予算委員会第一分科会 第1号
- 発言数
- 470 件
- 登壇者
- 62 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1986/03/06
会議録
○大村主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、よろしく御協力のほどお願い申し上げます。 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣及び総理府並びに他の分科会の所管以外の事項、なお、総理府につきましては経済企画庁、環境庁及び国土庁を除く所管についての審査を行うことになっております。 昭和六十一年度一般会計予算、昭和六十一年度特別会計予算及び昭和六十一年度政府関係機関予算中、まず衆議院関係予算の説明を聴取いたします。弥富衆議院事務総長。
○弥富事務総長 昭和六十一年度衆議院関係歳出予算について御説明を申し上げます。 昭和六十一年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は、四百三十一億八千三百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、十八億九千三百万円余の増加となっております。 次にその概略を御説明申し上げますと、第一は、国会の運営に必要な経費でありまして四百二十億七千万円余を計上いたしております。 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し十七億六百万円余の増加となっておりますが、その主なものは、立法事務費を月額六十万円から六十五万円に増額計上いたしたこと、招聘外国人滞在費の増額、議員秘書の勤続特別手当の改善及び二十五年以上の長期勤続秘書に対する永年勤続特別手当の新設のほか、昨年における給与改定に伴う議員歳費並びに議員秘書及び職員の人件費等の増加によるものであります。 第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして、十一億五百万円余を計上いたしております。これは、議員会館その他庁舎の諸整備に要する経費でございます。 また、国会周辺等整備に必要な土地購入費は、引き続き一億円計上することといたしております。 第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。 以上簡単でございますが、衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。よろしく御審議のほどを御願い申し上げます。
○大村主査 次に、参議院関係予算の説明を聴取いたします。加藤木参議院事務総長。
○加藤木参議院事務総長 昭和六十一年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。 昭和六十一年度国会所管参議院関係の歳出予算要求額は、二百五十三億九千二百万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、約八億二百万円の増加となっております。 次に、その概略を御説明申し上げます。 第一は、国会の運営に必要な経費でございまして、二百四十五億六千百万円余を計上いたしております。 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でございまして、前年度に比較いたしまして約十二億五千四百万円の増加となっております。これは主として、第十四回参議院議員通常選挙に伴う改選関係経費の計上、立法事務費の月額六十万円から六十五万円への増額、招聘外国人滞在費の増額、議員秘書勤続特別手当の改善及び二十五年以上の長期勤続秘書に対しまする永年勤続特別手当の新設のほか、昨年におきます給与改定に伴う議員歳費並びに議員秘書及び職員の人件費の増加等によるものでございます。 第二は、参議院の施設整備に必要な経費でございまして、八億二千六百万円余を計上いたしております。これは、本館その他庁舎等の整備に要する経費でございます。 第三は、国会予備金に必要な経費でございまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。 以上簡単でございますが、参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。 どうぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
○大村主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を聴取いたします。荒尾国立国会図書館長。
○荒尾国立国会図書館長 昭和六十一年度国立国会図書館歳出予算について御説明申し上げます。 昭和六十一年度国会所管国立国会図書館関係の歳出予算要求額は、百四十九億七千八百万円余でありまして、これを前年度予算額百四十七億三千四百万円余と比較いたしますと、二億四千三百万円余の増額となっております。 要求額の主なものについて、その概略を御説明申し上げます。 第一は、管理運営に必要な経費であります。その総額は、九十八億七千三百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、十七億六千九百万円余の増額となっております。 増額の主なものは、職員の給与等に関する経費、納入出版物代償交付金、図書館業務の機械化に伴う経費でございます。 また、新規要求といたしまして、昭和六十一年五月末に地下五階から同八階までの書庫を除いて完成する新館の運営経費、資料保存対策に必要な経費、ポルトガル等における日本関係資料の調査に必要な経費、国際図書館連盟東京大会等に必要な経費を要求いたしております。 第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費でありまして、要求額は前年度と同額の五億一千七百万円余であります。 第三は、施設整備に必要な経費でありまして、新館の新営、本館の改修及びその他庁舎の整備に必要な経費四十五億八千七百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、十五億二千五百万円余の減額となっております。 なお、木館改修に関しましては、昭和六十一年度を初年度とする二カ年の国庫債務負担行為八億七千四百万円余を要求いたしております。 以上、簡単でありますが、国立国会図書館歳出予算の概要を御説明申し上げました。 よろしく御審議のほどをお願いいたします。
○大村主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を聴取いたします。金村裁判官弾劾裁判所事務局長。
○金村裁判官弾劾裁判所参事 昭和六十一年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。 昭和六十一年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は、八千七百二十万五千円でありまして、これを前年度予算額八千六百三万六千円に比較いたしますと、百十六万九千円の増加となっております。 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長の職務雑費、裁判員の旅費、事務局職員の給与に関する経費その他の経常事務費及び裁判官弾劾法に基づく裁判に必要な事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますのは、職員給与関係経費の増加によるものであります。 よろしく御審議のほどお願いいたします。
○大村主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を聴取いたします。龍前裁判官訴追委員会事務局長。
○龍前裁判官訴追委員会参事 昭和六十一年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。 昭和六十一年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は、九千八百六十九万二千円でありまして、これを前年度予算額九千三百四万円に比較いたしますと、五百六十五万二千円の増額となっております。 この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長の職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する族費その他の事務費でございまして、前年度に比し増加となっておりますのは、職員給与関係経費の増加によるものであります。 よろしく御審議のほどをお願いいたします。
○大村主査 以上で説明は終わりました。 ―――――――――――――
○大村主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山花貞夫君。
○山花分科員 私は、国会職員の労働条件の問題及び国会図書館の関連について若干の質疑をさせていただきます。 一九七九年、国連において婦人差別撤廃条約が採択されまして、以来各国で雇用機会均等法の整備が進められ、我が国でも男女雇用機会均等法が成立をいたしました。勤労婦人福祉法の改正という手法であるとかあるいはその内容について、我々は根本的な疑念をなお持ち続けておるところでありますけれども、現実には既に労働基準法も改正されまして、本年四月から施行される、こういう時期を迎えているところであります。ここでの基本的な問題としては、私は保護と平等の関係があるというように考えます。官報に掲載されております世論調査「男女の地位」というものを見てみますと、最近でも男女は平等になっていないという、こうした考え方が七割をはるかに超えている、こういう現実があるわけでありまして、この両者のバランスをどのように調整させていくかというところに今後の一つのテーマがあるのではなかろうかと考えております。 ところで、労働基準法や人事院規則等の改正の一連の動きを拝見しておりますと、平等の観点、すなわち女性の労働条件を男性に近づけるということのみに終始しておりまして、女性が働き続ける環境をいかに整備していくかという点が完全に欠落しているのではなかろうか、こう考えざるを得ない問題点がたくさんあります。改めて、今後の真の平等に向けての基本的姿勢をまず伺いたいと思います。
○松原(亘)説明員 お答え申し上げます。 雇用の分野での男女の機会の均等、待遇の平等を確保するということは非常に重要なことでありまして、先生おっしゃいましたように男女雇用機会均等法が制定され、ことしの四月一日から施行になるという段階に至っておるわけでございますけれども、雇用の分野での男女の機会の均等、待遇の平等を実現する、女子労働者が雇用の分野で十分その能力を発揮できるようにするということのためには、やはり労働条件といいますか、法的枠組みというのは男女で同じであるということが基本であろうと思います。つまり、男女が同一基盤に立って働けるというような条件をつくるということが必要であろうかと思いますし、昨年我が国が批准いたしました女子差別撤廃条約におきましても、基準法にありますような女子についての特別の扱い、こういったものは、いわゆる母性保護を除いては、究極的には女子だけ特別に扱うということではなく、男子と同じようにするというところがねらいであるというふうに解されているわけでございます。 そういうこともございまして労働基準法の改正をいたしたわけでございますが、さりとて男女で同じように働けるような基盤をつくるといいましても、我が国の現状を考えますと、いきなりそこまで持っていくことはやはりなかなか難しいということもございまして、今回の改正は、女子労働者が負っておりますいわゆる家事、育児等の家庭責任、こういったことに着目いたしまして、漸進的にそういった方向に向かって法制の整備を図るという観点から、現時点において雇用の分野での機会の均等、待遇の平等を実現するという観点から、必要な範囲において改正を行ったものでございます。ことしの四月一日から改正労働基準法、それから機会均等法いずれも施行になるわけでございますけれども、これらによりまして女子労働者の能力を発揮できる環境というのがだんだんと整っていくというふうに期待をいたしておるところでございます。 それから、加えまして今回の男女機会均等法の中には育児休業普及のための措置ですとか、再雇用の特別措置といったようなことも盛り込んだりいたしておりまして、そういったことについても、労働省、これまでいろいろ努力してまいりましたし、また今後ともそういった条件が整い、女子労働者が働きやすい環境が整えられるように努力いたしてまいりたいと思っております。
○山花分科員 条約の第四条の精神がどのように生かされるかということだと思っておりますけれども、労働省の基本的な姿勢についてはお伺いしたところですが、女子労働者が働いている職場におきましても、この問題点というものはやはり常に念頭に置かれなければならないところではなかろうかと思っております。 本院におきましても、ここ数年女子職員の職域が広げられたということ、すなわち本会議や委員会にも女性が出るようになったということ、あるいは新規採用の女子だけではなく、従来からいる女子職員の職域の見直しも積極的に図っていただきたい等の問題があるわけでありますけれども、事務総長にこの点、本院におきまして議事運営や委員会などにもっと女性を活用していく、こういうお考えがあるかどうかということについて伺いたいと思います。
○弥富事務総長 先生には、毎年国会職員のいろいろな面において御質問をいただきまして甚だ恐縮をいたしております。 ただいまお話がございましたように、もとより職員のその配置、昇進につきましては、法律がどうのこうのということよりも、まず基本的に男女が平等でなければならない、これは我々も常に考えておるところでございます。昨年でございましたか、従来と違いまして、議会運営の方にも女子職員を進出させるということをお話し申し上げまして、現在は今お話しのように本会議、委員会において女子職員も配置についております。しかし、いろいろな社会通念あるいは国会における仕事の関係におきましても、なおやはり女子職員に特有なことがあるのではないか、あるいは社会通念によりまして女子職員の方が適切ではないかという職もあるわけでございます。しかし、それをいつまでもそういうふうに固定的に考えておりますと、これはいつまでたっても打開をしていけない、そういうことも十分に考えつつ、これからは個々の職員の資質、能力というものを積極的に見出すような方法をとりまして、より多くの職域に多数の女子が進出できるよう図ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○山花分科員 今お話がありました昨今の御努力につきましては敬意を表する次第であります。同時に、今事務総長も触れておりましたけれども、社会通念、あるいはこれまでのさまざまな経過と実態というところもあるということについては、私が平等と保護の観点というテーマで考えたところでもあるわけであります。 実は国会職員、衆議院の職員の皆さんの例えば役職についてちょっと全体を見てみますと、私が持っております資料では職員合計千七百十一名、男性が千三百四十二名、女性が三百五十三名、二〇・六三%が女性である。しかし役職について見ますと、課長は女性一名、男性四十五名、比率としますと二・一七%であります。課長補佐は女性が九名、男性が二百七十四名、比率とすると三・一八%であります。全体の二〇・六三というパーセンテージからいたしますと、この数字だけということではなかなか実態について理解が難しいところがあるかもしれませんけれども、こうした面についてはいろいろな条件のもとにおきましてなお検討するところがあるのではなかろうか、こういう気がいたします。 なお、今触れました役職につきまして、係長の職につきましては女性九十七名、男性百九十九名、比率とすると三二・七七%、こうなっているわけでありまして、これも全体の比率から比べますと数字が上回っているというところに、役職につけるという全体の情勢の中での問題点がまた一つ出てきているのではなかろうか、こういう気もするわけであります。 また、適性ということについて事務総長おっしゃいましたけれども、例えば出張などは適性という問題があるかもしれませんけれども、五十八年度は事務出張が全体五百七十六件、そのうち女性が十六件、五十九年度は全体五百四十六件、そのうち女性が二十四件、大分ふえているようです。六十年度は全体の総数も四百二十三件と減りまして、女性の事務出張は十四件ということになりました。随行の出張につきましては、全体百三十九のうちの四というのが五十八年度、五十九年度は百五十三のうちの八、六十年度、これは途中までの資料ということでありますけれども、百五十二のうちの十、こういう形でかなりいろいろ御配慮いただいているのではないかということが数字の上にもあらわれているわけでありますけれども、事務総長おっしゃいました問題点を前提としながらも、なお一層の御努力をぜひお願いしたい、こういうように考えるところであります。 同時に、これから法が新しくなったこと、基準法絡みで大変関心を持たれておりますのは、研修につきましての女子職員の参加の問題であります。若干ふえてきているというようなことも伺っておりますけれども、今後も参加の増大を図りまして、職域の拡充につきましてぜひ御努力をいただきたい、こういうように要請をしたいと思います。 なお、部内研修だけではなく人事院の研修や大蔵省の会計研修、他省庁への出向の問題等にも女性を積極的に参加させるべきではなかろうか、こういうように思いますけれども、この点いかがでしょうか、御答弁をいただきたいと思います。
○弥富事務総長 ただいまの御質問でございますが、女子を男子に近づけて進出させるということに対しましては、確かに内部研修それから各省で行われる研修、今言われました大蔵省あるいは人事院、それからこれはもう一つ、他省庁へできれば出向をさせまして、研修なり何なりということも経験をさせるのは非常に必要ではないか。これは先方のこともありますので、我々が考えるだけでできるものではございませんけれども、それについては人事担当者の方では非常に努力をいたしておりまして、徐々に、例えば大蔵の研修などにおきましても実行をいたしておると私も承知をいたしております。 それから、いろいろな出張のデータを言われたのでございますが、例えば外国へ行く随行などにも現実に女子がついてきてくれという、殊に女性の議員が行かれる場合はそういう要求もございます。それについてはできるだけそのような方向で、女子の能力開発の一手段ともなりますのでそういう措置もとっておりますし、それからもちろん事務出張、そういうのも今後できる限りふやしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○山花分科員 均等法についてのときの資料を私見ておるわけでありますけれども、女子に対する教育訓練の有無、これは全体の民間の企業含めてということでありますけれども、これを実施しているかどうかということにつきましてここに出ておる資料によりますと、男女全く同じに受けさせるというのは本当にまだ少数でありまして、全く受けさせないというところが約二割、これは従来からほとんど変わっておりません。ある程度実施するというのが四割から五割、こういう実態もあるわけであります。 全般的にはそうした各企業での研修についての取り組みというのがこれまでの実態であったわけでありますけれども、最近なども、実は私、例えば労政事務所などに行ってみますと、この研修問題についての学習会といいますか、企業の皆さん含めて町中でも非常に行われているわけでありまして、こうした問題については、これから一年一年とどんどん改善されていくのではなかろうか、こういう気がいたします。 たまたま本院につきまして私が持っている資料によりますと、例えば本院の研修について、「初任研修」というところによりますと、部課によっていろいろ違っておるようでありますが、五十八年度が十三名、五十九年度が二十二名、六十年度が二十五名、こういう形で徐々に研修参加の数がふえている、こういう状況が出ておるようであります。 院外の研修につきましても、今事務総長がお触れになりましたけれども、これは人数の関係はなかなか厳しいという実態もあるようですが、人事院研修などについても、五十八年度、五十九年度はなかったわけでありますけれども、六十年度から女子も参加するようになったということのようでありますしあるいは大蔵省の研修につきましても、従来ありませんでしたけれども、六十年度から参加がある。他省庁への出向につきましても、五十九年度お一人でありますけれども出てきた。こうした全体の傾向を見てみますと、本院における御努力につきましても数字の上でもあらわれている、こういう感じがいたします。 ただ、先ほど申し上げました課長、課長補佐、係長、こういう人数のバランスから考えますと、特に係長、課長補佐の行政研修などにつきましては、人数が少ないようではありますけれども、まだ〇、〇、〇、こう来ておるわけでありまして、そうした御努力を評価しつつも、今後もこの点につきまして一層の御努力のほどをぜひお願い申し上げる次第でございます。 さて、次の質問に移りたいと思いますけれども、もう一つの問題は、従来もいろいろな観点から伺っておりましたけれども、職員の年齢構成から心配される老齢化社会に対応しての幾つかの問題点であります。 二十一世紀には世界一の高齢化社会になると言われている。その対応が社会的な要請にもなっておるところであります。しかしながら、この問題は、ややもいたしますと、高齢化社会になったら金がかかるから、この際方向を転換して受益者負担を徹底しよう、相互扶助、自立自助が必要である、こういう問題のすりかえになってはならないというように考えております。 現在私は、早い定年による退職とか不十分な社会保障の問題、低福祉、貧困な年金制度の中で高齢化社会を迎える、こういうことが国民のあらゆる階層の皆さんの最大の不安である。その不安を解消するための施策が、要求される基本的な問題であると考えているところであります。高齢化社会が進んでいる現在、心身ともに健康でいる間に自分で働いて生活できるという環境の整備は緊急かつ重要な社会的な課題であるとも考えます。特に労働可能年齢につきましては、年金財政の破綻の防止といった面からだけではなく、肉体的労働可能年齢の向上、またそれに伴う就労意欲等からの議論が必要であると思います。 政府は、六十歳定年法を提出されたようでありますけれども、六十歳の定年制導入が、例えば従業員百人から千人未満の中堅企業において殊におくれておるというような問題もありますし、特に円高による不況が続いている現在、こうした規模の企業に対して、単に努力義務を定めるというようなことで政府の基本的な計画の達成が可能であるかという問題もあるのではなかろうかと思います。全般的な問題となりますけれども、まずこうした問題点を抱えている企業層をも含みまして、今後の六十歳定年制の拡大の具体的な施策について労働省にお伺いしたいと思うのです。
○長勢説明員 御説明申し上げます。 高齢化に伴う雇用対策の重要性につきましては先生御指摘のとおりでございまして、昨年雇用審議会、中央職業安定審議会におきまして、人生八十年時代において職業生活がいかにあるべきかという観点を踏まえて、今後の高齢者の雇用のあり方を御審議いただきました。その御結論といたしまして、当面六十五歳程度までは雇用就業の場が確保されるようにということで、それを踏まえて実施していくための法的整備を今回法案として提出させていただいているところでございます。 六十歳定年を具体的にどのように進めていくかというお尋ねでございますが、定年は法律でやればいいというものではございませんで、やはり労使が円滑に実情に沿った形で進めなければうまくいかないという実情にございますので、そういう努力義務という形で法律を出させていただいているところでございます。具体的にどう進めるかにつきましては、具体的な条件整備その他につきまして労使が円滑に積極的に取り組めるように諸般の援助、相談体制の強化を図っているところでございますので、そういう中で、今後ともできる限り六十歳定年が進捗するように我々も指導してまいりたいと思っております。
○山花分科員 具体的な施策につきましてもう少し伺いたいのですが、時間の関係もありますので先に進みたいと思います。 高齢者雇用の問題につきまして、五十八年の第五次雇用対策基本計画におきましては、それまでの基本計画に引き続いて六十年度までに六十歳定年を一般化することを目標として定められております。各種の調査でも、現在中高年齢者の大多数は、六十五歳程度までは社会の第一線で働きたいという希望を持っております。高齢者の経験と能力をいかに活用するかということが、社会全体にとっても重要な課題になっていると言えると思います。 一方、年金制度一元化、老人保健、雇用保険等の改悪の方向といい、政府は、長期的には六十五歳までは労働による賃金で、それ以降は年金で生活するというシナリオを想定していると思われるわけですけれども、長期的展望について簡単にでも触れていただきたいと思います。
○長勢説明員 先ほど御説明いたしましたとおり、昨年雇用審議会、中央職業安定審議会で、高齢化社会における労働者の職業生活のあり方について御審議をいただきました。そのときに、当面六十五歳程度までは何としても雇用就業の場の確保を図っていく必要があるということ、六十五歳を超えても働きたいという意欲のある方々については、それにふさわしい就業の場を確保することも重要であるという御結論がございました。労働省といたしましては、六十五歳まで定年延長その他の施策を通じまして雇用の場が確保されるように諸般の施策を講じていきますとともに、六十五歳以上におきましても、その希望に応じまして、シルバー人材センターの活用等を通じましてニーズに応じた就業の場の確保に努力してまいりたいと考えております。
○山花分科員 以上の全般的な問題を踏まえて総務庁に伺いたいと思います。 六十歳代前半、すなわち六十から六十五歳、そこでの雇用につきましての推進が重要な課題となってまいります。企業ではいろいろ知恵を出して、高齢者の就労意欲を有効に利用する措置がとられている例もあるわけでありますけれども、一般的に民間企業に比べて再就職が容易ではない一般公務員につきまして、十分な退職準備もなく六十歳で引退を迫られるというような現状もあるわけでありまして、政府の六十歳前半の雇用促進と相まって何らかの施策が考えられるべきだと思いますけれども、この点について御見解を伺いたいと思います。
○上吉原説明員 一般の公務員につきましては、ただいまお話がありましたように、昨年の三月から定年制が実施されたわけでございますが、この実施に伴いまして、従来不明確だった個々の職員にとっての退職時期というのが明確になったわけでございます。もちろん不安もございましょう。そういう退職時期の近づいた職員に対しまして、あらかじめ退職後の生活設計を立てさせまして、退職後の新しい生活にスムーズに適応することができるようにするために退職準備プログラムという施策を導入することといたしまして、そのための具体的な実施方法などにつきまして各省庁にその具体策を示しましてその促進を図ってきたところでございます。 これを受けまして、各省庁におきましては退職準備プログラムが、ガイドブックの配付あるいはいろいろな説明会、研修会の開催などの方法によりまして実施をされたわけでございます。そこでは、退職を迎えるに当たっての心構えとか、ただいまお話がありました退職後の再就職を中心とする職業問題を中心に、職員に対しまして必要な知識なり情報が与えられたということでございまして、このことが結局は定年制という新しい制度の円滑な施行に寄与したと考えておるところでございます。 このような退職準備などのための施策につきましては、職員の士気を維持向上させ、あるいは職員が退職まで生き生きと仕事を続けられるようにする、その結果組織の活性化をもたらすという効果を有しているところでございまして、職員の福祉向上、あるいは公務能率の増進を図る上で極めて重要なものと認識しておりますので、今後ともあらゆる機会をとらえまして、各省庁におきましてその充実が図られるよう、より積極的に指導してまいりたいと考えております。
○山花分科員 以上の議論を受けまして、最後に事務総長に伺いたいと思います。 衆議院の職員につきまして、五十歳から五十七歳までの間に固まりがあるという問題については、従来からいろいろ問題とされてきたところであります。こうした皆さんの処遇問題につきましては、昨年の分科会でも事務総長から処遇向上に努力するとの御答弁をいただきまして、いろいろ御配慮いただいているところであります。 その後、定年制の施行、退職手当の切り下げ等新たな問題も加わってまいりました。一方では、退職後再就職の機会がないという国会職員の皆さんの全体的な傾向もあります。こう伺ってみると、国会を退職された方がどこで働いておるか。憲政記念館にお一人いた、あるいは健康センターにお一人いたと、こう指を折るとなくなるぐらいしか聞くことがないわけでありまして、そうした意味では大変問題があるのじゃなかろうか。これから年々増加していきます高齢者対策につきまして、中長期的展望に立った計画も御検討いただくことが必要だと考えますが、この点、御見解を伺いたいと思います。
○弥富事務総長 国会という非常に特殊な勤務環境、どうしても長い経験が要る職でございますので、他官庁、一般省庁に比べて平均年齢が非常に高いことは御説のとおりでございます。また、殊に五十歳から五十七歳までの職員が他と比べまして非常に多いことも事実でございます。これらの職員の処遇につきまして、昨年もお答え申し上げましたけれども、これは予算上の定数の問題がどうしてもつきまとってくるわけでございまして、我々といたしましては、その後管理職定数と申しますか、上位級の定数を何とか確保したい、そういうことで努力をいたしてきておりまして、来年度におきましても、不満ではあるかもしれませんが、ある程度それが確保できたのではないか、かように考えております。 それから、再就職の問題でございますけれども、今こういう経済状態のもとでございますので、国会職員だけが特別再就職がないと言えるかどうか、これはいろいろ観点がございますでしょうが、確かにそういう面は国会職員にはあることは事実でございます。それで、一昨年制度化されました定年制につきましても、この点には我々も配慮をいたしまして、政府職員と異なった暫定年齢というものを設定いたしまして、退職時期を若干おくらせている措置をとっているところでございます。また、今後民間の定年についての動向とか、それから年金制度、いろいろな観点がございますから、それを見きわめながら適切な退職管理というものに心がけてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
○山花分科員 ぜひ、さらに御検討を進められますようお願いいたします。 時間が参りましたので、一つだけ国会図書館に伺っておきたいと思いますけれども、昨年も実は分科会で、図書の保存の問題についてお伺いをいたしました。機械を導入する、あるいはマイクロ化の問題がある、あるいは資料の複数の収集の問題がある、こうしたことについての御議論をいただいたところであります。その後、例えば複数納本の問題につきましては、各関係機関の関係者からも強い要請があるようでありますけれども、どうも予算がつかなかったというようなことも伺っているわけでありまして、この点、国会図書館館長さんに現状はどうなったのか、今後の問題点について最後に一つだけお伺いしておきたいと思います。
○荒尾国立国会図書館長 お答えを申し上げます。 先生にはかねがね当館の業務につきまして、また、とりわけ複数納本制につきまして深い御理解を賜りまして、大変ありがたく存じております。 当館は、国立国会図書館法第二十五条に基づきまして、文化財の蓄積及びその利用に資するために、民間出版物について一部の納本を受けております。しかし一部の納本では、貴重な文化財としての図書の保存という面では、年代の経過による紙の劣化、加えて複写利用などによる資料の破損という問題がございまして、他方、利用面におきましても利用の競合、破損による利用不能が頻繁に生じまして、サービスに支障を来すという問題もございます。これらの観点から、私どもは国内刊行資料の保存の完璧を期しまして、かつ利用の万全を確保するためには、少なくとも二部の複数納本がぜひ必要であると考えておるところでありまして、また御指摘のように各方面からも同様の指摘がなされておりまして、その早期実現のために、当館として真剣に検討し、各段の努力をいたしておるところでございます。 昨年十二月、我が国の出版界を代表する方々で構成する納入出版物代償金審議会から「国立国会図書館の使命にかんがみ、二部納本制度に改めるのを適当とする」との答申もいただいております。しかしこの実現のためには、国立国会図書館法の改正と、厳しい財政状況のもとでの代償交付金予算の確保と、出版界に対する趣旨の徹底などが必要でありますので、引き続き最大限の努力をいたしまして、関係方面と協議してまいりたいと存じております。
○山花分科員 外国では、アメリカ議会図書館では二部、英国図書館では一部ですけれども、他に納本図書館が五館あって六部、フランスの国立図書館では発行者四部、印刷者二部計六部、カナダでは二部というように、ほとんど複数納本ということになっておるようでありまして、若干の予算措置で実現するようでありますので、我々もこの点については努力いたしますけれども、ぜひ図書館におきましても一層の御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○大村主査 次に、山本政弘君。
○山本(政)分科員 労働省の方にお伺いした方がいいと思いますが、昭和四十八年の閣議決定で、第二次の雇用対策基本計画で、六十歳定年と週休二日制の実現をするという具体的な目標を掲げてきたと思うのですね。これは四十七年から五十一年、この五年間でやる、こういうことだったんだと思うのです。そして、私は労働時間の短縮の問題について、労働省の方でも欧米の先進国並みの水準に近づくように努力をするということでやってこられたと思うのですけれども、実際に見ますと、どうも問題が、計画そのものは先送りにされてきているのではないだろうか。ところが、最近になってようやく貿易摩擦の解消といいますか、あるいは内需拡大というような経済政策の面の要請から、実施についての取り組みの姿勢を見せるようになってきた。いわば自分のしりに火がついたということでやり始めたというんじゃないだろうか。 ただ、現実の施策の上で見ますと、労働条件の基本にかかわる労基法の改正の動きの中で、一週四十五時間、一日八時間の労働時間が報告されておるようです。これではやはり私は、先進国並みの水準になるのはいつになるのか、計画の先おくりでは済まない時期に来ていると思うのです。そういう意味で、労働時間の短縮について、一体労働省の認識はどうなっているんだろうか、まずそのことをお伺いしたいと思います。
○松原(東)説明員 御説明いたします。 労働時間の短縮あるいは週休二日制の普及促進は、労働者の健康の確保あるいは生活の充実といった労働福祉の増進、そういった観点からはもとよりのこと、消費機会の増大を通じましての内需拡大、あるいは先進国として、よりふさわしい労働条件の確保といった対外経済関係の観点などからも重要だというふうに認識しておるところでございます。
○山本(政)分科員 労働時間の基本的な考え方というのは、おっしゃったように労働者の健康の確保と生活の充実が一つある。それから、経済社会や企業の活力の維持増進ということもあるでしょう。そして長期的に見た場合には、雇用機会の確保ということもあるだろう。そして国際化への対応ということもあるだろうと思うのです。そういう意味で経済的に先進国であるという我が国に、国際的な視野からの対応とか行動が求められておると思うのだけれども、しかし現実は、言われておるように私は進んでおらぬという感じがするわけですね。一体、どこに問題があるのだろうか。欧米先進国との労働時間の格差の要因の一つは、やはり完全週休二日制の普及が問題じゃないだろうか、ここに相違がある。こういうことについて、この制度自体、普及するのにどういうような施策をおとりになろうとしているのだろうか。 例えば、ことしの二月四日だったと思います。通産省は、完全週休二日制度実現による内需拡大政策の効果は約三兆円という試算をしているのですね。これは私が申し上げたように、しりに火がついたからそういうことを言っているのだと思うのです。あるいは昨年の十月十五日、経済対策閣僚会議が「内需拡大に関する対策」として、週休二日制の拡大を提案している。だけれども現実はそうなってない。一体、そういうことについてどういうふうに施策をなさろうとしているのだろうか、これは労働省だと思うのですけれども、もう一遍御答弁いただけませんか。
○松原(東)説明員 週休二日制の普及状況につきましては、現在何らかの形の週休二日制をとっておる企業が五一%、労働者の割合にいたしますと七七%となっております。ただ、御指摘のように、完全週休二日制の状況になりますと、労働者の割合で二七%程度にとどまっておるところでございます。そういった面のおくれが目立ちますのは、主として中小企業でございますが、中小企業につきましてはいろいろ横並びの関係、同業他社との関係、取引先との関係、そういった面から週休二日制等の所定労働時間の短縮に取り組めないという面がございますので、労働省におきましては、昨年六月中央労働基準審議会の了解を得まして「労働時間短縮の展望と指針」なるものをつくりまして指導を進めておるところでございます。 具体的には、中小企業の集団的な取り組みを促すために、新たに六十一年度から中小企業の団体を中心といたしまして週休二日制等推進会議を各地で起こす、あるいはそういったところを対象といたしまして中小企業の集団的な取り組みを推進するための援助事業を起こす、そういったことも含めて取り組みを深めることといたしております。さらに労働時間の短縮を下支えするために、労働基準法におきます労働時間法制の検討につきましても、近く中央労働基準審議会で審議を始めていただくことになっておりまして、それを踏まえまして法改正を検討したいというふうに考えておるところでございます。
○山本(政)分科員 最近の動きとして、企業の週休二日制を定着させるということで金融機関が先行していると思うのです。私は金融機関が先行しているということは結構だと思うのです。例えば昨年の八月ですか、金融機関として土曜日の休業を一日拡大をして、第二、第三土曜日を休業とするという方針も出ているようです。そして郵政省もそれに右へ倣えをして、貯金とか保険の窓口について全銀協と同じような措置をとる、こういうふうに言われておる。今労働省の方が御答弁になったけれども、問題は、中小企業は云々だとか何だとか言う前に、公務員そのものに対してまずそういう措置をとるべきじゃないか、私はそんな感じがするわけです。 公務員につきまして、最近四週六休への移行を検討するための方策として、四分の二指定方式を導入した。問題は、これが単なる試行ではなくて、完全週休二日制を実施するという目標があって、その上での導入であってほしい、私はこう思うのです。当面四週六休を実施する、そういう必要な環境の整備をする、そして近い将来これを実行するんだということが基本にあるべきだと思うのです。そのことなしに、ただ単に今申し上げたように四分の二指定方式を導入するというのはやはりおかしい。そういう意味で、人事院の方は一体どういうふうにお考えになっておるのか、これをひとつ聞かしていただけませんでしょうか。
○内海政府委員 人事院におきましては、週休二日制の問題につきましては、ただいまもお話のありましたように昨年度の勧告の中におきまして、四週六休への方向を明らかにしながら今後の検討をしていきたい、こういうふうなことを申したわけでございまして、その一つの前提として四分の二万式というふうなことで土曜の使い方を考えたわけですが、これも一つの官庁業務というものの実態と兼ね合わせながら、どういうふうに対応していくかということを確めていきたい、こういうことも考えておるわけでございます。おっしゃるように、今後各省庁の勤務の実態あるいは勤務環境というふうなものを整えていくことに従って、さらにまた民間の動向というものもあわせて、将来方向として四週六休ということを考えておるわけです。 詳細につきましては、主管局長からまた御答弁申し上げます。
○山本(政)分科員 私は、四分の二指定について、要するに交代制勤務者等実施の困難な者を除外する、そこに問題があるのじゃないかと思うのです。やはりそういう人たちも休むことができるように、つまりそういう対応策というものを検討することが必要じゃないでしょうか。つまり私が言いたいことは、全職員がこの制度を享受できるようにしなければならぬと思うのです。そういうことについて、一体現状はどうなっているのだろうか。 もう一つは、先ほども申し上げましたけれども、経済対策閣僚会議で、公務員の週休二日制の一層の推進のために土曜日の閉庁の可能性の検討を提示している。この辺の検討は一体どういうふうに進めていっているのか。この二つを簡単でいいですから聞かしていただきたいと思います。
○中島(忠)政府委員 四分の二指定方式ということで昨年の十二月からことしの一月にかけまして、各省で現在実施していただいております。その趣旨は、先ほど総裁から申し上げましたように、将来の四週六休制というのをにらみまして問題点を把握する、環境を整備するということで実施してもらっているわけですけれども、今先生が御指摘になりましたように、交代制職員等につきましては直ちにこの四分の二指定方式に乗りがたいというので、相当数の職員にこの四分の二指定方式がまだ実施されておりません。 そこで、四週六休制ということをにらんだ場合に、こういう交代制職員等についてどのようにしていただくのかということにつきまして、現在四分の二指定方式に乗れない職員を多く抱えておる文部省とか厚生省とか私たち総務庁というものが中心になりまして研究会を開いておりまして、どういうような問題点があるのか、どういうふうに工夫すればやっていけるのかということの研究を急いでおるのが現状でございます。 なお、閉庁の問題につきましては、私たちというよりもむしろ総務庁の方からお答えいただいた方がいいのじゃないかと考えます。
○山本(政)分科員 総務庁の方、いらっしゃるかな。
○上吉原説明員 週休二日制の問題につきましては、ただいま人事院の方からお答えがあった方向で進んでおります。我々としては、将来四週六休制にすんなりいくのか、あるいは閉庁問題にいくのか、その辺まだ具体的な青写真というのは描いていない状況でございますが、いずれにしましても、この四分の二指定方式を実施しまして、その後どういった方策がとれるのか、その辺を真剣に考えていきたいと思っております。
○山本(政)分科員 事務総長にちょっとお伺いしたいのですけれども、今労働省とか総務庁からお話があったけれども、国会も開会とか閉会ということで勤務体制の差もありますね。また交代勤務者も少なくない。そういう中で週休二日制の実施についていろいろ問題があるだろうと思うのですけれども、国会職員の労働条件という面で職場に適合した、つまり独自なものを検討していく必要もあるのではないだろうか、私はそんな気もいたします。当面、そういう意味で四週六休、将来の完全週休制に向けて総長御自身としてどういうふうにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○弥富事務総長 基本的には、国会職員と申しましても国家公務員でございますので、一般行政職との均衡をまず第一に念頭に置きまして、しかしながら、やはり立法府の職員といたしまして勤務状況が非常に異なる場合がございますので、そこで独自の方式をとれないものであろうか、これはいつも私の心の中にあるところでございます。 ただ、ただいまのところでは交代制勤務、一概に交代制勤務と申しましても、国の職員の中にはいろいろな種類の交代制勤務もあると思います。私の方では、例えば警務部の職員は一応交代制勤務でございますが、警務部の職員につきましても今は四週五休制をとっております。ただ、先生今おっしゃいましたように、国会の業務と申しますと閉会中、開会中、そこに非常に繁閑の差があることは事実でございます。私どもといたしましては閉会中におきましては四週六休、四週五休プラス一のプラス一の方は年休で消化する原則でございますが、四週六休を試行的にとっております。それから、暇と申しましてはあれでございますが、夏季等につきまして、国会が閉会中のときにはできるだけ休暇をとりやすくするという御指摘も前から聞いておりますので、今のところは年休でございますけれどもそういう方向で処置をいたしております。
○山本(政)分科員 労働省の方にもう一遍お伺いしますけれども、さっき申し上げた第二次雇用対策基本計画の中で「週休二日制の拡大」ということで、こう書いてあります。「週休日等の年間休日日数が今後五年間で現在より十日程度増加するよう努めることにより、これを欧米主要国並みに近づけること等を目標として、別紙二に掲げた諸対策を着実に実施する。」ということですが、現実に十日程度増加しているのだろうかどうだろうか、ちょっと聞かせていただけませんか。
○松原(東)説明員 御指摘の文章は、昨年十月に経済対策閣僚会議で策定されました「内需拡大に関する対策」の決定文の中からの御引用かと思いますが、現在我が国と欧米とを比較しますと、製造業の生産労働者で、年次休暇それから祝日等の休日数をトータルすると、欧米が百十日前後に対しまして我が国の場合が百日程度ということでございます。そこに十日程度の差があるということに着目いたしまして、そこを埋めれば休日の数ではある程度欧米に近づくのではないかということでそういう目標を設定したところでございまして、今後五年間で十日程度ふやすように各省協力して進めていこう、また労使にもそういうことで呼びかけていこう、こういうことで推進をしておるところでございます。
○山本(政)分科員 失礼しました。今のは経済対策閣僚会議ですね。 労働時間の国際比較から見て、ひとつ例を挙げましょう。 欧米諸国との格差の中で、完全週休二日制の普及率が欧米誌風ではほぼ一〇〇%に対して日本は二七%の普及率。年次有給休暇の消化では、例えば西ドイツの三十・九日に対し日本は九・七日と三分の一に満たない。残業時間は日本が二百二時間で西ドイツの二・六倍になる。そういう意味で、今お話があった十日間程度で欧米並みになるのだろうかどうだろうか、大変疑問だと思うのですが、ぜひもう少しスピードアップをして、対策を急いでいただけないかと思うのです。 人事院にお伺いいたします。 一昨年の分科会で職員局長の方から、母性保護の規定は雇用平等と関係ない、これは残しておく、こういう御答弁を私いただいておると思うのです。きのう、人事院規則一〇―七、「女子職員の健康安全管理基準改正要綱」が出されましたが、その改正要綱を見ますと、母性保護を妊娠、出産に限定してとらえておるようであります。これは母性機能全般にわたる保護を残したとは言えないだろうと思うのです。それから、生理休暇も母性保護から切り離された休暇として取り扱われようとしております。また妊産婦も、本人が望めばというか、黙っておったらということでしょうな恐らく、深夜勤務、時間外勤務ができるようになる。これで一体母性保護ができるのだろうかどうだろうか。つまり僕の言いたいことは、請求した場合にのみ深夜勤務、時間外勤務ができない、これはなかなか言いにくいことだと思うのですね、女性たちにとっては。そういうことをこういうふうに改正要綱の中でうたっているというのは、一昨年の答弁とどうも違うのではないかと思いますが、どうでしょうか。
○中島(忠)政府委員 今回の人事院規則の改正作業というのは、先生よく御存じのように、女子差別撤廃条約の批准に伴う国内法整備の一環として行っておるわけでございます。 その女子差別撤廃条約の条文の作成過程、あるいは各国による署名、我が国の批准というその過程においてよくよく議論されたものを読んでみますと、そこで言われております母性保護機能というのは、先生もよく御存じだと思うのですが、本国会におきましても百一国会あるいは百二国会で外務省や労働省の政府委員から御答弁申し上げましたように、女子の妊娠、出産、保育に係る特別な保護措置を母性保護に係る特別措置というふうに言っておりますので、そういう観点から私たちも今回の人事院規則の改正作業に取りかかっておるわけでございます。 先生が御指摘されました生理休暇の問題につきましては、条約の考え方から申し上げましても、あるいは、私たち国内法整備をするに当たりましてその方面の専門家を集めまして研究会を開きましたけれども、その研究会の報告におきましても、直接母性保護のために必要な特別措置ではないという考え方でございます。ただ、生理によりまして就業が困難な方につきましては、先生が御心配されておりますように、やはり休暇をとってお休みいただけるような措置はしなければならないだろうということを考えておるわけでございます。また、妊産婦につきましての深夜勤務、時間外勤務につきましても、一言で妊産婦と申しましてもそれぞれ個人差がございますので、その請求に基づいてというふうな措置を講じまして、私たちは実態に応じた規定をつくっていく考えでございます。 先生の方もあるいはそういう点について既に御存じかと思いますけれども、詳しく御説明させていただきました。
○山本(政)分科員 余り御存じではないからお伺いしておるのです。 ここに一つ資料があるのですが、「新生児体重が二、八〇○グラム以下の者は、最近の調査例で家庭婦人より就労婦人に多く出生じ、逆に三、六〇一グラム以上の児の出生率は家庭婦人より就労婦人に少ないという報告があり、また労働省調査で妊娠中実労働時間の長かった者や産前休業日数の少ない者では、低体重死出生率が高い」というふうになっておるわけですね。これは妊娠、出産の問題ですけれども、私は生理休暇といえども例外ではないのではないかという感じがするのです。つまり、母性というのは社会的に保障されるべきであって、そしてそういう観点から保護を受けなければならぬ。同時に、保護を受けたことによって不利益をこうむってはいけない。そういうふうに私は保障されなければならぬと思うのですが、もう一遍御意見を聞かせていただけませんか。
○中島(忠)政府委員 母性保護のために必要な特別措置というものの内容につきましては先ほど御説明させていただきましたが、差別撤廃条約の考え方とかあるいはその道の専門家の考え方というものに基づいて私たちは考えていく必要があるというふうに考えておりますが、そういうふうに考えました母性保護に必要な措置につきまして、特別な保護をされたからといいまして、今先生が御指摘になられましたように、だからといって女性に特別な差別があってはならないというのはごもっともな点でございますので、私たちはそういう点については十分注意していかなければならないというふうに思います。
○山本(政)分科員 五年前のこの分科会で産休の拡大のお約束を私いただいて、ことしの四月から産後の休暇が八週間に拡大されることになって、これは一歩前進したと思います。これは評価をいたしますが、外国では欧米諸国を中心に産前八週間以上を制度化しているところが多い。また、第三世界の国々でもそういうところがある。我が国の地方自治体の約半数が産前八週間という現状で、国家公務員だけこれはおくれている。産前の休暇についても母性保護という見地から拡大の方向で考えるべきではないだろうかと私は思うのです。これは人事院の方にお答えいただくことになるのでしょうかね。
○中島(忠)政府委員 産前産後の休暇につきましては、かねてからの御議論というものを踏まえまして、四月一日から産後の休暇については八週間ということを考えておるわけでございますけれども、産前につきましては、私たちも今回の改正作業に着手するに当たりまして、その道の専門家を集めましていろいろ議論をしていただきました。また、労働基準法を改正するに当たりましても、同様、労働省でも議論されたようでございます。労働基準法の改正におきまして、既に六週間ということで決まっておりますけれども、私たちも、集めました専門家の御意見というものをちょうだいいたしましたところが、現在の六週間というのは不適切ではないという考え方が示されておりますので、そのようにしていきたいというふうに考えておりますけれども、なおこの延長につきましては、これからのいろいろな情勢というものを見ながら、また専門家の意見を聞きながら、私たちの将来の検討課題だというふうに考えております。
○山本(政)分科員 専門家の中に女性が入っているのですか。
○中島(忠)政府委員 入っておったというふうに記憶いたしております。
○山本(政)分科員 これも一つの医学の報告ですけれども、「産前休業期間は六週、つまり妊娠第九月後半からとすることが普遍的であるが、医学的見地からこれが適当であるとする根拠はない。」こういうこともあるんですね。ですから、そういうこともひとつ考えてほしいと私は思うのですよ。 そこで最後に、本院の女子職員について、国会の特殊な勤務体制ということがあるということは私も承知いたしておりますし、総長の方もそういう点では御苦労なすっていると思いますが、母性保護に関する今申し上げたような問題についての総長のお考えはどうなんだろうか、最後にお聞きして終わりたいと思います。
○弥富事務総長 女性職員の母性保護の重要性につきましては、これは我々としても十分に配慮をいたしていかなければならないと理解をいたしております。ただ、女子職員の保護規定につきましては、これは政府職員と同様な取り扱いが原則となるわけでございますが、この運用、本院女子職員に対する運用につきましては実情に沿った措置をとってまいりたい、かように思っております。 それで、産休問題につきましては、分科会で去年も再三御論議をいたされまして、このたび制度的には産後が八週間ということで実りつつあることでございます。ただ、産前は今申されましたように六週間ということでありますので、この点が問題であろうと考えております。ただ、我々といたしましては、制度から逸脱をしない範囲におきまして、母性保護に十分留意をいたしまして弾力的に措置をしてまいりたい、かように考えております。
○山本(政)分科員 ぜひひとつ実情に即応して配慮をしていただきたい。最後にお願いいたしまして、終わります。
○大村主査 これにて山本政弘君の質疑は終了いたしました。 次に、山口鶴男君。
○山口(鶴)分科員 簡単に聞きますから、簡単に答えてください。 熊川さん、予算を編成する根拠である財政法、国会の予算は査定などできないということは御存じですね。 〔主査退席、浜田(卓)主査代理着席〕
○角谷政府委員 法律制度の問題でございますので、私からお答えさせていただきます。 国の予算の編成手続につきましては憲法及び財政法に規定がございますけれども、これらの規定、特に財政法の十七条から十九条までの規定に照らして考えてみますと、国の予算の編成権というのは内閣にあるということ等に関連いたしまして、国会とか裁判所あるいは会計検査院といったいわば憲法上内閣から独立した機関の予算編成につきましても内閣の方は全体としての総合調整権を持っておるというふうに、一般的にそういう制度の仕組みになっておるわけでございます。 ただ、これらの独立機関につきましては憲法上与えられた独立の機能がある、そういうこととの調整を図る観点から、内閣の総合調整権との調和を図るために、いわゆる意思が合致しない場合における二重予算制度というものが設けられているということは御案内のとおりでございます。
○山口(鶴)分科員 建設省や通産省の予算を削るようなわけにはいかぬということだけはよくしっかりと覚えておいていただきたいと思います。 そこでお尋ねしますが、国会は国権の最高機関、国会の交際費、あるいは今議員外交華やかですから外国議員を招聘いたしますための経費、これは一体幾らですか。また、これに相当する内閣の交際費、それから外国の方々を招聘する経費、幾らですか。
○弥富事務総長 衆議院の交際費、これは予算上でございますが、三千六百万でございます。 それから、ただいま言われました招聘外国人滞在費、これは今まで三千六百万ほどでございましたのを本年から五千万円と増額をいたしております。
○角谷政府委員 交際費としましては各省、大臣等にいろいろ分けて計上いたしておりますけれども、便宜、内閣官房に計上いたしております交際費といたしましては六十一年度予算で千三百三十八万三千円でございます。 なお、外国人の招聘等々につきましては、個別にそれぞれ各省の予算に計上されているものもございますが、それについては現在手元に数字を持っておりませんので御了承いただきたいと思います。
○山口(鶴)分科員 一千三百万と言いますけれども、そんなこと言ったって、だれも信用する者はいませんよ。それは報償費だとかいろいろな名目で、実際にはそういうものに使われる経費は膨大なものがあるというのは天下周知の事実じゃありませんか。そういうものが幾らだか、はっきり言ってください。
○角谷政府委員 報償費についてのお尋ねでございますが、六十一年度予算で内閣官房に計上されておりますところの報償費は十四億二千九百万一千円ということになっております。ただ、これにつきましては、内閣調査室等の経費も入っておりますので、内閣として使う全体の報償費でございます。
○山口(鶴)分科員 そのほかにもいろいろあるのじゃないかと思いますが、十四億、それにしても国会のこういう経費が三千六百万、余り違い過ぎるんじゃありませんか。月とスッポンという言葉がありますが、月とスッポン以上に違っている。そういうことで、国権の最高機関としての国会が、一体どういうことなんですかね。行政府と国会というものに余りにも甚だしい格差をつける。別に私は、それなりにふやせと言っているんじゃありませんよ。格差が余りにひどいということについては、憲法上問題があるんじゃないか、こう私は思います。熊川さん、どうです。
○熊川政府委員 ただいま角谷君からお話のありましたとおり、やはり報償費が相当のウエートを占めておるわけでありますが、報償費は、御案内のとおりそれ相応の寄与があった者に対する感謝あるいはそれを奨励する意味においての報い、償いの金でございます。そういうことを考え合わせますと、国会活動にはこの報償費というようなものはなじみにくい性格のものではなかろうかと思いますので、十四億云々と言われても、それを直ちに比較するにはかなり質的な開きがありますので、御賢察を仰ぎたいと思います。
○山口(鶴)分科員 そんなお話は通らぬと思いますが、時間がありませんから次に進みますけれども、従来外国貴人の招聘費、三千六百万だったわけですね。五十九年度にはスリランカ、フランス、スイスそれからソ連、ソ連は政治局員でありますクナーエフさんがおいでになりましたね。それからキューバ。六十年度は、中国の彭真さん御一行が三十五人ほどでしたか、おいでになった。それから、スペイン、ハンガリー、こういった国会議員の皆さん方がお見えになった。また、科学万博がございましたので、議会と科学の国際会議も我が国で行われた。そして、彭真さん御一行がおいでになった際、経費は一体どのくらいかかったのですか。
○弥富事務総長 お答えを申し上げます。 中国の彭真さん一行は非常に大きな使節団でございまして、たしか三十名を超したと思います。したがいまして、これは衆参でございますけれども、あるいは正確かどうかわかりませんが、大体三千万を超しておる。それを衆参で分けまして、衆議院では二千四、五百万だったと記憶いたしております。
○山口(鶴)分科員 三千六百万しか外国貴人の招聘費はない。そして二千数百万も一つの御一行がおいでになっただけでかかる。私は、かかったことは結構だと思うのです。これからは議員外交というものがもっともっと活発に行われてしかるべきだと私は思う。ところが、このように議員外交が盛んな時代に、議長さんを中心とする国会の交際費が三千六百万円しかない。外国貴人招聘費は三千六百万、ことしこれがやっと五千万になったということですが、我が国の国際的地位が向上しておりますときに、こんなことでは私は大変寂しいのではないだろうかと思います。 ことしは、聞きますと、西ドイツ、東ドイツ、チェコ、ニュージーランド、カナダ、それからECとの国際会議も我が国で行われるというようなことだそうですが、これだけの方々が来たのでは、とても五千万では足らない、どこか断らなければいかぬだろうというようなことをお考えになっておられるというふうに聞くわけですが、その状況をお伺いしたいと同時に、こんなことではやはり済まぬのではないか、私はこう思いますが、御感想はどうです。
○弥富事務総長 このごろは議員外交というのが非常に盛んになりまして、先生おっしゃいますように、各国からの日本来訪が非常に後を絶たないようでございます。本年といたしましても、先ほど先生がおっしゃいましたように、東西ドイツその他四、五カ国から参ってくるということでこちらの方に通知がございます。 ただ、我々といたしましても、これは予算の範囲内でお呼びするというのが原則でございます。原則ではございますが、相手国の方を選択するというような弾力性が非常にない。例えば相手国は、ここは来てここは来ないでくださいというようなことはなかなか申し上げにくい。それから、これは相手国のことでございますので、どれだけの人数で編成されて来られるか、これも良識におまちする以外にないわけでございます。非常に大多数で来られた場合に、あなたたち、ちょっと多過ぎますからやめてくださいと言うのも、外交上なかなか申し上げにくい、そういうことでございます。 ただ、こういう財政状況でございますので、ことしは三千六百万から五千万にこれをふやしていただきました。これは、我が方の議長が非常に御熱心でありまして、それに財政当局の方でも十分におこたえをいただきましてふやしていただいた。ただ、これで果たして十分かどうか、これは今後我々も、財政状況その他いろいろ、それから相手国との交渉によりまして、できるだけその範囲内でおさめたいとは思いますけれども、なかなか困難な場合もあることは予見されるところでございます。
○山口(鶴)分科員 熊川さん、お聞きになったような状況です。これからこの議員外交というものをより活発にすることが我が国の国益に沿う道だということは熊川さんもお認めになるだろうと思うのですね。しかも、冒頭申し上げたように、財政法の規定の仕方が国会の場合は他の省庁とは違うわけなんですから、そういう意味では、国会が、この程度の議員外交のための経費が必要だということになった場合は、出し惜しみしないでぱっと出すということはお約束をいただきたいと私は思うのです。どうですか。
○熊川政府委員 ただいまの委員の御意見、国際国家日本の置かれている状況、特に最高機関国会並びにその構成員の活動というものは相当高い地位、重要な地位を占めることは私たちも理解をいたします。 そこでまた、この総合調整を内閣においてする場合でも、国会からの御意見があらかじめ送付されますので、その送付のときに、ただいまの御意見のようなものが盛られているかどうか十分留意しつつ配慮していきたいと思います。
○山口(鶴)分科員 場合によっては与野党の国会対策委員長会談ででもこのことは政府にきちっと注文をいたしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 先日、スウェーデンのパルメ首相が不幸な死去をされました。私もスウェーデンへ行ったことがあるのですが、スウェーデンでは国会活動に対してちょうど我が国の立法事務費と同じようなものを出しています。与党の方は政策活動等に政府のスタッフを使えるわけですが、野党の場合はそうではない、したがって我が国の立法事務費に相当する経費は野党二に対して与党は一、こういう形でやるということをパルメさんが与党のときにお決めになった。その後パルメさんは野に下られた。そしてまた与党におなりになって、今回不幸な死去をされたわけでございますが、私はまことに合理的な考え方だと思うのですね。そういうことをおやりになるお気持ちはありませんか。
○熊川政府委員 パルメさんの場合と我が国の国情は必ずしも一致しないわけでございますが、御案内のとおり各国の検討課題であります政党法などもございます。また議院内閣制をとっております我が国として、公党の働きあるいは政党政治というものが基軸をなす点も否めないと思います。しかし、非常に傾聴に値する御意見ではございますので、これから鋭意検討をいたしたいと存じます。
○山口(鶴)分科員 政党法なんて今別につくる必要はないと思うのです。政党法なんかなくても立法事務費という制度がある。傾聴に値するというお言葉ですから、結構です。傾聴された以上は大いにひとつ実行されるように強く要請をいたしておきましょう。 その次に、憲法六十二条、両院は国政に関する調査を行う、いわゆる国会の国政調査権を憲法はきちっと認めております。これを具体的にあらわしたものが国会法三十七条ではないかと私は思うのです。「会期中及び公務のため自由に日本国有鉄道の交通機関に乗車することができる。」こう規定されております。まさにこの国会法三十七条は、憲法六十二条に言う我々国会議員の国政調査権を具体的に保障する法律であると私は思っております。 さてそこで、今国鉄の再建をどうするかということが問題になっております。分割だとか民営だとかいろいろ言われておるのですが、私ども社会党としては、経営形態は一応再検討する必要があろう、しかし全国ネットワークを何もばらばらにする必要はない、こう思っておりますが、いずれにせよ国鉄の経営形態がどうかということがいろいろ論議されております。 そこでお尋ねしたいと思うのですけれども、もし仮に現在の国鉄が民営になった場合に、国会法三十七条はやはりちょっと変えなければならぬだろうと思うのです。私は今でもそうだと思うのですが、パスを出しております以上は当然国会が一定の経費を国鉄に払うことが至当ではないかということを今日まで長い間私は言い続けてきました。現実にはそれが行われていないわけですが、今後経営形態の変更がありました場合、国会が一定の経費を新しい経営形態に対して支出することが当然ではないだろうかと私は思います。 事務総長にお伺いしますが、それらの点について検討していますか。
○弥富事務総長 ただいまのお話はまことにごもっともでございまして、実は国会法三十七条に「日本国有鉄道」という文言がございます。今先生がおっしゃいましたように、これからの国鉄が経営形態がどういうふうに変わるか、これからの国会の御論議でございまして、我々といたしましては今どうのこうのと申し上げる段階ではございませんけれども、少なくとも今の情勢から考えますと、文理的にも既に国会法三十七条というのは何らか手当てをせざるを得ないということでございます。 さて、それで国会議員が日本国有鉄道に自由に乗車するという、最初は慣例のようでございましたが、これは明治の三十年代の終わりからそのとおりでございまして、それが大正の末期になりまして議院法というものの中に明文化されました。それを受け継ぎましてただいまの国会法に、自由に乗車することができる、こういうふうになっておるわけでございます。したがいまして、この機会にそういうことをやめてしまうというのならこれは別でございますけれども、今先生おっしゃいましたように、国政調査権に非常にかかわりのある法律であるということでございましたならば、これを継続するということになりますと、そこにどういうふうな方法をとって、どういうふうにこれからの法律その他、財政措置があれば、それをどういうふうにしていこうか、これは非常に検討を、しかも早急に検討しなければならない事柄であろうと思います。 先ごろ議長の諮問機関でございます議会制度協議会において初めてその問題が取り上げられました。真剣な議論があったわけでございまして、これは事務当局に対しましても早急に検討しろという命令がございましたので、ただいま我々といたしましても関係各方面と協議しながら早急に検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。 〔浜田(卓)主査代理退席、主査着席〕
○山口(鶴)分科員 私は、この問題は、経営形態が変わろうと変わるまいと、国会が一定の経費を自由に乗車することのできる機関に支出をして、そして御迷惑はかけない、そうして国政調査権を確保することが必要であると思っております。 そこで、熊川さんにお聞きしますが、沖縄と奄美大島選出の国会議員はどうやって東京に来ているんでしょうね。
○熊川政府委員 飛行機で通われているのではないかと存じております。
○山口(鶴)分科員 私もそうだろうと思います。そうしますと、沖縄、奄美大島の国会議員に国政調査権を保障していないというのは差別であって、私はけしからぬと思うのです。奄美大島や沖縄から鉄道に乗ってくることは全く不可能。したがって、奄美大島、沖縄の方に対しては即刻飛行機賃を国会が保障することが私は当然じゃないかと思います。 実は十二月末の予算編成の際に国会の経費をどうするかという会合がございまして、私そのことを発言いたしました。衆参両院の議院運営委員長さんも、当然だ、奄美大島と沖縄の方を差別することはよくない、これは考えなければいかぬということで一致をいたしたのであります。 ただ、そこで私はさらに考えたいのは、日本の国は、面積は確かにアメリカやカナダやオーストラリア、これらの国々に比べて小さいです。しかし、長さはほとんどアメリカ合衆国の東西の幅と、あるいはカナダの幅と、オーストラリアの幅と余り違わないのですよね。アメリカやカナダやオーストラリアはどうしているかと言えば、これらの国々の国会議員の方に対しては、航空賃というのはちゃんと国会が保障していますよ。私は、我が国も当然そうやってしかるべきじゃないか。今度国鉄も場合によっては経営形態が変わるかもしれぬ。その場合に、自由に乗車するというのに対して全然国会が経費を払わぬでほっておくというのは私は不合理だろうと思うのです。同じ手法でもって日航やあるいは全日空や東亜国内航空に対して同じような措置をやって、現に飛行機でなければ東京に来ることができない、あるいは現実に今北海道や九州や四国や、あるいはその他の地域におきましても飛行機で往復しておられるのが実態だという方々に対しては、やはり同じような形で保障していく必要があるだろう。それが憲法六十二条の国政調査権を保障するゆえんではないか、かように思います。 衆議院、参議院の両院事務総長さん及び熊川さんの御感想、お考え方をひとつお聞かせください。
○熊川政府委員 総論的な感想を述べさせていただきます。 国政調査権が、国会議員の本来的機能を発揮するための補助的な手段として極めて重要であることは論をまたないところであります。その活動を適切、迅速、効率的に行うために、ただいま御疑問、御提起がありましたこの旅費などというもの、諸経費というものは各国会議員が実質的平等を少なくも受けるようでなければまずいと私も思っております。 しかし、この問題、距離が近いから必ずしも十分だとか、遠いから必ずしも特別な配慮をという形の、一律にいかない点に困難さがあるんじゃないかと思います。交通機関の多様性あるいは本人の、当選年次の高い方、必ずしも地方へ帰らなくもというようなことも現時の問題としてあろうかと思いますし、それから、電話料一つとってみても、かえって遠い場合は、電話でやっている者が非常に長電話をする。ところが、ファクシミリを使えば何十分の一で済むというような、交通機関あるいは情報機関の発達、そういうものを使用しているか使用していないかというようなことまで関連しますので、ただいま御提起された問題は、国会議員の実質的平等、憲法上の地位を実質的に保障するという意味で非常に傾聴すべきサゼスチョンを提供している問題だと認識しておりますし、また各位の貴重な御意見を各方面から幅広く拝聴したいと思っております。
○弥富事務総長 ただいまの航空運賃の問題につきましては、これは既に五十六年、五十七年の議員関係経費調査会というものがございまして、これは第三者機関でございますが、そこでも御論議をいただいたところでございます。現在、交通体系がそういうふうに非常に航空の方に偏っておるというような実情も勘案いたしましてただいまのような御議論が出たことは出たわけでございます。 ただ、そのときに、例えばどこに線を引いたらいいだろうか。例えば今お話しの奄美とか沖縄だけでよろしいのか。そうすると、北海道、四国、九州、いや、それよりも山陰の方はもっと飛行機を使うんだということになりますと、将来はそういうふうにあるいはなっていくかもしれませんが、ただいまのところは、そこをどういうふうにやっていったらいいかということを真剣に我々の方でも今考えておるところでございます。
○加藤木参議院事務総長 ただいまの先生の御意見は、昨年の十二月の予算の折衝の際にもお伺いいたしました。確かにそういうようなお考え、適切なお考えであろうと思いますが、なお、参議院におきましては、議院運営委員会庶務関係小委員会と今後御協議申し上げまして結論を得たいと思っております。
○山口(鶴)分科員 熊川さんも私も群馬県ですから、これは飛行機に乗ろうと思っても飛行機はないのですから、もっぱら国鉄にお世話になっているわけですよ。しかし、沖縄、奄美大島はもちろんですけれども、北海道、九州、四国、それから山陰とか東北の方々も、現に飛行機でもって往復しておられる方がほとんどなものですから、私ども関東にいる人間として、まことに格差があって申しわけないなという気持ちでいっぱいです。したがって、このことは衆参両院、また大蔵省でも真剣に検討してください。 最後に、一つだけお伺いして、終わります。 去年が内閣百年、国会は九十五年でした。あと五年たつと、もう六十一年ですから六十五年ですか、国会開設百年になります。保利元議長さんが、国際会議場を記念につくったらどうか、こういう御提起もされ、時の総理にもお話があったそうであります。私は、百年式典の適切な行事ではないかと思いますので、これに対しては真剣に衆参両院でお取り組みをいただきたい、このことを強くお願いいたしまして、質問を終わっておきます。
○大村主査 これにて山口鶴男君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして国会所管についての質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○大村主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。 会計検査院当局から予算の説明を聴取いたします。会計検査院西川事務総長。
○西川会計検査院説明員 昭和六十一年度会計検査院所管の歳出予算案について説明いたします。 会計検査院の昭和六十一年度予算経費要求額は、百五億四千八百六十三万七千円でありまして、これは、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、本院の一般事務処理及び検査業務を行うために必要な経費であります。 今、要求額の主なものについて申し上げますと、一、人件費として九十四億七千八十四万九千円を計上いたしましたが、これは総額の九〇%に当たっております。これらのうちには、会計検査の充実を図るため、一般職員十一人を増置する経費も含まれております。 二、旅費として六億二千四百六十七万七千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、会計実地検査旅費が六億三百五十一万二千円、外国旅費が千二百三十九万八千円であります。 三、施設整備費として二千四十二万三千円を計上いたしましたが、これは、庁舎本館書庫棟窓枠改修工事費であります。 四、その他の経費として四億三千二百六十八万八千円を計上いたしましたが、これらのうちには、検査の円滑な実施を図るための会計検査活動費五千二十万四千円、検査業務の効率化を図るための会計検査情報処理業務庁費四千六百十七万四千円及び電子計算機等借料五千三百八万二千円、並びに新たな検査手法開発のための経費八百二十九万六千円が含まれております。 次に、ただいま申し上げました昭和六十一年度予定経費要求額百五億四千八百六十三万七千円を前年度予算額百億二千二百五十二万円に比較いたしますと、五億二千六百十一万七千円の増加となっておりますが、これは、人件費において五億二千三百十七万六千円、検査業務に必要な経費において千五百二十二万八千円増加したことなどによるものであります。 以上、甚だ簡単でありますが、本院の昭和六十一年度予定経費要求額の概要の説明を終わります。 よろしく御審議のほどお願いいたします。
○大村主査 以上で説明は終わりました。 ―――――――――――――
○大村主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。梅田勝君。
○梅田分科員 京都大学の学生寮の管理に関しまして御質問を申し上げます。 言うまでもございませんが、教育の基本は、真理と平和を希求する人間の育成でございまして、大学はその学術の中心でございます。とりわけ国立大学は、国が設置、運営するものでありまして、人類の進歩と繁栄のための人材養成の上におきましても重要な役割を担うものでございます。その国立大学が、これまた言うまでもございませんが、国民共有の財産であり、施設でございまして、大学の目的に沿って生かされていくことが大事でございます。ところが、最近の京都大学の状況というものはまことに憂慮すべき状態であるということを会計検査院も御承知かと思うわけであります。 ここに、京大教養部学生自治会が出しましたビラを持ってまいりましたが、ことしの一月二十日に、授業中の京大教養部の構内におきまして、いわゆるにせ左翼暴力集団の中核派と称するものがおりますが、それに属すると言われております一人の学生が殺害されるという事件が発生をしたわけであります。これは、一般新聞が報道いたしておりますような、大学職員が「若い男性が後頭部から血を流し倒れているのを見つけ一一九番」したというような程度のものではございませんで、まさに朝の授業中、教室の横の廊下におきまして殴り殺されているのですね。その悲鳴に驚いた授業中の学生が飛んでいって、そしてみんなが取り囲んでいる、中にはとめに入る者もおるという状況の中で、まさに騒然たる状況のもとで殺人事件が起こっておる、全く驚くべき衝撃的な事件でございます。 ですから、「こんな恐しい大学はもうがまんできない! 遂に殺人事件が! 当局は一体、何をしている!」ということを書かれ、「殺人者集団がのし歩く大学では、安心して学べない!」ということで強く善処が求められているわけでございます。 ところが、この事件が起こりました直後、いわゆる革マル派というものが、その機関紙におきまして公然と犯行声明を出しているわけであります。私は、まだその犯人が逮捕されたというニュースを耳にしていないわけでございまして、まことに遺憾きわまることでございます。 京都大学は言うまでもなく国立大学でございまして、毎年相当な予算がつけられているはずでありますし、会計検査院も毎年検査に入っておられると伺っております。先ほど申し上げたように、安心して勉学に精励できない、それから、大学の研究者も落ちついて研究ができないということになりますと、国費がむだにということになりかねないわけでございまして、何としても正常に戻す必要があるわけであります。 そこで、会計検査院にお尋ねしたいわけでございますが、全国主要国立大学には毎年会計検査を実施されているようでありますが、京都大学に対してはどのようにされておるのか。 第二点といたしましては、京都大学の学生寮に昭和四十七年と五十四年の二回実地調査を実施されたようでございますが、二回の調査によって何が問題であったのか。いろいろ大学が「京大広報」というのを出しておりますし、学生諸君の皆さんに「学寮問題について全学の皆さんにうったえる」というような文書が出ておりまして、私はそういうものを総合的に判断をいたしまして考えますに、一つは、規定に照らして不当な支出があったのではないか。第二に、五十四年の調査では、暴力集団の妨害で立入検査が阻害されてできなかったのではなかろうか。第三に、寄宿料におきましては相当の未収が存在していたのではなかろうか。第四に、学寮の経費負担で適正でないものがあったのではなかろうか。このような疑問点が出てくるわけであります。 大学当局に対して改善を求めたというように伺っておりますが、実際はどうであったか、お伺いしたいと思います。
○天野会計検査院説明員 お答えいたします。 京都大学に対しまする実地検査につきましては、これは毎年実施しておりまして、年によって違いますが、大体五、六人で約一週間程度という検査を実施しております。 それから、五十四年の検査におきましていろいろ確認に行きました際に、学生の反対で立ち入り等ができなかったというような事態もあったとは聞いております。 また、その検査におきまして、そういう状況を踏まえまして、管理の問題あるいはその寮費の負担というものにつきまして一応我々としても検査を進めたといういきさつはございます。
○梅田分科員 甚だ要領を得ない御答弁でございますが、文部省が直接京都大学を通じて管理しております問題でもございますので、きょうは文部省から学生課長さんにおいでをいただいておりますので、それでは文部省の方に、ちょっと立ち入りましてお尋ねをしたいと思うわけでございます。 今申し上げたように、会計検査院の方が立入検査で入ろうとした、それが阻害されてできなかった、こういう事態は異常なんですね。それどころか、授業中に殺人事件が起こる。全く驚くべき事態だと思うのですね。 第一点は、京都大学におけるこのような異常な事態についてどのように考えておるか。 第二点は、昨年も後期におきまして教養部において中核派のバリケードが築かれて封鎖されて、教養部全体の授業ができなかった、こういう事態が何回か起こったようでございますが、事実かどうか。 第三に、教養部におきましては教養部の部長室がないという事態が続いておるようでございますが、この三点についてどのような御認識を持っておられますか。
○佐藤(孝)説明員 まず第一点の、一月二十日の学生の死亡事件でございます。確かに先生の指摘のとおりでございまして、一月二十日に教養部の構内におきまして学生が白ヘル数名の暴行を受けて死亡した、こういう事態がございます。これにつきましては、私どもといたしましてはこのような事態は理由のいかんを問わず承服できない事件でございます。容認できない事件でございます。特に大学といいますのは要するに研究、教育にふさわしい平穏な状態に常に保たれているということが一番大切なことでございますので、こうした事件が今後二度と起こらないようにまた指導を強めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。 それから二点目でございますが、京都大学で起こりました六十年度の事件といいますと、教養部で封鎖が一回ございます。それから文学部で授業放棄それから封鎖が行われているところでございます。その報告がございます。 それから第三の、部長室がないということでございますが、これも現在事実でございます。
○梅田分科員 ついでに聞いておきますが、この一月二十日の犯人は逮捕されましたのですか。
○佐藤(孝)説明員 ただいま警察当局で調査中でございまして、まだ捕まったというわけではございません。
○梅田分科員 ここでは治安が全く乱れておる、安心して歩けないという状況にあるというぐあいに判断してもいいわけでありまして、これが大学だということになりますと大変な問題ですね。 京大におきましては六九年に大学紛争がございまして、以来、学園の暴行というものがずっと続いてきたわけであります。しかし、教職員や学生の努力によりましてこういうものは一掃しなければいかぬ、暴力一掃の運動というものが相当進みまして、かなり改善はされてきておる。ところが最近になりまして、いわゆる三里塚決戦であるとか寮問題の解決という問題を叫びましてまたもや暴力集団が策動をやっているわけでございまして、安心して勉強ができない。何としてもこれは正常に戻す必要があるわけであります。 そこで問題になりますのが、こういうにせ左翼暴力集団と言われる一部の連中の根城になっているのが寮なんですね。ここが暴力の温床になっている。ところが、寮施設は国の施設でございまして、国有財産でございます。これがどのようになっているかということがよくわからない、立入検査もできないということになりますと、全く放置できない問題でありまして、私ども考えまするに、先ほど学生の暴力ざたによりまして教養の部長室がなくなったというのも、彼らが策動いたしますので玉突き的に部屋がなくなっていったわけでございますが、そういうようなのもいまだに解決ができないというようなこともあって、彼らが巣窟にしているようなところをやはりきれいにする必要がある、ここを徹底的に洗うということが非常に大事だと思っているわけであります。 そこで現在、吉田寮、男子寮ですね、それから熊野寮、この二つの入寮状況はどのようになっているか、お答え願いたいと思います。
○佐藤(孝)説明員 現在、入寮の選考につきましては、いわゆる寮生がみずから自主的に募集をし選考しているということでございまして、この事態に対しまして大学側は再三説得をいたしておりますけれども、なかなかこれに応じてもらえないということで、大学側が選考しているという形ではなくなっているわけでございます。このために、寮生の確認につきましては、京都大学新聞に発表します寮生名簿をもとにいたしまして、その寮生と思われる学生及びその父兄に対しまして入寮届を出すようにという督促状を出しておりまして、それによって確認をしているというのが実態でございます。
○梅田分科員 私が質問したのは、現在どのようになっているかというのを聞いたんであって、自主選考をやっているのは前からわかっていますよ。 現在どのようになっているかということでありまして、あなたの御答弁がなかったので、私どもの調べた点で、昭和五十九年の十二月一日現在のものが公表されておりますが、これによりますと、吉田寮というのは、東西ありますが、定員が二百二十三名に対して四十九名が一応新聞で確認ができるが、無届けの者が四十七人、合計九十六名が入っておるようだ。大学当局が名前を確認できるのが四十九名、利用率でいえば三三・三%だ。熊野寮では四百二十二名の定員に対して百三十三名、三一・五%の利用率だ。実際は二百人ほど入っているらしいが、無届けが六十七人おるというように言われておるんですね。これは国立の寮としては利用率が極めて低い。本当は皆入りたいんですよ。寮費も安いし入りたい。ところが、暴力集団がおるものだから入れないわけだ。このような利用状況というのは問題があると思いますが、どうなんですか。
○佐藤(孝)説明員 先生の御指摘の数字と若干違うかもしれませんが、昭和六十一年の一月現在でございますけれども、吉田寮の入寮届け者数が六十二名でございます。新聞発表の入寮者数が大体百二十六名ということでございます。それから熊野寮では、入寮届け者数が百四十五名、入寮者としての氏名の発表が百九十九名でございます。これを合わせますと大体六四%程度の在寮者の確認をいたしておる、こういう報告をいただいております。
○梅田分科員 なかなか全体としての実態というものが把握できない点では、これはもうはっきりしているわけだ。 そこで、京大の広報、昭和五十六年の二月のものでございますが、そこに「長期にわたり、寮生によって学寮を占拠状態にまかせておくことは、ひいては、国有財産及び物品の管理について責任を有する職員が、責任を的確に遂行していないことともなり、国有財産及び物品の管理に関する法令等に違背している結果となっているものと認められる。」という会計検査院から厳しい指摘を受けたことが書いてある。当時の学生部長は、吉田寮、熊野寮の現状をこれ以上放置することはできませんと述べている。その後、大学の当局におきましても、在寮の確認、寄宿料の納入、費用負担、これが正常化の三本柱だということで、歴代の学生部長がたびたびこのことをおっしゃって努力しておるようでございますが、それではこれらの問題が改善されてきたのかとなると、利用率につきましては非常に低いという問題がございますし、寄宿料につきましても滞納が非常に多い。これはなくなりましたか。
○佐藤(孝)説明員 五十九年度におきます寄宿料の徴収決定済額は六十九万八千五百円、これに対しまして納入済額五十八万六百円、納入率は八三・一%でございます。
○梅田分科員 まだ一〇〇%までは至ってないということであります。 それでは、この五十四年に会計検査が行われて厳しい指摘を受けた。このときは立入検査ができなかった。それ以後、五十五、五十六、五十七、五十八、五十九年にわたって吉田寮、熊野寮の滞納状況はどのようになっているか。五十九年十一月三十日現在、吉田寮で延べ三十一名、熊野寮で百五名、その他の寮全部含めて二百六名、二十九万八千八百円でございまして、依然として滞納が出ておる。厳しい検査を受けたにもかかわらずなぜ改善できなかったのですか。
○佐藤(孝)説明員 寄宿料につきましては、納期までに納入されない場合には、本人、その父兄に対し年六回にわたりまして学生部長名で督促いたしているわけであります。大学側としてはそういうことで一生懸命努力をいたしておりまして、先生御指摘の検査院の指摘があった後徐々にその納入の状況は改善はされておりますけれども、現実はそういうふうな状態でございます。
○梅田分科員 京都大学の学生寄宿舎の料金、熊野寮、吉田寮、幾らですか。
○佐藤(孝)説明員 熊野寮は月額三百円、その他の、いわゆる旧寮と称しておりますが、これは月額百円でございます。
○梅田分科員 相当の援助をしているということがこの寮費の額でもわかると思うのですよ。それすら払わない。そして立てかえをしているということが言われているのですが、これはどうですか。職員が立てかえをやっていますか。
○佐藤(孝)説明員 要するに、債権が発生しまして五年経過いたしました場合に、教職員の有志がお金を出し合って一つの基金をつくっておりまして、そこから立てかえ払いをしているわけであります。また、その後も未納者に対しましては督促を行っております。
○梅田分科員 私が調査したものによりますと、吉田寮と熊野寮におきまして、昭和五十年から五十八年までの間に延べ七十六人の料金が立てかえ払いされている。百円とか三百円とか、もともとが安いから立てかえもそんなごつい金額にならぬということでやっているのでしょうけれども、これが正常な運営でないことは明らかだと思うのです。これが大きな金額だと立てかえられませんよ。どうするのですか、本当に。 私が重大だと思いますのは、このような状況があるのに、会計検査院の検査に対して当局はどういう報告をしたのか。我々国会に対して会計検査院から毎年報告が来るわけだけれども、京都大学でこんな問題が起こっておるというような報告はまだ受けていないわけですよ。いいかげんな報告を出したのじゃないですか。どうですか。
○大村主査 学生課長、時間が来ていますから急いで答弁してください。
○佐藤(孝)説明員 私どもとしましては、大学側に報告を求め、その資料に基づきまして検査院の方に報告をさせていただいているわけでございます。
○梅田分科員 その報告がいいかげんだから、私は腹を立てておるわけですよ。そのほかにもガス炊飯器のガス代の立てかえまでやっているのですよ。昭和五十三年から五十六年までの四年間に二十七万二千五百九十一円の立てかえをやっている。 そこで、文部省に最後にお伺いいたしますが、吉田寮は三月三十一日に在寮期限が来る。もう目前に迫っておりますが、学生の方は引き続き居座るつもりか、自主募集をやっているのですね。どのように解決するつもりですか。 もう一つ、新しい寮の建設が予定されておりますが、その予算、建設の見通しを簡単にお答えください。 それから、会計検査院に最後に、その御答弁をお聞きになった上で、大変な実態だということでございまして、まさに研究教育機関としての大学のあり方だけでなく、大学を構成しているすべての教官や職員、学生の基本的人権に重大な脅威を及ぼす、学内暴力ということがこういう重大な問題に今日発展してきておるわけでございまして、国立学校特別会計は一兆円以上の相当大きな予算を持っておるわけでございますが、有効に使用されているかどうか。また歴年にわたって蓄積されてきた学校の施設がきちっと保全されていく、きちっと管理されていくという点におきまして重大な問題を含んでおると思いますので、強力な検査と正常化への努力を大学に要請していただき、また国会への御報告もぜひしていただきたいと思いますが、この二点御答弁をいただきたいと思います。
○佐藤(孝)説明員 まず吉田寮の在寮期限についてでございます。 この在寮期限といいますのは、五十七年の評議会で学寮問題を解決するための基本方策として打ち出されたものでございまして、学寮管理の正常化と老朽寮の解消をねらいとしたものでございます。その期限が三月三十一日になっておりますけれども、現在、京都大学の方針としましては、一つは弾力的にこれを行いたいということでございます。そして四月一日にまだ在寮する者があったにしても、それは強制的に退寮させることはしない。そのためには下宿のあっせんとか話し合いとかをし、また相談機関の設置を講ずるなどの方策をとりながら、徐々にそういう在寮者の数を減らしていきたいと考えておるわけでございます。そしてある程度の期間を経た後に在寮者が残る場合にはまた法的な手段も進めていきたい、このようなことを報告してまいっております。 新寮につきましては、予定地の埋蔵文化財の調査が必要でございます。現在、この調査がなかなか進行しておりませんので、まだ建設のめど等が立っていないわけでございます。
○天野会計検査院説明員 お答えいたします。 京都大学を含む各大学の検査に当たりましては、収入面また物品の購入、施設の整備等の支出、それから国有財産及び物品の管理につきまして、これが適正に行われているかどうかという点につきまして従来から検査しているわけでございますが、今後ともその検査に当たりましては十分努力してまいりたいと思います。検査の結果、もし御報告することがあれば、これは検査報告に掲記して御報告するということになっております。
○梅田分科員 適正な国有財産の管理をきちんとやっていただきますように、会計検査院は憲法から与えられた独立な権限があるわけですから、これが調査に入ってできない、こんな事態は許されない。ぜひ改善をしていただきたいと思います。 終わります。
○大村主査 これにて梅田勝君の質疑は終了いたしました。 次に、瀬崎博義君。
○瀬崎分科員 琵琶湖観光船に対しては、琵琶湖総合開発事業の一環として多額の補償が払われた。この問題については、一昨年三月の建設委員会を皮切りにして、主な国会での追及だけで五回、会計検査院初め関係機関への申し入れ三回、私もずっと行ってまいりました。昨年十二月の会計検査院の検査結果報告では、事実関係については私が不当不正ではないかと言ってきたことをほぼ認定されたと思います。 きょうはその問題について伺うのですが、まず最初に、これはごく一般論として、会計検査の結果、不当事項というのと意見表示事項とするのとでは、その後の処置について、主なポイント、どういう違いが生まれできますか。
○小川会計検査院説明員 お答えいたします。 会計経理につきまして法令、予算に違反し、または不当と認め、かつ当事者の過誤の有無とか、それからその程度などから判断をいたしまして、国会に報告すべきであると会計検査院が判断したものが不当事項でございまして、検査の結果合理的でない事態があったというふうな所見につきまして総合的に検討した結果、その法令、制度、行政について改善を必要とする点があると判断した際に発するのが意見表示または改善処置要求というふうな処置をとっております。 これに対する受検側の処置といたしましては、前者不当事項につきましては、当該会計経理そのものにつきまして本質的に是正可能なものにつきましては当然是正すべきでありますとともに、その後の再発防止の対策も望ましいというところでございますし、また意見表示につきましては、将来同種の事態が発生しないような対策をとるというふうなことを要求しているわけでございます。
○瀬崎分科員 そうしますと、前者、つまり不当事項となった場合には本質的な是正、例えば過剰あるいは不当な補償金の返還とか、さらに補償目的を達成しないなら達成するような新たな措置を講ずる、こういうことが当然義務づけられていると見ていいわけですね。簡単にお答えください。
○小川会計検査院説明員 お答えいたします。 義務づけられているというより、理の当然といたしまして受検庁はそういうふうな点で努力していただきたい、こういうようなことでございます。
○瀬崎分科員 そこで琵琶湖観光船に移るのですが、会計検査院の意見表示の要旨をちょっとおさらいの意味で確認しておきたいのです。 水資源公団は、琵琶湖総合開発事業によって旅客船十八隻の運航に将来障害が生ずるというので、旅客船運航会社、主なのは琵琶湖汽船とオーミマリンですが、五社に総額四十六億五千七百八十万円を補償する協定を締結して、既に十五隻分三十五億三千九百二十八万円を払っている。だが、補償金で建造した代替船が要件に合致しておらず、運航障害を解決するために行った補償の趣旨が生かされていない、一言で言えばこういう要旨ですね。
○小川会計検査院説明員 そういうような事態だと思います。
○瀬崎分科員 その補償の必要性及び補償の性格として会計検査院が確認していること、一つは、琵琶湖総合開発事業が都市用水の供給を目的としているため、事業実施によって将来非常渇水時には琵琶湖の水位が二メートル低下することが予想される、水位が二メートル下がったときに、南湖水域では水深が浅いので、喫水深が一メートル以上の旅客船の運航に障害の起こることが予想される、しかし琵琶湖での旅客船運航事業は公益性が高く、非常渇水時においても運航を確保する必要がある、これが必要性、それからそういう事情から旅客船運航会社がこうむる一切の損害をあらかじめ補償したもの、つまり事業損失補償なんだ、こういう補償の性格、こういう確認ですね。
○小川会計検査院説明員 そういうふうな事態を意見表示の中で申し上げております。
○瀬崎分科員 次は、補償額算定についての会計検査院の確認内容は、貴公団、つまり水資源公団は、専門機関に技術的検討を委嘱した結果をもとに滋賀県旅客船協会、琵琶湖汽船とかオーミマリンが入っているわけですね、等と協議の上、五十六年三月に、同協会等との間で覚書を交した。この覚書では、補償額算定の基礎とする代替船の構造を、一つは喫水深は一メートル以内、二つ目は船型は排水量型、三つ目は材質は軽合金とすることとし、公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱で定める機能の回復に係る補償費の算定方式を参考とする、そういうことで四十六億円余をはじき出したんだ、こういう御認定になっていますね。
○小川会計検査院説明員 そのとおりでございます。
○瀬崎分科員 ところが、新しく建造されました代替船十二隻のうち八隻は、喫水深が一メートル以上になっている。一番大きいのは一・七六メートルあるわけですね。特に、「べんてん」「第五わかあゆ」「第六わかあゆ」「サンレーザー」の四隻については、もとの船、補償対象船よりも喫水の深い船になってしまっているわけです。この事実は確認されているわけですよね。 そこで伺いますが、この喫水深が一メートル以内ということ、そういう構造の船にするということは、ただ単に補償金額算定上の基準にすぎなかったのか、それとも、そういう喫水深一メートル以内の船でないと、将来水位が下がったときに航路が維持できないということだったのか、どっちなんですか。
○小川会計検査院説明員 お答えいたします。 その両方であると思いますけれども、公団の解釈、それから私どもの解釈からして、表現上は算定の基準というふうに理解しております。
○瀬崎分科員 算定の基準であることは間違いないのですよ。問題は、そういう船でないと水位低下時に航路が実際に維持できないのか、算定だけであって、たとえ喫水深一メートル以内の船でなくても航路は維持できるということだったのか、ここを聞いているわけです。両方ともという表現の中に入っているように思うのだけれども、再確認をしておきたいのです。喫水深一メートル以内の船でないと水位が下がったときに航路が維持できないのだ、こういう内容もこれには含まれているのだ、こういう会計検査院の御理解ですかと聞いているのです。
○小川会計検査院説明員 補償の趣旨が生かされないというのは、万一非常渇水時にそれだけ水位が下がった場合、船の運航に支障が生じて公益に障害が生ずる、そういうふうに理解しております。
○瀬崎分科員 ということは、わざわざ補償金まで出して新しい船をつくらせたことによって、何のことはない、より一層水位低下時の航路維持を困難にしてしまった。つまり、補償金で今まで使っていた船よりも喫水の深い船をつくったわけでしょう、事実としてはそういうことになるのではないでしょうか。
○小川会計検査院説明員 そのとおりでございますので、やはり合理的でないというふうなことで意見表示をさせていただいたわけでございます。
○瀬崎分科員 そういたしますと、水位が下がったときにも航路維持ができるようにという補償の趣旨を生かそうと思えば、二つしか道はないと私は思うのですよ。つまり、喫水深一メートル以上の代替船については喫水深一メートル以下の船に改造させるか、それとも喫水深一メートル以下の新造船を改めてつくり直すか、このどちらかにする以外道はないと思うのですが、会計検査院のお考えはどうですか。
○小川会計検査院説明員 補償の協定、覚書等から判断をいたしまして、本件補償は、金額の算定上はそのような喫水深一メートルというふうなことでございましたが、あくまでも金銭打ち切り補償でございますので、それ以降の問題については、補償を受けた船会社の責任であると考えております。
○瀬崎分科員 船会社の責任がどこの責任かを今聞いているのではないのです。会計検査院の出された結論に従っていけば、つまり水位低下時にも航路を維持するためのものだという補償の趣旨を生かすためには、現在喫水深が一メートル以上になってしまっている新造船を改造するか、それとも改造が困難だというならもう一遍喫水深一メートル以下の船をつくっていくか、これしか道はないのではないですかという事実を聞いているわけです。いかがでしょうか。
○小川会計検査院説明員 それ以外の方法によって、公益上支障を生じない、船を利用されている方に支障が生じないというふうな措置を講じていただければ結構だと思います。
○瀬崎分科員 もしこれ以外に、つまり、喫水深一メートル以内の船につくりかえる、あるいはそれを新しくするということなしに航路の維持ができるのだったら、結局もともとそういう補償は要らなかったという結論に戻ってしまうわけなんですよ。筋としてはそうならざるを得ない。あなた、今そういうことをおっしゃっているわけなんです。会計検査院が一生懸命やられたことは認めるけれども、会計検査院の結論そのものが極めて論理矛盾があるのですね。 覚書のもとになった専門機関――専門機関にいろいろ検討してもらった結果に基づいてとありますが、この技術的な検討を委嘱した専門機関というのは一体どこだったのですか。また、会計検査院は、その専門機関の技術的検討結果が妥当かどうかお調べになりましたか。――わかった段階でお答えください。 専門機関の技術的検討内容もお調べにはなっているようですね。その検討結果に問題はなかったですか。その技術的検討結果そのものが間違っておって、間違ったものをもとにして覚書が交わされ、そのことを琵琶湖汽船やオーミマリンが知っておったために、もらう方はちゃんと一メートル以内の船をつくるということで算定して補償金をとっておきながら、実際には、どうせ支障がないからというので一メートル以上の喫水の船をつくったのではないかという疑いも持たれますから、ちょっと確認しておきたい。
○小川会計検査院説明員 先生御質問の専門機関でございますが、琵琶湖旅客船改造技術検討委員会でございます。このメンバーは、大阪大学、神戸商船大学の先生方、運輸省海運局の方でございます。 この専門機関の結論につきまして、もちろん検討はいたしました。その結果、私どもでは特に問題とする点はなかったわけでございます。
○瀬崎分科員 会計検査院が検査されて間違いはなかった、こういう権威ある機関の結論が、喫水深一メートル以下の船をつくっておかないと将来水位が下がったときに問題が起こると言っているのに、それに従っていないとしたら、これはやはり従っていない方が問題になってくるわけでしょう。そのことを承知の上で、琵琶湖汽船にしろオーミマリンにしろ覚書を結んでいるわけですからね。これはやはり、私がさっき言った、喫水深一メートル以内の船に改造するか新しい船をつくるかしないと、こういう大企業自身が全く自己矛盾を起こすことになると言わざるを得ないと思うのです。今の事実関係、これは非常に明白なんです。 次に、補償理論ですが、これもまた公団の主張は全面崩壊しているわけですよ。例えば五十九年七月の建設委員会で、大阪の水上バスに使っておった「なにわ一号」の問題について、公団の大嶋理事はこう言ったのです。「現在は在来船から新造船への切りかえの過程にございますし、また水位低下の段階にも至っておりません。そういったことから、船舶の具体的な運航なり運用等につきましては、各社の自主性にゆだねられて差し支えないものというふうに思います」、つまり「なにわ一号」をどこで使っておろうとこんなものは勝手だ、こういう答弁をしております。会計検査院はこの公団の主張を肯定されているのですか、否定されているのですか。
○小川会計検査院説明員 お答えいたします。 「なにわ一号」につきましてはそういうふうな御指摘の事態がございまして、やはり合理的ではないと考えられましたので意見表示をさせていただいたわけでございます。
○瀬崎分科員 これは、大嶋理事の国会答弁は否定されている。さらにまた、五十九年九月二十六日、私が建設省、公団に是正の申し入れに行ったのです。そのとき、当時の井上河川局長はこう言った。水位が低下しても運航を確保することができるだけの補償金を払った。公団は代替船をつくれということにしているし、その完成を確認することにしているが、補償の趣旨からすれば本来それも不要であり、補償金を会社がどう使うかは本質的には問うところではない、こういう論を展開したわけですね。 これは国会答弁じゃないから議事録はないのですが、だから井上局長のこの主張に対して改めてどうこう言ってくれというのではない。要は金銭渡し切りだからその金を何に使おうと勝手だ、こういう論拠に対して、会計検査院の結論はどうなっているわけですか。
○小川会計検査院説明員 現行の補償制度におきましては、先ほどの井上局長のような考え方もあり得ると思いますけれども、本件につきましては、公益性を重視して、多額の機能回復に要する費用相当額を補償したという非常に特殊な性格の補償でございますので、その経緯から見て補償の趣旨が生かされていないと考えまして意見表示をしたものでございます。
○瀬崎分科員 このように建設省の主張も今日否定されている。このほか公団の大嶋理事は、例の十数年間船舶検査も受けず船舶検査証も返納したままになっておった「湖城」、「銀竜丸」について、これも随時運航しているのだ、こういう国会答弁を二度にわたって繰り返した。これは後ほどみずから取り消された。さらに、最初の三回の国会答弁はすべて機能補償諭を展開された。事業損失補償なんて一言も言ってなかった。途中から事業損失補償に変わった。このことも後日国会でお認めになってますね。そのことだけ、ちょっと大嶋理事に確認しておきたいのです。
○大嶋参考人 おおむね御指摘のような経過であろうと思います。
○瀬崎分科員 つまり、補償理論上も、この補償の必要性、補償の妥当性について公団や建設省が主張しておったことは、事実上我々反論してきたけれども、会計検査院の検査結果によってもこれは否定されているわけですね。崩壊しちゃっているわけなのです。 それからさらに、過去の例ともちょっと比較してみたのですが、昭和五十二年、これは国鉄なんですけれども、中央本線塩嶺トンネル工事に伴って異常出水があったために、水田の減渇水が起こってきた。国鉄がその対策を補償しているわけですね。実際に払ったのは千四百二十二万円なのです。ところが、実際には土地改良事業の中でこのトンネル出水に伴う減渇水対策はやらなかったということで、会計検査院はこれは補償の目的を果たしていない、そういう御指摘をなさっていますね。そういう事実はお認めになりますか。
○小川会計検査院説明員 先生今御指摘のような指摘を、検査報告でしております。
○瀬崎分科員 琵琶湖補償に戻るのですが、実は会計検査院の局段階で、いろいろな御検討の過程において一定の案が、たたき含みたいなのがあるわけですね。そこでは補償の趣旨が生かされていないという判断に加えて、いずれも適切とは認められないという表現がつけ加えられているのです。ところが、十二月に正式に発表された文章では、「その趣旨が生かされているとはいえない」どまりになっているわけです。昨日レクに来られた担当者の方に、これは違っていますねと言ったら、いや、それは表現上の違いであって、本質的な変更ではない、こういうお答えだったのですが、改めてこの場で確認しておきたいと思います。
○小川会計検査院説明員 水資源開発公団に意見表示したものが会計検査院の意思表示としては唯一のものでございます。したがいまして、表現上の問題でございます。
○瀬崎分科員 実は、先ほど例に挙げました塩嶺トンネルは、トンネルの異常出水に伴う水田の減渇水補償の場合、その目的どおりに補償金は使われていなかった、この文章の結論は何かといいますと、表現上はこうなっているのですよ。この補償は「適切とは認められない。」この「適切とは認められない。」というのが、補償の「趣旨が生かされているとはいえない」ということと同じだということになりますと、この塩嶺トンネルの場合、内容的にも、それから結論の表現上も、琵琶湖汽船と全く共通している、こう言わざるを得ないのです。 そうなってきますと、先ほど来申し上げておりますように、まず私のやってきた調査と会計検査院の調査の結果判明した事実というのは、およそ補償の趣旨に反する事実ばかりが確認されている。 それから二つ目には、補償の論拠として公団や建設省が述べてきたことは、会計検査院によって全面的に否定をされてきている。 そして三つ目に、過去の同種の例と比べたときに、塩嶺トンネルの場合には表現上は不当事項という表示になっているのですね。内容上も変わりはない。なぜ琵琶湖観光船補償について不当事項という結論を出さなかったのか。このことをはっきりしておいていただきたい。
○小川会計検査院説明員 先生御指摘の中央本線の塩嶺トンネルの工事でございますけれども、これは工事に伴うトンネル内の出水が原因となって、上部の水田二十七ヘクタールに減渇水が生じる、そのためトンネルの湧水を供給するなどしてもなお生ずる水の不足量につきまして、水田を対象としている土地改良事業の圃場整備工事で水田の床締め工事を行うということで、補助金事業の地元負担金相当額を補償したものでございます。 ただ、この土地改良事業の事業計画書によりますと、もともとから床締め工事というふうなものを考えなかった、したがいまして、補償の対象工事として選定したことが適切でないという趣旨のものでございます。
○瀬崎分科員 全く同じことですよ。つまり、これまで使われてきた船よりもなお喫水の深い船をつくるわけですね。そうでしょう。そういうのだったら、何も補償金は要らないわけです。そういうものを補償の対象に設定したこと自身が琵琶湖の場合だって不適切なんですよ。これは全く共通しているわけですね。だから、今の御答弁は、塩嶺トンネルの場合とこの琵琶湖観光船補償の場合を差別する必要は何らない、そういうことをお認めになったようなものなんです。しかも、塩嶺トンネルの場合には、金は千四百三十九万円ちゃんと返還もされているわけでしょう。 塩嶺トンネルの場合は、相手が地方自治体あるいは農民ですよ。そういう場合は厳しく金を返させる。また、それに結びつくような不当事項としての処理をしておる。相手が京阪グループだ、西武グループだという大企業になってくると、こういう非常に甘い判断を下している。これは会計検査院の検査行政上極めて不公正だと私は言わざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
○小川会計検査院説明員 先ほどの塩嶺トンネルの問題につきましては、私どもと先生との間で少し理解の違いがある。しかし、当初からこの事業計画を見ておれば、そういうことはやらなかったものでございます。したがいまして、私どもは別にその補償の対象がどうとかというふうなことで検査上区別をいたしたことはございません。
○瀬崎分科員 琵琶湖汽船の場合と全く一緒であって、会社の方は、もともと初めから喫水深一メートルを超える船をつくる意図を持っておるのです。そのことをはっきりつかんでおれば、これは何ら補償の対象にする必要はなかった。補償の対象に入れられたこと自身が問題だ。今の塩嶺トンネルの場合でも、もともとそういう床締め工事というものは対象になっていない。これはそういうものを選んだこと自身が問題だ。同じことなんですね。これは、国民が聞いて到底納得できるようなことではない、結局言いわけ、こう聞こえてなりませんね。 そのほかに、先ほど来言ったように、この事実関係を通じて補償の趣旨は生かされていない。すべての事実がそうなんです。補償の理論も、最初主張しておったものは皆崩れてしまう。これでなおかつ不当でないなどと、なぜ公団側をかばわなければならないのか、あるいは京阪グループや西武グループをかばわなければならないのか、我々は全く理解に苦しむわけです。 会計検査院の意見表示が出た。そこでこういう大企業、琵琶湖汽船とかオーミマリンは表面上そうもうかってないかもしれないけれども、京阪グループ、西武グループ全体では、これは大きな利益を挙げている日本を代表する企業ですよ。これが会計検査院からこういう意見表示を受けたままほっておくわけにはいかぬ、これは企業の社会的責任上許されない。そういうことで、方法は別として、自主的に過剰な補償については返還しましょうか、こういう話になれば私は非常にいいように思うのだけれども、そういうことになった場合、会計検査院は、いや、それにも及ばないということなんでしょうか、それは結構だということなんでしょうか。
○小川会計検査院説明員 今後の問題につきましては、公団の努力等によって、本院の意見表示の趣旨に沿って善処されることが望ましいと考えます。
○瀬崎分科員 いや、私が聞いているのはそういうことじゃない。具体的に、企業が自主的に返還をしようということになった場合、我々は歓迎すべきだと思うのですが、会計検査院はどうでしょうか、こう聞いているんですよ。そういう事実があった場合の仮定ですよ。
○小川会計検査院説明員 補償の趣旨に沿って善処されることが大事だと考えるわけでございますので、そういうふうな事態が起こってみなければ何とも言えないと思います。
○瀬崎分科員 私は、普通ならそういうことが起こってしかるべき状況に来ていると思うのです。公団側は企業側に、自主的に何らかの是正措置を講じてくれぬか、こういう働きかけをしたことはあるんですか。また、これからもしようという意思を持っているんですか。
○大嶋参考人 将来の運航確保、それから「なにわ一号」等につきまして、補償の趣旨に沿って考えてくれないかというようなことを申し上げたことはございますけれども、これはあくまでも会社の方が自主的にどうするかという問題であろうというふうに考えております。
○瀬崎分科員 まだ聞きたいこともありますが、時間を超えておりますから残念ながらここで打ち切りますけれども、一年半以上でしょうか、しかもこれは私個人だけではなくて、私ども共産党が終始全力を挙げて、いろいろな苦労をして調査した結果を国会あるいは会計検査院に持ち込んで、それを会計検査院がいろいろお調べになる、性格はそういうものなんです。そして事実上、我々の提示した問題はほぼお認めになった。その間の努力は多としたいと思うのですが、せっかく一年半それだけの苦労をして、今後の是正ということになったら極めて弱々しいわけですね。今後とも会計検査院は是正措置を見守る、どういう是正措置がされたかは改めてまた国会にも報告するのだ、うのみにするものではないということは内々おっしゃっているけれども、その点はやはり世論の期待にこたえてきちっとやってほしい。同時に我々としては、こういう会計検査院の意見表示が出ただけでは決して安心していられない、大いにこういうことを国民にも知ってもらって、世論の力で社会正義が実現するように努力をしたいと思っているのですが、最後に一言、会計検査院の事務総長の方から決意を伺って終わりたいと思います。
○西川会計検査院説明員 今回、三十六条の意見表示をしたということは、今後同種の事態が起きないようにということを考えまして極力やってきている次第でございます。
○大村主査 これにて瀬崎博義君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして会計検査院所管についての質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○大村主査 次に、皇室費について審査を進めます。 政府から説明を聴取いたします。山本宮内庁次長。
○山本(悟)政府委員 昭和六十一年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明いたします。 皇室費の昭和六十一年度における歳出予算要求額は、二十九億八千五百五十一万八千円でありまして、これを前年度予算額二十九億五千九百二十六万六千円に比較いたしますと、二千六百二十五万二千円の増加となっております。 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。 以下予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費二億五千七百万円、宮廷に必要な経費二十五億一千五百八十八万二千円、皇族に必要な経費二億一千二百六十三万六千円であります。 次に、その概要を御説明いたします。 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費三億八千七百八十二万四千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費二十一億二千八百五万八千円でありまして、前年度に比較して、二千四百六十万円の増加となっております。 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して、百六十五万二千円の増加となっております。 これは、憲仁親王第一子の御誕生を見込んだものであります。 以上をもちまして、昭和六十一年度皇室費の歳出予算計上額の説明を終わります。 よろしく御審議くださるようお願いいたします。
○大村主査 以上で説明は終わりました。 ―――――――――――――
○大村主査 質疑の申し出がありますので、これを許します。小林進君。
○小林(進)分科員 ことしは天皇陛下御在位六十年でございますが、宮内庁ではこれに対して何か御計画がございますか、承っておきたいと思います。
○山本(悟)政府委員 御案内のとおり、本年は天皇陛下の御在位六十年、また非常に御長寿のおめでたい年ということで各種のことが考えられているわけでございますが、政府の方におきましては、先年の末に閣議決定をいたしまして、四月二十九日に御在位六十年並びに御長寿に関する式典をいたしたいということを言っていることでございます。 それを受けまして宮内庁といたしましても、一連の天皇誕生日の祝賀の行事と、それから御在位六十年及び御長寿で政府が行います式典との関連を考えまして、その辺の各種の行事につきまして、いろいろな観点からの儀式立てというものを考えているところでございます。
○小林(進)分科員 天皇陛下は御在位六十年、そのうちの二十年は明治憲法下において現人神として日本の政治を総攬をされたわけでありまするし、四十年は主として、戦争に負けてから新しい憲法が制定せられてそのもとに人間天皇として御在位になったわけでありますが、新憲法下における、概算四十年に満ちたのでありまするが、その御在位の天皇の御業績というものは実に御立派といっては少しなにかもしれませんけれども、尊敬に値する。 言うまでもなく、この新憲法、新憲法というには古過ぎますけれども、憲法には第一章から、第八条まで天皇の地位、御行動その他についての条項が規定せられておりますが、我々社会党といたしましては、何といっても新憲法擁護であります。なお、憲法の改正は断じてこれを許さない、このままの新憲法を絶対に支持するということは、もう皆さん方に申し上げることもないのであります。恐らくそれぞれの各党がある中で、この憲法を守るということに終始一貫しているのは我が党をおいてほかにないのではないかと思うのであります。その意味においても第一章、第一条から第八条まで天皇に関する項目も断じて改正を許さない、守り抜く、こういう態度に終始一貫しているわけであります。 新憲法に基づく天皇の御行為というものは、申し上げるまでもなく、政府の助言と承認に基づいておやりになったこと一切に対して内閣が責任を持つ、こういうことになっておりますが、私ども公平に見まして、この四十年間、天皇陛下ほどこの憲法を正しく実施、実行されたお方はほかにいないのではないか、改めて尊敬の念を深くいたしておる次第であります。 時間もありませんから、前置きは余り長く言いませんけれども、それにしても戦後今どうも時に触れ、折に触れて天皇を御利用といっては悪いけれども、利用してやろうという一部の動きなきにしもあらず、これを私は非常におそれているのであります。具体的に言えばやはり靖国神社、あるいは伊勢神宮等がどうも中心にあらわれてまいりまして、あるいは天皇陛下を靖国神社に公式に御参拝をいただこうとか、あるいは靖国神社をもとに戻し、また国の宗教、国教にしよう、こういう動きがあったり、私ども目の離せないようななかなか危険な動きがある。言っては悪いけれども、中曽根総理大臣の靖国神社公式参拝等もその一環の動きと私どもは見ざるを得ないのであります。 申し上げるまでもありませんけれども、戦中における国民を戦争に狂奔せしめる、その精神的支柱が靖国神社と伊勢神宮にあったことは私が言わぬでも御承知のとおりであります。何といっても、もう義務教育から大学に至るまで伊勢神宮には遙拝をせしめる、靖国神社には義務的にこれを参拝せしめる、そして日本人の各家庭にはいわゆる神札、神棚に祭る札を強制的に配付をいたしまして、それを祭らない者は国賊である、あるいは不敬罪というような弾圧を受けて、戦争にまっしぐらに進んでいく精神的支柱をそういう神道宗教にいわば無条件に心服するという強制力を国民に押しつけてきた。そのために他の宗教がいかに弾圧を受け、いかに権力に抑えつけられたか。不敬罪だとか、何とかを冒涜をするという名目でキリスト教あるいは仏教各派あるいは他の多数神道派、それぞれの宗教が目も当てられないような悲惨な弾圧を受けたという真っ黒い歴史がある。ところが、そういう反省もないうちに、また、この国会においても靖国神社を国の神社にしようとか国の宗教にしようとか、あるいは公式に参拝をしようとか、天皇さんも公式にお参りをいただこうとかいう動きが出てきて、私どもは非常に危険を感じているわけでありまするから、そういう点を国民の前に再確認をしながら明らかにしておく必要があるということで私は御質問申し上げるわけです。 第一点から申し上げますると、天皇が戦後も八回靖国神社へ御参拝というのですか御礼拝というのですか、私は言葉はわかりませんが、おいでになっている。一回は単独で、七回は皇后様と御一緒にお参りになっているが、この行事は一体公式の行事なのかそうでないのかという問題です。これについては、一九七五年ですから今から十一年前ですか、昭和五十年十一月二十一日、衆議院において吉田法晴議員がこの問題について衆議院議長を通じて質問主意書を出しておる。これに対して当時の三木総理大臣が回答を寄せられているのでありまするが、その回答がお手元にありましたら、私はこれを宮内庁を通じてお伺いをいたしておきたいと思うのであります。
○山本(悟)政府委員 ただいまの御質問の昭和五十年のときの吉田法晴衆議院議員から提出されました質問主意書及びそれに対する回答でございます。回答の部分につきましてちょっと読まさせていただきたいと思います。 「衆議院議員吉田法晴君提出天皇の靖国神社参拝に関する質問に対する答弁書」、「一について」というのは基本的なことだと思いますが、「このたびの天皇の御参拝は、本年春、靖国神社から口頭で終戦三十年につき御参拝願いたい旨の申出があり、昭和四十年十月には終戦二十年につき御参拝になっておられる経緯もあって行われたものである。 御参拝は、天皇の純粋に私人としてのお立場からなされたものであって、全く政治的な目的を有していない。」「二について」はおとめしないかという趣旨であると思いますが、「天皇が私的なお立場で靖国神社に御参拝になることが日本国憲法の破壊に通じるものとは認められないので、内閣としては、御参拝を中止されるよう助言する考えはない。」以上でございます。
○小林(進)分科員 そういたしますと、天皇の靖国神社の御参拝は純然たる私事である、こういう内閣の回答と理解してよろしゅうございますな。
○山本(悟)政府委員 御指摘のとおりに、日本国憲法になりましてから先ほどの昭和五十年までの間、七回陛下は靖国神社に御参拝になっておりますが、そのときのお立場はただいま読みましたとおりでございます。
○小林(進)分科員 こういう点は国民の前に明確にしておく必要があるから私はあえて御質問申し上げたのです。 なお続いて申し上げますけれども、天皇は戦後数回、旧の指定護国神社、五十一くらいございましょうか、そういう旧の指定の護国神社に対して、これは幣帛料というんですか、余り私はこういう言葉はわかりませんが、幣帛料をお出しになっている、御寄附になっている、どういう言葉を使われるのかわかりませんが、お出しになっている。これも一体、公の費用をもってお充てになったのか、あるいは天皇のお懐といいますか、みずからの私のお金をお使いになっているのかどうか、その点もひとつお伺いをいたしておきたいと思うのであります。
○山本(悟)政府委員 御指摘の護国神社等神社に対しまして陛下は時々幣帛料を進呈されておりますけれども、これはいずれも内廷費から支弁をされておるものでありまして、国費の直接の予算執行ではございません。
○小林(進)分科員 お言葉のとおり、これは内廷費から出て、宮廷費といいますか、そこから出たお金ではない。私どもに言わせれば個人のお金、こういうことになるわけです。個人で天皇が何をお出しになろうと、これは国民、我々の関与するところではございませんし、国会がとやかく言うべき問題ではございません。これは御自由でございますが、護国神社という特定の宗教に特別に、公に天皇がそういうお金をお出しになったということでありますと、これはやはり新憲法第二十条で言う信教の自由にいささか抵触するおそれが出てまいりますので、あえて私は御質問を申し上げた次第であります。 なお続けて申し上げまするけれども、天皇家は、これは神社宗教といいますか、神道宗教といいますか、いわゆる仏教ではありません、キリスト教でもありません。これは神道教だ。これは私が申し上げるまでもなく、もう皆さん御承知のとおりであります。時間もありませんから余り余分なことは言いませんけれども、今の皇太子妃が皇太子にお嫁入りになるときに、皇族会議の中で、小泉信三さんも含めて、聖心がカトリック教の教会で、皇太子妃になる方がカトリック教の洗礼でもお受けになったんじゃないのかというようなことが一つ問題になったということも私はひそかに聞いております。それはやはり皇室の宗教と相反する一つの宗教になりますものですから。 その意味において、神社宗教、神道宗教の宗祖である伊勢神宮へ天皇が御参拝されることも、これも御自由で、あえて我々の干渉するところはないと思いますけれども、やはり国事行為の一環として、公事として伊勢神宮へお参りになるということは、これは一つの、特定の宗教に特別の好意をお持ちになったということになるのであります。伊勢神宮にも天皇は御参拝になっておりますが、あれは私事でございますか、公事でございますか。この点を明らかにお伺いしておきたいと思います。
○山本(悟)政府委員 ただいま御質問のございました点、従来から議論されておりますような意味での天皇の行為で、国事行為あるいは公的行為、それからそのほかの行為というような分け方から申し上げれば、その他の行為になると思います。
○小林(進)分科員 わかりました。そういうところをひとつ明確にしておいて、今後ともひとつ信教の自由、宗教の自由が混交して国家の大事を誤ることのないようにしていきたいためにあえて今御質問申し上げた。 なお続いて申し上げますけれども、まあこれは現在は考えられないのでありますけれども、いつかは参りましょう即位の礼というのがございます。こういう即位の例もどういう形でおやりになるのか。これは公の儀式である。即位の礼というものはやはり宮内庁としても考えておかなくちゃいけない。これは私の儀式でやるか、その性格をひとつお伺いしておきたいと思うのであります。
○山本(悟)政府委員 御案内のとおり、皇位の継承がございましたときには、皇室典範第二十四条の規定によりまして即位の礼が行われることが皇室典範に規定をされておるわけでございます。この意味の即位の礼というのは、皇室典範に、行うということが明確に規定をされている観点から申し上げまして、これは国の儀式、まさに国事行為としての儀式であろうというふうに存じております。
○小林(進)分科員 そういたしますと、この即位の礼も、また立太子の儀式も、やはりこれは一応考えなくちゃいかぬが、これがいわゆる皇室典範に定められた公式の行事ということになりますと、それはやはり特定の宗教色を入れるわけにまいりません。その点はきちっと思想的、理論的に宮内庁は整理整とんをされているものと考えますが、いかがでございましょう。特にそれらの儀式が、あるいは神道とか仏教とかキリスト教に基づく儀式である場合には問題は将来に残りますので、この点ひとつ念を押しておきたいと思うのであります。
○山本(悟)政府委員 御案内のとおり、皇室典範には「即位の礼を行う。」という規定のみでございまして、内容につきましての規定というのはないわけでございます。その内容をいかなるものに儀式立てをするかということは、まさにそのことになりました際に、これも当然国事行為でございますから内閣の助言と承認に基づいて儀式の内容自体も決まってくる問題でございまして、現在は、いろいろの過去の例その他諸般の状況に基づきまして研究をいたしているところでございまして、まだそういうことにつきまして内容を申し上げる段階ではない、かように存じております。
○小林(進)分科員 まだ研究中とおっしゃる。なるほどそれは遠い将来のことでございまして、現天皇がああやって御健康でいらっしゃる限りは、即位の儀式なんというものはない方がいいと申し上げてもいいくらいですから、研究中で結構でございますけれども、ともかく国民が特定の宗教、宗教の自由、信仰の自由にかかわるようなことは毛ほどもないように、そこら辺ひとつ厳格にやっていっていただきたい。これは我が皇室の永久の御繁栄のためにも一番基本的な問題だと私は思いますから、あえて申し上げておきます。こういう機会がありませんとなかなかこれは申し上げる機会がないのでありますから、私は、くどいようでありますが、念を押しておきたいと思うのであります。 それからいま一つは、宮中には三殿がございますな。この三殿へはやはり天皇がお参りになりますが、これは公の儀式ではなくて、天皇家の、内廷といいますか、私的な行事であると解釈してよろしゅうございますか。いかがでございましょう。
○山本(悟)政府委員 宮中三殿におきましては年間相当数の祭典が行われるわけでございますが、その辺の性格論から申し上げれば、先ほどの、伊勢神宮等にお参りになりますこと、それと同様なお立場での行事というように存じます。
○小林(進)分科員 そこまでまいりますと、ひとつ私は、これも質問にかりて申し上げておきたいと思うのでありますが、御承知のとおり、戦中、戦前はともかく神宮あるいは靖国神社等を守るのが関係公務員の公的責務であった。だから、公務員は公の職務において靖国神社に参拝をし、あるいは伊勢神宮に参拝をしたのでありますが、もしそれが天皇のいわゆる公の儀式ではないということになりますると、宮中に勤めておりまする皆さん方は、天皇の私事に公の公務員としてそこへ随行したりあるいは御協力申し上げる公務員としての責任はないということになるわけであります。この点いかがですか。 しかしその点が、もし公務員の責務として、その天皇の宮中三殿にお参りになる、あるいは伊勢神宮へお参りになる、あるいは靖国神社へお参りになるときに、皆さん方が一つの公務員の責務あるいは義務として随行あるいは協力申し上げるということになりまするというと、これは公務員法違反にならざるを得ないと思いますが、いかがでしょう。この点をひとつ。
○山本(悟)政府委員 陛下の御行動、先ほど来申し上げておりますいろいろな分け方というのも、やはり国家のこととしての場合とそうじゃない場合と、国家という意味で関連しての、あるいは憲法に言われるところの国家としての立場での公というものじゃないことは申し上げているところでありますが、皇室としてのいろいろな祭事は重要なる行事であることは、これは私どもは全くそう思ってお務めいたしております。ただ、先ほど来申し上げましたように、やはり皇室としての宮中三殿の場合、先生御案内のとおりに、例えばその祭をやるのは公務員でない掌典という皇室がお雇いになっている方たちが祭そのものはやっているわけでございます。もちろん、陛下がいらっしゃるときに侍従がお供するとか、これはもう侍従としての職務でございまして、これは当然やってもらわなければならぬと思いますが、外の方に職員が参列するときも、それは全く自分の意思でございまして、これを公務でないからどうこうというような割り当て的なことは一切やっておりませんので、その辺は御理解賜りたいと思います。
○小林(進)分科員 それはおっしゃるとおりです。公務員であろうとも、私的行為もあっていいし、任意の場合もありますし、自己の意思に沿わないで特に公務だからといって強制する云々の場合には問題ですけれども、自分の意思に基づいて、任意の意思で御随行を申し上げるということは、どこでもついていくということは、一向これは支障ない。私はそのことを言っているんじゃないのでありまして、その点確かにけじめだけはきちっとつけて、国民のだれから見てもそういうけじめが明確になっているという点だけはひとつよろしく私の方でお願いをしておきたいと思います。 時間もありませんから、次に一つ申し上げまするけれども、皇孫ですね、皇孫の御婚儀の問題ですよ。これがまたどうも週刊誌やらマスコミやら、これ見よがしに書きまくっておりますけれども、当事者である皇孫も御迷惑だろうし、一方、名前を出される相手方も、私は大変被害者ではないかと思うくらい御迷惑をこうむっていられるんじゃないかと思います。 そんなことからも、宮内庁としてももしこれは発表することがあったらさっさと事実を発表して、至らぬ国民の興味本位な形にならないように、一応注意をしていただく必要があると私は思うのでございますよ。私が申し上げるまでもなく、今の皇族は自分の意思で、おれは民間に行きたいと言えば、それは皇室会議の決定にまたなければなりませんけれども民間においでることができる。けれども、皇太子と皇孫だけは、これはいかに本人が御希望されようとも、いわゆる皇室典範に基づいてこれは民間に下がるわけにはいかない。同時に、どこからでも――どこからでもと言っては悪いですけれども、民間であろうと、私は外国人でもいいというくらいに考えておりますが、お妃様が決まったとすれば、いわゆる妃、皇孫妃になるわけであります。皇孫妃になりますると、皇室典範には、殿下の称号を奉る。一般に、民間人が来ようとどこが来ようと孫妃になれば殿下の称号を奉る。なおかつ職業の自由は奪われる。これは、アルバイトしようかなんて、そういうわけにはいきません。職業の自由は奪われている。そのかわり経費は国が御負担を申し上げる。そういうふうに身分がくるっと変わって、違いますからね。これはやはり重大な国事行為と申し上げてよろしいのであります。 その意味においても、我々国会議員としても皇孫妃の問題について我関せずというわけにはまいりません。今どんな方向へ行っておりますかね。ちょっとお伺いしておきたいと思います。
○山本(悟)政府委員 先生御指摘のとおり、どうも浩宮殿下の妃問題につきましては週刊誌等を中心にいたしましていろいろなことが書かれておりますし、また、今御指摘ございましたように、実名を挙げて候補だというような書き方まであるわけでありまして、これは本当に皇室の方あるいは宮内庁あるいはそれだけでなく名前を書かれた方々にとっても大変な御迷惑になっているのじゃないかということで、非常に頭の痛いところでございます。その点は、ただいま御質問いただきましたこと、本当に同感でございまして、本当に困ったことというようにも存じております。 ただ、ただいまの状況を端的に申し上げますと、浩宮殿下英国御修学から御帰国になった際、その他先般の二月二十三日のお誕生日の前にも記者会見をされまして、記者の方からもいろいろと質問が出ておりました。その妃問題に関してもあったわけでございますが、そのときにもやはり現在どうこうというところまでいっているという雰囲気でのお話ではなかったと存じます。王妃にはこういう人がいい、痛みのわかる人がいいとか、その前にも、基本的には国民が祝福してくれる人がいいとか、いろいろなことをおっしゃっておりますけれども、具体の問題といたしましてどうだという突っ込み方に対しましては、殿下の方は、それは何しろ今英国でやってきたことの論文取りまとめの方が先なんだ、こういうようなこともはっきりと記者会見でおっしゃっているというような状況でございまして、浩宮殿下はそのお立場というものを十分心得ておられる方でございまして、その上での御発言というぐあいに存じますけれども、今の状況はさようなことでございまして、一部週刊誌が取り上げておりますような具体の名前を挙げてのことというのは一切ないと私は存じております。
○小林(進)分科員 私は、マスコミ等を通じて私どもが聞知いたしまする皇孫の発言は非常に立派だと思いまして感心をいたしておりますし、もう二十六歳にもおなりになったのでありますから、やはり憲法に定めるとおり自分の御意思で自分の配偶者をお決めになるのが一番いい、私はそう思っておりますが、何しろ日本の宮内庁というのは世界でも有名な封建的な、あなたを含めてですよ、これは何も悪口を言っているのじゃない。事実を申し上げている。皇太子や皇太孫等、あなた方すぐに束縛するような、私ははたから見ると、あれほど束縛しなくてもいいのではないかと思うぐらいどうも大事をとっておいでになる。そういうことでちょっと心配なものですから申し上げたいのでありますが、私は非常に御立派だと思っております。 なおあわせて、これは私個人の気持ちですから誤解なくお聞きいただきたいのですが、今天皇陛下は皇后陛下ともども非常に御健在でおいでになる。皇太子もまた子妃おそろいで非常に御健体でいらっしゃる。そこへ皇孫の妃も決まるとすると、これは三代、天皇御一家、皇太子御夫婦それから皇孫御夫婦という、これは日本の歴史にもちょっと過去にないのではないか。世界でもこういう制度のある国々はありますけれども、その国々を尋ねてもこれは大変珍しいのではないかと私は思いますから、できればこういうめでたいレコードは早くつくっていただいた方が非常にいいのではないか。これはなかなかめったにないことでありますから、私としてはそういう気持ちもありまして、どうも学術論文をお書きになる最中で、これが先だというような御発言も承っておりますけれども、できればひとつそういうことも心のどこかに皆さん方置いていただきたい。不幸なことはなるべく後の方がいい。延びて延びて、こんなことは後でいい。めでたいことはなるべく早い方がいい。なるべく早い方がいいものでありますから、そういうこともひとつ念頭に置いて、どうかよき皇孫妃が定まるように、といって皆さん方のような力で、外部からでなくて、皇孫が自分の意思で立派な人をひとつ発見――発見と言うとなんですが、お認めになるように御努力くださることをお願いいたしまして、いろいろまだ申し上げたいことがありますけれども、シンプソン夫人の問題に関連いたしましてもいろいろお聞きしたいことがございますが、時間が来たからやめろと言います。 余分なことかもしれませんが、一言だけちょっと申し上げておきますけれども、神武天皇のお后は決して同一民族じゃないのです。あなたも皇室関係ですからお調べになっているだろうけれども、私も調べてみた。竹越與三郎という貴族院議員がおられて、日本の古い歴史に大変明るい大学者です。この人の書を読みますと、神武天皇は天孫族、そのお后は出雲族だというのです。これは今からいえば、我々日本人と南洋の人ぐらい、もっと違うぐらいの民族の相違なのだ。それぐらいの民族の相違だが、ちゃんと異民族の皇妃をお迎えになって日本の国家の基礎をおつくりいただいたわけであります。日本の皇室だって、古い歴史をたずねますと、学習院出でなくちゃいかぬとか、どこの出でなくちゃいかぬとか、実に封建的なことばかりを言っている。この国会だってそうですよ。皇太子妃殿下のときにこの国会で質問した代議士がいました。その代議士が何と質問したか。皇太子殿下ともあろう方が、何か我々の娘をもらうように民間の娘に見ほれて、恋を感じておもらいになるようなことはどうも似つかわしくないじゃないか、どう思うかとか、今の皇太子殿下が妃殿下を見つけられたことに対して、我々民間人と同格のようなやり方をしてけしからぬとか、そういう質問が繰り返された。そのときの記録を見て私も唖然としているのです。 私が今も申し上げましたように、日本の皇室でも異民族の血が入っている。今の皇孫が英国留学中にでもいいお后様をお見つけになったらそれでいいじゃないか、私はそれぐらい考えておりましたということを申し上げて、広く我々国民が心からお喜び申し上げるような皇孫妃を早く成功させてくださいますことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○大村主査 これにて小林進君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして皇室費についての質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○大村主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。 最高裁判所当局から説明を聴取いたします。草場事務総長。
○草場最高裁判所長官代理者 昭和六十一年度裁判所所管歳出予算要求額について御説明申し上げます。 昭和六十一年度裁判所所管歳出予算要求額の総額は二千二百九十七億九千二十六万四千円でありまして、これを前年度予算額二千百八十三億九千二百二十八万三千円に比較いたしますと、差し引き百十三億九千七百九十八万一千円の増加となっております。 これは、人件費において百五億二千七百五十六万八千円、裁判費において三億八千六百七十六万二千円、施設費において一億五千四百七十七万円、司法行政事務を行うために必要な庁費等において三億二千八百八十八万一千円が増加した結果であります。 次に、昭和六十一年度歳出予算要求額のうち、主な事項について御説明申し上げます。 まず、人的機構の充実、すなわち増員であります。 民事執行法に基づく執行事件、破産事件、簡易裁判所の民事訴訟事件等の適正迅速な処理を図るため、判事八人、裁判所書記官十人、裁判所事務官二十九人、合計四十七人の増員をすることとしております。 他方、定員削減計画に基づく昭和六十一年度削減分として裁判所事務官等三十八人が減員されることになりますので、差し引き九人の定員増となるわけであります。 次は、司法の体制の強化に必要な経費であります。 裁判運営の効率化及び近代化のため、庁用図書等裁判資料の整備に要する経費として四億七千六百十四万三千円、複写機、計算機等裁判事務能率化器具の整備に要する経費として四億百八十三万一千円、調停委員に支給する手当として四十九億八千百九十九万二千円、裁判官に人材を確保するため、裁判官の初任給調整手当として一億八千五百五十七万八千円、裁判費の充実を図るため、国選弁護人報酬に要する経費として二十七億六百三十六万三千円、証人、司法委員、参与員等旅費として六億六千四百二十五万六千円を計上しております。 また、裁判所施設の整備を図るため裁判所庁舎の新営、増築等に必要な経費として七十九億二千六百二万九千円を計上しております。 以上が、昭和六十一年度裁判所所管歳出予算要求額の大要であります。 よろしく御審議のほどをお願いいたします。
○大村主査 以上で説明は終わりました。 別に質疑の申し出もありませんので、裁判所所管については終了いたしました。 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時三十七分休憩 ――――◇――――― 午後一時三十分開議
○浜田(卓)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 内閣及び総理府、ただし経済企画庁、環境庁及び国土庁を除く所管について審査を進めます。 まず、政府からの説明を聴取いたします。後藤田内閣官房長官。
○後藤田国務大臣 昭和六十一年度における内閣及び総理府所管の歳出予算要求額について、その概要を御説明申し上げます。 内閣所管の昭和六十一年度における歳出予算総額は百十六億四千五百万円でございまして、これを前年度歳出予算額百八億三千八百万円と比較いたしますと、八億七百万円の増額となっております。 次に、総理府所管の昭和六十一年度における歳出予算要求額は六兆八千三百四十九億七千三百万円でありまして、これを前年度歳出予算額六兆六千七百四十四億六千八百万円に比較をいたしますと、一千六百五億五百万円の増額となっております。 このうち、経済企画庁、環境庁及び国土庁に関する歳出予算要求額については、他の分科会において御審議を願っておりますので、それ以外の経費について、御説明いたします。 以下、順を追って主なものを申し上げますと、総理本府に必要な経費百九十七億六千五百万円、警察庁に必要な経費一千六百八十七億六千八百万円、総務庁に必要な経費一兆七千四百五十一億八千二百万円、北海道開発庁に必要な経費六千八百六十億四千九百万円、防衛本庁に必要な経費三兆百五十一億一千万円、防衛施設庁に必要な経費三千二百八十二億八千五百万円、科学技術庁に必要な経費三千三百四億八千二百万円、沖縄開発庁に必要な経費二千百二十八億二千二百万円等でございます。 次に、これらの経費についてその概要を御説明いたします。 総理本府に必要な経費は、政府広報、栄典関係及び婦人問題の総合推進等のための経費でありまして、前年度に比較をして二億四千七百万円の減額となっております。 警察庁に必要な経費は、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察補助のための経費でありまして、前年度に比較して七十八億四千三百万円の増額となっております。 総務庁に必要な経費は、総務庁一般行政、恩給の支給、統計調査等のための経費でありまして、前年度に比較して四百五十一億九千三百万円の減額となっております。 北海道開発庁に必要な経費は、北海道における海岸、漁港、住宅、公園、下水道、農業基盤整備、造林、林道、沿岸漁場整備等の事業の経費及び治水、治山、道路整備、港湾整備、空港整備、農業基盤整備のうち国営土地改良の事業に充てるための財源の各特別会計への繰入金等の経費でありまして、前年度に比較をして六十億八千五百万円の減額となっております。 防衛本庁に必要な経費は、陸上、海上、航空自衛隊等の運営、武器車両及び航空機等の購入並びに艦船の建造等のための経費でありまして、前年度に比較して二千四億五千百万円の増額となっております。 防衛施設庁に必要な経費は、基地周辺整備事業、提供施設の整備、補償経費、基地従業員対策、提供施設の移設等のための経費でありまして、前年度に比較をして五十九億二千八百万円の増額となっております。 科学技術庁に必要な経費は、科学技術振興調整費の拡充、フロンティア研究の推進及び創造科学技術推進制度の拡充等産・学・官等の連携による基礎的、創造的な研究の推進、研究開発基盤の整備、国際協力の推進、原子力、宇宙、海洋、ライフサイエンス、材料科学技術等の研究開発の推進等のための経費でありまして、前年度に比較して九億五千三百万円の増額となっております。 沖縄開発庁に必要な経費は、沖縄における教育振興、保健衛生対策、農業振興に要する経費並びに沖縄開発事業に要する海岸、漁港、住宅、環境衛生施設、都市計画、土地改良、造林等の事業の経費及び治水、治山、道路整備、港湾整備、空港整備、国営かんがい排水等の事業に充てるための財源の各特別会計への繰入金等の経費でありまして、前年度に比較をして十五億三千三百万円の減額となっております。 また、以上のほか新規継続費として、防衛本庁において一千三百三十五億八千八百万円、国庫債務負担行為として、警察庁において四十九億九千二百万円、総務庁において二百万円、北海道開発庁において二百四十八億八千四百万円、防衛本庁において一兆一千四百七十三億八千七百万円、防衛施設庁において六百二十三億七千三百万円、科学技術庁において一千二百三十五億八千百万円、沖縄開発庁において九十八億七千三百万円を計上いたしております。 以上をもって、昭和六十一年度内閣及び総理府所管の歳出予算要求額の概要の説明を終わります。 よろしく御審議くださるようお願いを申し上げます。
○浜田(卓)主査代理 以上で説明は終わりました。 ―――――――――――――
○浜田(卓)主査代理 総理本府について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤誼君。
○佐藤(誼)分科員 それでは、官房長官に質問します。 戦後処理問題について、政府は、総理府に特別基金検討調査室を設置して、来年度も一定の予算を計上し、検討調査が行われようとしているわけであります。 端的に言ってそのねらいは何なのか、また、どのような調査をするのか、このことをひとつお答えいただきたいと思います。
○後藤田国務大臣 御案内のとおりに、約二年余りの間、戦後処理懇を設けまして学識経験者の方々から御意見を拝聴した結果、この問題については基金を設けて処理をすることが適当であろう、こういう御意見をちょうだいしたわけでございますが、政府としては、その御意見を尊重しながら政府自身の方針を決定をしましてこの基金をどのように運営したらいいのか、それについては、その前段階で、恩給欠格者の問題であるとかあるいは戦災者の問題あるいはシベリア抑留とか、こういった問題についての実態把握をまずやらなきゃならないということで、今その実態調査を、これはこの関係者が大変多いわけでございますから全員調査というわけにいきませんので、それぞれ約一万名ばかりの無作為の抽出によって調査をしまして、そしてこれらの方々がどういう御意見があるのか、それらも詳細集計をして、そして実態をまず把握した上で政府としてはこの基金の運用等について方針を決めてやりたい、こういうことで今作業に取りかかっている段階でございます。
○佐藤(誼)分科員 そうすると、今の答弁では、基金をどのように運用するか、そのための調査、こういう趣旨なんですが、端的に言いまして、御案内のとおり、長年にわたってその関係者が要望してきた補償問題ですね、これがどうなるのかということ。これは終始関連していろいろ質問等が行われたり、いろいろ関心を持たれてきたことでありまして、この点、今官房長官は先ほどのような説明をされたわけですが、私が議事録をひもといてみると、前官房長官である藤波官房長官の場合には、若干その点含みのある答弁をしているやに承れる点があるのですよ。したがって、その点、官房長官もかわられましたので、関心を持たれておりますので、率直に私、お尋ねしたいと思うのです。 そこで、今申し上げたように、昨年一月三十一日の予算委員会、これは社会党の田邊誠書記長が藤波官房長官に質問した段の中に、最後のくだりの質問が、「この個人補償まで含めて検討するということについては間違いないですか。」こういう質問をしているのですね。そのことに対する藤波官房長官の答弁は、前段では、基金をどのように活用していくかというための調査、そのための予算だ、こう言っていますが、中段ごろから「しかし」こうあるのですね。「しかし、長い間それぞれ関係者の方々も、団体を組織していろいろとお話もいただいてまいりました。したがいまして、今後この予算を執行してまいります段階で、いろいろな関係団体の方々の御意見なども聞いて、そして取り組んでいくようにいたしたい、このように考えておりますので、この取り扱いにつきましては少し時間をいただきまして、いろいろ御相談を申し上げていくようにいたしたい、こう考える次第でございます。」こういうことなんですね。この文章を見ると、何か周辺に一種の含みがある、こういうふうに受け取られることもそれなりにあるという答弁内容になっているわけですね。 それから、昨年の四月の十八日、内閣委員会の中で渡部行雄委員がこのことに関連して端的にこのように質問をしているのです。ずっと質問した後、「あの自民党の一部諸君が言っておる補償金も含めてというのは、うそだというふうにはっきりと認識してよいでしょうか。」こういう質問をしているのです。それに対して、時間ありませんから前段省きますが、ずっと最後に行きまして、藤波官房長官は、「したがいまして、この基金の創設ということを中心として検討を進めてまいります中でいろいろな調査を進めていくようにいたしたい、こう考えておる次第でございます。」それに対して渡部行雄委員は、「官房長官は時間が余りないそうですから、骨だけをまずお聞きいたしますが、今の御答弁は、若干ゆとりがあるように受け取れるようなお話だと思います。」こういうようなことで、いろいろそのやりとりなんですが、こういう形になっているのですよ。 これを見た一般の方々は、何か基金だけの活用を考えた調査ではなくて周辺も含めて調査をしているんじゃないか、簡単に言えば補償問題も関連しながら調査をしているんじゃないか、またそういうねらいもあるんじゃないか、こういう疑問がこのような言葉から出てくるんじゃないかと思うのです。ですから、これは官房長官もかわられたわけですから、このたびの検討調査は従来から要望されてきたいわゆる補償問題にかかわりがあるのか、それなりのかかわりを持っているのか、この辺について一言御答弁いただきたいと思います。
○後藤田国務大臣 まず最初に、先ほどの私の答弁の中で、戦災者云々、これは私の誤解でございます。恩欠の問題と戦後強制抑留者の問題と在外財産の問題、この三つである、かように訂正させていただきます。 御質問の件は、個別の補償を考えておるのかどうか、こういうことでございますが、これは戦後処理懇の中の御意見にございますように、これ以上個々の補償等は取り上げるべきではない、しかしながら大変お気の毒な立場にあるので、この際こういった基金を設けて云々、こうございますので、私どもの調査それ自身は、これは基金の活用の方法をどうするか、こういうことが基本で調査をしたい、こう考えております。ただ、その調査の過程で、藤波前長官がお答えしたように一万人ずつの調査をいたしております、その中でどういう御意見が出ますか、それらはさらに参考にはいたしたいと思いますけれども、私どもの調査そのものは個別の補償をやるというための調査ではない、かように御理解をいただきたい、こう思います。
○佐藤(誼)分科員 それ以上突っ込んだ質問はいたしませんが、関係者はかなりの高齢者になっていますよ。しかも、その願いたるや切実なものがあります。したがって、今答弁をいただきましたが、私はやはりこの問題に納得いく形の整理がつかない限り戦後は終わらないと思うのです。したがって、私の要望といたしましては、今の補償問題についても今後とも十分検討すべきじゃないか、このことを御要望申し上げておきます。 続いては次の問題ですが、第二次大戦中シベリアに捕虜として抑留された方々は、帰国後当然捕虜に関する国際条約に基づいて正当な補償をされなければならないものと私は考えるのです。その点を政府はどう考えているか、また政府はどのように補償問題に対応してきたのか、この点のところをひとつ端的にお答えをいただきたい。
○都甲政府委員 お答え申し上げます。 ソ連に抑留された方々が強制労働等の非常に苦しい目にお遭いになられたということについては政府としても大変遺憾に存じておりますけれども、しかし他方、さきの大戦におきましては戦中戦後を通じてやはり国民一人一人がそれぞれの立場におきましていろいろな形で戦争犠牲というものを受けているわけでございますので、そういう意味で一般の国民の方々と同じ形で、いわゆるこのような戦争犠牲につきましては国民がひとしく受忍をしなければならないというものであったというふうに感じております。そういう意味で、私どもとしては国にこれを補償する義務があるというふうには考えていない次第でございます。 そこで、この問題につきましては、先ほどからもお話ございますように、戦後処理問題懇談会におきまして、シベリアに強制抑留されたこともまた国民がそれぞれの立場で受けとめなければならなかった戦争損害の一種に属すると言わざるを得ず、戦後強制抑留者問題を含めて戦後処理問題についてはもはやこれ以上国において措置すべきものはないという意見を取りまとめて、内閣官房長官に報告を出しているという事実は先生御承知のとおりでございます。
○佐藤(誼)分科員 そこで、今も答弁がありましたけれども、この第二次大戦によって国民はひとしく戦争の犠牲を受けた。これは大変遺憾なことで、私たちから言えば、ヨーロッパのしかるべき国々と同じようにそれ相応の補償をすべきだという基本的な考え方に立っているのです。 ただ、その中でも捕虜としてシベリアに抑留された方々というのは、捕虜として抑留されていますから、したがって、その償いというのは国際的な捕虜条約等に基づいてなされなければならないという点で、一般の犠牲をこうむった方々とは扱いがちょっと違うのではないか、捕虜条約というものを背景にして取り扱わなければならぬ点で。したがって、捕虜が帰国後に、抑留中の捕虜の給料はもちろんのこと、抑留国で支払われなかった賃金等について一たん本国で支払うのが国際的な捕虜に関する条約等に照らして私は当然だと思うのです。その点、私は、先ほど答弁ありました一般の方々も大変だったけれども、扱いとしては若干違うのではないかという考え方を持っているのです。 そこで、時間がありませんから、引き続いて補償問題にかかわって、ジュネーブ条約が今問題になっているわけです。そこに絞りながら私は質問したいと思うのですが、ついては、昭和二十八年十月二十一日、条約第二十五号として公布された捕虜の待遇に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約の六十七条には重大な誤りがあるのではないか。つまり、六十七条の規定に「抑留国」とあるのは捕虜の属する国と訳すべきものであると私は思うのです。その点どう考えるのか、まずこれをお尋ねします。
○鈴木説明員 お答え申し上げます。 ただいま御質問の点につきましては、先般来政府の方から現状につき御説明申し上げ、御理解をお願いしているところでございますけれども、この条約は何分にも非常に古い条約でございまして、我が国がまだ占領下にありまして採択会議にも参加していなかった一九四九年につくられた条約でございます。また、我が国の加入の手続が行われたのも三十年以上前の話でございまして、当時の経緯を正確に調査いたしますということになりますと、多大の時間を要するという事情がございます。この点をぜひ御理解をいただきたいと存じます。 さらに、この条約の解釈、適用につきましては各国の見解等も調べる必要がございますし、また、この問題に関する国際法の一般慣行等についてもあらゆる側面から検討する必要がございますので、現在がかる作業を鋭意進めている段階にございます。
○佐藤(誼)分科員 この条約が制定され、日本が批准した当時の背景説明といいますか、これは条約ですから、各国の解釈あるいはとらえ方を勉強し、研究するのは結構なんですが、ただ、現にこの条約が存在するわけです。しかも、それが適用されているわけですから、この六十七条の、私が指摘したその点がどうなのかということを現時点で聞いているわけです。もっと具体的に言いますと、六十七条というのは英文と仏文があります。これを和訳したわけですが、その中で、よく新聞等に言われておりますザ・セッド・パワー、昨年の十二月十六日の朝日新聞等でも、これは直訳すれば、だれが訳しても前述した国あるいは前述の国というふうに訳すのが当然であり、紛れもない訳し方だ、こういうことを言っているわけです。私もそう思うのです。 ですから、ストレートに直訳したら、このザ・セッド・パワーはどういうふうに訳されるのが至当だと考えるのか、この点をまずお聞きしたいと思います。
○小和田政府委員 訳語の問題について御説明したいと思いますが、先ほど国連局の方から御説明いたしましたように、この条約は一九五三年に正規の手続で、厳重な審査を経て締結をしたわけです。私どもとしては最善を尽くしてその訳語を選んでいるわけでございますけれども、最近になりまして、この訳語は果たして適訳であるかどうかということについて疑問が提起されておりますので、余り過去の経緯にとらわれることなしに、正確な訳語は何であるかということについて再調査を今しておる、こういう状況にあるわけです。 そこで、今御指摘の点でございますが、英語ではザ・セッド・パワー、フランス語ではラディット・ピーサンスと、同じ言葉が使われておることは御指摘のとおりでございます。文字どおりそれを訳せば、抑留国であるとかあるいは所属国というような具体的な言葉を使っているわけではないので、当該国とかあるいは前述の国とかいうような一般的な形で示しているわけです。そこで、一般的に示されているのが抑留国であるか所属国であるかというのは、この文章だけを見まして、ここで文字からどれを受けるかということが文法的に一義的に決められるわけではございませんで、この条約の趣旨、目的、内容というものに照らして判断をする必要があるということになるわけです。そういう見地から申しますと、先ほども御説明いたしましたように、当時条約がどういう形で作成されたか、条約の作成のときの経緯あるいは日本が加入するに当たってどういう審査が行われたのかということ、それから各国の態度というようなものを総合的に判断をして最終的な結論を出さなければならない、こういうことで、私どもとしては良心的に、きちっとした結論を出したいということで今調査をしておりますので、若干時間がかかりますけれども、そういう状況にあるということを御理解いただきたいと思います。
○佐藤(誼)分科員 良心的にきちっとした調査をし、報告するということは当然で、そうあらなきゃならぬと思いますから、それは異存はないのですが、ただ客観的に、現に条約が存在し、六十七条があるわけですから、これを簡単に言えば、ザ・セッド・パワーを直訳すれば、前述の国、前述した国、これは共通しておると思うのです。この前の議事録を見ても、あなたはそれは肯定しているというふうに私は理解している。そうすると、その前述した国、前述の国というのは具体的にどういう意味を持つのかということです。いろいろ背景とか経過とか他国の状況もありますが、一番基本になるのは、この六十七条の条文の内容全体を照らした場合にどういうふうになってくるのか、条文の整合性からいってどうなのか、これが私は第一義的に判断さるべき内容だと思うのですね。 そういう点からいうと、これは見ればおわかりですが、時間がありませんから詳細は言いませんけれども、六十七条の前段には、捕虜の所属国あるいは捕虜の所属する国という言葉は出てくるけれども、抑留国という言葉は出てこないのですね。ですから、前述の国となれば、これは捕虜の所属する国、捕虜の所属国というのがこの条文の内容に沿った場合に当然だというように私は見られると思うのです。それから、六十三条三項、六十八条で述べられているのは、所属国に関してであって、ほかの言葉はないわけですよ。ですから、条文間の内容の整合性を考えても、私はこれはやはり所属国とすべきだと考えるのです。ですからそういう点で、条文に沿って位置づけてみても、抑留国と訳したのは、前後の条文の整合性からいっても私は誤りだと思う。これは私もかなりそれなりに勉強してみました。学者もひとしくそれは指摘しております。固有名詞は挙げませんけれども、この衆議院に関係する権威ある筋でも同じことを言っているのです。ですから私は、いろいろな背景はあったと思いますけれども、抑留国と訳したのは誤りであって、簡単に言えば、やはり所属国、こう訳すのが至当だと思うのです。 したがって、この補償の問題にかかわって言えば、六十七条の「抑留国」を盾にとって、捕虜の所属する国、具体的に言えば日本ということになりますが、日本が、今申し上げたような捕虜の皆さんの請求に対して支払う義務がない、そういう見解を持つことは私は誤りだと思うのです。つまり、捕虜の所属国ということを理解するならば、当然これは正当な補償をする、これが筋だと思うのです。そして六十七条の末尾に、それらの捕虜に対して、捕虜の所属する国が支払ったあるいは補償した、これらの身体、金品に関する補償等について後に関係国が協議をする、こういう形に持っていくのが具体的な事件に対する対応としても適切だと私は思うのです。 まとめて言いますと、これは条約ですから、六十七条の中には、六十条に従って云々、それから六十三条第三項及び六十八条に基づきと、以下ずっとややこしい表現になっていますが、これを素直に解釈しますと、抑留国としたのは誤りで、捕虜の所属する国、つまり所属国と訳すのが至当だと思う。これを前提にして素直にこの条文を見ますと、次のようになると思うのです。 それは、抑留中の捕虜に対する給料の前払い責任を抑留国に課し、捕虜の本国送金を認め、さらに帰国した捕虜の身体、金品に対する損害補償は一たん所属国で支払いをし、しかる上でその帰属を国際協議にゆだねるというのが内容だと私は思うのです。どう読んでみてもこれが素直な解釈だし、この解釈に基づいて、具体的に言えば、捕虜としてシベリアに抑留された方々が帰国した場合に、その補償をまず日本がするというのが適切な対応ではないかというふうに私は考えるわけです。 非常に難しい条文なものですからややこしく述べましたけれども、その辺についての見解をお聞かせいただきたいと思います。
○小和田政府委員 御指摘のように、この条文は非常に複雑な、ややこしい条文でございます。したがって、若干話が技術的になって恐縮でございますけれども、この六十七条には、六十条それから六十三条三項、六十八条と、この三つの条文が出てまいります。この三つの条文それぞれについて、所属国と抑留国との間の金の動き方についての規定がいろいろあるわけでございます。したがってこの六十七条を解釈するときには、どうしてもここの当該国という言葉が何を指すのかということについて実態的な意味を条約のこの規定の趣旨、目的に照らして判断をしなければならない、こういう関係になるわけで、単に形式的に文字の上から見て、これがすぐ前にある言葉を受けるであろうというふうには必ずしも結論できないというところが私どもの問題であるわけです。これは前例を今ここで一々挙げませんけれども、条約の訳文で当該国というのがこういうときに何を指すかということについて、必ずしも一義的にすぐその前の言葉を受けるというわけにはいかないということは間々あることでございまして、そういうときはその実態的な意味に即してやる、こういうことで条約の訳文をつくっておるわけです。 先ほども申し上げましたように、この訳文をつくるときに当該国という言葉をどうして抑留国という具体的なもので置きかえたのかということについては、まだ目下調査中でございますので私としても今確定的なことを申し上げるわけにはまいりませんけれども、当時の関係の省庁それから外務省、それから最終的には内閣法制局という厳重な審査を経でつくっている訳語でございますので、それはそれなりに理由があったのであろうと私ども考えておるわけでございます。しかしそれにもかかわらず、私どもとしては、最善を尽くして訳語を決めたとしても、人間のやることでございますから絶対に間違いがないと言い切れるわけではございませんので、あらゆる方面で審査をいたしまして、最終的にきちっとした結論を出したい、こういう立場でおるわけでございます。 そこで、さっき御指摘のこの三つの条文につきましては、これは所属国が支払うものもございますし抑留国が払っているものもございますし、いずれにしてもそういうものは敵対行為が終わったときに関係国、つまり具体的に言えば、直接関係するのは所属国と抑留国だと思いますが、その間の特別の取り決めの対象にするという規定でございますので、どちらが払ったにしろ、それをそれぞれの整理をして、両者の間で取り決めをしてこれを決めなさいということを言っている一般的な規定でございますので、このこと自体から直ちに、六十七条の規定があるから、したがってどちらかが国際法上支払いを行わなければならない義務があるんだということは、この六十七条の規定そのものからは直接言い切ることはなかなか難しいのではないかと考えているわけでございます。 いずれにいたしましても、目下調査中でございますので、御了解いただきたいと思います。
○佐藤(誼)分科員 その当時の国際環境とか背景説明とか、これに類似するものは各国でどのような解釈をしているか、これを研究し、慎重であることに私はやぶさかではない。ただ基本的には、条文としてきちっとあるわけですから、それが条文の前後の関係からいってどうなのか、全体の条文としてのまとまりを持っていますから、その整合性からいってどうなのか、この基本に沿ってまず解釈していかなければならぬのが第一義的だと思うのです。その場合に私は、先ほどるる申し上げましたけれども、時間がありませんから繰り返しませんが、ここを抑留国と訳したのでは、どうしたって全体の文章としての整合性が内容的にもないのです。やはり所属国、つまり捕虜の所属する国と訳さなければ、全体としての整合性がないし、内容も明らかにならないのです。これはよく精査すればわかると思うのです。このことが一つです。 もう一つの問題は、これは六十七条の最後のところに「敵対行為の終了の際、関係属の間の取極の対象としなければならない。」とあって、相互の債権債務とでもいいましょうか、最後に整理するのだからどちらが払ったって同じだ、最後に帳じりを合わされるんだ、こういう趣旨のことを言われていますが、ちょっとこれは暴論じゃないかと私は思うのです。なぜかというと、これは条文そのものとしてはそういうふうに理解される点はありますよ。しかし現実に生きている、シベリアに捕虜として抑留されてきた方々が、日本の国がまずそのことについて補償するのかしないのか、後の整理は別ですよ、このことを争っているわけですから。そうすると、これは所属する国とあれば、これらの方が抑留中にこうむったものを、帰ってきたらその帰属した時点で捕虜の所属する国、つまり日本が支払う、それで後で清算する、こうなっていくわけです。 ところが抑留国となりておれば、帰ってきた捕虜の方が捕虜の期間にこうむった金品、身体に関しての補償問題を抑留国にまず求めるということになりますから、これは事実上不可能なんです。具体的に言えば、ソビエトですね。ですから、最後は帳じりを合わせるから同じだと言うかもしらぬけれども、現実の問題のまず補償ということからいえば、これが抑留国であるか所属国であるかによって、長年苦労された捕虜の皆さん、抑留された皆さんに直接合響いてくる問題なんです。抑留された方々は、日本の国、所属する国がまず支払う、その後にやるべきだ、こういうことを主張していますから、これはどっちになろうとも同じだということは、長年苦労されて、捕虜になって、帰ってきた方々から言えば決定的な違いがある。まず政府がやって、その上に立って関係国の間で処理するのが当然だと思うのです。 今局長が言われた最後の後段で、ここにありますが、「関係国の間の取極の対象としなければならない。」とあるから同じだということにはならないということです。このことだけは私は強くここで述べておきたいと思いますし、きょうこのことがすべて終わるわけじゃないので、このことを申し述べ、官房長官、細部のことは別にして、事は極めて重要だということはおわかりだと思いますので、所見を最後に述べていただいて、私の質問を終わりたいと思うのです。
○後藤田国務大臣 条約の英文あるいは仏文の解釈について、これは抑留国と今訳しているのは誤訳ではないかといったような質問主意書が出まして、私のところでいろいろ経緯を聞きました。今佐藤さんのおっしゃるような訳語そのものとして、佐藤さんのおっしゃるような御意見が出る、これは私はもっともであろうと思います。ただ、よく考えてみますと、ともかく当時の、まず最初は外務省の専門家が訳語をつくっておられる、しかも厳密な法制局の審査を経、そして国会の御審議を仰いでいるといったような経緯にかんがみますと、この条約全体の意味合いからこういう訳語をしたそれぞれの理由もあるのではないのか、ならば、この点についてはしばらく答弁を延期をしていただいて、各国の対応の仕方、あるいは当時の関係者、それらにすべて当たって、そして検討してもらいたいということで外務省に要請をし、今その調べを外務省でやっておりますから、その結果を待たせていただきたい、かように思います。
○佐藤(誼)分科員 以上で質問を終わります。
○浜田(卓)主査代理 これにて佐藤誼君の質疑は終了いたしました。 次に、薮仲義彦君。
○薮仲分科員 私は、後藤田官房長官に以下申し上げる点を質問するわけでございますけれども、三十分で御理解をいただくのは無理かなと思いつつ官房長官に質問いたします。 私がきょう官房長官に質問いたしますのは、私にとっては官房長官は人生の大先輩です。また政治家としての経験も豊かでございます。そういう現内閣の有力な閣僚としての官房長官の政治家としての御意見、また私は翻って一人の人間として、人の子の親としてどう思いをいたすか、きょうはその辺を一言大臣からお伺いすればこの質問は終わりだろう。関係省庁呼んでございます。いろいろ具体的なことは申し上げますが、官房長官は私が要求している省庁の言わんとすることは先刻御承知だと思うのです。時間がなければ官房長官のごあいさつを言いただいて終わりにしたいところでございますが、私がなぜきょう官房長官にそれを申し上げるかといえば、私のところに五日ほど前一通の手紙が来ました。 私は今五十歳ですから、終戦のときに小学校四年でした。戦争を知らない世代かもしれませんし知っている世代かもしれない。ただ子供心にたった一つ記憶しているのは終戦、戦争が終わったんだな、おのとき子供心に一番うれしかったのは灯火管制がなくなったこと、ラジオが大きな声で放送できたこと、世の中が明るくなったこと。私は海岸におりました、艦載機が来なくなったこと。平和っていいな、小学校四年の僕にはそれが非常に実感として、終戦の実感を味わいました。 私はいただいた手紙を読んだときに、戦後四十年であるけれども、まだ戦争が終わってないのかと心の痛みを覚えました。それは函南にいらっしゃる杉崎さんという方からの一通の手紙だったのですけれども、その中に証明書が二通と神奈川県の行政監察局の手紙が入っておりました。これがそうですけれども、この証明書二通と、神奈川行政監察局長名で杉崎勇四郎殿という手紙が入っていました。私はこれを読んでみました。この中に書いてあったことは何かといいますと、こういうことなのです。 別紙に明らかのように、昭和四十一年七月十六日神奈川県の平塚の海岸へ遊泳に出かけ、たき火をしたときに不発弾で受傷いたしました。 私の妻は当時二十八歳です。一時間後に死んでしまいました。私は内臓が破裂しました。腸が飛び出しました。そして戦後四十年といいますけれども、私はその受傷してから二十年たちました。現在五十六歳です。だんだん年をとってまいりました。当時四歳だった下の英子がお嫁にいって子供が、孫が生まれました。そして長男も、当時七つでしたけれども大きくなって父を助けるようになりました。しかし行政監察局から、しばらく待ってください、こう書いてあるのです。「上記の不慮の事故については、まことにお気の毒に存じます。」「現在の段階では今すぐご期待に沿うことができず、まことに残念ですが、今しばらくお待ち下さるようお願いいたします。」書いてある内容は、旧陸海軍等の爆発物の爆発による、被害者等に対する見舞金の支給に関する法律案が次期国会には提案されます。そしてこれは「防衛庁と内閣審議室とがおおむね了解済みである」、ここまで読みますと、ああ法律が必ずできるんだなと期待感を持ちました。本法案が制定されたときに内容と手続の方法をあなたにお知らせします。お待ちください。 私は、杉崎さんのこのお手紙をいただいて、それから二十年間ある意味ではじっと待っておりました。なぜ裁判しなかったのですか。経済的な理由もあった。もう一つは、 四歳と七歳の子供を育てるのに後ろを向いでいるゆとりはありませんでした。必死に私はきょうまで生きてきました。当時は大工でした。それから大工の仕事はできませんでした。そして運転手をやりいろいろと職を転々として、現在細々とラーメン屋を一人でやっております。 私はこのお手紙だけでは実態がわからないので、いろいろ関係省庁に聞いた上で、きのう夜三島まで行きました。私は、ある意味では政治家として心の底から残念だった。これでいいのかと思った。それで私は関係省庁からすべてを聞いた上で三島まで行ってきました。 御主人に会いたい。家族みんな来ていました。お孫さんも来ていた。息子さんも娘さんも来ていた。私はお父さんにだけ事情を聞こうと思った。これは大変御無札な言い方でお許しいただきたいのですが、官房長官に実態を知っていただくために私は申し上げるが、顔面が砂で真っ黒です。こちら側の半身も砂で真っ黒ですよ。私に見せてくれました。今でも腕が痛い。もう近々医者に行かなければならない。切ればすぐ鉄粉が出てくる。そういう状態になってもじっと何も言わずに、今に政府が、国が必ず私に何か声をかけてくれるだろうと待っている。そういうまじめな一人の人がいるわけです。私はこれを聞いて、お会いして非常に心が痛んだ。本当に何とかできないのかなと、私はお会いしたときに断腸の思いがした。お見舞いが一言あったのですか、ありません。弔慰金ももちろんありません。 私はお嬢さんに聞いたのです。お嬢さん、私はあした官房長官にお会いして委員会でこのことを一言言いましょう、お嬢さん、何か長官に直接言ってもらいたいことがあったら私が言ってあげる。そうしたら言いました。僕はその前に聞いたのです、そのときのことを知ってる。知っています。お母さんが死んだ瞬間よく覚えています。それからお兄ちゃんと二人で施設にやられました。お父さんがお医者さんから帰ってきたけれども、余り丈夫じゃないのでお台所の仕事をしました。背が低かったので踏み台を置いてお皿を洗うのに苦労しました等々語ってくれました。でも、その最後に私に言ったことは、薮仲さん、お願いがあるのです。当時の新聞を薮仲さんは見たそうですね、私は知らないのです、見せてください。お母さんかどうして死んだのかお父さんは余り語ろうとしなかったし、私も思い出が寂しいことばかりだから聞こうとは思わなかった。でも薮仲さん、新聞を送ってくれ。 私はこの問題を聞いたときに、当時の新聞を国会図書館から朝日、読売、神奈川新聞等全部取り寄せて見た。私は、これを読んでみて非常に悲しかったですね。これは縮刷版からとったからこういうようにとり方が汚いが、「血に染まった行楽三人死に一人重体」ここで笑っているお嬢さんが英子さんです。ここに書いてある。「奇跡的に助かる 母の死知らぬ英子ちゃんカメラにニッコリ」ここに書いてあるのですよ。「母親の死を聞いていないため悲しみのようすは見せず」以下は英子ちゃんですよ。「「ドカンと大きな音がしたの。とてもこわかった。音といっしょにおかあさんのからだが横へ飛んで打っちゃった。おとうさんも病院へ行ってんの」とはきはき答え、カメラを向けるとニッコリしたのが、一層あわれをさそった。」当時の新聞です。しかも、お兄ちゃんの方は家にいたのです。家にいて、近所の人がわいわい騒いだ。「どうしたの。何かあったの」これは勇君というお兄さんなんです。「おとうちゃんもおかあちゃんも何もいわないで出かけちゃった」と、ポツンとひとこと。あとはいすを持ち出し、近所の子と無心に遊んでいた。」これがその日の新聞ですよ。当時四つと七つです。 今、お嬢さんが言っていました。私も結婚して子供が一人生まれました。一歳の子を連れてきていました。今私の夫が、あるいは私が不慮の死で死んだとき、この子がと思うと薮仲さん、この事実を教えてほしい、私の目で確かに、お母さんかどうして死んだのかを知りたいのだ。こう私に言われたとき、私は、そのとおり官房長官にお伝えします、一人の人間としてあなたの言うことは、戦後は終わっていない、戦後四十年というけれども、一人一人の心の傷の痛みは決して――いろいろな形でのことは言われます。裁判が云々とかそんなことではなくて、一人一人の歴史の中に、人生の中に戦争はきちっと刻み込まれている。今もしょいながらじっと黙って耐えている人もいらっしゃるのだなと私は思ったのです。 それで、お父さんに言いました。杉崎さん、今度のこの問題を聞いて私が一番残念だったのは、現在の行政府の中にあなたの問題にダイレクトにこたえてくれるところはありませんでした。私はこの問題を知ろうと思って関係官庁みんな聞きました。法務省も聞きました。法務省は、裁判に持ち込んでくだされば法務大臣が被告です、こういう答弁でした。それから、警察庁にもいかがですかと。警察庁は、後ほど聞きますけれども、戦後六件の事案がございました、ただしこれは加害者を特定できません。官房長官として、警察庁長官ですからその辺は十分御承知だ。加害者を特定できないので、事案としては記録はあるけれども、事件としては記録は残っておりません、警察庁としてはそれは調べました、しかし加害者は特定できずということで、書類送検とか送致はいたしません。これは後ほど正確に聞きたいと思います。そして、いろいろ聞いてみると、海岸は建設省ですか、農水省の漁協ですか、運輸省の港湾区域ですか、こういう答弁が私には返ってきた。私は、そういうことをこの杉崎さんに言えるのかな。じゃどこなんですか、総理府にも聞きました。総理府は交付金を配っているだけです、じゃ私はこの分科会でどの大臣に質問すればいいんだ、どこもございません、これは内閣官房で処理いたします。大臣が決まるまで何日間もかかったんですよ。 私は、私の部屋にお見えになった方に、何人か本当にざんきの思いでこの事実、これではよくないのじゃないですかと申し上げた。私は官房長官に中曽根内閣の本当の国務大臣として、まだ戦後処理は終わっていない、国民のその心の痛みに、私はきょうこれをどうするか、例えば法務省は裁判をやりなさいとおっしゃる。私は新島の一審、二審、三審の記録も全部読んでみました。大変です、これは。この記録の中にあるのにどうやってやるかというと、国賠法ですから、警察官の方と東京都を相手に国家賠償を求めているのです。これはここに書かれているのを読んでみると、私は警察官の方だってやりきれないと思うのです。この奥村さんという署長さんは、この辺は危険ですといって島状報告を警察庁に出しているのです。でも、判決としてどう言われるかというと、警察の責任というものを問われなければならない。まじめな警察官の方だったらやりきれないお気持ちだと思う。 裁判すればいいと法務省がおっしゃるけれども、まあそれは言い過ぎかもしれませんが、裁判すれば本当にこの平塚の場合も、警察の方は、「平塚署の調べでは、戦後間もなく米軍が旧日本海軍の弾薬、砲弾をコンクリートで固めて現場近くの沖合に沈めたが、これがときどき流れつき、当時、現場付近で砲弾を捨った二人が死傷した事件があった。」こう記事になっているわけですから、警察の方はその辺は危ないということを十分に承知していらっしゃったと思う。新島の場合も、現場は危ないですよといいながら、不慮の事故でこうやってたき火で亡くなってしまった。これをやると、この新島の場合も、四十七年に提訴して最高裁の上告棄却の判決が出たのに十数年かかっているのです。今杉崎さんに私は弁護士を紹介しましょうと申し上げた。でも、これから十数年かかったら生きていらっしゃるかどうか、これは失礼な言い方だ。でも、これから十数年、果たしてどうなのかな。健康のぐあいも、お年をとられていらっしゃるし、何の一言もないという実態を考えて、私は官房長官にこの問題についてどうお考えか最後に聞きたいわけでございます。後々のために、これはごく事務的な問題でございますから、関係省庁もおいでだと思いますので、簡単に言ってください。 警察庁にお伺いをしたいわけでございますが、戦後不発弾処理によって死傷事故、亡くなった方の事件はどういう実態であったか、簡単におっしゃっていただきたい。 またもう一点は、ただいま申し上げた四十一年七月十六日の千石海岸の死傷について、現場を検証なさった警察としてその実態をどう認識していらっしゃるか、それから私がさっき申し上げたように、六件のうち事件となったのはどれなのか、この件ちょっと簡単にお願いしたいのですが。
○伊藤説明員 お答えいたします。 現在までに私ども警察庁で把握しております不発弾の爆発によります死傷事故は六件把握しておりまして、死者十六名、重軽傷者七十二名という状況でございます。 御指摘の昭和四十一年七月十六日の事案についてですが、当該事案は四十一年七月十六日の午後三時十五分ごろ、神奈川県の平塚市千石海岸で、横浜市内の材木店の店員それからその得意先等の九名の方が、家族ぐるみのレクリエーションでハマグリとりをしながら同海岸で木材等を拾い集め、この後ハマグリ等の煮炊きのためにたき火をしておりましたところ、木箱様のものが突然爆発いたしまして、三名が亡くなられまして二名の方が重傷を負ったという事故でございます。 これらの事件につきましては、私どもも業務上過失致死傷等の疑いで所要の態勢をとりまして鋭意捜査をするのが通例でございますけれども、事案の性格上加害者の特定が大変難しいというのが実態でございます。当該事案につきましても、所轄署あるいは警察本部を中心に強力な捜査を展開したわけでございますけれども、残念ながら加害者の特定には至らなかったというように承知しております。 以上でございます。
○薮仲分科員 防衛庁さん、ちょっとお伺いしたいのですが、私は不発弾というのをよく知らなかったのですよ。防衛庁さんがおできになるのは、自衛隊法で何がおできになるのですかと聞きましたら、自衛隊法の附則で「自衛隊は、当分の間、長官の命を受け、陸上において発見された不発弾その他の火薬類の除去及び処理を行うことができる。」これだけです、こういうお話でした。 それはそれでやむを得ないとして、では戦後この四十年間の間に不発弾を処理した件数は何件だったのか、件数とトン数を、五十五年以降、六十年までわかれば、それをちょっと言っていただきたい。それから、不発弾というのは現在爆発しないのか。信管はさびているかもしれないけれども、ショックがあれば爆発する可能性があるのかどうか、その辺もあわせて御説明ください。
○大森説明員 お答えいたします。 不発弾の処理業務につきましては、防衛庁といたしましては、三十三年まで通商産業省がやっておりましたけれども、それから受け継いだわけでございますが、それ以後六十年の十二月末までの数字で答弁させていただきたいと思いますが、トン数といたしましては三千八百七十二トン、件数といたしまして七万三千九百件という実績になっております。 最近五カ年間の不発弾の処理実績でございますが、五十五年度は百十七トン、三千二百三十件、五十六年度百九十三トン、三千七百二件、五十七年度百四トン、二千八百六十四件、五十八年度九十三トン、二千九百十一件、五十九年度は百二十四トン、三千八十四件ということになっております。六十年度につきましては十二月末までの実績でございますけれども、七十五トン、千八百八十八件ということになっております。 また、不発弾の状況でございますけれども、この状況について一概には申し上げかねるわけなんですけれども、爆発するかどうかということは、基本的にはその信管が生きているかどうかという場合でございまして、通常の場合、地中にあったり海中にある場合には、腐食したりさびがあったりしてすぐには作動できないような状況にある場合があるのですけれども、いずれにしても、信管が生きている場合には衝撃により爆発する可能性があるということだと思います。
○薮仲分科員 もう時間が余りないものですから、いろいろ聞きたいことがあるのですが、最後に長官の御意見をお伺いしたいと思うのですが、その前にもう一つ、長官、知っていてもらいたい。 私は関係省庁に、こういう方を救う方法はないのか、現在法制が何もありませんとおっしゃるけれども何か救えないか。例えば厚生省に、身障者で救えないか。身障者の場合は機能障害、例えば目が御不自由になられた、あるいは悪い話ですけれども手が、指が切断したとかそういうような機能的な障害というものがございませんと、障害者として給付しにくい実態にございます、こういうお話もございました。 ならば、加害者がわからないような災害に対してほかに例は、国としてはやらないのか。これはもう官房長官先刻御承知のように、国はいるいろ考えておるわけですね。例えば長官が十分御承知の犯罪被害者給付金支給制度、行きずり殺人といいますけれども、これも国としては何とか救済してあげようということでこの制度ができておるわけですね。これは御承知のように遺族に対する給付も決まっておりますし、障害には一千万近く、あるいは遺族に対しては八百四十五万という最高裁の裁定も出ておるわけでございます。 また、そのほかに厚生省が、例えば、いわゆる薬害ですね。薬害で図らずも副作用等で悩んだ場合に、御遺族に対してどうであるか。遺族年金も約五百四十六万とかあるいは年金を支給するとか、しかもこれは裁判をしても国はその支給をとめません。こういう医薬品の救済もございます。また、予防接種を普及するために、予防接種で起きたときには、この場合も死亡一時金がちゃんと出ます。これでいきますと、これはもう相当な金額ですよ、一千七百万。本当は、お役所が来ていますからお役所に答えていただきたいのですが、時間がありませんから。あるいは自然災害のときも弔慰金を国はきちんと災害弔慰金として三百万、こうやってやっているわけでございます。 今度の場合は、お見舞の一言もあるいは弔慰金の一言もなかった。私は、もしも、官房長官がこれからの法制の中でこういう問題をどう処理してくださるか、法律がなければやはり官房長官として立法措置について御検討いただきたいし、少なくとも戦後四十年、また、傷ついたままずっと黙って我慢してこられた杉崎さんに対して弔慰が、いわゆる中曽根内閣として、傷をいやす意味で、あっていただきたいと私は一人の人間として思います。自分の妻が、自分の子供がそうなったときに、やはり政治に対する信頼と行政に対する信頼というのは、そこに血が通うか通わないかに私はあると思うのです。 今官房長官は、決断すれば少なくともこの人の悲しみにある程度おこたえできる力を持っていらっしゃると思う。私はその官房長官に百も承知のことをくどくどと申し上げて大変恐縮しておるわけでございますが、何とかその人の心の傷を、戦後四十年たって明るいあすの社会を築こうというときに、やはりまだ悲しみに耐えながら生きているその御家族もいることを知っていただいて、どうかそういう人に行政の、また政治の温かみを何とか検討していただきたい、これは私のお願いです。 わずか三十分で杉崎さんの二十数年間の悲しみは伝えられなかったと思う。しかし、杉崎さんは言いました。私の前で泣いてましたよ。悲しいと言っていました。どうか、その杉崎さんの御家族に語りかけるような官房長官の御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○後藤田国務大臣 平塚海岸での不発弾の事故について、きょう薮仲さんが御質問なさるということを事務当局から聞きまして、経緯の説明を受けました。こうした事故は、本来ケース・バイ・ケースで適切に処理すべきものだと思います。 ただ、この件について見ますと、四十一年の事故で、四十二年に神奈川の行政監察局長から、次の国会で議員立法で解決するはずだ、それについては関係の役所も了承済みであるからしばらく待ってくれ、こういうお答えを申し上げておる。四十九年の調査によりますと、当時の総理府の小坂総務庁長官が前向きの、適切な御答弁をなさっておる。ところが、今日までそれが依然として解決してない、こういう実態がわかったわけでございます。既に御承知のように、不発弾の処理そのものについては関係省庁が申し合わせをしまして、それぞれの適切な対応をしておるのですが、事故が起きた場合の後処理について、どこの役所が窓口になっているんだかさっぱりわからないという御指摘、そのとおりでございます。私としましては、これは放置するわけにまいりません。したがって、政府としましては早急に窓口を決めまして、そして杉崎さんの事件についても前向きに、適切な対応をいたしたい、かように考えておりまするので、御理解をいただきたいと思います。
○薮仲分科員 長官のただいまの御決意を私はかたく信じておりますので、杉崎さんの傷がいえるような御配慮をお願いして、質問を終わります。 ありがとうございました。
○浜田(卓)主査代理 これにて薮仲義彦君の質疑は終了いたしました。 次に、野口幸一君。
○野口分科員 私は、軍人恩給の未受給者、まだ受給されていない方々のことを一言。実態を調査させていただいて、さらにまた、今後のあり得べき対応のあり方につきましてお聞きをいたしたいと思います。 去る三月四日の京都新聞でございますが、投書がありまして、その投書をちょっと読ましていただきます。「軍人恩給の平等互恵図れ」これは見出しでございます。 四十年前に生命と青春のすべてを国にさざげ、ともに戦ってきた戦友も復員後、職業の選択により官と民の両方に分かれ、一方(官)は早くから政治の陽光を受け、一方(民)は民間自営で働いて来たという理由だけで政治の光を全く受けない谷底へつき落とされた。これが現実の姿であります。 われわれが長年訴えつづけてきた軍人恩給の平等互恵の原則に立脚した悲願はなぜ十八兆余円の軍拡費の前に、後いくばくも残されていない生命の尽きるのを待って葬り去られなければいけないのでしょうか。格差、差別扱いのため、このような矛盾に対して心からの怒りをこめて老兵が相寄り決起して関西で五年前から(他地区は八年前)軍恩是正運動を政府および中央に訴えて参りました。 六十年度、六十一年度と国家予算が計上され、総理府に特別調査室が発足し調査を実施中でありますが、調査即是正と連ならなくて別の方向に向かう可能性が出て来ます。 軍恩の平等互恵の原則に立脚した政治の光がもし当たらないとするならば、多くの参加を得て、重大な決意をしなければならないでしょう。 戦前戦中を全く知らない世代の方々には良く理解できにくいことかもしれませんが、以上のようなにがい苦しみを背負って、いまなお細々と生きる先の戦いの数多くの老兵士のいることを、また再度の戦争防止と平和を守るためにも銘記してほしいものです。未受給者の一人でも多くの参加支援をお願いします。実情を調べてみますと、この運動は随分前からおやりになっておるようでございますが、今もって方向が明らかでない。中曽根総理は、たびたび戦後政治の総決算ということを言われるのです。まさにこれも戦後処理の一つであると思うのです。 長官も御理解いただけると思いますけれども、軍人恩給は、御存じのように、元軍人は通算十二年以上、判任官待遇以上の元軍属は通算十七年以上の実在職者として、軍人恩給法の受給資格年限が定められております。ただ、これは戦地戦務加算というのがございまして、御案内のように、これは場所によりましては一年を四年に勘定するというところがございます。そうなりますと、通算十二年というのは、三年間だけでも実は軍人恩給をもらえるということもございます。ところが逆に、十二年ですから、内地に十一年おってももらえない、これはそういうことですね。そういうギャップがあります。 そこへもってきて、実は私もその該当者の一人なんですけれども、公務員の場合はこの期間を通算いたしておりまして、年金の勤続年数として断定さしている。ところが、民間で行かれた場合あるいはお百姓さんなんか、全然そういう恩恵に浴さない職業、例えばこの投書のようにいわゆる自営業等になられた場合には今日まで何にもないわけですね。お聞きしますと、二万円だったかどうか、ちょっと定かではありませんけれども、政府として国債を若干未受給者に対してお払いになった経緯があるやに聞いておりますが、これは私も詳しく調査をしておりませんので実態を知らないわけでありますけれども、いずれにいたしましても、戦後四十年たちまして、なおこういう戦争中のひずみが残っている。しかも、一部はそれを救済といいますか、国家公務員の場合は当然の公務期間として通算されているにもかかわらず、民間の場合は何ら恩恵に浴するに至ってない、まことに不合理な状況がずっと続いてきているわけであります。 加えまして、今、年金統合が起こりまして、すべての者が完全に支給されるようにということで、全国民の年金制度というのが今後なされようとしているところでございます。御案内のように、国家公務員の共済もあるいはまた厚生年金もあるいはまた国民年金も、将来は全部統合をしていこうという想定のもとに今日いろいろな施策がなされているわけでございますが、そういう場合にありましても、こういう関係の皆さん方には何ら関係ない。 実は、これは先ほどの薮仲さんの質問ではありませんけれども、きのうこの問題についてどこに聞いたらいいのかということをあっちこっちやりますと、現在までの経過というものについては総理府がお答えをする、先行きがどうなるかということについては私のところではわからない、恩給局に聞いてくれ、こう言う。恩給局に聞いたら、恩給局は恩給法等の改正をして、あなたのところはこういうぐあいになりましたからこういうふうにしなさいよということになってから初めて恩給局として御答弁ができる。じゃ、厚生年金の場合はどうなんだと言うと、それは私のところは関係ない、厚生省へ行ってくれ。みんな押し押しして、どこで自主的にその問題の解決をやろうとしておるのか全くわからないですね。 こういう状態を見ましてもわかりますように、これらの人々が血のような叫びをしているわけであります。非常に怒りを込めて今日までやってきておられるわけでありまして、一時、中西一郎さんが総務長官のときに、具体的な対応をお話しになったやに承っておりますが、その後どのような経過を今日まで経ているか、ひとつお話しをいただきたい。
○後藤田国務大臣 いわゆる恩欠者の御質問だろうと思います。御意見のようなことがありまして、官房長官のところに戦後処理問題懇談会をつくりまして、そして二年数カ月にわたって学識経験者の御意見を承って、一応の御意見はちょうだいをいたしたわけでございます。その中を見ますと、いわゆる戦後処理問題については、これ以上国において措置すべきものはないとするとともに、しかしながら、関係者の心情に深く心をいたすという趣旨から特別の基金を創設する、これが適当であろう、こういう御意見がまとまっておるわけでございます。それを受けまして、先ほど私がお答えいたしましたように、この特別基金の活用をどうやっていくべきかということで、現在それぞれの実情調査にかかっておるわけでございます。実情調査の予算も、去年もことしもついておるわけでございますから、その結果を待ちたい、こう考えております。 なお、御質問の恩協欠格者、一体恩給とは何ぞや、こういったような問題もございます。今、恩給受給者の中の声は、これはやはり国家補償である、こういう考え方でございますね。しかしながら、そうは言いながらも、やはり公務員としての退職後の生活を最小現保障しなければならぬ、こういった社会保障的な意味合いもございます。さてそうなると、社会保障の制度とどういう関係にあるのだ、こういうことで、社会保障一本にすべきだという意見も一方にあるのです。しかしながら公務に対する国家補償である、こういう物の考え方の方が強いわけですね。そこでこの間の調整はやらなければならない、こう考えておるわけでございます。 そこで、御質問の方は民間人でございますから、国家公務員だけ、つまり軍人軍属含めましておかしいではないか、こういうことで、御意見はよくわかりますけれども、これは公務というものに対する補償として出ているわけですね。そこはぜひ御理解をしていただきたい。そうすればやはり社会保障の一環として処理せざるを得ないので。はないか、こういう考え方も出てくるわけでございます。 しかも、今の御質問の方は、十二年というのがおかしいではないか、十一年の者がなぜいかぬのだ、こういうことでございますけれども、これはすっと過去の長い沿革がございまして、一応戦務加算はありますけれども、やはり十二年というのは一つの約束事であり、しかも定着をしている制度でございますから、これを恩給として扱うということは、先ほどのような戦後処理懇の議論の中でもこれはやはり無理であろう、やはりこれは基金を設けてしかるべく、お気の毒な立場にあるし、それからまた平和の重要性ということも認識してもらわなければいけませんから、そういう意味で基金をもって処理すべき課題であろう、こうなっておりますから、恩給局がそういう答弁をするのもやむを得ないのではないか。やはりこれは戦後処理懇の御意見を受けて、政府が今基金を設けてやろうとしておるその中で解決をしていかなければならない課題であろう。 なおまた、御質問の中に、わずかな国債か何かでということもあったやに今承ったのですが、やはりそれなりの処置は、国としてはそのときどきにおいて一応は処理をしてあるのだということも御理解をしていただかなければならぬ、したがって十二年を十一年にする、そうしますと、じゃあ十年どうだ、こうなるのは目に見えているわけですね。そうなれば八年どうだ、七年どうだ、こういうことになるわけでございますから、そこらは御意見、御心情はよくわかりますけれども、今この制度を政府として改めるというのは、実際問題としては大変困難な問題であろう、私はこう申し上げざるを得ないわけでございます。
○野口分科員 長官の言われるのもわからないわけではありません。しかし、この人たちが望んでおりますものは、確かに今公務員の場合は軍人恩給期間に相当するものを、おっしゃるようにいわゆる公務という形の中で受け継がれまして、勤続年数になって、全く一〇〇%それは生かされているわけですね。十一年でも十年でも八年でも同じなんです。私の場合は一年五カ月しかありませんでしたから一年五カ月ですけれども、たとえ少なくてもあるわけです。ところが民間の場合は全部ばっさり切られているわけです。何にもないわけです。そういう不合理から恐らくこういう怒りが出てきているのだろうと思うのです。それであくまでもこれは個人的に処理をされるべき姿のものであろう。だから、基金を設けてとおっしゃいますが、そういうやり方じゃなくてあくまでも、それはいろいろ方法はあると思うのです。一時金の場合もあるでしょうし、例えば厚生年金に何らかの形で移行させてその部分が生きてくるような方法を考えられないのかという部分もございます。 確かに長官の言われるように、この運動をしておられる方は大体一年以上軍隊におられた方を対象にしておられるようでございますけれども、一年未満の方は若干お気の毒ながらだめだということにしましても、少なくとも一年というと、それはいろいろあります。一年でも四年になる人もありますけれども、通算一年という勘定の仕方でいきましても何とか生かす方法はないのだろうかということを、私ども年金統合を手がけております中にありまして、矛盾は民間もそれぞれたくさんあるわけです。あるのですけれども、しかしこの問題は戦後処理の問題で随分いろいろな方々から、自民党さんも御苦心なさったものだと思うのです。実は私ども野党には余りこの問題を言ってこられなかったわけで、実情を知らなかったわけですが、実は自民党さんではこのことは大分前から手がけておられるようなわけですね。それにしても余りにも冷たい仕打ちがずっと続いておるので、とうとう私のところへ回ってきたわけじゃないのですけれども、私の心も心情的にひとつこれは何とかしてあげなければならぬじゃないかという気持ちがわいてまいりまして、党派を超えてこの問題は解決してあげなければならぬ、今のままでほっといてはいかぬのじゃないかということを痛切に感じました。 そこで、実はこんなことを社会党の代議士が質問するのは初めてだろうと思うのでありますけれども、年金の問題を私大蔵委員会におりましていろいろ手がけてまいりますと、矛盾矛盾がたくさんあるわけです。ところがこんな大きな矛盾は、勤続十一年で未受給者、片方は十一年そのままということがあります。一年加算されることによって、国家公務員の場合年金額がさっと上がるところもございます。したがって、調べれば調べるほど物すごく格差が多くなっているのです。これは大変だという気がいたしました。 それで、厚生省の方も来ていただいておると思いますけれども、厚生年金ではこのような制度改革に当たって何ら考慮をされなかったのかどうか、こういう話は出なかったのかどうか、ひとつお聞きをしたいと思います。
○谷口説明員 お答え申し上げます。 先生御案内のように、厚生年金あるいは国民年金は、サラリーマンの方々等を対象とする一般的な社会保障制度でございます。御指摘のございましたのは、軍歴期間のあった方々について厚生年金等で何らか特例的な扱い方をということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、厚生年金あるいは国民年金制度の発足の趣旨、その性格、一般的社会保障制度であるということになりますと、軍歴期間のある方々だけを特例的に取り扱うということにつきましては、やはり制度の公平という観点から問題があると考えておりまして、私どもといたしましては、これらの方々の軍歴期間を通算するという措置は、制度の趣旨からいたしましてとりがたいと考えているわけでございます。
○野口分科員 それは全く官僚的な答弁でして、血も涙もない話なんです。それは確かに、厚生年金の立場からいいましても国民年金の立場からいいましても、そぐわない部分かもわかりません。しかし一般的に考えた場合、軍歴のある人が一部では救済されている、つまり国家公務員の共済年金の場合はそれが生かされてきている。そういう矛盾があるわけでしょう。厚生年金の場合は、どんな形にせよ、あるいは国民年金の場合も同じでありますけれども、そのことを生かすというか、あるいはまた何らか考慮するという思いやりがどうして生まれてこないのでしょうか。今まで国民年金の発足の場合も厚生年金の発足の場合もそういうことを議論されてないままに出発したことは私どもわかります。わかりますが、後からこういう矛盾が出てきたんだということにおいては、当然そのような措置をお考えになるのがしかるべきじゃないかと思うのですが、どうなんでしょうか。
○谷口説明員 お答え申し上げます。 先ほども申し上げましたとおり厚生年金につきましては、例えばサラリーマンの方々を対象といたしまして、すべてのサラリーマンの方々に平等に年金制度の適用をし、そして平等に給付も差し上げるという制度となっておりまして、その中の加入者の方たち、いろいろな方たちがおられるわけですけれども、その中で一部の方々、先生の御指摘の軍歴期間のある方々だけを特例的に取り扱うということになりますと、全体の加入者の取り扱いの中で公平の観点から問題が出てくるのではないかという制度の趣旨からいたしまして先ほどのようなお答えを申し上げたわけでございます。
○野口分科員 同じことを繰り返しておっても始まりませんから、これは長官に話した方がいいと思いますけれども、これは逆に言いますと、これらの方々は、公務員のいわゆる通算期間を外せと言っているのです。もうこうなったら、逆におかしいじゃないか、それだけいいことをするのは、そういう話まで出てきてしまっておりますので、この問題は調査をしている、それで調査した結果そういうことになって、基金的なものになっていくということについて強い不満を持っておられるわけであります。今後これはあくまでも個々に対。応をした解決方法をぜひやってもらわなければ困ると思うのですが、長官、率直な意見を聞かせてください。 長年自民党の皆さん方に訴えてこられた方々がきょう傍聴に来ておられるのです。だから、どうしてもこのことを聞いて帰りたいということでございますので、長官の本当の生の声を、今の事態でこの問題をどう処理しようとするのか。もっとやりたいのですけれども、時間がございませんからしゃべりませんけれども、とにかくこの方々の言われていることは私は納得できるのです。野党の立場であっても納得できるのです。これは全く不平等なんです。 私どもも国家公務員を経てきていますから、私の場合は率直に申し上げて加算されているわけなんで、その分については文句を言わないわけです。ところが、お百姓さんに戻られた方、一般商店主の方というのはその期間は無償で帰ってきているわけでありますから、それをどこかのところで何とか生かして、一時金にするのか、あるいは国民年金の中で生かすとか、何らかの形でこれを救済しなければどうにもならぬと思うのです。長官もう一度、これからのこのような方々に対する対応のあり方についてどうお考えなのか、率直にお答えいただきたい。
○後藤田国務大臣 野口さんの御意見、私はそれなりに理解ができるのです。ただ軍人としての在職期間、これはひとしく公務でございますから、したがって通算になるわけですね。これは私は当然であろうと思います。ところが、それ以外の一般の方は、恩給欠格期限をもう少し短くしろということになると、これは際限のない問題になります。そうすると、社会保障制度でどうするんだ、こういう問題は残ろうかと思いますけれども、これらについても、今厚生当局からも話があったように、なかなか難しい問題が実際に伏在していると私は思います。そういうようなことで、それぞれの利害得失を二年間以上にわたって検討した結果が戦後処理懇のような御意見になっているわけでございますから、この時点で私のお答えとしましては、いろいろ御意見があるのはよくわかりますが、政府としては戦後処理懇の御提言に従って、基金制度の活用の中で何とかこれは考えていかざるを得ない、かように考えておるわけでございます。
○野口分科員 最後になりますが、くどいようですけれども、長官、この方々は基金でやるというそのことは知っているのです。そのことについては強い不満を持っていらっしゃる。それはなぜかというと、先ほどるる申し上げたとおり、個々人的にいろいろ差があるわけなんです。はっきり言うならば、十一年の方から一年まであるわけですね。それを恩給法を改定してということはなかなか難しかろうということは私もわかります。だから、何らかの形で個々に対応するということを考えていただけないでしょうか。基金的な問題ではなくて個々に何らかの形で対応をする。そして、その矛盾のある部分について少なくとも、これらの方々の御要求書なんかを見せていただきますと、特別立法をして何とか救ってくれということでございます。その特別立法の方法もいろいろありましょうが、これは政府・与党に随分陳情をなさっているわけでございますから随分、中の事情を御存じだと思うのです。その答えの中で、政府・与党の方々も、この問題は野党も反対はすまい、だからわかったと言っておられる部分もあるのですね。過去の新聞なんかを見てみますと、一時はおっしゃるように突き放したような返事をしていた部分は、自民党の皆さん方の御努力によってというかお力によって時の政府を動かして、待ったという部分もありました。そして、今日に経過していると思うのです。そして、今おっしゃるような形の中で処理をしようとされている。しかし、それは余りにも酷じゃないかということを私は申し上げたい。だから、後藤田さんみたいな実力のある長官がいらっしゃるのですから、この際きちっとそれらの方々を法的に救うという方針をぜひお願いをいたしたいと思います。長官、もう一遍お願いいたします。
○後藤田国務大臣 これは大変難しい課題でございます。しかし、私だって政治家なんですから、野口さんのおっしゃることもわからぬわけではございません。勉強はさせていただきたいと思いますけれども、この時点でどうするということは、野口さんの貴重なる意見として拝聴をさせていただきたい、こう思います。
○野口分科員 終わります。
○浜田(卓)主査代理 これにて野口幸一君の質疑は終了いたしました。 次に、米沢隆君。
○米沢分科員 私は、戦後処理問題、とりわけ軍人軍属の恩給欠格者問題について政府の見解をただしてみたいと思います。与えられた時間はわずか三十分しかありませんので、いわゆるこの戦後処理問題全般についての過去の歴史的な経緯や政府が行ってまいりました一連の措置についてはお互いわかっていることでございますから、私も長官も共通の認識がおるとの前提に立って御質問をいたしますので、御了解いただきたいと思います。 私は基本的に、今、野口先生の方からも問題提起がありましたように、どうもこの問題の処理の取り扱い等について、政府の方は例の戦後処理懇談会の答申を受けて大体答申どおりにやりたい、個人補償はやらない、こう言うとまた自民党の先生方が騒ぐのではっきり言いにくい。ところが、自民党の方はおれに任じておけ、運動次第によっては何とかなるぞと言っていろいろな団体をつくっておる皆さん方にいろいろと選挙運動をされる。結果的には、それに参加して自民党の先生方の話を聞くと、ひょっとしたら物になるかもしれない、しかし政府の話を聞くといつもがっかりだという蛇の生殺し的な状態で、今逆に何だろうかという政治に対する不信感を募らせておるのじゃないか。それが一番大きな問題であろうと私は思っておるわけでございます。そういう気持ちを込めて質問をいたしますので、時間もありませんから再質問がないようにはっきりお答えいただきたいと思います。 まず最初に、長官御承知のとおり恩欠者の方々の要請は端的に言って三つに集約されると思います。一つは、恩給法の改正をして短期軍歴期間に応じた恩給を支給すること、第二に、軍歴期間を公的年金に通算すること、第三に、戦務加算、抑留加算を見直すこと、この三点に集約されておると思います。 そういう意味で、この件につきましては、先ほど来議論になっておりますように、戦後処理問題懇談会の答申においてはことごとく否定的な見解が示されておることは私も承知をいたしておりますが、長官自身としてこのような要請について改善する方向で前向きで取り組んでいきたいという気持ちをお持ちなのかどうか、それともそんなこと言ったって無理だよという気持ちでおられるのか。この問題は微妙に、政府の立場を代表する見解といわゆる自民党の国会議員としておっしゃりたい見解とは異にするかもしれませんので、自民党の国会議員の一人として、後藤田長官はこの問題にまじめに取り組んで積極的に前向きにやろうという気持ちがあるという御見解なのかどうか。あるいは政府の閣僚の一員としてどのような見解を持たれるのか。その点を、別々で結構ですからお示しいただきたいと思うのです。
○後藤田国務大臣 先ほど来お答えを申し上げておりますように、こういった方々の気持ちが私は政治家としてわからぬわけではございません。そういう政治家の立場においては、自民党であろうと社会党であろうと、あなたの民社党さんであろうとそれは同じです。ただこの問題は、長い間の御要望で、戦後処理懇で一応結論の出ておる問題でございますから、官房長官として今別個の立場でお答えをすることはひとつお許しをいただきたいと思います。
○米沢分科員 では、政府としてはこの問題は既に終わったという見解に立って今から処理されようとしておるのか、どうですか。
○後藤田国務大臣 戦後処理懇の御提言に従いまして基金をどのように活用するか、その中でどう解決するかという観点に立って現在実情を調査中でございます。
○米沢分科員 結果的には、この三点の要請については、先ほど申しましたように、懇談会の答申は否定的、政府の方も今おっしゃったように否定的、こういうふうにとらざるを得ないのでございますが、ちょっと整理をさせてもらいたいのは、この三点についてどのあたりが問題になっていて、なぜできないのかということをはっきりと、この団体に参加していらっしゃる方々にわかりやすく説明をしてもらいたいと思います。
○鳥山説明員 恩給に関する部分についてお答えいたします。 まず第一点の恩給、つまり軍歴の年限に応じて恩給を出したらどうかという御要望でございますが、恩給制度も一つの年金制度でございまして、何年勤めれば恩給がつくかというのは制度としての基本的な約束事でございます。しかも、お働きいただいたときの一つの勤務条件であったわけでございます。旧軍人の方々、終戦後もう四十数年たっております。四十数年たった今日においてこの基本的な条件を変更するということは制度の基本的な根底に触れる問題であって、恩給制度としてはとてもできないというのが私どもの今までの検討の結果でございます。 さらに第三点の加算年あるいは抑留加算の見直しという点でございますが、加算年と申しますのは恩給独特の制度でございまして、危険な勤務、特殊な勤務におつきになったときに、実際の勤務年数を割り増しする制度でございます。この加算年の制度につきましては戦前それぞれきめ細かくその内容が決まっておりまして、特に戦務加算については、当時戦況の状況を一番よく把握しておった陸海軍省が中心となって種々検討の結果、内閣告示という形で示されておったわけでございます。私どもは、その戦前のお約束に従って今恩給を差し上げておるわけでございまして、この加算年というものを今見直すということは、そういう制度を前提として成り立っておる恩給制度の根幹に触れる問題であろう。 ただ抑留加算は、確かに戦後非常に特殊な期間であるということでつくった制度でございますが、これも種々検討の結果、一月につき一月という加算率を設けたわけでございまして、これを動かすことも、他の加算年あるいは一般抑留者とのバランスといった点から非常に難しいのではなかろうかと考えております。
○米沢分科員 通算の方はどうかな。
○田中(宏樹)政府委員 年金の通算の問題は、主管的には厚生省主管の問題で、厚生省からお答えをすべき問題でございますが、戦後処理問題を担当する立場から、受け取っております報告書の中身についてちょっと一言御説明させていただきますと、年金通算の問題につきましては、既に五十七年に一度、総務長官の諮問機関に軍歴通算問題についてということで諮問が行われまして、これの結論も出ておりまして、そのときも、年金恩給受給資格年限に満たない軍歴期間を厚生年金保険及び国民年金に通算することは適当でないということで結論が出ておりまして、今次五十七年から二年半かけました戦後処理問題懇談会でもそこをまたさかのぼりまして検討いたしましたが、やはり同結論でございまして、この問題はすべての国民が程度の差こそあれ何らかの戦争被害をこうむりということでございまして、国として個別に措置すべきものではないという一般的な結論を引き出しておる、こういうことでございます。
○米沢分科員 今おっしゃったことは、今までの懇談会の答申だとか今おっしゃった通算の問題の結論等で大体よく承知をしておるのでございますが、確かに軍恩の場合、十二年という年期が一つの約束事であったとおっしゃればそのとおりかもしれません。しかしながら、後ほどいわゆる抑留加算等が入って、逆に期間の短縮等を図る努力がなされたという一事からいたしましても、最初からその十二年が約束事なんだから絶対にそのことは短くすることができないんだというのではなくて、やり方いかんによってはやれるという、やる気があるかないかの問題だろうと思うのですね。あるいは通算の問題だって、確かに軍人軍属の場合には公務員である、したがって、公務員に就職された場合には通算できるが、民間に行ったら通算できない、これは理屈を言えばまさにそうかもしれませんね。同時に、例えば民間の厚生年金等々は従業員と会社側が半分ずつ出しておるわけでございますから、その金で払えという議論にもつながるわけですから、これはいろいろな問題があるかもしれません。しかし、これもやろうとすれば、検討いかんによっては、あるいは措置の仕方いかんによっては絶対にやれないということはないわけです。 そういう意味で、政府としてこの恩欠者の皆さん方の御要請をまともに受けて、少しぐらいは要請にこたえてやろうという気持ちがあればやれるものだ。確かに懇談会等々いろんな諮問機関を経て出てきた結論は難しいですねという結論かもしれませんが、政府としてやる気があれば方法論なんて幾らでも考えることができる。またそのことはやる気がないだけだ、そういうふうに受け取っていいんでしょうか。私はやる気を出して、少しぐらいいじってやったらどうだという気がするんですが、長官。
○後藤田国務大臣 これはもう随分いろんなところで御審議をいただいて一応の結論の出ておる問題でございますから、お気持ちはよくわかりますけれども、今これを改正しろ、こういう御意見がありましてもなかなか困難な課題である、かようにお答えせざるを得ません。
○米沢分科員 くどいようでございますが、恩給欠格者の皆さん方の心情を拝察いたしますと、確かに昭和二十八年に一時恩給がなされました。それから昭和五十三年に一時金支給の措置がとられました。しかし、一時恩給というのは実在職連続三年以上の者で、その額は最高九万三千円から最低一万五千百五十円にすぎません。また、一時金は実在職は断続して三年以上の者で給付額は定額一万五千円でありました。そういうところから、こういうような一時金の措置あるいは一時恩給の措置は、恩給受給者に比べてどうも問題の解決にならないという感覚が恩欠者の心情の中にあるような気がしてなりません。同時に、実在職三年未満の者は何の措置もとられてないではないか、こういうことも、言われればなるほどそうだと言わざるを得ないのでございまして、本源的な不満はまさにそういうところにあるのじゃないのかな、こんな感じがしてならないわけでございます。したがって、抜本的な見直しを行った上で抜本的な給付措置を講ずべきではないか、こういう主張が高まっていると思われるのでございますが、そういうような本源的な不満というものを本当にそのまま放置していいんだろうかという、そのあたりを長官はどういうふうにお考えなのか、再度お答えいただきたいと思うのです。そして結論的には、金がないからできないのか、それとも制度的には全然むちゃくちゃな要求なんだというように受け取っておられるのか、どういうふうに御理解いただいておりますか。 私は冒頭に申し上げましたように、もし政府の方が将来、全然検討する値もないという感覚でおられるならば、一々毎月金を払って団体の運営をして運動されておる皆さん方に気の毒だと思うのです。選挙の前になりますと、自民党に入れとか後援会に入れとか参議院で応援してくれたら何とかしてやるよ、そして票を集めるという選挙の手段にあの皆さん方が使われるということは政治家の良心としても本当に恥ずかしいことじゃないか、私はそう思うのです。このあたりをはっきりしてもらいたいというのが私のこの質問の趣旨であることを踏まえた上で御回答いただきたい。
○後藤田国務大臣 私は、先ほど来お答えをいたしておりますように、こういった方々の御要請がむちゃな要請であるなどとは考えておりません。しかしながら、こういった制度にはすべて何らかの線を引かざるを得ない、年限によって引かざるを得ない。そういうようなことで、戦後それぞれの時代で政府としては精いっぱいの処置を今日までとってきておると思います。しかしながら、それがいかにも当時の国が置かれておる状況のもとでの精いっぱいの処置でありましたけれども、今日となればいかにもこれはひどいではないか、こういう御意見が出るのもこれまたやむを得ません。しかし、それらを踏まえながら戦後処理懇等で十分論議をした上で結論が出ている問題でございますから、こういった結論に従って政府は処理をしておるんだという点についてはひとつぜひ御理解をしていただきたい、かように思います。
○米沢分科員 戦後処理懇の報告を読みますと、いわゆる恩給欠格者の問題もシベリア抑留者の問題もあるいは引揚者の残してきた財産の補償の問題等も、いずれの点についてもこれ以上国の措置すべきものはないというふうに述べられて、結局個人補償的なものは見送る。しかし、関係者の心情に配慮して、国出資の基金を設けて関係者に慰謝の念を示すとともに、平和を祈念する事業を行え。そして、基金の具体的運用は新たに検討協議の場を設ける。こういうことになっておるわけです。 そこで、このような処理懇の答申を政府としてどういうふうに消化されたかは定かではありませんけれども、この答申を受けた後、結局六十年度予算として一億五千七百万円が計上されたわけです。伺っておりますところ、基金設立のための検討費が五千七百万円、実情調査費が一億円だというふうに承っておりますけれども、先ほどから言っておりますように、この実情調査費をめぐって、そこに将来の展望を開くような見方をされたり、あるいはまた実情調査費が一体何に使われておるか、その事実いかんによって我々はもう運動をやめてもいいとおっしゃる方もある等々、この実情調査費が明暗を分ける、将来に希望を託せるかどうかの一つの足がかり的なものとして見られていることは事実だろうと思うのでございます。 そういう意味でぜひお伺いしたいことは、この六十年度の一億五千七百万円は一体どういうふうに具体的に使ったのか、また使おうとされているのか、その点の説明をいただきたいし、そして結果はいつ出るのか、そのこともぜひお知らせいただきたいと思います。
○田中(宏樹)政府委員 お答えいたします。 おっしゃるとおり、一億五千七百万の予算でございますが、そのうち、初年度なものですから、人件費といいましょうか、増員四名認められておりますので、人件費が二千万でございます。したがいまして、一億三千七百万がいわゆる検討費でございまして、うち三千七百万ほどはいわゆる基金の中身の詰めをやっていきたい、こういうことで、事務費も含めまして三千七百万でございます。それから一億の方は、おっしゃるとおり実情調査ということで先生御承知のとおりでございまして、対象も、といいますのは、恩欠、一口に約三百万、こう言われております。それから、シベリア抑留といいましょうか、強制抑留者が四十七万、こういうふうに言われます。在外も三百万ほどございます。年数も非常にたっております。兵籍簿から抽出をいたしまして、非常な手間暇をかけましてそれぞれ問題別に一万ずつサンプルを、名簿をつくりまして、無作為に抽出をいたしましてこの方に調査票を送付いたしまして、二月中に回収をして目下集計中でございます。かなりの金額を要した調査であるわけでございます。御本人たちの戦争との関連、どういうかかわり合い方をしたか。例えば軍歴が何年であるとか、そういうこと。それから、御本人が今、生活状況はどういうことにあるか。それからもう一つは、これが一番重要でございますが、特別基金にはどういうことを期待しておるか、どういう方向でこれを持っていってもらいたいかということを中心にいたしまして、目下調査を進めている最中でございます。 結果は、今年度内の事業でございますので、年度内に結果をいただきたいというふうに期待しております。
○米沢分科員 今お話を伺いますと、それぞれ一万のサンプルをつくって調査依頼をして、今その結果を集計中だ、こう聞いておりますが、結局その調査の中身ですね。確かに、基金をどういうふうにつくるのか、基金をどういうふうに運用したらいいのか、それはまさに処理懇の答申どおりの調査ですから、それなりに検討を加えてもらわねばなりません。 あと問題は、実情調査というのが恩給欠格者の救済措置について、それにつながるような実情調査がなされておるのかどうか、今後どういう救済対策が欲しいと思っておるかというような具体的な質問項目等が入っておるのかどうか、そこがみんな聞きたいところだろうと思うのでございます。 話を聞きますと、戦後処理懇の答申の範囲内での実情調査だということであれば、個人補償みたいなものは全然念頭にない調査だと見なければなりませんし、この実情調査費という中身の調査の仕方そのものに、ひょっとしたら実情の結果いかんによっては恩欠者のことも考えてやらねばならない、抑留者のことも考えねばならない、在外の皆さん方のことも考えねばならないというようなものにつながるような実情調査であるかどうかということなんですね。郷里に帰って先生方は、実情調査費をとったから、次は具体的に議員立法でもつくって金をとってやるというような演説をされておるわけでございますから、私は、そういうものに責任を持つ国会議員の先生がおっしゃるのですから、信じる人が多くあっても仕方がないと思います。しかし、この実情調査そのものの中身が一体那辺にあるのか、目的と具体的な質問項目が。その質問そのものの中に将来に展望が開けるような、すなわち結果いかんによっては個人補償につながるような、そういう質問項目がセットされておるのかどうか、そのことを私はまじめに聞きたいと思っておるのです。
○田中(宏樹)政府委員 先ほど官房長官からも御答弁いたしましたように、政府の方針ということでは特別基金、懇談会の報告に沿ってこれを具体化していくための基礎資料、こういうふうに思っておりますので、その意味では特別基金にどういうことを期待するか、どういうことを要望するかということを中心にいたしました調査でございます。ただ、これは記入していただいて、これを回収して調査をいたしておりますので、あるいはそういうことをお書きになっている方がいらっしゃるかもしれませんが、あくまでも政府の立場では、特別基金でどういうことが活用されて運用できるような御希望をお持ちなのか、こういう意味合いで調査をしているつもりでございます。
○米沢分科員 その実態調査費は、将来の展望が開けるような実態調査費だと演説されている皆さん方のことも考えて、はっきり物は言いにくいかもしれません。結果的に、今おっしゃったように、調査票には早く抑留者を救ってくれとか早く恩欠者の問題を解決しろというようなことが書いてあるかもしれませんが、それは参考資料になるのですか。
○田中(宏樹)政府委員 全然無視するつもりはございませんが、いずれにいたしましても、私どもの調査の建前に沿ったところで御協力をいただきたい、こういうふうに思っております。
○米沢分科員 全然参考にしていないわけではないとおっしゃいましたが、調査票の結果を集約される場合に、どんなことが書いてあるか、その部分についてもオープンにされますか。
○田中(宏樹)政府委員 調査の技法でいいますと、先生のおっしゃったことは恐らくオープンアンサーというのでしょうか、向こうが自由に記入をした形で出てくると思いますので、非常にコードといいましょうか、分類づけと集計が大変だ、こういう状況にあると思います。その部分だけおくれることもあるかもしれません。
○米沢分科員 はっきり言えば、処理懇の答申の範囲内での実情調査であって、その他に利用するような実情調査ではないと言い切っていいということですね。
○田中(宏樹)政府委員 私ども特別基金調査室が行う政府の調査でございますので、報告書の趣旨に沿って基金を具体化するための基礎資料、こういう調査でございます。
○米沢分科員 話によりますと、基金の使途について、例えばいろいろな運動をされておる方がおられますね。お金持ちもおられるかもしれませんが、戦後四十年ですからみんな年配者になった、余り収入がないのにやはり月々何ぼか払って運動を推進されておる、そういうところから、そういう運動の中心的な人の人件費を基金から払ってあげるんだとか、あるいは事務費を払ってあげるんだなんという話も伝わっておりますが、そんなことはないですね、あるのですか。
○田中(宏樹)政府委員 運動と基金の活動とは直には結びつかないと思います。中身をどういうようにされておるか存じませんが、私どもは粛々として政府の施策としての基金を創設したい、こう思っております。
○米沢分科員 もう一つ。このような運動母体が今任意団体だ、これを公益法人にしてほしいという話があります。これはかなり具体的に進捗しておるという話を聞いておりますが、公益法人化の問題について今どういうような状況にございますか。そしてまた、公益法人になったならば、一体政府としてどういうように取り扱いが変わってくるのか、そのあたりを聞かしてもらいたい。
○田中(宏樹)政府委員 法人の話は多分このことだと思います。 社団法人全国元軍人軍属短期在職者協力協会というものを認可をしていきたい、こういうふうに思っておりますが、これはいずれにしましても恩給の欠格者の運動と直にパラレル、こういうふうなことではございません。御承知のとおり、公益法人というのは公益を目的とするということで非常に厳格な審査を経た上で認可される問題でございます。この団体は、「戦後処理問題に関する政府施策に協力するとともに、戦争体験の後世への伝達等を行うことにより、国民の福祉の向上に寄与し、永遠の平和を希求する。」ということを目的にして設立されるという団体でございます。
○米沢分科員 ちょっと不可解なのは、今述べられた法人は、結局、個人補償等を含めて恩給欠格者の皆さん方の問題を解決するために運動として行っていこうというその趣旨が、法人の趣旨の意味づけを担っておるような感じがするのです。今、運動されておる皆さん方の運動とは直接的に関係ないと言い切れるのですか。言い切っていいのですか。
○田中(宏樹)政府委員 私どもは戦後処理側題懇談会の結論を得まして、政府としてはこういう特別基金を活用してこの問題に対処したい、こういう考え方を一生懸命御説明しているわけでございまして、この団体も、名称からして協力協会ということで、基金の事業の中身にも積極的に参与していきたい、こういうふうな団体という意味合いで認可したつもりでございます。
○米沢分科員 ということは、平和を祈念する事業等々に使われる基金をどういうふうにうまく運用してもらうのかというそのあたりに意見を具申したりあるいは協力をしたりする、結論からいいますと、処理懇の答申の範囲内のことをする公益法人、こういうふうに理解してよろしいですか。
○田中(宏樹)政府委員 先ほども言いましたようなことが目的でございまして、ちょっと触れましたように、戦後処理に係る特別の基金が行う事業等に関連する事業、戦争体験者の平和講演会の開催あるいは戦争体験に関する刊行物の刊行、戦没者の各種慰霊行事への参加等々の中身の仕事をしてもらいたい、こういうふうに思っております。
○米沢分科員 時間が来ましたからこれで終わりますが、物事というのはみんなそうでございますが、やろうと思わなかったらやろうと思わない理由は何ぼでもつく、やろうと思ったらやり方いかんによってはやれる、私はすべてのものがそういうたちのものだと思いますね。そういう意味で、この戦後処理の問題は、一番問題になっておることは、政府として今はもうやらぬ理由を一生懸命考えていただいておりますが、やる理由、やらねばならない、やってあげよう、そういう前向きな姿勢をとってほしいというのがまさに切なる要望だと私は思うのですね。もしそういうものさえ、全然もってだめなんだ、気持ちはわかるけれども、考えてみてくれよ、だめなんだよ、こうおっしゃるなら、もっとけじめをつけて、やれないならやれないとおっしゃっていただく方が、運動を一生懸命やっていらっしゃる皆さん方にとっては一面親切ではないのかな、こんな感じがしてなりません。私の周辺にもこの団体に加わっていろいろと将来を案じておられる方がたくさんおられますけれども、その皆さん方の一様の不安は、これほどやっても何年もかかる、自民党に任せれば何でもやってくれると言いながら一向に進まぬではないか、このままいって本当にいいんでしょうかという不安ですね。もしこのままだまされ続けるんだったら、本当にもうやめたと言ってもらいたいという切なる声がたくさん届いておることをぜひ念頭に置いていただきまして、まやかしの議論はしてもらいたくない。やろうとするならまじめに、十年かかっても二十年かかっても、ちょっとずつで結構ですが、何かやろうという結論を得てやっていただく、そういう方向に政府の姿勢が転換されるように私は心から期待を申し上げ、お願いも申し上げたいと思うのです。 最後に官房長官の御意見を伺って、質問をやめたいと思います。
○後藤田国務大臣 政府はいかなる場合にも、こういったお立場に立っていらっしゃる方に温かい気持ちで対応はしなければならない、これが基本の考え方でございます。しかしながら、今、米沢さんの、やろうと思えば何でもできる、これも一つの御議論でしょう。しかし、やろうと思ってもできないものも世の中にはあるんだということの御理解はぜひしておいていただきたい、かように思います。
○米沢分科員 終わります。
○浜田(卓)主査代理 これにて米沢隆君の質疑は終了いたしました。 次に、渡部行雄君。
○渡部(行)分科員 最初に、昭和五十九年十二月二十一日付で戦後処理問題懇談会の報告書が出されたわけでございますが、その後、六十年度に調査費として一億五千七百万、それからことし、六十一年度は一億三千五百万円というふうに予算計上がなされたようでございますが、この調査費は一体どういうふうに使われてきたのか、その経過について、内容を具体的に御説明願いたいと思います。
○田中(宏樹)政府委員 先生御指摘のとおり、今年度の予算は一億五千七百万でございます。そのうち二千万がいわゆる人件費でございまして、特別基金調査室設定のために四名増員を認められました。この人件費でございます。したがいまして、一億三千七百万がいわゆる検討調査費でございまして、三千七百万の方は、種々事務費も含めまして検討調査室のいわゆる経費でございます。それから一億円を、実情を調査するということで予算をいただきまして、今年度、先生御承知のとおり三問題ございますので、それぞれ三百万あるいは五十万近い、あるいは在外財産の方も約三百万という対象でございます。この方々の兵籍簿を中心にいたしまして、これを抽出、サンプル調査いたしたい、こういうふうに思いまして、非常な手間暇をかけまして一万ずつ、約三万人を抽出、サンプルをいたしまして、これに調査票を送付いたしまして、目下集計中でございます。これが約一億でございます。 それから来年度、六十一年度予算につきましては、先ほどの人件費の二千万の方は総理府の全体の人件費の中に溶け込んでしまっておりますので、別掲しておりません。したがいまして、二千万別にあるわけでございます。前年どおり三千五百万、約二百万は事務経費の節減でございます。三千五百万がいわゆる検討経費でございまして、残り一億、もう一度実情について補完的なことで調査をしなさい、こういうことで、目下中身は詰まっておりませんで、いわゆる調整費としてついておりますので、これから中身は検討させていただきたい、こういうふうに思っております。
○渡部(行)分科員 聞いているとなかなか耳ざわりのいいことを言っておりますが、実際には、社団法人新情報センターというところに相当の金が渡っているのですね。そしてこれが内閣総理大臣官房特別基金検討調査室と一緒に文書を出して、そしてアンケート調査をやっている。この中身というのは、全く何を目的にこういう調査をするのか、こんなのは既に復員したときに厚生省が全部調べてあるはずですよ。こういうところに一億も二億も金を費やしているというのは、私は国費のむだも甚だしいと思う。私その調査資料をここに持っておりますが、これは何を調べようとしているのですか、その目的について明らかにしてください。
○田中(宏樹)政府委員 引き揚げ時の実態といいましょうか、その方についての事柄は、その時点では把握をしてそれぞれ省庁、例えば厚生省なら厚生省の引き揚げ援護のところで持っているかもしれません。ただ、その時点から既に四十年たっておりまして、いわゆる兵籍簿、例えば早い話が、現住所そのものも一緒になっていないというようなこと、あらゆることを、既に相当な時間を経過しているということで、私どもとしては把握できないというところが一つございます。そういうことも含めまして調査をさせていただきました。
○渡部(行)分科員 私の言っていることがどうもわかりにくいらしいね。どういう目的を持ってこのような調査をやっているのかということなんですよ。しかも、先ほどの質問者の答弁には、何か戦後処理問題懇談会が出した報告書の縛りの中で調査をしているのだ、枠がちゃんとかかっているのですね。それなのにこういう調査、あなたの家族は何人ですか、今どういう職業についていますかとか、そんな調査したら、個人対象に補償が来るものだと思い込んでしまうのですよ。この処理懇の報告書と今の調査との関係はどこにおるのですか。
○田中(宏樹)政府委員 私どもの意図するところは、特別基金の事業の中身につきましては、一般的な方向は示されておりますけれども、設立形態あるいは事業内容あるいは他の政府施策との調整その他検討すべきことが多々あるわけでございますが、それぞれ関係の方がこれまで思ってらした、あるいは運動されてきたことも踏まえまして、どういう御意向を持っているかということは生には一度も聞いたことはないわけでございまして、ぜひ調査をさせていただきたいという意味でございます。
○渡部(行)分科員 そうすると、生の調査を聞いた結果によっては、戦後問題にかかわる人々の要求も聞き入れられる要素があるというふうに受け取っていいですね。
○田中(宏樹)政府委員 私どもの調査の中身は、先生御指摘のように、それぞれサンプルに当たりました方が戦争とどういうかかわり合いを持っていたか、もう一つは現在の生活状況はどうか、もう一つは特別基金についてどういう期待、意向を持っているか、この三点を中心にして調査をさせていただいたつもりでおります。そういう内容になっておると思っております。
○渡部(行)分科員 私は時間があればこれを一問一問反論してやりたいのだけれども、時間がないから、もうあなたも中身は知っているからだけれども、この調査に答えた人は、恐らくこれは戦後処理懇の結論とは違って、我々の補償に対する調査をやっているのだろうという錯覚を起こしますよ。そうすると、戦後処理懇の結論がいまだにあいまいにされているためにいろいろな運動がまた出てきているのです。それは先ほどもあったように、公益法人だということで軍恩欠格者の法人ができてきているのじゃないですか。それを正式な名前で、その役員等について名前を明らかにしてください。
○田中(宏樹)政府委員 名称は、社団法人全国元軍人軍属短期在職者協力協会でございまして、「戦後処理問題に関する政府施策に協力するとともに、戦争体験の後世への伝達等を行うことにより、国民の福祉の向上に寄与し、永遠の平和を希求する。」ということを目的にしております。 それから、今ちょっと役員の名簿は持っておりませんので、後刻また御説明に上がります。
○渡部(行)分科員 こういう目的を使えば、ほかにも幾らでも公益法人は許可するのですか。
○田中(宏樹)政府委員 他の部門につきまして一般的にどうというのは、これまた同じ総理府でございますが、管理室が公益法人の統一的な認可ということで、管理ということで最近は非常に厳格にやるように指導監督を強めておりますが、それ以外で申し上げますと、ほかにこういうのが出てきたらどうかと言われましても、ちょっと私、今答弁の資料を持っておりません。
○渡部(行)分科員 これは実は皆わかっているのですよ。相当の資料が流れて、軍恩欠格者の全国の会長も、もとは櫻内さんが議員連盟の会長をやっておったのですが、それもいつの間にかどうかわったんだかわからない状態になって、そして今ある方が長になって、どういうことをやっているかというと、家族の人まで入れて、入会して運動を起こそう、そして軍恩欠格に対しての我々の目的を達成しよう、ところが、これが個人ではどうしてもだめだから社団法人にして、そうして法人化すれば何とかなる、こういう言い方で、今度それには二、三万かかるからその金をひとつ出してくれ、これで大分広くこの宣伝がなされて、本気になってここに入ってきている人たちがいるんですよ。そういうことを聞いていませんか。
○田中(宏樹)政府委員 ただいま申し上げましたような趣旨、目的に賛同すれば、社団法人でございますので一般的にどなたでも入会できる、こういうふうに運営をしてまいりたいと思っております。
○渡部(行)分科員 問題は、一方でなぜ入るか。これは戦後処理懇の結論を不満として、何とか自分たちの目的を達成しようという人たちが入って、今度逆に言っていることは、政府の施策に協力する、いわゆる戦後処理懇の結論に協力する、こういう形で入っているんだとあなた方は認識しているけれども、全く逆なんです。その真相が全然逆であるということを知ったら、政府はどういうふうにこれに責任をとるつもりですか。
○田中(宏樹)政府委員 まだ発足早々なわけでございますが、先ほども申し上げましたように、公益法人の指導監督ということにつきましては国会でも非常に論議のあるところでございます。私どもの発足早々の法人につきましても、厳重に目的あるいは事業内容につきまして公益性を失するようなことのないように指導監督をしてまいりたいと思っております。
○渡部(行)分科員 時間がありませんから、他に移ります。 そこで、抑留者に対する補償の問題ですが、戦後処理懇の報告書を見ると、均衡を欠く、そして戦争損害の一種であるからというのが主な理由になって、補償する意思はない、ただし基金に切りかえて何とかこの事実を後世に伝えたい、こういう趣旨なんですね。しかし、これは公平という立場、そういう点から見た場合に、実際に西ドイツやイタリーは戦後処理として補償されているんですね。国際的な公平という観点から見たら、一体こういう措置はいいのかどうかということが第一点。 もう一つは、これは官房長官に聞きますが、アメリカの捕虜になった方あるいはフランス、イギリスの捕虜になった方々は、労働賃金が当時使った将校のサインで日本の大蔵省から支払われているんです。そうすると、アメリカやイギリスの捕虜になった方は労賃が支払われて、そしてソ連の強制労働についた人たちは支払われない、これは公正を欠きませんか。この二点。これは官房長官からお願いします。
○田中(宏樹)政府委員 私も余り各国の事情等は詳しくないのでございます。といいますのは、これはもちろん我が国としては未曾有の初体験の事態でございまして、特にほかの国がどうこうということは、それぞれの国情あるいはそれぞれの考え方で差異があること自身は、これはやむを得ないことではないかと思います。我が国として足らざる措置があったかどうかという観点で戦後処理懇では二年半にわたりましてこれは討議をしたはずでございます。そういう意味合いで私どもは結論を受け取っておるわけでございます。
○渡部(行)分科員 あなたの今の答弁というのは全く説得力がないですよ。国際的な一つの公平という観点から見てはそういうのはわかりません。それでは国内で、一方の捕虜には賃金を払って他方の捕虜には賃金を払わない、そういうのは国の事情と言っても同じ国の中の問題じゃないですか。何にも勉強してないであなたは時間ばかりかけていいかげんな、戦後処理だなんて言っていなさんな。どこまで調べているんだ。片方は国のために命がけでやってきているんだよ。もっと責任ある答弁をしなさい。
○田中(宏樹)政府委員 誤解があったかと思いますが、国としての措置をとったという意味で西ドイツその他の国の例と我が国のところでは国情その他が違う、こう申し上げたのです。そういうことでございまして、行った先での、抑留された場所ごとの差によります差があるということについてはまた別途の話か、こう思います。
○渡部(行)分科員 時間がありませんので、本当に私はこんな答弁は聞いていられないと思う。腹の中で怒っているのですけれども、これ以上議論してもいたし方ありませんが、国情で解決できる問題ではないということをよく考えてください。今の日本の国情というのは、世界の金持ち国になっているのですよ。当時ならいたし方ありません、戦後間もなくならば。今は世界でアメリカを追い越すくらいの金持ち国だと言われているんじゃないですか。それがなぜ国情、戦後直ちに敗戦の中でやった西ドイツやイタリーがあるのに、国情の違いだなんということで国のために命を捨てた人たちを、あなたそういう表現ではとんでもない話だよ。 さてそこで、次はシベリア抑留者の年金加算、恩給加算の問題についてお伺いしますが、これも戦後処理懇でもその過酷な労働を強制されたこと、そして戦争以上の悪条件の中に置かれたことは認めているはずです。しかも、栄養失調や危険作業のために命を落とした者が五万五千から六万人と言われておるわけです。これは日露戦争の死亡率の約二倍に当たるのです。こういうひどいところに抑留されておった人たちが帰ってきて、死亡者も何もいないで帰ってきたところの抑留者と一緒に扱われて、わずか一年の抑留加算という本当に名前だけの加算をしておるわけでございます。 ところが一方、同じ恩給法の中で戦争に行って戦地にいた人たちは一年に三年、いわゆる一カ月につき三カ月の戦地加算がなされているわけです。その戦地加算がなされているにもか加わらず、これは戦争損害の一種であるという言葉だけで片づけているのですよ。この言葉はカナダ判決から出てきている言葉なんで、質的に全く違うのだけれども、これで片づけておる。しかし、日本も法治国家として一つの法体系の中で、一方には戦地加算をやる、他方には、戦地以上のところにいた者に抑留加算だとして一年しか、月に一カ月しかやらない、これは不公平だと思いませんか。官房長官、どうですか。
○鳥山説明員 事務的にまずお答えさせていただきます。 この抑留加算の制度は四十年につくったわけでございますが、この四十年につくる際に、ただいま先生おっしゃいましたような当時の実情というものを十分調査検討いたした結果つくったわけでございます。 確かに五十七万人の抑留者の中の一割、五万五千人が亡くなっておられるというような実態は私どもよく踏まえた上で検討したわけでございますが、何分恩給制度は今おっしゃいましたように最高三カ月、二カ月、三カ月というのは戦争の勤務につく加算でございます。最低が三分の一月という加算がございます。 この抑留期間は勤務そのものではなかったにしてもやはり勤務の延長と見るべき期間であるということで、その間の御苦労に対して何か割り増しをしたい。しかし、全体のバランスあるいは恩給の適用を受けない方々も相当あったわけでございます。そういう方々とのバランスといったものを考えた場合に、恩給制度の中で類似性を持った辺陬・不健康地加算率、これは最高一月でございます。これを使ってやったということでございます。 これをさらに、今先生おっしゃいましたように、不公平ではないかという御議論もあろうかとは存じますが、制度としては先ほど申しましたような他とのバランスということから見てこれが妥当であろうということでつくったわけでございます。 〔浜田(卓)主査代理退席、主査着席〕
○渡部(行)分科員 他とのバランスの上でこれが妥当だというならば問題はないのです。問題はバランスがとれていないからこうしていつもたくさんの請願書なりが来て、そうして運動もどんどん盛り上がってきているのです。それはバランスがとれていない証拠なんです。しかも、今は情報化時代で、いろいろな資料なり的確な情勢の、当時のあった状態の判断などができるわけですから、この辺でそのアンバランスを私は見直す必要があるのではないか。そして、戦後問題というのはもうそろそろけりをつけて、本当に終わったのだという実感を国民に与えるべきだと思うのですよ。恩給をもらう人たちだって年々死んでいくわけですから、そういうものを考えると、国の命令で自分たちが非常に悪条件の中に置かれても、国は最後はよく見てくれたというものが実感として胸に響くようなものがあれば、私は過去の苦労もある程度忘れられると思うのです。ところがそれがないと、大変な政府不信の念に変わっていくのではないかと思います。 そこで、もう一度見直していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○鳥山説明員 私、バランスと申しましたのは、抑留された方々が軍人あるいは文官といった恩給法の適用職員だけでございましたら、それはそれなりの内部バランスだけ考えればよろしいわけでございますが、そのほかに一般抑留者、義勇隊とかそういう方々、つまり恩給の適用を受けない方々もおられたわけでございます。そういう方々との関係でいかがであろうか。さらに、恩給の場合におきましても、二十二年ぐらいまでに二十万人ぐらいお帰りになっておる。こういう方々は、たとえ三カ月、最高の加算をつけましても年金にならない方が相当出てくるのじゃなかろうか。そういう場合のバランスは一体どうであろうかというようなことを申し上げたつもりでございますが、以前から先生の御指摘の問題でございますので、引き続き勉強はさしていただきますが、非常に難しい問題であるということをひとつ御理解いただきたいと存じます。
○渡部(行)分科員 どうも時間でいたし方ありません。あとこれ以上やめます。 最後に人事院総裁にお伺いいたしますが、公務員給与というのは言うまでもなく民間の給与と均衡させる、これが最も基本的な問題であって、しかもこれは労働基本権の代償措置として憲法上の権利にまでかかわる問題であるわけです。したがって、人事院勧告というものの重みというもの、権威というもの、これを守るのは総裁の任務だと思うのです。そういう意味で、昨年は総裁談話で非常に具体的に指摘をし、政府に要求をしてきたようでございますが、依然として政府はその態度を改めないで、そしてまた抑制を続けておる。こういう状態について、公務員は相当の損害を受けておると思うのですが、この損害補てんを今後どういうふうに考えていくのか、またことしの人事院勧告についてはどういう決意で臨まれるのか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
○内海政府委員 勧告というものにつきましては、私も委員会その他の席でたびたび申し上げておりますが、今もお話しのように、これは極めて重要な問題でございますから、私どもも過去における勧告の完全実施ということにつきましては、政府におきましても重要な問題としてお取り上げくださるようにということをしばしばお願い申し上げ、昨年の勧告につきましては政府において大変努力をされて、実施時期は延びましたけれども、その比率あるいは俸給表というふうなものについては私どもの勧告がそのままお認めを願った、こういうふうに考えております。 本年におきましてどうするかという問題ですが、これはいろんな条件を考え、さらにこれからまだ調査を実施して、どういうふうな較差があるのかという問題も出てくるわけでございますから、今直ちにどうするということを言うことは困難でございますけれども、私どもとしては、この取り扱いにつきましては積極的な考え方を持って対応をしていきたい、かように思っております。 余につきましては主管局長から答弁いたさせます。
○鹿兒島政府委員 お話がございました損害、それからその補てんにつきまして御説明申し上げたいと思います。 御指摘のとおり、五十三年以降これまでの抑制あるいは凍結ということによりまして、私どもがごく大ざっぱに試算をいたしてみますと、一般の行政職平均で約六十二万円ほどの損害があったというような計算も出ております。大変残念なことに思うわけでございますが、これにつきましての補てんということでございますが、給与につきましては、私どもが勧告いたしますと、最終的には法律で決定されるという仕組みになっていることは御承知のとおりでございます。そこで、過去の勧告につきましてそれぞれ損害額が出ておりますことはまことに残念には思いますけれども、それぞれ法規によって決定されました以上は、私どもの現在の制度といたしましては、これをどうこうするということにつきましては限界を超えているというぐあいに考えている次第でございます。
○渡部(行)分科員 時間が来ましたので、最後に官房長官に今までの問題について総括的にお答えを願いたいと思います。 人事院勧告についてはことしはどういうふうに処理されるのか、それから戦後処理問題については処理懇の結論以外に考え直す部分があるのかどうか、その辺を明らかにしてもらいたいと思います。
○後藤田国務大臣 まず公務員の給与の問題でございますが、これは申し上げるまでもなく、今日の人事院勧告制度は政府としては最大限尊重していかなければならない、こう考えております。人事院の勧告がございますれば、もちろん国政全般との関連の中で政府としては適切に対応してまいりたい。それと同時に、ことし勧告があればどうするのかということにつきましては、これは五十九、六十、六十一、三カ年間で政府としては完全実施をする方針である、こういうお答えをいたしておりまするので、ことしの八月どのような勧告が出るかわかりませんが、その勧告を受けた段階で政府の方針どおりに処理をしてまいりたい、こう考えております。 なお、戦後処理懇の問題につきましては、先ほどからるるお答えいたしておりますように、私はこういった問題には政府はできる限りの温かい気持ちで処理をすべきことが基本であると考えておりますけれども、これらについては大変難しい問題が各方面に伏在をしておるんだということもぜひひとつ御理解を願いまして、現在の時点におきましては、我々としては戦後処理懇の御提言の趣旨を踏まえながら、そして同時に皆さん方の御意見も頭の中に置いて適切な対応をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○渡部(行)分科員 どうもありがとうございました。終わります。
○大村主査 これにて渡部行雄君の質疑は終了いたしました。 次に、吉井光照君。
○吉井分科員 私も戦後処理問題、特に軍恩欠格者の救済問題、そうしたことについて質問をいたすわけでございます。 この問題につきましては、最近国会を通じても非常に議論が高まっておりますし、また五十年当初ごろから全国的にこの運動も非常に高まってきているわけでございます。各政党は無論のこと、自民党内部におかれましても議連をおつくりになってこの問題の解決に当たっていらっしゃるわけですが、既に戦後四十年を経過したわけでございますが、いまだもってこうした非常に大事な問題が未解決のまま残されておるというところまでやってまいりました。しかし、最近のいろいろな動きを眺めてまいりますと、もう政府の決断次第ではないかというふうな気もするわけでございます。 一方、この問題につきましては、財政措置の問題等非常に厳しい問題も当然ございまして、なかなか難しい反面もございます。また該当者の掌握の問題、こうした非常に難しい問題もあろうかと思います。しかし、この問題につきましては非常に焦点も絞られてきたようにも思います。質問が重複する点も多々あろうかと思いますが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。 そこで、私も昨年の二月二十六日の予算委員会で戦後処理問題の質疑を行ったわけですが、そのときに、特別基金が創設をされて、そして六十年度予算に一億五千七百万円の調査費がついたわけでございます。しかし、この基金をどう動かしていくかについては予算の成立後に検討をしたい、こうした大臣の答弁があったわけですが、その後、この運営といいますか調査といいますか、それはどういうふうになってきておるのか。さらに、この一億五千七百万の積算基準についても昨年はまだ不明確であったわけですが、この点についての具体的内容、また調査方法等についてひとつ具体的に御説明を願いたいと思います。
○田中(宏樹)政府委員 先生御承知のとおり、五十九年の十二月に戦後処理問題懇談会の報告書が出されまして、その年の暮れの予算で、六十年度予算として御案内のとおり一億五千七百万の予算がつきました。それで早速新年度に入りまして特別基金検討調査室というものを総理府に設けまして、ここが検討をすることになりました。 それから、おっしゃいました基金はこれからでございまして、報告書の中では「今次大戦における国民の尊い戦争犠牲を銘記し、かつ永遠の平和を祈念する意味において、政府において相当額を出拙し、事業を行うための特別の基金を創設することを提唱する。」こういうことになっておりまして、したがいまして、具体的な事業内容あるいは財源措置、それから設立形態、どういった形でつくるかということも含めましてすべてこれからの検討に任されているわけでございます。 したがいまして、その一億五千七百万の予算を使いまして検討を進めてきましたが、予算の内訳を申し上げますと、一億五千七百万のうち二千百万が人件費でございます。四名の増員をいただきまして、これがこの室の中核をなしておるわけでございますが、この人件費が二千百万。三千六百万ほどが検討費でございます。これは検討調査室の事務経費というふうにお考えいただいてよろしいかと思いますが、各都道府県と連携をとりましたり、先生御案内のように、恩給欠格問題につきましても対象が約三百万、こう言われております。例えばシベリア抑留は四十七万、あるいは在外財産につきましても三百万、しかも御案内のとおり四十年前の話でございますので、いずれにせよ、兵籍簿から追っかけますと大変な手間暇がかかります。一億円の実情調査ということで年度当初から詰めておりまして、各県を煩わせまして、基本的には三つの問題それぞれごとに一万ずつのサンプルを、名簿をつくりまして、この一方の方に調査票を送りまして目下調査をやっているところでございます。二月に締め切りをいたしましたので、この調査を集計いたしまして、結果に基づきまして、なお先ほど言いましたどういう事業内容を盛り込んだらいいのかという点につきまして検討を進めたい、こう思っております。
○吉井分科員 今御答弁をいただいたわけですが、ちょっと確認をしておきたいのですが、軍恩欠格者が三百万、それからシベリア抑留帰還者が四十七万、それから在外財産喪失者が三百十万、それから台湾出身の日本軍兵が五百万、この数字は大体間違いないでしょうか。
○田中(宏樹)政府委員 前段の部分だけ申し上げますが、恩給欠格者といいます者は、大分前の集計ではございますが、一口に約三百万というふうに言われております。 それから、強制抑留者問題でございますが、シベリアから帰還された方の総数が約四十七万でございます。現在どの程度いらっしゃるか、こういうことに相なろうかと思います。 それから、在外財産問題につきましても、お話がありましたように約三百万、こういうことでございます。 台湾兵は、私ちょっと……。
○的場政府委員 台湾人元日本兵の死傷者は三万三百人程度というふうになっております。
○吉井分科員 そこで、昨年の四月に設置された戦後処理調査の対策室ですか、この対策室においていろいろと検討されるわけですが、大体の基本的な方向というか、そういったものはもうできているのではないかと思いますけれども、その点いかがでしょうか。もしできていなかったら、その具体的な問題はいつごろまでに大体検討を終えられる予定なのか、この点いかがですか。
○田中(宏樹)政府委員 先ほどちょっと読み上げましたが、報告書の中で言っております基金の中身につきましても方向だけ示されておりまして、具体的にこうせよということで御提言があったわけじゃございませんので、やはりこれは関係各省庁と詰めまして、あるいはそれぞれの団体といいましょうか、それぞれの三問題の関係者の御意向――といいますのは慰謝の気持ちをあらわす、こういうことも目的の一つでございますので、そういう御意向等も踏まえて事業の中身を固めたい、こう思っております。 今年度調査をさせていただいておりますので、この特別基金について関係者はどういう期待なり意向なり御希望なりというものを持っているか把握さしていただいた上で検討していきたい、こう思っております。
○吉井分科員 そこで、旧陸軍省関係者の名簿とそれから旧海軍省関係者の名簿の保管者が都道府県庁と厚生省に分かれているわけですが、これは歴史的経緯とかいろいろな関係があるにしろ、利用者の利便ということを考えたならば、やはり厚生省保管のものについても都道府県庁にも保管させておいた方がいいのではないか、このように思うわけですが、いかがでしょうか。
○田中(宏樹)政府委員 多分、旧軍の関係の処置をしやすい方法でそれぞれ所管をしたものですから、陸軍関係につきましては、それぞれ本籍地の県の師団司令部なり連隊なりの名簿が中心になっておりますので、これは戦後の陸海軍の仕事をどう引き継ぐかということに関連をいたしますが、各都道府県が兵籍簿を持っておる、こういうことに相なったと思うのですが、海軍は海軍で、御承知のとおり艦船に乗りまして、鎮守府はあるにせよ、あちこち移動するものですから、これは全国統一把握が必要だということにも経緯があろうと思いますが、いずれにいたしましても、現状は、海軍は厚生省本省で持っております。それから陸軍は各都道府県。ただ、これは私どもの所管ではございませんので、厚生省の御意見を伺いませんと、私どもとしては何とも言いがたいところでございます。
○吉井分科員 あわせて、六十一年度予算におけるところの特別基金の内容はどのようになっているか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○田中(宏樹)政府委員 六十一年度の予算は、先ほど申し上げました一億五千七百万のうち二千百万ほどの人件費は総理府本府の全体の人件費の中に溶け込みをいたしましたので、この分を除きました一億三千五百万というのが今年度の特別検討調査室の予算でございます。そのうち一億円は調査費ということで、もう一度実情把握なり補完的な調査をやるなりということで準備をさせていただいておりますが、まだ中身等につきましてはこれから対処したいと思っております。
○吉井分科員 次に、元軍人軍属短期在職者協力協会、この認可がおりたというように聞いておりますが、この協力協会の事業内容というのはどういうふうになっておるのか、お願いします。
○田中(宏樹)政府委員 先生御指摘のとおり、名称が社団法人元軍人軍属短期在職者協力協会ということでございます。 目的を申し上げます。戦後処理問題に関する政府施策に協力するとともに、戦争体験の後世への伝達等を行うことにより国民の福祉の向上に寄与し、永遠の平和を希求するということが目的でございます。 事業の中身といたしましては、戦後処理問題に係る特別の基金が行う事業等に関連する事業、戦争体験者の平和講演会の開催あるいは戦争体験に関する刊行物の発行、あるいは戦没者の各種慰霊行事への参加、元軍人軍属の軍歴確認に関する相談等という中身になっております。
○吉井分科員 そこで、シベリア、南方等に抑留をされて、御承知のように酷寒酷暑の中で過酷な使役を強いられてきたにもかかわらず、現在の社会生活において軍人恩給受給者との格差が非常に大きい、これは非常に不平等であるという声も強いわけです。したがって、軍恩欠格者で一カ月以上の軍歴を有する旧軍人軍属は、戦時加算率を加えた軍歴年限はすべて軍人恩給受給権者と同様、その同率を厚生年金または国民年金等の公的年金へ併合加算し、そして支給されるよう、厚生省等関係機関に働きかけたらどうか、このような非常に強い意見もあるわけですが、この点のお考えはいかがでしょう。
○田中(宏樹)政府委員 政府、特に総理府に置かれました戦後処理問題懇談会の二年半にわたる検討の結果でこの報告がなされたわけでございまして、その報告の趣旨は、国においてこれ以上措置すべきものはないというふうにしておりますとともに、関係者の心情に思いをいたすならば、特別の基金を設けて慰謝等の事業を行うように、こういうことが政府の結論でございます。したがいまして、私どもから厚生省にどうこうと言う問題とは違うように思います。
○吉井分科員 また同様に、旧軍人軍属に対するところの恩給受給権年限加算、これは現在一カ月に対してさらに二カ月の追加加算というのはできないのか、どうですか。
○鳥山説明員 御質問は、戦後抑留された方々の割り増し率が一月につきこれを戦務加算、つまり戦地なんかで勤務されたと同様に、一月につき三月、つまりもう二月追加したらどうかという御趣旨かと存じます。 この抑留加算の制度は四十年につくったわけでございますが、本来恩給制度が予定しておった制度ではございませんで、この抑留期間が非常に特殊な期間である、しかもその間非常に苦労をされたということで、何かその間の割り増しをすべきではないかという御要望に沿ったものでございます。ただ、割り増し率をどうするかという点につきましては、これは恩給制度内部のバランスあるいは一般抑留者とのバランスといったものを考えまして、恩給制度の中で最も類似した性格を持っております辺陬・不健康地加算の最高加算率が一月でございますので、この一月を採用したわけでございます。お示しのようにこれをさらに増率するということになりますと、全体のバランス上非常に問題があるのじゃなかろうか、このように考えております。
○吉井分科員 先ほど、国においてはもう措置すべきものはない、こういうことでございますが、それに対して基金をつくっていろいろと運営をしていくということでございますけれども、これもなかなか時間がかかりそうでございます。ところが片方の軍恩欠格者といった方々は、極端に言えばもうそれこそ一日を争う、もう一時も早くひとつ救済措置をとってもらいたい、だんだん老齢化してくるしといった状況にあるわけです。こうした恩給欠格者に対して、例えば税の面においての控除であるとか減税措置とか、そういった何らかの救済、援助というものは考えられないのか、こういったことについて大蔵省また関係機関に働きかけるつもりはないか、この点をお尋ねしたいと思います。
○田中(宏樹)政府委員 先ほども申し上げましたように、懇談会の報告そのものはそういう形で結論づけておりますので、私どもとしてはその線に沿って作業を進めさせていただきますが、先生の御意見はそれなりの官庁のところに御伝達いたしたいと思っております。
○吉井分科員 最後に官房長官に、これら軍恩欠格者の救済問題、ひいては戦後処理問題に対するところの所感をお伺いしておきたいと思います。
○後藤田国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、政府としては、できる限り温かい気持ちでこういった方に対する対処方針を決めてやらなければならぬことはよくわかります。しかし、この問題については、既に戦後処理懇でいろいろ御検討の結果御意見も出ておりますので、その線に沿って、その中で解決を図りながら、なおかつ皆さん方の御意見というようなことも頭に置いて適切な対応をしていきたい、かように考えております。
○吉井分科員 以上で終わります。
○大村主査 これにて吉井光照君の質疑は終了いたしました。 次に、近江巳記夫君。
○近江分科員 戦後処理問題といたしまして、軍人軍属恩給未受給者の対策についてお伺いしたいと思います。 まず、官房長官にお伺いしたいと思います。我々の大先輩といたしまして、官房長官は大正生まれですね。軍に行かれたかどうか、また行かれたとしたら何年行かれたか、ちょっとお答えいただきたいと思います。
○後藤田国務大臣 ちょうど満六年間軍務に服しました。
○近江分科員 それは内地ですか、外地ですか。
○後藤田国務大臣 外地でございます。
○近江分科員 そうしますと、外地といたしますと、官房長官は軍人恩給はあるわけですか。
○後藤田国務大臣 私は公務員が長いものですから、通算ということでございますが、加算を受けておりません。
○近江分科員 官房長官の場合は公務員、もと内務省におられてずっと通算になっているのですね。外地六年ですから戦時加算ということで、官房長官は当然継続ですけれども、民間へ転出されておったとした場合、これは軍人恩給が出ているわけですね。そうしますと、まず軍人恩給ですが、六十一年度予算で総額一兆五千六百億、対象者約二百四万人ですから、一人平均で七十六万円支給になっているのですね。ところが未満の人、二百九十五万人と言われておりますが、この人たちはないのですね。官房長官のように公務員で継続で行かれた人は、現在は共済年金ということになっておりますから継続がある。民間へ転出した人は、厚生年金なり国民年金なり何のジョイントもないわけなんです。ですから、そういう官民格差というものはそこに厳然としてあるわけでございます。 ここにはいろいろな問題が山積をしておりまして、十二年で恩給ということですが、内地におった人だって、大変な厳しい戦争下におきましてそういう同じ条件におかれておった。ですから、そういう加算ということももっと考えてくれたらいいじゃないか、そういう非常に強い声もあるわけでございます。そこで、いろいろな問題があるのですけれども、最も実力者と言われる官房長官でございますし、まずこの官民格差をなくす方法といたしまして、民間に働く人たちの厚生年金にそれをつなぐ方法はないのかどうか、ぜひ考えていただきたいと思うのですが、いかがでございましょう。
○後藤田国務大臣 恩給は、申し上げるまでもなく公務に一定の年限服した者に対して、いわば一種の国家補償といったような観点で支給されているものであり、さればといいながら同時に退職者の生活保障という意味もございますから、ある意味において社会保障とのバランスということも当然考えなければならない面がございます。しかし、基本的性格はやや異なるということでございまするので、今日恩給をもらっている者とそうでない者がいろいろな面でふぐあいがある、いろいろな御要求はよくわかりますけれども、そこはやはり恩給制度というものに立って物事を判断をせざるを得ない、こう思います。 だとすれば、御質問の中の民間の方で一定の年限軍務なら軍務に服した人、こういった人をどう扱うということになると、今日既に社会保障の制度がいろいろありますから、こういった面では社会保障制度の対象になっている方があればその面で救済をすべきものであるし、また救済をされておると思いますが、それにも外れておるということになれば、またいろいろな御要望もあると思います。思いますが、それらを含めながら戦後処理懇等で十分検討の結果今日のような御意見が出されておるわけでございますから、政府としてはそういう立場を基本にしながら処理せざるを得ないのだ、こういうふうに御理解をしていただきたい、かように思います。
○近江分科員 きょうは厚生省も来られておるわけですから、厚生年金等のジョイントについてはどのようにお考えなんですか。
○谷口説明員 お答え申し上げます。 先生御案内のように、厚生年金につきましては民間のサラリーマンの方々を対象とする一般的な社会保障制度ということでございますが、過去に軍歴期間のある方々を何とか厚生年金の中で評価すると申しますか特例的に扱うことはできないかという御趣旨だと存じますけれども、厚生年金につきましては一般サラリーマンを対象で、そういう方々につきましてすべてなべて公平に取り扱っておるということの観点からいたしますと、過去に軍歴期間のある方だけを特例的に取り扱うという点については、厚生年金の制度の趣旨からいたしまして問題があるというふうに私ども考えておりまして、過去の軍歴期間を通算する、何らか評価するという措置はなかなかとりがたいというふうに考えております。
○近江分科員 これは単に厚生省一省でできるものではないんですね。ですから官房長官、それは厳しい問題と政府は受けとめておられるわけですけれども、官民格差を何とかなくすということでぜひとも真剣にもう一遍検討していただきたいと思うのです。検討していただけるかどうか、御答弁をいただきたいと思います。
○後藤田国務大臣 こういった戦後処理懇の問題は、政府の基本的なスタンスは、やはり戦後処理懇の御提言の趣旨に沿ったやり方をやらざるを得ないと思います。ただ、その中でいろいろな御要望がありますから、そこらは十分頭に置きながら適切な対応をすべきものであろう、かように考えております。
○近江分科員 大体戦後処理問題懇談会は官房長官の私的諮問機関なんですが、これで報告書を出されておるわけなんです。それだからということで政府はこうなんです、これはちょっと私はおかしいと思うのですね。ですから、この諮問機関から出ておることは出ておるとして、これは毎年真剣な国民の声として我々が代弁しておるわけでございますし、政府として再度これをよく受けとめて考えていただきたいと思うのです。 それで、昨年は予算を一億五千七百万つけられて、ことしは減っているんですね、一億五千六百万。違いますか。もし私が違っておれば、それをちょっと答弁してください。
○田中(宏樹)政府委員 六十年度予算、今年度予算で一億五千七百万でございますが、そのうち二千百万は、実は増員をいただきました四名、特別検討調査室の人件費でございます。二千百万分は、来年度予算では総理府の全体の人件費の予算の中に組み込まれましたので別枠計上しなかっただけでございまして、今年度と同額、結局その分を引きました一億三千五百万というものは前年と同額でございます。
○近江分科員 いずれにしましても、同額ということでございましても、含めまして一億五千七百万、そうでしょう。(田中(宏樹)政府委員 (一億三千五百万です」と呼ぶ)一億三千五百万に二千百万でしょう。だからそういう金額ですね。 それでは、これで何を調査されるのかということですが、私はその調査のコピーを手に入れたわけです。内閣総理大臣官房特別基金検討調査室がやっておるわけです。それをいわゆる社団法人新情報センターというところに委託しているわけですね。そこで調査をしておられるわけです。ところが、調査の中身を見てみますと、いろいろとあなたは当時はどうであったかという点なども聞かれています。確かに聞いていらっしゃるのですけれども、結局いわゆる個人補償というか個人処遇というか、それにつながるようなものが全然ないわけですよ。要するに基金でそういう記念碑をつくるとか会議場をつくるとか、どういうことをあなたは希望しますかというようなことでございます。ところが、みんな希望しておりますことは個人補償してほしいんだ、額はそれは多いほどいいわけですけれども、国家としての気持ちが欲しい。それが全く打ち切られてしまっているわけでしょう。だからこういう調査ではますます暗くなるばかりです。非常にそういう声が上がっておるのです。これについてはどう思いますか。
○田中(宏樹)政府委員 先生にも御理解をいただきたいのでございますが、政府が行う調査でございますので、私ども政府の方針とするところに沿いました形で調査をいたす以外に方法はないわけでございまして、先ほども質問が出たわけでございますが、個人補償の方につながるような中身になっておるというおしかりも受けるほどでございますが、いずれにいたしましても、私どもは、調査はそのサンプルに当たりました方の戦争とのかかわり合い、それから現在の生活の状況、もう一つは特別基金に寄せる期待と意向というものをとらえたい、こういう調査の設計をさせていただきました。
○近江分科員 だから、それがおかしいと言っているのです。 私は、昨年三月八日の予算委員会の分科会におきまして後藤田さんに来ていただいて、そのとき総務庁長官だったのですよね。内閣の大実力者としてお呼びしてやっておるのですよ。私は、こういう考え方というものが個人補償ということにつながらなきゃいけないということで、何回もそれを確かめているのです。そのときの根本説明員が、私の何回もの質問に最初はこういうことを答えたわけです。 ○根本説明員 今度の一億五千七百万は、基金の検討及び調査のための経費ということで計上されているわけでございます。それで、今先生御指摘の恩給欠格者の軍歴通算の問題だとか、あるいはシベリア抑留に係る加算の問題だとか、その他これらに関連する問題等につきまして、関係省庁の協力を得ながら検討していく、そのための経費であるということでございます。 恩給欠格者の軍歴通算の問題だとかあるいはシベリア抑留に係る加算の問題だとか、その他これに関連する問題等につきまして検討しておるのだ、当然こういう趣旨は個人補償につながるという答弁なんですね。そうであるなら、この調査事項の中にそういうことは当然入ってこなければおかしいのですよ。そうすると、私がこれを何回も言ったということで苦し紛れに答弁をして、それでちょんと切れておるということなんですか。ですから、やはりそういう個人補償を何とかしてもらいたい、考えてほしいというのがこういう三百万人に上る皆さん方の声なんですね。 ですから、この調査が集計されるのが二月の二十日くらいでしょう。そうすると、これは私もいろいろ聞いておりますけれども、こんな調査なんかしてもらう必要はないとみんな怒っていますわ。だから、この調査を受けて政府は結局どうなさるのですか。
○田中(宏樹)政府委員 五十九年の十二月に出ました報告、戦後処理問題懇談会の報告でございますが、特別基金の中身については方向だけ示してございます。例えばこういうことでございますが、「今次大戦における国民の尊い戦争犠牲を銘記し、かつ永遠の平和を祈念する意味において、政府において相当額を出捐し、事業を行うための特別の基金を創設することを提唱する。」ということになっておりまして、この具体的な事業内容あるいは財源措置、設立形態等につきましては方向だけ示されているわけでございますが、中身はまだこれからの検討でございます。 ただ、何度も言いますように、関係者の心情に思いをいたすときにということでこの特別基金をつくる以上は、関係者の御意向というものを最大限に尊重していきたいというつもりでございまので、関係者の実情調査という中身において意向を確かめさせていただいた上で中身を詰めていきたいと思っております。
○近江分科員 この中身を詰めるということを言われても、例えばあなた方がいろいろ質問を設定しているのです。 一 関係者による平和を祈念する行事や集会等 二 関係者による海外への現地訪問、現地の人の招へい等 三 関係者による機関紙の発行、情報提供等 四 福祉施設、保養施設等の利用について、関 係者に至便を提供する事業 五 博物館、美術館等の利用について、関係者 に至便を提供する事業 六 その他 要するに、こんなことでは二百九十五万人のいわゆる恩給を受けていない人たちとはほど遠いのですね。この人たちは個人補償をしてくれと言っているのです。 最後のあなた方の結論、どれを望むか丸をしてくれ、こういうことなんです。そうじゃない。私が去年も質問したのはそういう個人補償につながることもその調査の中に入るのか。そういうことをやりますと言っているのですよ。ところが、実際はその調査は全然違う調査をやっている。これでは玉虫色の答弁と言われてもしようがないでしょう。だからここで調査結果が、大体こんなもの政府の誘導の設問ですから、大体そんなもの結果はどういうあれになるかわかりますよ。 これはこれとして置いておいてもう一度申し上げますが、いわゆる厚生年金の官民格差の問題がありますね。そういうことも再検討すること、これが一つ。それから個人補償の問題について再度検討していただきたいと思うのです。この資格の問題等十二年ということになっておりますが、内地勤務の人だってそこに何らかの方法を考えて加算ができないかどうかということ。さらに、いろいろな方法をとっても十二年に満たない人については、何年から何年までは何十%支給する、恩給のいわゆる段階支給ということもぜひ検討してほしいと思うのです。あるいは税制控除等、ありとあらゆる、要するに受給者から除外されたこういう人たちに対して最大の温かい気持ちでもって対処していただきたいと思うのです。 例えば従軍看護婦の方については予算措置で救済した経過があるんですね。これは政府は非常によくやった。冷たい、氷のような政治だというのが今の政治に対する見方ですが、やはり政治にも温かみもあったという評価が非常に出たんです。ですから、今回もこういう未受給者の皆さん方に対して、政府もやはり温かみがあったなと言われるようなものをひとつ出してもらいたいと思うのです。そういう従軍看護婦の例もあるわけでございますから、救済措置、例えば軍人未受給者の特別立法寺考えて、そこに何らかの対策がとれないかどうか。 以上私がいろいろと申し上げましたけれども、それについて御答弁いただきたいと思います。
○後藤田国務大臣 申し上げるまでもなく、政治は温かい気持ちですべてのことに配慮しなければならない、これは言うまでもありません。しかしながら、御案内のとおりこの問題大変難しい問題で、一方では先般の戦の被害というものは全国民に及んでいるんだ、こういうことを率直に我々としては考えざるを得ません。しかし同時に、こういった立場の人もお気の毒な立場にあることも当然であろう。一方財政事情、つまりは財政事情ということは納税者の立場というようなことも配慮しなければなりません。こういったことを広く目配りをして、政府としてははてどうするかということで戦後処理懇を設けて一応の御意見をちょうだいをしたわけです。政府としてはもちろん、この御意見を踏まえながら、政府としてひとつ実情を調査をしてみようということで調査に今かかっておるわけでございますから、その調査の結果を見ながら適切に対応していきたい、かように考えるわけでございます。
○近江分科員 懇談会の結果を見まして、皆非常に衝撃を受けたわけなんですね。それは、個人補償につながるような文言が見えないじゃないか、これは全然意図しているのと違うということで皆怒ったわけですね。それで、私が昨年こうやって質問しまして、結論的に言うならば、これからの調査費というものは、そういう個人補償につながるような調査をしますと根本説明員が説明なさっているんだ。ところが今回の調査の中身を見ますと、何らつながらないような結論を導くような調査内容であるから、私はそれを質問しているんですね。 ですから、そこで今官房長官御答弁いただいたわけですが、いろいろなことを踏まえて、またそれらのことを検討するとおっしゃったことは非常に重要なことだと思うのですね。私が今いろいろ列挙いたしました資格の緩和であるとか比例支給の問題であるとか、税制控除であるとか官民格差をなくすことだとか、個人補償をぜひやってもらいたい、こういうことを申し上げたことについて、十分そういうことも考えますとおっしゃった。私的諮問機関である懇談会にとらわれずに、官房長官として、これはあくまでも参考のことである、したがって近江委員から指摘をしたそういうことについて十分今後配慮をして検討していく、こういう答弁を今いただいたと思うのです。そういう点で、今後さらに真剣に検討していただけるかどうか、再度お答えいただきたいと思います。
○後藤田国務大臣 私は個人補償を前提にしてお答えしておるのではございません。前提は平和処理懇の答申を基本にしながら実情調査の上、皆さん方のいろんなお気持ちもよくわかりますから、それらを踏まえながら適切に対応したい、こういうことでございますので、そこは誤解のないように御理解を願いたい。
○近江分科員 官房長官の私的諮問機関がこれを答申した、それが政府の決定イコールじゃないと思うのですね。昨年の質問におきましても私はそれを何回も言っているわけです。私的諮問機関はこういうような答申を出したけれども、こういう予算もおつけになったんだから、いろいろ調査していただくことは将来個人の処遇あるいは補償に、つながるんですね、そうですということをおっしゃっているのです。ですから今回のこの調査票、大体二十日に締め切りをされるということでございますが、それはそれで一つの参考にされればいいと思うのです。しかし、多くの皆さんの声は私が今代弁して申し上げたとおりなんです。ですから政府として、ただ単なるモニュメント的な基金で、そこに列記してあるようなことでお茶を濁すというようなことじゃなくて、そういう該当者の皆さんの琴線に触れるような、温かいものがにじみ出るような対策をぜひ知恵を出して考えていただきたいと思うのです。 官房長官、あなた金が要ると一言おっしゃいますけれども、三百万人、例えば十八万人に出したとして、それでも六千億くらいなものでしょう。その金額が高いか安いかわかりませんよ。そういう年数に応じて払う額は少ないか知らないけれども、政府としては打ち切りじゃなくして何らかのことを考えてますよというような、そういうこともいろいろ知恵を出して官房長官考えていただきたいと思うのです。今後さらに、何らかの温かい処遇の仕方がないかどうかを御検討いただきたいと思うのです。もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
○後藤田国務大臣 平和処理懇は御案内のように私的諮問機関でございますから、政府が決定するのはあくまで政府の方針において決定する、これはもう大前提でございます。ただ、御調の点は個人補償しろ、こういうことでございますから、お気持ちはよくわかる、そして政治は温かい配慮をしなければならぬ、これも当然であろう。しかし、これは事柄がいかにも難しいですよ。そこで、この問題の解決について、個人補償を前提にしてそれに向かって検討を進めますということは私としてはお答えが残念ながらできないということだけはひとつ御理解をしておいていただきたい。しかし、政府としてはこういった問題についてはあくまでも温かい血の流れる処置をしなければならぬ、こういうことを考えておることは間違いございませんので、それもあわせて御理解をしておいていただきたい、こう思います。
○近江分科員 その温かい血が流れるような処遇といいますか対策といいますか、それを官房長官を中心に今後真剣に考えていただきたいと思うのです。個人補償あるいはまた個人処遇、そういういろんな言葉はあるんじゃないかと思いますが、そういう中で本当に琴線に触れるそういうものを、私的諮問機関のそういう答申にこだわらず、政府一体となって受けとめて、今後さらに検討をしていただきたいということを重ねて申し上げたいと思うのです。 もう時間が来ましたので、再度官房長官から、本当に琴線に触れるような、皆さんのことを考えてますよというようなそういうお気持ちの答弁をいただきたい。それで終わりたいと思います。
○後藤田国務大臣 御意見といたしましてはよく拝聴をさせていただきました。ただ、いずれにせよこの問題は非常に難しい課題であるということだけはぜひ申し上げておかなければならない、こう思いますので、その点もぜひ御理解をしておいていただきたい、かように思います。
○近江分科員 それじゃ、時間が参りましたので終わります。
○大村主査 これにて近江巳記夫君の質疑は終了いたしました。 次に、滝沢幸助君。
○滝沢分科員 委員長御苦労さまです。大臣御苦労さまです。 官房長官にお尋ねを申し上げますが、実はこれから申し上げますことは昨年藤波長官に申し上げたことでございまして、続いてことしも申し上げるということでありますので、御了承賜りたいと思います。 実は、このことは、建国記念日はいかにあるべきだろうかということについてでおります。 実は、昨年予算委員会で当時の藤波官房長官に、建国記念日の祝典等を国家主催ないしは政府主催で行ってはどうか、こう提言を申し上げたことであります。満足いくというわけの御答弁はちょうだいできませんでしたが、私はつい先ほどに議長を通じまして質問主意書を申し上げております。大変短い簡単なものでありますから、ちょっと朗読をさせていただきたいと思います。 建國紀念日についての質問主意書 凡そ國家がその建國の日を紀念して國民ひとしくその慶祝につとめることは洋の東西を問はず普く行はれてゐる。我國においても、昭和四十一年國民の祝日に関する法律を改正して建國記念の日を定め、然もその日を二月十一日としたことは、その歴史に鑑て誠に適切なものと思はれる。ただ残念なことは、この国家的・民族的紀念の佳日を祝賀する式典等が、ただに民間團體等が主催するにとどまり、政府代表等が來賓として出席するに、過ぎないことである。國家の創建の日を、その國家自らが主催して慶祝することは、餘りにも當然であり、諸外国もまたその如くしてゐる。 ついては政府において直ちにその誤りを正して、須く建國紀念日の祝典を國及び政府が主催して、厳粛盛大に執り行ひ、あまねく國民に呼びかけて参加を促し、以って悠久なる神武天皇建國の歴史を顧み國民精神の作興と、教育の振興に貸すべきである。 よつて政府は速かに建國紀念日の式典等を國及び政府主催によって執行するために必要な諸般の措置を講ずべきである。 右につき政府の見解をただしたい。 以上質問する。こういうふうに質問主意書を提出させていただいたことであります。そうしましたら、二月十四日に総理大臣よりの答弁書が参りました。短い文ですからちょっとこれも申し上げさせていただきます。 建国記念の日は、建国をしのび、国を愛する心を養うという趣旨により設けられた国民の祝日であるが、建国記念の日を祝う式典は、民間団体が行い、関係府省がこれを後援してきているところであり、特に政府が主催することは考えていない。 右答弁する。ということであります。 これできょうの質問、答弁、一切終わったと同じようなことでございますがね。しかし、私はこの答弁というものについて納得がいかぬということで、重ねて長官に所信をただしたいと思うわけでありますが、およそ世界のどの国が、おのれの国の建国の記念の式典等を民間団体等が主催するにとどめて政府の代表等がお客様として見えていらっしゃるというような国がございましょうか。私はこれらのことにつきましては、既に戦後四十年、誤りあった戦後ということが仮に言えるならば、その非を悟られて勇気を持って、あるべき姿に変えられることがよろしいのではないかと思うのでありますが、長官いかがでございましょう。
○後藤田国務大臣 政府の考え方は、政府の答弁書にあるとおりでございます。さように御理解をしていただきたい。 どこの国でも建国の記念の日を設けて過去を顧み、そして今を思い、将来に思いをはせていくということは、極めて大切なことであろう、私はかように考えます。したがいまして、日本の場合、建国記念の日というのは二月十一日、祝日と決めておるわけでございますから、これは国民がこぞって祝うべき日であろう、私はかように考えるわけでございます。 しかしながら、何といいましても、この建国記念の日の問題について、国民の中にいろいろな御意見があることも御案内のとおりでございます。そういうようなことを踏まえながら、従来から一般、民間の方が主催でこういった建国記念の日を祝っておるわけでございますから、政府としては、そういった民間のお祝いの行事に従来から政治色あるいは宗教色というものを排除いたしまして、そして政府は政府として各大臣も出席しようではないかということで、ほとんどの閣僚、他に特別な公務のない人は参加をして、そしてともにお祝いをした、これが経緯でございますので、現時点においてはそれが一番適切な方法ではなかろうか、私はかように考えているわけでございます。
○滝沢分科員 長官、もしも民間団体が主催をしない、そういうのをやらぬとおっしゃったらどうなりますか。
○後藤田国務大臣 滝沢さん、私はさように理解しておりません。必ず国民がこぞって祝う行事をおやりになるもの、かように確信をいたしております。
○滝沢分科員 しかし長官、これは国がおやりにならないので、民間が見るに見かねてやっていていただいているのと違いますか。
○後藤田国務大臣 そういう経緯もあったように私は承知をしておりますが、そこでやはり政府としましては、まだ国民の中にいろいろな御意見がありますから、殊にまた、こういったお祝いの日というのは国民の一人一人がこぞって祝いに参加してもらいたい、こう私は思うのです。そういうことで、特定の宗教色であるとかあるいは政治色というものは排除していただかないと、政府と政府の閣僚としてはなかなか参加しにくいのが現状でございますから、私はやはり現在のやり方が適切なものでなかろうか、かように思うわけでございます。
○滝沢分科員 いつのころからか、事なかれ主義という言葉ができてきまして、そのようなことになってございます。 しかし、質問主意書の御返事をちょうだいしたのにかかわらずあえてこのことをここに申し上げる、あるいはまた、昨年藤波長官にお伺いして御返事をいただいたにかかわらずまたここに申し上げるということは、実は長官こそは真の勇気ある政治家だというふうに私は評価を申し上げているからでございます。 そのような意味で、長官、私は今日日本の政治が、与野党を問わすと申し上げた方がいいでしょう、しかし、なかんずく政府・与党におかれまして、勇気ある選択をなさる時期ではないのか。総理大臣は戦後の総決算どおっしゃっていただいております。何をどのように見、あるいは見直し、あるいはまた決算をするのかということの一々につきましてはいろいろと論もあろうと思います。しかし、戦後歩み来りました四十年、これをここでやはり反省をして、そして過ちがあったならばこれを正そうという前提について、おおよその国民的合意を得ているのではないか、私はこう思うのですよ。 そういう中には、あるいは憲法がございましょう、あるいはまた、私は殊のほか国語の問題に情熱を注いでいろいろと運動をさせていただいておりますが、そういうこともあると思います。しかしまた、国の慶祝の行事というものも決してその範疇の外にあるものではない、私はこういうふうに理解するのでありますが、ただ残念なことに、国民の祝日というあの法律が、まあ法律の文言は別としまして、何とはなしに一年三百六十五日を見渡しまして、日曜以外に労働者のお休みの日を設けるという意識もあったように思うのです。一年にうまく配置して、何の日、何の日というものをつくってきたような意識も、これはどなたもおっしゃらないけれども、それとなくあったのではないか、こう思うのです。そうした中で、一月一日、昔の四方拝と言われたあの日、そして昔、紀元節とお呼びしたこの建国の記念日あるいはまた天皇の御誕生日、こういう日はもちろん理屈抜きに大事な日なんだというふうに私は思います。ですから、せめてこれらの祝典がもっと厳正に受けとめられて、国が、ないしは政府が主催されて、そしてあまねく諸外国の大使等もお招きをして、相ともに国民ひとしくこれを祝う。でき得べくんば、いやそでなくてはならぬことでありますが、文教委員会等でも厳しく私は申し上げてきたことでありますが、小中学校等におきましてもそれぞれに式典を持たれて、校長先生から建国記念日の意義、それにつけても皆さんの生きる道はというふうな訓話をちょうだいして、建国の日を祝福し、ともに、それこそ「御民我れ生ける験あり」という歌もありました。平和な繁栄のよき時代によき国に生まれて幸せであったということ、それにつけてもよりよい国にこれをはぐくみ、守って、子々孫々に伝えようという決意を確認し合う日としてこれを位置づけてこそ意義あるもの、こう私は思うのです。 確かにこれは一部御心配のような論を展開される向きもあります。ありますが、私は、大方の常識としては肯定していると思うのです。ですから、長官を勇気ある政治家と尊敬を申し上げておるものでありますから、この際あえて再びここに申し上げる次第でございます。いろいろと申しにくくお考えの点もございましょうが、ひとつ勇気ある御返事をちょうだいしたいと思うわけでございます。
○後藤田国務大臣 滝沢さんの御意見のような考え方が国民の一人一人の胸の中に芽生えてくる日の早からんことを、私も念願はいたしております。
○滝沢分科員 その御心配の点は、主として何でございましょう。つまりは二月十一日という日は科学的に論拠薄弱だというもございます。ないしはまた、いずれの日を選ぶにしても、これを国家主催等で、ないしは教育の場面まで盛り込むということについては、戦前の体系に逆戻りしようとするものであるというような批判や憂慮ということもございます。それらこれらを御心配だと思うのでありますが、そのようなことでありましょうか。
○後藤田国務大臣 建国記念日を二月十一日と決めたことに対しまして、今、滝沢さんがおっしゃったようないろいろな意見がまだあるわけでございます。やはりこういった事柄については、国民のすべてが本当にこの日を祝うんだといったような気持ちになり、コンセンサスを得られるということが一番肝心なことであろう、私はこう思います。それを私は念願しておる、こういうことでございます。
○滝沢分科員 百年河清を待つなんという言葉もございましたな。私は、国民ひとしくという中に、一億二千何百万ですかな、というような意味ではなくて、やはり大方の常識的な合意ということではないのかなと思うのですよ。そこで政府が、ないしは識者がこれをリードしないことには、いわゆる指導、啓蒙しないことには、国民の合意というものは、おのずから、手をこまねいていて形成されるものではないだろう、私はこう思うのでありますが、いかがなものでございましょうか。
○後藤田国務大臣 滝沢さんがおっしゃるようなこともあろうかと思いますけれども、国民の意思の統合とでもいいますか統一とでもいいますか、だんだん望まじき方向に向きつつあるのではないか。したがって、ここで政府が先頭に立たなくても、最近のような行事のあり方でだんだんそういういい方向に向かっていくのではないかな、かように考えております。
○滝沢分科員 いや、大変お言葉を返すようでございますが、私はそれは逃げの政治だ、こういうふうに思いますよ。このままにしておいてもだんだんいい方向に向かっていくのではないだろうかなということは、一つの展望としてはそういうことかもしれません。しかし、国の責任において、ないしは責任政党とおっしゃっていただいているわけでありますから、そこら辺のところで一つの旗を掲げて、国民の行くべき道を明示するというような政治が今日よりもっと必要ではないかと私は思うのであります。 そこで、言わずもがなのことでありますが、二月十一日が科学的根拠がないという論は、ためにする論というものでございましょう。去年発足しました例えば日本たばこ株式会社あるいは電電の例の会社、こういうものは創立の日も時間もはっきりしております。また去年、ことしお生まれになった赤ちゃん、これは何とか病院で何時何分ということまできちんとしております。しかし例の、百二十歳まで長寿を合うされました泉重千代さん、生まれ日がどうこうとか週刊誌が書いておりました。はっきりしないところにあの百二十歳の重みがあるというものでございましょう。私も大正十四年五月二十四日と言われております。 実はあちらこちらでこんな笑い話を申すのでありますが、私の友人がさもないことで警察にしょっ引かれまして、最初に、きさまは、何の何それ、そして住まいはどこで、さて生まれ日はいつと、こうなりましたら、何年何月幾日だそうであります、こう言ったというわけであります。そうしましたら、その警察官はいたけだかになって、きさま、ふざけている、自分の生まれ日を、というそうでありますとは何事だと言って怒ったというのです。彼いわく、私は生まれてすぐカレンダーを見たわけでもないし、どうもそれはつまびらかでない、だけれども、親御さんから教わった日を生まれ日だと私は信じているのでありまして、しかし、警察さんに聞かれたらきちんと答えなくてはならぬと思って、おれはそういうふうに聞いた、こう答えたと言うのでありますが、建国の記念日のごときも、例えば古い慶長年間あるいは元禄年間の初めのころに我がお店は創業され、三百何十年と言っているところにそのお店の権威があるわけでございます。お釈迦様の誕生日もキリストの誕生日も、きちっと科学的な根拠であのようになっているわけではございません。しかし、だれ一人疑わずにこれを尊敬することができる、ここに意義があるわけでありますから、その科学的根拠云々はもう全然論外なことであろうし、ないしは戦前に復活するのではないかということについては、そうではないということを政府が国民に説得する必要があるのではないかと思いまして、重ねて申し上げているわけでありますが、どうかひとつ政府部内におかれまして一日も早い自信の回復をお願いしたいものだ。これは我が国が戦後四十年、本当の意味では、あの戦争の暗黒時代を再び繰り返さないためにこそこのことについてのきちんとした合意、そして国と国民との関係のきちんとした明示、ないしは国民が国を愛し、国に尽くすというこの一面の今日足らざるものの回復ということがあるのだと思いまして、重ねて申し上げた次第であります。 ところで、ひょんなことを申し上げる次第でありますが、実は叙位叙勲ないしは褒章という制度がございます。きょうも、お亡くなりになった先輩の二先生の御紹介の中にも正三位、従三位というようなことがございました。 ところで、私は、生存者叙勲などというものが発表されるたびに、つくづく感慨無量といいますか、ないしは申しわけない思いに至りますのは、国会議員を何年かなさった人が勲三等ないしは勲一等旭日大綬章、私は決してその功績をないがしろにというのではありませんけれども、しかし国家に命をささげられました兵隊さん、これが兵でありますと勲八等、七等でして、これの差は何だと私はいつも思います。私の兄もそのようなことで勲八等をちょうだいしております。でありますから、私は、仮に生存者叙勲などということになりまして、七十歳に及んで六等だ、五等だと言われましても決してお受けはすまい。命をささげた兄貴が八等であるとき、私が議員なんかを多少したことによってそれ以上のことを内示いただきましても、私はこれは拝辞すべきものであろうと理解しているのであります。結論として言わせていただくならば、国家のために命をささげた者こそ勲一等旭日大綬章ではないのかと思います。 最近は、産業に尽くしたとかあるいはまた福祉のために尽くしたというような方々にも叙勲の道が開けておりますけれども、いずれにしましても、私は、既に遠きことではありますが、あの有事の際に国家に一身をささげられた兵隊さん、靖国神社問題等もいろいろと長官が苦労されていることでありますが、これに対してむしろ追贈のような道が開かれていいのではないか。特に今はこの勲章等について金銭的なものがつかない世の中でありますから、予算的にはそう大変なこととは思いませんので、そのような精神をもってこのような道を研究されてはいかがなものかと思うのでありますが、いかがなものでございましょう。
○後藤田国務大臣 現在の賞勲の制度は、その方が社会公共のために貢献なさったことの度合いに従って勲一等から勲八等までということで、しかも私も昭和四十七、八年、それから最近では五十八年、今また六十一年といったことでこの事務に従事しているのですが、政府としましては真剣に、公正に、しかも社会公共へどの程度お尽くしになったのかを慎重に審査しまして、現在の制度に従って叙勲の事務をとり行っているわけでございます。ただ、この叙勲のあり方について、今、滝沢さんがおっしゃったように、今の一等から八等までということについて、むしろ別個の制度もあるのではないかといったような議論があることも承知はいたしております。ただ我々としては、現在の制度のもとでこれを適切に運用していきたい、こう考えておるわけでございます。 なおまた、おっしゃるように、なるほど国家のために命をささげたという方は一番のあれではないか、こういう御意見、これはごもっともでございますけれども、現在の制度の中ではそれぞれの段階に応じて叙勲の仕事をせざるを得ない、またそれが一つの方法ではあろう。御意見はよくわかりますけれども、ここらはぜひひとつ御理解もしていただかなければならぬのではないか、私はこう考えます。
○滝沢分科員 今、生存者叙勲で八等というのは余り見ませんね。私は先ほども申し上げたことでございますが、国に命をささげられた方々に特別に何らかの追贈の道を講じられてしかるべきではないのか。遺族がこれをお断りになる分においては別でありますがなどと申し上げて、このようなことについても御検討を賜りたいと要望しておきます。 そこで、最後にもう一つてありますが、日本の国の正式な呼称は何でございましょうか。あるとき大日本帝国と申しました。憲法には日本国と書いであるように思います。しかし、勲記等に押されております国璽には大日本国璽と刻んであるように私は拝見しておりますが、日本の正式な名称は今日何でございますか。
○後藤田国務大臣 これは憲法に規定してあるとおりであろう、私はさように理解をいたします。
○滝沢分科員 わかりました。 いずれにしましても、結論としまして、政府が今日もっと勇気を持って、国のあるべき姿を模索し、決定していただきまして、国民の前に大胆に示していただくことによって国の万代にわたる平和と繁栄の礎が築かれるということを信じまして、そのような御決意を総理大臣初め長官を含め閣僚の皆さんがなさってちょうだいしますように要望しまして、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○大村主査 これにて滝沢幸助君の質疑は終了いたしました。 次に、新村源雄君。
○新村(源)分科員 私は、戦後処理問題の中で旧軍人軍属の恩給欠格者問題、これは五十九年、それから去年も御質問したわけです。と申し上げますのは、私がちょうど青年時代に太平洋戦争の真っ最中で、私の同年兵といいますか、私どもの年代の者が多く戦争に携わっている。私の身辺にもそういう方々がたくさんいまして、そして仲間が集まりますと、普通恩給をもらっている者ともらってない者、内容を聞きますと、ほんの一カ月か二カ月、あるいは甚だしいのはたった一日の差ですね。これは、根室から千島に渡るのに、四月二十日に船に乗った人と五月一日に乗った人、船に乗れば当時一カ月加算されたわけです。そんなことで、たった一日違いてもらえない。こういうことで、私の身辺にたくさんそういう人々が、もらっている人、もらっていない人がいるわけです。 そういうことがありますので、特にこの問題について非常に不公平だ、こういう感じを常に強く持っておるから、これからも何回も同じ質問をするかと思うわけですが、そういう点について官房長官、どういうお考えでいらっしゃいますか、そういう厳然たる現実があるわけですが。
○後藤田国務大臣 これは、どんな制度でもどこかで線引きはせざるを得ないのですね。そうしますと、軍人の場合に十二年、もちろん戦務加算その他ございますから、それらを計算しての十二年でございますけれども、やはりこの十二年間というのは一応定着しておる制度の約束事である、こう御理解を願わないと、これは全員ということにならざるを得ません。というのは、十二年をそれじゃ十一年にしたら、今度は切れ目はどうなるんだと、必ずそういうことになるわけですね。それならば、一日であろうと何であろうと、ともかく一定の比例の割合で考えたらどうだ、こういう御議論もあろうと思いますけれども、やはり制度というものはそういうものではないだろう。おっしゃるように、確かに私どもの周辺にもそういう人がたくさんいらっしゃるのです。お気持ちはわかりますけれども、今私はこの約束事を変えるということは容易ならざることだ、こう考えます。したがって、お気持ちはよくわかりまするけれども、それはそれなりの、一時金とかいろんな措置で、政府としてもそのときどきの状況に応じて今日まで処理をやってきておるのではないのかな、かように理解をしておるわけでございます。
○新村(源)分科員 戦後二十一年に連合軍の指令によって、重症者を除いてあとはだめだ、こういうことで切られたわけですね。それが、昭和二十八年に戦前のような状況からある程度制限を受けながら復活した。そして、三十三年、三十六年と改正しながら今日に至っておるわけですね。 一方、欠格者の方はどうかといいますと、五十三年に、これは二度にわたってやられたようですが、三年以上の在職者あるいは通算をして三年以上、こういう方々に大体一万五千円ぐらいを中心にして支給された、こういうことになっておるわけです。 今、官房長官はどこかで線を引かなければならぬということをおっしゃるわけですが、一方、一万五千円を払っだということは、そういうことに対して政府として何かしなければならないんだという考え方でやられたと思うのですよ。しかし、それが余りにも格差がひどい。こういうことが依然として戦後問題として尾を引いているのだと思うのですが、これは官房長官は線を引かなきゃならぬという、そういうことだけでこれを処理、始末してしまっていいものだとお考えになりますか。
○後藤田国務大臣 新村さん、これはいい悪いではないのです。やはり制度というものはこういったことにならざるを得ない。やむを得ないのではないか。しかしながら、期間の足りない人には足りない人なりに一時金なり何なりという措置をせざるを得ない。しかし、その一時金も、今おっしゃったように、三年以上といったものにならざるを得ない。そうすると、一年の人はどうするかというような、いろんな問題が出ます。しかし、こういったことをやる際は、できる限り御不満をなくするように政府としては配慮しなければならぬ、こう思うのです。しかし、同時に、この軍人恩給等をめぐりましては、社会保障の制度でやるべきではないのか、軍人なり公務員なりが少しよ過ぎるといったような批判も一方にはあるわけです。政府としてはそこらも考えなけ机ばなりません。ならば、社会保障制度と恩給制度の兼ね合いはどう決めたらいいんだといったような問題もあります。これは恩給制度を担当しておる我々としては、そこらも十分配慮しながら今日まで処理をしてきておるんだということもぜひ御理解をいただきたい。 しかし、さればといって、御不満があることも事実ですから、いわゆる恩欠者の問題として政府としては、戦後処理懇でもいろいろ御検討の結果ああいった御案内のようなおおむねの御意見をちょうだいして、それに従って今日実情調査をやりつつあるんだ、こういうように御理解をしていただきたい、こう思います。
○新村(源)分科員 今、官房長官おっしゃったように、政府としてもどういうように処理するかということでいろいろ御苦労なさっておることはわかるわけです。 そこで、五十七年六月ですか、戦後処理問題懇談会という、これは官房長官の私的諮問機関と聞いておりますが、三十五回も会合を開いて、そして五十九年十二月に答申をされた。その内容は、すべての国民が、程度の差はあっても何らかの戦争の犠牲を受けている。そして筆舌に尽くしがたい苦労を経験した。こういう事実から、社会公平という観点から見ると、ある特別の者について何らかの補償をすることはもはや国においてはすべきでない。こうして今いろいろ検討されているようですが、戦争問題関係者の心情を考えるときに、基金等を創設して功績を長く顕彰していく方法を考えろ、こういうふうに言っているわけです。 ところが、私は、この内容は非常に矛盾があると思うのです。というのは、先ほどから言っておりますように、あの忌まわしい戦争で全国民が塗炭の苦しみをなめたことは事実です。しかし、この恩給問題は、十二年というものを境にして、それから上の者は現に支給されている。支給されてなければ、あるいは全部同じならいい。しかし、されているという現実を無視して、そして特別の者というように、今言っているものは全く別の者だ、こういう言い方をしているわけですね。ここに私は非常に不満を感ずるわけです。それはさっきから言っているように、たった一カ月あるいは一日で切れた人、あるいはもらっている人もそれぞれ同じように、これまた体験はそれぞれ違いますけれども、まさに死生を賭して苦労してきたわけです。同じ立場で苦労してきた。しかし、それがほんのわずかなことで一定の恩恵に浴している、あるいはそれから下の者は特別の者だ、こういう決めつけ方をしているのですね。 私は、こういう論理からいえば、今恩給を受けている方々ももうやめなければならぬという論理につながっていくと思うのですが、こういう点ではどうですか。
○後藤田国務大臣 今専門家が来ておりますから補足でお答えをさせたいと思いますが、私の理解は、制度として十二年で切る、しかしながら、それ以外はお前たちは特別な者であるといったような考え方ではないと思います。やはり期間に応じてそれなりの措置は、今日までそれぞれの時期時期で、乏しい国家財政、その当時の国の状況から見て精いっぱいの処置はしておるんだという前提に立っての御意見ではなかろうかと私は思います。この点については事務当局からさらに補足をさせたいと思います。
○鳥山説明員 ただいま官房長官からお答えいただきましたとおりでございまして、十二年というのは一つの制度上の基本的な約束でございまして、これよりも多い人を特別扱いしているわけでもございませんし、それ未満の方々を特別に取り扱っているわけでもございません。やはり働いていただいたときの勤務条件を満たした方にはそのお約束どおりの恩給を差し上げておる、かつ、それが適切な額であるようにできるだけの努力をしておるということでございます。
○新村(源)分科員 この問題は、昭和五十四、五年ごろからだと思いますけれども、各地でほうはいとしてこの問題が持ち上がってきたわけですね。そして、大体大きな流れとしては二つの団体があったわけですが、これを一本化してさらに強力な運動を展開しようということで、昭和五十九年五月二十四日に軍人恩給欠格者連盟というものが正式に発足していますね。そして、これの初代会長に、自民党の小沢辰男先生が会長になっております。そしてまた、私は先ほど申し上げたような立場ですから、そういう運動をなさっている方がいろんな資料を私のところへ送ってきてくれるわけですが、自民党全国大会で、この軍人軍属恩給欠格者全国連盟に対して総理大臣から感謝状が贈られていますね。どういう意味の感謝状かわからぬですけれども、感謝状が贈られている。そしてまた、自民党の非常に有力な議員の方々を中心にして多くの方々がこの団体の結成に、あるいはこの運動に携わっておられるわけですね。 こういう点について、どうも政府側の今の長官の答弁と、あるいは自民党のこの運動に携わっておられる方々の考え方というのは何かおかしいような感じがするのですが、官房長官、どういうように御認識なさっています。
○後藤田国務大臣 党としましては、こういった今の恩給問題のあり方についていろいろな御不満のある方がある、それらの御要望を受けてそれぞれの団体をつくって政府に対して陳情なさるということは、私はそれなりに大変結構なことだろう、こう思います。しかしながら、政府としましては、これはやはりそういった方のお立場も十分理解しながらも、全般的な国政の中でどう扱うのが一番国民の大多数の方の御理解を得られるのかといったような観点で厳正に処理すべきものであろう、私はかように考えておるわけでございます。 〔主査退席、浜田(卓)主査代理着席〕
○新村(源)分科員 先ほどからずっと私の質問に対して非常にこだわっておられるのは十二年ということですね。十二年の線を崩したら、これは今の恩給制度というのを根本的に見直さなきゃならぬことになる、こういうことをおっしゃって、そのことが主な理由で、この問題は困難だ、困難だ、こうおっしゃっていますね。しかし、私は、その恩給制度に手を触れなくてもそれはそれなりで、どうしても動かしがたいということであれば、ほかの方法ででもできたのではないか。 例えばこの要求書ですね。ここで言っているのは、官民格差をなくせよ、こう言っているわけですよ。それは「国家公務員及び地方公務員は、在職年数が一ケ月であっても、退職時点に於いて加算が認められている。」したがって、我々も同等に扱え、こういう官民格差をなくせよ、こう言っておるわけです。私は当然だと思うのですね。そうすれば、いわゆる恩給法の十二年というものは動かしたら大変だということは、それはそれで了解するとして、去年、おととしですか、新たに国民年金の制度を変えられた。国民年金にその分だけ、年数に応じた付加給付をする。あるいは、これは僕も経験があるんですが、僕は昭和十五年の三月に満州に入隊したんですが、その年の四月二十九日が最後の叙勲だったと思いますが、わずか一カ月とちょっとで従軍記章と国債をもらったですよ、三十円でしたがね。しかし、あの私どもの入隊したときの給料というのは八円八十銭ですからね。それに、一カ月、二カ月ぐらいで三十円もらった。そういうようないわゆる国債ででも対応してやる方法がないのか。あるいは一万五千円の一時金を払ったものを見直す方法はないのか。こういうように、要は政府が誠意を持ってやる気持ちがあるとすれば、私は方法は生まれてくると思うのですよ。私は、いろいろおっしゃるけれども結局は腹の中は払いたくないのじゃないかという気がしてならないのですね、こういう方法があるのに。こういう点についてはどうでございますか。
○後藤田国務大臣 おっしゃるようにいろいろなやり方があると思います。そこらを踏まえて御審議になった結果が、個人補償は、国としてはこれ以上は差し控えるべきであろう、しかしながら、大変お気の毒な立場に立っていらっしゃる方もたくさんおるんだから、それらの方々に対する、何といいますか、慰謝とでもいいますか、そういったような物の考え方でやはり何らかの基金を政府としては設けて、こういった方々の御要望にこたえるべきではなかろうか、こういう御答申でございますから、多くの選択肢の中でそれが一番適切であろう、こう言っておられるわけですから、政府としては政府の責任において、やはりもっともであろうということで今実態調査をやっておるんだ、こういうように御理解をしていただきたい、こう思います。
○新村(源)分科員 そうすれば、私が今まで聞いているのは、そういう苦労された者を顕彰するための何か建物をつくるとかなんとかということだ、こう聞いておったんですが、今の長官の御発言では、非常に困った人もいらっしゃるだろうから、そういう者に対して何か温かい手を差し伸べる、そういうことも含まれる、こういうことですね。
○後藤田国務大臣 要するに基金を設けろ、その基金をどのように活用していくかということはこれからの課題でございますから、そこで、そういう立場に立って今実情を調査しておるんだ、こういうように御理解を願うべきであろう、かように考えるわけでございます。
○新村(源)分科員 そうすれば、先ほど申し上げましたように、そういういろいろ困った方々もいる、そういうものも何かの措置で救済してあげようということの基金というのは、これは相当な額を積まないといかぬのですが、そういう相当な額をお積みになる考え方はあるのですね。
○後藤田国務大臣 金額がどうなりますか、それは実情調査の上、政府として検討してまいりたい、こう考えます。
○新村(源)分科員 次に、五十三年に一万五千円を中心に支給された方々の人数ですね、これをちょっと調べてもらいたいのと、それから最近五カ年間の軍人恩給に関する普通恩給の受給者数、これは遺族恩給も含めて、それと金額、これを、どういうような変遷で来ているかということをちょっと知らせてください。
○鳥山説明員 まず第一点の一時恩給でございますが、実は五十三年に出しましたのは切れ切れの在職年を継ぎ合わせて三年以上になるという人々の一時金でございますが、これは昨年の十二月までで約十二万六千件でございます。そのほかに一時恩給といたしまして四十六年、五十年と出しておりますが、これが約六十三万四千件でございます。 それから、軍人恩給の最近五カ年間の予算上の受給者数と支給額を申し上げます。 五十七年度二百二十三万人、一兆五千九百一億円、五十八年度二百十九万人、一兆六千三十六億円、五十九年度二百十五万人、一兆六千十一億円、六十年度二百十万人、一兆五千七百八十七億円、それから六十一年度は、まだただいま御審議いただいております予算に計上いたしておる数字でございますが、二百五万人で一兆五千六百二十六億円でございます。
○新村(源)分科員 この計数を見ますと、年々、最近では大体五万人規模ぐらいで少なくなってきているわけですね。この対象になる方々はもう六十歳以上の方ですよ。ですから早く結論を出してやらなければ、もう長い間運動して、そして日の目を見ないで、本当にばかくさいという思いを残して亡くなっていく方がたくさんできうと思うのです。ですから早急に結論を出して処理をしてもらいたいということと、それから、戦後処理問題の軍人恩給欠格者の団体を解散して社団法人の元軍人軍属短期在職者協力協会という法人を認可されましたか。
○田中(宏樹)政府委員 先生御指摘のとおり、社団法人元軍人軍属短期在職者協力協会として認可をいたしました。(新村(源)分科員「日にちをおっしゃってください」と呼ぶ)三月一日付です。 それから、念のためでございますが、恩給欠格者の連盟の方は別に解散しておりませんので、これは全然別な団体でございます。
○新村(源)分科員 私の友人等は、もうこの社団法人が認められたことによって、そして近くこの戦後処理問題に関する実情調査というものが行われる、こういうことから、今まで長い運動をやってきたのが一歩前進した、こういうように本当に喜んで受けとめておるわけです。ですから官房長官、官房長官は自民党の中でもAクラスの実力政治家であります。したがって、できるだけ早い機会にこの問題の決着をする、そして個人補償にふさわしいような基金をお積みになるのか、私はあくまでも個人補償優先で検討してもらいたいということを強く要望しておるわけですが、時間がなくなってきたようですので、官房長官にひとつそういう点について温かい思いやりのある、そしてこの運動をやっていらっしゃる方々が希望を持てるような、そういう答弁をいただきたい。
○後藤田国務大臣 これは新村さん、先ほど来私が何遍もこの席でお答えしておるのです。やはりこういう問題は、政府としては温かい配慮をして事の解決に当たらなければならぬ、これが基本なんですね。しかしながら、何分にもこの問題、大変難しい課題でございます。そしてまた、期待をしていらっしゃる方は、個人補償ができる、こうお考えになっていらっしゃるようでございますけれども、政府はやはり、るるお答えしておりますように、基金というものを設けて何らかの慰謝をしたい、そういう立場に立って今実情調査をしておるわけでございますから、その実情調査の結果を待ちましてできるだけ早く結論を見出したい、かように考えておるわけでございます。
○新村(源)分科員 時間が参りましたので、重ねて官房長官に、戦後まだ終わっていないことに温かい気持ちで戦後処理をやっていただくということを強く要望いたしまして、終わります。
○浜田(卓)主査代理 これにて新村源雄君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして総理本府についての質疑は終了いたしました。
○浜田(卓)主査代理 次に、北海道開発庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安井吉典君。
○安井分科員 古賀長官が北海道開発に貢献されたのは、かつて建設省にあられて建設行政を担当されて以来ずっと今日まで続いてきているわけですが、今度は北海道開発庁長官として国の開発行政の責任者となられたわけです。もう既に二カ月余を経過したわけですが、初めに、北海道開発計画を推進していく上での長官としての基本的な心構えといいますか考え方、それからひとつ伺います。
○古賀国務大臣 お答えいたします。 北海道開発の長期的、基本的な方向について私の意見を述べさせていただきます。 北海道は、御承知のように、豊かな可能性に恵まれている地域でございます。平野あり山林あり、まさに資源の多いところでございますが、しかし一方におきまして、遠い、寒い、そういった条件を克服するにはまだまだ基盤設備が十分でないということを痛感するわけでございます。また産業面においては、機械組み立て型工業が育っていないなど産業構造の転換がおくれているという問題も内包しておりますし、加えて石炭の問題あるいは二百海里問題あるいは稲作転換問題など直撃を受けて、非常に景気が低迷しているという現況でございます。 そういう中で、残念ながらその可能性を十分発揮できずにおるというのが現状であろうと存じております。したがって、今後北海道開発の推進に当たりましては、北海道の持つ不利な条件を解消する基盤施設の整備をさらに進めていかなければならないというふうに考えるわけでございますが、同時に、より一層産業活動の活発化やあるいは生活環境の充実、特に利雪とかいわゆる利雪とかいろいろな問題をやっていって、道民の皆さんの創造力を積極的に引き出す、それを一つ軸として北海道開発の推進に取り組んでまいりたい、強い決意でございます。 私、長らく北海道にお世話になっておりまして、かような開発庁長官を承りまして、責任の重大さを今さら感じておるところでございますのでよろしくお願いします。
○安井分科員 今、心構えといいますか決意のほどを伺ったわけでございますが、きょうはもうわずかな時間ですから深く入ったお尋ねはできませんが、ただ一つだけ、北海道開発計画をお進めになるのが北海道開発庁という役所なんですが、国土庁では現在三全総に次ぐ四全総の作業がある。北海道でも横路知事は新長期計画基本構想を発表しています。また、北海道開発庁も昨年新しい基本構想をお出しになっている。そういうふうにいろいろな計画が次々にあらわれてきていて、対象は同じ北海道であり、北海道の道民なわけですから、戸惑いがあるわけであります。したがって、これらいろいろな考え方の交錯をどういうふうに北海道開発庁としてはさばいていくおつもりなのかという点であります。 北海道総合開発の長期ビジョン、去年お出しになったものですね。これも来年度には現行の新北海道総合開発計画の次の計画に仕立て上げるというお考えをお持ちだというふうにも聞いているわけであります。こういうさまざまな計画が食い違った格好では困るので、一体どういうふうに整理をされていくのか、どう対処されるのか、それを一つ伺います。
○古賀国務大臣 お答えいたします。 現在の北海道開発計画は、六十二年度で期限切れになります。したがいまして、開発庁としても全体を眺めた今後の振興開発を長期的に考えて、どういうビジョンを打ち出すべきかということでただいままとめているところでございます。 今お話しのとおり、道にもそういう御計画があるやに聞いておりますので、私らは道と一体になってそういう問題を取捨選択していきながら、道民の期待にこたえる振興開発計画を六十三年度から発足できるようにしたい。これからいろいろ調整に入らなければいかぬ問題だと考えますので、御理解を賜りたいと思います。また、貴重な御意見をいただけるようにお願いしたいと思います。
○安井分科員 北海道の計画の方は、もう既に、下部段階までおりて、さまざまな意見聴取やその具体化への可能性の探求等が現実にどんどん進んでいるわけですよ。したがって、その計画に道民もかなり強く期待をし、意見もどんどん出されているというふうなことであり、したがって、それと北海道開発庁がつくるものとの整合性、これも非常に大切だと思います。道の計画に対する北海道開発庁側としての取り組みといいますか、今それをどういうふうにとらえていられるのか、これからの一つの基礎になると思いますので、その点どうですか。
○古賀国務大臣 安井先生のお話のとおりに、道庁としましては、北海道道民の直結した機関でございますし、そこでまとめられた開発計画というのは非常に貴重なものだと考えております。したがいまして、こちらはまだ計画のビジョンの問題でございまして、これから計画の中身の調整とかいろいろな問題も当然入らなければ開発計画はでき上がりませんので、それらを実施しながら所定の機関の議を得て進めてまいりたいというふうに考えております。
○安井分科員 もう少し具体的なお答えがあるかと思ったのですが、事務当局の方でありますか。
○西原政府委員 事務的な面を若干御説明申し上げます。 ただいま大臣から御返事申し上げましたように、昨年、北海道総合開発のビジョンを北海道開発庁としては公表した次第でございます。去年の年末くらいになりまして、北海道庁のおつくりになる北海道総合開発計画の素案を私どもにお示しになりまして、それについていろいろ意見を出してもらいたいというお話が来ております。ただいま大臣がお答え申し上げましたように、私どもは昨年公表したビジョンをもとにして現在鋭意いろいろの検討をいだしている段階で、まだ道庁の計画に対して具体的な北海道開発庁側としての意見を申し上げる段階まで立ち至っておりません。しかしながら、事務レベルにおきましてはいろいろやりとりがございますので、その中で私どもの考えている意見等はいろいろ申し上げているところでございます。 まだ正式には申し上げておりませんけれども、事務レベルではいろいろすり合わせなどを行っている、こういうことでございます。
○安井分科員 ほかの問題がありますので、きょうは、北東公庫の存廃の問題が問われておりますので、その点に絞りたいと思いますので、この問題についてはこの程度にしておきますが、いずれにしても、今大臣おっしゃったように、道民に直結をした立場でまとめられた道の計画であれば、それを尊重していくという構え、さっきおっしゃったようなそういうことでお進みいただくことが大切ではないかと思いますので、その点だけ申し上げておきます。 臨時行政審議会の特殊法人問題等小委員会で、北海道東北開発公庫を日本開発銀行に統合するとか、あるいは市中銀行化するとかの案が討議されているようであります。事によれば、五月の審議会答申にこれが盛り込まれるかもしれないという話も伝えられています。 北海道の中では、この公庫は三十一年に設立されてから今日まで三十年経過をしておりますが、北海道開発法に基づく北海道開発行政と表裏一体的なものとして運用され、先ほど長官もおっしゃったように、北海道では農業は減反問題、漁業は北洋漁業がまさに危機的状況にあり、石炭も木材も行き詰まっている。第二次、第三次産業は立地がおくれている。そういうために、全国的には景気の回復の動きがあっても、北海道だけは極めて低迷しているという状況なわけです。そういうところへ統合とか廃止というようなことはもう絶対許されない、そういう空気が北海道内にみなぎっていると思います。横路知事を初め、経済界、道民挙げて存続を願っているという状況と私は受けとめています。これは東北地方においても大体同じようなことだと聞いているわけであります。 北海道開発庁そのものの統廃合の問題は今は出ていませんけれども、しかしこれは完全に消えたわけではないわけです。ですから、私は公庫がなくなるというふうな事態になれば、その次は開発庁の問題になる、そういう心配もあるわけです。開発庁長官と、それからきょうは北東公庫総裁もおいでいただいておりますので、それぞれからこの公庫の存続についていかに考え、どのような努力をこれからなさるおつもりかということについて伺います。 〔浜田(卓)主査代理退席、主査着席〕
○古賀国務大臣 北海道東北開発公庫、これは北海道総合開発体制の一環としまして、開発計画等に沿って地域開発の推進に鋭意努力されてきたわけでございまして、今後とも北海道総合開発上必要であるというふうに私らは考えております。 北海道・東北地域の国土政策上の位置づけ、経済の現状、とりわけ石炭産業あるいは国鉄、二百海里、季節労働者の問題等を抱えた北海道経済の現状から見ますと、地域開発専門の北東公庫の役割、機能は、今後とも一層重要度を増してくるだろうと私は考えております。 行革審の審議内容は、先生のおっしゃったいろいろな意見がまだ出ておりますが、新聞紙上で拝見しますと、まだ具体的にされていないという段階でございまして、開銀の統合論とかあるいは銀行化の問題とかいろいろ承っておりますが、これは新聞紙上で承った程度であります。しかし北東地域は、これまでの開発の成果の上に立って産業活動の活性化を図るべき段階であるというぐあいに現在段階を認識いたしております。そういうことを考えますと、地域の北東公庫存続についての強い要請もありますし、そういうことを勘案しながら、北東公庫のような独自の金融機関が必要であるというふうに私は考えております。これら具体的な行革審の審議には、これからいろいろと相談があるかと思いますが、そういう方向でひとつ今後御意見を申し述べていきたいというふうに考えていることを御理解願いたいと思います。
○吉岡説明員 ただいま長官の方から御答弁がありましたとおり、北東公庫は北海道・東北地域の地域開発、産業振興のために国の開発政策を踏まえまして、地域との緊密な連携のもと業務を遂行してきているわけでございます。 ただいまお話しのように、当公庫のあり方につきまして行革審の小委員会でいろいろ議論されているわけでございますが、北海道・東北地域の国土政策上の重要性から見まして、地域開発という目的を明確にした専門機関でなければ北海道・東北地域の地域開発のために必要な機能を十分に発揮できない、こう考えているわけでございます。したがいまして、私どもとしては、今後とも北海道・東北地域の開発促進のためには、独立の機関として一層その機能の充実強化を図って役割を果たしていく必要があると考えているわけで、そのために各方面の御理解を得るべく鋭意努力しているところでございます。
○安井分科員 行革審の方から、北海道開発庁なり公庫に直接いろいろ意見聴取といったのがあったわけですか。
○西原政府委員 開発庁の方にいろいろヒアリング等の要求がございまして、私ども出まして私どもの実情を御説明いたしております。公庫の方には直接の間い合わせはなかったように存じております。
○安井分科員 行革審という機関は、とにかく政府関係機関の簡素化、国の財政の節約、そのことを目標に置いて手当たり次第にあちこちに攻撃をかけているということではないかと思います。しかし、北海道東北公庫に何か一つの手がかりを求めているというのは、私はまだ結論が出たわけじゃないですけれども、もしそういうものを強行するというふうなことだとすれば、それは北海道や東北の開発の実態についての理解がないからだ、そう言わざるを得ないわけです。ですから、北海道・東北開発の実態を十分理解してもらうということが、私はまず皆さん方がやらなければならぬことではないかと思いますね。 開発銀行というのは、一般的に産業経済の効率性を追求するという機関なわけです。したがって地域開発についての関心は、これはゼロだとは言いませんけれども、特におくれた地域に対してどうするというふうな考え方はないわけで、現実に貸し出し先は大都市周辺に集中しているというふうなことではないかと思います。市中銀行においては、これはもう当然なことで、銀行の採算に合うようなことで運営をするわけなんで、利潤第一主義なわけですね。しかし開発のおくれた地域などは、そういう経済原則を引き込んできたってなかなかうまくいくわけはないわけであります。 ですから、北東公庫のような政府機関というのは、今のような開発銀行なり市中銀行などがうまく対応できない分野を担っているわけであろうと思いますね。その点をもっと知ってもらわなければいかぬのじゃないでしょうか。特に今のような北海道あるいは東北の経済状況の中で、地域経済の活性化に役立つような政策金融、どれを公庫という形で今果たしているわけで、それでも十分じゃないんですね、もっと強化してくれという声さえあるわけであります。そういう説明の努力をもっともっとやるべきじゃないかと思いますが、どうですか。
○西原政府委員 先生のおっしゃったとおりでございまして、先ほど大臣が申し上げましたように、北海道の経済状況が大変に悪い。例えば鉱工業の生産指数等を見ましても、全国平均では、五十五年に比べまして昨年で一二二%と高く伸びているわけでございますけれども、北海道では九八%というふうに五十五年に比べても伸びがないといった実情にある。しかも市中銀行からお金を借りようといたしましても、今お話がございましたように、景気が悪い、採算が難しいといったようなことがあって大変に借りにくい面もあります。そういったことを私どもはるる御説明いたしております。 しかし一方では、この北東公庫が存在を続けるためには改善すべき点も多々あることも自覚いたしておりまして、その辺についてもいろいろ努力をいたしていも次第でございます。例えば外部環境の変化であるとか、あるいは政策の上のニ-ズに適切に対応していくということ、それからこれまで何回かの行革大綱が政府から発表されておりますけれども、それに従って定員の削減を行うこと、しかも常勤役員の定員も一名削減いたしておりますが、そういった効率化といった面の努力、また借り出し等の事務手続の簡素化であるとか、そういった面でも種々改善を図ってまいっておりますし、今後ともそのように指導してまいりたいと考えている次第でございます。そういうことによりまして地域の皆様方の強い御支持を得て、北海道開発庁と北海道東北開発公庫とが車の両輪のようになって地域の発展に努力してまいりたいと考えている次第でございます。
○安井分科員 今お答えもありましたけれども、やはり改善すべき点は改善していくという努力を示すことが必要であろうと思います。公庫自身に対しても、民間の業者から、いやもう民間の金利は最近はどんどん下がってきている、公庫の方はもう手続が難しくてそれほど魅力があるわけではありませんなどと言う人もいないわけではありません。ですから、今もおっしゃいました。けれども、さらにサービスを改善することでそういう批判にもこたえていく必要がある。そして公庫が地域開発に不可欠な存在であるというアピールをもっと強くしていく必要があると私は思います。 例えば、北海道では一村一品運動というのが盛んに行われています。総裁に申し上げたいわけでありますが、公庫に例えば一村一品運動コーナーというようなのを設ける、あるいは町興し村興しのお手伝いをする開発公庫、こういうスローガンもいいのじゃないですか。私は、そういうこどで地域開発にこれから一生懸命にやるんだ、つぶすなんてもってのほかだという意欲をお示しになることが必要じゃないかと思います。事実として地域社会でのいういろな一村一品運動などというのがあるが、しかしできればその企業化でもっと経済効果を上げたいという期待もある。それが可能かどうかということについて情報の提供をするとか、資金の相談に乗るなど地域開発への細かな気配り、そういう熱意を示していくことが必要で、何か官僚的な発想だけにとどまっていてはいかぬと思うのです。その点どうですか。
○吉岡説明員 ただいま西原総務監理官からも答弁がありましたが、事務の合理化、簡素化等については従来ともにいろいろ努力しているわけでございますが、今後とも一層それに努めてまいりたいと考えております。 それから、いろいろ地域産業興し、それから地域の一村一品運動等に対する対応でございますが、私どもの活動としましては、まさしく地域に密着して、そういう地域に対するきめ細かい対応をやっていくことを心がけておりまして、ここ数年来いわゆる地域対応方針なるものをつくりまして、そしてそれぞれの地域の特性に応じた対応をしていくというふうにやってきておるわけでございます。そういう地域のニーズに合わせまして今後とも特別金利制度の拡充とか情報提供サービス、その他いろいろな業務の展開を図りまして、まさしく地域の振興、産業振興のための金融機関としての職責を果たしていきたいと考えておる次第でございます。
○安井分科員 特別金利の設定なども私は非常にいいことだと思います。そういう市中銀行や開発銀行などではできないことをやっているんだということを現実に実行に移しながら説明をし、説得をしていく努力をぜひお進めいただきたい。それによって、毎日のように私どもの方にもいろいろな陳情書なども来るわけでありますが、そういう道民の期待にこたえていただきたいと思います。 短い時間で、もうなくなってしまいましたので、景気対策としての予算前倒しのことなどもお尋ねするつもりだったのですが、それはやめます。 最後に、古賀長官に一言だけ要望して、終わりたいと思います。 北海道に対しては、これまでにさまざまな形で経済性に立った投資も行われてきた、あるいは北海道開発庁を中心とした政策的な投資も長い間行われてきました。しかし、ハードな投資が必ずしもソフトの面の開発には結びつかなかったこともあるし、あるいは全国的な経済の流れになかなかついていくことができなかったり、そんなことで、先ほど来言われているような今日的な問題が起きているということではないかと思います。しかし、相対的な開発のおくれということかもしれませんが、日本列島全体の中で一番大きな可能性を持っているのは北海道であるのではないか、私はそう思います。その北海道の豊かな可能性を、核廃棄物のごみ捨て場にするようなことで傷をつけるようなことはすべきではないと私は思うし、我々の大事な北の大地、その持つあらゆる可能性に次から次へ美しい花を咲かせるような、実現性のある開発計画をぜひとも樹立して推進していただきたいと思います。そのことをお願いして、終わります。
○大村主査 これにて安井吉典君の質疑は終了いたしました。 次に、奥野一雄君。
○奥野(一)分科員 日ごろ北海道の開発につきまして懸命な努力をされております開発庁にまず敬意を表したいと存じます。時間の関係もございますから、端的にお伺いしてまいりたいと思うのです。 北海道開発法ができてからもう三十六年くらいたつわけでありますけれども、最近は毎年事業費ベースで一兆円くらいずつつぎ込んで北海道の開発をやっているわけであります。今安井委員からもそれぞれ御指摘もございましたように、それだけの事業費をつぎ込んでいるにもかかわらず北海道の経済というのは必ずしもよくなっていない、こういう状況にあるわけでありますが、その原因は一体何だというふうにお考えになっておられるか、そこからまずお尋ねをしていきたいと思います。
○古賀国務大臣 北海道開発は、昭和二十五年以降北海道開発法に基づきまして進めてこられました。この間、国土保全、交通施設、農業等産業基盤の整備を進め、人口も当時の四百三十万人から五百七十万人に増加するなど、相応の成果は上げてきたものと私は考えております。 しかし反面、中心地が東京だとすれば、北海道は東京から非常に遠いし、また、積雪寒冷地の気候など自然条件、さらには開発の歴史の浅さ、広域に産業や人口が分散しているなど、社会的条件においても必ずしも恵まれていないと考えております。加えて、石炭あるいは二百海里など、北海道の経済をより一層厳しいものにしているのではないか。このような状況にあって、今日までの基盤整備というものが不必要かというと、私はさらに進めていかなければならぬと考えますし、経済を活性化し、その自律的発展の基礎を固めるため、官民挙げて最大の努力をしていく必要があるというふうに考えております。
○奥野(一)分科員 ここ数年来北海道の経済の活性化あるいは自立化を図るというようなことから、可能な限り北海道開発事業については地元の業者を優先的に指名をしてもらいたい、こういうような動きが随分ございまして、開発庁の方でも随分それについては御努力をされていることについては、いただいております資料の中でも読み取れるわけでございます。確かに、件数自体としては、地元業者に対する発注の率は幾らかずつではありますけれども上がってきております。しかし、金額から見ますと、むしろ幾らかずつ減ってきているというふうな現状にございます。また、契約単体当たりの、一件当たりの発注額というものを比較いたしますと、これは問題にならないほど本州企業の方が多いわけでございまして、結局大規模な事業については本州の大手業者に発注されている、そういう状況になっております。 それから、共同企業体という形のものが最近随分ふえてきておりますが、建設業関係の内容については私もある程度承知しているつもりでございますか、ジョイントベンチャーなんかの場合には、私の認識が間違っていなければ、大体本州大手の場合には七五%くらい契約金額の中で占めていると思っているわけです。したがって、そういうジョイントベンチャーなんかで地元の業者がその工事に参加をいたしましても、実際には余り大きな潤いがないというのが現実の姿でございます。 せんだって、北海道が現在の発展計画の点検をいたしております。私も北海道議会の方には十二年ほどおったのでありまして、今の発展計画、それから前の第三期総合開発計画の審議にも参加をしてまいりました。内容については承知しているつもりですが、その北海道開発庁が点検をした内容を見ておりましても、確かに生活関連なんかの分野では相当な成果は上がっている。大体順調に計画どおり進んでいる。しかし、産業の部面になりますとがたっと落ちてきている。工業出荷額なんかにしても、当初一〇%ぐらいのものを考えておったのが、実際には三分の一ぐらいより出ていないという実態でございまして、したがって、これからそういう面についても強化をしていかなければならないということになっているわけであります。 開発庁の方で「北海道総合開発の長期ビジョン」、こういうものを昨年の六月に出しているわけでありますけれども、この中を見ましてもそういうようなことについての指摘が出ているわけであります。したがって、ここに書かれているとおりだということになりますと、これからの北海道の開発ということについてもう一遍根本から見直してみる必要があるのではないのか。今までどおりの開発の仕方をやっておったのでは、これから先何年間も今のような形の一兆円ベースの事業費をつぎ込んでみても、北海道経済自体を活性化していくとか自立化を図っていくとかいうことは非常に難しくなっていくのではないか、こう思うのです。だから、そういう面では、ただ道路をよくするあるいは農業なら農業の基盤を整備するということだけではなくて、もっと北海道の開発をすることによって二次産業が起きていく、そういうことを図っていかなければならないのではないか、こう私は常々思っているのです。 そうでなければ、今国の経済が非常に厳しい中で北海道にこんなにたくさんの公共事業という形で予算をつぎ込んでも北海道経済が自立できないじゃないか、あるいは活性化が図られないじゃないか、こういうことであっては、これは北海道以外の各地から問題が提起されるおそれもある、こう思っているわけでありまして、ちょうど二十一世紀を目指しての「北海道総合開発の長期ビジョン」が策定をされたわけでありますし、ただ実施時期が一応六十三年度ということになるわけであります。四全総の関係でどうなるか、これはまだお聞きをしなければわからないことでありますけれども、たまたま時期的には非常にいいときでないか。そういう面では、この際もう一遍根本的に北海道開発のあり方を見直すべきだろうと私は思うのですが、その辺は、お考えとしてはいかがでございましょうか。
○古賀国務大臣 お答えいたします。 昨年六月、当開発庁におきまして、二十一世紀の発展方向を目指しました「北海道総合開発の長期ビジョン」を発表いたしました。このビジョンでは、二十一世紀の我が国の発展方向を見通し、これに基づき北海道の特殊性を生かして、バイオテクノロジーなど先端産業を中心とした研究開発の促進、あるいは高速交通・通信網の整備、安全で潤いのある国土空間の形成、それから四季を通じて快適な生活を営むことのできる生活環境の整備を提起しております。現在、四全総計画の策定作業が進められており、当庁においてもビジョンの方向を踏まえまして、地元はもとより、各界の意見を聞きつつ、次期総合開発計画の作成作業に取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。 私としましても、引き続き着実な基盤の整備の必要性は十分認識をいたしております。しかし、公共事業的なものだけではどうも発展性がないという感じを持っておりまして、これからはやはり創造性に満ちた、地域住民の方の創造性を引き出して、それに肉づけをどうしていくかということを開発庁が真剣に考えるべきじゃないかと考えております。 例えばこれは一つの例でございますが、北海道の釧路でとれるメンタイの子ですか、あれなどもからしメンタイコで福岡に行って付加価値をつけて売り出している。これはそういった知恵をひとつ出していただいて、そういうものを積極的に促進していく。道路をつくってみましても、住宅適地であれば当然区画整理とかいろんなものを付加しながら住宅立地を進めていく。そこには克雪的な家も建てられるようにしていきたいというふうに、今後方向の転換をしなければならない。ソフト面の強化というのは今後の大きな課題ではなかろうか。これにはどうしても北海道民の方のやる気が必要であろう、それをいかに我々が開発計画の方で助長していくかということを考えていかなければならない。これはこれから道民と一体になって問題の解決のために非常に努力しなければいかぬというふうに私は考えておるわけでございます。 先ほどはいろいろと非常に貴重な御意見を教えていただきましてありがとうございました。どうかひとつそういう点で今後とも御指導願いたいと思うわけでございます。
○奥野(一)分科員 「北海道総合開発の長期ビジョン」の中にも、今長官が言われましたようなことを書いてあるわけでありまして、道の開発庁としても、北海道開発の長期ビジョンの中で随分今まで努力をしてきたけれども、効果は必ずしも十分に生かされていない。今日北海道経済をめぐる条件は厳しいものがあるし、「未だ自律的な発展の軌道に乗り得ない現況にある。」こういう判断を開発庁自体がされているわけであります。そして、二十一世紀を目指して北海道が一つの経済圏として大きく発展することを目標にその開発を進めるものでなければならない、こう言われておるわけでありますから、今長官が言われましたように、この際これをもっと中身のあるものに、言葉だけでなくて中身のあるようなもの、いろいろなことを考えていかなければならないのではないか。もちろん北海道には道庁という機構もございます。今長官が言われましたように、一番の原因は北海道民自体のやる気であることは間違いないと思うのですね。だから、そういうやる気を起こさせるような誘導策というのですか、これなんかも非常に必要ではないか、こう思っているのです。 もう今まで長い間、単にと言うと語弊がありますけれども、多額の開発予算をつぎ込んで、そこへただ北海道の業者が集まってきて仕事をする、それだけの開発に何か終始しているような感じがしてならないものでありますからあえてそういうことを申し上げたのでありますが、やはり我々としても、北海道の中で道民のやる気を起こさせる、それと一緒に国の施策としてそういう方向に誘導していく、これが一体になりますともっと違った形になってくるだろうと思いますし、今横路知事がやっております一村一品なんかの場合であっても、私どもの目から見てまだまだ不十分だと思う点はたくさんあるわけですね。 これは、私はよく極論だというふうに断って申し上げてきているわけでありますけれども、例えば北海道の今までの開発事業でありますと、先ほど申し上げましたようにほとんど大きなところは本州の大手業者が大体とってしまう。これは技術的な面もあろうと思います。しかし私は、例えば技術面で弱いのであれば、北海道の業者の人力が集まってきて、今のこの世の中ですからそんな技術に追いつけないはずがない。ですから、そういうような技術を学び取る努力を当然北海道の業界がやって、そして技術的にどうしてもとれないものであれば、そういう勉強をしてもらって仕事ができるような体制を一つはつくってもらう。 それから一つは、モデルケースと言っては変でありますけれども、この仕事は本州の業者には指名をしない、これは北海道の業者だけにやってもらう。これは各省の予算がありますからすべてというわけには当然いきません。今の自由競争の時代でございますからそういうことはいけませんが、例えば開発庁の直轄なら直轄の工事については北海道の業者に指名をするぞ、したがってその技術的な面であるとかあるいは資材なんかの面でも地元で調達せい。これは大体、一年間の仕事の量というものはわかるわけでありますから、そうすると資材はどのくらい使う、その資材は今まででありますと地元で調達できるものはごく少なくて、どうしても本州の方にそういう資材や何かについても頼らなければならない、そこを地元でもってその資材をつくる産業を興せないか。 私は、二年ほど前でありますけれども、セメントでちょっと調べてみましたら、北海道にもセメントの工場があるわけでありますけれども、道内で使うものの六〇%。四〇%は本州の方に来ているわけであります。逆に四〇%は本州の方から入っていっているわけであります。これは一つの流通の中ですからそういうことはあり得ると思うのですけれども、輸送経費や何かいろいろなことを考えれば、本当なら一〇〇%に近いくらい道内で使うものは道内で生産をして、足りないものはそれは当然本州から持ってくればいいと思うのですが、一つの例としてそういうこともあるわけであります。もちろん公共事業、特に土木や何かの事業の場合には、資材の地元調達というものは非常に難しい面がございますけれども、しかし、いろいろな仕事の申で、例えば木造のものをつくるのであれば北海道の木材を使うようなことをそこでできないか。これは間伐材であろうがいろいろなものであろうが、利用の方法というのは出てくると思うのですね。これは一遍にいかなくたって、何年かかけてもそういう基盤をつくるということが、これから開発が進んでいくに従って、多額の予算を投下してもらった効果がそこにあらわれてくる、こういうようなことにしていかないと、私は北海道経済の自立というのは非常に難しいのでないかと。いう印象を今日まで強く受けておったわけであります。 ですから、ひとつ何とか北海道の経済がそういう面で自立化あるいは活性化ができるような誘導策ということについてお考えいただきたいものだ、こう思っているのですが、その辺はいかがでございましょうか。
○古賀国務大臣 先生のおっしゃるとおりでございまして、例えば旭川の木材加工業者ですか製材業者と申しますか、そういったところが最近北海道の木材が使えなくてなかなかうまくいかない、しかし外材はたくさん入ってくるといったような状況でございまして、これは間伐問題にしましても、もう来年度は間伐をやるようにやられるそうですが、これらを活用して旭川の製材業者の方も加工木材製品をつくってもらうとかそういった努力をひとつぜひお願いしたい。強化材を使えばいろいろな面にも使えますし、そういった創意工夫を出していただければありがたいなと、我々はそういう方向できょうも議論をしたところでございます。いろいろな知恵を寄せ合ってやらなければいけませんので、どうかひとつ忌憚ない御意見をちょうだいする機会を得たいというふうに考えております。
○奥野(一)分科員 長官の方から大変心強い御回答をいただいているわけでありますが、これは決して私のひがみじゃないのですけれども、私ども、北海道議会におりましたころにも当時の知事さん方と随分議論をしたことがございます。何で北海道の開発をやってもなかなかよくならないんだというところから議論をしたのでありますが、これは、必ずしもそうだとは言い切れませんが北海道開発法に問題があるんじゃないか、こういうことで随分議論をいたしてまいりました。 長官御案内のとおり、北海道開発法というのは、これは私から言わせますと、現在の時点では悪法の部類になるのではないかという感じさえ持つわけなんですね。それは、開発法というのはいろいろございます。例えば沖縄振興開発特別措置法、この目的を見ますと、この開発をすることによって、「もって住民の生活及び職業の安定並びに福祉の向上に資することを目的とする。」沖縄振興開発法にはそうあるわけであります。あるいはまた国土総合開発法の中では、「あわせて社会福祉の向上に資することを目的とする。」こういうのがございますし、そのほか首都圏整備法、近畿圏整備法あるいは中部圏開発整備法の中でも必ずそういう項目が入っているわけであります。入っていないのは、これは北海道開発法だけでございまして、北海道開発法は「北海道における資源の総合的な開発に関する基本的事項」ということだけしか書いてないわけです。もっとも、できたときの経過というのは、戦後の全般的に資源の非常に少ない時代ですから、北海道から資源を開発していく、これが一つあったと思うのですが、それにしてもこの開発法の一条、二条なんかは全部資源の開発だけ、そういうことだけなんですね。あるいは人口の問題、それだけしか書いていないわけなんですよ。 ただ、実際の仕事とすれば、先ほどから言っておりますようにいろいろなことを今開発庁でやられているわけなんで、本来ならこの法律に反しているんじゃないかと私は思うのですね。ですから、この際新しい開発ビジョンもつくられるのですから、北海道開発法も少し普通の開発法並みに直して、そして北海道開発庁がその先頭に立って北海道の地域の経済の活性化、自立化、そういうことのためにやるんだというようなことの意気込みをむしろ示した方がいいのじゃないか、こう思っているのですね。そうすれば北海道開発庁というのはもっと大きくなっていくのじゃないか、そういうふうに思っているのですが、その辺はいかがなものでしょうか。
○古賀国務大臣 お答えいたします。 開発法の問題に触れておられますが、現在の行政の段階では非常に難しい課題であろうと思います。御承知のとおり、北海道開発法は「北海道における資源の総合的な開発に関する基本的事項を規定することを目的」としておりまして、国はこの法律に基づいて北海道総合開発計画を立てて北海道開発を進めてきたところでございます。ちょうど法律が制定された昭和二十五年当時は、石炭等の資源開発に重点が置かれていました。その後は、我が国経済社会の変化や発展に伴い、それぞれの時代の背景に即応した北海道の種々の国土資源、すなわち土地、水等の開発をベースとして北海道の経済の発展に取り組んできているところでございます。現行の北海道総合開発計画においては、広大な国土の利用はもとより、自然環境の保全、利用、各種基盤整備、産業の振興、生活環境や文化、厚生などの社会生活の充実など、広範囲な分野にわたって施策の方針を明らかにしております。当庁においては、それに従って北海道の総合開発を進めているところでございます。 以上のような北海道開発の経緯を十分に認識し、当面は現行開発法のもとで北海道開発をさらに推進するように努力してまいりたいと考えておりますが、なお、御指摘の点につきまして、この法律は間に合わないのではないかという御意見等につきましては、十分留意してまいりたいという気持ちであることをひとつ御理解賜りたいと思います。
○奥野(一)分科員 現行の法律からいきますと、第二条にもはっきり書いてあるわけですね。第二条の第二項の中には、「開発計画は、北海道における土地、水面、山林、鉱物、電力その他の資源を総合的に開発するための計画」、こうなっているわけなんです。ところが実際には、この長期ビジョンなんかを見ますと、範囲は生活というのですか、もうすべてに及んでいるわけですね。ですから厳密に言ったら、やっていることはこの法律とちょっと違うのではないかというような印象を持つわけです。しかし、現実にはこっちの方で今進んできているわけですから、それだったらこっちの方もこれに合うように直すということは大して問題ないのではないかという感じを私は持つのです。 そしてできるならば、先ほど言ったようにこの開発事業を通して北海道の経済の活性化、自立化を図るというふうにむしろ入れれば、いろいろな仕事が開発庁としてできるようになるのではないか。もう法律の趣旨に合っていない現実ということであれば、これは直されるのが妥当ではないか、こう思っているわけなんですが、もちろん今すぐということにはならないと思うのですが、そういう検討をするというお気持ちはございましょうか。
○古賀国務大臣 先生の御指摘の点は十分留意していきたいと思います。 北海道の総合開発はいろいろなものを組み合わしてやっていかなければならぬと思います。例えば企業が来ないという理由に電力料金の問題がございますね。こういった問題も、国の政策に基づいて石炭を北海道電力がたくさんたいている、非常に高いものである、そういうものを安くしなければやはり全国平均のバランスのとれた電力というものが得られない。それで、そういう中で企業がなかなか立地できないという現実もあるわけでございまして、いろいろな面で、北海道の発展のためにはあらゆるものをすべて考えていかざるを得ない、私はそう思います。したがいまして、これを法制化とかいう問題になりますと大変な問題でございまして、これは国土庁の所管じゃないかなというような話になりましたらちょっと困りますし、その辺はひとつ御理解を願って、十分留意させていただきたいというふうに考えております。
○奥野(一)分科員 もう時間が参りましたので、私も最後にちょっと御要望を申し上げておきたいのですが、これはいいことなのか悪いことなのかちょっと判断はつきかねますけれども、我々が小さいころから見ると、最近は大臣が全く短い任期でおかわりになるんですね。私ども小学校におったころは、大体大臣の名前を全部暗記しなければこれは学校でも通用しなかったのでございます。ですから一生懸命覚えましたし、覚えてもう何年間も大体大臣やっておられるのであって、最近になりますとなかなか覚えること自体大変なことだと思っている。これはある意味ではいいのかもしれないと私は思っておるのです。 例えば北海道開発庁長官にたくさんの方がなっていただいて北海道の実態を知ってもらうということは、それだけ北海道に応援をしてくれる組の方がたくさん出ればいいと思うのでありますけれども、せっかく就任をされたわけでございますので、私の希望とすれば、ぜひ長くやっていただいて北海道の開発のために最善の御努力をしていただきたいものだ、こう思っているわけでございまして、今後ともひとつよろしくお願いしたいと思います。 時間が参りましたので、終わらせていただきます。
○大村主査 これにて奥野一雄君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして北海道開発庁についての質疑は終了いたしました。
○大村主査 次に、沖縄開発庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
○上原分科員 北と南の話で頭の切りかえも大変でしょうが、温かい気持ちでひとつ御答弁を賜りたいと思います。 御承知のように限られた時間ですから、早速本論に入らせていただきますが、最初にお尋ねしたいことは、沖縄振興開発計画とのかかわりで、沖振法で特に措置をされている補助率カットの点でございます。 目下の行財政改革という厳しい環境というか状況にあっては、ある程度我慢しなければいけない面もあることは否定いたしませんが、今の北海道開発庁の話を聞いても、たしか二十六年に北海道開発庁設置法はできたはずなのです。しかし、法律の中身をもっと充実化しなさいという御要望でしょう。それを聞いても推して知るべしで、ああいう二十七年の米軍支配ということと、復帰しても一次、二次振計も目標達成がおぼつかないということでは、この補助金カットの問題は沖縄振興に重大な支障、影響を与えていることは間違いないわけです。事情は全く理解しないということではないのですが、特に意欲を持たれて沖縄開発に御努力しようとしている長官の、このことについての感想、決意、これからどうしようとしておられるのか、まずお伺いしたいと思います。
○古賀国務大臣 お答えいたします。 御承知のように、沖縄は戦場になったところでございまして、十二万名以上の貴重な人がお亡くなりになったということで、特殊事情にあると理解いたしております。そういった意味で、沖縄県民の皆さんが本当に和やかに今後おつき合いできる体制をつくることが大事であろうと考えておりまして、そのためには補助率の問題も、当然上原先生のおっしゃったような考え方はございます。沖縄の補助率引ぎ下げの措置は、国の厳しい財政状況の中で行われた二分の一を超える高率補助率についての二年連続の問題でございますが、沖縄については六十年度に引き続きその対象を限定し、引き下げ率を、内地は一〇%ですが、五%とするなどきめ細やかな緩和措置をとっております。沖縄経済社会の現状、財政基盤の脆弱さを考慮し、県民感情についても十分配意された内容のものであろうと私どもは考えておりますが、意に満たない点があることも十分理解できるわけでありまして、そういった点で御理解を賜りたいと存じております。
○上原分科員 確かに、開発庁、関係省庁が沖縄の特殊事情、振興開発計画で措置されていることについてある程度御配慮されてきたということは私も否定はしないし、そういう対象については限定して配慮してきたので理解してもらいたいという御回答もわからぬわけじゃないのです。しかし、問題は、六十年度限りと言われたのがまた三年延長されるわけです。今、大蔵省主導で政府のやってきているものはすべてもとに戻るということにはならないと思うのだ。その保証がありますか。そうしますと、一次振計も目標達成できなかった、二次振計も折り返し点に来ている、後期のプロジェクトをどうするかという問題を含めて、沖振法で言う本土との格差是正と経済の自立基盤の確立という基本、フレームが崩れるというか達成できないで、格差は格差のままずっと続いていくということになりかねないわけです。これをどうするかということは真剣に考えていかなければいけないわけです。これまでは何とか理解されてきた面もあるかもしれませんが、今後の見通しはどうなのですか。これ以上切り込まれた場合に一体どうなるかという不安が非常に強いわけですが、改めて聞かせてください。
○古賀国務大臣 五%切り下げの問題は六十三年度までというようなことできているわけですが、それはまた今後の諸情勢の推移等を勘案しながらその時点において検討される問題と思います。沖縄振興開発事業及び沖縄県、市町村の財政に支障がないように十分配慮してまいりたいと我々考えているわけでございます。 いずれにしましても、第二次沖縄振興開発計画の推進については、計画の基本方向を十分認識しまして、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えておる所存でございます。
○上原分科員 わからぬわけでもないですが、数字を一応明らかにしておいた方がいいと思うので、六十年度あるいは六十一年度、この補助率カットに伴う削減額はどういうふうになっているのか、明らかにしてください。
○小林(悦)政府委員 六十一年度におきます公共事業関係、特に投資的関係の経費でございますが、今回の措置によりまして約三十億円、これだけの影響を受けることになってございます。六十年度に該当する分は約四十億強でございます。
○上原分科員 これだけ県なり市町村の負担に肩がわりされていくわけですよ。予算折衝の段階でも、藤仲事務次官や小林さん、小谷さん、みんな、補助率は削減するが、その分は事業費に上乗せする、あるいは特交でまた裏負担をやっていくのだからさほど影響ないということをおっしゃっていますが、実際はそうではないのだ。その議論はまた沖特あたりでいずれやります。 確かに補助率をあれして事業費をたくさん取って事業をしていけばそれだけ仕事ができる、それも一つの理屈なのだが、財力があって民間活力もある市町村、県ならそれでもいいかもしらぬが、財政が、指数もはるかに低い地域においてはその論は説得性がないということをここで指摘しておきたいと思うのです。 もう一点。これは沖縄復帰のときにもう少し細かい配慮をすべきだったと我々も今反省というか、痛感しているわけなのですが、補助率も、沖振法ではハードの面は確かに十分の十をトップに高率補助ということでいろいろ措置されてきたわけなのですが、今市町村あたりが一番困っていることは、大蔵省の諸君もいらっしゃると思うので聞いておいていただきたいのですが、補助率カットは沖縄開発一括計上分だけではないわけです。全国一律実施約社会保障関係経費というものが、財政の乏しい沖縄あるいは全国の市町村にいかに影響を与えているかということを予算編成に当たって真剣に考えてもらいたい。例えば生活保護費は昨年の八割から七割にカットされて今度も値切ろうとしたが、これは相当反発が出てできなかった、据え置きになったのだが、老人ホームとかあるいは特に保育所、保育所に対する補助というのが十分の七から十分の五に、これは年々削減されて今日の状態になっているわけであります。これはもう各関係市町村に対しては非常な財政負担になっている、こういうものは。だから、ソフトの面とか国民生活と関連のある予算の、こういう社会保障関係費の切り込みというものがいかに国民生活を圧迫をしているかということを、役人の皆さんはもっと真剣に考えていただかなければいかぬと思うんだね。 大臣、本来はこのことも、沖縄のように格差のあるところは措置法で特別措置をやっておくべきだった。これが欠落したものだから、全国画一的にもろにやられるものだから、非常な支障というか、犠牲を今与えている、したがって、六十二年度以降の予算編成に当たっては画一化せずに、こういうものについてももっときめ細かな配慮を考慮してしかるべきだと私は思うのですが、御検討いただけますか。
○小林(悦)政府委員 先生御指摘の経常経費関係の補助率でございますが、これは全国並みの補助率となっているものが、先生御指摘のようなものが多いわけでございます。 ところで、六十一年度の地方財政対策で決められました方針でございますけれども、経常経費で六千百億円、これだけ不足するということで、これらにつきましては、たばこ消費税であるとか、地方交付税の特例加算、また調整債ということで、全体として財政措置がとられているところでございまして、沖縄についても、概論としてはそれらの経費が見られているということになろうと存じます。 なお、いろいろ沖縄の財政の苦しい点は私もよく承知しておりますので、これらにつきましては、またきめ細かくいろいろ御相談をさせていただきたいと存ずる次第でございます。
○上原分科員 その点はよく御検討をいただいてやっていただきたいし、要するにこれ以上の切り込みを許してしまったら、沖縄振興開発計画あるいは沖振法というのも絵にかいたもちになる。この点だけは特に御留意をいただきたいと思うのです。大臣よろしいですね。
○古賀国務大臣 よく留意してまいります。
○上原分科員 次に移りますが、これも何回か予算の分科会あるいは沖特そのほかの委員会でも、たしか建設委員会あたりでもやった記憶があるのですが、いわゆる市町村未買収道路、言うところのつぶれ地補償の件ですね。これは国県道の進捗状況、六十年度末でどうなっているのか、また幹線市町村道はどうなっているか、ちょっと説明をしてください。
○小林(悦)政府委員 先生よく御存じですので、数字だけ申し上げさせていただきます。 国県道につきましては、昭和六十年度末までに全体計画の約九二%、これは面積比でございますが、を完了することとなってございまして、昭和六十一年度は前年度に引き続きまして残事業の処理を鋭意進めることといたしまして、その所要額四十六億三千万円を計上しているところでございます。 それから幹線市町村道につきましては、昭和六十年度末の進捗率は、面積比で約七一%の見込みでございまして、昭和六十一年度におきましても引き続き八十六億五千百万円を計上しているところでございます。
○上原分科員 そこで、これが九二%、あと八%残っておって、一方、幹線市町村道は二九%弱残っているわけですね。いつまでに終わるのですか。
○小林(悦)政府委員 これから非常に処理の難しいものが残っておるわけでございますが、金額的にはあと二、三年で解決がつく金額になっておるわけでございます。
○上原分科員 ここは既に方向づけられていますから問題ないわけだが、ただ、その実情を十分明らかにしておきたいと思って今お尋ねしたわけですが、問題は、たびたび指摘してまいりましたように、その他の市町村道ですね、いわゆるこれに該当しないもの、これは歩きながら考えると言って、既に六年、七年近くすっと考え通してきたと思うんですがね。その他市町村道の解決をしなければいかない面積あるいは金額は一応どういうふうに御認識をしておられるのか、お答えください。
○小林(悦)政府委員 五十三年度価格だったと思うのですが、金額で二百六十億円だったと思います。間違いであれば後で訂正させていただきます。(上原分科員「面積は」と呼ぶ) 先ほどのをちょっと訂正させていただきます。金額は、五十一年度の評価額で二百六十億円でございます。 面積は百十万平米でございます。
○上原分科員 そこで、この件については沖縄選出の同僚委員の先生方もしばしばお尋ねになっているし、また参議院等での回答、あるいは私が取り上げたことに対しての御回答、大体似たり寄ったりの域を出ていないわけですがね。問題は、六十三年度までに国県道と幹線市町村道が終わる。そうしますと、この百十万平米のその他の市町村道、五十一年度価格で約二百六十億円、この問題は、戦後処理の一番大きな課題、残っている問題なんですね。我々が建設省やあるいは自治省にいろいろお尋ねすると、沖縄開発庁から具体的な提案がなされた場合は協議をして対処していきたい、こういうふうな言い分をしておるわけですが、私が去年藤仲次官ともいろいろ相談をして、予算分科会で取り上げた後ですが、藤仲次官も、その他つぶれ地の解決策については、関係省庁との調整と並行させて県知事とも協議をして、それを早目に解決をしていくという、かなり前向きで、かつこの問題もいつまでも検討事項として置いておくわけにはいかぬということを言っておられるわけね。委員会でも大体そういう答弁をしておられる。六十二年度には予算を芽出しをしたいという答弁もある。そうしますと、これはもう年次計画でやれば、何も二百六十億一挙に計上するという問題ではないわけですよね、長官。手のつけられるところからどんどんというか、随時進めていけばいいことなんで、六十二年度の概算要求なり予算編成に当たっては、その他の市町村道つぶれ地問題、これはいろいろ協議をしなければいかない範囲はあると思いますが、少なくともそれはおやりになっていく立場で今進めていると私は理解をするのですが、その点いかがですか。
○古賀国務大臣 もう既に前藤本長官から、六十四年の概算要求を間に合うようにしたいということで国会で発言がされております。私もその前長官の方針を踏襲しまして、グルーピングの問題やらいろいろな問題もあるかと思いますので、そういった問題で建設、自治にわたって具体的な協議ができる段階になりたいという気持ちでおることをひとつ御理解いただきたいと思っております。
○上原分科員 大臣がお答えになったんだから改めて聞くまでもないと思うのですが、せっかく建設省も自治省もおいでですから、どうしても関連しますから、開発庁が少し前向きになると建設省がブレーキをかけたり、あるいは自治省がというようなことではいかぬので、この際六十二年度予算の編成に当たってこの問題は三者で協議の上、もちろん沖縄県なり関係市町村を含めてやっていくということでいいですね。それぞれ御答弁いただきたいと思います。
○田尻説明員 お答えいたします。 沖縄開発庁の方から具体的な御協議がございましたら、その段階で検討してまいりたいと思います。以上でございます。
○遠藤説明員 お答えいたします。 その他の市町村道のつぶれ地問題でございますけれども、今後沖縄開発庁から具体的な御提案があれば、私ども関係市町村の財政運営が支障を生じないという観点から協議に応じ、十分検討してまいりたい、こう思っております。
○上原分科員 どこかの大臣みたいに脱線発言しても困るのだが、建設省いつもそんな紋切り型で、開発庁から具体的な提案があったら検討しますと言うが、それでは開発庁は具体的な提案を今までやっていないの。今度やりますね。
○小林(悦)政府委員 今までも内々いろいろ相談はしておるわけでございますが、私はこの問題を解決する前提といたしまして、やはり市町村も応分の負担をする、こういうコンセンサスをつくることが必要であろうと考えます。したがいまして、現在私の方と県、町村会また市長会、こういうところといろいろ相談をしているところでございまして、これらを踏まえまして、いずれにいたしましても概算要求に間に合うように努力をしてまいりたいと考えております。
○上原分科員 小林局長の答弁も大体いつもそんなもんなんだ。それはわかりますよ、ある程度お役人の立場で。だからきょうは詳しくは言いませんが、問題はその他市町村道の中で一番多く抱えている那覇市の方との協議も進めていただいて、しかしこれは応分の負担といっても本来国が措置すべきことなんで、そう市町村に負担をかけるということではいかぬと思います。だが話としてはそれも全く理屈が立たない提起ではないと思いますので、応分の中身が問題だから、その中身を早く詰めてください。いいですね。 あと時間がありませんので、次に移ります。 次は、これも短時間では議論できませんが、最近ちょっと明らかになったことで、私たちもショックでしたが、御承知のように四月一日から新国民年金法が適用され、基礎年金導入の問題の法改正がいろいろなされたわけですが、沖縄側の年金加入者、特に三十七歳から五十五歳の範囲の方が相当の不利益をこうむる。これは本土は昭和三十六年から皆保険制になって沖縄が四十五年に年金法ができたといういきさつがあってのギャップのようですが、しかしこれも、復帰のときには激変緩和的な措置をやったわけですよね。だが、今回の法改正に当たっては厚生省も沖縄開発庁もそれをやってないわけですよ。 そういうことなので、きょうは細かい議論はよしますけれども、沖縄開発庁、このことについて一体認識しておられるのか。これはほっておくわけにはいかない問題なんです。極めて重大な問題なんです。場合によっては大変な政治問題に発展する可能性さえある。したがって、きょうは問題指摘だけでとどめておきたいのですが、私はこの間県の年金課にも行っていろいろ事情を聞いて、早速年金局長や審議官などにもお会いしていろいろ要望もしました。私はこの問題は余り詳しくはないので、うちの社労の詳しいベテランの先生方とも相談していますが、何といっても沖縄の復帰特別措置とのかかわりがあるという面では開発庁も重大な関心を持っていただいて是正措置をやってもらわなければ困ると思うのですが、この件についてどのように御配慮、善処なさるのか、御見解を聞いておきたいと思います。
○古賀国務大臣 国民年金法の施行に伴い、沖縄県民の将来に、老齢基礎年金給付額が本土の被保険者に比べ相当の格差が生じるということは事実のようでございます。これは国民年金制度の発足がおくれたこともありまして非常に難しい問題でありますが、私は厚生省に電話しましてその善処方をお願いしたところでございます。 これはどういうことになるか、これから詰めていかなければいかぬ問題でございまして、県民のそういった不利益の問題でございますので、開発庁としても全力を挙げてこの問題と取り組んでまいる、そしてぜひ解決したいという気持ちでおることだけ理解していただきたいと思っております。
○上原分科員 かなり強い御決意で厚生省と協議をなさるというお答えですが、厚生省も相当頭を痛めているような感は受けますけれども、何分九年のギャップがあるものですから、この保険料といわゆる支給とのバランスの問題とか加入者の本土とのかかわりとか、いろいろ理屈を言えばあるのです。しかし基本は、もし沖縄が施政権が分断されていなければ昭和三十六年から同一加入だったわけですから、ここに問題があるということをひとつ御理解をしていただいて、四月一日までには間に合わないかもしれませんが、関係者がこのことで不安を抱く、あるいはその不利益をこうむることのないように特段の御努力を開発庁、厚生省、もちろんこれはいろいろ場合によっては大蔵も関係しますので、お願いをして、時間ですから終えたいと思います。
○大村主査 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。 次に、玉城栄一君。
○玉城分科員 私も大臣に初めて質疑をさせていただきますので、基本的な点をまず確認をさせていただきたいわけでありますが、御就任されて三カ月余、沖縄の方にも視察をされ、また向こうでもいろいろ各界各層の御意見等も承っていらっしゃるわけであります。歴代沖縄開発庁長官もそれぞれの立場でいろいろな構想もお話しになってこられたわけでありますが、大臣も御就任されてからいろいろな機会にお話もしていらっしゃいます。その中で古賀沖縄開発庁長官とされて、沖縄振興という立場、現実、それから今後を考えたときに、どういうふうな独自のお考えをお持ちであるのか、その点をまず最初にお聞かせいただきたいと思います。
○古賀国務大臣 沖縄県には基地が非常に多うございます。したがいまして、大変制約条件が大きいし、また離島があります。したがいまして、遠距離の地域の各離島に人々が住んでおられるという問題もあります。また、戦場になったということもありまして、県民のお気持ちも十分考えていかなきゃいかぬ問題があるというふうに私は理解しております。したがいまして、県民の皆様と十分御相談しながらひとつ沖縄振興開発を進めていきたい。 何としましても失業者が多いという問題は大きな課題でございますし、また産業立地もなかなかできないという点も私ら心配いたしております。これからそういった問題と取り組みながら、さらに観光産業等を進めながら、また農業の問題は、特に亜熱帯地方の中心になりますので、これの活用方法を考えていったらどうかということも考えながら今後振興開発を進めていきたい。したがいまして、来年国体後、新しい振興開発計画の後期の問題に当たりますので、後期戦略の問題としてひとつ具体的にただいま検討を進めておるところでございますので、そういうふうに理解していただきたいと思います。 私も、沖縄にたびたびお世話になっておりまして、大変県民の皆様にお世話になっておりますので、今後ともひとつ相ともに頑張ってまいりたいという決意であることだけ表明させていただきます。
○玉城分科員 具体的に、今大臣がおっしゃられました二次振計後期のプロジェクト、これは非常にこれから大事だと思うわけであります。いろんな考え方もあると思うわけでありますが、一つ一つ、例えば今大臣もおっしゃった亜熱帯農業の問題だとか後期プロジェクト、これがいいんじゃないか、あれがいいんじゃないかというような話がいろいろたくさんあります。 それはそれとして、一つ、御存じのとおり、今大臣も米軍基地の問題をおっしゃいましたけれども、この問題はちょっと棚上げにしまして、米軍から返還されたいわゆる軍用跡地ですね。返還されたもの、あるいは今後も返還予定のものもあります。そういうものも含めて、その返還軍用跡地の活用ということは非常にこれから大事な問題だと思うわけですね。 それで、その返還された米軍跡地を、あるいは区画整理事業の方式とか現実にもうやっておりますし、それからまた、市街地再開発とか、これも現実にやっておりますし、これからさらにまたやらなくちゃならないというところもあると思うのですが、そういう点について大臣は基本的にはどういうお考えをお持ちであるのか、お伺いをいたします。
○古賀国務大臣 軍用跡地の整備の問題につきましては、これは県民のお役に立つようなことを前提に置きまして進めていかなきゃいかぬということでございます。そういう意味では、これらの利用促進が整々とできますように、土地区画整理事業やら都市再開発事業等をやっていかなきゃならぬというふうに考えております。また、ところによっては土地改良事業も実施していって、その利用が円滑にできるようにしていきたいというふうな気持ちでございます。 特に、私、那覇市を見て回りましたけれども、どうも都市内に児童公園なんかが少ない。そして、そういう意味では子供の遊び場がないのではないかという気もいたしますし、これらには再開発事業等が適用できれば土地を生み出しながらひとつ住宅もつくっていく、そういった問題と兼ね合わせてやっていったらどうかなというふうにひそかに考えているところでございます。そういう問題は箇所的な問題でございますので具体的な場所は申し上げられる段階にございませんが、そういう箇所ごとに市町村の意見も聞いて具体的に進める方策を考えていきたいというふうに考えていることを御報告したいと思います。
○玉城分科員 長官も御存じのとおり、一つ那覇市を例にとりますと、これは戦争で廃墟になりまして自然発生的にでき上がった都市で、もう交通渋滞も含めてどうにもこうにもならないというのが実態です。その那覇市の中に、米軍提供、そして返還されて、今土地区画整理事業で新しいミニ都市づくりもやっていらっしゃるわけだし、御存じの天久地区におきましても、来年度あたり返還されて、またそういう構想もあるわけですが、私は、それだけでなくて、この那覇市も含めて、中部地域も含めて、あるいは先島も含めてやはり都市の再開発ということがこれから沖縄にとって非常に重要な問題だ、こう思うわけです。 ですから、これは十分、さっき申し上げました沖縄第二次振興開発計画後期のプロジェクトとして位置づけられて、相当な民活も導入しながらこれは非常に大きなプロジェクトとしてこれから沖縄振興開発にとって非常に重要な位置づけがされる、このように思うのですが、いかがでしょうか。
○古賀国務大臣 全く同感でございます。民活を活用できれば非常にありがたいと思いますが、再開発事業等についてはある程度国の補助も考えられておりますし、そういった仕組みを利用してやっていった方がいいのじゃないかと思いますし、そういう意味では今後我々も勉強しまして御期待に沿えるようにしたいというふうに考えております。
○玉城分科員 それでは、局長さんで結構ですが、とりあえずそういう都市のいわゆる区画整理事業、それから市街地再開発予定も含めて現状を、簡単でよろしいですから御説明いただきたいと思います。
○小林(悦)政府委員 ちょっと現状から先に説明をさせていただきますが、現在、土地区画整理事業の国庫補助事業といたしましては、県内で二十五カ所実施をしてございます。このうち、軍用跡地に係るものが九カ所、それから都市周辺部における市街化が進行している地域に係るものが七カ所、それから市街地内の都市改造型のものが九カ所でございます。このほか六十一年度では西原町それから石川市で新たに二カ所行わしていただくように予算をお願いしてございますので、こういうのが含まれれば二十七カ所実施をする、こういう形になるわけでございます。 それから市街地再開発事業につきましては、先生御承知のように昭和六十年度に那覇市の久茂地一丁目地区において初めて沖縄では着手をいたしたわけでございまして、鋭意それの調査を進めておるということでございます。今後行われるもの、また行われたもので大きなものといたしましては、小禄金城地区、これの区画整理が昭和五十七年度から事業を実施してございますし、先ほど先生御指摘になりましたように天久地区の開発も六十年度から地域振興整備公団が事業化に向けた調査を実施しておるところでございまして、これに含めて久茂地の再開発、こういうことを現在予定し、また実施いたしておるわけでございます。
○玉城分科員 今お話のありました那覇市の小禄全域地区は既にやっているわけですが、これから予定していらっしゃる那覇市の天久地区の都市再開発と申しますか、これが返還されまして大体三万ないし四万ぐらいの人口を収容して新しい都市ができるわけですね。これは開発庁とされても相当の力を入れていただきたいわけですが、二十一世紀に向けて新しいそういう都市づくり、こういうものはやはり十分二次振計後期のプロジェクトとして位置づけられて、振興開発にとって非常に重要なものになると思うわけです。 ですからその点、細かい点につきましてはまた後日の沖特委あたりでいろいろお伺いすることにいたしまして、その前に国土庁の方にちょっとお伺いしておきたいわけであります。 ことし秋ですか、四全総が発表されるわけであります。これは去年のこの分科会でもお伺いしたわけですが、いわゆる三全総においては沖縄の位置づけというのは、特別に配慮を要する課題地域という形で、基本的な位置づけも何もされないままに来ているわけですが、やはり四全総そのものが、二十一世紀に向けての国土をどうするか、どう使うかという基本的な考え方に立っているわけでありますから、その四全総の中における沖縄の位置づけというものは、基本的に今回当然きちっとされると思うわけですね。ですから、まだ期間があるわけで、少なくともやはり国土庁とされては、その方向性ですね、四全総における沖縄の位置づけ、方向性というものについて大体どのような考えを持っていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○糠谷説明員 お答えをいたします。 第四次の全国総合開発計画につきましては、現在策定作業中でございまして、今年秋を目途に策定をしたい、こういうことで作業をしているところでございます。 沖縄県につきましては、先般国土庁が実施をいたしました地方公共団体からの意向聴取におきましても、沖縄県から、自由貿易地域の整備あるいは国際的な観光開発の推進といった国際化に対応した地域づくりということを重点に置きたい、こういった御要望を承っております。私ども四全総の策定に当たりましては、こういった地元の御要望も踏まえまして、しかも国際化がこれから非常に進展をする、こういうことが予想されますので、沖縄県、日本の最南端に位置して、歴史的、風土的にも東南アジアとの関係が深い、そういった特性もございますから、そういった特性を踏まえて今後沖縄開発庁とも相談をいたしながら四全総の位置づけを検討してまいりたい、このように考えております。
○玉城分科員 国際化に対応した地域づくりというような、大体そういう方向で位置づけられるということでありますが、そこで長官にお伺いをいたしたいわけでありますが、確かに今沖縄振興開発第二次計画の中間地点、いわゆる後期プロジェクトもこれからという段階であることはよく理解しているわけですけれども、やはり今国土庁のそういう方向からしても、いわゆる国際化、我が国における沖縄の位置づけとして今後どんどん国際化という立場で沖縄というものを位置づける。東南アジアとも近い。あるいはもっとあるでしょう、海洋開発とか、これも長官もおっしゃっていらっしゃいますので、そういうことをやはり二十一世紀に向けてということかも考えますときに、これは二次振計、そして次の第三次振計ということまで頭の中に入れていかないと、こういういろいろな構想が出ますけれども、これが全然実現できない、こう思うのですけれども、いかがでしょうか。
○古賀国務大臣 先ほど御説明申し上げましたように、沖縄開発庁としましては目下振興開発計画の後期の展望と戦略について検討中でございます。四全総における位置づけ等につきましては、ひとつ十分国土庁と打ち合わせまして、その考えが反映されるように全力を挙げてまいりたいと考えております。 国際化時代でございますので、先ほどちょっと自由市場の話がございましたが、やはり物流の中継点としての沖縄の位置は非常に格好なところにございますし、また観光資源にも恵まれておりますので、そういった意味では国際的な観光リゾート的な問題も提起したいと思いますし、それから農業は、ちょうど亜熱帯地帯の産業でございますので、どうしてもこれもひとつ具体的に進めていくようにいたしたいということで、ただいま検討中でございます。 さらに、経済協力基金でつくりました東南アジア等の研修センター、これは人材の交流が非常にできる場所にございますので、そういう意味ではこの活用の方法もあるのではないかというふうに考えていることをひとつ御理解賜りたいと思っておケます。
○玉城分科員 いや、ですから最初に申し上げましたとおり、御就任されてもう三カ月遅ぎていらっしゃるわけですから、歴代長官、いろいろなことを沖縄振興についておっしゃっておられるわけですね。今いろいろな質疑があったわけですが、そういうものを踏まえて、やはり政治家として、長官としてはどういうふうに独自に構想を、したがって私さっき申し上げました三次振計まで伸ばすことも頭の中に入れる必要があるのではないかという点について、いかがなのでしょう。
○古賀国務大臣 それらの問題をただいま検討中でございますので、それはこれからどの程度かかるか、どの程度でそういった問題がある程度達成できるか、そういうことによっては三次振計まで移るのではないかと思いますが、具体的なそれらに対するいろいろな諸問題の解決のための期間とか、いろいろな問題も検討しなければいかぬと考えております。そういったことで、国際的な面につきましては、先ほどフリーゾーンの問題がございまして、これは非常に要望が強い問題でございますので、具体的に解決の方策を検討してまいりたいというふうに考えていることを御理解賜りたいと思っております。
○玉城分科員 時間もありませんので、フリーゾーンの問題についてもさっきから出ておりますが、この問題とてせっかく沖振法の中に制度としてもう四十七年のときからちゃんとありながら、十三年過ぎた今日なお実現しない。あるいはこの三月には地域指定もされて、いわゆる始動していくのではないかと思っておりましたけれども、なおかっこの三月になってもこの問題は解決しない。まあこの問題はまた後で沖特でも御質疑させていただきたいと思うのです。 質問変わりますが、これはまず文部省の方に伺いたいのですが、いらっしゃいますね。 御存じのとおり、沖細の米軍基地の中に五つのアメリカの大学の分校が開校しているわけですね。その五つの大学、せっかくいい場所だからということで、地元では県も非常に積極的に、いわゆる国際社会に対応し得る人材育成の主要拠点として、他府県に比べ恵まれない大学教育機会の補完策として、沖縄の学生、社会人が就学できる方途を講ずることは沖縄固有の特典を活用する極めて適正な得策であると。具体的なメリットとしては、米国を初め海外留学費用、年間三百万ないし四百万に比べ、年回六十万円程度の学費で済む。それから、夜間の講義で社会人の就学が可能であり、アメリカの権威ある学位の取得の機会が拡大、県内教育水準の向上にも貢献できるのではないか。あるいは英語能力の取得、あるいは情報、文化の交流を通して直接の国際親善、国際的視野と感覚の涵差等々、いろいろな理由から、これは積極的に県も含めて、せっかくあるアメリカの大学、基地内にはあるわけですけれども、五つの大学の就学の機会を与えるべきではないか、こういうことで大分具体的に話は進んでいるのですが、文部省としてはこういうことについては好ましくないという考えなのか、その辺いかがでしょう。
○佐藤(禎)説明員 ただいま先生の御質問の趣旨は、恐らく沖縄県の中におきます調査会の結論等も踏まえてのお話かと存じております。この趣旨につきましては、私ども、沖縄県子弟の高等教育へのアクセス、そういう観点から見ますれば基本的には結構なことであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。 ただし、沖特委におきましてもかねて先生の御質問にお答えをいたしまして、外務省から、地位協定との関連等でなお慎重に検討を要する点がある、したがってそういったことの検討の上に各省と協議をする、こういう段取りになっているというふうにお答え申し上げておりますけれども、この御協議を待ちまして私どもも対応させていただきたい、かように考えている次第でございます。
○玉城分科員 文部省として、基本的に結構なことである、ただ外務省の地位協定との問題ということでありますから、外務省の方に、いらっしゃっておりますか、外務省はどういうお考えなんですか。
○岡本説明員 本件につきましては地元の強い要望があることをよく存じております。そして、私ども、その実現によりまして米軍側と地元の相互理解の増進にもつながる、そのことが期待されると思っております。したがいまして、基本的には、そういったことを踏まえまして、実現を目指しまして、ただいま検討を行っているところでございます。 しかしながら、本件は、もともと米軍基地内における米軍人軍属家族のために設置されている大学に邦人学生を恒常的に入学させるという、それ自体は地位協定の想定していないような事態にかかわるものでございますので、本件構想を実現する以上は、でき上がった制度が不測の障害を受けることなく安定的に機能し得るものとなることがこの構想の趣旨に照らしまして不可欠であると存じます。このような観点から、私どもといたしましては、地位協定関係法令等との関係で後顧の憂いなきを期し、詰めざるを得ない諸点について詰めを行っている次第でございます。できるだけ早い機会に結論を出したいと思っております。
○玉城分科員 文部省も基本的には結構なことだと言い、外務省も実現を目指して検討を行っている。外務省の方は、私が前にもほかの委員会でこの問題をやったときも大体こんな趣旨の答弁でしたね。できるだけ早い機会に緒論を出したいということでしたけれども、皆さんの検討というのはなかなか進まないですね。できないならできない、あるいはできるならできるということを、あなた方はっきりしないと、いつごろ――地位協定のこと、基地内のことですから当然外務省の管轄下にあると思うのですが、いつごろゴーサインをあなた方は出すつもりなのですか。
○岡本説明員 私ども、先ほど申し上げましたとおり、基本的にはこの構想、考え方は結構なものだという考え方で、前向きの検討を行っていることでございます。しかしながら、地位協定等との関係でまだ検討しなければならないところが残っている点は事実でございます。なお、若干、一、二カ月の御猶予をいただけますれば、その過程で関係の省庁とも協議していくわけでございますけれども、私どもといたしましては、一応の結果を御報告することができると思っております。
○玉城分科員 さっきもちょっとこの問題についてのことを申し上げましたけれども、先ほどは、国土庁の四全総の中における沖縄の位置づけについてもやはり国際化の方向ということで話もあったわけですが、大体そういう方向に行くと思うのです。そういう意味では、やはり就学の機会はどんどん活用させるべきである、このように思うわけで、一、二カ月で結論を出したいということでありますので、ぜひひとつ前向きの検討をしていただきたいと思います。 時間もございませんので、最後に開発庁の方にお伺いしたいのですが、長官も御存じのとおり、この急激な円高・ドル安。沖縄には約四、五万ぐらいの米軍関係業者がいて、これはいい悪いは別としても、やはり沖縄の経済にいろいろな意味のインパクトがあるわけですね。ですから、ドル安になりますと、がたっと購買力が落ちます。これは周辺の基地関係業者だけに限らず、沖縄の経済にもこういう事態というのは非常な影響を与えているわけですね。関係業者は強力な打撃を受けているわけですね。これは前の委員会でも私はお尋ねしたのですが、この実態について、開発庁はどのように掌握し、どういう対策を練っているのか。
○小谷政府委員 お答え申し上げます。 先生御承知のとおり、昨年末の円相場の高騰に伴いまして、米軍との取引業者に対する影響は、沖縄開発庁としても深い関心を持っているところでございます。 地元からの報告によりますと、まず、基地内のいわゆる特免業者の中には、売上高、これは昭和六十年十月、十一月、十二月の三カ月平均が、昨年に比べまして三〇%ないし四〇%も落ちた方があるということでございます。また、いわゆる基地周辺の業者の方々につきましては、沖縄商工会議所の調査によりますと、売り上げが、昨年九月以前に比べまして、一軒当たり平均三〇%もダウンしているということでございます。 このため、中小企業者に対する金融措置といたしまして、沖縄においては、本土の中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫等と同様に、沖縄振興開発金融公庫に特別な融資制度を設けまして既に対処してきておるところでございます。この中でいわゆる特免業者についても融資を行ってきております。この措置は、本年二月に制定を見ました特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法に伴う新たな特別貸付制度に引き継ぐことになっておりまして、この取り扱い期間につきましては、一年間延長いたしまして、昭利六十二年三月三十一日までとしたところでございます。 また、沖縄公庫の既存の貸付制度の中に転業資金の貸付制度がございまして、主たる取引相手が米軍等である者が転業する場合には必要な資金を貸し付けることができますので、本資金について希望者があった場合には、適切に対応するよう公庫を指導してまいっておるところでございます。
○玉城分科員 いろいろおっしゃいますけれども、実態はあなた方がおっしゃるとおりにはなっておらないわけですよ。その窮状については時間もありませんので今ここで申しませんが、沖縄開発庁というお役所は、沖縄の振興開発ということで専門の役所なんですから、こういう問題についても真剣に取り組んでいただきたいと思うのです。これは全国的な問題として、この円高問題に対処する臨時措置法、そういう法律ができておりますけれども、その中だけではなかなか救済できない面がたくさんあるわけです。ですから、あらゆる既存の制度を動員して、金融機関あるいはまた県だとか関係市町村に対して指導を強力に行い、助言しながら救済策を講じようという積極的な、真剣な姿勢というのが開発庁には見られない。これは事実なんですね。 最後に長官、いかがなものですか、沖縄の円高・ドル安の対策について。
○古賀国務大臣 御指摘のとおり、大変困難な状態にあると存じております。したがいまして、我々も全力を挙げてそういう問題の解決に努力してまいりたいというふうに考えております。
○玉城分科員 以上です。
○大村主査 これにて玉城栄一君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして沖縄開発庁についての質疑は終了いたしました。 次回は、明七日午前九時から開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時五十八分散会