石炭対策特別委員会 第4号
- 発言数
- 116 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1986/05/15
会議録
○矢山委員長 これより会議を開きます。 石炭対策に関する件について調査を進めます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 石炭対策に関する件、特に第八次石炭対策に関する問題調査のため、本日、参考人として石炭鉱業審議会政策部会検討小委員長向坂正男君、日本石炭協会会長有吉新吾君、石炭労働組合協議会会長野呂潔君、日本鉄鋼連盟専務理事植田守昭君、電気事業連合会副会長野澤清志君、北海道知事横路孝弘君、以上六名の方々の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○矢山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○矢山委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人におかれましては、本問題につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず向坂参考人から十五分程度、次に有吉参考人、野呂参考人、植田参考人、野澤参考人及び横路参考人の順序でそれぞれ十分程度の御意見をお述べいただきました後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。 なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得て御発言願います。 それでは、まず向坂参考人にお願いいたします。
○向坂参考人 石炭鉱業審議会政策部会検討小委員会委員長の向坂でございます。 いわゆる第八次石炭政策につきましては、昨年九月通商産業大臣から石炭鉱業審議会に対し諮問がなされて以降、政策部会のもとに設置されました、私を含め七人の委員により構成されます検討小委員会におきまして検討を重ねてまいりました。今まで十三回にわたり会合を開催し、主要な検討項目につきまして審議を進めてきたところでありますが、五月八日には、今後の答申作成の参考とするため、これまでの審議状況を政策部会に御報告し、委員の方々から幅広い角度からの御意見をいただいたところでございます。 本日は、検討小委員会として、これまでの審議状況について申し述べさせていただきます。なお、これまでの検討に際しましては、石炭業界、労働組合、需要業界、地方公共団体の各関係者から意見聴取を行い、それぞれの立場からの御意見を承ったところでございますが、本日はそれぞれの代表の方々が御出席しておられますので、その内容につきましては説明を省略させていただくことといたします。 まず、第七次政策策定以降の我が国石炭鉱業の動向を見ますと、生産は五十六年度の千七百四十七万トンから緩やかな減少傾向をたどっておりまして、六十年度は千六百四十五万トンとなる見込みであります。保安面では、百万人当たりの災害率が着実に減少しているなど全体としては改善の方向にありますが、三池炭鉱坑内火災事故、高島炭鉱ガス爆発事故、南大夕張炭鉱ガス爆発事故と、多数の罹災者を伴う重大な災害が発生しましたことはまことに遺憾であります。また、採掘条件は、深部化、奥部化の進行に伴い悪化しておりますが、労使の協力、合理化の進展によって生産能率は着実に上昇してきております。しかしながら、企業は赤字経営から脱却するには至っておらず、六十年度における政府助成後の経常損失は大手五社合計で約百十一億円、トン当たりで約八百九十円、また、繰越損失は約三百二十億円となる見込みでありまして、経営基盤は依然脆弱であります。 一方、石炭鉱業を取り巻く環境に目を転じてみますと、近年の国際的な石炭需給の緩和、最近における石油価格の下落、円高基調の定着等を背景に、内外炭価格差は、五十六年度と六十一年三月との対比におきまして、一般炭でトン当たり約三千百円から一万一千七百円へと、また原料炭ではトン当たり約七千七百円から約一万五千三百円とそれぞれ大幅に拡大しておりまして、第七次政策の前提は現実と乖離するに至っております。 次に、今後の国内炭をめぐる環境を考えますと、まず、我が国の石炭需要は、中長期的に見まして、原料炭はほぼ横ばいで推移する一方、一般炭は、電力を中心に着実に増加し、全体としては、五十八年十一月の総合エネルギー調査会需給部会の「長期エネルギー需給見通し」に沿って増加基調で推移するものと見込まれます。他方、我が国石炭供給の大宗を担っている海外炭につきましては、数量面では、一般炭、原料炭ともに長期にわたりその安定的確保は可能と見込まれます。すなわち、一般炭は長期契約等により当面手当て済みでありまして、長期的にも、主要産炭国が政治的に安定していること、我が国への輸送上の問題は少ないこと、各国とも対日輸出に積極的であること、我が国企業が探鉱を行っているプロジェクトが多数あること等の理由から、需要の増大に見合った必要量の確保は十分可能であると見られます。原料炭も、現在の長期契約等により確保されている海外炭の量が需要を長期に上回る状況にあります。また、価格面では、従来の石炭需要、既存の炭鉱及び現在開発中の炭鉱の供給能力、新規炭鉱の開発時期、さらには原油価格との関連から見まして、海外炭の実質価格は当面弱含み横ばいで推移し、その後は緩やかな上昇に転ずる可能性があるものと見込まれます。 一方、今後の国内炭の生産コストを見通しますと、保安対策の強化や深部化、奥部化に対応するための設備投資等のコストアップ要因はありますものの、それは、一般には新技術の導入や間接部門等の合理化によって吸収可能と考えられます。しかしながら、それ以上の合理化余地は小さいものと考えられるため、賃金、物価の上昇等に伴うコストアップ分を完全に吸収することは困難と見込まれます。したがって、さきに述べました海外炭の価格見通しとあわせて考えますと、今後国内炭の海外炭に対する競争条件の改善は見込みがたいとの認識を持つに至っております。 また、保安の確保に対しては重大な関心を寄せまして、今後、採掘条件は深部化、奥部化の進行に伴い厳しくなっていくものと予想されますが、保安上の問題に関しては、今後とも自然条件の変化等に即応した慎重な採掘計画の作成と、一層細かい保安対策の実施を前提として、一般的には技術面からの特段の制約はないものと考えます。特に今後は、重大災害の発生を根絶するために自主保安体制を基本とし、災害の未然防止対策や被害拡大防止対策を充実するとともに、それらを有効に機能させる前提である保安管理体制の整備や教育訓練の徹底を図るなど、総合的な重大災害防止対策を確立する必要があると考えられます。 以上述べてまいりましたような国内炭をめぐる第七次政策策定以来のエネルギー情勢の変化の中で、国内炭のエネルギー政策上の役割について考えてみますと、国内炭は、国内資源としての有効活用、供給の安定性等の観点から、引き続きエネルギー供給の安全保障機能において相応の役割を果たしていると評価できますが、最近の国内炭をめぐる環境の変化を考えますと、その役割は従来に比べ変化していると認識せざるを得ないのであります。 こうした国内炭の役割の変化を考慮しますと、従来のように生産を前提として需要を確保するという考え方をとることは困難でありまして、需要動向をも十分勘案した生産体制とすべきであると考えられます。こうした考え方に立って、石炭企業としては、炭鉱ごとに保安、炭量、技術等の面からその経営の見通しを明らかにすべきであるとの結論に達したところでありまして、今後検討小委員会として、石炭企業各社から各炭鉱の将来展望について意見聴取を行うことを予定しております。 なお、国内炭が地域社会において果たしている役割についても、十分認識して考えていく必要があります。 次に、国内炭の価格、需要確保のあり方についてですが、これらについては、いずれも今後さらに検討すべき問題と考えております。これまでのとりおえずの審議状況について申しますと、まず、国内炭の価格につきましては、現在基準炭価制度に基づき毎年通産大臣により決められているところでありますが、大幅な内外炭価格差の存続が見込まれる以上こうした制度を維持することが適当であると考えられます。しかしながら、具体的な炭価決定方式については、さらに検討する必要があると考えております。 また、需要の確保につきましては、需要動向についても十分勘案した生産体制という考え方のもとでも、国内炭の需要を確保するための何らかの措置は必要と考えておりますが、それを担保する制度については、今後さらに検討する必要があると考えております。 次に、政府の助成につきましては、現行の助成の継続を基本とすべきと考えますが、その枠内で所要の見直しを行う必要があると考えられます。なお、関係地方公共団体や親会社に対しては、石炭企業への一層の支援を求めたいと思います。 また、今後仮に閉山という事態が生じた場合には、その地域社会に与える深刻な影響を考慮し、所要の閉山対策、離職者対策に配慮すべきであると考えます。さらに、こうした閉山後の後追い対策だけではなく、産炭地域の産業構造の多様化を図るなどのために、工業の導入等の先行型の地域振興対策を一層推進すべきであると考えます。 以上、検討小委員会としての審議状況の主要点について申し述べました。今後小委員会といたしましてはさらに検討を加えたいと考えますが、エネルギー政策の基本理念でありますセキュリティーとコストの調和の視点に立ってもう一度政策体系を吟味し、また、国内炭鉱の地域社会に果たしている役割についても考慮しながら、最終的な結論を得ることとしたいと考えております。 以上でございます。
○矢山委員長 ありがとうございました。 次に、有吉参考人にお願いいたします。
○有吉参考人 日本石炭協会会長の有吉でございます。 本日は、当委員会におきまして石炭業界の立場から意見を開陳する機会を与えていただきまして、厚くお礼を申し上げます。 初めに、一昨年、昨年と重大災害を続発いたしまして、諸先生及び関係御当局を初め各方面に大変御心配、御迷惑をおかけいたしましたことをおわび申し上げる次第でございますが、昨年六月十九日に開催されました当委員会におきまして私どもの決意を披瀝いたしましたように、その後全炭鉱挙げて重大災害撲滅の対策を進めてまいりました。また、先般発表されました保安問題懇談会の報告書の趣旨も外しまして、その対策を具体的に現場に実施すべく取り進めております。新たな決意のもとに保安の万全を期してまいる所存でございます。 きて、去る五月八日に石炭鉱業審議会の政策部会が開かれまして、検討小委員会の審議状況の中間報告がございました。その内容は、ただいま向坂先生からお話がありましたように多岐にわたる多角的な御検討をいただいておりますが、報告の内容は内外炭価格差が大幅に拡大し、国内炭の海外炭に対する競争条件は大幅に悪化しておる、エネルギー供給の安全保障機能における国内炭の役割も従来より変化しておる、したがって需要動向をも十分勘案した生産体制にすべきである、さらに閉山対策についての配慮も必要である、こういうふうになっておりまして、審議の基調は生産規模の縮小を示唆しておるものでありまして、またその政策部会の席上、各需要業界の委員の方々からもそれぞれ国内炭の引き取りを減らしたいという発言がございました。もとより私どもは、国内炭をめぐる環境が極めて厳しい状況にあることは十分認識いたしておりますので、この中間報告及び需要業界の御意向を謙虚に受けとめ、石炭業界全体といたしましていかに対処していったらいいか、真剣に検討いたしているところでございます。また、近く検討小委員会におきまして各社ごとのヒアリングが行われることになっておりますので、各社それぞれの事情に応じ、個々の対応を検討いたしておるところでございます。 石炭業界といたしましては、これまでも幾多の試練を経てまいりましたが、このたびは最も厳しい環境に直面いたしておりまして、事と次第によりましては極めて深刻な事態を迎えるのではないかと苦慮いたしておる次第でございます。 すなわち、もし今度の八次策で中間報告の基調と需要業界の御意向に沿った線で決定、実施されることになりますと、結果的には数多くの炭鉱が閉山に追い込まれることになるわけでありまして、閉山になりますと、当該企業にとりましては債務の処理、退職金等閉山費用の調達に困窮し、各方面に御迷惑をかけるおそれもあり、また多くの従業員及び家族の方々を路頭に迷わせることになりかねないのでございます。また、現在の主要十一炭鉱は、それぞれ所在地域の経済的基盤を支える役割を果たしておるのでありますが、それだけにもし炭鉱が閉山となりますと、その地域の方々には多大の御迷惑をかけることになります。皆様方におかれましては、このような事情を十分御勘案いただきまして、万一そのような事態が生じます場合には、それぞれに適切な対策を講じていただきますよう切にお願いを申し上げる次第でございます。 私ども石炭業界といたしましては、昨年十月十九日の検討小委員会におきまして所見を開陳いたしましたとおり、原則といたしまして現存炭鉱の維持をお願いしておるのでございますが、今回の中間報告にもありますように、日本の石炭需要は今後電力を中心に着実に増加する見通してありますので、その一部として国産エネルギー資源としての国内炭をできるだけ活用していくことを、政策の基調の一つとして御考慮いただきたいと思うのであります。 また、国際的なエネルギー事情は、過去の経験からいたしましても、いつ変化するか予測しがたいと存じますので、単なる買い付けでなく、開発輸入または技術協力ということも考慮しておく必要があるのではないかと存じますが、その際には、今日まで培ってまいりました日本の炭鉱技術がお役に立つこともあろうかと存ずる次第であります。しかしながら、中間報告の基調並びに需要業界の引き取り減についての強い要望等を考えてみますと、事実問題として数個の炭鉱が閉山に追い込まれる可能性が多分にあることは否定できないように感ずるのでございます。この場合、私どもが最も危惧いたしておりますのは、この線までは規模縮小するけれども、あとは積極的に維持していくという明確かつ実効的な歯どめの措置が講じられない限り、規模縮小は際限のない縮小につながっていくおそれがあるということであります。 七次策は、政府の助成、企業の自助努力並びに需要業界の協力を三本の柱としてスタートしたのでございますけれども、環境が今日のように激変いたしますと、需要業界の協力をいただくことは非常に困難になってくるのであります。したがいまして、今後の維持対策と申しますか歯どめ対策と申しますか、それには需要の確保対策と並んで新たな生産維持対策を検討していただきたいと存ずる次第であります。現行の政府の助成制度、IQ制度、基準炭価制度等はぜひ継続していただくことが必要と存じますが、そのほかに西ドイツ等諸外国の国内炭維持対策等も新たに御検討いただきまして、炭鉱維持のための実効ある施策を講ぜられますことを切望してやまない次第でございます。 最後に、私ども石炭業界は、昭和三十八年の第一次石炭政策以来、本委員会の諸先生、関係政府御当局並びに需要業界の方々に一方ならぬお世話になりまして今日に至りました。ここに改めて厚く感謝の意を表する次第でございますが、今日国内炭は一番厳しいピンチを迎えておるわけでございますので、以上申し述べました私どもの考え方に御配慮をいただきまして、御支援、御協力を賜りますれば幸いと存じます。もとより私ども石炭業界といたしましては、保安を確保し、技術の研さんと創意工夫によりまして、安定供給とコストアップの抑制に最善の努力を傾注してまいる所存でございます。 以上をもちまして、私の陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○矢山委員長 ありがとうございました。 次に、野呂参考人にお願いいたします。
○野呂参考人 石炭労働組合協議会の会長の野呂であります。 本日は、炭鉱労働者と家族を代表いたしまして、意見を述べる機会を与えてくださいましたことを厚くお礼を申し上げる次第であります。 さて、先ほど検討小委係員会の向坂委員長から、第八次石炭政策に関する審議経過が報告されましたが、この中で検討小委員会として考えておられる第八次石炭政策の基本的方向が浮き彫りになっていると判断いたします。 それによりますと、検討小委員会は、当面するエネルギー需給の緩和、内外炭価格差の拡大といった状況をとらえ、現有炭鉱の相当数を閉山して国内炭生産規模の大幅縮小を図ること、これまで国内炭生産の支えともなってきました基準炭価制度、IQ制度、各種政策助成制度等について根本的な見直しを行わざるを得ないなど、一日に言いますと国内炭無用論の立場に立っていると判断せざるを得ないのであります。 仮にこのような方向で第八次石炭政策が決定されれば、我が国の石炭産業は壊滅的な打撃を受けるだけではなく、新たな産炭地域社会の崩壊が雪崩のように進行するのは必至であり、私どもといたしましては到底これを了承するわけにはいかないというのが率直な考え方であります。 私たちは、第八次石炭政策に向けまして、炭鉱に働く者の立場から具体的な要求を取りまとめ、政府その他関係方面に提出しております。また本委員会の先生方にもいろいろお願いしてまいっておりますので、その内容は十分御承知のことと存じます。したがいまして、ここでは具体的要求の一つ一つに触れることは避けまして、検討小委員会の考え方と対置する幾つかの基本的な問題点についてのみ私どもの考え方を明らかにしたいと考える次第であります。 その第一は、中長期的なエネルギー情勢をどう展望し、その中で国内炭生産の意義をどう位置づけていくのかという問題であります。これまでの第六次、第七次石炭政策は、いずれも政策立案段階において分析したエネルギー情勢、経済情勢が大幅に狂い、政策の展望に大きなそごを来した苦い経験があります。第八次石炭政策では、二度とこのような誤りを繰り返してはならないと切望する次第であります。 ところで、第八次石炭政策は、一応五カ年間を対策期間とする中長期的な政策でありますが、この五年間はもちろん、その先五年ないし十年にわたって、石油、石炭などの需給関係がどのように推移していくのか。この点につきましては、緩急の差はあっても、タイト化に向かうというのが大方の見方となっていると考えます。これに加えて私どもは、場合によっては、第三次エネルギー危機の到来もあり得るとさえ考えております。したがって、第八次石炭政策の確立に当たっては、このような想定に立って必要エネルギーの安定確保対策、エネルギー安全保障を確立していくこと、このような方向で国内炭についてもその一翼を担わせていくことがぜひ必要であると考えます。 確かに、今日第一次エネルギー供給量に占める国内炭のシェアはわずか三%に落ち込んでおります。しかし、資源小国と言われる我が国にとって、この三%といえども軽視できないと考えています。特に国内炭は、私どもの調査では実収炭量四十億トン、通産省の統計でも十億トンの量が確保されており、今後の政策的てこ入れでは十分生産を拡大していくことが可能と判断されます。この点から見て、やはり国内炭の役割を強化していくことが可能であると考えるのであります。 もちろん私どもといたしましては、エネルギーコストの低減という課題を度外視しているわけではなくて、重要な課題であると考えています。しかし、国内エネルギー資源の全面的な開発利用を一方の柱に据えたエネルギー安定確保対策の確立こそが、それに優先する課題ではないかと考えるものであります。 その二は、国内炭の需要問題であります。 第七次石炭政策では、国内炭需要対策として、国内炭優先利用という考え方に立ってIQ制度の活用を図っていくことが掲げられてきました。もちろん私どもといたしましては、この制度自体不十分なものであり、また実施面でもいろいろ不満があるわけでありますが、内外炭の間に大きな価格差がある現状の中では、国内炭を支える一つの柱として一定の効果を発揮してきたものと判断しております。第八次石炭政策の中では、この柱を取り外す、あるいは弱体化するというのが検討小委員会の考え方になっていると判断するわけでありますが、これでは国内炭の存立基盤を取り除くと同じであり、石炭産業は壊滅的な打撃を受けることが必至であります。私どもといたしましては、やはり国内炭優先利用という指標を第八次石炭政策の中でも堅持し、IQ制度の活用強化を含む有効な方策を見出していくことを切に望むものであります。 また、需要があって初めて生産量が決まるという問題であります。特に国内炭の場合御承知のようにほとんどが坑内掘りであり、需要量の変動に応じて生産量を調整することが、一年前とかあるいは二年前であったならばそれに対応できるのでありますが、極めて困難な条件にあります。これは、坑内掘りの宿命であるわけでありますが、需要量を想定する場合、この点にも十分留意し、少なくとも生産された石炭は全量引き取られるという対策をとることが不可欠の条件であると考える次第であります。 その第三は、炭鉱労働者の労働条件の改善、適正化の問題であります。 第六次、第七次石炭政策では、地下労働にふさわしい労働条件の改善が一つの柱として掲げられてきました。これは賃金水準、労働時間を初めとする労働条件の面で炭鉱は他産業から見て大きな落差があるという実態を踏まえて、石炭政策課題としてこの問題を取り上げていく必要があるとしてとられた措置であるわけであります。ところが今回はそれがありません。全部つぶすんですから要らないということになればそれまででありますが、私どもといたしましてはこの具体的展開の面、特に国としてこの問題に関する指導の面で大きな不満を持っておりますが、労働条件改善に向けての一定のガイドラインを示されたものとして受けとめております。 第八次石炭政策の中でこの問題はどのように取り扱われるか、検討小委員会の考え方を示されていないのは残念であります。私どもといたしましては、炭鉱の労働条件、なかんずく労働時間問題が他に比較し著しく低位にあるという実態を踏まえ、さきに申し述べました国内炭生産の存続維持という政策方向の確立と相まって、地下労働にふさわしい労働条件の確立を石炭政策の中でも明示していくことを期待するものであります。 以上、三点について考え方を申し述べましたが、このほかに私どもといたしましては、保安の抜本的確保問題を特に切望してやみません。そのほかに財源問題、地域問題、雇用問題などございます。この点については検討小委員会の審議の中で十分時間をとって検討が行われ、一定の考え方が示されておりますが、私どもといたしましては、今後の政策審議の進展の中でさらに具体的な考え方を提起していきたいと考えるわけであります。 最後に私は、今ここに複雑な気持ちで立っているのであります。四十八年の十一月の未でありますが、当時の中曽根通産大臣が、炭労の私と里谷に会見を申し込みまして、院内で、石炭を増産してくれという要請と、今後は炭量枯渇、保安不良以外は閉山はしないということを約束いたしました。その人が今総理大臣のときに、炭鉱全体が壊滅されるような答申が出されようとしているわけであります。そういう点で、いま一度それらのことを含めて十分に私たちの意のあるところをくみ入れた答申、そして政策審議が行われることを切望してやまない次第であります。 以上をもって終わります。
○矢山委員長 ありがとうございました。 次に、植田参考人にお願いをいたします。
○植田参考人 私、日本鉄鋼連盟の専務理事の植田でございます。日ごろ何かと御指導いただいておりまして心から感謝いたす次第でございます。 私どもは、石炭審議会の向坂政策委員長の方には、現在の鉄鋼業の状況からいたしまして、とてもこの引き取りに伴う負担には耐え得ない状況であるということから、極めて厳しいお願いをしているわけでございます。そういうことを、なぜ私どもが特に今回従来以上に申し上げなければならないかということにつきまして、業界の実情に即しまして簡単に申し上げさせていただきたいと思います。 最近の鉄鋼の生産でございますが、四十八年度に一億二千万トンというピークを記録した後は低迷が続いております。最近は一億トン前後でございますが、六十一年度は、多くの見方は一億トンをかなり下回らざるを得ないだろうというふうに見られているわけでございます。このことは、中長期的に見ましても、基本的には回復できないのではないかという見通しでございます。一方、需要面と申しますかその面から見ますと、今の鉄鋼業は輸出に、昨年の実績で申しますと三三%出ておりますが、このほかにいわゆる間接輸出というものを含めますと五四、五%は輸出でございます。輸入よりもはるかに輸出の方が金額的にも多くなっておりまして、これが後に申し上げますように、今回の円高による厳しい衝撃となってあらわれているわけでございます。 円高につきまして一言申し上げますと、急速な円高が進んでいるわけでございますが、それにもかかわらず私どもの場合、外貨建ての値上げはほとんど不可能な状況でございまして、円高分はほとんどそのまま円手取りの減少ということで結果しております。一つ数字を申し上げますと、輸出価格は、一年ほど前はトン当たり十一万円近くであったものが現在は八万円ちょっと、そういうふうな急激な下落でございます。このことは、必然的に企業の収益状況を大変な赤字の状態に陥れているわけでございます。 そこで、本日の主題でございます石炭、私どもにとりましては原料炭でございますが、これについて申し上げますと、現在の消費量は六千二、三百万トンから六千五、六百万トンというところで横ばいに推移しております。この傾向は恐らく今後も続くと思います。一方供給面では、五十年代から海外炭の確保策を実施しておりまして、豪州やカナダ等で新規の開発等を行ってきましたが、五十九年から六十年にかけましてそれらがようやく入荷し始めてきたわけでございます。こういった計画は、当時一億二千万トン程度の生産を見込んで立てられたようでございまして、その結果、やや供給過多の状況にある。そうしてまた、そういった状況も反映いたしまして、海外炭の引き取り価格は下がりぎみに推移しているのが実情でございます。 さて、国内炭の引き取りの問題でございますが、御承知のように、現在、数量的には三百万トンちょっとを引き取ってきているわけでございます。価格につきましては、昨年度末、つまりこの三月でその格差は一万五千円を超えました。最近の百六十円台のレートで換算いたしますと一万六千円を超えることになりまして、その格差は三倍以上になるわけでございます。これを数量に掛けますと約五百億になるわけでございますが、最近の私どもの経常利益ではとてもこれを負担することはできないという状況になっております。ことしの経常利益はもう実質的に赤字の状態が続いているわけでございますが、昨年までの三年間、五十七年、五十八年、五十九年の経常利益が大体一千億ちょっとでございます。したがいまして、五百億に達しようとする負担は経常利益の半分に近い、こういうことになるわけでございまして、このことは私企業の限界を超えた大変な負担になるというふうに私どもは考えざるを得ないのでございます。 先ほど申しましたように。国際競争の場におきましては大変厳しい対応を迫られております。円高にもかかわらず値上げができないということで、企業経営を大変圧迫しております。これは率直に申しまして、単に円高によって利益が減少するということではございません。赤字への転落でございます。しかも、相当大幅な赤字が今後見込まれているわけでございます。 一方、競争相手、今NICSを中心といたしまして厳しい競争になっているわけでございますが、御承知のように、これらの国では通貨がドルに連動しているということもございまして、この円高は、最近一挙にかつ大幅に有利な地位を競争相手国に与えているわけでございます。こういう状況で、今私どもは大変深刻な状況に立たされているわけでございます。従来、私どもも長年にわたりましてそれなりに政策にいろいろ協力申し上げてきたつもりでございますが、率直に申しまして、今やその支援を差し伸べる余裕はなくなってしまったというのが現状でございます。私は、一言率直に実情を申し上げまして、とりあえずこの陳述を終わらせていただきます。
○矢山委員長 ありがとうございました。 次に、野澤参考人にお願いいたします。
○野澤参考人 ただいま御紹介にあずかりました電気事業連合会副会長の野澤でございます。 本日は、石炭、特に国内炭に関する私ども電気事業の考えを申し述べる機会を賜り、まことにありがとうございます。先生方におかれましては、我が国の石炭政策のあり方について、その先見性と広い視野を持って慎重に御審議されておることと存じ、私ども深く敬意を表しているところでございます。 さて、現在電気事業におきましては、電力の安定供給の確保と経営の効率化に鋭意努めているところでございます、 ところで国内炭につきましては、内外炭格差の拡大や重大事故の発生など極めて厳しい状況に置かれております。このような中で、さきの石炭鉱業審議会政策部会で検討小委員会の中間報告がなされまして、国内炭の役割は変化し、従来の生産を前提として需要を確保するという考え方をとることは困難であり、需要動向を十分勘案すべきだとして、二千万トン体制を目指した現行の第七次政策の抜本的見直しが必要と報告されたことは、我々電気事業としましても大きく評価しているところでございます。電気事業の場合、輸入割り当て制度の運用や産炭地経済への協力などの観点から、現在総生産量の約六割、年間一千万トン強の国内炭を引き取っております。しかしながら、海外炭との間に大幅な価格差が存在する現在、この引き取りは電気事業にとりまして大変大きな負担となっているのが実情でございます。このような電気事業と国内炭を取り巻く環境を踏まえて、以下、業界としての意見を述べさせていただきます。 まず、国内炭の価格と位置づけについてでございます。 振り返りますと、現行の第七次政策では、政策策定当時内外炭格差は現在ほど大きくはなく、また将来においても縮小の可能性がうかがえたことから、国内炭の持つ供給の安定性と安全保障機能を評価して、ユーザーは引き取りに協力するよううたわれております。しかしながら、現在では国内炭を取り巻く環境の変化は著しく、その評価は大きく変わってきておるものと思います。 第一に、供給の安定性について見ますと、石炭資源の大きな特徴は、世界じゅうに広く賦存し、供給源が分散していることでございます。第七次政策策定時においては、産炭国のストなどから、海外炭の供給の安定性は疑問視されておりましたが、オーストラリアを初め中国、南アフリカ、アメリカさらにはカナダなど、その後の世界的な新しい炭鉱開発の進展や流通機構の整備などから見まして、現在では十分安定性は高まっていると評価しております、 第二に、安全保障機能については、現在国内炭の我が国エネルギー供給量に占めるウエートは三%を下回る水準にしかすぎません。このことは、エネルギー源の多様化、安定化を推進している我が国の実態に照らしてみますと、国内炭に期待されていました安全保障機能というものは実質的意義は薄れてきていると言わざるを得ません。 第三に、経済性を見ますと、先ほど述べましたように、国内炭と海外炭との間には大きな価格差が存在しております。この価格差による負担は、現在の価格で試算いたしますと、電気事業全体で年間七百億円にも達することになります。このうち四分の三は、引き取り量の多い北海道電力株式会社と電源開発株式会社でございます。このように海外炭と対比しながら国内炭を評価してまいりますと、電気事業にとっては、既設の石炭火力であっても国内炭を主要な燃料として位置づけることはできません。もちろん石炭火力としては原子力、LNG火力と並ぶ電源多様化の柱の一つとして開発を進めてはおりますが、これはあくまで経済性、供給の安定性にすぐれる海外炭を前提としたものでございます。 次に、今後の電気事業の国内炭引き取り見通しとその生産のあり方などについて申し述べたいと思います。 まず、現在電気事業は年間約一千万トンの国内炭を引き取っておりますが、その大半は経済性を離れた引き取りでございます。仮に今後経済性のみを重視してまいりますと、電気事業の国内炭引き取り量はゼロとなってしまいます。また国際的視点からも、電気事業の国内炭引き取りには問題がございます。すなわち、第二次オイルショック後の電力需要の長期見通しの変更による電源開発計画の下方修正に伴い電気事業の石炭需要は大幅に減少し、海外炭の当面の引き取りは契約数量を三〇ないし四〇%カットせざるを得ない状態に追い込まれておりますが、これらのカット分は近い将来での引き取りを義務づけられております。さらにアメリカ、中国などから、貿易インバランス解消策の一環として石炭輸入量の増加を強く求められてきております。これに対しまして電気事業としましては、我が国の電力需要の現状や石炭のオーバーコミットメントの状況を訴えることで何とか調整を図っておりますが、一部の産炭国からは、割高な国内炭の引き取りを減らし、その公海外炭をという発言も出ておりまして、その対応に苦慮しているところでございます。 しかし、また一方では産炭地の経済問題など、国内炭を取り巻く諸般の事情があることも十分承知しております。電気事業は、これまで国内炭に関してできる限りの協力はしてまいったところでございますが、おのずから私企業としての限界もございます。このため、近い将来原子力が運開するのに加え、これまで国内炭を使用してきた内陸火力が建設以来既に二十数年を経過し老朽化が進んでいる北海道電力、また海外炭を志向してはいるものの、輸入割り当て制度により国内炭を引き取っている本州、四国の揚げ地電力などでは、引き取り量の削減を強く希望しております。電気事業としての国内炭引き取り量は、現在の水準を相当下回ったものとならざるを得ないと考えております。 また、ユーザーとしての立場から国内炭の生産のあり方について述べさせていただきますと、第七次政策では目標とする生産水準をあらかじめ定め、それに見合う需要を輸入割り当て制度による国内炭引き取り義務で確保するという生産先行型の方策がとられております。しかしながら、今後の生産のあるべき姿を考えますと、それは事故のない、そして需要に見合った無理のない生産体制に向かうことではないでしょうか。このような意味で、現行の輸入割り当て制度は廃止すべきであると考える次第でございます。 最後に国内炭価格のあり方についてであります。 既に述べておりましたところでございますが、ただいま鉄鋼連盟の方からも申し述べられましたとおり、大幅な内外炭価格差は、電気事業にとりましても巨額の負担となるばかりでなく、海外炭の価格交渉にも悪い影響を与えるものでございます。したがいまして、今後につきましては、深部化、奥部化などの採炭条件の悪化や人件費、資材費の上昇といったコスト増を価格に転嫁し、ユーザーに負担を求めることはやめていただきたいとお願いするものでございます。 以上、電気事業の立場からいろいろと御意見を申し上げましたが、御清聴どうもありがとうございました。今後諸先生方の御審議に本日述べました私どもの意見が十分反映されることを期待いたしまして、陳述を終わらせていただきます。
○矢山委員長 ありがとうございました。 次に、横路参考人にお願いいたします。
○横路参考人 北海道知事の横路でございます。 衆議院石炭対策特別委員会の矢山委員長初め委員の諸先生方におかれましては、石炭鉱業の安定と産炭地域の振興に、日ごろから格別の御高配を賜っておりますことを心からお礼を申し上げます。 また、本日は参考人として発言の機会を与えていただきましたことにつきましても感謝を申し上げる次第でございます。 さて、新石炭政策につきましては、去る五月八日石炭鉱業審議会政策部会が開催されまして、これまでの審議状況について報告がございまじたが、その内容は極めて厳しいものでございまして、産炭地域に生活の場を求めている方々にとって大変な不安をもたらしたものでございます。本日は、山を抱える地方公共団体という立場で意見を述べさせていただきたいと存じます。諸先生方の御理解をお願いする次第でございます。 まず、石炭政策に対する基本的な考え方についてでございますが、エネルギーをどう確保するかということは、先進主要各国において最も重要な課題でございまして、それぞれの国におきましても、自国のエネルギー源の開発と輸入エネルギーの導入によりましてエネルギー確保の多角化を図っているところでございますけれども、我が国においては、さきの政策部会の報告にありますように、国内炭生産を縮小する方向は、自国のエネルギー源の放棄にもつながるというように考えるものでございます。確かに海外炭との価格差が急激な円高を背景に一段と拡大傾向にあることや、あるいは一次エネルギー供給に占める国内炭の割合が三%を切っている状況にございますけれども、しかし、エネルギー情勢や円高の今後の動きというものは不透明なものがあろうかと思いますし、炭鉱は一度閉山すると再開発が実質的に困難であることなども考えますと、安定供給可能な国産エネルギー資源として現存炭鉱の存続を図り、国内炭を活用していくべきものと考えております。 次に、産炭地域の実情についてでございますが、本道の産炭地域は現在主要地域は夕張市を初め七市町、総人口で三十四万二千人でございます。このうち釧路市、芦別市を除きますと、炭鉱の依存度はそれぞれの町の七〇%から八〇%と非常に高いウエートを占めておりまして、炭鉱の閉山はそのまま市、町の崩壊につながる状況になっております。しかもこれらの産炭地域は、これまでのたび重なる閉山に伴いまして、地域経済の低迷がいずれも続いている地域でございます。地元市町村では、今日までも企業誘致を初めとして新たな産業の導入に血のにじむような努力を払っておりますが、御承知のとおり、本道の産炭地域の多くは山間僻地に所在をしておりまして、炭鉱にかわり得る産業の導入を図ることは率直に言ってまことに厳しいものがございます。現存炭鉱の維持を図りながら、これら産炭地域の経済基盤の強化を図っていくということが必要であろうと考えております。 最初に申し上げました長期展望に立って、エネルギー政策の中で安定供給可能な資源として国内炭の役割を意義づけていただきたいということに加えて、ただいま申し上げました産炭地域の実情をぜひとも御考慮いただきまして、現存炭鉱の存続と生産規模の維持を図っていただきたい、このことが私どもの新石炭政策に対する基本的な考え方でございます。 次に、具体的な対策について述べさせていただきたいと思いますが、まず、基準炭価制度の維持についてでございます。 それぞれの炭鉱では、人員や経費の削減、賃金の抑制など、労使一体となった努力は相当なものであると認識をしておりますが、経営状況は、大手五社の六十年度の決算でトン当たり八百八十六円の赤字が見込まれるなど、依然赤字基調にございます。こうした状況を踏まえて、石炭鉱業の自助努力を前提にしながら、ベースアップ等による最低限の炭価アップにより経営の安定を図るため、基準炭価制度を維持していただきたいと考えております。 次は、輸入割り当て制度と国内炭の優先使用でございますが、海外炭との価格差が拡大しつつある現状におきまして、いかに需要の確保を図るかが石炭鉱業の安定にとって最大のポイントとなっていると存じております。このため、引き続き需要業界の御協力をいただき、輸入割り当て制度と国内炭の優先引き取り義務を維持していただきたいと考えております。特に電力用炭の需要でございますが、昭和五十九年度の電力業界の国内炭消費量一千七十六万トンのうち、北海道電力の消費量がほば五〇%を占めておる実態にございますけれども、可能な限り他の電力会社にも御協力いただき、特に今後新設予定の石炭火力発電所の石炭使用量の二〇%を国内炭としていただくことなどにより、国内炭の引き取り増量を図ることも可能ではないかというように考えておりますので、この点、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。 次に、政府助成でございますが、先ほども申し上げましたが、石炭鉱業の経営は、政府の助成を受けても、なお生産量トン当たり八百円以上の赤字となる見込みにございます。これを補てんするために、石炭鉱業安定補給交付金など、助成措置の充実を図っていただきたいと思います。ちなみに、石炭鉱業に対する助成額は、エネルギー事情が類似しておりますフランスの例で申し上げますと、その額はトン当たり九千六百円となっておりまして、我が国においては二千三百円でございまして、外国に比べましても決して高くない現状にございます。財源確保の面などで難しい点もあろうかと思いますけれども、こうした点も考慮していただきたいと存じます。 次に、政府助成にも関連いたしますが、さきの検討小委員会での審議状況の御報告にあります、関係地方公共団体は「所要の支援を行うべき」という点についてでございます。 道といたしましては、苦しい財政の中でこれまでも、中小炭鉱が行う保安確保事業に対する助成、経営安定のための資金の貸し付け、炭鉱技術者の養成や技術の普及啓発事業に対する助成などの恒常的な措置を講ずるとともに、経営の非常に厳しい炭鉱に対し、未払い賃金に対する資金支援など、緊急避難的な措置も講じてきたところでございます。また、今年度からは救護隊の活動に対する新たな助成制度を創設いたしたところでございます。道としては今後とも努力をしてまいりたいと思いますが、石炭政策はこれまで一貫して国の政策として実施されておりまして、関係市町村も含めて、国にかわってやれと言われましてもその財政負担力はございません。 以上、石炭政策に対する基本的な考え方、具体的対策に係る要望などについて述べさせていただきました。 国内炭をめぐる情勢は、これまでの七次にわたる石炭政策の策定に比べまして一段と厳しいものがあると受けとめております。経済原則のみで石炭政策をとらえるならば、国内炭の残る道はないものと心配をするものでございます。やはりそこに温かい政治が存在し、また行政的な配慮がなされなければならないものと考えます。もし万一閉山となった場合には多数の離職者が発生をするわけですが、炭鉱数の減少した現在、ほかの炭鉱での受け入れはもう難しい状況にございます。さらに、私ども北海道では、最近の有効求人倍率が〇・二六と全国の二分の一以下の厳しい現状にございまして、その中で今後、国鉄の民営化あるいは北洋漁業の縮小などに伴いまして職を離れる方々が多数出てくるものと懸念されている状況にございます。再就職は極めて困難な状況にございます。 諸先生方におかれましては、こうした事情をぜひお酌み取りいただきまして、現存炭鉱の存続が可能となるような新石炭政策が確立されますように特段の御高配を最後にお願い申し上げまして、私の意見陳述といたします。 ありがとうございました。
○矢山委員長 ありがとうございました。 以上で各参考人からの意見の開陳は終わりました。
○矢山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高橋辰夫君。
○高橋委員 参考人各位には、本日はまことに御苦労さまでございます。特に向坂参考人には、昨年九月以降、検討小委員会の委員長として、厳しい状況の中で大変御苦労願いまして、私ども心から敬意を表する次第でございます。 そこで、まず向坂参考人にお伺いします。 五月八日に公表された検討小委員会の審議状況についての文書を読ませていただきました。私どももその渦中におりますので、厳しい状況については理解できるわけでありますが、さりながら「国内炭の役割」の中で述べられているように、地域社会において果たしている役割はまことに重要なものがございます。したがいまして、今後の最終答申に取り組まれる過程の中で、国内炭の生産のあり方がどう論議されるのか注目されるところであります。私どもは、むしろ需要業界の意見は意見としても、需要の確保のための負担のあり方に知恵を絞れば少なくとも激変は避けられるし、やはり急激な変化は政策としてとるべきではないと考えておりますが、御意見をお伺いしたいと思います。
○向坂参考人 先ほど御報告しましたように、検討小委員会の内部の意見では、これまでのように生産を前提とした需要の確保ということは非常に困難になっておりまして、国内炭をめぐる環境あるいは石炭企業の経営状況などを勘案いたしますと、現存炭鉱の維持存続ということは困難な状況になってきているというふうに認識せざるを得ないわけでございます。まだ、どの程度の生産目標にするかということは、検討小委員会でも詰めておりません。今後、二回にわたって各石炭会社から炭鉱別の詳しい状況を聴取いたしまして、また、各石炭会社が将来、その炭鉱をどのようにしていこうとするかという意見も十分に聞いた上で、生産目標をまず考えたいと思います。ただし、その際、需要面でどの程度引き取りが可能なのかということもあわせて考える必要があると思っております。 要するに、地域問題への配慮、また国内炭資源の活用などを考えながら、同時に、需要面の経済的な負担などを考慮せざるを得ないのでありまして、エネルギー安全保障という観点からいえば、生産持続に対する消費者の負担と需要面の配慮などを考えながら、妥当なエネルギー安全保障に対する保険料といいますか、そういう線で生産目標というものを詰めていってはどうかというふうに考えております。
○高橋委員 大変よくわかりましたが、第一次産業もいろいろな面で助成策もとっておりますから、米は食管法で抑えておりますし、枠拡大とかいろいろなことがありますけれども、そんなこともひとつ十分勘案をしていただければと思っております。 次に、有吉参考人にお伺いします。 検討小委員会の審議内容は、石炭企業にとって相当厳しいと言わざるを得ないと思います。今後、最終答申に向けてどう対応しようとお考えか。現存炭鉱の維持は、今や現行諸制度の継続強化だけでは工夫が足りないのではないかと考えられますが、基本的な対応方針と、何か別のお考えがあればその点についてもお伺いいたしたいと思います。
○有吉参考人 先ほどの陳述におきましても申し上げましたように、国内炭を維持していくその対策は、七次策におきまして国の助成と企業の自助努力、それに需要家さんの協力、こうなっておるわけでございますが、内外炭格差が非常に開くとかこうなってまいりますと、事実問題として炭価を上げていただくとか、今まで非常に高い国内炭でございますが、それを需要家さんにおかれましては大変負担をしながらお引き取りを願って感謝しておるわけでございます。コストを保障して何とか炭鉱の再生産ができるようなそういう炭価問題、これになりますと、さらに格差が開くようなことを負担しなければならぬのか、こういうふうになってまいりまして非常に難しい。そこでどうしてもやはりこの際そういう生産維持対策につきまして、新たな角度から諸外国の例等も参考にしていただきましてぜひひとつ御検討願いたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
○高橋委員 次に横路参考人にお伺いします。 北海道の場合は特に空知地域に炭鉱が集中しており、しかも一市町一炭鉱ということが、仮に激変が発生すればまことに憂慮すべき事態となります。まさに自治体の存立にかかわることとなるわけでありますが、これは過去の歴史の中でもそういうことがあったし、現在のように一市町一炭鉱という現状ではより強烈なものになるのは当然であります。これは財政的な観点から見ても、激変に対処する財政負担と現存炭鉱の維持に必要な経費では、問題なく維持経費の方が安くつくと考えます。もちろんこの比較論だけでは問題が多過ぎるわけでありますが、自治体の責任者としての立場で、現存炭鉱維持の必要性についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○横路参考人 お答えいたします。 例えば北海道内の各主要産炭地、夕張市でいきますと総人口三万二千のうち炭鉱関係者が二万二千人、依存度六九%、土砂川町でいきますと総人口九千人のうち炭鉱関係者七千人、依存度七八%、歌志内市、赤平市、三笠市、いずれも同じような状況にございます。これらの地域は、いずれも御承知のとおり観光開発でございますとか企業誘致でございますとか、従来から大変血のにじむような努力というものを重ねてきているわけでございます。しかし、企業誘致一つとってみましても、道内における各工業団地間の競争もありますし、他の府県との競争もあるというようなことで、なかなか思うようにいかないという状況にあるわけでございまして、今先生お話ございましたように、これで現存炭鉱がなくなるということになりますと、この依存度からいきまして、それはすなわちそれぞれの市町の崩壊につながる、こういう状況にあります。 私も先日土砂川町に参りまして、産炭地域の若者とちょっといろいろと話をしたのですけれども、やはりみんな何とか自分たちの町の経済基盤というのは拡大したい、こういう気持ちはいっぱい持って努力しているわけでございます。ただしかし、それはなかなかすぐにはできないということならば、やはり少なくともこの八次政策というのは、七次政策を継続して現存炭鉱を維持していただいて、その間にともかくもっともっとみんなで協力をして町の経済基盤を拡大するための努力というものをやっていこう、こういう意見が共通した意見でございまして、その辺のところの事情を皆さん方に特段御理解いただければというように思う次第でございます。
○高橋委員 さらに横路参考人お伺いします。 先ごろ発表された検討小委員会の審議内容について、自治体を代表する立場でどのように受けとめられておるか、また地域の反響はどうか、今後の石炭政策のあり方も含めて考え方をお伺いしたいと思います。
○横路参考人 お答えいたします。 先日の報告は地域に大変大きなショックを与えまして、産炭地域で生活をしている人々はもちろんのこと、関係する市町村にも大きな不安を与えております。これはやはり結局国内炭を全部なくすという方向に進んでいくのではないかという心配をみんながしているところでございます。私は関係する自治体の一人といたしまして、先ほども申し上げましたように、現存炭鉱を少なくとも維持をして、現在のやはり生産規模というものを持続していただきたい。そしてその間、それを続けていただきながらそれぞれの市町村の経済基盤を少しでも拡大する努力というものを、政府にも御協力いただいてさらに進めてまいりたい、こんな気持ちでおります。 ともかくあの報告どおりに事が動いてまいりますと、それは確かに経済的な面などのいろいろな議論というのはあろうかと思いますけれども、ともかくこの地域の現状、実情、こういったものをぜひお考えいただきたい。そしてまた、経済原則だけではなくて、そこを救うものがあるとすればこれはやはり政治の力ではないか、また行政的な配慮ではないかというように思いますので、ひとつ先生方の御配慮を特段お願い申し上げる次第でございます。
○高橋委員 終わります。
○矢山委員長 次に、古賀誠君。
○古賀委員 時間内で関連で二、三点質問をさせていただきたいと思います。 きょうは参考人の皆さんには、大変早朝から貴重な陳述をお聞かせいただきましてまことにありがとうございました。最初に向坂先生に、私の考えを含めまして御意見を聞かしていただきたいと思います。 御案内のとおり、参考人の皆様方の御意見の中にありましたように、今日我が国の国内炭の置かれている環境というものは極めて厳しいということは、私もよく承知をいたしているところであります。特に五月八日の検討小委員会の審議状況の報告を読ましていただきました。また向坂先生のただいまの御意見も拝聴させていただきました。エネルギー供給の安全保障機能における国内炭の役割というのが、従来に比べまして非常に変化をしてきている。そういった中で、従来の生産を前提とした需要を確保するという考え方は非常に困難だ、こういう報告であるし、またそういった御意見でございました。したがって需要動向につきましても十分勘案した生産体制とすべきである、こういうことでありますが、言いかえればこれは大幅を生産規模の縮小を示唆している、私はそういうふうに受けとめているわけであります。 これらは当然今日の石油及び海外炭価格の低下、それに伴いまして炭炭格差の増大、加えて極端な円高をベースとして論議が展開されているように思われるのですが、御案内のとおり、日本はエネルギー資源が極めて少ない状況の中で輸入石油、それも中東の石油に大きく依存しているというのが現状であります。野呂参考人のお話の中にありましたように、このエネルギー問題というのは非常に不確定で不透明であるということがよく言われるわけでありますが、私どもは、今日エネルギー政策を論じるときに最も大切なことは、中長期的な視野に立って検討するということが大変必要になってくるのではないか、また重要なことではないかというふうに思います。 この際私が向坂先生にぜひひとつお考えをいただき、またできれば御意見を聞かしていただきたいのは、国内資源としてやはり石炭というものは水力とともに大きな役割を持つ一つの大きなエネルギー源でありますし、国内炭というものをできるだけ確保するということをこのエネルギー政策の基調の一つとして考えるべきではないか、こういう考えを私は持っているわけでありますが、先生の御意見を聞かしていただければ大変ありがたいと思います。
○向坂参考人 国内資源をできるだけ活用し、また地域社会への大きな影響を考えますと、国内の現有炭鉱をできるだけ残したいという御意見、それには私も賛成でございます。しかし、エネルギー安全保障における国内炭の役割という観点に立ちますと、国内炭の役割は低下しつつあると認めざるを得ないと思います。それは先ほど野澤参考人からのお話もあったように、特に環太平洋地域に石炭の安定した供給源が散在している、十分な供給余力のある資源国があるということをバックにしまして、輸入炭についてはむしろ供給余力がありこそすれ将来供給不足に陥る心配、政治的な要因を含めましてそういうことは非常に少ない。そういうことからいいますと、安保機能はやや低下しつつあるというふうに認識せざるを得ません。 一方、経済性を考えますと、内外炭の格差の負担は非常に大きくなっておるわけでありますし、余りに大きな保険料を払うということは消費者、国民に必ずしも納得されないことではないかというように思います。そういったことから、先ほど御報告したように、需要を十分勘案した生産をという方向へ方向転換せざるを得ないんじゃないかという判断が今小委員会の判断でございます。
○古賀委員 野澤参考人にお尋ねをいたしますが、つい最近、ソ連の原子力発電所で御案内のとおりの事故が起きたわけでありますが、日本でも原子力発電が主体ではなくて、もっと石炭火力発電というものを増強し、ベースロードとしての位置づけをする必要があるのではないかというふうに考えるわけであります。しかし、そういった場合、この石炭需要の増加分というのは、当然今お話しをいただいているような海外炭に依存しなければならないということは私もそうだというふうに認識をいたしますが、少なくとも現状程度の国内炭を継続して使用するということは、エネルギーの安定供給の面でも、今日の我が国では絶対必要であるという認識を私は持っておりますが、野澤参考人の御意見を聞かしていただきたいと思います。
○野澤参考人 お答え申し上げます。 今回のソ連の事故につきましては詳細がなかなかわからない実情にございますが、このような事故がありましても、我が国としての安全対策とか、我々も心を引き締めてこの対策をしていくつもりでございますので、今後も原子力を主体にして安定供給を進めていくということについてはいささかの変更もするつもりはございません。今後も地元を初め関係各位の御理解、御協力を得るべき点についても積極的に原子力の開発についてお願いしたいと考えております。今後の電源開発につきましては、私ども石炭火力につきましても一つの柱としておりまして、先ほども申し上げましたように、原子力、LNG火力、海外炭というのを前提とした形で三本の柱で進めていきたいと思うのでございます。 それからもう一つは、先ほど来申し上げておりますように、各社とも効率経営という点から、各社の企業努力という点を非常に考えていくならば、経済原則に沿ったエネルギーの選択を図るというのが当然かと思いますので、先生の御期待に沿いかねる点申しわけございませんが、以上、お答えさせていただきます。
○古賀委員 つれない返事ではなくて、ひとつできるだけ御検討いただきたいと思います。 向坂先生にちょっとお尋ねしておきますが、今私が申し上げましたように、電力におきますこれからの需要増加の石炭は海外炭に依存していくというのは、これは私もそうなっていくのかなという認識は持っております。しかし、今申し上げましたように、野澤参考人にお願い申し上げましたように、現状程度の国内炭を継続して使用していくということは、我が国の石炭というものの安定した維持のためにもぜひお願いをしておきたいと思うのです。その場合特定の電力会社にのみ負担がかからぬような制度、諸外国では、国内炭のみならず国内のエネルギーに対していろいろな保護政策等をとっておるわけでございますが、我が国でそぐうのかな、こういった問題はどうなんだろうかな、こういったことを考えたらいかがなものだろうか。というのは、例えば西ドイツでやっておりますコールペニヒのようなものを検討して実施してみたらどうなんだろうか、こういうことを私なりに考えるのですが、先生のお考えはいかがでございましょうか。
○向坂参考人 我が国の石炭生産が原料炭から一般炭へシフトして、その一般炭の主要な引き取り手は電力業界中心になるだろうと考えられます。しかし、原料炭を急激にシフトしますと一般炭の生産が非常にふえ過ぎて貯炭などふえたら困りますし、十分な引き取り手がない状況は困るので、原料炭から一般炭シフトも漸進的に考えざるを得ない。そうしますと、鉄鋼業界から植田参考人のお話がありましたけれども、過渡的には鉄鋼業も経営の建て直しを図って、国内炭の一部を負担していただきたいと私は考えているわけでございます。同時に一般炭の引き取りが、電発はさておきまして、北電にかかり過ぎている。北電の経理状態、財務状態を見ますと、電力会社の中でも一番困難な状況に置かれておりますので、北電の国内炭消費に対する経済的な負担を、できるだけ他の電力にも分散していただきたいという方向で検討を進めたいと思っております。ただ、どういう方法で負担していただくかは、これからまた検討小委員会で十分検討いたしたいと思っております。コールペニヒも一つの参考として考えている次第でございます。
○古賀委員 最後でございますけれども、向坂先生ばかりで恐縮でございますが、向坂先生に御意見を聞かしていただきたいと思います。 今いろいろお話を聞いておりますと、どうしても基調としては生産規模のある程度の縮小は避けられないのではないかな。そういった場合に、さきに質問していただきました高橋先生の質問にもありましたけれども、地域社会、またそこに働く労働者の方々に対する影響を考えると、我々が考えている以上に、私も石炭の町におりますが、また福岡の出身であり、かつての筑豊をよく知っておりますが、実は非常に大きな影響があるわけであります。そういった問題を考えてみますと、縮小するには相当な年月をかけてやる必要があるのではないか、またそれを円滑に進めるためには、どうしても閉山制度の見直し等を含めた十分な対策を考えていく必要があると思われます。その点についても、ぜひ今後の審議会で御検討をやっていただきたいということをお願い申し上げますと同時に、維持する炭鉱について、ただいま有吉会長の意見陳述にもありましたように、働く方々、それから地域の方々も大変不安感を持つような第八次政策では、いたずらに混乱させるだけで大変不幸なことになるのではないかなという気がいたします。 どういうふうな歯どめを明確にしていただくかという問題、そういったことを考えていただいて、安定して生産できるよう、第八次政策の中でその必要性と位置づけというものを明確にしていかなければならないのではないかというふうに考えております。その中には、言われておりますけれども財政支援の問題、そのための財源確保をどうするか。それから需要、すなわち需給の安定確保、そのためにはIQ制度というものを当然堅持しなければいけない、そういった問題も出てくるでしょうし、基準炭価のあり方、そういったことを初めとする——またある意味では新たな維持政策というものを検討していただいて、そして実効ある具体的な政策というものをぜひ確立していただかなければいけないのではないかというふうに思います。現在、そういった具体策というものは考えであるのかどうか、最後にお聞かせをいただきたいと思います。
○向坂参考人 最近の政策部会の経過報告が新聞、放送を通じて伝えられて、地元の方々には大変な御心配をおかけしているということは、新聞、ジャーナリズムを通じてもよく承知いたしておりますし、また各自治体からも、私どものところへ来て実情を伝える意見をお伺いしている状態でございます。また勤労者としましても、将来炭鉱がどうなるかということについて大変大きな不安が広がっているということも承知しておりますし、それが特に大きな災害にでも通じたら大変だということを心から心配している次第でございます。 したがって、雪崩的な閉山などが起こらないように、そういう心配のないように、今御意見のあったようないろいろな全体の方策を十分検討いたしまして、また、各石炭会社からの今後の経営計画も十分聞きまして、そういう方向で十分検討をいたしたいと思っております。
○古賀委員 どうぞよろしくお願いいたします。 終わります。
○矢山委員長 次に、岡田利春君。
○岡田(利)委員 参考人の皆さん、大変貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。与えられた時間で率直にお尋ねいたしたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。 私は、まず第一点として向坂参考人に、今日の国際的エネルギーの動向は中期的にどう見ることが正しいのか。なかなか不透明な部分が多いのでありますが、しかし、今日の石油価格の急落という現象もいずれ落ちついてまいると思いますので、中期的には一体どういう視点に立てばいいのか、この点について御意見をお聞かせ願いたい、かように思います。
○向坂参考人 中期的ということをここ四、五年というふうに考えてみますと、私は国際的にエネルギーの需給が緩和基調に推移するだろうというふうに考えます。そのうち特に石油につきましては、価格低迷の時期がかなり続くのではないかというように考えております。しかし同時に、石油価格がバレル十ドル台というふうに下がってきますと、これは下がり過ぎで必ず反動がある、新規の開発あるいは老朽油田の閉鎖など供給が少なくなるために、九〇年代に予想されていた価格高騰の時期が早まる可能性があるということを同時に考える必要があると思います。先般サミットでも、首脳の間に合意されたように、省エネルギーとエネルギー源の多様化、多角化ということは、今後とも確実に進めていく必要があると考えております。
○岡田(利)委員 私も大筋からいって中長期的にはIEAの閣僚会議の報告、この方向が大体是認をされるもの、こう思うわけであります。 そこで、そういう状況の中で今回の中間報告が行われたわけでありますけれども、この中間報告は、別に第七次が五年だから五年間と決まっているものではないと思うのです。例えば、第六次の場合は七年間という期間も設定したことがあるわけです。したがってこういう骨組み、一応中間報告をされた考え方として五年程度を考えられたのか、それ以上のことを考えられているのか。十年ぐらいを展望しながら一応五年程度ということで今度最終的にまとめられていくお考えなのか、この点についてはいかがでしょうか。
○向坂参考人 まだその点については検討小委員会で意見がまとまっているわけではございません。当面の検討は、およそ五年をめどに需給両面からいろいろ検討を進め、政策的な対応を考えたいと思っておりますが、しかしそのバックグラウンドとしては、背景としては、十年ぐらいは少なくとも需給両面よく見通してみる必要があるのじゃないか。やはりそのことを詰めながら、最終的に五年になりますかあるいは七年になりますか、そこはまだわかりませんけれども、やはり長期的な展望を持ちながら次の第八次策を考える必要があると考えております。
○岡田(利)委員 私は参考人の御意見を承っておりまして、特に植田参考人、野澤参考人のユーザーの方々の御意見を聞いていて、実はふっとこういう心配が起きたわけです。第八次政策というのは、答申を受けて一定の法改正する点があれば法律を改正して、昭和六十二年四月一日からスタートするというのが第八次になるわけです。ところが今、六十一年度に入ったばかりなんです。お話を聞いていると、六十一年度は一体どうなるんだろうかという心配を私はふっと感じたわけであります。六十一年度の需給関係については、第七次で昭和六十年度に引き続いて同じような手法でこれは協力され、できるもの、私はこう理解しているのですけれども、この点両参考人はどういうお考えでしょうか、承っておきたいと思います。
○植田参考人 最近、私の周りの鉄鋼首脳の考えといいますか感じといいますか、そういうものが大変変わってきていることを私は身近でひしひしと感じているわけでございます。余りにも急激な円高によりまして、これはもうどうにもならぬ、あらゆる努力を重ねてコストダウンをしなければならないのですが、一挙に三割も四割ものコストダウンというのはなかなか至難のわざでございます。 合理化の手だてといたしまして、いわゆる設備の合理化によるコストダウンはもう相当限られた状況になっておりまして、それ以外で何とかしのいでいかなければならない、こういうことになっております。それでトップの人たちは、政府に訴えてでも何とかならぬのか。あるいは、ことし足元が大変だという意見が最近急速に高まっております。ただいま先生からことしがどうなんだというふうな御質問でございますが、まさにことしそのものが重要だという認識になってきておりまして、私どももこれから恐らく政府にも訴えまして、改めてこの窮状を理解していただかねばならないのではないかという、そういうふうなところまで来ているというのが実情でございます。
○野澤参考人 お答え申し上げます。 六十一年度につきましては、私ども電力事業としては全体的にいろいろ操作をいたしまして、第七次策どおりの需要を満足させるよう努力するつもりでございます。ただし現行の料金を、六十一年度一般炭のみ値上げしておるのですが、これはぜひ六十一年度は値上げをしないということを前提にして引き取りさせていただきたいことを希望しております。
○岡田(利)委員 通産省当局の見解として、本件については六十年度の需給計画を六十一年度も踏襲する、こういう方針であるということは実は本委員会で示されておるということを申し上げておきたいと思うわけであります。 そこで私、中間報告をずっと読みましてその思想を考えてみますと、どっちなのかなという二つの前提が考えられるのですね。一つは、いわゆる経構研の方向、全面撤収論、この路線の上に立たれておるのかな、それとも部分撤収論というか縮小論、そういう後段の方に立たれているのかな、どちらに立っているのだろう。経構研も、あれは十年間のスパンで全面撤収論、こう漏れてきたことがあるわけであります。そういう点で、大体この中間報告はそういう意味でどちらの立場かな、部分撤収論の方の漸次撤収していくということで、経構研とは違った撤収路線だ、こう私は理解したいのでありますけれども、いかがでしょうか、無理でしょうか。
○向坂参考人 経構研の内部でどういう意見が出たかはよく承知しておりません。報告書は大幅な縮小という表現でございますが、その大幅がどの程度であるかは必ずしも明らかでございません。しかし、経構研がどういう意見であろうと、私ども石鉱害の立場としては、石鉱害独自の立場で広範な視点から将来の生産目標を考えるという責任がある、そういう立場をとりたいと考えております。 私ども、全面撤収などという考え方を持っているということは絶対にございません。しかし、現存炭鉱の維持が困難になってきているという点からいえば、地域社会に与える諸般の影響なりあるいは失業雇用問題なりいろいろな点に配慮しながら、部分的に閉山が起こることはあるいはやむを得ない事態になるかもしれないというふうに考えている次第でございます。
○岡田(利)委員 私も二十年間ずっとこの石炭政策をやってまいりまして、常に私なりに一つの視点を持って考えてきました。特に石炭政策の国際的な視点、政策論的には随分西ドイツの政策の影響も日本の政策は受けていると思うのです。ただしかし、その生産規模とかいろいろな面を考えでまいりますと、日本のエネルギー構造もそうですが、フランスと非常に似ておるわけです。フランスが五千五百万トンの場合には日本も五千五百万トンであった。最近も大体千七百万トン程度、弱になりましたか、その程度でありますから大体日本と同じである。フランスの一人当たりの石炭の消費量を調べてまいりますと、一九八二年で三千九百九十五キログラム、日本は三千五百三キログラムなんですね。これもまた似ておるわけであります。そして、我が国では三・三%のウエートだ、こう言いますけれども、フランスは七%弱ぐらいですわ。これも、GNPでいうとフランスの方は日本のちょうど半分になるわけであります。 そういう総合的な面から考えてみますと、日本の石炭、唯一のエネルギー資源というものを考える場合に、GNPが半分であって、しかも非常に坑内状況が劣勢で、日本の炭鉱よりも能率が悪くて、その中でもフランスは一定量の炭量を支えておる。やはり国際エネルギーの確保という観点に立ては、高いからやめるというのでなくして、ある一定の、そういう国際比較で無理のないウエートのものは確保する、こういう点ばある程度国民合意が成り立つのではないのか、こんなことを私は国際比較の面では常に考えながら二十何年間石炭政策を実はやってまいったのであります。 この視点は、西ドイツのようにウエートは高くないけれども、私企業という面では西ドイツともいろいろ似ている点があるわけです。そういう視点も考えて、少なくとも日本の石炭産業、一回つぶすともう二度と振れませんから、やはり間違いなく日本の石炭産業というものの使命を合うさせていく、有限の資源を合うさせていく、こういう注意深いことが必要ではないのか。本委員会も、二十年間にわたって一産業のために委員会が設置をされているというゆえんもそこにあると思うのですね。こういう私の気持ちについて、向坂先生のお感じをお聞きしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○向坂参考人 申しわけないのですけれども、フランスの石炭事情、石炭政策については私はどうも十分承知しておりませんので、そのこと自体について私の意見を申し述べることができません。それで、今お話しのように政策の考え方にあるいは相違があるのかもしれませんが、やはりこれは日本の国情、一般の通念などに従って政策をどういうふうに続けていくのかを判断せざるを得ないと思っておるわけでございます。日本の今置かれた立場は、例えばフランスと違った点を考えてみますと、国際摩擦の問題も石炭に関係してきているというような状況もあるわけでして、外国からは日本の市場開放をやれ、産業構造の調整をして、産業保護をもっと撤廃していくべきではないか。その点、石炭についても同じようなことが外国から言われている。この点も、私は今後の石炭政策について、日本の経済の国際的な地位、置かれた立場から考えてもこれに配慮せざるを得ないのではないかと思います。しかし、国内資源を使う、また石炭の安全保障機能がありますから、一方国内炭維持のために負うべき負担というものとの勘案をしながら、先ほど申し上げたように、リスクに対する妥当な保険料というような考え方で調整していくべきではないかというふうに私は考えております。
○岡田(利)委員 野澤参考人にお尋ねします。 過去の石炭政策の流れをずっと振り返ってみますと、第一次答申が昭和三十七年の十月に行われたわけですね。そしてオイルショックの四十九年まで、スクラップ・アンド・ビルドで第四次政策まで政策が展開されてきた。この間、電力用炭と石炭政策の兼ね合いというものが密接不可分の関係で政策は推移しているわけです。例えば、三十七年のときには電力用炭精算株式会社が設置され、三十九年には電力用炭販売会社に改組され、そして第三次では増加引き取り金制度がつくられる。こういう形でずっと電力用炭を引き取るという関係について政策が組まれてきている。一方、この間は、第四次までは、永野さんも来て、ぜひ原料炭を確保してほしいという大変な力を込めた陳情があって、この期間は、原料炭確保のために大変な努力をした期間でも実はあるわけなんです。 そして第六次以降になりますと、昭和五十年代になりますと、石炭が果たした役割、政策的につくった政策火力がこの十年間きたわけですね。原発でも全部そうなんです。そして安いエネルギーを供給した。十一年くらいがスクラップ・アンド・ビルドの期間、後の十年間は電力関係で言えば国内石炭が安い電力の供給の役割も果たした、こうなるわけです。そして新しい段階を迎えた。フィフティー・フィフティーの関係にあるわけです。 例えば、北電、北電と言いますけれども、北電はこれまた別にいつでも電気料金は高いわけじゃないのですね。これは九州電力に比べると、十回値上げしたうち、新しい電気料金が決まったうち六回くらいは九州電力よりも安い。東京電力よりも十回のうち四回、決定した当時の電気料金は北海道電力が安かったという過去の歴史もあるわけですね。これは石炭が果たしたことなんです。円高差益は少ないけれども、あの価格でとめたというのは、やはり石炭が果たしてきた役割を見逃すわけにはまいりませんね。第八次を組むに当たってそういう素直な気持ちになって、今日の状況をも加味して政策を組み上げる、こういう点が特に電力業界に求められると私は思うのですけれども、私のこういう考え方についてどういう御意見をお持ちでしょうか。
○野澤参考人 質問が私どもにとっては大変につらい質問でございますので、なかなか冷たい返事になるのをあらかじめ御了承願いたいと思うのですが、電力業界は、確かに過去石炭のおかげで我々も非常に安定した電力の供給を進めてこられたことについて感謝しておるところでございます。次の時代が御承知のように石油の時代になってまいったわけでございますが、石油の値上がり等によりまして、我々は電源の開発は多様化していかなければならない。したがいまして、原子力、LNGと並び石炭も基軸として推進していくことは先ほど来お答えしたとおりでございます。 そこで、今後電力業界の中で石炭の需要の見通しでございますが、電力事業としては、確かにこれからも石炭の所要量は六十年度が二千二百九万トンに対しまして、六十五年度はさらに二千四百九十万トン、七十年度は三千五百四十八万トンと年々増加する計画にあります。そこで、大変恐縮でございますが、先ほど来申し上げておりますとおり、海外炭を主にして新しい石炭火力発電所の計画はこれで充当していこうということでございまして、やはり価格差の大きい現状におきましては、残念ながら海外炭を主にして考えさせていただくというのが業界の考え方でございますので、ひとつ御了承を願いたいと思います。
○岡田(利)委員 まず五万トン、六万トンの石炭船が火力発電所のところにすぐつくなんというところは松島火力ぐらしかないわけです。あとは横持ちをしなければならない。そんな面を考えても、現在一万一千七百円というお話でしたけれども、二千五百円か三千円引けばまだ九千円ぐらいの値差だし、こういう火力もまだたくさんあるわけであり享から、余り冷たいことを言わずに——やはり政策は流れですよ。そのときの局面で変えていくと言ったって、産業は生きているのですから、できっこないですよ。そういう意味で、私は植田参考人にも、石炭政策始まって以来原料炭の安定確保のために大変苦労してきたのですよ。ですから、オイルショックまでの歴史は原料炭の安定確保、しかもできるだけコストを下げるために努力をした歴史なんですよ。たまたまオイルショックになってずっと状況が変わってきて、原料炭の場合、ぐっと値差ができてきた。それまでもそうなんですよ。第四次政策なんというのは、一般炭をつぶして、特例制度を設けて企業ぐるみやっても原料炭重点政策だ、これが第四次政策なんです。そこまでやってきているわけですよ。 しかし、あなたが述べられた先ほどの御意見も私は無視をするという意味ではありませんけれども、政策は流れである、そういう点を十分お考え願って、昭和三十六年は油と石炭がエネルギーとしてフィフティー・フィフティーになった年ですが、それ以来ずっと今日までの流れの中で政策を立てていく、次への政策を展開していくという方向でぜひ御検討願いたいものだ。御意見を聞くと先ほどの御意見だと思いますけれども、何か一言ありますか。
○植田参考人 私どもの先輩が数多くこの委員会に参りまして、先生方に対して感謝いたしますとともに、できるだけ石炭政策に協力するにやぶさかでないという陳述をした歴史につきまして私、承知しておりますが、そういった意味では、きょう私が先輩と同じことを言えないということは大変苦しい気持ちを持っているわけでございます。しかし、実情は先ほど申し上げましたようなことでございまして、六十二年度以降はもちろん、六十一年度という至近時点においてももう非常に問題が出てきているという認識といいますか、そういった状況が急速に出てきている、こういう状況にあるわけでございます。率直に申しまして、今や自分の産業が大変だ、とても他の産業について支援を差し伸べる余裕がなくなったということを最近トップは特に感じているわけでございます。 しかし、こう申しましても、鉄鋼は昔から、高度成長期以降いろいろと先生方のおかげもございまして非常な発展を遂げてきましたから、何かまだそこまでという感じをお持ちの方が多いようでございますが、最近の社長会等の空気は全くさま変わりでございまして、そういった意味で私どもの実情は十分御理解していただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
○岡田(利)委員 先ほどの向坂先生のお話を聞いておりまして、従来の第七次までの答申の場合には、産炭地振興政策とか鉱害は別に審議会がありますからそちらにゆだねて項目だけ挙げておる。それから労働省関係の離職者臨時措置法の関係についても、一応労働省の方で余り政策的な具体論が載っていなかったというのが過去の例だと思うのです。 今度の先生のお話を聞いておりますと、私ふと感じたのですけれども、鉱害の臨鉱関係は別にして、産振法の関係もまだ四年近く法律が延長されて期限があるわけなんですけれども、そういう政策論にまで踏み込むというお考えをお持ちになっているのかどうか、それから労働省関係についても、今度の石炭審議会としては答申の中の重要な部分として載せるという新しい手法を講じられようとしておるのか、私は恐らく講じようとしておるのじゃないかなという感じを受けたのですけれども、いかがでしょう。
○向坂参考人 第七次策においては今申されたとおりであったと思います。第八次策、別にまだ閉山ということを決めているわけではございませんから、特に離職者対策などについて重点的にまだ検討はしておりませんけれども、これからもしそういう事態が起こりそうだということになれば、その問題について労働省とも連絡をとりながら十分検討を進めたいと思っております。 それから地域対策につきましても、今回の八次策においてはこの問題が重要な位置を占める。それはすぐ閉山があるということだけではなくて、これから中長期にわたって石炭依存度を下げて産業構造を多角化する方向で地域の発展を進めていただきたいと思いますので、これまでとかく事後対策であったものをもう少し先行的にいろいろな施策が講ぜられないか、またその場合の財源をどうしたらいいかということを、そう細かい具体的な施策までは検討小委員会で詰めることにはならないと思いますけれども、少なくとも方向づけをする必要があるのではないかと考えております。
○岡田(利)委員 時間がありませんから、最後に横路参考人に一つ伺っておきたいと思うのですが、過去の炭鉱のスクラップ・アンド・ビルドの閉山は、高度経済成長期に行われたわけですね。そして低成長になってからは閉山は余り行われていないわけです。夕張のような例がありましたけれども、そういう分類になるわけです。これからの縮小ということになりますと閉山が伴うわけですけれども、今の北海道の状況というのは、先ほど参考人も述べられたけれども、何か二重、三重に雇用問題が重なっている吹きだまりの時期、まして総体的な経済は低成長期であるという面で、この事態の収拾というものは地域でとても解決できないのではないか、実は私はこういう心配を持っておるわけであります。産炭地振興は山を伸ばすことが一番産炭地振興になるのでありますけれども、もし閉山ということになりますと、そういう問題について対処できる手だてというものが北海道としてはあるのか、私自身とてもじゃないけれども非常に自信がないのですが、この点についての率直な意見をお聞かせ願いたいということが一つ。 それから有吉参考人と野呂参考人にどんずばり聞きますけれども、問題は保安の問題ですね。結局、第八次政策を始める前に三有力炭鉱で重大災害があった。このことはやはり深部化、奥部化している我が国の炭鉱、保安的にある程度限界というものを常に意識をして、そういう安全を絶対確保するという意識をしてこれからの政策に対処をしなければならぬのではないか、こういう要望というものが社会的に我々は非常に強いと思うのです。その点についての、どんずばり決意を含めたお考え方を私はこの機会に率直にお伺いいたしたいと思います。 以上です。
○横路参考人 お答えいたします。 私ども道といたしましても、北海道の産業構造をどう改善し強化していくかということが最大の課題になっておりまして、最近の経済状況をちょっと申しますと、鉱工業生産指数が昭和五十五年を一〇〇として、昨年ようやくその水準に回復をしたという段階にございます。有効求人倍率も一時〇・二二まで落ちておったのが、最近回復したとはいっても〇・二六、こういうことでございまして、北海道の場合ですと、人口でいいますと大体日本の人口の五%の人口ですが、鉱工業生産のウエートは大体全国の二%、それから輸出のシェアになりますと〇・四%というような産業の構造になっておりまして、この改善のために今最大の努力をしているところでございますが、これはやはり相当長期的に時間を要する課題であるというように私ども考えております。 特に最近、もし国鉄の分割・民営化が進むということになりますと一万三千人の余剰人員、それから昨今のモスクワにおける北洋漁業の漁業交渉によりまして、乗組員並びに直接関連の人員だけで八千人近い人員が失業する、もう既にしている、こういう状況にございまして、産炭地域、先ほども申し上げましたようにいろいろな努力は今までも積み重ねてきておりますけれども、例えば空知の地域でもって観光開発といってみたところで、なかなか直ちにそれが町の経済を支えるほどの力になるということにはなりませんし、企業誘致もそれぞれの市でもってこれは大変努力しております。努力しておりますけれども、やはり先ほど来申し上げておりますように、現在の石炭、何とか現存炭鉱を存続して、その生きている間にそれぞれの地域、あるいは北海道全体の産業構造の多角化、あるいは改善といったようなことにいましばらく時間が何としても必要だという状況にございますので、この点ひとつよろしく御配慮いただきたいと思います。
○有吉参考人 保安の問題につきましては、冒頭にも申し上げましたように、万全の対策を講じまして事故を起こさないように心がけておるわけでございます。昨年、一昨年の事故というのは、これは必ずしも深くなったり遠くなったりが原因で起こったわけではございませんので、これにつきましては十分保安体制を確立していくことによって克服できる、こういうふうに思っております。 なお、今後技術的に保安で行き詰まるのではないか、そういうことに対しましては、先ほどの審議会の中間報告にありますように、当面技術的に保安問題で採掘不能になるとかそういうことは大体考える必要はない、こういうふうな結論になっておるわけでございます。私ども、万全の保安対策を講じながらやっていこうと思っております。ただ、将来、二百メートル、三百メートル、どんどん深くなっていきまして、果たしてどういうふうになるか、これはやはりちょっとわからない点もあるわけでございます。 以上でございます。
○野呂参考人 保安問題でありますが、今有吉参考人が言いましたように、坑内の骨格づくりの問題について、十分に目を詰めたそういうつくり方をし、同時に保安管理者の管理面の問題あるいは教育問題、そういうことを重点的に考えるならば、坑内の保安は万全を確保することができ得る、こういうように私たちは考えております。 なお、雇用問題についてだけつけ加えておきますが、夕張新炭鉱の閉山のとき、私たち一番苦しみました。正直言いまして、札幌あるいは東京におきましても、総収入で成人男子が二十万円を取るような産業はほとんどありませんでした。したがって、我々はやはり炭鉱に就職させることが第一だということでいろいろと努力をしたわけであります。今日もその事情は変わりありません。総収入で八時間労働で二十万円ですから、そこから家賃を払いというようなことになりますとほとんど生活が困難でございますので、雇用問題が今度の第八次の石炭政策のやはり大きな問題にならざるを得ないのではないかというように考えているところであります。 以上であります。
○岡田(利)委員 終わります。
○矢山委員長 多賀谷眞稔君。
○多賀谷委員 参考人の先生方、大変御苦労さんでございます。 鋭意検討されました検討小委員会の中間報告を見まして、「国内炭の生産コスト」というところで「従って、海外炭との競争条件の改善は見込めない。」こう書いてあります。かつて有沢調査団の、石油との競争は今や不可能になったという文句があるわけですね。私はこれをちょうど思い出すわけであります。ところが、その後情勢が変化して、石油価格との競争においては国内炭は遜色がなくなった。先ほど北電のお話がありましたけれども、北電の場合について言うと、あの石油価格の高騰によって、北電においては石油価格よりも国内炭の方が有利になったという時期があるわけです。 そういうことを考えますと、なかなかエネルギー情勢というのは不透明で、断定的な決定をなすことは難しいという感を催すわけであります。円高の情勢は、趨勢として今日のような百六十円という状態ではない、ある程度また円安の方向に行くのではないか、こういうように思いますが、石油の情勢も、今日のような状態を続けると、産油国における債務の過重というものがこれまた日本、世界の経済にどういうふうに影響していくかということも考えられるわけであります。原子力発電のことを言うまでもなく、依然としてエネルギー価格というのはなかなか先の見通しがつかない。そういう中において、海外からエネルギーを求めておる日本経済としては、やはり十分な体制を整えていく必要がある。極めて短期的には措置できないのではないか、こういうように考えるわけですが、ひとつ向坂先生の御意見を承りたいと思います、
○向坂参考人 第七次策のときは世界的に石炭ブームでありまして、その状況がまだ続くものと考えてああいう政策がまとめられたわけでございますが、私自身も見通しを誤ったということは率直に言わざるを得ないわけでございます。 これからのエネルギー情勢も、先生の言われるとおり、非常に不確実な状況があると思います。特に石油情勢につきましては、現在の供給過剰の状態、価格崩落状態、それがいつまで続くかということはいろいろ議論のあるところでございますし、また石油価格が低い状態で長く推移すればするほどその後の価格高騰は非常に大きくなるという可能性もあるわけでございまして、その意味では、石油を中心としてエネルギー情勢はまだまだ不確実だということは考えざるを得ないわけでございます。したがって、先ほど申し上げたようにエネルギー政策全般としては、エネルギー多様化の方向へさらに着実に進めていく必要があると思います。 そこで、国内炭の問題につきましては、やはり安全保障機能を持つものですから、それをできるだけ長く使うという方向で十分考えなければならないと思います。ただ、石炭に関しましては、先ほど来申し上げましたように環太平洋には非常に豊富な資源があり、政治的にもあるいはインフラの整備においても安定しておりますので、安い海外炭というものを中心に使っていくという方向で需要業界は考えざるを得ないのではないかというように思います。
○多賀谷委員 海外炭との格差の問題は、大体円高ですけれども、ドル安という面がある。そのドル安の面は、マルクとも関連してドル安になっているわけです。ですから私は、この海外炭との格差の問題は日本だけの現象ではないと思うのですね。これはヨーロッパにおいても同じ現象をたどっておるのじゃないか。そうすると、何か日本だけの問題のように盛んに喧伝をされておるけれども、円高による格差の問題は何も日本だけの現象ではない、ヨーロッパも同じような現象をたどっておるわけですね。そういう面においてはどういうように調査されておるか、あるいは審議会の方ではどういう御意見を持っておられるか。 それはすなわち、ヨーロッパにおけるエネルギー政策、殊に石炭の助成を含めての政策と関連をするわけで、先ほど横路さんの方からもちょっと紹介がありましたけれども、どこの国もいろいろな形でトン当たりに対する助成が行われておる。これはイギリス、フランスは国有、公社ですから、政策的には比較的やりやすいわけですね。ですから、イギリスがトン当たり四千二百円ぐらい石炭公社に対して補助をしておる。あるいはフランスは九千八百円ぐらい、これは二百四十円レートのときの話ですが。それから西ドイツは、原料炭が四千八百円に一般炭が五千円ぐらい補助をしておる。こういういろいろな形で炭鉱会社に助成がいっておるわけですね。あるいは炭鉱会社それ自体にいかなくても、電力に対してその犠牲をカバーしておる政策が行われておる。 こういうように考えますと、日本だけと言うとおかしいですが、今まで私企業である電力あるいは鉄鋼に随分お世話になった点はあるわけです。しかし、日本の場合はやはりそういう点においては何らか総合的に需要業界の協力、政府の助成という両方、それから生産会社も消費者もこういう体制ができないかどうかですね。日本では千二百五十億も助成しておるじゃないかとよく言われるけれども、これは三百七十億ぐらいしか炭鉱生産会社にはいってない、四分の一ぐらいである。ですから、それは従業員のトン当たり幾らという計算にはならないですね。これは後から申し上げますが、炭鉱閉山した後の地域政策というのは莫大な金がかかるということにも関連をしておるわけです。そこで、ヨーロッパのような何らかの方式は今後の答申の中には出てこないのかどうか、これをお聞かせ願いたい。
○向坂参考人 先ほども申し上げたように、ヨーロッパの状況を日本にとってどう参考にするか、これから検討小委員会でよく研究してみたいと思っております。 しかし、それにしましても、まず第一に考えられることは、政府助成をふやすということは今の財政事情では非常に困難と考えざるを得ないので、この政府助成の水準を上げるということは考えないで、ただ生産維持にもっと役に立つような方法があればその配分は変えるということは考えられるかと思いますし、この点はさらに研究したいと思っております。 内外炭格差の将来につきましては、確かに円レートは中長期的に見ればどのように変わるか、これは全くだれも予想がつかないことだろうと思っておりますので、円レートの状態を今の石炭政策の中に織り込んでいるというふうには私ども考えておりません。それを除きましても、内外炭格差はこれ以上拡大するかどうかわかりませんけれども、なかなか縮まりそうもなさそうだ。将来、五年先、十年先は、それは状況の変化でちょっとわかりませんけれども、今の時点で考えられる限りは、早目に海外の長期契約なり炭鉱の開発に手を打っていけばそれほど上がるということは考えられないというふうに見ております。その場合に、需要業界が負担すればいいじゃないかということになりますと、先ほど来需要業界の方々からの陳述にもありますように、それを負担するには余りに大き過ぎるということでございまして、需要業界の負担にまつということもなかなか難しい状況になっているというふうに私ども認識しております。
○多賀谷委員 逆に円高というものは、海外炭を多く輸入すれば、従来から見るとそれだけ利益が出るわけですね。ですから燃料費は下がるわけですよ。そのこともやはり需要業界としては考えてもらわなければ、殊に電力の場合はそうですね。円高によって輸出が伸びなくなるとか経営が苦しくなるという条件は、少なくとも電力についではない。ですから、燃料費のコストはそれだけ下がっていくわけですね。海外炭を多く入れておるからなお下がるし、国内炭のウエートが少なくなればなお下がるという形になっていくわけであります。電力だけを言っておるわけではありませんけれども、輸出産業ではありませんからそういうことに必然的になっていく。それを消費者である国民がどう理解をするかというのが非常に難しい問題である。 そこで、私は実は電力再編成時期から非常に関心を持って、一体、九分割した後の格差はどうなるんだろうか、あるいは電気料金はどういうように推移するだろうかというのを見てきました。その中で、石油ショックが起こる前の価格は、いろいろありますけれども、昭和二十九年、電気料金を決めたときの関西電力を例にとりますと、重油は大体トン当たり九千円台、それから石炭が五千四百円ぐらいだと記憶している。ところが、実際は石炭は三千四百円ぐらいに下がったわけです。それから重油は五千円を割ったわけですよ。それがずっとオイルショックまで続いたわけです。この間自家発電をつくるぞというようなことで、当時一番高かった中国電力が三%下げただけで、ほかの電力会社は余り下がらなかった。私は、ここで電力会社は大変経営基盤が強化されたと思う。こういうふうに今までをずっと歴史的にたどってみると、そういうことが言えるわけですね。 ですから、今度電力会社としては、なるほど差益が出まして全体としては燃料費が下がるということになってくれば、率直に言いますと、国民の理解を得なければならぬわけですけれども、僕は、そのわずかの程度の国内炭の格差は十分見られる余裕があるのではないか、それは電気料金の決め方によるのですが、やはり政策的に考えるべきではないか、こういうように思うのです。 そこで、率直に言いますと、一番問題は北電ですよ。電発を除きますと、ほとんど北電が石炭を使っておるという状態であります。四百数十万トンも北電が使っておるわけですから、北電に大変しわ寄せが行くわけです。今横路知事がおっしゃいましたように、北海道の経済はぐんぐん伸びるという状態ではない。北電の電力料金は、今日においては一番高いという状態にある。ですから北電について、他の会社が何らかのある程度の負担を分担するという方法ができないだろうか。かつて火力と水力の調整金がありました。それからドイツでは油と石炭の調整金があったわけですけれども、何かそういう方法ができないか。電力会社の方は、融通電力等で大変協調されておりますが、こういうことが何かできますと、殊に北海道内陸の炭鉱というものは当面大変救われるわけですね。そのことが国の政策として非常に重要なんじゃないかと思いますが、電気事業連合会の方と、それから向坂先生の方からちょっとお聞かせ願いたい。
○向坂参考人 先生おっしゃるとおり、国内炭使用の経済的な負担が北電に集中し過ぎているという事実は、私どもも十分認識しております。北電の需要の増加率も低いわけですし、そこへ国内炭の負担が重なっているという状況で、電気料金も高い。また、経常収支もほかの電力に比べて苦しいという状況はよく認識しております。 そこで、今後一般炭の引き取りが電力中心に行われるということになりますと、北電以外の他の電力にも何らかの方法で負担を分かち合ってもらいたい、そういうことで、具体策につきましては今後なお検討いたしたいと思いますが、そういう方向で今後の施策を検討したいというふうに思っております。
○野澤参考人 お答え申し上げます。 今向坂先生のおっしゃられるとおり、小委員会でも、私委員として、課題として、何とかほかの電力全体で北電の分を持てないかということは再々にわたって御相談がありまして、私どもとしましても十分検討したつもりでございますが、業界内の負担を単価によって平準することの制度は、先生御承知のように過去にございました。例えば再編成当時の水力調整金制度のようなものがございましたが、これはあくまで、そのときの石油火力が余りにも単価が高いので、水力とのバランスをとろうということで、分担した電源の構成比によって余りにも単価に格差がつき過ぎる点を防止する極めて暫定的な措置であったわけでございまして、現在ではそのようなことは考えられないわけでございます。 その理由として申し上げます点は、各社は、それぞれ経営努力によりまして燃料源の多様化を図りまして、その安定確保を図り、経済性を追求しながら料金の安定に努めているところでございます。第二には、もしそのような方法をとりますと、各社の独立採算制を阻害いたしまして、ひいては自主経営体制自体を否定するものではないかという点でございます。第三点としましては、他社の負担額を肩がわりすることにつきましては、電力会社も株式会社でございますので、株主や地域の住民のコンセンサスが得られない、以上のような理由がございましてなかなか、他社引き取り量が少ない点もございまして、物理的にも困難であることがございまして、北海道電力の分を他にならすということができない点をひとつ御了承願いたいと思います。
○多賀谷委員 今のような発想でありますと僕はできないと思いますが、何も北電の負担を他の社が見るというのではなくて、各社に国内炭を強制的に割り当てるという方法もあるのですよ。しかし、そんなむだなことを日本経済がする必要はないので、せっかく北海道で出炭をし、発電所があるのですからそれは北電で使ってもらう。そのかわりに何らかの形で、もし国内炭の引き取りの割り当てがあったと仮定をすればというような発想ができるわけですよ、政策的には。それは電力会社だけでお互いにやれ、こう言うと無理があるかもしれませんが、これは向坂先生の方で考慮してやらないと、炭鉱も電力もうまくいかないのです。これはもう決定的に大きな問題です。これは私きょう初めて発言をするのではなくて、ここ数年来私はその話をこの委員会でしてきている。ですからこれはひとつ考えてもらいたい。 それから、最近日本経済は人間のことを全然考えないのですね。どうも人というものを、殊に高度成長のときには、炭鉱は大移動がありましたよ。このごろは持ち家制度を奨励しているのですから、移動というのは大変難しいのですね。それから商店街も立派なものになっているのですよね。それがスクラップされるということになると、GNPは伸びますよ。移転をするのですからGNPは伸びるでしょうけれども、幸福につながらない。実質的に国民の生活水準を下げていく。ですから今後の日本の経済は、かつてビバリッジが、第二次世界大戦後の失業問題は地域的な失業問題だ、こう言ったわけです。そこで英国では工場配置法ができ、地方雇用法ができたわけですが、やはりそういう発想がないと、北海道とか九州、今問題になっております高島炭鉱なんというのはとても維持できない。そして、かつてのような大移動なんというのは今はとても考えられない、こういう状態であります。 ですからよその国も、高いものはみんなつぶしたいというのは、産業としてはあるでしょうけれども、しかし、やはり維持していかなければならぬということが大変重要な問題で、結局、国民の幸福ということが国の使命であるならば、経済全体も雇用問題とか人間の問題を中心としていかないと、今のように物、物、物、そして能率だけ上げるんだということになれば、どんどん能率を上げて、海外に出れば結局貿易摩擦によって逆に現地生産をせざるを得ない。そうすると、現地生産をせざるを得ないということになれば、その部品はどうするか。部品はNICSから、安いところから買う。そうすると、今のままでいけば、日本は一体何で雇用を守るかという形になる。ですから、少しはしゃぎ過ぎておるのじゃないか。ヨーロッパ経済はゆっくり歩いておるけれども、やはり国民の生活を幸福にするためにはゆっくり歩かざるを得ない。日本はもうそういうところに来ておるのじゃないかと思うのです、これはむしろ政府に聞くことでしょうけれども。そういう点を考えていただきたい。 そこで、筑豊の状態を見ますると、二十年たっております。相当の金をつぎ込みましたが、残念ながら上る産業がないんですよ。今や上る産業は、工場団地をいたしましても、トヨタにいたしましても電気器具にいたしましても皆海外に出る。国内投資はないんですよ。ですから、簡単に産業構造の多様化とおっしゃるけれども、現実に企業は、今まではそういうところへ行こうと思ったけれども、今やもう国内投資はしません、みんな海外に行くんです、こういう状態の中にあるわけですね。そこで、現地で非常に苦労されておる横路知事から御所見を承りたい。
○横路参考人 先ほど来申し上げておりますように、北海道の今日までの産炭地域も、相次ぐ閉山が続きながら今日まで来ておるわけでございます。この閉山が続きますと、もちろん市町村にとりましては、収入の面でも鉱業税あるいはその関連産業からの固定資産税などの税収も減収するわけでございますし、一方需要の方は、失業対策費だ、あるいは生活保護費だ、あるいは学校だとか病院だとか、人口減に伴ってさまざまな問題というのが発生してくる。当然財政力指数なども低い水準にあるということでございまして、そういう中で、今日残っております産炭地域も、それぞれ企業誘致や観光開発などいろいろな努力を積み重ねてきているわけでございます。 しかし、例えば北海道で申しますと、土砂川町のように、ここは人口九千人の町でございますけれども、本当に石炭以外、ほかの産業というのはほとんどございません。炭鉱がつぶれればそのまま町もつぶれてなくなる、こういう状況にございます。今まではスクラップ・アンド・ビルドということで来たわけでございますけれども、そうやって残っている炭鉱の今日の状況、これが今回の報告のような形になりますと、もうスクラップ・アンド・スクラップでいってしまうのではないか、こういう不安に今日置かれているわけでございまして、私ども道としても、あるいは産炭地域の市町においても、それぞれいろいろな努力を積み重ねておりますけれども、しかし先ほど来申し上げておりますように、大変厳しい経済環境の中で、万一閉山となってもそこから出てくる人を吸収するような力は、今日の北海道経済には残念ながらございません。 私どもとして、産業構造を多角化したり改善するという努力を続けておりますが、しかし当分、現存炭鉱をやはり維持していただいて、その間に私どもはさらに、先ほど向坂参考人の方からもお話がございましたけれども、これから少し産炭地域の振興も、後始末ということじゃなくて、政府としても前向きに、積極的に少しこの産業構造そのものを多角化する努力を続けていかなければいけないという御発言がございましたけれども、全く私どももそのように考えるわけでございまして、そういう御協力を政府の方からもいただきながら、私ども地方としても努力をしていきたい。そのためにも現存炭鉱の存続ということが、やはり今日置かれた状況におきましては、私どもとして何としてもこれはお願いを申し上げたいところでございます。
○多賀谷委員 どうもありがとうございました。
○矢山委員長 斎藤実君。 〔委員長退席、多賀谷委員長代理着席〕
○斎藤(実)委員 参考人の皆さんには、早朝から貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。 私は、まず最初に向坂参考人にお尋ねをしたいのですが、率直に私の意見を述べながら御意見を伺いたいと思うのです。 検討小委員会の審議内容を読ましていただきましたが、率直な感想は、経構研の報告書と全く同じだという感じを受けるわけでございます。この報告書は大別して三つの観点から成っているというふうに思うわけです。国内炭と輸入炭の格差が拡大をしているということ、それから石炭各社の経営が悪化をたどっているということ、対外経済摩擦の深刻化が進んでいるということ、大別すればこの三点が中心になっているということでございまして、そうしますと、これまでの石炭政策を大転換するということになるわけでございまして、もしそうでありますと、私は極めて安易な感じを受けるわけでございます。当然のことでございますが、炭鉱の場合は、事業を転換しろと言ってもなかなか難しいだろうと私は思いますし、また不可能だろうと思うんですね。むしろこれを生かすという立場で、経済性が最大の問題となっているわけでございますから、需要業界だけの負担ではなくて、もう少し幅広い視点からの負担のあり方について内容のある検討を行うことが必要であるし大事だろう、こういうふうに私は思うわけですが、お考えを伺いたいと思います。
○向坂参考人 諸般の情勢から、今後の石炭政策の方向としましては、需要にも十分勘案しながら生産の方向を決めていきたいという方向へ転換しましたことは、その意味では大きな転換であろうかと思います。それで、現状から考えますと、現存炭鉱すべてを今後長期にわたって維持していくということは大変困難になってきているということは重ねて申し上げたいと思います。 これを支えていくに当たりましては、直接には石炭会社の経営方針、また需要業界がどこまで現状あるいは将来を予測してこれを引き取ってくれるのかという点になりますが、同時に、これを支えるために政策助成なり需要業界がどれだけ負担するかということは、やはり国民的な合意がなければ、いろいろその局部局部で考えてもそれは実現が難しいというように思います。ヨーロッパの例もいろいろありましょうけれども、やはり私ども検討小委員会の仕事は、国際的な視野あるいは国民全般の立場に立って国内炭、それをめぐる周辺の環境を見ながら、どこまで国内炭維持のために負担を求め得るのかということを十分考えていく立場にあると考えております。
○斎藤(実)委員 向坂参考人にもう一点お尋ねをいたします。 確かに経済性ということも大事だろうと思いますし、無視することはできないと私は思いますが、貴重なエネルギー資源でございます石炭の資源論という立場も極めて重要だろうと私は思うんですね。 そこで、先ほど参考人からもお話がございましたように、ヨーロッパ諸国では、国内資源を大事にするという立場で、石炭に対する助成を国民的な合意の中で割り切ってやっておるわけですね。これにはエネルギーの安全保障を守っていくという考え方もあると私は思うのです。この考え方は国としては当然なことでありまして、量の多少の問題ではなくて基本的な考え方の問題ではないかと私は思うわけでございます。この点につきまして非常に厳しい検討小委員会の御意見でございますし、相当踏み込んで割り切った考え方だろうと思うのですが、長期的な考えをとれば、これは後世に問題を残すの。ではないかと私は思うのですね。国際的にも自分の国の資源を大事にしないという印象を、ひいては経済性だけを追求する国だという評価を避けられないのではないか、私はこう思うわけですが、お考えはいかがでしょうか。
○向坂参考人 国内資源を十分に活用していくという方針は、これまでの石炭政策の基本的な方針であると思いますし、また第八次政策においてもその方針を継続していくことは必要なことと判断しております。 しかし、国内資源活用といっても、経済性を無視してどこまでも掘っていく、可採炭量が四十億トンあるいは十億トン、いろいろありますけれども、それをすべて回収しなければならないか。問題はその採炭コストがどこまで上がるのか。今のように内外炭格差が大幅であって、私どもの見解ではそれがなかなか縮まりそうもない、円レートは別にしましてもなかなか縮まりそうもないということになりますと、需要業界の負担、それはひいては国民の負担になるわけですけれども、その負担をどの程度に考えたらいいのか。もちろんその判断、私先ほどから申し上げておる妥当な保険料ということの中には、地域問題、雇用問題、そういうものも十分勘案して最終的な判断をすべきだというふうに考えているわけです。
○斎藤(実)委員 次に、有吉参考人にお伺いをいたしますが、二点お答えいただきたいと思うのです。 先ほど来石炭鉱業をめぐる環境がさらに一段と厳しくなったという御意見が相次いでおるわけでございますが、石炭業界にとってはこれから正念場だろうと思うのです。先ほど有吉さんが陳述の中で、石炭産業については深刻な事態を生ずるのではないかと苦慮しておるという御発言がございましたけれども、私も非常に心配しておる一人なんです。将来閉山縮小ということになれば、これは各方面に大変重大な影響を与えるわけでございまして、今閉山縮小ということについてどういうお考えを持っていらっしゃるのか。また、石炭鉱業の将来に対して新しい展望を今お持ちなのかどうか、お尋ねをしたいと思うのです。 二点目は、先ほど来たびたび経済性の論議が話題になっておるわけでございますが、石炭産業が生き延びるためには業界としての考え方、どう対応するかという意見も私はお持ちだろうと思うのです。なかなか現状は厳しいわけでございますが、今までのように政策依存ではなくて、業界として大胆な提言をするべきときが来たのではないか。有吉さん十分御存じのように、業界が生きるか死ぬかという状態の中で大変御心配になっておるでしょうし、御意見もお持ちだろうと思うのですが、お考えがあれば伺いたいと思います。
○有吉参考人 おっしゃいますとおりに正念場に来ておるわけでございまして、今のような検討小委員会の中間報告、そういう基調から申しますと、閉山縮小という方向にいくのではないか、こういうことを心配しておるわけでございます。そうなりますと、これは大変な問題になるということはさっきるる申し上げたとおりでございますが、私どもの立場は、基本的には現存の炭鉱を維持してもらいたいということでございます。中には炭量の問題とか坑内条件等をどうするかということを検討しなければならぬところもある、こういうふうには考えておりますが、基本的には現存炭鉱を維持してもらいたい、こういうふうな考え方でございます。 私ども、こう申しますもう一つの背景は、先ほどからるる話が出ておりますが、第七次政策のときに、油が上がり海外炭が上がるだろう、皆さんはこういう見方をされたのですが、それが一、二年にしてがらっと変わってしまうわけでございます。したがって、現在の情勢からいきますと、この格差は埋まらぬであろう、こういうふうな見方でございますけれども、果たしてそれが五年先にどうなるか、これはわからない。そういう意味で、もう少し当面のことにとらわれずにちょっと考えてもらえないかというのが基本にあるわけでございます。炭鉱というのは、一遍つぶしますと再開というのはほとんど困難でございますので、そういう考え方をいたしておるわけでございます。 何らかの将来への展望いかんということでございますが、昔の石炭というものは、炭鉱が古くなっていきますと新坑を開きまして、古いのと新しいものの平均で一つの価格を維持していくといいますかやっていったわけですが、今はそういうことはできない。どんどん深くなっていき、遠くなっていくわけでございます。私どもといたしましては、毎々申しておりますように、深くなっていき、遠くなっていきますといろいろな面でコストが上がるわけでございます。動力も運搬距離も余計要ります。しかし、それは私どもの合理化によってひとつ吸収をいたします。現にそれは今までもやってきております。年々能率等は多少とも上がってきておるわけであります。そういうことで、あとベースアップ等が結局炭価アップにつながりますので、私どもとしては、非常に恐縮なのでございますけれども、物価の上昇とかベースアップとか、そういうエスカレートするものにつきまして、国内炭を維持するという建前に立ちまして、何らかの維持する方策を考えてもらえないか、こういう一つの考え方を持っております。 〔多賀谷委員長代理退席、委員長着席〕 第二点の、経済性の問題だけでなしに何か生き延びる方法、政策依頼だけでない何かの方法を考えておるかということでございますけれども、私は陳述において申し上げましたように、少なくとも現状におきまして、経済性からいったらとても対抗できないという状況にあると思うのでございます。 私が一番訴え続けておりますのは、今の考え方というのはつぶせ、つぶせという方向ばかり先にいっておりまして、それでは全部つぶすのかといいますとそうではない、ある程度エネルギーの安全保障ということも考えておるということでございますが、肝心なのは、しからば幾ら残すのか、残すものについて本当に今までと違った、残っていけるような対策が講じられるのかということでございます。そういう点から申しますと、岡田先生がおっしゃったと思いますが、確かに昔は原料炭主義であったのです。原料炭をつくってくれ。私は、今国内炭を残す根本の存在理由というのは国のエネルギーとしての、こういうことだろうと思うのです。そういう意味で、さっきから出ておりますように、国民全体の負担におきまして何らかの方法というものがないのか、こういうふうなことをひとつ新しい角度から検討していただきまして維持対策というものについて御検討願いたい、こう思っておる次第でございます。
○斎藤(実)委員 次に横路参考人にお尋ねいたしますが、先ほど来横路参考人から北海道の産炭地の実態についてるるお話がございましたし、検討小委員会の報告書によりまして地元の産炭地の方々が大変心配されているということでございまして、私も心配している一人でございますが、これがまたもし縮小とか閉山ということになりますと大変大問題になるわけでございますが、横路さんからもお話がございましたように、特に北海道の場合は、炭鉱の役割というものが地域に極めて大きな影響を与えておる、基幹産業の一つでございまして、関係地方公共団体も所要の支援を行うべきだというふうに私は考えるわけですが、御意見はいかがでしょうか。
○横路参考人 先ほども述べさせていただきましたけれども、今それぞれ地方自治団体というのは、国の行財政改革が行われておりまして、例えば国庫補助率が引き下げられる、補助金の削減が行われる。例えば道だけとってみましても、六十一年度、従来に比べましてその負担部分だけで七百五十億円という大変大幅な負担増を強いられているわけでございます。さらに景気の低迷によって税収の伸びも極めて鈍化しておりまして、私ども財政としては地方債の発行で何とかやりくりをしているという実情にございます。 こういう中で、先ほど申し上げましたようないろいろな措置というものを私どももとってきているところでございます。六十一年度も新しい措置というのをとったわけでございますけれども、しかしやはり限度、限界というのがございまして、石炭政策というのは、これまでも国のエネルギー政策ということの中で一貫して行われてきたわけでございまして、これを地方に肩がわりさせるというようなことは、私ども自治体の財政的能力からいっても受け入れる力というのは率直に申し上げましてないと申し上げたいと思います。
○斎藤(実)委員 さらにもう一点横路参考人にお尋ねをいたしますが、検討小委員会では工業の導入を推進するということで産炭地域の推進に言及しているわけでございますが、これは北海道の場合、実際問題としてはなかなか現実的でないというふうに私は思うわけでございます。 と申しますのは、産炭地に他の産業を導入して炭鉱依存から脱却しろという、言葉ではわかりますが、山間僻地に産業が来るわけがないと私は思いますし、例えば地域振興整備公団の空知工業団地、釧路の釧路工業団地等を見ますと、これは半年以上もあいておるし、なかなか企業が入ってこないという現実を私は心配するわけです。大都市ならいざ知らず、やはり山間僻地でございますので、私は非常に心配しておりますが、この点はどうお考えでございましょうか。
○横路参考人 私どもとしても企業誘致には力を尽くしておりまして、全国で一番高いレベルの優遇措置なども講じておるところでございますし、産炭地域の各市町村におきましても、企業誘致のために大変努力をしているところでございます。しかし現実の姿は、地域振興整備公団の全国の産炭地域における完成団地の分譲率を見ましても、全国が約九〇%、北海道は七〇%と大変低い現状にございます。道内だけでも工業団地は八十一ほどございまして、例えば最近ですと臨空工業団地ということで、空港のそばということですが、この辺の団地などもまだまだ十分吸収する余地があるというようなことで大変厳しい現状にございます。 確かに産炭地域というのは、例えば土砂川町を見てみますと、町の面積が大体四千ヘクタールでございますが、そのうち山林が大体九三%の三千七百ヘクタールという、いわば産炭地域というのは大体が山間僻地が多いわけでございまして、努力はしているもののなかなか難しい。例えば今ある炭鉱が閉山になって、そしてそこに働いている人たちを十分吸収をし、町の活力も維持するだけの工業を導入するということは、とても直ちには考えられる状況にはございません。
○斎藤(実)委員 次に植田参考人にお尋ねをいたします。 従来から鉄鋼業界の国内炭引き取り問題への対応は非常に厳しいし、現実的にも国内原料炭生産の約半分でありまして、しかも年々減少しているような現状でございます。最終的にはゼロにすべきだというお考えのようでございます。これは国内炭引き取りに伴う経済的負担を軽くしたいということだと私は理解をしているわけでございますが、この国内原料炭の経済性を抜きにいたしまして、品質の面だけを考えると、国内原料炭はどういう評価になるのか伺いたいと思います。
○植田参考人 私、技術の問題は必ずしも詳しくないのでございますが、聞いているところによりましては、昔はいわゆる外国の強粘結炭が技術的に必要だということで、我が国には弱粘しかないというふうなことが言われたことがございます。現在ではいろいろと技術が進みまして混炭する場合のやり方が進んでおりますので、現在特に国内炭がなければ困るというふうには聞いておりません。そういう意味で、技術的側面からの問題を私ども問題意識として持っているということはないのではないかと思います。
○斎藤(実)委員 次に野澤参考人にお尋ねをいたします。 電力業界は国内炭引き取り量の相当の減少を要望しているわけでございますが、具体的にお尋ねをいたしますが、北海道電力の内陸石炭火力について、輸入炭火力、石油火力、LNG火力との発電コストを比較してどういうふうになっているのか伺いたいと思うのです。年度末時点で二、三年間の推移がわかれば教えていただきたい。 発電所ごとのコスト比較で見ると、国内炭にメリットのあったこともありましたし、現在においても負担のあり方を工夫すれば十分たえられる範囲にあるのではないかと思っている一人でございますが、具体的な数字がもしわかればお示しいただきたいと思います。
○野澤参考人 お答え申し上げます。 コストの問題ですが、既に運転中の発電所の経済性を比較するような場合には、資本費等の費用は発電所の稼働いかんにかかわらず年間一定であるために、燃料費の高い低いが問題となるわけでございます。 そこで、北海道電力の過去三年間、五十八年から六十年までの燃料別の発電キロワットアワー当たりの単価を申し上げますと、石炭の内陸火力がキロワットアワー当たり約八円、それから重油専焼火力がキロワットアワー当たり約十三円、それから海外炭、これは苫東厚真の第二号でございますが、これがキロワットアワー当たり約四円ということのようでございます。 しかしながら、北海道電力が今後の国内炭の引き取り量を減少さしてほしいという理由については、次のような二つの理由があるわけでございまして、一つは電源構成上の問題でございます。これは、内陸火力につきましては、建設年度の古いものはもう既に二十数年を経過しておりまして、長期間高稼働運用してきたことから甚だ老朽化が進んでおります。そこで、発電所の稼働率は次第と低下せざるを得ない状況になっておるわけでございまして、一方では中長期的な電力供給とコストの安定を図るために、北海道電力としましてもこれらの老朽火力にかわる原子力を推進する計画で進めている点が第一点でございます。 第二点は、臨海石炭火力の経済性の問題でございます。内外炭価の格差がこれほど大幅に拡大している現状では、長期的な電気料金の安定を図るため、苫東厚真の一号機も海外炭を利用したいという願望を持っておりまして、今後地元の了解を得ながら逐次転換を図りたい意向と聞いております。
○斎藤(実)委員 野呂参考人にお尋ねをいたしますが、先ほど検討小委員会の内容について冒頭に陳述がございましたが、この中間報告の内容は極めて厳しいものだというふうに私も思うわけでございます。これからの厳しい石炭政策の中でこれからどう石炭産業を発展さしていくかということになりますと、需要をいかに確保するかということが大きな問題になるだろうと私は思うのですね。この点について、従来の方式とか考え方と違う具体的なお考えがあればお聞かせいただきたいと思うのです。
○野呂参考人 新たな需要の方法をどう考えるかということであります。新たにとてつもない考え方というのはなかなか生まれてこないわけであります。しかし、日本は世界と仲よくするということで、仲よくするところがアメリカとかあるいはオーストラリアだけを向いているということについて、私たち炭鉱労働者として納得がいかないのであります。先ほど多賀谷先生も申されておったのですが、フランスであるとかあるいはドイツであるとか、この間も大変だったわけですがイギリス、そういう国々のとっている政策というのが日本の場合にできないのかということをも考えてほしいと思っています。 第一次の有沢さんの調査団の答申が出たときに、これでは炭鉱労働者の将来はないということを私も動員団をたくさん連れて言いましたが、二十くらいの炭鉱になってしまうかもしらぬ、そのときは国有化だからまあ心配するなということを言われてなだめられました。そういうことで、今私たちは国有化は言いませんけれども、大変な問題になっておるわけであります。 特にIQ制度と需要問題でありますが、この席をかりて申し述べますと、四十八年の末のときでありますが、一般炭八十万トンを緊急に輸入するという問題が需給部会でかかったことがございまして、私はそこへ行って反対だと言いました。日本の国に着いても国内にはまともには着かないですよ、どうするんだ、物理的に抵抗する、何をやるというようなことで、大変そのときに、稲葉先生あるいは土屋先生、そしてまた円城寺先生からも言われたわけでありますが、国内炭に悪影響を今後とも及ぼさない、今回特別の措置である、IQ制度というようなのを活用して、これからは一般炭は国内炭を消化するためにだけやるんだ、こういうように言われて、まあ認めなさいということで認めたことがございます。今、海外炭が安くて国内炭が、こう言われるのに非常に問題があるわけでありますので、私たちとしては、やはりIQ制度の活用、そしてその中において国内炭をミックスしてセットしていくというようなやり方を考えてほしいというように思っておるわけであります。
○斎藤(実)委員 以上で終わります。
○矢山委員長 小渕正義君。
○小渕(正)委員 参考人の方は朝早くから大変御苦労さまでございます。特に向坂参考人におかれましては、政策部会の取りまとめの小委員長として、それぞれの立場からの意見を取りまとめられながらいろいろ御配慮されていることについて大変敬意を表する次第でありますが、やはりどうしても二、三点お尋ねしたいことがございますので申し上げます。 先ほどからの参考人の御意見の中で、第八次政策の中では国内エネルギー資源としての国内炭の役割が変化してきたんだ、そういう点をまず一つ申されたわけであります。確かに、第七次政策と第八次政策を今検討する段階において変わってきたという意味合いの主なものは、先ほどから言われていますように、環太平洋地域で容易にそういった海外炭が手に入るようになったという条件の変化なのか、それとも、今のところ全体の中で約三%程度しか占めてないそういう役割、そういう意味でもう役割というものはないのじゃないか、そういう意味での、そういうシェアといいますか占めているそういう状況の変化の中で、現在は国内エネルギー資源としての国内炭の役割が大きく変わってきたのだというふうに結論づけられておるのか。従来の第七次と第八次を現在検討されるに当たりまして、まずそういう基本的な、そこらあたりの違い、認識をお聞かせいただきたいと思います。
○向坂参考人 おっしゃるとおりその点がございまして、一つは、全般的に、国際的にエネルギーの供給過剰の状態になっているということは、第七次策を策定したころとは非常に大きく変わっております。もちろん先行き、五年、十年先またどういうふうに変化するかは十分慎重に検討しなければならないと思います。どういう変化があっても国内資源をできるだけ活用するという方針は変えるべきではないと思います。しかし、その国内資源が果たすエネルギー安全保障についての役割はやはり変化してきていると認めざるを得ないのでございまして、それは御指摘のように中国を含めて環太平洋の石炭供給は、日本に売りたい売りたいという国がたくさんありまして、これは当面だけではなくて、恐らく五年、十年にわたって石炭の供給余力は十分あるのではないかというふうに考えます。 それから、石炭が三%であるということにつきましては、必ずしも安全保障機能はパーセントにはよらないとは思いますけれども、日本全体としてエネルギーの供給体制というものを考えてみますと、かつて十年前、五年前に比べますと、LNGあるいは原子力あるいは海外炭の輸入など、いろいろなエネルギーを多様に使う方向に進んでおりまして、また石油危機に対しては石油の備蓄というものも相当進んでまいっておりますし、そういう全体のエネルギー安全保障体制というものが進展しておりますことを考えますと、やはり国内資源の、国内炭の役割というものは変わってきているというふうに認めざるを得ないと考えております。
○小渕(正)委員 確かに、現在エネルギーは非常に多元化されましていろいろなものがございますが、そういう点からいきますならば、我が国のエネルギーの唯一の国内資源としての国内炭、こういうことは言葉として言われるわけでありましたが、その位置づけとして、わずか三%程度ではそういうものにならないのじゃないか、どうかという評価はいろいろありましょうが、やはり国内資源としての国内炭をどういうふうに見ていくか、それの見方ですべてこれからの政策の展開が変わってくるわけですね。特に現状のように供給源がたくさんあって容易に供給されるような状況になったということから考えますならば、石炭政策を考える場合に、第八次を考える場合に、エネルギー資源としての唯一の国内炭ということの位置づけをどこに置くかによって、おのずから政策の展開が変わってくると思います。 そういう点からいきますなら、確かに今言われていましたように、国内炭の現有確保は非常に困難ではないか、こういうことが供給の面からいって言われておるわけでありますが、やはりここらあたりが問題のポイントでありまして、今のような状況では、生産を前提として供給していくというようなやり方はもう非常に難しいということは理解いたしますが、そこに何らかの新しい政策的な一つの展開を行うならば、そういうように前向きに考えていくならば、今後とも第七次石炭政策の基本を変更することなしに、また新しいそういう角度から政策の展開をやっていけるのではないかというふうに私は思うわけであります。そういう点については、先ほどのお話のように、国民の理解と合意を得るといういろいろなそういう観点から考えて、これ以上の新しい国としての政策的な展開が困難だ、こういうようなことで大体結論づけられておるのかどうか、その点はいかがでしょうか。
○向坂参考人 まだ検討小委員会は最終的な結論を得ているわけではございません。今後、石炭会社また需要家あるいは労働組合など、地方自治体を含めましていろいろな意見を伺いながらまとめていきたいと思っておりますし、また先般の政策部会、また今回のこの国会での御審議、こういう場における意見を十分踏まえまして検討を進めていきたいと考えております。
○小渕(正)委員 我が国の石炭政策を考える場合には、海外炭との関係では、海外炭は御承知のようにほとんど露天掘り、日本で言う採炭というのと、ちょっと感覚的にもイメージ的にも違う、要するに砂利をその辺でとっているような状態で、輸送にどれだけのことをしていくかということによって若干のあれがありますが、問題は、そういう意味で地殻的な条件で考えるならば、我が国の石炭政策は、そういった全然採掘条件の違う国内炭と海外炭との調和をどうするか、これがすべて基本であろうと思います。したがって、海外炭との価格差を議論の対象にするなら、もう初めから我が国の国内の石炭政策は存続しないんじゃないかというふうに言ってもいいと私は思うのですね。しかしそれが今日まで七次というような形で来たというのは、やはりそこに我が国の国内資源としての国内炭に対する国としての政策的な一つの考え方が、基本があったからこそ私は来たのであろうと思いますし、そういう意味では、第七次政策のときも今からやる八次政策のときも、そういう基本的な条件の中においてはもう初めからベースは同じだと思うのです。だから、私はそういう意味では、今さらになって価格差等を中心にした議論というのは余りにも目先だけの議論に陥ってしまっているのではないか、こういう感じがしているわけであります。したがいまして、そういう角度から先ほどからの質問をしておるわけであります。 そういう点で、先ほどもいろいろお話が出ましたが、現在の生産を前提にして国内炭の供給を考えるということは、もはやそういうところではないということでございましょうけれども、では、今約千六百万トン体制でありますが、それを縮小するということになりますと、地域的ないろいろの問題が出てきておるわけでありまして、その点はもう先ほど来いろいろな委員の方から嫌というほど状況の説明がありましたし、また参考人の方もその点は十分おわかりだと思います。 そういう意味では産炭地域の今日までの状況は、現実に二十年、三十年たってやっと産炭地域という名前から解かれたのは常磐地域だけでありまして、全国的な産炭地域のほとんどは、いろいろと政府の地域振興整備公団等の肩入れ等もありまして、そういういろいろな努力、それぞれの年度における予算等を投入しておりますが、残念ながらいまだに産炭地域と言われているところにおいては経済的な浮揚がなかなかできてないという現状の中で、またこれ以上そういった状況を新しくつくり出していくのかということについて、これは別な角度から今度の小委員会の中でももう少しそういった議論をしていただかないことには、ただ従来のペースで、何らかの形で徐々にそういった方向に移行していくということだけでは、もはや問題は解決しないのじゃないか、私はかように思います。 先ほどから例が出ておりましたが、私の近くの長崎の高島鉱あたりになりますと、約五千人近くの人が一島一町、これすべて炭鉱に依存した町でございまして、高島鉱がマスコミ等であれだけ報道されているような状態でもしも閉山になりますと、あの人たちは一体どこに行くのか。地域の中においてそれだけのものをまた新しい産業に吸収するだけのものは何も考えられぬような状況でございますから、そういう点を考えますならば、今回の八次政策の中で、そういう特殊な条件というものをより十分に検討された中でこれからの石炭政策は考えていかなければならぬ、そういう意味での特に地域における政策的な配慮といいますか、そういうものがより重点にならなければならないと私は思うわけでありますが、その点についての参考人の御意見をお尋ねいたします。
○向坂参考人 国内炭問題は決してエネルギー安全保障の面からだけ判断すべきではなくて、特に地域問題について十分な配慮をしなければならないという先生のお言葉には全幅的に賛成する次第でございます。今回の施策においても、その点に従来よりは一層重点を置いた対策を考えるべきだというふうに考えております。
○小渕(正)委員 御承知のように、特に我が国のそういった最先端の技術、ああいう極めて難しい、困難な条件の中で機械化し、生産性を上げているわけでございますから、まさにああいった状況を見ますならば、そのまますべてそういった技術がなくなって、消されていくということでは、私は長い目で見ても我が国の産業界にとって非常に大きな損失じゃないかと思いますので、ぜひそのあたりはひとつ前向きに御検討をいただきたいということをお願いいたしておきます。 それから、有吉参考人にお尋ねいたしますが、業界としては何とか今のあれを維持していきたい、何とかそうしてほしいということは当然のことだと思います。業界としても、例えば経営基盤の強化というか、何か集約的に今の石炭産業の各業界、もう少し何か経営基盤を強化するために集約していくというような方向は一体どうなのかとか、それからまた、例えば我々石炭関係の会社に石炭販売の仕事をさせてほしい、そうしてひとつまとめて何とかそういう形の中でいろいろ考えていきたいとか、ともかく今のまま頼むからというだけじゃなしに、今の業界の中でなお前向きに何とかひとつ切り抜けていきたいということで、そういう何か積極的なものは、遠慮なさってそこまで言うわけにいかぬということなのかどうかわかりませんが、そこらあたりのお考えをお尋ねいたします。
○有吉参考人 会社の統合一本化といいますか、そういうふうな話もあるのでございますけれども、これは実際問題としまして債務保証という問題がついて回りますので、今の石炭の持っている債務関係を親会社の保証を切り離してということになればこれはできるのですけれども、いいところと悪いところが一本になって何したら平準化されるじゃないかというような話もありますが、債務保証、そういう問題を考えますと実際問題として不可能、難しいですね。 それから、今の販売機構とかそういうものについて何か考えられないかという問題でございますが、これは私どもといたしましても何らかの新しい対策をお願いしなければならぬ、こう思っておりますが、それに関連をいたしまして、やはり我が方としてもそういう特殊機構と申しますか、その中で販売問題等も、一元化とはいきませんが、外国炭との関連におきまして具体的に申し上げるわけにはまいりませんが、そういうものは何らか一つ考えなければならぬ、そういうふうに考えております。
○小渕(正)委員 今何社ありますかね、それぞれ会社別に。しかし、私はやはりもうここまで来たら、例えばそれぞれ非常に生産性の上がっている、また割合経営が安定しておると言われるようなところ、そういうところとの技術提携といいますか、いろいろ提携の仕方はありましょうけれども、そういう中で技術の交流、資材、その他いろいろな点についてのもっと一元的なやり方とか、もう少し集約的な体制をおつくりになって、より現状の苦しい中を打開していくというようなことがやはり必要じゃないかという感じが私はしているわけであります。確かに企業が合併その他になりますと債務その他の問題ございましょうけれども、実際問題としてそういうお仕事をなさっていく上においてもう少し現実的な集約といいますか、お互いの提携といいますか、そういうものがひとつとれないのかどうかという点でお尋ねしたわけでありますが、その点ぜひひとつ御検討でもしていただく材料になればと思って申し上げました。 それから、時間がございませんので最後にお尋ねいたしますが、植田さんですか、鉄鋼関係、非常に難しい、厳しい環境の中で、国内炭の引き取りということで大変な経営努力をなさっているという点については理解をいたしておるわけでありますが、我々素人考えからいきますならば、今回の円高問題、確かにそれはもう輸出産業にとりましては大変な大きな負担になるわけでありますが、鉄鋼の場合は原料、鉄鉱石その他すべてがほとんど海外からの依存でございますので、海外炭、鉄鉱石、そういった為替の差益等円高の関係からいくならば、大体プラス・マイナス、円高になったから特別より負担増になるということにはならぬのじゃないかなと、素人考えでございますが、その点についてちょっとそういう疑問をなしとしないので、そこらあたりの状況をひとつお知らせいただければと思います。
○植田参考人 そういうお尋ねは時々承るのでございますが、今私、詳しい資料を持っておりませんが、大体申し上げますと、例えば大手の五社のベースで考えますと、鉄鉱石や原料炭の輸入額が大体七十五、六億ドルになろうかと思います。それに対しまして輸出の方は、直接輸出が約百億ドル、間接輸出を含めますと百四、五十億ドルになるわけでございまして、そういった意味では輸出の方が輸入の倍になるということでございます。 先ほど私は陳述の中で、現在の鉄鋼業界の輸出比率が、直接間接輸出含めますと五四%と申しましたが、これは五年前の数字と比較しますと六ポイント上がっております。四八%だったものが五四%になっているわけでございます。これは御承知のようにこの七年、十年におきまする日本の機械の輸出比率が物すごく上がっております。物によっては一二、四ポイント上がっているものもございますし、恐らく自動車でも一〇ポイントを超えて輸出比率が高まっていると思います。そういうことを反映いたしまして、直接間接輸出を含めます輸出比率が非常に高くなっておりまして、原料炭あるいは鉄鉱石の輸入によるカバーは非常にバランスがとれていない、こういうことで円高が大変な影響を与えているわけでございます。 それからもう一つ申しますれば、先ほどちょっと申しました、今最も私どもの競争相手になってきておりますNICSの諸国は、通貨がドルとリンクしておりますので、ここはドルが安くなったとほぼ同じだけその通貨は安くなっているわけでございますから、三〇から四〇%くらいのコストの、我々にとって不利な状況がそこに生み出されているわけでございます。
○小渕(正)委員 時間が参りましたので野澤さんにお尋ねしますが、確かに今は供給が安定的に確保できる状況になったということでは、私は現状は率直に認めざるを得ません。ただ、現状をもって、すべてのそういった海外からの資源が安定的に供給できると果たして考えていいのかどうかという点については、もちろんそれぞれの見方がありますが、輸送という問題を考えたならば、必ずしもすべて安定的に供給できる体制にあるということだけで一概に言い切れないのではないか。いかなる不時の、不測の事態が出るのかわからない。そういう面を、今の海外に依存している中における輸送体制ということから考えるならば、若干そういう余地があるのではないかという気がしてならぬわけであります。その点についての御見解をお示しいただければと思います。
○野澤参考人 これは先ほど来申し上げているとおりでございますけれども、電力としては、各電力ともエネルギー源の電源構成を考えてそのエネルギーを選択している実情でございまして、石炭だけの安全保障という面でなく、もうすべての面で、LNGも石油もあるいは原子力も、そういうものを総合して検討しておりますので、私どもとしては、現状から見て相当というか、長期的に見ても現在の供給源は安定しているものと信じております。
○小渕(正)委員 終わります。ありがとうございました。
○矢山委員長 小沢和秋君。
○小沢(和)委員 どうも御苦労さまです。 最初に向坂参考人にお尋ねしたいと思いますが、私どもの党の立場としては、国内資源である石炭産業はできるだけ大切にして活用していかなければならないということで今日まで一貫しておるわけであります。こういう立場から、今回の中間的な報告を読ませていただきますと、これまで不十分にしろそういう国内資源を大切にという姿勢があったかと思うのですが、どうも内外の圧力に押し切られているのじゃないかということを感ぜざるを得ないわけであります。貿易摩擦を解消するために、日本はもっと石炭を買えという露骨な圧力もあります。国内でも経構研などが、石炭だの農業をつぶして輸入に切りかえたら、今の貿易摩擦は大分解消できるじゃないかということも言っておる。そういうことに押し切られたのじゃないかという不安を感ずるのですが、その点率直なところをお尋ねしたいのです。 部分的に撤退というお話だったのですが、新鉱の開発などは全く考えずにずっとこのままで行ったも、もうしばらくしたら、安楽死という言葉がさっき出たように思いますが、結局そういう状態になってしまいませんでしょうか。
○向坂参考人 国内資源をできるだけ大事に長く使わなければならない、そういうことを小委員会の委員は決して無視しているわけではございません。十分それを認識した上での審議だと考えております。 新規の炭鉱を開発するにつきましては、今回、今のような国内炭をめぐる諸般の情勢、特に新規の開発のために、これも今後炭鉱別にもいろいろ詰めてまいりますけれども、相当な新規投資がかかる可能性があるわけでありまして、今の段階で国内でそういう資源を開発すること、その経済性についていろいろ検討しなければならない問題があると思っております。もちろん、できるだけ現有炭鉱が存続するために、合理化などを含めて新規投資も必要かと思いますけれども、余りにコストが上昇するような投資については多分石炭会社も慎重でありましょうし、その点については十分考慮する必要があるのではないかと思う次第でございます。 それからもう一つは、経構研は国際的な関係を中心にして日本の経済構造の調整をどのように進めるかという観点から論議され、その観点から大幅縮小というような報告が出たわけですけれども、私ども石炭鉱業審議会としては、単にそういう国際的な日本の置かれた立場、特に豪州やアメリカからたくさん買えというようなことを重視して審議しているわけではなくて、安全保障的な役割をどう見るか、またいろいろ御意見のございました産炭地の問題をどのように維持していくか、産炭地問題や雇用問題など十分に考えながら総体としてどういう石炭政策をとり、生産目標を立てることが国民の納得を得られるのだろうかということを検討しつつあるわけでございまして、もちろん国内資源を十分に活用するという立場から、また産炭地の維持のためにもなるべく多く引き取りを続けてほしいということを需要業界にはお願いしているわけでございます。
○小沢(和)委員 次に、野澤参考人にお尋ねしたいと思いますが、検討小委員会の中間報告を拝見いたしましても、電力は今後着実に伸びていく、一般炭の使用もふえていくという予想になっているわけであります。そういう中で国内炭を減らすというのは、私は納得がいかないわけであります。 これは恐らくコスト的に高いものは使えないというようなお話じゃないかと思うのですけれども、今電力業界が火力発電のために使っている石炭の量全体から見るならば圧倒的に海外炭であって、国内炭というのはごく一部じゃないでしょうか。今円レートがこういうふうになってきたということで大変な差益が電力業界に入っているということで、その差益還元ということも問題になっている。その還元の内容も電力業界にとってまだ非常に甘いものだと私たち思いますが、そのほかにも、現地で調達する石炭の価格自身も下がっているでしょう、船賃も下がっている、そういう海外炭の関係で受けている大変な恩恵、利益を考えたら、国内炭のごく一部が若干割高のものになるということは、これは電力業界としては何も我慢できないような問題ではないのじゃないかと私は思うのですが、その点、いかがでしょうか。
○野澤参考人 お答え申し上げます。 まず、今回の円高差益の分、さらにまた原油の値下がりによるメリット分は需要家の皆様に還元するという方向で、一昨日通産大臣に申請書を提出して、本日午前中に認可がおりた次第でございまして、私どもとしましては適正に評価して申請したつもりでございます。 しかし、差益と国内炭問題とは別個の問題ではないかと考える次第でございまして、電気料金の安定維持のためにも、電力各社は燃料を含めたコストの一層の低減を図る必要があるものでございまして、最初にお話し申し上げましたとおりに、電力業界としては、協力することについてはもう既に私企業としての限界に到達しておる次第でございます。また、その協力についても電力業界だけではなくて、これはユーザー全体で公平に負担するのが当然ではないかと思う次第でございます。
○小沢(和)委員 都合のいいときには私企業、別のときには電力の公益性というようなことを使い分けられるわけでありますけれども、きょうはそのことはおくとして、今まででも海外炭に比べると国内炭の方が高いという問題はあったのですよ。最近になってそれがぐっと開いていることは間違いないのですけれども、一方で海外からの一般炭の輸入であなた方が今までにない非常なメリットを受けるという状況も発生しておる。これは全体として観察すれば私企業として十分耐えていける状況にむしろ今一番あるのじゃないかと思うのですが、私の認識が違う、電力は今つぶれかけておるというのだったら、そういうふうによくわかるようにおっしゃっていただきたい。
○野澤参考人 お答え申し上げます。 決して電力はつぶれてはならないわけでございます。そのために、今回の還元に当たりましては三割ないし二割の留保をいただいておるわけでございまして、万一これが変動した場合に、将来、前回と同じような料金の値上がりがあってはならないというようなことで今回還元策をとっている次第でございまして、これが今の時代だから引き取れるじゃないかということとはまた別の問題だと思います。
○小沢(和)委員 そうすると、今十分引き取れるけれども、しかしこういうふうに国内炭の見直しというようなことが言われているこのチャンスに、そういう負担もできればのけたい、こういうお考えだということでしょうか。
○野澤参考人 これはここでの論議ではないかと思いますけれども、やはり我々私企業でございまして、あくまで経済原則に沿った方法で進めさせていただきたいと思います。
○小沢(和)委員 じゃ次に、鉄鋼の植田参考人にも一言お尋ねしたいと思います。 鉄鋼の方は輸出産業というのが主たる側面であって、今その面ではいろいろ困難を抱えておるという先ほどからのお話は、その範囲では私はわかるのですけれども、しかし同時に、さっき数字も挙げられましたけれども、非常に大きな輸入をしておられることも事実なんですよ。そして、今申し上げておる石炭だけでなく鉄鉱石も含めて、このレートの変動による差益、それから現地で購入するときの価格も下がっておりましょうし、船賃も下がっておる、こういう点で原価は、私は鉄鋼も劇的に下がっておるのじゃないかと思うのですね。だからそういう意味からいうならば、確かに一方では困難はあるけれども、こういう輸入の面で非常に大きなメリットを受けているという点からいったら、やはり鉄鋼もこの程度の国内炭の負担についてはもうとてもたえられませんと余り言えた義理ではないのではないかと思うのですが、その点いかがでしょうか。
○植田参考人 円高になりますれば輸入の価格が下がるというのは一般的でございますから、その限りにおいてはそういうことになると思います。問題は、原材料を輸入したものをどう販売できるかということでございますから、販売と購入との関係で利益が出るわけでございます。 ただいま輸入面につきまして、それなりの利益が出るのではないかというお話でございますが、先ほど申しましたように、一つには輸出が輸入の二倍というバランス関係にあること。それからもう一つは、最もコンペティターとして強力な国々が、今度、相手側が通貨安になっておりまして、三割から四割という大きな、私どもにとってみればそれは言うなれば差損とでもいうべきものかと思います。そういうふうな総合結果からいたしまして、現実に今企業経営は極めて、まさに文字どおりの前古未曾有の危機的な状況になっております。これはもう今年は、実は昨年の前半はそれなりの状況であったわけでございますが、それにしましても年間通しまして大変な決算が多分近く出るのではないかと思います。恐らく資産なり株式なりを処分せざるを得ない状況ではなかろうか。 さらに、これがこれから先一年間を見通した場合に、極めて見通しがつかないというぐらいの状況になっているわけでございまして、そういった面からいいますれば、率直に申しまして非常に余裕がないというのが事実でございます。
○小沢(和)委員 もう一回向坂参考人にお尋ねをしたいのですが、産炭地対策、今度山を幾つかつぶさなければならぬかもしれない、それで必要な閉山対策を講じなければいかぬということが述べられております。かつて私の住んでおりますあの筑豊での閉山というのは、一番高度成長の時代、そういう離職者がいっぱい発生してもほかで吸収できるというような条件がかなりある時期でしたけれども、やはり中高年の人は失業者として残って、今でも失対事業で働いているという現状があるわけであります。今までに比べれば、そういう点では非常に困難な時期にそれをやらなければならない。そういう今までに比べると困難な条件というのを考えて、今度は何か特別にお考えになっておられるかどうかということを一つはお尋ねしたいと思います。 それから、工場誘致ということがこの中に書かれているのですが、工場誘致などというのは、とりわけあの時期にでも筑豊にはそんな有力な企業は立地しなかったのです。今、事改めてこういうことを言われておる真意というか、ねらい、その辺ももう一遍お尋ねをしたい。 それから最後に、財源問題は今後検討すると述べられているように思いますけれども、現在までに既に一定の検討はなされているのではないのか、この財源問題は私どもも特別に関心を持っておりますので、現在どういうようなお考えなのか、これも中間的にお示しできるのであれば示していただきたいと思います。 それから、石炭三法の問題も何か検討されていれば、これも一言伺いたいと思います。 以上です。
○向坂参考人 今先生のおっしゃるとおり、産炭地振興、特にもし閉山が出た場合の離職者対策、再就職ということはかっての高度成長時代よりも難しい条件、また北海道においては先ほど横路知事が言われたような状況もありまして、その点はより難しい状況にあるということは十分承知しております。それだけに雇用対策、離職者対策については、従来の石炭政策以上に重点を置いて検討しなければならないということで、これまでもその問題については検討してまいりましたけれども、さらに今後十分な検討を進めたいと思っております。 それで工場誘致につきましては、必ずしも合成案があるというわけではございませんけれども、僻遠の地に工場が来るかというお言葉ですが、それは必ずしも不可能ではなくて、例えば夕張市において観光誘致、観光事業をやったり、あるいは夕張メロンをやったり、これまで何年かの努力が実ってシチズンの工場が移るということが実現したわけでございます。 思い出しますけれども、七次策を検討していたころ中田市長が見えまして、産炭地問題についてお話し合いをしたときに一致した点は、今後時間はかかるけれども、炭鉱依存、石炭依存度をもっと低めて、産業構造の多角化を図りたいということを言っておられました。それが割に早く手をつけたためにある程度の成功が見られたのじゃないかと思います。もちろん、夕張はこれで炭鉱はなくてもいいという状態では決してないと思いますけれども、しかし工場誘致について、やはり産炭地というイメージを変えながら企業誘致をしていけば、私は必ずしも不可能なことではないと思っております。 それから財源問題については、今の原重油関税のみに依存することを今後とも続け得るかどうか、その点もございますし、それでは何かかわる案があるかどうか、そういったことも、いろいろ幾つかの案を検討しておるという状況でございます。 石炭三法については(小沢(和)委員「なければないでいいですよ」と呼ぶ)ちょっと、あとは行政の方で……。
○小沢(和)委員 終わります。どうもありがとうございました。
○矢山委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十一分散会