内閣委員会 第6号
- 発言数
- 54 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1986/03/27
会議録
○志賀委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 趣旨の説明を求めます。安倍外務大臣。 ――――――――――――― 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務 する外務公務員の給与に関する法律の一部を 改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 ―――――――――――――
○安倍国務大臣 ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明いたします。 改正の第一は、在外公館の設置関係であります。今回新たに設置しようとするのは、総領事館一館で、スペインのバルセロナに設置するものであります。これは、実際に事務所を開設するものであります。バルセロナは、スペイン最大の貿易港を有し、経済的に重要な地であるばかりでなく、スペインのEC加盟もあって我が国からの進出企業も多く、かつ、多くの邦人が在留している地でもあります。 改正の第二は、同総領事館に在勤する在外職員の在勤基本手当の基準額を定めるものであります。 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○志賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 ―――――――――――――
○志賀委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。井上一成君。
○井上(一)委員 在外公館の果たす役割というのは大変大きく、また重要だと思います。勤務する外交官諸君の労働条件なり、生活条件等については十二分な対応を必要とする、こういうふうに思うわけであります。いろいろな国際経済情勢の変化の中で十二分に目を配っていくことが必要である、このことを私は強く要望しておきます。 さらに、その国に居住する邦人の保護なりあるいはいわゆる安全、あるいは企業の活動、動向、そういうことも十分正しく把握していく、こういうことがその役割だと思います。 そういう意味では、今回設置を予定されている公館については、公館の持つ本来の役割を十分果たしてくれるように強く期待をしたいと思います。 さらに、それぞれの国相互間ではいろいろな外交があるわけでありますけれども、相手国の国民に対して不信感を与えないようにこれまた十分な気を配っていかなければいけないし、不信感を与えるような行為、行動というものは相互の友好関係を損なう一つの大きな要因になる、こういうふうに思います。 さて、今日非常に問題としてあらゆる角度からその真相究明がやかましく言われているわけでありますけれども、今私が申し上げたような領事館なり大使館の果たす役割、あるいは両国の相互友好関係を維持していくためにも、今回のフィリピンの一連の事件については心を痛めている一人であります。少なくとも両国の友好関係を維持していくために、今回報道されている一連の事件についてはマイナスの要因を持たせたことにこれは間違いないと思うわけでありますが、どのように外務大臣は御認識をなさっていらっしゃるのか、まず御決意を聞かしていただきたいと思います。
○安倍国務大臣 今回のマルコス文書をめぐりまする一連の問題、特に日本企業の関係あるいはまた日本のいわゆる援助に絡むところのいろいろの問題等につきまして、私自身もこれを非常に重要視をいたしております。日本政府としましても、重大な関心を持って、この問題についてはひとつ解明を急がなければならない、解明をされることがこれから日本の援助を拡大していく上においても、さらに援助が、開発途上国に対して真にその民生の安定あるいは福祉の向上に資するという目的を今後とも貫いていく上においても非常に重要だ、こういうふうに考えておるわけであります。
○井上(一)委員 何回も指摘をしてきたわけでありますけれども、今までのフィリピンの経済援助というものが、相手国の国民の生活向上、民生安定に役立たないということを、私は予算委員会等で強く指摘をしてきたことなのです。これは大臣もよく御認識をいただいていると思うのです。今後、経済援助について外務大臣自身は見直していきたい、あるいは今も民生の向上、安定という話ですけれども、一体どのように見直そうとしているのか、具体的にどこをどうしていこうとしているのか、ひとつその点についても聞いておきたいと思います。
○安倍国務大臣 これまでも国会におきまして、いわゆる日本の経済援助、特にフィリピンに対する援助等については、いろいろと御批判がありました。私もそうした御批判とか指摘につきましては、率直に承ったつもりでございます。そういう中で、慎重に援助等についても取り組んできたことも事実でございますが、しかし、こうして問題がいろいろと提起されるようになりました。 全体的には、日本はこれまで膨大な援助をフィリピンにもいたしておりますし、その他開発途上国にいたしておりますが、この援助につきましては、それなりに開発途上国の経済の発展には資してきておるというふうに考えております。日本の援助そのものは円借款あるいは無償援助、技術協力、こういう形になっておるわけであります。これを実施する場合においては、非常にきちょうめんにこれを実施してきておる、そういう面では私は各国からの評価も率直に言って得ておる、こういうふうに思っておるわけでございますが、しかし、そういう中で、今回フィリピンでマルコス文書という形でいろいろと出てきました。 そこで、少なくとも日本の法律違反というようなことになればこれは日本の法律によって処理処罰されなければならないと思いますし、あるいはまたフィリピンの法律違反という事態が明らかになれば、それはフィリピンの法律で処理されるべきであろう、こういうふうに思っておるわけでございます。 そういう中で、これがもし日本の援助に絡んでおるということになれば、その援助が、交換公文で合意をして、フィージビリティースタディーもやって、あといろいろと評価等もやっているわけですから、果たしてそういう援助というものがきちっとした形で実際に行われたかどうかという点について、これはフォローアップする必要がある、特に具体的に問題になった援助等についてはやはりフォローアップして、その効率的、効果的であったかどうかということを確かめる必要があるのじゃないか、私は率直にそういうふうに思っております。 そういう中で、やはりこれまでの援助全体を見直しながら、そして、これから新しいフィリピン政府が求めておる援助のあり方というものは、これまでの援助のあり方とまた違った新しいあり方といいますか、そういう問題点もあるように私は思って栄ります。そういう点はやはり新しい政府との間で話し合いもして、本当にフィリピンの国民のためになるような援助の姿にもし改善できる点があれば改善していかなければならない。そういう点は、やはり硬直したことでなくて弾力的にこれは対応していく必要があるということを感じておるわけです。
○井上(一)委員 具体的な経済援助の問題指摘に入る前に、出先の大使館なり在外公館の果たす役割を私はさっき申し上げたわけです。そういういわゆる役割から考えると、今日まで在比日本大使館が、フィリピンのマニラにある日本大使館が果たしてきた役割というものも、これをどこまで正しく把握をするか、あるいはその真相をどこまで踏み込んで知ろうと努力をするか、いろいろな問題があったでしょうけれども、これからはさらに強く真実を明らかにするための努力が必要だと私は思うのですが、大臣いかがでございましょうか。
○安倍国務大臣 この点はまだ漠として私自身もつかんでおらないわけですけれども、今の文書の整理等もしまして、やはり明らかにするべき点は明らかにする必要があるのじゃないか。これからどういう問題が出てくるかわかりませんが、そういうものを踏まえながら明らかにする必要がある。やはりその国におるところの在外公館の役割というものは非常に大きな意味を持っている、これは二国間の協力関係あるいは援助の実施等においては非常に大きな役割を持っておることは、疑いはもちろん入れないところであります。
○井上(一)委員 さて、具体的にお聞きをしますが、日本に所在するフィリピン政府の資産について、どこにどれほどの資産があり、現状どういう状況であるのか、少し報告をしていただきたいと思います。
○後藤(利)政府委員 今の御質問でございますが、資産という御質問でございますとかなり広い概念になります。私どもなかなか資産という概念でとらえてはおりませんが、土地ということだけに限って言わさせていただきますと、フィリピン政府が日本に保有しております土地として私どもが把握しておりますのは、東京に三件、神戸に二件ございます。 具体的に申し上げますと、東京では、現在の大使館の土地でありますところの渋谷の南平台、それから大使の公邸が千代田区の富士見町にございます。それから旧大使館土地として六本木の三件でございます。それから神戸は、領事館として中央区の浪花に一件、それから灘区の篠原伯母野山に一件、計五件が私ども把握している土地でございます。
○井上(一)委員 とりわけ九段の所有地と六本木、いわゆる公邸と旧大使館跡について、あるいはもう一点、神戸の総領事館跡地については、現状はどういう状況であるのか、あるいは流れとして少なくともここ一年以内にそこに何らかの変化があったのかどうか。
○後藤(利)政府委員 今のお尋ねの件でございますが、この一年くらいの流れの中で見てみますと、六木木のいわゆる旧大使館の土地でございますが、現在空き地になっておりますが、これにつきまして、昨年あたりこれをフィリピン側の方で処分するのではないだろうかといううわさは承知しております。 これにつきまして私どもの方も調べましたけれども、むしろ処分するということではなくて、この土地に新しい大使館あるいは総領事館、それから研修所というもので、新しい建物を建ててそれを利用したいというようなことが私どもの確認する限りでのフィリピン側の態度と承知しております。 それから、富士見町の今の大使が住んでおられるところにつきましては、特にこの一年、あるいは何か処分するとかといううわさは若干あったやに聞いておりますが、私ども全く確認しておりません。 それから神戸につきましても、ひところこれをもう少し有効に利用したいというような動きもあったようでございますが、売却というようなこともありません。現在は現状のままであります。 それからちなみに、新政権になりましてから、これらの処分とか――処分という言葉はおかしいのですけれども、現状を変更することについては一時中止せよという指示が新政権から行われておりまして、私ども大使館を通じてこれを確認をいたしております。
○井上(一)委員 去る七日の報道で、六本木の大使館跡地に、鹿島建設が東京都の認可を受けるために建築計画通知を提出していることが明らかになった、こういうことが報道されています。このことについて、それでは外務省はどれほどの情報を持っていらっしゃるのか。あるいはこのことについて、今お尋ねをしようと思っておったのですが、新政権はどのような意見を持っているのかということも、今は中止をしてほしいということでありますが、そのことは東京都へ申し上げたのかどうか。あるいはその流れの中でどのような対応をしてきたのか。
○後藤(利)政府委員 御質問の建設計画につきましては、去る二月のフィリピンの政権交代以前の時期におきましてある程度検討が進められていた模様でございますが、それが新しい政権になりましてからは一時これを停止するように指示があったということは先ほど申し述べたとおりでございます。 それから、鹿島建設云々のお話でございますが、そのような報道で、右所有地に鹿島建設が建物を、先ほど申し上げた建物でございますが建てるという話を聞いておりますが、これにつきまして、在京フィリピン大使館並びに東京都庁等よりはそれなりの事情は聞いております。
○井上(一)委員 それじゃ鹿島建設はだれの依頼でビルを建てようとしたのか、それはお聞きなんでしょうか。
○後藤(利)政府委員 私どもの承知する限り、鹿島建設は在京フィリピン大使館よりの依頼でこの建物を、フィリピン大使館が建てよう、そのために鹿島建設に依頼したというように承知しております。
○井上(一)委員 それは在京フィリピン大使館の依頼によりということで、いわば代理として建設ということですが、そういうふうに受けとめていいのでしょうか。あるいはそれは正確な文書をもって外務省は承知をしているのか。あるいは当時在京フィリピン大使館からそういう話が外務省にあったのかどうか。この点についても聞いておきましょう。
○後藤(利)政府委員 鹿島建設より申請について、在京比大使館より委任状の提示がございますが、その都に対する申請のコピーは私ども都からいただいております。
○井上(一)委員 私は、我が国の行政権の及ぶ範囲でないということは十分承知はするわけなんですけれども、やはりそこにフィリピン政府がどういう計画を持っているか、意図しているか、そういうことは外交ルートでしっかりと情報を交換すべきであるし、そういうことが外務省の目に見えないところでの御苦労だと思うのですよ。そういうことがなされていないということではそれはちょっとおかしいのではないでしょうか。御苦労がたくさんあるんだけれども、やはりそういうことについて少し外務省としてコメントしてもらわないと、このことは、ただそれだけでそうですかとは言えない。
○後藤(利)政府委員 私どももそのようなうわさにつきましては大変な関心を持ちまして、もしフィリピン国の大使館において所有する土地に何らかの建物を建てるとか、あるいはいわゆる俗な言葉ですが処分するというようなことが仮にうわさされているようにありとすれば、私ども大変関心を持つので、それについては遅滞なく十分教えてほしいということを、過去再三にわたってここの大使館に申しております。それに対しまして大使館の方では、もしそういうことにすれば自分たちとしても外務省に連絡をするということは、再三聞いております。 他方、また、私どもとしては、先ほども申し上げましたように都に対して随時事情を聴取している、積極的に聞いておる、こういうことでございます。
○井上(一)委員 問題が二つあると思うのですね。ひとつ整理しなければいけないのは、鹿島建設がフィリピン政府を代理して我が国の行政当局に書類提示をした、その事実関係はやはり鹿島からしっかり事情を聞いてもらわなければいけない。そういうことをされたのかどうか。そして、在京フィリピン大使館とのコメントでは、後の問題として、土地処分についてあなたは今、連絡はない、そういう情報はない、今のところ考えてないと言われたが、これは後で明らかにしますが、しかし答弁はしっかりこの二つに区切ってもらいたい。 だから、前段の、鹿島建設がフィリピン政府を代表して、フィリピン政府の代理人として東京都に。そうでしょう、今のは。そういうことが常識的に考えられるのかどうか。そして、そういう書面を整備したものを東京都に出されたのかどうか。外務省はそれぐらいのことはきっちりしなければいけない。 それからもう一点、新政権はこのことについて意思表示をしてきたのは、我が国の外交ルートからアプローチしたのか、新政権の方から我が国にアプローチしてきたのか、これはどっちなんですか。
○後藤(利)政府委員 鹿島建設には直接は聞いておりません。むしろ都に先ほど申し上げましたように聞いておりますというのが事実でございます。 それから、この土地の使用問題につきましては、フィリピンの外務省より我が方の在マニラ大使館に口上書をもって報告をしてきて、連絡をしてきてくれた、こういうことでございます。
○井上(一)委員 いつですか、それは。
○後藤(利)政府委員 三月の十八日付でございます。
○井上(一)委員 東京都に既にそういう申請がなされていた、通知がなされている。そういうことも含めていろいろうわさもある。新政権になって日も浅いわけでありますけれども、我が国も在比公館があるわけですから、むしろ日本からこれらの問題については尋ねてあげるぐらいの、あるいは情報提供をするぐらいの外交をなさらなければいけない、こういうふうに思うわけであります。 私は、ここは、いわゆる鹿島建設とバルデス在京フィリピン大使との親密な関係というか、フィリピン政府の代理人になるくらい鹿島建設は非常に信頼と親近、親密の度が深いということを、私は常識的にそう判断するのですが、局長、いかがでございましょうか。我が国の政府も外務省もわからぬ間に、鹿島建設にすべてを一任して、つまりフィリピン政府にかわって鹿島建設が東京都庁にそういう認可届を出していくということ、そういう意味では鹿島建設とフィリピン政府との深いかかわりというものが、常識的に見て私は今申し上げたようにあると思うのですが、局長いかがでしょうか。私と同じお考えなのか、いや、そうじゃないとお考えなのか。
○後藤(利)政府委員 ただいまのにお答えする前にちょっと補足させていただきますけれども、先ほど先方から口上書が参ったと申しましたが、実は偶然にも、私どもの方からフィリピン政府の方に聞いたらどうだろうかということを私が指示いたしまして、発電をしようとしたときに先方から口上書が来たというのが本当でございます。 それから後者でございますが、これは井上先生、私の個人的見解をお尋ねいただいているのかと思いますが、私ども在外に出ましたときに、大使あるいはそれに準ずる者はできるだけいろいろな先方の国の方たちと交際をするということが大事だということでございますので、バルデス大使が鹿島建設に殊のほか深く、相対的に深くおつき合いされたかどうか、これは私、個人的見解からあるいは常識をちょっと超えますので……。そういうことでございます。
○井上(一)委員 いいです。あなたとしては精いっぱいの答弁だと思うのです。それ以上私も深く聞きません。それはいろいろ人それぞれの受けとめ方でございますから。 私はもう一点、六本木なり――六本木というのはえらいアバウトな地名ですから、正確には、フィリピン政府が所有する港区六本木五丁目三百六番地の土地、さらには千代田区富士見町一丁目十八番一号に持つ所有地、そして神戸の中央区浪花町六十三番地に持つ土地、この三点を、今当面の質問の中でのフィリピン政府の土地、所有地、便宜上これからこういうことにいたします。 このフィリピン政府の持つ土地は、これは確認をしておかなければいけないのですが、フィリピン政府が金を出してすべて所有した土地なんでしょうか、我が国との賠償の中でフィリピン政府の土地になったものなのでしょうか。
○藤田(公)政府委員 六本木の土地及び南平台にございます土地は、ともに賠償でもって提供されたものでございます。
○井上(一)委員 六本木の土地は賠償によって提供した土地。それでさっき、処分のうわさはあったけれどもそういうことについては外務省に連絡があるはずだ、あるいはこちらから問い合わせた結果そういう事実はないというようなお答えだったと思うのです。それはいつの時点での事実なのか、ちょっと念のために聞いておきたいと思うのです。
○後藤(利)政府委員 今の藤田局長の答弁を補足させていただきますと、富士見町の土地はフィリピン側が自分で購入した土地でございます。 それから、今の御質問でございますけれども、うわさと申しますのは、マニラでのうわさとかいろいろ日本の新聞に出ておりますが、私どもがそういううわさを承知したのは、正確なあれを記憶しておりませんが、大体秋、十月の末から十一月の初めころかと記憶しております。
○井上(一)委員 それじゃ、今日的な状況の中での情報というのはお持ちなんでしょうか。
○後藤(利)政府委員 今日的な状況でございますが、現時点では、先ほども申し上げさせていただきましたように、新政権とのかかわりにおいては、いかなる動きも一時中止せよというのが今日的な一番新しい情報でございます。
○井上(一)委員 去年の話を今ここでというよりも、新政権あるいはマルコス政権末期と言った方がいいかもわからないし、もっと早くわかりやすく言えば、一番きょうから近い情報としては何か持っていらっしゃるのでしょうか。
○後藤(利)政府委員 今の一番近い過去ということでございますね。――特にございません。
○井上(一)委員 後で安倍大臣に総括して答弁を求めますから、しばらく休んでおってください。 この資産、財産を売却をするという契約がなされている、こういうことなんです。それは少なくともことしの話である。私の知っている範囲では、この話は外務省当局も承知をしていると私は思っている。さらにマニラにある在比日本大使館が、この売却をする協定書というのでしょうか契約書というのでしょうか、メモランダム・オブ・アグリーメントという書類を持っている。それを外務省当局が知らないということは私はおかしいと思うのですけれども、全く御存じないのか、いや、少しにおいだけをかいだぐらいでここではっきりと答弁するに至らないとおっしゃるのか、そこはどうなんでしょうか。
○後藤(利)政府委員 私の承知する限り、売却というのは新聞等のうわさは承知しておりますが、先ほど来からお話ししているような事情でございます。 今の最後の御質問の件でございますが、我が方のマニラ大使館がそのような売却に関連するようなコピーを持っているのではないだろうかという御質問でございますが、我が方の大使館より本省に対しまして、そのようなコピーを入手したとの報告は受けておりません。
○井上(一)委員 これは重大なことなんです。中身は、一九八六年一月六日、フィリピンのケソン市で当事者間で、立会人を含めて公式に公証役場で正式な契約がなされているわけなんです。念のために、私はあえて言うが、公証番号が三八八、ページ番号が七九、記録簿番号がXCの一一一――あるいはこれは一八かもわかりません。一九八六年系列、この有効期限を一九八七年十二月三十一日、こういうことで契約をされているわけなんです。そしてその中には、法定成年であり既婚者である、フィリピン共和国市民であるメルカドという人が第一当事者になっているわけです。このメルカドというのはどういう人かというのは後で申し上げます。そして我が国のタカフジ産業株式会社、これは我が国のパスポートナンバーもきっちりと、旅券発行日、日本国民であるということが正確に相手にわかるように政府がちゃんと証明をして、その第二当事者がここに約束をしている、合意をしている。そして九段の所有地四千三百六十一・八五平米さらには六本木が約三千百七十九平米、神戸が七百六十四・七二平米、そして売買金額が合計で四千七百九十七万米ドルという約束がなされているわけなんですね。そして、これは先ほども申し上げたように三通あって、第一当事者、第二当事者に一通ずつ、さらにマニラの在比日本大使館に一通がある、こういうことなんですが、全く外務省は報告を受けていないということなのでしょうか。
○後藤(利)政府委員 今、井上先生のお話の具体的なあれは私も初めて伺ったわけでございます。 我が方のマニラ大使館がそういうコピーを持っているかどうか、それが本省に報告されているかどうかという点につきましては、先ほども申しましたように、本省に対してそのようなコピーを入手したという報告は行われておりません。
○井上(一)委員 まだ私の持つ質問時間がありますから、マニラの大使館に即刻手当てというか連絡をとって、こういう問題はどうなんだという確認をなさった方がいいのではないでしょうか。若干の時間を猶予いたします。 それからもう一つ。先ほど私がメルカドという人の名前を出したわけであります。メルカドという人はどういう関係の人であるかというと、まずここに私はマルコス大統領の文書を持っております。マルコス大統領が一九八〇年五月十六日、ミスターニツダという人を自分の大統領補佐官に任命をしているわけです。さらにこの人を移民局の副局長に任命している。ビクター・G・ニツダ。マルコスの署名がありますから外務省はすぐわかるのだ。このミスターニツダが一九八五年三月八日、今度はミスターメルカドにこの土地売却について、少し時間をかけますけれども、「日本国東京都に所在する次の地所に興味を持つ関係者、デベロッパーに対して、販売に関して地所売買契約もしくはいかなる契約申請についても署名できる権限を委譲する。一、九段の土地、二、六本木の土地」云々と書いてあるのです。 だから、私は、一九八五年三月八日以降に鹿島建設がフィリピン政府を代表した届け出をしたということにも疑問を持ちますし、マルコスが任命をしたニツダからメルカドに委譲したこの公文書、この書類は大統領府が出した書類ですよ、これは非常に権威のある、マルコスが健在なときでありますから、そこにも一つの疑問があるわけであります。この原文があるわけなんですが、後でお見せをします。 さらに問題なのは、この富士見の土地にしても六本木の土地にしても、「以前に出された大統領令に則り、政府所有の財産、不動産及び公舎、これは個人または民間会社に、売却されることとする。その目的は経済をさらに活性化させること及び特にマルコス大統領閣下とイメルダ夫人の生計を支援するためである」ということが明確に書かれているわけなんです。 日本が賠償でフィリピン国民に提供したその土地が、いつの間にやら、マルコスが任命したミスターニツダからメルカドに委譲されて、メルカドがことしの一月六日ケソン市でちゃんと契約している。外務省あるいは在外公館はこういう情報が全くないんだ、知らないんだと言ったって通らない。とりわけマルコスが、いわゆる個人の生計を支えるために処分をする、個人的な資金のために公的財産を売却する、政府財産を売却するということは大きな問題なんですね、外務大臣。 ここでやはり外務大臣にちょっとお考えというか受けとめ方を聞かしてもらわないと。これは流れを聞いて大体おわかりいただけるわけで、真相究明に取り組むんだとおっしゃってくれている安倍外務大臣として、ここで、今の私の質問を通しての大臣の対応を聞かせてもらいたい、こう思います。
○安倍国務大臣 外務省としても常日ごろ、外国の公的な日本における財産といいますか、土地・建物を中心としますが、そういうものに対しては注目していろいろと情報等もキャッチしておるわけです。これは外務省の一つの責任だろうと思っておりますが、そういう意味で、六本木の土地についての外務省の知る限りのことを今御報告申し上げたと思います。 ただ、今の、フィリピンの何か売買契約がなされた、日本の在比大使館にそれは一通あるはずだ。これは我々外務省が知らないというのはおかしいわけで、在比大使館にその書類があればあるいは持ち込まれれば、それは恐らく日本政府に、外務省に報告があるわけですから、そういう義務を怠っていることはあり得ない。ですから、私の判断では、そういう書類は在比大使館としては入手していないのじゃないか、こういうふうに思います。その点は確かめなければなりませんけれども、非常に重要な意味を持った文書だということになって、それを外務省に知らせなかったということになったら大変なことで、そういうことはないと私は思いますね。 それから、今の、大使館の土地は国家の在外の公的財産ですから、それが大統領の生計のために使われるとか使うとかいう、そういう公文書があるということすら我々の常識では全く考えられないことでございまして、そうした文書等を入手しておられるなら、これは外務省もまだそれだけの情報も持っておりません、調査をしておりませんし、あるいはまた能力にも限界があるわけですから、ぜひともお見せをいただいて、確かめるところは確かめなければならぬ、こういうふうに思います。
○井上(一)委員 ミスターメルカドは今マニラにおるわけなんですよ。サロンガ委員会というか、このマルコスの不正をただすというか究明する委員会があるわけですが、そのサロンガさんも新政権も深い関心を持っているというふうに僕は聞いているわけなんですけれども、それでは我が方から新政権に対して、今言っているような、メルカドさんに尋ねてくれ、あるいは私がさっき番号まで言ったのだから、それくらいの努力をしてこの問題の真相究明に乗り出さなければ、安倍大臣、日ごろからおっしゃっていることと少し矛盾しますよ。だからこれは調べて、あるいはメルカドさんに、あるいは日本の第二当事者に事実関係を、あるいは鹿島も含めて関係者に事情を聞かせてもらう、さらにこの問題の議論を踏まえた中でやはりフィリピン政府に協力をしていく、こういうことの意思はいかがですか。
○安倍国務大臣 今の、在比日本大使館が入手したというお話がありましたが、その点については早速確認をしてみなければならぬと思います。これは早速やります。 それから、新しい政権が日本に対して口上書でもって、とにかく日本におけるフィリピンの在外土地については、これはこれまでどおりだ、変更するあれはない、これまでの約束があってもそれは認めない、こういう趣旨の口上書かもしれません、そういう口上書は日本政府としていただいたわけですから、その口上書はフィリピン政府の意図であると思います。これはやっぱり、在外資産を守っていく日本の立場として、新政権の立場を十分踏まえて対応したい、こういうふうに思うわけであります。ちょっと口上書の内容について今少し聞き漏らしましたものですから、口上書は、我々としては新政権の意図としてこれをやっぱり踏まえて対応したい、こういうふうに思っております。
○井上(一)委員 さっきから言っているように大臣、事の真相究明には最善、最大の努力をするということはこれは間違いないわけなんですから、あなたが国会で約束しているんだから。だから、こういう問題があるという事実、私が原文を持って、こういう問題があります、大使館にすぐに調べさせてください、それによって私はやっぱり議論を進めなければいけない。それは待ちますよ、時間は。 それからもう一点、メルカド、この当事者ですね、署名をしている。フィリピンにおるんだから、マニラにおるんだから、新政権に対してこの事実関係を報告し、協力をするお考えを持っていらっしゃるのかどうかということを聞いているんですよ。
○後藤(利)政府委員 事実関係、コピーの入手でございますが、マニラにあります大使館にそういう書類を受け取ったかどうかの事実関係をお時間をいただいて調べたいのでございますが、遺憾ながら、きょうは先方はイースターでございますので、大使館は開いておりませんので、一日、二日ここでお待ち――恐縮でございますけれども、至急に調べますけれども、今の三十分とかそういう中ではお許しいただきたいと思います。
○安倍国務大臣 これは事がやっぱり日本におけるフィリピンの公的な資産の問題ですから、この内容にいろいろと問題があるとすれば、これは解明していくのが日本の外務省の責任の一つだろう、こういうふうに思っております。したがって、いろいろと今御指摘ございました文書とかその他につきましては、フィリピン政府に照会する必要があるというふうに我々外務省として判断したときは、これは照会をしてフィリピン政府から説明を求めたい、こういうふうに思います。
○井上(一)委員 当然私はそうあるべきだと思いますので、私の持っている情報を、この契約書も含めて外務大臣にお渡しをしますから、これは新政権に提供して真相解明に協力をする、こういうことを大臣もう一度お約束を、念を押して悪いのですが、私の持っている契約書をお渡ししますから。
○安倍国務大臣 今のせっかくの井上さんのそうした文書等は拝借をいたしまして、そして日本政府としてこれに対する対応、フィリピン政府に対する照会その他も含めて、検討させていただきたいと思います。
○井上(一)委員 なお我が国の側、いわゆる鹿島、さらには第二当事者を含めて事情を聞かしていただく、そういう努力は事務レベル、局長いかがですか。
○後藤(利)政府委員 都には聞いておりますが、せっかくでございますから、鹿島にも、過去の経緯については、私どももせっかくのことでございますから聞きたいと思っております。
○井上(一)委員 それじゃ、私は、今申し上げたように問題点が余りにも大き過ぎる。そういう約束がなされている、さらに個人の生計を支えるために売却する目的、そして公証人の前でお互いが宣誓をし約束をしている、こういう事実をきょうは提起したわけであります。今大臣からお答えがあり、イースターで休みだということですから、これはむしろ、きょうはこれぐらいで質問を私も終えなければならない。そして、あなた方のいわゆる行為、アクションですね、いわゆる新政権にどれだけの協力をするか、さらにはこの問題について在比日本公館がどれだけの役割、働きをするか、そのことによって、今審議をしている領事館の、在外公館の役割というものもやっぱり大きく評価されていくわけでありますから、時間がありますが、私は残余の時間は留保いたします。そして、そちらの方から、外務省の方からお答えをいただいて、引き続きこの質問を続けていきたい。 委員長、そのように思いますので、お取り計らいをいただきたいと思います。
○志賀委員長 それでは、この際、暫時休憩いたします。 午後四時五十一分休憩 ――――◇――――― 午後五時十八分開議
○志賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 井上君の残余の質疑は後日に譲ることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時十九分散会 ――――◇―――――