいは北陸方面に見られました沃素の検出が漸次北の方あるいは西南の方に拡大をいたしてまいりまして、現段階ではほぼ全国的に各地においてデータが出ているわけでございます。これも雨が降ると雨水に対して大きな数字が出る、天気が晴れておれば余りその影響は出ないというような因果関係がございます。 そういうことで、必ずしも動向は明らかではございませんが、現在のところのデータでは、やはり関東地方に大きい数字が出ているわけでございます。短期的にはかなりの量を示しております。なお、ここに書いてあります数字はピコキュリーという数字でございまして、ピコは一兆分の一でございます。こういうものから換算いたしますと、一体その数値が高いだけで安全か不安全か決めるわけにはまいりませんで、やっぱり一定期間の間どの程度体に摂取されたか、その総体の量で物事を判断していかなければなりません。今後の動向を見きわめながら、この点については専門家の意見も取り入れながら検討してまいりたいと存じております。現在の段階では特に危険な数字になっていないということだけ申し上げさせていただきたいと存じます。 今後の動向でございますが、これはソ連の原子力発電所の事故がいつ終息するかということに一にかかっているわけでございまして、引き続き事故が継続して放射能が出されるということであれば、ある程度日本における影響も長続きするかもしれないということではございます。最近のソ連の発表では、漸次事故は終息に向かいつつあるというようなことも報道されておりますので、これが完全に終息することを大変期待しているわけでございますが、一方、日本の方に参りますのは、何といってもいろいろな放射性核種のうち沃素その他の放射性の希ガス、これが多いのだろうというのは一般常識的に考えられるわけでございまして、こういったものは比較的早期に出るということから考えますと、私どもとしては多分これは減っていくのではないかなということを今考えているところでございます。 次に、観測体制についてでございます。 日本海側、大変御心配のようでございましたが、ごらんいただきますように、確かに気象庁につきましては裏日本方面余りないのでございますけれども、ごらんいただきますように、新潟県、石川県、福井県、ずっとそれぞれ各県の衛生研究所等におきまして観測が日夜続けられております。 そのほか、原子力発電所等におきましても同様な観測が続けられているわけでございまして、検出体制については日本の国は多分ほかの国よりははるかに整備されているということは申し上げてよろしいのではないかというふうに考えております。三十二の都道府県におきまして、私どもの予算の放射能調査研究費の中から毎年拠出をいたしましてこれらの調査を進めているところでございまして、この調査網が今回のような場合に欠きに役立っておるということでございます。したがいまして、これはもともとかつて原爆の空中実験が行われておる際にできました観測体制網でございます。非常に長い期間かけて行われておりまして、設備も更新し、私どもとしてはかなりのものをやっておる、国際的にもレベルが高いと思っております。そこに従事する職員につきましても、もう二十年からの経験を有するベテランがおると思います。レベルについても、私十分に信頼するに足るものを持っておるのではないかというふうに思っております。 岡山の問題の御指摘がございましたけれども、これは何回かの発表がございます。現在、ここの数字で岡山についても何がしかの数字が出ておるわけでございますが、御指摘の点につきましては、実はここに記載されておる時点より前の時点のデータのことであったかと思いますが、これは出てきたデータが非常に小さい数字でございまして、絶対値が非常に小さいということで、誤差範囲を考えますと果たして有意の数字を出していいのかどうかわからぬということが岡山の衛生研究所の方から申し出がありまして、これはデータとしては採用するまでもないということでございます。途中の過程におきまして、新聞社がこの途中データを抜くというようなことがあって新聞に報道されたのかと思いますけれども、そういったことでございまして、現在はこういった数字できちっとしたものが出ておりますので、御心配は要らないというふうに思うわけでございます。 現場労働者の定期検査、定検につきましては、これは所管が通産省でございますし、本日通産省も参っておりますので、答弁は通産省の方にお願いしたいと思いますので、これは後ほどお願いすることにして、第四点目のソ連に対してどういうデータを要求しているかという点でございます。 これは、私ども事故直後から、モスクワには当庁から出向の科学アタッシェ、これも出向前には原子力安全局におった職員でございまして、大使館を通じまして再三、まず第一に事故の状況は一体どうなんだということについて資料要求をしたわけでございますけれども、ナシのつぶてというのが実態でございます。その後、日本の大使館に対しまして総理あるいは外務大臣からも資料公開を要求していたところでございますけれども、さらに最近に至りましては、ソ連もIAEA国際原子力機関のブリクッス事務局長がソ連を訪問することを受け入れる、ブリックス事務局長が二名の専門家を伴ってソ連を訪問いたしております。そういったようなことで徐々にソ連も情報の、資料の公開に移ってきているようでございます。 サミットにおきましても、先ほど伏見先生からお話しございましたように、先進国一致してソ連に対して情報の公開を求めるというようなことが決められた、こういうことで、今後はこういった国際活動の中で漸次情報の公開が図られていくのではないかと思っております。もしもIAEA等を通じての専門家チームの派遣というような話でもなりますれば、この点につきましては私どもも積極的に専門家を送ってデータの収集に努めてまいりたい、かように考えているところでございます。 最後の中岡さんの論文の問題でございます。巨大科学と人間との関係、この点について深い考察をなされた一論文として拝聴に値する御意見であるとは存じますけれども、原子力の開発利用という面において物事を考えていきます場合に、やはり今日この原子力というものが、昨年においては既に全体の四分の一の発電を日本の経済が原子力に頼っている、こういう現状を考えますと、原子力につきましては、安全の上にも安全ということを注意しつつその開発利用を図っていくということが日本の政策としては避け得られない基本政策であろう、かように考えておるところでございます。したがいまして、こういったことの上によってそのために大きな犠牲を払わねばならないということがもし将来起こるとすれば、これは大変なことでございます。私ども、そういうことが決して起こらないことを願いまして日夜努力をしているところでございます。
○稲村稔夫君 人間としてのことを聞いているのです。
○政府委員(辻栄一君) 人間としての問題でございます。
○稲村稔夫君 だから、それは長官から答えてもらえばいいの。
○政府委員(辻栄一君) はい、済みません。 長官から答えていただきます。
○説明員(神田淳君) 実用発電炉の定期検査についてお答え申し上げます。 先生御案内のとおり、実用発電炉の定期検査につきましては、電気事業法に基づきまして毎年、ほぼ一年に一回の割合で検査をしております。実態的には三、四カ月かかって入念な検査をしているというものでございます。検査の中身といたしましては、安全上重要な機器等の機能試験、あるいは単体機器の分解試験、あるいは漏えい試験、こういったものをやっているというものでございます。法律で毎年ほぼ一回検査をしなければならないと義務づけている国は先進国では日本だけでございまして、諸外国も日本の原子力発電所の事故、故障が非常に少ないというのは、こういった定期検査に起因するところがあるんじゃなかろうかということで非常に注目を浴びているという状況にございます。 それから、先生が御指摘なされました新聞の、例えば圧力容器につながるボルトの作業で十六本のボルトのうち、ねじ山がすり減ってナットが合わないでそのままにしたけれども定検をパスしたという新聞記事についてでございますが、関西電力に問い合わせまして調査いたしました結果、そのような事実はないということが判明いたしております。記事内容から推定いたしますと、記事の方で指摘しているのは恐らく高浜三、四号機の余熱除去系の出口流量弁、これを指摘しているのじゃなかろうかと想定されるわけでございますが、この弁のボルトにつきましては、ねじ山がすり減ってナットが合わないという事実はございません。漏えい試験において異常がないという事実を確認しているわけでございます。 それからもう一つ、新聞で御指摘の、放射性廃液などを貯蔵するタンクを取りかえないままに新しいパイプを接続して溶接がうまくいかない、劣化が進んでいるというふうな御指摘でございますが、これにつきましても、放射性廃液タンクは溶接検査の対象でございまして、溶接部につきまして非破壊検査を実施いたしまして健全性を確認しておりますので、このような事実はないものというふうに考える次第でございます。それから、被曝量が多く、被曝から早く解放されようとして作業が甘くなりがちというふうなことでございますが、原子力発電所の管理区域内におきまして、作業員の被曝管理というのは空間の線量の測定あるいは作業員の防具の点検等で実施いたしておりまして、十分管理された余裕を持った範囲内で作業を行っているものでございます。それから、被曝を少なくするために定検の手を抜くというふうなことではございませんで、定検をできるだけ効率的にやる、合理的にやるというのはやっているわけでございますが、これは例えば工法を開発いたしまして、作業を同時並行的にやっていくというふうなことで合理化を図る、例えば蒸気発生器の……
○稲村稔夫君 もういいです、ほかの皆さんの時間をとってしまうことになりますから。
○説明員(神田淳君) 定期検査は非常に厳格にやっておりますので、御理解を賜りたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 先生御指摘の新聞の記事を私不敏にして読んでおりませんが、人間にはみんなそれぞれの人生観があって、それぞれの、表現はともかくとして文明論というものをおのおの持っているのだろうと思います。中岡さんの、言ってみればこれは一種の文明論なんじゃないかと思いますけれども、巨大技術、巨大プロジェクトに人類といいますか、人間がすべてをかけていいかどうかということをもし書いておられるのだとすれば、私は、技術の進歩発展というものは一カ所が突出するということではなくて、円がそのまま同心円で広がっていくということが必要なのではないか、どこか一カ所だけが突出していってしまうということであれば危険があるんじゃないかというのが私の個人的な所感でございます。やはりどこかが進んでいく場合には、それに伴ってすべてが広がっていくということであってほしいというふうに私は願っておるのでございますが、これはどうも記事を読んでおりませんので、何とも比較をしていただくのはなかなか難しいことであるかもしれません。
○伏見康治君 同僚議員の質問に既に答えられたのかもしれないんですが、うっかりしていて聞き逃したのかもしれないと思うんですが、ソ連の原子炉とアメリカ、日本あたりの原子炉とでは相当の構造上の差異がある、中でもコンテナがないという点が非常に大きな違いだというふうに私は理解しているんです。スリーマイルアイランド事件がございましたときに私は本当に心配したんですけれども、そして、実際原子炉そのものは相当炉心まで溶けて大変なことになっているわけですが、あれがその周辺に大した放射能を漏らさなかったというのは全くコンテナのおかげで、クール宣言い方をいたしますというと、スリーマイルアイランドの事件というものは、コンテナが安全上いかに大事な要素であるかということを実証した事件であったというふうに理解できるとその当時思ったわけです。同時に、ソ連の原子炉はしばしばコンテナを欠いておりますので、どうするのかという感じを受けたわけです。 私の友人の原子炉屋さんがソビエトの方に、どうしてコンテナをつけないのかという質問をいたしましたときに、今までコンテナを必要とするような事故はなかったではないかという返事をしたんだそうですが、それはスリーマイルアイランド以前の話です。スリーマイルアイランドが起こってからは、その考え方は変えなければならなかったはずだと思うんですが、その後一体ソビエトは何か手直しをしたんだろうかしないんだろうか。そういうこと、よく私にはわからないんですが、少なくともそういういろいろな考えが違った原子炉であるということは主張なすってもいいのではないかと私は思うのですが、いかがでしょう。
○政府委員(辻栄一君) 私の承知しておる限りでは、基本的には先生御説のとおり、ソ連は格納容器をつくらないという方針のようでございます。 お配りいたしました十八ページの資料、これはまさにチェルノブイル発電所を訪問した方のそこでもらったパンフレットのコピーでございます。構造を見ましても格納容器があるとは思えませんので、現在でもほとんど格納容器はないのではないかというふうに考えております。
○伏見康治君 ところで、いろんなこういう大事故が起こりますというと、原子力のことをしはっちゅう考えている当事者たち、河野長官はもちろんだと思うんですが、責任者たちは非常に事故の大きさといったようなものに胸を打たれると同時に、それがどういうことであったのか、何が原因でどういう事態が発生したのかということを一日も早くお知りになりたいと思うのですね。 非常に初期の話ですけれども、カナダの原子炉が事故を起こしましたときに、その日のうちにカナダの技師よりはアメリカの技師の方がたくさん集まっていたという話があります。つまり原子力技術者にとっては原子炉事故の実験をするわけにはまいりませんので、万一事故があった場合にはそれは非常に貴重な資料になるわけでございまして、本当に真剣に原子炉の安全性を考えている人間でしたならばすぐにでも飛んでいきたいところだと思うんです。原子力研究所を初めとしてたくさんの原子力安全技術を研究しておられる方々を私は一日も早く現場に差し向けるべきだと思うんですが、それについて今まで何か方策を講じられたかどうかを伺いたい。
○政府委員(辻栄一君) 気持ちとしては私どもも先生と全く同様の気持ちでございまして、先ほども御答弁申し上げましたように、大使館を通じていろいろ申しておるわけでございます。実際はそういった情報の公開、あるいは調査団の受け入れというような事態には進展しておりません。サミットの動向あるいはIAEAの動向によりまして、今後そういう方向で国際的な調査チームといったようなものの受け入れということに発展する可能性もなしとしないということでございます。そういったような事態に幸いにしてなれば、日本としても適当な方を選んでぜひこれに参加させて情報収集に努めたい、かように考えております。
○伏見康治君 私が持っている、ソビエトの方々の気持ちから申しますと、ソビエトは日本以上の官僚の国でございまして、下の方へ言ってもだめなんだと願うんですね、非常にかたくななことしか返事を返してこない。しかし私の理解では、ゴルバチョフがあらわれてから上の方は大分変わってきたんだと思うんです。ぜひ長官が直接ゴルバチョフと交渉なさるのがいいのではないかと思います。それから、私はペトロシャンツという原子力委員長に何度か会っていますけれども、彼も案外物わかりのいい男ではないかと思います。ぜひそういうところに接触なすって、一日も早く我々日本の技術者あるいは世界の技術者が今度の事故の実態を解明するということに努力していただきたいと思います。 次に、この間実は朝日新聞に私が言ったことがちょっと出ていたんですけれども、私の友人で森永晴彦君というのがおりまして、ミュンヘンにあるミュンヘン工科大学の教授をしております。まだ日本人なものですからしょっちゅう日本へ帰ってきて、極めて仲がよいんですが、その方が事件が起こった二十六日から四、五日たった三十日か何日かの日に国際電話をかけてまいりまして、こっちでも放射能が降っているという話をいたしました。雨が降って、それが流れていってどこかにたまり水をつくっている。そういうところへ行ってガイガーカウンターを向けてみると、一ミリレントゲン・パー・アワーぐらいのものが出てきたということを電話で教えてきてくれました。そういう仕方でも海外のいろんな情報が伝わってくるんではないかと私は思うんですけれども、それはそれといたしまして、森永さんが電話をかけてきた理由をちょっと申し上げておきたいと思うのです。 それは、今世界的に人類はいや応なしに原子核と共存しなければならない時代になってきている。したがって、その辺で放射能がこぼれ散るというようなことは実はしょっちゅう起こり得ることであるということを覚悟しなければいかぬ。要するに放射能というものと共存する生活というものを考えなくちゃいけないというわけですが、そのためには自分の近辺に放射能があるかないかを簡単に識別するということができるようなそういう生活に変えていかないといけない。少なくともガイガーカウンターというのは、先ほどの地図の上にあるステーションに行かなければないというようなものじゃなくて、もっとそこらじゅうにあるようなものになるべきだというのが森永さんの考え方で、私はその方向の考え方はいいんじゃないかと思っているんですが、もう少しいろいろな測定装置を日常身辺のところに置いていただくといったような方向のお考えはないでしょうか。
○政府委員(辻栄一君) 大変な卓見であろうかとは思いますけれども、一方で私ども放射能をこぼさないようにやるのが私どもの任務でございまして、これなかなか矛盾する話でございます。しかしながら、御指摘のように放射能の測定網をある程度拡大していくということは、これはやはり必要であろうかと思います。原子力関係施設の周辺においては既にそういったものをやっておるわけでございますけれども、御意見も外しまして今後検討してまいりたいと思います。
○伏見康治君 森永さんのやっていることを、もうちょっと突っ込んでお話ししておきたいと思いますが、森永さんはアルゴン42という同位体を実験室でつくりまして、それは相当寿命が長いんですが、とにかくディケイしてカリウム42というのに変わるわけです。カリウム42というのもまた放射性物質です。その方は大変寿命が短い。それで、アルゴン42というのをこのくらいの大きさのボンベの中に入れまして、それを日本じゅうのお医者さんのところへ配る。配っておきますと、お医者さんがそのカリウム42というものを使ったいろんな医療用上の行為をするときに、ボンベの中に針金をつけておきまして、それを引き出しさえすれば極めて簡単にカリウム42を使うことができるわけです。一々どこかの研究所に行ってつくってもらって航空便で送ってもらうなんということをしなくても、手元に小さなボンベを一つ置いておけばカリウム42という放射性物質が非常に手軽に使える。そういうものを日本じゅうのお医者さんに配っておいたならば、日本人全体の放射能に対する要するに常識が非常に高まるのではなかろうかということまで言っておられますので、それに対する善悪のお答えを伺うというよりは、そういうことを考えておる方もおられるということを申し上げておきたいと思います。 まだ大分時間がありますが、またおかしくなるといけませんから、この辺でやめておきます。
○佐藤昭夫君 まず、サミットにおけるソ連の原発事故にかかわる声明の関係でお尋ねをいたします。 その声明の中でこういうくだりが出てくるわけです。「我々のいずれの国も、厳格な基準を満たしている。」ということで、サミット参加国、この関係は原発初め原子力諸施設大丈夫ですと言わんばかりのこういう声明になっているわけですけれども。そこで、きのうの衆議院の科学技術委員会で我が党の山原議員も指摘をしたところでありますが、しかし、実際は西側諸国において原発の重大な事故が実際は相次いでいるんじゃないかということで、幾つかの事例、例えば米国議会の会計検査院の報告書、この中では社会主義を除く十四カ国で一九七一年から八四年、すなわち十四年間にかけて百五十一件の重大事故が起こっているというのですから、年に十一件ぐらい起こっているということになるわけです。全世界三十七カ国、原発持っているのが、そうすると、全世界的に見ればもっと地球上に原発の事故がいろいろ続出をしているというふうに考えられるというこういう報告書がある。 それから、例のアメリカの原子力規制委員会、NRC、ここの八五年報告書、この中で、昨年は安全面で見る限り、米原子力発電産業にとって最悪の年だったというこういう表現が出てきたり、それから、昨年米国のオハイオ州トレドの原子炉で冷却システムの十二分間にわたる故障で炉心溶融寸前にまで立ち至った事故があったといったようなことも出てくるわけでありまして、きのうの答弁で、よくわからぬから調べてみようということであった模様ですけれども、きのうのきょうですから、まだよくわからぬということですか。いろいろ在外公館があるから、新聞報道もあるし、特にアメリカには科技庁派遣の職員もおられるからすぐわかるんじゃないか、こう思うのだけれども、どうですか。
○政府委員(辻栄一君) 御指摘のように、昨日の衆議院の科学技術委員会におきまして山原先生より御質問をいただきまして、私ども現時点においては資料が手元にございませんので至急手配をいたしました。入手し次第調べたいと思っております。 ただ、アメリカと日本との間には規制情報交換システムというのがございまして、いろいろ事故情報についてはバイで情報交換をやっているという状況でございます。昨年中に百五十一件の重大事故があったということでございますけれども、この重大事故という意味のとり方には大変いろいろなものがあると思います。NRCが各原発からとっている事故、故障を集めますと大体五千件という数字が出ておりまして、これは非常に小さなスイッチの故障であるとか、バルブの亀裂であるとかいうところまで全部入っておりまして、一体どこまで重大事故と呼ぶのかというのは大変食い違いがございます。 日本の原発の安全審査で重大事故というのは大変な事故でございまして、こんなものが百五十一件もあれば日本の原発は到底運転することができないようなものでございまして、最近、米国においてそのような事故が起こっているというような報告については、こういった日米規制情報交換の中でも特に指摘されて出てきてはおりません。最近におけるそういった小さいトラブルが非常に多くなっているという点についての情報は入っているわけでございますけれども、そういった点からどういう表現になりましたか、最悪という表現がどういうことであったのかよくわかりません。 実は、八五年レポートのその表現の点についても、原文を見ておりませんのでただいま御返事を申し上げるわけにはまいりませんけれども、そういったようなことでございまして、現在、ここ過去一、二年の間で米国においてそれほど重大な事故が起こっているということは私どもも承知しておりませんし、この問題について、IAEA等の国際機関におきましてもそういった情報交換の場があるわけでございますが、そういうところにも報告されておらないということでございます。
○佐藤昭夫君 よく調べてみるということでありますけれども、政府間レベルの情報交換にも話が出てないからという、私は、そのことが実は後で大変だった、しまったということになりかねないそういう危険なものが含まれているのじゃないかというふうに思わざるを得ないわけであります。 このサミット声明は、原発だけではない、その他原子力施設も含めて厳格な基準を満たしているというふうに表現をしているかに私は声明を受け取るわけでありますけれども、そうなりますと、これはもう言い逃れできない、例えば再処理工場の関係なんかについて重大な事故がその後も起こっているわけですね。例えばアメリカで言えば、ことしの一月早々にオクラホマ州の核燃料工場で放射性ガス漏れで大量の死傷者が出るということで、辻局長も、これもいつかの衆議院の委員会で、起こるとは思わぬようなことが起こっておるというようなことで答弁もしておられますけれども、そんなことが起こってみたり、あるいはアメリカだけじゃない、イギリスでも例のセラフィールド再処理工場、ここでの放射能汚染問題が起こったということで、これは英国議会の環境問題の委員会、そこの報告によりますと、この再処理工場というのは世界最大の放射能廃棄物の排出源だ、今やアイルランド海域は最も汚染された海域となったということを厳しく指摘をし、再処理工場の必要性そのものも再検討することを求めると報告書に出ている。こういうことでありますから、大体イギリスの再処理工場の放射性廃棄物の排出許容基準、これは日本の場合に比べるともうけた違いにルーズだということになっているわけでありますけれども、その基準さえもきちんと守られているのかどうかということをもう疑わざるを得ないようなそういうことが起こっているわけであります。 こうした点で、サミットの声明をつくってきたのは河野大臣じゃありませんから、あなたを相手に言っておっても始まらぬかと思うんでありますけれども、原子力行政の責任を持っておられる科学技術庁及び科学技術庁長官として我が国の場合は日本は絶対安全だということで過信に陥らないようにという、そこは安全対策の充実強化に絶えず日々これ努める、こういう基本姿勢で今後ともぜひ対処していただきたいと思うのですが、この基本姿勢についてどうでしょうか、大臣。
○国務大臣(河野洋平君) 基本姿勢は、佐藤委員おっしゃるような基本姿勢でいきたいと思っております。 ちょっと話が長くて恐縮でございますが、原子力安全委員会の専門家の方のお話を先日私は伺ってみましたが、アメリカのスリーマイル島の事故の後、日本では幾つかの原発をとめたわけです。今回ソ連の事故の後、日本の原発をとめなくていいのかという質問がある。しかし原子力安全委員会の方の御説明を伺いますと、あのときはTMIが非常に事故の原因究明に熱心で、その究明した原因について教えてくれた。そこで、その教訓を得て同型のものをとめて、その得た教訓をもとにして改良すべき点、改善すべき点、チェックすべき点をチェックしたということでございまして、今度の場合には、一体原因は何だ、事故はどの部分でどういう原因がということを早く究明されればそれなりの対応の仕方もあるのかもしれない、しかし炉の型が違うとかということでございますから、TMIのときと同じようなわけにはいかないと思いますけれども、我々とすれば、やはり情報を早く提供して、その情報によって教訓を得たいという気持ちが非常に強いわけでございます。 先ほどから申し上げておりますように、炉の型が違うから我々は安全だ、これはまず最初の説明でございまして、だからといって何にも我々はしなくていいというふうには私は思わないのでございます。やはりこうした事故は他山の石として、我々は我々なりにこうしたことが起こらないようにみずからを戒めていくという姿勢はとっていかなきゃならぬというふうに思っている次第でございます。
○佐藤昭夫君 次の問題でありますが、今回の事故で非常に遠く離れた北欧諸国でさえ通常の百倍を超えるような放射能が検出された。こういう事実を見ますと、この事故現場から百キロ程度のキエフ、ここには居住日本人または旅行者、これが相当数あるということでありますけれども、心配されるレベルの被曝というものが起こるんじゃないかという懸念、これは同じ百キロ、百キロということでありますから、もちろん風向きの問題もありましょうけれども、当然予想される一つの問題になるわけですね。こうした点で、外務省は来ておられますか。——そういう懸念の上に立って、ソ連人はどうでもいい、まず日本人だけ逃げたらというこういう狭いことで言っているんじゃないんですけれども、あそこには日本人も一定数おるということで、それの緊急避難について、そこらの仕事の担当は外務省であろうかと思うので、外務省としてはどういう対応をとられたんでしょうね。
○説明員(本田均君) 四月三十日に外務省は、事故の状況は極めて深刻であり得るということにかんがみまして、キエフ、ミンスク方面への不要不急の旅行は当面控えることが望ましいという注意喚起を発したわけでございます。この結果、五月一日にキエフに向かう予定でありました三グループ、約百名の旅行者が日程を変更してキエフ立ち寄りを中止したという経緯がございます。またさらに、この外務省からの勧告を発出した時点で既にキエフに滞在中あるいは滞在したという四グループ、これ百二十三名おります。そのうち二十二名は在日外国人でございますけれども、これらのグループの旅行者に対しましては、五月五日、科学技術庁放射線医学総合研究所の協力を得まして、新東京国際空港におきまして健康診断を実施したということでございます。以上が短期滞在者についての対応でございます。それから、キエフに長期滞在しております邦人一名につきましては、五月三日に、モスクワの病院におきまして検査が受けられるように手配をしたという状況でございます。
○佐藤昭夫君 そういう一定の対応をしたということでありますけれども、しかし現実の問題として、報告をされておるように、キエフでの一時的滞在者、そういう人たちでもかなり高い被曝を受けているということが判明をしているわけでありますので、そのことをもってしても、今回の事故がいかに重大な事故であったかということを示すものであります。 そこで、我が国の原子炉立地審査指針、ここでは、「重大事故」という概念と、それから重大事故を超えるような、科学技術的に見て起こるとは考えられないような事故、すなわち「仮想事故」という、このどっちの被害も起こさない、こういう形でのいろんな安全設計、防災対策、万般の側面からいろいろ検討をやる、こういうことになっているわけでありますけれども、しかし結局今回のソ連の原発事故というのは、そういう起こるはずがないという仮想事故、これも超えるような事故が起こったんじゃないかと思うんです。例えば西ドイツの原子炉安全協会のビルクホーファー教授なんかはそういう論を唱えておられるわけです。 そうした点で、我が国の原子炉立地審査指針でもそういう仮想事故の発生を仮想して、周辺の公衆に「著しい放射線災害を与えない」、こういうことでいろいろ方策を講ずることになっているんですけれども、これ自体についても、どうなんでしょうか、今回の事故。に照らして、もちろんまだ、最終的にはよく事故の内容、その被害の範囲、こういうことを見きわめた上でということではありましょうけれども、必要な場合には審査指針、これの一定の見直しも必要になってくるんじゃないかと私は思うんですけれども、どうでしょうね。
○政府委員(辻栄一君) 内外の事故、故障を参考にいたしまして、日本において取り入れるべき事項があれば逐次これを取り入れて、安全指針、あるいは基準の改正を逐次行っていくというのは原子力安全委員会の基本的な方針でございます。したがいまして、これは先生御指摘の立地審査指針に限らず、あらゆる審査指針について原子力安全委員会、そういう基本的な立場で対応しているところでございます。 したがいまして、今後事故の内容が十分によくわかってきて、それでいろいろな指針について改善の必要があるというようなことが言えるという事態になりますれば、これについては御趣旨のような点で見直しを行っていくということは、もちろんやぶさかでないわけでございますが、何にいたしましても、現在ではどういう事故、またその原因もわかっていないという現状でございますし、それから現在の立地指針につきましては、先ほど伏見先生も御指摘になりましたいろんな防護システム、なかんずく格納容器の有無、こういったようなものはやはり放射能の拡散と重大な関係があるというふうに私ども思っているわけでございます。したがいまして、現在の立地指針は、そういった多重防護のシステムがどういうふうになっているか、それとの勘案において立地を決めているという基本方針でございまして、これは欧州のみならずアメリカにおいても基本的にとられている考え方でございます。 この内容をどの程度修正すべきかどうかは、これは今後の事故の解明を待った上で検討すべき課題であろうかと思っておりますが、ただいま直ちにこれを改正するとか、そういう議論にはならないし、今の段階では一体どのように改正していったらいいのかもわからないわけでございます。基本的には私ども現在の立地指針、審査指針を含めまして現在の安全審査指針について、特段の問題が起こらない限り特に変更する必要があるとは現段階では考えておらないということでございます。
○佐藤昭夫君 もちろん、私も申しましたように、この事故の内容をよく見きわめ、その原因を分析した上でということであるのは当然でありますけれども、例えば、さしあたり一つ念頭に浮かぶのは、今回ソ連政府は、事故サイトから周辺三十キロ以内、ここについては住民に避難をさせる、こういう措置をとったと伝えられています。一方、我が国の原発災害対策、ここで考えられておるそういう対策範囲の目安は八キロから十キロだというふうに今まで言われてきているわけですけれども、このことを対比してみた場合に、これはいろんな防災訓練なんかをやるそのこととも関係をしますから、そういう住民退避の目安として果たして適切かどうかということは、もう一回よく検討をしなくちゃならぬ課題になってくるのじゃないですか。
○政府委員(辻栄一君) 御指摘の原子力防災体制につきましては、災害対策基本法におきまして、放射能の大量の放出に対しましては災害法が適用されるということに相なっております。スリー・マイル・アイランドの事故以降、日本における防災体制につきましては、特に当時の大平総理の御指示もございまして格段の整備を図ってきたところでございまして、先ほどの御指摘の、重点的に防災対策をとるべき範囲として単に八キロないし十キロという基準を定めるのみならず、全般にわたりまして情報の収集体制あるいは緊急医療体制あるいは周辺モニタリング体制、こういったようなことについて関係機関あるいは関係行政機関全部含めた協力体制をとる体制を整えてきたわけでございます。 御指摘の八キロ、十キロというのは、こういった対策をとるについてのまず重点的に準値しておくべき範囲として八キロないし十キロを定めたものでございまして、防災対策はもちろん事故の規模に応じまして諸般の対策がとられるということでございます。いずれにしても、事故が起こりました際に中心となる原子力発電所、その周辺において重点を最も強くしていくということが重要なことでございますので、その基本的な目安として八キロ、十キロというものを定めたというふうに御理解いただきたいと思うのでございます。
○佐藤昭夫君 ちょっと意見あるんですけれども、もう時間ですから終わります。
○山田勇君 事故が発生した際の国際緊急通報体制の強化ということは非常に重要なことでありますが、ソ連を含めた具体的な体制づくりということについて今後どう取り組むおつもりですか、御意見をお聞かせいただきたい。
○政府委員(堀田俊彦君) ただいま御指摘がございました点は、今回のサミットの声明で言及されております非常に重要な点でございます。きょうお配りしました資料の十六ページに資料−6ということで「チェルノブイル原子力事故の諸影響に関する声明(仮訳)」というのがお配りしてございますが、これの一番最後のパラグラフに言及されている事項でございます。今後は、このサミットの声明に示されましたように、私どもは、国際原子力機関の場を通じ良して事故時の緊急時通報制度の整備等のための国際協定の早期考案を含めた検討、これが行われるものと期待しておるわけでございます。幸いIAEAにおきましては、ソ連の専門家も参加しました専門家グループが緊急時の報告等につきましてガイドラインを既につくっております。これが今後の作業をいたします場合に太いに役立つのではないか、そのベースが既につくられておるということでございます。 もちろん日本としては、IAEAを中心としましたこういう国際的作業につきましては積極的に参加してまいりたいと思っております。
○山田勇君 今も同僚議員から日本で事故が起こった場合の避難の問題をいろいろ質疑しておられましたが、今回、ソ連の事故の場合は発生から一日半を経過してからの避難ということになっておりますが、日本で仮に事故があった場合、一日半というようなおくれた避難体制はとられないでしょうね。
○政府委員(辻栄一君) 我が国の防災対策につきましては、その初期初動をどのぐらいにやるかという問題でございます。 第一番の基本は、やはり原子力事業者からの通報ということでやることになっておりまして、一日とか二日とかということではございません。通報がありまして、その必要性があれば直ちにとるということにいたしております。 また、原子力発電所だけに頼っているわけにもいかないということで、外側で環境のモニタリングをやる。これが一ミリレントゲン・パー・アワーという数字、これは平常値より高いわけなんですが、その値を示した場合には、これは常時立地県の県の方で観測いたしておるわけでございますので、それがあれば発電所の事故が何かあったろうと想定いたしまして警戒体制に入る、こういうことにいたしております。
○山田勇君 各都道府県では放射能について監視体制がとられておりますが、これは一体どの機関でどのような監視、観測が行われているのか。これはクイズの問題みたいになりますが、実際、空港でガイガー計数管を持って旅行者に対して検証をなさっておりますが、これは一体どこが所管してやっているのかということですし、僕は友人に、科学特別委員会の委員として所属していますと日ごろ自慢気に言っているものですから、今回の放射能汚染の問題になりますともう全部が気象庁と。放射能汚染は雨という関連から気象庁ということですが、今回の体制こそ、科技庁がそれこそNHKとか半公共的な放送機関にきちっとした情報を出して、そういうようなコーナーと言いますか、枠を設けても僕はいいんではなかったかなと思うんですね。御承知のとおり集中的に気象庁に電話がパンク状態になるぐらい問い合わせがあった。このときこそ科技庁がぱっと出て全部を仕切ってもらいたかったなあという感があるんですが、そういう監視体制はどこが所管しているのか、その辺ちょっとお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(辻栄一君) 環境放射能につきましては、御指摘のとおり私ども科学技術庁の所管でございます。気象庁その他のところはお天気相談その他で大変一般国民の方にやはりファミリアであるということで、いろいろ電話等の問い合わせもいったろうと思います。これにつきましては、総理府に放射能対策本部というのが備えられておりまして、そこの本部長はこちらにいらっしゃる長官でございまして、先般の放射能対策本部にも早朝にもかかわらず長官お出ましいただいて、いろいろ対策を御相談いただいたという次第でございます。ここにおきまして、関係省庁いろいろあります、食糧の問題であれば農林省、医薬品の問題であれば厚生省、気象の問題であれば気象庁というふうにございます。関係省庁が皆集まって、問題が起こればそれに対する対応を相談していこうということになっております。 監視体制そのものにつきましては、現在は、発電所の場合を考えますと、まず第一番目は事業者がその周辺にモニタリング体制を持つ。それとあわせて、これとは別のシステムで都道府県がそれぞれ監視のモニタリングシステムをつくっております。この予算は私どもからの交付金で行っておる、こういう体制でございます。
○国務大臣(河野洋平君) 山田委員に御報告をしておきますが、成田空港でソ連から帰ってきた旅行者のチェックをしたのも科学技術庁でございます。科学技術庁傘下の放医研、放射線医学総合研究所の職員三十名が成田空港へ参りまして、ソ連から、キエフ地方を旅行して帰ってきた人たちのチェックをさせていただいたわけでございます。ちなみに、私も本部長として当日朝から成田空港には行っておりました。ただ、こういうことは余り公表すべきことではないと思いまして、私は柱の陰から事態の推移を見ておりました。大変帰国なさった方々も協力的でございましたし、チェックは非常にスムーズに、ごく一部の方を除いて全員をチェックをし、その数値によってはさらに放医研の方にも行っていただいてさらにチェックをするというようなこともあったことを御報告申し上げます。
○山田勇君 いや、大変失礼いたしました。これは私の不勉強でございました。そういうことで大臣には大変御苦労さんでございました。 そうしますと、これは最後の質問になりますが、八千キロのかなたから思いもよらぬ速さで放射性物質が運ばれてきたことは大変な驚きでございます。予想を越えた放射能汚染の速さ、広がりは単に我が国だけではなく、世界的、地球的規模で汚染が進む可能性がないとも言い切れません。一たび大事故が起こればとめようのない汚染の広がり、人体への影響、自然破壊、また子孫への影響などを考えると危険がいっぱいということも言えます。原子力エネルギーという新しい分野での開発は慎重の上にも慎重でなければなりませんが、今回のソ連の事故を契機に、原子力発電全体の基本的な問題も含めて今後の原子力発電についての御所感を長官から聞きまして、私の質問を終わります。
○国務大臣(河野洋平君) 今回のソ連の事故は、先ほど来申し上げておりますように、これをただ単に炉型が違う、あるいはソ連のやったことだということで済ますのではなくて、十分慎重に、我々もその原因がどこにあるかということにも関心を持ちながら我々の原子力行政の一つの教訓として受けとめてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
○委員長(馬場富君) 本件の質疑は、本日はこの程度にとどめます。 この際、便宜私から、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合の各派共同提案によるソ連邦チェルノブイル原子力発電所の事故に関する決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 ソ連邦チェルノブイル原子力発電所の事 故に関する決議(案) 去る四月下旬、ソ連邦チェルノブイル原子力発電所で発生した事故は、我が国を含め、世界各国に強い衝撃を与えている。 よって、政府は速やかに関係諸国と協力しつつ、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一、事故の状況、原因等に関する情報の速やかな公開及び提供をソ連邦に求めること。 二、国際原子力機関を中心とし、事故の原因究明、情報分析等に努めるとともに、本件のような事故が発生した場合の国際的対応のあり方について討議し、早期実現を図ること。 三、国内の原子力発電所における安全の確保と安全規制に事故の教訓を十分反映させること。また、環境放射能調査体制を充実強化するなど放射能対策に万全を期すること。 右決議する。 以上であります。 本決議案を本委員会の決議とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(馬場富君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。 ただいまの決議に対し、河野科学技術庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。河野科学技術庁長官。
○国務大臣(河野洋平君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に体しまして原子力安全対策に遺憾なきを期する所存でございます。
○委員長(馬場富君) 本日の調査はこの程度といたします。 次回は来る九日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後七時九分散会