法務委員会 第8号
- 発言数
- 125 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1986/04/18
会議録
○福家委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法案を議題といたします。 本日は、本案審査のため、参考人として前日本弁護士連合会副会長竹内桃太郎君、弁護士濱田邦夫君、東京大学名誉教授三ケ月章君、商事法務研究会経営法友会代表幹事小倉兄君、以上四名の方々に御出席いただいております。 参考人各位には、御多用中のところ、本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。本案について、参考人各位には、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いいたします。 次に、議事の順序について申し上げます。 御意見の開陳は、竹内参考人、濱田参考人、三ケ月参考人、小倉参考人の順序で、お一人十分以内に取りまとめてお述べいただき、次に、委員からの質問に対しお答えいただきたいと存じます。 それでは、まず竹内参考人にお願いいたします。
○竹内参考人 ただいま御紹介いただきました竹内でございます。 私は、昨年四月一日から本年三月三十一日までの一年間、第一東京弁護士会の会長の地位にございまして、あわせて日本弁護士連合会の副会長の地位を兼ねていた者でございます。 昨年四月、石井成一前日弁連会長から外国弁護士問題担当副会長を命ぜられまして、この一年間、我が国の司法制度の一翼を担います、我が国弁護士制度の根幹にかかわるところの極めて重要な、そしてまたまことに困難なこの外国弁護士問題を担当いたしまして、国内的、国際的な要請にのっとりまして緊急に、そしてかつ適正妥当な解決を図るべく、日弁連会内の合意を形成して日弁連の自律能力を証明し、国民の負託にこたえるべく努力してまいった者の一人でございます。 御高承のところでございますが、この外国弁護士問題は、昭和四十九年にニューヨーク州弁護士会から日弁連に対しまして、外国弁護士受け入れ制度を創設する意向があるか否かにつきまして打診がございました。当初はニューヨーク州弁護士会と日弁連との間で意見交換が行われていた問題でございますが、昭和五十七年三月米国政府が本問題を貿易摩擦問題の一環として取り上げて以来、政府間レベルの問題となったのでございます。 この問題に直面いたしまして日弁連は、「外国弁護士問題は弁護士制度の根幹にかかわる問題であるので、自治権を認められている日弁連が自主的に解決すべき問題であり、日弁連の頭越しに交渉すべきではない」という基本的な立場をとりまして政府の御了承を得たのでございますが、自乗今日までこの基本的立場を最大限尊重していただいてきているのでございます。 次に、外国弁護士制度要綱の策定と本法案との関係につきまして、若干経過を踏まえて御説明いたしたいと思います。 昭和五十七年以降、日弁連会内の事情もございまして若干の曲折はありましたけれども、昭和六十年、昨年の三月十五日の日弁連理事会におきまして次のごとき基本方針を決定したのであります。「相互主義の原則と、外国弁護士は日弁連の自治権のもとに入るとの原則、この二原則のもとに外国弁護士の受け入れを認める」そして、受け入れの具体的条件につきましては、内外の意見を参酌して国内的にも国際的にも妥当とされる制度を策定する、こういうことにいたしたのであります。御参考までに、この三月十五日の理事会では採決が行われておりますが、原案に賛成が四十七票、反対が十一票、保留が五でございまして、出席理事の約七五%が賛成をいたしております。そして、昭和六十年四月十九日の理事会、これは昭和六十年度の第一回理事会でございますけれども、この理事会におきまして理事会内に外国弁護士問題に関する小委員会を設置いたしまして、外国弁護士制度要綱策定の作業に着手したのでございます。 ここで、本日お配りいたしました資料、お手元にあると思いますが「外国弁護士制度立案作業経過」という時系列の表を提出いたしましたが、これをごらんいただきたいのでございますけれども、昭和六十年四月二十五日、法務省から外国弁護士制度要綱作成のための検討会開催の申し入れが日弁連にございました。日弁連といたしましては、外国弁護士制度要綱策定に当たりまして、この検討会における法務省の御意見は国内を代表する意見、批判として受けとめる、こういう方針を決めまして、法務省との間でかたい相互信頼のもとに隔意のない率直な意見交換を進めてまいったのでございます。この検討会は、本年三月四日までの十一カ月の間に二十八回に及んでいるのでありまして、法務省担当官の並み並みならぬ御尽力、御協力に対しまして深甚なる謝意を表する次第であります。 一方、会内にありましては、この法務省との検討会における意見交換の結果を踏まえまして随時理事会内小委員会を開き、これを理事会に報告して審議を重ねてまいったのでありますけれども、この一覧表にもございますように、まず七月十九日には外国弁護士制度素案を策定いたしました。そして、この素案に対する内外の意見を参酌いたしましてさらに検討を加えまして、九月三日に外国弁護士制度要綱試案(第一次案)なるものを策定し、これを各単位弁護士会、日弁連内には五十二の弁護士会がございますが、各単位弁護士会に配付して意見を求めたのでございます。 このころから臨時総会招集の必要性を主張する意見が強くなってまいりましたので、理事会等で検討いたしまして十二月九日臨時総会開催の運びとなったのでございます。この臨時総会におきましては、お手元の関係資料の青い表紙の六番目の一ページないし八ページに登載されておりますけれども、「国際的法律事務の円滑・適正な処理のための「外国弁護士」制度の基本方針承認の件」を上程いたしまして、審議の結果圧倒的多数をもって可決されたのでございます。これも御参考までに当日の採決の結果を申し上げますと、採決時の出席会員総数六千八百四十九に対しまして、賛成が五千九百九十五、反対七百八十六、棄権六十七でございまして、賛成は八七・五%となっております。なお、当日の審議は午前十一時から午後八時半過ぎまでに及んだのでございます。 強制加入団体でございます日弁連は、思想、信条あるいは主義、主張を異にする約一万三千名の会員によって構成されているわけでございますけれども、先ほどお示しいたしました議案の提案理由の一の末尾、これはお手元の資料の四ページの十一行目以下に書かれておりますけれども、そこに見られますように、この外国弁護士問題につきましては、圧倒的多数の会員が次に申し述べますような見解であったと解されるのでございます。十一行目以下でございますが、私それをほぼ読み上げたいと思います。 他方、政府は、貿易摩擦問題解消の経済対策の一環として、七月三〇日、市場開放のための「行動計画」を決定し、そのなかで、本問題については、「日弁連の自主性を尊重しつつ、次期通常国会における法律改正を目途に、国内的にも国際的にも妥当とされる解決を図る」とし、具体的には次期通常国会に向けて明年三月中これはことしの三月のことでございますが、明年三月中には法案提出をする旨を明らかにした。 とありますような非常に緊迫した国内外の情勢判断に立ちまして、さらに、 今日、世界有数の経済活動の中心地であるわが国において、弁護士制度を充実・発展させ、国際的法律業務に対応する能勢を整備していく社会的責務を負っているという自覚のもとに、外国弁護士のわが国内における業務活動をとのように認め、どのように規制するかは、わが国の司法制度・弁護士制度と深くかかわりをもつものであり、従って、自治権を有する日弁連が、全国弁護士の総意と責任において自主的に解決すべきものという決意を持ちましてここに結果し、それを内外に表明したものと考えるのであります。 この臨時総会におきましては、出席会員から数多くの質疑が提出され、また賛否それぞれの意見も数多く開陳されましたけれども、これらの疑問、意見を踏まえつつ法務省との検討会を重ねまして、昭和六十一年、本年の一月九日には外国弁護士制度要綱試案(第二次案)を作成いたしました。そして一部補正の後、一月二十五日の臨時理事会におきましては、補正第二次案に基づく制度構想の大綱及び立法形式につきましては単独特別法とすることを決定いたしました。さらに、二月六日の臨時理事会においては、外国弁護士制度要綱のうち資格名称を仮称といたしましたほかすべて確定いたしまして、翌二月七日これを法務省に提出したのであります。なお、この資格名称につきましては、二月二十一日の理事会におきまして外国法事務弁護士と呼称することに決定を見たのでございます。 この間、法務省は日弁連の作成いたしました外国弁護士制度要綱に基づいて法案の立案作業を進め、また対米交渉に当たるなどしておられるのでありますが、二月の十八日には法務省から法案の第一次案の内示を日弁連は受けたのでございます。そして、さらに日弁連との間でこの法案検討会を行うなどの経過を経まして、三月二十日に第三次案の内示を受けたのでございます。 以上の経過からも御理解願えるところと存じますが、この法案は日弁連の外国弁護士制度要綱に基づいて立案されたものでありまして、日弁連の会内にはなお多少の異論を残しているとは思いますけれども、臨時総会における採決結果に見られますように、必ずや圧倒的多数の賛同を得られるものと考えているのであります。 この法案は、このように自治権を認められております日弁連が、法務省の御意見を参酌して、国内的にも国際的にも妥当とされる制度を策定いたしまして、これに基づいて立案された法案でございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。 その後の日弁連の取り組みについて簡単に付言さしていただきます。 日弁連におきましては、本法案において日弁連の会則に定めることとされている事項を整備する必要がございますので、去る三月七日の理事会におきまして外国弁護士対策委員会、これは従来からあったのでございますが、その目的、構成員等を改組いたしまして、会長より同委員会に対し「会則等立案方について」と題する諮問を発しました。これを受けまして同委員会は、会則案文等検討小委員会を組織して既に三月二十六日から活動を開始いたしております。また、この四月一日新たに就任されました北山六郎日弁連会長に対しまして、私どもは去る三月二十九日に外国弁護士問題に関する説明を詳細に行いまして、日弁連会務の継続について格別の配慮を要請いたした次第でございます。 以上をもちまして私の御説明を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○福家委員長 竹内参考人ありがとうございました。 次に、濱田参考人にお願いいたします。
○濱田参考人 竹内参考人が大分長くやられましたので、少し短くやりたいと思います。 私は、昭和三十七年に弁護士登録をいたしまして以来、ほぼ一貫して渉外法律事務と言われます国際的な取引を中心とする法律事務に従事をしております。この間、外国弁護士問題の検討に長年関与しておるわけですけれども、本日は一弁護士という立場から、竹内参考人から日弁連の立場については十分御説明がありましたので、一実務家としての立場から本法案についての意見を述べさせていただきたいと思います。 本問題は、我が国の司法制度にかかわる問題であって、日米経済摩擦等の問題として政治上の取引の対象として利用されるべきではないというのが日弁連及び我が国弁護士の大多数の年来の主張でした。本法案がおおよそ昨年末の日弁連臨時総会で決議された基本方針及びその後の日弁連外国弁護士制度要綱に基づき、法務省の御尽力を得て今国会に提出の運びとなったことは喜ばしいことと私も思っております。つまり、本問題は我が国の司法制度の枠内で解決したと言うことができ、これは単に我が国の弁護士制度として適切であったというだけではなくて、我が国の社会、経済全体にとっても望ましい処置であったと言えます。 経済の国際化が急速に進んでいる我が国にとって、良質の外国弁護士の受け入れは、我が国の企業等の内外における活動の利便ともなり、また彼らを通じて我が国の社会、経済制度や文化が正しく海外に紹介されれば、我が国が直面している国際的経済摩擦の軽減に役立つとも思われます。 一方、本制度を契機といたしまして、これまで法廷中心、個人事務所中心であった我が国の弁護士活動が、経済生活における国民の基本的人権の確立や適正な企業活動への参画を目指して、法廷外の法律事務の分野で、より組織化、専門化した事務所形態によって、また国際的な広がりを持って展開していくと思われます。 新制度に基づく外国弁護士の我が国における活動は、次に述べるようなもろもろの影響を与えると考えられます。したがいまして、新制度の運用に当たり、我が国の司法制度や社会に混乱をもたらさないよう、良質の外国弁護士を慎重に選別し受け入れる必要があると思われます。 日米経済摩擦は、今や文化摩擦の様相を呈してきています。半分ジョークとしてではありますが、数年前のニューヨーク・タイムズに、また昨年暮れのウォールストリート・ジャーナルに、日本の対米自動車輸出と絡めましてその見返りに米国の弁護士を日本に輸出し、日本の経済成長を鈍化させ、日本の社会を混乱させるべきであるというような記事が掲載されました。冗談は別にしても、米国の弁護士は米国企業活動の先兵であり、訴訟社会である米国文化の担い手であることは間違いありません。性急な、また余りに多数の米弁護士の受け入れによって両国間の法文化の差から生ずる混乱が、我が国の企業や国民を巻き込むおそれがあります。すなわち、米国における日本企業に対するアンチダンピング、独禁法、その他経済法規に基づく提訴、マルチプル・リーガル・ハラスメントとよく言われますが、また特許、著作権侵害、それから製造物責任等に基づく民事訴訟に関する準備、訴訟送達とか証拠調べ手続を日本の中で行うといった場合ですが、またそのための高圧的な交渉、それからインドのボパール爆発事故とか日航機の墜落事故で見られましたような度を超した事件あさり、日航機の場合には日本にも多数アメリカの弁護士が来てそのような活動をしております。またミネベアがねらわれましたTOB等企業買収などの領域において、これらが顕著にあらわれると思われます。 その結果として、我が国の弁護士の仕事は、短期的には渉外弁護士に限らず一般に増加すると思われます。そしてこの社会的コストの上昇というものは、我が国の企業及び国民が負担することになりますが、これも日本が米国を初めとする世界各国と貿易をし、つき合っていくための費用と観念して、日本経済の高過ぎる生産性の調整手段であるということで日本の弁護士にも正当な費用をお払いいただくということになると考えるべきかもしれません。 また、外国弁護士が外国企業とか外国政府の代弁をいたしまして、我が国の経済運営とか社会制度、国際取引等につきまして海外からの公平性とか透明性といった要求をすることによって、我が国の行政制度や司法制度の変革をもたらすという可能性もございます。 先日私の事務所で、東京の重立った渉外事務所の弁護士が十数名集まり、外国弁護士の日本進出が実現した場合に我々の仕事に直接どんな影響があるかということを話し合いました。そのとき海事、海難とか海損でございますが、これについては壊滅的である。また外国特許出願とか国際金融についても相当影響がある。そのほか一般の渉外法律事務についてもかなり影響があるといった意見が出されました。一致した意見としては、資本力、組織力があって、通信回線で世界各地の事務所を連結いたしまして二十四時間サービスを提供する、そういった執務体制をとっているような巨大な外国事務所に先端的な国際法律事務をさらわれてしまっては、我が国の自前の渉外弁護士、渉外法律事務所の発展に、また特に若い世代の専門家の養成に重大な影響があるという点であります。国家間や国籍が異なる企業間の利害対立がますます激しくなり、今や情報戦争とも言い得る状況になっておりますが、その中で組織化された、また自主独立の気概を持ち、情報収集力、国際的な交渉力というものを持った自国民の法律専門家を養成するということは、国益に直接関連する重要なことと思われます。 新制度を適正に運用し、その弊害を最小限にとどめるためには、何といっても我が国の弁護士自身の国際的競争力を高め、実力で外国弁護士に対応していくしか有効な方法はありません。これは単に弁護士業務の保護といった次元の問題ではなく、我が国の司法制度やひいては社会や文化のものを防衛するという観点からも対処すべき問題と考えます。 そのためには、まず米国の六十七万人対我が国の一万三千人といった弁護士数の圧倒的な差に少しでも対処する必要があり、そのため司法試験の合格者数を少なくとも倍増し、法曹人口をふやすといったことをする必要があると考えます。また法律事務所の組織化、専門化を促進するため、資本蓄積を可能にするような法人化の道ないし税制上の措置というものもぜひ講じていただきたいと思います。 私ども日本の弁護士は、我が国の経済や社会の国際化のために、あえて弁護士自治に基づき外国弁護士の受け入れを決定しました。フェアな競争を通じて内外の依頼者や公益のため精いっぱい力を尽くすつもりでおります。そのための条件整備の配慮を立法府や行政府の方々にお願いして、私の意見の陳述を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
○福家委員長 濱田参考人ありがとうございました。 次に、三ケ月参考人にお願いいたします。
○三ケ月参考人 ただいま御紹介をいただきました三ケ月でございます。 私どもまあ学識経験者は、実は本法案の成立過程において直接オフィシャルな形で意見を申し述べる機会がないままこの法案は推移してきたのでございます。したがいまして、そういうふうなわけで、これまでお二方の御説明がございましたような法案の成立の沿革等につきましての認識は大変乏しいのでございますが、そういうことも考えまして、私が本日ここで本法案に対する私の賛否の意見を申し上げるにつきましては、いささか違ったアプローチをとってみたいと思うのでございます。それは、この法案の背景につきましての私の認識を申し上げまして、そこから一体この法案を成立させることの是非、さらには将来の問題に対する私の意見ないし希望というものを導き出す、こういう手法によらしていただきたいと思うのでございます。 そこでこの法案の成立と申しますか、法案自体の持っております背景につきまして私の認識を申し上げたいのでございます。多少前のお二方と重複する点もございますが、また多少違っている点もございます。 まず第一に、やはりこういう司法制度を研究してまいりました私の目から見て、非常にこの問題の新しさということを感ぜざるを得ないのでございます。こういうぐあいに外国の弁護士に対して一国の国内法がどのような規制をもって対応するのかという問題は、実は近々十数年といったところの幅で出てきた問題でございます。したがいまして、またこれは全世界的な規模で見ましても新しい動きでございます。世界の立法の例も少のうございますし、その幾つかを点検してみましても、包括的な形で問題を取り上げているというよりも、その場その場のその国の司法政策というふうなものをむき出しにしたものというふうな感じを受けるわけでございます。 それに比べますと、この法案、先ほど来の御説明にもございましたように、これを成立するにつきましては、非常に根本的な角度から取り上げてともかく法案にまとめ上げたということは、世界のこういう類似の立法を見ましても評価すべき点ではあろうかと考えるわけであります。 第二の背景でございますが、この法律をめぐりましては、実は弁護士制度の持っております二つの面がいや応なしに浮き彫りにされまして、そして現段階で我が国といたしましてこの二つの弁護士制度の持つ面をどういうふうに調整していくべきかということについて、かなり高度の配慮が要求されたということでございます。 二つの面と申しますのを敷衍して申し上げますならば、弁護士活動と申しますのは、一つには国民へのサービスと申しますか、いわばそういう企業としてのサービス業という一面を持つわけでございます。それと同時に、やはりこれは司法制度の根幹と非常に密接な関連を持たざるを得ない問題である、こういうことでございます。 この二つの弁護士制度の持っておる側面を調整することが非常に難しいわけでございますが、第三の特徴といたしまして、こうした問題の解決に迫られたその背景といたしましては、これは先ほど来の御説明にございますように、むしろサービス業の自由化という一環として、経済摩擦の解消のための一項目として、いわば日本経済活動全体に対する政治的なプレッシャーの一環としてこの問題が顕在化してきたということでございます。 そうなりますと、その一面ではやはり日本におきましては司法制度の運営へのさまざまな間接的な影響ということを考慮していかなければならないわけでございますが、さりとて問題の背景がそういうことでございますから、そういうことに慎重な時間をかけて検討する時間というものもないままに、これを速やかに何か結論を出さなければならない、時間がないから先送りすることはできない状態のもとでこの立法が迫られたということも、やはり本法案の背景の一つであろうと思われます。 それからもう一つ、こうした性急な国際政治的なプレッシャーのもとで、弁護士業務の持っております今申しました二つの異質な局面を組み合わせて、そして矛盾なく解決をするというためには、これは非常に意思調整が難しい。いろいろなところで考え方がぶつかり合う。先ほど日弁連の代表の角度からその御苦心の御披露がございましたが、いろいろな考え方がぶつかり合うわけでございまして、それをやはりどこかで妥協して一つのまとまった線を出していかなければならない。 そういうことを考えますと、ともかく一つの妥協を打ち出しましてこの法案を生み出すにつきまして、弁護士団体の内部において非常に厳しい形での意見の調整が長い間非常に根気よく続けられたということは、そして最終的には先ほど御説明のありましたように一応の意見の調整に成功したということは、私ども学識経験者の一人といたしましても高く評価しなければならないところであろうと思います。 もう一つこの法案の特徴といたしましては、この法案の成立が、先ほども御説明がございましたように法務省の協力と申しますか、政府提案の形をとってここにこぎつけたということも、やはり私は隠された一つの評価すべき面として評価したいのでございます。 現在の弁護士法は、実は当時の在朝在野の思想的な対立のもとに、調整がつかないまま、いわば議員立法としてGHQとの直接交渉のもとにつくられたということは、私もときどき学問的な論文で書いてきたところでございますが、こういうふうな立法形式というのはやはり適当ではないと思うのでございまして、司法制度の根幹に触れるような問題につきましては弁護士会とそれから政府との密接な協力のもとに立法が進められるというのが望ましい姿であり、今回のその立法の姿はそれを一つ示したという点で、私はこれも一つのメリットとして評価したいところでございます。 ほかにもいろいろこの法案の背景につきまして申し上げたい点がございますが、時間の関係でこういうような点だけを申し上げて、さて、こういうふうな背景を考察しながらこの法案に対する賛否の態度決定ということになってまいりますと、今のところからおのずから結論は導かれるように思われます。 まず、いろいろな点でこれは一つの妥協の産物でございます。いろいろな方面からの妥協の産物でありますが、そうした妥協線が打ち出されてまいりますと、その妥協すべき線の引き方につきましては、いろいろな見解の対立があり、その見解の対立に固執しておりますと、おのずからそれがこの法案に対する賛否ということに硬直的に結びついてくるおそれがあるわけであります。例えば、利用者の立場をもっと重視してもっと自由化したらいいではないかという考え方もあるわけでございますし、伝統的な弁護士の使命感というものを主張して、こんなにまで政治的圧力に屈したような形でするのはよろしくないから、玉砕してでも反対しろ、そういう考え方もあり得るかと思うのでございますが、先ほどもちょっと触れましたように、こうした点について余り自分の見解に固執してこの法案に反対し、これを葬り去ることが賢明であろうかと申しますと、私はやはりそうではないように思われるわけでございます。 なぜかと申しますと、これを葬り去ったといたしましても、これは決して現状維持をいつまでも続けられるものではなく、前述のプレッシャーが続く限りは、必ず弁護士団体の意思決定を飛び越して頭越しの形で何らかの対策が打ち出されざるを得ない一つの背景を持っておるわけでございまして、そういうことになりますと、そこから生ずるマイナスは、この法案をともかく出発点として通すということのプラスマイナスに比べますと、そのマイナスは非常に大きいのではないか、やはり好ましいことではないと思います。むしろ、この法案の内容、その妥協の仕方ということにつきまして不満があるとするならば、それはこの法案の成立を阻止するという形で主張すべきではなくして、まず出発点としてはこれを取り入れた上で、将来のこの制度の運用なり改善の方策なりの中にそれを持ち込んでいくのが適当だというのが私の考えでございまして、結論といたしましては、私はこの法案の成立を図ることが現段階としてはまことに適切なことではないかと考えるわけであります。 最後に、少し時間が延びたかもしれませんが、しかしそこで、先ほど述べてまいりましたように、この法案を通しさえすればこれで万事問題が解決したというわけではない。嫌な問題を一つけりをつけたから、まあこれでしばらくそのまま安泰だという形で推移してはならないし、また推移させてもならないというふうな感じがするわけであります。先ほども申し上げましたように、この一つのきっかけが経済摩擦に伴うフラストレーションの解決という面もありますが、あわせまして、もっとその背後にあるのは、やはり現在の法律制度の進展に伴います法律サービス業務の国際化と申しますか、コングロマリット化とでも申すべき一つの必然的な流れが背後にあるように思います。 この流れは既にある程度の形をとっておるということは、先ほどの濱田参考人の御指摘にもございましたが、今後ますますこういうふうな面でのいわば新しい法律サービス領域をめぐっての陣取り競争というのは激しくなるのじゃないかと思うわけです。そういうことになりますと、その点に目をつぶって、とりあえず一つの上陸を阻止し得たということだけでおしまいになってしまってはやはり問題のように思うわけでございまして、むしろここの中に盛り込まれているいろいろな問題の中に、そういうふうなところに他の企業の国際的な戦略展開と同じような形で展開していくのが、あるいは日本の法律家の今後の大きな流れであろうと思います。 そういたしますならば、これを踏み台にしながら、もう少し積極的に、ただ何かこう出てくると、こういう弊害がある、こういう弊害がある、席巻される、壊滅する、これだけじゃなしに、むしろどうしたならばそういう壊滅的な打撃を克服するだけの力を日本の法律家がつけられるのか。 量、質の問題につきましては、ただいま濱田参考人から出ましたが、これは私が二十年も主張していたことでございまして、やっと弁護士会の内部から正式な声が聞けるようになったのは、私は欣快とするところでございます。それのみならず、例えば研修の方策にいたしましても、訴訟から離れるというならば、こういう点でいくというならば、研修制度あるいは司法試験の制度というふうな科目の制度にまで日本の弁護士会は建設的な意見を打ち出すべき責任があるように思われます。 それで、私自身この法案の成立につきましては直接はタッチしてまいりませんでしたが、現段階でこれを賛成するといたしましても、将来の問題といたしましては、今申しましたような点につきまして弁護士会の意見を十分お聞きしたいと思います。学識経験者の一人といたしましても、それに対していろいろと発言をしてまいりたいと考えておる次第でございます。(拍手)
○福家委員長 三ケ月参考人ありがとうございました。 次に、小倉参考人にお願いいたします。
○小倉参考人 私は経営法友会という団体の代表幹事をしておりますが、この団体は、現在四百数十社の企業が加入しておりまして、企業の法務部門の充実発展を目的に活動しております。私は、その代表幹事であるとともに、またこれに加入しております会社の一つに勤務をいたしておりまして、長年法的な業務に携わってまいりました。本日は、企業の法務部門という立場から、ただいま本委員会で審議をされております外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法案につきまして、意見を述べさせていただきたいと思います。 企業は、弁護士に業務を依頼しまして、そのサービスを受ける立場でございますので、この法律によりまして外国の弁護士にも日本で活動できる道が開かれるということになりますことは歓迎するところでございます。 既に御高承のとおり、我が国企業の活動というのはもう相当前から国際化をいたしております。戦後を振り返ってみますと、先進諸国のすぐれた技術を導入して我が国産業の技術的な水準を高めるという努力から始まりまして、企業の実力がだんだんついできますと、外国の企業との提携あるいは合弁事業、さらには海外に事業の機会を求めまして単独で進出するというような事例が多くなっております。今日におきましては、諸外国に生産とか販売の拠点を設けまして世界的な規模で事業の展開を図る、そういうような企業も出てまいっております。それから、事業資金の調達という方に目を転じますと、世界各国で我が国の企業による借り入れとか証券の発行などが行われておりまして、主要な証券取引市場において我が国の企業の証券が上場されたり取引をされているという状況でございます。 このような企業活動の国際化という現象は、決して大きな会社だけに限られておるわけではございませんので、中小規模のところでも非常に積極的かつ勇敢に海外に進出する、あるいは外国企業と提携するという努力が進められてきております。したがいまして、企業の大小を問わず外国法とかかわり合う機会というものは非常に多くなってきておるわけでございまして、当然、外国の弁護士とか法律事務所からサービスを求めるという必要も高まってきておるわけでございます。 このような必要がありました場合に、これまでのところでは、日本の企業としまして国内で外国人の弁護士のサービスを受ける機会というのは極めて限定されておりましたので、ほとんどの場合、現場の弁護士あるいは法律事務所に頼ってまいるというケースが多かったわけでございます。幸い、ここ十数年の間に通信手段というのが非常に発展をいたしまして、電話はもちろんでございますが、テレックスとかテレファックスというような新しい通信方法が普及をいたしてまいっております。その結果、こういう方法によれば外国とのコミュニケーションというものも国内と余り変わらないようになってきております。それからまた、実際に必要があれば海外に出張するというようなこともごく普通のことになってまいっております。 そういうことですから、国内で外国弁護士のサービスを受けられないということでありましても、それが我が国の企業の国際的な事業の展開に非常に重大な支障になるというふうには私は思いませんが、しかし、現地の弁護士とかあるいは法律事務所と直接いろいろ連絡とか何かをしまして仕事を進めていくためには、どうしてもそれができる人材を養成しなければならぬという問題がございます。企業の中でそういう人材、外国語に非常に堪能で、ある程度法的な素養のある人間が必要なわけですが、そういう人を養成して法務部門を充実するということにつきましては最近各企業とも非常に力を入れておりまして、専門の組織とか専門の担当者を置く企業というのがふえてまいっております。中には、海外に支店があったり現地法人なんかを持っておる企業のうちには、現地で弁護士の資格のある人を従業員として雇っておるというような企業も出てきておる状況でございます。 しかし、産業界全体として見ますと、まだまだ海外の弁護士とかあるいは海外の法律事務所と直接コミュニケーションを行いまして支障なく法律的な業務を展開するといいますか、処理するという体制が非常に多くの企業に備わっているという状況にはないと思います。そういうわけでございますから、この法律によって外国弁護士が我が国にも事務所を持って、限られた範囲内とはいっても活動ができるようになりますと、今まで十分受けることができなかったサービスを非常に多くの会社が受けられるようになるのではないかというふうに思うわけでございます。 それから次に、その仕事のやり方という点について、これは特にアメリカなんかがその例でございますが、外国の法律事務所と日本の場合と若干違うなというところがございます。私は長年先ほど申し上げましたような仕事に携わってまいりましたので、外国人の弁護士とかあるいは外国の法律事務所なんかともかかわり合いを持っておりますが、それでそういう印象を持つわけでございます。 その一つは、これは非常に一般論的なことで余り断定的に申し上げるのはどうかという気もしますが、クライアントといいますか依頼者に対するサービスという点で非常に積極的であるということが一つ言えるのではないか。例えば外国の、特にアメリカの法律事務所ですが、法律情報を自分のクライアントに提供するということを非常に大切な仕事の一つというふうに彼らは思っておりまして、立法の動向でございますとか新しい判例とか、そういうものが経済活動とか企業の活動にどんな影響を及ぼすかというようなことについて常時調査、分析をしまして、非常に頻繁に、私の方なんかの感じではうるさいぐらいにクライアントに報告をしてくるということをしております。もちろん日本の弁護士の方々が全くこういう努力をされてないということを申し上げるつもりはございませんけれども、どちらかといいますと、大多数の日本の法律事務所では、何か案件を持ち込まれてから対処をするという、いわば受け身の形で仕事をされているということが多いように見受けます。クライアントに対するサービス面での積極性という点を考えますと、やはりその辺にある程度差があると言って差し支えないかというふうに思うわけであります。 それからもう一つちょっと差があるなというふうに思います面は、弁護士間の協力とか協働といいますか、チームプレーといった面でございます。外国では、これも米国が特にそうでございますが、弁護士の職務の専門化といいますか、そういうものが非常に進んでおりまして、それぞれ専門の分野を持ってそこで集中的に仕事をするというような傾向がございます。そのように専門化する反面、今度はクライアントといいますか依頼者に法的なサービスを提供するということになりますと、関係する分野の弁護士が何人か集まりまして、チームを組んで仕事をするということがごく普通に行われております。私も経験がございますけれども、アメリカに新たな企業進出をするというような計画を持ち出しますと、これは会社法はもちろんのこと、税法とか労働関係、製品の安全とか公正取引、工場立地、環境保護というさまざまな法律が関係をいたしてまいります。そこで、それぞれの分野を得意とする弁護士が、私どものケースでは十数名だったと思いますが集まりまして、一つのタスクフォースといいますかチームを組みまして、非常に短期間に精力的に調査とか検討をし、その結果を総合して依頼者に報告するという方法がとられております。 この点につきましても、もちろん日本ではそういう弁護士間の協力とか協働ということが全く行われていないというふうなことを申し上げるつもりはありませんけれども、仕事のやり方における組織的な仕組みとか体制というようなところを見ますと、やはり若干差があるのではないかというふうに思うわけであります。そこで諸外国の弁護士の方々が日本に事務所を持って活動されるようになりますと、当然日本の弁護士の方々との交流の機会もいろいろとふえてくるでありましょうから、こういう仕事のやり方とかクライアントへのサービスの仕方といった面でも諸外国の例が紹介されるような、そういう機会がやはりふえてきまして、日本でもその辺の事情に、依頼者の方から見ますと非常にいい方向に変化が起きるのではないかというふうに期待いたします。 本法案が、そういう依頼者から見ましていい方向への変化を生じる一つの契機となりますことを期待をいたしまして、私の意見陳述を終わらしていただきます。(拍手)
○福家委員長 小倉参考人ありがとうございました。 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。
○福家委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高村正彦君。
○高村委員 参考人の先生方、本当に貴重な意見をありがとうございました。 まず竹内参考人からお尋ねしたいと思います。 竹内参考人におかれましては、本法案担当の日弁連の副会長として大変御努力されて、二月六日には国際的にも国内的にも評価され得る外国弁護士制度要綱をまとめられて、まさに日弁連の自治能力を証明されたわけでありまして、高く敬意を表するものでございますが、昨年の十二月九日の臨時総会において特に問題点となった点、並びにそれはどういうふうな経過で解決されたのか、その点についてお尋ねしたいと思います。
○竹内参考人 竹内でございます。 先ほどお示しいたしましたが、関係資料の中の六のところに臨時総会の議案がございますので、それに基づきまして御説明申し上げたいと思います。 この第一項に「相互主義に基づくこと。」という記載がございます。この点につきまして会内では、アメリカの場合に特に問題があるということを主張いたしまして、連邦国家の中のアメリカの場合少なくとも過半数の州が開放すべきであるという主張をなさった方もあります。最終的には私どもの提案が通ったわけでございますけれども、アメリカの場合には少なくとも五州の開放をすべきであるという主張がございまして、それを私ども受けて、その提案の説明の中でそのことをはっきり申し上げて御了解を得ておるといういきさつがございます。なお、その時点では、さらにイリノイそれからテキサスの二州をつけ加えまして七州にすべきであるという意見もあったのでございますけれども、イリノイが昨年の段階におきまして否決された直後であるというようないろいろな事情がございましたので、その二州については特に名前を出さないで済ました、こういういきさつもございますので、その点を御紹介しておきたいと思っております。 それから名称につきまして、これは御案内と思いますが、大変に問題がございました。弁護士という名前を用いるべきではない、こういう主張でございます。その根拠とするところは、日本の弁護士の職務あるいは使命から考えまして、今度進出してくるであろう外国弁護士に同じことを要求するということはまず難しい、それから、これが日弁連の会員として我々と一体になった場合には日弁連の自治権の崩壊をもたらす、こういう主張でございました。そこで一般国民の誤解を招くような弁護士という名前は何としてもつけないでほしいという主張があったのでございますけれども、これは検討会等におきまして、我々国内の代表的意見というふうに受けとめておりますけれども、法務省との意見交換の中で検討をしました結果、弁護士という名前も場合によっては避けられない、こういう判断に立ちまして、この第二項でございますが、ただし書きにございますように、「登録された者の国内における名称については、外国法に関する法律事務のみを取り扱う職務および地位にふさわしく、わが国の弁護士との混同をもたらさない名称とすること。」若干あいまいと言えばあいまいでございますが、こういう形での提案をいたした次第でございます。 なお、質疑の中ではなお弁護士という名称は絶対に付すべきではないという主張がなされたのでございますけれども、会長の発言といたしましては、最悪の場合にはつけざるを得ないという説明をもちまして、先ほど申し上げましたような圧倒的多数の承認を得たといういきさつがございます。これは先ほども御報告いたしましたけれども、二月の段階に至りまして、この名称の問題も会内で決着をつけまして、外国法事務弁護士ということで落着をいたした次第でございます。 それから、会内における地位につきましてやはり問題、主張がございました。これは特に、日本弁護士と全く同じ権利義務を会内で認めるというのは、日弁連の運営に支障をもたらす危険が大きい、こういう主張がございまして、この議案の第三項の三でございますけれども、「登録(拒絶・取消を含む)、綱紀、懲戒および会費などに関する会則、会規のうち、外国特別会員にのみ適用される部分の改廃に参加できること。」こういう非常に限定された範囲での参加を認めるということで承認を得たのでございます。 そのほかまだあったかもしれませんが、大きい点は以上の点でございますので、御説明をさせていただきます。
○高村委員 濱田参考人にお尋ねいたします。 濱田参考人はアメリカのローファームにも勤務された経験があるやに伺っておりますが、いわゆるローファームというものは、日本の法律事務所と比べて経営形態とか人的規模だとかあるいは活動分野だとか、どういう差異があるのか、特に日本の法律事務所との競争力の差が、日本の弁護士の意識だとか努力によってその競争力の差が出てくるのか、あるいは日本の弁護士制度といいますか法律的制約に基づいて出てくるのか、先ほど濱田参考人ももっと資本の蓄積を認めるべきだとかおっしゃいましたけれども、そういった点について、もっとこうしてもらえれば競争力の差も縮まるのではないかというようなことがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
○濱田参考人 ごく基本的な問題は文化、社会の差ということだと思っております。アメリカの法律事務所の組織の程度と日本の法律事務所の組織の形態の差というものの基本原因は、日本では法律問題というものが、その紛争の予防という問題のみならず、解決そのものについても司法的な、つまり裁判所で解決されるという分野は非常に限定されておりまして、はっきり申し上げると非常に能率的な社会である。アメリカは逆に、まあ日本では到底訴訟をしないようなことを、ビジネス上のこともまず訴訟を提起して、相手をぶん殴っておいて、それから仲よくしましょうというような、いわばアプローチの根本的な差があるわけです。 したがいまして、そういう歴史、社会的な差というものが長年積み上がった結果といたしまして、日本ではいまだに弁護士の約半数弱は一人ではないか、これははっきりした統計はございませんけれども。しかしながら、日本でも共同事務所と称して経費分担的な意味での共同が多いわけですけれども、特に大都会では一人でやっているという方は少なくなってきてはいますが、まだ需要ということと対応した形で供給が行われている。つまり、日本の弁護士制度とか弁護士の素質、努力等でそういう差が出てきているというのではなくて、社会の方がそういうものを今までは要求していなかったということが基本的な説明になると思います。 したがいまして、国際的な分野では、私も従事しておりますような渉外、国際金融その他、そういった今や日本の企業が世界のマーケットの中でリーダーシップをとってやるような場面では、はばかりながら私のような者もいわば世界を舞台として活動できるような状況になってきておりますし、それに伴って組織、私のところはただいま弁護士十一人でございますけれども、そのほかの補助職員が三十数人おりますので、全体としては日本としてはかなりの規模になっております。これはもちろんアメリカと比べれば全然問題になりませんけれども、しかしながら、頭数の問題ではなくていわば効率の問題、それから、情報を右から左にやるのが弁護士業務ではなくて、やはり依頼者の利益のために極限状況においてどういう判断をするかということがまさに弁護士業務の本質だと私は考えておりますので、そういう意味で決定的な日米間での差があるというふうには考えておりません。つまり、歴史的、社会的な状況で出てきた差であって、世界全体が国際化していく中ではいずれ歩み寄っていく面があると思います。 〔委員長退席、上村委員長代理着席〕 しかしながら一方では、アメリカのような極端な訴訟主義というものが果たして国民全体にとって幸せなものかどうか、また日本的なアプローチというものについても、これがいいかどうかということは、やはりお互いに反省をしながら進めなければいかぬ面があると思っております。
○高村委員 三ケ月参考人にお尋ねいたします。 先ほど、本法案がこのように取りまとめられたのは現段階としては成功である、こういうふうにおっしゃられたわけでありますが、これから国際交流社会がさらに進んでいけば、今制約されていることも少しずつ取り外していかなければいけないのではないかというようなこともあるわけであります。それを受け入れるために日本の弁護士制度をどういう方向で変えていったらいいのかということを、先ほどちょっと触れられましたが、もう少し敷衍してお述べいただきたいと思います。
○三ケ月参考人 非常に大きな難しい問題でございますが、やはり私は根本的には日本人の能力を信頼いたしておりまして、ある一段階いろいろな混乱がありましても、やがてその中から日本的な解決なり日本的な経済計算性なり、そういうようなものを発揮してまいりまして、落ちつくべきところに落ちつけていく能力を持っているのではなかろうか。そういたしますと、それは全く一時は資本力の差、組織力の差、伝統の差、いろいろな点につきましてあれをするかもしれませんけれども、やがてその中から選別の能力も備えてまいりましょうし、それほど私は悲観はしていないのでございます。 ただ、いかんせん私が長年主張してまいりましたように余りにも日本の法律家は産児制限が好きでございまして、とにかく一年に五百人以上採るのは何かもう非常に大きな抵抗がある。私は十年間司法試験の委員をいたしましたけれども、私はもう憎まれながらやりまして二百五十人から五百人まで持っていったのでございますが、私が十年の任期を過ぎましたときには今度は五百人水平現象になってしまうというぐらいに、常に現状維持の力が強いのでございます。 これに対してアメリカから上陸してまいりますのは、個々の能力という点では日本人の方がすぐれている点もあるかと思いますけれども、それがやはり量の力というものを持っておるわけでございます。私は、法律サービスの量、これは私の学問の一つの基本的なテーマでございますが、法律家のサービスの量というのはそれに携わる人間の量と質の相乗積に比例するのだ、これは私の一つの基本的な考え方でございまして、質の点はともかくといたしまして、量の点で余りにも少なければしょせんサービス力で負けるのではないか。 まず第一に弁護士会にお願いしたいのは、せっかく大学の法学部の卒業生が毎年三万人も出るにもかかわらず、一年にわずか五百人ずつしか採っていない。試験の志願者はどんどんふえております。今は何%でございましょうか、二%以下になっておるのじゃなかろうか。つい最近まで二%以下でございました。そんなことをしているよりも、そういう志のある者はどんどん採ってこういうふうな新しい領域に注入するという姿勢が弁護士会の方から出てくることを、私はまず第一に期待したいのでございます。 そういうことをしていきますと、さしあたりはやはり大きなショックでありましょうが、二十年ぐらいのレンジをとってみますならば、やがてコングロマリット化したそういうものにもある程度日本的な形で対応し得る、そういう日本的な形のものが形をなしてくることを私は期待しておりますし、私の長い間法学教育に携わった経験からいたしますと、もしそれだけの窓口をつくってくれるならば教育も十分これに対応していけるのではなかろうか。比較的私は希望を持っておるわけでございます。お答えになったかどうかわかりませんけれども、そういう感じを持っておるわけでございます。 それからもう一つ、これはちょっと私のお話で触れ残しましたが、今回のこの活動領域につきまして触れてみますと、私どもが最後まで守らなければならないのは、やはり日本の訴訟におけるところの弁護士の領域というものが余り風俗、習慣、言葉の違った者によって混乱させられるのはよろしくない。この法律におきましては、それは一切除外してございます。専らそれを抜きにした、いわばコンサルタント業務でございまして、そこでは、弁護士の根幹に触れる触れるとは申しながらも、やはり根幹からちょっと離れたところでの自由化の問題という形にするならば、まずその辺も今後のあり方としては大きな目で見守っていっていいのではないかという感じを持つわけでございます。
○高村委員 私の持ち時間が終了いたしましたのでこれで終わりますが、本当に貴重な意見を、四人の先生方、ありがとうございました。
○上村委員長代理 稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 先生方のお話をお聞きをいたしましていろいろ感じたわけでございますが、以下申し上げることは全く私の個人的な意見を中心とした質問でございますので、その点、党との関係は全くない意見だというように御了解願いたいわけです。ということは、私の言う意見は非常にトラスチックだというふうに言われておりまして、大分批判をいただいている意見なものでございますから。 率直に申し上げまして、この法案につきまして国会の審議が不十分だというふうに私は思うのです。法案ができた、そして提案をした、早く通してくれというのが今までの国会の類型なわけですね。こういうやり方はよくないわけで、それは立法府自身がもっとしっかりとした体制をつくって慎重に対処しなくてはいけないというのが私の考え方なんです。そういう点についてはこれは足りないのです。 しかし、それはそれといたしまして、三ケ月先生が最後に結論として言われましたように、葬り去ることが賢明だというふうに私は考えておりません。この段階でこの法案を通して、そして将来の出発点としていくということ、これはいいことだ、こういうふうに考えておりまして、私どもの方はそういう態度で進んで法務省当局を一安心させた、こういうことなんでございます。 そこでお聞き申し上げたいのは、竹内さんは日弁連の責任者という形なものですから、何といいますか、いろいろあったかと思いますけれども、私は根幹にかかわる問題だというふうには考えないのですよ、この問題を。別にどうということないじゃないか。何がどうして弁護士の根幹にかかわる問題なのか、私にはよくわからないのです。そう考えること自身に日弁連の、形は進歩的でありながら極めて保守的な性格というものをあらわしておるというのが私の理解の仕方なんです。しかし、これは御答弁は求めません。 それから、この問題で名称にどうしてそんなにこだわるんだろうかというんですよ。外国法事務弁護士ですか、何でこんな名称を使うのか。この法案ができたらこれを英語にしてアメリカに渡すんでしょう。この外国法事務弁護士というのは一体どういうふうに英語に訳すのかと僕は聞いたんですよ。そうしたら、これはローマ字で書くんだと言うわけです。そんなことになぜこだわるんだろうかな、到底私にはわからないのですよ。ここら辺のところは極めて納得がいかないのですけれども、まあそれはそれといたしましてお答え願えればと、こう思うのです。 それから、濱田さんの御意見等をお聞かせいただきまして、私もそのとおりだ、こう思うところが多いんですけれども、弁護士業務への影響といったところで、これは実力のある人には全然影響ないんじゃないですか。実力のない人には影響があるんであってというふうに私は考えている。私の友人にも渉外弁護士がおりますが、アメリカやカナダに留学して、先生のところも恐らくそうだと思いますが、若い人をどんどん向こうへ留学させましてやっておられますね。そういうふうなことから見て別に影響なんかないんじゃないか、こういうふうに思うのです。そこで問題は、結論として、「実力で外国弁護士に対応していくしか有効な方法はありません。」と書いてあるのですが、ここに外国弁護士と書いてあって、外国法事務弁護士とは書いてないわけです。だから、こういう名称は私はどうもおかしいと思うのですが、それは別として……。 それから、司法試験の合格者数をふやすと言うんですけれども、問題は、司法修習生というものを国費であれするわけでしょう。そうしてそれの八割ぐらいが弁護士になっちゃう。弁護士になる者に対してなぜ国費を出す必要があるのかというのが大蔵省の言い分なんですよ。だから、三ケ月先生がおっしゃいましたように数をふやすといっても、これは徹底的に大蔵省が反対するわけです。そうすると、法曹の一元化という問題になってくる。どこかに出ていましたが、田中英夫先生の御意見などでも、法曹一元化というのは検事の場合は全然別にして考えなければいかぬという御意見がありますね。私もそういうふうに思うのですが、いろいろなことが考えられるのですけれども、これは実際問題としてはなかなか難しいとなってきますと、法律事務所の組織化、専門化というようなものをもっともっと広げていかなければいけないんじゃないか。これはもう要するに実力の勝負だと思うのですよ、政治家も実力の勝負ですから。結局そういうふうにならなければいけないんで、それが弁護士の仕事だと私は思うのです。それをいろいろ保護してくれとかなんとかということはちょっと私には理解できないのです。 先生の言われた最後のところで、「立法府や行政府にお願いして、私の意見の陳述を終わります。」というんですが、立法府に何をどういうふうにされるのか。ここに書いてあります法人化の道の問題とか税制上の措置の問題とかそういうふうなことを言われるのでしょうか、もう少し具体的にそこら辺のことをお話をお願いをいたしたいというふうに思うわけです。 それから、三ケ月先生のお話を承っておりまして私は私の考え方が間違っておったような感じがいたしましたのは、私はこの法案が政府の提案で出たというところに逆に疑問を持っているのです。日弁連が自主性があり自律性があるならば、なぜ日弁連だけでこの法案をつくって、立法府へ持ってきて議員提案として出なかったのか。政府が介入してできたというところに、日弁連というものがまだ完全な自主性というか自律性というものを持っておらないのではないかというのが私の今までの理解でしたけれども、今先生のお話をお聞きいたしまして、私も弁護士法やその他、沖弁のときや何かが議員立法で出たということの経過を大体わかっているのですが、GHQとの関係で弁護士法が議員立法で出たということはわかっていなかったものですから、私の考え方があるいは間違いであるかとも思ったわけなんですが、政府提案の形で出たということを三ケ月先生が評価されていらっしゃったようなのは私にはよくわからない点なんですね。そこら辺のところをお聞かせ願いたい、こう思います。 それから妥協の産物であることはこれは間違いないわけですが、線の引き方の問題で私はもっと自由化しろという個人的な意見なんです。もう十年、二十年たったらもっと自由化になってきて、日本の法律制度というものは、制度といいますか何といいますか、全体が非常に大きく変わっていくんじゃないかと思う。また変わらなければいけないんじゃないか、こう思うのです。それにさっきの司法試験の問題やなんか絡んでくるかとも思うのですけれども、もっと自由化してもいいんじゃないか。これは全く個人的な意見で一笑に付される意見なんですし、反対が強い意見で、言わない方がいいと思うのです、誤解されると思うので言わない方がいいかもわかりませんけれども、私は、日本の弁護士はアメリカへ行ってアメリカの法廷に立ってもいい、アメリカの弁護士が日本の法廷に立ってもいいじゃないか。しかし、それはその国の母国語でやりなさい。法律は民訴にしろ刑訴にしろ、もちろんその国の法律に従うのは当たり前ですけれども、母国語でやりなさい。母国語でやるならば、そのくらいのことまで将来認める方向に行くんではなかろうか、こういうふうに思うだけの話で、そういう意見を持っているという意味じゃございませんが、そういう方向に進んでいくのではなかろうか、こういうように思っておるくらいなんです。ですから、もっと自由化の方向に行くんじゃないかというふうに考えます。そういう点についてお話し願いたいと思います。 それから、日本の場合は、弁護士自身が自分で自分の活動範囲を狭めているわけですよ。これは法廷へ出てやるということを中心にいたしまして、その前の段階でいろいろな相談を受けたりなんかするということについて積極的に活動しないですね、日本の場合は。それが使命感のあらわれの一つの象徴かもわかりませんけれども、そういう点で日本の弁護士がみずから自分の活動というものを狭めておるんじゃないか。例えば、会社の設立なら設立というのは法律行為ですから弁護士がやらなければならないのを、弁護士がやらないでほかの人がやっているという行き方があるわけですからね。そこら辺のところを弁護士自身がもっと自分の活動範囲というものを広げていく必要があるのではなかろうか、こういうふうに思うわけで、これは竹内さんなり三ケ月先生にもお話を承りたいというふうに思うわけです。 それから濱田先生にもう一つお聞きしたいのは、実際に渉外事務をやっておられまして、今どういう点について一番お困りになられるか、どういう点を最大の当面する関心事としてお考えになるかという点についてお伺いをさしていただきたい、こう思います。 それから小倉参考人にお聞きいたしたいといいますか、これはむしろお願いなんですが、私は率直に申し上げまして、普通の弁護士と言っちゃ語弊がありますけれども、渉外関係の弁護士さんよりも、むしろ小倉さんたちの商事法務研究会の経営法友会といいますか、各会社の法務室とかそういうものがありますね、そういうところの方が非常に資料も豊富で専門的に研究しておられて、ある特殊な部門ではその方が非常に知識も豊富だし資料も豊富じゃないかというふうに思うのです。一部分は、例えば「商事法務」に出るとか「NBL」に出るとかなんとか一部に出ますけれども、そういうふうなものがしまっておかれちゃって、これは企業ごとに持っておるわけですから、これは自分の会社のあれですから出すわけにいかぬ場合もあるでしょうけれども、そういうのをセンターか何かつくってもっと開放していかないと、日本の将来の全体の体制といいますか、それに対処できなくなってくるのではないかというので、もっとオープンに出せるものは出してどこかでまとめてやっていただきたいというふうに考えますし、それからクライアントに対するサービスの問題、チームの問題、確かにそうですね、これは日本の場合足りませんから、そういう点について小倉さんのお考えをお聞かせ願いたい、こういうふうに考えております。
○竹内参考人 私は、名称の問題と政府提案とした考え方につきまして、日弁連の立場から若干御説明をさせていただきます。 名称にどうしてそんなにこだわるのかというふうな御意見でございまして、これは新聞等でも現に批判を受けておりまして、私どもそういう考え方も一部にはございます。むしろ弁護士という名称を使うべきだという意見も会内には討議の中であったのでございます。それから受け入れをやむを得ないものとするのであれば、弁護士という名前をつけてもやむを得ない、これが大多数であったというふうに御理解いただきたいと思うのであります。 私どもは、私個人の考え方を申し上げることは差し控えますけれども、将来、外国弁護士と申しましても、みんな毛色の変わった人だけではなくて、日本人が外国に参りまして、そして外国で資格をとって、今回で申しますと日本の外国法事務弁護士ですね、そういう形で入ってくることがかなりの数予想されると私は考えております。そうなりますと、同じ日本人で一方は従来の弁護士、もう一人は外国弁護士、こういうことになります。その場合に日本の法律を扱えない、それから法廷にも立てない、これが実は今度の外国法事務弁護士でございます。ところが、依頼者にしてみますと、同じ顔つきの日本人が同じ弁護士というふうに簡単に言いますと、日本法もできるのではないかという誤解を招くおそれがございます。それも私ども一つの危惧として持っていたところでございます。 そこでやはり今申し上げましたように、法廷に立たないこと、それが中心でございますけれども、そういう法廷に立たない、いわばコンサルタント的な仕事をなさる、事務的な仕事をする弁護士、こういうことをはっきりと示すような名前が必要ではないかということで、実は名称については、弁護士という名称をつけるといたしましても、いろいろな案があったのでございますけれども、最終的に落ちついたところが外国法事務弁護士ということになった次第でございますので、御理解いただきたいと思います。 それから政府提案といたしました理由でございますけれども、これは先ほどちょっと御報告で申し落としましたが、二月六日の日の理事会におきまして、立法提案形式につきまして、との制度要綱案の確定をいたしましたときに、同時に承認を得たところでございます。会内にはもちろん従来の弁護士法同様に議員立法にすべきであるという意見もかなり強いものがございました。問題は、この二月段階におきまして三月中に国会に提出するという時間的な問題を考えまして、私ども日弁連の立場で物理的にこれは不可能であるということをまず考えました。その背景の一つに、日米協議がその時点ではまだ整っておりませんでした。これは政府間でやっておる問題でございまして、その結果を踏まえて法案を作成する、こういうことにも相なりますので、そういうことも踏まえてこの短期間に日弁連の責任でこの問題を国会に提出して御審議願うというのはとても不可能であるということで実は断念したというのが経過でございますので、御理解いただきたいと思います。 以上であります。
○濱田参考人 まず実力がある人には影響がないのではないかというお話でございますが、それは私の意見にも基本的には書いておりますのでそのとおりでございます。しかしながら、やはり実力を発揮する状況というものが必要なわけで、そういう意味でアメリカと日本を比べた場合には、いろいろ申し上げたような客観的な状況が余りにも違い過ぎる。それによって依頼者との接触の面で、いわば日本の弁護士が下請的になるというような状況が出てきた場合には、先ほど申し上げたような全く弁護士として必要な判断の独立性というものが影響を受けてくるのではないかということを私どもは非常に懸念をしているわけです。つまりまだ経験がない若い日本の弁護士を抱え込んで、それを使ってやる。それから今三ケ月先生から法廷は聖域だというようなことで、それは大丈夫だからというふうなお話がありましたけれども、その出られないはずの法廷に地元の弁護士の後ろについていって、後ろから指図をして、自分たちはまるでロボットだというふうなことを言うヨーロッパの若い弁護士が現にいるわけです。それはベルギーの例でございますけれども。 それから実力があればいいじゃないかというのは、これは例えば日本の中では議員の先生はもちろん実力で議員になられているわけですけれども、異民族、異文化の間の衝突というものは、自動車とか農産物を入れたり出したりするという問題とは違いまして、やはり法律というのはその社会の文化、歴史というようなものに非常に深く絡まっているものでございますので、これはお言葉ではありますけれども、何でもやらせて実力がある者は勝ち残れということは、その過程において国民や企業その他に生ずる混乱を考えますと、やはりなかなかそこまではいけないのではないかというふうに思うわけでございます。 それから弁護士に対して何で国が金を出さなければいかぬかという問題でございますけれども、これは今申し上げたような理由から、法律業務というものがそれでは何で公的資格があるかという基本の問題になりまして、それは法廷に立つ場合だけではなくて、現に豊田商事等その他の問題でこれもいろいろ問題が起きておりますけれども、やはり法廷に出る前の段階でも国民の生活に深く関係している法律問題というのは多々あるわけで、それについてはお言葉のように弁護士がもっと頑張ってそういう仕事を開拓すべきじゃないかというのは、まさにお説のとおりでございまして、それはやろうとは思っておりますけれども、そういう面で余りにも違うアメリカ等の外国の弁護士が自分の文化、自分のやり方というものを主張して、日本の中で縦横に活動した場合には、これはやはり国民の利益、国益というものに関連するわけですから、それをチェックするのは弁護士しかないと私は思っているのです。個々のケースで何か問題があったときに、そこに立ち向かって、そうじゃないよ、日本ではこうなんだよと言うのは、これは日本の弁護士がやるしかないんだ。したがいまして、そういった法律専門家を養成するというのは国民全体の利益にかなうことであって、決してこれは金もうけをする、個人の企業に金を出すということとは違うというふうに私は考えております。 それから立法府へ何を望むか、もっと具体的にということでございますが、これは私が申し上げたのは個人の意見でございまして、三ケ月先生からも御指摘がありましたように、残念ながら弁護士会というところのいろいろ体質等ございまして、弁護士の数、法曹人口をふやせということ自体につきましても、必ずしも弁護士会の内部でコンセンサスというのがまだできていないような状況でございます。それで一番立法府で考えてすぐやっていただけるんじゃないかというふうに思うのは税金の問題で、アメリカの場合には、これは今、日米の企業税率、企業税負担の差ということがいろいろ国会でも論議されておるようでございますけれども、大体五〇%ぐらいのところが実効税率ということになっておるようでございます。日本の場合、特に弁護士の場合には余り稼ぎがないのですけれども、個人ベースになっておりますので、七割、八割の税金ということも可能なわけです。したがいまして、弁護士だけを優遇しろということではなくて、こういった国際化された状況の中で、日本の企業、また弁護士も、サービス業ととらえた範囲でも結構ですけれども、そういう国際的な状況の中でフェアな競争ができるような租税負担というものを国会で考えていただいてもよろしいんではないか。 それから法人化というような問題も、会計士の場合には公認会計士法で、特にこれは経団連の肝いりもあったそうでございますけれども、アメリカのいわゆる八大会計事務所が世界を席巻しておるわけですが、それに対抗する意味で会計事務所の法人化を進めたという経緯がございます。弁護士の方はそこまで企業サイドからもニードというか組織化して専門化して頑張れという応援の声が残念ながら余り聞かれなかったので、今そこまではいっていないわけですけれども、これからの状況としてはそういうような道も考えていただければよろしいんではないかと思います。 それから、現在渉外実務上何が困るかという点でございますけれども、やはり弁護士の数が一番でございます。つまり、実力があるところは仕事はおっしゃるように幾らでもございます。しかし、それをこなす人ということが必要になります。それでその人を、今東京の都心部では御高承のように物すごく家賃その他上がっておりますけれども、そういうもののほかに先端的なOA機器ですね、ファクシミリとかワードブロセッサーとかコンピューターとか、そういうような装備をするということもかなり金銭的な負担がかかってくるわけですけれども、それにも増してやはり立ち向かう我が陣営の人数を何とかしていただきたいというのが一番切実な問題でございます。
○三ケ月参考人 ただいまの先生の御質問、まことに私同感するところが多いのでございまして、ほとんど全部同感と言ってもいいわけでございます。 議員立法の方がよかったのではないかという御意見でございますが、私も今では婿のところに身を寄せまして細々と弁護士の看板も掲げておりますけれども、しかしながら、どうも習い性となりましたそういう学者的な目で見てまいりますと、やはりいろいろ日本の弁護士会の中にはおくれた体質があると言ってもいいんじゃないかということはちっとも変わらない。そういうところで議員立法になってまいりますと、どうしても自分中心な立法になるおそれがある。しかし、事柄が国民に関係するならば、少しそれに対して違った角度から見る視点が入って立案ができる方がいいんじゃないか。一番よろしいのならば、私どもの意見を初めから聞いてくださればいい、例えば司法制度部会というふうなものがあるのですから。それで外人をどうするかということになりましたならばあれなんですけれども、今回はとてもそんなタイミングではなかった。その辺はわかるのですが、今後やはり弁護士問題というものの基本にかかわるときには、ひとつ私どもの意見も自由に聞いて、大体落ちつくところはそんなに弁護士の方と違わないと思うのです。そういう点で申し上げたわけでございまして、そういう点では、今回のものにも多少そういう点での距離を置いた見方も入っておるということはやはりプラスとして評価すべきである、こういうことでございます。 ほかの点いろいろございますが、自由化の問題ということにつきましてちょっと私補足させていただきたい。これは非常に強く出ました。実は私も先ほど申しましたように日本人の能力を信頼しておりますから、多少の混乱はありましても、自由化をした上でいろいろ相手方のノーハウを盗み、そしてむしろそれを換骨奪胎して自分の方へ取り入れる非常に応用能力を持った国民でございますから、初めからこれをやったらいかぬいかぬとするよりは、ある程度の混乱を覚悟しても前へ出た方がいいんじゃないかということを、私は実は活字にもいたしております。私ある法律雑誌のところに、小さな文章でございますが「外圧待望論」というのを書きまして、日本の企業がここまで来た、日本の行政がここまで来たというのは、やはり年がら年じゅう外圧と対決しながら自分を鍛えてきたからではないか、これに対して外圧が非常に少ないのが実は司法部ではないだろうかということを含めまして、そんなことを言ったこともございますので、これは先生の御意見と非常にあれするわけでございます。 それからもう一つ、三ケ月はそういうことを言っても、大蔵省がいかぬからさっぱりだめじゃないか。これは確かに一つの大きなネックで、何十年のネックでございます。これに対し苦して、今から二十何年前、臨時司法制度調査会という、結局流産しちゃって私は非常に残念なんですが、そういうところでたった一つ出ましたのが、司法修習運営協議会というのが出まして、私は若かったのですがそこへ出まして、やはり法曹人口の問題をするというときに、これがネックになったときに私は一つの提案をいたしました。それは、どうしても大蔵省がいかぬならば、それからまた先生のおっしゃるように自由職業である者に対して国費で公務員の、しかもボーナスまで出すというのは、これ以上ふくらますのは非常に難しい。濱田さんの言われるように、これを二倍にしてほしいから二倍の公費を出せと言ったって、大蔵省もうんと言わぬだろうし、国民も恐らくはそう簡単にはうんと言わぬのじゃなかろうか。そこで私の提案いたしましたのは、それだけの財源があるならば、原資が限られておるならば、それの有効な活用によってむしろ人数をふやすことを考えたらどうだろうか。例えばそれを全部同じ原資を貸費制度に切りかえて、そして裁判官、検察官になった者は場合によっては免除してもよろしいが、弁護士になった場合には何十年かたって十分資力ができたときには還元していくという形でファンドをつくりながらやっていけば、優に同じ資金を二倍に活用できるのではないかということをはっきりと申し上げ、記録にも残っておるのでございます。これに対して当時の弁護士会の委員が、ただいまの発言は不穏当であるから議事録から抹殺してほしいと言うぐらいの強い抵抗を受けたわけでございます。そういう点で私は、やはり工夫の仕方によりましては決してあれではない。 もう一つは、やはり自由競争が足りない。司法研修所を一つつくって、ここでなければだめだと言っているから、これは私も反対だ。もし人数をふやして、あの施設で足りなければ、もう一つ大阪かどこかにつくって自由競争させたらいいではないか。そうすると規格が違う。これまた大変な話になりますが、私軍隊へ行ってまいりまして、昔予備士官学校が二つもあったけれども、別にそれで非常に規格が違ったということもないじゃないか、要は心構えの問題であろう、むしろそれぞれのところで競争させた方が、一つの施設でやるよりはいいんじゃないか。私はこれも活字にしたことがございます。 それからまたもう一つ、背後に向こうの方の腕力の強い弁護士がいて日本の弁護士がかいらいになると。有本の弁護士がかいらいになるのならば、それはまさにその弁護士の自覚の問題ではないだろうか。まして、そういう弁護士が現にいるということを前提として弁護士会がいろいろされるならば、既に弁護士会が掲げている崇高なイメージというものとそれとのギヤップはどうなるのだと国民はすぐに問いかけるのではなかろうか。こんなことを考えておるということを申し上げておきます。
○小倉参考人 企業内に法律的な情報とか資料の非常に有用なものが死蔵されているんではないかという御指摘であったと思いますが、(稲葉(誠)委員「死蔵とは言わないよ」と呼ぶ)眠っているんじゃないかという御指摘であったと思います。まことにもっともな御指摘でございまして、この問題は、私考えますのに、法務部門というのが企業の中でどんな相対的な地位を持っておりますかということに非常に関係しておるんじゃないかと思います。 と申しますのは、企業の法務部門が今日のように多少体をなしてきましたといいますか、一応活動しているというのが認められるような状況になってきましたのは、ここごく十数年の現象であろうというふうに私は理解しております。それ以前は総務部とか文書部とか、そういう一般の大きな部の一隅で細々と担当者がこういう法律事務を取り扱っておったというのが実情でございまして、担当者といたしましては、こういう情報を入手いたしましても、これを外へ持ち出したり何かしますと、上役である管理者が法律的な問題点については理解が少ないものでございますから、ともすると持ち出すとしかられる、こういうようなことがございまして非常に保守的であったことは事実でございます。 そういうようなことから各企業相互間でも、自分のそれぞれの企業が何をしているかということは、情報の交換とかそういう機会が非常に少のうございました。幸いにして、今申し上げましたようにここのところ企業の法務部門の地位も上がってまいりまして、中にはこの企業の法務部門を経験した役員がトップマネジメントに参加するというような会社も出てまいっておりますので、過度に保守的な態度というのはもう少し改められるのではないかというふうに期待をいたしております。 それから、こういう企業の法務部門が幾つかの会社にできますと、業界の中で、例えば自動車だとか電機だとかいう業界ごとに企業の法務部門が集まる会合というのが最近非常にたくさんできておりまして、企業相互間においてはかなりの情報交換がされておるというのが実情でございます。先生の御指摘のように、企業内だけではなくてもっと外にもそういうものが利用できるような体制をつくれ、こういうような御指摘であろうと思いますが、私も経営法友会の代表幹事といたしまして、そういう方向に努力をしなければいけないということはまことにごもっともだと思いますので、今後努力さしていただきたいと思います。
○稲葉(誠)委員 どうもありがとうございました。
○上村委員長代理 岡本富夫君。
○岡本委員 参考人の皆さん、どうも御苦労さまです。実は十二時から本会議がございますので時間が非常に短くなりましたので、私も簡単にさしていただきます。 最初に竹内参考人にお聞きしますが、この法律ができますと恐らく日弁連の中で会則の制定をしなければならぬと思うのです。これは恐らく各単位会の方も同じような状態になるだろうと思うのですが、二年以内ぐらいにはこれができるのかどうか、また日弁連の中で大変御議論があって御苦労されると思いますけれども、これについてお聞きいたします。 次に、濱田参考人には、あなたは渉外事務所をつくって相当活躍されておるそうでありますけれども、あなたのような専門家ですか、こういう弁護士が相当いるのでしょうか。外国と太刀打ちするぐらいいるのかどうか、この養成についてはどういうことが必要なのか、これをひとつお聞きいたします。 それから三ケ月先生、司法制度の問題で話がありましたけれども、私も予備士官学校を出ましたが、これは消耗品をつくるところでございまして、国内にも相当あり、また私、中支でしたが、こっちにもあり、各所にありましたから、これとの比較はちょっと無理だろうと私は思うのです、貴重な御意見をいただきましたけれども。それで、この法律が通りまして経済摩擦が解消するのかどうか、アメリカの言うところの経済摩擦についてどういう効果があるのか、これについて御意見を承りたい。 〔上村委員長代理退席、村上委員長代理 着席〕 最後に、小倉参考人には、お話を聞きますと、私の知り合いも実は大阪で弁護士の事務所をやっておりまして、冬柴さんを中心に十五、六人チームを組んでやっております。大きな仕事はやっぱりチームを組まないとできないのですね。その場合に、外国の弁護士がこっちへ参りまして、どうしてもやはり、日本の弁護士を雇ってはいけない、共同してはいけないというのですけれども、そのチームの中に組み入れなければ仕事ができないのではないかということですが、この法律との関係について、小倉さんの御意見がありましたらひとつお聞きしたい。 以上です。
○竹内参考人 会則の制定につきましては、先ほど御報告いたしましたように、日弁連の中におきましては既に外国弁護士対策委員会内に会則案文等検討小委員会、これは十四名で構成されておりますが、これを設置いたしまして活動を開始いたしております。 それは一体どのぐらいかかるのかというのは、これはちょっとまだ予測を許さない問題でございまして明確には申し上げかねるのですが、手続だけちょっと御報告いたしますと、まず小委員会でつくりますと、それを理事会に上げまして理事会で承認を得まして、それを臨時総会あるいは定時総会にかけようということになりますと、この会則の制定というのは実は総会事項になっておりまして、その総会にかけるためには代議員会というのを開かなければなりません。代議員会の議を経まして、そして総会にかける、こういう手順に相なる次第でございます。 私ども、現執行部ではございませんので今後どういうスケジュールでやるということは申し上げかねるのでございますが、先ほど申し上げました三月二十九日の北山新会長に対する申し送りの際には、今後の推移いかんによっては年度内に臨時総会をあるいは開かなければならぬ事態になろうかと思いますということは申し上げておきました。ということは、この法律の制定を見ましてそれが施行されるということになりますと、その施行との関係におきましてやはり日弁連としてはその前に会則等も整備する必要がございますので、それに合わせて今後作業を進めていかなければならない。それでは、それは一年以内にできるのか、私はやろうと思えばできると思っておるのでございます。 ただ、今回の会則は一つ特色がございますのは、各単位会に会則ができていない場合に日弁連の会則を準用するということを実は考えております。そのために今度日弁連でつくります会則につきましては各単位会の意見も十分聞く必要がある、こういうことが一つ条件として残っておりますので、なお、どの程度でできるのかというのは、今申し上げたようないろんな諸手続を経なければならぬということを前提にひとつお考えいただきたいと思いますが、一年以内でできぬことはないと私は考えております。 以上でございます。
○濱田参考人 渉外専門弁護士の数でございますが、私ども日弁連関係その他いろいろなところで数を言っております中で五百人という数が出ておるのがありますけれども、その五百人というのは、渉外もやる、そういう人たちを入れると五百人ぐらいではないかという勘定でございまして、渉外が専門である、私なんかはその日でございますけれども、そういった弁護士の数というのは、はっきりした統計はございませんけれども、せいぜい三百ぐらいのものではないか。したがいまして、その三百というのは全体としても少ないですし、その中でまだ経験を十分に積んでない人たちもおりますので、本当にアメリカ、イギリスなり世界的に一丁前で太刀打ちできる人の数ということになりますとさらに少なくなるわけで、太刀打ちできるだけの数がいるかという御質問には、先ほどから述べておりますように、今は残念ながらいない。 ではどうしたらいいかという点は、やはり数をふやすということですが、三ケ月先生が発言をされましたような案につきまして私は個人的には実は賛成でございます、弁護士会へ行くとこういうことはぶん殴られてなかなか発言できないのでございますが。つまり私、倍増してほしいというのは、これは必ずしも弁護士だけを倍増しろといったことではなくて、まず法曹人口自体をふやして適正な裁判制度によって紛争が解決するんだ、日本の中ではそういうふうに裁判も促進し、特に民事の問題につきましても公正な司法判断が容易に得られるんだというような社会をつくることが、やはり対外的にも必要なわけなんです。そういう意味で、まず法曹人口自体をもっとふやして能率的な司法制度の運用をし、かつ、その中でその幾分かをこういった国際的な渉外事務にも向けてよろしいのではないかというふうに考えておるわけです。したがって、国費で全部出していただければそれにこしたことはないと思っておりますし、出していただいてもよろしいとは思うのですけれども、現実問題として出ない場合にどうするか。私自身は、例えばその成績で五百番までは全部出るけれども、五百一番から千番までは自費とか、そういうトラスチックなことを考えてもよろしいのではないか、やはり財政緊縮の折、弁護士だけが甘えようということで発言しているわけではなくて、または弁護士会がそれこそ自前の研修的なものを努力をすべきではないか、私自身はそういうふうに思っております。ただ、今のままというのではどうにもならないので、その点をぜひひとつということでございます。
○三ケ月参考人 私の士官学校論、いささかトラスチックでございました。私の言いたいことはこういうことでございました。法曹人口をふやすについての障害が二つございますと言われてきました。一つは人件費で、司法修習生の月給丸抱えは五百人以上は絶対出ないということ、もう一つは、司法研修所の施設があれだけ立派なものを一つこしらえて、あれは大体最大の講堂は五百人ぐらいしか入らないようなものができちゃって、ここで教育するにはおのずから入れ物の面からの制約がある、こういうことが言われるわけでございますので、私はやはり両方突破せねばいかぬのじゃないか。人件費の問題は今のような問題でございますが、実は裁判官、弁護士の研修というのは、一カ所にまとめてやるというのは戦後の一つの新しい試みで、非常にいい試みではございますが、これは決して世界各国で普遍的なことでもないし、戦前の日本は弁護士は各弁護士会ごとに養成をいたしておりましたし、裁判官の試補の教育もかなり分散的な形で行われていたわけでございまして、どうしても一カ所でまとめてやらなければ将来の法曹が養成できないという考え方、むしろ戦後の日本の司法研修制度は非常にいい面を持っていることではございますが、これがすべてではないということを申し上げたかっただけでございまして、その辺は余り……。 もう一つ、経済摩擦の解決に今回の法案がどれだけ役に立つか、これはむしろ日弁連の方の御意見を伺うのが順序で、私は全然予測しかできないのでございますが、この程度の法案をつくったからといって、外国の弁護士がすぐ納得して引き下がっておとなしくなるとは思われないのでございまして、これができても次から次へといろいろな問題を持ってくるのではなかろうか。そのときにやはり大義名分としてはサービス業の自由化ということはどこまでも出てくる。その意味においては、これは一つの結末というか、一つの曲がり角をどうやら越えたということではございますが、これで経済摩擦、サービス業務の自由化、法律業務の自由化というふうな声が完全に終息するとは私は考えていないのでございます。この点はむしろ日弁連の責任ある判断という方が私は正確じゃなかろうか、こう思うわけでございます。
○小倉参考人 外国弁護士が日本の弁護士とチームワークをするに当たって、この法案では差し支えがあるのではないかという御質問かと思いますが、私たち弁護士業務を利用します立場からいたしますと、確かに御指摘の点は非常に気になるところでございまして、法案の第四十九条の関係かと思いますが、依頼者といいますかクライアントの立場としまして意見を求められるとしますと、もう少し制限が緩くてもどうかなという気がしないではございません。しかし、この案によりましても個々のプロジェクトごとに日本の弁護士と外国弁護士が一緒に仕事をするということは禁止されていないというふうに理解をしておりますので……。 それからこの問題は日本の弁護士の方々の現実的な利害に直接非常に重大な影響のある問題でございますので、余りサービスを利用する立場から便利きだけを強調いたしまして、非常に偏った意見を申し上げるのもどうかと思うものでございますから、その辺の事情を考えてみますと、この現在の案程度の制限はやむを得ないのではないかというふうな感想を持っております。
○岡本委員 これで終わります。余り日弁連の方にここで次々とお聞きしますと後で問題があろうと思いますので、このくらいにしておきます。どうもありがとうございました。
○村上委員長代理 安倍基雄君。
○安倍(基)委員 諸先生方お忙しいところありがとうございました。いろいろ御意見を承っておるわけでございますけれども、幾つかの問題点をお聞きしたいと思います。 一つは三ケ月先生にお聞きしたいのでございますけれども、今度の法案がほかの国の例と比較してどういう位置にあるのか、私は経済摩擦の一環としてこれをやるなんということはとんでもないと実は内心思っておったのでございます。と申しましても国際化という面において、ある意味から意味がある。だから私の理解しておりますところは、例えばアメリカの弁護士なども各州によっていろいろ違うわけでございまして、各州で別々に試験するみたいな格好でまさに玉石混交じゃないか。そういうところを何か日弁連の方が余りむちゃにならぬようにいろいろ案を練られたと思いますけれども、諸外国と比較して今回の我が国の立法がどういう位置づけにあるのかということをまず第一にお聞きしたいと思います。
○三ケ月参考人 立法の過程、比較法につきましては、むしろ日弁連や法務省の方で外国まで行ってお調べになっているので、私ども間接的な知識でございますが、どこの国でもやはり訴訟実務の方へ介入するのは困るという形でチェックをする、それからやはり業務対象というふうなものも、ある程度自分の国、得意とするところに限定するというのが大体の多いところである。それから協力関係につきましても、そう野放しにしているところは多くない。それで何らかの干渉をしようとするのが、既にこれまで恐らく検討の過程で取り上げられた立法例ではなかろうか。たった一つ非常に大きな特徴で、また多少問題になったと思われますのは、日弁連という民間団体の監督に服するというところが非常に日本の特異性であろう。これは多くは外国は裁判所の監督に服する。私は、これは日本の弁護士制度の一つの特徴でございまして、そういう制度を前提とするなら、やはり日弁連の方に入ってもらうのが当たり前ではないかと考えておりまして、特に批判を持っておりません。 大体そういうところではなかろうか。詳しいことはむしろ法務省あるいは日弁連の方が外国の立法例はお詳しいのじゃないかと思います。
○安倍(基)委員 では、今の問題に関連しまして日弁連の方の御意見と、もう一つ同じく日弁連にお聞きしたいのですけれども、さっきから弁護士の人数をふやすという話がある。濱田参考人のあれを見ますと、確かにえらい数が違う、日本もふやすべきだという御意見もございました。しかしまた逆に言えば、それだけ多いというのは玉石混交で、わけのわからぬのが随分いるんじゃないかという気持ちもございますけれども、ほかの、今の立法についての諸外国とのバランスというか、それについての御見解と、それから人数をふやすことについての弁護士会としての受け取り方、二点についてお聞きしたいと思います。
○竹内参考人 外国の事例につきましては私も文献等で承知しておる程度でございまして、全体を共通しての特色といいますと、今三ケ月先生がお話しになりましたところで十分ではないかと思いますが、法廷に立たせるということはどの国におきましても認めていないということは共通した点であろうと思います。あと、これはそれぞれの国の文化的あるいは歴史的な所産でございますので、それぞれその国の実態に応じて若干ずつの違いがあると思いますけれども、日本の場合は日弁連に自治権が認められているということから今回のような法案になったと私どもは理解いたしております。 それから人数をふやすということにつきましては、日弁連が特にこの問題に深くかみ込んでやるということはいたしていないと思いますけれども、全体の受けとめ方といたしましては人数はやはり現状のままでは問題があるということは共通の考え方だと思っております。これは単に弁護士だけの問題ではなくて、法曹人口全体との関連で最近特にまた問題になってきておりますけれども、ただ予算その他の関係で制約はあろうということで、この問題に特に積極的には取り組んでいないと私は理解いたしております。
○安倍(基)委員 予算の問題といいますのは、そう本当の意味の制約にはならない。本来、社会が必要とするのであればその辺へ予算をふやせばいいのであって、それを余り一つの障害と見ることはおかしい。本当に弁護士というのはもっとふやすべきなのか。私もちょっと外国の例を見て、余り差が大き過ぎる。また逆にふやし過ぎるのもどうか。私は海外へも行ったことがあるのですけれども、ソリシターというものがあって、一つの中間的なものがあるという要素もございます。バリスターとソリシター。そういうようなこともありますから、そういうのも含めてこれからどういうのが一番いいのだろうかという問題が一つあると思います。外国の大勢いる中の本当に弁護士に値するのが何人いるのか。あるいは司法書士に当たるような者までが入っている可能性もあるわけですね。そういったことが一つの問題点かと思いますけれども、その点は今後のいわば日本の弁護士制度のあり方として、そういうバリスター、ソリシター的な二分類でいくのか、人数をふやすにしてもその辺についていかがでございましょうか。
○竹内参考人 ちょっと私、不勉強でございまして、そこまで日弁連でどう議論しているのか、今知識を持ち合わせておりませんので申しわけございません。私、現職でもございませんので、日弁連の立場で今後のことについて発言することもちょっとできませんのでお許しいただきたいと思います。
○濱田参考人 御指摘の点はまことにそのとおりでございますが、今まで私の知っている限りにおいてはバリスター、ソリシター的なものを導入しようという考えは全然出ておりません。しかしながら今回の外国法事務弁護士というのはソリシター的、英語でどう言うんだということが先ほどありましたけれども、そういうことを考えておりますので、結果論としては今度の制度が一種のソリシター制度を導入したということになったと思います。そしてもちろん適正な人数の範囲については我々自身も今後十分に考えてそれを要望していきたいと思っています。
○安倍(基)委員 小倉参考人はユーザーの立場というか、それを使う方の立場から御発言なさったわけでございますが、確かに今まで向こうにいる人間がこちらへ来てやるわけですから非常に使いやすいという面もありますけれども、逆にまたいろいろな、さっきの玉石混交といいますか、殊さら事件をつくり上げるくらいの人間もいないではない。これは国によって違うわけでございますけれども、そういった者に逆にだまされても困るという要素があるわけでございます。ユーザーというかそれを利用する立場から、確かに新しいサービスをどんどん提供できる人間がふえるのはいいけれども、また逆に小さな企業の場合はだまされてしまうという場合もなきにしもあらずであるわけでございますから、そういったものについての歯どめというか、そういったことをどうお考えになるか、小倉参考人にお伺いします。
○小倉参考人 企業の場合は一般の個人の場合とは違いまして、幾ら小さな会社でも何か国際的な仕事を始めようという場合には、当然もう既にそういう経験のあるところとか、大きな会社、系列の会社なんかにいろいろ照会をいたしまして、慎重に事を運ぶというのが普通でございます。私も自分の系列の会社から、いろいろどこか外国のいい法律家とか弁護士はいないかというような照会をよく受けるわけでございまして、そういう御指摘のような心配は全然ないということは言いませんけれども、そんなに多く出てくるケースではないと私は思います。むしろ今まで外国に所在する法律事務所とかあるいは外国の弁護士しか使えなかったというようなところがどちらかと言えば制約になっていたと思いますので、そういうことでサービスが多様化してくることは非常に歓迎すべきことであると思います。 それで、企業の場合は確かに外国の法律事務所というのは非常に積極的でございまして、私なんかもちょっとうっかりしますと余計なものまで頼んで相当費用がかさむというような例はないことはございません。しかし、企業の場合は使う方はある意味ではプロでございますから、余りそう御心配になることはないのではないかと私は思っております。
○安倍(基)委員 大きな企業の場合はいいんですけれども、中小企業で結構海外にいろいろ仕事を始めるのがおりまして、そういった連中がころっとだまされても困るなという気もするわけでございます。そういった点ちょっと相手は玉石混交だけに、しょっちゅう玉石混交と言いますけれども、ちょっと問題もあるのじゃないかと思うのでございます。 最後に、もう時間もございませんから、さっきのバリスター、ソリシターの関連で三ケ月参考人に、これからの日本の弁護士体系が、確かに今度の場合外国のあれを入れるのは半ばソリシター的な要素があると思いますけれども、日本のそういう海外との交流の関係で人数をふやすといっても、バリスターは大体決めておく、ソリシターをふやすという見方も一つあると思いますけれども、その点いかがお考えになっていらっしゃるかをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
○三ケ月参考人 バリスターとソリシター的に二つに分けるというのは、むしろ世界の歴史の中ではだんだん消滅しつつありまして、私自身も日本にそれをとるよりはむしろ一本の弁護士を拡充強化するという方向を外してはいけないのではなかろうかという感じを持つわけでございまして、できるだけそういう方向で日本の弁護士が量と質と両方充実することを祈念しておるわけでございます。二元主義はよくないのじゃないかという感じでございます。 それから玉石混交ということでございますが、どの社会にも玉石混交はあるわけで、日本の弁護士の数がこれだけだから玉ばかりか、それでアメリカは多いから石があるか、みんなそれぞれ比例的にほぼ一定のあれが出てくるのではなかろうかという感じでございます。
○安倍(基)委員 最後でございますけれども、確かに人数をふやすというのがプラスの面もあるけれども、またマイナスの面もある。特に海外との場合には、さっきもお話ししましたように各州で違う、ニューヨーク州くらいならまだましだけれども、ローカルにもある、これからまた東南アジアの弁護士も出てくるというぐあいになりますと、国際化につきましてやはりある程度の歯どめといいますか、その辺は考えるべきじゃないかと思います。時間もございませんからこの辺でやめます。どうもありがとうございました。
○村上委員長代理 柴田睦夫君。
○柴田(睦)委員 短時間ですが、まず竹内参考人に、アメリカの相互主義の関係で、アメリカの方で七州、日本の弁護士を受け入れるというところを決めなくてはいけない、そういうような意見などもありますし、そしてまた相当数の州が受け入れなければならないということでいいと思いますけれども、現実問題としてはこの二年間以内に法律の施行日を決める、ここの期間までの間に具体的にアメリカは何州というような形で決着がつけられるのか、これからどういうふうに進んでいくのか、ちょっとお伺いします。
○竹内参考人 これは私ども情報として伺う以外に今のところ手段はないわけでございますけれども、この資料にもございますように、ニューヨーク州、カリフォルニア、ハワイ、ミシガン、ワシントンDC、この五州と、それにつけ加えまして、先ほど申し上げましたイリノイ、テキサスを希望するということを私ども総会等でも議論したわけでございます。御存じのように、その中でニューヨーク州はもう既に開放になっております。その後ミシガン、ワシントンDCが開放になったと伺っております。カリフォルニアもそう遠くはないであろうと伺っております。ハワイも、最近いろいろ問題を提起した人もいるようでございますけれども、そう遠くなく開放するのではなかろうかというふうに伺っております。そういう次第でございまして、私どもといたしましては、私どもが要求いたしましたところが今後短期間のうちに実現されることを希望しておるわけでございまして、それとの絡みでこの法律の施行日が決まることを期待しておる次第でございます。
○柴田(睦)委員 引き続いてお伺いします。 日本に現在おりますトレーニーあるいはロークラークという人たちの非弁活動というものが問題になるのではないかと思いますけれども、こういうものに対する日弁連としての対応はどういうふうになっておりますか。
○竹内参考人 従来そういう方たちの中に問題を起こしておる人がございまして、日弁連も非弁委員会等でこれに対応いたしてきたのでございますが、必ずしもこれが適切に対応できなかったというのが実態であろうと思います。今度こういう形で法律が明確になりますと、従来問題にされたようなトレーノー、クラークの存在というのははっぎりと取り締まることは可能になるというふうに私どもは理解いたしております。 それから、これは御質問の範囲に入っているかどうかちょっと理解しにくいのですが、一部、過去の経験等踏まえまして経過措置といたしまして救済ということを考えております。その中で問題は、過去の問題をどう取り扱うかということは、私ども日弁連として今後検討しなければならぬ問題だと考えております。
○柴田(睦)委員 ちょっと濱田参考人にお伺いしたいと思います。 今度の法案ではローファームの進出はできないという形になっておりますが、現実にこれからそういう問題が生じてくる可能性がありますか。
○濱田参考人 確かに御指摘のようにローファームとしては建前上進出できないようになっておりますが、これはアメリカ側の非常に強い要求がございまして、日本でのこのたびの特別の資格を得た個人の外国法事務弁護士が本国でどういう事務所に所属しているかという、いわば個人の属性として本国の事務所名を付加するという形で、実質的には非常に問題になっておりましたローファーム名の表示問題は解決をした形になっております。したがいまして、建前としてはローファームは進出しないということですけれども、経済実態としては、特に東京の高いところで三億円出して百五十坪も借りているような事務所もございまして、とても個人で三億円ぽいと出すことはあり得ないわけでございますので、実質的にはローファーム単位での進出はアメリカからは三十ぐらい来るのじゃないかと言われておりますけれども、そういうことになると思います。
○柴田(睦)委員 小倉参考人にお伺いしますが、この法律が施行され、例えばニューヨーク州との関係で、相互主義で日本の弁護士が進出できるということになった場合に、アメリカへ日本の弁護士が行けば日本法の事務弁護士ということになると思いますが、そういう人の需要があるのか。それから、ニューヨーク州では居住するという要件がありますけれども、向こうに居住してそういう仕事をする弁護士がいるかお伺いしたいと思います。
○小倉参考人 お答えいたします。 御質問の点が、長期的に将来どういうふうになるかということは私ちょっと自信を持ってお答えすることはできませんけれども、短期的には、日本の弁護士さんがニューヨークなりほかの外国へ行かれまして、それを日本の企業が非常に積極的に使っていくというようなことには、すぐにはならないのではないかと思います。 その理由は、まず外国でそういう資格を取られて活躍される日本の弁護士さんがどれくらいいらっしゃるかという人的な供給力の問題といいますか、最前から日本の弁護士の人数の問題がいろいろ議論されておるわけでございますけれども、外国へ進出して日本の企業のためにサービスをするという方がそんなにたくさんこの短期間の間に出てくるというふうに思われないことが一つございます。 それから、そういうかなりの数が出ていただいて非常に組織的な活動がされるということになりますと企業側としても利用しやすくなりますけれども、何か一人か二人とこかにいらっしゃるというような状態でございますと、利用側としては非常にやりにくいということもございます。 それともう一つは、これも最前申し上げたことでございますが、最近かなりの会社が法律関係のスタッフをそろえてございますので、外国まで行って日本の弁護士さんのサービスを受けなければならないという必要性は、少なくなっていくことはあっても、これからふえる傾向ではないのじゃないかというふうに私は思います。
○柴田(睦)委員 時間ですから終わります。三ケ月先生、質問しませんでしたけれども、御意見は伺いました。
○村上委員長代理 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。(拍手) この際、暫時休憩いたします。 午前十一時四十八分休憩 ————◇————— 午後一時二十九分開議
○福家委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。林吾郎君。
○林(百)委員 既にこの問題についてはいろいろ論議されたのですけれども、日本の弁護士制度というものは、日本の司法制度の三本柱の一つになっておりまして、日本の主権の行使の一環をなすものであって、これは決してビジネスライクで処理される部門ではないのですが、これをアメリカ側では貿易の自由化あるいはアクションプログラムの中に入れるというような形で、ビジネスの側面で日本に求めてきているわけです。その辺のことについて法務省としてはどういうようにお考えになって調整をされたのか、お聞きしておきたいと思います。
○井嶋政府委員 確かに委員ただいま御指摘のように、米国政府あるいはその後EC諸国の政府からこの弁護士受け入れ問題が貿易摩擦の一環という形で提起されたことは御指摘のとおりでございます。 これは二つの側面があろうかと思いますけれども、一つは、日本へ企業が進出する場合に外国のそれぞれの国の弁護士の助けを必要とするという観点からのいわゆる市場アクセスを進めるための側面があるという点が一つでございますが、もう一つは弁護士業務自体がサービス業務だというようなことから、サービスの自由化という観点で交流をすべきである、こういう観点であったわけでございます。 それは確かに契機になったわけでございますが、ただいま御指摘のように、弁護士の国際交流というような問題は、まさに司法制度の一翼を担っております弁護士制度そのものに深くかかわり合いを持つものでございます。弁護士制度は、御案内のとおり我が国国民の法的生活の安定に寄与する非常に重要なものでございます。そういう観点から、政府といたしましては、経済的側面からのみ受けとめてはならないという観点で、終始一貫司法制度の枠内でこれを解決するという態度を鮮明にし、内外に明らかにしてまいったわけでございまして、今日その柱を貫きましてこの法案の作成にまでこぎつけたということでございまして、私どもは御指摘のような点につきましては十分配慮してまいったつもりでございます。
○林(百)委員 貿易の黒字解消のビジネスの側面から見れば、恐らくアメリカはこの法案で満足してはいないのじゃないかというふうに想像するわけです。したがって、膨大な日本の貿易の黒字を解消する一環としてこの制度を考えるとすれば、さらに第二、第三の要求もアメリカから出てくることが想像されるわけです。今、井嶋さんが答えられましたように、これは日本の司法制度の一環としての日本の主権の行使に関する問題であって、ビジネスラインだけで考えられるものではないということで、そのけじめをちゃんと今後もつけられていかれるかどうか、念のために聞いておきたいと思います。
○井嶋政府委員 今度の制度は、そういった司法制度の一環としてとらえてまいったわけでございます。現在のような国際的法律事務の増大あるいはこれからの将来の増大ということを考えました場合には、どうしても弁護士の国際交流が必要になる。これはやはり重要な司法制度の変革でございますけれども、そういった観点からこれを解決すべく努力してまいったわけでございますが、この姿勢と申しますか考え方は今後とも将来に向かって堅持してまいりまして、国際化に対応してまいりたいと考えております。
○林(百)委員 もう一つの問題は、外国弁護士を許可するかどうかは法務大臣の権限にあるわけですけれども、日本の弁護士制度の伝統としては弁護士自治ということで一貫して貫かれ、同時に日本の司法の運営についても、裁判所、検察庁、弁護士という三つの柱の調整のもとに日本の司法が運営されてきたわけです。今後とも、私、この法案が出たのがきっかけで弁護士の分野へ国の権限が入り込んできて、そのために従来の弁護士の自治権が侵されるのではないかということも一つ心配になるわけですけれども、その点については法務大臣はどういうようにお考えになっているでしょうか。あくまで弁護士の自治権を守り、そして今後の法の運用については弁護士会の意見も聴取して調整を図っていくというお考えに徹していられるのでしょうか、どうでしょうか。
○鈴木国務大臣 お尋ねのとおりに考えております。 日本弁護士会、日本の弁護士制度の自治というものはこれからも尊重してまいろうと思いますし、お尋ねの外国法事務弁護士の許可というような点についても日弁連の意見等を十分尊重しながらやってまいりたい、こういうふうに考えております。
○林(百)委員 午前中の参考人の意見陳述では、アメリカのローファームの日本進出問題について、我が党の柴田議員が濱田参考人に質問したわけですけれども、「法律の建前上ローファームの進出はできないことにはなっているが、アメリカ側の強い要求で本国の事務所名を付加できるとなったので、実質的には解決できたと考えられる。経済実態としては東京で事務所を開こうと思えば何億円という資金を必要とするので、個人では事務所の開設はできないからだ。したがって、三十ぐらいの事務所が進出してくるのではないか。」要するに、ローファームは形の上では本国の事務所名を付加できるということになっておるが、実際はローファームが進出してくるのではないか、しかもそれは膨大な資金をもって三十カ所ぐらいの事務所が進出してくるのではないか、こういうことを濱田参考人が答えておるわけですが、これは非常に重要な問題になると思うわけです。 そこで、確認のために質問したいのですが、この法案は、外国の法律事務所の日本での支店、出張所等の開設を基本的には認めていない。要するに、何十億というような資金を出し、何十人というようなアメリカのローヤーがそこで仕事をするようなローファームの進出はできないのでしょうか、やろうと思えばできるのでしょうか。
○井嶋政府委員 この法律では、法務大臣が資格を承認いたしますのはあくまで個人の資格を承認するという考え方に立っておりまして、外国のローファームの支店そのものの設置を認めるというようなシステムではございません。したがいまして、あくまで個人ベースで申請を受け、個人ベースで承認をするということになるわけでございます。ただ、濱田参考人も申しておりましたが、米国あるいは英国、その他外国から進出してまいります場合、外国にはローファームというような一つの弁護士の業務形態がございますが、そういったところからいわゆる個人で派遣をされてくるというような形になるのだろうと思われるわけでございます。そういった形で派遣されてくる個人を、個人の資格として認める。そういった方が日本で、お互い同士二、三人、一つの事務所をつくるというようなことはあり得ようと思いますけれども、あくまで、今御指摘のような何十人というような規模の支店そのものを設置することを認めるシステムにはなっておりません。
○林(百)委員 認めるシステムにはなっていないというのだけれども、外国弁護士を、井嶋さんの言われるようにそれは許可は一人ずつしていきますけれども、一人ずつ五十人許可すれば五十人固まれるわけなんで、そういう人が事務所名を掲げることはできる、名刺のところへ事務所名を書くことができるということもありますが、そういう人たちがファームをつくってはいけないという規定は別にないのじゃないですか。だから、やろうと思えばできないことはない。そういうように、法務大臣の許可を得たローヤーが一つのファームになるということを禁じてはいないように思うのですが、どうでしょうか。
○但木説明員 委員御指摘のとおり、我が国で外国法事務弁護士が我が国の資格に基づいて外国法事務弁護士と共同経営に入るとか、そういうことを禁止する規定はございません。ただし、先ほど答弁にありましたように、この制度はあくまでも我が国の制度として、我が国の資格として個々の承認をするシステムになっております。したがいまして、日本の国内でのローファームというのはアメリカのローファームの支店として形成されるものではない。我が国でそうした我が国の資格を得た外国法事務弁護士同士がどういう規模でどういう共同経営をするかという問題でしかないのだということを申し上げておきたいと思います。
○林(百)委員 どうもそこのところがはっきりしないので、例えば看板を掲げることができる、名刺や書類への記載は小さい字で括弧書きにするというようなことになっておるのですけれども、許可を得た弁護士が共同で事務所を持つということを別に禁じてはいないように思うのですが、どうでしょうか。
○但木説明員 そのとおりでございます。
○林(百)委員 そうすると、いやしくも膨大な資金力を持っている外国人弁護士が一つの事務所を持つ、恐らくまとまった相当の事務所を持つと思うわけでございますが、その事務所が事務所として日本弁護士と、まあ雇用ということは法文の正面からいって事務所が雇用するということはできないと私は解釈しますが、その点は正確に答弁していただきたいと思いますが、要するにその事務所が日本弁護士を使う、本来はそういうことができない建前になっていますけれども、全力を持っておるアメリカの外国法弁護士が資金力のある事務所に結集して、法律上は雇用でなくても事実上は日本弁護士を雇用するという形で日本の法律事務を運用するということはできないことはない、やろうと思えばやれるんじゃないかというように思うのですが、その点はどうでしょうか。
○但木説明員 本法案の四十九条では外国法事務弁護士と我が国の弁護士との関係を規律してございます。 まず四十九条第一項では、「外国法事務弁護士は、弁護士を雇用してはならない。」という規定を設けております。したがいまして、外国法事務弁護士が我が国の弁護士を雇用して法廷活動等を実際上行うということはできないことになっております。また、委員御指摘の御心配でございますが、たとえ形式的には外国法事務弁護士が日本の弁護士を雇っていないような様相を呈していても実質的に日本の弁護士を雇っているということがわかりますれば、当然四十九条の一項で禁止され、懲戒等の対象になるというふうに考えております。 また、四十九条の二項では、「外国法事務弁護士は、組合契約その他の契約により、特定の弁護士と法律事務を行うことを目的とする共同の事業を営み、又は特定の弁護士が法律事務を行って得る報酬その他の収益の分配を受けてはならない。」と規定いたしまして、外国法事務弁護士が我が国の弁護士が日本法に関する法律事務の処理等によって得た報酬の分配に不当にあずかるような道はこれで禁止しております。
○林(百)委員 確かに四十九条にはそうあるのですが、特定の弁護士と法律事務を行うことを目的とする組合契約あるいは共同事業という形ではなくて、特定弁護士と特殊な関係を持って、事実上はローファームと特殊な関係を持った弁護士あるいは協力日本弁護士というようなものができる可能性がありはしないか。あるいはそれをチェックする、それは御心配でしょうが四十九条がありますので十分その心配は解消されますというのですが、四十九条のチェックで——事実上契約を結ぶとか、この四十九条を脱法して特定の弁護士と常に関係を持っているというようなことはできるのじゃないですかね。そこまで神経質に考えなくてもいいというならいいのですが、この四十九条に関係してちょっとお聞きしておきたいと思うのです。
○但木説明員 委員御指摘のような心配もございまして、日弁連の中ではこの条項につきまして相当な論議が行われ、また法務省もそれに一定程度関与してきたわけでございます。我々が結局考えましたのは、外国法事務弁護士が我が国の弁護士の収益に依存すると申しますか、我が国の弁護士の収益がふえることによって直接的に自分の収益もふえる、こういうような関係ができますと、必然的に外国法事務弁護士が我が国の弁護士を指揮等いたしまして日本法に関する事務について口出しをしてくるのではないかということを考えたわけでございます。したがいまして、四十九条の一項、二項はこのような心配を払拭するために設けられた規定でありまして、私はこの条項によって十分外国法事務弁護士が我が国の日本法に関する法律事務に介入することを防止できるものと考えております。 ただ、その防止の手段といたしましては、もちろん日弁連なりあるいは単位弁護士会なりの適正な監督ということも必要でしょうし、また雇われる方の我が国の弁護士の倫理上の問題というものもやはり問われるところではないかというふうに考えております。
○林(百)委員 もしそういうことがあった場合、日弁連の懲戒の規定によって日弁連自身がそれをチェックするという機能を発揮することはできるわけですか。
○但木説明員 外国法事務弁護士に対する監督、指導、懲戒の権限は、いずれも日弁連の権限といたしております。したがいまして、日弁連がその権限を有効、適切に運用してくれるものと確信しております。
○林(百)委員 相互主義の問題ですけれども、日弁連側の意向で見ますと、ニューヨーク、カリフォルニア、ハワイ、ミシガン、ワシントンDCというようなところ、少なくとも相当数の主要な州が我が国の弁護士を受け入れる制度を有していること、こういうような要求になっておるわけなんですけれども、ただいまはどういう州が相互主義になっているのか、将来はどういう見通しなのか。私はアメリカの弁護士制度を十分熟知しておらないのですが、アメリカの弁護士は、例えばニューヨーク州で弁護士の資格を取っている者はカリフォルニアへ行って弁護士の業務はできるのか。向こうの方の弁護士が各州でそれぞれ弁護士としての仕事ができるということになれば、これはやはり相互主義ということになると、日本の国とアメリカの国との全体の相互主義にならないと本当の相互主義にならないと思いますが、アメリカ国内における各州の弁護士の相互の仕事の関係、それから日弁連から出ております五つの州、これとの相互主義の見通しについてはどういう見通しですか、説明願いたいと思います。
○井嶋政府委員 まず相互主義の関係でございますが、既に現在ニューヨーク州とミシガン州とワシントンDCは外国弁護士を受け入れる制度を持っております。指摘された五州の中で残りましたカリフォルニア、ハワイにつきましては、現在州の裁判所あるいは弁護士会で裁判所ルールの改正について検討をしておる段階でございまして、私どもが承知しております限り、カリフォルニア、ハワイにつきましては今年じゅうには開放することになるだろう。最も早ければ夏までではないかというようなことも言われておりまして、早晩あくというふうに見通しを持っておるわけでございます。 それから、アメリカの弁護士の活動の関係でございますが、もう既に御案内のとおり、アメリカでは弁護士資格は各州単位に付与されるわけでございます。したがいまして、基本的には一つの州の弁護士は他州では弁護士ではないわけであります。したがいまして、例えばニューヨーク州で資格を持っております弁護士は、カリフォルニアで弁護士資格を持たないあるいは登録をしておらない者であれば、もちろんカリフォルニア州へ出かけていってそこの裁判所に出廷して活動をするとか、その他カリフォルニア州の弁護士のルールで制限されております事項についての法律事務を行うことはもちろんできないわけでございます。しかし、そういった制限のない部分につきましては、ニューヨークにおきまして広範囲にアメリカ法全体についての法律事務が取り扱えるということになっております。 さらに、今の場合はニューヨーク州の弁護士がカリフォルニア州に事務所を設けて活動することが制限されておるわけでありますけれども、(林(百)委員「事務所を持つことは」と呼ぶ)持つことは、そこで試験に通り登録されなければできません。しかし、個別案件を処理する関係で例えばカリフォルニアへ出張していって仕事をしてくるというようなことはもちろんできるわけであります。しかし、今申しましたように法廷活動とかあるいは一定の禁止されております法律事務を取り扱うことはできないということでございます。 したがいまして、アメリカでは州単位で資格というものが定められ、仕事もそういった形で制約されておりますので、相互主義の観点からは、アメリカの場合には州単位の相互主義で法律上は対応することになるということでございます。
○林(百)委員 私が日本人だからそう言うわけじゃないのですけれども、日本では弁護士の資格は日本国全国内に通用できるのですが、アメリカでは州ごとにそういうように制度が違うから相互主義といっても州と日本の国との相互主義になるんだということになりますと、今後相当アメリカの各州が相互主義をとってもらわないとバランスの上からいって何か不均衡のような感想を私は持つわけです。将来、相互主義を広げるためにはアメリカ側とさらに交渉をするのでしょうか。どういうお考えをお持ちでしょうか。これでいいことになるとお考えなんでしょうか。
○井嶋政府委員 けさほどの日弁連の参考人の御意見にもございましたけれども、アメリカにつきましてはできるだけ多くの州が開放することを要望するという立場を日弁連はお持ちでございます。もちろん私ども政府も、アメリカとの関係におきましてできるだけ多くの州が開放し日本の弁護士と相互に交流できる制度になることが望ましいという立場から、従来アメリカ政府に対しまして日本の立場を要望し主張してまいったわけでございます。そういった経過から、一昨年まではニューヨークしかなかったものが最近ミシガンとかワシントンDCがあいたというのもその一つの動きであろうと思いますし、さらにまたこの法案が成立いたしますと、これが一つの引き金になりまして、アメリカにおきましてもさらに多くの州が相互に交流をするという観点から開放に向かうのではないかということも期待しておるわけでございます。そういった観点から、私どもは今後とも、これは日弁連の御努力も必要だろうと思いますけれども、特にアメリカに向けてできるだけ多くの州の開放を要求してまいるつもりでございます。 ちなみに現在三州あいておりますが、これが近い将来あと二州あいて五州になった場合にどのくらいの均衡が保てるのかということが一つあるわけでございますけれども、現時点でアメリカに進出しております企業の約三分の二が今の五州に集中しております。さらに現時点でアメリカに進出しております銀行の出張所、支店の数の約五六%くらいがこの五州に集中をしております。それからアメリカの弁護士の約三割がこの五州にやはり集中しておるということで、日本の弁護士にとりましてはこの五州が近い将来開くということは、進出する弁護士にとってそれなりの需要と申しますか、そういった観点から実質的にアメリカと日本との間でもそれなりの均衡は保てるのではないかということも一応考えるわけでございます。しかし、なおそれ以上に開いていくということが必要であることはもう十分理解をいたしますので、そういった観点からさらに要求を続けてまいりたいと思っておるわけでございます。
○林(百)委員 いろいろの点で日本は日米安保条約などもありましてアメリカに従属的な側面が非常に多いので、弁護士の分野においては対等な形をとりたいというのは弁護士としての私の望みでもありますので、そういう質問をしたわけです。 飛び飛びの質問になって恐縮ですが、法の七条で、これは法務大臣にお聞きした方がいいのでしょうか、外国法事務弁護士となる資格は「法務大臣の承認を受けた場合」ということになっていますが、これについては弁護士会との関係はどうなるのでしょうか。
○但木説明員 本制度は、我が国の弁護士となる資格とほぼ同じようなシステムをとっております。すなわち、我が国の弁護士の場合には、弁護士法四条で定められておりますとおり、最高裁判所のいわゆる司法研修所の修習を下した者というものが弁護士となる資格を有する者というふうに四条では決められています。例外は五条にございますが、この四条に相当するものが「法務大臣の承認」というものでございます。したがいまして、その段階では弁護士会の権限ではなくて、法務大臣の権限となっております。ただし、承認をする場合には日弁連の意見を聴かなければならないという条文が本法案の第十条の第三項にございますので、承認の権限そのものは法務大臣に属しておりますが、「承認をする場合には、あらかじめ、日本弁護士連合会の意見を聴かなければならない。」ことになっております。 次いで、弁護士となるには、現行の弁護士法では日弁連に備えた弁護士名簿に登録されることが要件となっておりますが、外国法事務弁護士の場合にも日弁連に備えた外国法事務弁護士名簿に登録されることが弁護士となる要件となっております。
○林(百)委員 法三条の二項になりますか、「外国法事務弁護士は、前項の規定により職務として行うことができる法律事務であっても、次に掲げるものについては、弁護士と共同し、又は弁護士の書面による助言を受けて行わなければならない。」この「書面による助言」というのは、何か形式が決まっておりますか。また、助言はどういう質と内容を持ったものになるのでしょうか。
○但木説明員 この書面の様式等は現在別に定められておりません。現在、渉外事務関係ではリーガルオピニオンという形で外国の弁護士の意見をとっておるわけですけれども、我が国において外国法事務弁護士が我が国の弁護士の助言を受ける際にも、書面上のリーガルオピニオンという形で恐らく助言を受けるのではないかと思います。
○林(百)委員 その次に、外国法弁護士が特定外国法の指定を受ける場合に、「特定外国の外国弁護士となる資格を有する者と同程度に当該特定外国の法に関する学識を有し、」という非常に難しい法律があるのですが、この判断はどういうように事実上するのでしょうか。
○但木説明員 本法案の十六条一項は、法務大臣が外国法事務弁護士の申請により特定外国法を指定し得る基準を示すものでございます。原則的な規定は一号でございまして、「特定外国の外国弁護士となる資格を有する者であること。」と定められております。これは例えばニューヨーク州の弁護士がドイツに留学いたしましてドイツの司法試験に合格し、またニューヨーク州に戻りましてニューヨーク州の弁護士として活動しているような者を考えております。この者に特定外国法の指定をいたします根拠は、制度的にその外国法事務弁護士のドイツ法に関する知識が保証されているということに基づくものでございます。 二号は、いわばこの一号に準ずる規定でございます。すなわち、資格という制度的保証はないものの、その外国法事務弁護士の第三国法の基本法令に関する学識が当該特定の外国における弁護士のそれと同程度であり、かつ当該外国法に関する法律事務を五年以上取り扱っていたことによりまして、客観的に一号に準ずるものであることが明らかであって、当該外国法事務弁護士に当該第三国法を取り扱わせても適正に法律事務を処理してくれるだろうということが期待できる者ということになろうかと思います。ただ、これは非常に抽象的な基準でございまして、個々の申請の場合にはやはり個々的な判断が必要であると思います。 これにつきましてはさまざまな要素を考えなければならないと思いますが、例えば各国の司法試験制度あるいは法学教育の制度、司法試験と法学教育とのかかわり、例えば一定程度の法学教育を受けた者はどの程度の確率で司法試験に合格しているか。例えば日本の場合ですと、法学部卒業生は約三万人と言われていますが、その中で司法試験に合格する者は極めて少ないというような実情がございますが、アメリカとかあるいはドイツにおきましては、ロースクール等を卒業した者の大半が司法試験に合格するというような状態でございますので、そうした司法試験と法学教育との関係で、当該外国の法学教育を終えている、例えばロースクールを卒業しているというような者はほぼ司法試験に合格している者と同じように扱っていいんだというような国もございますし、そうでない国もあろうかと思います。 また、法の遠近というのがございまして、例えば英米法系というのはコモンロー系でございますが、これと大陸法系とは法体系が異なっております。また、ドイツ法とフランス法も異なっております。したがいまして、英米法系の弁護士が英米法系の他の外国の学識を取得するのは割合簡単でございますが、逆に英米法系の人がドイツ法とかフランス法の学識を得るのはかなり困難であろう。その場合にどの程度の学識があればその者の学識が当該第三国の弁護士と同程度かということになるかは、やはり個々的に判断せざるを得ないということになろうかと思います。
○林(百)委員 非常に難しい問題ですので、慎重に扱っていただきたいと思うのです。 大臣にお聞きします。これは国際的な問題になっていますし、アメリカの方では貿易の自由化あるいは黒字解消の問題とも関連して、サービス部門の自由化として考えていると思うのです。我々は、日本の司法制度の根幹にかかわる重大な問題と認識しています。そこに認識のずれがあるのですが、マスコミの伝えるところによると、この法案に対してアメリカ側ではどうも依然として封鎖的だ、差別的だということで非常に不満を持っておる。その主なものは、第一には指導監督は法務省にしてもらいたい、第二は日本人弁護士の雇用や共同経営をもっと容易にできるようにしてもらいたい、第三番目は日弁連の懲戒委員会の透明性、もっとはっきりさせてもらいたい、そして第四番目は自国での経験の年数をもっと緩和してもらいたい、このようないろいろの希望を持って、どうも貿易の自由化の一環としてのサービス部門の日本側の開放としては不満だという声が強いようなんですね。 大臣にお聞きしたいのですが、今後ともこの問題についてアメリカ側から要望がさらに追加的に出てくるかもしれませんし、そしてまた、先月の十二日から十四日に中曽根総理がアメリカを訪問したのですが、このときに自由化の問題についていろいろの要望が出て中曽根総理がのんできたようですが、そのときこの問題が出たのか出なかったのか。あるいは仮に出たとすればどういう態度に出たのか。出なければ問題ありませんが、何か問題が出たのか。その点をはっきりさせて閣僚としての法務大臣の御意見を聞きたいし、それから、さらにアメリカから強いプレッシャーがくるかもしれませんけれども、先ほど法務省当局の当事者の方が答えられたように、あくまで日本の司法制度の一環として、そしてまた弁護士の自主性の一環として守っていくつもりだ、それは守り通すつもりだということを言っていますが、法務大臣のお考えはどうなのか、念のためにお聞きしたい。大臣、最後に一言お答えください。
○田中説明員 委員御指摘の中曽根総理の訪米に際しましてアメリカ側から外国人弁護士の問題について要望が出たかどうかということでございますけれども、これについては一切言及がございませんでした。私どもも、先ほど法務省の方から御答弁がございましたように、この問題につきましては、基本的には国際的にも国内的にも妥当とされる解決を日弁連の自主性を尊重しつつ図っていくということでございまして、こういう方針に従ってやっておるわけでございます。またアメリカ側からもサービス貿易の自由化という側面はございますけれども、これについては日本の司法制度の根幹に非常にかかわる問題であるということについての理解をも求めておりますし、そういう基本的な方針はあるものというふうに私どもは考えております。
○鈴木国務大臣 今外務省から御報告がございました。私も、総理がアメリカへ行かれて、この問題が出たということは聞いておりません。また、これからいろいろ要望等が出るのではないか、不満の点がいろいろと伝えられてくるのではないか、そういうお話でございます。あるいは出るかもしれません。しかしながら、審議の過程でたびたび申し上げておりますように、我が国の司法制度、とりわけ弁護士会の自治の問題、こういう点から、仮に貿易の摩擦というような点から取り上げられたといたしましても、先ほど申し上げましたような考えというものは厳として守っていかなければならない点でありますから、その範囲内において調整できることはいたしますけれども、現在の段階では、そういう考えのもとにつくった案が最適である、これ以外には当分考えられない、こういうことでございます。そんな方針で対処してまいるつもりでございます。
○林(百)委員 結構です。時間が参りましたから終わります。
○福家委員長 小澤克介君。
○小澤(克)委員 本日は、本来は外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法についての審議でございますが、いわゆる撚糸工連事件の捜査が急進展をしているようでございますので、緊急に冒頭に若干この関係について委員長のお許しを得た上でお尋ねをしたいと思います。 いわゆる撚糸工連事件に関しまして衆議院所属の議員について任意の取り調べがあり、また議員会館の部屋等についての捜索あるいは押収というような物的側面では強制捜査が行われたと聞いておりますが、その捜査の一環として他の自由民主党所属の衆議院議員の秘書についても任意のお取り調べがあったと聞いているわけです。さらに、その当該秘書の机等について、これはもちろん議員会館の一室と聞いておりますが、机について捜索が行われ、また何らかの物品を押収したというようなことも一部で報ぜられているようでございますが、これは事実なのかどうかお尋ねいたしたいと思います。
○岡村政府委員 ただいま御質問のありました点のうち、捜索という強制捜査を行った事実があるかという点につきましては、そのような事実はございません。また、その秘書の方を取り調べたことがあるかということにつきましては、これは捜査の内容でございますのでお答えいたしかねるところでございます。
○小澤(克)委員 捜索は行っていないというのは私の質問の後半部分でございますね。(岡村政府委員「はい」と呼ぶ)それで、強制捜査としての捜索はないというお話でございましたが、書類等の任意提出を求めたというような事実はございませんでしょうか。
○岡村政府委員 ただいまの点につきましては、そういう事実があるともないともお答えいたしかねるところでございます。
○小澤(克)委員 捜査内容でございますので、その程度でやむを得ないかと思いますが、もう一点、自由民主党所属の衆議院議員について、この間問題とされている既に任意でお取り調べを受けた方の議員の商工委員会での質問について、自由民主党所属の衆議院議員が何らか関与しているのではないかというようなことがこれまた報ぜられているわけでございますが、この関与につきまして、その態様、程度等について捜査当局は既に把握をしておられますでしょうか。
○岡村政府委員 ただいま御質問の点につきましても、現在捜査しております事件の捜査の中身にわたることでございますので、お答えを差し控えたいと思っております。
○小澤(克)委員 もちろん態様、程度についての内容を言えということは、私はそんなことまでは申し上げませんが、捜査当局としてある程度捜査が進展し把握をしておられるのかどうかという外形的な事実だけでもお答えいただきたいと思います。
○岡村政府委員 同じ答えばかり繰り返しまして恐縮でございますが、何分捜査中でございますので、ひとつその程度で御了承いただきたいと思うのでございます。
○小澤(克)委員 現に捜査中でございますのでやむを得ないかと思います。お忙しいところ、どうも恐縮でございました。 それでは本題に戻りまして、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法についてお尋ねをいたします。 まず第一に、本法案によりますと、日本において外国法事務弁護士となり得る者は外国において弁護士でなければならない、原資格国法において弁護士でなければならないという限定があるようでございますが、この外国法事務弁護士の職務内容を見ますと、いわゆるコンサルティングのような職務内容となっておりまして、法廷に立つわけではない。そうなりますと、必ずしも外国における弁護士でなければならないという論理、必然性はないのではないかという感じがいたしますが、その点いかがでしょうか。
○井嶋政府委員 委員御案内のとおり、各国の弁護士制度はそれぞれの国の歴史その他の背景を受けて成立しておるものでございますから、中身は千差万別であるということは言えるかと思いますけれども、今回の法案で受け入れようとしております外国法事務弁護士は、我が国の弁護士のほかに新しい専門職としての資格を創設するというものではなくて、外国のそれぞれの国の弁護士をその資格のまま国内に受け入れて一定の範囲の法律事務を行わせるということが根幹でございます。そして国内で行います法律事務と申しますのは、法廷活動その他一定の活動を制限いたしますけれども、それ以外の活動できる部分というものはいわゆる一般的な法律事務でございますから、我が国の弁護士の職務範囲とその部分においては完全にダブるものでございます。この一般的な法律事務を処理するという仕事は、各個人、企業も含めた国民あるいは外国の依頼者、そういった者すべてを含めてやはり直接権利義務に関係を持つ仕事をするわけでございますから、それなりにその資格といいますか知識と申しますかそういったものがきちっと保証されていなければならないという面もございます。それが国内における法的生活の安定につながるのだということも忘れてはならない重要な目的でございます。 そういうふうに考えますと、結局それぞれの国においてその国の最高の法律専門職とされている者、すなわちそれぞれの国で弁護士として資格を持っている者、これを試験選考を経ることなくそのまま一定の範囲で資格、活動を認めることにするのが一番望ましい姿ではないんだろうかということから、外国における弁護士資格者に限るということを定めたわけでございまして、これが我が国での国際的法律事務の需要に対し適正に対処するゆえんではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。
○小澤(克)委員 次に、本法案によりますと、外国法事務弁護士と認められた者についても、その原資格国の法律については当然でございますが、その他の国の法律に関して法律事務の取り扱いをする場合にはさらに特定の外国法について法務大臣による指定を受けなければならないということにもなっているようでございます。これも大変窮屈な感じを与えるわけでございますが、取り扱い得る外国法を特定し、原資格法以外の他の法律について取り扱う場合にはまた別に指定を受けなければならない、このように限定的にする理由はどこにあるのでしょうか。
○井嶋政府委員 ただいまも申しましたように、この制度で受け入れます外国法事務弁護士は我が国における外国法に関する法律サービスの充実向上を図るということを目的としているわけでございます。したがいまして、それなりに良質のサービスを導入しなければならないという目的がまずあるわけでございます。そこで、先ほども申しましたように、当該外国において弁護士の資格を取ったということはその国の法についてはいわばその知識が制度的に保証されておるということでございますから、これをひとつ良質のサービスの基本的基準といたしまして導入しようということが今回の制度の基本的な考え方でございます。 確かに御指摘のように外国法一般について原資格国法以外の一般の外国法についても行わせてもいいではないかという御議論も傾聴に値いたしますし、諸外国における外国弁護士受け入れ制度におきましてもそのような職務範囲としている国もございます。しかし、このたびの日弁連と私どもで策定いたしましたこの制度は、冒頭に申しましたように良質な法律サービスを導入するという観点からそれぞれの国における有資格者の知識すなわち制度的に保証されている知識を導入しようという考え方から、職務の範囲を原資格国法に関する法律事務というふうに限定をしたわけでございます。ただ、それではやはり狭いという問題がございますので、先ほども御説明いたしましたが、この指定法制度というものを設けまして、原資格国以外の他の特定の外国についてその資格を持っているというような場合には、それが制度的に保証されているからその知識も活用しようではないか、またさらに、資格を持たないまでもそれと同等あるいはそれに準じて取り扱えるような人についてはその知識を活用してもらおうではないかということから、指定法という制度を設けたわけでございまして、要するにアプローチの仕方が外国法一般というアプローチではなくて、原資格国法という原則を持ちつつ広げていくアプローチということで対処しておるわけでございます。
○小澤(克)委員 それから、そもそも外国法事務弁護士という名称を使うことになるわけでございますが、この名称については弁護士会などでもいろいろ御議論があったというふうに漏れ承知しているわけです。弁護士というそのものずばりでもなく、かといって例えばリーガルコンサルタントに該当するような名称でもない。弁護士という言葉を一部含めた外国法事務弁護士、結局法案としてはそのような形に落ちついたわけですが、これはやや中途半端な感じがしないわけでもないのですけれども、このような名称になったことについて法務省としてはどのような御見解なんでしょうか。
○井嶋政府委員 こういう名称が選択されました経緯は、もう委員御承知のとおりだと思いますから省略いたしますが、やはり外国法事務弁護士は我が国の弁護士と同質性のある音あるいは仲間というような観点から、日弁連の自治に取り入れて、それぞれが自律し合いながら協力して我が国の国際的な法律事務に携わってもらうという観点で、弁護士という名前は不可避であるということから、こういう選択が行われたということでございます。 ただ、この外国法事務弁護士は、その職務の範囲が原資格国法、つまり外国の法に限定をされております。さらに法廷活動ができないという意味では、いわゆる英国のソリシターと同じような職務の範囲を持つわけでございます。委員はもう既に御案内のとおり、我が国ではソリシターの訳語は事務弁護士というのが定着をいたしております。そういった観点で、この外国法事務弁護士が取り扱います職務というのは、外国法に関する事務であり、かつ法廷活動をしないという意味で事務弁護士である、しかも弁護士の仲間であるというような要素を全部取り込んだ名前として私は妥当な名称であるというふうに思うわけでございます。確かに現在定着いたしておりませんので奇異に受け取られる向きがあるかもしれませんけれども、やはり定着すればそれなりに我が国の国民にも十分理解され、誤解を与えるようなことにはなっていかないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○小澤(克)委員 私の聞いているところでは、諸外国における外国弁護士の取り扱いでは、必ずしもその国における普通に言う弁護士という名称を使わせていない。必ずしもではなくて、諸外国では例がないというふうにも聞いているのですけれども、まず、諸外国の取り扱いについて主だったところ、ドイツ、フランス、イギリスあるいはアメリカ、アメリカについては州によって違いがありましょうが、代表的なところ、例えばニューヨーク州などについてどのような取り扱いになっているのか、教えていただきたいと思います。
○井嶋政府委員 御指摘のとおり諸外国で外国弁護士を受け入れております制度を持つ国、あるいは制度を持たないまでも受け入れている国がございます。それぞれの国におけるその資格名称について申し上げますと、アメリカの場合には現在三州開いておりますけれども、ニューヨークではリーガルコンサルタントでございます。それからミシガンとワシントンDCにおきましては、特別リーガルコンサルタントという名前になっております。それからやはり資格制度を持っております西ドイツにおきましては、レヒツバイシュタント、訳せば法律助言士といいますか補助士という名前になりますが、本来の弁護士はレヒツアンバルトということでございまして、名称には違いがございます。それからフランスにおきましては、弁護士はアボカと申すわけでございますが、外国から受け入れております外国弁護士の名称はコンセイユ・ジュリティツクという名前でございまして、これもやはり訳せば法律相談士というような名前になろうかと思います。それから英国あるいはベルギーといったような、いわゆる本来外国人も含めてだれでも自由に法律サービスができるという国におきましては、それぞれの国の資格の名称を使ってもよろしいということになっておりますので、イギリスあるいはベルギーで弁護士という名称が通用しますかどうかわかりませんが、それも使うことは可能であるということでございます。
○小澤(克)委員 最後のイギリスでございますが、日本語の弁護士は恐らく通用しないでしょうが、例えばアメリカ風にアトー二ー・アット・ローというような言い方をすることは勝手だとしても、イギリス固有のバリスター、ソリシターという言葉は使わせていないというふうに聞いておりますが、そのとおりでしょうか。
○井嶋政府委員 御指摘のとおりでございます。
○小澤(克)委員 そういたしますと、今出た中でも例えば西ドイツ、自国の弁護士についてはレヒツアンバルト、外国の弁護士についてはレヒツバイシュタントですね。それからフランスでは、自国の弁護士についてはアボカ、外国の弁護士についてはコンセイユ・ジュリティック。イギリスについては、今ありましたとおり自国ではバリスター、ソリシター、外国の弁護士にはその名称を使わせない。アメリカなどでは、自国の弁護士はアトーニー・アット・ロー、外国の弁護士についてはリーガルコンサルタント、あるいは特別というのが、これは原語ではスペシャルですか、というようなものが分けて使われているわけでございますね。その外国の弁護士についての名称の意味合いは先ほど教えていただいたわけですけれども、ドイツ語の場合は法律補助士、それからフランスの場合はコンセイユですから英語で言うコンサルタントでしょうし、それからアメリカではまさにコンサルタントということで、意味合いとしてはコンサルタントといった意味をあらわす名称が使われているということで、まず形式的にも分かれておりますし、内容といいますか意味合いとしてもコンサルタントといった意味合いのものを外国の弁護士には使わせているということになりますと、諸外国と本法律案とはちょっと扱いが違っているように思うわけです。我が国に関してのみ外国法事務という帽子はかぶっていても弁護士という名称をなぜ入れたのか、その点について御見解を賜りたいと思います。
○井嶋政府委員 日弁連内におきましてもただいま委員御指摘のような議論がございまして、諸外国では当該国の弁護士の名称を使わせていないということから、我が国の弁護士の名称を使うことは反対であるという議論が相当強く出ておったことは事実でございます。しかし、最終的に日弁連が本年二月二十一日の定例理事会において外国法事務弁護士という選択をされるにつきましては、圧倒的多数でこれをお決めになったというふうに承知しておるわけでございまして、これは日弁連の選択だったということはまず前提として言えるわけでございます。 ところで、なぜその弁護士という名称を我が国では使わなければならなかったのかということでございますが、先ほど来申しましたように、この制度は国際的な弁護士の交流でなければならない、弁護士の交流である以上は諸外国において弁護士の仲間として名実ともに受け入れるという形にするのが筋ではないだろうか、そういうことを考えますときに、むしろ諸外国においてこのような別の名称を与えることが将来の方向として果たして正しいのだろうかということが一つ言えるのではないかと思います。しかし、各国において資格の名称をどのように与えるかということはそれぞれ各国が選択し得ることでございまして、それを他国から批判をすることはできないだろうと思います。 我が国におきましては、御案内のとおり弁護士自治というものがございまして、弁護士の業務に関しては弁護士団体が自律し合って今日までまいったわけでございます。その同質性のある仲間として外国法事務弁護士を受け入れます以上は、やはり我が国独特の制度である自治がその人たちにも及ぶんだ、お互い自律し合うんだということを名実ともにあらわすためにはどうしても弁護士という名称が必要であるということでございまして、もし弁護士でない名称を今回の制度で与えるということになりますれば、それは異種のものを会内に取り入れたという形になるわけでございまして、そういった異種のものに弁護士の自治が及ぶのだろうかというような議論もあるわけでございます。そういったことがすべて会内で議論を尽くされました結果こういう選択が行われたわけでございまして、私は極めて妥当な名前であると考えております。
○小澤(克)委員 異種といいますか、外国法事務弁護士はその職務範囲が例えば法廷には立たない、訴訟代理人はやらないということですから、多かれ少なかれ異種なんですね。それを弁護士自治のもとに加えたということは、一つのポリシーといいますか判断であったかと思うのですけれども、弁護士自治の中に加えたということと弁護士という名称までも使わさなければならないということには何か論理必然性はないのではないかというふうに私も思いますし、そういう議論もあったと聞いております。法務省の方から、弁護士自治のもとに服するからには弁護士という名前を使うべきであるという強い意見があって、いろいろな議論があって結局は日弁連等でも承認されたというように聞いているのですけれども、どうなんでしょうか、その論理必然性があるということになるのでしょうか、その辺の御見解いかがでしょう。
○井嶋政府委員 この問題の解決だけが一番最後までかかって、制度要綱ができ上がったけれどもまだ仮称であったというような経過を踏まえて、一番最後まで会内の議論が行われたということでは、日弁連内においてそれなりにこの問題の重要性が認識されたということでもありますし、また私どもの立場からいたしましても重要な問題であるということも十分認識をしておったわけでございます。しかしながら、先ほど申しましたように弁護士の自治という世界に例のない独特の制度を持つ日弁連が、外国から受け入れる外国弁護士を自治のもとに取り入れて指導監督をしていくということを基本方針とされておる以上は、名実ともにその仲間であることがはっきりしない限り基本方針というのは貫けないのじゃないだろうかということを私どもは強く申し上げて、結局最後の選択としてそういう御決定があったということでございます。私どもはその御決定は正しいというふうに考えております。
○小澤(克)委員 必ずしも腑に落ちたわけではございませんけれども、日弁連の大勢がそれでいいということになったということでございますので、この点についてはこれ以上触れないことにしたいと思います。 そこで、具体的な場合に、本法案によっても四十七条関係、「外国法事務弁護士は、」「原資格国における外国弁護士の名称を用いることができる。」こうなっていますね。例えば、アメリカから来た弁護士が日本で外国法事務弁護士となった、名刺を出す場合に、日本で表示する場合にはどう表示するのか。私なんかが想像するところでは、原資格国法による弁護士であることについてはアメリカ合衆国弁護士とでも表示し、日本国をつけるかどうかはともかくとして外国法事務弁護士という二つの名称を並べるというようなことになるのじゃないかなと思いますし、英語で印刷してネームカードとして渡す場合にはまさにアトーニー・アット・ローと書き、そして外国法事務弁護士についてはどう翻訳してどう書くのかちょっとわからないのですが、どうなりましょう。
○但木説明員 名刺で具体的にどうお書きになるかは恐らく個性の問題であると思います。ただ、本法案でいろいろ義務づけをしておりますので、こういう範囲内でしか表示できないということで申し上げたいと思います。 まず、本法案の四十四条では「外国法事務弁護士は、業務を行うに際しては、外国法事務弁護士の名称を用い、かつ、その名称に原資格国の国名を付加しなければならない。」という定めがございます。これは、日本における仕事は、必ず日本の資格である外国法事務弁護士という資格を用いて行いなさいという規定でございますので、名刺でございましても、当然外国法事務弁護士(ニューヨーク州)という表示は出てくると思います。もちろん、名刺でございますので名前も出てくるかと思います。 次に、それ以外の表示といたしましては四十七条に規定がございます。「外国法事務弁護士は、業務を行うに際しては、外国法事務弁護士の名称及び原資格国の国名に付加する場合に限り、原資格国における外国弁護士の名称を用いることができる。」となっておりますので、まず前提は、先ほど言いました外国法事務弁護士(ニューヨーク州)というのがあって初めて原資格国における名称、すなわちアトーニー・アット・ローというのを名刺の上に書くことができるということになろうと思います。 そして、二項の方は、「外国法事務弁護士は、業務を行うに際しては、」「自己の氏名及び事務所の名称に付加するときに限り、法律事務の処理を目的とする原資格国の法人、組合その他の事業体で自己が所属するものの名称を用いることができる。」とありますので、ここでは、名刺ですと、まず自分の名前はありました、それから当然のこととして外国法事務弁護士(ニューヨーク州)というのもございました、その上に日本における事務所名、これは本法案の第四十五条に規定されておりまして、いわゆる当該外国法事務弁護士事務所に所属している外国法事務弁護士の氏名を用いなければなりませんので、A単独の外国法事務所であればA外国法事務弁護士事務所というのが入ってきます。それから共同経営でA、B、Cとやっておりまして、そのうちのA、Bだけ表示される場合には、AアンドB外国法事務弁護士事務所という表示が出てまいります。そこまでの表示がすべて書き連ねられておりますと、初めてローファームの名前をそこに付加することができるということになっております。 なお、英文と日本文の違いはほとんどございません。ただ、外国法事務弁護士というのを英語に直すことができるかどうかという問題がありますが、原則としては、外国法事務弁護士というのは固有名称であって、ローマ字で表示するのが原則であろうと考えております。
○小澤(克)委員 なるほど。そうしますと、私の疑問とするところは結局四十四条の解釈に帰着するわけですけれども、外国法事務弁護士の名称を用いるという場合には、日本語でこのとおり書けばこれはもう間違いないわけでしょうし、あるいは平仮名にすることも多分いいのでしょう。しかし、外国法事務弁護士が自国民に日本における資格を表示してネームカードを渡すということもあり得ることですので、その際に、今のお話だとローマ字でGAIKOKUHO JIMU BENGOSHIと書くのは四十四条には適法だということになるのでしょうが、原則だとおっしゃいましたけれども、これを英訳、英訳に限らず自国語訳にして表示することは四十四条に反することになるのでしょうか、どういうふうになるのですか。ちょっと私は英語がわかりませんので、もし訳すとすれば。
○但木説明員 先ほど申しましたとおり、外国法事務弁護士という名称は固有名称であって、それを日本の文字なりあるいはローマ字なりで表示するのが原則でございます。 ただし、御指摘のように自国民に対して外国法事務弁護士という名刺を差し出しても、必ずしも現在定着性があるとは思えませんので、自国民にとって全く理解ができない箇所になってしまう。したがいまして、そのような場合に、外国法事務弁護士という内容を正確に自国語で訳したものを使った場合に、なお四十四条違反として懲戒の対象になるかというようなことになりますと、そうはなかなか言えないだろうと考えております。結局、要は、四十四条が要求しているのは、外国法事務弁護士が我が国において行っている事務処理は我が国の資格に基づいて行われるものであること、この表示をしなさいということが一点。それからもう一点は、その名称の内容が、その業務の範囲において外国法に限られており、かつ訴訟活動、裁判所に出る活動については日本では認められていませんという内容が相手方に伝わるような、そうした内容の名称を用いなければならないということであろうと思います。 ですから、その二点の要件を満足している翻訳であれば、それによって四十四条違反ということで懲戒の対象になるというようなことではないように考えております。
○小澤(克)委員 率直に言って、自国民に資格を表示する場合、大変窮屈なような感じがするですけれども、現実にはGAIKOKUHO云々と書いて(リーガルコンサルタント)とでも入れるか、そんなことにでもなるのでしょうか。この点、これ以上質問してもしようがないと思いますので、御検討願いたいと思います。 それから、本法案によりますと、外国法事務弁護士が弁護士を雇用してはならぬ、それから、弁護士と共同事業を行ってもいかぬという規定があるわけですけれども、このような規定を入れた趣旨及び逆に弁護士が外国法事務弁護士を雇うがごとき形式をとって、実際には主客転倒して外国法事務弁護士の方がイニシアチブをとるというような形態で、いわば脱法がなされ得るのではないかという危惧を持つわけですけれども、この点についての御見解を賜りたいと思います。
○但木説明員 四十九条の趣旨は、外国法事務弁護士が日本法に介入してくることを防止するための規定であります。 もう少し詳しく述べますと、外国法事務弁護士が日本の弁護士の日本法に関する法律事務を処理することによって得た収入、収益に依存するというようなことになりますと、外国法事務弁護士が必然的に日本の弁護士に指揮命令して一定の介入をする道を開くのではないかということにかんがみまして、外国法事務弁護士が我が国の弁護士を雇用したり、あるいは我が国の弁護士と共同経営をし、あるいは我が国の弁護士の収益の分配を受けることを禁止した規定でございます。 なお、委員御指摘の御懸念でございますが、仮に外国法事務弁護士が我が国の弁護士を実質上雇用し、形式上逆に我が国の弁護士が外国法事務弁護士を雇っているような仮装をした場合、このような場合には四十九条の一項に違反いたしますので、当然、懲戒の対象になると考えております。それで、その脱法行為の監督につきましては、当然弁護士会あるいは日弁連の監督という作用によってこれを適正に規律していくということになろうかと思います。
○小澤(克)委員 今、若干、弁護士自治といいますか懲戒あるいは綱紀委員会等にかかわる点がございましたので、関連してお伺いしたいのですが、この法案によりますと懲戒委員会あるいは綱紀委員会等に政府職員を入れるということになっております。これは従来の弁護士自治からいたしますとちょっと違った要素が入るのではないかという感じを受けるわけでございますが、このようなものを入れることにした理由及び具体的に政府職員といってもどんな方を予定しておられるのか、その辺お考えを伺いたいと思います。
○井嶋政府委員 現行の弁護士法によりましても登録あるいは懲戒につきましてはもちろん弁護士自治にゆだねられておるわけでありますが、その審査をいたします委員会あるいは懲戒委員会といったところに公正を担保するという観点から裁判官、検察官、学識経験者という外部委員が加わっておるということが現行の制度でございます。今回の外国法事務弁護士に関連いたします登録審査会あるいは懲戒委員会にも同じように公正を担保するという観点から弁護士と同様の外部委員を入れることといたしておりますが、それに加えて政府職員を入れるということが新しい制度になっておるわけでございます。 これは具体的には日弁連との検討会の過程で合意をしておるわけでございますが、一つは法務省職員、一つは外務省職員を考えておるわけでございます。法務省職員が入ります理由でございますけれども、これはこの制度では資格の承認が法務大臣の権限となりました。したがいまして、この資格の承認という観点から特に資格審査会といったようなところにおきましてはこれが問題になるということで法務省職員とのかかわり合いが出てくる。さらに外務省職員につきましては、相互主義の要件の存否といったようなことあるいはもっと一般的に外国法事務弁護士になるのはほとんどが外国人であるというようなことから、外国政府とのいろいろなかかわり合いも出てこようというような観点、あるいはもう少し広い視野からの公正さの担保というような観点、そういったことを目的といたしまして政府職員として法務省及び外務省を入れるということになったわけでございまして、結局外部からの委員の参加がいろんな分野に広がることによってより広い視野からの議論を踏まえて登録審査あるいは懲戒の審査が行われることが期待されるというところにこの新しい制度の考え方があるわけでございます。
○小澤(克)委員 この点は、現行の弁護士そのものに対する懲戒委員会あるいは綱紀委員会等で外部の者を入れることについてはいろんな議論があろうかと思います。外部者を全部排除すれば、いわば仲間内でかばい合うみたいな弊害も起こりかねないというのは事実でございますし、また逆に外部の者がたくさん入ることになればこれまた弁護士自治を侵害するおそれもなきにしもあらずということで、いろんな議論があって結局現状のような形に落ちついているんだろうと思いますけれども、しかし今回は今までの外部の方とは違って政府職員、これは行政庁に所属する方ということでございますので、強大な国家権力を背景にしていることは否定できないわけでございまして、弁護士自治との関係で緊張関係が生ずることも全く杞憂とは言えないではないかという感じがいたします。この点についてはいろんな議論の上で弁護士会も承認してこういうことになったんでしょうからこれ以上どうこう言うつもりはございませんが、今後の運用に当たっては弁護士自治について十分な配慮をお願いしたいということを申し上げておきたいと思います。 そこでさらに、この懲戒委員会あるいは綱紀委員会には当の外国法事務弁護士の代表者は入らないというように読めるのですけれども、そのことと関連いたしまして、しかも五十九条ですか、日弁連がなした処分については、「行政不服審査法による不服申立てをすることができない。」これは現在の弁護士に対する制度をそのまま踏襲したものだろうと思いますけれども。ということになりますと、外国人の場合非常に権利意識が明確でございまして、自分の権利は自分で守るという意識が強い方々が多分多数いらっしゃるだろうと思うのですが、委員会に自分たちの代表もいない、しかもその結果については行政不服審査という行政内部での不服申し立ての方法がない、あとは司法救済だけということになりますと、何か外国人から見て不当支配ではないかという印象を与えないだろうかなということを若干危惧するわけでございますが、その点についてはいかがでしょうか。
○但木説明員 委員御指摘のとおり、外国法事務弁護士は外国法事務弁護士懲戒委員会の委員になるというようなことは本法案上まずないということになろうかと思います。ただし学識経験者として別の面から選ばれるということは可能性は否定いたしませんが、それ以外の道は閉ざされておるわけでございます。しかしながら先ほどの答弁にもありましたように、本制度におきましては相手方が外国の弁護士資格者であること、その多くが外国人であること等の特殊性を勘案いたしまして、政府職員を入れ、より広い視野から内部でディスカッションしてもらうということによって公正さを担保しようとしておるわけでございます。 なお、先ほど強大な国家権力というようなお言葉もございましたが、この外国法事務弁護士懲戒委員会の委員というのは決して国家権力が直接権限を行使するものではなくて、まさにその委員になった個人がそうした自己の見識あるいは経験に基づいてその委員会の中で発言するということでございまして、決して御懸念のようなことはないものと考えております。 なお、細かい問題といたしまして、本法案の五十九条で「行政不服審査法による不服申立てをすることができない。」とされている理由についてもお尋ねでございましたので、あわせて申し上げたいと思います。 委員御指摘のとおり、これは現行弁護士法四十九条の二に同じ規定がございます。これは昭和三十七年に設けられました行政不服審査法の適用関係について弁護士法で特例を設けておるわけでございます。この特例を設けました理由はおおよそ二つだと言われております。 その一つは、「日本弁護士連合会がこの法律に基づいてした処分」というその処分の中身ですが、これは登録拒絶であるとかあるいは登録取り消しであるとかあるいは懲戒であるとか、そういう処分でございまして、いずれも日弁連の合議体の中で慎重な手続に従って審議され、かつ、議決されたその議決に基づいて日弁連が行った処分でございます。したがいまして、仮にこれについて不服申し立てを認める、つまり日弁連の処分に対して日弁連に対する異議申し立てを認めるということになりますと、今度は機関たる日弁連が合議体の意見とは別な結論を出す余地を与えてしまうかあるいはさらに合議によってもう一度慎重手続を繰り返すか、いずれにいたしましても、弁護士法がその各委員会の慎重審議にゆだねました法の趣旨に反するということでこの規定が設けられたのだというふうに言われております。 また、もう一面では、この不服申し立ての相手として法務大臣に対して審査請求ができるかという疑問がありまして、それは上級官庁ではないという趣旨を明らかにするためだとも言われております。今回これと同種の規定を五十九条に設けたわけでございますが、その趣旨は弁護士法の四十九条の二と同様の趣旨でございます。
○小澤(克)委員 私の疑問とするところは、外国法事務弁護士が自分たちの代表を通常は各種委員会に送り込むこともできないし不服申し立てもできないということになると、何か自分たちの権利が、権利といいますか利益が制度的に手続的に保障を欠くのではないかという印象を与えかねないわけでございますので、この点についても運用上ぜひ公正、妥当な運用をお願いしたいと思うわけでございます。 最後に大臣にお尋ねして、質問を終わりたいと思います。 この法案によりますと、外国法事務弁護士としての資格を付与するといいますか法務大臣が承認をする、それからまたさらに原資格国以外の法律について取り扱う場合にはその特定の外国法について法務大臣による指定を受けるということになっておりまして、法務大臣の関与する場面があるわけでございますけれども、これらの運用に当たってどのような方針で臨まれるのかお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
○鈴木国務大臣 先ほどの御質問の方にも申し上げましたが、基本的には日本の司法制度、その中で最も重要な三本柱の一つであります弁護士制度の改革につながる問題でありますけれども、弁護士の自治権というもの、この点はたびたび申し上げておりますように尊重してまいらなければならない、かように考えます。その中において、時代の趨勢に応じてこれまた取り入れていかなければならない制度でございましたので、十分日本弁護士連合会とも話し合いをして、その御意見に基づいた法案、しかもまだ検討いたしました結果、政府といたしましても、これが現在のところ最も妥当なものであろうと考えてまいった次第でございますので、そういう基本方針を貫いてまいらなければならぬと思います。先ほど政府委員からもたびたび御答弁申し上げましたように、承認する場合にも日本弁護士連合会の意見を聴かなければならないということに相なっておるわけでございますから、そういう点は十分これからも日本弁護士会の自治権、日本の司法制度の根幹の中でこれを適切に運用していくということは、そういう条文等も十分考えながら運用してまいりたいと考えておる次第でございます。
○小澤(克)委員 終わります。
○福家委員長 次回は、来る二十二日火曜日午前九時三十分理事会、午前九時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時十六分散会