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104回国会衆議院1986/03/06

大蔵委員会 第7号

発言数
72
登壇者
9
会派数
5
開催日
1986/03/06

会議録

小泉純一郎自由民主党・新自由国民連合

○小泉委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、参考人として、税制調査会会長小倉武一君、埼玉大学教育学部教授暉峻淑子君及び名古屋大学経済学部教授水野正一君に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。参考人各位には、本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。  次に、議事の順序について申し上げます。まず、各参考人から御意見をそれぞれ十分程度お述べいただいた後、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  それでは、小倉参考人からお願いいたします。小倉参考人。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 六十一年度の税制改正につきまして所見を申し述べるようにということでございまするので、もう既に篤と御承知のことばかりかと思いますが、税制調査会が昨年の十二月に六十一年度の税制改正に関する答申をいたしましたので、それを頭に置きながら、改正の考え方について少しくお話をしたいと思います。  最初に、六十一年度の税制改正の基本的な考え方について申し上げます。  まず第一に、昨年の九月、総理から新しく特別の税制に関する諮問を受けまして、シャウプ勧告以来の抜本的な税制の改正に取り組んでほしいというような御希望の趣旨を含めた御諮問がございました。そこで、この審議は昨年の秋からずっと今日まで続いてきておるわけですが、まだ審議の途中でございまするので、余り税制の改正の大きな方向についてこうだというようなことを申し上げる域に達しておりません。ただ申し上げられることは、そういう次第で抜本的な改正に取り組んでおるという状態でございまするので、六十一年度の税制の改正につきましては余り大きな改正といいますか、あるいは税制の基本に関するような改正は行うのは適当でない、こういうような考え方がよろしかろう。いわば現在の税制の枠組みの中でどうしても若干の手直しをした方がよろしいものに限るということになろうか、こういうふうな考え方になったわけであります。  第二番目は、何と申しましてもなおまだ厳しい財政事情のもとにありますので、できるだけ合理化を図って、歳出の面のことでありますが、歳出をできるだけ合理化して節減をするということに努めていただくことはもちろんでございまするけれども、税制の面におきまして、租税特別措置の手直しなど若干の点について一層の努力を払いまして若干の増収措置も考えるというようなことはよかろう、こういうことでございます。  それから第三番目でございますが、昨今非常にやかましい内需拡大というような政策的な要請に対して、税制についてもそういう方面から寄与することはできないかということが各方面から言われておったわけでありますが、また現にそうかもしれませんが、個々の政策目的の達成のために税制を手段とするということは、やはり税制の公正であるとか中立性を守るといったような点からいかがかと思われる節もございまするので、余り新しい措置を講ずるのは適当ではないのではないかというふうに考えた次第であります。そこで、こういう特別の措置はやむを得ない例外的なものに限るということにした方がよかろうというわけでございます。  それから、次は少し具体的に、来年度六十一年度の改正についての個々のことに移りますが、まず所得税でございます。  ここで所得税についてあれこれ申し上げるのは時節柄余り適当ではございませんが、税制調査会の討議の様子から申しますと、所得税、法人税等含めて税の公正化、合理化を図り軽減を図るという趣旨で抜本的な見直しをしている最中でございまして、その中で所得税の軽減ということが当然考えられるわけでありまするので、六十一年度の状況のもとでは所得税の減税を行うのはどうも適当ではないのではないかというふうに考えた次第であります。  なお、いわゆる政策減税と言われておりますような単身赴任の問題でありますとかあるいは教育費の問題でありますとか、そういった個々の点について、家計の負担を軽減するというような趣旨での特別措置の御要望が各方面からあるわけでありますが、これをどのように受けとめていくかということにつきましては、やはり税制の根本にも関係がある。その中で考えていくということがやはり適当であろうかというふうに考えて、六十一年度の税制改正にそれを盛り込むということはさしあたり困難であろう、こういう判断でございました。  それから次は法人税のことでありますが、法人税については、日本の法人税はどうも諸外国と比べても高いというようなことから軽減の要望がございますし、また特に、臨時の上積みの税率につきましては六十一年度からはやめるというようなことが適当ではないかという御意見もあったわけでありますが、いかんせん、こういう財政事情のもとでありまするし、なおまた法人税につきましても法人税全体についてのあり方について検討を加えようとしているやさきでもありますので、とりあえず法人税についても今後の問題として見送るということにいたしたらどうかという趣旨でございました。  なお、従前から法人の中でも赤字法人というのが随分ございまして、これについてどういうふうに考えたらいいんだろうかということが常々問題になりますが、別段これといった名案がないまま今日になっておるのでありますけれども、何しろこういう財政事情の中でありますので、法人税につきましても特に余り負担にならない程度に、欠損金の繰越控除、この制度について一部部分的な停止の措置を講ずるということで、多少とも財政の足しにするというような増収措置をとることになったようでありますので、そういう趣旨のことは税制調査会でも、抽象的ではありますが、何らか工夫を凝らしてもよいのではないかというような考え方をいたしておったわけであります。  租税特別措置につきましては、これも御承知のとおり、毎年整理合理化を図ってはきておるわけでありますが、今日のような状況でございますので、一層強く整理合理化を図っていくというのが方針として適当だろうということにいたしました。  なお、つけ加えて申しますと、海外との取引の関係がますますいろいろ複雑なことになってまいりまして、海外の特殊関係がある企業との取引について、所得の海外移転が行われておるというような実態がどうもあるようでございまして、適正な国際的な課税を実現するというようなことで、所得の海外移転については移転価格税という制度を導入したらどうかという考え方もございまして、そういう制度を取り入れることになることは適当かと思います。  以上のようなことでございますが、なお冒頭にちょっと申し上げました税制の抜本的な見直しということで、これまで税制調査会で討議してまいりましたことをごく簡単に申し述べます。  税制調査会では、このために昨年の秋から、終戦直後までさかのぼりまして税制がどのように変わってきたのか、あるいはどのような点に問題があるのかというようなことを全般的に勉強し直すということをいたしておりました。その上で、問題別に少し特別部会で手分けをして討議を進めたらよろしいということになりまして、三つ部会を置くことになりました。三つの部会でそれぞれ現在討議を進めておるということでございます。  なかんずく、ただいまの段階は、所得税なり法人税なりについて少し、理論的と申しますか、難しいような問題もございます。例えば、所得税の累進構造をどうしたらよろしいかとか、あるいは給与所得の控除というものはどう考えたらいいのかとか、あるいは課税単位、例えば夫婦合算制度がいいんではないかという説もございまするので、そういう課税単位についてどう考えたらよろしいんだろうか、あるいは法人税の根本的な考え方はどうあったらよろしいのかということについて、税制調査会の専門委員の方に、これは学校の先生方でありますが、専門委員の方に研究をお願いして逐次報告を求める、そして特別部会で審議を進めるという段取りにいたしております。そういう特別部会がようやく最近だんだんと開かれるというようなことになっておるわけであります。  なお、これとは別に、税制調査会ではこれまでいたしたことがなかったのでありますが、いわゆる公聴会的なことをひとつやったらどうかというような意見が委員の中からもございまして、先般大阪でその会合を開きました。それからまた、さらにそれよりさきでありますが、徴税関係についていろいろ問題があるのではないかということで、徴税の関係について、国税庁あるいは自治省の税務局、県とか市町村という地方公共団体の税務担当の方々においでを願って、いろいろ意見を聴取するというようなこともいたしたわけであります。  こういったような会合を積み重ねまして、この春には所得税、法人税等を通じまして税の軽減、合理化についてどういうふうに考えたらよろしいかというような中間的な取りまとめをいたすつもりになっております。  以上でございます。(拍手)

小泉純一郎自由民主党・新自由国民連合

○小泉委員長 ありがとうございました。  それでは次に、暉峻参考人にお願いいたします。

暉峻淑子埼玉大学教育学部教授

○暉峻参考人 暉峻でございます。  私は税の専門ではないのですけれども、国民の暮らしの側から見て、今の税制が国民の生活の側にどう受け取られ、またどういう生活の苦しみがあるかという、こういう点では家計調査などを通して、昨年も実は一万何千世帯が間接税をどのように負担していて、またそれらの世帯の人々が今の税制についてどういう意見を持っているかということを直接に調べたり聞いたりいたしましたので、その立場から今度の特別措置についての意見を、そういう暮らしを守ろうとしている人たちを代表して申し上げたいと思っております。  今度の特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由を読んだり、いただいた資料を見たんですけれども、その中で、時間の制限もありますので、三つだけ取り上げて意見を申し上げたいと思います。  一つは住宅の問題なんですけれども、今回は住宅の借入金について、公的資金を含む借入金等の残高を対象としてその一%相当額を三年間にわたって所得税額から控除する、そういう案が入っております。これはないよりは確かにいいのですけれども、この案を聞いて一般の人々はどう思っているかということなんです。  恐らくこれは専門家の間では常に言われてきていると思うのですけれども、お金を一千万なり二千万なり借りられる人というのは、国民の中ではまだ相当いい方に属しているわけです。住宅統計その他いろいろな統計を突き合わせてみましても、現在持ち家世帯は大体六一%から六二%。これは全国の平均ですので、東京、大阪等の大都市ではもっと持ち家世帯は少ないと思いますが、借り間、借家で持ち家が持てない人というのがまだ三七、八%いるわけです。その人たちは、お金を借りたいと思ってももともと返す当てがないし、また担保もないということで家が持てないわけですね。借り間、それは台所とかトイレとかこういうものを共用として使っているということですから、いわゆる木賃アパートに属する人々ですが、この人たちの東京都の家賃の支払いを見ますと、六万円ぐらいのものをそういう人々は払っているわけです。それからなお、持ち家世帯の人々を所得階層別に見ますと、年間百万から二百万の収入を得ている持ち家世帯の人は、大体四室余りの部屋を持っております。ところが、同じく百万から二百万の人で借り間をしている人は、たった二部屋しか部屋を持っておりません。  私は、一%を控除してくださることは結構ですけれども、順序として、だれが考えてももっと困窮しているところを先にやるべきだと思うのです。これは小学生が聞いてもわかることでして、これに対して年々国の財政は、今度も公営住宅の建設戸数は減っておりますし、予算もむしろ削られていく傾向がずっと続いているわけです。それだけではなくて、私が大変不思議に思うのは、住宅問題の一番大きな問題は現在土地問題であろうと思うのですけれども、日本のように土地の値上がりをめちゃくちゃに許しておいて、こういう一%くらいのことで何かやったというふうに思われるのは、私どもとしては本当に困るのですね。  それどころか、中曽根内閣になってからは規制緩和ということを非常に言われているわけです。規制緩和ということは結局土地が値上がりするということなのであって、今度の東京湾横断道路のことも、朝日新聞などでもずっと連載で出しておりましたけれども、着工ということで私たちとしては本当にびっくりするぐらいべらぼうに土地が値上がりしているわけですね。私は、やはりもっと親身になって困っている暮らしのことを政治家には考えてほしいということをこの案を見てつくづく思いました。  時間がありませんので、その次に東京湾横断道路のことですけれども、東京湾横断道路に対してはその出資額の一〇%相当額を云々というのがあります。財政再建というのは今ではできないということは国民も大体わかっていて、できないことをできる、できると言って今まで医療費が一部負担になったり、特に老人は非常にいじめられているわけで、年金はカットされる、あるいは地方自治体もたくさんの我慢をさせられてきたわけです。そういう特別措置の見直しがあったということは、私は大変いいことで、非常に苦労されながら特別措置がいろいろと整理されてきているということを高く評価していたのですけれども、それが結局は、今度東京湾横断道路というようなことで特例が設けられて、あれほど特別措置を整理しなければいけないというふうに言われていたことがまた水の泡になっていくのではないかというふうに思われます。  特に土地の値上がりの問題です。それから、この道路をつくっても、識者の書かれた物をいろいろ読んでみますと、これが有料道路であっても第二の国鉄になる、結局赤字の道路になるだろうということはあちこちで言われているわけです。しかも、それは道路公団がしょい込む。民活民活と言いますけれども、結局、道路公団とか自治体が相当のものをしょい込むわけで、民活と言いながら、それは長期的にずっと民活に結びついて国民所得を上げるとか内需を拡大する、そういう性質のものであるということは私たちはどうも腑に落ちない、納得できないわけです。ですから、ただその場限りに土建屋をもうけさせる、あるいは前に土地を買い込んだ人たちに値上がりでもうけさせるというこのことが一番大きな眼目で、その道路が通ることによって何か内需の拡大ということが図られる、そういう大きな見通しというものを私たちはどこからも見出すことができない。  そういう特別措置は、私たちが今までさんざん我慢させられてきて、国民の生存権の柱とも言うべき医療費とか、さっき挙げました年金とか地方自治体のいろいろな公共サービスとか、そういうものを我慢している現在、このような土建業者とか土地を買った人たちのせつな的なもうけにつながるようなこういう特別措置というのはやめてほしいと思います。これは国民全体として決して納得できることではないというふうに思います。  そして、そういうことをしているくせに、一方では、中の資料を見ますと、中小企業の直近一年間に生じた欠損金の適用停止ということがありますけれども、中小企業は、けさの日経新聞を見ても円高によって相当苦しいところに追い込まれているわけですね。なお、私わからないのは、これによって二千億円の増収ができるというふうに見込まれているらしいのですが、二千億円という金額は一体どこからはじき出されたのでしょうか。そのことを私はぜひ説明してほしいと思います。守秘義務のことなどがいろいろ言われて、それは我々には到底わからないことです。しかも、これからどうなるかということはわからないはずであるものをどうして二千億円の増収になるというふうに見られているのか、そこのところなども資料などを見て非常に不審に思いました。  最後に、たばこの消費税のことを申し上げたいのです。  たばこの消費税は、今度地方自治体に削った補助金のかわりにいきなり持ち出されたもので、政府税調の小倉さんがいられますが、政府税調の案にももともと入っていなかったものですね。それが急に何かほころびを繕う、何かどたばたみたいにして出てきたもので、地方自治体と国と合わせて二千四百億円というふうに見られているわけです。  それで、このたばこ消費税も、まずそれが出てきた手続について国民は大変嫌な感じを受けているわけですね。もともと政府税調があって、そこでいろいろ論議をされて、そして国の政策として上げられるということであるはずなのに、政府税調はほったらかしにして勝手にどこかで決められて、その後また税調が開かれて追認させられるという大変妙な経過をたどっている。その手続についても私たちは、政府税調がだんだん権威を失っていくということは本当にはらはらしながら見ているわけですけれども、こんなに露骨にこういうことがやられるのかというので、また大変びっくりいたしました。こういうことは、かえって素人ほど素直にびっくりするものと思うのですけれども、本当にびっくりしました。  それから、たばこの消費税をたとえ上げられましても、例のウイスキーとビールの間接税を上げられたときに、思うとおり税収は上がらなかったわけですね。これは「くらしからみた税金白書」というので、万を超える世帯で例のビールとウイスキーが上げられたときに、どういうふうに買い手は、つまり家計の側は対応したかというのがこれを見るとありありとわかるのですけれども、結局上げたものは買わない、そういうことです。それから外国たばことの関係から見ても、国内のたばこの税を上げたときに、では税収はどうなるのかということはどういう見通しを持っていられるのか。これも何となくその場限りというか場当たりの、確実な見通しもなくこういうことをされているのではないかなというふうに思います。  結局、たばこなどの問題を持ち出してこなければならないというのは、地方自治体に独自の税源を与え、独自の権限を与えて、地方自治体が健全財政でその地域地域にふさわしいいろいろな運営をやっていくという本来の筋道を全然考えないで、こういう小さなところでちょこちょこといろいろなことをやって、何かその場その場をごまかしているという感じがいたします。  間接税の問題が出てきましたので、ついでに私たちの心配を申し上げますと、シャウプ以来の税制改革、抜本的な見直しということで、間接税の問題が一般にいろいろと言われているようですけれども、まず第一にこの大蔵委員会にお願いしたいことは、抜本見直しならば、去年の施政演説で中曽根氏は減税の約束を国民にしたわけですね。それで一年間。今度は六十二年の抜本見直しにつなぐまでと言って、恐らくこれはサミットなり参議院選挙に何らか利用されようということだと私たちは思っているんですが、大蔵委員会としては抜本見直しの中間報告をぜひ求めてほしいのです。  そんな抜本的に見直すならば、例の臨教審とか行政改革でも国民に中間報告をともかく何回かして、国民の意見を求めたのですね。私たちは納税するのですから、それを知る権利があります。ですから、この大蔵委員会が抜本案なるものをちゃんと求めて、税を納められる国民の方たち、今度はこうなりますよということをきちんと公開してほしい。そうしたら、私たちはそれに対して意見をちゃんと言います。これが大蔵委員会に対するお願いで、シャウプ税制以来の抜本的見直しと言いますが、シャウプの税制に対して池田蔵相の時代に一つ骨抜きになったことは、担税力を持っている富裕者が税をそれだけ多く負担するというのはシャウプの勧告の非常に大きな骨であったと思うのですが、そのときに資本の蓄積が日本としては敗戦直後で十分でなかったために、いろいろな特別措置をつくって資本の蓄積を非常に図ったと思うのです。私は、あの時代においては資本の蓄積がなかったわけだから、それはそれで評価します。しかし、今や資金はだぶついて、もう投資先も国内ではなく、海外にどんどん流れていって大きな不評を買っているときに、一番見直すべきは、その資本の蓄積を急いでいた時代に合った税制を今日まだ手直ししないという、ここだと思うのですね。資金がだぶついている今は今なりに、新たなそういう資金のだぶつきを、むしろ国内の経済の循環に回すべき、いわゆる内需の拡大に回すという、私はそういう方法が今一番緊急に要請されているところではないかと思います。  この点について、私たちは速やかにその中間報告を国民に示してほしいということ、間接税はやはりその調査を見ても逆進税でありますので、逆進税をいよいよ強くして、そして資本蓄積の方はまだまだ資本蓄積が緊急課題であった池田蔵相時代と同じようなことをやっている、そういうことでないようにということを強く希望しております。  以上でございます。     〔委員長退席、笹山委員長代理着席〕

笹山登生自由民主党・新自由国民連合

○笹山委員長代理 ありがとうございました。  それでは次に、水野参考人にお願いいたします。

水野正一名古屋大学経済学部教授

○水野参考人 水野でございます。  六十一年度の租税特別法の一部改正に関する法律についての意見を述べよということでありますので、私の考え方を申し上げたいと思います。  まず、基本的な考え方でありますけれども、今回の税制改正が、結局は租税特別法の改正という形でそれほど大きな改正はないわけでありますが、これは昨年の九月から税制の抜本的改革というものに取り組んで、今政府税制調査会でそれに取り組み中でまだ結論は出ておりませんので、こういうことになったのはまあ当然だろうかと思います。  それから租税特別措置につきましては、やはり厳しい財政事情のもとで財政再建のために歳出抑制、補助金のカットという努力を続けております。そういう中では、基本的には新しい租税特別措置の創設というようなものは好ましくないと考えられますし、従来からある優遇的な各種の租税特別措置につきましても整理合理化を図っていくべきだと考えます。こういう立場から、今度の租税特別措置法の一部改正案につきまして、若干意見を申し上げたいと思います。  まず、今回の租税特別法の改正にはかなりいろいろなものが盛り込まれておりまして、内需拡大、民活のための税の優遇措置であるとか住宅、これは内需拡大の中に含められますが。それから、租税特別措置の整理合理化の推進であるとか、法人税の税率の特例措置についての延長あるいは移転価格税制の導入、法人税の欠損金の繰越控除制度についての改正であるとか、たばこ消費税の引き上げ等、かなり種々のものが含まれているわけでありますけれども、そのすべてにわたりまして個々に取り上げて論ずる時間はありませんので、主な点だけを申し上げてみたいと思います。  まず、民活のための税の優遇措置でありますが、仮に民活税制とでも呼んでおきますと、これにつきましては私は、民活というのは本来は読んで字のごとく、政府を当てにせずに民間の力で事業を進めていくというのが本来でありまして、これに対して財政的援助を期待するものではないというふうに考えます。  ただ、これに対しまして、民活は従来政府がやっていた、あるいはやるべきものであると考えられていた分野に民間が乗り出していくもので、その事業についてはいわゆる外部効果というものが大きい、あるいは採算上不利なものでありまして、財政的な面でのインセンティブが与えられなければ民間もなかなか乗りにくいということで、これについても歳出面での補助金とともに税制を活用すべきであるという考え方があるわけでありまして、今回のものもそういうものに基づくものだと思われます。  しかし、この租税特別措置によるインセンティブといいますのは、税制上の優遇措置、一種の補助金に当たるものでありまして、最近これはタックスェクスペンディチャーという言葉でよく呼ばれておりますが、一種の補助金としてとらえるべきものだと思うわけで、財政再建のために歳出の抑制に努力しております、特に補助金のカットというものを中心に進めている中で、民活税制の必要性あるいは有効性というものについてはあえて否定はいたしませんけれども、こういうものを設けるということについてはこの時期適当ではないというふうに考えられるわけであります。今後、こういう民活税制というものを余り拡大しないように慎重に対処してもらいたいと思うわけであります。  それから、租税特別措置の整理合理化を進めている点につきましては、今回もかなり成果を上げておりまして、準備金等の廃止が五、それから縮減合理化十七、そのうち特別償却関係が十というふうにかなり多くのものを整理合理化をしているわけでありまして、これについては適切な処置であるというふうに評価いたします。  それから、法人税の特別税率の適用期限の一年延長という問題でありますが、現在の法人税の税率が特例の税率で一・三%高くなっております。その期限がことしの三月で参ります。これをさらに一年延長するという措置でありますが、この問題は基本的には、法人税の基本的な仕組みあるいは法人税の負担のあり方といったようなものを含めまして、税制の抜本的な見直しの中で結論を出すべき問題であります。ただ、現在の厳しい財政状況のもとで、とりあえず一年の延長の措置をとらざるを得なかったのであるというふうに理解いたします。  それから法人税の欠損金の繰越控除制度というものにつきまして、直近一年間に生じた欠損金に限り適用を停止するという措置を今回決めたわけでありますが、これは先ほども小倉会長あるいは暉峻さんもお触れになりましたように、現行法人税制のもとで赤字法人に対する実質的な課税の方法として考え出されたものというふうに見られます。そういう点では苦心の策であるというふうに考えられます。  赤字法人課税の問題につきましては、現在法人数の半数以上が赤字法人になっておりまして、赤字法人といえども政府のいろいろな便益を受けて活動している、それが全然税負担をしないのはおかしいというところから、何とかこれについての課税を考えられないかというのが赤字法人課税の問題でありますけれども、現行の法人税の制度のもとではこれを正面切ってやるということは難しいわけでありまして、この欠損金の繰越控除制度の開始というものも一つの方法だろうとは思います。しかし、こういうものを改正した直後の年にはかなり大きな税収が上げられますけれども、これはこういう繰り越しを全然やめてしまうというわけではありませんので、結局一年間延期されるという措置でありまして、後にまた取り戻し効果のようなものも出てまいりますし、いわば悪口を言いますと、その場しのぎの税の増収措置にすぎないのではないかという感じもするわけでありまして、あるいはまた、これは決して本格的な赤字法人課税でもないというふうに見られます。なお、この問題につきましては、やはり税制の抜本的見直しの中で赤字法人課税の問題というものも取り扱われるべき問題だと思われます。  それから移転価格税制の導入の問題でありますが、これは今回の税制改正の中では非常に重要な意味を持つものであるというふうに考えられます。企業活動の国際化の進展に伴いまして、移転価格の問題というものが企業会計の方でも大きな問題になっておりますけれども、また国際的な課税の分野でも重要な問題になっておりまして、一応これについての取り扱いを今回きちんとしたということは適切な措置であろうかと考えられます。  最後に、たばこ消費税の引き上げの問題でありますけれども、これは先ほどもお話に出ましたけれども、やはり手続上大きな問題があったというふうに考えられます。政府税制調査会の答申が出た後に出されたことでありまして、政府税制調査会を無視したというふうにも言えるわけであります。  ただ、これにつきましては私は予算編成上やむを得なかったというふうに同情的に見ているわけでありますけれども、また他方、これまで政府税制調査会の答申というものが再三にわたって無視されてきておりますし、政府税制調査会軽視の傾向というものがいろいろ感じられます。今回のたばこ消費税の引き上げにおけるような事態というものが今後二度と繰り返されないことを強く希望いたします。  そこで、特に租税特別措置についての今後の問題でありますけれども、厳しい財政事情のもとでは租税特別措置の整理合理化を進めるとともに、税の優遇につながるような特別措置の創設というのは基本的には行うべきでない、こういう態度を維持していく必要があると考えます。しかし、私の個人的な考えとしては、本来は租税特別措置というものは、それが乱用されて税の公平、中立性、簡素化というものを大きく阻害しないように留意する必要がありますが、内需の拡大とか民活等にインセンティブを与えるために、これはある程度活用さるべきものであるというふうに考えるわけであります。ところが財政事情がそれを許さないわけでありまして、それにはできるだけ早く財政再建を達成する必要があり、そのためには歳入面での方策に本格的に取り組む必要があるというのが私の従来からの主張であります。財政再建のためには何よりも歳出抑制が必要でありますけれども、それだけではやはり限界があると考えられます。歳入面の方策に本気で取り組まないままに財政運営を続けていきますと、例えば今回のようなたばこ消費税の引き上げ問題、あるいは税制の面におきましてもつまみ食い的な増税といったようなものがしばしば起こらざるを得ないわけであります。税制の抜本的見直しを進めておりますけれども、それを機会に、あわせて歳入面の抜本的な対策に取り組むべきであるというふうに考えます。  以上で終わります。

笹山登生自由民主党・新自由国民連合

○笹山委員長代理 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――

笹山登生自由民主党・新自由国民連合

○笹山委員長代理 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤茂君。

伊藤茂日本社会党・護憲共同

○伊藤(茂)委員 参考人の皆様にはお忙しい中当委員会にお越しくださいまして、ありがとうございます。  税制問題が国民の注目の的になっている今日でございますから、今審議をしている租税特別措置法の一部改正だけではなくて、さまざまの御意見をこの分野での高い御見識をお持ちの参考人の皆様にお伺いしたいところでございますが、残念ながら、時間が制約された委員会の日程でございます。幾つかのポイントを簡潔にお伺いさせていただきますので、恐縮でございますが簡潔に御意見をちょうだいしたいと思います。  まず小倉参考人に、今審議をしておりますこの法律に関係して二点お伺いしたいわけであります。  その一つは、たばこ消費税の問題でございます。先ほど暉峻参考人からもお話がございましたし、また私ども審議の中でも強調いたしておりますが、まるでルール違反ということになっているわけでございまして、政府税制調査会の皆さんも相当憤慨なさったのではないだろうかと思っております。また、たばこ株式会社の諸君もそういう気持ちだったように聞いております。竹下大蔵大臣も昨日、これはおわびを申し上げます、このようなことをいたしまして済みません、このようなことは二度といたしません、一年限りの法律でございまして、もちろん一年限りでございますという御答弁をなさっております。     〔笹山委員長代理退席、堀之内委員長代     理着席〕 ルール違反で政府がおやりになったということなので、ある意味では政府税制調査会の権威を無視したようなやり方になるわけでございまして、法律自体が六十一年度限りということでございますから、一年たちましたらたばこ消費税の本則に返るのが当然であろうと思います。そうでなければ、権威を無視された税制調査会が、無視されたことをさらに認めるというふうな変なことになってしまうわけでございます。六十二年度から抜本改正という話になるわけでありますが、何かそこに逃げ込んで、そのまま延長を認めていくというようなことでは、まさにルール違反を認め、また権威を無視された政府税調がさらに無視を認めてしまうということでございますから、当然きちんと処理をなさるというお考えだろうと思いますけれども、念のために、次に向けての御見識のほどを伺っておきたいと思います。  もう一つは、参考人の御意見にもそれぞれございましたが、民活関連の税制の問題であります。  六十一年度の税調の御答申の中にも、慎重に考えるべきであるという内容で相当きつい表現がなされております。「厳にこれを抑制するものとし、真にやむを得ないものについても、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドの原則を堅持すべきであり、同時に、税制の基本原則を損なうことのないよう対処することが必要である。」と書かれております。例えば今度の東京湾横断道路の問題にいたしましても、そういう精神からしてもおかしいと私は思います。そして、今後の社会の建設を考えますときに、国、地方それから民間、それにできればもう一つ、市民活力といいますか市民参加といいますか、そういうものを含めた新しい方程式でやっていく。国よりもむしろ自治体の方がさまざまな苦労や新しい工夫をしていると思うわけでございます。これに便乗して、おれもやりたい、おれもやりたい、金がもうからぬから税をもっとまけろみたいなことが続くとしたら、これはとんでもない話になってしまうだろうと思います。そのようなことが続くようなことがあってはならないと思うわけでございますけれども、小倉参考人いかがでございましょうか。二つ一緒で恐縮でございますが……。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 初めのたばこ消費税についてのお尋ねでございますが、これはまだ今回の国会で御審議中でございまして、法案が通った上のことでございますが、六十一年度中にまた将来どういうふうにするかということは検討課題になる、こういうふうに思います。  それから、民活に関しての租税特別措置につきましては、ただいま委員が御紹介いただきましたような思想で税制調査会もおるわけであります。ただ、税制調査会の中にもどうも二通り御意見があったようでございます。民活というのはやはり内需振興のために非常に大事であるから税制も特別措置をもってそれにこたえるべきであるという意見と、税制でもって云々するのはいかがなものかということとございまして、必ずしも皆さんの意見が一致してこうだというようなことでもなかったわけです。そういう調和点が先ほど御紹介されましたような表現になっております。  これは申すまでもないと思いますが、あのころは、国債か公債か金融債かあるいは事業債か知りませんけれども、その利子について特別の優遇措置を講ずるという構想がどうもあったようであります。あったようであると申しますのは、そういう構想が税制調査会に披露されたわけではありませんのであったようだということなんでありますが、それが相当真剣に関係者の間で論議されておったということも事実のようでございますので、そういう特別の立法でもって特殊の事業についての債券の利子を優遇するということは甚だ困るというのが大方の意見でございまして、特に大蔵大臣にも税制調査会でそういうことをなさらないようにという趣旨は申し上げておったわけであります。しかし、せっかくの民活ということで何か非常に大事なようにおっしゃる向きもたくさんおられますので、全くそっぽを向くというわけにもいかないというような感じはいたします。

伊藤茂日本社会党・護憲共同

○伊藤(茂)委員 小倉さん、今のたばこ消費税のお話で、六十一年度中に検討をすることになるでありましょうというふうな趣旨でございますが、検討しないわけにもいかぬかもしれませんけれども、こうなんですよね。一つは、担当の大蔵大臣も、このやり方を謝ります、それから二度とこんなことはしません、本年度限りです、そうおっしゃっているのですよ。この経過を、大蔵大臣と同じように、それ以上に憤慨してお考えになっているということだと私は思いますが、そのお気持ちと、それからどのように検討なさるか。それはけしからぬという話題でしてもらったらいいと思いますけれども、特にたばこ産業に関係をするさまざまの分野、会社もあります、葉たばこもあります、その他もあります、そういう分野の意見を聞いたり、そういう分野の産業がどうなるのか。外国との競争もあります、どうなるのか。三〇一条の問題もございます。全然聞かないで問答無用でやったというのが今度の結果なんで、もし万一検討なさる場合でも、そういう方々の意見、全体状況を聞いた上でいろいろと相談をするというのが筋だと思いますが、重ねて恐縮ですが……。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 大蔵大臣の御答弁と申しますか、私も税制調査会の席でも似たような御発言を聞いたこともございます。しかし、どういうことをおっしゃっているのか必ずしもはっきりしない点もございます。いずれにしましても、まだその法律が可決されたわけでもございませんので、さらにその先の話でございますからちょっとお答えしにくいのでございますが、お尋ねの際に大蔵大臣もおっしゃっていましたように、今回各方面の意見を十分聴取されなかったというような趣旨を大蔵大臣もおっしゃっておって、これは後悔されておるといいますか、そういうことは二度としないという趣旨だったと思います。むろんこれは税制調査会が直接お聞きするかどうかということもありますが、たばこの会社なりあるいは主税局なり、それぞれ関係方面の意向も十分しんしゃくの上、税制調査会にお諮りになるというふうに思いますし、税制調査会でも、そういう関係の筋についてあるいは直接意見をお聞きするというようなことになるかもしれませんが、ひとつ慎重に取り計らうということになるかと思います。

伊藤茂日本社会党・護憲共同

○伊藤(茂)委員 私は竹下大蔵大臣の御発言以上に抗議の意味を込めて言われるのだと思いましたが、これは本委員会におきまして大臣とさらにぎゅうぎゅう議論したいというふうに思います。  次に、重ねて小倉参考人になんですが、抜本改正に関連をした問題であります。  抜本改正の審議、答申の仕方と申しましょうか、あるいは取り扱いの問題なんですが、予算委員会で今日まで議論をしている中で聞いておりますと、幾つか新しい発言が中曽根総理から、また竹下大蔵大臣からなされております。もちろんその前提として私どもは、四月に減税、十一月に増税も含めてトータルというのは、まさにこれは国民を欺瞞するものでけしからぬというふうに言っているわけでございます。その点につきましては、中曽根総理の御発言と比べまして小倉会長の御発言の方はさすがプロでございまして、昨年十一月に当委員会にお越しいただきまして私御質問申し上げていますときにも、「減税を論ずれば財源はどこから持ってくるのだろうかという話は当然伴うわけで、したがって、そういうことを切り離して仮に減税だけを論じて世間に発表するということになりますと、これは余計国民を迷わすことに恐らくなるかもしれませんね。だから」云々というふうな御発言も当委員会でいただいております。議事録に載っている文章なんですが、それは当然前提にした上でです。一つは竹下大蔵大臣だったと思いますが、減税に関係する答申でも、定量的ではなく定性的な答申ということになるでありましょうと。それから、これは中曽根総理だったと思いますが、場合によっては幾つかの複数案を併記をした御答申をいただく場合があるかもしれませんと。  要するに、何兆減税しますとかいう定量的ではなくて、定性的というのは仕組みの問題としてということに御答申はなるでありましょう、また中曽根総理の御発言では、一本というのではなくて選択を求めるような可能性もあると思いますというふうな御発言を予算委員会で御答弁をなさっております。その辺をこれから、今進行中でございますから、特に会長としてどういう心づもりでお考えになるのかということが一つであります。  もう一つは、これも竹下大蔵大臣の答弁でありますけれども、十一月、年末の段階に総括的な答申をいただきます、それをまとめて一括の法案で六十二年度、次の通常国会に提案をいたします、しかしそこに盛られたことを一挙にやりますとさまざま経済の混乱が起こる可能性もあるし、無理の起こる可能性もあるということで、二ないし三年とか新聞で報道されておりましたが、何年かかけてそれをやっていくというふうな答弁がなされております。税調の方は、答申をすれば後は政府の問題ということかもしれませんが、私はそうでもないと思います。それをどうやって実施をしていくのかということは、やはり税調の年度あるいは全体の御答申にもかかわる大事な問題でございますから、その辺はどのような対応をなさいますか。  それから、総理も大蔵大臣もそうだと思いますが、現在の十五の所得税の刻みを六ぐらいとかいうふうな意味の話も時々実は答弁でなされております。  三つ申し上げましたが、その辺のめどを会長、どのようにお考えですか。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 幾つか重要な問題についてお尋ねでございますが、まず財源問題との関係でございます。  財源問題を先に立てるというとどうも減税という元気が出てこないということは、これは今日のような財政のときでございますから余計そうだと思うのです。総理が、第一段階では減税についてひとつ考えをまとめてくれ、こういう御注文であったのは、恐らく余り税源は考えないで存分と減税の方向で考えてもらいたいという趣旨だろうと思うのです。それも確かに一つの考え方でありまして、余り税源税源という減税は全くできないという結論になりかねない、私はそう思うのです。したがって余り財源問題を先に立てないでほしい、こういうことであろうかと思います。  したがいまして、そうだとすると、減税と申しましても、お話にもございましたようにどういう形になるかは知りませんが、全体としては余り財源問題を考えないでまとめていくということになりますと、減税についてのいわば考え方、いろいろな税目の中でどういう税について減税を考えたらいいのかとか、あるいは例えば所得税につきまして言いますならば、今最後にお尋ねのございましたような税率の刻み、累進構造といいますか、そういうものをどうしたらよろしいかとかいったことをできるだけ意見をまとめてみる。こういうのがお尋ねの中にございました定性的ということにあるいは該当するのかもしれませんが、そういうわけでございますので、専門家がそれをよく眺めればこれはどれくらいの財源が要るものだということはおわかりになるかもしれませんが、そこは詰めないでおくというような趣旨だろうと思うのです。あるいはそういうことになるかもしれないと思います。     〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕  それから、選択的といいますか段階的といいますか、そういうようなことについてのお話でございましたが、どういうふうに税制改正を持っていくかによっても違いますけれども、新しい税目を起こすとか既存の税制を根本的に変えていくということになりますと、一年に足らない間に成案を得なければいかぬということになるわけでございます。それはそれでできるにいたしましても、その実施が六十二年度の当初から一体できるのだろうかというようなことは、なかなか今から段取りを立ててこうすると言うわけにもまいりません。あるいは、大蔵大臣のお話だと思いますが、お話がございましたように段階的に改正を進めていくということが考えられるのかもしれません。しかし、そういう段取りについてまだ全く考えていないわけです。  そしてまた、選択というようなこともお尋ねの中にございましたけれども、特に初めに減税の基本的な枠組みを考えるということになりますと、税源を離れての話でありますから、財源がうんとあるという想定とどうも財源が余りなさそうだという想定と、例えば二通り考えて枠組みをつくるということも考えられる。その上で、後に財源問題も考えて国民の選択にゆだねる、そういう選択の仕方もあろうかと思います。いろいろ考えられるわけですが、いろいろな方がいろいろなことをおっしゃるのはまだ星雲状態でございますので当然だと思いますが、そういう星雲の状態から多少ずつだんだんと固めていきたいといったような気持ちを率直に持っております。

伊藤茂日本社会党・護憲共同

○伊藤(茂)委員 小倉参考人にこれから御検討される中身の重点について一、二伺いたいのですが、先ほど所得税の問題も抜本改正の中でもちろん言われました。それから、法人税は高いという声もあるという趣旨のお話もございました。また政府の方からも両方、総理も所得税も法人税もというふうに言われております。  小倉さん、いかがでしょうか。強いてというわけではありませんが、優先度ということが現実あると私は思います。戦後の所得税と法人税、特に所得税の中の源泉部分と申告部分、それぞれの伸びの状況を見ますと、たしか三十年代前半でございましたか、全部なだらかな変化ではありませんけれども、そのあたりには、所得税を一〇とすれば法人税が一三か一四ぐらいの比率というふうなときがございました。それが相拮抗する時代になって、現在では法人税十二兆幾ら、所得税十六兆幾らでございましたか、四兆円分ぐらいの差がある。所得税を一〇とすれば法人税七ぐらいに変化をいたしております。ここ二十年ぐらいずっと見ますと変化が見られます。これは国民所得の中の配分の比率からいってそうだという理屈を言われる方もいらっしゃいますが、私は、税制から出ているというふうな気がいたします。そういうことを考えますと、所得税についての要望もあるでしょう。法人税についての要望もあるでしょう。しかし、優先度としてはやはり所得税というのが最優先課題となされなければならないというのが、今町税制抜本改革の中心課題というふうに思うわけでございますが、今日までの経過からしてもそう思いますが、いかがでございましょうか。  それからもう一つ、税調の中では前から課税ベースの広い間接税ということが検討課題になっております。いつでしたか小倉さんも、今までの国会決議その他の経過もあるが、こだわらず、幅広く勉強させていただきたいというふうな趣旨のことを言われたこともございました。私どもはもちろん反対であります。それから、一昨年末になるわけでありますが、利子配当課税について低率分離課税という御答申もなさっている。自民党税調の方は、それは反対であるということの結果で今日に至っている。それから、政府税調の方もそういう答申はしておりますが、さまざまの動き、全体との関連を含めてさらに検討しなければならないという御趣旨のように一昨年末の答申では伺っているわけであります。  課税ベースの広い間接税、言うならば大型間接税と、それからマル優問題、郵貯問題を含めましたこの利子配当課税の今まで税調がお考えになっていたことと、両方ともやはり積極的に御検討なさる、あるいは両方ともやりたいというふうな傾向でお考えになりますか。一緒にやるとしたら大変大きな社会問題になるんだろうと私は思いますが、選択的にお考えになりますか。やはり両方一緒にやらなくてはならぬというふうにお考えになりますか。  この間、新聞を見ておりましたら、税制サミットなどという話が総理の諮問機関の経構研でしたか出ておりまして、きのう、きょうの新聞を見ましたら、日本の個人金融資産が五百兆というふうに出ておりました。そういうものと兼ね合わせながら、アメリカからも日本の貯蓄、税制批判がある。税制サミットを開催してそういうものについて国際的に、イコールフッティングとは言わぬでしょうが、何か考えるというふうなことが新聞に大きく報道されておりました。いろいろな角度から話題になることだと思いますが、大型間接税と利子配当課税、両方お考えなのかどうか、いかがでございましょう。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 いろいろ難しいことをお尋ねになりまして、ちょっとお答えしにくいのでありますが、まず、税制上の検討の課題として所得税その他を比べて何に重点があるのか、こういう趣旨のお尋ねでございました。  これは人によって違うわけですね。実業界といいますか経済界の方は法人税ということをおっしゃるし、サラリーマンや学者の方々はどちらかというと所得税ということをおっしゃるわけでありまして、一概にどっちが重要であるということを申し上げるとちょっと差しさわりがあるということになると思いますけれども、強いて申し上げれば、やはり所得税が優先課題であるというように考えた方がいいと思います。  ただ、所得税優先課題と申しましても、減税だけがあるのじゃなくて、所得税の中でも増税というようなことも考えなくてはならないという部分もあるのじゃないかと思うのです。一体できるかできないかわかりませんが、日本の所得税はどうも本当には総合所得課税になっていないわけですね。減税をやる傍ら、もっと総合所得課税に近づけるような工夫はできないかどうかというようなことも、これは重要な点ではないかと思っております。  それから、間接税あるいは利子配当についての考え方でありますが、これについては全くまだ検討はいたしておりませんが、いずれは、やるかやらぬかということとは別にいたしまして、利子配当についての課税をどうするか、これは所得税とも非常に関係がありますが、どうするか。それから一般間接税――一般消費税というのはいけないという話でございますので一般間接税、大型と言うとたくさん税金をいただくような感じを与えますから一般間接税というような言葉がいいのじゃないかと思いますが、一般間接税というようなことも検討課題だというふうに思います。  検討課題というのは、実施すべきだという意見もございまするし、それはどうかなという消極的な意見もありますし、それは反対だという意見もございますが、一体どういう仕組みを考えるのか、あるいはどういう影響が経済界にはあるのか、どういう時期がいいのだろうか、またそれと減税との関係はどう考えるのか、いろんなことがございますので、十分検討をしなければなりませんし、また検討に値する課題だと思います。利子配当所得についての課税のあり方についても同様かと思います。

伊藤茂日本社会党・護憲共同

○伊藤(茂)委員 次に、二分二乗ということに関連をしたことで暉峻参考人と小倉参考人、お二方に御意見を伺いたいのでございますけれども、二分二乗に政府税調特別部会が否定的見解のような記事が数日前に大きくそれぞれ報道をされました。二分二乗を採用している欧米の国と同じようにやった場合にどう影響が起きるのか、税制の制度上からいえば、御夫婦とも働いている人の場合には損になるとか、あるいは単身の方にどういう影響が起きるとか、さまざまの問題がございます。  しかし私は大きな流れとして、所得を分割できる人とできない人、これが税の公平について今日の社会的に大きな流れになっている、そこからサラリーマンの不満の大きな柱にもなっているという現状になるわけでありまして、他国でやっている内容を同じようにやれるかどうかだけで考えるのでない、さまざまな努力がなされなければならないことであろうと思います。  この二分二乗ということが話題になる背景も含めまして、改善をされなければならないと思いますが、暉峻参考人、先ほどお話を伺いましたように、暮らしと税制含めましていろいろと御活動なさっているわけでありますけれども、そういう観点からいかがでしょうかということと、それから小倉参考人に、これもきのうでしたか、ちょっと報道されておりましたが、政府税調の検討の中で、「サラリーマンに〝朗報〟」というような見出しでたとえ新聞記事にしろ出ることは大変珍しい話でございますけれども、必要経費の一定の形のものを認めるようにしたい、そういうことも今検討課題になっているというふうな報道がなされております。それは、アメリカと同じように自由選択制ということでも必ずしもなさそうでありますけれども、仕事に直接関連するさまざまの経費などを一定の枠内で認めていこうとか、それから外資系企業などで通勤費が支給されていない人などの問題とか、いろんな問題がありますから、一定の枠内で必要経費をサラリーマンに対しても認めていくというふうな記事がなされておりました。見出しでは「書籍・接待費OK 理髪・背広代ダメ」なんて書いてございました。私はどういう御検討をなさっているのか知りませんけれども、何か現実可能な検討、また必要な御努力は前向きになさっていくべきではないだろうかと思うわけでございますけれども、その二分二乗に関連して、それができるかできないかという単純なことではない意味で御見解を伺いたいと思いますが、まず暉峻参考人から。

暉峻淑子埼玉大学教育学部教授

○暉峻参考人 二分二乗方式というのは、まだその細かなところが発表されていないようですので、最終的に賛成していいのか反対していいのかというのはちょっと今私は保留にしているのですけれども、問題として明らかにしてほしいのは、そのときにパートの妻の減税の限度額、つまりパートの妻というのは、妻であるわけですからやはり二分二乗になると思うのですけれども、それをどうするのかという問題が一つあります。  それから働いている婦人、パートでなくてともかく専従といいますか、それで働いている婦人の場合は、これは私もずっと共働きをしてきて――一般の中小企業などでは、妻がお店も一緒に店番をやったりいろいろ販売の労働をやるという場合に、そこに家事をやってもらうための使用人を雇えばそれは必要経費としてみなされて計算されているようなんですね。例えば病院なんかの場合でもそうなんですね。病院というのは、小さな診療所の場合ですけれども。ところが、私たちは共働きで働いていて、実際に子供がいてそのために主婦としてうちにいればかからなかったであろうような費用をたくさん使うわけです。その場合にも、やめてうちに帰ればもう再び就職できないということで、妻の収入はゼロどころか赤字になって、子供を預けたり、あるいは保育園の終わる時間が早いので保育園に迎えに行ってもらって、またうちで留守番をするという費用を払ったり、いろいろなことをしているわけなんですけれども、二分二乗の場合、今度はじゃ職を持っている女の人のそういう必要経費は一体どうしてくれるのだということがあります。  それからもう一つは、大変今の日本の家族制度をもう動かないものとして考えていられるのではないかという心配があるのですが、アメリカは非常にそういう点では先端的というか前衛的というかですけれども、ヨーロッパでも行きますと、夫婦で、戸籍上夫の籍に入れて旧来のような夫婦の家族形態を持っていないという家族が非常にふえてきているわけですね。それは個人の自由意思であって、結婚はしていても籍は入れないというようなうちもありますし、決してそれは変な意味ではなくて、女性の自立という意味でそういうことはしないということを貫いているうちも随分あります。  それから、両方が職業を持っていて同じところで住めないというような場合、やはり籍を入れないで別々にしていて時々会うとか、あるいはもっともっと前衛的な女性の場合は、マンションの一階と三階ぐらいに――シモーヌ・ボーボワールのことを考えていただくと非常にイメージがわくと思うのですけれども、サルトルとボーボワールみたいな生活をしている家庭が非常に多くなっているわけです。そういう場合、二分二乗方式というのでそういう流れをとめるという気持ちがあるのかどうか、日本古来の美風を維持せんがために。  私は、例の二十年以上連れ添っていれば夫が死んだ場合、相続税云々とかなんとかでも、女性の側から見ると、ここ国連婦人の十年で女性の権利意識も非常に強くなったわけですけれども、女という一人の人間の人権、あるいは自立しようという希望、こういうものは認めないで、ただ夫に貞淑に連れ添っていればおまえにはいいいろいろなあめがあるぞというような印象を受けて、若い女子学生などは大変憤慨しているわけです。  だから、そういう人間の一生をどう生きるかというのはそれぞれの人間が決めることであって、減税してくださるところは大変歓迎なんですけれども、それがいかなる影響を与えるか、その底に何かさもしいあれがないかですね。そこら辺のところもやはりよく考えてやってほしい。  それから、妻と離婚したり妻に先立たれて死なれますと、その途端に男の人への課税はぐっとふえるわけですね。そうすると、何が何でも妻を探して早く再婚しなければとか、厚生省の人口統計によりますと、何かここのところ男性の人数の方が女性よりも多くなっているという異変が起きているらしいので、一人一人妻を持っていたら足りなくなるのではないかというふうに思われるとか、そういういろんなことがありますので、人気取り的に二分二乗なんというのは、いろいろな条件をちゃんと添えてこうなのだというふうに出してくださるのならいいのですけれども、私はここのところ税制がどうもふまじめのような感じがして、もうちょっと案を出すなら出すようにきちんとして出してほしいというのが私の意見でございます。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 二分二乗のお話とそれからサラリーマンの実額控除というのですか、実費控除のお話と両方ございましたが、二分二乗の方はただいま暉峻先生からいろいろ疑問点をお出しになった、まさにそういうようなところが実は問題なんで、二分二乗をとっている国はだんだんと減ってきておるらしいですね、世界的に見ましても。それから、また、とっている国もいろいろ例外的なものを置いて措置をしなければならなくなってきているというような状態で、非常に厄介になってくるというようなこともあるようです。まだ税制調査会では結論が出ているわけではありませんが、二分二乗という簡単な言葉で甚だはっきりしておるようだけれども、なかなかこれは難しい問題だというのが現在のところの感触であります。  それから、実額控除についてはまだ十分検討しておりませんが、これは前々からの問題でございまするから新しい問題ではありませんが、どうもサラリーマンの経費というのは一体どういうものだろうかということがなかなかはっきりしないわけです。はっきりしないままに、ただ実額控除というようなことを選択制にしろ何にしろ入れますというと、これは行政上の紛議が絶えないということもありますし、それからまた、実額控除で実額を計算する方もこれはなかなか厄介なことで、私どもは余り外国のことを知りませんけれども、時々外国へ行くと、イギリス等向こうの学者の先生方はタクシーに乗っても受け取りを取るというようなことがあって、どうも不思議に思ったことがあります。ああいうふうになったら日本は交通渋滞になってしまうのではないかと思うくらいいろんなところで受け取りをもらわなければいかぬということになって、はて、それが一体いいことなのか悪いことなのか、ちょっとこれは疑問でございます。だから、実額控除というのはなかなか簡単でよさそうでございますし、サラリーマンの権利を認めるというようなことになるような感じもしますけれども、実際はなかなかこれは簡単ではないのではないかということで、これは個人的な感じでありますが、ちょっとお答えになりませんので恐縮です。

伊藤茂日本社会党・護憲共同

○伊藤(茂)委員 いろいろと知恵を出さなくてはならない問題でございますし、また、こういうことが話題になるような不満が起きるバックグラウンド等本体をどう直していくのかということを、私どもももっと真剣に考えたり議論しなければならぬと思っております。  それから水野参考人、いろいろ伺いたいことがあったのですが、時間がもう幾らもなくなりまして恐縮でございます。  去年の秋でございましたか読んだのですが、経企庁の編集でございますか、ESPの中に「税制と日本経済」という特集がございまして、その中に何かお書きになっていた。先ほどもちょっとおっしゃいましたが、「増税なき財政再建」というものはもう無理だから、これを転換しなさい、そうしたときに初めて財政再建のシナリオが書けるのだというふうな御趣旨の論文を昨年の秋、読ませていただきました。  これは小倉参考人にも一緒にお伺いをしたいのでございますけれども、今税制の抜本改革という議論がなされております。総理も、また大蔵大臣も、関係者も、これは増税を意図したものではありません、要するに全体的な公平、公正、簡素、選択とかいう見直しなんで、増税を意図したものではありませんというふうに言われているわけであります。税をより公平なシステムにすることは当然やらなければなりません。しかし、税収については中立であるというふうにいつも言われているわけであります。そういたしますと、六十五年赤字公債脱却も現実問題として無理になってまいりましたが、さらに本格的な財政再建をどうしていくのかということに余りつながらぬ方程式になるわけですね。  そこで、考え方が二つあると私は思うのです。例えばアメリカのようにグラム・ラドマン財政均衡法、これは違憲訴訟も出されておるようですが、立法府の方も、大統領、行政の側も賛成だということですね。実行に移されつつある状況になっている。それからレーガン税制改革、これも増税を意図したものではありませんということを明確な前提にしている。そういたしますと、先生のお考えだと、ああいうふうな方程式は日本の場合にはふさわしくない、別の方程式でなくてはならぬということになると思うのですが、その辺のお考えと、また、こういう方途――去年の秋の論文を読ませていただきましたが、ややシマチックにいくとどういうことが考えられるのか、先生はどういうふうにお考えになっているのかということ。  それから、申し上げた中に一部ございますけれども、小倉さんも今回の税制改正は、増税を目的にする、あるいは増税を主なあるいは相当の目標にしている、意図しているということじゃないように私は感じているわけでありますが、それと、大体大型間接税を導入して、ヨーロッパ諸国のように、とにかく導入当時とは比べものにならぬほど高い間接税の税率になるというふうな現実の見通しなんでしょうか。税制改革と財政再建、御感想を伺って終わりたいと思います。

水野正一名古屋大学経済学部教授

○水野参考人 非常に難しい問題なので、率直に言っていろいろ誤解を受けるおそれもありますが、この問題は、私の考えでは、非常に高度の政治的次元の問題であって、私あたりは政治家ではありませんので、学者の立場から、割に気楽というわけでもないのですけれども、かなり思ったとおりのことを言う、そういう立場から書いたり言ったりしているわけです。それで、そういう高度の政治的な判断というのは私には手に負えない問題でございますのでわかりませんが、ただ私の立場から考えれば、政府が六十五年度までに特例公債依存から脱却する、それも増税なしにやるということを掲げているのは、これはどう考えても無理じゃないか。まあできないことはないと思うのですけれども、実際の年々の予算編成あたりを見ておりますと、非常に無理を重ねて、歳出構造も非常にゆがめますし、税制そのものも非常にゆがめてきているわけで、そういう形で特例公債依存脱却が仮にできても、またもっと困った問題を起こすのじゃないか。やはり財政再建という問題を本当にやろうとするのなら、これは歳出抑制とともに、私先ほど申し上げましたが、歳入面の措置というのをあわせて考えるべきであって、その歳入面を方を伏せておいて、封じておいて、歳出だけでやろうとすると非常に難しいというふうに思うのです。  それで「増税なき財政再建」を早く転換をしなさいと言う場合に、直ちに増税をやる必要があるということまでは言ってないわけです。といいますのは、やはり財政再建をどういうふうにしてやるのかという具体的な手だてというか、こういうものを示してほしいわけです。あるいは六十五年が無理なら少し延ばすとか、六十五年までに脱却すると言ってそれも増税もやらないというのは、またどう考えても無理だというふうに率直な考えなんですね。しかし、歳出の抑制をやるには行政改革を思い切ってやらなくてはいけない。また、いろいろな補助金の削減というようなものにも取り組まなくてはいけない。それには片一方で増税の道を開いていたのでは到底そちらの方ができないというふうな判断があってやられていることだと思うわけですが、どうも私あたりから見ていると、どうしてできないのかなという気がするわけです。そのあたりがやはり政治家とは違いますので、判断が甘いといいますか、両方やろうと思えばできるんじゃないかというのが偽らない感じなんですね。  それで今回の税制改革の、税制の抜本的見直しの問題にいたしましても、私も税調の委員の一人でありますが、率直に申しますと、税収ニュートラルで考えるということは財政再建の問題を放棄したものじゃないかという気がするんですね。財政再建というものにあくまでも取り組んでいこうとすれば、そうきれいごとは言っておれないのじゃないか。しかし、日本の現実の情勢から見ると、大きな税制改革をやるのに増税をちらつかせたのではこれもできないのじゃないかというふうな気もいたしまして、学者の端くれですので、ああでもない、こうでもないとなかなか決断が鈍いんですけれども、そういう気持ちだけ申し上げます。  以上です。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 「増税なき財政再建」という、何といったらいいんでしょうか、スローガンみたいなものがありますので、税制調査会としては、増税しなくても財政再建できるという話だからこれは非常にありがたいというふうに受け取っていいのか、いやいや、これはちょっと問題だぞというふうに受け取っていいのかということもございますし、さらに、減税というふうなお話が各方面からございますから、減税の財源は必ずしも税金だけではないでしょうけれども、税制調査会の中で考えれば、財源どうしたんだといえばどうも税金にまたざるを得ないということでございます。  そこで、減税の財源としての増税ということであればあるいは御了解願えるので似ないかと思いますが、とにかく一般には、スローガンですから、増税はいけないんだというふうに「増税なき財政再建」という言葉を理解されがちなんでございますよ、余り注釈はつけないで、注釈抜きで言葉だけいくものですから。そうすると減税すらできないということになるおそれも出てくるということで、実はあのスローガンにはちょっと戸惑っておるというのが私の実情であります。

伊藤茂日本社会党・護憲共同

○伊藤(茂)委員 終わります。

小泉純一郎自由民主党・新自由国民連合

○小泉委員長 柴田弘君。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田(弘)委員 きょうは各参考人には大変お忙しいところ御出席をいただきまして貴重な御意見をいただきまして、心から感謝をいたしております。特に水野先生は私の大学時代の恩師でございまして、名古屋からどうもありがとうございました。  そこで、先ほどもいろいろ議論が出ておりましたが、今国民が一番注目しておりますのはいわゆる税制の抜本改革であると思います。総理府の調査等によりましても、税制のゆがみ、ひずみあるいは重圧感ということから、所得税、住民税の減税というのが一番国民的な要望が強いわけであります。しかも、内需拡大あるいは貿易摩擦解消あるいはまた不公平税制という根本的な問題等もあるわけであります。  そこで、まず最初に小倉参考人にお聞きしたいのは、確かに現在の段階で三兆円とか五兆円とかという規模の減税は提出できないかもしれませんが、やはりそういった過去の経緯、国民の要求ということを考えますと相当大幅な規模にならざるを得ない、私はこう思います。その規模は、率直に言って大幅であるとお考えになっているのか、あるいはまた、その場合に財政措置というものを当然考えていかなければなりませんが、これは新税を導入しなければならないのか、あるいは既存の税制の枠組みの中でその改正によって対応できるのか、その辺の感じをひとつお聞かせをいただきたいと思います。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 実はまだ私どもそういう感じは持っておりませんので、できればいろいろ御意見をお聞かせ願いたいと思うわけです。平たく、通俗的に考えますれば、仮に減税という言葉を使う場合には、それは小型になるのか中型になるのか大型になるのかということくらいは頭に置いて物を考えなくちゃならないでしょう。そこで、非常に小規模のものであれば格別、中型、大型になりますというと、新税と申しますか、あるいは新税に近いような増税の税制改革をしなければ恐らく御要望にはおこたえできないということになろうかと思います。その辺まだ詰めておりませんけれども、いろいろの考え方がある中で、先ほど伊藤委員の方からもお尋ねがありましたが、選択ということもありまして、こういう程度の規模の減税であればこういう程度の財源措置を税制上考えるといったような一案、二案といいますか、そういう国民の方々が選択できるような取りまとめ方があるいはよろしいのではないかなというふうにも感じます。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田(弘)委員 そうすれば、簡潔に申しますと、大型、中型、小型がある、大型になるか中型になるかわかりませんが、それに対応する財源措置は既存の税制の改革だけでなくて、新税の導入というものも考えなければならない。その場合に一案、二案、あるいは三案になるか知りませんが、国民の選択という一つの議論の場を設けるために、そういったものを一つだけでなくて二つないしは三つ出していく、こういうふうに私は理解をしたわけですが、それでよろしゅうございますね。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 そういうような行き方も一つの方向だというふうに思います。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田(弘)委員 そこで、今「増税なき財政再建」というお話も出たわけであります。実はきのう竹下大蔵大臣あるいは主税局長等とも議論したわけでありますが、「増税なき財政再建」というのは、政府の大きな財政再建の一つの路線であると思います。この六十二年度税制の抜本改革は、政府のそういった「増税なき財政再建」の路線の中で対応されるお考えだ、こういうふうに思います。その辺の確認をしておきたいと思います。  その場合に、先ほど新税の導入というお話がありましたが、租税負担率は上昇せざるを得ない、こういうふうに私は思います。そうしますと、いわゆる臨調で言っております租税負担率の上昇をもたらすような新たな税制上の措置をとらないというのが「増税なき財政再建」ということでありますが、それと相反してくるような気がいたします。でありますから、端的に申しまして、「増税なき財政再建」路線は貫いて税制改正をやっていかれるのか、そして同時に、その場合租税負担率の上昇というのはどうなるのか、お感じで結構でございますから、ひとつお聞かせをいただきたい。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 私ども、まだ税の負担率はどの程度が適正であるかというふうな討議はいたしておりません。ほかではそういう議論をされておるようですから、そういうことも参考にはなるかと思いますが、私どもはむしろ政府の一般財政支出というものをどの程度税金で賄うのがしかるべきであるかというようなことが一つのめどになるのではないかというふうに従来は思っておりましたけれども、国民の税負担が国民所得の上でどの程度になるかというようなことも無論無視はできませんので、大きな考慮要素と考えなければならないとは思っています。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田(弘)委員 その辺、私の聞き方が悪かったのか、ちょっとわかりませんが、「増税なき財政再建」の路線は貫いていかれる、こう私は思います。その場合、租税負担率の上昇は年々、政府の言をかりれば税制の小幅な調整によって、年間約二、三千億程度、全税収の一%程度の増税がなされているのです。このこと自体が国民の率直な気持ちからいいまして、もう政府の「増税なき」というのは破られているという感じを私どもは持っているのでありますが、百歩譲ったといたしましても、租税負担率というのは着実に上昇してくると私は思います。でありますから端的にお聞きをしておるのでございますが、租税負担率の上昇というのはあると私は申し上げたいのであります。その辺のところも、重ねて、くどいようでございますが、端的にお答えをいただきたいと思います。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 先ほど申しましたように、私どもまだ租税負担率がどうなるかという検討をいたしておりませんので、お答えはちょっとできかねるわけです。と申しますのは、減税の話が先ほど随分ございましたが、減税の規模自体もまだ決まっておらない、財源措置もまだ全然検討していないというわけで、租税負担率がどの程度になるのかということはちょっと憶測もできないような状態でございます。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田(弘)委員 そうすれば、またくどいようですが、「増税なき財政再建」路線を貫いた税制改革が答申されるのか。  それからあわせて、六十一年度の答申の全文を見てまいりましても、税調としては直接税、間接税を通じた税制全般にわたる本格的な抜本的改革を検討する、こういうことをおっしゃっておられる。そうすると、その場合に、これもまた検討していませんという答弁が返ってくるかもしれませんが、直間比率というのは変更が、これは結果としてだとは思いますが、結果として、直間比率は七、三が六、四とか五、五とかいうふうになってくる可能性があるのか。この直間比率の問題と、それから一番初めの「増税なき財政再建」路線の問題をもう一回きちっと答弁をいただきたいと思います。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 「増税なき財政再建」と申しますのは、先ほどもちょっと申し上げましたように、おっしゃる方によって意味が違うわけでございます。したがって、その路線を外れるとか外れないとかというのはちょっとお答えがしにくいと思います。  それから、次の直間比率の問題でありますが、これも人によって意見が違っておりまして、今の直間比率はどうも直接税に余りにかかり過ぎているじゃないか、お話がございましたように半々ぐらいになるように考えた方がいいのじゃないかという説もございますし、他方、逆進性がある間接税に余り多く依存するのは反対であるという意見もございます。したがいまして、その辺はまだ今後の問題でございますが、国民が皆いわゆる中産階級になってきたというのが仮に本当だとすれば、これは間接税に相当依存するということも理屈の上では可能ではないかと思います。しかし、本当に中産階級化したのかどうか、必ずしもそうでないうらみもありますので、そう簡単に申し上げることはできないと思います。直間比率の状態が妥当でないからそれのバランスをとるのだというふうな観点から税制改正に接近することはちょっとしにくいと思います。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田(弘)委員 ここは議論する場ではございませんで、参考人の御意見を承るという場でございますのは私もよく承知しておるわけであります。昨日私も、「増税なき財政再建」問題ということで、当委員会で大蔵大臣あるいは政府委員に対していろいろやりましたが、やはり租税負担率の上昇がなければ大型間接税を導入してもいいのだ、しかも、「増税なき財政再建」路線というのは、これはあくまで定性的なものであり、定量的なものじゃないのだ、こういうことを言うわけでありまして、今回の税政改正によって大型間接税の導入が図られて、そして「増税なき財政再建」路線というものが変更される危惧を大いに私は持っているわけです。これは私の一つの意見として申し上げていきたい、こう思います。  そこで、この四月になるかもしれませんが減税構想の答申を出される。それに対する財源措置というものを秋に出される。私は、税制というのはやはり包括的に整合性を持って、いわゆる増減税同時に提出されるというのが当然であると思います。減税というからには、当然、財源措置はこうしますよというものをきちっとして答申をしていただくのが国民の目から見て一番責任のある整合性を持った親切なやり方である、こう私は思っておるわけであります。そこで、この問題の政府の考え方をただしました。大蔵大臣もやはりその考え方は一理あるということを言っておりました。  そこで、小倉会長にお尋ねをいたすわけでありますが、もし政府が増減税同時に答申をしてください、こういうふうに税調の方へ申し出た場合には、その対応はどうされるか、あるいはまた、減税を先に答申して後に増税を答申するというやり方というのは、私は国民の目から見ていかがなものであるか、こういうように思っておるわけでありますが、その辺の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 どうも言葉の問題みたいなこともございますのでちょっと恐縮でありますが、仮に正式な答申ということでありますれば、減税と財源措置の増税と全く切り離してというのはちょっとこれはどうかと思います。どうかというよりは、ちょっとおかしいのじゃないかという感じもしないことはございません。まあ時期が非常に近ければ別でありますけれども、春と秋みたいに離れておるというのじゃちょっとこれはどうかと思うのです。私ども考えておりますのは、実はそういう正式の答申ということを春に考えているのじゃないのです。およそこういう考え方があるということで、これからこういう考え方に基づいてなお討議を重ね、さらに財源措置も考慮した上で正式の答申を秋に政府に提出する、こういうような考え方でございまして、春のはいわば中間報告的なものになるのではないかと思います。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田(弘)委員 そうあるべきだと思いますよ。いわゆる減税というのは、あるいは税のゆがみ、あるいは重圧感それからひずみですか、こういうところにありますよという中間報告だ、こう思うんですね。それはそれで意義があると私は思いますよ。本当の、減税はこうしなさい、所得税はこうしなさい、住民税はこうしなさい、あるいは企業はこうしなさい、法人税はこうしなさい、こういうものでなくて、一つの考え方といいますかそういったものだと私は思う。きちっとしたものは秋に、これはもう税調がかねがねおっしゃっておりました。やはり秋に、これは十月になるか十一月になるかは知りませんが、きちっとした財源措置を含めた減税の構想というものを出す、これはそういった方向へ行くべきだ、こういうふうに思います。私は、この点については小倉会長と同意見でございますので、どうかひとつその方向でお願いをしたい、こう思います。その辺のところを周知徹底しないと、やはり国民が、四月になるか五月になるかもしれませんが、非常に待ちわびておるわけでありますので、きちっとしていくべきではないか、こういうふうに思っております。  そこで、細かい問題に入って恐縮でございますが、先ほどもちょっと議論が出ておりました所得税あるいは住民税の最高税率の問題であります。  今八八%ということであります。所得税が七〇%、住民税が一八%で八八%。これを所得税を五〇%から五五%程度にするとか、あるいは住民税を一〇%から一五%にする、そして六〇%程度に下げる。こういった最高税率を何%にするか、この辺についての税調会長としての御見解。  それからもう一つは、中堅サラリーマンを中心としてのいわゆる税率構造の刻みの緩和の問題、これも、中曽根総理はこの国会で、絶えずそういった方向への答弁をいたしているわけでありますが、この最高税率の引き下げ、税率緩和の問題についてはどういったお考えであるのか、お聞かせをいただきたい。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 所得税、住民税の最高税率をどの程度に落としたらよろしいかということと、税の刻みをどの程度にしたらよろしいかということでありますが、後の方からお答えしますけれども、まだ全然税制調査会ではその辺について結論めいたことを申し上げる程度になっておりません。ただ、もう少し税率の刻みを少なくする。それは六つがいいのかどうかは別でございますが、そういうふうな意見にどうやらだんだんと集約していくのじゃないかというふうに憶測をしているだけであります。したがって、その際に最高税率もある程度下げるということになるかもしれませんが、しかし同時に、その際は、先ほども申し上げましたように今の所得税は必ずしも総合所得になっておりませんので、総合所得になっている国となっていない国と比べて日本の最高税率が高い、こういうふうなことを申される方もおられるようですけれども、もっと総合所得に近づけるという工夫をするということができるかできないかということが一つはかかっていると思うのです。  それから先ほど、どの先生でしたか富裕税のお話がございましたが、そういう制度を一体取り入れるのかどうかというようなこともかかってくると思います。  したがって、少し多面的に検討しなければ所得税の税率の引き下げなり税率の構造なりということについて申し上げるわけにはまいりませんが、ただ、中堅サラリーマンといいますか、中堅所得層と申しますか、そういう方々の税負担の緩和ということは一つの重点であろうかというのは衆目のだんだんと一致するところではないかというふうに思います。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田(弘)委員 そこで、やはり所得税の問題で先ほどもちょっとお話がありましたが、マル優、郵貯などの利子配当所得に対する非課税措置、これはかつて税調も利子の低率分離課税の導入ということについてお話があったと思います。この辺のお考えと、それからもう一つ、所得税において源泉分離課税を選択した場合には、この利子所得に対して住民税が課税されない、こういう問題が住民税の問題で一つあります。この辺が一つ大きな問題で、私も昨年は地方行政委員会に参りまして、この問題は地方自治体等から非常に要望が強いわけでありまするが、利子配当所得の低率分離課税の導入の問題と住民税の課税措置の問題、この辺については今後税調でどう御検討されるか、これは簡単で結構ですからお聞かせをいただきたいと思います。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 両方とも大変難しい問題でございます。これまで随分長い間いろいろ検討した結果、まだ結論が出ていないわけでございます。低率分離課税は、そういう案を出したことがありますけれども、政府で御採用にならなかったということもございまするし、その前は、御承知のとおりグリーンカードというようなこともございましたが、これもだめだったというような経緯もございますので、よほど慎重にこれは考えなければならないと思います。  それから、住民税につきましての利子配当等の関係でございますが、どうも、利子配当所得というものの稼得がどういうところで行われるかということと、住民税という性格上、ある人が住んでいる場所とのつながりが問題になりますので、なかなかうまく結びつかないわけです。だから、住民税という税目の中に利子配当を当然入れろというのもごもっともの点もございますけれども、どうも住民税という性格からなじまない点がある。これは徴税上の問題ということもあるかもしれません。したがって、その辺のことは、理屈を言うとなかなか難しいといいますか、あるいは実際問題として小さな町村がたくさんございますから、預金はその町村にやらずに、隣の市なり県庁所在地なりというようなところに、あるいは東京みたいなところならば、たくさんの人が近県から東京の銀行へ預金するということもございますので、そういうものはどうも住民税となじまないのじゃないかという気が私はしているのです。それを無理に住民税の枠に入れるということはいかがなものだろうかと思いますけれども、しかし、市町村長さん方はどうしても住民税に取り入れろ、こうおっしゃるものですから、自治省でいろいろ工夫をしておるようでございます。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田(弘)委員 先ほど、六十二年度税制の抜本改革というのは、基本税制の枠組みの中だけでなくて、やはり新税導入ということも考えていかなければならない、こういうお話がありました。国民サイドに立ちますと、間接税、特に一般消費税、大型間接税あるいはまたEC型付加価値税、売上税、庫出税といろいろあるわけでありますが、相当抵抗が強いわけであります。それで私は、税調としての議論というのは大いにやっていただいてもいいと思います。ところが、これを導入するかどうかというのは政府の一つの政策決定でもある、こう思うわけでありますが、やはり税調としては、この新税をどうしても導入しなければならぬという場合には、大型間接税の導入というものは念頭に置いて六十二年度税制改革の答申あるいは議論というものをされるかどうか、この辺をひとつお聞かせをいただきたいと思います。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 大型間接税という言葉は政府では使っていないのです。だからちょっとそれを使うとしかられるのです。何というのですか、課税ベースの広い間接税というのですか、私は一般間接税と言った方が簡単でいいじゃないかと思うのですが、こういう一般間接税的なものは、今やっております所得税、住民税あるいは法人税等の軽減合理化の作業が一通り済んだ後そちらの方に取りかかる手はずになっております。無論いわゆる一般的な間接税のほかに個々の間接税の問題もございますが、そういうようなスケジュールになっております。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田(弘)委員 極めて明確な御答弁をいただきましてありがとうございました。  そこで、また今の大型間接税の導入問題に関連をいたしまして、最近の社会保障費というものが九兆何千億、六十一年度で九兆八千億。大蔵省としても予算編成、これは今後だんだん高齢化社会というものが参りますと、今までの手法によってこれを切っていくということは、一律削減というのは非常に無理だ。だからここで社会保障的な目的税というものを設置したらどうか、こういう考え方も大蔵省内部にあるようであります。現実に私が過日本会議で代表質問したときに、やはり福祉目的の目的税というのは検討に値する、導入するせぬは別にしてそれは検討に値するというような答弁も大蔵大臣はいたしております。税調としては、こういった福祉目的税、これは一般会計から切り離して特別会計を設置するというところまで話はいっているように私は仄聞をいたしておるわけでありますが、その辺の税調の審議というのはお考えになっているのかどうなのかお聞かせいただきたい。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 ただいま申しましたように、一般間接税的なものについてはまだ検討に入っておりません。個々の間接税についてもそうでございますが、今後の問題でございます。したがって、以前いろいろ討議されておったときに出た意見などを参考に申しますと、諸外国の例を見ると、初めは優しく低いところからいくけれどもどうも大変な高い税率になってしまっておるといったようなことになるおそれがある、したがって、何とか歯どめが必要ではないかという御意見が税調の中でもございました。また、目的税にしたらどうかという御意見もございました。そういうような趣旨で、ただいまお尋ねのようなこともそれに関連していると思いますが、仮に課税ベースの広い間接税というものを考えるといたしました場合は、単なる減税財源であるとか財政の再建に資するとかということのほかに、新しい考え方として何が目的税的な考え方、その他の考慮がどうも必要じゃないかということで、検討に値する事項かと思います。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田(弘)委員 極めて明確に御答弁をいただきました。  そこで、現実に今我々が審議しております六十一年度税制改正、とにかくたばこ消費税の問題一つとりましても、これは税調の審議が全然ないものを突如いわゆる財政の帳じり合わせのために浮上させて、二千四百億円の増税をやった。これは先ほど来お話が出ておりますようにグリーンカードのときもそうですし、事あるごとに政府・大蔵省はこの税調の審議というものを踏みにじってきたということを私は思うわけであります。  これは一つは、税調の民主主義のあり方というものが一体どうかということが問われる問題であると思いますし、もう一つは、税に対する国民の不信感をより一層助長する問題であると思います。それからもう一つ言わせていただければ、国民が一番注目をしている六十二年度税制改革の税調審議にも、私はこれは国民の目から見れば大きく影響してくるのではないか、こんなような考え方を持っておるわけでありますが、その辺、小倉参考人と、水野先生も税調委員でございますので、今回のこういったたび重なる政府・大蔵省のやり方についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 政府には政府なりのいろいろな事情があったということもございましょうから、そう余り無理な注文をしても仕方がないのではないかと思いますが、今後、できるだけ先般のようなことのないように政府もお考えになっていただけるでしょうし、また、税制調査会としてもできるだけそういうことのないようにひとつ努めてまいりたいと思います。

水野正一名古屋大学経済学部教授

○水野参考人 今の件については先ほど私の意見で申し上げましたし、今小倉会長の御意見と全く同じですので……。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田(弘)委員 そこで、最後に暉峻参考人にお聞きいたしますが、今回の住宅減税です。  今回の税制改正というのは、先ほど申しましたたばこ消費税一つをとりましても、本当に便宜主義的財政の帳じり合わせのための税制改正でしかなかった。根本的に租税体系の上からこういう税制改革が必要である、あるいは税制上これはまことに理にかなっているのだ、だからこういった改革をしましたといった税制改正では私はなかったと思うのです。きのう竹下大蔵大臣に質問しましたら、いや、六十二年に抜本的な税制改正をやってもらうのだからその辺に抵触しないようにやりましたという変な議論をしておるわけです。私は、税制改正と言うからには、やはりなるほどなという租税政策、税体系あるいは税制上、いろいろな観点から本当にそうだというような税制改革がなされてしかるべきだ。そういった税制改革ばかりを今まで帳じり合わせのためにやってきたから、今日のようなひずみとかゆがみというのが税制上出てきたと考えているわけであります。  そこで、住宅減税も内需拡大ということでありますが、私はその効果は余りないだろうと思います。恐らく民間住宅建設も目標どおり伸びていかないだろうと思います。もう一つは、やはり先ほどお話がありましたように持てる者と持てない者とのグレーゾーンというものが拡大をしてくるのではないか、こういった点の不公平もあると思います。この辺はつけ足しでなくて、やはりきちっと見直して、全国民的な共感を得るものにしていく必要があるだろうという感じを今一つ持っておるわけであります。  時間がございませんで恐縮でございますが、簡単で結構でございます、御意見をお聞かせいただいて質問を終わりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

暉峻淑子埼玉大学教育学部教授

○暉峻参考人 私の国民の側から見た感じについては先ほど申し上げたとおりですけれども、繰り返しますが、高度成長期、日本が本当に石炭を掘る資金もなく、設備投資をするお金もないという時期につくられた資本優遇策、この税制を今もってまだ踏襲しているという、そのことが非常な間違いで、例えば一例を挙げますと、主婦の集まりでいつも問題になるのは、競輪、競馬は税金を納めているらしいけれども競艇は何で税金をいつまでも納めないのか、こういうことだってみんな非常に不思議に思っているわけなんですね。あれはオリンピックのときの実に暫定的な措置として、競艇を盛んにするために一時的に特別措置か何かで税金を納めないことを認めたにすぎない。今度の特別措置ではどうも改められるらしいので私ども期待しているのです。  十大商社が納める税金がゼロまたはごくわずかということも、私たちは本当に理解できないんですね。現実にその人たちがどういう暮らしをしてどういうことをしているかというのは、外国なんかに行ってみてもすぐわかるし、国民は、子供のクラスメートの親であるとかいろんなことでもう知っているわけなんですから、こういうものをほっておいて、しかもさっきおっしゃっていらしたように、老人保健法みたいなああいう悪法が通って、私は老人病院に住み込みの手伝いに行ったことがあるのですけれども、本当に貧しい老人たちは、これが経済大国の老人かというそういう状態です。  それから、外国の友人、大学関係の友人が来たときも、私は密集した板橋周辺のウサギ小屋のスラム街をいつもお見せするんですけれども、ああ、これが経済大国の国民の住んでいる部屋かというので、うちの近くにもそういうのがたくさんあります。住宅減税というのはあくまでも建物について借りたお金ということですが、問題はやはり土地の高さなんですね。地価が余りにも高い、こういうことに対する無策を一体どうしてくださるのかということです。  それから、さっきから社会党も少し何か引っ張られている感じで、高齢化社会になると大変だ大変だという国策語に大分引きずられていられるのではないか。そうでなければいいのですが、心配なんですよね。  実際、就業人口対非就業人口の割合というのは昭和三十年代からほとんど変わってないんですね。だから、実物経済でいえば、経済の再生産過程に携わっている人口と扶養されている人口の比率は変わってない。それから、日本はスピードを上げて高齢化社会になっていると言うけれども、国際的に見て老人対策が出てきたのはすべて第二次世界大戦以降なんですから、なぜ各国ができたいろいろな対策を日本だけひとりおくれをとってできなかったかというのは、もうこれは結局政府の政策に大きな理由があると私は思います。  一言で言いますと、私は税制は挙げてむしろ非常に私物化されているということを感じます。イギリスを見ても、国会というものができた大もとは、やはり課税及び税の使い方について国会というのができたわけなんで、国会がその機能を失って、税が、例えば政治献金をする団体のために、私は今度の東京湾横断道路も大いにそうではないかと思っているのですが、そういう人のために使われる、あるいは利権の収集のために使われるということで、場当たり的に財政再建をやるというそういう口実のもとに一体だれが割を食ったかというと、国民生活なんですね。  文部省予算と厚生省予算を見てみたら、五十七年から始まって何千億という予算が切られていって、それで財政再建は結局できなかったのです。だから、財政再建をするという口実のもとに一体政府は何をしたかったのかというと、私たち国民の生活にとって非常に大事な、だからこそ納税しているというそういうものを、つまり社会保障予算、文教予算をもうずばずばと切っていって、しかも強い国家、つまり軍備とか、あるいはもう資金があり余っているのにまだまだ強い財界を保護する、そういうことに税制が使われている。これは別に思想とか信条で言っているんじゃなくて、もう現実に出てきている数字です。それから地方自治体がどんなに公共サービスを切っていかざるを得なくなっているかというこの現実から私は正直に申し上げたいところです。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田(弘)委員 どうもありがとうございました。

小泉純一郎自由民主党・新自由国民連合

○小泉委員長 玉置一弥君。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置(一)委員 参考人の皆さん方には大変お忙しい中、長時間ありがとうございます。非常に熱心な論議がございますけれども、おしりが本会議で閉められておりますので、調整をする意味で若干短くして御質問をしていきたいと思います。  今までの話の中で、参考人の皆さん方の基本的な税の理念というのは、やはり公正感、これを税の中にいかに保っていくか、こういうことが基本になっている、こういう感じを受けました。今回の租税特別措置法はそもそも弱者救済が本来の筋ではないかというふうに思うわけでございますけれども、先ほどからお話が出ておりますように、逆に補助金的性格、こういうものがあったり、あるいは逆に税制の公平さをゆがめてしまっている、こういう部分もあるように思うわけでございます。こういう流れをぜひ改定をしながら、そして税の公平感を求めた抜本的な改定作業というものにぜひ取りかかっていきたいと思うわけでございますが、昨今の政府税調の位置づけがどうなってきているのか、今回のたばこ消費税を見てもそうでございますし、自民税調との関係あるいはそれぞれの手続上の問題、こういうものもありまして、ちょっと心配もあるわけでございます。小倉参考人の方から、まず政府税調として従来からのいろんな税制改正の論議の中でどういう位置を占められていて、これがいまだに不変であるかどうか、その辺についてお聞きしたいと思います。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 政府税調の地位と申しましても、ちょっとお答えしにくいのですけれども、政府税調の意味とでも理解しますというと、政府税調の中にはどういうわけか相当久しく国会の方は参加されていないわけです。そして、比較的各方面の方が委員になっておられるということで、必ずしもある特定の政党の意見というようなことで固まらない。中には全然党との関係のない方もおられましょうし、また中には党との関係はあっても政府・与党だけではないというようなことで、いろんな意見が開陳される。それが集約されて、政府に意見として申し上げられるというようなことが一つの意味じゃないかというように考えております。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置(一)委員 我々は、政府税調の権威が落ちたということを小倉会長自身がおっしゃっている、こういう話も聞くわけであります。従来はかなりの位置づけがあって税制改正に取り組まれてきて、また、政府税調の中での意見が今までの税制改正の大半であったというふうに認識をしているわけでございます。しかし、今回のたばこ消費税なんかを見ても、政府税調が追認をしたというような形になっておる。こういうことから見ても、政府税調に論議をさせておれば形としては成り立っているんだ、こういうふうな程度にしか思われていないのかなという心配もちょっとございます。メンバーの方々を見てみますと、非常に優秀な、それぞれ各界の中でのリーダーといいますか、こういう方々がやっておられるわけですから、我々も政府税調の意見というものは非常に重要視をしているわけでございまして、そういう意味で、ぜひ今までどおり公平な論議を展開をしていっていただきたい、かように思います。  それから、先ほど小倉会長の話の中に、昨今の円高のいろいろな関連といいますか、逆に対外経済政策上内需拡大をやっていこう、こういう動きが今政府の方針の中にあるわけでございますけれども、内需拡大に税制から寄与することは公正さを失う、こういうお話がございました。この辺を具体的にというか、時間がございませんので、簡単に御説明をいただきたいと思います。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 一般論を申し上げるほかはないと思うのですけれども、とにかく建前としては、基本の税法がそれぞれ公正にできておる、その例外をつくるのだから不公正になる、こういうようなことに考えざるを得ないわけです。  具体的に申しますと、先般の内需振興ということで具体的に挙がってまいりましたのは東京湾横断道路、その資金の調達で特別の利子を優遇する債券を出す、こういったようなことはその一つの例であって、マル優その他が問題になっているときにさらに利子についての優遇措置を講ずるということは、甚だもって時流に便乗し過ぎる考え方じゃなかろうか、こういうようなことも一つの例かと思います。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置(一)委員 先ほど水野参考人の方から租税特別措置法の整理合理化を図るべきだというお話、これは当然のことでございますけれども、民活といえども優遇措置を拡大しない方がいい、こういうふうな意見として受け取ったわけでございます。現在、先ほどの東京湾横断道路等につきましてもそうでございますが、民間活力そのものを考えていきますと、企業として当然営利追求といいますか、利潤を追求していくわけでございます。今の一つの時流といいますか、最近の流れの中で民間活力というのが非常に強く叫ばれているわけでございますけれども、このメリット、今回は税制でやっていこう、こういう姿勢で法案ができてきているわけです。確かにおっしゃるように不公平感、一般的な事業と単なるというか公共事業のために投資をするというような形で、その企業としては営利事業には間違いないわけで、これについての御意見だと思いますけれども、もうちょっと、簡単に具体的に御説明をいただければと思いますが。

水野正一名古屋大学経済学部教授

○水野参考人 具体的には東京湾横断道路の問題ですけれども、そういうものに対する税の優遇措置というのは、理屈をつければ、民間の企業がやるにしてもやはり普通の全くの営利事業とは違って、ある程度の公共性というのを持っている。これは先ほど暉峻さんのお話にもありましたが、そこの認識が実は問題なんですけれども、一応公共事業に準ずるような性格のもの、すなわちかなり大きな外部経済効果というようなものを持っているとか、それからそのままではなかなか民間も手をつけがたい、すなわちかなりの収益上危険もあるとか、あるいは長期にならなければ採算がとれないとかいろいろ問題があって、そういう問題についてある程度の財政上の援助を与えて、民間が乗り出すインセンティブを与えるという意味で、そういう民活についてある程度の援助あるいは財政、税制上の措置を講ずるということは、私は必ずしも否定されるべきではないと思うのですね。  ただ、私が最初申しましたように、こういうものは財政状況にもよるわけであります。財政再建で厳しく歳出の抑制を続けているという事情がありますので、こういうものはよほど意義を認めてするものでなければ簡単に認めるべきではないということと、また、程度問題でありまして、こういうものが民活に名をかりて政府資金といいますかあるいは税制上の優遇措置を受けるという、余り拡大し過ぎても困るというバランスの問題も在ります。したがって、慎重にやるべきではないかという意見を申し上げたわけです。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置(一)委員 時間がございませんのであと一つに絞りたいと思います。  今までの税の論議の中で、クロヨン問題というのが必ず出てくるわけですが、国税当局に言わせますといわゆる把握率というものはない、こういうような言い方。把握率、要するにいろいろな実調をやりますけれども、その中で課税対象を一〇〇%把握しているということはない。ところが、サラリーマンの源泉徴収の方だと九十何%とかがいわゆるクロヨンという段階で把握をされている、こういうことがよく言われます。  特に、昨今の可処分所得の伸びの低下、こういうものから大変な重税感というものがあるわけでありまして、クロヨン問題で特に不公平感があるからこの重税感を感じているのではないか。一部はそういうところもありますし、もう一つは、累進課税率の問題がありまして、先ほどもお話がありましたように、ちょうど中堅層になりますと税負担が急激に上がってくる、今こういうふうな構造になっているわけで、何となく自分だけが税金を納めているんだという意識が非常にあるように思えるわけです。そういう意味で、クロヨン問題と重税感というものは非常に強いつながりがあるのではないかというふうに思うわけでございます。  今、六十二年度以降の税制改正の抜本的な改革というのが論議をされているところでございますけれども、もう時間がございませんので一人に限定をして、暉峻先生、今のことについてお答えをいただいて終わりたいと思います。

暉峻淑子埼玉大学教育学部教授

○暉峻参考人 私は、勤労者の所得が把握されている、これは事実そのとおりだと思うのです。  私は、西ドイツで生活をしていたときに、勤労者についても必要経費を認めるという暮らし方になっていたのにびっくりしたのです。例えば日本で言えば住宅公団の総裁に当たるような人が税金を一円も納めなかったというのが「シュピーゲル」に載っていまして、それを読みますと、結局、勤労者であっても、住宅費とか、自動車とか洋服を買ったとか、日本で言えば教育費にたくさん使った、そういうのを全部必要経費として認めているのですね。その住宅公団の総裁も、そうやってちゃんと出したものを見ると何ら脱税をやっていないのです。私もそれを見てびっくりして、大学教授やその他勤労者の間をずっと調べて歩いたのですが、確かにそうなんです。  日本の場合は控除額が一定になっていまして、それ以内の人はいいかもしれませんがそれ以上にたくさんの経費を使うということもあり得るわけです。例えば子供の教育費にしても何にしても。それが、サラリーマンが必要経費を落とすということになっていないことをひとつ検討してほしいのです。  では、西ドイツで必要経費を認めるという税制にしているとどういうことが起こるかということを政府の財政関係の人にも聞いてみたのですが、内需の拡大に非常に力があると言いました。つまり、必要なものを買うのに使えばそれが落とせるから心配しないで使えると言うのですね。ところが、日本は使ってもそれは認められない。決して消費の飽和状態でも何でもないのです。私たちも買いたいものはたくさんあるのです。あるけれども、税金は重いし、必要経費は認められていないから、結局買わないということになっちゃうんですね。だから、控除制度と必要経費を認めるという二本立てにして、面倒な人は控除制を選択してもいい、それから、それだけの買い物をして、必要経費としてきちっとそれだけの領収証を出せて、こっちがいいという人はそれをとっていいという二本立ての制度にしていただければ、サラリーマンにとっての不公平税制も幾らか緩和されるのではないかと私は思います。  それから、不公平税制の点でぜひ申し上げたいことは、額に汗して働いている勤労者相互間の不公平税制のことが割合に言われまして、さっきから言っております、資本を持っている人とそれから額に汗して働いている勤労者との間の不公平のことはどうも余り言われないのですね。クロヨンのことが非常に宣伝的に言われているというのは、これまでの税制の行き方からずっと考えて、これは間接税を入れたいがための国策的宣伝用語である点が非常に大きいので、余りそれにほいほいと乗っかっているともっとすごいことが襲いかかってくる、そういう感じがします。  それから、これは大蔵省の方はよく御存じだと思いますが、国民所得が例えば一割伸びると、所得税はその弾性値として大体一割またはそれ以上伸びる、しかし間接税の方はその半分しか伸びないということが何かの計算で出されていたのを見たことがあります。それはだれに聞いてもそのとおりだと言うので、弾性値の低い間接税で増税をしようと思うならば、それは税率をうんと上げるか、あるいは逃れようのない生活必需品にかけてばっちりと税を取るか、どっちみちそのどっちかに流れていくだろうと思うのですね。  ですから、クロヨンは確かにあるけれども、さっきの資本蓄積型税制についてもっと抜本的な改正案を示してほしいということと、それからサラリーマンに必要経費制を選択制で取り入れられるようにしてほしいということ、それから、間接税は今言ったようないろいろな欠点がありますので、私は反対でございます。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置(一)委員 終わります。ありがとうございました。

小泉純一郎自由民主党・新自由国民連合

○小泉委員長 正森成二君。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 共産党の正森でございます。  本来なら、大蔵委員会の紅一点である簑輪幸代議員が暉峻淑子参考人に対する礼儀からも質問すべきかもわからないのですが、私のようなむくつけき男性議員でお許しを願いたいと思います。  そこでまず暉峻参考人に伺いたいと思いますが、あなたのお書きになりました「ゆとりの経済」という著書を先日読ましていただきました。その中であなたはこう言っておられます。「もともと効率性とは、ある目的、たとえばモノを生産するときに選択されるひとつの基準にすぎないのだが、資本主義経済と結びついて、それが時代精神となると、生命や生活、自然や人間関係の領域までをも支配するようになる。 しかし、効率性は人間らしい福祉社会に貢献する限りでのみ、よしとされるにすぎないものではないだろうか。」私はこういう考え方に基本的には賛成であります。その二十一ページに「父をみとって」という項目があります。その中であなたは「「(親を)老人ホームに入れる親不幸な人や、それでは体裁が悪いから、病院に入れて迎えに行かない人が多いため、国の財政負担が増える」(一九八四年一月八日、日本記者クラブにおける渡辺元蔵相の講演から)。」と書かれて「老人やその家族、また老人ホームや病院で、老人の介護にあたっている人びとは、どんな気持ちでこの言葉を聞いただろうか。」こう書いておられます。  そこで伺いたいのですが、問題の渡辺という人物は現在通産大臣をしておりますが、この間有名な毛針発言というのをやりました。本会議できょう陳謝が行われるようですから、毛針発言については私は聞きません。しかし、案外世間には知られてないことですが、もう一つ重大な発言をしております。  同じ日に福岡で、この人物は、二十一世紀は灰色の世界、なぜならば……(発言する者あり)何だ、人が質問をしているのに、何を言うのですか。(発言する者あり)何を言うているのですか。そういうことを自民党が、まじめにこちらが質問しておるときに言うのはけしからぬじゃないか。

小泉純一郎自由民主党・新自由国民連合

○小泉委員長 御静粛に。不規則発言は慎んでください。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 大体、参考人がおられて、参考人に礼儀正しく聞いているときにそういうことを言うのはけしからぬじゃないか。人それぞれ派閥があり村があるということは知っているけれども、そういうのを委員会の席であらわにするというのはおかしいじゃないか。  「二十一世紀は灰色の世界、なぜならば、働かない老人がいっぱいいつまでも生きておって、稼ぐことのできない人が、税金を使う話をする資格がないの、最初から」、こう言ったわけであります。渡辺通産大臣は、それ以外にも、八三年の十一月二十四日には、「乳牛は乳が出なくなったら屠殺場へ送る。豚は八カ月たったら殺す。人間も、働けなくなったら死んでいただくと大蔵省は大変助かる。経済的に言えば一番効率がいい」、こう言っておられます。こういう効率論であります。だから最初に、あなたの効率についてのお考えを著書から引用したわけであります。これらの渡辺通産大臣の発言について、参考人はどう思われますか。(発言する者あり)委員長、何ということを言っておるのですか。

小泉純一郎自由民主党・新自由国民連合

○小泉委員長 御静粛にお願いします。(発言する者あり)

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 いいかげんにしろ。

小泉純一郎自由民主党・新自由国民連合

○小泉委員長 質問者並びに参考人の意見を静かにお聞き願いたいと思います。  暉峻参考人。

暉峻淑子埼玉大学教育学部教授

○暉峻参考人 私はこういう怒号を聞いて暮らしたことが余りないものですから、もう胸がどきどきしまして、ちゃんと答えられるかどうか――なるべくお答えしたいと思います。  本当におっしゃるとおりでして、人間の命とか生活というものを経済的な利益あるいは効率で割り切っていると、ナチスのような、あの歴史的な先例でおわかりになると思うのですけれども、弱者はもう切り捨てていい、あるいは効率の悪いものは精神病患者でも何でも殺してしまっていい、そういう社会は、いずれ滅びているのですね。だから、それは自分の首を締めるようなものだと私は思うのです。  一例だけを挙げさせていただきますと、これは医科歯科大学の医学部の教授が言われていることなんですが、医学の発展というのは、一万人とか何千人に一人というそういう難病患者を救うために一生懸命に治療とか薬とか、いろいろな面で膨大な投資をしている。ところが、その中で、今までわからなかったような新しい、人間全体の生理的な仕組みがわかってくる。それから、ある病気に効くと思った薬が全然違う病気にも効くということがわかってくる。情けは人のためならずで、そういう一人の人のためにやっていることがいずれ回り回ってすべての人への利益に返ってくる。だから人間社会というのは、ともに生きるというこの原理原則を捨てては学問の発展もないし医学の発達もないと言われていて、これは歴史的にも本当にそのとおりなんですね。目先、今一年とか一カ月で見ると、そういう人を切り捨てればいかにも経済的な効率は上がるようですが、それはそうではなくて、やはり人類の社会というのは、昔から共同体的なものを抱え込みながら来ているわけで、そういう効率主義で切ってしまうことは、結局日本の経済の発展にもマイナスになると私は思います。それから、理論経済学の面でもこのごろ非常に言われていることは、低成長の中で完全雇用を達成する、こういう理論をどうやって築き上げていくか、それが社会にとって一番いいのであって、今コンピューター、ロボットが導入されて生産力が非常に上がっているわけですが、上がっているものを今度は捨ててしまう、排除してしまうという方に持っていっては何にもならないので、時間がないので一口で言えば、結局、高い生産力によって上げられたものをどうやって配分していって、安心した、しかもみんなが福祉を実現できるような次の生産力に結びつけていくかという、これが学問及び政治のなすことであると思うのです。そういう意味での開発的研究というのは財政援助も行われていない、つまり先端技術とか資本への補助金というのがある割には、本当にそういう社会の行方についてどうしたらいいかという研究資金というのはゼロに等しいので、私は、そういう意味でも、日本は学問や文化のあり方を目先のもうけということだけに限らずに、もっと全体の、国民がともに生きるという社会を政府としてもつくっていくようにしていただきたいと強く思うものです。  それについては、例えばエコロジーという学問がこのごろ国際的に非常に隆盛であります。エコロジーというのは、今百五十万種の地球上にある種が相互に依存関係、それから代謝の交錯関係の上で始めてみんな生きていけるようになっているので、自然を滅ぼすとか人類の中の弱い種を滅ぼすとか、そういうものは自分たちがやがて滅びていくという結果を招くにすぎないということをいろいろなところで実証しています。ぜひそういうところも勉強していただきたいと思います。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 今予鈴が鳴りましたので、用意していた質問がございますが、一問だけ聞かせていただいて、終わらせていただきます。  税調会長に伺います。各党もお聞きになりましたが、私も、昨年のたばこ消費税の値上げは、政府税調だけでなく、ここにこの間まで党税調会長がおられましたが、党税調にも語らないで大蔵省が先に決めるということで、手続的にも内容的にも非常に遺憾であったと思っております。当時の新聞、十二月二十二日の朝日新聞でありますが、それを見ますと、追認のための総会をなさった後で小倉会長は質問を受けて「権威は以前から相当失墜している」、つまり政府税調の権威は以前から相当失墜しているとみずからお認めになったように報道されております。「以前から相当失墜している」というのは、恐らく政府税調よりも党税調の方が何事も先に先に決めていくとかいうようなことを指しておられると思いますが、それに加えて、今度は大蔵省まで、言ったら、差し出がましいことをやったというお気持ちであろうと思います。そういうことでは、幾ら中曽根内閣が政府税調に税制の根本的改革についてお任せして審議していただいていると言っても、また結局大蔵省や党税調の言いなりになるのではないかということで、文字どおり権威のないものになってしまうおそれがあるわけでありますが、こういう御発言をなさった真意及び今後の御決意について承って、質問を終わります。

小倉武一税制調査会会長

○小倉参考人 政府税調のあり方については、かねてこの委員会等におきましても叱咤激励を受けているところでありまして、なかなか御期待に沿えないのは甚だ遺憾と思っておるのですが、次はどうも、今度の税制調査会では、税制のみならず政府税調のあり方についても根本的改革を提案したらどうかと思っております。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 水野参考人には失礼ですが、今予鈴が鳴りましてもうすぐ本会議ですので、質問せずに終わらせていただきます。ありがとうございました。

小泉純一郎自由民主党・新自由国民連合

○小泉委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、御多用中のところ御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  次回は、明七日金曜日午前十一時五十分理事会、正午委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十五分散会

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