内閣委員会 第12号
- 発言数
- 482 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1986/04/22
会議録
○志賀委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、安全保障会議設置法案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
○上原委員 いわゆる安全保障会議設置法案の中身についてお尋ねをさせていただきたいわけですが、既に本会議でも大筋のことについてはお尋ねをしましたし、また、せんだってこの委員会でも、後藤田官房長官から改めて法案の趣旨、この法案を必要とする理由につきまして御説明などもあったわけですが、どうも本会議での総理大臣や関係大臣の御答弁を聞いても、またせんだっての与党委員のお尋ねに対しても、理屈が立つようで立たないようで、なかなか理解しがたい面が多いわけですね。これからいろいろお尋ねをさせていただきたいと思うのですが、改めて、今なぜ国防会議を改組してこの安全保障会議設置法案というものを提出しなければいけなかったのか、政府のお考えを簡潔にお尋ねをしてみたいと思います。
○後藤田国務大臣 その点につきましては、しばしばお答えをいたしておりますように、御承知のとおり我が国が高密度の工業社会であり、同時にまた、国際的にも非常に広がりを持った密接な国際関係がだんだん度合いが強まってきておる、その厳しい世界情勢の中に置かれておる、こういった内外の情勢から、いつ、どこで、国の安全あるいは国民の安全について重大な脅威となるような事態が起こるという潜在的な危険性を常に内包していると思うのです。ところが、その際やはり適時適切な政府の対処方針というものを決めなければかえって安全が守りにくいといったような事態が考えられるわけでございますので、やはりこの際、従来からの行政組織上の大きな欠陥とみなされておったそういう事態に対処するためのこの仕組みというものを政府の中でつくる必要があるだろう。 さて、その際に、今あるのは国防事態に対処するための国防会議というものはございますけれども、それだけではカバーし切れない、そしてまた一方、災害その他の緊急事態等の際に処理する体制もありますけれども、その事態にも当てはまらないといったような緊急事態への対処の仕組みが欠けておる。そこで、その対処のための仕組みをつくる際に、やはり国防会議というものが従来ありますから、それとあわせて安全保障会議をつくって、国防事態に対する従来の仕事というものはそのまま引き継ぎながら、今までの穴と考えられておった面をもあわせて処理させる、そうすることによって緊急な事態に対するトップダウンの政府の意思決定の際に間違いのないような仕組みをつくろう、こういうことで行革審からの御提言もあり、政府としても、従来からこの問題については実はいろいろ勉強もしておったわけでございますが、適切な御提言であるということで、今回改正に踏み切らさせていただいたというのが経緯でございます。
○上原委員 仕組みが必ずしも十分整っていない、体制が必ずしも十分整っていない、それで政府全体の対応の仕組みをもっと充実していく、強化をするためだ。簡潔に言うとそういう御趣旨がと思うのですけれども、我々は必ずしもその体制が不十分だ、あるいは仕組みもなっていないとは見ておらないわけです。その点を明らかにしながらお尋ねをしてまいります。 この安全保障会議が設置されるに当たっては、まあ余り大上段の議論ではございませんが、やはり憲法との関係も明確にしておく必要があると思うわけです。もちろん、憲法とのかかわりでは国会との関係も十分議論をしなければならないと思います。仮にこの法案の根拠を憲法に求めるとすれば、一体憲法の何条に該当すると考えるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○後藤田国務大臣 憲法に直接的な規定はないと私は思いますが、憲法の六十五条に「行政権は、内閣に属する。」という規定があるわけでございます。そこで、内閣による行政権行使の範囲内でこういう機関が設置をせられる。この六十五条の規定の範囲内で内閣法が設けられて、内閣法の第十二条でいわゆる内閣の補助機関を設けることができるという規定がございますので、それに基づいて今回のような安全保障会議設置法をつくっていこう、こういうことを考えておるわけでございます。 以上が大体、根拠はいかんということに対するお答えになろうか、かように考えております。
○上原委員 きょうは私の方で一応総論的に問題点をお尋ねして、またそれぞれ専門の方々が今御答弁のあったこととの関連でお尋ねをしていかれると思います。 確かに、今御指摘があった憲法六十五条には「行政権は、内閣に属する。」、あるいは内閣法の十二条で言う補助機関的なものの設置は内閣にあるというふうになっておるかと思うのですが、同時に私は、この法案は憲法九十八条の概念というかその条規の枠外ではない、その適用は免れないと考えるのですが、その点はいかがですか。
○塩田政府委員 御指摘の憲法九十八条の規定を受けることは当然でございます。
○上原委員 そうしますと、一般的概念としては、当然憲法十八条から二十三条に定めるいわゆる国民の基本的人権とか、思想及び良心の自由とか、信教の自由といった民主的諸権利を拘束したり、制約をするような事柄がこの安全保障会議において討議をされ、決定をされていくということはあり得ない、このことは確約できますか。
○後藤田国務大臣 これは憲法の枠内でつくるものでございますから、当然憲法に違反するようなことがこの法律によって実行せられるということはあり得ない、かように御理解をしていただきたいと思います。
○上原委員 これも、ただまとめてお答えになればああ、そうかということかもしれませんが、この面の疑義についても、これから関係委員、あるいは時間の範囲で私の方からもお尋ねをしていきたいと思います。 憲法六十五条あるいは九十八条に抵触するものではない、また国民の基本的人権等を拘束あるいは規制をすることをこの安全保障会議で決めるものではないというお答えがあったわけですが、そう期待をしたいし、またそうあらねばならないと思います。同時に、この安全保障会議で決定される事柄と国会との関係について若干お尋ねをしておきたいと思います。 私は、こういう面の専門ではございませんのであるいは的確にお尋ねできないかもしれませんが、疑問の一つとしては、この安全保障会議がアメリカの国家安全保障会議、いわゆる安全保障法に非常に類似点を見ているのです。機構なり法案をつくるに当たって、アメリカの安全保障会議、安全保障法を相当参考にしたのじゃないかという感じがしてならないわけですが、その点については主にどういう面を参考にして成案を得たのか、そこらあたりから御説明をいただきたいと思います。
○塩田政府委員 この法案をつくるに当たりまして、アメリカのみならず諸外国の同種の機能を持った制度につきまして勉強はいたしております。それはいたしたわけでございますが、具体的にどこの国のどういう点を採用したかという点につきましては、実は今回の改正は、国防会議の従来の任務をそのまま引き継ぎまして重大緊急事態への対処を審議するということを加えようということでございましたこともありまして、具体的に今回の改正についてアメリカのNSCのどこかを取り入れたとか、そういうことは全然いたしておりません。
○上原委員 そう御答弁せざるを得ないと思うのですが、しかし中身は実際そうじゃないですね。なぜその点を問題にしたいかといいますと、中曽根首相がかねがね、大統領的官邸をつくるんだとかあるいは大統領的首相権限に持っていくんだ、権限を強化するんだということを本人側自身がしばしばおっしゃっているわけですよ。 そこで、これは指摘をするまでもございませんが、アメリカの大統領制と我が国の議院内閣制というのは憲法構造の上からも非常に相違している。すなわち、アメリカの場合は行政権は大統領に属しておって、大統領が陸海空の最高指揮官です。もちろん自衛隊法上は我が国もそういう規定はあるわけですが、しかし実際には、実権の掌握という場合においてはアメリカの方が大変一元化されているという点では違っていると思うのです。また、アメリカの場合は行政各長官も憲法上大統領の補佐機関にすぎないわけですよ。その行政長官と並んで、または独立して大統領を補佐するものとして、国家安全保障会議というものが設置されている。今回の場合も、機構上も全く同じとは言いませんが、でき得ればそういう方向へ持っていこうという意図があると私は見ているわけです、一つの問題点として。 日本の場合は合議体たる内閣に行政権が属することは御承知のとおりです。したがって、自衛隊についても基本的には責任を負うのは内閣総理大臣一人じゃなくして内閣全体の責任だと思うのです。その点は、今の私の理解はどういうものなのかお答えをいただきたいと思います。
○後藤田国務大臣 アメリカの大統領府と各省との関係と日本の場合を比較しての御議論でございます。私も余り専門家でありませんけれども、アメリカの場合は行政権と立法府の関係というものが日本よりははるかに截然と区別をせられておるように思います。日本の場合は議院内閣制でございますから、立法府の議員が半数以上大臣として各省の長官に任命をせられているといった関係で、国会と行政府の関係がアメリカの場合よりははるかに深い、アメリカほど三権分立が画然としておるわけではない。もちろん日本も三権分立てありますけれども、アメリカと比べればそういうことではないかな、こう考えるわけです。 そこで、大統領府的な総理を考えておるのではないか、こういう御議論でございますが、民主主義の国家においては必要なことはやはりリーダーシップではないのか。そうすると、日本のような各省がそれぞれの事務を所掌、分掌しておるという場合には、余りにも各省の立場というものが強過ぎて内閣全体の意思の統一ができない。ところが今日のような事態になると、何か起これば一つの省だけで方針が決まるというのは割合少なくて、たくさんの省が関係をしてくる。そのときに意思決定がおくれてしまう。これでは的確な処理を必要とする、殊に重大緊急事態等の場合には間に合わないということが、日本の行政組織の大きな欠点として指摘をせられておるわけですから、そこを埋めなければならないというのが今度の措置であって、特段、中曽根内閣特有の、今世間で言われるような大統領府をねらうとか、そんな大それたことをやろうといったってできる筋合いのものでもありませんし、そういうこととはまた別個の意味において、日本の行政組織上の大きな欠陥を最近の内外の情勢を見ながら是正する必要がある、こういう意味合いから改正案をお願いしておる、こういうように御理解をしていただきたいと思うわけです。
○上原委員 私の直接のお尋ねとは若干かけ離れた御見解だったような感じがしますけれども、特にそこは本会議の御答弁以来ずっと否定をなさっておるわけですが、アメリカの大統領制と我が国の議院内閣制というものを混合したような形で安全保障会議を設置する。今あなたがおっしゃるように、内閣機能の強化あるいは各省庁間の重要事項等の決定に当たっての調整機能の一元化というか、その必要に応じて体系化していくことを私も全面的に否定するものではないわけです。これは役所の一つの運用として、国家機関の運用としてはその必要性がないわけでもない。だが問題は、そういった日本の国際的地位が向上した、あるいは重大緊急事態というものが発生することが予測できる、そういう国内・国際情勢だから、従来内閣は合議体であり、同時に、各省庁はそれぞれの長官なり大臣を長としての職務権限、分限を持っておるのを、一元的に最高権力者である総理大臣に集約する、決定権を与える、あるいは内閣官房に集中化していくということは、逆に言えば非常に危険性もあるわけですよ。我々はそのことを問題にしているわけですよ、長官。その危険性はないかということを今言っておるわけで、そういう面からすると、アメリカの大統領が余りにも強大な権限を持つがゆえに、過去においても、防衛戦略上もあるいは政治判断においてもしばしばミステークをやったことは歴史が示すとおり。あえてそういうことを日本の内閣制に取り入れようとするところに非常に問題があるということを指摘しているわけで、議院内閣制の本質というものを見失う危険性はないのかということを、憲法とのかかわりあるいは内閣制のあり方で私は今問題を提起しているわけで、その点はぜひ十分お考えになる必要があるのじゃないかということなんですね。 そこで、確かに内閣は、行政権の行使については同時に国会に対して連帯して責任を負うわけですね。これは先ほど内閣の行政権についておっしゃっておりましたが、六十六条では「内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」こうなっておるわけですね。そうしますと、この安全保障会議の構成メンバーというのは、御承知のように、内閣全体ではないですね。インナーキャビネットと言われているように、限定をされております。そうしますと、「行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」という憲法上の規定と、この安全保障会議で決められるであろういろいろのことについての国会との関係はどうなるのですか。一つは、国会との関係がありますね。いま一つは、この安全保障会議のメンバーだけで決めても、最終的には内閣の合議で決定を見なければいけないはずですね、憲法上も内閣法上も。国会との関係はどうなるのか。ここいらの点についても明確にしていただきたいと思います。
○後藤田国務大臣 もちろん、安全保障会議で決めるのは方針を決めるわけですね。その方針に従って各省庁が実施をしていくということで、安全保障会議が実行、実施の機関ではございません。そこで実施をする過程において、閣議に報告なりあるいは閣議の決定を必要とするという扱いの必要なものについては、当然閣議の議を経ることになりますし、同時にまた、そのことの中で国会等に報告しなければならないというような事案もあるわけでございますから、それは従来どおり同じように国会に報告すべきことは報告をしていく、こういうことでございまして、特別これができたからといってそういう点においてはいささかも変わるところはない、このように御理解を賜りたいと思います。
○上原委員 いささかも変わりはないとおっしゃいますけれども、しかし、従来も、国防会議で決められたことあるいは国防会議の会議録とか、そういうものは一切門外不出にしているわけですよね。公にされていない。国会にも報告はほとんどされていないということであって、実態は違うということ。したがって、仮に設置をされた後ここで取り決められるであろう重要事項については、逐次閣議に報告をされ、あるいは閣議という場でいろいろ議論をされていくということにはならないのじゃないのか。安全保障会議でこういうふうに決めたからということで、ほとんど事後追認という取り扱いはしないのかどうか。また国会にも、これは国防に関する重要な事項なんで、国の緊急事態にかかわる事項なんだからということで、秘密扱いあるいは機密扱いをする。こうなると、アメリカのNSCで決められる、そういう権限と全く同様な運用、歩き方をすることになるわけです、実際問題としては。改めて、その点いかがですか。
○後藤田国務大臣 従来から国防会議は、これで決定をすれば直ちに閣議に上げて、閣議でそれを確認をして決定をしていくという仕組みになっております。したがって、その点は国防事案については変わりはございません。 重大緊急事案については、先ほど言いましたように、方針が決まってそれに基づいて各省庁でやる。その過程において必要な事項は閣議に報告をする、場合によれば安全保障会議で決定した事項はそのまま直ちに閣議に報告をするといったようなことも当然あり得るわけでございまして、従来からの扱いとこれができたから特別に変わるかといえば、それは変わるところは全くない、私はかように理解しておりますので、そのように御理解をしていただければいいのじゃないか、かように考えております。
○上原委員 それではもう少し具体的にお尋ねしますが、例えば安全保障会議の決定事項の中に、答申とか意見、重大緊急事態に備えてマニュアルを作成する、そういうことも諮問がされるのかあるいは答申をする場合もあるでしょうが、そういうものがある。これはすべて閣議に報告をされるのか、あるいは閣議了承がなされた段階でそれは決定されたことになるのかどうか。これが一つですね。 それから、すべてにわたっては閣議報告等の措置をしないとすれば、その線引きはどうするのですか。その基準とか線引きはどこに求めるのか。機密扱いだというようなことで報告されないものもあるのかどうか。その場合は、線引きは一体どうするのかということ。 もう一つ、さっきも申し上げましたが、安全保障会議といえども内閣のインナーキャビネット的なものであることは間違いないので、同会議の決定事項もすべて合議体たる内閣の決定とみなされる場合もあるのかどうか。閣議には報告されないけれども、一応安全保障会議で決められたのだからこれは閣議決定と同様な扱いにしよう、こういうようなこともあるのかどうか。
○塩田政府委員 第一点のマニュアル等の件でございますが、事態が起こった場合の基本的な方針、その措置等について、平素から勉強しておくという意味でマニュアルをつくっておく必要があるだろう、こういうふうに考えておりますが、これは、事態がもし起こった場合の対処の措置につきまして内部の手続をあらかじめ勉強しておくという性質のものでございまして、今度できると予定されております安全保障室で勉強して、内部資料として持っておくということになろうと思いますので、これが閣議に報告されるということにはならないだろうというふうに考えております。 そこで第二点の、しからばどういうものが閣議に報告され、どういうものがされないかという線引きはどうかというお尋ねであったと思います。これは、今のような内部のマニュアルみたいなものは報告されないということははっきり申し上げられますけれども、個々の具体の案件によりましてそのときに考えるよりほか、今抽象的にお答えはいたしかねるというふうに考えます。先ほど官房長官がお答えになりましたように、当然閣議に報告し、あるいは閣議にかけるべきものは当然上げていくということでございます。 それから第三点に、インナーキャビネットという観点から、ここで決めたものがそのまま閣議決定にかわるものとみなされるようなことはないのかというお尋ねでございますけれども、それはございません。そういうことはございません。
○上原委員 三点目ははっきりしたわけですね。しかし問題は、塩田さん、マニュアルなんだ。マニュアルを知る範囲はどういう方々ですか。マニュアルの中身を知る人々は。
○塩田政府委員 具体的にマニュアルをつくる段階に至っておりませんので正確なことをお答えいたしかねますけれども、私ども今の時点で考えておりますのは、もし将来安全保障室ができました場合に、安全保障室においてそういったものを勉強しておくということは当然考えられる。その場合に、安全保障室からその上司でありますところの内閣官房長官、あるいは安全保障会議の議長でありますところの総理大臣、こういった方に報告するということは十分考えられますけれども、先ほど申し上げましたように内部の資料として作成されるものであるということでございます。
○上原委員 これはまた後でももう少しお尋ねしますが、それを知る範囲には防衛庁長官は入らぬの。
○塩田政府委員 これは、マニュアルというものがどういうものになるかちょっとわかりませんので、今どの方にどうだということをお答えいたしかねますが、内容的にあるいは防衛庁に合議をせねばいかぬようなこともあるかもしれませんし、あるいはほかの省庁に合議をしなければいかぬということもあるかもしれません。その辺につきましては、今具体的にお答えすることはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
○上原委員 ちょっとおかしいですね。防衛庁長官、あなた知りたくないの。
○加藤国務大臣 これから作業する内容につきまして、それは内部の手続のことですから、それは国防会議事務局ないし新たにできます安保会議の事務局でおやりいただければいいことだと思います。ただ、その際に、私たちとしては、国防問題につきましては、シビリアンコントロールや法律に基づいて従来のようにしっかりとした原則に合ったマニュアルがつくられるものと信じております。
○上原委員 今の点は非常に重大な問題を含んでいると私は思うのですよ。後ほどもう少しお尋ねしますが、国防会議の事務というか国防会議でやっておった業務はすべてこの安全保障会議、いわゆる安全保障室に引き継ぐとは言いながら、本来のシビリアンコントロールからかけ離れたこともあり得ることが、いみじくも矛盾点が一つ出ているわけですよ、官房長官。それもおかしいですね。 それはその程度にとめて、またいろいろお尋ねをしていきますが、マニュアルというのはいろいろな受けとめ方がされると思うのですが、一種の危機管理というか、そういった重大緊急事態対処の教範、手本をつくるということでしょう、日本語的に言うと。どうなんですか。マニユァルとは一体何ですか。
○塩田政府委員 重大事態がもし発生した場合に、例えば政府の中での連絡体制はどうとるとか、あるいはそのために必要な組織をつくるならば、例えば事件本部というようなものをつくるならばどういうふうにつくるとか、そういったようなことが主たる内容になってくると思いますが、そういうものでございますから、これを日本語で手引というか教範というか、それはいろいろな言い方があるかもしれませんが、内容的に申し上げますと今申し上げたようなことをあらかじめ勉強しておく、こういうことでございます。
○上原委員 そこで、さっきもちょっと触れましたが、国会との関係で、官房長官の御答弁では、従来のように報告すべきものは報告するんだ、従来やってなかったものはやらないんだということ。そこが実際問題として非常に漠然としているわけですよね。 そこで、この安全保障会議の決定事項は国会に報告をし、場合によっては承認を求めるものもあるのかどうかということをはっきりさせていただきたいと思うのですよ。単なる報告事項にとめるもの、あるいは全く承認なんというのは関係ないのか、重大緊急事態対処といってもこれは場合によっては法律事項もあるかもしれませんよ、官房長官。私はないとは言えないと思うのですね。これはやる人の姿勢の問題にもかかわると思うのですが、そのあたりはいかがなんですか。国会との関係についてもう少し明確にしていただきたい。
○塩田政府委員 今度、任務として加えようとしております重大緊急事態についての安全保障会議での決定につきまして、これをどう扱うかということでございますが、これは先ほど官房長官がお答えいたしましたように、従前の規定によりまして、閣議にかけるものほかに、さらに国会に報告するものは報告するということを申し上げました。具体的にどういうものが今報告され、あるいはどういうものが報告されないのかということについては、これは現在、重大緊急事態はどういう事態が発生するかちょっとわかりませんので、具体的なお答えは今の段階ではいたしかねますけれども、考え方として、従来から報告すべきものは報告する、あるいは国会の御承認をいただくべきものは御承認をいただくということになるわけでございます。
○上原委員 従来から報告すべきものは報告している。従来どんなものを報告しなさっておったのですか。
○塩田政府委員 従来、国防会議で扱っております国防事項については、御承知のとおりこれははっきりしたのがございます。例えば防衛出動の可否でありますとか、これはもうはっきりいたしております。それから、治安関係につきましても、警察緊急事態の布告といったようなものについては国会についての規定がございます。その点ははっきりいたしておりますけれども、今回御提案申し上げて今後取り入れようとしております重大緊急事態についてどういうことがあるか、つまり国会にかけるあるいは報告するといったことにどういうことがあるかにつきましては、今申し上げましたような治安関係あるいは国防事態の関係以外にちょっと今具体的な事項は思い当たっておりません。
○上原委員 だからこの法案は必要ないのだよ。治安関係と国防関係以外に一体どういう重大緊急事態というものが想定されるの。今私は重大緊急事態の中身を先にわざと聞かないで国会との関係を聞いてきましたが、あなた方自体が、正直に言って、重大緊急事態が何であるかわかりかねていらっしゃるのじゃないの。だから、内閣全体との関係、国会との関係において非常に悪用される危険性がこの法案の運用いかんによってはあるわけよね。 重大緊急事態とはいかなるものかをこれからお尋ねしますが、まさに重大緊急事態というのは、あなた、国会に承認を求めるとか報告なしには重大緊急事態とは言えないですよ。それを私が国会との関係において問題にしているのは、そういう重大事態において、政府のさじかげんで国会に報告するものをあるいは報告したりしなかったり勝手に決める。しかも、この法案が通ると、決定権というものは総理が持つんですよ。これでは、本会議でも指摘しましたように、国会の審議権の問題とか、さっき申し上げた国民の基本的人権に重大な影響を及ぼすおそれがあるから私たちは問題にしているわけです。そこいらは、絶対に国会軽視とか、あるいは国民のそういった基本的人権を束縛したり著しく制約をしたりすることはないと官房長官は断言できますか。明確にお答えできますか。
○後藤田国務大臣 そういう御心配は全くない、かように考えるわけでございます。 しばしばお答えをいたしておりますように、重大な緊急事態が起きたときに、関係各省が余りにも多くて政府全体としての意思決定ができないのが今日の現状でございます。その意思決定をやらなければ適時適切な措置ができない。そこで、この安全保障会議を設けましてそういう場合に意思決定をしていく。その意思決定をする補佐機関が安全保障室である。その意思決定に基づいてそれぞれの各省がそれぞれの現在までの権限法規に基づいて処理をしていく。その処理をしていく過程において、国会に報告すべき事項として今までの権限法規で決められておるものは国会に報告しますし、あるいはまた閣議にかけなければならぬと決まっているものは閣議にかけていく。いずれにいたしましても、この会議は実行、実施の機関ではないということをまず申し上げておきたい。実行するのはそれぞれの所管に従ってやるのだ、その実行の過程において必要なものは従来どおりのやり方でやっていくのだ、まずこう理解をしておいていただきたい。 それでは一体重大緊急事態とは何だ、こうおっしゃいますから、それはこれからどういう事態が起こるかわかりません。したがって今それはにわかに想定できませんが、それでは何を考えているのかわからぬじゃないか、こういうことになれば、今までの過去の経験から申しまして、例えばミグ25の事件であるとかKALの事件であるとか、あるいはまた災害の対策で、従来からの災害対策基本法に基づく処理ができるものは従来どおりでやりますけれども、一例として私どもの頭の中にあるのは、例えば関東大震災のごとき事態が起きたということであれば、これは単なる災害対策だけでは済まない、これは経済対策も必要でしょうし、民生安定のためのいろいろの処置も必要だろうし、治安上の対策も必要でしょう。こういったようなときには、当然この安全保障会議にかけて、まず基本方針をからっと決めて、それに従って各省がそれぞれの所管に応じて仕事をしていく、こういうことになろうと思うのです。 例えば先ほど言いましたように、従来からの規定で、国防事案であるならばこれはもう決まっておるわけですから閣議に報告する、あるいはまた警察の緊急事態の宣言、これであればこれは国会に報告しなければならぬようになっているのですから、あくまでもそういったようなものは従来どおりやりますよ。それから、今私どもが頭の中に考えておるような過去の事例に徴してこういうときはかかるでしょうといったような事態がこれから起きれば、これは、その処理の過程において報告すべきことがあれば報告するし、国会に出すべきものがあれば国会に出していく、かように御理解をしておいていただければ、一応の概念整理は理解をしていただけるのではなかろうか、かように思うわけです。
○上原委員 私がこれから聞こうと思ったのを今先取りして答弁なさったのですが、しかしそれは、行政組織や行政運営に詳しい官房長官にしては、私から言うとかなり脱線答弁だと受けとめざるを得ませんね。最近、テレビ討論を見ておっても、中曽根首相をかばうとき、何か目つきや顔色まで変えて、親中曽根を御発揮しているのだが、この重大緊急事態にかける官房長官の意気込みも余りに異常があるから余計おかしくなるのだ。勘ぐりたくなるのだ。 それでは、政府全体の意思決定ができないで難しいから、官邸で抑え込んで有無を言わさずさせるのだ、あなたの今のを一口で言うとそういうことだろう。これは後藤田発想とみんな言っているのだ。それは人によっても違いますよ。次に、もっと民主的な、あなたが民主的でないとは言いませんか、もう少しハト派的な官房長官が次に来ると、いや、従来方針で十分だとおっしゃる方が出るかもしらぬよ。 それでは、具体的に政府全体の意思決定ができなかったことがあったのですか。それで各省庁が、おれのところは嫌だと言って聞かなかった省庁があったのですか。あったら、それは問題じゃないですか。 それと、これは実行、実施機関ではないのだ、実施するのはあくまで各省庁だとおっしゃいますが、各省庁だって、重大緊急事態に対処すべきマニュアルはこうこうなっているとか、あなたのところではこう実施しなさい、これにはこう対処しなさいと言ったって、納得しなければ行動は伴いませんよ。かえって頭でっかちになって――それは善意に解釈すれば、各省庁間の実際の調整機能を十分発揮をしよう、そういうものをつくろうということでしょう。それが有無を言わさず、従来はたくさん省庁があって百家争鳴でできなかったから、こんな民主的なルールなんかもうつぶしてしまえ、強力な権限で抑え込んでやるんだ。そんな行政運営ってありますか、あなた。では、従来できなかったのは何々があったのですか。そのために我が国に著しく不利益を与えたり、あるいは重大緊急事態ではなくして重大事項に対処できなかった弊害、そういうのを具体的にお示しくださいよ。
○後藤田国務大臣 日本は御案内のようにコンセンサス社会ですよ。私はこれは非常にいいことだと思うのです。だから、通常の行政事務というものはそれぞれの各省に分掌させておりますから、各省がそれぞれ上に上げてきて、次官会議、閣議にかけるべきものは閣議にかけていくといったようなやり方でやっているのですから、それはそれなりにいいわけですよ。 ところが、最近のような内外情勢になると、同じ一つの事柄についてたくさんの省が関係してくる。そうなると、各省それぞれの立場でなかなか意見がまとまらない、まとまらなければ政府全体としての意思決定ができないから、緊急重大な事態というものに限定をして、そういった場合にはトップダウンで意思の決定だけはやらなければ、政府全体の対処方針が決まらぬということで非常な危険性を包含をするわけです。それを今度の安全保障会議でやっていこう、こういう仕組みを考えておる。 では、一体どういうことが過去にあったのかなかったのかといえば、私が直接関係をいたしましたのはKALの事件とそれからミグの事件がございます。ミグの事件は大分古いのですけれども。 ミグの事件で言いますと、これは外務省も関係すれば防衛庁も関係する、警察も関係する、法務省も関係する、運輸省も関係する。これは一体どこが主になってやっていくのだということさえ決まらない。あのときには処理に大変てこずったのです。あれだって、処理の仕方を間違えたら私は大変な事態になったと思うのです。おかげさんであのときはどうにか処理はできましたよ。できましたけれども、ああいうときには日本の政府としてはもう少し的確な処理をすべきである、私はそう思う。 あるいはまた、私が直接担当したKALの事件について言いますれば、私は率直に言えば、もう少し外務省なりあるいは防衛庁なりが――これだって外務、防衛、それから運輸、農林、警察、みんな関係しているわけですね。この関係をスムーズにやらなければ、私はあの処理を一つ間違えば大変な事態になったと思うのです。 そういうときに、あの官邸で勤務しておりますと、本当に補佐してくれる人はいないのです。裸なんだ。しかし、結局は官邸でそういう方針をびしっと決めなければ、各省がなかなか動きにくいのが実情なんです。それらを今度のこういうことで、ともかく補佐の機関だけはきっちりして、ふだんから各省との連携もよくしておくし、そういった事態が起きた場合には、官房長官なり総理に対する補佐を十分にして、間違いのないような意思決定のトップダウンの方式をやらせる必要がある、こういうことでやっているのですから、私は、そこらの点はひとつ上原さんも十分御理解をしていただきたいと思います。 別段、これですぐ大統領府であるとか何であるとかあるいは人権をどうとか、そんなことはいささかもないわけでございますから、こういう厳しい内外情勢に国としてどう対応すればいいのだ、私どもはそこだけを念頭に置いて立案をしておるということを申し上げたいと思います。
○上原委員 まじめな顔して答弁されるとそうかなと思うのですが、私は忘れるのも遅いが理解するのも早い方なんです。しかしこの点はなかなか理解しにくいのです。 そこで、確かにおっしゃるように、いろいろの突発事態が発生をした場合に対処をする機能というか、臨機応変の態勢確立というのは必要だ。先ほどのように国の行政運営としてはあり得ないことではない。ただ、ミグ事件にしましても、これまで言われたKALの撃墜事件、あるいはダッカのハイジャックにいたしましても、政府部内においてそういったけんけんがくがくの意見調整とか担当省庁を決めるに当たって困難性があったということは、直接御担当なさったあなたが、長官がおっしゃるのだからそれはそのとおりかもしらぬ。しかし急がば回れという日本語もあるのですよ。かえってその方が結果として――物事は結果なんですよ。緊急事態が起きた、すぐそれ突撃だというのもいかがかと思う、場合によっては拙速になっても困るので。だから、従来もそのことによって著しく国益が損なわれたとか、あるいはそれによって内閣なり国の行政機能が停滞をしたという結果じゃなかったと思うのですね、これまで重大緊急事態というものがもしあるとすれば、例えばこういうものが想定されるということについてはですね。そういう面からしますと、各省庁間の意見調整に手間取る、難しい面があるとおっしゃいますけれども、関係閣僚会議は何のためにありますか。やりようによってはできるのじゃないですか。防衛庁、運輸省、外務省、それぞれの担当大臣が随時協議をし、常日ごろからそういうものについてはどうしていこうということを御相談しておけば、何もそんなに大げさにというか、こういうものを改めて設置してやるほどのものでもない。関係閣僚会議で十分対処できると思う。しかも、この重大緊急事態ということに紛らわしてと言ったら変かもしれませんが、国防というものまでごっちゃにしてきたのがこれは非常に問題なんですね。私は、自民党の皆さんもよくこういう防衛、国防会議というものをごっちゃにしたあれに賛成したと思う。純防衛論から言っても、これはこれからいろいろな問題点が出てくると思いますよ。そういう疑問さえ私個人は持っているのです。 これは今長官がいろいろおっしゃいましたが、そういう対処のことは関係閣僚会議であるとか各省庁の事務連絡、あるいは協力関係というものを常時密接にしていけばできないことじゃない。しかもそれをやるのが、これを掌握するのが官邸でしょう。今だってできるわけです、今の行政仕組み上でも。あえて仰々しくこの時点においてこれを設置しようとするそのねらいは那辺にあるかということを問題にしているのですよ。これはぜひ納得してくださいと言うが、ちょっと難しいですね。 そこで、本当は中途で時間は切らない方が質問の流れはいいのですが、きょうは本会議が正午からで、時間というかそういうのがあって、しかも私、官房長官が余り解散風を吹かすものだから風邪まで引いてしまって、勉強する暇もないですよ。医務室へ行って薬飲んで、今熱も三十八度ぐらい出ておってやっているのですよ。 まあ、そういう問題点があるということで、そこで、防衛庁長官もせっかくおいでいただきまして、後で重大緊急事態のものについてはもう少しお尋ねしますが、国防と安全保障の定義というのは一体どういうふうに見ておられるのですか。
○西廣政府委員 国防といい安全保障といい、特段の定義があるというわけではないと思いますが、通常の場合、国防と申しますときは軍事的な脅威に対してどう対応するかということ、そういった観念であろうかと思いますし、一方安全保障と申しますと、軍事的な脅威ということのみならず、もっと広い、国防よりやや広いもろもろの脅威に対してどのように対応していくかということで、広くとらえられているのではないかと考えております。
○上原委員 確かに一般論というか、これまでの、定義とまではいかないまでも解釈はそういうふうになっているかもしれません。 そこで、今度国防会議が安全保障会議に取ってかわるわけですが、もちろん国防会議が設置をされた段階から、この国防会議の問題についてはいろんな見方があったわけです。 一つには、安全保障会議にかわると、今もおっしゃったように政治、経済、外交、あらゆる面を含んだ広い概念が安全保障だと諸外国を含めて一般的に見られていますね。そうしますと、私はこれは純防衛論でお尋ねをしておくわけですが、これだけ新中期防をめぐってのいろんな防衛論議が出ている中において、そういった広義の安全保障という中に国防というものも包含をしていくことで、防衛庁がそれを納得した背景なり理由ということを明確にしていただきたいわけですよ。そのことをまず明らかにしていただきたいと思うのです。
○加藤国務大臣 今度の安全保障会議に移行することに伴って、私たちの所掌いたします防衛事項、国防事項、これがどのように扱われるかということは大きな関心でございました。特にシビリアンコントロールの原則上遺漏がないかということは、私たちもよく討議いたしたところでございます。そして私たちの結論は、今度の会議に移るということにつきましては、シビリアンコントロール上しっかりとした原則が守り切れるというふうに思っております。 その第一の理由は、国防会議の所掌の事項、任務がそのまま今度の新しい安全保障会議に移されているということでございます。 それから第二は、重大緊急事態に対処するという条項が今度の安全保障会議には入っておるわけでございますが、言うならば、将来もしかしたら国防事項、つまり有事の話になるかもしれないような事態をも、重大緊急事態の段階からこの安全保障会議で御議論いただくことは、有事になる前に種々のいろんな手段が講じられる可能性をもたらすわけでございます。例えば、その事態の発生から有事に至らないように、各種の外交努力というものもその会議の中で議論されるかもしれません。そういった意味で、私たちとしては国防上、防衛上の観点から見てもいいことなのではないかと思います。 それから第三点は、これは官房長官が本会議でも累次答弁されておりましたけれども、現在の国防会議というのは防衛庁設置法の中に書かれておるわけでございます。そこで、これは若干形式上の論議という側面があるかもしれませんが、今度それが独自の安全保障会議設置法というものの中で位置づけられることは、いわゆる国防事項をシビリアンコントロール上から審議する機関が防衛庁とは独自のしっかりとしたものになるという意味では、より前進なのではないかなというふうに思っております。 以上の三点から、私たちは、今度の安全保障会議の設置というものはシビリアンコントロール上、また今後の防衛政策の遂行上も有益なる法改正なのでないかなと思っておる次第でございます。
○上原委員 午前中の時間が来ましたから、せっかく質問がいいところに来ているのですが、とめざるを得ません。ちょっとそこは理解の仕方が違うのですね、防衛庁長官。国防会議の任務というのは、私は純防衛論の立場、誤解されたら困るので、何も国防会議をうんと盾性化してもっと防衛力を強化せよという立場で私は言っていないし、シビリアンコントロールというのは確かに重要な柱ではあるけれども、国防会議の役割、任務というのはそれだけじゃないはずなんですよ。防衛庁設置法の中にそれがあるということを盛んに強調しておられますが、それはさして問題じゃないし、悪ければそれを除いて独立の法律をつくったっていいわけなんだ、純防衛論から言うとね。 同時に、あなた方のおっしゃっている、シビリアンコントロール上問題ないと言ったが、私がさっき聞いた、もちろん重大緊急事態にかかわるマニュアルという限定した答弁だったかもしれませんが、そういうことについては、官房長官と総理大臣はわかるが防衛庁長官にはお知らせもしないという答弁でしょう。何がシビリアンコントロール、できますか。 そういう問題点があるという程度にとどめて、また午後続けましょう。
○志賀委員長 この際、暫時休憩いたします。 午前十一時四十一分休憩 ―――――・――――― 午後三時六分開議
○志賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。上原康助君。
○上原委員 ちょうど質問の熱が出ようとしたときに中断するものだから余り思うように運べませんが、まず午前のお尋ねと関連をさせて始めたいわけです。 一つは、今度この安全保障会議を設置することによって、防衛庁長官も御答弁があったわけですが、むしろシビリアンコントロールを強化することになるんだということだったわけですが、その点は若干疑問もございますのでさらに後ほどお尋ねをしますが、今度のこの安保会議設置の理由として、先ほども官房長官の御答弁があったのですが、また本会議の質問においても挙げた理由として、防衛庁設置法の中にこの国防会議が設置をされているのは極めて不自然だ、文民統制の上からいっても適切でないというような御答弁をしているわけですね。別に言葉じりをつかむ気持ちは毛頭ございませんが、防衛庁設置法の中に国防会議が設置をされておったということで果たしてどれだけ重大な支障があったのか。 私はこの点で矛盾していることを今指摘をしておきたいわけですが、皆さんは、国防会議というものは十分な文民統制の役割を果たしてこなかった面が多かったんじゃないかという指摘に対して、いや、それは十分果たし得た、評価をするんだと一方ではおっしゃるわけですね。にもかかわらず一方では、防衛庁設置法に国防会議が設置をされているということは防衛庁の附属機関的な面があって、出店とまでは言わないにしても、そういう受けとめ方があるので、これをこの際すっきりさせるためにもこの方がいいんだ。一方では評価しながら、一方では附属機関的な役割しかこの国防会議というものは果たし得なかった、だから、それを整合性がとれるというか、そういう面でこの安全保障会議というものを設置して、その中に安全保障室を設けて従来の国防会議が果たした役割も継承していくんだという説明、そこはつじつまが合うわけなんだが、前段は合わないわけですよ。 しかも、防衛庁設置法の中にあることが、防衛庁の出店的な役割とかそういう位置づけになるんだからということについては極めて疑問がある。同時に、では今まで設置法の中に規定をされておったことからどのような不自然性というか不都合があったのか、支障があったのか、これを両方からひとつ明確にしておいていただきたいと思うのです。
○加藤国務大臣 先ほど私が答弁申し上げましたことに尽きるのでございますけれども、現在、防衛庁設置法の中に国防会議が位置づけられることによって特にシビリアンコントロール上大きな問題があるとは私は思っておりませんし、また問題があるという答弁も申し上げなかったのでないかな、こう思っております。 我々が立案いたしました政策または防衛力整備計画というものは、国防会議の場で十分に審議いただき、防衛庁以外の閣僚、それから総理の出席のもとに実質的なチェックをいただいていると思っておりますし、現実にそういう機能を果たしてまいりました。 ただ、先ほど申したのは、極めて形式上の問題であるが、今度別の独立の法案の中で安全保障会議というものが位置づけられれば、形式上の面ではよりすっきりするのではないのだろうかなということを申したのでございまして、これまで防衛庁設置法の中に国防会議があったからといって、シビリアンコントロールの実質上、支障はあったとは思っておりません。
○後藤田国務大臣 今加藤長官からお話がございましたように、従来から国防会議は一次、二次、三次、四次と防衛計画をお決めになり、さらには最近では中期業務計画であるとか、それなりの役割は果たしてこられたと私は思います。しかしながら、そうは言いながらも、国防会議をより活性化してシビリアンコントロールをよりよく機能させるように努力をしなければならないということについては、いろいろな御批判があることも一方においては事実でございましょう。しかし同時に、この設置法の中に根拠規定があるということは、これはやはり形式論議でございます、実体の問題でない、私はこう思いますが、いずれにせよあの法律の中にあるということは、印象としてはやはり出店的印象を与えざるを得ない。シビリアンコントロールといえば、防衛庁をよりよく大局的な見地に立ってコントロールするという立場の組織体である以上は、やはり別の法体系の中にある方が出店的印象を払拭できるという意味においてはより適切な是正であろう。これは形式論議でありますが、そう言わざるを得ない。私はかように考えるわけでございます。
○上原委員 官房長官は、形式論ではあるとおっしゃりつつも、かなりそこにウエートを置いておられるわけですね。ただ、なぜあえてこのことを指摘をしておきたいかといいますと、防衛庁設置法ができ、防衛二法ができて、国防会議ができた段階でも、国防会議の設置あるいは運用等については国会でも相当議論されたことはもう指摘をするまでもないわけであります。一方において評価をしながら、三十年間近く出店的存在であったものを附属機関としての役割しか果たさなかったということでは、一体国防会議とは何ぞや、改めて疑問を持たざるを得ないわけです。したがってこれからも、この安全保障会議の中に設置される安全保障室、国防会議の事務継承をする機関の運用いかんによっては同様な存在にしかならない面が出てくる、このおそれなしとしないという点を指摘しておきたいと思いますし、恐らく国防会議の事務局を担当した皆さんは、出店的存在でしかなかったそれを、今形式的に改めるということについては果たして御納得がいくのかどうか、そこまでは問いませんが、そういう矛盾点が皆さん自体の御答弁の中にあるということもあわせて指摘しておきたいと思いますし、私先ほども申し上げましたが、法的にすっきりさせるというこの面では認識は共通しているわけですよ。その必要性というものは、国防会議を活性化するのどうのということではなくて、その面はわからないわけじゃないわけですが、つじつま合わせの面においては相当無理な御答弁であるという点を改めて指摘しておきたいと思うのです。 そこで次に、これはいろいろ問題点が多岐にわたりますのでなかなか容易じゃないわけですが、行革との関係においても指摘をしておきたいと思うのです。本来はこれに入ってから議会との関係等もよりよく指摘をすればあるいは流れとしてはよかったかもしれませんが、いろいろ御答弁などが前後した向きもあって行革との関係は後になりましたが、私はそもそもこの種の法案、いわゆる国防とか重大緊急事態というものが行革審答申に基づいてなされるということについても非常に疑義があるわけです。行革の基本目標というのは、本来、活力ある福祉社会の実現ということと、国際社会に対する日本の貢献度の増大とか、そのための効率的な行政や財政再建をどうするかということが本来の行革審の目的だったと思うのです、臨調にしても行革審にしましても。しかしどうも、本会議で私は取り上げましたし、きょうの経構研の問題とも関連しますが、中曽根政治というものはすべて諮問機関的、諮問機関をあたかも八条機関であるかのように世論を誘導しつつ、一つの政治政策の中枢的役割を諮問機関政治に求めてきたところにだんだんその弊害が出てきているわけでしょう。今度のこの安全保障会議設置の問題にしましても、そのそしりは免れないと私は思うわけです。 これは、八五年七月二十二日の行革審答申あるいはことし三月二十五日後藤田長官はたしか趣旨説明で、行革審答申を最大限に尊重してこの安全保障会議を設置するのだ。こういう面から見て、行政改革を調査・審議すべき機関に、国防や重大緊急事態あるいは危機管理というような極めて莫然とした意味不明の事項を諮問するということには非常な疑問がある、疑問点を指摘しておかざるを得ないわけです。この点については一体政府はどうお考えなのかということ。 また、昨年の行革審答申でも、国防会議の機能の活性化ということで臨調答申の実現を図るという記述もあったわけですが、その場合も国防プラス重大緊急事態の対処という新たな任務が加わってきているわけですね。こういうふうに、臨調答申を受けた形にはしておきながら、行革審答申においてはさらに一歩突っ込んで、国防と重大緊急事態というものを絡ませてきた。これも中曽根首相が、冒頭申し上げたように、総理官邸というものに権力を集中化していく、あるいはそうではないとおっしゃりながらも大統領的な官邸にするというか権限掌握をしたい、こういう政治的なねらいが一連の臨調なり行革審の中で進められてきたということは、私は実態として指摘をせざるを得ないわけですが、ここいらのいきさつについてはどうなのか。また、今指摘をされたことについては、かつて行管庁長官もなされたわけですから、官房長官はどうお考えなのか、御答弁を求めておきたいと思います。
○後藤田国務大臣 行政改革は申し上げるまでもなく、行政の組織と運営の活性化を図って効率的な行政の改革をやっていこう、こういう趣旨で取り上げたわけでございます。そこで、第二臨調におきましても、こういった重大な非常事態についての対処をどう考えるべきか、現在の政府全体の組織の中にはその面で不安な面があるということでいろいろ御論議をなさったわけでございます。ところが、残念ながら第二臨調の時代にはそれが議論として詰め切れなかったという実態があるわけでございます。 そこで、第二臨調を引き継いだ行革審で、その詰め切れなかった点について、これはたしか五十九年の五月七日であったと記憶しますが、私が参りまして、この点については第二臨調を引き継いだ行革審においていま少しく詰めてもらいたいという御要請を申したわけでございます。そこで行革審としては、前の時代からの詰め切れなかった面について御議論をなさった。行革それ自身が御案内のように聖域を設けないということで、すべての面にわたっての答申をするということでございましたので、詰め切れなかった面の再論議をしていただいて、政府に御答申をいただいて、それを我々としては尊重しながら今回立法化に踏み切った、こういう経緯でございます。
○上原委員 それは、第二臨調で詰め切れなかったのを行革審に引き継いで、そこでこの安保会議設置の法が出た、体系的というか理論的に説明なさるとあるいはそういう方向性だったかという感じもしないわけではございませんが、要は、聖域は認めないで臨調なり行革審で検討をするとは言いつつも、行政部内というか、あるいは世論をそういう方向に誘導してきたことは間違いないわけです。安全保障会議を何とか設置していこう、官邸機能を強化していこうというふうにですね。それは私はやはり問題だということを改めて指摘をしておきたいと思うのです。 そこで、行革審事務局が来ておられると思うのですが、この行革審答申では、たしか安全保障会議の構成については従来の国防会議ではなかった官房長官と国家公安委員長を新たに加えたわけですね。法案では経企庁長官は入っているわけですが、当初は行革審答申では経企庁長官は入れてない。これは入れてなかった理由は何ですか。
○山本(貞)政府委員 行革審答申におきまして、安全保障会議の構成メンバーにつきまして、会議の性格上可能な限り少数メンバーとする。それからもう一つは、構成メンバー以外の国務大臣の所管にかかわりまする問題への対処に対しましては、必要に応じまして構成メンバー以外の閣僚も審議に参加できる道を開く。こういった考え方に基づきまして、「内閣総理大臣を議長とし、外務大臣、大蔵大臣、内閣官房長官、国家公安委員長、防衛庁長官及び内閣法第九条の規定によりあらかじめ指定された国務大臣をもって構成する。」ものといたしまして、経済企画庁長官は、ただいま申し上げましたように必要に応じて構成メンバー以外の閣僚として審議に参加される、こういったことで法定メンバーとしなかった次第でございます。
○上原委員 それで、最終的に経企庁長官を入れた理由は何ですか。
○塩田政府委員 答申においてはただいま御説明にあったとおりでございますが、今度の案におきまして経企庁長官を入れましたといいますか残しましたのは、現在国防会議のメンバーでいらっしゃるわけです。それで、何度も申し上げておりますように、今度の案は国防会議の任務についてはそのまま引き継ぐということを大前提にいたしておりますので、そういう意味合いからも、従前の国防会議のメンバーである経企庁長官を落とすのはいかがなものかということで残すようにいたしたわけであります。
○上原委員 そこで、今の国防会議事務局長の答弁は、素直に受けると、引き継ぐんだから入っているのは当然入れにゃいかぬわけでね。ただ、臨調とか行革審のかかわりでちょっと触れさせていただきたいわけですが、行革審答申で、できるだけ少数精鋭主義、という言葉は使いませんでしたけれども、少数メンバーで構成をしていきたいということで省いたということですが、一つの疑問点として、当初案で行革審があえて経企庁長官を除外したのは、GNP一%枠の問題など重要な決定をするわけですね、国防会議ではやってきたし、またこれを引き継ぐわけだから安保会議でもこれをやると思うのですが、そういうものを想定をして除外をしたのじゃなかろうか、こういう勘ぐりもできないわけじゃないわけです。一体そこいらのいきさつはどうなのか、と言ったって本音を言うはずはないんだが、もう一度その点は確かめておきたいわけです。いかがですか。
○山本(貞)政府委員 行革審答申におきまして経済企画庁長官が常時の構成メンバーから外れました理由は、ただいま申し上げましたように、この安全保障会議の構成員は、国防並びに新たに加えられまする重大緊急事態、こういった問題の対処の任務に常時関係する国務大臣に限定いたしまして、会議の性格上、迅速的確な対処がとりわけ重要であることにかんがみまして可能な限り少数を旨とする、こういった観点から答申がつくられたわけでございまして、決してGNP一%云々ということをその考慮に入れたわけではございません。
○上原委員 そういう御答弁をなさるということは推測できるわけです。ただ、そこいらが、行革審でどうしても安全保障会議の必要性を説きつつ、一方においては今疑問点とせざるを得ない内容になっておったということ。しかも、経企庁設置法によると、その権限は、長期経済計画の策定を初め、物価に関する基本政策であるとか国民生活の安定や労働状態の改善等についての基本政策の企画立案をするのが経企庁の任務なんですよ。だから、重大緊急事態であるとかあるいは国民生活とのかかわりという面においては経企庁の果たすべき役割というものは極めて大きいと見なければいかないわけですね。我々は、やはりこういうのは、GNP枠の撤廃を目指そうとする何らかの意図がその行革審なりそういう過程であったのではなかろうかと疑わざるを得ないという点を指摘しておきたいと思うのです。 そこで、そうしますと、この重大緊急事態については、これからお尋ねしますが、この安保会議で国防に関することはいろいろこれから検討をして決めていくということですが、これまで国防会議で決められてきた事項についてはどうなるのですか。
○塩田政府委員 国防会議の任務はそのまま引き継ぎますから、従前の国防会議で取り扱ったことはそのまま安保会議で取り扱うようになります。
○上原委員 そうしますと、これまで国防会議で決定されたものは安全保障会議においてもその効力はそのまま有するわけですね。それはいいですか。
○塩田政府委員 そのとおりでございます。
○上原委員 しからば、例えば防衛費のGNP一%枠の決定事項等はどうなるのですか。
○塩田政府委員 従前国防会議で決定された、例えば今御指摘のGNPの一%条項といったことが今後もし取り扱われる、改正されるというときにはどう扱われるかというお尋ねだと思いますが、当然安全保障会議で取り扱うことになると思います。
○上原委員 今、引き継ぐしその決定事項は効力があるという、これは言うまでもありません、七六年十一月にそういう措置がなされたわけだから。国防会議でもお決めになったわけですね、当分の間防衛費についてはGNP一%以内にするということ。この点はきちっと引き継がれるし、またこれが改正を見るに当たっても、言うところの安全保障会議で協議、検討をし、かつ、閣議に諮って改正するなら改正するという手続を踏む、これは間違いないですね。
○塩田政府委員 そのとおりでございます。
○上原委員 念を押して恐縮ですが、官房長官、それはいいですね。
○後藤田国務大臣 そのとおりでございます。
○上原委員 行革審はいいですから、どうぞお帰りになって、一生懸命行政改革を進めてください。 そこで、けさほど来問題になっている重大緊急事態について改めて聞いてみたいと思うのです。 これも、その定義と過去における事例は既に何度も明らかにされてきているわけですが、官房長官の御答弁あるいは説明によると、その重大緊急事態とは我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれがある緊急事態のうち、通常の緊急事態対処体制では適切な対処が困難な事態、日本語としては何回読んでもなかなかわかりにくいですね。通常の緊急事態対処体制では適切な対処が困難な事態、それはどういうことを予測できるかというと、ミグ25事件であったとかダッカの日航機乗っ取り事件であったとか大韓航空機撃墜事件であったとかということだ。あるいは自然災害というかそういうものを言うと。かつての関東大震災規模の大地震があった場合が一応想定される、こういうことです。 私は改めてお尋ねしておきたいわけですが、過去の事例について政府は対処が非常に難しかったのだということを再三おっしゃっているわけですが、これは非常に重大な事態ですから、ある意味では対応が難しいということは当たり前のことで、その難しさにどう対処するかが権力を握っている政府のまた責任でもあるわけです。けさほども、例えばミグの場合なんか外務省がやるのか通産省がやるのか防衛庁がやるのかとても困った、だからそれが起きたらトップダウン方式でできるような仕組みをこの安全保障会議を設置したらやるんだということですが、実際にどう困って、法的根拠、具体的にこういう法律がなくてできなかったとか、ここが困ったんだという事例をまだおっしゃっていないわけです。だが、今度のこの安保会議ができても、特別な法律が必要になってくるのかと言うと、これはこれから検討しなければわかりませんと言うし、これまで何らかの根拠があったから政府はそういう事態が起きても対処なさってきたわけでしょうが、一体、法的根拠がなくてできなかったものがあったのかどうか。 もう一つ、けさのマニュアルの問題というのは極めて重要な点だと私は見ているわけですが、ああいう教範、手本をこれからつくる、検討するのだというのですが、今までのミグにしてもあるいはダッカにしても大韓航空機の事件にしても、一遍はそういう重大緊急事態とみなして対処してきたわけだから、その教範はあるわけですね。官邸にあるのかどこにあるのかわからぬが、そのマニュアルのサンプルはできているんですか。この二点について明確にしてください。
○的場政府委員 ただいま御指摘のミグ25あるいはKAL、あるいはダッカ事件等は内閣官房で取り扱いをしたわけでございます。そして、そのときどきに応じて関係各省の御参集をいただき、適切に処理したところでございます。 そしてマニュアルというか、そういうことが起こったときにどうするかということも内閣官房として研究はしているわけでございますけれども、ただ申し上げますと、起こりまして急速、内閣官房を中心として関係省庁会議を開く、あるいは招集するということで対応したわけでございますので、これをあらかじめ想定をして、対処方針やマニュアル等をより深く研究しておけばより速やかで適切な対処が可能であったということでございます。
○後藤田国務大臣 今の事務当局の答弁ということになればああいうことにならざるを得ぬと思います。ああいう事態でも適切に処理したんだけれども、マニュアル等があればさらに適切になる、こういう説明でございます。まさにそのとおりですが、現実は、私は責任者として処理をした経験がございますが、これは遺憾ながら各省の意見がなかなかまとまらないというのが実態なんです。しかもそれは、今までの仕組みの中でボトムアップのやり方でやっていく、しかも各省それぞれの権限がある、それのぶつかり合いの中から一つの対象に対していろいろな役所が関係をしてくる、そうしますと、みんな法の根拠を持っておりますからなかなか意見がまとまらない、そのまとまらない結果は政府としての対応がタイミングよく打ち出すことができない、これを重大緊急事態に対してどうカバーするかというのが今回のこの改正でございまするので、そこはだから事務当局の答弁はあれでお許しをいただきたいと思いますけれども、現実は私の言うのが。――私は政治家の立場でございますから、余りそういう事務的なあれにはとらわれないで率直にお答えをいたしておきたい、かように思うわけでございます。
○上原委員 事務当局の言い方を聞くと、何だかおとぎ話を聞いているような感じもしないわけではない。これは極めて重要な中身を含んでいますよ。このマニュアルの中には何を含むのですか。軍事的なものも非軍事的なものも含むのでしょう、マニュアルというのは。そのマニュアルを策定する法的根拠というのは何ですか。そういうマニュアルは勝手にできるんですか。 〔委員長退席、深谷委員長代理着席〕
○後藤田国務大臣 国防事案の方はこれは防衛庁からお答えになられると思いますが、この重大緊急事態については、先ほど来申しておるような過去のいろんな例がありますから、それらを教訓事項として事務的に活用しておつくりになる、勉強の資料になるのじゃないかな、私はさように理解をしておるわけでございます。 国防の方は、恐らく防衛庁御自身でいろいろマニュアルをつくっていらっしゃるのだろうと思いますが、それは防衛庁当局からお答えをいたしたい、こう思います。
○西廣政府委員 防衛についてのマニュアルといいますか各種手続につきましては、御承知のようにまず法律で、防衛出動下令の手続とかあるいは防衛出動待機命令の下命の手続とか、それぞれ法律でしかるべき手続等が決まっておりますし、また、それら法律の各種手続がスムーズに行われますように、我々としましては、防衛庁としてまずそういった不測事態における各種の防衛計画あるいは災害派遣計画といったようなものをこしらえておりますし、それが国防会議あるいは閣議で速やかに審議されあるいは決定されるべく、その点についての各種手続についてもいろいろな面で研究もいたしておりますし、一部は決めております。
○上原委員 防衛庁にかかわる重大緊急事態というと、いわゆる有事でしょう。有事関係のことでしょう。それとの関係はどうなんですか、今の防衛局長の御答弁は。
○西廣政府委員 今回の安全保障会議等の所掌に含まれました重大緊急事態というのは、私ども考えております有事、いわゆる日本に対する武力攻撃がなされた場合、あるいはそのおそれのある場合に行われるもろもろの手続とはまた別途のものであろうというように考えております。
○上原委員 それは別途のもの。しかし防衛庁からさっき答弁があったのは、有事関係もそういう手続面とかあるいは検討という事項の中には入っているというわけでしょう。そのことは時間の関係もありますのでまた聞きますけれども。 そこで、この重大緊急事態、いわゆるこれから安保会議ができてそこの中で検討される重大緊急事態に関する重要事項というのは、どういうものがございますか。
○塩田政府委員 重大緊急事態への対処に関する重要事項といたしましては、いわゆる重大緊急事態が実際に起こった場合の対処措置、これは当然一つありますが、今お尋ねの平常時から調査しておくという事項といたしましては、重大緊急事態への対処に当たって常に準拠すべき基本方針といったこと、あるいは情勢分析及び重大緊急事態の想定といったこと、あるいは重大緊急事態の対処に関する政府部内の情報連絡、意思決定の仕組み、そういったようなことがここで言うところの重要事項ということになろうかと思います。
○上原委員 こっちの方もますますわからなくなる。重要事項というのはこういうことですか。二つは重大緊急事態対処の基本方針を定めたいということですか。二点目は情勢分析及び重大緊急事態の想定。三点目が重大緊急事態に対処する政府部内の情報連絡、意思決定の仕組み等に関するマニユアル策定。四点目がその他国家の安全に係る重要事項。こういうものを重大緊急事態対処の作業としてこれから進めようということなのかどうか、明確にしてください。
○塩田政府委員 先ほど私がお答えしました、今先生のお話しの中にもございました一点から三点までのことにつきまして平素から重大緊急事項として勉強をしておこう、こういうことを申し上げておるわけであります。
○上原委員 そうすると、四点目の「その他国家の安全に係る重要事項」というのは入らないわけですか。
○塩田政府委員 先生の御指摘のは答申の中にあったことだと思いますけれども、一概にそれは入らないということではなくて、それは事項によっては入るかもしれませんけれども、その辺は今からの勉強の中でどういうものをここへ取り入れるべきかということを考えていきたいというふうに考えておりまして、今私どもが主として考えているのが先ほど申し上げた三つの柱であります。
○上原委員 どうもますますおかしくなりますよね。国の安全にかかわる重要事項というものが、「国家」ということはないにしても、安全保障会議の中の重要事項に入るか入らぬかわからぬ、これから勉強して決めますと。じゃ重大緊急事態というのは何ですか。防衛とは全く切り離した危機管理体制の確立ということですか。しかし危機管理体制といってもそれは当然入るでしょう。私は今これは理論上言っているのですよ、どういう仕事をなさろうとするのかと。だから、国の安全にかかわる重要事項も入るということであるならば、さっき防衛庁がおっしゃった、いわゆる防衛庁の緊急事態というのは概念的にも理論的にも有事しかないんだよ。国の安全にかかわる事項も入るということになると、さっきの有事体制の検討はないということ、これは逃げなんだが、実際にはこういうことも検討するのでしょう。どっちなのかはっきりしてよ。こんな、だれが聞いても矛盾するような答弁じゃ納得しかねますよ、官房長官。
○塩田政府委員 先生が御指摘になりました四番目の「その他国家の安全に係る重要事項」と申しますのは、この答申の案の中で、先ほど私が申し上げました一から三のものを例示しました上に、「その他国家の安全に係る事項」ということで、一般的例示として書かれておるわけであります。そういう意味から申しますと、一から三番目までを一応ここで言うところの重要事項として私どもは調査いたしますが、ここにありますように、「その他国家の安全に係る重要事項」ということが具体的に言えませんので、一般的な言い方としてこの答申では書いておるのだろうというふうに思います。したがいまして、私が一から三までと言いましたけれども、一から三以外にないのかというとそうではない。それは一から三以外にもあるかもしれません。それを答申では「その他国家の安全に係る重要事項」として一般的な表現で表現しているわけであります。 先ほど防衛庁の方からお答えになりましたのは、これはもうおくまでも有事の場合についてのお答えをされたわけでありまして、それとこれとは別であるということは先ほど防衛庁からもお答えがあったとおりであります。
○上原委員 その都度、都合がいいようにとられても困るわけで、一方においては答申を尊重してつくりましたと言いながら、問題点を具体的に指摘したら、それは答申には入っておるけれども入るかも入らないかもわからぬ。こんなことで何が重大緊急事態対処ですか。何が安全保障ですか。そういった皆さんのその都度その都度の答弁の仕方とか、あるいは疑問点に十分答えてくれない、だから防衛論議もますますかみ合わない、あるいは国の安全保障をどうするかということにおいての共通な土台ができないんじゃないですか。それはまた後ほど進めていきますが。 だから、我々の理解としては、今私が指摘をしたそれは答申にもある、法案の中身にもそういうふうになっている。だから、「その他」という中には恐らく危機管理体制も入るであろう、運用のいかんによっては有事法制化、有事体制についてもこの安全保障会議というのは検討されるであろう、こういうふうに受けとめざるを得ない。そこはどういうふうに御認識なのか御答弁を求めます。 同時に、この重大緊急事態と通常の緊急事態の定義の相違点、これは通常でないものが重大であるという言い方ではだめなんですね。それからこの重大緊急事態であるという決定はだれがするの、だれがなさるのですか。重大緊急事態であるということと通常の緊急事態であるというものの線引きとかその分岐点というのはどこで定めるのですか。それも法案上もこれまでの説明においても極めて不明確ですね。
○塩田政府委員 最初の第一点でございますが、先ほどの「その他国家の安全に係る重要事項」の中でいろいろ国防問題も含むのではないかというお尋ねの点でございますけれども、この答申の言葉そのままからもおわかりいただけると思いますが、「安全保障会議は、現行国防会議の国防に関する事項に係る任務のほか、」ということをまず言って、そして先ほど来の例示をしておるわけでございまして、そういう意味で、答申は国防に係る事項は外してここで述べておられるということでありまして、私どももそのように受けとめております。 それから、重大緊急事態の認定はだれかということでございますが、これは最終的には総理大臣でございますが、当然のことながら所管大臣あるいは官房長官等の補佐を受けながら総理大臣が判断をされる、こういうことになろうかと思います。
○上原委員 それじゃ改めて確認を求めておきたいわけですが、国防会議の事務を引き継ぐんだ、それ以上でもない、それ以下でもないということですね。
○塩田政府委員 従前の国防会議の任務に当たる部分はそのとおりでございます。
○上原委員 「任務に当たる部分は」と、こういう前提条件があるわけですね。 それじゃ、この安全保障会議では、有事立法とか民間防衛などを含むいわゆる危機管理、非常時体制というようなことを想定をしたマニュアルの策定とか、政令になるのかとか、そういうものは検討もしなければ策定もされない、またする権限も持たない、こういうふうに確認してよろしいですね。
○塩田政府委員 今もお答えいたしましたように、今回の改正は、国防会議の任務につきましては従前どおり引き継ぐということで、それ以外の任務として、しばしば申し上げておりますように重大緊急事態への対処体制についての整備を図っておるということでございまして、それ以外のことを目的として今回改正をしようとしているものではございません。したがいまして、今御指摘のようなことをするために今回改正を図っているわけではございません。
○上原委員 ですから、国防会議でやったものを引き継ぐ、それ以上でもない、それ以下でもないというところまであなたに確認をしたのです。今そう答弁なさった。そうしますと、もう一遍言いますよ。有事立法であるとか民間防衛であるとか、いわゆる危機管理体制ということは――これはなぜかと言いますと、時間があれば触れますが、かつての中西特命相がそういう検討もしたのだよ。中曽根総理はさせたのですよ。むしろ当時はウエートはその方向に置かれておった。だが余りにも危機管理というものがぎらついたものだから軌道修正はしましたが、我々は運用いかんによってはこの安全保障会議というものがそういうところに活用されていく危険性なしとしないから念を押しているわけであって、そういう従来国防会議がやったもの以外はやらないということなんだからということで、私が尋ねていることにはっきり答えてくださいよ。けさほど来問題になっているマニュアルの策定であるとか、あるいはいろいろな重大緊急事態に対処をするこれから作業を進めてつくるであろう規則とか内容とか、そういうものは有事立法であるとか民間防衛であるとかいうところの危機管理を想定をした、言葉をかえて言うと戦時体制、非常時体制というものを想定をしたマニュアルの策定であるとかいろいろな教範、手引、そういうものをつくるものでない、そういう任務はこの安全保障会議にはない、任されていないということを確認できるかどうかを私は聞いているわけですよ。これは官房長官と防衛庁長官、はっきりお答えください。
○塩田政府委員 今回つけ加えようとしております重大緊急事態への対処体制についての先ほど来のマニュアル等のことを考えておる、こう申し上げました、それはあくまでも、今回加えようとしております重大緊急事態に対する対処体制についてのマニュアルであり、そのための勉強であります。 それで、従来の国防会議の任務とされた事項、いわゆる国防事項につきましては従来と変わっておりませんから、したがいまして、御指摘のような点がもし現在の六十二条二項の五号ですか、「その他国防に関する重要事項」として上がってくればそれは審議の対象になることはありますけれども、それはあくまでも現在の制度がそのまま維持されていくわけでございますから、その点今回の改正とは関係がございませんということを申し上げておるわけであります。
○上原委員 まだすっきりはしませんが、それでは官房長官、この点について確認をしておきたいわけです。 いわゆる八四年、五十九年七月一日、御承知のように中曽根首相は当時の中西一郎国務相に対して危機管理のあり方を検討する特命を出したわけですね。それは私的諮問ということでしたが答申も出たのです。その中で危機管理に関する研究対象として、一つは民間防衛、希少金属備蓄体制整備、有事立法の三点を挙げたのです。しかし、この発言は何か余りにも危機管理というものが前面に出るので問題が出るからということで軌道修正をされましたが、この安全保障会議というのは、今私が指摘した、あるいはかって首相が一人の大臣に特命を出して研究をさせてその大臣はそれを忠実に守ってやろうとしたわけでしょう、こういうことはやりませんね。はっきりさせてください。
○後藤田国務大臣 今回のこの改正は、従来の国防事案についてはそのまま引き継いでおりますからそのとおり御理解願いたい。それから、通常の意味での緊急事態についての対策なるものは今のそれで処理をする。それに入らない重大緊急事態というものが過去の実例等から見て予想がせられる。それをどう処理をして、そしてこの処理を一つ間違えば有事にしてしまうおそれもありますね。それを有事に至らない段階で、有事に至らしめないような措置を、政府の意思というものをはっきり決めたいというのが今回の改正の趣旨でございます。 そこで、御質問の中西国務大臣が御研究になった危機管理というものの内容を実は私は承知をいたしておりませんが、それは今おっしゃるような希少金属であるとかあるいは民間防衛ですか、こんなことをここで私どもとしては予想して、これを今回立法作業として出しているというわけのものではございません。そこは私どもとしてははっきり区別して考えているつもりでございます。
○上原委員 そうなりますと、当然だと思いますが、日米ガイドラインに基づく研究及びそれとの関連における立法の検討とか、そういうものもこの研究の中では含まない、それも確認できますね。
○塩田政府委員 関係ございません。
○上原委員 それでは、グリーンベレーとの関係はどうなりますか。一つには、米軍基地へのテロ警戒とかいろいろな重大緊急事態に対処する一つのものとして出てくるわけですね。在沖米軍とかあるいは在日米軍に米軍のグリーンベレーが配置されていることは当然ですね。これはまさに重大緊急事態や危機管理に対する実動部隊なんです。自衛隊はこのグリーンベレーと既に共同訓練をやっているわけでしょう。今度のフィリピンの騒動というか、ああいう政情不安の場合にもグリーンベレーは沖縄から行っている。こういうようなことなども重大緊急事態で、国の安全にかかわることも場合によっては入ると言った。そうであれば、日米の共同作戦というか共同訓練という中で、当然危機管理とかあるいは重大緊急事態という場合にはこれなども既に検討されていると私たちは見るわけです。これはここではやらぬかもしれぬが防衛庁独自ではやっていると思うのです、日米の共同防衛だから。またガイドラインがあるのだから、それを基本にして。こういうことなども研究しませんね。今これまでの答弁から、あなた方の言う枠の中にあるとするならばできなくなるのだな。その点はどうなるのかということ。 しかし、そうは言っても、国会ではそうおっしゃっておきながら場合によってはやるかもしれない。アメリカは、日米共同訓練だから、あるいは極東とかアジアに非常に重大緊急事態が発生をした、そうなればそうしたグリーンベレーとかあるいは自衛隊と共同訓練している部隊を派遣しなければいかない。そういう対処方式というのも場合によってはここで考えるのじゃないの。どうなんですか。
○塩田政府委員 今回、重大緊急事態と申しておりますのは、法の二条二項にもはっきり書いてございますように、国防に関する事態を除くというのが一つの前提でございます。今先生がいろいろおっしゃっておるのは、直ちに重大緊急事態になるかどうかわかりませんけれども、もしなっても恐らくそれは国防事態の話だと思われます。私どもは、国防事態はあくまでも従前の国防会議、今後の第二条第一項の事務として残しておく、引き継いでいくわけですから、それはそちらの問題であって、今回申し上げている重大緊急事態というのは、あくまでもそういう国防事態は除くということをかねてから申し上げているところでございます。
○上原委員 今想定をできる重大緊急事態にはそういうのは入らぬ。じゃ、防衛庁はそういう面もあり得るということになるんですか。どうですか、防衛庁長官。
○西廣政府委員 御質問の趣旨は私十分理解したかどうかわかりませんが、まず、従来あるいは今回の改正案でもそうですが、「国防に関する重要事項」ということで取り扱われるのは、「国防の基本方針」あるいは「防衛計画の大綱」あるいはそういった「計画に関連する産業等の調整計画の大綱」とかあるいは「防衛出動の可否」ということが具体的に決まっておりますが、それ以外に「国防に関する重要事項」と総理大臣が考えたものについてはそれは諮問されることがあるわけでございますから、先生が御質問になられた例えば有事法制の問題なりあるいは民間防衛の問題なりが国防上の重要事項と認識されれば、それは諮られることもあるべしというふうに私どもは考えております。 また、グリーンベレーのお話がございましたが、グリーンベレーに限らずですが、在日駐留米軍が日本のいわゆる治安事態といいますか、我が国に対する外部からの武力攻撃がなされない場合に米側が行動するということは我々の中では考えられておりませんので、そのような事態は考慮の対象になっていないと申し上げるべきだろうと思っております。
○上原委員 もうきょうのところの約束の時間が来たようですからこれでとめますが、委員長に御要望申し上げておきたいわけです。 まだ相当お尋ねをしなければいかない点が残っております。シビリアンコントロールの問題であるとかあるいは設置をされる外政調整室とか外交の一元化という面、いろいろな面で問題点もありますし、国防にかかわるものが別個であるようで、また一体化の感もしないわけではございません。そういう意味で、残余の時間につきましては後日十分保証してくれることを強く要望して、きょうのところは終えておきたいと思います。
○深谷委員長代理 市川雄一君。
○市川委員 上原委員の午前中からの質疑をずっと伺っておりました。多少重複するかもしれませんが、お伺いをしたいと思います。 官房長官、ずっと御答弁を伺っておりますと、要するに、なぜ安全保障会議をわざわざ設けるのかという点が聞けば聞くほど何となくあいまいになってくる感じがしてならないのですね。一つお伺いいたしますが、こういう法の改正をしなければならない、国防会議を廃止して安全保障会議を設置する、そういう必要性を感じた動機、それはどういうことからお考えになったんですか。
○後藤田国務大臣 今の国防の事態は、それはそれなりにそのままでございますね。ところがそれ以外の、例えば災害対策の問題であるとかあるいは国民生活の安定緊急対策といったようなことをやらなければならぬ事態が想定せられる、それらについてはいずれも対策本部等従来の仕組みがあるわけですね。ところが、国防事案でもなければ、今言った普通の災害あるいは国民生活等の重大事態といいますかそれで処理できない、重大な緊急事態というものが起こり得る潜在的な危険性が常時あるわけです。現実に過去において起きたわけですね。それを処理するときに、政府全体の意思決定が本当になかなかできないのです。その意思決定を適時適切にやらなければ事態がかえって拡大をしたりあるいは物によっては有事に至らしめる危険性もなきにしもあらず、こういうことも予想せられるわけですから、そうならないように適切に処理する必要がある。その際にまず閣僚レベルの会議をつくる、その閣僚レベルの会議が安全保障会議、こうなっているわけですね。そして、それの事務組織といいますか安全保障室をそれにつける。そして、ここでスタッフ組織を強化して常時ほかの各省とも十分連絡しながら事態が起きたときには適時適切な補佐をさせよう、こういう必要性があるのではないか。国防会議も閣僚の会議体で、その下に国防会議の事務局というのがある、これが補佐の事務機関です。だから、これと別のものをつくるという考え方だってあるのです。ありますが、これは内閣の機能全体、内政調整とか外政調整あるいは情報調査とかいろいろなのがありますか、これらは政令事項でやりますから、法律事項としてはこれだけが残るわけです。で国防会議の組織と合わさって――ともかく国防会議の方は国防事案ですね。ところが、それと隣り合わせにある重大事態でございますから、一緒にした方がはるかに効率的でもあるし、同時に有効に作動するのではないかということで、これは一緒にしまして、それで立法を要する事項だけを取り上げてお願いしている、かように御理解をしていただければありがたいと思います。
○市川委員 先ほども、今までの大韓航空機撃墜事件とかミグ25事件、ダッカの事件等いろいろな事件を事例として挙げられて、その教訓はどうだという御質問がありましたよね。その御質問に対して官房長官がお答えになったのは、各省の意見がまとまらなかった、要するにそれだけですね。各省の意見がまとまらないということだけでこれをつくるのですか。各省の意見は閣議をやればまとまるのじゃないですか、総理大臣というのは今各省をまとめられないのですか、そういう素朴な疑問を持つわけですね。各省の意見がまとまらなかったなどというだけじゃちょっと理由にならないと思うが、どうですか、これ。
○後藤田国務大臣 皆さん、当然そういう御疑問を持たれると思うのですよ。閣議というものがあるんだから、そこではちっと決めれば政府の意思は決まるではないか。これは当然な御疑問だと思いますが、日本の行政組織というのはそう簡単には決まらない。それは、国の事務全体を各省に分割処理させていますから、みんなそれぞれ権限を持っている。一つの対象についていろいろな角度から関係が出てきますから、みんな意見が違う。仮に大臣がこうだと言っても、補佐機関は平素からの相当なあれを持っておるわけですから、なかなか決まらないのです。そうすると、閣僚も事務の考え方と全然見当違いなことを、いや、これだ、――それはなかなか実際は決まらないのです。決まらないと、こういう緊急重大事態に政府の意思が決まらない。決まらないということは大変な事態に追い込まれるおそれがあります。そのときに、今のままの仕組みであると、トップダウンでぽんと御指示が下がる可能性があるのです。これも、総理大臣というものはそれなりの立派な方がなっているのだからそれでいいではないかと言えばそれまでだけれども、私はそれは危険性がなきにしもあらずだと思います。やはりそのトップダウンの意思決定、つまり方針だけの話ですから、実施は各省でやるのですから、その意思決定を間違わさないように少数の関係閣僚で会議体をつくって補佐もする、同時にその会議体の事務組織としてのスタッフも強化をする、そうすることによって、スタッフがふだんから絶えず各省との連携もしておりますから、事態が起きた場合には各省との関係もどんどんやっていくというようなことで、トップダウンの意思の決定が間違わない適切な処理ができるのではないか、私はそう思うのです。 だから、市川さんなんかが、閣議もあるし次官会議もあるのだから、それはそれでいいじゃないかと言えば、確かにそれはそのとおりなんです。しかし、そのとおりに動かないのがまたそのとおりなんです。これがなかなか日本の行政組織の運営上の一番難しいところですね。外国であれば、国によっては本当にトップダウンでぽんといって意思決定してしまってそのとおりやっているところだってありますね。しかし、それだって実際はなかなか摩擦があって、そんなにスムーズにいっているものじゃありません。ところが、日本の場合はコンセンサスの社会になっておりますから、どうしても下からだんだん上がってきて意思の決定が最後に煮詰まってくる。その煮詰まりができない、そこに今起きておる緊急事態に対する処理の場合の欠点が生じてくる、せめてそこを埋めなければおかしいではないかということで今回の改正になっておる、かように理解をしていただきたいと思います。
○市川委員 今までの大韓航空機とかの事件のときは、事務局の仕事はどこでやったのですか。
○後藤田国務大臣 その事務局がないのです。各省から上がってくるのです。(市川委員「内閣審議室じゃないですか」と呼ぶ)内閣審議室がやることはやりますけれども、現実になかなか内閣審議室じゃできません。だから、官房副長官とか官房長官のところにいきなりどんどん上がってくるということですけれども、これは実際は困るのです。横の連絡なしに下からどんどん上がってきますから、これが非常に苦労するというところが私は実態だと思います。
○市川委員 今まで各省の意見がまとまらなくて、安全保障会議をつくって事務局を移しただけでまとまるのですか。だって、安全保障会議に集まってくるメンバーも閣僚じゃないですか。ただ違うのは、事務局がなかったのが事務局がくっつくだけでしょう。事務局というのはトップダウンじゃない。トップというのは総理を中心とした閣僚ですよ。だから、今までどおりで、総理が必要な閣僚を集めて閣僚の意見も聞きながら議論をして方針を決めることは可能だと私は思うのですが、それが各省の意見がまとまらないからというだけだと、全然この法案に対する説得力、どうもわからないですね。どこが違うのですか。
○後藤田国務大臣 今までだってそれなりにやってきたわけです。先ほど事務が答弁しましたように、事務的な答弁になれば、今まででもそれなりにうまくやってきました、しかしこうすればなおうまくいきますというような答弁になるのです。しかし、実際は、各省の割拠主義でなかなかそれでは動きません。現実がそうなんです。しかし普通の仕事であれば、やはり私は、下から上へだんだん上がっていってお互いに調整しながらやっていく、それの方がいいと思います。変える必要はないと思います。しかしながら緊急重大な事態で、政府の意思を本当に早く決めて、それでその方針だけはそれに従って各省が歩調を合わせて仕事をしていくということでないと、なかなか国全体としての適切な対応ができないような事態になるおそれのある事件がこれからは頻発するおそれがある、これを何とか政府としては対応する仕組みをつくっておきたい、こういうことでございます。
○市川委員 余り説得力を感じないのですけれども、そういう緊急事態のときに、各省が自分の省の意見だけを言っているというのもちょっとおかしいと思いますし、緊急事態ですからね。行政改革をどうするかというので各省の利害が合わないというのならわかるのですけれども、緊急事態のときにそんな自分の省のことだけしか考えていないような官僚がいるとは思えないのですけれども、しかも総理が乗り出しているのに。どうもその辺がいま一つすとんと来ない。 それからもう一つ、この法律で言う重大緊急事態であるという決定は総理が行うわけですけれども、何か手続はあるのですか。総理が簡単にだれかの意見で決めるわけですか。こういう事件が起きました、総理。総理が、ああ、そうか、それじゃそれは安全保障会議設置法に言う緊急事態だ。とこう判断するのか。それはだれかと協議をして判断するのか。その辺はどうなんですか。
○塩田政府委員 先ほどもお答えいたしましたが、ある事態が発生しましたときに、最終的には総理が判断されるわけですけれども、それに対しまして総理としては、当然官房長官でありますとかあるいは所管の大臣等に意見を聞かれて、その補佐を受けながら判定をされるだろうというふうに思います。 その手続があるのかというお尋ねでございますけれども、形式的な手続ということになりますと、先ほど来申し上げておりますマニュアル的なものがそのために整備されていくだろうと思いますけれども、要するに実態は、何か事態が起こってその事態をどう判断するかということにつきましては、今申し上げたように、官房長官や所管大臣の補佐を受けながら総理がお決めになる、こういうことだろうと思います。
○市川委員 その関係大臣が総理のもとに集まって協議すれば、大体基本の方針が決まってしまうのじゃないですか。そうするとこれは要らなくなるのですよ。どうもその辺が行ったり来たりするわけです。そういう点をちょっと指摘しておきたいと思うのです。 マニュアル、マニュアルとおっしゃるのですが、これはどういう日本語としてお使いになっておるのか、確認をしておきたいのです。
○塩田政府委員 事務手続の手引といったような意味で申し上げております。
○市川委員 今この重大緊急事態という事態が起きて、官房長官や所管の大臣が集まって総理に意見を言って総理が最終的に決定する、その重大緊急事態かどうかという判断の基準、これはどういうことですか。ここに書いてあることでは非常に幅があり過ぎてわからないのですけれども、何かもうちょっと具体的な判断の基準があるのですか。
○塩田政府委員 規定から申しますと、法律の二条二項の規定でございますけれども、それを分解して申し上げてみますと、一つは緊急性ということ、それから一つは重大性ということ、それから一つは異例性といいますか、通常の対処体制では適切な対処ができないというのがこれは異例な事態ということをあらわしていると思いますが、そういったような観点から検討をする、こういうことになろうと思います。
○市川委員 緊急性、重大性というのが何かということを聞いているわけで、これでは、例えば通常の緊急事態対処体制、これは事務局の方でいただいた資料でございますけれども、石油の供給削減に伴う経済の緊急事態に対し、国民生活の安定等のための諸施策を推進、これは国民生活安定緊急対策本部、これが対応する。それから災害に関しての重要事項については中央防災会議あるいは非常災害対策本部がこれは対応する。食糧危機等の経済緊急事態に際しては国民生活安定緊急措置法、食糧管理法、物価統制令等で対処する。あるいは災害、騒乱等の緊急事態に際し、治安維持のだめの緊急事態の布告、これは警察法七十一条で行う。こういうふうに説明を受けたわけですけれども、要するに、おっしゃる意味は、これでは対処できない事態ということですね。これでは対処できない事態というのはどういう事態なんですか。さっきから同じ質問で大変恐縮なんですけれども、具体的に言うとどんな事態ですか。 例えば、先ほど官房長官は、関東大震災に匹敵する災害という表現をなさっているわけですけれども、中央防災会議とか非常災害対策本部というのは、東海地震などが議論されていることを念頭に入れながらあるわけですよね。ですから、その関東大震災は大きな災害でしたけれども、それは当然、既存の体制では対処できないのですか、対処するつもりでいたのじゃないですか。それを超えるというと、どういうことですか。
○塩田政府委員 例えば地震についてのお尋ねでございますが、今もお話がございましたように、地震につきましては、既に中央防災会議の制度もございますし、今御指摘の制度もございます。そういうことで対応するわけでございますが、例示といたしまして、例えば関東大震災のときと申しましたのは、その事態が、地震が起こってその地震に対する対策、いわゆる地震対策という段階を超えて社会的な不安、動揺でありますとかあるいはいろいろな経済的な動揺でありますとか、そういういわゆる地震対策の範疇でないところまで事態が及ぶということも考えられ得るわけであります。そういうような意味で、一つの例としまして、関東大震災のような事態になればということを申し上げているわけでございまして、御指摘のように、地震としての対策がとれる限りは当然国土庁の方の体系で対処する、こういう考え方でございます。
○市川委員 そこでお伺いしますけれども、既存の法律の体系で処置できない事態、当然重大緊急事態の中にはあるわけですね、皆さんがお考えになっている中には。どうですか、既存の法体系では対応できないという事態もあるわけでしょう。だからまたこれをつくろうとしているわけでしょう。どうですか。
○塩田政府委員 今の例えば地震対策を考えてみました場合に、現在の災害に対するいろいろな法体系がございますけれども、それで対処するには対処し切れない、つまり災害対策以上の事態、以上といいますかいわゆる社会不安でありますとかそういった事態でございますが、そういったようなことに対しましては、今回の重大緊急事態に当たるのではなかろうかというふうに考えているわけです。
○市川委員 私が伺っているのは、地震の場合もそうですけれども、例えばこの間の日本赤軍のダッカ事件ですか、超法規的措置と称して犯人を釈放して、持参金をつけて海外へ送ったわけですね。こういうことも皆さんの方は過去の事例として挙げているわけですよね。そうでしょう。そういう既存の法律では対処できない事態もあるという認識ですね、地震だけではなくて。
○塩田政府委員 この点もたびたびお答えいたしておりますが、この安全保障会議は対処のための基本方針を決めます。基本方針が決まりますと、それを受けて対処するのは各省庁であります。その各省庁は当然現在与えられました法律上の権限、任務に基づいて対処するわけでございまして、そういう意味で申し上げますと、既存の法体系以外のことを考えておるということではございませんで、あくまでも執行は現在の法体系の中でされる、こういうことでございます。
○市川委員 ちょっとそれがおかしいのですよ。既存の法体系の中で考えているのだったらわざわざこれをつくる必要はなくなるわけで、過去の事例としてダッカの事件なんかを挙げているじゃないですか。ということは、既存の法体系では対処できない事態も可能性としては含まれているという理解でしょうと聞いているのです。違うのですか。既存の法体系でいいんだというのだったら安全保障会議をつくる必要がないじゃないですか。総理がしっかりさえしていれば、閣議を早く開いて決めればいいのですから、たったそれだけのことだったら。だから、既存の法体系ではできないものが起きた場合、各省は、法律にないことが起きた場合、トップダウンなんだからトップで方針を決めるわけでしょう、これはこう処理しましょうということを受けるわけだ。そういう事態も当然含まれているのではないですかと聞いているのですよ。ないと断言できますか。
○後藤田国務大臣 多くの場合は既存の法体系の中で実施はやっていくと思います。問題は、その実施は既存の体系で、既存のそれぞれの組織体で仕事をするのですが、多くの機関が関係をしているがゆえに基本方針そのものが決まらない場合が多い、それを今度のやつで決めていこう、こういうことでございます。 ただ、御質問のダッカ等のような場合は、これはハイジャック事件といっても極めて特異なものであったと思うのですが、普通のハイジャックであればハイジャックの対策本部で処理をいたします。しかしながら、あのような場合に、例えば政治犯の釈放といったことのみならず一般の刑法犯の釈放まで要求してくる。これはまさに行政は法規に従って処理しなければならぬ、ところが法規がないわけです。それを超法規と称したのです。これは行政の決定だ、私は政治そのものの決定だと思いますね。しかし、それでも行政官庁としては強硬に反対する役所が当然出てきます。これは出てくる。ところが、いや、それはいかぬ、やはり人命にかえられないよといったような強硬な主張も出てくる。そこで意思がなかなか決定をしないのが実情でございます。そういったような場合もありますから、市川さんがおっしゃる超法規的なような事態もあり得るのではないかと言われれば、それは先例がございますからそういう場合もあり得る、こう答えざるを得ないと思います。
○市川委員 そこで、国会に承認を求めるケースというのは全く考えてないのか、その点をお尋ねしたいのです。 例えばああいうダッカの事件、人命救助ということでやむを得ない措置であったという点では私たちも理解しておるわけです。ただ、それがそのまま、行政がそういう処置をした、もちろん政治的な決断をしたわけですけれども、もし事前にできなければ事後にでも国会に承認を受ける。これは立法府ですから。立法府が法律をつくっているその法律を超えたものを行政府が決定して措置した、それは人命救助という非常に至高のものではあるにせよ、事前もしくは事後に国会の承認を受けるということが私は筋論だと思うのですね。そういう意味で、そういう既存の法体系で処理できない事態を処理した場合、国会の承認をきちんと受けるという、そういうことが担保されておりませんと全く歯どめがなくなってしまう。これは、国防以外の緊急事態は何でも内閣総理大臣が安全保障会議を招集してどんどん決めて処理できるんだということでは、国民は不安を持ちますよ。一定の歯どめが、常識的な歯どめが必要だと思うのです。そういう意味におきまして、この法律案では国会承認事項というものをうたってないのですけれども、その辺はそうなさるお考えはないですか。
○後藤田国務大臣 その点は、今申しましたように、既存の法体系のもとで、既存の組織でよく実行しますから、その既存の体系の中に、国会の事前承認を受くべしとか国会に事後報告をして承認を受くべしとかいろいろ書いてあるものがございますね、これは当然その制度に従って同意なり報告なり何なりはせざるを得ないと思います。ところがそういう規定のないのがございますね。ないのはどうするんだということになりますが、これは重大な事態でございますから、国会等から御要請があればこれは当然国会に報告をしてやっていくべき筋合いのものであろうと私は理解しております。
○市川委員 この安全保障会議設置法案の中で、国会の事前もしくは事後の承諾を必要とするものは防衛出動の可否のみで、他の事項で何かありますか。事前もしくは事後に国会の承認を受けなければならないことが義務づけられているテーマはありますか。
○後藤田国務大臣 今までの警察法の七十何条でございましたが、あの事態は警察だけで処理をするということを前提にしておりますが、あれだって相当広範囲な事態になってくると、それは公安委員会の勧告に従って総理大臣が決定して、それで公安委員会の権限を排除して総理大臣の指揮監督のもとに処理するという仕組みになっていますね。私はそれはそういう手続でやってくると思います。しかし、少なくとも警察法の規定がそうあっても、じゃ公安委員会だけの勧告で総理大臣が非常事態宣言をするかといえば、それはなかなか総理大臣は決断がつかないと私は思います。それはこういう機関があれば一応はこの機関に御相談なさると思います。そうすると、そのときの報告はどうなるかといえば、これは今の警察法の組織体で国会に報告をしていく、これは当然そういう処理をせざるを得ない、かように理解をするわけです。これは事務当局の見解をとれば、今の建前が、公安委員会の勧告がありさえすれば後は総理大臣だけの判断でできますからそれでやる、こういうお考えが出てこようと思いますが、それはそれなりに結構だ、結構だが、しかし、総理大臣が決断するときには、公安委員会の勧告があればその勧告をどう取り扱おうということを一応相談すべき筋合いであろう、かように理解するのです。そうすれば、国会に政府としては事後の報告をするという処置は当然とるわけでございます。
○市川委員 いや、警察だけでなく、警察もそうなんですけれども、この法律で言う重大緊急事態の処理に当たって、既成の法体系にないことを処理した場合、例えばさっきの超法規的な措置をとったとか、私が今質問しているのは、防衛出動の可否は国会に事前もしくは事後に承認を得なければならないのですね、これは報告じゃなくて。あとのものは、重大緊急事態の処理については国会の承認なんということは、全然法律には明記されていませんよね。だけれども、少なくともそういう超法規的措置をとった場合とか、基本的人権にかかわる国民の権利義務の権利を制約するとか、義務を強化するとか、そういう国民の権利義務にかかわる措置をとった場合、あるいはとろうとする場合、これは国会の承認を事前あるいは事後に受けなければならないと思うのです。あるいはそういうことは絶対いたしませんということなのか。その辺がどうもはっきりしないのですよ。どうですか。
○塩田政府委員 今回、重大緊急事態の対処体制を考えるに当たりまして、何度も申し上げておりますけれども、今度の安全保障会議ができてそこで重大緊急事態の対処について審議をする、その審議をすることによってこの会議に何らかの新しい権限を付与しようとしているものではないわけです。単に対処する措置についてどういう措置をとるかということを審議するだけでございます。したがいまして、今御指摘のように、住民の権利義務を制限するとかどうとかという新しい権限がここで与えられるということはございませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。
○市川委員 安全保障会議にはそういう権限はないかもしれないけれども、安全保障会議という制度をつくることによってトップダウンで意思決定をするわけです。その意思決定の中に私が今申し上げたようなことが入ってくる可能性はあるわけです、超法規的措置があり得ると言うのだから。安全保障会議設置法は確かに新しい権限を付与していないけれども、その安全保障会議の意見を聞きながら総理が決定を下す、その決定には超法規的措置が含まれているわけですから、そういう場合は国会の事前の承認もしくは事後の承認を必要とする、こういう立法府と行政府のチェック・アンド・バランスが必要だと私は思うのです。何か行政府だけが何でもやれるという体制はよくないと思うのです。 ですから、新しい権限は付与されません、ただ諮問機関ですと幾ら口で言っても、その諮問を受けて決定するわけで、その決定の中に超法規的措置が含まれてしまう。あるいは、重大緊急事態というのは何もうまいぐあいに日本の今の法体系の中で起きてくれるとは限らないわけです、全く予想のつかない事態が起きてくるとおっしゃっているわけだから、予想のつかない事態というのは今の法律をのり超えた事態が起きてくる。起きてくれば当然今の法律をのり超えて措置しなければならないわけですから、そういう場合に限って、報告ではなくて、国会の事後もしくは事前の承認を必要とするということをこの法案にぜひ入れてほしいと私たちは考えておりますが、官房長官どうですか、そんな考えはございませんか。
○後藤田国務大臣 その点は、今局長から言いましたように、安全保障会議体をつくることによってこれに特別な権限が与えられるわけではないわけですから、従来どおりの扱いであるという御理解でいいのではないか。だから、実行するときには今までのそれぞれの組織体でやるわけですね。その今までの組織体で実行した結果、現在の制度の中では報告すべき事項が決められておればそのとおり報告していくのだということでいいのではないか。 ただ、お話の中に超法規的措置云々ということがありましたが、たまたまダッカの事件で出ましたからお答えするのであって、この機関ができたから超法規措置をどんどんやるなんということでは全くありませんから、その点はぜひ誤解のないようにしておいていただきたいのです。しかし、あのとき超法規的措置をやりましたね。あれは政治決断でやった。あのときの結果がどうなりましたかね。国会に報告したのかどうか私は記憶にありませんけれども、ああいうときには、こういう措置をとらざるを得なかったという報告をするのが適当であろう、こういうふうに私は考えます。
○市川委員 要するに、内閣は行政権のトップに位しておるわけです。その内閣の機能強化として、こういう国防事項を除く、しかも通常の緊急事態では対処できない重要緊急事態が、過去にも起きたしこれからも起こり得る、それを内閣として対処する制度が今はない、その制度を安全保障会議という形でつくりたいのだ、こうおっしゃっているわけです。これは内閣の行政としての機能強化であるわけです。それはそれで一応理解はできるのだけれども、それならそれで、その結果として超法規的措置を講ずるような事態がもし仮にあってそれを行った場合は、今度は立法府とのつり合いから考えても、立法府に事前事後の承認をきちっと得るということをやるべきじゃないのかという意見です。三権分立という建前を考えれば、行政府の内閣の機能強化をしたのだから、立法府の機能もひとつバランスをとって、事前もしくは事後の報告をするというものがあって当然じゃないかと私は思うのです。その点について全く必要ないというお考えですか。
○後藤田国務大臣 私が申し上げておるのは、必要ないとかなんとかというのじゃなくて、この会議体をつくることで新しい権限を政府に与えるものでも何でもないじゃありませんか、意思決定が大変難しかった、それを意思決定できるようにして、そして従来の組織体で従来のやり方のもとにやっていく。したがって、その中で国会に報告すべきようなことがあるなら当然報告するし、また事前の承認を得るとか同意を得るべき事項があるというならそのとおりやればいい。こういうことではなかろうかと思うのです。 ただ、しかし、先ほどの御質問の中に超法規措置なんかをやった場合にどうだということでございますから、これは国会に報告すべき筋合いのものであろうとお答えしておるので、今までとそんなに変わった御理解をせられなくてもいいのではないかと私は思います。
○市川委員 要するに内閣機能、行政機能を強化するわけですから、それに対応して立法府の機能もきちっとしておこう、これは当然のことだと私は思うのですけれども、そういうことにきちんとけじめをつけられるかつけられないかがこの法案を評価する一つの分かれ目になっているということを私は申し上げて、次の質問に入りたいと思います。 もう一つは、官房長官と与党の方の最初の日の質疑を伺っておりますと、国防会議は今二十一名ですか、人数がいる割に余り仕事をしていない、ちょっともったいないからこっちの仕事もさせようというような感じもちらっと感じたわけです。 この答申を読みますと、安全保障会議の設置によって「国防会議の機能が活性化し、有事に対する適切なシビリアン・コントロールを確保することができる」と麗々しく書いてありますけれども、何で安全保障会議が設置されると国防会議の機能が活性化するのですか。よくわからないのですが、どうですか。
○塩田政府委員 答申には確かにそういうふうに書いてございますけれども、その趣旨を私ども考えてみますと、今回の重大緊急事態の対処ということを加えることによって、もし重大緊急事態の対処体制という制度がなければ国防事態にまであるいは発展したかもしれないといったような事態を今度重大緊急事態として取り上げることになります。そこで適切な対処が行われることによって有事の事態に進まなくて済んだということもあり得るわけでございます。それが一つの大きな効果だろうと思います。 そういうようなことを考えますと、今度の改正によりまして、人数は二十人ばかりでございますけれども、その新しい面も加えることによって、従前の国防会議の所掌事務に加えてそういう任務を遂行することによって今申し上げましたような効果も出てくる、あるいは重大緊急事態ということをめぐって平素からいろいろ勉強もし情報の収集といったこともやりますから、そういった意味で、実際に有事の際に当たっても事務局としてはより活発な事態対処ができるというようなことがその答申の趣旨ではないかと思いますし、我々もそういうことはあり得るのではないかというふうに考えております。
○市川委員 どうも歯切れの悪い御説明でよくわからないのですが、要するに国防という非常に重要な仕事が片手間になって、重大緊急事態の処理もそれは重要なことなんですけれども、国防という仕事がどうも片手間にされてしまう、こんな感じも受けるわけですよ。 本来は、国防会議というのは、事務局は総理に直結していましたよね。今回のこの改正によりますと、安全保障室は官房長官の、内閣官房の指揮下に入ってしまうわけですね。もちろん総理が安全保障会議の議長ではあるけれども、事務局体制としては官房の指揮下に入る。何かこう、今までよりも事務局体制としては格下げの感を免れないし、増員も三人だけ。どうもシビリアンコントロールを強化するという、しっかりやっていくという観点から考えますと、そういうふうな方向に向いてないのじゃないのかな。どうもシビリアンコントロールというものが何かもうお飾りみたいになる嫌いがあるのじゃないか、こういう危惧を実は抱いているわけです。この点について官房長官と防衛庁長官の御答弁をお願いしたいと思います。
○後藤田国務大臣 一見そういう印象を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんね。しかし、今度の場合のはそうではありません。これは数は余りふやしませんけれども、やはりランクをもう少し上へ引き上げまして、スタッフらしい組織にしたい、こう考えております。 それから同時に、総理直属であったのが官房長官の、内閣の組織の中に入りますからなるほど格下げである、こういう印象を持ちましょうけれども、それは実態は逆だと私は思います。そうではなくて、官房長官も、これは総理の補佐機関でございますけれども、各省の調整には相当強力な権限を与えられておるわけですから、それが直接やるということの方が実態としては強化になる、私はさように理解をしております。 なお、先ほど来の権限問題ですわ。これはぜひ御理解しておいていただきたいのは、この会議で内閣の権限が別に新しく加わったり強化したりというのじゃないのですよ。そうでなくて、内閣の権限そのものは同じなんです。ただ、それの権限というのは調整機能ですね。その調整を今までよりはよく機能し得るようにやっていこうという、そこだけのことである。新しい権限が付与せられたのじゃないのだ。ここらはぜひひとつ御理解しておいていただきたい、こう思います。
○加藤国務大臣 今度の新しい安全保障会議には、先ほど申しましたように国防会議の任務はそのままそっくり移行いたしていくわけであります。そして、私は、新しい安全保障会議が設置されても、国防の問題は、また国防に関する政策の立案の問題等はやはりその中で最も重要な任務の一つであり、一つでありといいますかやはり一番重要な部分になる、なっていくだろうと思いますし、現にそうだと思います。したがって、それが、国防の問題がないがしろにされるというようなことは全く心配いたしておりません。
○市川委員 官房長官、安全保障会議をつくることによって何ら新しい権限が付与せられるわけではない。それはわかっているのです。わかった上で申し上げているのは、その安全保障会議が今まではなかったわけですよね。新しくできたわけですよ。何ら権限は付与されたわけではない。だけれども、その安全保障会議が総理大臣を補佐する制度としてできた。それで、国防以外の通常緊急事態以外の重大緊急事態に対処する行政としての制度ができて、諮問に助言して答えた、そして総理並びに閣僚が集まって超法規的な措置を決定する。こういうこともあり得るわけですよね。安全保障会議の権限としてやるわけではなくて、あるいはそれは閣僚、総理の権限として決めるのかもしれません。そういう超法規的措置を決定することがあるのだから、可能性としてあるのだし過去にもあったんだし、これからもそういう事態が予想されているわけですから、こういうものをつくったんだから、今度は立法府の方も、それに対応する機能として、事前もしくは事後に、すべての案件を事前事後に承認を受けろと言っているわけじゃないのです、既存の法体系を超えて措置を行った場合は事前事後に国会の承認を受ける。これはおかしくないのじゃないか、こう思うのです。それだけ申し上げておきます。 その点が一点と、今申し上げたシビリアンコントロールですが。――官房長官、記者会見があるそうで、もう結構ですから。 防衛庁長官、先ほど上原委員に答弁なさる中で、今までの国防会議の機能を引き継いで安全保障会議ができるということは防衛庁としては評価している、なぜ評価しておるかというと、例えば有事以前の事態に防衛庁がかむことによっていろいろな勉強になるという趣旨の発言をされておりましたけれども、ちょっとよくわからないのですが、真意はどういう意味をおっしゃろうとなさったのですか。ここに議事録がないのでそういうふうに私は理解したのですけれども。要するに、安全保障会議ができて防衛庁が有事以前の緊急事態にも参加することによって、万一それが有事につながった場合には非常に有事の場合の対処がしやすくなるし、そういう意味で非常にいいことだという発言をなさったわけですけれども、そういう趣旨ですか、それとも全く違うのですか。
○加藤国務大臣 重大緊急事態というものは、国家にとって重大な危機をもたらすかもしれないような事態であって、そしてそういうものは、あるものはいわゆる国防上の有事まで発展し得る事態かもしれません。そういった問題が事前に安全保障会議で討議され、そしてその状況を見ながら、いわゆる国防上の問題に発展しないように、種々の外交的な施策を通じたり、また適切な処理をすることによって国防事態にまで発展しない、有事にまで発展しないというような機能をも果たすかもしれない。そういった意味で評価していいのではないかということを申し上げたのでございます。
○市川委員 防衛庁長官の答弁を聞きながら、ある懸念を抱いたのですよ。それは、いわゆる有事以前、防衛出動下令の対象の以前という意味です。待機命令あるいは出動命令以前の事態。その事態は国防に関する場合もあるわけですね。国防に関する有事以前の事態もある。国防に関しない、ここで言う重大緊急事態という事態もあるわけですよ。そういうことを考えますと、何か安全保障会議の事務局で、安全保障室でマニュアルを研究しているうちに、やはりどうしても有事法制が必要であるとかスパイ防止法がどうしても必要であるとか、そんな議論が出てきてという懸念、危惧は、これはだれでも持ちますね。そういうことはこの事務局では一切やりませんか。どうですか。
○塩田政府委員 先ほども何回かお答えしているわけですが、今度の改正の趣旨はそういうところにございませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。
○市川委員 マニュアルをおつくりになるというのですけれども、予想できないわけでしょう。言葉のあやみたいな質問で申しわけないのですけれども、重大緊急事態というのはどんな事態ですかというと、これから起きる事態はわからないという答弁が返ってくる。じゃ、例えば過去でどんな事態かと聞くと、過去の事例は挙げてくる。しかし、これからどんな事態ですかと言うと、わかりませんとなるわけです。予想のできない事態を予想してマニュアルをつくるというのも、何だかわからなくなってくるのです。すると、あなた方が挙げているダソカ事件、大韓航空機撃墜事件、ミグ25事件とか、過去に起きた事件を想定してマニュアルをつくる、そういうことですか。
○塩田政府委員 過去に起きた事件を想定してというのではなく、過去に起きた事件を参考にしてということは言えると思います。結局おっしゃるとおり、具体的にどんな事態が起こるかわかりませんから、そのわからないものに対する対策はもちろん立てようがないわけですが、もし何か起こった場合の政府内の意思決定の仕方、連絡の仕方というものについて勉強しておこうということであって、そういう意味では抽象的になりますけれども、過去の具体的な例は参考になり得るのじゃないか、そういうことを考えております。
○市川委員 だから、どんな事態が起きるか予想できない。予想できない事態を予想してつくるという非常に形容矛盾なのですね。 それから、意思決定のあり方とか連絡ということですが、意思決定といっても安全保障会議のメンバーが集まって議論して決めるわけでしょう。そこに別な特殊な決め方があるのですか。会議をして、総理がいて、議論して、こうしようと決めるわけでしょう。連絡の仕方といっても、電話とか何かで連絡するわけでしょう、メンバーは決まっているわけですから。別に検討しなくても、だれとだれを呼ぶということだけでしょう。それ以外のマニュアルというと何でしょうか。もうちょっと国民に説得力のある御答弁はないのですか。
○塩田政府委員 その辺になりますとまさに今から勉強していくわけですけれども、例えば電話で連絡するにいたしましても、どういう問題のときにはどの省のだれが担当者であるとかいうことも当然あるわけです。それは平素から決めておくと言えば簡単でございますけれども、その人がいなかった場合にはどうするかということまで含めて連絡についても考えておかなくてはいけないと思いますし、連絡だけでなく、そういうことを事前に検討しておこう、こういうことでございます。
○市川委員 どうも次元が低いのですよ。電話というものは、普通の職場だったら、だれがいようがいまいが、緊急の事態が起きれば「はい、はい」と言って電話してしまうわけですよ。だから、そんなことは何も一々前もって二十一人も集まって協議することはないと思うのです。事務局長が一人しっかりしていれば済むのですよ。そんなことをやっていたらみんな選挙に落ちてしまいますよ。選挙事務所なんて、そんなすったるんでいませんよ、マニュアルなんかなしでやっているわけだから。だから、話が何かコンニャク問答をやっているみたいな嫌いがあるわけです。その点を指摘しているわけです。 私たち公明党としては、自衛隊に反対しているわけではありません。今の国防会議というものはそれなりに認めているわけです。ただ、先ほどから何回も申し上げておりますように、安全保障会議ができることによって新しい機能、権限が付与されるとは理解しておりません。理解しておりませんが、内閣の機能強化の一環として安全保障会議という制度が生まれて措置をする。その措置する過程において、過去に超法規的措置というのがあった、今後もあるかもしれないということを官房長官は認めておるわけですから、そういう超法規的措置をとったような場合は、立法府に事前もしくは事後に承認を受けるということをこの際あわせてお決めになっておいてほしいということを申し上げておるわけです。 もう一点は、今までの国防会議に比べてみるとシビリアンコントロールの機能がやや後退する、こういう懸念を強く持っております。そのことを私の方から指摘しておきたいと思います。また次回の委員会で私の党から別の委員が質問をいたす予定ですから、この問題はきょうはここまでにさせていただいて、関連の問題を質問したいと思います。 防衛庁長官にお伺いしたいと思うのです。長官は、最近、大綱の別表の見直しを行うような発言をなさっておるわけですが、大綱別表の見直しをなさるおつもりですか。
○加藤国務大臣 現在、大綱の別表の見直しを考えてはおりません。
○市川委員 しかし、別表見直しの必要が起きてくるとは考えておられるわけですね。
○加藤国務大臣 現在、私たち防衛庁、自衛隊としましては、昨年九月に決定されました中期防衛力整備計画を早く具体化し、その目標達成に行き着きたいと考えております。それは「防衛計画の大綱」の定める水準でございます。そして、その第一年目として予算の審議を今お願いし、その整備を行おうといたしておるわけでございますので、その大綱の水準の達成ということを第一義に私たち考えております。現在のところ、その見直しを考えてはおりません。 〔深谷委員長代理退席、委員長着席〕
○市川委員 中期防衛力整備計画を実施なさいますと、大綱別表の見直しをせざるを得なくなるのじゃないかと見ているのですが、中期防衛力整備計画が大綱別表の範囲内におさまると言い切れますか。
○加藤国務大臣 中期防衛力整備計画は大綱の枠の中でやっておるわけでございまして、当然その中におさまり得るものでございます。
○市川委員 大綱の枠の中ではなくて、大綱の別表の中におさまりますか。
○加藤国務大臣 現在、私たちがその実現を目標としております中期防衛力整備計画は、大綱の本文及び大綱の別表の枠の中で策定されておりますので、当然のことながらその枠の中におさまるわけでございます。
○市川委員 それでは具体的にお伺いしますが、中期防の一つの目玉として洋上防空ということが示されておりますが、この洋上防空の地理的範囲というのははっきりしていますか。
○西廣政府委員 洋上防空の地理的範囲と申しますと、通常、防衛力整備で考える場合とオペレーションの場合とあろうかと思いますが、防衛力整備につきましては、あくまで我が国周辺海域数百海里、航路帯を設ける場合は千海里ということでございます。オペレーションということになりますと、これは一に状況によりけりということでございますが、防空といえども、さきに申し上げました防衛力整備の能力と大体見合ったものということで考えていくということでございますので、地理的な範囲、具体的にこの範囲ということではございませんけれども、周辺数百海里なりあるいは航路帯を設けた場合はその航路帯にいる艦艇の防空というものが地理的範囲になろうかというふうに考えております。
○市川委員 しかし、この洋上防空というのは、安保特における防衛局長の説明あるいは防衛庁長官の説明を伺っておりますと、日本列島周辺数百海里あるいは航路帯を設ける場合は千海里というその中ではなくて、その外へ出ていってやらざるを得ないということをおっしゃっていますね、洋上防空ですから。経空脅威ということをおっしゃっているわけですから、航路帯の上まで来て攻撃するということじゃなくて、航路帯よりはるか向こうから飛行機は来るわけですから、周辺数百海里、航路帯を設ける場合は千海里、こうおっしゃるのですが、千海里の上だけという意味じゃないでしょう。船の場合は、航路帯千海里というと大体千海里だなという感じがするのですけれども、今度は洋上防空ということになるとかなり遠くからミサイルを撃ってくるわけですよ。ですから、航路帯を設ける場合、その千海里のどのくらいまでカバーするんですか、それを聞きたいんです。そういうことがはっきりしているのかどうか。
○西廣政府委員 防空のためにいろいろな機能があろうかと思いますが、例えばレーダーで相手を捕捉するということになりますと、それは本土防空でも同じでございますが、かなりかなたまで監視をしておってそれで発見をして発進をするということで、レーダー覆域からいえばかなり広いところまでカバーすることにもなります。同じように洋上防空につきましても、最終的にはその航路帯なりあるいは周辺海域に所在する艦艇を守るための防空でございますから、そのために必要な範囲を監視する、あるいはその船舶が攻撃を受けないうちに要撃をするという場合もあろうかと思いますので一概に申し上げられないわけですが、ただ、申し上げておきたいのは、一千マイルなら一千マイルの航路帯というものがあって、同じ方向の先に敵がおるということでは必ずしもございませんので、一千マイルプラス三十マイルとか、そういうことではないというふうに御理解いただきたいと思います。 いずれにしましても、エリアを守るということではございませんので、地理的にこういった範囲になるということを確定的に申し上げられないということは御理解いただきたいと思います。
○市川委員 防衛庁が、五十九年の四月十日参議院予算委員会で出した「海上防衛力整備の前提となる海上作戦の地理的範囲について」という統一見解があるのですね。これは、千海里シーレーンというものが「防衛計画の大綱」に明記されていないじゃないかという質問に対して、いや、明記されておったんだ、そのものずばりの表現はないけれども、「防衛計画の大綱」四次防までの中に書いてあったんだ、こういうことを説明した文書でございます。 この文書によりますと、要するに「能力算定の前提となる作戦の地理的範囲に関しては、計画策定段階において、「周辺海域の防衛能力」については周辺数百海里の海域、「海上交通の安全確保能力」についてはおおむね千海里程度の海域を目標とする」、こういうふうに言っておるわけですね。要するに日本列島周辺数百海里、それから航路帯を設ける場合は千海里程度、それが地理的範囲なのであって、それに対応して防衛力の整備量というものを見積もった能力を算定した、こういう言い方をしているわけです。ですから、洋上防空というものを本格的に中期防においてなさろうとするならば、洋上防空についてどの程度の能力を持たなければならないのかというのは、その能力算定の前提として洋上防空の地理的範囲というものがはっきりしていなければ洋上防空能力の見積もりができない、見積もりができなければ能力整備目標が出てこない、こういうことになるわけですね。 そういう意味でお伺いをしておるわけですが、この中期防衛力整備計画においてはっきりとした洋上防空の能力算定というものをなさっているのかなさっていないのか。なさっているとすると、その地理的範囲というのは今の御説明では納得ができないわけですけれども、その点はどうですか。
○西廣政府委員 まずお答え申し上げておきたいのは、我々の防衛力整備構想の中に、洋上防空というものが、例えば海上交通の保護というものと切り離されて一つの目標としてあるということではございませんので、その辺まず御理解いただきたいのです。 我々の考えておりますのは、先ほど来申し上げております我が国周辺の数百マイルあるいは航路帯を設ける場合一千マイル、そこを航行している我が国船舶の安全を確保するということをあくまで目標としておるわけでございます。 しからば、そういう地域にある船舶を攻撃する敵といいますか脅威はどういうものがあるかといいますと、従来はその主たる脅威は潜水艦でありました。したがって対潜能力というものを中心に防衛力整備をしてきましたが、その際にも空からの脅威が全くないということは考えておりませんで、御承知のように例えば護衛艦に対空機関砲を据えるとかあるいは対空ミサイルを整備するということで、洋上における防空が可能であろうというように考えておったわけでございます。 しかしながら、最近におきまして、各国の軍事技術の趨勢から、非常に足の長い優速の航空機がかなり出現しつつあるという事実、それから航空機なり潜水艦が有翼ミサイル等を用いてかなり遠距離から攻撃をする傾向が出てきておるという事実がございます。そういったものが出現してきておる現状において、従来から申しておる数百海里なりあるいは航路帯を設ける場合一千マイルの海域における我が船舶の保護をどうやって行うかということについて、その種の脅威も考えなくてはいけないということで、それがどういう方式であれば可能であろうかということをこの五カ年計画の中においてまず検討いたしたい、そうして非常に有用な可能な方法があるならばその一部について着手をいたしたいということでございまして、洋上防空だけを切り離して、そのためのある目標を持ってこの範囲をやりたいとかそういったことではございませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。
○市川委員 その点はそれでわかるのですが、その洋上防空の地理的範囲というのははっきりしているのですかということです。これから検討するのですか。
○西廣政府委員 先ほど申しましたように、各国のそういった軍備等を十分検討いたしまして、我々の所望の距離数百海里あるいは航路帯を設ける場合一千マイルの船舶を守るためにどの種の洋上防空の方法があるか、その際にどのあたりをどういう形で守ったらよいかということも含めて勉強したいと思っております。
○市川委員 洋上防空の地理的範囲はまだはっきり決まってないというふうに理解していいのですか。
○西廣政府委員 洋上防空の地理的範囲という御質問で大変お答えしにくいのですが、通常、防空なり防衛の地理的範囲といいますとそのエリアを守るという意味になりますので、私どもとしては、洋上の防空について、ある地域を守りたいあるいは海域を守りたいという考え方は余りございませんで、海自身は攻撃されても余り支障がないと私どもは考えておりますので。要するに、船舶を守るためにはどういうやり方なり方法がいいかということで、エリアを中心に物を考えているのではないということだけ御理解をいただきたいと思います。
○市川委員 防衛庁長官、長官もいろいろなところでいろいろなことをおっしゃっているわけですけれども、その洋上防空体制というのは「防衛計画の大綱」には書いてないですね。最近新しく起きてきた問題です。それはお認めになるでしょう。どうですか。
○加藤国務大臣 「防衛計画の大綱」の中に海上交通の安全確保という概念があるわけでございますが、その際に、それに用いますところの我が方の艦艇等が空からの攻撃を受けることがあり得ることは想定していたわけです。したがって、その際、今防衛局長が申しましたように、我が方の艦艇が対空ミサイルや高射砲を持っているわけですけれども、最近経空脅威の質がかなり変わってまいりまして、さっき言いましたように長距離の足の長い航空機によるものとか高速のものとかが発達してきたわけで、そういった意味で、よりそっちの方を考えなければならぬということは、諸外国の技術的水準の向上に伴って変化してきたと思います。しかし、経空脅威を考えなければならないというようなこと、そのもの自体は従来から私たちが申し述べてきたところではないかと思います。
○市川委員 ですから、海上交通路の保護とかそういうことは書いてありますけれども、本土防空には触れていると思うのですけれども、洋上防空体制というふうに中期防では表現されているわけですけれども、洋上防空体制というずばりの表現では「防衛計画の大綱」の本文には何ら触れられていない、こういうふうに私は思っているのですが、その点はどうですか。
○西廣政府委員 繰り返しになって恐縮でございますが、私どもが考えております洋上防空というのは、海上交通保護という防衛目的を持っておる機能、その中の一部であるというように考えておりまして、海上交通保護のためには対潜機能と洋上防空機能と両者が要るということであります。 ただ、違う点は、洋上における経空脅威というものの質なり量が変わりつつあるんではないかという認識に立っておりますので、それに対してどう対応しようかということがこれからの研究課題になろうと思っております。
○市川委員 防衛庁長官が御用があるということでございますので、長官がお帰りになる前に、質問の順番が後先になりますけれども、長官に伺いたいことだけ、先にちょっと伺いたいと思います。 一つは、逗子の米軍住宅の問題でございます。長官がお帰りになった後、施設庁の長官にお伺いしますけれども、長官も御案内のような経過でございます。 六十一年三月二日、市議会リコール、住民投票の結果は、建設反対が一万五千八百八十七票、建設容認が一万二千二百二十三票、差が三千六百六十四票でございます。六十一年三月二十三日、現在の富野市長解職のリコールの住民投票の結果は、建設反対派が一万三千三百五十七票、建設容認派が一万一千四百四十票、差が千九百十七票。それから六十一年四月六日の逗子市会議員の選挙、もちろん議席の数では建設容認派が十四、反対派が十二ということになりましたけれども、得票数で見ますと、建設反対派が一万八千四十八票、建設容認派が一万四千六百四十三票、三千四百五票、票では多くをとっているわけです。その前に市長選が行われているわけですけれども。 こういう票を見ますと、大きな差はないかもしれません。あるときは三千六百六十四票、あるときは千九百十七票、あるときは三千四百五票。しかし逗子市民の、建設は反対である、池子弾薬庫の緑は守ってほしいという意思は明確に証明されたと受け取らざるを得ないと思うのですね。その事実について長官はお認めになりますか、どうですか。
○加藤国務大臣 逗子市でこの弾薬庫跡地、現在は米海軍の住宅建設予定地と私たち考えているわけですが、その利用をめぐりましていろいろなリコール等が何回かあったことは、もちろん私たちも承知しておりますし、その中の数字をいろいろ見ますと、反対派の方がまだかなり多いということは私たちも承知いたしております。 しかし一方、一番最近行われました市議会の出直し選挙、リコール選挙では、賛成派の議員の方が多くなっていることもまた事実だと思います。 私たちとしては、慎重にこの動向を見守っていきたいと思いますが、いずれにいたしましても、やはり我々の防衛施設整備をする際には、地元の方の理解を得ることは最も重要なことであり、その理解を得るための努力は今後も息長くやっていきたいと思っております。 そこで、現在の逗子市におきます対立点は、どちらかといいますと、日米安保の存続とかその意義というような点ではなくて、緑を大切にするかしないかという争点だということを時々お聞きいたしておりますし、我々のところに参ります建設反対の陳情も、その点が中心的に触れられております。 そこで、私たちがぜひ今後とも理解を求めるように努力したいと思いますのは、私たちも緑は大切だと思っております。だからこそ、神奈川県のアセスの手続を踏むか踏まないかということは大分議論があったけれども、決心しました、踏むことにしました。そしてしっかりとした手続をとって環境評価をいただいているわけです。ですから、私たちの計画を見ていただきますと、本当に大切な奥山のめったにないようなものを壊すような計画にはなっておりませんので、現在でも荒れ地になっておりましたところを中心に、細かくは政府委員から申しますけれども、二、三十ヘクタールの部分がいわゆる宅地として利用される形になるのではないかなと思っておるわけでございます。ほかの部分は緑に返してしまいます。 したがいまして、我々の計画がいかに緑を大切にしているかということはアセスを見ていただくとわかりますので、どうぞその私たちの出した計画書を十分に御理解いただくことがまず最初なんではないだろうかな、その努力を私たちは今後とも続けていきたいと思っております。
○市川委員 そこで、実は長官、いらっしゃらなくなると非常に質問がしづらくなるのですけれどもね。私が質問しましたのは、この前に市長選挙が五十九年に行われているわけですけれども、市長選挙の開票は反対派の市長が勝ったわけですが、その後の票の動きを今申し上げたわけですね。 そうすると、これは別にイデオロギー的な立場で言っているわけじゃなくて、票というのは客観的に出てきたものですから、建設反対、容認の票を比べてみると、市会議員の議席の数では今回二議席容認派が多かったけれども、票は過去二回の住民投票と市議選の票で見ると、やはり反対の方が票が多いんですよね。この事実はお認めになりますかということなんです。 それはやはり市民は、あえて今の時点ではと申し上げましょう、これから防衛庁の方は説得するとおっしゃっているんだから、今の時点では米軍住宅建設反対という市民の方が多いというふうに私は受けとめているのです。防衛庁長官は、まずその辺はそういうふうにお認めになりませんですかということなのです。
○加藤国務大臣 市長選挙の結果とか、種々のリコールから見ますと、現在反対派の方が多い数字になっていることは私たちも承知いたしております。ただ、この間の議会選挙の最後の票を見ますと十四対十二になっておりますが、その票をどう見るかというのもいろいろの議論がございまして、数多く立候補者を立てれば票は多くなるんだというような議論もありまして、その部分については、あえて地方レベルにおける選挙について政府の方が余りとやかく言うのは差し控えます。いずれにしても、かなりまだ反対者が多いということは私たちも認識いたしております。
○市川委員 ちょっと引きとめてしまって申しわけないのですけれども、事が事ですから。 はっきり申し上げて、私はこう思っているのです。やはり反対の方が多い、これはもう事実です。住民投票の結果、まあ市会議員の選挙は別として、おっしゃるように候補者が多いとか少ないとかいう議論が入り込む余地がありますから、住民投票で見ると反対の方が多い。これで施設庁が予定どおり強行しますと、やはり私は何らかの混乱が起きると思うんですね。だから何らかの和解が必要だというふうに私は考えているのです。 まあ、自民党神奈川県連の小此木県連会長も話し合い解決ということをちらっとおっしゃっていらっしゃるし、現在の富野市長も議会との和解ということをおっしゃっておられるようだし、まずその入り口の議論として、米軍がもう弾薬庫としてあの地域を使用しない、それからもし仮に、将来のことではありますけれども、日本に返還されたときに、自衛隊が弾薬庫として使用はしません、まず一つはこれが、反対派も賛成派も含めてこのことだけはぜひはっきりしてほしいというのが、私は、反対賛成を乗り越えた逗子市民のコンセンサス、悲願だと思うのです。この確認もできないとなると、ちょっと事態は非常に難しくなるのじゃないかという意味で伺っているのですけれども、これを今ここですぐ御答弁できないかもしれません。米軍が弾薬庫として使用しない、自衛隊も使用しませんというこの確約を努力するお考えはありませんか。
○加藤国務大臣 米軍に提供されております国有地でございますので、その利用の形態につきまして将来どうなるかにつきましては、極めて行政的に申しますならば現在のところ何も言えないということになろうと思いますし、未来永劫弾薬庫に使うなということを確約せいと言われましても、それは無理なことですという答弁になると思います。 事務的にはそうなると思いますが、しかし、米軍が家族住宅をつくって、その下に弾薬庫をつくる、将来つくるということがあり得るでしょうかといえば、それはないと思っていただいて結構だと私は思います。(市川委員「つくるのじゃなくて、今あるわけですから」と呼ぶ)それを弾薬庫として今後使うということがあり得るでしょうか、家族の住宅が上にあるところで弾薬庫として使用するということは、私はあり得ないと思っていただいていいと思います。
○市川委員 その弾薬庫の上に住宅ができるわけじゃないんですよ、それは地域は違うと思うのです。要するに、あの地域は米軍が弾薬庫としてもう使用しないという米軍の方の意思表示、それから防衛庁として、仮に将来返還されたとしても、自衛隊として弾薬庫としての使用はしませんという、これは住宅建設容認の人たちも言っておるわけです。米軍住宅をつくっていいという人たちも、これだけは確認してほしいということをみんな言っておるわけですよ。まず、この程度のことがはっきりしませんとこれは話にならないと思うのですけれども、それを防衛庁として努力なさるお考えはないですか。
○加藤国務大臣 先ほど申しましたように、事務的に言えば安全保障についてのいろいろな協議とか手続とかありますけれども、いわゆる住宅をつくって、そしてそれをかなり長期に使用しようというときに、その真下ないしその同じ敷地の中に、仮にそれが二百九十町歩の広さであったとしても、弾薬庫を現実につくり使用するということは考えられないと私は思います。そういうことは将来まずないと思っていただいて結構でございます。
○市川委員 そこまではっきりおっしゃるなら、一回それを手続的にはっきりする努力をぜひしてほしいというふうにまず御要望申し上げておきます。あと、政治家である長官にぜひ伺いたいこともあるのですが、どうぞ……。 施設庁に引き続いてこの問題をお伺いします。 今、防衛庁長官の御答弁を伺っていたのですけれども、佐々長官、これは何らかの和解なんということは全く考えていないのですか、話し合いは。要するに、もう既定方針どおりアセスを進めてやっていくんだということでしょうか。まずその点をお伺いしたいと思います。
○佐々政府委員 お答えいたします。 その和解という言葉の意味がどういうことなのか、富野市長が最近市議会との和解をいたしたい、こういうことを言っていらっしゃいまして、国と和解というよりも、まず多数派を占めた市議会との和解をいたしたい、こういう提案をなさっているということを承知をいたしております。新聞等で承知をしている限りでは、この計画の白紙撤回を、白紙撤回するから建設賛成派の市議会の方々も三十三項目の要求を白紙撤回してもとへ戻して協議のテーブルに着きたい、これが何か和解の条件だ、かように承知をいたしております。 実は、その三十三項目の条件を白紙撤回をして和解をせよという御質問だといたしますれば、この三十三項目のうちの二十七項目については私どもは確約をいたしまして、そのうちの幾つかは既に実施を始めておるわけでございます。 まずその第一、今御質問のございました弾薬庫の名称の変更をせいというのが実は三十三項目要求の中に入っているわけですね。これは恐らく、弾薬庫という名称が残っている限りまた将来いつ弾薬庫になるかわからないという不安があるから、手続的にこれをきちっとせい、こういう御要望だと承りまして、私どもはそれを踏まえまして、昭和六十年十一月十四日、日米合同委員会におきましてこの名称変更をいたしました。もはや弾薬庫ではございませんで、この施設の名称は、米軍家族住宅及び海軍補助施設、若干の物置場、補給用品なんかの物置場にしたい、こういうことで手続的にやっております。そんなことから、三十三項目の白紙撤回が和解の前提条件である、こういうお話でございますれば、これはちょっとお受けするわけにいかないというのが私どもの立場でございます。
○市川委員 施設庁として、白紙撤回というのはこれは非常に無理な御相談だと思うのですけれども、そういう白紙撤回しゃなくて、要するに市長は反対、議会は賛成が多数というけれども、たった二人ですよ。一人今病気で倒れてしまっている。一人が病気で倒れていますから、賛成派が議長を出しますと十二対十二ですよ、議長が採決はするのでしょうけれども。そういうすれすれの議会の状況ですね、今一人が病気で倒れていますから。だから、ただ三十三項目全部引っ込めるということを申し上げているわけじゃなくて、それは施設庁から見れば賛成派も多いのだとおっしゃるけれども、しかしさっきから申し上げていますように、過去三回の選挙では票で見る限りは反対派の方が多いことも事実なんです。これはボタンのかけ違いというか、施設庁がただかたくなに進んでいくという姿勢だけで果たしてうまくいくのだろうか、また混乱の再現が起きるんじゃないか、こう私は考えているのです。 私どもは、日米安保条約というものを一応認めているわけです。安保条約反対だから米軍住宅反対だ、こう言っているわけじゃないのです。日米安保条約の持つ一定の抑止力を評価している。自衛隊もそれなりに認めているわけです。そういう立場であの逗子の問題を見てきたし、考えてきたわけです。もちろん、ただ米軍住宅反対ということだけを言ったつもりはありません。何らかの接点、要するに、市民が二つに割れてくたくたになるぐらいリコール合戦をやるという不幸な事態を何とか解決できないかということも一生懸命考えて、私たちなりに苦しんでいろいろやってきたことも事実なんです。しかし、これでまた振り出しに戻った感じがするわけですね。この解決を誤りますと、これは三宅島の問題も連動してかなり厳しい状況に施設庁は追い込まれるのじゃないかというふうにも私は思いますし、何か努力できないのかなということを考えているわけです。 私たち、いろいろな提案をしたことがあります。例えば救急の総合病院をとか言ったこともあります。あるいは、あそこの地区は国営自然公園として緑を保存するために国の記念公園の指定を受けたい、建設大臣も最有力候補地として考えていいという御答弁もあって、そういう話も実はずっと進んできたわけであります。何か国家的な記念のことがあればいいんだけれどもということで、当面そういうものがないので、もし何かあれば、そのときは最優先にあの地区を記念公園として指定したいという建設大臣の答弁もしばしば国会でいただいてきた経緯がある。今返還されておりませんから、建設省や国土庁に伺いますと、あの池子地域は外した案を三つか四つ考えておられるようなんですけれども、そういう住民の強い要求も一方にはあるわけです。そういう要求を全くネグってしまって、ただ米軍住宅をつくればいいんだというだけで解決ができるんだろうか。もし解決するとしたら、そういう市民の切実な要求というものももうちょっと施設庁として努力してみる気持ちはないのか。米軍の方の意向がある程度おわかりになっているのかどうか知りませんけれども、そんなことを今まじめに私たちは考えているのです。ただ賛成、反対で突っ走っていけば楽でいいのです。だけれども、何とか市民の連帯を回復したいということを今私たちは考えておるわけですが、施設庁として聞く耳は全然持ちませんか、どうですか。
○佐々政府委員 お答えいたします。 防衛施設行政にとりまして、地域住民の理解と御協力が得られるというのは基本でございます。私ども逗子の現在の事態を、先生も御心配のように大変憂慮して見守っておるわけでございます。と申しますのは、市長は反対、市議会は逆に促進決議を前回いたしました。そのほぼ同じメンバーの方が今回のリコールで再選されてまいりましたので、この対立は、私ども国の問題と申しますよりは、地方自治体の首長である市長さん、あるいは地方の議会、民意を代表する議会の話し合い、和解、これがまず第一の前提条件ではないだろうかと考えております。 先ほど大臣が途中まで、あと政府委員ということで御答弁になりました緑の問題、これも私どもも最大の配慮をしたつもりなんでございます。難しい説明は省略いたしますけれども、二百九十ヘクタールのうち二十五ヘクタールが既に裸のコンクリート、道路、倉庫、弾薬庫なんかになっているわけです。二百六十五ヘクタール残っている緑のうち、環境アセスの命ずるところの植樹や何かいたしますと、結局減るのは十ヘクタールだけで、池子の緑の景観はそのまま残す努力を我々払っておりまして、そのことは環境アセスメントの中に書いてあるわけでございますが、この問題が十分御理解いただけていない、これをもう少し御説明しなければいけないなと考えております。 それから、しゃにむに何が何でも今の条件でやるのかというお尋ねでございますけれども、実は二十七項目お答えをしたわけです。三十三項目でこれはできませんと申し上げたうちの一つに、例えばその国立公園の問題がございます。これは全く所管外でございますし、またアメリカ側にこれを返還する意思がなくて継続使用したいという意向が強い以上、日米合同委員会の合意が見られなければ、安保条約第六条によって、我々は条約国としての義務があるわけなので、施設庁ではこれは何ともならないということで、申しわけございませんけれども、国立公園案はできませんというお答えをいたした一つでございます。ただスポーツ施設だとかなんとか、いろいろな問題につきましてそのほか二十七項目あるわけでございますが、新しい市政になり、あるいは新しい再選された市議会で、前市長、前市議会が御要求になり我々がお約束をいたしましたところの項目の中身、スポーツ施設でなくて、例えばもっとこういうものが欲しいという新しい御要望には、この周辺対策でできる範囲であれば柔軟に対応いたす心構えはございます。 ただ、先ほど一番最初に申し上げましたように、全部白紙撤回をしてからもう一度話し合うということにつきましては、例えば第七項でしたか墓参をやらせてくれというのがございまして、これは既に実施をいたしておりますので、そういう柔軟性がないわけではございませんが、前提条件によるかと存じます。
○市川委員 ただ、申し上げておきますけれども、三十三項目地元はそう言って、施設庁は二十七項目、これは建設容認を決定した市長と施設庁の間で交わした約束なんです。今の市長は建設反対なわけですということが一つ。今のような姿勢で仮にいくとなると、私は逗子でまた難しい事態が起きるなと思っております。それでも構わないとおっしゃるなら、それはそれでまた考え方の違いですから、私たちは私たちなりの対応を考えざるを得ないと思っておるわけです。 何か緑がたくさん残るみたいなことをおっしゃるのですけれども、もうちょっと時間があればたっぷり一時間くらいできる質問資料を、アセスメントの中身について原稿用紙で約二十枚くらい私も調べてきたのです。例えばそういうことじゃないのですね。一回ブルドーザーを入れてしまって芝生を植える、住宅の周辺とか運動場に。その運動場に植えた芝生まで施設庁の計算には入っている。芝生を抜くと緑地率はがくんと落ちるわけです。こういうようなこともあるわけです。それから、例えば施設庁横浜防衛施設局で発表した保存緑地植栽計画。芝地というのは二一・七ヘクタールも入っているわけです。こういうこともあるわけです。 残された時間で端的にやりますけれども、池子の森が首都圏に残された貴重な緑であるということについての政府の認識はどうなんでしょうか。これは環境庁と防衛庁にお伺いします。
○加藤説明員 池子の地域でございますが、標高十メートルの平たん部から百三十メートル前後に至ります丘陵性の山地でございまして、平たん部に弾薬庫等の施設が散在するほかは森林で覆われているところでございます。これらの森林は、尾根部等にウラジロガシでありますとかアカガシ等が生えておりまして、また山腹部にはケヤキ等の高木林がありますほかは、大部分がコナラ等の二次林でございます。近隣の森林と一体となりまして、大都市の近郊としては規模の大きな森林であるというふうに理解しております。
○宇都政府委員 お答えいたします。 池子弾薬庫という施設が戦時中旧海軍によって設置されまして、戦後も米軍によって一般の人が自由に立ち入れなかったという経緯がある、そういう結果から、自然環境の良好な状態の森林が残っているということは私どもも十分認識しておりまして、この森林は、三浦半島でも随所に見られる自然林の中でも自然性の高いものと考えております。 ただ、神奈川県の土地統計資料によりますと、神奈川県内三十七市町村の行政区域の中に占める森林の面積の割合を比較しますれば、逗子市は県内で十番目でございまして、逗子市よりも森林面積の割合の大きい市町村というのは、南足柄市、箱根町、松田町等農山林地帯でございます。三浦半島、湘南地区の逗子を除く十二市町の森林面積の割合も三七%、それから県内全体の平均が約四〇%でございますが、逗子市は山林が約千ヘクタールございまして、五六%の割合を持っております。 このように、逗子には緑が大変豊富に残っていることは私ども十分認識しているところでございまして、私ども住宅建設に当たりましては、その緑を残すように、先ほど施設庁長官が申しましたように緑地面積が十ヘクタール程度減る、いわゆる施設全体に対して三%程度、施設内の緑地に対して四%程度の減少に抑えるように最大の努力をしているところでございます。
○市川委員 緑が最大の配慮とおっしゃっていらっしゃるので申し上げるのですけれども、開発のやり方としてはオールカット方式を採用されているわけですね。要するに一回自然環境を伐採したり木を抜いたりひっくり返して、建物をつくった上で木をまた植え直して、芝生を植えたりして緑を保全するというやり方ですわ。ですから、八十ヘクタールのうち六三%の自然に手をつけるわけですよ、施設庁が出しているアセスによりますと。その結果排出される土砂量は二百十万立米。これに対して最近注目されておりますクラスター型開発、クラスター型方式、いわゆるブドウの房状開発というものが千葉県などで注目を浴びておりますけれども、要するに可能な限り自然環境とか地形を生かしながらやっていくというやり方です。今の施設庁のやり方はオールカット方式で、一回全部植えてある木を抜いてしまう、造成してしまうわけです。住宅をつくった後で木を植えましょうということですね。環境保全という立場で考えますと余り賢明なやり方とは思えないのですね。最大の配慮をしているとおっしゃるのだけれども、クラスター方式の方が緑を守るという意味においてはすぐれているのじゃないかと私は思うのです。 景観という理由をおっしゃると思いますが、高層住宅を避けて低中層住宅になっていますね。それから、米軍住宅というのは住宅感覚が違うと言ってしまえばそれまでですけれども、日本人の住宅感覚から見ると非常にぜいたくな広さを確保していますね。 こういうことを考え合わせますと、このオールカット方式というやり方は、緑を守る、環境を保合するという意味においては決していいやり方、賢明なやり方、あるいは最大の配慮をしたやり方とは言えないのじゃないか、私はこういうふうに思っておりますが、この方式を比べてみて環境庁どうですか、環境庁の意見を聞きましょう。
○加藤説明員 この開発方式につきましては近年言われておりまして、厳密な定義というのはなかなか難しいわけでございますが、オールカット方式は開発対象地域を全面的に整地等をいたしまして上物を建設する、また改めて植栽等による緑化修景を行う方式であるというふうに理解しております。またクラスター型の開発方式と申しますのは、開発対象地域を地形等によりましてブドウなどの房状に整地等を行う地域と、一方そのまま残して保全する地域とに分けて行う開発方式、こういうふうに理解をしております。 どちらの方式が環境保全上適当であるかということを一律に断定するというのは大分難しいことでございまして、そのときそのときに合わせまして、各般の具体的な条件を考えて、どちらが適しているかということを判断するということが適当ではないかと考えております。
○市川委員 何かおかしいね。環境庁らしからぬ答弁をなさっておりますか、じゃどっちが緑を守れますか。環境庁、その観点で。
○加藤説明員 実はもう一つ申し上げますと、例えば住宅でありますと、同じ戸数を建てるという場合に、オールカット方式の方は、例えば一ヘクタール必要であるということになりますと、その一ヘクタールについては確かにその中で従来の植生等を一応全部切る、オールカット、こういうことになるわけでございますが、クラスター型の場合は、同じ戸数の建物を建てるということになりますと、その必要な地域としてはより広い地域が必要になる、こういう問題もございますので、やはりその地域に合わせて取捨選択しなければならない、こういうことを申し上げたわけでございます。
○市川委員 どっちが緑が残るかと聞いているんですよ、その判断を。どうですか。環境庁としてはクラスター方式の方が緑が残る、こういう見解をお持ちなんでしょう。施設庁に遠慮をしておっしゃれないのですか。
○加藤説明員 敷地の面としては全く同じことになるわけでございまして、一長一短あると言わざるを得ないわけでございます。
○市川委員 僕が施設庁の別の方に聞いた時点では、緑の保全率ではクラスター方式の方がはるかに高いということをおっしゃっていたのですけれども、国会の場になりますとああいう答弁になるのでしょう。 これは専門家の意見なんか聞きますと、オールカット方式というのは、結局地形とかどういう緑があるかなんというものは全部無視してしまって一回全部伐採してしまうわけですからね。整地してしまうわけですから。クラスター方式は、あれは残しておこう、地形に合わせてここはこうしておこうというので保存をしておくわけですから、これははるかにクラスター方式の方が緑や生態系に対する配慮はすぐれているというふうに私は理解しているのです。 一長一短というものがあるということを、ある程度そちらの立場として認めましょう。それはそれとして、普通は、環境アセスメントにかける場合はA案、B案、C案三つぐらいかけるのが普通なんですよ。環境アセスメントというのは本来は議論する場ですからね。それを施設庁の場合は、一つの案だけがベストでこれ以外はないんだという形でかけてきた。それも何となく恩着せがましく、本来ならかけなくてもいいのにかけているんだという言葉がついて回ってくる。その辺、どうも住民の感情がまだわかってないのではないかというふうに思うのです。要するにオールカット方式に決めた理由、一長一短があるという立場で、それではどうしてクラスター方式を採用しないでオールカット方式にお決めになったのですか。オールカット方式の方が緑が守れるという理由、池子地域についてこの方式の方が緑がより守れるんだという理由を教えていただきたい。
○佐々政府委員 お答えいたします。 正確に申しますと、オールカットとクラスターの組み合わせであろうかと考えております。すなわち、八十ヘクタールを全部一遍カットして、それから植樹をするんだろうという御指摘でございましたが、三十ヘクタールは手つかずに残る。三カ所の部分を削りますので、この部分はオールカットでございますが、残る三十につきましてはクラスター。地形が大変傾斜がきついものでございますから、実はクラスターを検討いたしましたができなかった、こういう事情がございます。 次に、先ほどの、なぜもっと高くして高層化することによって削る面積を少なくしないのかというお尋ねでございますが、これは実は本来もっと高くしたいのでございますけれども、市の建築基準がございまして二十メーターという制限がございます。六階建ての九棟、こういうことと相なったものでございまして、これも実は高度制限をちゃんと守れというのがその三十二項目の要求の中に入っているということを申し上げたいと思います。 それから、なぜ一つの案だけで環境アセスにかけたかというお話でございますが、実はこれにつきましては、米軍のもとの要求というのはもっと大きいものでございました。千三百戸つくってくれ、そしてできれば低層のものをたくさんつくってくれという要求でございましたが、日本の住宅事情等説明いたしまして、集中化をいたしまして六階建ての九棟、こういうものにいたしました。戸数も九百二十戸ということで、必要な数字を詰めまして減らしておる。こういうところから、A案、B案、C集いろいろあったのでございますけれども、その九百二十戸案で、一番緑の削り方の少ない案ということで、現在御審議いただいております環境アセスメント案となった次第でございます。
○市川委員 しかし、オールカット方式のヘクタールの方が大きいわけですね、そういう意味では。 それから、今神奈川県の環境アセスの審議会にかけられておるわけですけれども、その審議会の委員が現場を見たいと言ったところ、しかし提供地なのでという理由で断られておるようですが、現地をちゃんと見せたらどうですか。そういうお考えはありませんか。
○宇都政府委員 お答えいたします。 神奈川県の環境影響評価審査委員会による池子住宅及び海軍補助施設の現場調査は、昭和六十年の九月十八日に概況調査が行われまして以来、動物とか植物あるいは文化財に関する調査を実施してきておりまして、今月の四月十四日に植物部会の現地調査が行われるまで既に三十八回立ち入りが行われております。この間に立入調査を国あるいは米軍の方でお断りした事実はございません。ただ、横浜防衛施設局と神奈川県との現地立ち入りの事前調整の段階におきまして、ことしの四月八日に立ち入りしたいという御要望がありましたが、米側の都合によりまして日にちが変更されまして、先ほど申しました四月十四日に行われた、一回そういう変更があったという事実はございます。
○市川委員 その立ち入り場所なんか制限していませんか。
○宇都政府委員 立ち入りに当たりましては、環境影響評価書案作成に必要な範囲で実施されております。また、米軍の資材等がまだ保管されておりますので、そういう資材置き場等の位置について立ち入りできない場合等はあるかと思います。
○市川委員 では、今後立ち入りについてはきちんと許可するわけですね、拒否はしない。 要するに、アセスに立ち入って伺ったのは、余り自画自賛なさり過ぎるから、そんなことは決してないのであって、例えば芝地の面積が八十ヘクタールのうちの二七%ですか、二一・七ヘクタールというのは。これが芝地ですよ。運動場の芝生も入っておるのではないですか。そうやって緑地の減少面積を計算しますと、芝地を除くと六一%、芝地を含めると三四%。これは大分違うのですよ、芝を入れるか入れないかで。そういうことも一応申し上げておきます。 結論として申し上げたいことは、今のままで三十三項目の白紙撤回ということではなくて、何らかの接点を見出す必要があるんじゃないでしょうか。住民の理解を得なければならないということを一方で言いながら、一方で住民の意思は三回の票数でははっきりと反対が多いという事実があるわけですから、それを全く無視して今までどおりというこの姿勢、非常に強い姿勢ではあるのですが、やはり非常に反発を感じますね、逗子の市民の側から見ますと。そういう意味で何らかの接点を求める努力をなさるべきだということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
○志賀委員長 永末英一君。
○永末委員 防衛庁長官、来ていますか。――来ておらぬ。何時ごろ来ますか。
○志賀委員長 六時十分過ぎごろと言っていたそうでありますから、間もなく見えると思います。
○永末委員 今六時十分過ぎであります。時間を間違ったら戦争できませんよ。
○志賀委員長 十分過ぎごろと今私、申し上げたのです。
○永末委員 今回提案されております安全保障会議設置法案でありますが、我々は、我が国の国防に関する最も重要な政府の意思決定機関、最終的な決定は総理大臣そのものでございますが、その総理大臣の考えを固めるについての諮問機関としては一番重要な意思決定機関である国防会議がございまして、この国防会議というのは、もともと昭和二十九年に防衛庁設置法の中にそれが描かれ、それを受けて国防会議の構成等に関する法律が昭和三十一年にできました。言うならば防衛庁があっての国防会議、こういう形になっておって、いかにもどうもよその家に部屋借りしている感じがぬぐい切れない。やはりはっきりと総理大臣に直結をしたこの種のものをつくって、そして一番重要な国の国防等に関する意思決定機関とすべきであるという主張をいたしてまいりました。そして、その名前は国家安全保障会議とせよというのが民社党の年来の主張でございました。 党首会談を行いましたときにも、近年そのことを強く歴代の総理に申しておったのでございます。その申し入れを自民党が受け入れたかどうかは知りませんが、今回この安全保障会議設置法というのが出ました。申し入れた方でございますから、何ほどか我が方の考えが具現しているかと思って法案をつぶさに検討してみたのですが、どうも実現しておるのかしておらぬのかよくわからぬので質問をぜひいたしたい、こういう次第で質問をいたしますので、ひとつ明確にお答えを願いたいと思います。 第一は、したがって国防会議を構成している議員の方々に実は聞きたい。つまり大臣に聞きたいのでありますが、それぞれ大臣が忙しいものですからそうでない各省の代表の方が来ておられるようでございまして、大臣がおられなければしようがないのでありますが、殊に議長役である総理大臣に聞きたいことが山ほどありますが、これはまた別途総理大臣もいずれこの委員会に来られると思いますので、その分はその分として伺うことにいたしまして、外務大臣がアメリカへ総理とともに行きましたときに、リビア攻撃について何か聞いた、詳細は聞いてないということでございますが、外務省は、外務大臣はアメリカによるリビア攻撃、何を聞いたと承知しているのですか。
○久米説明員 今回の総理訪米に当たりまして、米側からは具体的な事前通報ということではございませんけれども、キャンプ・デービッドにおける食事の機会に、米国としては、先般西ベルリンで起こりましたディスコ爆破事件につきましてリビアが関与しているということについて確固たる証拠を有しているということ、また将来同様の事件が再発する可能性もあるということについて説明がございまして、米国が近いうちに必要な措置をとる可能性、対リビア攻撃を行う可能性について一般的な形で説明がございました。米側の話は一般的な話でございまして、いつ、どこで、どういう形でというような具体的な話はございませんでした。
○永末委員 一般的な話であれ、リビア攻撃をするという話でございますから、これはアメリカの第六艦隊が戦闘態勢で攻撃をしたわけです。アメリカは、地球上のある地域で戦闘を開始いたしましたら、当該地域のみならずその他の地域におきましてもアメリカ軍は警戒態勢に入るのが通例でございますが、防衛庁長官、アメリカ軍はこのリビア攻撃に対しまして他の地域で警戒態勢をとりましたか。
○西廣政府委員 アメリカ軍が特別な警戒態勢をとったかどうかということについて、私どもの方に特に連絡はございません。
○永末委員 そういう場合には、日本にもアメリカ軍がおるわけでありまして、我が日本側には全く通知はしないわけですか。
○西廣政府委員 外務省からお答えになるところだと思いますが、少なくとも防衛庁には連絡はございませんでした。
○永末委員 我が方とアメリカとの間には、アメリカの軍隊と我が自衛隊とが共同行為をするいろいろな話し合いが行われ、またその作戦につきましても打ち合わせが行われたということを、総理が国会でも明言しておるわけでありますけれども、それほど緊密な関係があるのに、アメリカ軍がどこかで戦闘態勢をとっておるのに、我が方の政府はそれを全く知らぬままにやっておるというような状態でいいのでしょうかね。防衛庁長官、どう思いますか。
○加藤国務大臣 これが直接我が方の防衛にいろいろ関係したりすることであったならば多分連絡があったと思いますけれども、そういうような事態ではなく、連絡はなかったのではないかなと思います。 いずれにいたしましても、直接連絡があるかないかは外務省を経由して行っておりますので、外務省の方からお答えいただいた方が正確だと存じます。
○渡辺(允)政府委員 先般のリビアにおきます事件との関係での米軍の動きにつきましては、外務省といたしましても特別の連絡はアメリカ側から受けてはおりません。
○永末委員 外務大臣は一般的な話としてリビア攻撃をやるということを聞いたという話ですが、外務大臣から防衛庁長官にすぐ連絡がありましたか。
○加藤国務大臣 すぐには連絡はございません。
○永末委員 日本の外交は極めて平和的な外交でございますが、きな臭いことは世界であちこちにおいてやっておるのでございまして、我が国に極めて近いアメリカがきな臭いことをやる場合に、我が方の自衛隊というものはその部面について我が国ではそれを担当しておるわけでございまして、その長である防衛庁長官が、アメリカがきな臭いことをやることに、知らされなければ知らぬという状態でおっていいのかなという感じがするのですがね。だから、リビア攻撃があってから何か連絡されましたか、防衛庁は。
○西廣政府委員 先ほど来お答え申し上げておりますように、防衛庁としては米軍の行動についてそれを知り得るあるいは連絡しなければいけないという立場にありませんので、米軍なりアメリカ政府から直接その種の情報を受けたわけではございませんが、外務省経由でいろいろの情報を受け取っております。
○永末委員 少し古い話を伺いたいのでありますが、一九七六年九月六日に、ソ連のミグ25が函館空港に突然着陸いたしました。この事件につきましては、とんでもないことでございますから、日本政府は各省庁それぞれ対処に追われたわけでございまして、運輸省は航空法違反だからという考え方を持つし、法務省は不法入国だという考え方を持つし、また外務省は入ってきたソ連の空軍将校が亡命意思を持っておるかどうかというようなことを調べなければならぬと思うし、警察庁は航空機に銃砲がございますから銃砲等不法所持でやってきた、こういうことになろうと思うので警察が所管としてこれを扱わねばならぬと思ったようでありますが、防衛庁はどう思ったのですか。
○西廣政府委員 私どもとしましては、まず領空侵犯が行われた、さらにパイロットが亡命をし機体が我が国に着陸をいたしたわけでございますので、その種の機体等があるいは奪取される、あるいは破壊されるということもあるのではないかという懸念をいたしたわけでございます。
○永末委員 ソ連の現役の航空機が他国へ着陸をしておる。それは軍事機密に属する部分が非常にある航空機でありますから、相手国としては、今防衛局長が申しましたように、その航空機をやすやすと日本の手にゆだねることはないはずでありまして、それを焼却する、あるいはそのために攻撃をするとかいうことが考えられる重要なことである。したがって、そういう事態に即して防衛庁はどういう態勢をとるかということを当然考えられたに違いない。どういう措置をおとりになったのですか。
○西廣政府委員 平時においてとり得る措置といたしまして、これは現地の指揮官なり司令がとり得るわけでございますが、事が事でございますので、長官みずからが対応措置について遺漏なきようという指示を出しまして、各種の措置をとったわけであります。 まず陸上自衛隊につきましては、函館に第十一師団隷下の二十八普通科連隊というのがございますが、この連隊についていわゆる第三種勤務態勢、つまり全員を待機させるという態勢をとったのが中心でございます。それ以外に、北部方面総監部、それから第十一師団司令部が指揮所を開設する、これは第二種勤務態勢ということになりますが、そういった形で警戒を強化する。さらに函館駐屯地では、十一日には第二十八普通科連隊が緊急配備訓練という形の訓練を行っております。そのほか、当時たまたま函館駐屯地で武器展示でL90という対空高射機関砲、それから戦車等の展示をいたしておりましたが、そういったものについてもいざというときに操作できるような状況で、例えば弾薬等を駐屯地に輸送するといったような措置を講じております。 それから海上自衛隊でございますが、海上自衛隊につきましては、九月八日から二十四日の間、艦艇及び航空機による津軽海峡の監視を強化いたしております。 航空自衛隊につきましては、第二航空団等が平常の警戒態勢の枠内でありますけれども待機を強化する。さらに偵察航空隊、RF4Eでございますが、これが十三日から二十四日の間函館周辺で偵察を行っております。
○永末委員 それは、ソ連が軍事力を持ってやってくるかもしれぬ、このためにやった措置ですね。
○西廣政府委員 その種のおそれも全くないではないということで、警戒を強化いたしたということでございます。
○永末委員 やってくればどうするかということでございますから、当然実弾を持っていったのでしょうな。
○西廣政府委員 艦艇等につきましては、通常、平時におきましてもある数量の実弾を搭載いたしておりますし、先ほど申したように駐屯地では駐屯地用の弾薬を所持しておる。それから、たまたまその駐屯地に来たL90なり戦車といったものについては、その装備のための実弾を輸送したということでございます。
○永末委員 この飛行機は二十四日に百里へ来ましたが、九月六日から二十四日まで相当な日数がある。その間いろいろな情報があったと思いますが、この異常な状態、しかもまかり間違えばソ連軍の攻撃を受けるかもしれない。それで、国防会議は開かれましたか。
○塩田政府委員 国防会議は開かれておりません。
○永末委員 これからがこの安全保障会議の話になるのでございますが、これは官房に置かれるようですが、そういう危急差し迫った状態があって、開かれなかった国防会議というのは一体どういうものですか、官房長官。
○後藤田国務大臣 先ほども重大緊急事態というのはどういう事態だという御質問がございましたが、そのときにも、過去の例としては、ダッカの事件であるとかあるいはミグ25の事件、こういうものがやはり想定をせられる、こうお答えをしておるわけでございますが、私は、あの種類の事件が起きたときには、これはやはり適切に政府の意思を決定して関係機関がそれぞれの立場でその基本方針に基づいて有効適切な処置をとるべき事態だと思いますから、安全保障会議ができればそれに付議すべき事件であろう、かように考えるわけでございます。
○永末委員 防衛庁長官はそのときは防衛庁長官ではありませんけれども、今までの国防会議というのは防衛庁で考えたことの追認機関みたいな仕事をしておったわけですね。もしこの航空機に対してソ連が何らかの手を加えようとすれば戦闘になる、そうしますと、内閣総理大臣が適法に火器を使用しようとすれば防衛出動を下命せざるを得ない。これは国防会議の仕事でございますから、防衛庁はそういう必要を感じて何らかのことをやったのか。結果的には国防会議は開かれなかった、防衛庁は先ほどのような措置をした、こういうことでございますが、措置をしただけで、何もしなくてもいいと言ってしなかったのか、それとも国防会議の開催の必要を感じその準備をしたのか、この辺を明らかにしていただきたい。
○西廣政府委員 防衛庁といたしましてもさまざまな措置、これは平時においてとり得る範囲の措置をとったわけでございます。その間、関係の閣僚の会議なり個別の相談なりいろいろ調整が行われたわけでございますが、国防会議にかけるかかけないかということは、先ほど来別の委員にもお答え申し上げましたけれども、現在の国防会議の議題としては、総理が国防上の重要事項であるという御認識のもとに諮問をされませんと、国防会議というものがそれについて協議をすることになりませんので、ミグ25の事件に際してはそのようなことは行われなかったということでございます。
○永末委員 これは一九七六年のことでございますが、一九七八年にいわゆる栗栖統幕議長が、奇襲があった場合には超法規的な行動をしなければならぬという趣旨の発言をしたことで、退任をしていかれたという事件がございました。そこで防衛庁は、その年の九月二十一日に奇襲対処についての考え方を発表いたしました。慎重に検討しているのだということでございました。そのことは次の年度の防衛白書にも書いて印刷してございます。五十五年、五十六年と防衛白書に、慎重に検討し続けていることが書いてあるのですな。それからことしは一体昭和何年になりますかな。防衛白書に書かなくなったわけですね。これは慎重に検討を終わったのですか。
○西廣政府委員 奇襲対処の問題につきましては、その当時あるいは国会等でも御報告申し上げたと思いますけれども、現在の自衛隊法を初めとするもろもろの諸法規というものは、奇襲に対してこれに対応できるだけの基本的な枠組みはあるというように私どもは考えております。ただ、要は、そういった枠組みあるいは法制が有効に働くように常日ごろから国際情勢の把握等を十分に行っておること、あるいはそのほかの情報能力を十分持っておること、そういったことが重要であろうということでありまして、その点については逐年の予算その他を通じまして情報能力の強化等に引き続き力を入れているところでございます。
○永末委員 それはそのときでもそう言っておった。情報能力さえあるならば奇襲なんということは察知できると。察知できないから奇襲である。そんなことを言いながら、それなら偵察衛星でも打ち上げるのかというと、いや、それはまだ一般的汎用性を持っておらぬからという話で、打ち上げるという話は聞きませんが、情報とか探知とかするために全力を尽くせば奇襲である度合いは少なくなることは当然である。それならば情報探知をするために大いに前進をするかというとなかなかそうではないわけであります。口でそんなこと言っているけれども、実際は奇襲を探知するための大きな予知能力を政府が持っているように思えない。 先ほどベレンコ事件を出しましたが、これは攻撃ではなかった。しかし、あのときはっきりわかったことは、我が方のレーダーではつかまえられなかったということだけはわかった。あのとき飛ばしたF4ではちょっとつかまえたがまた見失ったというような、我が方のそのころの第一線戦闘機のF4はそういう能力しかないわけですな。このごろはF15に飛行機も変わっておるし、あるいはE2Cも飛んでおるけれども、E2Cも――それなら質問いたしますが、E2Cは四六時中探知能力がありますか。
○西廣政府委員 現在、E2Cにつきまして、二十四時間態勢の飛行警戒をさせるという任務は与えておりません。状況に応じてE2Cを発進させて早期警戒をするという形をとっております。
○永末委員 だから、奇襲の可能性はあるわけですな。 それから、偵察衛星などは飛ばすつもりはございませんな、防衛庁長官。
○加藤国務大臣 現在のところございません。
○永末委員 もう一遍伺いますが、奇襲はないと思っておられますか。
○西廣政府委員 現状におきまして、武力をもって現状変更をしようというような意図をどこまで周辺諸国が持っておるかということでございますが、やはり武力行使に及ぶ、武力を用いて侵略をするという場合には、それなりの争点が出てくるとか、あるいはさらにそういったことについてその武力攻撃を成功させようと思うならばそれなりの準備が行われるといったようなことから、ある日突然一国に対して武力攻撃が行われるということは極めてあり得ない状況ではないかというように考えております。
○永末委員 それは、昭和五十三年にあなたのところが発表した見解でも、三分の二はそれが書いてある。にもかかわらず、最後のところで、「自衛隊の特性等を踏まえて、法的側面を含め、慎重に検討することとしたい。」というのを三年間言い続けてきて、その後はどうなったかと聞いてみると、今みたいにいや、奇襲は受けることがないよう努力しているのだから大体わかる、こういう話。全然進歩しておらぬのですな。 したがって、先ほど官房長官は、ベレンコ事件のようなものは、設置しようとされる安全保障会議にかけるべき問題だと言われた。今までの国防会議ではかからなかった。しかし、かけるかどうかということになりますと、今のような場合、これはやはり実弾は持っていっておる。撃つか撃たないかということが奇襲対処に対しての一番大きな論点なんですね。撃てるか撃てないか。防衛出動の下令がなければ実弾を発射することはできないとなっているはずですな。しかし、防衛庁が承認をして警戒配備についておる、実弾は持っていっておる。何かあれば撃てということじゃないですか。このギャップはどうやって崩すんです。撃っていいんですね、今の体制でも。防衛出動の下令がなくても、もしああいう場合にソ連が空襲をかけて焼き払おうというような飛行機があらわれたら、L90を発射してよい、こういう体制になった、あるいは命令をしたわけですな。はっきり答えてください。
○西廣政府委員 領空侵犯に対しては、我が方としては、状況によって武器使用も可能だというように考えております。 また、そういった領空侵犯のような形の航空からの攻撃でない場合については、それなりの状況というものが把握できると考えておりますので、その時点で、「おそれのある場合」ということで防衛出動下令も可能であろうというように考えております。
○永末委員 空からの場合だけならやる。それなら、違ったらどうなるんですか。船があらわれて、とっとことっとこ押し寄せてきたらどうしますか。
○西廣政府委員 ただいま後段でお答え申し上げたと思いますけれども、空からの攻撃というような非常に間合いのないものでない場合には、それなりの情報をつかみ得るというように考えております。
○永末委員 要するに、もう奇襲対処の検討はやめたんですね。
○西廣政府委員 奇襲対処の検討は一応終わりまして、それに基づいて、奇襲に対してより即応性のあるような自衛隊にすべく現在整備に努めておるところでございます。
○永末委員 この防衛出動というのは、外部からの攻撃が加えられたときに防衛出動を下令されることに自衛隊法でなっております。防衛庁長官、この外部からの攻撃というのは、外部から我が領土、領空、領海へ攻撃が加わることですか、その他の場合もありますか。
○西廣政府委員 防衛出動は、我が国に対する組織的な武力攻撃のあった場合あるいはそのおそれのある場合の両者について出動が下令されるというように理解をいたしております。
○永末委員 その「外部から」というのをはっきり言ってください。自衛隊法における外部からの攻撃、「外部」というのはどこであって、どこに対する攻撃を予定しておるのですか。
○西廣政府委員 「外部」というのは外国というように御理解いただければいいと思います。
○永末委員 我が方は、先ほど領土、領空、領海などと申しましたが、我が方の艦船も航空機も今の領土、領空、領海外にも出ますね。したがって、我が方の生命、財産を脅かすような攻撃があればこれは外部からの攻撃だと思いますが、防衛庁長官、外国が公海に機雷をばらまく、そういう場合に我が方の艦船は航行が極めて困難になる。海峡封鎖の目的もありましょうし、あるいは航行を断絶させようというつもりか知らぬが、やっているところは公海である。その場合に我が方は対処できますか。
○西廣政府委員 対処という意味に必ずしも私、十分受け取っておりませんが、直ちにそれが我が方の自衛権の発動の要件になるというようには考えておりません。そのような事態が仮にあったとしますれば、それなりの外交交渉その他の方法をもってまずそういった状況を解消することに努めるということでありまして、ただいまのようなことが明らかに組織的、計画的な我が国に対する武力攻撃の一環であるというように判断されまして、しかも他に手段がないという状況で、初めて我が国が自衛権の行使をするということになろうかと思います。
○永末委員 外交交渉をやってと言いますけれども、機雷をばらまくなんというようなことは組織的な行動ですよね。したがってそういうものが行われておって、ああ、ばらまいておる、えらいことだ。それでは、その使われておるものの所属の国を見きわめて交渉しますか。排除することはしませんか、そういう場合に。
○西廣政府委員 今排除と申されたのが単にそれを取り除くというような意味、例えば公海上に浮遊してある機雷があれば我が方としてはそれを破砕する、あるいは取り除くということで言えば、そのようなことは行われるだろうと思っております。
○永末委員 我が国の周辺海域は広いのでございまして、例えばA地域にある日それが行われる、我が方はそれに何も対抗手段を講じなかった。また次の日にあるいは数日後に違う地域の公海上に似たようなことが行われる。一遍行われれば危ないからこっちは警戒しておる。それを航空機でやるかあるいは船でやるかわかりませんが、それが予知せられた行動に出た場合に、その航空機やあるいは艦船を排除することはしませんか。
○西廣政府委員 御質問の趣旨を必ずしも十分につかめてないのですが、今仰せられたのは、公海上で我が国の船舶がどこの国かの船舶なり航空機から攻撃をされた場合に排除をしないかというように理解をしたわけでございますが、それをもって直ちに――私ども、それが日本に対する組織的、計画的な武力攻撃であるかないかという、まずそういった総合的な判断、認識が大事だろうと思います。 ただ、仮にそういった攻撃が海賊攻撃のようなものであるとするならば、それはいわゆる警察権の行使というような形で海上保安庁なりあるいは自衛隊なりが、現行犯のような形であれば何らかの措置はし得るのではないかというように考えております。
○永末委員 私は、我が方の船舶に対する攻撃、海賊的行為などを言っておるのじゃなくて、機雷を敷設していることを聞いているのでして、似たような話でございますからもうちょっと話題を変えます。 一九八〇年八月二十一日、ソ連の原子力潜水艦が故障を起こしました。そして、これは沖縄領海の南方でございますが、ごたごたとやっておりましたが、結局沖縄領海を南から北へ突っ切って、横断をしてそれからウラジオ方面へ行ったようであります。明らかにこれは我が方の領海侵犯をやってのけたんでございまして、しかも、我が国はそのとき、領海に入ったときに、よその国の軍艦でございますけれども、その領海通航を許可しておりません。許可してないにかかわらず彼らは日本の領海を横断していたということでございまして、原子力潜水艦がどういう兵器を積んでいるかはその時点でもつまびらかではない、我が方も非核三原則などを持っておる政府でありますから。そういう事態に対して一体政府はどういうことをしましたか。海上保安庁と海上自衛隊と二つ対処すべきものがあると思いますが、それぞれお答え願いたい。
○岡田政府委員 ただいま御指摘の事件でございますが、私どもといたしましては、海難救助という観点からまず最初に取り組んだわけでございまして、やはり原子力潜水艦の事故でもありますし、そういう観点から、人命救助の緊急性あるいは放射能汚染の危険性というような観点から、その動静については防衛庁等と逐次情報交換はしてきたところでございます。 その後の経緯でございますが、その後、同船は約二日ほど沖縄本島東方海上に滞留しまして、二十二日に至りまして与論島と沖永良部島の間の領海に接近したわけでございますが、この時点におきましてこの潜水艦の領海通過は認められないという政府判断がございまして、それに基づきまして、私どもの巡視船は、国際的に決められておりますVHFを使いまして、貴船はまさしく日本領海に入る、直ちに進路を変えていただきたいということを通報するとともに、国際信号旗も掲揚した次第でございます。その後、我が方の巡視船は警告を繰り返しましたけれども、当該ソ連原子力潜水艦はそのまま進航し、途中経過といたしましては、それに随伴しておりましたソ連の潜水母艦から、日本政府から許可をとったというような連絡もあったわけでございますけれども、やはり我が方といたしましては、日本政府は領海通航の許可を与えていない、貴船は現在日本領海内にあるので直ちに退去してくれということを要求したわけでございます。その後も退去要求は続行いたしましたけれども、結果的には当該原子力潜水艦は我が領海内の通航を続けまして、その後、同日夕刻に領海外に出たわけでございます。 私どもといたしましては、一般に、軍艦でございましていわゆる治外法権を持っており、旗国以外の管轄権には服さないということも考えまして、国際信号旗の掲揚あるいは口頭による警告等の措置をとった次第でございます。
○永末委員 今防衛庁がお答えになるところでありますが、我が方の自衛隊法八十二条には、「海上における警備行動」ということで、「長官は、海上における……」飛ばして読みますと、「治安の維持のため特別の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に海上において必要な行動をとることを命ずることができる。」と書いてあります。つまり、海上警備警察は海上保安庁がやっておるわけでありますが、海上保安庁の巡視船が、政府が許可をしていないのでこの領海通過は不法である、だから退去をせよと言い続けたけれども無視されて、領海に入り堂々と出て行ったという事件でございまして、日本の主権いずこにありやという事件でございますが、海上自衛隊は今のような法律を持っておるわけでございます。当時の長官は加藤長官ではございませんが、海上自衛隊はどういうことをやったんですか。
○西廣政府委員 御指摘のソ連の潜水艦が火災を起こしました際には、私どもの方は、海上保安庁の方から災害派遣の要請がございまして、救難機が現地に飛びまして、救難をしようという呼びかけをしたわけでございますが、ソ連艦の方から救難の必要はないということで拒絶されましたので、以後は状況を監視をするという状況でございました。 なお、領海侵犯等につきましては、御承知のように、平時における領海における警察活動は海上保安庁の任務でございますので、私どもとしては状況を観察しておったということでございます。
○永末委員 私が読み上げました自衛隊法八十二条はどう見るのですか。別にこれは戦時とも何とも書いてない。要するに海上における治安の維持のために特別な必要あるときで、有事ではない、防衛出動もないわけです。つまり、海上における警備行動は海上自衛隊がやっておると思いますが、それとこの事件とは無関係なんですか。
○西廣政府委員 当時の状況といたしまして、我が国の人命、財産、そういったものの治安のために自衛隊が出動しなくちゃいけない、警備活動をしなくちゃいけないというような事態であるというようには判断をいたしておりませんでした。
○永末委員 我が方の海上保安庁の巡視船の持っている力というのは小さいものですわね。相手は軍艦である。撃ち合いになればこっちがやられるだけのことでございますけれども、要するに、日本政府を代表して巡視船が退去を命じても相手方は聞かない、我が海上自衛隊はそれを知りながらただ見守っておる、それでいいのですか。防衛庁長官どう思いますか、見守っておることを。 これは先ほどの奇襲対処に対する身構え、ベレンコ事件についてはあのとき何も国防会議をやらなかったが、この新しく設置しようとされる安全保障会議では、そういうものはやはりかけて対処を考えるのだとおっしゃった。これはベレンコ事件ほど長い時間ではございませんが、ともかく我が領海の南方海域でうろうろしておって、そいつが領海を横断して北方へ突き出た、おかしい。そして、今や我が方の日本政府は、よその国の軍艦が領海侵犯しても何もしなかったという記録が歴史に残っておるわけです。余り名誉なことではありませんね。何とかすべきで、こういう事件が今度起こったらどうされますか。やはり海上自衛隊はぽかんと見て、海上保安庁の船は退去退去と言っておるのですか。
○加藤国務大臣 領海を侵犯されたこと、そして我が方の数次の警告にもかかわらず、その状況の解除に時間がかかったことは、まことに遺憾なことだと思います。 将来これはまたそういうケースがあったらどうするかという問題でございますが、その際はその状況によっていろいろ判断しなければならないことだと思います。特にこの原子力潜水艦のケースの場合には、我が方としても、いわゆる故障事故を起こしたというケースであり、なおかつ、そういうことでありますから当然のことながら状況を慎重に判断した結果、我が方のいわゆる法益が、国益が害される部分は領空侵犯以外はないということ等の状況を判断したのだと思いますけれども、仮に将来こういうことがあったような場合も、その状況の判断、置かれたそれぞれの船の状況というものを慎重に判断して、それなりの外交交渉を行ったり、それなりの政府部内の相談事をすることになるのだろうと思います。 〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕
○永末委員 そういうことはさっとやれるように、体制をとっておかなければいけませんね。これは防衛庁だけではなくて、まさしく海上保安庁、運輸省にも関係がある、あるいは事と次第によっではこれは外務省も動いておるわけですから、そういうものは官房長官、安全保障会議で時間がかかるようじゃ、これも三日間うろうろしているのだから、これは会議で決めるとかなんとかじゃなくて、どうすべきかということを検討する場にされるおつもりはありませんか。
○後藤田国務大臣 私は、かけるかかけないか、大変デリケートな事態ではないかなと理解します。というのは、あの事態、私は詳しくは承知しておらぬのですけれども、これは一つは核を積んでおるか積んでいないかという問題もありましょうし、それから軍艦でございますから領海といえども無害通航のあれはあるのじゃないかと私は理解します。そうしますと、ああいった場合に、それか我が国あるいは我が国民に対する重大な緊急事態であると理解すべきかどうかという問題もございましょう。ならば私は、あの事態、実際はよく知らないのですよ、詳しくは知らないのだけれども、あの当時のことを記憶をたどって思い起こしてみますと、あれが我が国民あるいは国家に対する重大な危険を及ぼすような事態であったかどうかということについてはいささか疑問がある。やはり核を積んでいるか積んでいないかの問い合わせもあるでしょうし、故障状態はいかんといったような通信もとれるでしょうから、そうしておいて、監視をするということがまずまず常識的なのではなかろうかな、こう思います。 しかし、永末さんおっしゃるように、これが我が国に対する重大な緊急事態であるというようなことが想定せられれば、これは今度の安全保障会議に付議してしかるべきことになり得る場合もある、こういうことだと私は思います。
○永末委員 あの場合、ソ連の潜水艦内に何が起こったかだれもわからぬわけですね。一部の報道によれば、反乱が起こったのではないかというような報道もございました。反乱が起こって、反乱派がもしあの船を占拠したとしますと、またその船に対して攻撃がかかるかもしれない。日本とは関係ない話でありますけれども、我が方の領海のすぐ近辺で火器が使用されるというようなことになれば、「レッド・オクトーバー」ではありませんけれども、それはやはり我が国の治安、我が国の正常な状態に極めて重要な影響がある。我々の自衛隊は何もそういう心配はございませんけれども、彼らは平気で火器を使うわけでありますから、そういう意味合いで、この件は、何もなかったからあんなものだということでは決してなくて、重要なやはり我が方の国益に関する問題点をはらんでおると私は思うのです。したがって、安全保障会議で決めて発動するというのではなくて、今の場合は防衛庁と海上保安庁、外務省の三者が緊密な連絡をとり合って見守っていたかどうか知りませんが、そういうものをさっと相談し得る場にこの安全保障会議は使えるのではないか、こう思うから質問いたしているわけです。もうちょっとその点詰めてお答え願いたい。
○後藤田国務大臣 安全保障会議にかけるべきかどうかという点については先ほどお答えしたとおりで、御理解願いたいと思います。 問題は、その補佐機関としての安全保障室というスタッフ組織が今度できますね、ここは各省の連携・協力をやるところですから、ここで当然扱ってしかるべきと、私はこう考えます。
○永末委員 国防会議はこの作でそのときに何か検討しましたか、全くノータッチですか。
○塩田政府委員 全くノータッチというように聞いております。
○永末委員 有事法制の研究が昭和五十二年から行われまして、そして二回にわたって中間報告がなされました。そして、防衛庁所管の法令に関するものが第一回に検討され、続いて他省庁所管の法令を防衛庁が検討して、あの見解をまとめられました。 ところで、所管省庁が明確でない法令についてはまだ手がついてない、防衛庁において問題点の基礎的な整理を行うという程度のことで、何とか政府全体の問題にしたいということたが、その中には、有事における住民の保護・避難または誘導を適切に行う措置、いわゆる民間防衛の中に属する問題があります。それから民間船舶及び民間航空機の航行の安全を確保するための措置、すなわちいわゆる航行管制、航空管制の問題があります。次に電波の効果的な使用に関する措置、電波管制に関する問題があります。これは他省庁の関係で、所管省庁が明確でないかどうかわかりませんが、防衛庁はこれを回答を出すわけにいきません。この他省庁の所管ということにつきましても、この有事法制の研究で防衛庁が出したものは、解決しているわけではなくて問題点を指摘しただけですね。そうしますと、こういう問題はどこでやるのですか。各省でやるのですか、それとも安全保障会議の場でこれらをやっていくのですか。一回と二回と中間報告が出まして、第二回目の分は解決してないものが残っておる。この第三分類はそのまま残っておる。ただ、防衛庁はあと整理をするだけだと言っておる。しかしこれらの問題は、我が国が専守防衛ということで物を考えていくにつきましては、ちゃんと方針を定めておかなければならぬ重要な問題であります。防衛庁所管でないから防衛庁長官にお尋ねしたってしようがない話でありますが、官房長官、こういう問題は安全保障会議で取り上げる問題ではないでしょうか。いかがですか。
○塩田政府委員 ただいまの御指摘の問題は、かねてから政府側で答弁しておりますように、これは政府全体として取り組むべき重要な課題であるというふうにお答えをいたしておりますが、今御指摘の安全保障会議で処理するかどうかというようなことについて、まだ決まっているわけではございません。政府全体としてこれにどう対処するかを今後検討していく課題というふうに理解いたしております。
○永末委員 政府全体で検討するということは、検討せぬということですか。
○塩田政府委員 まず一つには、先ほど先生のお話の中にもございましたが、防衛庁におきましてその第三分類についての問題点の詰めをさらにやっていただく、これが一つあろうかと思います。それを受けまして具体的な政府の取り組み方について検討していくということになるわけでございますが、その際に、内閣としまして、内閣官房の立場で調整をするということは必要なことではなかろうかと思っております。
○永末委員 他省庁の所管、電波に関する問題やなんかはこれは郵政省で扱うべき問題であって、所管がはっきりしておらぬと私は思いませんし、それから住民の保護等民間防衛に関する問題は、よその国では内務省でやっておるわけでありますから、これは国家公安委員会等で考えなくてはならぬ問題だと思います。しかしそれを、防衛庁が問題整理するまではほかの省はやらぬでよろしいというのは、これは防衛庁側の越権ですわな。しかし、安全保障会議というものはそういうことが必要である。一たん有事になったりした場合には、今のような諸問題に対して一体どう変化していくかということは考えておかなければ、大変な混乱が起きて何ともならぬようになるわけですよ。しかもそれを知っておられるはずだ、検討してきたんだから。しかし、防衛庁ではどうにもならぬといって第三分類に入れておる。これはどこかでやらなければいかぬと思いますが、それならば、内閣と称するものが政府全体と言っておるけれども、だれがどこで声を出してやるようになるのですか。官房長官、どうお考えになりますか、今の問題。
○後藤田国務大臣 第三分類の御質問だと思うのですけれども、今のところは防衛庁で、防衛庁の所掌事務との関連のある限度において、どんな事項があるかということで勉強しておるということは聞いておるのですが、しかし、これは所管がはっきりしてないということでございます。といって、これはそれだけに政府全体として取り組んでいかなければならぬ課題であろう。そこで、政府全体として取り組むということになれば、所管がはっきりしてないわけですから、――別段これを頭に置いて今度の法律改正をしているわけじゃないのですよ、ないのだけれども、政府全体として取り組まなければならぬということになれば、ここで取り上げましてそして調整をする。もちろんここでそれを立法するわけじゃないと思いますけれども、調整をしていって、この法律はここで、この法律はここでやるべし、こういうことになっていくべきもの、私はかように理解をいたします。
○永末委員 第一番目に挙げました、民間防衛の一部と申し上げましたが、昨年の二月二十一日に本院予算委員会で、中曽根総理に対しましてこの問題を取り上げたのです。そうしますと、中曽根総理大臣の答弁は、「政府としても慎重に検討をしてまいりたい」、民間防衛ですね。それから一年たっておりますが、どう検討しておるのかわからぬ。そこで、この会議ができますから、ここでやられるのかなと思うのですね、ここでおやりになるのかなと。ただし、その内容について、あるものは厚生省で考えなくてはならない、負傷者の問題をどうするとか死者の問題をどう扱うというようなことは厚生省が考えなくてはならぬだろうし、住民の移動・避難、消防等は自治省が関係があったり公安委員会が関係があったりする。いろいろな各省に関係がある問題がありますから、その辺の位置づけを安全保障会議でやられるべきだと思いますが、民間防衛など私どもが声を大にしてやれと言いましたら、防衛庁で発行しておられる防衛白書では、五十六年度で初めて四ページ半を割いて、よその国では非常にやっておる重要な問題である。五十七年度はそれが一ページ半に減りましてね。それから五十八年度も一ページ半。五十九年度も一ページ半。去年のごときは二ページにわたっておりますけれども分量はちょうど一ページですね。そして、この民間防衛というのは「侵略の抑止につながり、国の安全を確保するため重要な意義を有する」と言っておるわけですね。我が方の政府は何をしておるかといいますと、「わが国においては、現在のところ、民間防衛に関してはみるべきものがない。」と書いてある。これは昭和五十六年以来ずっと皆こう書いてある。こんなことは、政府が検討しておることになるんですかね。これは検討しておらぬということじゃないですか。これは防衛白書だから、防衛庁長官どうですか。
○西廣政府委員 御指摘の民間防衛につきましては、御案内のように日本は専守防衛ということで国の防衛を考えておりますので、どうしても国土における戦闘ということも十分頭に置いておかなくちゃいけないということで、非常に重要な部分であろうということは防衛庁としては重々認識をしておるわけでございます。しかしながら、先ほど来お話がありますように、この問題は何といっても住民の安全ということで、所掌からいっても防衛庁じゃございませんので、防衛庁としてはこの重要性というものを常に強調し続けるということで、五十六年ということではなくて、四十五年の防衛庁としての最初の防衛白書以来毎回、各年、この白書において、民間防衛が重要であるということの警鐘を鳴らし続けておるということでございます。
○永末委員 官房長官、防衛庁は警鐘を鳴らし続けているというわけだな。それで、総理大臣も検討すると言っておるのです。 NATOは、あるところが戦場状態になればそこの住民がどんどん外へ避難する。そうしますと、狭いですから国境を越えて避難する。NATOは民間防衛のコミッティーを持ちまして、各国はそれぞれそれに対応する省庁を持ちましてやっておる。大体内務省系統です。 そうしますと、我が国も国家公安委員会がまず先頭に立ってそういうことを考えざるを得ない問題ではないか。我が国は所管がないのです、民間防衛は。防衛庁はそんなことをやるところではございません。私はたまたまそのことを調査研究しようとして行きまして、その国の我が大使館にお世話を頼みますと、だれを連れていくべきかということですね。外務省の方が行かれることもあり、防衛庁の方が行かれることもあり、それから警察の方が行かれることもあるぐらいに、所管が不分明である。しかし防衛庁が警鐘を乱打していると言うのだから、これは私は真剣にやっていただきたい。 昔々ある防衛庁長官に申しましたら、そんなことをやったらパニックが起こるからやらぬのだと言われたことがございましたが、そうじゃなくて、専守防衛といったらここで戦闘が起こることを皆考えている。起こったらどうなるんだろう。防衛庁だって、避難民の流れがわっとある方向に流れてきましたら、それに逆らって部隊を動かすことはできませんよ。したがって、地震のこともこれあり、危機管理が叫ばれておりますが、民間防衛については活字だけで重要な問題だと書くのではなくて、真剣にやらなければならぬ。その格好な場所が安全保障会議だと思いますが、もう一度御答弁願います。
○後藤田国務大臣 民防衛の問題が重要な課題であるということはしばしば私どもも耳にしますし、また永末さんの御意見もそれなりによくわかるわけでございます。しかしながら、この仕事に実際に着手するということになりますと、何よりも肝心なことは国民の同意、国民のコンセンサス、これがやはり醸成せられなければ、私はこういう仕事は着手しても到底うまくいくとは思いません。したがって必要性はよくわかりますが、今日の段階においてはそういった国民的なコンセンサスを得る空気の醸成が一つ問題であろう。さらに、そういった事態にならないように、あくまでも平和を維持するということに向けて最大限の努力をするということは、やはり政府としての今日的なあるべき姿ではないか。 永末さんの、いざというときの準備をしろというお気持ちはよくわかりますけれども、大体そういうことではなかろうか、こう私は思うわけでございます。
○永末委員 国民のコンセンサスというのは、政府が事の重大性を国民に訴えて国民に考えていただくということでなければコンセンサスはできない。したがって、これはやはりあくまでも政府の責任において、どうしてもなすべきことであれば国民に訴えてコンセンサスを醸成していただいてやっていくべき問題だ。無準備であれば、本当に来たときにとんでもないことになります。私はそれを心配しておるわけです。現に世界の国々でそれをやっているところがあるわけであって、ソ連圏もそれは非常にやっていますよ。民間防衛は、あの軍の構成からいってトップの大臣をつくってやっているわけでございまして、我が国だけがそれなきを望むなんて、それはだれだって望みますよ、なければいいことですから。それを、ならぬから、ならぬかもしれぬからというのでは困るのであって、これはやはり真剣に取り組んでいただきたい。 経企庁長官がお見えでございますが、現在の防衛庁設置法の中におきます国防会議の第六十二条第二項第三号、これは二号が「防衛計画の大綱」でございますから、「前号の計画」というのは防衛計画でございましょう。そう読めば、防衛計画に関連する「産業等の調整計画の大綱」、こういうものは内閣総理大臣は国防会議に語らねばならぬ。国防会議の専管事項ですね。これは、国防会議ができましてから三十年になりますが、やったことがありますか。
○平泉国務大臣 「産業等の調整計画の大綱」というのは現在まだやっておりません。経済企画庁長官は「長期経済計画の策定及び推進」、「総合的かつ基本的な」経済「政策の企画立案」、「経済に関する基本的な政策の総合調整」というのが任務でございまして、この任務を踏まえまして、国防に関する重要事項について文民統制の観点から現在まで十分審議もしてきた、こういうことでございます。
○永末委員 これは三十年やっておらぬと言うのですから、事務局長は、こんなものは書いておるのはおかしいと思いませんか。三十年やらぬのでございまして、これからやるかどうかは知りませんが、この世の中では三十年やらぬというのはないものと一緒ですな。こんなものが現在の国防会議にもありますが、このために例えば国防会議では専任の職員の人がおられて検討しておるような状況ですか。まだだれも何も考えておらぬ状態ですか。
○塩田政府委員 御指摘のように、この第三号の計画はできておりません。ただ、だからといって要らないのかというお尋ねでございますけれども、これは御承知のように、例えば有事の場合におきまして、自衛隊と民間との間の石油の使用量をどう調整するかといったようなことを含む計画でございまして、これは有事のときにそういうことは十分必要性があり得る問題でございまして、そういう意味で、この規定を今までつくってないから削除すべきではないかということについては、私どもはそのようには考えていないわけでございます。
○永末委員 第五号は「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」というのがありまして、やろうと思えば何でもできる。わざわざここにこういうものを書いてある。昔の半世紀前の戦争では物動計画などがございまして、ワッショイ、ワッショイやりました。しかしそれは長期戦であった。しかし、今あなたがおっしゃったようにガソリンといったって、そういうものを調整をしてというと、ここにあるのは調整計画の大綱だから、何か長期間にわたって使わねばならぬような感覚があるわけです。そんなような有事をこの時代に想定しておったとしても、今はそういうことでないから、ちっとも検討しないで三十年たってきたと思うのです。 今後、そういう状態があるとお考えですか。こういうもの、この項目によって、同じことがこの安全保障会議法にも書いてあるから言うのだが、こんなことをやらんならぬことがあるとお考えですか。
○塩田政府委員 第三号は、御承知のように「前号の計画に関連する」という言葉が入っておりまして、「前号の計画」というのは「防衛計画の大綱」でございます。したがいまして、この「防衛計画の大綱」ができました場合に、それに関連する三号の計画が必要であると考えられる場合にこれをつくる、こういうことになります。 今の時点では、先ほど来御指摘のように、現在の「防衛計画の大綱」に関連をしてこの計画をつくる必要は認められないということでつくっておりませんけれども、先ほど来申し上げましたように、前号の、つまり第二号の「防衛計画の大綱」の作成内容、作成時期のいかんによって、この三号が必要なこともあり得るわけでございます。そういう意味で今回も御提案申し上げているわけであります。
○永末委員 日本の経済力あるいは産業力から見ますと、我が国の防衛産業というのはごくごく少量ですわね。それをこんなことを書きますと、何か日本の経済をすべてカバーするような大計画みたいに思いますな。これの方が人心を惑わす言葉じゃないですかね。何も防衛生産で日本の産業を負うことはありはしませんよ。日本の産業からいきますとスズメの涙くらいをやっておるわけでしょう。ところがわざわざこれを残しておると、そうか、自民党政権はそういう大軍需産業システムをつくるのかと思われる。そんなことをやらぬでも五号でできますよ。これは、安全保障会議を所管に持たれる官房長官、どう思われますか。
○塩田政府委員 三十年来動いてない規定であることはそのとおりでございますが、今回の改正に当たりまして、さりとてこれを、それじゃ落とすかということになりましても、また先ほど申し上げましたような事態が考えられないわけではないということを考えまして、いろいろ議論をしましたけれども、残すということにしたわけでございます。
○永末委員 経企庁長官は、我が国の経済の長期的展望を責任を持ってやっておられる。ここに書いてある三号は、あなたの方はこんなこと責任を持って考える対象ではないわけですないかがですか。
○及川政府委員 経済企画庁は、長期経済計画の策定やあるいは基本的、総合的な経済政策の企画立案、総合調整を任務としておりまして、ここに書いてありますような「産業等の調整計画の大綱」は、必要となりました時点で総合調整の対象になり得るものと考えておりますけれども、経済企画庁が主体的に考えるものとは現在のところ考えておりません。 ただ、「国防の基本方針」や「防衛計画の大綱」は国力や経済情勢等に応じて考えるということが、「国防の基本方針」にもあるいは「防衛計画の大綱」にも掲げておるところでありまして、この「国防の基本方針」、「防衛計画の大綱」等に関しては、経済企画庁は重要な関連省庁として貢献をしてきたところでございます。
○永末委員 日本の経済力の中で、防衛のためにあるいは国防のために消費する経済量が極めて大きい、そういう場合には今のような計画がなければ防衛生産はできません。しかし、現在はそんなものではないのであって、先ほどから申し述べているようにごく少数である。言うならば通産行政くらいでできる問題。経済企画庁が出てきてこんな計画でやるのは、そんな国は軍事大国ですよ。そんな調整をしなければならぬような膨大な経済量を防衛生産のために使うような国になっていないではないですか。そんなことを言ったらあなた、それは一%どころではなくなりますよ。 防衛庁長官、そんな防衛計画をつくるつもりですか。長期経済計画をつくることが主務である経済企画庁を煩わして、長期にわたって産業計画の大綱をつくらなければ我が国の自衛隊が使う生産品はうまく回らぬのだというような防衛計画は、今あなたのところで考えていますか。
○加藤国務大臣 御承知のように、現在の防衛力整備はGNP比単年度で申せば〇・九九三%でございますし、その中の四六%が人件費でございますから、正面装備費とかいうものは一兆円以下、被服とか何とかを入れましてもGNP比○・数%のものであるわけでございまして、その意味からもそんなに日本経済の中で大きなものとは言えないと思います。したがって、将来どうするかということなのですけれども、とんでもなく大きな計画を我が国が持つようになるだろうとは思いません。
○永末委員 私も思いませんよ。それこそ国民のコンセンサスが要るのでございまして、中曽根内閣は行革内閣と言っておりますが、こんなもの、一遍書いてそれをやめたらだれかのメンツにかかわるという問題ではないのです。もっとスリムな行政をやっていこうとするならば、安全保障会議を国防会議から新しくおつくりになるのだから、国防会議のときに一項目を減らせといえば、三十年全然動かさなくても項目として持っているものは持っているものだからという気になるかもしれませんが、こういう新しいものをつくるときには削られたらどうですか。
○後藤田国務大臣 国防計画ということになりますと、やはり基本は経済力、生産力というものと整合性のとれたものでなければいけません。しかし実際はそんなことは考えられない、膨大な経済力、生産力の中のわずかばかりではないか、だから要らぬじゃないかというのは、永末さんのおっしゃるとおりだと思います。しかしながら、本来的な性格からいえばこういう規定はあってしかるべきものではないのか、それが防衛計画の基本ではないのかと私は思います。だから、三十年働いてないのだからとってしまえという永末さんの御意見も僕はわかるのです。わかるけれども、あるものを今また外さなければならぬ理屈もないのではないか、これは置いておいてしかるべき規定であろう、かように理解をいたします。
○永末委員 国防計画はその国の産業と切っても切り離せないから、産業の方の計画を立てるというのは、半世紀前の戦争みたいにむちゃくちゃに国の資源を食ったときには考えざるを得なかった。今は、防衛庁長官が言っていますように国民総生産の○・数%、本当にスズメの涙みたいなものですよ。しかるにかかわらずこれを書いて残しておる。僕は、これを書いたときは、「将軍は過去の戦争を戦う」と言っておりますが、これを書いた人は、まだ戦争が済んで十年ちょっとでございますから、十年前の戦争を考えておったのじゃないか。そんな戦争はないですよ。我々はもうやらぬと言っておるのですから。そのないものを、こう書いておけば疑われますよ。そうか、日本はまた大産業計画を立てて大軍備をやるのかな、だから核兵器を持つのじゃないかというようなあらぬことを我々は言われることがある、我々は少しも考えてないのに。ぴたっと削ったら、ああ、そうか、非常にスリムな優しい国になったと褒めてもらえますよ。外国も安心する。そう思われませんが、官房長官。
○後藤田国務大臣 それは今お答えしたように、永末さん、あなたのおっしゃることはわからぬではないですよ。けれども、例えば希少金属の問題もあるでしょうし、場合によれば油の問題もあるだろうし、今ある規定をわざわざここで取っ外す必要もないではないか。今まであったものは置いておいたって一向に差し支えはないではないか。これがあるからといって別段行政組織が複雑怪奇になるわけでもないわけです。だからやはり常識に従って置くべきものは置いておけ、こういうことで存置してあるわけですから、御理解願いたいと思います。
○永末委員 国防会議で希少金属問題を考えてやったような形跡があればそれはそうかもしれませんけれども、国防会議で希少金属のことなんかやったことありますか。それは通産でやったのだ、そこでできるのだから。何で経済企画庁が、そういう長期計画を考えなければならぬようなところが国防会議へ出てくるのか。そういうようなやり方を一体政府は考えておるのかと思われた場合に、防衛庁長官が言った今の経済力と防衛関係の経済力、経済資源の消費というものはまさに格段の差がある問題である。ならばそれに合わせて防衛計画を立て、それに基づいて執行されるべきだ。 企画庁長官、こんなことにエネルギーを使ったり、あなたの頭を働かす余地がありますか。今みたいな日本経済の中の〇・数%の資源を扱うものに、我が大経済企画庁がねじ鉢巻きで、一体どういう産業調整の大綱をつくろうかなんて、そんな暇、あなははありますか。
○平泉国務大臣 防衛は日本の国の最も重要な国務の一つだと思うのです。ですから、そういう日本の国家の安全保障の枢機に関することですね、そういうことに経済企画庁長官は参画すべきものではあるまいか、かように考えております。
○永末委員 主務としてあることではなくて、経済企画庁長官、これは偉い人やから、国家の枢機には参画すべし、そういう御意見ですな。
○及川政府委員 例えば昨年決定いたしました中期防衛力整備計画というのがありますが、三木内閣の閣議決定の方針、GNP一%を超えない範囲にとどめるというようなことを尊重するということを同時に申し上げているわけでありますけれども、防衛費の総額を国力に応じて定めるときに一%の総枠ということが一応あるわけでありますけれども、そのとき、一%の分母となるGNPというのは一体どのようなものであるのか、経済政策としてGNPは当然変わってくるわけでありますけれども、そのようなことで、一%はGNPから比べたら百分の一であるわけでありますけれども、経済全体の動きの中でどのような金額に決めていくべきかということは、政府の中で経済企画庁しかわからないところでありまして、経済企画庁長官はそういう意味でも、毎年度の予算編成の意味でも、あるいは他の諸政策との調和を図るということも同時に決めているわけでありますけれども、一%と申しましてもGNPの一%でございますから、政府の総予算の中では相当大きな額を占めているわけでございます。そういう他の施策との調整を図るという意味でも、総合政策を担当しております経済企画庁長官が、国防会議の議員として審議に参画することは非常に重要なことであると考えているわけであります。
○永末委員 我が国は産業政策のために通産省という役所を持っている、その中で防衛生産に関係のあるのは、ある局のある課だけですね。航空機武器課、そんなものですよ。何も大企画庁がねじ鉢巻きでそんな調整をやるようなことではない。中期防衛計画だって、あなた、五年かかって何兆円を考えるのですか。今我々は三百兆円ぐらいのGNP、そこへ我が方の産業で防衛のために使うのは一年に一兆円あるかどうかわからぬ話じゃないですか。そんなものは大経済企画庁が調整をしなければならぬような防衛生産の分野でないと私は思う。あなたがあると思われるなら証拠を見せてください。言葉じゃないよ。事実に即して物を考えてくださいよ。 〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕
○及川政府委員 経済企画庁が関与しておりますのは、防衛産業とか武器の生産とかいうことではございません。防衛庁長官からもお話がありましたように、防衛費の相当の部分は人件費その他でありまして、国費の支出であり、国民の負担という面から関与しているわけでありまして、防衛生産や防衛産業という観点とは別の観点であると御理解をいただきたいと思うわけであります。
○永末委員 要するに、この六十二条二項三号に「産業等の調整計画の大綱」と書いてありますけれども、こんなことやらぬのだから、別に経済企画庁は余り関係がないというわけですね。要するに、国事の枢要な問題が国防であるから枢要な閣僚である経企庁長官が出席しておる。安全保障会議もそういうことですか。
○塩田政府委員 先ほど来経済企画庁からお答え申し上げておりますけれども、経済企画庁長官が国防会議の議員であり、今後安全保障会議の議員として残っていただくという意味は、御指摘の第三号に関連するという意味ももちろんございますけれども、経済見通しでありますとかそういった観点からの意味がむしろ大きいわけでございまして、先生の御指摘のように三号からの、所管する大臣としての御出席という意味ばかりではございませんことを御理解いただきたいと思います。
○永末委員 国防会議におきます議論が速記録でとられ、そして我々国民がそれを見て、どういうことを一体議論しているかと知れたらいいのではございますが、国防会議というものはそういうことになってございませんな。行政改革というのは、それは改革される方は辛いですよ。それは官房長官が言われるように、あるものは皆意味があって存在しておるのですから。しかし、それでは行政改革はできませんわな。国防会議から新しく安全保障会議になるのはいわゆる臨調路線でしょう。改革をしようとして、改革をされたつもりになっている。ならばやはり中身も考えたらどうですか。 私は、経済企画庁長官というのは、我が国の経済のことに専心してやってほしい。そんな経済の見通しなんか我が国の国防会議で言わなければいけませんか。そんな議論が一遍でもありましたか。例えば五カ年計画をやる、そのときに我が国の経済はこうこう動くであろう、だからそのために、自衛隊の隊員の人件糧食費も含め、そして兵器購入費も含め、これは日本経済の伸展とともに調整をしなければならぬということで議論がございましたか。
○塩田政府委員 最近の例で申し上げますと、中期防衛力整備計画の策定のために昨年の夏以来何回か国防会議が開かれましたが、その中で、八月二十日に開かれました国防会議におきまして、経済企画庁から長期経済見通しについての御説明を聞いております。
○永末委員 それは聞きますよ。聞かなければわからないじゃないですか。僕はそれはいいと言うのですよ。しかしそれが、だから議員の中に入れなければならぬということか。必要とあらば幾らでも意見を聞くことはできますわね。 経済企画庁長官が国防会議の議員であるというのは、これをつくられたときにはもっと重要な意味があったと僕は思います。経済企画庁長官でなければわからないこと、その意見を聞かなければまとめられないようなことを、これを書いた人は思っていたと思うのですね。しかし実際の流れは、今まで三十年間ついにこの項目は発生しない。だから、そうじゃなくて、国家の枢要なる国防に参加することに経済企画庁としては意義があるとおっしゃっているのだから、それはそのまま受け取りますよ。しかし、別途行政改革と言うのならば、こうやって名称から変わってこようというのでありますから、スリムな会議体をつくり、必要な議員を置くべきであると我が党は考えております。――もうよろしいです。 次にSDIでございますが、きょうの本会議でも総理大臣が答えておりましたけれども、三度調査団を送っておるわけでございまして、政府としてはこれをどうするか検討中であるというのであります。しかしこれは、今までの核戦略はいわば相互確証破壊戦略などと言っておりましたけれども、要するに現存する米ソの対決の状態の中で、アメリカ側からすれば、アメリカの持っている戦略核基地あるいは発射機器等がソ連の攻撃によって極めて危ない状態になっておるということがSDIを構想し、そしてソ連から発射される戦略核兵器の弾頭をつぶそう、こういう発想になったと私は思う。今までの核戦略構想が揺らいできた、揺らいでこなければこんな要らぬもの考える必要はないのであって、今までどおりやっておればよろしいのでありますが、そうではなくて、自信が持てなくなっておる。まさにアメリカの核戦略構想が揺らいできたことがSDIにつながっておる。だから同じことをソ連もやっておるわけです。したがって、このSDIをこれからどうやっていくかということはまさに核戦略についての重要なポイントに触れることになる。 我が国がどうするか検討中である、こう言うのでありますけれども、さあ、調査団は行きましたけれども、これはだれが答えてくれるのか知りませんが、省はどことどこが行ったのですか、ひとつ言ってください。
○渡辺(允)政府委員 外務省からお答えさせていただきますが、調査団に参加いたしました省庁は外務省、防衛庁、通商産業省、それから科学技術庁でございます。
○永末委員 まさに各省にわたる問題であります。 それから、もし参加するとすれば、今までは非核三原則で核戦略のかなたにおればよかった、しかし核戦略そのものに我々が入っていくわけですね。これは非常な問題になります。総理が国会で答弁しておる、それは防衛兵器であってというようなことを言っておりますが、そうじゃないのですよ。参加をするとすれば我々も核戦略に入っていくのだ、この認識をはっきりしなければならぬ。としますと、まさに我々の国防政策、防衛政策の根幹に触れる問題になってくるのですね。そうなりますと、調査団に参加したのは外務、防衛、通産、科技庁などと今言っておりますが、まさに政府として真剣に検討しなければならぬ問題ではないか。 国防会議は今までこんなことを議論したことございますか、ここ二年のことですけれども。
○塩田政府委員 ございません。
○永末委員 私は、新しく安全保障会議なんというような名前がつけられたものができるのなら、やはりここでこそ検討すべき問題だと思う。官房長官、そう思われませんか。
○後藤田国務大臣 SDIの問題はまだ必ずしも実態が明らかになってない。現時点においては、これは防衛兵器であって非核の兵器である、一応こういったようなアメリカの説明でありますから、日本政府としてはそれに対して理解は示すということでございますが、今の段階はそれにとどまっておるわけでございます。 そこで、今外務省からお話がございましたように四省庁、それから民間の企業、こういったところの専門家が参りまして第三回目の調査をしておるわけでございますから、その調査報告をよく聞きまして、そして関係の省庁等と十分論議をした上で政府としての対応を決めていきたい、こういうことでございますので、永末さんがおっしゃるような段階にまでは今まだ至っていない、こういうことでございます。
○永末委員 官房長官、政府としての態度を決める場合に、関係省庁が寄ってやる、こうおっしゃったようなことでございますが、安全保障会議をつくられるのなら、そういう段階になったらやはりここできちんと考えるべき問題ではないか。今やれと言っているのと違いますよ。政府が考えなければならぬ問題になったときには、関係省庁を集めて、あなたが主宰されるか総理大臣が主宰されるか知りませんけれども、そういう形ではなくて、まさにかかる安全保障会議がそれを検討する場ではないか。いかがでしょう。
○後藤田国務大臣 今まだ安全保障会議ができておりませんので、できるだけ早くひとつ御審議をいただいてこの安全保障会議がつくれるようにぜひお願いをしたいと思いますが、できてない現時点において、それじゃ国防会議で扱うか、こういう問題もあろうかと思いますが、それは考えておりません。したがって現時点においては、四つの役所が行って調査をしておりますから、関係の省庁、関係大臣が集まって検討してまいりたい、かように考えておるのが現時点の考え方でございます。
○永末委員 国防会議がやってないのは、国防会議というのはみんながそういうところだと思ってないからですね。しかし新しい安全保障会議をつくられるんだから、現時点ではまだお考えにならなくても、政府として考えなければならない場合には問題点が出てきますということを申し上げておきます。 さて、この安全保障会議というのは、今までのような国防問題だけではなくて、重大緊急事態発生に際しての対処を考えよう、こういうことで、先ほど挙げましたような問題も問題になり得ると官房長官は言われました。この重大緊急事態というのは、例えばハイジャック等の事件が起こったときだということを総理大臣が本会議で答弁したと思いますが、今までのハイジャック事件を我々が記憶しているところによりますと、超法規的措置で切り抜けたようなことでございました。ちょっと済みませんが、それが今まで何件あって、最後にどういう決着をつけたか、簡単に報告してください。――答えられないなら答えられないでいいですよ。答えられないと言いなさい。
○後藤田国務大臣 必ずしも正確でございませんが、ハイジャック事件は四件ぐらい過去あったのじゃないかと、私の記憶でございますが、正確でなければ後でまた訂正させていただきますが、そのうち、いわゆる超法規的措置と世間で言われている処置はダッカ事件一件だけでございます。
○永末委員 いや、もう一件あるよ。つまり超法規的措置というのは、日本の国内で刑法にかかわる犯罪を起こした、いわゆる過激派の連中が収監をされておる、それをハイジャックでいわばゆすられて放免するわけですわ。それから、金をよこせという脅迫に屈して払うわけだ。それらを超法規的措置、つまり、法規ではできないですから、政府のやるべきことじゃないからな、そんなことは。だから超法規的などと申しましたが、収監されている囚人を釈放するなんというようなことはとんでもないことであるというので、責任を感じてやめた法務大臣は一人ですよ。他の超法規的措置をとったときの法務大臣はやめていない。こういう問題がありますね。 そこで質問したいのは、そういう問題が新しい安全保障会議の議題になるというのですか、超法規的な措置をするということを安全保障会議は決定するのですか。
○後藤田国務大臣 先ほど市川さんの御質問のときに、たまたまダッカの事件があった、これは超法規措置をやったはずだ、そういう御質問がございまして、そこで、この安全保障会議も超法規措置をやるのかといった御趣旨の御質問がございました。私は、これは過去においてダッカ事件がございましたから、したがって多数の人命にかかわるような重大な案件の場合に、安全保障会議にも先例がございますから、将来そういう事件が起きればそういうことが論議せられることもあり得るであろうということを前提にいたしまして、超法規措置云々というお答えはしましたけれども、本来この安全保障会議は超法規措置を前提としてそれを審議するなんということは毛頭考えておりません。あくまでもやはり、行政はどんなことをしたって憲法、法律の枠内においての処理でございますから、したがって、そういうことを想定してこの安全保障会議をつくったといったようなことで私はお答えしたわけではないのです。しかし過去において先例がございましたから、事人命に関するような重大な案件の起きた場合に、過去の先例にかんがみて、こういうところで将来も議論になることがあるであろうという想定のもとに私はお答えしたにすぎないんだ、ここをはっきり申し上げておきたい。政府として超法規措置を前提にしてやるなんということは考えてない、かように理解をしていただきたいと思います。
○永末委員 私が改めて伺っておりますのは、この法律によって設置せられる安全保障会議は、今までのような案件が起こりましたら、そのときに持っておる現行の法律体系の中で解決する、この会議が法律体系から飛び出たことを決定するのではなくて、法律体系の中で合法的に決定する、それが任務だと思うのです。そうですな。
○後藤田国務大臣 そのとおりでございます。私が言っているのは、過去そういう例がありましたから、そういう議論が出るかもしらぬという頭でもってお答えをしたんだけれども、この制度は、今永末さんがおっしゃるように超法規措置をとるなんということは考えてはいないわけでございます。
○永末委員 ダッカ事件のときの法務大臣が超法規的措置をとられた、その直後に辞任をされました。私は憲政のために見上げた御態度であったと思います。そうでなくてはならぬ。やってはならぬことをやった、総理大臣はおやめにならなかったですけれども、法務大臣はやめられた。そうでなければ法律、秩序は守れませんよ。 その意味合いで、緊急事態でございますけれども、超法規的な措置などをこの会議がやる、そうしたら総理大臣、やめなければいけませんね、議長ですから。そういう、我々は一面には緊急事態を解決しなければならぬ責任があると同時に、我々が積み上げてきた法律、秩序というものを守ってやらねばならぬ、この二つの重要な任務があると思うので、これができたら、間違いなく運営していただきたい。 その次に、先ほど総理大臣の諮問がなければやれないんだというお話がございましたが、議題をまとめる手続というものがはっきりしておらぬですな、これはどういうことの手続でなってくるのか。アメリカの似たような会議でございますナショナル・セキュリティー・カウンシル、国家安全保障会議と訳しておりますが、それは議題をまとめるために、各省から出てきたいろいろなペーパー等について、その会議で政策審議委員会や特別調整委員会をつくってそこで議題を整理して会議にかける、そういうことをやっている。我が方では総理大臣の諮問だけれども、今までは防衛庁長官がつくった議題が主でございました。しかし今度はいろいろなことがある。例えば先ほどのソ連の軍用機の我が方に対する強行着陸の問題でも、いろんな省が関連するのです。そうしますと、安全保障会議の議題に供する手続、そういうものをはっきりさせなければいけませんが、何か腹案がありますか。
○塩田政府委員 現在までのところは、今お話がございましたように、通常は、関係の省庁から原案の提示を受けて、事務局がこれを調整して、総理の決裁をいただいて国防会議に提案するというやり方をいたしております。必ずしも防衛庁だけというわけではございませんけれども、実態的には防衛庁がほとんどであるというのが今までの国防会議の実態でございます。 今もお話ございましたように、今後重大緊急事態が加えられたということになりますとその辺の様子は変わってくるわけでございまして、その具体的な事案の掌握といいますか、それをまた議題として取り上げる手続というようなことにつきましては、今度安全保障室が担当いたしまして、いろいろな事案が発生しました場合に、重大緊急事態に当たるとか当たらないとか、あるいは当たる場合にはどういう手続で、どういうところを経て議題として提案するかといったようなことは、先ほど来申し上げておりますマニュアルの中で今度研究していくことになろうと思います。その点では、御指摘のとおり今後大分様子が変わりますので、安全保障室でその辺を取り扱うような勉強をしていきたい、こういうふうに考えております。
○永末委員 我々は、国家安全保障会議をつくったらどうかという提案をずっとやってきたのでありますが、今回は「国家」という字がないのです。総理大臣は我が党の質問に対しまして、「国家」なんというといかめしいからやめたんだ、こういう話ですが、なぜやめたのですか、お答え願いたい。
○後藤田国務大臣 特別な意味はございません。 ただ、私が、これは安全保障会議の方がよかろう、こう言ったことは事実でございますが、その理由は、もともとこれは行革審の答申というものを受けているわけですね。その行革審の答申の中には「国家」という言葉はないのです。「安全保障会議を設置する」べし、こういう御提言でございますから、私は、御提言どおり素直な名前がよかろう、こういうことでございまして、特別それ以外の意図はございません。
○永末委員 それは、そういうのを行革審が言うたのですが、つけたら悪いですか。
○後藤田国務大臣 今お答えしましたように、特別悪いわけではございませんが、素直な方がよかろう、こういうことでございます。
○永末委員 つまり、国防会議というのをやめて安全保障会議に変えた。国防会議は、国を守るとちゃんと国家が書いてあるわけですね。それで、安全保障会議というとある意味ではぼけておるわけですな。これは外国では、ディフェンスという字を使ってナショナルというようなことをつけておらぬ国もありますよ。しかしディフェンスというのは、加藤さんはよう勉強しておられると思いますけれども、やはり国を守ることですね。国を守るというのはディフェンス。だからナショナルをつけなくたって意味はわかる。 我々が安全保障という場合、安全保障条約というのもありましてね、安全保障室なんていうものは外務省になかったですかな。つまり、これは条約のことをやるわけでもなし、軍縮会議、国外的な交渉をやるための研究をするところでもない、これは明らかに国防が主であり、緊急事態に対する対処が入ってきたわけですから、私はなぜ積極的にやめねばならぬかと不思議でかなわない。今お聞きしたら、悪いことはない、つけてもいいという話ですから、これは一遍検討しましょうね。 さて、国の重要なところでございまして、先ほど奇襲対処の問題で、情報はちゃんと入ってそんなことはないんだというような趣旨の答弁がございましたが、官房長官、我が国は情報というのはどうやって収集して、どうやって統一的分析をやって、最終的な情報をつかんでおりますか。
○後藤田国務大臣 日本の場合には、防衛関係の情報は防衛庁がおとりになっております。外交関係は外務省、治安情報は公安調査庁と警察、海上保安庁もそういった面で情報をおとりになっているのではないかと思いますね。そういったように、それぞれの機関がばらばらにとっております。それでその中から一定の、今どういう原理原則で扱っておるのか私、事務的なことはよく承知しませんが、内閣には内閣調査室というものがございます。これは内政、外交両面にわたっての重要な政策立案に必要な情報といったようなことで情報を収集し分析をしておる、そういうことでございまして、これを統一的に一カ所に集めてそれを分析をしているといったような役所はございません。
○永末委員 先ほど他国の状況、殊に我が方の周辺諸国の状況というものをよく知っておれば奇襲の心配はないというようなことですが、そのためには、先ほど偵察衛星のことを申しましたけれども、そういう機器ではなくて、やはりその国における食糧事情であるとかあるいはいろいろな物の動きであるとかいうことも重要である。したがって情報というものは、今我が政府はあっちこっち自分の省の目的に即した情報はとっておりますけれども、例えば安全保障、国防という観点でその中からこれに関連したものを収れんしていく、集結していく、統合、総合していくということがやられていないと思うんですね。しかし、安全保障会議をおつくりになるのだったら、やはりそういう機能を持たれる必要があるのではないか。アメリカの国家安全保障会議はCIAがきちんと出席して情報を得ている。CIAはああいういわば国防に関する世界的情報機関ですから、しかし我が国にはそういうものがなくて、今内閣調査室の話がございましたが、内閣調査室はそういうことばかりやっているところではございませんから、国防に関して防衛庁は防衛庁の資料をお集めでございましょうけれども、やはり広く日本の安全を守るためには、そういう情報の統一的分析ということをやるところがあってしかるべきじゃないのか。それがこの安全保障会議を設置されてやられるならばまさに格好の場ではないかと思いますが、いかがですか。
○後藤田国務大臣 ここでやるのがいいかどうかというのは一つの課題であろう、こう思いますが、いずれにしましても、それぞれの役所がそれぞれの行政目的に合うような意味合いにおいて先ほど言ったように情報をとって分析していることは事実でございますけれども、それを国全体の立場において総合的に分析活用していくという点は日本は欠けておる。私は、これは国の体制としては一つの欠点であろうと率直に認めざるを得ません。これは今日、情報と言えば何か暗いような印象がありますけれども、しかしながら、商売をやるのだって何だって情報の社会でございますから、国の運営だって情報は必要である、私はこう思います。 しかし、そこで考えなければならぬのは、情報を集めてそして分析をしていく、これはほとんど公然情報でできます。八割ないし九割というものは公然情報でできるのです。したがって、公然情報というものをもう少し活発化したらどうだ。それから一割、二割というものは公然情報、つまり公開資料でない面もありましょうけれども、これは国の、日本の体制そのものとの関連もありますから、よほど慎重でなければなるまい。しかし同時に、私は一番区別してもらいたいと思うのは、CIAとかGRUとかKGBとかあるいはドイツの憲法擁護庁とかフランスのセデスとかいろいろありますね。ありますけれども、これらはいずれも情報の収集だけではないんですよ、これは謀略をやるのです。私は、これは絶対にやってはならぬ、日本のような国は。そこらは区別をしまして、そしてやはり情報はできるだけとって、全体としての仕事の進め方の基礎資料にするという意味合いにおいては必要であろう。しかしさればといって、それをこの機関でやるかどうかということになるとこれは慎重な検討を要します。 そこで我々が考えているのは、いずれにせよ各省ばらばらにとっておりますから、それらをもう少し、皆さん方が寄って絶えず連絡もしながら、そしてまた連絡のもとにそれぞれの役所でそれぞれの活動をなさればよろしいのではないか、その程度のことを今考えておるのが実態でございます。
○永末委員 あと三つほど聞きたいものですから、ちょっとはしょって聞きます。 運輸大臣はおらぬですが、運輸省の人はおられますね。先ほどこの有事法制のことで、民間船舶及び民間航空機の航行の安全を確保するための措置ができておらぬと言ったこと、これはまさに運輸省所管だと思うので、省庁の所管のわからぬところではないと思うのですが、船舶のみならず航空管制も専守防衛を発動しなければならぬときには問題である。それから土地の上の管制も重要な問題である。シーレーン、シーレーンと言っているけれども、アメリカのシーレーンの一つは船団護衛を完全に考えておる。我が方はよくわからぬことを言っておりますけれども、そういう場合は当然我が方の船舶の安全も考えざるを得ない。しかも、自衛隊法によりますと一たん防衛出動が下令されれば海上保安庁は防衛庁長官の指揮下に入ってしまう、こういうことでありますから、海上保安庁は所管は運輸大臣でございまして、今のような商船と自衛隊の護衛艦との関係、それから空、海、陸上のいろいろな管制、いざ有事ということになりますと運輸大臣が非常に大きな仕事をしなければならぬと思いますが、運輸大臣はこの会議に常時メンバーとしておる必要はないのですか。
○橋本説明員 安全保障会議の審議対象になる事項のうち運輸省の所管に関係のある議題につきましては、運輸大臣が、要請に応じまして積極的に安全保障会議に出席し意見を述べることといたしたいと考えております。
○永末委員 郵政大臣に聞きたいのですが、郵政省がお見えですから。まさに今は情報時代でございますから、一たん有事になれば報道に関する問題はどうするのか、電波管制は当然双方が電波を使うわけでございますからどうしていくのか、重大な問題になります。通信等に関しましても管制の問題が出てくるわけでございまして、これらの問題を混乱なくやるためにはあらかじめこれを考えざるを得ない。その意味では、この会議にメンバーとして出て、そしてきちんと方針を定める必要があると思いますが、郵政省はどう考えていますか。
○澤田政府委員 有事の際における通信の確保、そういった観点は大変重要なことだろうと思います。したがいまして郵政大臣は、通信に関する事項に関しては必要な場合には関係の国務大臣として出席し意見を述べるということになろうと思います。
○永末委員 必要な場合というのは、命ぜられるのではなくて、自分から出ていって言わなければなかなかそうはなりませんね。 さて官房長官、そういう問題点を我が党は持っておるのでありますが、この新しい安全保障会議というのは、法案の第九条で「会議に関する事務は、内閣官房において処理し、命を受けて内閣審議官がつかさどる。」こうなっております。したがって事務的に、行政的にあなたが大将ですね。
○塩田政府委員 御指摘のように、今度は、内閣官房に入って内閣官房の安全保障室というところで事務を取り扱いますから、内閣官房長官の指揮を受けるわけであります。
○永末委員 今までは、国防会議の構成等に関する法律でつくられたものは、事務局は設置する、事務局長は内閣総理大臣が任命するというなかなか偉い資格ですね。法律によって直接任命される。今度は「事務は、命を受けて内閣審議官がつかさどる。」で、事務局長はどういうことか一つも書いてないわけですね。そうするとどういうことになるのか。会議はこれで設置される、片方では官制で何か安全保障室というものができる、それで会議をそれにオーバーラップさせますね、そうするとその室長という人が事務局長になるのか。当然その室の事務は室長がやるのなら、その人がこの会議の――この会議は事務局長はつけてありませんから要らぬのかもしれませんね。ただ事務の統率はその室長がやる、その室長の上に官房長官がおられる、こういう仕掛けになるらしいのですが、さて、今までは内閣直属、総理大臣直属の官庁として国防会議を設置し、事務局を持たせ、そして事務局長は内閣総理大臣が任命しておった。今度はそうじゃなくて、官房の中のある室に、法律で会議はつくるけれども、事務は押しつけてしまう。 我々外から見ていますと、当初申しましたように、国防の問題は重大だから何とかこれをきちんとした、もっと責任のある構えてやりたい、こう主張してきたのですが、結果的に見ると、臨調路線で要するにある一つのものをぶっつぶしてそして官房の中へ押し込んでいく、どおんとダウンしてしまった、こんな感じですが、どうですか。
○後藤田国務大臣 その点も先ほど御質問がございました。確かに外からごらんになるとそういう意味において格下げみたいな印象ではないか、こういうお気持ちを抱かれると思いますが、今度の内閣機能の強化の方策としてはスタッフ組織を強化するということでございますので、室長というもののランクはハイランクに上げて、余り母屋の方に顔を向けないで、真っすぐ顔を向けてもらって仕事ができるような、しかも広い立場で、見識を持った、それだけの経験を持ったハイランクの人にかえたいと思っております。そうでないとこれは意味がありませんから。 ただその場合に、それでは国防会議はどうだ、こういうことになるのですが、国防会議の事務局長というのは従来から偉い人なんです。これはまさに次官クラスの人がなっておりますから、これはもうこれ以上上げるわけにいきませんので、これは大体横並び程度の人にならざるを得ぬではないかと思います、これは実態的な人の場合のランクの話でございますが。ただ、総理大臣の直轄のもとに国防会議の事務局があったのが内閣の中に入るから下へ下がりはせぬかという、そこは外から見ていらっしゃるのと行政の実態はまるきり逆でございます。今度の方が総合調整の機能ははるかに強化になる、そういうふうに御理解しておいていただいて間違いがない、私はこう思います。
○永末委員 現在の国防会議事務局長は防衛庁で防衛局長を長年務められた方である。防衛局長といえば防衛庁の事務次官になられるかという有資格者です。そういう方が国防会議の事務局長、まさに今官房長官が言われたように重い。 審議官というのはたくさんおりますね。内閣には内閣審議官と内閣参事官がおりますが、どっちが月給は高いですか。
○塩田政府委員 審議官でございます。
○永末委員 しかし、内閣審議官は多数おるわけですね。国防会議事務局長は単任でございまして、そして内閣総理大臣がストレートに任命する。だれが見ましてもまさに重いです。今度はたくさんおる審議官が室長になって、それでそのうちの一人が事務を統率するという程度のもとで、責任ということになると一体どういうことになるのか。仮に事務局長をつくってそれを総理大臣が任命したら、おかしいですか。
○後藤田国務大臣 ともかく私は、別段今の局長さんと今度の審議官、下へ下がるなんて思ってないんです。審議官というのは先ほど言ったようにハイレベルに持っていきたい。ただ、今の国防会議だけは事務局長の地位が高いですから、横並びのランクの人にならざるを得ぬだろうと思いますが、全体としてはすべてハイランクに持っていきたいと考えております。 大勢おるから少し下がるのじゃないかという御意見ですが、それは違います。何ぼ余計おっても、偉い人は偉いと御理解願いませんと、スタッフ組織の場合は、一人だから云々という理屈は成り立たぬ、さように御理解をしていただきたいと思います。
○永末委員 もう時間が参りましたので残念ながら質問はやめざるを得ませんが、要するに、新しくできる安全保障会議が、第一には、我が国の国防のために最終決定者である総理大臣の最も重要な諮問に答えるものであり、そしてそれは政府の総力を挙げてこれが運営できるようなそういうメンバーであり、事務局もそうである。したがって、これは戦争に突入する場合にはもうとんでもないことを決定しなければならぬことがあると思うのです。そういう意味合いでは、やはり事務をとる責任者も、なるほどあの人がやっておるならこれでいいんだと思えるような体制をとっていただきたい。民社党は長くそのことを主張してきたわけでありまして、今官房長官からいろいろ説明を伺いましたが、まだ釈然としませんな。なおひとつ検討いたすつもりであります。 質問を終わります。
○志賀委員長 柴田睦夫君。
○柴田(睦)委員 今度の安全保障会議は、いろいろ出ておりますが、アメリカの国家安全保障会議に相応する機能を政府に営ましめる、そのためにつくったというふうに言われておりますが、アメリカの場合、大統領が事故で亡くなった場合その職務をだれが代行することになっているのか。また、その代行者が同時に死亡した場合はだれが代行するのか。外務省の方にお聞きしたいと思います。
○渡辺(允)政府委員 お答え申し上げます。 大統領が死亡その他の事故で職務を遂行し得なくなりました場合の代行者につきましては、米国憲法に規定がございますが、まず第一に、大統領が免職、死亡、離職等の理由によっていわば不在になりました場合には、そのときの副大統領が大統領となるという規定になっております。それ以外の事由で大統領が一時的にその職務を遂行できなくなりました場合にも、その職務を代行するのは副大統領でございますが、この場合は、大統領になるということではなく、副大統領のまま大統領代理として職務を遂行するということでございます。 大統領、副大統領にさらに次ぎます代行の順位についても法律に規定がございます。副大統領の次がまず下院議長でございます。その次が上院議長代行と申しますか、プレジデント・プロテンポーレと言っておりますが、上院の議長そのものが副大統領でございますので、慣例としてそのときの上院の多数党の最長老議員がなるということになっております。その次が国務長官でございまして、以下財務長官、国防長官、司法長官等々各行政府の長が、その順序に従って職務を代行するという規定になっております。
○柴田(睦)委員 アメリカでは、今言われましたように憲法の規定、また法律の規定で代行者の順番がずっと決められているわけです。これはやはり緊急事態に対処するための措置の一つだと考えますけれども、そういう緊急事態が起きた場合に次の人がやる、また次の人がやる、こういうことを憲法、法律で決めているんだと思うのですが、いかがでしょうか。
○渡辺(允)政府委員 私ども米国の法律を必ずしも完全に有権的に解釈する立場にはございませんけれども、私ども法律の規定を見ました限りでは、特に緊急事態においてどうするというようなことではございませんで、いかなる事態でございましても、例えば大統領が死亡した場合、その他先ほど申し上げましたような事態に即して、それぞれいわば代理者が決まっていくという形になっていると承知しております。
○柴田(睦)委員 結局大統領、副大統領が亡くなるというような緊急事態、こういう場合の対処の体制ができているということだと思います。 そこで、我が国の現行内閣法を見てみますと、第九条で「内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う。」これはまた同趣旨の規定であると思いますが、この立法趣旨もやはり緊急事態対処措置の一つになると思うのですけれども、いかがでしょうか。法制局の方にお伺いいたします。
○大森政府委員 内閣法第九条は、ただいま委員指摘されたように規定されておりますが、この立法趣旨につきましては、内閣の首長たる内閣総理大臣に万一のことがあっても、行政の執行が滞ることがないように措置した規定であると言われているところでございます。したがいまして、必ずしも緊急事態が発生した場合のみを想定したものではないと解されるわけではございますが、もちろん緊急事態発生の場合にもその適用があるということは御指摘のとおりでございます。
○柴田(睦)委員 現行の国防会議、今度の安全保障会議設置法案も、「議長に事故があるとき、又は議長が欠けたときは、」「内閣法第九条の規定によりあらかじめ指定された国務大臣」がその職務を代理するという規定が置かれております。現在、この大臣はありますか。
○塩田政府委員 現在は指定されておりません。
○柴田(睦)委員 官房長官に伺いますが、どうして職務代理をあらかじめ指定しておかれないのでしょうか。
○後藤田国務大臣 日本の場合、現行法では第九条によって、内閣総理大臣に事故があるときあるいは欠けたるときということを予想して、先ほど御質問のような「予め指定する国務大臣が」代理をする、こう書いてありますが、その指定のやり方に、事前にずっと副総理ということを指定をしてある場合と、そうでなしにその都度内閣総理大臣臨時代理を指定をせられる、例えば総理がよく外国へ行かれますね、そのときは必ず臨時代理を指定する、この二つのやり方をとっておるわけでございます。そうすることによって緊急の不測の事態に欠けたところのないように措置をしてある、こういうように御理解をしていただきたいと思います。
○柴田(睦)委員 リビアに対してアメリカが攻撃をした。その攻撃の一番の目標がカダフィ大佐であった。戦死はしてないようでありますけれども、そういう事態が現実にアメリカの手によって起こっている。そういうことを考えてみた場合に、総理大臣が日本で急に欠けるというような場合は、閣議は総理大臣が招集するわけですから、現在では閣議が正式の手続で開けない、こういうことにならないでしょうか。
○後藤田国務大臣 確かに、おっしゃるように代理を指定をしてないといったようなときに急に総理が欠けたといった場合どうするのだ、こういうことでしょうが、これは在来から、残る閣僚が閣僚の中からこの方を指定すべしということで決定をして、その方が代理をおやりになる、こういうような仕組みになっておるようでございますが、なお法律的な点については法制局からお答えをさせます。
○大森政府委員 ただいま官房長官から答弁がございましたとおりでございまして、文理上どうかという問題はございますが、万々一にもそのような事態が生じた場合には、やはり内閣総理大臣の職務を行うべき者が必要であることは間違いございませんので、政府といたしましては、従前から、条理上当然に内閣総理大臣以外の閣僚が協議をした上で臨時代理を指定し得る、このように解してきているところでございます。
○柴田(睦)委員 条理ということを言われましたけれども、条理というのは法文がない場合の問題であって、この場合はあらかじめ臨時代理を置くことができるという法文があるわけです。 そういうことを考えてみますと、そういう場合に、通常の緊急事態が発生した際の警察法や災害対策基本法などに基づく緊急事態の布告、あるいは今度の安全保障会議を総理する者がいなくなるというような場合に、法律上の根拠が、法律上の規定があってしかもその法律を守らないでそして条理を適用する、こういうことがあっていいものかどうか、もう一度お伺いします。
○大森政府委員 一つの条項を条理に基づいて解釈するということは、例外的な場合における解釈ではございますけれども、現在、ただいまお尋ねの内閣法第九条等万々一の場合という事態に限定した限りにおきましては、条理に基づいて先ほどお答えいたしましたような結論を得るということは、決して法律上無理ではないというふうに考えている次第でございます。
○柴田(睦)委員 法律の規定があって臨時代理を置くことができる。また今言いましたように、国防会議についても今度め法案についてもそういう副総理、総理の臨時代理というものがあらかじめ決められるという条文があるんですけれども、今度の安全保障会議設置法案を出すについて、あらかじめ臨時代理を決めておくということをやはりまじめに検討すべきじゃないかと思いますが、官房長官の見解を伺います。
○後藤田国務大臣 総理大臣の欠けたる場合あるいは事故あるときの代理のやり方については、条理上の解釈、運営によって今日まで支障なく運営をされておりますから、私はこれで差し支えない、かように考えるのですが、立法論としましては、これは柴田さんがおっしゃるのは私は立派な、筋の通った御意見であろう、かように理解はいたしますが、今日まで実際上は問題が起きたことはございません。 そこで、今の安全保障会議等がどうなるかということでございますが、当然安全保障会議その他の法律に内閣総理大臣、こう書いてある場合には、臨時代理が置かれた場合には臨時代理ということになりますから、その臨時代理について条理上解釈、運営でやってきておるのですから、それで欠缺が生じるといったようなことはない、かように理解をいたします。
○柴田(睦)委員 それでは今度は安全保障会議の性格の問題ですが、審議機関だということを言われます。総理が会議に諮る。それから、重大緊急事態発生のときはその対処措置を諮る。それから、会議は総理大臣も含めて総理に意見を述べるという形になっておりまして、結局この会議は、総理が主宰をして、自分が中心になって意見を求め、自分がその意見をもらう、こういう形になっております。いわば自問自答という機関になっております。また中身を見ますと、会議の議事規定も総理が決める。これは第八条がそうなっております。 こういうことを見てみますと、ここは審議機関であるけれども、その審議を受けて総理大臣がそれを実行することになるということになりますと、審議機関という形をとっているけれども、事実上は意思決定機関だということになるのではないでしょうか。
○塩田政府委員 ちょっと最後のところが聞きづらかったのでございますけれども、御指摘のようにこの安全保障会議は諮問機関でありまして、審議をしまして総理に答申する、こういうことを任務といたしております。 決定するといいますのも、この会議体としては、当然会議の結論を決定はいたしますが、それは審議機関でございますから総理に対して答申いたしますけれども、それが行政権の行使の上でいわゆる決定を意味するものではなくて、総理に対する答申としまして、それを受けて各省が実施をされる、こういう意味になります。ここで言う議事規則で言う決定というのは、そういうふうに会議体として意思を決定するという意味の決定でございます。
○柴田(睦)委員 後藤田長官は、緊急事態の対処につきましてトップダウンの意思決定が必要になる、基本の処理方針をトップダウンで決めるという趣旨のことを国会で答弁されております。安全保障会議が事実上の意思を決定する機関であるということを長官は認めていらっしゃるのではありませんか。
○後藤田国務大臣 安全保障会議が、総理大臣の諮問を受けてそして審議をし意思を決定をする、こういう意味でございます。だから審議機関としての意思を決定する。しかし、しばしばお答えいたしておりますように、それは方針を決めるというだけであって、実行する、実施するということは、これはそれぞれの所管に応じてそれぞれの省庁がそれぞれの法令に従って実行していく、こういうように御理解をしていただきたいと思います。
○柴田(睦)委員 そうすると、この安全保障会議で基本方針を決められて、その決められたことを各担当省で実施、実行する、こういうことになっていくわけですか。確認したいと思います。
○塩田政府委員 そういうことになるわけでございます。
○柴田(睦)委員 現行の国防会議についてお伺いしますが、この安全保障会議は国防会議の事務を継承するということになっておりますが、国防会議の運営規則というものがあるはずですが、その中身はどうなっておりますか。
○塩田政府委員 国防会議の議事運営規則は、国防会議の構成法の規定によりまして、議長が国防会議の議を経て定めておるわけでございますが、中身につきましては、例えば定足数でありますとか、議長が指名するところの常時出席者でありますとか、議決あるいは会議を非公開にするとか、議事録等を規定したものでございます。
○柴田(睦)委員 国防会議議事運営規則ですか、これは公表はされていないわけですか。
○塩田政府委員 これは従来非公表の扱いをさせていただいております。
○柴田(睦)委員 私が知っているところでは、会議はあらかじめ審議すべき議案を示して議長が招集する、会議は議員の過半数が出席しなければ開くことができない、議長は内閣官房長官及び国防会議事務局長を常時会議に出席せしめるものとする、それから議事は議長及び出席した議員の全会一致をもって決定する、会議は非公開とする、国防会議事務局長はその出席者、議案、決定内容等を録取し、これを保管するものとする、この規則に定めるもののほか国防会議の運営に関し必要な事項は議長が会議の議を経て定める、私が見たものではこういうふうになっておりますけれども、このとおりですか。
○塩田政府委員 非公開ということでございますので、正確に申し上げるのは差し控えますが、大体そのとおりでございます。
○柴田(睦)委員 これは新聞に出たのですね。そうすると、今度の安全保障会議についての議事運営規則というものは準備されておりますか。準備されておれば大体こんなふうな形になるのですか。
○塩田政府委員 まだ準備いたしておりません。ただ、おおむね似たような形になるだろうとは思いますけれども、まだ準備はいたしておりません。
○柴田(睦)委員 次は、安全保障会議と閣議との関係でありますけれども、イギリスでは、フォークランド紛争の際に、インナーキャビネットであります国防海外政策委員会が閣議にかわって重要な国策を決定して、閣議はその追認機関となりましたが、今回の安全保障会議というものがこれと同じものになるのではないかと思うのです。 臨調の審議のときに検討資料として配付されました資料を見てみますと、イギリスの国防海外政策委員会というのは内閣にかわり調整、決定するというようになっております。この重大緊急事態への対処方針というような国民に重大な影響を及ぼす重要事項を、事実上閣議以外の機関で決めなければならない理由、緊急時だという問題があるでしょうけれども、緊急時には緊急時の閣議の開き方があります。この点については、閣議は全員出席して決議をするというのが原則でございますけれども、緊急の場合でございますから、総理なり官房長官の判断で参集した閣僚だけでもって閣議を進めるということにして、あとは持ち回りあるいは連絡によって同意を得れば、閣議としての成立といいますか形式は整います。これは角田内閣法制局長官が国会で答弁しておりますが、こういう緊急時には緊急時の閣議の開き方がある。それから、政府が重大緊急事態として三つの過去の例をいつも挙げられますけれども、こういう三事例に対処した場合もこういうやり方で緊急事態に対処してきたと思うのですが、そういうことから考えてみて、閣議外の機関でこの重大緊急事態への対処方針を決めるという必要が本当にあるのかということをお伺いしたいと思います。
○塩田政府委員 イギリスの国防海外政策委員会のやり方は御指摘のようになっておると思います。これも厳格に言いますといろいろなケースがあるようでございまして正確にはわかりませんけれども、おおむね今お話にあったようなやり方をしておるというふうに我々も理解をしておりますが、我が国の場合、今度の安全保障会議の場合に、イギリスのようなやり方をしてそこで決めれば後で閣議は要らないのだというような考え方は全くとっておりません。それは何回も御答弁申し上げてきたとおりでございます。 そこで、それでは閣僚の一部が集まってやる、そういうやり方をしなくても閣議には緊急時にはいろいろなやり方があるではないかという御指摘のようでございますが、安全保障会議の場合、申し上げるまでもなく二つあるわけです。一つは、国防事態の場合はこれは従前の国防会議と同じ意味でございますから、慎重を期してシビリアンコントロールという観点から現在の制度が設けられていることは繰り返すまでもないわけでございます。第二項の重大緊急事態が起こった場合のやり方として今度のようなやり方をなぜとったかということでございますが、これも先ほど来御答弁申し上げておりますように、関係のある少数の大臣のお集まり、もちろんそれ以外の方でも事態に関係のある大臣には御出席はいただきますけれども、議員としては定められた少数の大臣にお集まりいただいて、なるべく速やかに適時適切な対応ができるようにしたいという考え方で今回の措置を考えたわけでございます。
○柴田(睦)委員 先ほどからの説明を聞いておりますと、安全保障会議で基本方針が決まる、それを政府が各省の担当で実行する、こういうことになりますから、いわばインナーキャビネットにも似たような格好になるのですけれども、安全保障会議で決定した方針というのは、全部閣議にかけられるということになるのでしょうか。
○塩田政府委員 それは案件によると思います。閣議にかけて初めて内閣として行政権を行使する必要があるという案件もありましょうし、事態によっては閣議にかけないで、この安全保障会議の答申を受けて総理が直ちに各省に指示するということによって、各省が動くという案件もあろうかと存じます。
○柴田(睦)委員 そうしますと、閣議にかけないで担当省が動き、その方針に重大問題があったという場合、憲法が規定した内閣の「国会に対し連帯して責任を負ふ。」という点についてはどういうことになるのでしょうか。安全保障会議が国会に対して責任を負うということになるのでしょうか。閣議にかかってないということですから、その会議に出てない大臣というのは連帯責任というわけにはいかなくなるのではないか。こういう疑問が生じますが、その点はいかがですか。
○塩田政府委員 何度も申し上げておりますが、安全保障会議は総理の諮問機関であります。総理から諮問を受けて答申する、それを受けて各省が実行する、こういうことでございますから、あくまでもそれは閣議決定をしてからしなければいけない事項ではない、今申し上げました、各省が直ちに総理の指示を受けて実行するという案件はいずれも内閣の行政権の中でやっておることでございますから、私は、今御指摘のような国会との責任問題というようなことは起こらないのではないかというふうに思います。
○柴田(睦)委員 そうすると、閣議にかけない方針などについても内閣が連帯して責任を負う、普通に言えばそういうことになります。今の説明によりますと、そのことは国会に対する責任のない問題ではないかと思うということでありましたが、やはり政府の行為であれば国会に対して連帯責任があるということになりますが、その点をもう一度はっきりしていただきたいと思います。
○西廣政府委員 あるいは法制局からお答えすべきかもしれませんが、御承知のように各省に行政事務がいろいろ分配されておるわけでございますが、その分配されておる事務の中で、ある種のものについて総理が重要事項だということで取り上げられて、これを諮問機関、例えば国防会議なり今度できますとする安全保障会議なりに諮問をされたということになりますと、その所掌事務に関しては内閣に一応吸い上げた形になりますので、会議に諮問され答申されたことを受けて決定される段階では、それをもう一回行政に移す段階では閣議決定が必要であろうというふうに考えております。
○柴田(睦)委員 安全保障会議設置法の第六条の二項には、「議長及び議員並びに議長又は議員であった者は、その職務に関して知ることのできた秘密を他に漏らしてはならない。」こういう守秘義務の規定があるわけですが、このことに関連して、最初に法制局の方に伺いたいと思います。 一般職、特別職の公務員の場合の守秘義務の規定は現行法でどういうふうになっておりますか。
○大森政府委員 御承知のとおり国家公務員には一般職、特別職の区別があるわけでございますが、現行の国家公務員法自体は原則として一般職に適用がある。そして、その国家公務員法の百条には一般職に属する国家公務員の守秘義務に関する規定がございます。これは公知の事実でございますが、国務大臣等特別職の公務員についての守秘義務の規定についてはやや説明を要する点がございます。 まず国務大臣等の特別職公務員の守秘義務に関する一般規定といたしましては、昭和二十二年法律第百二十一号という法律がございまして、国家公務員法の規定が適用せられるまでの官吏その他政府職員の任免等に関する法律という件名になっております。この法律によりますと、「官吏その他政府職員の服務に関する事項については、その官職について国家公務員法の規定が適用せられるまでの間、従前の例による。」このように規定されておりまして、これを受けまして旧官吏服務紀律、これは制定されたのが明治二十年、勅令第三十九号という古いものでございますが、戦後にも一部改正を受けております。この官吏服務紀律の第四条の令によって守秘義務が課されておる、このような関係になっております。
○柴田(睦)委員 第七条で「議長は、必要があると認めるときは、関係の国務大臣、統合幕僚会議議長その他の関係者を会議に出席させ、意見を述べさせることができる。」こういうようにあるわけですけれども、この第七条で出席した人については守秘義務の規定はないということになりますか。そうではないということですか。
○塩田政府委員 その前に御質問のありました六条二項の規定とは違いますけれども、七条で出席された方は、それぞれの身分による法規の規定によりまして守秘義務を受けておられるはずであります。
○柴田(睦)委員 そこで、この守秘義務を担保するために一般的には罰則、一般職の国家公務員については「秘密を漏らした者」ということで罰則が適用される。今言われました特別職の公務員に対する罰則はどうなっておりますか。
○塩田政府委員 御指摘のように一般職については罰則がございますけれども、特別職の方については罰則がございません。
○柴田(睦)委員 そうしますと、秘密を漏らしてはならないという第六条第二項の規定というのは、単純なる精神規定、訓示規定の範囲にとどまるのでしょうか。
○塩田政府委員 罰則がございませんので、そういう意味においては精神規定ということになろうかと思います。
○柴田(睦)委員 その点法制局の方に伺いますが、今特別職について説明がされましたけれども、その昭和二十二年法律第百二十一号関連でもやはり罰則規定はないということでしょうか。
○大森政府委員 罰則は存在しておりません。
○柴田(睦)委員 ここで問題なのは、結局、同じ内閣の中にある閣僚で一部の閣僚だけが秘密を知っていてほかの同僚の閣僚にもそれを漏らしてはならない。漏らしてはならないような秘密を一部の閣僚だけで握っている。これは今の内閣の制度、内閣は「連帯して責任を負う。」というような規定から考えてみて、一部の閣僚だけが秘密を握る、そういうことが今の閣内において許されることであるかどうか、この点について長官の意見をお伺いします。
○塩田政府委員 御指摘のとおりのことになるわけですけれども、国防会議あるいは今度の安全保障会議で決められましたことが実際にさらに閣議にかかるというような時点では、これは当然閣僚全部御存じになるわけでございまして、そういう意味ではほかの閣僚も知られるわけであります。
○柴田(睦)委員 その閣内で、結局、一般的に閣議にかけるのもある、かけないのもある。そうするとその中で、閣議に出す場合においても、一部分は閣議で報告しない部分も出てくる。また、閣議にかけなければ一部の閣僚だけで秘密を握っている。こういう事態というのは、やはり内閣の連帯責任ということから考えてみれば異常な事態である、説明のつかない事態であるというふうに思いますが、いかがですか。
○塩田政府委員 実際に行政の形で出る場合には、すべてもうこれはわかるわけでございます。それから、内閣として意思決定をしなければいけないようなことにつきましてはこれは当然閣議にかかるということで、実態的には御心配のようなことはないのじゃないかと思います。
○柴田(睦)委員 そういうことで、ほかの大臣にも知らせない秘密がこの安全保障会議の構成員にはある、そういうことを意味しているわけですけれども、そういうことだから結局国会に対しても真相を知らさない、そういう事態が出てくると思うのです。そういうようになっているという説明をいろいろ聞いておりますが、安全保障会議で決定した重大緊急事態対処の基本方針、それだけではなくて、具体的な対処措置、それからいわゆるマニュアル、こういうのはどういう基準で国会に報告したりしなかったりするんですか。
○塩田政府委員 この安全保障会議の答申を受けまして、総理が必要と判断すれば、相応の措置が逐次とられていくことになるわけでございますが、その際、関係省庁が現行制度のもとで定められた通常の手続によりましてこれを実施することになります。その実施に当たりまして、既存の法律等によりまして国会の承認等が必要とされるといった場合あるいは報告が必要であるといった場合には、その手続がとられるということを申し上げておるわけであります。
○柴田(睦)委員 例えば災害対策基本法に基づいて緊急事態の布告を行って特別の措置をとったという場合には、二十日以内に国会に付議して承認を得なければならない、こういうふうになっているわけです。それがこの法案には、重大緊急事態と言いながら、一般の緊急事態でもそういう国会報告義務があるというのに、この法案には事後承認規定さえない。これはどういうわけですか。
○塩田政府委員 災対法にはそういった規定がございますけれども、今回の安全保障会議で重大緊急事態を取り上げました場合に類似の規定がないのは、何度も申し上げておりますように、この安全保障会議で決めるのは方針である、対処措置の方針であります。それを受けて実施するのは各省庁でございますから、その各省庁で、今申し上げましたように報告すべきものあるいは国会に提出すべきものがあれば、それはそういう手続によりますけれども、この安全保障会議で決めるのは対処についての方針でございますから、その意味では災害対策のあの規定とは意味が大分違うというふうに御理解いただきたいと思います。
○柴田(睦)委員 要するに方針は決めた、その方針が実行された、実行されたものについてはこれは報告をする。しかし決めただけのものは報告をしない。その会議の中で秘密にしておく。こういうことになるわけです。何事か起きて、これからこういう対策をやろうということを決めたけれども、状況の変化で、あるいは認識の間違いでそういう手当てをとらずに済んだ、マニュアルをつくったけれどもこれは実行に移さなかったということになれば、国会には報告をしない。こういうことになるわけであります。事実上、行政の意思が、国会に報告することとしないことを自分で選択できるということになれば、国会の上のことをやる、方針を決めるということになっていくわけです。 それからまた、実行したことについても、ここで決めれば、これが問題になって裁判の問題になる。しかし裁判所は、今までの最高裁判所の判断などを見ていますと、例えば国会解散の有効無効を争った場合に、これは統治行為だから裁判所が判断すべきじゃないと言いましたし、自衛隊の違憲、合憲についてもそういう態度。安保条約についてもそういう態度。 こういうことから見ますと、結局は、この安全保障会議で決めることというのは国会や司法の上を行くものになるということになってしまう。要するに三権の上に、政府の中においても一部でそういう自分たちだけが知っている秘密を持っているというようなことになって、事実上は三権の上に立つような性格の会議になりはしないか。この点についての見解を伺います。
○後藤田国務大臣 柴田さんのせっかくの御質問でございますが、それは全く誤解でございます。そうではない。この安全保障会議というのは、重大緊急事態が起きたときに、関係各省が余りにもたくさんあって、基本的なものの方針というものが決まらない。それを方針を早く決めて、それぞれの所掌に応じて、それぞれの法律に従って各省は仕事をしていく、こういう仕組みになるわけでございます。したがってこの安全保障会議は総理の諮問に応じて答申をする、それを受けて基本の方針を決めて、トップダウンでこういう方針でいこうということになって、それで各省がそれによって動いていく。その各省が動いていく過程において、国会に報告すべき事項が決まっているなら報告しますし、あるいは報告をする必要のないものは報告しないしということで、従来と一つも変わらない。いわんやこれが三権の上にあるなんて、それはとんでもない話でして、そんなことどうして柴田さんおっしゃるのか、その御質問の趣旨が実際私にはわからないのです。そうじゃありませんから、そういう点をひとつ御心配のないように御理解しておいていただきたい、こう思います。
○柴田(睦)委員 官房長官、そう言われますけれども、実際上は政府の中で一部の人たちが秘密を持っている、ほかの大臣は知らない。そして、今言いましたように司法においてもこれは統治行為論で大体が判断を避ける。国会については報告することとしないことをこれはそこの安全保障会議の中で決められる。こういうことになると、事実上は一番偉いものになってしまっているんじゃないか。こういう意味で言っているわけです。 そこで次に、重大緊急事態の問題ですが、行革審答申では、この重大緊急事態の問題について「国家の安全に係わる重大事に発展するおそれのある緊急事態」というふうに表現しておりますが、この法案では、国防以外のものであって「我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれがあるもののうち、通常の緊急事態対処体制によっては適切に対処することが困難な事態」、この二つでは、行革審の答申と表現が違っておりますけれども、これは同じ意味を言っているのか。どうしてこのように変わったのか。ちょっとお伺いします。
○塩田政府委員 行革審の趣旨を受けて立案をいたしたわけでございますが、立法的な意味で多少表現は変わっておりますが、趣旨においては行革審の趣旨等を変えたつもりはございません。
○柴田(睦)委員 重大緊急事態ということを認定する経過ですが、最終的に重大緊急事態であるということを認定する、そういうことを決める、そこに至るまでのこの会議を通じての経過を説明していただきたいと思います。
○塩田政府委員 これはもう起こった事態によって全くまちまちだと思います。いきなり大事件に突入するような場合もありましょうし、徐々にだんだん重大化していくというような事態もありましょうし、その辺のところは実際に起こってみないとどういう対応になるかわからないと思います。 したがいまして、平素から安全保障室の方においてマニュアルを研究しておこうということを申し上げておるわけでございますが、いずれにしましても、今度は内閣官房の中に安全保障室というところができますから、安全保障室におきまして、いろんな事態が起こった場合に直ちに必要な情報を収集するなり連絡するなりいたしまして、必要があれば上に上げて安全保障会議を招集していただくとか、そういったことを行うようになるだろうと思います。その具体的な手続まで今決めておるわけではございませんし、先ほど申し上げましたようにむしろいろんなケースが考えられますから、そこら辺は安全保障室において平素から勉強しておこう、こういうことでございます。
○柴田(睦)委員 政府は、ダッカ事件、クアラルンプール事件あるいはミグ25事件、大韓航空機撃墜事件、こうした事例を過去の重大緊急事態として挙げられますが、これらについてはそれぞれ一定の法律があると思うわけです。大韓航空機問題については我が領土外の問題ですから、これは法制がないということかもしれませんけれども、いずれにしろそういうものは、今まで対処措置を閣議で決めて、よしあしの評価は別といたしましてやってきているということから考えてみますと、これは重大緊急事態ということではなくてむしろ通常の緊急事態ではないかというように思いますが、これがどうして重大緊急事態になるのかお伺いしたいと思います。
○塩田政府委員 挙げました三つの事件が我が国にとって重大な事件であることは間違いないと思いますが、それを私どもがここで重大緊急事態の例としてしょっちゅう挙げておりますのは、先ほど来お答えいたしておりますように、やはり起こった事件についての重大性、緊急性あるいはさらに異例性といったようなことから考えまして、今申し上げましたような三つのケースは、異例性という点からいきましてもあるいは緊急性という点からいきましてもあるいは重大性という点からいきましても、該当するのではなかろうかというふうに申し上げておるわけであります。
○柴田(睦)委員 そうしますと、大きな災害、こうしたものはしばしば経験する、だから異例ではない。政府が挙げて例示しますこれらの事件というのは、重大性だけから見ればほかにもいろいろありますし、緊急性という問題についても災害だとかいろいろあるわけですが、異例性というところにこの特徴がある。そうすると、今後も異例的なもの、そういうものが中心になって重大緊急事態、こういうことに判断されていくわけでしょうか。
○塩田政府委員 結局、この法律の条文でいきますと、二項にありますように、「通常の緊急事態対処体制によっては適切に対処することが困難な事態をいう。」ということになっておりますが、その通常の緊急事態対処体制によって適切に対処することができるものが通例の場合であります。それができないというものがここで言う異例性、こういうことになります。したがいまして、御指摘のように異例性というのは今後重大緊急事態であるかどうかを判定するに当たっての非常に重要な要素の一つであるということは申し上げられると思います。
○柴田(睦)委員 現行法に規定がないにもかかわらず処置をしたという事例からいえば、既決、未決の囚人を釈放したケースがあるわけですが、こういうものは現行法の定めでは、その法律に従っていては処理できない。しかし、一番最初に条理というようなことを言われましたが、条理だとか行政権の行使だとかあるいは緊急避難的処置だとか統治行為に属するとか、そういう形で対処はしなければならない。だから、対処するという立場で法律の拡張解釈をすることもあるでしょうし、条理を使う場合もあるでしょうし、そういうことで、そういう特殊な場合、いわば超法規的――これはいわばの話ですよ、超法規措置と言うと官房長官は嫌がりますから。いわば法律の規定はこうなっているけれども、この場合こうするのが行政だというようなことで対処措置が講ぜられる、こういうことも考えられるのではないでしょうか。
○塩田政府委員 私どもが異例性と申し上げたものですから、御指摘の超法規的な場合もその異例性に当たるのかという趣旨のお尋ねではないかと思いますが、これは先ほど官房長官がお答えになりましたけれども、今回の安全保障会議設置法におきまして、私どもは超法規的なことをとることを考えておるわけではございませんで、私どもが言っておる異例性というのは、先ほど申し上げましたような「通常の緊急事態対処体制によっては適切に対処することが困難な」ということで、適切に対処するということが困難な状態を指しておるわけでございますが、その意味は決して超法規的なことをやることを含むという意味ではございませんので、その点はぜひ御理解をいただきたいと思います。
○柴田(睦)委員 通常の体制では適切な処置がとれないというと、そうするとどういう体制をとってやるわけですか。
○塩田政府委員 事態がいろいろありますから一概に言いにくいのですけれども、例えて言いますと、大きな地震が起こったという場合に、これは国土庁といいますか中央防災会議を中心にしまして現在の体制がございます。そこで震災対策はとるわけでございます。しかし、それが例えば関東大震災のときのようなさらに大きな地震であって、地震対策というよりも社会不安あるいは経済的な混乱、そういった状態にまでなっているという場合には、これはもはやいわゆる地震対策の範疇を超えるところまで来ているという状況もあり得るだろうということでございまして、そういう場合にこの安全保障会議にかけまして対処措置を検討する、こういうことを申し上げておるわけであります。
○柴田(睦)委員 では次の問題ですが、防衛問題です。 アメリカの国家安全保障会議、これは審議事項が、軍事問題を含む国家の安全保障に関する各省庁共通の関心事項について政策を検討する、そして大統領の助言機関である、いわば戦争指導機構の役割を果たすものになっているわけです。そしてまた、日本の安全保障会議もこのアメリカの国家安全保障会議を大いに参考にしたということでありますけれども、防衛庁長官、今の自衛隊法を運用する、防衛関係の法律を運用する上において、戦争指導機構、そうしたものを必要とするというような考え方はありますか。
○西廣政府委員 御承知のように、有事に自衛隊を運用するについては防衛庁長官がその責任者であり、かつ、内閣総理大臣が最高の責任者になっておるわけでございますか、今仰せられているのは戦争指導ということでございますので、そういうことになりますと、やはり今度できます安全保障会議なりあるいは閣議ということで十分各方面からの御意見もあって、防衛作戦及び防衛活動の遂行についてどのような手だてを講じるかという各般からの御意見が調整されて、指導がされるものと思っております。
○柴田(睦)委員 防衛庁長官に伺いますけれども、現在国防会議がある、これが改組されて今度安全保障会議に移る、このことで新しい期待というものを防衛庁長官は持っておられますか。
○加藤国務大臣 このたびの安全保障会議の設置によりまして、国防会議が従来果たしてきました機能及び任務というものはそっくり受け継がれるわけでございます。それから、先ほども申しましたように、重大緊急事態というようなものの中で、物によりましてはいわゆる防衛出動ないし有事にかかわるようなことに発展するものも理論的にはあり得るわけですけれども、そういったものが事前に安全保障会議の中で討議され、またそれに適切に対処されることによって、そういった事態が防げるという可能性も今度の場合出てきたわけでございまして、防衛庁としても評価いたしております。 また、従来のシビリアンコントロールは、今度の安全保障会議の仕組みにおいても十分に担保されていると思っております。
○柴田(睦)委員 戦争を防ぐという立場での期待を述べられておりますが、有事の場合において活動がしやすい、そういうような期待はあるのですか。
○加藤国務大臣 有事の際に作戦がしやすい、しにくいというようないわゆる作戦面のことよりも、我々が防衛政策を設定したり防衛力整備計画を立てたりまた有事のときに防衛出動を下令する際に、間違いなきことがます第一に重要な点であろうと思います。その点につきまして、防衛庁のみならず政府部内の広い意見のもとに判断されそして閣議決定にいく前段階とされて、そしてひいてはしっかりとしたシビリアンコントロールに資するという意味において、私たちは今度の安全保障会議の設置を評価するものでございます。
○柴田(睦)委員 後藤田長官にちょっと伺いますが、これは去年の十月二十九日に衆議院の予算委員会で、民社党の米沢委員の、現行の国防会議を「アメリカの国家安全保障会議的なものに改組されることが必要ではないか、」という質問がありまして、これに対して「ただいま関係方面で慎重に審議をしておりますが、その審議の中で、米沢さんの御意見、これらも十分参考にはさせていただきたい、」こういう答弁をなさっておりますが、このアメリカの国家安全保障会議というもの、こういうものはやはり参考にされたかどうか、お伺いします。
○塩田政府委員 この点は、アメリカのNSCのみならず、各国の同種の機能を持った会議につきましては一応勉強はいたしたわけであります。しかし、その中で結果的に参考にしたかというお尋ねであるとしますと、アメリカのNSCの場合と日本の場合と、基本的に余りにも違うところがございます。つまり、いわゆる大統領制と議院内閣制といったようなところから始まりまして、いろいろな意味で違うところがございます。したがいまして、具体的な意味でどこが参考になったというような点はむしろないと申し上げた方がいいのではないかと思います。私どもとしては、検討の中心は、昨年いただいた答申をその趣旨に従って実現するということを中心にして検討した次第であります。
○柴田(睦)委員 次に、日米諮問委員会というのがありまして、この報告、八四年の九月に出ておりますが、ここで、「日本の自衛隊の主要な欠陥は指揮、統制、通信、防空体制の統合、三軍統合作戦のための基礎作業、旧式装備そして兵站予備などの領域にわたっている。日本の防衛努力を正当に評価する根拠は戦闘遂行能力が達成されつつあるかどうか、また防衛ギャップが克服されつつあるかどうかに置かれるべきで、防衛支出をめぐる不毛な議論自体は避けるべきであろう。」こういうふうに欠陥を指摘しておりますが、三軍がばらばらであるという問題につきまして、今統合軍構想というものが出てきておりますが、これは日米諮問委員会のこの指摘に対応して検討されたものであるかどうか、お伺いします。
○西廣政府委員 御承知のように、自衛隊は防衛庁長官のもとに陸海空が統合された部隊として存在しておるわけでございまして、陸海空という三つの形には分かれていないのであります。長官の直轄部隊としては、陸自身大きなものだけ挙げましても、各方面隊がそれぞれ防衛庁長官から直轄部隊としてつながっている。空だけが空全体として一つの部隊として長官直轄部隊になっているわけなんですが、海についても自衛艦隊あるいは地方隊というものがばらばらの形で長官にそれぞれ直轄しているという形になっておりまして、自衛隊全体としては、長官のところで初めて一体化された統全部隊として運用されるわけであります。 しかしながら、日本のような比較的小さな国土とその周辺の海域ということになりますと、全体が一つの統全部隊であるということで、運用としてはそれが最も効率的かつ柔軟性があるというふうに我々としては考えております。ただ、その際に、この三つの自衛隊、それぞれの自衛隊がそれぞれ若干生い立ちも違いますし、米側の方の陸海空の援助あるいは支援等を受けてそもそもが発足したわけでございますので、通信その他についてややばらばらである点は否めないわけであります。したがって、我々としては、長官のもとに統合されておる自衛隊全体として統合的な運用効果を上げるように、主としてC3Ⅰ、指揮、統制、通信、そういった面をまず初めとして、統合的な運用効果を上げられるようにさらにいろいろな面で検討し、整備をしていきたいというように考えております。
○柴田(睦)委員 そういう検討の中に、統合幕僚会議をいわばアメリカの統合参謀本部のように、三軍への指揮権を持ったものに再編強化していくというような検討はなされているかどうか、お伺いします。
○西廣政府委員 ただいま申し上げたように自衛隊そのものが統合軍でございますし、それをまとめて指揮する者がだれかということになりますと、我々としてはやはり文民である防衛庁長官が一番よろしいということで、一部の国にありますように例えば統参議長のようなもの、いわゆるユニフォームが指揮をするということは考えておりませんで、現在の統幕議長あるいは陸海空幕長はいずれも防衛庁長官の参謀である、いわゆる幕僚であるというように考えております。
○柴田(睦)委員 それから、軍事関係者の間に非常に強いし、相当根強いものがあるわけですけれども、防衛庁を国防省に格上げをすべきである、こういうことが出ておりますが、こういう問題は検討されているかいないか、お伺いします。
○加藤国務大臣 現在考えておりません。
○柴田(睦)委員 一緒に聞けばよかったのですが、将来もそういう問題は考えないのかということもあわせてお伺いします。
○加藤国務大臣 将来考えるかどうかというのは、将来のそれぞれの長官ないしそのときどきの総理をやられる方がお考えになることだと思いますし、また国民世論の動向、防衛についての国民の意識、コンセンサス、そういったものの中で総合的に考えられるべきことであろうと思いますが、現在私たちは省の昇格を考えておるわけではございません。
○柴田(睦)委員 それでは米軍との関係について伺いますが、今在日米軍の出撃というような問題に関して事前協議という制度があるわけですけれども、事前協議というのは現在はどこで行うことになっているわけですか。
○渡辺(允)政府委員 先生今御指摘の事前協議は、安保条約及び関連取り決めのもとにおきます三つの事項についての事前協議のことかと思いますけれども、これは、それの行われる手続とか形式とかいうものは特定されているわけではございません。ただ事柄の性質上、恐らく通常の外交ルートで行われることが最もあり得ることであろうかと考えております。
○柴田(睦)委員 それは、事前協議の申し入れがあった場合は外務省が受ける、そして外務省と協議して決める、こういうことになるわけですか。
○渡辺(允)政府委員 ただいま私が申し上げましたのは事前協議が行われる手続でございますが、そのような手続を通じて事前協議が行われました場合に、これは当然それを受けますのはいわば政府ということになると思います。
○柴田(睦)委員 そこで、在日米軍が日本の基地から出撃をする、そういうことの承認が求められる、協議して承認を求められる、こういう場合に、安全保障会議というもので判断して、安全保障会議で審議して決定をした、そのことを受けて出撃を承認する、こういうことになるのかどうか、お伺いします。
○塩田政府委員 結局、一項の五号の「国防に関する重要事項」ということで総理の判定があった場合にかかるということになるし、そういう判定がなければ安全保障会議にはかからないということになるのではなかろうかと思います。
○柴田(睦)委員 ちょっとよくわからない。
○塩田政府委員 結局、今度の法律の第二条第一項の第五号「その他国防に関する重要事項」が安全保障会議にかかるわけですが、それに当たるかどうかということになるわけであります。
○柴田(睦)委員 官房長官、在日米軍が戦争で日本の基地から出撃する、こういう場合はやはり安全保障会議で審議すべき事項になるんじゃないでしょうか。
○塩田政府委員 ちょっと、具体的な事態で判断しないと何とも言えないというふうにお答えいたしたいと思います。
○柴田(睦)委員 そうすると結局、日本の基地からアメリカ軍が出撃する、これは事前協議の対象である、それを承認するかしないか、これを日本の政府が決める。その日本の政府が決めるについて安全保障会議が使われるか使われないか。出撃といえば戦争のために出るということですから、ケース・バイ・ケースあるいはその状況によって違うという性質のものじゃないと思うのです。戦争のための出撃、こういうことですから一律だと思うのだけれども、どうですか。
○塩田政府委員 その点は、今度の改正でなくて現在の国防会議の問題でもあるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、この第五号に該当するかどうかということによって判断されるだろうというふうに思います。
○柴田(睦)委員 その第五号に該当するのですかしないのですか。
○塩田政府委員 繰り返しになりますけれども、その時点において五号に該当するかどうかという判断はなされて、該当するとすればかかる、こういうことでございます。
○柴田(睦)委員 結局はまだ判断できないということを意味するのでしょうけれども、それでは、日本がアメリカ軍の戦争に対して同盟国として後方支援をする、それは戦闘には入りませんけれども、戦闘を伴わない後方支援、こういった便宜供与。どういう便宜供与をするか、そうした問題は安全保障会議で誇るということになりますか。
○塩田政府委員 今御質問の点は現在日米間で研究を進めておる事項だと思いますけれども、その内容はもちろんまだ私どもわかりませんが、今申し上げましたように、結局その点も、具体的な発動の時点で一項五号に該当するかどうかという判断をされるということになろうかと思います。
○柴田(睦)委員 アメリカの「海洋戦略」、これは資料を渡しておきましたけれども、これを見ますと、「緊張の深まり、またはソ連の全面攻撃の可能な準備という最初の兆候にたいして、米国と同盟国の海軍戦力は、母国の港から出動し、可能なかぎり遠くまで前進し展開する。空母戦闘群と攻撃型潜水艦は、抑止が失敗したときに最大限有利になるような位置を占めるよう努める。」これが第一次段階での戦略になっているわけですけれども、第二段階では、「ソ連が中部ヨーロッパにたいする全面侵略を開始したとき、初期のNATO戦略は、攻撃を迎え撃ち、敵をくじいてイニシアティブを確保することである。攻撃型潜水艦は、ノルウェー海、バレンツ海、地中海及び太平洋で、ソ連海軍戦力とただちに交戦する。空母戦闘群は、ソ連の水上及び空の脅威を絶滅または非戦力化をめざし、他方、同盟国の対潜水艦戦力は、ソ連の潜水艦部隊をさがし出し、破壊する。」 同盟国日本として、アメリカの戦略に応じて自衛隊が出動するというようなことを、日本の海軍といいますか、海上自衛隊でしょうけれどもそれが出撃をする、こういう問題は安全保障会議で決めることになるのですか。
○西廣政府委員 安全保障会議で審議されるか否かという前にお答え申し上げておきますが、アメリカの戦略がどのようなものであるか、あるいはアメリカがいずれの同盟国とどういう話をされているか私ども知りませんが、日本としては、日本が武力攻撃されるという事態でなければ防衛出動は下令されませんし、当然のことながら武力行使もできないということでございますので、今のような設問であれば、審議されるということすら生じないのではないかというように考えております。
○柴田(睦)委員 アメリカから、アメリカの戦略に従って同盟国日本に対してこれこれのことをやれ、戦争には出ないと今言いましたけれども、今度は先ほどに戻って後方支援、便宜供与、こういう問題をアメリカの戦争の場合に当然日本で審議しなければならぬ、これが安全保障会議で審議すべき問題になるのではないか、こういうことですが、見解をお伺いします。
○塩田政府委員 アメリカが日本に対して後方支援なり便宜供与を求めるという前提のお尋ねのようでございますけれども、それは先ほどの御質問にありました現在日米間で協議、研究している事項以外には私にはちょっと考えられないわけです。つまり、世界じゅうどこでアメリカが動いてもすぐ日本が後方支援をしなければいかぬとかそういうことはあり得ないわけでございまして、そういう意味で、御指摘の点は、現在日米間でやっているガイドラインの第三項の研究の場合しかあり得ないと私は思います。その場合については、先ほどお答えいたしましたとおり、その時点で一項五号に当たるかどうかという判断で対処されるということになろうと思います。
○柴田(睦)委員 「海洋戦略」の第三段階になりますと、「千島列島またはサハリン島に上陸する。」結局こういうところまで来ておりますし、アメリカははっきりと「同盟国の海洋戦力は、」こういうことを言っているわけです。 そこで、ガイドライン問題が出ましたので聞きますが、日本に対する武力攻撃がなされるおそれのある場合、自衛隊の日米共同作戦準備行動を進めていく、こういうことが安全保障会議で決められるのじゃないですか。
○西廣政府委員 事実関係を先に申し上げますが、御承知のように日米防衛協力小委員会におきましてガイドラインというものが定められ、その中で研究なりの対象の一つとして日本が武力攻撃された場合、そのおそれのある場合について研究することになっております。ここで申します「おそれのある場合」というのは、自衛隊法の防衛出動の下令の条件で言う「おそれのある場合」と違いまして、もっと広い範囲を考えておりますが、そういう状況において日米それぞれがどういう警戒態勢をとるか、お互いが自分はこういう態勢をとったということをどう連絡し合うかといった、いわゆる警戒態勢の物差しとか通報の方法などについて研究することになっており、現在一部研究をしかけておりますが、その問題についてそれほど研究が進んでおるというわけではございません。
○柴田(睦)委員 結局、今の問題について言えば、自衛隊法の規定する場合の前の段階であるわけだけれども「武力攻撃がなされるおそれのある場合」、そこで「必要と認めるときは、自衛隊と米軍との間の調整機関の開設を含め、整合のとれた共同対処行動を確保するために必要な準備を行う。」とか、「自衛隊及び米軍は、それぞれ、日米両国政府の合意によって選択された準備段階に従い必要と認める作戦準備を実施する。」これが今研究されている段階だということですけれども、そういうことが研究されて何を実施するかということが安全保障会議の議題になる問題ではないかと思いますが、いかがですか。
○塩田政府委員 先ほど防衛局長からお答えしましたが、七十六条の事態あるいはそのおそれということでありまして、自衛隊を出す出さないという話になりますと、これは第四号で当然にかかります。これは申し上げるまでもありません。そうでなくて、もっと事前の段階からおそれの段階をつかまえて準備行動に入る、こういうことを研究しているということでございますから、そういう時点では、七十六条の事態にどこまで近づいてきて、七十六条あるいはそのおそれという事態まで来れば第四号ですけれども、第四号以前の第五号の段階として我が国の「国防上重要事項」というものがあるかどうかということになるわけでございます。その辺も、先ほど来申し上げているように、具体的なケースについて一項五号の「重要事項」かどうかという判断になろうかと思いますが、一概に申し上げられないということでございます。
○柴田(睦)委員 これはまだ研究段階だからということで、安全保障会議との関連での答弁ができにくいように答弁されておりますけれども、いずれにしろガイドラインで研究している。今の準備行為の問題、自衛隊の基地の共同使用その他の便宜供与のあり方に関する研究、こういうものが進められているわけですけれども、こういう研究が進んで現実にガイドラインに基づく日米の方針が決まる。方針が決まったものについて、いざどういう便宜供与を、今度は、そのときのアメリカの要求があって――今の便宜供与は「日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合の日米間の協力」という欄にあるわけですけれども、そういう便宜供与の問題などについて、これから研究が進んでどうするかということが決まる。今度はそれを実行するときに、どういうことを実行せよ、どこの範囲を実行せよ、こういうことは安全保障会議で審議すべき事項にされるのではないでしょうか。
○塩田政府委員 今もお話がございましたように研究しておるわけですが、研究それ自体は別に安全保障会議にかかるわけではございません。 今のお尋ねは、研究は研究で終わって、いざ現実に動き出すという場合にかかるかどうか、こういうお尋ねだと思います。これはすべて、先ほど来お答えしておりますように、そのときの現実の場面におきまして、結局我が国の「国防に関する重要事項」という判定にかかれば防衛庁の方から原案を上げてくるでしょうし、かからなければ上がってこないということでございまして、先ほど来申し上げているのと同じような一連の取り扱いじゃないかと思います。
○柴田(睦)委員 そうしますと、かかれば答申が出る、答申が出れば、これが政府の方針だ、各省それに従って進めろ、こういうことになるわけですか。
○塩田政府委員 その諮問の内容、答申の内容によるのですけれども、一般論として申せば御指摘のとおりだと思います。
○柴田(睦)委員 これも想定の話なのですけれども、重大緊急事態というのは、まだいろいろなものが予想されるけれども、具体的には何かということは出てこないことになっておりますからあえて聞きますが、例えば在外公館がゲリラに襲撃された、そして館員が人質にされた。これはアメリカの大使館の事例がありましたけれども、こういう場合に自衛隊を派遣するかどうか、こういう問題が安全保障会議で審議されるということはあり得ないでしょうか。
○塩田政府委員 在外公館ということでございますから海外だと思いますが、自衛隊が海外に出ることはないと理解しております。
○柴田(睦)委員 それから、さきに言いました八四年の日米諮問委員会では、自衛隊の国連監視軍への参加を求めております。「国連に対する積極的支援の一環として、日本は多国間平和維持活動に、物資面での支援と、非制服要員そして可能であれば制服要員の派遣を通じて参加することを考慮すべきであろう。」と言っておりますが、こういうことは絶対ない、安全保障会議でもそんなことは審議するはずがない、こう言えるかどうかお伺いします。
○塩田政府委員 国連監視軍として自衛隊を出すということがない限り、安全保障会議にかかることはございません。
○柴田(睦)委員 ない限りと言いましたが、それはあり得るのですか、ないのですか。
○塩田政府委員 ないから申し上げておるわけでございます。
○柴田(睦)委員 それでは次に、警察庁の方にお伺いしますが、この会議の構成に公安委員長が加えられたということについて、警察庁ではどういうふうに認識をしておりますか。
○鈴木(良)政府委員 警察の責務は、申すまでもなく、個人の生命、身体の保護、社会の公共の秩序維持ということに当たるわけでございまして、重大緊急事態の発生の際には、そういう面で警察の責務にかかわりがある面が非常に多いということだろうと思います。そういう面で、そういう面につきましての意見というものが期待されておる、かように考えております。
○柴田(睦)委員 行革審の答申の中で、安全保障会議が対処すべき緊急事態の範囲について、「大規模地震のような自然災害のほか、大停電、通信網の断絶等のような人為的事故、エネルギー危機等の経済的危機、さらに、領空・領海侵犯や他国による航空機撃墜、政治的意図を持ったテロ・ハイジャック事件、騒擾事件等」にまで広げる、こういうものを挙げておりますが、この中で国家公安委員長が大いに関与する分野というのはどこだと思いますか。
○鈴木(良)政府委員 ケース・バイ・ケースだと思いますけれども、テロ、ゲリラの面あるいはハイジャックの面、そういう面でかかわりがかなり大きい、かように考えております。
○柴田(睦)委員 そういう問題で直接的に警察官の部隊を動員してやり出すというのは、騒擾事件というようなものがあると思います。そして、ほかの問題についてもそれぞれ警察の情報、こうしたものが非常に重要になってくると思いますけれども、警察による緊急事態の布告、これは、緊急事態は国家公安委員会の勧告に基づいて総理大臣が布告をするということになっているわけですけれども、安全保障会議で緊急事態だというようなことが審議されればこの安全保障会議で決める、そこで公安委員長が公安委員会に話をして、それから勧告を出す、こういうことが生じると思うのです。 要するに、安全保障会議の結論として、緊急事態の布告がなされるということができることにならないかどうかお伺いします。
○鈴木(良)政府委員 警察法第七十一条に規定いたします緊急事態というのは、そういう事態を収拾するために警察の組織というものを一時点に変更して一元的に管理をしなければならない、そういう必要性がある場合のことでございます。したがいまして、安全保障会議でいいます重大緊急事態という面と観点を異にするわけでございまして、両者の間には直接的な関係はない、かように考えております。 若干敷衍をいたしますと、そういうことで、法律的にはそういうふうな形で違う面というか観点を異にするものでございますけれども、実際に警察がそういうふうな緊急事態というものを発令するという場合には、非常にゆゆしい事態になっているだろうと思います。そういう意味で、実際上はそういう形でなる場合は多いと思いますけれども、法律的、観念的には一応別の問題である、かように考えております。
○後藤田国務大臣 今の警察の答弁は理論上のお話だと思います。それから、柴田さんの御質問は逆ではないか、こう理解をします。というのは、この安全保障会議で決めまして、そしてそれを受けて、公安委員会の方から勧告させることがあるのかないのか、こういうことでございます。それは逆だと思いますね。今の法律制度できちんと決まっておりますから、それはやはり公安委員会が勧告を総理にせられると思います、そのときに総理は、今の制度があるのですから、よかろう、今の普通の体制でできるわということであれば、それは今のままでやると思いますね、そこまでは。 ところが問題は、それではちょっと事態がおさまりそうもないよ、もう少し拡大するおそれがあるよというような事態が予想せられるというときには、勧告を受けた段階で、総理自身の判断で、この安全保障会議で、こういう勧告が公安委員会から出てきておるが、さて皆さんいかがでございますか、御意見を承りたいというのが実態であろう。私はかように理解いたします。
○柴田(睦)委員 ということは、公安委員会から勧告があった、そうするとそれを受けて、これは普通の布告の問題でなくて重大緊急事態ではないか、そこで関係の閣僚に誇る、そしてその意見を聞いて重大緊急事態とするかどうかを決める、こういうことになるわけですか。
○後藤田国務大臣 そのとおりでございます。
○柴田(睦)委員 それから、警察庁の総合検討委員会でまとめた「八十年代の警察」というのを見てみますと、「警備事案の処理に当っては、対症療法的な対策、措置にとどまることなく、社会の底流を洞察してその要因を早期、的確に把握し、関係行政機関等との緊密な連係の下に総合的な事前対策を強力かつ広範囲に徹底」する、こう書いてありますが、こういう問題について安全保障会議が審議をする、そして審議をした結論が徹底して行われていく、こういうことはあり得ることでありましょうか。
○鈴木(良)政府委員 今御指摘の「八〇年代の警察」というのは、七十年代の後半に八〇年代の情勢を見越して、警察としてどういうふうな体制で臨むべきかということを部内で検討して、その結果をまとめたものでございます。 今お話しの関係は、警備対策では当然のことながら現場措置もあるわけでございますが、そういう現場が起きないように事前の対策を講じなければならないことは当然でございまして、そういう意味で、この文章の中では、テロ、ゲリラ等の凶悪事案対策であるとか、あるいは要人に対する直接行動等の不穏事案の未然防止等について、未然防止の観点から事前の対策の徹底を図ろう、こういうことを書いておるものでございます。事前にこういう形で犯罪の予防に当たるということは、これは警察の責務として当然のことでございまして、こういう問題は、一般論としては一つ一つこういう安全保障会議の議題になるべきものではない、ならないものだ、かように考えております。
○柴田(睦)委員 その点で、我々も経験するわけですけれども、最近、国会に参りますと、地下鉄のところからずっと警察官が並んでいる。特に全斗煥大統領が来日したときなんかは、地下鉄の入り口に机を並べて一列しか歩けないようにして、一つ一つかばんの中を点検する。今でも自動車をとめてみんな調べる。警察がどこから出てきたかというくらいたくさんいるわけですが、ああいう徹底した警備体制、サミットのときにどういう警備体制を組むか、そういう問題については安全保障会議は関与することはないでしょうか。
○塩田政府委員 安全保障会議は、事態が何か発生した場合にいかに対処するかということでございまして、今のお話は事前にいろいろな警備をしておられる話でございまして、安全保障会議には関係ないと思っております。
○柴田(睦)委員 関係がないという確認をしていただいたわけですが、では、時間が迫ってまいりましたので次の問題で、行革審答申では「我が国内外の情報の収集・分析体制を強化するため、内閣官房内閣調査室を同情報調査室に改組する」、こう言っていますが、この内閣官房の情報調査室、既に閣議決定されておりますが、この改組というのは法律以外の措置でできるのか、どういうふうにしてやるのか、お伺いします。
○谷口政府委員 内閣調査室の情報調査室への改組についてでございますけれども、法律事項ではなく政令事項と私どもは受けとめております。
○柴田(睦)委員 政令でやるということですが、次に合同情報会議というものがありますが、合同情報会議というのは、これをつくる根拠は何になるわけですか。法律ですか、政令ですか。
○谷口政府委員 行革審の答申にございました合同情報会議の設置につきまして、現在私どもの方で検討中でございますけれども、これは政令事項でもなく、内部の連絡会議でございます。既に実質的に行われているところでございますけれども、今回の答申を踏まえまして、もう少ししっかりしたものをつくって関係機関との相互連絡を図ろうというものでございます。
○柴田(睦)委員 そうすると、合同情報会議については法律も政令も要らない、事実上行政機構の間で会議を持つんだ、月に一、二回の情報交換の会議だ、こういうふうに今まで聞いておりましたが、それはそういうことでありますか。
○谷口政府委員 構成メンバーとか会議の運営要領につきましては現在検討中でございますけれども、行革審の答申では、官房副長官のもとにおいて関係機関の担当者が集まってやりなさい、こういうことでございます。そういう会議でございますと、政令事項でなくても現実に行われているところでございますし、月一、二回程度の会議は十分行われるものだと思っております。
○柴田(睦)委員 その合同情報会議の事務を所管するものはどこになるのか。これは内閣情報調査室になるのじゃないかと思いますが、そういうことになるわけですか。
○谷口政府委員 事務局がどこになるかについても検討中でございますけれども、官房副長官が主宰する会議でございますので、当然内閣官房情報調査室が事務局になるのではないか、こう思います。
○柴田(睦)委員 先ほども出ておりましたアメリカのCIA、これは日常的に軍事外交情報を収集、管理し、政策決定への準備作業をやっておりますが、合同情報会議、それから内閣情報調査室、これはこういう種類の仕事の準備をするわけでしょうか。要するに合同情報会議や内閣情報調査室の任務についてお尋ねしたいと思います。
○谷口政府委員 現在の内閣調査室は、御案内のとおり内閣の重要政策に関する情報の収集、調査、これを任務としておるものでございます。この点につきましては、この答申でさらに充実強化する必要がある、特に分析機能が足りないじゃないかという御指摘を受けておるわけでございます。それを契機にいたしまして情報調査室に改組するということでございます。 それから合同情報会議につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、関係行政機関の緊密な連絡が必要であるということで、官房副長官のもとにおいて関係機関の担当者が集まって、月一、二回程度情報交換しようということでございます。 したがいまして、先生も御案内のとおり、中央情報局というのは、私ども聞いているところによりますと、一九四七年に国家安全保障法というのができて、そこで国家安全保障会議というのが設置され、そのもとにおいて国家の安全保持、保障のために必要な情報を収集する機関だ、こういうふうに承っておるわけでございます。そういう面では、この情報調査室の任務とは違うものでございますし、また、ましてや合同情報会議とは性格を全く異にするものだ、こう思うわけでございます。
○柴田(睦)委員 時間が参りましたので私の意見をちょっと言っておきますと、日米安保条約、これが日本の今日の政治の中枢に座っていて、この日米安保条約がずっと強化される、特にガイドラインが設定されてから、このガイドラインに合わせるため国家制度を変えなければならない、法律の制定とかいろいろなことが検討されなければならないというような事態を迎えて、これがやはり今度の安全保障会議設置法につながってきているというように思うわけです。そういう中から、国家機密法だとかいろいろ国民にとって大変な法律の制定が主張されるという事態が生まれているわけでありまして、私は、日米安保条約を強化していく、そういうつながり、そういう一環であるこの安全保障会議設置法に断固として反対するということを申し上げまして、質問を終わります。
○志賀委員長 次回は、来る二十四日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後十時十一分散会