法務委員会 第12号
- 発言数
- 213 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1986/05/14
会議録
○福家委員長 これより会議を開きます。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所山口総務局長、上谷民事局長、吉丸刑事局長、猪瀬家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福家委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
○福家委員長 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。天野寺君。
○天野(等)委員 きょうはロッキードの控訴審の判決があったようでございますが、この問題については、時間を少しずらしまして、私の質問の途中で少しこの問題についても質問をさせていただきたいと思います。 まず最初に、昨年の国会で提出を予定されておりました留置施設法、所管は当委員会ではございませんけれども、当委員会の関係の刑事施設法と密接な関係があるわけでございます。この問題について先般来、警察庁の方と日弁連の方とで話し合いを始められたというようなことが報じられておるわけでございますけれども、その辺について警察庁としてはどういうふうなお考えのもとにこういう話し合いというようなことを始められたのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○小池政府委員 お答え申し上げます。 留置施設法案につきましては、法務省所管の刑事施設法案とともに被収容者の平等処遇を保障するという観点から、できるだけ早く成立を図りたいと考えておるわけでございますが、御承知のように日本弁護士連合会等におきまして、この法案の中身について大変反対の御意見があると承知しておるわけでございます。 私ども昨年来、日本弁護士連合会に対しまして、これらの問題点について十分な意見交換を行ってできるだけの御理解をいただきたい、この上でできるだけ早期に成立を図るようにいたしたい、こう考えまして、そういう申し出を月本弁護士連合会にいたしておったところでございますが、先ほど日弁連の方でこの申し出を受けまして今後意見交換をやろうということになったわけでございます。 ただいま具体的な意見交換のやり方、どういう議題についてやろうか、あるいはどういう対象でやろうか、いつからやるかというふうなことについて事務的にいろいろ御相談している段階でございますが、いずれ近くこの意見交換が行われるというような段階になっておるわけでございます。 警察庁といたしましては誠意を持ってこの意見交換に臨みまして、留置施設法案等についてできる限りの御理解をいただくよう最善の努力を尽くす所存でございます。こういう日弁連との意見交換を行うことなどによりまして関係方面の御理解をいただきまして、できるだけ早い機会に提出させていただきたい、かように思っておるわけでございます。
○天野(等)委員 留置施設法案については、留置施設そのものについて刑事訴訟法上どういう問題があるのかというような点も含めて考えていかなければならない、そういう問題を含んでいると思うわけですね。いわゆる代用監獄と言われていたものについて、これを固定化することのないようにということが日弁連当初からのお話であったと思うわけですが、そういう点で警察庁としても従来の草案としての留置施設法にこだわらずに、ひとつ日弁連との刑事訴訟法に基づいたそういう施設というようなものをつくっていくということでお考えをいただきたいと思うのですが、今後の話し合いの土台として、従来の留置施設法案というようなものをあくまでも土台というふうにお考えなのか、あるいはその点についてはむしろ白紙の立場で警察庁としても日弁連との意見交換をしながら法案をこしらえていくというふうな立場に立っていらっしゃるのか、その点はいかがでございましょうか。
○小池政府委員 ただいまお尋ねの刑事訴訟法上のいわゆる代用監獄、警察の留置場の地位につきましては、現在法案はないわけでございますけれども、既に五十七年に御提出した中では、刑事施設法上代替収容という言葉を使っておりまして、刑事訴訟法のいわゆる監獄としては代替的施設であるという点では、明治四十一年の監獄法の考え方を踏襲しておるというふうに理解しております。 それから法案の中身でございますが、実は日本弁護士連合会と意見交換を行うに当たりまして、現在いろいろ協議しておる段階で、議題としては日弁連が希望するあるいは提起する問題すべてにわたるということでございますので、大変基本的な問題から個々の処遇についでこれが議題として意見交換が行われるわけでございますが、そのとき話しておりますのは、私どもやはり何らかの素材に沿って議論をしていくということが必要じゃないか。その場合に、一つは法制審議会の答申であります要綱、それから五十七年に提出さしていただいて審議未了となりました刑事施設法案それから留置施設法案、こういうものが一つの議論の素材にはなるわけでございますが、内容についてはいろいろ柔軟に対応してまいりたい、かように考えております。
○天野(等)委員 私たちとしては逮捕、勾留段階についての被疑者の拘禁施設としてどういうふうな施設が必要なのか、刑事訴訟法の原則に立ち返ってひとつ考えていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 実はそれに関連をするわけですけれども、私たち常日ごろ感じておりますのは、警察当局と弁護士会との意思の疎通といいますか風通しといいますか、これが非常に悪いんじゃないかという感じがするわけです。 一つ実例を挙げますと、先日、茨城の私の地元でございますけれども、水戸弁護士会で警察当局に対しまして、捜査に際して人権侵害と思われるような行為があったので、こういう行為をしないようにという内容の警告書を出したという事実があるわけです。ところが、これについて県警がこの文書を逆に今度は弁護士会に対して送り返してきたということがあるのです。それは県警としては、人権侵害はなかったのだという県警の御主張は、それはそれでなさるのはわかりますが、弁護士会というのはやはりこれは公的な機関でございます。決して私的な集まりではございません。公的な機関の弁護士会の人権擁護委員会が、これは文書としては多分弁護士会長名で出していると思うのですけれども、県警がその警告書を送り返してくるというのは、これはある点では失礼きわまりない話でございますし、それに対する正当な対処の仕方だとも思えないわけですね。出先といいますか地方でそういう状況があったままで中央の日弁連対警察庁の話し合いといいましても、なかなかこの溝は埋まらないのじゃないかという気がするわけですよ。 この事件について警察庁の方で承知をされておられるかどうか、もし承知をされておられるとすれば、こういう対応についてどういうふうにお考えになられるか、ちょっと御意見を……。
○小池政府委員 弁護士会と警察との関係が今まで余り交流の場がないのではないかという点につきましては、御指摘のような面もなかったとは言えない。ただ、御承知かと思いますが、民事介入暴力対策等につきましては各警察と弁護士会との間でいろいろ話し合いが持たれ、お互いに協力してこれに対応するというようなことでございます。しかし、先ほど御質問いただきました留置施設の問題その他の警察行政につきまして弁護士会と意思疎通の場が十分じゃなかったという点は、そういう面があったのではないか。今後はできるだけ、先ほど申し上げました意見交換等を通じまして、そういう点の協力関係あるいはお互いの理解を深めるということに努力してまいりたいと思うわけでございます。 それから、今御質問いただきました水戸、茨城県の班案でございますが、私、詳細は実は承知しておりませんので、ちょっと細かい点まで申し上げるわけにまいりませんのでお許しいただきたいと思いますが、対応といたしまして、やはりこれは信義則といいますか、一応誠実に対応する、そうすべきものではないか、こういうふうに思っております。例えば確実関係等についてお聞きになるというようなときにつきましては、その事実について、申立人の方などが言ったことが事実に反する、私どもが承知している事実と違うというような点につきましてはその旨申し上げるべきだろうし、それから理由もなく突き返すというようなことはおっしゃるような点で大変適当ではないというふうに考えておりますが、ただ、具体的な事案につきまして水戸の事案がどうであったかという点については、ちょっと私今お答えできませんので御容赦いただきたいと思うわけでございます。
○天野(等)委員 私も、この付審判請求事件の中身についてここでもって云々しようというわけではないのです。ただ、県警の対応としては極めて不適当だったのじゃないかというふうに感じているわけですね。本来的に言えばやはり弁護士と警察との対立している構造になっているわけですけれども、しかしそれはまた一面で、ある信頼関係の上に成り立たなければならないわけですから、そういう点で、今回警察庁が弁護士会との話し合いをされるということをひとつプラスの面で生かしていっていただきたいと思うわけです。そのためには、人権擁護ということを掲げている弁護士会あるいは弁護士の活動についても、警察庁としてもさらに一層の理解をしていただきたいというふうに思うわけです。 それで、またやはり同じような関係のことでございますけれども、昨年の十二月十三日でございますが、日弁連の人権擁護委員会から、一つは、警視総監及び警視庁小岩警察署長あての勧告書と警告書、これは洪信幸という方の日弁連に対する調査申し立てを受けて、それで日弁連が調査をした結果、警視庁と小岩警察署に勧告書と警告書を発したという事件でございます。もう一つ、やはり同じ日付で金賀一さんという方、この方の申し立ての事件で、これは埼玉県の警察本部長それから川口警察署長あてに同じように勧告書と警告書が発せられているという事件がございますが、これについてどういうふうな対応をされたのか、これをお尋ねしたいと思います。
○笠井説明員 御指摘の件につきましては、一昨年の九月埼玉県警察が、外国人登録法に定める居住地変更登録申請義務を怠ったということで、在日外国人を外国人登録法違反として検挙した事件、また、同じく一昨年でありますけれども、四月に警視庁が、外国人登録法に定める登録証明書の常時携帯義務違反ということで、同じく外国人登録法違反として検挙した事件につきまして、それぞれ昨年の十二月二十八日でありますけれども、日本弁護士連合会会長名で所轄警察署、それから警視総監、本部長あてに警告書、勧告書が送付されたわけでございます。 埼玉県警察に対する警告書、勧告書につきましては、内容を点検の上これを返送いたしておるわけであります。また、警視庁に送付されたものにつきましては、受領日の前日でありますけれども、この警告書等の内容が新聞等で大きく報ぜられるということでその概要を既に承知していたものでありますので、そのまま返送させていただいておるということでございます。
○天野(等)委員 ということは、警察庁としてはこの手の日弁連からの書面の申し入れについては返送をする、これは受領をしないということを原則としているということなのでございましょうか。
○笠井説明員 御指摘のこの二件の事案につきましては、いずれも所要の捜査を遂げまして検察庁に送致した事案でありますけれども、いずれも警察に対する告訴あるいは付審判請求等がなされまして、目下それぞれ照会——この警告書等をいただいたその時点にありましてはそういった係属中、審理中の事案であったということから、そのさなかに警察の立場を別途申し上げるというのは必ずしも適当ではないという判断でこれをお返し申し上げたというように聞いております。
○天野(等)委員 しかし、先ほども申しましたけれども、日弁連というのは日本の弁護士全体が集まってつくっている自主的な団体でありまして、弁護士の強制加入の団体であります。日本の法制度の中では本当に珍しい自治団体でございます。日弁連の人権擁護委員会というのは、日弁連の中の一つの重要な委員会でございます。そこが正式に出した書類について、それを自分の方としてはそこに書かれている事実は認められない、だから送り返すというのは、そもそも日弁連という団体を警察は認めていないということなんじゃないかというふうに思うわけですよ。日弁連という団体を警察はどういうふうに考えておられるのか、この点いかがですか。
○笠井説明員 先ほど申し上げましたように、日弁連に対する所見というよりも、たまたまこのいずれの事案とも検察当局等におきまして慎重に審理されているさなかでありまして、警察側からあれこれと別途の場におきまして申し上げるのは必ずしも適当ではあるまいという判断で、遺憾ながらお返し申し上げた、こういうことでございますので、警察といたしましても各般の批判あるいは御意見は常々十分拝聴をいたしておるところでありますが、こういった具体的な係争中の案件につきまして発言するのは差し控えたい、こういうことでお返し申し上げたということでございます。
○天野(等)委員 これは警察の回答を求めているという文書ではありませんでしょう。日弁連人権擁護委員会としてこういう調査をした、この結果について各警察当局が慎重な検討を望むということで出した書類でございます。これは具体的な事件だから申し上げることができないからこの書類は突っ返すのだということにはならないと思うのです。それはそれで具体的な事件だから、これについて警察庁としてあるいは各警察当局としてはそこに任せるのだという対応なら、それなりの対応の仕方はあるかと思うのですけれども、これを送り返すというのは日弁連を認めていないということですよ。私は、その上で日弁連との話し合いをすると言ってみたって、本当に日弁連の会員の皆さんが真剣になってその話し合いに乗ってくるかどうかということになれば、これはだれも乗ってきませんよ。各単位弁護士会で出したものだって送り返されてくる。日弁連全体で出したものだって送り返されてくる。その団体と警察庁が話し合いをしましょうと言ったって、私はこれはかえっておかしなことだと思います。まずそういう態度自体を改めるところから警察が始まらなければ、警察庁と日弁連との話し合いと言ったって、これは本当に形式的なものにしかすぎないだろうと思いますよ。そういう点で、日弁連のこういう各機関、人権擁護委員会にしましても日弁連の中心になって活動している機関である。年に一回の人権擁護大会というものも開いております。そのことは恐らく御承知だと思います。そういう機関に対してこういう失礼なやり方をするというような姿勢自体は、やはり今後改めていってもらいたい、そう思うのですけれども、警察当局としてはいかがでございましょうか。
○笠井説明員 本件につきましては再々、現に当局において慎重に検討されているさなかでの発言ということは控えるのが適当であろうということを申し上げておるわけでございますが、既に警告書等の内容につきましては公表されていることでもございまして、改めてこの警告書を受ける、人権侵害ありとする内容の警告書を警察当局において受理をいたしますと、これはいかにもさような事実を警察としても受け入れたというふうにも受け取られかねない、まあ誤解を招きかねない事情もございます。そういう意味合いで、本件につきましては機微な要素はいろいろありますけれども、残念ながらそのまま受理するという状況にはなかったということでございますので、ひとつよろしく御理解を賜りたいと思います。
○天野(等)委員 まあ外事課長が云々できる事柄ではないとは思いますけれども、ただ私は今の答弁自体は極めて不満でございまして、それならそれできちっと日弁連の人権擁護委員会あてに書面を出されたらいいのであって、それが対等な関係にあるものの当然の作法だと思うのですよ。自分の方の書面は何も出さぬ、それでもってただ突っ返した、私の方ではこの事実は認められないからといって突っ返していくということでは、到底対等に話し合おうという姿勢にはないですよ。 私は、これは小池審議官にお願いするのですけれども、やはりそういう弁護士会と警察との関係のはっきりした見直しというか、それから始めないと、留置施設法の話し合いだなんと言ったって、これは話し合いにも何もならぬのじゃないかと思うのですよ。形式的に日弁連と話し合いをしました、しかし一致をしませんでした、だから今度は出してきますということだったら、これはもう何の役にも立たない。単なる話し合いをしたということだけではなくて、本当に実質的に逮捕、勾留段階の被疑者の身柄についてどういう形でこれを拘束するのが刑事訴訟法に従って一番妥当な方法なのか、そのためにどういうところに問題があるのかという、そこのところの洗い直しを警察と日弁連がおやりになる、これはこれで必要なことでもあり大事なことでもあると思いますから、やっていただきたいと思うけれども、そのためにはやはり前提がありますよ。そこのところをぜひともまず前提の壁を取り除いていただきたい。これは日弁連の側からじゃないですよ、警察の側からですよ、この壁を取り除くのは。その点でひとつどうでしょうか。
○小池政府委員 留置施設法案の意見交換につきましては、先ほど申し上げましたような誠意を持って対応して、本当に実質的な意見交換になるようにいたしたいと思っております。 それから日弁連との信頼関係でございますが、確かに人権擁護ということを責務とする弁護士の集まりである日弁連というものの意義なり重要性というものは十分承知しておるつもりでございます。そういうことで、今回留置施設法案について従来大変反対が強かった日弁連の人たちと腹を割った意見交換をいたしたい、こういうふうに考えて申し入れ、これが了承されて近く実現の運びになったわけでございますので、その点は今御指摘のような線に沿って誠意を持って対応していきたい。 それからその基盤の問題でございますが、個々の今までのケースにつきましては確かに私具体的に承知してない面もあって恐縮でございますけれども、基本的な考え方としては、ただいま申し上げましたようにやはり誠実に対応するということであろうと思いますので、そういうような観点からやはり考えるべきこともあるのじゃなかろうか。しかし、先ほど外事課長が答えておりました中身につきましては私承知いたしませんけれども、一つ一つ検討すれば、中にはこういう点はやっぱり改めるというような問題もあろうかと思いますし、原則はともかく誠実な対応というような基盤で物を考えていくべきであろうというふうに考えておるわけでございます。
○天野(等)委員 留置施設法との関連についてはこのくらいにしておきます。ただ、今申しました金賀一さんの事件と洪さんの事件については、これはいずれも外国人登録法との関係の事件でございまして、外国人登録法との関連のことでさらにちょっと質問をさしていただきたいと思いますが、間に入って恐縮ですけれども、ロッキード事件の控訴審の判決がきょう十時に東京高等裁判所であったというふうに聞いておりますが、その結果について、どういうふうな結果で、また法務省としてはこれについてどういうふうにお考えになっておられるか、ひとつ大臣の方からお答えいただきたいと思います。
○岡村政府委員 本日東京高等裁判所におきまして、佐藤被借人に対します受託収賄事件につきまして判決がございました。本件につきましては、第一審の東京地裁におきまして懲役二年、三年間執行猶予、追徴金二百万円という判決がなされたわけでございますが、これに対しまして弁護人側からは事実誤認などを理由といたしまして控訴を申し立て、また検察官側からは量刑不当を理由といたしまして控訴を申し立てていたところでございますが、本日、東京高等裁判所におきまして双方の控訴を棄却するという判決がなされたところでございます。したがいまして、事実の認定といたしましては、検察官が主張しておりましたところの受託収賄の事実が、一審、二審の裁判所によっていずれもそのとおり認められたというところでございます。
○天野(等)委員 この控訴審判決をお聞きになられまして、大臣としてはどういう御所感がございますか。
○鈴木国務大臣 先生は既にもう専門家でいらっしゃいますので、私から裁判所の判決についてとやかく申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
○天野(等)委員 いや、私は裁判所の判決を大臣に批判をしろ、判決についてあれこれ言えとお尋ねしたのではなくて、やはりロッキード事件というのは、検察当局がそれこそ総力を挙げ、国民の注視の中で元内閣総理大臣め逮捕というようなことまであった大きな事件でございます。その点について法務省としてもこれはかかわりを持たなかったということはありません。あのロッキード事件の中で、当時の法務大臣稻葉修先生、今この法務委員会の理事をされておられるわけでございますけれども、やはりこの事件を今日までの形に持ってこられた、それについての大臣としてのあれもあろうかと思いますけれども、それを受けて今の法務大臣として——今また新たにいろいろな形の汚職の話がちまたをにぎわしております。マルコス疑惑、あるいは撚糸工連の事件は具体的な事件として起訴もされましたし、あるいはまた平和相互銀行というようなことでのいろいろな事件が国会の中でも質問をされております。そういう状況の中で、検事総長が就任の際に巨悪を暴くんだというような大変我々としても頼もしい発言をされておられる。そういう中で、ロッキード事件についてこの事実が裁判所によって認定されたというこの段階で、法務行政、検察行政の責任者としての法務大臣の御感想をぜひやはりお聞かせいただきたい、そう思うわけでございます。
○鈴木国務大臣 法務省としては、法秩序を守っていかなければならない立場にございますから、具体的な問題についてはいろいろ差し控えますが、一般的にそういう立場で対処してまいらなければならぬと思います。また同時に私、国務大臣として、政治家として、いやしくも政治倫理に反するようなことのないような努力をしてまいらなければならないと、かように考えておる次第でございます。
○天野(等)委員 大臣、何と申しますか、この事件について検察の第一線で、いろいろな形で圧力もありながら検察の第一線で働いてこられた、そういう大変な努力が私はあると思うのですよ。それについては大臣、今の御答弁では私かわいそうだと思いますよ。それは、何といいますか、ただ具体的な事件だから答えられないということじゃなくて、控訴審の中でも事実関係が認められる、そこまできちっとした捜査をし、やってきたその検察の一つの大きな成果でしょう、この事件は。それを法務大臣としてどうお考えになっておられるのか。ただひとりでにこうなったものではないでしょう。私は、汚職の追放ということについては、かけ声だけかけるのは簡単だけれども、しかしそれを実際にやるとなったら本当に大変なことだと思うのですよ。それだけの覚悟がなかったら汚職の摘発なんてできないと思うのです。法務大臣にぜひともその覚悟を持っていただくこと。そうでなければ第一線の検事がどれだけの仕事ができますか、あるいはまた第一線の警察官がどれだけの仕事ができますか。ロッキード事件について国会の中でもこの疑惑の解明について大変な努力をされた先輩の方たち、これは大変だったと思うのです。と同時に、汚職の摘発ということで非常に難しい捜査をきちっとやってこられた検察当局、これについて法務大臣としてやはりひとつ労をねぎらってあげなければいけないんじゃないんでしょうか。いかがですか。
○鈴木国務大臣 先生の大変ありがたいお言葉をちょうだいいたしておりますが、私も、検察当局としては法秩序を守りあるいはまた社会正義を実現するために非常な御努力をしていただいていることに心から敬意を表しておりますとともに、また信頼をいたしておる次第でございます。
○天野(等)委員 私が考えているような御答弁をなかなかいただけないのですけれども、しかし、やはり巨悪の追及、摘発ということを徹底的にやっていただくことが国民の政治に対する不信をなくす大きな道ですから、ロッキード事件の摘発というのは、そういう意味ではこれができるかできないかが政治に対する国民の信頼をつなぎとめることができるかできないかというくらい政治的にも非常に大きな事件であると私は思うわけです。それが第二審判決の中で検察当局が主張されてきた事実関係が認められたということ、このことの意味は非常に大きいだろうというように思うのです。 ただ、この点について量刑不当の点が、検察庁の方からの控訴が棄却になっているということがございますけれども、これについてはさらに上告その他についてお考えになっておられるかどうか、いかがでございましょう。
○岡村政府委員 本日判決があったばかりでございまして、東京高検におきましては判決の内容を十分検討いたして今後どうするかということを決定するものと思っております。
○天野(等)委員 では、ロッキードの問題についてはこのくらいにしておきまして、外国人登録法の関係の問題で少しお尋ねをしたいと思います。 実は今、日弁連からの調査報告書が出された二つの事件、一つは、川口警察署の管内で起こりました外国人登録法違反、どういう違反事実がといいますと、外国人の登録の際の居住地変更登録申請というのがございます。居住地を変わった場合にはこれを変更登録をしなければならないというわけでございますが、これの違反事件ということで被疑者の捜索、差し押さえがございました。どういう捜索がされたかといいますと、捜索された部屋にございました電気料金の請求書とかなんとかというものもあるわけですが、そのほかに、朝鮮民主主義人民共和国の人民体育大会に選手として訪朝した際の団員名簿がひそかに持ち去られているというようなことがございました。さらに、この被疑者の取り調べについても、被疑者については居住地変更登録の申請を怠っていたということは直ちに認めたわけですけれども、取り調べの方は専ら朝鮮民主主義人民共和国訪問の目的とかあるいは勤務先とか、訪問の際にどういう人たちと行ったのかとか、そういうことを中心にした被疑者調書がつくられているという事実関係がございました。こうなりますと、本来被疑事実とほとんど関係のない事柄を調べるために捜査やあるいは調書がとられているんじゃないか、そういう疑いがあるわけでございますが、この点について、居住地変更登録申請の懈怠というような事案について強制捜査というようなことまで必要であったとは到底思えないわけですけれども、この辺警察庁としてはいかがでございますか。
○笠井説明員 御指摘の事案は、五十九年の三月六日に静岡県下焼津市から埼玉県川口市に居住地を変更しているにもかかわらず、同年八月二十六日まで外国人登録法に定める居住地変更申請を行っていなかったということで被疑者を検挙いたした事件でございまして、その違反事実を立証するためにあらかじめ裁判官から令状の発行を受けまして捜索を実施した、こういうことでございます。 なお、事件処理に当たりましては、任意調べで捜査をし、事件を検察庁に書類送致いたしておるところであります。
○天野(等)委員 だから、任意というのは、身柄については任意ですね。しかし捜索、差し押さえについては、これは令状で強制捜査をやったわけでしょう。どうしてそこまでやる必要があるのかということですよ。 もう一つの洪信幸さんという方の事件ですが、これは外国人登録証明書の不携帯です。これもまた酒気帯び運転で検挙されたわけですけれども、その場で運転免許証の提示とそれからさらに外国人登録証明書の提示を求められた。酒気帯び運転の方は略式で罰金ニ万五千円ということで済んだわけです。ところが、外国人登録証不携帯の方は逮捕されている。これも登録証を持っていない。確かに外国人登録法の今の規定で言えば違反ですから、それは取り調べをするということなんですが、しかし直ちにそれを逮捕しなければならないのか。本人の同一性ということならば、運転免許証を持っているわけですから、運転免許証との同一性で、これは本人の同一性はできるわけです。そちらの方はそれで済ませておいて、しかし外国人登録証を持っていないから逮捕するというのは、これはどう考えても片手落ちじゃないか、そう思うのですが、いかがですか。
○笠井説明員 居住地変更登録不申請事案につきまして強制捜査するのはいかがかという御指摘でございますけれども、外国人登録法違反事件に限りませず、捜査のあり方といたしましては任意捜査を原則としておるわけでありますけれども、捜査の必要上強制捜査やむなしという場合もあるわけでございまして、本件については、先ほど御紹介申し上げたとおり令状を得て強制捜査を実施した、こういう事案でございます。 もう一件、外国人登録証の不携帯事案でありますけれども、これは事案の概要をちょっと申し上げますと、一昨年、昭和五十九年の四月二日午前零時二十分ごろ、警視庁の小岩警察署署員が江戸川区内の路上で交通検問中に、警察官の姿を見て急に速度を落とした車両を現認したわけであります。そこで、これを停止させまして職務質問をしたところ、目も赤く充血しているなど、一見して飲酒していると認められましたので、運転免許証の提示を求めた。その後、外国人と判明いたしまして、職業、勤務先等を確認する必要から外国人登録証の提示を求めたわけでありますけれども、家に置いてきたということで車両を発進させようとした状況がございました。そこで、飲酒運転、外国人登録証明書の不携帯の疑いがあることから、警察署に任意同行を求めたわけであります。酒気の検知の結果、酒気帯び運転であるということが判明いたしております。また外国人登録証明書につきましては二、三日前に紛失したという説明を翻すなど一見して不自然でありまして、紛失したことの確認もできないという事情から、不携帯の容疑が濃厚であるということで現行犯逮捕に至ったものという、これが事案の内容でございます。 それで、免許証があったから外国人登録証明書の方は不要であろう、こういう点につきましては、双方それぞれ記載内容も違いますし、外国人の識別は外国人登録証明書をもって最終的に確認されるというものでございますので、本件の検挙、現行犯逮捕に至ったということでございます。
○天野(等)委員 外国人登録証をなぜ携帯させているのかということの問題なんですよ。それは本人の同一性を確認させるために、特に外国人の場合にその必要性があるからということで登録証を常時携帯させておくんだ。それでこれは当法務委員会での法務省の入国管理局長の御答弁の中にも、不携帯の問題については法の運用でそれが人権侵害にわならないように配慮をしていくんだというようなお話がございました。私たちは、そもそも不携帯罪という形で罪で縛るということに反対はしておりますけれども、それはそれとして、今の政府当局の立場としてもむやみやたらに不携帯ということでもって逮捕することはないじゃないか。早い話がおふろ屋さんに行くときにちょっと持っていくのを忘れた。不携帯罪である。確かに不携帯の要件に当たるでしょう。しかし、それを逮捕、勾留して調べなければならぬかといえば、そんな必要性はないわけでしょう。ただ何かきっかけがあると、外国人の場合にこれを逮捕して、それで調べる、あるいはいろんな情報を探ろうとするというような傾向が、やはり目に余ると思うのですよ。 同じような外登証の不携帯で、ことしの三月十六日ですか、これは小岩じゃない、同じ江戸川区ですが葛西署ですけれども、葛西署で外登証の不携帯で逮捕された。これも一時停止違反、道路交通法違反、それで検挙をされた。その際に外登証の提示を求められた。ところが外登証を持っていなかったということで、これも理由とすれば、ただ持っていないだけじゃない、住所が当初言った住所と違う住所といいますか、自分が住んでいる住所が二つあるということもあり得るわけでございまして、そういう意味で住所の確定というのはそれだけでも難しいことだと思うのですけれども、違う住所を言ったということで、これはおかしいんじゃないかというようなことをきっかけにして、この人も逮捕をされてしまう。ただ何でも不携帯——このごろは単なる不携帯だけでは逮捕しないのかもしれませんが、それに何かちょっとでも付け加わると逮捕だといって一日警察にとめ置かれる。これは外国人の方から見たら完全な嫌がらせですよ。今外国人の人たちに話を聞きますと、日本の政府は何でこんなに外国人をいじめるのだ、これは日本のいじめ問題と同じだと言うわけです。いじめ、嫌がらせ以外の何物でもないじゃないか。外国人登録法の不携帯罪なんというのは、そこでもって成立するのはわかり切っているわけですから。そこで本人との同一性、それがわかればそれはそれで何も逮捕までする必要ない、あるいは任意に出頭を求めたっていい。これは交通事犯でもってひっかかっているのですから、免許証には必ず住所が登録されているし、顔写真があって同一性を確認しているから、交通事犯については全部その場でもって反則金で処理をしているのですからね。交通事犯については反則金で処理をしておいて、それで外国人登録法についての不携帯だけを残して、それでもって逮捕ですよ、こういうのは本当に捜査の目的からも反するだろうと私は思うのですね。 こういう点について警察庁の方針として、不携帯あるいは登録義務期間の懈怠といいますか、変更登録について義務期間がありまして、その期間を経過しても登録しなければそれは違反になるわけですけれども、常にそういう場合に重刑を科す必要があるのかどうかという問題、当委員会でもその問題で罰金五万円に科すのはどうかという話がございました。そういう問題についても外国人登録法の運用について警察当局として人権を侵害しない、そことの調和といいますか、それをぜひとも強く考えていただきたいと私は思うわけでございまして、その点についていかがでしょうか。
○笠井説明員 御指摘のございました江戸川区内の事案につきましては三月十六日発生の事案かと思いますけれども、この事案につきましては、交通取り締まり中、一時不停止、免許証不携帯等の事案が判明し、さらに住所等の供述につきまして再々聞いたわけでありますけれども、供述があいまいということであったために外国人登録法違反、登録証不携帯ということで検挙された事案かと思います。 いずれにいたしましても、この外国人登録証明書不携帯事案につきましては法律は故意過失を問わず規定しておるところでありますけれども、具体的な取り締まりあるいは法の運用に当たりましてはおのずから事案の軽重があることは当然でありまして、捜査に当たりましても法の許す限り柔軟に取り扱ってまいる、さように指導もいたしておるところでございます。具体的な事案、態様に応じて常識的あるいは柔軟な線というのはおのずからあろうと思うわけでありますが、さような運用に努めてまいりたいと考えております。
○天野(等)委員 この三月十六日の事案について、これは朝日新聞の記事でございますけれども、既に交通違反については反則切符を切って氏名、住所については警察は確認をしているわけなんです、その上でなければ反則切符が切れるはずがないんですから。そうしてその上で今度は外登法については本人の身分を直接証明するものがなかった、だから逮捕したんだということを言っている。これは矛盾なんですよ。もし本当に本人の同一性が確認できないんだったら反則切符が切れるはずがないんです。それについては既に反則切符という形で処理をしたというのは、警察も調査をした結果それで同一性が確認できたということで反則切符を切ったということだったのです。それでもって一方で外国人登録法については逮捕をした、これはどういうわけかということですよ。
○笠井説明員 外国人登録証明書と運転免許証の記載内容は法目的におのずから異同がございます。いずれにいたしましても外国人登録法違反の事態が判明いたしまして、これにつきまして事情をはっきりさせるということでるる事情を聴取しまた登録事実の確認等を行ったわけでありまして、免許証の携行の事実と外国人登録証明書の方の携行とは必ずしも一致いたすわけのものではありません、その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
○天野(等)委員 一致しないのはわかりますよ。そんなことはだれだってわかるのです。その問題じゃなくて、外国人登録法で不携帯で逮捕をする理由が一体どこにあったのかということなんですよ。なぜ携帯をしていなければならないのですか。それは本人と登録されている人間との同一性を常に明らかにしなければならないからでしょう。しかし、そのことは登録証を持っていなくてもほかのことで証明がつきさえすればそれで尽きるわけでしょう。この場合には本人の住所、氏名もわかったわけです。それが本人だということも警察としては確認をしたわけですから、一体それ以上何のために一日とめなければならなかったのですか。その理由を聞いているんですよ。
○笠井説明員 外国人ということが判明いたしまして、外国人でありますれば外国人登録証明の事実あるいは外国人登録証明書の発給ないしは携行という事実が当然なければならないわけでありますけれども、そこいら辺の証明ないしは立証と申しましょうか、事情てんまつにつきましては運転免許証では証明できないわけでございまして、その点外国人登録法違反の事実で別途の捜査をいたした、こういうことでございます。
○天野(等)委員 逮捕して、その結果何がわかったのですか。
○笠井説明員 若干の時間的な経過あるいは本人の事情聴取による供述等がございましたけれども、登録事実の確認を行いまして、登録事実あるいは証明書の発給の事実を確認いたしております。
○天野(等)委員 登録証明書の発給の確認は逮捕をしないとできませんか。
○笠井説明員 ちょうどこの時間帯は深夜でございまして、外国人登録証明書の発給の事実そして登録の事実の確認が早急にできなかったこと及び本人の供述も先ほど御紹介申し上げましたとおり住所等についての供述があいまいであった、二転三転したというような事情等もございまして、逮捕やむなしという判断をいたしたと聞いております。
○天野(等)委員 これ以上押し問答をしても仕方がありませんけれども、特に不携帯罪というのは、これを使えば大変な人権侵害になるわけですから、この不携帯罪の運用については警察としてもぜひとも慎重にお願いをしたい。また、法務当局に対しては立法論として不携帯罪の撤廃をぜひともお願いをしたい。これは私のお願いでございますので、それだけにとどめておこうかと思います。 それでは、部落差別の問題でございますが、人権擁護局長にちょっとお伺いをしたいと思います。警察庁の方、結構です。 ことしの四月からでございますけれども、台東区の今戸というところで、あるお店の店頭に部落差別の張り紙がされている。これは、よその人が来て被差別部落の方の家のところに張り紙をしたということではなくて、このお店の方自身が自分の家に隣に住んでいる被差別部落の人についての差別的な文言を張り出したという、珍しいといえば珍しいケースの事件でございます。この事件について局長御存じでございましょうか。
○野崎政府委員 御指摘の件でございますが、この事件は、隣人同士の間に境界について争いがございまして、それをめぐりまして七、八年前からお互いに中傷し合うといったようなことになっておったようでございます。一たんは台東の区役所が中に入りまして今後は相互に非難をしないということで協定書ができまして落ちついておりましたところ最近になりましてまた、ただいま仰せのようなビラを張るようなことになってまいりました。 法務局といたしましても、このことはまことに重大な人権侵害であると考えまして、現在そういったビラを張っております者に対しまして啓発を再度続けておるところでございますが、この者はこの啓発にも耳をかさず現在もなおそういった張り紙を継続しておるところでございます。この事件につきましては私どもの力の至らないことを非常に反省しておるわけでございますが、今後とも強力に啓発を展開していきたい、かように考えております。 なお、事案の内容を見てまいりますと、これは被害者となっておられる方にとって名誉棄損あるいは侮辱といった刑事事件も構成する可能性がございますし、また運動団体にとっても同様のことが考えられます。そこで私どもといたしましては、ひとつこれを告訴されてはどうかということも申し上げておりますし、またビラの撤去を求める仮処分あるいは今後ビラを張ってはならないといった仮処分を求められてはどうかといったことも御助言申し上げておるのでありますけれども、この被害者の方ではなるべくそういった手段に出たくないというような意向のようでございますので、私どもといたしましては今後とも啓発を続けるということでやってまいりたい。ただ最近、この五月に入りましてから、この今ビラを張っております者との間の連絡がつきかねる状態になっております。それで現在も東京都と協力をしまして毎日のようにそこに名刺を入れるあるいは文書を入れるということで早急に東京法務局と連絡をしてもらいたいということを申し上げておるのでありますが、最近はちょっと連絡がとれない、あるいは外国に行っておるのじゃないかといったようなことを聞いておるような状況でございます。
○天野(等)委員 これも実際読みましたら読むにたえないから私も読みませんけれども、ひどい内容のビラなんですよ、これは部落差別そのものの言葉ですから。それを隣の家に張られているわけです。張った人は、自分の家の前に張ってあるわけだから何張ったって勝手だという理屈かもしれません。それが張られている隣の人にとっては大変なことですよ。もちろんその人だけの問題ではなくて、やはり差別を受けている人たち全体の問題だということで、これを何とかできないか。今お話にありましたように刑事告訴をするということも考えられない道筋ではないかとも思います。あるいは仮処分ということもあるかもしれません。ただ、これは隣に住んでいるその被差別部落の方としてはできるだけ個人的な関係としてこの問題をやりたくない、理解をしてもらうことが一つのあれですが、個人的な関係としてやりたくないというようなこともお考えになっておられるからでしょう、そういうことに踏み切らないというふうに言っておられるわけですけれども、またこれは状況が変わってきましたらいろいろなふうに展開もしなければならないかもしれないのです。 ただ、それはそれとして、これは何とかならないのだろうか。私も六法全書をあけてみまして、個人的な刑事事件の問題としてじゃなくて、例えば人権擁護委員法というのがございます。この人権擁護委員法だと、人権擁護委員というのは、「国民の基本的人権が侵犯されることのないように監視し、若し、これが侵犯された場合には、その救済のため、すみやかに適切な処置を採るとともに、常に自由人権思想の普及高揚に努めることをもってその使命とする。」その救済のために適切な処置をとることができるというふうに人権擁護委員法にはある。 ところが、その委員は何ができるかといいますと、十一条の「委員の職務」の中では、「自由人権思想に関する啓もう及び宣伝をなすこと。」「民間における人権擁護運動の助長に努めること。」それから「人権侵犯事件につき、その救済のため、調査及び情報の収集をなし、法務大臣への報告、関係機関への勧告等適切な処置を講ずること。」という三項があるわけです。ただ、これも救済のため調査、情報の収集をして法務大臣へ報告する、関係機関への勧告をするというような職務ですね。 それで問題は、本来人権擁護委員というのは救済のための適切な処置をとらなきゃならないわけですが、人権擁護委員から、こういう人権侵犯事件があった、その救済のための報告がなされたといったときには、今度はそれを受けた法務大臣の側としては適切な排除の方法、何か行政的な処分としても排除命令というような形のものでもできないものだろうかというように考えるのですが、この点はいかがでございましょう。
○野崎政府委員 御承知のとおり、法務省の人権擁護機関は非権力的な啓発機関でございます。したがいまして、救済のための適切な処置というものもその範囲に限られることになるわけであります。法務省の人権擁護機関として、この事件について告発するということも法律的には可能なわけであります。ただ、御本人が告訴をしたくないと言っておられる事件を告発をするということは果たしてどうであろうかということで、今非常に困っておる状況であります。 東京法務局では、先ほども申し上げましたように現在この張り紙を続けている者とのコンタクトがとれないという状況にございますので、そういった状況を踏まえて、仮に御本人の御意向はあるけれども、例えばこれについて刑事告発をして、警察の方でこういったビラの撤去、つまり証拠物として保存するという意味での撤去ですが、そういったことも考えてもらってはどうかということも考えておるわけであります。ただ、告発をいたしましても、現在出ておるビラについて措置がとられた後にまた新たなビラを張り出すというようなことになりますと、これはイタチごっこになってまいるわけでありまして、結局部落差別というものを解消するためにはその土壌を啓発によって変えていくしかないわけであります。 我々はこういった事件に出会いますと、ある意味で非常に無力感にとらわれることにもなるわけでありますが、しかし、その土壌を根本的に改めるためには、こういった事件に出くわしましてもやはり力を振り絞って新たな啓発に邁進していくべきでありまして、それが唯一の道であろうかと考えるわけであります。私どもといたしましては、至急にこういった行為を続けております者と連絡をとるようにいたしまして、一日も早く情勢を転換できるようにしてまいりたい、かように考えております。 〔委員長退席、村上委員長代理着席〕
○天野(等)委員 立法論になるのかもしれませんけれども、速やかな救済処置ができるような、例えば行政命令としても、個々のその人権侵害をしておる者について強制的な命令として何かその侵害を排除できるような方法を今後考えていくことができないかどうか。個人的な人権侵害という場合だけではなくて、こういういわゆる被差別部落の人たち全体に対する人権侵害というようなものについて何かこれを排除できる手段を人権擁護機関としての法務省は持ち得ないだろうかというふうに考えるのですけれども、こういう点はいかがですか。
○野崎政府委員 委員も御承知のとおり、この人権擁護機関というものが昭和二十三年に創設されましたときに、この人権擁護機関というものの性格をどのようにすべきかということで大きな問題となったのでありますが、結局日本の場合にはアメリカのように特定の人権侵害について刑事的な権力を使って救済を図っていくという方法をとらずに、非権力的な啓発機関に徹することで人権思想の普及高揚を図ろうという方針が定まり、そのような性格づけがされたわけであります。その結果、例えばアメリカの司法省に人権擁護部というのがございますが、それは先ほど申し上げました前者のパターンに属するわけでございますけれども、この場合には特定の事件しか担当できない、取り扱えないのに対しまして、法務省の人権擁護機関はあらゆる人権侵害というものに対処できるようになったわけであります。私どもはそういう選択がなされたということは正しかったのではないかというふうに考えて、これまで啓発機関に徹してやってまいっておるところであります。 ただいま御指摘になっておられますのは、特定のものについては行政命令としての排除といったものが考えられないかどうかということでございます。これは今の法体系で行政機関が独自でそういうものをやっていけるのかどうかということになってまいりますとあるいは非常に問題も出てくるわけでありまして、少なくともそれを担保するために令状といったものが必要じゃないかということも考えられるでありましょうし、一体そういった対象となる行為というものをどのように法律的に規制していくのか。その規定の仕方があいまいでありますと、憲法の保障する基本的人権に逆に影響を及ぼすことにもなりかねないということにもなるわけであります。そういった問題を考えてまいりますと、行政処分としてある行為の排除を図るということは今の法体系全体から見でなかなか難しい問題があるのでありまして、そういったことを考えるよりは、やはり法務省の人権擁護機関としては非権力的な啓発機関に徹すべきではないか。また、具体的な行為につきましては、現に先ほども申し上げましたように民事上、刑事上の救済が可能なのでありますから、そういった方面で救済を図っていくということが今の法体系の中では一番適切なあり方ではないかというふうに考えておるところであります。 その点につきましては、実は先日も御本人がお見えになりましたので、法務省の方でも、こういった方法があります、またもし訴訟費用などの点で問題があるのであれば法律扶助といった制度もあるといったことで、いろいろ御助言も申し上げたところでありますけれども、その段階ではちょっと決心がつきかねるということでありました。 そういった関係もあって、先ほども申し上げましたように今ちょっと本人の所在がつかめないということでとんざをいたしておるわけでありますけれども、我々としては、かつて東京都が間に入って一度事件がおさまったこともあるわけでありまして、御本人もこういったことがいいことだとは決して考えておられるのではないというふうに確信いたしますので、今後とも啓発を続け、それによって解決していきたい、同時にまた、我が方で告発をするといった手段をとるべきかどうかということもあわせて考えていきたい、かように考えておるところであります。
○天野(等)委員 またぜひとも当事者とも話し合った上で、人権侵害の排除ということで処置をお願いしたいと思います。 それからもう一つ、これは先般来新聞等でも問題になってきておりまして、千葉県の鎌ケ谷市の市立東部小学校というところの先生の転任を求めるための署名を回覧で回したという事件で、これについて法務省の千葉地方法務局人権擁護部で、人権侵害の疑いがあるのじゃないかということで調査を始めだというような報道がされておりますけれども、この点については人権擁護局としてはどのように承知をされておりますでしょうか。 〔村上委員長代理退席、委員長着席〕
○野崎政府委員 学校の先生に問題行動があるというようなことで父兄などが中心となって転勤要求をするといった場合には、その目的に照らして相当な方法でこれがなされなければならないということは言うまでもないところであろうかと考えます。 御指摘の事案につきましては、その転勤要求をするについて趣意書というものがつくられまして、それが市の自治連合会の回覧板ルートで流されたといったことのようでありまして、果たしてその趣意書の内容、その配付の方法というものが相当性の範囲であったかどうか、むしろそれが超えているのじゃないかということが問題として指摘されておるようであります。 私どもは、この件につきましては新聞報道を通じて知ったのでございますが、千葉法務局に問い合わせてみましたところ、千葉法務局でもこの事件は新聞を通じて知ったのであって、千葉法務局そのものについては取材がなかったというふうに言っております。しかし、いずれにしましても、けさの新聞によりますと、この事件につきましては刑事告訴を考えているんだといったような記事も出ております。私どもといたしましては、事案の内容そのものが新聞で報道されたところによりましてもいろいろ問題がなくはないというふうに考えられますので、いろいろな事態の推移を踏まえまして情報を収集し、適正に対処したいというふうに考えておるところであります。
○天野(等)委員 既に人権擁護部として人権事件として情報の収集に入ったというふうにお聞きをしてよろしいわけでございますか。
○野崎政府委員 先ほども申し上げましたように、千葉の法務局でもこの事件につきましては新聞報道で知ったということでございます。きのう、きょうの新聞を踏まえまして一応情報を収集していきたいというふうに考えておるようでございます。
○天野(等)委員 この問題で、教師の転任を求めるために市の元教育委員の方や教育委員自身あるいは校長自身も何かこの署名に協力をしているかのごとき報道もされておるわけでございまして、今教育問題いろいろに言われておりますけれども、何か一人の教師を締め出すために村八分的なそういう動きが出ているのかということになりますと、これは即、人権問題としても重要な問題だと思いますので、その点について今後ともひとつ法務局としても人権擁護のための調査を進めていただきたいというふうに思います。よろしくお願いをいたします。 次に、法案関係のことで二、三お尋ねをしておきたいと思うのです。 一つは、百二国会で成立をいたしました司法書士法、土地家屋調査士法の改正の問題でございます。 あの一つの大きな問題点でございました公共嘱託登記の法人、これが今どんなふうに法人化が進んでおるのか、スムーズにそれが動いているのかどうかというようなことで、若干状況の御説明をいただきたいと思うのでございます。
○枇杷田政府委員 昨年の司法書士法並びに土地家屋調査士法の改正に伴いまして、ただいま御指摘のありましたいわゆる公共嘱託登記受託の法人組織ができることになったわけでございますが、この法人化の関係の法律の施行日が昨年の七月十八日でございました。その後司法書士会及び土地家屋調査士会を中心といたしまして法人の設立の動きが始まったわけでございますけれども、ことしの三月二十六日をもちまして、いずれの分野におきましても各法務局、地方法務局ごとに一個の法人の設立の完了を見ております。そして、現在新しくできました法人でございますので、これから内部の組織固めとかいろいろなことが残っておりますけれども、新しい法人になったということで、いわゆる公共事業を行っております諸官庁の方にその旨の周知に努めておりまして、新年度のいろいろな事業について受託するような動きを今盛んに行っておるという状況でございます。
○天野(等)委員 私も先般この問題で茨城の土地家屋調査士会等にもちょっとお話を聞きにお寄りしたのですけれども、全体としてまだなかなかこの法人の存在自体が知られてきてはいない、仕事としてはこれからなんだがというお話のようでございますけれども、まだ実際問題としてこの法人が仕事として動き出しているという例は、これはないのでしょうか。あるいはもう既に動き出しているところがあるのでしょうか。
○枇杷田政府委員 現在時点で具体的に何件ぐらい受けたかということはまだはっきりとつかまえておりませんけれども、各関係官庁とお話し合いを進めておりまして、受託の話が事実上進んでおるというふうなところもかなりあるように聞いております。しかしながら、ただいまお話しございましたように、まだまだ関係方面への周知が十分にできていない段階でございますので、これからは受注の前提条件としての周知の方に、法人はもとより、それから面会ですね、それから法務局もタイアップして行うというのが当面の課題であろう、緊急に行わなければならないことだろうというふうに思っております。
○天野(等)委員 この点もぜひとも法務局等で各自治体へのPRといいますか、そういう点もひとつお力添えをいただきたいと思います。せっかくつくりましてもそれが機能してこないということでは法をつくった意味もなくなってしまいますので、その点ではひとつ法務局の積極的な御指導というような形でのあれをお願いをしておきたいと思います。 それから借地・借家法は、これも新聞報道でございますけれども、何か四月中に大体意見の取りまとめができたというような形のことがちょっと出されておりましたが、これはどういうようなことでございましょうか。
○枇杷田政府委員 借地・借家法の問題につきましては、昨年の秋に問題点を拾い上げまして各方面からそれについての御意見を伺うということで、それをことしの四月十五日までにお寄せいただきたいというふうに申し上げて、現在その意見が期日は過ぎましたけれども集まっておるところでございます。まだこちらの方で当然御意見をいただけると思っているところで、もうちょっと待ってくれというふうなことを言われているところもありますので、まとまっておるという段階ではございませんけれども、現在のところ六十ないし七十程度の意見は集まっております。したがいまして、もう少し待ちまして、そしてある程度の意見がまとまったところで整理をしてみたいというふうに考えておる段階でございます。
○天野(等)委員 となりますと、六、七月ごろには大体整理ができて、ある程度いろいろな、どういう御意見があったかというようなことについても法務省の方から何らかの形での報告がなされるのでございましょうか。あるいはそれはそういうふうにはしない御意向でございましょうか。
○稲葉(威)政府委員 今局長がお答えしましたように、現在意見が集約されつつある段階でございまして、来月に入りまして法制審議会の審議を仰ぐということになろうかと思います。 その際に当然、どういう意見があったか、そのおおよその傾向等の分析は御報告することになると思いますが、それを直ちに公開することにするということは、今までの例から見てしないのが慣例のように思っております。ただ、担当者の個人的な報告というような形でそれを明らかにする、そして関係する皆様方の周知に供するということについては、十分考慮したいというふうに思っております。
○天野(等)委員 そうしますと、それは時期的には来月ごろには大体そういう形で、担当の方の御意見という形でもよろしいのですけれども、まあ意見の集約ができるというふうにお聞きをしてよろしいのでございましょうかね。
○稲葉(威)政府委員 来月ないし七月に入るかもしれませんが、七月、夏休み前までには何とかそういう段取りになるのではないかというふうに考えております。
○天野(等)委員 借地・借家法の問題は、土地再開発というようなことも含めて大変大きな問題点を含んでいるのじゃないかと思います。私たちとしてもこれについては十分な検討をさしていただかなければならないというふうに考えておりますので、ぜひともその取りまとめをしていただいて、形はどういう形でも結構でございますから、その取りまとめの結果をお聞かせいただきたいというふうに思っております。これは要望としてお願いをしておきます。 もう時間がございません。商法改正についての見通しは今どうなっておりますか。最後にそれを一言。
○稲葉(威)政府委員 商法の改正につきましては現在法制審議会の商法部会で検討中でございますが、一応の方向がまとまりまして、あすの予定でございますが、試案を公表する予定になっております。公表と申しましても関係各界に意見を求めるために発送するということでございますが、それに基づいて各界の意見を承って、その上でさらに最終的な答申を得るという方向で検討しております。意見の提出期限を一応十一月十五日ということにしておりますので、その後幾ら審議が円滑に行われましたとしても一年はかかると思いますので、早くても次の次の国会ということになりますが、そうなりますかどうか、今後各界からどのような意見が返ってくるかにもよるわけでございます。
○天野(等)委員 これは法制審議会の中間的な答申という形をとるのですか、そうではないのですか、明日のは。
○稲葉(威)政府委員 これは今までも例がある試案という形でございまして、法務省民事局の参事官室の責任において出すというものでございまして、直接法制審議会の中間答申というようなものではございません。
○天野(等)委員 それでは、時間が参りましたので、これで終わらしていただきます。
○福家委員長 午後一時三十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時十九分休憩 ————◇————— 午後一時三十三分開議
○福家委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。岡本富夫君。
○岡本委員 最初に恩赦について御質問をいたしたいと思います。 私は平沢被告を救う会という会の副会長をやっておるわけですけれども、平沢被告の問題の前に恩赦についてお聞きをしたいのですが、恩赦法には目的あるいはまた趣旨規定というものがないわけでございます。これは立法府の責任だと思いますけれども、どの法律も大概目的規定というものがあるわけですね。目的規定がないために、例えば委員長が今度辞任をなさるというようなことを言われたわけですけれども、その中の一つには恩赦の問題が入っている。したがって、恩赦についての目的規定というものがきちっとあれば、時の内閣、行政府がやめてみたり、やってみたり、こういうことはできない。 と申しますのは、憲法七十三条に、内閣は法律の定めるところにより行政を担当するんだ、「法律を誠実に執行し、国務を総理する」こういうようにあるわけですから、法律にきちっとうたわれておりますと、今度の天皇在位六十年というようなおめでたいときに委員長の言われるような恩赦がない、こういうことにならない。また、恩赦をすると何か選挙のためにやるのかという痛くない腹も探られずに済むのじゃないかということを考えますと、目的規定の中にきちっと入れておくのが大事ではないか。それでなければ恣意的に運用をするということで非常にあいまいである、こういうわけですが、まず法務大臣の御意見を承りたい。
○俵谷政府委員 事務当局から説明させていただきます。 御指摘のように、恩赦法には目的規定あるいは趣旨規定というものが設けられていないわけでございます。恩赦法は昭和二十二年三月二十八日、法律第二十号ということで制定されております。当時の同じころに立法をされました主要な法律の状況を見てみますと、昭和二十一年から二十三年ごろに制定された主な法律三十五件を調べてみましたところが、そのうち、いわゆる目的規定を欠いておりますものが十一件ほどございます。つまり、三分の一ぐらいは目的規定がない、こういうことになっております。 この目的規定をなぜ設けるか、こういう問題でございますが、普通は法律の冒頭に目的規定を置きまして、題名とあわせまして、この法律をわかりやすく、理解しやすくする、あわせて解釈の指針を与える、こういう趣旨で置かれておるわけでございますが、恩赦法にはこれがございません。その置かれてないものは、大体におきまして条文が少なくて、よくわかる、こういうものについては置かれないというのがどうも一般的な扱いのようでございます。 立法技術上の問題でありますが、恩赦法も眺めましたところ十五条という条文でございます。したがいまして、目的規定がなくても割合よくわかるということでありまして、御指摘の問題は、恩赦法を運用するに当たって基準があった方がいいかどうか、それを法律上設けたらいいかどうか、こういう御議論になるかと思います。これは内閣におきまして責任を持って行使される、こういう建前でございますし、そういう規定でございますから、内閣におかれましてその運用に当たりまして恣意的に運用されるということはないというふうに思っておる次第でございます。
○岡本委員 確かに二十二年の法律ですから、敗戦の混乱期を経てきておるわけですけれども、今あなたの御説明では目的規定がなくても内閣の責任において、こうおっしゃるけれども、時の内閣が、時の内閣というのは私が最初に指摘しましたように憲法七十三条によって法律を誠実に執行する責任があるわけですね。この恩赦法を適用するに当たって一つきちっとした法律があって、それに基づいて執行しないと、責任持って責任持ってとおっしゃるのなら、法律は要らぬわけですよ。全部内閣が何もかもやればいいわけですね。 この当時の法律は私も調べました。幾つかはありますけれども、最近の安定した、あるいはまた今の法律を見ますと、ほとんど全部目的あるいは趣旨規定が入っているわけですね。その趣旨あるいは目的に沿って法律を執行するのが行政のあり方ではないかと思うのです。したがって、大臣の御所見はいかがでしょうか。これは立法作業ですから立法府で決めるのが普通でしょうけれども、法の番人であるところの法務大臣の御所見をまずひとつ承っておきます。
○鈴木国務大臣 どうも私は法律には余り詳しくないのでありまして、ただいま局長から申し上げたような簡単なあれでそういうことになっていると思いますけれども、なるほどどういう基準、どういうところでどうやるのだということになりますと、いろいろそういった目的とか基準があった方が便利ではなかろうか、こういうふうに考えております。
○岡本委員 法律というのは時代に合わせたように改正していくわけですけれども、衆法でやりますと後回しにしてしまう、閣法にすると審議の対象になるのが早いということでありますし、今まで見ておるとそうでありますから、次の国会で恩赦法の改正について御検討をされるのかどうか、これをひとつお聞きします。
○俵谷政府委員 恩赦法の運用につきましては、先ほど申し上げましたように行政府の責任におきまして適正妥当に運用される、かように思っておりますが、特にこの恩赦の問題につきましては、確定裁判があった判決の一部あるいは全部の効力を失わせる、こういう重大な問題でありますから、特に慎重に運用しなければならぬ、こういうことになっているわけでございます。また、そのように運用されていくものと思っておりますが、当面この恩赦法に目的規定等を設けるというようなことは事務当局といたしましては考えておりません。
○岡本委員 今大臣からも御答弁ありましたね。行政は法律に従って忠実に誠実に履行するというのが憲法の建前と見受けられるわけですよ。あなたの今の御答弁では、内閣が責任を持ってやるんだ。そうすると、そのときどきの内閣というのは違うわけですね。したがって、内閣によって差が出てくる。先ほど私が指摘しましたように、今度も天皇御在位六十年、こういうところで恩赦をやってもらいたいという話が法務委員長からもあったわけですね。それが受け入れられなかったということでありますけれども、きちっと法律にしておけば、これは法律に定めてあるんだからやってもらうのは当たり前じゃないか、そうすると物事はきちっといくわけですね。今のあなたのお話を聞いていると、何か行政は法律を誠実に運用するのが責任を持つことなんだ。どうも大臣の答弁とあなたの答弁が違う。大臣は目的があってそれを忠実に履行するのが正しい、こういう御答弁なんですね。事務当局としてはそんな検討はいたしません、こういう考えですか。
○俵谷政府委員 恩赦の問題は大変難しいと申しますか入り組んだ問題があるように思います。と申しますのは、恩赦と申しましても、いわゆる政令恩赦と個別恩赦という二つの問題がございまして、御指摘の問題は前者の政令恩赦の場合にかかることが多いのだろうと思います。政令恩赦の問題といたしますと、これは内閣において決定されるということになるわけでございまして、最終的には内閣の権限ということになるわけでございますが、ではどういう場合に政令を定めて恩赦をするかということを個々に規定するあるいはそのやり方等を細かく規定するというようなことになりますと、恩赦と申しますのはもともとがそのときそのときのいろいろな社会情勢なり諸情勢にかんがみて運用される、最も刑事政策的に運用する、こういう建前でございますから、目的規定というものをそのような趣旨で置くということも大変難しい問題があるのじゃないか、かように考えます。 それから、具体的な個々の恩赦、つまり個別恩赦の運用につきましては、これは御案内のように中央更生保護審査会が設けられておりまして、国会の御同意によりまして法務大臣が任命されました五名の委員の先生方によりまして極めて厳正に運用されておるというのが実情でございます。したがいまして、さようなところから考えまして、事務当局としましては必ずしも目的規定等を置く必要はないのではなかろうか、かように思っておる次第でございます。
○岡本委員 今まで見ておりますと、こういうときに恩赦を出してはいかぬではないかと世間から批判をされる、今度はまたぜひ恩赦をしてもらいたい、なぜやらないのかというような批判、それは全部そのときの内閣によって変わるわけですね。だから私は法律に基づいて内閣が運用できるように、憲法四十一条では「国会は、国権の最高機関」こうなっておりますから、国会で決めて、まあいろいろあるでしょうけれども、それを運用する、これなら話はわかりますけれども、この二十二年当時は、先ほど申しましたとおりまだまだ非常に世間が安定していないときですから、今までのいろいろな、一つずつ言っていると話になりませんからあれですけれども、批判されないように、また差別のないようにきちっとやっていくのが大事じゃないか。 それから、大臣がきちっとした法律の趣旨に基づいて行うのが正しい、こういう話をしたから、これについては既にあなたの方には質問の要旨を出してあるわけですから、そんないいかげんな答弁では話にならないと思うのですよ。もう一遍ひとつ再答弁をしてください。
○俵谷政府委員 この恩赦の問題、特に今回恩赦が問題になりましたけれども、その恩赦を行うかどうか、あるいはその是非、必要性等につきましてはさまざまな御意見があって、それらを検討された上で内閣の方で御決定になった、かように聞いております。したがいまして、先生がおっしゃいましたような御意見もあることは私どもも十分承知していたわけでございますが、この恩赦法の運用につきましては、当面、御意見もさることながら、特段に問題があるというふうには思っておりません。
○岡本委員 なかなかあなたも頭がかたいし、大臣は今そうではなくして、一つの趣旨規定というものがあって初めて公正な内閣の運営ができるのではないか、こういう話ですから、今ここで何遍も言ってもしようがないから、ひとつ御検討をいただきたい。大臣、よろしゅうございますか、御検討をいただくことに、事務当局は。
○俵谷政府委員 お話は伺っておきます。
○岡本委員 お話は伺っておきますでは話になりませんよ。今大臣も、図らずもといったらおかしいですけれども、確かに法律というものは法律に従って内閣というものがあれするのだ、それは正しいでしょうという御答弁だったですね。ですから、大臣の方から一遍検討するようにひとつお話をしていただきたい、これを要求しておきます。また答弁というとおかしくなりますから……。 そこで、本論の帝銀事件の平沢被告について、第五次の恩赦の出願中ですけれども、中央更生保護審査会は第三次までは却下しておる。ちょうど門前払いのようでありますけれども、その理由がはっきりしない。その根拠と、どういうわけで恩赦の許可をしないのか、これをひとつお聞きしたいと思います。
○俵谷政府委員 平沢のお尋ねの問題につきましては、第三回の恩赦の出願はいわゆる特赦でございますが、四十六年七月九日にありまして、五十五年十二月十六日、不相当の議決がなされております。この申請は特赦でございますが、理由は、特赦その他恩赦を認める理由は認めがたい、こういうのが理由でございます。 そういうことは上申権者、つまりこれは監獄の長でございますが、これを経て上がってきておりますから、これに対しましてその旨を伝えております。本人にもそれを伝達されておる、こういうことでございますが、法的な規定といたしましては、恩赦法及び恩赦法施行規則、特に施行規則の第十条によりますと、中央更生保護審査会は特赦等の上申が理由のないときは、上申をした者にその旨を通知しなければならない、その旨の通知をするように、こういう規定でございます。したがいまして、その結論を伝えておる、こういうことでございます。
○岡本委員 この平沢被告は、いつ死刑の判決を受けたのですか。それから何年たっているのですか。それからもう一つ、なぜ死刑の執行をしないのですか。
○俵谷政府委員 平沢被告につきましては、第一審の東京地方裁判所の判決は昭和二十五年七月二十四日であります。控訴審の判決は昭和二十六年九月二十九日であります。それから最高裁の判決は、これが確定いたしましたのが三十年五月七日でございます。この死刑判決はもちろん確定いたしておるわけでございますが、その間に、平沢本人等からこの判決を不服といたしまして、十六回にわたりまして再審請求が東京高等裁判所にされて、これがいずれも理由がないということで棄却されております。現在は第十七回の再審請求が同じく東京高等裁判所に提起されておる、こういう状況でございます。片や中央更生保護審査会の方に第四回目、五回目の恩赦の上申がされておる、こういう状況でございます。 死刑の執行をするかしないか、こういう問題は直接私どもの所管ではございませんが、従来刑事局長そのほかから御答弁がされておりますけれども、再審請求がある、死刑の執行は大変重大な結果をもたらす、したがって、その再審裁判の動向を見きわめながら慎重に考えておる、その推移を見守っておるところである、こういう趣旨の御答弁がされております。死刑の執行をなぜしないかということにつきましては、さように理解いたしております。 〔委員長退席、太田委員長代理着席〕
○岡本委員 それから、これは逃亡した者は三十年間逃げていると無罪になるでしょう。三十八年間まじめに——まじめにと言ったらおかしいけれども拘置されて、まじめに服役しておるということになりますね。しかも九十四歳。逃亡して逃げた者は、それから出てきても無罪であって罪が消える。この点どうも私は合点がいかないのです。しかも、この平沢被告の場合は旧刑事訴訟法で戴いておりますね。そういう点について法務大臣ひとつ、なかなかこれは難しかろうと思いますけれども、中更審というのはなかなか頭がかたいのかどうか知りませんが、ただ理由がないとかそういうことでけ飛ばしておるわけですね。だから法務大臣がそういった特別に、これは九十四歳ですし、しかも三十八年間ももう十分罪を償っておる、こういういろいろなことを勘案しまして、恩赦の閣議請求というようなことはあなたの考えではやれませんか、いかがですか。
○鈴木国務大臣 ただいま政府委員から御答弁申し上げましたように、四回、五回の恩赦の請求が出ております。また十七回ですか再審の請求も出て審理中でございます。そういう段階において閣議に私から恩赦の請求をするということは、例もありませんし、また考えられないことだというふうに考えております。
○岡本委員 審理中といいましても、今まで三遍だめだったですね。今度もう一遍出しているけれども、また同じような理由になると思うのですよ。今大臣が御答弁のように審理中だから、これは本当にお断りする方の一つの言葉の手段だけだと思うのですよ。しかも九十四歳。先ほども申しましたように旧刑事訴訟法ですからね。大臣、ひとつこの点はもう一度再考をお願いしたい。これはいずれにしてもこういう死刑の判決を受けて三十八年間まじめに服役するというようなことは、おそらく前の旧刑事訴訟法では考えられなかったと思うのですね。したがって、何か超法規的な救済措置がないだろうか。僕も初め知らなかったのですけれども、自民党の小宮山君に引っ張り込まれて、いろいろ勉強しておる。確かにこれは気の毒だ、こういうように考えておるわけですけれども、大臣に再度ひとつ御検討いただくようにお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
○俵谷政府委員 事務的に説明さしていただきます。 御案内のように、判決確定後三十年余を経過しておるわけでございますが、この経過するに至りましたいきさつにつきましてはいろいろあるわけでございます。再審請求が繰り返されて、十七回も提起される、その間に同時に恩赦の出願もほぼ反復的に繰り返される、こういうことで死刑の執行に至らなかった、こういう状況があったわけでございます。ただ漫然と三十年過ぎたというものでもないように私は思うわけでございます。 このような時日の経過をどのように評価していくかということになりますが、一方御指摘のような人道的な見地からの御意見もあり得るわけでございまして、大変難しい問題だと思っております。しかしながら、中央更生保護審査会におきましては、そういうような御意見があることも承知しながら慎重に審理をしておる、こういう状況でございますので、御了承いただきたいと思っております。
○岡本委員 大臣の御所見はまだ全然いただいていないのですが、いかがですか。
○鈴木国務大臣 先生のような御意見のあることも承知はいたしておりますけれども、何せ死刑の判決まで受けた者を釈放するということは、再癖で無罪になるなり、あるいはまた恩赦の決定がなければできないのでございますので、そういう点でいろいろと御意見のあることは承知はいたしておりますが、なかなか困難であろう、こういうように考えております。
○岡本委員 三十年逃亡していると無罪ですよね。三十八年間まじめにつかまっていると有罪、どうも変な法律だなと私は思うのですが、まあ今それだけしか答弁できないでしょうから仕方がない。ぜひひとつ再考を促しておきまして、きょうはこの平沢被告については終わりたいと思います。 そこで、次は簡易裁判所の配置問題についてお聞きいたしますが、最高裁、来ていますね。最高裁の和田判事の御不幸について心から御冥福をお祈りいたしたいと思っております。 そこで、当委員会で大阪、京都あるいは兵庫を調査に参りましたときにもいろいろ御意見もあったわけですけれども、簡易裁判所、これができたのは二十二年でありますが、最近非常に人口のアンバランス、あるいはまた配置が実情にそぐわないのではないかということでございまして、小規模独立簡裁の集約に関する基準案、こういうものを示されたようであります。この問題は行革と住民サービス、この二つの兼ね合いをどうするかということになると思うのですが、これについての考え方をまずお聞きいたしたいと思います。
○山口最高裁判所長官代理者 簡裁の適正配置の問題は、岡木委員御指摘のとおり、設立されました後の四十年間における社会事情の変化、人口動態の変化であるとか、交通事情が飛躍的に向上したとか、そういうような変化を踏まえまして、現在の配置が社会の実情に即していないのではないか、そういうところから、裁判所運営の面におきましても、裁判所を御利用になる国民の裁判所利用の面におきましても、いろいろな無理、むら、ひずみというものが生じてきておる。これを是正いたしますために適正配置、配置の見直しというものが必要であるという認識に立っているわけでございます。 御指摘のように、裁判所運営の合理化、効率化という観点からいたしますと、行政改革と全く無縁のものではございませんけれども、私どもが考えておりますのは、先ほど申しましたように、今生じている無理、むら、ひずみを是正しなければならない、そういう観点でございまして、司法機能の縮小というようなことを考えているわけではございません。合理的な再配置を通じて全体としての国民に対する司法サービスの向上を目指したいというように考えているわけでございまして、国家財政の縮小という観点から住民サービスの一部を犠牲にしなければならないという趣旨の行政改革とは違うわけでございます。 ただ、事件数が減少してきているとは申しましても、相当長期にわたって簡裁が機能している地域の実情というものは十分考えなければならないということも十分わきまえているつもりでございまして、ここらあたりはよく検討してまいりたいというように考えております。
○岡本委員 この基準案を見ますと、統廃合の基準として、事件件数年間百二十件以下、所要時間二時間以内ですかというようなことが示されておるようでありますけれども、その合理的根拠について詳しくお聞きしたい。
○山口最高裁判所長官代理者 御指摘の小規模簡裁に関する集約基準案なるものは、実は昨年の五月、六月の段階で三者協議会で議論をいたしておりましたときにたたき台として裁判所の考え方を示したものでございまして、現在、法制審議会の司法制度部会においてこの問題が慎重審議されているところでございますが、そこでも裁判所のいわばたたき台として御説明申し上げているところのものでございます。 そこで申しておりますのは、事件数、これは民訴、刑訴、調停の五年間の平均年間新受件数でございますが、これが百二十件以下の庁につきましては最寄りの簡裁まで公共交通機関を利用しまして一時間で行ける範囲内のもの、それから件数が半減いたしまして六十件になりますと最寄りの簡裁まで二時間までで行けるところ、それから件数が十二件以下になりますと日帰りができるところ、こういうふうな枠をまず設定いたしまして、その枠内にある庁につきまして、管内人口でございますとかあるいは人口動態でございますとか事件数の動向。管内面積、それから管内における市町村の散在状況、冬期における交通事情、それから地域開発計画もございますし、家庭裁判所の出張所が併設されております場合にはその家庭裁判所の出張所の事件数等々、簡裁の存廃に影響を及ぼします地域的な個別事情を総合検討しながら具体的な庁を決めていく、こういう考え方でございます。 百二十件以下あるいは六十件以下というふうな数を出しましたのは、実は、問題になります庁につきまして、事件数でございますとか人口動態の変化でございますとか管内面積、市町村の数、その他もろもろの事情を、実は机上作業ではございますけれども、事前に資料に基づきまして綿密に検討していたわけでございます。そこら辺で一番合理的に考えまして集約の検討対象としたとしても適切妥当であろうと思われるところを集めてまいりますと、おのずから年間百二十件以下というようなところへ絞られてきたわけでございます。年間百二十件と申しますと、裁判官の一人当たりの負担する新受件数からいたしますと約三分の一になるわけでございます。一人前の三分の一でございます。この辺のところをもとにしまして、最寄りの簡裁までの所要時間というものは件数との絡みで相対的に決まってくるわけでございますから、百二十件以下のところが一時間以内といたしますと、事件数が半減いたしまして六十件以下のところでは二時間くらい足を延ばしていただいてもまあまあ御納得のいける範囲になるのではなかろうか、こういうような考え方から今申しましたような枠組みを決めたわけでございます。
○岡本委員 この統廃合に当たって、北海道あたりは相当便利も悪いし、また非常に住民が迷惑する場合もあると思いますけれども、近畿をみんな回りましたときに、本当に数の少ないところは、しかもそこに職員あるいはまた検察官、弁護士さんもそうですけれども、この配置といいますか、非常にそういうところに、特に職員の場合は転勤問題、田舎の方に行って単身赴任、こういうようなことで、そこに地裁あたりから配置をするについては非常に苦労しておる。二年かあるいは三年契約して、あなたすぐまたここに帰ってもらうから何とか行ってくれというような転勤問題が非常に最近は起こっている。しかも仕事があればまた別ですけれども、仕事がない。といって魚を釣りに行っておるわけにはいかないということで、また一方加古川のように非常に仕事がふえて大変だ。したがって、この統廃合は余り長くかけずにやっていかなければならぬ大きな問題ではないだろうか。ところが、裁判所の方を見てみますと、なかなかやらないと言ったらおかしいけれども、ここらで踏み切ってもらったらどうだろうかというのが私の心境であり、また実際見てきた、あるいはまた皆さんの意見を総合した考え方なのです。 それはそれといたしまして、では現在その取り扱い事件の非常に件数のふえているところ、こういうところに対しては定員問題もありますし、どういうようになさっているのか、ひとつその理状をお聞かせ願いたい。
○山口最高裁判所長官代理者 都市部簡裁の事件数が民訴事件、督促事件等を中心にいたしまして急増している状況にあるわけでございますが、その内容は主にクレジット関係事件、サラ金関係の事件でございます。これらの事件は比較的定型的な処理になじむわけでございます。ただ、そうは申しましても事件数が多うございますので、訴状の受け付けであるとか、あるいは送達、さらには当事者の呼び出し等、書記官事務、事務官の事務がかなり負担が重くなっている状況にございます。 これに対する対策といたしましては、先ほど申しましたように定型的な処理が比較的可能でございますので、判決書とか調書の定型化を進める。さらには計算処理のためのポケコン、パソコンというようなOA機器の導入を図って事務処理の効率化を図る。さらには、例えば民事が非常に忙しくなりましても刑事が比較的ゆとりがあるというような面もございますので、同じ裁判所のゆとりのあるパートから忙しいパートへ人員を振り向ける。さらには、地裁等比較的ゆとりのあるところから事件の急増に悩んでいる簡裁の方へ事件を振り向ける。こういう手はずもとっております。さらには、今年定員法の御審議で御説明も申し上げ、御承認いただいて定員法の改正法が成立したわけでございますが、事務官、書記官等の増員措置も講じてやってきておるというのが現状でございます。
○岡本委員 今御検討されておる裁判所の配置転換についての中で、この見直しに当たって新設もあり得るのか、この点をちょっとお聞きしておきたい。
○山口最高裁判所長官代理者 やはり裁判所の適正配置の問題でございますので、私どもも単に集約、統廃合のみではなく、真に新設の必要のある地域につきましては新設を考えていかなければならないという基本的な考え方に立っております。 どのようなところが新設を必要とするところかと申しますと、抽象的に申し上げますと、人口が非常に急増いたしておりまして将来の事件増加というものも期待できる地域で、最寄りの簡裁まで参りますのに非常に交通の便のよくない地域ということになろうかと思います。具体的にどこかということになりますと、日弁連等との折衝を通じまして幾つかの地域が挙げられてまいっておりますけれども、この新設の問題は他方では用地確保の見通しがどうかという点についてもかかわりが出てくるわけでございまして、その辺のところから具体的に検討していかなければならないわけでございますが、現在のところ一、二の地域につきましていろいろな面から検討を進めている状況でございます。
○岡本委員 この間も外国人弁護士法の審議をここでやりましたけれども、最高裁と日弁連とやり合いしておりましてもなかなかまとまらぬと私は思うのです。これは私の持論ですけれども、地方の単位会ですか、できればここと地裁と相談をして、ここは外す、ここはつくる、ここはどうしたい、そういう案を、基準は最高裁からお示しになってもよろしゅうございますけれども、各実情に合ったものを早く意見具申させる。地方の単位会に行きますと、中央の日弁連の意見と随分違う。そうじゃないと、ただ建前ばかりで話されておっては裁判所も非常に困るだろうと私は思うのです。しかも、利用するのは日弁連がするのじゃなくして、単位会の会員の皆さんがするわけですからね、弁護士の側から見れば。したがって、若干の日を切って、半年なら半年、一年なら一年という日を切って各地裁に原案をつくらせる。それを検討してひとつ現実に即した裁判所の統廃合あるいは新設をやったらどうか、こう思うわけでございますが、これについての御意見がありましたら承っておきます。
○山口最高裁判所長官代理者 日弁連におかれましても、ごく最近になりますと、私どもの基本的な考え方なりたたき台としてお示しいたしました基準案につきましても御理解が深まってきたように感じているわけでございます。 先ほども申しましたように、一応の枠組みを決めまして検討対象庁というものを定めてはおりますが、地域の実情を十分に加味して集約対象庁を決めていかなければならない、こういう考え方に立っております。そこで日弁連におかれましても、岡本委員御指摘のとおり、実は地裁と単位会との間で意見交換会を十分行って地域の実情を十分酌み取りながら集約対象庁を確定する作業過程をとってほしい、こういうふうなお申し入れもございました。私どもも、もとより弁護士会におかれましてそれぞれの地裁管内の実情を十分踏まえて建設的な意見をお出しいただくのであれば、これはもちろん建設的な意見交換の場を設けることについてはやぶさかではない、こういうふうにお答え申し上げております。ただいま基準案につきまして法制審議会で御審議いただいておりますが、法制審議会での御答申が出ました後に集約庁の選定作業を進める過程の中で地元単位会との意見交換というものも十分やってまいりまして、できる限り早く法案を法務省の方にお願いをしてつくっていただいて国会へ提出しまして慎重な御審議を仰ぎたいというふうに考えております。
○岡本委員 できれば次の国会ぐらいには出せるように、この際実情に応じた速やかなるところの配慮をお願いしておきます。 ところで次は破産管財人についてちょっとお聞きしておきたいのですけれども、最近は破産申請をして破産管財人を裁判所から指定されておるという破産、倒産が非常に多くなってきておりますね。この管財人は裁判所が任命するのだろうと思うのですが、したがってこの管財人のあり方についての責任が裁判所はあるのではないだろうか。管財人を受けながら事件をそのままほってある、一年も二年も三年も置いてある、こういうような場合はどうするのか、これについて承っておきたい。
○上谷最高裁判所長官代理者 今委員が御指摘のとおり、破産管財人は裁判所が選任いたします。したがいまして、破産法にも規定がございますが、一般的に裁判所の監督に服するというふうになっておるわけでございます。したがいまして、破産管財人が選任されますと、その管財人に対しまして御就任いただくときに裁判所から一般的な注意事項と申しますか心がけていただきたいことを書面等にしたものをお渡しいたしまして、職務の執行について遺漏のないようにお願いいたしておるわけでございます。 それから破産管財人の仕事はそれぞれ節目がございますが、例えば破産管財人が就任しました後に第一回の借権者の集会を開きますとか、あるいは債権の調査のための期日を開きますとか、それそれの節目がございます。そういう際には当然裁判所もその手続を主宰いたしますし、そのときに裁判所に事件の進行について逐一報告があるわけでございます。それからそういうふうな節目とは関係なしに、職務を行う上でもいろいろな事柄につきまして裁判所の許可を得なければならないというふうな規定があちこちにございます。例えば不動産を売却いたしますとかあるいはまた当事者との間で和解をいたしますとか、そういうふうなことをいたします場合にはそれぞれ裁判所の許可がなければいけませんので、そういうふうなことが生じましたその都度裁判所に報告に参りまして裁判所の許可を得る、そういうふうな手続がございますので、そういう機会にも裁判所の方から一つ一つの事務の執行について状況をお聞きし、監督をするという機会があるわけでございます。 そういうふうなこととはまた別に、一定期間を定めまして、これは事件の種類にもよりますが、例えば二カ月ごとに財産の収支状況でありますとか配当の状況でありますとかそういうようなものを必ず裁判所に報告するように取り扱いをいたしておりますので、定期的に裁判所の方に報告が上がってくるというふうなことになっております。そういうふうな実務を通じまして、裁判所としては管財人に対する監督に遺漏がないように、債権者あるいはまた破産者、さらにはまた破産管財人との相手方で取引あるいはまた支払いを求めるような関係の方々に御迷惑をかけないような配慮は十分しておるようでございます。 今申しましたとおり定期的に報告を求めておりますので、管財人が事件をほったらかしにしておいてそのままにしておるというようなことがありますと、これはすぐ裁判所でわかりますので、その都度管財人を督促することになりますし、もしそれでも問題があれば管財人を解任するというふうな手段もございます。そういうふうな手段をいろいろ使いまして裁判所としてはできるだけ早期の進行を図り、問題のないように処理するように心がけている、それが実情でございます。
○岡本委員 きょうは一つ一つについて指摘する時間がありませんが、これはまた後ほど、もう三年ぐらいそのままになっておるとか、ひとつお話ししますから善処願いたいのです。 そこで、これは昨年の十月七日に大阪の協栄パッキンですか、この破産の管財人に大阪地方裁判所から任命されて就任した。そこからこの会社に売掛金があるというわけで、わずかですけれどもあなたの方に二十万を有しておる、だからこの手紙が到着したら一週間以内に六十万円を左記の銀行に振り込みなさい、お支払いくださるよう請求します。もし貴殿においてそのお支払いかないときには、当職はやむを得ず法的手続に及びますので、念のため申し添えます。一般の方というのは、法的処縦というのは何が来るのか、一晩寝られなかったらしいですね。二十万の売掛金がある者に六十万払え、こういう管財人の、名前は申しませんが、これは恐らく間違いだろうと思うのですけれども、公文書みたいなものです。逆にこれは間違った場合は処罰を受けるのですね。こういうようなミスといいますか、これはミスだと思いますけれども、ちょっと弁護士さんに聞いてみますと、もうこんなのはたびたびあるのですよと、えらい簡単な話をしておりました。一般の今まで裁判とかあるいはそういうことに携わってない者は相当なショックを受ける。私は、こういった、ミス防止の監督責任というものをどういうようにしていくのか、今まではほとんど野放しだったろうと思うのです。したがって、この点についてひとつ御答弁をいただきたい。
○上谷最高裁判所長官代理者 いまお話しのございました具体的な事件につきましては、特に私どもは報告を受けておるわけでもございませんし、調査いたしておるわけでもございませんので、果たしてそれがミスなのかどうかちょっと確認はいたしておりませんが、債権額が二十万で六十万円払えということになりますと、恐らく何か記載のミスではなかろうかと推測されるわけでございます。そういう場合でございますれば、管財人の方へ御連絡いただければすぐにミスは是正されるのではなかろうかと存じます。もちろん一般の市民の方々は裁判所には恐らく余り縁がないわけでございますので、破産管財人という名前でそういう請求が届きますとあるいはびっくりなさるということもあるかもしれませんが、ミスでございますればそれは管財人のもとに申し出ていただければ速やかに是正措置はとっていただけると存じます。 一般的なミス防止のための監督という話でございますが、これは委員も御承知のとおり破産管財人には、例外もないわけではございませんが、もう九九%以上は弁護士を選任しているわけでございます。そういう意味で、法律専門家でございますので、専務の処理につきましては裁判所が一つ一つ細かい点にまでくちばしを入れるということではなくて、やはり基本的にはお互いの専門家としての信頼関係を基礎に置いて仕事をしていただく、そういうことでございますので、細かい点について、文書の書き方等についてまで裁判所が一つ一つ注意するというのは非常に難しいのではないか。そういうような感じはいたしますが、その問題に限らずやはり管財人といいますのは裁判所の一つの分身という形で公平に債務を弁済するという公の仕事をしていただいておりますので、職務の執行につきましてもできるだけ公平を旨として正確に職務を行っていただかなければいけないという点は私どもも全く同感でございます。 そういうようなこともございまして、最近破産事件が非常に急増してまいりまして比較的経験の浅い弁護士が管財人に選任されるという機会がふえてまいりましたので、私どもの方でも各裁判所の意見を聞きまして、昨年から特に破産管財人に日を割いていただきまして各裁判所ごとに集まっていただきまして、いわゆる協議会というふうなものを開催することにいたしました。そういう機会に裁判所の方から一つ一つの事件処理について破産管財人に気をつけていただくことをいろいろお話し申し上げ、また管財人相互でも今までの経験を披露し合って職務の執行の上でできるだけ過誤を防ぐというふうな形で熱心に研究していただいております。本年も同様の趣旨の協議会を各裁判所でしていただくようにこちらの方から通達を出しまして、そういうふうな研究の機会を通じて細かい点につきましても配慮をいただくようにしたいというふうに考えておるわけでございます。 今お話がございましたようなミスがありますと、確かに請求を受けた方としては大変驚くということにもなりましょうしいたしますので、そういうふうなことのないように各裁判所の方から管財人にも十分伝えていただくようにしたいと思います。ただ、ミスの問題は別といたしまして、破産管財人が債権の取り立てをするという場合には、これは実は破産者が持っておりました帳簿等を調べまして、それぞれ請求をしていくということになります。したがいまして、破産者の協力ということが何よりも大切でございまして、破産者の元の帳簿に誤りがあるあるいは破産者の説明に誤りがあるということになりますと、場合によれば破産管財人側の考えと相手方の請求を受ける側の考えが一致しないということがないわけではございません。そういう場合に、先ほど内容証明郵便の中にございました法的措置というのは恐らく訴えを提起するなりあるいは調停等の申し立てをするなりのことだと思いますが、結局双方でそういう言い分の食い違いがありますと普通の裁判という形で紛争を解決するということになりますので、そういう場合につきましては、破産裁判所の監督というよりもむしろ訴訟を起こされた裁判所の判断ということで証拠に基づいて事件が処理される、そういうことになりますので、その点はひとつ御了解いただきたいと存じます。
○岡本委員 破産人の中に書類がある、それに基づいてやっているだろうと思うのですよ。しかし、その場合は、うちはそんなのはありませんよ、これなんか二十万しか売掛金がないのに六十万出せと言うんでしょう。こんなのは交渉しなくたってわかるぐらいですけれども、いずれにいたしましても、私はこういう姿を見まして案外いいかげんじゃないかと思うのです。裁判所にかわって仕事をするのにこんないいかげんな、一つ例を挙げますと、いろいろなことを僕らの方にも言ってくる場合があるのです。その都度裁判所の方に連絡してあげるわけですけれども、一応こういう簡単なミスでしょうけれども、受けた側は非常にショックでありますから、監督の責任をとるようにきちんとしてもらいたい、これを要求いたします。 きょうは、再度、最初の恩赦についてのもう一つ詰めを福家委員長がなさるそうでありますので、若干私の時間差し上げて、やっていただきたいと思います。
○太田委員長代理 福家俊一君。
○福家委員 岡本同僚委員の持ち時間をいただきまして、恩赦について関連質問をいたしたいと思います。 実は私は、昭和十七年の十一月三日、窓外に初雪が降った日でございますが、召集令を受けて郷里の丸亀連隊に陸軍二等兵として入隊をいたしました。当時の憲法では衆議院議員は召集することができません。なぜならば予算を協賛する権利がありますし、帝国議会でございますから宮中席次が第四階、言うならば陸海軍中将と位が一緒でございますから召集はできないのでございますが、勅令をもって議員の身分を停止され、出征中は議席を日の丸で飾って二年有半大陸の第一線で戦いました。だが、残念ながら終戦となり、中国で我々は戦争に負けた意識はありませんでしたけれども、天皇陛下のありがたき万世に太平を開く々いう御詔勅によりまして武装解除を受け、復員上等兵として不幸にして生き帰った一人でござい童す。 私は、今度の恩赦問題について、法務委員長になったせいか、全国のかかっている人及び家族から嘆願書、陳情が直接にまた手紙で山積いたしました。その内容によりますと、代議士選挙に必死に協力した、不幸にして法文に触れ、実は執行猶予三年あるいは罰金刑一万円というような、公民権停止という刑の判決を受けた。それ以来反省し今日勤めておりますが、来年地方選挙でございます。恐らくこのかかっている人たちは県会議員、市会議員、町村会議員という人が多数を占めておりまして、聞くところによると大体一万人ぐらいあるそうですが、その家族を入れたら五、六万の人たちが結局死刑の宣告を受けたようなもの。罰金は払って済んだ、執行猶予の期限ももう過ぎました、だが公民権停止だけが残っておって、立候補できない。政治家としての生命が絶たれる、こういうことの陳情でございます。私は率直に言って義憤を感じました。その当面の代議士諸君は口をぬぐい胸を張って国会を闊歩しておりますが、自分に尽くしてくれた人たちが全部そうして来年の地方選挙には立候補もできないということをほっておいていいものだろうか。これが私が恩赦に努力した原因でございますが、全国紙にそのことが報ぜられました関係か、非常に期待しておったが恩赦がないじゃないか、がっかりした、我々は自殺する以外にないというような家族からの嘆願書もまた届いております。 そこで私は思うのでありますが、新しく制度をつくれとか恩赦を強行せいとか言っているのではありません。こういう人たちの国民の犠牲者を、法にも涙という言葉がありますから助けてやるのが我々国家の選良としての義務ではないか、これが私の恩赦を奏請した趣旨でございます。しかも今度、ある人は、五十年祭には恩赦をしなかったからやらないのだ、こういうことでございましたが、私は率直に申しました。今上陛下は在位六十年になられまして、歴代天皇様の中で最年長者だということを聞きまして、調べてみると事実そのとおりでございます。百二十何代の陛下の中で最年長者である、こんなめでたいときにお祝いしなければ、式典だけやって何の恩赦の意義があるのか。我々は古い人間ですが、小学生のときに天長節のときには紅白のおまんじゅうまでいただいた経験がございますが、やはり陛下のお情けなんですから、そのお祝いには恩赦をすべきではないか。これは法務委員会は関係ありません。政府のやることで、内閣のやることでございますが、意思が通らないからといってやけを言っているのではありません。この期待した人たちに対して納得のいくような措置を講じてあげられないものかというので発案した次第でございます。法務当局は今度の恩赦について一体どこまで真剣にお考えくださったのか、あるいはまた内閣からその問題について御相談があったのかどうか、その点についてお聞かせ願いたいと思います。
○俵谷政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、天皇陛下が御在位六十年をお迎えになりまして大変おめでたいことでございますことは私ども重々存じているわけでございます。そういう観点から、今度の機会に恩赦が行われるかどうかということは私ども事務当局といたしましても大変大きな関心を持っていたわけでございます。その決定は政府の最高首脳部、内閣におかれまして決定されることではございますが、事務当番といたしまして、いかなる事態が起きましても万全に対処できる、こういうような考え方のもとにいろいろ検討し、準備も進めました。大阪にも御報告申し上げまして、御示唆、御指導があればお受けする、こういう立場で数カ月余にわたりまして準備はいたしていたわけでございます。恩赦の事務と申しますものは、いかなる場合にどういうことが起きるかわかりませんから、そういう意味では常時から慎重に検討しておるということではございますが、今回の場合も時期が近い、あるいはあるかもしれないというような情勢でございましたから、そういういろいろな各界の様子を見ながら検討はいたしておった、こういうことでございます。 以上でございます。
○福家委員 私はこの恩赦のときに、例えばロッキード事件の田中角榮元総理の恩赦とか平沢死刑囚の恩赦などは言っておりません。これは大赦に属することであって、そうじゃなくして、我々選挙をやって国会に選ばれておる選良として、これをほっておいていいのか、いわゆる罰金刑も済んでいる、執行猶予の期間も済んでいる、ただ公民権停止だけが残されている、この点についてどうも納得がいかぬ。もし罰金刑が済み、執行猶予が済めば公民権停止も許してやるのが普通の、法は涙というのはそこにあると思うのですが、いわんやこんなおめでたいときに、法務大臣も政治家でございますから、我々国会から、そういう意味において恩赦して許してあげていいのじゃないか、陛下のお慈悲にすがっていいのではないか、こう思うのでございますが、大臣、御所見いかがですか。
○鈴木国務大臣 先生御熱心にそういう意見を述べられておりましたことは私も承知をいたしておりました。 さようなことで、法務省で決められる問題ではございません。とりわけ高度の政治的な判断も必要なことでございますので、総理等とも実は意見は交換いたしました。しかし総理、いろいろ国民の全体の御意見等も判断されたでありましょうし、先生のように、特に選挙違反等について救済すべきでないかという御意見があると同時に、また、選挙違反をやることについていろいろと批判等もあるわけでございます。そういうことを総理が御判断されたというふうに承知をいたしておりまして、御承知のように、先生もおられたかと思いますが、衆議院の予算委員会の最後の総括のとき総理が、今回は見送るというような御答弁をされたような次第でございます。総理には、各方面のいろいろな情勢を検討して御決断されたというように承知いたしまして、私も、さようであろうか、かように考えた次第でございます。
○福家委員 これ以上追及する意思はございません。その事情もよくわかっておりますが、私の趣旨を申し上げ、今の答弁をもって全国の今に期待している人たちへの答えといたしたいと思います。 まだまだ関連したことはたくさんあるのですが、余り言うな、言うなということで、委員長には物を言わせてくれぬらしいので、こういう発言をすることが異例だそうですが、異例なことはいい前例をつくったらいいと思います。きょうはこれで打ち切ります。
○太田委員長代理 三満隆君。 〔太田委員長代理退席、委員長着席〕
○三浦(隆)委員 初めに権利能力なき社団の登記の問題。についてお尋ねいたします。 町内会等のいわゆる権利能力なき社団の所有する不動産については代表者名義で登記していると言われますが、その理由はなぜでしょうか。
○枇杷田政府委員 ただいまお話しの町内会等につきましては、いわゆる権利能力なき社団と言われているものでございまして、文字どおり権利能力がございませんので、それを不動産の所有名義人に直接するわけにはいかない。しかしながら、その社団全体を統括しております会長さん等の名前で保全をしておきませんと、また一つの問題がございます。したがいまして、登記の上では町内会長さん等の個人名義という形での登記を受けるということで処理されているものでございます。
○三浦(隆)委員 町内会、自治会館等の建設について、それを担保にしてお金を借りたりするわけですが、そうしたときに、もし返済不能のようなとき、代表者名義となっていることによって代表者が不測の損害をこうむるおそれというものはないでしょうか。
○枇杷田政府委員 金融機関等からの金銭消費貸借契約の当事者が実質的にはだれであろうかということがまず問題になるわけでございまして、それが町内会のために、町内会で必要とする資金のために賞したということになりますと、それは町内会長さん個人が負うべきものではございません。したがいまして、抵当権がついているかどうかということは別といたしまして、私は、直接には町内会長さん個人が責任を負うということはないだろうと思います。 ただ、抵当権をつけますと、その不動産につきまして抵当権の実行が行われれば、換価をされて債務の弁済に充てられるという関係にはなるわけでございますが、それはもともとその不動産は町内会長さん個人の財産ではございませんので、個人の不測の損害が生ずるということにはならないと思っております。
○三浦(隆)委員 通常和やかにいっている町内会などの場合では、もちろん名義人がたまたま町内会長ということだけであって、恐らく町内会の皆さんが協力して返済に当たるだろう、こう思うのですが、たまたま町内会が割れておりまして、どなたが町内会長になるかということで、和やかな話し合いで済むというよりも選挙による、選挙も大変エキサイトして、真っ二つに割れて、けんか騒ぎになってしまうということがまれにあります。そのために、市のいろいろな業務あるいは助成金なども、二つに割れますと、どちらへ渡していいかわからないくらいに仕事が滞るということもあり得るわけですね。そうした場合に、通常まとまっていれば、例えば毎月決まった額が返済できるのが、割れてしまったために資金不足になってしまって、返済不能という事態が起こり得るわけです。たまたまそのとき名前が載ってしまったというか、載せざるを得なかったという人に不測の損害が現実に追及された例があったということなんですね。ですから、そういう場合にどうなんでしょうかという質問でございますけれども。
○枇杷田政府委員 それはあくまでも問題になりましたときの裁判所の事実認定の問題でございますが、町内会長さん個人の借金ではなくて町内会としての借金であるということが事実認定されますれば、これは町内会長さんが払わなければならぬということにはならないと思います。 なお、先ほどちょっと申し落としましたけれども、そのような財産につきまして抵当権を設定する場合の債務者の表示としては権利能力なき社団の表示をするということも実務的にはやっておりますので、そのような形になっておりますと、そういう事実関係が登記の上でも比較的明瞭になってまいろうかというふうに考えております。
○三浦(隆)委員 それではもう一度確認させていただきますが、たまたま代表者名義に町内会長さんがなっていても、そういう不測な事態が起こったときに町内会長さん、名義人には一切迷惑は及ばない、このように考えてよろしいですか。
○枇杷田政府委員 それは、先ほど来申し上げておりますように、金融機関等から金を借りる場合に金融機関の方との関係で個人の借金ではないというふうなことが明らかなような形の契約になっておれば、町内会長さん個人が責任を負うといういわれはないと思います。
○三浦(隆)委員 次は全く逆のケースなんですが、代表者が自己名義であるということを理由としまして、逆にこれを私物化するおそれが出てきはしないかというふうな問題を考えて、こういった場合の防止策というのはどうなんでしょう。
○枇杷田政府委員 それは一応登記の上で個人名義と同じようになっておりますので、それを奇貨として何か横領的なことをやろうと思えばしやすい状況にあるということは否定しがたいと思います。ただしかし、そのようなことは一般の法人の場合でも、法人の名義になっておりましても、その代表者がその財産を着服しようと思えばそれは代表権限を乱用してできなくはないわけでございますので、若干の相違はありますけれども、ともかく代表者が悪いことをしようとした場合には一般的にチェックのしようがないという面があろうかと思います。 なお、この財産を町内会等が取得する場合には登記原因が売買という形でなされるのでありますけれども、その後、町内会長さんがかわったような場合には、これは売買ではございませんので、登記の上でも委任の終了という登記原因で登記をすることにいたしております。したがいまして、その二代目の登記からいたしますと、委任関係があるんだというふうなことが一応推測できるような状況でございますので、ただいまおっしゃいましたような不正なことも登記の上でもしにくくなるということは出てまいろうかと思います。 〔委員長退席、村上委員長代理着席〕
○三浦(隆)委員 次に、登録免許税法との関係なんですが、社団所有の財産であるにもかかわらず、代表者がかわるたびに所有者の変更の登記をしなければならない。そして、登録免許税の納付が義務づけられている。こうした場合、町内会とか自治会館のようなケースなんですが、登録免許税法を改正しまして非課税とするようなことができないものだろうかということについて、いかがでしょうか。
○枇杷田政府委員 これは、実質面から着目いたしますとただいま御指摘があったような関係になるわけでございますけれども、登記の手続の面から申しますと、そのような関係に立つものであるかどうかということは、必ずしも公的文書によって掌握しがたい面があるという技術的な問題もございます。 なお、そうかと申しましても、普通の売買のような形とは違うことは明らかでございますので、先ほどもちょっと触れましたけれども、町内会長さん交代というような場合には委任の終了という形の登記原因を認めることにいたしております。その結果、通常の売買等による所有権移転の登記の登録免許税の半額で済むというふうなことは配慮をいたしておりますが、これを全く非課税にするということにつきましては、これは私どもだけで決められることではなくて、大蔵省が主に所管することではございますけれども、技術的にも、その実体関係を登記手続上見ていくということはいささか無理もあるというふうな問題があろうかと思っております。
○三浦(隆)委員 大蔵省との関係もあるやに伺いましたが、自治体のそうした大変大きな役割を担っております町内会あるいは自治会館でございます。事実、売買とかということではなくて、その町内会あるいは自治会館というのはいつまでもいつまでも続いていくんだ。本当にたまたま町内会長さんがかわったということでの名義変更でございますので、半分といわず、何とか税法を改正いたしまして全措置をとっていただけるように、そういう前向きの検討ということは可能でしょうか。
○枇杷田政府委員 先ほど申し上げましたようにいろいろ難しい問題がございますけれども、実質面がただいま御指摘のようなこともございますので、いろいろな角度から研究はしてみたいと思います。
○三浦(隆)委員 ぜひ研究、検討をされまして、この点、町内会長、各町内会、各自治会館、大変喜ぶものですから、ぜひひとつお願いをしたいというふうに思います。 次は、他の議員からも御質問があったようでございますが、二点ほどお尋ねをしたいと思います。 初めに、商法改正の検討状況の問題についてです。現在進められております商法改正作業の進捗状況及び今後の見通しについてお尋ねしたいと思います。
○枇杷田政府委員 法制審議会の商法部会におきまして、会社の大小区分を中心といたしまして改正案の検討を進めておるところでございますけれども、いろいろ難しい問題がたくさん包含されておりますが、一応の方向づけができましたので、それを一つの試案としてまた各方面からの御意見を伺うことにしてはどうかということで、明日を予定いたしておりますが、民事局の参事官室試案という形で各方面にまた御意見を伺うという措置をとる予定にいたしております。 半年ぐらいの余裕を持って御意見を伺おうというふうに考えておりますので、ことしの十一月の中旬ごろに御意見をお寄せいただきたいということをお願いすることにしております。その御意見を伺った上で、さらに問題を煮詰めまして案をまとめてまいりたいと思っておりますけれども、先ほど来申し上げておりますように非常にいろいろな難しい問題がございます。また意見の割れているような問題もございます。したがいまして、今後改正案の要綱をつくるについては、少なくとも二、三年は時間がかかるのではないかというふうに考えております。
○三浦(隆)委員 そうしますと、具体的に商法改正の案というのがこの二、三年間はまず出されないであろうというふうに理解してよろしいでしょうか。
○枇杷田政府委員 おっしゃるとおりでございまして、なお二、三年先には当然なるであろうというふうに考えております。
○三浦(隆)委員 その次に、拘禁二法案の関係についてお尋ねします。 拘禁二法案については、その後どのように検討されておりましょうか。また今後の国会への提出の見通しはどうなっておりましょうか。お尋ねしたいと思います。
○石山(陽)政府委員 拘禁二法案と言われておりますうち、私どもが所管しております刑事施設法案につきましては、その提案の急務であること、速やかに成立を図りたいという私どもの事情、いささかも変更はないというふうに考えております。 そこで私どもとしては、前回五十七年四月に提案をいたしまして、その後第百国会で廃案になりました前回法案に、日本弁護士連合会との意見交換会等によりまして得られました御意見等を参酌して、法案に弾力的な修正を加えましたものとして次期国会を目指してできるだけ早く出したいというふうに考えております。 たまたま今国会につきましては、御承知のとおり私どもと同じように警察庁が留置施設法案につきまして日本弁護士連合会と意見交換の機会を持ちたいという切なる御提案がございましたので、その事情を子といたしまして、歩調を合わせる意味から私どもの法案の提出は今国会見送っておりますが、この警察庁と日本弁護士連合会との協議の結果等を合わせまして警察庁側の対応を決めていただき、できますれば両省庁ともに次期通常国会には両法案の提出を図りたいというふうにただいま考えておるところでございます。
○三浦(隆)委員 法務省あるいは警察庁と二法案といいますか二本立てで考えられておりましたけれども、場合によってはこれを一本化するというふうなことも検討されたやに伺っておりますが、その方はどうなっておるのでしょうか。
○石山(陽)政府委員 昨年の三月に、前回の通常国会で私どもどうしても出したいという意欲がございまして、その際に警察庁との間でいろいろな協議を進め法案の修正形式等を御相談した中で、一本化しようかという話が両者の間で検討されたという事実は確かにございました。ただ、両省庁間の当時の考え方についてなお大きな差がございましたものですから、それは具体的な案として取りまとめるところまで至っておりません。 今回は、とりあえずそれぞれ独自の法案として同時提出を前提としますが、その前に留置施設法案につきまして警察庁さんは日本弁護士連合会とよく話し合ってみたいということでございますので、それらのお話し合いの結果等を踏まえまして今後どういうふうにそれが進展するかにつきましては、今後また十分詰めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○三浦(隆)委員 先ほどの商法改正案の方は、この二、三年は提出がなさそうだというお答えだったのですが、この拘禁二法については、見通しとしてどうなんでしょう。具体的に来年とか、あるいはこちらの方も二、三年は検討されるのか、その辺どんなものでしょう。
○石山(陽)政府委員 私どもの方は、とても二、三年待つ気はございません。出していただくならもう今度の国会にでも出したいというふうに思っておりましたが、いろいろと横の調整というものがなければいけませんし、その法案を出します以上は、ともに出ます法案を含めまして、いい調整、いい環境のもとで国民の理解を得てからこれを通させていただくというのが一番いいだろうと、その時期を模索しておりますが、できるだけ早目にということは変わってないつもりでございます。
○三浦(隆)委員 としますと、次の国会にでも提出したいというか、提出する予定である。この場合、法務省はもうそう確定したとして、警察庁の方も、留置場法案の方もそれで間に合うとお思いでしょうか。
○石山(陽)政府委員 両省庁の事務当局同士のこれまでの詰めでは、次期通常国会に両省庁並んで出したいという形で進めたいということに相なっております。
○三浦(隆)委員 次は、非行少年の再犯防止対策の問題等についてお尋ねをしたいと思います。 実はこれまでの日本は、貧しさからくる飢えの悩みがあり、あるいは病気からくる短命で長寿化への願いがあり、あるいはまた戦争騒ぎが続いて平和を欲するというふうなことがずっと続いておりましたのが、戦後四十年、幸いなことにその一つ一つが大変大きく改善されて今日に至っているわけです。 ところが、そうした大変よくなったこの日本において、非行少年の問題が大きく話題を呼ぶようになりまして、現在もなお、さらにまたひどくなっているような気さえするということであります。そこで、中曽根総理大臣が臨時教育審議会の設置から第一回の総会のときにも、その臨教審の願いとして何よりも一番先に挙げているのが、近年における校内暴力や青少年非行等の増加というふうに憂いて触れられているという現状であります。ただ、臨教審の方は、文部省による中教審でなくて、もっと幅広く、こうした青少年非行の問題についてももう少し具体的に記載していただければありがたかったと思うのですが、残念ながら臨時教育審議会の第二次答申、相当な字数であり、これだけの厚さでありますが、矯正教育の矯の字も載らないで終わってしまったということであります。 教育は、学校教育、生涯教育だけでなくて、現実に非行を犯して少年院に入っている子供たちがたくさんいる。しかも、そこの教育において中卒なり高卒の資格がほとんど学校教育と同じように取ることができる。あるいは、そこのカリキュラムは文部大臣の勧告等によって行われているものですから、文部省の教育においても、まさにこの矯正教育というのは重大な関心を持つものでなくてはいけなかったと思うのです。そして、文部省法令集という、これまた大変分厚いのがありまして、教育に関することは恐らく全部その法令集に載っているはずなのに、少年院法などは外れてきてしまったという点において、矯正教育というのはこれまで全く日の目を見ないで来てしまったというふうに思います。 しかし、こうした矯正教育を立派に受ければ、やがてその子供たちが過ちに気づいて社会に出て立ち直ってくれるかくれないかというのは、日本のこれからの将来にとって大きな問題であろうと考えるわけです。そういう意味で、法務省が矯正局を中心としながら、この矯正教育の問題に大変よく取り組んでいただいていることは大変よいことだと思いますし、今後とも文部省とも打ち合わせをされまして、ぜひ積極的に進めていただきたい、こう考えるわけです。 そこで、この非行少年の実情等をもう少し調べながら、具体的に対策をお尋ねしてみたい、こう考えます。 初めに警察庁の方にお尋ねしたいのですが、この五年間における非行少年の交通関係業務を除きます刑法犯の検挙人員のうち、再犯少年の占める人員及びその比率の理状はどうなっておるでしょうか。
○根本説明員 この五年間における非行少年の数とその再犯者の数、それとその比率ということでございますので、順を追って申し上げたいと思います。 五年間の犯罪少年の数の推移でございますけれども、五十六年には十八万四千ほどでございました。これが五十七年に上昇しまして、五十八年にいわばピークになりまして十九万六千ほどの数になっております。五十九年にちょっと減りましたけれども、六十年にはもう一度ふえ出しまして、現在、六十年の数字でございますと十九万四千百十七名、こういう数の補導が行われております。 それから次に、その中で、補導される前に犯罪少年あるいは触法少年あるいは虞犯少年として警察に補導されてさらに送致通告された数でございますけれども、この数は五十六年には大体五万百ほどでございました。それが次第にふえまして、六十年には六万三百ほどの数になっております。その比率も五十六年に比べますと、五十六年が二七%ほどでございましたが、これが徐々に上がり出しまして六十年には三一%ほど、こういう数字になっております。
○三浦(隆)委員 今御答弁にもありますように、この五年間、いわゆる再犯者並びに再犯者比率というのが少しずつですけれども確実に増加してきているということに私たちは注目しながら、この増加をする率を何とかとめて減少させる方向へと持っていかなければならないのであろうというふうに考えるわけです。そこで、冒頭言いましたように、こうした子供たちの立ち直りを我々は一生懸命やっていかなければいけませんけれども、とかくこうした問題は日の目を浴びないで来てしまったと思います。 さて、この問題と関連なんですが、前回処分後の再犯期間の推移の状況はどうなっておりましょうか。
○猪瀬最高裁判所長官代理者 再非行少年について前回終局決定後、一年以内に再非行に陥った者の最近五年間の推移状況は大きな変化はございませんで、ほぼ横ばい状況でございますが、昭和五十九年の司法統計に基づいて見ますと、一年以内に再非行を犯した者の割合は六一・二%という状況でございます。
○三浦(隆)委員 今六一・二%というふうに伺ったのですが、私の持っております犯罪白書統計ですと七五・七%というふうになっていると思います。昭和五十五年から五十九年までの五年間統計がここにあるわけですが、これに「法務省の特別調査による。」というふうに書いております。言うなれば、すべてオール七〇%を超えてここには記載されているというふうに思います。 私が問題としたいのは、この一年未満で七〇%もの者が毎年のように再び繰り返すといったとき、特にこれも上がってきて、例えば昭和五十五年が七二・五%であったのが昭和五十九年が七五・七%というふうに伸びているわけです。としますと、ここで法務省の方にお尋ねしたいのですが、なぜこう一年未満という大変短い期間のうちに繰り返しこういう問題が起こるのだろうか。そして同時に、それに対して法務省はどのような対策を考えていられるのだろうかという問題でございます。
○岡村政府委員 ただいま委員御指摘のありましたように、最高裁のお答えになりましたことと若干法務省の犯罪白書の数字は違っておるわけでございますが、法務省の犯罪白書の数字は再犯を犯した少年全体について調査したものではなくして、その一部につきましてこれを抽出いたしまして特別調査を実施した結果ということでございますので、そういう関係で数字の違いが出てくるものと思っております。 ところで、御質問の点でございますが、一年未満の再犯者が多い理由ということにつきましてはいろいろなことが考えられるであろうかと思いますが、一、二申し上げますと、非行に走りました少年が自覚いたしまして再び非行を繰り返さないように自分を抑制する力といいますか、そういう自己抑制力というものが十分でないと申しますか、低下しておるということが一つとして挙げられると思うのでございます。またもう一つは、少年の非行を誘発するような有害環境と申しますか、そういったものがあるということ、これが挙げられると思うのでございます。ところで、この統計上の数字から申し上げますと、一度非行に陥りました少年につきまして、職場環境を初めといたしまして各種の環境が安定して少年自身が完全に立ち直るのにはやはりある程度の期間が必要である、一年を超えればほぼそういった状態が安定するということを物語っているものであるというふうに思うのでございます。 そこで、こういったような点も踏まえまして、少年非行防止対策といたしましては、まず環境を浄化するために暴力事犯、風紀事犯、こういったものの取り締まりの強化に努めることが必要であろうかと思っております。また、検察庁におきます少年事件処理に当たりましてその適正化を図ること、あるいは犯罪少年の改善更生に必要な矯正保護機関の充実強化を図ること、こういったことも必要でありますし、また非行青少年に対します処理処遇の適正を図るため、少年法制の改善に努めることもまた必要であろうかと思うわけでございます。こういった点につきましては、かねてからそれぞれ意を用いて努力してきたところでございますが、先ほど申し上げましたような統計の数字等も踏まえまして、今後ともこれらの点につきましてさらに努力を続けたい、かように思っておるところでございます。
○三浦(隆)委員 法務省の努力されているところはよくわかるのですが、その努力にもかかわらず、この五年間一つも減らないでむしろ確実に少しずつではあるけれどもふえ続けてきているんだ。この事実を考えますと、旧来のままの方法、対策だけでは済まないんじゃないだろうか。旧来のままであるとむしろ同じようにふえ続けてしまう。とするならば、旧来のままとは違ったいま一歩何か進んだというか変わったといいましょうか、何か特別の対策というものをお考えいただかないとだめなんじゃないでしょうか。そういう点でいかがですか。
○岡村政府委員 少年非行の実情と申しますか特徴的な傾向を見てまいりますと、両親がそろっていて経済的には問題のない中流家庭の少年による犯罪の割合が増加しているとか、あるいは薬物乱用事犯によります検挙人員等が増加しておるとか、あるいはまた校内暴力事件が多発しておるとか、こういったような実情が認められるのでございまして、こういった点にも配意しつつ、さらになり高卒の資格がほとんど学校教育と同じように取ることができる。あるいは、そこのカリキュラムは文部大臣の勧告等によって行われているものですから、文部省の教育においても、まさにこの矯正教育というのは重大な関心を持つものでなくてはいけなかったと思うのです。そして、文部省法令集という、これまた大変分厚いのがありまして、教育に関することは恐らく全部その法令集に載っているはずなのに、少年院法などは外れてきてしまったという点において、矯正教育というのはこれまで全く日の目を見ないで来てしまったというふうに思います。 しかし、こうした矯正教育を立派に受ければ、やがてその子供たちが過ちに気づいて社会に出て立ち直ってくれるかくれないかというのは、日本のこれからの将来にとって大きな問題であろうと考えるわけです。そういう意味で、法務省が矯正局を中心としながら、この矯正教育の問題に大変よく取り組んでいただいていることは大変よいことだと思いますし、今後とも文部省とも打ち合わせをされまして、ぜひ積極的に進めていただきたい、こう考えるわけです。 そこで、この非行少年の実情等をもう少し調べながら、具体的に対策をお尋ねしてみたい、こう考えます。 初めに警察庁の方にお尋ねしたいのですが、この五年間における非行少年の交通関係業務を除きます刑法犯の検挙人員のうち、再犯少年の占める人員及びその比率の理状はどうなっておるでしょうか。
○根本説明員 この五年間における非行少年の数とその再犯者の数、それとその比率ということでございますので、順を追って申し上げたいと思います。 五年間の犯罪少年の数の推移でございますけれども、五十六年には十八万四千ほどでございました。これが五十七年に上昇しまして、五十八年にいわばピークになりまして十九万六千ほどの数になっております。五十九年にちょっと減りましたけれども、六十年にはもう一度ふえ出しまして、現在、六十年の数字でございますと十九万四千百十七名、こういう数の補導が行われております。 それから次に、その中で、補導される前に犯罪少年あるいは触法少年あるいは虞犯少年として警察に補導されてさらに送致通告された数でございますけれども、この数は五十六年には大体五万百ほどでございました。それが次第にふえまして、六十年には六万三百ほどの数になっております。その比率も五十六年に比べますと、五十六年が二七%ほどでございましたが、これが徐々に上がり出しまして六十年には三一%ほど、こういう数字になっております。
○三浦(隆)委員 今御答弁にもありますように、この五年間、いわゆる再犯者並びに再犯者比率というのが少しずつですけれども確実に増加してきているということに私たちは注目しながら、この増加をする率を何とかとめて減少させる方向へと持っていかなければならないのであろうというふうに考えるわけです。そこで、冒頭言いましたように、こうした子供たちの立ち直りを我々は一生懸命やっていかなければいけませんけれども、とかくこうした問題は日の目を浴びないで来てしまったと思います。 さて、この問題と関連なんですが、前回処分後の再犯期間の推移の状況はどうなっておりましょうか。
○猪瀬最高裁判所長官代理者 再非行少年について前回終局決定後、一年以内に再非行に陥った者の最近五年間の推移状況は大きな変化はございませんで、ほぼ横ばい状況でございますが、昭和五十九年の司法統計に基づいて見ますと、一年以内に再非行を犯した者の割合は六一・二%という状況でございます。
○三浦(隆)委員 今六一・二%というふうに伺ったのですが、私の持っております犯罪白書統計ですと七五・七%というふうになっていると思います。昭和五十五年から五十九年までの五年間統計がここにあるわけですが、これ性「法務省の特別調査による。」というふうに書いております。言うなれば、すべてオール七〇%を超えてここには記載されているというふうに思います。 私が問題としたいのは、この一年未満で七〇%もの者が毎年のように再び繰り返すといったとき、特にこれも上がってきて、例えば昭和五十五年が七二・五%であったのが昭和五十九年が七五・七%というふうに伸びているわけです。としますと、ここで法務省の方にお尋ねしたいのですが、なぜこう一年未満という大変短い期間のうちに繰り返しこういう問題が起こるのだろうか。そして同時に、それに対して法務省はどのような対策を考えていられるのだろうかという問題でございます。
○岡村政府委員 ただいま委員御指摘のありましたように、最高裁のお答えになりましたことと若干法務省の犯罪白書の数字は違っておるわけでございますが、法務省の犯罪白書の数字は再犯を犯した少年全体について調査したものではなくして、その一部につきましてこれを抽出いたしまして特別調査を実施した結果ということでございますので、そういう関係で数字の違いが出てくるものと思っております。 ところで、御質問の点でございますが、一年未満の再犯者が多い理由ということにつきましてはいろいろなことが考えられるであろうかと思いますが、一、二申し上げますと、非行に走りました少年が自覚いたしまして再び非行を繰り返さないように自分を抑制する力といいますか、そういう自己抑制力というものが十分でないと申しますか、低下しておるということが一つとして挙げられると思うのでございます。またもう一つは、少年の非行を誘発するような有害環境と申しますか、そういったものがあるということ、これが挙げられると思うのでございます。ところで、この統計上の数字から申し上げますと、一度非行に陥りました少年につきまして、職場環境を初めといたしまして各種の環境が安定して少年自身が完全に立ち直るのにはやはりある程度の期間が必要である、一年を超えればほぼそういった状態が安定するということを物語っているものであるというふうに思うのでございます。 そこで、こういったような点も踏まえまして、少年非行防止対策といたしましては、まず環境を浄化するために暴力事犯、風紀事犯、こういったものの取り締まりの強化に努めることが必要であろうかと思っております。また、検察庁におきます少年事件処理に当たりましてその適正化を図ること、あるいは犯罪少年の改善更生に必要な矯正保護機関の充実強化を図ること、こういったことも必要でありますし、また非行青少年に対します処理処遇の適正を図るため、少年法制の改善に努めることもまた必要であろうかと思うわけでございます。こういった点につきましては、かねてからそれぞれ意を用いて努力してきたところでございますが、先ほど申し上げましたような統計の数字等も踏まえまして、今後ともこれらの点につきましてさらに努力を続けたい、かように思っておるところでございます。
○三浦(隆)委員 法務省の努力されているところはよくわかるのですが、その努力にもかかわらず、この五年間一つも減らないでむしろ確実に少しずつではあるけれどもふえ続けてきているんだ。この事実を考えますと、旧来のままの方法、対策だけでは済まないんじゃないだろうか。旧来のままであるとむしろ同じようにふえ続けてしまう。とするならば、旧来のままとは違ったいま一歩何か進んだというか変わったといいましょうか、何か特別の対策というものをお考えいただかないとだめなんじゃないでしょうか。そういう点でいかがですか。
○岡村政府委員 少年非行の実情と申しますか特徴的な傾向を見てまいりますと、両親がそろっていて経済的には問題のない中流家庭の少年による犯罪の割合が増加しているとか、あるいは薬物乱用事犯によります検挙人員等が増加しておるとか、あるいはまた校内暴力事件が多発しておるとか、こういったような実情が認められるのでございまして、こういった点にも配意しつつ、さらに有効な方策というものを検討してまいりたいと思っておるところでございます。
○三浦(隆)委員 次に、家庭裁判所におきます終局人員の終局処分別再犯者の内訳、この点とうなっておりますでしょうか。
○猪瀬最高裁判所長官代理者 昭和五十九年度の司法統計に基づいて御説明いたしますと、再非行少年の終局処分は、刑事処分相当としての検察官送致が一・六%、保護処分が二八・二%、不処分が三四・七%、審判不開始が三五・四%となっております。 御参考までに、交通関係事件を除きました一般保護事件についての処分状況を申し上げますと、検察官送致、これは刑事処分相当としての検察官送致でございますが、これが〇・五%、保護処分が一一・八%、不処分が一九・八%、審判不開始が六七・七%となっております。これを比較いたしますと、再非行少年の検察官送致率、保護処分率がいずれも高くなっておりますのに対して、審判不開始率は逆に低くなっておる、こういう状況でございます。
○三浦(隆)委員 私がお尋ねしたのは、家庭裁判所終局人員について、終局処分別に再犯者の占める比率はどうなっておりますかという質問ですが、そのパーセンテージでよろしいですか。
○猪瀬最高裁判所長官代理者 失礼しました。ただいまのお尋ねの数字、十分準備ができておりませんが、大ざっぱなところを申し上げますと、全体としまして一般保護事件、これは業通関係を除いたものでございますが、九百九十三名に対して再非行少年の検察官送致が八百十一名でございますから、およそれ〇%程度を占めておる。それから保護処分は、一般保護事件におきまして約二万二千八百名程度でございますのに対して、再非行少年の保護処分者数は約一万四千名程度でございますので、六〇%をちょっと上回るという程度の数字になっております。
○三浦(隆)委員 今のお答えは昭和五十九年ですね。私の方には司法統計年報での五十八年統計があるのですが、それですと検察官送致が八一・三%であります。ですから、今のお答えだと九〇%でしょうか、またさらに広がっている、ふえているということが明らかになったと思うのです。 そこで、法務省にお尋ねをしたいのは、この交通関係業務を除く一般保護事件において検察官送致が八〇%、九〇%というふうな大変高い比率になっている理由はどこにあるのか、あるいはそれに対する対策はどう考えられているのか、これが第一点。それから、交通関係業務におきましては逆に今度は少年院送致の者が七五・六%と、これは昭和五十八年ですが、一番高い比率になっているわけであります。その理由並びにこれに対する対策について法務省にお尋ねしたいと思います。
○岡村政府委員 検察官送致決定を受けました少年のうち再犯者の比率が高くなっておるという御指摘の点でございますが、一般論になるわけでございますが、再犯の場合にはやはり非行の傾向が一段と進んでいるというような事情、あるいは家庭その他の環境等においても問題が深化しているというような事情があると思われるわけでございますし、また少年が再犯を犯している間において年齢も高くなってきておる、こういったようないろいろな事情が反映されまして刑事処分相当と判断される率が高くなってきているのではないか、かように考えられるわけでございます。
○三浦(隆)委員 それでは次に、矯正における処遇の問題でお尋ねをしたいと思います。 毎年、新収容少年について処遇区分別に処分歴の構成比などが出されているわけですが、ここでお尋ねしたいのは、短期処遇と長期処遇とこの二つに分けた場合に、それぞれの長所、短所というものはどういうふうなものでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
○石山(陽)政府委員 ただいま委員御指摘の短期、長期と申しますのは、現行少年法及び少年院法の中で昭和五十二年からいわば運用改善通達と申しますか、少年院を画一的な処遇から重点的に機能別に再編成するという我が省の施策によりまして行われておる制度でございます。それによりますと、短期の場合は何を主としてメリットにするかと申しますと、その少年の非行性は一応認められるけれども余りその度合いが進んでいない、したがって、短期に集中的な処遇を行うことによって教育改善の効果が期待できる子供、これを短期処遇にしようではないか。それから、例えば中等学校在学中のような子供でできるだけ早く地域社会で学校教育、義務教育を軽させるためにまた再び学校へ戻す必要のある子供たち、こういう者につきまして短期間で教育効果を上げて施設内処遇から施設外の社会内処遇に戻したいということで始めております。それから長期の場合は、そういうジャンルに当てはまらない子供たちに対する処遇の仕方でございまして、この場合は非行性が進んでおりますので、もう少しじっくりとその子供らの持っておる問題点、特質というものを見定めて、それに即応するような教育をする必要がある。例えば年長組でございますると、その院を仮退院した後におきまして彼らはすぐに社会で就職をしなきゃならぬという問題を抱えております。そのために無職少年のままに、あるいは職業というものに対する興味を持たないままに帰すということはどうであろうか。したがいまして、長期の場合は短期よりも長い処遇期間を持っておりますから、その間にせめて職業に対する興味を持ち、有職少年となって復帰、更生しようじゃないかというような意欲を持たせるような訓練をしたい、こういう面に長期のメリットがあろうかというふうに考えております。
○三浦(隆)委員 長期よりも短期の処遇で、それでうまく更生が図れるものならばそれを最もよしとしなければならないし、そう進めていきたいものだと考えます。ただ、先ほど初めの方に質問しましたように、一年未満で再び再犯する者が現実に年々増加しているということを見ますと、必ずしも短期にしていいのかどうか、短期は理想的ではあるけれども、現実的には一年未満がふえていくのだということを考えると、そこでの相反する整合性をどうお考えになっているのかという点について第一点お尋ねをしたいのです。 もう一つには、社会に出しますときに少年院に入ったということを履歴書に書きますと、企業においてはその就職を認めない、まあ拒否する理由は何らかほかの名目になるかと思いますけれども、現実に就職が大変困難になっているということであります。それから学校教育におきましても、少年院に入ったということの理由をもちまして中学から高校への進学は事実上閉ざされてしまっているということであります。ですから、子供たちがもし仮に大変に不幸せな家庭に生まれて、そのゆえに何らかの問題を起こして少年院に入った、そして再生を誓って社会に出ようとするときに、学校は少年院なるがゆえに中学終わって高校で受け入れてくれない、社会で就職を希望しようとすると少年院に入ったというゆえをもってまともな会社で受け付けてくれないとするならば、その子供は帰るに家なく学校なく会社なく、再び一年未満であろうとやけを起こして再犯へ走るというのはやむを得ないというか、まことに気の毒な現状が現実にあるんじゃないでしょうか。しかも、先ほど言ったように、学校教育においてもそういう矯正教育の名前すら知らない人がたくさんいるというふうなことを考えると、子供たちに対する救いをどこでだれが現実に見てあげることができるのかという大きな問題にぶつかってくるのじゃないかというふうに私は思うのです。 ただ非行少年はけしからぬ、だめだというだけのことではなくて、せっかく法務省でその矯正教育の成果を上げ得るとするならば、しかもそれが短期でもって十分にその理想を達成することができるとするなら、それ自体は本当によいことだと私は思うのですが、しかも、もう一度言いますと、現実に一年未満で再び戻っていくというふうなケース、なぜ戻ろうとするのか、あるいはどうしたらそれを戻さないで済むことができるのか、法務省の枠を超えた問題かもしれませんが、大臣、それに対するお考えがあったらお聞かせいだだきたいと思います。
○石山(陽)政府委員 大臣からお答えいただく前に事務として担当している者の率直な気持ちをひとつ申し上げておきたいと思います。 今の委員の御指摘、私ども少年矯正の仕事をしている者にとっては大変重要な御指摘を含んでおると率直に思うわけでございます。私どもにいたしますれば、施設内という二十四時間教育の場を与えられるという特殊な教育慣行をもって、そして子供たちの改善更生のために日夜教官たちが努力しておるわけでございます。その体験を通じまして教官たちが率直に申し上げる希望とすれば、この子供たちがもうちょっと早く施設に入ってきてくれておったら率直に言ってもっと早く立ち直れたんじゃ広いかという気持ちを我々はよく訴えられることがあります。しかし、逆な意味で、ただいま委員仰せのように少年院というものに対する社会全体の理解がまだ十分でない。これは要するに、現代の世相におきまして、いわゆる社会教育、家庭教育、学校教育それから施設教育といろいろ言われますけれども、それらが総合的によく機能し関連し合わなければ少年行政というものの実効は上がらぬじゃないかと私どもは思うわけでございます。そのために、ひとり少年教育の場で自分たちが必死にやっておるからと、その自負は結構であるけれども、対社会では少年院上がりという言葉がある以上、やはり家庭裁判所を初めいろいろな保護司関係の機関も施設内に入れるべきか入れないかでもって悩んでいるというのが日常じゃないか、この気持ちをそれぞれお互いに連携し合って全体としていい方向へ持っていくというのが一番大事じゃないか、私はいつも部内ではそういうふうに申しておるわけでございます。 したがいまして、委員の仰せのように、例えば少年の場合短期と長期で再犯率がどうかということになりますると、今すぐに資料は持ってきておりませんが、長期よりは短期でやった方が再犯率は下がっております。ですから、非行の度合いがそれほど進んでいない、問題性の少ない者に集中的なことをやるということの効果は、私はないとは思いません。全体として非行の度合いが進めば進むほど子供たちの立ち直りが遅くなるというのは悲しい現実でございます。 そういう点を踏まえまして私ども考えてみますと、これは私どもは私どもなりに地道な努力をいたします。それと同時に、皆様、国民を通じまして、この子供たちが次期の世代を背負う大事な世代であるということをお考えいただき、国民全体の力でもって子供たちの将来のために明るい未来が訪れるような、温かいそして幅広い、先行きの長い施策というものを総合的に起こす必要があるんじゃないか、こういうふうに日夜痛感しておるところでございます。 以上、簡単でございますけれども、私どもの今考えておることだけ申し上げておきます。
○三浦(隆)委員 この問題で大臣、何か御所見ございますか。
○鈴木国務大臣 先生御心配のように、せっかく立派に教育し、そしてこれでまたそれぞれの学校に受け入れられ、また職場その他に受け入れられるであろうかと思ってあれした子供たちが、いろいろな受け入れられない環境のためにまた再犯をするということ、本当に残念に思います。 実は、私も少年院のある記録を読んだのでありますけれども、中学校で、全然小学校の勉強も何もできない状態の子供を本当に一生懸命先生が御指導いただいて立派な学力をつけていただいて、そしてまた本人もこれから更生じますということで、少年院の中において、一般の中学校の卒業証書をいただけないのに、校長先生が出張して、そしてこれほど立派になったんだからというので、もとの中学校の校長先生から卒業証書をいただいた。そのとき校長先生も涙でその卒業証書を読めないくらいであったし、それから父兄もおいでいただいてこれまた大変な感激をしたという記録も見まして、本当に少年院の矯正関係の諸君が努力をしていただいておることを私は本当に感謝をし、今後もその気持ちでお願いしなければならぬと思っておりますけれども、そこを出てから、先生おっしゃるような上の学校なりあるいは社会なりの受け入れが必ずしも十分でない、あるいはまた偏見を持っておられるために再犯を犯さざるを得ない、こういうことは残念であります。 これはやはり法務省自体といたしましても、もちろん保護司その他で大いにこれからも監視し、あるいは指導して努力をしなければなりませんけれども、社会一般もそういうことを御理解をいただいて、一般の学校、職場もそういうことを広い観点から御理解をいただき、そして本当に誤って小さいことでその人の一生、少年の一生を台なしにするようなそういう社会環境であってはならないと各方面にお願いをしなければならない、かように考えております。
○三浦(隆)委員 法務省でもできる一つの問題を私は提起させてもらいたいと思うのです。 今、行政改革というさなかにありまして各省庁の予算も大変に低く見積もられておると思うのですが、この矯正施設、少年院の場合、いわゆる宿泊の施設を持っておらないのです。子供たちが家庭において親子の対話が大変不十分である、あるいは学校においても先生と生徒との対話が大変不十分である、そういったことから問題を起こした、そして少年院に入っていったときに、よい御家庭であるならば改めてこれは大変なことになったとお父さん、お母さんもしょっちゅう少年院に来るかもしれません。あるいはよい先生であればまた同じように来るかもしれないのですが、仮に来られたとしても旧来はほとんど昼間だけの対応になっていると思うのです。ところが、少年院の矯正教育は朝から夕食が終わったその晩も続いておるのでありまして、その夕食後の矯正教育を見るには泊まらないとその実態を見ることができないというふうに私は思うのです。そのためには両親が来て泊まる施設が、あるいは教員が来たら教員が泊まる施設が少年院には附属的につくられていないとどうにもならないだろう、このように考えるわけです。 もう一つには、矯正教育の成果で立派に立ち直った少年が外へ出る、やはりまた家庭でうまくない、学校もうまくない、社会の風も冷たかった、そしてもう一度犯罪を犯そうとするときに、少年院においては二十四時間職員の人と一緒だった、まさに生活と教育が一体化して、学校の先生なり父兄には言えないせりふもその職員には言いたい、言ってみたいせりふがあるという人も子供たちの中にはいるかもしれない。ところが、その子供たちも一度出たら泊まることができない。ですから、一度少年院の教育を受けて外に出た子供たちが何か悩みを抱いてだれかに相談したいという思いを持って少年院を訪ねてくるならば、昼間ただ会って帰すのではなくて、少し一晩でも二晩でも三晩でもその子供たちを泊めるための施設を少年院につくっていくべきではないか、これまでないものならばこれから進んでつくっていくというのが法務省のこれからの一つのあり方としてすばらしいことなんじゃないかと私は思います。今の国の予算は切り詰められてはおりますが、必要なものには出して当然だと思うし、また金額的にそれほどのお金がかかるものではないだろうというふうに思います。 そこで、時間でございますので、そういう提案を踏まえまして非行少年の再犯防止に向けまして大臣並びに矯正局長から再度御答弁をいただきたいと思います。
○石山(陽)政府委員 今の最後の御提案でございますが、私ども新しくできます施設におきましては家庭寮という寮を設けさせることで現在設計を進め、現実にまた使っております。そこには父兄が面会に来ました際に、委員仰せのようにその晩一緒に父兄と上もに泊めて、そして久しぶりに川の字で親子三人が寝られたというような生活体験をさせます。朝は母親のみそ汁をつくって飲ませてもらう、こういうことで忘れかけたいわゆる家庭の情愛というものを思い起こさせる、子供たちの情操の教育にも非常にいい結果を及ぼしておりますので、ぜひとも続けていきたいというふうに考えております。 学校の先生につきましては、昼間参観等でお見えになられたり、個別に少年に面会を求めたり、学校にも大変熱心な先生がおいでになりますので、お見えになって涙を流さんばかりに子供の更生ぐあいを喜んでいただいている場合がございますが、今のところ家庭寮は親族を中心に泊めるという運用にいたさせていただいております。 それらを含めまして今のような御提案の点は今後とも維持してまいりたいと現場の局としては考えておることを申し上げます。
○鈴木国務大臣 ただいま矯正局長から御答弁のように、一部で既に実施もいたしておりますけれども、貴重な御提案でございます。予算等の関連もございますけれども、提案を生かして充実できるように努力してまいりたいと考えております。
○三浦(隆)委員 今少年非行を犯す子は中学生、高校生というか、そうした子供が多いという点で学校教育とも大変深いかかわりを持ってきております。それで今教員の資質向上ということを文部省を中心として考えておりますが、これは単に学部で教師の免許を取った、それだけでは不十分だから大学院を出なければ教師の資格を取ることができない、あるいは現実に教員として採用しない。教員の資質向上というのを単に学歴で唱えるだけではなくて、むしろ研修というふうなもの、そうした少年院に行って研修してくるというのも大切なことであろう、こう考えるのですが、そういう意味で、そうした教員研修の場としても、そういう少年院には泊まるところがなければやはりだめだ。言うならば夕食後の子供たちの教育、あるいは朝一緒に起きて朝食をとってみるというふうな教育体験というのでしょうか、そうしたものが教員にはぜひ必要だろうというふうに私は考えております。今はまだそういう施設がございませんので、ぜひとも将来に向けて早急にでも実現できますようにお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
○村上委員長代理 林百郎君。
○林(百)委員 刑訴法の五十三条の四項、訴訟記録の保存の問題について質問いたしたいと思います。 これは私が昨年の四月十日の法務委員会で質問をして、これには当時の法務大臣もそれから当時の刑事局長だった算さんも、これは早急に立法化すということをおっしゃられたのですが、二月十日の朝日新聞を見ますと、これが本年の五月ごろまでに内容を詰めてこの次の通常国会へ提出を目指すというようになっておりますが、これはその後どうなっておりますか、経過を説明していただきたいと思います。
○岡村政府委員 訴訟記録の保存に関します立法を行うということで法務省といたしましては現在作業を進めているところでございまして、次の通常国会への提出ということを当面の目標といたしまして現在作業を急いでおるところでございますが、まだ成案を得るには至っていないところでございます。
○林(百)委員 新聞記事を見ますと、「五月ごろまでに内容を詰め、次の通常国会への提出を目指す。」とあって、それから最高裁とも協議していると言っていますが、最高裁との協議はどうなっているのですか。最高裁と両方から答弁していただきたい。
○岡村政府委員 現在、最高裁判所ともいろいろ協議を進めているところでございます。
○吉丸最高裁判所長官代理者 今法務省からお話がございましたとおり、法務省からこの問題につきまして意見を求められ、事務レベルで意見の交換を行っているところでございます。
○林(百)委員 それでは、その協議の過程の段階でも結構ですが、保存機関は検察庁の方ですか裁判所の方にするのですか、どちらにするということで話を進めているのですか。
○岡村政府委員 これまでの実情から申し上げますと、検察庁が訴訟記録を保管するということになっておりますし、また検察官といたしましては裁判の執行という面におきまして訴訟記録をいろいろ利用する、こういうような実情にもあるわけでございまして、そういった点を踏まえまして検察庁において記録を保存する、そういう方向で話を進めているところでございます。
○林(百)委員 最高裁の方はそれでいいのでしょうか。
○吉丸最高裁判所長官代理者 御承知のとおり確定記録をどこで保管するかということにつきましては従来いろいろ意見があったところでございます。 一方において訴訟記録はもともと裁判所が作成した裁判の記録であるということから確定後も裁判所において保管するのが相当であるという考え方がございます。しかし、ただいま法務省からお話があったように、判決の確定後は刑の執行、仮釈放、恩赦等の事務を円滑適正に実施するために検察庁において記録を保存する必要がある、そのような実際上の必要があるということは否定できないところでございます。また、現行刑訴法施行後も新しい立法ができるまでということで従来どおり検察庁で記録を保存してきたという経過がございまして、その間、裁判所の事務の上でも格別の支障がなく、事務の運用が円滑に行われてきたという実情がございます。これらのことを考えますと、判決確定後訴訟記録を検察庁において保管するということにも相当な理由があるように思われるのであります。ただ、これはもとより事務レベルでの意見交換に基づく現時点においての一応の考え方ということでございますが、そのようなことでお受け取りいただきたいと思います。
○林(百)委員 これの立法化が三十七、八年、約四十年もおくれたのは、一つはその点に問題があっておくれていたわけなんで、最高裁の方が検察庁が保存するということで今おっしゃったような理解を持つとすれば立法は促進するのではないかというように思います。吉丸さんもおっしゃっているように事務レベルの段階ですから、これは首脳部へ行ったらどうなるか、またいろいろ問題が起きるかもしれませんが、それは一つの立法化を促進する御意見だというように思うわけです。 それから、保存対象になる記録ですね。これは何を基準にしてどうするのか。私たちはそのための諮問機関を設けたらどうか。裁判所、検察庁あるいは学者、社会的知識の高い方々の間でつくって、それに諮問をして、この記録は保存した方がいいだろうとかいうようにしたらどうかという意見を私は持っているのですが、この保存を決定する機関はどこが決めることになるということで今考えていますか。どの記録は残しておこう、どの記録はこれはもう廃棄してもいいとか、そういうことはどこが決めるのですか。
○岡村政府委員 記録はある一定期間は保存しておくわけでございますが、その期間を経過いたしました後におきましても、将来参考となるようないわば刑事参考記録というものは保存の期間が過ぎましてもさらに残す必要があるのではないか、そういったような角度から検討いたしておるところでございますが、現在の時点におきましては、そういう判断をいたしますのは検察官あるいは法務大臣、こういったところであろうかと考えておるところでございます。
○林(百)委員 そうすると、立法もそういう方向で立法するのですか。裁判所の方の意見はそこへ入らないのですか。
○岡村政府委員 現在成案を得ていない段階でございますので、確定的なことは申し上げられないわけでございますが、今のところは先ほど申し上げたようなところで考えておるところでございます。
○林(百)委員 そうすると、新聞で「五月ごろまでに内容を詰め、次の通常国会への提出を目指す。」これは目指すというだけで事実はそう進まない場合もあるということですか。もう五月には詰めができるということになっているのですけれども。
○岡村政府委員 次の通常国会までにはまだ相当の期間がございますので、その間作業を急ぎたい、かように思っておるわけでございまして、当面は次の通常国会を目指して立法化のための法案の提案に至りたい、かように思っているところでございます。
○林(百)委員 次の国会が相当先になるなんて、国会の会期をあなたが決めることができるのですか。臨時国会があるかもしれない。それはどういう根拠ですか。通常国会という意味ですか。(岡村政府委員「そうです」と呼ぶ)では、通常国会と聞いておきましょう。あなたに国会の召集権があるわけじゃないのだから。 そうすると、保存の期限、今まではこれは検察庁の方の要綱か何かでやっていたのですが、この保存期間は、今まで検察庁が要綱でやっていたことと今度新しく立法化するということの間にはどういう関係がありますか。
○岡村政府委員 従来、通達で運用いたしまして、それぞれの記録等につきまして個別に保存の期間等を定めておったところでございますが、その後の運用の実情、こういったものも考えあわせて、通達の定めております保存の期間を一応のベースにいたしまして、適宜これを修正すると申しますか、そういう角度で保存の期限を決めたい、かように思っておるところでございます。
○林(百)委員 再審の必要上から訴訟記録を見たいというようなこともあるし、これはあるいは再審の申し立てがあるかもしれないというようなことでは審理にあずかった裁判所も相当の知識を持っているわけですから、どういう事件の記録をどの年限で保存するかということについて裁判所の意向を聞くというような、そういう制度はなくていいのでしょうか。検察庁、裁判所、それから学識経験者あるいは国会議員とか、そういう何か諮問機関を設けてそこが決定するという方向がいいのじゃないかというように私は思うのですが、今刑事局長のお話を聞いていますと検察庁の判断で決めると言いますが、裁判所の意見を少なくとも参考に聞くという必要はないでしょうか。これは最高裁の方もここらの意見を聞きたいのです。
○岡村政府委員 再審のための保存等につきましては、これはまた別途考慮いたしまして、例えば裁判所から再審請求があったという通知を受ければそういったことから今度は再審のための保存、こういったものも考えなければならないと思っておるところでございます。また、裁判所の意見を聞くかどうかということでございますが、本法案の成案を得るに当たりましては、その過程におきまして、いろいろ裁判所とも意見を交換して詰めたい、かように思っているところでございます。
○吉丸最高裁判所長官代理者 記録の保存、保管の期間を定めるに当たりまして、再審請求の問題を十分考慮しなければならないことは御指摘のとおりでございます。裁判所といたしましても、その立法の立案の過程で私どもその点に遺憾のないようにいろいろ意見を申し上げているところでございます。 ただ、個々の事件につきましてその記録の保存期間をどうするかということは、これは裁判がもう既に済んでしまった後ということもございますし、どのような形で意見を申し述べるのか、またそのようなことが相当であるかというあたりはなお検討を要するところではないかと思います。 裁判所といたしましては、公判に立ち会った検察官も裁判の内容のことはわかっているということで、むしろそのあたりは検察庁内部で処理していただく余地も大きいのではないかというふうに一応考えております。
○林(百)委員 この前お聞きしたのですが、例えば松川事件だとかチャタレー事件だとか造船疑獄だとか昭和電工疑獄事件だとか、こういうような記録がもうないというお話を聞いたのですが、これは検察が起訴して死刑まで求刑したのがみんな無罪になっている。まあみんなではないですが、松川事件などは。チャタレーなどは文学的なものかあるいはわいせつなものかということで社会的な重大な問題になったのですが、検察官が起訴して無罪になったようなものは検察官としては記録を残したくないということで、そういうのは廃棄する可能性もなきにしもあらずです。死刑の判決があったのは別ですが、そういうような記録こそ将来残しておくべきものだと思います。そういうものを検察庁としては、検察側の公判が維持できなかったのだから余り残したくないという気持ちが人情としてはあるんじゃないかというように我々の側からは考えられるのですが、そういう場合やはり公正な裁判所の意見も聞くということは非常に重要だと思うのです。記録保存について裁判所の意見を聞くことを立法の中に込める必要があるのではないかというように思うのですが、まずその点をお聞きしたいと思います。 結局結論としては、法律で定めるという規定があるにもかかわらず、二十四年ですから三十七年間も放置しておかれたので、あなたのおっしゃるように次の通常国会には必ず出してもらわなければいけないと思うのですが、その点は保証できるかどうか。法務大臣、前の嶋崎法務大臣も私の質問に対して、 今の刑事訴訟法第五十三条の四項では、裁判 記録の保管につきまして別に法律で定めるとい う規定があるわけでございます。先ほど来刑事 局長からお話がありましたように、いろいろな 経過があって今日まで立法化されてきておらな いというような実情にあることは事実でありま すが、裁判記録の重要性というようなことから 考えますと、今後関係機関とも十分協議をいた しまして立法化するように努力をしてまいりた いというふうにお話を聞いて私は思っておりま すから、そういうことでお許しいただきたいと 思います。こういう答弁をしているのですが、あなたとしても、あなたの任期中にこれを立法化して、少なくとも次の通常国会には出すようにめどをつけて努力するということをここで言っていただけるかどうか、刑事局長と大臣、両方に答弁をお願いいたします。
○岡村政府委員 検察官といたしまして無罪になった事件は残したくないということではないと思うのでございまして、今回の法案の策定に当たりましても刑事参考記録という一つの概念を設けまして、一定の保存期間が満了いたしましてもこの刑事参考記録に当たるものにつきましてはさらに保存する、そういう方向で考えておるところでございます。 また、先ほど来申し上げておるところでございますが、法務省といたしましては次期通常国会に提出するということで現在作業を急いでおるところでございまして、最大限の努力をいたしておるところでございます。
○鈴木国務大臣 私の任期中にというようなお話がございました。払いつまで任期があるか、次の通常国会まであるかどうかわかりませんけれども、今刑事局長から御答弁申し上げましたように鋭意努力いたしておるわけでございますから、私も極力次の通常国会には出せるように努力していただくよう指導してまいりたい、かように考えます。
○林(百)委員 大臣、これは答弁要りませんけれども、私がこう言うのは、その時代時代に社会的に大きな問題になった訴訟記録は、司法関係の文化遺産として、その時代時代の司法に関する遺産として後世に残しておくべきものだと思うのですよ。それが、法律で定めるということが昭和二十四年に決められたのに今もって法律ができておらない、これは怠慢だと思うのですね。そういう重要な意味がありますので、ぜひこれは次期通常国会には必ず提案するように努力していただきたいと思うわけです。この問題はこれで終わります。 次の問題は、五月十二日に在日米国商工会議所から中曽根総理あてに外国法律事務弁護士のことについて意見書が上がっているのですが、このことは事実でしょうか、またその内容は大別してどういうことでしょうか。
○井嶋政府委員 ただいま御指摘の書簡につきましては、五月十二日付で在日米国商工会議所会頭名、中曽根総理あてという文書が発出されております。このコピーが昨日私ども司法法制調査部にも参っております。この書簡自体にコピーの配付先がついてございますが、それによりますと安倍外務大臣を初めといたしまして、鈴木法務大臣、衆参法務委員長などにもコピーが送られたというふうになっております。事実法務省の法務大臣にもこのコピーが参っております。 それから、この書簡の内容でございますが、今次の外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法案は、昨年の七月に定めましたアクションプログラムで公約いたしました国際的にも妥当な解決を図るというその部分が必ずしも十分生かされていない、そういった意味で以下に述べる五項目について全面的に再検討を望むというのが要旨でございます。 五項目として掲げられております第一が、日本弁護士との雇用、共同経営を禁止しているのは不都合であるということ。第二点は、外国法事務弁護士を日弁連が所管をし登録、監督を行うのは不都合である、日本政府による登録、監督、懲戒とすべきであるという意見でございます。第三点といたしましては、法案に盛られております相互主義に関することでございまして、相互主義をとるとするならば次の条件のもとで考慮すべきである、すなわち特定の外国で現実に開業したい我が国の弁護士があること、第二点として、当該弁護士が当該外国で開業を申請した場合に現実に拒絶された場合、そのことを日本政府に証拠を示して請願をすることによって日本政府が当該外国の弁護士の受け入れを拒絶するというような形にすべきであるという意見でございます。第四点といたしましては、一定の実務経験を資格認定の要件とするといたしましても、その経験は自国におけるものに限るべきではない、広くどこにおける経験でも認めるべきである、また日本において現在活動しております米国弁護士の資格者のトレーニーあるいはクラークの人たちの経験年数も実務経験年数として算入すべきであるということでございます。第五点は、米国のローファームの名称を事務所の名称として使用する権利を認めるべきであるということでございます。
○林(百)委員 私の方も英文の陳情が手に入りましたので、とりあえず翻訳したのですが、大きく分けて三つの点だと思うのです。一つは、日本の弁護士とパートナーを組むことや雇うことができるようにすべきであるという提案。それから、在日外国人法律家の規制、監督、統制などは日本政府の適切な機関が行うこととすべきである、ライバルである弁護士会の統制に服するというようなことは好ましくない。第三は、ローファームという名前を公然と打ち出したい。大きく分けて、国会で論議された点と合わせると三つの点だと思うのですが、この法案の審議議事録を読んでもらえば、日本の法務委員会の委員もこういう点を十分含んで、それから法案の中にも、決してこれが無視されているわけではなくて、この程度のことはできるとか、それから政府の監督といいますけれども、第一、外国法事務弁護士を許可するかどうかは法務大臣の権限にあるわけですから、そういう重要な点はちゃんと政府がやることになっている。ただ、弁護士である以上は日弁連の自治に服してもらわなければ困るということで、この陳情の趣旨は十分法案にも盛られていますし、法務委員会でも論議され、そのことは議事録に載っているわけなんで、今さら蒸し返すこともないと思うのです。 ただ、これが気に入らないからといって、これも五月十一日の朝日新聞を見ますと、日本の大学の法学部出の商社員に対してはアメリカがビザを与えないようにして日本に圧力を加えようじゃないかというようなことが考えられている。「米側が新作戦展開商用ビザ不給を訴える」というような記事が載っているわけなんですが、これは全く不当な言いがかりだと思うのですね。自分の思うようにいかないから日本の法学部を出た社員がアメリカに来るときはビザもやらないなどという、そんなばかなことはないので、こういうことがあると思って私も質問をしておいたのです。あれは鈴木さんが法務大臣になってからですね。「審議の過程でたびたび申し上げておりますように、我が国の司法制度、とりわけ弁護士会の自治の問題、こういう点から、仮に貿易の摩擦というような点から取り上げられたといたしましても、先ほど申し上げましたような考えというものは厳として守っていかなければならない点でありますから、その範囲内において調整できることはいたしますけれども、現在の段階では、」こういう不満がこの後述べられてもこの法案は「最適である、これ以外には当分考えられない、」こういう点を貫いていくということを答えられておるわけなんですが、この態度は変わらないのかどうか。これは法務大臣、あなたがお答えになっていますね、私が質問したことに対して。改めてお聞きしたいと思うのです。
○井嶋政府委員 ただいま御指摘になりました三項目につきましては、法案の御審議をいただきました際にその必要性、考え方につきましては私ども十分御説明させていただいたつもりでございます。その際にも申し上げましたけれども、指摘されております項目につきましてはそれぞれ本法案の骨格をなすものでございますから、譲歩できないものはできないという形で対応していくということを申し上げたわけでございますし、今後ともその考えは貫いていくということも申し上げたわけでございまして、現時点においてもそういうことでございます。 ただ、この在日商工会議所の挙げております五項目というのは従来から主張しておりますことでございまして、どういう経緯からこの時期にこういうものが参ったのか、直接まだ会っておりませんのでわかりませんけれども、従来の主張を再度繰り返したということだと受けとめております。しかし、いずれにいたしましても私どもの考え方につきましては、今後施行するまでの間にも十分説明し、説得をいたしまして、誤解は誤解として解きたいと思いますし、私どもの考え方につきましても十分納得させるように努力してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
○鈴木国務大臣 ただいま先生、速記録をお読みいただきました。何日か前の当委員会における私の答弁でございますが、全くそのとおりでございまして、いささかも考えが変わっておりませんことを申し上げておきます。
○林(百)委員 根本的にはアメリカ側ではアクションプログラムの中の一環として、貿易の自由化の一環としてサービス部門の自由化ということで押してきているのですけれども、しかし、日本の弁護士制度というのは御承知のとおり司法制度を支えている裁判所、検察、弁護士会、この三つの柱の一つで、それから厳重な試験も受けて弁護士の資格も受けておりますので、サービス部門でそういう日本の司法制度自体、日本の主権にかかわるようなものに——関係ない部分についてはできるだけの便宜を図った法案をつくったわけでございますので、日本の司法制度の根本にかかわるような、要するに主権の行使にかかわるような部門についてまでアメリカの言うとおりになれ、ならなければ日本の大学の法学部を出た連中のビザはアメリカでは出さないぞというようなことを仮にしたとすれば、それは横車で無理押しもいいところだと思うのですが、そういう点をやはりよく説明してやる必要があるのではないか。それから議事録などもよく読んでもらう必要があると思うのですね。この商工会議所の陳情を見てみますと、どうもよく勉強していないように私は感じます。だからそういうことが必要じゃないかと思うのです。 そこで、日本の大学の法学部出身の商社員には米側が商用ビザの不給をするというようなことを訴えているということがあるわけなんですが、これは在日米人弁護士が米通商代表部、USTRに訴状を提出しているということですが、こういう事実はあるのですか。
○井嶋政府委員 新聞に報道されましたように、在日米国人弁護士の代理としてハワイの弁護士からアメリカの通商代表部、USTRに対して米国通商法の三〇一条に基づく提訴が行われたという事実がございます。四月十一日付で行われたというふうに情報を得ております。この提訴は、もちろん米国人であればだれでも訴えることができるものでございますから、それを現在USTRがどういうふうに処理をするかということになるわけでございまして、その点につきましての情報は得ておりませんけれども、三〇一条の手続によりますと、この訴えを受理しましてから四十五日の間に、却下するかあるいはその提訴に基づいて調査を開始するかということを決めるという手続になっておるように承知をいたしておりますので、USTRが間もなく却下するか調査を開始するかということを決めるのだろうと思います。 いずれにいたしましても米国内のことでございますので、私どもはそれ以上の情報は得ておりませんけれども、システムとしては通商法に基づいてだれでもいろいろな外国の通商に関する不公正な行為に対する是正を求める権限があるという規定に基づいて行われたものであるというふうに承知をいたしております。
○林(百)委員 そうすると、USTRへ日本側の意向を述べるなり伝えるなり、そういう機会はあるのでしょうか、あるいはそれに対して何らかの手を打たなくていいのか。これは新聞を読みますと商社側では非常に混乱をしている、大学出の連中がアメリカ進出の日本企業に相当行っておりますから、これが長期滞在ビザが出ないということになると、みんな日本へ帰さなければいけないことになる、非常に不安に駆られているということが新聞の記事には出ているのですが、そのUSTRへ訴えが出されたことに対する答弁とかあるいはこちら側の意見とかは調査が始まった機会でいいのでしょうか、あるいは事前に何らかの手を打たなくていいのでしょうか。
○井嶋政府委員 向こうの手続上その四十五日の間に外国政府と協議をすることができるのかどうか必ずしも承知をいたしておりませんけれども、USTRとは外国法事務弁護士法案につきましてつい最近まで協議をしているわけでございますので、十分私ども日本側の考え方、立場あるいは法案の中身というものは承知をいたしておりますから、そういった形で対応してくれるものだというふうに期待をいたしているわけでございます。
○林(百)委員 委員長、もう一問だけ。 大臣、これまた国際的な政治問題になるかもしれない。日本の大学の法学部出身の商社員には長期滞在のビザをやらない、そういう圧力で外国法事務弁護士法を自分の気に入るような方向へ持っていこうとするなんてことになりますとこれは国際的な問題になりますので、大臣も、日本の弁護士制度というものが単にサービス的な側面だけでなくて、日本の司法制度を支える一つの柱であり、それは日本の主権を行使する重要な部分にかかわることであるということをよく含んで対処していただきたい、こういうように思うわけです。 時間もありませんが、最後に一言、撚糸工連事件。これは自治省もおいでになっているのですが、二つの問題があると思うのです。 新聞で見ますと、小田理事長は「逮捕前、献金議員が約五十人に上るとほのめかし、「お世話になった先生方に”ご苦労さま”と言うだけで済むんでしょうか」と語っていた。」ということで、五十人も献金議員がいるということを言っておる。それから、前の通産省の生活産業局長は、「接待は週二、三回 ヒレ酒好きの局長も」とあって、「撚糸工連の第十一回〜第十三回通常総会議案資料によると、通産省官僚との「懇談」が三年間で計二十四回、うち局長クラス九回、課長クラス十三回にも及んでいます。また別の内部資料によると、過去五年間の陳情、接待回数は百二十三回にも。これらは料亭「宮さ和」などでおこなわれることが多く、まさに”接待漬け”。」というような新聞の記事もございます。だからこれは今の横手君と稻村君の二人だけでおさめるべきでないように私たちは思うのです。 そこで、この問題は他の委員会でも非常に論議されているわけですが、問題は二つあると思うのです。一つは、政府から補助金や利子補給その他、そういう融資を受けている団体は政治献金ができないということが政治資金規正法の二十二条にあるわけなんです。そこでこの撚糸工連が、これは特殊法人なんですけれども、中小企業事業団から金を受けているので、中小企業事業団は国が出資あるいは融資する団体だが、ここからまた資金を受けている撚糸工連だからこれは国の出資あるいは融資を受けている団体とは言えないという点がある。これは自治省の小笠原さんがこういう答弁をしています。要するに中小企業事業団は特殊法人で、国とは言えないんだ。それから後藤田長官は「政治資金規正法で政治献金を禁止しているのは、国から直接補助金などの交付を受けた法人などが対象で、事業団からの融資には適用されない」要するに事業団という中間括弧があるから撚糸工連の献金は政治資金規正法の罰則は適用されないんだということで、小笠原さんと後藤田氏との間にはちょっと見解のニュアンスに違いがあるわけです。 しかし中小企業事業団というのは国から融資それからいろいろの補助金を受けているので、農水省などの畜産や蚕糸砂糖類事業団とは違って一般政府の分類になって、政府と実質的には同じだということで、だから中小企業事業団から融資を受けている撚糸工連というのは国から融資を受けたと内容的には同じものになるんだという見解がある。臨時行政調査会の答申に基づき特殊法人の統廃合、民間法人化などを進めている総務庁によると、「国の行政機関そのものではないが、国が法で強制的につくるものだし、運営もがんじがらめになっている。広い意味で行政を担うものといってよい」要するに一般政府の一部だということになっている。だからここから資金を受けたということになると国から融資あるいは資金を受けたということになるのじゃないかということで、これは小笠原さんの見解と違うようなんです。それで後藤田氏は、ここは法の不備があるからこの点を法をきちっと決める必要がある。要するに全面的に国から融資、資金を受けている中小企業事業団は一般政府と実質的には同じだ、政府に準ずるものだ、だからここから資金を受けている撚糸工連は政治献金ができないんだという解釈もできますけれども、その点は立法的にはっきりさせる必要があるのじゃないか。 時間がありませんから刑事局長に一問だけ聞きますが、「検事その素顔」というのがあるのですね。これは御承知だと思うのですが、検察庁のPRだと思います。これを見ますと、検事総長は「信条は悪いやつを眠らせない検察。」それから特捜部の方は「巨悪眠らせまじ。若手が担う特捜検察」それから撚糸工連の問題については「私は、第三次強制のことを考えていた。」ということが最後の結論にあるわけです。こういう点をいろいろ考えていきますと、検察の方も法が許せば第三次強制捜査をすることもあるかもしれませんが、法をきちっと将来決めていく必要があるんじゃないかというように思うわけです。この点についてどう考えているか。 それから刑事局長は、こういう「巨悪眠らせまじ。若手が担う特捜検察」というので、政治資金規正法でなくとも贈賄、収賄の該当要件があればこれを捜査するのは当然なんで、過去五年間の通産省官僚との陳情接待回数は百二十三回だというようなこと、こういうのはやはり贈賄あるいは収賄に該当すれば、政治資金規正法ではなくて、そういう犯罪が新たに成立する可能性もあるので、これをこのまま横手君と稻村君のことだけで一件落着ということでは、検察庁が出している「検事その素顔」の「悪いやつを眠らせない」とか「巨悪眠らせまじ。若手が担う特捜検察」これとは内容が違うことになるように我々受けるのですが、この点はどうなんですかね。自治省と検察、両方にお聞きしたいのですが。
○中地説明員 先生御指摘の政治資金規正法第二十二条の三第一項でございますが、国から直接補助金等の支出を受けている会社その他の法人が国会議員等に対して政治活動に関する寄附を行うことを禁止した規定でございます。この場合、国には公社、公庫、公団等は含まれないという解釈を従来から申し上げ、そういう運用をしてまいっておるわけでございます。 その理由でございますけれども、この規定は罰則によって担保されておるわけでございますし、公職選挙法関係でもそうでございますが、公社、公団を含めるような場合には必ず国と並べて公社、公団、具体的な名前を書いているわけでございます。そういうことからいたしましても、国の中に公社、公団あるいは日本開発銀行等の政府系の金融機関、こういうものは含まないという解釈をとっておるわけでございます。 そこで、御指摘の中小企業事業団等から補助金を受けた撚糸工連、こういうものにつきまして政治活動に関する寄附を禁止するかどうか、こういう問題についてでございますが、これにつきましては後藤田官房長官も答弁しておるわけでございますが、立法論の問題として議論していくべき問題である、こういうふうに申し上げているわけでございます。そこで我々も、このことについてはさらに研究を加えてまいりますというふうに申し上げておりまして、この解釈につきましては、官房長官それから自治省の小笠原選挙部長も同じような趣旨で御答弁させていただいている、こういうふうに理解してございます。 〔村上委員長代理退席、太田委員長代理着席〕
○岡村政府委員 検察当局といたしましては、厳正、公平を旨として捜査、その処理に当たってきているところでございまして、撚糸工連事件に関しましても相当長期間にわたりまして捜査を遂げたところでございまして、いろいろの角度から捜査を行った結果、やはり検察当局といたしましては証拠に基づいて認定できるものについて処理を行う、こういうことでございます。今回の撚糸工連の関連の事件につきましても、証拠上認められる贈収賄事件につきましてはこれを処理した、こういうことでございます。
○林(百)委員 今自治省の答弁にありましたように、この点は将来きちっとけじめをつけていく必要がある。実質的には政府と同じで、全額国から融資を受け、毎年毎年、全額国から補助金を受けている。撚糸工連は、機械を整理するときの補償金はそこから出ているわけですから、これはやはり国からの補助金を受けている団体、特殊法人といってもいいと思うのですね。だから、そういうものを処罰しなければ、これは大きな穴がそこにあいていることになると思います。その点は、あなたもおっしゃるように将来この法律を検討して、国民の血税が不正に使われていることをちゃんとふたをするような方向へ十分に研究をして改正をしていくべきだと思いますので、将来ひとつ努力していただきたいと思います。 それから検察庁は、それは証拠に基づいてやるのも結構ですが、しかしそれなら、捜査があれで打ち切られたというように聞いておるし、特捜部ももう撚糸工連の問題はあの二人で幕を引いたというように聞いておるので、私は、それはおかしいじゃないか。小田元理事長だって、五十人ぐらいの先生方に献金をしておりますと言ったり、あるいは具体的に名前がずっと新聞には書かれておるわけでございますので、名前が出ている者については一応事情聴取されるのが当然ですし、仮に政治資金規正の構成要件に該当しなくても、それでは贈賄、収賄の要件からはどうかということを一応調べないと、せっかくこんな立派なパンフレットを出して「悪いやつを眠らせない」なんて言って大いに検事陣営で秀才を集めようとしても、それは口先だけだ。いざ重要な事件になってくると、やっぱり手が鈍るわなということになる心配がありますので、それであなたに聞いているわけです。 最後にこの答弁を求めて、大臣にもどう考えますかお聞きして、それで私は質問を終わります。
○岡村政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、重要な事件になると手が鈍るというのですか、そういうふうには社会一般からは思われていないのではないかと私は思っておるのでございますが、いずれにいたしましても、証拠に基づきまして具体的な犯罪の容疑があり、取り調べの必要があるという判断がある場合は、検察当局にお麦まして関係人その他の事情聴取、取り調べ等を行うところでございまして、やはり証拠に基づく検察当局の判断があるわけでございまして、本件の撚糸工連の事件に関しましてはおおむね捜査は山を越したと申しますか、終結の方向に向かっておるというふうに聞いておるところでございます。
○中地説明員 先生御指摘の問題も含めまして、政治資金の規正につきましてはいろいろな考え方があるわけでございます。それで、ただいまの御指摘につきましても、今後の研究課題として対処してまいりたいと思います。
○林(百)委員 大臣、どうですか。
○鈴木国務大臣 ただいま刑事局長から御答弁申し上げたとおりでございますけれども、検察といたしましては、的確な証拠に基づき、それが刑罰法令に触れる事案であれば適正に対処いたしておるわけでございます。それが刑罰法令に触れないものまでやるということにはいかないだろう、かように考えます。
○太田委員長代理 次回は、来る二十日火曜日午前九時三十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十九分散会