農林水産委員会 第4号
- 発言数
- 212 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1986/03/05
会議録
○大石委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内猛君。
○竹内(猛)委員 土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の一部を改正する法律案に対する質問をいたします。 土地改良、農地を改良して用排水を完備し、農道をつくり、機械化、近代化を進めることは農業者の強く求めているところであり、また、耕作の可能であるところの土地を開発して農業生産に活用することも食糧の自給力を高める上から大事なことであります。そういう点から考えたときに、今提案されている土地改良法並びに関連する法律の一部を改正する法律案に関連しては、一定の条件を具備しながら適切なものであろうと考えておりますが、私は、以下幾つかの問題に関連をして質問をしていきたいと思います。 大体今度の法案の求めているところは、土地改良が始まって、国営等々においては非常に長期になる場面がありますが、そういうことに関連をして、従来と違って財投を入れるということであります。それ自体は問題はありませんが、金利が重なって農業者の負担が非常に増大をしてくる、受益者が本当に受益者であるのかないのかという点が疑問になるぐらいに問題が複雑であります。後で問題にしますが、福井県の坂井北部の土地改良のような突出した例もあるし、私たちはこの間、この法案を検討するのに関連をして三重県の青蓮寺の土地改良事業を現地調査もいたしましたが、いろいろ問題がございます。 そういう中から、最初に農林大臣にお伺いするわけですが、前回、私はここで所信に関連をして、農業の果たす役割について、食糧の供給並びに国土の保全、あるいは治山治水、環境の整備等々のことについてお伺いをしたわけですけれども、なおそれに加えて、地域の担い手であるということが大きな役割であろうかと思います。特に最近、混住社会になってきて道路が開発されマイカーが走るようになると、この地域においては農業者が果たす役割は大変大きなものがあるわけであって、農業に関連して地域においていろいろな役割を果たしているという、この三つの役割が大事な仕事になっておると思いますが、この点、改めてお伺いをしたいと思います。
○羽田国務大臣 ただいま御指摘がありましたように、農業の果たす役割は、まず第一に、食糧を国民に安定して供給するという非常に重要な役割がございます。第二番目といたしましては、まさに治山治水を含めて国土あるいは自然環境の保全という役割がございます。それと同時に、農村地域におきます基幹産業として、地域住民に対して就業の機会、就業の場所を提供しておる、これが農業であろうかというふうに理解をいたしております。
○竹内(猛)委員 農業の果たす役割については同感だと思いますから次に移っていきますが、特に土地改良の採択の基準と補助率に関連してお伺いしたいと思います。 土地改良は、農業の生産基盤を強化して近代化し、生産性を高めるということで大事な仕事でありますが、その実施に当たっては立候補主義であって、調査をし、それが認可をされ、その後に補助率が決まって仕事をして、そこに作付して生産を上げて受益かどうかという問題になるわけでありますけれども、土地改良のかんがい排水は、国営の場合には三千ヘクタール以上で、国が六割、県が二割、受益者が二割、県営になるとそれが二百ヘクタールになり、補助率は国が五割、県と受益者が半々、団体営になると二十ヘクタールになり、四五%が国、一〇ないし二〇%が県で、三五ないし四五%が受益者という形になる。あるいは農地造成の場合においても、国営が四百ヘクタールで、国が七五%、県と受益者が一二・五%ずつ、県営の場合は四十ヘクタールであって、国が六五%、県と受益者が一七・五%、団体営の場合は十ヘクタールで、国が五五%、県が二〇%、受益者が二五%、こういうぐあいに補助率が変わっている。 今日、税金もあるいはその他の物価も、学費も医療費もすべてが平等に徴収をされているときに、規模によって負担が違う、しかも立地条件が悪い山間僻地、それから谷津田、棚田、こういうところが負担が多いということは不平等じゃないか、少なくとも法律の前にはすべてが平等でなければならないということからいえば、この基準のとり方については問題がある、その点についてお答え願いたい。
○佐竹政府委員 土地改良事業の補助率につきましては、ただいま先生から具体的な御指摘もございましたが、これは、一つには沿革的な理由もあろうかと思いますけれども、現在の助成の体系を分析いたしますと、一つは規模ということで、非常に広域にわたる事業、つまり国が行うような事業については補助率が比較的高い、それから説明にも引いておられますけれども、農用地造成とか干拓とか、事業費が非常に高額にかかる事業については補助率が高い、こういうことがございます。 しかしながら、反面、この補助率については地域性も十分考慮しておるわけでございまして、例えば北海道、沖縄というような比較的開発投資がおくれていたような地域につきましては、それなりに補助率を高くしているわけでございます。さらにまた、御指摘のございました山間地、こういう地域は多く振興山村、急傾斜地帯あるいは過疎地帯というようなそれぞれ特別立法に基づく制度の指定を受けている地域になるわけでございますが、これらにつきましては補助率を高くするほか、さらに採択基準の引き下げも行っております。例えば、団体営かんがい排水でございますと、一般でしたら二十五ヘクタール以上でございますけれども、今申し上げましたような地域においては十ヘクタール以上ということにしておりまして、実質的に補助率の引き上げも図っておるところでございます。 すべて平等であるべきだという御指摘に一〇〇%こたえているわけではございませんけれども、このような措置を講ずることによって、御指摘の中山間地帯の比較的経営基盤が脆弱であるような地域についての土地改良事業の促進を図っているところでございます。
○竹内(猛)委員 今お答えがあったわけですが、土地改良なり農地造成というものが、まず平場から始まって、急傾斜、山間、こういうところが後になっていることは否めない事実なのです。そういうところが人間が住みにくくなってだんだん過疎になっている、これも事実ですね。そういうものをどのようにして救っていくのかということがますます大事になっているのに、この点が行政的におくれているではないか。 したがって、土地改良だけで問題が解決するものではありませんので、その他の総合的な施策によってこれはやっていかなければならないと思うけれども、この辺、農林大臣は長野県の山の中だし僕も山の中で生まれたから、よく理解していると思うが、行政上このままでいいのかどうなのかということも含めてお答えいただきたいと思います。
○羽田国務大臣 先ほど農業の果たす役割について申し上げましたけれども、山間地において、例えば山を守るためにもそこで働く人がいなければいけない。そこで働く人というのはまさに農業で働いていただかなければならぬということでありますから、当然その方々が営む農業というものは、山間部にありながらも効率のいいことをやっていただく、これはどうしても必要なことでございます。 そういったことで、今局長の方からも報告がありましたように、そういう地域については特別に採択基準等も割合と緩くしながら対応しておるということでありますし、また、そのほか生活基盤の整備ですとか総合的な整備をしておるということは言えると思います。そういった問題についても私どももさらに勉強してまいりたい、かように考えます。
○竹内(猛)委員 この問題は土地改良だけで始末ができる話じゃないのでありまして、国鉄は過疎地帯からレールを外してしまう、あるいは大変粗末な扱いをするという形になっているし、現に東京に日本の人口の一割が集まってくるような状態、あるいは各県を見ても県庁の所在地、第二都市に人口が集中する、そして山間がどうしても過疎になっていくという状況、こういうものは行政全般で考えなければならない問題であるということを指摘して、次に移ります。 次の問題は、土地改良の長期計画と予算の関係についてお伺いしたいと思います。 現在進められている土地改良長期計画はたしか第三次に入っていると思うのですね。五十八年から六十七年までの、しかもその総計が三十二兆八千億、こういう形になっておりますが、現在まで第一次、第二次とこういうふうに進めてきて、例えば水田にしても畑にしてもどれくらいの土地改良が終了したか、この点についてお伺いしたい。
○佐竹政府委員 私ども、土地改良長期計画の一つの柱である農用地総合整備事業でございますが、これにつきましては、整備水準といたしまして、田については原則的に三十アールの区画が整備されておる、さらにまた冬期の地下水位を七十センチ以下にする。それから畑については、基幹的な農道、末端農道網が整備されているということを整備目標に置いているわけでございますが、このような観点から見ますと、これは推計でございますけれども、六十一年度末で田畑平均いたしまして整備率が約四二%ということでございます。これも推計値でございますが、これは長期計画発足のときの五十七年度末で三三%になっておりまして、現状といたしましては以上のようなことでございます。
○竹内(猛)委員 そこで問題は、土地改良が一応終わった後で、今度は直ちに減反が進められる。特に水田の場合には、土地改良が終わり、その直後に今度は減反、これが六十万ヘクタール、あるいはさらに十万ヘクタール加えて七十万ヘクタール、こういうようなことになると、収益性からいえばこれは大変なことになるわけですね。この減反と土地改良との関係というものは初めから配慮していると思うけれども、この点はどうなんですか。
○佐竹政府委員 いわゆる減反施策に伴いまして、私ども水田の圃場整備等を実施した地区につきまして二五%の転作を求めているわけでございます。 率直に申し上げまして、先生各地で実情をごらんになっておられますし、特に茨城のような低湿地帯での状況をお考えになれば、いろいろ摩擦が一時期あったことは否定できないであろうと思うわけでございます。特に、水田の生産力を上げるために圃場整備をやったところで転作を求められることについて、なかなか協力しがたいという声があったことは事実でございます。 しかしながら、逆に考えますと、これは我が国の水田すべてについて言えることでございますけれども、そのときどきの農産物の需給に応じて水田にも利用できると同時に畑にも利用できるということは大変望ましいことであるわけでございます。田畑輪換が農業生産力、田としての生産力を高める上からも非常に望ましいことは技術者によって昔から言われてきたことでございまして、私どもは今回の減反施策をむしろ積極的に汎用水田をつくっていくということに転化していこうじゃないか、前向きに受けとめようではないかということで努力してまいったわけでございます。 転作奨励金等につきましても、かつて田畑輪換が進まない一番の理由は、水源、水路が乏しいとか——あるいは奈良等で見られましたような、スイカというような非常に収益性の高い作物が入ったところは転作奨励金なしでも田畑輪換が行われていたわけでございますが、むしろ転作奨励金が出ることによってそういう地代格差を埋めて田畑輪換をやりやすくする条件が出てきたわけでございます。そのような観点から集団転作等の措置も講じられているわけでございます。 部分的にはまだいろいろ問題が残っていることは私どもも否定いたしませんけれども、しかし全般的に見れば、現在圃場整備につきましてはなお各地から非常に強い要望を私ども承っているわけでございまして、いわゆる減反施策が土地改良事業に非常に支障になって、全体として停滞しているというふうには私ども判断していないわけでございます。
○竹内(猛)委員 今話があったように、七十センチ以下に地下水位を下げて土地改良をやる、ところが、いい米、おいしい米のとれるところ、ここは大体大きな川とか沼とか、そういう河川に関係のあるところで、低湿地帯に多いわけですね。こういうところは七十センチ以下に下げるにも下げられない状況にある。しかも、後で問題にするけれども、維持管理費というのはべらぼうにかかる。そういうところで同じように——もちろんそれは減反には一定の配慮があると思うけれども、米あるいはレンコンのようなものでなければなかなか作付ができないというようなところがある。こういう場合、土地改良というものと農家の収益性それから償還力との関係をもう少し厳密に考えなければならない。 そのためには、国の長期計画の中で作付の調整というものを、これはまあ法律でやれということを言うのは非常に無理であって、そういう調整機構というものがあって、そしてお互いに競争し合わないように、一定の生産量と価格が常に調和するような方式をとらない限り農家の収益率は高まらないのではないかと思うのですけれども、この点についてはどうです。
○佐竹政府委員 私どもの基盤整備事業を実施するに当たりましては、その地域地域の土地条件、それから市場条件等を考慮いたしまして、都道府県とも十分相談の上、土地改良事業の前提となる営農計画を立てているわけでございます。 しかしながら、それはあくまでも一つの事業の社会的な妥当性を検証するための指標として使っているわけでございまして、現実には、農家の方々にしてみれば、そういう営農計画が示されればそれが一つのモデルになるわけでございますから、それに対して非常に信頼を置き、それを一つの目安にして農業を営まれるということがございますので、私ども、その事業実施期間中におきましても、社会経済条件の変化によってその営農計画を修正しなければならないような事態が生ずる場合もありますので、それについては都道府県の改良普及員、それから地元の農協等の指導者も集まってもらって常に検討しているところでございます。 しかしながら、やはり現在の社会経済体制のもとでは、作付の調整等を行うということは生産者団体の自主的な運動として進めていただく、何か役所が生産計画をつくって調整していくというような仕組みというのは、現在の水田利用再編対策にも典型的に見られますように、とっていないところであるわけでございます。この点は先生方からは非常に強い御批判があることは十分承知しておりますけれども、私どもとしては、特に今後の土地改良の大きなウエートを占めております畑作物等につきましては、米以上にそのような調整を行政が計画を立ててやるということは難しいのではないか、もちろん生産者団体が農協を中心に調整をすることは望ましいことであり、行政としても積極的に支援はするわけではございますけれども、基本的にはあくまで農家の自主的な御判断に従ってやるべきではないか、かように考えておるわけでございます。
○竹内(猛)委員 これはやはり不満だね。そういうことで今まで失敗をしてきて、生産過剰になってどうにもならなくなってしまっている。それは前にも指標をつくって指示してきた。役所の皆さんは一定の時期そのいすについていればそれで済むかもしれないが、農業で生産をしている者は、機械も買うし投資もする。そして、特に果樹などというものは長い間かからなければ実がならない。こういうときに常に目標が狂っていたんでは、もう負担にさらに負担をかけるにすぎない。本当に愛情がある農政というものは、一定の生産目標を示し、品質と生産力がある程度まで整ったものであればそれを守ってあげる、お互いに守らせる、こういう努力をしなかったら、それは農政に対する不信が出るのは当たり前なんだ。この点はひとつ専門の大臣の方からお答えをいただきたい。
○羽田国務大臣 専門ではないのですけれども、ただ思いますことは、農林水産省として間違いなく一つの需要目標をつくり、このためにはいろいろな角度から調査し、そしてそのもとに計画というものが示されるわけです。 ただ、御案内のとおり、農業というのは天候に左右されると同時に、消費する立場の人たちも、例えば今情報というものが非常に盛んになってきて、雑誌ですとかあるいは本ですとか、またテレビ等で毎日のように各家庭の台所に情報が流される。それによって非常に左右される。例えばこれが健康にいいよというと、わっとそっちに流れてしまう。今までこれがいいだろうと思って指導してきたものが流れていくということで、消費する人を相手にしながらの作業であるということで、実はなかなか的確につかむことができない。例えばもう一つは、これの価格がいいんだということになると、翌年はそれでまたずっといってしまうということがよくあります。野菜の場合なんかにも県間で調整するというようなことで、これに対しては相当国も関与したり、各県あるいは農業団体、そういった皆さん方が一緒に入りながらやっていても、こういうものは思うように計画どおり進んでいかないという実態が実はあります。 しかし、営農される方々が安定して営農にいそしめる、その体制というものはできるだけつくってあげることがいいであろうということで、私どもとしましても、例えば日本型食生活なんというものも、そういう中で風土に適した食生活をしていただくということになって、そういうものがある程度定着してくると生産の方も安定してくるということもありますし、そういう面も実は日本型食生活なんかに思いを込めながら進めているという実態についても御理解いただきたいと思います。 いずれにいたしましても、今、先生が言われる気持ちは私どもよくわかります。反面、今度は情報化社会でいろいろな需要についても我々つかむこともできるし、生産についてもつかめる体制というものは徐々にできつつあるわけですから、そういったものをうまく活用しながら、何とか生産者の方々が安定して生産できるような体制をつくるために、さらに努力をしていきたいというふうに考えております。
○竹内(猛)委員 この点は非常に重要な問題だから、さらに検討を要求したいと思います。 次に、十カ年計画の総予算が三十二兆八千億という形になっている。ところが、単年度の農林水産省の予算は八千七百億ですね。これを十年間見積もっても八兆七千億にしかならない、そのまま続けていって。防衛庁なんかは、第五次防衛力整備計画というものになると、これはもうずっと毎年毎年文句なしに予算化されていくわけだが、土地改良に関する限りは、長期計画はあるものの予算は単年度でしなければならない。しかも、十年にしてみても、三十二兆八千億からしてみたらその四分の一ぐらいでしかない。それはもちろん県の負担があったり受益者の負担があったりするから、全体として見ればそれに近いものになるかもしれない。しかし、四五%という一番低い補助率にしてみてもそうはならない。これは一体どういうところに問題があるのですか。計画はあるけれどもお金の方はその都度その都度では、これはどうにも不安でしょうがないじゃないですか。こういう計画の立て方というもの自体に無理がないのか、もう少し考えられないのかどうか。これはどうですか。
○佐竹政府委員 土地改良長期計画は、御案内のように五十八年を起点といたしまして十カ年の計画として立てておるわけでございますが、毎年の事業費の伸びをある程度見込んでいたわけでございます。しかるに、五十五年以降公共事業の抑制がずっと続きまして、そのことが土地改良事業の進捗率に端的にあらわれているわけでございます。 ちなみに、同様な各種公共事業を比較してみますと、これは私どもの事業と比較的性質が似ております治水それから道路をとってみますと、それらは五カ年でございますので土地改良につきましても五カ年をとって計算してみますと、治水については五十七年から六十一年度までで六二・四%の達成率でございます。道路については七一・六%、土地改良は五八・三%ということでございまして、土地改良は、大体事業費の伸び、公共事業の国の一般会計の予算配分についても、常に治水とのバランスを保ってくることがここ二十年以上続いた傾向でございます。それから申しますと、治水とは大体似ている。ただ、道路については、聞きますと確かに非常におくれているわけでございますが、これにつきましてはやはり道路が固有の財源を持っているところが非常に大きく響いているわけでございます。それからまた、治水に比較しましても土地改良は若干おくれたわけでございますが、これは主として六十年の補助率カットの影響が治水の場合には事業費増につながったにもかかわらず、土地改良は、国営事業、一般会計でやっておりましたためにおくれていたわけでございます。現在御審議いただいております今回の法案もそのような趣旨から提案したわけでございます。 確かに土地改良事業の現在の進捗状況は、長計の想定しましたベースに比べておくれていることは率直に認めざるを得ません。そのために、国費が伸びない場合にも事業費がふえるような仕組みを今回考えたわけでございますが、必ずしもこれだけで十分と思っているわけではございませんので、今後ともなお事業量の拡大の方策について検討してまいりたい、かように考えている次第でございます。
○竹内(猛)委員 今度の場合でも、一般会計の方から、は百十一億減らされて、四百億を別なところから加えた、こういう格好になっているのでしょう。だから、これは系統が別ですから、新しく財投を入れるなら入れるように本予算で膨らませなければいけない。 農林水産省の予算は年々減額をされている、その減額の中に今大変骨を折って苦労しているわけだけれども、しかしそれは安全保障という立場から考えたときに、あるいは国土保全というような立場、あるいは地域の担い手というような立場からいったときには、少なくとも単年度だけではなくて、長期に一定の枠というかそういうものをつくり上げていって、安心して仕事ができるようにしていかなければまずいじゃないか、後でさらに問題を提起しますけれども、そういうことについて我々も考えているのですが、この点はどうなんですか。もう少しがっちりした枠組みをつくって、その中で安心して仕事ができる、こういうような方向に努力はできないものかどうか、これはどうですか。これは大臣の方かな。
○羽田国務大臣 今先生から御指摘がございましたように、そのつもりでこの長期計画というものをつくっております。 ただ、長期計画全体につきまして、今道路ですとかあるいは河川についての話がありましたけれども、これは残念なんですけれども、今日財政が非常に厳しくなってきておるということ、そしてそういったものを補うために発行を続けてきた国債の返還の率というものが非常に大きなものになってきた、こういった固定経費がどんどん大きくなってきてしまっている中で、各事業とも計画どおり進んでおらないというのが現状であります。殊に、今話がありました土地改良等につきましても、十カ年計画というものがなかなか思うように進んでいかないということ、これは本当に残念でありますけれども、そういうことで今度のような一つの新しい手法を使おうということを今進めておるわけであります。 いずれにしましても、計画というものに大きな狂いが出てきますとみんなそれぞれに影響が出てくるわけでございますから、私どももそういったことを頭に置きながら、これからもでき得る限りこういったものが計画どおり進むように努力を進めていきたいと考えます。
○竹内(猛)委員 次に、農地の壊廃と転用の問題に関連をして質問したいと思うのです。 農林水産省と他の省庁、国土庁、建設省、運輸省あるいは通産省との関係ですが、それぞれが道路をつくったり工業団地をつくったり、住宅をこしらえたり高速道路等々をつくるということになってきて、既存の開拓地あるいは土地改良で国の金を使ったところが利用される。そこを通らなければどうにもならないことになってくると、せっかく農業でやっていこうというところに対して、いろいろな施設ができるとそこが市街地化されてくるわけです。 そうなると、これは国費は使ったけれども、一定の期間は転用は相ならぬということになっているんだが、現実にその地区の農家の皆さんが農業からほかにかわりたいという希望を持っている、あるいは農地でありながら十年も二十年も利用しない、灌木が生えて荒れている、こういうところが今農地という形になっている。このようなものについて、ここのところを市街地にして住宅を建てたい、こういう希望もある。そこで、農地をつぶしたりする中でも、十年計画の中では四十七万ヘクタールぐらいは農地をふやすということになっているだろうと思うのですね。そういうことになっていると、この関係をどう調整するのか。あくまでも頑固に頑張るのか、それとも弾力を見せるのか。 私の土浦市は現に国土庁が業務核都市に指定をして、現在十二万の人口を二十万ないし二十五万にしようとしている。そうなると嫌でも土地利用計画を見直しをしなければならない。そうなると、今言うように開拓地やあるいは農地というものの中で、しかも現在は木が生えてどうにもならないところを利用しなければならない、このような状況のものについてはどうされようとしているのか。調査でもして今後は検討する、こういう気持ちがあるかどうか、その辺はどうですか。
○佐竹政府委員 御指摘のような問題につきましては、今さら私が御説明するまでもないわけでございますけれども、一つは、都市計画法それから農振法、この二つの制度によって市街化すべき区域と農地として利用すべき区域をはっきり分けたわけでございます。さらにまた制度的には、農地転用に当たっては、土地改良事業をやりました甲種農地につきましては原則的に一切転用を認めない、土地収用法等の適用のある事業の場合には格別でございますが、原則的に認めない、それからまた既存施設の拡張等の場合にも、線引きの変更をしない限りは転用を認めない、このように一応整備をしたわけでございますが、所有者一人一人の外用についての、特に農業者の意向が非常に多様化していることは先生も十分御理解いただけるところだろうと思います。 さらにまた、例えば五十九年の全国農業会議所の田畑売買価格調査によりますと、中田が市街化区域内で二千七百万、市街化調整区域内の農用地区域で六百万、農用地区域外で九百万、それから未線引きになるかと思いますが、市街化区域でもなければ調整区域でもない都市計画区域内の農用地区域内の農地が二百万、はっきりと地価にこれだけ差がついているわけでございまして、そのようなところからさまざまな問題が現実に出てきていることは私どもも否定しないわけでございます。 特に昨今、今後とも農業でやっていこうというグループが少数グループになっているわけでございまして、都市近傍あるいは中山間地帯では広範に御指摘のような耕作放棄地のようなところが出ているわけでございます。しかしながら、日本の土地利用法制全般を通じまして、積極的にこういうふうに使えという指示は、かつて造林臨時措置法で造林命令が出せるという法制があったことがございますが、それを除いてはないわけでございます。このようなところから今御指摘のような問題がいろいろ出てくることになろうかと思います。 常に実態をきちっと掌握していかなければならないのは御指摘のとおりでございまして、その上でこれをどのように活用していくかということにつきましては、私ども責任回避をするつもりはございませんけれども、行政の指示というよりも地域の皆さん方でその使い方を決めていく。現在やや薄れてしまいましたけれども、かつては田んぼを荒らしておくことは恥ずかしいことであるというようなモラルが農村にあったことは私が申し上げるまでもないと思うのでございますが、そのようなモラル、いわば村の中のおきてを通じて土地の有効利用を図っていく、こういうようなことから私ども農地利用三法を制定し農用地利用増進事業をやっているわけでございます。 先ほど申し上げましたような土地利用規制、これはマイナスの防止の面にだけ役立つ制度でございますが、都市計画法、農振法、農地法を通じたマイナス面の防止対策、それから積極的な利用につきましては、法制的にはやや御満足いただけないかもしれませんけれども、農用地利用増進法等を使いまして、大変難しいことではございますけれども、今御指摘のような事態を少しでもなくしていきたい。 その前提といたしまして実態の把握ということは常にやっておかなければいけないことでございますので、今後ともさまざまな機会を通じて実態の把握に努めてまいりたい。かように考えている次第でございます。
○竹内(猛)委員 大変難しい問題を提起したわけですが、これはこの法案で議論をすべき問題でもないから、そういう問題があるということを申し上げて、次に移ります。 国営土地改良の場合は、確かに長い間仕事をして金がかかり金利がかさむことが多いですね。坂井北部の問題については後で辻委員が細かい話をされると思いますけれども、新聞や雑誌等から見ると、四十年の初めに着工をして六十二年に終わる、この間調査した三重県の青蓮寺の土地改良も、三十七年ごろから調査が始まってことしの三月に終わるわけですが、同じような歴史をたどってきております。特に福井の場合には、水田の場合、償還が九万円、平均で七万五千円ぐらいの償還をしなければならないという形になって、事業費の半分以上が金利になっている、こういうような状況は農家にとっては耐えられないことです。三重県の場合には百九十億の仕事をして、十九億が施設費、あとの十九億が湿田を解消して乾田にする費用、その上を道路が通っている。それでダムを使ってかん排をやっているというような形で、既に作目も決定をしてほぼ方向が決まっているわけです。 その場合においても、先ほども指摘したように、農業が地域社会の担い手であるという立場からすれば——つくった道路は農民だけが使うわけじゃないでしょう。だれでも使うわけですよ、使っていけないという理由はないのだから。おまえは農民でないから通さないといっても、だれもそれを仕分けができないでしょう。農民の負担で道路ができたけれども、すべての者が使うわけだ。そうなると、この負担は農業者だけの負担じゃなしに、国なり県なり市町村が負担をして農家負担を軽減する、こういう方向にいけば、農家の負担は青蓮寺の場合には三万円で済むということです。私の記憶に間違いかなければ、大体そういうふうに説明を受けました。福井の場合には、米一俵でいいからという説明をしておきながら、五俵出しても六俵出しても間に合わないようなことになっている。こうなると、土地改良というのは、農民は一体受益者なのか被害者なのかわからなくなってしまう。 青蓮寺のことだけについてお答えを願いたいのですが、このように土地改良が新たな課題をしょい込んでいるということについて、どういうふうにお考えになるのか。百九十億の仕事の中で三十八億は道路負担やあるいは湿田を乾田にする費用。そういうところの道を一般の人たちが活用できるようになっている。この負担は農業者だけの負担じゃないじゃないか、こういうふうに理事長はおっしゃっています。この主張は間違いかどうか。どうですか。
○佐竹政府委員 青蓮寺につきましては、先生方親しく現地で調査を行われておられますので、ただいま直接数字をチェックしておりませんけれども、恐らく先生の御指摘の数字で間違いなかろうかと思います。 これを自治体、特に市町村に持たせればいいではないかという御指摘につきましては、確かに道路を使うのは農業者だけではございません。したがいまして、先生の御指摘は社会的に見て非常に健全な常識であろうかと思います。ただ、その常識はどうも私どもの法律制度の中では必ずしもストレートに生きてまいりません。 と申しますのは、私どもの土地改良事業、農用地開発事業等によって造成される道路もそうでございますが、その他農道等につきましては、農業者の三条資格者の申請によって施行するという仕組みになっておりまして、投資のプライオリティーは専ら農業的見地から決めるというシステムをとっているわけでございます。したがいまして、結果としては確かに、これはどなたでも否定はなさらないわけでございますが、道路のみならず排水事業等につきましても、一般の住民の方々もひとしく受益しているわけでございます。その受益に負担を法律的に義務づけるということは、現在の土地改良制度の基本的性格にかかわる問題になるわけでございまして、さらに申しますと、もし市町村に義務づけるべき性質のものであればこれは一般公共事業として施行すべきである、農業基盤整備としてやるべきでないという議論もまた出てくるわけでございます。 その辺に私どもの悩みがあるわけでございますけれども、現実には、御指摘のように受益する一般住民の代表としての市町村に御負担いただくというのは、これはもう無理のない話でございまして、私どもも、法律をもって義務づけることはいたしませんけれども、そのことを都道府県を通じて関係市町村にもお願いしている、かようなことでございます。 ただ、今後の問題といたしましては、既に土地改良事業はこれだけ農村地域あるいは山村地域の一般住民の方々に役立つ仕事をやっているわけでございますから、制度の上でももう少し工夫する余地がないのであろうか。四十七年改正での市町村協議等はそういう発想に立ったわけでございますけれども、地方財政面の配慮が全く私ども欠けておりまして、その辺よく勉強いたしまして、自治省等ともお話し合いをしていきたい。従来は、どうしても国ということで大蔵省だけに折衝は重ねていたわけでございますが、土地改良事業の実態等について地方財政を所管される自治省に対する御説明がややもすれば十分でなかった点もございますので、今後の課題であろうと考えております。 現に、昨今非常に需要の強い集落排水等につきましては、従来の地方財政上の扱いからすればやや異例でございますけれども、集落排水整備事業等について起債あるいは交付税上の特別の取り扱いをしていただいているわけでございまして、今後ともそのような方向を検討してまいりたい、努力してまいりたい、かように考えているわけでございます。
○竹内(猛)委員 過般、混住社会において集落排水の事業については農業者でなくても負担金を求めるように、徴収するような法律の改正をしたことがあるのですね。そうしてみたら、当然道路だって、これはもっとひどいですよ。集落の排水よりはもっとひどい。不特定多数の者がどんどん利用しているのですからね。それを農業者だけが土地改良法で負担する、そんなべらぼうな話はない。そういうことについては、堂々としかるべきところに話をして農家の負担を軽減をしていくのが当たり前の話だ。常識なんです。常識が通るような政治をやってもらいたいということをこれは要望する。 次には、融資あるいは借入金も含めて——これは借入金ですが、借入金の金利を何をもって決めるのか、こういうことですね。この基準は何ですか。
○佐竹政府委員 従来の特別会計事業につきましては、原則的に特別会計の調達金利負担にスライドいたしまして、それをそのまま都道府県から徴収する負担金の金利といたしてきたわけでございますが、今度の法律改正によります都道府県負担分につきましては、従来の延納の金利とのバランスもございますけれども、金利水準自体としては従来の特別会計事業の金利水準によって徴収する、かようなことを考えているわけでございます。
○竹内(猛)委員 これは金利が非常に負担が重過ぎるということをまず最初に申し上げておきたいのです。 立候補制ではあるけれども、調査をして計画をして認可がされて、それからこの事業に入って事業が終わる。それから生産に取りかかるけれども、最初の二、三年は生産が上がらない。それでしかも期間が十五年、二十年という長い期間だから、着工したとき、調査のときと情勢は違ってきている。そういう中で、しかも長ければ長いほど金利負担はかかる、こういうことになると、受益者であるのか被害者であるのかということについて判断ができないぐらいに現地は苦しんでいますね。この問題については、いずれまた他の仲間が質疑をするからこれ以上私は追及しません。 最後に、維持管理費の問題についてちょっと質問をしておきたいと思うのです。 あちらこちらの土地改良区を歩くと、維持管理費については負担が重過ぎるという声がある。これは、特に米をつくるために土地改良をする、そしてそれが減反ということによって心が打ち砕かれている、にもかかわらずこの土地改良の負担金は納めなければならない。 食糧庁の方からの報告によると、五十九年度の米価に含まれている水利費の負担は十アール当たり五千六百三十七円、個人の小規模の施設費が平均で六百八十一円、こういうものが二つ合わさって土地改良の負担の費用という計算になっているようですね。農協中央会の方からは、十アールで四千二百八十八円、十アールから三十アールが六千二百五十六円、三十から五十が四千九百九十八円、五十から百、ですから一ヘクタールまでが四千二百四円、百から百五十が三千七百六十二円、百五十から二百が三千百六十二円、二百から三百が三千五百九十八円、三百以上が五千四百円になっている。 ところで、現実に私のところでも土地改良の、これは沼地地帯を改良したところですが、用水、排水をやっておりますが、大山という土地改良は田が一万一千八百九十二円、畑はその半分、五千九百四十六円。それから釈水という土地改良区は六十一年度の理事会の決定で田が一万二千円、畑が六千円、こういうふうになっている。そうすると全国の平均のいずれよりもこれは負担が倍になっていますね。これはそれだけ支出増になる。そういうものについて、このままでいいのか、やむを得ないのか、これは何とかしなければいけないのか、どういうふうにお考えになりますか。これはどうですか。
○佐竹政府委員 米価と水利費の関係というのは、これは大変理論的にも難しい問題がございますし、私、構造改善局の立場というよりも、むしろ食糧庁のお立場からお答えいただいた方がよろしいんじゃないかと思いますが、一つだけ申し上げておきますのは、米価決定の基礎になる生産費というのは、水利費以外にもいろいろな費目を積み上げているわけでございますので、特定の費目をとりますと、現実には確かに米価決定の基礎になった水利費とばらつきが出るのはやむを得ないことだろうと思います。 それからまた、特に土地改良事業の償還期間と施設の耐用年数というような問題もあるわけでございますが、それは別といたしまして、近時施設が高度化されてまいりましたことに伴いまして、大変維持管理費の負担問題が大きな問題になっていることは私どもも十分認識しているところでございます。 特に一番問題になりますのは、国が造成した施設につきまして、これを土地改良区に管理委託するというような形がとられる場合が多いわけでございますが、これらについては、土地改良区の財政が非常に苦しいためもあっていろいろ管理上問題があるというようなことで、まず国の直轄管理、それから県管理補助、それからまた土地改良区みずからが管理するものについても、その管理の修繕費とか管理技術についての指導というようなことについて、それぞれ予算措置を講じているわけでございます。 それから、一般的な県営、団体営で造成された施設の維持管理はどうするかということでございますが、これは既に五十年代の初めから制度化いたしました適正化事業を通じて実質的に管理費の助成を行っているところでございます。 一般的な公共事業の維持管理についての一つのルールでございますが、単純更新とか維持管理については直接国費は出さないというようなルールがあるわけでございますけれども、私どもとしては、土地改良事業につきましてはいろいろ御指摘のような問題がございますので、徐々にではございますけれども、実質農民負担の軽減につながるような仕組みを少しずつつくっていく、そんなことではまどろっこしいという御指摘もあろうかと思いますけれども、現実問題としまして、いろいろな制度的な枠、制約その他を考えますと、そのことが最も現実的な方法でございますので、今後もなおそのような方向で負担軽減等に努めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○竹内(猛)委員 もう時間もないのでこれで終わりますが、最後に、これは大臣から求めたいのですが、今の維持管理費。採択のときにも山村僻地が非常に立ちおくれをする、それからまた、できた後でもそういう維持管理にアンバランスがあるということについてはどうしても直してもらわなくてはならないということ。 もう一つは、私の県に起こったことですが、この前の参議院選挙のときに、土地改良区が補助金の額くらい票を出せという形で、土地改良区の幹部が数珠つなぎに選挙違反にかかったことがあるのですね。これを政治に利用するおそれなしとしない。これはよろしくない。この点については厳重に慎んでもらいたい、こういうことを要求をしながら、今のアンバランスの是正も含めて大臣のお答えをいただきたい。
○羽田国務大臣 維持管理につきましては、ただいま局長からもお答え申し上げましたように、私どもとしましても、さらに農民の皆さん方の負担というものを軽減させることができるのかどうか、そういった問題についてもいろいろな知恵を使って考えていきたいと思います。 最後の問題につきましては、これはもう立場というものは——いろいろな関係の皆さんが参加しておる問題でありまして、公正に運営されるように注意していきたいと思っております。
○竹内(猛)委員 終わります。
○大石委員長 新村源雄君。
○新村(源)委員 農用地開発公団の問題について、最近、行政改革審議会の中に公団の廃止論、こういうものが出てきておるわけですね。農用地開発公団というのは農業基盤整備に一定の役割を果たしてきております。この行政改革審議会の公団廃止論の背景になっているのは何かというと、乳製品あるいは牛肉等の自由化が強く要請されている、こういう時期にコストの高くかかる山間地帯等の農用地を開発して日本の畜産、酪農を進めるのは適当ではないじゃないか、こういうことになっておるようです。これに対して農林水産省は、行政改革の一環として農用地開発公団の開発整備事業の選定基準を厳しくする、事業をどんどん縮小をしていく、こういうようなことを言っているのですが、この内容についていかがですか。
○佐竹政府委員 ただいま最後の御指摘の点について若干事務的に御説明いたします。 私どもは新聞紙上で伝えられたようなことを言っているわけでは必ずしもございません。ただ、農用地開発公団事業の目的等はもう既に御承知と思いますので繰り返すことはいたしませんが、当初は酪農を中心に考えたわけでございまして、酪農については、いろいろ問題があるにしても現在、生産も抑制ぎみに運用しなければならない、それからまた、経営規模の拡大も相当な水準に来ているというようなところもございまして、公団事業として今後取り上げていくのはやはり肉用牛を中心に考えていくべきではないか、そのように社会的な経済的な条件の変化に応じて公団の事業のあり方も見直していく、こういう趣旨から発言したことがあのように伝えられておるわけでございまして、その点、御理解いただきたいと思うわけでございます。
○新村(源)委員 最近、農業に対するいわゆる市場開放、さらに日本農業の総体的な生産縮小といいますか、こういうことが経済界から強く要請されてきている、そういう一環として公団の廃止論につながってきているということは、これは非常に大変な問題だと思うわけです。 後ほどまた申し上げたいと思いますが、国の安全を守るというのは、これは何といっても、今は飽食時代ではありますけれども、どういう時代が来ても国民の食糧を確保するということが国の安全保障の重大な柱だと思うわけです。そういうことを抜きにして、いわゆる経済合理主義、合理論だけをもって農業の重要な機関を廃止していこうというような考え方に対しては、農林水産省としては毅然とした態度で臨んでほしい、こういうように考えるのですが、大臣、どうですか。
○羽田国務大臣 今お話がありましたように、確かに農用地開発公団を中心にしながらこのことを臨調の方で議論され、その中で、今報道されているものを見ますと、「牛肉、乳製品等の市場開放が要請されており、酪農経営にとって条件のよくない中山間地帯に農用地を開発しても経営が成り立たなくなる恐れがある。」から、もうこういった事業はよろしいじゃないかという御指摘があったことは私どもも報道等を通じながら承知いたしております。 ただ、今委員から御指摘がございましたように、肉そのものでも世界で流通している量というのは決して多いものじゃないということ、そして肉に対する嗜好というものも間違いなくこれからまだ国民の中に生まれてくるであろうということ。それから、酪農は今局長からお話し申し上げましたように、確かに現在時点では酪農の乳量が多くなって過剰ぎみである、またこのために調整しなければならないという問題がございます。しかし、この牛乳また酪農製品というものも私どもの国民生活にとっては欠くことのできないものであるということであります。そういうものを安定して供給する、そのためにはきちんとした基盤をつくる必要があろうと思っております。 いずれにしましても、私どもとしては何でも国内で生産するというものではありませんけれども、しかし、基本のものはきちんと国内で生産する、しかも生産する基盤というものは強いものにしていかなければいけないということで、私どもは輸入に対しても毅然としたそういう姿勢をとると同時に、また国内での生産基盤というもの、特に、大家畜の場合にはやはり粗飼料というものが一番大事なものでありますから、そのつもりで私どもはこの農用地開発公団の必要性というものをまた訴えてまいりたい、かように考えております。
○新村(源)委員 食糧生産体制を確立していくということは、これは国家百年の大計である、こういうふうに思うわけでございまして、今大臣のお答えにありましたように、ひとつ毅然とした態度で、農業を守る、こういう姿勢の中から、公団の廃止論等については容認をしていくというようなことのないように要請をしておきます。 次に、政府は昭和五十八年に第三次土地改良長期計画を策定しています。これは昭和五十五年に策定しました「農産物の需要と生産の長期見通し」、さらに五十七年の農政審議会の答申による「「八〇年代の農政の基本方向」の推進について」、この答申と整合性を持って第三次長期計画を策定されたわけです。 ところが、この進捗率を見てまいりますと、この計画は昭和五十八年から六十七年の十カ年計画で総事業量が三十兆四千億円、しかし昭和六十一年度までの進捗率は、これは六十一年度はまだやっておりませんが、予算の上から見て六兆六千四百五十七億円、進捗率は二一・九%、約二二%より達成されていないわけですね。 これは先ほど竹内委員の質問に対してお答えがあったわけですが、こういうようにようやく半分より達成されていない、こういう極端なおくれというのは主にどこから出てきているのか、財政事情のことはわかりますが、計画より半分も達成されていない、こういうことはどうなんですか。
○佐竹政府委員 財政上の理由につきましては、それはそれとしてということでございますのであえて御説明いたしませんが、特に農業基盤整備事業の場合、他の公共事業と違っておりますのは、一般会計事業で事業を施行していたために、国費を一定にしてその事業費を伸ばすという目的で行われた補助率カット等が有効に働かなかったということが一つ挙げられるわけでございます。 それから、現在、四年経過して二一・九%は余り低過ぎるではないか、こういう御指摘、お感じかと思うのでございますが、これは当初、毎年度の事業の伸びを見込んでおりましたために、後年度になるほど上昇率が高くなるというふうな計画で組んでおりました。そのために特に二一・九というような水準しかないわけでございます。そのような計画策定の技術上の理由からそういう低い数字が出てきているということもひとつ御理解をいただきたいと思います。
○新村(源)委員 これは先ほど竹内委員も御指摘されたわけですが、都市計画等の進捗によって、あるいはまたこの計画の変更等によって農用地がかなり壊廃されていくわけですね、それでこの計画は、日本の農業を、五百五十万ヘクタールの農地を確保していこう、こういうことで十カ年間に四十七万ヘクタールの農用地を造成しよう、こういうことになっておるわけですね。これが一体十年後に、今のペースでいったら、この五百五十万とそれからこれを確保していくためにどういう形になるかということを検討されておりますか。
○佐竹政府委員 事業の伸びと、それから現在の事業量の伸びで将来どのようになるかということについては、それなりに内部で検討はしておるわけでございます。
○新村(源)委員 これは今何か資料がないような御答弁でございましたので、このままのペースでいったら一体何年ぐらいかかる、そしてこれはあくまでもこれを遂行していくのだ、そういうことに対する資料を後ほどひとつ届けていただけませんか。 次に、今回の改正点ですが、これは現在の一般会計と特別会計、このうち一般会計の都道府県負担分を特別会計と同じように財投資金を充てよう、そして四百億円の財源を生み出してその分だけ進捗をしていこう、こういうことが今度の法改正の骨子であります。 ところが、昭和六十一年度の予算を見てまいりますと、前年度の九八・八%、金額にいたしまして百十億円の減額になっておりますね。そこにこの四百億円を加えて、三百六十四億円増の総体の事業量を確保しよう、こういうことですが、これは、今年度既に四百億円の新たな財源は生み出したけれども、三十六億円というものを減額をしておる。本来ならば四百億円というものを上積みしていかなければならないのが、三十六億円というものを既に減額をしておる。こういう点については、先ほどから農用地開発公団、あるいはこの十カ年の第三次長期計画、こういうものから関連をして、こういう新たな財源が出たにもかかわらず既に減額をしている。こういうことについて、一体農林水産省は農用地の造成についてどういう意欲を持っているかということが非常に疑わしいわけですね。こういう点についてはどうなんですか。
○佐竹政府委員 後刻資料としてということでございますが、この場でお答えをしておこうかと思います。 達成年次、現在のような状況で推移したら将来どうなるかということでございますが、仮に六十二年度以降の事業費の伸びを五%というふうに置きますと、三十兆四千億の長計の目標を達成する年次は七十二年、現在六十七年と言っておるのが七十二年になる、こういうふうなことになるわけであります。 それから、国費が減額されているのではないかということについては、まことにそれはそのとおりでございまして、私どもとしては、その国費の減を事業量でカバーするというような観点も込めて今回の制度を考えたわけでございます。全体予算につきましては、個々の費目についていろいろな要求査定の結果としてそのような数字になったわけでございますが、要は、国費については今後とも少なくとも現状のベースは確保したいというふうに考えておりますけれども、そういう条件の中でも事業量が伸ばせるようにということで、今御審議いただいている法案を提案したというわけでございます。
○新村(源)委員 私が懸念するのは、こういう法改正によって、これが財政再建といいますか、今の財政事情から来るそういう問題をこの浮かした財源で毎年毎年低減をしていって、結局なし崩しに——こういう法改正によって新しい道を開いて財源を確保したけれども、これは財政対策としてなし崩しにされるのではないか、こういうように考えるのですが、この懸念はないですか。
○佐竹政府委員 もしそのようなことになれば、これは国営事業、それから関連する附帯県営、団体事業の促進をしようという目的は達成されないことになるわけでございますから、この新しい制度を講じたことによって、少なくとも全体事業費が伸びる——逆に事業費の水準をむしろ切り下げる、そのためにさらに国費を切り込むということを許すのは絶対に私どもとしては承服できないところでございますので、この今回の措置が今後とも工期の短縮に資するように予算の確保に全力を挙げて努力していきたいと考えております。
○新村(源)委員 これは来年度以降の予算の推移を見て、改めて問題にしていきたいと思います。 次に、金利の問題でございます。 土地改良というのは、先ほど竹内委員も触れられておりましたが、いわゆる国土改造であるわけですね。農業というのは、これは私から申し上げるまでもなく、土地を基盤として生産が行われる。したがって、非常に恵まれた良質な条件のところにいる人は、昔からそういう土地条件のいいところの人は豊かな村、あるいは土地条件の悪いところに住んでおるのは、いわゆる貧農といいますか、そういうように個人的にも地域的にも非常に大きな差があったわけですね。それがこの土地改良によりまして、あるいは基盤整備によってそういう条件をできるだけ少なくしていこう、こういうことがこの土地改良の大きな基本になっておると思います。そういうことによって全体の生産を上げていく。したがって、この土地改良事業を行わなければならないというところは、以前からも経済的に厳しい状態のところであった、こういうことが一般的に言えると思うわけです。 そういうことからいけば、原則として土地改良事業というのは全額国費でやるべきだ、こういうように私は考えるわけですが、しかし今のところはそういうことになっておりませんので、そこで問題になってまいりますのは金利の問題です。 これは、一般会計の事業では金利は工事が終わってから償還が始まるときに五%ずつかけるということになっている。ところが、特別会計による事業は借り入れたときから金利を負担していかなければならない。しかも、今までの特別会計による財投資金の金利は、いわゆるそのときの金利コストによってずっと変わっているわけですね。一番高いときには八・五%ということになっている。そして、一たん八・五%で借りたものは償還が終わるまでずっとその金利でいくわけです。幸いにして安い金利で借り入れたものは安い金利でいく。同じ制度の中でもその年度によって非常に大きな差が出てくる、こういうことについてはどのようにお考えになっていますか。
○佐竹政府委員 土地改良投資というのは、事業期間としてもある程度の期間を要するし、それからその効果も長期にわたって発現していく事業である。そういう性格から見て金利水準というのは固定して考えるべきではないかというような御趣旨かというふうに理解するわけでございます。 先生の御意見は、それはそれとして私どもも理解できるわけでございますが、反面、現在の財投資金の活用の方法のルールというのが、同様な事業をやっております例えば水資源公団とか、その他財投資金を活用している、これは私確認しておりませんので若干留保をつけますけれども、道路公団なんかも同じではないかと思いますけれども、いずれも財投金利に、そのときの金利水準に連動させるという、これは金融政策の観点からの一つの要請がございまして、従来からこのようなルールがほぼ定着しているわけでございます。 問題は、特に期間が非常に長くなって、実際工事期間が長くなっているところにいろいろ問題の淵源があるわけでございまして、かつて昭和三十二年に、一般会計だけでは事業がなかなか進まないというところから財投資金を活用して特別会計制度をつくったわけでございますが、当時考えておりましたのは工期が七年程度ということでございます。その後、十年、十一年というふうに徐々に標準的な工期も若干直しましたが、いずれにいたしましても、先ほど竹内先生からも御指摘いただいたように二十年もかかっている事業があるわけで、その点にいろいろな問題の根源があるわけでございまして、金利のついた金を使いながらこのように長い時間をかけてきた、そのような事業運営を深く反省しているわけでございます。 現状、特別会計事業もかなりとっておるものでございますから一遍には直せませんけれども、できるだけ集中投資をして、金利負担しているような事業については工期が早期に完了するように、そのような運用の方法をしていきたいというふうに考えているわけでございます。
○新村(源)委員 これは一般的にはこれから償還に入るところが多いわけですね。ですから、これから出てくる問題が非常に多いと思うのですよ。 そこで、大臣、この特別会計事業を導入したということは、一般会計よりもさらに事業の進度を速めよう、こういうことで取り入れられたわけですね。しかし、本来土地改良というのは一本であるわけですよ。したがって、この一般会計事業でやっている償還期から五%という、このことを特別会計にも導入する。そしてこの上にはみ出す金利は当然政府が負担をする。そうしなければ、同じ事業をやって物すごく高い金利を払うところと比較的軽い金利のところとあるわけです。こういう格差というのは、どこかで国がこのことを補てんをする、一般会計で補てんをする、そういうような措置をとることが当然だと思うのですが、この点については、大臣どうですか。
○羽田国務大臣 このたびのように財投の方から借り入れる、これはまさに変動金利といいますか、先ほどお話がございましたとおりであります。そういうことで土地改良事業の、特に都道府県があれするものについてこれを固定にして、それを全部国が負担するということになりますと、事業の進捗というのは非常に難しいと思います。 今、先生、それぞればらつきがあるというお話だったのですけれども、いわゆる県の方については金利は変動してきますけれども、しかし受益者個人の分につきましては五%という利率を今度の改正につきましてもとっておるということでございますので、個人の皆様には御迷惑をかけないようにしていきたいというふうに考えております。
○新村(源)委員 次に、これは北海道のK町ということにしておこうと思うのですが、北海道の天塩川の上流地区に国営かん排事業を中心にして基盤整備事業が行われておるわけです。 それで、今非常に問題が起きておりますのは、一つには、国の事業が計画よりもずっと長くかかった、そのためにこれに付随して行われる道営基盤整備事業もずっとかかってきたということからいろいろな問題が派生をしてきておるわけです。この地区は国営かん排事業の対象面積が二千七百三十九ヘクタール、これを中心にして道営圃場整備事業が七地区、二千百七十ヘクタール、それから農村基盤総合整備パイロット事業が一地区で六百五十九ヘクタール、それに道営客土事業あるいは道営かん排事業というものが付随して、これは一番早いのは昭和四十二年に国営かん排事業が着手をして、今年度終わることになっております。それで圃場整備事業で終わったのは一地区、あとは六十三年あるいは六十四年、大体この時期に終わることになっております。これの総体の事業費が当初計画では百九十九億五千五百十六万五千円、ところが、これはまだ事業が終わっておりませんが、現在この事業費として計画されておるのは四百八億七千八百七十五万三千円、こういうように事業費が実に一〇五%もふえてしまっておるわけです。一体どうしてこういうように大幅に、事業費が倍額にもなってきたか。 ちなみに私はこの期間の、この期間といいますか、特に事業が本格的に始まった五十一年から、米の値段が一体どういうように動いたのだろうかと思って調べてみましたら、その間にわずか一二・四%より米の値段が上がっていないわけです。もちろんこの事業の中にはオイルショックを挟んでの事業がありますから、この点については大幅に上がることは予測できます。しかし、そうでなくて、五十三年以降に着工したところでも二二%、三二%、三五%、三八%、こういうように事業費が——米価というのは諸物価の基準として設定されてきておるわけですね。どうしてこんなに大幅に違っているのか、この原因についてお答えをいただきたい。
○佐竹政府委員 剣淵町で行われております圃場整備事業、先生御指摘の七地区でございます。これは後刻先生のところにお届けいたしますが、実は合計の数字が出ておりませんものですから、一々読み上げておりますと時間がかかります。 要は、一つは自然増、これは物価上昇でございます。一つは工法変更、もう一つは事業量の変更、事業費増の要因としては大体この三つに帰着する、かようなことでございます。また、農村基盤総合整備パイロット事業につきましても同様にこの三つの要素に帰着されるわけでございまして、特に事業費増のウエートから申しますと、総体として申し上げまして自然増のウエートがかなり高いわけでございます。後ほど地区別にそれぞれの内訳は御説明したいと思います。
○新村(源)委員 先ほども竹内先生の方からお話がありましたが、この事業にかかるときには年間の十アール当たりの賦課金の支払い額は大体米一俵、こういうことで事業に着手された。しかし今日では、予想される賦課金の徴収額は、地区によって差がありますが、十アール当たり大体二万二千六百円、高いのは二万七千円近く、こういうように、当初言われた農民の負担額から見れば大幅に上昇しているわけです。そして、この地区は水田専業地帯で、平均耕作面積は約七ヘクタール、年間の賦課金は大体中間的な二万四千百八十円。この賦課金が農家に一体どのくらいの負担になるだろうということで私が調べてみましたら、百六十九万二千円ですから、約百七十万円土地改良の賦課金として払っていかなければならぬ、こういう状態になっておるわけです。 ところが、こういう状態でそこの農業経営は一体どういうようになっているだろう、こういうことを農協の資料をいただきまして調べてみますと、Aの農家では、米価から転作奨励金から収入を全部含めて約一千百万円、そして支出が千三百二十九万円、これはまだ本格的な賦課金の最高のベースにまでいっておりませんが、このうち土地改良の賦課金が百三十七万九千円、こういうことで二百二十万円ぐらいの赤字が生じてきておるわけです。さらに、Bの農家についても大体同じことで、収入が約一千二十二万円、支出が一千百八十万円、それで支出のうち土地改良の賦課金が百五十五万六千円、そして赤字になって残りますのが百五十七万円。 こういうように農家の負担が非常に重くなってきておるわけですね。当初の計画から見て農民負担が非常に高くなったということで、これは一体どういうように対策を施されようとしているか、まず第一点。
○佐竹政府委員 御指摘の地区につきましては、比較的早い時期に完了した地区は十アール六千円程度でございますが、私どもの持っている資料でも、比較的遅く着工した地区については二万二千円程度の負担になっているわけでございまして、今具体的な農家経営について先生からの御指摘もございましたが、そういう現象が生じておるところもあろうかと思うわけでございます。 いずれにいたしましても、私どもといたしましてはこれは計画変更の手続が必要になるわけでございまして、農家の御同意をいただかない限り事業が完結しないわけでございます。その同意をいただく過程で、これは道営圃場整備でございますので、一次的には道、それから地元農協、市町村等でいろいろ御相談いただきまして、農家の御納得がいただけるような、そのような解決をしなければいけない。いずれにしても、その納得をいただけない限りは計画変更の手続が終わらないわけでございますので、私どもとしては御納得いただけるように関係者の間で話し合いが行われるように指導してまいりたい、かように考えておるわけであります。
○新村(源)委員 もう既に多くの事業は五十三年、五十四年に着工していまして、六十三年、六十四年に完成をする、こういうことで進んでおるわけで、これはよほど適切な計画変更なり適切な措置を講じなければ、この点からも非常に大きな問題に発展してくるのではないかという可能性を指摘しておきたいと思います。 次に、ここはもともと水田主業地帯であって、もとは天水あるいはため池、こういうものを利用しながら水田耕作が行われていた。ところが、今回は総合的なかんがい排水事業によりまして先ほど申し上げましたような一貫的な事業が行われているわけです。ところが問題は、この地区が現在転作率が実に七〇%に及んでおるわけですね。せっかく立派な水田を一生懸命どんどんつくってでき上がった、しかしその水田が七〇%も転作をしなければならないという状態に追い込まれています。 そこで、一つの問題は、先ほど申し上げました賦課金の中で、水田をつくるためにいわゆる用水その他のかんがい施設があるわけですね。しかし転作をすればその必要はなくなるわけです。その賦課金の内訳をちょっと見ますと、道営、国営両方合わせると約五千三百円くらいになるのですが、これは一体水田をつくらないと〇%の農家も払っていくのか、あるいはその三〇%だけで払うのか、これはどういうような運用になっていきますか。
○佐竹政府委員 土地改良区の賦課金につきましては、受益の可能性があれば賦課できるということでございまして、特に転作奨励金の積算に当たっても水利費が考慮されているという、そういう通達を私ども全土連に出したことがございます。五十年代の初め、もっと古くは四十五、六年ごろだったかと思います。 しかしながら、永久にもはや水田に戻らないというような土地につきまして、賦課することの妥当性ということは確かにございますが、反面、それでは従来事業をやっておりました償還の問題がございまして、今度は地区の地積割りでの決済金をどうするかというような問題があるわけでございます。これは、いずれにいたしましても米の需給全体から御協力をいただいて転作をやっていただくわけでございますが、その過程では、やはり個々の事業推進面では今申し上げたような問題が出るわけでございまして、これは土地改良区の運営としても非常に深刻な問題になるわけでございます。 私ども大変不勉強で、確かに北海道の北限地帯の転作は非常に大きいということは承知しておりましたけれども、そのことが土地改良事業の運営にどういうふうに影響を及ぼすかということについて先生にきょう御指摘いただきまして、事態の深刻さに思いをいたしている次第でございまして、これは今後、特に転作率の高い土地改良区について、道ももちろんでございますけれども、私ども国といたしましても、土地改良区の運営指導の立場から積極的な関心を持って今後の運営にいろいろ御相談に乗ってまいりたい、的確な指導方針を出していくようにいたしたい、かように考えております。
○新村(源)委員 これは、今局長さんの御答弁で今後どうしていくかということが非常に重大な問題になってくると思うのです。 しかし、そのほかに、これから米のポスト三期対策が出てくるわけですが、七〇%の転作が要る、その中で今生として耕作されているのは大豆とか小麦とかあるいはバレイショ、こういうものですね。ところがこれはもうこのままつくっておったのでは、先ほどのなにに戻りますけれども、水田をつくろうということで圃場整備をやった、しかし今の畑作の経営では、水田に戻るのであれば別だけれども、畑作の経営をこのままやっていくと、さっきの土地改良区の賦課金というものは到底払えない、こういう問題も出てくる。そして、今このままの状態で畑作に転換をして、そうして七ヘクタール程度の耕地面積で農家経済がもう支え切れない。 こういう問題が出ているのと同時に、この地域は農業専業地帯であって、いわゆる農外収入を得るということは出稼ぎ以外に期待ができない、こういうところになっておるわけです。したがって、この町は、何か対策をやってもらわなければ農業が崩壊をする、農業が崩壊することが町の崩壊につながる、こういう危機感に襲われておるわけです。 こういう点について、これは先ほどから申し上げておりますが、農政全般にまたがることなんですが、農林大臣、こういう地域にこれから一体どういうような農政を展開されようとしておりますか、土地改良の問題も含めて、あるいは今の北海道の畑作物に対する国の姿勢、こういうもの等も含めて、非常に厳しい条件を持っている地帯にどう農政を展開されようとしておりますか。
○羽田国務大臣 先ほど来局長からも私からも申し上げておりますように、土地改良を進める、これはまさに足腰の強い農業をつくろうということで、農業振興のために実は進めておるところであります。それが、今御指摘がありました地域におきまして、土地改良を進める過程の中で一つの新しい問題が起こってきておる、これは道営でございますけれども、今日までも農林水産省としてもいろいろと御相談にあずかり、対処しておるはずであります。 しかし、いずれにしましても、そういった今お話がありました例えば大豆ですとかあるいは麦ですとかジャガイモですとか、こういったものなんかに転作をしていただく、これに対してもちろん転作奨励金等が交付されているものであるというふうに考えておりますけれども、いずれにしても、こういう中できちんと土地改良をしてそして出稼ぎに行くということでは、これは実際に話にならぬし、また北海道は間違いなく食糧基地であるというふうに私どもも位置づけておるわけでございまして、その中でこれだけの事業が進められておるということでありますので、そういった中で農業がきちんと立ち行くような対策というものを立てなければいかぬなというふうに思っております。 ただ、個々の問題につきましては、やはりそこの地域の実情というものがございましょうから、これから私ども道の方とも、もちろん今までもお話ししていると思いますけれども、さらにお話し合いをしながら、どういう作物をつくっていったらいいのかあるいはどんな営農というものをしていったらいいのか、こういった問題についてさらに勉強させていただきたいというふうに思います。
○新村(源)委員 これは土地改良と直接関連がございませんが、今北海道の問題として出ておりますのは、これはもう大臣御存じだと思いますが、今北海道の二十四万ヘクタールの水田のうち、実に四四・五%、全体の約半分近くで転作が行われておるわけです。これは水田の転作即畑作にかわるわけですが、畑作物も、バレイショあるいはてん菜あるいは豆類、こういうもの等が、これは農林水産省の指導によっていわゆる作付指標というものを決めて、これ以上つくるな、こういうように言っているわけですね。そしてそのはけ口は何かといったら、大豆とか小麦だ、こういうように去年までは言っておったのです。ところが、最近になって大豆もこれ以上つくってもらいたくない、小麦もつくってもらいたくない、こういう間接的な指導があるわけですね。 これでは日本農業といいますか、北海道の農業は一体どこに活路を求めて進んでいけばいいのか。特に麦とか大豆の問題について、農林水産省は一体そういうようなことを本気で考えているのかどうなのか、この点について大臣からお聞きしたいと思います。
○羽田国務大臣 不足するものに再編をしていく、これが水田利用再編対策の基本の考え方でありまして、特にその中の戦略的な作物として、飼料、麦、それから大豆、これがあったことは間違いございません。 ただその中で、私どもが申し上げておりますのは、油を搾るような大豆ということよりは、むしろ納豆ですとかあるいはみそですとか豆腐、いわゆる食用に供するもの、こういったものを国内でつくり上げていきたい、あるいはうどんとか日本の伝統的な粉食、これを賄うもの、これを日本の国内でつくっていきましょうということでお願いを申し上げてまいったわけであります。 そういったものがある程度達成してきたということで、またこれがもし余り大きな過剰とかなんとかになってきますと、これの処分、あるいはこれをまた今度はわざわざつくり上げてから逆に減らしていかなければならぬということになってくる、これは農家の皆様方にも非常に御迷惑をおかけすることになるわけでございまして、そういったことで、あるいはこれ以上のものについては少し考えなければいけないのかなというものがあるのじゃなかろうかと思っております。
○新村(源)委員 大臣、お言葉ですが、大豆は自給率わずか四%かそこらでしょう、小麦だって三分の一ぐらいでしょう。そういう中で、いわゆる用途とかあるいは品質とかいうのは多少の差があるかもしれない、しかし、それは農林水産省の指導によれば、このぐらいのものは幾らでも消化できる、自給力はそのぐらい低いわけですから。こういう問題を根本的にどう処理していくかということが考えられなければ、今言われたように用途とかあるいは品質とかいうことで抑えられたら、日本の農業なんかは伸びていく余地は何もないわけでしょう。 牛乳だってそうでしょう。牛乳だって、余る余ると言っていますけれども、農林水産省から出してもらった昨年の乳製品の輸入量は、脱粉あるいはナチュラルチーズを中心として実に二百七十万トン近く輸入されておるわけです。そして国内の牛乳の生産は大体七百万トン程度でしょう。七百万トン程度の生産の中で二百七十万トンも輸入されている。これは、北海道で二百五十万トンぐらいしか生産できませんから、一番酪農の主要地帯である北海道の全乳量よりも多く入っているということでしょう。 今の日本め農業というのは全体的にそういうことで明らかに外国の農畜産物に押されている。外国からどんどん入れて、その分だけ日本の農業生産を縮小していく、これが今の農林水産省あるいは国の姿勢ではないですか、そういう点についてどうですか。
○羽田国務大臣 今御指摘があったわけでありますけれども、ただ、ここで考えてみなければいけないのは、確かに大豆あるいは小麦、こういったものをもっとほかの用途、これは当然私どもも開発していかなければいけないと思います。ただ問題は、それでは油を搾る大豆をということになりますと、油代というものは大変なものになってしまう。例えば飼料穀物も、本来だったら、日本で生産することが可能であれば、これは自給率そのものも相当高いものになるはずであります。ただ、実際にそれをもし国内でつくったらということは、私からもう御説明することはありません。 それから、例えば乳製品なんかにいたしましても、やはりその乳製品の輸入する中で一番大きなものはナチュラルチーズ、いわゆるプロセスチーズの原料として今まで入ってきた。最近ではナチュラルチーズそのものも食べられるようになりましたし、そういうことでそれがふえていることもありますけれども、その中で飼料用の脱粉というものも非常に大きなウエートを占めております。これは結局、今、余剰乳ですか、これを使って色なんかつけながら子牛の哺育なんかにも使っておりますけれども、しかし、それではとても経済的にあれしないということで、飼料用脱粉というものを求めなければいけない。 これは確かにいろいろな議論のあるところでありますけれども、やはりある程度消費者あるいは加工する立場、いろいろなものをお互いに考えていかなければいけないのじゃないか、そういう中で、これから小麦とかあるいは大豆とかいうものについて、積極的に当初始めたような勢いで大きく伸ばすということは非常に問題があるのじゃないかなということを率直に考えますので、率直に申し上げておきます。
○新村(源)委員 大臣の今おっしゃったようなことが、それはもう即、ちょっとでも品質とかあるいは量の問題、こういうものにちょっと問題が出てくれば、その分だけ引き下がっていくという論拠であれば、これは日本の農業はどんどん縮小していかざるを得ないのですよ。 そうではなくて、大豆なんかどんなにつくったって一〇%も自給力できますか、あるいは麦が自給力五〇%に持っていけますか、どんなに力いっぱいつくっても。力いっぱいつくったらどのくらいできるか。そういう余剰になることを非常に心配されているのだが、どのくらいまで余剰になるという見通しを持っていますか、このままどんどんつくれと言ったら。
○羽田国務大臣 量についてどうだということですが、かつては相当な自給率は持っておったわけでありますけれども、今日の農村あるいは農業者たちも非常に高いレベルの生活をするようになる、そういう中で、先ほどからも何回も申し上げておりますように、油の原料になるような大豆をこれからつくるというのは難しいのじゃないかなというふうに私は思うわけなんです。ですから、今私たちとしてもなるべく自給率も上げたいという気持ちはやはりございますが、そういう意味では、なるべくいろいろな新しい食品というもの、またそういったものを需要する食品というもの、こういったものを開発していくことが大事だと思います。 それともう一つは、例えば今、先生の地域なんかは七〇%の米の生産調整を強いられている、やらざるを得ないということでありますけれども、これはまさに一つの適地適産というものが頭の中にあり、そういう配分になっていったというふうに考えます。それを考えたときに、逆に、大豆ですとかあるいは小麦ですとか、それがあるいは適地なのかもしれません。そうだとするならば、余り生産性の上がらないところからむしろ逆にだんだんやっていく、そして、その方面については、またその地域の特性というものを生かしたものをつくっていく、そういったきめの細かい政策というものが今望まれているんじゃないかなというふうに考えます。
○新村(源)委員 この問題は農政上の基本的な問題になりますので、この論議はこの程度にとどめておきます。 時間が参りましたので大臣に特にこの機会に要請をしておきますが、大臣既に御案内のように、日ソ漁業委員会が去年から交渉して中断です。ことしも、交渉が再開されたかと思うとまた中断しておるわけですね。北海道の漁民は、出漁期から六十日間ももう足どめを食っておるわけです。したがって、漁業者自体もまさに死活の岐路に立たされておる。と同時に、これに関連をする中小加工業者、この人たちも雇用しておった人たちをどんどん離職させなければならぬ、工場を閉鎖しなければならぬ、こういうような危機的状況に至っておるわけです。 したがって、この日ソ漁業委員会の一日も早い妥結をと、血の出るような叫びを上げておるわけです。農林大臣として、重大な決意を持って一日も早く交渉再開、さらには妥結をしてもらいたい、そして、農林大臣にできるだけ早い機会に訪ソをしてもらって、みずから陣頭に立って交渉をしてもらいたい、こういうことが北海道挙げての声でありますから、大臣、これについて所信があればお答えをいただきたいと思います。
○羽田国務大臣 今お話がありましたとおり、この問題につきましては二月十四日からですか、交渉が中断してしまっているというのが現状であります。その間、今お話がありましたとおりの日数、日本の船が操業できないという状態の中で、単に漁民だけではなく、加工関係あるいは流通関係の皆さん方も本当に塗炭の苦しみにあるということを私ども承知しております。また、昨日も道の方から副知事さん初め道議会の皆さん方、いろいろな立場の皆さんが来られて、先日行われた大会の模様等、私どものところにも御報告をいただいたところであります。私どもといたしましても、今外交ルートを通じながら、何とか一日も早い交渉再開に向けて、それこそありとあらゆる努力をしておるというところであります。 ただ問題は、ソ連邦の方の主張というものが従来と根底から変わってきておるといいますか、相当厳しいものをぶつけてきておるということであります。私どもとしては、シェワルナゼ外務大臣がわざわざ日本にやってくる、そして新しい外交関係を築きたいという気持ちを日本にはっきりと表明している、しかも、ゴルバチョフ書記長のいろいろな発言等あれしましても、やはりその意欲といいますか、そういったものを感じます。それに対して私どもの総理あるいは外務大臣も今対応しょうとしておる。そのときに、今まで八年間つないできた唯一——唯一ということではありませんけれども、大事なパイプというものを本当に切っちゃっていいんだろうかということも、実は率直にソ連邦に対して私からも申し上げておるところでございます。 いずれにいたしましても、私自身が出向いていくということについて皆さん方からいろいろな声があることも承知しておりますし、私もすぐ飛び出していくというその気持ちは十分ございますけれども、今の状態の中で私が出ていくということはむしろ日本にとって決してプラスにならぬということで、行かれるような環境というものをつくってもらいたい、それを今外交ルートを通じながら話しかけをいたしております。 ともかく、今御指摘がございましたことを十分踏まえながら、北海道初め関係の漁民の皆さん、また流通、加工の皆さん方が本当に一日も早く仕事ができるような環境整備のために努めてまいりますことを申し上げたいと思います。
○新村(源)委員 終わります。
○大石委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時五分休憩 ————◇————— 午後一時十一分開議
○大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。田中恒利君。
○田中(恒)委員 午前中来、土地改良法、特別会計法の一部改正についていろいろ議論がありましたが、この際農林大臣に最初にお聞きをしておきたいのは、私は、やはり農業問題の中心は何といっても土地問題、したがって農地問題、基盤整備については農政の原点として押さえておかなければいかぬと思っております。農業全体の傾向は食糧の自給率の指標で測定されていく、その動向を決めるものはやはり農地の動向だと私どもは思います。 ただ、農地問題は、戦後日本経済との関連の中で非常に複雑な関連性を持ってまいりましたから、農政サイドだけで判断できない側面も非常に多うございました。しかし、最近の傾向を見ると大分落ちついてきた、そんな感じもするわけでありますが、ただ全体的に指摘をされるのは、やはり農地の造成あるいは農地の利用が残念ながら農基法体制以降進まない。むしろマイナスになっておる。これはいろいろ言っても、やはり日本の農業の状況が芳しくない指標になると私は思っておるわけでありまして、そういう意味で土地政策、農地政策、特に農用地の拡大という問題は何よりも最優先しなければいけない。自立農家といい協業組織といい、規模拡大ということを考えた場合、だれが考えても土地が広がらなければ規模拡大できません。施設園芸とか畜産とかそういう問題はあるにせよ、やはり土地の拡大というものは農政の基本でなければいけない、そんなふうに日ごろ思っておるわけでありますが、大臣はこの点についてどういう御所感を持っていらっしゃるか、まず最初にお尋ねしておきたいと思います。
○羽田国務大臣 今田中委員から御指摘のとおりでありまして、歴代の大臣も足腰の強い農業ということをよく申し上げておりますけれども、そのときにも、やはり土地というのは一番の基本であり、しかも生産性の高い農業というものを進めていくためにはどうしても規模の拡大は大事でございまして、今委員が御指摘のとおりであります。 そういうことで、私どもとしまして第三次土地改良長期計画、ここで五百五十万ヘクタールの農地を確保しようということでありまして、この間に四十七万ヘクタールの農用地の造成を行おうということであります。確かに今財政が非常に厳しいということでありまして、その進捗はおくれておるというのが現状でありますけれども、しかし私どもは何とか優良農地を確保するためにこれからも努めていきたいし、また優良農地の壊廃等については極力これを避けるために話し合いを進めていきたいと考えております。
○田中(恒)委員 土地を拡大していくために長期計画で最大限努力をしていく、そういうお言葉はよくわかるわけですけれども、実際問題としてできるのか、最近の農地の動向を見てみると、どう見てもこれは全く計画倒れになってしまうのではないか、こんな心配があるわけです。 先ほど来も第三次の土地改良長期計画についてのいろいろな御質疑がございましたが、一体昭和六十七年度までに四十七万ヘクタールの農地造成、そして食糧自給力確保のために必要な五百五十万ヘクタールの農用地が確保できるのかどうか。これを確保したいと努力するということはわかりますが、この十数年来の土地の動きを見てみるとなかなかそんなに簡単なものじゃない。それだけのものをするならするで、腰を構えた、農用地拡大政策というものは今までのスタイル、今までの中身ではなくてもっと新しい形で考えてこなければ、私はそんなに簡単にできるようには思わないわけであります。 昭和三十六年農基法ができて以降、平均すると大体三万ヘクタールくらい土地は少なくなっております。この五、六年の間は恐らく一万四、五千ヘタタール程度、農用地はどんどん少なくなっております。これはずっと長期的な傾向ですね。こういう中で、今五百三十九万六千ヘクタールと数字をいただいておりますが、五百五十万ヘクタールに持っていけるのかどうか。それでいけば、ことしの予算にいたしましてもあるいは土地改良長期計画にいたしましても、今のペースではとてもそんなものは考えられないわけでありますが、何か妙手がございますか。
○佐竹政府委員 若干数字にわたる御質問でございますので、数字に即して事務的に御説明いたしたいと思います。 五百五十万ヘクタールの農用地造成は言うまでもなく農産物長期需給見通しに根拠を置いているわけでございまして、これは潜在的自給力を確保する、耕地の利用率一一二%を前提にいたしまして、最も効率の高い作物をつくれば国民に対して二千カロリー程度の熱量の供給が可能なようにするためにはこの面積が必要であるということでございます。それに対して五十五年度末の五百四十一万ヘクタールから推計いたしまして、年々四万ヘクタールくらいの農地の壊廃を見込み、造成必要面積を五十一万ヘクタールと想定し、それから自己開墾四万ヘクタールを引いて四十七万ヘクタールの農用地造成が必要である、こういうことにしたわけでございます。 現在までの実績を一応申し上げますと、六十一年度までで、これも推計でございますが、四十七万ヘクタールに対して四年間で七万二千ヘクタールの農用地を造成しておるわけでございます。物量ベースの進捗率について申し上げますと一五・三%になるわけでございます。 今後の見通してございますけれども、従来の予算規模、事業費の伸びでは達成は非常に難しゅうございます。先ほど新村先生も御質問ございましたのでお答えしたところでございますが、六十二年度以降の事業費の伸び率を五%と置きましても、これは農用地造成だけではございませんけれども、三十兆四千億の達成は七十二年になるわけでございまして、私どもといたしましては、今回の国営事業の施行方式の改善もその一つでございますけれども、さらに事業進捗のための施策について検討してまいりたい、かように考えている次第でございます。
○田中(恒)委員 数字は出てくるのですけれども、なかなかそんなに簡単なわけに土地造成というのはいかぬのじゃないかという心配を私はしております。 先ほども御質問がありましたが、農用地開発公団が四十七万ヘクタールの農地造成の中でどの程度を受け持っておるわけですか。
○佐竹政府委員 草地造成に占める公団の事業実績でございますけれども、四十九年から六十年まで全国で草地が十四万四千ヘクタール造成されましたが、そのうち公団が三万七千ヘクタールを造成しておりますので、シェアは二六%ということになっております。農用地造成面積全体でこれを見ますと大体一四%弱ということになっております。
○田中(恒)委員 これは相当大きな分野ですね。それが臨調などからはとやかく言われてきておるわけでありまして、これも午前中議論がありました。これに対して先ほどの御答弁では、何か公団事業の見直しというか機能の転換、こういったような意味の発言が農林省の方からなされたわけですが、大臣、公団の問題についてはあなたはそういうことのないように努めていく、こういう意味の御発言をしておるわけです。それかといって、今の農用地公団の形だけでいいのかどうかということになっていくと、これまたいろいろ議論のあるところ。だから何か機能の変化、こういうことに思いをめぐらしておられるのじゃなかろうか、こういうふうに私は推察いたしますが、実は私どもも先般三重県の青蓮寺の改良区というのを見せていただきました。 土地改良は正直言ってどこの県にもたくさんあるわけですが、そこを見て私の率直な感想は、ともかく事業はやって一応立派な圃場ができた、しかし後これをどうしていくかということについて皆悩んでおるわけですね。特に関係地区の人々は、償還の期限に入ると償還金が自分たちの営農に支え切れないほどの重みでかぶさってきておるということで苦労しておる。そこで、大体国営などの大規模な開発事業というのは地域全体あるいは県もくるめて相当力を入れて始めておるものだから、関係の市とか県とかはそれぞれの持ち味を生かしていろいろな事業を組み合わせて、そして現地の負担も軽くしていくし、それから、造成された後の地域なり営農全体を立派なものにするための諸方策をさまざまな形で結合させて、全体として何とか支えていかなければいけない、こういう状況になっておる。しかし、今日の農業の実態は厳しいからそれでもなかなか大変だという形で不安がみなぎっている、こんな感じをしてきたわけであります。 そういうことを考えてみますと、農用地の造成、土地改良、こういう仕事の中には、従来ともすると、例えば農林水産省の場合は構造改善局を中心とした土地づくり、造成地づくり、ある面では農業土木型の考え方が主流になって、農林水産省全体の諸施策が、つくった土地をどういうふうに有効に活用していくかという政策のつながりが欠けておったのじゃないか、私はこんなふうに前々から思っておる一人でございます。これは我が国の中央官庁のシステムが、それこそ本来の行政改革でありますが、縦が非常に強いものだから、横の連携はこの数年来いろいろ努力をされておる面はわかりますけれどもやはり弱い。だから、こういう委員会での質疑応答になったらきれいな言葉で言われるわけだけれども、実態としてはなかなか効果が出てきてないのじゃなかろうか。特に土地問題については、造成とか改良とかという問題については農政の基本であるだけに、その辺についてもう少し内部でしっかりとした方策を立てて取り組む必要がある、こういうように私は思います。 農用地開発公団の問題をめぐって、何かそういう問題についてお考えの向きが出てきておるのではなかろうかと推察をしているわけでありますが、この辺のことについて大臣なり、あるいは局長も実務者として何か御意見がありましたらこの際お示しをいただきたいと思うわけです。
○佐竹政府委員 農用地開発公団は、まさに今御指摘ございましたような、畜産経営を創設するために農用地造成、草地改良を行っているわけでございまして、そういうことを制度的に担保するために農業用施設と農用地造成を一体的、計画的、総合的に整備するという点について非常にユニークさを持っているわけでございます。 私ども常に反省しなければならないことでございますが、ややもすれば構造改善局は施設をつくることにのみ関心を持っておるという御指摘を受けがちなところも確かにあったわけであります。農用地開発公団はそうあってはならないことを制度的に解決したユニークな仕組みでございまして、もちろん事業の重点が、当初の酪農主体から今後肉用牛の繁殖育成部門中心の草地改良に移ってまいります。上物投資の意味も当然変わってこざるを得ないわけでございますけれども、しかし御指摘のあったような営農と基盤整備を一体的にやるということをまさに制度的に保障したユニークな制度でございますので、このよさを今後とも十分に伸ばしていきたい、かように考えているわけであります。特に上物施設については行革審等においてやや金がかかり過ぎるのではないかというような御指摘もいろいろあることは事実でございますけれども、この公団の構想の営農と基盤整備を一体的、計画的、総合的に進めていくという点は今後とも堅持していきたい、かように考えているわけでございます。
○羽田国務大臣 今局長の方から申し上げましたように、ともかくこれからもやはり草地の開発、そういったことによって畜産の濃密な経営というものをつくり上げていく、基本的にはそういう考え方で進めてきておりますけれども、実態としてはいろいろな問題があるのではないかという御指摘もございます。そういうものに対して、農業改良普及員ですとか農業団体ですとかあるいは自治体、こういったところなんかも、せっかく造成した農地を十分有効に活用できるよういろいろな話し合いを進めてもらう必要があるのじゃなかろうか、また私ども農林水産省としては、本省の方としては、そういったところにいろいろな情報を提供していく、こういうことで開発した農地というものを大切にしていきたいというふうに考えます。
○田中(恒)委員 この開発公団は、今局長が言われたように畜産と草地造成とを結びつけて箱物などについてもある程度あれをしておる、その辺はよくわかるのです。それだけに今まで以上に新しい要素を加味して土地を造成し、肉畜経営というものを成功させるためにいろいろな配慮をしていらっしゃるわけだが、それだけでは足らぬと私は思うのです。もっと本格的に肉畜——肉畜も酪農も何も後退させる必要はないと思うんです。草というのは大切ですよ。草酪農というのは伸ばさなければいけないので、そういう意味では、特に日本の場合は草地は少ないのですから、できるところはどんどんやってもらいたい。私どものところは地域が狭いものだからどうもできていないが、将来、できるだけあんな事業を取り入れて大々的なものをやらす必要があると思っているわけだけれども、それだけに、前へ向いて進もうとするのをつぶすとかなくすとか、そんなことをされたらたまったものではないわけなんで、これは大臣、今まで御答弁されたように、臨調がどういう方針を出すのか非常に心配になっておるが、最近、相変わらず新聞にこれはどんどん出ておるのです。だから、よほどしっかりしてこれはあれしてもらわなければいけないと思います。 同時に、今まで言われただけのものよりももう少し突っ込んだ方策を私は考えなければならないのじゃないかと思うのです。やはり畜産局、構造改善局あるいは官房も含めて、全体としてああいう中山間の草地を中心とした日本の畜産をどうしていくのかということについて知恵を集めて、それに必要な諸施策やいろいろな資全体制や指導体制、そういうものをもっと大胆につくり出していく必要がある、こういうふうに私は申し上げておるわけです。 私はそういう視点で一、二、日ごろ感じておることを、提言みたいなものを兼ねて申し上げたいと思うわけです。これは何も農用地開発公団の問題だけではなく、土地改良なり土地造成の問題をめぐってですが、例えば今、一つの問題は、つくった土地で何をつくってどういうふうにやれば成り立っていくのか、こういう問題があるわけなんです。その場合に一つの問題は、農業経営の中で今一番経営費のかさばりになっておるのはやはり農機具です。これは農家経済調査などを見ても、農機具の償却というものはぐんぐん大きくなっておるわけです。せっかく大きな圃場をつくったわけですから、そしてそれは機械化を前提にして大体皆お考えになっているわけですから、その機械を最も効率的に使うための諸方策は何かという問題を農地造成と並行して考えていかなければいけないと思うのです。 そうすると一つは、最近あちこちでできております施設組合の形での共同機械利用組合といったようなもの、こういうものはどうしても必要になります。ところが、現実の今の農村の実態は、この機械を使う人がいないという問題がありますね。これは非常に高齢化をして、私はこの間大臣にも予算委員会で申し上げたが、十六、七万カ所ある日本の集落の中で、二〇%は六十歳未満の農業従事者が一人もいない、こういう現状です。 実は、この機械をいじるのは大体若い人がいじるし、機械をいじるということは若い人たちにとっては楽しみといってはいけませんが、非常に大きな期待なんですよ。農林省は農業後継者育成事業といったようなものに大分力を入れて後継者育成資金などもつくっておるわけですけれども、国営なりあるいは県営なりあるいは団体営ででも、土地改良事業と結びつけてこういうオペレーター育成の事業を、これまた後継者育成の問題とも絡ませて持っていく、こういう新しい物の考え方はできないのか、あるいはそれに類したものは今ないのか、こういう点をこの際お尋ねをして、できればそんなものも考えていただきたいと思うわけですが、いかがですか。
○関谷政府委員 農地造成と関連する機械の有効利用対策、特にオペレーターの養成確保の対策の問題でございます。 これは全体的に申しますと、いわゆる農用地造成の地区の問題でもございますが、同時に大変面積の大きい既耕地、また関係農家の多い既耕地の問題でもあるわけでございます。全体的には、御承知のように現在の機械化の状況を見ますと、平均的には経営費の中で機械の経費というのは二割ぐらいですけれども、どうも小さい規模の農家の方々の方が負担が重くて、大きい方にいくと比較的効率的に使っておられる、こういうことがございます。 そこで、今やっております特にオペレーターの確保も含めました対策の中心になりますのは、そういう状況の中で機械の共同利用とか、それから特に農協等を中心にしましたいわゆる機械銀行の方式の中で、専門的な機械の所有運営主体が手広く機械作業を請け負っていく、そのあっせんを農協等がする、こういうスタイルを私ども中心的に考えているわけでございます。 そういう機械の有効利用対策の中で、オペレーターを専門的な一つの地位として育てていく、こういうことが期待されているわけでございますが、特にオペレーターの育成ということになりますと、従来は補助事業の中で中核的な農業機械利用技能者育成事業というのを実施しておりまして、これも来年度以降、引き続きまた形を新たにして実施するつもりでございます。このほかに、国と県のいわば研修施設の中でオペレーター養成をしていくということで、国の方では、御承知の農業技術研修館というのが茨城県にございますので、そこでいろいろな研修をやっておりますが、特に機械関係では基礎的な、初めてこういう仕事につく人の研修とか、それから野菜作とかその他部門別の専門の研修、こういうことをいわば計画的にチームをつくりまして、そのチームごとに一定の人数に一定期間、研修に集まってもらう、こういうようなことでやっております。 いずれにしましても、機械の有効利用問題というのは、やはり農家、農村地域全体を見た総合的な取り組みが必要であろうということで、先生御指摘のような考え方も踏まえて、今後ともオペレーター育成対策についても力を入れてまいりたいと思っております。
○田中(恒)委員 事業は何かあるのだけれども、そういうものが圃場整備とか土地規模拡大といったようなものとうまく結びついて機能しておるのかどうかということについて、私どもはあちこちを回るのだが、熱心なのがあればぽこっとそういうのをやっておるということになって、方針がびたっと立ってないと思うのだ。だから、やはりこういう基盤整備や土地拡大などを通して条件のできたところに——特に機械化の問題は圃場が大きくなって立派なものにならないと本格的に機能しないわけですから、そういうところと結びつけた体系をつくるべきじゃないか、私はこう思っておるわけでありまして、よく検討してもらいたいと思うのです。 いま一つは、この間、青蓮寺へ参りましたが、有機質をともかくぶち込まなければいかぬわけです。特に造成のところはともかく地方をつけなければいかぬわけですから、有機質を入れなければいかぬのですが、有機質の供給センターといったようなものが土地造成事業とどういう関連になっておるのかということがはっきりしない。だから、あの付近の伊賀牛ですか、あの牛のふんを、恐らく市なり県なりがあれして何か集積場みたいなものを持っていろいろなことをやっておるという話も聞きましたが、その他どこへ行っても、造成地域には必ず有機質をたんと、二トンとか三トンとかぶち込まなければいけないわけであります。こういう有機質供給センターといったようなものも農林省の事業の中にあるはずでありますけれども、これがこういうものとどういう関係になっておるのか、こういう点が実は我々よく理解できないわけであります。 ともかく、総合的、一体的に組み合わせてやらなければ、せっかく土地造成、土地改良をやっても本格的に動かないということでありますから、その辺のことがなかなか、やります、あります、こうおっしゃるわけだが、現実にこれが横の連携がうまく組み合わされておるようには私にはどうも思えないので、羽田さん、あなたせっかく農政のわかる大臣だと言われておるのだから、ひとつその辺を農林省の中で再検討してみて、やはりつくった土地が有効に動くような、そこでやれば日本農業の新しいものがつくられるような、そういうものを思い切ってやってもらわないと、正直言って、今の国営のいろいろな事業にしても、これは全体が厳しいのだからそこだけよくなるといったって難しいことはわかりますけれども、しかし、それにしても、これは負担金問題などを抱えて、前を向いて進むというよりもどう持ちこたえられるかということで、私は各地区とも深刻な表情になっておるように思えてならない。だから、そういうものをプッシュしていくような、そういう政策というか手法を考えてもらう必要がある、こう思うのですがいかがでしょうか。
○羽田国務大臣 田中委員からの御指摘は、まさに現場を御自分で調査され、あるいはその地域からの声であろうというふうに感じます。 今それぞれ局長の方からもお答えいたしましたように、例えばオペレーターを教育するとか、あるいは有機農業を進めるための資材を提供する機関ですとか、いろいろなものがそれぞれあると思いますけれども、今御指摘のとおり、有機的にそれが結合したときに初めて効果というものが発現することができるわけでございます。せっかくの大きな資本を互いに投下した上での農用地開発でありますから、そういったものは本当にいい結果を得るために、御指摘のようにやはりいろいろなものが有機的に結合する必要があろうというふうに考えます。 そんな意味で、私どもの方としましても、そういった現状というものをもう一度調査しながら、そういったことが発現できるようにこれからも努めていきたい、特に改めて努めていきたいというふうに思っております。
○田中(恒)委員 私は非常に細かいことばかりきょうは質問させていただきます。 それから、土地造成で耕起、これは余り私も技術的なことは詳しくはないのですけれども、つくるときに掘り起こすのですね。これの深さが、例えば果樹の場合は幾ら、それから蔬菜の場合は幾ら、大豆の場合はどうかとか、こういう形で一定の基準がどうもあるのですね。それはそれで意味があるのでしょうけれども、基本的には土地はやはり深く掘り下げなければだめなんです。だから、私などはやはり深く耕起をさしていくという基準をつくってもらいたいと思うのです。 現実に造成したところへ行っていろいろ聞いてみますと、後で物すごく石ころがあって、また土地を持っていらっしゃる農家の皆さんがその石ころを集めたり、それからまた深く掘り下げることに石ころが出てくるという問題にしばしば実はぶつかるわけです。私自体もやかましく言って特別にやり直させた経験もちょっとあるのですけれども、あちこちでどうもそういう話が多いわけです。 そういう意味では、深く掘らしていくということが基本でなければ土地が生きてこないと思うのですよね。そういう意味でやはり基準をいま一遍、専門家がおるわけですから、私のように素人が言ったっていけないけれども、ただ確かに果樹のような永年作物の場合は一番深いようですけれども、野菜なんか非常に浅くてもいい、こういうことになっておるわけです。野菜をつくっておるところはいつまでも野菜をつくっておるとは限らないので、今の転作というのはさまざまに情勢を見ながら経営をうまく改善しようと努力するわけでありますから、やはり浅いところはやめさして深いところに水準を合わすぐらいの思い切った基準をつくらないと土地が本当に機能しないと思いますが、これはどうでしょうか。
○佐竹政府委員 造成農地の耕起する場合の深さでございますが、これは地目とか作物、栽培管理の内容などの土地利用、それから営農上の観点、それからまたそのように作土の深さを保つための農用地造成をするための技術的あるいは経済的な観点、これは深くすれば当然のことでございますが、プラウを入れたりして能率が落ちるために反当の事業費が上がるという問題もございます。 そういう諸点を勘案してその地域地域で最適な耕起深を定めることといたしておりますが、一般的には土地改良事業の計画基準におきましては、作土の造成目標は普通畑で二十五センチ程度、樹園地では六十センチ程度というふうにいたしておるわけでございます。
○田中(恒)委員 二十五センチが浅いのですよ。これはもう少しちょっと考えてみてもらいたいと思うのだな。これは相当土地ができてから、しばらく年数をかけてまた皆いろいろ骨を折っているわけです。一番最初のときのこれをもう少し検討して、せっかく農林水産省は土づくり運動ということを提唱するわけですから、そして深耕深耕ということを言っているわけですから、こういうときに農水省としてきちんとした模範を示してもらわなければいけないと思いますので、これは指摘をしておきます。 それから、そのほか一つ二つあるのですが、例えば私のところなんか土地がないんですよ。今まで土地改良が進んだところ、圃場整備が進んだところ、特に山林牧野の草地づくりなどが進んだところはやはり日本の食糧基地と言われる東北とか北海道とかこういう地帯で、土地改良が全体としておくれておるところは、圃場整備などがおくれておるところは西日本ですね。西日本はやはり急傾斜地帯であったりそれから面積が非常に少ないということでありましたが、最近本格的に、皆さんの御指導もあるが、大分進んできました。しかし、それにしても土地が少ないだけに、やはり一寸でも土地は耕作をしたいという希望がある。 ところが、最近の圃場整備というのは六十度から七十度ぐらいの傾斜斜面というのをほとんどつくるわけだな。だから、あれはあれだけとられると、もっと米が一俵ぐらいとれるのに、あれだけの傾斜でやられると、ああまでしなければいけないのか、こういう声もあるわけなんですよ。これも必ずきちんとそれでなければいけないということじゃなくて、昔の百姓はやはり立てて石を積んで、きちんとした石垣をつくって畦畔をつくっておったわけですね。それで持ちこたえられてきたわけです。これは最近の工法的技術だとは思いますが、しかし必ずしもああいう型だけでなくともやれるところも随所にあるわけなんですよ、ところによっては。だから、その辺はもっと弾力的に畦畔の造成などについては考えなければいけない点があると思います。 それからいま一つは河川ですね、河川を挟んで土地改良事業が行われる場合がしばしばあります。特に一級河川ですね。一級河川というのはとんでもない大きな川のように思うけれども、田舎へ行くと本当に一またぎするようなのも一級河川になって随所にあるわけなんですね。大変小さな川が、それこそせせらぎが流れるような小さな川が、一メートルとか一メートル以下の幅の川も一級河川ということになっておるわけですよ。そういうものも相当あるわけです。 その場合に、土地改良をやる場合にやはり河川の改修と土地改良との関係が出てくるわけです。ですから、これは建設省の管轄と農林省の管轄ということになるわけでありますが、これを両省話していただいてやはり一体的にやれるようにしないと、これは土地改良区の皆さんが河川改修は皆自己負担しなければいけない、こんなことにもなりかねないし、またなっておるところもあるわけなんですね。その辺はやはり一緒にやれるように両省間できちんと相談をして進めてもらいたい、こう思いますが、いかがですか。
○佐竹政府委員 まず第一点の畦畔の問題でございますけれども、私どもは山間地における農家の方々が圃場の面積について実にシビアに考えておられるという点は十分理解しておるつもりでございます。現実にも、従来から圃場整備の施工現場等で大型の石等の発生材がある場合には、これを使って石積み畦畔の施工を行っている事例もあることはあるわけでございます。ただ、この場合には、なるべくその耕作できる土地を多くするということはもちろん農家の方が第一義的に要望されることでございまして、設計施工する行政の側も配慮しなければなりませんが、同時にやはり崩壊の危険性のないように、土質とかのり高とかそれから施工条件というようなものを総合的に判断して安全性の確保をしなければならないということもあるわけでございます。我が国の築城技術なんかにも見られますように、石積みというのはやはり傾斜をつけてある場合が多いようでございますので、特にのり高の高い石積みの場合にはこれを角度を直角にするというのはなかなか慎重にしないといけないのではないか、このようなふうに考えておりますけれども、やはり私どもは設計基準等の現場への適用に当たっては、その土地土地の条件に合わせて弾力的に運用をするということを旨としておりますし、それからまた現場で農民の方々の経験的な知恵があればそういうものも謙虚に受け入れるように、そして安全性の点から見ても問題なく、かつ農家の心情にも即した事業ができるように今後とも運用してまいりたい、かように考えておる次第でございます。 第二点の河川改修と圃場整備の一体的施工の問題でございますけれども、申すまでもございませんが、圃場整備事業は面的な広がりを持って工事を施工するわけでございます。したがいまして、地域内に河川があれば、当然これも河道の修正等を行わなければならないわけでございまして、その場合には機能交換とかあるいは創設換地というような手法によって河川敷を生み出す手法もございます。それからまた、特に河川改修の方がおくれて、圃場整備の方と進度が合わない場合には、事業調整費というような制度もあるわけでございまして、これらの制度を活用することによって、両省の事業間にそこが出ていろいろ地元に御迷惑をかけるというようなことのないように努めているつもりではございますけれども、なお具体的問題で先生お気づきの点等ございましたら、また一つ一つ御指摘いただきまして、適切に対処してまいりたい、かように考えております。
○田中(恒)委員 ちょっと今の御答弁、私まだ言いたいことがあるけれども、後でまたいろいろ気づいたことを申し上げさせていただきます。 そこで大臣、私はきょうはいろいろな小さなこと、日ごろ気づいておることを言わせていただきましたが、それはちょっと心にとめておいてもらって、内部で一遍いろいろ検討していただきたいと思います。 同時に、大臣として非常に大きな点は、午前中私の仲間が質問した中に幾つかの問題が出ておるわけでありますが、例えばやはり土地改良の償還金の問題で、金利をどうしていくかということは、長期であるだけに非常に重いということであります。この問題もこういう時期ですから難しいとは思いますけれども、しかし難しいながらも皆さん知恵を出して無利子の改良資金制度などをおつくりになっておるわけですよね。これは農業の営農資金ですね。果樹にしても蔬菜にしても畜産にしても、基盤整備というのは、本来これは国が全部持ってもいいではないかという理論が学界だってあるようなものでありますからね。だから、お役人というのはそういう意味では知恵があるので、私はいろいろ考えてみて、何かやはり今の償還の問題をめぐって現地でいろいろ苦労しておる皆さんに対して、こういう道筋もと、今度のこれもその一つだとおっしゃるわけでしょうけれども、借りる金利をやはり安くしていくような、系統資金なんかは正直言って今だぶついておると言ったら困るが、貸し出しが冷えてしまって、あるわけですよね。あんな資金を何か使えないのか、うまく活用できないのか。国庫補助をもらっておるから近代化資金のあれはできないとかいったようなものがあってなかなかうまく機能していないわけですけれども、利子補給をやっていただいて、少なくとも五分以下くらいのものでこの長期の金利の体制はできないのか、こういう問題はぜひ大臣の在職中に考えていただきたいと思う。 もっと突拍子もないようなことを申し上げますが、土地改良区というのは、本来自分たちが自分たちの土地を改良していく、こういう趣旨で土地改良の法律というのはできておると思うのです。ところが現実の土地改良区というのは業者が土地を請け負って、一つの国営事業になったら六十も七十も土建業者というのがそこへ集まって、そこで専門的な工法でいろいろやっておる。これも技術が進歩したらいたし方ない側面はあります。しかし、予算が少なくなって、そして条件が非常に厳しくなって枠がそんなに広がらない、こういう状況でありますから、できるだけ効率的な事業を進めていくということもあわせて考えなければいけないと思うのです。 だから私は、設計の基準とか設計の単価とかこういうものについて、正直言っていろいろ意見があります。土木業界の入らなんかでも、話をしたって、いやあれでなくともやれる、こういう人もたくさんおるし、中には、自分がやればもっと安くできるかという人もたくさんおるわけですね。そういう意味で、安くなれば悪くなるわけだから、いい悪いの問題はありますけれども、しかし、できることは生産組合なり土地改良区の皆さんが中心になってやるような、そういう主体的なものは考えられないのか。そうすると、自分たちの土地だかも一生懸命立派な土地づくりをやりますよ。そんなものをアイデアとしてこの際一つ二つどこかでやってみて、そしてみずからが草地造成をやってみる。こんなことをやっていけば、その地域全体に張りが出てくるのじゃないかと私は思うのです。そんな問題などもあわせてひとつ御検討いただきますように最後に申し上げて、大臣の御意見をお聞きして終わります。
○羽田国務大臣 直ちに金利をどうこうということになりますと、今非常に難しいことは委員が御存じのとおりであります。しかし、そういった問題につきましても、例えば議論の中にはいろいろな議論がありますね。確かに個人の資産といいますか、それに対して国が余り関与することはどうなのかという指摘があるし、また一方では、土地改良というものはそれだけ国土というものの値打ちを高からしめるのだから、こういったものに対して国が負担することはよろしいじゃないか、今委員からの御指摘がありましたような議論。ともかくこの二つの議論というものがあるわけでありますけれども、いずれにしましても、営農を進めていくのに金利、こういったものによってなかなか仕事が進まないということではこれはならぬわけでありますので、こういった点については我々の方としてもこれからどんな知恵があるか、これはそれぞれ担当の皆さん方によってまた検討していただきたいと思います。 また、技術がいろいろと改良されてきた、資材がいろいろと開発されてくるという中で、今御指摘のとおり安くできるという議論もあるのです。ですから、そういったものも少しでもコストを下げていくことはやはり努力しなければいけないことであろうと思いますので、そんなことをこれからも常に検討しながら、少しでも効率のいい土地改良事業というものを進めるように我々も努力していかなければいけないと考えます。 それと同時に、そういったでき上がったものをもっとより有機的にいろいろなものを結合させながら、この効果の発現というものにもっと苦労しろというお話もございます。こういったことも私たち頭に置きながら進めてまいりたい、このように申し上げたいと思います。
○田中(恒)委員 終わります。
○大石委員長 吉浦忠治君。 〔委員長退席、島村委員長代理着席〕
○吉浦委員 このたび羽田大臣、御就任まことにおめでとうございます。大変期待を持っておるものであります。 今回提案をされました土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、私は総括的に若干御質問をいたしたいと思います。後、水谷委員と武田理事が部分的に細かく質問する予定でございます。 このたびの改正案でございますけれども、厳しい財政事情から公共事業費が抑制をされておりまして、したがって土地改良事業がますます工期が延びて、完了年度も著しくおくれている状態であります。そこで、政府が閣議決定をした現行の第三次長期計画の進捗率を見てまいりますと、五十八年度から六十一年度、これは政府原案でありますが、事業費ベースで見てまいりますと二一・九%、また面積ベースで見ますと一六・五%、十カ年計画の四年目にしてこの数字であります。 したがって、このような事態に対処するために、国の財政資金の効率的使用により土地改良事業を促進することは急務中の急務、こういうふうに言わざるを得ないのでありますが、今回、国営土地改良事業の事業費について、都道府県負担金に相当する部分につき一般会計から国費立てかえをしていたのを、財投からの借り入れをその財源とすることができるようにこの制度を拡充することになりました。原則としてすべての国営土地改良事業について借入金をもってその事業費の財源とする道が開けたわけであります。この措置によって国費で三百億円程度のゆとりが生ずるのではないかというふうに言われているわけですけれども、この分だけ事業量が増大して国営土地改良事業の工期を一年ないしは三年ぐらい短縮する効果があるのではないかというふうに農水省は踏んでいらっしゃるようでありますけれども、先ほど私申し上げたように、第三次土地改良計画の進捗状況等から見ましても、その効果は微々たるものじゃないかというふうに感ずるわけであります。この点とういうふうに農水省はお考えなのかどうか、まずお伺いしたいと思います。
○佐竹政府委員 先生から具体的な数字のお示しがございましたので私ども繰り返しませんが、まさに御指摘いただいたとおりでございまして、今回の改正による効果につきましては、従来の一般会計事業で三年程度、それから特別会計制度で工期の短縮一年程度ということでございます。また今回、六十一年度末で二一・九%、約二二%の金額ベースの進捗率ということでございまして、私どもも、現在のペースで参りますと、今後仮に五%の事業費の伸びが六十二年度以降確保されたとしても達成の時期が七十二年になる、六十七年を予定したのが七十二年になる、大変憂慮すべき事態であるという事実を厳しく認識しております。
○吉浦委員 現行の第三次土地改良計画は、五十五年の「農産物の需要と生産の長期見通し」並びに五十七年の「「八〇年代の農政の基本方向」の推進について」、これと整合性を持たせて作成されたものでありますけれども、土地改良は現在、平地からだんだん難しい土地の方に条件がなるわけでありまして、いわゆる山地の方に進んでいくわけであります。したがって、今までのような行き方では経費もかさんでまいりますし、条件が厳しくなると思うわけであります。昭和六十七年度またしてもこの計画の達成は不可能というふうに今も認められたわけでありまして、これは我が国農政にとって重大な破綻を来すのではないかというふうに思うわけであります。この計画の達成の見通しというものについて、当初からもう六十七年が七十二年になるというふうな考え方では農民は不安でありまして、農水省がもっと真剣にこの問題について取り組んでもらわなければならぬというふうに思うわけでありますが、特に第三次土地改良計画は閣議決定をされているものでありますので、この中身をもう少し深刻に考えなければならぬというふうに考えるわけですけれども、御見解をいただきたい。
○羽田国務大臣 委員から御指摘のとおり、今また局長から御答弁申し上げましたとおり、残念ですけれどもこの第三次土地改良計画、この進捗率、財政事情の中からおくれぎみであるというのが現状であります。そういう中で、何とかやはり予算を、一般会計の中の予算を拡充したいと考えながらもなかなかその辺が難しい。そういうことで六十一年度におきまして財投資金を活用する、そして今この法律を御審議いただきまして何とか拡充をしていきたいというふうに考えております。 いずれにいたしましても、こういう事業に新しくこういった方法を取り入れると同時に、私どもとしても、今御指摘がありましたように、工期のおくれということが方々にいろいろな影響をしてくるものですから、そういったものをできるだけ防ぐためにこれからも懸命な努力を続けていきたいというふうに考えております。
○吉浦委員 我が党は本改正案を審議するに当たりまして、我が国の農業が現在置かれている厳しい状況下にあることを考えまして、国費立てかえから財投からの借り入れという手法の変更に伴う都道府県の負担金の負担増といった問題点等も考えまして、地方自治体や現に土地改良を行っている現地を視察してまいりました。いろいろ話を伺ってまいりましたものを踏まえながらお尋ねをしていきたいのです。 都道府県の財投資金の活用について、これは将来財投金利が下がる見通しから、地方自治体の関係者からは特に問題の指摘はなかったように私は受けました。 ただ、工期の短縮についての話が多かったわけでありまして、土地改良区の方々からは、国並びに県からの補助金で土地改良を行っても何をつくっていいかわからない、先ほども御質問があったようですが、種々作物を検討したがこれといったものがない、今の米価で採算してもペイしないし、これからの償還金のことを考えると非常に不安だという声が数多く聞かれたわけであります。まさに、内には農産物の需要の停滞と価格の低迷、外には農産物の市場開放要請の激化のはざまにさらされている我が国の農業の縮図を見る思いがしたわけであります。今、我が国農政が目指すべき食糧自給率の維持強化を図って農業の生産性向上と農業構造の改善を推進する上からも、こうした農家の不安を払拭しなければならないというふうに私は思うわけであります。農業生産基盤の計画的整備がこうした我が国農政の目指す政策推進の基礎的条件と言わざるを得ないと思うわけであります。 そこで地元負担分の償還の問題でありますけれども、従来方式による特別会計事業でやった土地改良事業のうち、償還期に来ている中で一部関係者から償還条件の緩和の強い要請が数カ所出されました。元来、特別会計事業は早く土地改良を行うことにメリットがあるのであって、工期の長期化は負担増をもたらす結果となっております。折からの農産物価格の低迷も加わって農家は苦しむ一方でありまして、何らかの対応策を講すべきであると私は心を痛めて御意見を伺ってきたわけでありますが、政府としてはどのようにお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。
○佐竹政府委員 今御質問の御趣旨にもございましたように、事業は中山間地というような厳しいところに移行しております。一方、農産物価格は需給状況等を反映して低迷しておりまして、私どもの持っているデータでも、五十四年を基準にいたしまして六十年で事業費は一・四七倍、それに対して米価は一・〇八倍でございまして、この償還の問題について各地でいろいろ問題が出つつあるということは極めて深刻な問題であるというふうに受けとめているわけでございます。したがいまして、当然のことながらすぐに問題になりますのは、ただいまのお話にもございました償還条件の緩和の問題でございます。 これにつきましては、特に国営の農用地造成で特別会計で事業を実施した地区に非常に問題が多いわけでございますが、これらの地区につきましては六十一年度予算要求で償還条件の緩和を要求したところでございます。しかしながら現在の国営土地改良事業の負担金の支払い方式が、国は県から負担金を取る、県は地元受益者から負担金を取る、かような仕組みになっておって、ワンクッション県が入っておるわけでございます。国と県との間はまさに政令で条件が規定されておるわけでございますが、予算編成の全体の前提が、都道府県は相対的に国よりは財政的に豊かであるという認識が財政当局にあるわけでございまして、もし実際に農民負担に著しい問題があるならば、県が条例で償還条件を緩和することは十分可能なはずであるというのが財政当局の主張でございまして、この壁が破れず引き続き協議ということになったわけでございます。 ただ、私どもとしましては、県及び市町村ともに事業の実態的な内容も考慮して、例えば地区内の道路部分については市町村が負担するとか、あるいはこれは県によってやり方は違いますけれども、名目はいろいろ違いますが、県が若干の上乗せをするとか、いろいろそれなりに努力されているのに対して国が何にもしないということはいささか常識に反するのではないか、やはり土地改良事業は国営事業から団体営事業まで、国、地方公共団体、受益農民一体となって推進を図る必要があるのだから、国としても何らかの措置を講ずる必要があるのではないかということをるる説明いたしまして、個別地区の問題としてそのような措置をとることの必要性は財政当局も認めていただいたわけでございます。 その具体的な方式については現在協議中でございますが、ストレートな形で償還期間を緩和するということは先ほど申しましたような事情からなかなか難しいわけでございまして、なお最終的な結論を得るまでには今後財政当局との折衝が残されておるわけでございます。私どもはその事業の実態、受益者の経営内容の実態に即して何らかの緩和措置を考えてまいりたいと考えておる次第でございます。
○吉浦委員 元来土地改良というものは、改良された土地から生産された農産物で償還できる計画で取り組んでもらいたいと思うわけです。しかし現実は、物価の上昇と、工期の長期化は工事費の高騰を生み、あるいは農産物からの利益というものは微々たるものでありまして、これでは農民に払えと言うことは過酷であります。今払うことができるのは農外所得のある兼業農家であり、専業の方々は本当に苦しんでいるという現状を見てまいりました。これでは本末転倒ではないかと私は考えるわけですけれども、この点はどういうふうにお考えでございますか。
○佐竹政府委員 私どもとしては大変残念なことではございますけれども、一人当たりの家計費それから農家の所得水準を比較いたしましても、これは地域によって多少違いもございますが、一般的に言って、まさに農業でやっていこうという専業農家は、安定二種兼業農家より一人当たり家計費も所得水準も低いというのが実態でございます。そのような状態を改善するためには、現在私どもが進めております農用地利用増進事業等を通じて規模拡大を図る、そしてコストを下げるということがそのような農家に対する私どもの責任、役目でもあろうかと思うわけでございます。 ただ、具体的な問題といたしまして、まさに農業所得から見て土地改良事業費の償還の可能性がなければならないわけでございまして、私ども事業採択に当たりましては、事業による増加所得を計算いたしまして、それに対して負担金の水準が過去の経験的な数字から四割程度におさまるように、そのくらいであればまあまあ事業の農家負担もそれほどきついことにはならないだろう、その辺を目安にして事業を進めているわけでございますが、現実問題としましては工期の延長あるいは事業費の増高等によって四割をオーバーするような地区も出ておるわけでございます。そういうところにつきましては関係地方公共団体等とも御相談いたしまして、農家の御納得をいただける水準に負担金をおさめるように関係者が相談していく、四割以内に全部抑え切れるかどうかいろいろ問題がございますけれども、少なくとも農家の御納得をいただいて計画変更の同意をいただかない限りは私ども仕事が完了しないわけでございますので、何らかの方法で今申し上げましたようなことに努めてまいりたいと考えておるわけでございます。
○吉浦委員 せっかく水田として圃場を整備されたにもかかわらず、水田利用再編対策のために畑にした例があるわけです。水田利用再編対策は今後もますます強化されることが想定されるわけであります。そこで、建設費までは仕方がないとしても、水を使用していないのだから賦課金までは出せないという声を聞くわけでありますけれども、こうした事例について農水省はどういうふうにお考えでございますか。
○佐竹政府委員 この問題は、水田利用再編対策が具体的施策として実行されるに当たって問題になったことでございます。私どもは、現在圃場整備等では汎用水田を目的として、そのときどきの需給に応じて畑としてもあるいは水田としても自由に使えるような圃場をつくることを目的としております。したがいまして、そのような汎用田につきましては、事情さえ許せばすぐにでも水田にも使えるわけでございますので、水田としての利用可能性がある、かようなところから水田として賦課金の賦課徴収をすることは差し支えないという回答を、土地改良区の全国段階の機関である全国土地改良事業団体連合会あてにいたしております。しかしながら、一方、完全に樹園地等にしてしまって将来とも水田に戻る可能性がない土地、そういう転換もあり得るわけでございまして、このような場合には地区除外とかいうような問題が生じまして、転用決済金というような問題に波及してくるわけでございます。 いずれにいたしましても、土地改良区の運営にも非常に重大な問題でございますので、基本的には地区内の組合員の皆さんの御相談で納得いく解決を出していただきたい、かように考えておるわけでございますが、私どもとしてもそれぞれの現場でどのような問題が起きてどのような問題点について理事者の方々が土地改良区の運営に苦労されているのか、そういうことについてはさらに情報収集に努めたいというふうに考えております。
○吉浦委員 重複しますけれども、視察をして地元の方々とのお話の中でたびたび出てくる言葉に、事業費の償還ということ、これが大半を占めておりました。そこで一体何をつくったらよいかという根本的な問いかけがありまして、それだけ土地改良区の方々の悩みがそこに集中しておると私は胸を痛くしたものであります。米をつくらせてくれたら何とかなるかもしれないが減反政策下ではそれも許されないし、畑作にしても適当なものがない、いかに換金作物を見出すか、これに腐心されている実情でありました。 私は、土地改良をやる以上はそこに何らかのメリットがなければならない、こういうふうに思うわけでありまして、何をつくってよいのかわからないという状況は農家にとってこの上もない不幸な事態と言わざるを得ないと思います。我が国農政のこの二十年間の目まぐるしい変貌を考えてまいりますと、責任の所在は明らかであると思うわけであります。 一例を挙げれば、せっかく大きな圃場をつくって大規模農業ができるようになったにもかかわりませず、単一作物を大規模に作付すると価格が暴落をする。大きな圃場をわざわざ小さく区切ってそこに多種の作付をしている例があるわけであります。いわゆる営農計画が明確になっていない土地改良の典型ではないかと思うわけでありまして、せっかく国費を使用するならば、むだにならないように配慮しなければいけないというふうに思うわけであります。どういうふうにその取り組みについてお考えなのか、まずこの点を伺っておきたい。
○佐竹政府委員 私から若干事務的にお答えいたしまして、さらに要すれば大臣からもお答え申し上げます。 土地改良事業後の営農をどうするかということが非常に問題になりますのは、農用地造成あるいは畑地かんがい地帯の営農であろうかと思うわけでございます。 これらの地帯につきましても、当初から畑作地帯として非常に進んだ地域、つまり昔から商品作物をつくっていた、例えば先生の地元の近くでは八街という畑かん地区が千葉県にございますが、これなどは落花生なんかをつくって、商品作物の導入については非常に造詣が深い。あるいはまた非常にすぐれた指導者がいる、これは同じく県営圃場整備、千葉では山田地区などというのがございますが、そういうところは大体余り問題を起こしておりません。 ところが、今お話にもございましたような水田利用再編対策が施行される過程で、当初開田を予定していながらそれが畑地かんがいに切りかわったというようなところがかなりあるわけでございまして、このような地域については、農家の方々からすれば、我々は米をつくることを目標に事業を希望したにもかかわらず、畑作ということに協力を求められて何をつくったらいいかわからないというお声が出てくるのも無理もないかと思うわけでございます。 私どもも、土地改良事業の実施に当たりましては、まず計画を策定いたしましてその事業費と効果のバランスをチェックするというようなことをやっておりますけれども、これは事業の社会的妥当性、実施の妥当性を検証するということで、必ずしも個々の農家の営農のモデルをつくるという思想はないのでございますけれども、今申し上げましたように開田が急にストップさせられた、畑作に切りかわったというようなところはこういう一般論は通用いたしませんので、やはりかなり丁寧な指導をしていかなければならないというふうに考えているわけでございます。 私ども農林水産省といたしましては、全国的な事業に関する情報それから栽培技術に関する情報は比較的得やすいわけでございまして、こういう情報を得まして、私どもの構造改善局の計画部資源課というところが中心になりまして、農政局にそれぞれ担当、資源課がございますので、そこが現場へ出かけてまいりまして、現地の改良普及員の方々それから農協等の営農担当の方々と一緒になりまして具体的な営農計画をいろいろ検討いたしまして、必要がある場合には実証展示圃のようなものも設けております。それにまた、そういう営農面からの要請があって工事計画を変えなければならないような場合も出るわけでございます。そのようなものは事業所につないでいくというようなこともやっておるわけでございまして、それぞれ一人一人の農家の方々から見ればまだまだかゆいところに手が届くような指導とは申せないかもしれませんけれども、私どもも今御指摘いただいたような問題の認識は十分持っているつもりでございますし、それにこたえるべくせっかく努力中でございまして、今後とも、特に御指摘のような需給状況の変動とそれに伴う国の政策の変更に、よって大変厳しい環境に置かれた農家の方々に御迷惑をかけることのないようにしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○吉浦委員 私どもが視察をしました関東農政局管内でも大変苦労をなさいまして、営農対策協議会というものを設置されて努力をなさっていらっしゃる。そこの話を聞いてまいったわけですけれども、やはりこれといった名案がないのですね。そこで最後は個人の経営感覚にまつ以外にないのじゃないかというふうなことにしかならないぐらい名案がないのです。言うなれば、こういうときこそ明確な営農計画のもとで農家が安心して土地改良事業に取り組めるというふうに期待しているわけです。くどいようですけれどもこれについて御見解を伺いたい。
○羽田国務大臣 今局長の方からもお答えを申し上げたわけでありますけれども、確かに最近のように社会情勢といいますか、そういったものが変化する、そういう中で当初の営農計画を変更せざるを得ないような状態が出てきておるというのは現実であります。そういう中で、今先生からお話がありました営農対策協議会ですか、こういった協議会の中で議論をするわけであります。そのときに、私どもといたしましても、今お話がありましたように全国的な情報を役所の方から提供する、そして農業改良普及員の皆さんあるいは農協の経営指導者の皆さん、営農指導員の皆さんですか、こういった方々と存分に話し合いながら新たな方向に向かっての検討が進められているわけでありまして、私どもといたしましても、でき得る限りいろいろな地域の実態に応じた営農が仕組めるように、これからも情報の提供、それぞれの機関に対する指導、こういったものも強化してまいりたい、かように考えます。
○吉浦委員 次に、国営農地の総合開発事業と言われるものについてちょっとお尋ねをいたしておきたいのですが、この総合開発事業等が二十年を超える長期計画でありますがゆえにいろいろ問題が起こっているというふうに私は感じてまいりました。 この二十年を超える計画は時代の変遷をもろに受けておりまして、またそれに携わる人も変化を来しているわけでありまして、現に我々が視察した国営農地総合開発事業も二度の計画変更をいたしておるわけです。そこにいる所長さんももう七代目、もっと極端な例からいえば十代目ぐらいの方もあろうと思うのですね。そういうふうに人がどんどんかわってしまって、意欲の点がどうなっているだろう、私はそういう面ばかりを気にして見てきたのです。気力がだんだんなくなっていきはしないか、人が変化して二十年の期間は長過ぎるのじゃないか、計画変更でせっかくの中核農家の生産意欲が阻害されやしないかという点を心配してきたのです。特に中核農家の育成が叫ばれております今日に二十年は長過ぎるのじゃないかという点をどういうふうにお考えなのか、お答えをいただきたい。
○佐竹政府委員 一言で申し上げまして全く長過ぎるということに尽きます。特に金利のついた金を使いながら二十年かかっているということは、我々としてまことに重大な問題として考えざるを得ないということを率直に申し上げます。
○吉浦委員 そこで「「八〇年代の農政の基本方向」の推進について」では、長期ビジョンとして九十万ヘクタールの農地の流動化を図ることを目標にしておられるわけですが、基盤整備のおくれがその足かせになっているのではないかというふうに私、受け取ってきたのですが、この点どういうふうにお考えですか。
○佐竹政府委員 確かに農地の流動化を促進する上で圃場整備等ができていることは望ましいわけでございまして、流動化した結果、生産性が上がるためにはやはり基盤整備が前提になるわけでございます。そのような意味で、両者の間には密接な関連があることも事実でございます。ただ、流動化そのものについては、そのようなファクター以外にも農地の需給関係、つまり農地の出し手と農地の受け手がどういうふうになっているか。安定して兼業の機会が非常に豊富であるようなところではむしろ頼んでつくってもらう、しかし、そういう機会の乏しい地域、東北とか北陸の一部等にそういう地域があるわけでございますが、そういうところでは頼んでつくらせてもらうというような関係があるわけでございます。 このように、安定兼業の機会の有無、それからまた土地を節約して非常に高収益を上げるような作目があるかどうか、蔬菜園芸とかそういう非常に高収入を上げられる営農がなされているかどうか、そのようなことが全体として農地の需給に非常に大きな影響を与えるわけでありまして、基盤整備がおくれているがゆえに特に流動化が著しく影響を受けているということは全体として見ればないのではないか、確かに部分的にはそういう現象もあろうかと思うのでございますけれども、全体としてはそのように考えておるわけでございます。
○吉浦委員 後藤局長お見えのようですから、次に進みます。 私は、この土地改良の償還金の問題を長々と取り上げておりますけれども、そこで生産された農産物の一部でペイできるものでなければいけないと述べているわけでありますが、そうした環境づくりといいますか、何をつくったらいいかという問いに、今何も推奨品がない、何のための土地改良かというふうに問われるわけでありまして、こういうときに、外からは門戸を全開しなければいかぬという、内ではそのために農産物の消費の停滞を招き価格の低迷を来している、これでは農家は両方からダブルパンチで、全くやっていけないということであります。 まず私は、外国から入ってくるものをとめて、国内でつくったものを喜んで買っていただくようにしなければだめではないかと思うわけであります。極論かもしれませんが、このまま放置することは許されない段階に来ているのではないか、何らかの措置をとるべきだというふうに考えているものですが、この点についてどういうお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。
○後藤(康)政府委員 お答え申し上げます。 ただいま土地改良との関係で輸入の問題のお尋ねがございました。我が国が置かれておりまず現在の国際的な立場というふうなことから申しますと、現在の農産物の輸入をとめるというようなわけにはなかなかまいりにくい状況にございますし、また、我が国の食糧の安定供給ということを考えますと輸入しなければいけないものもあるわけでございます。 ただ、私ども常日ごろ仕事をやっております際に、農産物の輸入という問題につきましては、国内の需給動向を踏まえまして、国内の農業の健全な発展と調和のある形で輸入が行われるということが基本的に重要だと考えております。そのために、関税保護とか関税割り当てとか、あるいはまたいろいろ内外に議論がございますけれども、輸入割り当て制度というようないろいろな手段をとりまして、農業生産、ひいては農家経済の安定に不測の悪影響が起きないようにという措置なり配慮をいたしておるところでございます。 内外をめぐります状況は非常に厳しゅうございますし、いろいろな努力を求められる場面がこれからも続いていくというふうに見通されるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような農産物輸入につきましての基本的な私どもの考え方を十分踏まえましてこれから努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
○吉浦委員 大臣、決意を。
○羽田国務大臣 まさに今、後藤局長から御答弁申し上げたとおりであります。
○吉浦委員 今後この土地改良施設の維持管理の問題が急速に浮上してくるのではないかというふうに懸念されるところでありますが、例えば水利事業の頭首工にしても、技術が高度化されておりますし、いわゆる専従の技術屋さんに常駐してもらわなければ維持していけないというふうな面も、現地を見てそういうふうに思いました。 特に、最近は農村の都市化あるいは混住化が進んできておりますし、雨水等、いわゆる家庭雑排水等の混入処理等がありますし、農業用用排水路等の管理に大きな問題が生じておるわけでございまして、このため五十九年土地改良法の改正においても市町村協議制度等の強化措置を講じられたところでありますが、現在のこの制度が土地改良区の負担軽減等に有効に活用されているかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
○佐竹政府委員 由来、農業排水路は地域の一番低いところを流れているわけでございますから、生活排水もある程度受け入れていたわけでございますが、最近特に混住化が進む、さらにまた農家の生活様式そのものが変化して水の使用量が非常にふえるということから、用排水路の管理、汚濁が非常に問題になり、それの管理主体である土地改良区についてもさまざまな社会的な要請が課せられることになったわけでございます。しかしながら、そのために——土地改良区は本来農業者によって組織される団体でございますから、その管理経費は農業者の負担になるわけでございます。ただいまのような用排水路の汚濁に伴う必要な経費がすべて農業者の負担になることは問題であろう。それからまた、個々に土地改良区が、例えば浄化槽を設けた非農家の方からいろいろな形で金銭を徴収する、このこともやむを得ない面もございますけれども、できれば市町村等が地域住民を代表して負担していただくことが一番望ましいであろうということから、四十七年に市町村協議制度を設けまして、それをさらに強化したのが五十九年の改正でございます。 現実にもこの制度はかなり使われておりまして、私どもの調査では全国で調査対象土地改良区数の大体七%くらいはこの制度を使っておるようでございます。その協議の結果の詳細までは遺憾ながらまだきちっとつかんではおりませんけれども、私どもが個別にいろいろ見聞きしている範囲内では、財政的に多少ともゆとりのある町村は積極的に土地改良区に対して財政援助をしていただいておるようでございます。 今後の問題といたしましては、むしろ自治体が負担するその財源の問題でございまして、要は、現在交付税の配分等につきましても、農業行政費というのは農家戸数と農地面積で配分額が決まってまいります。ところが、このような用排水路とかあるいは農道というような施設につきましては、その必要経費の水準というのは農家戸数や農地面積では決まってまいりませんので、この辺についてもさらに勉強する必要があるのではないか。自治省等にもよく現状を御説明申し上げて、将来の課題としては市町村がそういう協議に応ぜられるような財政的な裏づけについてもお願いしていく必要があるのではないか、かように考えている次第でございます。
○吉浦委員 私の地元の点で若干要望を含めながらお願いいたしたいのです。 印旛沼の国営施設整備事業について見てまいりましたが、印旛沼の開拓の歴史というものは、この開拓、干拓、歴史が大変古うございまして、江戸時代にさかのぼるのじゃないかというふうに見てまいりましたが、その歴史は苦闘の連続であったというふうに考えます。徳川幕府も財政的に相当な打撃を受けたというふうに知らされましたが、昭和二十二年から本格的な干拓事業が始まりまして、一応昭和四十四年、印旛沼開発事業の完成を見ましたが、用排水施設の老朽化が激しくなりまして、施設機能を保持するために、昭和六十年、昨年から四カ年計画の事業費十二億円で改修が開始されたわけであります。 ちなみに二・四キロの用水の幹線の改修と二つの機場の整備、それから八・一キロの排水路の改修、こういうふうになっておりましたが、初年度が一億円でございましょうか、八千万と二千万円でございましたから。それから二年目で三億三千万、こういうふうな事業費になっております。土地改良区の方はこのペースでいくと七、八年かかるのじゃないかというふうにこぼされていたわけですけれども、資材費の高騰等非常に心配されておりました。 私は先人の血と汗の結晶である印旛沼の開拓、これに用排水幹線等の改修の遅延ということは許されないのじゃないかというふうに思いました。今後この事業をどのように推進されようとなさっておられるのか、まずこの点を伺っておきたいと思います。
○佐竹政府委員 国営印旛沼土地改良事業でございますが、今お話のございましたようなことから、特に事業の緊急性にかんがみまして、一般的に公共事業費の抑制基調の中でも、本事業については対前年比二三〇%の二億三千万を確保したわけでございます。私どもも事業の緊要性についてはそれなりに認識しているつもりでございますので、地元関係者の御協力もいただきながらできるだけ早期に完成するように努めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○吉浦委員 最後に、今回の改正によりましていわゆる事業の工期が一年ないしは三年短縮が図られる措置が講ぜられたわけでございますけれども、これは私どもとしては一応評価できるところでございますが、さきに指摘してまいりましたように、第三次長期計画に与えられたいわゆる進捗率のアップは微々たるものというふうに言わなければならないと思うのです。 そこで、土地改良が構造政策の柱であることから、その遅延は見逃すことのできない重要問題でありまして、そのために大幅な予算の確保が必須条件であることはもちろんであります。財政当局の厚い壁を打ち破って農政の柱を確保するために、羽田農水大臣も最大の努力をされることは間違いないと私は要望いたしたいわけでありますけれども、その決意のほどを最後に伺って質問を終わりたいと思います。
○羽田国務大臣 先ほど来お話を申し上げましたように、私どもも、これからの農業というものを本当に足腰の強いものにするためには、どうしてもやはり農地の基盤整備、生産性の高い農用地というものを造成していくあるいはつくり上げていくということが非常に重要であると考えております。そういう意味で、非常に財政厳しい折でありますけれども、今度のような財投から金を持ってくるという知恵を働かせるとか、あるいはもちろん一般会計の中におきましても何とか確保するようにこれからも懸命に努力をささげ、何とか大きな遅滞がないようにひとつ努めていきたいと考えております。
○吉浦委員 終わります。
○島村委員長代理 水谷弘君。
○水谷委員 公明党の水谷弘です。吉浦委員に続きまして、今回の土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の一部を改正する法律案について御質問をいたします。総括的にただいま吉浦委員から御質疑がございました。多少重複するところがあるかもしれませんが、お許しをいただきまして、さらに質問をさせていただきます。 最初に、第三次土地改良長期計画についてお尋ねをいたします。先ほどの局長の答弁では、六十二年度以降事業費を五%ほど伸ばしても六十七年目標達成は困難である、七十二年に持ち越さざるを得ない、こういう御発言でございました。私が申し上げるまでもなく、これは法によって閣議決定を経て、さらに計画を立てるに当たっては関係の行政機関、そしてまた都道府県と、いろいろな意見を聞いてこの計画が練り上がってまいりました。それが閣議の決定を経て、その実施のためには国は必要な措置を講じなければならない、このようになっているわけであります。 大臣、この重要な長期計画、これを達成できるかどうか。またさらにこの達成のために、現在このような厳しい状況でありますが、具体的にどのように取り組みをされるか、お尋ねをいたします。
○羽田国務大臣 先ほど来お答えしてまいりましたように、確かに第三次土地改良長期計画の進捗、というのはおくれておりまして、今のままでいきますとおよそ七十二年ころになってしまうであろうということであります。確かにこれは閣議で決定をされたものでありますし、私どもといたしましても、このおくれというものはいろいろなものに影響を及ぼしてくるということから何とかこれを早めなければいけない、こういうつもりでおります。 ただ、御案内のとおり、経済事情というものがこのところ大きく変わってきておるという中でこの計画がおくれておるわけです。そこで、今度のように財投から一部お金を持ってきまして、確かに国費の面では少しへこんでおりますけれども、全体の事業量としてはこれを進めていくというような方法をとらしていただきたいということで今度のこの法案を今御審議をいただいておるところであります。 いずれにいたしましても、私どもとしましては、先ほど申し上げましたように基盤整備というのは何といっても農業の基本であるということを考えに置きまして、これからもこの促進方につきましてありとあらゆる努力を続けていきたいと考えております。
○水谷委員 この基盤整備は今後の我が国農政の、名があらわすとおり本当にこれは基盤整備でございますので、その最重要のこの長期計画が、先ほどの局長の答弁のようにこんなにもずれ込むということは大変な問題なんだ。ですから、私いつも考えておりますが、一般の公共事業は確かにゼロシーリング、マイナスシーリングという大変な厳しい枠の中で、今の財政事情の中で抑えられております。しかし、農業の生産基盤を整備するという、国民の食糧を安定供給する食糧安全保障という、我が国国土の基幹的な整備という、こういう視点に立って、この基盤整備そして土地改良事業に対する予算の優先確保というものは、これはいろいろな事情はあるでしょうけれども、私は決して国民から合意を得られないようなものではないと思うのであります。 ですから、あの公共事業という丸い円の中で、常に円からはみ出られない宿命を持たされて、そこで額が決定をされてくる、確かに過去の予算の推移を見てみますと、農業予算の中に占める割合にしてもまた一般会計に占める割合にしても、基盤整備の予算の伸び率は努力の結果がなりあることは認められます。昭和三十五年の時点で一七・四%だったものが昭和六十年の当初で二七・六%という比率まで伸びていることは事実。ですから、こういう今回の法改正によってさらにまたこの事業の推進を図ろうというその御努力は私どももよくわかるわけであります。 しかし大臣、さらに一層ありとあらゆる機会を通じて、他の一般公共事業とは性格を異にする、いつもおっしゃっている我が国の食糧自給力を向上させるという観点から見ても、これは国策として、そんなことを言っては申しわけありませんが、ほかの一般の道路の整備とかそういうものとは緊急度が違う。それからまた、受益者負担というものがある。確かに公共事業にも受益者負担制度が導入されて受益者負担はあります。しかし、この土地改良事業のような負担率ではありません、負担率はうんと低い。ですから、事業の性格が全く違うんだということに現在の政府の中の皆さん方のコンセンサスを形成していただけるように、大臣の御努力を要請したいと私は思いますが、いかがでございましょう。
○羽田国務大臣 これはもうお話しのとおり、農業構造政策を進めていく基本は何といってもやはり農業基盤整備であるというふうに私どもも考えております。今までも農政に対する外部からのいろいろな議論があります。しかし、そういった議論をされる皆様方も、やはり農業の力といいますか食糧の自給力をつけること、そのための一番の基礎である基盤整備は重要である、そういったことについてはもっとお金を投ずるべきであるという議論も実はしてくださっているわけでございまして、国民的な合意というものは間違いなくあるというふうに私も確信をいたしております。 ただ、御案内のとおり全体の予算ということになりますと、この問題も、いややはりこっちも大事であるという議論がなされる中で、そんなに枠をはみ出ることはできない、これが現状であります。しかし、今度のように、国費は確かに少し縮んだかもしらぬけれども、事業量を伸ばすという方法を今度は編み出し、今先生方に御審議をいただくということでありますけれども、私どもも閣内にありましてその重要性についてこれからも訴え続けてまいりたい、かように考えます。
○水谷委員 目標が達成できない、現状ではそういう見通しがあります。現在農政審において「八〇年代の農政の基本方向」について、それらを検証されて、今日までのその推進方をいろいろ検討された上で今後の方向性について審議をされているところでございますが、この第三次長期計画は、先ほども議論がございましたけれども「八〇年代の農政の基本方向」並びに「農産物の需要と生産の長期見通し」六十五年見通し、こういうものとこの第三次長期計画、これだけじゃありませんが、農水省、政府が今進めているあらゆる我が国の農政の中で、これが非常に重要なものとしてその整合性の中で位置づけられている。 ということになってくると、これだけの事業のずれが生じてくる、現実に事業が推進できない、こうなってきたときに、それらの今申し上げた基本方向並びに長期見通し、こういうものに対して大変な影響が出てくる、当然私はそう考えます。これについては総合的に調整をしたり、もう今の段階で現在ある第三次の計画を、先に行って七十二年でとまればいいけれども、その先にまた延びるようなことになったら大変なわけです。ですから、羽田大臣もおっしゃっているとおり今転換点に立っている我が国農政、総合的にあらゆる方々の知恵をいただいて見直しをし、改めるべきものは改め、さらに大きな転換を図らなければならない時期でありますので、私はこれらも含めて、長期計画も含めて、本格的な見直しというか新しい転換点に立った視点に立っての総合的なものを、我が国の農業に携わる、そしてその中でも特に将来の日本の農業を担って立とうという大変意欲を持って頑張っておられる方々に対して将来の指標を示す意味でも、明確なものをこの辺でしっかりしていかなければ大変だな、こう考えるわけでありますが、その点についていかがでありますか。
○羽田国務大臣 この土地改良計画につきましては、農地面積五百五十万ヘクタール、これを確保するため必要な四十七万ヘクタールの農用地の造成を行うとともに、農地の整備率というものを七〇%に向上させる、これを主な内容といたしております。そして、今お話がありました「八〇年代の農政の基本方向」「農産物の需要と生産の長期見通し」などの農政の長期ビジョンと密接に関係しておるわけでございます。先ほどからお話ししておりますように非常に厳しいことで、おくれておるというのが現状でありますけれども、食糧の自給力の維持強化あるいは農業生産の再編成、生産性向上などの農政の課題に対処するため、今後ともこの方向を一日も早く達成するようにこれから努めていきたいと考えております。 ただ、今御指摘ありましたように、こういった中で目標というものが変わってきているのじゃないか、もっと明確に今の時点でのものを農民に知らせるべきじゃないか、あるいはそういったものをきちんと方向づけをするべきじゃないかというお話がございましたけれども、御指摘のとおり現在農政審議会におきまして、これまでの長期ビジョンにつきましての成果、こういったものを分析、検討のための、これをフォローアップするための作業をしてもらっているところであります。
○水谷委員 どうぞ大臣、将来の輝かしい展望が開けるようにお取り組みいただきたいし、やはり政府が計画を立て、方向を立てたものについては責任を持ってやるよと——余り努力目標みたいな、まあ夢があっていいのですが、夢が先行して現実は全く落差があり過ぎるとそこに大変な失望が生まれてくるわけですから、現実をしっかり踏まえた上で、これだけの厳しい財政事情なんですから、一歩踏み込んだ議論をすればこれは本当に厳しい、例えば数年の間はこういう状況なんだけれども将来はこう持っていくぞというものがなければ、もうそろそろ納得はしていただけないな、こう考えるわけであります。 ちょっと細かい問題になりますけれども、せっかく国営事業についてはそういう今回の法改正によって事業量が拡大できる。それからまた今回の財投を入れることによって補助事業にも事業全体にも、これが波及効果で補助の事業量がふえていくわけですけれども、さあそこで問題になってきますのは、昨年より、いわゆる五〇%を超える補助率、高率補助率については一割削減、そういうことで大変な地方自治体の財源難という財政事情に大きな影響を与えておる。これがまた今回の法改正によって、六十一年から六十三年までさらにより一層、国営事業は除くが補助事業に限って、補助率が引き下げられる。こういうことになりますと、今度は地方の地元負担とかいろいろな問題についても大きな影響を及ぼしていく。地方財政に大変な影響を及ぼしていく。そういうことから、この土地改良事業そのものにも、この進捗率を高める上にもブレーキがかかる。ブレーキになってくるのではないか。 このことについて、こういう補助率一割カット、それ以上の引き下げ、国は地方債の承認の枠を拡大したり、地方交付税を手当てとしてやってまいります、こうなっていますが、しかし先ほど局長の答弁の中にございました地方交付税の問題の中で、農業行政費、実はきょうは自治省の方に来ていただいてちょっと突っ込んで議論したいと思ったのですが、土地改良法の改正の審議でございますからきょうはおいでいただかないでいるわけですけれども、先ほど局長が前向きの大変積極的な答弁をされました。確かに農道や農業用排水路、これがいわゆる基準財政需要額のカウントされるところに入っておりません。それからさらにもう一歩突っ込んで、これだけの大変な事業を進める、こういうものも、いわゆる耕地面積と農家戸数しかカウントされていない。この耕地面積を一くくりにするのではなくて、やはり耕地面積の中でも特に農振地域の面積とか、農振地域の面積は積極的に基盤整備も進める、土地改良も進める、そういう地域でありますから、この耕地面積をさらにもう少し補正、いわゆるいろいろな補正の係数がございますが、そういうものの中に組み込んでやっていかなければならない。交付税の算定がそういうふうになってくると、地方自治体の行政を重点的に行うところに一項目、いわゆる農業基盤整備というものも据えられていく。ところが、全体的に財政がだんだん圧迫されていくと、どうしても優先順位からいって、地方交付税のそこに焦点が当たっていないものについては、非常に厳しい扱いを受けるようなときが来はしないか、こういうことを心配しているのでありますが、局長、先ほどの答弁の中に触れられたこと等も含めて、地方財政の問題についてもより一層配慮をされながらやっていただきたいなと思っておりますが、いかがでございましょう。
○佐竹政府委員 先ほども申し上げたのでございますが、私ども自身、土地改良事業を推進していくことの上で、地方財政とのかかわり合い、これは非常に深いわけでございますけれども、その辺についての配慮が今まで必ずしも十分でなかったということを反省しているわけでございます。 耕地に付属する、一筆一筆の農地に付属する用水路、農道でございましたら、それはまさに農地面積で代表されると思いますけれども、実際私どものやっている仕事といいますのは、それをはるかに超える仕事というのを現実にやっているわけでございます。従来は地方財政が比較的ゆとりがあったために、そういう事業の実質的な性格に着目して自治体が自主的に一般財源で負担していただいていたわけでございますけれども、御指摘のように地方財政もだんだん厳しさを増していく状況にあるようでございます。もちろん補助率カットにつきましてはそれなりに手当てはされておりますけれども、全般的に地方財政も相当厳しさを増していく中で、今後従来のような自治体の協力が必ずしも期待できないような状況が出つつあるように認識しているわけでございます。 ただ反面、交付税の対象としてカウントするということになれば、例えば農業用排水路と似ている河川につきましては、管理、規制の体系が全然異なっているわけでございまして、当然のことながら自治省としては、そういうものにカウントする以上は制度的にもそれにふさわしい実質的な内容を持っていてもらわなければ困るという御意見が出てくると思います。ということは、結局土地改良制度全体に非常に大きな影響を及ぼす問題で、その意味では非常に難しい問題ではございますけれども、避けて通れない道であろうということで、来年すぐどうこうということは申し上げられませんけれども、真剣に取り組んでいく必要があるのではないか。また自治省の方も、概して制度には非常に厳しい考え方を持っておられる省庁でございますけれども、例えば私どもの集落排水整備事業でございますが、これは法律に基づかない事業、全くの補助事業でございますが、これを一般下水道、下水道法に基づく下水道と同じように、事業の実質的な機能に着目して起債あるいは交付税で対象にしていただくという全く異例の措置をやっていただいたわけでございます。 両省ともそのようにお互いに歩み寄れるという機運は持っているわけでございますので、今後従来にも増してお互いによく、私どもは土地改良事業の実質的な機能を説明し、逆に自治省からは地方財政制度の運用の基本的な考え方をよく承り、何らかの調整を図って、現場の維持管理に当たられている土地改良区を初め、市町村の関係者の方々に幾らかでも喜んでいただけるような措置をやっていきたい、かように考えているわけでございます。
○水谷委員 先ほどの委員の質問にもございましたが、大臣、先般私ども現地へ参りまして、皆さんが非常にお困りになっていらっしゃるのは大きく言って三つでございました。一つは償還金の問題、一つは戦略作物、そしてもう一つは、でき上がった後の維持管理、こういう大きな問題があります。 そこで、農畜産物の過剰基調、それから市場開放要求、それからそういう状況の中で何をつくったらいいかというのが本当にわからない、こういうことでございますが、この第三次長期計画の計画全体のつくり上げ方、これは国の計画ですから、そんなに微に入り細にわたり、将来にまでわたってどの市町村のどこの事業というふうにはいかないでしょうが、三十二兆からのこの事業計画が上がってくる、その基本には市町村があり、県があり、国の大きなプロジェクトがある、そういう中で計画ができ上がっているはずであります。 それからまた、六十五年を見通した農畜産物の需要とその供給の長期見通しについても、その基本にはそれぞれの地域における生産量、作付面積、またAという町についてはこのような作付面積でほぼこれだけの生産量はあるだろうというものも全体の計画の中では生かされているのであろうと思うのです。 先ほど局長の答弁にもありましたが、国内の需要状況に対する情報を的確にとらまえて、それらをそれぞれの地域にフィードバックして、そこでいろいろな協議をしていただく、戦略作物として長期見通しに立って今何が必要かというのを御議論いただくのだというお話がありました。 そこで、これからの我が国の農政を考える上において、地域政策、地域計画、国全体の生産目標、需要と供給の目標、こういうものがありますが、それらがもう少し、市町村までは難しいかもしれませんが、少なくとも都道府県段階まで、二十一世紀を展望した我が国の方向性というのはそんなに狂わないはずです、どんな食糧の見通しについてもそんなに極端に需要が変わるものではない。最近いい傾向で、経企庁が二〇〇〇年予測をした米の需要の減退カーブ、これがかなり緩やかでお米はそんなに厳しく減らない、こういういい方向性が出てきた。こういうこともありますが、しかし、将来の国全体の生産目標等々をひっくるめたものを確立すると同時に、今度の新しいビジョンをいろいろ検討するときには、ぜひ都道府県、いわゆる地方における具体的な生産目標、計画というものをそれぞれ下からつくり上げてきて、そのつくり上げてくる段階で、それではここはこういう営農計画をもとにして、こういう戦略作物を中心にして、米がこれぐらいだということで、土地改良事業計画が本当に現実のものとして上がってこれるようにしていかなければ、でき上がったけれども何をつくったらいいかわからない。 もちろん水田利用再編対策という大変な米過剰による大きな問題等も、その中間で激変がありましたから今時にそういう問題があるのでしょうが、私はそれだけではないと思う。もっともっと計画を立てる段階でそういう観点があってそれらが積み上げられてくれば、将来においてもはっきりした目標を持ちながら償還の問題も戦略作物の問題もきれいに解決し、さらに、それがひいては責任を持って、張り合いを持って維持管理できるという方向にいくと私は思いますが、この国全体の生産計画等々の問題と、それぞれ地方、地域が自信を持って生産に取り組めるような体制を積極的に導入していくべきだと考えますけれども、いかがでございますか。
○羽田国務大臣 私どもも各地をあれしておりますと、今先生から御指摘があったようなお話があり、また現状がそういうものであるところも非常に多くあります。また、それと同時に、地域の特性というものをよく見詰め、そしていろいろな人たちが議論する中で創意工夫が出されてきておる、非常にああこういう営農というものがあるんだなということを考えます。見ることがよくあります。しかし、ではそれが全部がというと今御指摘のとおりで、そうでない地区というものも非常に多いというのが現状であります。 そういう意味で、私どもも長期の目標というものについて現実をよくとらまえて一つの方向を示していく、これはこれからも進めていきたいし、それと同時に、それをもとにしながら地域の中でもそれをつくり上げてもらう必要があるのじゃないか。やはり中央の方でこれの方向を全部出してしまうというのはなかなか危険であろうと思います。地形が違う、風土が違う、そういうものをうまく生かしたものは県あるいは市町村という中でつくり上げてもらう。その指導とかあるいは情報を提供する、これが私どもの務めであろうと考えておりますので、そういった点についてもできるだけきめの細かい情報を提供するようにしたいし、また、その一つの方向を定めるような指針というものを申し上げていくことが必要かなと思います。
○水谷委員 市町村、都道府県の自主性を尊重しながらリーダーシップをおとりいただいて、ぜひひとつ推進をお願いしたいと思います。 次に、土地改良事業の推進と農地の集積の問題についてちょっと触れてみたいと思います。 現在まだ土地改良されていない地域というのは、こちらに一ヘクタール、こっちに五十アールというように分散している。作業が大変だ。特に二兼農家の皆さん方なんかは現状で作業するのは本当に大変だというのが一つ。だから信頼できる人がいればそれをお貸ししたいという考えもある。しかしもう一方は、今度土地改良というものが目の前に出てきますと、将来本当にこれは償還できるのか、採算が合わないのじゃないか、そんなに大変な負担をすることができないという問題がもう一つある。 ですから私は、土地改良事業そのものは、本人に換地をするのですから、それは現状はいろいろな制約があろうかと思いますけれども、先ほど議論がございました土地改良が進まないことが農地の集積を阻害している、もちろん私は、局長が答弁されたようにそれは一つの要素であると考えます。しかし一方、逆に考えれば、積極的にやっていただきたいと思うことは、土地改良を進めるその段階で極力農地の集積が図られるように、土地改良をやって集積を図るのじゃなくて、やる段に当たって集積を本気になってやる。そして本当に貸し手の、貸したいというお考えがある方の不安は償還の問題、それから貸してもそれだけのそろばんが合うか合わないのか、こういう問題があります。ですから、その事業計画が煮詰まっていくと同時に、貸し手がどんどんそこで手を挙げていただく、借り手も手を挙げる。さあそこで、償還についても、こういう土地改良事業を推進して将来きちっと事業が完了した時点ではそれぞれの農家の農業所得はこういう形になっていくという展望が開かれて貸す方も信頼できるようになっていけば、事業推進と同時に集積が起きていく。 ですから土地改良事業の推進と相まって、農業会議所だとか農業委員会だとかまた農協の方々だとか、いろいろな方々の総力を挙げて土地改良と連携をとりながらそういう集積を図る努力を、現在もしておられるはずでありますけれども、さらにより一層おやりいただかなければいかぬな、こう思います。点在していましたのがびしっとまとまってきれいな圃場になりますと、今までは作業が大変でしたが、二兼農家の方も今度はずっと作業できるものですから御自分でおやりになる。きれいになったから、整備されたから集積が図られるかと思うと、整備されると集積はストップをするという要因も実は片方にあります。そういうことで局長、お答えをいただきたいと思います。
○佐竹政府委員 先ほど吉浦先生の御質問の際にお答えした点もあるわけでございますけれども、私どもが実際に事業をやる上で各種の事例とかあるいは農業委員会等の調査をとってみますと、現実には、圃場整備が実施された地区の利用権の設定率は周辺町村よりはるかに高こうございます。ということは、それだけ両者の関係が密接である。現実にも今先生が御指摘されたような必要性は現地のそれぞれの関係者も痛感して、そのように事業を運営しているということが言えると思います。 私ども農林水産省の立場で、まさに霞が関の段階の問題でございますが、私どもの構造改善局の仕事としまして、いわゆるソフトウエアの農地法の所管部局とそれからハードウエアと申しますか、実際に工事をやります建設部、その両方連ねる計画もございますが、農政部の農地流動化対策と建設部がやっておりますハードな事業とをどういうふうに関係づけていくかということが私にとっての非常に大切な仕事でございます。かつて十数年前は、両者が全く関係ないと言ってはやや語弊がございますけれども、比較的それぞれ独自の道を行っていたわけでございますが、最近空気が変わってまいりまして、農政部の方としても農地法あるいは農用地利用増進法だけをいじっていたのではどうも農地流動化は進まない。やはり建設部の圃場整備事業等が進んでもらわないと仕事が進まない。それから、建設部の方も農地法それから農用地利用増進法というようなソフトウェアにも関心を持たないとせっかくつくった圃場が十分活用されない。これはやや例が違いますけれども、例えば農用地造成で遊休化して会計検査院の指摘を受けるなんということもあるわけでございまして、やはり両者、私も構造改善局には十数年ぶりに戻ってきたわけでございますけれども、十数年間の進歩がそれだけあるように思うわけでございまして、今後ともそのような傾向はさらに強化していきたい、かように考えておるわけでございます。
○水谷委員 四全総の基本方針として国土庁が、農村振興の将来ということで、地域営農システムの中で農用地を生産農用地、菜園農地、交流農用地というふうに三つに分類して、農村整備の核として反映させていこうという、こういう発表がございました。これは大変画期的な発表だと私は受けとめております。ただし、いろいろな問題が実はあるなということも考えておりますが、これについて農水省のお考えを伺っておきます。
○佐竹政府委員 御指摘の国土庁の考え方は「農村振興の課題と基本方向」という論文の中にあるようでございますが、これは現在策定作業が進められております第四次全国総合開発計画の素材として、国土庁の地方振興局長の私的諮問機関である農村整備問題懇談会で検討が進められている性質のものでございます。 私ども農林省として正式に意見を求められたわけではございませんが、実際問題としては、その内容を入手しておるわけでございますが、確かに最近農家の経営志向が、まさに農業でやっていこうという人たちのグループと、それから、農業からはやや足を抜いてむしろ老後の健康のために営農をやる、そういうものとして農地を見るという傾向があることは否定できないだろうと思います。私どもも、長期的に見ればそういう傾向があるということは国土庁の中で議論されているとおりだろうと思いますけれども、私どもは実際に農地法なりあるいは土地改良法なりの運用を担当しているわけでございまして、生産農用地、菜園農地、交流農用地、これはアイデアとしては大変ティピカルにその問題を提起されておもしろいとは思います。しかし、やはりこれを現実に制度としてどういうふうに評価し、運用するかということになりますと、そう簡単に結論づけられないわけでございまして、いずれ正式に私どもの方にも協議があろうかと思いますが、現実の農地法あるいは土地改良法の運用に支障のないように、そのような観点から意見を申し述べていきたい、かように考えているわけでございます。 〔島村委員長代理退席、委員長着席〕
○水谷委員 農政の政策の中で、農村政策、産業政策、こういう分け方ができるかどうかわかりませんが、そういう観点からいっても、それは確かに整理をし、ぴしっとすることが非常にいいようには見えますが、そう軽々にそんなことができるわけはない。ですから問題がかなりあるはずであります。農業の発展のために、積極的に農家の皆さん方が希望を持てる方向になるように、国土の基幹計画ですからひとつ農水省としても言うべきことはどんどん意見を言っておく必要があろうかと思います。 次に、会計検査院の指摘のことについて若干触れてみたいと思います。 昭和六十年十一月二十二日に、会計検査院長名による農林水産大臣あての意見表示の文書が出されております。これは農用地開発事業によって造成された農地の利用についての意見表示でございます。 今回の調査は、第一次から第三次までの長期計画に基づく千六百三十五事業の農地開発事業、造成された農地面積十七万七百三十四ヘクタールのうち、三百三十八事業、農地面積四万八千五百七ヘクタールについて調査されたのでございますが、この調査対象の実に二割近い六十二事業において何らかの問題があったと指摘されているわけであります。これは面積にして二千四百九十六ヘクタール、事業費相当額百五十七億六千七百十五万円余ということでありますが、これには国営事業費及び国庫補助金として国から百三十五億六千五百十四万円相当額、こういう血税が投入されているわけであります。 この指摘、今回初めてではなくて何度も過去これらの指摘がございました。大体会計検査院の常識からいうと、こういうことは一度指摘されればそう何度も起きるような問題ではないのだ、こういうふうにも言われております。しかし、このような指摘が、農用地の開発に関しては昭和四十四年以降既に四回もの指摘を受けている。この昨年の指摘を受けますと五回目になるわけであります。 これらの指摘があった、または指摘ではなくてもそれに類する意見があった場合に、必ず農水省としては「指摘の趣旨に沿い、事業効果の確保について地方公共団体等を十分指導する所存である。」とか、「指摘の趣旨に沿い、事業計画を再検討するとともに、今後の事業実施に遺憾のないよう処置する所存である。」このように述べてこられたわけであります。しかし、そう言われているだけでは解決はしないのであって、これらの事業を採択するときには、最初からその事業の必要性についての基礎調査やまた技術的可能性について行われる計画調査、さらにはまた、事業の効用性について行われる効果調査、これらをして事業が実際に計画されていくことになっているわけでございまして、これらを厳重にチェックをしてきたのだろうか、本当に最善の努力をされたが、しかし万やむを得ない事由によって有効に活用されないできたのか、こういう疑問が私は起きてくるわけであります。 ですから、これらの指摘をされた場所だけではなくて、この際草地開発等も含めて現在継続実施中のすべての農用地開発事業についてもしっかりと総点検をしていかなくてはいけないのではないか。そうしませんと、いわゆるこういう問題がその都度指摘をされてくると、国民の側からこれを見ますと、片方で必要だからといって大変なお金をかけて農用地の造成をやっている、ところがそれが有効に使われていない。また国土全体を見ても、この間の全国農業会議所の調査の中にも、六十年八月一日現在で十二万ヘクタール余の遊休農地があるということが出ております。そういうものをすべて考え合わせてみますと、これについては明確な方向性を出しませんと国民のコンセンサスが得られない、また農水省にはそれだけの責任があると思えるわけでございますが、これに対してどのように取り組んでいかれるのか、決意も含めて御答弁をいただきたいと思います。
○佐竹政府委員 私ども、農用地造成につきましては特に国庫負担率を高くいたしまして、貴重な国費を使って事業をさせていただいているわけでございまして、既に数回御指摘いただいた点まことに遺憾に存じているわけでございます。 私どもが現在までに造成した面積は十七万一千ヘクタール、千六百三十五地区ございますが、そのうち今回実地に検査をされましたのは四万九千ヘクタール、三百三十八地区でございまして、管理不良面積が二千四百九十六ヘクタールで六十二地区ということで、不良率が大体一・五%ということになりますが、一・五%だからといってこれは許されるものではないと思います。非常に多額の国費を投入した以上、我々はそれだけ事業の成果をきちんと上げるべき責務を有しているわけでございます。 今後の対応でございますけれども、これはあえて総点検と言うまでもなく、中央で現場の実態をきちんと把握していることは的確な事業を営むための基礎的な条件でございますので、全地区について的確にその現状等を把握するように努めてまいりたいと考えております。それからまた、会計検査院への回答等も既にお目通しいただいていると思いますのであえて繰り返しませんけれども、採択に当たっては、事業の意欲それからまた技術的な可能性等についてさらに厳しく吟味することといたします。既に管理不良となってしまった土地につきましては、再度その利用可能性について十分チェックいたしまして、農地の流動化対策等も重ね合わせでできるだけ有効利用できるようにいたしたいと思います。 このような事態を生じましたのは、農用地造成について、特に国営事業について工期が長過ぎることでございますので、今回御審議いただいております法律による国営の事業施行方式の改善、その他事業費の重点的な配分等を通じまして、短時日の間に顕著に工期を短くすることは非常に難しい面もございますけれども、特に農用地造成等につきましては可能な限り短期間で工事を施工するように努めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
○水谷委員 ぜひ的確に一つ一つ分析をされて対処をしていただきたいと思います。 今お答えがありましたから若干重複するかもしれませんけれども、適切と認められない事態、いろいろな原因があるということで会計検査院が指摘をしておりますが、その中の「自然立地条件が厳しく導入作目が適合していないなどのため造成農地が未利用となっているもの」これなんか私はとんでもないと思う。これなんか最初からわかっている。こういうことが行われることは、今局長の答弁がございましたが、二十年かかった、もちろんそれを私は否定するわけではありません、それが一番大きな理由かもしれません。しかし、自然立地条件が厳しいということは計画段階ではっきりわからなければいけない。事業を何とか地元で採択をしてほしいという強い要望はあるかもしれないけれども、それを採択して事業が進んで将来国民にも迷惑をかける、当事者にも苦しみを与えるような事業は断じて認めるべきではないと私は思います。 さらに、二番目として指摘をしている項目は「受益農家の労働力不足等の社会的要因に起因して造成農地が未利用となっているもの」これは今おっしゃった二十年からかかってしまう、本当にその間のいろいろな社会変動によって後継者等も既にそこにはおられなくなっている、いろいろな問題があります。まさにこれは、社会的要因という問題は、余りにも工期が長過ぎるということに一番大きく起因してくるだろうと思います。 三番目に「農業生産物の価格の低迷等経済的要因その他の事由により造成農地が未利用となっているもの」これは農政全体の問題だけではなく、我が国を取り巻くいろいろな経済情勢の変化というものも大きく影響を与えておりますので、これらについてはただ単に指摘をするだけではいかぬかなと私も考えます。 今局長も決意を述べられましたが、農政全体が今大変厳しい環境の中にあるということがこれらの指摘を受ける一番大きな要因になっているはずであります。せっかく事業をスタートして、多くの人が我が国の農業の発展のためにと思って大変な苦労をしてやった事業が、結果としてこうなって指摘を受ける、どうかこういうことのないように、大臣、しっかりお取り組みをいただきたいと思います。 次に、先ほども事業完成後の維持管理について現地ではいろいろ御心配があるという指摘がございました。私も現地の調査に参りました折に、関係者からは大きく言って二つのこと、一つは土地改良施設そのものが技術的にかなり高度化されてきている、そのためにその管理も高度化になってきている、その管理について、国も県も一部特殊な施設については公的負担をしてバックアップをしておられるようでありますけれども、かなりの施設が高度化されてきていることにあわせて将来負担もふえてくることのないように負担の軽減にお取り組みをいただきたいということ。 もう一つは、四十七年、五十九年と法の改正整備をされました、農村地域におけるいわゆる混住化の進展による都市的利用の増大に対する調整ということで、土地改良法三十六条の員外負担の制度とか五十六条の市町村協議、知事裁定、そして五十七条の二、五十七条の三の差しとめ請求、このようにして法の制度は整備されておりますよ、こう現地で申し上げましたら、ぽんと突き返されまして、そんなの信用していない、そんなことでうまくいくわけがないじゃないか、私たちはちっともそんなことで安心できないのだ、将来の本当に都市的ないろいろな水利用がきたときに、ぴちっと私たちがその管理者としてそれを排除できる、そういう状況ではありませんよ、大変不安でございます、こういうお話でございます。 確かに法五十七条の二、そこでは「管理規程」ということがびしっとうたわれております。これは都道府県知事の認可を受けることになっております。それで、五十七条の三では「当該管理規程で予定する廃水以外の廃水が排出されることにより、」というふうになっておりますが、この「予定する廃水以外の廃水」というものは、どういう廃水をそうするのか。もっと具体的に言えば、水質基準、どの程度までのものはぴしっと排斥してしまいますよ、差しとめ請求しますよ、こういうふうに言える、その明確なものがこの管理規程の中でできるのかがまず一つ。できるとすれば、そういうものを土地改良区の段階で、その水質基準が、例えばその汚染濃度がどうなっているか、具体的にこれだけのものが出たらもう差しとめ請求するのだ、我々はそうできるのだというマニュアル、そういうものを果たしてこの土地改良区とか市町村あたりに国や県が指導してつくっておられるのか、その二点、お伺いしたいと思います。
○佐竹政府委員 私事にわたって恐縮でございますが、実は私、四十七年改正は管理課長として改正法案を国会に上程し、御審議願ったわけでございますが、当時この予定外廃水の差しとめ請求を入れるにつきましては政府部内でもいろいろ議論がございまして、まず実際上どの程度使えるのかという議論が確かにあるわけでございます。理論的に言えば、水質基準を決めて、それを各主要な排水先に割り振るというようなことはやってやれないことはないし、現に先進的な土地改良区、例えば明治用水土地改良区等ではそれに近い運用の実態がございます。しかしながら、多くの土地改良区ではそこまで期待するのは実際問題としても無理かと思うのでございますが、私どもこれを入れました趣旨は、農業用排水路だからといってむやみにやたらに流し込んでいいというものではないのだ、こういうことをまず世の中の非農業者の方々に承知していただくための手がかりをつくったわけでございます。このような規程がない以上は、それは流すのは当たり前ではないか、低いところに流れていくのだから何を文句を言うかということを言われる。現にそういうトラブルが随分起きていたわけでございまして、私どもは、土地改良区の管理する用排水路というのは一定の目的があって管理しているのだから、そうむやみやたらに生活汚水等を流し込んではいけないのだという思想をはっきりさせたい、まさに法律になっているわけでございますから、政府部内にコンセンサスがあるわけでございます。その反面といたしまして、管理をしている以上は管理の責任があるのだ、つまり、これは水質の問題ではございませんけれども、周辺に人家が密集してくれば管理フェンスを設けるとか防護フェンスを設けるとか、あるいは水質についても浄化のための努力をするとか、そういう管理者としての責任があるのだということをはっきりする意味で管理規程の作成を土地改良区に義務づけたわけでございます。 この辺は現場の土地改良区の理事者の皆さん方からすれば、我々は昔からここで水路を管理してきた、百年前からやっておる、最近家が進出してきてから問題が起きるんじゃないか、やたらに汚れる、それは全部出てきた者の責任である、こういう意識があるわけでございまして、恐らく先生に反発された改良区の理事者の方々もそういう意識ではなかろうかと思うのでございますけれども、やはり私どもこういう公共施設の管理については、これは土地所有でも同じでございますが、周辺の土地利用の状況が変化してくればその管理の責務の内容も変化してくるということから、やはり従来どおりではなく、土地改良区としても積極的に管理していかなければならない、それを具体化するものとして管理規程を設けたわけでございます。そうしますと、当然経費の負担の問題が出てくるわけでございます。そのような観点から市町村協議なりあるいは非農地受益者賦課の規定を設けたつもりでございます。 ただ、その後十数年たちまして、実際にこれを非常にうまく使ってやっていただいておる改良区もあることはあるわけでございます。ただし、残念ながらそういうものはまだ数は少ないことは事実でございますが、今後私どももこのような規定、確かにこれらの規定、法律制度としては非常に不十分ではないかという御意見が恐らく地元で出ると思いますけれども、しかし、当面設けられる規定としてはともかくこういうものがあるわけでございますから、これをフルに使って農業用排水管理の利用にも支障がないように、また地域社会としての環境も保全できるようにしていただく。そのために私どもは、仏をつくって——仏と言えるほどのものでもございませんけれども、魂を入れることが必要だと思いますので、そのような趣旨の徹底を図り、かつ、さまざまな面でいろいろ助成措置も現に行っておりますけれども、そういうものも活用しながら、御指摘を受けたような事態を少しずつでもなくしていくようにさせてまいりたい、かように考えているわけでございます。 それから最後にちょっと一言だけ。先ほどの答弁の中で集落排水施設について交付税についても六十一年度から対象になっているようなことを御説明申し上げましたが、六十一年度はまず起債措置だけでございまして、償還財源に対する交付税措置については多分の御理解をいただきましたけれども、なお六十二年度以降の問題でございますので、これは真剣に取り組みたいというふうに考えております。
○水谷委員 周辺に対する安全管理等の管理規程、これは当然のことですからよろしいですが、私が今申し上げたのはこれから起きてくる問題で、そんなに今どんどん起きている問題ではなくて、これからますます混住化が進み、都市的利用が進んでくると起きてくる問題ですから、私が申し上げたマニュアルは今の段階でどうこうという引き合いはないかもしれませんが、こういうものがないと、その管理規程を知事が承認をするわけですから、ただ簡単な文章でそういう問題が一体解決できるのか、どろどろした現場のいろいろな当事者が集まったところで何がいわゆる差しとめ請求ができるそのものなのかということになると、これはないとだめなんですよ。ですから、このマニュアルはよく御検討されて、それは地域ごとにいろいろ様態が違うですから、そんな簡単に全国一律で汚染濃度がどうのこうのということはできないかもしれない、しかし、それは鋭意それぞれの都道府県と農水省が連携をとりながらマニュアルを提示していくべきであると私はさらに申し上げておきます。 いろいろお尋ねしたいことがありますが、時間が迫っております。大臣、この土地改良事業で一番困られる方は、先ほども議論がありましたが、主に稲作主業農家、それも二ヘクタールから三ヘクタール規模の農家、他に職業を持って農外所得を確保できない、そうかといって農業だけでは所得は非常に低い、こういう方々にいわゆる償還金の負担というものがどさっとかかってきます。こういう方々は、言われるとおり規模拡大を図りたいという願望があります。しかし、私はもう一度機会を持って大臣と議論をしたいのでありますが、規模拡大のメリットというものが果たしてあるのか、これは今新たに取り組もうとしている方々の中の不安であります。ですから、一番大事な、将来に向けて農業を担っていこうとする方々のおいでになるいわゆる中核農家の方々が希望を持てるような方向に農政の展望を切り開いていっていただく。その中でさらに今議論を申し上げてきた土地改良事業のより一層の推進をお図りいただきたい。これを最後に申し上げて質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○大石委員長 中林佳子君。
○中林委員 まず初めに、今回の土地改良法の改正案は、一言で言えば、財政難の折、何とか工夫をして国営の土地改良事業の事業量を拡大しようというねらいで行われるものでありますが、従来国費で立てかえていた一般会計の事業の都道府県負担分を財投資金に置きかえることによって、そこで浮いたお金、国費分を事業全体に振り向けていくというものです。 そこでお伺いするわけですけれども、この措置によりまして、従来の国営特別会計事業が単年度でどれぐらい事業拡大につながりますか。
○佐竹政府委員 国営事業の都道府県負担分を財投資金に切りかえること等によりまして、有効に活用できる国費が約二百八十億になるわけでございます。 それで、この浮いた国費につきまして、国営の従来の一般会計事業、それから国営の従来の特別会計事業、それから国営に関連いたします附帯の県営、団体営事業、それぞれにこの二百八十億円を使いまして、その結果として事業量が約四百三十億拡大することになるわけでございます。
○中林委員 今、全体の事業量四百三十億ぐらいというお話でしたけれども、特会はそのうちどのぐらいでしょうか。
○佐竹政府委員 特会につきましては、有効活用国費が三十四億でございまして、事業量としては約六十億の事業量の拡大、かようになるわけでございます。
○中林委員 単年度における従来の特会事業がこれまで約千二百三十八億円の大規模なものに対して、今回の改正で拡大される部分はその四・七%ぐらいにすぎないわけですね。しかも国費分が拡大されただけ地元負担分も拡大されて、財投金利を使うという特会事業にあっては農家負担もふえるのではないか、こういう懸念がされます。さらに一般会計の県負担分についても、返済金利は従来の年六・五%から財投金利、これに変わっていくわけですから、現在は金利が若干下がっているわけですけれども、これまでは従来よりも高かったわけですね。ですから、それによって変動が起きて高くなるということも容易に予測ができるわけです。そうしましたら、農家負担あるいは県負担、これが増大することも大いに考えられるわけですけれども、その点は農水省としてはどのように受けとめておられますか。
○佐竹政府委員 まず県費でございますけれども、これにつきましては、従来延納制度によって六・五%で償還がされていたわけでございまして、それが財投金利ということでございまして六・八ないし六・五、ですから若干下がる場合もあり得るわけでございますが、いずれにいたしましても、従来これらの財源につきましては、延納の償還財源については都道府県が独自に調達していたものでございますが、それを財投で一括調達して、一〇〇%、いわば充当率についての心配は全然なくなるわけでございまして、そのような意味では、都道府県については、まずこれは担当者等からいいましても、今回の措置で地方財政の運営に非常に支障が出たということはないのではないか。これは、実際に都道府県の担当者にお聞きいただきましても、そのように言われると思います。 それから、地元負担につきましては、少なくとも従来の国営一般会計事業につきましては従来と全く変わらないわけでございますから、その限りでは農民負担には全く影響がないわけでございます。 ということで、今回の措置というのは、あくまでも直接的に関係者に余り御迷惑はかけない範囲内で工期の促進をしたいということで、知恵を絞ったわけでございます。全体としての投資事業量に対してひねり出した国費が三百億でございますので、それが大したことないじゃないかという御指摘をされるならば、それは確かに数字の上でそういうことでございますが、私どもとしてはこれを活用して少しでもよくしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○中林委員 本来、農民の方々がこれまで御要望になっていることは、土地改良事業は国費をふやすことによってその事業量の拡大を図ってほしいということで、今回のように借入金方式でふやすことは、結局負担増を招きかねないということで、これまでの農家の方々の要求とは、若干じゃなくてやはり大幅にかけ離れた改正になっているのじゃないか。その全体の予算も本当にわずかばかりでございますし、やはりこれまでおくれた工期、そして、それにかかった費用も農家にとっては手いっぱいだという状況の中では、今度の法改正では焼け石に水ではないかというように思えてなりません。 そういう懸念があるということを指摘して、この法案に関連しまして、中海干拓淡水化事業の問題について御質問をさせていただきたいと思います。 この中海干拓淡水化事業については、私もたびたび当委員会を中心にして取り上げてまいりまして、既に計画が策定されましてから二十二年の歳月がたっておりますし、国費も六百二十二億円という巨額な投資がなされておりまして、七割以上の事業進捗状況となっております。 ところが、淡水化試行ということを目前にいたしまして、昭和五十九年八月に農水省が公表いたしました中海・宍道湖を淡水化した場合の自然環境にもたらす影響についての報告、いわゆる中間報告をめぐってその内容への疑問や批判が巻き起こって、今なお淡水化試行の同意を得るには至っておりません。 特に島根、鳥取両県は、この中間報告について専門的な検討を加えるために、水質関係と生物関係に分けて大学教授らによる助言者会議を組織して、論議を重ねてまいりました。そして、去る二月二十五日に助言者会議の最終見解がまとめられて両県に提出されました。 そこで、農水省に聞くわけですけれども、この最終見解を入手されておりますでしょうか。そして、その内容についてはどのように受けとめていらっしゃいますか。
○佐竹政府委員 助言者会議の最終報告につきましては、三月三日に島根県から中海干拓事務所に対して提示がございました。意見があれば言ってほしい、こういう要請を受けておるわけでございます。三月三日に提示を受けたばかりでございまして、私どもとしても、ただいま入手したばかりでございまして、いまだに十分な検討をしておりませんものでございますから積極的な見解を述べられる段階ではございませんが、いずれにいたしましても、私どもの立論の基礎になりました中間報告に対して厳しい御批判をされているやにうかがわれる点が幾つかあるわけでございます。私どもとしては真剣にこれを検討してまいりたい、かように考えております。
○中林委員 三月三日にお受け取りになって、日にちは確かにございませんでしたけれども、まだ日にちがないのでということで見解を避けられるというのは私は大きな不満がございます。 そもそもこの助言者会議は、全国の各大学や研究所から専門の研究者を募って組織されたものです。そのメンバーは、水質関係が九名、生物関係が五名で、教授や研究者一人一人を読み上げはいたしませんけれども、この中には西條八束名古屋大学水圏科学研究所教授だとか沖野外輝夫信州大学理学部附属諏訪臨湖実験所長、それから西村肇東京大学工学部教授だとか、いわば全国から粋を集めたような学者、研究者十四名のメンバーから成るものです。 農水省が出されました中間報告を受けて、両県がその検討をこの十四名の学者の方々にゆだねました。確かに県が行ったものではありますけれども、この助言者会議の結論いかんでは農水省の淡水化試行を大きく左右しかねない、こういう問題を含んでいると思います。現にこの間も、中間報告だけではなくして、農水省からの回答やあるいは補足説明、これに対してこの助言者会議は重大な指摘をしてまいっております。本当に淡水化試行について両県の同意を得たい、このように考えていらっしゃるのならば、むしろやはり積極的にこの助言者会議の指摘を農水省としても関心を持って収集して、その批判にこたえるべきではないか、こういうふうに思います。 もっとも、この助言者会議がまとめた最終報告、ここに水質関係とそれから生物関係という二つのものがあるわけですけれども、この中身は、一言で言えば、農水省がお出しになりました中間報告の内容について全面的に批判したものとなっております。そして、このままで淡水化試行に入っていけば水質悪化が十分予想されるとして指摘をしております。 そして、島根県当局はこう言っているわけですね。助言者会議で指摘された点について農水省へ再照会をしてさらに検討したい、こういうふうにおっしゃっているわけですけれども、農水省といたしまして、県から質問だとかあるいは照会がありましたら、それに誠意を持って回答される用意はおありでしょうか。
○佐竹政府委員 誠意を持って検討し、きちっとした回答をお示しいたしたいと思います。ただ、私どもの立論の基礎になりました中間報告も、これは諸先生お集まりいただきまして御検討いただいた結論でございますので、今回の助言者会議の報告の内容についても、中間報告をまとめられた研究委員会の先生方の御意見も承りたいというふうに考えているわけでございます。 いずれにいたしましても、私どもは両県の同意のない限り試行を強行することはないということを申し上げておる。しかもそういう両県の判断に重要な影響を及ぼす助言者会議の報告が出たわけでございますから、両県に同意していただくためには、その御疑問に対して一つ一つ答えていかない限り御同意はいただけないことは、これは火を見るよりも明らかでございます。そのような意味で、私どもとしてはこれは真剣に受けとめ、私どもの中間報告をまとめられた研究委員会の先生方とも御相談の上、一つ一つお答えし議論を詰めていきたい、かように考えております。
○中林委員 それでは、この助言者会議の最終報告の見解に基づきまして幾つか質問をさせていただきます。 この最終見解は、水質関係について中間報告の予測よりも悪化が懸念される事項として六項目、それから中間報告のままでは不十分な事項として四項目を指摘しております。また、生物関係については水産生物や鳥類の生息予測など全八項目にわたって検討を要する事項ということで挙げております。このすべての事項が大変重要な指摘でありますし、すべてについて農水省のお考えをお聞きしたいと思いますけれども、時間も限られておりますので、特に重要な点に絞ってお聞きしたいと思います。 第一点は、中海への逆流海水による栄養塩類の持ち出し効果についてでございますが、中間報告では、燐の持ち出し効果について、河川水による搬出量の約一六%、これは八カ月間の実測値でやられておりますけれども、この一六%という数値によって、「水質に与える影響は……小さかった。」こういうふうに結論づけていたわけですけれども、昨年十一月に出されました農水省からの補足説明、これでそのやり方が若干変わりまして、訂正とはおっしゃらないのですけれども一応訂正になって、一六%のところが実は二八%と倍近い値になっております。しかも水質解析のシミュレーションの結果によりますと約三九%と、中間報告の実測値割合と比べて約二・五倍の燐の持ち出し効果が海水によってあるんだ、こういう結果を示しております。 助言者会議の最終見解でも、当初の一六%という数値については、「りん濃度について異なった地点の値を用いており、式の適用の仕方に問題がある。正しく適用すると寄与度は約四〇%程度となる。」こうした上で、「現況での海水による水質浄化作用はかなりあると考えられ、水門操作後はこの作用がなくなる。」こういう指摘をしているわけですね。 農水省みずからも事実上は数値訂正をこの補足説明でやられておりますし、それから専門家からも中間報告の結論を否定されているわけです。ですから中間報告の、海水の搬出による水質に与える影響は小さかった、こういう見解は当然訂正すべきだと思いますけれども、いかがでしょう。
○佐竹政府委員 あらかじめお断りいたしますが、この中間報告ないし助言者会議の結論、大変重大な行政判断に結びついておるわけでございますので、そのことを別にいたしましても、事柄自体としても大変、純粋に科学的に考えましても非常に判断の難しい問題であろうと思います。 したがいまして、私十分にその助言者会議を読み込んでおりません段階で先生の御質問に対してお答えすることもいかがとは思いますけれども、せっかくの御指摘でございますので、私が承知している限りでお答えしたいと思うわけでございますが、確かに、その県からの質問に基づきまして私どもが実施しておりました水質予測シミュレーションの内容を分析した結果、海水による栄養塩の持ち出し効果は三九%あった、これは事実でございます。 一方、湖沼の水質全体をとらえるシミュレーションモデルを使った方法ではなく、別途ほかの条件を捨象して中海の湖心と日本海の塩分濃度差を用いた方式から算出しますと、栄養塩の持ち出し効果が、海水による栄養塩の持ち出し効果の——もう一遍正確に申し上げます。海水の逆流による栄養塩の持ち出し効果は河川水による栄養塩の持ち出し効果の一六%程度とされている、そういう推計をすることも一応可能であったかと思います。 これは私どもの報告をまとめられた先生方と助言者会議の先生方と直接御議論いただいて科学的に決着がつく問題かと思うわけでございますけれども、その方法はどちらの方法を使ったらより真実に近いかということだろうと思うわけでございまして、今後研究委員会の先先方にもお諮りして統一した見解をきちっとお示ししたい、かように考えておるわけでございます。
○中林委員 だから私は若干長目ではありましたけれどもこの中の引用をさせていただいたのですが、当初、一六%しか海水による栄養塩の持ち出しはないというふうに示された。そのはかったのは異なった地点ではかっているからそうなっているんだ、これは助言者会議でも指摘をしているわけですね。だからこそ農水省はこういう補足説明をちゃんと出されたわけでしょう。それによると、同地点で今度はかってみたらば二八%あった、こういう結果なんですよ。 それを見ても、農水省がお示しになったのも、当初の一六%という数字ではなくして、二八%の持ち出しだ、同じ地点ではかれば。こういうふうに言っているんですから、私はどう見ても、当初中間報告で結論づけようとされた結論の方が先にあって、それに数値をお合わせになったとしか考えようがございませんけれども、今局長がおっしゃいましたように、まだよくこれを理解してないのでということがございますので、そのことを指摘して、次の点に移らせていただきます。 次は、渇水年の水質悪化についてでございますけれども、既に私は昨年六月のこの委員会で、年平均値で水質変化を比べるのは実態にそぐわない、月別データで比較すべきだ、こういうふうに主張してまいりましたけれども、今回の補足説明でも年平均値で比べて、「CODで約一五%、トータル窒素及びトータル燐で約四%程度」、こういうふうに述べておりますが、この補足説明に添付された資料に月別比較が出ておりますけれども、それを見ますと、最大格差の月で、CODでは現況三・六ppmが淡水化後は九・四ppmと、三倍近い予測になっております。また、トータル窒素についても現況〇・五一ppmが二倍以上の一・一二ppm、またトータル燐についても現況〇・〇七三ppmがこれも三倍近い〇・一八三ppmの予測値と、いずれも春から夏にかけて平年月の二倍から三倍もの水質悪化が起こる、こういう予測が示されているわけですね。 助言者会議の最終見解でも月別予測の必要性を強調するとともに、中間報告の渇水年の流入負荷量の算定方法に問題がある、こういう指摘をし、中間報告の予測値自体が「過小評価となっている。」と述べている。そして、「用いている係数の値、負荷量の算定方法など再検討すべき」だ、こういうふうに提言しているわけですけれども、渇水年の水質予測について再検討される用意はありますか。
○佐竹政府委員 一般に水質予測につきましては、例えばCOD、BODの環境基準につきましては七五%の水質値、つまり流量がだんだん少なくなってくるわけで、豊水量から渇水量までずっと減ってくるわけですが、七五%ぐらいの水量のある時点で環境基準が達成されておるかどうかということで水質を測定するということをやっております。ですから、これは平均値ではないわけでございます。 しかし、窒素、燐につきましては、これは私も現在きちっと承知しておりませんが、果たして七五%値で環境基準の測定をやっているかどうかちょっと疑問の余地がございます。と申しますのは、COD、BOD、これは汚濁物質そのものでございますけれども、窒素、燐につきましてはその原因物質であって、汚濁物質ではないわけでございますので、そのような観点から測定の方法が違うということの可能性もあるわけでございます。 いずれにいたしましても、この問題も、きちっと議論をすれば少なくとも科学者の間では一致した見解が得られる可能性がある問題でございますので、そのように申し上げた上、これは先ほどと同じ内容になって恐縮でございますけれども、研究委員会の先生方と私ども御相談して、さらに必要があれば研究委員会の先生方と助言者会議の先生方、さらに私どもも加えていただき、御議論してきちっと詰めたいと思っております。
○中林委員 私が再々にわたって月別で比べなければ大変な事態になるということを申し上げるのは、実は農水省がお出しになっている回答あるいは資料、それからこれまでの委員会などでの状況の中で明らかになった点ですけれども、淡水化試行に入って水質の悪化に伴う異常事態に対する「警戒体制をとるべき判断基準」というものがCODあるいは窒素や燐などについて出ておりますね、数値が示されております。月別データをこの補足説明の資料で見ますと、その判断基準をはるかに超える予測値が渇水年で出てきているわけなんですね。例えばCODでは、中海の湖心部では七、八、九月、これも平均になっているわけですけれども、六ppm、これを超えた場合は警戒体制をとるべき判断基準だ、こういう一つの数値が出ておりますけれども、それは六・三三。淡水化後、農水省の現状を維持できるという水質予測の上に立った判断基準でも、もう既に予測の段階で判断基準を超える渇水年の予測値が出ております。これは一カ所だけではございません。燐にしても窒素にいたしましても、米子湾だとかその他につきましても、ほぼこの判断基準と言われるレベルに近いかあるいは超える数値というものが渇水年では出てくる予測になっているんですよ。 農水省がお出しになった資料でも既にそういうことがあるのですから、私は月別にちゃんとやるべきではないか、検討し直すべきではないかということを再度申し添えておきたいと思います。 そこで、三点目に移りますけれども、中間報告で淡水化によって水質浄化が期待できるとしていた燐の溶出抑制、それと微弱密度流による湖底の掃流効果、これによってきれいになるんだ、平たく言えば農水省はそういうふうにおっしゃってきたわけなんです。ところが、こういう期待に反して、助言者会議の見解は、水域だとか気象条件次第では燐の溶出が大きくなる、それから微弱密度流による水質浄化効果を、中間報告で評価しているほど期待するのは無理がある、こういうことを言っているわけです。ですから、これまで農水省が中間報告によって水質がきれいになるということを言われていた二つの理由、これが否定されているわけですね。 そして、こういうことをこの助言者会議の最終見解では言っているわけですね。「微弱密度流については、先例湖沼等において定量的な把握を行った上で評価すべき」で、「淡水化試行による検証によらなくても……定量的な考察が可能」である、こういうふうに断言しておるわけですけれども、先例の湖沼で定量的な把握をおやりになる用意はありませんか。
○佐竹政府委員 恐らく助言者会議のレポートをまとめられた先生方も、大変難しい事象について、非常に慎重にと申しますか、表現についてはかなり意を用いてお書きになっておられると思います。 したがいまして、そういう性質の文書について、確かに全体のトーンといたしまして私どもの中間報告について大変批判的なお立場に立っておられるということは私どもも読み取れますけれども、個々の、例えば燐の溶出抑制効果というような問題一つ一つをとらえますと、そのお書きになった背景になっている事実認識はどうであるかということをもう少し科学者同士で詰めていただくことが的確なのではないか。燐の溶出抑制効果というのは、たしか淡水化によって塩分躍層がなくなる、それによって酸素が湖底に達するために燐の溶出が抑制される、そういうメカニズムを言われたと思うのでございますが、全面的に否定されたものであるかどうかということについては、もう少しその先生方同士の御議論をいただきたいと思います。 それから、微弱密度流についても同じでございまして、その助言者会議の先生方が実際に実測を先例湖沼についてやってみる必要があるということであれば、私どもも、その中間報告をまとめられた先生方の御意見も聞いた上、最終的に判断したい、かように考えております。
○中林委員 私は、自然を変えていくわけですから、本当にこういうことが試行をやらなくてもできるんだよという助言者の人たちの最終見解が示されているならば、それをおやりになってからでも遅くはないということで、再検討をさらに要望いたしまして、四点目の問題に移ります。 アオコの発生量の予測についてですが、昭和五十九年十月のこの委員会で、私の質問に対しまして当時の井上局長が、アオコ発生のメカニズムは解明されていない、こういうふうに答えられました。昨年の農水省の補足説明でも、アオコの発生量を予測することは困難である、こういうふうに言っております。しかし、淡水化した場合の最大の心配は、何といっても藍藻が影響を与えるところのアオコ発生です。これをどう予測するかによって淡水化の動向も大きく変わると思います。 ところが今回の助言者会議では、「アオコの発生量について、過小評価と判断される中間報告書のリンの予測値を基に、経験的手法で予測した場合でも、米子湾などでは視覚的に問題のある量の発生が予想される。」と重大な指摘をしております。そして「アオコの発生について、現在の知見である程度の予測は可能であり、発生量の定量的な検討を行った上で、水質の検討を行う必要がある。」こういう提案をしておりますけれども、この指摘に基づいてのアオコ発生予測をやり直すという考えはありませんか。
○佐竹政府委員 アオコの発生予測でございますが、確かに近時、生態系の変化について計量的なアプローチの行政手法は、コンピューターの進歩等によってかなり進んでまいっていると思います。しかしながら、それぞれのモデルを構築し、方程式をつくっていくわけでございますが、そのパラメーターをどう決めるかといっても、要するにこれは実測をやらなければならないわけでございまして、そのためには相当な期間が要るのではないかという感じがいたします。 これはあくまで感じでございまして、素人が余りこういうことを軽々に申すのもいかがかと思いますが、そのような意味で相当難しい問題ではないか。そう簡単に発生予測ができるとも思えないのでございますけれども、助言者会議の先生方の御提案の真意を専門的立場からよく御検討いただきまして、御納得をいただくために必要であればそういうこともやらなければならないだろう、かように考えております。
○中林委員 助言者会議の先生方もほかの学者も、アオコ発生については、やはり住民が一番目につくものですから、一番心配の種になっております。最終報告をおまとめになった先生も、もう少し時間があればこれは予測は可能だということも新聞などでおっしゃっている、そういうこともあるわけですね。ですから、今まで二十二年かかっているわけですから、今さら急ぐというよりも、むしろ本当に心配のないように検討すべきだと私は思います。 次に、第五の問題として、この助言者会議で、生物関係においても極めて重大な意見がまとめられております。例えば、「中間報告では、水質の変化予測に対して生態系がどのように変わるかなどの点については検討が不十分である。」とか「淡水化後、ヤマトシジミにかわってマシジミが湖中に数を増加するとの予測については、先例湖で主幹漁業として成り立っている事例はない。」こういうことを厳しく指摘しております。しかも、「淡水化された場合、コイ、ワカサギ等の淡水魚は、水質によっては一般的に商品価値が低下する。」助言者会議の最終見解ではこういう指摘をしております。ですから、中間報告で漁業継続のよりどころにしたコイだとかワカサギまで価値が下がる、こう助言者会議の生物関係においても指摘をしているわけです。 助言者の人たちが、この最終報告をおまとめになった日に記者会見をおやりになっておりますけれども、その席上で、指摘した事項については、さらに二、三年かければ答えが得られる、こう述べていらっしゃるわけです。この助言者会議の方々の科学者としての指摘を素直に受けとめるべきだと思いますが、二、三年かけておやりになるお気持ちはございませんか。
○佐竹政府委員 冒頭申し上げましたように、私どもその助言者会議の報告を受け取ってまだ数日しかたっておりません。したがって、二年かかるものか三年かかるものか、さらにまたもっとかかるものなのか、そういう判断をすべき材料がないわけでございます。 ただ、いずれにいたしましても、私ども申し上げられるのは、非常に判断の難しい問題であって、最終的にはその地域の方々がどう考えるかということがかなり事業の決め手になるのではないかということで、その地域住民を代表されるという意味で、両県の知事さんの同意をこの試行実施の要件にしたわけでございます。これは法律にも何も要求されてないことでございますけれども、あえて踏み切ったわけでございますので、その意味では、それは二年かかるのか三年かかるのか、三年かかるとすれば、一方淡水化してもらいたいという人たちがいることもお認めいただけると思うのでございますが、そういう人たちに対してどう答えるか、そういうこともあわせて検討しなければなりません。 いずれにいたしましても、両県知事の同意を試行の要件にするというその基本的立場を崩すわけではございませんので、以上の点からひとつ私どもの基本的なスタンスを御理解いただきたいと思います。
○中林委員 以上述べましたように、大臣、今回、そういう十四名の科学者の方々が、県の委託は受けたとはいうものの、本当に長い時間をおかけになってまとめた中で、農水省が発表した中間報告について否定的な見解が余りにも多いし、まだ二、三年かけておやりになったらどうか、こういう提案もしているわけですね。 ですから、これらの科学的な疑問に対して科学的な反証がないままに、淡水化の見切り発車ということは、私は局長の答弁でもあり得ないというふうに受けとめましたけれども、その点いかがでしょうか。
○羽田国務大臣 ただいまお話がございましたように、この淡水化の試行に当たりましては、鳥取と島根両県並びに関係機関と協議、調整を今日までずっと行いながら進めてきておるところであります。 いずれにしましても、これをどうするのかということにつきましては、今お話がありました助言者会議、この皆様方の御意見もあることでございますし、また、これにつきまして私どもが研究者の皆さん方と検討し、そしてまた県御当局あるいは関係の皆様、地元の住民の皆様方、いろいろな皆さん方と話し合いながら進めていくということで、これを見切り発車するという性質のものでないということを申し上げたいと思います。
○中林委員 今地元ではやはり淡水化してほしくない、宍道湖や中海の自然を守ってほしいという非常に大きな世論が起きていることは御承知だと思います。 去る二月二十六日に約千六百人の住民が参加して淡水化反対の集会が地元島根県の松江市で開かれ、私も参加をいたしました。そこで住民の方々は、三十二万人を超える反対の署名でも意思表示をいたしましたけれども、今農水省の進めていることについての非常に大きな反発をあらわしておりました。この集会に対して、実は自民党の元環境庁長官を歴任されました方、二人からも淡水化反対の激励電が寄せられておりました。私その電文を聞いて納得したわけですけれども、お一人は鯨岡元長官で、この方の電文の中に、淡水化中止が真の行革である、こういうふうに激励電を打っておられました。もう一人は原元長官です。この方は過去の経緯だとか投資にこだわるな、こういうふうに中止を求める激励電を打っておられました。自然を守る立場からこの反対集会でこの歴代の二人の自民党の環境庁長官が激励電を打たれるというところまで来ているわけです。 さらに、この集会では記念講演が行われまして、御承知の大石武一氏、この方が講演をなさったのです。初代の環境庁長官でありますし、そのころはまだ農林大臣と言っていたのでしょうか大臣も経験をされた方です。この大石さんも次のように講演されているわけです。「国の金というものはほかならぬわれわれの税金、いい加減なことに使われては大変な迷惑です。」「農水省はもっともっと反省をすべきなんです。計画が立たないなら、いたずらに工事を進めず、しばらく休んでもいいんです。」「干拓・淡水化事業について国では七百−八百億円の金をつぎ込んでここでやめては国民に申し訳ない、という言い訳をするでしょうが、これ以上に過ちを容認し続けることが決していい行政ではありません。」こう言い切っておられます。大臣、自民党の大先輩の方がこういう御発言を地元に来ておやりになっている、歴代の大臣もこういう激励電を寄せられているということに対して、私は今こそ淡水化そのものを中止すべきときに来ているのではないかと思いますけれども、もう一度大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○羽田国務大臣 私自身も、自然というものは一回破壊してしまうとなかなか取り戻すことができない、こういう考え方を持ちます。ただ、過去にも何カ所かのこういう淡水化のための事業というものを進めてきておりますし、また、そういう事業を進める経過あるいはそれが進捗したもの、こういったものを反省しながらこの計画は立てられたというふうに思います。ですから、そういう意味で、ただ国費をかけてきたからとかあるいは計画を既にしたものだからメンツのためにこれをどうしてもやらなければならぬ、そんなつもりはありませんし、また、そんなことやるべきじゃないよということは申しております。 ただ、実際に私どものところにもこれをぜひ早く進めてほしいという声もあることは事実でございまして、これは本当に自然を破壊し、あの地域というものを破壊することがないのかどうか、こういったものはやはり余り心情的なもので扱うよりは、むしろ科学的、技術的にきちんと見きわめて、それをまた住民の皆様方にお示ししながら、どうするのかという最終的な判断をすべきものであるというふうに私は理解をいたします。
○中林委員 淡水化に賛成の方がいるのは私も存じておりますし、その方々とお話もいたしましたが、水が確保できるならば宍道湖や中海全体を淡水化しなくてもいいんだ、ほかの方途でできるならばそういう方途で水は確保してほしい、自然破壊は自分たちも望まない、こういうことが前提としての話だということを忘れていただきたくないというふうに思います。 以上、今回の助言者会議の最終見解やあるいは地元の運動などについて述べてきましたように、今淡水化に踏み切れるような状況では決してないと私は思います。しかし、この淡水化を前提としたかんがい排水事業に着工のための予算が六十一年度でつけられております。これは斐伊川国営かん排事業で、十年計画で総事業費百億円という巨大事業です。 実はこの予算が決まってきたときの地元紙山陰中央新報の記事があるわけですけれども、ここにこういうふうに報じられているわけです。「計画が宍道湖の淡水化を前提としているため、当初は島根県の重点要望に入っていなかった。しかし、大蔵原案内示の直前になって最重点要望に組み入れ、恒松知事らが竹下蔵相や農水省に採択を働き掛けていた。農水省は八千万円要求し、一次内示はゼロ査定。大臣折衝で復活した。」こういうふうにあるわけですけれども、この直前までは県の重点要望にもなっていなかった事業に、着工予算を大臣復活させるというほど農水省の予算にはゆとりがあるのでしょうか。
○佐竹政府委員 私どもはただいまこの中海の淡水化問題について、努めて冷静に、それぞれの立場から主張すべきは主張し、聞くべきは聞くということで決めてまいりたいと考えておるわけでございます。そのような観点から見ますと、今の御質問にお答えいたしますのは大変難しい面がございます。 と申しますのは、私どもは、私自身島根県知事さんから陳情を受けております。私どもがこれは別に要求したということではございません。国営事業の事業手続は、先生にあえて御説明するまでもないかと思いますが、地元から申請のない限り事業の採択なんかできるわけないわけであります。ただ、そのような言い方を余りぎりぎりやることは必ずしも好ましいことではございません。私どもとしては、時間はかけても御理解いただけると思っておりますので、淡水化を前提としたこの事業も採択したわけでございます。 ただ、一言申し上げますと、この斐伊川下流地区の事業というのは全面的に宍道湖に水源を求めているわけではございませんで、平均的に申し上げますと約四五%で、五五%は上流部の斐伊川そのものを水源としているわけでございます。その限りでは、工事の細かいいろいろの問題は出るかと思いますけれども、淡水化問題と切り離せる面のあることも事実でございます。
○中林委員 ただ地元では、大臣折衝の中で予算がついたということは淡水化試行に対する圧力ではないかということも懸念されているわけなんです。ですから私どもは、本来農地に対するかん排の事業が斐伊川から直接やられる、その間などについての整備を十分おやりになるのが先決だということを申し添えておきます。 地元の多くの住民が反対している中海干拓淡水化事業とか、それを前提にした斐伊川かん排事業に多額の予算や予算復活を認めながら、本当に国民や農民が要求している農業関係予算が大幅に削減されている。これはやはり私は逆立ちしているというふうに指摘せざるを得ません。 そこで、六十一年度の政府予算案でこの中海干拓事業に四十八億円がつけられておりますが、このうち本庄工区の干陸化に関する主な予算項目とその予算額について説明していただきたいと思います。
○佐竹政府委員 六十一年度の中海干拓事業の予算は、事業費で先生今御指摘のように四十八億でございまして、そのうち本庄工区に関するものは、西部承水堤、排水機場設備、それから西部承水路対岸護岸かさ上げ工事等を予定しているわけでございます。 金額につきましては、これは大蔵省との実施計画の協議をしなければ決められないわけでございまして、現在の段階では数字は固まっておりません。
○中林委員 本庄工区の干陸化について私は昨年六月の当委員会で質問しておりますが、この工区が干陸の最大の面積を持っております。しかし、まだ干陸されていないわけですね。残りの三工区は既に干陸されているわけです。そのことを考えれば、淡水化論議の結論が出るまでは少なくともこの工区の干陸化はストップすべきだというふうに地元の多くの方々は願っておりますし、先般の千六百人集まった淡水化反対の集会でも、その決議に「淡水化以外に取水計画がなく、環境保全、営農見通しに問題を持つ本庄地区の干陸については、これに着手しないよう、農水省に申し入れること。」というふうに決議されているわけであります。これは県に対する要望となっているわけですけれども、私もこれは理があるというふうに思いますが、農水省はあくまでも干陸を強行されるのでしょうか。もし干陸を強行されるならば、万一淡水化の同意が得られない場合、この最大工区の水はどこからとられるのでしょうか。
○佐竹政府委員 私どもの基本的立場は、再三申し上げて恐縮でございますが、時間はかかっても御理解いただけるという前提で仕事を進めているわけでございまして、本庄工区についてもまた同様なわけでございます。 ただ、その本庄工区の工事の施行の仕方につきましても、全体の工事の工程との関係で合理的に進めていく必要があるわけでございまして、もろもろの新しい事態等も考えながら工事を進めていきたい、かように考えておるわけでございます。
○中林委員 淡水化試行の同意が得られるという可能性は一〇〇%ではないと私は思うのですね、いろいろな運動もあるし、科学者たちの指摘があるわけですから。もし同意が得られない、淡水化されないということになれば、この干陸は当然中止すべきではないか。水をどこかから得られる予定があるのですか。
○佐竹政府委員 一つの御意見としては先生の言うようなお考えもあろうかと思いますけれども、将来、万一の場合を考えて進めるべきではないかという御意見でございますが、繰り返しになって恐縮でございますけれども、私どもとしては時間はかかっても御同意がいただける、ただ、いろいろ新しい事態も出てきておるわけでございますから、そういうことも含めて全体の工事について合理的に進めていく必要があるということは私どもも十分認識しておるわけでございまして、そのような環境条件も考えながら順次諸工事を進めていきたい、かように考えておるわけでございます。
○中林委員 私は干陸化を進めるべきだという立場は少しもとっていませんよ。もう中止すべきだと言っているのです。 ですから、今のような淡水化論議が出ている中ではとても進めるのは無理だというふうに思いますけれども、農水省は周辺農地への用水確保ということを唯一のにしきの御旗にして淡水化同意を迫っていらっしゃるわけですね。私どもは、本当に水を確保していくためにはいろいろな方途がある、湖中湖方式の問題、あるいは斐伊川の河口からとる問題、あるいは平田市の船川、湯谷川の河川からとる方法、あるいは現在あるため池などの整備によって水の確保というのは十分あり得る、こういう政策提起も実はしているわけなんですよ。 こういうことも当然検討をすべきだというふうに思いますが、そもそもこの淡水化構想というのは農業用水確保にウエートがあったのではないと私は思います。それは、ことしの一月一日に地元紙で県知事さんがみずから年頭の座談会で言っておられるのです。御紹介いたしますと、「私が淡水化問題のこれまでのいきさつなどを、県議会の資料等で調べてみたところ、農地に対して水をやるという話はそんなに出てこない。むしろ淡水化して工業用水に使う、そうすれば関係地域は工業が発展していく。こういう利用方法が二十年前に出ているんですね。」こういうふうに知事みずからが調べた結果を座談会で発表しておられます。ですから、農業用水が不足している、だから淡水化が必要だと言ったのは近年になってからだというふうに思います。 ですから、淡水化を前提にするような斐伊川かん排事業だとかあるいは本庄工区の干陸化、これは少なくとも淡水化論議に結論が出るまでは即刻中止をすべきだと思いますけれども、大臣いかがですか。
○佐竹政府委員 ただいまの知事さんの見解も、全体の文脈の中でどういうコンテキストで言われたのか、特に、島根県の知事さんであろうかと思うのでございますが、これはどういう選択をするにしても、島根県政にとっても大変な重大な問題になるわけでございます。かつて国営事業でそれは中止した例もございますけれども、静清庵というような地区では中止しましたけれども、その場合には当然県負担、これは国は県から償還してもらうシステムになっておりますので、お返しいただくということになるわけでございます。 それからまた、今御提案があったその他の事業につきましても、これは当然のことながら農民負担も伴うわけでございまして、私どもとしては、少なくとも御同意いただけるという——はっきりと知事さんが御同意いただけないという明確な意思表示があれば、それはまた今御指摘のようなことをいろいろ考えなければならないと思うのでございますけれども、それについて現在検討中の段階で、同意がいただけないことを前提にいろいろ検討をすることを公の席上で御答弁するわけにはまいらないわけでございまして、時間がかかっても御納得いただけるように、その御疑念については十分詰めてまいりたい。その議論がまだ始まる前の段階で、最終的結論を前提にしたいろいろな問題について私の口から御答弁申すわけにはまいらない性質の問題でございますし、その点はひとつ御理解いただきたいと思います。
○中林委員 国の財政事情がいつも厳しい厳しいとおっしゃっている中で、淡水化問題でこれだけ論議がやられている中で、少なくとも結論が出るまで待てないということはないと思うのですね。予算が現実に毎年ついていっているわけです。ですから私は、少なくとも結論が出るまでは中止をすべきではないか、こういう提起なわけですよ。これは平行線になると思いますので答弁は求めませんけれども、強く要望しておきます。 そこで、干拓地での営農問題に関連してお聞きするわけですけれども、中海干拓の干拓地での営農見通し、すなわち、何年度を目途にして、一戸当たりの分譲農地規模はどのくらいを考えているのか。また、その際の価格見通し並びに作付農作物としてどんなものをお考えになっているのか、できるだけ簡単にお答えいただきたいと思います。
○佐竹政府委員 御指摘の点については、現在実施中の干陸調査において地元の意向等を聴取しながら検討を進めているところでございます。 配分価格につきましては、最終的な投下事業費が決まらない段階でございますので最終的なことは申せませんが、五十九年度の総事業費八百六十五億円から算出いたしますと、地元負担額は十アール当たり百六十万程度となるかというふうに考えております。 それから、導入作物につきましては、野菜、酪農、花卉等を基幹作物としておりますけれども、現在、先ほど申し上げました干陸調査において十分地元意向を聴取しながらさらに検討を進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○中林委員 何年度を目途に……。
○佐竹政府委員 既に干陸が終わり地区内の農地整備を進めております揖屋、安来、弓浜の三工区につきましては、これは淡水化がどうなるかということも現実問題として影響するわけでございますが、私どもとしては一応六十二年度中には一次利用ができるように努力しておるところでございます。 本庄工区につきましては、先ほど申し上げましたように、新しい事態がいろいろ出てきておるわけでございますから、そういう事態も踏まえ、かつ現在まで施行してきたわけでございますので、それとの——途中で切るわけにまいらないということもあるわけでございますので、要するに合理的な施行、全体の工程との関係で合理的な施行を進めてまいりたい、かように考えているわけでございまして、現在その時期について申し上げられるだけの材料がちょっと手元にございませんので、御勘弁いただきたいと思います。
○中林委員 今お話しになりましたように、十アール当たり五十八年の試算でも百六十万円。大臣、物すごく高いですね。最低でも二ヘクタールの増反ということですから三千二百万円になるわけですね。こんな価格で入植——まあこれは増反ですから増反の方ですけれども、九ヘクタールから十ヘクタールの入植ということになりますと、とてもじゃないけれども——今挙げられた作物、これもまた確定ではないのですね、検討を加えている段階で採算の見通しはお示しできないという状況ではないかと思うわけです。 ですから、県は受益者負担分の金利上昇を抑えるために、受益者負担分については一般会計に移すよう国に要望したい、こういうふうに言っているわけですけれども、農水省としてはそういう措置をお考えになっているのか。特に今回の土地改良法の改正案との絡みでは影響があるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
○佐竹政府委員 農地価格百六十万でございますが、これはストレートに地元負担分を算出しますとそのようになるということで、県が上乗せすることは、実際問題としてはある程度各地の実例から見てお願いすることはできるのではないかとほかの地区とのバランスから見ましても考えておりますが、それは入れておりません。 ちなみに島根、鳥取の周辺地区の調整区域内の畑地価格は二百万から百九十万ぐらいでありますので、地域の農地の需給バランスから見まして百六十万、これは裸で県負担なしてございますが、それがさらに若干でも県に上乗せしていただければ、農家の方に御納得いただける水準ではないかというふうに考えているわけでございます。
○中林委員 県が若干の負担はするでしょうけれども、現在百六十万でしょう。これが本庄工区に至っては、いつ営農できるかというのは農水省としてもお答えになれないくらいの時間がまだかかるわけなんですよ。そうすると百六十万では済まないのですね。農家にある程度負担できる能力があるなどというお考えを持っていらっしゃるならば、現在の日本の農政について余りにも認識不足——認識はされているのでしょうけれども、それは私は本当に農家にとっては納得できない数字だというふうに申し添えておきます。 いずれにしましても、干拓地が農地として活用されるためには、現在考えられている分譲価格ではとても買い手はつかないと思います。せっかく造成された干拓地が長年放置されるようでは国費のむだ遣いです。ですから、こういうむだ遣いはぜひやめてほしいと思います。 そこでお伺いするわけですけれども、既に干陸化されている揖屋、安来工区、ここの土地利用の問題ですけれども、農水省計画変更委員会の審査条件の見直しも含めてですが、地元住民要求に基づいて、農地以外の利用促進ができるかどうか。この見解はいかがですか。
○佐竹政府委員 私どもは農地としての利用を前提に造成したわけでございますけれども、その後の事情の変更等がございまして、市町村、県等公共的な団体から私どもが判断しても社会的に妥当であるというような用途が出てくれば、それを認めることはやぶさかでございませんし、そのようにした例もございます。具体的な案があれば、その必要性、内容等を慎重に検討したいと思います。
○中林委員 大臣、この事業については宍道湖・中海の周辺の大半の住民が反対の意思表示をいたしておりますし、ある新聞社の世論調査でも、「淡水化に反対」が六一%、「淡水化賛成」の一五%を非常に大きく上回っているわけです。淡水化試行についても、「断る」というのと「もっと検討することが必要だ」というのを合わせると、七九%の人が早急な淡水化試行に入るべきではない、こう言っているわけです。こういう世論調査などの結果について島根県の知事は、住民の率直な気持ちがあらわれていると、一定のそういう受けとめ方をなさっているわけです。 これは地元だけが反対しているのでは決してありません。全国の生物学者らで組織している日本魚類学会では、「淡水化はアオコを異常繁殖させ、豊富な魚介類の生産を危うくさせる」として反対声明を発表し、農水大臣あてに淡水化中止の要望書も提出されております。また、淡水魚保護協会では、既に全国で約五千人の学者から淡水化中止の署名を集めて、農水大臣への申し入れも行っておられます。 このように、全国の大きな注目の的になっている国の事業であるわけです。ですから、国会からも昨年九月に参議院の環境特別委員会から委員派遣が行われており、委員会への報告書も出されております。委員会は異なるといえども農水省所管の事業に対する報告ですから、大臣はごらんになっているということを前提にお話ししたいと思うわけですけれども、この参議院の環境特別委員会では非常に重要な指摘をしております。 重要な点を読み上げてみますと、「もとより、一たん破壊、汚染された自然の回復は極めて困難であります。淡水化試行については、専門家の有力な反論があり、住民の間に強い危惧がある以上、拙速は厳に避けるべきであります。指摘されている問題点についてなお一層の精密な検討を加え、科学的、客観的で十分に説得力のある論拠に基づく保証を得ることが先決と思われます。」こう指摘をしております。 ですから私は、大臣はこの環境特別委員会の提言を真摯に受けとめるべきではないかと思います。本当にいわば有史以来の自然を変えようという一大事業でございます。淡水化試行についての大臣の姿勢と見識というものが、これから末代、二十一世紀以上にずっと続いていく大変な事業なんですよ。 ですから私は重ねて要求をいたしますけれども、淡水化試行、これは科学的な反証がきちっと得られるまでは凍結をすべきである、見直しをすべき段階に来ているということについての大臣の御見解と、そして一日も早くぜひ現地に行っていただいて現状を見ていただきたい。そして、今既にある農林水産省の所管の範囲である内水面漁業、あの宍道湖では七珍味と言われているヤマトシジミを初めシラウオだとかワカサギだとか、本当に豊富な漁業があるわけなんですよ。ですから、その七珍味もぜひ食べていただいて、本当にこの事業について見直しの検討を始めていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○羽田国務大臣 ただいま御指摘がございました新聞社の世論調査、これも私ども伺っております。また、参議院の環境特別委員会が現地に行って視察され、その視察報告が出されておること、これも私は承知しております。 いずれにしましても、やはり地元住民の皆様方は、これを淡水化することによって水質が汚濁する、そして今日までの良好な自然環境というものが失われるのじゃないかという心配があるのじゃないかと思います。そういったものに対しまして、私ども農林水産省といたしましても、研究会の皆様方等、それから先ほどの助言者グループの皆様方の御意見等も十分科学者の皆様方に分析していただきながら、そのことをやはり皆様方にお示しして、必要とあるならばそれを進めるということで、私どもはこの問題についてさらに検討を進めていきたいというふうに思っております。いずれにしましても、地元の皆様方、特に県当局とも十分な話し合いをしながら進めていくということをこの機会に申し上げておきたいと思います。
○中林委員 以上で終わりますけれども、ぜひ宍道湖の七珍味を食べにいらしていただきたいということを重ねて要望して、私の質問を終わります。
○大石委員長 神田厚君。
○神田委員 土地改良の法案につきまして御質問を申し上げます。 土地改良事業は、法律の目的にも規定されているように「農業の生産性の向上、農業総生産の増大、農業生産の選択的拡大及び農業構造の改善に資する」という多くの目的を持っており、まさに農政推進の基礎条件となっております。それゆえにこそ、その効率的な運営を図るため土地改良長期計画を策定し、これを閣議決定をしたものだと理解をしております。 最初に、こういう理解の仕方に誤りがあるのかどうか、政府の見解をお聞きしたいと思います。
○佐竹政府委員 土地改良長期計画の法的性格、それからその手続については先生の今御指摘されたとおりでございます。
○神田委員 しかるに、第三次土地改良長期計画が策定された昭和五十八年以降、農業基盤整備事業予算はむしろ減額の方向でありまして、このため、長期計画の進捗率も六十一年度予算を含めた四年間で事業費ベースでは二一・九%、また面積ベースでは一六・五%と非常に低いものとなっております。こうしたことは閣議決定の権威を失墜させるばかりでなく、農業関係者の農政不信につながっているわけでありまして、政府はこうした事態にいかなる責任を感じているのか。また、今後この残期間に長期計画を完全達成させる方策を講ずる用意があるのかどうか、決意のほどをお示しいただきたいのであります。
○羽田国務大臣 背景になっております経済事情が大きく変わってきておるという中で、確かにこの進捗がおくれておるということ、これはもう本当に遺憾に存じております。このために六十一年度におきましては、財投資金、これを活用しました特別会計制度の拡充によりまして事業量の確保、拡大を図ることとしておりまして、この法案の御審議をお願いをいたしているところであります。 いずれにしましても、第三次土地改良長期計画の計画事業量は、農政の基本課題、これを達成するためにも必要と考えておりますので、今後とも事業量の確保に努め、計画の達成に向けてまた私どもも努力していきたい、かように考えております。
○神田委員 この点、今後国の財政事情を考えていきますと、現在のように公共事業費についてはその性格を問わずすべて横並びの予算措置しか講ぜられない、こういうことになりますれば、長期計画の達成が困難なことは明白であります。来年度以降突出した予算獲得を行うような断固とした気構えが必要ではないかと思いますが、その御見解をお伺いしたいと思うのであります。
○佐竹政府委員 確かに現在の進捗状況からいたしますと、今後五%程度の事業費の伸びが確保された場合でも、事業量消化に五年程度のおくれが出るわけでございます。今後公共事業全体の予算の伸びがどういうふうに変化するかということが一つ決め手になるわけでございますが、五十五年以来の据え置きのために各所にいろいろ、これは基盤整備事業だけでなく、方々で社会資本の不足も訴えられているわけでございます。私どもはこのままの状態がさらに残された期間続くとも必ずしも考えておりません。また、その中で私どもとしては農業基盤整備事業の予算確保に全力を挙げてまいりたいと思います。 さらにまた、事業量増大のための何らかの方途がないかどうか、大変難しい課題でございますが、さらに研究してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○神田委員 第三次土地改良長期計画においては水田の整備率を、昭和五十七年度末の三二%から昭和六十七年度末には六九%まで引き上げる、こういうことになっておりますが、現在の整備率はどの程度でありますか。
○佐竹政府委員 農地の整備率について申し上げますと、六十一年度末で約四二%でございます。これは推計値でございますが、田が約四一%、畑が四四%と、かような数字になるものと見込んでいる次第でございます。
○神田委員 水田利用再編対策は今後一層強化をされることが予想されます。また、転作作物の定着化が要請されているような状況でありますが、このような基盤整備のおくれが稲作転換の円滑な推進に大きな障害にならないかどうか、この点はどういう見通しを持っておりますか。
○佐竹政府委員 転作を円滑に進めるためには当然のことながら地下水位を下げることが必要になるわけでございまして、長期計画におきましても、田の整備目標としては冬期がんがい地下水水位を七十センチ以下に下げることを計画しているわけでございます。このような観点から言いますと、この圃場整備事業等がおくれてまいりますと転作にも支障を来すおそれも十分あるわけでございます。現在までのところそれぞれ地域の条件をうまく使っていただいて目標率を達成しておるわけでございますが、さらに長期的に、今後のいわゆるポスト三期対策がどうなるかにもよりますが、いずれにいたしましても、転作を円滑に推進するためにも農業基盤整備事業の予算の確保には努力しなければならない、かように考えておるわけでございます。
○神田委員 今回の法律改正措置は、事業量の拡大と相まって事業工期の短縮を図る措置として全面的に賛意を表するものでありますが、なぜ本年度までこうした有効措置を講じることができなかったのか。また、今回の措置がどの程度事業量の拡大につながり、工期の短縮につながるのか、その見通しをお伺いしたいと思います。
○佐竹政府委員 公共事業費の抑制は五十五年から始まったわけでございまして、特に六十年度からは事業費拡大の方法としていわゆる補助率カットが行われたわけでございまして、その場合には道路、河川のごとく特別会計事業でやっているというシステムをとっていた事業と農業基盤整備事業との間では明らかな格差が出てまいったわけでございまして、そのような観点からしますと、なぜもう少し早くやらなかったのかという御指摘、まことに私どもざんきにたえないわけでございますが、特に六十年度に行われました事業費拡大のための補助率カットの施策だけでは基盤整備事業の事業費拡大につながらなかった、結局翌年以降の一般会計の雑収入をふやすためにだけ役立った、かようなことから、その問題の深刻さに遅まきながら気づいて今回の措置を講じたわけでございます。 今回の措置がどのくらい工期の短縮に役立つかという御質問でございますが、今回生まれた事業費が、県負担分等で浮いた国費が約二百八十億でございまして、それを全部一般会計国営事業につき込むことも考えたわけでございますけれども、やはり特別会計事業あるいは附帯する県営事業、団体営事業のおくれも解消をしなければならないということもございまして、全部を一般会計の国営事業あるいは特別会計事業に使うわけにはまいらないというような事情もございまして、工期の短縮としては、直轄事業について六十年度十八年から六十一年度には十七年と一年間の短縮が図られたわけでございます。補助事業についても、特に附帯の県営、団体営だけに金を使っておりますので、補助事業全体としてはちょっと計数的には効果が出ておりませんが、従来から関係者の間で言われておりました国営事業と附帯補助事業との跛行現象は若干なりとも改善されるもの、このように考えておるわけでございます。
○神田委員 次に、償還問題でありますが、今回の改正措置では受益者の償還条件の変更には何ら触れられていないのであります。この点、近年土地改良事業費の単価は年々増大しているのに対しまして、農産物の価格は停滞し、反当所得はむしろ減少している状況にあると思うのでありますが、政府はどのように認識をしておりますか。 この点に関連し、現在の米価水準を前提とすれば、受益農家の負担金償還年賦額は反当どの程度が限界と考えているのか明らかにされたいと思うのであります。
○佐竹政府委員 確かに五十四年を基準にいたしますと、事業費の伸びが、これは県営圃場整備事業でございますが、一・四七倍。それに対して米価の伸びが一・〇八倍でございまして、大変償還問題が深刻になりつつあると私どもも受けとめているわけでございます。特に問題が集中しておりますのは国営の農用地造成事業、それも特別会計事業として実施したものにつきましては、工期が非常に長期化し、建設利息負担がかさむというような問題もございまして、費用負担がかなり増高しているわけでございます。 私どもとしては、これらについてはまず工期を短期することが負担軽減につながるというところから、今回の措置を初めとして、その他予算の重点配分等にも努めてまいりたいと思うわけでございますが、それ以外の方法としては、国営の農用地造成事業の事業費のうちには地区内の幹線道路等一般住民にも益する事業がかなりあるわけでございまして、こういうものについて都道府県あるいは地元市町村に負担をするようにお願いするということ、さらに、これは個別地区ごとの問題でございますが、どうしても現在の負担水準では特に償還開始初期の段階で償還が難しいというものについては、何かその償還方法について改善の方法がないかということも私たち自身の問題としても検討したいというふうに考えているわけでございます。 それから最後の御質問の、現行の米価を前提にして、じゃ負担限度どのくらいになるかということでございますが、確かに米価決定の基礎になった生産費調査の中の水利費負担というのは五千円か六千円程度のものでございますが、生産費調査というのはトータルで生産費を低い方から高い方に積み上げていって限度のところまでとって、そこで米価決定するというような仕組みになっていたかと記憶するわけでございまして、その中で個々の費目、水利費なら水利費だけをとるとかなり高低があるわけでございます。それからまた、実際の農家がこの事業を評価いたしますに際しましては、直接その事業による増収効果あるいはコスト低減効果ということのほかに、これはある意味ではコスト低減効果にもつながるわけでございますけれども、労働力節約効果あるいは生活環境改善効果、そういう効果もそれぞれ考えられるわけで、現にこれは観念的に考えられるだけではなく、現実に農家も評価していただいて事業に同意をしていただいているわけでございます。 したがいまして、せっかくの御質問でございますが、現在の米価水準で幾らまでなら負担の限界、可能かということは一概には計数的には申し上げられません。ただ、私どもとしては、その事業をいたします以上、農家経済に対して負担し切れないような事業であってはならないのは当然でございまして、事業実施に際しましては増加所得の大体四割が年々の償還額になるように、そういうことをめどにいたしまして事業費負担額のあり方、さらに言えば総事業費等もめどをつけているということをもってお答えにいたしたいと思います。
○神田委員 答弁の中にありました国営の農用地開発事業地区などの一部では償還条件緩和の要請がたくさん出ているわけでありまして、その点につきましてはひとつ緩和措置を講ずる形で行政を進めていただきたいということを強く要請をしたいと思います。 次に、圃場整備の現状の問題でありますが、最近地方を回ってよく見かけることがあるわけでありますが、特に畑地帯で圃場整備事業を行った場所では、せっかく大型化された圃場が必ずしも効率的に活用されていない、こういう実態があります。極端なところでは一反区画の畑に三種類程度の作物を作付する、こういうことがありまして、地域全体としての主産地形成にはほど遠い状況にあるわけであります。政府はこうした実情を十分認識しているのかどうか。特に畑地帯の土地改良事業の実施に当たっては、主産地形成に資する作付の指導と、あわせて生産物の流通条件の整備にも十分配慮を払うべきであると思いますが、その点とうでありますか。
○佐竹政府委員 畑地帯の圃場整備でございますが、本来的に畑作の経験を持ち、蔬菜園芸地帯として形成されたところ等につきましては、事業完了後において御指摘を受けるようなところは比較的少ないかと思うのでございますけれども、特に従来開田を予定しているようなところがいろいろな事情から畑地帯としての利用を前提にした土地改良をするというような場合には、その個々の農家の経営的な蓄積が整備した施設を十分使いこなせないというような事態が出ていることは恐らくあるであろうと思うわけでございます。 私どももそのような問題については大変深刻に受けとめておるわけでございまして、私どもが計画の段階において事業の採択の適否を決定する段階で、営農計画を一応立てまして、それを前提に事業費とのバランスを見て、これは社会的に妥当な投資であるかどうかということを判断しておるわけでございまして、そのような営農計画が実際上農家の指導指針としての機能を果たしておるのだろうと思います。 したがいまして、事業が始まりましてから、最近農産物の需給事情等がなり急激に変化いたしますので、そういう問題が出てきたところにつきましては、私ども農政局の計画部資源課が直接現地に乗り込みまして、現地の改良普及員の方々、それからまた農協の担当者、それからまた事業所の担当官と一緒になりまして営農協議会等をつくりまして、営農指導に遺憾ないよう措置しているところでございます。必要があれば実証圃場等をつくりまして、実際に農家に私どもの考えでおる指導の内容をやっていただいてその普及を図るとか、あるいはまたその関係者が集まって検討の結果、工事面でいろいろ配慮してもらうことについては事業所にそれをつないでいくとか、そのようないろいろな措置を講じまして、御指摘のような事態を避けるように努力しているわけでございます。 特に畑作物については、流通条件の整備が肝要であることはもうこれはまさに御指摘のとおりでございまして、私どもの事業の範囲内では、畑地帯総合土地改良事業等の推進によって農道整備等を事業の中に取り込んでおりまして、さらにこれに構造改善事業をリンクさせまして流通施設の整備も図っていく、このようなことも都道府県段階でやっておりますし、またそれに協力するように私ども構造改善事業の採択なんかでも配慮しているところでございます。 今後ともそのような努力を積み重ねて、御指摘のような事態が、これはなかなか難しい問題でございますけれども、生じないように努めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○神田委員 また、以上に関連しまして、昭和五十五年に作成されました「農産物の需要と生産の長期見通し」におきましては、昭和六十五年の耕地利用率を一一二%と見込んでいるわけでありますが、最近の利用率は一〇〇%程度にすぎないわけであります。耕地利用率の向上が図られない理由は一体何なのか。その原因として農業基盤整備事業のおくれにも関係があると思われますが、政府の見解をお聞きしたいと思います。
○佐竹政府委員 耕地の利用率は昭和三十五年の一二四%から、四十年一二四、四十五年一〇九、四十八年が最低で一〇〇%となりましたが、その後若干回復し、現在では一〇二なり一〇三%で推移しているわけでございます。 このような耕地利用率が低下いたしました基本的な原因といたしましては、高度経済成長を通じて労働力が農業外に流出したことに伴いまして、裏作利用がなくなるとかあるいは多毛作が行われていたものが畑作が放棄されるとか、そのような、農家の自家労働力を燃焼する場所として、むしろ兼業に走った方が所得が上がるというような観点からこのような結果が生じたのではないかと思うわけでございます。 しかしながら、他面、確かに基盤整備事業が整っていないためにその利用率が下がっているという面もないわけではございませんので、私ども今後畑地帯の基盤整備を精力的に推進をいたしまして、合理的な輪作体系の導入等を図りながら土地利用率の向上に努めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。 〔委員長退席、玉沢委員長代理着席〕
○神田委員 次に、農用地開発公団の問題をちょっとお聞きします。 臨時行政改革推進審議会においては、特殊法人の整理合理化の問題を取り上げ、農林水産省の特殊法人としては農用地開発公団が俎上に上げられております。新聞の報道するところによりますれば、行革審の意見としては、今後乳製品等については市場開放を進めることが要請されており、酪農経営にとって条件のよくない中山間地帯に農用地を開発しても事業経営が成り立たなくなること、公団事業は地方公共団体に行わせることなどを挙げ、その整理縮小の方向を打ち出していると聞いておりますが、農林水産省はいかなる反論を行っているのでありましょうか。 私は、草地の活用を中心とした大家畜経営の育成こそ我が国畜産業の体質強化に資するものと信じておりますし、こうした趣旨は、去る第九十六回の農用地開発公団法の一部改正に際しましても農林水産委員会の附帯決議となっておりますことは御承知のとおりであります。行革審のように、いやしくも市場開放の要請と特殊法人の整理合理化を結びつけるような論調は断固阻止すべきであると思いますが、今後の農林水産省の対応策をお聞きしたいと思います。
○羽田国務大臣 お答えを申し上げます。 農用地開発公団につきまして今御指摘がありましたような議論があるということを私どもも聞いております。ただ、農用地開発公団が果たしてきた今日までの役割というものは、もう既に先生よく御存じですから細かくは申し上げません。我が国の畜産あるいは酪農、こういったものの基盤というものをしっかりさせようということで大きな役割を果たし、年間の草地造成につきましてはおよそ三割をこの公団が実行しておるということでございます。 いずれにしましても、これからの畜産につきまして、畜産の伸びというものはまだ相当見込まれるであろうと私どもは考えます。このときに、やはり基本になる草地というものは非常に重要であると同時に、酪農につきましても、確かに現在過剰ぎみの状況がございます。しかし、この酪農というものを本当に足腰強いものにするためには、やはり何といっても粗飼料というものが重要なわけでありまして、そういった意味でまだこの役割というものは必要であるというふうに私どもは考えております。 なお、山間地における草地等の造成というものにつきましても、山間地で人がそこに定住していただき、林業とかを進めていただくためにも、やはりきちんとした生活の基盤というものは複合である畜産あるいは酪農、こういったもので進められるのじゃないかというふうに私は理解しております。そういう意味でも、そういった弱い地域の力というものをつけるために、私どもはこれはさらにまだ必要であるということをこれからも臨調に対しても説明をしていきたい、かように考えております。
○神田委員 次に、土地改良事業の対象地域の問題でありますが、今後この土地改良事業の対象地域については立地条件の劣悪な山村地域等に移行していくものと思われるわけであります。また同時に、山村地域こそ農業を中心とした地域の活性化を図るための農業基盤整備の早期実施が必要となっております。 そこで、現在の事業採択基準については緩和の方向で見直す用意はあるのかないのか。事業の実施方法については地域の実情に応じて弾力的に運営する用意はないのかどうか。事業費の高騰に対して、受益者負担の軽減を図る必要がないのかどうか。こうした点につきまして、政府の御見解を聞きたいのであります。
○佐竹政府委員 今後の基盤整備事業がより条件の厳しい中山間地に重点が移行していくというのは御指摘のとおりでございます。かねてから私どもは、山村振興法等の特殊立法に基づきまして、このような条件の厳しい山村あるいは農山村地帯につきましては、採択条件及び補助率についてそれぞれ特例措置を講じて事業がやりやすいようにしているところでございますし、今後もまたいろいろな知恵を出しながら、実質的な採択条件緩和等を通じて実質的に農民負担を軽減し、やりやすいようにしていきたい、かように考えているわけでございます。 事業の実施方法についてそれぞれの地域の特殊性を反映させることは当然のことでございまして、例えば田の区画につきましては、私ども三十アールということを要求しておりますけれども、山間地帯、山村地帯では、そのような区画をつくる場合には非常に工事費がかさむというようなこともございますので、その場合には二十アールで差し支えないというような措置も講じております。その他構造物、用排水路等についても、山村の特殊な条件を生かして、施工が比較的安上がりにできるような、そういうことについては努めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。 事業費がだんだんかさんでくる、山村の厳しい条件を反映して、かさんでくるのに対して何らかの負担の緩和が図れないかという御意見でございますが、私ども進めておりますのは、これはやはり経済事業でございまして、いかほど事業費がかかっても差し支えないというわけにはまいりませんものでございますので、おのずから限度もあるわけでございますが、その範囲内では、特に山村の農家の経営は零細で経営的基盤が脆弱でございますので、特にいろいろそれぞれの地域で工夫していただきまして、圃場整備等に際して、基幹的な道路部門については市町村に御負担をいただくとか、そのようなことを知恵を出しながらの負担の軽減を図ってまいるように、都道府県に対してもお願いしている次第でございます。今後ともそのような方向で対応したいというふうに考えております。
○神田委員 この土地改良事業を推進するに当たっては、いろいろと問題があるわけでありますが、特に農村社会が著しく兼業化、混住化が進んでおりまして、農家の意識も多様化している。このために土地改良事業の実施に当たっての関係者の同意徴収が大変困難となっております。これらについて何らかの対策を考えているのかどうか。 また土地改良施設の管理についても同様に非常に困難な状況にあるわけでございますが、その充実方等につきまして政府の見解をお聞きをしたいと思うのであります。特に第百一国会の法改正で強化された施設の管理等に係る市町村協議制度については、その後どのような有効活用がされているのか、この実態をあわせて明らかにしていただきたいと思います。
○佐竹政府委員 土地改良事業と申しましても、圃場整備、それからかん排、農道、事業内容が非常に多様でございますので、例えば農道あるいは排水事業等につきましては、混住化、兼業化が進みましても、むしろ混住化、兼業化が進めば進むほどその地域の住民の方、皆さんから事業の要望が出るという性質も持っておりますので、一概に混住化、兼業化が進んだから同意がとりにくくなったということはないかと思いますが、しかしながら圃場整備等につきましては、これは専ら農業生産のための整備ということになりますので、今日のような農家のビヘービアがそれぞれ多様化した段階では、事業推進の上でいろいろ同意がとりにくくなってくるということがあることは私どももかねて耳にしているところでございます。 そのような地域につきましては、同時に私どもが持っているもう一つの行政手法である農用地利用増進法等による農地流動化というような方法、対策も講じながら、事業内容が地域の方々全員に何らかの形でメリットがあるように仕組むということは不可能ではないと私ども思いますし、現にそのようなソフトの事業をうまく重ねてかなりの成果を上げておられるところも多いわけでございます。 私どもとしては、そのような手法をできるだけ現場の方々が使いやすいように、弾力的な運用ができるような指導をしてまいりたいと思うわけでございますが、最終的にはやはり地域の皆さんが納得ずくで十分お話し合いをいただく、その中から事業推進のエネルギーが生まれてくるのではないかと思うわけでございます。そのような考えで対応してまいっておるわけでございます。 それから市町村協議制でございますけれども、これにつきましては、土地改良区が管理しております農業用排水路は、当然のことながら昔から生活雑排水の受け入れもしていたわけでございますが、それらは量的にも非常に少なく、かつまたそこに居住されているのは、非農家とはいえ同じ村の中に住んでいる方々で、特段の問題を生じないような、いわば村落社会が安定していたわけでございます。しかし、最近外からいろいろな方が入ってこられる、しかも農家自身も水道の普及整備と相まって水の利用量が非常にふえてくるというようなことから、集落周辺の水路の汚濁の進行が放置できないような状況になりつつあったわけでございます。 このような場合には、それを利用される地域住民を代表されるという意味で市町村に一定の役割を果たしていただくことが適切であろうというところから、四十七年に市町村協議制度を創設いたしまして、管理方法、費用分担等の協議を求めることとしたわけでございまして、さらにこれを五十九年に強化したわけでございますが、最近の私どもの調査事例では、調査対象土地改良区の約七%がこの協議を行っているところでございまして、成果を上げられている例も聞き及んでいる反面、あくまで協議であって、市町村の方では、事情はわかるけれども、ないそでは振れないというところで協議が不調になるというような事実も承知しております。 私どもは、今後考えますことは、協議の対象になる市町村の財政の問題も考えていかなければならないわけでございまして、そのような観点から、地方財政制度について農林省はいささか従来勉強が足りませんものでございますので、それらについて知見を深め、この協議制度が円滑に動くような、その条件づくりが今後の課題であろう、かように認識しているわけでございます。
○神田委員 最後に、多少時間も残しますが、大臣に決意をお伺いしたいのでありますが、農業基盤整備事業は大変大事な事業であります。これにつきまして、今後予算の獲得及び進捗率の引き上げ、工期の短期化というようなことについて大臣が決意を持って、勇断を持ってひとつお働きをいただきたいと思うのでありますが、御見解をお伺いしたいと思います。
○羽田国務大臣 土地改良事業、また農用地開発公団が行いますような事業、こういった事業はまさに農業の基本であるというふうに考えておりまして、私どもも財政が非常に厳しい中で、どうも、事業費の方ではある程度伸ばすことがこういった法律を御審議いただくことによってできますけれども、国費の面では減っておるということは大変遺憾に存じております。 いずれにしましても、これが農業の基本であるという考え方に立ちまして、農林水産省挙げましてこういった事業の進捗のためにこれからも努めてまいりますことを申し上げたいと思います。
○神田委員 終わります。 —————————————
○玉沢委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、日時、人選等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○玉沢委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は、来る三月十八日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時四十二分散会