農林水産委員会 第13号
- 発言数
- 85 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1986/04/22
会議録
○大石委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、生物系特定産業技術研究推進機構法案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武田一夫君。
○武田委員 私は、生物系特定産業技術研究推進機構法案につきまして、三点ほどに絞って質問をしたいと思います。時間の都合で、要点だけ明快なお答えをいただきたいと思います。質問通告はいっぱいしたのですけれども、随分はしょりましたから、その点御理解ください。 まず最初に、農林水産分野におけるバイオテクノロジーの定義と意義についてお尋ねをしたいのでありますが、その定義、そしてその主たる手法としてどんなものが挙げられるか、さらに開発利用の意義はどういうものがあるのか、この三点を簡単に説明していただきたいと思います。 〔委員長退席、島村委員長代理着席〕
○櫛渕政府委員 お答えいたします。 バイオテクノロジーの定義でございますけれども、バイオテクノロジーとは、生物が持つ機能を効率的に利用する技術というふうに定義をしているところでございます。 なお、この分野におきますハイテクの意義についてはどうかということでございますけれども、このバイオテクノロジーの開発利用によりまして、農林水産業あるいは食品産業あるいは関連産業といったところにおいて画期的な生産性の向上をもたらす可能性がある、しかも、今後魅力ある農林水産業を実現する上で極めて重要な技術であるというふうに考えておるところでございます。 なお、バイオテクノロジーの主要な手法は何かというお尋ねでございますけれども、主要な手法といたしましては、まず第一に遺伝子操作、第二に細胞組織培養、第三に微生物、酵素の利用、この三つの手法が代表的な手法であると考えております。 こういった開発利用の意義でございますが、例えば遺伝子操作によります分野といたしましては、種の壁を超えた遺伝子の導入によりまして新しい作物あるいは品種の開発、さらに細胞組織培養の手法でございますけれども、この面では既に実用化の段階に達しておりますような優良種苗の大量生産、さらには第三の微生物、酵素の利用の手法でございますけれども、この面においては主として食品の加工分野等に利用されまして、農林水産業、食品産業等の今後の生産の画期的な成果につながるものと考えております。
○武田委員 そこで、社会あるいは農村、農業にどのような波及効果を及ぼすかということが非常に関心の持たれるところでございますが、この問題についてはどういうふうにお考えになっておいででしょうか、お答えいただきたいと思います。
○芦澤説明員 御説明申し上げます。 バイオテクノロジーの開発普及は、ただいま技術会議の櫛渕事務局長が御説明申し上げましたような、作物の組織培養あるいは家畜の受精卵移植、さらに将来的には組みかえDNAによる画期的な品種の開発等が行われるわけでございますけれども、これによりまして農業生産の安定化と生産力の向上が図れるということ、二番目としては農産物の品質の向上につながるということ、三番目としては資源エネルギーの節減等が行われるということが期待されるわけでございますので、こういうことによりまして、農家経営の安定、農村の活性化、ひいては我が国農業、農村の健全な発展に大きく寄与するものと考えております。 〔島村委員長代理退席、委員長着席〕
○武田委員 そこで、これは参考人の皆さんがおいでになったときにもお尋ねをしたのでありますが、こうした部門が発展してまいりまして実用化が実現の段階に来たときに、農業サイドよりも企業サイドの方に優位性が保たれて、言うなれば企業の従属的な存在としての農業になりはしないかという心配を私はするわけでございます。今までの経過を見てみますと、農家の皆さん方がいろいろと研究開発をしたようなものも、結局のところ、種とかそういう問題を一つ見ましても、専門的な分野のところにかなり牛耳られている部分が多いというようなことを考えると、そうした心配に対する歯どめが必要でないかと私は思うのでございますが、この点につきましてはどのような御見解をお持ちでございますか。また、そういう心配に対する対応を何か考えているかどうか、この点についてひとつ御見解をお聞かせいただきたいと思うのです。
○羽田国務大臣 今先生からの御心配の点は、実はこの問題を論ずるときによく話がございます。この問題につきましては、育種の技術ですとかあるいは栽培の技術などの基礎的な技術開発につきましては、これまでと同様に今後とも国が主体的に進めていくことになっております。また、我が国の立地、営農条件から見まして、全国一律ですとか画一的に利用される技術というのは大変少なく、種苗などにつきましても県が必要なチェックを実施しております。これまでも民間が開発し生産性の向上などに寄与してきている技術も少なくなかったわけでありますけれども、御指摘のような事態は生じておらないというふうに思っております。 バイオテクノロジーの発展が農業の企業への従属といったことのないよう、私は今のところ心配ないと思っておりますけれども、しかしそういう御心配は方々でございますので、これからのこういったものの進展を農林水産省としても常にきちんと見きわめ、本当に農業のためにプラスになる、そういったものにしていかなければいけないと考えておりますので、今後とも十分その推移等は見守っていきたいと思っております。
○武田委員 その件につきましてもう少しお尋ねしますが、機構の運営に当たりましては、今大臣も言われましたようにいろいろと御配慮していただきたいと思うのでありますけれども、少数の企業による利用に偏ることのないように、業務執行に適正、公平を期すべきではなかろうか、こういう点も注意していかなければならないと思うのでございます。 特に民間研究促進業務の出融資事業につきましては、技術研究テーマの選定とかあるいはまた技術研究成果の評価などに関して幅広い見地から審査する専門的審査体制を整備し、公正かつ適切な判断に基づき有効に資金配分が行われるように努めることが大事でないかと思っております。 さらに、技術研究の成果が企業の私的な利潤追求のみに利用されることのないよう、農林水産施策との整合性に留意しつつ、広く農林漁業等の振興に活用されるよう配慮しなければならないとも私は考えます。 そういう意味から、特に公的性格を有する事業主体の育成を図るべきが大事ではないかというふうに考えております。例えば第三セクター方式とかあるいはまた農協の事業部に担当させるとか、こういうような選択があってもいいのではないかと考えております。今大臣もおっしゃいましたように、あくまでも現場の農業者にとって利益のある、そしてまた地域農業の振興に寄与するものであるということを目指すのが肝要であろうと思っておるわけであります。そういう意味で、公的性格を持った事業主体の存在が必要となってくる場合、これに対して公的な補助金で適切に支援する必要性もまた出てくるのではないか。 いずれにしましても、農林水産省の目指すバイオテクノロジーの研究開発に当たっては、今申し上げたことを大きな柱として明確な方向を定めていく必要があろうと私は考えるのでございますが、この点につきまして政府の御所見を重ねてお聞きしておきたいと思うのでございます。
○櫛渕政府委員 お答えいたします。 先生のお尋ねの中で出融資事業の推進に当たっての公平を期する問題でございますけれども、今回の対象とする民間に対する出融資に当たりましては、民間の創意と自主性を尊重するという建前はございますけれども、やはり原資が産業投資特別会計という公的な資金である、そういうことにかんがみまして、当然のことながら、公正さの確保あるいは公益性の配慮が図られる必要があると御指摘のとおり考えております。 このために、この出融資事業の審査体制といたしましては、理事会あるいは評議員会におきます基本的な方針に即しながら、この方面の技術に関して造詣の深い学識経験者等によりまして、その申請課題、プロジェクトに対する審査を公平に経た上で採否を決めるような仕組みをつくるべく指導してまいりたいと考えております。 なお、先ほどの御指摘にありました、プロジェクトの中で、特に地域の特性に立った地域農業振興の立場での地方の民間あるいは農業団体、都道府県、こういったところの第三セクター方式によりますローカルカラー豊かなプロジェクトについても、積極的にこういった面の芽を育てるべく支援を図っていきたいというふうに考えておるところでございます。
○武田委員 次にお尋ねいたします。 今の日本ではバイオテクノロジーの研究開発で多くのアキレス腱を抱えているというふうな指摘をされております。その中身として、原料の問題、それから研究者の供給の問題、基礎研究、応用研究の活用化の問題、それから産学の連携の問題、そしてベンチャーキャピタルの整備の問題、行政の一元化、そして遺伝資源の確保、整理。さらにまた、バイオテクノロジーの実用化に当たっての阻害要因というようなものとして、基礎技術の立ちおくれ、特に人材不足というようなものが指摘されている。 そして、こうした問題と同時に、具体的に今ぜひとも手を加えていかなければならない必要欠くべからざる施策につきまして、政府の研究開発助成施策の改善強化、遺伝資源の供給体制の整備、それから、今申し上げましたけれども、人材育成の強化、さらに国公立研究機関、大学の研究開発の拡充、それから安全性のガイドラインの適正化、さらに技術情報の流通促進、そして特許制度等知的財産の法的保護の強化等というようなものが指摘されているわけでございます。 こうした問題を一つ一つ取り上げたいわけでありますが、特に私はこの中から四点ほど取り上げて、国の対応についてお尋ねをしたいと思うわけであります。 まず第一番目に、人材の不足、人材育成の重要性という問題でございますが、この問題について最初にお尋ねしておきたいと思うわけであります。 それにつきまして、四月二十日の読売新聞で、「バイオ第一人者、米再流出「お役人中心、研究を制約」 品種改良に痛手」として農水省の村井博士の記事が出ておりました。この優秀な人材がアメリカへ流出されていた、こういう事実は今回だけでないということの問題でございます。以前にも利根川進教授、島武博之教授等優秀なかけがえない人材がアメリカの方に行っているわけであります。 ここで、どうしてそういうような事態があるのかということで、そういう方々のお話あるいはまた関係者のお話を聞いてみますと、一例を申し上げますと、利根川博士は、この方はノーベル賞への最短距離にいる日本人だ、こう言われた方で、アメリカのマサチューセッツの工科大学に移ったそうでありますが、この方は、科学は三十歳代が勝負なのに、日本ではその最も大切な時期に教授の手伝いのような仕事ばかりで過ごさなければならない、これでは勢いがなくなるのは当然だというようなことを指摘して、仕事を犠牲にしてまで日本に帰るつもりはありませんというようなことまで言っているわけであります。 島武博士の場合も、阪大や京大によい実験設備があるからといって、日本では大学間の壁が厚く、自由には動けない、若い人間には共同研究だって自由にできない、それどころか、同じ東大の中でも理学部や農学部と自由に交流さえもできない、こういうようなことを談話として述べているわけであります。 今回の村井教授の場合も、やはりそういうお役人中心で、研究を制約するような、そういうことには我慢がならない、海外の出張一つとっても融通がきかないとか、研究に対する評価体制がないとか、いろいろと不満があったようであります。 また、これは住友化学の石渡という技術部長さん、この方は、日本は先端産業への取り組みが遅い、あるいは弱い、これは大体、日本の大学のあり方に問題がある、例えば大学の講座編成にしても、高分子化学が最盛期を過ぎた後にやっと高分子学科をつくるとか、すべて後手後手、これではどうしようもない。あるいはまた協和醗酵の会長である加藤さんが、日本という国は、何よりもまずいのは国家公務員法というあの代物ですよ、あれで国立大学教授はがんじがらめに縛られていて動きがとれない、米国では遺伝子工学で目覚ましい業績を上げた学者たちが大学教授のままどんどん企業の中枢に入っている、日本はそれができない、日本は立ちおくれるばかりであるというような御意見があるわけであります。 こういうようなことをいろいろ考えたときに、やはり人材の育成強化という問題について、農林省を含めて文部省等々、国全体としてそこに反省すべき問題が多くあると思うのでありますが、この点につきまして率直なる御意見を聞かせていただきたい、こう思うのでございます。
○羽田国務大臣 多少、私の私見になるかもしれませんけれども、まさにバイオテクノロジー等先端技術、こういったものを発展させる、開発させていく、こういったことのためにはどうしても人材がなければならない、私もそう思います。そして、今日まで、よく言われるのですけれども、どうも我が国の場合には、応用といいますか、一つの基礎研究に対して応用させていく、そういった分野は強いけれども、どうも基礎的な面が弱いのじゃないかということをよく指摘されます。それは、御指摘になったような体制もあるのじゃないかということも言われておりますけれども、こういった問題については、我々としても本当に勉強していかなければならないなと思います。 なお、今、日本で村井さんがこちらに帰ってきて研究をしておられたけれども、この方がまたアメリカに帰ってしまうという問題。これはちょっと私もまだ細かく読んでおりませんので、後ほど事務局長の方から申し上げますけれども、アメリカでの研究者と、あるいは関係者の皆さん方と昨年MITの方へ参りましたときにもいろいろお話をしましたけれども、大きく違うのは、何というのですか、これは向こうは民間が相当研究しているということもありましょうが、ともかくもう時間というのは、思い立ったときにぽっと研究室に入ってくる、そしてそれこそいろいろな分野の人たちが集まって、それこそ一杯飲みながら徹夜してそんな問題について議論する、昼間は全然出てこない。もちろん髪の形から着ているものもむちゃくちゃなあれで、そのかわり自由奔放に、そういったところから研究成果が生まれてくるということがあって、そういう自由というものもこういうものの研究というものには必要なのかなというふうに思ったのです。 日本の場合には、やはり規律正しく物事を進めていくという、これは役所もそうでしょうし、公の機関もそうでありましょうし、民間の場合もどちらかというとそうでありますけれども、それはどちらがいいのか、これからこういった問題について私どもとしても真剣に考えていかなければならないと思っております。この問題については、いずれ事務局長からお答えをいただきたいと思います。 なお、いずれにしましても、そういう中で農林水産省としましても研究者の資質向上のために、長期の在外の派遣制度による海外留学ですとか、あるいは国内留学制度によりまして大学に派遣するというようなことをやりまして、先端的な分野における人材の確保あるいは養成、こういったことを行ってきております。また、都道府県でも大変先端技術に今熱心になってきております。しかし、まだ人材が不足するということでございまして、また民間でもそういうことがございます。そういった方々を国の研究機関の方に一定期間受け入れまして研究能力を高める、そういった支援なんかも行っておるところでございます。 ことしあたり、農学系の受験者の希望者の倍率というのがほかの学科に比べて最高であったということがありますし、また私ども、いろいろなバイオに関してのあるいは先端技術に関してのシンポジウムですとかそういったものを見ましても、二百人ぐらいの受講生といいますか、そういった人が来るだろうと思うのが、千五百人も二千人も、しかも中学生とか高校生から大人の人までがそういったものに参加するということで、やはり急速に先端技術あるいはバイオテクノロジーというものに対する関心というものが深まってきておりますから、そういった人の中から本当の研究者たちを養成できるような体制というものを、従来の体制をさらに促進すると同時に、やはりそういった人たちが本当に研究できるような体制というものも、私どももいろいろな角度から注意深く見守り、またそういったものの中で発展させ得るものがあったら発展させていかなければならない。いずれにしても人材確保ということは非常に重要なことであると考えておりますので、御指摘の点をよく踏まえていきたいと思います。 前段の問題について、技術会議の事務局長からちょっとお答えさせます。
○櫛渕政府委員 先ほどのお話の村井氏の件でございますけれども、昭和五十八年の十一月に農林水産省に採用——十五年間アメリカで研究をされた方ですけれども、新しく農業生物資源研究所が設立されたときに、分子生物学の専門家ということで農林水産省で採用をした方でございます。こういった非常に長い海外の経験を積まれた研究者で、今大臣もちょっとお話ありましたけれども、そういったアメリカ特有の雰囲気の中で育った研究者でございます。私どものところにちょうど二年半で今回退職ということでございますけれども、やはり現在の私どものこういった試験研究機関の制度、制約、こういったものにどうしてもなじみにくいという面が一つの原因がと考えておりますが、こういった事態それ自体については大変残念だと思っております。私どももいろいろと慰留を図ったのですが、こういうことになっております。 今後こういった人材を、さらに私どもとしては優秀な研究者を育てる必要がありますし、そういう観点から、今後一層、研究環境の改善ということに努力を図ってまいりたいと考えております。
○武田委員 いずれにしましても、優秀な人材が重要になってくる部門でございますし、そういう方々が、でき得れば日本のそういう体制の中で十分に力が発揮できるようにさせてあげる環境づくりが必要だと思うのです。三十代から四十代の初めの方々で大体研究の最高峰まで行ってしまうと言われておりますし、先ほど私が名前を挙げた方々も大体三十一、二と四十の前半の方でございます。そういう意味では非常に有能な人材であります。そういう方々があって、また後輩が育つというわけでありますから、この点については一時に日本の場合は人材の養成というのが急務である、特に基礎研究の部門において格段の必要性があるということを心にとどめおいて対応をしてほしい、こう思うわけであります。 きょうは文部省にも来てもらっておるわけでありますが、そういう意味で、大学教育の中におけるこうした部門の対応はどうなっているのかという問題と、この間も参考人の皆さんの中から、やはり人材の育成というのは高校生のレベルのときから必要だ、私もぜひそうあるべきだと思うのでありますが、こうした点につきましての文部省としての取り組みはどういうふうになっているのか、その点についてひとつ明快なる御答弁をちょうだいしたいと思うのでございます。
○佐藤説明員 バイオサイエンスに関する教育研究活動を推進いたしますためには、すぐれた資質、能力を持つ研究者の確保、それから独創性のある若手研究者の養成、こういうことが極めて重要な課題であることはただいま御指摘のとおりでございます。私どもの学術審議会におきましても本年二月に建議をちょうだいいたしておりまして、「大学等におけるバイオサイエンス研究の推進について」ということでございますが、その中でも同様の趣旨が述べられているわけでございます。 先端科学技術に関連をすることでございますので、大学での取り組みは、まず研究活動面、研究所あるいは研究施設の充実といったところから手をつけまして、順次大学院の研究組織あるいは学部段階の教育研究活動の組織というふうに整備をされていっておるわけでございます。最近におきましても、大学院レベルでは京都大学や九州大学に、あるいは学部レベルでは東京工大に学科をつくるというようなことが進められておるわけでございます。 今後とも、学術審議会の建議の趣旨も踏まえまして、また大学における教宥研究活動でございますので、大学の御意向をよく伺いながら、この関係の整備充実について努めてまいりたいと考える次第でございます。 高等学校関係は、ちょっと所管が違いますので……。
○菊川説明員 高等学校におきます職業教育につきましては、これまでも科学技術の進歩や産業構造の変化に対応して教育内容の改善に取り組んできたところでございます。 農業高校の教育内容に関しましても、昨年二月に出されました理科教育及び産業教育審議会の答申におきまして、農業分野におけるバイオテクノロジーの進展に対し、一層配慮する必要があると指摘されているところでございます。この答申を契機に、全国の農業高校におきまして、バイオテクノロジーの進展に対応する観点から教育内容の見直しが行われているところでございます。具体的に申しますと、例えば動物の受精卵の培養、植物の組織培養等を教育内容とします生物工学科の設置が進められ、また、従来からございました園芸科等におきましては、洋ランとかイチゴ、カーネーション等の組織培養に関する教育の導入が行われておるところでございます。 これによりましてバイオテクノロジーに関します素養を持った人材の輩出が行われておるところでございますが、文部省としましては、今後とも、バイオテクノロジー、バイオサイエンスの進展等、時代に即した高校教育の充実に努めてまいりたいと思っております。
○武田委員 今度、東北大学で、バイオテクノロジーの急速な進展に対し、新年度に全学共同利用の遺伝子実験施設を設け、人材育成と遺伝子関連の独自の研究に力を入れるということになりました。随分遅いなと思うのですが、これで国立大学では全国で七番目。東大、名大、筑波大、北大、九大、金沢大、今度の東北大学で七番目、非常に対応がおくれていると思います。特に、農芸化学がやっている微生物を使ってのハイテク、つまり工業サイドに立ったバイオテクノロジーというのはかなり進んでいるようですが、植物、動物とかの農業バイオテクノロジーの基礎研究は非常に弱いと指摘されておりますから、この際ひとつ、各大学のそうした施設の充実とともに、人材養成の機関としての充実の度合いを一層高めてほしい、このことをまず要望しておきたいと思うのであります。 そこで、時間が余りありませんので、次にお願いしたいことは、基礎研究が非常におくれているにもかかわらず、日本の場合はその方面に対する投資がアメリカなどに比べて非常に低い。何か、アメリカの十分の一以下であると指摘されている。それに、財政投資の絶対額がまだまだ少ないということによって、それでなくてさえ格差があるのが、今後さらに水をあげられる心配はないのかということでございます。 いろいろ勉強したところでは、アメリカではバイオテクノロジーの基礎的研究であるライフサイエンスのレベルが非常に高い。それは、国の投資が基礎研究に集中して行われている、ここが日本と違うのだ。日本人がアメリカの大学や研究機関で仕事をしているというのは、そういう方々に豊富な研究費があるのが魅力である、こういうことも指摘されておるわけです。ですが、我が国の場合は、最近、年々ハイテクの重要性が指摘されまして関連の予算は増額されておりますけれども、どちらかというと我が国の場合の予算の特徴は、企業に対しての開発資金に援助するというか、そういう傾向が強い。いわゆる基礎研究にもっともっとお金の投資が必要だという指摘があるのですが、この点についてどういうふうにお考えであるか。私は、今これに相当のウエートを置かないと、指摘されるようなアメリカ等との格差が大きくなっていくという心配をするだけに、この際、そういうごとのないような配慮を予算の面でもしてほしいということを要望しながら、質問するわけでございます。
○櫛渕政府委員 先生の今御指摘のとおりでございまして、バイオテクノロジーの今後の研究開発を進めるに当たりましては、基礎研究の果たす役割、特に国の機関におきます基礎研究分野の役割が非常に大きいと考えております。そういった観点から、国の試験研究機関におきましては、基礎的、基盤的技術の開発を通じましてバイオテクノロジー開発の先導的な役割を果たしていくことが極めて重要であると考えておりますし、そういった観点から、例えば細胞融合でありますとか組みかえDNA技術の開発、あるいは遺伝子の発現機構の解明、こういったことを長期的な視点に立って推進しておるわけでございますが、さらにまた、こういったバイオテクノロジーの基盤となる生物の遺伝資源の総合的な確保、こういったところにも力を入れている次第でございまして、こういう観点での研究投資、こういったものについても昨今、年々充実を図ってまいっている次第でございます。
○武田委員 次に、安全性のガイドラインの適正化の問題で質問いたします。 非常に未知の問題が多い遺伝子操作技術でありますこのバイオテクノロジーが、どちらかというと非常にバラ色の夢が先行しているように思います。そういういろいろな本もたくさん出ているわけでございますが、しかしながら、反面、このバイオテクノロジーのブームへの警告と、それからセキュリティー、いわゆる安全性の問題について指摘がされておるわけでございまして、特にこの遺伝子操作の潜在的危険性というものについてどういうふうに認識をされているか、この問題をまず最初にお尋ねをしておきたいと思います。そして、この安全対策というものはどうあるべきかというような点についてのお考えをひとつお聞きしたい。 これは農林水産省と同時に、きょうは科学技術庁にも来ていただいておるわけでございますから、両者からそれぞれひとつ御答弁をいただきたい、こういうふうに思います。
○櫛渕政府委員 遺伝子操作の潜在的な危険性についてどう考えておるかということでございますけれども、組みかえDNAの技術、バイオテクノロジーの中の特に組みかえDNA技術でございますけれども、これにつきましては、科学技術会議の八号答申の中でも述べられているところでございますけれども、これまで自然界に存在しなかった新しい遺伝子の組み合わせを持つような細胞がつくられる、そういったことから、用いられる試料によりましては人間及びその他の生物に危険をもたらす可能性がないとは断言できない、そういう意見がございます。これに対しまして、生物の持つ機能の完全な解明には至っていない現時点におきましては、こうした考えを科学的に完全には否定できないということが、今先生御指摘の潜在的危険性ということの実情かなというふうに考えております。 なお、各国でもうここ十年以上にわたりまして、それぞれ組みかえDNA実験に関しまするガイドラインを定めまして、そのもとで非常に数多くの実験が行われてきたわけでございますけれども、こういった実験の経過の中では、懸念されたようなことが現実のものとなったという例は聞いていない次第でございます。
○高橋説明員 お答えいたします。 組みかえDNA技術の研究は、ライフサイエンスの中でも特に重要な分野でございまして、その成果は、がんの本態の解明とかそういう基礎研究、それからインシュリン、インターフェロン等の医薬品の生産、動植物の品種の改良等応用研究に至るまで、広い範囲において人類の福祉に大きく貢献するものでございます。 この組みかえDNA技術の研究は、生物に新しい性質を持たせるという面もございますので、研究実施に当たっては安全の確保に万全を期すことが必要と認識しているところでございます。このため、昭和五十四年八月に内閣総理大臣が科学技術会議の答申に基づきまして組換えDNA実験指針を定めているところでございます。この指針は、内閣総理大臣から各省庁大臣、都道府県知事、民間機関に対して通知して周知徹底を図っておりまして、その遵守方を要請しているところでございます。これらによって各種研究機関における研究は安全に行われているところでございますが、今後とも安全の確保には最大限努力をしていく所存でございます。 以上でございます。
○武田委員 その点についてもう少しお尋ねしますが、埼玉大学理学部教授の市川定夫さんが指摘していることをちょっと参考までに読んでみたいと思います。 生物は、その長大な進化の過程で、自然界に適応し、異なる生物種間の有機的なつながり(生態系)を確立してきた。 こうした進化、適応、生態系形成のすべての過程は、自然環境との長い長い接触の中で培われたものであって、それゆえ現存する生物種は、それぞれの自然環境中に存在する諸条件に適応する能力をもち合わせている。 たとえば、毒物に対しても、忌避して摂取しない、分解・無毒化する、速やかに体外に排出する、抵抗性、免疫性をもつなどの機能を備えている。 しかし、生物がかつて遭遇したことのない物質、要因、つまり人類が科学技術によってつくり出した、自然界には存在しなかったものに対しては、違ってくる。 適応の機会を全くもたなかった生物は、生態系全体として適応を全く知らない。 天然に存在しなかった人工の化学物質に対しては、生物は、これら未遭遇の物質を識別する能力をもたず、それゆえ忌避して摂取しないという反応を示さないばかりか、体内に入ってしまうと、分解・無毒化したり、体外に排出したりする機能を持たないから、これら人工化合物は体内や生態系内に蓄積する。 こういう一つの論文を私、読みまして、これからこういうような状況の中で、いろいろな予想しないような、例えばがんのようなものが出てきているということでありますが、植物は動かないから安心だというような考えがあるようでございますけれども、一般的に高等植物は自活力が非常に強いだけに、いわゆる変な遺伝子が生態系を破壊する、そういうことの要因になりはしないかというような心配、要するに、そういう今までなかったこと、経験のないことの中で起こる、今ここに取り上げられたいろいろな危険性というものを十分に勘案しまして、安全性の問題については殊のほかにきちっとしたガイドライン等設けて対応しなくてはいけない、こういうふうに指摘をしておきたいと思うわけであります。 そこで、バイオテクノロジー先端技術に関する試験研究を推進するに当たりましては、今申し上げましたように、生物災害発生の危険性などに十分配慮して、適正な試験研究が行われるよう指導監督に万全を期していくように重ねて私は要望し、その実用化に当たりましては、安全性の確保及び、問題は食品です、食品として供することの適格性等について事前評価するための制度確立なども必要だというふうに私は思うわけでありますが、この点につきましてはどういうふうにお考えでございましょうか、お答えをいただきたい、こう思います。
○櫛渕政府委員 お答えいたします。 組みかえDNA技術の実用化段階を迎えているわけでございまして、こうした状況の中で、今先生御指摘のように、この技術が非常に画期的なものであるがゆえに、一層その安全性の確保に対しては実用化段階においても十分留意する必要があるというふうに考えておるわけでございます。 こうした観点から、農林水産省におきましても、この技術が農林水産分野におきましての実用化段階での活用が大いに期待されるという状況の中で、適正な安全性の確保のあり方につきまして、先生今御指摘の点も十分踏まえながら、今後早急に検討してまいりたいと考えております。
○武田委員 生命や生物にまつわる科学技術というのは、いろいろと各省庁によって名前がたくさんございます。科学技術庁や厚生省はライフサイエンス、通産省はバイオインダストリー、農水省がバイオテクノロジー、文部省がバイオサイエンス、こういうふうにいろいろとあるわけでございますが、各省庁こぞってこの分野の研究を強化しようということであれば、この推進策と同時に安全策も強化する必要がある、こういうふうに思います。ですから、各省庁がばらばらに研究を推進するものであれば、なおのこと安全の基準というものや規制については国として統一したものを確立する必要があると私は思います。この点は、お互いの縄張り争いの中で変なことにならないように、省庁の連携の中でしっかり対応していただきたいとお願いをいたします。 我が党としましては、このバイオテクノロジーの健全な発展を推進するために、一つには平和利用のみに限る、二番目には人間及び環境に対する安全の確保のもとに行う、三番目に民主的に研究開発を行う、四番目に人間に対する遺伝子操作等は適正なる情報の告知のもとに当該者または保護者の同意を必要とする、それから研究開発に関する情報は公開するという五原則を確立して、その遵守方を推進することにしているわけでございます。そして、安全行政の総括的機関などもしかと設置して、その中で、十分に危険性のない、要するに絶対に安全というものを目指しての取り組みが何よりも今後大事な課題であるというふうに考えているわけでございますが、こうした問題につきまして当局の御意見というものをひとつお聞きして、今後この問題についての取り組みに対する御決意も最後に大臣からお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
○櫛渕政府委員 農林水産分野の技術開発でございますけれども、御承知のように、これは生物を対象にいたしまして、自然との調和を保ちながら、多数の生産者に利用され、そこで安全で良質かつ低コストの食糧を安定的に供給をすることを目的として進められているところに特徴があると考えております。こうした性格から見まして、農林水産分野におきまして遺伝子操作等の先端的な技術開発を今後推進するに当たりましても、その成果が終局的には農林漁業者や消費者に幅広く利用されまして、国土資源の維持、培養等にも十分役立つ、そういうものでなければ今後の産業技術としての意味がないのではないかというふうに考えております。 したがいまして、これまでと同様、今後におきましても御提言の趣旨に反するような状況がないように進めてまいりたいと考えておりますし、画期的な技術としてこの遺伝子組みかえの技術に非常に大きい期待があるだけに、研究者の独創的な発想を尊重しつつ、産官学の連携あるいは研究情報、人材の交流、こういったことに努力をしながら、先生御指摘の安全性の確保には十分留意いたしましてこの分野の技術開発の促進を図ってまいりたいと考えております。
○羽田国務大臣 先日も申し上げましたけれども、この安全性の問題につきましては、例のサミットにおきましても各国の首脳が集まりまして議論をし、そしてその後毎年この問題について各地で実は議論をされ、ことしも議論をされるようになっております。そこに集まる人たちも、単にこの専門の技術者というか科学者というだけではなくて、幅広い分野の学者の方々あるいは宗教家の方々、そのほかの皆さん方もお見えになりながらそういったことが議論されております。 私たちもそういった議論の動向というものを見守りながら、また今日のこの技術の進みぐあいというものも十分見守りながら、特にこれが実用化されるときに、それが本当に安全であるかどうかということ、これは今御指摘のとおりでありまして、人類の福祉を増進するということでまさにこういった技術が開発される、あるいは農業生産というものが真っ当に行われていくという中で研究が行われなければならないというふうに私どもの分野でも思っております。 なお、今お話がありました各省庁が縄張りといいますか、お互いに切磋琢磨する、あるいは違った分野がありますからそれぞれが研究する、しかしそういった中でも安全性というものはお互いに確保しなければいけないということで、これは全体的に見詰めていく必要があろうと考えております。 いずれにいたしましても、今御提案のありましたことも踏まえながら、安全でしかもこれが人類の福利につながるのだということを目標にして、これからもそれぞれ研究を進められていくように私どもも万全な体制を整えてまいりたい、かように考えております。
○武田委員 時間が来ましたので終わります。
○大石委員長 菅原喜重郎君。
○菅原委員 バイオテクノロジーの研究開発は今後の我が国の農林水産業の発展にとって極めて重要な役割を持つものと考えまして、今回の法案提案には一応前向きに私たちも取り組んでいるところでございます。しかし、この場合、基礎的分野の研究、植物組織や細胞のバイオ技術とか分子生物学の一連の操作とか生体内での一連の生化学反応の解明という、長年月の基礎研究を有する分野というものを見逃し得ないわけでございます。この点について国の果たす役割は大きいわけでございますので、国と民間の役割についてどのように考えているか、また国のハイテク研究の推進のための体制はどのようになっているのか、今後の体制整備をどう進めるのかをお伺いし、大臣にはこの基礎研究を中心に国の果たす役割の推進についての所信をお伺いしたいと思うわけでございます。
○櫛渕政府委員 お答えいたします。 初めにバイオテクノロジーの研究推進に当たりましての国と民間との役割はどうかということでございます。この方面の研究開発につきましては、非常に分野が広いということと同時に、基礎研究から応用、実用化のための技術を総合的に進めていく、そういったことが必要でございまして、こういった観点から国の試験研究におきましては基礎的、基盤的な技術の開発、ここに重点を置いて進めてまいっております。特に先生先ほどお話のありましたような組みかえDNA技術だとか細胞融合というような基礎的な研究、あるいは遺伝資源の確保とか、こういう基盤的な研究、こういうところに特に国は重点を置いております。 民間でございますけれども、民間の研究は、国等のそういった基礎的な研究成果の活用あるいは遺伝資源の活用、こういった観点から、主として応用的、実用的分野におきまする技術開発、こういったところで民間に期待するところが大きいわけでございます。民間の非常に高い研究開発ポテンシャルというのは、食品でありますとか農薬、肥料あるいは動物用の医薬とか飼料、こういった分野に従来から非常に実績があるわけでございますが、こういった点の研究開発が中心になって進められると考えております。 さらにハイテク研究の体制についてでございますけれども、御案内のように五十八年十二月に農林水産省としては農業生物資源研究所を設立いたしておりますし、さらに五十九年には技術会議の事務局の中にバイオテクノロジー室を設置いたしておりまして、国の試験研究の推進体制の整備を図っております。五十九年からはハイテク研究開発を精力的に進めることといたしまして、ここで産学官の連携ということを基本にして研究開発を進めておりますし、六十年度からは御承知の農林水産ジーンバンクの整備に力を入れてございます。さらに六十一年度には、引き続き総合的なバイオテクノロジーの開発というような観点から、国の専門機関あるいは地域農業試験場にバイオテクノロジーに関しまする研究室を設ける等、国の体制の整備を図ることと同時に、現在御審議願っておりますこの生物系特定産業技術研究推進機構の設置等によりまして、民間研究の促進を図るという方向で進めておるところでございます。
○羽田国務大臣 今先生から御指摘のとおり、バイオテクノロジーあるいは先端技術、こういったものの開発につきまして国が果たす役割、まさに基礎的な面においてこれを進めていくべきである、御指摘のとおりであります。国としましても、今後とも民間の活力、これを有効に活用するための新たな、今お願いしておりますような方途、こういったものとあわせて、国などの公的機関における先導的、基盤的な技術開発の充実にさらに努めてまいりたい、かように考えております。
○菅原委員 バイオテクノロジーと遺伝資源とは、いわば車の両輪のようなものでございます。そこで、我が国の遺伝資源の収集、保存の状況はどうなっているのか、世界に比べて十分な体制となっているか、今後どのように進めていくか、お伺いいたします。
○櫛渕政府委員 我が国の遺伝資源の確保の状況でございますけれども、現在時点で植物の遺伝資源で約十二万点ということでございまして、これは遺伝資源に関しまする先進諸国、例えばアメリカでは三十四万点あるいはソ連では三十五万点、中国では三十万点、こういうところに比べますとまだまだ十分な水準とは言えない状況にございます。したがいまして、今後は国内の在来種はもちろんのことでございますが、熱帯、亜熱帯を中心といたしまする遺伝資源の宝庫と目される地域を中心に、国際協力等を通じまして海外の遺伝資源を積極的に収集をしてまいりたい。当面、現在のジーンバンク事業の推進構想の中では、昭和六十七年度をめどとしまして、先進諸国に近い水準に達成するように努力をしているところでございます。
○菅原委員 この遺伝資源は、人類共通の資産として今後これを蓄積していかなければならないものだ、こう思っているわけでございます。そしてバイオテクノロジーの技術の開発は、やはり世界人類の幸福に役立てていく方向にまず一つの基礎、哲学を置くべきだと考えるわけでございます。そのためには、この研究開発の推進、遺伝資源の探索、収集、保存、交換、利用について、国際的な提携協力を進めることが重要だと考えるわけでございますが、このことに対してどのような対処をしょうとなされているのか、その方針をお伺いしたいと思います。
○櫛渕政府委員 国際的な観点からの遺伝資源の収集、保存あるいは利用の問題でございますけれども、現在我が国は、一つは、植物遺伝資源に関しまする国際機関であります国際植物遺伝資源理事会、IBPGRという組織がございますが、この国際的な遺伝資源の収集活動に積極的に参加をしてございます。 この活動の中で、実は昨年、一昨年ともにネパール等の国々へ他国と共同で遺伝資源の探索に出かけまして、相当大きな実績を上げてきたところでございます。さらにまた、国際的な協力という面では、その今のIBPGRの組織の中で我が国の農業生物資源研究所が稲、麦、大豆等々、かなり多くの作物の重要な遺伝資源の国際的な保存機関としての役割を分担しているところでございます。 さらにまた、中国の雲南省におきまして、現在遺伝資源を利用した日中両国の稲の育種に関する共同研究をやってございますけれども、こういう遺伝資源の非常に豊富な国々との国際的な共同研究等を通じましてお互いの技術の交換を進めているところでございますし、さらには熱帯、亜熱帯の発展途上国の若い研究者の方々を我が国に招きまして遺伝資源に関する研修というのをやっておりますし、さらにそれぞれの国におきまする現地での技術協力、こういったことを通しましてもお互いに遺伝資源の国際的な技術協力ということに努めている次第でございます。 こうしたことで、今後とも国際協力ということを一層進める中で、遺伝資源に関しまする国際的な提携協力に一層努力してまいりたいと考えております。
○菅原委員 性質など品種改良に重要な役割を演ずる遺伝子は十数個から数十個セットになって働いている、こういうDNAレベルでのセットを探すことというのは大変な気の遠くなるような仕事でもあるというふうに聞いておるわけでございます。こうなりますと、ハイテク研究には、そしてまた世界に伍してこれを進めていくためには、人材の育成ということが重要なわけでございますが、こういう点で今回の法案を見ますと、新法人の業務は融資事業、出資事業が中心となっているような法案であると思うわけでございます。ハイテクという広範な可能性を持った技術開発を進めるのに、出資、融資合わせて十八億円ぐらいでは非常に心もとない出資あるいは融資金でございます。この点について今後どういう対応をしていこうとしているのか、お伺いしたいと思います。
○櫛渕政府委員 新法人の六十一年度の予算規模は、産投会計の財源事情ということもありますし、この新法人が設立の初年度である、そういうようなことのために基本財産の形成が必要であるということ、さらには業務の開始が秋以降になるために半年度の予算であるというようなこと、あるいは民間の資金需要の的確な把握が困難であった、そういういろいろな事情によりまして、先生の御指摘のようにスタート段階では出融資十八億ということになっております。 六十二年度以降の資金計画でございますけれども、基本財産の形成のための財源積み増しということがさほど多額を要しないと見込まれておりますこと、さらには民間の資金需要の動向を今後踏まえながら、出融資事業を増枠する方向で所要の予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
○菅原委員 また、この法人業務の融資事業、出資事業の審査ということはやはり公平の確保、公益性の確保に十分配慮されなければならないわけでございます。この点どのように進めようとしているのか。さらにこの機構の民間研究開発促進業務については、地域の特色を生かした農林漁業の発展に役立つような技術の開発にも活用されるべきだと考えるわけでございますので、この対処方針はどうなっているか、お伺いします。
○櫛渕政府委員 最初に、機構の業務は公益性を配慮すべきである、御指摘のとおりでありまして、このために出融資の事業の審査の体制の中で、それぞれ生物系特定産業技術につきまして造詣の深い学識経験者等の方々によりましてそのプロジェクトの申請課題につきまする審査を公平にやっていただく、こういったことでプロジェクトの採択を図っていきたい、こういった中で全体の公益性の確保等についても遺漏のないようにしてまいりたいと考えておるわけでございます。 さらに、地域におきまするいろいろな地域性の豊かな技術、こういったものに十分この機構の支援をという御指摘でございますけれども、これにつきましても当然、その農林漁業の技術というものが地域の特性に即して非常に多様な技術の開発が求められている状況はまさにそのとおりでございますので、この機構のそういった出融資対象の中で、特に地域農業の事情に通じております農業団体あるいは地元の企業あるいは都道府県、こういったところによりまするいわゆる第三セクターによる非常に地域性の高い試験研究、こういったものを積極的に支援してまいる、そういったことを考えているわけでございます。
○菅原委員 これまで農業機械化研究所は農業機械の開発、改良、研究等を通じて我が国農業の生産性の向上に寄与してきたこと、またその効果も大きかったことは認めるわけでございます。しかし、今回このような成果を出してきている農業機械化研究所を改組することとしておりますが、バイオテクノロジー等の民間の試験研究を促進する民間研究促進業務と農業機械の開発、改良等を行う農業機械化促進業務とは性格が著しく異なるわけでございます。これを一緒にするというのには私はまず不自然を感じたわけでございますが、同一の法人で取り扱うことにした積極的な理由はどういうことでございますか。
○櫛渕政府委員 この新しい法人でございますけれども、これは生物系特定産業に係る技術の高度化を推進するための民間におきまする試験研究の支援業務を行う、こういうことを目的に設立をされるものでございますけれども、こうしたいわゆる民間研究促進業務と従来農業機械化研究所で実施しております農業機械化の促進に資するための試験研究、こういった業務とは、お互いに技術開発を通じまして我が国農業の体質の強化を図る、そういう点で目的、趣旨を同じくするものと考えておりますし、また双方業務とも、民間との連携あるいは研究成果の相互利用、こういった点におきまして、この一つの機構の中で行います。そのことが両業務の推進上に有効ではないかと考えるわけでございまして、現在審議をお願いしておりますこの機構の法案におきましては、このような判断に立ちまして、なお行政簡素化の要請にも配慮いたしまして機械化研究所を発展的に改組して、両業務をあわせ行う、そういう機構を設立するということに至った次第でございます。
○菅原委員 我が国農業の生産性の向上及び低コスト化を推進するために、従来にも増しまして農業機械化の促進が重要なテーマとなるわけでございますので、農業機械化促進のための業務を積極的に推進されることを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○大石委員長 中林佳子君。
○中林委員 前回の質問でも私指摘をしてまいりましたけれども、ハイテク優先の陰で本来充実すべき農林水産関係の研究がおろそかになっていたり研究条件が不十分であったりという問題が出てまいっております。きょうは法案に関連して、引き続いて国の試験研究機関として特に緊急を要する問題を質問したいと思います。 それは家畜の病気対策の問題なんですが、牛の白血病の問題についてお聞きします。牛の血液がんと言われているこの白血病が全国的にどういう状況であるのか、またその原因は何であるのか、白血病研究は現在どのような到達状況になっているか、この三点についてお伺いします。
○大坪(敏)政府委員 私の方から、まずただいまお尋ねございました牛の白血病の発生状況と発生の原因につきまして御説明申し上げたいと存じます。 我が国におきます牛の白血病でございますが、地域により差はありますものの、ほぼ全国的に発生いたしております。その発生状況でございますが、昭和五十九年度におきます発生頭数は家畜共済統計によりますれば百九十頭となっております。 次に本病の発生原因についてでございますが、現在までの研究では一部原因不明なものもありますけれども、大部分は牛白血病ウイルスに起因するというふうにされておるところでございます。ただ発病する牛でございますが、牛の白血病ウイルスに感染したものの中でごく一部、頭数で申しますと一千頭感染した中で発病したものは大体一頭程度ということでございまして、そういう発病の状況でございます。
○櫛渕政府委員 牛の白血病に関しまする試験研究の実施状況でございます。 昭和五十五年度から四カ年計画のプロジェクト研究ということで、牛白血病の早期診断及び予防技術の開発に関する研究、こういったプロジェクト研究を家畜衛生試験場を中心といたしまして公立機関、大学等の協力を得ながら実施をしてまいったところでございます。この中で病理学的あるいはウイルス学的な調査を実施いたしまして、発生の生態の把握をやってまいったわけですけれども、あわせて白血病の診断法を確立をいたした次第でございます。 これは白血病に感染した牛につきまして、寒天ゲル内の沈降反応あるいはエライザー法という酵素免疫測定法、こういった方法によりまして牛が白血病にかかっている場合にそれを判別することが可能になった、これがこのプロジェクトの成果でございます。こういったことで、今後とも引き続き白血病によります腫瘍、どういうプロセスでいわゆる腫瘍が起こるのか、あるいは腫瘍免疫の研究、こういった面を通しながら白血病のワクチン開発、現在その確立に向けて研究が進められているのが現状でございます。
○中林委員 私が直接畜産農家からお話を聞いたところでは、この白血病はアブによる感染で広がっているのではないか、このように言われているという状況なんです。今、白血病の発病した頭数だとか、実際にそういう病原を持っている牛が病気にかかる率というのは千頭に対して一頭の割合だとかというぐあいに非常に低い数字をお述べになっているわけですけれども、農家にとっては非常に不安材料になっております。 昨年島根県内のある地域で九戸の乳用牛三百三十二頭について白血病の抗体検査をしたところ、何とその二三・二%に当たる七十七頭の牛が陽性となっていたことが判明しました。多い農家では四〇%陽性という農家も出てきております。白血病になればその牛は淘汰しなければならず、畜産農家にとっても甚大な被害を受けることになるわけで、一日も早く原因究明と予防対策が求められております。 農水省として今プロジェクトという四年計画のお話がありましたけれども、家畜衛生試験場を通じて特別の研究体制を指示していただきたい、農家の側からの非常に強い要望でございます。そして全国的規模で白血病の検査をやってほしいという要望があるわけですけれども、この点はいかがでしょうか。
○櫛渕政府委員 先ほど申し上げました特別研究の中で、全国的な規模で昭和五十五年と五十七年につきまして相当な検査頭数を用いまして乳用牛と肉用牛についての白血病ウイルス抗体の調査をいたしております。そこで地域によってそういった陽性に出る、いわば感染率が大分違うという実態がわかっておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、現在家畜衛生試験場におきましては、こういった全体の診断法の確立に続く研究のプロセスといたしましてワクチン開発、これは非常に難問がたくさんありましてなかなか思うように進んでいないようでございますけれども、こういったワクチン開発に向けてこの研究に鋭意取り組んでいるという状況でございます。
○中林委員 農家側の話では、まだまだ国の検査体制というのはなまぬるい、このように言っております。といいますのは、ゲル沈反応の試薬が非常に少なくて高いというのです。それで、一頭五百円農家負担がかかって、五十頭ぐらい飼っている農家はざらなんですが、そうすると二万五千円かかるという話なんです。ですから検査しないでほうっておいた方があるいは差し引き計算をすればいいのではないかというぐらいな農家もある。だけれども、大変恐ろしい病気なので何とかやりたいのだけれども、国が率先して全国的にこの検査の体制をとってもらわなければ、特に和牛農家などは、乳牛の方は直接乳にも影響を及ぼすかもわからないという観点から比較的検査をする農家は多いと思うのですが、和牛などは検査の農家の戸数は非常に低いということを農家側は話しておりました。ですから、二回にわたって全国的にやったのだとお話しになりますけれども、検査体制をぜひ強化していただきたいということを重ねて要求いたします。 さらに、具体的にはこういう話もあるわけです。これは家畜衛生試験場のウイルス第三研が試料収集をやっているという話だったのですが、島根の畜産農家で聞いた話では、ある農家の陽性となった牛をぜひ研究標本で欲しいと言われて、提供してもいいということになったのですけれども、結局運賃の予算が確保できないために血液標本だけ持って帰っていったということなんです。研究者はその牛自体が欲しいということだったのですけれども、こういう状況であった。一日も早く予防対策を明らかにしてほしい、こういうことを農家側も願っているし、提供してもいいということを言ったのに、標本も予算がなくて運べないという状況では心細い限りなんです。ですからこの点でも研究予算をふやして積極的にぜひやっていただきたいということが一点です。 そしてさらに私心配するのは、白血病陽性の牛から搾った牛乳、これが人体に一体どういう影響を及ぼすか、これはどのようにお考えになっているのでしょうか。
○大坪(敏)政府委員 ただいま後段で御質問ございました白血病に感染した牛の乳を飲んだ場合人体に及ぼす影響はどうかという点についてでございますが、牛の白血病の原因でございます牛白血病ウイルスは、研究結果によりますと人に感染することはないということと、また牛乳中のウイルスは摂氏六十度以上の高熱で殺菌すれば死滅をするということは証明されているようでございます。一方、先生御案内のように、我が国の場合牛乳殺菌方法は最も低い温度でございましても摂氏六十二度、三十分による殺菌法をとっているわけでございますので、まず衛生上は特に問題ないというふうに考える次第でございます。 ただ、食品衛生法におきましては、白血病に感染しまたは発病している牛の乳につきましては、これを食品として販売しまたは食品として販売の用に供するために採取等をしてはならないという定めがあるわけでございまして、これにつきましては厚生省におかれまして食品衛生法体系のもとにおいてこのための措置を講じられているというふうに承知しております。
○櫛渕政府委員 これは私どもの研究機関だけというよりは関係の都道府県あるいは畜産局、いろいろなところと関係がありますので、そういう点で実際のお役に立つような方向で努力をしてまいりたいと考えております。
○中林委員 実際は本当に農家にとっては、研究費に対しては予算が極めて少ない、このように受けとめられていることは間違いございませんので、特段の努力をしていただきたいということを重ねて要求いたします。 そして人体に影響がないという結果が出ているというお話でしたけれども、私は獣医さんたちにもお話を聞きましたが、これはリンパ球の中にがんが発生することであるから全く安全だということは言えないのじゃないかということで、獣医さんたちも大変不安を抱いていらっしゃいましたので、安全性の問題はさらに検討していただきたいと思います。 牛の白血病はまだ法定伝染病には指定されておりません。豚のオーエスキー病がやっと法定伝染病に指定されたわけですけれども、これもすぐに国の保障が実現したわけではなくて、二年ぐらいたって淘汰の際に六十一年度から補助が出るようになったわけですが、同じような牛の病気でも結核だとかブルセラという病気では淘汰する場合国から保障される仕組みになっております。白血病についても原因究明を急いで国としての対策、例えば、伝染はしないというふうにおっしゃいましたけれども、それに類するぐらいの対策を講すべきではないかと思いますが、これについてはいかがでしょうか。
○大坪(敏)政府委員 先ほどもお答えしたわけでございますが、現在の牛の白血病の発病状況が、感染した牛千頭について一頭程度であるというような状況等考えますと、今先生おっしゃいましたようなことを直ちに実施するについてはまだもう少し検討してみる必要があるのじゃなかろうかというふうに考えております。 ただ、私ども、家畜衛生試験場におきまして、五十五年度から五十八年度にかけまして牛の白血病の診断及び予防技術の開発という研究が行われたわけでございまして、一応その成果も出ましたので、この成果を踏まえまして、ことしの三月に各都道府県知事あてに、畜産局長名をもちまして白血病に対する国としての対応策について指示をした次第でございます。 主要な点を申し上げますと、まず一つには、都道府県は関係機関と連携し、本病発病牛について速やかに淘汰すること、牛白血病が継続的に発生している地域等において牛を放牧する場合には入牧時に抗体調査を行うこと、抗体陽性牛につきましては放牧を制限し、その産子、つまりその牛が産んだ子供でございますが、その産子につきましては早期離乳等を行うこと等々の一連の指導方針を示しまして、現在その徹底を図っているところでございます。 なお、先ほど御質疑中にございましたけれども、本病ウイルス抗体検出のための診断用抗原、つまり診断薬についてでございますが、これにつきましては家畜衛生試験場での研究開発が終わりまして、民間の製薬会社におきまして薬事法の許可を得て本年四月から製造、販売を始めたということでございますので、この面につきましては、かなり検査の面では今後スムーズな展開が期待できるのではないかというふうに考えております。
○中林委員 発病率というのが千頭に対して一頭というお話でしたけれども、陽性の抗体を持った牛は発病しなくても大変弱い、ほかの病気に非常にかかりやすいというのが畜産農家の意見なんです。だから、二〇%ぐらい出たところ、これとこれとこれは陽性だというのを見た農家の人たちがそれをずっと継続的に見ていると、本当に弱いので早く出してしまいたい、早く乳を搾って終わりになったら出してしまいたいという、そういう願望を持ちながら、実は早く農家からは手放してしまいたいというようなことまでおっしゃっておりました。そうでなくても乳価が下げられ、肉牛の方も価格が低迷している中で、こんな状況でございますので、一層の指導を行ってほしいと思います。 さらに、牛の病気対策としていま一つ要求したいのは、南九州地方で多発している牛の異常出産対策です。 既に農水省の家畜衛生試験場九州支場で病原ウイルスが発見されているということですが、予防ワクチンの研究開発を急がなければならないと思います。農水省は異常出産の状況をどのように把握し、予防ワクチンの開発などの対策はどのようになっておりますでしょうか。
○大坪(敏)政府委員 南九州におきます牛の異常出産の状況でございますが、関係県の調査によりますと、本年三月末までに約二千二百頭の発生が見られております。なお、本年に入ってからの月別の発生状況を見ますと、一月に七百六十六頭、二月に七百十七頭でございましたけれども、三月に入りますと三百三十九頭と大幅に減少している状況にございます。 次に、ただいま先生お話しございましたように、家畜衛生試験場の九州支場で分離に成功いたしましたウイルスについて、今回の異常産の原因であると判断するに至ったわけでございますので、これを踏まえまして、現在家畜衛生試験場におきましては本ウイルスの性状等について鋭意研究を進めておるところでございまして、その研究成果を踏まえてさらにワクチンの開発に取り組んでまいりたい、かように考えているところでございます。
○中林委員 大臣にお尋ねしたいと思いますけれども、畜産農家の方々は、もはや政府に畜産の発展について要求してもむだだ、これは逆説的な意味ですよ、いわゆる価格が低迷したり価格が下げられたりという、余りにも裏切られることが多いところから発せられる言葉です。これは農家の人が直接言ったことですのでぜひ聞いていただきたいのですが、せめて今ある畜産の現状を守ってほしい、特に病気予防のための研究費までは削ってほしくない、ふやしてほしい、これが最低限の要求だ、こういうふうにおっしゃっていたわけですが、畜産の病気対策、特に死亡に至るような大変な病気対策について特段の力を入れていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○羽田国務大臣 御指摘のとおり、畜産にとりましてやはり病気というものが農家の経営にとりまして非常に大きなダメージを与えるものであるという認識を私どもも持っております。特に九州の方でずっと発生してまいりましたアカバネ病に似たこの病気についても、大変私ども憂慮し、また各支場の方でも非常に、家畜衛生試験場の方でも大変苦労いただいておるという報告をいただき、今お話しのとおりの成果も上げておる。何とかこれに対するワクチンを早く開発しなければいけないと思っております。 いずれにいたしましても、家畜衛生試験場の本場、支場、ここにおきましてこれからも家畜の疾病予防、防除、こういったものについて積極的にやはり研究を進められる体制、これをつくるために私どもも努力してまいりたい、かように考えております。
○中林委員 次に、ハイテク優先の陰で、こういう病気対策についての要求とあわせてやはり都道府県の試験研究に対する国の助成の問題について質問したいと思うのですけれども、六十一年度の都道府県の試験研究に対する助成は前年度よりも七%も減らされております。新たな助成メニューとして地域バイオテクノロジー研究開発促進事業が取り入れられ、従来の総合助成試験事業が廃止となっております。 この研究費を比べてみますと、昨年は十一億四千六百万円であったのが今年度は十億四千万円に減らされているわけです。中でも私問題だと思いますのは、従来総合助成試験事業五億二千六百万ほどありましたのが、これが新たな事業として地域バイオテクノロジー等新技術共同研究開発促進事業四億九千七十八万円ぐらいになっているのですが、これで地域バイオテクノロジー研究開発促進事業、これが一億八千万、そして地域重要新技術開発促進事業、これが三億一千万。つまり、従来総合助成事業で取り上げていたもの、バイオ以外のものは三億円になった。従来五億円いわば使えたものが三億円と、六割に減っだということが地域の基礎的な研究を大変圧迫しているのではないかというような気がしてなりません。ですから、県の試験場の話でも、ハイテク関係の研究テーマを新たに設定しなければ国の補助が受けられないというようなことも言っておりますけれども、予算の配分はそれでよろしゅうございますか。
○櫛渕政府委員 そのとおりだと思います。
○中林委員 そこでさらに私問題だと思いますのは、助成が減っているのとあわせて、従来総合助成事業では各県単独の試験研究課題であっても国の助成がついていたものが、六十一年度からはメニューがえとなったことから数県以上の共同でなければ補助を認めないということになっているようですが、農水省はこのような指導をしているわけですか。
○櫛渕政府委員 六十一年度からの方針として、都道府県の総合助成にかわります新しい方式として先ほど先生の御指摘の地域バイオテクノロジー等新技術共同研究開発促進事業、この事業の方針としては原則として国と県あるいは県と県の県間共同、こういった共同研究を中心に行う、そういう指導をしております。
○中林委員 私は、共同研究がだめだとは言わないのですけれども、地方の試験研究はその地域のさまざまな農民の要求に根差したものでなければいけないと思うわけです。例えば、島根県では水稲の田植えは同じ中国地方でもよその県よりも早いわけなんです。ですから、病害虫駆除の研究も島根県独自でずっと長年積み重ねてまいっているわけなんですが、それが農家の人たちには大変喜ばれております。しかし、今回のいわば従来の総合助成試験事業にかわる二つの事業は数県にまたがる共同研究でなければ受けられないんだということになったら大変だと私は思いますので、県単独でもやれる事業に国の助成をつけるべきだ、改善すべきだと思いますけれども、その用意はありませんか。
○櫛渕政府委員 先生今具体的な例を挙げられましたけれども、島根県の稲作の時期が早いとおっしゃいましたけれども、こういう場合も私どもが考えているのは、例えば西日本でいいますと滋賀県も早い、あるいは静岡県も早いとか、そういう早期栽培を中心にした県がその県の中で共通の問題を取り上げるということで、そういった研究は十分参加できるわけでございます。 私どもが今一番大事にしておりますのは、最近の新しい技術開発に都道府県が非常に熱心に取り組もうとしておりまして、こういう新しい技術開発に関しては国も県と一緒になって、県も単独の県でなくて当然幾つかの県の間で力を出し合って研究を進めることが最も効率的である、ここに重点を置こう、こういう考え方でございます。しかも、もしも他の県と全く関係のないような県特有の技術というものがあるとすれば、それは当然これまでも県自身が県単の予算でやっておりますので、それで十分だという県の方のお話も聞いておるわけでございます。
○中林委員 従来県単でもやっていたんだからというお話でございますけれども、従来は県単独の研究であっても国の助成が受けられているものがあったのが、今回は共同でなければ受けられないということになっていること自体が大変問題だ。そこの地域でなければ研究の成果が上がらないというものもあるのですから、非常に大切な問題ですので、私はぜひ改善を要求して、次に移ります。 県の農業試験場では大変な問題が起きているわけですね。私も直接行ってお話を聞いたのですけれども、国の助成をとるにはハイテク研究を、こういうことで、島根県の農業試験場では六十一年度から新たに生物工学科という科を設けております。ところが、県も行革の最中ということもありまして定員削減を試験場に要求しているわけです。そうなりますと、新たに科をつくるには研究員や施設は既存のところを削ってやらなければなりません。結局、桑の実験室をつぶしてそこに組織培養というハイテク関係の実験室をつくり、研究員も花き科や野菜科などから引き抜いて組織せざるを得ないということでした。こうした新たな科や実験室をつくるのに県は独自に一千万円近い出費を余儀なくされたということで、六十一年度にはさらに一千七百万の予算を投入すると言っております。 こうした涙ぐましい努力をして、ようやく六県共同の胚葉体関係の試験事業が国の助成でスタートすることになったわけですが、一県当たり国から三百万円、県からも三百万円の計六百万円の少額にすぎません。ほかの科の研究員らは、従来の研究を打ち切ってまでハイテク研究を進めても本当に地域の農業に役立つのだろうか、こういう疑問の声も私におっしゃっておりました。ハイテク関係だけではなくして、地域に根差した地方の試験研究にももっと国の助成を強めるべきだというふうに思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
○櫛渕政府委員 先ほど申し上げましたように、現在、どこの都道府県もハイテク関係の研究開発に県自体が非常に熱心でございます。私どもは、いろいろな研究開発の基本技術、基盤技術という観点から県の研究をいろいろな面で支援をしているわけでございまして、そういう観点でハイテク以外の研究についても、時間がありませんから今は申し上げませんけれども、非常に多くの助成は行っておる現状でございます。
○中林委員 大臣、いろいろとおっしゃってみましても、予算の配分そのものが、ハイテクが入ったために従来型の基礎的な研究の予算は削られておりますし、国の助成対策にもなっていないということになっておりますし、県の試験研究を聞きますと、従来は、何カ年計画でやって終わりになれば新たな科目としてやられるものが、島根県の場合でも次から次へと打ち切りになっております。ですからそういう意味で、ハイテク研究を重視する余り、地方でも国でも従来の研究が削られているという状況ですし、民間ベースでおやりになる今回のは資金と資源を国が供給するだけで、国の責任がだんだんなくなってきているように思われてなりません。 国の基幹産業としての農業の発展は、これでは本当に切り開かれていかないというふうに思いますので、本法の撤回とあわせて、国の試験研究体制の充実を強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○大石委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○大石委員長 これより討論に入ります。 討論の申し出がありますので、これを許します。津川武一君。
○津川委員 日本共産党・革新共同を代表し、反対の討論を行います。 我が党は、バイオテクノロジーを初め科学技術の進歩と発展が人類の生活向上と繁栄に大きく寄与してきたことや、今後ともそうした科学技術の発展が私たちの未来に大きな展望を開くものであることを期待しています。そして我が党は、ハイテクを初めとする基礎的研究や技術開発は、大企業本位にゆだねるのではなく、国が責任を持ち、自主、民主、公開の原則で進めるべきであるということを提起してきました。 しかしながら、本法案は、技術研究の真の発展方向とは相反し、国民の福祉や生活向上につながらないばかりか、かえって有害な内容となる心配もあり、本法案の撤回を要求しつつ、以下、反対理由を申し述べます。 反対理由の第一は、バイオテクノロジーなど重要な基礎的研究を民間にゆだねるばかりか、役員の秘密保持義務の条項まで盛り込んで機密研究体制をつくり上げようとしている点であります。 ハイテクの研究開発にはまだまだ未解明な部分が多く、バイオハザードなどの未知なる危険も含んでいます。さらに、遺伝子組みかえ、染色体操作など生命倫理の問題もあり、細菌研究などは、その手法いかんでは軍事利用の可能性も秘められています。 そうした重要な研究であればこそ、国が責任を持って公的規制と公開の原則に基づき進めるべきものであり、本法案には何らの社会的、民主的規制もない上に、役員及びその職にあった者まで秘密保持を義務づけられておる点は、極めて反民主的な悪法と言わなければなりません。 第二の反対の理由は、本法案が大企業の利益に国が徹頭徹尾奉仕する内容となっていることです。 例えば、大企業本位の民間研究に対し国の管理する産業特別会計からの資金を融資しながら、その研究成果は開発した企業に帰属し、公表の義務もなく、融資の条件も、低利、長期の返済に加えて、研究が成功しなかった場合は無利子という特権的条件となっています。しかも、受託研究と称し、国の研究者の事実上の民間出向に道を開き、国の研究機関との共同研究や国の管理するジーンバンク資源のあっせんなど、至れり尽くせりの奉仕を行おうとしています。 一たび大企業がこの研究の成果を商品化し、工業生産化するならば、企業の利益のために農民には高く売りつけられたり、新品種による農民支配が強まることは、既に従来の生産資材でも明らかであります。 そして、反対理由の第三は、臨調行革路線が貫かれ、現行の国の研究や業務体制が縮小されて、真に必要な国の基礎的研究や技術開発が後退させられる点であります。農機具の安全研究など、特に充実を求められている農業機械化研究所を廃止し、その業務の縮小に道を開くなど、農民要求にも反するものであります。 そして、私どもが最も心配しているのは、現在でも行革大綱に基づいて進められている国の試験研究機関の統廃合や縮小再編が、こうした民間を主体とした新機構が受け皿となって一層拍車をかけられようとしている点です。 以上、本法案は、ハイテクという未知なる危険を持つ重要な研究に機密研究体制を持ち込み、大企業には国の研究成果や公的資金を提供するなど徹底的に奉仕し、その結果、現在でも微弱な公的試験研究をさらに後退させるものであって、反国民的な内容と言わざるを得ません。 私は、本法案の撤回を重ねて要求し、反対討論を終わります。
○大石委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○大石委員長 これより採決に入ります。 内閣提出、生物系特定産業技術研究推進機構法案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○大石委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○大石委員長 この際、本案に対し、衛藤征士郎君外三名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。細谷昭雄君。
○細谷(昭)委員 私は、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合を代表して、生物系特定産業技術研究推進機構法案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 生物系特定産業技術研究推進機構法案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行に当たり、生物系特定産業技術に関する試験研究等の適正な推進を図るとともに、生物系特定産業技術研究推進機構の円滑な運営に資するため、左記事項について遺憾なきを期すべきである。 記 一 農林漁業技術をはじめ生物系特定産業技術に関する試験研究を積極的に推進するため、国等の公的試験研究機関による基礎的研究の一層の充実を図るとともに、本機構の事業運営に必要な資金及び人材の確保に努めること。 二 バイオテクノロジー先端技術に関する試験研究を推進するに当たっては、生物災害発生の危険性等について十分配慮し、適正な試験研究が行われるよう指導、監督に万全を期すること。 また、その実用化に当たっては、安全性の確保等について事前評価するための体制の早急な整備に努めること。 三 機構の運営に当たっては、少数の企業による利用に偏ることのないよう業務執行に適正、公平を期すること。特に、民間研究促進業務の出融資事業については、技術研究テーマの選定、技術研究成果の評価等に関し、幅広い見地から審査する専門的審査体制を整備し、公正かつ適切な判断に基づき有効に資金配分が行われるよう努めること。 四 機構の対象とする技術研究が、企業の私的な利潤追求のためにのみ行われることのないよう、農林水産政策等との整合性に留意しつつ、その成果が、広く農林漁業等の振興に活用されるよう配慮すること。 五 機構の大事については、その設立の趣旨、業務の性格等に即し、内部人材の登用を含め、適材適所による適正な人員配置を行うこと。 六 農業機械化研究所の機構への移行に当たっては、同研究所の果たしている役割の重要性にかんがみ、従来の機能がそこなわれることのないよう、組織、業務運営等の面に十分配慮すること。 また、同研究所の職員については、機構への継続雇用により、その身分を保障するとともに、給与等の勤務条件について不利益を生ずることのないよう措置すること。 右決議する。 以上の附帯決議案の内容につきましては、質疑の過程等を通して委員各位の十分御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
○大石委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 衛藤征士郎君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○大石委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。羽田農林水産大臣。
○羽田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。 —————————————
○大石委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大石委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○大石委員長 内閣提出、農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案及び農林中央金庫法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。羽田農林水産大臣。 ————————————— 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する 法律案 農林中央金庫法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○羽田国務大臣 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 農水産業協同組合貯金保険制度は、信用事業を行う農協、漁協等が貯金等の払い戻しを停止した場合に、農水産業協同組合貯金保険機構が貯金者たる農漁業者等に対し保険金の支払いを行うことを内容とするものであり、一般金融機関を対象とする預金保険制度とともに、貯金者保護及び信用秩序の維持を図る上で重要な役割を果たしているものであります。 近年における金融自由化の進展に伴い、一般金融機関の場合と同様、信用事業を営んでいる農協、漁協等の経営環境は一段と厳しくなるものと予想されております。 政府といたしましては、このような状況に対処して、農協、漁協等において、貯金等の払い戻し停止が予想されるような経営困難が生じた場合に有効に対応できるよう、農水産業協同組合貯金保険機構の業務を拡充することとし、これにより貯金者保護と信用秩序維持に万全を期するため、この法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。 第一に、機構の業務を拡充し、貯金等の払い戻しを停止するおそれがある農協、漁協等の救済のためにこれと合併する農協、漁協等に対し、または組合系統組織における相互援助取り決めによりその合併もしくは信用事業再建措置を援助する農協、漁協の連合会等に対し、機構が資金援助を行うことができることとしております。 第二に、保険金の支払い方法を改善し、保険事故が発生した場合において、貯金者等の保護のため必要な場合には、早期に仮払金の支払いを行うことができることとしております。 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。 農林中央金庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 農林中央金庫は、大正十二年に特殊法人たる産業組合中央金庫として設立されて以来、六十余年にわたり、農林漁業者の組織する協同組合等に対する金融の円滑化を通じ、我が国農林水産業の発展に貢献してきたところであります。 この間、協同組合系統組織の事業活動の充実に伴い、逐次制度の改正を行い、現在では、民間資金のみを資本金としており、また、役員の選任に対して政府の関与が行われていない等、所属団体による自主的な業務運営体制を整えるに至っているものであります。 このような経緯にかんがみ、政府といたしましては、特殊法人の経営の自立化及び活性化の一環として、農林中央金庫の民間法人化を図ることとした次第であります。 他方、最近における金融の自由化の進展等を背景とした農林中央金庫をめぐる金融環境の変化には著しいものがあり、農林中央金庫の業務に対する所属団体その他の取引先のニーズも多様化してきております。 政府といたしましては、このような状況を踏まえ、農林中央金庫について、農林漁業者の組織する協同組合等に対し金融上の便益を供与することを第一義的使命とする基本的性格を維持しつつ、民間法人化のために必要な措置を講ずるとともに、金融環境の変化に即応した業務機能の整備を図ることとし、この法律案を提出した次第であります。 次に、本法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、農林中央金庫の民間法人化を図るために必要な規定の整備であります。 農林中央金庫の民間法人化を図るため、政府の出資資格を廃止するとともに、総務庁設置法における特殊法人に関する審査、調査等の規定の適用対象から除外することとしております。 また、資本金の増減、剰余金の処分等に係る政府の関与を縮小する等、民間法人化に伴い所要の規定の整備を行うこととしております。 第二に、最近における金融環境の変化に対応するために必要な業務に関する規定の整備であります。 まず、所属団体その他の取引先の事業活動の円滑化に資するため、貸し付けに係る期間制限等の規制を撤廃するとともに、新たに、金銭債権の取得または譲渡の業務及び債券の募集の受託等の業務を行い得るようにすることとしております。 また、債務保証業務及び出資等の払込金の取り扱いの業務の範囲を拡大することとしております。 さらに、金融機関としての機能の整備を図るため、預金の受け入れ対象者の追加、余裕金の運用対象範囲の拡大等を行うこととしております。 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○大石委員長 引き続き、補足説明を聴取いたします。後藤経済局長。
○後藤(康)政府委員 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。 本法律案を提案いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下その内容を若干補足させていただきます。 第一に、農水産業協同組合貯金保険機構の業務として新たに加えられる資金援助業務の対象につきましては、主として信用事業に起因して、貯金等の払い戻しを停止するおそれがあるか、または貯金等の払い戻しを停止した農協、漁協等としております。 第二に、機構が行う資金援助業務の方法につきましては、基本的に金銭の贈与、資金の貸し付けもしくは預け入れ、資産の買い取りまたは債務の保証もしくは引き受けとしております。 第三に、機構が行う資金援助を農協、漁協またはこれらの連合会等が受けるための手続につきましては、資金援助を受けようとする農協、漁協またはこれらの連合会等は、あらかじめ、合併または信用事業再建措置について、都道府県知事による適格性の認定またはあっせんを受けなければならないこととしております。この場合において、都道府県知事は、その合併等が貯金者等の保護に資すること、機構による資金援助が不可欠であること等の要件を満たすときに、主務大臣の承認を経た上で、適格性の認定等を行うことができるものとしております。 第四に、機構が行う資金援助の決定につきましては、農協、漁協またはこれらの連合会等から機構に対して資金援助の申し込みがあったときは、機構は、主務大臣の認可を受けて、資金援助を行うかどうかを決定しなければならないこととしております。 このほか、機構の理事の任期を二年とする等、所要の規定の整備を行うこととしております。 以上をもちまして、農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。 引き続きまして、農林中央金庫法の一部を改正する法律案について、その提案理由を補足して御説明申し上げます。 本法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下その内容について若干補足させていただきます。 第一に、農林中央金庫の民間法人化を図るために必要な規定の整備であります。 その一は、政府の出資資格の廃止であります。 農林中央金庫は、大正十二年に政府出資を受けて発足したものでありますが、昭和三十四年以降は民間資金のみを資本金としており、また、経常的経費についても補助金等を受けていない等、自主的な業務運営を行うに至っているものであります。 このような状況を踏まえ、今回、農林中央金庫の経営の自立化及び活性化を図る観点から政府の出資資格を廃止しようとするものであります。 その二は、これに伴い、総務庁設置法における特殊法人に関する審査、調査等の規定の適用対象から農林中央金庫を除外することであります。 その三は、資本金に関する規定の整備であります。 農林中央金庫の資本金制度につきましては、その経営の基礎を明確にする等の観点から、資本金額及び出資一口の金額を法定するとともに、増資に際しては認可を必要とすることとしていたものでありますが、民間法人化に伴い、これを、他の民間金融機関の法制度に倣い、資本金の最低額を法定するとともに、資本金の減少に際しては主務大臣の認可を、資本金の増加に際しては主務大臣への届け出をそれぞれ必要とすることに改めることとしております。 その四は、登記に関する規定の整備であります。 農林中央金庫の登記につきましては、これまでほとんどの登記が主務大臣の嘱託により行われることとされておりましたが、これを当事者の申請に基づく登記に改めることとするものであります。 その五は、役員に関する規定の整備であります。 副理事長及び理事につきまして、これまで理事長が出資者総会の同意を得て任命することとなっておりましたのを出資者総会において選任することに改めるとともに、理事の任期につきましては、現在四年とされているところでありますが、今後の業務運営に当たり経営の活性化を図る等の観点から、これを三年に改めることとしております。 その六は、業務運営に係る政府の規制の緩和であります。 農林中央金庫の自主的運営を助長するため、金融機関に対する貸し付け及び剰余金の処分に係る主務大臣認可を廃止することとしております。また、剰余金の処分に係る認可を廃止することに伴い、農林中央金庫の準備金の積み立て、剰余金の配当等につきまして、協同組合原則にのっとった所要の規定を整備することとしております。 このほか、民間法人化に伴う所要の規定の整備といたしまして、主務大臣による従たる事務所の設置命令を廃止するとともに、これまで産業組合法の準用によっておりました農林中央金庫の定款記載事項及び名称使用制限に関する規定につきましては、法人としての基本的事項に関するものでありますので、これを総則中の規定として整備することとしております。 第二に、最近における金融環境の変化に即応し、所属団体その他の取引先のニーズにこたえるとともに金融機関としての機能の整備を図るために必要な業務規定の整備であります。 その一は、これまで貸付期間の制限や定期償還貸し付け、年賦償還貸し付け等の貸付方法の区分を設け、それぞれ規制を行ってきたところでありますが、このような規制は今日の金融情勢のもとでは必要性に乏しく、他の民間金融機関の法制度においても、かかる規制を行っていないことから、これを廃止するものであります。 その二は、新たに、金銭債権の取得または譲渡の業務を行い得ることとすることであります。 これは、最近、資産運用の選択が多様化しているとの実態を踏まえ、所属団体等のニーズにこたえようとするものであります。 その三は、債務保証業務及び出資または株式の払込金等の取り扱いの業務の対象範囲を拡大することであります。 これらの業務は、信用供与に伴う金融サービスとして最近重要性を増しておりますことから、これら業務の対象者を農林中央金庫が貸し付けを行い得る者まで拡大することとしております。 その四は、新たに、貸し付け先のために、社債等の債券の募集の受託の業務及び担保附社債信託法による信託の業務を行い得ることとすることであります。 これは、近年、企業等が社債等の発行により資金の調達を行います場合には、当該企業等にとっての主たる融資機関が募集の受託等の業務を行うことが一般的になっておりますので、農林中央金庫におきましても関連産業法人等の貸し付け先のために本業務を行い得るよう法律上の規定を整備するものであります。 その五は、預金の受け入れ対象者の追加であります。 これは、決済の利便に資する等のため、農林中央金庫が預金の受け入れを行い得る対象者として、新たに、貸し付けを行い得る者、継続的に為替取引を行う者、業務代理により貸し付けを行った者等を追加するものであります。 その六は、新たに、公益事業法人の業務の一部の代理を行い得ることとすることであります。 これは、所属団体等のニーズに応じ、ガス料金、電気料金等の公共料金の収納を行い得ることとするためのものであります。 このほか、農林債券の円滑な市場消化を図る観点からその募集の委託を受けた証券業者に対して資金の貸し付けを行い得ることとするとともに、農林中央金庫の余裕金の運用対象に金銭債権、金銭信託等を加えることとするほか、罰則の整備、関係法律の改正等、所要の規定の整備を行うこととしております。 以上をもちまして、農林中央金庫法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
○大石委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○大石委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 ただいま趣旨説明を聴取いたしました農林中央金庫法の一部を改正する法律案審査のため、明二十三日、農林中央金庫理事長森本修君に参考人として出席を願い、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大石委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は、明二十三日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時十二分散会 ————◇—————