大蔵委員会 第6号
- 発言数
- 249 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1986/03/05
会議録
○小泉委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 趣旨の説明を求めます。竹下大蔵大臣。 ————————————— 租税特別措置法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○竹下国務大臣 ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 政府は、現在進められている税制全般にわたる抜本的見直しとの関連に留意しつつ、住宅取得者の負担の軽減、民間活力の活用等を通じ内需の拡大等に資するため所要の措置を講ずるとともに、最近における社会経済情勢と現下の厳しい財政事情に顧み、税負担の公平化、適正化を一層推進する観点から租税特別措置の整理合理化等を行うほか、たばこ消費税の税率を臨時措置として引き上げる等所要の措置を講ずることとし、本法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。 第一は、内需の拡大等に資するための措置であります。 まず、住宅取得者の負担の軽減を図るため、住宅取得控除制度を改め、二年間の措置として、新築または既存の居住用住宅の取得等のための公的資金を含む借入金等の残高を対象として、一定の要件のもとに、その一%相当額を三年間にわたって所得税額から控除する住宅取得促進税制を設けるほか、住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税額の計算の特例制度の拡充等の措置を講ずることといたしております。 また、民間活力を活用するため、東京湾横断道路の建設に関し、特定会社に対する出資について、一定の要件のもとに、出資額の一〇%相当額を所得控除する措置を講ずるとともに、民間事業者の能力の活用により整備される特定施設について特別償却を認める等の措置を講ずるほか、エネルギー基盤高度化設備投資促進税制を創設する等の措置を講ずることといたしております。 第二は、租税特別措置の整理合理化等であります。 まず、企業関係の租税特別措置等につきましては、昭和五十一年度以降連年厳しい見直しを行ってきているところでありますが、昭和六十一年度におきましては、特定の資産の買いかえの場合の課税の特例の縮減等の整理合理化を行うほか、登録免許税の税率軽減措置につきましても所要の整理合理化を行うことといたしております。また、国外関連者との取引を通ずる所得の海外移転に対処するため、国外関連者との取引に係る課税の特例を設けることといたしております。 第三は、法人税率の特例制度の適用期限の延長等であります。 すなわち、法人税率の特例制度について、その適用期限を一年延長するほか、欠損金の繰越控除制度について、直近一年間に生じた欠損金に限り適用を停止する措置を講ずることといたしております。 第四は、たばこ消費税の税率の引き上げ等であります。 すなわち、昭和六十一年度予算における補助金等の整理合理化に伴う地方財政対策の一環として、昭和六十一年五月一日から昭和六十二年三月三十一日までの間、たばこ消費税の従量割の税率を紙巻きたばこについて千本につき四百五十円引き上げる等の臨時措置を講ずることといたしております。 その他、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の制定に伴い、事業転換円滑化計画を実施する特定商工組合等が構成員に賦課する負担金について特別償却を認める等の措置を講ずるとともに、中小企業の貸倒引当金の特例制度等適用期限の到来する租税特別措置について、実情に応じその適用期限を延長するなど所要の措置を講ずることといたしております。 以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
○小泉委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○小泉委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本案審査のため、あす六日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小泉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○小泉委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村正男君。
○中村(正男)委員 日本社会党・護憲共同の中村正男でございます。 まず、本法案に入ります前に、社会党初め公明党、民社党、社民連四党から成ります今次の予算修正要求につきまして、昨日、与野党の書記長・幹事長会談をもちまして最終的な合意ができたわけでございますが、それらの項目について大蔵大臣の見解をお尋ねを申し上げたいと思います。 第一点は、所得税減税の問題でございますが、昨日の合意では、「今国会中に各党間で合意を得るよう協議し、昭和六十一年中に成案を得る。」こういう内容であります。 二つ目は、住宅、教育、パート等政策減税について、「速かに実施できるよう今国会中に実務者間で結論を得る。」この内容であります。 三点目は、内需拡大についての諸般の努力をしていくということでございます。 四点目は、福祉関係の問題について特段充実強化を図っていく、そのための努力を講じていくという内容であろうかと思います。 五点目は、森林・林業に対する国としての改善方策についての論議の結論でございます。 以上五点、とりわけ一点、二点目の所得税減税といわゆる政策減税については、私どもの受けとめ方では、与党の方からの最終的な答えとしてはこの国会中に一応の成案を得る。国民全体としては大きな期待を持っているわけでございまして、ぜひひとつ大蔵大臣の前向きな御見解をお願いを申し上げたいと思います。
○竹下国務大臣 申し合わせにつきましては、今おっしゃいましたように、所得減税、政策減税、内需拡大、社会福祉それから森林・林業、この六項目につきましては十分承知をいたしております。この申し合わせをまさに尊重する、これの一語に尽きると思います。 次は、その中の一項、二項についての見解の問題でございます。 この問題は、与野党幹事長・書記長会談におけける合意事項について基本的に尊重する。そして、与野党間の協議がこれから行われるものでございましょう。したがって、その協議について、例えば資料を出せとか先例出せとか、そういうことについては協力をすることはもとよりのことでありますが、我が方からこれに対しては、その御協議いただく推移を見守るというのがお答えする限界ではなかろうかというふうに考えます。
○中村(正男)委員 推移を見守るという答えなんですけれども、あれだけの日数をかけての協議内容でございますから、その結論は、国民全体の受けとめ方としては相当の期待を持って見守っておると思います。ぜひひとつ積極的な対応をお願い申し上げておきたいと思います。 それじゃ、提案なされましたこの法案についての質問を行いたいと思います。 まず、今回の改正内容でありますが、今大臣の方から趣旨説明がございまして、要約しますと、第一点は、現行の税制の骨格は変えない、六十二年度の抜本改正との関係で一部改正をしていく、こういう性格だと思うのです。 二つ目は、これは一番大きな中心だろうと思うのですけれども、内需拡大等のための緊急政策上の要請に対処するためということで幾つか出されております。特に住宅土地税制の一部を改正する問題、さらには民間活力導入制度の具体策等々があろうかと思います。 三つ目は、いわゆる税負担の公平確保の見地から、特別措置の整理合理化を進めていこうということで数点出ております。そして、この財源確保、増収措置としてのたばこ消費税の引き上げ、さらには赤字法人に対する課税措置、こういった内容だろうと思います。 そこで、最初に大臣、一時間しかお時間がとれないということでございますから、基本的なことからお尋ねしていきたいと思うのです。 第一点は、なぜ税制の抜本改正が今日までおくれているのかということでございます。既に五十九年度におきまして、自民党の税調、さらには政府税調も、速やかな抜本改正の必要に迫られている、こういう答申を出されておったわけであります。さらに昨年五月、国会におきまして与野党の書記長・幹事長会談でもっても、所得税減税の要求については六十年度中に結論を出す、こういう合意事項があったわけでありますが、それら二つの点からいたしましても、何らかの形で六十年度中に抜本改正、とりわけ所得税減税を中心とした改正案が出されなかったのか、なぜ一年間空費をしたのか、そこらあたりをお尋ねしたいと思います。
○竹下国務大臣 これは、いささか所を違えれば見解の相違も出てくるわけでありますが、まず私どもといたしまして、五月九日の与野党幹事長・書記長会談において、六十年度中に結論を出すという与党の回答があったということは十分承知しております。なかんずく今御指摘がありましたとおり、五十九年末の答申の中にも、もう見直しの時期が来たということが税調の方でも指摘されたことも事実であります。 そこで、やはりこれを、いずれにせよ税調に諮問しなければならぬということになりまして、結果として六十年度中に、去年の秋に税調に諮問をいたしたわけでありますが、それまで、御案内のとおり五月九日もまだ通常国会のさなかでございます。したがって、その民意を、まあ新聞もあります、いろんな研究所の意見もあったりしますけれども、正確に反映するというのはやはり国会じゃないか、したがって、まず国会で議論された税議論というのはどんなものでも全部正確にそれを税調に報告して、そこからスタートしてもらった方が一番適切ではなかろうか、こういうことを考えましたので、この勉強を国会が終わった後一月していただきまして、そして九月から抜本改正のための御審議をいただくということで、先生方を増員というか、いろいろ加えたりいたしましてそれが開始された。 ということになりますと、やはり抜本でございますから大ざっぱな話をしまして一年かかるであろう、したがって、六十二年度税制というものにそれらの意見は反映されてくるということになれば、やはりことし行うところの租税特別措置を含めた税制は根本に触れない範囲、こういうことで御審議をお願いするということに相なった次第であります。
○中村(正男)委員 私どもは、これは意図的におくらされたのではないか、こういう受けとめ方をするわけです。今度の国会冒頭から総理の発言等々聞いておりますと、この春には減税案を示して、この秋にはそれの財源策を含めて示していきたい、こういうことが言われております。これは明らかに、ことし六月に予定されております参議院選挙向けの一定の考え方が出されているのではないだろうかと思うわけですし、同時に、今税調に報告してと、こういうシビアな物事の進め方について御説明があったのですが、それであれば、今度出されておりますたばこ消費税の手続というのはどうなったのか。全くそれとは異にいたしまして突如、突然として、しかも増税というものが出されてきたわけですから、そこには何ら整合性がないわけではございます。 さらに言うならば、五十九年に七千六百五十億円の減税をしたんだからそう早くしなくてもいいんじゃないかというふうな考えが根底にあったのではないかと私は思うわけでして、これはもうこれ以上申し上げませんが、大変国民としては、六十年一年間の審議の停滞、この六十一年度予算編成にはそういったものが盛り込まれて出されてくるだろうという期待を裏切られた、そういうことを指摘しておきたいと思います。 それから二つ目は、これも基本的な問題でございますが、いわゆる「増税なき財政再建」、六十五年度までに新規の赤字国債の発行をゼロにする、中曽根内閣のにしきの御旗でございますが、これについて御質問をしていきたいと思います。 まず第一点は、今度の予算委員会の質疑あるいは本会議での討論を聞いておりましても、今もってこれが可能だというふうに信じているのは恐らく中曽根総理ぐらいではないか、当の竹下大蔵大臣もそのことを大変強調しておられますけれども、大方の見方ではこれは到底不可能だ、今こういう状況ではないかと思うのです。 それを二つの点からお尋ねしていきたいと思うのですが、まず第一は、この目標を達成していくためには税の増収を図っていかなければならぬ、これが第一の要件だと思います。しかし現実に六十年度の歳入不足が既にもう四千五十億円出ているということ、加えて、その後の円高の急速な進展から大方の法人の決算であります三月末決算が大変憂慮されておるわけでございまして、さらにこれが落ち込むのではないか、そのあたりも後ほどお聞きをしたいと思いますが、そして肝心の六十一年度の歳入も非常な歳入欠陥のおそれなしとしない、こう思います。 そのあたり少し申し上げるならば、まず第一には、六十一年度の四十兆五千六百億円、この税収の見込みでありますけれども、これが六十年度の修正見直しとの対比では六・三%の伸びになっております。大変これはもう強気に過ぎるんじゃないか。基礎になっております成長率、名目で五・一%、実質四・〇%、円レートが二百九円でそれぞれ見積もられてこういう数字になったと思うのですが、第一の成長率そのものも、当初から民間の多くの調査機関と政府の見通しとでは相当の開きがあったと思うのですね。加えて、その後の円高がかなり作用するわけですから、六十一年度の四十兆五千六百億円というのは非常に高目の、極端に言うならば粉飾的な見積もりになりつつあるんじゃないか。こういう税収の停滞、これが「増税なき財政再建」を達成することを不可能にする理由の第一点でございます。 さらに、こうした税収が伸びない、したがってまた新たな税の増収を図ることを模索をしていかなきゃならぬ、それがさらに税収をまた圧迫をする、悪循環が既に起こっておるのじゃないだろうか。そして最終的に、いや、それらを是正するために、あるいは課税基盤を変えることによってそれを打開するんだ、こういう総理の答弁になっているわけですね。しかし、それも結論からいうと、来年所得税の減税をやる、それの財源は当然必要になってくる。しかし増減合わせてチャラにする、ゼロを基本にするというお考えになっているということは、抜本改正でも税の増収は図れない、答弁をそのままお聞きしますとそういうことになるわけです。 まずこの第一点、税の増収策についてと、とりわけ六十一年度の税収見込みに対するお答えをいただきたいと思います。
○竹下国務大臣 最初に私から簡単に申し上げますと、結局六十五年赤字公債脱却、大変に困難なことでありますが、この旗をおろさないということを申し上げておるわけであります。いろいろ要調整額等をお示ししておりますが、それは増収措置によって埋めるのか、あるいはさらに歳出削減を行うのか、最終的には国民の選択になるわけでありますが、その問題につきましては、私どもとしてはやはり歳入歳出両面にわたっての見直しというのは厳しく対応していかなきゃならぬ課題だという基本認識の上に立って、六十五年に赤字公債からの脱却、いろいろ新しい要素でできたものが株式の売買とか、そういうものが多少あるにいたしましても、そういう問題を下敷きにしながら国会での問答を通じて国民の合意が那辺にあるかということを見定めて、毎年毎年まだ努力を続けていかなきゃならぬという基本認識に立っております。 その他の具体的な御質問につきましては、今主税局長が十分用意をいたしておりますので、お答えをいたすことにいたします。
○水野政府委員 最初に税収でございますが、お話のように六十年度につきましては四千五十億円の減収を見込んでおるわけでございます。この大半は、御指摘のように法人の企業収益動向を十分調査いたしまして、四千五十億円の中では三千億円以上は法人税の減収として計上さしていただいているわけでございまして、そこらの点につきましては私どもとして最善を尽くした見積もりを行っておると考えておるわけでございます。この六十年度の減収を立てました補正後予算に対しまして、御指摘のように六十一年度予算は六・三%となっておるわけでございます。当初の見積もりでの六%台の見込みと申しますのはこの十年くらいの間でも余りないわけでございまして、過大な見積もりではなかろうと思っておるわけでございます。 それから、御承知のように六・三%の伸びの中には本年度三千億円程度でございますが、増収措置も講じさしていただいているわけでございまして、この部分を織り込んでの数字でございまして、そうしたものを除きました補正後予算に対しますところのネットの伸びは五・五%でございます。この五・五%台の伸びと申しますのは、経済見通しての成長率との対比で見ますと結果として算定されます弾性値は一・〇八で、一・一を若干下回る数字になっておるわけでございます。これはもちろん結果として出てくる数字でございますので、弾性値からどうこうということは正面からは言えないわけでございますが、そうした点からも、私どもといたしましては過大な見積もりにはなってはいないのではないかと考えておるわけでございます。 それから今後におきますところの税制改革の方向でございますが、この点につきましては昨年の九月二十日に諮問をいただきまして、税制調査会が鋭意検討を進めているところでございます。その際におきまして内閣総理大臣からのごあいさつがございました。このあいさつの中でも述べられておりますように、今回の税制改革は、税収を減らしたりふやしたりというものではなくて、あくまで税制それ自体としてゆがみ、ひずみを直し、合理的な税制にするということでございます。直接、税収増を目的とするものではなく、また現在の財政状況等からいたしますと税収減をもたらすものでもない、あくまでその眼目は税制のゆがみ、ひずみを除去し、安定的な歳入構造を確保することでございますということで、今回の税制改革は、六十五年度脱却に向かっての財政再建の中で、直接的には税の面から増収を図ってそれに寄与していくということは正面からの目標とはいたしてないわけでございます。したがいまして、今回の税制改革によりまして増収を目指すというものとは今回の作業は直接は関連を考えたものではないというふうに総理からもごあいさつの中で御指摘、御説明をいただいておるわけでございます。
○中村(正男)委員 今ちらっと、正面の目標ではないと。が、実は何とか抜本改正で増収を図っていかなければもう限界に来ているというのが財政当局の率直な受けとめ方じゃないかと思うのです。だから、そこらあたりは、大臣がお答えになった「増税なき財政再建」、税収が伸びない中で一体実現できていくのかという我々の素朴な質問には答えとしてはならないのじゃないかなと思います。 そこで、大臣、お尋ねをしたいのですが、五十七年度の予算編成のときにも大変大きな歳入欠陥が生じました。そのときの大蔵大臣がくしくも渡辺現通産大臣でございます。当時の大蔵大臣としては、できるだけ低目の成長率を目指したい。しかし経済企画庁の河本長官は拡大経済論者で、高目の成長率を見込んでいる。かなり激しい議論があったようでございますが、結果として極めて高目の、名目成長率で八・四%、実質で五・二%、こういう成長率をベースにして税収の伸びを前年比一三・四%、大変強気の見込みをされたのですね。しかし、不幸にしてそのとおりにならず、五十七年の十月段階では六兆円を超える歳入欠陥が確実になった。そのことが鈴木総理の退陣の一つの引き金になったということは、もう皆さん方先刻御承知だと思うのです。 私は、そういう意味合いで六十一年度の税収の見込み、大変高目に設定をされていることに非常に危惧を感じるわけです。成長率が〇・四%落ちることによって税収四千億円の減収につながるというふうなことも言われております。余りこのことは論議されてなかったわけですけれども、不幸にして五十七年と同じような状況にならないとも限らない。とりわけ円高の今後の推移によってはそのとき以上の事態になるのじゃないか。大臣としてはどのように決意をされておられるのか、お尋ねしておきたいと思います。
○竹下国務大臣 確かに五十六年が三兆、五十七年が六兆という歳入欠陥を生じた厳しい経験を私どもも持っております。私はちょうど五十五年度予算執行までが大蔵大臣でありまして、決して自慢になる話ではございませんけれども、たまたまその二年抜けておった。あのときはいわゆる名目成長率の議論を随分なさったようでございますが、結果から私がこの五十六、五十七の二年間を総括してみますと、第二次石油ショックの影響というものが、その中では一番先に日本が脱却したとはいえ、世界同時不況というものが結果として歳入欠陥につながったのではないか、いろいろ言い方を考えてみましたが、それに尽きるのではないかということを今日でも思っております。 したがって、五十八年度以後また私が引き続き大蔵大臣を務めておりますが、これは大蔵省の省議で決まったものでもなければ各党間の申し合わせで決まったものでもございませんけれども、可能な限りヒアリングをやりまして下から積み上げた税収見積もりというもので、一%は誤差のうち——この一%は誤差のうちというのはオーソライズされた言葉ではございませんで、私がよく使う言葉でございますが、それで五十八、五十九と来たわけでございます。六十年で若干一%を超した、今度補正でお願いしたわけでございますからそういうことになっておりますが、あくまでも一応の経済指標というものに各企業のヒアリング等を通じた具体的な積み上げの中で正確を期していくべきものである。一%というのは、余り言いますと一・一になったらどうするかという議論にもなりかねませんけれども、そういうことを念頭に置きながら見積もりも本当に厳しくやったという感じを持っておりますので、今主税局長からお話ししましたように、六・三%の伸びは改正増収分が含まれておって、実際これを除けば五・五であって、税収弾性値も一・〇八というような見積もりをしておりますから、現段階で精いっぱい適正な見積もりがなされて御審議をいただいておるものであると思っております。 ただ、余りシビアなお話を申し上げますと、これはついでの機会ではございませんが先ほど御指摘のありましたたばこ消費税、そういうシビアなことを言いながら粗っぽかったのではないか、それだけは私も事実だと思ってたびたびおわびをしているところでございます。これはつけ加えさせていただきます。
○中村(正男)委員 税収論議はこのぐらいにしておきます。 次に、もう一つの手段として歳出削減を徹底して進めていくということですが、現実問題として六十五年度まで一般歳出の伸び率ゼロを続けるということは、私は非現実的な想定だと思うのです。仮にそれを貫いていくとしますと、いわゆる一般歳出の国民所得比率、これが六十五年度で九・六%で、ピークの五十四年度の一六・一%からいたしますと三分の二まで落ち込んでしまうわけですね。そうすると、予算構造上いわゆる政策的な歳出が極めて小さくなってしまう。中央政府の機能としていろいろな政策を積極的に進めていかなければならぬわけですが、予算構造上はできなくなる。勢い、そのほかの何らかの手だてを講じてカバーしていかなくてはどうにもならないわけですね。だから、歳出削減ももうこれ以上ゼロを続けることはできない。増収を図ることも先行き大変難しい。これでまだにしきの御旗をおろさずに頑張っていかれるのか。今の日本経済がこれだけの経済力を持つ中で、なぜかたくなにこの方針を堅持しようとされておるのか。そこらあたりがいま一つわからぬわけです。それよりも、あっさりと反省をされて、この際方針を転換する、そのことが今全国民的に望まれているのではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
○竹下国務大臣 確かに今おっしゃいますとおり、実際問題、五十八年から四年間、前年度と同額以下というものに抑制をしてまいりました。五十五年度予算を編成しましたときには一〇%まではいい。五十六年が七・五、五十七年がゼロ、それからマイナスということでやってきました。昭和三十六年ごろを見ますと、五〇%まではいい。あのころは幼少のころであったにしても、いい世の中だったなという感じを私も持たぬわけではございません。しかも三十六年なんというのは公債発行が一銭もない時代でございますからははあと思って、しかし、いわゆるサービスの点の相違は相当に出ております。そういうことを振り返ってみると、本当にやれるだろうかということを毎年毎年感じながら、もう限界じゃないか、そこでいろいろ工夫をして、各省に厳しい概算要求基準を差し上げて、その中で専門家の皆さん方で優先順位をつけてくださいということでやってきたわけです。 それからもう一つは、地方と国との費用負担のあり方等について、毎年毎年厳しい叱正を受けながら今日まで貫いて、それでよく言われるように、つじつま合わせだ——もっともつじつまが合いませんと予算になりませんから、そういう苦しいことを実際やってきております。 それだから容易ではないなと思いますものの、この制度、施策の根本にまでさかのぼった議論を各省と大蔵省とがそれぞれし合っていく、それをもとに国会でもいろいろな議論をしていただくというのが、財政改革を進めていく道筋の中では、かたくななまでにと私自身も時に思いますが、貫くべき道ではなかろうか。あっさりとやめたと仮にやりますと、それは各党はもとより、個人個人、大変な歳出圧力上いうものが一遍に加わって、今まで一体何しておったかいなという、まさに水泡に帰するようなことになってはいかぬというので、率直に申しまして、希望者がないのに私が引き続きやっておるということになっておるのではなかろうかと自問自答もいたしております。
○中村(正男)委員 そこまでの答弁は大体今までと変わらぬわけですね。結局もうだれも信用してないそういったにしきの御旗を新しいものにかえていく、そのことが今国民のすべてが望んでいる財政のあり方、国民生活からの予算に対する期待だと思うのですね。そんなことをやれば一遍に歳出増加圧力が噴出する、しかし、それを選択し、抑えていくのが政治の指導性だと私は思うのです。それを怖がっておったのでは、それこそ何にもできないということになるわけです。これ以上申し上げませんが、要は、増収も図れない、粉飾見積もりの、いわゆる実勢から離れた成長率を基盤にした税収の見込み、さらに歳出削減もそのまま続けていく、これではこれからの国民生活にとっては余り夢と希望を与えることにはならないな、そんな感じを申し上げておきたいと思います。 次に、内需拡大の諸施策でございますが、第一に、今回いろいろ税制上の措置がとられておりますが、要は、やはり内需拡大ということでは個人消費の占める役割というのが大変大きい。これはもう我々もそのとおり認識をしておるわけですが、そのためには最終消費支出、これをやっぱりふやしていかなければならぬ、そういう面の施策というものが今回には全くないわけですね。そこで我々野党の方から強く減税を要求しておるわけですが、国民の租税負担というのが増大に次ぐ増大という実態をいま一度申し上げておきたいと思うのです。 五十九年度、これは七千六百五十億円の減税がございました。しかし、前年比でさらに三千六百九十億円という所得税が実質増税になっております。六十年度は一兆四千百億円、このまま仮に昨日の約束がほごにされて減税が行われないとするならば、源泉分と申告分合わせた所得税の、これは自然増収ということになりますか、我々は増税だという受けとめ方なんですが、一兆三千五百十億円、これに個人の住民税を加えますとこれは五千百三十億円になるわけですから、一兆八千六百四十億円、まさに六十一年度で二兆円も大幅な増税がされるわけです。これを世帯数で見てみますと、約三千五百万世帯ということでございますから、これで割ると一世帯当たり年間五万三千円、月平均にいたしまして四千四百円の大増税になるわけです。こんなことがやられたんでは、最終消費支出いわゆる実質可処分所得というのは全然ふえないということになるわけですね。この実態についての御認識をお聞かせ願いたいと思います。
○竹下国務大臣 確かに、いわゆる抜本策でも、あるいは国会において議論されておる問題でも、サラリーマンの方のお持ちになっておるいわゆる重税感というようなものが中心でいろいろな議論が進められております。本当にさま変わりだと思いますのは、十年前の国会というのは物価論議が主体で、まさに今や税制国会、こういう感じすら持っておるところであります。 ただ、今の御指摘になりましたこの一兆八千六百四十億円、これにつきましては、いわゆる自然増収分の増収もカウントしていくとそういうことになろうかと私は思います。したがって、今後行われます抜本審議の中でそうしたところの重税感というものが十分検討をされ、念頭に置かれて結論を出す方向で議論が進められていくであろうというふうに期待をいたしておるところでございます。 私どもがその議論をいたしますと、いつでも結局また租税負担率の議論に返ってまいります。そうすると、例えばヨーロッパの諸君で見れば、おまえのところは租税負担率が低いじゃないか、こういう議論もあったり、しかし、日本は日本なりの税制を構築していくわけでございますから、まさに国会の問答等を正確に報告し、税調で反映していただいて、一方きのうの各党間協議の問題もとよりでございますが、結論を出さなきゃならぬというふうに思っておるところでございます。
○中村(正男)委員 自然増収という受けとめ方されているんですが、もう何回も言いますけれども、一人一人にとればこれは増税だということをやはりきっちりと御認識をいただきたい。大蔵省の蔵に入ってくるのは確かに増収かもわかりませんけれども、一人一人の世帯で見るならば大変な増税なんですから、これはぜひひとつ認識を変えていただきたいと思うのです。 そこでもう一つ。最終消費支出の関係では、この春の賃金交渉ですね、もうかなり具体的な山場が近づいておるわけです。政府も言葉では今までおっしゃってないけれども、何とか高目賃上げ交渉で落ちついてほしいな、これが私は率直なお気持ちだと思うのです。これは時間がございませんから、そのことをことしの場合はむしろ表に向かってぜひひとつ発言をしていただきたい、さらに高目の誘導策というものを何らかの形で、あらゆる機会を通じてやっていただきたいということを申し上げたいのですが、そのことについて大蔵大臣としてはどんなお考えをお持ちなんですか。
○竹下国務大臣 いわゆる賃金交渉については、まず政府としての鉄則が一つございますのは、自由主義経済下であるから労使間の自主的な話し合いで決定されるべきものである、これがやはり基本であるという考え方は、内閣が改造されてできるたびに、ファンダメンタルズに一つ考えてなきゃならぬこととしてみんなが認識するわけでございますが、ことしの場合、経済審議会で、これは政府の審議会でございますが、経済発展の成果を賃金等に適切に反映させることは、勤労者福祉、生活向上のみならず、今日の課題である内需中心の均衡のとれた経済成長の達成という面から望ましいと考えられるというような、そういうにおいのことが出されております。そのことは十分承知しておりますが、具体的な賃金交渉というものは、先ほど申し上げましたように、やはり労使間の自主的な話し合いで決定さるべきものであって、それに政府が口出しするということは、閣僚の一員としてこれだけは鉄則として慎まなければならない問題ではなかろうかというふうに考えております。
○中村(正男)委員 次に、内需拡大に向けての今回のいろんな施策に入っていくわけですが、一つは五月三、四日ですか、東京サミット、既に迫っております。しかも、今もって貿易不均衡を解消していく具体的な結果というものがまだ出てない中で開かれるわけですから、諸外国から日本に対する風当たりというのは相当強いわけでございます。そういう中で今回の諸施策、私は果たしてこれで十分な内需拡大に向けての対応がとれるのかなと危惧をするわけです。 その前に、ここ半年余りで二五%以上の円高が進行したわけですが、円高が進行することによって日本経済は対外的なバランスがとれてよくなるんだ、そういう漠然とした期待を国民は持っておると思うのです。しかし、現実に今国民生活の中では何ら円高メリットというのがない。むしろその影響をもろに受けて、とりわけ中小零細の、輸出一本で飯を食ってきたそういう専業業種は非常に手痛い打撃を受けています。 私の出身は大阪でございまして、とりわけ大阪は昔から地場産業として、例えば雑貨だとかあるいはくぎだとか電線だとか、そういう小さな業種が多いわけですが、先日も私ども党でそういった調査に行きました。軒並みに、今回はつくられた円高だ、政府は何とか円高に持っていかなきゃいかぬということでやったんであって、そのしわ寄せが全部我々に来ておる、政府は一体我々に何をしてくれるんだという非常に強い不満がありました。 そこで、一つだけまずお聞きしておきますが、これも具体的におっしゃらないと思います。しかし、今の円高というものが大体どの辺で落ちつくのか。それは水準その他は言えないと思いますけれども、何らかの一定の目安というものが今それぞれの産業界には必要じゃないか。予算が組めないというような実態なんですね。それだけひとつお伺いして、大臣に離席いただきたいと思います。
○竹下国務大臣 これは気をつけた御発言をちょうだいしましたが、今のところ、率直なところ自律的な市場の動きで円高傾向が定着しつつある。強烈な介入とかいうもの、今の時点そういうものに支えられておるというよりも、自律的な市場が相場を決めておるという状態でございます。 ただ、おっしゃいますように、円高デメリットと申しますか、これは非常に早く出て、円高メリットというのは大変な時間がかかる、こういう感じがいたします。強いて言えば、外国旅行者の人が、行ってみたら円が強くなっておって、一つ買うてくるやつを二つ買うてくるようになったという、そんな問題はございますけれども。したがって、デメリットがやはり一番出やすいところというと、今御指摘なさいましたとおりいわゆる産地でございますね、繊維の産地とか。その対策というので先般法律を通してもらって、早速政令等が決定されて、今通商産業省の方で具体的な調査にお入りになっておるというのが実情であろうというふうに思うわけであります。 もとより、あらゆる資源を輸入します日本でございますから、必ず円高メリットの方も出てこなきゃならぬわけでありますが、それが私の気持ちでもタイムラグが私が考えておった以上にあるものだなというような感じは持っておりますが、絶えず目配りをしておりまして、これについては特に中進国ととんとん競争をしておったようなところが一番苦しいという状態をも見きわめながら、これからそれこそいわゆる財政、金融、機動的な対応をしていかなきゃならぬという基本線に立って、当面は通産省の先般法律成立いたしました措置等について我々もできる範囲内の協力をしなきゃならぬというふうに考えておるところでございます。 済みません、それじゃ、また行って帰りますから。
○中村(正男)委員 通産省にお越しをいただいておると思いますので、円高の問題について二、三この機会にお尋ねをしておきたいと思います。 一つは、今大蔵大臣も言われたのですが、メリットの方がなかなか効果が出てくるのが遅い、そういうお話だったのですが、消費者の立場からするならば電力料金ですね、これが一番、いつからどのような形でその差益が還元されるのか。もう結論だけで結構ですから。まだ相当時間かかるとかいうふうなお答えになろうかと思いますが、できたら具体的にお答えいただきたいと思います。
○川田説明員 お答えさせていただきます。 円高への対応、あるいは最近の原油価格の低下という問題もこれに加わっておりまして、これにどう対応すべきかという点でございますが、いま一つ実情がきっちりつかみ得ない。特に油の価格が今後どうなるかというような問題がございます。しかし一方で、先生も今お話しのように産業界でいろいろな声も高まってきております。一般消費者の声も高まってまいっております。かなり大きな差益の発生が予想される以上、私どもとして具体的な検討を進めるべきであるというふうに考えておりまして、それに着手をいたしておるところでございます。 時期的なめどでございますが、実情がどうなるかということで明確には今のところ申し上げられないところではございますけれども、五月になりますと電力会社の六十年度決算あるいは六十一年度の収支見通しというようなものも明らかになってまいりますので、そこらあたりが一つの節目ではないかということで検討を進めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
○中村(正男)委員 それでは次には、いろいろな産業界への影響が出ておると思うのですが、よりきめ細かな対策をお願いするという意味で、時間がございませんが一、二指摘をしておきたいと思います。 特に一番国際競争力の強い、最強の電機産業の実態を少し申し上げたいのですが、それぞれの企業では一月段階二百円で一応予算化をしておったようでございます。それが現実にもう百八十円を割るというふうなところまで進んでおりまして、主力商品でも到底採算がとれないという実情であります。それをどのようにカバーをしておるのか、そこが問題なんですが、結局、日本の国内で部品を調達すればもう価格的に採算がとれない。勢い台湾とか韓国、これは円ドルだけではなしにそれぞれ皆リンクするわけですから、当然それぞれの国からは日本に安い部品が供給できるわけですね。勢いそちらにもう全部移転が始まっているわけです。ということは、国内のとりわけ部品メーカー、民生用の電子部品メーカーというのは今大変な不況の実態に追い込まれております。 具体的に言うならば、十四インチのブラウン管、これは韓国から一台九千円で手に入るわけですね。国内で調達しようと思えば、それは倍かかるわけですね。したがって、大手の企業そのものはまだ絶対的に仕事量は減っていないわけですけれども、当然部品メーカーは相当な打撃を受けているという、こういう実情だけ指摘をしておきたい。 それからもう一つは、地場産業の問題ですね。大阪のロープメーカー、鋼索メーカー、鋼のロープですけれども、これが今深刻な打撃を受けています。これにはいろいろな理由があるのですが、基本的な問題として、日本の鉄鋼素材が例えば中国に輸出されています。その輸出価格と国内の市場価格に大きな差があるわけです。輸出価格が安いわけですね。したがって、中国はその安い日本の鉄鋼素材を使ってロープを加工して、そして国際的に日本の鋼索ロープメーカーと競争してくるわけですから、円高とそういう価格面とのダブルパンチで全く商売にならないというような事態が起こっています。 その二つの指摘にとどめますけれども、ぜひひとつきめ細かな対策を要望しておきます。 それから、幾らそうはいっても、百八十円になっても、じゃこの黒字減らしが急速に進むのかというと、私は進まないだろう。伸び率は、従来のような伸びはないにしても、減るということは考えられない。結局そのしわ寄せは全部そういうところに行くという、そういう構造になっているわけですね。この辺をぜひひとつお考えになって適切な措置をお願いしておきたいと思いますが、通産省、お考えがあればお聞きしておきます。
○広野説明員 まず、家電関係の問題を最初にお答えさせていただきたいと思います。 最近の急激な円高に伴いまして、家電メーカーにどういう影響があるかということで大生家電メーカーに現在ヒアリングをしております。その調査によりますと、まず一つは、輸出価格を上げる、また自分のところの中でコストダウンをする、また部品メーカーにコストダウンをお願いをするというような形で対処をしておるわけでございますけれども、そういう段階で海外から安い部品を購入しようという動きもございます。そういうことになりますと、特に中小企業の部品メーカーへの影響があろうかと存じます。そういう問題につきまして、先ごろ提出させていただきました特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法等を適切に運用して対処してまいりたいと思いますほか、親企業によります不当な値引きですとかあるいは買いたたきというようなものがございますれば、下請代金支払遅延等防止法に基づきまして対処してまいりたいというふうに考えております。また、都道府県では下請企業の取引あっせんということをやっておりまして、下請企業振興協会というところもございますので、それも積極的に活用してまいりたいと存じておるわけでございます。
○中村(正男)委員 ぜひひとつ適切な対応策をお願い申し上げておきたいと思います。 次に、住宅土地税制について幾つか御指摘をしておきたいと思います。 一つは、我が国の住宅政策、とりわけ税制を含めた対応というのが国際的に見ましても非常に不十分だという指摘をしたいと思うのです。特に予算面における歳出総額に占めます住宅対策費の国際的な比較を見てみますと、日本の場合、六十年度予算で一・四%、アメリカが二・五、イギリスが二・五、イギリスの場合は五十九年度でありますが、フランスが四・七、西ドイツが一・〇、こういう数字なんですね。さらに歳出総額に占める住宅関係のいわゆる減免税額の割合を見てみましても、日本の場合〇・二、アメリカ四・一、イギリス三・七、フランス一・八、西ドイツ三・七。おおむね数字は間違っていないと思いますが、もし間違いがあれば指摘をいただくとして、そこでこういう状況をまずやはり基本的な考え方として変えていかないことには、それでなくても日本の住宅というのはウサギ小屋だとかなんとか言われている実情にあるわけですね。そういう基本的な政府のお考えをお聞きしたい。これは特に税制の面からということでありますから、大蔵省にお尋ねをしておきたいと思います。 そこで、今回の措置が内需拡大のための政策ということで打ち出されたのですが、果たして三百七十億円ぐらいでどれだけの期待される効果を生むのかというのが率直な指摘であります。政策減税の要求の中でも住宅減税をもっと拡大せよ、我我は二千億円ぐらいの規模の住宅減税を要求しておりますが、それについての大蔵省のお考えを確認しておきたいと思います。まずそこまでひとつお願いします。
○水野政府委員 最初に、歳出なり税制上の住宅対策関係の措置額の規模の数字でございます。御指摘のような数字もあるわけでございますが、この国際比較というのはなかなか難しい面がございまして、各国の制度それぞれがいろいろ違いがある。例えば個人の持ち家につきまして、帰属家賃に対して課税をするのか課税しないのか。課税しないとした場合に、それが優遇措置になるのか、本来の制度なのか。そこらの点もこういった国際比較の中には入ってくるわけでございまして、例えば今の数字でございますと、フランスでは帰属家賃に課税しないことを減免税としてカウントしたりする。そういたしますと、日本も当然、そういう制度はとっておりませんので入れて計算をしなければいけないとか、国際比較の数字につきましてはいろいろ問題点があるのではないか。したがいまして、〇・二との比較ということになりますと、私どもとしてもいろいろ考え方があるわけでございますが、そうした数字の点はさておきましても、住宅対策というものが現時点で非常に重要なことは私ども認識をしておるわけでございます。 したがいまして、今回の税制改正におきましても、従来の住宅取得税制を住宅取得促進税制というふうに改めまして、現在の財政事情のもとではぎりぎりの精いっぱいの措置を講じさせていただく、あるいは従来からございます住宅資金贈与につきましての制度も拡充をさせていただく、こういうふうな考え方を織り込みまして租税特別措置法を御提案させていただいておるわけでございます。こうした措置と、その他いろいろな措置と一緒になって民間活力を活用させていただきながら内需拡大に相当の寄与ができるものと考えておるわけでございます。
○中村(正男)委員 次官、先ほど私質問したのですが、野党の方の要求、これはきのうの書記長・幹事長会談では、ひとつ年内に成案を得る、わかっている、やります、こういう我々受けとめ方なんですね。それとは今回政府が出してきた範囲では全然違うわけですね、規模が。それを次官としてどういうふうに、現在提案されているものをさらに上積みをしていくのか、あるいはまた別な方策できのうの合意を生かそうとするのか、そこらの基本的な考え方があればお聞きをしておきたいと思うのです。
○熊川政府委員 既に主税局長からお話がありました点、さらにつけ加えてみますと、今回創設をお願いいたしておりますこの住宅取得促進税制による税額控除というようなものは、この限度額が二十万円である点、これは年収四百七十五万円の夫婦子供二人というような給与所得者の年間所得税額に匹敵する極めて大きいものでございます。控除期間の三年を通ずると、住宅取得促進税制の改正による減収額は約一千億というものになりますので、現在の財政事情ではかなり考えた案であることも先生御理解を仰ぎたいと思います。 なお、先生から御指摘のありました昨日の合意に関するものでありますが、議院内閣制をとり政党政治に立脚している今日としては、口頭のお約束というのは最大限に尊重さるべきものと理解しております。昨日の合意の中にはそれぞれ今後協議を重ねるという点が多々ございますので、それらの協議を忠実に見守っていきたいと思います。御理解をいただきたいと思います。
○中村(正男)委員 きのうの合意は、今回法改正を出しておられる規模では不十分だということを与党もお認めになったということでございますので、これではだめなんだ、そういうきのうの結論だという受けとめ方をなさっていただいて、ぜひひとつ再検討を強くお願い申し上げておきたいと思います。 そこで、私どもはこれは税制の面からもいろいろ配慮をしていかなければならぬと思いますし、また勤労者の共通した住宅取得に対する期待というのは非常に強いわけです。この際、今後のことも含めて一、二、住宅取得促進に向けてのお考えをただしていきたいというふうに思います。 第一は、今なぜこの住宅取得が勤労者の場合なかなか思うようにならないのかといいますと、実質的な可処分所得が伸びてない、これが第一だと思うのですね。二つ目は、土地の価格が大変高騰しておる。確かに近年で見るならば安定しておるように見えますけれども、これも言いかえますと高値で高原状態が続いておるということであって、決して下がってない。ごく一部のといいますか、都市近郊部では今までにない大幅な高騰もあるわけでございます。したがって、土地価格の鎮静化、土地価格を引き下げる措置、そういうものをぜひひとつ税制面で御検討をお願いをしたいと思うのです。土地というものは、私どもの理解では、日本の場合限られた面積しかないわけでありますから、国民の共通する財産、こういう受けとめ方をしなければならぬと思うのです。土地の利用に当たっては公共的な、あるいは社会的な制約をぜひ持たしていく、そういう政策を打ち出してもらいたいと思います。 そこで、これは一つの考え方でございますが、大蔵省当局のお考えをお聞きをしたいと思うのです。 現在、譲渡税とかいろいろな形でそれなりの対応がなされておるようですけれども、むしろ土地を持っておることあるいはこの土地の転売を大きな所得手段にしておるという風潮は一向に変わっておりません。土地の値段をつり上げるいろいろなよくない方法がまかり通っておるわけですから、それらを抑えるような何らかの税制の措置というものを実施をしていただきたいということなのですが、これは一つの考え方でございます。 現在、土地に対する評価価額というのはいろいろ各省庁にあるわけです。自治省では固定資産評価額、国税庁では路線価、国土庁では公示価格、法務省では造成地の評価基準、土地の公的な評価価額というものがこれだけの省庁に分かれて存在しているわけですね。これも一つの土地政策を複雑にしている原因ではないか、私はこう思うわけですが、こういったものを統一して、そして、現行市場で土地が取引されておりますから、そういう取引価格というものを一面では考慮しながら、新たないわゆる基準的な地価というものを設定をしてはどうなのか。そして、この基準的な地価を超えて売買がされた場合にはその収益というものは私的に属するものではない、これは公の所有に帰するものだというふうな考え方でそれに課税する、あるいは何らかの形でこういう公共的な見方ですべて売買収益を取ってしまうというふうな措置をやれば、不当な土地の値上げ操作というものが行われないと私は思うのです。現行の税制では物すごく抜け道といいますか、いろいろな悪い方法があったとしても取り締まれない。やはり税制面から土地価格を抑える手だてが大事じゃないだろうか、今そのことが必要じゃないだろうか、私はこう思うわけです。 そういった意味の新しい増価税といいますか、そんなものを創設するお考えはないのか。また、その使途については、これは一般財源ということではなしに、具体的な公共住宅の建設だとか宅地開発だとか、そういうところに目的税として使っていくというふうなことをやれば、勤労者が安定的に土地を取得できる条件がそろってくるんじゃないか、私はこう思うわけですけれども、ぜひひとつお考えをお聞きしたいと思います。
○水野政府委員 まことに御指摘のとおり、住宅問題につきましては土地問題が非常に大きなウエートを占めておるものと思われます。この点につきましては、税制調査会でも三十年代からいろいろ検討されておりますし、昭和四十三年には、特に土地問題につきまして綿密な答申が出されておるわけでございます。その中におきまして、今委員御指摘のような制度を考えたらどうかという指摘もございます。基準的な地価を定め、それを超える部分につきましては、税をもちまして吸収するという制度も考えられる。ただ、その場合でも、ではその基準となる価格を全国的につくることが可能かどうかということがこのあたりでも指摘されておるわけでございます。四十三年の答申をお読みいたしますと、将来地価公示制度といったものが確立され、そういったものに使えるようになれば一つの考え方であるが、これは将来の検討課題ではなかろうかというふうな内容になっております。その後、地価公示制度といったものは発足いたしておりますが、現在の時点では全国で一万六千カ所ぐらいということでございますので、それより超えた部分を税で対処するというふうな厳密な制度に乗せるには、この制度としてはまだ不十分ではないか、まずそういった技術的な点があるわけでございます。 それからまた、そうしたものを超えたものにつきましては重課すると申しますと、これは相当程度の高い負担水準で負担をお願いするということになろうかと思いますが、それがまた、そうなりますと土地政策全般との整合性が十分貫徹できるであろうか、悪影響もあわせて生じるようなことはないか、そこらは基本的にいろいろ考えるべき点があるのではなかろうかと思います。したがいまして、現在の税制といたしましては、転売目的で、投機的な目的で土地を取得してそれを売却する、そうした場合には、個人につきましては、十年以内の保有の土地につきましては特に最低四〇%以上の重課をお願いしておる、また法人税につきましても二〇%の特別税で課税をさせていただく、また地方におきましては、特別土地保有税等におきまして配慮がされている、現在の制度としては、こうしたものでもって有効に対処してまいりたいというのが現行の制度でございます。 とは申しましても、先生御指摘のように、土地というのは非常に限られた資産でございまして、地価が上がったからといって供給をふやすということは簡単ではない。やはり有効利用を図っていくということが重要ではないかと言われておりまして、その場合におきまして、税制と申しますのがどこまで基本的に役割を果たせるか、どちらかというと、税制の果たし得る役割は、土地政策におきましてはどうも補完的なものにとどまらざるを得ないのではないかというのが従来からの税制調査会の結論でございまして、御指摘の問題点、御指摘の具体的な案は、私ども非常に有益な御示唆であると思っておりますが、何分にも土地税制には、そこらの補完的な部分にとどまるという点と、もろもろの技術的な問題点が多いということで、私どもも難しい問題だなと考えておるわけでございます。
○中村(正男)委員 よくわかりました。これは今私が突然申し上げた形になっておりますけれども、御案内の民間の労働組合でつくっております全国民間労働組合協議会、全民労協、この組織の具体的な土地政策の一環として、こういった税制を設けることによって土地の価格は安定するのじゃないか、こういう具体的な提言でございますので、ぜひひとつ今後とも御研究を続けていただきたいということを要望しておきたいと思います。 次の問題は自治省にかかわる問題ですが、考え方として次官にお聞きをしておきたいと思います。 高齢化社会がどんどん進展をしていきます。一方で住環境もそれなりに改善されていくと私は思うのですが、いわゆる年金生活者の住宅の固定資産税の負担というのがこれから大変重くなってくるのじゃないか。それぞれの所得、収入の上下はあります。また住宅面積のこの基準も難しいと思いますけれども、一定のそうした低所得の高齢者が持っている資産に対する固定資産税、それを減免していくというふうなことは一つの時代的な要請ではないかなと私は思うんですね。お考えをちょっとお聞きをしておきたいと思うのです。
○熊川政府委員 長寿社会に特に世界に例を見ないようなスピードで入っております我が国の現状を考えるときに、先生の御意見は示唆に富むものと理解しておりますが、御案内のとおり税制の抜本的な改正も間近に控えておりますので、日本の置かれた高齢者の立場、年金の持つ意味、あるいは憲法の保障する最低限度の文化的な生活、さらには税の果たすべき機能、効果、これらを総合的に検討すべきものだと思っていますが、抜本的改正の際にも、ただいまのサゼスチョン、こういうものは的確に反映するように努力に努めたいと思っております。
○中村(正男)委員 ぜひひとつ御検討をお願いします。 それから、これも政策減税の中で要求をしておりました教育減税とパートタイマーの方々の課税限度額を引き上げるという問題、これについても指摘をしておきます。 特に教育減税については、六十一年に実施が約束をされておった、我々はそういう理解をしておるわけですが、結果として見送られております。ぜひひとつ今年度その実施をお願いをしたいわけです。いろいろな新聞の調査でも出ておりますが、今日、教育費が小中学校で年間三十万、高校で五十万、大学で百二十万、これは最低限それぐらいの費用がかかっているわけですね。これ以外にそれぞれ塾だとか個人の研修だとか、非常な教育費の高騰であります。 また、パートタイマーにいたしましても、九十万に引き上がりましたけれども、やはりいろいろな家計の総合収入をふやしていくという意味合いでますますこのパートタイマーというのはふえていくと思いますし、また単なるパートじゃなしに、フルタイマーに近いそういう就労状況もふえていきます。 ぜひこの二点、今、次官の見解をお聞きをしておきたいと思います。
○熊川政府委員 昨今におけるこの内需の振興あるいは円高の傾向などを考えたときに、中小企業の置かれる立場もパートタイマーの方々を歓迎しているという点などもありますし、ただいま先生御指摘のような希望者の累増傾向がございます。こういうことを考えるときには、やはり例の九十万円の問題も非常に先生の御指摘のような側面を備えているかと思いますが、配偶者控除の問題あるいはパート減税の問題、それらと相関的に関係いたしますので、実質的な所得がなるべく浮揚されるような方法で、この抜本的な税制改正とあわせて、御趣旨を十分理解しその検討の材料にさせていただきたい、こんなふうに理解しております。
○中村(正男)委員 次に、民活導入の問題でございますが、一つは、東京湾横断道路の減免措置が出されております。それから、いわゆる特定施設について、四省にまたがる形で新たな法案が今準備をされておるようでありますが、通産省並びに建設省お越しをいただいておりますので、お尋ねをしたいと思います。 まず横断道路の問題、これは建設省にお尋ねしますが、一つは、なぜ株式会社といいますかそういう形にしなくちゃいけないのか、道路公団でいいのじゃないかということ。さらに、そういう民活、民間資本の参入を大きく呼びかけておりますが、それなりに民間資本が果たして応じてくれるかどうか。というのは、空港なんかと違って単に道路にすぎぬわけですから、三万台ですか、通行量を見込んでおるようですけれども、それにしても、言ってみれば車の通行料しか上がらないわけですね。副次的な事業の発展性というものはないわけです。そういうところに、巨大な資金が要る道路建設にどれだけの民間の参入がなされるのか、私は大変疑問に思います。それが一点。まあ採算性ももちろんそれとの関連で当然出てくるわけですが、建設省、簡単にお答えいただきたいと思います。
○三谷説明員 お答えいたします。 まず東京湾横断道路でございますが、これは単に房総と神奈川を直結するものではございませんで、首都圏全体の交通あるいは産業の発展等に非常に役に立つというふうに考えております。ただ、事業費が非常にかさばりますし、また集中的かつ早急に完成しなければいけません。したがいまして、そういう場合の資金の調達の問題、さらには民間の経営力の活用、それにあわせましてさらに技術力の活用、こういうものを考えまして、現在私どもが考えておりますように、民間の会社が建設、管理を行う。それから、民間関係ではしがたいであろう例えば事業調整の問題であるとかあるいは補償の問題等については道路公団が担当するというようなことで、これから御審議を仰ごうとしているところでございます。 採算の問題でございますが、私ども全体の事業費が一兆一千五百億円というふうに考えております。民間の資金等を活用いたしまして、その他いろいろな優遇措置等をしていただきまして、資金コストを六%で確保いたしまして、交通量が三万台で、昭和五十七年の価格で普通車三千円の通行料、将来交通料の伸びがあると思いますが、それを見込んで三十年で償還をするというふうに計算をしております。 いずれにいたしましても、東京湾横断道路の建設には、このような民間の資金や経営能力あるいは技術的能力を大いに活用してやらなければならないというふうに私どもは考えております。
○中村(正男)委員 通産省に、その四省へまたがる特定施設の内容と趣旨の御説明をお願いします。
○麻生説明員 現在、四省庁で検討いたしております民活法案でございますが、この考え方は、最近におきますいろいろな経済条件の変化、特に技術革新あるいは情報化、国際化というようなものが進んでおりますが、このような課題にうまく対応していくということのために必要な施設を整備しようということでございます。 具体的な施設は大きく六つございまして、第一は、工業技術の研究開発あるいはその成果を企業化しますための施設でございます。地域の共同研究所あるいは技術者の研修施設、ベンチャー企業の振興施設というようなものの複合体でございます。 第二番目は、電気通信業のための技術の開発の開放型の研究施設でございます。 第三番目は情報化の施設でございまして、地域の共同利用情報化センターあるいは情報処理に関する啓蒙普及研修施設というようなものでございます。 第四番目は、電気通信の高度化の施設でございまして、地域におきます電気通信の利用促進あるいは普及を図るための中核的なセンター設備でございます。 第五番目は国際交流のための施設でございまして、大規模な国際見本市場あるいは国際会議場というものでございます。 六番目は港湾の利用の高度化のための施設ということでございまして、港湾機能の増進を図りますための、港湾関連業者あるいは公的機関が入ります港湾業務ビルあるいは旅客ターミナルビルというようなものを想定しておるわけでございます。
○中村(正男)委員 特に建設省にお願いをしておきますが、確かにこうした大きな国家的なプロジェクト、そのことによる民活、内需拡大、確かにそのことの期待は大きいわけですが、私は、それよりもむしろ今先にやらなければならぬのは、地域型の新たな経済開発といいますか、そういうことにむしろ主体を置いていただきたい。とりわけ、国際的に見ても下水道の整備はおくれておりますし、あるいは緑と公園あるいは河川整備、過密老朽住宅地の再開発、やることはまだいっぱいあるわけですね。そのことの方が国民的な見地からするならばより急いでやってもらいたいことだと思うのですね。ちょっと中曽根内閣として余りにもアドバルーンばかり大き過ぎる、国民にとっては身近なものに感じない、そういう思いがしてならぬ。それだけ要望しておきます。大変ありがとうございました。 次に行きます。時間が迫ってまいりましたので細かい問題は省きまして、法人税率の特例制度の問題について御質問したいと思います。 五十九年度、六十年度、二年間にわたって一・三%上乗せをされました。さらにこれを一年間延長するということなんですが、我々の理解では、これによって得る税収は所得税減税の財源に回す、これがこれを実施をする理由であったと思うのですね。そのことはどうなのかということをお尋ねしたいと思います。
○水野政府委員 おっしゃるとおり、昭和五十九年度改正におきまして、五十二年以来の本格的な所得税減税を行う、そのために、その時点での財政事情をこれ以上悪化させないという考え方に基づき法人税率を二年間の措置として一・三%引き上げる、こういうふうな当時の答申になっておるわけでございます。 この法人税の負担水準につきましては、その時点でもいろいろ御議論があったところでございますし、またその後もいろいろ論議がなされておるわけでございます。したがいまして、今回におきましては二年の期限が到来いたしましたものを一年間延長をする、そして、この法人税の負担水準につきましては税制の抜本改革の中であわせて今後検討するというふうになされておるわけでございます。
○中村(正男)委員 税収の増が図られた分は所得税減税の財源に五十九年は回すということでこれはスタートしたわけでしょう。六十一年度さらに続けていくということは、一体それはどこへ使われていくのか。少なくともその分は減税をやるということなのですか。
○水野政府委員 五十九年のときに所得税減税を行いました際に、所得税の減税といたしましては恒久法的に控除を上げる、税率を調整するというふうな制度で、恒久的なものとして制度化されたわけでございます。一方、その財源といたしましては、酒税の引き上げ、これは恒久的なものとしてお願いをいたしたわけでございます。 法人税につきましては、これは当時負担水準につきましてもろもろの議論がございましたので、二年間という期限でもってお願いをしたわけでございますが、所得税減税の方が恒久的なものとして制度化されておりますので、法人税の方も、本来でございましたらば法人税法そのものの改正としてお願いをするというのが筋であるという御議論もあったわけでございますが、負担水準等につきまして、あるいは景気動向等につきましていろいろ御議論がございましたので、この方はむしろ例外的に期限を切ってお願いをしたということでございますので、所得税の方はそのまま五十九年度改正として現在もその効果が発現されておる、むしろ、その財源を今後継続的に確保していくために、この法人税率、臨時税率を含めまして今後どのように検討すべきかというのが今後の課題ではなかろうかと思うわけでございます。
○中村(正男)委員 時間が来てしまいましたので、かなり質問を残しまして、一、二要望だけ申し上げて終わりたいと思います。 一つは、赤字法人課税の問題でございます。確かに赤字法人が、四十五年の実績で二十七万四千社、五十八年では八十六万五千社、ここ近年急増しています。まあ中には脱税を図っていると思われるものがあるからこの際ここに課税をしよう、この辺が意図的に考えられたと思うのですが、私は、そういう見方は誤っているのじゃないだろうか。現実に年間二万件も倒産が出ておる。こういった実情から、これはひとつぜひ撤回をすべきじゃないか。仮に赤字法人がそういう実質脱税企業だということが考えられるのであれば、これは税務当局が調査を丁寧にやれば済むことでもありますし、また、一律にそういう課税方式をとるのではなしに、制度的にそういうものを押さえる方策を考えるべきじゃないかということを申し上げておきます。 それから、十条の二と三あるいは四十二条の五と六、産業分野の新たな民活に向けての税の優遇措置が講じられております。エネルギー基盤高度化問題だとかあるいは中小メカトロ税制の二年延長の問題、それなりにそれぞれの産業分野では好感を持って受けとめておるようですが、申し上げておきたいのは、どんどん産業再編成、産業構造が変わってきております。そういう中で私は、それぞれの分野に向けて長期的な税のビジョンをぜひ出すべきじゃないか。例えば五十八年度にOA機器に突如物品税を課税するというふうなことを出してくる。そういった業種、産業分野では大変混乱を来すし、また、そのことが産業の発展に大きなブレーキになる。むしろ長期的、中期的にどういった税制で進めていくのかということをあらかじめ示すことが当局の責任じゃないかな。私はそのことだけを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
○小泉委員長 午後二時再開することとし、この際、休憩いたします。 午後一時十八分休憩 ————◇————— 午後二時一分開講
○小泉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。兒玉末男君。
○兒玉委員 まず大蔵大臣にお伺いをいたしますが、国会に提出しました六十一年度予算案によりますと、国民の最大の税収項目である所得税のうち、サラリーマンの年間納税額が一人当たり前年度より一万六千円ふえて二十六万九千円、これまでの最高になる見通しである。これに対して、医者、弁護士などが中心のその他事業者は逆に八万七千円、商店経営者らの自営業者は四千円、それぞれ減っているということになっております。特にサラリーマンの場合は、三千七百五十四万人というたくさんの人が納税義務者になっておりますが、しかもこれは前年度に続いて二年連続の増加であり、五年前の五十六年度に比べると三〇%近く増額になっている。これに対して、弁護士などその他事業者六十九万人、前年度八万七千円減の百三十九万四千円で、こちらは二年連続の減少、それから自営業者の場合は二百四十三万人、四千円の減で十八万四千円ということになっております。 一応資料によったものでございますが、大蔵大臣お認めになりますか。
○水野政府委員 数字といたしましては、委員御指摘のような数字になっております。 なお、委員から恐らくさらにございますかと思いますけれども、あくまで御指摘の数字は毎年毎年の当初予算で見積もりの額をはじくときの、すべて当初ベースでございますので、その間そのまま比べますといろいろな比較の数字が出てまいろうかと思います。
○兒玉委員 大筋としては間違いないということに確認してよろしいか。
○水野政府委員 毎年お出しいたしおります数字は御指摘のとおりでございます。ただ、実績ベースではございませんので、数字としていろいろな問題がこの中に含まれておることはまた事実でございます。
○兒玉委員 そこで、大蔵大臣にお伺いしますが、先ほど同僚の中村君もしておりますのでできるだけ重複は避けたいと思っておりますが、先般野党四党が提案しました二兆三千四百億円、この数字につきましても現実から見まして当然の要求かと私は存じます。今予算委員会の方で大筋が決まろうとしている段階でございますけれども、やはりサラリーマンの税金負担が非常に高い、重圧感があるということは紛れもない事実でございまして、もちろん来年度は抜本改正をするというこの前の本会議での答弁でございますが、これについて再度大蔵大臣の御見解を承りたいと存じます。
○竹下国務大臣 現在の税制に関しさまざまなゆがみ、ひずみが生じ、また税に対する重圧感が指摘されておる。その重圧感とは、まさに今兒玉さんの御指摘なすったいわゆる給与所得者の方々が、俗に垂直的公平と水平的公平というのがございますが、水平的公平の中でそんな感じを抱いていらっしゃるであろうということが、やはり税制調査会に抜本的な諮問をする一つの大きな要因になったというふうに私も理解をいたしております。
○兒玉委員 野党四党からいろいろな要求が出ておりまするが、けさの新聞によると、大蔵省当局としてはそのような具体的な数字については一切物を申さない、こういうようなことが書いてあったかと思います。いずれにしましても、減税問題というのは最大の民需拡大にもつながる問題でございますし、来年のことを言うことは必要でないと思うのですけれども、現時点において大蔵大臣が、例えば医師とかその他自由業者とサラリーマンの所得税との間にかなりの開きがあるという事実はお認めになるかどうかということでございます。
○竹下国務大臣 いかなる税法も国会の審議をいただいて成立するわけですから、その国会の審議をいただいた税制に欠陥がありますということは行政当局としては論評すべきことではないと思います。が、現実問題として、言葉としてクロヨンとかトーゴーサンとかいろいろあるように、サラリーマンのお方がある意味における重圧感を感じていらっしゃるということは、いろいろな意見をこうして聞きますから事実であろうというふうに私も認識をいたしております。
○兒玉委員 そこで、税務署の調査によっても脱税という言葉がよく新聞報道されているわけです。どこどこで二億円とか、いや四十億円とか五十億円とか、そういうことを見ますと、いわゆる一般国民からの徴税捕捉の声といいますか、地元の税務署へ行っても税務署の職員が足らない、こういう意見を聞くわけでございますが、完全な捕捉ということはできないにしても、現状の国税庁の職員で十分に捕捉ができていない、私はこのように感ずるわけでございますが、現状について大蔵省はどのような見解をお持ちなのかお伺いしたいと思います。
○竹下国務大臣 実調率を見ましても、法人で十年に一回、個人で二十年に一回、こういうようなことになりますので、実調率をなお上げるためにも税務職員の定員増をすべきじゃないか、こういう議論は、当大蔵委員会においては毎年のごとく実際問題として附帯決議等で御要請をいただいております。 〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕 したがって、その声を背景にして毎年いろいろ折衝に当たるわけでありますが、いつも申しますように、時に行政改革とか人員関係の問題になりますと、まず隗より始めよと大蔵省自身がまず増員要求などは余り出すべきじゃないというような環境の中でございますが、そういう皆さん方の附帯決議等の支えがございますので、したがって年々少しずつ実人員の増ということをやらしていただいておる。これも兒玉先生に言いますと別に褒められると思って言うわけじゃございませんけれども、五十八年、最近の私がなってからの数字で、あれだけ背景の応援をいただいて結局九人でした。それから、五十九年は二けたに乗ったというので大きな声をしましたけれども十六人、六十年が十一人ですから、二けたといっても気ばかりの二けた。ことし初めて六十四人という増員が認められたということで、国家公務員全体で四千五百十八人純減となるという状況の中で当庁は六十四人の純増、これもやはり御支援のたまものであると国税庁職員一同心から感謝をいたしておるところであります。
○兒玉委員 いつの週刊誌か新聞か知りませんが、大蔵省の職員を一人ふやせば何か四千四、五百億ぐらいの税金の徴収が可能だ、こういうことも出ていましたが、やはりそういう立場から考えますならば、今六十四名の増員でも、考え方によってはまだ十分捕捉率をふやすということから考えるべきじゃないかということを思うのでございますが、いかがでございますか。
○竹下国務大臣 これは厳密な統計をしておったわけじゃございませんが、俗に一人ふえれば五千万ということをよく言うわけでございます。その調子からいいますと、それは多々ますます弁ずるという格好になりますけれども、大体実調というものはいろいろな情報とかを対象にしてやりますので、必ずしもその人数をふやしたらそのとおりの比率で伸びるというわけにもいかぬでございましょうけれども、私どももそういう問題意識は持っております。ただ、幸いなことに、最近、いわゆる国家公務員の行政窓口において住民に対して与える感じの一番いい役所はどこだと聞きますと、税務署と財務局、こう言っていただくようになりましたことは大変心強く感じております。
○兒玉委員 それで、租税特別措置法の内容についてちょっとお伺いしたいと思うわけでございますが、建設省お見えになっていますか。 これは中村委員からもあったかと思いますが、今回住宅取得の促進税制ができたということは我我も非常に関心を持っているわけでございますけれども、現在例えば千五百万円以下の資産で、結局家族がふえて住宅の増改築ということが非常にふえているわけでございます。そういうことでございますから、当然増改築等の案件についてもそれを対象に入れるべきではないのかということと、今回の減税の対象は三年ということでございますけれども、それを十年程度に拡大しろ、こういう御要望も強いわけでございます。 そのことと、非常に地価が暴騰している。そういうことで、地価対策についてやはり抜本的な対策を講じなければ、たくさん金を持っている人がその恩恵に浴する率が高いわけでございますが、低所得者はなかなかそういう恩恵に浴せない、こういうひずみがあるわけでございまして、これらの点について御見解を承りたいと存じます。
○杉谷説明員 二つお尋ねがございますが、順次お答えいたします。 まず住宅の増改築に対します減税措置を行うべきではないかというお尋ねでございますが、住宅の増改築を適切に推進いたしまして居住水準の向上を図る、こういうためには財政とか金融とか税制上の措置を講ずることが大切である、このように考えております。こういうために、公営、公団住宅の増改築とか住宅金融公庫の住宅改良貸し付けとか、あるいは財団法人の住宅リフォームセンターによります増改築に関する技術開発、情報の提供等、こういうようなことを建設省では行っております。お尋ねの住宅の増改築を実施した場合の税制上の優遇措置についてでございますが、最近要望が強くなっているというふうに認識しておりますので、今後の課題といたしまして検討してまいりたい、このように考えております。 それから二番目の住宅ローン減税の適用期間を三年から十年に延ばす必要があるのではないかというお尋ねでございますが、これにつきましては、住宅税制の拡充とか改善に努めております建設省といたしましては、住宅税制が充実されることは基本的には大変望ましいことである、このように考えておりますけれども、今回の住宅減税につきましては大変厳しい財政事情のもとで行った減税でございまして、住宅取得者の負担が相対的に重い住宅ローンの償還の初期段階に減税措置を重点的に行うというものでございますし、また今回の住宅減税の規模が来年度の減税額全体の相当部分を占めている、こういうようなことから、全体的バランスを考えますと相当の規模の減税である、このように認識しております。そういう意味におきまして現状においては妥当なものではないか、このように考えているところでございます。しかしながら、今後とも住宅税制につきましては税務当局とよく御相談いたしながらその拡充とか改善に努めてまいりたい、このように考えております。
○河原崎説明員 国土庁でございますが、地価の点についてお答えをさせていただきます。 近年、土地の値段は全国的には安定をいたしております。住宅もそうでございますが、一部、東京都等の都心部におきまして著しい地価高騰が見られるわけでございます。これは基本的には事務所需要が非常に旺盛であるということかと思いますので、既成市街地の高度利用等によりまして需給緩和を図る必要があると思っておりますが、さらにこういう地価高騰が周辺に及んでいくというようなことを懸念しているわけでございまして、地域的にも都心等に限られておりますので、私どもも東京都とよく連絡をとりながら当面の対策をとってまいるようにしたいと考えております。
○兒玉委員 何といっても、住宅建築の最大の障害はやはり地価政策にあると思うのです。そういう点から、もう少し抜本的な地価抑制という政策はできないのかどうか。また、いわゆる各都市においてもこの問題が重大な問題である関係から、もう少し画期的な地価の抑制策ということを考えるべきではないかと思うのでございますが、それについて見解を承りたい。
○河原崎説明員 先生御指摘のように、私どもも今の東京都心を中心といたします地価の高騰に対しましては大変問題意識を持って対応しなければいけないと考えておりまして、先ほども申しましたが、一つは中心地でありますと業務用地の供給、それから周辺地、住宅に関しましては宅地供給の促進というような土地の供給の観点、それからさらに具体的な土地の取引に関しましては、国土利用計画法を初めといたしますそういう取引の規制によりまして現在その適正化を図っておるわけでございますが、なお具体的な点につきまして、東京都と今も申しましたように連絡会議を持っておるわけでございますが、そういう場を通じまして土地取引の監視の徹底等努めてまいりたいと思っております。
○兒玉委員 今回、民間活力導入を名目とする租税特別措置の新設がなされたわけでございますが、内容を子細に見ますと、特定の企業、特定の産業、こういうものを対象とするような問題があって、とにかくその恩恵に浴するのは一部の企業、産業である、こういうふうな不公平税制に対する批判があるわけでございます。特にアメリカのレーガン等も、税制改革については大胆に特例措置は廃止するというようなことが提起されておりますが、我が国の場合は、一般的にこのような性格の税制を新設せず既存のものは順次廃止する方向で提案しているけれども、大勢はやはり特定企業、産業に恩恵が浴するような方向にあることは極めて遺憾であって、これについて政府はどういうふうな考えを持っておるのか、お伺いしたいのであります。
○竹下国務大臣 まず基本的なことを申し上げますと、そもそもいわゆる租税特別措置というものは、これは私は、「六十一年度の税制改正に関する答申」とそれから「今後の税制のあり方についての答申」という昭和五十八年の答申を見ますと、よく書いてあるなと思います。まず五十八年の答申を見ますと、これはその年度だけのものでなく中間答申みたいな感じで出たものでありますが、「租税特別措置は、特定の政策目的を実現するため税負担の公平その他の税制の基本原則をある程度犠牲にして講じられているものである。したがって、常時、個々の政策目的と税制の基本原則との調和を図る見地からそのあり方について吟味を行う必要がある。」こういうことが言われるわけであります。そして六十一年度税制においても租税特別措置は、今おっしゃいましたとおり、「累年にわたりその整理合理化が進められてきたところであるが、厳しい財政事情の下で、税負担の公平確保が一段と強く要請されるところから、昭和六十一年度においても更にその整理合理化を進めるべきである。」したがって、今度は「新規の政策税制の創設は、厳にこれを抑制するものとし、真にやむを得ないものについても、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドの原則を堅持すべきであり、同時に、税制の基本原則を損なうことのないよう対処することが必要である。」これがやはり租税特別措置の鉄則であると私は思うのであります。 したがって、レーガン税制というのは、これは別の角度から見ますと、レーガノミックスが発表されてから、言ってみれば租税特別措置を余計つくって、それでもって景気回復をやろうということが続いてきて、それがむしろ今反省の上に立って、私どもがかねて考えておったように、租税特別措置はできるだけなくしましょうというふうに今度のレーガン税制のときにはある程度変わったなという印象を受けております。したがって、一時的な効果はございますが、現に租税特別措置そのものは、やはり鉄則はある程度税制の基本をゆがめるものだという考え方はいつでも持っていなければならぬと思います。 そこで、今度は東京湾の問題ということになりますと、いわゆる民間活力の発揮を推進していくための政策的な意味を持つ。まずいろいろな角度から議論してみても、租税特別措置として現在の世相では許容できる限度ではなかろうかということでそれをお願いをしておるわけでありますので、特定の企業等を念頭に置いて、いわゆる企業優遇、金持ち優遇、こういう考え方で行ったものではないというふうに理解をいたしております。
○兒玉委員 東京湾横断道路の問題が出ましたので、特にこれは建設省にもお伺いしたいのですが、出資についての控除は関連する特定企業に対する優遇策であるけれども、特定会社とは一定の企業に限定するのか、複数であるのか、それから出資規模についてはどうなっておるのか、それから減税規模の見込みはどうなのか、それから減税の期間はどれくらいを見込んでおるのか、これについてお伺いをしたいと思います。
○三谷説明員 お答えいたします。 東京湾横断道路の事業規模は一兆一千五百億円を考えております。 それで、出資の額でございますが、六百億円を考えておりまして、うち日本道路公団が二百億円を予定しております。残りの四百億円が地方公共団体とそれから民間が半分ずつ、こういうようなことを大体の目安にしております。 民間出資の会社のことでございますが、現在のところ全く未定でございます。それから、これはこれから御審議をしていただくことになろうかと思いますが、会社とはいわゆる商法上の会社でございまして、全く自由に仕事をとってやれる。理論的には複数ということも可能かと思いますが、実際には一つだろうと思っております。
○兒玉委員 今、後はわからなかったのですけれども、複数か単数か、それはどういうことなんですか。
○三谷説明員 これから審議をしていただく内容にかかわる問題でございますが、現在私どものところで考えておりますのは商法上の会社でございますので、その会社が道路公団と協定を結んで東京湾横断道路の建設並びに管理をやるように考えているわけでございます。したがいまして、商法上の会社でございますので、いわゆる理論的には幾つかの会社があってもいいことになろうか、こういうことでございます。
○兒玉委員 それで、この政府の方針でもいろいろ具体的な優遇措置が書いてあるわけでございますが、申し上げましたような減税の期間、何年間というようになるのか、あるいは一年限りなのか、その点についてお伺いしたいと思っております。
○水野政府委員 現在御提案申し上げております租税特別措置法におきましては、昭和六十一年四月一日から六十六年三月三十一日までの間に設立または資本の増加に伴う払い込みによりまして取得する株式について適用する、期間の点につきましてはこうなっております。 それから、先ほど御質疑のございました減税額につきましては、民間出資が具体的にどの程度のものになるかという点と関連するわけでございます。先ほど建設省の方から御答弁のございました四百億円のうち、地方公共団体と民間とが半々であるということでございますと、民間が二百億円といたしますとそれが一度に行われれば十億円弱の減収額になるわけでございますが、それがどのような期間にわたりまして設立払い込みあるいは増資払い込みが行われるかによりますので、現時点といたしましてはその点は明確ではございませんが、いろいろ計算いたしましても本年度につきましての減収額といたしましては一億円には達しないものではないかと考えております。
○兒玉委員 次にエネルギー基盤高度化の設備投資促進税制について触れていますが、現在電力会社に対しては円高によるところの差益を消費者に還元せよ、こういうふうな声が大きいわけでございます。 御承知のとおり今円高によって為替相場は大体二百円以内でございますけれども、二百円として想定した場合に一バレル二十ドルというふうな計算にしても、まだこれより実勢は安いかと思いますが、電力業界の差益は大体一兆一千八百億円以上、それから石油業界でも二兆八千億以上、こういうことが言われておるわけでございます。これによってやはりその差益の何割かは当然消費者に返すべきではないかというもっともな意見があるわけでございますが、これについて大蔵省としてはどういうふうな見解をお持ちなのか、お伺いをしたいと思います。
○竹下国務大臣 今兒玉さんおっしゃいましたような基礎的な条件が完全に一年間継続したら、今おっしゃったような数字がいろいろ取りざたされておるわけであります。 これは基本的には通産省のお答えになる課題でございますが、私どもが種々議論しておりますことをあえてこれは番外で申し上げますならば、いわゆる石油業界というのは政策価格、政府が認可、許可したりして値段を決めるものじゃないわけです。したがって、乱売競争、過当競争になりますと必然的に、あるいは今よく言われますのがガソリンスタンド六万軒ですか、お医者の数が十六万、酒屋の小売が十七万、たばこ屋が二十六万、土建屋が五十二万という基礎的な数字がよくありますが、そういう乱売とか過当競争によっていわば差益の出ない業界も恐らくあろうかと思います。 だが、電力会社のように、お値段は政府が認可するわけですから、したがって、ここらは今単純に計算してみても、よく円高一円で百二十億円、こういうことが言われるわけであります。それをいろいろ御議論なさっておりますのは、我が方の角度から言いますと、粗っぽい言い方ですが、半分は法人税でちょうだいするということになるわけですが、政府が立てましたこの間の経済対策の中では、電力会社が今後三年間に行う設備投資を前倒ししたりしてやることによって、公共事業的なものがふえていくことによって国民全体に影響するのが一つの方法ではないかという議論が種々なされておるわけであります。したがって、それぞれの業種によって相違がございましょうから短絡的に、例えば一世帯当たり数百円をお返しするよりも公共事業的なものにそれを使った方がいいじゃないか、こんな議論もいろいろありますが、その点につきましては、何か五月の何日かまでに通産省の方でその結論を出すように作業をする、こういうことでございますので、相談があれば私どもなりの意見は吐きますものの、今のところは所管省の勉強を見詰めておるというのが現状でございます。
○兒玉委員 先ほどちょっと答弁がありましたが、三月末の決算を待たなければ総体的な判断はできないということでございますけれども、私は九州でございますけれども、九州電力でも差益についてそれを何に使おうか、こういうことで非常に苦慮しているということも、電気会社に働いている皆さん方からの意見としても聞かれるわけでございます。この租税特別措置法の中にも、地下ケーブル等もその施設に対して租税特別措置をするということがちゃんと書いてございますが、それは都会地の場合であって、地方においてはまだそのような必然性は極めて薄いのではないかと考えるわけでございますが、このような地下ケーブルに埋設するというような点については、一体どのような見解をお持ちであるのかお伺いしたいと思います。
○水野政府委員 今年度の御提案申し上げております租税特別措置法の改正の中の一環として、電線のケーブル地下化、これに伴いますところの設備につきましての特別償却制度も創設を御提案申し上げているところでございます。 この点につきましては、一つには民活の観点、それから都市交通、大都市及びその周辺の交通の緩和、それから電力等の安定供給に資する、このような目的からこうした措置を講じさせていただいてはいかがかというふうに御提案申し上げている次第でございます。
○兒玉委員 この特別措置法に盛られている電線類の地中化設備というのは、全体から見てどの程度のものを考えられているのか、それについてお伺いしたいと思います。
○水野政府委員 その中身といたしましては、大都市、人口の集中その他の状況によりこれに類する地域も含むわけでございますが、大都市とその周辺地域における送電、配電、有線によります電気通信設備を収容するために地下に設ける施設の設置に必要な工事のうち、円滑な道路交通の確保、電気または電気通信役務の円滑な供給に資するというものを対象にいたしまして制度を考えているわけでございます。 個々の対象となります工事、設備等につきましては、具体的には個々の工事ごとに大蔵大臣が指定をさせていただくという制度を現在考えさせていただいているわけでございます。
○兒玉委員 そうしますと、都市化、市街化、地域においてはかなりの差異があるわけでございます。その点から考えましても、北海道、四国、九州における円高差益の使い方が大変問題になるわけであって、都市部の場合は市街化対策として必要であるけれども、他の地域においては大変なアンバランスが生ずると思うのでございます。その辺の見解についてはどういうふうにお考えであるのか。
○竹下国務大臣 地域的な問題では私も今ちょっと記憶しておりませんが、何キロを何キロに延長したという話、確かに電柱を倒して地下に入れても都市集中対策みたいな感じがあって、お互いのような農村には電柱が立っておった方が我がふるさとという感じがするのじゃないかと言う人もいますね。したがって、今の電気通信施設等を地下に埋めることそのものは、キロ数から見ましても恐らく都市に集中しているのだろうと思いますが、地域によってはあると思います。 今までの経験でも、東京電力は例の万博の施設のところを地下にいたしました。それから中部電力は、掛川駅前の木材を使って歩道をつくるというユニークな発想で、電力会社と相談して全部電柱を外してしまったということがありますから、地方地方でそれぞれ計画もあろうかと思いますが、大別して申し上げますと、北海道電力は石炭産でございますから恐らく余り差益も出ないでございましょうけれども、あまねく国民に敷衍するということになれば、それは税金でちょうだいしてそれを財源とするという方があるいは理屈としてはあり得るかもしれませんけれども、民活の立場とその差益を特定したものに使うことによって経済政策にも役立つというようなところの兼ね合いでございますので、地域は私定かに知りませんけれども、それは地方にもあろうかと思いますが、大都市の方がそのキロ数にしても恐らく多いのじゃないかとは思います。
○兒玉委員 今大臣の御答弁もありましたが、これはかなり具体性を持つ計画でありますので、数字をもってもうちょっと御説明願いたいと思います。
○水野政府委員 先ほど申し上げましたように、個々の工事につきましては法案の成立を待って個個に大蔵大臣が指定するなど作業を進めてまいるわけでございますので、今後準備をしてまいるところでございます。そういった点につきましては、御指摘の点も踏まえまして、今後具体化の段階で検討してまいりたいと思います。
○兒玉委員 同じく、円高の影響で特に輸出型の中小企業が大変窮地に立っている。かなりの企業が倒産その他の非常に苦しい状況にあるけれども、この際、輸出型の中小企業に対して政府機関からの長期低利の融資、拡大、条件緩和、こういうことを真剣に考える段階に来ているのではないかということでございますが、これについて御見解を承りたいと存じます。
○竹下国務大臣 この問題につきましては、まずやりましたのが、とりあえずそういうところへの融資については御迷惑をかけないようにしよう。第二段階で金利の引き下げを行いました。 そこへ持ってきて今度は例の、我が方でお世話になりました五十九年度の剰余金を使わせてもらう法律と一緒に参議院に行きまして、参議院も早早と上がって既に成立しましたのがそういう関係の中小企業に対する融資制度等についての法律であります。それで、政令も先々週でしたか既にできまして、今通産省の方で主として、そういうのは割合に産地みたいなのがあってそこに集中しておりますので、地方公共団体あるいは出先の通産局等を通じて調査をしておられると聞いております。 特に円高の場合は、円高差益が出る企業にとってはメリットでございますが、それにしましても——電力も三月期から安いものが入ってくる、こんな感じでございますけれども、他のいろいろな資源、資源の乏しい国でありますから輸出産業といえども資材はみんな輸入しますが、原材料が下がってくるというのは私が思っていたよりはるかに時間のかかるものだな、こういう感じがいたしましたので、円高デメリットの方がメリットより先に出るな、こんな感じは持っております。特に、韓国とか台湾、そういう中進国が追い上げてきた、それと並んでおった、わずかに競争力を持っておったようなところが大変競争力を失っていく。それに対しての融資制度は、新聞にも出ておりますように、アメリカから、輸出競争力をさらにつけるための対策じゃないか、我が方は、いや、そうではなくして当面の施策と転廃業だ、こういう議論も、これは通産省の所管でありますものの、しておるようでございます。 いずれにせよ、お困りになって、例えば成約がまだ確定しない、普通ならもう契約ができてもいいのが契約ができない、そういうようなところのつなぎ融資、あるいは、とりあえず転廃業を考えていくとか、そういうふうなところに対する資金手当ては十分に用意した。それで、その実態調査にかかっておられるところで、我が方はそれに対しては協力していかなければならぬというような態勢になっておるというのが現状でございます。
○水野政府委員 ただいま大臣から申し述べました特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法、先般二月に御可決いただきまして、先月の二十五日から実施されておるところでございます。 その中での税制上の措置といたしましては三点ございまして、円滑化計画を実施する商工組合等が構成員に賦課いたしますところの負担金、これは特別償却の対象にいたします。それとともに、それはまた増加試験研究費の税額控除の対象にいたしますというのが第一点でございます。 第二点は、商工組合等の方が負担金を賦課いたしまして、その集まった負担金で取得いたします試験研究用資産につきましては、圧縮記帳の対象に加えるということで課税の特例を講ずることといたしておるわけでございます。 第三点といたしましては、認定を受けました特定中小企業者につきましては、繰り戻し期間を一年間とする欠損金の繰り戻しによりますところの法人税の還付措置を講ずるというものでございます。御承知のように、現在欠損金の繰り戻しによりますところの税額還付制度は停止いたしておるところで、原則的にはこれは適用がないものでございますが、今回、特にこうした特定中小企業者につきましては繰り戻しを特例的に講ずる、こういうふうにいたしておるところでございます。 これらの点につきましては、既に法律が先月から実施され、それの適用が行われているところでございます。
○兒玉委員 そういうような状況を理解しますが、当然これについて、恐らく三月期の決算ではかなりの倒産が予想されるのではないかということも非常に懸念しますが、それに先立って、やはりこの際、官公需等の適用ということを率先して考えるべきではないかということについて見解を承りたいと思います。
○竹下国務大臣 中小企業が、言ってみれば非常に円高デフレ、そういう環境の中で苦しい。したがって、これも中小企業庁が中心になって、我々が一緒になってやることでございますが、官公需の発注について、なかんずく中小企業の方へ目を向けて手厚くやれ、こういう御趣旨だと思うのであります。 年々そのシェアは上がってきておりますが、いわゆる輸出関連中小企業と官公需等が、どれだけのものが結びつくかというと私は今直ちに答えるだけの能力は持っておりませんが、御指摘の官公需等に中小企業の参加をより配慮すべきであるということは、原則的に私も賛成です。
○兒玉委員 特に中小企業というのが非常にこういう円高差益等についても経済基盤が弱いということからこのような問題が出るわけでございますが、この際、大蔵省としても最大限の努力を払って、三月期の倒産もできるだけこれを防ぐということについて格段の努力を払うべきではないかということでございます。これについて御見解を承りたい。
○竹下国務大臣 具体的に申しますと、我が方のはいわゆる金融対策においてそれらに対応することになろうと思います。が、個々の企業ということになりますと、それぞれ所管省もございますが、今の趣旨を体して十分対応していきたい、このように考えます。
○兒玉委員 この点は前回も申し上げたわけでございますが、たばこ消費税の問題でございまして、沢田委員からもるる話がございましたが、中曽根総理は、これは大衆課税ではないということでけんもほろろに突っぱねる答弁をされているわけでございますけれども、私はそうとは思わないわけであります。やはり値上げ決定の時期等から判断しても、大蔵省としても自治省との関係で大変苦しい選択をされたことは十分わかるわけでございますけれども、少なくとも昨年、たばこ関係が民営移行して、これから民営企業としての立場から積極的な努力をしようということであって、しかも百一国会においては、たばこの民営化に関する問題として約十九項目の附帯決議がされているわけであります。 そういう点から考えましても、やはりたばこはたくさんの消費者がおりますし、これが与える影響というのは、一本一円としても極めて大きな影響があるわけでございまして、この点について、特に百一国会においては十九項目の附帯決議を含めて、これからのたばこ消費税についてはたばこ消費の動向等を十分配慮して、関税の問題あるいは雇用の問題、また工場の統廃合、さらにはたくさんのたばこ耕作組合という緊密な関連のもとにこの法案が通ったことは、大臣が十分御承知のとおりであります。 そういう点等を考えます場合に、このままの状態ではたばこ関係の組合もまた経営者も非常な問題があると思うのですが、先般御質問がありましたけれども、きょうは立場を変えて大蔵大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○竹下国務大臣 まず、今度のたばこ消費税の引き上げ措置につきましては、先般私が重点的にお断り申し上げたのは、手続上の問題が確かに一つございます。それは手続が間違っておるか——間違っておったといえばそれじゃ出し直してこいということになりますから、間違っておったとは言いませんが、いささか適切を欠いたというような気持ちは十分ございます。実際問題、ぎりぎりの決着のときに、地方財政等どうするかというときに決断をして、事後に税調にも持ち込み、いかに一人株主であるとはいえ長岡社長さんにも事後に申し上げ、それから十万耕作者の方にも、それから二十六万の小売店の方にも事後に申し上げたという感じですから、その点については手続は間違っているとは言えないにしても、私も、私としたことがこんなことをしなければならぬようになったなという自問自答、大反省をしております。 それからもう一つの問題は、地方財源のためだったから、国がこれで一銭も取ろうとも思いませんからというので、地方行政委員会等では幾らかの許容されるムードといいますか、そういうものも時には感ずるわけでございますものの、もう一つは、今御指摘のありました百一国会で明快に附帯決議がなされておるわけであります。基本的に私は、これが附帯決議に反するものだとは必ずしも思わないにいたしましても、やはりこの問題というのは重要だから、したがってこの問題についてはまさに一年限りの限時措置として臨時異例の措置でございます、こういうことをあえて申し上げておるわけでございます。去年、補助金等につきまして、臨時異例の措置としましても一年間の暫定措置であって、将来の問題はその後考えるということを申してきましたが、この分につきましては、私の発想で単純延長するとかいうようなことはできる性格のものではないな、やはり臨時異例の措置として許容していただいて、実際それだけのものを、赤字公債を増発するかどうか悩んだわけですから、そしてこの問題についてはまだ審議にも上っておりません。いわゆる間接税、地方税のあり方というようなことで税調の本格審議の中で将来の問題は決まっていく問題ではなかろうかと思っておるところでございます。
○兒玉委員 今後の課題としていろいろの注文があるわけでございますが、御承知のとおり、たばこ消費税、国鉄運賃、それから消費者米価、大学の授業料、こういう一般大衆が負担する料金の徴収が軒並みに占めておるわけであります。こういうことを真剣に考えるならば、大蔵当局としては全体的な国民負担増ということについてもう一段の努力が必要じゃなかったのか。これについて見解を承りたいと思います。
○竹下国務大臣 総理がお答えしましたときに、金額は二千四百億円だから、いわば毎年お願いしております摩擦的な程度だから、臨調の申します「増税なき財政再建」の増税には厳密に言えば当たらない、こういうことをお答え申しておりますが、いずれにせよ、租税負担率プラス社会保障負担を足したものが国民負担率といたしまして、その国民負担率というものはヨーロッパのそれよりはかなり下にとどめなければいかぬ。今日本が三六%、ヨーロッパが最近は五五ぐらいになりましたか、それこそ負担するのも国民、受益者も国民でありますだけに、それは今後一番大きな国会の議論になるところであろうと思います。 それに、今おっしゃいました受益者負担に関する問題と公的支出とどう調和するかということも一つの大きな政治課題であろうと思います。したがって、今、財政不如意と申しますか、租税負担というものによって公のサービスの中へある程度受益者負担の考え方が入っていくのはやむを得ないと思いますものの、どの辺が適当であるかという問題はまさに政治課題であると受けとめております。
○兒玉委員 たばこ産業組合の六十年度の収入予定が二兆六千八百億と書かれてあります。それから六十一年度は二兆八千百億。それで六十年度の純利益は九百三十億、それから六十一年度見込みは六百八十億。結局六十年度よりも二百六十億利益が減っているわけです。 この利益が減っていることはどういう関連があるかといいますと、まずたばこ産業組合のいわゆる要員削減、それから同時に、たばこの消費が減るということはそれだけたばこ耕作者にも重大な関係がある。同時に輸入たばことの関係もありますが、そういう点から大変な経営難に陥るのではないかということでございますが、この辺の関連についてどのようにお考えであるのかお伺いしたいと存じます。
○水野政府委員 今回のたばこの税率の引き上げに伴う価格の引き上げが、現在のいろいろ厳しい状況にございますたばこ需要の状況にどのように影響するかにつきましては、今回の措置に際しましてもいろいろ考えたところでございます。しかし、いろいろな価格体系等の対処の方法のいかんにもよるところでございますが、全く影響がないということは私ども考えてはおらないわけでございまして、その点につきましては厳しい見積もりと申しますか見通しは持っておりますが、たばこ産業株式会社、それから担当の私どもの理財局といたしましても、そのあたりにつきましては適切に対処してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
○兒玉委員 局長は大して問題はないように受けとめているようでございますが、少なくともたばこ産業労働組合にとっては合理化対策というものは必然的に発生するのではないのか。それからたばこ耕作者についても、去年でしたか、五千ヘクタール耕作面積が減っております。さらにこれに輪をかけるような形ができてくるのではないかという懸念がございます。そういうことからも、全体的な立場からこういうふうな労働条件、あるいは今まで何十年にわたりたばこ耕作に専念したたばこ耕作労働者、こういうこと等についていささかの懸念もないのかどうか、このことについて見解を承りたいと存じます。
○水野政府委員 先ほども申し上げましたように、今御指摘のように、私ども影響が全くないというふうには考えておりませんで、やはり内外の動向等を勘案いたしますと、たばこの消費にある程度の影響が出てくるということは私どもも考え、また今回の税収見積もりにおきましてもそういった点は配慮しながら作業をいたしておるところでございます。 しかしながら、先生の今の御指摘にもございましたように、日本たばこ産業株式会社におきましても、昭和六十一年度消費税の引き上げ後の見通しでございますが、七百億円程度の経常利益は見込んでおるところでございまして、いろいろと経営の効率化、多角化等を推進することによりましてできる限りそうした影響を吸収するように努力がなされるものと私ども期待をいたしておるところでございます。
○兒玉委員 それで、今後の問題として、先ほど大蔵大臣は、今年度限りの臨時措置だというふうに言われておりますが、果たしてそのまま信用していいのかどうかということが第一点です。 それから特に、今回の例はとにかく政府税調の十分な審議を経ないものであり、財政民主主義の立場からもなかなか問題がある。今後税制改正に当たっては、事前に税調等の場において産業界の意見も十分に徴し、可能な限りその意見を反映させるべきではないのか。これについて見解を承りたいと思います。
○竹下国務大臣 確かに御指摘のとおりでございまして、ことしの場合は臨時異例の措置というか、手続上も臨時異例であったと思います。したがっておわびを申し上げておるわけでありますが、来年度どうするかという問題は、税調そのもので恐らく四月以後御審議の対象になる問題ではなかろうか。その場合には産業界、製造独占とはいえ日本たばこ産業がございます、そして世界一の労使関係だと私は思いますが、その世界一の労使関係の中で恐らくいろいろ合理化対策を御議論なさると思います。 それからもう一つは、減反を余儀なくされる耕作者の方との人間関係は今非常にうまくいっていると私は思っております、これは監督官庁というよりも株主として見ておりますと。しかし、これは慎重な上にも慎重を重ねていくべき問題だ。もちろんたばこ消費税でございますから外国の輸入たばこも同じほどかかるわけでございますけれども、今水野局長が答えましたようにことしも若干の値上げによる減収が初めから予測されるくらいでございますので、そういうことも総合的に勘案しながらきょうの議論を税調にお伝えして、これは本当に慎重の上にも慎重に抜本策の中でその位置づけをしてもらうことではないかなというふうに思っております。
○兒玉委員 局長にお伺いしますが、今後の増税に伴って産業界への打撃に対する政府の責任ある対応策、さらには新会社の業務量縮小に伴う会社財務の悪化、あるいは先ほど大臣も答弁しましたけれども労働者、耕作者の影響あるいは日本たばこ問題等の影響について非常に憂慮すべき事態があると思うのですが、それについてどういうふうにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
○水野政府委員 先ほど御答弁申し上げておりますように、今回の措置によりまして、それからまた現在の内外の経済情勢をも勘案いたしますと、少なくとも国内産紙巻きたばこにつきましてはその消費の動向に影響の出ることはやはり確かであろうと思われます。そういった点からいたしまして、私ども、今回の負担引き上げ措置を講じます際におきましてもいろいろとたばこ産業株式会社なり監督の立場にある理財局等とも省内でいろいろ相談はいたしたところでございます。そうした点につきましては、先ほども申し上げたところでございますが、極力経営の効率化、多角化、こういったものを推進することによりまして、葉たばこ耕作者、流通関係者、こういった方々への影響をできるだけ吸収してまいるように大蔵省といたしまして全体として努力をいたしてまいりたい。私どもとしても、そういったたばこ産業株式会社を指導監督する立場にある大蔵省の一環といたしましてまたそうした方向で努力をいたしたい、このように考えておるわけでございます。
○兒玉委員 最後になりますけれども、現在、たばこ産業の従業員、組合員は何名であり、またたばこ耕作者の数と耕地面積は何ヘクタールあるのか、それをお聞きしたいと思います。
○水野政府委員 たばこ産業株式会社の職員数といたしましては、技能一般職、技能(一)職と申しますか製造に関係いたしております職員の方々といたしましては、五十九年度に一万一千五百三十八人というふうに私どもお聞きをいたしております。 耕作面積でございますが、五十九年度の許可面積といたしましては五万三千七百四十三ヘクタールであると私どもお聞きをいたしておるところでございます。 耕作者といたしましては、五十九年度の数字でとりますと八万八千九百六十二人、こんなふうにお聞きをいたしているところでございます。
○兒玉委員 大蔵省の所管にある全国のたばこ小売販売者は。
○水野政府委員 先ほど大臣からも御答弁申し上げておりますように二十六万店というふうに言われておりますが、五十九年度といたしましては二十六万三千五百五十八店というふうに相なっております。
○兒玉委員 大臣がお立ちになりましたけれども、やはり今日のたばこ消費税の決定についてはいろいろと問題がありましたが、今後こういうふうな国民生活に関係の深い値上げ等については、関係団体あるいは小売人、それにたばこ産業組合、それからそこに勤務する労働者、こういうふうな多面的な立場からの意見を十分尊重して決定すべきではないのか、こういうふうに感ずるわけであります。そういうことを十分肝に銘じて今後誤りのない対応を強く要望し、せっかく政務次官もお見えでございますので、最後に見解をお聞きしまして私の質問を終わります。 〔堀之内委員長代理退席、中西(啓)委 員長代理着席〕
○熊川政府委員 先生御指摘のとおり、一方においては民間活力の活用というものがあろうかと思います。また他方においては、実質的な負担となるようなものは極めて慎重に配慮すべきである、こういった基本的なスタンスはやはり堅持しなければならないというのが一つ。さらにまた、実質的負担になるようなもの、あるいは税というようなものは、国会の審議を慎重に仰いで行うというスタンスが必要であろう、こんなふうに思っております。 しかし、今回のものは、従前の専売公社のころの実質的な負担と移行後の国または地方のたばこ消費税の合算というようなものが大体均衡していること、それから、地方の財政拡充の一環という非常に特異な、また臨時的な配慮もあったというようなこともございまして、総合勘案して、非常に難しい事情ではございましたが特段の御理解を仰いで御了承を賜りたいと存じます。 今後は先生の御趣旨というものを十分踏んまえて行動すべき、重要な御意見と拝聴いたしました。
○兒玉委員 終わります。
○中西(啓)委員長代理 柴田弘君。
○柴田(弘)委員 租税特別措置法の改正という一番大事な法律で、各党を代表するトップバッターで公明党を代表しては私が質問させていただくわけでありますが、そこに肝心かなめの大蔵大臣がお見えにならない。本当は、ここで大臣がお見えになるまで休憩すべきだと私は思うのですが、委員長初め皆さん方のたっての要請でありますので質問させていただくことになりました。今後はこういうことのないように、ひとつくれぐれもお願いしたいと思います。 私がまずお聞きしたいのは、ここ十年間、あるいは五年間でも結構でありますが、「増税なき財政再建」という観点から、租税負担率は一体どのように上昇してきたのか、それから、それぞれ税率の引き上げ等々で各年度増税いわゆる税制改正が行われてきたわけでありますが、そういった推移は一体どういうものなのか、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○水野政府委員 御承知のように、今年度におきますところの租税負担率は、国税といたしましては一五・七%とされておるところでございます。地方税を推計いたしますと九・四%でございますので二五・一%、合わせるとそういう数字に相なるわけでございます。これをさかのぼって見てまいりますと、補正後の数字でございますが六十年度が二四・八%、その前の五十九年が二四・三%、五十八年が二三・七%、このような数字と相なっておるわけでございます。 五十七年度以降、「増税なき財政再建」ということで予算編成をし、税制改正も進めてまいっているところでございますので、五十七年度以降におきましては大きな税の変革はいたしておりません。しかしながら、租税負担の公平という観点からの是正措置あるいは若干の増収措置等を毎年講じさせていただいておりますが、それはおおむね税収の一%程度の範囲でございます。例えば六十一年度は国税といたしましては三千百八十億円の増収措置でございますが、六十年度は二千八百九十億円、五十九年度は六百五十億円、五十八年度は七十億円というふうに、おおむね三千億円内外と申しますか、それより未満のものの改正増収と相なっておるわけでございます。 〔中西(啓)委員長代理退席、笹山委員 長代理着席〕
○柴田(弘)委員 今主税局長は、増税は税収の一%程度なんだ、だから一%以内なら「増税なき財政再建」に抵触しない、たとえ租税負担率が上昇しても、こう言われる。このことに私は今率直な疑問を感じたわけであります。 そこで政務次官にお尋ねをしたいわけであります。本来ならば大臣がお見えになったらお尋ねしたいところですが、悪く思わぬでください。「増税なき財政再建」というのは一体どういうことでしょう。
○熊川政府委員 難しい問題ですけれども、現行の税制の枠の範囲内における財政の再建、こういうふうに理解しております。
○柴田(弘)委員 現行の税制の枠内における再建、こういうことでいいのですか。
○水野政府委員 従来、臨調答申におきますところの「増税なき財政再建」という大きな方向の中で税制改正が行われてまいっております。その趣旨はただいま政務次官から申し述べたところでございますが、これを従来から言われている言葉に即して申しますと、「増税なき財政再建」とは、当面の財政再建に当たっては、何よりもまず歳出の徹底的削減によってこれを行うべきであり、全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらないというふうにたびたび、五十七、八年代から申し上げておりまして、大体この線が「増税なき財政再建」につきましての基本的な定義というふうに私ども承っているところでございます。
○柴田(弘)委員 そうしたら、疑問点は二つあるのですよ。今主税局長から答弁をいただいたわけでありますが、現実に私、昭和五十一年度からの税制改正に、よる増収分、あるいは減税もあるわけでありますが、見てまいりますと、昭和五十一年度は、自動車関係諸税の税率の引き上げ、また租税特別措置の整理合理化ということもありまして、平年度が三千八百三十億円、初年度が千八百九十億円。昭和五十二年度は所得税の減税が行われましたが、結局租税特別措置あるいは印紙、登録免許税等の引き上げによりまして、平年度八百十億円、初年度千八百五十億円の増税になっております。 〔笹山委員長代理退席、委員長着席〕 それから昭和五十三年度は石油税の創設がされました。平年度二千百七十億円、初年度千六百二十億円。まさしく税制上の新たな措置がここで講ぜられた。新しい税目がふえたわけであります。それで、酒税の税率の引き上げ、あるいは租税特別措置の整理合理化等によりまして、平年度四千八百四十億円、初年度三千六百九十億円の増税であります。昭和五十四年度も、揮発油税の税率の引き上げ、航空機燃料税の税率の引き上げ、租税特別措置の整理合理化、こういうことで平年度六千二百七十億円、そして初年度四千三百四十億円。それから昭和五十五年度は、給与所得控除の見直し等々で平年度が三千九百二十億、初年度が三千五百十億円。昭和五十六年度は、これはもう多少の所得税の減税が行われた、あるいは中小法人の軽減税率の適用所得限度を引き上げて多少の法人税の減税がなされたわけでありますが、結局印紙税、有価証券取引税の引き上げによりまして、これは平年度一兆五千四百四十億円、それから初年度が一兆三千九百六十億円。昭和五十七年度は、平年度が三千四百八十億、初年度がこれも同じく三千四百八十億円ですね。それから五十八年度、これは平年度が三百三十億、初年度も三百三十億。それから五十九年度が、これは所得税減税が行われたわけですが、結局差し引き平年度が千三百四十億円、初年度が六百七十億円。昭和六十年度は、これは平年度が二千百四十億円、初年度が三千百六十億円。それから六十一年度が、平年度が千五百四十億円、初年度が三千四百十億円、こういうことになっておる。これで十一年間合計しますと、国民の立場から見れば、こういう単純な平均がどうかと思うのですが、率直に言ってこの十一年間平均で平年度が四兆三千九百四十億円、初年度が四兆二百九十億円という、いわゆる税率等の引き上げあるいは石油税等の新税の創設等々によって増税、増収が図られている。 そして一方、租税負担率も、昭和五十一年度一九・〇、昭和五十二年度一九・三、昭和五十三年度二一・三、昭和五十四年度が二一・八、昭和五十五年度が二二・二、昭和五十六年度が二三・〇、昭和五十七年度が二三・三、昭和五十八年度が二三・七、昭和五十九年度が二四・三、昭和六十年度は、これは見込みでありますが、今主税局長から御答弁がありましたように二四・八、六十一年度見通し、これも見通してありますが二五・一。この五十一年から六十一年の間に六・一%上がってますね。それから、五十七年のいわゆる「増税なき財政再建」が掲げられてからも一・八%、租税負担率が着実に上昇をしている。 でありますから、臨調が言っております、要するに「全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらない」、こういうことでありますが、私は、「増税なき財政再建」、いわゆるこの「増税なき」というのはもうこういった実態を見ても有名無実になっているのではないか、こういうことを思うわけでありますが、まだ「増税なき財政再建」の基本原則に合ってますよ、こういうふうに強弁されるのですか、どうなんでしょう。
○水野政府委員 五十一年度以来の税制改正、それから負担率の推移、先生御指摘のとおりでございます。 ただ、まさに先生が挙げられました税制改正、五十一年から五十六年までの間を見ますと、毎年度の税制改正の規模は数千億から一番大きいのは五十六年度の一兆五千億円程度にまで及んでおったわけでございますが、その時点におきまして五十六年の春から「増税なき財政再建」という方向が大きく打ち出されたわけでございますので、その後の税制改正の規模は大体三千億円どまりの規模でございますし、また先生御指摘のように、その後におきますところの負担率の上昇は国税、地方税合わして一・八%というふうに御指摘のとおりでございます。 「増税なき財政再建」につきましては、先ほども申し述べさせていただいたわけでございまして、これは新たな税制上の措置はとらないということから、自然増収によります税の増加分につきましては「増税なき財政再建」の措置ということとは一応関係がないのではないか。したがいまして、自然増収分がかなりこの負担率の上昇分の中には含まれておるわけでございますので、その点はお許しをいただけるのではないか。 それから、基本的にはこうした措置をとらないということでございまして、俗に言われますところの、税制改正におけるでこぼこ調整と言われておるわけでございますが、負担の公平の確保といった点から毎年少しずつの改正措置が行われ、あるいは若干の増収措置が講じられておる。そういったものは、程度の問題はあろうかと思いますが、基本的にはこうした負担率を上げるような新たな措置はとらないという解釈からいたしまして、こうした傾向、現在までの方向といたしましては、「増税なき財政再建」の方針にはおおむね合致しているのではないか。私ども、「増税なき財政再建」ということを厳密に言葉一つ一つで定義して、ここまではどうであるとかというふうに解釈論的に申し上げるつもりはございませんが、大きな方向としてはまずまず「増税なき財政再建」という大きな方向の中で税制改正作業をさしていただいてきているというふうにお答えをできるのではないかと思うわけでございます。
○柴田(弘)委員 とにかく、先ほど申しましたように何兆という増税、増収であるわけですよね。五十七年度から見ても、これはもう何兆円というふうに迫っているわけであります。 率直に言いまして、この「増税なき」の増税というのは、今政務次官からもそれなりの見解が示されたわけでありますが、それはそれとして、国民の立場から見ればどうなんでしょうね。やはり、所得税の実質増税による自然増収、これだって直接響いてくるわけじゃありませんか。それから新税を設けることも当然そうです。新税を設けなくてもその税率が上がってくる、あるいは物品税においてこの対象が拡大をされる、そして増税、増収になってくる。やはり率直な国民感情からすれば、私は、こういったものも増税である、こんなふうに思うわけです。それを大蔵省はここ数年来、臨調のこの答申を持ち出して、まあ一%以内だからこれはでこぼこ微調整をしたんだ、だから何だということをおっしゃっているわけでありますが、国民の率直な目から見たら、「増税なき財政再建」とはいうものの、これはずっと増税である、税負担が着実に上がっている、こういうふうに私は言わざるを得ない。 これは本来大臣に聞くべきでありますが、政務次官どうでしょうかね、国民の目から見て。
○水野政府委員 現在の税制といたしましては所得税が税制の中心でございますし、法人税もかなりなウェートを占めているわけでございます。その中で特に所得税につきましては、日本の所得税制は、外国ともほぼ同じでございますが、所得控除あるいは累進構造制度をとりますところからいわゆる弾性値というのがかなり高く、年々の自然増収と申しますのは、所得税について申しますと所得の伸び以上のある程度の速さで伸びる。そこらあたりから自然増収はかなり大きくなるという傾向があるわけでございます。したがいまして私どもといたしましても、所得税につきましては増収分がすべて自然に増収になったものだというふうには受け取ってはいないわけでございます。 昭和五十八年の税制調査会の中期答申におきましても、そうした点を考えますと負担の急激な増加やゆがみをもたらさないように数年に一度はその見直しを行う必要があるというふうに指摘がされておるところでございます。こうした趣旨からいたしまして、また実際を見ましても、五十二年度以来本格的な減税が行われていなかったわけでございますが、五十九年度に一定の規模の減税が行われ、さらに今後、税制の抜本改革の中で所得税を中心とした税制のゆがみ、ひずみ、重税感、重圧感等の見直しが現在行われておるというところでございます。 ただ、現時点のような財政事情でございますので、全体としての負担の水準からいたしますと、昭和五十七年に「増税なき財政再建」という大きな方向が打ち出された後におきましても、若干ずつの負担の上昇はございますが、現在の財政状況等からいたしまして、この程度の水準の推移は大きな「増税なき財政再建」の方向から外れるものではないのではないか、このように考えておるところでございます。
○熊川政府委員 ただいまの局長と実質的には同じに理解しておりますが、やはり柴田委員も御理解いただいておると思いますが、「増税なき財政再建」というのは基本的な理念あるいはファンダメンタルなプリンシプルとしてあるもので、全くふえてはいかぬということではないと御理解のことと思われます。したがいまして、若干のでこぼこの調整とかあるいは自然増収とか、時にまた政策減税などがあった場合の総合的な判断のもとに、足りなければ増税でもって賄うという安易なスタンスを厳に規制するというその基本姿勢と理解させていただけたらありがたいと思います。
○柴田(弘)委員 苦しい答弁をなさっておる。これ以上私は質問しませんがね。 主税局長、あなたは、でこぼこ調整だ、それで今財政上からいって苦しいんだからこの程度の微調整の増税は「増税なき財政再建」に抵触しませんよ、これは私は大蔵省流の勝手な解釈だと思う。 それなら聞きたいのだが、あなたは今一%程度ならいいよとおっしゃった。確かに四十兆、この税収の中で一%だから四千億ですか、まあまあその程度ならいいですよと。二千四百億円のたばこ消費税も、この間の本会議の私の代表質問に対して、中曽根総理はこれは微調整だとおっしゃった。であるならば、一体何%を超えたら「増税なき財政再建」に抵触するのか、増税になるのか、それから金額的に言ってそれは何兆円を超えたら増税になるのか、これはやはりはっきり示さなければいかぬと思うよ。そうでしょう。ひとつ明確にしてくださいよ。明確にしてもらわなければストップする。
○水野政府委員 ただいま政務次官から御答弁ございましたように、「増税なき財政再建」、これはいわば言葉だけの問題ではなくて、今後の財政運営のための大きな一つの理念をここで言っているものであるというふうに私ども理解させていただいているわけでございますので、これが何%になり何千億円になったらこの原則と反することになるというふうに厳密な定義といったものを私どもは考えておるわけではございません。 ただ、先ほど申し上げましたように、「増税なき財政再建」が打ち出された後の増収の規模が三千億円程度で、おおむね税収規模の一%ぐらいになっておる。したがいまして、六十一年度におきましても三千百八十億円でございますので、従来この三、四年間の経緯を見ましても、この程度の規模のものであれば「増税なき財政再建」に外れるということでもないのではないかというふうな点を先般の本会議の趣旨説明の際にも政府の方から御答弁がされたというふうに理解をいたしておるわけでございます。
○柴田(弘)委員 納得できませんね。 委員長、今お聞きのように、私の質問に対して、初めは、この程度の増収は「増税なき財政再建」に抵触しない、それは税収の一%程度なんだ、微調整なんだ、しかも財政が苦しい、その財政上から見てこれはやむを得ぬことだ、当然のことだ、こうおっしゃった。ところが今御答弁を聞くと、「増税なき財政再建」というのは理念を言っているものだ、こういうことを今おっしゃったわけですよ。こう言えばああ言う、ああ言えばこう言うということで、これは明らかに私は矛盾していると思います。だから、一%程度というなら、じゃ百歩譲って、「増税なき財政再建」に抵触するのはいわゆる税収の何%なのか、それから臨調で言っているいわゆる租税負担率の上昇というのは、何%上昇したらそれは「増税なき財政再建」に抵触するんだ、これはやはりはっきり明確にする必要があると私は思う。それを理念理念と言われた答弁。こう言えばああ言う、ああ言えばこう言う答弁で逃げられておったら、私はこれ以上質問する気はありません。というのは、これは大型間接税の問題をこれから本命で質問しよう、こういうことでいろいろ聞いているわけです。大事な問題でありますから、しっかり答弁してもらわなければ、明確にわかりやすく答弁してもらわないと、これ以上質問を続けられません。
○熊川政府委員 柴田委員が国の財政の長期的展望と私たちの子供や孫のことまで考えて、世代間の公平というようなことまで考えて、厳しいといいますか厳格なというか、正すべき基本的な姿勢というものに情熱を注がれている点は、私たちもいたくわかるわけであります。 しかし、御案内のとおり、また委員十分おわかりの上での御質問であるわけでありますが、「増税なき財政再建」というのは全く基本的な原理でありまして、その基本的な原理の上に、ファンダメンタルなプリンシプルの上に幾つかのルールができてくるわけですから、その小さなルールの中ですと、あるいは一定の額を明示するというようなことも望ましいかもしれませんが、これはスタンスの問題であるので、これがパーセントというふうに余り厳しくせられないところに原理の原理たるゆえんがあるのではないか、こんなふうに思いますし、時に触れGNPの問題あるいは緊急度の問題、さらには財政の抜本的な改正、政府税調のその時期あるいはこの傾向、随時の答申のこの姿勢、こういうようなものを総合的に勘案しての現段階における政府の姿勢ですので、この辺も温かく御理解いただきたいと思います。(「休憩だ」と呼ぶ者あり)
○柴田(弘)委員 しゃべりますがね。水野さん、あなたは初めからこれは理論ですよとおっしゃっていただけば、私はそこまで言わないんですよ。一%程度とはっきりおっしゃったでしょう。だから逆に、ああそうですか、一%程度の増収ならこれは財政再建に抵触しませんか、百歩譲って、そうですかとお聞きをして、それなら何%ぐらい飛び出たらこれは財政再建に抵触しますかと、当然後で質問せざるを得ぬじゃないですか。そう言ったら、いや、これは理念ですよと。政務次官はファンダメンタルズの上にプリンシプルがどうのこうのと言って、まあそれは熊川さんらしい御答弁だと思います。私は次官に聞いておるわけじゃないから御安心ください。しかし、これははっきりしなければいかぬですよ。こういう点をはっきり出さなかったところに、ずっと何年来増税をやってきたのですよ。そしてもう一つ言わしてもらえば、それが税のひずみ、ゆがみ、重圧感になってきたわけじゃありませんか。だから抜本的な税制改正をやるのだ、こういうことになったのでしょう。その原因がそこにあるということはわかっているわけでしょう。どうなんですか。
○水野政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、この抜本改革は昭和五十九年十二月の政府税制調査会の答申から始まっておるところでございまして、いろいろな部分的な手直し、部分的な増収措置、こうしたものを重ねておってはまさにゆがみ、ひずみも生じ、これ以上のそうした措置を続けることはできない、そういうところから抜本的な改革に着手すべきであるというふうに税制調査会で指摘があり、それを受けて現在その作業が行われているところでございまして、その点は委員御指摘のとおりであると私ども考えております。 なお、先ほどの「増税なき」の規模との関連でございますが、決してあちらを言ったりこちらを言ったりということで申し述べたつもりはございませんで、従来から理念であるというふうには言われ、私どももそのように理解はいたしてきておるところでございます。ただ、五十七年度以降の改正の規模、数字等につきまして先生からも御指摘があり、私どもも、今までの程度のものはおおむね「増税なき財政再建」にはもとらないというふうに扱われてきておりましたので、この程度のものと申しますかこうした水準のものでございましたら大きくはそれないのではなかろうか。それは大体一%以内におさまってきているわけでございますので、そうした点を若干数字に関連させて御答弁させていただいたわけでございまして、違ったことを申し述べたつもりはございませんので、御理解をいただければと思うわけでございます。
○柴田(弘)委員 理解はできません。この問題は留保いたしまして、あと大事な問題がありますから、また改めてやろうと思います。 そこで、大型間接税、この導入はいわゆる「増税なき財政再建」に抵触しないかということです。先ほど来からお話がありますように、全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらない、これが「増税なき財政再建」でありますね。であるならば、大型間接税を導入しても、増減税同時に実施をして租税負担率が上昇しなければこれは「増税なき財政再建」に抵触をしない、こういうことを言うことができますか。これは大事な問題ですから、はっきり答えてください。
○水野政府委員 大型間接税につきましては数年来御議論はございますが、現在の時点での税制改正作業といたしましては、とにかくゆがみ、ひずみを見つけ、それに対します是正措置を講ずるというのがまず第一の課題であるというふうにいたしまして作業が進められているところでございますので、大型間接税等の問題につきましては現時点では全く白紙でございます。 したがいまして、そうした点に関連いたしましての御議論というのは非常に難しいわけでございますが、この点につきましては、昨年の参議院の予算委員会でございますか、若干の御議論がございまして、これにつきまして大臣から申し述べております御答弁といたしましては、全体として租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たなる措置、それはすなわち、租税負担率の上昇をもたらすような新たな税目を設けるということはしないというふうに、この「増税なき財政再建」における増税の意味はそういうものでございますというふうな御答弁を申し上げているところでございます。したがいまして、あくまで租税負担率の上昇をもたらすようなものを設けるということはこれとは若干そごを来すのではないか、そういうふうなニュアンスの答弁がされているところでございます。
○柴田(弘)委員 さっぱりわかりません。だから、初めの議論から私は何%だということを聞いておるわけですよ。租税負担率の上昇をもたらすようなということですね。そうすると、大型間接税を導入しても租税負担率が上昇しなければこれは「増税なき財政再建」に違背しないのか、抵触しないのか、こういうことをお聞きしているわけですよ。ところが、それは理念上のことであり、租税負担率が多少上昇してもそれはいいですよというふうにまた後逃げられるといかぬものだから、私はここできちっとしていかなければならぬと思っているのです。 だから、端的に聞きますよ。もう一回同じ質問をします。大型間接税を導入しても——つまり税制上の新たな措置をとる、こういうことですね、新しい税目をふやす。それを導入しても、租税負担率が上昇しなければこれは「増税なき財政再建」に抵触しませんよ、こういうことですか。
○水野政府委員 やはり同じような御答弁になるかと思いますが、大型間接税なり一般的な消費税といった問題は現時点ではまだ白紙でございますので、そういう点に立ち入っての御答弁はいかがかと思うわけでございますが、端的に今の御指摘、御質問に関連してお答えをいたしますとすれば、全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置は「増税なき財政再建」とそごを来すのではないかというふうにお答えを申し上げるのが現時点での限界ではないかと思うわけでございます。
○柴田(弘)委員 委員長、お聞きのように私の質問に明確に答えてませんよ。端的に言ってもらえばいいのですよ。何も参議院における大臣の見解なんて、もう二年前の話なんだ。いよいよ抜本的な税制改正をやる、六十二年度からどうする、いろいろな問題がありますよ。あるいは「財政の中期展望」によっても、増税、大型間接税の導入を明らかに大蔵省は画策をしている。こういったいわゆる国民の大きな不安感、不信感というものがあるから私はお聞きをしているわけで、今の答弁では納得できませんよ、限界だなんて言って。それは国民が聞いたらどうしますか。私は委員長の御配慮で、お申しつけで質問してきたのですが、こんな答弁で引き下がるわけにはいきませんよ。
○水野政府委員 去年の九月にこの抜本的な税制改革を総理から諮問をいただきましたときに、総理からのあいさつの中で明らかにされておりますのは、今回の税制改革、これは「税収増を目的とするものではなく、また一方、現在の負担水準や財政状況等に顧みれば、税収減をもたらすものであってはなりません。」というふうにあいさつをいただいているわけでございまして、今回の税制改革作業は、税収の規模なり負担率というのは一応は横に置いておいて、税制それ自体につきましてゆがみ、ひずみを除去し、安定的な歳入構造を確保することであるというふうに指摘をされているところでございますので、今回の税制改革作業と負担水準、税収規模等と直接結びつけて考える環境にはない、税制改革作業との関連ではこのように考えておるところでございます。
○柴田(弘)委員 私は、税制改正の話はまだしていませんよ。 要するに、理論的な構成として、これから議論を進めていく場合に、大型間接税の導入については将来において非常に危惧感がある。「増税なき財政再建」を政府は貫き通そうと言っている。であるならば、その基準というのは一体どうなのか。端的に言うと、今大型間接税の導入をしても租税負担率が上昇しなければ、それは「増税なき財政再建」に抵触しませんか。するならする、しないならしないと答弁してもらえばいいわけです。
○水野政府委員 その点につきまして端的に御答弁申し上げるとすれば、いろいろ税目の組み合わせやあるいは制度の基本的な改革、もろもろございましても、租税負担率の上昇をもたらすようなものでなければ、それは「増税なき財政再建」には反しない、こういうふうに御答弁すべきものかもしれないと思います。
○柴田(弘)委員 初めからそう言えばいいじゃないですか。 そこがまた問題なのです。くどいように言いますけれども、政府が考えている次なる税制改正というのは増減税同時実施だ、そして税収増をもたらすものではない、「公平、公正、簡素、選択、活力」、こういった五項目、あるいはゆがみ、ひずみ、こういったものを是正すると体裁のいいことを言っているんだが、大型間接税の導入をもくろんだ税制改正であるということを私は言いたいわけです。 大型間接税というものは、いろいろな人が大反対と言っている。景気は低下する、物価が上昇する、そして有効需要は減退をする、あるいはまた低所得者に対する逆累進性、こういったものも大いに考えられるわけでありまして、これは断固私どもは反対であります。もしそれが「増税なき財政再建」に抵触しないという理由で導入されるならば、私はここで大反対であるということを明言しておきたい。これは大蔵大臣の政治姿勢を問うわけでありますが、そのように今ここではっきりと申し上げておきたい、私はこのように思うわけであります。 ちょっと大臣がおくれておるようでありまして、まだお見えになりませんので、次の質問をいたします。 主税局長、中曽根総理は税のゆがみ、ひずみ、重圧感ということをおっしゃっているわけですね。そのための税制改正だということをおっしゃっている。これは具体的に言ってどういうことですか。
○水野政府委員 今回の税制改革を進めるに当たりましての最初の諮問にもございますように、現在の税制の基本は、昭和二十五年におきますところのシャウプ改革以後約三十五年を経過しておるわけでございます。その間の社会経済変動は非常に著しいものがあるわけでございますので、そうした社会経済動向の変動を受けて税制が必ずしもそれに即応してきていないという点が、ゆがみ、ひずみ、抽象的に申し上げればそういうことではないかと思うわけでございます。 この点につきましてさらに具体的に申し述べますならば、三十五年、四十年近く経過いたします中で、社会経済構造、特にその中におきますところの産業構造、就業構造等が大きく変化をいたしておるわけでございます。シャウプ勧告の当時は、税収規模からいたしましても、申告所得税と源泉所得税、ほとんど同じくらいの規模だったのでございますが、今は圧倒的に源泉所得税の方が大きくなっている、また、雇用構造の変化に税制が十分即応しているかどうか、こういう産業構造、就業構造に対しての税制の即応が十分かどうか、端的に申し上げれば、サラリーマンの税負担につきましてシャウプ勧告の当時は十分な配慮がなされていたのかどうかといったあたりが一つの問題点になろうかと思うわけでございます。 一方、所得水準の動向から申しますと、昭和二十年代、三十年代におきましてはなお所得格差といったものが大きく感ぜられたわけでございますが、その時点に比べますと、第一分位、第五分位を比較いたしましても二倍から三倍程度の枠内に入ってしまうということからいたしますと、現在の所得の分配構造というのはかなり平準化いたしてきておる。所得税を中心といたしました現在の税制構造がそれに即応したものとなっているかどうか、そういった点もあろうかと思うわけでございます。 それから、所得の平準化に伴いまして消費も平準化、高級化いたしておるわけでございます。現在の間接税の体系といったものがそういったものに十分即応しているのかどうか、こういった点も一つの問題点になろうかと思うわけでございます。 また、当時といたしましては、我が国の産業構造からいたしまして、資本蓄積といった点が非常に重点とされた、そういったものに対するいろいろな政策的配慮が行われてきていることが現時点での政策的なあり方として問題を生じていないか、大きくはこんなあたりが三十五年間におきますところのゆがみ、ひずみのあり方ではないかというふうに指摘されているわけでございます。
○柴田(弘)委員 いろいろ長々と御説明を受けましたが、六十二年度以降の税制改革骨子ですね。これは二月下旬から政府税調で始まる、こういうことであります。事務次官と主税局長が一月二十二日、中曽根総理に、税制改正はこういう方向でやるように税調に審議してもらいますよ、こう報告された、そして了承を受けられた、こう聞いておるわけなんですね。これは事実ですか、簡単にお答えください。
○水野政府委員 一月二十二日に次官と総理のところにお伺いしたことは事実でございます。ただ、この日におきましては、新しい年におきまして、今後税制調査会の運営についてどのような日程で進めるべきか、そこらにつきまして御説明を申し上げ、了承を得たということでございまして、二十二日の日におきまして、改革の方向、その中身、そういったものにつきまして御了解を得たということはございません。
○柴田(弘)委員 大蔵大臣、お待ちしておりました。 大蔵大臣、今長々と議論をしてきたのですが、「増税なき財政再建」は臨調答申でも言ってみえる。要するに租税負担率の上昇をもたらすような新たな税制措置をとらない、こういうことなんですね。問題は大型間接税。今主税局長は、租税負担率が上昇しなければ、仮に大型間接税を導入してもこれは「増税なき財政再建」に抵触しないか、私がこう質問したら、仰せのとおりでございますと言われた。もうストップしようかなと思ったのですが、三回目か四回目に答弁された。端的にどうですか、しませんか、しますか。
○竹下国務大臣 結局、理屈を言えば、恐らく幅の広い、いわゆる物品税の範囲が広がるというような場合は新税とは言えないかもしれません。だから俗に新税と言われる、新たなる税目という場合には、今の「増税なき財政再建」というものでは禁止されておるというと言葉はおかしいのですが、臨調の言っている「増税なき財政再建」の範囲を出ていく。しかし、いわば課税ベースの拡大とかいうようなことは、あるいは新たなる税目ということには入らないかもしれないというふうに思います。
○柴田(弘)委員 ますますわからぬようになってきた。僕は端的に聞いておるんですよ、大臣。今、防衛の集中審議からこちらへお見えになったから、頭の切りかえがなかなかできぬのかもわからぬが。 大臣、要するに初めの議論を言いますと、昭和五十一年度から、あるいは昭和五十七年度に「増税なき財政再建」と言われてから、ずっと増税してきておるわけですよ。あるいは所得税の実質増税もあるわけですよ。税率を引き上げたりいろいろやってきた。それで租税負担率も着実に上昇してきておる。これは「増税なき財政再建」に抵触しないか、こう聞いたら、これはしません、なぜかならば、今税収が四十兆何がし、当時は三十数兆円、増収分はこの一%程度だからこれは微調整ですよと。中曽根総理もこの間の私の代表質問に、今回のたばこ消費税の増税も、これは「増税なき財政再建」に抵触しません、ほんの徴調整でやらせてもらっただけだ、こうおっしゃったんですね。私どもは、国民の率直な感情からいって、やはりこれは増税だというふうに判断をしているのですが、そうじゃないと。わかりました、それを百歩譲りましょう。であるならば、「増税なき財政再建」のこの「増税」というのは一体何%以上いったら、あるいは租税負担率が一年間に何%上昇したらそれに抵触するのか、その数値を出しなさい、こう言ったら、いや、それは理念でございますと、うまいこと逃げている。 私もこんな質問をするのは初めてなのですが、今まではまあまあでやってきましたが、税制改正がいよいよ来年度から始まる。「増税なき財政再建」も、六十五年赤字国債脱却というものをもし本当に目指すならば、これは六十二度以降は大型間接税の導入ももくろまれるのじゃないか、こういう危惧感があるから私は今回こういう質問を根掘り葉掘りしたんですよ。そういう意味で私は聞いておるんですよ。だから大臣、あなたとはもう七年間おつき合いをしてきましたが、今までの柴田弘じゃなくて、きょうはちょっと違った柴田弘でございますので、どうかその辺のところをひとつ教えていただきたいのです。端的に言って責任がありますよ。この「増税なき財政再建」を守るには、この程度は「増税なき財政再建」に抵触しませんよ、これ以上上がったらこれはもう「増税なき財政再建」に抵触する、だから政府はこの範囲内でやりますよというものを出すということが一つ。そしてそこで議論する。これは僕は納得しませんけれども、まず議論をする。国民的な皆さん方のいろいろな意見ももらう。それから大型間接税というものがよしんば導入されても「増税なき財政再建」に抵触しないと言うからには、租税負担率が上昇しなければ、あるいはこの程度の上昇ならこれは抵触しませんよというものがあるのか、その辺のところをはっきりと言ってください、こういうことを言っておるわけですよ。だから政策的に将来導入するかどうかという問題ではなくて、これは議論を詰めるいわゆる純理論的なお話として私はきょうは質問をしている、こういうことです。
○竹下国務大臣 だから、柴田さんという人間は存在しておるが、心の中でニューシバタになった、こういうニューシバタとしての質問ということでございましょうが、そもそも、あくまでも定量的に示し得るものではないではなかろうか、やはり定性的なものではないか。一いま一つは、臨調答申の中にありますように、租税負担率だけを議論するのではなくして、国民負担率として議論して、ヨーロッパのそれよりもかなり下回るところに位置づけるべきだ、こういうことが言われております。私も時にふっと感じますのは、あの当時はヨーロッパはまだ五〇%いっていない、今五五%ぐらいいっております。そうすると、ヨーロッパがかなり上がったからこっちも上げてもいいという論理にくみしてもならぬし、だからその国民負担率問題というのは、結局国会の問答などをしながらおのずからコンセンサスというものが生まれてくるものではなかろうか。租税負担率も大体それに等しいものではないか。私、いつも、一%は誤差のうちなんということを言わなければよかったと思うのでありますけれども、あれは言ってしまったのですけれども、別に省議で決めた数字ではございませんが、そういうことを絶えず念頭に置かなければならぬというようなことが、まあ摩擦的なものは一%以内というふうに何となくなっておるかもしれぬという反省をも含めながら、定量的なもので議論するということは非常に難しいということがやはり租税負担率であり、国民負担率ではなかろうかな、こんな感じでおります。
○柴田(弘)委員 先ほど申しましたように、まあ定性的なもので判断せよ、これは百歩譲りましょう。私は、本来は定量的なものでなければならぬと思う。大臣もそう思われると思うんですね、一%は誤差のうちだなんておっしゃっているのだから。やはりその思想が、主税局長が答弁をされた、まあ一%程度の増税でございますからこれは財政再建、こうなっているわけだな、まあ大体そうつながっておると僕は思う。私が百歩譲って、じゃ定性的に言って、「増税なき財政再建」とは臨調が言っている——これは私も認めましょう、臨調が言っていることを。要するに租税負担率が上昇をしなければ、大型間接税を導入しても、あるいは一般消費税その他売上税、庫出税、これはいろいろとあると思いますが、そういった間接税を導入しても、租税負担率がその以内におさまっておれば、上昇しなければ、それは「増税なき財政再建」には抵触しません、こういうふうに主税局長は答弁しちゃった。大蔵大臣も同じ考え方かということを、そうならそうだと言ってもらえばいいんですよ。だんだん時間がたっていっちゃってね。主税局長はもう僕の言うとおりだと言っている、そう煙に巻かずに。
○竹下国務大臣 やはり「増税なき財政再建」、その理念というのは一応整理されて臨調で話があり、瀬島代表が来て答弁された。我々としては、そういうところへ理念を置いているわけですね。したがって、非常に定量的なリジッドのものというか窮屈なものでは必ずしもないというふうに私は思います。ただ、新たなる税目が入って、それによって大きく変化するという場合には、臨調というのはもうなくなっておりますけれども、かって臨調に参画されたような人ももっともだなという感じをお持ちになるようなことは念頭に置いておかなければならぬのかなとは思っております。今行革審というのが残っておりますが、これもやがてなくなるということになっておりますだけに。だからあくまでも定量的なものではなく、そうしてまた、今税調でいろいろ議論しておられますから、まだ今のところ仮定の事実に基づいてお答えするということになりますので、その辺は、私としてもやはり慎重に、ミスター・シバタズ・ニュー・クエスチョンに対してニューアンサーというわけにはなかなかいかぬなと思います。
○柴田(弘)委員 私は、将来導入するかどうか、政策的な問題で聞いているのじゃないのです。だから言っているのです、一つの理論構成をしていくためにと。そういったふうに、臨調答申の理解の問題なんですね。だから、定量的というのは百歩譲りましょう。私もくどいんだね。大臣の答弁も煙幕を張ったようにあいまいなんだ。今までの私ならそれでそうかなと言って首をかしげてやめますけれども、ちょっとこれはやめられない。 ただ一言、大型間接税を導入しても租税負担率が上がらなければ「増税なき財政再建」に抵触しませんか。はい、しません、いや、します、これだけ、イエスかノーかで答えてください。
○竹下国務大臣 大型間接税というのが仮定の事実になるわけです。だから、新たなる税目によっても租税負担率が大きく変化しない、であったならば「増税なき財政再建」に反しないということは言えると思います。
○柴田(弘)委員 そういうふうに答弁してもらいたい。だから一番危惧されているのは、大型間接税の導入を抜本的な税制改正によって政府はもくろんでいるのではないか、こういった危惧が非常にあるわけです。後で税調では幾ら議論していただいてもいいと私は思う。ただ、それを導入するかどうかは政府の判断であると私は思う。私どもは大反対だ。先ほどもくどくどと言いました。所得の逆累進性、低所得者に対してこれはより一層響く、あるいは景気をますます不況に追い込む。物価高。しかもまだ、大型間接税というのは、一たん導入してしまえば、ちょうどたばこ消費税のように安易にその税率を変更することができる。それによって大きな税収をもたらす。大蔵省にとっては非常にありがたいことかもわからぬが、これは大反対だ。だから、この後に税調では幾ら議論していただいてもいいが、やはり大型間接税は導入しませんと……。しかも、一般消費税導入については反対という国会決議もあるわけです。財政再建にはあくまで「増税なき」を貫いていく、そういった国会決議を踏まえてこういったものに今後とも対応していくべきであると私は思うわけであります。大型間接税は絶対導入すべきではない。確約をいただけますか、どうですか。
○竹下国務大臣 今度は大型間接税という定義からの問題になりますが、やはりお答えする限界としては、総理がお答えしておりますように、網羅的、羅列的、普遍的、投網的なものはとりません、こう言っておりますので、それがお答えの限界でございましょう。私よりも偉い人がおっしゃっておるわけでございますから。
○柴田(弘)委員 これは将来の問題であるわけですから、ここでどうするかということはこれ以上追及しませんが、私はきょうのこの問題の議論を通して、政府の言っている「増税なき財政再建」というのは率直な国民感情からいってもう既に今までに破綻をしている、なおかつ、将来大型間接税の導入を画策して、そして財政再建をしていこう、こういった魂胆がありありと出ているということを一言申し上げて、私は次に進みたいと思います。答弁は要りません。これは私の感じであり、大蔵大臣がどういうふうに受け取っていただいてもいいわけです。 そこで、これは今まで質問で出ているかもしれませんが、昨日、与野党の六十一年度の予算修正問題が一応決着をいたしました。大臣、この与野党の修正は、一つは、「所得減税については、今国会中に各党間で合意を得るよう協議し、昭和六十一年中に成案を得る。」「住宅、教育、パート等政策減税については、できるだけ速やかに実施できるよう今国会中に実務者間で結論を得る。」三点、「内需拡大については、一層適切な経済運営に努めることとし、経済・景気動向の著しい変動に対しても財政金融措置をとるなど機動的な運営をはかる。」あと、四点目は社会福祉の充実の問題、第五点目は森林・林業の健全な育成の問題、こういう五点にわたっている。それから防衛費の問題は、公明、社会、社民連の三党、こういうことなんですね。 この辺のところは御報告を受けられたか、御承知してみえますか。
○竹下国務大臣 篤と承知させていただいております。
○柴田(弘)委員 そこで、こういった問題、いろいろ言われているわけでありますが、例えば第一点の所得税減税、成案を得るということは当然六十一年度中に実施する、こういうことであるかという野党からの質問に対して、金丸さんは、そういった見解であるということをおっしゃったように私は伺っているわけであります、私はその場におりませんでしたが。それから政策減税についても、野党側は六十一年度中実施の確約を求めたのに対して、金丸さんは、六十一年度中のできるだけ早い時期に実施するという意味だ、年末調整が必要なものは六十一年の年末調整で処理するように措置する、こうおっしゃっているわけでございますが、これはともかくといたしまして、いずれにいたしましても、こうした与野党合意について財政当局としての大蔵大臣、どのように今後とも対応されるのか、まずお伺いをしたいわけであります。
○竹下国務大臣 政府は、今の物の考え方が現状においてはベストであるとして予算審議や法案審議をお願いする、これは建前はそうです。しかし、与野党合意は大変重いものである。だから、書いてあることは、合意に達したことは、そのまま我々は文字どおり受けとめるべきものであるという基本精神であります。
○柴田(弘)委員 そこで、この与野党合意に対して、新聞報道では、いわゆる政策減税について六十一年中の実施はとてもできませんよ、できるとは絶対言えない、六十二年度以降に実施をする税制改革を前に、住宅、教育、パートといった個別の政策減税を実施することは適当ではないという判断を示した、大蔵省首脳はさらに、これは税制の抜本改革の中で検討すべきだ、こうつけ加えているのでございますが、これは事実ですか。そういうことはありませんか。
○竹下国務大臣 首脳が私であるとしたら、首脳は首脳でございますが、私がそういうことを申し上げたことはございません。あくまでも今国会中に実務者間で結論を得るということでございますから、結論を得られるまでには、資料を提出しろとかいろいろな御要請がありますが、それにはもちろん忠実に御協力申し上げるとともに、結論が出る前に私の方からコメントするのは、それこそ各党間の合意に対して非礼千万だというふうに思っております。
○柴田(弘)委員 私もそう思います。 では、大蔵省首脳というのが大蔵大臣でなければ、政務次官。主税局長はどうですか。
○水野政府委員 この与野党合意につきましては、大臣からも申し述べられておりますように、今後いろいろ協議が行われるところでございます。その協議に際しまして必要がございますれば私ども全力を挙げてこれにつきまして御協力を申し上げるところでございますし、また協議の結果につきましては私どもとしても尊重してまいりたいと思うているところでございます。
○柴田(弘)委員 大臣も主税局長もぜひ尊重していただきまして、与野党合意が実現できるように大蔵省当局としても御尽力をいただきたいということを私は要望しておきます。 そこで、税制改正の諸問題ということで今回いろいろ質問したいと思いますが、率直に言って今回の税制改正は所得税減税が行われなかったということが一つの大きな問題である。昨年五月九日の共産党を除く与野党の幹事長・書記長会談で、自民党が鋭意かつ誠意をもって六十年中に結論を出し、六十一年度に実施する、こういうふうに言明をされたそうであります。これは公党間の約束を当然実施すべきである。これが実施できなかったということで、私もいろいろ聞きますと、昨日は藤波国対委員長が陳謝をされた。政府・自民党というのは一体である。やはり残念ながらできなかったということについては、大臣、感想は何もありませんか。簡単にお聞きしましょう。
○竹下国務大臣 これは感想がございまして、結局五十九年の暮れに、まず政府税調からも、それから加藤さんいらっしゃいますが党税調からも、もう抜本的な見直しの時期、こういう指摘をいただいた。その後は、今度は六十年の五月九日に今柴田さんおっしゃったようなことがあったということは十分承知しております。 そこでどう判断したかということになると、一番国民の意見をいろいろな形で反映する場は国会だ。だから国会の議論を、通常国会のものを全部まとめてそれを税調に正確に報告して、そして正式に諮問してということの手続をとったわけでございますから、あの申し合わせがあったからこそそういう手続に進んで、本当にいろいろ考えておったが、まずは抜本の諮問をすることができた。そうなるとやはり諮問には時間がかかって、それがおおむねことしの秋まで。だから、六十二年度に抜本改正は議題に上るであろう。しかし、あのときの精神が六十二年度につながっておるというふうに立派に理解をしておるところでございます。
○柴田(弘)委員 その理解は私どもは納得できませんが、多くは申しません。 いずれにいたしましても、先ほど申しましたように約束は破られたのですから、それを埋め合わせるためにも今回の与野党修正というものに重きを置いて考えていただいて、一日も早く成案を得て実施をしていただきたい、これは要望しておきます。 そこで、今回の税制改正ですが、赤字法人の課税の問題は暫定措置なんですよね。それから、たばこ消費税の問題も、税調の手続上、決めた後から税調の理解を得ている。だから小倉会長も、理解はするけれども承知はできない、了承しない、こういうコメントをされたそうでありますが、今回の税制改正を一言で言えば、要するにただ単なる財政の帳じり合わせ、継ぎはぎのための税制改正であって、そこには税制に対する基本的な理念、税体系というのはこうあるべきだといった確固たる理念というものがなくて今回は税制改正というのが行われた、こういうふうに私は思うわけであります。もしそういった理念があればここで披瀝をしていただきたい。言いたいことは幾らでもあるのです。それをお認めになるならいいですけれども、どうですか、大臣。
○竹下国務大臣 理念は、基本的に存在しておりますのは、抜本改正というものがあるからその抜本の根幹に触れない範囲内において措置をしよう、これは一つの理念です。それから、ただ手続上、竹下さんほどの人がといって自分自身に言い聞かしておるのは、たばこの問題の手続は本当に、違法だとは言いません、違法だったらこれは持って帰らなければならぬようになりますから違法だとはお答えしませんが、平素大体このような問題のときには、事前に関係方面、野党のプロの皆さん方含めて、僕なら話して歩きます。しかし、それがないほど、事ほどさように最終的に地方財政との話し合いのときに行き詰まった、そこで決断しなければならぬようになった。したがって、政府税調にも、加藤税調にも、こういうことになったがえらい済みません、後からこう言って、確かにそれはおまえが言うとおりけしからぬがやむを得ざることだろうというふうにお認めをいただいたから、その手続についておまえはいささか心に感ずるものがないかと言われたら、そのとおりであります。だから、初めから終わりまでこれはおわびするしかないと思って国会に臨んだわけでございます。 これはそういうことでございますが、理念として存在しておったものは、抜本の根幹に触れない範囲内における税制改正しかできないな、こういうことだけは理念として持っておったと言えると思います。
○柴田(弘)委員 そういう理念もありますけれども、私の言っている理念は、税制上これはどうしても必要なんだ、税体系の上からどうしても必要なんだ、だから私は、大臣がまだお見えにならないときに、こういうことばかりやっているからゆがみができたのではないですかと主税局長に言ったら、そうですよと言った。そういった観点から私は申し上げている、こういうことであります。 とにかく便宜主義的ですよ。それで、例えば赤字法人の欠損金の繰越控除の一部停止、これは限定的暫定的な措置でしょう。だから一層その場しのぎの措置だったと言うことができる。会社、企業というのはいろいろ計画を立てて長期戦略の上からいろいろと仕事をやっているわけです。それを配慮したのがこの繰越制度ではありませんでしたか。それを、暫定的だとはいいながら停止するのは租税政策の上からいっても邪道である、私はこういう判断をしておる。 それからもう一つは、たばこの消費税、先ほど手続上問題があったとおっしゃるのですが、それだけでは済まぬですよ。要するに、今回のこういった措置は、税調民主主義というものがある。政府は、何だかんだいうと、大蔵大臣にしても総理にしても、税調がこうだからこうです、こういうことですぐ税調を隠れみのにされる。都合のいいのは税調の審議を経ずしてばっとこうやられる。勝手主義です。でありますから、国民の目から見れば税調というものは一体何だということで、税調に対する不信感というものが一つある。つまり税調の権威がここで損なわれたということを私は一つ指摘しておきたい。 それから、国民の税制に対する信頼を損なっている。いよいよ間近に税制の抜本改正をやるということでありますが、その抜本改正そのものも、税調の審議に対しても、国民から不信感を持って見られる、不信感をますます助長すると言っても決して過言ではないと私は思うわけです。だからある人は言っていましたよ。どうしても財源不足ということであるならば、あるいは地方財政対策として必要であれば、しようがないからそれだけ国債を発行してもいいではないかという議論も一方にある。この国債を発行するかどうかということがいいとか悪いとかという議論は、私はここでやりませんが、そういった一つの議論がある。いずれにしても今回はそういった非常に大きな問題を抱えているのだ。だから手続上に問題があって謝ったというだけでは済まぬ。今度の六十二年度の抜本的な税制改革の税調審議にも、国民の立場から見れば不信感というものが大きくふさがってくる問題であると私は考えております。大臣、どうですか。
○竹下国務大臣 税調不信とかいう問題について従来とも反省をしてきておりますのは、まずは五十四年の暮れの五十五年度税制の際の一般消費税という問題についてそれを採用しなかったということもございます。それから、いわゆるグリーンカード問題を通しておいて、そして実行に移せないという客観的な判断からしてこれをやめにしたということもございます。近くは利子配当課税問題について、税調の大方の御意見を採用していないというような問題もあろうかと思うのでございます。 しかしながら、やはり税調は神様だという、国民が神様でありますから、国民の各界各層を代表した税調の方の御意見であるから神の意見だというような気持ちは持ち続けていかなければいかぬ。それだから今度の場合も、事後にお願いして了承を求めたやむを得ざる事情というのを篤とお話をして、御理解をいただいたというふうに思います。行政当局としては、国民の各界各層の代表は国会ですから国会は神様だ、その国会で選ばれた政府、なかんずく総理任命で各界からお出かけいただいている税調の方の意見も神のお告げだという気持ちで対応していかなければならぬという気持ちには変わりありません。だから、いやしくも税調を隠れみのにしてというような物の考え方をとってはいかぬというふうに私もかねがね考えております。
○柴田(弘)委員 だから今回のこういった措置は今後絶対とらぬ、こういうことを確約していただきたいと思うのです。
○竹下国務大臣 いわゆる事後了承というようなものが当たり前のことになるようなことがあってはならぬというふうに私も思います。
○柴田(弘)委員 余分なところで回り道をしましたから時間があと十分程度しかありませんが、六十二年度税制改正の問題についてお聞きいたします。 中曽根総理はかねがね減税は春に答申をしていただく、それに対する財源措置、いわゆる増税は秋だと言っておられますが、なぜ別々にする必要があるのですか。
○竹下国務大臣 これは諮問文にもありますように、まずはゆがみ、ひずみ、重圧感がどこにあるかという国民の皆様方の一番感じていらっしゃるところから議論をしてもらおうではないか、そして秋ごろまでには一体とした総合的な答申をいただこうではないか。したがって、ゆがみ、ひずみ、重圧感のありどころを浮き彫りにしていただいて、それでもって定量的な数字をそれに入れて答申が出るなんということは私は今考えておりません。
○柴田(弘)委員 ゆがみ、ひずみ、重圧感、それは国民にはありますよ。総理府の調査によりましても、今国民が一番望んでいるのは減税です。だから与野党合意の一番の基本的な問題が減税であった、こういうことなんですね。これは今さらここで申すまでもない。 ところが、減税を望む国民に、一方ではしからばその財源措置は一体何でされるのか、賢明な国民でありますから、こういう危惧感のあることも事実だと思います。でありますから、これは参議院選もあるから国民にバラ色の幻想を持たせる一つの中曽根総理流のやり方であろう、私はまだそこまでは言っていませんが、そういう議論も事実あるわけであります。そういった参議院選への心理的な効果をねらったものであるというふうに言われておることについて、大臣がもし、いや、そうではありませんよ、あくまで純粋に考えて私どもはやっておりますよと言うのであれば、増減税、増というとちょっといかぬかもしれませんが、減税とその財源措置というものを包括的に、一体として答申を受けてもいいのではないか、それが春に出なければ秋まで待ってもいい、私はそういうふうに思っておるわけなんです。そこから総理が言われる国民の選択、国会における議論が出発しても、六十二年度に十分間に合うと私は思っておるわけですよ。そこら辺のところはどうお考えになっていますか。
○竹下国務大臣 一つの考え方だと思います。 だから、総理から諮問したのは、いわば御議論いただく手順について、国民が思っているゆがみ、ひずみ、重圧感はどこにあるかというところから今は議論をしていただきたいということで、それはよかろうといって議論していただいておるわけです。国会の議論の中にも、参議院選挙を当てにした、いわゆるバラ色を最初出しておいてという手法ではないかというような議論もありましたことは、私も承知しております。きのうの与野党の話し合いを見ましても、減税の方から議論しようじゃないかということでございますので、ははあ、ある種の共通認識なのかなという感じも持たないわけではございません。それで、なるほどなと感じておるわけでありますが、今、柴田さんのおっしゃったとにかく議論を積み重ねて一体としたのが答申だ。そのとおりなんです。一体としたものが本答申になるわけですが、いわばそういう審議の手順として、ゆがみ、ひずみ、重圧感というところから入っていただいておる。それが参議院選のバラ色ということで、いわゆる政策の行方、あるいは政権の行方について、そんな感覚的なもので惑わされるような方は世界で一番賢い国民の皆さんでございますからいらっしゃらないというふうにいつも思っております。
○柴田(弘)委員 これは私の一つの意見でありますけれども、包括的にやることが政府が国民に対して守るべき鉄則である、客観的、合理的に税制改革の内容が整合性を持って提出されるべきだ。これは私の思想ですが、賛成者は多いと思うのです。与野党の今後の協議の中でどういうふうに議論が展開するか知りませんが、大臣がこれから税調の答申を受けられるについては、それは一つの考え方だと賛意を表していただきましたので、そういった考え方もあるということを念頭に置いて対応していただきたい、これをひとつお願いしておきたいと思うわけであります。 最後に、ゆがみ、ひずみ、重圧感とあるのですが、私どもそういった観点からいろいろと考えてみたのであります。これは総理もしばしば国会で答弁されている。それに決して逆らうわけではございませんが、私ちょっと簡単に申しますと、一つはやはり所得税、住民税の最高税率の引き下げという問題がありますね。あるいは税率の累進度を緩和する、特に中間層、サラリーマンを中心として。それから株式などのキャピタルゲインの問題をどうするか。マル優、郵貯などの非課税貯蓄への課税をどうするか。これを適正化していく。あるいは法人税の実効税率を下げていこうという問題。ゆがみ、ひずみ、重圧感というものを考えた場合、税調で議論をされ、また政府の目するところも当然そういった点にあると思いますが、その点のお考えをひとつお聞かせをいただきたい。
○竹下国務大臣 政府が言うゆがみ、ひずみとはこういうものだろうということを言うわけにはまいらないかもしれませんが、今柴田さんのおっしゃったような問題は、従来の中間答申を含め税調の答申には皆指摘されておるところでございますので、およそそういうところが議論していただけるだろうというふうに私も思っております。
○柴田(弘)委員 それから最後に、今度の答申は、包括的で受けるにせよ、別々にせよ、定量的なものは受けられぬ、こういうことですね、減税何兆円やるとか。しかし、一応定性的なものにしても税調の答申を受けて、これは参考人質疑でお聞きしようかと思うのですが、やはり政府としてはその後六十二年度税制改正をやっていかなければならぬ。あなた、かつて言われたが、多年度でやる、六十二、六十三、そういう考え方もあるのか、あるいはもう六十二年度でばっとやるのか、その点を含めて税制改革の規模というのは、最後はこれは政府が、大蔵省が決めていくことになるのですね。そういう点も含めて、今後の税調から出た答申についてどう政府・大蔵省として対応されるか、これをお聞きをしたいと思います。
○竹下国務大臣 これは総括的な、一体となった答申がいずれ秋にはちょうだいできるということになりますと、それを基礎に置いて、最大限尊重して、いわば政策的な体系としてそれを構築していかなくてはならぬというふうに思います。そうして、それは六十二年度税制に反映されなければならぬ。 ただ、多年度と言いましたのは、若干誤解を受ける嫌いがありますのは、いわば税によりましては全部ヨーイドンで四月一日になかなかそろわないという場合もございますよね、普通の場合。ことしでも例えばたばこは五月とかそういうふうなことがございますので、いろんな税制が平年度化するためには多年度になる。だが、その改正案自体は単年度とでも申しましょうか、一遍に提出して御議論いただく課題だろう。執行する場合にそれが完全に六十二年に全部平年度化するとは限らないと私は思います。したがって、一括のものを出さなくてはいかぬが、執行の段階でそれが全部丸々年度生きるのは多年度になるかもしらぬ、こういうふうに申し上げたわけでございます。
○柴田(弘)委員 そうしますと、これは私の理解が間違っているかどうか知りませんが、一応一括答申を受ける、法案はそれによって税制体系の面からつくる、だが、その法案のいわゆる施行については六十二年度でやるものもあるし、六十三年、六十四年でやるものもあるかもしらぬよ、こういう意味ですか。
○竹下国務大臣 法律は、恐らく一括して抜本改正案を御審議いただく、だが、法律が施行されるのはその法律が通った段階で施行されますが、個々の税につきましては、例えば毎年やるときにも四月一日でないものが残ってまいりますね。それが完全に一年間実効を上げるのは、いわゆる俗称平年度化するのは、一年おくれとかいう場合がよくございますので、そういうこともあり得るだろうと思っていろんなケースを勘案しながらそのようにお答えをした。答申をいただいて法律を毎年出していってやっとどこかの年で完全なものにするということで申し上げたわけではございません。 ただ、六十四年度とおっしゃいましたが、それはちょっと私も見当つきませんけれども、まあ平年度化するのに普通二年ぐらいなのかな、こういうような感じでございます。もう少し勉強させてくださいませ、もし間違っておるといけませんから。
○柴田(弘)委員 わかりました。 それでは最後に、たばこ消費税の関連で聞きますけれども、補助率一律カットされました。これはまだその法案のときにいろいろお聞きしますが、一方において、たばこ消費税は一年限りだ。それは地方財政対策として二千四百億円。ところが、補助率のカット一兆一千七百億円は三年の暫定措置だ。じゃ、この二年間の空白をどうするか。つまり、もし一年限りということであれば、税制改正によって大型間接税を導入して埋め合わせをしますよ、あるいは、三年間の暫定措置でありますから、たばこの方は一年限りになっていますけれどもこれは三年まで延ばしますよということなのか、あるいはその他どういうふうに穴埋めを地方財政対策でやっていかれるのか。この辺はどういうお考えですか。
○竹下国務大臣 今この問題は、あるいは主計局次長からお答えした方が適切かと思いますが、地方財政対策というのは毎年毎年地財計画を立てて我々も協議して、ただし、若干大蔵省が参画するのはマクロ的なところへ参画しまして、個々の町村の地財対策は別になりますが、マクロではそれに対応して、そしてその間補助率の問題等がございましても地方財政には支障ないようにいたしますと、こう申しておるわけであります。ただ、税制改正、地方税の改正というものを直ちに念頭に置いて今そういう答弁をしているわけじゃございませんので、マクロの地財計画につきましてはちゃんと遺漏なきようにやりますということはお約束をしておるわけであります。 したがって、個々の問題になりますと、たばこの問題はまさに一年限りの緊急、異例の措置としてお許しいただきたい、こう言っておるわけですが、たばこの税はどうなるかということになりますと、これは当然秋までにいわゆる間接税の一つとしていろいろな審議がなされると思いますので、それをお聞きしたら当然六十二年はそういう線でいかなければならぬだろう。あくまでも暫定である。 それから補助率の問題は、そのときまた御議論のあるところでございましょうが、去年の場合はいわば一律でお願いをしました。一律というのは、本来、国会でも議論がございましたように、これは何割、これは何割というふうに個々の実態で決めるべきものだ、それを一律にやっちゃった。だから一年間暫定にしてくださいませ、その間に検討委員会等をつくって出しましょうというので、出たものに基づいて今度は三年ということでお願いをしておるわけであります。やはり一年で毎年議論があるし、まあ三年というようなところが適当なのかな、そうしますと、その間にまたこれから地方と国との業務分担のあり方とか費用負担のあり方とかいろいろ議論するし、あるいは中にはもう奨励的な補助の意味を失うものも出てくるかもしらぬしということになると、まあ三年あたりが適当なところではないかと思ってお願いをすることにしたということであります。
○柴田(弘)委員 ちょうど時間が来ましたけれども、今大蔵大臣がそうおっしゃるとちょっと質問したくなる。 六十年度は、一括整理法案は六十年度限りの措置だというふうに明確にされておる。大臣の連合審査における答弁あるいは自治大臣の答弁を聞いていましても、要するに検討委員会ができた、役割分担とか費用負担をここで一生懸命に検討してもらう、こういうことをおっしゃった。ところが、この検討委員会の報告を見ますと、じゃ生活保護というのは十分の八に戻せと言う人もあるし、いや、三分の二でいいと言う人もあるし、これはもう両論併記だ。それで結局十分の七になった。中をとってなったか知りませんよ。あるいは義務教育費の国庫負担の問題でも、これは補助率をこうせいということは何にも言われてないのですよね。ところが、二分の一が三分の一になっているわけですね。だから、私はこれは撤回をしていただきたい。これは撤回ということを言っておるわけですが、ここで答弁をもらおうとは思いません。これはたばこ消費税も撤回してくれ、赤字法人も撤回してくれと僕は本会議でやりましたから、ここでは言いませんが、そういう気持ちなんですね、この補助金は。しかし、本当に補助率をしっかりとやっていくならば、これは一年じゃ期間が足らなかった。その意味で三年間の暫定措置というものが、このくらいが適当だなとおっしゃったと僕は思いますが、私は百歩を譲って——百歩じゃなく千歩ぐらいだな、本当は撤回してもらいたい。これがもし通過をしましたら、反対ですけれども、もししましたら、やはりこの三年間、本当に費用負担、役割分担、これは地方自治体も国民も我々も納得できるようなものをもう一回設置をしていただいて、きちっとしたものを出していただきたい、そこで議論をすべきである、こういうふうに僕は考えているのですが、お考えどうですか。
○竹下国務大臣 今おっしゃったのは、本当に役割分担、費用負担ということは、一年間で、閣僚会議そしてそのもとにおける検討委員会でやったが、実際本格的な議論をするのはそれは一年じゃ短い。だからむしろ、今後三年間の暫定措置で今度法律をお願いしておるならば、さらに三年間かかってもう一遍議論してみたらどうだという御意見、私なりにはそれは理解できますが、私一人で決めることではございませんし、あるいは既存の審議会の中でできるかもしらぬという気もせぬでもございませんので、貴重な意見として受けとめさしていただいたということにしてくださいませんか。
○柴田(弘)委員 時間が参りました、これでやめます。何点か僕は質問いたしましたが、まだ納得できない点もあります。これは次回に譲ることにいたしまして、この程度でやめます。 それから、通産省と経企庁、まことに申しわけありませんでした。今度必ず質問させていただきます。こんなこと言うとあれですけれども、もうちょっとはっきりとそうですと言って答弁してもらえれば時間が十分あったわけです。 以上で終わります。
○小泉委員長 安倍基雄君。
○安倍(基)委員 大臣が帰られてからでいいのですけれども、その前にちょっとやります。 我々は野党として大幅な減税要求をしたわけでございます。私自身も大蔵出身でございますから、もちろん財政を全く無視して減税要求をするという態度ではないのでございます。現在言われております減税論というのは非常に大きな根拠がある。と申しますのは、非常な円高でもっていわば外需依存から内需依存に切りかえなければならぬというような状況でございます。 そこで、経済企画庁がいろいろ見通しを立てていると思うのでございますけれども、まず冒頭に企画庁の方にお聞きしたいのでございます。 六十一年度の経済見通し、消費の伸びに非常に期待しているようでございますが、その六十一年度の経済見通しの各項目別の伸び率、特に国内消費はどういうぐあいに伸びると見ておられるのか。それはどういう根拠からか。やはり減税という要素がある意味では必要なのではないかという気がいたします。特に最近における円高で輸出が非常に抑えられる。私ども選挙区を回りますと、一—三は大体わかるけれども、四—六はどういうことになるかわからぬというような声を非常に聞くのでございますが、その辺、経済見通しとの関連で消費をどうごらんになっているかということをお聞きしたいと思います。 〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕
○大塚説明員 六十一年度の経済見通しでございますけれども、成長率といたしましては四%程度の成長率を見通しております。 それぞれの項目別の中身でございますけれども、個人消費につきましては、実質で申し上げますと六十年度が三%程度でございますが、これが六十一年度は三・六%程度になる、住宅投資につきましては三・一%程度が四・六%程度になる、民間企業設備投資につきましては一一・五%程度が七・五%程度になる、大体主な項目で申し上げますとこういうふうに見ております。 個人消費支出につきまして御説明をいたしますと、私どもはこの消費支出の裏づけとなります所得につきまして、雇用者所得が六十年度、六十一年度ほぼ五・一%程度ということで横ばい程度の伸びはいくというふうに見ております。それから、財産所得につきまして、個人の金融資産残高もふえておりまして、この関係で伸びを高めるのではないか。それから、住宅建設に非常に関係が深いわけでございますが、個人企業所得も伸びを高めるのではないか。こういうようなことからトータルとして見まして、個人の可処分所得は大体五・三%程度で両年度とも推移するのではないかというふうに見込んでいるわけでございます。一方、物価が安定をすると見込んでおりまして、そういうことで、実質で見ました所得というのは、若干ですが、伸びを高めるのではないか。また、物価が安定するということでございますので、消費者心理にもよい影響を与えますので、消費性向も高くなるのではないか。こういうようなことを総合勘案いたしまして、先ほど申しましたように、実質の消費が伸びを高めるというふうに考えておるわけでございます。 なお、消費支出は経済活動全般の水準と関係いたしますが、これにつきましては、二度にわたる内需拡大策とか、円高のプラス面でございます交易条件改善効果とかいうようなこともございますので、こういった面からのよい影響も受けるというふうに考えておるところでございます。
○安倍(基)委員 いろいろ新聞などの報じるところによりますと、いわゆる可処分所得というのはこの数年間ほとんど伸びていない。しかも、例えば賃上げなんというのも恐らく三%ぐらいで抑えられるのではないかというような話さえある。そういったところを踏まえて、雇用者所得が五・一%も伸びるというのはどうも納得できないのですけれども、本当に五・一——これは雇用者所得五・一%とおっしゃいましたですかな、事実そんな見通しであるのですか、特に、可処分所得がこの数年間ほとんど伸びていないということを踏まえて。この五・一%という数字は本当に根拠があるのかどうか、いささか私は疑問に思います。いかがでございましょうか。
○大塚説明員 雇用者所得につきましては、一人当たりで見ました場合には、六十年度四%程度から六十一年度は三・九%程度というふうに、わずかでございますが、伸びを低めるのではないかと思われます。一方、雇用者の数でございますけれども、こちらの方は内需を中心としました景気拡大によりまして着実にふえるのではないか。したがいまして、それをあわせました雇用者所得というのは五・一%程度で、横ばい程度で推移するのではないかというふうに見ておるところでございます。
○安倍(基)委員 これは推定ですから、確実なことは言えないのでございましょうが、最近いわゆる公共事業といってもなかなか財政は苦しい。しかも、最近の公共事業の場合に、例えば土地の取得なんかにほとんど食われてしまう。現実問題としてどの程度それが波及効果があるかよくわからぬ。一番問題なのは、やはり消費を拡大する、そのための減税ということでございまして、私も単に野党だから減税減税というわけではございませんので、特に景気が落ち込むときには、落ち込まない前に支えなければいかぬ。かつては公共事業で支えるということをしたのでございますけれども、今やそれができない。しかも、してみても今お話ししたような理由で効果が薄い。となりますと、やはり減税というものを考えなければいかぬ。 私は単に減税減税というわけではなくて、いわば消費性向の高いところ、今のところはそれに対する負担がとても大きい。消費性向の低い資産所得者に対するものが非常に優遇されている。これがいわゆる租税構造上、日本の内需を狭めているという持論でございまして、私は、今度の六十二年度以降のあれにつきましては、そういう租税構造を変えることによっていわば内需を拡大するということがどうしても必要なんじゃないかと思うのでございますけれども、その点についての大臣のお考えを承りたい。しかも、もう一つはできるだけ早い時期にやるべきじゃないか。
○竹下国務大臣 租税構造上の問題というようなものが、いわゆるゆがみ、ひずみ、重税感のほか消費性向等にもつながるようなことは、十分理解の上で税調で審議されていくんじゃないかなという、同じような気持ちで聞いておりました。
○安倍(基)委員 私の申しておりますのは、給与所得者というのは税が軽くなれば結構たくさん消費する、ところが、資産所得者というのはもともと金が余っている方でございますから、個人的な投資とかいわゆるマネーゲームとか、そういうところに走りやすい。現在のところは税を軽くしてやれば消費がふえる層に対して非常に負担が重くなっておって、税金が軽い、少しは税金を重くしても消費には余り関係のないクラスに対して非常に税が軽くなっている。簡単に申しますならば貯蓄優遇税制だ。やはりその辺を変えていく。いわゆる財政の困難と内需拡大との矛盾を解決するのはそういった方向しかないのじゃないか。現在、国債の利子だけでも十兆円以上だ。利子所得というのは、国債の存在もありましょうけれども、ある意味から言うと非常に優遇されておる。そこから金を取らないでおいてみんな消費しようとするところから取っちゃうものですから、そういったところから全部取っては資産所得者に貢ぐことになる。そうなると、資産所得者というのは余り消費しませんから、結局内需が狭まる。だから、所得減税ということの反面として資産所得者から税金をもらうという形こそ唯一の方法であろう、これはまた税調でもいろいろ論議していただくと思いますけれども。私は一つの提言といたしまして、こういった租税構造のいわば転換、これは私も以前から言っているのでございますけれども、海外から来たどこかの、アメリカの議員あたりも日本の税制は貯蓄優遇じゃないか、むしろそれを変えるべきじゃないかということを指摘をしたようでございます。私もかなり同感でございまして、これはこれからの税調における論議の一つの課題にしていただきたいと思っております。
○竹下国務大臣 安倍さんが今お話しになった、それからアメリカの人が来ておもしろいことを言っておりましたのは、日本の貯蓄優遇税制とアメリカのどっちかといえば消費優遇税制と取りかえっこすればいいじゃないか、そんなことを言っておりました。そうしてまた、貯蓄優遇税制あるいはキャピタルゲインの問題については、かねてから今安倍さんのおっしゃったような意見も有力な意見として議論されてきておるわけでございますので、今の議論は正確にその都度税調に伝えますものの、伝える伝えないにかかわらず当然そういう議論が行われるのではなかろうかというふうに私も思っております。
○安倍(基)委員 私は、この話はもう去年のときから言っておるのでございまして、アメリカさんも同じことを言い出したな、こういうぐあいに受け取ったわけでございます。今まで議論があったかもしれませんけれども、これがやはり一番中心に考えていくべきものじゃないかな。と申しますのは、大型間接税とかいろいろ言いますけれども、それよりはまずそういったいわば資産所得に対する課税。というのは、このままほうっておきますと、みんなから金をかっさらっては国債の利子を払う、利子所得者に貢ぐ、そこから余り取らないというようなことで、ますます所得格差をふやすということと同時に、国内市場を狭める。日本の輸出は、一つは従来から外貨を取らなければいかぬという市場拡張策と思いますけれども、一面において、国債がこれだけある社会において、しかもいわゆる税制が貯蓄優遇で来ているものだから、それで内需が伸びない。買いたい連中は可処分所得が伸びないものだから物を買えない。そうすると、結局、この前ちょっと本会議でお話ししましたけれども、貯蓄がいろいろな金融機関に集中して、それがマネーゲームというか海外に流出して、その結果ドルが下がるなんということで大損害をこうむっているわけでございます。私、しばしばお話ししておりますように、国内市場を狭めると同時に、投資が国内でされなくて海外に流れてしまって、しかも大きな為替のキャピタルロスを得た。ばかばかしいと言っては変ですけれども、国民経済にとっては全く大きなロスじゃないか。でございますから、大型間接税の導入とかなんとかいう前に、そういういわば消費性向の高いところの税金をもっと安くしてやる、低いところを取る、それがまず先ではないか。大型間接税になりますと、ますますみんなから、使いたい者から取っちゃうよ、消費を伸ばしたい連中から取っちゃうよという形になりやすいと私は思うのでございます、この点繰り返すようでございますけれども。 私はこの前、たしか委員会で、海外に流れ出たお金が今度の暴落でもってどのくらい損をしたかということをお聞きしました。これは、それぞれの企業はそれぞれヘッジをしているというお話もございますけれども、逆に、今までせっかくためて投資した分が一応ほとんどパアになるということでございまして、投資の利がなくなった要素が随分あるんじゃないかと思います。現実問題として、企業投資したものもありましょうけれども、随分債券投資も多いんじゃないか。全体としては、日本経済にとって、せっかくためたものが向こうに使われて、使われた結果一遍に値段が落ちちゃったというような感じがあるのでございます。 この点から、これからの税制改正の一つの基本方針として、給与所得税は減らす、そのかわりに少しは税金をかけても消費に関係のないところから取るということを考えるべきである。いわゆる貯蓄優遇税制というものを見直すべきじゃないかと私は思います。
○竹下国務大臣 貯蓄優遇税制については見直すべきであるという答申をいただきながら、結果としてそれを採用しなかったわけですね。ですから、当然のこととして私は議論に上ってくる課題だという問題意識を持っております。 それから、海外投資の問題につきましては、いわゆる輸出企業ということになりますと為替のヘッジもするでございましょうが、単純なマネーゲームという範疇に入るかどうかは別として、株式投資等が為替リスクによって損害を得たじゃないか。確かに、一時的には、海外流出しますとむしろ円安の方向にそのことそのものが働くわけでございますけれども、正確なファンダメンタルズを反映するようになると、おっしゃるとおり損をするとでも申しましょうか。したがって、九月の初旬でございましたか、漠然としてではありましたけれども、一般論として、関係方面に、いわゆる為替リスクというものも念頭に置くべきですよという、注意とまではいきませんけれども感想を述べたということも、あえて、税制とは直接関係ないかもしれませんが、つけ加えさせていただきます。
○安倍(基)委員 私も、手前みそですけれども、そういったことが出る前に大蔵に行ってたしかそんなことを指摘した覚えがございます。たまたま文芸春秋に市場開放反対論を書きまして、ドルと円が逆転したらどうなるかと言った途端に変わったものですからね。やはり円ドル関係というものは非常に大事な話で、私はそういったことも含めまして現在の国際金融の状況を見ますと、日本がそういう税制面で配慮していかなければならぬという気がいたします。 具体的に利子所得、配当所得をどうするかという話は後回しにいたしまして、その次に、今度のいわば特別措置法の関連で幾つかお聞きしたいと思います。 私は先回の本会議での質問演説で、今回の税制改正が中小企業に対して厳しいんじゃないかというお話をいたしました。御承知のように、私の選挙区なんかは特に輸出に頼っているわけでございますが、日本の場合には、大企業と中小企業との組み合わせによって、大企業が円高で輸出がちょっと苦しくなってくると合理化をする、それを相当中小企業にしわ寄せをする、しわ寄せと言ってはいかがでございましょうけれども分担するという形で、下請企業も非常に苦しんでいる。それの、みならず、全然大企業とのつながりがない中小企業、これはまたもろに苦しんでいるわけでございます。こういった現場をぐるぐる回って話を聞きますと、いわば自分たちの手の届かないところで非常に苦しい状況が生まれてきているという状況でございます。 人によっては、円高は全部政府がやったんだからというようなことを言う人もおりますけれども、そんなことはないんで、やはり経済というものは生き物でございます。この間、竹下大臣が行かれてちょうどタイミングがよかったというか、そういう状況のときにぽっとついた、それが結果的に大きな効果を持ったということは事実でございまして、この円高を政府の責任だけにするようなことは素人考えでございますのでそれはあえて言いませんけれども、しかし、個人の力でどうともならないで非常に苦しんでいることは事実でございます。 そういった状況のもとに現在導入された一つのあれがいわゆる繰越欠損金の一部停止の問題でございます。これはいろいろ話を皆さんから聞きますと、非常に昔からの制度である。明治三十二年から大正十五年まであった。大正十五年から昭和十五年までは一時中断したけれども、昭和十五年から二十年まであった。その場合には三年間の繰越期間だそうでございますけれども、明治三十二年のころは無期限だったそうでございます。そういったことで、いわば戦争中の非常に問題というか苦しいときも存続された制度である。昭和二十五年シャウプ勧告の後五年になって、それがずっと続いてきている。その上で、いわばみんなが既成事実と申しますか法体系として組み込まれた形でずっときている制度でございます。 これは大臣、御承知かと思いますが、こういった歴史的経緯を踏まえますと、戦争中でも存続した制度ということになれば、ある意味からいうと非常に大きな意味を持ってきた制度でございます。確かに、赤字法人が非常に多い、それで税を逃れているという話もございますけれども、歴史的経緯と、もう一つは、赤字法人でやっているというのは、いいのと悪いの、本当に隠している者と違う者というのをきちっと区別して行政で調べていくべきものであって、たまたま赤字法人が多いということだけで一遍に画一的にこういう制度を導入するというのは、非常に正直者が損をするということがございます。第一は歴史的経緯。二番目は行政でもって措置すべきものではないのかな、本当にまじめにやっている者とまじめにやってない者と一緒くたにするのはどうかということです。 三番目でございますけれども、これはたしか本会議での質問のときにも、お答えといたしましては、要するに欠損を続けている会社なんだから別に問題はないだろう、しかも一年だけだというお話がございました。ただ、いろいろ現状を見ますと、中小企業は余り続けて損を出しておりますと銀行あたりが相手にしてくれないということで、例えば自分の資産を処分して、無理やりと言っては悪いけれども、益を出す中小企業も多々ある。でございますから、単に欠損を続けている会社だから同じじゃないかというのではなくて、企業によってはやはり益を出さなければいかぬということで追い詰められて益を出してきている会社もある。それが、従来は前のいわば繰り越しがあったから引けたけれども、引けなくなるというような問題があるわけですね。 特に、これから中小企業は続けて苦しくなって損が出てくるというときに、たまたま去年ぐらいまではよかった、去年で一応自分が益を出した、物を処分して出した、あるいは景気がよくて出した。去年、全然そういうことを知らないで、知らないでと言ったら変だけれども、そうやって益を出した。これからは、四月以降に制度が変われば、あえて自分の資産を売って益を出そうというのは当分出てこないと思いますけれども、そういう不公平と申しますか、過去に、去年の十二月とか去年の十月とかそういうところで一応益は出した、あるいは無理に益を出したような企業が、もちろん制度が変わるときにはそういう公平、不公平という問題はありますけれども、急にそういう話が入り込んできたということは非常に法的安定性を害するんじゃないかというような議論がございます。 そういう意味で、私もきょうは実は急の質問だったものですから個々に詳しいあれを皆さんからしておりませんけれども、いろいろなこういったことを考えますと、繰越欠損金の一年の話というのは小さな問題のようで非常に大きな問題であると思います。この点ちょっと、大臣答えられる前に事務当局から答えられて、大臣の御感想を承りたいと思います。
○水野政府委員 委員御指摘の点は問題が全くないわけではないというふうに私どもも考えておるわけでございます。先ほど御指摘のございました、戦前あるいは外国に比べていろいろな問題もございますが、現下の厳しい財政事情と申しますのは、戦前にも外国にも余り例のないようなものでございますので、いろいろと御無理を願っている点もあるわけでございます。 それから、行政的に赤字法人に対処するという点につきましては、もちろんその点からの努力はいたすべきでございますが、今回は特段赤字法人につきましてねらってどうこうしたというわけじゃございませんで、その年に黒字であった法人が、直前の一年間の分は、その年だけは控除できないという臨時的な措置でございますので、御理解をいただきたいと思うわけでございます。 確かに御指摘のように、それまでは黒字で去年赤字、そこでそれを消すためにことし無理して黒を出されたという場合もあろうかと思うわけでございますが、その点につきましては、その欠損金は六十一年度におきましては控除はできませんが、以後四年間にわたってはこれを繰越控除できる機会が残されておるわけでございます。その赤字が消せないということではございませんので、そこのところは四年間をもってお考えをいただければと思うわけでございます。 それから、そういうことを予期しないで処分をされたという場合もあろうかと思いますが、まさに今委員御指摘のように、制度改正時におきましては、どのような時点で区切ってもそういう点は残る問題でございますので、その点につきましては絶対的に欠損を切ってしまったということではなく、それがずれたというふうに御理解いただいて、その点の法的安定性云々の問題につきましては、この場合は御理解を賜ればと思うわけでございます。
○竹下国務大臣 本会議の際もお答えいたしましたが、確かに二千二百三十億円、六十一年度の増収額をねらったというか、それによって生ずるわけでございます。だから、ある意味においては臨時の措置でありますが、今おっしゃったのでなるほどなと思ったのは、それを充ててことし財産処分したりして黒字を出しているというようなところがあるいはあったかもしらぬという感じは私もいたさないでもありませんが、私どもがいろいろな議論の末にこれに踏み切りましたのは、要するにことし黒字の法人について適用されるものであって、当該年度において赤字である法人について適用されるものではないということ、そしてそれは、その機会を全く失うのではなくして、当年度において控除できないが翌期以後四年間は繰越控除の機会が残っておるというようなところで議論を詰めて、いわゆる二千億の増収措置をとらしていただいたという性格でございます。 随分議論があったことは事実でありますが、私も、ははあ、なるほど昨年なら昨年に財産処分をしてというのもあり得たのかな、それは不勉強で、いい勉強をさせていただきました。
○安倍(基)委員 いろいろ苦心があられると思いますけれども、この問題は、特に中小企業はこれから余り利益が出ない可能性があるのですよ、不景気になってきますからね。たまたま今まではどうにか益を出していたというものもあるわけでございます。ですから、あと四年間で消せるだろうといっても、消せない場合も多々あるわけですね。 それからもう一つお聞きしたいのは、この措置を本当に臨時措置にされるのかどうか。これは非常に重要な問題でございまして、二年間という話で考えていらっしゃるのかどうか、これは非常に大きなポイントでございます。 その点と、やはり引き切れないという面もありますよ。しかも、たまたま経済情勢が変わってきた。円高でも景気は余り落ちないという人もいますけれども、私はそうは思わない。そうすると、これから中小企業は何年か非常に苦しむ時期にたまたま入ってきた。これは、中小企業だけについては何らかの考慮が払えないかというのを、これから一体どのくらい続けるのかということとともにちょっとお聞きしたいと思います。
○水野政府委員 原則はやはり五年間繰越控除できる、しかし直近一年のものは控除できないという形は、ある意味では臨時的な形になっておるわけでございます。また、その適用期間も二年といたしておるわけでございまして、ここらの形にいたしましてはやはり基本的な姿とは申せないと思いますので、いずれ抜本改正の時期なりに、あるいは財政状況等も勘案しながら基本的に対処すべき問題であろうかと思うわけでございます。 それから、四年間は機会はあるが、経済構造なり企業の体質が変わってという場合も全くないわけではございませんが、直近一年、なお四年残っておるから、その間にひとつぜひせっかくの機会を生かしていただけるようにしていただければと思うわけでございます。
○安倍(基)委員 引き切れる、引き切れないの問題が出てくると思いますけれども、ある人の要望によれば、これは臨時措置が終わる、つまり現在もう既に予算に組み込んでありますから、それを全部やめると言ってもなかなかそうはいかないだろう、ただ、その措置が終わったときに本当に引き切れなかった、終わった後まだ二、三年あると思いますけれども、そういうときに、ある程度その面倒を見れるような考慮ができないものかなというような意見もございます。これは非常に技術的な問題になりまして、今ここですぐ約束というわけにはいかないと思いますけれども、もしこの制度がずっと続いておったならば助かったであろう者に対するそれなりの措置というものを考えておくべきではないかなという気がいたします。それは今ここですぐお約束というわけにはいかないと思いますけれども、この制度がもともと何年間も続いてあったのだ、それが要するに臨時的にだめになって、そのために増収がある。一時期に非常に困ったという要素はあるにしても、この制度をやめたときに、いわば取られ過ぎと言っては言い方が悪いけれども、本来救われるべきものがあれば、それについての配慮ができないものかなということでございます。いかがでございますか。
○水野政府委員 ことしの改正でこのように制度化させていただきまして、直近一年分はことしはできませんが、四年間にひとつ頑張っていただきたいというふうに制度改正をお願いしております以上は、その時点で引き切れなかった分について特別にまた手直し、見直しをするというようなことを現時点でここでお答えをするということは非常に難しいことであると思うわけでございます。 中小企業云々というお話がございますが、赤字法人割合は、大企業につきましては二回にわたります石油ショック以前の状況にほぼ戻りつつある。ところが、中小法人になるに従いまして、第一次ショック、第二次ショックでがくんがくんと赤字法人割合が多くなって全く回復しない。これは経済の構造の変化なのか、中小法人におきますところのいろいろな税制上の仕組みと絡んでおるのか、そこらの点もございますので、これは基本的な改正の中でさらに検討をしていくべき事項ではないかと考えておるわけでございます。
○安倍(基)委員 私どものところは非常に下請企業も多いし中小企業も多いのですけれども、下請企業というのは、ある意味からいうと合理化、合理化ということで一番上の企業から攻められて、下手をすると系列から外されるので、必死になってやる、経営的には非常に苦しいということを感じております。いわゆる日本の二重構造というものが、特にこれから輸出が苦しくなってくる、いろいろな面が苦しくなってくると、そのしわ寄せが非常に強くなる。私はこれは事実だと思いますし、今おっしゃったように、赤字法人が中小企業に多いというのは、そういう面が反映しているのじゃないか。そういう状況のもとに、特にこれから苦しくなるというときに、やはりこの措置というものはちょっと厳し過ぎたのじゃないかなという感がいたします。これは、今おっしゃったように、導入した途端にその後面倒見るというようなことは口が裂けても提案者として言えないと思いますけれども、やはりいろいろの経緯を考えますと、将来において配慮すべき問題じゃないかなという気がいたします。大臣、いかがでございますか、ここで配慮すると言ってしまうと、それは事務当局が困ってしまうと思うからあれですけれども。事務当局は困るかもしれませんけれども、それなりの御認識を持っていただきたい。
○竹下国務大臣 これがずっと平年度化した場合は、それなりの、四年間余裕がありますからその間に頑張ってください、こういうわけです。しかし、おっしゃるようなケースは皆無ではないかもしらぬ、ずっとこれから黒字の出ない状態が続くということが。それに対してはそれなりの措置を講じますなんということは、それは御指摘のとおり言えないことでございますが、なるほどそういう場合もあるなどいう問題意識を持たしていただいたということでお答えといたします。
○安倍(基)委員 ひとつその辺の御認識を新たにしていただきたいと思います。 次の問題で、ちょっと具体の話でございますけれども、今度の買いかえ資産の圧縮記帳の問題を私は本会議でも提示いたしました。私も東京湾横断道路のことを非難しましたけれども、最近ある新聞でも立て続けに書いておりますが、今度の民活というのは、一点豪華主義というか目につくところだけだっとやる、ところが、本当の経済効果があるのかということを私は前からも考えておりました。最近そんな新聞もいろいろございますけれども、まさにその辺がちょっと問題であると思います。 それとともに、地方では、これは御承知と思いますけれども、工場があった、だんだんと住宅地域が周りに来る、普通はいたたまれないというか外へ出ていかなければいかぬ。外へ出ていくということは、周囲にとってもいいし、逆に、新しい投資にもなるわけですね。また、跡地も市街地ですからいろいろ使える、これは地方における民活の非常に大きな目玉みたいなものじゃないか。どっちかというと、利子補給してでも出してやるべきというか、中心街から工場を郊外に移転する、それを促進してやってもしかるべき問題なわけです。東京湾横断道路に財政が面倒を見るなんということは愚の骨頂だと言っては言い方が悪いけれども、私は一つも感心しない。それよりは、むしろ地方においてこうやって工場が周りから言われて外へ出る、それを促進してやる、そちらの方にこそ援助してやるべきじゃないか。そうすれば跡地の開発もできる、新しい工場もつくれる、これがまさに民活の非常に大きな目玉になる要素ではなかったのかな。私は何も後輩を責めるわけじゃないのですけれども、これは意外と知られていない要素なんだ。横断道路に金を使うぐらいならよっぽどこういうところに利子補給してもいいぐらいじゃないかという感じなんで、そこを逆に圧縮記帳をやるというのはその辺がちょっとどうなのかなという気がいたします。その辺についてちょっと皆様のお考えを承りたい。
○水野政府委員 土地政策としてどうしてもここにこういう企業が存在してはいかぬとか、ここは道路にする、病院にするということで収用をするとか、そういうふうに強制的にそれが買い上げられたり収用されたりする場合、こういう場合は当然それは課税の繰り延べが行われるわけでございます。御指摘の今回の措置の対象といたしましては、まさに今お話しの、政策的にこういう企業はここへ行った方がいいとかあるいはこの中へ入っていけば優遇されるとか、まさに誘引的な措置としての課税の特例が幾つかある、それが御指摘のようにまさに対象にはなっておるわけでございますが、そういうケースにおきましても、企業として現実に土地等を処分いたしましてそれなりの現金を入手される、その売買過程におきまして譲渡所得が実現され、一回手にされるわけでございます。それが丸々一定の範囲のところへ移転される場合には、完全に課税が繰り延べられているというのが現行の制度でございますので、現実に譲渡所得が全部実現されておる場合、確かに優遇措置として税は御協力はいたしますけれども、現在の財政状況等を考えますと、全部について買いかえ、十億、百億あってもその譲渡益が全く課税外で将来に繰り延べられるというのは、誘引、優遇措置としてはやや過大ではないか。そこで、これを廃止するということではございませんで、そのうちの二割分、実現した譲渡益については現時点で課税をお願いさせていただきたい。いずれにしても将来において課税はされるのですが、二割だけは現時点で課税をお願いいたしたいというのが今回の措置でございますので、御指摘のような政策目的は若干縮小させていただいてございますが、全体としての租税特別措置の整理合理化の中でございますので、御理解を賜ればと思うわけでございます。
○安倍(基)委員 財政もあるのですけれども、民活、民活と非常に声が高い。民活もいろいろあるけれども、この辺こそ地方都市における民活の目玉になり得る話である。特に、跡地がいろいろ利用されるということもございまして、確かに企業がそれを売却することによって益を得ることはあるし、税が繰り延べられるということについての不公平じゃないかという感じを持たれる要素があるかもしれませんけれども、むしろ地方都市に新しい工場をつくる、敷地を買って移転すればそれなりの投資が行われるわけです。やはりこれは投資のためのお金でございまして、何もそれで飲んだり食ったりするわけではないので、新しい物をつくるための資金になるわけです。私どもの選挙区なんかも都会地のど真ん中に小さな工場がたくさんあるわけです。外に出たいけれども、なかなか出られない。いろいろ音も出るでしょうから、周りからやいのやいの言われながら出るに出られないというところが随分あるわけです。確かにそこの地価は高いでしょうけれども、遠くへ行けば行くでお金がかかる。民間の都市の開発にしても移転にしても、この措置が大きな目玉、促進剤になっておった。橋をつくるために、千葉がどこかの地価を上げるかわからぬけれども、そのために利子を応援するということよりもこの方がよほど意味があるのじゃないか。私としては、できればこれをやめていただきたいのですけれども、その辺を考慮していただけないか。民活を言う時代でございますから、この方がよほど民活に役立つのじゃないか 〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕 民活を言わない時代ならまだいいのですけれども、民活を言う時代において利子補給ということは——例えば東京湾横断道路というのは、これをやっていますよと言わんばかりのものである。本四条橋であれば四国全体の経済を底上げするという意味がある。 私はこの前本会議で言いましたけれども、関東大震災の損害はGNPの大体半分ですから、もし大地震というようなことでもあったときには、メガロポリスというのは一番弱いわけです。そこに投資を集中するということが国家経済にとって本当にいいのかどうか。私は、東京湾横断道路ぐらい愚劣な案はないと思っております。それよりは、こういった地方都市においていろいろ役に立つ税制を存続すべきじゃないかと私は思います。後輩たちをいじめるわけじゃないですけれども、その辺を考えていただけないかなということでございます。事務当局と大臣のお考えを承りたい。
○水野政府委員 御指摘の点はまさに政策的な意味があるということで、今回も八割分は残してある。これはあくまで任意の売買の場合の課税繰り延べでございますので、八割をもって御協力申し上げたいということではないかと思います。 こうした土地と土地との買いかえにつきましては、昭和四十四年度改正までは、すべての場合にわたって土地を売って土地を買いさえすれば課税は繰り延べるということでございましたが、それではかえって次の土地を買いあさるために地価をつくり上げるという点もあるし、幾ら巨額なものが実現されても土地を買えば全く非課税というのはおかしいということから、それまでの無制限な買いかえが、政策目的の一定の範囲に適合するものだけが現在残っておる、そういう政策的なものでございますので、財政状況等を勘案して若干の縮減をお願いいたしたということでございます。
○竹下国務大臣 私も田舎出身ですから、いわゆる農村工業導入促進法とかいろいろな法律が適用される最大の要件はこの制度だというような考え方で対応してきたことは事実でございますが、この問題についても毎年税調等で議論がありますのは、譲渡益というものが生ずること自体は事実だということになると、かつて我々が山村振興だの農村工業導入促進法だのというもので考えておったものであっても一定部分についてはその税体系の中で措置していいのじゃないかな、こういう結論になって今度お願いしておる、こういうことでございますが、今おっしゃったように民活、民活と余り言わないころにやった制度を民活と言うようになってから縮小するというのは、感覚として自分もちょっと疑問を感ずるぞとおっしゃればなるほどそれも一つの——私どももこの審議の段階で、私が田舎出身でありますだけにそんな感じがないわけでもありませんでしたが、税体系の中へそれを組み込んで今の財政事情等を勘案した場合に、八割と二割ということでございますから、この辺が妥当なところでお願いできるのじゃないかな、そう考えたわけであります。
○安倍(基)委員 土地だけでなくてそこに工場を建てるとか、そういう制約をきちっとしておけば、単なる土地の買いあさりということは防止できるわけでございます。 もう一つ、たまたま繰越欠損金との関連もございまして、そういうことをやったのがいけなかったという話になってきますと、二重にそういったことをやった連中がばかを見るというような話にもなるわけで、二つの制度をかみ合わせてみますと、反省すべき点がいろいろあるのじゃないかなと思います。いずれにいたしましても、こういった制度、特別措置の縮小という面もありますけれども、それはそれなりの規制を加えて、その上でこういった措置は考えておくべきじゃないかな、この辺は再検討の余地があるのではないかと思いますので、大臣、もう一遍お考えを承りたい。
○竹下国務大臣 これは、現状においては再検討しますという問題じゃないと思います。新産だ、工特だ、農村工業導入促進法だ、特別地域だというような、大体私は低開発出身でございますから、そういうようなところへばかりよく出ておったときの施策としての目玉であったことは事実だなと思っておりますが、今日の税体系の中で再検討しますという性格のものにはならぬと思います。
○安倍(基)委員 提案した途端に、あれも再検討しろ、こっちも再検討しろということは言えないわけですから、私もその立場はわかります。これはしかし、単に新産都市とか、何とか都市とか、そういうある特定の都市をやるんじゃなくて、一般的な今まであった工場が周りから追い立てられる、このままでやっていけない、非常にひどい制度でございますので、特定の都市などを対象としたようなものと意味が違う。それは今で言う民活、確かにそういう昔からの都市の発展というのに役立ってきているということは十分御認識願いたいと思います。 この話ばかりやっていますと先へ進みませんから、それでは三番目に、これはある程度私が急に思いつきで言ったという感じを受けるかもしれませんけども、私が本会議で提案した、市場開拓準備金を縮小する、これは当然かと思います。黙っていても日本がいろいろ補助していると怒られているところでございますから、それはやむを得ぬと私は思う。ただ、むしろこれを逆に切りかえるというか、為替変動準備金——本当にこれだけの急激な為替変動というのはだれも予想していなかった。中小企業なんか蓄えがそのためにすっ飛んでしまう。そういうことを言い出すと、大企業もという話が出てくる可能性もありますけれども、特に中小の場合に、海外市場開拓準備金というのを認めてやっていたことの意味が変わった形で、為替変動準備金という形で今後考えてやっていいんじゃないか。どのくらいの額を積み立てていいのかという話にもなりましょうけれども、非常にもうかっているときはどんどん税金を取られてしまう、ところが円高になってきて、今度は全然輸出できなくなる。税金を納めないでそこで少しは内部留保しておけばどうにかもったものが、内部留保が全然すっからかんになってしまうということがあるわけです。 私が中国の財務局長をしていたときに、造船所がどんどん倒れたわけですね。造船所なんかは契約のロットが大きいですから、あれはキャンセルされると、金融が途絶えてしまい、ばたばた倒れていく。これは今と同じようなまことに急激な円高だったのでございますけれども、私もいろいろ回ってみますと、円高がどのくらいみんなを痛めつけているかということがわかります。そうすると、金融だけじゃ救えないんじゃないか、こういったことを考えて、少なくとも海外市場開拓準備金というのがあったのだったら、それをむしろ切りかえるような形で為替変動準備金を考えてやったらどうかな。これは技術的に非常に難しい話かもしれませんし、どのくらい積んだらいいのかという問題もございます。もうかっているときに全部もうけは持っていかれちゃうよ、そしていざとなって急に輸出はストップする。日米関係でも、中小企業に緊急融資するとまた大分外からたたかれるという要素もございますけれども、これはむしろ彼らの認識不足かと思いますけれども、何らかの形でこういったことを考えてやらないと——かつて固定相場のところで生きてきた、それが為替変動にさらされるというのは全く環境の変化でございまして、個人の力では何ともならない力で翻弄されるわけでございますから、少なくとも少しずつためておくという要素も考えてやっていいんじゃないかと思います。いかがでございましょう。
○水野政府委員 やはりこれだけ経済が国際化してまいりますと、そういう御指摘のような点もあろうかと思うわけでございますが、昭和四十六年に固定相場から移行した、それから既に十五年を経過しているわけでございます。為替につきましては、それは変動があり、利益もあれば損失もある、そういうことはほぼ定着しつつあるのではないかと思っておるわけでございます。為替によりまして利益があった、それを将来の損失に備えて準備金で積むということは、端的に将来の損失に備えた利益留保ということになるわけでございますので、税制上の措置としてはどうしてもいかがかなという気がするわけでございます。
○竹下国務大臣 これは今の主税局長の答弁で尽きると思うのですが、変動相場制になって十数年たちますと、本来は為替予約等においてヘッジすべきものであって、為替差益の場合もあり得る、差損の場合ももちろんあり得るわけでありますが、それを税であらかじめ措置するというのは、私も、税制上構築することそのものも難しいのじゃないかという気がいたしております。 それから、今いみじくもおっしゃいましたように、いわゆる輸出競争力温存施策というふうに受けとめられることはもとより本意じゃない、この間の問題はだんだん理解がいっているようでございますけれども、そんな感じで承っておりました。
○安倍(基)委員 為替ヘッジができる層とできない層とがあるのですね。大体中小企業なんというのは為替ヘッジの知識もろくにないわけですよ。大きな商社あるいは企業あたりになりますと、専門家がいまして全部やってやるわけですな。だから、そういったところを経営している連中はある程度面倒を見てもらえるかもしれませんけれども、為替なんというのは全然わからない連中が多いわけでございまして、もうかっている時期に、そこにこそある程度もうかっているのをためておけないか。これは急に言い出してもなかなかすぐに実現できるかどうかというのはわからない、私としても自信ないのですけれども、要するにこれだけの為替変動が起こってきている時代に——最近いろいろな連中に会うと、固定相場制に戻してくれよという話がよく出てくるわけですよ。しかし、固定相場制に戻すといったってそう簡単にいかない。一般の中小企業の連中というのは以前の方がよかったということをしきりに言うわけですね。それは事実わかるのですが、というて固定相場に戻すといったって、それはそう簡単にいくわけじゃないし、せいぜいある程度のマウンドの中で動くくらいなことができるかできないかという程度だと思いますけれども、こんなに急激な為替変動というのは余り経験しない。それをヘッジしろというのは彼らにとってちょっと酷な話ですね。そういうところを考えますと、特に日本の場合には中小企業が多いという特色がありますし、そういう現実があるわけでございまして、私ども、中小企業と接しておりますと、そういう感が非常に深い。だから、すぐに彼らは政府が悪い、政府が勝手に相場を変えちゃったからこんな苦労しているのだという話になるわけですね。でございますから、かつてそうやって市場開拓をさせるためにいわば手を差し伸べたのであれば、それはもうできないにしても、逆の意味で、為替変動に対する体力をつけてやっておく。いざというときに金融でもって助けようと思っても、金融というのは危なくなったらすぐ手を引きますからね。私も造船所のことでよく経験しているのです。一回、二回の手形くらいは面倒を見ても、その先は、おまえ責任持つかと言われたら、銀行に対しておまえやってくれなんて言えないわけですから、そういう意味でいろいろの中小企業がそういった為替変動にさらされる現状においては、大企業はさっきおっしゃったようにヘッジはできましょうけれども、中小企業はできないという現実を認識されて、しかも日本の場合にはそういう中小企業が多いということを御認識願いたい。我が民社党は中小企業と非常に関係が深いわけでございますが、それは別といたしまして、こういう時代にはそれなりのいわば手当てが要るのじゃないかと思います。いかがでございますか、今すぐここでつくれということではございませんけれども。
○水野政府委員 先ほど申し上げた昭和四十六年に固定相場制から新しい体制に、さらには変動相場制に移行しました際に、全く固定相場になれておりました経済取引でございましたので、外貨建て債権につきまして若干の課税特例措置をつくったわけでございますが、国会で、これは利益留保の特別措置ではないかと毎年おしかりを受けて、数年で廃止させていただいたという例もございます。こうしたものは、税制としては、こういうものを制度化いたしますと、利益留保的なものに受け取られて、特別措置の端的なものではないかという御指摘を受ける心配がございますので、私どもとしてはどうも消極的に考えざるを得ないわけでございます。
○竹下国務大臣 中小企業というものの対策について、もろもろの措置を講じなければいかぬ。ちょうど昭和四十六年の八月十三日でございましたか、私、内閣官房長官でございましたが、そのときニクソン大統領から佐藤総理に電話がかかりまして、ドルの兌換制は停止するということでした。私、率直に言って何のことかわかりませんでした。それでいろんな人に聞きまして、水田大蔵大臣、一緒に勉強しようやということでした。福田先生が外務大臣で、おれがロンドンにおったころは二円だったというような話でございましたが、すぐのことにはなかなか間に合いませんし、田中角榮先生が通産大臣で、燕の洋食器はどうなるかなと非常に現実的ではありますが、本当にその際困って大変な勉強をしたわけです。幸い国会でも、まだ私もわかりませんが、質問なさる方も余りわからぬ時代でございました。新聞記者の人もそうでございました。それがだんだんいわゆる為替差損問題が出まして、それで一体予算をどうして組もうかと思ったことがございますが、その為替差損問題が今おっしゃった造船、海運等々でございまして、何とかと思っておったら、十二月でございましたか、いわゆるスミソニアン・レートというのができて、瞬間的固定相場三百八円というのができまして、あれでいろんな予算が一応組めるようになった。しかし、それからもうこれだけの時間がたったわけですから、本来賢い日本人は、為替に対しては先ほど来おっしゃったヘッジの問題なんかもうなれていなければならぬと思いますけれども、おっしゃるとおり中小企業のおじさんあるいは私も含めて、ヘッジというようなことはすぐなかなか頭に来ない問題かと思います。そういう実態は承知しておりますが、やはりヘッジをするとかそういうような指導と申しましょうか訓練と申しますか、そういうものはしていかなければならぬ課題だなというふうに思っております。 実際、私も時々言われます。おまえがニューヨークへ九月二十二日に行ってやったんだから、おまえが始末しろというようなことを言われる方もございます。別に私がやったわけじゃございませんが、ちょうど世界じゅうがそうなっておって、一つのタイミングで、別に今介入しているわけでもございませんし、自律的に相場が形成されておるわけではございますものの、中小企業でそんなような御意見が出るぐらいでございますから、やはり将来に備えても、ヘッジの問題とかにつきましてはさらに指導をしていかなければならぬ。しかし、当時は、おまえ、円高になると言うがいつになったら千円になるんだというような状態から見れば、随分みんな訓練されておりますけれども、なお訓練の必要はあるというふうに思います。少し長くなりましたが、思い出話をいたしました。
○安倍(基)委員 まあ中小企業のおっさんなんというのは、ヘッジという言葉からして大体わからないですよ。わからないし、現実問題、どう返事していいかわけがわからないわけで、そういう意味でまあ準備金というのがちょっとヘッジになるんだろうな。ただ技術的に難しい問題ですから、私は一つ問題を提起するにとどめますけれども、たまたま市場開拓準備金が縮小されるという形の上において、性格を変えた形で考えていくべきものじゃないかな。これは、ヘッジを覚えるとかいって彼らに幾ら説明してもわけはわからぬし、せいぜいどこかの人にだまされるだけの話だと思います。そういったことで、私は、これは将来ヘッジの一種として考えてやるべきものではないかなと思っております。これは今後の検討課題で、勉強の一つのあれにしていただきたいと思います。 それから細かい話で、この前もちょっと言ったのですけれども、大体、一部輸入機械の償却に優遇措置をやるなんというのは愚の骨頂といっては悪いのですが、これは何も大蔵が指導がしたのではなくて、通産あたりから言われて、中曽根さんが市場開放の一環だとかいって彼が言い出したのか、あるいは通産が持っていってそういったことをやったのか知りませんが、そんなある特定の種類の機械、しかも輸入した機械について償却の優遇をするなんて、これは全体的に経済原則にちょっと反するんじゃないか。それは市場開放は必要かもしれぬけれども、そんな一部輸入機械について償却を優遇する、そういうことはむしろ市場を押し曲げるような話でございまして、決して市場の開放にはならないと私は思います。これは大蔵に答弁させるのはいささか気の毒かと思いますけれども、通産をきょう呼ぶのもちょっとあれだったのでございまして、えらい技術的な話ですから、時間もあれでございますので、簡単に趣旨をお聞かせいただきたい。
○水野政府委員 今回御提案申し上げております特例は、輸入促進税制というほど大きなものではございませんで、エネルギー基盤高度化設備を取得した場合、中小企業が電子機器を取得した場合の特別償却または税額控除制度の際に、それが輸入製品であった場合には二割増しの特例を設けるという程度のものでございます。 かつては、昭和三十年代は輸出奨励のもとで輸出所得を一定部分所得控除をいたしましたり、大幅な特別償却制度を講じたりしたことはございますが、現在のような財政事情でございますので、とてもそういったような大きな制度は考えられないわけでございます。また、企業関係税制は極力介入をしない中立的なものが望ましいわけでございますが、例外的に公平原則を犠牲にしまして若干の緊要な政策的措置に対しましては配慮をするということから、今回、限られた範囲ではございますが輸入を促進するということが最近の国際経済情勢から見て緊要な課題であるということで、こうした措置を講じさせていただいているわけでございます。
○竹下国務大臣 経済原則に反するじゃないか。これは自由経済の真髄から問えば私はおっしゃるとおりだと思いますが、我が方も輸出奨励税制をやったりしておった時代があるわけでありますが、今の国際経済情勢の中にとられた一つの措置であるというふうに御理解いただきたいものだと思います。経済原則、自由競争の原則からいえば、安倍さんの思想というのは決して間違ってはいないと思います。
○安倍(基)委員 私の言っているのは、やはり一部の輸入機械についてそうやるのはおかしい話だ、今まで先例があるのかどうかわかりませんけれども、あしき先例になっては困る、すべて我々はあしき先例というのをつくってはいかぬ。 これはちょっと余談になりますけれども、今度のダブル選挙の話がございますね。私は今二、三言っているのですが、これはちょっと余談になって申しわけないけれども、前回のダブルというのは不信任案が提出され、成立した結果行われたダブルですね。ところが、もし今度ダブルをねらえば、ねらってやるダブルになるので、あしき先例になるだろうということを私は言っているのです。すべてあしき先例をつくってはいかぬ、その意味でこれが税制上あしき先例にならないかな、問題は小さくても。ダブル論も、私は党派を離れまして、結局もしダブルねらいで選挙を始めれば、それがあしき先例になって、必ず大義名分を無理につくってそこでダブルをやろうとするというようなことになるのではないかな、ちょっと話がそれますけれども、すべて物事そういうあしき先例をつくってはいかぬという意味合いにおいて、この税制の問題もあしき先例にならないかなと思うのです。 ダブルの話はここで御答弁願うかどうか、それは御自由でございますけれども、すべて我々としては先例を非常に重んずる、税の方もそうだし、ダブルの場合だって、前回は不信任案が通過すれば総辞職か解散しかない、そこには政治判断の介入の余地がない。ところがもし政治判断でもってダブルをねらえば、それは一つの先例になる。まさにダブル問題というのはこれからのいわば民主制度について——これはむしろ予算委員会あたりで総理に聞こうと思っていたのですけれども、たまたま私はまだそういうあれがなかったものですからね。本当にすべての物事については先例を重要視する。税においてもかつてこういう先例があったのかどうか、特に一部機械について。ダブル論についても、これは今非常に新聞あたりであおっておりますけれども、これがあしき先例になっては日本憲政史上大問題であるなど思っております。まあ選挙の問題につきましての答弁は御自由でございます。たまたま、せっかくの機会でございますから、二つの質問をさせていただきました。
○竹下国務大臣 税制の中の先例が今のような具体的なものがあったかどうかは主税局長からお答えするといたしまして、あしき先例はそれはいけません。先例を一番大事にするところは国会でございます。憲法それから国会法、衆議院の議事規則等に基づく先例集というのは私も勉強させていただきましたが、まさに一尺ぐらい、まあ一尺というのはちょっと昔の言葉でございますが、相当な厚みの先例集というのがございます。その中で先例というものがよきにつけあしきにつけまさに先例として定着するというのは、これは帝国議会以来、国会が一番その癖が今日も残っておる。だから、行政の中であしき先例をつくっちゃいかぬというのはもちろんでございます。 それから、ダブル選挙の問題につきましては、これはおっしゃるとおり一遍経験をいたしましたが、あのときは、解散の日から四十日以内と、参議院議員の任期が来て国会が終わった三十一ないし三十五の間というのがちょうど一致することができたということで、私も当時閣僚でございましたから、そういうことをよく記憶いたしております。ただ選挙の問題は、おとといでございますか政府・与党首脳会議に出ましたところ、総理から、解散は考えていないという線でみんな合わしてもらいたい、合わすべきだという発言がございましたので、一閣僚といたしましては、総理が考えていない限りは考えていないという答弁を入れたら、またどこかで問題になる、こういうことでございます。
○水野政府委員 確かに御指摘のように、一つ先例ができますと次から次へと拡大されていくという傾向もございますので、私どもとしても、そういった点につきましては、それが先例になって広がるという点につきましては十分配慮して、考えて仕組んでいるつもりでございます。 なお、こうした具体的な先例につきましては、輸入につきましては今までは余り例はない、むしろ輸出振興を非常に重視しておりました時代におきましては、その機械が輸入製品の場合にはこう、国産の場合にはこうといったような若干の差別をつけて税制上の措置を仕組んでいたというような例はございます。が、今回のようなのは余りあるということではないと思います。
○安倍(基)委員 いろいろ先例の話が出ました。私としては、やはりあしき先例にならぬように、税制上もですね。今ダブルの話がせっかく出ましたけれども、本当に前回の選挙は、単に時日が一致したのみならず、不信任案の可決という、内閣としては二つのうちの一つを選択せざるを得ない状況でダブルが行われた。もし今後そういった状況がなくてダブルを選択すると、有利、不利でもって常に大義名分を探し出してやってしまう。むしろ実質的に任期が三年みたいな形になる可能性もある。すべて物事を有利、不利で判断して大義名分をくっつけるというような話になると、まさに憲政史上最大の汚点になるだろうと私は思っています。これは総理に直接聞きたいと思っておったのですが、たまたまそういった機会がなかったから、またあるいはそういう機会をつくってお聞きするかもしれませんけれども、私は、その辺、やはり政党人として、いわば立法府の人間としておのずから自制があるべきだなと思っています。これはニューリーダーと言われる竹下大蔵大臣にこれ以上いろいろお聞きしますと申しわけないからやめておきますけれども、一応そういうことを問題としては提示をしておきたいと思っています。この辺で一応この話は終えます。 まだ時間が若干ございますからまたもとへ戻りまして、あと一問。 最後に、さっき私は、これからの税制改正で、ひとつそういった消費性向の高いところのものを軽くして、低いものに重課せいという話をしたのでございますけれども、具体的に利子所得、これはマル優の限度管理というものを非常に厳しくするということで一応落ちついておりますが、これから、ことし、六十一年度中に成案を得ると言われている改正において、いわば限度管理の徹底ということでしばらくいくのか、あるいは、これはもちろん税調がどういう結論を出すかという問題もございますけれども、一律課税という話も出てきております。その辺についてはなかなか、今すぐどうのこうのというお答えはないかもしれませんけれども、大体どういう方向で考えていらっしゃるのか、ちょっとお答え願いたいと思います。
○水野政府委員 昭和六十年度改正におきまして、限度管理の適正化という方向で御提案を申し上げ、現在施行されておるところでございます。ただ、その後、税制の抜本的改革という作業が開始されているところでございますので、とにかくあらゆる面についてその根本から洗い直して検討をするということでございますので、そうした利子課税のあり方、内容につきましても、恐らく税制調査会で基本的な検討が行われるのではないかと思います。また、先般来、委員から御指摘のような経済情勢の変化なり社会情勢の変化なりもあるわけでございます。そうした点も踏まえまして基本的な検討がなされるものと思われ、その検討結果を踏まえて、私どもも適切に対処してまいりたいと思います。
○竹下国務大臣 やはり税調の答申でも一遍はいただいた答申でございますから、したがって、それを採用することなく限度管理、こういうことになったわけでありますから、税調の議論の中ではそのような議論が当然出てくるであろうと私も理解しております。 今どういう方向で議論が進んでいるかといいますと、大体が今のところまだ基本問題と所得、法人のあり方ぐらいなところまでしか進んでおりませんから、恐らく今の税調でその問題については論議が闘わされておるという順序にはまだ至っていないと思います。
○安倍(基)委員 今までの議論では、配当の問題が割合と落ちていると思うのです。給与所得に対する課税の軽減と資産所得についての課税の強化という面で、これから恐らく論議になると思いますけれども、どうも配当というものにはいろいろ議論がございまして、配当は既に利益処分だから、その前に税が課せられているから、そこからもう一遍取ったのでは取り過ぎたという議論が割合と基礎になっています。これは「ファイナンス」に谷村先生が書いたりしておられますけれども、中身はいろいろ問わないにしても、基本的には、一遍税を課したものから払われるのだからそれにもう一遍税を課しては取り過ぎだという感じが非常に議論されているのでございます。谷村先生は、ディビデンドというのはディバイドだから分け前なんだ、資本の外からもらってそれを使うものじゃないんだという議論を展開されていますが、いずれにせよ法人擬制説というか、一遍税を課せられたらもう一遍取るべきじゃないというのは理屈かもしれぬけれども、それはそれとして、例えば給与所得にあれだけ高率の税が課せられているというのであれば、やはり資産所得に対しても——もし二重取りというのだったら、税率そのものを考えなければいかぬじゃないか。二重に取るのだったら、では法人税を高くするかというような議論にもなるのであって、単に、一遍取ってあるものをもう一遍課税してはいかぬという理屈だけでやるのはおかしい。現在、個人の場合には三五%の分離課税あるいは源泉選択でこれは課せられていますけれども、片方の法人の場合には益金不算入になっていますね。今までほとんど利子ばかりが問題にされていますけれども、私は、これから配当の問題をもうちょっと考えていかなければいけないのじゃないかと思っております。これはまた税調でもいろいろ議論していただく。本当に、大型間接税とかなんとか言う前にそういう所得構造を、ますます格差を強めるような資産所得軽課、給与所得重課の形を転換していかないと、さっき言ったようにいつまでも内需が広がらない。要するに所得格差がふえる、消費がふえないと思います。もう時間もございませんから、最後に配当の話をちょっとお聞きして、私の質問を終えようと思います。
○水野政府委員 配当につきましては今委員御指摘のようなもろもろの意見があるわけでございますが、何と申しましても、株主と会社との関係と申しますと、そこは実際法人税として対処されておる、その残りが配当されるという仕組みがあるわけでございます。そういったところから配当控除制度といったものがあり、これがまさに法人税の基本的仕組みを構成する一つの制度でございますので、やはりこれは長年定着しております制度であり、現段階としてはこの制度を大きく変えることは適当ではなかろうというのが五十五年十一月の中期答申での考え方でございます。 ただ、今回税制の抜本改革の検討が行われているところでございまして、先ほど申し上げましたように、利子につきましても行われる。配当につきましても、そうした法人税制の基本的な仕組みの中で検討は必ずされる課題であると考えております。
○竹下国務大臣 今の利子だけでなく利子配当という問題につきましては、今主税局長がお答えしたとおりに私も見ております。
○安倍(基)委員 質問を終わります。
○小泉委員長 簑輪幸代君。
○簑輪委員 六十一年度の税制改正は所得税減税が二年連続して見送られるという状況で、勤労国民に実質増税ということになっております。一方では、東京湾横断道路建設促進税制など、民間活力導入を口実にして大企業優遇措置が新たに拡大されているということで非常に問題があるわけです。こうした大企業優遇税制を抜本的に改めて、同時に国民の要求にこたえた所得税減税をぜひ行わなければならないと改めて主張したいと思います。私どもは、所得税一兆八千億円、住民税七千億円、計二兆五千億円の大幅な所得税減税を要求しておりますけれども、今回の税制改正に当たってこのことを重ねて指摘して質問をさせていただきたいと思います。 税のあり方については六十二年度税制で抜本見直しが行われるという論議がされ、特に税率構造、累進構造の見直しということが盛んに言われて、総理大臣もあれこれ論議されておりますけれども、私は、これが税の公平の観点から見て果たしてそれでよいのかどうか、そういう問題点なのかどうかということに非常に疑問を感じております。所得税体系の見直しの中で一番肝心なことはやはり公平ということだろうと思いますし、その中で税の所得再配分機能ということがまことに重要な問題だろうと思います心 大臣にお伺いいたしますけれども、税の所得再配分機能がどうあるべきなのか、今後税制改正と言われる中でこの所得再配分機能はどのような位置づけをもって取り組まれていくのか、基本的な認識をお伺いしたいと思います。
○竹下国務大臣 税制につきましては、今おっしゃいましたとおり、税負担の公平、経済に対する中立性を確保することが重要であることは言うまでもございません。その場合、個々の税目を単独にとらえるのではなく、それらを全体としての一つの体系としてとらえることが必要でありますので、したがって、税制全体として税制に要求されます各般の要請にこたえるようにいろいろ総合的に仕組まれておるものだということを基本に一つは考えております。 そこで、所得再配分機能ということを論ずる場合には、単に特定の税目についてそれが累進的であるか、あるいは逆進的であるかということを論ずるのではなくして、税制全体として、あるいは社会保障支出というものの角度からも、歳出面も含めた財政全体として考えていく、こういうことが税の基本であるというふうに考えます。 所得再配分機能というのは、かつてと違って非常に平準化してきておることは事実でございます。しかし、税問題そのものはいろいろな幅広い国民の意見を聞きながら、税調に今頼んだところでございますから、私はシャウプ理論と同じように竹下理論みたいなものを申し上げるほどのおこがましさは持っておりませんが、やはり総合的に考えるものであって、一つ一つの税制で逆進性だ、累進性が強いとかという議論でなく、総合的にその税の中では所得の再配分が行われるような仕組みにすべきものではないかな、こんな考え方であります。
○簑輪委員 所得再配分機能の重要性という点についての認識はおありだろうと思うのですけれども、その際に個別の税についてどうかということではなく、税制全体で果たして公平かどうか、再配分機能が果たされているかどうかということと、もう一つおっしゃいましたのは、社会保障等歳出にかかわる部分もおっしゃったわけですね。もちろん国民生活の全体を見ていくという点でいえば、両方ともその施策の中で再配分機能が果たされなければならないというふうに思うわけです。所得の再配分機能が税の部分でどうなのかという点で見ますと、それは必ずしも所得再配分機能が強化されてきているというふうにも言えない部分を全体として分析していかなければならないだろうというふうに思います。 もう一つおっしゃいました歳出面の問題ですけれども、果たして現実に所得再配分機能が歳出面で強化されてきているというふうに言えるだろうか。村山調査会の報告を見ますと、歳出面を通ずる所得再分配が近年広範に行われるようになってきていることにも留意する必要があろうという指摘がございますけれども、果たして本当に広範に歳出面における所得再配分が行われているかどうか、社会保障の分野で具体的にはどうだろうかというのを見てみる必要があると思うのですね。 総務庁統計局の家計調査年報五十九年版を見て、勤労世帯の社会保障費と社会保障給付というバランスの問題で考えてみますと、一九七三年と一九八四年を比較してみますと、社会保障給付は低所得者に対する給付と高額所得者に対する給付の差が縮まってきているという統計があります。再配分機能が構造的に低下してきているという数字が客観的にあらわれているわけで、そういう点から考えてみましても、税の分野でさらに一層の所得再配分機能の強化をする重要性というのが指摘されるだろうと私は思うのです。 こういう観点からいろいろな税の内容について少し見てみたいと思いますけれども、東京都の新財源構想研究会専門委員第六次報告というのが昭和五十三年の一月に出ていますが、ここでは都民の所得階層別、種類別の所得構成比が示されております。 これを見ると、所得が多くなるに従って給与所得の占める割合というのが減ってまいりまして、資産所得の割合がふえてくるというのが明らかになっております。資産所得に関する優遇税制措置があるために、結局都民の所得階層別負担率というのは、五十年所得で見ますと逆進的になっているというふうにこの報告書で指摘されているわけです。累進税率の緩和等を論議するということが盛んに行われていますけれども、実際の各所得階層別税負担率というのがどのような数字になっているのかということを明らかにしなければ内容はわからないと私は思うのです。大蔵省の方で、こうした所得階層別税負担率というものをあらわしたものがあるのかどうか、あればその内容をお答えいただきたいと思います。
○塚越政府委員 お答え申し上げます。 所得税全体を一本にしました税務統計というものはないわけでございますが、申告所得者をとらえた統計といたしまして、申告所得税標本調査というものがございます。申告所得税標本調査の昭和五十九年分の調査結果によりまして、源泉徴収税額と申告納税額を加算した所得階層別の所得税負担率というものが一応計算できるわけでございますが、それを読み上げさしていただきましょうか。 これは十四階級に分けておりまして、まず五十万円以下でございますが、一・八%、五十万円超七十万円以下が二・八%、七十万円超百万円以下が三・三%、百万円超百五十万円以下が三・七%、百五十万円超二百万円以下が四・二%、二百万円超三百万円以下が五・五%、三百万円超四百万円以下が七・六%、四百万円超五百万円以下が九・八%、五百万円超七百万円以下が一二・七%、七百万円超一千万円以下が一六・九%、一千万円超二千万円以下が二三・三%、二千万円超三千万円以下が二九・四%、三千万円超五千万円以下が三二・九%、五千万円超が三六・二%ということになっております。
○簑輪委員 これは申告所得税をもとにしてということでお答えいただきましたけれども、資産の状況については全くかかわりのないことになるわけですね。資産所得にかかわる問題については関係ない数字になるわけですね。
○塚越政府委員 この中には、配当所得でございますとか総合譲渡所得、不動産所得というものも申告されている限り入っております。
○簑輪委員 申告されている限りは入っているということでございますけれども、租税負担率を出す場合に、国税庁としては申告されたもの以外はわからないということになると思いますが、実際には、このような統計が現状に合っているかどうかという点ではかなり問題があるだろうと思うのです。 さらにまた資産所得の内容等にまで触れていろいろと論議をしていきたいと思いますけれども、今日、金融自由化というのが進んでまいりまして、金融資産の分配という点で不平等があるという指摘もされてきています。この四年間で所得分配はほとんど変わっていないけれども、金融資産分配については不平等化が進んでいるという指摘もございます。アメリカの連邦銀行のレポートによると、金融自由化のもとで、わずか一握りの高額世帯で金融資産をほとんど一人占めにするという傾向が報告されております。したがって、金融資産分配の不平等ということは税法上も随分問題になることだと思います。金融資産の運用について税法上優遇されているという点がさまざまな問題を呼んでいるということですけれども、例えば、最近財テクということが随分問題になっております。自民党の加藤税調会長ですか、財テクに企業が走って本来の生産ということをなおざりにするような税制が今のままでいいのかと思いますと言われるほど、金融資産に関する税制というのは非常に問題があると私も思いますけれども、大蔵大臣はこの財テクの傾向の問題、そしてそれを促進している税の問題、税制の問題、これについてどのようにお考えでしょうか。
○竹下国務大臣 いろんな金融商品が出ますよね。私どももわかりません。が、各種の金融商品に対します課税というもので一番大事なことは、各種金融商品が相互間で課税の中立性を著しく損なうことのないように留意するというのがまず金融商品に対する課税の問題の基本であるというふうに思っております。だから、そういう角度から、恐らく利子配当課税との関連等も含めながら税調で見直し作業というのが行われていくのではないかというふうに思っております。
○簑輪委員 企業や大資産家が余裕資金を運用して金融利益を上げるということが非常にふえているわけですけれども、この問題について言うならば、担税力があるということは間違いないわけでございまして、ここへの課税強化というのは公平の観点からいっても当然のことであろうと思います。 今日、節税商品と称するさまざまな商品を利用した課税逃れというものがいろいろ問題になっているわけですね。その一つとして割引債の問題も指摘されておりますけれども、これは昨年も正森議員が指摘いたしましたけれども、そのときに主税局長は、この一六%の水準というのは検討課題というふうに考えているという答弁もございました。この割引債の問題について、大蔵省としてはどのようにお考えでいらっしゃるでしょうか。
○水野政府委員 御承知のように、現在の利子課税では原則は二〇%の源泉徴収、総合申告でございますが、別途三五%の分離課税がある。一方、マル優、郵便貯金は非課税という体系になっておるわけでございます。割引債は、端的には利子所得ではございませんが、現在それは一六%の分離課税となっているわけでございます。ただ、一六%と申しましても、発行時一六%源泉徴収でございますので、それを利子支払いのときに源泉徴収が行われるものとどんなふうにして比較するかという問題はあろうかと思いますが、いずれにしましても、先ほどからの御議論もありますように、利子所得につきましては今後抜本改革の中でいろいろ検討されることと思います。その一環といたしましては割引債の問題も当然検討課題にされるものと思っております。
○簑輪委員 割引債については、もしマル優改革で低率分離課税ということになった場合に割引債の方が有利になるという問題点等もあって、これを課税強化しなければならないというような大蔵省の見解があるやに聞いておりますけれども、そのようにお考えなんでしょうか。
○水野政府委員 非課税貯蓄でございますと、現在、根っこからまるっきり源泉徴収もなく非課税である。一方こちらは、一応発行時一六%という源泉徴収が適用され、個人の場合にはそのままで課税終了、法人の場合は総合課税と申しますか、法人課税の対象になっているということでございます。 仮にマル優問題等を中心として非課税貯蓄制度も見直され、さらに二〇%の通常の利子の源泉徴収税率、三五%の分離課税の税率、これらが検討される場合におきましては、一六%の分離税率も検討課題とされようとは思いますが、先ほど大臣から申し上げましたように、まだ利子課税、配当課税の問題が現実に検討課題として取り上げられる作業過程にはなっておりませんので、現時点でどのような方向での検討が行われるかということにつきましては、なお御答弁できる段階にはないわけでございます。
○簑輪委員 私は、マル優に対する課税というのは断じて反対でございます。そのことを申し上げておきたいと思いますけれども、同時に、マル優の非課税を継続し、そして割引債の課税を強化するということも可能でございますので、その点はそういう方向で行われるようにぜひ主張したいと思います。 続いてCDの問題です。これは昭和五十七年以来再三私も大蔵委員会で取り上げさせていただいておりますけれども、見守るだの検討するだの、一向に前進してこないわけです。導入した当初はどういうことになるやらということはまあわかりますけれども、もう何年もたって、これが金融市場で一定の地位を占めてきている。これをいつまでも放置しておくことは許されないのではないかと思います。CDに対して有価証券取引税を課税せよと私どもは主張するわけですけれども、これが行われない理由として、これは有価証券ではないんだというふうなことなども言われているわけです。政策的に見て政治的な判断でこれは課税すべきであるか否かということが大事であって、あとの、そうした場合にどういう方法で課税するのかということは、例えば有価証券取引税の中でそれを法律上どういう方法をとるのかということは、手続の問題だろうと思うのですね。だから私は、まずこの商品をこのまま放置しておいていいものかどうか、課税すべきではないかという点での御判断をいただきたいと思うのです。
○水野政府委員 有価証券取引税と申しておりますので、これはやはり一般的に言われておりますところの有価証券といったものを対象とすることがまずは筋ではなかろうかと思うわけでございます。有価証券も取り込み、これに類似するもろもろの商品なり債券なりをひっくるめて新しく取引流通税的なものを考えるとなりますと、やや基本的な制度の変革になるのではないかと思うわけでございます。 私どもといたしましては、CDが今後とも指名債権として観念され、譲渡もその方式に従って行われているという現時点の段階といたしましては、これを有価証券取引税の分野で処理するというのは、どうもそこまでは踏み切りがたいわけでございます。御指摘のとおりでございまして、なお見きわめつつということを毎度申し上げておるわけでございますけれども、やはり現在の金融国際化の情勢の中ではこういった部門もかなり流動的に動いていく部分もあろうかと思いますので、この時点で税の面だけで割り切ってこれを有取税の世界に持ってくるというのは、私どもとしてもやや難しいと考えておるわけでございます。
○簑輪委員 毎度毎度見きわめつつですけれども、指名債権という現状が継続する限りそれは有価証券として見ることができないということなら、見きわめるもへったくれもなくて、その指名債権の間は課税をしないということのように受け取れますがいかがでしょうか。
○水野政府委員 でございますから、こういった点が現時点では御指摘のように実態としてはかなり債券に類似した流通の動向になっている面もあるわけでございますが、これを税の方からまず踏み切ってこちらの世界に割り切るというところまで来ているというふうに私どもとしてはなかなか判断しがたいわけでございます。指名債権として観念されている間は御指摘のようにこれは有取税の世界ではないんだ、もしそういう実態になってくればむしろそちらの方式の方も私どもの方からお願いして変えていただき、全体として整合性のあるように分類をしていただくのが筋かなと私ども現時点では考えておるわけでございまして、同じようにはなりますが、見きわめがつけばやりたいというところでございます。
○簑輪委員 ではCDの現状についてちょっとお伺いしますけれども、最近のCDの残高、それからあわせて債券の現先の残高、これらを述べていただけませんでしょうか。
○水野政府委員 現在のCDの発行残高といたしましては、五十九年の数字でございますと八兆一千二百九十億という数字がございます。これが六十年度になりまして、四月十兆円とか、九月十兆三千億円、十月十兆円、大体四月以降の状況を見ますとおおむね発行残高は十兆円前後となって推移いたしておるようでございます。 債券の売買高で申しますと、これは現先の方のお話であろうかと思いますが、現先の売買高といたしましては五十九年度は百五十一兆円、残高としては三兆九千億円という数字がございます。(簑輪委員「六十年はわかりますか」と呼ぶ)六十年に至りましては、毎月の売買高といたしましては四月が二十三兆四千億円、三十兆円になった月もございますが、年末にかけては若干減少し十二月は十三兆円台という数字になっております。残高といたしましては、六十年各月おおむね四兆五、六千億円程度の数字となっておるようでございます。
○簑輪委員 今お述べいただきましたように、CDの方は着実にふえてきている。そして一方、債券現先の方は停滞をしているという状況が読み取れるのではないかというふうに思うのですね。これは再三指摘されておりますように、税制上の扱いが全く違うために債券現先からCDの方にシフトしているということがあるのではないか。そういう点から見ますと、これはいつまでも放置しておくことができないというふうに政治的な判断が求められるところではないかと私は思います。 今の主税局長の答弁をお聞きしますと、CDではなくて、例えばそれが指名債権ではなくて指図式もしくは持参人払い式等々の方法に変わらない限り、この指名債権のままでいる限りは、どれだけ見きわめていただいても何か課税の対象として上がってこないような感じがするわけです。 そこで、大蔵大臣にお伺いするわけですけれども、今日このような金融資産の運用が非常に多額に行われている現状のもとでここへの課税の必要性と、ここを放置したままで国民から見て公平、公正と言えるだろうかという観点もあわせて考えてみますと、CDへの課税は行われるべきではないかと思いますが、大臣の政治的な御見解をお伺いしたいと思います。
○竹下国務大臣 簑輪さんの主張は主張として、簑輪さんがそういう背景で御議論なすっておるとは断じて思いませんけれども、よく証券界の方が、CDと現先についてはその不公平性と申しますか、それを御指摘になることは事実です。それを聞いたある人が、CDというのは恐らくCDだろうが、現先というのはどんなスペルか、ドイツ語かと聞いたという話があるぐらい我々もよく耳にする問題でございますが、それが指名債権であって譲渡性のある場合において、税の範疇からはなるほど今まで答えておるのがもっともだなという感じが私もしました。したがって、証券業界の方にいつでも申し上げますのは、冗談で現先というのはどんなスペルですかなんて言っておりますけれども、今主税局長が答弁したとおり、まさに証券取引法における取り扱いや流通の状況等を見きわめつつ検討すべき課題だということは、総じてよく書かれた答弁だなというふうに率直にそう思っております。
○簑輪委員 別に証券業界の主張を代弁したわけでは決してございませんで、国民の観点から見て公平な税制、資産の運用について、このようなものは適正に課税すべきであるという立場で申し上げております。 まだまだお聞きしたいことはあるのですけれども、もう七時を過ぎましたので、本日はこれにて終わりたいと思います。残りは留保させていただきます。
○小泉委員長 次回は、明六日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時七分散会 ————◇—————