文教委員会 第8号
- 発言数
- 133 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1986/04/18
会議録
○青木委員長 これより会議を開きます。 佐藤誼君外二名提出、義務教育諸学校等の女子教育職員及び医療施設、社会福祉施設等の看護婦、保母等の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。佐藤誼君。 ————————————— 義務教育諸学校等の女子教育職員及び医療施設、社会福祉施設等の看護婦、保母等の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○佐藤(誼)議員 ただいま議題となりました義務教育諸学校等の女子教育職員及び医療施設、社会福祉施設等の看護婦、保母等の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由と内容の概要を御説明申し上げます。 去る第七十五回国会におきまして、五党共同提案に係る議員立法により成立を見ました女子教育職員等の育児休業制度は、女子教育職員、看護婦、保母等の継続的な勤務を促進することにより教育及び医療、社会福祉に関する業務の円滑な実施を確保するために設けられたものであり、これは全国の多数の女子教育職員等の長年にわたる念願が実現したものであります。 ところで、育児休業制度を利用できる職員の範囲については、本法第二条及び第三条により、一歳未満の乳児を養育する義務教育諸学校等の女子教育職員及び医療施設、社会福祉施設等の看護婦、保母等とされており、さらに女子教育職員としては、校長、教頭、教諭、養護教諭、助教諭、養護助教諭、講師、実習助手及び寮母と規定されております。これらの職員が育児休業制度の適用対象とされた理由は、その職場において果たす役割が重要である上に、その職務内容が高度の責任を伴った特殊のものでかつ経験を必要とし、さらには、人材確保の見地から職務に慣熟した者の離職をできるだけ防止する必要性が着目されたからであります。 このような立法趣旨からいたしますと、現在育児休業制度の適用対象となっていない養護学校等の看護婦、学校の事務職員及び学校栄養職員も当然その対象に加えられなければならないのであります。 まず第一に、養護学校等の看護婦についてであります。養護学校等における看護婦は、児童生徒に対する療育、すなわち深い教育的配慮のもとでの看護業務に従事しているのであります。特に昭和五十四年度より養護学校の義務制が施行され、従来にも増して心身の障害の程度の重い子供の療育を、養護学校が行わなければならなくなった状況を考えますと、そこでの看護婦の業務の重要性はさらに増してくると同時に、その人員も増加する必要性が高まってきております。したがいまして、これら看護婦については、本法の適用対象に加える必要があると言わなければなりません。さらに、医療施設、社会福祉施設等における看護婦の業務の困難性、専門性と比較しても、また資格、免許の同一性に着目しても、育児休業制度の適用対象に加えるのは当然であり、むしろ今まで適用されなかったことは、立法政策上のミスと言っても過言ではないのであります。 第二に学校の事務職員についてであります。学校の事務職員を育児休業制度の適用対象に加えるべきかどうかについては、立法時にも検討されたところであります。しかし当時は、いわゆる産休代替の職員の確保に関する法律の適用対象に事務職員を加えることが問題となっていたため、その解決をまって検討するということで、ひとまず見送られてきたところであります。 御承知のとおり、学校の事務職員は、学校教育上極めて重要かつ広範な役割を果たしているのであります。すなわち、まず一般的な事務として文書、統計、給与、経理事務などがあり、また、直接子供にかかわる事務としては、教材教具、施設設備及び就学奨励などに関する事務、さらには地域の父母にかかわるPTAの諸活動への援助など極めて多方面にわたっております。さらに、これらの複雑多様な学校事務を適正に行うためには、学校教育の理念、教育課程や教育行政の仕組み、子供に必要な学習環境など学校教育に関する深い知識、経験が要請されており、一般行政事務とは異なった専門性を持たなければならないのであります。この認識に基づいて学校の事務職員については、学校教育法第二十八条において、原則として置かなければならない職員として位置づけられ、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準等に関する法律並びに公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律においては、その標準定数が定められ、また、地方公務員法第五十七条においては、一般の地方公務員と比べてその職務と責任に特殊性が存する旨が規定されているのであります。 さらに第八十四回国会におきまして、議員立法により学校の事務職員についても産休代替の職員を確保するための改正法が成立し、その職務の専門性、特殊性が確認されたところであります。 その上、学校の事務職員は各学校に一名置かれている場合が多く、慣熟した職員に離職されると、すぐには専門家を得にくくまた育てにくい環境にあります。さらに同一職場に勤務する他の教育職員とのこのような不均衡、不平等は、学校の一体的運営を阻害するばかりでなく、人材の確保、積極的な職務態度の維持等の障害ともなりかねないところであります。 第三は学校栄養職員についてであります。御承知のとおり第七十二回国会では、その職務の重要性から、学校給食法等が改正され、その職務について、学校給食の栄養に関する専門的事項をつかさどる職員として明記されるとともに、新たにその配置基準も定められ、また、県費負担教職員として位置づけられたのであります。 さらに、第八十四回国会において、いわゆる産休代替の職員の確保に関する法律の改正で、学校栄養職員もその適用対象に加えられ、また、昭和六十一年三月十三日の体育局長通知の中で、学校給食に関する基本計画への参画、栄養管理、学校給食指導、衛生管理、検食、物資管理及び調査研究等その職務内容がより明確にされる等その教育的役割が一層重要視されてきております。 その上、学校栄養職員も各学校、共同調理場に一名置かれている場合が多く、学校栄養職員に離職されるとすぐには専門家を得にくい環境にあることは学校の事務職員の場合と同様であります。 したがいまして、学校栄養職員についても育児休業制度の適用対象に加えるべきであると考えるものであります。 以上、それぞれ申し述べました理由から、養護学校等の看護婦、学校の事務職員及び学校栄養職員を育児休業制度の適用対象に加えるため、本法律案を提出した次第であります。 次に、本法律案の内容について御説明申し上げます。 第一は、育児休業制度の適用対象となる職員に、義務教育諸学校等における学校栄養職員、事務職員並びに看護婦及び准看護婦を加えることとしております。 第二は、第一に伴い、本法の題名中の「女子教育職員」及び本則中の「教育職員」の字句をそれぞれ「女子教職員」、「教職員」に改めることとしております。 第三は、この法律は、昭和六十二年四月一日から施行することとしております。 以上が、本法律案の提案の理由及び内容の概要であります。 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
○青木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 ————◇—————
○青木委員長 次に、内閣提出、プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律案及び著作権法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。海部文部大臣。 ————————————— プログラムの著作物に係る登録の特例に関する 法律案 著作権法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○海部国務大臣 このたび、政府から提出いたしましたプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 この法律案は、昨年六月に公布されたプログラムの著作物の保護に関する著作権法の一部を改正する法律により、「プログラムの著作物に係る登録については、この節の規定によるほか、別に法律で定めるところによる。」と定められたことを受けて、プログラムの著作物の特性等に応じ、その登録の手続及び登録機関等について著作権法の特例を定めることを目的とするものであります。 次に、本法律案の内容について申し上げます。 まず、プログラムの著作物の特性に応じて登録手続等の特例を定めております。 その第一は、プログラムの著作物に係る著作権登録原簿は、磁気テープ等で調製し得ることとしたことであります。 第二は、登録に際し、申請者は、プログラムの著作物の複製物を提出することとしたことであります。 第三は、登録されたプログラムの著作物に関し、その概要等を公示することとしたことであります。 次に、プログラムの著作物の登録に係る事務を円滑に実施し得るようにするため、文化庁長官は、登録機関を指定し、当該指定登録機関に登録事務を行わせることができることといたしております。このことに伴い、指定の基準、登録の実施義務、指定登録機関の役員または職員に関する罰則等、指定登録機関における適正な登録事務の実施を確保するための規定を設けております。 次に、施行日等についてであります。 この法律は、昭和六十二年四月一日から施行することとし、指定登録機関の指定に係る規定については、昭和六十一年十月一日から施行することといたしております。 その他所要の経過措置を講じております。 以上が、この法律案を提案いたしました理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。 次に、著作権法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 近年の情報処理技術及び電気通信技術の発達に伴い、電子計算機を用いて必要な情報を容易に検索できるようにしたデータベースや有線テレビジョン放送やビデオテックスを初めとする有線系ニューメディアが急速に開発され、普及してきております。 このような状況に対応し、データベースについては、著作権法により保護される著作物であることを明らかにし、データベースの作成者の権利を適切に保護するとともに、その円滑な利用を図る必要が生じてきております。 また、データベースのオンラインサービスやビデオテックスなど有線系ニューメディアについては、その発達に適切に対処し得るようにするため、有線による送信に関する規定を整備するとともに、有線テレビジョン放送が、大規模化、多チャンネル化するなど、放送と同様の有力な情報伝達手段となってきたため、放送に準じた著作権法上の取り扱いをする必要が生じてきております。 これらの必要性に基づき、所要の措置を講ずることが、今回の著作権法の一部改正の趣旨であります。 次に、本法律案の内容について申し上げます。 第一は、データベースの著作物について、著作権法による保護を明確化することであります。 すなわち、データベースの定義を新しく設けるとともに、データベースで、その情報の選択または体系的な構成により創作性を有するものは著作物として保護することを明らかにしております。 第二は、有線による送信に関する規定の整備であります。 まず、有線放送の定義を改正し、有線放送は公衆によって同一の情報が同時に受信されるように送信する形態のものに限定し、この有線放送と、利用者の求めに応じ個別の情報を個々に送信する形態のものを一括し、公衆に対する送信を広く有線送信と定義しております。 これに伴い、著作者及び実演家の有線放送権を改め、有線送信権として規定するなど関係規定の整備を行っております。 第三は、有線放送事業者の保護についでであります。 現在、放送事業者には、著作隣接権が認められておりますが、有線放送事業者に対しても、その実態にかんがみ、複製権、放送権、再有線放送権などの著作隣接権を新たに認めることとしております。さらに、放送事業者と同様に有線放送事業者に著作物の一時的固定を認めるとともに、商業用レコードの二次使用料支払い義務を課する等の措置を講じております。 最後に、施行日等についてであります。 この法律は、昭和六十二年一月一日から施行することとし、所要の経過措置を講ずることといたしております。 以上が、この法律案を提案いたしました理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
○青木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
○青木委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 両案審査のため、本日、社団法人日本パーソナルコンピューターソフトウエア協会専務理事清水洋三君、日本データベース協会副会長名和小太郎君、社団法人日本有線テレビジョン放送連盟常任理事母袋恭二君、社団法人日本芸能実演家団体協議会専務理事小泉博君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○青木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 参考人に対する質疑は後刻行います。 —————————————
○青木委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。天野寺君。
○天野(等)委員 最初に、著作権法の一部を改正する法律案の方から質問をさせていただきたいと思います。 本著作権法の改正、昨年はプログラムの著作物ということであったわけですけれども、今回、データベースあるいは有線による情報伝達手段に関係する著作権の創設等を行うというようなことですけれども、この今回の法律案の改正が必要になった状況といいますか、どういうような点からこういう法改正が必要になってきているのかということについてお聞きしたいと思います。
○海部国務大臣 有線テレビジョン放送、ビデオテックス、文字多重放送などニューメディア及びデータベースの近年における発達は著しいものがございます。このため、これらに関する著作権問題について検討し、著作者等の保護及び著作物の利用の円滑化を図ることが必要な状況となってきております。 著作権審議会第七小委員会は、昭和五十九年三月からこのニューメディア及びデータベースに関する著作権問題について検討を行い、昭和六十年九月に報告書を取りまとめて公表いたしております。文化庁は、この報告書の趣旨を踏まえて、著作権法改正草案を作成し、同年十二月に公表いたしました。この文化庁試案に対する関係各方面からの御意見をも踏まえまして、本法案を作成したものでございます。 この法案は、御指摘のように、データベースの著作物の保護を明確化いたしますとともに、有線による情報伝達手段の発達に対応いたしまして、有線による送信に関する規定の整備、有線放送事業者の著作隣接権の創設等を行うものでございます。
○天野(等)委員 データベースに関して、これを保護するために著作権法でいくのかあるいは単独にデータベースの保護そのものでいくのかという問題点があったかと思うのですが、今回著作権法でいかれるということになった状況といいますか、理由といいますか、その辺をお答えいただきたいと思います。
○加戸政府委員 データベースと申しますものは人間の知的な創作活動の成果としてでき上がるものでございまして、こういった人間の知的所産物に対します保護の体系といたしましては、御承知のように工業所有権法の体系と著作権法の体系という二つの大きな流れがあるわけでございます。そこで、データベースそのものの性格を考えましたときに、例えて申し上げれば、百科事典あるいは雑誌といったような一般的な著作権法上編集著作物として保護されるような性格のものが類似のものとしてあるわけでございます。データベースにつきましては、若干これらと形態は異なりますけれども、例えばコンピューターにおいて処理されるあるいは使用される性格のものでありますために、機械が読み取るようなものであって人間が直接読み取れるものではないというような表現手段の違いはございますけれども、内容的に申し上げますれば、そういった百科事典あるいは編集物といったようなものとやや近い性格のものでございます。そういった意味で、現在の著作権法の体系の中で著作物の一つとして保護するというのが既存の法体系の中で十分合致し得るものであるということ、また実務的にも、著作権法と別体系のものをわざわざ立法化を考える必要性、特に法律的な扱いの上で特異な存在というものでもございませんし、また利用の実態も著作権法の体系でいけるという考え方で提案を申し上げているような次第でございます。
○天野(等)委員 データベースについて編集著作物として考えていくという考え方、それをさらに一歩越えて、データベースそのものに著作物性を認めたらどうかというような意見が先般の第七小委員会の報告の中にもあるようでございますし、今回の法改正でも十二条の二という形で、編集著作物に準ずるような形だと思いますけれども、規定がされている。 それでお尋ねするのですが、十二条の一項の編集著作物と十二条の二で規定されていますデータベースの著作物、言葉で言えば「配列」というところが「体系的な構成」というふうに変わっているだけだと言ってもいいかと思うのですが、この違いというものは実態的にはどういうものなんでしょうか。
○加戸政府委員 現在、著作権法の十二条におきまして、素材の選択または配列において創作性を有するものを編集著作物として保護する旨の規定を設けております。ここで規定しておりますのは、具体的事例といたしましては、例えば雑誌あるいは百科事典あるいは職業別電話帳というようなものが一つの代表的な例として挙げられるわけでございますけれども、そういった従来の伝統的な編集著作物と申しますのは、どのような材料を選ぶのかその取捨選択並びにその素材をどういう形で配列をしていくのか、そういう観点に立った性格のものでございます。ところが、データベースの場合におきましては、今申し上げた情報を取捨選択するという行為におきましては同様な性格のものがございますけれども、むしろデータベースの本質と申しますのは、人間が必要とする情報をいかに効率的に取り出すことができるのか、そのためにコンピューターにおいて効果的な検索ができるように情報を体系的に構成する、といいますとちょっと言葉は難しゅうございますけれども、一つの編集著作物をそのまま眺めているのと違いましていろいろな切り口がございまして、著作者名で探す、あるいは発行年月日、いつごろ出されたものかというようなことからどんなものがあったのかを探す、あるいはこういった事項についてどのような論文があるのかというのを探す、そういう意味ではその体系的な構成というのが従来の編集著作物とは著しく異なりまして、また、それ自体が重要な知的な構成要素になるという視点に立って見ますときに、この編集著作物の規定をそのまま適用して拡張して解釈することも不可能ではございませんが、むしろその知的創作性の中心が体系的な構成の設定にあるという観点に立ちまして、データベースそのものの特性に着目した著作物性という点を強調させていただきまして、十二条の二の規定を十二条とは別に創作するという形にしておるわけでございます。
○天野(等)委員 小委員会報告でもデータベースの著作物性ということについてかなり力説をされているわけですけれども、この場合に、例えば十条の著作物の例示の中にこれを書き入れていくというような方法もちょっと考えますととれるようにも思うのです。プログラム著作物の場合には例示の中に加えたわけだと思いますが、この辺を例示で規定しなかったというのは、やはりデータベースの特徴として何か意味があるのでございましょうか。
○加戸政府委員 著作権法の第十条におきましては保護すべき著作物の代表的な例を列挙しているわけでございますが、この十条の例示の仕方といたしますれば、主として著作物の表現手段といったものに着目いたしまして、例えば言語によって表現された著作物、あるいは音というものに着目いたしまして音楽の著作物、あるいは色彩、形状という視覚に訴えるようなものとして美術の著作物、あるいはフィルムという手段によって表現されている映画の著作物というような、それぞれの著作物の具体的な表現手段の態様に応じて代表的なものを例示するという立て方をしているわけでございます。昨年著作権法の一部改正を行いましてプログラムの著作物を例示させていただきましたのも、基本的には、この表現手段として従来のものとは違い、ある意味では〇一〇一といった電気信号によって、人間が直接可読するあるいは感知し得るという状態にない性格のもののプログラムの著作物として例示をさせていただいたわけでございます。 今回データベースにつきましても、先生御指摘ございましたように、第七小委員会の議論の中でも第十条の例示というような考え方の議論も当然ございました。それは一つの立法論的にはあり得る話でございますが、データベースの表現手段といいましても、もともとはいろいろな素材を集めましてそれを体系的に組み上げていくという考え方に立ちますと、材料自体といたしますれば、それは言語あるいは数値といったような形で表現されている素材の固まりといいますか集まりでございますので、内容的にはその体系的な構成によっていろいろな検索ができるようなシステム構成はいたしておりますものの、表現の手段としては、先ほど申し上げましたように、数値であるとか論文、文献であるとか、言うなれば文字、記号等による材料の集まりでございますので、表現手段的に特別なものとして十条に例示するという考え方はとりませんで、先ほど申し上げたような編集著作物的な、そういった発想に基づく十二条に類似した規定として十二条の二の規定を設けるという方向で対応させていただいたわけでございます。
○天野(等)委員 十二条の二の問題なんですが、ちょっと細かくなるかもしれないのですが、あるいは問題になるとすればこの辺かなと思うのでちょっとお聞きをしておくのですが、データベースの創作性について、「情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有する」というふうな規定になっていますけれども、簡単に言いまして、例えばデータベースの例で考えまして、私弁護士が仕事でございますから私の方で言わせていただきますと、判例に関するデータベースができたといたしまして、現にあると思いますけれども、その場合に、判例という情報の選択そのものにはそう違いはないけれども検索方法が違えば別個なデータベースというものがあるのか、それとも判例に関するデータベースというのはデータベースとしては一種類しか考えられないものなのか、その辺はどうなんでございますか。
○加戸政府委員 先生お尋ねのケースは、例えば全部の判例である場合もございましょうし、あるいは特に民事関係の判例あるいは刑事関係の判例あるいは殺人に関する判例とか、特別ないろいろな判例の集め方にもよると思いますが、同種類の判例、つまり例えて申し上げますと殺人に関します訴訟についての判例のみを集めたものであるといたしますと、そのようなケースというのは同種のもののデータベースは幾つも考えられ得るわけでございます。そして、その場合には素材となります判例が同じでありましても、例えばその判例の組み立て方、キーワードの設定の仕方、あるいは検索の仕方というものにつきまして、その体系の設定によってそれぞれの特色なり工夫なりがあり得るわけでございますので、同一種類の判例を集めたデータベースというものが幾つも存在し得る。しかもそのデータベースごとに特色のある体系的な設定の仕方の違いがございましょうから、データベースの著作物としては何通りもあり得るということだと思います。
○天野(等)委員 よく私たちの方で使われている、これは編集著作物、あるいは著作物そのものに当たるのかもしれませんが、訟廷日誌というのがあって、その著作物に関する大審院の判例がかなりリーダー的な役割を果たした判例かと思うのです。あれなんかの場合には、結局、そこに載せられている素材の種類によって、一つの著作物が、もちろん配列もそうなんですが、素材の種類、配列ということで独創性があるからそれなりの著作物性を認めるといっておきながら、実は訟廷日誌というのと法曹日誌というのとの二つの違いがあるのかないのかという問題で、結局、法曹日誌の方は素材が同じなんだからそれには独創性がないんだというような形で訟廷日誌が勝ったという例だと思うのです。これは「情報の選択又は体系的な構成」という形になっている「又は」を確かに厳密に解し、また実態に即して考えれば、かなりたくさんのデータベースが考えられるとも思うのですが、しかし「体系的な構成」というのは、大体において網羅的なもの、一つずつの種類に関して言えばいろいろな利用に応じたキーワードといいますかそういうものをこしらえて、それでこしらえ上げていくというのが一つの体系的なものだろうと思うのです。そうなってくると、実質的には一種類のもので多少これに幾つかの項目を付加したという場合に、結局は類似なもの、新しい著作物としては認められてこないというふうになっていくんじゃなかろうか。特に、編集著作物の場合には配列という形でかなり目に見える形であらわれますし、これは例えば芥川龍之介全集を作品の成立順番に並べるかあるいは小説、戯曲、詩というような形に並べるかによって、確かに配列は違いますから違ったものができ上がると思いますけれども、データベースという場合には、そういうものもどういう形で並べかえても恐らく全部検索できるようなものだろうと思うのです。そうなってくると、結局のところ、ある種類については一つのデータベースというふうに考えないと、類似なデータベースなのかどうかということは表にあらわれてこないのじゃないかという感じがするのですが、これは後でまた公表のところで私お尋ねしようと思っているところでもあるのですが、この点いかがでございましょうか。
○加戸政府委員 確かに、先生おっしゃいますように、データベースとしては類似のものが出てくる可能性は十分あり得るわけでございます。これは著作権法の世界におきましては、同一のというか同内容的なものでございましても、それぞれその著作者が別個の方で独自にお考えになってでき上がった成果物がたまたま類似しているという場合におきましても、著作権法上はそれぞれ別個の著作物としてそれぞれの創作者が著作権を持つというような体系になっているわけでございまして、偶然の結果として同様なものができる可能性は十分あり得るわけでございます。その場合には、人の物をまねしてつくったのか自分で独自につくったのかというのが、それぞれ創作性があるかないかの判定のポイントになるわけでございますけれども、例えて申し上げれば、材料の選択、素材の選択という観点に立ってみますと、いろいろな情報がたくさんございますものを、先ほど先生おっしゃいました例えば判例なら判例、日本国にある判例を全部集めるデータベースといたしますれば、この材料は全くどちらも同じでございますから選択における創作性はなくなってまいりますが、そのうち年代別あるいは分野別というのに限って収集するとすれば、材料あるいは情報の選択において創作性が出てくるということになります。今申し上げたように、情報の選択における創作性がない、つまり全部集めるんだということを前提にいたしました場合には、配列はもちろん問題にならないわけでございまして、どんな並べ方をしようとコンピューターで検索するときはどんな順番になっておっても引き出せますので、したがって、データベースについては配列の問題はない。むしろポイントとなりますのは、先ほど申し上げたキーワードの付与といったようなものを中心とします体系的な設定——設定の仕方も工夫いたしましても、それぞれ人間が使おうとする場合の視点というのはそんなに違うわけじゃございませんからまた類似的なものも出てくるだろうと思います。したがって、データベースに関しましては、それぞれのダブリをいとわなければ似たようなデータベースの著作物が出てくる可能性はございます。その問題につきましては、それぞれが既存のデータベースをまねしてつくったのではなくて、それとは全く別に独創的につくったかどうか、そういう意味からの判断によらざるを得ない。そういった点では、先生おっしゃいますように、データベースの著作物は似たようなものが出てくる可能性は理論的にも実務的にもあり得ると考えられます。
○天野(等)委員 その辺のところが、著作権でいくのかあるいは工業所有権でいくのかという一つの問題点なんじゃないかと思うのですけれども、著作権の場合でしたら、本来的に言えば、二条の著作物の定義からいけば「思想又は感情を創作的に表現したもの」というような形で、たまたま似たようなものだとしても、似たような感情、思想から表現されたものだから、でき上がったものについては模倣でない限り著作物として同じように保護していくんだという考え方はわかるのですけれども、こういうデータベースというようなものになってくると、即模倣性が問題になってこないだろうか。コピー、複製が違法に出回ることも考えられますけれども、それを超えて複製に多少のキーを加えたり削ったりという形で変えてしまえば別なものとして保護され得る、そういうデータベースがつくられてくるということがあるのじゃなかろうか。その辺でいったときに、例えば先に登録したとか公表したとかいうようなことによる権利性ということで、工業所有権の場合にはそういうあたりが一つの大きなポイントになるのだと思うのですが、著作権の場合にはそこでの歯どめは余りないわけだと思うのです。そういう点でいくと、権利の保護として、何か類似品が出てくるのじゃないかなという心配を非常に強く持つのですが、いかがでございますか。
○加戸政府委員 著作権法におきましては、いわゆる思想、感情を創作的に表現したものを著作物として保護をする立て方をとっております。これは表現されたもの、表現自体を保護するわけでございまして、表現のもととなっております思想、感情、言葉をかえて申し上げれば一種のアイデア的なもの、こういう形でデータベースをつくっていけばいいというノーハウ的なものそれ自身はアイデアとしては保護いたしておりませんので、あるデータベースができて、ああこれは検索しやすいいいシステムになっている、似たようなもの、というのはアイデアをいただいて別の分野で同じようなデータベースあるいは同じ分野でも同じデータベースをつくるという可能性はあり得ると思います。 ただ、データベースの作成というのは、材料を集めインプットするその非常に膨大な作業、あるいはそれにキーワードの付与の仕方、そしてしかも、キーワードをつけてそれ自体をデータを整理してデータベースとして組み上げるためには膨大な投資、経費等もかかるわけでございますので、そういった多量の時間と経費をかけてつくり上げるということは、商業ベースに乗らなければ、既存のものがあって同じようなものだということになればこれは商売になりませんから、そういった点では、独自の工夫を凝らし、まさにこのデータベースを使えばその人間が必要とする情報が容易にかつその事項がスピーディーに出てくるというようなものを考えましたときには、データベースとして類似のものがたくさん存在してという形には実務的にはむしろ考えにくい点があるのじゃないか。 そういう点で、一つの例を取り上げて恐縮でございますけれども、例えばある国語辞典があった場合に、幾つかの国語辞典が出ていますが、それぞれ、我が社の国語辞典はこういった点に特色があって、こういう使いやすいものだということをトレードマークといいますかセールスポイントにしてつくっていくわけでございますので、データベースも、類似品をつくるというより、自分の社のデータベースは利用にこんなに便利である、必要な情報が十分取り出せるのだという点をそれぞれ工夫なさると思いますので、一種の商売だけの世界で考えてみますと、人の模倣によってむだな作業をし、かつそれが営業的に成り立つかどうかという視点を考慮いたしますと、おっしゃるような懸念はそれほどないのじゃないかと考えております。
○天野(等)委員 今もお話が出ましたけれども、データベースの現況というのはどんなものなのでしょうか。これを扱っている商業的なといいますか企業的なものは実際にどの程度あるのか、あるいは企業的なものじゃないものというのもかなり考えられるのかなというふうにも思いますが、その辺データがございましたら……。
○加戸政府委員 現在、我が国でどの程度のデータベースが存在し、かつ実用に供されているかということを正確に把握することは非常に難しゅうございますが、通産省が作成いたしましたデータベース台帳によりますと、昭和五十九年度においていわゆる商業用データベースとして市場利用に供されているものが千二百四十二件というぐあいに承知いたしておりまして、これが実務界で実際上商業用に利用されているデータベースの数でございます。このほかに、一般の大学とか研究機関等でそれぞれ、これは商業用ということではなくて、部内のデータベースをつくっている数も相当程度あると思いますけれども、この係数値は十分に把握しておりません。 そこで、今申し上げました商業用データベースで現実にどの程度の売り上げといいますか、データベースサービスの売上高があるのかということにつきましては、日本情報処理開発協会の資料といたしまして、昭和五十九年度におきます我が国におけるデータベースサービスの売上高といたしましては九百六十七億円という数字が出ております。大まかに言いますと、商業用データベースとしては、約一千件以上のものが約一千億円近い売り上げというのが一昨年、昭和五十九年度の実需であったと承知いたしております。
○天野(等)委員 今度は、このデータベースを取り出すシステムといいますか、例えばキャプテンシステムというような形でユーザーがデータシステムとつながってということもあるかと思うのですが、この辺については著作権法では考えに入れないということになるのでしょうか、伝達の手段というのでしょうか、その点はどうなんでしょうか。
○加戸政府委員 データベースの利用のいたし方といたしましては、有力なものは、今先生おっしゃいましたようなキャプテンサービス等に代表されますいわゆるオンラインシステムによりましてデータベースに入っておりますデータが利用に供されるというケースが多うございます。そのほかに、比率的には高くはございませんが、バッチシステムという形で、こういう情報が欲しいということを要求いたしますとコピーの形でデータベースの中から必要なデータが取り出されてくる。この二つのシステムがあろうかと思います。 そこで、この場合に著作権法の立場に立ってみますと、データベースサービスによります著作権法上の問題としては、一つは、データベースの中に入っておりますデータそのものが利用される、情報が提供されていくということになりますと、これは個別のデータの著作物性、つまり、それが単なる数値であれば著作物ではないし、それが一つの文献という形で内容的に著作物性を持つものであるならば、著作権法上の利用ということになるわけでございます。と同時に、データベース全体の利用になっているのかどうかという問題がございまして、例えばオンラインサービス等でまいります場合にも、ダウンローディングのようにデータベースの主要な部分をまた蓄積するというような行為になりますれば、これはデータベースそのものの利用になる。個別的なデータの利用イコール、データベースの利用ではございませんので、その関係が非常に難しゅうございますが、ある程度の情報の固まりが引き出されればそれはデータベースの利用と実質的に言えるのではないかという部分もあり得るわけでございます。 そして、今申し上げたような事柄を今度の著作権法上で整備いたしましたのは、いわゆるデッドコピーといいますか、出てまいりますもののコピーは著作権法上の複製でございまして、著作物であるならば複製に該当するということで特段の手当てが必要ないわけでございますけれども、今申し上げましたオンラインサービスの形態というものを、今回の著作権法改正の中におきまして有線送信権という概念を明確にいたしまして、したがって、データベースがオンラインサービスによって伝達される形態を有線送信という定義に該当させまして、有線送信権が動くか動かないか、それは利用の仕方によって異なってまいりますけれども、異なっておりますというのは、データベースの有線送信なのか、データベースを構成する個々のデータである著作物の送信なのかということ位ケース・バイ・ケースによって判断されるということになろうかと思います。
○天野(等)委員 確かに、データベースのコピーなのか、それから原著作物のコピーなのか判然としないような感じもしなくはないのですが、今のお話を聞いて大体わかります。 そうすると、端末を使ってアウトプットされたもののコピーをとったとします。それは結局、例えばある法律雑誌の全文コピーがデータベースを経由してこちらで手に入れたというときには、これは原著作者との関係ではそれをさらに複製して頒布したりすることはできないという関係になるわけですね。自分で私的に使う分には構わないということになりましょうか、そういう形で原著作者との関係になるのだ、データベースとの関係は別にデータベースの複製というようなことではない、そういうことで考えてよろしいでしょうか。
○加戸政府委員 確かに、先生おっしゃいますように、個々の利用形態を考えてみますと、例えばある雑誌に掲載された論文、言うなれば多分全文データベースの場合だと思いますけれども、その中から自分の必要とする雑誌の論文が送信されてき、それをコピーをするという形態になりますと、それはデータベースの利用というよりもデータベースを構成する雑誌の論文といった著作物の利用になっているわけでございまして、先生おっしゃいますように、自分自身がそれを自分のために使うだけ一部コピーするというなら著作権法上の問題は起きませんけれども、それを多数コピーして配るというような状態になりますれば、原文の著作権を侵害するということになろうかと思います。 と同時に、実はデータベースと申しますのは、ある特定の個人との関係だけではなくて、まさにユーザー全体に対してデータベースをいかなる必要に応じてもサービスできる状態に置くわけでございますから、もっとマクロ的に見ますと、ある方にはこの論文が行き、別の方にはこの論文が行きという形で、いろんな錯綜した多数の情報がいつでも提供し得る状態に置かれ、かつ情報は提供されているわけでございますから、送信側、つまりデータベースディストリビューターの立場から見れば、それはデータベースを構成する部分の情報提供であるのみならず、データベースという著作物全体のものを送信をしているという概念構成をとり得るわけでございまして、その送る側、つまり送信する側の立場から見ますと、データベースそのものを有線送信をしているという法律上の評価になるわけでございます。ユーザー側の立場に立った、エンドユーザーの今の利用側の立場から申し上げれば、データベースの利用というよりもむしろデータベースを構成する著作物の利用という視点になろうかと思います。
○天野(等)委員 余り細かな点をやっていますと時間がなくなってしまいますので……。 データベースについては四条の四で特殊な公表の方法が規定をされているようでございますけれども、これはやはり意味があるわけでしょうか。特に問題になるのは、これは一度も公衆に提示されなくても公表だというふうにみなされるわけだと思うのですけれども、こういう規定を置く意味というのはどういうところにあるのでしょうか。
○加戸政府委員 通常の著作物につきましては、例えば放送するとか演奏するというような形で公衆が感知し得る状態に置かれますので、そこで著作物が公表された、公表された時点から公表後五十年であれば保護期間の計算はそれを起算点として計算をするというような立て方になるわけでございます。 ところで、データベースにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、情報をオンラインサービスで提供するといった場合には、個別の中の素材である情報が提供されているのか、あるいは全体のデータベースそのものが有線送信という方法によって提供されているのかという議論になるわけでございまして、具体的に言えば、どのような段階に立ち至ればデータベースが公表されたと言えるのかというものを突き詰めて申し上げますと、データベースそのものが有線送信されているという、評価されるまでには相当程度の量のデータが提供されていかなければならないということになりますと、一体いつがデータベースの公表の時点なのかということを確定するのは極めて難しくなるわけでございます。その意味で、著作権審議会の第七小委員会におきましてもこの議論がございまして、データベースがオンラインサービスによってサービスができる状態に置かれた時点をもって公表と考えて、保護期間の起算点をそこに定める方が適切ではないかというような御報告もちょうだいいたしましたものですから、現実にはデータベースそのものが物理的に全部公表された状態になくても、データベースサービスが開始された時点において、いわゆる許諾を得ましてこれからデータベースのサービスを開始しますという形で現実に個々のデータが出ていける状態になった場合には、全体のデータベースの著作物の公表がされたものとみなすというみなし規定を四条の四項で今提案をさせていただいているわけでございまして、いわゆる保護期間の公表の時点がいつであるかということの争いを避けるために、一種のフィクションでございますけれども、サービスの開始が行われる状態に置かれたという時点をもってデータベースの著作物が公表されたものとみなすというみなし規定を設けようとしているわけでございます。
○天野(等)委員 今回の著作権法改正のもう一つの要点としては、有線による送信についての定義規定を整備するという問題があるように思いますけれども、これの意味はどういうことなんでしょうか。
○加戸政府委員 現在、著作権法上におきましては有線放送という概念を用いておりまして、同時に情報が送られていくというような性格のものでございまして、現実には有線放送という常識的な用語で申し上げれば、例えばテレビジョンのスクリーンに有線によって同一の情報が多数の視聴者に提供されるようなものというのがイメージ的に思い浮かぶわけでございます。しかし、今回のような、例えばデータベースのオンラインサービスのように、個々の視聴者のリクエストによりまして、必要な情報、ボタンを押せばその必要な情報が個別的に送られてくるというものにつきましては、それを有線放送の概念で読むということは社会感覚上もマッチしないし、それは有線放送というような通常の理解の仕方ではない、そういった点にかんがみまして、従来の有線放送の概念を実は区分けいたしまして、狭義のつまり狭い意味の有線放送といたしまして、同一の内容の情報が同時に多数の視聴者に送られる従来パターンのものを有線放送という概念で定義をいたしまして、それを含めましていわゆる情報が有線によって送られるものであれば、それは同一の内容が同時でなくても個別の情報が個別の視聴者のリクエストに応じて個別的に送られるものも含めて有線送信という概念を立てようという形で、今回の規定の整備を図ろうとしているわけでございます。 その結果といたしまして、いわゆるオンラインによって送られる情報の提供行為をすべて有線送信と言う。そのうち、個別情報の個別提供を除きまして、同一内容の情報が同時に多数の人に送られるような性格のものだけを狭い意味での有線放送という概念で規定をいたすわけでございます。したがいまして、大概念としての有線送信、その中に小概念としての有線放送が含まれるという形で定義をいたしまして、権利関係につきましては、有線送信と申し上げれば、今申し上げた有線放送を含む広い意味の有線送信であり、個別情報提供の行為を除こうと思いますケースにつきましては有線放送という概念を使うという形で、著作権法の整理をさしていただいているわけでございます。
○天野(等)委員 有線放送と有線送信の関係はわかるのですけれども、現状における必要性ということで多分有線送信権というふうに考えられたのだと思うのですけれども、第七小委員会の報告書の中では、もう少し広い権利といいますか、無線送信も含めた送信権というようなものについての提案がございますね。これは通信衛星なんかを使っての個別送信の場合に出てくるということかと思いますし、現に日本でそれがやられているということはないようですから必要がないんだろうというふうにも思いますけれども、理屈の上でいけば、有線放送と有線送信があるように、放送と送信権というものは考えれば考えられるということでしょうね。
○加戸政府委員 今回の法改正の前提となります著作権審議会の審議におきましては、いわゆるニューメディア系統の審議をいただきまして、有線系ニューメディア並びに無線系ニューメディアに分類してそれぞれ御議論をちょうだいいたしました。そのうち有線系ニューメディアの系列につきましては、先ほども申し上げましたように、有線送信という概念を創設いたしまして、その小概念として有線放送というものを設けるようにしたわけでございます。 無線系ニューメディアの問題につきましても、先生おっしゃいますように、多数の視聴者を相手に同一の情報が同時に流れております現在の放送の形態のほかに、個別的なリクエストに応じてその人だけを対象として無線によって情報を送るということは、理論的にはあり得るわけでございます。しかし、実務的にはそのようなことは現在もございませんし、将来もなかなかそれが経済的にペイする形で成り立ち得るのかどうかということもあり得ましょうし、また、開発の段階といいますか、それが実用段階にいくということはあり得ても随分先のことではなかろうか。したがって、現在の放送権に関します放送の規定によって現時点では対処できるわけでございますので、この問題は理論的可能性が将来の実務的可能性に高まった時点において検討すればよろしいのではないかという形で、今回の法改正から見送ったわけでございまして、先生おっしゃいますように、理論上は考えられることでもございますし、将来いずれの日にか、無線送信権があり、その中の小概念として無線放送権というようなものの体系になることも十分あり得ると考えております。
○天野(等)委員 今回の法改正のまたもう一つの重要な問題点が、有線放送事業者についての権利というようなものがかなり明確になってきたということかと思うのですが、この点について、時間が余りございませんので要点だけでもお答えいただければと思います。
○加戸政府委員 近年CATVが大規模化あるいは多チャンネル化いたしまして、CATVそのものもいわゆる無線系の放送と並びまして著作物の有力な伝達の媒体になってまいってきているわけでございます。そして、従来はCATVはどちらかと申しますと放送を受信してそれを有線によって流すという再伝達的な機能が中心でございましたけれども、近年自主放送というものもだんだんふえてまいっておりまして、既に自主放送、つまり自分のところで番組を制作し、そしてそれを放送するという、言うなれば無線放送と同様な形態で有線放送が行われている実態が出てまいっております。私どもの承知しております限りでは既に百四十一のCATV局におきまして自主放送が実施をされているわけでございまして、こういった観点から、そういった番組の編成等につきましてのいわゆる著作物に準じました創作行為というのが、無線放送の場合と同様に有線放送の分野でも出てまいっておるわけでございますので、現在、放送につきまして著作隣接権としての保護を行っておりますと同様に、有線放送につきましても放送に準じた著作隣接権を認めようというのが今回の提案の趣旨でございます。したがいまして、それぞれ有線放送の特性に見合った、放送に準じた権利を創設をするという視点に立ちまして、例えば有線放送を無断で複製はされないという複製権、あるいは有線放送を受けて放送をしたり再有線放送する伝達の権利、それから有線テレビジョン放送を受信しましてそれを拡大装置によって公衆に見せ聞かせるというような伝達権、この第一の複製権、第二が放送権あるいは再有線放送権、第三が伝達権という形で権利構成をさしていただいて、放送事業者とのバランスをとった有線放送事業者の保護を図ろうとするのが今回の提案の趣旨でございます。
○天野(等)委員 郵政省においでいただいていると思うのですけれども、現在の有線放送の実態というのはどの程度のものなんですか。
○浜田説明員 ただいま文化庁御当局から御答弁なさいましたところで大体尽きておるかと思いますけれども、現在、新しい数字で、我が国のCATV施設、約三万八千ございます。また、従来の難視聴対策メディアとしての発展の経緯もございまして、自主放送そのものは数としては少のうございまして百四十一という数字でございますが、傾向といたしましては今増加の傾向にあるところでございます。 特に、今後の展望といたしまして、二年後でございますが、昭和六十三年の春からアメリカ製の輸入衛星を利用した第一種電気通信事業の開始が予定されておるわけですが、そうしますと、我が国でもいよいよ本格的な衛星時代が到来するわけでございます。アメリカでもCATV、今日まで非常に発展いたしておりますのは、今から十年前でございますけれども、一九七五年に通信衛星を使って空からCATVに番組供給を行うという形態が出て以降相当飛躍的にCATVは発展したわけでございます。そういうところで、二年後に我が国もそういうような形で衛星とCATVがドッキングをし得る、そういう状況が現出するところまでなっておるわけでございます。私どもといたしましては、こういう形で通信衛星とCATVがドッキングいたしますことによりまして、通信衛星を介しまして多彩な番組ソフトが供給されることになろう、そうしまして、我が国においても大規模、多チャンネルのいわゆる都市型CATVを初めといたしましてCATVの新たな飛躍が期待できるのではなかろうか、そういうふうに思っておるところでございます。
○天野(等)委員 通信衛星とCATVをつなげるというのはどういう形のものなんでしょうかね。
○浜田説明員 番組ソフトをつくられる方が通信衛星のトランスポンダーを買い取られるあるいはリースを受けられて空に向けて電波を発射させる、そしてその電波が全国各地のCATV、契約された方でございますが、施設に送られて、そしてCATVの方ではその電波を受信して、有線を通じまして各加入者に送られてきた番組ソフトを流す、そういう形態でございます。
○天野(等)委員 その形態の場合に、さっき私がちょっとあれしました、放送ではない、同一情報を同一機会に多数が同じものを受け取るというのじゃなくて、それぞれ番組ソフト製造会社と個々のユーザーが契約をして、無線による選択的な受信というような形のものもできてくるのでしょうかね、有線放送を介さないでという意味ですか、有線放送を通さないでという意味ですか。
○浜田説明員 衛星と言いました場合には通信衛星ということで今お話し申し上げたわけでございますが、もう一つは放送衛星というのがございます。これも現在BS2aというのが打ち上げられておりますけれども、さらにBS2bというのが打ち上げられまして、予定でいけばこの秋から放送が開始されるというところでございます。この放送衛星から発射される電波につきましては、各御家庭でいわゆるパラボラアンテナをつけていただけばそれで御自由に受けていただくということでございますけれども、通信衛星の場合には、番組供給をされる方、電波を発射される方と契約をされておられる方が番組を受けていただくというところで、同じ衛星でございましても通信衛星が介在する場合と放送衛星が介在する場合で取り扱いが違ってくる、そういうふうになろうかと思っております。
○天野(等)委員 有線放送についてもう一点お尋ねしておきたいと思いますが、有線放送に関係する著作権の制限規定、例えば四十四条の「放送事業者等による一時的固定」の規定というのがあるようですけれども、ほかの規定は大体放送事業者と有線放送事業者との間で差はないように思うのですが、この四十四条の規定、一時的固定の規定は、放送事業者と有線放送事業者で別個な規定になっているというように見えるわけですけれども、これはやはり意味があるわけでございましょうか。
○加戸政府委員 現在の著作権法四十四条におきまして、放送事業者につきましては、自己の放送のために、自己の手段によるあるいは他の放送事業者の手段によって一時的固定ができるというシステムをとっておりますのに対しまして、今回提案申し上げております四十四条二項におきましては、「有線放送事業者は、」「自己の有線放送のために、自己の手段により、」という形で、他の有線放送事業者の手段によって一時的固定をすることを認めておりません。ここが放送と有線放送に関する取り扱いの違いでございます。 この理由といたしましては、現在の日本におきます民間放送の実態が、いわゆるネットワークシステムによりましてキー局がありネット局があってその番組の提供関係というのができているわけでございます。したがって、そういった点を、日本の実情を考慮いたしまして、現在の法律の中では他の放送事業者の手段による一時的固定も放送事業者に認めているわけでございますけれども、一方CATVに関しましては、こういったようなネットワークの形態、つまりキー局がありネット局があって、キー局の番組を受けてネット局が流すというような実態は有線放送、CATVの世界にはございませんものですから、放送事業者に認めたこのような制度は有線放送事業者には認めないという形の取り扱いの差をつけておるわけでございます。
○天野(等)委員 これは郵政省の方としても、有線放送というのはそういうネットワーク化というのはないのですか。
○浜田説明員 放送局のようないわゆる系列局によるネットワークというようなものは、現在少なくとも今の時点ではCATVの場合には存在をしておらないのじゃないか、そういうふうに私どもとしても承知いたしておるところでございます。
○天野(等)委員 まだ著作権法で幾つかお聞きしたいことがあるのですが、時間もございませんので、あとプログラムの登録に関する法律案の方、二点だけちょっとお尋ねをしておきたいと思います。 この法律、プログラムの登録手続に磁気テープ、コンピューターを使ったりするということだろうかと思いますが、プログラム登録というのは現在とのくらいされているのでしょうか。
○加戸政府委員 プログラムそのものの登録につきましては、昭和五十八年度にプログラムとしまして三件、五十九年度に七件、六十年度に八件という数字でございます。
○天野(等)委員 そういう非常に少ない数の登録しかないというところで、やはり今度のこういう特例が必要なんでしょうか。この必要性についていかがですか。
○加戸政府委員 現在のところプログラムに関します登録が少ないのは、現実にそのプログラムにつきましては、利用しようと思いますと、第一発行年月日登録あるいは第一公表年月日登録というものでございまして、実際にはプログラムといいますのが公表をされないで内部利用されるケースが非常に多いわけでございますので、そのために創作年月日登録を設けまして権利保全に実効性を期そうという視点の考え方をしたわけでございます。今のところそういったプログラムの登録の手段がそういうようなものであって、創作年月日登録制度自体がこのプログラム登録法の発効と同時に発効するシステムをとっておりますので、制度がないということが一つ。それから、プログラムに関します登録の、今どういう形で登録をしていけばよろしいのかという、それぞれ権利者側もまだ方途を十分に研究中であるというような状況もあるわけでございます。したがいまして、今まではどちらかというとビデオゲームのビデオソフトというものにつきまして盗作等がございました関係で登録をしたいということで、プログラムの登録という形ではなくてビデオソフトという意味の映画の著作物という観点からの便宜的な登録の件数が相当数現在まではございますけれども、いずれにいたしましても、今回の法整備によりまして、プログラムに関します登録はかなり件数の多い登録が、業界あるいは権利者側の方の要望もございますので、出てくるであろうと想定をしておる次第でございます。
○天野(等)委員 この法律について心配いたしますのは、登録機関を指定をする、民間登録機関ということになるのかと思いますが、その場合の秘密の保持ということがやはり重要になってくるのじゃないかというふうに思います。ここにも罰則規定がございますし、これによって秘密保持を図るんだということだとは思いますけれども、やはりプログラムソフトの価値というものは非常に高いわけでございますし、その複製物を出させるという形になっているわけですから、この秘密保持についての信頼性というものがやはり登録数にも関係をしてくるのじゃないかというふうに考えますので、この点も御留意いただきたいというふうに思います。 時間が参りましたので、最後に、この著作権法というのは今非常に動いている法律のように思うわけです。現在、情報化社会ということの中で著作権法で保護をしていく、またこれをさらに拡張をしていくというようなことも必要になってくるかと思うわけですけれども、大臣に、今後の情報化社会に向けての著作権法の有効な利用といいますか、そういう方向でひとつお考えをお聞かせいただきたいと思います。それで終わらせていただきたいと思います。
○海部国務大臣 いろいろな御質疑で先生から御指摘いただきましたように、技術が著しく発展してきますといろいろな方法が世の中に出てまいります。そのときに、私どもとしましては、著作権問題につきましては新たな著作権制度上の課題も次々と生じてまいります、著作権審議会におけるいろいろな検討を踏まえまして、著作権の適正な保護を図るための方途を、時期を失することなく適切に講ずるように努力を続けてまいりたい、このように考えます。
○天野(等)委員 これで終わります。
○青木委員長 午後二時に再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時二十一分休憩 ————◇————— 午後二時一分開講
○青木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 本日は、参考人として社団法人日本パーソナルコンピューターソフトウエア協会専務理事清水洋三君、日本データベース協会副会長名和小太郎君、社団法人日本有線テレビジョン放送連盟常任理事母袋恭二君、社団法人日本芸能実演家団体協議会専務理事小泉博君、以上四名の方々に御出席をいただいております。 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。 本日は、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、ただいま議題となっておりますプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律案及び著作権法の一部を改正する法律案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、各参考人から御意見をそれぞれ十分程度お述べいただいた後、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。 それでは、清水参考人にお願いいたします。
○清水参考人 私は、社団法人日本パーソナルコンピューターソフトウエア協会の清水洋三でございます。よろしくお願いいたします。 私ども日本パーソナルコンピューターソフトウエア協会は、パソコン用のパッケージソフトウェアの制作と販売をいたしております企業の団体でございます。協会は、昭和五十七年パソコンソフトウエアの法的保護と権利の確立を主要な目的として結成設立、スタートいたしました。このような同じ企業は日本に約三百社ございまして、うち私どもの会員が百五十社、会員の販売の合計は全体の約八〇%を占めております。 我が国のパソコンは、昭和五十三年に約一万台を皮切りにいたしまして、昨年度昭和六十年度には推定二百十五万台に達しておりまして、合計何と六百万台を超える普及をいたしております。コンピューターが我が国に導入されました昭和三十年代の後半から五万台普及するのに約二十年かかっておりますが、パソコンの方は八年間で六百万台も普及するというような勢いでございまして、今後はパソコンがコンピューターの主力となるだろう、こういうふうに言われております。例えば自動車が、初めはバス、トラックを大企業あるいは軍隊が使うとか、そういう大組織が使っておりましたものが、今自動車といいますとすぐマイカーを意味するように、既にパーソナルコンピューターがそういうような役割を占めてくるだろうと言われております。 アメリカでは、さらにこの傾向は強く、昨年度ではパソコンのいわゆるハードの売り上げが三兆円に達しまして、大型コンピューターの売り上げを追い抜いているわけでございます。 コンピューターの価格は同じ機能のものが十年間で百分の一に下がり、さらに二十年間で一万分の一にも下がっているということで、この普及にさらに拍車をかけているわけでございます。しかし、コンピューターを動かすプログラムの方は、御承知のように人件費が二十年間で約十倍、この間いろいろ技術的な発展などございまして、制作の効率を上げる技術の方は三倍くらい向上しておりますが、それにしてもやはり制作費の方は人件費を合わせて三倍以上になっているわけでございます。 そのため、コンピューターのハードの普及に対しては非常に要員不足という問題が出ておりまして、またコンピューターの普及が非常に目覚ましいということから供給のギャップがますます広がっているわけでございます。昭和六十五年には約六十万人の要員不足が生ずるというふうに通産省は予想しております。 現在のこのソフトウエアの需給のギャップを解消するため、政府はプログラム開発の効率を飛躍的に増大させるシグマ計画を推進しておりますが、それだけではまだ十分ではございません。また、これと同時に政府が推進しておりますプログラムの汎用化の促進、つまりプログラムを一対一のサービス、いわゆる技術として提供するのではなくて、商品として広く流通させるということを政策として行っておりますけれども、これが絶対に必要なことでございます。 大型コンピューターの場合には、一つのプログラムはユーザーに大体使われるというケースがほとんどでございまして、御承知のようにプログラムの価格は数百万円から、あるいは一億円以上のもの、数十億円のものもあるようなわけでございます。パソコンも同じようなプログラムの使い方をすれば、プログラムは、コンピューターのハードの価格は先ほど申しましたように非常に下がっておりますので、いわゆるコンピューター自体の百倍あるいは千倍というようなことになってしまう。 そこで、パソコンの普及にとっては、アメリカでもそうでございましたけれども、スタートの時点からこのようなプログラムを汎用化し、商品として流通させるということが必要でございまして、事実そのように推移いたしました。これが私どもが現在制作、販売しておりますパソコン用のパッケージソフトウェアでございます。これまでのいわゆるオーダーメードのプログラムに対しましてレディーメードのプログラムとでも申しましょうか、初めてパソコンをさわる方でも、マニュアルとテレビ画面に誘導されましてパソコンを動かしますと、自分の望む仕事をコンピューターにやらせるということができる、これは皆さん御承知のとおりでございます。このパッケージソフトウエアは、パソコンが爆発的に日本に普及しました昭和五十六年から同時に大量に登場いたしまして、パソコンの普及を助けるということになっております。 ゲーム用のソフトウェアから始まって、学習ソフト、科学技術計算のソフト、ワープロソフトなど、現在ではあらゆる分野におけるビジネス用のソフトまで、約二万五千種類が流通しておりまして、金額も千円くらいのものから百万円程度のものまでいろいろ売られております。現在、年間四百万本から五百万本以上のプログラムが販売されて、金額も五百億円に達しております。アメリカでは、同じに比べますと三千七百万本、四十九億ドル、大体一兆円の市場になっているという状況で、市場としては日本の約二十倍でございます。 ユーザーは、これまでのプログラムに比べますといわゆる何十分の一、何百分の一の価格でパソコンのプログラムを利用することができまして、大変便利になりました。しかし、私どもソフトウエアをつくっているメーカーとユーザーとの関係は、間に幾つも流通の段階がありますことも含めまして、一対一の関係から一対数千、数万というような関係になりまして、ここに生ずる法的関係も非常に難しいものになっております。 これまで大型のソフトでは、ソフトメーカーがユーザーのためにプログラムを受注した場合には、ほとんど一対一の関係で契約が成立しておりまして、この法的な関係はある程度保障されておりますけれども、パソコンの場合は、今申しましたように、何段階かの流通を経て間接的にユーザーに渡るものでございますから、双方の法的関係は大変難しい。アメリカでもこの辺は非常に悩んでいるところでございます。 また、このように何百万本ものプログラムが自由に、また自由に流通されないと困るわけでございますが、自由に流通されておりますので、権利侵害の発生も非常に激しく、組織的にまた営業的に違法行為をしているものも多数ございます。 私どもパソコンソフトの権利侵害の被害は、違法のレンタルにおきまして約六百億円、違法コピー販売において四百億円、違法企業内コピーにおきまして七百五十億から一千億。皆さん驚かれると思うのですが、実は二千億円の被害を受けている。つまり、実体販売が五百億円に対して、被害額は推定二千億円にも達しているというようなことでございます。時間もあれでございますので、御質問があればこの内容については後ほど申し上げさせていただきたいと思います。 このような違法なものを、違法レンタル、それからコピー製品の販売、それから企業内コピーを侵害の三大悪ということで、私ども協会としても対決してまいりましたけれども、そのほかにも、複製、それから改変、貸与、頒布、盗用など、いろんな違法のケースが続出しておりまして、私どもの協会の事務局には、週に二、三回そういった違法についての御相談や会員からのリポートがございます。 私どもパソコンソフトウェアのメーカーは、メーカーと申しましても、数社の例外を除きまして、ほとんど三十人以下の極めて規模の小さい企業でございまして、ベンチャービジネスの集団とでも申しましょうか、その小さな企業が新しい産業を目指して、人、物、資金、時間を投入して非常に苦労した末、商品として世の中に出したプログラムが、申し上げましたような権利侵害の被害を受けておりまして、資金の回収はおろか、企業成立の基盤も危うくなるような心配もございます。ただ、現状では非常に市場が伸びておりますので、その点はまだ幾らか時間がございますけれども、これが一つ状況が変わりますとそういう心配も非常にふえてくると思います。 私どもは、このようなことから、生まれたての企業を集めて協会がスタートしたときから法的保護活動を中心として活動を展開をしております。現在では、パソコンソフトウエア法的保護監視機構というものをつくりまして、協会内外にも呼びかけて、権利の確立と侵害の対策、社会に対するソフトウエアの著作権の保護の重要性を訴えるという活動をいたしております。 しかし、おかげさまで昨年の著作権法の改正によりまして、プログラムの法的保護が著作権によるということが決まりました。若干我々の実態とはかけ離れた、例えば五十年間の権利期間の問題とか、あるいは法の適用についてはさらに明確にしていただきたいというようなこともございますけれども、まず基本的に、今回の著作権法の改正は、我々が権利侵害からソフトを守るという点で基本的に対応できる基礎ができたということで大変喜んでおります。 さて、今回の御審議のプログラム著作物に係る登録の特例に関する法案でございますけれども、私ども日本パーソナルコンピューターソフトウエア協会はこの法案に基本的に賛成するものでございます。これまで法的保護の及ばなかったコンピューターを利用する全く新しい技術でございますプログラムという無体財産を著作権法で保護するために、御承知のように一連の改正が行われましたが、この登録法によりまして権利確立が目に見える保障制度としてでき上がり、改正が一つの完結を見るというふうに考えております。 これまでのプログラムに関する私どもの法的トラブルのケースで共通して見られることは、社会一般にプログラムに対する権利意識が極めて薄いということでございます。他人が人、物、資金と時間を投入して苦心の上制作いたしました著作物であるプログラムを、違法に複製し、盗用し、改変するというようなことに関して非常に抵抗感が少なくて、法に違反するという感覚が乏しいのが残念ながら現状ではございます。 同時に、プログラムを制作する我々権利者自身の中にも権利意識が薄弱で、侵害を受けてから慌てて法的対策を講ずるというのが通常のようでございまして、トラブルを増大させる原因ともなっております。 今回の法改正で、プログラムの登録はまず権利の確認ということの第一歩でございまして、登録されたプログラムの著作物は、御承知のように公示されまして、政府指定機関に登録されたことによりまして信頼性も増大し、同時に、不正な登録が行われた場合には真の権利者がそれをチェックすることができるという利点もございます。数々の権利侵害の被害を受けております私どもパソコンソフトウエアの制作者たる企業は、この登録制度に大変期待しております。特にこの制度が権利侵害に対する迅速な判断につながることを期待しております。登録しやすい費用でございましたらば、我々ソフトウエアのメーカーだけではなく、すぐれた個人のプログラムが世に知られ、権利を確立すると同時に、現在、パソコンのユーザーは数百万人おりまして、その中にも優秀なソフトをつくれる能力を持った若者たちがございますが、その人たちの知的な生産物を社会的に知らせ、活用する機会を提供する制度ともなるということでございまして、ぜひその点を進めていただきたいと思います。 今度の法案は、私どもの業界の意見も十分反映していただきまして法案がつくられていると考えております。私ども協会は、プログラム登録法が発足すれば積極的にこの登録を促進するように内外に働きかけるつもりでございますし、現にその準備もいたしております。 よろしく御審議の上ぜひ実現方をお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
○青木委員長 ありがとうございました。 次に、名和参考人にお願いいたします。
○名和参考人 私は、日本データベース協会を代表いたしまして、今回提案されております著作権法の一部を改正する法律案について意見を申し上げたいと存じます。 初めに、本改正案に関します私どもの意見を申し上げますと、私どもの協会は本改正案に賛成でございます。 以下、賛成の理由を申し上げたいと存じます。陳述の順序といたしましては、まず日本データベース協会の紹介を簡単にさせていただきまして、次いでデータベースサービスというものと著作権のかかわりについて申し上げたいと存じます。 日本データベース協会の自己紹介でございますが、お手元のパンフレットにございますように、本会は、日本のデータベースサービス産業の確立を目指し、会の諸活動を通じまして加盟会社の事業の発展に寄与することを目的とした任意団体でございます。加盟会社は、新聞社、出版社、通信社、銀行、商社、製造会社、シンクタンク、調査会社、VAN業者、計算センターなどでございます。つまり、さまざまの業界からこの分野に参入しておるわけでございます。 会の発足は昭和五十四年末でございまして、現在時点で八十六社になっており、ほぼ業者全体の八〇%ほどは加盟しておるものと考えております。 この業界の市場の姿を申し上げますと、昭和五十九年の統計がございまして、年間の売上高が一千億円をやや下回る程度でございますので、まだ未成熟な産業といってもよい状態でございます。この市場の規模は、米国の五分の一、ヨーロッパの三分の一と見られております。ただ、注目すべきことは、市場の伸び率は大きいことでございまして、このところ年率二〇%以上という数字が続いております。 ここで、現在のデータベースの生産と流通の姿につきまして紹介をさせていただきたいと存じます。これもお手元の資料に挟みました白い一枚の紙がございますが、その紙を御一覧願いたいと思います。 この図は左から右に向けてごらんいただきたいわけでございますが、まず左に、文献なりデータの原著作者からプロデューサーに至る流れがございます。このところはいわば人間がデータを一つずつ集めまして、それを評価し編集するプロセスでございまして、頭脳集約的にデータベースを生産するところでございます。したがいまして、ここでは大膳コストがかかるわけでございます。私どもの協会で昨年度アンケート調査をしたことがございますが、種類と分野で多少のばらつきはございますが、開発費用が高過ぎて回収期間が五年以上はかかるという回答が半分から四分の三ほどになっております。 このようにデータベースの生産費は極めて大きい負担を業者にかけますので、これを第三者に簡単にコピーされ、勝手に流通されるようになりますと困ります。この意味でデータベースの権利保護について関心を持っているわけでございます。 しかも、データベースの生産の分野では日本企業の体質はまだ弱いわけでございます。現在市場に流通しておりますデータベースの約二〇%のみが国産品でございまして、残りほぼ八〇%は外国からオンラインで輸入しているものでございます。このような事情からも、私たちは国際的にも自信の持てるような制度の確立を希望したいわけでございます。 プロデューサーの仕事が終わりますと、また図に戻っていただきまして、右の方にたどりますと、ディストリビューターからユーザーの方に移るわけでございます。まずディストリビューターの手に渡りますと、ディストリビューターはデータベースを再編集いたしまして、これを二次著作物といたします。これをコンピューターに格納いたしましてユーザーにさまざまな形でサービスすることになるわけでございます。 このサービスの方法はさまざまでありますが、現在ではオンラインでサービスするデータ通信の方法が普及してまいりました。この通信につきましては、従来の有線放送とは必ずしも同じとは言えません。と申しますのは、有線放送は情報が送り手から受け手へ一方的に流れるシステムでございますけれども、データ通信は情報が往復する双方向のシステムだからであります。つまり双方向でありますと、ユーザーからデータベース利用についてアクションがとれるというふうなことになるわけでございます。 こうなりますと、情報の利用法は送り手のコントロールのもとから離れまして、受け手たるユーザーの自由になるところが出てまいります。こうなりますと、従来の法律のように有線放送でオンラインを律するのではやや不十分ではないかというようなことになります。この意味で、新たに有線送信権という権利を認めようという今回の改正案の御趣旨には、私ども賛成するところでございます。 このほかにも、データベースセンターで紙に印刷して郵送する昔ながらの方法ですとか、あるいはフロッピーディスクとか光ディスクに記録してお客様に売り渡す方法もございますし、またさまざまなニューメディアを通して流す方法もございます。 もともと一つのものが今申し上げたような種類でいろいろとサービスされるわけでございますので、これはつまり電子的なメディアに記録されることによりまして変幻自在に振る舞うというのがデータベースの特質でございます。したがいまして、このような変幻自在なデータベースにつきまして、より確かな権利を確保できるようにしたいというのが私ども業界の希望でございます。この意味でも、データベースの著作性をはっきり保護していただきたいと考えるわけでございます。 なお、日本データベース協会は、昭和五十四年末に発足いたしましたが、翌五十五年五月に「データベース・サービス業振興のための提言書」を関係省庁に提出させていただきまして、私どもの立場を申し上げますとともに、行政に幾つかのお願いをいたしました。この提言を発表いたしました理由は、データベースサービス業発展のためには広範な基盤整備が必要であるという趣旨でございました。 その提言書の第一項目が「データベース・サービスに関わる諸権利の明確化とその保護」ということでございまして、私たちはここでデータベースサービスにかかわる著作権を明確にし、必要な保護基準の確立が欲しいと訴えたわけでございます。 その後、本会では、文化庁の御担当の方々を繰り返しお招きいたしまして勉強を続けてまいりましたが、図らずも一昨年から昨年にかけて著作権審議会第七小委員会に代表を参加させていただき、ここで私どもの主張を述べる機会を与えられました。その意味で、この小委員会報告につきましては、おおよそのところ私どもの意見を取り入れていただけたものと考えておりますし、この報告に基づきますこのたびの法律改正草案につきましても、同じく私どもの意見を取り入れていただけたと存じております。 以上、私は、日本データベース協会を代表いたしまして、著作権法改正案について賛成の意見を申し上げた次第でございます。 以上でございます。(拍手)
○青木委員長 ありがとうございました。 次に、母袋参考人にお願いいたします。
○母袋参考人 社団法人日本有線テレビジョン放送連盟常任理事の母袋でございます。本日はこのように国会の場で我々CATV事業者の意見を述べさせていただく機会を与えられたことを大変感謝をしております。 私どもの連盟は、社団法人でございまして、CATVのオペレーターが構成員でございますが、また、CATV関連の業界で当連盟の事業に賛同される方を賛助会員としておりまして、会員数は現在百八十七社でございます。 従来、CATVは、難視聴対策のメディアとして放送の補完的な地位にありました。しかし、CATVは多チャンネル、双方向のニューメディアの特性を持っているために、地域放送、専門放送、双方向サービスというふうな多様な情報サービスを提供できる公共性の高いメディアとして、高度情報化社会の中で重要な役割を期待されているところでございます。 今CATVは、地域ニュース、それから伝統的文化の紹介、各種行政情報など地域に密着した放送を行うものでございまして、こうしたサービスは既存のテレビでは十分に享受されないところでございます。 また、CATVは数十チャンネルの多チャンネル性ということから、ニュースですとか、音楽、教育、スポーツ等の専門番組をチャンネルごとに繰り返して放送することができまして、視聴者は自分の好きな時間に好きな番組を見ることが可能になり、こうしたサービスも既存のテレビでは十分に楽しむことができないものでございまして、私どもの特質でございます。 さらに、CATVには双方向機能を有しようとしているものがたくさんございます。例えば質問に対する回答を視聴者がCATVの局に対して送ることも可能でございますし、こうやって視聴者は家庭にいながら番組に参画できるということがございます。これも既存のテレビではできないサービスでございます。 最近の業界の動向でございますけれども、昭和五十八年以降、大規模、多チャンネル、双方向機能を有するCATVの事業計画が相次いでおりまして、現在十三の事業者、十四施設に有線テレビジョン放送法に基づく許可が行われたところでございます。しかしながら、これらの施設は従来長期間にわたって道路占用の許可がいただけないまま施設の設置の進展が全く見られなかったところでございますが、昨年十一月に建設省の道路占用行政が抜本的に改善されたことによりまして、道路占用の許可の取得が始まりまして、いよいよ来春ごろには都市型CATVのサービスが始まろうとしております。また、昭和六十三年から米国製の輸入衛星を使用して第一種電気通信事業者のサービスが開始されることによりまして、我が国も本格的な通信衛星の時代を迎えようとしております。この通信衛星とCATVがドッキングすることによりまして、通信衛星を介して多様な番組ソフトが供給されることになり、我が国においてもCATVの新たな大きな飛躍が期待されているところでございます。 現行の著作権法におきまして、放送事業者は著作隣接権あるいは放送のための一時的固定等を認められるなど、その放送番組について種々の権利が付与されておりますが、一方CATVの事業者はほとんど無権利に近い状態でございました。CATV事業者は、ただいまも申し上げましたとおり、今後番組制作面等において飛躍的に成長することが期待されているにもかかわらず、何らの権利が設定されていなかったわけでございます。このために、業界としては、CATVの発展の可能性及びこれに対する国民のニーズにかんがみまして、政府並びに関係方面に対して、著作権法上CATV事業者を放送事業者と同等に位置づけて所要の権利を設定するように、機会をとらえてお願いをしてまいったわけでございます。 今回の著作権法の改正案は、こうした要請を受ける形で、CATV事業者を放送事業者とほぼ同等に位置づけるものとなっているということでございまして、業界の要望がすべて採用されたということではございませんけれども、全体として見れば、今回の改正案は私どもの業界としても大きな意義のあるものと評価しているところでございます。 今回の改正によりまして、CATVの番組ソフト面における法的保護が図られる結果、CATVの自主番組の制作、流通が促進され、CATVの普及促進に資するものと大きく期待をしておるところでございます。 どうか、ひとつよろしくお願いをいたします。ありがとうございました。(拍手)
○青木委員長 ありがとうございました。 次に、小泉参考人にお願いいたします。
○小泉参考人 芸団協専務理事の小泉博でございます。 本日は、ここで意見を述べる機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。芸団協の専務ということと、それから三十年以上にわたりまして映画、テレビの俳優として仕事をしてまいりましたので、その一俳優としての意見も交えて意見を述べさせていただきたいと思います。 芸団協という組織は、現在五十九の芸能人の団体が集まった全国組織の協議体でございまして、音楽、俳優、舞踊、演芸などあらゆるジャンルの芸能実演家が含まれております。傘下芸能人の数は五万六千名となっております。 事業といたしまして、まず芸能活動の推進、これは、こういうコピー時代に生芸能の場をどうやってふやしていくか、それから入場税対策とか文化予算の増額などの問題、それから芸能人年金を中心に福祉厚生問題への取り組み、また実演家の著作隣接権の処理業務、この三つを柱にいたしまして、それを側面から支える調査研究、広報活動などを行っているわけでございます。また芸団協は、商業用レコードの二次使用料それから貸しレコードに関する使用料や報酬の徴収、分配業務を行う実演家の窓口といたしまして、文化庁長官の指定団体となっております。 一昨年、貸しレコードに関しまして、先生方の御審議で実演家に貸与権を認めていただきまして、まことにありがとうございました。この場でお礼を申し上げたいと思います。 さて、今回のデータベースそれからニューメディアに関する著作権法の一部改正案でございますけれども、私どもは、現在の予想を超えたスピードでどんどん進歩していきます技術革新とか社会の変化に対応いたしまして、ここ当分の間は小まめに法の改正を行っておくれないようにしていかなくてはいけない、そして、新しい事態に誤りのない対応をしていきたいという基本的な考え方には大賛成でございまして、その意味で、今回の改正もまことに時宜にかなった改正であると評価しているところでございます。先生方のお力でできるだけ早い国会の通過、成立を期待しているところでございます。 ただ一つだけ、実演家として今回の改正案につきましてやや疑問の点として残っておりますのは、ちょっと専門的になりますけれども、第九十五条で商業用レコードの二次使用料の支払い義務を負う者が有線放送事業者にまで広げられたということは評価されるところなのですが、今後、有線放送以外め有線送信によっても商業用レコードが送信されるケースが考えられるため、有線送信を業とする者にもその支払い義務があることを規定しなければならなかったのではないかという問題がございます。いずれ有線送信を業とする者の法的地位がはっきりと定まった時点で解決されなければならない問題であろうかと思っております。 なお、この機会に、今回のテーマとは直接の関係はないかもしれませんけれども、実演家にとりましては著作権にかかわりのある、ゆるがせにできない問題点を幾つか申し上げて、御理解をいただき、次のステップを踏み出すための道をつけていただきたいことをお願いしたいと思います。 その一つは、現在多種多様に出回り始めておりますビデオソフトのほとんどが映画的著作物として扱われているために、実演家の権利が及ばないという実態がございまして、これをそのまま放置しておきますと、実演家にとりましては法的無秩序状態を放置するのに等しいということになるわけでございます。 実演家が一たん劇場用の映画とかテレビ映画に出演いたしますと、当初予想もしなかったようなビデオテープとかビデオディスクによる販売、貸しビデオ店によるレンタル、さらにはカラオケビデオヘの転用などの現状は、余りにも制作者の権利が強く、一方的であり過ぎまして、こういう事態がなぜ起こって、なぜ改められないのか、そこに著作権法上の問題点はないのだろうかという疑問を私どもは常々持っているわけでございます。 今回の改正を審議した第七小委員会の報告でもこの点には触れておりますが、問題点を指摘するにとどめるとされております。私どもとしては、この際、ビデオソフトに関しての著作権法上の位置づけをもう一度改めて審議する作業を早速次のスケジュールにのせていただきたいと切望している次第でございます。 二番目に、これは何度も文教委員会の先生方には取り上げていただいておりますが、三十条の改正問題、いわゆる私的録音・録画問題でございます。 これは世界でもいろいろの論議がございましたが、今や録音・録画機器機材への賦課金制度というのは世界の先進主要国の間に浸透しつつありまして、こういう面では日本は一、二を争う生産輸出国でございますので、問題の解決には一番真剣に取り組んで世界をリードしていかなければいけない立場にあるはずなのに、世界でいろいろと苦労して対応しているのを横目に、いつまでも腰を上げようとしない、こういう姿は世界から身勝手な日本と言われても仕方がないのではないかというふうに思います。 二十年前、西ドイツが賦課金制度を導入したときの録音機の普及率は一〇%強でございましたけれども、現在ほぼ一〇〇%に近い日本の普及率、それに八十億八千万曲の年間録音曲数というこの数字をどう考えたらいいんだろうかということでございまして、その辺からぜひ先生方にももう一度この問題を取り上げ直していただきたいと思います。 最後に、もう一つ、これもローマ条約と言われます隣接権条約への加盟問題でございまして、これも何度か附帯決議がこの委員会でつけられておりますので、よく御理解をいただいていると思いますが、我が国が新しい著作権法上でこの条約にのっとった制度を取り入れましてからもう十五年が経過いたしまして、今や隣接権制度は日本の社会にも定着をしております。条約加盟に反対する理由としては、経済的理由のほかにはほとんどないのではないかというふうに考えております。今、日本の放送局が外国の隣接権者にお金を払うのが苦しいからということで条約加盟をおくらせているというのは、いかにも説得力に欠ける理由でございまして、私どもは外国の著作権の団体と話をするときにいつも恥ずかしい思いをいたします。今加盟国は二十九カ国になりましたけれども、早く日本のような有力な国がインサイダーになって、この条約でいろいろと直したいところがある、不備なところがある、それを直していく上で力を発揮してほしいという条約関係者の声をいつまで無視し続けるのか。これも三十条問題と同じように、文化的な問題で日本が本当に世界の先進国の仲間入りをしようという気持ちがあるのかどうかという、国の文化に対する姿勢の問題であると私どもは受けとめております。 以上、ややくどくどと申し上げましたけれども、どうぞ私どもの意のあるところをお酌み取りくださいまして、先生方のお力で、現在「物から心へ」というふうに社会の流れが変わってきているそうでございますけれども、これをぜひ本当の大きな流れに変えていただきたいとお願いいたしまして、私の陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○青木委員長 ありがとうございました。 以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。 —————————————
○青木委員長 これより参考人に対する質疑を行います。馬場昇君。
○馬場委員 日本社会党の馬場昇でございます。 ただいま参考人から非常に貴重な意見をお聞きいたしまして、感謝をいたしておるところでございます。各参考人に、余り時間がございませんので端的に質問をいたします。 まず第一番目に、清水洋三参考人に登録法のことについて質問をいたしたいと思いますが、端的に申し上げまして、先ほどの意見の中にも権利侵害というものを大きく取り上げて御意見を述べられたわけでございますが、具体的に見まして、この海賊版のプログラムをなくするためにはどうしたらいいのかということについて、余り時間がございませんが、清水さんの御意見を端的にひとつお聞きいたしておきたいと思います。
○清水参考人 何かいい案があったらぜひ教えていただきたい。私どもの悩みでございまして、まず、私どもは、私的に非常にプライベートにコピーするというようなことを目くじら立てて追及するということではございませんで、組織的にこれを営業としてやっている者をまず第一に排除しなければならない。先生の今の御意見の中では、私どもがいわゆるソフトのプロテクトというふうに申しまして、かぎをかけているわけでございます。これを解く人がおりまして、これとの追っかけっこはもう大変でございまして、まさにチャンバラのようなことを繰り返して、どこどこを破ったぞとかそういうものを非常におもしろおかしく、また若い人たちがそういうソフトを破って人の権利を侵害することをゲームのように楽しんでいるというような状況もございますので、単にそれを禁ずるというだけではなくて、考え方を変える。私どもはこの場では法律のお力をかりるという意味での制度的なことを追求しておりますけれども、まず第一に、この知的な生産物を大事にする、こういう考え方を普及することが一番ではないか。やはり他人が苦労してつくったプログラムを盗むことは、お金を盗んだり人の土地を盗んだり、そういうものと同じような犯罪なんであるという考え方を徹底いたしませんと、これは、日本が今、物を輸出して非常に貿易の問題になっておりますけれども、この知的な生産物というのは貿易摩擦がございませんで、我々は日本がこのすぐれた知的な生産物を外国に輸出していくという点についても努力していかなければいけませんし、日本の生きる道もまたここにあると思いますので、この辺の法的な規制と、それから、今言いましたように考え方を普及する。 もう一つ、ハードメーカー、いわゆるコンピューターサイドでこれを防止する方法が実はあるのでございますけれども、これが経費もかかって、ハードウエアメーカーとしてもなかなかこれは進まないというような面もございます。 我々としては、その辺のことも含めて、まず、非常な権利侵害を行われている実態というのをよく知っていただいて、教育から、社会教育も含めて、そういうことを権利侵害することは非常に罪悪であるという考えを普及することが何よりも防ぐ力になるんじゃないか。 また、私どもソフトメーカーは、いい製品をつくっていいサービスをする、そして自分たちでもプロテクトをかけていくということでございますが、三番目に法律で守る。 まず、皆さんにそういう考え方を普及するということが第一で、第二番目として、我々がいいソフトをつくる、第三番目には、法律で守る、これしかないんじゃないか。地道な努力を続けていきたいと思いますので、ぜひその面、御支援いただきたいと思います。
○馬場委員 この委員会でもたびたび議論したところでございますけれども、今言われた意見に私も同感でございます。その前に、これは、本当に著作権の普及というのがまだ日本の国は十分行われておりませんし、まず皆さん方が実態を明らかにしていただく、そして政府も国会なんかも、今言われたとおりに、著作権を普及していく、そういう中で法的に規制していくということが必要じゃないかと思うのですが、なかなか、非常に大変な侵害を受けておられますので、我々としてもやらなければならぬと思います。 次に、具体的にこの法律にかかわって二点お聞きしておきたいのですけれども、このプログラムの登録は、法律ができますとどのくらいが登録されるんだろうかと私思うのですけれども、担当の業界として、どのくらい登録されるだろうかという予想。 それから、登録料がはっきり出ていないわけですけれども、これはチップの場合は四万円ですが、登録料というのが、我々が審議する場合、業界はどのくらいと考えておられるのか。 この二点について、時間がありませんから端的にお答えいただきたいと思います。
○清水参考人 登録料の問題は、四万円というのはチップでございますが、これは完全に業としている方々が中心でございます。このプログラム登録は、私先ほど申し上げましたように、数百万人のユーザーがおりまして、この人たちも非常に優秀なプログラムをつくっておりますので、この人たちの権利確定にもなるように、できるだけぜひ安い値段で、我々は、具体的に申し上げていいかどうかあれなんですけれども、この間文化庁とのお話では、二万円ぐらいですと非常にいいんですがねと端的に申し上げたのです。これにはこだわりませんが、やはりその金額と、先ほど御質問がありました件数とは非常にリンクしておりまして、企業の場合は、四万円であろうが幾ら高くであろうがこれはもう絶対にしなければいけませんが、そういうふうに個人のこともかかわり合いがございますので、その辺はひとつ御考慮いただきたい。 件数でございますが、大体数千件くらいは我々としてもぜひ進めたい、こういうふうに考えております。ただ、現在、非常にプログラムが優秀なものが非常にお金をかけて数少なくというようになっておりますので、数千件の範囲でぜひ我々も実現するように運動もいたしたいというふうに考えております。
○馬場委員 時間がありましたら、またあと一、二問質問したいと思います。 次に、名和参考人に御質問いたしたいと思うのですが、この著作権法の改正によりましてデータベースの著作物の法的性格づけというのが十分かどうか。私が読んでみますと、まだあいまいだというような感じがするのですけれども、このデータベースの著作物の法的性格づけというのがこの法律で十分であるかどうか。これについてどう考えておられますか。
○名和参考人 先生がおっしゃいましたように、定義が極めて漠然としているという意味では漠然としておるのでございますが、実はデータベースはいろいろな分野で現に使われておりまして、大部分は企業の中でインターナル・ユース・オンリーというような形で使われておりまして、商用化されておりますのは、その中で数からいいますとごくわずかでございますけれども、そういった面で考えますと、まずいろいろなデータベースのタイプがあるということが一点ございますし、それからデータベースそのものが技術的にどんどん進むということがございます。したがいまして、私どもとしては、逆に余りかっちり決めてしまいますと、これからの高度利用といいますか、データベースのさまざまな利用について足かせになるのではないかというふうに思います。現実には、これまで全然著作権法に規定されておらなかったわけでございますので、仮にデータベースという言葉があいまいでございましても、載せていただけたということだけで、私どもとしてはそれを一つの踏み台にして、協会の共通の考え方というのも申し上げることができるかと思いますので、一歩前進であるというふうに考えております。
○馬場委員 このデータベースのうち創作性を有するものだけが今度著作物として保護されることになるわけですけれども、世の中には今たくさんのデータベースがあるわけですけれども、現在あるたくさんのデータベースの中でどの程度の割合のものが著作物として保護されると考えておられるのですか。
○名和参考人 お答えいたします。 私どもは、一応世間で商売としてやりとりしているものは一〇〇%創作性があるというふうに考えてよろしいんじゃないかと思います。企業の中にあるものにつきましては、さまざまなレベルがございますので、これについてはちょっと私ここでお答えするだけの力を持っておりません。
○馬場委員 また後で第二回目に質問したいと思いますが、一通り全部の参考人の方々の意見を聞いておきたいと思うのです。 次に、母袋参考人にお尋ねしたいのですが、有線放送事業をなさっておられるわけでございますが、有線放送を自分でやっておられまして、今日までどういう点が一番お困りになったのかということについて、現在までこういう点が一番困ったんだ、そういうふうな点があったらひとつ教えていただきたいと思うのです。どうでしょうか。
○母袋参考人 私は長野県の上田市を中心にケーブルテレビをやっているわけですが、現在の加入者数は約一万七千世帯でございます。で、私どもが始めた時期に一番困りましたのはやはり税制面でございました。私どもがいわゆる加入金というものをちょうだいをして、それで施設をするわけでございますけれども、大変お金がかかって施設をしても、償却する部分は非常にわずかでございますものですから、見かけの利益が大変出まして、お金がないときに法人税をたくさん払わなければならぬということが大変苦しゅうございました。 それから、第二点目は、やはり道路占有の問題でございまして、柱を借りるあるいは上空の線をお借りをするのに、借りることだけで手続上に大変困難があったということと、それから、お借りした後、料金的にも非常に高かったということで、その二点が地方の経営のオペレーターとしては一番苦しい点であったと思います。
○馬場委員 今度この法律が改正になるわけですけれども、今回著作権の隣接権が確立するわけですけれども、それが確立されますと、今度は有線テレビジョン放送事業にどのような影響を与えるのですか。この法律ができますと母袋さんの事業にどういう影響が出てくるのか、こういう点について御意見を聞いておきたいと思うのです。
○母袋参考人 私どもは今までほとんど無権利の状態であったわけでございまして、そういうふうな中で私どもが番組づくりをするのにつきましても、一時的固定も認められていなかったわけでございますが、権利者には黙認をしていただいた形をとっていたわけでございます。そういうふうな中で権利処理そのもので大変苦労をしてきたわけでございまして、今度の法律を契機としてそういう一つのルールづくりができる素地ができたということで、大変ありがたいと思っております。
○馬場委員 次に、小泉参考人にお聞きしたいわけでございますが、今回の改正によりまして、有線放送事業者から商業用レコードの二次使用料を受ける権利が付与されることになったわけでございます。このことにつきまして、有線放送だけだ、有線送信にもやるべきだという意見も聞いたのですけれども、この二次使用料を受ける権利が付与されたというこの点について、先ほどちょっと意見があったのですけれども、ほかにまた追加することがあればお聞きしておきたいと思うのです。
○小泉参考人 お答えいたします。 有線放送事業者も、それから有線送信を業とする者も、まだ実態としてはそれほどはっきりした形で商売がきちんと成り立っているという業界ではございませんので、これからまず有線放送業者の皆さんと二次使用料についての話し合いをしなければならないということになるわけでございます。当然、レコードの二次使用料というお金の性格なんでございますけれども、これはそのレコードが使用されたことによって、そのレコードに吹き込んだ実演家の損害といいますか、その権利のお金という意味と、それからもう一つ、そのレコードの使用によって放送時間なり何なりがつぶされてしまったということによって、広く一般のほかの芸能人の皆さんにも仕事の場をなくしてしまうという影響を与える、要するに機械的失業の意味を含めたものでございまして、これは隣接権条約の中で非常に大きな意味を持つ一つの条項であろうというふうに思います。ですから、そういう機械的失業部分への補償という意味が含まれているということでは、どんな小さな部分であろうとも私どもとしてはやはりきちんとそれに対応をするという姿勢を持ち続けていきたいというふうに考えております。 その金額につきましては、要するに業界業界で相談をしながら決めていくわけでございますから、別に幾ら幾らもらわないとだめだというものではございません。ですから、有線放送業者と共存共栄の関係に当然あるわけでございますから、その辺の話し合いをきちんとまとめていきたいというふうに考えております。
○馬場委員 先ほども御意見の陳述があったわけでございますし、この委員会でも実はしばしば議論をしておるわけでございますが、家庭における録音・録画問題についてです。 先ほどもおっしゃったのですけれども、この問題の解決策の一つとして、録音・録画機器とか機械に賦課金を課す制度を導入すべきだ、こういうような話もここでも議論したし、先ほども御意見があったのです。またそれが実現していないわけですけれども、これがなぜ実現しないのかということについて小泉さんの意見をひとつ聞いておきたいと思います。
○小泉参考人 お答えいたします。 この賦課金制度は、ヨーロッパの主要国は相当数がもう導入をして、今回フランスもそういう制度を取り入れたというふうに聞いておりますけれども、日本と一番関係の深いアメリカがその制度を取り入れていないというところに、日本としては世界の様子を眺めながらという面では一番理由があるのではなかろうかというふうに思います。もちろんこれは、賦課金制度ということになりますといろいろと相手のあること、ということは、当然お金をいただくのは電子機械工業会であり、あるいはテープのメーカーの皆さんということになりますので、そことの話し合いがまとまらないことには、これは絶対に不可能であるということでございます。メーカーの皆さんに言わせると、実際に録音・録画をしているのはユーザーではないか、我々はそこには別に何ら法を犯しているあれはない、ただ機械を売っているだけなんだということで、理論的には一つの詰めがもっと必要であろうかというふうに思いますけれども、その点を飛び越えた一つの理論でヨーロッパの方ではもう既に解決をされているということですから、日本の場合にも、そこから出てくるいろいろな文化的な公害というものをメーカーの皆さんがどういうふうに受けとめておられるのかというところが一番大きな問題点ではないかというふうに思います。 以上でございます。
○馬場委員 これも先ほどお話が出たのですけれども、隣接権条約の加入問題です。 今と同じように、これにまだ加入していない、最大のネックは文化に対する国の姿勢だというようなこともおっしゃいましたし、我々もそういうことを感ずるわけで、たびたびこの委員会でも附帯決議をつけているわけでございますけれども、端的に言いまして、遠慮のないところで、この条約に加入をしていないという問題の最大のネックというのはどこにあるのだ、どういうぐあいに小泉さんの方では考えておられるのか、意見を聞いておきたいと思います。
○小泉参考人 お答えいたします。 隣接権条約は我々の著作権法の中にももう取り入れられている問題でございますから、恐らく放送局の皆さんもこの条約の趣旨その他はきちんとわきまえておられるし、みずからも隣接権者として法的な地位が決まっているわけでございますから、条約の加盟に反対する理由というのは、私が考えるには、外国の曲が使われたときに、実演家とレコード製作者にお金を払わなければならないという問題だろうと思います。そういう経済的な理由が一番大きなことであろうというふうに私は受けとめておりますけれども、しかしもう一つ、芸団協としましては、そういう場合のお金の受け渡しに関して、実演家の間ではヨーロッパそれから南米の皆さんの実演家の団体と二国間協定というのを結びまして、もし条約に入ったときに、そういうお金をやりとりしなければならない場合にはそれぞれの国にとどめて、その国の実演家のために使う、あるいは向こうから日本へ訪日してきたときにそういう人たちの芸能の推進のために使うというふうに、お互いに協定をもう既に十三の国と結んでおりまして、実演家の団体としては、いつでも条約に加盟しても外国にお金が大量に流れるというようなことはない。それからもう一つは、今の国内のレコードの使用料というものから算定した二次使用料を、放送局にすぐそれを要求するというようなことはないですよということを何度も申し上げているわけでございまして、その経済的理由が一番大きなどうしてもネックであろうというふうに私は思います。
○馬場委員 四人の参考人の皆さん全部から意見を聞きたかったので、一通り聞いたのですが、時間がもう少しあるようでございますので、さらに前に返りまして、清水さんにもう一、二点まず聞きたいと思うのです。 指定登録機関にして登録されるわけですけれども、この指定登録機関というのはどういうものであってほしいというぐあいに業界の方では考えておられるのか。この指定登録機関についてどういう考え、どういう希望を持っておられるのか、意見を聞かせていただきたい。
○清水参考人 先ほども申し上げましたように、私たちのプログラムの権利をまず確定する、目に見えたものにするというのがこの登録の眼目であろうと思いますので、やはり政府のはっきりした指定機関であるということと、何らかの形で——非常に多数の法的トラブルが起こっております。先ほど御報告いたしましたように、私どもの協会でもたくさんの訴訟件数あるいはそういう問題を抱えておりますが、そういったものにある程度の助言といいますか、そういうものを迅速に処理し得る、力と言いますとこれまた問題があると思いますけれども、そういうことのできる機関ということが我々の眼目でございまして、その他の点に関しては、法案の趣旨を文化庁からお聞きしたときに、まず第一歩としては御規定のようでよろしいんじゃないでしょうかということを申し上げております。
○馬場委員 先ほどお聞きしたのですけれども、大体数千件のプログラムが登録されるであろう、そして登録料は二万円ぐらいにしてもらいたいというようなお話もございましたが、数千件、二万円ということを考えますと、指定登録機関というのが立派なものが果たしてこれで運営できるかどうかというようなことを考えますと、今言われましたような指導もできないような機関に何か変質したものになってしまうのではないかというような感じもするのですけれども、そういう点についてはどうお考えですか。
○清水参考人 プログラムは現在二万五千種類というふうに申し上げましたけれども、パーソナルコンピューターの普及がまだ非常に低い段階でございますが、今後さらにいろいろな面で広がりますと、例えば医学の方でももう既に数万種類必要だとされている。あらゆる業務が非常に広がりを持ちますと、深さも持ってまいりまして、プログラム自体が今の二万五千種類からやはり二けたぐらい、二十万種類あるいは百万種類に達するというふうに我々は考えております。短期的にはそういった意味で数千件の登録から始まるかと思いますけれども、将来的にはこれが権利のまず基本的な機関であるということが熟知されていけば、その意味での経営もできると思いますし、短期間的にはむしろ、小さいからとか指導ができないからということではなくて、そこではっきりと定められて、もちろん現在そういった費用をたくさんかけるということは喜ばしいことではございませんので、費用内で地道にきちっとそういう法を守るという考え方のもとに運営していただきたいというふうに考えております。
○馬場委員 もう一つお聞きしておきたいのですが、プログラム著作物の複写物の提出ということが第三条に規定されておるわけでございますし、さらに登録の公示があるわけでございますが、この点について特に御意見はございませんか。
○清水参考人 この点についてもいろいろな方法がございまして、御承知のようにプログラムを書きあらわす方法はさまざまな媒体それからさまざまな用紙も含めていろいろな書き方がございます。これもいろいろ御相談にもあずかりまして、ただ、余りにも媒体を広げると、何でもよろしいというようなことをやりますと、管理に非常にお金がかかるということから、現在のことに決着したのではないかというように思いますので、まずこれがベストであるというふうには考えませんが、現在の費用の問題もあわせて、これでよろしいのじゃないか。さらに非常に大きく媒体も変わり、もっと保存性の強い媒体ができたりした場合には、それにかえていくことは結構だと思いますけれども、まず地道に、小さな機関でもきちっと運営できるという経済的な意味を含めて、今回の法案でよろしいではないかというふうに考えております。
○馬場委員 業界ですから、ひとつ遠慮なく、要求は要求として文化庁なんかとも話し合いをしていただくし、国会にもいろいろ要求があったらお知らせいただきたいと思うのです。 そこで、名和参考人に再び御質問申し上げますけれども、新たにデータベースの定義ができるし、データベースの著作物としての保護が規定されることになるわけですが、これで今度はデータベース業界はどのように影響を受け、どのように変わるのですか。このことをまず聞いておきたいのです。
○名和参考人 実はデータベースに関しましては、歴史も新しゅうございまして、著作権に係る紛争が表面的に出ているという実情はございません。しかしながら、先ほど申し上げましたように、八〇%ほどの現在流通しておりますデータベースはすべて海外製でございまして、その海外製のデータベースの約款ですとか約定を見ますと、すべて著作権に係るような項目がございます。したがいまして、そうした形のことが当然何かあってそういう今申し上げたような業界の秩序はできているのじゃないかと思うのですが、私どもとしては、今、後から追いかけているようなこともございますので、どちらかというとそのままのみ込んで、通り一遍と言うと非常に語弊がございますが、約款をつくってきたわけでございますけれども、日本でも著作権法で守るというようなことがございますと、つまり今約定の上で認められているものが具体的に力がつくことになりますので、はっきりと権利を主張できるようになるのではないかというふうに思います。ちょっと抽象的でございますが。
○馬場委員 データベースについては、編集著作物として法の第十二条で保護されれば、今のような意見であってもこれで足りるのじゃないか、新たに規定を設ける必要はないじゃないか、こういうようなことが今の答弁なんか聞いておると私は思うのですよ。編集著作物として現在の法の十二条でできるわけでしょう。そうすると、新しくこれを設ける必要はないじゃないか、そういう私の疑問に対して、そういうことがあったものだから、データベース業界はどう変わってどう影響を受けるのかと聞いたのですけれども、その辺のかかわりについてもうちょっと説明をしていただきたいのですがね。
○名和参考人 普通私ども編集著作物という考え方で受け取っておりますのは、紙のメディアに印刷されたものがすぐ頭に浮かぶわけでございますけれども、一たん編集されますと、何といいますか、仮に統計のテーブルのようなものがございまして、縦と横に欄がございまして、それで印刷されたような統計表がございますといたしますと、それは言ってみますと固定された一つの編集物じゃないかと思うわけでございますが、今申し上げましたようなものがコンピューターテープに入っておりますと、縦と積とに当たるところを自由自在に組みかえることができるわけでございまして、つまり直接に表現されたもの以外のものが潜在的に編集できるというような性格を持っております。したがいまして、従前の編集著作物よりはもっとフレキシブルな意味での編集著作物であるというふうに考えておりますので、そういった意味でもう少し申し上げますと、最近は端末がどんどんパソコンで力がつくようになっておりますので、データベースの一部を端末側に移しまして、そこで自由自在に再編集して使うことができるようになってまいりました。これを私どもダウンローディングというふうに言っておりますが、ダウンローディングというのは、実はこのデータベース関係、情報科学関係で最近話題になっておりまして、学界でもいろいろ議論がある。法律学者の間でも議論がございます。したがいまして、そういったことにかかわることで従前の編集物からはみ出た使い方が出てくる。これも業者だけでなくて、ユーザーの方に渡ってからも出てくるというふうなことがございますので、その点につきまして、秩序正しいやりとりができる基礎としてデータベースを新しくつくっていただいたということは、私どもとしては非常にありがたいことだというふうに思っております。
○馬場委員 これまたちょっと遠慮のないところをどんどん言ってもらいたいと思っておるのですが、もう満足なさっているような感じがするのですけれども、そういいましても今度のデータベースにかかわるこの規定は私は最良だと思っていないのですよ。今度の改正、これは最良だと思っておられるのですか。あるいは、やはり初めのスタートだ、こういうところはこうしてもらえばなおいいんだということなのか。最良と思っておられるのか、あるいは今後こういう点はこういうぐあいにしてもらえばなおいいんだというようなことについて、御意見ありませんか。
○名和参考人 私どもでさらにもしお願いするといたしますと、先ほど申し上げましたように、現在、データベースにつきましては送信権ということでディストリビューターの権利が守れるような形になってきておるわけでございます。実は送信権の中身を見ますと、今度の著作権法を拝見しますと有線送信権ということがございますが、有線送信事業者の定義がございませんで、したがって、有線送信事業者の権利をどういうふうに保護しようかというふうなことがございません。この点につきましては、今後御検討いただけるときに有線送信事業者の権利はこうであるというふうなことを規定いただければ、ディストリビューターとしての権利保護はさらによくなるだろうというふうに考えております。
○馬場委員 母袋参考人にお聞きしたいのですが、小泉参考人にも先ほどちょっと聞いたのですけれども、商業用レコードに係る二次使用料を支払わなければならない義務がこれで課せられたわけでございますが、この点についてはどういうお考えですか。
○母袋参考人 今まで私どもが所有すべき隣接権その他が全くなかったというふうなことでございまして、それを今度の改正で認めていただいたわけでございます。 今まで私どもは、音楽の著作物については、音楽著作権協会とは私どもが制作する番組についての契約はしていたわけでございますけれども、今回レコードの二次使用料というふうなものが、権利とともに義務も発生したということで業界は理解をしていこうとしているわけでございます。
○馬場委員 先ほどから税制面のお話とか、あるいは道路占有権の問題とか、現在まで苦労なさったお話をお聞きしたわけでございますけれども、今後有線放送事業をだんだん発展させていくという中で、やはりこういう権利というのはまだ確立されなければならない、あるいは権利だけじゃなしにこういう隘路というのはぜひ克服しなければならぬということで、有線放送事業の今後の発展のための手段、権利の確立、こういうものについてはどういうことをすればいいのかというようなことについての御意見を聞かせておいてください。
○母袋参考人 連盟の運動方針をすべて御説明しなければならなくなるわけでございますけれども、当面私どもがお願いをしているのは固定資産の圧縮記帳の点でございまして、これにつきましては、加入金をいただいてその加入金と自己資金で建設をしていくわけでございますけれども、償却が非常に少ないものですから当年度の見かけ利益が出てしまう。これらについて、ガスですとか電気ですとかと同じように加入金をいただいて事業をする方々と同等な扱いをしていただきたいというふうなことが一つございます。 それから、これは一部の自治体では大変進んでまいりましたけれども、空中占用ですとかそういうふうなものが大変負担になっているところがございまして、この点も今、固定資産税、それからあとは空中占用その他につきまして、関係の機関にお願いをしているところでございます。
○馬場委員 最後に、小泉参考人にお尋ねしたいと思うのですが、先ほど録音・録画機器に対する賦課金の問題もお聞きしたわけですし、隣接権条約の加入の問題についての意見も聞いたわけでございますが、今の日本の中で物事を前進させようと思うと、そういう権利者といいますか、当事者が努力する必要があるんですよね。あの撚糸工業みたいにやってはだめですよね、あれは。そういうことはないのですが、そういう意味におきまして、やはり芸能実演家団体協議会、こういうところにおきまして、権利者としてどういう努力をするとかいろいろ今までやってこられたと思うのですが、私たちはこういうことをやる、だから、例えば政府はこういう点を理解していただきたいんだ、国会はこういう点をやっていただきたいんだ、そうしたらこの賦課金の問題についても、隣接権条約にも加入は実現できるじゃないか。そういう点で遠慮のないところをひとつおっしゃっていただきたいと思うのです。
○小泉参考人 大変御理解のあるお言葉をいただいているのですけれども、基本的には、第五小委員会で三十条問題というのは、もう三年くらいにわたって各界の非常に優秀な先生方がお集まりになって論議をされた問題でございます。それから、その報告書が出た後で、今度は学者先生、それからテープ工業会とか電子工業会の皆さんもお入りになって、権利者団体の代表と一緒に懇談会というのを、これがまたもう五年ですか六年ですか、そこにメンバーとしては文化庁の方もお入りになっているということで、公式にはこの中で論議を詰めていくより仕方がないというふうに、今までいろいろとやってその懇談会の結論待ちということで努力をしてまいったのでございますけれども、しかし、ここへ来て、これはもう余りにも時間がかかり過ぎるじゃないか、異常な状態ではないかというようなことで、その間私どもは、諸外国の方でどういう対応をしているか、またどういう配分をしているか、どんな形で徴収をしているかというようなことを調査したりデータをそろえたりいたしまして、それを懇談会に提出したりあるいはJASRACとかレコード協会と一緒に著隣協という一つの団体をこしらえまして、その著隣協という一つの場でいろいろな国内の調査なんかにも相当のお金をかけて、日本の国内でこの三十条問題を何とか広めていこう。国民の理解が足りないということも一つはあるのでしょうけれども、それを少しでも広げていくための運動をしていきたいというふうにも考えております。 この六月にはその懇談会のメンバーでヨーロッパそれからアメリカの調査に行くということも決まっておりますし、それからまた、その後国民の皆さんにこの私的録音・録画問題、ホームテーピングというのは大変な問題を含んでいるんですよということをどうやってPRしたらいいんだろうということで、ここのところ何回も会合を重ねまして、そのPRの方法というのを私どもは考えております。例えばポスターの募集あるいは標語とかクイズみたいな形で新聞に出そうかとかということで、少しでもこのホームテーピングの持つ恐ろしさみたいなことを、音楽文化を守る上で大変なことなんですよということを訴えていこうと精いっぱいの努力は続けているつもりでございます。 それから、ローマ条約に関しては、二国間の双務協定というのも、芸団協としても独自に何度も何度も外国へ参りましてそういう協定を結んで、いつでも対応できるような状況をつくっているということでございます。 ですから、あとはその懇談会の結論がどういうふうになるか。それから、ローマ条約の問題に関しましては、これはもう日本の政府がどこかで踏み切っていただければいいのではないかというふうに考えておりますけれども、そのための運動としまして、まだまだ力は足りませんけれども、私どもとしては一生懸命続けているつもりでございます。
○馬場委員 時間が参りましたが、参考人の方、本当に貴重な意見を聞かせていただきましてありがとうございました。私どももこの委員会で慎重に審議いたしまして、きょう文部大臣はいませんけれども、文化庁の次長があそこにおってよく聞いておったと思いますが、国会でも附帯決議なんかも、そういう問題であるわけですから大いに頑張っていきたいと思います。 きょうはどうもありがとうございました。
○青木委員長 池田克也君。
○池田(克)委員 公明党の池田克也でございます。きょうはお忙しいところを、しかも急に国会においでいただくようにお願いをいたしまして、貴重な御意見を聞かしていただきまして感謝いたしております。 私、短い時間でございますので、この法律とまたその周辺についても御意見を伺いたいと思います。 最初に、先ほど清水参考人から著作権思想の話が出ました。私は前々からこの著作権思想の問題について国会で発言をしておりまして、日本人全体の中にこの著作権というものの意識が低い。先ほど小泉参考人もこの問題について、ホームテーピングの恐ろしさをもっと広めなければならぬとおっしゃっておられました。 私は去年も文化庁に対して著作権思想の啓蒙を何か考えてほしいという要望を強くしておりまして、先般も芥川也寸志さんともその話をしたわけです。例えば著作権の日などというものをきちっとつくって、あらゆる関係者があらゆる機会をとらえて著作権を国民にもうちょっと理解してもらう。場合によっては、著作権という表現がちょっとなじみにくいので、もうちょっといいニックネームはないものだろうかなどということも考えたりしました。また、たばこには「吸いすぎに注意しましょう」などと書いてありますが、小さな録音機械にも、業界にお願いして「創作者に敬意を表しよう」とか「みだりにコピーはやめよう」とか、何かそういう意識啓蒙のものを刷り込むだけでもできないかとか、いろいろなことを提案しているわけです。 この法律の審議にも若干関係はあるのですが、最初に、私がこういう気持ちを持っていることについて、きょう四人の参考人の方がおいでになっていらっしゃるので、いずれも著作権について深いかかわりを持っていらっしゃる方々だと思いますので、御意見を伺えればありがたいと思うわけでございます。
○清水参考人 大変ありがたいお話をいただきました。先生の御指摘のとおりでございまして、先ほど申しましたように、今後いろいろ知恵を絞ったり技術を蓄えたりして、世界と交流していく——プログラム技術という面で申しますと、日本人は大変すぐれております。また、お隣の中国にもまだ開発されてない非常にすばらしいプログラム能力を持った人たちがおりまして、私も昨年コンピューターの視察に行ってまいりましたけれども、そういう人たちとの交流も含めて、権利をきちっとさせるということが、今後世界と知的な生産物の交流をスムーズに行っていく上にも非常に大切でございます。 ですから、むしろ著作権を守れないような国は国際的に相手にされないということでございますし、私ども現実に、アメリカの法人の子会社といいますか日本法人の会員も多数おります、その方方と話し合っていきますと、権利についてはまだ非常にギャップがございます。 特に、将来の日本を背負う子供の中にそういう意識がまだ非常に弱くて、先ほど申しましたように、おもしろ半分にコピーをする、ふざけてコピークラブをつくってみんなで回してやるというようなこと、それが長じましてコピークラブをアルバイトにするというような風潮も出ておりまして、私ども警告を発したこともございます。このように、おもしろ半分に人のいわゆる無体財産というものを勝手に盗用するというような風潮がもし高まれば、非常に大きな影響を、著作権の範囲だけではなくて、今後の将来の教育の上にも大きなマイナスになると思いますので、お言葉のように、著作権の日といいますか、非常にありがたい御指摘でございますので、ぜひそういうものも、我々もいろいろ各関連団体とプログラムの権利を守る運動をことしから展開していこうということがございますので、ぜひお力をおかしいただぎたいと思います。
○名和参考人 私ども今先生がおっしゃったように考えておりまして、著作権の保護につきましては、だれもが守れるような形に権利意識を高めていかなければならないというふうに思っております。 ただ、問題でございますのは、技術の進歩が余りにも激しゅうございまして、先ほど申し上げましたように、たまたま私どもの協会は、比較的業者の数も少のうございますし、比較的大きな業者が多うございますので、まだまだ著作権につきましてそれなりの意識は持っているわけでございますが、今清水さんがおっしゃったような業界にいずれは私どももなって、大衆的なユーザーを相手にして商売をするような時代になるのではないかと思いますので、今先生がおっしゃったような風潮がより高まるように私ども希望したいと思いますし、頑張っていきたいというふうに思っております。
○母袋参考人 私の場合はほかの三人の方々とちょっと立場を異にしておりまして、例えば全体のサービスが、私ども今テレビ波で十五波でございますけれども、十五波のうちの一波は私どもが独自につくるということで、今度の法改正の中で取り上げていただいた部分でございまして、あとの十四波につきましては使用者というふうな部分でございます。従来から私どもも権利者側とは誠意のある交渉をしてきたわけでございますけれども、今回からは、それはもちろんのこと、私どもの権利も認めていただいたということで、十分尊重しながら進めていくように業界で話し合っていきたいと思っております。
○小泉参考人 池田先生のおっしゃるとおりでございまして、著隣協の場では、ベルヌ条約が生まれて百年ということで記念切手を日本で発売できないだろうかというようなことで、何とか国民の間に著作権の思想というものを広めていきたい、著作権というものはまさにその国の文化のバロメーターであると言ってもよろしいのではないかというようなことを私ども話し合っております。 ただ、一般の実演家にとりましては、実演に著作権があるというかそういう権利があるのだということには考えが及ばないわけでございまして、どちらかといいますと、実演家と言うぐらいでございますから、実際に自分の身で演ずることで初めて実演家というものは自分たちの芸を皆さんに披露することができるということなんですね。ですから、実際に自分で演じないで、その影像があるいは固定物がほかにいろいろと使われてそこから著作権の使用料が入るということでは、いつか芸能人としての生命は絶たれてしまうのだという認識を持たないといけないと思うのです。 ですから、単に著作権を守るということだけではなくて、著作権を守るということはどういう理由で守らなければならないかという、そのもう一つ奥のところに私ども実演家の大きな問題があるのではないかというふうに思います。ですから、ただ単にそれを守るというだけではなくて、実演の場をどうやって確保しながら、そこへ固定物によって使われた実演で失われたものの経済的なリサイクルをうまく図って、生き生きとした芸能が衰退しないように、滅びないようにという配慮を全く別の角度で、あるいは著作権という思想とは全く別に一つ守らなければならないのではないかというふうにすら考えております。 しかし、著作権思想というのはそういう意味で、使われた以上は、やはり何らかそこに実演家にとっては一つのマイナス面が必ず生ずるわけですから、同時に、使われたことによって、先ほども申しましたように、自分たちの仕事の場が失われてしまうという非常に大きな問題が含まれているということを国民の皆さんにももう少しわかっていただきたいなというふうに思っております。
○池田(克)委員 ありがとうございました。 次の問題は、恐らく清水参考人と名和参考人にお答えいただくようなことだろうと思うのですが、プログラマーの質と量という問題でございます。 先ほどのお話の中にもプログラマーの人数が不足しているというようなことがあったように思います。現在、私どもがこの委員会で専修学校のあり方などを議論する際にも、専修学校の中にはプログラマーを養成する学校もたくさんございますが、かなり誇大広告などもございまして、いろいろと議論のあるところなわけです。今度の法改正がそれに直接影響があるかどうか私にはわからないのですが、自分のつくったプログラムが登録され、一つの財産ということになって、具体的な形で法的に保護されていくようになった。端的に申しまして、プログラマーの質と量の問題は今どのようになっていて、これからどうあるべきか。例えば、一級建築士みたいに何らかの資格がきちっと固定されて、秘密の漏示などは今度の法律にも若干ございますけれども、そうしたことで何らかのペナルティーが科せられていく、またそうした資格を通じて社会的使命がきちっと教育されていくということが必要であろう。現在でも若干あるようには聞いておりますが、その問題についてお二人に、時間の関係があるので手短にお答えいただければありがたいと思うのです。
○清水参考人 プログラマーを活用している場はソフトウェア産業でございますけれども、ここでは通産省が応援して行っております情報処理試験の権威が非常に高まりまして、これを受ける人数は、ことしは共通一次試験を受ける高校生と同じくらいの人数に達する。同時に、企業でもこの試験に受かった人を優遇するあるいは資格を認めるということが行われておりますし、まず第一にはこういったものがどんどん生かされていくであろう。 それで、今、不足しているものをどういうふうに補うかということで、これは通産省の方でやっておりまして、我々も一緒にしておりますシグマ計画、これはプログラムを開発する効率をよくするいろいろなソフトウエア、ツールというものがございまして、各ソフトウエアハウスが独自に持っておりますが、これを通信何線で共同に利用できるようなネットワークを今つくっておりまして、これで不足を補う。また、一本で一ユーザーというプログラムを、応用性の広い、私どもが今やっておりますようなパッケージで一対千、万、十万、現在では百万本のソフトというものもございますので、優秀な人が百万のユーザーに対応できるとすればこれまた非常に効率が上がる。でございますから、プログラマーの不足を補うにはやたらと人数をふやすということではなくて、総合的な政策の中で、資格試験としての情報処理試験も権威が高まっておりますし、国の二つの政策もうまくいっておりますので、我々もできるだけいいプログラムをできるだけ安い値段でパソコンのユーザーに提供することによってプログラマーの不足を補い、すべてがプログラマーになってしまう——アメリカの統計では人口の全部がプログラマーになっても足りないという説もあるくらいでございまして、実に要求は多様でございますけれども、単に人をふやすというようなことでは追いつかない問題でございますので、まず総合的な対策が必要かと存じます。
○名和参考人 お答えいたします。 私どもの仕事は、プログラマーがつくりましたソフトウエアを直接生産するということではございませんで、データベースをサービスする場合にプログラマーが必要でございます。先ほど申しましたように、データベースをつくるところが一番手間がかかるわけでございますので、そうしたところを自動化しようということで、間接的にというか人のかかわりを少なくしたいと考えております。 データベースを自動化するということは、文書の場合で申しますと、文書を自動的に読み取りまして自動的に解析して、キーワードを自動的に抽出する、場合によりましては英語を日本語に翻訳するというようなことを自動化してやろうというようなことでございまして、これはいろいろなお役所でも既に御計画のようでございますし、大学でもおやりになっておりますし、業者もやっております。こういうことができるとデータベースの生産ということもコストがかなり安くなりますので、もっと発展するだろうと考えております。 問題は、そうした自動的に生成したものの著作物性ということになるわけでございますが、この辺は文化庁さんの方で御検討であると伺っておりますので、私どももそれが出ることを大いに期待して待っております。 以上でございます。
○池田(克)委員 これも犯罪の問題と若干関係があるのじゃないかと思うのですが、プログラマーがこうやって登録して権利を有するようになるのですが、企業として社有のプログラムを持っている。それからつくった人が会社を移る。両方とも完成していて、これは会社の時代につくった、これはやめてからつくった、途中の段階で一つの何らかのひっかかり状態というものがあって持ち出してほかへ移っていく、いろいろな状況があるのじゃなかろうかと私は思っているのです。このように登録をされていく。時代の変化、財産として貴重なものであろうと思いますし、大変に手間や金額もかかるもので、そう簡単に個人でどうにでもなるものでもないと言われておりますけれども、犯罪を予防するという観点から、今回の登録問題というものについて倫理規定とか、例えば出版物の場合にはそれなりのモラルというものがあって、社会的にもすぐ明らかになりますので監視ができる。社会的な制裁というほどのものでもございませんけれども、流通段階でいろいろと抑えているものもございます。コンピュータープログラムについてはすぐ人の目に映らないと理解しておりますので、犯罪面ということについてどんなふうにお考えになっているか、お聞かせいただければと思います。
○清水参考人 御指摘のとおりでございまして、ソフトウエアハウスというところは、人事の交流、言うなれば人の引き抜きというようなことは日常茶飯事になっております。また、これによってプログラムの財産としての法人の所有する権利が流出するおそれも実際ございます。これは我々も非常に心配しているところでございますが、基本的には先年の改正で法人の発意によるプログラムは法人の所有に属するということになりまして、それがその時点で登録されますと明らかに法人の所有である。仮にそのプログラムの制作者が外に出ていった場合にも、そこにはっきり登録されているものが残っておりますので、それと同じものをその人がつくったとすれば、これは自分がやったにもかかわらず当然法人の著作権に属するものでございますから、その意味からも登録制度は非常に重要でございます。 同時に、著作権法ではそこを考えておりまして、では企業がすべてその頭脳を支配してよろしいかということになると、これは全く反対でございまして、技術の交流がどんどん行われなければ進歩いたしません。ですから、アイデアは当然持っていけますし、その頭脳を生かすところは当然ながら自由にしておかないと、企業がそれを縛るということでは自由な発展はあり得ないと思います。登録されてきちっと固定化されたということがプログラムの権利であるという意味では、この登録法がそういった面での心配をなくす一つの手だてになると考えております。
○池田(克)委員 みんながみんな登録すればそれでいいと思うのです。ところが、従来の著作物は人の目に触れるのですが、また触れるから著作物なんですけれども、今度の場合には触れないものだ。検索上いろいろと要約したものがあるようでございますけれども、具体的には、大事なものだ、人にとられないという観点から登録しない人、企業もあるだろうと思います。そうしますと、我々が考えている従来の著作物、そしてそれが保護されていくというのとやや違ったケースがここにいろいろ予想されるのじゃないかと思うのです。私はまだ余り詰めてこの問題について十分勉強し切ってないのですけれども、きょうおいでいただいた機会なんで、こういうアンダーグラウンドというか潜ってしまっている著作物、プログラム、いろいろ新しいものが出たときに、いや実はうちにあるんだと言っても、当然、登録されてませんから、それについてはいろいろ侵害されてもとやかく言えないものがあると思うのですが、際どいものはいろいろあると思うのです。そういう状態で、企業の秘密あるいは非常に貴重なアイディアというものをめぐって、従来の著作物とは違った、かなり大きなお金の動く、またお金に影響を及ぼす事柄であるだけに、私はまだちょっと今度の制度だけでは十分じゃないと思う。もちろんこの制度はあってしかるべきなんですが、その前にいろいろな倫理規定というものがあって、それが無事にこの法律を動かしていくことになるんじゃないか。業界における監視機構とかそういうモラル的なものが非常に重要だ、こう考えておるのでお伺いするわけですが、その辺はいかがでしょうか。
○清水参考人 プログラムを守るということはいろいろな方法があるわけでございまして、先生のおっしゃるように、全く隠しておく。これは絶対自信がある企業はたくさんのお金をかけて隠しておく。しかも、社員からは絶対に漏れない。例えば外国のプログラムを持っているところなどは、社長しかかぎがあけられないというような防御の仕方もございます。ですから、プログラムを守るのにいろいろな方法がある。しかし、今度の登録法は、広く国民の中に権利を確立させるということで意味があることでございまして、お金のある企業はそれぞれの守り方をすればいいということも言えるのではないか。ですから、いろいろな選択ができるということで、登録することも、これまた義務的に登録させるということになれば大変問題が起こるのは、今おっしゃったとおりどこからどう漏れるかわからないというような問題もありますので、いろいろの選択はできる、これがすべてだとは私も申しませんが、多く権利を確保する第一歩として意義があるんじゃないか。 それからもう一つ、登録の方法にしても、いわばソースプログラムという形で登録しますと、非常に長い——長いといいますか、非常にボリュームが大きくなって、どういうふうなことになるか、私はまだその辺は聞いておりませんけれども、ソースプログラムという解読できない形の登録の仕方もいろいろございますので、この件に関しては非常に広がりを持たせていいんじゃないか。自由度を持たせない、義務制にするということになると、またそういう心配も起こるのではないか。 それから、倫理規定については全く同感でございますが、ただ、それじゃどういうふうに倫理を規定するかということは非常に難しい。先ほど先生がおっしゃった、著作権を尊重するということは新しい世界の中で日本の特徴を生かしていく上に非常に重要なんだという考え方を、単に法律で倫理規定をつくって縛るというよりは、遠いようでありますけれども、教育の中で普及することが確実な道ではないか。このプログラムというのにはユーザーとメーカーがございますけれども、すべて我々は、メーカーも同時にユーザーであり、ユーザーも同時にメーカーであるという面がありまして、利用者が即つくったり、つくっている人が利用しているという面がございますので、余り強く縛るというのも問題ではないか。その意味で、プログラムはこれから新しい一つの世界を開いていくわけでございますので、先生の御趣旨のようなことも含めて、総合的な御配慮をお願いしたいというふうに考えております。
○池田(克)委員 まだまだいろいろお伺いしたいのですが、もう時間が参りました。また機会を改めていろいろ聞かせていただぎたいと思います。本日は大変ありがとうございました。 終わります。
○青木委員長 藤木洋子君。
○藤木委員 参考人の皆さんには、お忙しいところをお運びをいただきまして、本当にありがとうございます。私が最後の質問者のようでございますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。 まず最初に、清水参考人にお尋ねをさせていただきますが、現在流通しておりますパッケージは、だれによってつくられ、そして流通しているのか。概略の御説明は先ほどお伺いをしたのですけれども、パッケージ開発がどうなっているか。若い人たちというお話が何度か出てきたのですが、それは個人を指していらっしゃるのか、会社の中のそういう技術者を指しておっしゃったのか、その辺もお伺いをしたいと思います。 それと、ソフトを開発した技術者であった場合のことなんですけれども、その場合に、その技術者に対してはどのような権利があるとお考えになっていらっしゃるのか、著作権との関連でどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○清水参考人 先ほども申し上げましたように、二万五千種類ものソフトウエアがつくられているわけでございまして、これをだれがつくっているかということは非常にさまざまでございます。ただ、主流は、自分たちがパソコンを使ってユーザーとしてスタートをした方々が大変多い。ですから、これは大型のコンピューターとちょっと違うところでございまして、今若いというお話がありました。当然でございますが、自分がユーザーとして使いやすいプログラムをつくるという過程の中で商品を開発していったというのがメーンでございます。 ところが、こういうふうに新しい市場ができておりましたので、さまざまなところから新しい参加がございまして、百貨店がプログラムをつくるケースもございますし、例えばデザインのスクールがつくるとか、あるいは設計の非常に上手な人がプログラムをつくるとか、さまざまでございます。ですから、一概に規定はできませんが、スタートはやはりユーザーから立ち上がった、マイコンマニアという方もいらっしゃるでしょうし、そういうようにユーザーから立ち上がった比較的若い人。実は私どもの会長も三十八歳でございますし、副会長に至っては三十八歳と二十八歳というような若さで、私だけが年が上だから、おまえそういうことをやれということになったわけでございますが、実に若い世代でございます。 それは法人か個人かということについては、法人も個人もございます。法人の中には非常に優秀なスタッフを集めてやるところもありますし、個人の人たちの力をかりてそれを一つの商品化しているところもございますし、これまたさまざまでございます。その意味では実に百花繚乱ということでございますので、権利の確立ということがここでもまた実に大切だ。法人は守るけれども個人は守らないというような法律では困りますし、また、個人の中からは、例えば私の知っている国際的な数学者の先生がつくったプログラムなどは世界的なレベルをもうはるかに超えている。あるいはこの間、中国から私のところへ見えた方は、中国の人をアメリカに勉強に出したら、二年のうちにアメリカで一番優秀になってしまって、二百万ドルで移籍してくれということを中国に申し込んだというようなケースもございます。日本にもそういう方は当然おります。若い人たちの中におります。そういう人たちがすべていろいろ権利を守る。そういった人たちを守って、いいソフトを社会に広く提供できるような場をつくっていきたいというのが我々の願いでございます。 それからもう一つ、技術者に関してでございますけれども、技術者の権利は、著作権法に規定されているとおり、法人の発意に関しては当然法人でございますし、個人がつくったものにつきましては個人でございます。これの守り方とかそういったことに関しては、まだ権利意識自体がなかなか徹底しておりませんで、ちょっと人のものをまねしたりするようなことも間々あるようでございます。こういうことも含めて、それぞれの個人も、特に法人は当然商売でございますから力を尽くしてお金をかけて守るということをしますけれども、個人の技術者を法的に守るということを、ぜひ今後も著作権法の運営の中でお考えいただくように、私からもお願いしたいと思います。
○藤木委員 どうもありがとうございました。 それでは、次に、名和参考人にお伺いをしたいと思います。 データベースの開発には随分多額の費用がかかるというふうに言われておりますけれども、開発コストの回収、これはどのくらいの期間が必要だというふうにお考えになっていらっしゃるか。もし調査などしていらっしゃれば、そういったこともお述べいただきたいと思うのですが。
○名和参考人 お答えいたします。 昨年度、私どもデータベース協会の会員に今先生がおっしゃいました件につきましてアンケート調査をいたしました。それを若干詳しく申し上げますと、データベースにもいろいろ種類がございまして、大きく分けまして文字情報、文献情報のデータベースと、数字でできております統計とか実験のデータとかいうものからできております数値情報のデータベースがございますが、文献の方から申しますと、科学技術情報の場合でございますが、回収期間が五年以上かかると言っておりますのが七三・九%の会社でございます。それからビジネス関係の文献情報でございますが、五六・五%が五年以上かかるというふうに言っております。数値情報で申しますと、科学技術の実験データなどのデータベースの回収期間は六八・一%の業者が五年以上かかると言っております。産業、経済、いわゆるビジネス関係のデータベースについていいますと、五〇%であるというふうなことでございます。そのほか、これはまだ余り数が多うございませんが、画像、影像、昔声情報などのデータベースの業者につきまして見ましたところ、六五・九%の業者がそういうふうに試算しております。
○藤木委員 データベースの編集におきまして、情報の選択または体系的な構成を創作するのはどういう人なのか。どういう人というのはちょっとわかりにくうございましょうか。
○名和参考人 今先生がおっしゃった御趣旨を私なりに理解しますと、つまりある計画がございまして、その計画にのっとってデータを集めてきてデータを要約して編集するというふうなことと伺いました、それでよろしゅうございますか。——これは二種類ございまして、一種類は、企業あるいは特殊法人の科学技術情報センターさんのデータベースをつくっているわけでございますが、正式の職員がやる場合もございます。そういう人間がやらない場合もございまして、これは特に学術情報の場合に多うございますが、いわゆる大学の先生方とか、あるいは研究者の人がボランティアでやる、あるいは実費をもらってデータをつくるというふうなことをやっております。
○藤木委員 それから、世界のデータベースの現状は、サービス機関数におきましても、流通データベースの数におきましても、何かアメリカが抜群だと聞いているわけですけれども、具体的にはどういうふうになっておりますでしょうか。国際的に見て、日本の位置はどの辺にございますでしょうか。
○名和参考人 先ほど申し上げましたが、売上高で見ますと、アメリカが五といたしますとヨーロッパ全体で三でございまして、日本が一というふうにお考えいただいたらよろしゅうございます。 アメリカの場合ですと、ちょっと私、これは今記憶が確かでございませんが、国産データベースがほぼ七〇%でございまして、三〇%が輸入であるというふうにお考えいただいたらよろしいかと思います。
○藤木委員 もう一問だけ伺っておきたいのですけれども、国境を越えてのデータ流通ということにかかわって起こる問題点がございましたら、ちょっとお述べいただきたいと思います。
○名和参考人 これは二点ございまして、つまり、そのデータ流通が阻害されることによって起こる問題点と、阻害することによって起こる問題点と両方あるかと思います。 典型的な例、これは正式な機関でこういう話は出ませんので新聞情報ということでお聞き取り願いたいわけでございますが、アフガン紛争がありましたときに、アメリカの持っておりますケミカルアブストラクトという大データベースでございますが、これの東ヨーロッパに対する輸出が禁止されたことがございます。そういうことがあるということでございます。
○藤木委員 では、次に、母袋参考人にはちょっと申しわけございませんけれども、小泉参考人の方にお伺いさせていただきたいと思います。 ニューメディアが広がる時代を迎えまして、芸能実演家の皆さんの権利が十分守られるように著作権法の改正を行う必要があると思いますけれども、先ほどもお話が出ておりましたビデオソフトに関するお話、もうちょっと詳しくお話をしていただきたいと思うわけです。映画における実演家の権利はどのようになっているかというあたりをお聞かせいただきたいと思うのです。
○小泉参考人 お答えいたします。 映画の著作物の中における実演家というのは、実は共同著作者の中の例示にも入っておりませんで、実演家は著作隣接権によって保護されるべきものというふうに規定されてしまっているわけですね。それで、現在、関係業界の間では、ビデオソフトというのは映画の著作物であるという認識で処理されているのですけれども、その場合、この実演家の抱える問題というのは、そんな単純な割り切り方でとても裁断できるものではないということを申し上げたいのです。 隣接権条約と我が国の現行著作権法の上では、いずれも映画というのは伝統的な意味における映画というのを想定してつくられていると我々は考えておりまして、例えばビデオカセットであるとかビデオディスクであるとか、そういうビデオソフトの流通の規模とか態様とか、複製の容易さとか量産化とか、いろいろなことから考えますと、これはとても映画の著作物とは言えないのではないか、そこには全く映画とは違う新しい概念構成をしなければいけないのではないかということを、我々は常に主張したり考えたりしているわけなんでございます。全く独自の別の固定物であると判断をできないものだろうかということでございます。 実は、著作権審議会の第三小委員会というのがビデオ関係の審議をしたのですけれども、それが昭和四十八年でございまして、今からもう十三年前の話なんですね。そのときに、その報告書の中では、結論を下すのはちょっと時期尚早ではあるが、というような文言が載っているぐらいでございまして、そのビデオソフトの二次使用料請求権のくだりでは、その性格に関して三つの考え方があるということが併記されているような状況で、結局、その利用形態を見きわめた上でなければはっきりした結論を出すのは困難であるということなんで、その時点で一応ビデオソフトは映画的著作物と考えて差し支えがないという結論を出しているわけなんです。 ですから、私どもが考えるに、そのときのその結論をそのまま今まで全くほうっておいているということが非常に不合理な状況を生んでいるのではないかと判断しております。 簡単に整理して申し上げますと、今の段階におけるビデオソフトの発達の結果、映画の範囲は立法当時における予想をはるかに超えて拡大されている、そのため実演家の予期せぬところで利用されるという事態がふえていて、このことは、一回、最初に出るときの契約ですべての権利を確保しなさいということがいかに無理かということを立証しているのではないかというふうに思います。
○藤木委員 最後に、もう一問だけ伺っておきますが、最近普及しておりますカラオケビデオにまで映画が使用されているというお話がございましたけれども、もうけるためには目的外の使用を平気で行うという、つまり映画製作者である会社自身がみずからの誇りを傷つけるような節操のなさを私は感じたわけですけれども、それと同時に、実演家の皆さん方の人権あるいは人格そのものを侵害している行為ではなかろうかというふうに思うわけですが、これはどのようにすれば実演家の皆さんの人格あるいは人権を守ることができるのか、その点お述べをいただきたいと思います。
○小泉参考人 カラオケビデオというのは、皆さんよく御存じだと思うのですけれども、ビデオにカラオケの画面が映りまして、音楽が流れて、その下に歌詞が流れて、それを見ながら歌うというカラオケビデオでございます。これに四、五年前ぐらいからメジャーの劇場用の映画をつくった会社の映画が勝手に編集されて使われているという状況が生まれておりまして、これは、私どもが実演家の立場からそういう場面に遭いますと、せっかく一生懸命にやった演技がばらばらにされて、しかもせりふを消されて、何とも言えない情けない感じがするのです。それを酔っ払ったお客さんが見ながら、ああ橋蔵が出てきたよとか、三船が出てきたなというような感じで、オーツなんて言いながら歌っているのを見ますと、私たちはだんだんいたたまれなくなってしまうという状況があるのです。 カラオケビデオというのは、私どもが最初契約して出た映画とは違うのではないか、こういうものは。これは映画ではないというのが私たちの主張なんですけれども、ただ、先ほど申し上げましたように、映画の中における実演家の権利というのは一切認められていないという状況がございますので、最初の契約でそういうことまで想定して書いておかないからいけないんだよというふうに言われてしまいますと、法的には何も文句が言えないという状況があるわけでございます。これは単に著作権だけの問題ではなくて、要するに実演家としましては人格権の問題であろうかというふうに考えるのですけれども、実は著作権法の上で実演家の人格権が、この新著作権法が生まれたときですら人格権がちょっと無視されているのではないかという一つの証拠がございます。 それは、この新法が生まれた昭和四十五年の参議院の文教委員会の附帯決議の中に「著作隣接権の保護期間の延長及び実激家の人格権の保護問題等について、早急に検討を加え、速やかに制度の改善を図ること。」こういう附帯決議がつけられているのでございます。ですから、この法律ができ上がるとき、既にそういう危険があるということをどこかで主張がされていたのだろうと思うのですけれども、それがその後全く顧みられなくて、今のビデオソフトの多様化の時代に突入してしまったということは、我々実演家にとって非常に不幸なことなのです。 これを防ぐにはどうしたらいいかということなのですが、根本的には映画の共同著作者の例示の中に演技とか俳優とかという言葉が一つ入りますと、著作権は二十九条で製作者に行ってしまいますけれども、その後に著作者人格権というのが残るのです。そうしますと、勝手な改変は許されないということが主張できるわけでございまして、この著作者人格権がそういうことによって守られる、これは日本が世界に先駆けて、俳優のためのそういう条文を入れていただければ大変結構なんですけれども、恐らく世界に先駆けて日本がやるなんということは到底考えられないことでございますので、せめてどこかで実演家の人格権の保護のためにはこういう方法を講じたらいいだろうというようなところで何らかの条項を入れていただけば大変にありがたいというふうに思います。
○藤木委員 どうもありがとうございました。終わります。
○青木委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人各位には、御多用中のところ当委員会に御出席いただき、また貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。 次回は、来る二十三日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時十六分散会 ————◇—————