商工委員会 第3号
- 発言数
- 217 件
- 登壇者
- 28 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1986/02/21
会議録
○野田委員長 これより会議を開きます。 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺嘉藏君。
○渡辺(嘉)委員 渡辺通産大臣並びに平泉経済企画庁長官の所信表明に対します質問を行いたいと思います。 それぞれの所信を拝聴いたしまして、その高邁であるいはまた時には部分的に時宜に適した方針を聞かせていただき、敬意を表する次第です。しかし、私どもの立場から考えましてまだまだ不十分と思い不満足な点もありまする点を含めまして、以下諸点について質問いたしたいと存ずる次第であります。 今日焦眉の急になっております、あるいはまた所信表明の中でも大きく取り上げていらっしゃる国際通貨の急激な変動の問題についてまず承りたいと思うわけですが、今回の急速な円高はついに百八十円台を割り込みました。G5以来アメリカは四十日間にわたりまして三十二億ドル介入したと公表いたしまして、これの実績を提言いたしておるわけです。日銀は二十億程度と推測されていると言われておるのでありまするが、昨年九月二十四日の出来高が、従来までの一日当たり二十億ドル程度が一足飛びに四十七億ドルになっていることから見ても、これは日本政府、日銀も当然これに介入したことは明らかであると思うのでありまするが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○金子説明員 先生御指摘のアメリカの介入でございますが、確かにニューヨーク連銀の発表で十月末までの四半期間に三十二億ドル弱の介入が行われたというふうなことでございます。日本はどうかということでございますが、介入の数字は原則として、幾らやったとかいつやったとかというのは言わないことになっておりますが、我が国もおおむね似たような介入を実施したところでございます。 今先生の御質問は、九月の二十何日かのG5の後の介入のことだと思いますが、確かに出来高はそのときの銀行間の売買でございまして、お客さんがどれだけのドルの売買をしてくるか、それによって出来高というのは相当変わりますし、それから銀行がそのときどきのカバーをとるのにどういうふうな対応をするかということで随分その出来高が変わってくるわけでございますが、確かに大きな変動が起こりましたときに当局の介入もあって、今先生御指摘のように出来高が相当膨らんだということは事実でございます。
○渡辺(嘉)委員 そういうふうにして、G5そのものは、いわゆる現在の為替レートを基本的経済条件を反映するように是正しようではないかということで介入が行われたということは、政府そのものがそれぞれ主導になってこの円高を進めてきた、こういうことをまず前提に置いて明らかにしたいわけです。かつて百八十円を割り込んだこともあるわけですね。五十三年の十月二十六日から五日間、平均百七十八円五十銭と百八十円を割り込みました。しかし今日はまたそれに近い状態で、昨日が百七十九円八十五銭、一昨日が百七十八円八十銭と割り込んでおることは御案内のとおりですが、問題は、五十三年の当時は五日間で反転をいたしまして、十日足らずで百九十五円に戻しておるわけでございます。しからば、今回これはどのように動くであろうかということは大変難しい問題であることはもう答弁を聞くまでもないことであります。 ただ問題は、五十三年の当時はアメリカは財政赤字が余り大したことがなかったんです。ところが、レーガノミックス以来赤字が急速に増大をいたしまして、昨年で二千二十三億ドル、一昨年で二千百二十三億ドル、日本円に換算しまして、二百四十円の当時でいきますると五十兆からの財政赤字が連続して続いておるという今日の状況です。経常収支も五十三年当時は一応正常な姿であったわけですが、今日では御案内のように一千億ドルを超える経常赤字であることも御案内のとおりです。レートが血圧の数値のごとく内部疾患のディジタル数字だと言われておる以上、アメリカの内部疾患は私どもは背景条件として見逃すことはできない。 とすると、今回は前回のごとく急速にドルが回復するということは非常に予想しにくいのではないか、こういうふうに思うわけですが、この円高はどの程度の期間続くと思われるのか、経済企画庁長官の方からお答えをいただきたいと思います。
○平泉国務大臣 だんだん今お話がございましたけれども、対米ドル・円相場というのは、九月、十月には大幅に上昇いたしまして二百二円前後で大体横ばいでございましたが、一月下旬になりましてさらに上伸しまして百九十円台、二月中旬にはさらに上昇しまして、二月十九日には百八十円を上回る水準、きょう二月二十一日の寄りつきは百八十一円四十五銭、こういうことになっております。円レートについては、為替市場を取り巻く諸要因が不確定でございまして、特定の水準を取り出してその影響を調査するということは行っておりませんが、一般的に円高が我が国経済に及ぼす影響についてはプラスとマイナスの両面がある、こう認識いたしておるわけでございます。
○渡辺(嘉)委員 今の答弁はちょっとすれ違っておるように思うのです。私が聞いているのは、この円高がどの程度の期間続くと予想して経済企画庁は日本の経済のかじ取りをされるのか、そういうことを聞きたいのです。 それと同時にいま一つは、経済企画庁は、私は常に尊敬しておるわけですが、短期、長期を含めまして日本経済はかくあるべきだという一つの経済指標を出していらっしゃるわけですが、こういうような意味でもう一遍経済企画庁長官に聞きたいのですが、今、日本経済として好ましい実勢レートはどの程度だとお考えですか、これを明らかにしていただきたい。
○平泉国務大臣 ちょっと失礼いたしました。 どのような為替レートの水準が適切か、こういう御質問だと思いますが、そのときどきの国内経済の影響、対外不均衡調整効果など種々の観点からの見方がございまして、一概にどの程度の水準が適切かということはちょっと今申し上げられないという段階でございます。
○渡辺(嘉)委員 それはおかしいと思うのです。G5の申し合わせ事項は、それぞれの基本的経済条件を反映していないから、それを反映するようにそれぞれが密接に協力して実行しようじゃないか、こういうことが基本で行われたのです。そして政府は介入したのです。とすれば、その介入の結果によって、後は市場原理も動きますから一概に言えませんけれども、しかしながら、いつまでもこれを放任しておいて市場原理のもみ合いに任しておくということは経済企画庁として無責任ではないか、むしろ日本経済の好ましい経済水準はこれなんだ、レート水準はこれなんだということを明らかにすべきだと思うのです。 なぜかというと、これはまた後ほども聞くつもりでしたけれども、ベーカー財務長官あるいは駐日アメリカ大使それからアメリカの政府筋それぞれの談話を聞いておりますると、彼らは一様に百五十円から百七十円が妥当であると言い、あるいはまた昨日も百七十円から百七十五円あたりが妥当だということを言っておるのです。ベーカー長官もそれを容認するような発言をしておるわけです。あるいはまた、西ドイツのマルクは昨年の二月のピーク時に比べると三二%上がっておる、日本はまだ二九だ、もっと上がるべきなんだ、こういう談話も出ておるのです。それでいきますと百七十一円になってしまうのですね。 こういう状況の中で経済企画庁長官として、どうなるかわかりません、いろいろな要素がありますからというようなことでは、日本経済のかじ取り役としてちょっと適切な答弁ではないと私は思うのですね。この際、日本経済の好ましい水準はこれなんだと、アメリカはどんどん出しておるのですから日本も出すべきだ、こう思うのですが、どうですか。
○平泉国務大臣 段々おっしゃるとおりいろいろ問題がそこにあるわけでございます。しかし、為替レートは幾らが適当であるかということはなかなか難しい問題であることも御了解いただけると思うわけでございます。アメリカ政府部内の意見もさまざまございまして。大変割れておるようでございます。通貨の対外価値というものにつきましては、その通貨の対外価値が安定していくということが非常に大事である、これが根本であろうと私は思います。その意味におきましては、私どもは、円の対外レートにつきましては変動が余り激し過ぎることは非常によろしくない。 いずれにせよ、段々今おっしゃるように、G5以後ファンダメンタルズに即した円の対外価値が、円、ドルの間で必ずしも十分でないという認識があったことは事実でございます。じゃそれがどの程度であるかといいましても、これはやはり安定する相場でなければならぬ。その相場がどうなっていくかということにつきましてはやはり市場に聞かなければならない面もあるわけでございまして、政府側からこの際これが妥当なレートであると申し上げても、かえってこれは混乱を招くのではあるまいか、かように私は考えます。 もちろん、経済企画庁としてその辺の要素は十分含みながら対策を考え、同時に現在の為替レートが我が国産業に及ぼしている影響についても十分な配慮は常にしておくつもりでございますし、このたび私どもが策定いたしました経済指標が達成されるという点につきましては変化のない政策をとっていく所存でございます。
○渡辺(嘉)委員 現在明らかにすることは時間的なこともあって不可能かもしれませんが、これによって今非常に苦しんでおる、一つ間違うと倒産、廃業、自殺が出かねない苦しみを味わっておるという中だけに、ひとつ十分腹に置いて、これの安定と適正水準のために御努力いただきたいと思います。じゃ、時間ですからどうぞ。 次に、大臣の所信表明に対する質問ですから大臣等おられませんので休憩するというわけにいきませんので、皆さん方に御迷惑かけてはいけませんから、そのほかの質問に入っていきます。 中小企業庁長官に聞きたいのですけれども、輸出産地中小企業の円高の影響について調査をしていらっしゃるわけですが、二百円については大変な状態が起きる、これがまた百九十円のレートになった場合にはそれよりもっと多くの企業が倒産、廃業あるいは赤字に転落する、こういうことを調査結果で明らかにしていらっしゃるわけです。当時は二百円、百九十円までしか調査してないわけですが、それ以後百八十円が定着するのではないかと言われておる今日、またこれが百七十円になったらどうなるのか、これをどういうふうに調査しておられて、どういうふうに予測しておられるか。あわせてこれは通産の関係ですが、中小企業だけでなくて全産業的に、百八十円になった場合どのような経済影響を受けるか、企業経営に悪影響を与えるか、まずこの点について御答弁いただきたいのです。
○木下(博)政府委員 昨年の秋に円高が進行し始めまして以来、中小企業庁といたしましては三回にわたって調査をいたしておりまして、最初十月に調査をいたしましたときから、私どもは円のレートが百八十円などというところになるとは予想もしなかったものですから、二百円、百九十円程度のところまでの調査をやっておったわけでございます。ただ、前回の三回目の調査、一月中旬ごろに行ったわけでございますけれども、そのときもまだこういう事態を予想しておりませんでしたので、その点不明といえば不明であったわけでございますが、ただいままた追加の四度目の調査を開始いたしておりまして、現在の為替レートの事態を踏まえてどのような影響が出るかという点をできるだけ早く調査したいと思っております。私どもとしては三月の上旬ぐらいにその結果を得たいというふうに考えておる次第でございます。
○渡辺(嘉)委員 当時百九十円でも、五十産地のうちで三十八の産地が赤字に転落するんだ、そしてそのうちの三十数産地については倒産、廃業が出るんだということが百九十円のときに調査結果で出たのですね。とすれば、今度百八十円ですから、現場においては大変なんですよ。そういうことと、いま一つは、二月、三月とずっと春の成約の時期に来たのですね。もう成約が全部ストップしてしまったのです。上半期の仕事がないのですよ。こういう非常に深刻な段階だけに早急に調査して、そして今申し上げたその対応をすぐやらないと、もうつぶれてしまってから幾ら注射したってだめなんですから。私は、そういう意味で当面、先日行われましたあの緊急融資につきましても当初は六・八でやられたものを五・五に引き下げられましたけれども、それも二百円から二百五円でもみ合っておるときに起案されたと思うのですね。それが今百八十円のところに来たのですね。成約がストップしておる、こういう中小企業の人々には先の明かりが全然見えないのですよ。全く不安の中で口々を送っておる、こういうような実情なんですね。そういうところへ少しでも明かりを見せてやる。これがためにはもう五・五などということを言っておったのでは無理じゃないか。これは法律で決めたわけじゃありませんから、これをおたくの方の行政サイドでできるのですから、五・五をこの際もっと引き下げて、そして私どもこの前の委員会でも主張したわけですが、もう三%ぐらいにしてまずこれで息をつなげ、こういうふうにさせてやらぬと、つぶれてしまってからではもうどうしようもないのじゃないか、こう思うのですが、どうでしょう。緊急避難的に対応を講じられたらどうですか。
○木下(博)政府委員 円高によって影響を受けております中小企業者の方々に対する対策として先般お出ししました法律につきまして、先週異例の深夜審議で早期通過をやっていただいたことを私どもとしては非常にありがたく思っておるわけでございます。 その際の御質問及び附帯決議におきましても、対策は十分にやるようにという御意見あるいは御決議をいただいたわけでございますので、それに沿いまして私どもとしては十分の対策をやっていきたいというふうに考えておりますが、五・五%の低利融資につきましては、資金運用部資金を使います政府関係金融機関からの融資といたしましては異例に低い水準でございまして、全体の金利体系から考えまして現在のところ五・五%がやり得る最低の限度だというふうに私どもは考えております。そのようなことでございますので、現在の制度を十分に活用して、困っておられる中小企業の方々に対しましては最大限のお手伝いをしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○渡辺(嘉)委員 先日の二月十二日、深夜に通過したときにも、附帯決議で、状況の推移を見きわめてそのときには見直しをするのだ、こういうことは全会一致で附帯決議を決めたわけですね。そういうような意味から見て、もう変わってきたのですよ。五・五といったって、公定歩合もどんどん下がって貸出金利も下がっておるのですから、五・五はもう決して低利じゃないのですよ、今の市中金利は。そういうようなところから見て、この際これは十分配慮して考えていただきたい、このことを強くお願いをしておきます。 と同時に、今度は事業転換についてですが、事業転換は当然長い目で見なければならぬことは言うまでもないわけですね。それがために設備投下いたします部分は五・五で対応するというのは、これはもう無理だと思うのですね。組合がやるやつは別ですよ、あれは高度化資金で対応しますから。だから、特定中小企業者並びに個別の中小企業者の行う事業転換についてはせめて二分七厘ぐらいにしてやらないと転換そのものも考えない、もう倒産、廃業の方へいってしまう。そうすると、失業者あるいはまた雇用の不安、非常に心配なパニック状態が起きる危険を考えますので、そこでこの点について、設備については二・七にしたらどうかということ。 いま一つあわせて、あの臨時措置法の中には、経済の著しい変動にも対応できるということが条件に入っておったわけです。その意味から、私は先日も申し上げていたわけですが、岐阜県の各務原市における川重車体が民族の大移動で栃木県に全部移る、それがために、そこの労働者を含めまして下請企業が三十数社、そして三千人の従業員がいる中小企業の協同組合が昭和二十六年からできまして、川重車体のその下請の仕事、技術の改良あるいはまた福利厚生その他を含めて今日まで堅実な中小企業運動をやってきたわけですね。それが今申し上げたように川重車体が引っ越しますと、その中の十社以上が半分以上そこの仕事をやっておったわけですね。半分からの仕事がなくなれば、これはもう一つ間違うと、これまた倒産、廃業という危険があるわけです。こういうような意味から見まして、これら中小下請並びにその従業員の立場としては、まさに死活の問題になるわけです。 それがために、その下請企業の協同組合として川崎岐阜協同組合は活路開拓対策委員会を設けまして、新規受注の開拓だとか新分野への進出だとか異業種との交流だとか事業の転換だとかに懸命の努力をしていらっしゃるわけですが、これも特定中小企業者の範疇に入り、事業転換の対象になる同法の適用の商工組合等の対象にしていいのではないか、こう思うのですが、どうなんです。
○木下(博)政府委員 先週成立いたしました特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の施行につきましては、最大限の努力をいたしまして二十五日に施行するということで、きょうの閣議において施行令が決められております。その施行令によりまして、今御指摘のございました法律第二条に基づく業種指定の要件等となる「経済的事情の著しい変化によって生ずる事態」ということで、四つの項目にわたって事態を一応列記しておるわけでございますが、御指摘の川重車体の移転に伴う関連下請中小企業者の方々がこの要件に該当する業種になるかどうかという点については、今後、その法律及び施行令に照らし合わせまして検討させていただきたいと思います。 これは業種の指定がなくても、下請業者の場合には、個別の場合には個別の業種として指定する方法もございますが、ただ、それについても一応要件がございますので、それに従って十分検討させていただきたいと思います。
○渡辺(嘉)委員 今私が申し上げたような中身から見て、あの法の各条項を検討いたしますると、当然対象になる、こう思うわけですから、これはひとつ前向きに検討していただけるかどうかもう一遍承っておきたいのです。なぜかというと、これは地域指定その他も含めまして関係してくるから、これが一つのケースになりますので、この際きちっと聞いておきたいのです。私どもはそういうつもりであの法案は審議してみんな了解しておると思うのです。
○木下(博)政府委員 法案の御審議のときにいただきました御質疑あるいは御意見を十分に参考にしながら私どもは政令をつくらしていただいておりますので、その場合に下請企業についての御質問もございましたし、下請企業もこの事業転換対策の対象にしようということで、私ども考えておるわけでございます。したがいまして、その下請企業についての要件が満たされるかどうかは、実はきょう政令が決まったばかりでございますので、十分検討させていただきたいと思っているわけでございます。
○渡辺(嘉)委員 ぜひひとつその点前向きに対応していただきたい。 それから、まだ大臣来られませんので、次の点に移りますが、この円高によりまして九月の中旬から二百四十二円が百八十円、六十二円の値上がりによって、消費の立場から見ますると値下がりと同じ結果が出るわけですが、そういうような意味で三十数%の値引きと同じ結果が今出ておる。値下がりだという状況が出ておるわけですね。そこで、それぞれの産地においては、これを三分の一方式で支えておるところが多いのです。バイヤーが三分の一、商社が三分の一、そしてメーカーが三分の一持ち合おうじゃないか。そして前は二〇%のときだったのですからそれぞれ六ないし七%ずつ持ち合えばこたえられるという体制だったのですが、今のように三十何%にいきますと大変なんですね。そんなような協定は破られた。それがためにメーカーの中には、値引き、いわゆる値下がり分ですね、二〇%から三〇%の値下がりをそのままそれぞれが今度は下請にかぶせてきたのですね。 ですから、仮に一つの部品でいうなら、これをつくる場合でも、このボールペンのここの部分をつくっておる下請あるいはまた柄をつくっておる下請、全部二割ずつかぶせる、全部三割ずつ引く、嫌ならおけ、仕事がないんだ、こういうふうなことをやっておるわけです。これではメーカーを助けようと思って私どもがやっておることを、今度は下請にかぶせてしまって、メーカーはまあまあ過ごせた、下請だけが苦しんだ、こういう現象が今各地に出始めたのですね。ですから、父ちゃん母ちゃんの家内工業的なところはもう十時間労働から十四時間労働なんというようなべらぼうな現象が出始めたのですね。 こういうようなことから見て、これは公正取引委員会に聞きたいわけですが、こういう下請にかぶせてやるというようなことはあってはならぬと思うのですね。こういう下請いじめはあってはならぬ、こう思うわけですが、この点について公取はどのように実態を調べ、あるいはまた下請をこういうふうなことで泣かせないような手配はどういうふうに考えていらっしゃるか、この点を承りたい。
○利部政府委員 ただいま御質問の親事業者の行為、すなわち円高を理由として、既に決められている下請代金を減額したり、発注単価を一律に切り下げるというような行為が予想されますが、円高に対応するため必要であるという理由であっても、既に決められている下請代金を減額することや、発注単価を同種の発注単価に比べて著しく低い額に定めるというようなことは下請法違反行為でございます。こういう違反行為を行うことのないよう、まず親事業者の方に強く要請したところでございます。 さらに、公正取引委員会といたしましては、この円高に伴う下請取引の実情がどういうふうになっているかを把握することがまず必要だと考えまして、ことしの一月に、製造業者のうち四千四百社余りに対して円高に伴う下請取引の実態を調査するための特別調査を行うことにいたしまして、既に調査表を発送し、現在回収中でございます。さらに、これは親事業者に対する調査でありますので、下請事業者からも実態を聞かなければいけないと考えまして、近々これらの親事業者と取引している下請事業者、総計で約三万ぐらいを考えておりますが、三万社ぐらいを対象に、円高に関連して下請代金の不当な引き下げや減額などの行為を受けていることがないかどうか調査することにしております。 それから、もちろん、個別に円高を口実にしていわれなき不利益を受けているという実際の例の申し出がありましたら、速やかに調査して措置をするつもりでございます。
○渡辺(嘉)委員 大臣に対する質問を予定しておるわけですが、まだおいでになりませんが、続けていきます。 中小企業事業団の融資を受けておりまする撚糸工連の不正事件が明るみに出たわけですが、これはもう予算委員会その他でも既に論議されておりまするので、中身は十分御案内だと思うのです。どこに問題があったと思われますか、この際川らかにしてください。
○木下(博)政府委員 中小企業事業団が行っております高度化事業の中で、設備廃棄事業というのは昭和四十年代の終わりから各種の業種について行ってきておるわけでございます。そのような業種は、需要が変動するあるいは輸入がふえるというようなことで、今後全体としての需要の増加が認められないというような業種でございますので、そのような業種につきまして設備が過剰な場合には設備廃棄を行う必要があるだろうということで、主として繊維関係中心にそういう設備廃棄事業を行ってきたわけでございます。それによって需給の安定を図るということを目的としてきておったわけでございますが、そのような事業を行う中で、今御指摘のありました撚糸関係の業界におきまして一部不正が行われたということはまことに私どもは残念に思っておりますが、事業自身はそのような全体の大きな需給変動に対応するための措置として必要なものであったし、今後も必要なものについては続けていく必要があるだろうというふうに考えておるわけでございます。
○渡辺(嘉)委員 私が聞いておるのは、ああいう不正事件が起きた、また起きるべき要素、これはどういうところにあったかということを、この際、中小企業庁あるいはまた通産大臣にも聞きたかったのです。どこに問題があったのだ。これを明らかにしませんと、後々の防止対策はできないと思うのですね。だから、まずどこに抜け穴があったからああいうことになったのだ。私も実際はいろいろな各地の実態を知っておるのです。ですから、中小企業庁がそういうことを知っておられるのかどうか、これを一遍明らかにしてください。
○木下(博)政府委員 設備廃棄事業を行います対象の企業というのは非常に数がたくさんありますし、各地に分かれておるわけでございます。したがいまして、設備廃棄事業を行いますのを、中小企業事業団自身ですべての事業を行うわけにはいかないということで、商工中金を通じ、それから各地の組合を通じてその事業を行ってきておるわけでございます。したがいまして、設備廃棄を行いますときに、例えば機械を破砕するというようなことについては通産局あるいは都道府県の職員が立ち会うというような形で、確実に破砕が行われるというようなことをやってきておるわけでございます。 ただ、設備廃棄を行いますためには、設備自身が全体としてふえないようにするために、登録した機械のみしか使えないというような制度を行っておりますので、その登録した設備を破砕するという過程におきまして、一部未登録のものを登録したというような形で、あるいは組合員でないのに組合員だということを詐欺的な行為によって申請することによってかかる事態が起こったわけでございます。そういう意味で、事態が起こったことにつきましては私どもの監督が不十分であったということで、まことに私ども残念に思っておりますし、おわびを申し上げたいと思うわけでございますが、数が多いものを処理するために、一部そのような不正を行う者が出たということであろうと考えております。
○渡辺(嘉)委員 機械の破砕のときに立ち会いをする、あるいはまた登録した機械を廃棄する、あるいはまた未登録のものがそれの対象にされたというようなことがあると説明されたわけですが、私はそんななまぬるいことではなしに——おたくらももう知ってみえると思うのですね。こうこうこういうようなことがあったのだ、そしてこういうことの土壌がまだあるんだということを的確につかんでやっていただかないと、第二、第三が出るのです。またこれは可能性があるのです。私も、この設備廃棄そのものが高度化事業の一端として行われておることにやむを得ないという観点から、決して前向きな仕事じゃないのですからいいと思いませんけれども、やむを得ない中小企業救済策として、私どももこれを容認し進めておることは事実なのです。しかしながら、この設備廃棄が後追いの事業であるという観点、そして四十七年以来今日まで、三十業種に対して二千四百十一億出ておるんですね。大変な金が出ておるのです。これは回り回っておりますけれども、国民の税金であることは明らかなのです。 そこで、私は前から申し上げておるわけですが、この設備廃棄事業に融資したそれぞれの、個人じゃありません、高度化事業ですから組合に対して行うわけです。少なくとも、この設備廃棄という国家的な墓場づくりのような仕事ですから、こういうことに対して、どの組合にどういうふうに融資したか、これをこの際明らかにしておくことが事件を防止するためにも大事なことである、こういうような意味で何回も資料要求しておるわけですが、この資料が出てこないわけです。この際、発足以来、こういう組合にこういうふうな事業のためにこういうふうな融資をしたのだということは、破砕に関し、廃棄に関しては明らかにされるべきである。このことが今後の事故防止につながる、事件防止にもつながる、私はこういうふうに考えるわけですが、どうです。
○木下(博)政府委員 設備廃棄の事業につきましては、今御質問にございましたように、総計としては二千四百十一億円の事業を多数の業種について行っておるわけでございますが、個々の組合で幾らやったかという内容につきましては、御容赦をいただきたいというふうに考えておるわけでございます。
○渡辺(嘉)委員 そういう隠し立てをするということがよくない。こういうものは明らかに公表して、そうして国民がお互いに牽制し合う、このことも必要だと思うんですよ。 同時に、この実務は事業団がやっておるから国の方は直接の仕事じゃない、こういうふうになっておるわけですが、この実務の執行については、通産省の生活産業局が直接タッチをして、指導会議を持ちまして、そうしてそれぞれの事業を承認して実行させる。廃棄する生きにも、通産局並びに都道府県も立ち会いをして廃棄をしておるわけです。だから、本当ならああいう不正が起きるはずはないのです。ところが起きるのです。しからば、この立ち会いをしたときの局なり国の関係者は、どういう方がどのように立ち会いをしていましたか。
○浜岡政府委員 御指摘のとおり、実務処理要領では、設備の破砕を行います際には通産局または都道府県の職員の立ち会いを要請するようにということになっておりまして、原則的に立ち会いの要請はすべて行われると理解をいたしております。現在問題になっております案件につきまして、立ち会いは行われているというぐあいに承知いたしておるわけでございますが、立ち会い者が実務の内容を十分承知しておったかどうか、その辺につきましては、現在点検をいたしておるところでございます。 いずれにいたしましても、要領の建前はともかくといたしまして、結果的にこういう事態が起きておるわけでございますので、今の点を含めまして全面的な総点検を行っておるところでございまして、その結果を見まして、正すべきところは正しまして、再びこういうことが起きないように厳正に対応いたしてまいりたいと思っておりますので、いま少しこの点検結果をお待ちいただければというぐあいに思っております。 いずれにいたしましても、監督責任は痛感をいたしておる次第でございます。
○渡辺(嘉)委員 では、この点につきましてはまた後日質問する機会を得たいと思っておりますので、早急に今の立ち会い者それからその立ち会いしたときの内容を点検されまして、ひとつ私の方へお示しをいただきたい、こう思います。 それから続いて、大臣もお見えになりましたので、あわせてちょっと聞いておきますが、この件につきましては政治献金がなされた、こういうことですね。 ところが、これにつきましては、予算委員会でも質疑の結果、国の直接の助成でない、事業団からのものだから違反でないのだ、こういう答弁があったわけですが、私は何回も申し上げるように、これは国の直轄的な仕事に等しいのです。もうそのものだと私ども思っておるのです。そして、特に設備廃棄という特殊な仕事なんです。近代化、高度化、前向きに日本経済をこうしようじゃないかということでなくて、後ろ向きに壊していく。今までこれをこのまま壊せば、看貫で五万円か十万円で終わりなんですよ。ところが、これが買い上げ価格になってくると簿価の三倍以内、あるいはまた時価の二分の一で買い上げてもらえるといえば、一千万円のものなら五百万円で買い上げてもらう。ここで大変なことが起きるのです。だから、それの救済の効果も大きいが、一つ間違うとこれは非常に問題が起きる。そこに政治献金が介入したらどういうことになるか。これは、税金を払っておる国民としてはとてもじゃないが容認できないことが起きるのです。 こういうような意味から見まして、少なくともこの指導会議等におきましても、まず政治献金の行われるような余地のないように十分対応しなければいけない。と同時に、これは事業団が行っておるから、国の直接的な助成等でないから違反でない、こういう逃げ口上でなくて、国そのものなんだから、これはあってはならないんだ、こういう姿勢で取り組み、そして指導していただく必要があるんじゃないか。と同時に、政治献金があったとするなら、これもこの際、点検して明らかにしていただいて報告をしていただきたい、こう思うのですが、どうです。
○浜岡政府委員 初めに御確認をいただきました破砕の際の立ち会い状況の点検結果につきましては、判明をいたし次第、先生の方へ御報告をさせていただきます。 それから、政治献金の問題でございますが、御指摘のようにいろいろと報道が行われておるわけでございます。実は私ども自身も、国会の委員会等での御指摘もございまして、当事者が逮捕される以前にヒアリング等を行ってみたわけでございますが、当事者からは明快な説明を受けることができませんでした。説明を回避しているというような状況でございます。また、捜査当局からは、現在のところ特別の連絡を受けておりませんので、事実関係は確認をするに至っておらないわけでございます。 しかし、政治資金規正法の条文の解釈は別といたしまして、中小企業団体法自身にも「特定の政党のために利用してはならない。」という規定があるわけでございますので、特定の政党のために利用されるという形の結果になるような献金が行われるとすれば、この規定に照らして好ましくないわけでございますので、私どもといたしましても、今後ともこの点につきましては十分注意を払うよう関係団体を指導してまいりたいと思っております。
○渡辺(嘉)委員 大臣、どうです。
○渡辺国務大臣 先ほどのお話を聞いておりまして、私もこれは制度上問題があるんじゃないかという心配を持っているのですよ。 問題は、確かに機械そのものを買い上げる、そして壊すという場合に、お役所の人が立ち会って全部やるのが恐らく本当でしょう、実際からいって。ところが何万台とかということになりますとなかなか全部は、人手の問題もある、立ち会い切れない。そこでそういうような公的団体の役員に、信頼をいたしまして、管理とか監督をやってもらう。ところが、その信頼した人が一緒になって変なことをやられたのでは最初から元も子もない話です。そこに一番の問題があったのではないか。どういうやり方がいいのか、国会中で局長以下みんな張りつけになっちゃってなかなか身動きがつかない状態なんですが、手がすいたら一遍総点検をしてみたらどうだということを私言っておるのです。早く国会を終わらしてもらって総点検をやって、二度と、実際の話、構造的にまたこんなことが起きてくるということでは困りますから。だからそういうことにならないように、だめならば制度それ自体がもうやめてもいいのかどうかを含めまして検討する必要があるというふうに私は思っているのです。 それから政治献金云々の問題は、特定な政党、これは政党にやったのか個人に出したのか私知りません。これも調査結果を見ないと何とも申し上げられないからなにですが、特定の政党の問題についてはただいま局長が答弁をしたとおりでありまして、実は大体選挙のたびに通達を出して、中小企業団体中央会等に対しまして政治的中立の保持についてこうやってくださいよということはやっているんです。それはやっておりますから、偏ったことはやらないように指導は今後もしていきたいと思っております。
○渡辺(嘉)委員 まだ歯切れのいい答弁とは承れないわけですが、私は一概に設備廃棄をやめよという暴論ではないのです。しかしながら、非常にいろいろな問題のあることだけに慎重を期していただきたいということと、前向きに仕事に十分力を注いでいただきたいということ。 それから今の政治献金の問題は、今おっしゃったように特定の政党に利しておるような嫌いがあるのです。それだけに私は特に言うのです。だからそういうような意味で、事業団を経てきたから政治資金規正法にはひっかからぬということではなしに、あらゆる法律から見てこれは明らかに違反だと考えておりますので、この点についてはまだ後ほどあわせて御答弁をいただきたいと思っております。そしてそういうことの起きないようなきちっとした措置を講じてもらいたい、こう考えるわけです。この点について御答弁をいただきたい。 それとともに、大臣おいでになりましたので、この機会に大臣にもう一言承っておきたいわけです。 大臣も渡辺とおっしゃるし私も渡辺ですが、貫禄その他月とスッポンくらい違いまして、日ごろ私も尊敬しておるわけです。今度の円高対策につきましても、過日十八日に公定歩合の再引き下げを大臣は主張されました。大臣のこの判断と勇気には私は本当に敬意を表しておるわけです。なぜかというと、大蔵がやっておられる〇・五ぐらいでちょろっとやったって今の支えにはとてもじゃないがならない。こういうような意味から、五十三年当時も円高に対しては公定歩合を三・五まで下げたのですよ。そして対応しているのですね。今回四・五になったわけです。これではとても対応できない、私もそう思っておるわけです。 その意味において大臣は、三・五の時期もあったのだから三・五でもいいのじゃないかというような御発言をしていらっしゃるわけですが、大臣、この際再引き下げをするならば、どの程度下げてどの程度にすべきか。今西ドイツは四%ですね。しかし先ほど申し上げたように、五十三年当時は三・五であったのです、したのですよ。ひとつ中小企業の立場も踏まえ、日本経済を支えていらっしゃる大臣として、この点についての御意見を承りたいと思います。
○渡辺国務大臣 結論から言うと、何%がいいということをここで言うわけにいきませんが、ただ内需拡大策をやれということは各政党もみんな言っておるし、自民党の中にもそういう意見があって、政府としてはできるだけのことをやりました。問題は財源問題なんですよ。結局税金は取るな、借金はするな、財源はないわけです。したがって、その中でも投資減税をやったり住宅減税をやったり、えらい工夫をしていろいろやっておる。しかし、これ以上今すぐ望むとしても無理だと私は思う。 そうすると、結局は、あとはできそうなのは金融しかないんじゃないか。金融で、金利の問題については環境は整っているじゃないか。円高も、こんなに急激にやられたらたまったものじゃない、正直な話が。結果がそうなっちゃっている。円高がこれ以上進んでは大変だ。結局急激な変動というのは困るわけですから、アメリカだって急激なドルの下落というのは、どうも新聞報道によれば、連銀の議長なんかも心配をしておるというようなこともこれあり、そこいらのところは日銀と両方でよく連絡をとってやってもらいたいという話はしております。 そこで、幾らがいいかということについては、私は立場が違いますから申し上げられませんが、かつては三・五の時代もあったじゃないですかということを私は言っているのです。 それから政治資金の献金問題につきましては、組合それ自体が運動するということはいろいろな問題があって、ほかにも団体で問題を起こしたところはいっぱいあります、通産省所管以外のところで。しかし組合員が、各個人が運動することを抑えるわけにもいかない、献金を抑えるわけにもいかないですね。政治連盟とかなんとかつくってやっているのが普通ですよ。我々のところでも中小企業団体とか金融団体とかありますが、みんな組合は組合、金庫は金庫、しかし別に政治連盟を各個人が寄り合ってつくってやっている。農協なんかにもそういうのはいっぱいありますね。そういうことは悪いというわけにはいかない。しかし、組合自身が政治献金をすることの是非ということについて、これはやはり適切な指導をしていかなければならぬ、そう思っております。
○渡辺(嘉)委員 時間が余りありませんのでなんですけれども、今の公定歩合の再引き下げについて、端的に大臣は今引き下げを必要と思われますか、それならどのくらいを妥当だと思われますか、これを簡単にひとつ御答弁をいただきたい。
○渡辺国務大臣 それはこの公の場で私が幾ら幾らがいいと言うと、同じ政府の中で違ったことを言ったらまた別な問題が起きちゃうわけです。ですから、大体私の話していることを聞けば気持ちはよくわかっているはずですね。ひとつそこで御了解をいただきたいと思います。
○渡辺(嘉)委員 本当はずばりと渡辺通産大臣らしくやっていただくことが将来のために非常にいいのではないか、私はこう思ったけれども、それ以上は申し上げかねます。ひとつ勇断を振るって適当な場所ではやっていただきたい、こう思います。 それからあわせて、所信表明の中には豊田商事のことに触れまして、「豊田商事に代表されるいわゆる「現物まがい商法」の被害の防止策については、法制度の整備も含め現在鋭意検討中であり、適切な対応をしてまいります。」こういうように所信表明でも明らかにしていらっしゃるわけです。その件につきまして、しかるに過日、豊田商事の残党なりあるいは元社員の方々が飛鳥事件を起こした。この飛鳥事件は御案内のとおりですから多くを触れませんが、いわゆる資本取引の許可を受けずに、外国為替でもうけよう、だから百万円ずつ払い込みなさい、こういうことで消費者を勧誘し、そしてそれを詐欺まがいで実際は清算もしておらない、こういうことなんですが、これによって起きる被害は莫大なものが起き出すと思うのですね。 また、飛鳥のほかにもこういうことをやっておる、まがいの商社が約三百社近くあると言われております。東京、大阪、福岡、名古屋、札幌等主要な地域には大体全部あるわけなんですが、今のように国際通貨が非常に乱高下しておるときだけに、こういうことに便乗した先物買いの商売、いわゆる金だとか砂糖だとかあるいはまた石油製品だとかいうものがこれからこういう投機の対象、あるいはまた詐欺商法の対象となる危険が多分にある、こう考えておるわけですが、これに対する対応、まず豊田のいわゆる現物まがいの商法に対して通産は今どのように対応策を講じておられるか。それから、この飛鳥の件については大蔵はどのように対応していらっしゃるか。 いま一つは、昨日も明らかになったわけですが、投資顧問会社日証信販の役員が、いわゆる三十数府県にわたりまして数百名から被害額は約数十億だと言われておるような、こういういわゆる投資に名をかりた詐欺商法がこれまた横行しておるわけですね。先ほど申し上げたように、これまたこういう円高のときなんです。そして、乱高下が激しいときだけに、これからこういうことが多く出てくる危険を私どもは予想しておるわけなんです。心配をしておるわけなんです。それだけに、これらの対応をびしっとやっておきませんと、今までのやり方を見ておりますと非常に手ぬるいですね。それで後追いばかりなんです、やっておられることが。これでは消費者はたまったものではない。中には、外為法で大蔵省の許可を受けておらぬのだからそんなことは当たり前のことなんだというような説明も来るのですが、そんなこと一般消費者は知らないのですよ。ですから、そういう件の周知徹底をして十分今から予防しておかないと特に危険ではないか、こう思うのですが、この点についての御答弁をいただきたい。
○福川政府委員 まず、豊田商事に絡みます現物まがい商法でございますが、これは昨年の六月から関係六省庁で積極的な協議を続けてまいりました。 私ども通産省といたしましては、一月十四日に産業構造審議会に対しまして被害の再発防止のあり方について諮問を行いまして、現在、特殊取引問題小委員会におきましてその方向を御審議をいただいておりまして、既に二回審議をいただいたわけでございます。その現実の問題点あるいは諸外国の事情等について鋭意御審議をいただいております。私どもとしても、できるだけ早く成案を得て、しかるべき措置を講じたいと考えて、今この小委員会の審議の督促方をお願いをし、私どもとしても適切な措置を講ずる考えでございます。
○井坂説明員 居住者が海外金融先物取引を行う場合には、先生御指摘のとおり、外為法上、証拠金の預託あるいは差金決済につきまして許可を要するということになっておりますけれども、お尋ねの飛鳥につきましてはこういった許可の申請がなされていないわけでございます。飛鳥の外為法違反の事案につきましては、残念ながら私どもには捜査権限がございませんので事実をつまびらかにはいたしておりませんが、既に司法当局の方が捜査に着手しておられますので、今後の捜査の進展を見守ってまいりたい、こういうふうに考えております。 なお、法制の整備という点につきましては、ただいま通産省の局長さんが御答弁していただきましたけれども、関係六省庁の会議の検討結果を踏まえて、現在産業構造審議会の小委員会で悪質商法の再発防止について検討が行われておるというふうに聞いております。 海外の金融先物取引につきましては、先ほども申し上げましたように外為法が機能をいたしておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、なお引き続き通産省あるいは経済企画庁と連携を密にして協力をしてまいりたいというふうに考えております。
○渡辺(嘉)委員 時間がありませんので突っ込みませんが、十分な対応をお願いをいたしておきます。 それから、いま一つ大臣に聞いておきたいわけですが、先ほどから話が出ておりまするように、今の円高対策の中から、あるいはまた景気浮揚、あるいはまた不況対策等から、内需拡大の柱として公共事業の前倒したとか拡大、時には建設国債というような声も出ておるわけですが、その中で、建設省の建設経済局長の招請で発足いたしております建設産業ビジョン研究会というのがあるのですが、これが二月一日の報告では、業界の競争、淘汰を求めまして、零細な業者を削減するのだ、こういうような中身の答申をいたしております。中小零細企業の振興の立場にある中小企業庁ですが、あるいはまた通産大臣なんですが、こういうようなべらぼうな、中小企業殺しのようなビジョンを平然と出しておる、こういうことに対してどのようにお考えであるか、この点承りたい。 いま一つは、時間もありませんのであわせて御質問いたしますが、現在私ども岐阜県におきましては、かねてから計画いたしておりまする岐阜中部未来博をいよいよ六十三年の七月八日から九月十八日までの七十三日間開催をするために具体的な準備に入りまして、この二月四日からその実行母体が発足いたしたわけであります。「人がいる 人が語る 人がつくる」こういうことをテーマにいたしまして、高度技術社会、情報化社会における未来像を探求しながら、できるならば昨年の筑波科学博の地域版ともいうべき未来博を想定しておられるわけです。 しかし、この岐阜県は御承知のように日本の中心地でもあります。御案内のように壬申の乱、あるいはまた関ヶ原の合戦、織田信長の天下統一の根拠地でもあったわけですね。そういうような意味で、ここで行われる未来博は将来の日本の未来をつくるものではなかろうか、私はこういうふうにも考えておるわけです。どうかひとつ通産、国においてもこの開催につきましてのノーハウに極力力を注いでいただき、実行面でも指導と協力、あるいはまた企業館の誘致等にもぜひ力をかしていただいて、これの成功に向けて努力することによって地域産業の発展、このことがひいては日本経済の発展にもつながる、こういうように重大な意義を持っておると考えまするので、国としてこれに対してぜひひとつ支援方をお願いしたいわけですが、両者あわせて大臣の所見を承りたい。
○渡辺国務大臣 先に、この六十三年の岐阜中部未来博につきましては、岐阜県の東京事務所からいろいろ開催準備の進捗状況等について御説明がございまして、通産省としてもいろいろ助言は実はしておるのであります。これは通産省は今までいろいろなノーハウは持っておりますから、岐阜県からも話を聞いておりますし、このノーハウを生かして博覧会が成功するように協力していきたい。いい答弁、これはさしていただきました。 それから、建設省の方がどういうことをおっしゃったのか私も詳しく勉強しておりませんが、これは我々とはちょっと考え方があるいは違うのかもわからぬ。詳しいことはよくわからぬものですから、長官にちょっと説明をさせます。
○木下(博)政府委員 建設省の建設産業ビジョン研究会には直接中小企業庁は参加さしていただいておりませんので、その議論がどういう経過で行われたかということは伺っておりません。 ただ、御指摘のように建設業者の数というのは非常に多うございまして、中小企業六百二十三万のうち一割近くが建設業者である。しかも、その建設業者の方々の数が非常にふえているというのが現状でございます。私も最近地方の人から聞いたわけでございますが、不況でありながら建設業者の数がふえているということを言われておりまして、それは割合建設業はスタートするのが簡単にスタートできる、設備をリースすれば今まで働いていた事業所から独立して新たな事業を始めることができるということで、不況であるからむしろ何か業者の数がふえているのだというようなことを聞いておるわけでございます。 それで、中小企業全般としてそういう零細な方々の数が非常に多くて、しかもそれは全体としてふえているというのが現状でございまして、そのふえているものを、あながちふえているからどうかということは言いにくいわけでございます。ただ、需要が大きく伸びない分野におきましてますます零細化が進むということは決して好ましくないわけでございまして、私どもは事業者の数をどうこうというよりも、そういう零細な方々もできるだけ集約化して共同して事業をやるということで、全体としてコストを下げながら生き延びていくということが必要ではないかと考えております。
○渡辺(嘉)委員 時間がありませんので終わりますが、それがために適格組合という制度があるわけですから、そういうものを生かしながら、中小企業庁としては中小企業の救済、擁護、育成の観点からひとつ指導助言等努力をいただきたい、こういうことをお願いいたしまして、以上質問を終わります。ありがとうございました。
○野田委員長 後藤茂君。
○後藤委員 大臣が予算委員会の方にとられているようでありますので、前半三十分ばかりは御出席いただけるということを聞いておりますので、最初に大臣に主としてお伺いをしてみたいと思います。 特に円高問題は、本委員会におきましても集中的に論議を深めていかなければならない政治課題がたくさんあるわけでありますけれども、先ほど渡辺委員が質問をし、またこの後同僚議員の奥野委員から質問される、そちらの方に譲りまして、主としてこの円高あるいは国際商品市況の中で大変苦悩しております非鉄金属関係に絞りまして、時間がございませんので、大臣のお考えをお聞きしたいと思うのです。 最初に大臣の所信表明演説、大変格調の高い所信表明演説を聞かせていただきました。その中に資源エネルギー政策の充実の項目がございまして、「第四に、最近の急激な環境変化に対処し、国内鉱業の経営安定を図るための対策を講ずるとともに、レアメタルについて備蓄を初めとする総合対策を着実に推進してまいります。」こういう二行にわたります指摘がございます。恐らく大臣は、大蔵大臣も経験されているわけでありますから、毎年の予算編成の中で、こうした国内鉱山あるいは製錬、非鉄金属関係に対する予算措置というものについても御苦労なさったと思います。したがって「国内鉱業の経営安定を図るための対策を講ずる」という一、二行の言葉の中に大臣の万感の思いを込めた表現があったんだと私は思うのです。この非鉄金属あるいは国内鉱山、製錬業が抱えている問題に対しまして、まず最初に大臣の基本的な認識をお聞きしておきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
○渡辺国務大臣 これは国内に石炭を初めいろいろあるわけですが、少量であっても非常に安定的に供給されるというようなメリットもございますし、国内で炭鉱をある程度温存しておくことは、日本はどうせ世界じゅうに行って買わなければならぬわけですから、それの採掘とかなんかの技術、それも温存をしていくという点でメリットがございます」しかしその反面、また非常に値段が高いとやはり経済性の問題というものがあって、その調和をどこでするかという問題がございます。税金で補給してやればというふうな考えもあるでしょうが、これは納税者の意見も聞いてみなければならぬ。したがって、おのずから限界があるであるけれども、限られた選択の中で所信表明に言ったようなことをできるだけやってまいりたい。 手続、方法論につきましては、専門家の方から説明をさしていただきます。
○後藤委員 いいです。 今大臣も御指摘になりましたように、これから海外の鉱山も開発していかなければならない、そのための国内における技術温存ということもあるわけです。さらにまた、我が国は資源が非常に少ないのですけれども、その中におきましてもいい鉱山あるいはすばらしい鉱脈を持った資源が全国各地にあるわけです。ただ厄介なことに、非鉄金属関係というのは国際商品でありまして、その乱高下によって常に苦境に陥ったり、あるいはまた価格が高騰することによって一息つく、あるいは高い収益を上げるという長い歴史を持っているわけです。それだけに、これまでもこの委員会におきましてもいろいろな対応策を講じてまいりました。あるいは予算的にも、減耗産業ですからこれは掘っていけばなくなっていくので、探鉱を進めていくという三段階探鉱等もしているわけです。 そのようにいろいろな角度から、緊急融資制度であるとかあるいは坑廃水の処理であるとか備蓄であるとか、こういう対策は講じてきてそれなりの一つの成果を上げてきていると思うのですが、今度の円高による苦境というものはこれまでに例を見ない深刻な事態になっているわけです。この深刻な事態を一体どう解決をしていくのか。緊急避難的な面もあましょうが、どう解決していくかということに対してどうも通産の対応が鈍い、実はそのように思えてならないわけです。 これはエネ庁の方からちょっとお聞きしておきたいのでありますけれども、昨年の九月段階におきましては二百四十円くらいであったものが今は百七十円に近くなる、大体百八十円。こういうような状況に入ってまいりますと、対応を考えているうちに大変な赤字をどんどんつくり上げていくというような状況になってきているのですね。にもかかわらず確たる対応策は講じておられません。通産省はこれに対する対応策を今どう考えているのか、冒頭お伺いいたしまして、個別に入ってみたいと思うのです。
○小川政府委員 先生御指摘のとおり、円高が急速に進んだことから、在来いろいろ制度を持っておったこの非鉄産業ではございますけれども、このままでは済まないという判断のもとに、まず私ども現在持っております緊急融資制度というものを直ちに発動いたしまして、六十年度の円高に伴う資金需要に対して対応したところでございます。この六十年度につきましては、六十年度下期に四十八億円という資金需要が非鉄産業から円高を背景に出てきたわけでございます。幸いこの緊急融資制度の基金にまだ余力がございましたもので、下期については何とかこの資金量を賄うことができたというのが現状で、緊急事態に対してはこのような緊急制度の発動ということでまず六十年度は対応したわけでございます。 ただ、御指摘のように、今後どうかということがございまして、私ども当然ながら六十一年度におきましても緊急融資制度の資金需要は極めて強いものがあるというふうに判断いたしましたので、夏の概算要求にしておりませんでした緊急融資制度の基金の一般会計からの支出を急遽要求いたしまして、三億四千六百万という金額を何とか獲得し、六十一年度融資の資金量確保に努めたわけでございます。まずはそのような異例な措置をとることによって備えておるつもりでございます。 ただ、その後の円高の進捗等事態は必ずしも予断を許さないということは私どもも認識しておりまして、今後ともどういう円の状況あるいは商品市況、国際市況の状況の展開になっていくかを十分見きわめながら対策の検討はしてまいりたいと考えております。
○後藤委員 前倒しの対策であるとか、これまでのいろいろな制度を十分に活用しておやりになられてきたことを私どもは評価はするわけでありますけれども、それ以上に大変な円高が急激に進んできておる。その程度では間に合わないのではないだろうかという気がいたしてなりません。ほかの事業と違いまして、なかなか転換をしていくということも難しゅうございます。あるいはまた、しばらく閉鎖をしてまた再開していくということもできない産業であります。それだけに、何としてもこれを生かしていかなければならぬということについて緊急の対策というものが求められているのではないだろうかと思うのです。 大臣、幾つかの計算があるわけですけれども、一円円高になりますと鉱山あるいは製錬所にとって年間約十億円の減収になるわけです。そうしますと、もう昨年の秋口から現在までの円高を見ますと約六十円くらいの円高になってきているわけですね。その十億円の減収に六十円を掛けていくということになりますと、年間六百億円の減収になっていくわけです。日本の五十九年度の非鉄金属、製錬、鉱山その他の合計利益が二百十四億円あったそうです。国際価格の下落ということもございますし、大体年間四百億円くらいの減収がもうほぼ見込まれるという状況になっている。国内鉱山あるいは製錬所の年間の生産額は五十九年度の資料を見てみますと千百二十九億円。千百二十九億円の生産額に対して約四百億円の減収という形になっていくわけですね。これは企業努力を超える、つまり円高という台風に見舞われて行われてくるわけでありますから、何とかしてこれに対しては緊急避難的な対策を講じていく必要があるのではないかという認識を私は強く持っているわけです。 とりわけ国内鉱山の維持存続に対して一体政府は真剣に考えておられるのか、抜本策というものをお持ちなのかどうか。ただ現象的なものに対する融資であるとか、あるいはいろいろな制度の前倒しであるとかということを超えた対策を今講じていかないと、せっかくの資源を閉山することによって瓦れきの山にしてしまうということになる危険性があるわけです。 したがって、私は今そのことを申し上げたわけでありますけれども、大臣、今大変な苦境に陥っている、そして閉山してしまいますと、単に山がなくなるということを超えて地域経済に非常に大きな影響を与える、あるいは雇用の問題に対しましても大きな影響を与えていくわけでありますから、緊急対策をどう考えていくか。例えば円高補正に伴う緊急融資制度を今までの緊急融資制度に新たに考えていくということができないか。これを恒久にしていくということになりますと、先ほど大臣も指摘されましたように納税者の問題がある、あるいは財政の問題もある、幾つかの詰めていかなければならない課題もあるわけですから大変だと思うのですけれども、しかしなおかつこの円高は、これからさらにまた是正もされていくでしょうけれども、これに対して緊急対策というものを考えられないかどうか。先ほどは渡辺委員の質問に対して、いい答弁という大臣の言葉がありましたけれども、この苦境を打開していくための緊急の融資制度、価格差補給とあえて言いませんけれども、緊急の融資制度というものをやっていかなければ国内鉱山も製錬業も大変になるという事態に対して、大臣、いい答弁をひとつ聞かしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 これはすぱっといい答弁がうまくできるかどうか問題なんですが、経営安定化融資の前倒し実施というものをやってきましたし、今度の特定中小企業者事業転換等臨時措置法等におきましても、円高のためにということになりますと当然に業種の指定というようなものは受けられる、それによって保証の枠がふえるとか金利が安いもので借りられるということで当面それは救うことはできるんじゃないか。 ただ、将来の問題に向かってまいりますと、幾らで円が落ちつくのか、これは本当にだれもわからない。仮定の問題としてそれは百九十円ぐらいだったならば平均してやっていけるのかどうか、百八十円ならやっていけるのかどうか、それ以下なら幾ら努力したって無理だということなのかどうか、こういうようなことで、一つは個々の企業がそれぞれどういうふうにしていくかということを自由主義経済ですから決めていかなければならぬ。その場合にはやはり政府としては、転業する場合は転業についての助成、援助というものをやっていこう、それから残れるものについてはできるだけ面倒を見ていこう。今もお話あったように補給金とかどうとか言ってみたところで、現実の問題としてはこれだけではありませんから、全部広がってきますから、とても言うべくしてこれはできない。おのずから国際分業といいますか、そういうようなことに大きな流れは流れているわけです。 しかし、当面急激にこうしろああしろと言われたって、今言ったように地域の問題、それから雇用の問題がありますから、跡地をどうするか、雇用をどういうふうにあっせんするか。といっても全く職種の別な方へ行くというのも言うべくしてそう簡単ではございませんし、これらについては通産省だけでなくてやはり労働省、通産省、その他政府全体として対応をしていく問題であるし、そうしなければならないと考えております。
○後藤委員 私、一般論を申し上げているのではなくて、まさに緊急的な課題なんです。例えばこの間も明延の鉱山に行ってまいりました。これは、すず、亜鉛等の非常にすばらしい鉱山であります。それが合理化が提案されている。円高の関係で大体月に一億円の赤字が明らかになってきたわけですね。そこで人員整理を含む合理化の提案が会社の方からなされている。本来ならこれはのめないことでありますけれども、労働組合の方も労働時間の三十分延長であるとか、あるいは賃金の一〇%の削減であるとか、あるいは物品費等の一〇%削減であるとか、幾つかの協力をしてやっているわけです。労使がやっと泣く泣く、それではそこのところはお互いに痛みを分け合ってのもうということで解決をした。 ところが、解決した時点よりもさらにまた円高が進むわけですね。そういたしますと、その努力が一体どうなっていくのか。だからここのところで、緊急融資制度がありますからこれまではある程度それが支えになっておったわけですけれども、それを超える部分というものがどうしても今必要である。そしてそれが半年続くのか一年続くのか、いずれにしても少し時間をかけていけばそれなりの対応策がお互いに労使の間で知恵を出し合って考えられるけれども、急激に集中豪雨的に来ると、もうなすすべをなくしてしまうという状況にある。 しかし、それでは非鉄金属産業、国内鉱山が抱えている体質、つまり掘ってきてしまって鉱量がなくなれば、これはやめなければならぬわけです。あるいは先ほども大臣が触れられたように、採算が合わなければ、合うような品位でもなくなった場合には、地域経済を考えようと雇用を考えようと閉山せざるを得ないのです。長い歴史は持ってきているわけですね。二百数十の企業が今五十か六十に鉱山はなってしまっている。三万を超えておった労働者が今一万人を切るという状況になってきているわけです。そういう長い歴史の中でいろいろな経験をしてきていることはもう確かなんです。しかし、今度の場合はその経験の生かしようがないという状況にある。しかも先ほども何回も繰り返しておりますように、まだいい品位の鉱量が豊かに存在しているところがあるわけです。これを閉山の憂き目に遭わせていかないための緊急対策をやるというのは、通産行政の中において、あるいは商工委員会の責任でもあるだろうし、あるいは政府の大英断を待つ責任であろうと私は思うのです。 単に私は非鉄金属だけを申し上げるわけじゃないのです。幾つかございますけれども、この緊急対策をどうするのかということについて政治が英断を持つべき段階に私は来ていると思うのですね。しかも非鉄金属というものは重要な資源であります。日本経済が今日世界に誇る経済大国になったという自慢をしておりますけれども、それを支えてきたのはこういうメタルであるだろうし、あるいはレアメタルであっただろうと私は思うのです。これが今大変な苦境に陥っているということに対して、いろんな制度がある、難しいことは承知しておりますけれども、緊急避難的な対策として、大臣ぜひひとつ知恵を出していただきたい。このことを具体的に、では今融資の利子をどうするとか、あるいは額をどうするとかということはなかなか言いにくいでしょう。しかし大変な事態に立ち至っているということに対してまずひとつ明確な決意をお聞かせをいただきたい。いかがでしょう。
○渡辺国務大臣 したがいまして、私が言っておるのは、この間者さんの御協力で成立いたしました中小企業の転換等の臨時立法ですね、特別立法、あの適用でかなり先生の御趣旨には対応できる、私はそう思っております、運用の仕方ですから。ですから極力それを弾力的に運用をして緊急の対応をしていきたい、そう思っております。かなりできるんじゃないですか。
○後藤委員 融資の面について弾力的に、強力にひとつやっていただきたい。その意味では若干の効果はあるだろうと思う。しかし、金属鉱山というのは事業転換が非常に難しいんですね。事業転換ができないんです。この方はあの法律では大変難しいということだけは、ひとつ大臣、認識をしておいていただきたい。ほかの工場等で円高による影響を受けて、国際競争力もない、コストも合わぬ、したがっていよいよこの際事業転換をしてこの法律の一応対象にしてもらってやっていくということはできる。けれども非鉄金属関係というのは非常に難しいという認識だけはひとつ大臣、置いておいていただきたい。 ただ一つ、今触れられましたのでちょっと申し上げますと、これは島根県でしたか、都茂鉱山というのがある。これも実は採鉱部門を二月の末に閉山するということなんです。そして全員解雇してその後十一名だけ再雇用いたしまして、選鉱なり産業廃棄物の処理事業なりあるいは採石事業をやる。これは今大臣が御指摘になったような事業転換の法律によって私はできる。ちょっとここでお伺いしておきたいんですが、この都茂鉱山の場合、これの対象になっていけるのかどうか。
○小川政府委員 今御指摘の都茂の場合でございますが、今の制度上の決めとしては融資対象として難しいという状況にございます。
○後藤委員 大臣、今そういうような答弁が出るような実は状況なんですね。法律としては、大臣はそんなのは事業転換をやっていくのは……
○野田委員長 後藤君、ちょっと待ってください。木下長官から補足答弁をひとつ。
○木下(博)政府委員 特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法におきましては、きょう政令が決まりました中身といたしまして、緊急経営安定対策の対象といたしましても、海外の金属の値段が下がることに伴って影響を受ける鉱山は指定できるということになっておるわけでございます。当然そういう緊急経営安定対策の適用としてできるものは事業転換対策の適用になるわけでございますので、ほかの事業に転換されるために設備を購入されるというようなことであれば、当然この法律に基づいて五・五%の低利融資で融資を受けて事業を再展開するということは可能かと考えております。
○野田委員長 小川次長、再答弁。
○小川政府委員 私の御説明が不正確でございまして、これは業種として対象になるわけでございます。ただ、この都茂の場合に、たまたま問題になっておりますのは事業転換でございますから、今やっておることからやっていない他の事業へ転換する場合というのが転換で想定されておるところで、実はこの鉱山の場合は、たまたま従来から産業廃棄物処理、砕石部門というのをやっておって、その部分は前からあったものをそのまま続けるという形になっておるために、いわゆる事業転換という定義に当てはまらないという特殊な事情から、こういうことが起こっておるということでございます。
○後藤委員 大臣の認識も皆さんの認識も、具体的に細かいことになりますと十分に理解ができていないところがあると思いますが、法の運用は、ただそれをつくったらどこでも大丈夫だろうみたいなことではなしに、きめ細かな対応策をぜひとっていただきたいと思うのです。 大臣がおる間にちょっと触れようと思いながら、時間が経過しまして大変残念なんですけれども、もう一つ、電力料金との絡み、円高差益との絡みでちょっと御指摘をしておきたいと思うのです。 私、調べてみますと、五十九年度で鉱山、製錬所等の使用電力量というのは五十二億キロワットアワーという数字を持っているわけでありますが、それに対する支払い料金が七百五億円と聞いております。実はメタルというのは厄介で、そういうコストがかかった場合には、価格にそれを反映させていくことが非常に困難なのですね、国際価格に対応してやっていくわけですから。だから、電気料金がこれぐらいかかった、これは原料コストとしてまず価格の中にきちっと位置づけるということが非常に難しい、これは電力だけではございませんけれども。要するに国際価格に引っ張られる産業でありますから、その中で電力料金がこういうような額になっている。 今円高差益がいろいろ言われて、大臣あるいは行政当局等もこの差益還元を一体どういうようにするかということについては幾つか提起もされているようでありますけれども、今五十二億キロワットアワーの電力を消費している、これの対策にもし一円下げることにいたしますと、コスト面で五十二億円助かるわけですね。仮に二円下げると約百億円。そういたしますと、いろいろな対策を講じていってほしいわけでありますけれども、今非常に苦境に陥っている非鉄金属、それだけじゃなしに鉄鋼等もあるでしょうが、そういう電力多消費産業の中で特に円高で苦境に陥ってきているところで緊急に救済する部分が幾つかあるのではないか。これを永続的にしていくということになりますと、料金制度その他でいろいろ難しい問題があるでしょうが、円高差益還元の一つの方法として、円高によって急激に苦境に陥っているところに対して対応策がとられないかどうか。 現在でも深夜料金なり深々夜料金あるいは休日、祭日等々の時間帯別の調整契約とか需給調整契約とかございます。これの拡大策というものもぜひとってほしいということでありますけれども、これをひとつ真剣に考えていただくことによって、それでもしこの苦境が若干でも緩和されるということになりますと、私は日本経済にとっても、特にこの資源産業あるいは基礎素材産業にとっては大切だと思うのです。この辺をどうするかということは政治だろうと私は思うのです。 そうでなければ市場経済に任せておけばいいわけですし、倒れていくもの、あるいは競争に負けるものは負けるということで結構だと思うのです。しかし、私たちがこうやって与野党でいろいろ知恵を出しながら議論をしているのは、こういうときこそ政治が対応策を考えていって、緊急避難的な対策を講じていくべきだろうと思うのです。円高差益の還元策に対してどういうような考えをお持ちになっているのかぜひひとつお伺いしたいし、田原政務次官もいらっしゃるわけですから、これまたいい答弁を政務次官からも聞かしていただければ大変ありがたいと思います。
○田原政府委員 御承知のように電力料金は原価主義、需要家間の公平が一大原則でありますから、そこのところが難しい問題でありまして、今の金属鉱山のような特定の需要家に政策的な割引をするということはなかなか難しいと思うのです。そこで、需給調整契約制度という電力多消費需要家に対する制度がありますけれども、この活用ができないかどうかについて今後検討する必要があると思うのです。そして、差益還元については、いろいろな問題がありますから、通産省としましても有識者や関係審議会等の意見を聞きながら具体的にやっていくという方針で考えております。
○小川政府委員 政務次官から御説明申し上げたとおりでございまして、電力差益還元全般については大臣、政務次官の御答弁どおりでございます。 それで、需給調整契約制度の一層の活用ができないかということを検討するという政務次官の答弁の部分につきまして、私ども今も検討しておりますし、今後どういうことができるかをいろいろ工夫していきたいと考えておりまして、それがどういう中身であるかというのは、先ほど先生も御指摘のような深夜、深々夜、休日等々をどうするか、この辺の各論はまだ具体的には申し上げる段階にはございません。いずれにしても、今後ともこの需給調整契約制度の活用が、非鉄金属は特に活用しやすい業態であることも十分認識しながら検討していくというふうに考えております。
○後藤委員 先ほどちょっと例示的に言いましたように、一円でも下げていくことがいろいろな制度によってできるということになりますと、それだけで助かっていくわけですから、ぜひこれは真剣に取り上げていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 もう時間がございませんので、労働省お見えになっていらっしゃると思うのですが、レイオフだとか解雇といいますか、やめていかなければならぬということになった場合、政府から雇用保険法あるいは特定不況業種・不況地域雇用安定特別措置法等々によるいろいろな補助金が出る形になっているのですが、非鉄金属鉱業はこの対象になりながら製錬薬が対象になっていないのは一体どういうことなのか。いろいろ調べてみますと、内陸部の神岡あるいは小坂等は地域が指定されておりますので両方とも、つまり製錬も鉱山も指定をされている。ところが、同じ内陸部にあります細倉のところは、鉱山は対象になっているのですけれども製錬の方はなっていない。これは恐らく指定の査定ミスであろうと思うのですけれども、一体どうなのか。あるいは最近の円高による苦境というものは、単に内陸部の製錬だけではなしに臨海部においても同様でありますから、この点についても労働省としては一体どう考えているのか。いろいろな査定の数字等については私も承知しておりますから、その細かいことは触れません。非鉄金属工業あるいは製錬業の実態というものをよく理解していないのじゃないだろうかという気がしてなりませんので、この点ひとつ簡単にお答えをいただきたいと思います。
○井上説明員 特定不況業種・地域に関しましては、長期的観点から不況対策を雇用の面から実施しておるわけでございます。それと同時に、このたびの円高のように急激なものに対して講じる緊急な措置といたしまして雇用調整助成金制度というのがございまして、これは特定不況業種とほぼ内容が同じでございまして、休業とか出向給付に対する援助、雇用保険の個別延長等の制度がございます。先ほど御指摘になりました細倉等につきましても、現在この雇用調整助成金制度の適用を検討しております。それについて早急に結論を出したいと考えております。
○後藤委員 もう時間が参りましたので、二つばかり政府の方に要望しておきたいのは、抜本対策を講じていかなければならぬ、そのために鉱業審議会があるわけでありますけれども、緊急のときにはそれの下にまた鉱政懇等をつくって緊急対策を講じているわけです。したがって、政府としても早急にとの対応策を検討する委員会といいますか機構を活用し、生かしていただきたいという要望をしておきます。答弁は要りません。 それから、野田委員長にお願いしておきたいのですが、五十三年とちょうど同じ状況なんです、価格あるいは不況が。そのときには、この委員会におきましても、ちょうど同じように円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法をつくったり、特定不況産業安定臨時措置法をつくったりということをしていきながら、委員会として超党派で秋田の黒鉱地帯へ夜行で行って夜行で帰ってくるという現地調査をしてまいりました。そしてそれに基づきまして委員会で決議をし、対応策を講じて、あのときは苦境を乗り切ったという委員会としての活動があったわけであります。ぜひひとつ商工委員会におきましても、理事会でこの点はお諮りいただきまして、現地の調査をして、さらに現地の声を聞きながら委員会としての対応策をひとつ考えていくということをお諮りいただきたい。ぜひその実現のために委員長努力していただきたいということを要望いたしまして、時間が若干経過いたしましたが、私の質問を終わります。
○野田委員長 ただいまの御発言の中で、現地調査の件については理事会で協議いたしたいと思います。 この際、暫時休憩いたします。 午後零時二十三分休憩 ————◇————— 午後二時十七分開議
○野田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。長田武士君。
○長田委員 まず経済問題についてお伺いをしてまいりたいと考えております。 昨年の暮れに経済審議会から「一九八〇年代経済社会の展望と指針」の今年度のリボルビング報告が出されました。この報告には「拡大均衡の下での新しい成長」という副題がついております。「新しい成長」ということが特に強調されておるわけであります。総括的には、「展望と指針」で設定されましたフレーム、すなわち昭和六十五年度までの名目経済成長率は六ないし七%、実質経済成長率は四%程度、CPI、消費者物価は三%程度、それから失業率は二%程度、そうして卸売物価については一%程度。五十三ページにもうたっておりますけれども、 「展望と指針」で掲げた経済成長率等の経済のフレームについては、今後、為替レート等の推移如何によっては、物価上昇率が想定以上に鈍化し、また、その結果、名目経済成長率が想定を下回る可能性もあるが、対象期間中の平均的な姿としては、その数値を変更する必要はないと考えられる。 このようなことで、フレームは変えなくてもよろしかろうという考え方であるようであります。 ただ、我が国といたしましては、当面対外経済摩擦、それから対外不均衡という大問題を実は抱えております。従来のようなパターンの成長では当然不可能であろうということが、この報告書では恐らく「拡大均衡の下での新しい成長」ということを強調しているのではないかと私は考えております。 そこで、経企庁長官にお伺いするのでありますが、長官も所信の中では「新しい成長」という言葉を何カ所か使われております。この「新しい成長」というのはどういう意味なのか、わかりやすくひとつお教えいただきたいと思っております。
○平泉国務大臣 先生おっしゃいますとおり、今度のリボルビング報告では「拡大均衡の下での新しい成長」ということを言っておりますが、主として新しい技術革新と情報化に牽引された内需中心の持続的成長、それから国際経済との調和、行財政改革の推進籍を図りつつ内外の拡大均衡が達成される成長、また世界経済の活性化等への積極的貢献と安心で豊かな国民生活の形成等を伴いながら達成される成長、こういうふうに申しておるわけでございます。 私どもといたしましては、今後同報告に述べられた諸政策を総合的に実施してまいりたい、そうして新しい成長を実現してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○長田委員 確かに我が国の技術革新は非常に進んでおりますし、エレクトロニクスを初めといたしまして、新素材、バイオテクノロジーなど新たな事業分野が展開されておるわけであります。また、情報化時代と言われ、あるいは高齢化、高学歴化、ソフト化、サービス化などと言われておりますように、こうした分野に新しい需要が生まれつつあるということは当然でありましょう。したがって、従来のような非難されるような外需依存の成長じゃなくて、思い切った内需振興型の転換が必要である、このように考えるわけであります。そうすることによって行財政改革も私は進むと思います。内外の均衡がとれた、世界経済とも協調した経済体制ができるのではないか、このように私は期待しておるわけであります。 新たな消費需要を拡大するといいましても、従来のようなパターンでは、可処分所得は実質上ふえていない。そうなりますと、内需中心の持続的な成長というのは当然私は達成できないであろうというふうに考えております。ちなみに統計局の家計調査によりますと、勤労者の実質可処分所得は、長官よく御存じのとおり、昭和五十五年は前年比マイナス一・四%、五十六年もマイナス〇・一%と二年連続してマイナスが続きまして、五十七年にやっとプラス三・〇、五十八年がプラス〇・七、五十九年がプラス二・二となっておりまして、勤労者の実質の可処分所得というのはほとんど伸びていないというのが実情であります。 ですから、私たち公明党は今予算の修正要求を出しておりますけれども、少なくとも二兆三千億円程度の減税は今すぐにでも実施しなかったならば内需拡大の振興はできないのじゃないか、このように考えておるわけでありまして、要求をいたしておるところであります。 経済企画庁長官にお伺いしたいのでありますけれども、新しい需要はあってもそれを買うお金、実際問題買えない状況であります。買うためのお金がなければGNPの最大項目でありますところの個人消費は伸びないわけであります。新しい成長のために国民はどのようにして購買力をつけたらいいかということでありますね。そういう点について長官の忌憚のない御意見をひとつ聞かせていただきたいと思っております。
○平泉国務大臣 だんだんお話しのございますとおり、国民所得の約七割が雇用者所得でございますから、私どもとしましても、いわゆる経済成長の本当の成果というものは、雇用者所得が着実に増大していくことであり、また内需を中心とする経済成長ということはやはりそういう国民の民間消費というものが伸びていくということであるという点は全く同感でございます。 その意味におきましても、今度のリボルビング報告の中でも私どもは技術革新——もちろんこの賃金の問題というのは本質的に雇用者と被用者との間の交渉のマターでございまして、政府が直接介入すべき筋のものではございませんけれども、しかし労働生産性が上がっていく、実質的に生産性が上がっていく、その成果というものは十分還元をしていただきたい。またその成果というものも、賃金という形のほかに、労働時間の短縮という二つで十分ひとつ還元をしていただくべきものではあるまいかということも報告をいたしておるわけであります。
○長田委員 今長官がおっしゃいましたリボルビングの報告は、これは四十一ページでありますけれども、「新しい成長の促進」ということをうたっております。 こうした我が国経済社会の新たな展開に対応して、従来の政策対応とは異なる新たな対応が求められており、また、それらを通じて徐々に成長の成果配分をこれまでとは変えていくことが必要である。 新しい成長を促進していくためには、基盤的・先端的分野の創造的技術開発を推進するとともに、高度情報社会への移行のための適切な環境整備を図らなければならない。また、賃金と休日増・労働時間短縮へ技術革新など経済発展の成果を適切に配分し、消費の拡大、生活の向上を図るとともに、産業構造の高度化に対応した就業構造を実現していくための各種施策を講ずることが必要である。 可処分所得をふやして個人消費を拡大していかなければならないということなんであります。 このことは、去る二月六日の産業構造審議会の答申でも明確に実は述べておりますね。この答申の二十四ページを見ますと、 消費者の消費に対する欲求を現実の消費に結びつけるためには、第一に、可処分所得の伸びを確保することが不可欠である。そのためには、まず、中長期的な観点から賃金の決定が可処分所得の増大につながるよう検討されることが重要である。 賃金については、第一次石油危機直後に急騰したものの、近年その上昇は労働生産性の上昇に比べると、相対的に低い水準に止まっている。(一九八三、八四年度においては、実質賃金上昇率〔それぞれ〇・六%、一・五%〕のみならず、名目賃金上昇率〔同一・三%、三・八%〕までも実質労働生産性の伸び〔同二・四%、四・〇%〕を下回っている。) 賃金は労使の自主的交渉を通じ決定されるものであるが、とりわけインフレの鎮静化している現状においては、労働生産性の上昇が高い産業においてそれに見合った賃金の決定がなされる等、労働生産性の上昇の成果が賃金に分配されるよう労使間で適切な対応がなされることが望まれる。 また、税制面においても、消費の充実を図る観点から、アメリカなどの制度も参酌して所得に関する課税や貯蓄優遇税制の在り方について、税制調査会における税制の抜本的検討作業において適切な制度改革がなされることが期待される。 このようにうたいとげておるわけであります。 この答申を受けられた通産大臣としては、今後の施策をどのようにお考えでしょうか。いろいろお考えはお持ちだと思いますけれども、その点ひとつ所感も含めてお聞かせいただければと思っております。
○渡辺国務大臣 これは中長期的な物の考え方でございますが、当面のことにつきましても、賃金問題は労使間で決めるということになっております。しかし、こういうような物の考え方はもともとあるわけでありますから、良識的にやっていただくことが一番いいのじゃないか、そう思っております。
○長田委員 やはり生産性に比例した適正な賃上げというのは当然獲得しなくてはいけない、そういう意味で通産大臣はお考えになっていらっしゃるのですね。そうですか——それでは、経済籍議会がリボルビングの報告の作業を行っている過程で、当面は対外不均衡問題の解決にあらゆる施策を集中しようということであったようであります。そして、あらゆる政策を集中して、内需拡大もこれまでの財政再建の考えにとらわれず、建設国債増発を含めて大胆に打ち出す必要があるのじゃないか、こういう意見がどうも大勢を占めたようであります。なぜかこのリボルビングの報告にはどうもこれはうたわれていないのですよ。この問題については、私たちは既に建設国債を増発してもやはり内需振興策、内需拡大を図るべきだ、このように何回となく主張してまいりました。 経企庁の説明によりますと、来年度の予算の政府案に盛り込まれておりますところの一般公共事業費は、財政投融資などを含めまして事業規模では十三兆五千四百七十二億円、前年度比では四・三%増となっておるそうでありますけれども、経企庁長官はこれで十分だとお考えでしょうか。建設国債の増発についてのお考えも含めて御答弁をいただければと思います。
○平泉国務大臣 公共事業が国民所得を上げるという意味において大きな役割を果たす、また、現実に我が国が社会的なインフラストラクチャーがまだ不足をいたしておりますので、非常に公共工事が現実に国民の皆様から待望されておる、そういう両面におきまして、私どももお説のとおり公共工事の拡大ということは非常に重要であると考えておるわけでございます。また、現段階において公共工事はもっともっと大きな役割を果たすべきである、こういう御議論があることは十分承知をいたしておるわけでございます。また、現下の財政状況におきまして、現在私どもの御審議を願っております予算案の中に盛り込みましたところがぎりぎりのところであるというのが政府の感じておるところでございます。
○長田委員 長官、明確に答えていただきたいのですけれども、今の公共事業の予算で内需拡大、振興はとれるとお考えですかどうですかということです。
○平泉国務大臣 私どもは、提出しております経済見通しのとおり、実質四・〇%の成長が確保されるという認識のもとで予算案を提出いたしておるわけでございます。
○長田委員 長官、それはまた時期がたちまして論議しましょう、実質の数字が出てからやりましょう。この問題につきまして、私たちは既に建設国債を増発しても内需拡大をすべきだということを何回となく主張してまいりました。経企庁の説明によりますと、このようにして何とか達成できるのではないかというようなことを今御答弁がございましたけれども、私はちょっとこれは無理があるんじゃないかなという感じがいたしております。 次は通産大臣にお尋ねをいたします。 建設国債の増発については、産構審の答申は明確にきちっとうたっていますね。二十八ページでありますけれども、 OECDによれば、日本の一般政府赤字の対GNP比は一九八六年で一・一%とサミット参加国のなかでも西ドイツの〇・九%と並んで最も低い水準になると予測されていること等を勘案すれば、整備の必要性と緊急性の高い社会資本については、今後の経済情勢の推移をみつつ、一定の範囲での建設国公債の増発を図り、その重点的・効率的整備を推進することについても検討されるべきである。 このようにうたっております。この答申を受けられた通産大臣といたしましては、今後どのように施策に反映されていくお考えでしょうか。
○渡辺国務大臣 この建設国債の話、これは新しくて古い話、古くてまた新しい話なんです。この間四極の会議へ行きましたときも、日本はもっと内需の拡大に努力してくれという話がありました。しかし、世界の経済というのはみんなつながっておって、一国だけが特別よくするということはできない。あなたのところでも、ヨーロッパの方でも失業率が一三%とか一〇%とか、ですから、それではそんなに簡単にできるんだったら、あなた方の方の国の中でも失業者をなくすために内需の拡大をもっとおやりになるとか、できますか。どこでもそう簡単にはできないのですよ。 そこで、一つの問題は、景気対策に建設国債を使うというのは、これは一つの考え方なんです。機動的に使うというのはいいのですが、日本の場合、困ることが一つあるのです。一遍予算をふやしますと、景気がよくなっても今度は一遍ふやした公共事業は減らない。これは容易に減らない。だから、自由にやる気になって減らせば、大きな公共事業に今度は建設業とかなんとかみんな人がついているわけですから、そいつを減らせばまた失業が出てくるわけですね。抵抗が非常に強い。そういうようなことで、これをふやしたり減らしたりということは、理論上は可能なんだが現実は難しいという姿があるわけです。 そこで、今回も財政上の問題もありますから、ぎりぎりのところまではいろいろ工夫をして、去年よりも四%弱ぐらいですか、国全体としての公共事業はふやすように実は予算が仕組まれております。まあ限界ではないか、そう思っておるわけです。ただ、そうはいっても、当面差し迫った問題があるというので、政府としては予算が成立し次第、この予算が成立すると、急いで一年分の事業を前倒しして、八〇%ぐらいを九月までに前倒しをして、それで成約をさせようということを打ち出しておるわけであります。それが、ただ契約しただけで仕事をやらなければだめなわけですから、あとをどうしてくれるんだという心配があると、契約はしてもチンタラチンタラ、なかなかやらないというのも今まで普通です。だから、そこらのところをやらせるように、心配ないよ、あとはあとで何とかするよというふうに持っていこうというのが大切じゃないか。それ以上言うと、また政府内部でしかられますからやめておきますが、私としてはそういう考え方を持っております。
○長田委員 通産大臣、私は前倒しが悪いとは言いませんけれども、やはり八〇%以上の前倒しをしますと、後半の息切れというのは当然出てきますね。こうなりまして、何とかあとの追加をするということなら私は前倒しというのは確かに効き目があるというふうに考えますけれども、あとどうも息切れするのでは、かえってマイナス的な経済効果が後半生まれてくる。その点、通産大臣どうお考えですか。
○渡辺国務大臣 こういうような異常なときですから、急激に円高になって、二、三年かかって到達すべきものが半年間でなっちゃったという話ですから、これは異常事態ですよ。だから、どこらに落ちつくのかの問題もありますが、それは九月になってみれば、そうならなくても六月ごろになってみれば大体先がだんだん見えできますから、やはり異常な事態には異常に対応するということでいいんじゃないですか。私はそういうふうにすべきだと思っております。
○長田委員 次に、六十年度で終わりました八つの公共事業五カ年計画は、ことごとく所期の目標が達成できていない状況でございます。例えば建設省所管の第五次下水道整備五カ年計画でもその達成は七三・五%でございます。これらの五カ年計画は皆閣議で決定されたものであります。私は、閣議で決定されたものが達成できないというのはどうなのかという疑問を実は持っております。こう守れないならば、わざわざ閣議決定することもないのではないかというふうに私は考えるわけであります。 さて、六十年度で終わりました八つの公共事業でありますけれども、この五カ年計画を新たな五カ年計画といたしまして計画額等の策定がされまして、もう閣議決定されると私は考えております。それはいつごろなんでしょうか。そして、閣議決定があった以上、私は、このような達成率が下回るというようなことじゃなくて、必ずそれは達成するというようなことをぜひやっていただきたい、その点をお願いする次第でございます。その点、経企庁長官それから通産大臣にも、閣議決定の御一員でございますから、ひとつ両大臣から御所見を伺いたいと思っております。 〔委員長退席、与謝野委員長代理着席〕
○平泉国務大臣 六十年度に期限の到来いたしました八本の公共事業長期計画については、昨年暮れの予算編成時に新たに策定することが内定をいたしまして、今後さらに具体的な内容を詰めて、諸般の調整手続を経た上で閣議決定を行うということにしておるわけでございます。 長期的な視点から計画附に整備を進めていく必要があるものでございますから、あくまでも計画目標を達成するための最大限の努力をしていく所存でございます。
○渡辺国務大臣 何年計画というのは出しますが、これは計画という名前は使っていますが、正確に言えば計画なのか、一つの目安なのか、一応そういう目標を掲げてそれを実行しておるわけですが、そのときの経済事情、財政事情等で今まで達成が足りないということは事実でございます。これはやはりそのときの経済事情等をよくしんしゃくしながら達成させるというのが原則でしょう。そのように努力をしていく。しかしまた、特別にインフレぎみだとかどうとかということになればブレーキをかけるとかそういうことはあるでしょう、経済のことですから。
○長田委員 経済審議会のリボルビング報告にも産構審の答申にも書かれていることでありますけれども、休日をふやす問題や労働時間の短縮の問題であります。 先ごろ五月四日が休日という法案が成立をいたしました。六十五年度までに休日を十日程度ふやそうということでありますけれども、一体どのような段取りで進めようとされていらっしゃるのか。当委員会は社会労働委員会ではございませんので休日や労働時間の問題は多くを触れるつもりは私はございませんが、経企庁長官は経済運営の責任者であります。通産大臣は産構審の答申を受けられる大臣であります。そういう立場からおのおのお答えをいただければありがたいと思っております。
○平泉国務大臣 これは労働省所管の問題もございますけれども、現在の我が国の労働時間というのはちょっと短縮がおくれておる状況でございますので、我々としましては、各企業の御都合もございましょうけれども、やはり長い目で見て、内需の拡大にも資することでもある、それからまた労働の質の向上に非常に資することでもある、また国際的な見合いの問題もございます。そういった点を踏まえまして、可能な限り労働時間の短縮というものを進めてまいりたい、かように考えておりまして、それぞれの関係機関、関係の方々と十分接触し、懇談を図ってまいりたい、この推進を図りたいと考えておるわけでございます。
○福川政府委員 産業構造審議会におきましては、最近の諸外国からの日本の働き過ぎの批判、あるいはまた労働時間短縮の持つ消費へのインパクト、こういうことを想定して、二十一世紀に向けて千九百時間内に引き下げるように努力をしてはいかがか、こういう御提案をいただいております。 もとよりこれは労使間で決めるべきことでございますが、私どもとしても、こういった問題点を労使間で十分認識されて、また私どもの方もこれは十分環境醸成にも努め、また中小企業についてはなかなか難しい問題もございますが、この点についても中小企業の体力を強めるというようなことを見ながら、労使間で適切な対応がなされるということを期待しております。
○渡辺国務大臣 今局長が言ったからもういいと思っておったのですが、これは中長期的に見ますと、日本という国は老齢化社会に突入するということになれば、時間の問題も、老人を全部遊ばせておくというわけにも実際はいかないでしょう、職場がなくても困るでしょう、定年制の延長の問題もあるでしょう、そういうことになればやはり全体としての一人当たりの労働時間は詰められるようにしなければならぬということが一つ考えられますね。 それからもう一つは、日本が輸出ばかりで輸入がない。輸入をするためには、海外に投資をして製品をつくらして日本に輸入する。そういうことになれば、やはり影響がありますから国内の雇用が足りなくなる。そうすると人の数が余るという話になってきては困る。ですから、そういう場合も労働時間を短縮してという問題は一つの対策となりましょう。しかし、ただ単に短縮だけしたのでは日本そのものの経済がだめになってしまうから、そこで通産省で考えていることは、二十一世紀に向かっての新しいビジョンとして新しい技術革新、ハイテクとかそれからバイオとか新素材とか、その他新しい非常に付加価値の高いものをここで編み出していって、労働時間を短縮しても一人当たりの雇用者所得がうんとふえるようなことをあわせて考えていかなければならぬ、基本的にはそういう考え方であります。
○長田委員 これもリボルビングの報告にも産構審答申にもうたわれておることでありますが、経済摩擦を回避するため、あるいは太平洋時代とも言われておりますようにASEAN諸国のNICSと言われております国々との協調といったような見地から、海外直接投資の促進とかあるいは国際分業とかといったことが強調されております。既に自動車などはアメリカでの現地生産が非常に進んでおりますし、これはもっと促進されるべきかもしれません。またASEAN諸国は、中国を含めまして非常に高い潜在成長力を実は持っております。これらの国々に我が国の技術を移転いたしまして潜在している力を引き出すことができれば、これもまた我が国にとって新しい成長を生み出す牽引力になるような感じがいたしております。 しかし、ただ一つ心配なことが、今大臣もおっしゃいましたけれども、あるのですね。今アメリカ産業の空洞化ということが非常に言われております。海外直接投資や技術移転が余りにも大幅に進みますと、我が国の産業も次第に空洞化して、そして雇用機会も減少して失業者がふえるようなことになりますと、この点は非常に大きな問題であります。そうなりますと、特に中小企業への影響が非常に大きく響いてまいります。この点について最初に渡辺通産大臣、続いて平泉経企庁長官から御感想をいただければと思っております。
○渡辺国務大臣 物には程度問題というのがございます。どんなものでも行き過ぎればだめでして、過ぎたるは及ばざるがごとしということですから。したがって、アメリカ経済がだめになった原因の一つにはやはりそれがあるのですよ。要するに、国内でつくるより国外でつくって輸入した方が安くていいということで、かなり投資をしてどんどん製品輸入をやっておる。それがアメリカの貿易で赤字がふえた理由の一つですからね。だから日本でもそういうことをやれば、やらざるを得なくてこれからやるわけですが、同じような現象があらわれてくる。したがって、そこらのバランスをどうとらしていくか。それをただ野方図にやれば第二のアメリカになっちゃってまさに栄枯盛衰になっちゃうのです。だから前車の轍を踏まないように注意深く、しかも計画的に、先ほど言ったように国内ではもっと付加価値の高いものを生産できて経済が持続できるような工夫を一緒にやっていかなければいかぬ、そう思っております。
○平泉国務大臣 通産大臣の答弁で大体尽きておるわけでございますが、我が国の失業率というのは諸外国に比べますと非常に低いわけでございます。そういう雇用の状況というものを今後の産業転換の中でも絶えず維持していかなければならぬ、こういうことが非常に大きな問題であろうと思います。政府としましても、労働力が絶えず新しい産業にフィットしていくように、ミスフィットが起こらないように、いろいろな新しい就業機会というものが絶えず創出される、また自己啓発、企業内教育等に対して支援を行う、また公共職業訓練の弾力的な実施を行う、また労使の十分な意思疎通の促進を図る、こういうようなことで我が国がこれから直面しなければならない、現に当面しておるわけでございますが、この産業構造の大幅な転換というものに十分即応していける体制、そして失業率の低い現状を維持できる状況、こういうものを考えていかなければならぬ、私どもはそういう努力をする所存でございます。
○長田委員 さて、六十一年度の経済見通しについてお伺いをしたいと考えております。 最初に経企庁に伺っておきたいのでありますが、六十年度の実質経済成長率の見通し四・二%、それから六十一年度の実質経済成長率の四%、それぞれ内需と外需の寄与度をお答えいただきたいと思います。
○赤羽政府委員 六十年度の実質経済成長率四・二%に対します内需の寄与度は三・四%、外需の寄与度が〇・八%、合計で四・二%になります。 それから、六十一年度の四%という見通しに対しましては、内需の寄与度が四・一%、外需がマイナス〇・二%でございます。四捨五入の関係で合計で四・〇%、こういうことになります。
○長田委員 六十一年度は専ら内需によって四%の実質成長を遂げようというわけですが、外需はマイナスですから、私はむしろ成長の足を引っ張るような形になるのではないかというように考えております。確かに政府見通しによりますと、経常収支の黒字を見てまいりますと、六十年度の見通しが十一兆五千億円であったものが六十一年度には十兆四千億円、一兆一千億円減っておるわけです。貿易収支も十三兆一千億円から十一兆四千億円と一兆七千億円減っておるわけでございます。ドル建てでは経常収支が五百十億ドルと両年度同じ額になっておるわけでありますが、これは円建てでは減っているということは、円高の影響だろうというふうに考えます。 いずれにいたしましても、十兆円あるいは五百億ドル以上の黒字が減らないということに結果的にはなるのですね。この黒字額は、我が国のGNPの大体三%に当たります。政府は、内外の均衡ということを口にいたすわけでありますけれども、もしこの十兆円以上の黒字がなくなると、我が国の経済成長は三%以上マイナスになるということもまた必然であります。だから、経済審議会の報告や産構審の答申のように提言を実施する必要があると言われるかもしれませんが、それらの提言の大部分は私はどうも即効性に欠けているなという感じが否めません。 そもそも内需拡大ということが叫ばれ始めたのは、第一次経済摩擦が起こった昭和四十六、七年ごろからであります。それが四十八年の第一次石油ショックで我が国の国際収支が赤字になりまして、摩擦が解消いたしました。そして第二次摩擦が起こりましたのは、昭和五十二年、五十三年のころであります。これは内需拡大が叫ばれましたけれども、これも五十四年の第二次石油ショックで摩擦が解消いたしました。 そういうような経過がございまして、マクロ経済政策によって内需拡大や産業構造の転換ということを本当に真剣にやらなかったというのがやはり日本の経済の実情だろうと私は考えます。したがいまして、第三次経済摩擦だと言われておりますこの五十六年以降の摩擦は一向に解消しない、解消できないというのが現状ではなかろうかと考えます。 政府は、五十六年十二月以降、七回にわたりまして対外経済対策を発表いたしましたけれども、黒字は減るどころか逆にふえるという結果になっております。おまけに今回は逆石油ショックが起ころうとしておりまして、原油がバレル当たり五ドルぐらい値下がりすると仮定いたしますと、我が国の支払いがどのくらい減るかといいますと、年間百億ドルぐらい減るわけですね。それに予想を超える急激な円高もありますから、円建てではもっと黒字はふえるという結果になると私は考えます。 私どもも何年も前から繰り返し繰り返し減税も賃上げも週休二日制も労働時間も公定歩合も産業構造もジョイントベンチャーも公共事業も経済協九も、その都度主張してまいりました。しかし、政府は総合的なマクロ経済政策を展開しようというふうに非常に前向きに考えませんでした。その結果五百億ドルの黒字であります。総理は私的諮問機関といたしまして、前川前日銀総裁を座長に、国際協調のための経済構造調整研究会というのをつくられました。この三月ころ中間報告が出るということを聞いておりますけれども、私は遅きに失したなという感じがいたしております。言葉では簡単でありますけれども、この五百億ドルの黒字を減らすということは難儀中の難儀だろうと考えます。 経企庁長官にお尋ねするのでありますけれども、経済摩擦はこれからも当分続いても仕方がないものと考えておられるのか、この五百億ドルの黒字はいつごろ適正な規模になるのか、長官の御所見をお尋ねしたいと思っております。
○平泉国務大臣 貿易でございますので相手がございまして、おっしゃるとお力、我が国の、殊に貿易収支の黒字が非常に大幅化するというのは、五十九年度、六十年度、二年度にわたりまして大変大幅な黒字が出ておる。六十一年度の予想でもかなりの黒字が出るという状況でございます。 これは、経済的にいろいろ分析をしてみますと、主として日米両国間に存在するわけでございますが、アメリカの景気と我が国の景気とのすれ違い、アメリカの経済成長率が異常に速い状況というものがつくり出されたということ、それからまた、アメリカの独特の財政金融政策の結果としてアメリカに異常な高金利が発生したということからドルが異常高になる、こういう二つが大体フィフティー・フィフティーくらいの要素をなしておる。我が国の経済政策の失敗と申しますよりは、むしろ日米両国の間の経済政策の変化、相違というもの、そういったものがあらわれたものである。我が国の産業構造自身にも、輸出が非常に大きな幅を占めているという現象もございますけれども、最近の我が国貿易収支の大幅な黒字というものは主としてこういう特殊な要因から発生いたしておる、かように見ておるわけでございます。 そのような意味から、政府の経済政策が全般的に失敗をしたと申しますよりは、むしろ対外的な調整を図る必要があるということで、昨年のG5以降通貨関係の調整が進み、私どもとしては、この調整が進む中で貿易黒字の異常な大きさというものは解消に向かっていく、またそうでなければならないと考えておる次第でございます。 もちろん、おっしゃいますように、我が国としては一層の市場の開放、また内需の振興ということも重要に考えておるわけでございます。
○長田委員 本年はアメリカの中間選挙がございます。また、どうも貿易摩擦問題が再燃激化するような感じを私は受けますので、日本にとってはやはり自由経済貿易体制というものが絶対崩れないようにどうか十分配慮をしていただきたい、この点をお願いしておきます。 次に、設備投資の問題についてお尋ねをいたします。 日銀発表の卸売物価が一月で前年同月比でマイナス四・六%と非常に下がっておるわけであります。こうなってまいりますと、実質の金利が高過ぎまして、企業は設備投資のためのお金を金融機関から借りて設備投資をしようというようなことがどうも鈍くなることも事実であります。設備投資をいたしましても、つくった品物を、価格が実際問題下がるわけでありますから、なかなか在庫投資も気が進まないという状況だろうと考えます。民間設備投資の政府見通し実質七・五%は、そういう点ではちょっと達成が難しいのではないかというふうな感じを私は持っております。 実際に、経企庁の法人企業動向調査でも、昨年十二月調査では、六十一年上期の民間企業の設備投資計画は、六十年下期の実績見込みに比べまして〇・二%のマイナスになっております。それから、日経新聞が二月一日現在で八百九十一社の六十一年度の設備投資計画を調べましたところ、六十年度の実績見込みが前年度比七・八%増なのに対しまして、六十一年度は三・八%増と大幅に鈍化しております。しかも電力を除きますと、わずか〇・九%増にしかすぎないという調査結果が実は出ておるわけであります。この点について、経企庁長官は設備投資の動向をどうお考えでしょう。
○平泉国務大臣 最近の設備投資動向を見ますと、中小企業では製造業の動きが鈍いわけでございますが、大企業では非製造業を中心に底がたい動きを示しておる、総じて着実に増加しておる、こういうふうに見ておるわけでございます。 六十一年度につきましては、非製造業は内需関連業種が好調に推移するものと見込まれます。また製造業は、円高による投資計画の手控え等の動きもありますが、現在の投資には、研究開発投資、技術革新投資、更新投資等の短期的、循環的要因からは独立的な投資のウエートが高く、これらの投資意欲が旺盛であることから、全体としては底がたく推移するものと考えております。なお、技術革新関連の投資は、各産業における情報化、エレクトロニクス化等の構造的な変化が進む中で、業種を問わず極めて多くの分野で活発に行われるものと見込んでおります。 これらの諸点を総合勘案いたしますと、六十一年度の民間設備投資は全体として引き続き堅調に推移し、実質七・五%程度の伸びを示すと見込んでおる次第でございます。
○長田委員 円高、デフレ、中小企業の問題に移りたいと思います。 先日、当委員会では特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法案の審議が行われました。また、政府や地方自治体においても円高対策としての特別融資もなされておりますし、いろいろ対策も講じられておるところであります。それでも急激かつ大幅な円高に対しまして中小企業者は戸惑い、おろおろしているのが現状でございます。 民間の調査機関によりますと、既に一月には円高のために倒産した企業が十二件、昨年九月以降円高のために倒産した企業の合計は二十六件に上りまして、負債総額も四百十五億円を超えているというのであります。中小企業庁を初め経企庁も輸出産地の状況を調査されておることと思いますけれども、その実情をかいつまんでひとつ御報告をいただきたいと思います。
○木下(博)政府委員 まず、中小企業庁の方で昨年来調べておりますことについて概略を申し上げますと、昨年の十月以来三回にわたって調査しておりまして、現在四回目の調査を実施しております。四回目の調査の結果は三月の上旬ぐらいにまとまるのではないかと考えておるわけでございます。 その三回の調査を比較してみますと、円高が進むにつれその影響の度合いが非常に強まってきているということでございまして、昨年の暮れから一月の中旬にかけて調査しましたときには、輸出比率二〇%以上の五十五産地について調べてみますと、受注残が適正水準を下回っている産地が五十五産地のうち四十七、適正水準を五〇%以上下回っている産地が三十七、また資金繰りに影響が出てきておる産地も三十九ということで、相当の影響が出てきております。今のように百八十円台の為替レートが続き、しかも従来からの受注残がなくなってくるという状況になりますと、より影響の深刻化が見られるものと私どもは考えております。
○丸茂政府委員 経済企画庁では一月中旬から下旬にかけまして、今回の円高が主要な輸出型産地に及ぼす影響を調査いたしました。輸出比率がおよそ二〇%以上で、出荷額が百億円以上ということでございますので、中小企業庁のお調べになったものに比べまして数は少のうございまして二十六産地でございます。 その調査結果が先般まとまったわけでございますが、これを見ますと、新規契約の成約難あるいは操業短縮などの影響を受けている輸出関連中小企業産地が多いというような厳しい状況が明らかになっております。特に、円高が急速に進んだということから、その対応に大変苦労されておる状況が把握されておるところでございます。
○長田委員 中小企業にとりまして一番困っておりますのは急激な円高ということです。しかも、それが大幅であるということ。実は非常に深刻な問題でございまして、減収とか減益は当然免れることはできない状況でございます。ひいては競争力を失って休業せざるを得ないという状況かと私は思います。 私も、一月二十日に美濃焼の産地であります岐阜県の多治見市を視察してまいりました。この美濃焼の産地は多治見、土岐、瑞浪の三市、笠原町、関連業者数は三千三百十九社、従業員数は三万九千人、生産実績は五十九年度で金額で一千二百七十四億円、これは全国の生産の比率で考えますと一八二房に当たります。輸出は、食器が四二・四%、タイルが三七・四%を占めておりまして、輸出先はアメリカが主力でございます、したがいまして、この産地では輸出に依存をいたしておるわけであります。その輸出が、円高の影響で、昨年の九月から十二月の実績では金額で大体一割強落ち込んでおるということがあります。その上、バイヤーから一割以上の値引きを要請されておるということで二重の苦しい立場に立っております。 〔与謝野委員長代理退席、委員長着席〕 さらに、この一月いっぱいは受注残が多少残っておりますので何とかそれでやっていける、食いつなげるということを言っておりましたけれども、実際二月以降は仕事がなくなってしまうということで非常に深刻でありました。五十三年十月の円高ショックは瞬間的に来ましたので何とか乗り切ることができました。今回は長引いておるという状況もありますし、さらには急激な円高という状況でございまして、三月、四月ごろは倒産が非常に大きく業界を襲うのではないか、このようなことで業界の方々も非常に心配をされておりました。 実はきょう私電話をいたしまして、業界の責任者にいろいろ尋ねました。そうしたところが、引き合いは多少あるようでありますけれども、実際問題金額的にどうしても引き合わないということで成約できない状況がございます。そうして、やむを得ず国内に目を向けて、国内の振興策をやろうということで全力投球しておるようでありますけれども、これがなかなか景気停滞のために思うようにいってないというような切々たる訴えを私は伺いました。 このように急激で大幅な円高でございますから、政府、日銀等も本当に中小企業のことを思うのであれば、急激で大幅な円高は何としてでも私は避けた方がいいのではないかという感じがするのです。ある日突然やってくるみたいなことはどうも企業としては耐えられません。ある程度傾向が見られるとか兆候が出てくる、それに備えるということならいいのですけれども、地震みたいに急に来られたのでは企業としても対応できないようであります。ですから私は、急激で大幅な円高の場合においては、逆介入をしてでもある程度過激な円高を防いだらどうだろうかと考えるわけでありますけれども、通産大臣のお考えを聞かせていただきたいと思っております。
○渡辺国務大臣 通産大臣が逆介入しろとはなかなか言えないのですよ。レートというのは、幾らがいいといっても、利害関係者があるわけですから、輸出業者にすれば円安がいいのだし、輸入をする人にすれば円高の方がいい。したがって、実際は幾らがいいのかということは公的立場にある人はなかなか言いづらい。どちらにも味方するわけにはいかない。大体みんながいいというところがいいんじゃないかというくらいの話になってしまうのですね。 ただ、先生がおっしゃいますように、急激に円高になったということに問題があるわけです。確かにそこに問題がある。これはだれしも、大多数の人は、二百円ぐらいでとまるんじゃないのかというぐらいに、私はそう思っておりました。ところが、本当にまたあっという間に百八十円を割るということになってまいりますと、一体これはどこまで行くのだ。アメリカの中でも、これはドルの急落だ、困るという説の人もあれば、いやもう少しドルが安くなった方が輸出に役立つのだ、ニュースによると、つい最近まではアメリカ政府の中が分かれておったですね。ボルカーさんとヤイターさんなんか別な意見だ。ところが、けさのニュースによると大体意見が一致したようです。一致したということになれば、これはもう余りこれ以上になることは困るということに——どっちがどっちにくっついたのかわかりませんが、大体ボルカーさんの方にヤイターさんがついたんじゃないかなと私は思っているのだけれども、これも想像ですからわかりませんが、そうなればやはり安定という方向で、日銀なんかも相談しやすいんじゃないですかね、余り想像で物を言うとしかられますけれども。これ以上はちょっともう困るんじゃないのかなという気がするのです。ですから、そうなれば安定をしてもらう。 そこで、その間急激だったからいろいろな被害が既に国内で出ていますから、それには応急手当てをまずやって、それでどうしてもこれではもう採算は将来ともとれないというのは、幾ら突っかい棒しておってもこれは限りない話で、政府が応援するというのは、私企業に応援するというのはやはり臨時的、応急的なこと、これは原則ですよ。ですから、そこでともかくもう一息入れてもらうということで立て直しを図って、他に転換をすべきものは転換をするということが必要なんでしょう。 これも余り言いますと、さなきだに、きょうの夕刊を見たら、また日本政府がガット違反で訴えられそうだというのですね、三千億円の融資の話で。アメリカの中で、もうガットに訴えるとかいって夕刊のトップにでかでか出ている。ですから、それで貿易摩擦がまたここで悪化ということでも困るので、よく話をして聞かして、私は摩擦を起こさせたくないと思っておるのです。 以上であります。
○長田委員 それからもう一点、中小企業のためにもぜひやってもらいたいということがございます。それは公定歩合のもう一段の引き下げが必要じゃないかなという感じを私は持っております。 この公定歩合の引き下げは中小企業のためばかりではないんではないかと思いますね。これは、卸売物価がマイナス四・六%ですから、実質金利が高過ぎて、企業はお金を借りましてという行動にはなかなか出にくい状況でございます。それだけ景気が停滞し、デフレ効果が促進をされるわけでありますから、公定歩合の引き下げについては、私はもう一段下げる必要があるんじゃないかと考えます。この公定歩合についてはなかなかお答えにくいとは思いますけれども、経済政策の一環でございますから、通産大臣と経企庁長官にちょっとお答えをいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 私も言いたいのですよ。ここまで実は出かかっているのですが、心と心で。私は、やはり環境はもうできていると思いますよ。しかし同じ政府の中で、もうこれでいいという立場の人もあるわけですから、私がまた公の席で別な、違ったことを言うことも、これもちょっとぐあいが悪い。また別のことを言われますから、政府は不統一とかなんとか。ですからそれは言いませんが、陰では、心と心、わかっていますからちゃんとやります。
○平泉国務大臣 先般の金利引き下げの効果が預貯金金利まで及びますのは大体二十四日ぐらいまでかかるわけでございます。それまでは金利の安定性ということからも次々と発言するということはなかなかできにくい環境であることは御承知のとおりでございますが、通産大臣も申しましたように、我が国の物価情勢、極めて安定をいたしておりますから、実質金利が高くならないようにしなければならぬ、こういうことは十分我々は配慮いたしまして、おっしゃるとおり内需振興、あらゆる点から考えまして、できる限り低い金利が成立するということが望ましいのではあるまいかと私どもも考えておるわけでございます。
○長田委員 日銀は一月の終わりに、他の先進諸国に先行いたしまして公定歩合を〇・五%引き下げたわけであります。しかし、もう一段の引き下げとなりますと、再び日米の金利差がちょっと広がってまいりますから、資本が有利な金利を求めましてアメリカにどうも流れやすい、そういうことがやはり心配される原因ではなかろうかと私は考えます。また、それが原因となりまして再び円が安くなるということになりますと、また問題が出てまいります。アメリカが我が国に追随して公定歩合を引き下げてくれるならば、我が国としてももう一段の公定歩合の引き下げを行ってもよいと日銀は考えているのではないかと、推測ですけれども、私は考えます。 アメリカにしてみれば、財政赤字と国際収支の赤字という大幅な双子の赤字を抱えておりまして、特に最近はドル安が進んでおりまして、ドルに対する信頼というものが揺らぎかねない、そういう状況であろうかと考えます。そういうときに公定歩合を引き下げれば、ドルに対する信頼は一層失墜して、下手をするとドル暴落という事態にもなりかねない。だから、せめて財政均衡法も成立したことだし、それが十分機能して財政赤字が減ってくる見通しがつけばドルの信頼も確保できるので、公定歩合の引き下げもやりやすいと考えているのではないかと考えます。 ところが、その財政均衡法なるものが憲法違反であるという判決が二月七日、ワシントン連邦地裁であったわけであります。この内容を私、いろいろ調べたのですけれども、これは「同法は、財政赤字削減が困難な場合、国防費を中心に、強制的に歳出を削減する条項が中心になっているが、この部分が違憲と判断されたのである。」というようなことで違憲の判決が出たようであります。これは夏までには最高裁の判決も出るようでありますが、もし違憲判決ということになりますれば、レーガン大統領は国防予算の大幅増加と、それから社会保障は削減しないということと、それから増税はしないということを国民の前に約束をいたしております。アメリカの財政赤字はさらにこうなりますと続く、そうすると金利を下げるどころか、かえって資金が不足しますから金利を逆に上げなくちゃならない、そういう状況にアメリカは追い込まれるという懸念も実はございます。 最近大蔵大臣や日銀総裁は、円が百七十円台に突入した段階で公定歩合の再引き下げの環境が整ってきたとの発言があるやに報道をされておるわけであります。私は一日も早く実施してもらいたいと考えておりますが、一方において不安感もなきにしもあらずであります。つまり世界経済の不均衡をもたらした諸悪の根源がアメリカの財政赤字だと言われてきたのであります。その諸悪の根源が今後ともに続くということになりますと、再び円安に拍車がかかるようにも思いますし、昨年九月二十三日、G5以降のせっかくの努力が水泡に帰するということにもなるわけであります。この点、経企庁長官の所感を承りたいと考えております。
○平泉国務大臣 ただいまおっしゃいましたとおり、ワシントンの連邦地裁が財政収支均衡法の一律削減条項について一部憲法違反であるという判決を下しております。ただいま上訴中でございますので、今おっしゃいますとおり最高裁の判決がやがておりるわけでございますが、ただ、アメリカの情勢を見ておりますと、このグラム・ラドマン法そのものの技術的な問題は別といたしましても、やはり財政赤字は政府一致して収拾に向かわなければならぬという強い意思が働いていると私どもは理解をいたしております。また、私どももそのようであることを期待いたしておるわけでございます。 いずれにいたしましても、我々としては情勢を十分注視し、また必要とあれば日米間でこの点について十分に話し合いが行われる、そして我が国が十分、我々の所期の目的、方針のもとの経済の発展が図られるという情勢であることを期待いたしておるわけでございます。
○長田委員 私は、先ほど通産大臣が申されましたとおり、円高は我が国にとってデメリットだけではないと思います。むしろメリットの方が多いのではないかという感じが私はいたします。ですから、そのメリットをいかに上手に我が国の経済に反映させるかということが重要な問題であろうと私は考えます。経企庁長官、このメリットの部分をどういうふうに経済に反映させるお考えでしょうか。
○平泉国務大臣 我が国の産業の基礎物資がほとんど輸入でございます。殊にその中でも重要な物資であります石油、こういったようなものが円高の関係で大幅に安くなってくるわけでございますから、需要者に十分そのメリットが還元される、こういうことが、一方円高の結果輸出が減少する、あるいはある種の産業が難しくなるというようなことから起こるデメリットというものをオフセットできるように、それを十分に補っていけるように我々としては細心の注意を払わなければならぬ。 経済政策の根幹は、我が国が円高というもののメリットを十分に活用して、先進国型の新しい成長の体系に十分即応していけるような産業転換が行われるということが巨視的に見て重要なことであるということには変わりがございません。そのような趣旨で私どもは経済政策の推進を図っていく所存でございます。
○長田委員 円高によって非常に苦しい立場に追い込まれておりますものがもう一つ実はございます。その業界は非鉄金属業界でございまして、一円の円高で年間十億円の損失ということでありますから、一ドル二百四十円が百八十円になりますと、年間約六百億円の損失になるわけであります。この業界の苦しみは実は円高だけではないのでありまして、国際非鉄市況の暴落が加わっておりまして、経済基盤が殊に脅かされておる状況でございます。特に国内鉱山は破滅に瀕しておりまして、雇用問題にも発展しかねない状況でございます。 そこで通産大臣にお願いをするわけでありますけれども、一つ目は、このままでは我が国の鉱山は破滅するおそれがあります。したがいまして、至急に鉱業審議会を開いていただきまして、国内鉱山の位置づけと維持存続対策をぜひ示していただきたい。 第二番目には、金属鉱業に対する経営安定融資を超低利でできるように、できれば利子補給の財源を確保していただくということと、大変虫のいい話でありますけれども、できれば無利息の融資をお願いしたいということが第二点でございます。 第三点目は、非鉄金属産業は御案内のとおり電力の多消費型の産業でございます。製品原価の大部分が電力代と言っても決して過言ではございません。急いで電力料金の何とかここの業界への引き下げ、料金体系等も非常に難しい問題がございましょうけれども、日本の資源を守るという意味では非常に大切な業界でございます。 そういう意味で、以上三点についてぜひひとつ前向きに取り組んでいただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 円高のメリットの活用という点で電力料金の引き下げということが言われております。これらにつきましては、かねて私は何回も何回も答弁をいたしておりますが、皆さんからいろいろ意見を聞いて、それで国民経済に一番役立つようなこと、内需の振興に役立つようなことを中心に、それからひずみを直すというようなこともあわせて考えていきたい。 それから非鉄金属その他のことについては、現在成立をしたこの臨時特例法の範囲内で極力弾力的に対応してまいりたい。委細につきましては政府委員から答弁をいたさせます。
○小川政府委員 大臣からの御答弁の内容を若干補足させていただきますと、緊急融資制度につきましては、六十一年度予算としては急遠出資として三億四千六百万円というものを計上したものですから、百二十五億の融資枠を確保できた。そして無利子という御指摘でございましたけれども、今の財政下で無利子ということはなかなか困難でございますが、この制度は実は現在金利が平均三%でございますし、そのうち最初の一年半は一・一%という他にはなかなか並ぶ例のない超低利を適用することになっておりまして、何とかこの制度の活用、そして先ほど大臣から御答弁のありました特定中小企業者事業転換対策の措置をあわせてこの異常事態にできる限り対応していきたい。もちろん事態は超円高という容易ならざる様相を呈しておりますから、今後ともこの施策で十分かどうかは、鉱業を取り巻く情勢だとか企業の対応ぶりだとかそういった状況を慎重に見守りながら、絶えずチェックをしていくという姿勢で対処してまいりたいと考えております。
○長田委員 通産大臣申しわけございません、もう一点よろしくお願いいたします。通産大臣は大蔵大臣も経験されておりますから、税制問題についてちょっとお尋ねをしたいと考えます。 中小企業の問題に関連しまして、六十一年度の税制改正の中で、大臣得意なところの赤字法人の欠損金の繰越控除制度の適用の一部停止というのがございます。具体的には、法人に利益が計上された場合、過去五年間に欠損金があればその欠損金は当期の利益から控除できる制度であります。六十一年度の改正では、利益の出た年の一年前の欠損金だけは控除の対象から外すということなんですね。この改正によりまして六十一年度は二千二百三十億円の増税を見込んでおるわけであります。国税庁の調査によれば、赤字法人として申告した中に実は赤字ではなかったというケースがかなりあったというのでありますけれども、大部分の法人は必死になって努力し、まじめに申告しているものが多いわけでありますから、さらに円高などによって非常に赤字になってくる、そういうところもたくさんございます。赤字法人だから悪であるという考え方があるとすれば、それはまことに失礼な考え方であろうと私は考えております。 特に輸出型の中小企業などは、今の円高が続けば六十年度、六十一年度などは赤字になるものも多く出るというのは必然であろうと考えます。一年後に経営が安定して黒字になっても、一年前の円高のために苦しみ、その結果欠損金を生じた部分は黒字になった年の収益からは控除してもらえない、こういうわけでございますから、私はこの改正はちょっと納得できない、説得力の欠ける税制ではなかろうかと考えておるわけでございます。赤字からやっと立ち直ってこれから再建をしようという企業は非常に打撃を受けます。そういう意味で、この点はぜひこれを前どおりに戻していただきたいということが第一点であります。 法人税法が繰越控除を認めているのは、もう大臣もお詳しいわけでありますけれども、法人の担税力を考慮してのことでありまして、やっと赤字から立ち直った法人に十分な担税力があろうはずがありません。担税力の十分でないものから税金を取ろうというのでありますから、企業の再建はやりにくくなってしまうというのは当然であります。それに設備投資や研究開発投資も抑制的に働くことになってしまいます。 それから税制改正でもう一点、法人の特定資産の買いかえの圧縮限度を二〇%縮減しようという問題があります。例えば東京都内に工場を持っておりました、例えば郊外に移したい、そういうときの減免措置というものが今度はさらに買いかえの圧縮を二〇%ぐらい減額してしまおう、そういう改正であります。そういう点で私は、都市の過密化を防ぎあるいは騒音や水質汚濁等を防止するという国の政策にこれはどうも反しているのではないか、あるいは民活導入の政策にもどうもこれは反しているんじゃないかというふうに考えております。 したがいまして、今予算の審議中でありますけれども、この二つの税金については、企業いじめにどうにも私たちは我慢できませんので、この点の御所見を通産大臣からお聞かせをいただきたいと思います。それで後で大蔵省からひとつ御答弁いただければと思います。
○渡辺国務大臣 これは会計法上、会計学上からいえばいろいろ御議論のあるところでございます。ございますが、四囲の情勢から考えましてやりくり、苦し紛れと言っては言い過ぎかもしれませんが、どうしてもそうせざるを得ない、やむにやまれぬ措置である。来年からは税制の抜本改正を、ことし一年かけてやろうということでございますので、その折にはやはり筋道の立ったようなすっきりした税体制に持っていきたい。したがって、これは閣議にどうせかかる案件でございますから、税制要綱等は私も賛成をいたしておりますので、これはやむを得ないなということでことしは御勘弁を願いたいと存じます。
○小川説明員 改正に至りました経緯は今通産大臣からお話があったとおりでございます。私の方からは、二つの制度についてのお尋ねでございますので、その趣旨を簡単に御説明させていただきたいと思います。 繰越欠損金の控除制度の一部停止につきましては、先ほどお話がございましたように、まず第一点は本年度黒字の法人を対象としての措置であるということでございます。 それから、五年間の繰越控除でございますが、前年の赤字は控除できないということでございますが、二年、三年、四年、五年前の赤字についてはことしも控除ができるというのが第二点でございます。 第三点といたしまして、前年分の赤字は本年は控除できませんが、来年以降引き続き四年間控除のチャンスがあるといったような点を御理解いただきたいと存じます。 それから特定資産の圧縮記帳制度の縮減の問題でございますが、これは赤字法人の課税問題とはやや趣を異にいたしまして、この十年来やってきております租税特別措置の整理合理化の一環としてとらせていただいたものでございます。御指摘がありましたように、実際に持っております資産を譲渡いたしまして譲渡益が大きく具体的に発生しているわけでございます。これを全額非課税としておりますのが従来の措置でございますが、そのうち二割相当分については一たん税金を納めていただき、残りの八割は引き続き非課税で課税を繰り延べるという趣旨のものでございます。
○長田委員 次に、中小企業の問題でもう一つ下請企業の問題がございます。私は前国会でもこの問題を取り上げました。円高が進みますと、親企業は円高差損を下請に押しつけよう、そういう傾向が非常に強く出てまいります。現に統計の上でもはっきりとあらわれております。中小企業庁はこの下請企業についても円高後の実態調査をされたはずでありますけれども、その結果の概要を御説明をいただければと思います。
○木下(博)政府委員 急激な円高によりまして、いわゆる輸出型産地だけではなく、今先生から御指摘がありましたように、下請中小企業に対しても親企業からのしわ寄せ的な動きがあるのではないかという懸念が非常に強まってきております。そういう状況にございますので、中小企業庁といたしましては昨年一度実態調査をいたしました。それ以降、全国下請企業振興協会という下請問題についての情報提供あるいはあっせん等を行います公益法人がございますが、そこに委託しまして調査をしておるわけでございますが、それが一月に取りまとめました調査によりますと、受注量の減少など円高の影響を若干でも受けている下請中小企業の数は七割にも及んでいるということでございます。その中で現実に受注価格の引き下げを求められているというのがやはり半数近くあるというような状況であるわけでございます。 そのような状況でございますので、私どもは下請代金支払遅延等防止法に基づく調査を、従来どおりの調査と並行いたしまして、下請関係につきまして特別の調査を実施しておりまして、その調査の結果は三月の上旬に出てくるのではないかというふうに考えておるわけでございます。私どもは、下請業者に対するしわ寄せが下請業者を非常に強く圧迫するのではないかという懸念を非常に強く持っておりまして、何らかの形でその是正をするよう、法律の実施だけではなくあらゆる手段を通じてその是正のために努力していきたいというふうに考えております。
○長田委員 前国会で私はこの下請企業の問題を質問しましたところ、その数日後、十一月十九日でありますけれども、通産大臣と公取委員長の連名をもちまして、親企業約六千社と百八十三の親企業団体に対して、不当な値引きなどしないよう申し入れをしてくださったわけであります。また当時の村田通産大臣は、十二月十六日には親企業団体を通産省に呼びまして、同様の趣旨のことを申し入れをされました。ところが、今中小企業庁からも御説明がありましたとおり、完全にこれが是正されておるかということになりますと、まだこの点は依然として残っておるわけですね。 私は、今度通産大臣が渡辺通産大臣になられましたけれども、この問題についてはぜひひとつ通産省としてもしっかり取り組んでいただきたい。この点は、通産大臣は予算委員会へ出られましたけれども、政務次官ひとつお答えをいただきたい。
○田原政府委員 長田先生のお話よくわかりましたので、一生懸命検討してまいります。
○長田委員 二月十九日の新聞によりますと、下請中小企業振興基準の改正のことが出ておりました。この問題に対する考え方を公正取引委員会から——通産省ですか。通産省からひとつお答えをいただきたいと思います。
○木下(博)政府委員 御質問の下請中小企業振興基準といいますのは、下請中小企業振興法に基づきましてつくっておりますものでございまして、これは下請代金支払遅延等防止法によるいわゆる取り締まりの法律ではございませんで、むしろ下請業者と親事業者との関係を適正なものにするための行政指導的な意味を持たせた法律でございます。 この下請振興基準が法律に基づいてつくられましたのが昭和四十六年でございまして、それ以降十五年を経過しておりますが、その間内容的には改正がなされておりません。ところが、最近の技術革新の動向あるいは情報化の進展ということによりまして、例えば情報化の進展では、コンピューターを使って注文が出される、支払いも場合によってはオンラインで行われるというふうな形での、取引の形態も変わってきております。それからまた国際化の進展によって親事業者が海外に進出する、その場合に下請事業者が一緒に行くかどうかというような問題も出てきておるわけでございます。したがいまして、そのような新しい情勢を踏まえまして、この下請振興基準を少し見直したらどうだろうかということを考えまして、中小企業近代化審議会においてつい最近審議を始めていただいた次第でございます。
○利部政府委員 ただいま中小企業庁長官からお答えになりました振興基準の問題は、公正取引委員会ではなくて中小企業庁の方の所管でございます。 ただ、ただいま長官が御説明になりましたコンピューターを用いた発注の問題とか決済の問題等につきましては、既に中小企業庁とも相談いたしまして、下請代金支払遅延等防止法の運用のガイドラインという形で公表して、そういう制度の導入によって下請事業者が不当な不利益を受けないようにという措置はとっております。そういう趣旨のことをさらに広く遵守されるように、実行されるように振興基準でおつくりになるというのは、私ども非常に結構なことだと思って、協力するつもりでございます。
○長田委員 以上で終わります。
○野田委員長 宮田早苗君。
○宮田委員 前者が若干の質問をしておいでになりました非鉄金属問題について最初に質問をさせていただきます。 産業の高度な進展に伴って非鉄金属の重要性がますます高まっておりますことは御承知のとおりです。にもかかわらず今日の非鉄金属産業は、危機というよりも崩壊の一歩だと言われるほどの大問題に当面しておるわけでございます。その上、今日の円高で、もう打撃もここまで来ますと、大変だということよりは、あらゆる問題に関係をしてくるのじゃないかというところまで言われておるわけでございまして、こういうときほど緊急対策を立てて即時実施をしていただかなければならないと思っておるところでございます。そうしなければ、我が国の経済はもちろんのことでございますが、地域経済、さらには雇用に重大な影響をもたらすのじゃないかと思っております。 そこで、第一番に質問をいたしますのは、窮地に陥っております国内鉱山の緊急事態、資源の経済安定保障上の立場から、現在円高対策として考えられております中小企業対象の緊急融資あるいはまた経営安定化融資、こういうのがつくられておりますが、これを超越したところの弾力的な運用が可能な特別緊急融資、すなわち一定期間据え置きによります超低利融資もしくは無利子融資をぜひともしていただきたいという考え方でございますが、この点についてひとつ御見解を承りたいと思います。
○小川政府委員 ただいま先生の御指摘ございましたように、非鉄鉱山、非鉄製錬は大変な苦境にあるわけでございまして、私どもこれに対処する緊急異例の措置として、先ほども御指摘ございましたような二つの柱、一つは金属鉱業経営安定化融資でございますし、もう一つは今般中小企業対策として御審議いただきました特定中小企業事業転換対策でございます。 実は先ほどの答弁でも申し上げたところでございますが、このうちの非鉄金属の経営安定化融資制度というのは、他の諸制度と違いまして平均金利でも三%、最初の一年半は一・一%という低金利——超低金利と言ってもよろしいかと思いますが、この制度ができたゆえんが五十三年の円高のときにできたということで、制度そのものは緊急異例の特別策だと考えておるところでございます。そして、この制度につきまして六十一年度に百二十五億の融資を可能ならしめる予算措置を講ずることで御審議願っておるわけでございますし、特定中小企業の事業転換対策と相まって、六十一年度何とかこれでどこまで乗り切れるかという構えでこれから乗り出そうとしておるところでございます。したがって、私どもといたしましては、これから乗り出す施策でございますので、この実効というものはどういうふうにあらわれていくかを見守りたい。 また、御指摘がございましたように、円高の事態は容易ならざる様相であることも事実でございます。その辺も一方では今後十分慎重に推移を見守っていくということで、今の施策で問題がないかどうか、絶えず十分チェックをしていくということで望みたいと考えております。
○宮田委員 もう一つは、国内鉱山の位置づけとか維持存続対策をしかるべき機関、この際、鉱業審議会等々があるわけでございますが、こういう機関を一日も早く開催をしていただいて、国内鉱山の体制確立を早急に実施していただきたいと思いますが、この点について考えがございましたらお知らせ願いたいと思います。
○小川政府委員 このような事態に対処する緊急措置としては、先ほどのような措置を六十一年度、これからスタートさせようということでございますし、また円高の推移も今後どういう軌跡をたどっていくであろうか、それに対する企業の対応がどういうことに展開するであろうか、まだまだ見きわめるべきところもいろいろございますので、私どもはしばらく慎重にこの施策で乗り切れるのか、問題があるのか、もう少し見きわめたいと思います。 ただ、そういう問題を検討する場としてどういう場がいいかという御質問の点でございますが、私どもその検討を開始する時点において、どういう受け皿がいいかということは十分検討したいと思います。しかし、五十三年度に鉱業審議会が動いたことも承知しておりますし、御指摘の点も私ども今後検討していく場合には十分念頭に置いてまいりたいと考えております。
○宮田委員 ただいまの答弁に対しましてもう少しお聞きしたいと思いますが、おっしゃることがわからぬことはないわけですけれども、業界はそんなに悠長にしておれないというのが今日の実態でございます。早くこの種の関係を総合的に検討してもらって、早くどうしたらよろしいかということを方針を出してもらいたいということですが、既に鉱業審議会なら鉱業審議会という機関があるわけでございますから、大体いつごろこれが開催されるものか、もしそれ以外の機関で何らかの検討がされるならばいつごろされるのかということを、もうちょっと具体的におっしゃっていただきたいと思いますが、どうですか。
○小川政府委員 繰り返しで恐縮でございますが、緊急異例の対策として先ほど申し上げた措置を六十一年度、これからスタートするという段階でございまして、まずその施策の実効を見た上で、また鉱業を取り巻く環境の今後の推移も見きわめた上で、施策について検討を要するかを判断するということでございますので、大変申しわけございませんが、今の時点でいつどういう場という点はお答えできない実情にございます。 しかしながら、先ほど申し上げましたように、どういう場かという中に鉱業審議会も一つの検討の中に置いて今後考えることはあり得るだろうと申し上げるのが、現状におきましては限度であろうかと存じます。
○宮田委員 これ以上質問してもあれと思いますが、業界の苦衷を十分察していただいて、この種の機関をできるだけ早く開いていただいて検討し、結論が出ましたならばできるだけ早急に実施をしていただきたいということを要望しておきます。 次に申し上げますのは、円高による差益、原油の値下がりによります電気料金の見直し「還元について、特に電力多消費産業への差益還元をぜひ実施していただきたいという意見が非常に強いわけでございます。 非鉄金属関係は年間使用電力量が約五十四億キロワットというふうに言われておりまして、一キロワット当たり二円の還元をすると仮定いたしますと百億円以上となる、こういう計算が出ておるようでございまして、これだけで国内の非鉄金属産業の活性化にはかり知れないほどの効果を持つ。こういういいところがあるわけでございますから、この辺については、検討していただいておりますが、何か見解がございましたらお知らせ願いたいと思います。
○小川政府委員 非鉄金属産業が大変電力多消費産業でございますことは御指摘のとおりでございます。ただ、電気料金の体系は原価主義あるいは需要家間の公平という見地から組み立てておるものですから、非常に残念ながら、特定の政策目的という格好で割り引くことはできないということになっております。 ただ、実際問題といたしましては、非鉄金属のような業種の場合には需給調整契約制度というものがございまして、夜間だとか休日だとかにはなるべく電気を他より多く使う、そして平日の昼間のような、ほかが多く使うときには逆に少なく使うというようなことで、電力側のコスト軽減に役立つような電気の使い方をする者には見返りとして割引料金が適用される、こういう制度は原価主義のもとでも確立しておりまして、実はこの非鉄金属産業はその活用余地が大いにあるということから、従来からかなり利用してきております。 この業界にもっと何かできないかという点でございますけれども、この需給調整契約という枠組みの中でなるべく活用できるように今までもいろいろな工夫をしてまいりましたが、それで終わりということでなくて、今後もさらにその工夫を凝らすということで、使い方によって非鉄金属産業が少しでも安い電気コストヘ進むことも考えてまいりたいと思っております。 それに、全体として電力の差益還元問題につきましては、大臣からたびたび御答弁がありますように、有識者、関係審議会の意見を聞きながらいろいろな具体的な方策、還元のあり方を今後検討していくことにいたしたいと考えております。
○宮田委員 こういう不況に追い込まれてがけっ縁に立たされると、この産業は今日までずっと義務づけられております休廃止鉱山の坑廃水処理問題についても何らかの対処をしていただかなければならぬという切実な声が出てまいるのもまた当然なことでございます。これは半永久的に義務づけられておるわけでございまして、この関係は他の産業には見られない特殊な事情を包含しておるわけでございます。そのために当局も、昭和五十三年には融資制度、あるいは五十六年には補助金制度ということでいろいろ配慮はしていただいてはおりますものの、根本的な施策としては処理義務者に課せられるということになっております。しかも、これは半永久的な義務ということになっておりまして、どこまで続くかということになると非常に難しい問題だと思います。 それで、できるならばこの処理義務を一定期間に限定していただいて、その後は国策か何かでやっていただくという措置をとってほしいという期待、要望が非常に強いわけでございますが、この点についてお考えがあれば、また、できるならば検討していただきたいと思いますが、その点どうですか。
○黒田(明)政府委員 宮田委員が御質問の点につきましては、御指摘のように五十五年に鉱業審議会においてこの議論が行われたわけでございますが、そこでも、休廃止後においてもそこから生じます坑廃水による鉱害の防止あるいは環境保全のためには、この原因者であります鉱業権者に処理を継続させることもやむを得ないという結論になっている次第でございます。 そこで、期間、期限をつけることができないかという点でございますけれども、原因行為者が一体いつまで責任を果たせばいいのかということについては、原因者負担の原則との関係において非常に困難な問題があるわけでございまして、私どもとしてはこれは非常に慎重に考えなければならないというふうに考えております。 ただ、今これも宮田委員が御指摘になられましたように、休廃止鉱山の坑廃水に関しましては一定の補助金、特に自然汚染分とか他者汚染分については補助金を交付いたしておりますし、またそうでないケースについても金属鉱業事業団による融資制度なども用意しておりまして、こういったことで困難な状況に置かれております金属鉱山に対しては、それなりの配慮をしているというふうに考えております。 なお、長期的な問題といたしましては、この坑廃水処理のコストをできるだけ引き下げることが重要であると考えておりまして、そのための技術開発も金属鉱業事業団において行っているところでございます。
○宮田委員 次に、不況業種の指定についてお伺いいたします。 円高によって不況が急速に進行しております非鉄金属産業に関連いたします業種のうちで、銅の一次製錬・精製、さらに鉛、亜鉛の一次製錬・精製を、適用拡大して置かれておる状況から不況業種にぜひ指定していただきたいということが一つでございます。 それから、これは大臣がお見えになったらお聞きいたしますが、次官もここにお見えになりますのでちょっとだけ見解を聞いておきたいのは、この不況の最大の原因は円が極端に高くなってきたということでございましょう。しかし今度の円高と申しますのは多分に人為的な政策によってつくられたものでございますだけに、政策のとり方いかんによっては戻すことができるのじゃないかと思うのです。百七十円台を二百円台なら二百円台に戻すような方策をぜひとっていただきたいと思いますが、そういう点について何か見解がございましたらお聞かせ願いたいと思います。
○田原政府委員 お説のように、G5の結果起こったものであるとは考えられますが、それがずっと引き続いてきておって、どんどん下がっておって問題を起こしておりますけれども、これがどのくらいがいいかとか、どうするかというのは今やる時期ではないだろうし、この為替レートについては、輸出、輸入業者は全く反対の立場にあるわけですから、要するに急激な変動は望ましくないわけでありまして、徐々に安定していく政策をとるべきでありますので、今までに起きたそういうやや急激な感じのする変化に対しましては、新しい法律案を提出するなどして政府としても一生懸命その対策を立てているわけであります。それによって一応急場はしのげるし、また、なだらかな政策が打たれていくものと私は考えておりますので、通産省といたしましては、先生の御趣旨はよくわかりますが、現在のやり方を慎重に着実に進めていくことで解決するものと考えております。 〔委員長退席、佐藤(信)委員長代理着席〕
○木下(博)政府委員 御質問の不況業種の指定ということは、先週成立いたしました特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の対象になるかどうかという御質問であるとすれば、それについてちょっとお答え申し上げたいと思います。 本日の閣議で施行令が定められたわけでございます。業種の指定に関する基準がそれによって決まったわけでございまして、業種の指定は来週にも作業を終えたいということで現在進めておる次第でございますが、この法律は二十五日から一応施行するつもりにしております。 それで、今御指摘の業種がその対象となるかどうかにつきましては、二つの見地から見る必要があろうかと思います。鉱山関係でも、輸入が円高等によって急増する業種ということになりますと、いわゆるほかの輸入急増業種と同じような扱いがなされることになろうと思います。例えば珪砂の鉱山等は、輸入がふえるということでそういう問題があるのではないかという御指摘をいただいておるわけでございますが、そういうような対象として一応考え得るんではないかと考えられます。 それから非鉄金属の関係でございますと、業種指定というよりもむしろ法律の九条一項三号の「政令で定める事態」ということで、具体的に個別の業種ごとに、そういう事態が起こっているときにはそういう業種を緊急経営安定対策の対象とすることができるという規定がございまして、その規定の基準の一つといたしまして、「その事業の目的物たる物品について、その販売価格が当該物品を原材料とする物品の価格に準拠して定められ、かつ、その価格が国際的な商慣習に基づいて外国通貨表示で定められる国際価格に準拠して定められるものであるため、その需要が減少し、又は減少する見通しがあること。」という基準を一つ考えておるわけでございます。ここは私どもとしては、非鉄金属のようなロンドンの相場に比例してそのまま日本の相場が決まっていくというようなものを一応対象として考えておるわけでございますので、御指摘のような業種について、個々の企業につき問題が生ずれば、この基準に照らして対処をしていきたいというふうに考えております。
○宮田委員 次に、経済運営問題についてお聞きをいたします。 まず貿易摩擦問題との関係についてでございますが、我が国経済は内需拡大をぜひともやらなければならないわけでございます。そこでまず第一点は、政府の経済見通しの内需四・二%の拡大は果たして達成可能かどうか、これを疑問視する専門家も多いわけでございますが、経企庁といたしまして、その裏づけも含めて見解を承りたい、こう思います。
○宮本政府委員 お答えいたします。 先生の御質問は四・二%ということで今年度の経済見通し、実績見込みだと思いますが、現在の我が国経済の情勢を見ますと、確かに鉱工業生産は輸出が頭打ちになっているということもございまして、このところ一進一退という状態になっておりますけれども、最終需要の各項目の動きを見てみますと、設備投資は総じて着実に増加いたしておりますし、個人消費等その他の国内需要も緩やかに増加するなど、もちろん景気動向にはいろいろばらつきはあるわけでございますけれども、景気を全体として見ますと緩やかな拡大を続けているという現状かと思います。 もう少し詳しく個人消費、住宅投資、設備投資等の動きを見てみますと、個人消費は最近百貨店販売ですとかセルフ店、大型小売店の販売等が底がたく推移しておりますし、そのほか特に旅行などのレジャー関連支出も好調に推移しております。そういったことから、緩やかながら着実に増加が続いていると考えております。 住宅投資につきましては、基調として特に民間の貸し家等がかなり持ち直しておりまして、そのほか去年の十月十五日、さらには十二月二十八日、予算編成時に打ち出しました内需拡大策の効果も期待できるということから、全体として緩やかながら増加するものと見込んでおります。 設備投資でございますが、非製造業が好調に推移いたしております。そのほか研究開発投資も活発でございまして、総じて着実に増加するという見通してございます。 こういった動きから見まして、今年度の実績見込み四・二%でございますが、これは達成されるものと考えております。
○宮田委員 大臣お見えになりましたので、今からまず先般の所信に対しますところの質問をいたします。 戦後我が国経済は幾多の困難に逢着しながらも世界に類例のない発展を遂げて、今日は世界経済の重要な位置を占めておることは御承知のとおりであります。しかしながら、我が国経済をめぐる内外環境はまことに厳しいものがございまして、我が国の政策のかじ取りいかんが世界を動かすと言えば大げさでございますけれども、世界の皆さんから注視をされておる、こういう認識に立って御質問いたします。 まず、通産大臣に就任されて貿易摩擦問題に心痛され、その解決策を見出すべく大変な努力をされております姿勢に敬意を表する次第ですが、最初にお聞きいたしますのは、先般開かれました四極通商会議等に出席されて、米、欧等の対日要求に対しまして基本的にどのように感じられ、どう対応すべきとお考えかを、率直に、感想で結構でございますからお述べ願いたいと思います。
○渡辺国務大臣 貿易摩擦には、一つは日本の市場開放が不十分である、まだ国産品愛用運動をやっているんじゃないかというくらいの誤解もないわけではありません。したがいまして、不十分だと言われておるようなものについては我々は七月のアクションプログラムを発表いたしたわけであって、門戸の開放、関税の引き下げ、認証手続の緩和、そういうことを全部、発表したものは徹底させてやります。これが大事なことだと思います。 それからその次は、知らないで文句を言っているのもあるんですね。まだ国産品愛用運動をやっているのじゃないか、そんなこと全くない。世界じゅうの総理大臣で、外国品を買いましょうなんてテレビヘ向かって言う人はどこにありますか。今から二十年前だったら、日本だって頭おかしいんじゃないかと言われるような話ですよ。しかし、世の中ががらっと変わって、総理大臣が率先してやらなければならないほど実は政府としては痛感をして輸入の促進はやっております。我々通産省もいろいろなことをやっております。誤解は解いてください。それから中小企業の今度の法案の問題等につきましても、簡単に言えば、何か日本列島株式会社で一緒になって、円高になって中小企業が弱ったから注射を打って盛り上げでまた襲いかかってくるのじゃないかというような印象を持った方があるわけですよ。そういうのは誤解でありますから、そういう誤解を解くための努力をしてきたわけであります。 もう一つは、我々がちゃんと開放をしても、あなた方が日本に対する輸出の努力をしてくれなければだめですよ、幾らやったって。アメリカで売れるから日本でも売れる、ヨーロッパで売れるから日本でも売れる、そうはいかないんですよ。だから、もっと徹底した市場の調査を行ったり、輸出の努力について日本人に合うようなものを開発したり、もっと勉強してもらって、それもおやりくださいというようなことなど、その他たくさんありますが、大体そういうようなことなどで率直に話し合いをしてきたわけであります。
○宮田委員 大臣おっしゃるように、あらゆる市場開放策をおとりになっておるということは承知しておるわけでございますが、一向にその効果があらわれてこないというところに諸外国のいら立ちがあるのじゃないかと思います。 そこで、とられた開放策そのものに何らかのそごといいますか欠陥があるのじゃないかと思いますが、そういう面についてお感じになっておることがありましたらお聞かせ願いたいということと、これは関連いたしますが、昨年の七月でございますか、アクションプログラムなるものが出されたわけでございまして、あれをそのまま見てまいりますと、全国一千カ所の即売会ですか、あるいはまた輸入業者との勉強会、さらには展示会何カ所かということで、相当な具体的な計画までされておりますが、一向にその効果が出てこぬのではないかというふうに一般的には見られておるわけでございますから、やはりさらに効果をあらわさせるために、第二弾、第三弾ということで次々に打ち出していかないことには、一片の計画だけではなかなか思うようにならぬのじゃないかと思います。そういう点について、何か二弾、三弾の構えがあればひとつ出していただきたい、こう思います。
○渡辺国務大臣 今のところ二弾、三弾は考えておりません。問題は、アクションプログラムを末端まで徹底さして実行する、まずこれを実行する。確かに先生がおっしゃったように、それはやったやったと言いながらだんだんだんだんと黒字がふえているのじゃないか、一体どういうわけなんだ、こうおっしゃいますから、それは去年の七月に発表いたしましても、日本にも議会があるのですよ。政府が決めたから法律でも何でも議会を通過しないで全部成立、そういうわけにいかないのです。秋に臨時国会を開いて、十二月の末までかかって法案を通したのです。関税の引き下げなども二つに分けまして、一月一日からのものと四月一日から実施するものと、まだ来ないわけですが、これは分けてあるんです。認証手続等も法案が通らなければできないわけですから、やっと通ったばかりで、これから一つ一つ実行するということになっておるんだ。だからそれは手間がかかる。あなたのところだって議会がある、うちの方だって議会があるのだから、それはある程度時間がかかりますよということを一つ申し上げたわけであります。 この円高の問題にしても、円高になってもいわゆるJカーブ現象で早いうちはむしろ輸出がふえるというような現象が出ることは皆さん御承知ですから、そういうような現象も出ておって、今日本の輸出が少なくなるとかなんとかということは統計上出てない。しかしながらこれは八カ月かかるか一年かかるかもっとかかるか知りませんが、じわじわと貿易に影響を及ぼしてくるということは間違いないと思います。だからもう少し注意深く見守ってくださいということと、輸出努力をしてくださいということを強く言ったわけであります。
○宮田委員 貿易摩擦の一番大きな対象はアメリカでございますが、結果の発表を見てまいりますと、やはり鎮静化の方向にはないように見受けられます。そうしますと、アメリカでは保護貿易というものがますます顕在化してくるのじゃないかと思うわけでございます。かてて加えて、ことしの終わりには中間選挙等々ございますので、こういう選挙がございますとますますこの辺が強くなりまして、にっちもさっちもいかぬことにならぬかというふうに思いますが、この辺について、大臣、御所見はどうですか。
○渡辺国務大臣 選挙気構えになりますと、どこの国でも同じで、それは議員の声は大きくなるのですよ。我が国だって似たようなところがたくさんあると私は思います。しかしながら、日本をよく知らないで騒いでいる人もあります。したがって私は、この間議員の方々のおいでになったとき、通産省へ来ますからね。私は聞くだけのことは全部聞きますが、しかしそう短気を起こさないでください。今、前に言ったようなことも申し上げまして、短気を起こしてそういうふうな保護主義立法をどんどん成立させる、そういうようなことをやれば、それは日本も困るけれどもあなた方の方だって困る問題が起きるのですからというようなことを話してあります。 これにつきましては、政府だけが対応するのではなくて、民間も、日本の国会議員もアメリカへどんどん行って、それぞれの地区を手分けして回って、それで理解をしてもらうという努力は必要である。したがって、この間も二階堂ミッションなどというのはその一翼を担って行ってきたわけでありますから、やはり保護立法が成立しないように頼んで歩く。 それからもう一つは、保護立法が仮に成立しても、大統領が拒否権発動をして抑えることができます。そのときに、三分の二以上の議員がまたその大統領の拒否権に反対したのでは、これはだめになっちゃいますからね。やはり議会の賛同を得る工作——工作と言うと語弊があるかもしらぬけれども、まあ工作でしょうな。説得工作ですね。そういうこともいろいろな形で続けて今後もやってまいりたい、そう思っております。
○宮田委員 乗用車の対米輸出規制の問題について、来年度も継続する方針という報道がなされたわけでございますが、本当かどうかですね。本当なら自主規制を継続することにした背景、それから理由、方法ですね、さらには規制期間、これについてお伺いしたいということと、もう一つは、この問題についてアメリカの国内でも、ユーザーとかあるいはディーラー、メーカー、議会、政府、それぞれが考え方が同じじゃない、これは仄聞ですけれどもこう聞いておるわけでございますが、こういうことについて何かありましたらお聞かせ願いたい、こう思います。
○渡辺国務大臣 自主規制を一年自動延長することに決定いたしました。したがって、六十年度と全く同じ方法で同じ中身であります。したがって、各社別のシェアその他一切動かしません。ことしと全く同じ方法で六十一年度もやろう、六十年度と全く同じ方法ということで、これは一年限りの措置というのが結論でございます。 今お話しがあったように、ディーラー、ユーザー、議会、政府間でみんないろいろな意見があって、必ずしもまとまっていないのじゃないか、これも全く宮田先生御指摘のとおりでございます。殊に昨年は自主規制をやって、喜ばれると思ってやったところが文句を言われたりいたしまして混乱をしたわけですが、そういうことがあっては困るというふうにも考えておったのです。 そこで問題は、理屈を言えば、それはアメリカの消費者が安くていいものが欲しい、日本車が欲しい、自由貿易なのですからどんどん売って何ら差し支えないのですね。これはもう理屈は全くそのとおりで、大統領府が去年声明したことは正論だと私は思っております。しかし一方、自主規制は全くないかといえば、鉄鋼でも自主規制をやっております。繊維でも自主規制交渉をやっておる。しかしその背景が違うじゃないか、アメリカの鉄鋼は困っているのだけれども、アメリカの自動車会社は今もうかっているのだし、だから値段が上がることは困るんだから安い車どんどん来てはらまけという理屈があるのも、これも事実でございます。ところが一方、議会の方は有力議員が日本まで参りまして、自動車の自主規制延長をぜひともやってくれという要望書を政府に持ってくるというようなこともやっておるわけであります。そこでもう一つは、貿易の黒字をこれ以上増大されてはたまったものじゃない、もっとどんどん品物をアメリカから買って均衡あるようにしてくれ、これはもう議会も政府も皆一致しておるわけですね。 そういう背景を考えますと、何をやっても、輸出額がどんとふえればどんな立派なことを言っても結局貿易摩擦は激化するのですね、実際は。そこで、自主規制を外すのが筋だが、外せばどうかといって、これもいろいろあっちこっちみんな手分けしまして内々聞いてみた。やはり五十億ドルから場合によったら六十億ドルぐらい自動車だけで輸出がふえるのじゃないか、大体五十万台ぐらいはふえるだろうというのが、これまた大体十人中九人ぐらいまではそういう意見ですよ、関係者の意見を聞いても。 そういうことを考えると、これは経済的側面だけで判断するというわけにもなかなかいかぬ、政治的な背景も考えなければならぬ。議会の顔を逆なでするようなこともいかがなものか。そういう背景をいろいろ総合勘案いたしました結果、今言ったような自動的な一年延長という決定を下したというのが真相でございます。
○宮田委員 自主規制の問題についてちょっとお伺いしておきたいのは、乗用車、鉄鋼等個別品目について特定の国に対しまして自主規制を続けていくことが、ガットとの関係をどのように考えておいでになるかということです。
○黒田(真)政府委員 ガットの関係でありますけれども、ガットの中には確かに輸入を制限してはいけないとか、あるいは輸出を制限をしてはいけないというような規定も存在しているわけでございますけれども、現実には、先ほど来ございましたように、日本の側で輸出の自主規制を行うというようなものは、相手国でのより厳しい措置を回避するということによって、ひいてはガットの精神でもある自由貿易体制を維持するためだということでございまして、実際問題としては、その相手国である輸入国側としてはそれを実は望んでいる、あるいはそのことについて文句を言わないというような関係にあるわけでございまして、ガット上の問題が我が国の措置について生ずるということはまずないというふうに考えております。
○宮田委員 大臣は所信の中で、新ラウンドの推進にとって本年は重要な年であるとして、その進展に向かって積極的なリーダーシップを発揮していきたい、こうおっしゃっておりますが、今後具体的にどのように進めていかれるものか、お考えがありましたら明らかにしていただきたい、こう思います。
○渡辺国務大臣 やはり世界にぼつぼつあらわれておる保護主義的風潮、これはもうどうしても抑えていかなければならぬ。したがって、新ラウンドをどうしても開いてもっと多数の国に参加してもらって、自由貿易がむしろ広がるようにしていきたい、そういう考えで、また日本でもその際はどういうようなことについてその議題にしてもらうかというようなことなどもいろいろございますが、話が長くなりますから省略いたしますけれども、基本的にはそういう考えで話し合ったということであります。 委細については黒田局長から説明をいたさせます。
○黒田(真)政府委員 ただいま大臣から御答弁いたしましたように、ニューラウンドの推進ということは今後自由貿易体制を守っていくという過程で最も大切な仕事だというふうに考えております。具体的にどういう問題があるかという点では、やはり発展途上国の一部に新ラウンドの推進に関してやや疑念があるようでございまして、それらをある程度振り切っていったらどうだというような意見もありますが、私どもといたしましては、できるだけこういった関係国を広く広げて、お互いに問題を解決していくということが一番大切ではないか、そういう中で日本が積極的に役割を果たすということをいつも考えていく必要がある、かように考えているところでございます。
○宮田委員 貿易摩擦対処策として対外直接投資によります現地生産化を図るべきだ、こういう考え方が出されております。既に実施されておりますが、この点は十分理解はできるわけです。しかし、将来、生産地が違うだけで製品自体はやはり日の丸製品ということになるわけでございますが、現地産業がその影響を受ける、これは変わりないわけでございます。 他方、我が国経済の空洞化と雇用への影響を懸念する声もまた逆に強くなるわけでございますが、これらの問題についてどのようにお考えになっておるか所見を伺いたいと思います。
○渡辺国務大臣 これは日本でどんどん輸出をする、いい物ができて輸出をすることはある程度必要なことではございますが、やはりそのために例えばアメリカの企業がみんなだめになっていくというようなことは、そこで失業者がいっぱい出るということでは、どんな立派なことを言っても自分が悪いからとは言わぬのですな。ですから、アメリカなどに日本の企業が出ていって、アメリカで必要なものはアメリカでつくってやるということになれば、それは失業者は出ないのですよ。今まで自転車工業がだめになった、オートバイがだめになった、白黒テレビがだめになった、今のままでいくとあと五年たったらカラーテレビも本来のアメリカ企業では恐らく生産をみんなやめるのではないかとさえ実際は言われている。例えば日本がそういう状況になったら大騒ぎになりますね。当然に騒ぎになるのですよ。だから、日本企業が行ってアメリカ人のもとに、こちらはトップか何か行っているか知らぬが、大部分、九割以上、九割五分とかアメリカの労働者で、アメリカ市場の中で、アメリカの中で生産して場合によっては外国へも売ってやるということにすれば、それは輸出だけで赤字がうんと増大するというのは少し避けることができて失業者もアメリカでそんなにふえない、そういうことはいいことではないかということなんです。 ところが、これがどんどん輸出するものがなくなって、日本企業がみんな現地生産で逆に日本に売り込んでくるということになったら、こっちが失業が出ちゃうじゃないか、それは先生御指摘のとおりなんですね。ですから、それは将来の問題としてそういう問題が起きないように、もっと高付加価値なものを国内でつくるとか、それから労働時間を短縮するとか、いろいろそこは対応策を考えてやる必要がある。一方的にふやしたら第二のアメリカになっちゃいますから、第二のアメリカにならないようにしなければならない、そう思っておるわけです。
○宮田委員 我が国の産業の貿易志向、大変強いわけでございまして、それは国内市場競争が激しいということだと思います。それだけに利益率が低い、勢い量産志向に走りまして、全体としての利益確保を図るためにどうしても輸出をしなければならぬ、こういう繰り返したと思います。 そこで、今後は生産量、売上高の大きさを誇るということでなしに、経営内容のよさを誇ります企業行動がもっと求められてしかるべきではないかと思いますので、通産省の方、さらには公取委の方の御見解がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
○松尾(邦)政府委員 先生御指摘のように、我が国企業の一部の産業分野では、国内の競争相手となる企業を頭に置きまして、当面の利益率は低くしてもシェアの拡大を志向するという傾向があるということは御指摘のとおりだろうと存じます。ただ、企業の間の競争というのは我が国経済がこれまで発展を遂げてまいりました源泉でもあるわけでございます。しかし、おっしゃいますように、行き過ぎた競争が世界経済で展開される場合には、対外経済摩擦を増幅する面があることも御指摘のとおりでございます。 私どもといたしましては、企業においても経済の国際化、相手国経済との協調等の観点を踏まえまして、新しい時代に対応した適切な行動を企業がとるように期待いたしたいと思っておりますけれども、先般中間報告を取りまとめました産構審の「二十一世紀産業社会の基本構想」の中におきましても、このような意味におきまして、政府の政策の方向もさることながら、民間企業におきましても新たな時代に対応した経営方針を、ただいま申し上げたような趣旨で確立していくことが必要である、いわば企業も国際的視点に立った社会的責任が問われている旨指摘されておりますので、そのような方向で企業の指導に当たってまいりたいと考えております。
○厚谷政府委員 独占禁止法は、先生御案内のとおり、市場における公正かつ自由な競争を維持促進することを目的としておるものでございます。このことは、投資等その他企業行動におきまして自己責任の原則を徹底するという考え方を貫いておるわけでございまして、私どもはこの自己責任の原則に従って企業行動が行われるということが望ましいと思っております。したがいまして、このような独占禁止法の精神に基づきまして経営を進めあという基本的な行動が行われますならば、我が国の産業構造は適切な方向に向かうというふうに考えておるところでございます。
○宮田委員 貿易黒字は未曾有のものを出しておりながら国の財政は危機状態、輸出企業のサラリーマンを含めて勤労者は実質所得はほとんど伸びておりません。住宅を取得したくとも土地が高過ぎて手が出ない。最近では若中年層に持ち家をあきらめるというような傾向も見られておるようでございまして、私ども民社党といたしましては、大幅な所得・住民税の減税、こういうのを提唱いたしましたが、政府にこれを受け入れてもらえない、こういうことなんです。 その上、これからの春闘といいますか賃上げを控えて、政府みずからが六十一年度の一人当たり雇用所得は対前年度比三・九%で昨年度より低くなるとされておるわけでございまして、政府みずからがこの賃上げ相場づくりの足を引っ張るといいますか、こういうような傾向に見えるわけでございます。日本経済は重大な局面に直面しております折だけに、経済政策に責任を持つべき経済企画庁としていかがなものかというふうに疑問を感じるわけでございます。もちろん賃金は使用者、労働者の間の交渉によって決まるべきである、これは当然のことでございますが、政府といたしまして、我が国経済の状況、対外的に果たすべき課題の解決のために、賃上げについて高目に期待しているような意思表明ぐらいできないか、こういう考え方なんです。この点について経企庁長官の見解を承りたいということと、同時に、今後経営者側と会ってその旨要請する考え方があるかどうかということもちょっと開いておきたいということであります。 また、産業界を所管されます通産大臣としても、同様に、これまで国策について理解を求めてきた例に倣って、本問題についても産業界に対して要請をする考え方はないかどうか、こういう点についてであります。 もう一つ最後にお聞きいたしますが、今非常に苦境に立たされた中小企業、非鉄産業等々があるわけでございますが、これの解決の一番近道は、余りにも高過ぎる円高を逆に戻すということじゃないかと思うのです。大蔵大臣の経験もあります通産大臣、この円高というのが多分に人為的なもので醸成されたという原因がございますだけに、やはり大臣の努力次第によっては、これは二百円くらいに戻るのじゃないかというふうに思いますが、そういうお考えについて何かありましたらお聞かせ願いたいと思います。 以上です。
○平泉国務大臣 賃金の問題でございますが、これはもうただいま先生御自身おっしゃいましたとおり、労使双方の交渉のマターでございます。ただ、私どもといたしましては、もちろん雇用者所得が増大するということは、非常に国民経済、国民所得の増大の中心でございますから、大変私どもは関心を持っております。 生産性の上昇の率が正しく賃金上昇に反映をされるように、また同時に労働時間の短縮の方にも適当に分配されるようにということは、私ども経済審議会の昨年年末のリボルビング報告でも、グラフもつけまして、十分その点は周知をお願いしておるところでございますし、政府としましても、このリボルビング報告につきましては閣議了解をいたしておる次第でございます。 したがって、我々としてもそれぞれ関係の省庁等を通じまして、十分この趣旨が関係者に周知され、それが反映されるということを期待をいたしておるわけでございます。
○渡辺国務大臣 賃上げの問題につきましては、今企画庁長官が言ったことに尽きると思っております。個々の企業、みんな千差万別でございますからね。もう生産性を超えて上げろなんていうことは言えるわけがない。つぶれたときは、それじゃ通産大臣、補償してくれるかという話にまでなってしまいますから、そういうことを言ったら。だからそれは言えないわけです。やはり労使間でやっていただきたい、そういうことであります。 それから、人為的につくられた円高なんだから、もとへ、二百円に戻せ。これも私は言えませんよ、これは。そんなこと言ったら首になってしまう。これは大騒ぎになってしまいますよ。しかし、乱高下というのは、これは一番困るわけです。急激な円高ということで参っておるわけですから。これ以上に円高が進んではやっていけない、そんな急にやられたのではというようなことなどで、アメリカでもドルの急落は困ると言っている有力者がいるわけですから。いや、そんなことない、もう少し安くてもいいという人もおりまして、政府と向こうの連銀との間で意見が違ったという話を新聞で見ましたが、うそか本当か知りませんが、大体そうなんでしょう。それがけさのニュースでは大体意見が一致したとか、こう言っていますからね。どっちがどっちに一致したのか知らぬけれども、余りドル急落は困るということで、どうも。一致したらしい。ということになれば、やはり日銀なども話し合いがしやすい。よく連絡提携をして、余り極端なことはお互いに困るわけですから、そこは機動的、弾力的にやってもらいたいということは、けさもちょっと言いましたよ。 以上であります。
○宮田委員 じゃ終わります。ありがとうございました。
○佐藤(信)委員長代理 野間友一君。
○野間委員 資料を差し上げておりますので、ぜひごらんをいただきたいと思います。 まず写真、これはネガがまだ届きませんので、コピーで大変失礼ですが、この二枚の写真をコピーしたものを通産大臣もぜひひとつごらんいただきたいと思うのです。 これは大阪府下のある公団住宅の壁面であります。この外に枠が組んでありますのは、補修に先立って亀裂に、樹脂を詰め込んだところであります。これは築年、つくられて十四年から十八年、これは順次つくっております。当時の公団住宅の建物であります。一枚目の右の上下二枚、それから二枚目のこの写真もごらんいただきたいと思います。これはまさに亀甲状あるいは地図状というふうに言われております典型的なアルカリ骨材反応の症状であります。もともとコンクリートの半永久化については神話がありました。しかしこれが見事に音を立てて瓦解したというのが昨今の現状であります。その現況がコンクリートのがんと言われるアル骨反応のこの姿であります。 最初に建設省にお伺いしたいのは、このアルカリ骨材反応の化学的なメカニズムは一体どうなっておるのか。特にセメント中のアルカリと骨材中のシリカが反応して新しい珪酸ソーダができるわけですけれども、セメント中のアルカリの含有量、これとの関係を中心に、簡単で結構ですから御説明をいただきたいと思います。
○豊田説明員 お答えいたします。 コンクリートのひび割れといたしましてはいろいろな原因があるわけでございまして、その中のアルカリ骨材反応というのもその一つになるわけであります。アルカリ骨材反応と申しますのは、骨材中に含まれます非品質のシリカ成分がセメント中のアルカリ分とそれから水分と反応して、骨材に珪酸ソーダ、俗に水ガラスと言われておるものでありますが、これを生成いたしまして、これが周囲からの水分を吸収して膨張しようとする現象であります。したがいまして、セメント中のアルカリ分というものと骨材中のシリカ分という相関関係によってアルカリ骨材反応が起こるものというふうに考えております。
○野間委員 私は素人ですからよくわからないわけですけれども、そのようなことのようですね。特にコンクリートというのは引っ張る力には弱いのですね。そのコンクリートの中で、今メカニズムの説明がありましたけれども、反応を起こしてそれが膨張して、そして外へどんどん出てくる。外の症状が今お見せした写真の、こういう亀甲状や地図状のもの、これが特徴であります。 ここの団地に行って私も実はいろいろ聞き取りをしたわけであります。ここで聞いてびっくりしたのは、建てた直後に入った、建てた間なしに入った住民でありますけれども、この壁面のクラック、これは内部にまで及ぶというから、内部からずっと出ておりますから、雨が降りますと、ぐうっと中に入ってくるわけですね。そしてしみ込んで布団がとにかくだめになる。四階でお湯を過って流したのが二階まですとんと熱いまま落ちてくる、側面を伝って。これは公団住宅で今でも一年ないしは数年に一度樹脂を詰め込んで上からまた塗装をするわけですけれども、何回やったってこれは直らないわけですね。これは施工上やあるいは設計上のミスのようないわゆる単純なひび割れと全く違う、こういう特徴を持ったものであります。 今建設省の方からも話がありましたけれども、セメントの中のアルカリ、これと骨材のシリカが反応してこういう症状を起こす、こういうことになっておるわけでありますが、これは昭和三十年代の後半からの経済成長、あの中で症状がうんと出てきたわけでありますが、建設省は被害の調査をずっとしておりますが、去年の三月の時点で、ことしじゅうに全部終了するんだということを国会で我が党の田中美智子議員に対して答弁をしております。後で報告書はいただくとして、その調査の概要について簡単に、簡潔にまずお答えいただきたいと思うのです。
○豊田説明員 アルカリ骨材反応につきましては、従来我が国では発生しないというのが定説になっておったわけでありますが、昭和五十八年度に至りまして関西方面におきまして初めてその反応の発生が確認されたわけでございます。その後調査いたしました関西方面におきまして、橋梁の橋脚等にアルカリ骨材反応によるひび割れが発生しているということが判明しております。
○野間委員 後でまた資料、報告書をいただきたいと思います。 そこで通産省にお伺いするわけですが、このセメント中のアルカリの量、これは国際的な規制の基準は一体どうなっておるのか、ひとつお答えいただきたいと思います。
○浜岡政府委員 ただいま建設省からも御説明がございましたように、まさにアルカリ骨材反応は骨材の中のシリカとセメントの中のアルカリ、この二つの要素の相関関係の中で生まれてくる問題だと私どもも承知いたしております。 セメントの規格を国際的に見渡してみますと、アルカリの成分につきまして一般的に規定をしておる国はないようでございます。ただ選択的な規定といたしまして、アルカリ骨材反応に特に対応する必要がある場合にはというような形の規定を設けている国はかなりたくさんあるわけでございます。(野間委員「幾らになっていますか」と呼ぶ)〇・六%と承知いたしております。
○野間委員 そうなんですね。量は〇・六、これを上回るとこういう反応が起こるというのは国際的にもまた国内でも定説になっております。 そこで聞きたいのは、セメントにはJISの規格がありますけれども、アルカリ量についての規制、これは一体あるのかないのか。同時に国内のセメントのメーカー、たくさんつくっておりますが、具体的にアルカリ量は、今〇・六という話がありましたが、一体どういう状況か説明をしていただきたいと思うのです。
○浜岡政府委員 この問題が表面化いたしまして以来、通産省の中でも規格化の問題、あるいは低アルカリセメントの供給の問題、あるいは骨材の試験の問題等、幾つかの角度からこの問題の検討を進めてきておるわけでございます。 〔佐藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕 お話のございましたJISの問題につきましては、ことしの二月にようやくJIS規格を定めたわけでございます。このJIS規格につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、国際的な横並びをにらみまして、骨材反応等に対応するために必要な場合という状況を想定をいたしまして、低アルカリセメントという規格を設けまして全アルカリ量を〇・六%以下というぐあいに別定をいたしておるわけでございます。
○野間委員 ちょっと質問の趣旨に答えてないのですけれども、今セメントノーカーのつくる、現実に使っておるものですね、これはアルカリ量はどうなっておりますか。幾らぐらいですか。
○浜岡政府委員 私が現在手元に持っております数値は、昭和三十年以降の推移がございます。ごく最近の状況を眺めてみますと、五十七年度、八年度、九年度あたりで、平均値で〇・七二ないし七三でございます。
○野間委員 セメントの平均値というのは全く何の意味もないわけでしょう。数多くのメーカーがあって、それがつくるものをブレンドするわけじゃない。それぞれの工場のつくったものを工小に使うわけですね。その平均値にしても、今五十七年度が〇・七二、こう言われました。こんな数字、しかも通産省は全くこれは調べてない。セメント協会から聞き取りしただけの話なんですね、大臣。 そこで私は、この一枚物の表ですけれども、これをお持ちしました。これをぜひ見ていただきたいと思うのです。 これは東京大学の生産技術研究所の所報であります「生産研究」、ことしの二月号の中に出ております。これを見ますと、この真ん中の表を見ていただきたいと思います。棒グラフになっておりますが、〇・六以下は五工場、〇・六からずっと一・一までありますが、それぞれ五、四、四、一、二と二十一工場。この中で〇・六%以下の工場というのは五つしかないわけです。国際的にもあるいは国内的にも今大問題になっておりますこのセメントですが、これを見ますと、平均値で〇・七三等と言われましたが、これは〇・六以上がこんなにたくさんあるわけですね。しかもこれを規制するそういうルール、措置、法律というものは全くない。そうしますと、反応性のある骨材を使ってコンクリートを練るという場合にはこの反応が出てくる、こういうおそれがずっと続くわけです。 先ほどJISの問題について言われましたけれども、私が聞いておるのは、単に今度改正されて〇・六%以下、低アルカリ形のものを附属書という形でつくられただけの話で、普通のポルトランドセメントについての規格の中にはアルカリ量の規制が全くないということは事実ですね。お答えいただきたい。はっきり言ってください。
○浜岡政府委員 先ほど申し上げましたように、一般的な規定は設けておりません。また、私どもの承知をしております範囲内では、国際的にいずれも選択的な規定として設けておると承知しております。 私どもがこういう定め方をいたしておりますのは、先ほども申し上げたことでございますが、骨材の品質とセメントの品質のいわば二つの組み合わせの中からこの問題が生じてくるわけでございます。問題は骨材のサイドにもあるわけでございまして、すべての骨材が非常に反応性が高いということでございますと、先生おっしゃるような対応の方向も一つあろうかと思うわけでございますけれども、骨材の中にもいろいろな種類のものがあるわけでございます。やはり反応性の高い骨材を使う場合にはアルカリ性の低いセメントを組み合わせる、こういう対応が適切かと思うわけでございまして、そういう意味で、必要がある場合には低アルカリ性のセメントが供給できるようにすること、その場合の低アルカリ性の規格をどういうぐあいに統一的な基準として定めるのがいいか、そういうような方向で対応を図っているというようなところが現在の方向でございます。
○野間委員 今低アルカリ形という、附属書でわけのわからぬことをやられましたけれども、こんなものは量は少ないのですよ。しかもセメントの今のキルンの中で、今申し上げたように五工場ですか、〇・六以下のものを今の普通ポルトランドセメントの中でもつくっておるわけですよ。これを規制せぬことには、片方では骨材については化学法やあるいはモルタルバー法、いろいろなことを言われますけれども、実際に骨材が果たして反応性のものかどうかを試験研究すること自体がこれからなんです。セメントの場合にはアルカリ分を〇・六%に抑えることは技術的にも可能であるわけですね。これがなぜいつごろから出てきたか。高度経済成長の中で、岩石を砕いてそれを使うとか、あるいは山砂を使うとか海砂を使う、つまり風化前にこれを使うとか、これは骨材ですね。セメントについて言いますと、粗悪な石灰石やあるいは粘土の風化しないアルカリ性の抜け切らないものをどんどん使う。それから産業廃棄物、これをどんどんぶち込んでやるわけです。こういうことの中で急速にこういうものが生まれておる。私の認識には間違いないと思いますけれども、いかがですか。
○浜岡政府委員 基本的には先ほど申し上げたことの繰り返しになるかもしれないかと思いますが、今先生御指摘になった幾つかの事実につきまして私どもの承知しておることを申し上げますと、確かに最近燃料といたしまして産業廃棄物、具体的には廃材とかタイヤとか、そういったものを使う例がふえておるわけでございます。しかし、これは重油とか木材と材質面においてはほとんど全く相違のないものでございまして、多分燃料面での影響はほとんど考えられないのではないかと思っております。 それから材料のサイドから見ますと、多分石灰石は関係がなくてアルカリ金属の問題でございますので、粘土の中に含まれておりますアルカリ金属が問題になるのではなかろうかと思っておるわけでございます。
○野間委員 これは鴻池組というのはゼネコンの大きな会社ですけれども、ここの技術研究所の五十九年の論文「アルカリ骨材反応とその力学的評価へのアプローチ」の中にやはり言っていますよ。アルカリ骨材反応の被害が出てきた背景には次のような要因があると考えるということで五つばかり挙げておりますが、その二番目に「公害対策のため、セメント製造過程でセメントにアルカリが多く取り込まれるようになり、セメント中のアルカリ濃度が増加した。」ゼネコンで、使う者がはっきりそう言っておるわけですよ。そのこと自体も知らないというようなことで一体どうするのか。 これは昭和二十五年ごろから、日本でもメーカー自体がいろいろなパンフレットをつくりまして警告を発しておるわけでしょう。私が要求したいのは、確かに骨材の場合も試験したり研究するということも大事ですけれども、せめてセメントのアルカリ量を〇・六%に抑える。技術的に可能でしょう。いかがですか。
○浜岡政府委員 二つお答え申し上げますが、私どもが承知いたしておりますデータでは、いわゆる石油ショックが起きまして燃料面での対応あるいは省エネルギーというようなことが問題になりました昭和五十年代以降の推移を見ますと、平均値といたしましてはアルカリ量は年々少しずつではございますけれども低下いたしておりまして、今の燃料問題等がストレートに影響しているというぐあいにはなかなか判定しにくいのではなかろうかというぐあいに考えておるわけでございます。 なお、セメントの中のアルカリ量を減らすということになりますと、先ほど申し上げました粘土が基本的な問題でございますので、粘土の使用量を減らすということになるわけでございます。先生御高承のように、セメントの耐久性というのはある程度のアルカリ性を含んでいることが必要不可欠でございますので、粘土を全く使わないというわけにはまいらないわけでございます。粘土のかわりに何を使うかということでございますけれども、現在のところは高炉のスラグを急冷却したものを使用するというような対応が技術的には考えられる方向かと承知いたしております。
○野間委員 だから、高炉スラグを使うとかあるいは粘土でも良質のものを使うべきなんですよ。中の人に私聞いておる話によりますと、もうとにかくごっちゃまぜに悪いものをどんどんセメントにぶち込む、産業廃棄物まで全部ぶち込む、燃料としても自動車のタイヤ、ああいうものをぼんぼん燃やす、こういうようなことが犯人だということを言っておるし、学者の中でもいろいろ言われておるわけですね。局長、粘土だっていい粘土を使えばアルカリ量を減らすことはできるわけでしょう。先ほどお示ししたこの表で、東京大学の小林教授、この人はセメント協会の中の専門委員会の海洋構築物の小委員長をされておる方でもあるわけですが、五工場は〇・六%以下に抑えておるわけですよ。そうでしょう。だから技術的には可能かどうかということを聞いておるわけです。粘土だっていいものを使えばいいわけですよ。いかがですか。それをやはりJISできちっと規制をするべきだと言うのです。と同時に、このセメントには幾らアルカリが含まれておるかということを表示をする、そういう制度をつくるべきだ、この点についてあわせて答えていただきたいと思います。
○浜岡政府委員 御指摘のように、一つの方向といたしまして粘土を厳しく選択するという方向もあろうかと思うわけでございますけれども、それぞれのセメント工場に対する粘土の供給体制が現在でき上がっておるわけでございまして、その中で厳しく選択をするということになりますと、どの程度粘土の選別を行うかというような問題も出てまいりますし、また先ほど申し上げましたスラグの急冷却というようなことになりますと、鉄鋼サイドでの相応の適応体制というようなものも必要になってくるわけでございまして、かなりのコストアップということが考えられるわけでございます。繰り返しで恐縮でございますが、すべての骨材が問題ならば、おっしゃる方向もあろうかと思います。 御指摘のセメントのアルカリ分を表示をするという問題につきましては、今後工業技術院その他関係方面とも協力をいたしまして検討を進めてみたいというぐあいに考えておるところでございます。
○野間委員 外国の例を見ましても確かに〇・六%以下、これは反応性の骨材を使って建築物をつくっても反応が起こらないということが言われておりますね。ところが、そういう怪しい骨材を使う場合には〇・六%以下に抑えろ、これは外国の例なんです。通産大臣、よく聞いておいていただきたいと思いますけれども、そういうことなんですね。 それから、言われたように高炉スラグ等を使ってアルカリの反応を抑えていく幾つかの仕方があるんです。ただ問題は、通産大臣、セメントの規格について、アルカリ性についての基準が全くない、規制が全くない、野放しなんですね。しかも、このセメントにはどれだけのアルカリ量が含まれておるかということの表示も全くないんですよ。これが今の現状なんです。ですから、生コン業者とかゼネコンでもそうですけれども、困っておるのは、量がわかりませんからね。だからどのような骨材と対応していくということはできないわけですよ。だから今、どう抑えていくかということ、規制をどうするかということが研究課題だと言われたけれども、せめてそれぞれのセメントに表示をすることを義務づけることは私は当然だと思うのです。 この表にもありますように、一から一・一、これはもっと高いのがあるそうですけれども二工場〇・九から一が一工場、〇・八から〇・九までが四工場、〇・七から〇・八が四工場、こういうアルカリ量の非常に高いものがたくさんあるわけですよ。低いのは五工場だけなんですよ。ですから、こういうものを親切に表示させるのは当然だと思うのです、これだけ大問題になっているわけですから。通産大臣、いかがですか。
○浜岡政府委員 先ほど申し上げましたとおり、それぞれのセメントのアルカリ分を表示させるというような対応は一つの方法として考えられる方向かと思っておりますので、関係方面ともよく相談をいたしまして検討に取り組みたいと考えておるわけでございます。
○野間委員 昭和二十五年に当時の日本セメント技術協会がパンフレットをたくさん出しております。これは局長御存じですか。この中にこう書いてあります。アメリカで一九四〇年にこれが大問題になりました、しかし日本の場合には幸いに今までない、しかし米国のごとき不識の災禍の発生がないとはだれが断言し得よう。二十五年にセメント協会は警鐘を乱打していろいろ解明しているわけですね。ところが政府、行政の対応は、このころから大問題になっておりながら、五十五、六年ごろからやっと対応を検討するという段階なんです。こういう点の基礎的な研究は非常におくれている。これは学者もみんな指摘するわけです。この研究体制の強化と、それからこの規格をJISの中にきっちり入れ込むということをしなければ、これはコンクリートが五十年も百年ももつと思ったところが大変な過ちを犯す。 大臣も御存じのとおり、三井物産の横浜支店とか私も幾つか見てきましたけれども、百年以上たった古い建物でも全くひび割れなしにあるわけですね。我々の孫末代にいいものを残していくためには、研究体制をきっちりつくるということと、同時にこういう規格をきっちりつくってJIS規格の中に入れ込むということを、今もたくさんの方が、学者が指摘しておるのでありますから、ひとつ全力を挙げて緊急にやっていただきたい。お願いであります。
○浜岡政府委員 先ほど来の御質疑にございますような問題意識というものは私どももともにいたしておりますし、私どもの方でも昨年勉強体制を整えたという状況でございます。いろいろな対応方向があろうかと思うわけでございますけれども、特に先ほど申し上げましたアルカリ分の表示の問題等を中心にいたしまして、今後ともこの問題に対する対応につきまして精力的に積極的に熱心に取り組んでまいる所存でございます。
○渡辺国務大臣 非常に専門的なことで正直な話、私よくわかりません。局長が専門家で、答弁したとおり実行させます。
○野間委員 去年の十二月に生コンクリート品質対策委員会が中間報告を出しております。これには通産省も委員の中に入っているわけですね、窯業建材課長が。工技院の人も建設省の人も入っておるわけですね。「アルカリ骨材反応に係る品質対策のあり方」というようにあります。骨材を規制するということで、セメントについては全くメスが入っていないというのがこの報告の中身なんです。それほどセメント業界が怖いのか、私はこれを見て実はびっくりしたのです。冒頭に建設省も認めたし通産省も認めましたけれども、一番の元凶はセメントの中に占めるアルカリの量の多さでしょう。そこの元締めをきっちり規制せずに、零細な採石業者や生コン業者にああじゃこうじゃ、研究施設をつくれ、こんなこと私は逆だと思うのですよ。その点を私は指摘しておきたいと思うのです。 と同時に、私が申し上げたように、昭和二十五年当時から日本セメント協会の中でもこれは将来大問題になると言っておった。一体行政はいつごろから対応したのか。それもあわせてお答えいただきたいと思うのです。おくれておるわけでしょう。
○浜岡政府委員 第一点につきましては、御指摘の委員会と並行いたしまして、JIS規格のあり方というものを検討いたしておりまして、先ほど申し上げましたように二月に新しい規格を定めたわけでございまして、並行して検討しておったということを御理解賜ればと思うわけでございます。 第二点につきましては、先ほど建設省からも御指摘ありましたように、この問題が起きました後、日本サイドでもいろいろ検討が行われたようでございます。私どもの承知しておりますところでも、五〇年代の初めに主要河川の骨材百四種につきまして反応性試験等を行いまして、総じて日本の骨材は安全だというような結論が出され、その結果事態が推移しておったのだと思うわけでございますが、先ほど御紹介ありましたように、一九八二年から八三年にかけまして近畿地方の高速道路をめぐりましてこの問題が指摘をされ、改めて対応体制の検討が始まったというような流れでございまして、私どももそういう流れの中で検討を進めてきたつもりでございます。
○野間委員 だから、遅いのですよ。こういうところに金を使わなければだめなんですよ。行政はもっと対応を迅速にせぬことには、大問題になってから後手後手で、今からぼちぼち始める、こういうことではどうもならぬわけです。この点大臣、これは所管ですから、研究体制をきっちり組む、それから今の障害の出ているもの、これをどうやって補修ができるのか、その技術、それから未然に完全に防いでいくという対策に迅速に取り組んでいただきたい。重ねてお願いしますが、いかがですか。
○渡辺国務大臣 せっかくセメントで家をつくっても、ぼろ家になるようなことは困るわけですから、それは原料の段階でそういうことが最初からわかっているようなセメントをつくらせてもいけませんし、極めて技術的なことでありますから、きちっと研究をいたさせます。
○野間委員 それじゃ、時間の関係で次の質問に移りたいと思います。 円高と中小企業の問題についてであります。 百七十円台、本当に深刻ですね。私も、地元の和歌山で地場産業をずっと回ってまいりました。和歌山県下の主な産地としては、漆器、染料及び中間物、皮革、パイル織物、メリヤス、和雑貨、染色整理、衣料縫製、ボタン、大体重立ったところ、輸出の比率が高いところはこれだけあるわけです。一番輸出比率が高いところで三六・七%、これは染料及び中間物であります。たくさんあるわけですね。先ほど同僚議員の質問に対しまして、二十五日から指定していくのだ、きょうの閣議で政令を決められたそうですけれども。 その際ぜひお願いしたいのは、この附帯決議の中でも、三項で、業種指定については「弾力的な基準に基づいて行うよう配慮するとともに、」云々、つまり運用上は弾力的にやっていくのだという附帯決議を全会一致でつくってまいりましたし、ぜひ和歌山の地場産業についても速やかに指定をお願いしたいと思うのです。この中には輸出比率が一〇%前後というのもあるのですけれども、例えば和雑貨のような場合には中進国から輸入がずっとふえておる。両方でパンチを受けておるわけですね。これは衣料縫製等についてもそうであります。今指摘を申し上げた産地中小企業について検討していただきまして、この附帯決議や運用上の対応についても行政からいろいろ言われておりますけれども、ぜひこれを指定していただきたい、救済していただきたい、これを要求するわけでありますけれども、いかがですか。
○木下(博)政府委員 本日施行令が閣議で通りまして、法律自体は二十五日に施行する予定にいたしております。 業種の指定は、その後審議会等を開いてやる予定にしておりますので、三月初めになろうかと思いますが、この法律の趣旨にかんがみまして、できる限りこの法律の要件に合うものはその業種の指定として採用していきたいというふうに考えておりますので、今御指摘のありました業種等についても、十分そういう考えの中で考慮させていただぎたいと思います。
○野間委員 その際に、県からもぜひひとつ実情をつぶさにお聞きいただきたいと思いますが……。
○木下(博)政府委員 法律立案の過程からも、個々の業種につきましてはいろいろなルートから情報を入れまして、関係各省で検討を続けてきておりますので、当然県の方からの情報も我々得て作業しておるわけでございます。
○野間委員 ぜひ要望に沿って指定をしていただきたい、こう思います。 最後に、金利の問題について大臣にお伺いしたいと思うのです。 この前の法案審議のときにも、私、緊急安定対策の融資が五・五%というのは非常に高い。既にもう今公定歩合も〇・五%下げておりますし、近いうちにさらに下げるというような動きも、これはたしか新聞報道では、通産大臣もさらに利息の引き下げを急げと日銀を批判した。これは十八日の閣議後の記者会見で言われておるようでありますし、大蔵大臣も十八日の閣議後の記者会見で、中小企業融資について「特に産地の中小企業を中心に円高の影響が出ており、当面の苦境を乗り切るため緊急融資の拡充などの実施もありうる」、こういう考え方を示したということが出ております。 したがいまして、状況がうんとさらに変わっております。法案をつくったころは二百円以上であります。そういうとき、しかも公定歩合も下げる前ですね。今は相当変わっておりますし、さらに深刻になろうとしておりますから、いろいろなことは時間の関係で触れませんけれども、せめて五・五%の金利、これをぜひ下げて、苦境に今あえいでおる中小企業の人たちをひとつ救済していただきたい。これは要求でありますけれども、大臣、いかがですか。
○渡辺国務大臣 御要求として承っておきます。
○野間委員 大蔵大臣も何かそういうことを含んだことを記者会見の中で言っておられるわけですね。要求として承るだけでなしに、経企庁も実際この間、調査をやりましたですね。だから中小企業庁の調査も含めまして、非常に深刻だ、このままであったら大変だというのがどこでも出ております。こういう実態を通産大臣も嫌というほど御存じだと思います。それを踏まえて善処していただきたい。重ねて大臣に所見を伺うと同時に、せっかく経済企画庁長官も来ておりますので、あわせてお伺いしたいと思います。
○渡辺国務大臣 これは先ほど公明党の方だったか、話がありまして、ここまで出ていても、なかなかそこから先は言えないのですよということを私申し上げたのですよ。したがいまして、本日は、それはそういうふうな、あっちこっちからいっぱいあるのです、やはりアメリカの中も二つに分かれておりまして、それが一つになったというから、これは公定歩合の問題から始まるわけですから、これは話をうまくやってくれということは言っているのですよということ、そこまでです。
○野間委員 長官、いかがですか。
○平泉国務大臣 金利は日銀、金融当局の専管事項でございますので、政府が発言をいたしますとまたいろいろな問題を起こしますので、慎重に考えております。
○野間委員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、さらにいろいろと聞きたいことがたくさんあるのですが、重ねて最後に通産大臣にお願いしておくのは、このセメントの問題です。これは実際ゆるがせにできませんので、これは建設省にも協議をしていただきまして緊急に対策をお立ていただきたい。本当にこれは私もだてや酔狂でやっておるわけではございませんので、重ねてお願いしまして終わりたいと思います。
○野田委員長 奥野一雄君。
○奥野(一)委員 通産大臣の方は何かお忙しいようでございますので、最初に一括お尋ねをしておきたいと思いますので、最初のお答えだけお願いをして、あとは政府委員の方にまた具体的に聞いてまいりたいと思います。 所信表明演説をこの前お聞きをいたしまして、実はその内容を見ますと聞きたいことは十点ほどあるわけでございますが、時間がそんなにございませんから、いずれかの機会にまたお尋ねをすることにいたしまして、きょうはそのうちで私なりに判断をして重要だなと思う点だけに絞ってお尋ねをしてまいりたいと思います。 一つは、所信表明の中で言われております「国際経済摩擦への対応」というところで、内需拡大策については後で経企庁の方に聞きますけれども、「外需依存体質からの脱却を図る」、こう言われているわけです。これは私なりにいろいろ考えてみまして、どんな対策をとれば今の外需依存体質から脱却できるのだろうか、非常に難しい内容があるのではないかな、こう思っているのですが、具体的に何かあったら、その点ひとつお答えをいただきたい、これが第一点でございます。 それから第二点は、「拡大均衡を通じて貿易摩擦の解消を目指すためには、輸入の抜本的拡大を図らなければなりません。輸入あっての輸出であり、輸入あっての我が国経済の繁栄であります。」こう言っているわけであります。私は、貿易摩擦の解消というのは、単に輸入と輸出のバランスがとれればそれで解消するものだとは理解をしていないのです。例えば今黒字が五百十億ドルなら五百十億ドルある、それが消えたからといって貿易摩擦というものは解消するということにはならないのじゃないか、やはり個別の製品との関係というものがあるのではないかという感じがするのですね。そういう面についてお尋ねをしたいわけなんで、これは、例えば輸入をふやしますと、その分国内産業というのは落ち込むわけでありまして、例えば革靴なんか、今度輸入が緩和されるなんということになった場合に、国内の革靴業者の方が参ってしまうわけですから、そういうことだけではこれは解決がつかない問題ではないか。やはりトータルで考えられても困るのではないか、こう思っているのでありまして、その辺の考え方について少し詳しくお尋ねをしたい、こう思います。 それから三点目でありますけれども、「国際分業の一層の推進、積極的な産業調整政策」、こういう点をうたわれているわけであります。産構審の企画小委員会の中間答申の中にもちょっと似通った文章が入っておりまして、「水平分業を通じた輸入拡大」、こうあるわけですが、これは私が誤解して受け取っているかもしれないのでありますけれども、日本の産業の中で国際競争力の弱いもの、これは切り捨てる、あるいは事業転換をさせるんだ、こういうふうにとれるわけなんでありまして、この国際分業ということを考えていった場合には、農業なんかでも言われている部分もあるのではないかという気がしてならないわけであります。弱い産業というものが国際分業という中では切り捨てられていくのではないだろうか、こう思われるのでありまして、その辺のところをどういう考え方をとればいいのか。 それから四点目は技術開発の関係であります。技術開発の関係については積極的にこれからまだ力をつけていきたい、こう言っているわけなんですが、今まで日本の輸出というものがどんどん力をつけてきたというのは、端的に言えば先端技術と低賃金だ、こう言われているのじゃないかと思うのです。今発展途上国とかそういうところから追い打ちをかけられてきているというのも、まさにその技術の面と低賃金の面が日本を今追いかけてきているのではないかと思うわけです。だから、そういう技術開発ということ、もちろんこれは必要だと私は思っているわけでありますけれども、それが輸出強化にまたつながっていくのでないかという感じが一面するものでありますから、ちょっと矛盾したような気持ちになるわけでありますけれども、その辺のところはどういうふうに理解をすればいいのか。 いろいろ聞きたい点、まだたくさんあるわけでありますが、大臣の時間の関係もありますので、とりあえず四点だけに絞ってお答えいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 お答えをいたします。 外需依存の体質から脱却すると言うけれども具体的にどうするのだ。これは、ややもすると今までは輸出第一主義、資源のない日本としては外貨がなくては何もできない、石油も仕入れられないという発想がありまして、そして輸出輸出ということで、池田さんが高度経済成長のころ世界じゅうを歩いて、トランジスタの行商人なんて悪口を言われたこともあったわけですから、確かに、資源がないから輸出で稼いで、それで国内の必要な材料を買おうという体質にあったことは間違いありません。しかしながら、輸出だけで、しかもこのようにアンバランスになりますと、いろいろな非難を受けてまいります。 私は基本的には、アメリカと日本の場合におきましても、インバランスというものは二国間だけで問題にするのはおかしいのじゃないかという持論をもともと持っているんです。全体としてバランスがとれればいいのじゃないか。アメリカと日本では、確かに私の方は黒字、向こうは赤字。しかし日本とオーストラリアを見ると、日本は赤字、オーストラリアは黒字。オーストラリアとアメリカの間を見ると、アメリカは黒字でオーストラリアは赤字、こうなっているわけですね。そういうような場合に、それじゃアメリカの自動車をオーストラリアは買わないで日本の自動車を買え、そういうふうにお互いに調整をし合ったら貿易は拡大しないわけです。日本はインドネシアに対しても赤字だし、サウジに対しても大赤字であるけれども、必要だから石油を買っておるのであって、これは仕方がないことなんですね。同じことがアメリカだって言えるじゃないかという議論が一つあるのです。ところが、アメリカは全体にしてももう大赤字、対日貿易でも大赤字、こうなっているものですから余計騒ぎが出ている。 私としては、基本的には、多少のことは構いませんが、貿易はグロスで大体バランスがとれればいいのじゃないかという考えをもともと持っております。そうなりますと、やはり輸出増進というだけでなくて、バランスをとらせるためには日本の輸入ももっとしなければならない。輸入をするためには、必要のないものは輸入しないわけですから、必要なものを生みたすためには内需の拡大ももちろん必要ですよ。それから、納期がおくれたりなんかされたのでは外国から買えといってもなかなか買わぬわけですね。日本のようにきちっと納期を守ってやる企業はいいんですね。だから、日本の企業が投資をして、その投資先から日本が購入するというようなことは必要である。だから部品なりなんなり輸入する、そういうようなことなど抽象的に外需脱却の方法として例示的に今挙げたわけですが、そういうことを言ったつもりなわけであります。 それから今先生は、貿易全体のバランスがとれても個別案件で非常にインバランスになれば騒ぎが残るのじゃないかということをおっしゃいました。これは確かにあるのですね。日本とアメリカが仮に貿易バランスがとれたとしても、アメリカの鉄鋼業がつぶれてなくなるということでは、向こうだって雇用問題があるわけですから、鉄鋼に勤めていた人をどさっと今度は電機の方へ回すといったら、実際はそう簡単にいかない。ですから、これにつきましてはやはりある程度の配慮をしなければならぬし、特定な品目が特定な国に一時的に集中豪雨的に輸出されるという場合は、今先生が御指摘になったように、全体のバランスがよくても特定な業種が非常に短時間で大打撃を受けるということは、これは確かに摩擦が起きますよ。 したがって、これらについては貿易の自由の原則からすればちょっと例外的になるが、全体を保護主義にしないために、やむを得ず鉄鋼の自主規制をやったりあるいは繊維の規制をやったりする過去の実績もあるし、自動車についてもかつて二、三年前までは全く似たようなことで自主規制をやったということがございます。したがって、これらは個別個別の案件についてそのときの状況で判断をしていくことが応急策として必要である、そう思っております。 それから国際分業の問題で、弱いものはみんなやめちゃって外国から買えばいいじゃないかということにまですぐには実際は発展しないのですね。ただ私の言っていることは、日本がGNPの一割もの大きな経済国家になってきた以上は、やはり国際的責任がある。日本から投資をし技術を移転し製品をつくらせて安くていいものができたときに、その品物を日本が買わないというようなことを言えば、これはうまくいくわけないですね。したがって、国内にあってもやはり安くていいものは、必要なものは妨害しないで入れてやるということが必要だろう。鉄なんかももう現にそうなっちゃっているわけですね。韓国に設備をつくってやって技術を移転して、それでつくったものが、安いものが現にどんどん日本へも入ってきている。しかし、また日本でなければできないものは逆に輸出しているというようなことがありますから、これはやはり一つの国際分業になっておりますし、繊維なんかも現にそうなっていますね。シンガポールとか香港とかに日本の技術が行ってかなりのものを向こうで布にして日本に入れて日本でプリントして世界に輸出しておる。これはもう現にそうなっていますよ。ですから、そういうようなことを今後はもっと広げていかざるを得ない。 それでは既存の業者はどうするんだねということになりますが、負けないように頑張ってくださいということが一つですよ。しかしどうしても負けるという場合には、時代に応じて転廃業というのは避けられない、これは仕方がないのじゃないか、そう私は思っておるわけです。例えばそんなことは国内だって言えるわけでして、銀座の真ん中でともかく昔から呉服屋をやっておる。私は昔から呉服屋なんだから呉服以外は一切扱いません。ところが洋服着る人が多くなっちゃって、そこで洋服屋やれば売れるかも知らぬけれども呉服屋だけじゃ売れない。しかし昔からやっておるのだから絶対に洋服屋やらぬ、こう頑張られちゃっても何とも困るのですね、実際は。だからやはりそれは時代に合わせて職業をかえていくということは、自由経済では生き延びるためには仕方がないことである。しかし、極端にやれば失業問題も出まずし社会的混乱がありますから、政府は分業調整、業種の産業調整というものをやる中でも、軟着陸できるように、自然と衰退産業はだんだんなくなって隆昌産業の方に切りかえていく。これは日本は長生きするためには仕方ないんじゃないか。どんなことであっても時代が変わってくるわけですから、需要がなくなったらだめなわけですから。 問題は、失業者が出ては困るわけですよ。だからそれには職業訓練をするとか、いろんな面倒を見るとかして失業者を出さない。雇用の場を確保しながら、要するにそこで職種転換が行われ、民族移動が行われていく。長い目で見ればそれによってもっと高賃金がもらえる。もうだめなところでつぶれる会社にいつまでもおって退職金ももらえなくなってしまうよりも、別なところへ移転して今まで以上に月給が上がったり退職金ももらえるならその方がいいですね、なれない仕事であっても。だからそういうところをうまく転換をさしていくということも中長期的には常に考えていかなければならない問題だということを言おうとしておるわけであります。 それから技術開発の問題については、技術を開発してどんどん輸出増強につながらないか、それはなるかもしれませんよ。しかしながら、我々は今まで持っている技術を移転するわけですから、彼らはそれによってつくって日本に輸出するわけですから、全部買ったのではこっちが参ってしまいますからね。買うものは買うけれども、さらに一歩進んだ技術を開発をして、日本は付加価値の高いもので生きていかなければならぬ。これをやめるわけにいかない。ですから常に先に先に行くということが必要で、付加価値の高いものをつくって、労働時間も少なくして、高齢化社会になりますから退職の年限も長くなりますし、ですからどうしたって労働時間は少なくしなければならぬし、少なくして今度賃金切り下げては困るわけですから、やはりもうかるようにしてやらなければいかぬわけです。ですからこれは難しいですよ。難しいけれども、あえてその難しいことに取り組んでいかなければだめだという発想でそのようなことを書いてみたわけでございます。ひとつ十分御指導と御批判をお願いをいたしたいと存じます。
○奥野(一)委員 通産大臣の方は忙しいのでしょうからよろしゅうございますけれども、私は例えば「外需依存体質からの脱却を図る」ということを、これは具体的に大臣の方からお答えがなかったのですよ。これは非常に難しいと私は思っているのですね。大臣がちょっと先ほど言われましたように、日本の場合には資源がとにかく少ないんだから、外国から資源を入れてそれに付加価値をつけて売り出さなければならない。それが本来国内でもって消化できることであれば、ある程度それで済むんだけれども、国内でなくて外国へそれが出ていっているということですね。これを今までずっと繰り返しながらやってきたわけですね。じゃこれからはどう変わるのかということになっても、資源がないということは変わりないわけですから、そうすればどうしてもやはり外需というものに頼らざるを得ない体質というものが残っていくんでないか。だからこれを内需型に切りかえていくということは、それは文章ではこう簡単に書かれているけれども、非常に難しいことだろうというふうに私は思っているわけですね。 だから今四点質問しましたけれども、これは全部つながっていることになるわけですね。だからこの二点目の方では、輸入というものをとにかく促進をしなければだめだ。この所信表明の中にもそういう面ではいろいろなことが書かれているわけですが、ところがそれでは今度は輸入をしてくるということになった場合には、日本に全くないものであればそれは輸入をしてきてそれを国内で消費をするということはできますね。しかし、これは外需を減らすということにはならないわけですね。外需でなくて、日本のGNPというものを落とすということにはならない、外需の場合はマイナスに作用していくわけですから。この外国からのものを日本で輸入をどんどんしてくるということは、そこで起きてくる二つの問題というのは、大臣が先ほどから各委員の皆さん方に答弁をされておったように、外国がもっと日本の市場というものをよく見きわめて、日本人に適したようなものをつくって売らないというとこれはできないわけですね。 これは前にも商工委員会で私も申し上げたことがありますけれども、NTTが電電公社の時代に電話機はアメリカから七万台入れましたよ。売れない。一割くらいより売れない。それは日本人が使えるような代物でないわけですね。だからそういうようなものを例えばやらなければならないということになる。今言ったように、それは日本の国内にない品物であれば買ってくれ買ってくれというふうなことはできると思いますけれども、中曽根総理が幾ら一人百ドル買ってくださいと言ったって、日本人の好みに合ったものでなければそれは買えないということになる。 それから日本にそういう品物があるということになれば、国内産業との競争というのが出てきますね。今大臣が、国内でもって努力をして例えばだめなものだったら転廃業もやむを得ないんではないか、こう言われた。しかし仮にその品物をつくっている業界がさらに奮発をしていろいろ研究をしていけば、外国の製品にまた太刀打ちできるものができてくるかもわからないですね。そうすれば輸入というものがそこでまた縮小されてくるということになっていくわけでしょう。そうすると、いつまでたってもこれは解決つかないということにつながっていくと思うのですね。だから私は、この辺のところは非常にやはり難しい操作があるんだ、こう思っているわけなんです。だから簡単に今輸入・拡大、輸入拡大と言ったところで、G5の円高と同じように、どんどんこれはやってみたけれども、そのやってみた結果、国内の業界に大混乱が起きるなんということになったら大変なことになってくると思うのです、逆に。もしこの輸入というものをどんどん拡大をしなければならないんだということであれば、いろんな品物が日本に入ってきてもいいような体質というものを今からつくり上げていくということを一緒にやっていかないと、日本の産業界というのは大混乱を起こすということにだってなりかねないと思うのですよ。 だからそういうあたりのところが、この所信表明の中で言われたことの中で見通しをきちんと持っておられるのかどうかということなんですね。ここのところが私は非常に大事だと思うのですね。そうでなければ、いかに国際分業だとかなんとかと言ってみたところで、国内の産業界に大混乱を起こしながらやるということになったら、これはめちゃめちゃになってしまうわけですから、そういう面の見通しまできちんとお立てになっているのかということが本来私の聞きたかったところでございます。
○渡辺国務大臣 私が外需依存から脱却と言いましても、それは輸出がなくなったら日本なんかやっていけないですよ。それはもう買う金もない話でございますから。今の状況と比べてそれは言っているわけですよ、輸出ばかり多くて輸入がうんと少ないということは困るということで。それは普通のうちでも同じことで、商売人でも同じで、自分がどんどん売りつけて相手様が支払う金にも困っちゃったら、つぶれたら、もう売るお客様がないという話になってしまうわけですから。うんと保護主義になってしまう。それと全く同じことで、相手も助けながら、相手にも購買力を与えて、こちらで売った金も回収できるということにしなければこれは商売は相身互いで長続きしない。私は大きいと小さいだけの差だ、そう思っておるわけであります。 それから、輸入をしたら国内の産業がつぶれるじゃないか、それは競争がありますから。ただ、自分たちが、同じ物が入ってきても負けないように創意工夫して生産性を上げて頑張っていく、これは当然のことですよ。そのために向こうから入ってこないという、それはまた仕方のないことなんですよ。だから我々は門戸を開放して、関税も下げて、不明朗だ、不公正だと言われることさえなくしておけば、それは仕方がないのですね、最終的には。ただ、仕方がないだけでは済まぬから、やはりそれは武士の情けじゃないが、輸出現制やなんかも、本当はする必要ないのですよ、本来から言えば。だけれども、それは武士の情けなんですよ。だからそういうことで一また何か言われるかな、これ。そういうことで、お互いが困ったときには助け合っていくという場面にしないと、みんながかたい殻になってしまって、アメリカのように資源がある国は、おれは自給自足できるんだということで保護貿易になると日本も困るし、本当は長い目で見れば向こうも困る。だから、そうはさせないようにしましょうという趣旨のことを言ったのでありますが、短い文章の中でしゃべっておりますから、意は全部尽くしておりませんが、今後ともまずいところは謝りますから、ひとつよろしく御指導を願います。
○奥野(一)委員 どうぞ大臣、結構でございます。本来であればこの問題はもう少し私は詰めてやりたいと思っておったのですが、何といったって時間に制限があるものですから、いずれまた議論をさせていただきたいと思います。 時間の関係がありますので、経企庁の方に移らせていただきたいと思います。経企庁の方も時間的に少し足りないなと思いますので、少しはしょっていきたいというふうに思っております。 長官のこの前の所信表則、これもお聞きをいたしましたし、また中身もゆっくり後で読ませていただいたのですが、私は、今の日本の置かれている経済環境というのは非常に厳しい環境にあるんだ、にっちもさっちもいかないと言うのは語弊がありますけれども、そういうように追い込められていくのではないだろうかなという実は心配を一つ持っているわけなんですが、この長官のあいさつの中でそのことについては余り深刻に受けとめられていないようなので、大丈夫かな、こう思ったりもしているのですが、その辺のところを一遍お尋ねをしたいというふうに思います。 それから、時間の関係から次に入らせていただきますが、四%の成長率の関係については、先ほど、達成できる、こういうふうにお答えがございました。私はそれはちょっとどうかなというふうに思っているわけです。それは、四%を達成できるんだということを言っているわけですが、御案内のとおり、六十一年度の経済見通しの関係については政府だけでなくて各機関もずっと出しております。マスコミなんかによりますと、政高民低だ、こう言われておるわけでありますけれども、確かに政府の方が一番高い伸び率を見ているわけでありまして、大体政府に近いのが国民経済研究協会あるいは大和証券、こういうところなんですけれども、この政府に近い見通しを立てているところだって条件というものを言っているわけですね。こういう条件が整わなければ四%なんというのは達成できないよ、せいぜい二%ぐらいになってしまうのではないか、こういうふうに言っているわけですね。 その条件というのは二つ三つついておりますけれども、これは既に御案内だ、こう思っているわけでありますが、例えば公定歩合をもう一回下げなければだめだ。これは今度再引き下げということをやるようになったようでありますから、その一つの条件が整ったと思うのですね。あるいは補正でもって追加の公共事業費というものをやらなければだめだ、こういう条件もつけているところがあります。大体同じような条件がついているわけですけれども、そういう条件があって初めてこの四%は何とかなるんじゃないか、こう言っているのですね。そのうちの主なものというのは何といったって個人消費というのですか、内需の中では六三%の比率を占めているわけですが、これが一番大事なんだ、こう言っているわけです。 先ほど御答弁を聞いておりますと、いや個人消費の関係についても緩やかだけれども伸びてきている、あるいは設備投資の方の関係についてもそう大きな心配はない、こう言われているわけですが、端的にひとつお尋ねをしておきたいのは、昭和六十年度、去年の個人消費の見込みと実績、これは違っていると思うのですけれども、その辺はどうなっているか、まずそこからひとつお尋ねをしておきたいと思います。 第一点目は、今置かれている経済環境についてどういう認識をされているか。それから二点目は、今言った内需拡大の見通しのうちで、六十年度の政府の出した見通しと実績をちょっと教えていただきたいと思う。
○平泉国務大臣 現在の内外経済情勢に対する評価でございますが、私は一つ、対外摩擦というのが相当深刻な問題がある。これは経常収支の大幅な黒字がこのところ二、三年続いてきておる、そういうことをめぐって我が国の経済政策そのものにつきましても各国から大変いろいろ批判がある、こういう点につきましては、確かに深刻な事態があるということはよく承知をいたしておるわけでございます。 ただ、我が国経済そのものの純粋内面的な部分を考えますと、最近の、殊に円高情勢というようなものはプラスの面も非常に持っておるわけでございまして、交易条件が大幅に改善するということが見込まれるわけでございます。そういうことが国民生活を大きく豊かにしていく、また企業の体質改善にも非常に役立ってくる、そういうことも十分考えられる。それから、我が国の企業そのもののパフォーマンスというか行動を見ましても、技術開発投資というものが非常に進んでおる。そういうふうな条件を考えますと、我が国は交易条件の大幅な改善が見込まれ、また設備投資の、殊に技術関係の発展のための投資というのが意欲が十分旺盛である、そういうことを考えますと、それほど暗い条件ばかりであるとは思われません。私どもとしましては、もちろんもっともっと内需が振興されたり、また国内の投資がもっと活発になることを期待をいたしておりますけれども、しかし今のような条件だけを考えましても、対外経済摩擦と言われるものを乗り越えなければならないという大きな問題でございますが、国内的にも非常にいい要素はたくさんある。 我々にとって大きな問題は、やはり対外経済摩擦を乗り越えていくことじゃあるまいか。そのためには、国内の市場アクセスの改善のための措置をさらに拡充していくということも重要でございます。内需をさらに一層拡充していくということも重要でございますが、同時に、外国為替レートですね。我が国の円価の対外評価がどうも従来余りにも円安に過ぎた。これを適正なレートにしていくということが非常に重要である。ただ、これが余り行き過ぎますと、またそこで国内経済に非常な御心配をかける、その辺を我々は注意していかなければならぬ、かように考えておるわけでございます。 なお、細かい経済成長率の問題につきましては、事務当局から答弁をさせたいと思います。
○赤羽政府委員 六十年度の消費につきまして、一年前の当初見通しはどれぐらいの数字であり、現時点での実績見込みがどれくらいかというお問い合わせでございますけれども、当初見通しにおきましては実質四・一%を期待しておりました。現時点で実績見込みをはじいてみますと三・〇%、一%余り見込みよりも低い実績見込みになろうかと見ております。
○奥野(一)委員 去年もおととしもそうですけれども、経企庁の長官にはその点を私、お尋ねしているわけなんですよ。去年も随分その点ではやり合った記憶があるのですね。四・一%というのは大丈夫か。そうしたら長官が、今長官がお答えになったようなことを大体述べられて、いや四・一%は心配ない。私はそのときいろいろなデータを出しまして、こういうデータになってきているのだから個人消費支出というのは落ち込むのではないですか、そういうふうに質問をした記憶があるのですね。そうしたら、いや大丈夫です、こういうお答えであったわけです。しかし、一年たってみますと、当初見込みの四・一%がやはり三%に落ち込んでいる。だから今回の経済見通したって、今長官は、いや暗い面だけでなくて明るい面もあるのだというふうにお答えになったのだけれども、私の方で調べている分は明るいという材料はむしろ少ないのではないかという気がしているわけなのですよ。 それは、去年の十二月初めに発表されました国民所得の統計速報によりますと、七月−九月期の実質成長率は年率二・六%、こうなっているのですね。じゃその前の四月−六月はどうかというと五・八%なのですよ。だから、四月−六月と七月−九月を比べますと分の一くらいに落ち込んでいるということですね。だから、大体去年の中ごろから日本の景気は少し下り坂になってきているのじゃないかという感じを持っているわけです。これが一つ。それから、例えば景気変化の動向を示す景気動向指数、DI、これが大体五〇%ラインになってきている、割り込んだ、こういう状況が一つあるわけですね。それから、法人の企業統計季報、大蔵省で調査したものを見ましても、七—九月の場合には前年同期比で三%落ち込んでいるわけです。これは二年半ぶりのマイナスだと言っているのですね。製造業の方だって四月−六月期に比べますと大幅に落ち込んでいるわけです。四月−六月の場合には逆に一八・三%ふえているものが七月−九月期は四・五%減ということになっているわけですよ。こういうようなことが一つは指摘できるのではないか。それからもう一つは、個人消費の関係のものの中でも大分落ち込んできているということが実際には出ているわけですね。 そういうようなものをずっと考えていきますと、今言われたように、実際に四%を達成させるということになった場合には、相当な経済政策あるいは財政政策も含めてやっていかないと、この四%というものの達成ができなくなっていくのではないか。この四%を達成できない場合にはどんな影響が出るのかということが一つ出てくると思うのですよ。貿易収支なり経常収支は今大体横ばいというふうに見ておられるわけだけれども、仮に四%達成されなかった場合にそれを持続することができるかどうか。例えば二%くらいに成長率が落ち込んだ場合、今の貿易収支の黒字だとか経常収支の黒字というのは、この経済見通しの中で出ていますけれども、それを持続できるかどうか。逆にふえるということにはつながっていかないかどうか。その辺の見通しというのはどうでしょうか。
○赤羽政府委員 経済見通しの達成の可能性ということでございますけれども、確かに経済の先行きの見通しというのはそう正確にできるものではないと思います。過去の例から申しましても、当初の見通しが高過ぎた場合、また逆に低過ぎた場合もございます。しばしば言われますことは、高度成長期においては当初の見通しというのは必ず低過ぎて実績の方が高い、石油ショック以後はその逆であると言われますけれども、必ずしもそうではございません。過去十年を見てみましても、見通しの方が低い場合、実績を下回る場合がかなりございます。先ほどお尋ねの消費でございますけれども、例えば五十七年度あたりは当初の見通しが三%台でございましたけれども、実績は四・七、八%になりました。そういうことでございますので一概に見通しが低い方ばかり、実績の方が低い方はかりということではないと考えます。 それから、先生先ほど御指摘になりました六十年度に入りましてからのいろいろな弱い指標、そういうのがあることは間違いございません。また、最近の消費の動き、耐久消費財の動きとかあるいはごく最近の百貨店の売り上げとか、そういうことで戻している指標もございます。基本的な認識といたしましては、円高——確かに最近の円高というのは極めて急速に起こっている、そのために企業経営として物理的に時間的な対応が不可能だ、そういうこともございますし、さらには、余りにも急激に変化をいたしましたので、どのあたりで企業経営の目安を立てたらいいのかわからない、こういうこともございます。さらには、どこまで上がるのかという心理的な不安もございます。 そういったような状況で、大変に経済の先行きに対して慎重な見方あるいは悲観的な見方が強まっていることは事実でありますけれども、その反面で円高というのは実質所得をふやす効果がある。先ほど大臣も交易条件の改善が期待できるというふうにおっしゃいましたけれども、そうしたプラスの面というのはむしろ心理学というよりは物理学としてあるわけでございます。政府見通しを立てました際にも、そういったような点を考えてプラスの効果を正当に評価すべきである、こういったような考え方でございまして、プラスの効果を織り込んで四%ということでございます。現在時点の見通しとして、それができないというふうな見方は我々としてまだとる必要がないと考えている次第でございます。
○奥野(一)委員 私もこの四%はだめだと言っているのではないんで、四%という見通しを立てられているわけですから、これは去年もおととしもそのことは言っているのですよ。今まで財政見通しを立てたって、経済見通しを立てたって、その経済見通しのように進んでいくような財政政策なり経済政策というのはとられてきているんですかということを何回かお聞きしてきたのですよ。せっかく政府の方はそういうふうにして四%という見通しを立てられた。それがなければ、経済見通しの中にいろいろなものが出ていますが、そういうものだって全部狂うのじゃないかと私は思うのですね。だから、そのために必要だということであれば、いろいろな手だては当然講じていかなければならないだろうというのが私の主張なんですよ。 ですから、今一面で言えばそういういろいろな暗い材料はあるんだけれども、しかしそうはさせないぞということでは、経済なり財政というものは、そういうことのための施策というのは当然とっていくのが妥当だろうと思っているわけなんです。そういう面で申し上げているわけなんですよ。だから、例えば内需拡大をやっていくと言っていますけれども、これは当然必要なことです。しかし、先ほど通産大臣の方にも申し上げておきましたけれども、これもなかなか難しいことだと思っているのです。 一番いいのは、今まで各委員の方からも指摘をされてきておりましたように、GNPの六三%を占めている個人の消費支出がキーポイントになることは間違いない。それは企業の設備投資や何かということだってあるわけでありますけれども、設備投資の場合には大体一六%くらい、政府支出が約一八%くらいの寄与をしているわけですが、設備投資といったってそう簡単に、例えば輸出が制限をされてくるということになった場合に、なかなか設備投資だって思うような状況にならないと思うのです。六十年度の国民生活白書、これは国民所得統計によりますと、個人消費支出というのはだんだん下がってきているわけですよ。五十七年度が四・六%、五十八年度は三・一%、五十九年度は二・六%、六十年度の半期別の統計も下がってきているわけです。それは物を買う力をなくしてきているということが一つあると思うのですね。 それからもう一つは、これは統計を見ますと、貯蓄の方は逆にふえていっていますね。それはなぜ貯蓄がふえていっているか。五十五年度から比べたら、五十五年度は四三・五%ですが、五十九年度は五四・九%。これはなぜそうなったかといえば、住宅ローンだとか生命保険だとかそういうようなものに心配があるからということの義務的な預金といえば変ですけれども、そのためですよ。だから、そういうものに家計が制約をされるから物を買う力がなくなっていっているということだと思うのです。 だから、内需拡大の中で、随分予算委員会や何かでも言われてきておったように、個人の消費支出をふやすという政策は今回余りとられていない。残念ながらとられていない。若干のものはあるようでありますけれども、例えば一番大きな減税だとかというものは全部見送られていってしまっている。そうしていきますと、六十一年度一年間にそういう個人の消費支出というものをふやすということができるのかどうかという心配が一つあるわけですね。これをふやしていくということができなければ、仮に貿易摩擦を解消するために輸入を促進したくたって買う力がないということでしょう。需要がなければ何ぼ頑張ったって経済というのは伸びていかないと思うのですね。やはり需要を喚起して、それじゃ買おうかという気持ちにさせるということが大事になってくると思うのですよ。 ところが、そういう面の施策というものがとられていないということになれば、いかに現時点では仮に四%絶対達成しますと言ってみたところで、私どもにしてみれば帰って地元の大方に説明するときに裏づけがないんじゃないかということになると思うのですよ。そういう裏づけがないということに対してやはり心配が出てくるわけでありまして、そういう面では、内需拡大策というものを一面おとりになるのであれば、それなりの施策というものについてもっと考えていかなきゃいかぬのじゃないかと思うのですよ。 もう一度端的に聞きますけれども、四%を何としても達成させようとすれば、個人の消費支出、六三%も占める個人の消費支出が今の統計では落ち目になってきているわけですから、そういう状況の中でも心配ない、そのほかのことでもってこれはカバーできる、こういうふうに考えていいわけですか。
○赤羽政府委員 六十一年度の消費支出は実質で見まして三・六%、六十年度の三・〇%よりも若干伸びが高まる、こういうふうに見ておるわけでありますけれども、この要因と申しますか、これは一つは先ほど申しました円高のプラスの効果、それによりまして実質所得がふえる、この実質所得がふえるというのは物価の安定を通じて実現をする、こういうことでありますので、この物価の安定効果、これを一つ考えております。 それともう一つは、物価の安定というものに当面をいたしまして消費者のマインドがよくなるだろう、こういうことで消費性向も若干上昇する、こういうふうな見方でございます。 名目収入の方でありますけれども、雇用者所得、これの伸びはほぼ六十年度と同じ程度の伸びになるだろう、そうした状況のもとで物価が安定をする、物価安定に対しまして消費者心理の評価が高まり、消費性向も若干改善をする、上昇する、こういうことで三・六%の消費の伸びが実現されるだろう、こう考えておるわけでございます。
○奥野(一)委員 消費者物価の方は政府の方では六十年度の実績見込みが二・一に対して六十一年度は一・九、こうなるんだ、民間の方もこれはほぼ似たり寄ったりの見方をしているわけです。ところが、果たしてそういくのかということなんですね。名目賃金は仮に上がりましても、これは従来から何回も言われてきているのですが、減税されなければ、日本の場合は累進税率ですから、減税というようなことをやらないと実質的には増税という形になっていくことは御承知だと思うのですよ。それから、ここ五年間を調べてみますと、所得税は名目で六四・三%五年間でふえているのですよ。それから、社会保険の関係は五年間で四三・二%ということになっているんですよ。総理府が去年調査して発表いたしました五十九年度の全国消費実態調査、これによりましても大体横ばい状況、こう言っているのですよ。 だからことし、例えば賃上げなんかのことでも先ほどから言われておりますし、産構審の小委員会の方でも賃上げということについては考えないとだめだよ、こう指摘をしていますね。しかし、これは労使の関係だということでいってしまうわけですね。だから、最近の日経連のお偉い大方の動きなんかを見ますと、五島さんあたりが何かを言ったら、そんなばかなことなんということでしかられるということがありまして、果たしてことしの賃上げたってどうなるのか。政府の方だって人事院勧告というものは想定したかしないかは知らないけれども、予算には全然組んでいない、こんなような状況でございます。賃上げたって相当難しいなという感じもしているわけですね。 それでなくても、この円高の関係でもって打撃を受けるのは、今までよかった輸出産業が打撃を受けるわけです。内需中心の産業というのは今までだってよくないわけですよ。大体倒産してきた中小企業とかというのは全部輸出型でない企業が倒産しているわけですから、今だってそれはよくないということですね。そうすると、今度は円高の関係でもって今まで景気のよかったそういう輸出型の産業が落ち込むということになれば、そっちの方だってなかなか今度はそう簡単な賃上げということにはなっていかないかもしれない。そうすると、賃上げそのものの見通しをすれば非常に明るくない材料だ、こう思わざるを得ないわけですよ。そういう点が一つあるし、減税はことしまたやらないわけですから、さらに累進税率によって可処分所得というのは減っていく可能性というのが出てくる、そういうふうに思わざるを得ないのですね、そういう政策というのはとられていませんから。 だから、そういう状況の中で個人消費支出というものを例えば伸ばしていくとかということを考えるということになれば、何らかの手を打ってやらないとこれはできないのではないか。仮に四%達成できないというときに、これは諸外国だって皆見ていると思うのですね、日本は内需型に相当力を入れてきているな、こういうふうに見ていると思うのですよ。それができないということになった場合には、今度その反感が大変じゃないかと思うのですよ。そういう面の心配と、今言ったようなことについてお考えがあったらお聞きしたいと思うのです。
○赤羽政府委員 いろいろな要因を御指摘になりました。その要因それぞれに経済見通しの達成という観点から見て疑問になるような要因が多い、こういうことでございます。 私どもの方としては、繰り返しになりますけれども、この円高のプラスの効果、その当時、経済見通しを作成する作業の段階ではそこまで読んでおりませんでしたけれども、それに加えまして石油の値下がりの期待、これによりましてさらに我が国経済としての交易条件がよくなる、交易条件がよくなるということは、我が国の経済を運営していくに必要な外国の原材料を安く買える、こういうことになるわけです。安く買えるということは国内に購買力が残るということになります。 例えば石油の値段が仮に五ドル下がる、これは単なる仮定計算でございますけれども、五ドル下がるということになりますと、大体六十億ドル余りの輸入代金の支払いの節約になります。大体二百円ぐらいを想定いたしまして、六十年度のGNPは三百二十兆円ぐらいでありますけれども、それを換算いたしますと一兆五、六千億ドル。一兆五、六千億ドルに対しまして六十億ドル、こういうことになりますと〇・四%ぐらい国内購買力がふえる、こういうことになるわけであります。こうした交易条件の改善の効果、これは予想外にプラスの要素として評価できるのではないか、こういうふうに考えております。 今から考えてみますと、五十二年から五十三年にかけましての円高は、今回の円高よりもさらに円高になりました度合いは大きかったわけでありますけれども、そのときにはこうした外国に対する支払いの節約、それに伴う国内購買力の効果、それにその当時は現在よりももっと積極的な財政というのが伴っておったことは事実でありますけれども、そうした効果が重なりまして、消費なども大変な伸びを示した、こういうことだと思います。 繰り返しになると先ほど申し上げましたけれども、こうした円高のプラスの効果、あるいは石油の値下がりのプラスの効果、こういったものを織り込んで考えてみれば、個人消費の伸びが六十年度よりも六十一年度の方が高くなる、こういう見通しは決して無理な見通してはない、こう考えておる次第でございます。
○奥野(一)委員 もう早いもので時間がなくなってしまいまして、今まだ三問目ぐらいしか来ていないので、あと五問ぐらいあるのですが、とてもやっている時間がありませんので、簡単にお聞きしておきたいと思います。 G5による円高が余り急激過ぎたということで随分がたがたしているわけですが、私はどうも不思議でしょうがないんですね。例えばああいうことをやろうとする場合には、大体日本の官庁の場合には、非常に綿密なというのですか緻密なというのですか、そういう計画とかいろいろな見通しを立てながらおやりになるのだと思うんですね。だから、ああいう円高にするための調整をやろうとすれば、それが急激であったかなかったかは別にしまして、大体どのくらいのところになるのじゃないだろうか、こんな見通しがあったのではないかと思うんですね。なくてやったのかなというふうにも私思うわけですが、あったのではないだろうか。そうすれば、そのことによって輸出産業が影響を受けるということは事前にわかるわけですから、それに対する手当てというものは、本来それと並行してやられてこなければならなかったのではないのかなと思うのですが、その辺のところがちょっとわからないということです。 それから、長官の所信表明の中には、わざわざ一つの項目の中に「雇用の改善を図る」こう書いてあるのですが、中身が何もないんですよ。これも何か具体的な中身があったら知りたいな、こう思っているのです。 それから住宅対策の方は飛ばします。それから長寿社会の方も飛ばしまして、経済運営と予算との関係をお聞きしたいと思うのです。 国家予算といろいろな経済政策というのは、表裏一体だと思うんですね。だから予算だって、今の国民経済にとってどうプラスになるのか、こういう観点から当然考えなければいけないと思うんですね。そういう面から見ますと、これはいずれ私は予算の分科会で大蔵大臣にもお聞きしようと今思っておるわけですが、マイナスシーリングの中で防衛予算だけがなぜ突出をしなければならなかったのか。突出をさせるということが国民経済にとってこういうプラスになるというのだったら話はわかるんですよ。しかし、それはわからないんですね。こういうのは、経済政策を扱っていく経企庁長官としてはどうお考えになっているのですか。時間がありませんから、それだけ簡単にお聞きします。
○平泉国務大臣 昨年のG5の問題でございますが、もちろんあのときは、大蔵大臣及び中央銀行の総裁が集まりましたところで、どうも現在の変動為替相場というものが、今のままでは十分に機能しているとは思われない、ここで何らか協調してこれを少し是正することが可能であろうかということで、それぞれ相談の上、これは私ども金融当局のことでございますから十分には承知しておりませんが、金融当局の間でそれぞれ相当の行動がとられたのであろうと推測をいたしております。 ただ、御承知のとおり変動相場制のもとでございますから、相場がそれに対してどのように反応するかということにつきましては、私ども制度の本質から見て、それほど確定した数値とかレートとかというものが想定されていたとは考えにくいと思っているわけでございます。 たまたま、一たび相場が動いた後、変動相場制のいささか投機的な部分が動きまして、最近いささか急激な円高が進んでおるということについて、私どもは大変心配すべき部分がある。殊に、これによって打撃を受ける中小企業の分野が我が国には広範に存在するということは十分承知をいたしておりまして、為替相場が安定をするということに非常に努力を払っていく所存でございます。現実に産地の声を聞きましても、為替相場のレートの問題ももちろんございますけれども、安定が何よりも重要である。取引の安定ということがやはり直接貿易に関係することでありますから重要であるという声を承っておりますので、私どもそういう方面に動けるように、財政当局、金融当局と緊密に連絡をとっていく所存でございます。 それから、国家財政との関係につきまして、なかなか難しい御議論でございますけれども、私どもといたしましては、何よりも現在の財政というのが国債の非常に大きな負担の上につくられておるということ、これはやはり大きな意味で、長期的に見て将来の経済運営の上において緊急な財政の出動を必要とする段階において、それが難しい、あるいは金利に非常な影響を与える、こういうようなことでありますと、これは経済運営に深刻な影響を与えることでございます。私どもとしましては、国債そのものを完全に否定するわけではございませんけれども、やはり財政の対応力と申しますか、これがもう少し幅の広い状態であることが必要であるという認識で、財政再建が現在内閣の大きな目標として掲げられておる、このことにつきましては、私どももやはり経済運営の中でそれはそれなりに重要なことであると認識をいたしておるわけでございます。 防衛予算のことに関しましては、これは国家の基本のニーズとしてまさに公財政が負担すべきものでございまして、その範囲などにつきましては、これは内閣の担当大臣の所見をお聞き取り賜りたいと存じます。
○奥野(一)委員 終わります。
○野田委員長 次回は、来る二十五日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時二十七分散会