社会労働委員会 第18号
- 発言数
- 228 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1986/05/15
会議録
○山崎委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、老人保健法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河野正君。 〔委員長退席、稲垣委員長代理着席〕
○河野(正)委員 質疑に入ります前に、一言御見解を承りたいと思うわけです。 これはマスコミの報道するところでございますけれども、吉村次官は、今国会は老人保健法の成立は断念をした、ただ、次の国会もこれあることだから審議だけはひとつ続行してもらいたい、こういう意味のマスコミの報道がございました。大臣も新聞くらいお読みでしょうから。 私がここで申し上げたいのは、老人保健法が今度の国会で成立がなかなか難しい、これはやはりそれなりの理由があるわけですね。老人に対します大幅な医療費の負担をさせたり、また保健施設に対しましてもいろいろ疑惑というか不明な点があったり、それからまた国保あるいは健保組合との葛藤があったり、いろいろあるわけですね。ですから、成立しないということについてはそれなりの理由があるわけですから、そういう理由を徹底的にお互いに論議し合ってよりよい法律をつくる、私はこれが立法府の務めではなかろうかというふうに考えるわけです。ただ、成立は断念しておるのに審議だけはせい、これは全く国会審議を冒涜した態度じゃなかろうか、そういう感じを持つわけです。でございますから、吉村次官の新聞その他に対します談話にそういう内容があるわけですから、そういうことなら、私、実はきょう二時間半質問時間が割り当てられておるけれども、正直言って、そういうことではもう質問したくないのですよ。 そこで、次官のおっしゃったことですから、大臣は、一体どういう気持ちでこの老人保健法に取り組もうとしておられるのか、それは姿勢の問題ですから、大臣の方からひとつお答えをいただきたいと思います。
○今井国務大臣 新聞報道に事務次官の記事が出ておりましたことを私も後で見ました。私はかねてから申し上げておるように、この老人保健法というのは極めて大事な法案でございますし、ぜひこの国会で皆さんの御協力をいただきまして成立を期したいというのは終始変わらない信念でございます。 ただ、先生おっしゃいますように、極めて時間が限られておりますことは事実でございますけれども、私といたしましては、できるだけのことはやっていって、皆さんの御協力をいただきたいのは今でも変わらない意見でございます。私は、記事につきましていろいろ聞いてみたわけでもありますが、事務次官は、少なくもこの国会での審議日数も限られておって困難な情勢であると言わざるを得ないけれども、今後さらに審議を進めるよう努力していきたいという趣旨のことを答弁いたしたというふうに言っておりますので、私はそれが本当だと思っております。 少なくも、この法案の成立に全責任を持っております私は、この法案の審議を極力お進め願いまして、この国会で何とかして成立をお願いしたい、今でもそう考えております。
○河野(正)委員 今大臣もお答えになりましたように、協力を得てということですね。協力を得るためには、やはりいろいろな意見があるわけですから、そういう意見も十分尊重するということが協力の根底になると思うのです。 でございますから、我々の意見が十分入れられれば、今国会で成立するかもわかりませんよ。最初から対決法案だ、こういう気持ちで臨まれることに対して、物そのものが老人保健法ですから、老人福祉のための法案ですから、それをそういった対決姿勢みたいな形で臨まれておることに対して、私どもは非常に不満がございます。 大臣は、お人柄がお人柄ですから、今おっしゃったことが大臣の本音であろうと思いますけれども、しかし、正直言って、大臣がそうだからといって、周囲の厚生官僚その他いろいろな事情があるわけですから、なかなか大臣がお考えのようにまいらぬという状況があることも私どもも承知いたしております。ですけれども、協力を得ると今おっしゃったが、それぞれ老人団体その他の関係もありましょう、施設関係もございましょう、そういうところが協力すれば今国会で成立することも不可能ではないわけですから、初めから何か対決姿勢で、どうせ野党が抵抗するから通らぬのであろう、しかし審議だけしておかぬと次の国会で時間がかかる、そういうことが根底にあるものですから、実は問題が老人保健法という問題だけに、私はそういういう点においてまず不満があるということで指摘を申し上げておきたいと思います。今ひとつ大臣。 〔稲垣委員長代理退席、委員長着席〕
○今井国務大臣 先ほど申し上げたように、私どもとしましては、この法案はぜひひとつこの国会で通していただきたい、今でもそう思っております。 国会の御審議を通じましていろいろな御意見が出ることも私どもも存じておりますが、その御審議を尽くした上でのいろいろな御処置であろうと思いますので、この法案の御審議につきましては、ぜひひとつ御協力をいただきたいものだと今でも思っております。
○河野(正)委員 今、老人保健法に対しまする非常に御理解のあるような御答弁もございました。大臣の人柄もあると思いますが。 そこで、この老人保健法に臨む政府の姿勢、そういった意味で一言大臣にお尋ねしたい。 それは何かと言いますと、大臣も政治家ですから、恐らく九月十五日の老人の日、あるいはまた老人クラブの会合とか、老人会の会合とか、いろいろな御案内があろうと思うのです。そういう場合に大臣はどういうごあいさつをなさっているのか、どういう気持ちでそういう会合に御出席いただいておるのか。大臣ですから、恐らく今とても御出席できるような時間的余裕もないかもわからぬけれども、やはり議員ですから、議員の時代にはそういう要請等があって、現在、大臣ですが、当時は今井先生に対して、いろいろな要望とか希望とかあったろうと思います。そういう会合等に出たことがないとおっしゃれば別ですが、大体国会議員である以上は、多い少ないは別としてそれぞれが御出席いただいておると思うのです。そういう場合に、大臣は一体どういう態度で臨んでいらっしゃるのか、そのお気持ちをお伺いいたしておきたい。
○今井国務大臣 私も老人クラブ等の御意見はいろいろ承っております。そのときいつも申し上げるのですが、長い将来を考えて、この法律が有効に機能するためには、今私どもが考えております。ある程度の皆さん方の御負担につきましても理解をいただいて、この法律が末永く機能するようにぜひお願いをいたしたいというふうにお願いしておるわけでございまして、それについていろいろな意見が出ておりますことも、私も存じてはおります。
○河野(正)委員 御承知のように、日本も従来の家族制度とかわって核家族の時代がやってまいりました。老人がどんどん高齢化し、日本人が一番長生きするということですから、老人がふえていく。そういう状態の中で、家族制度というものが核家族、年寄りだけで生活しなければならぬ、こういう時代がやってきつつあることは御案内のとおりでございます。 そこで、子供たちや孫たちに世話にならないで生きていく、そういうために、私は大体三つの柱がある、こういうふうに考えておるわけです。 その一つは、年金だと思うのです。年金です。それから第二の柱、これは預金、貯金ですね。預金、貯金をしながら老後に備えていくということだと思います。それから第三の柱、これがいわゆる福祉政策ですね。老人医療もございましょう。また、老人に対しまする福祉施設の問題もございましょう。そういうような老人福祉というものが第三の柱。子供たちや孫たちの世話にならないで老人が細々と生活をしていく、そのためには大体三つの柱が確立されなければ、なかなかお年寄りの生活環境というものは厳しいであろう、私はこういうふうに思いますね。 ところが、残念ながら、預金、貯金に頼らなければならぬということは、これはむしろ社会福祉が非常に不十分である。そういう意味で、日本の国民が預金、貯金をするのが世界で最高だということは、私どもに言わせると、それは日本の福祉が非常に悪いからそういう預金、貯金によってそれをカバーしなければならぬ、こういうふうに私は判断をするわけです。そういう点に対して、この私が提唱する三本の柱に対して、大臣はいかが御見解を持っていらっしゃるのか、ひとつお尋ねをしておきたい、こういうように思います。
○今井国務大臣 私は、高齢者の生活というものにつきましての基本的な考え方といいましょうか、つまり公的年金でまず基礎的な支出を賄い、これに私的の年金あるいはおのおのの皆さん方がなさる貯蓄というものを組み合わせることによって今後の生活を維持していくというか、築いていくというのが私の基本的な考え方でございます。 しかし、いずれにいたしましても、やはり高齢者に対します社会保障という面の役割は極めて大きいものでございますから、今後とも社会経済の状況を考えながら、高齢者が安心して老後を託せるようなものにするように努めてまいりたいというのが私の考え方でございます。
○河野(正)委員 実は、アンケート等によりますと、年金だけで生活していますというような声も多いわけですけれども、現実にはやはりそれだけではやっていけない。今の平均の年金支給額を見てまいりましても十万円以下というような状況ですから、なかなかそれではやっていけない。だから、もう特別、例えば冠婚葬祭があった。冠婚葬祭には金がかかりますね。お祝いの場合もありましょうし、弔意を金で示す場合もありましょう。そういった場合、ほとんど貯金を崩してそういった社会的な慣例といいますか、義務というものを果たしておるというのが実際の実情のようでございますね。実は、私も自分が福祉専門と言っておるものですから、好んでそういう施設の、あるいはそういった団体の会合に出るものですから、そこでいろいろ承り、意見を聞いておると、私が今申し上げるような意見が非常に多いのですね。 そこで、きょう大蔵省おいでだと思いますが、一つは、一体今日本の国民が平均してどれだけ貯金しておるのか。これは私に言わせると、日本の福祉制度とちゃんと関連がある。日本の福祉制度がよくなれば預金、貯金をする者はいないのですよ。そういう意味で、きょうは大蔵省も出席を要求しておりますから、大蔵省の方からその数字をひとつお示しをいただきたい。
○杉井説明員 お答え申し上げます。 私ども大蔵省といたしまして、先生御質問の計数につきまして把握しておるわけではございませんが、貯蓄増強中央委員会の調査によりますと、国民一人当たりの個人金融資産、これは残高ベースでございますが、一番新しいところで一九八三年末でございますが、その当時のレートで円換算いたしますと、日本が約四百二万円、アメリカが五百九十九万円、それから英国が二百七十七万円、西ドイツが二百五十九万円ということになっております。ただ、この計数は、個人金融資産ということでございますので、預貯金のほかに有価証券でありますとか保険といった商品も含まれておるわけでございます。 それから、世帯当たりの預貯金金額について国際比較をいたしますと、これまた個人金融資産で申し上げれば、その世帯数につきましてはそれぞれとる年次がございますので若干違いがございますが、ただいま申し上げた一九八三年末で見ますと、日本は千二百八十五万円、アメリカが千七百四十八万円、それからイギリスが八百六十九万円、西ドイツが六百二十八万円となっております。
○河野(正)委員 今数字をお示しいただいて、実は私、今までいろいろマスコミの報道その他を見てまいりまして日本の預貯金率が一番高いというふうに聞いてまいったわけですが、今の御報告ではアメリカが一番高いという状況であります。いささか疑問を抱きました。しかし、アメリカに次いで高いですね。アメリカはもともと経済規模が違いますのでね。そういうように預金、貯金する率が非常に高い。 ところが、御案内のように最近は公定歩合が下がりまして、今までは、預貯金をしておいて、それを基本にして金利で足りないところを賄っていくというような状況を繰り返しておったわけでしょうけれども、今日は金利が下がってそれがもう期待できないですね。でございますから、そういう意味ではますます厳しくなるということであろうと思うのです。 そこで、いま一つそれに関連して質問をしたいと思いますが、サラリーマンといいますか、勤労者の昨年末における、これは世帯ですから個人と若干違うと思うけれども、平均貯蓄高が六百九十二万円、そういう数字が出てまいっております。しかしこの勤労者の方は必ずしも老人ではないわけですが。ところが、一方借金、これは今はやりのローンですよね。例えば住宅でもそうでしょう。持ち家、そういう問題が非常に盛んになりましたから。こういった貯蓄と、一方におきましてはローンに追われて、せっかく老後に備えていこうと考えておりましたそういう考え方というものがだんだん砕けつつある、こういう状況も出てまいっておるわけです。 ですから、とにかく老後に備えて年金だけに頼るわけにいかぬのだから、したがって老後は年金に預貯金の金利で補っていく。もう一つは、先ほど申しておりますように福祉政策の向上を図ってもらう。ところが、残念ながら今度の老人医療費も大幅な国民の負担なんですね。そういう状況ですから、今若い人が老人になった際のいろいろな対応というものがなかなかうまくいかぬ、こういう状況がございます。それは、せっかく貯金しておるのに片一方ではマイホームでローンに追われるということですから、なかなか思うようにいかない、こういう実情もございます。 そこで、これは本当を言えば中曽根総理にお尋ねした方が一番いいわけです。というのは、貿易摩擦で円高差益、この際、中曽根総理がおっしゃったことで非常に気になるのは、金ばかりためないでひとつ外国の輸入品を買うことに努力したらどうだろうか、百ドル購買運動、こういう中曽根総理の国民に対しますアピールがございました。委員長は中曽根さん直系ですけれども、今申し上げますように、国民が非常に困っておるのに何かいかにも金が余って、とにかく円高でもうけよる、それで外国からいろいろ指摘を受けるので、この際、百ドル外国の商品を買うたらどうか、買ってくださいよ、こういうアピールをなさっておる。本当に今日お年寄りが将来に対して一体どうなるだろうか、そういう非常に悩み、苦しみ、苦悩を続けておるという中で、そういう総理大臣のお話は今のお年寄りに対しては聞こえない話であります。どうもお年寄りに対する認識というのが少しずれてはせぬかという感じがいたします。 これは総理がお答えになるか委員長がお答えになるのが一番いいと思いますが、そういうわけにいきませんでしょうから、厚生大臣からこれに対する感想を一言お願いしておきます。
○今井国務大臣 円高差益の問題はおっしゃるとおりに大変な問題でございますので、総理が輸入品をひとつ買おうじゃないかというお話をなさいましたことは事実でございます。しかし、一方、預金金利が下がりますことによる将来見通し等について、お年寄り、特に年金のお年寄りがいろいろ御不安を抱いておられることは間違いないかと思います。 しかしながら、預金金利は確かに下がっておりますが、一方で物価というものもおかげさまでこのところ極めて鎮静化をしておるわけでございます。したがって、年金のほかに預金金利を生活の一部に充てておられるようなお年寄りにとりましては、確かに金利の引き下げという影響はあろうと思いますが、今申し上げたように物価の問題が、あるいは物価の水準が低いことなどを考え合わせますと、実質的には極めてびっくりするほどの大きな影響というものは私は与えていないのではなかろうかなという感じもいたします。 一方、特に福祉年金というのが先生御存じのようにございます。この福祉年金などを受給しておられますお年寄りの定期預金につきましては、金利の据え置きをいたしております。五・五%でございますが、据置措置がとられておるようなこともございまして、私は、この際いろいろ政府もお年寄りに対する措置を考えてまいりますれば皆さんの御不安というものもだんだんと薄らぐのではなかろうかというふうな感じがいたしております。
○河野(正)委員 勤労者、現在現役で働いてそして収入を得ておる階層、それともう年金だけに頼らなければならぬという階層、これは生活の基盤が根本的に違うわけです。ですから、それをきちっと区別せぬと、現役で働いておる人もささやかな年金で細々と生活しておるそういう老人もごっちゃにして、いろいろ政治の中で言われることに対して私どもは非常に抵抗を感ずるわけですね。 ですから、福祉政策が充実しておれば何も貯金する必要はないのです。それをそのまま生活費に充当しても一向差し支えない。けがをすればけがしただけでそれぞれ国が保障してくれる。年をとれば食えるだけ年金を保障してくれれば、それで結構です。ですけれども、御案内のように年金の改正があった。今から年金のアップ率が悪くなるでしょう。それからまた、病気なら病気になって、まだ法律は通っておりませんから結構ですけれども、法律が通れば御承知のように四百円が千円になり、それから入院が三百円が五百円。そして、せっかく激変緩和ということで二カ月間に限って制限をした、それが今度は制限がなくなる。そういういろいろな面で老人に対する対応が後退しつつある、どんどん後退しつつある。 でございますから、このお年寄りの負担も重くなれば、年寄りを抱えておる家族の負担も重くなるということですね。これは当然そうだと思う。年寄りは年寄りだけやっていくというわけにいきませんね。やはり家族も年寄りを抱えておるわけですから、家族の負担もやはり増強される。 そういう状況になっておるわけですから、一般的に貿易でもうけて貿易差益が出てきた、円高が出てきた。円高といっても、今そのために不況になっておるわけですから額面どおり受け取るわけにいきませんが、しかし老人にとっては決していい側面というものはない。今度の老人保健法の改正があればお年寄りの負担が平均で三倍、入院では十倍以上にもなる。それは要するにそういう場合もあるということで、そういうふうに御理解いたたきだい。これは、そういう特定の方々は大変な負担を強いられるわけですね。 それからまた、今度の目玉の一つですが、老人保健施設、これにも負担率その他においていろいろ問題があることは御案内のとおりでございます。いずれにしても、今度の老人保健法の改正が老人にとって恵まれた改正でないことは明らかです。 大臣、ちょっと首を横にされましたけれども、それが非常に気になるわけです。なぜなら老人医療費が二倍にも三倍にもなる、入院すれば十倍以上にもなる、こういうことで、それが老人福祉のためによくなったと言うわけにはいかぬでしょう。国の財政事情があることはわかりますよ。わかるけれども、現実にそれが前進したとは言えぬでしょう。こういう方向というものがどんどん強くなりつつあるわけですね。今度老人保健法の改正があったから、四百円が千円、三百円が五百円、それは無期限、これ自身大変な負担であるけれども、これで終わるということではないでしょう。 今度厚生省が発表しておりますように医療費がどんどん伸びてきた。健保の改正によって一年目は一けた、三・八%だったけれども二年目には既に二けた、一〇・三%、そういうふうに伸びてきた。これは年寄りがふえればふえるだけ伸びますよ。伸びないというのがおかしいので、伸びるのが当たり前ですね。ですから、今度の法律の中身を検討してまいりましても、決して前進でいいことだというふうには大臣もお考えにはなっておらぬと思うのです。ひとつその点について大臣の御見解を承っておきたいと思います。
○今井国務大臣 一部負担の引き上げの問題についての御質問がございましたが、先生御案内のように、今老人の医療費というものが年々増額してまいりまして四兆円に達しているわけでございます。このうちお年寄りの方が負担しております一部負担は金目にいたしまして約六百億円、割合にいたしますと一・六%でございます。そうすると、残りは結局若い世代が負担をしているという実情にあることも御認識いただきたいと思うわけでございます。 今回の一部改正は、人口の高齢化が進む中でやはり増加が避けられない老人の医療費を、お年寄りも今までの一・六%でなくもう少したくさん持っていただきたい、また、現役の世代も力を合わせてこれを公平に持っていただけないかということからお願いしているものでございます。しかも、今回の改正ではお年寄りの方が払いやすいように定額制というものは変えませんで、また、外来につきましては、月の初めに一回払っていただけば後はその月は何遍参られても払わなくてもいいという現在の仕組みを維持することを基本にしているわけでございまして、これは何とか御理解をいただけるものではないだろうかというふうに私どもは考えておるものでございます。
○河野(正)委員 大臣は、老人医療費の負担というものがどんどん増強される、だから少しは老人も負担してほしいということですね。 しかしながら、現役といいますか現在若い人は、ささやかではあるけれどもある程度は収入がある。お年寄りは収入が、年金がございますからないとは言えませんが、非常に乏しい。いま少し負担してもらったらどうだろうか。その言葉がわからぬわけではないですよ。ところが、今度の負担はいま少しではないですね。さっきも言いましたように、とにかく四百円が千円でしょう。これは倍以上ですね。もう一つは、三百円が五百円。これは、いま少しではないです。それは、例えば我々が考えると少しであっても、非常に財政の乏しい老人にとってはそういう零細な金でも少しではないのです。その気持ちを知ってもらって法改正をやってもらわないといかぬと思うのです。 もう一つ、これはちょっと専門的なことになると思いますが、今の仕組みを維持していくということならば、私どもが仄聞するところでは、内科にかかりますとそこで千円払う、それで耳鼻科に行く、あるいは眼科に行くとそれぞれ千円負担しなければならぬということですが、そういうことはないわけですね、どうでしょうか。
○黒木政府委員 外来の定額一部負担の払い方でございますけれども、御指摘のように医療機関ごとでございまして、月の初めにある医療機関でお払いになれば、その医療機関においては何回かかっても後は無料ということになります。しかし、他の医療機関にかかった場合には、新たに、今度の改正では千円を要する、こういうことになるわけでございますが、総合病院におきましては、医師の指示等によって内科、耳鼻科等に行かれる場合には、最初の内科でお支払いになれば後は結構だという仕掛けをとっておるわけでございまして、その仕組みは変えるつもりはございません。
○河野(正)委員 大臣はとにかく大臣だからといって何でもかんでも御承知だと思わぬから、そう責め立てる気持ちはございません。ただ、現在の仕組みは変えないとおっしゃっているけれども、現在の仕組みを変えるわけですね。 お年寄りが全部総合病院に行けばいいですよ。ですけれども、一般のお年寄りは総合病院にはなかなか行かぬ。それは総合病院に行くと待たされるからですね。あの待ち時間が老人には大変なんです。ですから、一般の開業医にかかる。こうなると、大臣は現在の仕組みは変えぬとおっしゃるけれども、変えるわけですね。——いやいや、部長は頭をひねっておられるけれども、変わるでしょう。今までは四百円払っておけばどこへ行ってもいいわけでしょう。違いますか。
○黒木政府委員 総合病院におきましては、御指摘のように最初の診療科で四百円払えば後は医者の指示によってほかの科に行った場合にも払わなくてもいいということでございますけれども、一般の医療機関で受けられる場合には、それぞれの医療機関ごとに外来一部負担を払っていただく、こういうことでございまして、その限りにおいては今回の改正後もその仕組みは変わらないわけでございます。
○河野(正)委員 今までは四百円払えばどこへ行ってもいいわけでしょう。今度は、総合病院においては現仕組みが維持されるけれども、一般の開業医にかかればそうはいかぬでしょう。千円払って内科にかかっている人が、どうも目が悪いということで、特に糖尿病なんかそうなりますからね、それで眼科に行く。そこでまた千円払わなければいかぬでしょう。機関ごとに払う。そうすると、仕組みは変わっているでしょう。どうして変わらぬですか。
○黒木政府委員 同じ答弁になると思いますけれども、総合病院以外の医療機関で外来を受けられる場合には、それぞれの医療機関ごとに、現行でございますと四百円払っていただく。医療機関が同じでございますれば支払い不要ということになりますけれども、総合病院以外の医療機関に診療を求められる場合には、その都度医療機関ごとに外来一部負担金を払っていただく、この限りにおいては変わらないわけでございます。 総合病院だけが、レセプト事務との関係もあるわけでございますけれどもそれが可能だということで、各科独立の形で運用しているわけでございますが、各診療科ごとに一部負担をお願いする仕掛けの中で、老人については、内科、耳鼻科その他行かれても、お医者さんの指示で行かれる場合においてはそこは支払いは要らない、こういうことでございます。 重ねて申し上げますけれども、総合病院以外はそれぞれ払っていただく。総合病院においてももちろんお払いいただくわけでございますけれども、そこの中の各診療科については、ほかの医療保険制度と同じようにその都度診療科ごとに一部負担を取られるのではなくて、最初の診療科で一部負担を支払われればあとは結構であるという仕掛けになっている、その限りにおいては変わらないということでございます。
○河野(正)委員 同じことばかり繰り返して——私もばかじゃないから同じことばかり繰り返されぬでも話はわかりますよ。私が言っているのは、仕組みは変わらぬとあなたはおっしゃる、大臣もおっしゃった、仕組みは変わっておるでしょう。それは、総合病院においては変わってないかもわからぬけれども、一般の病院に対しては変わっておるでしょう。医療機関ごとに払っていかなければならぬ。そうでないですか、違いますか。
○黒木政府委員 重ねての答弁でございますけれども、現行法上、医療機関ごとに一部負担を払うということになっておりまして、現行法、改正前の法律体系においてそうなっておるということでございますから、ここのところは改正をしないということで御理解をいただきたいと思います。現行法で医療機関ごとに外来一部負担を払う、こういうことになっておる、そのことは今回は改正をしませんということでございます。
○河野(正)委員 そこで、極端に言いますと、それぞれ払うということは、今までは四百円でよかったのが千円になるわけでしょう。そうすると、三カ所行けば三千円になるでしょう。そうでしょう。そういうふうに、要するに、現状変わっておるわけですよ。それを依然として、従来がそうだったからそうでございますということでは、私は納得できませんよ。というのは、四百円が千円になるのですよ。だから、三カ所行って、四百円なら、現行なら千二百円。今度三カ所行けば三千円ですよ。倍以上ですよ。そういういわゆる血の通った気持ちというものが全然生かされていない。今度千円になったからそのかわりどこへ行っても千円でいいですよと、それは一人の病人が必ずしも二科、三科に行くわけじゃございませんから……。 ですから、ここで一つお尋ねしますが、一体今老人が一月に何カ所ぐらいかかっているのか。例えば眼科、耳鼻科、いろいろありましょう。その平均は一体どういうことになっているか、ひとつ数字で示してもらいたい。
○黒木政府委員 私どもが、レセプトをもとに推計した数字を持っておるわけでございますけれども、平均しますと一人が一・五件と申しますか、一・五の医療機関に一月にかかっているということでございます。
○河野(正)委員 一・五科という見解を持っておられることは承知しているわけです。ところが、それが具体的に、科学的にそういう数字というものが一・五科になっておるのかどうか、これは疑問ですよ。ですから、かねがね私も一・五科だということは知っておるけれども、あえてここでお尋ねしているのは、この一・五科というものが当てにならぬ。この科学的根拠というものが当てにならぬ。こういうことを私は疑問を持っておるからあえて聞いておるわけです。 それでは、この一・五科というのはどういう形で一・五科というように結論づけられたか、その辺の事情をひとつ明細にここで報告してもらいたい。
○黒木政府委員 私どもは、基金において、六十年十月診療分のレセプトについて、実際十月において診療を受けられた老人の数で請求のあったレセプトの枚数、つまり医療機関数を割った結果が一・五という数字を得ました。したがいまして、実際かかられたお医者さんが、一・五の医療機関に行っておられるということは、そのレセプトの調査結果から出ます数字としては私どもは妥当な数字ではないかと思います。 現に、これはある国保連合会で調査した数字があるわけでございますけれども、その調査結果、ある県の国保連合会の、一人の老人が月にどれぐらいかかっているかという実態調査の結果を見ましても、ほぼ同様の結果が得られておるということで、私どもとしては、一人のお年寄りが行かれる平均の医療機関数というのは月に一・五、なべて申しますれば、ある月は一回、ある月は二回というような感じで行っておられるのが平均的な受診のパターンかなと。もちろん同じ医療機関で二回、三回、四回行かれた場合にはそれも一医療機関として数えているわけでございますから、お年寄りの診療の実態というのはむしろ一ないし二の医療機関でじっくりおかかりになっている。現に一医療機関の診療日数を見ますと四ぐらいになっております。したがって、一月に四回行っておられる。したがいまして、お年寄りは一ないし二の医療機関で月に四回、つまり毎週一回程度じっくり診ておられるのがお年寄りの診療の実態かなというふうに考えておる次第でございます。
○河野(正)委員 一つは、今、老人の数と請求額と勘案したら一・五だ。これは算術計算でしょう。科学的根拠はありません。算術計算でしょう。 それからもう一つは、ある医療機関というお話がございました。ある医療機関でそうだからそうだと。これは厚生省として不見識も甚だしいじゃないですか。というのは、極端に言いますと、勝手のいい医療機関のデータだけ集めてやられたらかないませんよ。だから、各医療機関の実態というものを調査したところがこうなりました、それなら納得します。ある国保の医療機関の実態がこうでございますからそれが妥当なものだ、妥当という言葉を使われる。それは不見識ですよ。
○黒木政府委員 言葉が不明瞭で誤解を与えて申しわけございませんけれども、ある医療機関ではございませんで、北陸のある県の国保連合会が県下の市町村の国保の老人分すべてについて、六十年九月診療分で調べた結果がおおむね一・五件と申しますか医療機関数ということで、私どもの調査と合っているということで申し上げた次第でございます。ある国保連合会の調査資料だということでございます。
○河野(正)委員 今、少し拡大してお答えになったけれども、それにしても、ある県でしょう。全国じゃないでしょう。当然そういうデータというものは、全国の実態調査を実施して、そして平均してこうですよというのが一番妥当な答えではないでしょうか。ところが、ある県で全部やったんですと。それは、ある県だけでしょう。だから、ある県とある県とは違うかもわからぬ。それは医療費だってそうでしょう。医療費だって、非常に多い県もあるし、少ない県もあるんですよ。そうじゃないですか。医療費は西高東低だとか、あなた、言っておるじゃないですか。そういうように違うんですよ。それを、ある県ではそうだったからそれは厚生省の調査と一致いたしますと。それは答えになりませんよ。全国のあれでしたらいいんです、納得しますよ。答えにならぬ。
○黒木政府委員 先ほど申し上げました支払基金の調査と申しますものは、一月分でございますけれども全国の調査でございます。全国から集まってきたレセプトをもとに推計した数字ということで、全国ベースであるということで御理解いただきたい。ただ、支払基金でございますから被用者サイドの老人の調査でございますけれども、調査としては全国レベルの調査であるということで御理解いただきたい。 ただ、御指摘のように、地域地域で診療の実態も違いましょう、あるいは地域地域で医療機関その他の面も大いに違いがありますから、全国平均をもってすべてを考えるということはやはり問題があるかもわかりませんけれども、全国平均値で申し上げると、何度も申し上げておりますように、一人一月一・五医療機関に外来の形で通院されているということでございます。
○河野(正)委員 それはそれでいいですよ、全国平均ですから。ところが、今あなたは国保のある県の実態がこうだとおっしゃったでしょう。要するに、平均を裏づけるその資料というものは、ある県の実態です。こうでしょう。それはやっぱりある県だけではいかぬですよ。全体の平均をして、そしてその平均というものが支払基金の数字と一致いたします、これならいいですよ。今ある県ではこうだ、たまたま一致しました、そういうお答えをされるから、私それを不見識だ、こう言っているのですよ。不見識なら不見識とはっきり言いなさいよ。
○黒木政府委員 失礼いたしました。 私どもは全国調査の数字で申し上げているわけでございまして、その数字の正しさを言うためにある県の調査結果を引用いたしましたことを深く反省いたします。 私どもは私どもで実施しました全国レベルの基金レセプトの調査結果で一・五という数字を訂正して申し上げたいと思います。
○河野(正)委員 とにかくその場限りで、時間が来るまでというような形で、何とかつじつまを合わせておけばよろしいというような答弁では審議ができませんよ。私ども真剣ですよ。大臣だってそうでしょう。今回成立せぬかわからぬけれども、とにかく真剣に老人のためにひとつ審議してほしいと、冒頭、大臣がおっしゃった。それがなければ全く審議の意義がございませんよ。
○今井国務大臣 今資料の問題でいろいろ大変失礼をいたしましたが、担当部長も真剣な気持ちでお答えをいたしておりますので、そのようなことでひとつお許しをいただきたいと思います。
○河野(正)委員 大臣からそう言われると身もふたもございませんが、しかしながら、今ずっと部長の答弁を聞いておると、こう言われるとこう言う、こう言われるとこう言うと、だんだんだんだん回答というものが拡大されてくる。だから、最初からそう言っておけば問題ないわけですよ。大臣おっしゃったように言っておけば問題ない。私ども何もここで意地悪しようということで登壇しておるわけじゃないわけですから、よりよいものをつくろうということで今一生懸命お尋ねしているわけですから、あなた方もその気持ちでお答えにならないと時間ばかり食ってどうにもならぬ。 そこで、どうも今度の老人保健法の改正というものが財政本位、できるだけ医療費を抑えていこうということに端を発しておるじゃないかということが言われておることは御承知のとおりですね。そこで大臣は、とにかく老人医療費というものは四兆円を超すようになった、だから、老人も少しは負担してもらわなければいかぬ。ところが、私どもはその負担が多過ぎる、こう言っておるわけですね。そこで、そういう厚生省の姿勢という点から、これはいずれまた機会があるわけですから、そのとき申し上げますけれども、今度の老人保健法の改正というものが財政という建前からやられた、こういう批判があることは事実です。 そこで、これは大臣も国会でお答えになっているようですけれども、例えば今国会に提出されておりますいわゆる国立病院・療養所の統廃合の問題、これなんか正直言って、今、国立病院は大部分赤字でしょう。だから、それを民間に払い下げる、地方自治体に払い下げるといったって、今まで国がやっておったのが地方自治体に行ったら今度はうまくいくのかというと、なかなかうまくいかぬでしょう。いくとするならば、それは国立病院の関係する職員を冒涜することになりますよ。おまえたちのときはだめだったけれども、こっちがやったらよくなった、おまえたちは今までずぼらしておったのかということになるのですから。そういうことで、財政上の問題はやはり慎重に考えて処理してもらわなければならぬのです。ところが、法律は通っておらぬけれども、この病院はぜひ買うてくれというような折衝が具体的にもう既に始まっておるでしょう。差しさわりがあるから、私、具体的に申し上げませんが、とにかく買うてほしい、もうそういうような作業が既に行われております。 これを考えてみますと、大臣は近代化のために、先駆的な医療のために統廃合するんです、こういう言い方をなさっておりますけれども、やはり根本は、赤字で困って、そして統廃合するというねらいではなかろうか、こういうふうに考えておる側面が非常に強いのです。ですから、今各地の地方自治体あたりでも残せ、統廃合反対というような状況が出ておりますことは大臣も既にお耳になさっておると思うのです。やはりこれは自治大臣が言ったように、統廃合、再編成という問題は、地域医療を一体どうするのか、地域医療というものはこうなければならぬ、そういう議論の中から出てこないと、勢い財政上の問題だけで統廃合するんじゃないかというような議論が出てくる。これは閣内不一致と言われておりますね。 ですから、私どもがなぜここでこれを指摘しておるかというと、今度の老人保健法の改正の老人保健施設の新設を見ましても、現在特別養護老人ホームがある、そして今度は補助金を減らして、そして老人保健施設をつくろう、こういうことでいろんな問題があるわけですが、それは後ほどいろいろ指摘をいたします。そういった意味で、とにかく人間の健康、命というものは金ではかり切れないわけです。金の切れ目が命の切れ目なんという言葉が今ありますが、これは厚生省にとって本当に不名誉な言葉ですね。金の切れ目が命の切れ目、そういう医療政策じゃないか、今度の老人保健法もそういう意味の改正じゃないか、こういう批判があることは大臣も耳にされておると思います。 そういう意味で、そういう医療政策、福祉政策そのものに対する基本的な姿勢ですね、大臣はまあ人柄もよさそうですから、そういう点も十分お含みになっておられるでしょうけれども、周囲がなかなか許さぬということがあろうかと思いますが、そういう国の医療政策あるいは福祉政策が財政本位でやられたら、国民の今も損なわれるし、健康も損なわれるし、せっかく高齢化が進んで日本の国民が人生八十年なんて謳歌しておるけれども、かえって惨めですよ。長生きしてもらって、そして福祉政策が充実して初めて老人というものが幸せだと私は思うのです。そういう意味で、基本的な姿勢について私、若干申し上げましたが、それらについて御見解があれば大臣から承っておきたいと思います。
○今井国務大臣 老人保健法の問題に絡めまして、病院の再編成につきましても御言及がございました。先生は財政対策ではないかというお話でございますが、私は必ずしもそうは考えておりません。じゃあ財政問題は無関係がとおっしゃられれば、確かにそれは無関係ではございませんが、一つの契機にはなったかもしれませんが、それだからというわけではないと私は思っているわけでございます。 例えば病院の問題にいたしましても、戦後間もなくのころは国立の病院・療養所というものは、先生御案内のように、我が国の医療機関の中でも極めて重要な機関として責任を果たしてまいったわけでありますが、その後、戦後四十年もたちますと、やはり民間の医療機関等々が十分充実してまいっております。一方また、国立病院・療養所というものにつきましては、現下のいろいろ財政状況もございますが、そのほかに極めて大事なのは、人員の削減というような問題がございまして、これ以上人員をふやしてはいけないというふうな国の厳しい制約のもとで、すべての国立病院・療養所に対しまして医者、看護婦等々の人的資源と申しましょうか、そういうものを充実強化したいのでありますが、なかなかそれができない。しからば国としてやるべきことをきちっと範囲を決めて、高度先駆的医療とよく私ども申しておりますが、あるいはまた他の民間医療ではとてもそれを取り上げることが困難なような医療というものに重点を絞って、戦線を縮めましてやはり国らしい医療を供給していこうじゃないかということから私どもは再編成というものを考えましたものでございます。ただ、これも一遍にはできませんから、今後十年間ぐらいの年次をかけて、ひとつ皆さんの御協力を得ながらやっていこうと思っているわけでございます。 老人保健も同様でございまして、例えば老人の加入者按分率の引き上げの問題等々につきましても、これは私は必ずしも財政対策だけではないと思っておるわけでございまして、各保険間のアンバランスというものをこの際是正することによって、老人加入率の格差によります負担の不均衡を是正していこうじゃないか、そういうふうな発想から出ておるものでございまして、少なくとも今回のこの改正は両方とも、次の世紀というと大変言葉が遠い将来のように思いますが、私は少なくとも将来にわたって今後とも揺るぎないものにするために避けて通れない道だというふうに考えておるものでございます。
○河野(正)委員 これは根本的な考え方の相違でございますから、それ以上追及しても時間を食うばかりでございますから、少しずつ本論に近づけてまいりたいと思います。 そこで、五十八年から施行されました老人保健法、これには第一条で示されましたように一つの大きな目的、課題というものがあるわけですね。特に、老後の健康の保持と適切な医療の確保を図るために、疾病の予防、治療、機能訓練などの保健事業を総合的に実施する、そして老人の福祉の増進を図る、こういうふうになっておるわけです。それから第三条では、一条の目的達成のために、医療、社会福祉その他の関連施策を積極的に推進する、こういうふうになっております。 そこで、実を言いますと、保健事業、これが主体になっておるわけですが、この三年間に保健事業というものがどういう成果を上げてきたか、これはいろいろ議論のあるところです。これをひとつお答えいただきたいと思います。
○仲村政府委員 御指摘のように、本格的な高齢化社会の到来を控えまして、私どもといたしましては、健やかな老後を迎えるということが非常に大切な基本のことだと考えておるわけでございまして、そのためには、壮年期からの健康づくり対策と申しますか、そのような保健事業、ヘルス事業を大いに推進するということは、先生が今おっしゃったとおりのこととして私どもも受けとめてきておるわけでございます。 〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕 このいわゆる老人保健法に基づきます保健事業は、五十七年度を初年度といたします五カ年計画に基づきまして段階的かつ計画的に事業の拡充を図ってきておるわけでございまして、私どもといたしましては着実な成果を上げてきているというふうに理解しておるところでございます。 保健事業の実施状況、五十九年度の実績で申し上げてみますと、健康相談、機能訓練、訪問指導等は予算で見込んだ水準を上回る実績となっておりますし、健康診査につきましては、受診者数が五十九年度におきまして千六百万人を超えるような成果を上げておるわけでございますが、受診率について見ますと、予算に対して一般診査では七割、胃がんの検診で申し上げますと五割、子宮がん検診で申し上げますと八割程度の実施率ということでございます。細かく見ますと、健康診査の実施率につきまして国の予算を上回っている市町村も数多くございますけれども、一部都市部においてはまだ目標を下回っておるというところも若干見られておりまして、全体の実施率を引き下げる原因となっておるのも事実でございます。 なお、こういうふうな事業の重要性にかんがみまして、私どもも、六十一年度予算におきましても、厳しい財政事情ではございますけれども、総額三百五十八億円、対前年度比に直しまして三五・八%の増額の予算を確保いたしたところでございますし、内容的には肝機能、総コレステロール等の検査項目を一般診査の項目に追加して内容の向上を図る、さらには訪問指導の対象の拡大、あるいは保健事業全般についての事業の充実、さらなる発展を図ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
○河野(正)委員 長々と説明だけは承りましたが、実態としてこの保健事業というものがそう適切に、有効に行われておるかどうかということには、これは若干問題があろうかと思います。 市町村保健センター、これも六十年度末現在でございますが、全国で七百六十八カ所ということでございます。そうしますと、この程度ではなかなか、今あれにもこれにも実績を上げておるというお話でございましたが、それは程度の差でございましょうが、必ずしも私は保健事業が成果を上げておるというふうには考えにくい点もございます。これはやはり相手が老人ですから、したがって、PR、保健センターではこういうことをやっていますよ、そういうようなPRが足りぬとかいうような問題も一つの障害になっておるようですね。ですから、いろいろやっておりますが、まだPRその他が充実しておらぬので、必ずしも十分な成果を上げ得ておりません、そういうふうな答弁でございますれば百点満点差し上げますけれども、ただ、今やっている分だけ言って、これだけやっておるのですと。ところが、現実には、さっき申し上げましたように全国で今七百六十八カ所ですからね。全国でそうですから。ですから、老人が遠い距離のところを行くわけにもまいらぬでしょう。 そういう意味で、今お答えになったそれはそれなりの成果でしょうけれども、しかし老人保健法の精神からいえば、やはりもっと実績を上げていかなければならぬ。その中で一番大きな問題はやはりPRが足らぬ、周知徹底していない。その点について反省してもらっておかぬとこれは伸びやしませんよ。だから、今局長の答えの中で、まだPR不足等がございまして十分成果は上げ得ておりません、こういう答えならば、さっき申し上げましたように百点上げますけれども、どうも今の答えでは百点やるわけにはまいりません。ですから、それは十分ひとつ反省の材料にして、今後そういう方向に力点を置いて頑張っていただかなければならぬというふうに申し上げておきたいと思います。それはそういう忠告を申し上げておきたいと思います。 そこで、この老人保健施設についてでございますが、現在特別養護老人ホームがございます。それに今度は改めて老人保健施設をつくろうということであるわけです。そうすると、国の負担が違うわけですね。要するに、老人保健施設をつくれば、従来特別養護老人ホームでは八割が今度は二割というようなことで、そういうことになりますれば、結局、先ほども申し上げましたように、経費、予算の節減ということで老人保健施設というものが新しく設けられるのではないか、そういう議論が出てもこれはいたし方ないと思うのです。そういう点で、予算とは全然関係がございませんといっても、これははっきりと言っておかぬと、今からどんどんこの老人保健施設がふえて、そしてこの特別養護老人ホームから老人保健施設に入っていくということになりますると、今申しましたように、非常に問題が出てくる可能性があります。 それはそれなりにまた後でお尋ねいたしますが、一応そういう財政上の問題ではない、今度老人保健施設をつくればこういういいところがあるのです、特別養護老人ホームよりもこういういいところ、こういう進歩があるのですというところがあればそれをひとつぜひお聞かせいただかぬと、これは財政上の問題でそういう施設をつくっているんだということしか考えるわけにはまいりませんから、ひとつその点お答えをいただきたい、こういうように思います。
○黒木政府委員 今回の改正案に老人保健施設の創設についてお願い申し上げておるわけでございます。この背景は、御案内のように今後の高齢化社会を迎えまして寝たきり老人の方、その他介護を要する老人の方がますます増大をするだろう、二十一世紀には百万を超えるだろうと言われる中で、どうしても私どもとしては新しい施設体系を用意して差し上げたいということでございます。 そのポイントを申し上げれば、一つは、やはり従来の病院と違いまして、この施設は手厚い看護あるいは介護のサービスが受けられるというところに病院と比較すれば特色があるのかなと思いますし、あるいは老人施設と比べまして、医療サービスについて医療ケアを濃くしてあげたいというふうに考えているわけでございます。その他、これからでございますけれども、建物構造その他設備等についてもそういった寝たきり老人の方々にふさわしい設備等をつくってまいらなければいかぬなというふうに考えております。 それからさらに、この施設は老人保健法に位置づけるわけでございます。そういう意味で、老人保健の体系の中でいわば保険証を持って自由な形でこの施設が御利用願えるということで、また家族あるいは老人の方のニーズにもこたえられるのではなかろうかというふうに考えております。 いずれにいたしましても、これから費用負担のあり方、構造設備の基準等、具体的にはモデル実験をやった上で関係審議会の意見を聞いて決めていくわけでございますけれども、寝たきり老人の方々あるいはその家族の方々が望まれる方向での施設体系なり施設にできるだけ持っていきたいものというふうに考えておるわけでございます。
○河野(正)委員 お答えをいただきましたけれども、それは将来の問題です。しかし、法律を改正する以上は、どういう老人保健施設をつくるか具体的な例を示してもらわぬと、私どもは賛成するわけにいかぬのですね、わからぬのですから。やはり法律を改正する以上は、老人保健施設というものは具体的にこうでございますよ、こういういわば答えをここではっきり示さなければ、今くどくど、後は審議会にお任せするんだ、これでは審議会がどういう答申をするかわからぬですよ。いよいよ我々は賛成してみた、まさか賛成するわけにまいりませんけれどもね、実際は。ですけれども、この法律が不幸にして通った、そうしてその後審議会が審議したらこういうものができた、これじゃ困るんだ。 法律を出す以上は、当然審議会の議を経て、老人保健施設というものはこういうものでございますよというやはり例示をしなければ、内容を示さなければ、これは私ども、はい、そうでございますよと言うわけにいかぬ。これはどうして示されぬのですか。
○黒木政府委員 今回の改正案におきまして、老人保健施設の創設をお願いしているわけでございますけれども、この法律でお願いしておるものは、制度の骨格と申しますか制度のあり方なり制度の基本的な仕組みをお願いしているわけでございますが、その実施の細目を政省令にゆだねているということでまず御理解をいただきたい。 その制度の仕組みあるいは骨格と申すものは法律で明記をいたしておるわけでございますが、まず施設につきまして、箱物と申しますか、都道府県知事の許可を得てこれをつくることを得るということから始まりまして、その他営利を目的とする者には許可を与えないことができるといったような規定等々で、施設のあり方というものは法制的にはかなりコンクリートに示していると思いますが、具体的な許可の基準等についてはこれからだというふうに御理解をいただきたい。 それからもう一つは給付でございますけれども、寝たきり老人等の方々が療養される場合のその費用は、保険財源を中心として給付の形で公的に見ましょうということを骨格にしております。その他食費等には利用者負担ということで御提案を申し上げておりますが、そのようにいわばハードとソフトウェアについて制度の骨格は御提案を申し上げているということで御理解いただきたい。ただ、具体的な給付については、金額等についてはこれから審議会等でお諮りをして適切妥当なものに決めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○河野(正)委員 何にも具体的に案が示されないで、私どもがこれに対して審議をすることは不可能ですよ。まだ給付もわからぬ。それからどういうことをやるかも全部法律が通った後、審議会にお任せする。審議会の結論が私どもの考え方と一致すればいいですよ。一致しなかった場合大変ですよ。どういう形のものになるかわからぬわけですから。 そこで、一体どういう人が入るのか、これまた非常に不明確でしょう。例えばぼけ老人、ぼけ老人と言うと何か差別用語みたいな感じがしますけれども、それが今普通の言葉になりましたのであえて申し上げるわけですが、全国で五、六十万というふうに言われているわけですね。ところが、こういう痴呆老人という方々が、今度の保健施設に入ることができるのかどうか、こういう問題もあります。経費いかんによっては十分介護できませんから、いわゆる手抜き介護、介護に手を抜くというような問題も出てくるでございましょう。 ですから、老人保健施設はかくかくこういうものでございますよという具体的な案を示して、国会に対していかがでございますか、こう問いかけしないで、ただ骨組みだけ決めておいて頭はどうなるかわからぬということでは、私はこの法律は審議できないですよ。できませんよ。これは。これはもう審議できないですね、そんなことでは。
○黒木政府委員 私どもの考え方はできるだけ御説明しているつもりでございますけれども、まずぼけ老人が入れるかどうかという点につきましては、異常行動があるとか精神科的な専門的な治療を要する方はこの施設には無理であろうと私どもは思っておりますけれども、一般的な形で介護ができるぼけ老人には当然この施設は利用できる、また利用願えるものだと考えております。 この施設の入所の対象でございますけれども、法律にも書いておりますけれども、主として寝たきり老人等介護を要する老人、さらに説明申し上げますと、病状あるいは症状等から見て、入院治療は必要ないけれども在宅医療が困難な方々をこのいわゆる中間施設である老人保健施設でケアをしてあげましょうという考え方でございます。 その他、療養費の額とか具体的な構造設備基準、例えば一人当たり何平米かということになりますと、この種の制度をつくる場合に政省令事項ということで他の法令等もお願いしておる面もあるわけでございますけれども、具体的な数値等は関係審議会に聞いて決めるというふうに考えておりますので、考え方だけは極力御説明させていただきますけれども、具体的な数値なり金額なりというものだけは御勘弁をいただきたいと考えておるわけでございます。
○河野(正)委員 今までそういう法律の提案の仕方があったでしょうか。 考え方ばかり法律に盛り込んで、後は野となれ山となれ、審議会にお任せするのだ。特に、今部長がおっしゃったように、例えば痴呆老人、今は差別用語でないようでございますから申し上げますが、ぼけ老人は、入院の必要がないのだ、家庭では困るのだといったら、当然入れぬということでしょう。そうじゃないですか。ですから、あなたは考え方を述べておいて、無責任きわまりない、後は審議会にお任せする、そんなことで今まで法律が提出されたでしょうか、提案されたでしょうか、考え方だけで。法律というものはこうしますよという形の提案だ、私どもは長い国会生活の中でそう思っております。 考え方だけ述べる。それは、そういう考え方だけ述べていただくなら法律の提案の前にそういう考え方を述べていただいて、そしてお互いにここで検討し合う、それはわかりますよ。考え方だけで法律が提案されるというなら、それはその法律が具体的に一体どうなるかということが未知数ですから、私はこれ以上審議できませんよ、それじゃ。しても同じでしょう。我々がここで幾ら希望を述べても、要望を述べても、後は審議会でしょう。役所は関係ないでしょう、考え方を述べるだけで。これじゃ、あなた、審議できぬじゃないですか。大臣、いかがでしょうか。
○黒木政府委員 この種の施設は緊急に整備する必要というものはぜひ御理解いただきたいと思いますけれども、何しろ我が国で初めて導入する中間施設体系でございますだけに、私どもはより老人にふさわしいものにしていきたいということで慎重の上にも慎重を期さなければならないということで、これからの段取りといたしまして、法律が成立を見ますれば私どもは一年半の猶予をいただいて実施に移したいと思っておりますけれども、その間、モデル的な実施をして、そこでどういうあり方が望ましいか、どの程度の例えばスペースあるいは要員配置が必要か、そういうことを見きわめた上でどれくらいの療養費を病院にお払いするのが適当かというような順序で物事が決まっていくのではなかろうかと考えております。 大変申しわけないわけでございますけれども、何しろ我が方で初めての経験であるということで、中間施設懇でも慎重を期して試行的実施をやってというふうなメンションもあるわけでございますけれども、十分慎重を期してよりよき老人のための施設にしたいということで、モデル実施を踏まえて適正な基準にしていきたいという段取りで考えているからでございます。そこのところを御理解いただきたいと思いますが……(「逆だ」「提案しなさいよ、法案を」「国会軽視だよ」と呼ぶ者あり)
○河野(正)委員 再三同じことを繰り返されるだけであって、いかに緊急であろうといかに慎重であろうと、つくるものはこういうものです。そして、そこでどうもうまくいかなかったら改めて法律を改正して改善すればいいじゃないですか。慎重だ、緊急だ、初めてだ。法律ができるときはみんな初めてですよ。だから考え方だけでよろしいのだという理屈にはならぬのですね。これは、具体的な構想も示されぬ中で法律だけ通してくださいと言ってもだめですよ。これはこれから審議ができませんよ。理事会を開いて検討してください。
○今井国務大臣 政府委員から御答弁したとおりでございますが、こういう初めてやる施設は、先生おっしゃいますように、きちっと決めてから持ってこいとおっしゃるのもよくわかります。ただ、こういう施設というものが要るであろうというのは先生も御理解いただけるだろうと私どもは思うわけです。したがって、これはやみくもにやろうというわけじゃなくて、本年にモデル実施をしよう、全国で十カ所を今予定しておりますが、初めてつくる施設でございますから慎重の上にも慎重でなければならぬと思うわけでございます。そして、モデル実施をやりまして、その考え方をきちっと決めていくべきじゃなかろうかと思いますので、その目的だとか趣旨だとか内容の概要については十分御説明もいたしますし、また法案としても内容は書いてございますが、御審議をいただきまして、これをもとにして今後私どもがモデル実施をし、それから一年半たって本格実施をするような形にぜひ御理解を賜りたいものであると思っております。 おっしゃることはよくわかりますけれども、それではなかなか新しいことができないものでございますから、そういう趣旨なのだということで御理解をいただくようなことに、ぜひ私からもお願いいたしたいと思うものでございます。
○河野(正)委員 せっかくの大臣の言葉ですけれども、こういう施設が要るだろう、私も理解されるだろうとおっしゃったけれども、私は要るとは思っていないのですよ。 そこで、最初だからじゃなくて、最初だからこそこういうことではどうでしょうかと国会に意見を申し述べて、そしてやってみたがうまくいかなかった、その際に改めて検討する、これはそれでいいですよ。何も具体的な案を示さないで、いかがですか。これじゃ、審議のしようがないじゃないですか、いいか悪いかも、具体的な案がないわけですから。これ以上進行できませんので、委員長、理事会を開いて検討してください。
○今井国務大臣 また同じ御答弁になりますが、こういった本当に真剣な御審議をいただいておるわけでございますが、そういった御審議の内容も今後の政省令の中に十分組み込みまして先生方の御意向がそのまま反映できるようなものにいたしてまいりたい、こう思っておりますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
○河野(正)委員 私ども、こうやります、そういうことが理事会で決まれば、その方針に従うことにやぶさかでないですよ。しかし、今ので質疑の進行の状況から見て納得できぬわけですから、それが明らかになれば私どもはそれに対して意見を述べるわけですよ。その構想というものが明らかにならぬでおいて審議を進めてほしいといったって、審議の進行のしようがないじゃないですか。 ですから、それは議事運営の問題ですから、理事会を開いて決めていただけば、私ども、理事会でこうだ、あるいはこういうふうにやるんだという方向が決まれば、審議にさらに協力することにやぶさかでない。しかし今の状態の中では審議はできませんよ。大臣の重ねての御見解はありましたけれども、議事進行の問題ですから、ひとつ理事会を開いて検討してくださいよ。(発言する者あり)
○浜田(卓)委員長代理 ただいまの河野正君の質問に対しまして、もう一度政府答弁を求めます。黒木老人保健部長。
○黒木政府委員 老人保健施設についての構想等について説明がないということでございますけれども、私どもは必要があれば資料をお配りして、その考え方について御説明をいたしたいと思っておりますけれども、(「そんなものはもともと出しておかなければいかぬ、出すのが当然の義務だ」と呼ぶ者あり)失礼しました。お許しを得て、老人保健施設についてというペーパーをお配りして説明させていただきたいと考えます。 それから私どもの考え方をさらに申し上げますけれども、老人保健施設の制度の骨格と申しますか、考え方についてぜひ国会で御了承を得なければ、私どもはモデル実施すらどういうものをやっていいかわからない状況でございます。したがって一刻も早く成立をしていただいて、モデル実施を実施してよりよきものにしたいと考えておる次第でございますから、御理解をいただきたいと思っております。
○今井国務大臣 いろいろ御疑問がございますことはよくわかります。今、部長が答弁をいたしましたが、私もよくわかりますので、今考えておりますことを事細かにきちっとしまして、そして皆様方に御審議をいただくようにぜひ早急にいたしたいと思います。
○河野(正)委員 そこで、大臣のお答えはわかりました。わかりましたが、少なくとも部長はさっきおっしゃるように、とにかく資料があるというのでしょう、資料が。あるなら、なぜそれを出せませんか。審議の場合は資料を添付して提出するというのが普通ですよ、私の国会生活の中ではそういう経験です。それを自分のところに、隠されたのか知らぬけれども、それをどこかになおしておいて、そして我々に勝手な構想だけを述べて後は審議会でと、要するに審議会の意見を聞かなければ何にもできませんよとあなたはおっしゃったけれども、それはあなたの無能をみずから認めているわけでしょう。やはり老人保健部長なら老人保健施設というものはかくあるべきという所信を持って、胸を張って国会に提案すべきじゃないですか。審議会に聞かなければ何にも我々だけではできませんよとさっきおっしゃったが、それは失礼ですけれども、あなたが自分は無能ですよということをここで明らかにしておるだけでしょう、それは。 しかも、さっき言うたように、私はそういう構想はないと思います。ところが、構想はあります、後から出しても結構です。後から出せるなら今出したってよかった。それは全く失礼な話ですよ。失礼な話ですけれども、あなたがみずからの無能をここで暴露しただけですよ。
○浜田(卓)委員長代理 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○浜田(卓)委員長代理 速記を起こしてください。 河野委員の質問に関しまして資料が配付されました。 それではこの資料に基づきつつ政府委員の答弁をお願いします。黒木老人保健部長。 〔浜田(卓)委員長代理退席、委員長着席〕
○黒木政府委員 ただいま配付いたしました「老人保健施設についての考え方」という資料に基づきまして御説明をいたします。 まず「趣旨」でございますけれども、寝たきり老人等の要介護老人の急速な増大が見込まれているわけでございます。これらの方々は医療ニーズと生活ニーズをあわせ持っておられるということでございます。現状では、これらのニーズに必ずしも適切に対応できないために家庭の大きな負担となっており、また、社会的入院という形で入院が行われている状況でございます。老後の多様なニーズに対応する施設体系が必要だと私どもは考えておりまして、関係審議会等でもこの旨の御答申なり建議なり御意見をいただいているところでございます。 2が「老人保健施設の機能」でございますけれども、その一つとして、入院する必要はないが、在宅療養の困難な要介護老人を収容し、看護、医学的管理下の介護及び機能訓練その他必要な医療サービス並びに日常生活上のサービスを行うというのが一つの機能でございます。 二つ目は、退院から家庭復帰までの間において機能訓練を中心としたサービスを行うということでございます。 三つ目は、先ほど申しました(1)及び(2)のサービスに付随して適所サービス、在宅サービスを行うということでございます。 3が「設置主体」でございます。医療法人、社会福祉法人のほか市町村などが開設できることといたしたいということでございます。 4は「許可」でございまして、都道府県知事の許可を受けて開設できることにいたしておりますが、営利を目的とする者に対しては許可を与えないこととしたいということでございます。 設備運営基準に違反した場合には、改善命令、必要に応じ許可の取り消しといったようなことで老人の適切な施設サービスを担保したいと考えております。 5が「サービスの内容及び設備、運営基準」でございますけれども、まず要介護老人にふさわしい看護、医学的管理下の介護及び機能訓練その他必要な医療サービス及び日常生活上の世話を主たるサービスの内容と考えております。 必要な医療サービスの中身でございますけれども、これは、モデル実施の状況を見て検討することにいたしておりますが、看護、医学的管理下の介護及び機能訓練のほかに、例えば次のようなものが考えられるわけでございます。比較的安定している病状に対します診察、投薬、注射、検査、処置といった医療行為が考えられるわけでございます。 手厚い看護、介護面につきましては、当該担当するスタッフによりまして、体位交換、清拭、食事の世話、入浴等の要介護老人のニーズに対応した看護、介護サービスを行うことにいたしております。 老人保健施設の機能にふさわしい構造設備基準及び運営基準を遵守させることによりまして、要介護老人のニーズに対応した処遇を確保することにいたしたいということでございます。 それから老人保健施設における医療サービスに関する業務については医師が管理を行うということでございまして、この点は法律上も明記してございます。 6、「老人保健施設の利用手続」でございますが、老人保健施設は、医療受給者証を提示することにより利用できる施設にいたしたい。老人ホームなどのように措置等の手続は不要となるというふうに考えております。 7が「老人保健施設療養費」でございますけれども、七十歳以上の加入者等が老人保健施設に入所した場合には、市町村長は、必要と認める場合は老人保健施設療養費を支給する。老人にかわって施設の代理受領を認める。それから、老人保健施設療養費は定額とすると書いてございます。 結局、現在の家族療養費と同じように代理受領の形で給付をしたい。形は現金給付の形でございますけれども、代理受領を認めることによって現物給付の取り扱いにいたしたいということでございます。この施設療養費は、定額という形で病院等にお支払いをしたいということでございます。 それから、この老人保健施設療養費の額の設定でございますけれども、これは最終的には老人保健審議会で検討することになるわけでございますけれども、私どもの考えとして、一律定額ではなくて、入所、通所の別とか、痴呆とか重介護など、老人の態様によって一定の加算ということを考える必要があるのではないかというふうに考えております。 食費については、本来老人保健施設が入院治療の必要のない老人を対象とするものでございますから、当然家庭においても必ず必要なものであるという考え方から、対象外といたしたいということでございます。 その他個人の選択に係るサービスあるいは家庭においても必要な日常生活上の利便と考えられるサービス等は支給対象外とするというふうに考えておりまして、これらのサービスがあった場合には、食費及びこれらの日常生活上の利便的なサービスは利用者負担でお願いをしたいということで法律を提案申し上げておるわけでございます。 8が「老人保健施設療養費の費用負担及び支払い」でございまして、老人保健施設療養費の費用負担でございますけれども、現在の老人医療給付と同様に、国二〇、地方一〇、保険者七〇という負担枠によって財源を負担していただきたいということで、これも法律上の制度としてお願いをしてございます。保険者負担分については、医療費拠出金に含める扱いとなっております。加入者按分率についても、したがって医療費拠出金と同様と相なるわけでございます。また、老人保健施設療養費の交付でございますけれども、老人医療と同じように支払基金が行いまして、市町村が支払基金、国保連等に委託して施設に支払うことができるという仕組みをとっておるわけでございます。 先ほど申し上げましたが、9が「利用料金」でございます。食費とか、個人の選択に係るサービスとか、家庭においても必要な日常生活上の利便と考えられるサービスは利用者負担でお願いをいたしたいということでございます。 適所サービスについても、当然適正な利用者負担を求める。 利用料金については、施設ごとに定めていただくということでございますけれども、利用料金が適正な水準となりますよう、老人保健審議会の意見を聞いた上で、運営基準においてガイドライン等を示して適正なものに指導していきたいというふうに考えております。 利用料金は契約のときに明示をいたしまして、施設内に掲示していただくということで、老人なりあるいはその家族の方とフェアな形で利用料金のお支払いその他ができるように運営をきちっといたしたいということでございます。 最後が「整備の方針」でございますけれども、地域における要介護老人の実態を踏まえまして、医療あるいは福祉資源の有効活用という観点から、私どもといたしましては、病院の病床転換あるいは老人ホーム併設などを重点に、かつ段階的に整備を進めていくことにいたしております。整備に当たりましては、民間活力を重視するという方向で必要な融資制度の創設等も図ってまいりたいと考えております。 老人保健施設を段階的に整備をいたすことによりまして、私どもとしては、要介護老人の多様なニーズにこたえるとともに、中長期的には老人医療費の適正化にも資するということで、国民の負担も、入院医療よりもこの施設におけるふさわしいサービスが行われることによって軽くなる、老人医療費自体の適正化にも資するのではないかと考えておるわけでございます。 以上、簡単でございますけれども、御提出申し上げました資料について御説明をさせていただきました。
○河野(正)委員 ただいま保健部長の試案についての報告をいただきました。提示者でございませんので、一遍見ただけでこれを分析をするわけにはまいりませんから、これをそっくりそのまま利用させていただきます。そういうことで先に進みます。このことによって時間が非常に切迫をいたしまして皆さん方に御迷惑をおかけするようになったわけですが、そこで、はしょって申し上げます。 一つは、国保の改正分について。これは憲法二十五条との関係がございますから、ぜひここでお尋ねを申し上げたいと思います。 一部改正の中で、悪質滞納者、要するに国保料を払えない者に保険証を交付しない、あるいは一時的に医療給付を停止をする、こういうことでございますが、悪質滞納者といいましても物差しがあるわけじゃございませんし、やはり保険料が高い。時間がございませんから引き続いて私の方から申し上げますが、厚生省の調べでも、国保の加入世帯の八六%が所得二百五十万円以下である。ところが、所得二百五十万円の世帯では、国保料といいますか国保税といいますか、札幌市で三十五万円、北九州市で三十二万円、こういうように非常に高いわけですね。ですから、国保料、国保税が払えないのは悪質だということで給付が一時的にとめられるあるいは保険証の交付がされない、非常に無理をしなければならぬということですから、その無理をしなければならぬために結果的には国保料が納められない。そうしたら、先ほど申し上げましたように金の切れ目が命の切れ目、こういうことで給付が停止されるということは、憲法二十五条の健康で最低生活の保障ということで健康ということが保障されるべきものですから、この点は非常に深刻なものだと思うのです。でございますから、このことについて一言お答えをいただきたい、こういうように思います。
○幸田政府委員 国民健康保険のいわゆる悪質滞納者に対する対策についてのお尋ねでございますが、ただいまも御指摘のありましたように、この仕組みは国民健康保険の被保険者資格そのものを奪うものではございませんで、一時的に給付の制限をするということであります。 現在、国民健康保険で各保険者はいろいろ経営努力をいたしておりますけれども、保険料を故意に納入をしてくれない方々がふえてまいっております。一般的に負担能力がないために保険料を負担できない、納付ができないという方々につきましては、現在既にそれぞれ条例で保険料の六割を軽減するあるいは四割を軽減するという保険料軽減の措置が定められているわけでありますけれども、そういった負担能力の問題ではなしに、故意に保険料の納付を回避するというケースがかなりふえてまいっております。今回、老人保健法では公平化を徹底したいということでいろいろなお願いをいたしておるわけでございまして、その一環といたしまして、国民健康保険につきましても今申し上げたような悪質な方に限りまして給付の差しとめという措置で対応してまいりたいということで御提案を申し上げているものでございます。 具体的には政令あるいはそれを受けました通知で今申し上げましたことをはっきりいたすわけでございますが、現在私どもが考えております悪質滞納者とは、資産や所得がありながら故意に保険料を滞納いたしております者、具体的には、災害とか失業あるいは長期入院といったような合理的な理由がないにもかかわらず長期間滞納している者、かつ、私どもが実際の現場に参りますと、保険料の納入を回避いたしますために、財産の差し押さえをしようと思いますとその名義を変更するというようなケースが時々あるわけでございますが、そういった財産の名義変更を行うことなどで保険料納付を回避する意図が明らかな者について限定的にこの条項の発動をしていきたいと考えておるわけであります。 そういった意味合いで、現在の国民皆保険制度を覆すとか憲法で決められております生存権の保障を逸脱をするものではない、合理的なものであると私どもは考え、お願いを申しておる次第でございます。
○河野(正)委員 悪質滞納者が国保財政に非常な悪影響をもたらすことは確かにそのとおりだと思います。 局長から、悪質滞納者はこういう例、こういう例といろいろ申されました。そういう悪質滞納者のために国保税の収納率が落ちるということはわかります。といいましても、御承知のように、例の健保法の改正のときに退職者医療制度ができてかなり国保から補助金を引き揚げた、そのためにも今日国保の赤字が非常に増大した。これは私どもも市町村長、自治体の関係者からもいろいろ陳情を受けるわけです。先ほどの憲法二十五条ではないけれども、悪質滞納者にもいろいろな理由はあるわけでしょうから、これは慎重を期してもらわなければならぬだろう。また、健保法の改正で退職者医療制度、新しい制度ができたために国保の補助金がかなり削減されましたから、そういう意味でも今国保財政が非常に逼迫をいたしております。これはぜひ考えていただかぬと、地方自治体はこの赤字のために今困窮をきわめております。あわせて要望を申し上げておきたいと思います。 与えられた時間が非常に多かったので、その分だけ用意しておったわけですが、時間ロスがあってなかなか思うようになりませんが、もう一つ、老人病院における保険外負担の問題がございます。 時間がございませんからそれぞれ申し上げることはできませんが、関東地区は入院患者一人一月当たりの負担額が四万九千円、四万二千円、四万円をオーバーしております。平均して二万七千五百円の保険外負担で、かなり厳しいという状況でございます。それでは何を負担しているのかというと、おむつ代とか電気製品、テレビとかラジオの使用代、あるいは理髪代、お世話料——お世話料という意味はよくわかりませんけれども、管理協力費、そういうものが積もり積もって、平均して二万七千五百円の保険外負担をしなければならぬ。大変厳しいわけですね。 こういう保険外の負担をさせてよろしいのかどうか。一部負担はございますけれども、今一応国民皆保険制度ですね。その中で、こういうように関東地区では四万九千円も保険外の負担がある。こういう問題に対してどういうふうにお考えになっておるのか、ひとつ御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○今井国務大臣 まず、通常、家庭におきましても必要とされるようなおむつの購入代、電気製品の使用代といった本来の医療サービスには含まれないものにつきまして実費徴収をする、こういったことは原則的にはやむを得ないものと私は考えます。 しかし一方、保険の給付と重複する部分につきましては本来費用徴収を行ってはならないということでございますし、従来から、都道府県を通じてその是正を指導してまいったところでございますが、今後ともそういった指導を通じまして厳重にそういうことのないようにしてまいりたいと思っております。
○河野(正)委員 これは厚生省の調査ですから、これが公になりますと、あれもこれもと保険外負担が次々につけ加えられていく、そういう保険外負担に拍車をかける状況というものが出てくる可能性がありますね。最初は大体病院負担で、病院がサービスしていたのです。それが逐次こういうふうになってまいりましたね。ですから、これが公になれば、またぞろあれもこれもという傾向が出てくるおそれがございますので、その点はぜひ極力御指導をいただきたいというふうに思います。 ほかにもいろいろございますけれども、労働省に御出席をいただいておるわけですから、これをやらぬわけにはいかぬでしょう。労働省は質問がない方がいいと思っていらっしゃるかもわかりませんが、せっかく御出席いただいておりますのでやらせていただきます。 最近はオートメーション化といいますか、ME時代、かってもキーパンチャーとかチェーンソーとかいろいろなものがございましたが、そういったコンピューター化したことに対していろいろな健康障害というものが出てまいっております。 これは厚生省も関係がございますけれども、労働省も関係がある。特にこれは自治体職員のケースでございますけれども、調査いたしましたら、オフィスオートメーションによって約四割が健康を阻害されておる。程度の差はあるでありましょうけれども、そういう状況があるということです。これは、オートメーション化が進んだら楽になるかといったら、結果的にそういった職業病といいますか、そのために健康が阻害される、こういうケースというものがまたさらに出てくる可能性があると思うのです。それらに対する対応について、厚生省と労働省からそれぞれお答えいただきたい、こういうように思います。
○福渡説明員 お答えいたします。 我々、OA機器と一括して呼んでおりますけれども、先生御指摘のように、OA機器が我が国では非常に速い速度で産業界に導入されてきております。このOA化に伴いまして、労働省としても、健康への影響、それからその具体的な労働衛生管理対策、こういうようなことについての調査研究を進めておりますが、同時に、多くの研究機関あるいは労働団体等でもVDT作業と健康の関係についてのアンケート調査等をいろいろと実施をしておられます。そういうような結果を見ますと、幾つかの症状については、VDT作業者の中でかなり高い頻度で症状があるというような訴えがされておりますが、その調査の中で私どもが一つ認識をしておりますことは、具体的に、目が疲れるとか肩が凝る、こういうようなことはアンケート調査でも比較的クリアに出ておりますけれども、精神的負荷というのでしょうか心理的負荷、こういうようなことについては、今までの調査ではそうはっきりと結果を分析するようにはなっておりません。そういうようなことで、非常に頭が重いとか、心が疲れるというのでしょうか、そういうような心への影響ということについては今後の課題ということで私どもも受けとめておりまして、労働省としては、昭和六十一年度からテクノストレスに関する調査研究を実施をする予定にしております。 今までの調査等で明らかになりました健康への影響につきましては、昨年十二月に、これはVDT作業に関するものではございますけれども、労働衛生管理上の指針を取りまとめまして、現在労働衛生管理の充実の指導に当たっている、こういうような状況でございます。
○竹中政府委員 労働省から御答弁がございましたが、厚生省といたしましても大きな関心を持つておるところでございまして、まず当面は、労働省におかれまして必要な調査研究なり対応策をお考えいただけることを期待をいたしておるわけでございます。 ただいま心理面の話について多少お話がございました。実は私ども、今年度、ストレスと健康の問題につきましての懇談会を開催をすることにいたしております。これは勤労者が主たる対象ではございませんで、国民全般についての検討を進めるということでございますが、必要がございますれば、この懇談会におきまして、今の職業環境の変化に伴うストレスによる健康問題、こういった点につきましても場合によれば検討をしていただく可能性があると考えておるわけでございます。
○河野(正)委員 これはやはり、そういう業務のOA化の障害というものが年寄りの方にずっと引き続いていくものですから、そういう意味で十分対応してもらわぬと、そういう弊害を持ったまま老人グループの中に入っていく、こういうふうになるわけですね。でございますし、そしてまた、医療費の負担が高うなるというようなことで、結局なかなか治療もできないというようなこともございますので、一言その対応について希望を申し述べたわけでございます。今後の対応については、労働省も厚生省もぜひ御努力をお願いを申し上げたい、こういうように思います。 そこで、そのことと関連してですけれども、療術の問題がございますね。神経痛とか肩凝りとか腰痛とかいろいろありますが、その際によくなされますのが療術でございます。この療術については実際古い歴史がありまして、最高裁で判決がございます。昭和三十五年、療術については有害のおそれがなければ禁止、処罰の対象にはならない、こういうふうな最高裁の判決があります。ですから、有害でなければその業をやってよろしいということですね。これは医業類似行為ということで、制度化というものが非常に問題になったけれども、今日まで、最高裁では有害でなければやってよろしいという判決をいただきながら、依然としてこれがやみに葬られておる。要するに全く勝手ほうだいに行われておる。 そこで、人間の健康に関係することですから、本来からいえばこれは制度化をして、そして規制するなら規制する、行政指導するなら行政指導する、こういうふうにならなければならぬと思うわけですが、それが依然として今日まで放置されておる。この点についてどういう御見解を持っていらっしゃるのか。これは長い歴史がありますから、一言お願いを申し上げたい、こういうように思います。
○今井国務大臣 この問題は、先生が前々から大変な御関心をお持ちのことを私もよく聞いておりますが、療術行為、民間療法でございますが、これにつきましては、まず第一点は、現在の医学ではその有効性、安全性というものについての解明が難しいこと、それから二番目には、極めて多種多様の療法がありますこと、三番目には、医療関係者の間にその評価についての意見の一致が見られないこと、こういった問題がありますので、その取り扱いは大変難しいというふうに率直に申し上げて考えているものでございます。 そこで、厚生省ではこういったものにつきまして従前から調査研究を行っているところでございますけれども、その結論を得ることは今申し上げたような事情からなかなか難しいと思われますが、今後とも地道に研究を積み重ねてまいりたいと思います。しかし、はっきり申しますと、せっかくの御提案でございますけれども、この問題についてはいろいろ難しい問題があるというふうに申し上げざるを得ないというふうに思うものでございます。
○河野(正)委員 私が問題にしたいと思いますのは、もちろん最高裁の判決がありますが、それともう一つは、昭和四十七年のあんま、はり、きゅうの法律改正の際にこういう一部改正があっております。それは審議会の審議を促進するため法律を一部改正して、厚生大臣は昭和四十九年の末までに答申をさせて、そしてそれを参酌して措置をしなさい、こういう法律改正をやったのです。だから、四十九年までに答申をさして、そして措置をしなさいということなんです。ところが、何にも措置してないわけですね。こういうことで、結局、法律を重視されぬのかということなんです。難しければ難しいて、法律を改正する必要はない、改正しておいてなぜ法律を守らないのか、私はここを重視しているわけです。この四十七年の法律改正、ここを非常に重視しているわけです。 これは一体どういうふうに措置されるつもりか。法律が改正されているんですよ。四十九年末までに措置をしなさい、それが始末されてないから、一体いかがなものか、私はこういうように思うわけです。時間が余りありませんから、歴史が長いからくどくど申し上げるとたくさんありますが、やめますが、法律が改正されながら厚生省はなぜ守らないのか、この点の御見解をお聞きします。
○竹中政府委員 先生お話しのとおり、三十九年の法律改正におきまして、一つはあんま、マッサージ、はり、きゅう審議会が本件について調査審議をすることができるということと、それから四十九年末を目途として厚生大臣が必要な措置をとる、この二つが改正の項目として入ったわけでございます。これに従いまして、中央審議会におきましていろいろと調査審議も行っていただきまして、その答申におきましては、やはり医学的な有効性等々が明確でないのでなかなか難しいというようなことでございましたが、それらを受けまして、私ども調査検討を実施をしてまいっておるところでございます。 先ほど来大臣から御答弁がございましたように、現在の時点におきましては医学的効果の科学的解明が非常に難しいということでございまして、厚生省としては、今後とも医療の現場の御協力もいただきましてさらに検討を進めていきたいと考えておるわけでございます。
○河野(正)委員 答申をさせたならば、それを参酌をして措置をしなさいという法律改正ですよね。なぜ措置をしないのですか。そこを言っているわけです。非常に難しい、難しくないの問題はありましょう。ありましょうけれども、法律を改正してそういう内容を盛り込んだわけでしょう。それをどうして守らぬのですかと言っておるわけです。
○竹中政府委員 先ほども申し上げましたとおり、この法律の改正で、あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゆう、柔道整復等中央審議会の調査審議の結果を参酌をして、厚生大臣は必要な措置を講じなければならないという規定がされておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、この中央審議会からの答申が、特に医学的な有効性について厚生省は調査研究をすべきであるという御答申をいただきましたので、その御答申の結果によりまして、先ほど申し上げましたように答申をいただいて以来調査研究を続けておるということでございます。
○河野(正)委員 その法律でそういう規定をしながら、調査研究をしておると言うのだが、法律を改正をして、そしてこうしなさい、それが四十九年末までにでしょう。それが、なお調査検討を進めております、十数年ですよ、その後。調査検討を進めるということは結構です。それが十数年間も調査検討を進めて何も答えが出てこぬ、これは一体どういうことか。それは、ただ単に審議会その他でそういう意見が出たというのはいいですよ。法律で答申をさせて、それに基づいて措置をしなさいという法律改正をしておきながら、しかも十数年間もほったらかして、そして今一遍の、調査検討を進めておりますという言葉だけでは、我々は納得できないですね。 調査検討いたしました、その結果、こうでございます、その結果はこうしなければならぬと思います、それはそれで結構です。これは法律でそういう改正をして、そしてそういう責任が厚生省に対して与えられておるわけでしょう、法律によって。そして、しかも十数年間もほったらかしておるなんて、こんなことで厚生行政が勤まりますか。勤まらぬでしょう。それなら、十年間調査研究したら、その十年間の調査研究結果というものをここで明らかにしてください。
○竹中政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、中央審議会から四十九年十二月に御答申をいただきまして、それに基づきまして私ども昭和五十年以来研究班を組織をいたしまして研究を進めていただいてまいったわけでございます。 研究班におきましては、神奈川県総合リハビリテーション事業団の伊丹先生という方を班長にいたしまして、五十年から五十六年までいろいろ御研究をいただいたわけでございます。現在の段階では、一般的に療術につきまして医学的な有効性は認めにくいというのがこの研究の結果でございますので、そういうことでございますので、私ども行政的にどう対応するか非常に難しい面があるということで、鋭意検討いたしておりますが、苦慮しておるというのが実情でございます。
○河野(正)委員 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律がございます。この十二条の二にはこういうことが示されております。「この法律の公布の際引き続き三箇月以上第一条に掲げるもの」、第一条というのは、これこれこれは免許を受けてやらなければならぬという第一条。「この法律の公布の際引き続き三箇月以上第一条に掲げるもの以外の医業類似行為」、ですから、あんま、はり等しかございませんから、療術ですね、これは、この十二条の二では、三カ月の実績があれば認めてよろしいという法律になっているわけですね。この法律の解釈はそういうことになっていますよ。 ですから、これはその部分だけ見れば当然制度が認定すべき問題になっておると思うのですよ。ですから、今のようにそれは有効性がはっきりせぬのだというようなことでいつまでもやっておってもどうにもなりませんが、しかしこの法の十二条の二「経過措置」では、三カ月実績のある人はもう既に認められておるんですよ。これがそのままであるとするならば、もう何をかいわんやですね。学者の意見よりも法律が優先するわけでしょう。この点はどうでしょうか。もう時間がありませんから、明快な答えを一言言ってください。そうすると、もうこれで終わりますから。
○竹中政府委員 今先生のお話しの点は、法律施行の際に三カ月以上医業類似行為をしていた者は、届け出によりましてこの法律の規定にかかわらず引き続き医業類似行為ができるということで、これは届け出をされまして、きちっと県側も把握をいたしておるわけでございます。さらに、三十九年の改正の際に届け出漏れの人の救済ということも行われまして、それも改めて届け出をすればそれで続けられるということでございますので、届け出をされた方々につきましては医業類似行為を進めていただくことにつきまして問題はないというふうに考えております。
○河野(正)委員 ちょっと明快じゃないものですから一言多くなりますけれども、やはり医業類似行為を行うためには健康上の問題があるわけですから、特に老人は療術にかかることが多いわけですね。そういうことがあるわけですから、やはりある程度、消毒がどうであるとか、施設がどうであるとか、そういう指導というものは私は必要だろうと思うのですよ。そのためには、ただ野放しでやっておればよろしい——最高裁の判決では野放しでやっていいわけですからね。害がなければやっても一つも罪の対象にはならぬと書いてある。ですから、どういう形になるか、それはいろいろ利益団体がありますので、それは大臣もお困りでしょう。役所の方もお困りになっていることは私も重々承知しておる。承知しておるけれども、やはり法の建前からいえば、それは何らかの形で認めて、それは制度として認めるか、あるいは何で認めるかわかりませんよ、認めて、そしてやはり行政指導ができるように、要するに野放しでなくて行政指導ができるように、消毒は厳重にやりなさいよ、あるいは施設は清潔にやりなさいよ、こういう施設をやりなさいよ、そういうような指導もあろうと思いますよ。そういう形がこの問題の解決では非常に望ましいのではないか、私はこういうように思うわけです。 それについて、今申し上げましたようにひとつ前向きの答弁をしていただけば、もう時間も来ますから、やめます。
○竹中政府委員 最高裁の判決は、先生も御承知のとおり、ある案件につきまして、HS式無熱高周波装置という案件につきまして人の健康に害を及ぼすおそれがないから、処罰の対象にならない、こういう判決でございます。したがって、逆に申し上げますと、医業類似行為、届け出をされていない者も含めまして医業類似行為で人の健康に害を及ぼすおそれのある場合は、これはやはり法律違反ということに相なろうかと思うわけでございます。 一方で、それでは届け出をされ、あるいは人の健康に害を及ぼすおそれのない医業類似行為につきまして、これを何かの形で行政指導するあるいは指導するということでございますが、先ほど来申し上げておりますように、害はないけれども医学的な有効性が確認されないということでございますので、私どもの立場からなかなか手を出しにくいという感じがいたしておるわけでございます。
○河野(正)委員 一言、一言と言って、もう三言になるわけですが。 今申し上げますように、最高裁の判決から見ても法改正から見ても、それからまた法改正後もう十カ年間も経過しておるのに、まだ検討中でございます、大体、何を検討しておるのですか。検討しておればその結論を早く出さなければ、これはいろいろ周囲の事情、たくさん事情があることは私も十二分に承知しております。しておるけれども、やはり今、療術というものが現実に野放しで行われておるわけです。ですから、それはやはりある程度行政指導しなければ、例えば有効か無効か、有害か有害じゃないかという問題だって、今のところチェックのしようがないでしょう。 もうこれ以上ここで押し問答しましても結論は出ません。ですから、少なくとも法律を改正をして、そして措置をしなければならぬという法改正が行われてなお今日まで十数年そのまま放置されておる。ですから、早急に何らかの形で解決の方策を見出す、その努力をするということをひとつ約束してください。
○竹中政府委員 重ねて申し上げて大変恐縮でございますが、最高裁の判決で、人の健康に害を及ぼさない限り自由に行うことができる、こういうことになっておるわけでございますので、それでは、これを規制するということが法制上できるのかどうかというふうな指摘もございまして、大変苦慮をしておるわけでございますが、先生のせっかくの御指摘でございますので、ひとつ努力をさせていただきたいと思う次第でございます。
○河野(正)委員 一応これは、さっきの保健施設じゃございませんけれども、質問は留保いたします。そして、努力するとおっしゃったから、今後厚生省の努力の状況を見て、改めてこの問題を取り上げることがあり得るというふうに御理解をいただいて、質疑を終わります。
○山崎委員長 午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時三十四分休憩 ————◇————— 午後二時開議
○山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。橋本文彦君。
○橋本(文)委員 まず大臣にちょっと聞きたいのですが、きょうは厚生大臣というかみしもを脱いで、一人の人間として老人というものをどう見ているか、こういうことからまず話を始めようと思います。 今回の改正というものは、年間で十倍に上る入院料、それから二・五倍の通院費、どんな公共料金と比べでもこのような急激な値上がりはなかったはずでございますけれども、そういう大変な値上がり、それと、本来老人保健法の目的であります予防医学あるいは健康対策というものがなおざりにされておったということ、それから今回新しくできます中間施設というものの性格が極めてあいまいであるということ、それから一挙に按分率の引き上げ、こういうように問題がたくさんありまして、加えて滞納問題まで来ておる。 この中で、一つずつ全部聞きたいわけでございますけれども、我が国には敬老の日というのがございますね。老人は敬われなければならない、こうなるわけでありますけれども、これは精神的に敬えばいいのか、あるいは実質的に制度的に敬われることが保障されなければならないのか。大臣はどのようにお考えですか。
○今井国務大臣 私もだんだん年寄りの部類に入ってくるわけでありますが、私どもも子供のころから、今先生おっしゃいますように年寄りを敬おうということは教えられてまいりました。これは、やはり今まで一生懸命国のためあるいは社会のためにお尽くしくだすった方々がお年を召されて、ひとつゆっくりしていただくということをまず前提にして、お年寄りを大事にしようじゃないか、そういうことを昔の人なりに考えて私どもに教えてくれたものだと思います。そういう意味でも、今の老後の年金であるとか医療であるとかいうことの充実と同時に、お年寄り自身がまず健康であることというようなことも含めてこれから厚生行政をやっていかなければならぬ、私はそのように思っておるものでございます。
○橋本(文)委員 この問題は老人問題でございますので、老人に限定して言いますと、昭和四十八年に老人福祉法が改正されまして、いわゆる七十歳以上は全部公費負担する、七十歳以上の医療については全部ただである、こうなったわけです。このときに厚生省は、まさに福祉元年である、こう胸を張って叫んでおったのですけれども、その後、老人医療費の財政における出費率がだんだん多くなった。その辺でついに五十八年二月一日からこの老人保健法が施行されたわけでございます。相当、福祉の後退だとそのときも言われておりましたけれども、今回のこの改正はさらに大幅な後退であると言わざるを得ないと思うんですね。福祉元年と見えを張ったときから今回までの後退、これは極めて遺憾であると思うのです。 それで、試みに私の方で中曽根内閣になってから福祉がどの程度後退したかを一応予算の面から見てまいりました。ちょっと数字を言います。五十三年には国の予算は三十四兆二千九百五十億、そのうち社会保障の占める位置は六兆七千八百十一億、一九・七七%、約二〇%占めておりました。ところが、五十八年に中曽根内閣が発足したときはその割合は一八・一四、一挙に下がりました。今回の六十一年度の予算も一八・一八、何と二%近く社会保障費がダウンしておる。まず、こういう現実をどのように評価しますか。
○北郷政府委員 今おっしゃいました数字はそのとおりでございます。構成比、五十三年が一九・八、六十一年が一八・二、こういう数字になっておるわけでございます。 一方、一般会計予算の伸び率と社会保障関係費の伸び率を対比いたしてみますと、一般会計予算の伸びに対する社会保障関係予算の伸び率の割合は、五十二年当時よりも最近における伸び率の方が相対的には高くなっているわけでございます。具体的に数字で申しますと、ちょっと年次が違いますが、最近におきます、例えば中曽根内閣になりましたのは五十八年でございますが、五十八年と六十一年とを対比してみますと、この間の社会保障関係費の伸び率が七・六でございます。それに対しまして一般会計予算の伸び率が七・四でございます。 これと、今先生のおっしゃいました時点とちょっと違うのでございますが、その前の五十四年度と五十七年度の四年間を対比してみますと、社会保障関係費の伸び率一九・一%に対して一般会計の伸び率は二八・七%というようなことでございまして、一般会計の伸び率と社会保障関係費の伸び率とを比較してみますと、数字の比較でございますが、中曽根内閣になって社会保障関係の伸びが落ちたというようなことは必ずしも言えないのじゃないかと考えるものでございます。 それから、御指摘のございました構成比の問題でございますが、これは予算上のいろいろなやりくり、御承知のとおり年金の国庫負担の繰り延べとか、こういった措置が含まれておりますので、単純に対比はできないと考えております。
○橋本(文)委員 まさに数字のままでは今おっしゃったようなことになりますけれども、本来、社会保障というものは、年金、医療保険の分野を考えれば、年々歳々自然増があるわけでございます。その自然増が全く反映されていない。確かに今、一般会計は七・四%伸びた、しかし社会保障費は七・六%、〇・二%上回っているじゃないかとおっしゃいますけれども、いわゆる社会保障の持っておる宿命というか自然増というものを考えれば、これはもう逆に大幅な後退であると言わざるを得ないと私は思うのです。その点、いかがですか。
○北郷政府委員 社会保障関係費は当然増が多いということはもう本当に御指摘のとおりでございまして、よく財政の硬直化なんということを申しますが、社会保障というのは、一遍制度を仕組みますとなかなか予算を動かせないという性格を持っておるわけでございます。したがいまして、年金の成熟化とか老人数の増加に伴いまして老人の医療費がふえるとか、こういったようなことでございますので、ほかの予算と違いまして当然増が多い、予算の増が多い、しかもそれが減らせないというふうなことで、毎年度予算編成に非常に苦労いたしておるところでございます。 そういったことに対しまして、予算上もある程度の、シーリングのいわば別枠と申しますか、こういったことで上積みをされておるわけでございますが、それでもなお苦しい状況にあるということは御指摘のとおりでございまして、その中で何とか実際に必要な予算を確保いたしまして、社会保障の水準を落とさないというような形で毎年毎年努力を続けているという状況でございます。
○橋本(文)委員 予算編成上大変苦労に次ぐ苦労を重ねておられるようでございます。まさにそのとおりだと思います。その苦労している姿が、まさに今回のこの老人保健法の改正、要するに一部負担増額という点にあらわれたのではないぞしょうか。今回の改正について、まず、いかほどの国庫負担の削減をねらったのでしょうか。
○黒木政府委員 今回の改正案でございますが、一部負担の引き上げと、それから加入者按分率の引き上げ、二つ提案申し上げているわけでございます。 一部負担につきましては、御案内のように世代間の負担の公平という観点から、現行の外来一カ月四百円、それから入院一日三百円、これは二カ月限度でございますが、これを外来一月千円に、入院は一日五百円として、入院時一部負担金につきましては二カ月の期限制限を撤廃することといたしております。 それからまた、加入者按分率につきましては、六十一年度は八〇%に、それから六十二年度は一〇〇%ということで、段階的に引き上げることにいたしております。 これに伴います国庫負担の影響額についてのお尋ねでございますけれども、一部負担の引き上げにかかわる部分につきましては、六十一年度で約八百八十七億円、加入者按分率にかかわる部分が約一千七十六億円でございまして、合計一千九百六十三億円の影響額、縮減額だと見込んでおります。
○橋本(文)委員 約二千億円ですね。この二千億円について、大蔵省の方から相当厳しい指摘があって、何としても二千億円を浮かせ、つくれという強い大蔵省の指示があって今回のこの老人保健法の改正に踏み切ったのではないかと我々は思っているのですが、いかがですか。
○黒木政府委員 今回の老人保健制度の改正でございますけれども、一つには、直接的にはでございますけれども、老健法の附則で加入者按分率につきまして三年後に見直すということになっておりまして、六十一年度は見直さざるを得ない状況にあったということが一つでございます。それを機に、やはり制度全体をどう長期的に安定させるかということで制度全体を見直す必要があるということで、関係審議会からも御意見をいただきまして、私どもとしては、これからの高齢化社会の進展に見合いまして、増加する老人医療費についてどう国民が公平に負担をしていく仕組みをつくっていくか、あるいは寝たきり老人等の新しい施設体系をどう整備するかといった点に重点を置きまして、老人保健制度を総合的に見直しの上、法律案ということで御提案を申し上げた次第でございます。
○橋本(文)委員 大蔵省から、厚生省の予算が相当厳しいと言われましたね。その中で、どうしても二千億ぐらいは何とか財源を措置しろという形で迫られたのじゃないかという質問をしたのです、今。見直しのことを聞いたのじゃありません。
○黒木政府委員 同じようなお答えになるわけでございますけれども、私どもは、財政的な見地からの見直しというよりも、先ほど申し上げましたように、老人保健制度をどう長期的に安定していくかという見地からの見直し、法律改正が必要だという判断で御提案申し上げたわけでございまして、その結果、確かに二千億の国庫補助の削減効果が生じたわけでございますけれども、私どものねらいは老人保健制度の長期的な安定のために改正をお願いをしているということでございまして、直接的に大蔵省云々ということとは関係ございません。
○橋本(文)委員 当時の新聞報道では、そのようなことが言われておりました。要するに、財政的な見地からだけしか老人保健を考えていない、そういう論調が各紙全部でございましたね。それはいいでしょう。 今見直し規定が出ましたので、これに関連して質問いたしますけれども、確かに三年という期間内に見直しをする、これはいわゆる拠出者の按分率の問題だと思うのです。ところが、今回の見直しは、単なる按分率の問題ではなくして、制度全般にわたる問題まで含まれてしまっている。今回の一部負担で、さっき言いましたように、入院料で言えば年間で十倍、通院料で言えば二・五倍に上がったわけですね。 このいわゆる見直しの点で、按分率以外に、実質的に医療費に関係することまで見直すことができたのかどうか。厚生省は、この法文によりますと、「拠出金等」という「等」に絡ませて、いわゆる負担金の問題までもできたんだと言っておるわけですね。そこまでの権限が老人保健審議会にあったのですか。
○黒木政府委員 お尋ねの老人保健審議会の権限でございますけれども、御指摘のように、第七条で、厚生省に附属機関として「老人保健審議会を置く。」「審議会は、厚生大臣の諮問に応じ、この法律に規定する保険者の拠出金等に関する重要事項を調査審議する。」というふうに定められているわけでございます。 私どもの考え方といたしまして、老人保健制度の運営に関する事項につきましては、老人の診療報酬に関する事項は中医協においてということで老健法三十条で除かれておりますから、これは権限外である、それから医療以外の保健事業に関する事項、いわゆる老人のヘルス事業でございますけれども、これは公衆衛生審議会において審議することとされておりますので、これも除きまして、これ以外の事項につきましては拠出金等重要事項というところに読みまして、一部負担につきましても当然老人保健審議会において御審議いただくべき事項だということで考えておるところでございます。
○橋本(文)委員 今回は、この七条を改正しますね。前回では、読みますと、「審議会は、厚生大臣の諮問に応じ、この法律に規定する保険者の拠出金等に関する重要事項を調査審議する。」これしかなかったわけです。ところが、今回は、第三項に「審議会は、老人保健に関する重要事項について、関係行政機関に対し意見を述べることができる。」とか、そういう問題が入ってくるわけですね。 本来ならば、今部長がおっしゃったような内容ならば、あえて七条を改正する必要はないと思うのです。改正したというそのいきさつは、やはり「拠出金等」では問題がある、疑問点が起きるので、この際きちっと老人保健審議会の権限というものを明確にしておこう、こういうことでやったのじゃないですか。つまり本来ならできないことを今回答申では出しておる、そういうことです。
○黒木政府委員 一部負担金関係につきましては、従来から私どもは「拠出金等」の「等」に含まれる重要事項だということで説明もし理解をいたしておるわけでありますけれども、今回私どもの提案申し上げております改正案の中に新しく老人保健施設の創設をお願いいたしておるわけでございます。これはまさしく現行法が予定してない事項でございますとともに、非常に重要な権限として諸基準の決定あるいは施設療養費の額の決定といったような重要事項をこの審議会で審議をお願いしたいという法律改正案になっているわけでございまして、そういうことで今回新しくできます主として中間施設について御審議を願うためには、現在の審議会の権限規定を改める必要があるという判断に立ちまして改正案をお願いいたしておるわけであります。 なお、このことに伴いまして、例えば従来からやっております老人の診療報酬あるいは老人ヘルス事業についてどうなるかということにつきましては、これは従来どおり私どもは考えておりまして、それぞれ中医協なり公衆衛生審議会でお願いをするということで考えております。したがいまして、今回の新しく改正になります老人保健審議会は、拠出金に関することはもとより、一部負担に関する事項のほかに新しく老人保健施設についての重要事項の審議をお願いいたしたいということでございます。
○橋本(文)委員 老人保健審議会の話が出ましたので、そのメンバーについてお尋ねいたします。 この第八条が老人保健審議会の委員を規定しております。条文によりますと、「保健事業を実施する者、保健事業に従事する者、保健事業に要する費用を拠出する者その他保健事業に関係のある者及び学識経験のある者のうちから、厚生大臣が任命する。」こういう規定がございます。現実にどういう方がメンバーになっているのか、お述べになってください。
○黒木政府委員 具体的に申し上げてもよろしいわけでございますが、主としてどういう方かということで答弁をいたしたいと思います。 保健事業を実施する者としては、これは市町村の代表の方というふうにお考えいただいて結構でございます。それから保健事業に従事される方、これは医療担当者側にお願いをしているということでございます。それから拠出される方、これは健保組合の代表、国保の代表、事業主の代表あるいは労働組合の代表、こういった方々を委員としてお願いいたしているわけでございます。そのほか老人医療の専門の方、老人クラブ等に属され社会福祉に明るい方、あるいは医療面でいろいろ学識経験があられると言われる方々に幅広にお願いをいたしておるということでございます。
○橋本(文)委員 今言った中で、この条項の中には保健事業を受ける者という概念、つまり老人あるいは患者というか、そういうものは全然規定されてないわけです。要するに、真に老人保健法の適用を受ける者の側の代表者はこの老人保健審議会のメンバーには入っておらない。これは問題である、そう思うのです。
○黒木政府委員 直接的に老人の代表の方ということではございませんけれども、先ほど申し上げましたように、老人福祉に非常に明るい方ということで老人クラブの代表の方にもお願いをいたしているわけでございます。あるいは先ほど申しましたように、老人医療について専門的に研究している方にもお願いしているわけでございますから、老人の心身の特性とか、老人の置かれている事情とかあるいはいろいろな意味での老人の立場に立った御発言はその方々を通じて十分承知をいたしているつもりでございます。
○橋本(文)委員 そういう老人クラブの代表がおるというのですから、そしてしかも老人の特性もよくわかっておる。では、そういう老人クラブの代表、つまり患者あるいは老人の声はこの老人保健審議会にどのように反映されましたか。特に、今回の一部負担の引き上げについてはいかなる発言をしておりますか。
○黒木政府委員 老人医療費の一部負担の引き上げをめぐりまして、制度の長期的な安定のために按分率のみならず総合的に見直す必要があると先ほど答弁いたしましたが、その審議の過程においてさまざまな意見が出たことは事実でございます。老人クラブの方々の意見として、一部負担の引き上げは三年しか経過してない現時点において急激過ぎるのではないかという意見があったのは事実でございますけれども、大勢としてやはり世代間の負担の公平あるいは老人医療費が非常に急増している現実の中で老人の医療費を法の趣旨に照らして国民すべてがどう公平に持ち合って負担をしていくかという新しい観点が大事だということで、中間意見におきましては、私どもが政策を判断する段階として前広に聞いた中間段階におきましては、一部負担を定額の形で引き上げることが適当であるという意見が集約されて最後にはちょうだいをしたという経緯でございます。 その間において、いろいろとそういった老人の立場に立った方々からの御発言というものは私どもは十分承知をした上で審議会ではそういう結論になって中間意見が出たということでございます。さらに私どもが政府原案を決めまして、さらにこの審議会に諮問をいたしたわけでございますけれども、そのときの経過はこれも御案内と思いますけれども、答申が一本の形にはまとまりませんで、その反対であるという方々を明記された形での答申をいただいたというのが経過でございます。
○橋本(文)委員 確認します。要するに老人クラブの代表と言われる方々はこの一部負担に関する件については反対であるという意見を出したわけですね。
○黒木政府委員 老人保健審議会の委員の方の意見はそのとおりでございますし、さらに関係団体からも反対であるという陳情書も受けておるわけでございますから、現時点においては残念ながらまだ御理解をいただいてないという状況は先生御指摘のとおりでございます。
○橋本(文)委員 一番ダイレクトに影響を受ける老人あるいは患者、それを代表する今部長がおっしゃる老人クラブの代表というのであれば、その老人クラブの代表が反対している中でなぜこのような急激な一部負担を強行しなければいけないのか、大変に疑問に思います。これはいわゆる老人福祉の後退などというものではなくて、やはり財政の面からだけの改正であると私は断ぜざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
○今井国務大臣 今お言葉でございますが、この問題は、これから高齢化社会を迎えまして、やはりお年寄りも現役の世代も力を合わせて老人医療費を公平に負担をしていくという観点から今回の改正をお願いするものでございまして、一部負担の額につきましても、現在の状況を考えまして余り急激なものにならないように極力私どもは考えたものでございます。しかもまだ、先ほど局長が答弁いたしましたように、今回の改正でも老人の方々が払いやすいように定額制ということは変えないで、また外来につきましては、月の初めに一回払いますればあとは支払わなくてもいいという現在の仕組みというものも維持することを基本にしているわけでございます。 私は、今回の改正というものは、次の世紀におきましても安心して老後を託せるような老人保健制度というものを今回確立するんだということを考えておりますので、ぜひひとつ御理解をいただきたいものだと切にお願いするものでございます。
○橋本(文)委員 老人クラブの代表の反対を押し切っても今回これを改正しなければならないという意見のようでございます。 ところで、この老人保健法の第一条の目的ですけれども、これを見ますと、むしろ予防に重点が置かれておる法律であると思うのです。要するに、老後を健康に過ごすためには壮年期からの保健対策あるいは疾病予防策の充実にあるんだ。そうじゃなかったですか。それが、いつの間にか老人保健の費用徴収法あるいは老人保健費用法とか、そんなような形で世論で言われておりますけれども、内容が全く変質してしまった。本来は医療ではなくて疾病予防にあった、健康づくりにあった。その健康づくりはこの三年間何もできていない、微々たるものである、何もないと言うとまた語弊がありますけれども、極めて微々たるものである。そして、財政の面から、老人の医療費徴収に一挙に変容させてしまった。これは、本来持っておる老人保健法の趣旨から大幅な後退もいいところです。このように私は思います。
○仲村政府委員 御老人に健やかに老後を迎えていただくということは私どもの政策の基本であるべきだという御指摘は、そのとおりだと考えておりますし、老人保健法の制定の趣旨にもそういう内容は盛られておるわけでございます。したがいまして、ただいま御指摘ございましたように、いわゆるヘルス事業が極めて重要な老人保健制度の柱の一つであるということは事実でございます。五十七年度を初年度といたしまして、私ども五カ年計画でヘルス事業を実施してきておりまして、私どもなりに着実な成果は上げてきたと考えておるところでございますけれども、人生八十年時代を迎えまして、私どもの従来の疾病対策と申しますか、そういうものが今後変容を遂げていかなくてはいけないわけでございますが、そのためには基盤整備と申しますか市町村事業あるいはそういう施策を展開する場所その他の整備でございますとか、マンパワーの整備とかいうふうなことを含めて、私ども、さらに保健事業の実施成績を向上させるように努力してまいりたいと考えておるところでございます。
○橋本(文)委員 それでは、老人保健法の第一条を読ましていただきます。「この法律は、国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保を図るため、疾病の予防、治療、機能訓練等の保健事業を総合的に実施し、もって国民保健の向上及び老人福祉の増進を図ることを目的とする。」こうなっております。「老人福祉の増進」ということがありますけれども、この老人保健法を検討してみますと、本当に国民の健康あるいは老人の健康増進、福祉の増進ということを考えているのかどうか疑問に思うのです。 端的に言うと、これはもう費用徴収法。こういう観点から見ると、まさにそれしか読めない。内容的に、まず老人というものをどう見ておるのか。先ほど老人は大事にしなければならないという大臣のお言葉があった。どこまで老人を敬愛しているのか。尊重しているという精神はどこにも見当たらない。それから先ほどありましたように、老人の特性というようなものをまだまだ考慮されていない。老人の生理、病理、心理、老人の専門医学というものも考えられていない。さらには、生老病死といいますか生死観といいますか、生きる死ぬというその感覚、要するに哲学的な問題もこの法律には含まれていない。 そして結局は、財政の見地からどうしようかということしか私には読み取れない。法律に哲学も必要ない、あるいは老人の専門医学的な知識も必要ない、あるいは老人の生理とか心理なんというのは必要ないと言われればそれまでですけれども、それをもっと考慮した上で考えなければいかぬと思うのです。ただ単に口では立派なことを言って、「もって国民保健の向上及び老人福祉の増進を図る」と言ったって何にもないじゃないですか、と私は思うのですよ。いかがですか。
○黒木政府委員 老人保健法の精神が生かされてなくて費用徴収法になっているのではないかという御指摘でございます。確かに、御指摘のように、目的は「もって国民保健の向上及び老人福祉の増進を図ることを目的とする。」という第一条があるわけでありますけれども、第二条に基本的理念というのが掲げられております。読み上げますと、「国民は、自助と連帯の精神に基づき、自ら加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、老人の医療に要する費用を公平に負担するものとする。」という規定がございまして、これは先ほど御指摘になりました四十八年からの老人医療の無料化にやや行き過ぎがあったという反省に立ちまして、新しく老人の健康増進事業と申しますか老人保健事業を片一方の柱とし、片一方では、老人医療の公平な負担と老人医療の確保を柱とした新しい法体系ができたわけでございます。 これは、これからの高齢化社会を乗り切るための法制的な整備であるというふうに理解しておりますけれども、この新しく三年前にできました老人保健法は、目的以外に、自助と連帯の精神及び老人医療費を国民が公平に負担するという基本的理念を掲げておるわけでありまして、今回の改正もこの基本的理念に沿った御提案であるというふうにお受け取りをいただきたいというふうに考えておる次第でございます。
○橋本(文)委員 第二条の「国民は、自助と連帯の精神に基づき」云々と、昭和四十八年に福祉元年と言われて昭和五十八年に老人保健が一部負担化されて、そして今回三年たった六十一年に急激な一部負担の引き上げがある。これが国民の自助と連帯に合致しますか、そして、第一条の目的の老人福祉の増進に寄与できますか、私はそれはないと思いますね。福祉の後退に次ぐ後退じゃありませんか。
○黒木政府委員 老人にとっては非常に医療が大切だ。なぜならば、病気がちである、たくさんの病気を持っておられる、病気の不安が一番老人にとって関心事であるということも承知をいたしておるわけでございます。したがって、それならばこそ老人医療の制度を長期的に安定させ、高齢化社会を乗り切るようなしんの強いしっかりした制度に持っていかなければならないだろうということを第一に考えておるわけでございます。 そのために、今回の御提案は、加入者按分率の変更でございますけれども、若い世代の方々に新しく負担をしていただく仕掛けも設けるわけでございまして、そういう意味で健保組合等の組合員の方々には負担増をお願いする形になるわけでございますけれども、そういう中で若い世代にも新しい老人医療費の負担のシステムを導入しますとともに、やはり老人みずからもこの制度に参加をしてもらうという趣旨でできました一部負担につきまして、この時点で見直しをすることが必要ではないかということでございます。 現に、老人医療費は現在四兆円を超える規模に達しているわけでございます。このうち、老人の方が負担している一部負担の額は約六百億円、割合にして一・六%でございまして、残りは若い世代が負担していただいているという実情であるわけでございます。これからも老人の医療費はその増大が避けられない見通してございまして、年々増大していくわけでございますから、この時点で私どもはどうしてもこの増加が避けられない老人医療費を若い人と老人がどう負担し合っていくか、そして若い人同士がどう負担していくかというシステムを新しい人生八十年時代のシステムとして導入していただきたいということが今回の改正の眼目でございます。 その結果、負担増になります割合は医療費の三・七%にとどまるわけでございまして、若い人は、国保で三割あるいは二割、健保で本人で一割といった形で若い世代は負担を願っているわけでございますけれども、今回の改正、大幅という御指摘もありますけれども、三・七、満年度にしても四・五%にとどまる引き上げでございますので、御理解をいただきたいとともに、大臣が申し上げましたように、定額制は堅持する、あるいは月一回最初に払えばあとは何度でもかかりつけのお医者さんに行っていいという制度を残しながらの改正でございますから、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
○橋本(文)委員 入院した場合には、今度一カ月一万五千円です。通院のたびに初診料が千円で、それは診療別にみんな違うわけです。老人ですから、歯も悪い、目も悪い、内科にかかる、足が痛い、整形外科に行く、さらになんといえば一月で五千円かかるかもしれない。聞くところによると、老齢福祉年金がことしの四月から二万七千二百円に上がった。だから一万五千円ぐらいの入院料払えるだろう、あるいは通院料ぐらい払えるだろうという、そんなような考えで当初厚生省は御理解願いたいというような話も漏れ承っておりますけれども、では何のための老齢福祉年金なのか。もらった金がみんななくなってしまう。 ただ問題は、入院で一万五千円かかるのも結構、初診料が千円でも結構です。だけれども、実際には保険外負担というものがどんなに法外に高いものであるか、その実態を聞いてびっくりしたのです。場合によっては一月三十万近くなる場合もある。安くても四、五万円かかる。平均すれば十万円ぐらいのいわゆる保険外負担をしなければいけない。これが現実です。厚生省の方では、いわゆる差額ベッド代あるいは貸しおむつ代、いわゆるお世話料とか、そういうものの実態をどのように見ているのですか。その実態を見ないで、ただ単に計数的に金額だけでは、これは割り切れぬですよ。
○黒木政府委員 いわゆるお世話料と言われる老人病院における保険外負担の実態でございますが、昨年十二月に全国の老人病院を対象としまして実態調査を行いました。 その結果を御報告いたしますが、結論として入院患者一人一月当たりの保険外負担の額は平均二万七千五百円ということでございます。差額ベッド、付添看護料を含まない額でございますけれども、平均二万七千五百円でございます。地域別に見ますと、東京近郊等の大都市圏で高く地方で低い等、相当地域差が見られるわけでございます。 そしてまた、負担の内訳といたしましては、四割以上がおむつ代関連経費として徴収をされているということでございますが、そのほか電気製品使用代、テレビを見た場合等の電気代等でございますが、そのほか雑費、石けんとからり紙等を含めました雑費、それから理髪代等々、全体としては通常家庭におきましても必要とされる費用の実費徴収的な部分が大部分を占めているという実態にあるということで承知をいたしております。
○橋本(文)委員 今の答弁は全く納得できませんね。いわゆる家庭で使われているものだけを出しまして二万七千円じゃ意味ないんですよ。私が言っているのは、差額ベッドとか付添人の費用をどう評価しているのかということなんです。
○幸田政府委員 医療保険で認めております差額ベッドは、個室または二人部屋が原則でございます。現在、これは昭和五十八年の数字でありますが、全体の百三十八万ベッドのうちで差額ベッドは十四万七千ベッドであります。その大部分が今申し上げました個室と二人部屋でありまして、十四万七千ベッドのうち三人室以上で差額ベッド代を徴収しているのは一万二千ベッドであります。 金額別で見ますと、一日三千円以下というのが今申し上げました個室あるいは二人部屋を含めました全差額ベッドの三分の二でありまして、中でも一日千円から二千円という差額ベッドが全体の二五%と最も多く占めているわけであります。 それから、看護についてでありますが、私どもはいわゆる基準看護病院については、家族の病状その他によって医師の許可を受けましたやむを得ない場合以外は付き添いはつけてはならない、こういうことを厳に指導をしているわけでありまして、それに対しまして普通看護病院の場合には、いろいろな要件がございますが、例えば手術直後の重篤な患者、あるいは老人につきましても寝たきりないしはそれに近いような患者につきましては療養費払いということで看護料の支給を行っているわけであります。現在、五十九年の数字がございますが、五十九年の全国的な調査によりますと、実際に普通看護病院におきまして入院をいたしました場合に払っております看護料、いわゆる付添料と保険から支給をされます看護料との間には、一日当たり平均約一千円程度の開きがある、こういうことで、これが患者の負担になっている、こういう状況であります。
○橋本(文)委員 差額ベッド代、看護料を入れるとやはり月に十万前後になるわけですね。 それはともかくとしまして、現在我が国は国債の残高が百四十三兆円ございます。そして昭和六十五年赤字公債脱却ということも叫ばれております。 アメリカも同じように、米国の国債発行残高が一九八一年に一兆ドルだったわけですけれども、これが何と二百五年かかっているというんですね。ところが、レーガン大統領が就任してわずか五年で二兆ドルになってしまった。これは大変だというので、何とか借金による財政を返していかなければならぬ。そこで、いわゆるグラム・ラドマン法というのが昨年つくられました。要するに、財政赤字の削減を議会自身と大統領に義務づける財政収支均衡法といいますが、これを見ますと、大幅な予算の削減ができるわけですね。ところが、いわゆる支出削減の対象から社会保障など低所得者対象の対策の予算は除外するとなっているのです。今回の問題とは直接関係ございませんけれども、アメリカにおいては、予算を大幅に削減できるそういう法律があるにもかかわらず、社会保障などの関係では削減しない。 きのう大蔵省からその概要をいただきました。これを見ますと、削減対象外として、社会保障年金とか医療扶助費、児童扶養費、婦女子等栄養費、こんなものが入っているわけですね。それから、特例項目として、残念ながら一九八六年度では一%削減できるとして、老人医療保険というのが入ってくる。しかし、以後二%削減を限度とする、厳重な歯どめをかけているわけですね。アメリカの方ではこういう法律ができております。 つまり、社会保障費には手をつけるな、こういうわけですね。この老人保健、特に医療に関しては我が国が一番進んでいるというようなことをおっしゃるんですけれども、これは確かに公的な制度としては世界で誇れるかもしれませんけれども、例えばアメリカの老人医療と比較してみますと、アメリカの場合にはいわゆる寄付金が大きい。みんな隣人愛といいますか、ボランティアといいますか、そういう形でもって寄付を多額に出しておる。先ほどおっしゃったいわゆる連帯ですね、連帯の意識が非常に強い。ですから、物すごく社会保障関係が潤沢である。アメリカの方では何としても社会保障費関係を切ろうとするんですけれども、あえてこの法律では社会保障費には手をつけないと言っている。これはもって他山の石とすべきじゃないかと思うのです。海外ではこういうようなことを考えておる。にもかかわらず、日本では老人、弱い者いじめをしようとしておる、これを私は言いたいのです。このグラム・ラドマン法の考え方、いかがに評価しますか。
○北郷政府委員 今おっしゃいましたいわゆるグラム・ラドマン法、非常に画期的な法律でございまして、それも承知をいたしております。それから、例外項目といたしまして、要するに削減の対象にしないもの、御指摘のとおり社会保障年金、メディケードというようなものでございます。それからまた、おっしゃいましたメディケアについては一%、二%限度というふうなことになっておるわけでございます。ただ、日本の場合でもアメリカの場合でもそうなんでございますが、社会保障というのは、先ほども申しましたけれども、いわば毎年毎年の財政によって自由自在に切るとか、こういうふうなことは非常に困難な性格を持っております。 この点については先ほども申し上げましたが、日本の場合におきましても、年金とか老人医療、こういうものは人口の高齢化に伴って当然増が生ずるわけでございまして、そのために、従来からいわゆるマイナスシーリングの中でも特別の配慮と申しますか、別枠の予算が配慮されておるわけでございます。こういったことでございますので、アメリカの場合でもやられておりますが、日本の場合でも当然、社会保障のそういった性格にかんがえて、これはどこの国でもそういうふうな配慮がなされなければ社会保障予算というのはできないわけでございまして、社会保障予算というのは、非常に財政が安定的に推移しなければ社会保障そのものが成り立たぬ、こういう基本的な性格は日本においてもアメリカにおいても同様なわけでございまして、それなりの配慮はなされておると思っております。 〔委員長退席、高橋委員長代理着席〕 しかしながら、先ほど申しましたように、そうはいいましてもそういった高齢化だけの問題ではございませんで、福祉関係につきましては、高齢化のほかにも例えば生活保護の例をとりましても、生活水準の向上に合わせましてある程度の引き上げ、一般的な生活水準の向上に見合った引き上げが必要でございますし、また、生保に連動いたしますいわゆる措置費の系統についても、そういった当然増の経費は出てまいるわけでございまして、そういった点について毎年非常に苦労しているというようなことを私先ほど申しましたけれども、これは先生にやや補足的に申し上げるのでありますが、だから老人保健をやるんじゃないかというふうに、さっきその発言を取り上げて言われたような気がいたすのでございますが、その点については、余り苦しんでいると申しますと、また、老人保健法もだからやったんじゃないかというふうに言われるような気もいたすのでございますが、その点については、先ほど老人保健部長が申しましたように、これはまた別の角度もあるということでございまして、予算編成に苦労しながらも、老人保健法の問題はまた別の角度から御提案申し上げているということでございますので、また、おまえがそう言うからそうじゃないか、こういうふうに誤解を生じないようにお願い申し上げたいと思います。
○橋本(文)委員 やはり誤解しそうですな、これは。 別にアメリカでグラム・ラドマン法ができたからどうのこうのと言うのじゃないのです。言いたいことはその精神なんです。大幅に予算削減ができるにもかかわらず、社会保障費には手をつけないよという考え方があるということ。しかし、我が国では残念ながら、老人保障関係では、お金がなければ、財源確保のために法律を改正してでも老人からお金を取ってこよう、あるいは拠出金一○〇%を目指しましてサラリーマンの負担を増大させよう、何とか違ったところから取ってこようということで、これはやはり精神から見ると相反しているように思うのです。角度が違うから、これは違うと言われればそれまでなんですけれども、ただ、その趣旨とするところは、社会保障というものは後退させてはいけないということがアメリカにはあるということを言いたいのです。我が国でもぜひそれを見習ってほしいと思うから言っている。 それからついでに、アメリカが出ましたので言いますけれども、我が国の場合には、確かに当初の目的は疾病の予防にあったわけです。アメリカにおいては治療よりもむしろ予防にある、実態が、流れが。それは御存じですか。我が国では今、寝たきり老人をどうしようか、痴呆性老人をどうしようか、在宅老人をどうしようか、あるいはひとり暮らしの老人をどうしようかという点に目が向いています。ところがアメリカの場合では、老人を、まず健康な老人、正常な老人、若干の障害がある老人、中程度の障害がある老人、重い障害がある老人と区分しまして、それぞれに細かいいわゆる注意を与えて指導している。そして病気にならないような形をしているわけですね。例えば正常な老人に対しては禁煙をしなさい、あるいは医薬品を乱用してはいけませんよとか、栄養はどうでしょうかとか、あるいは運動をしなさいというような、こういう細かいことを言ってくるわけです。我が国には残念ながらまだそういうことはない。 そういうことを保健事業としてやるべきなんですけれども、前回言ったように、この三年間余り行われていない。その結果、老人のいわゆる有病率というか、支出の方も増大してしまった。だから今回値上げをするんだということにつながっていく。日本とアメリカの制度の違いというものは当然あるわけですから、一概にアメリカがいいとは言えませんけれども、そういう疾病対策ということを考えていかなければ、この老人保健法の健全な発展はあり得ないと私は思うのです。これは総括的に言おうと思ったのですけれども、先に言わせていただきました。 時間がなくなってしまうのですけれども、按分率につきましては、今回八〇%、来年度から一〇〇%にしようというのですけれども、こうなりますと、先ほどから世代間の公平ということを言いましたけれども、いわゆる健全経営をしている健保組合は黒字ですから、そのくらい出しても影響ないだろうという発想が厚生省にあるように聞こえできますけれども、サラリーマンにとっては大変な保険料のアップにつながってくる。いわゆる老人いじめの問題が今度はサラリーマンいじめにもなってくるわけですね。これはいかがですか。
○黒木政府委員 お願いをいたしております加入者按分率の引き上げでございますけれども、私どもとしては、各保険者がそれぞれ同じ老人数を抱えていただくということが最も老人医療費を公平に負担する道ではないかと考えているわけでございまして、その結果として現在健保組合と国保を比較しますと、健保組合は国保の四分の一程度の老人しか抱えていないわけでありますけれども、そういう老人加入率の格差が是正されることによりまして按分率が八〇、一〇〇に上がるにつれまして確かにそれぞれの保険者に、老人が少ない保険者には拠出金の負担増という形が結果として生ずるわけでございます。やはりこれから老人医療費を国民が公平に負担していくためには、それぞれの制度が、あるいはそれぞれの保険者が老人の方を同じ割合で抱えていただく、それに応じて老人医療費の拠出金をお支払いしていただくということが公平ではないかということで、今回、加入者按分率の引き上げをお願いをしているわけでございます。
○橋本(文)委員 時間がありませんので、一番問題の中間施設、いわゆる老人保健施設という名前で今回入ってきましたけれども、もう一度お尋ねします。 今年度十カ所でまずモデル実施を行う、そして基礎データの収集などをして、そのために合計四億二千万円ですか、予算計上した。しかし、病院併設で八カ所、特別養護老人ホーム併設二カ所、合計十カ所がモデルになると聞いておりますが、この中間施設の性格なんですけれども、まずどういう性格なのか。この間参考人の方々が言われましたけれども、医療なのか、福祉なのかよくわからぬ、こういう話が出ました。まず、基本的な性格づけはどういうものなんですか。
○黒木政府委員 老人保健施設の性格をめぐりましていろいろ御意見、御議論をいただいておるところでございますけれども、端的に申し上げまして、中間施設と俗に言われるものが老人保健施設でございます。したがって医療機関、福祉施設の中間的な性格を兼ね備えているということで、どちらの施設かと言われても大変答えにくいわけでございます。 私どもは、今回御提案を申し上げておりますのは、今後の人口の高齢化に伴って寝たきり老人等の方々がふえるわけでございますけれども、こういった方々は医療ケア、医療サービスも必要とするけれども、日常生活的なサービス、生活上の援助も必要とされるお年寄りが増大をしてくるであろう。したがいまして、医療サービスと日常生活サービスをあわせ持つ、あわせ提供できるような施設の創設、そういう施設体系の整備が必要ではないか、こういう発想でございます。こういった点については、社会保障制度審議会、あるいは厚生省に置きました中間施設に関する懇談会でもそういった中間的な施設の必要性が指摘をされておるわけでございます。 そういう意味で中間的な施設、したがいまして、医療を提供するという意味では医療機関的な機能も持ち、生活的なサービス、生活の援助をしてさしあげるという意味では福祉的な機能を持つ、ずばり言えば中間施設であるということで御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○橋本(文)委員 さっぱりわかりません。じっくりと論議しましょう。吉村事務次官も、今国会では老人保健法の成立は断念した、このように新聞報道されておりますので。 当初、痴呆老人は除外すると言われておりました老人保健施設、きょう午前中説明があった中では痴呆老人も含まれるのですが、これはどうなんですか。
○黒木政府委員 ぼけ老人の方も老人保健施設の入所対象になるかどうかという御質問でございますけれども、私どもは当然対象になると思っております。こういった方々も医療とあわせて生活的なサービスをしてさしあげる必要があるだろうと思っております。 ただし、ぼけ老人の方で、異常行動があるとか専門的な精神病院で治療なりケアを必要とされる方もおられるのも事実でございます。そういう方々は、この施設の性格上無理ではなかろうかということで、そういった方々につきましては、別途そういった専門病院を整備し、そちらの方のケア体系に乗せていくことがこれからの対策の方向かなというふうに考えております。
○橋本(文)委員 この老人保健施設につきまして、老人保健法四十六条の六、いわゆる開設許可ですね。「都道府県知事は、営利を目的として、老人保健施設を開設しようとする者に対しては、許可を与えないことができること。」こういう表現になっております。 ここで私が聞きたいのは、なぜ営利を目的とする者に対しては許可を与えないと断定しなかったのか。これを素直に読みますと、「営利を目的として、老人保健施設を開設しようとする者に対しては、許可を与えないことができること。」与えてしまっても何も問題が起きない、そういうふうに読めるわけです。
○黒木政府委員 御指摘のように、法文上は「許可を与えないことができる。」ということで御提案を申し上げておるわけでございます。これは現行医療法に同趣旨の規定がございまして、病院の許可に当たりまして、知事が許可を与えないことができるというふうに法文的な整備がなされておるわけでございまして、文言をそれに合わせさせていただいておるということでございます。具体的な運用に当たりましては、現在の医療法の運用と同様に、営利を目的とする者に対しては許可を与えないということで運用をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
○橋本(文)委員 要するに、医は算術と言われた時代から、今現在、医は算術と言われている。医療機関というものが営利を目的としているのだというふうに庶民は思っている。ところが、病院というものは本当は営利じゃないわけですな、医療法上は。そのために、わざわざ「営利を目的として」ということで書いてございますから、通常で言うところの株式会社なんというのはできない。それはわかるのです。だけれども、実態は、この間大騒ぎしました宇都宮の精神病院、あれなんかは完璧に営利しかないと思うのですね。 その辺の問題は別にしまして、この老人保健施設は国がつくるものではなくて、民間活力を大いに利用しようじゃないかという考えがあるやに聞いております。民間活力を利用するとなりますと、これは当然、公益法人というよりもむしろ営利性を追求するようになるのではないかという心配があるわけですね。そうすると、民間がやる場合にどの程度国が監督をするのか。国の役目は一体何なのか。例えば、病院と中間施設が併設されているとする。ある場合には病院に行きなさい、今度は中間施設にいらっしゃい、その基準ですね。いろんな意味で細かい細則を決めなければ、それぞれの老人保健施設等の差異ができてしまう。国が相当厳しい、細かい細則基準を決めなければだめだろうと思うのです。 そういうことではなくて、「与えないことができる。」というのは、なぜ営利を目的としたものには許可を与えないと断言しなかったのか。医療法がそうなっているから、それをまねたんだという答えではちょっと納得できないのですけれども、難しいですか、この議論は。
○黒木政府委員 当然、政府案として法文を提出する場合には、内閣法制局と相談の上、法令審査を受けて出すわけでございますけれども、私どもの考え方は、許可を与えないということでございますが、これは知事の許可権限に属することでございますから、許可を与えないことができる、許可することができるという、そうした権限規定として書くことが適当であるという法制的な意見もございまして、許可を知事は与えることができる、あるいはこういう場合には与えないことができる、そういう形で御提案申し上げているということで御理解をいただきたいと思います。
○橋本(文)委員 六十二年度で約二万人分をまず確保しよう。そして、十四年後までには五十ないし六十万人分の老人保健施設を主として民活でやろう、こういう計画があるように聞いております。 問題は、先ほども医療なのか福祉なのかわかりませんと言われましたけれども、もしアメリカのナーシングホームというものを前提にしているのであれば、あれは物すごく評判悪いですな。アメリカの看護界、看護婦の代表ですね、ヘンダーソンさんに言わせますと、平均的なナーシングホームでの看護の実態は国の恥とも言うべきものである、こういう厳しい評価をされている。もし、アメリカのナーシングホームをまねているのだったら、同じようにそこに入る人はひどい目に遭うのではないかと思うのです。まず、下敷きは何なのですか。
○黒木政府委員 私どもは、日本国独特の施設をつくりたいということでございます。しかし、外国の轍を踏まないようにということは十分念頭にあるわけでございまして、アメリカのナーシングホームにつきましては、大半のものが営利法人が経営をいたしておるわけでございますし、お年寄りの方々は、それぞれ自由な判断ができにくい方が多いわけでございますから、私どもとしては、適当な表現ではないかもわかりませんが、老人がいわゆる食い物にされないように厳しく施設の運営を監督する必要があるということで、先ほど申し上げましたように、営利を目的とするものには許可を与えない、それから、運営管理基準等を設けまして、その基準等に反する場合には許可の取り消しをいたす等々の規定を整備させていただきまして、老人の福祉に、老人の方々の処遇に過ちがないように運営をするべくいろいろ考慮していかなければいかぬ。そのためにも、外国の制度も参考にはいたしておりますけれども、やはり日本独特の制度を考えているということでございます。
○橋本(文)委員 ナーシングホームにならないようにぜひともお願いします。 この老人保健施設を創設することによりまして、将来どの程度医療費の削減効果があるのか、その見込みというものはあるのですか。
○黒木政府委員 老人保健施設が創設され、これが運用された段階におきまして、私どもとしては、現段階でいわゆる社会的入院という形で病院に入っておられる方々にこの施設へ来ていただくということで結果的には医療費の適正化効果がある、医療費の適正化に資する、こういうふうに判断をいたしておるわけでございます。 誤解がないように申し上げますと、そのために施設をつくるわけではございませんで、老人にふさわしい、つまり入院治療をする必要がない患者、重装備の病院で手厚い医療面のサービスを受ける必要がない状態の寝たきり等の老人に、病院よりもう少し医療を希薄にして、そして病院よりも手厚い看護なり介護を差し上げることが寝たきり老人のその状態における施設ケアとしてもっともふさわしい。その最もふさわしいサービスをしてあげることによって社会的入院等の関係から医療費が適正化されるのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。 大変大胆な試算をいたしておるわけでありますけれども、私どもは、ちょうど二十一世紀に百万人ぐらいの要介護老人が出るのではないかという試算のもとに、その一定割合、私どもとしては二十七万とか三十万程度の老人保健施設の病床が整備されているということを前提にして試算をいたしました数字を持っておるわけでございます。その当時の医療費が十五兆円見込まれるわけでございますけれども、老人保健施設ができまして、先ほど申し上げましたようなベッド整備が実現をいたしておりますれば、約三兆円程度適正化効果が働くかなというふうに、粗い、大胆な試算を持っております。
○橋本(文)委員 老人保健施設につきましては、老人ホームの改善が先であるとか、あるいは老人病院をどうするのかというたくさんの問題があります。今のところ、この老人保健施設の人員配置基準、これは医師が一人、それから看護婦が十人、介護人が二十人程度と言われておるのですか、それに対して老人病院の方は、基準としては医師が三人、看護婦十七人、介護人十三人、こういう規定があるわけですけれども、老人保健施設の方は物すごく規制が緩いわけですね、医師の数においては。それは病院と特養の中間ですから、当然医者が少ないと言えばそれまでなんですけれども、ちょっとこの辺が心配なんです。 かつて老人病院が非難を浴びましたね。同じような非難をここで浴びないかどうか、その点、いかがですか。
○黒木政府委員 この施設におきます職員の方々の配置基準というのはこれから策定していくわけでございます。具体的には、モデル実験等を踏まえまして、どのような職種の方がどの程度おられれば老人のお世話なり老人の医療面のサービスが適切に行われるかというようなことを見定めた上で、さらにかつまた関係審議会で専門の先生方の意見を聞いた上でそういった配置基準をつくってまいりたい。いずれにいたしましても、この種の施設として寝たきり老人の施設サービスが適切に、それこそ文字どおり老人の方々が安心してそこの施設で療養ができるような職員配置基準にしたい。あわせて設備基準もそういうふうにつくっていかなければいかぬということを考えておりますけれども、まだ具体的に、ではどういう方が何人というところまでは私どもは数字を持ち合わせておりませんけれども、御指摘のように病院と施設あるいは病院と家庭の中間的な施設でございますから、職員の方々についてはこんな程度かというような考え方は私どもの方でも議論をし、あるいはその結果の考え方というのは、成案を見ているわけではございませんけれども、意見はあちこち聞いているという状況でございます。
○橋本(文)委員 今までは病院あるいは中間施設の話をしましたけれども、現実には寝たきり老人というものが現在四十八万人おる。そのうち十万、十一万がそれぞれ特老、老人病院に入っています。在宅の介護を要する老人が二十七万人おるわけです。この在宅の寝たきり老人については、今回全く関係ない。中間施設ができればそれに入ればいいわけですけれども、それは時間がかかるでしょう。ましてや、まだその中間施設の性格やらその辺もはっきりしない段階ですから。こういう在宅の寝たきり老人の方はどうするのですか。
○小島政府委員 御指摘のように、在宅の寝たきり老人は五十九年の数字でございますが、二十七万という数字を持っております。これらの方々につきましては従前からホームヘルパーの派遣というような福祉施策を中心に家庭介護の支援体制をしいていたわけでございますが、六十一年度以降につきましては、特に在宅対策について格段の充実を図りたいということを考えておりまして、デイサービスセンターの整備あるいは家族の方が御旅行等によりある期間御面倒を見れないという場合に対するためのショートステイというような施策を拡充してまいりたいと考えております。 また、これらの施策につきましては、デイサービス事業あるいはショートステイ事業につきましては従前三分の一補助でございましたが、これを積極的に進めたいということで二分の一に補助率を引き上げて、そういう補助率の面でも施策の積極的な推進を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
○橋本(文)委員 済みません。時間が来てしまいましたけれども、最後に一点だけ。 昭和六十年一月二十四日の社会保障制度審議会の「老人福祉の在り方について」という建議がございました。この結論は、抜粋すれば「老人が「生きていてよかった」といえるような社会にならなければ意味がない」、こう断定しております。その上で、「老人を取りまくあらゆる環境、条件が整えられることが必要であり、社会保障制度に限られることなく、雇用、教育、文化、住宅など老人の生活にかかわるすべての政策が、整合性をもって総合的に組み立てられ、効率的に運営されなければならない。」こうありまして、「すでに我が国は、人生八十年時代を迎えて、いままでのような制度、慣行のもとでは社会の円滑な運営が困難になりつつあり、社会の仕組みを、新しい時代に適合させていくことが強く求められているのである。われわれは、政府に対し、この際、その一環として、新たな考え方のもとに総合的な老人対策を樹立し、着実に実行に移すことを望むものである。」こういう建議がございました。 要するに、従来のような発想の延長ではこの高齢化社会を乗り切れない、発想の転換が強く必要であると思うのです。そのためには、冒頭にも言いましたように、老人特有の心理、生理あるいは専門的な治療、それを総合的に研究する機関を早急に設置していかなければならぬなと思うのです。いかがですか。
○北郷政府委員 高齢化社会を迎えて発想の転換が必要であるというのは、まさにその審議会の答申のとおりだと考えております。医療、年金の分野ばかりでなくて雇用あるいは文化といった面でもっと幅広い新たな発想が必要だというふうに私どもも考えております。 お尋ねの研究機関の問題でございますが、ちょうど天皇陛下の御在位六十年の記念の年でもございますので、そういったこともございまして新たな老人のための研究所の設置の検討費が六十一年度予算において計上をされております。この予算を使いまして老化とか、今おっしゃいました老人の心理といったものを含めた総合的ないい研究所ができないかというようなことで調査をいたす予定でございます。六十一年度に調査をいたしまして、構想を立てて今後具体化をしてまいりたいと考えておるところでございます。
○今井国務大臣 今先生が最後に、老人自身が参加できる対策といったようなこと、それからまた、生きていてよかったというようなことをちょっとおっしゃいましたが、私は、高齢者の対策というのは、基本的な考え方はそのとおりだと思うのです。それで、これから高齢化社会を迎えますので、社会保障に関しましては私は大事なことが二つあると思うのです。 一つは、年金だとか医療といった基盤的な制度というものをしっかりつくっておく、それで老後の生活に安心を与えていくことでありまして、もう一つは、言うなれば福祉の原点であろうと思いますが、恵まれない方々に対して十分に思いやりのある施策を講じていくことだと私は思っております。 そこで、たまたま先生もおっしゃいましたが、これから寿命が延びてまいりますので、しかもお年寄りと申しましても非常に元気な方が多いわけでありますから、そういうお年寄りの方々を、単なる被扶養者といって考えるのではなくて、豊かな知識だとか経験を積極的に世の中で生かしていただくことが大事であり、また、そういうふうにできるようにしていくことが極めて大事だと思っているわけであります。そのためにも就労の機会を拡大していくというようなことも大切でありますし、また就労以外にも、さまざまな社会的な活動を通じて生きがいを持って暮らしていくことができるような条件を整備していくことが極めて大事だと思いまして、私も先生の御提案に対しましてはまことに同感でございます。
○橋本(文)委員 よろしくお願いいたします。終わります。
○高橋委員長代理 塚田延充君。
○塚田委員 周知のように、我が国の人口の構造は急速に高齢化しつつございますし、現在総人口の約一割を占めている六十五歳以上の人口は、昭和七十五年には一五・六%、さらに昭和九十五年には二一・八%と増大して、二十一世紀には未曽有の高齢化社会が到来することが予想されることは御存じのとおりです。こうした本格的な高齢化社会を迎えるに当たって、我が国の社会システムを人生八十年というライフサイクルを前提としたものに再構築し、高齢化社会に対応しなければいけないと考えます。 とりわけ社会保障については長期的な観点に立って総合的な観点から今後のあり方を検討しなければいけないわけですけれども、高齢化社会に向かっての社会保障について厚生大臣の基本的な考え方をまずお伺いします。
○今井国務大臣 私は、これからの社会保障制度というものに大事な点が二つあると思います。 これはしばしば申し上げておりますので、あるいはもう先生もお聞き及びかもしれませんが、第一番目は、これから本格的な高齢化社会を控えまして、年金であるとか医療といったような最も基盤的な制度というものをしっかりつくっておくことだと思います。これがまず第一でございます。特に、これから人口が高齢化いたしますので、経費がだんだんと増大をいたしますが、こういった制度につきまして給付と負担の両面からの公平化を図りまして、国民の信頼に足るようなものとしていくということが極めて大事なことだと私は考えております。 その第二番目の問題でありますが、これは、寝たきりであったり、あるいは体に障害を持つ恵まれない方々に対しまして思いやりのある温かい施策を講じていくことでありまして、これはいわば福祉の原点であろうと思います。 私は、この二つを重要な課題として考えておるものでございます。
○塚田委員 第九十六回国会で成立し、昭和五十八年二月から施行されました老人保健法は、その第一条の目的、第二条の基本理念、第三条の国の責務など、うたい文句としては大変立派であり、国民の期待を担って登場したわけです。しかし、最近になって、目標どおりにうまくいかない、すなわち、ひずみとかいろいろな問題が生じてきたわけです。それが今回の改正の背景であると思います。 つきましては、老人保健法施行後この三年間に効果を上げた実績及び新たに生じた問題点、さらには、今度かじ取りの方向を変えねばならぬその原因、理由を具体的に簡潔にお伺いいたします。
○黒木政府委員 まず実績でございますけれども、御案内のように、一つは老人のヘルス事業でございまして、おかげで年々三十数%の予算増を確保いたしまして、都市部等においては一部受診率等がまだ十分でないところもありますけれども、基本的には健診事業を初めとします保健事業が大いに伸びたものと思っておりますし、これによって、健やかに老いる、あるいは自分の健康を自分で守っていくといったような意識が国民に定着しつつあるのではないかと考えております。 医療面につきましては、お年寄りの方々に老後を支える必要な医療として手軽に医療サービスを受けていただいておる、現に受診率等は若い人に比べて相当高いということがそのことを示していると私は思っております。 問題点でございますけれども、まず老人医療費につきまして、法制定後一たん老人医療費は落ちついたわけでございますが、最近に至りまして再び著しい増高傾向を示していることでございます。 その二点は、老人の加入割合でございますが、各保険者あるいは各制度における老人の加入割合に一段と格差が生じまして、保険者間の負担の不均衡が拡大しておるということでございます。 老人ヘルス事業についての問題点は、先ほど言いましたように都市部等において受診率が低いということ、あるいは地域においてもう少し計画的、総合的な推進が必要になっているということが指摘できようかと思っております。 ざらに、寝たきり老人等の介護を必要とする老人の新しい施設体系の整備が必要ではないかという状況になっておるということでございます。 第五点として、老人保健制度を支えます医療保険制度全体について給付と負担の公平という見地からの改革が行われたところでございまして、老人保健制度もそういった方向に沿った見直しが求められるということでございます。 私どもは、そういう問題点を踏まえまして制度全体を総合的に見直しまして、今後制度の長期的な安定を図るために今回の見直し、改正をお願いしておるということでございます。
○塚田委員 このたびの改正は、高齢化社会に向けて制度を安定したものにするために行うのだというただいまの説明ですが、私としては、マイナスシーリングに対応するために財政面に着目したその場しのぎの対応であると断ぜざるを得ないわけでございます。 老人福祉の問題は、長期的な展望を示し、計画的に対応しなければいけないと考えるわけですけれども、この意味において、さきに高齢者対策企画推進本部報告を取りまとめて公表したことは、私としては一応評価したいと思います。そこで、この報告書のねらいと、今後どのように具体化していくのか、厚生省の考え方をお伺いします。
○北郷政府委員 高齢者対策企画推進本部の報告でございますが、たびたび議論になっておりますように、我が国の高齢化が急速に進む、特に二十一世紀の初頭までの間に進むわけでございまして、高齢化が安定するまでのいわば移行期、過渡期が現在から二十一世紀までの間でございます。この過渡期の間に、高齢化社会へ向けてのスムーズな移行のためのいろいろな準備を進める。そのためには今から整合性のある対策を考えていく必要があるという考え方で、本部を設けまして省内で各局横断的に検討、協議いたした結果の報告でございます。 それで、どう具体化するかというお話でございますが、高齢者対策というのは非常に幅の広い問題でございますので、今回の報告書におきましては、非常に自由な議論をして出てきましたものをできるだけ盛り込む、こういう形でまとめたものでございます。したがいまして、報告書の中身の中には、かなり方向が固まったものもございますし、まだこれからさらに煮詰めていかなければならない項目もございます。今後、固まったものについては具体的に進める、さらに検討すべきものはさらに対策を取りまとめていく、こういう形になるわけでございます。 この報告書全体として念頭に置きましたのは、西暦二〇〇〇年から二〇一〇年くらいまでの間を過渡期ととらえておりますので、この期間内に、方向の固まった政策を逐次実施していく、できるものは進めておく、こういうふうな考え方でございます。
○塚田委員 この報告書では、今回の老人保健法の改正を医療保障制度全体の中でどのように位置づけておるのですか、説明してください。
○幸田政府委員 我が国の医療保障の問題につきましては、私どもは医療費の規模を将来にわたり適正な水準にとどめるということと給付と負担の両面にわたる公平を確保するという二つの政策目標を掲げて施策を推進いたしておるところであります。五十八年の老人保健法の制定、五十九年の健康保険法の改正というのもこういった流れに沿ったもので、今般老人保健法の改正をお願いいたしておるわけでありますが、私ども、将来、昭和六十年代の後半のできる限り早い時期に給付と負担の公平化等を柱とする医療保険制度の一元化を達成したいという考え方であることは先生御承知のとおりであります。 今回の老人保健制度の改正は、こういった将来の改革に向けての橋渡しとなる重要な改革と考えているわけでありまして、先般発表いたしました高齢者対策企画推進本部の報告におきましても、今回の老人保健法のお願いをいたしております改革は、医療保険制度の一元化へ向けての橋渡しとなるものである、こういう位置づけを明らかにしているところであります。
○塚田委員 今回の改正の真のねらいは財政上の対策に偏ったものではないかと先ほど指摘したところですが、現在のマイナスシーリングのもとでは、毎年巨額の自然増が避けられないこのような社会保障予算はますます行き詰まってまいりますし、福祉水準の切り下げをしなければいけない状態に追い込まれていくことを強く憂慮するものでございます。 このような事態の打開策として、社会保障特別会計というような構想が議論されることがふえてきておりますけれども、その基本的な考え方と今後の厚生省の取り組みについてお伺いします。
○今井国務大臣 おっしゃいますように、この社会保障給付というのは、高齢化が進むこと、あるいは年金の成熟化というようなことによりまして毎年相当規模の増加が避けられません。これはおっしゃるとおりでございます。 そこで、このような性格を持ちます社会保障に関します予算につきましては、やはり一つは、長期的な財政上の安定を図ることが極めて大事であります。もう一つは、社会保障に関します給付と負担の関係を明確に、国民にわかりやすくお示しすることが極めて大事だという見地から、今までの一般会計からこれを切り離しまして特別会計にしたらどうだということを前の大臣も言われたわけでございますが、私も、この考え方は極めて示唆に富んだ考え方であろうと思っております。 ただ、この問題は国の財政構造の全般にかかわります大きな問題でございますから、今後幅広い見地からいろいろ検討しまして、やはり省内はもちろんのこと閣内におきましても、どうすればこれが実現できるのかということで彫り深くひとつ検討をさしていただきたいというふうに思うものでございまして、この旨私も閣議等の済んだ後で大蔵大臣あるいは官房長官等にも申し入れをして検討いたしたいと思っておるものでございます。
○塚田委員 今回の一部負担の引き上げ案についてですが、各委員から既にあらゆる観点から、これはひど過ぎる、白紙撤回せよと、国民各界各層の世論を背景に指摘しているわけでございます。私も全く同様の考え方であり、重ねて本案は取り下げるべきだと強く主張するものでございます。 その議論の中で出てきていることとして、私ども主張する側としては、老人は複数の医療機関にかかっているのが通例だから、実際初診料千円では済まないという指摘をしているわけですが、厚生省サイドは、統計的に計算されて、まあ一人頭一・五科目程度だから大したことはないと答えているわけでございます。しかし、平均値で見て千五百円ということになったとしても、これは約四倍の値上げになってしまうわけですから、国鉄の値上げにしろ何にしろ四倍の値上げなんというのは空前の話でございまして、大変なことでございます。厚生省の、いわゆる老人の診療科目数が一・五という数字は、私も聞いてみたところ、老人の診療者の数とレセプトの数の単純な比率から割り出したもので、私は、これは何か統計上のトリックがあるように思えてならないわけでございます。すなわち常識と違うからでございます。 個人の例になりますけれども、私の母親は八十歳でございますが、目と耳とひざの神経痛の三科目やっておるわけです。近所の方に聞いてもほとんどの方がまあ二科目なんというのはないんですね。そういうことですから、単純な統計数字じゃなくて、もっと実態調査、これを本当にしたんでしょうか。もし、していなければ、何らかの形で実態を把握すべきと思うのですが、いかがでしょう。
○黒木政府委員 お年寄りの方が一月に何回医療機関に行っておられるかという数値についてのお尋ねでございます。 御指摘のように、私どもは、支払基金が持っておりますレセプト、老人医療費の請求書につきまして一月分をとりましてその平均をとってみたわけでございますから、全国平均としてはやはりお年寄りは一月に一・五の医療機関に行っておられるというのが診療の実態ではなかろうかと思います。 ただ、さらによく分析しますと、一医療機関に行っておられる中でその一月の回数を見ますと、かなり何回も行っておられるわけでございまして、四回ぐらいが平均ということで、月に四回ぐらいお行きになっているということでございますから、まあかかりつけのお医者さんに、おなかが痛い、風邪を引いた、いろいろな形でお行きになるのがやはり多いのではないかと思います。確かにお年寄りによっては、有病率も高いわけですから、たくさんの医療機関を訪ねなければならない方もおられるのは事実でございましょう。それまでも否定するつもりはございませんけれども、平均をいたしますと月一・五の医療機関におかかりになっているというのが実態だというふうに承知をしております。
○塚田委員 老人保健法では保健事業の総合的な実施を大きな目玉としていると理解しております。これが軌道に乗れば、そして効果が上がってくれば、理論的には、最終的にかなりの医療費の増加傾向を抑えられるはずでございます。しかしながら、どうもそれがうまくいってないんじゃないかというわけでございまして、このうちからちょっと引っ張り出してお伺いしたいのですが、保健事業諸事業のうち健康診査の受診率が計画を下回っているようでございますが、その原因は何でしょうか、今後どう対応されますか。
○仲村政府委員 お尋ねの健康診査でございますが、五十九年度におきます受診者数は千六百万人を超えたということで、順次計画数が伸びてきておるわけでございます。先ほど黒本部長からもお答えいたしましたように、健康診査の受診率をさらに分析してみますと、全体的に国の予算を上回っている市町村の数が非常に多いわけでございますけれども、都市部におきましてはやはりこれが低いということがございまして、その対象人口の多さからいいますと、全体でその国全体の受診率を引き下げるというふうな要因になっておるわけでございます。 例えば五十九年度におきまして人口三十万以上の市では一九・八%、二割弱でございますが、五万人未満の小さな市町村になりますと三七%、約三分の一でございますから、それに比べてかなり低いというふうに私ども判断しておるわけでございます。 原因はいろいろ考えられるわけでございますが、一般的に言いまして、老人保健事業に限らず都市部の保健サービスというのは非常にやりにくい面もございます。それは、社会的な移動の問題でございますとか、対象者の把握が難しいということでございますとか、例えば共働き等によりまして受診の機会に恵まれないようなことがあり得るというふうな幾つかの推測が成り立つわけでございますけれども、今後、私どもといたしましては、当然、先ほどもちょっとお答えいたしましたけれども、こういう事業に従事いたしますマンパワーの充実、さらにはそのサービスを提供いたします場としての市町村保健センターその他の施設の拡充も図ってまいらなくてはいけませんし、健康診査の実施にさらにいろいろ工夫を加えて、例えば休日、夜間とかいろいろの工夫を加えていく、さらには、こういうマスコミの発達した時代ではございますけれども、市町村の都市部の住民に直接通知の行くような形での広報活動と申しますか、そういうようなことで健康管理意識の高揚にも努めた上でこのヘルス事業をさらに進展していかなくては所期の目的は達成できないということを考えておるところでございまして、私どもといたしましても、その方向で今後努力を重ねてまいりたいと考えております。
○塚田委員 老人保健法の最大の目的は、そういう予防、いわゆる保健事業にあるわけですけれども、これが今の健康診査もそうですし、四十歳以上の方に対する手帳交付によって成人病を予防していこうじゃないか、これも交付率が低いんじゃないかと思う。せっかくの保健事業が絵にかいたもちに終わっていて、となると、これは行政当局の怠慢そのものじゃないですか。その怠慢のしりを、結局は今病気で困っておられる老人そのものに一部負担の引き上げという形で持ってくることは、三年前つくった老人保健法の精神を厚生省自身が全然やっておらぬと強く糾弾しておきたいと思っております。 さて、六十一年度は保健事業の第一次五カ年計画の最終年度に当たっておりますけれども、六十一年度予算において、保健事業においてどのような内容改善を図ることにしているのか。 それからもう一つ、やっぱり保健事業は中長期的に息の長い取り組みによって初めて成果が上がってくるものでございますので、第二次とかいうふうに引き続いて計画を策定していくべきと考えますが、この二点についてお伺いします。
○仲村政府委員 御指摘の保健事業でございますが、おっしゃるように、この老人保健法に基づきます保健事業に限らず、先ほどもちょっと出ておりましたけれども、例えばたばこの問題でございますとか、今後はこういう慢性疾患が非常にふえてまいりますので、各個人のライフスタイルを変えるとか、あるいは行動科学的にいろいろアプローチをして、個人がみずから実施して、長期的に将来の疾病の発生を予防するという方向へ大いに変えていかなくちゃいけないと考えているところでございます。 お尋ねの六十一年度の老人保健法に基づきます保健事業につきましても、さらに、少しずつではございますが、改善を加えてまいりたいと考えているところでございます。六十一年度は第一次五カ年計画の最終年次でございまして、厳しい財政事情ではございましたけれども、私ども総額三百五十八億、対前年度比で申し上げまして三五・八%の増額を図って予算を確保したところでございます。具体的な内容といたしましては、総コレステロール、肝機能検査の一般診査への追加等によります内容の充実でございますとか、機能訓練事業の実施箇所の増大、あるいは寝たきりの方々全員に対する初回訪問の実施を初めとする訪問指導の充実等、各般にわたって充実を図ってまいりたいと思いますし、御指摘のとおり、私どもといたしましても、今後さらにやり方等に関しまして工夫を重ねていって、初期の目的を達成するようにいたしたいと考えているところでございます。 後段お尋ねの部分につきましても、第一次計画に基づきまして、六十二年度を初年度といたします第二次計画を策定するように、現在公衆衛生審議会の中にございます老人保健部会において御審議をお願いしておるところでございまして、その計画が得られ次第、私どもといたしましても所期の目的を達成するように邁進してまいりたいと考えております。
○塚田委員 加入者按分率の引き上げが余りにも急激でございまして、しかもそのねらいが赤字の国保を健保組合の負担増によって救済させるという、いわば財政対策であることが見え見えのように思えるのですよ。一方、国保側から見ますと、退職者医療制度も厚生省がのたまわれたような効果を上げていない。そもそも有病率の高い、すなわちコストの高い老人を抱えるという制度の根幹にかかわる弱みを持っていることも事実でございます。 とにかく現時点ではレセプトの点検とか収納率の向上など国保自体がもっと経営努力をするように指導し、そこに至るまでは国庫負担をするというのが指導者たる国の責任と思います。国保の経営努力についてどう対処するのか、お伺いいたします。 〔高橋委員長代理退席、浜田(卓)委員長 代理着席〕
○幸田政府委員 国民健康保険と被用者保険、なかんずく健康保険組合等を比較をいたします場合に二つの論点といいますか、見方があると思います。一つは、今御指摘の経営努力の問題、それからもう一つは、構造的な問題だと思います。 構造的な問題と申しますのは、例えば年齢構成がどうであるとか、老人の加入者がどうであるか、あるいは所得能力がどうであるかという問題でありまして、今回お願いをいたしております改正は、この中で老人加入率について公平化を徹底をさせていただきたいということでありますが、もちろん経営努力の面につきまして国保は一層の努力が必要であるということは御指摘のとおりであります。レセプトの点検を初めあるいは収納率の向上その他万般にわたりまして、今後とも私どもそういった経営努力の一層の徹底に向けて努力を重ねていく覚悟であります。
○塚田委員 最後に、老人保健施設の性格についてお尋ねいたします。 いろいろ委員会審議を聞いておりますけれども、やはり不明な点が多過ぎます。特に療養費の定額払いにつきましては、現行の診療報酬支払い方式と全く異なるものであり、どのような位置づけをしてよいのか、これを明確にしてほしいと思います。どうも今のままでは医療費削減のための施策ではないかと勘ぐりたくなるのですけれども、この点はいかがでしょうか。
○今井国務大臣 老人保健施設でございますが、これは病院におきます急性期の治療を経まして病状が比較的安定期に入りました寝たきりの老人につきまして、医学的な管理のもとに看護だとか介護あるいは機能訓練といったサービスを一体として提供しまして、機能の回復とか家庭へ帰ると申しましょうか家庭への復帰と申しましょうか、そういうことを可能にします施設でございます。したがいまして、このサービスというのは比較的定型的なものが多いわけでありまして、やはり出来高払いというよりは定額方式の方がなじむのではなかろうかということでこの方式を御提案申し上げているわけであります。 老人保健施設は、今後高齢化社会におきます介護を要しますお年寄りの要求、ニードの増大、多様化に対応いたしまして、適切な施設のサービスを提供することを主眼といたしておりまして、御懸念されておりますような、単に医療費を削減するというふうなことを私どもが目的とするものでは決してございません。
○塚田委員 この施設は民間活力を活用したいということのようでございますが、民間というのはもうからなければ出てまいりません。そして一方、この経営に当たっては営利目的ではいけないと言われております。二律相反しますけれども、うまくいくと考えられますか。どうするのか、その辺お答え願います。
○黒木政府委員 この整備は民間活力でお願いしたいと思っておりますが、それは設置主体を医療法人とか社会福祉法人に主としてお願いをいたしたいという趣旨でございます。その経営でございますけれども、現実にそれぞれの法人におかれて病院なりあるいは特養のホームを経営をされておられるわけでございますから、私どもが適切な費用の支払い方式を検討の上お決めいたしますれば、それぞれの施設においてそれぞれ工夫を重ねながらきっといい施設の運営をやっていただけるものというふうに考えておるわけでございます。
○塚田委員 これにて終わります。
○浜田(卓)委員長代理 伊藤昌弘君。
○伊藤(昌)委員 厚生省はこのたびの法改正の目的を負担の公平とおっしゃっておられますが、私の見解では、そうはとれません。厚生省側から出してくださいました資料に基づいて私は考えて質問をつくりました。これはもとは厚生省側の資料であります。 まず、加入者按分率一〇〇%の場合に、健保組合加入者一人当たりの拠出金は本人と事業主を加えますと二万三千三十円となるのに対しまして、国保の本人負担は一万四百三十円、すなわち国保の二倍余が健保の負担となります。これでは公平とは言えません。健保の事業主負担の性格は給与の変形、それから法定福利費という解釈が正しいのでありまして、国庫負担というものの性格とはおのずから基本的に違うと考えます。よって、政府は無理にこれをこじつけておるとしか考えられません。 私は政府の側に立ってできるだけ考えてさしあげたい。考えてさしあげたいけれども、どう考えても政府の側に立って考えられないから御質問をするわけでありますから、これについて大臣、見解を述べてくださいませんでしょうか、負担の問題の性格。
○黒木政府委員 今回の加入者按分率の引き上げで負担の公平がどう図られるかという観点からの御質問でございますが、まず御説明申し上げたいことは、私どもは先ほど御指摘の加入者一人当たりの拠出金の数字を合わせるということが眼目よりも、それぞれの制度の老人の加入割合を公平にしたいというのが眼目でございます。 現在の各医療保険制度への老人の加入状況を申し上げますと、サラリーマンも退職すれば国保に入られるということから、国保は加入者千人当たりで申し上げまして百二十五人となっているわけでありまして、加入者千人当たり二十九人の健保組合に対しまして四倍の老人を抱えている状況でございます。特に老人当たり医療費が若い人の五倍、年間五十万円もかかるということでございますから、このように多くの老人を抱えられる制度なり保険者ほど負担が大変だということになっておるわけでございます。今回一〇〇%にいたします趣旨は、どの保険者も老人加入率の格差による負担の不均衡を是正するために千人当たり六十九人という数字で、各保険者もそれの老人を抱えていることで……(伊藤(昌)委員「時間がないから要点だけ。質問者の立場に立って」と呼ぶ)負担していただきたいということが趣旨でございますので、まず御理解をいただきたいと思います。 先ほど御指摘いただきました数字はそのとおりでございまして、一〇〇%にいたしますと、健保組合、国保とも二万三千余でイコールになるわけでございます。この中で確かに国保は国庫負担が一万二千六百七十円入っておりますから、これをどうするかという観点があるわけでありますけれども、事業主と本人負担の健保組合、それから本人保険料負担の国保と比較しますと確かに健保組合が多くなるわけでございますけれども、私どもは、国保に国庫補助が入っている理由は、やはり国保制度には事業主負担がない、あるいは低所得の方が多いというようなことから、歴史的、沿革的にも、それから財政状況からいっても国保には手厚い国庫補助が必要だということから国庫補助がなされておることに対しまして、健保組合は、所得水準、年齢構成等、構造的に有利な条件にあることから、基本的に国庫補助を行っていないわけであります。私どもはそういう基本的な枠組みと申しますか、現行制度の前提の上で老人保健法の拠出金をお願いいたしているわけでございますから、そういう制度のあり方、現状というものの上に乗って拠出金をお願いしているわけでございますから、そういう現状を反映した拠出金の比較の方が正しいのではないかというふうに考えておりまして、結果的にも老人数をイコールにすれば各制度とも加入者一人当たりの金額がイコールになるものと思っております。 さらに、各保険者とも老人加入率をイコールにしますことから、例えば国保については原則的には負担が軽減されますけれども、三十余の市町村は負担増になりますし、健保組合も、約二十弱の健保組合が負担減になる。それもこれも各保険者の老人加入率を等しくするということから生ずる公平措置の結果だろうというふうに考えているわけでございます。
○伊藤(昌)委員 答弁が余りに親切過ぎるから、長過ぎますから、もっと短くするように言ってください。 基本的枠組みをしっかりつくるとおっしゃったが、今の部長の答弁は実に自分勝手。自分勝手過ぎる。そういうような見解で言うならば、国保に対してはお国が面倒見なさいよ。お国が面倒見られなくなったからサラリーマンや事業主に負担をお願いする。お願いをするならばお願いをするらしく、もっとよく協議をして——こんなむちゃくちゃな、八〇%、一〇〇%なんという加入率にすることによって、これが将来どのように事業主やサラリーマンに大きな負担をかぶすか。こうなった原因というものは政府の行政の怠慢なんです。やるべきこともしっかりやらないでおいて、金が足りなくなったからといってこじつけをやる、この姿勢がいけませんよと申し上げておるのであります。 部長、お役人は二年ぐらいでちょろっちょろっと変わっちまうから、無責任にやったってその場を糊塗すればいいと思うけれども、今までのでたらめな行政の姿勢が、おかわいそうに今井厚生大臣やあなた様にえらい振りかかってくるわけです。もうこんな無責任なことをしてはだめですよ。 部長、あなた様が健保組合の組合員として考えた場合、どうお思いになりますか。事業主負担というものは、私が働いてつくった利益の中から特に福利費として私に与えてもらうものだと思うでしょう。あなた様が働いた利益の中から福利費としてもらうものだと思うでしょう。税金というものはみんなで出した税金だ。それと事業主負担と同じように考えではだめです。当たり前のことだ。 それで、健保に黒字が多過ぎる多過ぎると言うんだったら、では、健保の黒字をなくするにはどうしたらいいんですか。健保がもうけ過ぎると言うんだったら、経営を怠慢にしなさい。大臣、健保組合の経営を親方日の丸のように怠慢にしなさい。あるいは保険料率を下げればいいんだろう。下げれば黒字がなくなるでしょう。保険料率を下げてあげたらいいじゃないですか、もうかってもうかってしようがないとひがみっぽいことをおっしゃるならば。全然理屈が合わないですよ、厚生省のおっしゃっていることは。厚生省の側に立って何とか考えてあげようと思っているんだけれども、考えられない。 もう一遍お尋ねしますが、国庫負担の性格と事業主負担の性格は同じようにお考えになりますか。なるとか、ならぬとか、それだけでよろしい。 〔浜田(卓)委員長代理退席、委員長着席〕
○黒木政府委員 性格的には違いますけれども、それぞれの財政運営を助けているという意味ではイコールだと思っております。
○伊藤(昌)委員 だから、それを自分勝手と言うの。国家を経営する厚生省がだらだら惰性に流れた厚生行政をやってしまうから、悪い言葉で言うと、こんなざまになってしまうのだ。そういう基本的なところにメスを入れなければだめですよ。厚生省はもっと権威を持たなければだめ。こんな目の先のことだけ糊塗しておるようなやり方を今後も続けていったら、必ずまた近い将来何か起きますよ。健保組合が泣き泣きこれをのんだって、いつまでも続きませんよ。よく健保組合と話し合いをして、数字をにらんでごらんなさいませよ。例えば健保組合が一億円負担するのだったら、売り上げは何十億円売り上げなければそれだけ負担できないとか。これからのんきな経営じゃありませんよ、日本の国は。今までと同じような考え方でやっていたら、とんでもない。間違いですよ。 それから、先ほども質問にありましたように、国保の経営の合理化だって、やりますよ、やりますよ、やらせますよとおっしゃったって、やってないもの。レセプトの審査だって、国保の審査とそれから健保組合の審査とでは、やはりその心構えが違うもの。やはり親方日の丸的なところがあるのだから。 それから、診療報酬制度の根本的な合理化だって何もやってやしない。物と技術との分離だってやってやしない。医薬分業だってやりはしない。やっと老人病に見合った合理的な診療報酬制度を民間でこのようにしてしようというお話が先ほどあったが、そんなことはわかり切っていることだ。早くやっていかなければだめですよ。すなわち、合理化をしてお金が足りなくなったから健康保険組合、面倒見てくださいというのでなければ。やるべきこともやりもしないで、金が足りないから頼みます、頼みますと言う。いわゆる今までの政府の、行政の不合理そのままの姿がこの厚生行政に出ておるから、大臣も局長も今お困りなんでしょう。 さて、そこで、昭和六十二年加入者按分率一〇〇%にしますと、国保の拠出金は大幅に減ります。これは厚生省の資料によりますと、昭和五十八年度の負担を下回るようになってしまうのです。昭和五十八年度と昭和六十二年度と、四年間たって国保の拠出金は四年前の拠出金よりも下回るのだ。こんな不合理なことはないですよ。いわゆる目先的なことをやるものだから、こういう矛盾だって出てきてしまう。だから、これはどこから見たって国庫の財政を軽くしようということ以外何物もないのです。私はこの前申し上げたように、国庫の財政を軽くすることは結構だ。政府が今までわがままな行政をやってきて、そして放漫財政をやってきたのだから、金が足りなくなったのだから、これは日本のお国なんですから、国庫負担を軽くすることは結構だ。結構だけれども、こういうむちゃなやり方をしたのではいけないと思うよ。部長が代議士の立場に立って公正に考えてごらんなさい。私と同じことを言うに決まっているんだから。 結果はどうかというと、国庫負担額の減額は、八〇%になったときに千九百六十三億円軽くなります、一〇〇%になりますと三千四百二十三億円も政府の負担は軽くなるのです。軽くなっても結構ですよ。合理的なやり方なら結構だ。こんな不合理なことをやって、そして自分が間違ったことをほかに転嫁するなんというやり方は、それは政府として権威がなさ過ぎますよ。 今申し上げた国保の拠出金の大幅なダウン、六十二年になったときに四年前、昭和五十八年の負担を下回るということは、これはどういうことなんですか。
○黒木政府委員 御指摘のとおり、一〇〇%、六十二年度レベルの国保の拠出金が一兆五百四十一億円と見込まれますので、五十八年度が一兆一千百二十六億でございますので、御指摘のとおり五十八年度の拠出金のレベルを下回るわけでございます。 これは私どもは決して矛盾とは考えておりませんで、むしろ老人の加入割合が高いために多い負担を強いられた国保の拠出金が適正化される結果だ。つまり、どの保険者も同じ割合の老人数を抱えるという国保サイドの従来の悲願が実現することによってこの負担が軽減される結果だというふうに受け取っておりまして、何度も申し上げておりますように、老人医療費は共同事業として全保険者の拠出金でやっておるわけでございますから、それを公平にした結果の数値であるということで御理解をいただきたいと思います。
○伊藤(昌)委員 部長、悪いけれどもあなた様は経営者じゃない。悪いが国家の経営者じゃない。頭はいいけれども国家の経営者になれない、そんなことを言っていたら。健保組合の黒字が大と言われるけれども、昭和六十二年度加入者按分率一○〇%になりますと、健康保険組合の拠出金は昭和六十年度よりも三千三百億円も増加するでしょう。こうなってくると、今健保が持っておる黒字なんかすぐすっ飛んじゃいますよ。これは国家の経営者のやることじゃない。こういう計算を厚生省はやっておるのか、やっていないのか。やっていなかったら早速やってごらんなさいませ。老人医療費の増加が続いて、昭和六十年三月から九月の間、対前年同月比平均一二・五%とすると、このままの状態で加入者按分率一〇〇%になりますと、昭和六十五年度は組合の過半数が法定の上限料率九・五%以上の保険料を徴収しなければならないようなことになるかもわかりませんよ。こんなことをやって、そして正しくやっておる国民を苦しめちゃだめですよ。こんなことも聞きたいが、もう時間が三分しかないないから聞けませんがね。 だから、こんな姿になる前に早く診療報酬制度の合理化をおやりなさいと言うのです。自分のことは言いたくないが、私の家内は皮膚科の医者なんです。それで、昼間は病院へ勉強に行っておる。午後一時から夜中まで一人でやっていますよ、臨時の近所の字書く書記さんを頼んで。そして、この前、もう生活費は私が見るから、君が得た収入はそっくり貯金しなさい、今まで貯金していないから生活費見るから、幾ら貯金できるかと私は聞いてみた。そうしたら、一カ月三十万円の貯金はできませんというわけだ。そのかわり、私は点数ごまかしちゃいけないよと言っておる。正確にやりなさい、それから完全に医薬分業にしなさい。それで昼間は一生懸命勉強して、ごまかしないんだから、倫理性ある医者だ。そうすると、一カ月に三十万円貯金できない。生活費は御主人である私が全部見てですよ。こんなおかしな診療報酬制度をやらしておいて、そして、かつまた、これは医者の税金の軽減があるでしょう。軽減がなかったら、それは生活できやせぬ。これが実態ですよ。大臣、一遍私の診療所に来て、三日間もいて、どんな働きしておるか、それで収入全部調べてみてごらんなさいませ、いい見本だから。そういうことを厚生省は全然調べていない。 ですから、物と技術を分離をして、そして技術料をちゃんと見合うように上げて、薬でもうけようなんというけちな考え方はなくして、勉強したお医者さんが悠々と生活のできるように、ガラス張りで秘密治療がなくなって、それで国家財政が助かる。お医者さんはますます一生懸命勉強するようになるから、患者さんも助かる。そういうことをきちんとして、このごろは医師は処方せんを随分出してくださいますよ、昔と違うんだから、そういう時代になっているんだから。厚生省の政策の立て方次第で合理化した医療制度につくりかえることができるんです。そして、正しいお医者さんを悠々と勉強させるようにして、それで国家財政を軽くしていく。こういうところにメスを入れなければ、いわゆる診療の量によって収入の高低が決められるようなそんな不見識なことをいつまでもやっておってはだめですよ。こんなことをやらしておくからこんな姿になってしまうのではありませんか。 大臣、大臣の任期は短いかもわかりませんけれども、どうかひとつ任期中に歴史に残る大臣としてやっていただきたいことを心からお願い申し上げます。もし大臣の任期が長かったら私はおわび申し上げます。それについてひとつ決意のほどを述べていただきたいと思います。
○今井国務大臣 大変御激励を賜りましたが、私は、診療報酬につきましては、現行の出来高払いという原則を維持しながらその欠点を是正するということを図るようにせねばならぬと思います。先生おっしゃいますように、技術料の重視、こういう診療報酬体系の確立は私は大事なことだと思っております。いわれます薬づけ、検査づけといった不適切な医療の排除、それから、入院医療の適正化、その他合理化をだんだん進めなければならぬと思います。 そこで、診療報酬の問題でございますが、薬価差益だとか検査差益に頼らない技術中心の医療経営の確立が私どもの目指している方向でもございますし、また中医協においても同様の方向を目指してかねてから合理化の検討項目を掲げて進められているわけでありますから、今後とも中医協などとも相談しながら、先生の御意見も踏まえまして適切な診療報酬体系の確立に努力をしてまいりたいと思っております。
○伊藤(昌)委員 ありがとうございました。
○山崎委員長 浦井洋君。
○浦井委員 まず一部負担について聞きたいのですが、厚生大臣、この決議をひとつ聞いてください。 老人医療に関する決議 われわれ全国の老人クラブ(十二万七千クラブ、会員八百万人)は、「健康をすすめる運動」を展開して自らの健康保持増進につとめるとともに、老人保健法制定に際しては、医療費の一部負担導入に協力した。 その結果濫受診の抑制にも成果を上げることができた。 しかるに政府は、制度発足後わずか二年余りを経過したにすぎない今日、老人医療費増大を理由として、その原因を究明することなく、一部負担を外来診療においては二・五倍(各月一科毎に四百円→千円)、入院診療においては一年間のみでも十倍(一日二百円・二ケ月限り→一日五百円・無期限)、負担総額では一、二八〇億円増(平年度)という他に例を見ない高額の引上げを実施せんとしている。 これは高い有病率を持つ老人の特性を無視し、多額な入院付添い・お世話料などを要する実態への配慮を欠くものであり、老人から医療を遠ざける結果を来すにほかならず、到底了承できない。 よって我々は、大会の名において政府に対し、かかる老人福祉の後退となるような案を撤回するようここに要望決議する。 昭和六十年十月十七日 第十四回全国老人クラブ大会 これと同趣旨のものがことしの二月、全国老人クラブ連合会、都道府県・指定都市老人クラブ連合会の名において「老人医療費本人負担増額に反対する要望書」として各方面に、もちろん政府も含めて送られてきておるわけであります。 これがまさに今の高齢者の皆さん方のお気持ちだと思うわけでありますけれども、厚生大臣、福祉あるいは医療あるいは年金、所得、こういうものをつかさどっておる大臣として、こういう声を一体どういうふうに見られますか。
○今井国務大臣 おっしゃいました老人クラブの要望というのは、私もよく存じております。しかしながら、これから高齢化社会を迎えまして老人医療費というものがだんだんふえてくるという状況でございますので、やはりこの老人保健制度というのは長期的に、しかし安定したものとしていかなければならぬと思うわけでございます。そのためには、老人医療費というものを国民が公平に支え合うということが大事だと私は思っております。現在お年寄りの方が負担をしておられます一部負担の額というのは、先生御存じのように、老人医療費の全体の額から見て一・六%でございまして、他の大部分の老人医療費は若い世代が負担をしている実情でございます。そういうことで、これから高齢化社会を迎えて、お年寄りも若い現役の世代も力を会わせて老人医療費を公平に負担していくという観点から、今回の改正はどうしてもお願いせざるを得ない、こう考えておるものであります。 その改正に当たりましても、お年寄りの方々が払いやすいようにというふうな配慮をいたしまして。定額制は変えないというようなことでいろいろ仕組みを考えていますことは、先生御案内のようなことでございます。こういうことで、今回の改正というのは、長い将来を考えて安心して老後を託せる、そういった老人保健制度の確立を図るというものでございますし、お年寄りにつきましてもこれから年金も充実してまいるということでございますので、何とか御負担をお願いできるのではなかろうかというふうに考えているものであります。
○浦井委員 お得意の公平論、世代間負担論、それから急激な高齢化社会、何か老人、お年寄りが厄介者みたいなことを前提にした厚生省お決まりの答弁が出てきたわけであります。 私は神戸に住んでおりますけれども、隣の明石の老人クラブの方々の御意見もちょっと読み上げてみましょう。「戦前、戦中、戦後にわたり大変苦労して今日やっと安心できているのに、今度の保健法は絶対反対です。残る人生を安らかにしていただいて仏様になりたいです。」「病気になったときいつもがまんして様子を見てから病院へ行きますが、重い病気のときに自己負担が多くかかるようになっては困ります。」たくさんあります。それから、「年金以外に収入なく段々個人負担がアップの傾向。先行き心細い。十分検討していただきたい。」「老人と病気はある一部分の人を除いては大なり小なりかかわりがあります。よって医療費だけは値上げせず老人をいたわってください。お願いします。」「ただいまは初診料四百円ですみますが、千円になれば年々体も弱ってくると思いますので、内科だけで済まなくなったときは初診料だけでも大変ではないかと思いますので、心配です。入院でもしようものならどうしようかと思います。」そのほかずうっといろいろとあります。その中で共通しておるのは、こういうことをやられたのでは、将来に対して高齢者の皆さん方が不安を訴えておられる、心配だというふうに訴えておられる。 最初に読み上げましたように、この世代というのは、やはり戦争に駆り出されて、それから今度は、戦後は高度成長の中で働きバチになって、奥さんはそれを支えて、そういう世代です。そして、やっと年をとって、少しでも楽をしようということを願っておられる。その方々がこういうふうに不安を非常に感じておられる。こういう不安を感じさせないのが政治の責任だ、それが政治の本来の姿だというふうに私は思うわけであります。 だから、そういう点で、もう一遍大臣、厚生大臣として、こういう高齢者の皆さん方の期待にこたえるような、そういう老後を安心して暮らせるような制度に変えるのだということをひとつ言明していただきたい。
○今井国務大臣 私も大正八年でございますから、間もなくいたしますとだんだん七十歳になるわけでありますが、やはり私自身もこの問題については、特に厚生大臣という立場がございますので、なるべく安い負担でこれからの老人医療費というものが貯えればこれにこしたことはありませんが、しかしながら、最近の老人医療費の増高を見てまいりますと、なかなか楽観を許さない状態でございます。 そこで、重ねて申し上げますが、現在の御負担を願っておる額は全体の老人医療費の一・六%でございまして、それをふやさせていただきたいということでございます。あとの大部分は、九十数%はやはり若い世代に負担をしていただくわけでございますので、やはりこれはひとつ何とかお認めをいただかなければならぬというふうに考えてお願いをしているわけでございます。
○浦井委員 一・六%をしきりに大臣は強調されるわけでありますけれども、それが今度上がって、あなた方の計算では四・五%ということでしょう。これは何でかということになりますと、ここへ公平論が出てくるわけですよ、一言反論しておきますけれども。一昨年に健康保険がいわゆる改正をされて、健康保険本人の一割自己負担が強制された。それの半分、五%ぐらいでよかろう。がらがらぼんですよ。五%ということではぎらぎらし過ぎるので、それで四・五ぐらいに抑えて、しかもそれを定率でなしに定額にした、これに過ぎないではありませんか。 大臣は非常に理論家で、いわゆる鈴木派に属しておられる。そういう中で、鈴木派としては、これはもうやはりもっと内需を拡大して成長率を高めなければならぬ、パイを大きくしなければならぬ、かねがね大臣も恐らく主張しておられるだろうと思うのですけれども、そういう観点に立って、もう一遍再考願えませんか。
○今井国務大臣 私どもは、現在国会で御審議を願っております案を私ども厚生省といたしましては最善と思ってお願いしているわけでございますから、十分国会で御議論賜りまして、そして国会の意思としてこれをどうするのかということをいろいろお決め願いたいと思います。
○浦井委員 私はもう断固として、高齢者の医療費は一たん無料化されたわけでありますから、もう一遍無料化を復活すべきだということを主張しておきたいと思います。 それで、今度は高齢者の皆さん方の自殺率の問題です。(今井国務大臣「今の問題は」と呼ぶ)いや、いいです。断固として医療費の無料化を復活させることを主張しますというふうに言ってあるわけですから。(今井国務大臣「答えます」と呼ぶ)いや、答えは要らぬですよ。どうせ、国会で御論議願って適当な結論を出していただきますというようなことになるでしょう、御答弁いただいても。だから、私は要らぬと言っているわけです。 そこで、お年寄りの、高齢者の皆さん方の自殺率、自殺数ですね、六十歳以上の。これが奇妙に老健法制定と関連を持っておるわけなんです。昭和五十五年には六十歳以上の方で自殺された方が六千百六十六人、五十六年が五千九百八十五人、五十七年が六千二十五人、老健法が創設をされた五十八年、一躍飛んで七千四人、前年度に比べて一六・二%ふえておるわけなんです。五十九年は引き続いてふえて七千百四十七人、こういうような奇妙な、奇妙なというか非常に切実な相関関係を持っておるわけでありますけれども、こういう点については大臣、どう思われますか。
○黒木政府委員 老人の方の自殺の問題をお取り上げでございますけれども、我が国の老人の自殺率は長期的には低下傾向にあるわけでございますが、五十八年に、確かに御指摘のように、六十五歳以上の老人の自殺死亡率が高く出ております。 私どもは、お年寄りの自殺につきましてはいろいろな原因が考えられるわけでございますけれども、それが老人保健法の創設によってふえたとは到底考えられないと思っておるわけでございます。 ちなみに、五十八年にはお年寄りだけではなくて一般の方の自殺も高うなっておりまして、むしろ五十八年は老人の自殺率の伸びよりもその他の世代の伸びの方が高くなっているということから見ましても、私は、老人の自殺率と老健法の創設あるいは一部負担の無料化を有料化したことによる結果だというふうに結びつけていただくのは少し無理があるのではないか、そういうふうに判断をいたしております。
○浦井委員 それは、この五十八年度より全体の世代がふえたということは、やはり歴代自民党政府の悪政の結果であって、その中で特に六十歳以上の方、他の者よりも、他の世代よりも率が少いか知らぬけれども、その世代で比較すれば高くなっておる。これは警察庁の数字ですよ。だから厚生省、あなたはそういう相関関係があるとは到底思えませんというふうに断定されたですけれども、何か厚生省で調べられたですか。
○黒木政府委員 私どもが現実につかんでおる数字から申し上げておるわけでございませんで、御指摘のように、警察庁等の数字によって申し上げておるわけでございますとともに、厚生省の人口動態統計等の数字もあわせまして、老人の自殺の問題を分析をいたしてみた結果を申し上げたわけでございます。 ちなみに、警察の資料の御指摘がありましたけれども、自殺の原因、動機別に発生状況を見ますと、確かにお年寄りの方は病苦を苦に自殺をされるという方が多いわけでありますけれども、この病苦という割合をとってまいりますと、これは五十七、五十八、五十九と、年々割合的には減少をしておるというデータもございまして、先ほどから申し上げましたように、老人保健の創設なり一部負担の無料化を有料化にすることとこのデータを直接結びつけることは困難ではないかというふうに申し上げておるわけでございます。
○浦井委員 病苦ということになると非常に少なくなるのですよね。私が一番最初に申し上げたように、将来不安ということが心中であるとかあるいは自殺につながるわけなんですよね。そこのところを幅広くとらなければ——あなたらは幅狭く、できるだけ相関関係がないようにということで勝手に数字を抽出しておるだけなんですよ。だから、ここのところをよく考えていただきたいというふうに私は思います。 それなら、それで一体、一部負担増ということで、一・六から四・五%へ上がるということで医療費というものはどれくらい下がるわけなんですか。
○黒木政府委員 今回の一部負担の引き上げに伴いますところのいわゆる波及効果についてのお尋ねだと思いますが、約一千百億程度減少するというふうに見込んでおります。
○浦井委員 それは六十一年度ですね。満年度でどれくらいになりますか。
○黒木政府委員 満年度に直しまして、先ほどは一千百億とラウンドナンバーで申し上げましたが、一千百十四億でございまして、これは六十一年六月実施で申し上げた数字でございますが、お尋ねの満年度で見ますと、一千四百六十八億円というふうに見込まれます。
○浦井委員 その数字は何を根拠にされておるわけですか。
○黒木政府委員 一部負担の引き上げに伴います波及効果でございますけれども、これは、私どもが従来から医療費推計に使っております相関関係の相関式があるわけでございますけれども……(浦井委員「どういうのですか」と呼ぶ)つまり、医療に対する給付率が動きますと医療費が変動するという相関でございまして、例えば八割給付が九割給付に上がったあるいは九割給付が八割に下がったというような場合に、その給付率と医療費が相関があるという相関関係が従来から言われておるわけでございまして、その相関式につきましては、いわゆる長瀬計数と一般的に呼ばれている計数でございまして、その計数によりまして私どもは一定の影響を見込ませていただいたということでございまして、これが、例えば御指摘のように、受診が減るからというようなことで見込んでいるわけではございませんで、相関式に当てはめて医療費の見込みを出しているということでございます。
○浦井委員 長瀬計数、長瀬指数のB式に当てはめたらたまたまそうなった、減った、医療費が減るのだ、こういう見込みが出たということで、受診抑制にはならない、受診抑制を目指したものではないとあなたは言われておるわけでありますけれども、平年度を満年度にして一千四百六十八億医療費が減るわけでしょう。 これで何で受診抑制にならぬわけですか。受診抑制ということをあなたみずからが白状されておるわけなんですよね。これだけでも、やはりこの老人保健法のいわゆる改正案がもしも実施されたならば、お年寄りは、高齢者の皆さん方は病院の敷居をまたぐことが非常に困難になるということをあなた自身が数字で示されたじゃないですか。どうですか。
○黒木政府委員 先ほど、九カ月実施の場合の影響額と満年度にした場合の影響額を申し上げましたけれども、これは、それぞれ相関式で十二カ月分あるいは九カ月分ということで当てはめて出た結果でございます。 私どもが、先ほど答弁いたしましたけれども、医療費を減らしているのになぜ受診が減らないと言うのかという御指摘だと思いますけれども、この式というのは給付率と医療費の相関を示しているわけでございまして、医療費は、もう浦井先生御案内のように、いろいろな要素で動きます。受診率もあります、一日当たりのあれもあります、いろいろな要素で動くわけでございますから、私どもは、大臣から答弁いたしましたように、必要な受診は抑制しないような形で、定額を維持したり、あるいは一月一回払いというようなことを維持してお願いをしているわけでございますので、必要な受診は抑制しないだろうという判断をいたしておりますが、今回のこの医療費を一千億減らしている、それはどういうことかと尋ねられますと、技術的には、一日当たり医療費とか、一件当たり日数とか、受診率とか、その他もろもろの要素で変動する医療費につきまして、長瀬計数という給付率と医療費の相関式に当てはめて、予算措置として、その影響額を見込んで見込み額として算出してあるということで御理解をいただきたいと思います。
○浦井委員 黒木さん、私は到底それは承服しがたいですよ。結局、長瀬計数のB式を利用して、医療費が減るように上手に数字を操作したわけでしょう。だから、それが受診抑制につながらないというような変な理屈を言ったら困りますよ。そうでしょう。 だから、今度の一部負担で私が一番心配しておるのは、先ほどの方は奥さんがお医者さんなんです、私は私自身が医者なんです、やはり高齢者の皆さん方が受診抑制を受けたり、あるいは病院の敷居が高くなってそのために手おくれになったりというようなことで、お年寄りの健康、高齢者の皆さん方の健康が損なわれないか、あるいは寿命が縮まらないか、こういうことを心配しておるわけなんです。だから、そんな詭弁を使ったらだめですよ。
○黒木政府委員 今回の一部負担の引き上げの考え方でございますが、大臣からも答弁いたしましたように、老人医療費というのは年々増加を見ているわけでございまして、私どもは、この増加はある程度やむを得ない、老人医療費がふえることは避けられないというふうに考えております。おりますだけに、この老人医療費をどうみんなが公平に負担するかという施策が非常に大事だということでございます。したがいまして、私どもとしては、世代間の負担の公平あるいは各保険者間あるいは国民間、老人と若い世代間の負担の公平ということで、一部負担なり按分率の変更なりというようなことでお願いしているわけでございます。 しかしながら、やはり医療費を適正化していくということももとより重要でございまして、私どもの、国民全体が負担していける程度に国民医療費を適正化していくという施策は、厚生省の重要な施策になっております。しかし、この施策のトーンは、必要な受診はやはりどしどし早目にしていただいて、重症化の予防なり、早目に治していただくという施策は厚生省としても大賛成でございます。 したがって、必要な受診は抑制をしない、その範囲内での引き上げをお願いいたしておるわけでございまして、そういう意味で、今回お願いしている金額については、全体の医療費の三・七%程度、満年度で四・五になるわけでございますけれども、大臣から申し上げましたように、年金なり所得についても、一人当たりで見ればほぼ十一万で、お年寄りも若い世代も所得についても大差がないという現状を踏まえまして、お年寄りにもこの程度の負担をお願いする、そして、その結果によって必要な受診を抑制しない。しかしながら、このことによって老人医療費、現在は四兆円が恐らく、一二%仮にふえると五千億も年間医療費がふえるわけでありますけれども、そういった老人医療費をどう国民がみんなで負担していくか、そのためには老人の負担もやはり増をお願いしなければならない状況にある。それが、高齢化社会のこれからの進展を控えまして制度を長期的に安定させる点ではないかということでお願いをしているわけでございます。
○浦井委員 黒木さん、必要な受診は抑制しない範囲内で負担をお願いする、高齢者の皆さん方は決して所得がそう低くないのだからというような言い方、これは珍語ですよ、珍しい言葉ですよ。必要な受診は抑制しない範囲内で値上げするというのは、値上げは値上げなんですよ。 で、高齢者の皆さん方の所得は全国老人クラブ連合会の出した資料を見ても決して高くないわけなんだ。あなた方はもう年金がかなり成熟したような段階での数字を出して、高齢者の皆さん方は高い高いと言われているだけのことなんだ。ここのところを、国民全体をだまくらかすようなことを言ったらいかぬですよ。だから、黒木さんの思われておる適正医療というのは、受診の抑制をやったり、あるいは高齢者の皆さん方を自殺に追いやったりするようなことが適正医療なんですか。
○黒木政府委員 老人の場合の適正医療の考え方についてでございますけれども、御指摘のようにお年寄りは有病率も高いし病気をたくさん持っておられる、そういう特性がおありでございますから、老人の方には早目、早目に必要な受診を願って病気を治療していただくことが重要でございまして、それが適正な医療のあり方だと思っております。 もちろん、老人保健法は医療のみならず予防からリハビリまで一貫した施策体系を持っておるわけでございまして、あわせまして予防面あるいはリハビリ面を含めました老人保健事業を推進していく施策も重要でございますけれども、医療についてはそういうことかと思います。
○浦井委員 そのヘルス事業が全然進行しておらぬわけなんですよ、ヘルス事業が。それはさておくとして、最初に大臣が言われたいわゆる公平論、世代間負担論ですね。これは結局、福祉というものを金目で、経済で見る見方になるのではないですかね。これは学者としては埼玉大学教授の御婦人の暉峻さんなんかが言われておるわけなんですけれども、福祉とか社会保障とかいうのは大体そういう金目とか経済効率論で見るものではないんだ。福祉というのは、根本精神は、弱い方に対して家族や近所の人が愛情を持って接することが大前提なんだ。そして、そこに公的制度やあるいは施設が充実しておる、この二つのことが相まって初めて皆さんが言われる世代間負担公平論とか公正とかいうような論理が成り立つのであって、そこのところがしっかりしておらなければ、この二つが欠けておればこれはもう全く経済効果論に陥ってしまうわけなんです。それがわからないですか、大臣。
○今井国務大臣 私は、福祉の原点はやはりお互いの助け合いだと思います。したがって、助け合いの方法にはいろいろな助け合いがあるので、お金がある人はお金を出すのも助け合いでしょうし、お金がなければ自分の力を、また自分の持っているものを出すのも一つの助け合いでございましょう。しかし、そのときに、今お話しのあるように、やはり福祉につきましても費用が要るわけでございますから、その費用はやはり国として賄わなければならぬわけでございます。 例えば老人医療費の問題でも、個人の負担というものを一・六%いただいているわけですが、それではなかなか、全体の医療費は非常に膨らんでまいりますので、そこで御自身の医療費を少し膨らましていただけないだろうかとお願いをしているわけでございまして、やはりそのすべてのものが無料でできるわけではないことだけはひとつ間違いないことでございますので、私どもその程度の問題でひとつ御議論を願っておるわけでございます。
○浦井委員 そう言われると、大臣、私こういうことを余り言いたくないのですけれども、老人福祉法の目的とか憲法二十五条の社会保障の理念が全くどこかへ飛んでしまって、まさに経済効率論になりませんか。憲法二十五条は無視してもいいわけですか、老人福祉法の目的の項は無視してもいいわけですか。
○今井国務大臣 私は無視をしろと言っているわけじゃないのです。しかし、いずれにいたしましても、こういう福祉施策をいたしますにしてもやはり費用が要ることは間違いないわけでございますから、その費用の持ち方をどうするかということを私どもは議論をしているつもりでございます。
○浦井委員 だから憲法二十五条で、その費用とまでは書いてないですけれども、国が責任を持つ、国に責務があるんだ、国民は生きていく権利を持っておるんだというふうに言っておるわけでしょう。それをこういう格好で、じりじりと虫食いみたいな格好で憲法二十五条を空洞化するんじゃないですか、そういう大臣の言い方だったら。
○今井国務大臣 国が責任を持ちますことはそのとおりでございますが、国が責任を持つということは個人から何も取ってはいけないかどうかという問題については、私は少し違う議論があってもしかるべきだと思っております。
○浦井委員 少々取っても二十五条に抵触をしないというふうに大臣は言われたわけですね。これはしかと覚えておきますから。 そこで今度は、あと時間がなくなってしまったのですけれども、今回のいわゆる改正全体として国の国庫削減観というのはどれくらいになるのですか、六月実施で。
○黒木政府委員 今回の改正に伴う国庫負担への影響額でございますが、全体で、六十一年の六月実施で千九百六十三億円の減、満年度で申し上げますと二千六百十億円の減になろうかと見込んでおります。
○浦井委員 先ほどの医療費の減といい、今の国庫負担の削減額といい、これは平年度にしたらさらにふえるわけなんですよ。要するに、私が言いたいのは、今度の改正案というのは、一部負担を例にとって私は申し上げたわけでありますけれども、高齢者や被保険者の負担をふやして、できるだけ国の費用を節約するというところに真の意図があるわけなんです。 きょうは、私、時間があればいわゆる老人保健施設あるいは按分率の問題あるいは国保料の滞納者に対する制裁措置の問題、全部取り上げようと思ったのですが、一部負担の問題、負担の公平論の問題で時間を過ごしてしまいましたですけれども、これはきょうは単なるジャブであって、決して皆さん方の議論に承服したわけではないわけなんです。 だから、私は、もう潔くこういう法案は、多分、ちょうど解散も延びたことだし、この国会で廃案にするように私は主張したいと思う。廃案がよろしいですよ。与党の方からも廃案だという意見が出ておるわけですから、私は全委員の皆さん方にお願いしておきたいのですが、この法案は廃案にすることを強く主張して、私の質問を終わりたいと思います。
○今井国務大臣 今回の老人保健法等の改正というのは、また繰り返しになりますが、本格的な高齢化社会の到来に備えまして老人医療費の負担の公平を図るために加入者の按分率の引き上げあるいは一部負担の改定を行うということと同時に、介護を必要とします老人のための老人保健施設の創設を図ろうとするものでございます。このように今回の改正というのは、国民の負担の公平を図ることによりまして制度の長期的な安定を期し、二十一世紀におきましても安心して老後を託せるような制度とするためにぜひとも必要なものでございまして、私はこれを廃案とするつもり、撤回をするつもりはございません。
○浦井委員 大臣が発言されたので、私も言っておきますけれども、中曽根内閣は戦後最悪の反動内閣ですよ。その内閣の厚生大臣であるからそのように言われるのはわかりますけれども、少しは人間としての良心を持ってこの改悪案を廃案とすることを主張して、私の質問を終わりたいと思います。以上であります。
○山崎委員長 菅直人君。
○菅委員 この老健法の改正案について各同僚委員の方からいろいろ質疑が続いておりますけれども、一部負担の急増、加入者按分率の激変、そして老人保健施設の問題あるいは滞納者の国保の給付の中止、これらいずれも、どれを取り上げても大変多くの問題を含んでおりまして、そういう点で承服しがたい改革だと考えております。きょうの質問時間は限られておりますので、その中で幾つかの問題に絞って私の方から質疑をさせていただきたいと思います。 まず大臣に、ちょっと話がそれるように思いますが、ひとつ御意見をお聞きしたいのですが、今、来年度に向かって税制改正問題が大変な問題になっていますね。自民党も中間報告なんかを出されて、その中ではサラリーマンの税負担というのがかなり厳しい、不公平ということもいろいろと言われている、そういうことに対しても何とかしようというようなことも若干は含まれているかに思われますけれども、政治家今井勇大臣として、サラリーマンの立場としての税制の不公平というものが私はかなりあるのではないかと思いますが、大臣はその点についてどんなふうに感じられているでしょうか。
○今井国務大臣 これは全く私の個人的な意見でございますが、サラリーマンに対する税制上の問題は、先生おっしゃいますように必ずしも万全ではないというふうに思います。
○菅委員 今の答弁は、万全でないということは、つまりサラリーマンに不公平があるのではないかということだと受けとめてよろしいかと思いますけれども、なぜこんなことを申し上げたかというと、今回の改正案の中で大問題の一つであります加入者按分率の問題について、これを八〇%とか一〇〇%にしていくということは、いわば税における不公平を社会保険にも導入することになるのではないかという有力な意見があるわけでありまして、そういう点で、もしそういうことになるということになれば、大臣は先頭を切ってそれをやめろという議論に当然つながると思うので、あらかじめお尋ねをしたわけです。 そういう意味で、この加入者按分率の問題に話を進めたいのですけれども、もう一つだけ端的に聞いておきたいのですが、今回のこの加入者按分率の変更というのは、いろいろ理屈を言われておりますけれども、結局のところは、退職者医療の見込み違いで国保に対して大変大きな赤字をもたらした、その穴埋めのために加入者按分率を変えてその穴埋めを図ろう、被用者保険の保険料で図ろう、こういう意図ではないかと思われるわけですが、その辺についての大臣の見解を伺いたいと思います。
○幸田政府委員 今回の老人保健制度の改革は、最近におきます特に国保に高齢化が顕著に目立つ、こういうことから二十一世紀を展望いたしまして、できる限り負担の公平化を図りたい、こういう考え方に出たものでございます。 その結果といたしまして、先ほど来御質問のありましたように、二千億弱の国庫負担の軽減になることは事実でございますけれども、そのために今度の改革を考えだということでは毛頭ございません。
○菅委員 この論理は、本当の心の中なんというのはわかりませんから、実証することはだれもできないかもしれませんが、公平にやろうと思ったら、結果においてうまいこと国保の方にお金が流れる、結果であってそれを目的にしたのではないのだとしきりに言われているのですけれども、私は率直に言って、結果を考えてつくられたというふうに見るのが、この数年間の厚生省の行政から見るとかなり当たっているのじゃないか。これは水かけ論になりますから、これ自体を問題にしてもこれ以上あれですが……。 そこで、給付と負担の公平を図りたい、これは私も基本的に賛成です。いろいろな立場の人がいろいろな形で給付、負担を公平にしていくということは当然あっていいことだと思うのです。それでは今回の場合、何をもって公平な負担というふうに言うか。この同じ公平の負担という考え方が立場によって違うわけですね。厚生省の説明によれば、老人の加入率が国民健康保険は一二・五%だ、他の被用者保険はその半分以下だ、だからそれをならせばいいのだというふうに言われる。 しかし、一方、保険料あるいはその保険料プラス事業主負担あるいは国保の場合は国庫負担、こういうものを見てみますと、どういうふうになっているか。つまり本人の保険料と事業主負担で成り立っている被用者保険の場合と本人の保険料と国庫負担で成り立っているものを比べてみますと、確かに合わせたものは国保の方が多いです。しかし本人の保険料プラス事業主負担というのは、これは別に税金じゃないわけですね。しかし国庫負担というのは税金から来ているわけです。法人税からも来ているでしょうし、もちろん個人の所得税からも来ているでしょうし、他の税金からも来ているでしょう。そう考えると、何と何を比較すべきかというときに、厚生省が言われるように事業主負担は国庫負担と似通っているのだから、それを除いて比較するという考え方はちょっと違うのではないか。これは先ほどから何度も議論があったところですけれども、その点について、大臣はどうお考えですか。
○幸田政府委員 公平の問題についてどう考えるかという点については、私も幾つかの考え方があると思います。例えば七十歳未満の若い者が一人一万円なりあるいは十万円なりをそれぞれ平等に持ち寄るというのも一つの公平の考え方だと思います。それはしかし、私どもは、現行の医療保険制度が幾つかの制度に分かれておりますが、そういう分立をする制度というものを前提にいたしまして、いわば現行の制度の仕組みは変えないという考え方の上に立ってこの物事を考えておるということが一つでございます。 それからもう一つは、被用者保険あるいは健保組合あるいは国民健康保険という抽象的なものではなしに、各市町村国保あるいは健康保険組合個々の健康保険組合それぞれが公平であるようにということを私どもは考えておるわけでありまして、今度の改革によりましても、ごく一部ではありますけれども、国民健康保険の中でも持ち出しが立つものもありますれば、健保組合の中でももらい手に立つ健保組合もあるということでございまして、個々の各保険者がそれぞれ千人当たり六十九人のお年寄りを抱えていただくようにしたい。 これはなぜこういうことになるかといいますと、今までの日本の社会経済の変動の中でやはり多くの年寄りが国保に残されている。それからまた、私どもサラリーマンはいずれは国保に加入するという、いわば分立している現在の制度から出てくる帰結でございまして、そういうことの考え方の上に立ちまして私どもは公平というものを当面そういうことで考えている。将来、医療保険制度の一元化を考えます場合に公平をどう考えるかということは、またその際に十分吟味をする必要があると思いますが、いずれにいたしましても、私どもは今老人保健制度で一本化をしようということではありませんで、各制度の存立を前提にしていろいろなことを考えていきたい、こういうことであります。
○菅委員 ということは、財政調整というふうに理解していいのですか。制度間の財政調整というふうに理解していいのかどうか。
○幸田政府委員 言葉をかえて申し上げますれば、保険者間の財政調整というふうにお受け取りいただいても結構だと思います。
○菅委員 これは本来かなり議論があってしかるべきですね。つまり従来、財政調整をやらないやらないと言って老人保健法をつくってきたのです。そうじゃないのだということで老健法をつくってきた。私は財政調整なら財政調整ということを言えばいいということを当時から主張していたのですけれども、今は保険局長が、財政調整と見てもいいというようなことを言われますけれども、それならそれで議論の立て方はまたあってしかるべきだし、公平の考え方もあってしかるべきだと思うのですね。ですから、今の返答は、ある意味では、この間の老健法に対する厚生省の見解と、私が理解している限りではかなり新しい見解だと思うので、これはまたの機会に十分議論させていただきたいと思います。 あわせて、これはぜひ大臣にお聞きしたいのですけれども、いわゆる社会保険というものと社会保障というものの考え方、これについてかなり議論があるわけですね。今の健康保険法の第一条では、当然ながら保険者は被保険者から集めたお金で被保険者の病気に対して給付をするとなっているわけです。つまり、保険ですから、加入した人からお金を集めて、そして加入した人の中で病気になった人に給付をする、これが従来のといいましょうか、一般的に保険だと思うのです。それに対して今回の場合、確かに老人の加入率の問題、いろいろありますけれども、少なくとも被保険者でない人に対して拠出金という形で給付をする、そういう考え方は、保険ではなくてある意味では社会保障の考え方ではないか。 例えば生活保護なんというのは、別に生活保護に入る人が、だれかが、自分は生活保護を受けるようになるかもしれないと思って保険料を出しているわけじゃなくて、みんなの税金の中から社会的な弱者であるそういう人たちに対して最低レベルは保障していこう、こういう考え方はもちろんあっていいのですけれども、保険とはちょっと別の考え方だと思うのです。そういう点で、私は、今回の老健法の、いわゆる公平の論理の中で加入者按分率を一〇〇%にすれば公平だという考え方を、百歩譲ってそれを一つの考え方として認めるとしても、それは保険にはなじまない考え方ではないか。そういう考え方に立つならば、財源としてまさに、先ほど税金の問題を申し上げたわけですけれども、だれから取るのがいいかということは、そういう考え方で、いわゆる税金の考え方で当然考えるべきであると考えるのですけれども、保険と保障についてどんなふうな区別を大臣はお考えですか。
○今井国務大臣 私が私なりに考えておりますのは、社会保障というのはやはり社会保険を含む一つの概念だと思います。したがって、今回の老人保健の制度というのは、先ほどから局長も申しましたが、現行の医療保険制度を前提としながら共同事業として老人の医療の給付を行うことによりまして、先ほど話をしましたが、例えば被用者の保険に加入しているサラリーマンも退職すれば国保に加入するわけでありますから、そういった老人医療費の負担の不公平を是正しようというわけであります。 それで、今回の加入者の按分率の引き上げというものも、どの保険者も同じような割合で老人を抱えることにしてその公平の徹底を図ろうとするものでありまして、私は、やはり高齢化社会において老人医療費を公平に負担する方式としてこれが最も適当なものじゃないかと考えて御提案をしているわけであります。
○菅委員 この議論も相当の時間をかけなければなかなか煮詰まってきませんけれども、一つだけ指摘をしておきたいのですが、一昨年、年金の審議をこの委員会でよくやりましたですね、大臣も委員としておられた。そのときに、いわゆる拠出制の年金である限りは拠出をしていない人には年金を払うわけにはいかないという議論があったわけです。つまり、基礎年金ぐらいはナショナルミニマムとして、いろいろな事情で払えない人もあるかもしれないけれども、払ったらどうかと言ったら、そういう返答が当時の政府委員から返ってきた、あるいは大臣から返ってきたと思うのです。 つまり、今言われた社会保障が当然社会保険を含む概念だとかというのは、それは学者の議論としては当然かもしれませんけれども、私が申し上げたのは、保険という考え方は、あくまで拠出をし加入をしている人に対して給付をするというのがいわゆる保険だ、インシュアランスという意味の保険だ。それで、生活保護のようなそれ以外の部分、もちろん広い意味では保険を保障に含まないなんて思いませんけれども、それ以外の部分は一般的には国費、税金からもたらされる保障、保険以外の部分と言った方がいいでしょうかね、そういうふうに考えるべきだ。その部分については、当然もし取るとしても税金的な考え方をとるべきじゃないか。そうすると、今回の老健法の改正は、いわば税金で賄うべきところを被用者保険の側にだけ結果的に見れば少なくとも負担を二千億程度振り向けている、そういう結果が出るわけで、そういう意味では、まさに取りやすいところから取るという今の税制の不公平さが社会保険の中にも導入されてきたあるいは敷衍されてきたというふうに見るべきではないか。 私の持ち時間の中では、この議論は幾ら答えていただいても多分まだまだ続くと思いますので、この指摘にとどめておきますけれども、決して厚生省は税務署じゃないはずなのですよ。何か一方では税務署になったり、一方では何か社会保障がどうこう言ったり、そのあたりをごちゃごちゃにすると、先ほど何か制度をわかりやすくするためにどうこうと言われたけれども、大体の人が今の制度はわからないのじゃないでしょうか。退職者医療から老健法から拠出率から何からかにから、自分が払った保険料が何に使われているかなんてことがわかる人はまずいないと見てもいいのですね。そういう点で、この点は重大な指摘として申し上げておくと同時に、ぜひ再検討をお願いしたい。 あと、短い時間ですが、老人保健施設について二、三お尋ねをしたいと思います。 特別養護老人ホームとの関係が必ずしも十分議論がされていないので、特養について関係者の方からちょっと聞きたいのですが、正確な数字じゃなくてもいいですが、特養というのは入所期間が少なくとも年単位、いわゆる二年とか三年とかあるいは十年とかだと思うのですが、まず、そういうふうに理解していいかどうか。また、特別養護老人ホームの入所者が病気になった場合には、その特別養護老人ホームにいるままで治療ができるのかどうか。あるいは、入院をした場合に、ある程度よくなった場合に帰ってくることができるのかどうか。あわせて、特養の場合には自治体との関係が深いと思いますが、入所などの点で自治体の例えばエリアが決まっているのかどうか、端的にちょっとお答えをいただきたいと思います。
○小島政府委員 特養の入所期間でございますが、これは長短まちまちでございますけれども、平均すれば年単位と考えて結構だと思います。現在のところ大体三年ぐらいの平均になるのじゃなかろうかと思います。これは新しい施設がありますのでこういうことで、本当はもっと長くなるか、こんなふうに考えております。 それで、特別養護老人ホーム入居者が病気にかかられた場合、いわば外来的な治療で対処できるという者につきましては往診を求めたりというふうな形で治療を続けていただいております。どうしても入院加療を必要とするという場合には、これは特養から病院に移っていただくわけでございますが、その場合、一応入院期間中特養のベッドをあけて待っておる期間としてはおおむね三カ月という指導をいたしております。もちろん三カ月というのは機械的な数字でございませんで、もう一カ月もすれば帰れるという場合には、それは弾力的に運用しております。これにつきましてもし病院で、ある程度、六カ月とか一年とか入院なすって、さてまた特養に帰りたいということになった場合に、これは現在のところ多少まちまちな点はございますが、施設はおおむね優先的な入所の取り扱いということに心がけておるように承知しております。この辺についてはさらにまた指導をしてまいりたいというように考えております。どうしても三カ月ぐらいで一応措置を打ち切ると申しますのは、現在のところまだ待機者が全国で一応二万人程度と推計されておりますので、施設の効率的な活用という面でやむを得ない面があろうかと考えております。 一応、特別養護老人ホームにお世話する方々のエリアと申しますか、これは管轄の福祉事務所の範囲内というのが原則でございます。もちろん、ゆとりがある場合には他の管内からも入っていただくというような措置を講じております。
○菅委員 特養のことをいろいろお聞きしたのは、これも時間が非常に迫っておりますので、私の方から申し上げますけれども、今回のいわゆる中間施設というものが、例えば病気が治った場合にはある人は自宅に、ある人は特養に、病気が重くなった場合には場合によったらいわゆる普通の病院に行く。結局、症状に合わせてというか、つまり施設に合わせて人をどんどんたらい回しをするということになってくるんじゃないか。これは特に特別養護老人ホームの場合、今局長の方からも三年、実際には新しい施設のことを考えれば五年とか十年とか、そういう単位でいるということになると、つまり特別養護老人ホームというのは生活の施設なんですね。何というか家のかわりの施設なわけですよ。特養と今回の中間施設と病院というのが並列的に、厚生省からいただいた資料にも図になって、行ったり来たりするように書いてあるわけです。しかし、一人の人間にとってみれば、家から離れるのが嫌なのと同じように、二年、三年、五年いた施設というのはまさに家のかわりですから、そういうところから引き離されるのは嫌なんですね。 ですから、私が、今回の中間施設の性格がいろいろな委員の質問に対しても非常に不明確だと言うのは、扱い方を間違うとまさに施設のサービスに合わせて人をぐるぐる動かしていく。だから、私はどちらかといえば特別養護老人ホームの方にある程度の治療とか、だってベッドはあるわけですから、慢性疾患ぐらいなら十分対応できると思うのです。ここの中間施設で言われている程度のことだったら、もうちょっと今の往診プラス外来プラスアルファぐらいで十分対応できると思うのです、ベッドがあるわけですから。そういう形で対応するということが一つの方向としてあり得るんじゃないか。 これは、きょうはもう時間がないから指摘だけにとどめますが、いわゆる措置費体系と保険料体系のそういう制度的な違いがこういうところに実はあらわれて、措置費の方がどんどんふえたのでは財政がもたない、だから拠出金で大部分を賄うこちらの制度にやったらという、いや、そんなことはない、結果的においてそうなっただけだとまた言われるかもしれないけれども、実はそういうことを考えてこっちへ持ってきたというふうに見ることもできるわけで、そのあたり大臣、最後ですけれども、もう一度そういった意味を含めて、この特別養護老人ホームへ付設するような形の中間施設というもの、実際には今回の場合も付設のケースはあるでしょうけれども、制度的にもそちらに付加するような形の検討をしていただきたいと思うが、いかがでしょうか。
○今井国務大臣 その前に、措置費云々のお話がございましたが、これは私どもは、今回の中間施設というものが措置費の節減だとかなんとかいうことの発想から生まれたものでないことだけは、一つ申し上げておきたいと思うのです。 今病院に入っておられるお年寄りなどが、本来ならばそうでなくて、入るところがないばかりに病院に入っていらっしゃるという方も随分いるわけでございます。そういう方々を、病院と家庭の中間というような感じで我々は中間施設ということを言っているわけでございますが、そういうふうな形で、お医者さんもいる、それからいろいろ措置もできるというふうなことの両方をあわせたものをつくりたいというのが私どもの発想の原点でございます。 したがいまして、この問題については、また先ほどから随分御議論いただきました。私どももまたいろいろトライアルをしまして、中身を充実していかなければならぬ問題が重々あると思いますので、また積極的な御意見を賜りましてよりよいものにつくってまいりたい、そのように考えておるものでございます。
○菅委員 では、時間なので終わります。
○山崎委員長 次回は、来る二十日火曜日午前十時理事会、午前十一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時二十五分散会