法務委員会 第7号
- 発言数
- 280 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1986/04/16
会議録
○上村委員長代理 これより会議を開きます。 委員長所用のため、委員長の指名により私が委員長の職務を行います。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所上谷民事局長兼行政局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上村委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○上村委員長代理 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
○松浦委員 まず、刑事局長にお尋ねをいたしますが、一連の撚糸工連の事件、きょうが一部満期になると思うのですが、その点についての状況をちょっと御説明いただきたいと思います。
○岡村政府委員 お尋ねの件でございますが、贈収賄事件の満期が本日になっておりますので、本日東京地検において処分をいたすものと思っております。
○松浦委員 その件について、我々社会党の調査について具体的に今から通産省、それから法務省にお尋ねをいたしたいと思うのです。 実は三谷健一という経理課長が告訴されてからこの事件が具体的になってくるわけですけれども、この起訴された事実について我々は現地調査をいたしました。起訴事実になっておるダミー十三台の問題ですが、そのうちの十台、これは固有名詞不詳でありますけれども大企業から、通常言う大企業という範疇に入るのかどうかわかりませんけれども、繊維関係では一応大企業に入ると思うのですが、我々の現地での調査では固有名詞は不詳でしたけれども、大企業から十台の無籍の機械が五十七年に持ち込まれまして、それが五十年に遡及して無籍機を有籍機に登録をして政府に買い上げをしてもらった、それが検察の起訴事実として、内容的なものは発表されておりませんが、我々が調査した範囲内ではそうなっておるわけですが、大企業から買い上げ対象にならない機械が十台送り込まれて、そのうちの六台は松本乙男という人のところに実は持ち込まれておるわけです。そしてその六台は全く組み立てておられない、もう大企業からばらばらにして送ってきた、そのばらばらの状態で六台この松本という人の家に、織物業者ですが、家に置かれておるわけですね。そしてそれを三人の人が立ち会っておるわけです。買い上げる対象になるかどうか三人の人が立ち会いをしておる。そしてその一人は石川県撚糸工業組合の代表、一人は石川県の県の代表、一人はこの工業組合で雇用しておる監視員、不正がないように監視をする人、この人が三人で実は立ち会いをしておるわけですね。 ところが、常識的に言いまして、政府が買い上げる機械というのは稼働しておる機械を確認をして登録をして、そしてその機械を確認した上で破砕をする、壊す。ですから初めからばらばらになっておる機械を登録機械だとして確認すること自体はもともと違法なんですね。ですから複数の人が立ち会って監視をする、そういう制度になっておるのですね。ところが、ばらばらになっておる機械ですから、これはもう初めから対象にならない。そこで疑問を持たなければいかぬ。にもかかわらず、写真を見ることによってこれは登録された機械であるという確認をして政府買い上げの対象にしたのですね。 こういうことは逆に言うと、今そのうちの一人は身柄を拘束されておるという話ですが、三人の複数、通常四人とこう言われておるのですが、この場合は三人でしたけれども、そういう不正がないように三人が立ち会っておるにもかかわらず、こういうことが行われる。しかも、そういうことについて何ら行政側の指導がなされておらない。そういう点について通産省の方は確認をされた上に、今後どのように対応しようとしておられるのか、その点をひとつ説明員の課長さんの方からはっきりお聞かせをいただきたいというふうに思うのです。
○江崎説明員 先生御指摘の本件にかかわる事項でございますが、事実関係につきましては現在検察当局におきまして鋭意究明が行われているところでございまして、通産省としまして必ずしも全貌について正確な事実関係を申し上げる立場にはないのでございますけれども、ただ、これまでの私どもの職員を含めまして関係者からの報告によりますと、先生の御指摘のような事実があった可能性は非常に高いというふうに我々も思っております。もしそうだといたしますと、この設備共同廃棄事業の買い上げの要件であります現に運転可能であるということには少なくとも違反しておるわけでございまして、こうした設備を買い上げ対象にしたということは御指摘のようにチェック体制に欠陥があったというふうに言わざるを得ないと思います。 今回の不正事件を見てみますと、私どもの承知しております範囲では、買い上げの要件に三つの点で違反があったというふうに思っておるわけでございまして、今御指摘になりました現に運転可能であるという点でまず違っていたということもございますし、それから、そもそも登録されていない設備を登録されているように装ったとか、あるいは組合員でない者が所有しておった設備を組合員のごとく装って買い上げさせたというような点で問題があったかというふうに承知しておるわけでございます。 こうした不正を今後二度と起こさないようにするという観点から、私どももこの設備共同廃棄事業の制度のあり方につきまして、またその運用のあり方につきまして現在総点検を行っておりまして、その中で少なくとも制度を存続させるかどうかも含めて抜本的な見直しをやっておりますが、仮に存続するということになりましても、先ほど申し上げましたような問題点を踏まえまして、少なくとも設備共同廃棄事業の対象設備を現地で確認する方法につきましてまず改善する必要があると思っております。 それから第二に、設備の破砕につきまして、これも今回解体されておったという問題がございますが、そのほかにも破砕について徹底しないことからいろいろなトラブルが生ずる可能性があるということが考えられますので、二番目にその設備の破砕の徹底の問題を改善したいというふうに考えております。 それから三番目に、今回登録されてない設備が買い上げ対象になったということを考えますと、登録制の運用の問題、その制度のあり方につきまして改めて見直す必要があるということで、少なくともその三点を踏まえた制度のあり方の総点検をしたいというように考えております。
○松浦委員 今課長が言われたように極めてずさんですね。そしてその六台は松本さんという家に行ったのですが、残りの四台は塩浦康作さんという土建屋さんのところに行っているのですね。全然織物と関係のない土建屋さんのところに四台あって、それが買い上げの対象になっておるのです。こんなことは事前にチェックすればはっきりすることでしょう、土建屋なんだから。その点についてぜひ今課長が言われたように監視体制をどうして強化をするのかぴしっとしていただきたい。そして宮本班長も来ておられますけれども、この前石川県の人が、我々が現地で追及したら非常にあいまいな答弁をされましたね、責任の権限については。ここでは申し上げませんけれども、ぜひそういった意味では立ち会う人の責任というものももっとはっきりさしていただきたい。立ち会った県の代表の方も非常にあいまいなことを言っておられる。通産からそういうところまでは委任を受けておりませんと。そういう点についてはここでは取り上げませんから、御報告が行っておると思いますので、ぜひ対処をしていただきたいというふうに思います。 それから、これは刑事局長にお尋ねをいたします。実は六十年九月十二日に告訴された三谷健一氏が話をした内容の中にあるのですが、経理課長ですから、実は政治献金について昭和五十五年度までは表帳簿に記載をしておったというのですね。この三谷さんという人ばこう言っておるのです。「一時ですね、変な話、最初五十五年ごろ税務署から、表から出していたんですが、だけど一応使途不明金ということで課税対象にしていただいて、それ以来使途不明金として課税対象にしていただいておるのです。」こう言っておるんです。ですから五十五年度末までは明らかに撚糸工連の表帳簿にどの政治家に幾ら、だれに幾らということがずっと書いてあったのですね。政治献金と書いてあった。その帳簿は実は私たちが調査した範囲内では、すべて特捜部に押収されておりますから確認はされなかったのですが、そういう帳簿は存在しておるのかどうかをお聞かせいただきたい。内容は触れませんが、そういう帳簿が存在しておるのかどうかお聞かせいただきたいと思います。
○岡村政府委員 表帳簿と申しますか、元帳とか現金出納帳といいました各種の帳簿類を東京地検におきまして現在押収しておることは事実でございます。
○松浦委員 そして、そういう内容について記載をしておる帳簿についても存在しておることを確認しておられますか。
○岡村政府委員 ただいま御質問をいただきました点につきましては、何分捜査中でございますので、帳簿の記載内容がどのようなものであるかということにつきましては答弁を差し控えさしていただきたいと思います。
○松浦委員 いや、事前にそういうものについてお尋ねをしておきましたが、そういう帳簿の存在があるということについての確認は、我々としてしておるのですけれども、内容的には触れませんが。その点についてもお答えできませんか、事前にそういうお答えが来ておるのですが。
○岡村政府委員 ただいま申し上げましたように、元帳とか金銭出納帳などいわゆる表帳簿と言われるものを押収しておるということ、これは事実でございます。ただ、その内容がどういうものであるかということにつきましてお答えいたしかねる、こういうことでございます。
○松浦委員 この三谷さんというのは経理課長ですから、その帳簿が持っていかれておるとこの人が言っておることは事実だし、そういう帳簿が押収されておるというふうに理解してよろしいですね。
○岡村政府委員 私からは何とも申し上げられませんので、ひとつ御了承いただきたいと思います。
○松浦委員 さらにもう少し具体的にお話をさしていただくと、この三谷さんという人は——政治献金についてまず申し上げておきますが、出されておるという事実だけを私は申し上げておるので、そのことがいいか悪いかの判断をここで申し上げるつもりはありませんから、そういう点はひとつ御理解をいただきたいと思うのですが、この事実を事実として申し上げておきたいと思うのですが、政治献金について、一番近い先生は稻村さんです、こう言っているんですね。それからだれに渡したかということについて、それは牧野さんという方ですということも言っておられますね。それから国会議員であとは近い先生はどなたさんですかという質問に対して、武藤さんです。それからそのほかの人はということについては海部さんです、一応それは三羽ガラスと言っているんです、こういうふうに三谷健一さんという人は政治献金についての事実を言っておられるのですね。しかし、そのことが帳簿に記載されておるかどうかは別です。ただはっきりしておりますことは、五十八年十二月に設立されました稻村佐近四郎石川県繊維産業後援会、これは丹後清という人が代表者になっておるのですが、この方に百万円の献金が出されておるという事実は、政治資金規正法の届け出の中にはっきり出ておるのですね。百万円、これだけは金額が出ておる。ですから政治献金が出ておったという事実はこれでもはっきりすると思うのですね。ですから、この三谷さん、三谷健一容疑者が言っておる内容というのは、私は非常に重要な意味を持っておるというふうに思っておるのです。 それで通産の方にお尋ねをいたしますが、中小企業団体法七条三項に特定の政党にかかわることは禁止されておるわけですね、罰則規定はありませんけれども。ところが、にもかかわらずこういうことが平気で行われておる。しかも表帳簿に記載をしておる。表帳簿に記載をしておったということは、これは私は、悪いことではない、当たり前のことだという意味で撚工連の表帳簿に政治献金が記載をされておった、こう思うのですが、現地で業者の皆さんとお話をしてみましたら、そういう政治献金はいけないことですよというような指導は全くないと言う。本当にないのですかと聞きましたら、いえ、そういう事実は全くありません、こういう答弁なんですね。 この七条三項の規定について、通産の方は厳重に事前に指導をしておりましたという御答弁が再三にわたって返ってきておるのですが、現地ではそういう確認がなされておらない。ですからこういう工業組合の人たちは、政治献金をするのが当たり前だ、こう思い込んでおる節があるのですね。そういう点について御指導なさっておられたのかどうか、これからどういう御指導をなさろうとするのか、あわせてお聞かせいただきたいと思います。
○江崎説明員 まず、通産省といたしまして、撚糸工連がいわゆる政治献金をしていたかどうかという点につきましては、私ども事実関係を把握しておりません。今回の事件が起こりました昨年の夏以降も、撚糸工連の事務局等を呼びましてこの問題について事情を聴取しようとしましたけれども、先方は説明を避けておりまして、私どもとしては、そういうことがあったのかどうかという点については事情を把握しておらないわけでございます。 それはそれとしまして、先生御指摘の中小企業団体の組織に関する法律、これは撚糸工連等のいわば根拠の法律になっておるものでございますが、この法律の第七条の三項に「組合は、特定の政党のために利用してはならない。」という規定がございます。これはややあいまいな表現ではございますけれども、組合は、いわゆる組合員の経済的地位の向上を図るのが目的であって、そういう趣旨からいいまして政治的な中立性を保持しなければならないという趣旨だろうと思います。 〔上村委員長代理退席、村上委員長代理 着席〕一般的に申し上げまして、仮に組合が政治団体とかあるいは政治家に献金をしたということが直ちにこの条文の違反になるかどうかという点は、なかなか微妙な点がございまして、ケース・バイ・ケースで考えなければならないとは思いますけれども、ただ、一般的に言いまして、こうした経済団体というのは中立性を保持しなければならないという条文の趣旨にかんがみますと、政治献金などをするのは少なくとも好ましくないというふうに我々も考えております。 これまでこの趣旨の徹底につきまして、私どもとしましては、各種の中小企業団体といいますか、組合の中央の組織であります全国中小企業団体中央会というのがございますが、この団体に対しまして、各組合の政治的中立を保持するようにという通達を中小企業庁の長官名で出しておりまして、その中央会を通じまして各組合にもこの趣旨が徹底されるということを期待しておったわけでございますが、先生御指摘のように産地の組合に必ずしも十分徹底してないことがあるとすれば、私どもとしては非常に残念なわけでございまして、改めてこの趣旨が徹底されるように団体の指導に努力してまいりたいというふうに考えております。
○松浦委員 刑事局長に一般論としてお尋ねをいたしますが、ある特定の政治家が、要するに無籍の機械を有籍にして買い上げてほしいなら、その売上金の五%をおれに出せという発言を会場の席上ですることは、これはどういう行為になりますか。一国会議員、Aという国会議員が業者を集めて、そしてその業者に対して、ここで言う言葉で言えば、皆買い上げを希望しているのかどうか、してほしいということなのか、みんなが買い上げてほしいというのなら、私に頼むなら、どうなのか、そしたら買い上げてもらいたい、そこまで言うなら売り上げの五%をおれに出せ、こういったことを会合で言ったと、ここでテープで発言をしておる人がおるのです、石川県の人ですが。 そういう事実が仮にあったとしたら、その政治家はどういうことになりますか。これはやはり別段犯罪行為とかなんとかには、犯罪という言葉は悪いですが、免責、何もない、議員の職務権限でも何でもないからそれは無罪放免ということになるでしょうか、その点ちょっと見解を教えていただけぬでしょうか。
○岡村政府委員 突然のお尋ねでございまして、何らかそこに犯罪が構成するのかどうか、ちょっと今の段階でお答えいたしかねるのでございます。
○松浦委員 もう一遍言いますよ。私、非常に疑問に思うから、突然のお尋ねじゃなくて、ここに書いてあるから尋ねるのですよ。ある、ここでは繊維ですから繊維の機械、これは無籍なんですよね、有籍でない、その機械を買い上げてもらいたいならその売上金の五%を私に出しなさいと。そして結果的に出したわけですよ。一般論として、そういうのはどういうふうに判断されますか。一般論だから答えられませんか。
○岡村政府委員 一般論でございますし、ちょっとお答えいたしかねるところでございます。
○松浦委員 ここに書いてある事実は、私は、もう特捜部では調べておられることだと思うのです。ですから、捜査に支障があるといかぬから私は伏せておるのですけれども、起訴の結果が出たら発表していいと思うのです。起訴か不起訴か現在の状況が発表されたら、政治家だけが別のところに置かれるわけですから、実行行為者だけが処罰されて政治家だけが別のところでシロ、クロはっきりせぬまま放置されるわけですから、その段階では私はこの事実を国民に発表しようと思うのです、こういうことをしたって政治家は別段処罰されませんよと。 まねする人がたくさん出るでしょうね。ですから私は一般論として刑事局長にお聞きをしておるのですよ。一つの目的を持って、はっきりしておるでしょう、買い上げてもらいたいならまず登録をしなければいかぬ。ですから、これを登録して政府に買い上げてもらいたいならその買い上げ金の五%をおれに下さいよと政治家が言う。そして政治献金をもらう。そのことについてはお答えができないということであれば、これはケース・バイ・ケースで、場合によっては無罪放免という場合もあるというふうに私は理解するのですが、そういう理解でいいでしょうかね。
○岡村政府委員 結局のところは事実関係に基づきましてケース・バイ・ケースで判断されることになるわけでございますが、小田理事長に対します高度化資金の詐欺事件の公訴事実といたしまして、この詐欺の際に用いました欺罔手段の一つといたしまして、板より機がいずれも登録仮より機であるかのようにうそをついた、これが一つの欺罔手段としてとらえて起訴しておる、こういう事実はございます。
○松浦委員 これは起訴されておる事実以外のことなんですね。それは一部分のものなんですよ。ダミー十三台についてですね。ところが、我々の調査によりますと、別のところでこういうことが公然と行われている。ですから今お尋ねをしたのであって、私はまたそのことについては後からお尋ねをいたします。 通産省にお尋ねをいたしますが、三谷さん、経理課長の話によると、この預かり金を商工中金に預けて、利付証券ですね、利子つき商工債券を買わす。ところが、勝手に撚工連の幹部がそれを引きおろして株に投資をする。株に投資をして五千万の欠損金が出た。そうしたら、それは個人が勝手にやったことだから個人がその五千万の欠損金を払えばいいんだけれども、それをどういうわけか指導を受けて、これも国税庁の指導とこの人は言っていますが、撚工連の欠損金に五千万とこう入れておるんですね。そしてこの三谷さんという人はこういうことを言っておるんです。要するに、通産省に提出をする帳簿、この帳簿は、言葉で言うとおかしいんですが適当な帳簿であって、二重帳簿をつくって、決算書は通産省に出せばいいんだ。ですから決算書は確かに通産省に提出するようになっておりますけれども、その提出された帳簿というのはまさにいいかげんな帳簿であって、そして実際は二重帳簿で処理しておるんですよ。そういうことをこの人は、三谷経理課長というのは発言しておるんですね。ですからここに決算書が、これは全部通産からいただいた決算書ですけれども、この決算書なんていうのは要するに二重帳簿で出しておるんだ、そうすると通産の方はこれで文句なしにオーケーで通っていくんだ、簡単に言えばそういうことをこの三谷さんという人は言っておるんですね。 課長さん、これは国民の税金ですが、それは人を信用しておられるといえばそれまでですけれども、しかしそういうところまで厳しくチェックがされておらない。まさにこの決算書というのはいいかげんな決算書なんだということを当事者である三谷本人が言っておるわけですよね。こんなに甘い決算書のチェックというのがなぜ行われるのか。国民の税金であれば私はもっと厳しくチェックされるべきだと思う。しかも預かり金をリッショー、商工中金に預けなさいというのは、法律上の問題ではないけれども、通産省の行政指導としてそういうことが実は行われておるんですよ。そういう点について通産省の方はなぜそこまで厳しくなさらなかったのか。それで検察当局に逮捕されてみて、慌てていろいろ決算書を調べ上げるというようなことじゃ私は問題は解決しないと思うわけですよ。そういう点についてのお答えをいただきたいと思います。
○江崎説明員 決算関係の書類につきましては、毎年度、中小企業団体の組織に関する法律に基づきまして私どもに提出されるわけでございまして、私どもそれを受け取りまして書面によるチェックを行ってきたわけでございますが、こうした決算関係の書類は、撚糸工連の理事会あるいは総会等の議を経ておりまして、かつまた監事等の意見も付してございまして、適正に処理されているというような記述がございます。こういうこともございまして、私ども書面によるチェックでは今回のような問題を発見できなかったわけでございます。そういった意味で非常に責任を痛感しておりますが、今後撚糸工連の経理につきましては過去にさかのぼりましてもう一度全般的に調査を行う必要があると考えておりまして、その過程で、先生御指摘のような、例えば株式への投資等の問題が発見できればその時点で明らかにし正していきたいというふうに考えておる次第でございます。
○松浦委員 念のために、この三谷経理課長の言っていることを申し上げておきます。 昭和五十五年ごろ税務署の定時監査があったときに、そのときに取引をやっているということがわかりまして、それについて一応それが個人への貸付金なのか団体がやっているのかという選択を迫られまして、団体がやっているんだということで決着はついたんです。それに関しては、はっきり言って穴があいたんです。運用については理事会の承認を得ていない。結局、理事長がやろうということで走ったんですよ。だから、決算上税務署は欠損を出しなさい。表向きの決算の上では株をやったということは言えませんので、今度税務署への申告と理事会への申告は二重帳簿になったんです。こうなっている。ですから、ここの経理というのはもう初めからめちゃくちゃな状況なんですよ。 これはまだまだいろいろなことをたくさん言っておりますが、そういう事実を見ますと、国民の税金がそういう制度の中で全く悪用されておるのです。しかも、それに対して通産省はチェック機能が全く働いておらない。もう業者に任せっきりだという事実が出てくると思うのです。 そして、これも内部投書ですから名前を申し上げるわけにいきませんが、この撚工連の決算書を見ますと、昭和五十年から五十八年までの十一期にわたっての決算書が出されている。この中の旅費交通費というのが、当初は百十九万で出発したものが、第五期の決算になりますと八百六十一万、ところが、第六期の五十二年十月一日決算になりますと千三百万、五十四年十月一日の決算で一千六百万、昭和五十五年の第八期決算で一千二百万、昭和五十六年度の九期で二千三百万、十期の五十七年十月一日決算で二千二百万というふうに、事業規模は変わらないのにこの旅費交通費というのが急激に膨らむんですね。それで内部告発は、架空の旅費、出張費でその出張費を浮かして、それが政治献金の裏金に使われた、こう言っておるんですよ。この決算書を見てそういうことは気がつかなかったですか、課長さん。
○江崎説明員 旅費交通費の問題でございますが、先生御指摘のように過去をさかのぼってみますとかなりの幅で変動がございます。こうした旅費交通費の性格を考えてみますと、設備共同廃棄事業の実施時期、こうした時期に現地の確認等に行ったりいたしますので、そういう時期に膨らむという事情がございますので、年度によってかなりの変動があり得るわけでございまして、その意味で大きく膨らんだから直ちにこれが異常だというふうに決めつけるわけにはなかなかまいらないわけでございまして、そういった意味で私どもこれをもって直ちに異常と決めつけて立入検査等をするという事態には至らなかったわけでございますが、これも今御指摘のような問題も含めまして、過去全般にさかのぼりまして改めて調査を行いたいというふうに思っておりますので、その中で、今のような架空の旅費等の経費を落とすようなことがあったのかどうかという点もぜひ確認してみたいと思っております。
○松浦委員 これは調べるにも、みんな特捜部に書類が行っておるから調べられぬですよ。みんな検察が握っておるわけですから。ですから、私は確かに、相手側が悪いことをしておるからということで検査をするということは、これは行き過ぎかもしれません。しかし、税務署が定時検査をするわけでしょう。ですから、通産だって定時検査をすればいいのですよ。ですから、そういう疑問を持って、これは当然だと判断をするんじゃなくて異常だという判断をしてすぐに定時検査に入るなりチェックをするなりしておれば、そういう架空の出張旅費を浮かして政治家に金を回すようなことは防ぎ得たのですよ。私はそう思います。 これは刑事局長にお尋ねしますが、私は、特捜部の方ではそういうことまで突っ込んだ調査をしておられると思うのですが、それもお答えできませんね。もうこっちからお答えを言うようなものですが。
○岡村政府委員 やはり捜査の内容にわたります事柄につきましては、お答えを差し控えたいと思っております。
○松浦委員 商工中金が、当初予定されておった金額よりも急激に商工中金に対する預かり金が減った、それで撚工連に対して注意が行った。それで初めてわかったわけですよね。それで三谷という人が問題になってくるわけですが、そういうときに、商工中金と通産との間に、同じ政府機関だけれどもパイプは全然ないんですか。通産省は行政機関で商工中金というのは別人格であるけれども、扱っておる資金は国の金ですから、そういう点についてのパイプのつながりはないんですか。
○江崎説明員 私どもの承知しておりますところでは、五十九年の秋ごろに三谷元経理課長が膨大な金額を無断で引き出したというふうに承知しておりますが、その時点で直ちに商工中金あるいは中小企業事業団の方から私どもにそうしたことが起こっているという連絡はなかったわけでございます。
○松浦委員 そういうのは当たり前なのかですね。そういうことについては、これからもこの制度が仮に続くとすればそういう制度はそのまま続いていくわけですけれども、そういうものについてのチェックは今後どうされますか。
○江崎説明員 今後の資金管理のあり方といたしまして、商工中金あるいは事業団と私どもとの連絡体制というものも改めて見直しまして改善する必要があるというふうに考えております。 それから先ほどの経理関係の書類でございますが、これにつきましても今後単なる書面審査だけではなくて、場合によっては撚糸工連等に直接行って各種の書類等を見るというようなことも含めて監督の仕方を改善していきたいというふうに考えております。
○松浦委員 課長さん、これはやはり三谷経理課長が言っておることですから、最後にこれを申し上げておきますけれども、「変な話だけれども、通産省へ毎年の決算鞍は提出はしていますけれども、公式文書ですね、それはいろいろな関係から役所はもらっているんでしょうね。こういう不祥事があったとき初めて関与するんですよ。」ですから、ここで言っていることは、上がっておるからこういう変な言葉になっておりますが、毎年度決算書を出すけれども、そのときには余り問題にならぬけれども、何か不祥事が起こってくると慌ててチェックをするんですよ、初めて決算書や何かに関与してくるんですよ、こういうことを言っておるのです。そして、ここは言っていいかどうかわからぬけれども、「だから最初から役所がつるんでいる」、つるんでいるという言葉は、これは石川県の方言なんですかね、「だから最初から役所がつるんでいるんです。僕も結局会社の窓口にいましたからね。」そういうことをこの人は言っておるのですね。だから通産省は初めからもうなめられておるのですよ。これは今初めて申し上げるのですが、課長さん、これを聞いて、通産省はそういうことでいいと思われますか。
○江崎説明員 今回のような不祥事が起こったということを考えますと、団体の監督に遺漏があったということで、私ども自身非常に残念に思っておりますし、反省するところも多いと思っております。今回の事態がやがて明らかになると思いますが、そうした事実関係の究明を踏まえまして、私ども改善すべき点はこの際徹底的に改善したいというふうに思っております。
○松浦委員 これは三谷の反省かもしれませんが、「例えば実際に金品を渡したとかというそういう意識はないのですよね。第一こちらもそういう団体ですからね。贈収賄をやろうとする意識はないのですよ。」だから初めからこの団体の人たちは、そういうことを悪いことだと理解をしておらぬのですね。冒頭から申し上げるように、やって当然なんだ、そういうふうになってしまったのです、長い行政の枠組みの中で。これは私は非常に重大な問題だと思うのですね。この問題についてはぜひ課長さんの方から通産大臣にお話しをいただいて厳しく対処していただきたいというふうに思います。いやしくも役所が業者からなめられる。贈収賄をやったって、もう不感症になって、私たちはそういう団体だと思い込んでおる。だから本人自身は贈収賄をしておると思っておらぬわけですよ。恐らく検察に逮捕されておる小田もそうかもしれませんよ。通産大臣にもう少しそういう点については厳しく対処していただけるように課長さんの方からお話しいただけますか。
○江崎説明員 今回の問題に関連しまして設備廃棄、登録制についての各種の検討をやっておりますほかに、こうした撚糸工連等の団体の監督のあり方につきましても現在検討を進めておりますし、それから当省の職員の綱紀の保持の問題につきましても、改めて事務次官を委員長とする綱紀問題委員会等を設けまして、現在具体的な措置の仕方等について検討しておりますので、こうした問題につきまして大臣以下全省を挙げて取り組みたいというふうに思っております。
○松浦委員 それで私は、そういうふうにした原因は政治家にもあると思うのですよ。結局何でも、この前私がジャパンライフの問題を取り上げたときもそうですが、政治家が介在をしておって、常に政治家は逃れるわけですよ。それで業者が犠牲になる、あるいは役所が犠牲になる。非常に問題だと思うのですね。あれほどロッキード事件で政治のモラルという問題を含めて政治倫理の確立ということが叫ばれたのですが、今は刑事局長のお話もありましたけれども、政治家については、その人の人権その他が守られる、なかなか公表されない。ですから、私は先ほど一般論として申し上げましたけれども、これは前に決算委員会で新村議員が抽象的に取り上げたことですが、先ほど刑事局長がそういう一般論としてお答えできない、こういうふうに言われたから、私の方からお話をいたします。 これは重本さんという目黒参議院議員の秘書をしておった人で、今は会社の社長さんをしておられる人ですが、この重本さんという人が六十一年三月一円、現地の業者である小石さん、それから立会人に林さんという人を立てて、石川県の沢旅館というところで話を聞いた内容です。ここに記載されておるものをそのまま申し上げておきますが、稻村佐近四郎さんの石川県繊維産業後援会の代表者になっておる丹後清さんがニットの二十五人の方を招集をして、そしてその中で稻村さんとの間で先ほどのような話がされたのです。その中で、丹後さんが、ぜひひとつお願いしたいんです、そこまで言うなら買い上げの五%を出してもらいたい、こういうふうに稻村さんが言われた、こう言っておるのです、この小石さんという人が立ち会いに林さんという人を入れて。そしてニット業界では、六十一年の暮れ買い上げが決まり、来年三月までに資金化されるのではないかということがうわさされていた、こういう状況の中でそういう発言をされておるのですね。 ですから、私が言うのは、こういうことが不感症で行われる。それは届け出をしておるのですから、このお金かどうかわかりませんよ。それは稻村代議士がちゃんと政治献金としてお届けになっておれば問題ないわけです。しかし、そのことで業者の方は先ほど言ったようにいろいろ問題が起こってやられるけれども、政治家の方は一向に免罪だ。これは取ったからといって罪にならぬのだと私も思いますけれどもね、総理の言葉をかりれば善意の献金だそうですから。しかし、何らかの形でこうしたことは規制をしないと、私はやはり一つの目的を出して政治献金を集めるというのは行き過ぎだと思います。これが、通産大臣が言った、我々社会党は毛針だが与党の方はえさがついておるということなのかなと思うのですよ、毛針論争で言わしてもらえば。確かにこれは与党にとってはえさですよ。我々そんなことは知らぬから毛針ですな。(「それは問題だ」と呼ぶ者あり)今、問題だと言うのだから、後で発言をしてもらってください。どうぞ、自由に質問されて結構です。 私が言いたいのは、こうしたことが起こったときに、必ず業界の人たちはやられるのです。官僚はやられるのですよ。しかも課長以下とか下級官僚はね。ところが、これにうわさされておる政治家というのは、何らのあれもないのですよ。確かに政治資金規正法からいえば、届けておればいいし、これにはやみ献金とかなんとかという言葉はたくさん出てきますけれども、それが届け出られ、しかも仮にやみであったとしても、政治活動に使われておるという証明がされれば、そんなに問題にならぬわけです。しかし、だからといって、これは許されることじゃないと思いますね。この際政治家のモラルが問われておるのじゃないか、私はそういう気がしてならぬのです。 法務大臣として、こうした問題について、今後の問題としてどのようにお考えになるか。法務大臣といえば法の番人の最高に立たれる方ですから、あなたの発言は重いと思うのです。しかも、先ほどから申し上げるように、罰則規定はないけれども、団体法七条三項では、いけないことになっているのです。そのことは政治家ならみんな知っておるのだ。そのいけない団体から、表帳簿に政治献金が出るぐらいに麻癖しておる。表帳簿に政治献金が出ておるというのですから、これは麻痺しておるのです。わざわざそれを税務署が指導して使途不明金に経理の操作をするというようなことまで行っておるのですから、不感症になっておるのですね。こういう点について法務大臣はいかようにお考えになるか。今後内閣として、こうした問題については、国民の政治に対する信頼を取り戻す上からもぜひお聞かせをいただきたい。しかも、御承知のようにきょう満期でしょう。満期で、この問題についての起訴、不起訴が決まるのです。そういった意味で、政治家のモラルをいかにして確立するかというのは、私は非常に重要な意味を持っておると思う。法務大臣の御見解をぜひ聞かしていただぎたい。
○鈴木国務大臣 私が政治のモラルとかあるいは倫理とかと言うのはおこがましいかもしれませんけれども、一般論といたしまして、私は、国政に携わる者はいやしくも国民から疑惑を受けるようなことであってはいけないというふうに考えております。常々私は、政治は最高の道徳でなければならぬ、単に刑罰に触れるとか触れないとかという問題ではなくて、最高の道徳でなければならぬ、かような信念で実は処しておるわけでございます。今後もそのつもりで処してまいりたいと思います。
○松浦委員 法務大臣の言われたことで尽きると思うのですが、ぜひこれはここの発言だけでおとめにならずに、火曜、金曜の閣議で法務大臣からお話しいただいて、まず業界と官界、行政との癒着関係、先ほど言ったようにもうなめられておるわけです、初めから二重帳簿の決算書を出して。堂々とそういうことを言っておるわけです。そういう意味での規律を正すということが一つ。それからもう一つは、政治家のモラルを確立するという意味で、ぜひ閣議でもそういう警鐘をお訴えいただきたいというふうに思うのですが、どうでしょう。もう一遍お答えいただきたい。
○鈴木国務大臣 先ほど申し上げたようなつもりで努力をしてまいりたいと思います。
○村上委員長代理 この際、渡辺嘉藏君より関連質疑の申し出がありますので、これを許します。渡辺嘉藏君。
○渡辺(嘉)委員 先ほど江崎課長が、大きな穴があいておるのは五十九年の秋に知ったとおっしゃったのですが、これは日にちの間違いなのか、五十九年の私なのか、ちょっと言ってみてください。
○江崎説明員 本件につきまして、撚糸工連から私が報告を受けましたのは六十年の八月二十二日でございますが、その報告内容によりますと、五十九年の秋から大きな穴があき出したという報告を受けたわけでございます。
○渡辺(嘉)委員 五十九年の秋から大きな穴があいておるのに、一年間も役所は知らなかった。報告もなかった。それもわずかな金じゃないですね、何十億という金なんですがね。こういう組合の指導というものはこれでいいんですか。まして一年ですよ。 と同時にもう一つ聞きますが、それならその六十年の八月に聞いたときに、どういう金額で聞かれましたか。
○江崎説明員 団体の資金の管理の問題、あるいは経理のあり方の問題につきまして、私どもの監督体制の仕方につきましてはもう一度抜本的に見直したいというふうに思っております。今回の事件で早い時期にこれが発見できなかったという点は、非常に責任を感じております。 それから、当初私どもが昨年の八月の下旬の段階でこの報告を受けましたときには、十七、八億円の穴があいているという報告を受けております。
○渡辺(嘉)委員 この十七、八億円という大きな金は、これは言うまでもなく中小企業事業団から来て、そして返済原資のために蓄積してあった金である。これはもう前に何回も聞いておるとおりですね。そうすると、この金は貸し付けの形態をとっておる。国が事業団に出資をして、事業団は組合に貸し付けをする、組合はそれで廃棄設備を買い上げる、こういう三段論法で来ておるわけですね。 ところが今度は返済をする場合には、この金は無利子で来ておりますから、今度その無利子で来た金を利を生ませることによって返済をさせる、こういう仕組みです。ですから返済原資が保証金を含めて四五・九%、これが将来は大きくなっていって九〇%になって、これで事業団と各都道府県に返済をするということになるわけですね。そうすると、この無利子で来ておる金で利を生ませて、そして返済に充てる、こういうことですね。
○江崎説明員 設備廃棄の仕組みにつきましては先生おっしゃるとおりでございますが、先ほど私が報告を受けました約十七億円の損失の中の内訳でございますが、私どもの聞いた報告によりますと、設備廃棄関係で、つまり国に返さなければならない商工中金の債券でとられた分がこのうちの八億四千万ほど、その他の約九億ほどの資金は、これは設備廃棄には直接関係のない撚糸工連の一般会計等の資金だというふうに承知しております。
○渡辺(嘉)委員 時間がないから、そういう詳しいことはもう全部承知しておるからいいんですよ。しかし、八億が返済原資のための積み立てである。九億も、いわゆる一割というか一〇・五%ですね、総額の一〇・五%を、正当でない方法で集めた金を使い込んだわけです。 そうすると、ここで刑事局長にちょっと聞きますが、今お聞きのように返済原資は無利子である。無利子であるからこそ、その返済原資を回転させて四五%が九〇%になって返ってくるのです。ということは、その無利子であるという部分については補助と同じ性格があるのじゃないですか。
○岡村政府委員 補助と同じ性格があるのかという御質問でございますが、そこはちょっと何とも私、お答えいたしかねるところでございます。
○渡辺(嘉)委員 これは常識として、無利子で貸したのですから、無利子で与えたのです。そしてそれを四五%を回転させて九〇%にする。だから、四五%を生み出したのですから、それで返済をしなさいということは、この四五%の部分は、これはもう補助金と同じ性格であり、そのもとは国の一般会計から出ておるのです。とすれば、この四五%の部分は補助金とみなし、そしてこれは当然いわゆる政治資金規正法に基づく補助を受けた団体、こういうふうに認識するのは当然じゃないですか。法の厳正な真実に基づいて執行する場合には当然じゃないですか。
○岡村政府委員 罰則を伴います刑罰法規の解釈につきましては、いわゆる罪刑法定主義というものがございますので、これはやはり厳格に解釈すべきでございまして、みだりにみなすような解釈はいたさないのが普通であろうかと思います。
○渡辺(嘉)委員 だから、今聞いたことについてそういう一般論で、法学の教授を受けておるわけじゃないのですから、今申し上げたことは違うのかどうかということ、あるいはまたそうなのか、この点だけ聞けばいいのです。
○岡村政府委員 国から受ける補助金に当たるかという御質問でございますと、これはやはり当たらないというふうに言わざるを得ないのではなかろうかと思います。
○渡辺(嘉)委員 これは最も一般論で、そして拡大解釈をすることによって刑法に触れるがごとく扱われること、こんなこと好ましくないに決まっておるのです。しかしながら、このもとが国民の税金からずっと回っていって、そして貸し付けが行われて、それを拡大して返済原資に充てる。ということは、それだけ生み出させるそのもとは無利子なんですから、その無利子の部分については、先ほどおっしゃったように、松浦先生がおっしゃったのですが、これが政治献金へ流れていっても、政治資金規正法に基づいて補助金でないから違反でないのだ、こういうことは、これは法の流れの中から見て、そして実態から見ておかしいことないですかな。
○岡村政府委員 先ほど来申し上げましたように、法の解釈のうち、殊に刑罰法規、罰則を伴う法規の解釈につきましては、やはり厳格に解釈せざるを得ない、かように私は思うものでございます。
○渡辺(嘉)委員 先ほど松浦先生の御質問の中にありましたが、いろいろな諸文書が特捜部で押収された。それに当たって私はまず一つ通産省に聞いておきたいわけですが、昨年の八月に知った、それも十七億の大きな穴であった、一年前であった、当然その後にでも直ちに、どうしてそういうことが起きたんだということは、当然その中へ入って、そして指導監督、監察という言葉は使いませんが、調査をすべきじゃなかったのですか。これがなされないものですから、告訴されて事件になって、そして書類が押収されてしまってわからなくなってしまった。こういうことが起きて、結局通産行政としては後手後手にならざるを得ないところはそこにあったんじゃないですか。なぜ立ち入って検査しなかったか、これをまず承ります。
○江崎説明員 私どもも、昨年の九月に告訴がありましてから関係者等を呼びあるいは撚糸工連等にも参りまして極力事実の把握に努めたわけでございますが、ただ、基本的には犯罪の捜査につきましては検察当局にゆだねるという姿勢でございますので、私どもが余り書類等につきまして関与しますと捜査を混乱するということもございますので、その点は御理解賜りたいと思います。そういう事情を考えまして、私どもなりに対処する範囲をある程度限定して考えたということでございます。
○渡辺(嘉)委員 先ほど、押収した書類の中で、通産省から行っておりました、行っておったというか前に通産省の役所におられて、そして撚糸工連の専務をやっておられた井上さんという方が、これらの政治献金についてはいろいろメモしておった、こういうことを言っていらっしゃるのですが、その点はどうですか。
○岡村政府委員 かなり多数の証拠品を押収いたしておりますことは事実でございますが、その中身につきましては現に捜査中でございますのでお答えいたしかねるのでございます。
○渡辺(嘉)委員 捜査の中にまで立ち入ろうとは当然考えておりません。ただし、その押収された帳簿の中にはそういう政治家への献金があったという記録、これは当然今までの証言から明らかなんですが、こういう点はありましたか。
○岡村政府委員 その点を含めまして、やはりお答えいたしがたいのでございます。
○渡辺(嘉)委員 私は、この資金の流れを全体的に見ておりまして、使い込んだ金と、そしてそれが株に流れたり、あるいはまたその他のいろいろなところで消費された。それからもう一つは、いろんな資金を浮かして、要するにその浮かした資金はなぜ浮かせるかというと、国から来た金は無利子で来て、そして廃棄した方々、受け取る方の側では、普通ならつぶしにすれば五万円か十万円の機械が何百万円で買い上げてもらえるんだ、だからいわゆる補助で買い上げてもらったんだ、こういう感覚ですから、そこで二通りのことが出てきたんです。 一つは、そういったけでもらったようなものなんだから、組合員も出しなさいと言って一〇・五%の特別の賦課をしてみたり、あるいはまた石川県は三%の特別の賦課をして、そして預かり金の形で持っておる。これがいわゆる悪の金の温床になっている。いま一つは、そういうような金ですから、これが政治家その他に、政界の工作資金に流れた。私はいろんな共同設備廃棄をこの十年来見ておる。物によっては厳正に行われた、そういう事業にも私もタッチしております。しかし、余りにもいろいろな問題点が多いということも知っておりますし、リスクというか穴があるということも承知しております。いろいろなことを知っての上で私は聞いておるわけですが、それだけに政治家が介在する余地が多分にある。それがために政治献金というものが必要悪のごとく行われる。だから、松浦先輩がおっしゃったように堂々と政治献金ということで帳簿に出てくるのは、これは悪いという意識でないからそういうことが行われてきたのです。ここに私がいつも申し上げる問題の重要性があるわけです。ところが、これは何回も申し上げるように仕組みは貸付金で扱われ、事業団というもののいわゆる一つのハードルを越えておりますものですから、政治資金規正法にひっかからないけれども、厳密に言うならばこれはもうひっかかるべき中身なんです。中身としてはひっかかるべきなんです。 そういうような意味で、これは法務大臣として、こういうことについて今後いかにあるべきかということと、それから通産も、このやり方について、この指導要綱でお決めになった、これは非常に回りくどいやり方で実に精緻につくられておるのですけれども、それだけに穴が多くあく危険があるのです。このやり方は非常に危険なんです。だから、この点については将来見直すとおっしゃったのですが、それがために今度のようなこういう事件が起きたわけですから、これについて何回も申し上げるが、あのときに通産はきちっと入って、きちっと調べて、そして組合員の保護と事業の目的と国民の税金を守るという姿勢があったならばこういうことはもっと縮小できたのではないか、私はこう思うのです。それぞれから承り、そして最後に、しからばこういうことに政治家がもし介入したならば、こういう事業をやってやるために、また口をきいてやるために、先ほど松浦先生がおっしゃったように、こういうことをやってやる、それにはこういうものを出せということが行われても、これはこういう仕組みの中からは全く違法性はないのかどうか、このことを最後に承りたい。
○江崎説明員 今回の事件を契機にいたしまして、団体の監督のあり方、それから設備廃棄等の制度のあり方につきまして抜本的に見直したいと思っております。その中で先生御指摘の各種の問題も踏まえて検討していきたいというふうに思っております。
○岡村政府委員 検察当局といたしましては、現在撚糸工連事件につきまして鋭意捜査を遂げているところでございまして、実態を解明いたしますとともに、その中で刑罰法令に触れるような行為があるならば、これに対しましては厳正に対処するものと思っておるところでございます。
○渡辺(嘉)委員 あと松浦先生から御質問が続きますが、私はこれで終わります。
○松浦委員 最後に刑事局長にお尋ねしておきますが、撚糸工連について今まで政治家を任意等でお呼びになって調査したことがあるのか、それから、今私はある程度申し上げましたが、そういった事実に関して調査をした上でこれから政治家を呼ぶ、参考人あるいは事情聴取するということがあり得るのかどうか。今まであったのかどうか、これから将来は政治家も含めてこうした問題についての解明をするのかどうか、その点についてちょっと最後にお聞かせをいただきたいと思います。
○岡村政府委員 過去において、また将来においてどういう捜査をするかということにつきましては、まさにその捜査の中身でございますのでお答え申し上げかねるところでございます。ただ、検察当局といたしましては、事態の推移に応じまして必要な捜査を行うものと思っております。
○松浦委員 要望ですが、政治家だからといって遠慮することはないと私は思うのですよ。やはりびしびしやって、それで悪いものは悪いんじゃないか。稻葉法務大臣がおられたら、稻葉法務大臣は私の言っていることに応援してくれると思いますけれどもね。我々はロッキード事件のときに、稻葉法務大臣のときにあれだけのことをやったのですよ。そして、やはり政治家のモラルというものに対してあのロッキード事件は警鐘を打ったと思いますよ。しかし、今はロッキード事件がだんだん薄れできますと、政治家のモラルの問題が非常にあいまいになってきておる。私は刑事局長は立派な人だから、政治家だからどうたからといって遠慮する必要はないとは思うけれども、少なくとも私たちが調査した範囲内における政治家の介在というのは、この事件に関しては非常に大きなウエートを占めておるのですよ。ですから、過去に調べなかったというのも非常に不思議でたまらぬのですけれども、三谷さんという人がこれだけしゃべっているのですから。過去に済んだことは済んだことだから発表されないのは結構ですけれども、そういう意味でぜひ遠慮しないでびしびしやっていただきたい。 そして、きょう恐らくこの事件に対する第一次の起訴不起訴が満期になった分について決まると思うのですが、これはこの法務委員会に、恐らく午後発表になるだろうと思うのですが、刑事局長の方からそのことについていただけますでしょうか。
○岡村政府委員 東京地検におきまして何時に処分を発表いたしますか、その時刻によるわけでございますが、法務委員会開会中に処分が行われれば御報告いたしたいと思います。
○松浦委員 終わります。 ————◇—————
○村上委員長代理 この際、理事辞任についてお諮りします。 理事稻葉修君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○村上委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 引き続き、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○村上委員長代理 御異議なしと認めます。よって、理事に衛藤征士郎君を指名いたします。 ————◇—————
○村上委員長代理 天野寺君。
○天野(等)委員 最初に、最近新聞に出ておった事件でございますけれども、ことしの三月四日の朝日新聞でございますが、権利書を偽造して土地の詐欺をしたという事件で、住民票を勝手に移動させてそこで印鑑登録をして、それを使って権利書を作成してそして土地の詐欺をするというような事件で、被害総額三十億というようなことが出ております。これは前にも同じような手口の詐欺があったように私も記憶をしておるのですけれども、実際かなりうまくできるわけですね、この権利書の偽造というのは。これは法務局として何らかの対策が立てられないものかどうか。余り細かに言ってしまうとそれこそだれでもできてしまいそうな事柄なんですから心配なくらいなんですが、ひとつ法務省の見解をいただきたいと思います。 〔村上委員長代理退席、衛藤委員長代理 着席〕
○枇杷田政府委員 御指摘のように、登記済証の偽造あるいは印鑑証明書の偽造、あるいは本人に無断といいますか、本人の知らない間に住所移転をしてしまってそこで住民登録をし、またそこで印鑑登録をするというようないろいろな手口での不正登記申請事件がかなり出ております。大変遺憾なことでございますけれども、昨年一月からことしの三月までに私どもが報告を受けておりますものが全国で二十八件もあります。その中で私どもの方で、窓口であるいは調査の段階で不正であるということを発見いたしまして未然に防止し得たのがちょうどその半分の十四件ございます。残りの十四件は登記官の審査の網をくぐって登記がされてしまったという不幸なケースでございますが、これらの事件を見ておりますと大変手口が巧妙でございまして、最近、複写技術であるとか模写技術とかいろいろなテクニックが非常に発達をいたしまして、そして巧妙な手段で文書の偽造を行うとか、あるいは先ほど御指摘のように住所移転をして、むしろ正しいといいますか、作成としては真正な、しかし内容は虚偽な文書を発行させてしまうというようないろいろな手口があります。 したがいまして、私どもの方では登記所内部での審査をなおそういう面に注意をしながら厳重にやるようにということを心がけておるわけでございますが、それだけでは十分でないと思います。したがいまして、その方策といたしましては司法書士会、調査士会に協力を得まして、司法書士会、調査士会の方でも本人確認ということを励行するようにする。そして依頼者に対しても、あなたは本人かもしれないけれども念のために確認の手続をとらしてもらうというふうなことも会の表示のポスターなども事務所に張りましてやるようにして、そして司法書士の事務所で未然に発見するというケースも何件か報告を受けております。そのようなことも今後進めていかなければならないと思いますが、お話のございましたように権利書自体も何とか偽造ができないようにすることができないだろうかということも一つの課題でございます。 したがいまして、いろいろな角度から検討いたしておりますけれども、現在の通常の文書の形式のものである限りは、これは先ほど申しましたような犯罪の手口の巧妙化からいたしますと完全に防止できるというふうなことは困難であろうというふうに思われます。したがいまして、コンピューター化の際に何か前の、要するに権利書のもとになっている登記との関連づけがコンピューターで識別できるようなそういうものができないだろうかということも今研究しておりますけれども、これまたなかなか難しい問題がありますし、仮にまたそのことが完成いたしましても、それ以前に発行された登記済証はなおかつ相当存在するわけでございますので、一挙に解決する特効薬にはならないだろうということで頭を悩ましておりますけれども、幸い、ただいま御指摘ありました新聞記事に載った事件の犯人等が逮捕されておりますので、最近は余り偽造事件というものは出ておらないようでございますので、司法書士会とも協力をしながら窓口で十分にやっていきたい。 なお、蛇足でございますけれども、警察の文書偽造関係の専門家に法務局においでをいただいて、偽造の手口であるとか偽造の発見の方法であるとかそういうようなことについての講習も法務局の人に受けさせておるというふうなことで対処いたしておるわけでございます。 御指摘の問題は、私どもも特段の御報告申し上げるような手段は現在持ち合わせておりませんけれども、いろいろな面で注意してやってまいりたいと思いますので、その点御了解をいただきたいと思います。
○天野(等)委員 もう一つ新聞をにぎわした事件でコンピューターのテープを持ち出してそれを複製するというのですか、そういう形で、またそれを売りつけたというような事件がございました。あれも新聞を見ておりまして私気になったのでございますが、将来の方向として不動産登記簿についてコンピューター化される、そうなっていった際に、今度は登記簿としてのコンピューターの安全を図るという点で問題が出てこないだろうか。特にコンピューターの場合には、簿冊と違って変造等の証拠が残らないという可能性があるのではないかと思うのです。将来の不動産登記法の改正等も恐らく法務省としては手がけておられると思うのですけれども、そういう点でテープを二つとっておくというようなお話が前にもございました。ただ、そうなりますと、自分がとった登記簿謄本、テープからとったものがどこまで信用できるかということについての不信感みたいなものも出てこないだろうか。今の簿冊ですと原本の複写がそのまま出てくるわけですけれども、コンピューターだとそうではありません。そういうことで、原本の原本みたいなものからの謄写要求もできるのかどうか、その辺はどんなふうにお考えなのかちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○枇杷田政府委員 確かにコンピューター化いたします場合には、登記簿のような原本が目に見える形で存在しておりませんので、ただいま御指摘のような何が本当であるかわからないというような不安が出てくる可能性もあろうかと思いますが、私どもの感覚といたしますと、謄本は本体に入っている磁気ディスクそのものから打ち出したものをもって謄本とするという扱いは厳守いたしたいと思います。 なお、情報が不正に何かされるというおそれがあってはならないわけですから、不正にやられた場合に、それが不正に入力されたものであるかどうか、あるいは事故等で本体に入っております磁気ディスクが稼働しない場合に補助的なものを何か用意しておく必要があるのではないかということで、ただいまお話しございましたような補助的な情報を磁気テープにとりまして、各登記所でも保存するし、バックアップセンターはバックアップセンターで保存するし、また中央の開発センターでも保存するというような仕組みは考えてまいりたいと思いますが、ただいま申し上げましたように、謄本は本体から直接打ち出したものをもって謄本とするという形は厳守いたしたいと思います。 それからもう一つ、不正に入力されるあるいは抹消されてしまうということがあっては大変なことでございますので、その点についてどのようなシステムにするかというのが、現在行っておりますシステム開発の上での最大の課題と言ってもよかろうかと思います。これにつきまして大ざっぱなことを申し上げますと、まず入力する場合には、登記官カードという登記官でなければ持っていないカード、しかもそれには暗証番号みたいなものが入っている、それを使わなければ入力はできないということを原則とします。それから、外部からいろいろな回線を利用してインベードといいましょうか、ハッカーと言われているような連中がいろいろなことをして侵入してくるということが言われておりますけれども、そういう場合に登記の記録の方にはかなり複雑な処理工程を経なければそれが入力できないというシステムにいたしまして、外部から入ってくるものについてはほとんど不可能に近いそういう工程を用意するということを基本的に考えて、現在いろいろシステム開発で工夫を重ねておるという段階でございます。
○天野(等)委員 正確な登記簿の確保ということは非常に重要な点だと思うのですが、きょうもう一つお尋ねしたいと思いますのは、公証人役場で公証人の方が使っておられます確定日付の判、あるいは証書作成するときの文字、記号等でございます。 まず、公証人法では、番号の記載数字はいわゆる漢数字を使わなければならないという規定になっていると思うのですが、最近ある民事の事件で公証人役場の日付印が偽造じゃないかという疑いがあった事件がございまして、それに関係して取り寄せあるいは収集をしてみたところが、東京法務局の管内の公証人役場でも、いわゆる算用数字を使ったものがあるようでございますし、また判自体が非常に不明瞭なものがかなり多数見られる。明らかに摩耗しているのじゃないかというふうにも思われる。摩耗自体は偽造されにくいということがあるいはあるかもしれませんが、疑いが起こったときに真偽の対照をするのに大変しにくいということもあるかと思うのです。こういう点で、印鑑の管理というようなことを法務当局としてはどういうふうにお考えでございましょうか。
○枇杷田政府委員 まず最初に、確定日付印のところからお答え申し上げたいと思います。 御指摘のように、公証人法の三十七条三項で、証書に数量とか年月日、番号を記載するにはいわゆる漢数字といいますか多面文字の数字を使わなければいけないという規定があるわけでございます。確定日付につきましては、これは公正証書ではございませんので、面接公証人法三十七条三項の規定が適用になるわけではございません。ただ、そういうふうに改ざん防止のために多面文字を使うべきだというのが公証人法の考え方でございますので、確定日付の場合には規定はございませんけれども、多くの役場ではいわゆる多面文字を使っておるのが現状でございます。しかし、理論的に算用数字では全くいけないということは言えないだろうと思います。現に、民法の施行法でも効力が出てまいりますところの郵便局のスタンプが確定日付の意味を持つわけでございますけれども、あれは御承知のとおり算用数字で出ておるわけでございます。 問題は、公証人が押します確定日付印が改ざんされやすいような形のものであってはいけないということだけは言えるわけでございます。その点については公証人側も理解をしておって、先ほど申しましたように多面文字を使っておられるところが多いわけでございます。私、算用数字を使っておる役場は今初めて伺いまして、そういうところがあるのかなと思いますが、理論的にはそれも違法であると言うわけにはいかないだろうと思います。ただしかし、改ざんが容易なような形のものは適当ではございませんので、私どももそういうものについては、もし不都合のようなものであれば改善方を指導してまいりたいと思います。 それから、職印につきましても摩耗しておりますと後で問題になります。もっとも、公正証書であった場合には原本が公証人役場にございます。ですから、真正に成立したかどうかということがそれほど立証困難ではないと思います。確定日付印だけが問題になろうかと思いますが、しかし、職印でも摩耗しているようなものが押されておりますと、受け取った方がこれは本物かなという疑念を抱いてはいけないわけでございます。したがいまして、私どもでは少なくとも年に一回は公証人役場について、一日ないし二日をかけて法務局の職員が検閲をいたしております。その際には、持っております印鑑、印章すべて点検をすることになっておりますので、十分に注意をして、現に少し摩耗しているから取りかえてくださいということを言って取りかえてもらうというふうな事例も報告を受けておりますので、そういう形で、なお今後とも公証事務が適正にいくように十分に配慮してまいりたいと思っております。
○天野(等)委員 私もここに、コピーですけれども幾つかの実例を持っているのですが、本当にかなり摩耗しているものがあるのですよ。日付そのものもかなりよく見ませんとはっきりしていないというようなことで、確定日付、これは非常に重要な、権利の得喪に関係してくるわけです。そういう点でも、偽造しにくいということ、それから判別しやすいという点で、ぜひとも監督をいただきたいというふうに思います。 それで次に、前回の一般質問の際にもちょっと質問させていただきました部落差別の問題でございます。 高知刑務所の刑務官の方の差別事件、私、実は現地でいろいろお話も聞いてまいりました。今、当の刑務官の方はたしかおやめになられていると思うのですが、その辺の事実関係、わかればちょっと教えていただきたいと思います。
○石山(陽)政府委員 委員御指摘のとおり、去る三月三十一日付をもって退官いたしました。
○天野(等)委員 退官の理由は何でございますか。
○石山(陽)政府委員 いわゆる本人の願い出による定年前の退官でございます。
○天野(等)委員 問題のさなかに定年前におやめになるということ自体、それは本人の御希望だということですからそれを尊重するということだとは思いますけれども、何かすっきりしないもめを感ぜざるを得ないのですね。悪い言い方をすれば、しっぽ切りをされたんじゃないかという感じもしなくはございません。 そこで、本人が現在おやめになったとしましても、差別事件という事実自体はあるわけでございますし、それに対する法務省の対応ということは残るわけでございますから、その点で、問題の取り上げということでは引き続いて御研究をいただきたいというふうに思うわけです。 それで前回も、法務省としては差別をした職員に対してどういうふうな教育的な措置をとられたのかということでお尋ねしました。本人に対して、たしか四十時間にも及ぶ教育をなさったのだというような御回答がございました。私も現地で、御本人にはお会いしませんでしたが、所長さんもそういうふうなお話がございましたけれども、四十時間もの長い間、一体何をしたのか、本人に対してどういう指導をされたのかということについては全く雲をつかむようなものでございまして、わからない。所長さんの権限でやられたということでもないようでございますし、それじゃ法務局の方の権限でおやりになられたのかということもまだはっきりしないということでございます。 まず、この差別事件を起こしました職員に対して、どういう指導をだれがなさったのか、そこをお尋ねしたいと思います。
○石山(陽)政府委員 本件が発覚をいたしまして、その後になりますが、昨年の十一月の末から高知刑務所の管理部長を主任といたしまして、一時間ないし数時間の割合で、いわゆる部落問題の歴史的経緯あるいは同和対策審議会の答申の内容、差別の意識、差別発言の行われる環境、それから差別の事例、こういったものを中心といたしまして、管理部長が主になってトータルで約四十時間講義をいたしたということでございます。
○天野(等)委員 これは、講師があって、一方的な講義をされた、それで講義を四十時間なさった、そういうことですか。
○石山(陽)政府委員 その中にはもちろん本人から、本件差別事件を起こしました当時の心境とか事情、そういった背後事情につきまして刑務所側の事実調査という意味での聴取もございましたが、それ以外に、よく話をして聞かせ、かつは本人の反省の言を聞き、さらにそれを指導するといった行為ももちろんその中に含まれております。 〔衛藤委員長代理退席、村上委員長代理 着席〕
○天野(等)委員 この問題は、直接職務に関係する差別事件ではない、むしろ夫婦間という個人的な関係の中での差別事件でございますけれども、その点について、法務省としては指導の中にそういう点がございましたでしょうか。要するに、職務に関係しての事柄とそうでない場合とを同じようにお考えになられての御指導だったのでしょうか。
○石山(陽)政府委員 今仰せのお言葉の中で直接職務にかかわっているかどうかという点につきましては、私、当初にこの件についてお答え申し上げましたとおり、事実関係は家庭内において起きたことでありまして明らかに勤務時間外のことでございますから、法律的な意味で職務上の出来事だというふうには解釈いたしておらぬわけでございます。
○天野(等)委員 職務に直接関係する事柄ではないけれども、やはり公務員、特に人権擁護の仕事に携わらなければならない法務省の職員としては、たとえ職務外のことである、勤務時間外のことであるといっても、こういう差別の意識を持っておるということ自体を変えていかなければならないというふうに思いますが、その点についてはそう考えてよろしゅうございますか。
○石山(陽)政府委員 その点につきましては委員の仰せのとおりでございます。私どもも、いやしくも法を守り法を執行することについて特に重大な関心と責務を自覚しなければならぬ法務省の職員が、ただいまのような事件経緯によります差別発言とはいえ、こういうことをしたということ自身、やはりそういった意識が十分払拭し切れないでそういった内在的なものを表面に出す、こういうことが絶対あってはいけないという意味において、その責任は道義的にも十分自覚する必要がある、こういう考え方から、部内の指導その他を今後とも徹底しなければいかぬ、こういうことは重々感じておる次第でございます。
○天野(等)委員 その場合の指導の場所、あるいは本人が持っておる差別意識をなくするための教育の場所というものを法務省の内部に限らなければならない、そういう理由がございますか。
○石山(陽)政府委員 それは必ずしもないと思います。その意味におきまして、私どもが承知している範囲でも、従来法務省が自分の職員のこういった同和問題に関する研修会を開きました場合に、部外の第三者、しかるべき大学の先生でございますとか、こういう問題につきましての著作をお書きになっている一般の啓蒙運動に従事している方をお招きして講師としてお話を伺ったという事例もあったやに存じておる次第でございます。
○天野(等)委員 その場合、職員が法務省の外の団体といいますかそういう団体の教育あるいは指導の機会を受け入れるということについては、どういうふうにお考えでございましょうか。
○石山(陽)政府委員 今の委員の仰せの意味が、前回からお尋ねのように、この問題に関しまして例えば部落解放同盟のしかるべき役員の人を講師として直接話を聞くような機会を持ってはどうかということでございますれば、従来からそういった先例は余りないと思います。ただ、今後どういうふうになるかはわかりませんが、私どもとしましては、前回から申し上げておりますように、現在、法律で認められました人権擁護機関であります人権擁護局がございますので、この問題等につきまして差別に関する意識の啓蒙等を専門にやっている機関がございますから、こういった方々の御指導を仰ぐ形でこの啓蒙に努めるということを第一義的には考えたいというふうに思っておるところでございます。
○天野(等)委員 私が申し上げたのは、部外の人をお呼びして話を聞かれるという意味ではないのです。それも一つ重要なことです。それはそれで研修という形でしたらすることができるのだと思うのですが、そうではなくて、部外のあるいは解放同盟が主催する、あるいは同和関係の団体が主催するそういう集まりに出て、それで法務省の職員が指導なり教育なりを受けるということ。それも一般的にではありません、差別の事件を起こした法務省の職員がそういう集まりに出るということについて、法務省としてはそれはいかぬとお考えになっていらっしゃるのかどうか。
○野崎政府委員 公務員が民間の研究会に出てはいけないという絶対的な理由があるわけではございません。しかし、問題は、その研究会であるとかその他いろいろの研修であるとかの性格が、行政の主体性、中立性、公正さというものにどう影響してくるかということであろうかと存じます。 御承知のように、同和問題の解決を目指す民間運動団体は非常に多うございます。その有力な運動団体の間でも、その運動方針をめぐっては御承知のように非常に鋭い対立がございます。また、先般来いろいろ議論になっております確認糾弾につきましても、そのあり方などにつきまして運動団体相互間においていろいろ議論があるところでございまして、こういったものに出席をいたすことが行政の公正中立というものを維持する見地から見て相当であろうかということになりますと、これは必ずしもそうは言えない。むしろ、そういう特定の団体の行事に参加することによって、法務省の主体性、そして行政機関としての公正中立さというものが疑われる場合も多いというふうに考えられるわけであります。したがいまして、このような研究会、研修会あるいは確認糾弾会といったようなものについては、法務省の職員は出るべきではないというふうに考えておるところでございます。
○天野(等)委員 ということは、法務省の人権擁護という立場から考えたときに、一般人についてもある特定の同和団体あるいは部落解放同盟のそういう集会に出ることは好ましいことではないとお考えになっているということでしょうか。その点はいかがですか。
○野崎政府委員 私が申し上げましたのは、公務員としてその公正中立さを疑われるような運動には、その職務上の立場で参加することは好ましくない、かようなことを申し上げておるところでございます。
○天野(等)委員 ですから私は前段に、この差別の事柄は職務に関係して起こった事柄ではありませんよということを申し上げたのです。しかし、職務に関係したことではないけれども、公務員として、特にまた人権擁護の先頭に立たなければならない法務省の職員としては、これは重大な問題でしょう。それで、その点については矯正局長も同意見だというお話でございました。とするならば、これは法務省の職員であるけれども職務に直接関係しているということではない、そういう立場で部落解放同盟の確認糾弾会に出ることは、特別に行政の中立性を損なうものだとは思えないのですけれども。
○野崎政府委員 公務員が個人として民間運動団体の行事に参加するということになりますと、別にそのこと自体問題になるわけではないかと思います。しかし問題は、その参加というものは自由な意思に基づいて決定されるべきものであるというふうに考えます。したがいまして、その参加につきましては、あくまでもその本人がその自由意思に基づいて参加するのであれば、それを役所として引きとめるということはするつもりはない、しかし、それを勧めるつもりもない、こういうわけでございます。
○天野(等)委員 そこの自由意思というところがおかしいのですよ。ここで、差別が起こっているし、その人間は差別している側なんですよ。差別している側の人間は、差別された人の前に行って謝りたくありませんよ。それは謝りたくはない。だから行きたくはないかもしれません。しかし、やはりこれは差別をしたということが法務省の職員にとって、法務省の職員の考え方にとって非常に重要な問題なんだ。だから、法務省でも四十時間もかけてこの考え方を変えようとしたのだということでしょう。これだって自由に出てきて、その人がその考え方を私は変えたいからといって自由に出てきたかどうかということになれば、それは恐らくそうじゃないかもしれません。法務省としても一つの、その人に対する指導監督としておやりになられたのだろうと思います。 それで、これは意識の問題ですから、出たくなければ出なくたっていいよ、差別するなら差別したって仕方がない、自由だからという立場でもってこの差別事件を取り扱っていたら、それはいつまでたったって差別なんかなくなりませんよ。この差別をなくすためには、差別した者にやはり謝ってもらわなければならないですよ。そのことがやはり悪いことだということを反省してもらわなければなりません。それはしたくなくたってしてもらわなければなりません。もちろん、それは刑罰でもってどうこうということはできません。しかし、そうではない方法でその人の心を変えてもらわなければならない、考え方を変えてもらわなければならない。それがこの差別をなくす運動でしょう、法務省としても。そういう運動をやはり進められるということについては、法務省だって肯定されるでしょう。いかがですか。
○野崎政府委員 法務省の人権擁護機関は創設以来部落差別の解消のために頑張ってきたということは、委員もお認めいただけるところではないかというふうに考えております。しかし、この法務省の人権擁護機関も非権力的な啓発機関でありますために、本人がどうしてもそれに協力しないというときには大きな壁にぶつかっておるわけでございますけれども、しかし我々は一生懸命それを説得し、啓発をやってきたわけであります。 本件につきましても、私どもは法務省の部内にこのような事件が出てきたということで非常に深刻にこれを考えまして、先ほど矯正機関がなさった啓発活動のほかに、既に高知法務局におきまして十回、合計三十時間この事実の調査とその調査の進展に従っていろいろな啓発をやってきておるわけであります。また、刑務所の職員に対しましても高知法務局の人権謀援それから高松管区局の人権部長がそれぞれ一回ずつ啓発を行っております。まだ本人及び刑務所の職員に対してはこれ以上の啓発が必要であるというふうに考えておりますので、それぞれ所管局においてそれを続けることになっておるわけでありますが、今確認糾弾会への出席というものが何か法律的な義務であるというふうにお考えになるなら、それはちょっと違うのじゃないかというふうに考えます。 これは非常に難しい問題でございますが、解放同盟が確認糾弾活動をおやりになる、それが適法な範囲内で行われる限り、私どもは別にそれにとやかく言うつもりはないわけであります。しかし、この啓発活動につきましては、我々人権擁護機関もこれをやっておる。しかも人権擁護機関は、何度も申し上げておりますように法律によって設けられた唯一の機関であります。したがいまして、我々がそれをやっておるというときに、それはやってないんだとか差別を隠しておるんだというふうに言われるのは、我々にとっては非常に心外であります。我々が一生懸命やっておるということであれば運動団体はそれを見守っていただきたい。我々が十二分にやると言って現にやっておるわけでありますから、それを十二分に見守っていただきたいと私どもは考えておるものであります。 我々はもちろん差別に中立があると考えているわけでもありません。差別に断固反対の立場をとってきたことは御承知のとおりであります。したがいまして、今申し上げたように我々は何も啓発を受けなくていいということを考えておるのじゃなしに、我々は啓発を一生懸命やっておる、現にこの刑務官に対しても高知の刑務所に対してもやっておるんだという事実を冷静に判断していただきたい、かように考えるものであります。
○天野(等)委員 法務省がそういう啓発活動をやってないと言っているわけじゃありませんよ。法務省がそれなりにこういう差別の撤廃ということで努力をされている、そのことは敬意を表します。ただ、法務局がやっているから、法務省がやっているから、ほかの民間の啓発運動というものはただそれを見守っていてくださいと今おっしゃっているような感じがしますが、それはないでしょう。これは、法務省だって動くようになったのには、水平社以来の差別をされている人たちの運動があるからこそ、法務省だってそこの運動をやるようになってきたわけです。その必要性は今だってなくなっていないでしょう。もう民間のそういう運動は要らないとでも法務省はお考えになっているのですか。そんなばかなことはないでしょう。今だってそういう団体に対していろいろな形の援助も法務省からもされているだろうと思います。この点いかがでしょう。
○野崎政府委員 参議院の論議でも申し上げたところでございますけれども、確認糾弾の歴史を見てみますと、非常に厳しい差別があるという中で、国家、地方公共団体等が何らの措置もとらない、それを傍観しあるいはむしろそれを見逃しておるような状況にあるということで、激しい糾弾闘争というものは軍隊や公共団体に対して厳しく行われたわけであります。しかし、本件につきましては、私どもはこの事件の事実を覆い隠そうとしたようなことは全くないわけでありまして、当初からこういった事実があったことを認め、そしてこれに対して懸命の調査を行い、その調査に広して今懸命の啓発をやっておるというわけであります。既に相当の時間をかけておるということはおわかりいただけるかと思います。そういう状況にあるときになお確認糾弾を行うというのは差し控えていただいたらどうか、かように申し上げておるのであります。
○天野(等)委員 私は、法務省の方で啓発運動をやっているんだから、ほかの民間の方はそれは控えていてくれという考え方はおかしいと思うのです。問題は、啓発運動の問題ではなくて差別をしたという事実、それによって被害を受けた被差別の人たちというものが歳としてあるわけです。この事件だって、被害者はいるわけですよ。被害者は、奥さんも法の上では被害者かもしれませんが、それは奥さんだけじゃありません。やはりあそこの高知のいわゆる被差別部落の人たちは被害者ですよ。こういう差別事件は一見被害者なしに加害者だけで、加害者の教育をしておけばいいというような感じになりがちだと思うのですけれども、そうじゃないと思うのです。だから、確認糾弾会というのはやはり加害者と被害者の集まりですから、それはそこで被害者が謝れと言うのはこれまた当然のことでしょうし、もちろんそれへの出席を法的に義務づけるというようなことを言っているわけじゃありません。今、現にそうなっているわけでもない。それから、そこでそれは言葉として多少の激しいやりとりはあったとしても、差別をした側としては、やはりここで謝罪をしなければならないし反省をしなければならないという場だろうと思います。それに出ていかないで、私の方でもって教育をしましたからそれで済ませてくださいというのでは、これは被害者というものが全く出てこないだろうという気がするのです。差別事件には被害者があるでしょう。そうお考えでしょう。
○野崎政府委員 差別事件の被害者をどう考えるかということでございます。典型的な差別事件として例えば結婚差別、それから就職差別といったものがございます。こういった場合の被害者というのはだれかということになりますと、まずその結婚差別を受けた人、就職差別を受けた人、これが被害者であろうと考えます。しかし、そういった事件というものが知れ渡っていくに及んで、同和地区住民の方も非常に心を痛められることになる。したがいまして、そういった方にも心の痛みを植えつけたということで被害者になるということが、今委員の議論の根底にあるところであろうかというふうに考えるわけであります。 そこで、被害者というのはいろいろ法律的な意味でも使われるわけでありまして、例えば訴訟を起こし得る適格者はだれであるかとか、あるいはある種の差別事件が名誉棄損とかそういうことになる場合に、その告訴権者はだれであるかということになると、この被害者というのはおのずから限られてくるわけでありまして、先ほど私が申し上げました狭義における被害者といいますか、第一次的な被害者ということになるかと思うわけであります。例えば示談をする、あるいは損害賠償をするといった被害者はそれに限られるわけでございます。広義の被害者に対してじゃどう贖罪するか、どうしてその罪を償うか、どうして自分の犯した部落差別というものを反省していくのかということになるわけでありますが、今度は地区住民全部に対して謝る、謝罪するということは、これはもう到底不可能のことであります。したがいまして、こういう究極の被害者といいますか、最終的な被害者に対する贖罪の方法としては、自分が行った行為の重大性というものをよく認識し、反省し、そうして二度とそういった差別を起こさない、そしてさらには、そういった部落差別に対して積極的に立ち向かっていく人になっていくということで、その誠意を示すほかはないわけであります。したがいまして、私どもは本件につきましても、この元刑務官が自分の行った行為というものを心から反省して、そしてその差別意識というものを払拭し、これからは部落差別の解消のために一歩でも進んでもらいたい、それによって地区住民全般に対する罪を償ってもらいたい、かように考えておるところであります。
○天野(等)委員 どうも議論がすれ違っていまして、なかなかかみ合わないのですが、時間がありませんので、この問題、私はまだ議論をしたいと思いますので、またの機会に譲らしていただきたいと思います。 もう一つ、時間がなくなってしまいましたけれども、指紋不押捺者に対する在留期間更新の問題でございます。金明植さんという留学生の方の在留期間が切れている、更新申請が出ていると思いますけれども、この問題についての法務省のお考えはいかがでございましょうか。
○小林(俊)政府委員 当委員会におきまして既に御説明申し上げた点と重複するかとも存じますけれども、一般に有期在留外国人の在留期間更新申請につきましては、当局としては大別して二つの点を検討の上、個別に更新許可の是非について決定を下すことにいたしております。 その二つの点と申しますのは、第一は本人の在留目的にかかわる点でございます。すなわち、本人の在留目的が円滑にあるいは支障なく達成されつつあるかどうかという点でございます。第二の点は、本人の在留そのものに伴う状況でございます。例えば本人の素行であるとかその他生活全般にわたる問題で在留にかかわる重要な問題点の有無ということでございます。 ところで、この指紋押捺拒否、すなわち外国人登録法に基づく指紋押捺義務の拒否という行為は、極めて明白な法違反行為でございます。明白と申しますのは、第一には公然たる行為であるということ、第二には故意による不作為であるということでございます。こうした行為につきましては、国内における法秩序維持のみならず、正確な外国人登録の維持に責任を有する当局といたしましては、諸般の諸情勢、すなわち指紋押捺拒否運動にかかわる諸般の諸情勢を念頭に置いた場合、これを厳しく評価せざるを得ないという基本的な立場にあるわけでございます。 御質問の人物は、留学生として本邦に在留中の身であるにかかわらず、外国人登録制度に対する批判の手段として、また大衆行動の一環として、昨年九月指紋の押捺を拒否した経緯がございます。のみならず、本人が昨年九月指紋の押捺の義務を有するに至った事情は、新規登録以降五年間を経過して切りかえのための登録の義務を生じたということではございませんで、登録証明書の紛失という本人の責に帰すべき事情によって、みずから押捺義務を招いた上で、生じせしめた上でこれを拒否したという事情もございます。 こうした事情を念頭に置きまして、当局におきましては、本人の期間更新を許可すべきか否かの決定を行うについて必要な調査を進めてまいりました。現在、その調査の結果に基づいて結論を早急に出すべく検討を進めておるという段階でございます。
○天野(等)委員 これは在留目的の達成との関係も当然入るわけだろうと思うのですけれども、今御答弁の中にもございましたが、まだ在留目的が達成されたというふうには判断はされないわけですか。
○小林(俊)政府委員 本人はなお在学を続けておる状況でございまして、在留期間の更新申請の理由としてもさらに勉学を続けたいということを理由といたしております。したがって、留学という在留目的は達成された状況にあると私ども考えておるわけではございません。
○天野(等)委員 時間がなくなりましたので、これ以上の議論はできませんけれども、韓国からの留学という目的を達成するということで、指紋押捺あるいは外国人登録法違反ということ以外についてはまさに特別の法違反を犯しているわけではない。この指紋押捺に関しては、この金さん自身一つの信念といいますか、一つの考え方で自分の考えを表現する手段として拒否ということに走っているということだろうと思うわけですが、指紋押捺拒否という法違反の程度とそれから在留目的をできるだけ達成させてやったらという一つの考え方と、その辺の比較考量というものが要求されるのじゃなかろうかというふうに私は思うわけです。そういう点で、法務省のもう少し血の通った温かい御配慮を私の方としてはぜひお願いをいたしまして、時間がございませんので、これで質問を終わらせていただきたいと思います。
○村上委員長代理 午後一時三十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時三十四分休憩 ————◇————— 午後一時四十一分開議
○村上委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。松浦利尚君。
○松浦委員 刑事局長にお尋ねをいたしますが、午前中、政治家の撚糸工連等の問題について質問をしてまいりました。しかし、昼のニュースで知ったわけですが、その中で、非常に残念なことでありますが、我々の議員の中から一応事情聴取をされるという方があったという報道がされましたし、現に会館等にも家宅捜索が特捜で行われておるという事実が報道されたわけですが、その経過について御報告をいただきたい。どういうことでそういう状況になったのか、その点をお聞かせをいただきたいということと、もう一つは、冒頭午前中申し上げましたが、既に満期の来ておる者に対する検察の判断は何時ごろ示されるのか、その二つについて再度お尋ねをしておきたいと思います。
○岡村政府委員 東京地検特捜部におきましては、本日横手文雄議員の任意出頭を求めまして取り調べを行いますとともに、議員会館の横手議員室はか数カ所につきまして捜索、差し押さえに着手いたしたところでございます。容疑事実は、撚糸工連事件の捜査の過程で判明いたしたところでございますが、第三次の設備廃棄事業に関しまして、その早期の実施と買い上げ価格を高くしてもらいたいという趣旨で国会で質問をするよう請託いたしまして、その謝礼といたしまして、当該質問の前後に百万円単位の全員を受領した、こういう収賄の容疑事実でございます。 また第二点の、現在身柄を勾留して取り調べ中の通産省関係の贈収賄事件につきましては、本日夕刻ごろになろうかと思いますが、処分の予定でございます。
○松浦委員 さらにお尋ねをしておきますが、これはさらに拡大をする、そういうふうに判断をしておられるのか、あるいは横手議員からさらにほかの議員にも進む、拡大をしていくというふうに考えておられるのか、その点を、捜査の過程ですから余り想像的な発言はできないでしょうけれども、そういう点については局長、どのように判断されますか。
○岡村政府委員 今後の捜査の方針と申しますか捜査状況と申しますか、こういったことにつきましては今の段階で申し上げかねるのでございます。
○松浦委員 法務大臣、午前中の質問でも申し上げたところですが、私たちが調査した内容でもいろいろお話を申し上げたように、いろいろな意味で政治家が介在をしておるという事実が証拠として、検察側に言わせれば証拠になるのかどうかわかりませんが、我々としてはそれは事前に承知しておるのです。ですから、そういったものについてもぜひ厳しく調査をしていただきたい。場合によっては私が持っておる三谷容疑者の発言内容についてのコピー、これを法務大臣に提出してもいいと思いますが、その点についても御見解を承りたいと思います。
○鈴木国務大臣 私の考えは午前にも申し上げたとおりでございますけれども、検察当局としては刑罰法令に触れる事案があれば厳正適正に対処するものと私は信じております。
○松浦委員 それでは、法務大臣が言われましたから厳正適正にお願いしたいと思いますが、いやしくもこの問題について刑事局長は、そんなことはないと思うのですが、言葉を慎まぬとまた後で怒られるといけませんが、偏ったところにだけしわ寄せをしないようにぜひひとつその点は理解をしておいていただきたいと思うのです。それは検察として当然のことだと思いますが、そういう点についてもよろしいですね。
○岡村政府委員 検察といたしましては常に厳正公平に対処する方針で努めてまいっておるところでございます。
○松浦委員 これから横手議員の問題についてはいろいろ調査が進むと私は思うのですが、私たちが常日ごろ顔を合わせておる法務委員会の理事の中からそういうことがあったということについて非常に残念に思いますし、我々議員としてこの問題を自重自戒して、いやしくも国民に疑いの目で見られることのないように我々自身も努力していくということを委員長に申し上げ、この問題は午前中から申し上げておるようにぜひ徹底的にメスを入れていただきたいうみはすべて出していただきたい、そういうことを最後にお願いして、橋本議員に時間をいただいて質問させていただきましたことをお礼を申し上げて、終わります。
○村上委員長代理 橋本文彦君。
○橋本(文)委員 私も岡村刑事局長にちょっとお聞きしたいのですが、前回のこの法務委員会で、検察官の志望者のなり手が非常に少ない、これを大変憂慮いたしまして、検事の待遇改善等を叫んでまいりましたけれども、その際に、撚糸工運の問題あるいはマルコス疑惑につきまして政界に及ぶのではないかというようなことを発言いたしました。それがきょう現実的になりまして、大変私もショックを受けております。この問題につきましては検察当局、本当に厳正な態度で捜査の方をしっかりやってもらいたい、こう思っております。 たまたま「検事その素顔」というパンフレットを見まして、タイミングよくこの一番最後のページを見ますと、昭和五十一年にロッキード事件、ちょうど十年目に、汚職事件に発展するかもしれませんけれども、この「検事その素顔」というパンフレットに一つの新しい汚職事件が加わってくる、何かそんなようなことを感じて感慨が深くあります。どうかひとつ厳正にお願いいたします。 きょうは厚木訴訟の判決につきまして、法務委員会におきましてはちょっと問題があろうかと思いますけれども、防衛庁並びに防衛施設庁の方を呼んでいただきましたので質問をさせていただきます。 御存じのように、この厚木訴訟というのは、安保条約あるいは自衛隊が憲法に適合するかしないかということは一切聞いておらないで、あくまでも厚木基地の爆音、騒音に悩む住民の人格権、環境権、いわゆる生活妨害訴訟に関しての裁判です。非常にスムーズな審理を期待したのですけれども、一審判決では損害については認容された。しかし、二審の東京高裁におきましては、一部認容された一審の損害額もすべて否定されて、全面敗訴、こういう非常に厳しい判決が出たのは御承知のとおりと思います。各新聞の論調でも、予想外の判決、信じられない判決、こういうような声がたくさんございました。 そこで、この問題に関しまして質問いたしたいのですけれども、まず、私が五十九年八月三日に、外務大臣、防衛庁長官あるいは防衛施設庁長官は厚木のその騒音を実際に聞いたことがあるかと聞きましたら、だれも聞いておらぬ。すぐにその音を聞いてもらいたい、騒音公害の実態を体験してもらいたいという発言をしたところが、直ちに八月七日の段階で施設庁長官が現地に飛んでいただきました。その結果、議事録によりますと、ちょっと読ませていただきますけれども、佐々防衛施設庁長官の答えは、「その騒音問題につきましては、やはり住民の間からそういう苦情が出るのはやむを得ない、相当、特に住宅密集地における騒音問題は何とかしなければいけない、そういうことを実感をもって感じました。」こういうふうに言っております。つまり、裁判所で否定した受忍限度の限界を超えておるというような趣旨にとれる発言をしております。 それから、これはもっと古いのですが、五十八年十月十一日の内閣委員会における我が党の市川雄一議員の質問に関しまして、やはり厚木での離着陸訓練による騒音、これに対して中曽根総理が、「周辺の皆さんに大変御迷惑をおかけしておりましてまことに恐縮に存じておる次第で、できるだけ早くこのような状態から脱却するように私たちも努力してまいらなければならぬと思っております。」こういう発言があります。 その後、五十九年九月十二日には粟原防衛庁長官が神奈川県の長洲知事に対しまして、「厚木基地については受忍の限度を超えているのは事実」、こういうコメントを出しております。 さらに、現職の防衛庁長官が六十年十一月十一日夜にこの厚木基地を視察しております。その新聞記事によりますと、加藤防衛庁長官は、「予想通りの厳しさ。早く解決せねばという気持ちをますます強くした」、あるいは、実際に自分が測定機を持ったときに百二十ホンという上限で振り切れてしまったという状態を踏まえて、「すごいね。至近ということもあるが、特に離陸時は大きい」こういうことを言っております。そして、この厚木基地に来る前に「東名高速の横浜インタを下りてすぐ車の窓を開けたが、鶴間駅」、これは小田急の鶴間という駅なんですが、「鶴間駅を過ぎたころから騒音が大きく感じられるようになった。だいぶ住民の方々にご迷惑をかけていると思う。特に夏場は(暑さで窓を閉めるわけにいかないから)大変だろうと思います。」これは基地じゃなくて、基地のはるか手前で言っている言葉です。そして、全部測定を終わった後、「やはり都市部、人口密集地でない所に求めていかなければならないと痛感。周辺住民のみなさんと同じ気持ちになって問題解決に当たりたい」、こういうのが加藤防衛庁長官の記者団に対する答えでした。 こういうように行政関係の責任者が受忍の限度を超えているという発言をしている中で、今回の高裁の判決は、いわゆる受忍の限度内である。この判決について、まず最高裁はどのようにお考えか、お聞かせください。
○上谷最高裁判所長官代理者 私ども事務当局の立場といたしまして、裁判の中身につきましてその当否をお答えする立場にございませんので、お許しいただきたいと思います。
○橋本(文)委員 確かに、司法と行政の関係ではそれぞれの観点、視点が違うことは私もよくわかっております。まして現在進行中の事件ですし、上告間違いないと言われるケースでございますので、内容についてはコメントできないかもしれませんけれども、端的に、行政の責任者から受忍の限度を超えているという発言が相次ぐ中で裁判官が超えていないという明確な判断をしたことについて、その御意見はやはり無理でしょうか。
○上谷最高裁判所長官代理者 司法の判断は、裁判官が独立した権限に基づいて判断を下されるものでございますので、行政の立場なりあるいは当事者の立場なりはそれぞれ訴訟を通じて御主張いただいて、裁判所の判断をまつ以外にないと考えるわけでございまして、私どもの方でその点について感想を述べることもひとつお許しいただきたいと存じます。
○橋本(文)委員 今の民事局長のお答えによりますと、これから私が質問することは全部、お許し願いたい、勘弁していただきたいで終わると思うのです。 では、一方的な私の演説になるかもしれませんけれども、この事件の一番大きな眼目は、民事訴訟という手続の中で統治行為論が出た。そして、自衛隊機あるいは米軍機の夜間飛行の差しとめ請求は完全に門前払い。したがって、行政訴訟の道もふさがれてしまったということ。それから、一審判決で認容された損害賠償の一部支払い、これについても、基地の持つ高度の公共性を理由に、被害は受忍の限界内、こういう認定で、請求を棄却したわけでございます。本来、安保条約あるいは自衛隊に関する違憲論争の場合には統治行為論が出てくるわけですけれども、民訴の関係、特に住民の持ついわゆる人格権、環境権という生活妨害公害に対するその権利保護を求めている事件で統治行為論というものが出るものなのかどうなのか、局長の意見をお聞きしたいと思います。
○上谷最高裁判所長官代理者 公審の差しとめあるいは損害賠償を求める事件の中で統治行為論が出るものかどうかという点につきましては、ちょっと私どもも、当事者の御主張との関係でございますので一般論としてはお答えしにくいわけでございますが、従前御承知のとおり、民事訴訟という形で提起されました事件におきましても、いわゆる統治行為論なるものが裁判所の判決で判示された事例はございます。 例えば、これは最高裁判所の大法廷の有名な事件でございますが、いわゆる苫米地訴訟、これが統治行為論の最も基本の裁判例として引用されるものでございますが、昭和三十五年六月八日の判決がございます。これはいわゆる議員の歳費請求という形で訴えが提起されました事件につきまして最高裁判所がいわゆる統治行為と言われる判断を示しているわけでございます。 それからたまたま公害関係ということで御紹介申し上げますと、東京地裁の八王子支部が昭和五十六年七月十三日に言い渡しましたいわゆる横田基地の第一審判決の中で同様の判断が示されているのを例としてお示しすることができようかと思います。 そのほか、御承知のとおり行政事件でございますが、長沼ナイキ事件の札幌高裁の昭和五十一年八月五日の判決が、傍論としてではございますが、統治行為論について触れて判示をいたしております。 それから登記請求の事件でございますが、いわゆる百里基地訴訟と言われます事件で、水戸地方裁判所の昭和五十二年二月十七日の判決が、やはり自衛隊の問題につきまして統治行為の立場から理論を展開して判断を示しているという例がございます。 その他、民事訴訟として二、三、余り有名な事件ではございませんが、統治行為の理論を適用して判示をしている例はあるようでございます。
○橋本(文)委員 この訴訟は厚木基地を否定するものではなくて、強いて言えば厚木基地の存在は認めて、しかもその共存の道を探ろう、こういうような形でもって行われた裁判だと思うのです。だけれども、判決は、加害行為の「公共性が高ければ、これに応じて受忍限度も高くなる」という表現、それから防衛問題というものは国のあり方とも密接に関連し、極めて高度な公共性を帯びる事項で、米軍や自衛隊機による飛行場の使用にも高度の公共性がある、こういうような認定をした上で、そして全面敗訴になったわけですけれども、もともと公害が発生する源、公害発生源といいますが、この公害発生源の公共性の程度、公共性が高ければ高いほど、逆に言えば人体に対する受忍の限界というものは低まるのだ。こういうことは逆さまの論理ではないか。つまり、公共性が強ければどんなにひどい人体に対する厳しい影響があっても我慢すべきである、こうなるわけですね。こういうことが国民の一般常識に反しないものかどうか。私の方ではむしろ公共性が高くなればなるほど、その損害、本件の場合で言えば自衛という問題、国の防衛という問題、我が国国民全体がいわゆる利益を受けるわけですね。その利益を受けるわけですから、国民全体がその基地周辺の住民に対しては、いわゆる損害賠償をする、補償をするということがいわゆる公平の原則に合致するのではないか、こう思うわけです。いかがでしょうか。
○上谷最高裁判所長官代理者 法律論そのものにつきましては、いろいろな考え方もあろうかと思いますし、最終的には裁判所の判断で示されることでございますので、私どもとして今のお尋ねの点について直接法律論としてお答え申すことは差し控えさせていただきたいと存じます。 ただ、公共性あるいは公益性というものと受忍限度の問題についてどのように裁判例として判示されているかという点については、判例を若干御紹介いたしたいと存じます。 最も基本になる裁判例といたしましては、御承知のとおり大阪国際空港の夜間飛行禁止請求事件に関する昭和五十六年十二月十六日の大法廷の判決がございます。この判決が損害賠償請求とそれから受忍限度の問題について二審判決に対する判断として述べておりますところを御紹介させていただきますと、このように判示いたしております。 本件空港の供用のような国の行う公共事業が第三者に対する関係において違法な権利侵害ないし法益侵害となるかどうかを判断するにあたっては、上告人の主張するように、侵害行為の態様と侵害の程度、被侵害利益の性質と内容、侵害行為のもつ公共性ないし公益上の必要性の内容と程度等を比較検討するほか、侵害行為の開始とその後の継続の経過及び状況、その間にとられた被害の防止に関する措置の有無及びその内容、効果等の事情をも考慮し、これらを総合的に考察してこれを決すべきものであることは、異論のないところであり、このように言っておりまして、今申し上げました判断の中に「侵害行為のもつ公共性ないし公益上の必要性の内容と程度」というのが比較考量の一つの要素として判示されているところでございます。 このような一般論を前提にいたしまして、結論の部分を読んでみますと、原判決がこれら諸般の事情の総合的考察に基づく判断として、上告人が本件空港の供用につき公共性ないし公益上の必要性という理由により被上告人ら住民に対してその被る被害を受忍すべきことを要求することはできず、上告人の右供用行為は法によって承認されるべき適法な行為とはいえないとしたことには、十分な合理的根拠がないとはいえず、このように原判決の判断を支持しているわけでございます。この結論部分でも公共性ないし公益上の必要性というのを一つの比較考量の要素にしているということはおわかりいただけると思います。 そのほか、有名な訴訟を例にとりますと、名古屋高裁の昭和六十年四月十二日のいわゆる東海道新幹線の騒音、振動差しとめあるいは損害賠償請求の控訴審の判決の中でも、やはり東海道新幹線の持つ公共性の内容それから程度を考慮の一要素としておりますし、その他最近の裁判例でも公共性あるいは公益性を受忍限度の比較考量のための一つの要素としている判例はかなり多数見受けられるところでございます。 そういうふうなことでございますので、最近の裁判例の一般的傾向と申しますと、受忍限度を判断する上におきまして、侵害行為の公共性ないしは公益性の内容、その程度というのを比較考量の一つの要素としているということは申し上げることができると思います。
○橋本(文)委員 今、局長答弁のように、大阪空港の訴訟の最高裁判決につきましては、公共性そのものは免責理由にはならない、端的に言えばこうだと思います。ところが本件の判決は、防衛問題は司法判断の外に置こうという態度がありありとしておる。そういう点で前回の最高裁の判例と大分流れが違うわけですけれども、最高裁に上告された段階でこの控訴審がまたひっくり返るということはあり得るわけでしょうか、今のお話からすれば。
○上谷最高裁判所長官代理者 理論的には上訴の申し立てでございますから、それについて裁判官の御判断いかんによっては判断が覆ることはもちろんあり得るわけでございますが、具体的この事件につきましてどのようになろうか、これは裁判所の裁判官が御判断になることでございます。私どもも何とも申し上げるわけにはまいりません。
○橋本(文)委員 ちょっと話が変わりますけれども、つい最近中曽根総理大臣が、司法はオーバーランしている、こういう発言がありましたね。この発言自体は定数に関する違憲判決を指しているかもしれませんけれども、司法はオーバーランしているという総理の発言に対して、司法当局はどのように受けとめておりますか。
○上谷最高裁判所長官代理者 これはせんだっての国会で議員の御質問がございまして、私どもの事務総長からも御答弁申し上げておりますとおり、中曽根総理の御発言の内容の詳細については一々私ども詳しくは存じ上げておりませんが、その後国会でいろいろ御答弁なさっておられるところを拝見いたしておりますと、三権のあり方についての抽象論をお述べになったというふうに理解しておるわけでございまして、総理の発言について特に私どもの方としてどうこう申し上げる立場にはないといいますか、そういうふうな考えでおるところでございます。
○橋本(文)委員 厚木周辺の住民から言わせますと、この判決が予想外の判決で信じられない判決なんだけれども、その背景には首相のオーバーラン発言も多分影響しているのではないか、時の権力に迎合する判決ではないのか、そういう厳しい声もあるということをぜひ司法当局は知っておいていただきたいと思います。確かにこれは当初政治的な行動がたくさんございました。しかし、一向にらちが明かないというので、最後に人権を守ってくれるのは裁判所しかないという気持ちで司法救済に乗り出した。これがいわゆる厚木訴訟の期成同盟の方の考え方のようでございますけれども、これについてももはや司法救済の道は閉ざされた、こういうような形で大変なショックを受けておることは前にも申し上げました。 そこで、ここで改めて聞くのはおかしいのですけれども、一体裁判所の役割というのは何なのか、改めてここでお聞きしたいと思います。
○上谷最高裁判所長官代理者 裁判所の役割は、端的に申しますと、具体的な争訟につきまして憲法及び法律に従って適正かつ迅速に判断を下す、それ以外にはないと考えております。
○橋本(文)委員 有名な判例で、人の生命というものは全地球よりも重たいとありますね。これに関しまして、極めて政治性の高い国家統治の基本に関することは裁判所の審査権も及ばない、統治行為の理論でもございますけれども、こういう考え方が昭和三十年代から出てきまして、最高裁で採用された。そして、自衛隊関係訴訟においても下級審で適用されたことは先ほど局長が述べられたとおりでございますけれども、こういうことをやっておりますと、司法みずからが自分で自分の首を絞めていく、司法というものの役割をみずから放棄していると言わざるを得ないし、国民が裁判所に寄せる期待というものも大分失われていってしまうのではなかろうか、こう思っております。 いずれにしましても、この判決を見る限り、人の生命は全地球より重たいなんというような感覚は全くない、被害住民に対する裁判所の理解というものは極めて低いと断ぜざるを得ないわけですけれども、特に高い公共性という見地から、基地周辺の住民に騒音の犠牲を強いる、そしてそれを賠償しなくてもいいということについては、何としてもこれは納得できないし、こういう態度は司法当局としては本当に考えてもらいたい。別にこれは、三権分立からいって、裁判所に圧力をかけているわけではございません。地元の声として裁判所に寄せる声が大きいから、あえて言わせていただきました。 ところで、この空港の裁判も含めて基地問題、あるいは大阪空港問題とか、新幹線をめぐる、いわゆる大規模な公共施設をめぐる公害差しとめ訴訟がございますけれども、その中でもこの判決に関する限り住民にとっては一番厳しい判決だと思います。したがいまして、この判決に対しましてはこう言われております。政治や行政に対して、自己抑制的であるあるいは消極的であるという批判がありますけれども、その批判されている司法の姿勢がその極限に達したケースである、こういう厳しい論調もございます。これについてはいかがですか。
○上谷最高裁判所長官代理者 一つの裁判所の判断に関しまして、いろいろな立場からの御批判があることは十分私どもも承知しておるわけでございますが、やはり裁判所といたしましては、繰り返すようになりますが、先ほど申し上げたとおり、憲法並びに法律に従ってかつ証拠に従って事実を認定し法律を解釈する、それが裁判所の使命でございますし、特に一定の立場に立って判断をするというものでは決してないことを御理解いただきたいと存じますし、私ども事務当局といたしましても、最高裁判所の裁判官初め現場で裁判事務を現に担当なさっておられる裁判官の皆様方は、そのような態度で事件に取り組み判断をなさっていると確信している次第でございます。
○橋本(文)委員 何回も現在生きている事件につきまして言うのは私も忍びがたいのですけれども、どうしても防衛問題というものを高度の公共性という名のもとに、触れてはならないのだ、そして住民の生活権というものはその防衛問題よりも下にあるのだというような感覚でなされた判決ではなかろうかということ。私どもは司法というものは国民の権利救済の最後のとりでであると考えておりますので、極めて残念でならないと思っておりますが、この問題につきましては、この程度にいたします。 それで、いわゆる差しとめ請求、これについてちょっとお尋ねしたいのですけれども、現在、公害生活妨害事件がたくさんございます。しかもその圧倒的多数は侵害行為そのものの差しとめを請求しておる。要するに、よく言うのですけれども、病気になってからでは遅い、病気にならないように注意しよう、これは健康問題ですけれども。それから裁判の場合でも、トラブルが起きてしまっては遅い、したがってトラブルが起きる前に何とか手を打とう。前回も外国弁護士の問題を論議しましたが、あれは恐らくトラブルが起きてからでは遅い、事前に未然に防ごうという意味で海外進出の要望があったのではなかろうかと思うのです。 そういう意味からすると、事件が起きて損害が発生した、その救済というのではもう間に合わないということで、にわかに差しとめという問題が出てまいりましたけれども、これは明文の規定がない。解釈論にゆだねられている。そんなわけで、その差しとめ法理の確立が待たれるわけですが、さっき出ました大阪空港、これにつきましては、一審、二審が差しとめを認めた。ところが、残念ながら最高裁はそれを覆してしまった。そういうわけで、これについてはたくさんの批判が出ておると思います。 いずれにしても、被害の救済の実を上げるということは、どうしても予防的な救済手段としての差しとめ、この法理を確立しなければならぬと思うのですけれども、この差しとめ法理に関する最高裁のお考えはいかがなものでしょうか。
○上谷最高裁判所長官代理者 差しとめの法理というのは非常に難しい問題でございます。私ども事務当局の立場といたしまして余り法律論を展開するのもいかがなものかと思われますので、過去の重立った判例の考え方について御説明させていただくにとどめたいと存じます。 ごく大まかに申しまして御承知のとおり公害等の侵害行為の差しとめにつきましてはいわゆる物権的請求に基づいて差しとめを求めるという考え、それから人格権という観念を考えましてそれに基づいて差しとめを認めることができるという考え、あるいはまた環境権という権利を構成いたしましてそれに基づいて差しとめを求める、さらにはまた不法行為の場合に一般的に差しとめを請求することができる、このような各種の考え方がございます。 裁判例の傾向から申しますと、いわゆる環境権についてはいろいろ学説等では言われておりますが、裁判所で採用した例は全く見当たらないようでございます。その他の、いわゆる物権的請求権に基づき、あるいはまた人格権的請求権に基づき、あるいはまた不法行為の差しとめという形で差しとめ請求を認容した事例はそれぞれあるようでございます。ただ、最近の裁判例の傾向を見てまいりますと、不法行為をもとにして差しとめを認めるというふうな考え方は比較的少ないようでございまして、多くの考え方は物権的請求権あるいはまた人格権的なものに基づいて差しとめを認めるという考えで処理しておる裁判例が多いようでございます。ただ、この人格権と申しますものはその外延が一体どういうふうなものであろうかという点についてまだ必ずしも明確でない点がございまして、この点についていろいろ反対の意見もあるようでございます。 例えば、最近の例で申しますと、名古屋高裁で出されました新幹線の運行差しとめ訴訟の中では人格権というような大きな言い方はしないで、その中に一つ一つ含まれていると言われるところの身体、生命に対する侵害を守る権利という形で、いわば身体権というような言い方をして、差しとめの根拠として一般論としては認める、その上で受忍限度論を適用いたしまして結論としては請求を排斥したわけでございますが、一般論といたしましてはそのような考え方を展開しておるところでございます。 〔村上委員長代理退席、委員長着席〕 先ほどお話にもございましたとおり、大阪地方裁判所、大阪高等裁判所のそれぞれの大阪空港訴訟事件におきまして各裁判所が差しとめを認めた根拠としては人格権という表現を使っており、かなり広いものをつかまえておりますが、現在の裁判例としてそこに言われるほど広いものとして人格権をつかまえる考え方が確立しているかどうかとなりますと、必ずしもまだそこまでは理論が確立していないのではないかというふうな印象を受けております。 いずれにしましても、この点について端的に判断いたしております最高裁の裁判例はまだないようでございますので、いってみれば生成過程の理論というふうなところでございまして、各裁判所の裁判例の考え方も若干揺れ動いているというのが実情ではなかろうかと存じます。
○橋本(文)委員 では、最高裁には、上告の段階で前の判例を踏襲してこの判決がまたひっくり返ることを希望いたしまして、質問を終わります。 法務省にお尋ねいたします。この厚木基地の騒、音問題に関しまして、いわゆる受忍限度を超えるか超えないかということで随分議論がありまして、判決は残念ながら超えないと出たわけでございますけれども、法務省の人権擁護局としてこの厚木の騒音にどのように対処してきたのか、具体的にいわゆる人権侵犯事件として提訴があったのかどうか、これをお尋ねいたします。
○野崎政府委員 御指摘の事案につきましては昭和三十六年の五月十八日に厚木基地爆音防止期成同盟から横浜地方法務局に対しまして人権侵犯事件であるという旨の申告がなされました。横浜地方法務局ではいろいろ調査いたしました結果、この騒音というものがその地域の相当多数の住民に精神的また日常生活におけるある程度の被害を与えていることは認められるけれども、この騒音というものが住民の基本的人権を侵害するものであるかどうかということになりますと、先ほど来御指摘になっておられます判決におきましていろいろ議論されているような問題について調査を続け判定をしていかなければならず、これは人権擁護機関としてはにわかに決しがたいし、やや荷の重いところがある、しかし憲法の理念としている基本的人権の尊重という観点から考えると少しでも騒音というものが軽くなる方が望ましいことは明らかでございますので、そういった観点から防衛施設庁に対しまして、さらに調査検討をして適当な措置があるなら講じられたいということで事件を回付いたしましたいきさつがございます。
○橋本(文)委員 三十六年当時はプロペラの飛行機がおったんですが、いわゆるジェット機に変わって必然的に騒音が激しくなったという年なんですね。そこでそういう侵犯事件という提訴があったわけなんですけれども、今言った厚木訴訟の一審の判決が結審した後、五十七年の二月から、いわゆるミッドウェーが横須賀に寄港して厚木基地でタッチ・アンド・ゴーの練習をするようになった五十七年二月以降、もう従来の音とは比較にならないほどの騒音がふえてきたということを踏まえての提訴はございましたか。
○野崎政府委員 五十七年以降はございません。
○橋本(文)委員 今局長のお話を伺っておりますと、確かに憲法の理念としている基本的人権の尊重の観点から放置できないという考え方から防衛施設庁の方に何らかの対策を練るように回付したという答弁なんですけれども、要するに他の省庁に問題を送るだけが人権擁護局の役目なんですか。
○野崎政府委員 必ずしもそうではないわけでありまして、事件事件によって決せられるべきことであろうかと存じます。
○橋本(文)委員 本件の場合には残念ながら防衛施設庁の方に何とかしなさいという——具体的には何とかしなさいというのはどういうことなのか、詳細はわかりますか。
○野崎政府委員 この騒音を仮に軽減するということになりますと、どういった設備をすることが必要であるかということを検討する必要がございます。また騒音というものが同一地点においても季節とか天候とか日時あるいは飛行方法などによって著しく変動があるということのようでございますので、もしそうだといたしますと、そういったものを踏まえてどういった運用をしたらいいかということにもなってくるわけでございます。こういったことにつきましては当然のことながら高度の専門的知識を要するとともに相当額の費用も必要となってくるわけでございますので、所管官庁である防衛施設庁におきましてそういった点を検討していただき、適宜な措置をとってもらいたい、そのためには事件を回付するのが相当である、かように考えた結果回付をいたしたところでございます。
○橋本(文)委員 人権擁護局がこれは確かに人権侵犯に当たるとして判断してダイレクトにその除去をするという権限はあるのですか。
○野崎政府委員 御承知のように人権擁護機関は非権力的な啓発機関でございます。したがいまして、私どもが具体的な事件で人権侵犯があったというふうに考えますときには、その結果を除去し被害を回復するための勧告を粘り強くやってまいるわけでございます。もしそういった努力にもかかわらずそれが受け入れられないという場合には、訴訟等の手段に訴えるほかはないわけでございまして、その場合にもそれなりの援助はいたしておる、かような状況にございます。
○橋本(文)委員 検事が足りないということでパンフレットができました。「検事その素顔」というすばらしいパンフレットなのですが、この中に「人権擁護行政について」という形で若干述べられております。ちょっと読ませていただきますと、人権擁護行政については一番迫力がないように思うのですね。「使命は、人権の擁護、自由人権思想の普及高揚であり、その武器は、憲法と条理です。こまごまとした法律には拘束されず、基本的人権を侵犯するものがあれば、適切な救済措置を講ずる権限が与えられています。」こう書いてありますので何とかしてくれるんじゃないかなと思うわけです。それから後半の方で、彼が言っているのは個人的な心情かもしれませんけれども、「すべての人々が人権を犯されることなく、幸せに暮らせる世の中を実現するため、一法律子として、また検事の正義感をもって、人権擁護行政に当たっています。」こういう文章があるわけでありますけれども、局長の話を聞いていますと、勧告機関にとどまるということで、非常に弱い立場だなということを今改めて思うわけなのです。特に厚木訴訟に関する限り、大変なことがあるということを認識しておっても法務省としてはそれは余り言えない、施設庁に何とかしなさいと言うくらいが限度である、こういうことがわかりました。しかし、憲法の理念からしても基本的人権は尊重しなければならないという考えは法務省におありだということはわかりました。 そこで、今度は法務省の訟務局にお尋ねしたいのですが、今回の厚木の国側指定代理人としては訟務局検事がやっておるわけですね。
○菊池(信)政府委員 訟務局の者も出ております。
○橋本(文)委員 国側指定代理人は相当多数おったようなのですが、これは新聞の記事で私もはっきりしないのですが、裁判官出身の検事が多数占めておったという記事がありました。これはどの程度の数なのか、総人員はどの程度なのかおわかりになりますか。例えば問題になっている防衛施設庁の方も入っているのかどうか。
○菊池(信)政府委員 総体の数はただいまちょっと数えかねますが、訟務の者のほかに所管行政庁であります防衛施設庁の職員の方も指定代理人になっております。
○橋本(文)委員 この事件で国側指定代理人は徹底的に統治行為論を援用し、また公共性が高いから受忍義務の限度内であるという理論を主張いたしました。そして高裁はそれをほぼ全面的に認めた、こう思うのです。 またこのパンフレットに返りますけれども、訟務局に関する記事でこういうのがあります。「国の施策の根幹にかかわるような重要事件については国側の指定代理人として」活躍する、そして「行政における法の支配を念頭に置いて、個人の利益と公共の福祉との正しい調和を図り、適正な裁判の実現に寄与することを使命として」「事実の調査・認定の能力のかん養が必要である」こういうようなことが書いてあります。こういう法務省の訟務局検事の立場からすれば、個人の利益、公共の福祉との兼ね合いあるいは事実の認定、特に今回の場合では騒音そのものがいわゆる受忍の限度なのか、限界内なのか限度外なのかということの事実認定がまさに重要なんですけれども、どうも残念ながら訟務検事さんとしては受忍の限度内であるという認定をしたように思えてならないのですけれども、いかがでしょうか。
○菊池(信)政府委員 この事件におきまして訟務としては、国側の主張としては、本件で問題になっております差しとめ請求、それから損害賠償請求の違法性判断の基礎になるところの受忍限度との関係におきましては受忍限度内であるという主張をしてまいっております。
○橋本(文)委員 裁判官に対してのコメントなんですけれども、一体裁判官はどんな耳を持っているんだろうかという声がありましたが、私から言わせれば、この国側指定代理人もどんな耳を持っておったんだろうか、こういう気がしてならないのです。やはり個人の利益ということも真剣に考えていただきたかったなと思います。 それはともかくとして、大臣、お休みのところ済みません。聞き漏らしかもしれませんけれども、法務省の中に人権擁護局がございます。ここで人権侵犯事件については何とかしなければならないという気持ちがおあり、ところが同じ法務省の中で訟務局がございまして、国の根本施策にかかわるような大きな事件になりますと国の指定代理人として国の利益を擁護するために頑張るわけです。そうすると、同じ法務省の中でも相矛盾するようなことがあるわけです。片や人権侵犯で憲法上問題があるなどいう意見がある。だけれども、片や裁判になってしまえば国の利益を守るために断固として国民の基本的人権なんかどうでもいい、そう言ったら語弊があるかもしれませんけれども、そんな形でもって相争う、二つの相矛盾する立場を統括しなければならないのが法務大臣の使命でございまして、これを端的に大臣はどう思いますか。
○鈴木国務大臣 国政は全般にバランスをとって、調和をとってまいらなければならないわけでございますから、そういう立場としては、二つであっても国の全体の立場から適切に調和が図られてまいるものと私は思っております。
○橋本(文)委員 きょう法務委員会でまことに恐縮なんですけれども、防衛庁並びに施設庁を呼んでいただきました。 そこで、まず施設庁にお尋ねしたいのですが、施設庁として、佐々施設庁長官が爆音体験をしておられる。先ほど私が読みましたね。その中で、私の読む限りではこれは受忍の限界を超えているなという発言に聞こえたわけです。ところが、今回の判決は防衛施設庁も予想だにしなかった判決ではなかろうか。当然、施設庁としては損害賠償だけはやむを得ないんじゃないかと思っておったと思うのですけれども、それが一切必要なし。そういう判決で、私の秘書の話によりますと、施設庁の係員が、もう欣喜雀躍、笑みを満面に浮かべて、勝たせてもらいましたというような顔でその判決要旨を持ってきたようでございます。そこで、この判決を施設庁はどのように評価しているのか、端的に聞きたいと思います。
○吉岡説明員 施設庁といたしまして、本判決は、国側の本件飛行場の重要性及び基地周辺対策に努力してきた、こういう主張が認められた結果のものと考えております。防衛施設庁としましては、今後とも一層、基地周辺の生活環境の整備改善等に努力してまいりたい、このように考えております。
○橋本(文)委員 防衛施設庁に訟務室というのがございますね。その訟務室の中から、今回のこの判決のいわゆる国側の指定代理人になっている方がおられるのですか。 〔委員長退席、村上委員長代理着席〕
○吉岡説明員 防衛施設庁の訟務室から国側の指定代理人が出ております。
○橋本(文)委員 何名ですか。
○吉岡説明員 三、四名と思います。
○橋本(文)委員 安全保障特別委員会で、騒音公害が大変なんだということで私も随分主張してまいりました。そして、佐々長官も大変だということを認めておられる。しかし、防衛施設庁の中の訟務室の担当の方は、統治行為論、あるいは公共性が高いために受忍の限度内だというようなことを主張していたのかと思いますと、非常に残念だなという気がいたします。厚木基地周辺の事情を一番知っている施設庁なんですから、もう少し少なくとも国民の側に立って、こういう立場もあるんだよというようなことを言ってくだされば、今回のような全面敗訴というような厳しい判決は出なかったのじゃないかと私は個人的に思っております。 それはともかくといたしまして、公共性が高ければ受忍限度もそれだけ高いんだという判決でございます。そして、爆音による睡眠あるいは生活妨害というものは我慢の限度内である、ここまで断定されてしまった。しかし、施設庁が進めております防音工事そのものはまだ四割強にしかなっていない。したがって、この判決を受けて、先ほどさらに鋭意努力しますというような発言がありましたけれども、今後の進捗状況、本年度の予算あるいは来年以降の予定、これをお聞かせください。
○片淵説明員 お答えいたします。 厚木飛行場周辺の七十五WECPNL以上の第一種区域内におきます住宅防音工事の対象世帯は約八万二千世帯と考えておりまして、昭和六十年度までに、一室または二室の防音工事でございますけれども、約三万五千世帯の工事を完了したところでございます。昭和六十一年度予算に係ります分でございますけれども、全国の住宅防音工事の予算世帯数は約三万三百世帯でございますけれども、厚木飛行場の住宅防音工事はその三四%に当たります一万四百世帯、これは追加工事を含めております。また、予算につきましては、全国の住宅防音工事の予算は約五百五十五億円でございますけれども、その三六%に当たります約二百二億円を計画しているところでございます。 当庁といたしましては、厚木飛行場周辺におきます住宅防音工事を最重点施策と考えておりまして、今後ともその促進に最大限の努力をしてまいる所存でございます。
○橋本(文)委員 八万二千世帯あってまだ三万五千しかできていないわけですね。とりあえずは世帯人口に応じて一室または二室、これ四人までが一室ですか、四人を超えると二部屋防音工事がなされる。いずれは全室というか、一戸全体の防音工事をするというようなお話もあったのですが、それはいかがですか。この判決によっていわゆる部屋数だけでもう事足れりとするのか、あるいは一軒丸々防音にする構想があるのかどうか。
○片淵説明員 住宅防音工事の進め方でございますけれども、やはり当面四人以下は一室、五人以上は二室という形で新規工事を幅広くやってまいりまして、それと並行いたしまして全室工事もやかましい地域から順次進めてまいっております。ちなみに、今までに全室防音工事につきましては三千四百世帯の実施を見ております。六十一年度におきましても約千世帯を考えております。そういうことで、積極的に進めてまいりたいと考えております。
○橋本(文)委員 六十一年度はわかりました。六十二年度以降、来年度以降の予定はいかがでしょうか。
○片淵説明員 現下の大変厳しい財政事情でございますけれども、財政当局の御理解を賜りましてどんどん伸ばしてまいりたい、積極的に推進してまいりたいと考えております。
○橋本(文)委員 私、安全保障特別委員会で五十九年八月三日に、今回の判決でまさに物の見事に否定されたのですけれども、臨床的なデータがないという形でけられましたが、そのときに千秋政府委員の方から、「現在、民間の医療機関に委託してこの調査を実施しております。」こう言われた。この騒音公害に対して人体にどのような影響があるか。乳幼児が引きつけを起こす、あるいは妊婦が流産する、あるいは耳がおかしくなった、こういう身体的な障害の弊害がある、これはアンケートに基づいて調べたことなんですけれども、それについて、民間の医療機関に委託して調査を進めておりますという答弁をいただいたのですけれども、それから二年たちました。現状はどうなっていますか。
○片淵説明員 昭和五十九年八月三日の衆議院の安全保障特別委員会におきまして当時の千秋部長がお答えしたとおりでございまして、航空機騒音が人体にどのような影響を与えるかについての調査は、非常に長期にわたる追跡調査と各種の事例につきまして数多くのデータを収集する必要があるため、当庁といたしましては、ここ数年来、医療機関に委託しまして種々の調査を実施しているところでございますけれども、現在のところ明確な結論を導き出すためのデータ等が十分に充足されてない状況にございます。今後ともこの調査を継続して行いまして、データ等の収集、研究を実施してまいりたいというふうに考えております。
○橋本(文)委員 前回私はあえて細かく追及はしなかったのです。しかし二年たちましたのできょう聞きますけれども、委託している民間医療機関というのはどこなのか、その名前を言ってください。
○片淵説明員 現在調査をいたしておりますので、病院の名前は御容赦いただきたいと思います。
○橋本(文)委員 全然していないんじゃないですか。データはどのくらいあるのですか。その数量はどの程度つかんでいるのですか。具体的に答えてください。
○片淵説明員 本調査は昭和四十六年度から医療機関にお願いいたしまして実施しておりまして、その都度データを先生方にお集めいただきまして分析していただいているところでございます。先ほど申し上げましたとおり、結論を出すにはまだデータの収集が十分でございませんので、なお調査を継続して行いたいということでございます。
○橋本(文)委員 全然納得できません。四十六年からやって、きょうまで十五年間ですよ。十五年間やっていて、しかも何もわからない。こんなばかな話がありますか。やっていないんでしょう、本当言って。
○片淵説明員 現実に毎年実施いたしております。
○橋本(文)委員 先ほど医療機関を言わないと言ったけれども、ぜひ言ってください、ここで。全部でなくてもいいから、代表的なもので結構です。全く信用できないですよ。
○片淵説明員 現在調査を実施中でございますので、病院の名前は差し控えさしていただきたいと思います。 〔村上委員長代理退席、委員長着席〕
○橋本(文)委員 何言っているんですか。じゃ、全然やっておりませんとはっきり言いなさい。それならばこちらは納得しますよ。今回の裁判、要するにそういう臨床的なデータがないということで負けているのです。仮にそういうデータがあれば、裁判所の判断だって変わってくる。どうなんですか、本当に。要するに国側の利益を守るために公表しないのか、あるいは裁判に加担するために言わないのか、今もしここでデータを出せば次の最高裁の判決に影響する、そういう思惑で隠しているのか、こんな邪推を持たざるを得ないじゃないですか。代表的でいいから、現在委託している民間の医療機関をおっしゃってください。
○片淵説明員 昭和四十六年度から実施しております調査は、同じ医院でずっと継続的に追跡調査等を行っていただいております。現実に六十年度も実施いたしましたし、六十一年度におきましても、約四百万弱でございますけれども、経費で実施する予定にしております。
○橋本(文)委員 そんなことは聞いてないのですよ。四十六年以来一貫して同じ医院で頼んでおりますと言うから、その医院を名前を言ってくださいと言っているにすぎない。何で隠すのですか、こんな問題。答えにくいようでしたら、それでは、言えない理由を言ってください。
○片淵説明員 現在調査を実施中でございますので、いろいろ影響があるかと思いまして、差し控えさしていただいているところでございます。
○橋本(文)委員 さっぱりもってわからないですけれどもね。怒る気もなくなりますよ、本当言って、あほらしくて。 いいですか。やっておりませんね。
○片淵説明員 実施いたしております。
○橋本(文)委員 水かけ論で、これじゃしようがない。これはそんな重要な問題じゃないでしょう。
○福家委員長 防衛施設庁説明員に申し上げる。自信を持ってはっきり質問者の納得いくように答えなさい。
○片淵説明員 調査を委託しております委託先につきましては、四十六年度からずっと同じところでございますけれども、いろいろ社会的な影響もございますし、また、実際に調査を委託している先からも、明らかにせぬでもらいたいというような御要望もあるようでございますので、病院名は差し控えさしていただきます。 今後につきましても継続的に本調査につきまして実施してまいりたいと思っております。
○橋本(文)委員 これはまさに、そういうデータの公表をすることによって騒音公害のいわゆる人体に対する臨床的な結果というものが出るのだ、出してはまずい、判決に影響する、訟務室から三名から四名の代理人が出ておる、そのためにあえて不利な証拠は出さない、そうとしか思えないじゃないですか。納得できませんよ本当に。四十六年からやっておって、十五年間経過している。にもかかわらず、まだ何にも明確なる結論は出ておりません。こんなあほな話ありますか。時間がなくなりましたので、これはまた場所を変えて徹底的に追及します。 防衛庁に伺います。 時間がなくなりましたが、まず防衛庁自身、粟原前長官あるいは加藤両長官が現場を見た。大変受忍限度を超えているという表現が出ているけれども、今度の判決をとらえて防衛庁自身は受忍の限度を超えたかどうか、お聞かせください。
○宝珠山説明員 突然の御質問でございまして、担当の者が出席しておりませんで、ちょっと何ともお答えいたしかねます。
○橋本(文)委員 今の件はちゃんと質問通告しておりますよ。今回の判決についてどうとらえるかということですよ。何ですかきょうのあれは。
○宝珠山説明員 御説明いたします。 私、厚木基地の防衛上の必要性などについて質問の通告は受けておりまして、そのために参っておりますが、訴訟の関係については監査課の所管でございまして、私ちょっとお答えいたしかねますので、お許しいただきたいと思います。
○福家委員長 それでは防衛庁、帰って直ちに上司と相談して統一した答弁を出しなさい。
○橋本(文)委員 施設庁の方と防衛庁の方について、それぞれ判決をどう受けとめるかという評価を、ちゃんと通告を出しているのです。それではもう時間もありませんから、次回に改めて一般質問の時間をいただきまして……。 では最後に施設庁の片淵さん、次回までには必ず民間の医療機関の名前を挙げてください。具体的にどの程度のデータが出ているのか、数量をもって表にして出してください。 終わります。
○片淵説明員 ただいまの御要望の件につきましては、上司に諮りまして処置させていただきます。
○福家委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○福家委員長 速記を始めて。 防衛庁に申し上げる。委員会はその答弁では納得いたしませんから、次の機会に十分防衛庁として相談の上、答弁できるよう勉強してください。 岡田正勝君。
○岡田(正)委員 冒頭に申し上げておきます。 本日午後、委員会再開冒頭におきまして松浦議員さんの方から、横手文雄議員の取り調べ容疑に対する質問が行われまして、これに対して当局より答弁がございました。これが事実とするならばまことに遺憾なことであります。しかし、当人に会っていませんので、本人の話も聞き、事実を確認した上で、党としてきちっとした対応をいたしますことを申し上げておきます。
○福家委員長 わかりました。
○岡田(正)委員 次に、一般質問をさせていただきます。 現在商法編会社法の改正の方向が法制審で検討されているのでありますが、その進捗状況について民事局の方にお尋ねをいたします。
○枇杷田政府委員 御指摘のように、ただいま法制審議会の商法部会におきまして商法、その中でも会社法の改正についての審議が進められております。 現段階での作業状況を申し上げますと、さきに民事局の参事官室名で出しました問題点に対する各界からの御意見が出ておりまして、その御意見も参酌しながら一応中間のたたき台と申しましょうか試案を取りまとめるべく審議を進めておりまして、この試案を今月の二十二日に予定されております部会で検討をしていただきまして、そしてその後、整理をした上で、ことしの六月ごろにまた法務省民事局の参事官室名でその試案を公表いたしまして各界からの御意見を伺うということで、その御意見を伺った後でまた慎重にいろいろな角度から検討をして法案づくりに進んでまいりたいということでございますが、まだその段階でございますので、改正案を取りまとめるまでにどれぐらいの時日を要するかということははっきりしたことは申し上げられませんけれども、今後なお三年ぐらいは要するのではないかというふうに考えております。
○岡田(正)委員 この会社法改正の検討課題といたしまして一番大きなところは大小会社の区分の問題であろうと思いますが、これはどういう考え方に基づくものか、具体的な内容の問題はまた後で質問させていただくといたしまして、その思想とか理念とかいうものについて説明を願いたいと思います。
○枇杷田政府委員 今回の会社法改正の中の中心課題の一つが大小会社の区分でございますが、この区分を検討しなければならないというふうに私どもが考えております理由は、現在株式会社が我が国で百万ちょっと超えております。それから有限会社が百十万ぐらい存在をいたしております。このたくさんの会社はいろいろな形態がございまして、大きいものから小さいものまでそれは極端に違う。しかも、殊に株式会社につきましては商法の規定自体が相当大きな会社を念頭に置いて規定をいたしておるということから、小規模の株式会社につきましてはどうも規定がその実態に合わないと申しますか、あるいは会社の方が規定に合わないと申し上げた方がいいのかもしれませんが、そういうふうなことでございまして、いわば会社法が小規模会社については形骸化しておるという実情がございます。 そこで、そういう事実に着目をいたしまして、何か小会社には小会社向きの法規制が必要であり、大会社には大会社の法規制が必要である、そういうことによって法秩序が維持され、その規模にふさわしい法制度が実施できますと会社内容というものもしっかりしてきて、取引関係も相互にいわば信頼し、安心して取引ができる、そのことによって企業がまた活発化していくであろうというようなことから、大小会社の区分の問題を検討するに至ったというふうに御理解をいただきたいと思います。
○岡田(正)委員 この大小会社の区分立法の例というのは、外国ではあるのでありますか。
○枇杷田政府委員 外国では我が国のように大量の会社があるという例はございません。 イギリス、アメリカでは株式会社一本でございますが、イギリスにおきましてはその株式会社の中にパブリックカンパニーというのとプライベートカンパニーという二種類を分けております。この二種類につきましては、いわば資本金の最低額で差をつけて、そしてそれの規模に見合った規制をしていくというやり方をしております。 それからアメリカの場合には、これは各州で決めておりますので一概に申し上げられませんけれども、何がしかの規制の違いというものは加えられておるようでございますが、これは余りはっきりした形のものはございません。 ドイツでは、これは株式会社と有限会社というのに大小はっきり分けまして、そして株式会社については最低資本金もかなり高いものを認めております。したがって、西ドイツの場合には株式会社はわずか二千しかないという状況でございます。 それから、フランスも同じように株式会社と有限会社の二種類で大小分けておりまして、それはそれぞれ規制を異にいたしております。殊にドイツ、フランスの大会社である株式会社につきましては、いわゆる外部の監査を受けるということを義務づけているというところにもう一つの特徴がございます。
○岡田(正)委員 ちょっと余談になりますけれども、現在のところ会社としては、株式会社、有限会社、合名会社、合資会社とありますね。ついでと言っては申しわけないのですが、合名会社、合資会社の数がわかりませんか。
○枇杷田政府委員 合名会社の現存会社、清算中でないという意味での現存会社でございますが、それの数が一万九千六百程度でございます。それから、合資会社が八万ちょうどぐらいの数が現在あるように承知いたしております。
○岡田(正)委員 先ほどの第二問目に関連をするのでありますが、大小会社の区分によりまして、大小会社それぞれに対する規制はどのような差をつけるということになるのか。試案がこの四月二十三日には一応テーブルヘのってくるような格好でありますから、具体的な内容について主な考え方をお知らせいただければと思います。
○枇杷田政府委員 まだ試案といたしましても固まっておる段階ではございませんが、一応考えられている二、三の主な点を申し上げたいと思います。 例えば取締役は、大会社につきましては現行法のとおり三人以上にする。ところが、中小と申しましょうか、小さい規模のものは二人でいい。場合によっては一人という意見もあるけれども、その点についてはまだ中間試案でも各界の御意見を伺いたいという態度です。 それから監査役でございますけれども、大の方は監査役は必ず置かなければならぬということにいたしますが、小さなところにつきましては置いてもいいし置かなくてもいいということにしてはどうかということでございます。 それから、いろいろな決算などをいたした場合に、現在決算公告というふうなものを全部の会社に義務づけておるわけでございますが、これは大会社にだけ求めまして、中小については決算公告は要らないようにしようということ。 それから、先ほどもドイツ、フランスの例で申し上げましたけれども、外部監査の関係でございますが、これは大会社につきましては、いわゆる会計監査人の監査という一番厳格な監査を義務づけよう。それから、中規模のところについては会計専門家の調査、要するに監査というほどではないけれどもある程度のチェックをする、そういう制度を導入してはどうか。小規模についてはそれも必要とはしないというふうな分け方をする等、その他項目は多岐にわたりますけれども、主な点を申し上げますとそんなところかと思います。
○岡田(正)委員 いわゆる大小会社に区分をした方がいいのじゃないかなというので今作業が進んでいますね。それで、大小会社に区分したらこういう実益があるのですよというものはございませんか。
○枇杷田政府委員 区分すること自体は、その実態に合った法制度をつくるということでございますので、法規が守られるということに一番私どもは関心があるわけでございます。 御承知かもしれませんけれども、現在の株式会社法では株主総会とか監査役会とかいろいろ大きな会社を規模にしたことででき上がっておるわけでございますが、小規模の会社におきましては、そういうような基本的なことも必ずしも行われておらないというふうなことがあるわけでございます。そういうふうなことが小会社にも守られるような形の法規制になれば法秩序に乗ってくるということ、それが私どもの一般的に言えば一番の関心事でございますけれども、実際の利益から申しますと、そういうふうにして法規制がきちんとできるように体制が直ります、殊に大小区分にあわせまして最低資本金での制度というものを導入して、そして最低の資本があってそして有限責任を基礎とする活動ができるような仕組みにするということは、その企業と取引をする相手方が安心して取引ができるということになるわけです。そのことが実は対外取引の場合に現在でも問題になっておる。これは計算書類の関係にも及ぶわけでございますけれども、先ほど申しましたように、外国ではきちんとした法規制ができておってそして外部の監査なども受けるような仕組みのものがかなりあるわけで、そういう会社が日本の中小の会社と取引をしようとするときに、やはりその会社は一体どういうふうにして運営されているのか、商法で決められているようないろいろな書類を閲覧を求めてもそれができないということで、どうなっているのだろうかというふうな声もちらちら聞いております。 そういうような面で、要するに対内、対外を問わず会社は会社らしい形で責任を持って企業活動をするんだということが図られるということは、数量的には申し上げられませんけれども、実際界においては非常に重要なことであり、それがまた一番実益ということになると私は思っております。
○岡田(正)委員 大小会社区分に伴いまして、大中小の中程度の規模の会社に対しては、これは私はうわさで聞いておるわけですから間違っておったら訂正してください、税理士による簡易監査を導入しようという構想があるように聞いておるのでありますが、この考え方はいかがですか。
○枇杷田政府委員 これは、先ほど中規模の会社について会計専門家による調査をしようということを申しましたが、それに当たるわけでございます。 現在、会社の財務内容というものを客観的に点検をいたしまして、そして間違いがないものだということで公表して、それをいわば信頼をして第三者が取引をしていくという形が望ましいということで、大規模な会社につきまして、具体的に申しますと資本金が五億円以上、負債総額が二百億円以上の大会社でございますが、そういう会社については公認会計士あるいは公認会計士をもって構成される監査法人、そういう者による監査というものを義務づけております。これは何も大会社ばかりが必要というわけではなくて、いやしくも有限責任制をとっている会社についてはそういうことが望ましいわけでございます。ですからなるべくそういうふうな外部の監査というものでチェックをするような仕組みに拡大をしていきたい。ただしかし、その拡大をするということになりますと、対象の会社の数も多くなりますし、それからまた、そのためにその会社が経費が余計にかかるというふうな問題がありますので、中段階につきましては、公認会計士が今やっている監査とはもうちょっと簡易なそういうふうなものでやることが合理的ではないかという発想から、かつて簡易監査という名前を使ったわけでございます。現在は監査という言葉だと本式の監査と紛らわしいということで、それを調査という名前に置きかえておりますが、そういう簡易監査なり調査なりという制度を、全会社には実際問題としてとても及びがたいので中会社には導入したい。 導入する場合には、そういう調査の担い手をどうするかという問題がもう一つあります。これは相当な数の会社になりますので、公認会計士制度だけでそれを賄うというわけにはなかなかいかないだろう。そうしますと、会計の専門家による調査ということを考えなければいけない。したがって、会計の事務に堪能であるという職域を考えますと、税理士であるとかあるいは会計士補であるとか、そういうふうな人たちに調査の担い手としてひとつ加わってもらうというふうなことにしてはどうかということが議論されておるわけでございます。このこと自体大変問題でございまして、今盛んに議論のあるところでございますけれども、考え方としてはそういうことでございまして、税理士によるということではなくて、税理士も含めた会計専門家による、監査よりは少し簡易なそういう調査みたいなものをするというふうな制度を導入してはどうかということが問題になっておるわけでございます。
○岡田(正)委員 そこで、ちょっと余談になりますけれども、お話を聞いておりますと、資本金別か何かわかりませんけれども、大会社、中会社、小会社というふうに区分をしてそれぞれ責任をはっきりさせる方がいい、法律を守ってもらうのだという考え方のようでございますが、今頭の中にあるもの、まだ試案も出ていない段階ですから無理かもわかりませんが、局長さんの頭の中で考えているのは、大会社とは例えば資本金がどの程度のものである、それから中会社は資本金がどれからどのぐらいの程度、小会社はどのくらいから以下のもの、そう分けていくと、大会社はどのくらいの数だよ、中会社はどのくらいの数だよ、小会社はどのくらいの数になりますよということがわかりましたら、ひとつお知らせください。
○枇杷田政府委員 これは、大小といってもまず大小を決めてしまうのではなくて、いろいろな規模によってそれに応じた規制をしていこうという考え方でございますので、いろいろな項目に出てくる基準をやりますと五種類か六種類ぐらいになろうかと思います。 ただ、いかなる面でも大会社というのは、先ほど申し上げました資本金五億円以上または負債総額二百億円以上、これは現在でも商法特例法で規制をいたしておるわけでありますが、それは問題なく大になる。それから資本金一億円以上というのがその次のランクになる、これが大体、中の標準経営になろうかというように思います。そして一億円未満というのが小になる。資本金としては一億円未満あるいは負債総額でいえば十億円未満ぐらいのものが小になろうかと思いますが、ものによっては資本金五千万円以下のものについてはまたその中でもある程度の措置をするとかいうふうなことがあるわけでございます。大ざっぱに言えば、資本金でいえば五億円、一億円、一億円未満というところが一つの線か、そしてまた一億円未満のところについても、ものによってはその中でもまた区分をしていくというものがあるというふうに考えております。
○岡田(正)委員 それで、その数はいかがでしょうか。
○枇杷田政府委員 数は、(岡田(正)委員「およそでいいです」と呼ぶ)おおよそ現在株式会社が百万ございますが、その中で一億円未満ということになりますと、大体力〇%、九十数万はなるわけでございます。それから、いわゆる大のものは一万欠けるぐらいのところでございます。その一億円から五億円までの間というところが二、三万か、あるいはもうちょっとか、これははっきりした数はつかめておりません。そういうところだろうと思います。 有限会社につきましては、これはもうほとんど小さいものばかりでございますので、今の区分で、一億円未満というふうなことで申し上げますと、これはもうほとんど九九%それに該当するということになろうかと思います。
○岡田(正)委員 そこで、先ほど御説明の中に簡易監査という、私にはまだなじんでいない言葉でありますが、簡易監査イコール調査、紛らわしいから調査と呼んでいるのだというお話でございましたが、これを行う人は公認会計士の事務所が行うのですか。私の言おうとするところは、公認会計士の事務所の中におられるいわゆる税理士の資格を持っておる人であればよろしいということなのか、単独の税理士さんでよろしいというのか。その点はいかがですか。
○枇杷田政府委員 これは先ほど申し上げましたように、調査の担い手としては、会計の専門家といたしますと、まず第一番目には公認会計士になるわけであります。ただ公認会計士だけでは、それをちょっと受けるということは数からいってもなかなか難しい問題もあるだろう。そこで、あとだれがでは担えるかということになりますと、それは公認会計士補の方もあるいはその対象に考えていいかもしれない、それから税理士も考えてもいいかもしれないということで、その一つの考え方としては中間試案でも示すつもりではおりますけれども、ただそこら辺が議論のあるところでございまして、仮に税理士にそういうふうな調査をする資格を認めても、税理士即調査ができるというふうにするのはどうかという議論もあります。したがって、また何かの、どういう形でというふうな煮詰まった考え方はありませんけれども、講習、研修をやるとかというふうなことで、そしてある程度の勉強をしてもらったということがプラスして初めてできるというふうにしてはどうかというふうな意見もあるわけでございます。まだそこら辺は全く煮詰まっておらないわけでございます。 したがいまして、公認会計士の事務所にいるかいないかということよりは、やはりその人自身がその調査をするだけの力があるかどうかということが問題になるわけでございまして、事務所にいるという場合には、むしろその事務所自体がおやりになっていただいた方がいいわけでございますので、事務所の中にいるかいないかは、私どもの方としては問題とはいたしておりません。
○岡田(正)委員 そこで、この際ちょっと聞いておきたいと思いますが、公認会計士さんの数と、士補さんの数と、税理士さんの数というのがおわかりになりますか。およそでいいですよ。
○枇杷田政府委員 私どもの所管でございませんので、はっきりした数字は申し上げられませんが、公認会計士の方は数千おられるのじゃないかと思います。補の方も二千人ぐらいおられるように聞いております。税理士さんは五万人ぐらいおられるのじゃないかと思います。
○岡田(正)委員 そこで、これは一たん試案が出るとなかなか動かしがたい、何でもそうでありますが、政党でも案を一たん出すとそれに固執してしまいまして合掌立ちになる。これがいわゆる定数是正問題、こういうことになっておるのでありまして、そういう例がありますから、試案ができるのが一週間後くらいですから今ごろ申し上げるのは遅きに失するわけでありますが、私はこの試案が発表されて非常に争点となってくるのはこの問題じゃないかと思うのです。 そこで、この簡易監査イコール調査ができる人というのは公認会計士または会計士補ということに大体考えていらっしゃる、もしそれを広げるとするならば、広げてはいかぬよという声もあるが、広げるとするならば適当な研修をしてやっていただくようなことを考えたらどうかという案もあり今まだ固まっていないというように聞こえたのですが、そうすると、試案を作成する段階では簡易監査イコール調査のできる人という範囲内には税理士は入らないと今断言できますか。
○枇杷田政府委員 お答えする前に試案の性格から申し上げておきたいと思うのですが、今度出す試案はある程度の方向性が決まったものも内容としてありますけれども、もう一つ例えば今の簡易監査とか調査とか言われておるものは、従来問題点として出したところではどうもその内容がよくわからないという点もありまして、もう少し内容を明確にした上でないと意見が述べられないというような御意見もかなりあったわけでございます。したがいまして、特に今御指摘のものにつきましてはいろいろな考え方をもう少し明らかに出して、もう一遍問題点についての御意見と試案についての御意見というものの中間みたいな形で御意見を求めたい、場合によっては両論併記的な形のもので出すということも今検討しております。したがいまして、先ほど申しておりますように試案で出されてしまうともうそれが動かしがたいものだという御懸念は、少なくとも今御指摘の問題については全くございませんで、もう少し問題の中身を明らかにしながらもうこの週改めて御意見を聞きたいというような方向が強うございますので、まずその点だけを前提として申し上げておきます。 そして税理士が入っているとか入ってないとかということは、これはそういうわけでございますので余りはっきりしたことではございませんけれども、中規模の会社に何らかの形での外部監査といいましょうか外部チェックという制度を設けるならば、その際には会計の専門家によるチェックでなければいかぬ、その場合にはそれは講習とか研修とかというふうなことはありますけれども、税理士さんを頭に描かないとその制度は成り立たないのじゃないかというふうなことは前提にいたしております。もともと議論がそういう中規模の会社について外部チェックの制度を導入すべきかどうか、まさにその議論が分かれておるところでございまして、したがいましてこの問題は、担い手の問題と調査のやり方、中身の問題もひっくるめてまだ煮詰まっていない、そういうままで、しかし一つの考える、御意見をいただくための手がかりになるような形は幾つかの形を示しながら御意見を伺わなければいかぬだろう、そういう分野の問題でございますのでそのように御理解をいただいて、各方面からの忌憚のない御意見が寄せられることを期待しておるわけでございます。
○岡田(正)委員 非常に難しい問題については例えば両論併記というような手法もとっていくのであるということでありますから安心をいたしましたが、仰せしれは六十三年ごろにやってのけようかということでありまして、まだまだ二年も三年も先の話で、来年の話をしたら鬼が笑うと委員長よく言いますけれども、そう心配するほどのことはないということですから、この問題はおかせていただきます。 さてその次に、会社創立のときの発起人、従来は株式会社では七人の侍が要る、こういうことを言われておりましたね。今度は株式会社の場合は一人でもいいというような方向のように承っておりますが、これは大中小の会社の区分にかかわらず発起人は一人でいいという意味と受け取っていいのでしょうか。
○枇杷田政府委員 発起人は一人かあるいは複数かというのは最終的に意見が固まっておるわけじゃございません。実態から申しますと一人でもいいじゃないかという意見が強いわけでございます。ただ、株式会社というのは社団であるという考え方をしますと、複数人が集まらないと社団にならないという意見がございまして、その点が今度の都会で一つの方向を出してもらって、今中間試案にどちらかに踏み切るかということでございます。一人でいいじゃないかという意見も傾向としてかなり強いわけでございます。これは新設する会社の規模いかんにかかわらないわけです。現在、大企業がやっております事業のある部門を分けまして子会社をつくるというケースはしばしばある。この場合に、できる子会社はかなり大きな資本金、大きな規模の会社がぽかっとできるわけです。その場合に親会社一人が発起人で、実態はそうなんですね。ただ、現在は七人いなければならぬというものですから、あと六人何かに入ってもらって一株とかなんとか持ってもらうということで形骸化いたしております。そういうふうなことも一人でいいじゃないかという議論の一つの根拠にもなっているわけでございます。したがいまして、できる会社が大きいか小さいかが発起人の数に影響するということはございません。
○岡田(正)委員 私は素人ですから、この質問はちょっと的外れになるのかもしれません。発起人は一人でもよろしいよという案がにわかに出てきたというのは、医療法人ということを頭に入れてこういう案が浮かび上がったのでございますか。医療法人なんて全然関係ないよということなのでしょうか。
○枇杷田政府委員 医療法人のことを私どもは余り考えに入れておりません。医療法人は別の系統で法人格を認められる一種の中間法人的なものでございますので、私どもの方はそうではなくて、会社の設立の実態から考えまして、しかも理論的には現在七人の発起人が必要でございますが、最終的に一人の者が株式を全部取得して一人会社に結果としてなってもそれはいいんだ、そういうことが昔から通説として言われております。そういうふうなことから余り発起人の数にこだわることはないじゃないか、むしろこだわるべきといいますか問題にすべきなのは出発当初の資本金の額だ、そちらの方にむしろ問題があるのであって、人数のところには余りこだわることはないじゃないかというふうなことが、一人にするかどうかということの議論の中心になっておるというわけでございます。
○岡田(正)委員 資本が問題である、なるほどそのとおりですね。そこで、今の発起人は一人でよろしい、これは大中小の区分にかかわらずそういう考え方が支配的であるということはよくわかりました。 そこで、株主は一人でいいのでしょうか。
○枇杷田政府委員 発起人が一人でいいということは、出発当初の株主は一人でいいということを前提にして考えているわけでございます。
○岡田(正)委員 そこで、中小企業庁にちょっとお尋ねいたしますが、中小企業庁におかれましては「商法・有限会社法改正に関する意識・実態調査」というものでアンケート調査を行っていらっしゃいますが、中小企業に対する簡易監査問題に対する意見はどのようなものであったか、お答えをいただきたいと思います。
○大津説明員 今回、法務省で検討中の商法改正につきましては、中小企業に与える影響が非常に大きいものでございます。そういうこともございまして、中小企業庁としましても非常に高い関心を持っておるわけでございます。 今先生から御指摘のございました調査は、昨年十二月中小企業六千百社を対象としまして実施したものでございまして、回答率はそのうち七八・一%となってございます。 今先生御指摘の会計専門家による調査についてでございますが、この件は現在の試案では株式会社についてだけ対象と考えておるものでございますから、有限会社を外しまして株式会社だけについて調査を実施いたしました。結果を簡単に申しますと、株式会社全体について見ますと、この調査について賛成は一六・三%でございます。それから、反対は三八・二%でございます。それから、先ほど民事局長からも御説明ございましたように、まだこの会計専門家による調査につきましてはその内容等が非常に詰まってございません。そういう関係もございまして、調査の対象とする中小企業者から見ますと、費用等、コストがどの程度になるかは今のところ皆目見当がつかないわけでございます。費用等の負担が重くなければ賛成してもいいというのが二八・四%でございます。そういうことになってございまして、いずれにしても賛成はそれほど多くないという実態でございます。
○岡田(正)委員 この調査につきましては、今ちょっとお話を聞きましたが、かなり反対が多かったというようでございます。法務省はこれをどういうふうにお考えになりますか、民事局の方で。
○枇杷田政府委員 ただいまの調査の結果は、法制審議会の商法部会でも御披露いただきまして、みんなそういう御意見があるということは受けとめたわけでございます。ただ、ただいまお話ございましたように、その調査の内容がわからないということから、何とも返事のしようがないという方もかなりのパーセンテージに上っております。したがいまして、そういう内容を明らかにしてもう一遍御意見を伺ってみたいと思います。 ただ、中小企業を経営しておられる方は、自分のところは大丈夫だから何もそんなに外部のチェックをしなくてもいいというふうに自信を持っておられるのかもしれませんが、専らその取引の相手方の立場に立って私どもはまた物を見なければならぬという問題がございます。そういうことで、調査をしなければならないことになる会社の立場と、それと取引をする一般債権者とのバランスというものを考えながら意見を煮詰めていかなければならぬと思いますが、私どもは、ある程度の規模の会社については外部チェックがないと、やはり先ほど申しましたように対内的、対外的な取引を活発にしていく上では少しまずいのではないかなというふうには考えております。
○岡田(正)委員 ところで、会社に対する債権が会社に対する破産申し立てなどの結果不良債権となったとき、その債権を含めて相続税を申告していた場合は、相続税の更正の申請は可能でありましょうか。国税庁の方。
○川端説明員 相続税は、相続や遺贈によりまして財産を取得した場合に、その取得した財産に対しまして課税されるものであります。そして、その財産は相続が開始いたしましたときの時価によって評価するということになっております。 御指摘の貸付金債権について申し上げますと、相続の開始のときの債務者の財産状態によってその財産を評価するということになっております。例えば相続開始の際に債務者が破産の宣告を受けていたようなときなど、一定の状態にある場合には、その貸付金債権のうち回収が不可能あるいは著しく困難であるということが認められる場合、その部分の金額は元本から除外するということになっております。 したがいまして、先生の御指摘のような場合におきましては、相続が開始されました時点では債務者である会社は健全な状態であったわけでございます。それでございますから、その貸付金債権につきましては、御承知のとおり通常どおりの評価で相続税の申告をしていただくということになるわけでございます。 ところで、その後会社に対する破産申し立て等が行われました結果、健全な会社の債権として相続しました貸付金の回収が不可能となったというような場合には更正の請求ができるかという御指摘でございますけれども、実は更正の請求ができる場合、これは法律上明確に規定がなされております。 すなわち、納税申告書に記載しました課税標準等もしくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったことまたはその計算に誤りがあったことによりまして、その申告書の提出により納付すべき税額が過大であることとなったときに、法定の申告期限から一年以内に限りまして更正の請求ができる、これは通則法の二十二条一項に規定がございます。 それから、法定申告期限から一年経過した後におきましても、判決や和解によりまして申告に係る税額等の計算の基礎となった事実に変動を生じた場合、それから申告の際その者に帰属するものとされていた所得その他の課税物件につきましてその後ほかの者に帰属するものとする更正決定があった場合、それから申告に係る税額等の計算の基礎となりました事実のうちに含まれていた行為の効力に関する官公署の許可等が取り消された場合、それから申告に係る税額等の計算の基礎となった事実に係る契約が解除権の行使によりまして解除され、あるいはその契約の成立後生じたやむを得ない事情によりまして解除または取り消された場合、そういうようなことによって申告に係る税額等が過大となりました場合には、例外的にその事由が生じた日から二カ月以内に限りまして更正の請求をできるということになっております。 さらに、特則といたしまして、相続税法自身においても規定がございます。その内容は、未分割遺産の分割が確定した場合、それから相続人の認知あるいは廃除またはその取り消しに関する裁判の確定等によって相続人に異動が生じた場合、それから遺留分による減殺の請求があった場合、それから遺贈に係る遺言書が発見され、または遺贈の放棄がなされた場合、それから相続財産法人からの財産分与があった場合、それから未分割財産が分割されたことによりまして配偶者の税額軽減額が増加した場合、こういうような場合によりまして申告に係る相続税領等が過大となった場合には、その事由が生じたことを知った日の翌日から起算しまして四カ月以内に限りまして更正の請求ができる、これは相続税法の三十二条の規定にあるわけでございます。 以上申し上げましたとおりに、相続税につきましては更正の請求ができる場合は法律上明確に規定がなされております。したがいまして、先生御指摘のような、相続開始後におきまして会社に対する破産の申し立て等が行われた、その結果、もともとが健全な会社の債権としまして相続した貸付金の債権の回収が不可能となったというような場合には、ただいま申し上げました更生の請求ができる場合のいずれの事由にも該当しないのではないかというふうに考えております。
○岡田(正)委員 大変詳しい説明で、よくわかりました。ありがとうございました。 いま一つお尋ねしますが、消費貸借上の未収利息債権を所得税で確定申告すると同時にそれを相続税で申告したとき、それが不良債権となった場合には、所得税では更正が可能であると聞いておりますが、相続税ではなぜ不可能なんでありましょうか。
○川端説明員 所得税におきましては、未収利息の債権につきましても、その年の貸付期間に対応する利息の額は、原則としましてその年分の事業所得、事業をしている場合でございますが、または雑所得、これは事業をしていない場合でございますが、その収入金額に計上すべきこととされております。したがいまして、お尋ねの未収利息債権につきましても、その未収利息が生じた年分の事業所得あるいは雑所得の収入金額として確定申告をお願いするということになっております。 しかしながら、その未収利息債権が翌年以降に回収不能となった場合、この取り扱いにつきましては、これからちょっと申させていただきます。 まず、その未収利息債権が貸金業などの事業の遂行上生じたものであります場合には、回収不能というふうになりました日の属する年分の貸し倒れ損失というものとしまして事業所得の金額の計算上の必要経費に算入することになっております。したがいまして、この事業の場合には、回収不能となった年分の必要経費とされますから、通常、更正の請求の問題は生じないということになります。 それから次に、その未収利息債権が、例えば自分の知っている知人に対する貸付金などのように事業の遂行上ではない形で生じた場合でございます。この場合、その回収不能となった未収利息債権でございますけれども、この未収利息が生じた場合は、その未収利息が生じた年分の雑所得の金額の計算上なかったとみなすというような規定がございます。したがいまして、更正の請求をいたしますと、未収利息が生じた年分にさかのぼって所得金額及び税額を減額することができることになっております。 なお、この更正の請求でございますけれども、未収利息が生じた年分の確定申告期限から一年以内か、または未収利息債権が回収不能となった日から二カ月以内に所轄の税務署長に対して行うこととされております。 一方、相続税でございますけれども、相続税は、先ほどお話し申し上げましたとおりに、相続開始のときにおきまする被相続人に帰属していたすべての財産をとらえまして課税するものでございます。したがいまして、相続開始後、未収利息債権が破産申し立て等の結果回収不能となったような場合のように後発的な事由により財産の価値の異動が生じた場合におきましても、課税関係は変わることはございません。このことは、例えば相続開始のときに一株千円の株価であった、ところがその株式がその後経済状態の変化によりまして例えば五百円に下落したというような場合においても何ら課税関係は変わらないわけでございます。それからまた、今度は逆に株が上昇しまして千五百円になったというような場合においても追加して課税することはしないということでございますので、所得税と相続税では実際その扱いが違っておる、こういうことでございます。
○岡田(正)委員 今、相続税の関係が出ておるのでありますが、相続税法上の不動産評価はどのようにしていらっしゃいますか。
○島田説明員 お答えいたします。 相続税を課税する場合の財産の価額は、相続税法第二十二条の規定によりまして課税時期における時価による、いわゆる客観的な交換価値によって評価するということになっております。この時価評価の原則を受けまして、具体的には財産評価基本通達というものによって財産の種類ごとに評価方法を定めまして、毎年的確に評価するということで進んできているところでございます。 御指摘の土地の評価について御説明申し上げます。 土地の評価は、まず第一に売買実例価額、第二番目に不動産鑑定士などの地価事情精通者から求めましたところの、我々はいわゆる精通者意見価格と呼んでいますけれども、精通者意見価格、第三番目に地価公示価格、これは国土庁が毎年発表しておりますけれども、これをもとにいたしまして評価することとしております。 先生も御存じと思いますが、土地の価額というのは買い進みとかあるいは売り急ぎ等がございまして非常に値幅がございまして、なかなか客観的な価額を評定するのは難しゅうございます。我々といたしましては、一応この地価公示価格というものを基準に置きまして、地価公示価格の約七〇%を評価のめどとしまして、非常にかた目な評価をしていることであります。これはやはり相続税というものが課税上の評価であるという観点に立っております。 土地には山林とか宅地とかあるいは農地とかいろいろございますが、相続税の場合、宅地というのが納税者の場合に課税財産として一番多くかかわるわけでございますが、この宅地の評価については二つの方法をとっております。 一つは市街地にある宅地でございます。市街地にある宅地につきましては、地価事情が非常に複雑でございまして、いわゆる路線ごとに地価が違う。いわゆる、この通りに面しているあたりは幾らであるというように非常に複雑な地価形成をしております。このような地価事情の違いを的確に評価に反映させる必要があるということで、路線ごとに評価をしております。一平米当たり幾らであるかということで、先ほど御説明いたしましたように売買実例価額とか精通者意見価格とかあるいは公示価格に基づきまして、その路線ごとに一平米当たり幾らかということで評価しておるところでございます。 他方、市街地以外の宅地とかあるいは農村地帯の宅地につきましては、地価事情が市街地とは若干異なりまして、このあたり一帯は幾らだというような、どちらかといいますと地価形成が比較的複雑でない場合が多うございます。このようなところにおきましては、ある特定地点を決めまして、その特定地点につきまして、いわゆる売買実例とか精通者意見とか公示価格をもとにしまして、その特定地点のいわゆる評価をいたします。その評価額とその当該地点の固定資産税の評価額とを比較いたしましてその倍数を求めます。それで、土地の利用状況が非常に類似しておって土地の価額も非常に似通っている地域ごとにこの倍数を算定いたしまして、固定資産税評価額にこの倍数を掛けて算定するという方法をとっております。これは私たちはいわゆる倍率方式と呼んでおります。 なお、この路線価方式と倍率方式はその地域の事情に応じて適用をするかどうかを判断しておりまして、地域によりましては市街地であっても倍率方式が適当であるというところでは倍率方式をとっているところがございます。 私たちといたしましては、毎年この土地の相続税評価額については改訂しておりますが、今後とも地価動向等を十分踏まえまして、公示価格等との均衡を図りながら慎重に対応してまいりたいと思います。
○岡田(正)委員 ありがとうございました。 大臣、最後に要望申し上げておきたいと思うのでありますが、今お聞きになりましたように、今日本の置かれておる状況を考えてみますと、本当に終戦から奇跡とも思えるような復興の状況ですね。これは、よく考えてみますと我が国の総事業所の九九・四%を占めておる中小企業者、そして従業員の数でいえば八一・一%、製造出荷額でいうと五二・七%を占めるような中小企業の方々の本当に支えがあったからだと思うのですね。しかも終戦後に事業を始めたという方がほとんどでありまして、大体四十年たってきております。ほとんど老齢化をしてきております。世代交代の時代が来ております。 そこで、事業を承継しよう、相続しようと思いますと大変なことで、今の路線価額の問題がございましたけれども、とにかく株にいたしましても、最低でも五倍、多いところになると二百倍という評価になるのです。そうするともう承継ができなくなってしまうのですね。だから、事業を続けていく気だったら、どこかから多額の金を借りない限りはとても税金が納められない、借りられなければ切り売りしなければできない、切ってしまったのでは、工場半分では仕事ができぬ、結局閉鎖するというようなことがございましたので、そういう例がたくさんございましたので、我々非常に心配をしております。 それで、中小企業者の承継税制の改革について我々は政府にも意見を出しておりますので、ごらんいただいておると思いますが、ぜひともひとつ御考慮いただきますように心からお願いを申し上げまして、質問を終わらしていただきます。どうぞよろしくお願いします。大臣の決意だけ。
○鈴木国務大臣 先ほど来いろいろ商法改正の問題、それから相続税の問題、先生のいろいろの御質問あるいはまた研究、御意見等お聞かせいただきまして、本当にありがとうございます。 何と申しましても日本の経済を支えておるのは、仰せのとおり中小企業者でございます。そういう方々が成り立たないような法律、それからまたそれを一層悪くするような改正は、これはいけないと思います。法務省といたしましても、そういう考えから、さらにまた相続税等は大蔵省との関係がございますので、十分大蔵省と連絡をいたしまして、御趣旨が生かされるように努力をしてまいりたいと思います。
○岡田(正)委員 大臣、大変ありがとうございました。主税局の皆さんには大変申しわけないことをいたしました。時間がオーバーしてしまいまして申しわけありませんでしたが、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
○福家委員長 柴田睦夫君。
○柴田(睦)委員 刑事局長、ちょっと変わった質問で申しわけありませんが、労働基準法の三十七条、要するに労働時間の延長それから休日労働に対しての割り増し賃金を払わなければならないという規定があって、これに違反した場合は現在百十九条の罰則が規定されております。こういう三十七条違反で刑事の裁判事件になった事例があるかどうかお伺いしたいと思います。
○岡村政府委員 御質問の件でございますが、略式請求いたしました事件が五十九年と六十年合わせまして三件ございます。
○柴田(睦)委員 実際の職場の実態ではこういうのは非常に多いと思うのですが、刑事事件にされていないというのはどういう理由からでしょうか。
○岡村政府委員 昭和五十八年から六十年までの間にお尋ねの割り増し賃金不払いの労働基準法違反事件を受理いたしました件数は全部で二十八件あるわけでございます。そのうち略式請求いたしましたのが三件でございます。数が少ないのではないかという御質問と思うのでございますが、一つには、本件につきましては労働基準監督署の指導と申しますかそういったもので、仮に賃金の不払いがありましても実際にはその支払いがなされる、いわば被害がないような状態になる、こういうような事例もあるからではないかと思っております。
○柴田(睦)委員 そこで、労働省に尋ねますが、実はことしの三月六日の予算委員会第二分科会で、千葉銀行の副支店長を管理監督職扱いしていたのを千葉の労働基準局の指導で管理監督者から外すことにした、その場合の過去の時間外労働相当分の割り増し賃金の支払い問題について私が尋ねたわけです。これに関連してですけれども、昭和五十年当時ですが、一つは、昭和四十九年三月二十八日、千葉労働基準監督署から千葉興業銀行あてに、そういう場合に「労働者は過去二年間さかのぼって割増賃金を請求し得る権利がありますので権利者よりその請求があった場合には当然支払いが必要となります。」こういう指導がなされております。それから横浜銀行では、五十年三月二十五日ですが、やはり「すでに支払っている分をのぞき、二年間さかのぼって支払うこと」こういう指導がなされております。それから静岡銀行の場合、「指導事項」として「上記割増賃金は二年間遡及して支払うこと」こういう具体的な指導がなされておりますが、このことは御存じですか。
○菊地説明員 御指摘の件については承知しております。
○柴田(睦)委員 ところで、監督課長はさきの分科会で私の質問に、「管理監督者から外すことによって過去の時間外労働相当分の割り増し賃金をどのように処理するのかという点だと思いますが、私どもは二年間さかのぼって支払えというような具体的な指導は過去においてもしておりません。」こういう答弁をされておりますが、今の認められた事実との関連で今読み上げました答弁はどういう位置づけになりますか。
○菊地説明員 個々の事案につきましては所轄の監督署がケースに応じて指導しているわけでございます。御指摘の先般お答えしました趣旨は、本省が不払い事案について二年さかのぼって処理をしろというふうに直接指導した経緯はないという趣旨で申し上げたわけでして、言葉が不十分であった点については反省をいたしております。
○柴田(睦)委員 それではわかりましたので、労働省の方はそれで結構です。 次に、世界基督教統一神霊協会の問題についてお尋ねいたします。これは、マスコミでも親泣かせの原理運動というようなことで批判されておりますこの世界基督教統一神霊協会、一般的には統一協会と言っておりますが、ここではその政治団体である勝共連合、経済部門をつかさどっているハッピーワールド、これが中心になって、知名人を集めた世界平和教授アカデミー、さらに市民大学講座、ビデオセンター、最近では時のキャンペーンに乗って緑の文明研究所、こうしたものまでつくったようですが、もういろいろな形の実に紛らわしい名称の団体をつくってここに善良な市民を誘い入れて洗脳によって統一協会に入会させておるわけです。 この統一教会、勝共連合あるいはハッピーワールド、このメンバーは今まで事件になって明らかになっているだけでも監禁、保護責任者遺棄致死、窃盗、公職選挙法違反、名誉棄損、薬事法違反、訪問販売法違反、詐欺、挙げれば切りがないほど犯罪を行ってきておりますし、今でもやはり行っているわけです。全国の原理運動被害者父母の会がとらえている分だけでもそういう数の中で二十一名が亡くなったということです。 教祖の文鮮明はアメリカにおいて脱税などで懲役十八カ月という実刑判決を受けて一九八四年七月二十日にコネチカット州のダンベリ刑務所に収監されました。昨年の夏仮釈放され、現在韓国に帰りましたが、全く反省の色はなくて、私はいかなる罪も犯してはいないとかあるいは政府権力の乱用と宗教的迫害だというようなことを言って勝利集会などを開いて気勢を上げているというのが現状であるわけです。 そこで、この文鮮明の出入国問題についてお尋ねしたいのですが、これまでの国会論議で、文鮮明の日本への入国は現状では認められない、これは入管局長が答弁されております。そこで外務省の方に聞きたいのですが、アメリカの入管制度では懲役一年六カ月の実刑判決を受けた人物、こうした人物の入国を認めているかどうか、アメリカの制度についてお伺いしたいと思います。
○沼田説明員 お答えいたします。 ただいま先生が御質問になられた点は、米国への人国査証の発給が今御指摘のようなケースについてどうなるかという点でございますが、米国への入国査証の発給というのは米国政府が行う行為でございますので、私どもの方から、このようなケースについて米国政府がどのような判断をすることになるかということについて、一般論としてお答えすることはなかなか難しい状況にございます。 米国の入国査証についての制度がどうなっているかという点につきましては、例えば私どもの手元に米国移民国籍法というのがございまして、この規定を見ますと、ある種の犯罪について有罪判決を受けた人物については査証を発給しないというような規定がございますが、さらにその規定の中身を詳しく見てまいりますと、どういう犯罪を犯したかということによっても違うわけでございますし、それからさらに、犯罪を犯して有罪判決を受けた者であっても、場合によっては司法長官の判断によって、ウエーバーということかと思いますが、一時的な入国を認めるというようなケースもあるようでございます。そういう制度のもと、で、今御指摘のようなケースについて仮に具体的に入国の申請があった場合に、アメリカの当局、この場合には司法省当局ということになるかと思いますが、どういう判断を下すことになるかということについて私どもの方から申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
○柴田(睦)委員 その規定自体、ウエーバーというのは除外規定でしょうから、原則で言えば懲役の有罪判決を受けた者は入国させない、そういう規定になっているのですか。
○沼田説明員 先ほど申し上げましたように、実際にこの法律を適用していかなる判断が下されることになるかという点について私どもの方から結論のようなことを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、法律の規定から見る限りということで答えさせていただきますれば、この移民国籍法二百十二条の中で、例えば不道徳罪によって有罪判決を受けた外国人というものに対してはその入国査証を発給しないという規定がございます。それからさらに、不道徳罪であるか否かを問わず二つ以上の犯罪について有罪判決を受けた外国人については査証を発給しないというような規定がございます。
○柴田(睦)委員 では次に、アメリカではこの文鮮明という人物に対しても厳正に対処して現実に収監までしたわけですが、これに比べてみますと、日本では、いろいろ国会の論議を通じても宗教法人ということを理由にして彼らの違法活動についても極めてなまぬるい対応しかしていないというように私は考えるわけです。 そこで、明白な刑事事件について尋ねますけれども、統一協会系列紙の「世界日報」の元編集長副島嘉和が一昨年の六月二日の在世田谷区の路上で何者かに刺され重傷を負った事件、これは警察庁の話ではいまだ被疑者特定に至らず捜査中ということでありますが、これはおくとして、この事件とともに、その前の年、一九八三年十月一日に起こった国際勝共連合の理事長である梶栗玄太郎ら約百人くらいが「世界日報」本社を襲って、今言いました副島嘉和ら同社社員に暴行を加えて同社を占拠した事件があったわけです。この事件につきまして、私は昨年の六月五日この委員会でお尋ねいたしましたが、そのときの刑事局長の答弁では「なお捜査を継続中でございまして、できるだけ早い機会に最終処理がなされるものというふうに考えております。」もう間もなく最終処理がなされるというように去年の六月に刑事局長が言われておられたのですけれども、現状はどうなっておりますか。
○岡村政府委員 お尋ねの事件でありますが、昨年の十二月二十六日に東京地検におきまして、諸般の事情を考慮いたしまして、被告訴人五名全員につきまして起訴猶予という処分をいたしております。罪名は暴行、傷害及び暴力行為等処罰に関する法律違反、こういったものでございます。
○柴田(睦)委員 起訴猶予の理由というのは言えないのですか。
○岡村政府委員 詳細につきましてはお答えいたしかねるのでございまして、要するに事件の内容その他諸般の事情を考慮いたした結果の処分である、こういうことで御理解をいただきたいのであります。
○柴田(睦)委員 これは新聞にも出ましたし、それから繰り返し襲撃した、警察官の目の前でやった、こういう事件であったわけですが、普通だったら当然捜査し送検されて調べるのですから起訴猶予ということは考えられないような事件でありますが、こういうふうになってしまっているという現状であるわけです。 それで次に、統一協会は諸外国においても協会員を派遣して街頭募金、訪問販売といった違法活動で金を集めて文鮮明のところに送金するということをやっております。彼らはこれを世界巡回路程とかあるいは世界的復帰路程とか称しているのですが、彼らの機関紙の「中和新聞」によりますと、一九五八年六月日本で宣教を開始、五九年一月アメリカ宣教に始まりまして、六五年一月第一次世界巡回路程出発、四十カ国、百二十カ所聖地決定、七五年から第三次七年路程、世界的復帰路程というのですけれども、こうなって本格化いたしまして、四月三十日ドイツから八十二名、五月一日アメリカから八十五名、その後日本から九十六名が送られた、こう彼らの「中和新聞」には出ております。その中で、宣教師たちの犠牲と苦難としてビザの問題や迫害を受けた、国外追放、投獄などで苦しかったということも述べております。そして、女性の宣教師が襲われたり、またテロを受けたこともあり、タンザニアの笹本宣教師は殉教しましたと述べております。宗教活動らしく、もっともらしいことで述べているのですが、実情は、一昨年アメリカで殺害された小松さんにしろタンザニアの笹本さんにしろ、外国での違法行為を統一協会の命令によってさせられていた中での、まさに犠牲者であって、これは統一協会の方に重大な責任があるというふうに考えなければならないと思うわけです。 そこで、タンザニアの事件はもう大分前の事件でありますけれども、統一協会の責任という点でまだ明らかになっていないので、ここで改めて外務省の方にお聞きしたいのですが、この事件について外務省が把握しておられる内容をまずお知らせいただきたいと思います。
○本田説明員 この事件は、昭和五十五年十二月十八日、タンザニアの首都ダレサラム市のホテルに宿泊中の日本人笹本正樹が外貨不法取引の疑いで同ホテルに臨検に赴いたタンザニアの警察官二名ともみ合いとなりまして、その際ピストルが暴発して同人の胸部に当たって死亡したという事件でございます。同人の葬儀につきましては同年十二月二十六日にダレサラム市の墓地で行われまして、その後同人の遺体は同基地に埋葬されました。 なお、同人の旅券申請書には同人の職業としては画家という記載がございます。
○柴田(睦)委員 実際にこの笹本正樹という人がタンザニアでどういう仕事をしていたか、そういう点は調べてわかっておりますか。
○本田説明員 同人のタンザニアにおける活動内容といいますか、どのようなことをやっていたかということについては外務省としては承知しておりません。
○柴田(睦)委員 画家ということですが、絵をかいていた形跡もありませんし、そしてまた何よりも、今言われましたように外貨不法取引の容疑で臨検を受ける、それに対してもみ合ったわけですから、これはそのことを押さえられないようにということでの抵抗であったと思うのです。まさに彼らがいつもやる訪問販売だとかそういうことで金を集める、そういうことをやって、結局それをタンザニアから持ち出す、そういう外貨の不法取引の容疑があったからこういうことになったと思うのです。それも結局は統一協会の仕事としてやっていたものだ、こう見なければならないと思うわけですが、統一協会に入っていたかどうかということは外務省としては把握しておられるのですか。
○本田説明員 同人が統一協会の会員であったというふうに私ども承知しております。
○柴田(睦)委員 在外公館の場合は一般的にはその地域の日本人の安全を保障するという仕事があるわけですけれども、安全を保障するということからいえば、日本人がその地域に行ってその国の法律に触れないように指導する、そういうことはやられるわけでしょうか。
○本田説明員 在留邦人の海外における安全確保であるとか保護の問題それから犯罪に巻き込まれないようにというような問題につきましては外務省の邦人保護の一環としてやっておりまして、一般的に今重点的にやっておりますのは、特に治安の悪いような地域における邦人保護という観点から、在外公館の方で在留邦人と協力しまして防犯の手引等の作成によりまして邦人の防犯の認識、意識を高めて邦人の安全を確保する、あるいは地域によりまして特に邦人が巻き込まれるようなケースの多い犯罪事案につきましては、その邦人の方に事前に国内におきましてあるいはその在外におきまして外務省の方からいろいろと指導するあるいは啓発をする等をしまして、こういった海外で邦人が犯罪に巻き込まれるケースをできる限り少なくするようにということで各種の措置あるいは努力を行っている次第でございます。
○柴田(睦)委員 じゃ外務省は終わりました。 それから、統一協会の教義に基づきます重要な儀式となっております集団結婚に関連してお聞きしたいと思います。 さきに言いました「中和新聞」によりますと、一九七〇年十月二十一日七百七十七組、七五年二月八日千八百組、八二年七月一日二千七十五組、同じ年の十月十四日六千組の集団結婚が行われたということが書いてあります。昨年の秋ごろからことしの春にかけて韓国において集団結婚が行われるということで、私のところにも七、八十名ぐらいの協会員の父母の人たちから何とか韓国への渡航を食いとめてほしいという陳情が寄せられました。そこで人権擁護局長にお尋ねしたいのですが、統一協会に入ると自分の住所も親に教えないというのが現状です。また一定のところに住まわせて親が面会に来ても会えないという現状です。そこでこうした父母からの、息子、娘の居所を知りたい、それから法務省の手で会わせてもらいたいという要望があります。韓国への渡航をやめさせてもらいたいという要望があるわけです。この要望をかなえさせてやるのは、家庭破壊を食いとめて、過去の状況から見ますとまさに子供の身の安全を願うということからそういうことで苦しんでいる両親を助けてやるためには絶対に必要なことだと思うわけです。 〔委員長退席、衛藤委員長代理着席〕 全園原理運動被害者父母の会の話では、この窓口となっておりました東京法務局は、これが問題になって、最初は統一協会に対して強力に対応してもらって、面会などもできて喜んでおった父母もいたわけですけれども、現在は反対に統一協会の言い分に耳をかす方が多くて、法務局の対応には疑問があるというように苦情を漏らしている親が、全部とは言いませんが、大分あります。これは、現実に何人もの死者を出してまで海外に派遣して、違法活動をさせますし、国内でも、さっき幾つか見ましたように、多くの犯罪を犯している統一協会に対してもっと強い姿勢で臨む必要があるというように私は思います。また、父母の人たちも、洗脳された子供たちに対して法務省が何とかして救済をしてくれないかという強い要望があるわけです。 法務省の方も、中野の富士見中学のいじめによる自殺事件については強力な調査権を発動して、勧告までなさいました。この統一協会の場合は、宗教は隠れみのにして犯罪行為を積み重ねているわけで、富士見中学校の問題と比べても本当にひどい、悪質なものであると言わなければならない、そういうものであるわけです。この犯罪集団に恩子や娘を取られた親たちが子供の身を心配するのは当然であって、親たちの切実な声に耳を傾けて、統一協会に対してもっと強力な調査を行って、必要な措置をとってもらいたいと思うわけです。今までそういうことを言うと、宗教団体であって、また、向こうにも言い分があってとか、強制する権限がないんだとか、いろいろ言われますけれども、そういう言いわけを抜きにして、現実の統一協会の姿をしっかりつかんで、必要な措置をとってもらいたいと思うわけですが、その決意を伺いたいと思います。
○野崎政府委員 御指摘のように、統一協会の布教活動や入信者の信教活動によりまして、親子の間に断絶を生じたり、家庭が破壊されるというような事件も生まれてきておることは、私どもも承知をいたしておるところであります。 入信者の親や親族などから入信者を捜したり面会を求めたりするような場合には、もっぱら人道上の見地から東京法務局が、ただいま委員の仰せのように統一協会との仲介をいたしまして、その実現を図るなどいたしてまいりました。この趣旨をさらに徹底させるべきであるということで、ことしの三月、東京法務局においてこのような取り扱いをしておるんだということを、改めて全国の法務局、地方法務局に通知をいたしまして、その周知徹底を図り、各地の法務局においても統一協会の入信者の父母などから相談があった場合には適切に対応できるようにいたしたところでございます。 今委員が仰せのように、統一協会の活動というものはすべて犯罪活動であるというふうに言えるのであれば、また問題は簡単なのかもしれませんけれども、しかし、なかなかそういったことを言えるかどうかは疑問であろうかと思います。信教上の問題もありますし、また、入信している者はほとんど成人でございます。こういったことを考えて、人権擁護機関としていかに対処すべきかということになりますと、私どもにも非常に苦労のあるところでございます。もとより、人権侵犯があるということが判明いたしますれば、私どもといたしましても厳正に対処いたしますことは当然でございますけれども、今後とも、人権相談等を通じましていろいろな御父兄の悩みが訴えられましたときには、その解決に向けて協力をしていきたい、かように考えておるところであります。 〔衛藤委員長代理退席、委員長着席〕
○柴田(睦)委員 ともかく非常に重大な問題でありますので、人権問題の取り組みとして徹底的にやっていただきたい。大臣には、この実態御存じだと思いますけれども、こういうところも勇気を持ってやっていただくようにお願いして、終わりたいと思います。
○福家委員長 この際、法務省岡村刑事局長より、撚糸工連事件について発言を求められておりますので、これを許します。岡村刑事局長。
○岡村政府委員 撚糸工連事件のうち、身柄を勾留いたしまして捜査いたしておりました通産省関係の贈収賄事件につきまして、本日、東京地検におきまして処分いたしましたので御報告いたします。 高沢課長につきましては、昭和五十七年七月から六十年八月までの間、六十三回にわたりまして、東京都港区内のクラブにおきまして、撚糸工連の小田前理事長及び井上前専務理事から、撚糸工連の設備共同廃棄事業に関しまして厚意ある取り計らいを受けた謝礼などの趣旨で、合計二百六十万円相当の供応接待を受けたという収賄の事実で公判請求いたしました。 また、高萩係長につきましては、五十八年四月から六十年五月までの間、二十二回にわたりまして、新宿区内の料亭において、井上専務理事及び高丸理事から同じような趣旨で合計百万円相当の供応接待を受けたという収賄の事実で公判請求いたしました。 また、小田前理事長、井上前専務理事につきましては、これに対応いたします贈賄の事実で公判請求いたしました。 高丸理事につきましては、処分保留で釈放いたしました。 以上でございます。 ————◇—————
○福家委員長 この際、理事辞任についてお諮りいたします。 理事衛藤征士郎君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福家委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 引き続き理事の補欠選任についてお諮りいたします。 先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福家委員長 御異議なしと認めます。よって、理事に稻葉修君を指名いたします。 次回は、来る十八日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十九分散会