法務委員会 第4号
- 発言数
- 318 件
- 登壇者
- 32 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1986/04/08
会議録
○福家委員長 これより会議を開きます。 この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。 去る三月二十五日理事松浦利尚君委員辞任により、理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福家委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は松浦利尚君を理事に指名いたします。
○福家委員長 お諮りいたします。 本日、最高裁判所草場事務総長、山口総務局長、上谷民事局長兼行政局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福家委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○福家委員長 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本件調査のため、本日、参考人として中小企業事業団副理事長田中誠一郎君及び海外経済協力基金副総裁青木慎三君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福家委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
○福家委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本文彦君。
○橋本(文)委員 大臣の所信表明に対しまして質問いたしますが、今後マルコス疑惑あるいは撚糸工連をめぐりまして検察官の方が大変な御苦労をすると思うのですけれども、今回図らずも史上最低の三十四名の新任検事誕生というニュースがありまして、いささか心もとない感じがしたのです。 検察庁法の附則の第三十六条を見ますと、「法務大臣は、当分の間、検察官が足りないため必要と認めるときは、」ということで、昭和二十二年の段階で「当分の間」とあるのですが、現在でもまだこれが完全に生きておるというこの現状をどのように評価しているか、まずそれをお聞かせください。
○岡村政府委員 委員御指摘のように、検察庁法の附則三十六条に基づきまして、当分の間、区検察庁の検察官の事務取扱を命ぜられました検察事務官が検察官の業務を行うということになっておるわけでございまして、現在その数は約千三百名余りであるわけでございます。 こういう実情にありますのは、やはり検察官の数が検察庁の受理いたします事件全体を検事あるいは副検事で処理するにはいまだ十分でない、こういうような状態が続いているからでございまして、検察官あるいは副検事の数の飛躍的な増加は当分の間望めない実情にあろうかと思うのでございまして、「当分の間」ということで長く続いておる、こういうような現状にあるわけでございます。
○橋本(文)委員 当初この附則ができた段階で「当分の間」というのはどのぐらいのことを見込んだのですか。
○岡村政府委員 これはまさに「当分の間」ということでございますので、具体的にいつまでという具体的な期限はないものと理解いたしております。
○橋本(文)委員 昭和二十二年施行でございますので、もう四十年近い。四十年も「当分の間」というのは、これはもう本当に前代未聞ではなかろうかと思うのですが、それはともかくとしまして、検察庁の方の任官希望者が少ないということにつきまして、前回の委員会でたしか官房長は、これは一過性の問題であって、さして心配するに当たらないというような趣旨の発言がありました。確かに判事補あるいは検察官の任官を見ておりますと、毎年大体百名をちょっと超すぐらいで推移しておりまして、今回判事補と検察官を合算すれば従来どおり百三名ですかになって、そのいわゆる粗事補と検察官の間で配分にずれがあったという現象なんですけれども、前年度まで大体五十数名おったのが、どうして今年度において三十四名になってしまったのか、その原因をまず聞かせてください。
○根來政府委員 端的に申しますと、その原因というのはよくわからないわけでございます。過去ずっとさかのぼってみますと大体五年周期で人数が減っておりまして、近いところでは五十六年に三十九人、五十年に三十八人、四十五年に三十八人という一つの周期がございまして、そういう周期に当たっていると言うしかないわけでございまして、お尋ねのことに対して適切なお答えができないわけでございますが、原因はよくわかりませんというのが実情でございます。 〔委員長退席、村上委員長代理着席〕
○橋本(文)委員 今回の検察官志望者が少ないといういろいろなアンケートとか現実のこのような任官希望者の数等々から、法務省としてはPRをしなければいかぬとか、あるいは検察官に初任給調整手当をつけなければいかぬとか、これは今回つくのですね、あるいは検事総長に言わせれば司法試験そのものに問題があるので若い人が受かりやすいような試験制度に改めるべきであるとか、そういうような議論がいろいろあるのですけれども、ただ単に試験を改めて果たして検察官志望者がふえるのかどうか。むしろなぜ検察官志望者が少ないのかというその辺の分析がなければ軽々な制度の取り組みは変じゃなかろうか、こう思うわけなんですよ。 私が一番知りたいのは、検察官志望者が少なくて困っている困っているという実情が四十数年間近く続いておる、しかも現在までに何ら手をつけていないという、それを今ここで問題にしているわけでございます。ですから、なぜ検察官志望者が減ったのかあるいは少ないのかその原因はわかりませんということでは、これ以上私の方でも議論できないわけなんですが、どうして検察官はこのように人気がないのか、その辺を法務省としてはどのように見ているのか、まずお聞かせください。
○根來政府委員 先ほど私がお答えいたしましたのは、本年度、要するに五年周期で検事の任官者が減っておるということについて原因はどういうことかよくわからないということでございまして、一般的に検事の任官者が少ないということはやはり一つには司法試験が非常に難しいというところに原因があろうかと思います。 要するに、司法試験が非常に難しいということは、五年、平均して五回ぐらい受けないと合格しない、それも早い人でございますが、そういう状況にあるわけでございます。ですから組織に入って仕事をしようという人は民間会社に入ったりあるいは公務員になったりということでよそへ逃げてしまうわけでございまして、要するに司法試験を受ける方は裁判官になりたいとかあるいは弁護士になりたいというふうな意識を持ってこられる方が大部分でございまして、そういう検察庁のような組織に入る方は既に逃げてしまっておるというような実情があると思います。 それから、さて司法研修所に入りまして実務研修をしていく途中におきましては検事になりたいという者がおるわけでございますが、やはり家庭の事情等から転勤を嫌うという事情があるわけでございます。ただいま一つの家庭では子供が二人ぐらいでございまして、やはり両親の扶養等の理由からいたしまして転勤は困るという両親あるいは家族の要望がございまして、やむなく弁護士等に希望を変えるという者がございまして、そういう社会情勢が一つの背景になっているというふうに思うわけでございます。どの修習生も検事の重要性ということについては非常に関心を持っておりまして、やはり自分も検事になりたいという気持ちはあるのでございますが、そういう客観情勢が許さないということであろうと思います。
○橋本(文)委員 そうしますと、年齢的な問題で組織に入るのが嫌である、それから社会情勢の変化で子供が少ないために両親の扶養の問題等で転勤を嫌がる、こういうことが原因だとすると、これはもうお先真っ暗という感じしかしないわけなんですよ。だからそこで、これはもうわかり切ったことなんですから、その上でどうすれば検察官の志望者がふえるのか、それをお聞かせ願いたいとさっきからお願いしているわけなんです。
○岡村政府委員 法務省といたしましては、検事の仕事の重要さにかんがみまして一人でも多く有能な修習生が検事を希望してくれることを望んでおるわけでございまして、そのためのいろいろな対策を講じておるところでございますが、一つにはやはり検事の給与、初任給調整手当、こういったものを引き上げまして検察官の処遇を改善いたしたいと考えておるところでございまして、初任給調整手当の引き上げは実現いたしたところでございますし、今後ともそういう面で待遇の改善にまず努めたいと思っておるところでございます。 また、検察官の仕事の重要性ということにつきましてやはりなかなか国民なりあるいは司法修習生にも理解していただけない点もあろうかと思うのでございまして、具体的事件の捜査、処理あるいは公判の維持等を通じまして検察官の姿を正しく国民に理解してもらうということ、あるいはさらに検察の実務修習の機会等を通じまして、修習生に対しまして検察の使命の重要性あるいは検察に対する魅力、こういったものを理解、認識してもらうようにさらに一段の努力をいたしたい、かように思っておるところでございます。
○橋本(文)委員 今年度は三十四名なんですが、このいわゆる三十八期生が司法研修所に入った段階ではどのくらい検察官志望者がおったのですか。ありますか、統計。
○根來政府委員 約三十人でございます。
○橋本(文)委員 すると、入所当時より逆に四名ふえたということですね。本当に寂しい限りでございますが、二年間この三十八期生が修習を終えた段階では三十名しかいないということで相当な努力をした結果三十四名になったと思うのですけれども、その間に法務省が取り組んだ努力というものはあるのですか、この三十八期生に関しては。
○岡村政府委員 先ほど来申し上げましたように、司法研修所におきまして検察教官がまずもって検察に対する理解を修習生に深めさせますようあらゆる機会をとらえて努力いたしたところでございますし、また現地の検察実務の修習におきましては、修習を担当いたしました各検察庁の検事正以下関係の職員が具体的事件の捜査、処理を通じまして、あるいは日常の検察の執務の中で、検察に対する魅力を感じさせるようにいろいろな努力を行ったところでございます。
○橋本(文)委員 大臣の所信表明にあるのですが、犯罪発生件数が漸増の傾向を示している、しかも内容的にも、凶悪事犯が多発している、あるいは覚せい剤、麻薬事犯が頻発している、それから過激派集団あるいは右翼の問題あるいは少年の非行問題ということを踏まえて、それでこういう「検査体制の一層の整備充実に意を用いる」、こうあるのですが、今お話を聞いていますと一層の検察体制の整備というものが非常に寒々しく思われるのですが、いかがですか。
○鈴木国務大臣 ただいま御指摘をいただきましたように、本年度の検事の希望者が非常に少ない点、さらにまた先ほど御指摘いただきましたように区検察庁の事務官に「当分の間」と言って大変長くなっておるような次第でございますが、何としましてもやはり検察業務は、検事の質、数、一定の必要な数、これは当然必要でございます。さようなことを考えますと本当に残念でございますが、長期的に今政府委員から御答弁申し上げました諸条件を改善いたしまして、あるいは試験制度であるとかあるいは初任給の是正であるとかその他いろいろなことをこれから検討いたしまして、そういう人的な面の充実を図ってまいらなければならないと考えております。また、現在ある方々を適材適所に配置いたしまして能率ある検察事務が執行できるようにしなければならないというように考えておりますが、同時に、最近の事件は大変に多様化しておりますから、そういう事態に対処するためのコンピューターであるとか機材の整備をこれまたやってまいらなければならないと思います。また、仕事をする上についての環境庁舎等のひどいところもございますから、そういうものも整備して、全般的に検察業務が適正に運営できるように各般の努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
○橋本(文)委員 ところで、検察庁というか検事のいわゆる定数ですね。これは過去十年間一千百七十三名、この定員数は変わらないのですが、また副検事の方も九百十九名、これも約十年近くほとんど変わっていない、検察事務官が若干ふえた、その他の職員はむしろ減っておる、こういうのが検察庁職員の定員の推移なんですけれども、この一千百七十三名というものが、検事の定員数なんですが、これが全部検察庁にいるというわけじゃないのですね。
○根來政府委員 これは仰せのように全員検察庁におるわけではございませんで、兼官検事ということで法務省にも若干おりますし、その他の部局におります。
○橋本(文)委員 そこで、その一千百七十三名の定員数のうち現実の実際員は何名なのか。そして検察庁に配属されている検事は何名で、その他、法務省等々の検察官は何名か。資料はありますか。
○根來政府委員 本日現在、定員が一千百七十三人に対しまして現在員は千百四十四人ということで、欠員が二十九人でございます。そして、ざっとの計算でございますが、このうち大体千人が検察庁に配置されているというふうに理解しております。
○橋本(文)委員 この検察官の毎年のいわゆる途中でやめる方あるいは定年退官、それを含めますと五十数名で推移しておるのです。大体任官者と同じくらいの数が毎年毎年やめておられるわけですけれども、その数字を見る限りでは検事の実際の数と定員との差をだんだん広げてきている、こう思うのです。そこで検察体制の整備がだんだん弱くなってくるのじゃないかという気がするのです。 そこで、いわゆる検察事務官から副検事に昇任させる制度がありますね。あるいは副検事から特任検事と言われて検察官になる道がございますけれども、この二つの制度はどのように機能しておられますか。
○根來政府委員 まず検察事務官等から副検事に任用される制度でございますが、これは年に二回試験がございまして、大体一回の受験者は七十九人から八十人程度の平均になっております。合格者は大体二十人から二十二、三人という平均でございます。 それからもう一つの副検事から検事に任用される制度でございますが、これは大体十年ぐらい前は六十人以上の受験者があったわけでございますが、最近は徐々に減りまして、六十年では十一人の受験者でございまして、毎年一人から三人ぐらいの合格者ということになっております。
○橋本(文)委員 副検事の定員は九百十九名なんですが、これまた同じように実際員はどの程度ですか。それから、このような副検事に任用される方の平均年齢、あるいは特任検事になる方の年齢、これはいかがですか。
○根來政府委員 現時点での副検事の欠員は十四人でございます。 それから、副検事に任用される者の平均年齢でございますが、毎時期によって違いますけれども、大体四十二、三歳ぐらいだというふうに理解しております。それから、検事に任官する方でございますが、これも毎年非常に差がございまして、大体四十四歳から五十四歳という十歳ぐらいの開きがございますので、平均して幾らということはなかなか言えない状況にございます。
○橋本(文)委員 実は私も中級試験の補職に合格したときなんですが、当時科学技術庁におりまして、検察庁にあこがれまして検察事務官を約二カ月ちょっとやったのです。私の希望では捜査事務官といいますか、それを希望したのですけれども、普通の事務局に配属されたわけなんです。そこにはわずかな間おったわけなんで実態はわかりませんけれども、今お話を聞きますと、検察事務官から副検事になる方が毎年二十名ぐらいしかいないということ、それで希望者がそう多くないということ、また、その副検事になった方が特任検事になられるという場合に一名ないし三名、しかもその受験者が少ないという。これは内部からそういう副検事あるいは検事になり手がないというふうな現状だという認識は私は持てないのですけれども、せっかくこういう制度があるのですから、もう少し検察事務官から大幅な希望者があってもしかるべきだと思うのですけれども、どうしてこのように不人気なのか。
○根來政府委員 ちょっと私、言い足りなかったと思いますけれども、副検事試験は年に二回やっておりまして、一回の合格者が二十数人でございますので、一年間に四十数人の合格者があるというふうに理解しております。 今のお尋ねの件でございますけれども、副検事試験につきましては大体この程度の受験者があり、この程度の合格者があれば欠員は十分に埋められる状況にあると思います。むしろ試験を厳しくして成績の悪い者をふるい落とすというふうな状況にあると思います。 一方、特別考試の方は仰せのように非常に受験者が減っております。これは五十歳ぐらいになりますと子供の学校の問題とかいうことで、受験者がそういう家庭の事情で受験しないというような状況にありますので、やはりいろいろの会同を通じましてふやすように努力しておりますけれども、これもいろいろ客観的な情勢がありましてなかなか受けないというのが実情でございますが、これはそんなにふえていいというものではないと思います。現在特任検事というのは五十八人検察庁に勤務しておりますが、方針といたしましてそうふやすべきものではないという認識の上に立っております。
○橋本(文)委員 副検事の方はむしろ厳しい試験をしてふるい落とす状況にある、それからいわゆる特任検事に関してはそうふやすべきではないという御意見のようですけれども、そうなりますと、ますます若い新任検事がどうしても必要である、こう思わざるを得ないのです。そうするとまた議論が堂々めぐりしますが、検察事務官から副検事あるいは副検事から特任検事というものは職員のいわゆる士気の問題としては魅力があるのかあるいはそうないのか、現状はどうなんでしょうか。
○根來政府委員 先ほど委員が仰せのように、職員の中でも捜査が非常に好きな職員が大勢おります。そういう職員にとっては副検事に昇任するあるいは副検事から特任検事に昇任するということは非常に魅力的なことだと思います。そういうことで検察庁の職員全体はやはりそういう試験には非常に関心を持ち、自分も合格したいという意欲を持っていると思います。
○橋本(文)委員 検察官のなり手が少ないということは私も大変憂慮しております。これは単に初任給の調整手当をつけるとかあるいは転勤の御題を考えるとかということじゃなくで、もっともっと抜本的なことを考えないと解決しないのじゃないかと思います。いずれにしても、昭和二十二年から不足しているということでいまだに改善されていない事態を早急に何とか改善していただきたい、こういう気持ちでいっぱいでございます。 ところで、同時に大臣の所信表明の中で、いわゆる訟務事件というものも非常に多くなってきている、これも「事務処理体制の充実強化」を図りたい、こういうのがあるのですけれども、この訟務事件の件では、「事務処理体制の充実強化」というのは具体的にどういうことを指しているのでしょうか。
○菊池(信)政府委員 その点で主なものを申し上げさせていただきますと、まず組織の面では、現在増員を得るということは非常に困難な状況にございますので、現在の限られた人員でどうして効率的に適正な仕事をするかということを工夫することにあると思います。したがいまして、そう事新しいことではございませんけれども、事件処理に必要な情報あるいはいろいろな資料を収集整備いたしまして、効率的に利用できるような仕組みを工夫するということでございますとか、事件処理の仕方、やり方を適正円滑なやり方ができるように工夫するということ、それから職員の研修の体制を充実整備するということでありますとか、効率的で適正な事件処理をするのに適した組織の仕組み、あり方を研究してまいる、それを考えていくというようなことだろうと思っております。 それから予算の面では、厳しい財政事情の折からでございますけれども、各方面の御理解を得て適正円滑な事件処理のために必要な経費の確保をぜひしたい、特に各種のOA機器等の導入を考え、まして事務能率を高めるということを考えてまいりたい、大体そういうことが主要なことでございます。
○橋本(文)委員 訟務事件に関しては、人的な要素を増大するという考えではないわけですね。 ところで、先ほど検事あるいは副検事の定員が大幅に、二十九名とか副検事については十四名少ないわけなんですが、これは予算の面ではどうなっておるのですか。現実の人数に照らしていわゆる検察官の給与分が見込まれているのかあるいは定員で出ているのか、現状はどうなっているのですか。
○根來政府委員 これは大体現実に給与を受けておりますので、その現員現給といいますかそういうことで予算が積算されていると理解しております。
○橋本(文)委員 時間がないのですが、最後に、これからマルコス疑惑とかあるいは撚糸工連という問題で大きな事件になるかもしれませんけれども、いわゆる検察官のOBですね、これが統計を見ますと一、二年でやめる方もおられるし、五年あるいは十年未満でやめる方も多い。むしろ十年前後が非常に多いという現実のようですけれども、そのやめた方が、ロッキード事件のようないわゆる政治性の強い刑事事件に弁護人として関与しておられるのですね。一般大衆としては、なぜ不正を追及する側が今度はその弁護に回るのかというのが非常に多いのですけれども、こういう現状を法務省はどのように見ておられますか。
○岡村政府委員 検事を退官されました後、弁護士としていろいろ御活動をされておられることにつきまして、現職の立場にある私から論評をすることはどうかと思うのでございますし、また論評する立場にもないわけでございます。ただ言えますことは、検察といたしましては、かつての検察幹部あるいは検察のOBが弁護人になったからといいまして、当該事件の処理にいささかも不当な影響を受けるものではない、この点ははっきりと言えると思うのでございます。
○橋本(文)委員 終わります。
○村上委員長代理 岡本富夫君。
○岡本委員 私は、マルコス疑惑について最初にお伺いをいたします。 経済協力について非常に問題があるのではないかということで御質問いたしたいわけでありますけれども、新聞あるいはまた各委員会でもそうでございますが、マルコス政権の崩壊でフィリピンに対する円借款供与に絡んでのあらゆる疑惑が今噴出しております。これについて法務省は、米国議会で既に公表された資料を外務省を通じて入手されておると思うのですが、そしてそれについて御検討をされておるかどうか、検討されておりましたら差し支えない分だけ少し発表をしていただきたい、こう思います。
○岡村政府委員 法務当局といたしましても、外務省を通じまして資料を入手いたしまして、現在検討を行っておるところでございます。ただ、検討の中身につきまして具体的には申し上げかねるのでございます。
○岡本委員 それは特別委員会ができましてまた要求もあろうと思いますから、きょうはそれに対する要求はやめておきます。 そこで、原則的なことだけお聞きをしておきたいのですが、フィリピンで仕事をした日本企業が贈賄等の不正な支払い金を工事代金に含めて海外経済協力基金から支払いを受けていた場合、これは詐欺罪に当たるのかどうか、この点をひとつ明確にしておいていただきたいと思います。
○岡村政府委員 ただいま御質問の点でございますが、これは日本とフィリピンとの円借款に絡みます一つの仕組みがあるのでございまして、単純な仕組みでもないようでございますし、具体的な事実関係が今のところ。明らかでございませんので、具体的にどういう犯罪が成立するかということにつきまして今の段階で答弁することは適当でない、かように思っておるところでございます。
○岡本委員 明らかに贈賄等の不正な支払い、こういうことがわかれば、これが工事代金に含まれて、そして協力基金から支払いを受けたという場合、これは当然詐欺罪になるのではないか、こういうように考えるのですが、その点いかがですか。
○岡村政府委員 先ほど申し上げましたように、海外経済援助の実態とかあるいはこれに関連いたしました取引の実情、こういったものを具体的に明らかにいたしまして、それを踏まえた上でございませんと、一般的にどういう犯罪が成立するか、詐欺罪が成立するのかどうかということにつきまして申し上げがたいのでございます。
○岡本委員 今あなたのおっしゃることはよくわかるのですけれども、調査の上、そして明らかにこれは贈賄だ、不正な支払いだということがはっきりすればこれは詐欺罪になるのではないか、この点はいかがですか、一般論としまして。
○岡村政府委員 詐欺罪の要件は、要するに人を欺罔して財物を騙取する、こういうことであるわけでございまして、こういう要件が満たされるのかどうかということにつきましては、先ほど来申し上げましたようないろいろな事実関係を踏まえた上での検討、こういうことになるわけでございまして、今の段階で一般的に詐欺罪が成立するかどうかということにつきましては答弁いたしがたいのでございます。
○岡本委員 確かに、調査しないとどうかということはわからない、これはわかります。しかし、明らかにこれは贈賄に使った金だ、こういうことがはっきりすれば、海外経済協力基金からこれを受けておるということになると、これは詐欺罪になるのじゃないですか。これは明らかになった場合ですよ。これは一般論としてもよろしいから、その点についてもう一遍お聞きをしたい。
○岡村政府委員 日本の業者が海外経済協力基金と直接いろいろ交渉して現金を受け取るといいますか、そういう形ではなくて、日本政府とフィリピン政府の間の円借款、これに基づいて今度はフィリピン政府から業者がある工事を落札する、こういうような関係があるわけでございまして、こういう仕組みの上に立って御指摘のような場合犯罪を構成するかどうかということを判断しなければならないわけでございますが、その辺の仕組みの実態というものがやはりもう少し具体的事実関係について明らかになり、それを踏まえなければ何ともお答えをいたしがたいわけでございます。
○岡本委員 今法務省は、そうするとこれまでに公表されていない関係資料を米国の司法省やあるいはフィリピンの捜査当局を通じて積極的に入手をやっているわけですか。いかがですか、この点について。
○岡村政府委員 現在外務省その他関係省庁におきまして必要な情報、資料の入手等に努めておられるところでございまして、そういった方からもいろいろな資料の入手に努めているところでございます。また、検察当局といたしましては、事態の推移を見守りながら、その推移に応じまして適切に対処してまいるものと思っておるところでございます。
○岡本委員 フィリピンのサロンガ委員会から捜査協力を求められた場合、検察当局はどのような対処をされるのか、これをひとつお聞きをしておきます。
○岡村政府委員 フィリピンのサロンガ委員会というものがどういう性格のものであるか、具体的にまだ明らかでない部分もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、フィリピンから正式のルートを通じまして捜査共助の要請がありますれば、国際捜査共助法に従いまして捜査共助の要請に応ずる要件が備わっているかどうか、これを検討いたしまして、もし要件が備わっているということになりますればその捜査共助の要請に応じまして必要な証拠の提供を行う、こういうことになるわけでございますが、これはあくまで一般論でございまして、具体的に捜査共助の要請がありましたときに個別的、具体的に判断すべき事柄であると考えるものでございます。
○岡本委員 国際捜査共助法、この法律によると、第一条に「共助外国の要請により、当該外国の刑事事件の捜査に必要な証拠を提供することをいう。」ということでありますけれども、第二条に「共助犯罪が政治犯罪であるとき、又は共助の要請が政治犯罪について捜査する目的で行われるときは、共助をすることはできない。」という条文がありますが、今回のマルコス疑惑の捜査共助要請があった場合、これは政治犯罪と見るのか、あるいはまた普通の犯罪と見て共助をするのか、協力するのか、この点についてひとつお聞きしておきたい。
○岡村政府委員 政治犯罪とはどういうものを言うのかということでございますが、一般的に申し上げますと、例えば内乱罪などのようにその国の基本的な秩序を直接破壊することに向けられた犯罪を言うというふうに解釈されているのが普通でございます。 そこで、もしフィリピンから捜査共助の要請がありました場合にどうなるかということでございますが、これは具体的な要請に当たりまして、具体的な犯罪容疑についての捜査の共助を要請してくるわけでございまして、そのときにどういう具体的な犯罪を構成してくるかという問題でございまして、具体的要請がありましたときに個別に判断されるものでございますが、一般的に申しますと、例えば贈収賄などは政治犯罪に当たるかと言われますと、これはまことに一般論でございますけれども政治犯罪とも言えないであろうというような感じは持っておりますけれども、いずれにいたしましても、具体的な要請を受けました時点におきまして個別的に判断されるべき事柄であろうかと思っております。
○岡本委員 今回のマルコス疑惑、これは言ってみればロッキード事件の裏返しみたいなように考えられるわけでありますけれども、これに協力したと言われても仕方がない日本政府の海外協力について、特にフィリピンについての——海外協力基金の副総裁にお聞きいたしますけれども、これはたくさんありますからみんな聞くと時間がありませんので、八三年の最近の例をひとつ御説明をいただきたい。というのは、八三年度の円借款の場合、フィリピン政府から十五件のプロジェクトの借款を要請されて、外務、大蔵、通産、経企の四省庁と海外協力基金によるところのプロジェクトの現地調査をされておるはずです。この十五件について簡単にひとつ御説明いただきたい。
○青木参考人 八三年度の要請につきましては、確かに十五件の要請が政府から日本政府の方にございまして、それを受けまして我が国の政府とフィリピン政府の間でいろいろ協議がございまして、それで最終的には両国政府の間で交換公文が結ばれるに至ったわけでございます。その交換公文を受けまして、私どもはその交換公文に記されているプロジェクト及び商品借款につきまして契約を縮んで実行に当たるという状況になっているわけでございますが、十五件の要請がありましてから最終的な形になりますまでには政府間での交渉が主でございますので、手続上そういう順序になっておりますので、政府側からその間の経緯については御答弁いただいた方がいいのではないかというふうに考えております。
○岡本委員 では、外務省の方からお答え願えますか。
○榎説明員 御説明申し上げます。 通常、要請を受けましてから政府ミッション、それからまた海外経済協力基金のミッションを送りまして、プロジェクトの精査またフィリピン側政府との話し合いというのを行いますが、政府ミッションは昨年の夏送りまして、またOECFのミッションもそれと前後いたしまして送りまして、最終的にプロジェクト案件十一件、それに商品借款というものを供与することを決定いたしまして、フィリピン側と昨年の十二月二十三日に交換公文を結んでいるのが現状でございます。
○岡本委員 十五件のうち四件が消えちゃったんですが、これはまず、政府側もあれですけれども、せっかくおいでいただいておるわけですから、海外協力基金の方がやはりプロジェクトを現地調査しているわけですから、この十五件について、十一件になってあと四件消えたようでありますが、これについていきさつをひとつお聞きしたい。
○青木参考人 政府に対しまして十五件の要請があったわけでございますが、まず政府ミッションが出まして第一次的な折衝をいたしまして、私どもの方の調査ミッションに委託されましたのはそのうち十一件について詳しく調べるという指示がございまして、その十一件について私どもの方で精査したわけでございます。したがいまして、その四件落ちましたにつきましては、政府ミッションの段階で対象から外れだというのが経過でございます。
○岡本委員 では、この十一件について何と何と、どことどことを現地調査されたのか、これをひとつお聞きします。
○青木参考人 十一件につきましてはそれぞれのプロジェクトがございますが、現地へ参りまして主としてやりますのは、そのプロジェクトが十分物理的に達成することが可能であるかどうかという点が第一点。第二点は、そのプロジェクトが経済的に有効であるかどうかという点を調べるわけでございます。そのほか、このプロジェクトを実施する相手側の機関がございます、そのそれぞれの機関にそれだけの仕事の実施能力があるかどうかという点を私どもは具体的に向こうと会いまして精査して、十分できるという結果を得ますれば、政府の方にこの仕事は十分可能であるという御報告を申し上げるという手順になっているわけでございます。
○岡本委員 だから、私の今質問しておるのは、この十一件は何と何と、どことどことを調査されたのかということをお聞きしたい。
○青木参考人 十一件は、一つ一つ申し上げますと、地方電化計画、道路の改修計画、それからメトロマニラの道路の改修計画、地方の水道システムの計画、輸出加工区の附帯設備の計画、洪水制御の計画、それから小規模の発電計画、郵便事業施設の調達計画、地方水道計画、メトロマニラのポンプステーションのリハビリテーション、洪水警報システムの計画というのが十一件でございます。それぞれ相手方の実施機関と計画を詰めまして実施可能かどうかを検討いたしまして、要すれば現場に行ってその調査もいたすということでございますが、個々のプロジェクトでどこへ行ったかというところまでは現在資料を持っておりません。そういうことを現地の実施機関と私どもの方とで協議しまして、必要があれば現地調査をするというのが原則でございます。
○岡本委員 その場合、あなたの方は基金を、お金を出す方なのですから、言ってきたら何でもぽんぽん出すのじゃないだろうと思うのですね。やはり相当な調査をして、そしてこれなら確かに計画が完成するであろう、それからまたこうした場合にはこれだけのメリットがあるだろうとか、いろいろ調査をされておると思うのです。同時に、例えば簡単な方から言いますと国鉄車両検修工場建設、これは四十五億ですね。これはあなたの方からもらった資料なのですが、確かにこれだけかかるかどうか、あるいはまたそういった踏み込んだ調査もなさっておるわけなのですか。いかがでしょうか、基金の方。
○青木参考人 ただいま御指摘のプロジェクトはその一年前のプロジェクトだと思いますけれども、私どもの方の調査は、おおむねこれぐらいかかるであろうという類似のプロジェクトと比べての費用は計算いたしますが、個々の非常に細かい積み上げで原価計算的なことまではいたしておりません。したがいまして、おおよその金額というものは私どもの方でもはじきまして、その金額で事業が達成できれば十分経済的効果もあり工事も十分できるという数字をはじくというのが私どもの方の作業でございます。
○岡本委員 これは一つずつやっておると時間がありませんからまた特別委員会の方へ回しますけれども、そこで、十五の要請のうち四件が消えた。この消えた四件は何と何と何がありますか。
○榎説明員 円借款の要請というのは供与する額よりも要求する側の方が多目に出してくるのが通常でございまして、案件を全部拾うということは財政の枠もあって対応できないということで削っておりますが、この間の事情につきましては相手国政府もあることでございまして、従来から外交交渉の一部であるということで御説明は控えさせていただいておりますので御了承願いたいと思います。
○岡本委員 相手国があるからといって、今この期に及んでこれだけ疑惑を持たれておるわけですから、円借款で十五件調査した、そのうち十一件は今曲がりなりにも協力基金の方かる御答弁いただいた。あとの四件どうなったのですかと聞いておるのに答弁できないなんて、それはどういうわけですか。もうすこし答えてください。
○榎説明員 相手国からの要請がありますときには相手国政府のプライオリティーというものをつけて出しているのが通常でございまして、総要求額というのは、通常私どもその国に出す金額で、ある程度従来からの推移を見てこの程度がせいぜい限度であろう、全体の財政の枠の中でこの程度しか対応できないであろうという考慮を払いまして、政府の検討の段階でプライオリティーの低いという案件については対象から外すということがございます。他方OECF、海外経済協力基金の調査の方も、人員等もございますし、要請案件について全部調査をするということではございませんで、ある程度目星をつけた案件について調査をするということでございます。どの案件が落ちたかというのは、フィリピンの場合ですとNEDAという機関が総合調整に当たっておりますが、やはり相手国のそれぞれの省がそれぞれの案件を推しているという中で日本側の方からどの案件は落ちたということを御紹介するということは、相手国との関係もございますので従来から御説明は差し控えさせていただいておりますので御了承を賜りたいと思います。
○岡本委員 大臣、今お聞きになったと思うのですが、僕は商工委員会でも協力基金について随分法案の中で審議したことがありますよ。全部先のことはわからないのですね。 新聞にこういうふうに書かれております。自民党のある閣僚経験者が言っている。「援助のカネは機密費みたいなもんだ。どの国へいくら、と国会で決めるわけじゃなし、どう便われているのか国民にはほとんど知らされない。おまけに、もっと増やせ、増やせだ。政治資金というタマゴを産むニワトリとしては、とびきり上等だよ」、これは朝日の「援助途上国ニッポン」の中に書いてある言葉ですけれども、そこには政界人の本音が出ているようである。援助の実態について国民がほとんど知らされていないということも事実である。今お聞きしてもなかなか国会でも答弁ができない。マルコス疑惑についての政府の対応は今までのところ余りにも手ぬるい。中曽根首相は全力を尽くして早期究明に努力すると国会で答え、安倍外務大臣もフィリピン援助を全体的に見直すことを検討の対象にすると答えているが、外務大臣は、現段階ではフィリピン側の資料はフィリピン側に対して日本に引き渡すというところをその提供を求めない、それ以上言うと内政干渉になる。こういうようなことでは、今後の援助もあるわけですし、大臣、今後の国際援助についてどういう考えを持たれるか、一遍あなたの御意見を伺っておきたい。
○鈴木国務大臣 国際援助にしましても国民の税金で賄われておるわけでございます。さらにまた援助する使命といたしましても、援助をする国の国民の幸せのためにするわけでございます。さようなことから考えますと、その間にいささかの疑念を持たれるようなことがあっては相ならぬと私は考えております。今指摘されましたようなことがあろうとは考えておりませんけれども、私はそういう考えで、これはどこからも疑念を持たれない、そして援助した国の国民から感謝されるような方法でこれからもやらなければならないだろうと考えております。
○岡本委員 外務省にお聞きします。 現在アキノ政権の中には円借款の返済について不当なリベートまで返す必要はないという意見が出ておるわけですけれども、せっかく貸してあるお金を返さないということですが、これについての御意見はいかがですか。
○榎説明員 先生御指摘のとおり、新聞等でフィリピンの関係者が一部不正絡みのものについては返済しなくてもいいではないかということを言ったということは承知しております。その点につきまして外務省としましても現地大使館を通じまして早速確認をとりましたところ、フィリピン政府の方からは、今後とも対外債務の支払いは予定どおり行っていく、そういう考えてあるという確認を得ております。
○岡本委員 今後こういう海外協力について、例えば先ほどお話がありましたように途中でプロジェクトの借款が今度商品借款に安易に変わっておる。向こうの要請だということでころころ変わっておるわけですが、こういうことでは海外協力の一つの基準というものをつくらなければならぬだろう。それによっていろいろ向こうから、これはちょっと合いません、これはこういうふうにしてもらいたいというような、例えば海外協力基本法というような一つのそういうものがあってすれば、それによって調査するあるいはまた検討すれば国民にもっとわかるような海外協力のあり方になるのではないか。今のままでは、いろいろなことを書いた新聞を見ましても、密室の決定で、しかも政界絡みの疑惑が絶えず、こういうような報道がなされるということで、国民の政治に対するところの疑惑、不信を将来一掃するためには、やはりそういった基本的な法を決めて、そして海外協力というものは必要でありますからやらなければならないのではないかと私は思いますが、協力基金の方としてそういう御意見はいかがですか、あなたの方では。
○青木参考人 我が国の海外経済協力といいますのは、基本的には相手方の国の自主的な事業に対して資金で協力しているということでございますので、その方針といたしましては、相手方の政府の要請があり、それがその国の経済あるいは民生の安定に十分有効であるということを確認して行われているのが現状と思いますので、基本的な考え方がないということではないと私どもは思っております。ですから、相手方の政府あるいは国の事業に対して私どもが資金的な援助をしているというスタンスは、これは相手方の自主的な判断を主としておりますので、その点は現状でも十分確保されているように実務をやっている方としては考えております。
○岡本委員 何という情けない御答弁をなさるのですか。実務をやっている者がこれでよかったというのであれば、またこういうことが起こる。 今あなたのおっしゃったように、相手国があるから相手国を信頼する以外にない。ただ業者との契約内容や入札の価格や、そういった援助プロジェクトを実施する際のことも公表はしない。外務省もこういうことは一般の人には言わない。要するに協力基金でこうした海外援助をしたものに対して検査するところがどこにもない。会計検査院の目もこの援助予算にはなかなか及ばない。こういうことになれば、今あなたは御答弁で今のような状態で大丈夫ですとおっしゃるけれども、とてもこれで国民は納得をしませんよ。あなたの方は貸し付けているわけですから、どうしたら一番いいんだというような御意見があれば承っておきたい、こう思って聞いたのですが、今のままでよろしいと言うようじゃ話にならないじゃないですか。古くは五〇年代のインドネシアの賠償にかかわるところの問題、あるいはまたソウルの地下鉄建設の援助についての問題、これも少し問題になったけれども結局相手がわからなくてうやむやになった。全部一つ一つ国民の疑惑は晴れておりませんよ。したがって、私はいろいろな問題についてはまだ特別委員会でやろうと思いますから、きょうは余り詳しくはやりません。ちょっとはしりだけでございますけれども、その点をひとつよく一遍考えて、あなたの方も今後執行についてはこういう方法があるんだ、あるいはまたこういうふうにしてもらったら一番いいんだというようなことを意見を出してもらいたいと思ってきょうはお聞きしたのです。とにかく「政治資金というタマゴを産むニワトリとしては、とびきり上等だよ」「できれば私も恩恵にあずかりたい」こういうようなことを閣僚経験者が言っていることは本音だろうと思うのですね。外務省は課長だからとてもこれ以上踏み込んだ説明はできないと思いますが、副総裁としてひとつその点はよく考えておいていただきたい。きょうはこのマルコス問題はこれで終わりますが、いずれにいたしましても非常に政界絡みということでございますので、法務省もひとつこれには本腰を入れて、大臣の所信表明には法の正確な施行をしていくという所信がありますから、よろしくお願いをいたします。 最後に大臣のマルコス疑惑についての取り組みの決意をひとつ承っておきたい。
○鈴木国務大臣 検察当局といたしましては、刑罰法令に触れる事案があれば厳正、適正に対処していくものと考えております。
○岡本委員 次には、もうおなじみの撚糸工連の問題をちょっとお聞きしておきたい。 既に御承知と思いますけれども、昨年の十二月に日本撚糸工業組合連合会の元経理課長が逮捕された。また、ことしの二月十三日には理事長と専務理事が詐欺容疑で東京地検に逮捕されておる。何十億という血税が不正使用された事件でありますけれども、現在までの捜査の進展について法務省からひとつお聞きをしておきたい。
○岡村政府委員 撚糸工連事件につきまして現在東京地検におきまして捜査を行っておるところでございますが、本件につきましては昨年の九月十四日に撚糸工連から三谷という撚糸工連の元経理課長に対します告訴がございまして、これを受理いたしまして捜査をいたしました結果、十二月二十四日、三谷元課長を商工債券二億七千万円の業務上横領の事実で公判請求いたしたわけでございます。本年に入りましてさらに捜査をいたしまして、三月六日に撚糸工連の小田前理事長ほか三名を高度化資金約四億二千万円の詐欺の事実で起訴いたしたわけでございます。その後さらに小田前理事長ほか一名につきまして、撚糸工連の普通預金等合計約八億二千万円の業務上横領の事実で三月二十七日に起訴いたしたわけでございます。その前日の三月二十六日に通産省の高沢課長ほか一名を収賄、小田前理事長ほか二名を贈賄等の容疑で逮捕いたしまして現在勾留の上捜査を継続しておる、こういう状況でございます。
○岡本委員 そこで、この理事長の小田さんがつかまる寸前に約三十人の政治家に対して政治献金をしておるのだ、そういうことを言っている報道があるわけですが、この小田理事長が東京地検に逮捕されて、この政治献金に対するところの具体的なことは聞いてないのかどうか、これをひとつお聞きしたいと思います。
○岡村政府委員 現在捜査中でございまして、捜査の中身にわたります事柄につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと存ずるものでございます。
○岡本委員 御承知のように、この撚糸工連は通産省の政策融資を悪用したわけでありますけれども、融資といいましても、私もこの法律を審議したことがあるのですが、非常に優遇されておる。中小企業庁が決定し中小企業事業団がこの助成金の配分をするわけですけれども、業者団体は融資金の六〇%を業者に渡して残り四〇%で商工中金の利付債券を買うわけですね。その利子で融資全体を十六年間で返済するという仕組み。ということはほとんどもらっちゃうということなんですね。ということは補助金と同じような性質。 そうすると、撚糸工連から政治献金を受けるということは、「寄附の質的制限」という政治資金規正法の二十二条の三に、国から補助金、負担金、利子補給金その他給付金を受けている会社、法人は政治活動に関する寄附をしてはならない、こういうような禁止条項があるわけですけれども、これについて法務省は調査をなさっておるのかどうか、一遍お聞きしたい。
○岡村政府委員 先ほど来申し上げておりますように、現在捜査中でございますので、その内容にわたりますことにつきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思うのでございます。
○岡本委員 では一般論としてお聞きしますけれども、公共的性格の強い団体から政治献金を受けたということは、この政治資金規正法にひっかかるのではないだろうか。一般論でいかがですか。
○岡村政府委員 政治資金規正法の解釈は自治省でございますが、自治省の方では、先ほど御指摘のありました国から補助金を受けている法人、この法人とは国から直接補助金を受けている法人を指すものであるという国会答弁もなさっておられることを承知いたしておるわけでございますが、法務省の立場といたしましても、罰則を伴います刑罰法規につきましては罪刑法定主義という立場からこれを厳格に解釈しなければいけないもの、かように思っておるところでございます。
○岡本委員 さらにこの政治資金規正法の二十二条の三の二には、「国から資本金、基本金その他これらに準ずるものの全部又は一部の出資又は拠出を受けている会社その他の法人は、政治活動に関する寄附をしてはならない。」こういう条項があるわけです。だから、事業団がそのままするというのはいかぬですけれども、事業団が何といいますか認可はしておるけれども、要するに国が認可した、そういう撚糸工連ですね。金はそのまま商工中金からこっちへ来る。その性格を見るとほとんど負担金のようなもの。これについての法務大臣のお考えはいかがですか。
○鈴木国務大臣 今そういった法律上の解釈なりなんなりでございますから政府委員から答弁することをお許しいただきます。
○岡村政府委員 この点もやはり刑罰法規として解釈がそう拡大されてはいけない、やはり罪刑法定主義という原則がございますので厳密に解釈すべきだ、そういう立場から申し上げますと撚糸工連はこれに含まれないという解釈が妥当であろうかと思うのでございます。
○岡本委員 新聞あるいは週刊誌に盛んに糸へんの議員の名前が出ておるわけですけれども、そういうことがなければこの糸へんの議員の人たちは名誉棄損で訴えるべきだな、これは。うまく法をくぐったと言われても仕方がないけれども。 この撚糸工連に対して中小企業事業団が事前に審査をして融資決定をしておるはずなんですが、これについて撚糸工連に対してどういうことをやってどうしたのか、ひとつ詳しくここで発表していただきたい。
○田中参考人 撚糸工連の設備共同廃棄事案でございますけれども、生活産業局で主宰いたします指導会議で事業計画実施要領について指導が行われているわけでございます。私ども事業団もその指導会議の構成メンバーの一員として参加している次第でございます。事業団は、この指導会議が行われました後、貸付業務の委託先であります商工中金に以下の書類を撚糸工連から提出させまして審査いたしますが、私どもこれをさらにチェックするという体制をとっているわけでございます。提出していただきます書類の主なものでございますが、一つには申し込みの物件の目録あるいはその売り渡し物件に附帯いたします権利関係の調書あるいはその事業の縮小または廃止することについての誓約書、また買い上げの対象者及び買い上げの対象設備が適当である旨の確認の報告、それから破砕の確認書といったような関係書類を提出していただきまして、それを審査し融資を行うということでございます。
○岡本委員 そうすると事業団で審査しているわけでしょう。ただ通産省の方から出てきただけではなくして、廃棄する機械だとかそういった一つ一つについてこれは間違いないという調査をあなたの方はして、そして許可しているのではないのですか、事業団の方は。
○田中参考人 ただいま申し上げましたような書類の提出を撚糸工連から受けまして商工中金が審査いたしましたものをチェックしているわけでございますが、今回の事案は先生御案内のとおり一つには融資の要作であります組合員であること、第二には登録設備であるということにつきまして確認すべき連合会の幹部がその立場を利用しまして虚偽の申請を行ったということのために私ども発見できなかったということでございます。
○岡本委員 今までこの法律に基づいて設備の共同廃棄事業は四十七年度から始めておるのですけれども、融資総額は大体どのくらいあるのですか。それからこの撚糸工連にはどのくらいの金額を融資しておるわけですか。
○広海政府委員 日本撚糸工業組合連合会に対します中小企業事業団の貸付総額は四十九年度から六十年度までの合計で五百六十億でございます。
○岡本委員 ほかの組合も合わせて全部で融資は幾ら出しているのですか。
○広海政府委員 その他の業種も含めまして全体では二千四百十一億でございます。
○岡本委員 そうすると事業団の方は、この撚糸工連は既に五十三年、五十四年度において約一億円の不正があるぞという会計検査院の不正融資の疑いが指摘されておった、だのにその後どんどん融資を続けてそれでめちゃくちゃに国民の血税を使われたということに対する責任はいかがですか、事業団。
○田中参考人 御指摘のとおり会計検査院から指摘がありました後、私ども厳格に審査をしてまいったつもりでございますが、今回かかる事態が生じたことは大変遺憾に存じている次第でございます。私どもとしましては、こういった事故の再発防止のために万全を期するというふうに考えておるわけでございまして、現在、関係省庁、商工中金と検討中でございます。
○岡本委員 この撚糸工連は既にこういった前科がある、こういうことも承知の上で通産省の方は後の融資を許可したのかどうか、あるいはまたそれに対する一億円の不正融資について、どういうところがどうだったという精査もせずに、なおこの撚糸工連の理事長や幹部の言うこと、まして撚糸工連では通産省のOBが事務をやっているわけでしょう。こういう点について、設備共同廃棄事業についての今後の取り組みあるいはまたどういうところがどうだったという反省、これをやはり明らかにしてもらわなければ、今検討中でございますでは話にならない。いかがですか。
○高瀬(和)政府委員 ただいま御指摘のありました昭和五十三年、五十四年、会計検査院から指摘のあった問題については直ちに繰り上げ償還を求めるとともに、同連合会等に対しまして公文書をもちまして厳重な注意を行いました。その後の設備共同廃棄事業の実施につきましても遺漏なきを期したところでございます。一応この件につきましてはそういう対応を行ったということでございまして、今回の事件はそれとはまた一応別のものでございますが、先ほど法務省の方からもお話ありましたように、現在詳細な事実関係につきましては解明が行われておるところでございます。その結果を待たなければ確定的なことは申し上げられないわけでございますけれども、何らかの意味でチェック機能に足らざるところがあったということは事実のように思われます。したがいまして、通産省といたしましては、これからの対応につきまして、設備共同廃棄事業の制度の存廃も含めまして現在抜本的な検討を進めているところでございます。
○岡本委員 こんな簡単なものはないのですよ。この法律は僕らも審議しまして、それであっちこっち全部調査に行きました。機械を処分する、それだけでしょう。その機械を水増ししたり、あるいはまた帳簿を改ざんしたり——大した難しい調査をしなくたって、これは簡単にわかることじゃないですか。通産省あるいはまた事業団で調査するといったって、よく調べたらみんなわかる、子供だましみたいなものだ。それを、もう一遍精査しなければ精査しなければと言う。これは余りにも、またこういうことが起こりますよ。 廃棄事業について、だれがどの機械を廃棄してどうしたという一つ一つについての調査は、今までだれがやっているのですか。
○江崎説明員 今回の不祥事が起こりましてから、私ども二度とこうした案件を取り扱えないようにするために、少なくとも六十一年度の後期分として残っているものにつきまして、まず全数を調査しようということで、私どもの通産省の職員それから通産局の職員それから都道府県の職員それから産地の組合の職員等によりまして全数チェックを行っているところでございます。
○岡本委員 そうしますと、機械にはみんな番号が入っておるはずだ。どの機械が残って、どれがどうなっておるか全部わかるはずです。今まで撚糸工連の組合に既にこういった前科があるということがはっきりしておるわけですから、各組合傘下の会社、事業所から全部報告させればすぐにわかることじゃないですか。そうしたら、五百六十億ですか、こんなに大きなあれもなくて済むし、また通産省の中からこういった逮捕者も出さなくて済むじゃないですか。今のままでいくと、また同じことが起こりますよ。ますます国民の疑惑は高まる一方です。これでは納税意欲というのは起こりませんよ。 今後、この破格の好条件で行われるところの廃棄事業についてどういうようにやっていくのか。もう既に去年でしょう、明らかになって逮捕されたのは。ことしの二月に理事長が捕まっているわけで、理事長が捕まるまでに相当通産省の方で。わかったはずです。通産省としては今後どういう方針でどういうふうにしていくかということを、この法律を含めて御検討はなさっていると思うのですが、これをひとつお聞きしておきたい。
○江崎説明員 本件不祥事に関しましては、現在検察当局の手によりまして調査が行われておりますので、全体の事実関係の解明がすべて終了しませんと確定的なことは申し上げられませんけれども、現在私どもが承知しております今回の不祥事の問題点として少なくとも三つの点があろうかと思います。 一つは、無登録の設備が対象にされている。それから、組合員でなければならないのに非組合員の持っておった設備が対象にされている。さらに、現に運転可能でなければならないのにそうでないものが対象にされているというような問題点があったわけでございますが、こうした問題点を含めまして、私どもとしては二度とこのような不祥事が起こらないように、設備共同廃棄事業の制度の存廃も含めまして検討を始めているところでございます。 少なくとも、先ほど申し上げたような三つの問題点に対応しまして、設備共同廃棄の対象設備の現地確認の方法の問題、これを改善する必要があろうかと思いますし、それから設備の破砕の問題につきましても、その徹底を図るための改善策が必要であろうかと思いますし、登録の業務につきましても、今回の不祥事が工連の幹部がかかわっておったということを考えまして、その業務の運営についても考えなければならないというふうに考えております。
○岡本委員 この撚糸工連に対する融資というものをやった場合、年間の会計検査といいますか、そういうものは通産省では全然やらないのですか。あるいはまた、どうなっているということの報告を受け、それで検査するということはしないのですか。いかがですか。
○江崎説明員 撚糸工連に対する監督でございますが、私ども、中小企業団体の組織に関する法律に基づきまして毎年決算関係の書類を提出させておりますし、必要に応じまして広く懸案事項の報告をさせるということをしております。
○岡本委員 そうすると、その報告してきたものを見て、めくら判ということか。 その報告はどこに出すのですか。撚糸工連からどこに出しているのですか。
○江崎説明員 通産省でございます。 〔村上委員長代理退席、委員長着席〕
○岡本委員 通産省のどこに出すの。どこがそれを検査するの。
○江崎説明員 それぞれの工業組合連合会の担当課でございまして、撚糸の場合は原料紡績課でございます。
○岡本委員 出てきた報告をうのみにせずに調査をしておれば、こんなひどい、五百六十億もごまかされずに済んだのじゃないですか、みんなみんなごまかしているとは言いませんけれども。 いずれにしましても、こんな不祥事はもう二度と起こってはならない。したがって、もうこれ以上は追及しませんが、一遍よく検討して、二度と起こらないようにどういうことをやる、どういうことをやる、どういうことをやるということがはっきりしたら報告をしていただきたい。では撚糸工連の関係の人は帰ってください。 次に、商法改正問題について法務省にお聞きしておきます。 五十六年に法七十四号として商法が改正されておりますけれども、この改正法立法の趣旨、特に株主総会に関する部分の改正目的をお聞きしたいと思います。
○枇杷田政府委員 五十六年の商法改正は多岐にわたっておるわけでございますが、ただいま御指摘の株主総会の関係、その他取締役の責任強化あるいは監査役の責任強化というようなものが含まれております。 株主総会の関係につきましては、従来から株主総会がややともすると形骸化に陥っておる、これを正常化すべきではないかというような観点から幾つかの項目にわたって改正いたしております。その第一番目に挙げるのは、これは逆に取締役、監査役の説明義務という形で規定を置いておりますが、株主に株主総会に関し質問権を設置、それから議長権限を強化していく、株主に対して提案権を認める、またいわゆる総会屋対策と申しましょうか、そういう面で株主の権利の行使に関しての利益供与を禁止するというようなところが株主総会に関する改正の主要点でございます。
○岡本委員 この法が施行されましてから株主総会が非常に活性化され正常化されたと考えていらっしゃいますか、いかがですか。
○枇杷田政府委員 これはいろいろな評価があり得ようかと思いますが、従来よく言われておりますような三分総会というような全くの形骸化はなくなりまして、株主総会において会社側の方でも株主に対して会社の状況の説明を十分にするようになった、また、株主がその会社に対していろいろ関心を持ったところの質問などが取り上げられるようになったという意味で、従来よりは活性化されたと一般的には評価すべきだと思っております。ただ一面、いわゆる特殊株主主言われる人たちによる質問権の乱用といったようなものも若干ありまして、その点について若干の問題が生じているケースもあると承知いたしております。
○岡本委員 株主総会が法施行後は活性化された、激減したとあなたは言われておりますけれども、少しは、しばらくは減った、ところが数時間から中には十時間、アシックスなんというのは十何時間というようなマラソン総会が、次から次へと嫌がらせですね、特殊株主、プロ株主とも言われるのですけれども、最近こういうのが非常にふえつつある。その実態について法務省はつかんでおるのかどうか。改正前と法改正後及び現在、これについての実態はいかがでしょうか。
○枇杷田政府委員 私どもは、いわゆるプロ株主、総会屋の実態がどのようであるかということは直接つかんでおりません。従来から総会屋というのが株主総会を舞台としてと申しますか材料にしていろいろな動きがかなりあったことは承知しておりますし、それが商法の改正によりまして少し変わった形でその活動がなされてきておるというふうに理解をいたしておりますけれども、最近特に従来とは違った勢力といいますか、そういうふうなものになっているかどうかは、私どもの方では必ずしもつまびらかにはいたしておりません。
○岡本委員 報道されておるところを見ますと、今話しましたように四時間五時間、八時間十数時間という荒れる総会がよく報道されておるのですけれども、なぜこのようになったのか、この理由については法務省はどうつかんでいらっしゃるのですか。
○枇杷田政府委員 これは、いわゆるプロ株主なる者が会社に対して何らかの利益の供与を期待しておったところが、それが実現しないということでの嫌がらせというふうなことが発端として行われると想像されておりますけれども、必ずしもどういう事情であるかということはわかっておりません。そのようなプロ株主がマラソン総会という形のものにしていくための一つの武器として、先ほど御説明申し上げました質問権というようなものをよりどころにしてかなり長時間の会議に持ち込むという形になっておろうかと思います。
○岡本委員 警察庁の方では、現在の総会屋すなわちプロ株主ですか、この特徴をどのように把握しておるのか、お聞きしておきたい。例えば関西系のプロ株主と関東系とでは性質が若干違うらしいのですが、これについて御存じであれば報告していただきたい。
○国松説明員 最近の特殊株主と申しますか総会屋の特徴的な傾向ということでございますけれども、幾つかあると思いますが、何点か申し上げます。 まず第一に、地方化の傾向と申しましょうか、かつては特殊株主、総会屋の活動の場所はどっちかというと大都市というところに限られておるようなことがあったわけでございますが、最近の状況を見ておりますと、一部の大都市にその活動が集中するということではなくて、地方都市にあります企業においても、そこまで出かけていきまして単位株式を取得して株主総会に出席していろいろと発言する、その過程でまた利益を要求する動きがある、そういう地方化の傾向が一つございます。 それからもう一つは、広域化の傾向と申しましょうか、例えば関西であるとか関東であるとか、かつては一つの拠点を持って運動をしておった総会屋がおるわけでございますが、最近はそういう傾向がだんだんなくなってまいりまして、関西の総会屋が関東に来る、関東が関西に行くというようなことで、一種の相互乗り入れと申しますか、そういう活動領域的な区別がだんだんなくなってきているという傾向も一つ指摘できるわけでございます。 さらに、かつての総会屋と申しますのは、与党総会屋と申しますか、会社のためにいろいろやってやる、だから何々をしてくれ、あれをくれというような与党型の総会屋が多かったわけでございますけれども、最近は攻撃型と申しますか、先ほど先生の御発言の中にございましたように、非常に長時間の総会を強いる、その過程で非常に嫌がらせ的な質問状を送付したりあるいは資料要求をしたりというようなことでございまして、むしろ企業の動揺をねらってその過程でいろいろと賛助金復活の道を開く、あるいはもっと恐喝であるとか、そういう形で金銭を得ようという動きがあるというような点、大体今申しましたその三点が指摘できると思います。 そういうことでございまして、先生御指摘の関西系、関東系の質の違いという点でございますが、私どもちょっとその辺はつまびらかではございません。昔から、関東系はどちらかと申しますと非常に大きなグループで動く、それから関西系はどっちかと申しますと一匹オオカミといいますか非常に小さなグループで動くとか、そういう傾向がかつては一部指摘されたやに聞いておりますが、むしろ関西も関東もない全部同じような形態であるというのが最近の特色で、そういう地域的な特色というのは薄れつつあるというのが最近の総会屋の特色であろうかと思っております。
○岡本委員 こういったプロ株主というのか特殊株主、これが数十社に上るところの上場企業の単位株、五万円株ですか、こういうのを取得している実態のようですが、この莫大な資金はどこから手に入れているのだというようなことは警察庁はおわかりになりませんか。
○国松説明員 その点につきましてはかなり不透明な点がございまして、私どもとしてもしっかりつかんでいるわけではございません。かつては大っぴらにと申しますか、要するにいろいろと賛助金であるとかそういう名目でもらっておったわけでありますけれども、それが最近は少なくとも表向きはできなくなっておりますので非常に潜在化をいたしております。総会屋の検挙実態を見てみますと、そういった企業の方から恐喝であるとか、恐喝までいきませんでしょうけれども、もっといろいろな嫌がらせをやって不当な利益を得るというような傾向が最近は高まっておりますし、そういう中に資金源を求めているのではないか、これからもそういう傾向にいくのではないかという点は私どもも感じておるところでございます。
○岡本委員 プロ株主が株づけして、株づけした会社に対して数十項員に及ぶところの書面による質問状を送りつけておいて、逐一、一問一答を求められて混乱をするという実態があるようですね。これは商法の二百三十七条ノ三の第二項にあるわけですけれども、これでマラソンみたいに次から次へと時間を延ばしていくわけです。 そこで、先ほど民事局長がお答えになりました議長の権限、ここで打ち切るとか議長の権限についての解釈です。衆議院規則では第百三十四条の定めによって、これは本会議でしょうけれども、三遍を超えて質問してはならない、こういうことがあるわけですが、これに準ずるような議長の権限というものは、民事局長いかがですか。
○枇杷田政府委員 議長は法律の規定でもある程度の議事の整理はできることになっておるわけでございまして、余り同種の質問を繰り返してやるという場合には、現行法のもとにおきましても当然にチェックできると考えております。また、一括的な説明ということでも場合によっては十分であるという評価ができようかと思います。ただいま御指摘のように画一的に何回とかというふうなことがなじむかどうかという問題はございますけれども、定款なりあるいは総会で承認を得た議事規則のようなものを設けまして、内部規則的なことできちんと整理をするというやり方も可能であろうかと思っております。
○岡本委員 そうしますと、一つは会社側の答弁を一括方式で行う、もう一つは議事規則というものを最初につくっておくわけですか、それを議長が履行する。そういう場合、議事規則というのはどういうような規則にしたらいいのか、一遍法務省の事例についてお答え願いたい。
○枇杷田政府委員 議事規則は総会で決められるというのが一番筋であろうと思いますが、その内容といたしましては、法律が株主の経営についてのいろいろな意見を出せるように、あるいは疑義についての質問ができるようにということをねらっておるわけでございますので、その最小限度のことを制限するということは法律に違反するであろうと思いますけれども、そうでない限りにおいては合理的な議事運営の方法をその議事規則の中において定めることができるであろうと思います。 その場合にどういう規定を設けたらいいかということになりますと、これは一概に申し上げるわけでもございませんけれども、国会での議事規則なども一つの合理的な議事運営のモデルと申しましょうか一つの参考になり、そういうものを念頭に置きながらつくるということも考えられるところじゃないかと思っております。
○岡本委員 検察当局にお聞きしたいのですが、こういった特殊株主、嫌がらせ、こういうようなものの取り締まりについてどういう考え方を持っていらっしゃるのか、これをひとつお聞きしておきたいと思います。
○岡村政府委員 御質問の総会屋につきましては、これが暴力団等の資金源となっているような事情もございますので、これらの事犯を検挙いたしまして厳正に処理する必要がある、かように考えておるところでございまして、第一次捜査機関であります警察当局におきましてまずその取り締まりに当たっておられるところでございますが、検察当局といたしましても商法の規定その他刑罰法令に触れるような行為に対しましては厳正に対処いたしておるところでございます。
○岡本委員 いずれにしても現状は法施行当時の意図したところと大きく乖離して、株主総会の活性化、正常化が非常に阻害されておるように見受けられる。したがって、今後こういうものに対する立法措置はまだお考えになっていないのか、ちょっとこれをお聞きしたいと思います。
○枇杷田政府委員 新しい商法が施行されましてからまだそう年数だっておりませんが、その間会社側の方でもかなり研究をいたしまして、最近ではかなり議事運営についての心構えと申しますかやり方についての工夫がだんだんとなされてきているようでございます。それからまた、ただいまお話しざいましたような規則をつくって合理的な運営をしようというような機運もないわけではございませんので、次第に何と申しましょうか、そういうプロ株主の不当な活動というようなものができなくなる状況が出現するのではないかということを期待いたしております。ただ、現在の議長の権限の規定をさらに強化したらどうかとか、あるいは質問権についてもある程度の粋をはめてはどうかとかいうような御意見も出ておるわけでございますので、私ども当面すぐに法改正をしようということを考えておりませんけれども、そういうような御意見もいろいろな角度から検討はしてみたいというふうに考えております。
○岡本委員 あと特別養子問題あるいはまた靖国問題、いろいろ大分あるのですけれども、ちょうどもう本会議がありますので、このあたりできょうはやめて、次の機会にまたお尋ねしますが、いずれにしましても法務大臣、先ほどから三つのテーマについてあれしたわけですが、法務省としてもしっかりひとつ、何といいますか汚職のないように、あるいはまた国民の疑惑の起こらないようにひとつ頑張ってもらいたい。最後に御決意をお聞きして終わりたいと思います。
○鈴木国務大臣 先ほど来御答弁申し上げたとおり、法務行政一般につきましては国民に信頼されるような法務行政を私はやってまいりたいと思います。具体的な先ほど来のお話につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、検察当局が、刑罰法令に触れる問題でありますれば、これは厳正、適正に対処していただけるものと確信をいたしております。
○岡本委員 どうもありがとうございました。
○福家委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時二十三分休憩 ————◇————— 午後二時八分開議
○福家委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。横手文雄君。
○横手委員 私は、さきに行われました大臣の所信表明について若干の御質問を申し上げるわけでございますが、用意しました質問が大変古くなりましたので、多少旧聞に属する点もあるかもわかりませんが、大事なことでございますので確認の意味も含めて御質問を申し上げたいと存じます。 まず私は、中曽根総理の司法のオーバーラン発言について大臣並びに関係者に確認をしたいと思うのであります。 中曽根総理は、一月四日、新春恒例の伊勢神宮参拝の後、記者会見で、戦後四十年たち立法、司法、行政の三権の関係を見直す必要があると思う、行政が独善にならないように、立法が行うべきことを行っているか、司法がオーバーランすることのないように、三権が節度を持って調和していくよう正すべきは正していきたいと発言したと報道されております。しかも、これは衆議院の定数是正問題に関連しての発言であったため、最高裁の定数配分意見判決に対する不満の表明、司法権に対する疑念を表明し、暗に司法を牽制したのではないかという見方がなされたのでありますが、これに対する法務大臣の所感はいかがでございますか。
○鈴木国務大臣 お尋ねの総理の発言でございますが、私は伊勢神宮に同行しなかったものですからよく存じ上げないし、真意も存じ上げなかったのでありますが、その後総理からたびたび予算委員会、本会議等での御答弁がございました。それぞれ三権のあり方について述べたのだということでございますので、さすればこちらでそれに対して改めてどうこうということはないと考えておる次第でございます。
○横手委員 ただ一般的に述べたということで終わったのなら、なぜあの時期にああいう発言をされなければならなかったのか。黙っておられればいいわけであります。重ねてお伺いをいたします。 言うまでもなく、権力の分立制は近代立憲主義国家において国家権力から国民の自由を守るために欠かすことのできない原理原則だとされ、我が国においても立法、行政、司法の三権をそれぞれ個別、独立の機関に帰属せしめております。すなわち憲法第四十一条に立法権、六十五条に行政権、そして七十六条に司法権を明確にしております。このことによって三権が互いに抑制をし均衡を保つようになっております。この抑制と均衡が崩れ、特定の機関あるいは個人に権力が集中したときその国と国民にとって不幸が起こる、このことは多くの歴史や現実が示しているところであります。我が国における三権分立の機能の現状について大臣はいかに考えておられますか。
○鈴木国務大臣 憲法で定められたとおり、三権分立そのとおり守っていかなければならぬというふうに考えております。
○横手委員 重ねてお伺いいたしますが、しかるに、見方によっては人事権、予算編成権を有することから最強の権力だと見られている内閣の長たる総理大臣が唐突に司法権のあり方に関する発言をしたことはいかがと思います。かかる発言は不当であり慎むべきだと思いますが、大臣いかがでございますか。
○鈴木国務大臣 総理もたびたび答弁されておるように、さような真意ではなかったというようにおっしゃっているようでございます。私もそうであろうと考えております。
○横手委員 くどいようでございますけれどももう一遍念押しをさせてもらいますが、定数是正問題に対する最高裁の判決があった。そしてこのことが大きな話題になっているそのときに司法のオーバーランの発言があった。そして大臣にお伺いをしたら、いや、あれは通常のことを言っただけのことだ、こういうことでございますけれども、先ほども申し上げましたように、ならば黙っていなさればいいことでございまして、しかもそういう時期に行われた。しかも世間一般から見てやはり総理大臣というのは我が国における最高の権力者だという見方は非常に強いわけでございます。その方がおっしゃるということは、唐突にそういうことを言うべきではないと思うのでございますが、大臣いかがですか。
○鈴木国務大臣 先ほども申し上げましたように、私はそのときにおらなかったものですから表現の方法なり真意をよく承知いたしておらなかったのであります。その後、本会議なり委員会でお聞きしますと先ほど申し上げましたような御答弁であるので、それが真意であるならば別にどうこう言うことはないのじゃないかなというふうに考えておった次第でございます。
○横手委員 くどいようでございますけれども、大臣としてはその場にいなかったから、しかし後で知ってということでございますが、何かこういった問題が、我が国の司法権についてあるいは行政権についてというような議論が国会なり世論の中で多少あるときなら、これはまた総理大臣の発言としてもあるいはそういうこともあったかもわかりませんが、唐突にそういうことが言われた、そういうことを余り言うべきでないと思いますが、大臣どう思われますか。あれはお伊勢さんに恒例の参拝に行かれて、その後記者団を相手にして何にもないときに言われた。そういった国民の誤解を受けるようなことを余り総理が言うべきでないと思いますが、いかがですか。
○鈴木国務大臣 先ほども申し上げましたように、総理は三権分立のそのあり方について述べたというふうに言っておられますので、私は今の先生の重ねての御質問ですが、さように御理解をいただければと思います。
○横手委員 それでは関連して最高裁にお伺いいたします。 総理のこのような発言があったにしても、それによって左右されるような司法府ではないと確信をいたしておりますが、念のため今回の総理発言に対する最高裁当局の御所見をお伺いいたしたいと思います。加えて、裁判所の違憲審査権の行使に関する決意についてはどうか、あわせてお伺いを申し上げます。
○草場最高裁判所長官代理者 記者会見の際におきます総理の御発言につきましては私ども詳細に存じているわけではございません。ただ、その要旨として報道されておりますところあるいはその後の国会審議におきます総理の御発言からは、一般論として述べられたものというふうに理解しておりますので、そのことにつきまして私どもとしてとやかく申し上げる筋合いはない、かように考えております。 それから次に違憲立法審査権の関係でございますけれども、お尋ねの御趣旨は裁判所の具体的な裁判権の行使に関することでございますので、私から申し上げるのは適当ではなく、差し控えさせていただきたいと存じます。 ただ私として申し上げられますことは、裁判所は憲法及び法律に従って具体的な事件につきまして誠実に審理、判断をするのがその責務でございます。したがいまして裁判所といたしましては、最高裁判所であれ下級裁判所であれ、ただいま御指摘のような違憲立法審査権というものを念頭に置きながら、ただいま申し上げましたような責務を果たしますために努力してまいっておりますし、今後も努力してまいるもの、かように確信しているということは申し上げられようかと思います。
○横手委員 次は、憲法五十四条あるいは七条等の解散問題についてお伺いをする予定でございましたけれども、後ほど同僚議員がこの問題を特に重点に置いて質問をいたしますので、そちらの方に譲らせていただきたいと思います。 帝銀事件についてお伺いをいたします。 平沢問題につきましては当委員会におきましてもたびたび取り上げられてきたことは承知をいたしております。同人は既に九十四歳の高齢であり、死刑の執行がなされていないまま三十一年の長きにわたって拘置されております。したがって、このことを理由として減刑あるいは釈放を求める運動が続いておりますことも御承知のとおりであります。 嶋崎前法務大臣は昨年当委員会において、 この問題を取り上げられるときに、ある意味で は非常に深刻な気持ちを味わっているというの が実態であるわけであります。 しかし、死刑につきましては、御承知のとお り高齢を理由として死刑の執行を免除すると か、あるいは拘置を解いて釈放するということ は、法律上許される余地がないわけでございま すし、また死刑を言い渡された者は、再審で無 罪等の判決があった場合、あるいは恩赦があっ だというような場合にしか釈放されないという のが現実であるわけでございます。と答弁をしておられます。死刑の執行もできない、釈放もできないということであれば、ただ拘置所で死を待つのみとしか言いようがないのでありますが、この問題についてまず法務大臣の所見をお伺いいたします。
○鈴木国務大臣 ただいまお尋ねのありましたとおり、平沢被告はただいま五回目の恩赦の申請をいたして審理中でございます。また、十七回でしたかのこれまた再審の請求を出しておりまして、それまた審理中でございます。さような過程の中において私がいろいろ申し上げることは差し控えさせていただきたいと考えております。
○横手委員 そういった中で、あなたは法律の長としてこの問題についてどう見ておられますかということですが、所見はありませんか。
○鈴木国務大臣 その点も含めてひとつ答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○横手委員 ちょっと大臣わからないのでございますが、こういう状態の中にありますという中で、今大臣もおっしゃったように繰り返し再審請求その他恩赦の願いが出ておりますということなのですが、それのすべての法律の長として大臣はこれらの問題についてどうお考えでございますかということをお伺いをしておるのでございまして、これに物を言ってもらえないということになるとどうしようもないのですが。
○俵谷政府委員 事務当局から若干補足させていただきます。 この問題につきまして、大臣がお述べになったとおりでございますけれども、やや詳しく申し上げますと、大臣の御答弁のとおり平沢本人につきましては第四回目と五回目の恩赦の出願がなされております。そういう場合に中央更生保護審査会といたしましてはこれを慎重に扱う、審理いたすということになるわけでございますが、片や十七回目の再審請求が東京高等裁判所に提起されております。この恩赦をするかどうかという問題は、刑事におきます判決があることを前提として、その有効性を前提にしながら審理が行われるということになりますが、一方、再審におきまして判決の効力が争われております以上、司法機関によります審理の推移を見守るということもまた当然の立場であろうかと思います。 そのような状態の中で恩赦の審査あるいは再審が行われておるという状況でございますから、中央更生保護審査会の審理の状況なりあるいは再審の動向を見守るということが当然の立場ではないか、かように事務当局といたしましても考えておるわけでございます。 以上でございます。
○横手委員 私は、その再審請求なりあるいは恩赦、それらの問題が今どうなっておりますかということをお聞きしているのではございません。死刑の執行もされない、恩赦もない、釈放もない、こういうようなことで三十一年間も既に九十四歳になられた方がまだ拘置所に拘置されたままでございます。こういったことについて国民の皆さん方も非常に関心を持っておられるわけでございますが、大臣、このような状態をあなたはどうお考えになりますかということをお聞きしておるのでございます。
○鈴木国務大臣 先ほど来申し上げましたように心情はよくわかります、事情もよく承知いたしておりますけれども、今恩赦の審理中あるいは再審の審理中に、ここで私としてどうこうという意見を申し上げることはやはり差し控えた方がよろしいと考えております。どうぞひとつ御了解を賜りたいと思います。
○横手委員 恩赦の出願が五十五年、六十年に出されておるということは先ほど説明があったとおりでございますが、この審理の状態はどうなっておりますか。
○俵谷政府委員 御指摘のように、平沢につきましては昭和五十五年十二月二十二日に第四回目の特赦の出願がなされております。続きまして六十年の二月十四日に刑の執行免除の恩赦の出願がなされておるわけでございます。これを受けまして中央更生保護審査会におきまして審理をいたしておる、こういう状況でございます。
○横手委員 私がお聞きしておるのは、審査の状況がどういう形で、検討の方向は恩赦の方向を抱いておるのでございますかあるいは逆でございますか、こういうことをお伺いしておるのでございます。
○俵谷政府委員 御案内のように中央更生保護審査会は極めて独立性の高い機関でございまして、そこにおきましては慎重に審査が行われておる、かように承知しております。 その内容につきましては、私どもとしては余力承知いたしていないと申し上げるべきか、あるいはその内容につきましては審査会で慎重にやられておるところでございますので答弁を差し控えさせていただきたい、かように思っております。
○横手委員 先般私のところに平沢被告の養子となっておられる方だそうでございますけれども訪ねておみえになりました。そして平沢釈放のために国会議員の先生方の署名を集めておるから協力を願いたい、こういう依頼でございました。私はお断りをいたしました。それは、私がそのお訴えに対して反対だったからではございません。むしろ心情的にはその逆でございました。しかし我が国の裁判所が裁いたものを、そして法律をつくる立場にある者がこういった問題に署名をするということはいかがなものか、こういうぐあいに思ったものですからやめたわけであります。他の先生は御署名をいただいた方もございますというような話もございました。私はいろいろ話を聞きながら、しかし私にはできません、こういうことでお断りしたわけでございます。しかしそのときに、この種の問題については、生殺しというのでしょうか、一体全体どうなっておるんだこれは、こういう気持ちが大変強くしたのでございます。死刑の判決を受けて三十一年間、本人は九十四歳になっておる、執行されるでもない、幾ら再審請求してもどうしようもない。家族の皆さん方にしてみれば一体日本の国の法律は私のおやじをどうするのですか、こういう訴えであったのだろう、そしてたまらずに国会議員のところまでもこれらの署名を集めにこられたのだろうと思います。申し上げてまいりましたように私はその署名はお断りをいたしました。しかし、立法府にある者としてこれは仕方のないことでございますと突っぱねておくのは私の心が許さないような気がしてならなかったのでございますが、大臣、いかがでございますか。
○岡村政府委員 事務当局から若干御説明いたしたいと思います。 委員も御承知かと思いますが、刑事訴訟法上死刑の執行命令は判決確定の日から六カ月以内にしなければならない、ただし再審請求あるいは恩赦の出願などがなされておって、その手続が終了するまでの期間などは含まないという規定になっているわけでございます。平沢死刑囚の場合は、先ほど来御説明申し上げておりますように、これまで過去再審十七回、恩赦が五回という経過があるわけでございまして、こういった再審の請求中あるいは恩赦の出願中という期間がほとんどでございまして、そういったものが全くなかった期間というものはかなり短いわけでございます。こういった再審の請求や恩赦の出願がありました場合におきましては、その結論が出るまで必要に応じましてその推移を見守って執行を差し控えるということもやはり必要なことであろうかと思うわけでございまして、そういうような事情もありましたし、また現に再審請求、恩赦出願中でもございますので、その辺の推移を見守っておる、こういうような状態であるわけでございます。
○鈴木国務大臣 先生ただいまおっしゃったお気持ち、私も本当によくわかります。しかしながら、今政府委員から申し上げましたように、合法的にそういう手続をずっととられている以上、何ともこれはその期間はどうこうというわけにはまいらない、こういうような事情でございますので、どうぞひとつ御理解を賜りたいと思います。
○横手委員 そうすれば、今事務当局からの答弁の中で聞いておりますと、平沢被告については死刑の執行がなされないまま今日まで来ておるというのは、恩赦、再審請求、そういったものが次から次へと出されて今日までずるずる来ておるんだ、こういう解釈に立てばいいわけですか。
○岡村政府委員 そういうような事情もございまして、法務当局といたしましては再審請求あるいは恩赦出願のその推移等を見守っている、その間に相当の年数もたったし、現に再審請求、恩赦出願中でございますので、その推移を見守りまして慎重にどうするかを判断しなければならないと考えておるところでございます。
○横手委員 それではお聞きいたしますけれども、死刑が確定して執行されない死刑囚で七十歳以上の高齢者というのは何人おられますか。
○岡村政府委員 現在のところ二名でございます。
○横手委員 それらの人は刑の確定からどのくらいの年月を経過しておりますか。
○岡村政府委員 死刑確定後、一名につきましては三十年余を超えております。もう一名につきましては二十七年余になっております。
○横手委員 その刑の執行がなされてないという理由はどういうことですか。
○岡村政府委員 先ほど来も申し上げましたように、死刑の執行ということになりますと、これが執行されればもう回復し得ない重大な結果を招くわけでございます。したがいまして、法務当局といたしましても、死刑の判決が確定したというそのこと自体は尊重しなければならないわけでございますが、死刑の判決が確定いたしましても、さらに確定記録等を取り寄せまして、事務当局等におきまして十分精査いたしまして、死刑執行の是非、これを慎重に判断いたしておるところでございます。さらに、先ほど来申し上げましたように、法律上も再審の請求あるいは恩赦の出願があった場合においては六カ月以内に執行しなければならないというその期間の中に算入しないという規定になっておりますので、その趣旨も踏まえまして、そういった再審請求、恩赦の出願等がありました場合は、その結論が出るまでの間は執行を差し控えるということもまた必要なことであるわけでございます。 そういうような点をいろいろ考慮いたしますと、この二名につきましてはいずれも再審請求あるいは恩赦の出願、こういったものが数回行われているところであるわけでございます。したがいまして、そういったものの経過等を見守りつつ、どうすべきかということにつきまして慎重に判断をしなければいけない、こういうことで相当期間死刑の執行に至っていない、こういうことになるわけでございます。
○横手委員 大臣先ほど私は、養子の方がお見えになって、そんなことで署名もお断りをしました、しかし私の心はここにございましたというようなことを申し上げて、大臣としても君の心はわかる、こういうことで御答弁をいただいたわけでございますが、やはり我々も、例えば平沢死刑囚きょう九十四歳の誕生日というようなのが新聞等に載りますと、国民の皆さん方から一体全体これどうするつもりだ、ここまで来たら何らかのことがあってもいいんじゃないかというような声もよく聞きますし、私もそんな気がするわけでございますが、今局長の話を聞いておりますと、まことに冷たい法の前にいかんともしがたいということしかない。だから、現行法がそういう形だから局長にしてみればそれ以上の答弁はできませんということなんでございましょうが、大臣、法律をつくる長として、これは一遍、どういう形でいけばいいか私に今言えと言われてもその妙案はございませんけれども、何か考えてあげてもいいんじゃないかという気がするのでございますが、大臣いかがでございますか。
○岡村政府委員 事務当局から御説明させていただきたいと存じます。 先ほど来事務当局から御説明申し上げておりますように、現行法上は再審で無罪の場合と、恩赦によりまして身柄拘置の必要がなくなった場合以外は釈放される逆がないわけでございます。それ以上にさらに釈放すべき場合を拡張すべきかどうかという立法論であろうかと思いますが、一般論といたしまして高齢であるというそれだけの理由から判断すべきものではないと思うのでございまして、今以上に釈放すべき場合を拡張する必要はないというふうに考えておるわけでございます。ただ、いろいろな事情を考慮いたしまして死刑の執行が本当に適当でないというような場合はやはり恩赦という道、これが一つあるわけでございまして、これは中央更生保護審査会におきまして慎重に御検討されるところであるわけでございまして、そういうような事情を考え合わせますならば、今の時点で特に立法を行う必要はないのではなかろうか、かように考えておるところでございます。
○横手委員 刑事局長はそうおっしゃいました。そこで、次にまだ質問いろいろ残しておりますからこれで終わりますが、大臣、そういった人間の心で、法律に書いてあればそうかもわからないけれども、我ら心で生きておる、心も持っておる人間にとってみれば何か割り切れない、やるせないような気がするのでございますが、大臣そんな気がしませんか。
○鈴木国務大臣 先ほど来申し上げますように、私も本当によく事情も聞き、また先生等のそういった御意見を聞いて、確かにいろいろと考えさせられる面があるわけでございますけれども、今申し上げましたように私は法を守っていく立場にございます。その場合において、ここでうっかり何か申し上げて、いかにも期待を持たれるような、あるいはまた法を曲げるように誤解をされるような、そういうことであってはいけませんので、申しわけありませんが御答弁は許していただきたい、かように考える次第でございます。
○横手委員 私は別に大臣に法を曲げてくださいとかいいかげんなことをしてくださいとは断じて申し上げておりません。法はきちっと守るべきであるし、我ら法治国家の中にあるわけであります。しかし、それがどうもそぐわないときには変えるということが我々はまたできるのでございますから、そういったことも大臣の念頭の中にあればということを申し上げて、次に入ってまいりたいと存じます。 次に、定住外国人の処遇問題であります。 いわゆる指紋押捺が去年大変大きな問題になりまして、あるいは諸外国からもいろいろと意見も出された問題でございました。特に私はきょう、在日韓国人、台湾人の問題について取り上げてみたいと思うわけでございます。これらの人たちは戦争中に我が国に強制的に連れてこられた方々で、当時は日本人として来ておられたわけでございますが、敗戦と同時にこれらの人たちの国籍は移ったわけであります。しかし、こういった人たちに対して我が国は普通の外国人と違った形で、よく法百二十六号ということで言われておりますが、協定の永住人あるいは特例永住人、こういったことで特別な処遇がされておるところであります。 ただ、これらの人たちについてもやはり外国人は外国人扱い、こういうことでずっと続いてきておりますが、私は、もう三世以下の人たちの地位をもっと法的に安定をさせて、つまり準日本人的処遇の必要がありはしないか、こういう気がするわけであります。私ども福井県にもこういった人たちがたくさんおられます。子供らが大きくなってきますと日本人と一緒に遊んでいるわけでございます。ところが十六歳になると指紋持ってこい、こういうことでございますから、見ておりますと、そのときに途端に、それまで私もこの町内の一員だ、あるいは仲間の一人だということで打ち解けてきていた態度が何かこう一歩下がって、何といいましょうか、ひとみの輝きが失われるというのでしょうか、猜疑心に陥るというのでしょうか、言葉は適当でないかもしれませんけれども、そういった現象をよく見かけるわけであります。 つまり、この人たちは戦前日本の植民地政策によって日本に強制連行された人たち及びその子弟であり、今や二世三世がその大部分を占めるようになっております。彼らは日本で生まれ、日本語しかしゃべらず、日本社会との結びつきが非常に強く、もはや日本以外の地に生活の根拠を置くことは極めて困難な状態に置かれております。歴史的経緯から見て、彼らを一般外国人と切り離し、日本国民に準じた処遇をすることは当然であり日本政府の責任であると思うのでございますが、いかがでございますか。
○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。 我が国で出生いたしましたいわゆる二世、あるいは今後生まれるであろう三世、四世につきまして、生育ないし生活の環境あるいは実態が日本人とほとんど変わらないという状況がいよいよ濃くなってくるというのは事実であろうかと思います。我が国の国籍法のたてまえからいたしまして、帰化をするという場合以外にはこれらの人々もまた外国人として生活することになるわけでございます。その点、出生地主義をとっております諸国における状況と違った状況が出てくるというのは事実でございます。しかしながら、あくまで帰化という方途は存在するわけでございまして、現に毎年約五千人の朝鮮半島出身者あるいは台湾出身者が帰化をしておられるわけでございます。しかしながら、帰化の道を選ばずに外国人として生活することを選ばれる場合には、この人々の法的な地位が日本人と国籍に基づく相違が存在し続けるということもまた否定しがたい事実でございまして、これを無視することはできないのでございます。そこで出入国管理あるいは在留管理という観点からその対象として取り扱っていかざるを得ないというのも現在の状況に照らして考えればやむを得ないところであろうかと思うわけでございます。 先生既に御指摘のとおり、朝鮮半島出身者あるいは台湾出身者につきましては、先生も御指摘の歴史的な経緯を踏まえてその在留に関する限りは地位の安定化を図ってきたという経緯もございます。すなわち協定永住であり、あるいは特例永住でございます。いずれも時限法的な色彩がございました。そこで、現在ときどき話題になりますように、いわゆる第三世代、第四世代について今後どうするかという点は残っておるわけでございますが、この在留の地位の安定化ということにつきましては、当然そうした第一世代、第二世代についてとられた措置を念頭に置きながらさらに考えていく必要はあろうかと思います。しかしながら、外国人という立場を地位を保持することを選ばれる場合には、あくまで外国人として出入国管理、在留管理の対象としていかざるを得ないという状況は変わらないものと存じます。言いかえれば、外国人でもなく日本人でもない準日本人というカテゴリーの法的な地位を新しく設けるということは私どもとしては現在考えておらないのでございます。
○横手委員 おっしゃることはわかるのであります。外国人であり続ける間は日本人と何らかの区別が行われているということはよくわかりますし、また政府としても今日まで、公営住宅の入居問題だとかあるいは政府系金融機関の適用の問題、児童手当、国民年金、こういった問題について改正が行われてきたということは私も承知をいたしておりますし、これらについては敬意を表するわけであります。 ただ、繰り返して申し上げるようでございますけれども、過去における日本政府の植民地支配の責任を償い、これまでに与えたさまざまな不利益を救済するために、少なくとも協定永住人については外国人登録証の常時携帯義務、指紋押捺義務等は免除するというような特別立法の措置が必要ではありませんか、こう申し上げているのでございますが、いかがでございますか。
○小林(俊)政府委員 先生御指摘の点を検討いたしますには、これらの制度の由来あるいは実態について考慮を払う必要があろうかと存じます。 御承知のように、指紋押捺制度というものは昭和二十二年に外国人登録制度が導入されました際、あるいは設立されました際には存在しなかったのでございます。この制度が導入されましたのはそれから五年後の昭和二十七年でございました。実際に実施に移されたのはさらに三年後の昭和三十年でございますけれども、なぜこの制度が導入されたかと申しますと、それは昭和二十二年から昭和二十七年に至る五年間における外国人登録制度の混乱に起因するものでございます。すなわちその混乱は、朝鮮戦争といった事態もございまして、一たん朝鮮半島に帰国した人々が大挙して密入国してきたということによって生じたわけでございます。これらの人々によって不正登録あるいは二重登録、三重登録といった登録が実施されまして、そして入手した登録証明書を密入国者が携帯して正規在留者を装ったということによって我が国の外国人登録制度が非常な混乱に陥ったという事実があるのでございます。こうした事実を是正する必要上、二十七年に外国人登録法が制定されます際に指紋制度が導入されたという経緯がございます。もちろん情勢はその後鎮静化、安定化してきております。しかしながら、現在なお毎年約五百名に上る密入国者が摘発されて処理されておるのでございます。これらの密入国者はいずれも朝鮮半島出身者でございます。したがって、密入国を問題とする際に問題としなくてはならないのは、あくまでも朝鮮半島からの密入国ということに限られるのでございます。もちろん不法残留、これは東南アジアからの入国者によるケースが多うございますけれども、その点も考えなくてはなりません。しかしながら最も問題となりますのは、できれば正規在留を装うであろう人々、すなわち密入国者の問題でございます。とすれば、これらの人々が引き続き朝鮮半島から日本にやってきておる、今なお潜在している密入国者が大阪地方を中心にして数万に上るという状況の中で、彼らが装うであろう正規在留者は当然のことながら朝鮮半島出身者であります。したがって、朝鮮半島出身者であって、現在我が国に正規に在留している人々が正規在留者であることを証明する手段を設けることは、こうした観点からやむを得ないところであろうかと思います。言いかえれば、朝鮮半島出身者である永住者を、現在問題になっておりますような外国人登録制度の諸要件、端的に言えば、指紋制度の対象から外すとするならば、指紋制度が本来持って生まれたところの目的を達することができなくなるということがこの問題の解決を難しくしているということなのでございます。
○横手委員 かつて混乱があったということもわかりますし、今でもそういった密入国者が少なくないということもわかるわけでございます。しかし、だからといって、あの人たちをこういうことでいつまでも拘束しておくのはいかがなものかという気がするわけであります。 昨年の八月に、日韓外相会談において安倍外務大臣は韓国政府に対して、ちょうどこの問題が我が国でもかの国でも問題になっていたころでございましたが、制度の問題を含め引き続き誠意を持って努力する、こういう旨の約束をされたわけでございますが、これはその後どうなっておりますか。
○小林(俊)政府委員 先ほど御説明申し上げたところからある程度おわかりいただけますとおり、指紋制度につきましては固有の目的を持って導入され実施されておるものでございます。その目的は、もちろんその対象となる外国人に負担ないし苦痛を及ぼすことでは全くないわけでございます。したがって、そうした負担あるいは苦痛を及ぼすことなしにその制度の目的を達することができれば、あるいは達することのできる方法があれば、これを採用することをちゅうちょする理由は全くないわけでございます。そういう観点から昨年五月にも一定の措置をとったわけでございまして、またそれ以前にも、過去三十年間数度にわたる外国人登録法の改正の都度、要件の緩和を図ってきて今日に至っておるということでございます。 昨年秋におきます日韓外相間の討議の際提起されました日本側の方針の表明は私どもも十分承知しておりまして、それは外務省、法務省を含めました政府の立場でございます。私どもといたしましては、そうした負担を少しでも軽減しながら目的を達する方策をつくり出すあるいは探し出すあるいは制定するという方向で引き続き検討研究は進めておるところでございます。ただいま成立いたしました今年度予算におきましても、少額ながら物理的な、指紋制度あるいは指紋制度を含みます外国人登録制度の手段の開発、改善という面に向けての研究の経費も計上されておるわけでございます。私どもといたしましては、そうした経費の使用も含めまして指紋押捺制度の改善という方向に向けて具体的に研究を進めておるところでございます。既に昨年五月に一定の改善をいたしました際に設けました法務当局におきます特別の研究チームは引き続き研究の作業を進めております。こういう観点から、私どもとしては法務省限りの案であってもできるだけ早く何らかの案をまとめるべく努力をしておる段階でございます。
○横手委員 たくさん質問を用意しましたので、答弁の方を簡単にしてもらいたいのですが、私はそういった制度があることはよく知っておりますし、いろいろな経過があって今日まで変わってきておることも知っております。去年も改革したということでございましたので、どんな改革ですかといったら、今までは指をぐるっと回しておったのだけれども、ちょっとつけるだけでいい、今までは黒いあれを使っておったのだけれども、今度は白でいい、こういう改革をしましたと言われるのですが、私はそれを改革と言えるのかどうかという疑問もあります。私は今そういうことを言っておるのじゃなくて、少なくとも外務大臣がかの国に行って、一番問題になっておるときに、制度の問題を含め引き続き誠意を持って努力しますという約束をしてこられたのに、その後どうなっていますかということをお聞きしたのでございまして、なってなければこれからどうされますかということをお聞きしたのでございますから、そのことを端的に答えてもらえばいいわけでございます。大臣、内閣の一員として、特に大臣のところでこれをやられるわけですから、いろいろ大変だと思いますが、どうされますか。
○鈴木国務大臣 指紋制度あるいは登録証の常時携帯は、先生御承知のとおり五十七年の九十六国会ですか、そういう今の問題も含めて御審議いただき決定をしていただいて施行しているわけでございますけれども、一番問題になりますのは、ただいま政府委員からも申し上げ、また先生からもお尋ねがございました韓国人、台湾人、こういうものでございます。しかもそれが、二世までについては御承知のような協定ができておるわけですが、三世についてはまだそれが未確定ということで、これからの改善の資料にしようということで実は今三世の調査をいたしております。 先ほど申し上げましたように、密入国等の絶えない時期で、一般的にはなかなかそれを改善、改良というわけにはいかない、難しいかと思いますけれども、とりわけ今の韓国との問題につきましては、外務大臣の話し合いもあり、また総理と大統領との話し合いもあるわけですから、真剣にこれから取り組んでまいりたい、かように考えております。
○横手委員 国際社会の一員としてということで、我が国の外交の基本として国際相互主義という言葉がよく聞かれるわけであります。かの国でやっておったら我が国でやるということで、相互主義でいこうというのが我が国の外交の基本に流れていると理解をしておりますが、この指紋押捺問題等についても国際相互主義に基づいて行われるべきではないか、こんな気がしますけれども、実情はどうなっておりますか。
○小林(俊)政府委員 出入国管理につきましては、査証の免除といった点に関連いたしまして相互主義というのは一般的でございます。すなわち、査証免除協定によって、相互に一定の範囲内の入国についての査証を免除するということは行われております。 しかしながら、在留管理に関しましては相互主義というものを取り上げる余地は極めて限られているというふうに存じます。すなわち、例えば指紋の問題を例にいたしますと、ある国籍の人間については指紋の押捺を求める、ある国籍の者についてはこれを求めないということにいたしますと、行政上の実務の上から極めて難しい問題が生じます。それからまた指紋押捺を求める目的からしても、この押捺制度が非常に区々になるということになりますと、その目的を達成する上から非常に難しい問題が生ずるやに思われます。したがって、一般的に申しますと在留管理、入国とは別にいたしまして在留管理という観点から相互主義を導入する余地というのは極めて少ないものと私は考えております。
○横手委員 それでは次に質問を変えて、最近における指紋押捺の拒否、保留の実情あるいは押捺義務違反者に対する警察、検察の取り扱いの状況はどうなっておりますか。
○小林(俊)政府委員 指紋押捺拒否につきましては、昨年初め以来種々情勢の発展がございました。現在までの延べ数を見ますと、いわゆる押捺の拒否を行った件数は約三千五百名ということになっておりますが、そのうち逐次押捺をする者がふえまして、現在では千五百名内外に減少いたしております。また、これとは別に押捺を留保するというケースが昨年の夏以来目につくようになりました。これも累計いたしますと九千名内外という数に達したのでございますけれども、これもまた逐次説得期間内に押捺をする者が非常に出てまいりまして、現在では千名を割る、九百名を下回る数におさまっております。 これが現在の状況でございます。
○横手委員 警察の方で何かありますか。
○笠井説明員 警察が処理をいたしまして指紋押捺拒否事件として送致いたしたものが、昭和五十五年以降の数字でありますけれども六十七件になっております。
○横手委員 私は、そのほかに暴力団問題あるいは豊田商事事件、商法改正問題あるいはいじめ問題、これらの問題について各省庁に対して御質問を申し上げるということで予定をしておりました。そしてきょう御出席をいただいておると思いますが、もはや私の時間あと四、五分しかございませんので、これで終わりたいと思います。次の方にかわりたいと思いますので、各省庁の皆さん、せっかく質問通告しながらきょうはできなくなりました。お許しをいただきたいと思います。次の機会に譲らしていただきます。どうもありがとうございました。
○福家委員長 安倍基雄君。
○安倍(基)委員 三時半から官房長官が見えるそうでございまして、本当は官房長官を含めたいろいろ議論の方がよろしいのでございますけれども、なかなかお忙しいということなので三十分で我慢したものでございますから、それと余りかかわりがないと申しますか、イントロ部分的にいろいろお聞きしたいことがございます。 現在、大分ダブル選挙があるとかないとか、走り出したらとまらないとか、そういうようないろいろ御議論もございまして、新聞もそれをあおり立てる。雑誌も何か同日選挙はいいとか悪いとか、本当に毎日毎日そんな話ばかりでございますけれども、いわばダブル選挙問題というものは非常に重要な問題である。これは官房長官が来られてからも話をしようと思いますけれども、どうも日本の憲政上いいのか悪いのかという基本問題があると思うのでざいます。我が党はダブル選挙に反対しておりますけれども、それは単に勝つか負けるかというよりは、ある制度が有利か不利かということでもって、ダブルをやればどの党に有利とかどの党に不利とか、そういったような考えで解散を考えるというのはまことにおかしいという気がするのでございます。それは漸次議論を展開してまいりますけれども、これとの関連で私は第一に最高裁の事務総長にいろいろお聞きしたいのでございます。 サンケイ新聞の一月二十三日あるいは朝日新聞の三月三十日と、金丸幹事長の談として特に三月三十日のロンドンでのあれでございますけれども、「定数是正問題については、最高裁事務総長もいっていることだが、判決は首相の解散権まで否定したものではない。」というぐあいに金丸幹事長は言っているわけですね。実は私はこれを見て瞬間的に非常におかしいと思ったのです。と申しますのは、私が定数是正を論議したときに、最高裁長官に例の違憲判決の問題でどういった趣旨であるか委員会に来て説明してもらいたいということをいわば最高裁の担当者に申し出たのでございますけれども、そのときにその答えとしては、判決というものは一遍出ればだれもコメントできないんだ、最高裁長官といえども言えないんだということを語りました。となりますと、最高裁長官でさえもこの判決はこういう意味だということを言えないのにかかわらず事務総長がそんなこと言えるのかどうか。しかも事務総長の場合には、むしろ最高裁は違憲だったら今後無効にするかもしれぬ、今度の選挙を無効にするかもしれぬという少数意見さえある、そういう状況のもとに、最高裁の事務総長が、判決は首相の解散権を制約してないと言う権限がまずあるのかどうか。しかも最高裁のいわば判決の趣旨に沿う発言であるのかどうか非常に私は疑問に思ったわけでございます。この点につきまして、どういった事情で事務総長のこういう発言が行われたのか、その真意は何か、それが正確に伝えられているものであるかどうかということをお聞きしたいと思います。
○草場最高裁判所長官代理者 私は本年一月十七日付で最高裁事務総長を命ぜられました。その就任のごあいさつの関係で、一月二十日であったと思いますが、金丸幹事長のところへごあいさつに伺いました。その際、定数訴訟に関する最高裁判決の関係が話題にのぼりましたので、私といたしましては最高裁判決の内容は判決文のとおりであるという趣旨を申し上げたつもりでございます。
○安倍(基)委員 それでは判決文のとおりであるということは、判決は首相の解散権まで否定したものではないという意味の発言をなさったのでございますか。
○草場最高裁判所長官代理者 具体的な言葉といたしましては、最高裁判決は解散権については触れておりません、かように申し上げております。
○安倍(基)委員 ということは、解散権については触れてないけれども、解散して、その結果選挙が行われた現今の有効無効という問題は別個の問題であるということでございますね。
○草場最高裁判所長官代理者 裁判所のといいますか最高裁の事務総長といたしましては、最高裁判決で述べられているところ以外につきまして積極的にもあるいは消極的にも、ただいま御指摘のとおり評価する立場にございませんので、そういう趣旨で申し上げたつもりでございます。
○安倍(基)委員 それではこの新聞報道「判決は首相の解散権まで否定したものではない。」いかにも定数是正の例の訴訟、いわば違憲判決そのものが首相の解散権を縛っていない、であるから選挙をやってもいいんだというかのごとき解釈を一般に与えるのではないかと思いますけれども、この点いかがでございますか。
○草場最高裁判所長官代理者 私といたしましては、先ほど来申し上げておりますように単に事実関係について申し上げたにとどまっているもの、かように考えております。
○安倍(基)委員 それでは結論的には解散した場合に有効無効が問題になる。これはこの前の判決の少数意見に無効にすべきだという議論もございましたから、無効になる可能性もある。あるいは事情判決を出すかもしれぬけれども、無効になる可能性もあると解釈してよろしゅうございますか。
○草場最高裁判所長官代理者 御質問の御趣旨は裁判権の具体的な行使に関することでございますので、事務当局といたしましては差し控えさせていただきたいと思います。
○安倍(基)委員 差し控えるという意味がはっきりしないのですけれども、いずれにせよ私どもはコメントする立場にはないということで理解してよろしいわけですね。乱そういうことでございまして、この発言が非常に悪用されるというか、幹事長もそういったぐあいに理解し、首相もこの判決は全然形敵権まで縛ってないというぐあいに発表をしているわけでございます。 解散権論争についてはまたもう少し続けて行いますけれども、これは非常にミスリードであったわけでございます。その面で私はこの機会に、この事務総長の見解というものは自分は発言する立場にはないのだというぐあいに、訂正と申しますか、はっきりさせた形で外部に伝えられて結構でございますね。
○草場最高裁判所長官代理者 先ほど来申し上げておりますように、私としましては最高裁判決の内容は判決文のとおりであるという趣旨で申し上げたものでございます。判決文をお読みいただければ、最高裁判決が解散権に触れておりませんことは御理解いただけるものと、かように存じております。
○安倍(基)委員 言及していないことと選挙があったときの有効無効というのは、また別の問題だと思います。この点、みんなが非常に迷っているときにまずい報道が行われたなというぐあいに私は理解しております。これは、あるいは幹事長が誤解したのかもしれません。 官房長官が来られる前に技術的な問題をちょっとお聞きしたいと思います。 自治省の方にお聞きしたいと思いますが、よく今論議されているのは、もし違憲状態のまま解散が行われて選挙が行われるというときに、いわゆる選挙管理委員会がそれに対して反対をするとか、あるいはそれを要するにサボタージュという、言い方はあれですが、違憲の選挙はできないよというような問題が起こったときに、自治省としてはいわばどういう法的な権限がございますか。例えば選挙管理委員会がやらないというときに代執行ができますか。
○吉田説明員 衆議院の総選挙の件でございますが、私ども、まだ衆議院の総選挙の具体的な問題について準備をしているわけでもございませんし、またその想定も現在しているわけでもないわけでございます。御案内のように、現在衆議院議員の定数是正の問題につきましては、国会で鋭意御協議が進められているところでありまして、選挙事務を所掌いたします自治省といたしましては、その各党間の協議が早急につきまして、今国会で早急に定数是正が実現することを念願をいたしているような状況でございまして、このような基本的な立場に立っておりますので、そういう具体的な問題についてまで現在のところ想定をしていないわけでございます。
○安倍(基)委員 具体的に想定してないとおっしゃるけれども、万が一そういった場合には、どういうことになるのでございますか。どうもその辺が説明がちょっとはっきりしないのですが。
○吉田説明員 純法律的な問題としてお答えいたしますと、地方自治法百四十六条に代執行の規定がございますが、これは長の所管する機関委任事務を対象とするものでございまして、選挙管理委員会の事務は対象とされていないわけでございます。ただ、一般的な指揮監督権につきましては、公選法の規定なり地方自治法の規定によりまして、主務大臣が都道府県の選管なり市町村の選管を指揮監督することができるというふうにされております。
○安倍(基)委員 現実問題としてそういった事態が起こるか起こらないかというのはなかなかデリケートな問題でございますが、いざそういったことが行われたときには、国がかわって執行するということまでの権限は与えられてないと私は理解いたします。こういった点で定数是正なしの選挙を強行するということは、私はいろいろな問題点を含んでいると思うのでございます。 官房長官が来られる前のあれでございますので、それではもう一つ、むしろ非常に技術的な議論になりますので法制局長官に、官房長官が来られる前にいろいろ議論したいと思うのでございますが、解散問題。 首相は、解散権は憲法によって与えられた神聖なる権利であるということをしきりとおっしゃるのです。私は自民党の代議士に一体どこに書いてあるのかと言うと、どこにもわからないわけです。何条ともわからない。事実読んでみますと、なかなかはっきりと響いてないのです。七条、六十九条、いろいろ言われております。七条に書いてありますものは、天皇の国事行為として幾つかの行為は書かれている。その中に「衆議院を解散すること。」と書いてあるわけです。そこで、七条解散説をとる人は大体これで内閣ができるのだと言うのでございます。 まず、内閣法制局長官にお聞きしますが、解散をするといういわば詔書を読むとか儀礼的な行為は別として、いわゆる国権の最高機関である国会を解散する決定行為は、国事行為であるのか国政に関する権限に基づくものであるのか、どちらでございますか。
○茂串政府委員 お答え申し上げます。 ただいまの安倍委員の御質問は、解散権が一体どの規定によって行われるかということを前提としながら、実質的に解散すべきかどうかということといいますか、実質的に解散をすべきであるということを決定する権限は国政に関する機能であるかどうかということでございますが、それは国政に関する機能であるというふうに考えております。 〔委員長退席、村上委員長代理着席〕
○安倍(基)委員 それでは、憲法には天皇は象徴であって、国事に関する行為は行えるけれども国政に関する機能を有しないということを言っております。国政に関する機能を有しない天皇には解散権はないのですね。となりますと、いわば解散の詔書を読むとか儀礼的な行為はできても、天皇は解散を決定する機能はない。第七条は「内閣の助言と承認により、」と書いてある。ところが第三条にも国事に関する行為は内閣の助言と承認によるとなってございますので、第三条による「内閣の助言と承認」と第七条における「内閣の助言と承認」とは同一でございますか。
○茂串政府委員 同一でございます。
○安倍(基)委員 と申しますと、結論的には、いわゆる国政に関する機能を有しない天皇でございますから、それに内閣が助言と承認をして国政上の決定をすることはできないわけですね。でございますから、私がお聞きしたいのは、旧憲法における「輔弼」の概念と新憲法における「助言と承認」とは同一ですか、違いますか。
○茂串政府委員 お答え申し上げます。 旧憲法における「輔弼」の概念につきましては、当時からいろいろと説が分かれておったわけでございますが、結論的に申しますと、一番有力な説といたしましては、これは天皇を拘束しないというような説が有力でございました。それに対しまして、現行の憲法のもとにおけるいわゆる「内閣の助言と承認」の行為、これは天皇を拘束するということが学説的には定説になっておりまして、その意味の違いがあろうかと思います。
○安倍(基)委員 そこで、新憲法の「助言と承認」というのは、あくまで形式行為に対して付せられているのですね。だから、拘束するしないとはまた別に、戦前の「輔弼」というものは、統治権を総攬する天皇の実体的な決定権に関与するというか、天皇の名において国政を行ういわば実体的内容を持っておる。ところが、新憲法における「助言と承認」はあくまで形式行為に対するものであると理解いたしますが、いかがでございましょう。
○茂串政府委員 ただいまの安倍委員の説について同意を表する学説もあるわけでございますが、我々としてはそのような解釈をとっておりません。すなわち、憲法七条には天皇のいわゆる国事行為が列挙されておりまして、その第三号には、ただいま御指摘のように「衆議院を解散すること。」という文言が掲げられておるわけでございます。この衆議院の解散行為というのは、それ自体といたしましては高度の政治的な性質を有する行為であることは疑いのないところでございますが、このような行為につきましても必ず内閣の助言と承認が必要であり、実質的な決定権はその助言と承認を行う内閣が有しているのでございまして、天皇は内閣が実質的に決定したところに従って形式的、名目的な行為をなされるというふうに我々としては考えているわけでございます。したがいまして、そのような意味で内閣が、助言と承認をする立場にある内閣が、衆議院の解散につきましても実質的な決定権を持っておるというのが我々の見解でございます。
○安倍(基)委員 これは、国政に関する機能を有しない天皇に対して、いわば衆議院の解散の決定というのはさっきおっしゃったとおり国政行為ですから、それに対しては内閣は助言も承認もできないわけですね。ということは、結局は七条というのはもともとが形式行為だからこそ全く無制約的に書いてある。戦争直後に解散が行われた。そのときに、いわゆるGHQが不信任案の可決を要件とした。これが立法の精神であるということで、可決を要件としていわば解散が行われた。ところが、吉田内閣が鳩山をやっつけようと思って突然解散をした。それで昭和三十五年に違憲訴訟に対する判決が出た。そのときは確かに最高裁はその判断を避けたわけですね、御承知だと思いますけれども。 でございますから、非常にこの点があいまいにされてきておりますけれども、まさに国政に関する機能を有しない天皇、それに対しては内閣の助言権も承認権もないわけですな。さっき長官は、三条の「助言と承認」と七条の「助言と承認」とは同一であるということを言われました。ということは、国政に関する問題は助言と承認というものの全くらち外だ、国政に関する機能はもともと天皇はないんだということのパラレルで考えますと、今の七条解散というのは非常におかしい。いかがでございますか。 〔村上委員長代理退席、委員長着席〕
○茂串政府委員 先ほどもちょっと触れましたが、前提になる考え方が実は安倍委員と私の方の見解とは違っておるわけでございます。すなわち、「国事に関する行為」といいますのは七条に列挙されておりますが、その中には、先ほども申し上げましたように高度の政治的性質を有する行為、すなわち例えば「国会を召集すること。」とかあるいは「衆議院を解散すること。」というような行為も含まれておるわけでございまして、そのような国事に関する行為に対する助言と承認権を持っている内閣でございますから、そういう意味で、内閣がそのような行為につきまして実質的な決定権を有しているというのが我々の考え方でございます。その意味で、国事に関する行為は初めから全部形式的な名目的な行為である、したがって、七条の三号に言うところの「衆議院を解散すること。」という文言につきましても非常に形式的な行為というふうにとらえられてそういう説を言っておられるのだと思いますけれども、我々としましては、あくまでも文理からいいましても「衆議院を解散すること。」というふうに明定されておるわけでございまして、そういう意味で、国事に関する行為がすなわち非常に形式的な行為であるというふうにパラレルにイコールとして読んでいるわけではないのでありまして、七条三号で言うところの「衆議院を解散すること。」というのは、文字どおり実体的な意味の衆議院の解散である。ただ、それについては、先ほども申し上げましたように内閣の助言と承認が必ず要るわけでございます。それからまた天皇は、これは先ほどもお触れになったようでございますが、第四条等によりまして国政に関する機能は持っておられない。こういうことを総合的に勘案して解釈をいたしますと、やはりそういった衆議院の解散といったような行為につきましての実質的な決定権、これは内閣に属する、助言と承認を行う職務を有する内閣に属するというのが我々の考え方でございます。
○安倍(基)委員 法制局は内閣の御意見番でございますからどうしても内閣の立場で考えざるを得ないわけでございますが、私、実は今月下旬に発行される「ジュリスト」の憲法特集に投稿いたしましたら私の議論も採用してくれるというので、それをごらんになればいいかと思いますけれども、国家構造論からいって、これは言いっ放しになりますけれども、キングとか天皇の場合には統治権を持っているわけですね。それをいわば国会が制限をしている。その場合には、いわばキングあるいは旧憲法下における天皇は統治権を総攬していますから、いつでも解散権はあるのです。ところが、いわゆる象徴天皇、これはたまたま西独と似ているわけでございますけれども、西独においては、行政府と立法府が完全に対立して不信任案が通過したときだけいわば権限を与えている。これがまさに国家構造論的にいって正しい解釈であると私は考えます。この議論は、もう官房長官が来られましたから、もう少し、いわば技術的でない、実体的な話をしたいと思います。 官房長官、非常にお忙しいところありがとうございました。個人的には私は官房長官に対して非常に敬意を持っておるわけでございます。ただ、解散の問題につきましてはなかなかいろいろ……。つい最近官房長官は月刊現代に解散権の問題についていろいろ対談で書いておられますが、それを見ると前よりは少しはいい考えだな、こう見ておりますが、まず第一に官房長官にお聞きします。 ダブル選挙の問題でございますけれども、予算委員会でたしか私どもの大内書記長に対して中曽根総理が、ダブル選挙は既に先例があるよということを言われました。ただ、前回のダブル選挙は、不信任案が通過した、不信任案が通過すれば憲法六十九条によって総辞職か解散をするしかない。でありますから、もし不信任案が通過しない状況で解散権を行使するとすれば、これは憲政史上初めての例になると思いますけれども、その点はどう御認識していらっしゃいますか。
○後藤田国務大臣 私も先例はよく知らないのですけれども、恐らくや今おっしゃるように初めてのあれになるのではないかな。もしあればですよ。しかしそれは仮定の話ですから、解散はありませんから。
○安倍(基)委員 解散がないというお話でございますけれども、現実問題としてもうどうにもとまらないというぐあいに随分やっておる連中も多いわけでありまして、解散についてはうそを言ってもいいというような発言もあったかと聞いておりますが、そういった形の上で解散がございませんという御答弁は必ずしもそのまま受けるわけにはいかないのでございますけれども、ただ、これが初めてのケースになるということについてはお認めになったわけでございますね。 それでは、いろいろダブル選挙についての問題点があるのでございますけれども、一つはいわゆる緊急集会といういろいろ取り上げている問題がございます。衆議院の解散中は参議院は閉会になるけれども、緊急の場合は参議院の緊急集会を求めることができるという話になっております。それにつきましていろいろ議論がありまして、いや任期中なんだから、任期が切れないのだからいいとか、選挙中でも半分の人間を無理に連れてくればできるんだからいいとかいう議論がございますが、もともと五十四条というのがそういった事態を想定していない。でございますから、いわば政治的な、いざというときの空白を避けるというか、そういう状況のもとではいろいろ大義名分がなくては解散できないと言いますけれども、この場合にはよほどの大義名分というか、通常のケースの何十倍のというか、非常に高い意味の大義名分がなくてはいかぬ。この場合、前回と同じように憲法六十九条に言う不信任案の成立以外のケースでダブル選挙をやるのはおかしいと私は考えておりますが、いかがでございますか。
○後藤田国務大臣 安倍さんの御意見もわからぬではありませんが、内閣の解散権というのは、国政上重大な局面において国民に信を問うという立場から憲法上内閣に与えられた重大なる権限である、これは憲法上は内閣の権限は何ら制限を受けてない、私はこう理解しておるわけでございます。したがって、あなたのおっしゃったような意味もわからぬじゃありませんが、あなたの御意見では、参議院の方が半数改選になっておる、しかしこれはこういうことを予想してないんだ、こういうような御主張でございました。しかしいずれにせよ、国政上重要な場合に国会が不存在というわけにはいかぬという意味で参議院の半数改選ということを規定してあると私は思いますから、いかなる場合においても国会が緊急の事態に間に合わぬといったようなことはない、こう考えております。したがって、解散等についても、仮に同時に選挙をやっても憲法上は何ら制約はない、憲法第七条によって、内閣は国政上重大な事柄について非常に重大な局面において国民に信を問うことは可能である、私はかように考えておるわけで、そういった点についての憲法解釈については残念ながら安倍さんとは見解を異にしておる、かようにお答えをせざるを得ません。
○安倍(基)委員 長官が来られる前に私と法制局長官と憲法論争をしていたのです。七条解散説、六十九条解散説、いろいろございますけれども、基本的には国民の意思を問うという判断権がだれに与えられているかということが問題でございまして、これがいわば国家構造論的に言いますると、象徴大統領を有しておる西独はまさに不信任案の成立のときにだけ解散できるわけです。象徴天皇を有している日本の場合にはまさにこれとパラレルに考えるべきである。この問題は技術論になりますから、長官が来られる前にちょっと言ったのですが、この下旬に出る「ジュリスト」に私が投稿して採用になっておりますので、それを読んでいただければいいと思います。いずれにいたしましても、憲法上与えられたいわば権限だというのは、吉田内閣の突然解散以降非常に誤解されていると私は思う。これはもう一遍基本に戻って議論すべき問題であるかと思うのでございます。時間もあれでございますから、最後に時間がございましたらこの憲法論をもう一遍やりたいと思います。 三番目に、ダブルをねらってやる、これは非常に問題が多い。と申しますのは、ある制度がどの政党に有利であるとか不利であるとか、そういうことを中心に解散が一度行われた。するとこれが先例になる。長官はさっき私の問いに対して、もし不信任案通過以外のダブルが行われれば最初のケースになるということに御同意されましたけれども、もし今回ダブルをねらい撃ちで解散をするということになってどちらかの党が勝つ。比較的与党に有利と言われていますけれども、そうすると必ずや三年ごとにそういうことが行われる可能性が非常に大である。となると、大義名分を無理やりつくって解散に持ち込むという非常に悪い先例になるのではないかな、これはまさに我が国の民主主義の発達の上に好ましくないことではないかなと私は思います。したがいまして、本当の意味で国民に意思を問うべき大きな問題があればある程度のことはと思いますけれども、本来、不信任案が成立しなければ内閣の意思はそのまま実現できるわけですから、国民に改めて意思を問うべき問題はないわけです。でございますから、大義名分を無理に探し出してダブルを実行するということが一たん行われれば、これがあしき先例になると私は考えます。いかがでございましょう。
○後藤田国務大臣 私は、解散問題というのは残念ながら安倍さんと見解が違うのです。それはなぜかと言えば、あなたの話を聞いておりますと、ねらい撃ちをやるのはけしからぬ、こういうことですが、解散はねらい撃ちをやってはいけません。その点は同じです。しかし、衆議院議員というのは本来四年の任期を国民から与えられているわけですから、四年間国会議員として働くのが基本でございますから、いついかなる場合といえども解散はねらい撃ちをしてやるべき筋合いのものではない。それは、同時選挙であろうとそうでなかろうとその点は全く同じだと思います。ねらい撃ちじゃありません。そうじゃなくて、私が申し上げているのは、国政上重大な局面に立ち至ったときに、内閣に与えられた第七条による解散権というものはいかなるものによってもいかなる時期についても制限は受けないものである、私はこういうことを申し上げておるわけでございます。決してねらい撃ちなんということでやるべき筋合いのものではないということだけは間違いがございません。
○安倍(基)委員 ここで提示した問題は、一度そういう有利不利を中心として考えられたダブル選挙が行われると、それがあしき先例となって繰り返されるおそれがある、大義名分を無理につくり出すおそれがあると私は考えます。その点について御返答を承るうとしているわけです。
○後藤田国務大臣 私は、解散というのはそんなねらい撃ちをして有利不利でやるべき問題ではないという大前提に立って、国政上重大な局面に立ち至ったときに国民に信を問うのが解散であって、それでなければ四年間の任期を全うするのは当たり前の話なんですから、それを言っているのです。その場合に、その重大な局面が参議院の通常選挙と重なったところで一向に差し支えない、こういうことを申し上げているわけでございます。
○安倍(基)委員 重大な局面が何であるかという判断権につきましては、また振り出しの憲法論争になるのでありますけれども、短い時間のうちではなかなかお互いの議論というのはかみ合わない可能性もございましょう。 いずれにいたしましても、私の理解は、いわゆるねらい撃ち解散、本当の意味の大義名分というか国民の意思を問わねばならないという大問題のない限り、解散というものはすべきではない。先ほど申しましたように、特に緊急集会のルールをいわばオーバールールするようなこと、定数是正の問題もございますけれども、その点については、ダブルに焦点を絞った解散ということは邪道である、あしき先例であるということについては御意見は同じでございますね。
○後藤田国務大臣 私が言っているのは、先例をつくるために同時解散をやるんじゃないんだ、解散というのは、重大な局面に立ち至ったときに初めて、いかなる場合においても国民の信を問うためにやるのであって、本来的には衆議院議員といえども四年間の任期を全うするのが基本である、かように私は申し上げておるのです。
○安倍(基)委員 蛇足までにつけ加えますと、イギリスにおいては解散権がある。西独においては不信任案の可決のときにしか解散権はない。イギリスの場合には任期は五年でございますが、この五年が解散権とバランスして大体平均四年の任期となっております。したがいまして、日本の吉田内閣のいわば突然解散以来、その辺が非常にあいまいと申しますか憲法上問題がある。御承知だとは思いますけれども苫米地訴訟というのがございまして、二十七年の解散、三十五年にあれがあった。そのときに、これは司法権の範囲外であるということで実際上憲法判断を避けたわけです。むしろ私は最高裁の方にお聞きしたいところでございますけれども、定数是正、いわゆる一票の格差についての憲法判断をするならば、七条解散についてもう一遍憲法判断をすべきだと私は考えている。これは事務総長でございますから、最高裁の裁判官そのものではございませんから私はここで言いませんけれども、この点は必ず新しい問題として出てくると思います。先ほど申しましたように私、これは「ジュリスト」に書いてございますので、どうぞ読んでいただきたいと思います。 次に、巷間、定数是正法案が不成立の場合、それを理由に解散できるということを主張する者がございます。私は、それについては問題点がある。一つは、定数是正というものはいわゆる院の構成でございまして、国会そのものの問題である。これがおくれているから、それを理由に解散権を行使するということは、内閣が国会を懲罰できるという思想につながるということ。第二点は、内閣総理大臣は最大与党の党首である、当事者そのものである。それが外から、なかなかうまくできないから、おまえけしからぬということで解散権を行使するのはとんでもない。第三点は、もともと最高裁は違憲状態のもとにおける選挙を禁じているのであって、それがなかなか進まないからといって違憲状態の選挙そのものを強行しようというのは本末転倒の論理である。この三つの点から、定数是正がおくれているからといって、それを理由に解散するのは非常におかしい。 御記憶かと思いますけれども、私は六・六法案につきまして質問主意書を提出いたしました。私の質問主意書の趣旨は、違憲立法になるよ、二段ロケットで行こうと思うけれども一段ロケットがじき爆発してしまう、そういう違憲立法をすることはかえっておかしい。その回答は非常に簡単なものでございましたけれども……。前国会で成立しなかったことは必ずしも国会がサボったのじゃなくて、むしろ国会は違憲立法を避けたというぐあいに理解してもいい。でございますから、今国会で是正すべきは当然でございますけれども、それがおくれているからといってそれを理由に選挙を行うのは、本来はそういう違憲状態における選挙を禁じているのに、違憲状態がなかなか直らないから違憲状態のもとで選挙するのはまさに本末転倒である。この三つの理由によりまして、定数是正法案ができなかったら解散するのだというのは、まさに大義名分が全くないと私は思います。いかがでございますか。
○後藤田国務大臣 定数是正は、現在ともかく違憲状態が続いているわけですから、今国会で速やかに違憲状態を解消していただくことが最も肝心なことであろう、そういうことでございますので、今せっかく与野党間で話合いをなさってくださっておるので、この話し合いがまとまって一日も早く違憲状態が解消することを心から希望しておるわけでございます。これはまず大前提として申し上げておきたいと思います。 そこで今御質問の、定数是正ができなければそれを理由に解散をするということは大義名分にならぬではないか、こういうことでございますが、そうならないことの方が望ましいとは思います。しかしながら、それじゃ定数是正ができないままでいった場合に、解散権そのものが制約される、あるいはまた解散でなくても、定数是正ができないうちに任期満了になったときに一体どうなるんだ、他に法律はないではありませんか、他に法律がなければやはり現在の公選法でやらざるを得ない、そうでなれば今の違憲の判決というものは、このままこれを無効にすれば憲法が予期しておる憲法秩序が守れない、だから事情判決の法理で有効、私はそういう判決の趣旨だろうと思うのです。 今度は、その例を同じように考えますと、他に法律がないといったときに、選挙そのものができない、そうすると、国会というのは衆参両院二つで構成する、こういうことになっておるわけですから、任期満了を考えた場合に衆議院が不存在ということになる、これは逆に憲法秩序が守れないということになるわけでございますから、憲法秩序を守るという意味合いにおいても、私は一向に現在ある選挙法でやるということ、これは望ましいことではありませんけれども、やむを得ない措置ではないのか、かように理解をするわけでございます。
○安倍(基)委員 任期満了までにもしできなかったら全員が資格喪失というほどに私は厳しく考えております。しかし、解散権を確保するためにもう今国会中にやらにゃいかぬ、何が何でもやらにゃいかぬ、できなかったら解散だというような議論はまさに本末転倒であって、これはさっきの、解散権というのは絶対である、それを回復するためにはすべてを犠牲にしなければいかぬというような議論につながるわけでございます。 これは解散権の本質論になるわけでございますけれども、さっき長官が来られる前にちょっと話が出たのですが、キングあるいは戦前の天皇、これは統治権を総攬する、それを国会が制限するという形でございます。ところが日本の場合には象徴天皇になって国政に関する権限を持っていない。西ドイツの場合にも象徴大統領である。その場合には、行政府と立法府が完全に対立して不信任案が通過したときに初めて行政府の長に解散権が憲法上与えられているわけです。日本の構成は、まさに国家構造はそのとおりなんです。現在におけるいわば七条解散論というのは国際的に議論したら通用するとは私は思いません。これは憲法学者はもう一遍議論し直すべきだと思うのです。でございますから、だれが判断権を持っているかという問題なんです。国民の意思を問うということはおかしくない。国民の意思を問う、だれがその判断ができるのかという問題になりますと、この点はまた長くなりますから。 それではその次に、いわば是正されないまま解散できるかということでございます。任期満了のときまでには完全に直さなければいかぬと思います。是正されないまま解散できるかということにつきまして、一般的にはこれは法律論じゃなくて政治論だということを言われます。国民の意思を問うという場合に何が国民の意思であるかといいますと、それは非常に抽象概念でございまして、選挙を通じてわかる。長官も刑事訴訟法あるいは民事訴訟法を勉強したと思いますけれども、いわゆる手続規定、もし定数是正がされない場合には何が国民の意思であるかはっきりしない面があるじゃないか。要するに国民の意思が正当に反映されない状況だ、こう言っているわけです。でありますから私は、定数是正がされないままの解散・選挙というのは、問うべき国民の意思について、その国民の意思が正当なルートでもって出てこないということになりますと、これはいわば法理的な制約になる。単に政治的な制約だけじゃないと思います。この点についてはあるいは議論があるかと思いますけれども。今の解散権絶対の主張からいうとそうかと思いますけれども、しかし、国民の意思が何であるかという手続が非常に瑕疵があるときに国民の意思を問うことそのものに問題が出てくる。したがいまして、定数是正なきままの解散というのはその点でも問題があると私は思います。いかがでございますか。
○後藤田国務大臣 定数是正なきままに解散というものはやっちゃいかぬ、できない、あなたはこう言っているのですね。私は、それは一向に差し支えない、できることである。しかし、それが望ましいかどうかといえば、先ほど来言っておるように、それは望ましいと言っているわけじゃちっともありません。だから、ともかく議長の見解が出、そして衆議院が今国会で是正するという議決をしているそのこと自身ができないということになると、これは国会のまさに自律の機能が作動していない、こう考えざるを得ないでしょう。ならば、こういう重大なことであるならば、それは解散の理由になったって一向差し支えない、私はそう考えるのです。そのときにあなたは、六十九条でなければ解散できぬじゃないか、こうおっしゃる。これは、昭和三十年ころまでは理屈があり、いろいろ議論があったでしょう、あなたがおっしゃるように、しかしそれはもう今日、解散権というものは七条である。六十九条は、条文に書いてあるとおりに「不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。」文字どおりにこう読めばいいのであって、不信任の決議が成立しなければ解散してはいかぬというわけではちっともない。むしろ七条が今日の解散権の根拠規定になっておるということはもうこの三十年来定着しておるのじゃないかと私は思いますよ。それはあなたがおっしゃるように昭和三十年ごろまでいろいろ議論があったことは承知しているけれども、これはもう既に憲法の解釈上七条というものによる解散権の行使は定着しておる、こう理解する方がいいんじゃないでしょうか。
○安倍(基)委員 この問題は、七条解散、六十九条解散というのはもう本当に長い論文でもって論議しないとできない話ですから、さっきの「ジュリスト」を見ていただければいいのですけれども、それはまた日を改めて議論したいと思います。 いずれにいたしましても、いわゆる大義名分を探してやる解散はおかしい。もう一つは定数是正を理由にする解散は、さっき申しましたまず首相が国会を懲罰できるという議論、二番目が要するに首相自身が最大与党の党首であるという責任論、三番目がいわばおくれているということの理由でもって最高裁が一番禁じている違憲状態のもとの選挙を行うという意味で、三つの理由で非常に問題があると私は思います。 もう時間もございませんから最後の一点でございますが、保利書簡というものがございます。保利元議長ですね、非常に良識的な方でございまして、七条解散は認めるとしても幾つかの事例に限るべきだ。イギリスなんかも解散できるといっても憲法上の習律といういわば一つのあれがございまして、いろいろむちゃな選挙をやると必ず負ける、一つの習律ができている。日本の場合もそういう習律と申しますか良識を持った一つのルールをつくる必要がある。例えば今の定数是正できなかったら解散というのも、私の論理からいっても非常におかしい。というのは、本来は任期中にきちっとしたものをやればいいのであって、いわば解散権欲しさのための是正というのはまことにおかしい。そういったところでございまして、長官の保利書簡についての御見解をお伺いしたいと思います。いかがでございますか。
○後藤田国務大臣 保利書簡は保利書簡として私はそれなりの評価をいたしております。 ただ、この際安倍さんに申し上げておきたいのは、定数是正ができないということを大義名分にしてねらい撃ちをして同時選挙をやるんだというような前提でのあなたの御質問に対しては、一番最初私は申し上げているのですよ。この点お間違いのないように。だからしれは解散権をめぐっての憲法論議をしておるのであって、一般論議をしておるのであって、決して今解散を考えてない、こう総理大臣御自身が言っているのですから、それはそのまま額面どおりに受けとめておいていただきたい。どうも安倍さんの話を聞いていますと、何かしらん内閣はやるんじゃないかという前提に立っての御質問のようですから、それはその前提が間違いである、そのことだけは申し上げておきたい。
○安倍(基)委員 今の問題につきましては、私は何も解散を恐れているというのじゃなくて、そういった悪い先例をつくってはいかぬというのがまず第一点でございます。しかも、公定歩合と解散についてはうそを言ってもいいというような説がよく流布されておる。今や大勢の若い連中が一生懸命走り始めている。どうにもとまらないという格好でもって解散にずれ込もうかというかのごとき空気になりつつある。でありますから、もし官房長官がここで解散をしないと言えば、これは額面どおり受け取っていいわけですな。これは総理じゃございませんけれども、総理のいわば分身としての官房長官が、ここで解散は考えてない、ねらい撃ちのいわばダブルみたいなことは要するに条理に反するというぐあいに考えておられるならば、額面どおりそう理解してよろしいわけですね。
○後藤田国務大臣 条理の問題は別として、総理大臣御自身が解散は考えてない、こうしばしば言明をしておりますから、この言葉は文字どおりに、その額面どおりに受けとめておいていただきたい、かように思うわけでございます。
○安倍(基)委員 もう時間も参りましたから、もしこういったねらい撃ちのダブルをやれば、しかも定数是正がはっきりしないうちにやれば、まさに憲法上あしき先例となる、そういったことを勘案して、長官も総理もまさに額面どおり解散を今考えてないということで理解してよろしゅうございますな。——では、そういうことで私の質問を終わります。
○福家委員長 柴田睦夫君。
○柴田(睦)委員 私もただいまの同僚議員の質問と同じように解散・総選挙問題についてお伺いします。 まず最高裁判所の方に、去年の七月十七日に、昭和五十八年十二月十八日施行の第三十七回総選挙、この効力に関する判決が言い渡されておりますが、その骨子をまずお伺いしておきたいと思います。
○上谷最高裁判所長官代理者 お尋ねの昭和六十年七月十七日の最高裁判所大法廷判決の骨子の部分でございますが、「現行の議員定数配分規定は、昭和五十八年十二月十八日の総選挙当時、憲法の選挙権の平等の要求に反し、全体として違憲である。」このようになっております。
○柴田(睦)委員 現行の議員定数配分規定は、さきの総選挙当時、憲法の選挙権の平等の要求に反し、全体として違憲である、こういうふうに最高裁判所判決が示した理由の要点、これは法制局の方に述べていただきたいと思います。
○工藤(敦)政府委員 お答えいたします。 最高裁判所の昭和六十年七月十七日の判決でございますが、現行の衆議院の定数配分規定につきまして、次のような理由で違憲である、こういうふうに判示しております。 すなわち、この判決は、現行の衆議院定数配分規定のもとにおいて、昭和五十八年十二月の衆議院議員の総選挙当時、選挙区間における議員一人当たりの選挙人数の較差が最大一対四・四〇に達していたことにつきまして、まず、 本件選挙当時の右較差が示す選挙区間におけ る投票価値の不平等は、選挙区の選挙人数又は 人口と配分議員数との比率の平等が最も重要か つ基本的な基準とされる衆議院議員の選挙の制 度の下で、国会において通常考慮し得る諸般の 要素をしんしやくしてもなお、一般に合理性を 有するものとは考えられない程度に達していた ものというべきであり、途中若干飛ばしまして、 他に、前記投票価値の不平等を正当化すべき特 別の理由を見出すことはできない。したがつ て、本件選挙当時において選挙区間に存した投 票価値の不平等状態は、憲法の選挙権の平等の 要求に反する程度に至っていたものというべき である。さらに著手記述がございまして、その後に、 本件において、投票価値の不平等状態が違憲の 程度に達した時から本件選挙までの間に右較差 の是正が何ら行われることがなかったことは、 投票価値の不平等状態が違憲の程度に達したか どうかの判定は国会の裁量権の行使として許容 される範囲内のものであるかどうかという困難 な点にかかるものである等のことを考慮して も、なお憲法上要求される合理的期間内の是正 が行われなかったものと評価せざるを得ない。 したがって、本件議員定数配分規定は、本件選 挙当時、憲法の選挙権の平等の要求に反し、違 憲と断定するほかはない。以上でございます。
○柴田(睦)委員 最高裁の判決を見ますと、昭和四十七年十二月十日の第三十三回総選挙、これは私の属している千葉一区のことでありますが、それからその次の昭和五十五年六月二十二日の第三十六回総選挙、これに対しても選挙の効力に関し判決がありましたが、昨年の判決では、最高裁判所は今の二つの判決との関連をどういうように位置づけておりますか。判決は何と言っておりますか。
○上谷最高裁判所長官代理者 昭和六十年七月の大法廷判決は、その理由の第一におきまして選挙権の平等と選挙制度について詳細に判示しました上で、その5におきまして、「以上は、最高裁昭和四九年(行ツ)第七五号同五一年四月一四日大法廷判決及び同昭和五六年(行ツ)第五七号同五八年一一月七日大法廷判決の趣旨とするところであり、これを変更すべき理由はない。」このように判示いたしております。
○柴田(睦)委員 では法制局の方に伺いますが、そうしますと今の判示それから三つの判決を見まして、定数問題の不平等に関する最高裁判所の判例は、いわばもう定着した、確立された判例というように解釈してよいものだと思うのですが、いかがですか。
○工藤(敦)政府委員 ただいま最高裁事務総局の方からお話がございましたように、昭和六十年七月十七日の最高裁判決は、昭和五十一年四月十四日の判決及び昭和五十八年十一月七日の判決の趣旨を述べた上で「これを変更すべき理由はない。」こういうことでございます。最高裁判決の趣旨とするところは一貫して変わっていないものと理解しております。
○柴田(睦)委員 では、大臣にちょっとお尋ねします。 先ほどから問題になりました、現行定数規定を是正しないまま解散・総選挙が行われる。これは現実の問題としてとらえなくていいのですが、理論の問題として解散・総選挙を行えば、今までの経過から見て必ず選挙無効の訴訟が国民の間から起こされる、いろいろ出てくると思いますが、今までの最高裁判所の判決から見て、そういう状況で裁判が出された場合は裁判所とすればやはり憲法違反であるという判決が下されることになると思いますが、大臣もそう思われますか。
○菊池(信)政府委員 ただいまの点でございますが、私どもとしましては判決の内容から申し上げることができるだけでございますが、先生御存じのように、昨年の七月十七日の大法廷判決には十四人の裁判官が関与されまして、多数意見は十三人の方によって構成されております。そのうち五人の方が補足意見をおつけになりまして、その五人の補足意見の内容については、これも先生御存じのとおりでございますが、現行の定数配分規定のまま選挙が行われた場合には最高裁判所としてはもう事情判決という道はとらない可能性があるということを示唆しておられます。したがいまして、この五人の方々が今後さらに判決に関与されれば、その方々は同様な御判断をなさるということは推測されますけれども、その余の方々については再度事情判決という方針をおとりになるのかどうかにつきましては、にわかに予測はいたしかねるのではないかと思います。
○柴田(睦)委員 私は事情判決とか無効判決とかを聞いたのではなくて、定数配分規定は憲法に違反する、そういう判決は少なくとも出るということでしょう。(菊池(信)政府委員「はい」呼ぶ)では、定数配分規定が憲法違反であるということを知りながら解散をする。そして、解散をすれば当然総選挙ということになるわけですが、そういうことになれば憲法を擁護する義務を定めた憲法九十九条に違反する国務行為を行うということになるのではないでしょうか。
○工藤(敦)政府委員 憲法九十九条におきましては、「公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」こういうふうに規定してございます。ただいまお話しのように、最高裁判決によって定数配分規定が違憲とされました以上は、御指摘の憲法の規定の趣旨にかんがみまして早急な法改正、これが実現されなければならないことは申し上げるまでもないと存じます。 ところで、仮に法改正が行われないままに衆議院議員の任期が満了するというふうな場合について考えてみました場合に、総選挙を執行することができないということでございますと衆議院の不存在、こういう事態にもなるわけでございます。いわば憲法の予想しない事態というふうなことになるわけでございます。したがって、このような場合に、仮に違憲とされた定数配分規定に基づくものでありましても総選挙を執行することが憲法全体の秩序を全うすることになる、かように解されますので、そのような総選挙の執行が御指摘の今の憲法九十九条の規定の趣旨に違反するものとは考えられないわけでございます。それで、それと同じことわりは解散の場合の、解散権が行使された場合の総選挙についても妥当するもの、かように考えておりまして、したがいまして解散権の行使、それに引き続きます総選挙、こういうものが憲法九十九条の趣旨に違反するということにならないのではないか、かように考えます。
○柴田(睦)委員 要するに憲法違反の総選挙をやる、総選挙をしなくちゃならないということがわかっていてあえて解散をする、議員の任期は四年あるのにあえて解散する。こういうことは、要するに是正がされないままやる。これは全く間違ったことで、憲法を守るない態度だと言わなければならないと思うわけです。そういう状況で総選挙を行えば、結局憲法に違反する方法で国権の最高機関である国会をつくり出すことになりますし、そうしてつくり出された憲法違反の国会というのが、有効無効は別ですよ、憲法に違反してつくられた国会が指名した総理大臣の地位も、理論的にはやはり憲法に違反した地位にある。それから、その憲法に違反した状況ででき上がった総理大臣によって任命された大臣というものの地位、国務大臣の地位もやはり憲法違反である。こうなってまいりますし、最高裁判事も内閣が任命するものですから、憲法違反の内閣によって任命した最高裁裁判官は憲法上の正当性を持っていない。そしてまた最高裁長官は内閣の指名によって天皇が任命するものですから、最高裁長官も憲法上の正当性がない。純理論的に見ていくとこういうことになってしまう、こう見ざるを得ないと思うわけです。 国家権力の憲法上の正当性というのは、これはすべて国民が憲法に従った方法で国権の最高機関をつくり出すというところに根拠を持つものであります。この最初のところで憲法違反の行為、違憲の定数配分規定に基づいて解散して総選挙を行う、こういうことがあれば、これは立法、司法、行政の三権についてすべて憲法上の正当性がなくなってしまうわけです。定数是正ができなければ国民の信を問うために解散する、そういうことが巷間一部の人に言われますけれども、あるいはまた解散権は何物にも制限されない、こういうことを言っている者がありますが、最高裁の判断が現行の定数配分規定が違憲であるということを明確に示している以上、憲法に違反する総選挙と連動する七条の解散権、これは憲法上当然制約される。これは六十九条の不信任の場合の解散の問題とも違うし、また任期満了の場合の総選挙とも違って、まだ任期があるのに定数是正しないまま解散する。だから、当然総選挙と連動する解散になるわけですから、この解散権はやはり憲法上制約されていると考えて当然じゃないかと思うのですが、所見を伺います。
○工藤(敦)政府委員 最高裁判決によりまして現在の衆議院議員の定数配分規定が違憲とされました以上、定数配分規定の改正が急がれることは、これは当然のことでございます。 ただ、それはそれとしまして、定数配分規定の改正前の衆議院解散権の行使が法的に制約されるものではないということは、これまでも政府が繰り返し述べてきているところでございますが、それはやはり解散権につきましては内閣に与えられました最高の機能である、こういうふうなことが言われている等の理由で従来申し上げているところでございます。ただいま先生御指摘のように、解散のときというふうなことをおっしゃられましたが、任期満了に伴う総選挙あるいは解散に伴う総選挙、そのいずれをとりましても総選挙を行わなければ衆議院が組織されない、不存在になってしまう、こういうことは憲法秩序全体から考えまして到底放置できないわけでございまして、総選挙を行わなければならないわけでございます。その場合に選挙を執行する手続というものは公職選挙法でございます。現行の公職選挙法に基づいて総選挙を行うほかはないわけでございます。それがまた憲法全体の秩序を全うする、こういうことになろうかと考えます。
○柴田(睦)委員 解散権というものを制限されないという態度で言われますけれども、結局憲法違反の国務行為を行うということと連動する解散ということになるわけです。ですから三権分立の考え方で立法府との対立があるとか、そういうことから不信任案が通った、あるいは任期満了で総選挙をやらなければならない、この場合とは事情が違うと思うわけです。やはり定数是正を最高裁判所から指摘されているわけですから、当然憲法の趣旨を生かした正しい定数是正が行われなければなりませんが、そのため、まだそれがやれる期間があるにもかかわらず解散をする、そして違憲の選挙を行うということは憲法の趣旨から見ても制限されるというふうに考えなければならないと思うわけです。そういうことを考えないで解散ということは甚だけしからぬことだと思うのですが、最高裁判所が解散権行使の効力に関して判決を言い渡した事例というのは何件ありますか。そしてまたどういう結論を出しておりますか。
○上谷最高裁判所長官代理者 衆議院の解散の効力のありなしにつきまして判断をいたしました最高裁判所の判決の事例はこれまでには見当たらないようでございます。 ただ、昭和三十五年の六月八日の大法廷判決というのがございます。一般にはいわゆる苫米地判決というふうに言われておるものでございますが、この判決の中で多数意見がいわゆる統治行為の理論というふうに言われておりますが、それを判示しておりますので御紹介いたしますと、結論部分でございますが、 衆議院の解散は、極めて政治性の高い国家統治の基本に関する行為であって、かくのごとき行為について、その法律上の有効無効を審査することは司法裁判所の権限の外にありと解すべきことは既に前段説示するところによってあきらかである。そして、この理は、本件のごとく、当該衆議院の解散が訴訟の前提問題として主張されている場合においても同様であって、ひとしく裁判所の審査権の外にありといわなければならない。 このように判示しております。
○柴田(睦)委員 結局、解散の効力について一審二審は判決したけれども、最高裁判所は統治行為論をとって判断を避けたというのがあの裁判例だと思うわけです。 そこで、先ほどちょっと言われましたが、去年の七月十七日の最高裁大法廷は十四名の裁判官で判断されておりますが、その中で木戸口、谷口裁判官の少数意見がありますが、その骨子をちょっと述べていただきたいと思います。
○上谷最高裁判所長官代理者 反対意見として記載されておりますのは谷口裁判官の意見でございます。長くなりますが要点だけを申し述べますと、谷口裁判官の意見に従いますと、議員定数配分規定が全体として違憲であるため、これを無効と評価するとしても、この規定に基づく選挙の全部が当然に無効となるものではない。すなわち、 本件のような訴訟が公職選挙法二〇四条の規定に乗せて許容されるものである以上、個々の訴訟において裁判所が無効と宣言した選挙区の選挙のみが無効となるのである。 このようにまずおっしゃった上で、 議員一人当たりの選挙人数の全国平均からの乖離が上下五〇パーセントを超える選挙区に限り、右に述べた選挙の結果に異動を及ぼす虞があるものとして、当該選挙区の選挙を無効とすべきものと思う。 このように書いておられます。そしてこの基準によりまして選挙区の選挙を無効とすべきこととなる場合には、再度事情判決的処理をすることは憲法九十八条の規定から考えてもすべきではないと信ずるので多数意見に賛成することはできない、このように判示されております。 それから今お話のございました木戸口裁判官の意見でございますが、木戸口裁判官の意見は反対意見ではなくて補足意見というふうに記載されておりまして、木戸口裁判官の補足意見の要点は、 本件選挙について前記のような趣旨を含む事情判決的処理がされたにもかかわらず、なお国会が議員定数配分規定の改正を行わないため、同一の違憲の議員定数配分規定に基づき選挙が行われたときは、もはやその選挙につき重ねて事情判決的処理を繰り返すことは相当でなく、(中略)原則どおり、当該選挙を直ちに無効とするか、又は少なくとも一定期間経過後に選挙無効の効果を生ずるとの判決をすべきものと考える。 これが結論部分でございます。
○柴田(睦)委員 では、ちょっと申しわけないですが、もう一つ寺田前長官、それから木下、伊藤裁判官、それから矢口現長官四名が補足意見を述べておられますが、この結論部分をちょっと……。
○上谷最高裁判所長官代理者 寺田裁判長、木下、伊藤、矢口裁判官のそれぞれの補足意見ですが、これも結論部分を申し上げますと、 是正措置が講ぜられることなく、現行議員定数 配分規定のままで施行された場合における選挙 の効力については、多数意見で指摘する諸般の 事情を総合考察して判断されることになるか ら、その効力を否定せざるを得ないこともあり 得る。その場合、判決確定により当該選挙を直 ちに無効とすることが相当でないとみられると きは、選挙を無効とするがその効果は一定期間 経過後に始めて発生するという内容の判決をす ることも、できないわけのものではない。とされて、その理由をさらに説明しておられます。
○柴田(睦)委員 では最高裁、結構でございます。 結局この問題をめぐっていろいろ議論がされますけれども、私は定数是正が行われないまま任期を残して不信任案が可決されるというようなことがなくて七条解散が行われるということになれば、これはもう憲法違反の選挙をやるための解散である、こういうことになっていくと思いますし、将来についても裁判でどういうことになっていくか、これも重大な問題だと思うわけです。多くの国民は、ともかくそういう状況で選挙をやればこれはもう憲法違反の選挙だと考えますし、特に選挙の事務に携わる都道府県職員、あるいは選挙を管理する都道府県の選挙管理委員会の委員の中にも、やはり憲法違反の選挙ではないかというように考える人がたくさんいると思うわけであります。 公職選挙法の第一条は、この法律は、日本国憲法の精神にのっとり、選挙が公明かつ適正に行われることを確保し、もって民主政治の健全な発達を期することを目的とする、こうありますし、第五条第一項で、選挙に関する事務は、衆議院議員の選挙については都道府県の選挙管理委員会が管理する、こうなっております。ところで、都道府県の選挙管理委員会は地方自治法の百八十一条ないし百九十四条に規定がありまして、地方議会において選挙された委員四名で構成されております。そして、衆議院議員選挙を管理する独立の執行機関とされております。 四月三日付の東京新聞が全国の都道府県選挙管理委員長にアンケートをとってそれを発表しておりますが、これを見てみますと、違憲の選挙で混乱が予測されると回答した者が三名おりますし、ほかに東京や愛知や福岡、こういった六都県でも混乱や支障の可能性を否定していないということが報道されております。選管の委員長というのは大体自民党の方の推薦の人がなっているのが大部分だと思うのですが、そういう選挙管理委員長でさえこの混乱を心配しているという状況であるわけです。そしてまた、選挙管理委員長が言うまでもなく多くの人たちが早期の定数是正を求めておられます。各都道府県選管のほかの三人の選挙管理委員というのは野党系の推薦による委員であって、定数是正をしない解散総選挙は憲法違反と考える者が多いと思います。 そこで自治省にお伺いしますが、多くの都道府県選挙管理委員会が違憲の総選挙は法律の遵守義務から管理執行事務は行わないと決めた場合は一体どうなるのか、これまた純法律論になるかと思いますが、そういう点で答えていただきたいと思います。
○吉田説明員 選挙管理委員会というものは本来、厳正中立の機関として選挙を公正に執行することをその職務といたしまして設置されているものでございます。したがいまして、そういった選挙管理委員会が選挙事務を行わないということはあってはならないことだと思っておりますし、またそのようなことはないものと私どもは信じているわけでございます。したがいまして、いかなる場合におきましても、選挙管理委員会においては選挙を厳正中立に実施していくというふうに考えております。
○柴田(睦)委員 この選管委員長のアンケートを見ても、現実問題として私が言ったようなことがあるわけですから、それは理論的にどうなるのか、さっきは代執行はできないということを言われました。そうした場合、要するに実施について従わないというようなことがあれば、公選法に従って実施してもらうように指揮監督をするということであろうかと思いますが、そういう指揮監督によってもなお憲法違反の選挙だ、だから良心に従ってそういう事務はできない、公選法第一条の「憲法の精神に則り、」ということから見ても実施できない、こう決めた場合はどうなるのかということなんですが、これには何か方法があるわけですか。
○吉田説明員 都道府県選管に対する指揮監督の関係でございますが、先ほども申し上げましたように、地方自治法百四十六条の代執行の規定は長の所管する機関委任事務を対象とするものでございますので、選挙管理委員会の事務は対象とされてはおりません。しかしながら、選挙に関する事務につきましては、一般的に公選法第五条第二項によりまして、自治大臣は、都道府県の選挙管理委員会を指揮監督し、また地方自治法百八十六条第二項によりまして、都道府県の選挙管理委員会は、市町村の選挙管理委員会を指揮監督するものとされております。さらに、総選挙の執行につきましては、地方自治法第百九十二条によりまして、自治大臣は都道府県の選挙管理委員会及び市町村の選挙管理委員会を指揮監督するというふうに規定されているわけでございまして、私どもとして選挙を行うべき事由が発生した場合に選挙は当然実施しなければならないわけでございますので、また選挙管理委員会といたしましても、先ほど申し上げたように独立、中立の機関でございまして、そういう選挙事務を行わないということはあってはならないことというふうに考えておりますので、十分指揮監督をいたしまして万全を期してまいるというふうに考えております。
○柴田(睦)委員 あってはならないという期待はあっても、今日のような憲法違反の判決が繰り返される中での選挙ということになれば、期待はしてもそういうことが実際に現実化する可能性は否定できないと思うわけです。指揮監督ということを言われたけれども、その指揮監督に従わない、説得にも応じないということになれば、理論的にその県を除いて総選挙をやるということになるわけですか。
○吉田説明員 私ども選管が選挙事務をしないというようなことはまずないというふうに考えているわけでございます。もともと選挙の事由が発生しました場合、衆議院の議員が不存在ということになった場合には新しい議員の方々を選出しなければならないということになるわけでございまして、そういう中でそれぞれ法規に従って選挙をしてまいるわけでございますから、そういう独立の選挙管理機関がこれの事務を取り扱わないということはないものというふうに考えております。
○柴田(睦)委員 純理論的にということで断って聞いたのですが、そのお答えがないのですが、時間も参りましたので、最後に大臣、今日の定数配分規定が違憲であるということを最高裁判所で判断された。そうすれば当然その最高裁判所の判断に従ってそれに対応する処置をしなければならないと思うわけですが、今日、定数是正がないまま解散・総選挙に向かうとかそういう議論があって、きょうも何名かの人たちが選挙についてここで質問しましたけれども、大臣のお考えを伺って終わりにしたいと思います。
○鈴木国務大臣 定数是正の問題は衆議院で今鋭意御検討いただいているというふうに承知をいたしておりますから、さような方向に進むであろうと期待を申し上げます。 衆議院の解散についてのお尋ねでございますが、これは総理もたびたび解散は考えていないということをおっしゃっておられます。本委員会におきましても、先ほどの安倍先生と官房長官との質疑の中において官房長官もはっきり、総理もそういうことを考えておらないのでそういうふうに御理解を願いたいということの御答弁がありましたので、いろいろ御心配のような状態が起こらないものと私は考えております。
○柴田(睦)委員 終わります。
○福家委員長 林吾郎君。
○林(百)委員 私は、今世間で非常に問題になっておりますマルコス問題について質問をしたいと思います。 これにつきましては大臣も聞いていただきたいのですが、開発途上国への援助金というのは、これは国民の大事な一円、一円の税金が使われるわけですね。決してだれかの個人的なポケットマネーが使われるわけではないわけです。その目的は、借款を受ける方の国の開発とそこの住民の幸せのために使われなければならないわけですね。ところが、そういう借款を提供する方と受ける方の国の両国民の生活の安定のために、また社会の開発のために使われるべき金がマルコスというような時の権力者のところへ何千万と行っていますか、何かイメルダ前大統領夫人の靴は三千足もあったとか洋服が七千着あったとか、これは一例ですが、そういうところへ使われている。日本の国民の税金がそこへ回っている。しかもそれが日本の企業を通じて行っている。今まで全然日本政府はチェックもしなくてそこまでいってきた。こういう状態に対して、この問題に今後対処するために日本政府はどういう態度をとり、どういう処置をしていくつもりか。まず内閣の態度について、非常に重要な問題であるので私はお聞きしたいと思うのです。
○鈴木国務大臣 先生おっしゃるように、援助資金、これは国民の税金でございますから、本当に有効に使われなければなりません。その援助国の開発なり国民の本当の生活の安定なりあるいは幸せのために使われなければならないわけでございますから、いささかもそれに疑念のあるような使い方なりあるいはそのほかにいろいろな問題があるということは許されるべきことではない、私はかように考えております。ただいま大変問題になっておりますフィリピンの問題にいたしましても、外務省でようやく資料等を取り寄せて検討いたしておるわけで、実は鋭意その解明に努めております。さらに衆議院、参議院において特別委員会等を設置していろいろ検討されるようでございますが、本来の目的に沿うような使い方にならなければならない、かように考えておる次第でございます。
○林(百)委員 外務省にお尋ねしますが、フィリピンにはアメリカのスビックの海軍基地、クラーク空軍基地があるわけですね。これは西太平洋におけるアメリカの基地としては最大の基地だと思いますが、どうですか。これ以上の大きな基地を持っている国が西太平洋にありますか。
○林(暘)説明員 経済協力局の政策課長でございますが、お尋ねの件につきましては、担当のアメリカ局の者が参っておりませんので、正確なお答えができませんことを御了承いただきたいと思います。
○林(百)委員 やむを得ませんね。 それで、私たちの考えとしては、アメリカとしてはこの基地を安定した状態で保持したい、したがって、アメリカのこういう戦略的な方針に協力する政府を維持したい、それが不安定になれば安定するような方策を講じたいと考えるのは当然だと思うのですね。そして、それと同じアメリカの戦略的な基地の保持あるいはアメリカの戦略的な一環を担っているのが日本です。特に中曽根内閣です。したがって、これはアメリカ、それからマルコスの前政府、それから日本政府、この三者の間の密接な関係があった、そういう中からこのマルコス問題も発生しているのではないかというように私は考えるわけです。 そこで、中曽根総理がフィリピンを訪問したのはいつですか。
○林(暘)説明員 一九八二年と承知しております。
○林(百)委員 一九八二年にどういう目的でフィリピンを訪問しているわけですか。それと、マルコスと会談はしているわけですか。
○林(暘)説明員 私、担当ではございませんが、私の承知している限りでは、ASEAN歴訪の一環としてフィリピンを訪問したと記憶しておりますし、そのフィリピン訪問の際にマルコス大統領とは会見をしております。
○林(百)委員 新聞の伝えるところによりますと一九八三年五月とあるのですが、あなた、八二年と言った。八三年の五月にフィリピンを訪問、それでマルコスと約二時間ぐらい会談して、それで、もうあなたと私とは親密な関係だ、必要なら電話で話し合える、そういう信頼関係をつくるという、こういう自慢の話をしている、そういう特別な密接な関係があったということが新聞で報道されておるわけです。必要ならいつでも国際電話で話し合えるという話をしたかどうかということをあなたに聞いても無理だと思いますが、こういうことまで新聞で報道されておりますので、フィリピンについての経済協力基金というのは軍事費に準ずるものだと私は思うのですよ。それはアメリカの最大の軍事基地を維持するために安定した政権をつくる、そのために特別な基金を出すわけですからね。 そうすると、今日本が海外経済協力基金で最大の基金を提供している国はどこですか。
○林(暘)説明員 手元にございます最新の統計によりますと、八四年に基金が貸し付けました最大の相手国は中国でございます。
○林(百)委員 八四年から八五、八六、ことしも入れて中国がずっと一番ですか。あるいは中国の次はどこですか。
○林(暘)説明員 八五年の数字はまだ集計が済んでおりませんので手元にございませんが、八四年では第一位が中国、第二位はマレーシア、第三位がタイになってございます。第四位にフィリピンがございます。その前年の八三年について見ますと、第一位が同じく中国でございます。第二位がインドネシア、第三位がタイ、第四位がインド、フィリピンは第五位でございます。
○林(百)委員 それから、パリ・クラブで行われました貸付金の返還について、フィリピンは五十九年度は基金の回収額が幾らで、六十年度は幾らになっていますか、リスケジュールもあったわけですけれども。
○林(暘)説明員 申しわけございませんが、ただいま手元に資料がございませんので、数字がわかりかねます。
○林(百)委員 では、私の方からお示しします。——その数字ですか。
○林(暘)説明員 ここに数字が載っておりますが、私、手元に自分の資料を持っておりませんので、これが正確な数字がどうかちょっと確認いたしかねます。
○林(百)委員 これは経済企画庁から提供してもらったのです。経済企画庁、いますか。おたくの名前が入っている用紙に出ているんですけれども、これわかりませんか。経済企画庁、だれか来ているでしょう。——それじゃ、おくれるそうですから、来たときでいいです。 法務大臣、こういうことなので、厳重にチェックしていかなきゃいけないと思うのですね。何か大統領夫人の個人的なものですら大きく宣伝されていることですから、そのほか何千億円というようなことを言われていますし、あるいはリベートだけでも十七、八億と言われていますが、今後どういうように政府はこれをチェックしていくつもりですか。閣僚としてまだ考えは固まっていませんか。固まっていないなら固まっていないでいいですよ。
○鈴木国務大臣 先生御案内のように、担当しておる四省庁の責任者でそれぞれ検討中であると思いますが、私の方は直接のあれではありませんので、詳細申し上げられないことをお許しいただきたいと思います。
○林(百)委員 どうもマルコス問題で私の持ち時間終わりそうなので、文部省の方は帰っていただいて結構です。 そこで、法務省の刑事局の方にお尋ねしますが、新聞で見ますと、一九七二年にマルコス政府から田中角榮に少なくとも五十万ドル、九千万円を贈呈した。これは朝日新聞の三月二十二日の記事にありますが、「マルコス前政権が一九七二年夏に田中角榮首相本人あるいは田中派に数回にわたり献金、少なくとも五十万ドル(約九千万円)を香港経由で送金したとする報告書を米国在住フィリピン人銀行家グループ「マグデイワン83」が作成中である」と言っているわけなんですね。 それから、日本の政治家にもこのリベートが回されているということが在米フィリピン人銀行家グループからも指摘されているわけで、自民党の活動家という名前になっていますけれども。こういうことになりますと、この政治家に対しても、あるいはプロジェクトを掘り起こすときのわいろとして献金されるかあるいは政治資金規正法に違反した外国からの献金があるか、いろいろの疑惑が政治家にもあるわけなんですが、こういう日本の国内のこのリベートについてのいろいろの疑惑を刑事局としては調査をする用意はしておるんでしょうか。
○岡村政府委員 この件でいろいろなことが報道されていることあるいは国会で御論議されておりますことは検察当局といたしましても承知しているところであるわけでございまして、検察当局といたしましては事態の推移に応じまして随時適切にこれに対処するものと思っております。
○林(百)委員 そうしますと、フィリピン側からの司法共助の申し出があれば応ずるつもりだというようなことは新聞でちょっと見たのですけれども、司法の共助は、日本政府からも捜査のいろいろな協力をフィリピン政府にしてもらいたいという、司法共助と申しますかそういう申し入れをする必要があるのじゃないでしょうか、いろいろな資料を提供してもらうために。そういうことは考えておりませんか。
○岡村政府委員 我が国では、国際捜査共助法という法律がございまして、外国から捜査共助の要請がありました場合は、この法律に従いまして個別的に、具体的に当該要請に応ずるかどうかを判断いたすわけでございます。一方我が国の方から外国に捜査の共助を要請いたすということになりますと、これは当該外国との間の個別の折衝ということになろうかと思うのでございまして、その必要があるならば、そういう事態になりましたときには検察当局といたしましても適切に対処するもの、かように思っておるところでございます。
○林(百)委員 いろいろの材料がフィリピン側にありますし、また、それはよその国のことですからいろいろな外交的な関係もあると思いますが、検察当局が厳正な捜査をするためには、場合によってはフィリピン側に資料の提供を要請する場合があると思いますので、そういう場合には資料の提供を要請して日本の検察当局の権威を高めていただきたい、こういうふうに私は希望するわけです。 その次に大蔵省にお尋ねするのですが、リベート、リベートと申しますが、通常そういう事業を請け負ったそのお礼を出すということはあるかもしれませんけれども、そういうところへ一五%か二〇%というような巨額なリベートを出し、それがもし損金として落とされるとかあるいは必要経費になっているとかあるいは水増しの見積もりで隠されているとすれば、これは税法にも関係してくると思いますけれども、国税庁としてあるいは大蔵省としてはどう考えているか。
○林(正)説明員 御指摘のいろいろ報道されておりますリベートでございますけれども、一五%と言われ、あるいは水増しした売り値、これを乗せまして、それがリベートに還流しているということは私どもよく承知しているわけでございまして、この点につきまして、先生御指摘のように私どもとしましても課税上問題があるんじゃないかということで関心を持っております。 ただ、リベートもその一五%がいいのか悪いのか、これはそれぞれの取引の態様によろうかと思うわけでございますけれども、一般的に申しまして、問題を究明した結果、リベートが適正な割り戻したとかあるいは手数料というように言われる場合には、これは損金に算入してもいいだろうと思います。それ以外につきましては、態様によりまして、取引先への謝礼とか贈与というような形のものでございますと、交際費とか寄附金ということで経費性が否認されまして課税の対象になるということでございます。 さらにもう一つあれでございますけれども、リベートの支出先がわからないというような場合には、これは使途不明のお金でございますので全く損金性は否定されまして課税の対象になるということでございまして、私どもといたしましても、各種の資料とか情報に基づきまして、その内容を検討して実態に応じて適正に処理をしたいというふうに考えております。
○林(百)委員 大蔵省で、これはリベートで課税の対象になるのだという条件はどういう条件がありますか。いろいろな場合が、あなたのおっしゃるように必要経費として認める場合もあるだろうしあるいは使途不明金という場合もあるだろうけれども、いわゆる世間でリベート、リベート、不当だという場合、課税の対象として隠されていたとすれば、どういう条件の場合をリベートとして大蔵省の方では調査の対象にするのですか、その条件をちょっとここで言ってもらいたいと思うのです。
○林(正)説明員 リベートでございますけれども、本来的な意味では、非常に経常的に取引が行われておりまして、いわゆるお得意様でございますかそういったあれに長いこと自分のところの品物を買ってくれるということで払ってもらった代価の一部を返す、こういうふうなあれでございます。それはそういう経常的な取引が行われているときによく行われるわけでございます。 それからもう一つは、例えば取引につきまして仲介といいますか媒介、代理、あっせん、そういったものの対価といたしましてそれ相当の金額をあらかじめ締結されました契約等に基づきまして支払う、こういうのは私ども手数料というような概念であれしておりますけれども、今言われております一般的なリベートの中に入るのじゃないかと考えております。
○林(百)委員 ここで答弁できることとできないこととあると思います。結局大蔵省としては税法上はどういう観点で調査をしているのか、あるいは今後こういう方法で調査をして将来チェックをしていく資料にしたいと思うのか、現在どういう状態にあるのか、またどうしなければならないと考えていますか、ちょっと答弁してください。
○林(正)説明員 現在の調査の状況でございますけれども、(林(百)委員「もしわかったら返還を命ずるかどうか」と呼ぶ)実は本問題が世上をにぎわすようになりましてからまだそう日があれでございまして、私ども現在の段階は、まだ外務省の方からちょうだいいたしましたアメリカ下院のソラーズ委員会の公開文書とかあるいはその他の報道だとかそういったもの、あるいは国会での御論議なども十分に参考にさせていただきながら、資料の収集、分析に全力を挙げている段階でございます。また単にそれにとどまりませず、資料、情報に基づいて必要がある場合には随時実地調査を行いまして、それで適正な処理をしたいと思っているわけでございますけれども、その結果どういうふうな処理になるかというのはいろいろ非常に複雑な取引が行われている可能性もございまして、今ちょっと申し上げる段階にないと考えております。 ただ、リベートをフィリピンの方に渡した、それを国税当局が取り返すということは、私どもあくまで日本国内の企業あるいは個人納税者の課税をあれしているわけでございまして、そこで要するに経費に入っていたリベートが、いやそれは実は経費じゃなかったということで、日本の企業ないし個人から税金の追徴ということはあり得るわけでございますが、リベートを取り返すということは私どもの力の及ぶところではございません。
○林(百)委員 私、別にフィリピンから渡されたリベートを返してくれと言えというわけじゃないのですが、特定の企業名が全部新聞に出ていますから、それがもしリベートを隠ぺいした形で税務署へ申告もしてあるとして、それがわかって、いや実はこれは必要経費じゃなかった、あるいはこれは実際の費用ではなかったということがわかれば、あなたのおっしゃるようにそういう企業から脱税として税金を納めさせる、そういう措置をするというように受けとめておいていいわけですね。
○林(正)説明員 そのとおりでございます。
○林(百)委員 経企庁の方、見えましたか。あなたの方からいただいた資料でパリ・クラブ、これ私も内容は正確にはつかんでない。パリ・クラブがあって、債務救済交渉を目的とした国際的な会議が開かれた。そこで債務返済について、期限の到来した債務について救済をする、リスケジュールですか、これに応じたということで、フィリピンでは五十九年には五十六億六千七百万円の返済があったのが六十年度には九千五百万円、五十六億が九千万になっている。おたくからもらった資料ですが、これはこのとおりでしょうか。で、これはフィリピンのほかにもあるのでしょうか。あるいはフィリピンに特にこういう措置をしたのでしょうか。五十六億が九千五百万になったというわけですね。何十分の一がになっている。これは特別な措置だと思いますが、フィリピンだけですか、それとも他の国がありますか。
○菅野説明員 ただいま先生御指摘になりましたのはフィリピンからの円借款の回収額でございますけれども、五十九年度には五十六億六千七百万返済がございます。これが六十年につきましては九千五百万円ということになっております。これは債務の返済について困難に陥っている国に対しまして債務返済の繰り延べをいたすということをいたしておるわけでございます。 パリ・クラブと申しますのは、債務救済の交渉を目的といたしまして、特定国、この場合フィリピンでございますけれども、について債権国が集まって協議する会議でございますけれども、債権国が協議いたしましてその債務の返済の繰り延べを行うということをいたしておるわけでございます。フィリピンについても同様な会議が五十九年の十二月に開かれまして、フィリピンが債務返済の困難に陥っているわけでございまして、その債務返済の繰り延べをいたすということにいたしたわけでございます。かかる債務返済の繰り延べということは、これはフィリピンだけではございませんで、債務返済の困難に陥っている国、中南米でありますとかアフリカの国についてもこれまで何度かいたしておることでございます。
○林(百)委員 返済が六十分の一ですか、五十六億が九千五百万になっちゃったのですからね。六十分の一だと思いますが、六十年がこうだとすれば、第十三次借款約款では幾らの借款を設定しているのですか。こんなに返済能力がないところへまた恐らくアメリカ以上の貸し付けをするということは、これはおかしいと思うのですよ。
○菅野説明員 対フィリピンの十三次円借につきましては、昨年十二月に交換公文で四百九十五億の供与をいたすことを決定いたしたところでございますけれども、これは短期的に債務の返済が困難に陥っているという事情はございましても、中長期的な観点から経済社会開発あるいは民生の安定ということに必要である場合には援助を供与いだすという考え方に基づきまして、第十三次の対比円借についても決定いたした次第でございます。
○林(百)委員 国民の側からいうと不思議だと思うのですよね。五十八年が五十一億、五十九年が五十六億返済したのに、六十年には返済能力がないからその六十分の一の九千五百万になった。ところが六十一年の借款は依然として四百九十五億ですか新たに第十三次借款を設定しているということは、ただくれてやると同じじゃないでしょうかね。だからそういうところは、借りたものが返せないところへまた新しく、恐らくフィリピンヘの借款は世界で一番の多額じゃないですか。四百九十五億ですね。恐らくアメリカを超していると思うのですよ。 それで、私たちの調査によると、第十二次、商品借款でしたが、借款の消化がまだ六割以上未消化になっているのですよ。未消化になっているのをまた第十三次で四百九十五億新しく借款を提供するというのは、これもまあ恐らく二、三割は商品借款になると思いますけれども、これはどうしても経済企画庁のフィリピンに対する借款の設定が納得できないのですよ。どうしてそうなるのですか。これは第十三次は恐らくアメリカを超しているのじゃないですか。
○菅野説明員 二国間の借款ということでは、先生御指摘のとおり我が国からフィリピンヘの供与額はアメリカから供与されておるものより多くなっておるということでございます。ただ、このフィリピンに対します円借款の供与というのは、やはりフィリピンの経済開発、それから民生の安定という観点から供与いたしているところでございます。短期的にその返済が困難に陥っているということでございましても、これは我が国といたしまして中長期的な観点から行わなければならないという考えに基づいて供与いたしておるものでございます。
○林(百)委員 それがそういう建前になってないのでしょう。プロジェクトを設定した日本の企業の方からの二割というような、大蔵省の方でも、もう二〇%ということになれば、これは必要経費だとかなんとかという名目にはなりません、企業から脱税として返済を命じなければいけませんというようなところに使われているわけで、あなたの言うように民生の安定に使われていないことが今問題になっているわけでしょう。マルコスの個人的なわいろとしてもらって、しかも今裁判にかけられようとしているわけでしょう。そういう情勢は一体主管の経済企画庁はわからなかったのですかね。あなたを責めても、あなた課長さんですから、あなたを余り責めるのもお気の毒ですけれども、それで今後どうチェックしていくつもりですか。こんな一五%から二〇%ものわいろが現地企業と日本商社の間の取引の中で日本商社から出されているということになれば、これはあなたも言うように海外経済協力基金の本質を外れていることになりますね。だから経済協力基金の本旨に基づくような用途にさせるためにどういう措置をしていくか、どういうチェックをしていくか、またそのためにはどう考えていくか。これは今、火がついたばかりですから、すぐこうするああするという具体案を言えということは無理かもしれませんが、しかし将来どうしてもチェックしていかないと、これは国民の税金ですから、あなた方のポケットマネーではありませんから、国民の側からいえば血の出るような税金なんですよ。それがイメルダ前大統領夫人の靴の三千足ものわいろの方へ使われているなんて聞いたら、本当に血の出るような思いで税金を納めている日本国民は納得できないですよ。しかもその主管はあなた、あなたのところだけでない、外務省も責任はもちろんあります、通産省もありますけれども、あなたのところが一応法律上は所管の責任を負っていますが、どうするつもりですか。
○菅野説明員 円借款の供与に当たりましては、先生御承知のとおり交換公文においてこの借款の供与を国のレベルで約束いたしまして、具体的には海外経済協力基金が借款契約を結ぶわけでございますが、その交換公文それから借款契約の中で、この円借款の資金というのは、この供与目的、その開発プロジェクトに必要な資金に使うということでございまして、この供与目的に従って適正に使用すべきことを規定いたしております。 それで、これを適正に使用すべき正規の手続を行っておるところでございますけれども、今般これにあるいは違反するようなおそれが出てくるというような文書を公表されておるわけでございます。私どもといたしましてはこういう適正使用を求めておるわけでございますけれども、これに違反するふうな不正な使用が行われたかどうなのかということについて事態の解明を進めてまいりたいということで考えております。現在、入手しましたアメリカの公表資料の分析を至急行っているところでございますけれども、また海外経済協力基金に対しましてもこれらの案件についての実態把握を、再点検を行うということを指示いたしておるところでございます。したがいまして、事態の解明についてできるだけの努力を行いたいというふうに考えておるところでございます。
○林(百)委員 大臣、もしこれをいいかげんにしたとすれば、アキノ政権はマルコスを刑法違反だということで裁判にかけると言っている。恐らく贈収賄の関係だと思うのですよ。その贈収賄の収賄の金が日本の経済協力基金から出ている。これは日本の企業を通じて出ているわけですけれども、この実態を徹底的に調査して日本政府の方も事態を明らかにしなければ、これを徹底的に究明しなければ、マルコスの刑事犯、要するに収賄ですね、あるいは日本の政治家とかそのほかに贈賄もあるかもしれませんが、このマルコスの刑事犯に日本政府が協力している、日本政府も一体となってマルコスのフィリピンの刑法違反に協力していることになるんだ、そういう世界的な非難を受けることになると思うのですよ。だから今フィリピンでは、今までアメリカを追及していたけれども、その矛先を今度日本へ向けてきているということが新聞でも報道されているわけですね。これは徹底的に究明して再びこんな国際的な恥をさらすようなことをしてはいかぬと思うのです。 もう一度最後に、まあこれは総理を呼んで聞きたかったのですが、総理は法務委員会へ委員長の手腕で呼べるかどうか、ちょっと問題がありましたので……
○福家委員長 呼びません。
○林(百)委員 ああ、そうですか。では法務大臣に閣僚として聞いておきたいと思います。委員長は総理を呼べないと言っているから、総理大臣にかわってひとつあなたがはっきりここで言ってもらいたいと思うのですよ。将来この問題をどう処理し、どう解明し、どういう措置をとるかですね。
○鈴木国務大臣 担当の四省があるわけで、法務省としては間接になります。ただいま閣僚としてとのお尋ねでございますが、先般総理も国会において御答弁され、そして衆参両院においても特別委員会をつくって解明していただく、こういう御発言もあったわけですから、政府としてもそういう方針で真相の解明に鋭意努力をいたすと思います。
○林(百)委員 将来はどうするのですか。
○鈴木国務大臣 将来ともその案件が出た事態においてそれに適切に対処していくだろうと思います。
○林(百)委員 結構です。
○福家委員長 次回は、来る十一日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時二十七分散会