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104回国会衆議院1986/04/11

法務委員会 第5号

発言数
142
登壇者
9
会派数
3
開催日
1986/04/11

会議録

福家俊一自由民主党・新自由国民連合

○福家委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法案を議題といたします。  まず、趣旨の説明を聴取いたします。鈴木法務大臣。  外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特   別措置法案     〔本号末尾に掲載〕

鈴木省吾自由民主党・自由国民会議法務大臣

○鈴木国務大臣 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  近年、我が国と諸外国との人的、物的交流は活発化の一途をたどっており、これに伴い、国際的法律事務もますます増大する傾向にあります。しかしながら、我が国の現行制度は、外国法について専門的知識を有する外国の弁護士が我が国において事務所を開設して法律事務を行う道を閉ざしており、増大する国際的法律事務に的確に対処するには不十分なものとなってきていると言わざるを得ず、他方、我が国の弁護士が外国において日本法に関する法律事務を行うことも必ずしも十分に保証されているとは言いがたい状況にあります。  そこで、この法律案は、このような状況にかんがみ、渉外的法律関係の安定を図り、あわせて、外国における日本法に閲する法律事務の取り扱いの充実に資するため、相互の保証のもとに、外国の弁護士となる資格を有する者が国内において外国法に関する法律事務を取り扱うことができる道を開き、かつ、その法律事務の取り扱いを弁護士の例に準じて規律する等の特別の措置を講じようとするものであります。  この法律案の要点を申し上げますと、  第一は、外国法事務弁護士となるには、法務大臣の承認を受け、かつ、日本弁護士連合会の登録を受けなければならないものとし、その要件及び手続を定めるものとしていることであります。すなわち、まず、相互主義の要件を満たす外国の弁護士となる資格を有し、かづ、五年以上当該外国において実務を行った経験を有すること等の一定の基準に適合する者は、法務大臣の承認を受けることができるものとするとともに、その承認申請手続等について所要の規定を設けることといたしております。次に、法務大臣の承認を受けた者が外国法事務弁護士となるには、日本弁護士連合会に備える外国法事務弁護士名簿への登録を受けなければならないものとするとともに、我が国の弁護士の例に準じた登録請求手続等を定めることといたしております。  第二は、外国法事務弁護士の職責及び業務の範囲を定めるものとしていることであります。すなわち、外国法事務弁護士は、我が国の弁護士と同様の使命及び職責を有するものとするとともに、我が国の裁判所における訴訟手続の代理等一定の法律事務を除き、原資格を取得した外国の法に関する法律事務を行うことを職務とするものといたしております。また、他の外国の弁護士となる資格を有する等一定の要件を備える外国法事務弁護士は、当該外国の法につき法務大臣の指定を受け、かつ、外国法事務弁護士名簿の登録に指定法の付記を受けたときは、原資格を取得した外国の法に関する法律事務のほか、指定法に関する法律事務を行うことができることといたしております。  第三は、外国法事務弁護士の権利及び義務を定め、その業務の適正を図るものとしていることであります。すなわち、外国法事務弁護士の権利及び義務は我が国の弁護士の例に準ずるものとするほか、外国法事務弁護士の名称、事務所、我が国の弁護士との関係等について、外国法事務弁護士の特性に応じた規律をすることといたしております。  第四は、外国法事務弁護士は弁護士会及び日本弁護士連合会に入会するものとし、弁護士会及び日本弁護士連合会が、その指導、連絡及び監督に関する事務を行うものとしていることであります。なお、弁護士会及び日本弁護士連合会は、外国法事務弁護士に関し会則を定めるものとし、外国法事務弁護士は、その制定または改廃の議決に加わることができるものといたしております。  第五は、外国法事務弁護士の登録及び懲戒に関する処分の適正を図るため、日本弁護士連合会に特別の機関を置くものとしていることであります。すなわち、登録に関する審査を行う外国法事務弁護士登録審査会、懲戒に関する調査を行う外国法事務弁護士綱紀委員会及び懲戒に関する審査を行う外国法事務弁護士懲戒委員会を置くものとし、弁護士、裁判官、検察官、政府職員及び学識経験者がその委員となることといたしております。  以上が外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法案の趣旨であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。     —————————————

福家俊一自由民主党・新自由国民連合

○福家委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

福家俊一自由民主党・新自由国民連合

○福家委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高村正彦君。

高村正彦自由民主党・新自由国民連合

○高村委員 今お伺いした提案理由によりますと、我が国と諸外国との人的、物的交流が活発化したことに伴って、国際的法律事務が増加しているが、その反面、これらの事務に的確に対処するには不十分な状況にあるということでありましたが、このあたりの現状と問題点について概略を説明していただきたいと思います。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 お答えいたします。  最近における世界経済の発展と国際社会の緊密化に伴いまして、我が国と外国との間の人的、物的交流が活発化していることは御案内のとおりでございます。六十年版の通商白書によりますと、昭和四十年と昭和五十九年を比較いたしますと、我が国の輸出額は約十三倍、輸入額は約十一倍と、それぞれ増加しております。また、日本人の出国数、これが約三十倍、さらに、その中で海外支店に勤務する者、これが約十五倍、外国人の入国数は約八倍というふうに増加をしておるわけであります。  このように人的、物的交流が活発化いたしますに伴いまして、必然的に輸出入契約あるいは代理店契約、合弁事業契約、ライセンス契約といったような各種の国際的な契約関係の事務が増加するわけでございまして、伴いまして契約締結の代理あるいは契約文書の作成といったようなことが多くなる。そういたしますと、当然外国の会社法でありますとか税法あるいは外国為替法、独占禁止法といったような外国の法令の解釈、適用をめぐりまして、その鑑定あるいは法律相談といったような国際取引をめぐります法律事務、あるいは外国人が関係いたします身分関係の法律事務といったようなものが増加することが考えられるわけでございます。     〔委員長退席、太田委員長代理着席〕 そして、今後こういった人的、物的交流が増加いたしますと、さらにこれが増大していくであろうということが容易に推測されるわけでございます。しかも、こういった国際取引が活発化いたしますと、当然、多国間取引でございますとか多国籍企業の場合の例に見られますように、多くの国が関係をするというようなことが多くなるわけでございまして、必然的にその法律知識というのも、一人の個人の法律知識を超えまして、広く対応しなければならないということも起こるわけでございます。そういった意味で、そういった要素を含みます国際的な法律事務を適正に処理するためには、やはり専門化した弁護士による共同作業といったようなものが、あるいは密接な情報交換といったものが不可欠になるという時代に突入してきていると言えるのではないかと思います。  しかしながら、我が国におきましては、弁護士は個人経営を原則といたしておりまして、いまだそういった国際化に対応する専門化は十分に行われていない現状でございます。さらに、こういったものは英語を主とした外国語を用いて行うのが通例でございますから、そういった語学力あるいは交渉能力といったようなもの、それから国際取引に関するいろいろな経験といったものが必ずしも十分ではないのではないか、さらに、依頼者の要求にそういった意味で十分対応していないのではないかというようなことが言われているわけでございます。そういった意味で、最近の国際的法律事務については我が国の弁護士のみでは貯えないような状態になっているのではないかというふうに言われております。  こういった現状は、いろいろな歴史的なものあるいは国際的な環境といったものが大きく影響していると思いますけれども、これらの事態を一朝一夕に解決していくということは不可能ではないかと思われるのでありまして、ここで外国法事務弁護士制度を設けることによりまして弁護士の国際的な交流を図る、それを通じて我が国の弁護士の国際化を進めていくというのが、この制度の趣旨でございます。

高村正彦自由民主党・新自由国民連合

○高村委員 本法案の目的の一つとして「外国における日本法に関する法律事務の取扱いの充実に資する」ということが掲げられているわけでありますが、本法を制定することがなぜ外国における日本法の法律事務の充実につながることになるのかということと、外国における日本法に関する法律事務の現状、需要の程度、将来の見通し等について説明していただきたいと思います。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 まず外国における日本法に関する法律事務の取り扱いの現状でございますが、現在我が国の弁護士が海外で活動している数は極めて少のうございます。昭和五十九年の九月の外務省調べによりますと、我が国の弁護士資格を持っていて米国で活動している弁護士の数は六名である、米国の弁護士資格のみを持って活動している日本人は十一名である、米国でトレーニーという資格で活動している者が約十名であるということが判明しております。さらに、ヨーロッパにおきましてもイギリスその他に若干名の者が活動していると言われておるわけでございますが、いずれにいたしましても、全体として見ますと外国で活動しております弁護士は極めて少数であるということが言えるわけでございます。したがいまして、外国における日本法に関する法律事務は、その国の弁護士によって直接に処理されるか、あるいは提携しております日本の弁護士を介して処理されるのが通常でございまして、場合によっては日本の弁護士が外国に出張して処理をしてくるというようなことも行われておるわけでございます。またさらに、外国に進出しております企業の法務部といったところから日本法に関する情報が外国の弁護士に提供されているということも考えられるわけでございます。そういった数でもって現在日本法の国外における法律サービスが行われているわけでございますけれども、これを明確に資料的に調べたものというものは残念ながら現在ございません。  しかしながら、我が国からは御案内のとおり電気機器、化学、繊維といったような製造業あるいは金融あるいは保険業といったような多くの企業が外国に進出しておりまして、一九八四年の民間の統計によりますと、進出しております数、累積でいきますと約七千五百社、さらに米国についてだけ見ますと、進出しております企業は州ごとの累積で約千五百社あると言われております。さらに、我が国の銀行の支店あるいは事務所の進出しておりますのは、アメリカ全州で約八十に上っております。  このような海外に進出しております企業の増大に伴いまして、企業活動に関連する日本法に関する法律事務が必然的に増加し、また、外国に在留する邦人の増加に伴いまして、その日常活動から生ずるいろいろな法律事件あるいは親族、相続に関する法律事件等、日本法が問題となる案件も増加しているものと考えられます。さらに、我が国に進出しようとしております外国企業あるいは我が国と取引をしようとしております外国企業の増加に伴いまして、我が国のいろいろな法令に関するサービスの提供につきましても海外でやはり需要が増加してきているものだというふうに考えられるわけでございます。  そういった意味で、外国におきまして我が国の弁護士による日本法に関する良質の法律サービスが提供されますことは、在外邦人の生活の安定にも資しますし、さらに海外に進出しました企業活動の円滑化にも貢献するでありましょうし、さらに我が国へ進出しようとする外国企業に対しましてもそういった面で貢献が期待されるところでございます。そういった意味で、こういう国際化の今日におきまして、この制度は非常に有用な制度ではないだろうかということでございます。そういった意味で、この法律におきましては相互主義の原則を採用いたしまして、外国が我が国の弁護士を受け入れる制度をより多くつくっていき、好ましい結果が生じることを期待しているわけでございます。  以上でございます。

高村正彦自由民主党・新自由国民連合

○高村委員 大臣にお伺いします。  弁護士制度というのは、国の根幹をなす司法制度の一環であります。しかし、この問題は日米経済摩擦というか貿易摩擦に端を発したというわけでありますが、この問題について政府としてはどういう方針で対処してこられたのか、簡単に御説明いただきたいと思います。

鈴木省吾自由民主党・自由国民会議法務大臣

○鈴木国務大臣 先生既に御案内と思いますけれども、アメリカあるいはECからかねて、日本の国内においてそれぞれの国の弁護士資格を持っている者が事務を行いたいという要望が、しかもそれが貿易摩擦の一環ということで出てまいりました。しかし、今お話しのように、それぞれ各国は司法制度というものは独特の、独自のものを持っております。しかもまだ、日本の弁護士というのはこれまた本当に自治権を持った団体でございますから、そういうことを十分考えまして、そして日本の司法制度の中に果たしてそれがうまく取り入れられて、特に弁護士会との連絡が十分にできるかということを念頭に置きまして、実は日本弁護士連合会ともたびたび協議をいたし、そしてまたアメリカ、ECとも協議をいたし、そして後ほど御説明等も事務当局からあろうかと思いますけれども、日本弁護士連合会の方でこういう要綱ならひとつ受け入れてよろしいのではないかということの提案がございました。その提案を政府といたしまして検討いたしましたところが、適切な案であろうということを考え、さらにまたそれをアメリカなりECとも協議をいたしまして、そして実は本提案に至ったような次第でございます。

高村正彦自由民主党・新自由国民連合

○高村委員 大臣おっしゃったように、政府も当初から日弁連の自主性を尊重すると明言してこられたわけでありますし、また日弁連の方もそれにこたえて、この法案の基礎になったような要綱を立派につくられたということで、まさに高度の自主性と自治権を持つに足る団体であるということで高く敬意を表しているわけでありますけれども、この問題について外国との交渉にはまさに政府が当たった、当然のことでございますが、その中で日弁連の意向がどういうふうに反映されてきたのか、あるいはその結果できたこの法案についてアメリカはどういう反応を示しているのか、そういうことについてお伺いいたしたいと思います。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 御案内のように、この問題は昭和五十七年にアメリカの政府レベルの提案があったことに端を発して政府間の交渉ということが行われることになったわけでございますけれども、アメリカとの間では、この貿易委員会あるいは日米フォローアップ会合あるいは実務者会談といったようなもので協議を尽くしてまいったわけでございます。さらにその間には日弁連も加えました協議も行いましたし、日弁連も独自のパイプでアメリカとの協議も尽くされたわけでございます。しかし政府といたしましては、先ほど大臣も述べましたように、この問題は経済的な観点からのみ対処すべきものではない、我が国の司法制度あるいは弁護士制度の枠組みの中で解決されるべき問題であるという基本方針と、それから弁護士のあり方にかかわる問題であるから、自治権を有している日弁連の自主性を尊重しよう、こういう基本的姿勢でもって終始一貫この交渉に当たってまいったわけでございます。  こういった外国との諸協議におきましても、私どもはこの二つの基本姿勢を終始一貫堅持いたしまして、日弁連がそれぞれの段階に応じて自主的な意見の形成としてつくり上げました受け入れ制度案、すなわち、例えば昨年九月の第一次案あるいは昨年十二月の臨時総会の決議あるいは最終的につくりました本年二月六日の制度要綱案といったものをそういった基本方針のもとに外国に説明、説得を繰り返したわけでございまして、その結果諸外国も我が政府の対応ぶり、すなわち司法制度の枠組みの中でこの問題を解決しようとしているということについての十分な理解を得ることができました結果、今日の法案に結実したものでございます。すなわち、私どもは日弁連の自主性を最後まで貫いたというふうに考えているわけでございます。諸外国もそういった意味で十分日本の司法制度の枠組みを尊重してくれた結果であるというふうに考えております。

高村正彦自由民主党・新自由国民連合

○高村委員 この制度をつくるに当たって相互主義をとったということは私は至極当然のことであろうと思うわけでありますが、アメリカ合衆国において今外国弁護士を受け入れる実情はどうなっているかということについてお尋ねしたいと思います。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 委員御案内のとおり、アメリカにおきましては州単位に弁護士資格が付与される制度になっておるわけでございますが、現在アメリカにおきましてはニューヨーク州、ミシガン州それからワシントンDC、この三州が外国弁護士を受け入れる制度を持っております。さらにカリフォルニア州及びハワイ州が現在ドラフトを検討中でございまして、米国政府の予測では本年中にはこの二つの州も開くであろうというふうに言われております。

高村正彦自由民主党・新自由国民連合

○高村委員 外国弁護士の名称の問題についてでありますが、昨年暮れの日本弁護士連合会臨時総会において我が国の弁護士との混同をもたらさない名称とするという形で留保されていたわけでありますが、本法案によりますと外国法事務弁護士となっているわけであります。ごく一部でありますが、日弁連の中には弁護士という名前を使ってはいけないのだという声もあったやに聞いておりますが、その点外国法事務弁護士という名前になった経緯とこの妥当性についてお尋ねしたいと思います。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 委員御案内のとおり、日弁連内の一部に弁護士という話を使うことについての反対意見がございました。それは恐らく、弁護士という名称を用いれば我が国の国民に定着している弁護士のイメージと混同を招くということ、あるいは諸外国において外国弁護士を受け入れている制度を持っている国においては本来のそれぞれの国の弁護士とは違う名称を用いているではないかということ、こういったことが理由になっていたと思います。しかしながら、この今度の制度によって受け入れます外国法事務弁護士は、まさに我が国の弁護士と同質性のある法律事務を取り扱うものでございますし、さらに、我が国におきましては、委員御案内のとおり我が国独特の制度として日弁連の自治というものがございます。この外国法事務弁護士を日弁連の自治の中に取り入れて、お互い自律し合いながら事務を行っていくという制度を構築するためには、やはり弁護士の仲間である、弁護士と同質であるということを名実ともに定める必要があるという議論から、この外国法事務弁護士という名称の中には弁護士という名称を用いる必要があるというのが政府あるいは日弁連の中のお考えでございまして、結局そういった議論が闘わされまして、最終的には本年二月二十一日の定例理事会におきまして圧倒的多数をもって外国法事務弁護士という名称が採用されるに至ったわけでございます。  ところで、この外国法事務弁護士という意味でございますけれども、外国法事務弁護士は外国法に関する法律事務のみを行います。さらに法廷には出廷できないという制限もございます。そういった意味で、日本の中では法廷に出ない弁護士を事務弁護士という名称で呼ぶ。つまり御案内のようにイギリスのソリシターがそういう制度になっておるわけでございますが、ソリシターの日本訳として事務弁護士という訳が既に法曹界の中では定着をいたしております。そういった意味で外国法しか取り扱えない、そして法廷活動ができないという外国法事務弁護士の特性を考えますと、まさにそういった特性に応じた名前ではないだろうかということでこの名称が採用されたわけでございまして、私どももこの名称は極めて妥当であるというふうに考えております。

高村正彦自由民主党・新自由国民連合

○高村委員 外国法事務弁護士の職務範囲についてでありますが、原則として原資格を取得した外国の法、そして例外として法務大臣の指定を受けたいわゆる指定法、その二つに限られているわけでありますが、これについてアメリカやECの要望との間には若干の開きがあったというようなことも聞いているわけでありますが、その辺のところをごく簡単にで結構ですが御説明いただきたいと思います。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 御指摘のとおり、今度の制度では、その職務範囲といたしまして取り扱いますのは原資格国法に関する法律事務が原則でございます。そしてさらに、法務大臣が指定をいたしますと、その知識が制度的に保証されている外国弁護士につきましては指定法の事務につきましても法律事務を行うことができるという制度にしておるわけでございます。  この点につきましては、アメリカあるいはEC諸国の要望は、自国法つまり原資格国法に限らず広く外国法一般を職務範囲とすべきであるという主張があったわけでございまして、御指摘のとおりその間に開きがあるわけでございます。しかし、そこで確かに選択の方法といたしまして外国法一般を職務範囲とするかあるいは原資格国法に限定をするかというのは一つの政策の判断だろうと思いますけれども、外国の例で見ますと、例えばドイツでは自国法に限って外国弁護士を受け入れているということでございます。その他は外国法一般をやらせておるということでございまして、諸外国の例によりましてもその選択は二つの幅があるわけでございますが、結局今回採用いたしました制度は、やはり外国の弁護士を無試験で日本に入れる以上は、外国でその知識が制度的に保証されていること、つまり、その当該国の司法試験をパスしていることによりましてその知識が制度的に保証されているということになりますので、そういった保証のある法律知識を我が国に取り入れるということが我が国の現状に一番マッチするのではないだろうかという選択をしたわけでございまして、そういった意味で我が国の考え方を諸外国に種々説得、説明をしたわけでございまして、その結果今日の法案に結実しておるということでございます。

高村正彦自由民主党・新自由国民連合

○高村委員 我が国の弁護士と外国法事務弁護士との間の雇用関係についてお尋ねいたしますが、法案によりますと、我が国の弁護士は外国法事務弁護士を雇用することはできるがその反対はできないということになっているわけでありますが、  この理由を御説明いただきたいと思います。  また、それと同時に、事務所の共同経営の問題でございますが、この共同経営を禁止されている理由をお尋ねしたいと思います。この共同経営の中に事務所の共同使用も含まれているのかどうか、その点についてもあわせてお尋ねいたします。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 雇用、共同経営を禁止する理由でございますけれども、先ほど申しましたように、外国法事務弁護士は日本法に関する法律事務ができません。そういう意味で、日本法の法律事務ができない外国法事務弁護士が日本弁護士を雇用いたします、あるいはこれと共同経営をいたしますと、結局その収益の増大を図るというような観点から、日本の弁護士あるいは共同経営者である日本の弁護士に対しましてその身分上の指揮監督を行うというようなことから、結局日本法の事務に介入してくる危険性が高いということが、この雇用あるいは共同経営を禁止しようとする考え方の基本でございます。この雇用、共同経営の禁止というのは、しかし我が国だけの考え方ではございませんで、御案内のとおり、ヨーロッパの諸国におきましてはやはりその国の弁護士と外国から受け入れた弁護士との雇用あるいは共同経営を禁止しているのが現状でございます。そういった意味で、やはりその当該それぞれの国の弁護士の独立性を守る、あるいは倫理を守るといったような観点からそれぞれの外国がそういった制度を持っておりますから、それは合理性があるのだろうと思うわけでございまして、我が国の制度におきましても当面そういった制度を維持すべきではないかということでこの制度を採用したわけでございます。  ただ、実際の事務を行う上におきまして、やはり外国の弁護士と我が国の弁護士が共同部に事務を行うことが国際的な法律サービスの提供に有益であるという点は確かにございますので、そういった意味で、禁止いたしますのはあくまで限られた限度、つまり雇用及び共同経営という形態のみを禁止するわけでございまして、例えば恒常的な事務所間の提携関係あるいは適正な経費配分による事務所の共同使用といったようなものは当然認めるということでございますので、実務的にはそれほどの支障は出ないだろうというふうに考えているわけでございます。

高村正彦自由民主党・新自由国民連合

○高村委員 この問題の処理に当たって、政府が日弁連の自主性を尊重するとともにアメリカ等の要求に対して日本国の自主性を貫いていただいたということに深く敬意を表しまして、そしてまた、この法が施行されるまでに、先ほどアメリカは三州のみ開いているというようなお話もありましたけれども、もう少し開いているように外交努力もしていただきますようにお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

太田誠一自由民主党・新自由国民連合

○太田委員長代理 天野寺君。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 最初にまず、この法案が法務省の方からお考えになってなぜ必要なのだろうかという点でお答えをいただきたいのですが、その問題は、この法案がつくられるまでになってきました経過の中で、アメリカの通商代表部からの市場開放の一環としての申し入れというものがあったと思うわけですけれども、この外国人弁護士を受け入れるかどうかという問題を、政府としてはそういう市場開放の一環というふうにお考えになった上でこの法案の作成に踏み切られたのか、あるいは政府は政府として独自なお考えのもとにこの法案の作成に踏み切られたのか、そういう点を含めてひとつ大臣からお答えいただきたいと思います。

鈴木省吾自由民主党・自由国民会議法務大臣

○鈴木国務大臣 ただいま先生御指摘のように、貿易摩擦の一環として取り上げられたことは事実でございますけれども、その以前からそういう要望もアメリカとかECからも参っておりました。しかし最近の国際交流の趨勢等を考えますと、ますます外国のそういった法律事務の需要がふえてくることも確かだと考えますし、また、こちらの方から外国へ行ってそういうことをやることの必要性もだんだん出てくるであろうというふうに考えます。     〔太田委員長代理退席、委員長着席〕 さようなことで、契機としてはそういう貿易摩擦という契機がございましたけれども、何せこれは日本の司法制度の重要な問題でもあります。特に、自治権を持っております日本弁護士会、弁護士制度の問題との深いかかわりもございますから、そういう観点から大局的に法務省といたしましても対応いたしました。十分これは日本弁護士会の自主的な御判断もいただかなければならないということで、累次日本弁護士会と協議をしながら実はそういう考えで進めてまいった、こういうことでございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 そもそもこの弁護士業務の開放といいますか、外国人弁護士の受け入れというようなことを経済閣僚懇談会というような場で議論されたということ自体が、日本の弁護士にとってはかなり異質な感じを受けたのではないか、私も弁護士の端くれでございますけれども、そういう感を持つわけでございます。しかし、やはりそれはそれなりにそういう観点からの要素というものもあるのではなかろうかという気もするわけです。  そこでお尋ねをするのですが、政府としては、この外国人弁護士の受け入れというのを外国人弁護士の活動領域の拡大というのですか、例えば、アメリカ人弁護士が日本とかあるいは東南アジアあるいは欧米諸国等に出ていって業務を営む、そういう弁護士業務の地域的な拡大といいますか、そういうようなことが今の貿易摩擦というか経済の国際化という観点から必要だというふうにお考えになっていらっしゃるのかどうか、また、その必要さというのは弁護士業務という点でこれは自由にやるべきだというふうにお考えになるのか、あるいは、先ほど調査部長の高村先生に対する御答弁をお聞きしていまして、いわば進出企業といいますか企業交流ということの中でそれを促進させるといいますか、そういう観点で必要なんだというふうな御意見にも受け取れたのですが、固有の弁護士業務としてこういうものが必要だというふうにお考えになっていらっしゃるのか、その点でいかがでございましょうか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 委員御指摘のとおり、この問題が貿易摩擦の問題として取り上げられたことは経過としてあるわけでございます。現在使われております貿易摩擦の問題というのは、もう御説明するまでもなくやはり我が国の貿易が外国において起こしております摩擦の解消ということであろうと思います。そういった意味で政府がいろいろな分野でその対応をしておるということの中の一つとして、法律サービスの自由化という問題がそういったセンスで取り上げられたものであろう。つまり、もう少し言いかえますと、外国の企業が日本に進出してくるにつきましてやはり自国の弁護士の日本における直接サービスを受ける必要がある、それが企業の日本への進出あるいは貿易の増大につながるという面、これが一つ貿易摩擦の面であるというふうに取り上げてきた理由であろうと思います。さらに、外国の弁護士業務自体、これがやはり一つの法律サービスの提供であるということでございますから、それ自体の自由化ということで外国の弁護士業務自体を日本に及ぼしたい、こういう二つの面が貿易摩擦の問題としてはあるのだろうと思います。  そういった分析の中でこの問題が提起されたわけでございますけれども、先ほど来申しておりますように、それはそれなりにその面を持っておることは否定はできないといたしましても、やはりそれを解決する手段というのは、結局我が国の弁護士制度の重要な変更をもたらすものなんだということから、これを司法制度の問題であるというふうに受けとめまして、単にそういった経済的な観点からのみの視点でこの問題を解決してはならないという考え方を政府は終始一貫持ってきたわけでございます。  そこで当初は、御案内のとおり、日弁連と外国の弁護士、特にアメリカ、ニューヨーク州弁護士会との話し合いというものが端緒になったわけでございまして、昭和四十九年から五十七年に政府間の問題になります町は専ら弁護士会同士がこの問題に対処しておったわけでございますが、結局そこでの解決が不十分であるということから、五十七年に政府間レベルの話に持ち上がったという経緯がございます。つまり、そういったことで本来この問題は、経緯的に申しましても、あるいは私先ほど申しました貿易摩擦の問題に対する対処の考え方にいたしましても、いずれもやはり弁護士制度の問題、司法制度の問題であるということで対処してまいったことは事実でございます。  ところで御指摘は、この弁護士業務自体の活動の拡大というものに重点を置いているのかあるいはそうではないのかというようなお尋ねだったと思いますけれども、結局、そういった経緯の中でやはり現在の日本の置かれている国際的な立場、あるいは日本の企業の進出あるいは邦人の海外への進出といったようなもの、そういった現状を日弁連でも十分検討されまして、やはり国際的な法律事務の増大に対処するには弁護士の国際的な交流が必要であるということが逐次会内の議論の中でも理解が深まっていったということの結果、弁護士交流をいかにすべきかという観点からこれをとらえ、そして長年の会内の議論を尽くされた結果でこういった国際交流の制度を構築されたというふうに考えるわけでございます。つまり、その意味は、そういった国際的法律事務の増大に対処し、外国の弁護士の活動も認めるが同時に日本の弁護士の海外における活動の道も開くべきだという観点から、専らその観点からこの問題を考えられ、そして制度的には相互主義という原則を採用することによって海外への我が国の弁護士の活動の道を開くということにも重点を置いた解決を考えられたものだろうと思います。それが現にこの法案の目的規定になってあらわれているわけでございまして、我が国におけるサービスの充実とともに、海外における弁護士の活動の充実にも資するのだということを表明しておるゆえんでございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 外国人弁護士の受け入れの今度の法案が二つの要素を持っているんだということは私もわかるのですけれども、ただ、その点から考えてみて、果たしてこの法案がそういう要素を両方ともそれぞれに満足し得るものなんだろうかという点もあるかと思うのです。  まず最初の、日本に対して外国企業が進出といいますか出てくるときに外国人弁護士が必要だということは抽象的にはわかるのですけれども、しかし、外国企業の場合に、日本に進出するに当たって、外国企業の内部の法務担当あるいは法務部というような形で外国法についての知識とかそういうようなものを使ってやってくるということは、従来こういう法がなくてもできることであろうと思うわけです。例えば、外国の銀行の中には当然法務担当の者があるでしょうし、その人が企業の使用人としてその企業内部の法律事務について担当をするということは、これは日本の従来の弁護士法から見ても何ら非弁活動には当たらないんじゃないかというふうに考えるわけです。この点ちょっと一点お答えいただきたいと思います。  それからその上で、例えばミルバンク・ローファームですかの問題なんかでかなり顕在化したのかもしれないのですけれども、個々の企業を超えて外国人法律事務所というようなものが必要だというふうな観点で考えましたときに、私今度の法律の中で一つ重要な点で、果たしてその需要を満足させるだろうかという疑問があるのは、三条の一項ですけれども、外国法事務弁護士の場合に「国内の裁判所、検察庁その他の官公署における手続についての代理及びその手続についてこれらの機関に提出する文書の作成」について、これは権限が外されているわけですね。ということは、日本の官公署に対する文書作成あるいは代理提出ということができない。そういう事務所というものが果たして有効に企業のリーガルコンサルタントとしての役割を果たし得るものなんだろうか。その点で、この法案を作成されるに当たって、どういう需要があるというふうにお考えになって作成されたのか、この辺をちょっとお聞きしたいと思います。

但木敬一法務省大臣官房司法法制調査部参事官

○但木説明員 御質問は二点にわたっておりますので、まず第一点の方から申し上げたいと思います。  確かにアメリカ企業の場合、社内にリーガルセクションがございまして、その中に外国の弁護士が入っているというような形態もございます。ただ日本に進出してくる場合に、そのリーガルセクションのメンバーを連れてくるとなりますと、それなりにコストが非常に高うなります。そのために日本に進出してきた米企業の中にリーガルセクションがあって、さらにその中に弁護士がいるというのは非常に数が少のうございます。したがいまして、アメリカ全体の企業のニーズからいいますと、やはり企業外のアメリカの弁護士が日本に定住していることが望ましいというようなことがあろうかと思います。  それから第二点の問題でございますが、まず本法案の第三条の一項一号で「国内の裁判所、検察庁その他の官公署における手続についての代理及びその手続についてこれらの機関に提出する文書の作成」というのを職務外にいたしまして、四条で職務外の行為を禁止いたしましたので、結論としては禁止ということになっております。ただ、ここで禁止しておりますのは、あくまでも許認可あるいは不服申し立て手続というような手続についての代理でございます。それから文書の作成につきましても、「その手続についてこれらの機関に提出する文書の作成」となっております。  それで、これを禁止いたしました理由は、そもそもこれが行政法であって日本法に関するものである。しかも行政手続というのは非常に技術的な部分が多いものですから、外国の弁護士がこれを全部理解してやることは無理であろう。それによって依頼者が不測の損害をこうむることもあろう。日本の行政官庁に出す文書は、司法書士とかあるいは行政書士とかそういう特別の資格を持った人たちがこれを行っているのであって、外国法事務弁護士というような日本の行政法手続について必ずしも正確な知識を有しない者がこれを行うことはやはり禁止せざるを得ないというふうに考えたわけでございます。  ただし、これはあくまでも手続問題でございますので、例えばアメリカの企業が通産省に何らかの関係で許認可手続をしている、その中で通産省がこの点の要件が欠けているじゃないかというような問題がございまして、アメリカの企業が呼ばれた。そのときに本人と一緒にこの外国法事務弁護士がついていきまして、本人に何らかの質問があるときに本人との間でこれを補佐して助言するということは、これは別にここで禁止しているわけではないわけでございます。  外国法事務弁護士の主たるニーズというのは、必ずしも官公署に対する許認可の申請手続の代理とかあるいはその手続文書をつくることとか、そういう点にあるのではなくて、官公署で言いますと、言ってみれば、今言いました補佐であるとかあるいは事実上の法律事務に当たらないような陳情ですとか、こういうものがあるであろうと思われます。またそのほかにも、もちろん先生御案内のように、国際的な取引における契約締結とか、むしろそちらの方がメーンの需要であるというふうに考えております。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 もう一つの面の、弁護士業務そのものの地域的な拡大、これが貿易摩擦との関係で必要なんだ、そういう観点をお持ちなのかどうか。私たちから見ますと、弁護士が日本に来るということで貿易収支がどうなるかというようなものではなさそうだというふうに思うのですがね。この辺はいかがなんですか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 御指摘のとおり、弁護士の国際交流が活発化すれば、そのことが直接にそういった貿易上の数字になってあらわれてくるかということになりますと、それは非常に難しい問題だろうと思います。  ただ言えますことは、先ほども申しましたように、貿易摩擦が契機ではございましたけれども、現実を見ますと、やはり国際的な法律事務というものが増大をしている。ですから、そういった内外の情勢に適切に対応した制度をつくりまして、そしてそういった分野での法律生活の安定を図るということが大事なことだ、今ここで要求されていることだというふうに受けとめたのが日弁連であり、我々政府、法務省であったわけでございまして、そういった意味で、こういう情勢下にこの制度をつくることが不可欠であったというふうに考えるわけでございます。おっしゃるような意味で、これが貿易摩擦の解消にすなわち直接的につながるかという御質問でございますけれども、その点については非常に難しい問題でございますので、一言のもとに御答弁申し上げることはできませんけれども、やはりそういった制度をつくりますことによりまして、貿易がスムーズにいくあるいはトラブルが少なくなる、そこで国際的な相互の信頼性も向上するといったことが期待されるわけでございますので、そういったフレームの中で貿易摩擦の問題あるいは貿易量の問題がどういうふうに転換していくかということを考えるべきではないだろうかというふうに考えております。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 弁護士業務の地域的な拡大ということ自体について言えば、私どももこれはもう当然考えなければならないことだろうと思いますけれども、ただ一方で、日本でいう弁護士と、それから例えばイギリスでいうバリスター、ソリシターですか、あるいはアメリカのアトーニーとかいういろいろなあれは果たして同じものなのだろうか、どれほどの同一性を持っているのだろうかということでは、やはりかなり問題があるのではないかと思うのです。例えば日本の弁護士法の場合には、もちろん御案内のとおりに一条に「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」というような弁護士の使命を大きく掲げておりますね。これは弁護士は単なるサービス業ではないということの表明だと思うのですけれども、この点でアメリカの場合に、アメリカだけではないかもしれません、ヨーロッパ諸国にしましても果たしてそういうふうに言えるものなのかどうか。その点で日本の弁護士というのが歴史的に見ればかなり特異なとまでは言えないかもしれませんが、やはり異質な面を持っているのじゃないだろうか。そういう世界に受け入れるときに、特に人権擁護ということをその使命として掲げていくこの日本の弁護士社会の中に外国人弁護士を受け入れていくということがどれだけできるのだろうか。また、そういうところにサービス業という面が非常に強く出てきている外国人弁護士を受け入れることによって日本の弁護士像というようなものにも変化を来してくるのではないだろうかということが日弁連の中でもいろいろに議論されてきたところでありますけれども、この点については法務省としてはどういうふうにお考えでございましょうか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 御指摘の問題は二面あると私は思います。つまり弁護士の本質の問題と、弁護士の活動エリアと申しますか活動範囲の問題の面があるだろうと思います一。  御指摘のように、例えばアメリカの弁護士を例にとりますと、私どもが承知しております限り、先生がおっしゃるようなサービス業、つまり大きなローファームを構えましてそこに所属して専ら企業のサイドに対する法律サービスを提供すること、つまりビジネスとしてそういうサービスをするという活動エリアがあることは確かでございます。しかし、御案内のようにアメリカの弁護士もすべてがそうではございませんで、その活動の範囲といたしまして日本の弁護士と同じような意味での個人あるいは人権を守る、あるいは法廷に出て正義の実現を図るというような形の活動を主としておる弁護士も多数おられるわけで、決してアメリカの弁護士イコールビジネスマンだということにはならないのではないだろうか。またさらに、アメリカの弁護士は御案内のとおり政府関係の機関の中に入ってローヤーとして活動しているという者も含まれるわけでございまして、活動の面で見ますとそういった特色があるだろうと思います。さらにヨーロッパで考えますと、御案内のとおりイギリスのバリスターあるいはソリシターといったものは、それぞれ歴史的に培われた弁護士の活動範囲といいますか、それを守ってサービスをしておるわけでございますけれども、バリスターでいえば法廷における活動しか認められない、そこではまさに典型的な日本の弁護士と同じような立場で職務を行っておると言えるだろうと思います。同じようにフランスではアボカというのが弁護士でございますけれども、これもほとんど法廷を中心とした活動をしておる。それ以外のサービス面というものはコンセイユ・ジュリディックといった形でもってカバーされておる。しかし、最近アボカといえども国際的な法律業務の拡大に伴いまして、そういった本来の業務を守っていたのではだめだということから、そういった面へのサービスに転換しつつあるというふうに聞いております。そういった意味で、それぞれの国の弁護士というのはそれぞれやはり活動エリアが違うだろうと思います。  そういった意味で日本の弁護士を見た場合には、先生御指摘のように伝統的にはやはり法廷を中心とすると申しますか、紛争が発生した時点からの関与といったようなことが従来の伝統的な活動範囲であっただろうと思われます。そこではまさにおっしゃるように弁護士法一条、二条に書いてございますような職務、使命が中心であったというふうに思われます。しかしながら、日本の弁護士の中にも、こういった国際的法律業務を行う必要性が痛感され、そういった業務を主として行ういわゆる渉外弁護士といったものが現在三百人とも五百人とも言われておりますけれども、戦後その数が増大する一方であるということも言われておるわけでございます。やはり日本の弁護士もそういった意味で時代の進展に即応した活動エリアの変化といったものが起こりつつあるわけでございますし、またこれからもそういうものが起こっていくのだろうというふうに思われるわけでございます。  今申しましたことはそういった意味での活動エリアの比較でございますけれども、いずれにいたしましても、どこの国の弁護士もやはり基本は人の権利義務に関して代理人として法律業務を行うわけでございますから、やはり人権を守るということが基本でございますし、さらに法を通じて正義を実現するという司法の大きな枠の中で仕事をしている職種であるという意味におきましては、やはり正義の実現といったことも基本的な使命としておるはずでございます。我が国の一条、二条が我が国独特のものだというふうに先ほど御指摘がございましたけれども、これはもう申し上げるまでもなく我が国の弁護士法はフランス法を引き写したわけでございます。つまりフランスの弁護士法の基本的な概念といったものが導入されたわけでございまして、そういった意味で私は弁護士の本質といったものは洋の東西を問わず同じであるというふうに思います。ただ活動のエリアがそれぞれの国の事情によって変わってきておるということなのではないだろうかと思うわけでございます。  ところで、そういった中に外国法事務弁護士制度というものを日本に導入いたしますれば、確かに御指摘のように活動エリアの変化というものを促進すると申しますか、それにインパクトを与えることは確かであろうと思います。しかし私は、外国の弁護士といえども今申しました意味で伝統的な本質の使命を持っておりますし、それぞれの弁護士はそれぞれの高い法律的素養と高い倫理基準の保持をやはり要請されておるわけでございますから、そういった意味でもまさに日本の弁護士と全く変わらない質を持った人たちだろうと思いますので、日本において導入しますと活動エリアの変化が起こりましょうけれども、私は本質が揺らぐというような問題ではないというふうに確信をいたしております。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 その点で今度は相互主義との関係をちょっとお尋ねしたいと思うのですけれども、外国人弁護士を日本で受け入れるためには、やはり相互主義という形で日本でも当該外国あるいは外国と同視されるような州といいますか、そういうところで仕事ができることが必要だというような考え方がこの法案の一つの基本的な考え方になっておると思うのです。一見それはそれでわからなくはないのですけれども、よく考えてみますとなぜ相互主義が必要なんだろうか。日本にとって外国人弁護士を受け入れる必要性というものが日本の司法の中に必要なんだというふうに考えれば、本来的には相互主義というようなものについてもそう考えなくてもいいのじゃなかろうかというふうにも私は考えられると思うのです。相互主義というものをこの法案の中で考えていかれるとすれば、それはなぜそういう原則を考えておられるのか、この点はいかがですか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 先ほど来申し上げておりますけれども、確かに我が国へ外国弁護士を入れる必要があるということで制度を考えればよいというふうに考えれば、それはそのとおりだろうと思いますが、しかし、先ほど来申しますように国際的な人的、物的の交流の拡大に伴いまして、国の中ではもちろんでございますが国の外でも法律サービスの需要と申しますかそれが高まっておる、また高まっていくだろうということはこれは考えざるを得ない問題でございます。そういったものでそれにどう対処するのかということがこの段階で我々は考えるべきことだろうと思います。     〔委員長退席、太田委員長代理着席〕 そういたしますと、国内におけるそういった国際的法律サービスの充実向上を図るとともに、外国におけるそういった日本法のサービスの需要に対応してその充実と向上を図るということも、これは施策としては当然必要なのではないだろうか。そのことによって現代の国際社会における法律的な生活の安定を図るというのがやはり大きな意味で必要なのではないだろうかというふうに考えたのが、この相互主義を採用した大きな理由でございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 ということは、簡単に言えば日本にとっても企業が外国に進出をしていくといいますか、そういうようなときに日本人のリーガルコンサルタントが外国で活動ができるようにというようなことが必要だ、そういう需要が高まっているんだという状況認識の中で行われていることなんでしょうか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 先ほども申し上げましたように、日本から海外へ進出しております企業の数もふえておりますし、したがってその活動範囲も広がっておるはずでございます。しかし、その企業のみを申し上げているわけではございませんで、さらに我が国から海外に行きます邦人の数といったものも非常に増大する傾向にございます。外国に住んでおります我が国の邦人が日常生活を送ります上におきまして、現代の社会では好むと好まざるとにかかわらず法律関係にかかわり合いを持つということは当然あり得るわけでございまして、また数がふえればふえるほどそういったかかわり合いもふえていくだろうというふうに思われます。そういったときにやはり日本語で日本の弁護士に相談ができるという需要、これもますます増大するだろう。それから例えば交通事故に遭ったあるいは飛行機事故に遭ったあるいは身分関係で離婚をしなければならない、いろいろな問題が起ころうと思います。そういったようなものがすべてやはり外国に日本の弁護士がいない場合には結局外国の弁護士に相談をせざるを得ないということになるわけでございますが、外国の弁護士は日本のそういった日本人のマインドも持ちませんし日本の風俗習慣その他伝統も知らないわけでございますから、そういった環境の中でやはり日本の弁護士が身近に来ているということの意味合いはいかばかり大きいかということを考えますと、この機会に、この制度をつくりますときにそういったことに配慮をするというのは何よりも大事じゃないだろうかというふうに考えたわけでございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 そういう観点で、日本人が国際的に活動の分野が広がっているその中で日本人弁護士が外国における日本人あるいは日本企業にとって必要になってきているんだという観点からの積極的な施策ということだとすれば、私としてはもっともっとその面を強めていかなければならないんじゃなかろうか、そういうことも思うわけです。市場開放というような形でこの問題が提起をされたものですから、外国人弁護士を受け入れる受け入れ方というような観点からこの立法が考えられているんじゃないだろうか、全体として見ても私そう考えられると思います。本来的に言えば日本の弁護士がそれじゃ外国でどう活動できるだろうか、どういうふうな活動が要請されるだろうかという視点をやはりもう少し考えなければならないところというのはあるのじゃなかろうかという気もするわけですが、その辺はいかがでございましょうか。

但木敬一法務省大臣官房司法法制調査部参事官

○但木説明員 確かに本法案で相互主義が関連をしておりますのは、十条の「承認の基準」で関連しているのと「承認の取消し」で関連してございます。その二条でございます。ただ私どもが考えましたのは、実はこの法案全体がまさに相互主義の問題を考えつつつくられたものであると考えているわけです。すなわち、外国の弁護士を我が国で適正に受け入れることが逆に外国において我が国の弁護士を適正に受け入れてくれることのもとになるんだという考え方から全条項を考えたつもりでございます。したがいまして、例えば職務の範囲でありますとかあるいは弁護士会あるいは日弁連に入会させますとか、そういうことは実はこれからの弁護士の国際交流のあるべき姿というようなものを考えてつくった構造でございまして、決して我が国が外国の弁護士を受け入れる、それだけを考えてこの法案ができたわけではございません。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 確かに基本的なものとして外国人弁護士を日本の弁護士会が受け入れるという構造、これはやはりこの法案の一つの大きな特色だと思うのですね。現行のいろいろな弁護士が外国でもってどれだけの仕事ができるかというようなことで、各国の法制度等も調査室の方からの資料をいただいて読ましていただきましたけれども、弁護士が弁護士として受け入れられるといいますか、そういう例というのはまあ余り見当たらないんじゃなかろうか。もちろんいろいろな点で制度の違いがあるから一概には言えないのかもしれませんが、弁護士が弁護士の補助として活動ができるというような感じを、全体としての大ざっぱな感じですけれどもそんなふうに受けとめてみたのです。日本も業務の内容を見ますとかなりの制限がございますから、実際に日本の弁護士の行っている業務と同じような形で外国人弁護士が日本の国内で業務を行うということにはならないのでしょうけれども、弁護士が弁護士の団体の中で受け入れ、相互に影響し合うというような形にまず日本の法律ができたとした場合、これからの外国に対する日本弁護士の活動としてもできるだけ弁護士が弁護士として受け入れられるようなそういう要求を今度こちらからもしてもいいのじゃないか。名称の問題でも弁護士会の一部にも弁護士という名称を与える必要はないのじゃないかという意見もあるかというふうに聞いておりますが、それの根拠としては、外国ではほとんど同じ名称を使わせていることはないのだからということだと思います。名称の問題はその一つではありますけれども、日本ではこれを受け入れるということにしたわけですから、外国でも同じ弁護士の集まりの中に受け入れられるように、日本の弁護士が活動する場合にもそういう形で受け入れられるようにという方向をやはり考えていただきたい。それは外国の立法ですから直接にどうということではないにしても、要求としてはむしろ出していいのじゃなかろうかというふうに思うのですが、この点はいかがでしょうか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 ただいま御指摘のございましたように、諸外国で外国の弁護士を受け入れております制度を持っている国を通観いたしますと、確かに弁護士という名称のもとに弁護士会に取り込んで仲間として受け入れるという形をとっているところはございません。しかしながら、アメリカで申しますとリーガルコンサルタントという名称になるわけでございますけれども、それはまさにアメリカの弁護士と同じような監督機関、つまり裁判所の監督に服してアメリカ弁護士に適用される倫理基準に従うといったことを要件として活動が認められておるわけでございまして、形式はともかく実質的には弁護士と同質のものとして取り扱っているということは間違いないわけでございます。フランスのコンセイユ・ジュリディックといいましてもやはりそれは職務の範囲が弁護士とは異なりますけれども、弁護士に対する監督と同じような形で監督が行われているというようなことでございまして、すべて諸外国で弁護士との同質性に着目をして同じような監督をし、そして同じような倫理基準を守らせるということをやっておるわけでございまして、そういった意味で私どもの制度と本質的に変わるところはないと思います。今委員御指摘のように、弁護士と同質であるのだからむしろ弁護士会に受け入れて弁護士の仲間としてお互い助け合うべきではないかという御議論はまさに私は正しいと思います。そういった意味で私どもの今度の制度といったものは世界の範となるものだというふうにさえ思っておるわけでございます。  例えばアメリカでは、ニューヨークでは弁護士会の会員となってはならない、のみならず会員として振る舞ってもならないという基準を持っているわけでございますが、今度この三月にできましたワシントンDCのルールを見ますと、そこは少し変質してきておりまして、弁護士会の一員として入る道も開いてきております。つまりそれは私どものドラフトがそれなりに外国に対して影響を与えておるというふうに感じておりまして、私たちはこれはやはり我々の制度が模範になっているなというふうに受けとめているわけでありますけれども、諸外国でもそういった意味で、せっかく実質的には同質として取り扱っておるわけでありますから、もっと弁護士そのものの交流ということを突き詰めますれば、委員御指摘のような形にいくように私どももやはり外国に対して要求すべきだと思います。そのためにはこの法律案といったものが非常に大きなインパクトになるだろうというふうに考えているわけであります。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 私もその点部長と同感でございまして、この外国人弁護士受け入れの問題について、たしか米国の連邦通商代表部の意見書が一九八五年の四月一日付で出されておると思いますけれども、これを見ますと、弁護士として受け入れてほしいということよりも、相談士というふうに日本語で訳しているようですが、外国も相談士ということでいいということです。それはこの法を考えた通商代表部の考え方というのは、弁護士というのはその国その国独自のものであって、外国に行って仕事をするときには補助職としての立場しかないのじゃないか、したがってアメリカから弁護士が日本に来て仕事をする場合も補助職としての仕事の分野というものを確定させてくれればいいというような感じで実はこの意見書をちょっと読んだのですけれども、この意見書よりは今度の今審議されていますこの法案の方がはるかに弁護士的な待遇を与えているというふうにも思います。このギャップというのは、この法案を成立させる以上、外国の中で日本人弁護士が活動していく場合の待遇ということについてもやはり強く要求をしていっていただきたい。ニューヨーク州の場合に会員であるということを装うことはもちろんいかぬというようなかなり厳しいあれだと思いますけれども、この辺についても要求としては強く出していっていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 確かにアメリカのUSTRのプロポーザルによりますとリーガルコンサルタントとして受け入れてくれ、こういう要求でございまして、弁護士として受け入れるという話ではないわけでございます。しかし受け入れると申しましても、その意味と申しますのは結局弁護士の活動を端的には認めるということでございまして、したがって我々が考えております制度というのは外国の弁護士の資格そのものを持っている者に対して改めて試験をすることなく受け入れるという制度でございますから、まさに本質は弁護士であるという資格を持っていることが根っこになっている話である。にもかかわらず、日本に来た途端に弁護士でなくて結構だというようなお話はおよそ通用しないというふうに私どもは対応したわけでございまして、弁護士が弁護士の資格によって活動したいなら弁護士として受け入れるのじゃないかということから、これを拒絶したわけでございます。  つまり、そこに私どもの先ほど申しました考え方が出ておるわけでございまして、我が国において活動してもらう外国の弁護士というのは、確かに職務の範囲は制限はされますけれども、しかし制限されました中におきましては我が国の弁護士と全く同じ事務を取り扱うわけでございますから、これはやはり高度の知識と倫理規定を要請する必要もございます。そういった意味から、弁護士と同質でなければなりませんという正論を種々述べまして、結局最終的に我が国の弁護士として受け入れるという制度についての了解を得たわけでございます。  この交渉過程におきます私どもの主張というのは、先生おっしゃったような意味で、私たちが諸外国に対して範となるべき制度をつくるという意味において、それを根っこに主張してきた事柄でございまして、アメリカも納得したということは、それなりに哲学と申しますか考え方といったものが理解されたということだろうと思います。こういった考え方を、やはり今後この法案をてこといたしまして諸外国に要求を続けてまいるということが、すなわち先生のおっしゃるような意味で世界の目がまた別な方向へ開くでありましょうし、そうなれば我が国から進出する弁護士も、当面はリーガルコンサルタントかもしれませんけれども、長い目で見た場合にはその辺のところがもっと本質的な弁護士交流につながるのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 これからの方向性の問題として、日本の弁護士と外国人弁護士とが共同して一つの国内で法律に関する事務処理を行っていくというような方向というのは、やはりあるべき姿としてはそういう方向に進んでいくのじゃなかろうかという気がするのですが、この点いかがですか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 御指摘のとおり、あるべき姿としてはそういう方向であるべきだと思います。  今度の制度における外国法事務弁護士は、御案内のとおり原資格国法に関する事務に限られるわけでございます。確かにその面での制約がございますから、我が国における法律サービスをする以上は、我が国弁護士との共同というのは不可避であろうと思います。ですからそういう意味で、実務を行ってまいります上で不可避のものでございますから、それが長年経過をいたしますれば、弁護士同士の交流と申しますか理解と申しますか、そういったものは本当にますます深まっていくであろうと考えます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 そういう意味で、この法案の中で日本人弁護士との共同事務所の共同経営というような点について否定的な立場をとっておる、まあ今の時点でこれはやむを得ないというか、あるいは当然のことだろうと私は思います。諸外国でも恐らくこれをそのまま認めるということはないのじゃないかなという気もいたしますから、その点では今の時点では当然かと思いますが、方向としては、私はこの条項はやがて変化をしていくのじゃなかろうかというようにも思うわけです。     〔太田委員長代理退席、村上委員長代理者     席〕 そうじゃないとしますと、先ほど部長から、アメリカに在住している日本人が法律問題が起こったときに日本人弁護士のところに頼っていければいい、そういうふうな要請があるのじゃないかというお話がありましたけれども、現況では、仮にこの立法と同じような形でアメリカで日本人弁護士が業務ができるとしましても、アメリカ法に関する業務をするということはまず考えられないことだろうと思うのですね。とすれば、そういう日本人の要望にこたえるためには、やはりこの立法の形だけでは不十分なんじゃなかろうかという気がするわけです。  私、今変えろというふうに申し上げているわけじゃありませんが、将来の方向としてはこれだけでは不十分なんじゃなかろうか。そのためには、自国法のみならずその当該地域法を扱えるというふうにするのか、あるいは当該地域の弁護士との共同を進めるのかという、この二つしかないんじゃないか。恐らくどこの国も、弁護士制度というのは司法制度の根幹ですから、幾ら日本の司法試験がどう難しかろうと、その試験に通ったからといってアメリカの法律事務が扱える、どうぞ何でも扱ってくださいということにはまずならないだろうというふうに考えれば、やはりこの共同の事務取り扱いという点では、私は将来進めていかなければならない方向なんじゃないかと思うのですが、この点いかがでございましょうか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 御指摘のとおり今度の法案におきましては、先ほども御説明いたしましたけれども雇用、共同経営は禁止をいたしております。これは世界の現状からやむを得ないことだろうと思いますし、現時点ではそれなりの合理性があるというふうに考えておるわけでございますけれども、今御指摘のように二つの方向性があるだろう。  一つは、確かに弁護士の国際交流というものを突き詰めていけば、どの国の法律でもできるようにすべきだという方向は一つあるだろうと思います。そういった意味で、制度として既にそういう考え方を持っている国が一つございます。それはフランスでございますが、フランスのコンセイユ・ジュリディックは、相互主義の原則、相互主義が満たされる場合には外国から行ったコンセイユ・ジュリリディックもフランス法を扱えるという規定がございます。つまり、例えば日本がフランスの弁護士を受け入れてフランスの弁護士に日本法もやらせますということを認めれば、日本の弁護士がフランスに行けばフランスのコンセイユ・ジュリディックとしてフランス法も扱えるという制度になっておるわけでございます。これが唯一でございます。しかし、これは今申したように日本とフランスというようなことじゃなくて、制度的にはフランスの旧植民地といったようなところとの相互主義的なものを考えておるんだというふうに言われておりますけれども、いずれにしてもそういったはしりはあるわけでございます。しかし、やはり方向といたしましては、今委員御指摘のとおり、それぞれの国の法律というものはそれぞれの資格試験によってそれにパスした者に独占させるというのが、弁護士業務の世界的な共通のあり方だろうと思います。そういった意味で考えますと、どこの弁護士も全部扱えるという方向性はなかなかすぐには出てこないだろうというふうに思います。  そこで当然出てくるのは、共同してそれぞれが職務の範囲とされるものを補い合いながらやるという方向ではないだろうかと思います。アメリカに行っておる日本人が何か法律関係に巻き込まれたという場合、確かに御指摘のとおり日本の弁護士は日本法に関する事務しかできないわけでございますから、アメリカ法の関係、現地で適用されるアメリカ法については手が出せないということであれば不十分ではないかということになろうと思いますから、そういう場合にその日本の弁護士を通じてアメリカの弁護士との共同事務処理といったものでサービスが充実することが期待されるというわけでございます。そういった意味で、当面の方向性としては、おっしゃるとおり各国の弁護士が外国の弁護士を受け入れて、職務の制限はあろうからその範囲内でお互いが共同してやっていくという制度を構築していくべきではないだろうかと思います。御指摘のとおりだと思います。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 共同の場合の禁止規定の中に弁護士同士の共同あるいは雇用は禁止するということですけれども、例えば日本にあります司法書士、行政書士等を雇用することは可能なんでしょうか。

但木敬一法務省大臣官房司法法制調査部参事官

○但木説明員 外国法事務弁護士の職務範囲につきましては、第三条の第一項で「原資格国法に関する法律事務」ということになっております。したがいまして、日本法に関する法律事務というのは取り扱えないことになっておるわけでございます。また、仮に「原資格国法に関する法律事務」に該当する場合であっても、なお三条の一項一号で、「裁判所、検察庁その他の官公署における手続についての代理及びその手続についてこれらの機関に提出する文書の作成」というものが職務の範囲外とされておりまして、第四条でこれが禁止されておりますので、したがって外国法事務弁護士は司法書士であるとか行政書士であるとかあるいは弁理士の仕事はできないことになっております。したがいまして、これらの職種を雇いまして外国法事務弁護士がみずからこれらの職種の業務を行いますと、それぞれの司法書士法であるとか行政書士法とか弁理士法によりまして、この外国法事務弁護士は無資格者取り扱いということで処罰されることになろうかと思います。したがいまして、雇用等ができないということになろうかと思います。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 今の諸外国の状況等から見て、今度の立法が多少厳しいのではないか、制限が厳しいのではないかということはどうでしょうか。  例えば昨年の一九八五年二月十四日のイギリスのソリシター協会の意見書などでも総論的には厳し過ぎるのじゃないかという意見も出ているようでございますけれども、こういう点で何かサービスを受けるあるいは弁護士を必要とする人たちの立場に立って考えれば、もう少し制限を緩める必要がないだろうか。今の問題、三条一項一号の問題にしましても、裁判所、検察庁に対する文書ということになればこれは法廷活動ですから、今の我々の常識からいいましても当然これには携われないだろうと思いますが、一般の行政官庁等に対する手続というような面でしたら、許認可手続というような面でしたら、むしろ積極的に認めてやることで逆に日本人弁護士が外国に行って仕事をするときのあれとしても職域が広がるのじゃなかろうかというふうにも考えるのですが、これはいかがですか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 御指摘のとおり、各外国の要望を全体として見ますれば、今度の法案が制限的過ぎるという指摘があることは事実でございます。しかし、それぞれ項目別に分析いたしますれば私どもはそれなりに整理をしておるわけでございまして、決して制限的過ぎるというような批判には当たらないということで対処し説得を繰り返してきたわけでございますけれども、おっしゃるような観点、つまり我が国の弁護士が出ていった場合の職域の問題というふうにして考える場合に、それはそれなりに問題点としてあるのだろうと思います。  しかし、それぞれの受け入れ制度を子細に見てみますと、それぞれの国はそれぞれ職務の範囲にいたしましても、その他の業務形態の規律にいたしましても、あるいは資格を与える要件にいたしましても、それぞれやはり違いがございまして、それぞれの国の弁護士制度との整合性あるいは司法制度とのかかわり合いといったものが背景になってそれぞれの制度がつくられているなというふうに受けとめられるわけでございます。そういった観点から見ました場合に、我が国の制度がまことに世界的に通用しない制度だというふうには決して思っておらないわけでございまして、先ほど来申しますように、むしろきちっと整理された考え方に基づいた制度ではないだろうかというふうに考えております。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 この外国人弁護士を受け入れるということはいろいろなところで大きな影響といいますか、そういうものをもたらすのじゃないかというふうに私は考えるわけです。弁護士の業務というだけではなくて、会社の法務関係の仕事というようなものについても非常に大きな変化をもたらすのじゃなかろうかという気がいたしますけれども、そういう点で、そういう状況に対応していくための法曹の養成といいますか、そういう問題も一つ大きな問題ではなかろうか。今、調査部長の方からお話がありましたけれども、日本の弁護士にとって、まだ外国で仕事をしていくんだということが大きな問題になっている弁護士の数というものは総体的には少ないのだろうと思います。しかし、こういう今の経済状況の中では当然今後ふえていく、そういうことだろうと思いますが、とすれば、当然法曹養成という場合に、弁護士だけの問題じゃなしに、裁判官、検察官にしても同じかと思いますけれども、そういう国際化というようなものについても考えていかなければならないのじゃないか。司法修習生時代の研修の中にも外国法の修習というようなものも、これは任意的には取り扱われていると思います。私も一度この法務委員会でその点について質問をしたことがございますけれども、そういう点、あるいは司法試験における外国語の問題というようなことがあるのかもしれませんけれども、そういう点について大臣の方で、全体として国際化というような観点から、法曹養成なり弁護士養成なりというようなことでお考えがございましたらお聞かせをいただきたいと思います。

鈴木省吾自由民主党・自由国民会議法務大臣

○鈴木国務大臣 現在の段階では、特に日本弁護、士連合会とのいろいろな協議の過程において、今回提案いたしました案を現時点においては最良のものだと思って提案をいたしておるわけでございます。先ほど来先生からいろいろ御指摘をいただいております法律全般のサービスの問題、将来いろいろ産業もあるいは各方面の制度も変わってくるようなことも考えなければなりません。それから国際化の問題で逆に日本から行っていろいろと向こうでやれるようなことのいろいろな問題を考えなければならぬ。そういうことから考えますと、先生御指摘いただきました将来の問題をもっとグローバルにこれからいろいろ考えていかなければならないというふうに私も感じました。しかし、これはなかなか一朝一夕にいかないと思いますので、これから長期的にあらゆる方面と接触し、また検討しながらやらなければならない問題であろう。ただいま御指摘をいただきました担当しております今の司法修習生の問題、そういう問題まで今御言及になられました。そういうことまで将来いろいろと検討しなければならないのではないかなというふうに感じた次第でございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 終わります。

村上茂利自由民主党・新自由国民連合

○村上委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十二分休憩      ————◇—————     午後三時十六分開議。

福家俊一自由民主党・新自由国民連合

○福家委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、来る十八日、参考人の出頭を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福家俊一自由民主党・新自由国民連合

○福家委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福家俊一自由民主党・新自由国民連合

○福家委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。

福家俊一自由民主党・新自由国民連合

○福家委員長 質疑を続行いたします。稲葉誠一君。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法、この法案について御質問をいたします。  最初にお聞きいたしたいのは、法案の細かいことというよりも、むしろ提案理由の説明がございますので、それに関連をするところでお聞きをするわけです。これは恐らくその経緯と問題点についてはいろいろお話というか質問があったかと思うのですが、相互主義ということが言われておるので、そうするとアメリカの今どことどことかは別として、相互主義ということなものですから、アメリカではこの法案に対応するものが既にできているのですか。それはどういうふうになっておるんでしょうか。できておればその経緯なりその内容というものを御説明を願いたい、こう思うわけです。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 アメリカにおきましては、現在外国弁護士を受け入れる制度を持っている州は三州でございます。まず一番最初に昭和四。十九年だったと思いますが、ニューヨーク州がこのルールをつくったわけでございます。外国弁護士をその資格をもとにリーガルコンサルタントということで受け入れるという制度でございまして、五年以上の実務経験のある者あるいは年齢が二十六歳以上である者といったようなものを資格要件といたしまして、州裁判所が認可をいたしますればリーガルコンサルタントとして自分の国の法律及び外国法につきまして法律事務を取り扱うことができる。その職務の範囲といたしましては、アメリカ法につきましてはアメリカ弁護士の助言ないしは共同を要するというような制限でありますとか、法廷に出られないというような制限はもちろんございますけれども、一般的な法律事務を限られた範囲の法律につきまして取り扱うことができるという制度をつくっております。  それから、昨年の十一月にミシガン州が同じような趣旨で裁判所の規則の改正をいたしまして、外国弁護士をその資格において特別リーガルコンサルタントという名前で受け入れることといたしております。  さらに、本年三月でございますが、ワシントンDCが同じように裁判所ルールの改正をいたしまして、外国弁護士資格者を無試験で特別リーガルコンサルタントとして受け入れ、一定の範囲の法律サービスをさせるという制度をつくっておるわけでございます。  なお御参考までに、現在カリフォルニア州及びハワイ州におきまして、それぞれ弁護士会あるいは裁判所がルールの改正作業を行っておりまして、本年中には開くのではないかというふうに予測されております。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 今お話がありましたのは一九七四年のいわゆるニューヨーク・ルール、こう言われるものだと思います。パート五百二十一だと思うのですが、そこで言われておることに関連しての第一の疑問は、これは州の最高裁判所のルールなのに、日本の場合はどうして最高裁判所のルールでやれないのかということですね。その法体系にもちろん違いがあるし、いろいろあるかと思うのですが、そこはどういうふうに説明をされるわけですか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 御案内のとおり、アメリカの弁護士は各州ごとに規律され、資格付与がされるという形になっておるわけでございまして、大部分の州は裁判所のルールによって規律されておりますが、ごく一部で州の立法府が制度をつくるという州もあるやに聞いております。いずれにいたしましても、アメリカの弁護士の規律、監督に関する事務を所管しております役所がそういう外国人弁護士を受け入れるルールをつくったということになるわけでございます。  日本の場合、今回政府提案で提出をいたしておりますけれども、本来、御案内のとおり弁護士の職務に関する法律というのは弁護士法という法律になっておるわけでございまして、今回の事務弁護士制度というのもいわば実質的には弁護士法の改正に当たるものでございます。そういった意味で、日本の司法制度の基本である弁護士法が法律で規律されておりますから、それの実質改正であるという意味におきまして、法律でもって制定をするということを採用したわけでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 私がお聞きしておりますのは弁護士法の改正の問題で、特に最初の弁護士法、そして後の弁護士法、特に七条の問題なり何なりの問題が出てきますね。それは後からお聞きをするのですが、アメリカにおいては州の最高裁判所のルールで行われていて、アメリカにも司法省というものがあると思うのですが、各州ごとにあるのか連邦として統一してあるのかよくわかりませんが、どうして日本の場合に最高裁判所の規則でやることができないのか。規則制定権というものの範囲の問題はいろいろ難しい議論がありますね。学者によって非常に違う議論がありますけれども、日本の場合はどうして最高裁判所のルールではやれないのか。最高裁判所のルールというものは一体どの範囲まで決められるべき筋合いのものなのか、それのどの程度をもって逸脱したものと言えるのか、こういう点についてはなかなか難しいので最高裁の方に聞かなければいかぬことかもわかりませんけれども、その点についても、大変失礼な言い方ですけれども十分研究されたことはされたのですか。ならばお知らせ願えればと思います。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 委員御指摘のとおり、憲法七十七条に最高裁判所の規則制定権というものがありまして、第一項に「最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。」という規定があるわけでございまして、この規定そのままを読みますと、弁護士に関する規則を定める権限を有するというふうに書かれておるわけでございますが、これはもう委員も御指摘になりましたとおり、この規則制定権の及ぶ範囲と申しますか事項と申しますか、それについてはいろいろ学説上の争いがあるということは御存じのとおりでございます。しかし、私ども多数の意見として理解しておりますところによりますと、これはやはり裁判所と密接な関連がある部分、つまり端的に申し上げれば訴訟手続に関連する部分で弁護士を規律する部分といったようなものに規則制定権が及ぶのだ、それ以上に弁護士の資格の付与でございますとか、職務の制限でございますとか、あるいは懲戒といったような弁護士の本質にかかわる部分については及ばないのだというふうに私どもは理解をしておるわけでございまして、そういった意味で今回の外国法事務弁護士制度の創設を最高裁判所規則で行わなかったという理由になるわけでございます。  もう一つ実質的に申し上げれば、今度受け入れます外国法事務弁護士は、御案内のとおり法廷活動は一切認めないということで、専らいわゆる予防的法律事務と申しますか、そういった分野での活動を認めるわけでございます。そういった意味で、実質的にも今度は裁判所とのかかわり合いというものは出てこないというようなことも実質的な理由になろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても理屈といたしまして規則制定権では律し切れない問題だというふうに考えたわけでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 日本で考える場合には最高裁判所の規則ではなくて政府提案か議員立法かのどっちかだと思うのです。その点はまた後でお聞きいたしますが、それは私もわかるのですが、それではアメリカの場合に最高裁判所の規則でやっているというのはどういうふうな沿革なりどういう具体的な理由があってのことなのかということが疑問として出てくるわけでしょう。そこはどういうふうになりますか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 大変難しい御質問でございますけれども、アメリカの州はそれぞれ御案内のような州の生い立ちを持って、それぞれ独立国としてスタートしたものであるというふうに理解いたしておりますが、そういった中でそれぞれ各州ごとに三権がもともとあったはずでございます。そういった意味で、それぞれの州がその時代に司法制度と申しますか弁護士制度と申しますか、そういったものをどこが規律するのかというようなことをその生い立ちの中で決めていかれたものだと思います。そういったものが集まってでき上がった連邦国家でございますが、御案内のとおりアメリカの連邦憲法では州の権限に属するものは連邦の政府が手出しができないというルールがはっきり打ち出されておるわけでございまして、現在司法制度につきましては州の権限であるというふうに定めております。そこで、各州がそれを裁判所の権限としておるかあるいは州の立法府の権限としておりますかということは若干異同はあるようでございますけれども、いずれにいたしましてもそういった州の生い立ちからくるものではないだろうかというふうに思いますが、それ以上のことはちょっと私もよくわかりません。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 沿革的な理由はわかるわけですけれども、沿革だけでなくて具体的な理由となると私にはよくわからないのですよ。だからお聞きしたわけなんです。  そこで、この弁護士法は本来は議員立法でしたかあるいは政府提案でしたか。旧弁護士法、それから戦後の弁護士法、それはどういうふうになっておるのですか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 弁護士法は明治二十六年のいわゆる旧々弁護士法、それから昭和八年でございましたか旧弁護士法、それから昭和二十四年の現行弁護士法と三つの段階を経ておるわけでございますが、もちろん戦前の旧々弁護士法及び旧弁護士法は司法省が所管をした政府提案の法律でございます。昭和二十四年にできました現行弁護士法は御案内のとおり議員立法でございます。その後実質的な改正といたしまして、昭和二十六年に一度、これは例の現行三十条の兼職関係の規定を改正したものでございます。これが一回と、昭和三十年の七条を削除する改正、この二回が実質改正でございますが、これは議員立法で行われております。その後十数回他の法令改正による整理といったような格好のものがございますが、これは全部政府提案でございます。それから御案内のような昭和四十六年でございますか、沖縄復帰のときに沖縄弁護士資格を本土で認めるという特別措置法を提案しておりますが、これも政府提案で行われております。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 今の沖縄弁護士のは最初は政府提案ですけれども、資格を当分の間付与するというところは議員立法じゃなかったですか、後の方は。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 御指摘のように暫定措置を延長する法律が二度出ておりますが、いずれも政府提案であります。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 そうすると、本来ならば弁護士法というのは弁護士自治ということから考えても行政府が提案すべき問題ではなくて立法府がやるべきが筋だと私は思うのですが、それはおかしな話で、立法府の方から政府に対してなぜ議員立法にしなかったのかと聞くのは変な話でおかしいのですけれども、この法案が政府提案になったのはどういうことなんですか。弁護士自治ということから考えてくると、性質からいっても、弁護士法自身が戦後のものが議員立法なわけですから、これはたしか福原さんが調査室長をやっておられたときじゃないですか、私の記憶ではそのような感じがするのですが、そういうことから考えましても本来ならば政府が提案すべき筋合いのものではないんじゃないか、こう思うのです。これは質問としてはおかしいめですよ、立法府がそんなことを質問するのはおかしいのですよ、おかしいのはわかっておるけれども聞くわけです。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 先ほど申しましたようなこの弁護士法の生い立ちあるいはその後の改正の経緯等を踏まえますと、やはり委員御指摘のとおり議員立法という形での発議が行われるのが本筋であるというお考えもございます。そういう意味におきましてどちらの選択もあり得たということであろうかと思います。しかし、今回の問題につきましては、法案でも御案内のとおり、資格の付与につきまして法務大臣が承認をするというような制度も制度全体の中に持っておりますので、そういった観点から政府が全く無関係であるというわけにもいかない部分はございます。  しかし、いずれにいたしましても、今回政府提案に至りました大きな理由と申しますのは、結局本年の二月六日に日弁連が制度要綱を決定いたしました際に、この理事会でいわゆる議員提案ということで日弁連としてお願いをすると申しますか運動することは断念するということを日弁連自身がお決めになりまして、その決定を受けて二月七日でしたかの書面で日弁連の会長から法務大臣に対してこの制度要綱に基づく立法を依頼してこられたという事情がございます。それを受けまして、私どもは国会の皆様にも御意見を伺いましたけれども、結局政府提案という形で提案をさしていただくということに至ったわけでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 弁護士法が外国弁護士というのを認めておったことがありますね。そしてずっと来て、日本の独立に伴ってその制度がなくなったんだ、こう思いますが、そうすると旧弁護士法第六条ですか、これにいろいろ規定がございますね。これはどういう規定であってどういうように運用されていたわけですか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 現行弁護士法が改正される前の旧弁護士法におきましても、御指摘のとおり相互の保証のもとに外国弁護士の資格者に日本における弁護士同様の活動を認めるという規定が六条にございました。その規定をもとにと申しますかその規定を踏まえて昭和二十四年の議員立法の際に、七条でもって新しく同じように外国弁護士の活躍を認めるシステムをつくったわけでございますが、この七条は旧弁護士法の六条とは少し趣きを変えまして、御案内のように外国法及び日本法についての知識を有する外国弁護士については全く日本の弁護士と同様の職務範囲で活動を認める、それから日本の法律についての知識が十分でない外国弁護士につきましては二項でもって外国人または外国法に関して弁護士としての職務をさせるというような形に改めまして制定されたわけでございます。一項の外国弁護士、二項の外国弁護士、いずれも最高裁判所の承認を経て登録されるというような形に変わったわけでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 旧弁護士法の六条の規定というのは、現実。にはどういうふうに運用をされていたわけですか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 この規定にございますように職務の範囲そのものは全く制限をされていなかったわけでございまして、弁護士と同様の事務を取り扱うことができたということでございます。しかし認可は司法大臣の認可ということになるわけでございまして、それが削除されました現行弁護士法七条とは趣きを異にいたしております。そしてここでは相互の保証のもとにということで相互主義をうたっておりますが、じゃこの当時外国において日本の弁護士を受け入れる制度があったかということになりますと、どうもなかったようでございますので、そういった意味ではいわば空振りになっておったのではないかと思います。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 なぜ旧弁護士法の六条でこういう規定ができたんでしょうか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 古いことでございますので私もつまびらかにはいたしませんが一文献などに出てまいりますところによりますと、この旧弁護士法が制定されました以前から東京、横浜、神戸といったところに外国人弁護士が居留地における法律サービスというようなことで既に入り込んで定着をしておったという実態があるようでございます。そういった外国弁護士というのが今日の弁護士制度の一つの先駆者として外国弁護士としてのいろいろな活動をしたというようなことも言われておりますけれども、いずれにいたしましてもそういった実態が先行いたしまして、それで法律で認められたということではないかというふうに思っております。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 条文は「相互ノ保証アルトキニ限リ司法大臣ノ認可ヲ受ケ」、こういうふうになっていますね。許可ではないわけです。それと新法の第七条ですか、これは後に削除されたわけですね、日本独立と同時に削除された。これは「最高裁判所の承認を受け、」こういうふうになっていますね。まずこれはどういうふうに違うのですか。「承認」とそれから「認可」というふうになっているのは、どういう点の違いがあるわけですか。

但木敬一法務省大臣官房司法法制調査部参事官

○但木説明員 承認と認可は講学上はさしたる違いはないと思います。ただ、認可というのは許可という性格が非常に強うございますが、承認の場合には何か一つの既にある状態を、言ってみれば公的にオーソライズするということになろうかと思います。旧七条の場合、削除されました七条の場合には、むしろ外国の弁護士であるそういう資格を承認することによって、我が国の資格に転化するというような性質を持っていたのではないかと思います。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 認可と許可とは違うわけですね、これは当たり前の話で。許可というのは禁止の解除だと思いますから、非常に強いものですね。  いずれにしても、そこで第七条が後に削除されたとしても、「最高裁判所の承認を受けて、」こうなっているわけですね。それが占領時代になるのですか、この最高裁判所が承認という形になってきたのは。どういうような理論的な根拠なんですか一そこのところは。それがどうしてまた法務大臣の云々ということに変わってくるんですか。そこら辺のところは、単に理論的な問題であると同時に、日本の三権分立といいますか、そうした制度から見てよりいろいろ問題点があるのではないか、こう私は思うのですが、そこはどうなんですか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 私もその辺になってまいりますとだんだんつまびらかでない部分が出てまいりますけれども、御案内のとおり昭和二十四年の現行弁護士法は、やはり新憲法の秩序のもとで、しかも占領下という状況で行われたものでございますが、当時、三権分立ということで、新憲法下で司法権の優位性と申しますか、当時しきりに議論されたそうでございますが、そういったような議論もあった。しかも、先ほど御紹介しました憲法七十七条のような規則制定権というような考え方もあった。そういうようなものが恐らく背景になったのではないだろうかというふうに私、個人的に推測をするわけでございますけれども、やはり弁護士に関する、弁護士と申しましても外国弁護士でございますけれども、承認に関し最高裁が担当し、当時の司法省は担当しなかったということではないだろうかと思います。しかし今回の法律におきましては、先ほど申しましたように、規則制定権の物の考え方も当時とは大分変わってまいっておりますし、実質的に二十四年以降定着した現行弁護士法の実質改正であるというようなこともございますので、法律として提案をさしていただいたということになるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 法務大臣の承認といいますか、そういうふうなところになってくると、弁護士制度というものが行政権の制約を受けるということになってくる可能性といいますか、そういうようなものが出てくるのではないかというように私も考えるのです。  そのことはそのこととして、昭和三十年に弁護士法の一部が改正になりましたね。昭和三十年八月十日、法百五十五号、これは第七条が削除になったわけですね。だけれども、これは三十年ですから、独立してから三年ぐらいたつかな。これはどういうわけですぐされないで三年ぐらいたったのですか。その経過はどういうことなんでしょうか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 これも当時のことでございますから文献による以外にはないわけでございますけれども、確かに講和条約後期間を経過しておるわけでございますが、その間にいろいろこの削除についての議論があったのではないだろうかというふうに思うわけでございます。いずれにいたしましても削除されました理由と申しますのは、やはり外国弁護士制度が旧弁護士法時代から残っていたものであって、しかもそれが戦後占領下という状況下で残ったというような事情がある。そういったことから考えると、独立後は独立国にふさわしい改正をする必要があるというのが第一点。  それから第二点では、旧弁護士法では日本国の国籍がなければ弁護士になれなかったのが、現行弁護士法では国籍条項を外しましたので、外国弁護士でも試験に通れば日本の弁護士になれるという道が開かれたわけでございますから、そういった意味でそれに相応する制度にすべきであるというのが第二点。  それから、先ほども申しましたけれども、三十年当時、まだ外国で他の外国の弁護士を受け入れる制度を持っている国はなかったということから、そこまで飛び出すことはないだろう、こういう議論だったのだろうと思いますが、この三つの理由に集約されるというふうに聞いております。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 今のは衆議院法務委員会の昭和三十年七月二十八日の会議録の中に出ておることですね。  そこで、私もよくわからないのですけれども、そうすると、それが削除されたものが今度は外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法ということで第七条がある程度復活することになるのですか。あるいは復活という言葉はどうか別としても、それにある程度また取り入れるというのか、何という言葉が正確ですか、そういうことになるのですか。そこはどういうふうに理解をするのが正確なんですか。

但木敬一法務省大臣官房司法法制調査部参事官

○但木説明員 旧七条と本法との関係でございますけれども、司法的には別のものであろうというように考えております。  その理由は、旧七条の場合には確かに最高裁の承認というものがございますが、基本的には外国の資格をそのまま日本で認めるということにしておるわけでございます。したがいまして、例えば職務の範囲にいたしましても、訴訟行為ももちろんできるというような仕組みになっておるわけでございます。それから監督の制度等を見てみますと、これは日本の弁護士とは全く別の規律になっておるわけでございます。したがいまして、このときの旧七条というのは思想的には非常に珍しいというか、余り類例のない法制ではないかと思います。今度の新法の場合につきましては、はっきりこの資格は日本が与える資格であるということであって、外国の資格をそのまま日本が承認するという制度はとっておらないわけでございます。  第二番目に、これに対する規律というのは日本の弁護士に準じた規律を行うことにいたしておりまして、監督機関も日本の弁護士に対する監督機関である弁護士会あるいは日弁連ということになっております。したがいまして、削除されました七条と今度の新法とは思想的にはつながらないのではないかと思います。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 思想的につながる、つながらないということは別として、活動の範囲というか、そうしたものについてはダブるものがあるのですか、そこはどうなんですか。どの点がダブって、どの点がダブらないのか。今の訴訟代理の問題はわかりますけれども。

但木敬一法務省大臣官房司法法制調査部参事官

○但木説明員 旧七条におきましては二種類の外国弁護士資格者というものがございます。  まず一つの方は、日本法に関する知識を持っている者についてでありまして、これにつきましては日本の弁護士とほぼ同様の職務範囲が認められるということになりますので、今回の外国法事務弁護士とは職務範囲が非常に異なっております。  二項の方につきましては、今回の外国法事務弁護士と多少類似したところがございますが、外国法及び外国人に関してということでございまして、外国人に関する限りあらゆることができるということになっておるわけでございます。  今回の場合、依頼者が外国人であるか日本人であるかというようなことは本来区別する基準にしておりませんので、その点では削除された七条とは変わっております。「外国法に関し、」というのはかなり似ておりますけれども、この「外国法に関し、」という点につきましては、最高裁が英米法あるいは米英法、ドイツ法、フランス法というような指定を行っております。したがって、今度の原資格国法という思想とやや近似している点があろうかと思います。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 そうすると、この第七条を廃止する理由として三つの理由が挙げられておるわけですね。この三つの理由というもののうち、独立国にふさわしい法制度とすること、現行法において既に日本国籍は資格要件とされていないこと、これはそのまま現在に生きておるかもわかりませんけれども、及び諸外国に例がないことということが第三に挙げられているわけですが、この諸外国に例がないということは、これはそのまま昭和三十年の改正当時と現在と同じなんですか。多少の事実上の変化あるいは思想的な流れの変化、こういうようなものがあるのですか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 先ほど申し上げましたように、三十年当時には外国の弁護士を受け入れるという制度はなかったわけでございますが、しかしその後アメリカではニューヨーク以来現在まで三州開いております。さらに、制度としてフランスが従来自由であったのですけれども、一九七一年にコンセイユ・ジュリディックという資格を外国の弁護士に与えて職務をさせるという制度をつくったというようなことで、制度的にはその後今日まで随分変化がございます。なお、もともとイギリスあるいはベルギーといったような国は、そういった特別の制度というものは現在もございません。現在もございませんが、それはもともとそれぞれの国の弁護士に独占させております事務以外の法律事務につきましては国民のだれもができるというような思想を持っておった国でございますので、したがって、例えばイギリスでございますれば、それこそ肉屋さんでも八百屋さんでもできたというような思想の国であったわけでございますから、そういった時代に外国の弁護士が行って事務をやるということも可能だったわけでございます。そういった意味で、正確に申し上げれば当時既にイギリスあるいはベルギーあたりはそういう制度といいますか、そういう考え方の国であったということは言えるのだと思いますけれども、しかし積極的に外国弁護士を受け入れるという制度をつくってまいりましたのは三十年以降の段階からであるというふうに言えると思います。  それから、先ほど私ちょっと間違った御答弁を申し上げましたので訂正させていただきますが、沖縄弁護士の特例に関する措置を二度にわたって延長いたしておりますが、昭和五十二年の改正の際には衆議院の法務委員長提案、それから五十七年の改正のときには参議院法務委員長の提案であったということでございますので、先ほど私、政府提案と申し上げましたが、訂正させていただきます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 沖縄の弁護士の資格の問題については、最初の五年間でしたか延ばして、その後、当分の間にしたわけですから、これは私も記憶があるのです。これは委員長提案ですね。  そこで、今の経過規定がありますね、昭和三十年の弁護士法の一部改正。そのときに「法律の施行の際、現に改正前の弁護士法第七条第一項又は第二項に規定する最高裁判所の承認を受けている者については、なお従前の例による。」附則第三条です。これは現在でも日本におるわけですか。そしてその活動は今度のこの特別措置法によって変わるのですか。制限を受けるのですか、あるいは受けないのですか。そこはどういうふうになっておるのですか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 まず旧七条が存在しました間に最高裁判所が承認をいたしましたいわゆる七条の外国弁護士はトータルいたしますと七十七人でございます。うち二人が一項の資格、その他が二項の資格ということであったわけでございます。それはいずれも、御案内のとおり日本弁護士連合会の準会員という形で登録をされておるわけでございます。現在この準会員の状況はどうなっておるかということでございますが、いわゆる一項準会員は二名のうち一名が残っております。それから、その余の二項の準会員は現在十六人残っておるというふうに言われております。  それから沖縄の関係でございますが、沖縄の関係でもやはり当時認められておった弁護士がそのまま沖縄外国弁護士として準会員として登録されておりますが、これは現在三名準会員として残っておるということでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 その活動範囲はどういうふうになるのですか。この特別措置法との関連で言うと、それは違うのですか違わないのですか。この法律によって制限を受けるのですか、受けないのですか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 七条の準会員及び沖縄関係の準会員につきましては、これは御案内のとおり暫定的に経過措置として認められたものでございまして、今回の外国法事務弁護士の法制に乗っからない者たちであるというふうに考えております。したがいまして、現在準会員の持っております職務範囲と申しますか、それはそのまま引き続きやるということになるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 そうすると、その準会員の人と今度の法律によるところの俗称外国弁護士といいますか、それとの職務範囲といいますか権限というか、その違いは一番大きなところはどこにあるわけですか。それは形の上で違うというのと、それから実際の仕事の範囲で現実にどこがどう違うのかですね。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 先ほど参事官が御説明いたしましたように、準会員の場合は、一項の場合と二項の場合がございますけれども、いずれも弁護士と同様の職務ができるということになるわけでございますので、一番大きな違いと申しますのは法廷活動ができるということでございます。今回の外国法事務弁護士制度では法廷活動は認めないということでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 現実にそれらの準会員、私の記憶ではいろいろな人がおられたのですけれども、あれはだれだったかな、九州の方へ行って飛行機が落ちて亡くなられた方がおられたような気もするし、それからブレークモアなんかが一番最初ですか、ちょっと忘れましたが、いずれにしてもそれらの準会員の人たちはみんな法廷に立って、日本の法廷で訴訟代理人としての活動をしたのですか。実際どうなんですか。

但木敬一法務省大臣官房司法法制調査部参事官

○但木説明員 実際に日本の法廷で活動した人はおられます。特に駐留米軍が非常に多かった時代には刑事の法廷でかなり準会員の弁護士が駐留米軍人のための訴訟活動をいたしておりました。また沖縄でも、これは日本の弁護士と一緒に裁判所に出頭するという形で訴訟活動に加わっていた者がいるようです。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 これは公務の場合は、例えば刑事特別法でもみんな向こうがやるわけですね。公務外の場合、日本の裁判所でやる。例えば横須賀などではそういう法廷があって、法廷のつくり方がちょっと違って、何か向こうの方のアメリカの軍人みたいな人たちが法廷の中の一般傍聴席よりちょっと前のところに席があったりなんかしてやっておりましたね。そうすると、そこでは英語でやっていたのですか、日本語でやっていたのですか、どういうふうにやっていたのですか。そうすると、それは民事訴訟法なり刑事訴訟法なりというものは改正しなければいけなかったのですか。そこはどういうふうに……。

但木敬一法務省大臣官房司法法制調査部参事官

○但木説明員 日本の法廷で使用できる言語は日本語であります。したがいまして、弁護士が英語で弁論した場合にはこれを通訳して日本語にかえるという形で訴訟活動を行っていたということになります。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 私は、将来は国際化の時代でそういう時代が来ると思うのですが、しかし今の段階でそういうことを言っても急には無理だと思うし、それから各国において弁護士の資格がみんな違いますから、一概にいいとは言えないと思うのです。  そこで、話がもとに戻るのですけれども、外国弁護士という形をここで使っていますね。この経緯のことについてお聞きしたいわけなんですが、その前にちょっとお聞きしたいのは、この法律が仮にできますね。できると、これは相互主義だからアメリカに送るわけでしょう。送ると言ってはおかしいけれども、あれするわけですね。そうすると、外国弁護士というのは英語でどういうふうに訳すのですか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 確かに法律は成立いたしますとそれぞれの国の言葉に翻訳したものを作成しなければならないわけでございますが、もちろんまだその作業には至っておりませんけれども、ここで申しております外国弁護士というのは、この法律の定義規定にもございますけれども、外国で弁護士となる資格を有する者という意味でございますので、そういった実質に見合う訳語を翻訳するということになろうかと思います。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 私の聞いているのは、表題の外国弁護士というのをどういう英語に訳すのですかと聞いているのです。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 英語でやる場合でしたら、私の知識で申し上げればフォーリンローヤーあるいはフォーリンアトーニーというようなことになろうかと思いますけれども、まだ定訳は定まっておりません。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 それはこれができてから外務省が考えるのかどうか知りませんけれども、そうすると外国法事務弁護士というのはどういうふうに訳すのですか。これも同じ訳ではまずいのですか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 あるいは御質問は外国法事務弁護士という資格、名称が問題だという御指摘かもしれませんけれども、この考え方は外国で弁護士資格を有する人を無試験で日本に受け入れるという制度で、その場合、受け入れた者がどういう資格、名称で働くかということでございますから、外国弁護士と外国法事務弁護士の使い分けが必要なわけでございますけれども、では外国法事務弁護士の外国語訳はどうかと言われましても、先ほど申しましたようにまだ定訳を定めておるわけではございませんが、さしあたりこの名前が日本のみならず外国においても定着していかなければならないものだと私は思いますので、そういった意味では、今考えますればGAIKOKUHO JIMU BENGOSHIというローマ字によって表示することになるのじゃなかろうかと思います。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 外国弁護士と外国法事務弁護士というのは確かに概念が違うわけですね。だからそれはわかるのですよ。わかるけれども、外国法事務弁護士なんという、そんな言葉をわざわざつくってしなくたっていいんじゃないですか。訴訟代理権がないからということで特にこういうふうな言葉を使ったのだろうと私は思いますけれども、そんなところに気を使う必要はないのだと思いますね。これは日弁連は反対するかもわからぬ。この名称でもめたわけでしょう。これは法務省に関係ないのだけれども、もめたわけなんです。私は、こんなことにそう気を使う必要はない、今言った外国弁護士でいいんだという理解の仕方なんです。これは概念が違うのですよ。概念が違うのはわかるけれども、そんなことを一々言う必要はないので、わかりやすい言葉で言えばいいんだ、私はこういうように思うわけですが、それはそれとして。  経緯の話に入りますが、この発端は昭和四十九年、一九七四年の話ですわ。それから一九七一年にもそういう話があるのです。これはフランスがやったわけですかね。ですけれども、日本との関係では一九七四年のニューヨークで、そこから日本に対する申し出があったということになるわけですか。それからいろいろな問題があって、アイザック・シャピロ氏が来日をして、いろいろ話し合いをして消極的な結論を出して、その後どうしたのですか。経過がいろいろ書いてありますが、結局シャピロ氏は、日本語を話せることもあったりいろいろなことでビザを出して、日本に来て一年間ぐらいいたわけですか。そうしたら後から今度またいろいろな人が日本へ来て活動したいというのに、それに対してビザを出さなくて留保しておったわけでしょう。それでごたごた問題が出てきたということになるわけでしょう。そこら辺の経緯は直接はあなたの方でないかもわかりませんけれども、どういうことになるわけですか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 御指摘のとおり、この問題の発端は一九七四年、昭和四十九年に始まるわけでございまして、先ほど申しましたようにその年にニューヨーク・ルールが改正をされまして、ニューヨーク州が外国弁護士を受け入れる制度をつくったということでございます。それを受けましてニューヨーク州の弁護士会から日弁連に対しまして、こういう制度をつくった、日本でも同じような考え方で外国弁護士に門戸を開くべきではないかという示唆と申しますか申し入れと申しますか、そういったものがあったのが発端でございます。しかし、当時それを受けました日弁連内でいろいろ議論がされたわけでございますけれども、さらにまたアメリカとの連絡なども尽くした上で、昭和五十二年に消極回答を日弁連がしておるわけでございます。  ちょうどそのころに、先ほど委員御指摘になりましたシャピロの入国問題というのが起こりました。シャピロの入国問題というのは、簡単に申し上げればシャピロが日米友好通商航海条約の八条の専門家という形で日本においてアメリカの企業のための法律サービスをするということでビザの申請があって、専門家という立場で当時政府がこれを認めたわけでございますが、東京へ参りまして、これはミルバンク・ツィードという大きなファームの所属の人でございましたので、その事務所を開設したということからそれが非弁活動に当たるのではないかという問題になりまして、結局申し入れをした結果、単に東京事務所という形で法律事務所の表示は削除させ、かつまた職務の範囲も自分の顧問先であるチェース・マンハッタン銀行関係の企業の関係のみの法律事務の需要に当たるということで引き続き在留が認められたということでございまして、これは今日まで東京事務所が残っております。  さらにそれに続きまして他のローファームから進出の申請があったわけでございますが、当時今申しましたような根本的な制度、全体の受け入れの問題ということが議論されておりました関係がございますので、法律事務所の開設ということでは直ちに受け入れられない、非弁活動に当たるから受け入れられない、制度の改正に至るまで検討させてくれということで、この二番手の入国申請が留保されましたということから、この問題がビザの問題という形で政府間でいろいろ問題になったという経緯があるわけでございます。     〔委員長退席、太田委員長代理着席〕 ところが、そういった形で経過いたしましたところで、なかなか弁護士のサービス自由化と申しますか、弁護士の門戸開放と申しますか、この話が進まなかったということから、昭和五十七年に至りましてアメリカ政府からこの第三回貿易委員会の場面においてこれを貿易摩擦の問題ということで取り上げたというのが発端になりまして、政府間レベルの話し合いということの俎上に上ってきたということになるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 その後の問題でシャピロ氏との間で均衡を失するということでいろいろ問題が出てきているわけですね。これは入管上の問題かもわかりませんけれども、問題が起きてきてビザの問題でごたごたしているわけです。そういうふうな場合でも、個々の依頼者から受任した個別の事件の処理のために一時的に来日することは自由である、こういうことになったのですか、それでそういうふうに来た人もいるわけですね。そうした人たちは、今度は特別措置法ができたときに、これは具体的にどういうふうになるのですか。それが今度の法律との関係で活動範囲が違ってくるのですか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 現行の弁護士法は御案内のとおり七十二条でいわゆる非非行為を禁止いたしております。したがって、我が国の弁護士資格のない者は法律事務を取り扱うことができないわけでございますが、この法律事務の中には外国法に関する法律事務も含まれるわけでございます。  そういった意味で、現行法のシステム上は外国の弁護士が我が国に事務所を開設して我が国で業として法律事務を行うことはできないというのが現行の制度でございます。今回の外国法事務弁護士制度というのはこれを外しまして、外国の弁護士資格者を外国法事務弁護士という資格でもって受け入れて事務所を設けて営業として日本国内における活動を認めるという制度でございますから、この法案以降は変わるわけでございますが、現在はそういうシステムになっておるわけでございます。  ところで、御指摘のような個別の事件を外国で受任してその処理のために日本にやってくるという形の弁護士業務と申しますのは、今申しました七十二条で禁止されておるものではございません。すなわち、七十二条で禁止いたしておりますのは報酬を得る目的で業としてそういったことを行うということを禁止しておるわけでございます。今の、個別案件の処理のために一時的に来日し処理をして帰るという形は現行法下でも自由でございますし、これからこの外国法事務弁護士制度ができましてからも、当然そういった形で本国の弁護士が日本にやってきてそういう処理をするということは可能でございます。また、逆に日本の弁護士も海外に行って個別案件の処理ということでやっておるのはお互いでございまして、これは洋の東西を問わずそのことは認められておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 個別案件の処理ということで一時的に来日することは自由である、これは私もそうだと思うのでありますが、具体的に言うと、個別案件の処理で例えばアメリカから日本に来てどういう活動をするのですか。どういう活動まではできるのですか。どういう活動はできないということになるのですか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 例えば我が国の法廷に出るとかといったような我が国の弁護士に独占させておる仕事ができないことはもちろん当然でございますが、例えば来日しまして日本の企業と外国企業間のいろいろな契約に立ち会うとかあるいは契約の交渉をするとか、契約書の作成をするとかといったようなことはもちろん自由でございますし、いわゆる法廷に立つ以外の事務というのは大体できるというふうにお考えいただいて結構だと思います。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 そうすると、今までは特定の案件について一時的に訪日して案件を処理する場合は自由だ、それはわかりました。  それから、ロークラークまたはトレーニーとして日本の弁護士に雇用されて、あるいは企業内弁護士あるいは社員として企業に雇われて当該企業の法務を担当するような場合はいいということになるわけですか。私は、これはオープンに解釈して運用すべきだという立場に立っておるのですけれども。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 先ほど申しましたように、現行弁護士法の七十二条で日本で事務所を構えて仕事をすることは禁止いたしておりますが、こういう現行法制のもとにおきましても外国弁護士が活動できる態様と申しますのは三つございます。  一つは、先ほど申しましたように個別案件の処理という形で一時的に来日して事件を処理して帰るという形態でございます。  二つ目の類型がトレーニー、クラークというものでございます。トレーニー、クラークは、御案内のとおり日本の弁護士あるいは日本の準会員に雇用されまして、それぞれ雇用主に対して自分の国の法律に関する仕事を補助しておるということでございまして、これはもう相当前から我が国において渉外事務というものが行われるようになってからでき上がっておる制度、事実でございまして、これはアメリカに限りません、イギリスあたりからも来ておりますけれども、若手の弁護士資格者がそういった形で入国し、一定期間日本の弁護士あるいは日本の準会員のためにそういう労務を提供して帰るという形が定着しております。現在、数を申し上げますと、クラークは六十人前後、トレーニーは十人前後、計七十人前後我が国でそういった形で外国の弁護士が活動しておるというふうに承知をいたしております。  それから第三番目の類型は、今委員御指摘のような企業の中の法務部に所属をしていわゆる社内弁護士として活動しているグループでございます。これは社内の弁護士、つまり社員でございますから、その提供いたします法律事務といいますのは専ら雇用主に対するサービスでございます。弁護士は、基本的には他人から依頼を受けて他人の代理人として仕事をするというのが弁護士でございますから、そういった意味で企業内弁護士というのは代理人性のない、専ら雇用主に対して法律サービスを提供するという仕事でございますので、先ほど申しました弁護士法七十二条の禁止規定には当たらないという形でこの活動が許されるわけでございます。現在、外国から来ております企業の社内弁護士として活動している者は十九名おるというふうに把握をいたしております。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 この企業内弁護士というか、殊に商法関係、こういう関係では弁護士よりもむしろ、企業の中の法務室というものがいろいろありますが、そういうところの人の方がと言ったら悪いけれども、ある特定の専門的なことについては非常に精通しておって詳しい人がいるわけですが、そうすると、外国の企業が日本にある、外国の弁護士が日本に来て企業の法務を担当する、その場合は企業の嘱託というような形でもいいのですか。社員でなければならないというのは、その嘱託という定義にもよるかもわかりませんけれども、そこのところはどうなんですか。

但木敬一法務省大臣官房司法法制調査部参事官

○但木説明員 問題は、その当該企業とその外国の弁護士との独立性がどの程度あるかという問題だろうと思います。嘱託といった場合にはその概念はかなり広い概念になると思いますが、いわゆる独立性を失ってまさに企業の一員たる活動であると見られるようなものについては、それはまさに社内の社員としての活動だと見られると思いますが、一方、独立性がかなりありまして、その者が特定の会社のみでなくて別の特定の会社からも同じような嘱託を受けているというような形になりますと、もはや企業内弁護士とは認められないということになろうかと思います。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 独立性の問題ということになってくると、単に嘱託だとか顧問弁護士とかという名前だけでは判断はできないわけですわ。嘱託ということだと大体その企業内で、独立性を失っておるというふうに考えられると思いますが、顧問弁護士ということになると、それは今度のこの法律との関係でどうなんですか。

但木敬一法務省大臣官房司法法制調査部参事官

○但木説明員 この顧問弁護士という言葉もはっきりした定義はございません。現在日本で言われております顧問弁護士の場合には、弁護士は全くその当該会社と独立した関係にございまして、一人の弁護士が多い場合には十とかあるいはそれ以上の会社の顧問をやっている。こういう顧問弁護士になりますと、いわゆる会社との関係でははっきり独立性があるというふうに言えると思います。ただ、顧問弁護士という名前は使っているものの、例えばある会社の中に自分の執務室を置いていて、ほかの会社からの依頼というものは一切受けないというような顧問弁護士の類型があるとすれば、その場合には名前のいかんにかかわらずむしろ社内弁護士に近い性格になってくるのではないかというふうに思います。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 なぜ私がそういうことを聞くかというと、例えばアメリカの保険関係、AIUにしても何にしても、いろいろな保険関係がどんどん入ってきますね。今後ますます入ってくる。証券会社もどんどん入ってくる、金融関係も入ってくる。こういうふうになってくると、そういう形になってくるのじゃないですか。その場合は弁護士という名前を使うのか使わないのかちょっとはっきりしませんけれども。法廷に立つわけじゃないから別に弁護士という名前を使わなくたっていいわけでしょう、そこの顧問とか社員という形でいったっていいし。だからそういう範囲はどんどん広がってくるというふうに思うのです。私はそれでいいと思っているのです。  だから、それとの関係でどういうふうになるかということなんですが、外国法に関する法律相談については七十二条の禁止に触れるとする弁護士会側の見解に対して、これを同条から除外して考えようとする例えば新堂教授たちの学説があるということを、これは千種さんが書いているのですね。そこら辺のところがちょっとよくわからないのですが、新堂さんがどういうことを言われているのかちょっと私もよくわかりませんけれども、そこはどういうことなんですか。

但木敬一法務省大臣官房司法法制調査部参事官

○但木説明員 新堂学説の場合には、いわゆる日本の弁護士資格がなくても外国の弁護士であれば外国法に関して日本の中で法律事務をしてもいいじゃないかという立場からの論議でございます。  その根拠に挙げています一つは、日本の弁護士であっても、日本の弁護士は外国法について精通しているという保証は何もないではないか、そうすると外国の弁護士とその点では同じレベルの問題ではないかということが一つです。もちろん当該外国法については、例えばニューヨーク州の弁護士であればニューヨーク州法については日本の弁護士よりもむしろ精通していると言えるではないかということが第一点です。  それから第二点は、七十二条の趣旨が弁護士というものに職業上非常に厳しい規律をかけて、そして依頼者その他の関係人に被害が及ばないようにしている制度であるということで理解するとすれば、アメリカの弁護士もアメリカの監督を受けているじゃないか、例えばニューヨーク州の弁護士ならばニューヨーク州の高等裁判所の上告部というところが監督をしているわけですが、この上告部の監督を抽象的には受けているではないかという、その二点の論拠に基づきまして、いわゆる外国の弁護士資格のある者であれば日本の中において外国法を取り扱ってもよいではないか、こういう説を出しているものと理解しております。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 国民の側から見ればその説でいいのじゃないですか。その説と今度のこの法案はどういうふうに違うのですか。

但木敬一法務省大臣官房司法法制調査部参事官

○但木説明員 我が国で弁護士法七十二条というものによって弁護士に法律事務の独占を認めております理由は、一つは、もちろん国家試験ということによってその法律的な素養が確かめられているということがございます。それからもう一つの問題は、日本の弁護士の場合は、先生の方が御案内でございますが、弁護士法の一条あるいは二条ということによって基本的人権の擁護であるとかあるいは社会正義の実現であるとかあるいは法律制度の改善であるとか、そういうものに努めるべき使命を負っている。あるいは、例えば弁護士法の中で依頼者の秘密を保持する権利及び義務を負うというような形をとっている。それから、もちろん双方代理の禁止であるとかあるいは係争権利の譲り受けの禁止であるとか、さまざまの規律をかけられている。かつそれは、弁護士会というそうした弁護士が強制的に加入させられている団体によってその規律が維持されているというようなことに基づいて、国民の権利義務に関して弁護士が自己の利得のために何かねじ曲げて関係者に損害を与えるというようなことがないようにしているわけでございます。確かに外国におきましてもそれなりの弁護士倫理というのはございますし、それなりの監督もございます。ただ外国の弁護士が日本に参りました場合に、その者に対する職務規律というのは遠く外国からの規律ということになるわけで、十分な監督等ができないわけでございます。そうしますと、また日本の弁護士の規律と外国の弁護士の規律は共通性はございますが同一ではないということで、その者が外国法についての知識があるということだけで法律事務を取り扱わせるわけにはいかない。やはりそれなりの規律を持ち、それの規律を維持すべき監督機関というものがはっきりしていなければいけないということが非常に大きな理由であると思います。  また、仮に知識だけという問題になりますと、何も外国の弁護士資格を持っている者だけではなくて、例えば日本の中で英米法について精通している者に外国法について取り扱わせてもいいじゃないかというような問題もあろうかと思うのですが、日本の法制度上ではやはり現行弁護士法によって、弁護士のそうした法的知識が保証されていること、それからその職務規律が適正に維持されていることという理由に基づいて法律事務を独占させているわけですので、単に知識があるというだけではその者に日本の中において法律事務を処理させるわけにはまいらぬということになろうかと思います。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 監督だとか規律とかいうこともそれは大事なことはわかりますけれども、国民の立場に立って考えればそんなにやかましいこと言わなくたっていいじゃないかというふうに私は思うのです。監督といったって毎日くっついて歩いて監督しているわけじゃないでしょう。そんなことはできないことなので、もう少しフリーに物を考えていいんじゃないかというふうに私は考えるのですけれども。  そこで、今おっしゃったことが出てくると、それじゃ日本の場合、弁護士法の一条に何か目的が書いてありますね。これはアメリカ法が戦後いろいろな目的を書くようになったわけですね、普通第一条に。それでアメリカ法が書くようになったというのか、アメリカがそういうふうに奨励して書くようになったのかちょっとよくわかりませんが、戦後の法律は大体一条に目的を書くようになりましたね、もとは書いてなかったのですが。そうすると、アメリカの弁護士法というのはあるのですか、ちょっと私よくわかりませんが、その弁護士法の一条には、アメリカの弁護士の目的というのは何か基本的人権を擁護するとか社会的正義を実現するとか、そういうふうなことも書いてあるのですか。ちょっと私はわかりませんのでお聞かせ願いたい、こう思うのですが、一条でなくてもいいです。一条でなくてもいいし第一章でもいいし、アメリカの弁護士の目的というのは何なんですか。これはビジネスなんじゃないですか。ビジネスならビジネスだと割り切ってやればいいんじゃないかと私は思うのですがね。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 私ども各州の弁護士に関する裁判所ルールをつぶさに承知をいたしておりませんので、それぞれそういう規定があるかどうかという点につきましてはここで明快なお答えはできませんけれども、しかし御案内のように倫理規定、倫理基準といったものは定められておりまして、これはABAが定めたものでございますから各州の弁護士会がそれを受け入れるかどうかという問題はそれぞれの州の判断に任されておることでございますけれども、そういったいわゆるコードを見ましても、やはり相当社会的な使命と申しますか公共性と申しますか、そういった観点からいろいろな点についてルールが詳細に定められておるというふうに承知をいたしておるわけでございます。  確かに委員御指摘のようにアメリカの弁護士というとビジネスといったような面が強調されるわけでございますけれども、それはそういった活動の範囲がそういうところへ集中しておるということであります。しかしながら非常に多くのアメリカの弁護士が、やはり日本の弁護士と同様に法廷を中心としたいわゆる人権と正義の実現と申しますか法の適正な適用と申しますか、そういったものを使命としてやっておる弁護士も、活動範囲としてそういうものを持っておる弁護士もたくさんおるわけでございまして、やはりビジネスという分野で働いておる弁護士も、そうでないいわゆる伝統的な活動、フィールドを守っておる弁護士も、ともに共通した要素としては日本の弁護士と同様の使命、職責を持っておるというふうに理解をいたしておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 条文はどうなっているのですか。

但木敬一法務省大臣官房司法法制調査部参事官

○但木説明員 すべてのことは申せませんので、コロンビア地区の弁護士会の目的を読みますと、その第二条では、   弁護士会の目的は、司法行政を遂行し、及び  改善する過程において、裁判所を支援し、法律  事務に従事する者のために公共的奉仕の提供の  過程において、尊厳、知識及び能力について高  い理想及び行動基準を維持し、弁護士会会員の  適正な職業上の利益を擁護し、自発的な弁護士  会の構成及び活動を奨励し、法律事務、法律科  学、法律改正及び弁護士会と公衆に関する問題  について公開討論を行い、これらに関する情報  を公表し、基本法、実務及び手続の専門分野に  おける法律研究及び教育の継続的計画を遂行  し、その報告及び勧告を行い、その結果、弁護士  業の公共的責任を一層効果的に果たすことであ  る。というのが目的でございます。  それでもう一つ御紹介いたしますと、アメリカ法曹協会が策定いたしました「模範弁護士行為規則」というのがございます。これは倫理規定に近いものでございますが、その中にはもちろん弁護士は公共サービスをしなければならないというような規定がございまして、   弁護士は、公共の利益のための法律サービス  を行わなければならない。弁護士は、資力の乏  しい者又は公共サービス著しくは慈善目的のグ  ループ著しくは団体に対して無料又は低報酬で  専門的サービスを提供することにより、また、  法、法制度又はリーガル・プロフェッションの  改善のための活動に寄与することにより、また、  資力の乏しい者に対して法律サービスを提供す  る団体に対して財政的援助を行うことにより、  前記の義務を果たすことができる。というような条文もございます。  また日本でいいますと双方代理の禁止に匹敵するような条文ももちろんございます。また裁判所において詐欺的な陳述をしてはいけないというような規定もございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 細かく書いているんですね。アメリカの法律というのは、僕は知りませんけれども、普通そんなに細かく書くのですか。コロンビア区というのはニューヨーク市の中ですか。コロンビア大学というのがありますね、あれはニューヨーク市にあるんだっけ。有名な大学ですね、大学の中でもいい大学ですが。今ちょっと読まれたものは、そのコロンビア区の弁護士会としての規定ですか。ちょっとよくわからないのですが。

但木敬一法務省大臣官房司法法制調査部参事官

○但木説明員 このコロンビア地区というのは、ディストリクト・オブ・コロンビアと言われているいわゆるコロンビア特別区です。いわゆるワシントンDCと言っている地区でございます。先ほど紹介いたしましたのは、コロンビア地区弁護士会を管理するコロンビア地区控訴裁判所規則であります。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 余り細かいことを聞くのもあれですが、さっきお話がありました日本にいわゆるロークラークとかあるいはトレーニーとして来ておる人たちは、アメリカの若手の弁護士が多いようですね。日本の弁護士とアメリカの弁護士との一番の違いは、確かにビジネスだけで割り切るという意味ではありませんけれども、日本では合弁護士の広告の問題が、広告が禁止されているわけですから、今広告を認めるか認めないかということでまだたしか結論は出てないように思いましたが、アメリカではその点はビジネスとして割り切って広告しているわけでしょう。そして、ある事件が起きたときにそこへ行って勧誘したりすることもアメリカでは行われておるということも聞いておるわけです。日本ではそういうことはしてはいけないことになっているわけですが、立場が違うといいますかいろいろ事情が違うから一概には言えないのですけれども、そういうふうに非常に弁護士の制度というものをビジネスということよりもむしろ別な極めて崇高なところに意義を置くのもそれは必要かもわかりませんけれども、もっと私はビジネスライクに割り切ってもいいのではないか、そういう時代がだんだん来るのではないかというふうにも考えておるわけです。  そこで、この趣旨説明に対する質問に入るのですが、その前に一言お聞きをいたしたいのは、相互主義ということは、これは日本でこの法律をつくって、それによってアメリカのニューヨーク州ならニューヨーク州、あるいは今後カリフォルニアとかハワイとかいろいろ考えられるというのですが、それとの間の相互主義ということを実現するためにはまた別個の条約なりなんなりというものが必要なのですか、そこはどういうふうになるわけですか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 この法律で相互主義を採用いたしましたのは、法案の目的にもございますように、我が国における外国法に関する法律事務サービスの充実を図るとともに、外国における日本法に関するサービスの充実も図るということで、相互主義という原則を採用するのだということを鮮明にしておるわけでございますけれども、法律自体の中でどういうシステムになっておるかと申しますと、十条二項でございますが、法務大臣が外国法事務弁護士となる資格を承認するに際しては、我が国の弁護士を受け入れる制度を持っている国の弁護士でなければならないということを制度的につくっておるわけでございます。つまり現在でありますればニューヨーク州は我が国の弁護士を受け入れる制度を持っておりますから、ニューヨーク州の弁護士からその承認申請が参りますれば少なくとも十条二項の要件は充足するということでございます。そういったことで、これは我が国の法律として相互主義を採用し、そういうシステムとして運用するということを宣言するわけでございますから、こういう法律をてこといたしまして、何ら協定とか条約とかを要せず諸外国がこれをインパクトとして外国の弁護士を受け入れる制度をつくっていけば制度が広がっていく、つまりその国からは日本にも来れる、逆に日本からも行けるということになることを期待しておるわけでございます。もう申し上げるまでもないわけでございますけれども、相互主義といいますのは、一つの国が与える恩恵なり待遇なり利益なりといったもののお返しという形で諸外国から返ってくることが期待されるということを国家間でつくり上げようという制度でございますから、御指摘のような特別の協定なり条約なりを結ばなくても、これを受けて諸外国がみずからそういう制度をつくっていけば広がっていくというシステムでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 そうすると、今は現実にどこが考えられていて、近い将来どこかこの適用範囲というか相互保証の中に入ることになるわけですか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 現時点で諸外国を見ました場合に、制度として外国の弁護士を受け入れる制度をつくっております国は、アメリカについて申しますれば先ほど申しましたニューヨーク州とミシガン州とワシントンDCでございます。さらに、現在カリフォルニアとハワイ州があけるべく規則の改正を検討しておるというところでございます。  それから、制度として外国弁護士を受け入れております国は、ヨーロッパでは西ドイツとフランスでございます。西ドイツは法律助言上、レヒツバイシュタントということになるわけでございますが、そういった制度をつくりまして外国の弁護士を受け入れて外国法に関する事務を取り扱わせることを認めております。さらに、フランスにおきましてもコンセイユ・ジュリディックという制度で同じように外国の弁護士を受け入れる制度を持っております。  こういった国は制度的には一応私どもが考えております相互主義の原則が適用されるべき国ではないだろうかと考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても、個別案件として法務大臣の承認申請が参りました場合に、それらの国が果たして実質的にも運用的にもこの法律で言っておりますところの相互主義を満たすのかどうかということはもちろん私どもは十分調査しなければなりませんけれども、現在知っております制度を見た場合には、そういった国が一応当たるのではないかと考えております。  それから、制度はございませんけれども、我が国の弁護士が行って活動を認めている国があるわけでございます。それは先ほど申し上げましたイギリスとかベルギーといったところでございます。そういったところは、先ほど申しましたように、もともと弁護士に独占させています事務以外の法律事務につきましてはだれでもできるという国でございますから、外国の弁護士が行ってやることもできるわけでございます。そういった意味では特別な制度はつくっておりませんけれども、日本の弁護士が行ったらやれるという意味におきましては相互主義の要件を満たしているのではないだろうかというふうに抽象的には言えるかと思います。  さらに、東南アジアで申しますと香港が同じように受け入れを認めておる国でございます。ただ、ちょっと特異な形でございまして、これは個人の弁護士を受け入れているのではなくて、ファームの進出を認めているというような国でございますので特異でございますけれども、これも一応抽象的には相互主義の要件に当てはまる国ではないだろうかと考えております。さらに、シンガポールも同じような意味で、制度は持っておりませんけれども、司法長官の裁量で外国の弁護士の活動を認めているというふうに承知をいたしておりますので、その辺も十分調査をいたしまして、この要件に当たるものであれば相互主義の適用が可能になると考えるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 アメリカとの間に今時に話題になっておりますね。さっきのシャピロですか、銀行の問題や何かがあって、アメリカから問題になってきたわけですが、これは結局弁護士制度というか日本の法曹制度の基本的な問題なんですが、同時に一つの日米の貿易摩擦というか、貿易摩擦に直接当たるかどうかは別として、それに関連をしておるということであるというふうに理解して、アメリカ側から話が持ってこられた問題だということになるわけですか。となれば、今後具体的に、仮にこの法律が成立したときに、いつごろまでにどういうふうにしてやっていくということにプロセスはなるのですか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 お尋ねは、法案成立後どういうプロセスを経て施行するかという御質問がと思いますが、今申しましたように、この法案ができました暁には、まず相互主義の適用といったような問題、これは諸外国の制度を講学上承知しているというだけでは十分ではございませんので、私どもが現在の一番新しい制度、その運用といったものも十分調査をする必要がございます。そういった意味で、まず調査活動が必要になります。と同時に、この法案の実施の細則を定めますいろいろな政省令の策定といった作業が必要になります。同じような意味で、日弁連が外国法事務弁護士を受け入れますので、会規、会則の改正といったような作業も必要になります。さらに、外国からの申請が殺到してまいることが予想されるわけでございますので、そういった手続的な面につきまして諸外国との調整といったような作業も必要かと思います。そういったことをもろもろ終えました段階で本法の実施が考えられると思っております。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 その実施は、いつごろに実施されるという一つの約束がアメリカとの間にあるのですか、あるいはめどがあるのですか、そこはどうなんでしょうか。この「通算して二年を限度として」というのは別のことですか。「実務経験年数に関する特例」では「二年を限度として」とありますね。それから施行も「二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」と附則の中にありますが、この二年というのはどこから出てくるのですか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 本法の施行のためには今申しましたような諸準備が必要でございます。そういった観点から二年を限度ということで、その中で「政令で定める日から施行する。」というふうにシステムとしてはなっておるわけでございますが、この問題は、できるだけ早く国内の整備をいたしまして、また国際情勢も十分にらみました上でできるだけ早い時期にあけなければならないものではないだろうかと考えておるわけでございますので、そういった意味では、さしあたり来年の四月あたりを目途に作業を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 この法律の提案理由の説明をずっと読んでいきますと、最初のところに「国際的法律事務に的確に対処するには不十分なものとなってきていると言わざるを得ず、他方、我が国の弁護士が外国において日本法に関する法律事務を行うことも必ずしも十分に保証されているとは言いがたい状況にあります。」こういうふうに提案理由の説明にあります。「我が国の弁護士が外国において日本法に関する法律事務」というのはまずどういうことが考えられるわけですか。そして、それが「必ずしも十分に保証されているとは言いがたい」ということは、具体的にはどういうことを言っているわけですか。

井嶋一友法務省大臣官房司法法制調査部長

○井嶋政府委員 最近における国際的な人的、物的な交流の活発化に伴いまして、物の流れ、人の流れが非常に拡大をしてまいっておるわけでございます。  日本法の外国におけるサービスという点をとらえますと、貿易量もあるいは日本から進出しております企業の数もあるいはそれに伴う日本人の海外への出国にいたしましても拡大の一途をたどっておるという状況下にあるところに、今申しましたように各国はそれぞれの弁護士制度を持っておるわけでございますから、基本的には各国が閉ざしておるという状況があるわけでございます。そういった状況の中で、我が国の企業なり法人がいろいろな形で法律関係に関与する、かかわり合いを持つというような場合に、我が国の弁護士がそばにいないことから生じるいろいろな不十分さが現在でも予測されますし、さらに将来もそういったものが拡大されていくだろうということでございます。  そういたしますと、この法律をてこといたしまして、諸外国が我が国弁護士を受け入れるという制度が拡大していきますれば、それだけ日本の弁護士が進出をしていく道が開かれるわけでございますから、そういった暁には、今申しましたような外国における日本法に関するサービスの不十分さといったものも解消されていくのではないか、あるいは企業の活動もより円滑にいくのではないか。さらには、日本の弁護士が外国におりますれば、日本に行きたい企業あるいは日本に来たい外国人に対しても日本のマインドを持った日本の弁護士にいろいろな法律サービスを受けられるという意味において、外国から日本に来る企業あるいは外国人もより安心して、よりスムーズに、より円滑に事業活動なり行動がとれるということでございますから、非常に欲張った話ではございますけれども、そういったところをねらいながらこの法律をつくっておるわけでございまして、直接的には国内における国際法のサービスの充実というものに規定上は向いておりますが、しかし、全体としてそういった制度を我が国が国内でつくることがてこになりまして、諸外国への我が国の弁護士の進出が促進されるのではないかというところに一つの目的を置いておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 この法律の中で一番大きな問題として現実に起きてくるのは「外国法事務弁護士の権利及び義務」というところだと私は思っているわけです。そうすると、ここでは四十九条一項の雇用それから二項の共同事業が一番問題になってくると私は思っているわけです。きょう私のところへニューヨークから来ておるものですから、どうしても五時にあれしなければならないので、本会議がおくれてしまったものですから、二時から五時までのつもりだったので、申しわけありませんがここで終わりにするのですけれども、ここのところが提案理由には詳しく出ていないのです。第三のところで「外国法事務弁護士の特性に応じた規律をすることといたしております。」と書いてあるのですが、どうしてここのところをもう少し詳しく説明しなかったのですか。

但木敬一法務省大臣官房司法法制調査部参事官

○但木説明員 外国法事務弁護士の権利及び義務の中核は、日本の弁護士の規律に準じて規律するということが一番中核的な問題でございます。そして、例外的に外国法事務弁護士の特性に応じた規律をいたしますというのは従たる問題でございます。そのために、その従たるものについては「外国法事務弁護士の特性に応じた規律をすることといたしております。」という表現をとったものでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 今のところを中心として、この権利義務の点が一番大きな問題になってくると私は現実には思うわけですが、これについては同僚議員からまた質問があり、それから参考人等の中でも質問があると考えておりますので、甚だ勝手でございますけれども、私の質問は今言ったような事情できょうは一応これで、終わりではなくてペンディングというのか、そういうふうな形で一応終わらせていただきたいと思います。

太田誠一自由民主党・新自由国民連合

○太田委員長代理 次回は、来る十五日火曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時散会      ————◇—————

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