P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
104回国会衆議院1986/02/25

法務委員会 第2号

発言数
289
登壇者
25
会派数
3
開催日
1986/02/25

会議録

福家俊一自由民主党・新自由国民連合

○福家委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたします。  本日、最高裁判所草場事務総長、山口総務局長、猪瀬家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福家俊一自由民主党・新自由国民連合

○福家委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。

福家俊一自由民主党・新自由国民連合

○福家委員長 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。天野寺君。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 私から新大臣の所信表明につきまして、一言質問させていただきたいと思います。  大臣が御就任なさいましてから間もなく、ことしの初めのことでございますけれども、中曽根総理大臣が、最高裁判所の定数是正の違憲判決を頭に置かれたのではないかと思いますが、司法のオーバーランというような御発言をなさいました。また、それに対して、就任早々大臣が、いやそういう状況にはないというような御発言もございました。事柄は司法、行政、立法という三権分立の基本にかかわる事柄でもございまして、特に法務大臣という行政と司法の一つのかなめと申しましょうか、そういうところに位置をしておられます大臣としまして、この中曽根総理の御発言について現在どのようにお考えになっていらっしゃるか、まずこの辺からお尋ねをしたいと思います。

鈴木省吾自由民主党・自由国民会議法務大臣

○鈴木国務大臣 お答えいたします。  実はあの御発言、私は伊勢神宮に御一緒に参りませんでしたものですからよく存じ上げておりませんでしたが、その後、総理から、衆参両院の本会議並びに衆議院の予算委員会等でたびたび真意の御説明がございました。承りますと、三権のあり方についてお述べになったというふうにお聞きをいたしまして、それであるならば一向に、私も全く同じような気持ちだなと現在考えておる次第でございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 といいますのは、行政府の長である内閣総理大臣が司法の問題について、オーバーランということが何を具体的に指しているかは定かではありませんけれども、しかし、司法がその権限を越えているのではないかというように受け取れる発言をなさっていることについて、それはそうだというふうに今大臣としてお考えになっていらっしゃるという意味でしょうか。

鈴木省吾自由民主党・自由国民会議法務大臣

○鈴木国務大臣 そうではありません。総理もたびたび申されているとおり、四十年過ぎて各三権がそれぞれ調和をして立派に機能しているであろうかどうかというお話でございますから、司法がオーバーランとは何かというお考えではないというふうにその後承っておりますので、私もさように理解をいたしておる次第でございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 もし今大臣がおっしゃるようなことであるとすれば、とりたてて総理大臣として司法のオーバーラン云々という発言がなされるとは思わないわけでございまして、これは具体的には、最高裁判所が昨年の七月に判決を出されました衆議院の定数是正の問題、それが憲法に違反しているという問題、またそれにかかわって一部意見ではございますけれども、選挙の無効ということもあり得るのだという判決内容、これに対して中曽根総理が一貫して、解散権というのは内閣総理大臣の専権事項だ、あるいは権限である、たとえ定数がどうであろうとそれが制限されるものではないというような大変強い姿勢での発言をなさっていらっしゃる。ここに私はかかわってくると思うわけですけれども、大臣としては、最高裁判所が憲法に違反しているという判断をされた現在の衆議院の定数、それをそのままにしておいて解散、総選挙を行うということの法的な妥当性について、いかがお考えになりますか。

鈴木省吾自由民主党・自由国民会議法務大臣

○鈴木国務大臣 この点もたびたび御議論のあったところでございますので、私の立場から今お尋ねがあったことに対して申し上げる立場にはない、差し控えさしていただきたいと思っております。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 私は、総理と変わらないのだというふうに大臣がおっしゃるので、それではどういうふうに具体的にお考えなのかということでお尋ねをしているわけです。ただ単に一般的に法務大臣としてというふうにお尋ねしているわけではない。総理の司法のオーバーラン発言というものがあり、それに対して一遍大臣としてはオーバーランというものがあるわけではないというような御発言もなさったというふうにも新聞報道で伺っております。そういうことの中で、問題は具体的には違憲判決と行政権のかかわり合いということでございますけれども、司法部と行政部とのかなめの地位にある法務大臣としてどういうふうにお考えだろうか、そういうことでお尋ねをしているわけでございますが、その点でいかがでございましょうか、お答えいただけませんでしょうか。

鈴木省吾自由民主党・自由国民会議法務大臣

○鈴木国務大臣 先ほども申し上げましたように、司法は、これは立派な独立の権限をお持ちになっておる。また今の解散云々のことにつきましては、これはまた総理の大きな権限でもございます。さような立場から考えますと、私がかれこれ申し上げるというような立場にもない。お許しを願いたいと思います。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 解散権の問題についても七条、六十九条についての問題もあるかと思いますが、これはきょうは議論しないことにいたします。  ただ、現在の司法のあり方、また、この違憲判決というものが三権分立という状況から見て決しておかしな状態になっているわけではないということについては、法務大臣としてもお認めになるだろうと思うのですが、この点はいかがでございますか。

鈴木省吾自由民主党・自由国民会議法務大臣

○鈴木国務大臣 そのとおりだと考えております。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 最高裁にお尋ねをしたいのですが、旅先での総理大臣の発言ということではありましても、やはり一国の総理大臣から司法がオーバーランをしているのではないかというような発言があったということは、これは司法部としても私の問題ではないというふうに我関せずというわけにはいかないのではないかと思うのですけれども、この点で最高裁の御見解はいかがでございましょうか。

草場良八最高裁判所事務総長

○草場最高裁判所長官代理者 総理が記者会見で御発言なされたことの詳細は存じ上げておりません。ただ、その要旨として報道されましたこと、あるいはその後の国会審議におきまする総理の御発言を伺いました限りにおきましては、一般論としてお述べになったものというふうに理解いたしております。したがいまして、裁判所といたしましては、これにつきましてとやかく申し上げる筋合いのものではない、かように考えております。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 本当は私は、総理の発言に対して最高裁判所の長官が、これはけしからぬ、遺憾だと言うぐらいの発言があってもいいのじゃないかと思うのですけれども、そうでなければ、本来司法、立法、行政の三権分立というのは危うくなってしまうという気がするわけです。最高裁には歳として違憲立法審査権があり、そしてそれに基づいて違憲判決を出すだけの責任といいますか、そういうものも、もちろん必要に応じてですよ、場合によっては違憲判決を出さなければならないという厳とした責任もあるわけでございますから、そのことが総理大臣の発言によって弱められることのないように、これは国民としても非常に注目をしているところだというふうに思うわけです。あの発言で裁判所が違憲判決を手控えるというようなことがあるとすれば、これはゆゆしき問題だというふうに考えるわけでございますが、その点についての最高裁の御意見を承っておきたいと思います。

草場良八最高裁判所事務総長

○草場最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。  裁判所の裁判権の行使に関する事柄でございますので、ただいまのお尋ねにつきまして、司法行政を担当いたします者としてお答えする筋合いのものではないのではないかというふうに考えられます。  ただ、事務当局として申し上げられますことは、裁判所は個々の具体的な事件につきまして、お話しのような違憲立法審査権というようなものを念頭に置きながら、憲法及び法律に従いまして審理、判断をするというのが責務であることは、先ほど御指摘のとおりであろうと存じます。したがいまして、裁判所としましては、さような責務を誠実に果たすことに努めているというふうに確信しております。さように申し上げさしていただきたいと思います。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 この問題はこれで終わりますけれども、ただ、ちょっと今事務総長の御発言の中で私は気になったのですが、私がお尋ねしておりますのは、最高裁判所長官の代理としての事務総長にお尋ねをしているわけでございまして、最高裁判所の事務当局の事務問題についてお尋ねをしたのではないということをやはりお考えいただきたいと思います。  それで、次の問題に移らしていただきますが、大臣、昨年一年外国人登録法の問題で法務省自体も非常に大きな波にもまれるといいますか、そういうことがあったと思うのでございますけれども、この外国人登録法の問題、実はちっとも解決をしておらないというふうに私たちは考えておる。一応登録の切りかえ、更新というものの大きな波は過ぎたかと思いますけれども、常に更新はあるわけでございますし、また五年後にはもう一度大きな切りかえ、更新の時期がやってくるということでもあるわけでございます。この間、さきの嶋崎法務大臣は、百二国会、百三国会を通じては、当該国会では法改正は考えておらないというような御発言をされました。しかし政府全体としては、日韓問題等もありますし、全斗煥大統領からの総理に対する直接の要請、あるいは総理の発言等もあるわけでございまして、やはりこの外国人登録法の改正問題、特に指紋押捺の強制と登録証の常時携帯の問題、それからこれらを罰則で扱っている、行政罰ではなくて刑事罰を加えるという問題については、国際人権B規約の精神から見ましても、また日本の憲法の人権擁護の精神から考えましても、私どもとしてはできる限り速やかな改正を望むというふうに要求もしておりますし、また、これは在日外国人の方々の大変強い要求であろうと思うわけでございます。この問題について、新たに法務大臣に御就任になられました大臣の御所見を伺いたいと思います。大臣、いかがでございますか。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。  外国人登録法、なかんずく指紋制度に関する諸法制につきましては、制定以来三十年を経過いたしております。昨年五月に至る間におきまして数次あるいは累次にわたって改正、改善の措置がとられてまいりましたことは御記憶に新しいところと存じます。  しかしながら当局といたしましては、今後とも外国人登録の正確性を損なうことがないという大前提のもとにおきまして、指紋押捺制度のあり方あるいはその運用につきまして引き続きさらに改善を図る余地があるかどうかにつきまして検討、研究を続けてまいりたいと存じております。単に研究、検討を続けてまいるという一般的な方針ではございませんで、具体的にも既にそういう作業を続けておるわけでございます。  作業の内容といたしましては、もし多少詳しく御説明を申し上げることがお役に立つのであれば一言申し上げたいと存じますけれども、第一に、外国人登録制度を必要とする内外の情勢について分析、調査を進めております。  例えば不法入国あるいは不法残留の動向あるいは現況がございます。これは外国人登録制度の正確性を少なくとも潜在的に危うくする要因でございます。こういった状況の見通しについての分析を進めておるということもございます。あるいは登録証則書の不正使用の現況あるいは今後の見通しについても調査を進めておるところでございます。それが第一点でございます。  第二点は、諸外国の外国人登録制度、とりわけ指紋押捺制度の現況あるいは人物特定方法等、その運用状況の調査研究がございます。  この点につきましては、既に昨年の通常国会あるいは臨時国会におきましても御説明申し上げましたような過去の調査の結果はございますけれども、改めて外務省を通じて現在の状況について重ねて調査をいたしました。さらにまた、昨年末には主管課長である登録課長を欧米に派遣いたしまして、現在の状況について重ねて実地に調査をさせたところでございます。  第三には、指紋の採取あるいは確認方法の改善あるいは指紋にかわる同一人物確認及び人物特定方法の開発という問題がございます。  昨年五月の一連の改善措置も、私どもの当局内の主管課に設けました研究班が中心となって研究を行った結果でございました。この研究班に対しまして引き続き検討、研究を命じておるところでございます。ただいま国会において御審議いただいております法務省関係の予算におきましても、少額ではございますけれども外国人登録に関する研究開発のための経費が計上されております。少額ではございますが、しかし現在のような厳しい財政状況のもとで新しい費目が計上されたということの意義は比して少なくないものと存じております。  第四は、先ほど御指摘もございました、携帯の対象となっております登録証則書の改善の問題でございます。  この点につきましても、ただいまの経費は研究の基礎として使用できるものと期待いたしております。既に登録証則書につきましては昨年の七月から小型化をいたしまして、携帯に便になるように、私どもとしてもできることをいたした経緯もございます。しかしながら、この上ともこの携帯を念頭に置きまして証明書のあり方についても研究を進めていきたいというふうに考えております。  このように、私どもといたしましては具体的に今後のあるべき姿あるいはとり得べき改善ということに向けまして研究あるいは検討を進めておるという現況でございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 ちょっと今の中で、常時携帯義務についても見直しといいますか、研究、検討の課題になっておりますでしょうか、携帯義務そのものについて。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 外国人に対してその身分を証する文書の携帯ということは、各国において法制としては存在する制度でございます。むしろ、そういう制度が存在しない国については、私どもとしては承知しないくらいでございます。したがいまして、この問題はもっぱらその義務のポリーシングと申しますか、どこまでチェックするかという、そのチェックのあり方の問題であろうかというふうに考えます。したがいまして、制度そのものにつきましては、これを変更する、あるいは撤廃するということは私どもとしては考えておらないのでございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 そうしますと、ただ制度の運用の問題としてという形になりますと、法務省としてはむしろ直接かかわりを持たない、警察当局がかかわりを持ってくるということになってしまうと思うのですけれども、そこのチェックのところ、運用のところに問題はあるのだというふうに考えていらっしゃるのでしょうか。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 この点について在留外国人の側から種々の問題が指摘されておるということは承知いたしております。したがって、この点についての問題意識も持っておるつもりでございます。そのために、昨年五月十四日の一連の改正が行われた際、あるいはそれが説明された際の閣議におきまして、法務大臣からこの問題についての発言があったという経緯もあるわけでございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 この問題は私はまた別の機会に問題にさせていただきたいと思いますが、今の入管局長の御発言は、かなり具体的に検討の問題点を発表していただいて、私たちとしても大変これからの方向というものがわかってきて、これから我々としてもこの改正の問題について考えていかなければならぬというふうに思っているわけでございますが、大臣としてはこの方向についてはいかがお考えでございましょうか。

鈴木省吾自由民主党・自由国民会議法務大臣

○鈴木国務大臣 ただいま政府委員から詳細に今検討している事項、進行状況等を御報告申し上げましたが、先生先ほどお話もございましたように、総理と大統領とのお話もあり、またその後外務大臣も行かれて外相会議等々のお話もありましたので、そういう線で自主的に、長期的にひとつ検討しましょうということになっておりますので、その線に沿って検討させている次第でございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 五年間といわず、すぐにでもこの改正を考えていただきたいと私は思うのですが、局長、この検討の時期というようなもの、いつごろまでにというような時期的なめどがございますでしょうか。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 私どもとしては、できる限り速やかに少なくとも法務省限りにおきましても結論を得たいと努力いたしております。しかしながら、この問題を実現に持ち込みますためには政府部内の同意を取りつける、あるいは合意を実現するといったようなこともございますし、政府内外における調整工作ということも必要になるわけでございますので、この問題について具体的な時期を明示するという段階には達していないわけでございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 この点については私たちの方もできるだけ早い時期に検討をお願いするということで、次の問題に移らさしていただきたいと思います。  実は外国人登録法の記載事項についての照会というようなことが地方自治体にいろんなところから、各方面から来ているということがあるかと思います。実は外国人登録法による登録の記載事項ですね、これはどこが管理をしているのかということでは、たしか昨年の国会でのお話では、内容は法務省が管理をしているのだ、ただし、照会に答えるかどうかは各自治体の長が判断をすべきことなのだというようなそんなお答えがあったかと思うのですが、この点はいかがなんでしょうか。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 登録事務は国の機関委任事務でございますので、この事務にかかわる事項は原則として法務省、主管官庁たる法務省の責任でございます。  ただいま御質問のございました登録事項の照会につきましては、一般的に法務省の方から通達で各市町村に対して都道府県を通じて指示をいたしてございます。その通達の枠内におきまして各市町村において処理をされておるわけでございますので、これまた処理の仕方は最終的には法務省の責任でございます。しかしながら、現実の日々の照会に対する処理といたしましては、個々の案件につきましてはその枠内で市町村の判断するところがあるということは事実でございます。その点をお答え申し上げたものと存じます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 そうすると、法務箱としては、照会に答える範囲というようなものについての基準は持っているわけでございますね。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 この点につきましての基準は、公務所から法令の規定に基づいて登録事項について照会があった場合にはこれに応じても差し支えない、応じるべきであるということでございます。また、法令の直接の規定によらない場合でも、公務員からその職務の執行上必要であるとして登録事項について照会があれば、その必要性と外国人のプライバシーの保護が確保される、すなわち、それが公表されるものではないといったようなことを確認の上これに応ずるということが基準でございます。  ただ、一言申し上げますと、指紋については多少違った取り扱い、より慎重な取り扱いをいたしております。この点は昨年五月に当委員会でも配付いたしました五月十四日付の通達にも明記してあるところでございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 プライバシーに対する配慮ということは、今のお話の中ではどういうふうに考えられているんでしょうか。例えば刑事訴訟法に基づく公務所照会という場合には、すべての事項について照会に応じても構わないというようなことになるんでございますか。

黒木忠正法務省入国管理局登録課長

○黒木説明員 登録事項に関しまして公務所からの照会、これは法令の根拠に基づく場合もそのほかの場合も、国家行政組織法の精神から申しまして、公務所相互間の協力ということでございますので、これについては回答するということ、むしろこれが外国人登録法の目的に徴しましても、外国人登録を実施することによって在留外国人の公正な管理に資するという目的に徴しましても、当然これは回答すべきものということで処理いたしております。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 そうすると、外国人登録法の例の「公正な管理」というのは、登録事項については具体的な必要性の明示がなくても、刑事訴訟法に基づく照会だということならば、常にそれに応じてもいい。したがって、いわば犯罪捜査についての一つの原簿といいますか、そういうようなものとしてこの登録が扱われてもいいんだ、それが外国人に対する管理なんだというふうにお考えなんでしょうか。

黒木忠正法務省入国管理局登録課長

○黒木説明員 犯罪捜査等の場合、通常、人物の特定ということがまず必要になるわけでございます。日本人の場合ですと、例えば本籍地照会とか、それから住民票の確認とかというようなことが行われるわけでございますが、外国人に関するそのような公簿と申しますか公に登録されたものは、これは外国人登録でございますので、外国人に関する犯罪がございますと、その身分事項を確認するために私どもの方に外国人登録事項に関する身分、居住関係に関する照会というのが行われておるわけでございまして、これは私どもといたしましては、このこと自体がプライバシーの問題ではないし、犯罪捜査の過程において当然必要な照会であるというふうに理解しております。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 警察の警備に関して必要だという場合はいかがでございますか。具体的な犯罪捜査ということではなく、警察の警備に関して必要だという場合。

黒木忠正法務省入国管理局登録課長

○黒木説明員 先ほど犯罪捜査について御説明申し上げたわけでございますが、犯罪捜査に限らず、その他の公務員と申しますか、公務所が、個人的な関心ということではなくて、行政を担当する上でその我が国に在住する外国人につきましていろいろな照会をしてまいります。こういったものにつきましても、先ほど申し上げましたような外国人登録法の目的から申しまして、公務所から正式の文書をもって照会があれば、私どもとしてはこれについてお答えするというのが原則でございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 としますと、今度は逆に、登録事項そのものについて、それがプライバシーの侵害にならないように登録事項の方を制限をしなければならないという問題が出てくるんじゃないでしょうか。例えば、私たち日本人についても戸籍の問題、これは同一性の確認のために公務所から照会があれば、戸籍の登録事項について答えるということはあるかと思います。しかし、外国人登録法の登録事項というものは我々日本人の戸籍の登録事項とはもう比べものにならないくらい生活の範囲、例えば職業、それから現住所、それの移転の時期ですね、そういうようなものも全部入っているわけでございます。こういうところまで、特に職業ですけれども、果たして公務所照会に応じなければならない事項なのか。登録事項については本来公務所照会に応じなければならないんだとすれば、むしろ登録事項の方をプライバシーの侵害にならないように抑えていくということが考えられなくてもよいのかどうか、この点ではどうですか。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 日本人の場合には、戸籍とそれから住民登録、住民基本台帳の双方の適用があるわけでございますけれども、この記載事項と外国人登録にございます二十項目の登録事項を比較対照いたしますと、必ずしも外国人登録の方が詳しい、すべてを網羅しているというふうには言えないのでございまして、戸籍の方につきましては、例えば家族関係が明らかになります。しかしながら外国人登録の方は個人単位でございまして、家族関係というものは全くわからないという問題もあるわけでございます。  職業の問題でございますが、職業の問題がこの登録の対象になっておりますのは、外国人の在留資格に関係があるからでございます。外国人は永住権がある場合には別でございますけれども、その他の場合におきましては、在留資格によってその行い得る活動というものが制限されております。その関係もございますので、在留資格と並んで職業が記載されるということが必要になったということもございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 それはわかりますよ。ただ永住者に対しては在留資格の制限がないわけですから、その意味で言えば、本来職業の登録の必要はないというふうに考えられるわけです。  そういう点でもう一度、私としては登録事項についてもプライバシーの侵害にならないようにという形の洗い直しといいますか、見直しが必要ではないかというふうに思うわけですが、この点も今後の検討課題というふうに考えられますでしょうか。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 これは先生の御意見として承って、改めて検討の対象に加えたいと思います。現在検討されておるというふうに申し上げるわけにはまいりませんけれども、そのように承っておきたいと存じます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 今度は少し細かい問題といいますか、具体的な問題になってまいりますけれども、ベルギー人のカトリックの神父さんでございますエティエンヌ・ド・グドネールさんの在留期間更新申請が今出されているというふうに思うわけでございます。この問題をめぐって先日来法務省ともいろいろ交渉が本人あるいはカトリック教会の方からもあったと思うのですが、これが国際的にもやはり問題になってきているようでございまして、私が承知をしている範囲でも、この問題についてベルギーの我が国の大使館にも神父の在留期間の更新を認めてほしいというようなカトリック教会からの申し入れがあったように聞いておるのでございますが、この点外務省いかがでございますか。

都甲岳洋外務省大臣官房審議官

○都甲政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のような書簡が我が方在ベルギー大使館に接到しているという報告を私どもは受けております。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 それについて外務省としてはどういうふうな措置をおとりになられたのでございましょうか。

都甲岳洋外務省大臣官房審議官

○都甲政府委員 私どもといたしましては、基本的には本件は法務省が所管の法律に従って、本人の動向を勘案しつつ処理されておる事項と承知しておりますので、外務省としては基本的にその処理ぶりについてこれを見守っていくという状況でございます。したがいまして、関心を持って今推移をフォローしているということでございまして、特に本件につきましてのコメントをする立場にはございませんけれども、本件書簡につきましては関係方面にこれを伝達するという措置はとっております。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 もう少し具体的にお答えいただきたいと思うのですが、これは出されておりますのは、どなたからどなたあてに書簡が来ているのか。それからその内容についてはどういう内容のものであるのか。またそれをどこに取り次いだのかということでお答えをいただきたいと思います。

都甲岳洋外務省大臣官房審議官

○都甲政府委員 お答え申し上げます。  本件は、在ベルギーのカトリック司教会の下部組織である正義と平和協議会から、日本政府の再考を求め、在留期間の更新を認めるようにという要請が、我が方の在ベルギー大使館に接到しております。  本件の書簡を私どもも入手いたしておりますので、これにつきましては、これを関係方面に伝達するという手続をとっている最中でございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 具体的に、関係方面というのは、法務省にも伝達をしておるのでございましょうか。

都甲岳洋外務省大臣官房審議官

○都甲政府委員 これは今手続をとっておる段階でございますので、そのようなことは考えております。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 私の方の手元にあるのによりますと、これは一月の二十四日にブリュッセルの大使館に来ているというふうに承知をしておりますけれども、やはりこの問題は非常に重要な事柄なのではないかというふうに思うわけです。  それで今お聞きしますと何か各方面に伝達をするというようなことですけれども、外務省としてはこのカトリック教会の正義と平和委員会というものについては、どういうふうな組織だというふうに承知をなさっておられるのでしょうか。

都甲岳洋外務省大臣官房審議官

○都甲政府委員 この教会の性格等につきましては、私は詳細を承知しておりません。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 ということは、この問題について外務省としてはどういう性格の団体からこの書面が送られてきたのかということについての調査もしていないということですか。それでいて法務省あるいは関係各方面に対してこれを伝達する。何も性格のわからない団体の書面を各関係方面に伝達するのですか。

都甲岳洋外務省大臣官房審議官

○都甲政府委員 これは私どもといたしましては、このような場合にどう処理するかという一応の判断はあるわけでございますけれども、一応関係方面にこういう書類を伝達するということは、通常行っている事務でございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 外務省がカトリックの正義と平和委員会の性格について承知をしていないということは私は考えられないことなんですけれども、もう一つ、ベルギー大使館にではなくフランス大使館に、これはグドネールさんのことではなくて、マキシム・ドビオンさんというフランス神父のことでございます。このことについて何かフランス大使に書簡が来ておりますでしょうか。

都甲岳洋外務省大臣官房審議官

○都甲政府委員 先生御指摘の事実につきましては承知いたしておりません。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 これは私の方も直接その書面を持っていないのですけれども、しかし間接的にフランスの司教協議会の会長名で日本のカトリックの白柳誠一大司教あてに文書が来ておりまして、この文書によると、フランスの外務大臣に、駐日フランス大使にこのことの申し入れをするようにというような警告をしたということの内容のようなんですが、これはそうしますと、フランス大使から外務省に対して直接何かのコンタクトがありましたでしょうか。

都甲岳洋外務省大臣官房審議官

○都甲政府委員 先生御指摘の今の事実も承知いたしておりません。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 法務省には直接カトリック関係者からの在留期間更新の問題についての申し入れといいますか、要請といいますか、そういうものが来ておりますでしょうか。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 国内のキリスト教関係、カトリックあるいはプロテスタントの協議会等の団体から直接陳情等は受けております。それからまた、国外の問題といたしましては、最近コミッション・ジャスティス・アンド・ピースという団体から一枚の手紙でございますけれども、法務大臣に対して送付されたというふうに報告を受けております。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 法務省としてはこの外国人神父の在留期間更新について、現在では既に更新を決定されておるのでしょうか。とすればその内容について。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 先生お尋ねの件は、仙台の神父の件について特にお尋ねのことであろうと存じますが、この仙台の神父につきましては、昨年十二月に本人に対して事情を聴取いたしました際、本人から在留期間の更新が指紋を押捺しなければ認められないという責任ある人からの文書による説明があれば、私としては指紋押捺いたしますということを明確に表明した経緯がございます。  そこで私どもの方から、所管局である仙台入管局長から文書で本人に対して、指紋の押捺義務を履行しない場合には期間の更新はできないということを通報いたしております。したがって、昨年十二月の時点におきましてこの方針は既に決定したというふうにおとりいただいてよろしゅうございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 ということは、指紋押捺拒否者については在留期間更新の申請を認めない、延長は認めないという一般的な基準をお立てになったということなのでしょうか、あるいはそうではないのでしょうか。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 先ほどの答弁を申し上げるに当たりまして、御質問の趣旨は仙台の神父についての件であろうと了解いたしますがと申し上げたのはこの点に関係があるわけでございまして、私どもといたしましては、個々のケースについてその背景、事情、また本人の置かれている状況を十分検討の上、決定をすることにいたしております。  しかしながら、一般論として申し上げれば、在留期間の更新を許可する際に、私どもが常に検討の対象といたしております在留状況との関連におきまして、指紋の押捺拒否という公然かつ故意による法定義務の違反ということについては厳しく評価するという原則は確認いたしております。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 永住許可を取っている人については、指紋押捺を拒否したとしましても、それだけでは永住許可が取り消されたりあるいは在留許可自体が取り消されたりということにはならないわけだと思うのですが、永住許可を取っていない人については、在留期間の更新が認められないということになりますと、この仙台のグドネール神父さんなんかの場合には三十年日本に住んで宣教活動を続けておられる、実態的に言えば永住権を持っていらっしゃる方ともう全く変わりがない生活を日本でしていらっしゃる。その方について、指紋押捺をしないということだけで在留期間の更新に対して許可を与えないということになりますと、実際問題としてグドネールさんは日本を去らなければならなくなってしまう。結局退去ということになってしまう。この辺は私、法の均衡ということから考えても非常におかしいんじゃなかろうか。なるほど永住許可を取っているか取っていないかによるんだと言ってしまえばそうかもしれませんけれども、三十年日本で宣教活動を続けてこられて、そしてこの指紋押捺問題以外に何の法に触れる事柄を行ったわけでもない、そういう外国人に対して強制退去と全く同じようなことになるそういう措置を法務省が加えるということは、どう考えても不当じゃないか。指紋を押さないということと三十年住んでいた日本に住めなくなるということを同じに扱っている法務省の態度というのは、やはりこれはもう一遍考え直してもらわなければならないのじゃないか。この点でまだ検討の余地があるというふうにお答えいただけませんでしょうか。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 表見的には確かに同じ違法行為でありながら、それに対する行政処分が異なってくるということについて御質問の趣は理解できないわけではございません。しかしながら、例えば多くの韓国人が協定永住を受けております、あるいは協定永住を受けていない朝鮮半島出身者もございます。その間には法的には差がございます。すなわち、例えばただいま御指摘のございました退去強制につきましても、協定永住を受けている人々は禁錮または懲役七年以上の刑に処せられない限り退去強制の対象とはなりません。しかしながら、協定永住を受けていないその他の朝鮮半島出身者につきましては、これは出入国管理法に定める一般の退去強制の適用がございますので、一年以上の禁錮あるいは懲役に処せられる場合には退去強制の手続の対象と法的にはなるわけでございます。したがいまして、その取り扱いには法的には差がある。同様に、一般の永住権を受けている人と協定永住を受けている人との間の差もある。そういうことでございまして、単に同じ行為が常に法的に同様に評価されるということにはなっておらない。これは法律の建前、法律のあり方によるわけでございます。  その背後には、その背景としての事情の差もございます。すなわち、いかに三十年間我が国に居住しているとはいえ、このベルギー人の神父と、戦前から我が国に居住している元日本国籍保有者及びその子孫との間には、事情の差も評価の値する相違として存在する、これが法の建前の背後にある状況でございます。こうしたことから差が出てくるというのは間々あることでございまして、そのあり方について改めて、その差があるということから直ちにこれが不当である、あるいは不合理であるということは言えないかと存じます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 それでいて、実際に今までは指紋押捺拒否者に対しても在留申請を許可してきた、そういう経過があるわけですよ。それでグドネールさんについては、特に昨年の指紋押捺拒否運動の高まりというようなものの中で、私としては特にマイナスに評価をしているんじゃないかというふうな考えを持つわけです。  と申しますのは、ことしの一月二十四日に小林局長が日本カトリック司教協議会の委員長、白柳大司教にあてたグドネールさんの問題についての文書がございますが、その中に、現在の指紋押捺拒否というこの事案に対しては、「従前にも増して厳しく評価すべきであると考えている」という文章がございます。これは、指紋押捺拒否という一つの運動を、それに対してペナルティーを科すといいますか、従来与えていなかったペナルティーを加えるということでこの拒否をやめさせようというような意図が法務省にあったとしか考えられないわけでございます。永住者に対する、まあ永住者だけではございませんが、再入国の許可についてもこれを不許可処分にする、それから在留期間の更新申請についてもこれを不許可処分にする。従来は許可をしていたものを、この二年前から、あるいは特に昨年から非常に厳しい基準に変えていっている。これを相変わらずこれからもずっと続けていかれるおつもりなんですか。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 先生がただいまペナルティーというお言葉をお使いになりましたけれども、在留期間の更新を許可しないということはペナルティーではございません。ペナルティーは刑罰法規に規定してあるところでございます。これは行政措置でございまして、行政措置といたしましては、状況の変化に応じて緩急を考慮する必要が生ずるということは間々あることでございます。一台、二台の駐車であれば放置しておいても差し支えないものを、恒常的に数十台が駐車違反を行って交通が混乱するといった場合にはレッカー車を出動させてこれを撤去する、そしてその責任者に対しては手数料を課するといった措置も必要になるということは日常茶飯のことでございます。  私どもといたしましては、登録法違反という事案の状況を極めて細心の注意をもって見守ってきたつもりでございます。ただいま行われているその押捺拒否という行為は、法に対する一つの挑戦として、これの改正を強いる手段として違法行為に出ておるというのが現況でございます。こうした状況におきましては、単に押捺が不愉快であるからといって一、二の人がばらばらと押捺を拒否するといった事態と同一に論ずることはできないということは御理解いただけるものと存じます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 今ペナルティーではないと言われたけれども、これは明確なペナルティーですよ、日本に住んでいられなくなってしまうのですから。それは私は明確なペナルティーだと思いますが、このペナルティーが実際にもっと広がりつつあるんじゃないかと思うのですよ。  と申しますのは、局長は御存じだろうと思いますが、在日大韓民国キリスト教会で韓国からの神父の入国の申請をいたします。ところが、この入国申請が、在日大韓民国キリスト教会は指紋押捺拒否を進めている指紋押捺拒否実行委員会というものを持っているから、だからそういう団体が、そういう団体といっても指紋押捺拒否実行委員会が呼ぶわけではないのですよ、大韓民国キリスト教会が呼ぶのですよ、それが呼ぶ神父さんの入国の許可を出さないという事実が現にあること、これは局長は御存じだと思いますが、そこまでペナルティーを広げている。この今入国をとめられている人は指紋を押す義務さえないのですから、指紋について何の関係もないのですよ。なぜ入国をとめられるかというと、その呼ぶ団体が指紋押捺を拒否する組織を持っているから、だからその団体が呼ぶ神父さんは入国させない。ここまで法務省がペナルティーを強化させているということになれば、これはやはりゆゆしい問題だと思う。この問題についていかがですか。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 我が国への外国人の新たな入国、特に長期在留を目的とする外国人の入国につきましては招聘人という制度がございまして、招聘人に保証を求めております。保証の内容は法令の遵守であり、滞在経費あるいは帰国旅費の保証でございます。この場合に、その法令の遵守につきまして招聘する責任者あるいは招聘する機関がその遵守についての能力あるいは考え方を疑われるような場合には、その保証能力という観点からこれについて慎重な審査を必要とする状況になるのも当然であろうかと存じます。  ただいま御指摘のように、在日大韓キリスト教会総会が宣教師の招聘を申請してまいりましたけれども、総会につきましてはただいま御指摘のように拒否運動の推進を決定したかのごとき状況がございます。そこで、この点について私どもとしても先方の説明を求め事情を調査する必要が生じたわけでございます。この点につきましては総会側より一応の説明がございました。したがって、その説明の内容につきましてその後改めて検討をしておるところでございまして、いまだ申請案件について不許可の措置はとっておりません。早急に何らかの結論を出したいと考えております。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 招聘人はキリスト教会の総会ですよ。キリスト教会の総会でもって指紋押捺拒否を進めたということはないんですよ。それはもう法務省はとっくにおわかりのことだと思います。問題は、キリスト教会の内部に指紋押捺拒否の委員会があるからということで、これは基本的人権についての全くの無理解だと思いますし、また法務省が表向きの理由としている招聘人の資格といいますか、そういう問題についても指紋押捺拒否者がいる、あるいは指紋押捺拒否の運動をしている者がいるということだと、それを含む団体は招聘人の資格さえない、それはもう既に法に違反することが明らかな団体だというふうに見ているということになるんですか。法務省のやり方だと、そうとしか思えないわけですよ。こんなばかなことはないと思うのです。私は国際親善という意味から考えても、こんなばかなことを相変わらず続けているということは全くおかしいと思うのですよ。その点について大臣、いかがですか。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 私どもは大韓キリスト教会総会の方にも口を酸っぱくして申し上げていることがあります。それは指紋制度あるいは登録に関する諸制度についての反対意見を持っておるということは、そのこと自体を問題にする気は私どもは毛頭ない。改正が必要であるというふうにお考えならば、改正についての啓発、陳情、その他の事業あるいは行動を進められるということについては私どもは何ら問題とする気はございません。しかしながら、たとえその手段であっても指紋押捺拒否という明確な法違反に訴えられるということについては私どもとしてはこれを認めるわけにはまいりませんということなのであります。  ただいま先生は、総会が拒否運動を進めているわけではないというふうに言われました。この点は先ほど申し上げました一応の説明と申し上げた中にもございました。したがって、その点をどう評価するか、総会と拒否委員会との関係をどう判断するかということを現在検討しておるわけでございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 いつもこの点で私、局長と議論になるけれども、先ほど局長がおっしゃったように指紋押捺をしないということについてのペナルティーは、これは法にきちんと決められているわけですよ、ペナルティーとしては。ですからそこでもって罰金。きょうも岡山地裁でこの問題について罰金が出たようです。それは罰金。これはこれで法務省として一つのペナルティーですから、これは裁判所が決めることです。しかし、この入国ビザを出さないとかあるいは前の在留期間更新を出さないとか、再入国を出さないとかというのは法に決められているペナルティーではないのですよ。それで先ほど局長は、これは行政の裁量なんだ、行政的な措置なんだというふうな言い方をされたけれども、行政の裁量という言葉、行政措置という言葉をかりて実質的には罰金一万円よりもはるかに重いペナルティーを与えているじゃないですか。そうなんですよ、委員長。これは何とかしなければおかしいですよ。ここで大臣、やはりこの問題についてもう一遍御検討いただきたいと思います。大臣の御答弁をお願いいたします。

鈴木省吾自由民主党・自由国民会議法務大臣

○鈴木国務大臣 五十七年ですか、九十六国会でただいまの指紋押捺なりあるいは証明書の携帯を含めて御審議いただき御決定をいただいておりましてまだ間もないわけでございますが、それに沿って法務省としては実は厳正に執行しておるつもりでございます。  今お話しの件、伺いました。しかしそういった明らかに法違反をやられるということになりますと、これはやはりいろいろ入国なりあるいはその条件に対して考慮される大きな要素だというふうに考えておる。その他の点も総合的に実は考慮しながら決定をいたしておるわけでございます。御意見等もこれから参酌して検討してまいりたいと思います。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 ぜひとも大臣、いわゆる法律論としてではなくて、大臣のいろいろな御経験の中からの常識としてこれが通るのかどうかということで政策の判断をしていただきたいと思うのです。小さな条文のあれを隅でもってどうこうじゃない、自由裁量論なんという法理論の問題としてではなくて、やはり常識論としてこれが通るかどうかということをひとつ大所から御検討いただきたいということをぜひともお願いをしたいと思います。それをお願いして、この問題については時間もございませんので、これで終わりにしたいと思います。

福家俊一自由民主党・新自由国民連合

○福家委員長 委員長がこういう発言をするとしかられるかもしれませんが、鈴木大臣に個人としてお願いします。  今の天野委員の質問は人情的に当然私もそうあるべきと思います。私も海外に十数回行きましたが、税関とかそういうささいな事務的な手続の感情的なやり方でその国を愛するか、あるいはその国に反対の気持ちを持つ非常に微妙な問題でございますし、これから日本も国際列強の中に堂々と闊歩せねばならない国際社会の時代ですから、法も涙という言葉がありますので、特に人情高い人格者の鈴木法務大臣、御配慮を願います。(拍手)

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 委員長、ありがとうございます。

福家俊一自由民主党・新自由国民連合

○福家委員長 いや、個人に応援しているのではない。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 そういうことでございます。さすが遠山の金さんだという冒頭のごあいさつもございましたけれども、ぜひとも法務省としてもお考えいただきたいと思います。  次の問題は、人権擁護の問題でございますけれども、いわゆる部落問題が法務省が掲げる人権擁護の大きな柱になっているだろうと思うのです。大臣の所信表明演説の中にも部落差別をなくすということが人権擁護の大きな柱だということが述べられておりました。私どもも大変心強く感じたわけでございます。ただ、遺憾ながらこの部落差別の問題はなかなかなくなる、根絶するというところには来ておりません。いやむしろある点では差別がますます助長されてきているという面さえないわけではございません。  そこでお尋ねしたいのですけれども、まず第一点は、部落差別の問題で戸籍謄本をプライバシーとして守るということが非常に重要な問題としてあるかと思うのですが、この点について法務省としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。

枇杷田泰助法務省民事局長

○枇杷田政府委員 御指摘のように、戸籍の謄本が部落差別その他のプライバシーを侵害するために用いられるということがしばしば見受けられまして、これは大変遺憾なことでございますので、先般の戸籍法の改正の際にそれについて一定のチェックをしてそのようなことが起こらないようにという制度をとっておる次第でございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 最近、興信所等が弁護士の資格を偽って戸籍謄本をとって、そしてそれを依頼者といいますかに売り渡すというような事件が幾つがあったかと思うのでございますが、この点についてはどういうふうに承知をしておられますでしょうか。

枇杷田泰助法務省民事局長

○枇杷田政府委員 先ほど申し上げましたように、戸籍謄本がみだりに交付されないようにというチェックの方法といたしまして、第三者が戸籍の謄本を請求する場合には請求の理由を書いていただいて、それによって不当な目的に使用されることがないようにというチェックをいたしておるわけでございます。ところが、弁護士とか司法書士、土地家屋調査士あるいは行政書士、税理士等の職業の方々にとりましては、それを職務上必要とする場合がありますので、そういう資格のある方については請求の理由を書かなくてもいいという扱いになっておるわけであります。そのために、戸籍謄本が比較的手に入りやすいようにするために弁護士等の肩書を詐称いたしまして戸籍の謄本を請求するという事案が残念ながら最近発覚をいたしております。私どもが承知したところでは、そのようなことをしている者が七人わかりましたので、いずれも市町村から刑事上の責任を追及するための告発措置をとってもらう、また戸籍法上の過料の制裁をするために過料事件としての通知を裁判所にしてもらうというふうな措置をとっております。現在までに三名有罪判決を受けている者がありますし、それから二名公判中でございます。あとの二名は今逮捕中という状況になっておる次第であります。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 これはどのくらいの刑罰になるのですか。確定しているものがありましたら、どのくらいの判決でしょうか。

枇杷田泰助法務省民事局長

○枇杷田政府委員 確定しておるのが二人でございまして、一人は罰金十五万円、一人は懲役一年と執行猶予三年、もう一人はまだ判決の言い渡しがあったばかりでございますが懲役一年六カ月、執行猶予五年というふうに聞いております。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 これは各市町村の窓口で実際に身分があるのかどうかをチェックすることはなかなか難しいとは思います。しかし逆に一部の、ある名義の人による戸籍謄本の閲覧申請あるいは謄本申請が大量に出てくる、あるいは継続的にいつも出てくるというようなことがあれば、これはやはり業務として戸籍謄本をとっているんじゃないかということが一応うかがわれるんじゃないか。こういう点について各市町村に調査をしてみるというようなことでの対応をなさっておりませんでしょうか。

枇杷田泰助法務省民事局長

○枇杷田政府委員 市町村の方でもそのような事案がないようにということについてはかなり神経を使って、個々の申請についてチェックをいたしております。そして、そういうふうな不正のものがないかということをまた後日申請書をめぐって調査をするということもいたしております。  しかしながら、名前を変えたり、どうせ詐称するわけでございますのでいろいろな名前を使ったりいろいろな肩書を使ったりすることも考えられるわけでございますので、私どもの方では、弁護士については日弁連、司法書士については日司連等関係の全国組織の方にお話をいたしまして、その資格のある方の独特の申請書を決めていただく、そしてその中には登録番号も書いていただくというふうなことにしていただきたいということをお願いをいたしまして、たしか三つの会だったと思いますが、既にその様式を決めまして、独特の色をつけた様式を決めることになっております。日弁連にもそのようなお願いをしておりますが、日弁連でも現在検討中でございます。ほかのところでも私どもの申し上げている趣旨はおおむね御理解いただきまして、そういうような方向で、将来申請書自体で判別ができるというふうなことになってまいろうかということを期待いたしておる次第でございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 この部落差別の問題、特に結婚問題について非常に悲惨な状態があるわけでございまして、興信所等がこれを助長するような動きをしている。この興信所自体に対して何らかの制裁は考えられないものでございましょうか。

枇杷田泰助法務省民事局長

○枇杷田政府委員 それが興信所の仕事としてやっていることが明確な場合には、大いに警告を発し注意することは事実上できると思いますが、法律的な面におきましては、当該行為を促した責任者ということで押さえるしかないわけでございます。ただ、その背後にあって、いわば教唆的なことをしていることが証拠上明らかな場合にはそれはもちろんやれるわけでございますけれども、専ら法律上の責任とすれば、各行為をした者があればそれを徹底的に責任を追及するといいますか、そういう措置をとるということで、要するに一罰百戒と申しましょうか、そういう面でやらないようにするというふうな方向に行くしかないと現在のところ考えております。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 私は、こういう点はもう厳しくやっていただきたいというふうに思うわけです。また、その点について私たちは部落解放基本法というようなものを制定して、こういう部落差別を根絶していくということを国を挙げてきちっとしていかなければいけないのじゃないかと思っているわけです。  ところで、この部落差別問題、大変不幸なことに法務省の内部でもこの問題について差別の事実があったということが明らかになってきております。高知刑務所の刑務官の方のことでございますが、この点について法務省としてお調べになっていることがございましたらお述べいただきたいと思います。

石山陽法務省矯正局長

○石山(陽)政府委員 こういう席で本件の御報告を申し上げるのも実はいかがかと思うような事案でございまして、実は事件の発端は派手な夫婦げんかから出発したわけであります。昨年の八月ごろに高知刑務所の職員が自宅で夫婦げんかをいたしまして、その結果、大分派手だったと見えまして奥さんが子供さん二人を連れまして別居するという事態が生じました。そして、一時は別れる別れないという話になりましたが、結論的に申しますとその後うまくさやに戻りまして、暮れには再び同居し、子供も円満に学校へ入っております。それ自体はそれだけの話でございますけれども、ただその別居中に本人が、つまり職員であります夫の方でございますが、子供たち二人が母親についていってしまったことを惜しむ余り二人の子供を自分のところに呼び寄せまして、自分が調べたところによると結婚前のお母さんはいわゆる部落の出身者であることは明らかである、そういうお母さんについているよりは父親と一緒に住んだらどうか、こういうようなことを実の子供に申したわけであります。大変心配りのないことを申したものでありまして、子供も悩みますし、もちろんそういうことを言われた、間接的にそれを知った母親も悩みまして各方面に御相談を申し上げたようであります。その結果、市の方から私の方に対する連絡がございまして、この問題を私どもは家庭内の問題とは申しながらも非常に重大な差別発言であるというふうに受けとめまして、直ちに高知の地方法務局に連絡をいたしました。そして、その調査、啓発活動を受けながら、いつもやっていることではございますが、現在特に入念に、こういう事案が再び起こらないように再発防止を期する観点から、高知刑務所の一般職員に対しましてさらに啓発活動を実施しておるというのが現状でございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 人権擁護のとりでにならなければならない法務省のおひざ元で、こういう差別意識がいまだに強く残っているということ。この刑務官の方個人の意識についてやはり法務省としても問題にしていっていただかなければならないだろうというふうに思うわけです。  それで、この問題について高知の部落解放同盟の方で刑務官本人に来ていただいて解放同盟としての啓発活動をしたいというふうに申し入れをした事実があると思うのですが、それについて法務省が出席をする必要がないというふうにお答えになられたように聞いておるのでございますが、そういう事実があるのか。またそういう事実があるとすれば、なぜ出席をしなくてもいいというふうにお答えになられたのか。今矯正局長のお話では啓発活動に努めるとおっしゃっていながら、これに出席しなくてもいいということはどういうことなのか、この点について明確にお答えをいただきたい。

石山陽法務省矯正局長

○石山(陽)政府委員 本件につきましては、夫婦がもとのさやにおさまりました段階で、個人的にはそういう差別発言をしました本人あるいは妻、そういった者は関係団体の方に御相談をし、いろいろお世話になったということで、実は個々のお礼には既に参ったという事実もございます。それはそれとして大変御理解ある態度で対応していただいたわけでありますが、その後、上司である高知刑務所の所長及び当該本人に、いわゆる部落解放同盟の確認、糾弾の会合があるので、その際に出てほしいという趣旨のお申し入れがございました。これはいろいろの対応の仕方につきまして御議論はあると思いますが、私どもは法務省の職員でございまして、いわゆる法を守り法を執行すべき者がかかる事態を起こしたということに対して大変遺憾に存じております。それと同時に、法律によって人権擁護機関であります法務局にその事実を通報しますし、それによる啓発、調査を受けております。その結果またみずからも調査、啓発の努力をしているわけでございますので、この際に民間団体であります解放同盟の確認、糾弾会というものへ私ども役所の人間を出すということにつきましては、これは立場を変えてお考えいただきますと私ども行政の中立性というような点から見ていかがかということで高知の所長も出ないという方向で臨みたい、それをまた局も承認をいたした、こういう事実はございました。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 今行政の中立化というようなお話がございましたけれども、人権擁護には中立も何もないでしょう。人権擁護の立場、部落差別をなくすという立場に中立も何もないはずですよ。  それで問題は、この刑務官の方についても部落差別の意識があったこと、しかもかなり強く差別意識がその方にあったこと、このことは局長認めざるを得ないでしょう。その点はいかがなんですか。

石山陽法務省矯正局長

○石山(陽)政府委員 夫婦げんかの結果としても度が過ぎた発言であり、重大な差別発言であったことは認めます。(「それはおかしいよ、そんな問題じゃないじゃないか」と呼ぶ者あり)

福家俊一自由民主党・新自由国民連合

○福家委員長 不規則発言は禁じます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 これを夫婦げんかの問題だとしてもし法務省がとらえていらっしゃるのだとすれば、そこにこそ問題がありますよ。夫婦げんかの問題ではなくて、これは明確な部落差別の問題ですよ。この御夫婦の奥さん、これはいろいろな調べでいわゆる部落出身の方ではないということのようです。しかし問題は、そういう差別の意識を持っていたということが問題なのであって、夫婦げんかがどうかということじゃない。夫婦げんかのことならそれは何も上司が出張る必要はありません、そんなことは当たり前の話です。しかし、部落差別の問題であって、しかも局長が何度もおっしゃるように、人権擁護のために努めなければならない法務省の職員がそういう意識を持っているとすれば、これをなくしていかなければならない、啓発をしていかなければならない、この立場は確かでしょう。では、そのために一体何をなさったのですか。

石山陽法務省矯正局長

○石山(陽)政府委員 最初に夫婦げんかだからと申した意味は、冷静な立場で物をしゃべるという場合ではなくて、激したためについに言ってはいけないようなことまでしゃべってしまう、こういう意味で私、夫婦げんかであるとはいえと申しました。中身は重要な問題であります。ですから私どもは、それは深刻に受けとめておるというふうに申し上げたいと思っています。  それから次に、本件が発覚いたしましてからは、実は私どもの施設では部内の啓発活動として、部落問題に関しますものを含めて広く人権問題に関しまするいわゆる職員講習を毎年ずっと続けてやっておりますが、昨年の暮れから勤務につく職員全部に、かようなことがあってはいけないということで、非番や日勤等の合間を見まして、幾つかのグループに分けてこれに対します啓発活動というのを、所長講話あるいは部長の話という形で何回も繰り返しました。それから本年になりましてからは、人権擁護機関でありまする法務局の職員にも来ていただきまして、人権擁護に関しまする講演をしていただいたという状況でございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 私が言っていますのはそういう一般的な何をしたかということじゃなくて、この差別の意識を持っている刑務官に一体どうやって差別の意識をなくすような指導をなさったのか、この方に一体何をされたのか、それを聞いているのです。

石山陽法務省矯正局長

○石山(陽)政府委員 本件につきましては、本人についての所側の調査ということもございますので、その調査の過程等を通じまして、本人にこういう発言の重大性、差別という意識を持つことが非常に問題であるということにつきましては十二分に説得をいたしまして、本人現在のところ、その発言、行動について非常に後悔をしておるという状況にございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 これは人権擁護局長にお尋ねしたいと思いますけれども、解放同盟の方で行っております啓発活動の一つの形として糾弾、説得という形がございます。これについて人権擁護局としては、差別撤廃の啓発という意味でこの活動についてどう考えておられるのか、この活動を支持していくというふうな立場に立っておられるのかどうか、これはいかがでございますか。

野崎幸雄法務省人権擁護局長

○野崎政府委員 確認、糾弾につきましては、御承知のように大正十一年三月三日に、水平社が京都の岡崎公会堂で創立集会を開きまして決議をいたしましたその一条に、部落住民に対して侮べつ的な言動に及んだ者については徹底的な糾弾をするというのがございまして、それが大もととなっておるものでございます。御承知のように、大正年間はまだ非常に厳しい部落差別がございまして、この水平社の創立及び大会の決議を契機といたしまして差別の確認、糾弾というものが燎原の火のごとく全国に広がりまして、部落解放運動史上大きな成果を上げたということはだれもが認めておるところでございます。  それで情勢は、戦後新憲法が施行されまして、例えば今私どものおります部局は昭和二十三年に人権思想の普及高揚機関として創設されたものでございますが、その活動の非常に大きな部分を部落差別の解消に対してささげてきておるということは委員もよく御承知のとおりでございます。また、昭和四十年同対審の答申、四十四年の同対法、それからその後の地対法といった法律の施行によりまして、国も部落差別の解消は国の責務であり国民的課題であるという強い認識を持ちまして、差別解消のために物的、心理的両面で大きな予算も投資してやってまいっておるということも委員よく御承知のとおりでございます。その結果、環境整備については相当見るべきものがあったと言われておりますが、残念ながら私どもの担当しております心理差別の解消につきましてはなお根強い差別が残っておって、差別が後を絶たない。このたび私どもの法務省の中からこういった差別問題が出てきたということは、我々にとりましては非常に残念なことでございます。私どもといたしましては非常に深刻に受けとめておるところでございます。     〔委員長退席、太田委員長代理着席〕  ところで、今お尋ねの確認、糾弾会の問題でございますが、部落解放同盟はこの水平社の正当な後継者であるという自負とともに、この確認、糾弾闘争というものを運動方針の中核に置いておられることは私どもも十分承知をいたしておるところでございます。ただ先ほど来申し上げておりますように、いろいろ環境も変わってまいりまして、確認、糾弾のあり方等をめぐりましては運動団体の中でもいろいろな議論が生まれるようになってきております。また、五十九年の六月に出されました地対協の意見具申によりましても、これからの心理差別の解消のためには自由な意見の交換というものが必要である、しかし、それをややもすると行き過ぎた確認、糾弾が阻害していることがあるのだという指摘もなされておりまして、これからの確認、糾弾のあり方などにつきましては、いろいろ難しい問題がある時期に差しかかっておるというふうに考えております。ただ、それを人権擁護局としては擁護するとか擁護しないとか是認するとかといった立場にはございませんけれども、私どもは、確認、糾弾というものが自由な意思に基づいて出席をいたした者の予測的同意の範囲内で行われる限りにおきましては何らその適法性について問題はないわけでございますから、今後の運用に当たりましては慎重にやっていただきたいという気は持っておるところでございます。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 余り長過ぎてどういうことなのかちょっとよくわからないところがあるのですが、法務省としましても、これが法務省の職員じゃなくてほかの自治体の職員、例えば市町村の職員がけしからぬ差別的な言辞を弄したとかあるいはそういう取り扱いをしたとかということについての訴えが人権擁護委員会等に出されてきた場合に、これは何とかしなければならぬ、この意識を変えなければならぬということで、従来も解放同盟の確認、糾弾の集会に出ることを勧めたり、あるいはその当人だけではなくてその役所の上司も含めてその確認、糾弾に出ることについてはむしろ勧めてこられたというようなことはあったんじゃないかと思うのですね。その点はいかがですか。     〔太田委員長代理退席、委員長着席〕

野崎幸雄法務省人権擁護局長

○野崎政府委員 部落差別問題が起きましたときに確認、糾弾会が開かれるということになって、法務省の方でそれに出席するように勧めたということは今までございません。  それから、委員も既に御承知のとおり、昭和五十二年に法務省の通達が出ておりまして、「法務局職員は行政機関としての立場上つねに主体性を堅持し公正中立性を貫くべき責務があることにかんがみて、法務局職員が民間運動団体の行う「確認会」「糾弾会」に出席することは相当でないと考えるので、出席は差し控えるようにされたい。」ということになっておりますので、少なくともこの通達が出まして以来、法務省の職員が確認、糾弾会に出席しておる事実はないというふうに考えております。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 それは、ほかの第三者が行った差別問題についての糾弾、それに法務省の職員が出席することはしないということでしょう。問題は、法務省自体が対象になっているわけですよ、この高知の事件というのは。そんなことは法務省としては予想もしないことだから、法務省の職員が人権擁護のあれで部落差別するなんということは予想もしてないことだから、それはそれを予想してどうこうするということはあり得ない。  しかし、この確認、糾弾ということで、今世間で問題になっているいじめの問題ですね。それで先日新聞に、ある学校でいじめ問題についての生徒の自由な討論会をやった、いじめた側もそれからいじめられた側も、ありのままの事実を話そうじゃないか、そういうことを話すことでいじめ問題の一つの解消の方向を出していこうじゃないかということで、みんなが、いじめた側もいじめられた側も生徒が涙ながらに報告をし合ったという記事が出ていました。あの記事を見ながら、やはりいじめ問題の中に差別ということがあるんだなということを私は感じました。そうして、あの差別をなくしていくためには、これは差別をした側と差別された側がやはりそこで、同じ場で、ありのままの事実を述べ合わなければならないのですよ。そうじゃなければ差別はなくなっていかないのですよ。そのための方法が確認、糾弾なんです。これをきれいな形で、啓発で、どなたかお偉い方の講演を聞いて、それじゃ差別の意識がなくなるか。そんなことで差別の意識がなくならないということをずっとやってこられたのが水平社以来の解放同盟のこの運動なんです。だからこの確認、糾弾というのはやはり差別の意識をなくすためにはどうしても必要なことなんですよ。幾ら周りの環境が整備をされたってだめなんです。それは、きょうも新聞に出ておりましたあの中野の富士見中学校の本当に不幸な事件でも、いじめた側の子供は、自分ではいじめだと思っていなかった、相手方がそんなに深い傷を受けているとは思っていなかったと言っている。それは本当だと思いますよ。だけれども、そうじゃなくて、そういういじめだと思っていなくても、ところが実際はいじめられている側にとっては本当に耐えられない地獄の苦しみだったわけでしょう。その苦しみを部落差別を受けている人たちはずっと味わってきているわけでしょう。そこのところから出発しなかったら人権擁護なんというのはないと思うのですよ。そこから出発しなかったら、部落差別なんかなくなりませんよ。これについてどう考えますか。

野崎幸雄法務省人権擁護局長

○野崎政府委員 今いじめの例を引いていろいろお話しをいただいたわけでございますが、私どももいじめの問題につきましては昨年来、いじめは人権侵害であるというふうに考え、また特にいじめの問題点といたしましては、いじめられる側が非常に死ぬ苦しみを味わっているにもかかわらず、いじめている方はそれを非常に楽しみとしてやっているような傾向があって、人の心の苦しみがわかっていない、人の心の痛みがわかっていない、ここに人権感覚の立ちおくれがあるということで、啓発の中心をそこに置いて、いじめの根絶のために全国的な啓発活動を展開しておるところでございます。  さて、本件につきまして、この問題につきまして今いろいろ御指摘をいただきましたが、私どものこの問題に対する対応、その基本的な考え方というものをひとつ御説明をいたしまして御理解を得たいと思います。  先ほども申しましたように、私どもは法務省の部内におきましてこのような差別問題が起きたということを非常に残念に思っております。こういうことが二度と起きないようにしなければならないというふうに考えております。  ところで、御承知のように法務省の人権擁護機関は中立公正な啓発機関として法律により設置されたものでございます。現在、部落差別に関する啓発を行っておられるところは、各都道府県の同和関係の部署、また民間運動団体等数多くございますけれども、法律の根拠のある啓発機関は法務省の人権擁護機関一つでございます。それだけに、そういった機関を持っておる法務省の内部でこのような問題が起きたということは重大な差別事件であるということで、昨年この事件について通報を受けまして以来、私どもはこの事件について徹底的な調査をやるようにという指示をいたしまして、高知地方法務局がこれまで数回にわたり調査をいたしました。まだ少し調査すべきところは残っておりますけれども、現在までの調査によりましても、この発言というものがまことに大きな部落差別につながるものであるということは明らかであると考えまして、これまで七回、既に二十時間、本人に高知法務局の人権課の職員が当たりまして、徹底的な啓発をやっております。なお、並行して調査をいたしておりますので、いろいろな事実が明らかになるのとあわせまして、これからも啓発を続行し、私どもといたしましては十二分の啓発を行いたいというふうに考えております。したがいまして、その後におきましてこれを他の機関の啓発にゆだねるということは、その存在意義、つまり法務省の人権擁護機関の存在意義そのものを自己否定することにもなりかねませんし、先ほど来議論になっております行政の主体性、中立公正ということを堅持するためにも相当でないというふうに考えますので、法務省の現在の考えをひとつ御理解いただきたい、かように考えるものであります。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 その法務省の人権擁護の機関に差別された人が出ているんですか。差別問題というのは、差別された人がそこにいて、それで差別した人間がそこにいる、それじゃなかったら何にもならないですよ。差別する側だけの人間が集まっていて、それで考えましょう、これから差別をなくしましょう、幾ら言ってたって、そんなことで差別はなくならないんですよ。法務省でもって、唯一の機関だとおっしゃる。それじゃ、そこに差別されている側の人たちは一体何人出ているんですか。

野崎幸雄法務省人権擁護局長

○野崎政府委員 差別事件が起きたときに、まず啓発をしなければならないのは、その差別をした人がやった行為がどれだけ差別された人の心に厳しい痛みを感じさせているかということを理解させることであろうかと思います。  委員の今の御指摘は、差別を受けたことがない者がやって、そういう効果を上げることができるのかというふうな御趣旨であろうかと思うわけでございますが、私どもは人権擁護機関といたしまして、人権思想の普及啓発機関といたしまして、それをよく理解しなければならないし、理解することはできるものであるというふうに考えております。  例えば、刑事裁判におきまして殺人事件が審理された場合におきましては、私どもはその殺された人の悲しみ、遺族の苦しみというものを理解せずして刑の鑑定はできないわけであります。また、交通事故に基づく損害賠償事件が起きましたときは、その慰謝料というものを認定していくわけでありますが、その場合には、裁判所はその亡くなった人の苦しみ、悲しみ、そうして遺族の受けた心の痛みというものを判断して、その慰謝料の額を決めてまいるわけであります。  私どもはそれと同じように、中立公正な機関といたしまして努力をし、そういった心の痛みをわかる人間を育てないといけないと思いますし、また、現に担当している者は十分それがわかっておるものと考えております。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 わかっていないからこそこういう問題が出てくるわけですけれども、私はこの高知刑務所の刑務官の問題については、ぜひとも改めて法務省として解放同盟の確認、糾弾に当事者としてやはり出席をするということ、これはお考えいただきたい。そうして同時に、その直接の上司も監督という立場で、まず差別されている人間の心をやはり直接に聞かなきゃならないし、この事件について、あるいは奥さんは部落出身ではなかったんだ、差別ではないんだというようにもしお考えなんだとしたら、それこそ大変重大な間違いだと思います。この事件で差別されておるのは、奥さんはもちろんいろいろな苦しみを負われたかもしれませんが、現実に部落出身だということで差別を受けている人たちが大勢いるのですから、この事実はもう局長もよくおわかりだと思いますよ。その部落出身の人たち全部に対してやはりこの刑務官は差別の責任を負わなきゃいけない。だからこそ解放同盟の確認、糾弾に出てもらわなきゃならない、そういうことだと思います。そういう点で、ぜひとも私はこの問題の処理についてもう一度再考をいただきたい。単に法務省職員は出ないというような通達があったとしましても、これは当事者の問題じゃない。当事者になることを予定してそんなことを言っているわけじゃない。しかし、今度のこの刑務官は法務省職員が当事者なんですから、その点ではやはりどうしても出ていただきたいと思いますし、先ほどから中立性、中立性というふうに言われておりますけれども、中立性というのは一体何の中立性なのか、私はちっともわからない。もし、同和諸団体がある、部落解放同盟もあり、ほかの同和の団体もある、ほかの同和の団体に気兼ねしなきゃならないから、だから部落解放同盟の確認、糾弾には出られないんだというのだったら、こんなものは何の中立てもありませんよ。行政の問題を言っているんじゃないのです。同和の関係について、部落解放同盟に予算を余計出せだとかなんとか、そんな話をしているんじゃないのです。被害者としての、差別を受けている者としての部落解放同盟に対してどういう立場をとるのかということを言っているのですよ。これは行政の中立の問題じゃありません。そこをもう一度局長もお考えいただき、そして大臣にもお考えをいただきたいと思います。  この問題について大臣のお考えを一言お聞きした上で質問を終わりたいと思いますが、この問題についてはまだ改めて議論させていただきたいと思います。

福家俊一自由民主党・新自由国民連合

○福家委員長 天野委員に申し上げます。  持ち時間は超過していますが、結論があるならまとめて最後に……。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 大臣から最後に一言。

福家俊一自由民主党・新自由国民連合

○福家委員長 いいですか。鈴木法務大臣。

鈴木省吾自由民主党・自由国民会議法務大臣

○鈴木国務大臣 人権を擁護しなきゃならない、しかもまだ政府が長い間努力をしてまいりました同和問題の解決に全力を挙げておるそのさなかにおいて法務省の職員にさような者が出たことをまことに遺憾に存じます。  御案内のように、先生等の御協力をいただきまして、もう十何年政府は全力を挙げてこの同和問題の解決に当たってまいりました。幸い環境等の改善は相当なされてきたようでございますが、先ほど来のお話の、心の中の不当なそういった誤った考えというものはいまだに解消されておらないということを私ども本当に心から残念に思っておる次第でございます。この点を解決していかなければ本当の同和問題の解決はないなというふうにつくづく考えておる次第でございます。  法務省といたしましては、啓発、指導、こういう立場でございますが、一日も早くそういった心の中の本当のいわれのない差別観をなくするようにこれから努力をしてまいりたい、かように考えております。いろいろな貴重な御意見を伺いまして本当に参考になりました。十分そういう点を参考にしながらこれからやってまいりたいと思います。

天野等日本社会党・護憲共同

○天野(等)委員 では、これで終わります。

福家俊一自由民主党・新自由国民連合

○福家委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十分休憩      ――――◇―――――     午後二時一分開議

福家俊一自由民主党・新自由国民連合

○福家委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松浦利尚君。

松浦利尚日本社会党・護憲共同

○松浦委員 大変きょうは御迷惑かけました。実は予算の集中審議の方にも出席をしておりましたので、発言をしてまたすぐ帰ってしまうというようなことになって、御出席の先生方に御迷惑かけますが、冒頭おわびをしておきたいと存じます。  まず、きょう第一の問題は、御承知のように既に予算委員会あるいは決算委員会等々で取り上げられております撚糸工連の政治献金の問題等を含めて質問をさせていただきたいと思うのですが、通産の方、来ておられますね。実はこの撚糸工連の問題が起こりましてから、ぜひ法務大臣も聞いておっていただきたいと思うのですが、極めて淡々と小沢自治大臣あるいは自治省の選挙部長等が予算委員会等で答弁をされました。ところが、国民の間ではそういうことでは納得しない。逆に言うと、こんなに無利子の金を、税金でありますが、援助してやっておる撚糸工連が利用されて政治家に金が行く。あえて政治家の名前はここで出しませんが、もう既に週刊誌等では自民党代議士の名前が列記されておるわけであります。新聞の論調もそうであります。ここに私は新聞論調の一つを持ってきておるのですが、そういったことが野放しになっておるという状況でどのような批判が起こっておるかというと、撚糸工連という組織はもう要らぬのじゃないか、これは過保護だ、だからこういうことが起こるんだ、この際こういうものはつぶしてしまえ、こういう意見が非常に出てきておるのであります。これは一新聞の論調でありますが、この中にも繊維工業審議会委員を務めておられる法政大学のある教授は、「過去のしがらみなと思い切って断ち切るべきだ」こういうことを言っておるのですね。ですから仮に我々政治家がこのまま放置をしておりますと、撚糸工連などは必要ないという国民の世論が形成されることになる。ですから、撚糸工連というものは通産省にとって通産行政上必要なものかどうか。私は少なくともこの撚糸工連というものは、現在の繊維不況から見てこれからも継続されなければいかぬ事業だ、こう思っておる。しかし政治家がこれに絡みついたことによって、必要ない、必要悪だ、過保護だ、こういう論調が出てきておるのでありますから、通産省としては、こういった事件は別におくとして、これからもこういった撚糸工連というものは必要なのかどうか、通産行政として大切なものかどうか、そういう点について明確にお答えをいただきたい、そういう疑問に答えていただきたい。このことを質問いたします。

江崎格通商産業省生活産業局原料紡績課長

○江崎説明員 御指摘の撚糸工連のやっております主な事業というのが設備共同廃棄事業とかあるいは登録制でございますけれども、こうした事業につきましては昭和五十八年に繊維工業審議会及び産業構造審議会におきまして十分検討した上で決めた方針に従いまして実施しておるものでございまして、昨今の繊維産業を取り巻きます厳しい環境、円高等ございますが、こうしたことを考えますと、これらの施策の必要性というものは依然として非常に強いと考えておりまして、理時点で制度そのものの存廃を見直すということは考えておりません。ただ、本件が設備共同廃棄事業とかあるいは登録制に関連して発生したというのは紛れもない事実でございまして、今後こうした不正が発生することのないように制度の運用の改善を含めまして必要な検討を行ってまいりたいというふうに考えております。  それから御指摘のございました撚糸工連そのものの存廃の問題でございます。これにつきましては、現在詳細な事実関係につきまして検察当局の手によりまして調査が行われておるわけでございまして、私どもとしましてはこの結果を待って適切な対応をしたいと考えております。したがいまして工連の存続問題について現時点で断定的な判断を下すという段階ではないと思いますけれども、先ほど申し上げましたような設備共同廃棄事業ですとかあるいは登録側というものを今後も継続して実施していくためには何らかの全国的な組織が必要と考えております。そういった観点で仮に本工連を存続させるという場合には二度と今回のような不祥事が起きないよう、工連の事業のあり方ですとか、あるいは当省の監督の仕方、こういった点についても十分点検して改めるべき点は改めるということが必要であろうかと思っております。

松浦利尚日本社会党・護憲共同

○松浦委員 今言われた、現実には決算報告とか出されるわけですね、そのときにチェック体制というものが不十分であった。しかし、実質的にはこういったものについてはチェックできないのかどうか、チェックしようと思えばできるかどうか、そういった点についてもちょっとお答えいただきたいと思います。

江崎格通商産業省生活産業局原料紡績課長

○江崎説明員 私どもの方には年に一度決算関係の書類が提出されることになっておりますが、それには添付書類のようなものがついておりませんでして、いわゆる決算書類だけでございますので、今回新聞報道等で出されております政治献金の問題とかそういったものはそういった書類だけからは発見できないといいますかチェックできないような格好になっております。

松浦利尚日本社会党・護憲共同

○松浦委員 存続させるなら、私はもっとチェック機能というものを強化しなければならぬと思うのです。  もう一つお尋ねをしておきたいのですが、後で小沢自治大臣等の答弁等については法務大臣からも御意見を聞かせていただきたいと思うのですが、この事業協同組合、商工組合等の中に、あるいは中小企業団体の中には、法律によって政治活動あるいは政治活動とおぼしきことは禁止されておる条項がありますね。例えば中小企業等協同組合法第五条第三項、中小企業団体の組織に関する法律第七条第三項、これによると、「組合は、特定の政党のために利用してはならない。」という規定がありますね。中立でなければならぬという規定がありますね。こういった中小企業等協同組合の法律、団体の組織に関する法律第七条第三項、もし新聞に報道されているような事実があったとしたら、これからいえば明らかにこれは違反でしょう。特定の政治家に、もっと端的に言うなら自民党の代議士に政治献金が行われておる、これは明らかに七条三項違反でしょう。その点についてはどうですか。

江崎格通商産業省生活産業局原料紡績課長

○江崎説明員 ただいまの点でございますが、先生御指摘のように日本撚糸工業組合連合会は中小企業団体の組織に関する法律に基づきまして設立された団体でございまして、この法律には七条の三項に「特定の政党のために利用してはならない。」ということが規定されております。ただ、新聞報道ではいろいろ出ておりますけれども、私どもとしては、この規定に違反するような政治献金が行われていた事実があったかどうかという点につきましてはまだ承知してないわけでございます。いずれにしましても、詳細な事実関係につきましては現在検察当局の手によりまして調査が行われておりますので、この結果を待ちまして必要な対応を図っていきたいというふうに思っております。  ただ、一般的に言いまして撚糸工連が政治献金できる団体がどうかという点でございますが、一義的にこれを述べるのは非常に難しいわけでございますが、先ほど先生御指摘の団体法の規定等にかんがみまして、組合というものは政治的な中立を保持すべき経済団体であるということでございまして、こうした団体の性格を考えますと一般的には政治献金といったようなものは好ましくないというように考えております。

松浦利尚日本社会党・護憲共同

○松浦委員 そういうことについて業界を再三指導しておられると私は聞いておるのでありますが、そういう指導は通産省として常時行っておられたと私は理解するのですが、その点はどうですか。

江崎格通商産業省生活産業局原料紡績課長

○江崎説明員 選挙等が行われます前には、いつも中小企業庁長官の名前で各組合に対しまして政治活動等しないようにという通達を出しております。

松浦利尚日本社会党・護憲共同

○松浦委員 もし仮に今報道されておるような事実があったとすれば、これは七条三項違反であるということはもうはっきりしておると私は思うのです。  そこで、法務省の方にお尋ねをいたしますが、今捜査段階ですからということでお答えがあるいは抽象的になるかもしれませんが、この問題で現に新聞報道になされておるような献金を受けた、そういった政治家等についても現在把握をしておられるのかどうか、その点についてお聞かせいただきたい。

岡村泰孝法務省刑事局長

○岡村政府委員 現在、日本撚糸工連の事件につきましては小田理事長らを勾留いたしまして捜査中でございますので、捜査の中身にわたるようなことにつきましてはお答えを差し控えたいと思います。

松浦利尚日本社会党・護憲共同

○松浦委員 私はここで政治家の名前等をお聞きするつもりはありませんが、そういった政治家等に政治献金をされたというようなことについてお答えはできませんか。政治家の個人的な名前じゃありませんよ。そういうことについて把握をしておられるかどうかということもお答えできませんか。

岡村泰孝法務省刑事局長

○岡村政府委員 そうでございます。

松浦利尚日本社会党・護憲共同

○松浦委員 私が法務省刑事局長にお願いをしておきたいのは、こういうことがあいまいになりますと、せっかく国がよかれと思ってしておる行政までも、悪の温床として毒食わば皿まで、こういうことで国民の皆さんがもうやめてしまえ、そのことだけが焦点になって、こういう制度はやめてしまえという批判が起こってきますので、先ほど言ったように通産行政としては絶対必要なことですから、勇猛を振るってやっていただきたい。政治家がおろうがおるまいが徹底的にやってもらいたい。そうすることが国民に対して姿勢を正す道だと私は思うのですね。捜査中だそうですからあえてここで名前は、政治家が介在しておったかどうかということはお聞きをいたしません。その点をぜひ肝に銘じていただきたい。大臣、どうでしょう。いや、大臣で結構です。

岡村泰孝法務省刑事局長

○岡村政府委員 まず私から申し上げます。  現在検察当局におきましてこの事件を鋭意捜査中でございまして、実態を解明すべく現在努力しておる段階でございます。もしそういう捜査の過程におきまして何らか別に犯罪を構成する事実があるならば、これは検察当局といたしましても厳正に対処するもの、かように理解いたしております。

松浦利尚日本社会党・護憲共同

○松浦委員 大臣、どうですか。

鈴木省吾自由民主党・自由国民会議法務大臣

○鈴木国務大臣 検察は厳正適切にやっておると私は信じております。

松浦利尚日本社会党・護憲共同

○松浦委員 私は大きなことは言いませんけれどもロッキード調査特別委員だったのですよ。そのときの法務大臣が稻葉さん、勇猛果敢にやられましたね。大体政治というものは政治家が姿勢を正すことから始まるのですよ。それを法の番人である法務大臣に期待をするのです。やろうと思えば指揮権発動だってやるのでしょう、法務大臣は。それだけの力を持っておるでしょう。私はこのことで指揮権発動するようなことはないと思うけれども、いずれにしても徹底的にやってもらいたい、そのことを期待する。そうでしょう、徹底的にやってもらえるのでしょう。指揮監督して一生懸命やってくれるのでしょう。どうですか。

鈴木省吾自由民主党・自由国民会議法務大臣

○鈴木国務大臣 先ほど申し上げたとおり、厳正適正にやっていくつもりでございます。

松浦利尚日本社会党・護憲共同

○松浦委員 大臣は非常にお人柄のいい方ですから、これ以上は幾ら言っても出てこないでしょうけれども、やはり少なくとも期待を裏切るようなことをしてもらっては困るのですよ。現実に事実があったとすれば、先ほど言ったように違反の、政治献金をしてはいけない団体からもらっておるのですからね。その点はしっかりしていただきたいと思います。  これからまたもう一つ、裁判に関係してお尋ねをいたしますが、昭和四十八年十月二十四日に環境権の問題をめぐりまして運輸大臣のした成田新幹線工事実施計画の認可に対して抗告訴訟の判決が行われておりますね。そのときに東京高裁で判決が出されておるのですが、その中にこういう条項があるのです。公団というのは鉄道建設公団ですね。  同公団は、日本国有鉄道と同じく、形式的には、国から独立した法人で(前記公団法によれば、単に法人と規定するのみで、特に公法上の法人とは規定していないが、多分に公法的色彩を有するものと考えられる。)、国の行政機関とは区別されなければならないが、実質的には、国と同一体をなすものと認めるべきで、一種の政府関係機関とも称すべきものであり、機能的には運輸大臣の下部組織を構成し、広い意味での国家行政組織の一環をなすものと考えるのが相当である。 という判決例が出されておりますが、これについては把握しておられますか。

岡村泰孝法務省刑事局長

○岡村政府委員 そういう判例のあることは承知いたしております。

松浦利尚日本社会党・護憲共同

○松浦委員 さらに、高辻さん、前の内閣法制局長官、この方が政府関係法人について述べておられますね。これも、中小企業事業団等を含めて、  その行う事業の内容は異なるにせよ、国の経済政策・社会政策・農業政策の一端を担当することに主眼がおかれ、これらの政策を達成する手段として特定の事業を国に代わって行うことを目的として設立されたもので、多分に公法的色彩をもち、いわゆる機能法人としての性格が強い。 これもやはり国の機関だ、こういうふうに述べておられるんですね。  あるいは行政学者の佐藤功先生自身も、御承知のように、「行政組織の一環」であり、「国との間に一体性を有することを否定し得ないのであって、それぞれその代行機関としての地位及び性質を有するもの」 であるというふうに述べておるんですね。ですから、学説からいっても、東京高裁の判例からいっても、この問題になっております中小企業事業団というのは国の機関なんです。  さらに、把握しておられるかどうかわかりませんが、総務庁が昭和六十年に「特殊法人総覧」というのを出しておられるのですが、この総務庁の見解によっても、これは国の行政機関である、国の一環であるということが書いてある。さらに、経済企画庁経済研究所の「新国民経済計算の見方使い方」等を見ますと、これまた一般政府の中央政府機関として中小企業事業団が位置づけられておるのです。だから解釈は全部政府の行政機関の一環であるという位置づけになっておるんですよ。ただひとり自治省のみが政治資金規正法上の解釈においてこれは別扱いだというふうに解釈しておるんですね。  ですから、自治省の方にもう一遍お尋ねをいたしますが、この前、小沢自治大臣あるいは選挙部長等が予算委員会で言われておられたことはどういう意味で言われたのか。これは政治献金をもらってもいい団体なんだ、そういう意味で言っておられたのか。その点について、残念なことにきょうは大臣がここにおられませんけれども、こういう大切なことのときには本当は大臣にも出てもらいたいのです。しかしおいでになりませんので、課長さんで結構です。打ち合わせて来ておられると思いますので、この前予算委員会で御発言になった内容についてもう一遍ここでお答えいただきたい、こういうふうに思います。

中地洌自治省行政局選挙部政治資金課長

○中地説明員 お尋ねの衆議院予算委員会等における自治大臣の発言でございますけれども、政治資金規正法第二十二条の三第一項における「国」という場合には中小企業事業団は含まれない、したがって中小企業事業団から補助金等を受けている会社その他の法人が政治献金を行っても政治資金規正法には違反しないというふうにお答え申し上げているわけでございます。それで、これについてでございますけれども、政治資金規正法というものは、これは二十二条の三に違反いたしますと厳しい罰則もございます。そういう意味では「国」というものを拡張して公社公団等を含めて解釈することはできないというふうに考えてございます。

松浦利尚日本社会党・護憲共同

○松浦委員 国の機関であるということは、政府も総務庁も東京高裁の判決も、国の機関だと言っておるのですよ。一方では国の機関であると言って、片一方で自治省だけが、いやこれは国の機関ではありません。しかし、団体法の七条三項では先ほど言ったようにこれは違反なんだ。だから、一般論としてそういう原則はあるけれども、今度のこういう問題に関しては、しかしまたその根拠法がありますよというぐらいの答弁をしなければならなかったはずだ。みんなこれでいいと思っているんだから。ああ、政治資金規正法の二十二条の三で、いいというふうになった、こういうふうにみんな思っているのです。しかし、よくよく考えてみたら、その基礎になる団体法ではちゃんと規制されている、枠がはまっておる。だからあの答弁は非常に不親切ですよ。そういうものまでオープンになるのですか。そういうものまでもらっていいのですか。許されるのですか。もう一つ聞かせてください。

中地洌自治省行政局選挙部政治資金課長

○中地説明員 先生の学説、判例等を挙げての御議論でございますけれども、繰り返すようでございますが、政治資金規正法第二十二条の三第一項には「国から」という形で規定しているわけでございます。そこで、この政治献金という問題は憲法で保障された政治活動の自由とも密接に関係しているということ、そしてまた罰則がついているということから、非常に厳しく限定的に解釈するわけでございます。一般的に、例えば公職選挙法等をごらんいただきましても、百三十六条の二に「国又は地方公共団体の公務員」、それから別に「日本国有鉄道」あるいは「石油公団」等ずっと並べておるわけでございます。そういう形で、公職選挙法の規定も国とそれ以外のものを明確に区別して書いている。こういうことから申し上げましても、政治資金規正法の「国」の中に公社公団等を含めて解釈することはできないというふうに申し上げているわけでございます。

松浦利尚日本社会党・護憲共同

○松浦委員 もしもこういうことが仮に許されるとすれば、一〇〇%政府が出資する、税金を出資する公団をつくって、きょうも本会議で議論がありました東京湾岸にかかわる株式会社、民間の組織をつくるのですが、どんどん政治献金が自由にされるということになってごらんなさい、税金を納めた国民はどうなりますか。しかも、この撚糸工連の方は全くの無利子ですよ。ただそれだけの答弁で、それはあなたが言われるとおり厳密に解釈すればそうかもしれない。しかし、国という概念に対しての考え方は訴訟の対象にはなりますよね。訴訟しようと思えば、国の概念について議論すればいい。それは国民の側が、だれかがするかもしれない。その場合には東京高裁で出た判決が有効になる、生きてくる。しかし、あなた自身もそれでいいとは思わないのでしょう。それはたまらないですよ。しり抜けをこんなにつくられて、どんどん政治家に国民の税金が回っていったのじゃ、国民はたまったものじゃない。もう少し真剣に考えてもらわなければいかぬ。確かに形式的には言われるとおりかもしれない。しかし、現実には、そのことによって、撚糸工連なんて必要ないという意見まで出てきておるのだ。私は、自治大臣やら選挙部長がおいでにならぬから、課長さんは打ち合わせしてきたとおりを今オウム返しに言っておられるので、あなたが局長があるいは大臣になったときに答弁してもらうことにして、これ以上あなたを追及するつもりはありません。私の意見を持ち帰って、ぜひ大臣に伝えてください。法務大臣、どうでしょう。

岡村泰孝法務省刑事局長

○岡村政府委員 先ほど御指摘のありました東京高裁の判例でございますが、これの事案は、運輸大臣が行いました日本鉄道建設公団の成田新幹線工事実施計画の認可につきまして、この認可という行為が抗告訴訟の対象となる行政処分であるか、こういう観点から論じた判例でございまして、この判例自体も、日本鉄建公団は国とは別個、独立の存在である、国から独立した法人であるということは前提としながらも、その機能面といいますかそういった面から見て、抗告訴訟の対象となる一つの広い意味での行政組織の一環をなすものだ、こういうふうな判断をしておるわけでございまして、この判例がそのまま政治資金規正法の解釈に適用されるものとは言えない、かように思うのでございます。

松浦利尚日本社会党・護憲共同

○松浦委員 私は何もそこまで踏み込んで議論しておるつもりはないのですよ。それは、さっきから言うように、国という概念についてどこかで議論をすればいいことですから、裁判等を通じてやればいいのですから、国民の側であるいはだれかが議論をすることにすればいいことですから、国の概念について。それはこれからの訴訟の問題です。ただ、私が言っているのは、それだけでいいですかと言っているのです。それは、調べる側の刑事局長さんの言われることはそれで結構です。私は、これからはやはり政治的なものだと思いますよ。法務大臣、どうでしょう、このような状況のままでよろしいでしょうかね。やはりある意味で、官房長官等も何か決算委員会でお話があったそうですが、何らかの方法を講じなければいけませんよ、改めるなり何なり。もっと政治資金規正法を厳しくする方向をたどるなり何かしなければいかぬのじゃないですか。その点についてどうでしょう。

鈴木省吾自由民主党・自由国民会議法務大臣

○鈴木国務大臣 先生御承知のように、私は法律のそういうことになりますと素人でございますが、いろいろ、御意見があれば検討しなければならないかな、かように考えております。

松浦利尚日本社会党・護憲共同

○松浦委員 ぜひ早急に検討してください。きのう決算委員会で官房長官も、検討せざるを得ないというような答弁、新聞報道ですが。そうしなければ、これから民活に係る法案の審議とかそういったものにこれは非常に大きな影響を与えます。ぜひ今言った御答弁のとおり政府部内で、閣議等で十分御議論いただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。  それで委員長、私は予算委員会でもジャパンライフと政治家との結びつきを議論しました。悪徳商法と政治家の結びつき。資料はたくさん政治家の名前も持っております。しかし、それを私はここであえて言わないのですね、そういうことは。しかし、既に今度のこの事件についても週刊誌等で名前が出てきておるのです。私は、今大切なことは、政治に信頼を取り戻す道は政治家の規律を守ることだと思うのですよ。政治家としてのモラルを確立することだと思うのですよ。何かロッキード事件でもうすべて終わったと。ですから、ぜひ本委員会等で議論をしていただいて、政治家のモラルについて、せっかく政倫協というものもできたわけですから、そこでこうした問題について、どう姿勢を正すべきかということについて、委員長からぜひ提起をしていただきたい、私はこう思うのですが、委員長、どうでしょう。

福家俊一自由民主党・新自由国民連合

○福家委員長 松浦君の趣旨は委員長も同感でございます。よって、法務大臣及び自治大臣に、十分開議の後でも協議いただきまして、松浦委員の御趣旨に沿うよう答弁を願えるようにいたします。

松浦利尚日本社会党・護憲共同

○松浦委員 ぜひ、せっかくできた政倫協等で、政治家のすべてのものを含めて政治家のモラルを確立するための議論をさらに強めていただきたいということを、くどいようですがお願いをしておきたいと思います。

福家俊一自由民主党・新自由国民連合

○福家委員長 委員長はこの法務委員会の趣旨は十分心得ておりますから、御趣旨に沿うよう審議を進めたいと思います。

松浦利尚日本社会党・護憲共同

○松浦委員 ありがとうございました。それでは、自治省、通産の方、ありがとうございました。  では続いて、最近問題になっておりますいじめの問題についてちょっと議論さしていただきたいと思うのです。  警察庁がおいでになっておると思うのですが、簡単で結構です、プライバシーにわたることについては触れなくて結構ですが、やはり子供さんというのは、警察で補導なさったときに直接一対一でやっておられますから、ある意味では正直に物を言っておられる面もあると思うのです。ですから、もし差し支えなかったら、補導された内容から、どういうところにいじめの原因があるというふうに把握をしておられるか、そういったことについてお聞かせいただければと思うのですが。

根本芳雄警察庁刑事局保安部少年課長

○根本説明員 今の先生の御質問は大変難しい問題で、臨教審のヒアリングとかその他いろいろな場でいろいろ検討している問題でございますので、私から申し上げる立場にはないかと思いますが、若干、調査した中身から申し上げますと、特に動機の問題についてでございますけれども、昨年の一月から六月までに発生しました二百五十一件のいじめについて少し細かに動機を聞いてみた、調査したものがございます。  これを見ますと、加害少年がなぜいじめたのかと聞くと、力が弱いあるいは無抵抗な者に対しておもしろ半分にやりました、こういうものが三五%ほど。それから、いい子ぶるあるいは生意気だというようなことでいじめたというのが二六%。それから、数は少ないのですが、一緒に仲間で遊んでいる、そこから離れようとした、こういったものが八%ほどございました。そのほか、動作が鈍いからこれをからかえばおもしろいとか、あるいはあいつは勉強ができる、学力が高いから腹いせにやったとか、あるいはどこか体に欠陥がある子を、その点を名指していじめたとか、そういった中身がございます。  そういう意味では、大変ある意味では重大でございますが、大人の側から見ると比較的深刻でない原因、理由でもっていじめが行われている、こういう感がいたします。  ちょっとお答えになっておらないかもしれませんが、各省庁がいろいろと今検討している中身でございますので、私の方から調べた範囲で申し上げた次第でございます。

松浦利尚日本社会党・護憲共同

○松浦委員 文部省にこの際ちょっとお尋ねをしておきたいのですが、文部省は来ておられるのですね。いじめの問題の根絶について、昨年の十月までかかっていじめの実態調査をなさいましたね。それで、大臣が御発表なさったわけですが、もう時間がありませんから、私は端的に文部省にお尋ねしたいと思うのです。  「子どもの人権をめぐる諸問題」として東京家庭裁判所総括主任家裁調査官の檜山さんという人、この方は何か子供の人権についての専門家の方らしいのですが、この方がこういうことを書いておられるのです。これの最後の方の締めくくりで、今警察庁から御報告になりましたように、どういう子供が標的になるかというと、「「おとなしい性格」「行動的に消極的」「のろい」「鈍感」、「不衛生、だらしない、汚い」という児童・生徒が標的になり易い。」大体、分析されたことと似ておるのですね。「学業面では「落ちこぼれ」家庭環境では「父母の無関心」「地域社会に無関心な家庭」」の子供さんが目安になる。しかし、これからが大切なんです。「毎日、児童・生徒と接していると、「顔色が悪い」「学習態度が無気力になる」「持ち物が変わる」など、何らかの兆候が現われてくる。」これを教師は見逃さずに対応しなさい、こうなっているのです。そうすればある程度防げるというのですね。この結論と警察庁の言われたことの結論は大体一緒です。  これのできない原因を調べてみたら、子供さんが余り多過ぎて先生の目が届かない。ああきょうはこの子供さんの顔色は悪いぞ、何か学習態度が無気力になったぞ、こう見ようにも非常に子供さんが多くて把握し切れないのですね。そうすると、今言われておる四十人学級ですと、私たちの目は真っすぐ向いておるようですが端から端まで大体子供さんの目が全部視野に入るのだそうです。ですから、これの資料をたくさん見させていただきましたが、あれもする、これもする、どうすると書いてあるのですね。そういう意味では原因を断ち切るための努力というものがないのです。四十人学級も足踏み状況で前に進みません。中曽根さんがアメリカに行かれたときに二十人学級を見て、ああこれなら暴力も起こらぬだろうと言って感心されたそうですけれども、そこまではいかなくてもいいが、こういったものについて一体文部省はどういう努力をしておられるのか。  それからもう一つ文部省にお尋ねをしておきますが、我々が小さいときには先生たちが家庭訪問に来て、そして親と子供とひざを交えて家庭でいろいろ話し合いをしまして、悩みを打ち明けたり、先生から子供の学校の授業状況を聞いたものです。ところが、最近の家庭訪問は義務的になりまして、先生は自動車で回りますからしょうちゅうも飲まないですね、飲んだらいかぬという御指示があるのかどうかわかりませんけれども。さっさっさと一日に十軒も二十軒も回る。なるべく早く済ます。そういった指導はないのですね。もっと家庭訪問を徹底的にやれという指導は、この文書、六十年十一月からのですが、こんなにたくさんもらったけれども何にも書いてない。よくよく調べてみたら、各学校に対する旅費がない。その旅費が来てもだれが使うかというと、しょっちゅう校長の集まりがある、だから管理者である教頭、校長がそういうものに全部旅費をとってしまって、学校の先生が家庭訪問する旅費がない。それをしただけでもこういうことは防げるのですよ。なぜそれをやらぬのですか。非行、暴力の統計をとるのは結構。みんな統計をとって、こうだ。今度も統計は立派な統計が出ておる。それをなくすようにどう努力するのかというものがない。確かに書いてありますよ。いろいろなことが書いてある。これは六十年十一月なんですが、このとおりしておれば何でもなかった。ところがこれは全部スローガン。こうするああする、こうだああだとか、こういうふうに取り組む、こう書いてある。なぜできないのか。金がないのです。学校の先生は回りたいけれども金がないのです。文部省の予算は削るべきじゃない。四十人学級も早急に実現すべきなんです。あなたは担当課長だから、あなた自身どう思いますか。あなたのところから原案はつくられてくるのだから教えてください。予算はどうしますか。

林田英樹文部省初等中等教育局中学校課長

○林田説明員 お答え申し上げます。  いじめの問題につきましては、最近中学生などを初めといたしまして自殺事件が後を絶たないというような状況になっておりまして、私ども教育行政に携わる者といたしましても極めて深刻に受けとめておるところでございます。今先生が御指摘ございましたように、文部省といたしまして学校の指導の総点検でございますとか実態調査等踏まえまして、さらに改めて文部省の指導の充実の通知を発し、文部大臣からも談話を出していただきまして、このいじめの解消に向けまして努力をしておるところでございます。  先生今御指摘のございました条件整備の関係でございます。私どもといたしましても、特に児童生徒と教師が触れ合いを深めることは非常に大切であると思っておりますし、さらにまた学校と家庭が連携をとるということは極めて大切であると思っておるわけでございます。  今御指摘の四十人学級の問題でございますけれども、私どもといたしまして極めて財政状況が厳しい中でございますが、昭和六十六年度までに四十人学級を実現するということでできるだけ努力をしてまいっておるわけでございますし、明年度予算案におきましても中学校においても四十人学級の実現に着手をするというふうな内容も含めて努力をしてまいっておるわけでございます。  旅費等につきましても御指摘のように必ずしも十分ではないわけでございますけれども、その中で学校における適切な配分というふうなことも考えていただきまして、当面の緊急の施策に使われるように配慮を求めてまいりたいと思っておるわけでございます。

松浦利尚日本社会党・護憲共同

○松浦委員 課長さん、高校などは物すごく地域が広くなったのですよ。だから学校の先生が行くのに旅費がなければ行けぬのですよ。旅費がないのですがと言ったら行かなくていいと言うのだそうです。金がないから行かなくていい。これではいじめはなくなりませんよ。家庭はわかりませんよ。金がないからやれないのじゃなくて、やれるように金を与えなければいかぬのです。主客転倒しておるのですよ。教師は聖職じゃないのだからやはり遠くまで行けば金が要るのです。そういう手当を何でやらぬのですか。そういう努力をして初めて通達が生きるのですよ。ですから、こんなことを言うと学校の先生、経験者、非常に気の毒だけれども、うちのおやじも学校の校長だったのです。私は五人兄弟がおるけれども、おやじが遺言として残したことは、学校の先生にはなるなということです。だれもならなかった。なぜかというと、自分の子供すらも満足に育てられずに他人の子供さんをたくさん預かってできるはずがない。しかし、それをやれと言って教師に与えておるわけだから。そうであるならば、その人たちがやれるように条件整備をしてあげなければいかぬ。稻葉先生がおられて恐縮だけれども、今の中曽根内閣はそういうところに目をつけずに文教予算を切ってしまうでしょう。だからいじめが中曽根内閣になったら逆にふえるのですよ。稻葉先生、ぜひ総理大臣にとってもらいたいと思うのです。本当なんです。そのことをぜひ伝えていただきたい。  法務大臣、人権擁護局長にお尋ねいたしますが、人権にかかわる擁護委員というのがおられますね。そういう人たちは仕事としては本当はいじめの問題等についてする人たちじゃないのですね、建前上としては。しかし、あえてそういう人たちをいろいろ督促をして、いじめその他の問題についても法務局は法務局で子供の人権として一生懸命やっておられるのです。  そこで、ちょっとお尋ねしますが、ジェームス三木という人がおりますね。あれは私が中学時代の藤村という先生のお孫さんで、この前私たちの同窓会に来て講演をやってくれましたよ。おじいちゃんが「つぶれ」というあだ名で「つぶれを語る」ということで孫のジェームス三木が話してくれた。変な話ですが、「澪つくし」の津川雅彦がしたのは、あれはおじいちゃんをモデルにしてやったというのですよ。なぜ彼がそれをテレビにしたかというと、父権の回復、今子供の非行とかいじめとかいう最大の問題点は、家庭の中で父権がない、おやじの力がなくなっておる。おもしろいことを言いましたよ、私も含めてでしょうけれども。食事をするときにテレビを見ながら一緒に御飯を食べておるというのです。今まで、そのテレビのあったところにおやじがおったというわけです。ところが、今はテレビがでんと座っておる。おやじは仕事しておるからテレビを見る機会が少ない、情報は子供の方がたくさん持っておるというのです。だから、おやじがこうだと言ったら、お父さんそれは違うよと言って、テレビから得た知識は子供の方が多いのです。  それからもう一つ、ここにおられる官僚の皆さんはどうかわかりませんが、昔はみんな給料袋は自分が奥さんに渡しておった。ところが、今は銀行振り込みになった。それで、おやじさんが奥さんから小遣いをもらっておるというのだね。だから、子供から見たらお母さんの方がお父さんに小遣いを上げるから偉い。昔はお父さんに向かってお母さんは、お父さん本当に御苦労さまでしたと言って給料をもらった。ところが今見ておったら、銀行から、おたくの振り込みがありましたと言ったら、電話口でありがとうございましたと言って銀行に頭を下げている。私はそれを本当に笑いながら聞いたのです。ところが、そういった意味でこのいじめの問題について真剣に考えるとすれば、高度経済成長になってきて、便利がいいからということだけで銀行に振り込んでしまうとか、そういうやり方についてもメスを入れていかなければいかぬ。東京都が今度テレビを見る時間帯について制限を加えるというようなことを言いましたね。マスコミの方がおられる前で恐縮だけれども、年がら年じゅう朝から晩までテレビの放映があるということについても一考を要するのじゃないか。場合によっては子供と団らんをする機会というものが家庭の中につくられるように、テレビを離れることができるように、そういうことも必要じゃないか。週休二日制だって全然とらない人が多いということだけれども、週休二日制というのはそういう意味で子供と語る機会がふえていく、年休の消化というのもそれだけ子供と家庭で語る機会がふえていく。そういう努力をしなければ、ただ人権擁護局の人が一生懸命あっちこっち回って、事件があったらそこに行く、そしてはっと広げていく。モグラたたきじゃありませんけれども、これをたたくとこっちから出る、これをたたくとこっちから出る。結局、私たちが今全体的に考えなければいかぬのは、そういったものを学校は学校、社会は社会、企業は企業、家庭は家庭というふうにトータル的にどういじめをなくしていくかということを議論するときが来ておると私は思うのです。そういう点についてどのようにやろうとされるのか。総務庁に、非行防止対策推進連絡会議申し合わせとかいうのがありますね。申し合わせしたらそれで終わるのじゃない、申し合わせたら一体実現をどのようにして図るかということが大切だと思う。そういう点についてお答えをいただきたい。

野崎幸雄法務省人権擁護局長

○野崎政府委員 いじめの原因についてはいろいろな議論がなされておるのでありまして、昔と比べると父親が汗水垂らして働いているという姿を子供が見る機会がなくなった、こういったこともいじめの原因じゃないかという議論がなされておりますが、先ほどの家庭内の父権というのも恐らくそういう議論と関係があるのではないかと考えております。きょうは銀行振り込みをするのもいじめと関係があるのだというような御意見も聞かせていただきましたので、これも検討してみたいと思いますけれども、私どもがいじめと取り組んでおりますのは、今いろいろ挙げられた問題の中で人権局がどうこうできる問題というのはおのずと限られてくるわけでございますけれども、いじめを見ておりますと、いじめられた子供というものが死んだり登校拒否をしたり大変な苦しみを味わっておるのに、いじめる子供の側はそれを非常に楽しんでやっておる、そういったことは人権感覚としてどこか欠けるところがあるのではないか。これはやはり人権思想の普及高揚機関として何とかしないといけないというところが出発点でございます。  最近よく申し上げるのでございますけれども、戦後の人権教育というものは、最初は新憲法が施行されまして戦前とは比べ物にならないほど豊かな基本的人権というものを享有することができるようになって、その人権教育の内容は、まず人々がどんなに豊かな人権というものを享有しているかということを知ってもらうという面にウエートが置かれていたと思います。その面では相当の成果を上げ得たと思うのでありますが、しかし最近、よく見てみますると、例えば満員電車に乗りましても、老人が来ても子供連れの方が前に立っても若い人が立たない、三人、四人座れるところをまたを広げて二人で占拠しておるといったような状況が見られるのでございます。こういった面だけを比べますと、むしろ人権感覚的には戦前よりも劣っておるという面も出てきておるということは、我々人権思想の普及啓発機関としては大いに考えなければいけないことじゃないか。いじめも、ごく二、三年前高校生が浮浪者を襲ったという事件がございましたが、こういったものも今申し上げたのと同じような線上にあるものと私どもは考えておるわけでございます。そういう観点に立って、我々は今欠けておる相手に対する思いやりといった面における人権教育、人権思想の普及高揚というものを図ることによって、その面からいじめの根絶に努力していきたい、かように考えておるところでございます。

松浦利尚日本社会党・護憲共同

○松浦委員 今人権擁護局からお話がありましたが、文部省にお尋ねします。  調べてみますと、学校でいたわりとか思いやりとか生きることのとうとさといったことを子供さんと話し合う時間というのはないのですね。詰め込みで、単位というのがあって、こうしていっぱいあって、子供さんは塾通い。そういう余裕を持って、それは一カ月に何遍でもないでしょう、今人権擁護局の方が言われたように、いたわるとか思いやるとか生きることのとうとさを徹底的に小さいときから教え込む、その努力が今の学校の教育課程の中にないのですよ。あってもそれがおろそかになるのですね。そういう時間をぜひつくってください。指導してください。どうでしょう。

林田英樹文部省初等中等教育局中学校課長

○林田説明員 先生今御指摘のように、いじめなどの問題行動の背景には他人の痛みを思いやる心が非常に欠けておるというふうな問題意識を私どもも非常に持っておるわけでございます。現在学校教育の中では、学習指導要領におきまして道徳教育でございますとか社会科の中で思いやり、いたわりでございますとか人権というふうなことにつきまして教える指導要領にはなっておるわけでございますけれども、御指摘のように、子供たちが自分自身のこととして体験を通してこういうものを考えさせるというふうなことではまだまだ十分でない面が非常に多いかと思います。現在の学習指導要領におきましてもゆとりの時間というふうな形をとりまして、学校がいろいろな工夫をして、勤労体験でございますとか異学年交流でございますとかそういうようなものができるような形にしておるわけでございますけれども、今おっしゃいましたような趣旨に沿いまして今後とも一層努力してまいりたいと思っております。

松浦利尚日本社会党・護憲共同

○松浦委員 今言われたことはぜひ各教育委員会に指示して、絶対にそういう時間がないのですよ、子供は忙しくて。今大切なことは、人権擁護局の局長が言われたように、思いやり、いたわりといったことが必要ですし、生きることのとうとさはやはり小さいときから教えなければいかぬ、それに時間を惜しんじゃいかぬと思うのですね。  それで最後ですが、今初等中等教育局の職員の中で現場で直接子供さんを教えた方は何人おられるのか。資料をもらいましたから私がここで読み上げていいですね、もう時間がありませんから。初等中等教育局の職員のうち、教職経験者というのは五十一人ですね。現在百八十八人初等中等局におられますが、そのうち教壇でチョークで子供さんと接して直接授業をした人は五十一人。教育免許を持っておる人が八十三人、そのうちの五十一人が教壇に立った経験者。文部省の本省職員のうち教員免許状保持者の割合というのは、千二百十八人の現有定員の中で免許を持っておる人は二百五人、全体の一六・八%ですね。私は決して今の優秀な文部省の人たちを批判をするつもりは毛頭ありませんよ。もっとふかれと思って今から言うのですからね。やはりこういう学校に対する通達とか通知とかそういったものは、子供と直接接触した人でなければわからないんだ。デスクワークだけではわからないのですよ。私は、そういった意味では文部省の職員の採用するときのあり方、あるいはもっともっと文部省の職員の皆さんが現場に出て一年なり二年なり一生懸命子供さんを教えて、そして文部省に帰ってくる、そういうことがあって初めて文部省の通達というのがただ官僚の書いた文章の羅列ではなくて生きたものになっていくという気がしてならぬ。このことが原因だと申し上げておるつもりはありませんよ。そういう点について御配慮をいただきたい。これは希望ですから、あなたがすぐ答えられる問題じゃありませんから、私から申し上げておきます。  最後に大臣、やはり人権を守るのは法務大臣です。子供の人権、当然これも法務大臣です。いじめの問題、これは文部大臣の所管であるかもしれません。しかし、今これほどいじめの問題が大きな社会問題になってきておるのですから、法務大臣としても、ただ通達とかあるいは会議を開いたからとかそういったことではなくて、今言ったように文部省なら文部省に対して、そういったものについて的確な指示を与えてもらいたい、こうすればいいんだと。そういう点についてもっと前向きに、国務大臣ですから、法務大臣であると同時に国務大臣ですから、そういった意味では積極的なリードを法務大臣にお願いをしたい。ぜひいじめは全体でなくしていきたい、その核に法務大臣なってもらいたい。そのことの御答弁を聞いて、私の質問を終わります。

鈴木省吾自由民主党・自由国民会議法務大臣

○鈴木国務大臣 先ほどから先生いろいろな角度からいじめの問題、広く人権の問題、いろいろ御意見を伺いまして、全く私もそのとおりだと思います。  大変高度経済成長になり、あるいはまたマスコミ等そういうものが発達し、世の中大変変わってまいりました。さようなことで、お話しのように、私も先生ぐらい古い人間でございまして、昔の家庭の状況、そういうこともよく承知いたしておりますが、やはり家庭からまずしっかりしていかなければならぬ。その基本に、また今お話しのように、しっかりした、心豊かなそういった子供というものを教育してまいらなければならない。そういう基本的な問題から、また社会がいろいろ変わってまいりましたから、そういう変わった時代に処するルールと申しますか、社会的なルールあるいは各方面のルール、そういうものもやはり新しい時代に即したものにしてまいらなければならない。  またお話しのように環境、これは今環境が大変教育的でないような環境、テレビなんかを見ますと、今の子供のいじめの問題を見ましても、私のころは、先生のころは、せいぜい頭を殴るぐらいだったのが、今、け飛ばすとか何か、ああいうような状況が起きておりますが、これは大変テレビとか何かの影響があろうかと思います。ですからそういう問題も、これからやはり環境も整備してまいらなければならぬと思います。  学校そのものはもちろん文部省ですが、法務省としてはお話しのように基本的な人権を守る、あるいはますますそれを助長していかなければならぬ、そういう立場で実はいじめなどにも取り組んでおりますので、総合的に、今お話しのように単に今まで法務省としては啓発宣伝ということを主体にしてやりましたが、これは各方面の総合的な対策を考え、対処を考えていかなければ根絶はしないなというふうに、お話しのとおり私も同感でございますので、そういう考えで国務大臣として各方面によく御連絡をしながらやってまいりたいと思います。

松浦利尚日本社会党・護憲共同

○松浦委員 ありがとうございました。終わります。

福家俊一自由民主党・新自由国民連合

○福家委員長 小澤克介君。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 新しい大臣に最初にお尋ねをいたします。やや唐突な感じがあるかもしれませんけれども、ごく一般論でございますので、ぜひお答え願いたいと思います。  私は、この日本に生まれ、日本民族に属すること、あるいは国家としての日本国に属していることについて、それなりの誇りを持っております。恐らく大臣も同様、日本民族の一員であること、日本国家の国民であることについて誇りを持っておられると思いますが、いかがでしょうか。

鈴木省吾自由民主党・自由国民会議法務大臣

○鈴木国務大臣 今お尋ねがございましたように、私は日本の国民として本当に、特に最近日本がこのように経済的だけでなくてあらゆる方面で世界からうらやまれるほどの立派な国になったということをよく承知をいたしまして、日本国民であることに誇りを持っております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 同時に、私は他の民族あるいは他の国家に属する公民といいますか他国民が、それぞれみずからの帰属する民族あるいは国家について誇りを持っていること、これは当然だと思いますし、またこれについて尊重しなければならない。またこの誇り、民族的あるいは国民としての誇りを傷つけるようなことがあってはならない、こういうふうに思いますが、大臣いかがでしょうか。

鈴木省吾自由民主党・自由国民会議法務大臣

○鈴木国務大臣 この点も全く同感でございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 大変安心いたしました。  そこで法務当局にお尋ねします。最近、我が国に在住する韓国、朝鮮及び中国籍の方に限ってアンケートを実施しているというようなことを新聞報道等で伺ったのですが、これはどういうアンケートで、どういう目的でやっているのか。これは入管がやっているというふうに聞きましたのでお尋ねいたします。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 お尋ねのアンケートは、入国管理局が本月十九日から地方入国管理局及びその出張所等におきまして開始した調査でございます。  この調査は、旧日本国籍保有者、すなわち朝鮮半島出身者及び台湾出身者で、終戦前から引き続き我が国に在住しておる人々及びその直系卑属の人々についての生活の実態を調査するということでやっておるものでございます。  この調査をこの時点において実施することにいたしましたのにつきましては、日韓法的地位協定に基づく協議がございます。この協議は、御承知のように同協定の発効後二十五年以内に韓国政府の要望があれば日本政府がこれに応ずるという規定がございますが、この規定に基づくものでございます。この協議を実施するのはまだ、二十五年と申しますと昭和六十六年になると存じますが、かなり余裕のある話でございますので、私どもとしてはそれを念頭に置いておったんでございますが、韓国側から、昨年じゅうにぜひとも一回目の顔合わせなりとも実施したいという強い要望がございました。そこで、先方の立場も考慮いたしまして、その準備段階といたしまして、事実に関する情報のつき合わせ等を行っていこう、準備作業としてそれに取り組んでいこうという合意をいたしまして、第一回目の顔合わせが非公式な形で昨年十二月に行われたのであります。そういう趣旨から、この会合がことしじゅうにもまた行われるものと思われておりますので、その準備として、我が方も所要の手持ち資料を整備するという観点からその一環として実施に移したものでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 いろんなアンケートの項目があるんですけれども、何でこういうことを把握しなければいけないのか。その目的がどうもわからないんですが、一体どういう目的なんですか。もう少し具体的におっしゃってください。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 御承知のように、先ほど申し上げました協議の対象となりますのは、韓国籍を現在持っておる元日本国籍保有者及びその直系卑属にかかわる問題でございます。特に、その協一定に直接の規定のございません三世以降の直系卑属の将来の我が国における法的地位にかかわる問題でございます。そうした問題を協議するに当たりましては、その人々が現在どういう物の考え方で生活をしておるのか、どういう状況のもとで生活をしておるのかということについて実態的な知識を有することが先決問題であると思います。地に足のついた議論を相互に行っていく上におきましては、こうした人々の物の考え方あるいは将来に対する希望等を承知しておくということは不可欠なことであろうと存じますので、そういう観点からアンケートを作成したものでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 外国の公民が何らかの事情で日本に永住している、この先さらに永住を希望するのかどうかということで何らかの意識調査をするということは、これはわからぬでもないのですが、この調査の項目を見ますと、およそ外国人が外国人として日本に永住することとは無関係な、そして極めてプライバシーにかかわる、あるいは内心に踏み込む極めて不当なとしか言いようのない設問がなされておるわけです。  例えを挙げますと、「問十三 あなたは、結婚の相手についてどう思いますか。」「一 同国人との結婚を希望する 二 日本人との結婚を希望する 三 相手の人物次第で、国籍にはこだわらない」、これは何ですか。だれがだれと結婚しようと勝手でしょう。何でこんなことを聞くのですか、最もプライベートな事柄を。あなたのおっしゃった調査目的とどういう関連があるのですか、教えてください。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 御承知のとおり昨年一月一日から改正国籍法が実施に移されまして、男女平等という観念から、従来の父親が日本人である場合に子供が日本国籍を取得する権利を与えられたという状態と整合性を求めるために、母親が日本人であっても、したがって父親が外国人であっても子供は日本国籍を取得する権利を法的に認められたという経緯がございます。このために実際に何千何万という申請が提出されております。したがって、今後の外国人人口、我が国における永住外国人の動向を把握するためには結婚ということが大きな影響を持つことになることもおわかりいただけると思います。こうした将来の状況について一定の把握を行うためには、在住外国人の結婚についての今後の動向についても承知をする必要があるというふうに考えたわけでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 先般改正された国籍法がいいかどうかはともかくとして、あの国籍法によって将来生まれる方の国籍は公法的に自動的に決まります。そんなことはもうわかっていることですね。あなたはだれと結婚したいと思うかなんてことは、外国の公民に無礼じゃないですか。そう思いませんか、どうですか。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 もとより結婚につきましてだれと、ということについての判断は本人に属する問題でございます。しかしながら、この場合におきましては、国籍ということが結婚について意識の上で何らかの影響を及ぼすものかどうかということによって将来の全体としての動向を把握するよすがとなるということから、本人が任意に答え得る場合にはお答え願いたいということでアンケートに加えたものでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 「相手の人物次第で、国籍にはこだわらない」、何ですか、この設問は。こんなことは当たり前のことじゃないですか。何人と結婚しようと、まさに婚姻は個人の自由ですからね。おかしいじゃないですか。外国の公民に対してこんな質用をするというのは失礼だと思いませんか。  「問十四 あなたの家庭内での日常生活は、食事や生活習慣の上からどうですか。 一 ほぼ本国風 二 ほぼ日本風 三 本国風・日本風ほぼ半々ぐらい」、大きなお世話じゃないですか。アメリカ人がアメリカ風の生活をしようと、イギリス人がイギリス風の生活をしようと、朝鮮人が朝鮮風の生活をしようと、何でこんな家庭生活に立ち至ったことを聞かなきゃいけないんですか。理解できませんね、どういうことですか。失礼だと思いませんか。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 私どもは、この調査の結果が単に統計を作成するために用いられるのみであるということを明確にするようにあらゆる配慮を払ったつもりでございます。したがって、そのアンケートに対して記入されたものが職員の目の前ではなくて、しかるべき場所に置かれた大きな箱に投入される。したがって、その内容に返答が行われなくても、回答をしたかしないかということすら外部にはわからないように気を使っておるつもりでございます。  ただいまのお尋ねの件につきましては、私どもとしては、そういう対象となる人々の生活意識を承知する上における参考とするということでございまして、こういう質問を行うこと自体が失礼だとかないとかいう問題は生じないものと考えております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 アンケートの結果をどう使うかなどということは聞いてないのですよ。こんなことを外国公民に問うこと自体失礼じゃないかと聞いているのですよ。そうでしょう。大きなお世話じゃないですか。あなたはアメリカ人に対して、あなたは何を食べていますか、アメリカ風のステーキを食べていますか、日本風の御飯を食べていますか、と聞きますか。大きなお世話だと言われますよ。要するに、端的に言ってどの程度同化しているかを聞いているわけでしょう。同化の程度を聞いているわけですよ。  「問十五 あなたは、母国語の会話及び読み書きができますか。」二 普通に話せる 二 大体話せる 三 少し話せる 四 全く話せない」、どの程度他民族がその民族の最も重要な要素である言葉を使っているか、こういうことを聞いているわけですよ。まさにどの程度同化しているかということを聞いているわけです。「読み書きについては、どうですか。 一 普通にできる 二大体できる 三 少しできる 四 全くできない」「あなたの家庭では、日常、母国語を使いますか。 一 ほとんど母国語を使用している二 ほとんど日本語を使用している 三 母国語と日本語が半々ぐらいである」何でこんな同化の程度を聞かなければいけないのですか。暗に同化を期待し、同化を押しつけていることになりませんか。いかがでしょう。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 もとより、個人に面と向かってその人の生活様式がどうであるかということを問いかけるとすれば、それが失礼であると受け取られる場合が大いにあり得ると思います。しかしながら、一つの公的な目的で、調査の目的で、例えば私に外国在留中にそのような質問がなされた場合に、私はそれに記入することに何らのちゅうちょも感じません。  また、ただいまおっしゃられました同化の問題につきましては、その実態についてこちらが実情を承知するということ自体何ら非難さるべきものではないと存じます。私は、そのことが今後外国人に対して同化を強要するといったような面を持つとは到底考えられません。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 これは明らかに同化を期待しているわけですよ。同化政策そのものです。ある民族がみずからの民族について誇りを持ち、この民族習慣、言語であるとか宗教であるとか生活習慣を子々孫々に伝えたい。それはそう思わない方もいるでしょうし、思う方の方がむしろ多いでしょう。それに対して、あなたは母国語をどの程度使いますか、生活の実態はどうですか、ほぼ日本風ですか。無礼だと思いませんか、いかがでしょう。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 私どもは外国人と接触する機会が極めて多うございますけれども、例えば父親が日本人である、母親がフランス人であるといった場合に、お宅では何語をしゃべってお暮らしですか、あるいは子供に何語で話しかけられますかと質問することがよくございます。そのことが相手にとって無礼になると、もちろん場合によることもございましょうけれども、私どもは一般論としては必ずしもそうは思わないのであります。したがって、その必要がそこにある限りにおきまして、プライバシーの保護という点に十分な配慮を行う限りにおいて、こういう質問を文書で行い、相手がそれに記入することをお願いする、そのことが直ちに礼を失することになるとは考えておらないのであります。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 すりかえてはいけないのですよ。あなたが個人的に、個人的なおつき合いの外国人や何かにお尋ねするのとは全然違うのです。これは入管用の名前で、まさに公的機関がその機関としてこういうアンケート調査をしているわけですよ、特定の外国公民に対して。「今般は、韓国・朝鮮及び中国籍のかたについて実施しております。」要するに、これは主観面、客観面からどの程度同化しているかということを聞いているわけです。この背後には同化政策があることは明らかじゃないですか。少なくとも同化の程度について重大な関心を持っているということが明らかじゃないですか、どうですか。ある民族が歴史的ないろいろな事情があって何らかの状態で他の民族の多い社会に生活をしている、その場合に同化ということを強制したりあるいは期待するということは正当なことなんですか、あってはならないことなんですか。基本的にどうお考えですか。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 同化を強制するということは適当ではないと存じます。しかしながら、同化の実態について承知をするということは、行政のあり方によっては必要が生ずることがあるわけでございまして、私どもとしては実態を承知するということは必要だろうと考えております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 同化を期待することについてはどうですか。大体、民族的な同化あるいは民族の独自性を継続することと法的地位とは何の論理的な関係もないでしょう。いかがですか。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 同化を期待するということは、個人の立場は別といたしまして、法務省あるいは入国管理局としまして公式な立場を持っておりません。  同化の実態は、本人の法的地位に関する将来についての希望に関係があると存じます。その観点から、基本的にどのような考え方をして生活をしておられるか、あるいはどのような希望を持って生活をしておられるかということは、将来を推測する上において重要なかかわり合いがあると存じます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 そんなことはありませんよ。異民族であるままに、しかし、種々な条件から引き続きそこで生活したいという希望を持つことは十分あることでしょう。その社会に同化しているかどうかということと、そこに在住を続けるかどうかということとは関係ないでしょう。同化しないままにずっと永住することはよくないことだという価値判断がどこかにあるのじゃないですか、今のお答えには。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 本人の生活実態におけるその国の社会との同化の実態は、将来の本人の法的地位に関する希望に大いに関係があると存じます。  なお、同化を期待するという気持ちは、別段このアンケートの背後にはございません。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 同化についての意識が在住と論理的な関係があるという考え方には全く納得できません。暗に同化を期待するものがあるとしか私には思えません。  もっと問題があります。「問八 あなたは日本に帰化したいと考えていますか。 一 帰化したいと考えている 二 帰化したいと考えていない 三 よく考えたことがない」、これは何のためにこんな質問をしたのですか。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 帰化につきましては、現在までのところ韓国側から正式に在日韓国人の将来の問題として提起されたことはございません。しかしながら、韓国におけるさまざまな情報を仄聞するところによりますと、この点も韓国側の脳裏にはあるようであります。したがって、将来何らかの問題がこの点について提起されることもなくはないと存じます。その意味で、現在その対象となる人々がこの問題についてどういう考えを持っているかということをあらかじめ承知しておくことは、将来の協議に際して重要な要件となろうかと存じております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 先ほどから韓国韓国とおっしゃいますが、このアンケートは韓国、朝鮮及び中国籍の方について実施しているのですよ。しかも「今般はこと書いてあるのです。今後は全然別の諸外国の方にも実施するのでしょうか。  大体、外国人に対して、おまえさん帰化するつもりがあるのかないのかなんということを聞くことは無礼じゃないですか。そう思いませんか。あなた日本人をやめることを希望していますか希望していませんかとあなた聞かれたらどうしますか。何言ってんだ、大きなお世話じゃないかと思うでしょう、どうですか。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 最初の御質問は、このアンケートの対象が韓国人のみならず、それ以外の朝鮮半島出身者及び台湾出身者に向けられているということに関するものと存じます。  これらの人々は、元日本国籍保有者であるという意味におきまして同じ系列に属する人々でございます。実際問題として今日まで法的にはこれらの人々についての地位、すなわち法的地位に関する取り決めは韓国との間のみにおいて取り交わされております。それが日韓法的地位協定でございます。日韓法的地位協定はこの対象となる韓国籍保有者に対して一定の地位を与えたものでございます。  その最も大きな違い、すなわち協定永住の内容において一般永住との最も大きな違いは退去強制事由の点における違いでございます。私どもとしては、しかしながらこの地位協定の対象となって協定永住を得られなかった人々、すなわちいわゆる北朝鮮系の人々あるいは台湾系の人々についても、その取り扱いにおいては実際問題として協定永住者とその差がないように配慮をしながら取り扱いを行っているということでありまして、行政上においては同じ取り扱いが均てんされておるということでございます。とすれば、将来韓国側との間に新しい何らかの交渉が行われて、その結果が具体的なものとなった場合に、それによる裨益均てんは、単に韓国籍の人々のみならず、それ以外の朝鮮半島出身者あるいは台湾出身者にも及ぼされるということは行政上の実際的な措置として大いにあり得ることであります。その観点から、私どもとしては単に韓国籍の人々のみならず、それ以外の朝鮮半島出身者及び台湾出身者につきましても、生活の実態について同じようなアンケートに対する回答をお願いしたということでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 私の質問の後半は、外国の公民に対して、おまえさん帰化するつもりがあるのがどうか、すなわち自国籍を離れるつもりがあるのかどうか、そんなことを聞くのは失礼じゃないかと聞いているのですよ。大きなお世話でしょう。無礼千万だと思いませんか。外国人なんですよ。民族と国家の問題、概念的に別ですけれども、ある民族に属している、そのことに誇りを持っているでしょう。またある特定の国家に属している、その国家の公民だということについて誇りを持っているはずですよ。そうでしょう。大臣も持っておると言われた。私も持っています。その外国人に対して個人的に聞くことだって私はちょっとはばかられますが、法務省入管局というタイトルをつけて、あなた帰化をするつもりがありますかどうですか、こんな無礼なことは僕はないと思いますよ。そう思いませんか。思うか思わないか、あなたの感受性で結構ですから答えてください。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 私個人の考え方ということであれば、あるいは役所の考え方でも結構でございますけれども、その点については先生と見解を異にするということでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 信じられないような感じがいたします。外国の公民に対して、あなたは今属している国を離れて日本に帰化するつもりがあるかないか、そんなことを公に聞く、公の機関が公の機関を名のって聞く、私は考えられない非礼だと思います。  きょう、他の質問の関係で外務省の方にも来ていただいております。外務省の方、どう思いますか。国際的にいろいろ交際している、交渉をすることが多いだろうと思いますので、御参考までに御意見を伺いたいと思います。

福田博外務省大臣官房審議官

○福田(博)政府委員 先ほど小林入管局長からちょっと申し上げましたとおり、昨年の十二月に韓国政府との間で在日韓国人子孫の日本での居住に関する会議を行いました。そこにおきまして話題になったことは、先生よく御承知の、いわゆる法的地位協定第二条に規定する三世協議にかかわる予備協議と申しますか、それとあと在日韓国人子孫の生活実態についての双方の事実認識を共有するための場としてこの会議が開かれたわけでございますが、その際、韓国側からは、日本国政府として在日韓国人の意識動向に関する調査に取り組んでほしいという要請がございました。今回の調査もその一環として行われているものと承知しておりますが、私どもとしては、今後いわゆる三世問題等の問題について検討を行っていくに際して基礎としての客観的な事情を把握することに資するという観点から行われているものと考えております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 外務省ね、外国とのいろいろ交渉を担当している部署として、外国人に対してこういうことを聞くのは失礼だと思わないか、こうお尋ねしているのですが、いかがでしょう。

福田博外務省大臣官房審議官

○福田(博)政府委員 率直に申しまして、何が失礼か失礼でないかというのは大変それぞれの個々の方の反応によるところが多いと思います。十二月の会議で、会議の内容は不公表になっておりますので具体的なことは申せませんが、韓国政府の方はいろいろな、先ほど来話題になっているような、先生にとってみれば若干機微でないかとおっしゃるような点も含めて、いろいろ在日韓国人の方々の意識について御説明がございました。その上で、在日韓国人の意識調査というものを日本政府もちゃんとやるべきではないか、今後三世協議等をしていく際にはそれが必要であろうというような認識については我々も一致した感じでございますので、その限りでとらえますと、私どもまあこういう協議というのはそれほど多くの国とやっているわけではございません。先生御承知のとおり、日本国はどちらかといえば世界の中でもすぐれていわゆる日本民族が大多数を占めている国でございますので、こういう協議をやるということは極めて異例――異例というか、まれではございますが、この韓国政府との協議において、そのような問題が韓国政府との間に起こるとは考えておりません。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 いや、そんな韓国政府との関係なんて聞いているのじゃないんですよ。外国人と接触することの多いであろう外務省にお勤めの方に、外国公民に対して、あなたは帰化を希望しているかなどという質問をするということが失礼だと思うか思わないかと聞いているんですよ。今、人によって感受性に違いがあるというお話がありました。あなただったらどうでしょう、それを聞いているのです、先ほどから。

福田博外務省大臣官房審議官

○福田(博)政府委員 私ども外務省は、当然のことながら仕事として外国人と非常にたくさんつき合うわけでございますし、その派生的な効果といたしまして、実は省員の中でも外国人と結婚する者が非常に多い省庁でございます。そういうところでいえば、正真言って、帰化の問題等については割に自由に質問もするし答えもするし、そういう意味では、私自身が特にそういう質問を受けたら違和感を持つかということは思っておりません。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 どうも私は大変驚かざるを得ないわけです。朝鮮系あるいは韓国系、それから中国籍の方、恐らくこれは歴史的な事情でやむを得ず日本に住まざるを得なくなっている。しかし、それぞれの属する民族あるいは国家について誇りを持っておられる方です。そういう方について、たまたま日本に住んでいるということから、あなたは将来帰化するつもりがあるのかないのか、無礼千万だと私は思います。私の感受性からすれば、ちょっとこれはいかに何でもひど過ぎると思います。あなた方がそういう感覚を全く持たないというのであれば、何というのですかね、その無神経ぶりにはちょっと驚かざるを得ない。私は、これは傲岸無礼だと思います。こういうアンケートは即刻やめていただきたいし、撤回していただきたいと思います。  冒頭私は、日本民族に属し日本国家に属することに誇りを持っていると言いましたけれども、日本に在住を余儀なくされている外国人に対してこういう無礼なアンケートを平然とやる、私は、日本人であることにこれではちょっと誇りを傷つけられますね。これはいかにも無神経だと思いますよ。現に日本に在住している外国人の団体から、これは無礼である、やめてくれという要求が出ています。大臣、いかがお考えでしょうか。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 先ほどちょっと申しおくれましたけれども、このアンケートの案を作成するに当たりましては、当局は民団及び総連とも相談をいたしております。内容について、こういう項目で調査をしたいけれどもどうかということについて見解を求めております。もちろんこれは非公式な見解聴取でございますけれども、そういう手続を踏んでおるのであります。私がそれをあえて申し上げなかったのは、そういうことを申し上げるのは、あるいは相手方にとって迷惑を及ぼすのかというふうに懸念したものでございますから申し上げませんでしたけれども、関係者に確かめましたところ、別にそれを申し上げても差し支えないということでございますので、改めて申し上げます。  また、昨年でございましたか、同様であるけれどももっと詳しい調査を神奈川県がいたしております。その調査の中にも帰化についての質問がございました。そして集計が行われて、その結果は印刷物となって公表されております。その調査の過程におきまして、帰化について質問をすることがけしからぬといった抗議あるいは異論が朝総連その他の団体から提起されたとは承知いたしておりません。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 そういうことであれば私の方も申し上げなければなりません。  最初に朝総連の方に事前にお話があったときには、この帰化に関する関八は外れていたのではありませんか。しかも朝総連では、これをオーケーとかオーケーでないとか言ったことは全くない、ただ受け取っただけである。持ち帰って検討した結果、協力は拒否する、しかし抗議まですることはなかろうと。ところが、調査前日になって送付してきたものには突如この帰化に関する問八が加わっていた。私は、こういうふうに事実経過を聞いております。これは聞いたってあなたの方は、そんなことはないと言うだけでしょうから、もう水かけ論でしょうからその程度でやめますが……。  先ほどから、日韓両国の作業という話が出ています。これはいわゆる三世の法的扱いについての、三世問題についての作業だろうと思いますが、これについて伺います。  昨年の十二月十五日付の朝日新聞によりますと、何か実務者会議があって、韓国の方から帰化手続の改善についての申し入れがあったというような報道がなされているのですが、これは事実なんでしょうか。

福田博外務省大臣官房審議官

○福田(博)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、昨年の十二月中旬、具体的には十三日、十四日の両日にわたりまして、在日韓国人子孫の日本での居住に関する会議がございました。これはいわゆる三世協議の予備協議に当たるものという性格のものでございます。この中で、具体的に余り詳細に立ち入ることは国際的な会議の内容ですから差し控えたいと思いますが、帰化との関係では、韓国側が言っておったことは、かいつまんで言えば、在日韓国人について帰化を無条件にしてくれとか、容易にしてくれとか、そういうことではなくて、かつ、在日韓国人の中にも、帰化すべきか否かと見解が分かれているところもあるけれども、いずれにしても、一たん帰化を決意した在日韓国人については手続などを容易にしてくれという要請はございました。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 時間がございませんので一つ要望を申し上げておきたいのですけれども、このいわゆる三世問題に関しても、これまでの経過から見て、要するに、日韓条約と同時に法的地位に関する協定があって協定永住の制度ができた。ところが、これが韓国籍になることを条件とするものであったために、手続をする者が半分程度しかいなくて、そのため、結局一九八〇年に至って、入管法を改正して特例永住制度を導入せざるを得なかったという経過があります。この三世問題についても、やはり韓国たると朝鮮たるとを問わず、朝鮮系統の万全体の三世問題を念頭に置いて作業を進めていただきたい。そうしないとまた前回と同じような轍を踏むことになるということがありますので、これはぜひ要望しておきたいと思います。  それから、先ほどから再三申し上げておりますが、いやしくも外国の公民に対して、帰化を希望するかどうかなどということを公的にアンケートで聞くというのは、私は失礼千万だと思います。これは見解の違いだと言われればそのとおりですが、ぜひ撤回していただきたいし、それからまた、このアンケートの中には、主観的、客観的に見てどの程度同化しているかということを聞くとしか思えないものが大部分を占めているのです。民族の同化の問題は国籍の問題とも無関係ですし、ましてや、同化しない限り永住はまずいなどという判断があってはならないはずです。全く不当なアンケートだとしか思えません。このような同化について非常に関心を持っているというところに、まさに法務省の考え方があらわれているわけです。かって一九六五年七月の調査月報に、「我が国に永住する異民族がいつまでも異民族としてとどまることは、一種の少数民族として、将来困難深刻な社会問題となることは明らかである。大いに帰化してもらうことである。」こういう記事が出ている。本音があらわれたとしか思えないわけです。同化を期待しあるいは強要する政策がもしあるならば、直ちに放棄していただきたいと思います。  時間の関係で次の質問に移ります。文部省さんに来ていただいていますので、お尋ねいたします。  学術上の国際交流、これは大いに進めるべきではないかと考えますが、お考えはいかがでしょうか。

草原克豪文部省学術国際局国際学術課長

○草原説明員 学術の国際交流の意義というのは、研究者の交流あるいは研究成果の交流を通じまして我が国の学術水準の向上を図り、ひいては世界の学術研究の進展に寄与するということでありまして、特に近年はこのような学術研究の進展に伴って国際的な共同研究の必要性も増しておりますので、その中で国際交流を進めることは大変重要になってきている、このように考えております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 ところが最近、最近というのか公になったのは最近なんですが、昨年のことのようですが、北海道大学の量子化学の教授であられる大野公男さんとおっしゃるのだろうと思いますが、東欧のある国の研究者を招いて共同研究したいということでいろいろ関係当局に申請をしたところ、結局査証がおりなくて、ビザがおりなくて入国できなかったということを訴えておられるわけです。これにつきまして、これは固有名詞など全部伏せておられますので、国名等も全部伏せておられますので、より細かいことがおわかりでしたら教えていただきたいと思います。

草原克豪文部省学術国際局国際学術課長

○草原説明員 日本学術振興会において行っております外国人招聘研究者という事業で、北大の大野教授が申請いたしまして招聘が内定しておりましたチェコスロバキアのヘロヴスキー研究所主任研究員であるカルスキー氏の招聘につきまして、昨年、昭和六十年六月に外務省の方から日本学術振興会に対して入国査証の発給ができないという連絡がありまして、学術振興会の方からその旨北海道大学に連絡したものでございます。朝日新聞において大野教授が取り上げておられる件は、この件を指しておるものと思います。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 この種の例は、同様の例が他にもあったのではないかと思いますが、年度別に、ここ数年間で結構ですが、例がありましたら挙げていただきたい。  それから、今のお答えの中で、結論として入国査証の発給ができないという連絡があったということでございますが、その理由等の告知があったのかどうか、あるいは学術振興会の方でどういう理由がさらにお尋ねするというようなことがあったのかどうか、その辺もわかっておりましたら教えていただきたいと思います。

草原克豪文部省学術国際局国際学術課長

○草原説明員 この日本学術振興会の外国人招聘研究者事業におきまして招聘が内定していて入国査証が発給されなかったために来日しなかったという例は、昭和五十九年度においては四件、昭和六十年度において三件ございました。  それから、日本学術振興会におきましては、先ほど申し上げましたように学術を振興するという観点から国際協力、国際交流の推進を図っているわけでございますが、入国査証の発給につきましては外務省の方で取り扱っていることでございます。学術振興会の方では入国査証が発給されなかったケースにつきましては特にその理由は承っておらない、このように聞いております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 そうしますと、これはどこへお尋ねすればいいことになりますか。入国査証を発給する場合の手続及びどこで実質的にその判断をするのか、これを教えていただきたいと思いますが、これは外務省、法務省どっちに、両方にお尋ねした方がいいですか。

小林俊二法務省入国管理局長

○小林(俊)政府委員 入国査証そのものは外務省の管轄事項でございます。ただ案件によりまして、在外公館限りで発給できる査証もございますし、あるいは東京に経伺する必要のある査証もございます。東京に経伺を要する査証の中にも、その判断の主体が、法務省が主体となって判断すべき事例、外務省が主体となって判断する事例というふうに分かれております。またはその他の関係各省が関与することももちろんございます。したがいまして、一般論として申し上げることは甚だ難しゅうございますが、そのすべてにわたっていろいろなケースがあるということでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 そうすると、先ほど文部省の方から御紹介があった件についてはどこで、どう判断されたのでしょうか。

蓮見義博外務省大臣官房領事移住部査証室長

○蓮見説明員 先ほどの御質問の件でございますけれども、例えば年の六月の本件につきましてはチェコの、東欧の化学者でございまして、これは北海道大学の招聘にかかわります件でございます。  一般論として申し上げますと、政府といたしましては、学術交流を含め一般に査証申請がありました場合、その者の入国が我が国の国益上問題がないかどうかという観点から、それぞれケース・バイ・ケースに総合的に判断いたしまして慎重に決定しておるわけでございます。  それで御指摘の東欧の化学者につきましても、高度技術流出防止の観点をも考慮に入れまして総合的に審査しました結果、査証を発給しないとの結論を出した次第でございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 どの部署で判断したのですか。ちょっとわからなかったのですが。

蓮見義博外務省大臣官房領事移住部査証室長

○蓮見説明員 先ほど入管局長の方から御説明がございましたように、査証の申請がございますと在外公館から本省、外務省に、一部現地で発給されますけれども、一部につきましては本省経伺ということになっております。それで、本省経伺になりました場合には法務省と協議いたしまして判断するわけでございますけれども、この案件につきましては、先ほど申しましたように高度技術流出防止の観点がございますものですから、法務省とは協議はいたしておりますけれども、主としては外務省において決定した次第でございます。(小澤(克)委員「外務省のどの課ですか」と呼ぶ)外務省内で、私は査証室でございますけれども、関連する課がそれぞれございます。あらゆる角度から審査しておりますので、単に一課一室というわけではございません。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 五十九年に四人、六十年に三人ですか、これは他にじゃなくてこの件を含めて三人だろうと思いますが、あったということですが、いずれも同じく外務省限りで査証を出さないという決定をされた、こう伺ってよろしいでしょうか。

蓮見義博外務省大臣官房領事移住部査証室長

○蓮見説明員 御質問の御指摘のケースにつきましては、査証発給に関連いたしましてはそれぞれ個々ケース・バイ・ケースで判断しております。一つの件につきましても種々の角度から判断しておりますので、単一な基準で判断しておるわけではございません。したがいまして、単に外務省だけという場合のみならず、例えば公安上の考慮というようなこともございますし、あるいは雇用上の考慮というものがございますので、それぞれのケースによって違っておりますけれども、御指摘の件につきましては外務省内部で判断しております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 それじゃ大野教授が投書された件について伺いますが、先ほど何か高度技術の流出の観点から査証の発給を拒否したとおっしゃいましたが、ちょっと趣旨がよくわからぬのですけれども、どういうことなんでしょうか。この大野教授は、大型コンピューターあるいはスーパーコンピューターを使う研究であるから拒否されたのではないかと、その根拠としてアメリカでそのような方針が最近出されているということを挙げておられるのですが、いかがでしょうか、そのとおりなんでしょうか。

蓮見義博外務省大臣官房領事移住部査証室長

○蓮見説明員 御指摘の朝日新聞の論壇に載りました大野教授の論文でございますけれども、そこに指摘をしておりますような、アメリカからあるいは圧力を受けたと申しますか、要求されたという事実は一切ございません。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 すると、コンピューターとは関係があるのですか、ないのですか。

蓮見義博外務省大臣官房領事移住部査証室長

○蓮見説明員 高度技術というふうに我々は呼んでおります、あるいは先端技術とも称してよいのかと思いますけれども、これらの内容につきましては査証の発給基準との兼ね合いがございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 それじゃ何のことかわからぬのですね。この研究は量子化学という極めて基礎的な研究であって、高度技術とは全く結びつかない、こういうふうに大野教授がおっしゃっているのですが、そうじゃないのですか。実質的に何が問題になったんでしょうか。それからコンピューターと関係があるのかないのか、それぐらい答えてくださいよ。

蓮見義博外務省大臣官房領事移住部査証室長

○蓮見説明員 査証発給基準につきましては、国際慣習上各国とも発給基準を明確にしておりません。これは我が国においても同様でございます。御質問の件につきましても、微妙な点がございますので、発言は差し控えさせていただきたいと思います。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 入管法の五条のどの条項が、どの条項によって拒否したのか、それぐらい教えてください。

蓮見義博外務省大臣官房領事移住部査証室長

○蓮見説明員 査証発給につきましては、入管法の五条も関連いたすわけでございますけれども、その他査証発給の権限は外務省設置法の第五条九号にございます外務大臣の権限でございます。その点でございますので、外務大臣の自由裁量行為となっておりますもので、また種々の配慮、つまり先ほど申しました高度技術流出防止の観点、そういった国益上の配慮から我々は判断しておるわけでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 そうすると、入管法は直接関係ないわけですね。わかりました。  それで、今お尋ねしても結局実態は何のことかわからなかったのですけれども、この大野教授の投書によれば、全く基礎的な研究である、三年前に福井謙一先生がノーベル化学賞を受けられたのですけれども、それと同じ研究分野であって、極めて基礎的な分野であって、高度技術の流出などとはどうも想像ができない、大型コンピューターあるいはスーパーコンピューターを使うというところがひっかかったのではないかというふうに指摘しているわけですけれども、コンピューターというのは要するにそろばんですから、そろばんを使ったからといってそろばんの構造がどうなっているかがわかるものではない。テレビを見たからといってブラウン管の原理がわかるわけじゃないですから、もしそうだとすれば、全く無意味というかナンセンスなことになりやしないかと思うわけですね。それで学術交流というのは非常に重要であり、今後ますます盛んになるという方針だとすると、これはまずいのじゃないかという気がします。  それからもう一つは、もう時間が来ましたのでこれでやめますけれども、日本学術振興会という文部省の外郭団体が招聘するのが適当であると判断して、それを前提に招待をすることで作業を進めていたところが、査証が出ないということで結局入国できないということになりますと、その当の外国人からすれば、一たん招聘を受けながら結局入れない。実に失礼なことになりやしないかと思うわけです。この観点からこういう事態はまずいのじゃないかというふうに思いますが、文部省としてはいかがでしょうか。

草原克豪文部省学術国際局国際学術課長

○草原説明員 文部省では、先ほど申し上げたように学術の振興という観点から国際交流の推進にも努めているわけでございまして、国際交流が非常に重要であるということについては外務省の方にも理解をいただいているというふうに思っております。今後ともこのような観点で交流を進めていきたいと考えております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 これは法務省の入管で判断したのではないかと思ってきょうこの法務委員会でお尋ねしたのですが、ちょっと的外れだったかもしれません。その点おわびして、また時間が若干過ぎたことをおわびして、私の質問を終わらせていただきます。

福家俊一自由民主党・新自由国民連合

○福家委員長 稲葉誠一君。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 大臣、ちょっと聞いていてください、お答えを願いますから。今予算委員会からこちらへ来たわけですけれども、そこで問題になっておりましたのは年次有給休暇のことなんですよ。年次有給休暇をもっと日本の公務員はきちんととらなければいけないということを総理が言われておるのです、後で議事録を調べればわかりますけれども。殊に夏休みなんかはうんととるようにという話がありました。大臣、失礼ですが、まだおわかりにならないかと思いますけれども、裁判所の裁判官は夏休みを二十日とるのですよ、丸々二十日ですね。枇杷田さんがおられるからあれですけれども、二十日とられるわけです。二十日とって、二十日のうちでも家で仕事をしているのもありますけれども。それから検事は大体どのくらい夏休みをとりますか、一週間ぐらいかな。これは大体平均一週間ぐらいとるかとらないか。法務局はそこまでいかないでしょうね。それから、刑務所がひどいのですよ。刑務所は大体三日か四日ですよ。それから場所によりまして、拘置所なんか特にそういう点がありますから、いろいろあると思うのですけれども、そういう実態をよくお調べ願って、今も総理も言われましたように、これからの時代ですから年次有給休暇、特に夏休みの休暇などをもっとちゃんととるようにするように、法務大臣としてもお骨折りをお願いいたしたい、こういうふうにお願いというか希望を申し上げる次第ですけれども、どうかいい返事をひとつお願いします。

鈴木省吾自由民主党・自由国民会議法務大臣

○鈴木国務大臣 総理もそういう御方針を御答弁あったということでございますから、先生は法務関係のことをよく御存じで、今数字をお聞きいたしまして本当に敬服をいたしたわけでございます。私もそういう線に沿って努力をしてまいりたいと思います。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 今そういうふうに言われましたから、後で、どこでどういうふうにとったか僕の方で調べますよ、いいですか。調べて違ったらもう――まあ違わないでしょうけれども、守ってくださいよ。  最初にお伺いをいたしたいのは、民事局長がおいでになっておりますから、私も前からいろいろ問題というか疑問にいたしておりますのは、夫婦が結婚をいたしましたときに日本の場合どちらかの姓を名のることになっておりますね。最初は、憲法に沿って民法、殊に親族、相続が改正されたときには、氏の問題で氏とは一体何なのかということが非常に問題になりましたね。その後は余り問題にならなくなってしまったのですけれども、近来また御婦人を中心として、夫婦が結婚したからといって必ずしも同じ姓にならなくてもいいではないかという動きがだんだん出てきておるわけです。これについて民事局長としてはどういうふうにお考えになって、どこに問題があるか。これは法律婚と事実婚との関係、日本は法律婚主義をとっていますからそこら辺にも関係があるのかとも思いますが、そういうことも含めて現在のお考えをお示し願いたい、こういうふうに思います。

枇杷田泰助法務省民事局長

○枇杷田政府委員 御承知のとおり、旧民法下におきましては、氏というのはいわば家を呼称するものであったわけでございますが、戦後の民法改正によりまして、氏というのは要するに個人をあらわす呼称であるという観念に基本的に立っておるわけでございます。ただ、親子、夫婦というものは社会生活上一つの共同体として存在しておるわけでございますので、その共同体が同一の氏であるということが非常に適当ではないか、それは沿革的なものもあるだろうと思いますけれども、そういう観点から、現在夫婦は同一の氏であり、そして子供はその親の氏を称するということに決まっておると思います。  個人の呼称であるということを強調いたしますと、結婚したからといって必ずしも同一の氏にならなくてもいいじゃないかという考え方は出てこようかと思います。ただ、外国の例を見ましても、完全に別氏制をとっているところは御承知のとおり韓国だけでございまして、あとは大体同一氏の制度のところが多うございますし、ソ連とか中国とかあるいはイギリス、フランスなんかでも制度上はどちらでもいい、結論的にはそういうふうな制度になっておるようでございますけれども、実態としてはやはり同一の姓を使っているところが結果としては多いようでございます。これはやはり先ほど申し上げましたように、生活実態として一つのファミリーとしてのネームがある方が社会生活上非常に便宜だというようなことから、社会生活上そういうふうな考え方がどこのところでも多いことの結果ではなかろうかと思います。日本でもそういう状況は基本的にあろうかと思いますので、その場合に夫婦別姓を必ずしなさいというふうなことは、私はこれはちょっと現段階では無理だろうと思います。  今問題が提起されておりますのは、同氏にしたければしてもよろしい、しかし別氏でありたいというならばそれも認めていいではないかという議論だろうと思いますが、その場合にも、そういうふうな例外を認めるということが現在の日本の国民感情なり社会生活の実態からそぐうものであるかどうかということについてはいろいろ議論があろうかと思います。それからまた、子供が生まれた場合にその子供の氏をどうするかという問題があるわけでございます。その場合に協議で決めたらいいじゃないかという議論もあるわけでございますが、必ずしも協議で決まるとは決まらない。決まらなかった場合にどうするのかという問題があります。それから、協議で決める場合でも、例えば男の子は父親の氏、女の子は母親の氏とかというふうなことになりますと、家族がみんなばらばらになってしまうということでは、これまたちょっと問題ではないか、子供自身の大きくなってからの気持ちとしてもどうかなというふうなことがあるわけでございます。法制審議会の民法部会でもかつてそのような別氏制というものを検討したことが何回かございますけれども、今申し上げましたような問題点から、今の実情からすればそういう制度を検討に入るのはちょっとまだ時期尚早であろうということになって今日に至っております。  私も結論的には、氏の性格それ自体から夫婦同氏でなければいけないということはないかと思いますけれども、生活の実態、それから国民感情の面からいって現在のところそのようなことを考えるということについては少なくとも熟していないと申しましょうか、そういうふうな状況にはなっていないのではないかというふうな考え方でおるわけであります。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 生活の実態、国民感情。生活の実態というのは、子供一人の家庭がふえていく、またこっちにも子供一人の家庭がふえてくると、一人と一人の子供同士が結婚するというときに、さあ一体どうしたらいいかというようないろいろな問題が出てくるわけですね。確かになかなか難しい問題というか、国民感情といいますか、生活の実態というか、非常に問題を含んでおることは間違いないかとも思います。ただ、それは変化をしていきますから、そこら辺のところは的確にとらえなければいけないのじゃないかと思って、私も今後いろいろな人に会って少し研究させていただきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  そこで、きょう私が次に取り上げたいと思いますのは、中野の富士見中学の事件で私の疑問に思っておりますことは、中学二年生ですね、中学二年生を逮捕までしなくていいのじゃないかというふうに常識的に考えるわけですが、なぜ逮捕をしたのかということと、それにも絡むのですけれども、検事はこれに対して一体どういう対応をしたのか。恐らく逮捕そのものにはタッチしていないわけですね、日本の刑事訴訟法からいって検事を経由しないわけですから。その後身柄が送られてきたわけでしょう。身柄が送られてきたときに、検事は身柄つきで家裁へ送ったらしいですね、どうもはっきりしませんけれども。とすれば、一体これはどういう理由でそういうことをしたのか、そこら辺のところをまず警察の方から、事実関係といいますか、それを説明願いたい、こう思うのです。

根本芳雄警察庁刑事局保安部少年課長

○根本説明員 先生の御質問でございますけれども、基本的に考えまして、十四歳という年齢、暴行という事実ということからしますと、逮捕はできるだけ避ける、こういうことでございます。  ただ、本件についていろいろ見てみますと、一つは、これは授業中でございます。授業中、先生やほかの生徒の見ている前でその被害少年、これは実際にはこの少年と何のかかわりもないわけですけれども、たまたま先生が、学校をよくする、この先生はいろいろ問題の当事者でございましたけれども、自分たちもよくする、こういう話をして授業を始めたわけです。自分がその前に注意されていたというようなことで、本当に先生に学校をよくする気があるのかどうか、これを試そうというようなことで、たまたま前の席にいた被害少年をしつこく何度も殴った、こういうことでございます。それで、これを両手で殴ったり、あるいはほおを殴ったりして、結局合わせて数十回、二十分間ぐらいにわたって殴り続けた。その間先生はずっと無視していた。周りの女生徒あたりはもうやめたらというような話もあったのですが、それを無視してやり続けて、最後に被害少年がこのままではおれはやられるからということで飛び出して初めてこの事案が終わった。それで、学校を飛び出しまして、先生が後を追っかけていって、ほかの一部の生徒も追っかけていって、スーパーの前でとめているところをたまたま警察官が現認して、補導して事情を聞いた。そうしたらそういうことがわかった。それが一つ大きな理由で、暴行といいながらちょっと普通の暴行ではない、こういう感じがするわけです。大変執拗で悪性が高いのではないか。  それからもう一つは、実はその後調べてみますと、この同じ少年に対して、昨年でございましたけれども、やはり二度ほどの暴行事件を起こしている。それから、ほかの先生あるいはほかの女生徒、こういう人たちに対する傷害といった余罪もございました。それから、今申し上げたようなことで学校の先生の指導にも服してない。それから、親というか保護者の方の監護もちょっと難しい。こういった状況がいろいろございましたので、先生御指摘のように少年、しかも十四歳で暴行という事案でございましたけれども、これは逮捕することもやむを得ないんじゃないだろうか、こういうふうに考えまして逮摘をした、こういうことでございました。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 いやいや、暴行で何回かやったというのですけれども、それは学校の先生の言うことと食い違っているわけですね。後から学校の先生の言うことが違っていて、あったのかもわかりませんけれども、そのことと、逮捕しなければならぬということとは結びつかないんじゃないですか。それは逮捕の場合に、条文の中では罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があれば逮捕できるのだけれども、ただし書きでそのいわゆる緊急性といいますか、必要性というものを書いてあるわけですからね。それは今、勾留の場合の理由とは別ですね。勾留の場合と逮捕の場合とは条文の書き方が違うのです。これは逮捕の必要性というか相当性というか、それがなければいかぬわけで、そんなあなた、これはどういう逮捕の仕方をしたのですか。逮捕状をとって行ったのですか。どうもよくわからないのですが。家へ行って任意同行を求めて、そしてそこで逮捕状を後からとったのですか。  そこで私の一つの問題は、今の逮捕状の出し方というものが、もうこれは警察の言いなりなんですよ。言いなりで逮捕状が出されているところに問題がある。逮捕状を却下する裁判官なんかほとんどいないわけですよ。逮捕状を申請して却下した裁判官がいれば、あれは少しというようなことになってきて、やられるわけです。だから私は、そこの逮捕は必要性というか、いわゆる緊急性というか、そういうふうなものを全然欠いていると思うのです。一たん来てくれということを言って出てこなかったというなら、これまた話はわかる。出てこないでどこかに逃げちゃったというなら、それは場合によればと、こう思うのだけれども、そうでもない。検察官は、この事件については相談を受けてないわけでしょう。それで身柄が来たのでしょう。これは二月の何日ですか。十二日の事件で、十四日ですか。そして検事はこれに対してどういう態度をとったのですか。

岡村泰孝法務省刑事局長

○岡村政府委員 身柄つきで送致を受けたわけでございまして、検察官といたしましては身柄つきのまま家庭裁判所に送致いたした、こういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 どうしてこの程度の事件を検事は身柄つきで家庭裁判所に送致する必要があるのですか。法律的な理由はどこにあるのですか。これはどこですか。地検ですか。地検は、部は何部になるのですか。普通の刑事部ですか。刑事部で今は専門の少年係はいるのですか。どうしてそういうことをするのですか。普通は、身柄が来るとそれを釈放することは余りしないで、そのまま機械的に家裁に送っちゃうわけですね。必ずしもそうでもないかな。ある程度判断するのでしょうけれども。勾留請求とも違うわけか。家裁へ送るのは、勾留請求を準用しているのかな。どうしているのですか。準用しているとするならば、それはどういう理由になりますか。

岡村泰孝法務省刑事局長

○岡村政府委員 検察庁といたしましても、その年齢その他の事情を考慮いたしまして、勾留請求せずに即日、逮捕した身柄をそのまま家庭裁判所に送致した。要保護性の判断を家庭裁判所に求めるというような形で、即日身柄つきで送致したということでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 いや、ちょっとわからないのだけれども、即日というのは、その日にただ家裁へ送ったというだけでしょう。意見は、どういう意見をつけたのですか。

岡村泰孝法務省刑事局長

○岡村政府委員 少年院送致相当という意見で送ったということでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 そんなあなた、検事が内容もろくに調べないで少年院送致なんて、簡単にそんな理由づけちゃいけないんじゃないですか。もっと具体的な過程、いろいろなものを調べた結果としてそういう理由をつけるなら話はわかる。まあ最初の段階ですから、あとは全部家裁に征したのでしょうけれども、ちょっとそこ違わないか。

岡村泰孝法務省刑事局長

○岡村政府委員 失礼いたしました。保護観察相当という意見で送致したということでございます。それで、保護観察相当の意見は、警察から送致を受けました一件記録を検討した結果、そういう処分が相当であるという判断で送致いたしたわけでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 今の少年院送致というのは、ちょっと考えられないことですね。  それから、保護観察ならば、普通の場合、身柄を入れて、それから鑑別所に入れる場合もありますけれども、この程度のことだったら、もう大体家裁で身柄を親元へ帰すのが当たり前じゃないですか。そこで、家庭裁判所はそれを受けてどういうふうにしたのですか。それをお聞きしたいのです。  検事の方としては、保護観察で、観護措置の請求をしているわけですか。鑑別所へ入れてくれという請求ですか。どうもはっきりしないな。在宅でいいという意味じゃないでしょう、請求しているんだから。

岡村泰孝法務省刑事局長

○岡村政府委員 即日送致したと申し上げましたのは翌日でございます。どうも失礼いたしました。この件につきましては、検察官の身柄の手持ち時間内でございますので、そのまま逮捕中ということで送致いたしたわけでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 十二日の事件で逮捕が十四日ですか。ちょっとはっきりしないのです。日時の関係をもう一遍調べていただきたいのですが、東京家裁で保護者に帰したのは十五日のようですね。だから、十四日に東京地検へ行ったのかな。そうすると、身柄を一日どこへ置いたのですか。

岡村泰孝法務省刑事局長

○岡村政府委員 十三日に身柄を逮捕いたしまして、十五日に検察官が送致を受けて受理いたしました。翌十六日家庭裁判所に送致、こういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 最高裁の家庭局長さんの猪瀬さん、日にちがちょっとはっきりしないので……。一日違うのじゃないですか、あるいは私の考え違いかもわかりませんが。いずれにせよ、家裁でどういう処置をどういう理由でとられたのか。

猪瀬愼一郎最高裁判所家庭局長

○猪瀬最高裁判所長官代理者 お尋ねの件でございますが、家庭裁判所が地検の送致を受けましたのは、二月十五日に検察庁から身柄つきで送致を受けまして、観護措置はとらずに、その日に少年を釈放いたしまして、現在在宅のままで家庭裁判所調査官の調査を命じて、調査中でございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 だから今、何か一日違ってないかというふうにちょっと思ったのですけれども。家裁の方としてはどういう理由で――観護措置の請求でしょう、検察官の方は。それをどうして、というかそれが普通ですけれども、それをとらないで親元へ帰したわけですか。

猪瀬愼一郎最高裁判所家庭局長

○猪瀬最高裁判所長官代理者 少年審判手続においては、これは検察官から観護措置の請求ということではございませんで、逮捕または勾留に基づいて身柄送致を受けましたときには、家庭裁判所は、少年法の十七条の二項によりまして二十四時間以内に職権で、身柄観護措置をとる必要がある場合には観護措置をとるということでございますので、本件の場合には観護措置をとる必要がないということで少年を釈放したということでございまして、その点は請求に基づいて決定をするという関係はないわけでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 だから、普通の場合は、送られてきて、年齢が二十未満のときには、場合によっては検事の手元へ十日間置いて、十日間たってから家裁へ観護措置請求するということになって、家裁で鑑別所へ入れるのかな、いろいろな方法がありますね。家裁で十四日、十四日と二十八日間ですね、それでその間に審判をするという形に普通なりますね。  そこで、その後この少年はずっと学校へ出てきて普通にやっているというようなことも聞いておるのです。だから一番最初に戻ると、学校の方から逮捕してくれというような要求でもあったのですか。これが第一です。それから第二は、一たん呼び出したんだけれども、逃げ回っていて出てこなかったということもあったのですか。そこら辺のところはどうなんですか。逮捕した理由が何かよくわからないのですよ。そこは法律的には、罪を犯したと疑うに足る相当な理由があれば、それだけで逮捕はできます、ただし書きもあるんだし。そこのところは具体的にもう少し、どうして逮捕しなければいけなかったのか。今言ったような、学校からのあれがあったのかなかったのか、逃げ回っていたのかどうかとか、一遍呼び出したのだけれども来なかったのかどうかとか、そこら辺はどういうふうになっているんですか。

根本芳雄警察庁刑事局保安部少年課長

○根本説明員 学校との関係でございますけれども、学校としては、大変学校は難しい状況にございましたし、しかも、先生の目の前で、しかも授業中というようなこともあって、警察が捜査をしてもらうこともやむを得ない、こういうふうに学校側は判断しております。  それから次の第二点でございますけれども、少年については自宅の方へ警察官が出かけまして話を聞きたいということでございますので、逃げ回ったりしたような事実はございません。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 十四歳の少年の事件ですからね。ここで余り取り上げて少年の今後にいろいろな影響を与えてはまずいものですから、私もこれ以上のことは質問をいたしませんけれども、どうも少しく逮捕というのが本件に対しては乱暴というか、十分な考え方がなく、ちょっと乱用ぎみであったのではないかというふうに私は考えるわけです。まあしかし、余りこういう問題をここで追及することが、今言ったような角度からどうかというふうな気持ちもするものですからこの程度にしておきますが、私の基本的な疑問は、本件を離れまして、逮捕、逮捕状の執行というのがいとも安易になされておる、しかも、法律の建前は、検事は全く関与しませんから、検事が関与しない間に逮捕状がどんどん出てしまうという行き方を私は当然考えなければいけないのじゃないかということになる。これは刑事訴訟法全体の、検事と警察官との関係の問題が出てきますからね。捜査の指揮権の問題や何かいろいろな関係が出てくる問題だと思いますが、どうもそういうふうな疑問を私は持っておるということを申し上げさせていただきたい、こう思います。  家庭裁判所というのはいろいろな家事審判の問題もあり、少年の事件もありまして、非常に重要な大事なところであって、今後、少年法の精神にのっとった拡充強化というものをぜひしていただきたいというふうに思いますので、これは希望を申し上げさせていただきたいというふうに思うわけでございます。最高裁、結構です。

岡村泰孝法務省刑事局長

○岡村政府委員 逮捕日時につきまして間違いましたので、訂正いたします。  本件につきまして十分準備しておりませんでしたので、どうも失礼申し上げましたが、十三日に逮捕いたしまして十五日に検察官送致、検察官が受理いたしまして即日家庭裁判所送致、こういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 私もずっと予算委員会に入っていて、ほとんど外へ出なかったものですから、うまく連絡がいかなくて、あなた方の方は十分準備ができなかったと思いますが、政府委員室の者を余り怒らないでくださいよ。そういうのが来ると必ず下の者へだんだん八つ当たりされて、下の者はかわいそうだよ。だめだよ、そんなことをやっちゃ。  この前も予算委員会で問題になりました中小企業事業団、それからその下にあります撚糸組合というのですか、あの関係の事件ですね。あれは、私が聞いている範囲では、最初、詐欺で告訴があって、そしてその人が何か横領ですか、単純減領か業務上横領かはっきりしないけれども、それで起訴されて、そこから事件が発覚していった、こういうことらしいですが、そのわかっている範囲内の正式な事業団や何かの名称とかなんとか、事件の内容を知らせていただけませんか。

岡村泰孝法務省刑事局長

○岡村政府委員 撚糸工業組合連合会の事件でございますが、昨年の九月十四日に東京地検におきまして、撚糸工連が三谷健一といいます元の撚糸工連の経理課長兼業務課長につきまして文書偽造、行使、詐欺という事実で告訴いたしまして、これを受理いたしたことから捜査を開始いたしたわけでございます。そういたしまして、昨年の十二月三日に三谷元課長を業務上横領で逮捕いたしまして、十二月二十四日、利付商工債券二億七千万円の業務上横領という事実で起訴いたしました。その後さらに捜査を続けまして、本年の二月十三日に撚糸工連の小田理事長ほか四名を中小企業事業団から高度化資金約四億二千万円を詐取したという詐欺の事実で逮捕いたしまして、現在身柄を勾留して捜査を継続しておる、こういう経過にあるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 通産省の方がおいでになっていると思いますが、中小企業事業団法という法律と、よくわからないので申しわけございませんが、中小企業団体の組織に関する法律というのがありますね。この法律の関係はどういうふうになっているのですか。

浜岡平一通商産業省生活産業局長

○浜岡政府委員 まず、中小企業団体組織法という法律がございまして、いわゆる団体法と呼んでおりますが、問題の撚糸工業組合連合会は団体法に基づいて設立をされました商工組合の連合会でございまして、根拠規定は団体法にあるわけでございます。通産大臣の認可を受けた組織でございます。  他方、中小企業事業団は中小企業事業団法に基づきまして昭和五十五年に設立をされました特殊法人でございます。主として中小企業団体が行います高度化事業等に対しまして指導を行いましたり、あるいは融資を行うというような事業を行っておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 この中小企業団体の組織に関する法律の第七条の三項に「組合は、特定の政党のために利用してはならない。」という条文があって、これは私の見た範囲では罰則はないようですが、「組合は、特定の政党のために利用してはならない。」この書き方がちょっとよくわからないのです。組合を利用してはならないという意味なのか、ちょっと主語がはっきりしないのですね。これはどういう意味ですか。

浜岡平一通商産業省生活産業局長

○浜岡政府委員 第一点につきましては御指摘のとおり罰則はございませんで、いわゆる精神規定というものかと承知いたしております。  それから第二点は、先生おっしゃるように私自身もちょっと日本語としてはわかりにくい言葉ではないかと思いますが、趣旨といたしましては組合は特定の政党のために利用されてはならないということと、それから何人も問わず組合を特定の政党のために利用してはならない、こういう二つの趣旨が混在して書いてあるのかなと思いますが、御指摘のとおりややふわっとした表現であることは事実であろうかと存じます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 そうすると罰則は別として、ちょっと私もこの条文を見てよくわからなかったのですが、「組合は、特定の政党のために利用してはならない。」というと、特定の政党に対して政治献金なりをするということは、罰則は別としてこの条文との関係はどういうふうになるのですか。特定の政党に対して特定の目的を持ってやる場合と特定の目的を持ってやらない場合とあるかもわかりませんが、そういうふうに分けて考えるとどういうふうになるのですか。

浜岡平一通商産業省生活産業局長

○浜岡政府委員 御指摘のとおりに大変微妙な問題でございまして、特に現在新聞雑誌等で報道されております政治献金等の問題に絡みましてこの条文をどう解釈するかという問題が浮上してきているということであろうかと思います。私どもといたしましては、やはりいろいろな誤解を招くことを防ぐという意味では商工組合あるいは商工組合連合会が政治献金を行うということは基本的には好ましいことではないというぐあいに思うわけでございますが、すべての政治献金が直ちにこの規定に違反することになるかどうかという点は、ただいま先生御指摘のようにケース・バイ・ケースの判断が要るのではなかろうかというぐあいに思っておる次第でございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 これは最初からこの条文があったのですか、それが一つと、これができるときの立法の趣旨の説明はどういうふうになっておりますか、別段そこまでは説明はなかったのですか、どうなんでしょうか。

浜岡平一通商産業省生活産業局長

○浜岡政府委員 実はこの法律は中小企業安定法を改正をいたしまして現在のような名称の法律になっておるわけでございます。中小企業安定法はいわゆる中小企業の事業の安定のための調整事業を行うために設けられた制度でございまして、特に独禁法との関係の調整というようなことが主眼になりましてたしか昭和二十八年ぐらいにできた法律でございます。それ以前は中小企業の組織に関する基本法といたしましては中小企業協同組合法というのがございました。これは先生御承知の協同組合原理に基づきました法律だったわけでございますけれども、中小企業団体組織法になりましたときに観念的には協同組合法も、法律月評ではございませんが傘の下に取り込みまして一般法としてこの法律ができたわけでございます。その際、中小企業協同組合法にございましたただいま御指摘と同種の条文を中小企業団体法にも持ってきたというような経緯をたどっておりまして、基本的には政治的中立性の確保というところが立法理念であるというぐあいに承知いたしております。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 政治的中立性の確保となると、それは抜け穴があるのです。政治連盟か何かつくってよく献金したり何かするのがあるのですが、そうでない限りは直接の献金はできないことになっているのじゃないかと思いますが、これはよく研究しなければいけないことですけれども。  そこで法務省にお聞きをいたしたいのですが、これは二月十三日に小田ほか四名を逮捕でしたね。そうすると、延長しているわけですか。

岡村泰孝法務省刑事局長

○岡村政府委員 延長いたして、現在捜査中でございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 詐欺ということだと、小田ほか四名が共謀してだれから詐欺ということで、ちょっと今初めのところを聞き漏らしたものですから、被害者はだれで、その四億二千万という金がどういうふうな、まず詐欺であればどういうことのためにその欺罔、騙取が行われたか、目的ね。同時に、その得られた金が、例えばギャンブルに個人的に使われたとかあるいは一定の目的達成のために使われたとか、そういう使途ということも捜査の対象になってくると考えてよろしいですか、これは当たり前ですけれどもね。

岡村泰孝法務省刑事局長

○岡村政府委員 逮捕いたしました事実であります詐欺の内容でございますが、撚糸工連が行っております昭和五十七年度の過剰仮より機設備共同廃棄事業に際しまして、本来買い上げの対象となりません仮より機十三台につきまして、それが買い上げの対象になるかのように仮装いたしまして撚糸工連がこれを買い上げまして、その買い上げ資金の融資名下に、中小企業事業団から高度化資金約四億二千万円を詐取したという内容でございます。  現在、この詐欺事件につきまして捜査をいたしておるわけでございまして、ただいま御指摘のありましたように、詐取した全員の使途といいますかどういう流れになっておるのかということももちろん捜査の対象になっておるということでございます。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 そうすると、その金が特定の政治目的のために特定の政治家に渡ったとかというふうなことも捜査の過程で出てくるかもわからないということですね。

岡村泰孝法務省刑事局長

○岡村政府委員 その使い道いかんということでございまして、これは捜査の中で明らかになってくる問題である、かように思っております。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 十三日に逮捕してすぐその日に勾留ですか、検事の場合はすぐ勾留してしまいますね。あるいは二日間、四十八時間置いたのかな、延長になって満期はいつなんですか、どういうふうになっている。

岡村泰孝法務省刑事局長

○岡村政府委員 ちょっと正確ではございませんが、三月六日ごろではなかろうかと思います。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 私が質問をするときにはそういう点までちゃんと調べてきてくださいよ。  そこで、これはなかなか難しい事件ですね。殊に、共犯者も多いし、二十日間の勾留期間では捜査はなかなか大変だなと思いますけれども、前の事件のあれがありますからやれるのだと思います。  いずれにしても、四億二千万の金の使途に関連してどういうことが出てくるかそれはわかりませんから、それについては遠慮しないでひとつやってもらいたい、こういうふうに思うわけです。これは当たり前のことですけれども、どんな人の名前が飛び出してきてもそんなことは遠慮する必要がない。今度は検事総長がそういう点については非常にぴしっとした人ですから、だからしっかりやってもらいたいということを申し上げて、一応それについてのお答えをお願いしたい、こう思います。

岡村泰孝法務省刑事局長

○岡村政府委員 東京地検におきましては、現在実態を解明するために鋭意捜査いたしておるところでございまして、その捜査の過程で何らかの犯罪を構成するような事実が認められるとするならば、それに対しましては厳正に処理していくものと考えております。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 なかなかこういう事件は難しいというか、本省の方から一生懸命やっている東京地検へいろいろなことを報告しろというと、東京地検の方じゃ捜査の時間が割かれるし、なかなか全容を報告するわけにいかないし、これは嫌がるものだよ。地検が本省へ報告するといったって恐らく捜査の半分ぐらいのことしか知らせないだろうし、そのまた半分以下しかここでは報告しないだろう。こういうところでやっても後に議事録で残ってしまうから、少しはしゃべるけれどもなかなか本当のことはしゃべるわけはないです。まあ、それはそれとして、しっかりやってください。  それで最後に、近ごろみっともないことなんですけれども、地方自治体で選挙に絡んでいろいろなことが起きるのですよ。これはどことは言いませんけれども、今私のところのある町でも町長選挙に絡んで変なことが起きて、まだ四月選挙ですけれども、両方が争っていて、千五百万円を包んで片方から片方へ持っていったら、もらった方はその金を警察へ届けたわけです。その金の性質をめぐって非常に争いがあるわけですね。片方の方から言わせれば、それは立候補を取りやめてくれという意味を含めた口どめ料というか取りやめ料みたいなものだと言うし、片方の方から言わせればミニコミ誌がああだこうだといっていろいろなことを言うということで、それで渡したのだというふうなことで、いろいろな騒ぎになっているのですけれども、警察が今の段階でつかんでいる事実関係を差し支えない範囲でお話し願えませんか。

国松孝次警察庁刑事局捜査第二課長

○国松説明員 お答えを申し上げます。  先生御指摘の事案は高根沢町長選、高根沢町というところで起こっている事案のことであろうというように思うわけでございますけれども、この件につきましては、現在地元警察署で、確かに昨年の十二月二十五日に町内の関係者の一人の方から警察の方に現金一千五百万円の届け出がございまして、それにつきまして私どもの方で今捜査を開始しているところでございます。いろいろな事情があるようでございまして、現在関係者からいろいろと事情聴取をいたしておるところでございまして、なるべく早く事案の解明をいたしたいということでやっておるところでございますが、何せ今現に捜査をいたしまして関係者からいろいろとお話を聞いているところでございますので、その中身につきましてはちょっとお答えできない点を御了解いただきたいというように思います。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 いずれにいたしましても、そういうふうな形で、地方の町長だ、町会議員だ、何だかんだの選挙というものは、このごろどうにも腐敗をしておりますよ。だから、そういうものにつきましては警察なり検察庁なりがもっとメスを入れてもらいたい、こういうふうに私は思うわけです。そういうふうなことで、警察がせっかく捜査しているということですから、それに対してきょうはこれ以上聞くということもかえってあれですから聞きませんけれども、いずれにしても両者の言い分が食い違っておるわけですから、そこら辺のところは早く明らかにするようにしてもらいたい、その点について最後に決意というとおかしいですけれども、もう一遍お話し願って、終わりにしたいと思います。

国松孝次警察庁刑事局捜査第二課長

○国松説明員 先ほどもお答えいたしましたように、現在捜査中でございますし、なるべく早く事案の真相を究明したいというふうに思っております。

稲葉誠一日本社会党・護憲共同

○稲葉(誠)委員 終わります。

福家俊一自由民主党・新自由国民連合

○福家委員長 村上茂利君。

村上茂利自由民主党・新自由国民連合

○村上委員 二カ月ほど前まで法務政務次官を務めておりました私が大臣や政府委員に質問するというのは大変面映ゆい感じがするのでございますが、一年余の在職中に私が非常に関心を持っておりましたのは刑法の改正の問題でございます。  先日の大臣の所信表明におきまして、刑法の全面改正に触れておられました。刑法の改正ということになりますと、これは国民の基本的権利に関することであり、また、社会の最も基本的な秩序のあり方に関する非常に重要な問題でございます。したがいまして、刑法改正に対する法務当局のアプローチの仕方も非常に慎重であり、非常に委曲を尽くした検討を進められたということは私は当然のことであろうと存じておる次第でございます。  刑法改正の問題は、御承知のように戦前から問題にされておったところでございますが、戦後新憲法制定に伴いまして、いろいろな角度から在来の刑法に対する見直しということが識者の間に議論されておったのでございます。そして、法務大臣の諮問機関である法制審議会に対しましてこの問題を諮問され、今から約十二年前、昭和四十九年の五月二十九日に、刑法の全面改正の必要があるという観点から刑法改正草案が答申されたのであります。自来、法務省としては、日弁連初め関係方面と非常に緊密な連絡をとられて今日まで来たのでございますが、自由民主党といたしましても、政調会の法務部会に刑法改正に関する小委員会を設けまして、本問題に対する態度をどのようにすべきかということを議論してまいったわけであります。     〔委員長退席、天野(等)委員長代理着席〕  私が今わざわざ大臣にお尋ねしようと思いますのは、この刑法改正の問題は非常に基本的な重大な問題であり、社会生活あるいは国民の基本的権利に関する問題でございますから、できるだけ国民に、今どういう形で進行しておるのか、おくれておるのは何であろうかといったような点を明らかにされると同時に、場合によりましては何が問題になっておるのかということもこの国会を通じまして国民の前に明らかにしておくということが非常に大事じゃなかろうかと存じまして質問を申し上げる次第でございます。  そこで大臣に、先般の所信表明で刑法の全面改正について言及されておりますが、その点についての大臣のお考えをいま少しくお述べいただければ幸いと思う次第でございます。

岡村泰孝法務省刑事局長

○岡村政府委員 ただいま委員から御指摘のありましたように、法制審議会におきまして刑法改正草案を答申いたしましてから既に相当の年月がたっておるのでございます。  ところで、刑法といいますのは国の重要な基本法でございまして、これを全面的に改正するためにはやはり国民各層の意見を十分に考慮しなければなりませんし、そういう配意をしつつ、また現代社会の要請にかなう内容のもの、こういったものの実現を目指すということが肝要であると考えておるわけでございます。  法制審議会の答申いたしました刑法改正草案につきましては、遺憾ながら日弁連を初めといたしましていろいろな団体、学会などから、例えば保安処分の処分制度の新設その他の問題につきましていろいろ反対意見もあるわけでございまして、現在これらの諸団体などとの意見調整などの作業を継続しつつあるところであります。  また関係省庁との折衝などにもなお相当の日時を要する状況にあるわけでございまして、こういうような諸事情から、刑法の全面改正案を国会に提出するには至っておらないわけでございますが、今後ともこれらの点につきまして鋭意努力いたしまして、刑法改正の実現というものに向けまして法務省といたしましても最大限の努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。     〔天野(等)委員長代理退席、委員長着席〕

村上茂利自由民主党・新自由国民連合

○村上委員 政務次官在職中に弁護士会の出された資料もちょうだいをいたしまして、暇を見て研究をしておったのでありますけれども、法制審議会の答申が出ましてから日本弁護士連合会が刑法改正の阻止運動を非常な幅広い全国的な運動で展開された。  その間のいろいろないきさつがあったようですけれども、たまたま「改正」阻止実行委員会の印刷物を私は見ておりましたところが、例えば「人が集まればすぐ検挙される」、これは何かと申しますと、騒動予備罪というような形でそういうものが考えられている。「労働運動ができなくなる」というのは、多衆脅迫罪、多衆暴行罪として扱われる可能性があるとか、あるいは「国民は政治のあり方についてツンボサジキにおかれてしまう」、これは公務員の機密漏示罪を設けるといったような個々の問題を取り上げまして、何だがこの間スパイ防止法につきまして反対運動が起こりましたときのスローガンみたいなそういう扱い方をしまして、刑法改正反対だというので、大変なこれは揣摩憶測だろうと思うのでありますが、人が集まれば検挙されるだとか、あるいは労働運動ができなくなるだとか、そういう言い方をいたしまして、刑法改正に反対する運動を展開したということについて、私はこれはいろんなやり方があると思うのですが、こういう考え方で反対をされるということについては、刑法改正の真意を十分理解してないということにも起因するのじゃなかろうか。そしてこじれてこじれてずっと今日に至っておる。  ただ、経過はどのようでありましょうとも、私は法務政務次官在職中に担当者の方からいろいろ伺いますと、相当問題は煮詰めてきておる。理論的にも忌憚のない理論の交換をいたしまして、話し合いをいたしまして、相当詰めておるという話を伺っておるわけであります。そして、実は個人的なことを申して恐縮ですが、弁護士には私は非常に知り合いが多うございますけれども、有力な弁護士の方々が、もういいかげんに刑法改正をやっちゃったらどうだろう、こういう個人的な意見も拝聴しておるのでございます。  そこで、いろいろな考え方がありましょう。今刑事局長さんが御答弁になりましたそういう考え方は私は正しいと思いますけれども、何が何だか国民はちっともわからない。自分らのことに直接関係のあります刑法改正につきまして、どんなふうになっているのだ、問題はどこなんだということをやはり折に触れて発表していただきまして、国民の正しい理解をちょうだいするということが非常に大事じゃなかろうかというふうに私は考えておる次第でございます。  また、保安処分を医療処分ということで、そういう角度から何とか適切な解決の方法を見出せないか、非常に御努力いただいておるようでございます。私個人といたしましても、刑事政策の面で、単に司法あるいは法務行政のみならず、医療関係のグループがそれに参加いたしまして、新しい分野を開拓するということは非常に大事なことだろうと思うのであります。そういう点で、今刑事局長も保安処分の問題について触れたのでございますけれども、この点も国民の皆さんはよくわからぬと思いますので、もうちょっとその点を、どうしてこれが問題であるのかということをひとつお答えをいただきたいと思います。

岡村泰孝法務省刑事局長

○岡村政府委員 精神障害者によります犯罪は、例えばいわゆる通り慶事件などに見られますように、国民生活に全く理由もなく突然ある日に重大な被害を加える、こういうような事件が少なくないのであります。ところが、こういう精神障害者によります犯罪に対しましては、現行刑法は責任主義という立場をとっておりますので、刑罰のみを定めておる。と、責任能力の欠ける者の犯罪に対しましては、刑罰のみを定めております現行刑法はこれに対しまして今は適切に対応し切れないという面があるわけでございます。  現在、精神衛生行政によりまして、いわゆる精神衛生法によります措置入院という制度があるわけでございますが、この制度もまた刑事政策的な面の配慮とは別個の問題でございまして、刑事政策的な問題から見ますと、この措置入院の制度のみでも十分その目的は達し得ない面があるわけでございます。  そういうような実情にございますので、現在法務省におきまして治療処分というものの新設を検討しておるわけでございますが、これは精神病あるいは覚せい剤等の薬物中毒などに起因いたします精神障害のため殺人、放火、こういった一定の重大な犯罪を犯した者で、再度これらの重大犯罪を犯すおそれがあるにもかかわらず、刑法上刑罰をもって対処し得ない音あるいは対処が困難な者につきましては、裁判所の判断によって一定期間治療のための施設に収容して治療、看護を加えるというのが、この治療処分制度の内容でございます。要するに、この制度は精神障害者犯罪につきまして、刑事手続によりまして、そういった犯罪人に対しまして必要な治療を施して、社会の安全を確保するとともに、その改善、更生を図ろう、こういう趣旨のものであるわけでございます。  本制度につきましては、昭和四十九年に法制審議会が改正刑法草案を答申いたしました際に、その中に保安処分制度の新設というものが提案されているわけでございます。ところが、これに対しましていろいろ反対論もあったわけでございまして、法務省といたしましては、こういった意見も考慮いたしまして、人権の保障にも十分配慮いたしまして、昭和五十六年の十二月二十六日に、対象となります罪の種類あるいは収容期間を限定すること、こういったことを内容といたします「保安処分制度の骨子」というものを公表いたしまして、その名称も治療処分ということにいたしまして、この案につきまして現在いろいろ意見を聞く等の作業を進めておるところでございます。  ところで最近の現状でございますが、現在、精神衛生法の改正問題というものが起きているわけでございますので、現在の状況といたしましては、精神衛生法の改正の動向を見守りつつ関係省庁とさらに意見の調整を行いまして、人権の保障にも欠けるところのないよう十分配慮をいたしました治療処分制度の実現、これをぜひ図りたいということで検討を進めておる、こういうところでございます。

村上茂利自由民主党・新自由国民連合

○村上委員 治療処分の問題につきまして、この問題は、通り慶事件のようなことが起こりますと、一体何をしているんだ、政府はどうしているんだというような声がその都度起きるわけでございます。それに対しまして、これはこうなっているんだという答え方がなかなか難しい。さらには、私どもは、施設の問題もあるんだ、医療そのものについてのいろいろな研究なり対応するスタッフとか、そういうもののさらに強化拡充とか、いろいろな物的な要素もあるし、なかなか難しいんだ、こういうことを申してきておるわけであります。非常に社会的な関心も持たれておる問題でございますから、さらに精力的に詰めていただきたいと思うのでございます。  いろいろ問題がございますけれども、自民党の刑法改正小委員会におきましても、今早急に全面改正をすると申しましてもなかなか難しい問題がある、そういう問題点を明らかにしながら、しかし今日的な問題で早急に対応しなきゃならぬ問題も相当多いじゃないか、例えば最近コンピューターの普及に伴いましてコンピューター関連の犯罪が発生してきております、将来相当広範なコンピューター関連犯罪の発生も予想されるわけでありますが、そういたしますと、そういう緊急を要する新しい問題につきまして、これに対応する立法措置を考えるべきじゃなかろうかという意見が非常に強くなってきておるわけであります。私も在職中に法務省で研究を始めておるということは承知しておりますが、その後さらに検討が進んでおると思うのでございますが、その点についてひとつお答えをいただければ幸いでございます。

鈴木省吾自由民主党・自由国民会議法務大臣

○鈴木国務大臣 先生には政務次官在任中、刑法改正の問題について大変御努力いただいて本当に感謝をいたしておる次第でございます。  既にもう先生専門家でもございます、多くを申し上げる必要はございませんが、何せ刑法は明治時代の旧法でございます。しかもまだ、学識経験者にお集まりいただきまして答申をいただいた、改正原案ができて十数年たっておるわけでございますが、それにもかかわらず、先ほどお話ございましたように十分御理解をいただいていない点あるいは誤解に基づく点等もありまして、十何年もたって国会に提案もなかなかできない、議決もできない、こういうことで残念でございますが、しかしもう、明治時代からの法律でもございますから、何としてもこれは一日も早く、せっかく御立派な方々に御答申をいただいた案ですから、それを基本としまして、各方面の誤解等は御理解をいただくように努力をしながら、一日も早くそれが可決される、提案できるように努力をしたいと思います。しかし、それも時間がかかるというのであれば、今先生御指摘の新しい時代に新しい犯罪、コンピューターなどもさようでございますが、そういう問題を部分的にでもやらなければならないかなというふうに考えて検討をいたしております。  なお、詳細は政府委員から説明させますけれども、今後もその場合、ひとつ先生方の御協力、御指導を賜りたいと思います。どうぞよろしく。

岡村泰孝法務省刑事局長

○岡村政府委員 ただいまの点でございますが、委員御指摘のありましたように、自民党の刑法調査会におきましても、コンピューター犯罪等新たな問題の対応も含めて、社会の状況から必要性の大きいものについては適宜部分改正により早期に整備を図ることが適当であるという御指摘がなされているところでございます。  法務省といたしましても、最近のコンピューターの普及発展は非常に目覚ましいものがあるわけでございまして、これに伴いまして、電磁的記録物の改ざんとかコンピューターシステムの不正利用によります財産上の利得行為など、従来の罰則では十分に対応し得ない新たな犯罪行為といったものが発生しておるわけでございまして、また今後ともこの種犯罪が増加するおそれも大きいわけでございますので、こういったコンピューター関連犯罪に適切に対処するための立法措置につきまして現在鋭意検討を行っているところでございまして、できるだけ早くコンピューター関連犯罪に関する立法措置を講ずべく努力いたしたい、かように思っている次第でございます。

村上茂利自由民主党・新自由国民連合

○村上委員 これは法制審議会に諮問しましたか。

岡村泰孝法務省刑事局長

○岡村政府委員 法制審議会に諮問する段階にはまだ至っておりません。これもできるだけ早く審議会に諮問いたしたい、かように思っております。

村上茂利自由民主党・新自由国民連合

○村上委員 もう一つ立法化が問題になっております刑事訴訟記録の保管に関する法律案というのは、恐らくもう作業に入っているのじゃないかと思いますが、これはどうなっていましょうか。

岡村泰孝法務省刑事局長

○岡村政府委員 刑事訴訟記録の保管につきましては、刑事訴訟法五十三条四項で、別に法律で定めることとされているわけでございますが、いろいろな経緯がございまして、今日に至るまでその法律ができておらないわけでございます。そこで、目下この法律をつくるよういろいろ努力をいたしておるところでございまして、この刑事訴訟記録の保管に関する法律につきましてもできるだけ早く国会に提出いたしたい、かように考えておるところでございます。

村上茂利自由民主党・新自由国民連合

○村上委員 刑法改正と並びまして、もう一つ会社法の改正という非常に重大な問題がございます。実は、これにつきましてもお伺いしようと思っておったのですが、大臣が予算委員会に御出席なさるというふうに伺っておりますので、これ以上お引きとめするのはいかがかと思いますので、私の質問はこれで終わりたいと存じます。

福家俊一自由民主党・新自由国民連合

○福家委員長 次回は、明二十六日水曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十四分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗