社会労働委員会 第16号
- 発言数
- 74 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1986/05/08
会議録
○山崎委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、老人保健法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本案審査のため、本日、国民健康保険中央会理事長加地夏雄君、全国市長会国民健康保険対策特別委員会委員長永田正義君、健康保険組合連合会専務理事廣瀬治郎君及び日本医師会常任理事吉田清彦君、以上四名の方々に参考人として御出席を願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○山崎委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 参考人各位には、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。 本案審査の参考にいたしたいと存じますので、それぞれのお立場から何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。 なお、議事の順序でございますが、参考人各位から御意見を十五分以内でお述べいただき、次に委員各位からの質疑にお答えを願いたいと存じます。 それでは、まず加地参考人にお願いいたします。
○加地参考人 ただいま御紹介をいただきました国民健康保険中央会理事長の加地でございます。 本日は、当委員会が、大変貴重な審議時間を割いていただきまして私どもの話をお聞き取りいただく機会をつくっていただきましたことに対しまして、心からお礼を申し上げたいと思うのであります。 今、委員会で御審議をいただいております老健法の問題につきまして、私は今回の改正案に対して、政府案が基本的には私どもの意向を十分取り入れていただいた法案である、こういうことで、賛成の立場から二、三御意見を申し上げたいと思うのであります。 今回の改正案につきまして、私どももそれぞれ国保の関係者の中でいろいろな協議を進めておりますけれども、御案内のように、最近厚生省が高齢者対策本部の報告書を公表なさいまして、その考え方を承りますと、今回の老健法を医療保険全体の流れの中でどういうふうに考えるかということであります。 御案内のように、この老健法は四年前の昭和五十七年に国会の御賛同を得て成立を見、私どもはこの法律について大変感謝を申し上げたわけでありますけれども、以来退職者医療を中心にした前回の医療保険制度の改正、さらには今回の老人保健法とつながってきたわけでありまして、かつて政府が国会において御発表になりましたように、六十年代の後半には医療保険制度の一元化を目指すのであるというお話もあります。まさに日本は大変な高齢化社会を迎えまして、そういった大きな社会変化にいかに対応していくかという立場から、医療保険制度の改正をいろいろと計画なさっておるようであります。こういった我が国が置かれておる今日の状況を考えますと、この改革の大きな流れと申しますか、改革の基調そのものについては、私どもはやむを得ないことではないか、こう思っておるのであります。 御説明を伺いますと、その中で、この老健法は、五十七年からやってきた一連の法改正、六十年代後半の一元化に向かってまさに橋渡し的性格を持たせておる、こういうお話でありますけれども、私どもは、同様の趣旨で、この高齢者対策本部の意見書については、中身についてはこれからの問題でありますからいろいろ我々も意見がございます。しかし、そういったこれからのいろいろな改革をお考えになる場合、この老健法の成立をいわば基本、スタートにしていただきたい、こういうつもりであります。 非常に限られた時間でございますので、この老健法の問題につきまして、私、簡潔に二点ほど申し上げたいのであります。 一つは、老健法の改正が行われる背景という問題に絡みまして、私どもは、今日の国保の置かれておる状況についてぜひ御理解をいただきたい、こういうことであります。むしろこれが中心でありまして、既に先生方には十分御案内のところでございますけれども、せっかくの機会を与えられましたので、我々が今日大変困っておる実態というものを簡潔に申し上げてみたいと思います。 御承知のように、国保も大変よき時代もございましたが、今はまさにさま変わりの時代であります。一つは、これは、被用者保険と比べまして、地域住民を対象にした制度でありますから、国保は、保険者集団としての規模とか、あるいはその対象者の構成が相当変わってきておるということであります。例えば、少し古い時点ではありますけれども、今から二十年前あるいは十年前を考えますと、国保というのは、実は農業者と自営業者が七五%あるいは六〇%のウエートを占めておったわけでありますが、御案内のように、今日ではまさに五〇%になっておるわけであります。 では、なぜその人員構成が変わったかといいますと、それは、一つは、零細企業と申しますか、そのいわゆる被用者の方々が約三分の一いらっしゃるわけであります。それに、まさに高齢化社会の投影と申しますか、年金受給者を中心にした無業者が二割近くに上っておる。つまり、五人未満の被用者と、それから無業者、この方々で五割であります。したがって、農業者とか自営業者は現在の国保の被保険者の半分、これは日本の経済発展とか、あるいは産業構造、就業構造等々の変化がこういう形に投影しているものと思いますけれども、国保のそもそもの被保険者構成が相当変わってきておるということであります。 もう一点は、これは御案内のとおりでありますけれども、年齢別に見ますと、国保の被保険者では原則として老健法の対象になる七十歳以上の老人の方々が全国で見まして一二・五%に達しておるということであります。これは同じようなことを先ほど申し上げた比較で申し上げますと、昭和四十年ごろには大体五%台であったわけであります。それから、十年前では大体七%ぐらいでありました。それが最近急速な勢いで老人の数がふえているというのは、まさに高齢化社会の投影が行われておりまして、年率一%近い状態でふえてきておるわけであります。こういう被用者保険とは非常に異なる難しい構造的な要因を持ちまして、そこにもう一つは非常に難しい財政基盤の弱さというものがあるわけであります。 これも御案内のところでありまして、医療費の問題であります。医療費の上昇につきましては、これは私どもにとっては大変頭の痛い問題でありますけれども、五十九年から六十年にかけまして大体五、六%台で推移をしておりました医療費が、前回の医療保険の改正を機会にいたしまして今や二けたを超えた伸び率になっておるわけであります。その医療費の中で、一番私どもが心配いたしておりますのは老人医療費の増加でありまして、まさに十数%の伸びになっておるわけであります。 もちろん、これはいろいろな理由がございまして、私は結果だけをかいつまんで申し上げたいと思うのでありますけれども、そういうように老人の医療費が伸びておるわけでありまして、しかも一般の被保険者に対して五倍であります。これは御案内のように皆保険ができまして、四十年代の初期ごろと比べますと、あの当時は大体一般の被保険者と老人の医療費のバランスは大体一対二、二倍くらいであったわけであります。今日は五倍まで伸びてきておるわけであります。これはいろいろな事情がございますけれども、事実はそうでございます。 そういう中で、やはり主たる財源は保険料でありますから、国庫負担も四五%まで引き上げていただくというふうな大変な御配慮もいただいておりますけれども、保険料も実は大変急上昇をしてきておるわけであります。 御案内のように昭和五十五年ごろに、一世帯当たりの保険料を被用者保険と比べますと逆転をしたわけであります。もう申し上げるまでもないのでありますけれども、国保は三割の自己負担があるわけですね。そういう自己負担を考えに入れまして、常識的には国保の保険料が安いのは当たり前であります。ところが、そういう給付水準の中で、昭和五十五年ごろから逆に国保の方は被用者保険よりも高くなっておる、こういう実績があります。 つまり、今私が申し上げたいろんなことは、既に諸先生方御案内のとおりでありますけれども、国保におきましては高齢化社会の投影をもろに受けまして、老人の被保険者がどんどんふえていく、結果として医療費がどんどん膨らんでいく、そのために保険料をどんどん値上げしていく、こういう悪循環が続いておるわけであります。 そこで私は、実は何とか国保の実態を御理解いただきたいものだというので、最近中央会で集めた二つのデータがあります。 その一つは、最近三年間に全国の市町村でどれだけ保険料を上げたかという問題であります。結論を申し上げますと、毎年九割の市町村は、この三年間保険料を上げてきております。結果は、五十八年を一〇〇といたしますと、三六%値上げをしておるわけであります。これは全国平均であります。これは私どもにとっては大変なことだと思っておるのであります。 御承知のように、今日の経済成長あるいは所得成長を十分考えましても大変な保険料の上昇でありまして、その保険料を上げるためには、市町村長は必ず議会にかけて条例を改正するのは当然でありますけれども、そのために例えば一般会計の繰り入れとか、大して持っていない基金を取り崩していくとか、そういうことをやった上であります。しかも、被用者保険との対比では、既に国保の方は重くなって数年たっておる、こういうあたりからいかに今市町村がこの国保の保険料の引き上げがつらい問題であり、しかもやむを得ず全国平均三六%、年率二けたを超える保険料の引き上げをやってきておる、こういうことであります。 そこで、私は以上、時間がございませんので簡潔に申し上げたわけでありますが、特にお願いを申し上げたいのは、今市町村は、この三年間大変困っております。市町村長は目の色を変えて保険料を上げ、一般会計の繰り入れをやり、何とか国保財政の収支を相償いたい、こういう努力を懸命にやっておられます。しかし、端的に申し上げまして、もういいかげんくたびれたよ、こういう気持ちが横溢しておるわけでありまして、同時に、それによって今日の老健法の改正を心から期待しておるということであります。 私は、余談でございますけれども、先日、ある県の人口四、五万の市長さんのお話を伺いました。円高の問題であります。その市では、つまりその市の産業の、工業生産の七五%を占めておるのが輸出のための一つの中小企業であります。その中小企業の社長は、まさに茫然としておる、こういうことを聞きました。 私どもは、今回の改正を、先生方のいろんな御理解を賜りまして速やかに通していただきまして、改正結果に市町村長が茫然としないように、できるだけ御協力をお願い申し上げたい、こういうわけであります。 まことに失礼なことを申し上げましたが、時間の関係で非常にとりとめのないことを申し上げましたが、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。(拍手)
○山崎委員長 ありがとうございました。 次に、永田参考人にお願いいたします。
○永田参考人 ただいま御紹介をいただきました全国市長会の国保対策特別委員長をやっております熊本県の人吉市長永田でございます。 まず、社労委の先生方には、全国民の福祉、医療、保健、労働その他もろもろの問題につきまして特段の御尽力をいただいておりますことに対しまして、衷心より敬意と謝意を申し上げたいと存じます。本当にありがとうございます。 きょうは、全国の地方公共団体、同時にまた国保の保険団体の立場から、当委員会で御審議をしていただいております老人保健法一部改正案に賛成の立場で意見を陳述させていただきたいと存じます。 御承知のように、五十八年の二月、老健法が施行をされまして、老人の医療、福祉、保健に大きな役割を果たしてまいりました。しかし、その間、我が国の高齢化が急速に進みまして、いろんな問題、矛盾を露呈してまいっておることは、先生方、御高承のとおりでございます。 その第一は、老人医療を負担する各保険団体の負担の不均衡が顕著になってまいっております。 御承知のように、現在の加入者按分率は四四・七%になっておりますが、これがどのように保険者にはね返っているかと申しますと、現在、老人医療費の七〇%が拠出金によって賄われておるわけでございますが、各種保険団体の加入者の一人当たり老人医療費の負担額は、政管健保が一万八千円、組合健保が一万五千円、国保が三万円となっております。つまり国保の被保険者の老人医療費の負担率は、ほかの政管健保、組合健保に対しまして二倍あるいは二倍以上、こういうようなことに相なっております。 〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕 それから第二は、老人保健の加入者数の急激な増大と同時に、医療費が大幅に増高をしてきておるところでございます。六十年度の統計を見ましても、全国平均で医療費の伸びは一〇%以上になっておりますし、その騰勢は六十一年度もおさまる兆しは少しもございません。 それから第三は、国保収納率の低下でございます。この低下の理由にはいろいろございますが、その中の大きな一つの理由に、国保の保険料または保険税がもう既に限界に達し、あるいは限界を超えている、これがやはり滞納率の大きな原因の一つとなっておるところでございます。 加うるに、これも先生方御高承のように、国保に対する国庫補助の大幅切り下げ、それからまた退職者医療制度の発足に伴います加入者の見込み違いによる国保への大きな負担増、このことにつきましては、先生方の御尽力によりまして、六十年度補正予算で千三百六十七億二千五百万円を一応補てんをいたしていただきましたけれども、これでも国保への財政負担の増はまだ大きなものがあるわけでございます。 このような事情によりまして、今、老人医療の増大に伴いましてその一番大きな負担者となっておる国保は重大な危機に見舞われておるところでございます。 御承知のように、政管健保にいたしましても、組合健保にいたしましても、退職をいたしますと原則的に国保へ加入をしてまいるわけでございます。現在調べております六十一年度の各種保険団体の老人加入率を申し上げてみますと、政管健保が四・三%、組合健保が二・九%でございますが、国保は一二・五%ということになっておりまして、しかも、老人一人当たりの医療費は、先ほども加地理事長の方から御説明がございましたように、六十歳未満の医療費の五倍以上になっておるわけでございます。このことからしましても、老人医療費の問題が国保にとりまして重大な負担となっていることを御理解いただけると存じます。 老人医療費の急激な増高によりまして、国保財政は重大なピンチに直面をいたしておるところでございます。五十九年度の国保決算を見てみますと、約三千ございます全国市町村の中で赤字団体が四百団体でございます。前年度の三倍以上に膨れ上がっておりまして、これに伴います経常収支ベースでの赤字は約一千六十四億円、こういうふうになっておるところでございます。 また、全国市長会で六十年度の決算見込みにつきまして、六百五十一市の中から四十二市を抽出しまして調査をいたしましたところ、四十二市の中で二十七市が実質的赤字でございまして、これによる収支差し引きは八十七億円、一人当たりにして二千八百五十七円の赤字となっておるわけでございます。 また、六十一年度の国保の保険料または保険税の状況を見ておりますと、全国的に最低一〇%、最高四〇%の増税あるいは保険料の値上げをいたしております。しかも、老人医療費の増高は、高齢化社会の進行に伴いまして、とどまるところを知らない急テンポで増高をすることは自明でございます。 私の人吉市を例にとりますと、実は六十年度に保険税の約一〇%の増税をいたしました。そして、私どもの保険の経営努力は高く評価をされておるところでございまして、国保の財政調整基金を二億三千万円ほど持っておったわけでございますが、これを全部五十九年度と六十年度の両年度で取り崩してしまいまして、六十一年度は二四%の大幅増税を余儀なくされたところでございます。 こういうような諸情勢を踏まえまして、今回の老人保健法の一部改正案が提案をされておるところでございます。それは、対症療法ばかりでなくして、高齢化社会が進む中での老人医療及び福祉、保健の確保、さらに老人医療のために財政危機に陥っております国保の健全財政の確立、さらに、御承知のように全国民の約半数が国保に加入をいたしておりまして、国民皆保険を支える基盤的役割を果たしておるところでございますが、国保財政の健全化を通じまして国民皆保険制度を将来も持続していく、そういうようなことから今回の老人保健法の一部改正案が提案をされておるところでございます。 〔浜田(卓)委員長代理退席、委員長着席〕 この改正案につきましてはいろいろの論議がなされておるようでございますが、負担の公平、こういうようなことからいたしましても、加入者按分率の一〇〇%への引き上げはもう絶対必要な措置であろうと存じます。 また老人の医療費の一部増加が織り込まれておりますけれども、私たちは、国の財政、そして我が国の高齢化社会に対応する全国民の自立自助的な体制をつくっていくということからもやむを得ない措置であると存じております。 そしてまた、施設と在宅寝たきり老人の間の介護の格差の是正、さらに寝たきり老人の保健等のための中間施設の創設と制度の発足、これはもうぜひやらなければならない緊急な課題であると理解をいたしておるところでございます。 以上のような理由によりまして、今回の改正案を、老人医療の公正な持続、福祉、保健の保障、さらにピンチに立っております国保財政の立て直し、そして国保が基盤として支えております国民皆保険の制度の充実、こういうような諸点から、それからもう一つは、今の我が国の医療保険制度は非常に矛盾に満ちておるわけでございますが、これらの矛盾を抜本的に改正して、将来は保険制度の一元化というような目標を達するための段階的な前進である、このように受けとめ、評価をしておるところでございまして、当委員会におきましても、先生方の御理解によりましてどうか早期に本改正案を成立させていただきますようお願いを申し上げまして、参考人の陳述を終わりたいと存じます。ありがとうございました。(拍手)
○山崎委員長 ありがとうございました。 次に、廣瀬参考人にお願いいたします。
○廣瀬参考人 ただいま御紹介をいただきました健康保険組合連合会の専務理事をしております廣瀬でございます。 老人保健法の改正案につきまして私どもの意見を申し述べる機会を与えていただきましたことにつきまして、まずもって厚く御礼を申し上げます。 老人保健制度の創設の趣旨は、急速に人口の高齢化が進む中で、保健事業サービスを総合的に実施すること及び老人医療費を国民全体で公平に負担しようとするものであったと私どもは理解しておるわけでございます。 しかしながら、その後の状況を見ますと、保健事業については現在余り成果が上がっておらず、老人医療費は相変わらず増高を続けておることは極めて遺憾に思っております。また、政府は老人医療費の負担につきまして加入者按分率を一〇〇%にすることが負担の公平を図るものであると説明をしておられますが、私どもは、このような方法はかえって負担の不公平をもたらすのみならず、いろいろの弊害を招くことになると考えておりまして、加入者按分率の引き上げには強く反対をしておるのでございます。 以下、その理由を申し上げます。 第一は、現在の加入者按分率、すなわち四四・七%によっても医療保険制度間の老人医療費の負担の均衡は十分に図られておると考えております。 ただいまもお話がありましたように、老人の数は国民健康保険と健保組合とは大きな差があります。千人当たり健保組合は二十九人、国保は百二十五人おられる、これはこのとおりでございます。ところが、現在老人保健法の規定によりまして加入者按分率四四・七%ということで拠出しておりますので、健保組合は実質は四十七人分を負担しております。国民健康保険は百人分を負担しておられます。ところが問題は、国民健康保険の百人分の拠出金につきましては五五%の国庫補助があるわけでございます。したがいまして、この分を除きますと国民健康保険は保険料で負担しておられる分は四十五人でありまして、健保組合は四十七人全額保険料で負担しておりますので、現在でも負担の公平は十分に図られておると考えておるわけでございます。 ところが、政府は加入者按分率を一〇〇%とすればすべての制度が平均六十九人ずつの老人医療費を負担することになり、公平になると言っておりますが、同様に国民健康保険の拠出金につきましては五五%の国庫補助がありますので、実際に国保が負担されるのは六十九人の四五%、すなわち三十一人分しか保険料で負担されない。それに対して健保組合は全額六十九人分丸々保険料で負担するという結果になるわけでございまして、加入者按分率を一〇〇%にすることは極めて不公平になると考えておるわけでございます。 第二の理由は、加入者按分率の拡大に伴いまして、国保の拠出金どこれに対する国庫負担が減額されまして、この分が被用者保険に肩がわりさせられることになります。これは、企業やサラリーマンにとってはいわばいわれなき実質増税にほかならないのでございます。いわゆるクロヨンなどと言われまして税負担に問題の多い国保加入の自営業者や農漁業者の国保税も軽減され、これが収入の一〇〇%完全に課税されておるサラリーマンに肩がわりさせられることは税負担の不公平をさらに拡大する結果にもなると考えられます。 第三は、被用者保険の拠出金の大幅な負担増は、企業経営に大きな影響を及ぼします。一方、被保険者にとっては実質収入が減少することにほかなりません。政府の試算によりますと、仮に六十二年度に加入者按分率が一〇〇%になるといたしますと健保組合の拠出金は七千六百億円となるようでございますが、これは、現在昭和六十年度四千三百三十四億拠出しておりますが、これに対しまして二年間で一挙に七五%もの負担増になるわけでございます。円高不況で収益が悪化して経営に苦しんでおる多数の企業や、年間四、五%程度の賃上げにとどまるサラリーマンに対してこのような急激な負担増を押しつけることは大変な問題だと私は考えます。 第四に、政府は、健保組合の経営状況がよく、黒字であるからこの程度の負担増に耐えられるであろうと説明しておりますが、これは論外であると思います。保険者は赤字であればその事業を健全に運営することはできません。努力をして経営を改善しても、その成果を他に奪われるということになれば経営努力の意欲は失われます。それは、今最も重要な民間活力の喪失にもつながる重大な問題だと考えます。 また、政府は、健保組合の現在の保険料率の範囲内で賄える程度の負担増ぐらいだと説明しているようでございますが、将来にわたってどこにそのような保証がありましょうか。私どもの試算では、五年後には約半数の健保組合が法定の上限料率以上の保険料率をとらなければならないというふうに見込まれます。 拠出金は、健保組合の本来の事業を行うために徴収した保険料から拠出することになっておりまして、この拠出金が今後毎年増加を続けていくならば、本来の事業の運営に支障を来すのは必至であります。私どもとしましては、むしろ拠出金には一定の限度を設け、歯どめを設けていただくことを強くお願いしたいのでございます。 そもそも老人保健制度では、医療費按分、加入者按分をそれぞれ五〇%とすることが三年前制度創設に当たっての関係者の合意であり、これをもって国会の議決をいただき、法律が制定されたのでございます。また、法律の附則第四条には、「拠出金の算定方法については、この法律の施行の状況及びこの法律施行後の諸事情の変化等を勘案し、更に検討が加えられ、この法律施行後三年以内を目途として所要の措置が講じられるべきもの」とされておりますが、この法律の施行後三年間に加入者按分率を一挙に八〇%、さらに一〇〇%に引き上げるべき大きな事情の変化があったとはどうしても考えられないのでございます。 以上、反対の理由を申し上げましたが、私ども健保組合は、真に公平で合理的な政策については決して協力を惜しむものではございません。しかしながら、今回の改正案による加入者按分率の拡大は、まことに問題が多く、健保組合の将来を危うくするものと懸念するわけでございます。 老人保健制度については、その眼目である保健事業を実効が上がるように実施されるとともに、加入者按分率は現行の老人保健法五十五条二項の規定どおり五〇%に据え置かれるよう国会の御英断をいただきたく、特に、特によろしくお願いしたいのでございます。 なお、この加入者按分率の拡大によりまして実質的に保険料の負担増を強いられるのは企業であり、労働者でございます。したがいまして、労使関係団体とも加入者按分率の拡大には強く反対をしていることを申し添えます。 次に、老人保健施設につきまして申し上げます。 老人保健施設の創設の趣旨には賛成でございますが、その内容が非常に重要だと思います。したがって、早急にその実効が上がるような内容を固めていただきたいと考えております。 最後に、社会保障費に対する国の財源確保方策について一言申し上げたいと思います。 そもそも今回の加入者按分率の拡大案は、退職者医療対象者数の見込み違いによる国保財政の悪化や、六十一年度予算編成に当たり社会保障費の当然増も十分に確保されなかったところに起因するものと考えられます。このようなことが今後も続くとすれば、社会保障行政は財政上の理由から後退を余儀なくされていくことになるでしょう。 厚生省は、増岡前厚生大臣当時より、社会保障予算はマイナスシーリングにはなじまない、その対象にすべきではない、社会保障費に関する特別会計あるいは特別勘定を設けて一般会計とは別の財源措置を講ずることができるよう財政当局に強く求められておると聞いておりますが、私ども社会保障の一翼を担うものといたしましてはぜひともそのような方法を講じていただきたいと考えております。 以上で私の意見を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○山崎委員長 ありがとうございました。 次に、吉田参考人にお願いいたします。
○吉田参考人 日本医師会の常任理事をしております吉田でございます。 本日の機会を与えていただきましたことを厚く感謝申し上げます。 私は、老人保健法の改正について意見を述べさせていただきますが、厚生省の改正案に盛られている一部負担の増額、保険者拠出金の加入者按分率、老人保健施設と老人保健審議会について申し上げたい、こういうふうに思います。 一部負担の増額については反対です。 老人医療は、現行でも昭和五十九年は一・六%、六百十一億円からの負担をしております。厚生省の改正原案は、御承知のとおり外来一カ月千円、入院一日五百円、限度期限なしというものに引き上げるもので、六十一年度は三・七%、千五百六十億円の負担を見込むものとしていますが、これは六十一年度は十カ月分の計算でございまして、一年十二カ月の満年度にいたしますと約四・五%程度のものになるはずでございます。負担を一挙に約二・八倍に上げるというものでございます。 現在の医療保険の状況は、かつて三K赤字と言われたころとは大分様相は変わっています。政管健保も組合健保も毎年黒字決算、こういうふうになっております。昭和五十九年の決算を見ますと、政管健保は二千四十億円の黒字であり、組合健保は附加給付とか温泉地の保養施設と言われるものの維持費を出してもなお二千六百十一億円に及ぶ経常黒字でございます。財源がないわけではなく、偏在しているのだと私は思う次第でございます。 高齢者の有病率あるいは受診の状況、所得、生活環境というものをひとつ考えてみていただきたいと思います。 有病率は、厚生省の昭和五十八年の調査でも、人口千に対し、二十五歳から三十四歳の者が五五・九であるのに比べまして、七十歳以上の高齢者は四八四・三でございます。約八・七倍です。しかも高齢者にはやむにやまれない慢性疾患が多く、どうしても長く受療せざるを得ない事情がございます。 一人の高齢者の患者さんは必ずしも一医療機関だけに受診しているわけではございません。この種の正確な調査は厚生省にもないようですが、兵庫県尼崎市医師会に所属する医療機関で、老人医療対象の外来患者さん六千五百七人、入院患者さん五百八十一人について最近調査をした数字があります。 この数字によりますと、一医療機関だけにかかっている高齢者の方は二八・一%、千八百二十九人です。二医療機関にかかっている人は四二・九%、二千七百九十一人。三つの医療機関にかかっている人は一八・七%、千二百十七人。四つの医療機関にかかっている人もあるのです。九・四%、六百十二人でございます。五つ以上の医療機関にかかっている方もあります。〇・三%、二十四人でございます。このような数字になっております。外来一カ月千円といいましても、七二%近くの高齢者の患者さんは千円では済まないのでございます。二千円にも三千円にも四千円にもなるわけでございます。 また、このような外来一カ月千円という制度は、医療機関にとっても現在の健康保険点数では非常に事務的な煩雑さを増す一面もあるということを御承知おき願いたい、こういうふうに思っております。 また、高齢者の受診の状況を見ますと、一般の医療に比べて確かに高い現状がございます。一人当たりの医療費は平均で五倍を超えております。特に入院分については約六・四倍でございます。しかし、一件当たりの受診日数とか、あるいは一日当たりの医療費を見ますと、それほど差がないはずでございます。受診率が有病率の関係もございまして一般に比べて高い、こういう現状になっておるわけでございます。入院受診率は一般の約五・二倍という状況ですので、この老人医療の増高する原因は、入院の受診率の高さ、特に入院においては死亡前三カ月の医療費というものが非常に高いのでございまして、これによるもの、こういうふうに思われます。 では、なぜ高齢者の方が入院したがったり、あるいは在宅で治療ができないのか、こういうことも考えていただきたいと思います。 昭和五十九年の厚生省の厚生行政基礎調査というものを見ますと、六十五歳以上の高齢者がいる世帯のうち高齢者単独世帯と高齢者夫婦世帯とで約三一%を占めております。これに未婚の子供さんを加えた世帯を合わせますと約四二%になります。このような高齢者の世帯では、病気で寝つきますと、当座の看護とか介護とかということはできても、病気が長引いた場合にはどうにもならなくなってしまうわけです。高齢者のいる世帯の四六%は三世代の同居ですが、お嫁さんや娘さんが世話をする、こう言われましても、現在の住居環境等では老人が長い間寝つきますとほとんどの方が困るのではないか、こういうふうに思います。高齢者の医療というのは、一面では家庭にいる婦人問題でもあるわけだ、こういうふうに考えております。 高齢者の中には、必ずしも所得の低い人ばかりではなく所得の多い人もおりますが、先ほどの昭和五十九年厚生行政基礎調査を見ましても、高齢者世帯の世帯主は六五%が無職です。四〇%の方が年金収入だけで生活しております。この場合の年金月額というのは約十二万円です。高齢者世帯全体の平均月収というものは十七万五千円程度のものでございます。このような高齢者世帯では、現在の一部負担でも小さな負担だということは言い切れないのではないか、こういうふうに私は思っております。これを、外来一カ月一医療機関について千円、入院一日五百円で無期限、こういう負担は極めて過酷だ、こういうふうに考えております。 一部負担の引き上げは、当然高齢者の入院受診率というようなものを抑えるためでありましょうが、病気が多いこと、それから収入が少ないこと、それから看護する人がなかなか得られないこと、これらが日本の高齢者世帯の特徴ともいえるのではないかと私は思います。戦争中は国のために身命をなげうち、戦後は今日の繁栄を担ってきた高齢者の方々に対して、もっと頼りがいのある世話をするかわりに一部負担を引き上げて病院から追い出すようなこういう法の改正には反対せざるを得ません。 次に加入者按分率についてでございますが、加入者按分率は引き上げるべきだと考えております。平均寿命が四十歳代の時代につくられました現在の医療保険制度の枠組みでは、定年等によりまして職を離れた後の医療というものは考えなくてもよかったのかもしれません。しかし、平均寿命が男女とも七十五歳を大幅に超えるようになりました現在は、その当時とは事情が異なります。政管健保や組合健保あるいは共済組合は高齢になると離脱いたしまして、国保にばかり高齢者が集まります。健保は財政的に余剰があり、それで国民健康保険の方は財政難に苦しむのは、これは制度的な矛盾、不合理であって、決して国保の責任ばかりとはいえないのではないか、こういうふうに考えております。 現行の医療保険制度は、戦前と違いまして強制加入の社会保険制度でございます。単なる制度間の拠出金の平等だけを考えるべきではないと思います。人生を一貫した国民全体の保険給付の平等と負担の公平を図り、それとともに世代間の助け合いを進めるべきではないか、こういうふうに考えております。 現行の老人保健法の第二条には、基本的理念として、老人の医療に要する費用は全国民で公平に負担する、こういうふうに明記されております。できるだけ早い時期に加入者按分率は一〇〇%にすべきであろう、こういうふうに考えております。 次に、老人保健審議会と老人保健施設について述べたいと思います。 現在、老人保健審議会の所掌事項というものは「保険者の拠出金等に関する重要事項」とされております。一部負担の額あるいは老人保健施設に関するような事項は所掌外でございます。したがって、老人保健施設について老人保健審議会に諮問されました。そして、それに伴って法案が出てきているわけですが、今回の諮問は適法なものとはいえない、こういうふうに考えております。当面ほかに適切な審議機関がないということであるならば、老人保健審議会が検討するような項目、事項は当然臨時、応急の事柄だけに限るべきです。老人保健施設に関する老人保健審議会への諮問は法律にもどった行為だということをまず一つ申し上げておきたい、こういうふうに思います。 老人に対する中間施設というものの必要性については理解できるわけでございますが、老人保健施設が医学的管理のもとにサービスを行うのである以上は、管理者は医者でなければならない、こういうふうに思います。そのほか、衛生上の規制あるいは地域医療計画におけるベッド数の算定、それから営利企業の禁止など、すべて医療法の規定とすべきもの、こういうふうに考えております。 また、老人保健施設は、地域医療システムの一環として地域における他の医療機関との関連を明確にし、老人病院あるいは特別養護老人ホーム、それぞれの機能の区別が明確に理解される必要があります。しかしながら、昭和六十一年度においてはモデル施設による試行を予算化しております。その成果の検討に先んじて老人保健施設を法制化して概念を固定するということは適当ではない、こういうふうに考えております。 また、今回の法改正案の中に老人保健審議会の所掌事項を拡大することが盛り込まれておりますが、これについては反対でございます。 現在、老人保健法に規定する諸事項のうち、厚生大臣が別に定める事項、それから省令で定める事項については、諮問を受け審議を行う審議会は、老人保健審議会のほかに医療以外の老人の保健事業、ヘルス事業については公衆衛生審議会、それから医療に関する事項については中医協のこの三つの機関となっております。これは老人保健法が制定されました当初、その当時、国会、衆議院の審議におきまして厚生省原案が修正されて現在のような形になっているものでございます。これを一部厚生省原案に戻すような法改正は必要がないと考えております。また、あってはならない、こういうふうに思います。 老人の診療報酬の額及び老人医療の担当基準等につきましては、中医協設置法の規定にかかわらず、現在では老人保健法第三十条で中医協に諮問して中医協はこれを答申する、あるいはそのほか建議できることになっております。 老人保健施設療養費を構成する内容というものはすべて老人診療報酬の点数表によって算定されるものばかりでございます。たとえ定額と言われましてもその総体の一カ月の平均額を基準として設定されるべきものであります。これらは中医協に諮問する事項とするのが適当であり、また当然だ、こういうふうに思っております。 老人保健施設の施設設備、人員の基準についても同様中医協に諮問し、中医協で検討すべき問題であるはずでございます。中医協は、老人保健審議会と異なりましてその構成もそのような構成になっているわけでございます。 以上、私の意見を申し上げました。どうもありがとうございました。(拍手)
○山崎委員長 ありがとうございました。 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。 —————————————
○山崎委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山富市君。
○村山(富)委員 きょうは参考人の皆さんには御多忙の中にもかかわらず御出席をいただきまして、ただいま貴重な御意見を拝聴させていただきました。どうもありがとうございました。 この老人保健法の改正案は国民生活に重要な関連もありますし、特に高齢化が進む中でお年寄りの関心も高いし、また不安も大きい。それだけに私どもは慎重な審議をする必要があるというふうに考えておりますが、従来の審議の仕方からすれば、審議に入る前に参考人の皆さん方の意見を聞くというのは異例な措置でございますが、これから本格的な審議が進む中でまた皆さんの御意見もお聞きをしなければならぬということもあり得るかと思うのですが、そういう前提に立ってこれから若干の御質問をお願いしたいと思うのです。 〔委員長退席、高橋委員長代理着席〕 時間もございませんから端的にお尋ねしますが、まず健康保険組合連合会の廣瀬参考人にお尋ねしたいと思うのですけれども、三年前老人保健法が制定される当時の審議の経過をいろいろお聞きをいたしますると、加入者按分あるいは医療費按分の二本立てにしたという意味は、高齢化社会が進んで老人医療費が膨張していく、その膨張に比例して被用者保険の拠出金がどんどんふえていく、どこかでやはり歯どめをかける必要があるのではないかというようなことも議論がされた。そういう議論も踏まえた上で、老齢人口が伸びる伸び率に対応して拠出金がふえることについてはやむを得ないだろう、こういう合意も得た上で二本立ての按分率が決められたというふうに私は聞いているわけでありますが、今回の改正によりますると、言うならば歯どめが効かなくなって、医療費が膨張するのに比例してどんどん膨張していくということに対する御心配があるのではないかと思うのです。 立法当時の趣旨からすれば、この老人医療費をどう負担をしていくかということについては根本的に変えられることになるのではないかと思うのですが、その按分率の変更に対する廣瀬参考人の御意見をもう一遍お聞かせをいただきたいと思うのです。
○廣瀬参考人 お答えいたします。 先ほど申しましたように、三年前にこの法律ができましたときに、老人の医療費はみんなで拠出してやろうということになったわけでございますが、その拠出金の算定方法についていろいろな論議がありまして、最終的には、老人医療費の実績というものと老人加入者割合を考慮した加入者按分率、この二つの要素を五〇%、五〇%ということで計算して出そうということになり、我々もそれに合意したわけでございます。 そのときに問題が一つ残りましたのは、今後老人の数がふえていくということ、それから特に老人一人当たりの医療費が非常に急激な勢いで伸びておりますので、そういうルールでも老人医療費が毎年増大していけば拠出金も非常に増大していくではないか。ところが、この拠出金は先ほども申しましたように本来自分の事業をやるために取っておる保険料の中から拠出をする。ところがその拠出金がどんどん伸びていきますと、残った保険料で自分の仕事をやらなければならない、それがもう十分にできなくなるおそれがある。そこで、応分の拠出は当然だけれども、これに歯どめをかけなければならないという要望をいたしまして、国会でも取り上げていただきまして、老人の数のふえる分だけはしようがないからその分だけはやむを得ないということで歯どめをかけてもらったわけでございます。 それが現在の法律の附則の第五条に修正で入ったわけでございますが、結果的には、按分率と老人医療費の二つで計算されておりますので、そういう歯どめの方法を、法律上、加入者按分率は二分の一以下にする、そうしてこれは政令で決める、その決めるに当たっては保険者の負担増が著しくならないようにするため、老人人口の増加率等を勘案してその加入者按分率を決める、そういうことで毎年老人保健審議会で審議されまして現在の四四・七%になっておるわけでございます。 しかし、これは加入者按分率が下がっておりましても実質の拠出金は増大しております。これは一人当たりの老人医療費が保険料収入よりもはるかに大きく伸びているからでございます。ところが今度の改正案を見ますと、この加入者按分率も八〇、それから二年後には一〇〇に引き上げ、この歯どめ、せっかく国会で入れていただきました歯どめの附則も削除するようになっておりますので、私どもはぜひ現行法のとおり残していただきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
○村山(富)委員 次に永田参考人にちょっとお尋ねをしたいと思うのです。 私は、先ほど来意見をお聞かせいただきましたように今の国保財政が非常に厳しい状況にあるということについてはよくわかっております。ただ、今政府のやろうとしていることは、国保制度は現状のままに残して、そして国の補助だけをカットして、あと財源が足りなくなった分については財政調整でうまくやりなさい、こういうやり方についてやはり問題があるのではないかと思うのですが、そういうことを前提にして若干お尋ねをしたいと思うのです。 今度法律が改正されますと、滞納者に対して保険給付は停止されるというような措置がとられることになるわけですが、こういう措置がとられることについてどのようにお考えですか。
○永田参考人 御質問にお答えをいたします。 私は、今の医療保険制度そのものに大きな矛盾があるということを基本に置きまして、個々の医療保険制度をどのように抜本的に公正な医療保険制度にしていくかというのがこれからの課題だ、こういうふうに考えております。 そういう中におきまして、御指摘になりましたように退職者医療制度の創設その他との見合いのもとに、国保への負担増にならないということで四五%の国庫補助を三八・五%に切り下げたわけでございますが、現時点におきましては見込み違いによりまして当然入ってくるべきものが入ってこない、そして国庫補助を切り下げられたものがそのままもろにかかってきている、こういうことで、国保の財政が危機に見舞われている大きな原因になっておるところでございます。 私は医療保険制度というものは、国の国民への当然の福祉あるいは医療、そういうものの大きな役割として国がある程度の財源負担をしなければならぬのは当然だと思いますけれども、一方におきましては、これから老人の数が非常にふえてまいりますし、そういう中では国民がお互いに助け合いながらそういう老人医療、福祉についても国民のサイドからも支えていく、こういう二本立てでいくのが妥当ではないかと存じております。したがいまして、先般の国保に対する国庫補助の減額も、先ほど申し上げましたような抜本改正への一つの段階として私はやむを得なかった、こういうふうに考えておるところでございます。 しかし、現実には国保の財政は非常に深刻でございますので、今後の成り行きいかんによりましては、また国庫補助の増額をしてもらわなければならぬ事態もこないとは限らない、こういうふうに考えておるところでございます。
○村山(富)委員 私の質問に対してのお答えが若干なかったのですけれども、今お話しになった考え方はよくわかるわけです。 今の国民健康保険制度全体を見ますと、例えば同じ県内の市町村で保険税が違う、あるいは全国的に大変大きな格差があるといったような問題もあります。特に過疎の町村なんかは、これは町村の責任ではないわけですよ。国の経済政策によって若い働き手がどんどん都会へ出ていく、過疎地域にはお年寄りだけが残っておる、こういう現象が生まれてきておる。したがって、過疎の町村ほど老人医療の負担が大きい。こういう現状にあるわけですから、そういう全体の現状に対してだれがどういうふうに負担をすべきか、責任を持つべきか、こういう議論が前提になくてはならぬと思うのです。 そういう観点からしますと、財政は県なら県が全部所管する、そして運営は市町村でやっていくというようなことも一つの方法ではないかと思いますし、同時に、そうした過疎の町村については一律に補助するというのではなくて特別の配慮をしながら国がそれぞれ負担をして健全な運営ができるような方策を講じていくというような考え方も当然ではないかと思うのです。 今私が申し上げましたような国保制度そのものに対する改革について、どのような見解を持っておられるか、永田参考人と加地参考人のお二人から、時間もございませんから簡単にお答えいただきたいと思うのです。
○加地参考人 国保の経営主体が市町村でいいのかどうかということと、特に高齢化社会が最も端的に出ている過疎地域に対してどういう財政的な対応なり政策の対応ができるのか、こういう御質問だと思います。 簡潔に申し上げますが、国民保険は、委員御承知のとおり住民にとって非常に身近な医療の問題であります。歴史的、発生的にも地域医療という形で市町村が分担をしてきたわけであります。経営主体はどこがいいかという議論は、議論としてはありますけれども、私はこの地域社会における医療保険の責任はやはり市町村が担当していくのが一番いいのではないか、こういう考え方を持っております。 ただし、おっしゃるとおり、そういう中で非常に財政基盤の弱い市町村はどうするのかという問題はあります。これは、現に政府が、国保に対する国庫補助金の財政調整という形でそういう過疎地域に対してかなり手厚い財政調整交付金をやっております。それから都道府県の中における市町村の相互扶助的な意味をもちまして、国保の再保険的な事業をやっております。そういう形で相補っていけば、今の市町村の経営主体が一番望ましいのであろう、私はこう思っておるわけであります。 以上でございます。
○永田参考人 私も、ただいまの加地理事長の御意見に大体同じでございます。 町村の広域的な保険制度というものはこれまでも若干試みられたことがあるわけでございますけれども、ほとんどが失敗をいたしております。と申しますのは、構成町村の間でやはりいろいろな問題が出てまいっておりまして、うまくいかないのが実情でございます。例えばこれを県にします場合、実際は大きな保険財政の基盤ができるようでございますけれども、国保は住民生活に密着しておりまして、やはり市町村が経営主体になって経営努力をしていくという今の形態が最善ではないか、現場の立場から私はそのように考えております。 それから、それてどうしても賄い切れない財政上の諸問題につきましては、再保険とか共同事業とかそういうような制度によりまして補完をしていくことが最も堅実な効率的な医療保険の運営になっていくのではないか、そのように考えております。
○村山(富)委員 時間がございませんから、次に移らせてもらいます。 医師会の吉田参考人にお尋ねしたいのですが、先ほど一部負担の問題について御意見が述べられました。私どもいろいろ聞いてみますと、千円ぐらいは当然じゃないかという意見もありますし、やはりそれは高過ぎる、困るという意見もたくさんあるわけてす。これがいいか悪いかということについてはいろいろ御意見があるところだと思うのです。ただ、お話がございましたように、千円だけでは終わらない。三つの病院に行けば三千円取られるわけですし、極端に言えば、月末にある病院に行き、月初めにまた病院に行けば、三日ぐらいの間に二千円取られるということにもなるのであって、考え方によっては大変大きな負担になっていくと思うのです。こういう一部負担の引き上げがどの程度受診の抑制につながるというようにお考えになるか。 一説によれば、病院に行こうと思ったけれども金を取られるから我慢しようといって行かなかった、そのことがかえって病気を悪化させて、必要以上に多くの医療費を使うことになる。早期診断、早期治療というのが一番必要なことであって、とりわけまた、予防面なんかでもっと徹底した施策が講じられていけばいいのではないかと思うのですけれども、この千円あるいは入院を五百円にするといったような一部負担の引き上げが、全体としてこの診療の抑制にどの程度の影響があるというふうにお考えになりますかということが一点です。 それからもう一つは、老人保健施設の問題について若干御意見をお聞かせいただいたわけですが、今の政府の考え方というのは、医療法の改正をして、そして病床の適正化を進めていく。したがって、その適正化を進める中で余った病院の病床を保健施設に転用していく、あるいは特養老人ホームを併用する、こういった考え方で当座やっていこうというのが今の案ではないかと思うのですよ。 したがって、今お話がございましたように、この老人保健施設は医療施設なのかあるいは福祉施設なのか、その性格が不明確、言えば、その中間をとったから中間施設というのだ、こういうようなお話もございますけれども、私は、国民の皆さんが中間施設を必要として求めているものとはおよそ違ったものになっていくのではないかということを懸念するわけですね。これはもちろん、費用をだれが負担するのかという負担の面から考えても、国はできるだけ負担をせずに、そして本人負担をふやしながら何とかそれぞれで賄ってもらおう、こういう考え方ですから、およそ国民が期待しているものとは違ったものになっていくのではないか、こういう心配があるのですけれども、そういうことについてどのような見解をお持ちになっておりますか、御意見をお聞きしたいと思うのです。
○吉田参考人 まず初めの一点の、受診の抑制にどの程度作用するか。これはかなり作用すると思います。というのは、現在の総合病院というのがございます。これは、一つ一つの科で一医療機関のような取り扱いでございますから、総合病院へ行って幾つかの科にかかってしまいますと、これは千円ではないということです。それと、一部負担と受診率の関係というのは、昭和十年ごろに給付率と受診状況というようなことで長瀬指数というのが一つございます。現在いろいろ改良されて一部修正された指数がはじき出されておりますが、これらの方々の考え方あるいは統計上の指数を見ますと、一割負担で約一五%違う、こう言っております。今度この一割を上げたり何かいたしますど、約三〇%近い受診抑制に働く、こういう統計数値がございます。私どもも、一昨年健康保険法が改正されましたときに本人の一部負担が一割ついたわけでございますが、そのときのあれを見ても、やはりこの指数に近い一五%ぐらいの受診率の低下がございます。 当然、老人医療におきましても同様の低下、受診率の抑制というようなことは働くのではないかと思っております。ただ、老人の場合には、この指数を算出してつくったときの年代が昭和十年ごろでございますから、平均寿命からいえば四十歳代のころです。今は、先ほども申し上げましたように、そんな時代じゃございませんので、そのままで済まないといういろいろな事情が出てくるのではないか、こういうふうに考えております。しかし、相当の受診を抑制するという、いろんな作用には働くのではないか。それはやはり、早期受診、早期発見、そういうようなものに対しては悪い方へ働くということは間違いのないことだ、こういうふうに考えております。 それから、その次の老人保健施設の問題でございますが、確かに先生が御指摘のように、国民が期待しているいわゆる中間施設というものとは少し違っているように私も感じます。病院と家庭との間の中間施設というのは何も老人ばかりじゃないわけでございまして、現在、いろいろな難病と言われる方々、病院からすぐ畳の上の生活ができないというような方々もかなりいるわけでございます。そういう方々のいろいろな施設というようなものも含めて中間施設というものは必要であろう、私どもはこういうふうに思っておるのです。 ただ、厚生省が今回出されました案を見ますと、非常に唐突でありますだけに、内容が余り明らかでないわけでございます。そういったことで、どういうことをもくろんでいるのか、私どもとしては正確にはちょっと考えがたいというところもありますが、確かに、これは医療施設であるのか福祉施設であるのかということは非常に大きな問題だと思っております。しかし、この費用の点を見ますと、福祉関係からは一切、一文も出さない、こういうようなお考えのようでございます。この辺については大変納得できない部分があるわけでございます。中間施設の必要性というのは何もここ一、二年始まったことではなくて、もう既に十数年来論議されていると思います。その中でやはり一番残っていた問題は費用の負担だと思うのでございますが、これを単に健康保険の費用から出すということについてはやはり一つの問題があるのではないか、こういうふうに考えております。
○村山(富)委員 もう時間が参りましたので、最後にお尋ねをしたいと思うのです。これは参考人の皆さん方すべてにお聞きしたいと思ったのですが、時間がございませんから、健康保険組合の廣瀬参考人と、それから中央会の加地参考人にお尋ねしたいと思うのですけれども、最近、民間の保険会社が医療保険をどんどん導入してきておる。これは例えば差額室料とか、それからまた世話料とか、言うならば法外負担がどんどんふえていく。公的負担が狭められて法外負担がふえていきますから、社会保険に入っているだけでは賄い切れない、したがって、病気した場合に困るので民間の保険会社の保険にも入ろうということになっていくのではないかと思うのですね。これはやはり医療に対する公的保障がどんどん後退していく、こういう傾向に今あるのではないかと思うのですが、こういう傾向に対してどういうふうにお考えになっておりますか。もう時間がございませんから簡単にお二人に御意見をお聞きしたいと思うのです。
○廣瀬参考人 一言で申し上げますと、やはり必要な最低の医療は公的な制度でやるべきだと思います。ただ、まあ大部屋でいいところを自分は金を出すから特別の部屋に入りたいというような場合に、その金を民間保険の対象にすることまで、これはけしからぬというようなことにはならぬかと思います。ごく医療に関係のない、自分でいわゆるぜいたくをしたい、自分で金を出す、その分を民間保険でやってもらうというようなことはあり得るかと思いますけれども、原則として医療一般につきましては、必要なものは公的医療でやるべきだ、そういうふうに考えております。
○加地参考人 今お話がございました廣瀬参考人と意見は全く同じであります。端的に申し上げまして、やはり将来にわたってこの公的な医療保険というものがあくまでも中心でやっていかなくちゃいけないであろう。ただ、国民生活がだんだん向上してまいりまして、今申し上げたように、国民のニーズが非常に変わってきておるわけでありますから、そういうものに対するそういった民間活力を導入していくということはある程度やむを得ないじゃないか、しかし、あくまでも基本は公的な医療保険が担当すべきではないか、かように私は考えております。
○村山(富)委員 冒頭に申し上げましたように、この老人保健法の改正問題につきましては大変関心も高く、とりわけ、先ほど申しましたように老齢化社会に入っていく過程の中でお年寄りの医療をどうするかというのは大変関心の高いところですし、皆さんそれぞれ御心配をいただいていると思うのです。私どもは、今この性格が極めて見通しが不明確なものですから、どういうふうな審議を進めていいのかということで戸惑っておるわけですけれども、しかし、いずれにいたしましても国民生活に関係が深いだけに、時間をかけて慎重に審議しなければならぬというふうに考えておりますし、その過程でまた皆さん方の貴重な御意見もお聞かせいただかなければならぬというようなことにもなろうかと思うのですが、そういう考え方を持ってこの委員会がこれから審議を進めていくということを皆さん方に十分御理解をいただいておきたいと思うのです。 問題点はたくさんあると思うのですけれども、きょうは、これから審議に入っていく入り口のところで皆さん方の御意見をお聞かせいただきました。わずかな時間で大変申しわけなかったのですけれども、いろいろ貴重な御意見をお聞かせいただきましてありがとうございました。 これで私の質問は終わります。
○高橋委員長代理 沼川洋一君。
○沼川委員 本日は、参考人の諸先生方にはまことに御苦労さまでございます。時間が限られておりますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。 まず、吉田先生にお尋ねいたしたいと思います。先ほど一部負担の増額の額についてるる御説明をちょうだいいたしました。特に具体的に、外来の場合四百円が千円になるということで、特に老人の場合、複数以上の医療機関にかかっている尼崎等の例を引かれまして、千円ということになりますと七二%の御老人の方にとって非常にこれは負担が大きい、こういう御指摘でございました。私どもやはり心配しますのは、現在のお年寄りにとって負担の増ということが、これが大きい額になりますと受診の抑制につながってまいります。そのことがかえって、初期診療で診れば回復が早い病気がかえって重くなって、結果的には医療費がふえるのじゃないか、こういう点を非常に心配するわけでございます。 かつて被用者保険の一部負担のときに、厚生省では、一時的には抑制の傾向が見られたけれども、時間がたてばもとに戻ったというような説明を引かれまして、今回のこの増額についてもさほど問題にならぬのではないか、こういう見解のようでございますが、先生の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
○吉田参考人 御指摘のような、もとに戻るのではないか、短期間で戻るのではないかというような考え方が確かに当初あったように私も思っておりますが、しかし現実はまだ戻っておりません。既に、もうこの十月になれば二年でございますけれども、しかし、まだこれが戻ったというようには私は理解しておりません。
○沼川委員 再度お聞きして恐縮でございますけれども、さらに今回の改正案で二カ月限りという限度を外したことにつきまして、厚生省は、一つには在宅の寝たきり老人とのバランスがとれないからだ、もう一つには病院を老人ホームがわりに使うことに歯どめをかけたい、こういう理由を挙げられておるのでございますけれども、率直に言って、先生のこの点についての御意見をお伺いしたいと思うわけです。
○吉田参考人 私はそう思っておりません。現実に、先ほども申し上げましたとおり、現在の日本の一般家庭の生活環境、状況というものは、必ずしも老人が長く寝ついて看病ができるというような状況というようには私は理解できないのです。私どもも実際に医療の現場で往診したりなんかしてみましても、大体老人の介護というのは女性がやっているわけでございまして、その女性問題がこういう問題と密接に結びついてしまうのでは。ないか、こういうふうに思っております。また、実際に老人の医療費が高くなるといっても、先ほど申し上げましたように、一番高いのは死亡の前三カ月にさかのぼった医療費でございまして、外来の医療費というのは決して今いろいろ巷間言われているような率で伸びているわけではないというふうに感じております。 また、老人の医療というものは、実際に在宅でもって介護している方々と入院で治療を受けている方との給付というのは非常に格差がございます。これは入院の給付がいいのではなくて、在宅における給付が悪過ぎるのでございます。ですから、そういった点をむしろ引き上げて幅を埋めるべきであろうし、片っ方の方を引き下げて埋めるべき筋合いのものではない、こういうふうに理解しております。
○沼川委員 加地参考人にちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、先ほど負担の公平という問題の中で按分率の問題をいろいろと御説明いただきました。先ほど永田先生からも、負担の公平ということを貫くならばやはり按分率が一〇〇%であることが負担の公平である、こんなような御説明をいただきました。逆に今度は、先ほど健保連の廣瀬専務理事の方からは、一〇〇%の按分率ということは健保組合のサラリーマシにとりましては結果的には実質増税になるわけでございまして、そういう点で非常に矛盾がある、本当に公平というならば何も一〇〇%が公平ということにならないんじゃないか、かえって不公平を招くんじゃないか、こういう御指摘でございましたけれども、この問題について率直な御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○加地参考人 負担の公平の問題でありますが、先ほど廣瀬参考人のお話を承っておりまして、私どもが前々から非常に疑問がありまするのは、老人保健法ができる以前から国保には五〇%の国庫補助金がつき、政府管掌には一六%、健保組合には財政力等々を考えて出てない、こういう一つの国庫補助率の割合があったわけです。これは御承知のように、国保には事業主というものがない、しかも比較的所得の低い方々が多い、こういう国保の構造的な要因に着目した国の助成でありまして、それが結果的に国保の五割給付が今日の七割給付まで来ておる、こういう実績でございます。いわば、そういう財政上の政策として国庫補助を出した、その国庫補助金と今回の按分率の引き上げによる拠出金を込みにした議論としておっしゃっておるのは私どもは非常に理解ができないのであります。 つまり、私どもが申し上げているのは、本来医療保険が一本であれば国保に対するこれだけ大幅な国庫負担も要らないでありましょうし、按分率の問題もないわけであります。今日の医療保険は非常に歴史的な経緯があり伝統がございまして、まさに医療保険が非常に分かれておるわけであります。その中で国保が非常に財政的に基盤が弱い、そもそもこういう中で老人保健法が四年前に先生方の大変な御理解でできたわけであります。その考え方、原点というのは、少なくとも老人医療費については国民が公平に負担する、逆に言いますと各医療保険制度が公平に負担をしましょう、こういうことであります。 そういう論点から申し上げれば、先ほどからいろいろお話がございましたように、何をもってそういう公平な負担の尺度を。つくるかというのは、既に今日できておる老人保健法の物差しは、その医療費が多いとか被保険者が多いとかという話は難しいので、要するにどこの制度に入りましても負担はできるだけ等しくしよう、そのためには各制度が同じ老人数を抱えておる状態で持ち合おうじゃないか、これが老健法の原点であります。基本であります。 そういう意味からいきまして、確かに新たに画期的な法律ができて新たな負担をお願いするという、いわば経過的プロセスの段階では斬新的な行き方というのがあったと私は思います。それが大変な国会の英知で五〇、五〇という割合にしていただいたんであろうと私は思っております。しかし、あの当時も実は一〇〇%の議論があったのです。筋道論からいけば一〇〇%は正しい理屈であろう、そういうことでございます。
○沼川委員 再度お尋ねして恐縮でございますが、国保についてはたびたび国保自体の経営を立て直す必要があるということで御指摘があるわけですが、国保の中身を見ますと、もともとお年寄りを多く抱えておるのですから、御老人が多いということは当然医療費がかかる、これは本質的なものであることは間違いないと私も思います。ですから、経営努力も必要なんですが、どうしても国保の場合は外部からの援助を必要とする。この場合にただほかの保険団体からの拠出金だけを当てにする、そういう財政調整だけでこれを何とか見るということではなくて、国庫というのがどうしてもやはり国保の場合は必要になってくるわけですけれども、今回の場合を見ますと、極端な言い方をしますと、国庫補助を撤退させるためにいわば財政調整を持ってくる、こういうことに対して一部非常に厳しい批判があるわけでございますが、この国庫との絡みについてどのようにお考えになりますか。
○加地参考人 財政的な側面からやりくりの関係を見れば、確かに先生御指摘のような面があろうかと思いますが、今回、政府がこういう形で老人保健法の改正法案を出しましたのは、目先の問題ではないわけですね。確かに目先の問題もあります。しかし、高齢化時代がどんどん進展する中で、仮に今の医療保険制度を尊重してやっていく場合には、どうしても制度間の財政調整が必要だ、これが老人保健法の基本的な考え方であります。 我々が、かつて十数年前から国保の実態を訴えて、この老人保健法をつくってほしいというお願いをしてまいりましたが、まさに不毛の議論であったわけであります。不毛の議論の中で国保が何とかやってこられましたのは、高度成長のおかげであります。高度成長の中で国保の財政運営を何とか国庫負担の形でお願いをしてきたわけであります。御指摘のように、我々は今後も国庫負担でお願いできるものならぜひ国庫負担でお願いしたい。ただ、今日の事態から見まして、今申しましたような老健法の原点ですね、こういう考え方に立ちますならば、やはりみんなが老人の医療費を公平に持ちましょう、私はこういうこともやむを得ない時代の趨勢であろうと思います。 私ども、これは端的に申し上げますと、国庫負担に依存するのが一番楽であります。仲間の各保険者に御支援を願いたい、こういうのが今の財政調整でありまして、しかし私どもはお願いする立場であります。国保に対する理解を十分いただいて、この公平な負担を実現させていただきたいな、こういう考え方であります。
○沼川委員 最後に、廣瀬参考人に一言お尋ねしたいと思いますが、確かに、老健法が成立しましたときに、御説明にもございましたように、負担の問題よりも、むしろこの老健法そのものは保健事業のサービスを総合的に実施する、要するに初期診療といいますか健康診断あるいは予防という面、そういう対策に力を入れるということで大体スタートしたはずでございますけれども、実際各市町村でこれが非常にばらばらだと私は受けとめております。こういうことが十分行われない、まま、ただ財政事情がどうも先行して今回の改正になっているような気がするわけでございますが、この保健事業の実施については大体どのように受けとめていらっしゃいますか。
○廣瀬参考人 先ほども申し上げましたように、我々、三年前にこの老人保健制度ができるときに非常に期待したのは、やはり高齢化社会に対応して保健事業が大いに進捗する、そのために健やかに長生きするということができる、したがって医療費もそうかからなくなるということに非常に期待をしておったのですが、どうもその後三年間の経過を見ても当初の予定どおり保健事業がうまくいっていないというのは非常に残念に思っておりますので、一番大事なことは、やはり第一の目的であるヘルス事業を大いに徹底的に効果あるようにやってほしい、そういうふうに念願しておる次第でございます。
○沼川委員 時間が参りましたので、以上で終わります。どうもありがとうございました。
○高橋委員長代理 塩田晋君。
○塩田委員 民社党の塩田晋でございます。 本日は、四人の参考人の方々、御多忙中をお出ましいただきまして、貴重な御意見を賜りましたことを厚く御礼を申し上げます。 各党から質問が出ておりますので、できるだけ重複を避けまして質問を申し上げたいと思います。 保険料の徴収率を上げるためにどういう努力をしておられるかということにつきまして、国保中央会、市長会の代表の方にお伺いいたします。 特に大都市で徴収率が悪いのではないか。その対策をどうしておられるか。今回の改正に盛り込まれておる中に、滞納者に対する扱い、特別の対策を規定してございますが、これについてどのようにお考えでございますか、まずお伺いいたします。
○加地参考人 国保の保険料の徴収率をもう少し上げられないかとか、あるいは大都市が特に問題ではないか、まずこういう御質問でございます。 先生御案内のように、国保は三千三百の市町村がそれぞれ保険者としてやっております。大都市の保険者もあれば、過疎の人口三千、二千という村の保険者もございまして、保険者間には大変なバラエティーがあることも事実であります。しかも、それぞれの市町村におきましては、国保の被保険者が六割から七割という市町村もあれば、大都市のようにせいぜい一割が、二割に達しないというところもございます。非常に変化があります。 徴収努力をやっていないようなお話であるとすれば、私はこの際御理解をいただきたいのであります。現に、先ほどから申し上げておりますように非常に困っております。困っておるがゆえにあらゆる知恵を尽くして徴収をやっております。これはもう御承知のとおりでありまして、そのこと自体については申し上げませんが、基本的な違いは、サラリーマン保険のように給与から源泉徴収をされて、しかもそれが銀行振り込みで入っていくという性質のものではありません。しかも国保の保険料は、ちょうど住民税と同じように年間の総医療費を毎年割りつけていくわけであります。割りつけ方は御承知のように応能応益負担ということで、資産割だとかあるいは所得割とかあるいは世帯割というふうな形で割りつけております。そういう保険料、いわば自主納付的なもの、つまり源泉徴収ができないものだから集めなければいかぬわけですね。私が中央会に参りまして一番びっくりしましたのは、かつて私が役人になった昭和二十年代の政府管掌における保険料徴収の問題と同じであります、最大の努力を払っております。 ただ、これは市町村の苦労を御理解いただきたいのですけれども、例えば大都市は特に移動が厳しゅうございまして、保険料を集めに行きますと、門前払いを食っちゃうわけです。場合によっては、生命の危険を感じて逃げ帰ってくるというような場合もあるわけです。そういう中で九四%の徴収率を上げておるということは、国保の保険料の構成から見まして大変な努力であると私は思っております。(「そういう言い方はないだろう。もっと努力しますと言えないのかね」と呼ぶ者あり)それはもちろんこれからも努力をいたします。実態を申し上げておるわけであります。 それからもう一点、御質問の悪質滞納者の問題であります。 これは、先生御承知のように納める能力がある方が滞納した場合の問題でありまして、保険料を納める能力が非常につらい方々は、これは減免規定があるわけです。そういたしますと、納める能力がある人が滞納したことに対する今回のいわば手当てでありまして、これは恐らく政府側も、今回の医療保険の改正がほかの各制度にもいろいろなお願いをするという意味のバランスを考えておると思います。我々実務担当者の間では十年来この規定を改正してほしいということを言ってきた問題であります。そういう意味では、被保険者の間の負担の公平を図るためにこういう悪質滞納者に対する一つのペナルティーというもの、しかもそれは医療給付を全然受けさせないという問題ではございませんから、やむを得ない措置ではないか、私はかように考えております。
○塩田委員 市町村が非常に努力をしておられるということは了解するわけでございますが、そこにもいろいろ問題があるということ、そして滞納者に対する扱いはきつ過ぎるのじゃないかと思うのですね。これについては十年来主張してきた、こうおっしゃっているのですが、それでいいかどうか、また後ほどお伺いいたします。 市長会の永田さんにお伺いいたします。 老人の医療費につきまして、一部負担を一挙に二・五倍、あるいは先ほど尼崎市の調査の結果が医師会の代表からお話ございましたが、それによりますと二倍、三倍、四倍になってくる。また、この入院にしましても、長期間になりますと半年で五倍、一年で十倍になる。そういったことに対して市民、町民、村民から反対の声が大分あるのでないかと思うのですね。先ほどもお話しございましたように、年金受給者十七万円そこそこ、低い方で十二万円、そういう月額の収入の中でそういった大幅な一部負担増というのは、これは実際大変なことなんですね。それについての住民の訴え、反対意見というのは相当あると思うのですが、これをどう受けとめて対処しておられるか、お伺いいたします。
○永田参考人 滞納の収納率の上昇につきましては、今全国市町村も最善の努力をいたしておるところでございます。そして、最も悪質な滞納者には一つの基準を設けまして法的措置をとっておる、大体こういうような努力をいたしておるところでございますし、ただ大都市の場合は、人口の移動が非常に厳しゅうございますので、今度国保の改正案の中で出ておりますようなああいう短期の証書を交付するとか、そういうようなことも収納率の改善には若干役立とうかと存じております。滞納率の問題は、収納率が低くなっており室す点は、国保の団体としましても非常に重要な課題でございますので、全力を尽くしておるところでございます。 それから、老人の医療費の負担の問題でございますが、私たちは直接老人クラブと毎日接触をしておるわけでございますけれども、いわゆる通院者の負担を一月四百円を千円にする、これに対しましては大きな抵抗はないように存じております。それから、入院費の一日三百円を五百円にするという問題につきましても、自宅にいても食費は必要なんで、食費にも満たない程度の切り上げならばこれはやむを得ないじゃないか、こういうのが私たちが接触をしております健康なお年寄りの皆さんたちの大体の考え方のように存じております。 そういうような現場の声、さらに全国の各市のいろいろな動向を伺ってみますと、やはりある程度の老人の負担増は、安いにこしたことはないけれども、今のような厳しい状態の中においてはやむを得ないのではないかというのが大勢でございます。
○塩田委員 一部負担につきましては、法律が、老健法ができるときにいろいろ議論しました。私が今申し上げたのは、それが一挙に二倍になり五倍になり十倍になるという状況について、住民の反応がどうか、反対が相当あるんじゃないかということを申し上げておったわけですが、時間の関係で次に移らしていただきます。 厚生省の構想で、地域総合健康保険組合というのが二月ごろ新聞にも出ましたが、お聞きになっていると思います。これにつきまして医師会はどのようにお考えか、また市長会あるいは国民健保中央会、どういうふうにお考えがお伺いいたします。
○吉田参考人 一つの企業で健康保険組合をつくれるものはもう既につくっているわけですが、こういった非常に企業としての力等がないところを合わせて総合健保をつくりなさい、こういう制度だと思うのです。しかし、これは保険集団としては極めて弱い人たちを集めて一つの集団をつくるわけでございますので、非常に力の弱い健康保険組合をつくる結果になるのではないかと思うのです。私どもとしては、これについては反対の考えを持っております。
○加地参考人 御質問の地域健保組合の問題は、直接にはこれは被用者保険の健康保険組合の問題であります。したがって、我々国保の方から見ますと、この健保組合の問題、もちろん直には関係のないことでありますが、ただ、あの構想の中には例の五人未満の零細企業の従業者を云々という問題もありまして、そういう人たちを束ねる一つの構想として打ち出されておるというふうな面もあると思うのですね。私は、今吉田参考人がお話しになりましたような意見に近いのでありますけれども、しかし、やはり一つの地縁グループとかあるいは職域グループとか、そういう形でまとめていこうとする考え方も一つの考え方であるという点では私は理解ができます。
○塩田委員 加地参考人にお伺いいたします。 先ほどの他の参考人の陳述の中にもあったわけでございますが、自営の方についての税負担の問題、クロヨンとかクシピンとかいろいろ言われますが、そういった中で負担の公平、公平と言われる、ために財政調整が必要だ、加入者按分率を八〇%あるいは一〇〇%にしなければならぬということでございますが、その辺、本当に負担の公平という面から解決になるのかどうかということが非常に疑問に思うのですが、どのように考えておられますか、簡単にひとつお答えいただきたいと思います。
○加地参考人 国保の保険料徴収なりあるいは所得把握の問題について、かねがねクロヨン、トーゴーサンピンという御非難があるわけでありますが、先ほどから申し上げておりますように、一つは、国保の保険料というのは所得だけを対象にしてまず集めておらぬということですね。資産割でございますとか、そういういわゆる地域社会のおつき合いとしての単一の負担部分がありまして、いわゆる所得割に相当する部分は大体四八%であります。そういうことが一つございます。所得把握の問題が保険料に反映するのはそういう意味では一部でありますけれども、御指摘のように、これはやはりきちんと所得を把握し、取っていくべき問題であると思っておりますし、そのための努力は市町村も相当やっていると思います。 ただ、これが源泉徴収であり自主納付であるという形が違う点で徴収率等共の問題も含めまして御指摘を受けるのでありますけれども、私は御指摘のような問題は、今のそういう公正の問題もありますけれども、国保の被保険者だけがそういう実態ではないようですね。これは私はデータを持っておりませんが、いわゆる法人化がどんどん進んでおりまして、だから、そういう意味では今国保に残っている方についての問題とすれば、御指摘のとおり私どもは極力正確な把握をして徴収をしていくべきだ、かように考えております。
○塩田委員 終わります。
○高橋委員長代理 浦井洋君。 〔高橋委員長代理退席、委員長着席〕
○浦井委員 各参考人の皆さん、本当に御苦労さまでございます。 私ども共産党は、今回の老人保健法のいわゆる改正なるものについて、これは三年前から始まりました老健法の創設、一昨年の健康保険の改正、それから年金の改正、こういうことで福祉、医療の破壊の第一ラウンド、そしてこれから老人保健法のいわゆる改正なるものは第二ラウンドへ移る橋渡したというふうに位置づけておるわけであります。そういうことで、多少今までの質問とダブりますけれども、端的にお伺いしたいのであります。 吉田先生の方からは一部負担についてかなり詳しい御説明があったわけでありますが、今度の、四百円、三百円から千円、五百円、無期限に変わった一部負担が受診抑制につながるし、病気の早期発見、早期治療の妨げになるというふうに私は確信をしておるわけでありますけれども、一体どういうお考えでおられるか、各参考人から順次お答え願いたいと思います。
○加地参考人 私どもは、これはすべての方々が同じ気持ちだと思いますが、老人の患者の方に一部負担をとらないで済むということであればそれはみんなベターであろう、こう思っております。 ただ、先ほどから申し上げておりますように、今日大変厳しい状況に医療保険は見舞われております。それから、特に一都負担の問題につきましては、受診抑制とかなんとかという問題がございますけれども、やはり保険料はだれが払っておるか、こういう意味で保険料を出す若い方々の負担ということも考えて、患者である老人の負担がそんなにひどい重い負担でなければ、全体の老人保健制度を長期的に安定して運営していくためには最小限度やむを得ない措置ではないか、かように考えております。
○廣瀬参考人 お答えいたします。 医療保険の財源は税金か保険料か自己負担か、この三つしかないわけでございまして、いろいろな組み合わせがあると思いますが、一般的には、いろいろな意味で多少の自己負担があってもおかしくはないじゃないかと私は考えております。 ただ、問題は今度の法案に出ておる老人医療費、外来千円が高いか安いかというのが大きな問題だと思いますけれども、老人と一口に申しましても、かなり所得のある人もあればほとんどない方もありまして、人によってそれぐらいはいいと言う人もあればとんでもないと言う人もあると思いますので、一概には言えませんけれども、一般的に言えばある程度はやむを得ないのじゃないかと私は考えております。 ただし、所得の非常に少ない人にはこれは相当大きな問題でございますから、所得の低い人には十分な配慮をすべきであろう、そういうふうに考えております。
○永田参考人 私も、老人医療費の一部負担はやむを得ないことだと存じております。
○吉田参考人 私は、先ほど申し上げましたように一部負担の増額には反対でございますし、これは二・八倍にも上がるという実際の数字もございますから、早期受診あるいは早期の発見、治療というようなものに対しては阻害に働きますし、また受診を抑制する、こういう格好になる、こういうふうに思っております。 また、医療というものは、私は平均値等で論ずべき問題ではない、こういうふうに思っております。平均でありましたら、平均以下の人はあの世へ行けというようなことになりかねないわけでございまして、医療というのは、やはりできるだけ最低のところに照準を合わせでいろいろな施策というものはつくられるべきものだ、こういうふうに考えております。
○浦井委員 永田参考人にその点についてもう一度お伺いしたいのですが、前回の一部負担四百円、三百円のときには、全国老人クラブ連合会あるいは単位老人クラブの方々もこれくらいはやむを得ないだろうという声が確かにありました。しかし、今回の千円、五百円、しかも無期限ということについては、県単位の老人クラブ連合会から反対の声がかなり強く上がっておるというふうに私は思っておるのでありますが、この点では永田参考人はどういうふうに考えておられますか。
○永田参考人 私は地元の老人クラブ連合会の皆さん方には、高齢化社会が進む中では、やはり公的な負担のほかに自助自立、こういうような線を大きく伸ばしていかなければ実際潤いのある、そして医療、福祉、保健、もろもろの施設を完全に遂行し得るような社会にならないんだ、そういうお話をしておるところでございますが、そういう中で、私の地方におきます老人クラブの反応は、あの程度はやむを得ない、こういうのが空気でございます。
○浦井委員 ここで論争するつもりはないのですけれども、高齢者の方が自助自立をしていくためには、やはり一定程度以上の福祉施設あるいは福祉制度というものが完備をした上で、その上に立って自立自助というのがあるんだということを強調しておきたいと思います。 吉田参考人にお尋ねをしたいのですが、中間施設についてであります。 日本医師会の医療システム研究委員会報告では、今回厚生省が出してまいりましたいわゆる中間施設について、「「過剰ベッドの中間施設への転用」が廃物利用という考え方でとらえられることは好ましくない。また、同一施設内の一部を転用するにしても、特養老の設置基準に合う集会場、食堂、ディルームなどのスペースの確保は困難であり、改修も不可能である」、こういうふうに疑問を呈しておられるわけなんです。私も全く同感であるわけです。 また一方、中間施設の費用の問題で、現在までとられてきた措置制度の「措置費のウエイトは小さくなることが見込まれる。」「戦後の社会福祉事業を支えてきた措置制度の理念に対する変更につながることの方が社会福祉事業の関係者にとってより大きなインパクトを与えるといえる。」だから、医療の面から見ても、これはぐあいが悪いし、あるいは福祉関係者の面から見ても措置費制度の、言い方が少し強いかもわかりませんけれども、崩壊につながるということで、今厚生省の出してきたいわゆる中間施設なるものは、私個人の意見ではありますけれども、こういうものは思い切って言えば必要ない。今の特養ホームを充実させる、あるいは一部の、寝たきり老人を収容しておる、せざるを得ない老人病院の改善を図るという方向で行ったらよいのではないかと私は思うのでありますが、吉田参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
○吉田参考人 私も、過剰ベッドがこれになると軽く考えているようでございますが、またそういうようなことは実際にそうなるのかどうか甚だ疑問だと思っております。厚生省が説明され、また今回の改正案要綱に示されております老人保健施設は、医療との絡み合いのところがどうも明確ではないのです。軽度な医療を含むというけれども、医療というのはここからここまでが軽度でここからここが重度と、そんなに簡単に線を引けるようなたぐいのものではないと私は思っております。巷間一次医療、二次医療、三次医療という分け方をする向きも一部にありますけれども、これは机上での分け方なのでございまして、患者さんがこれは一次だ、二次だ、三次だと考えて医療機関にかかるわけではございませんし、現場では分けられないと私は思っております。 今度の老人保健施設におきましても、その辺の医療との関連性というのは極めてあいまいなのではないか。そういうことから、厚生省の考える老人保健施設というのは一体医療施設なのか福祉施設なのかということは、いまだに私自身もはっきり理解しがたいところがあるわけでございまして、こういった福祉の方から現在の特別養護老人ホームの制度をもう少し改善して入りやすくするなり何なりすれば、それでも一つの目的は達せられるのではないかと思っておるし、我々医療関係者あるいは患者さん等が求めている中間施設というものとは少し様相が違っているように私としては感じております。
○浦井委員 参考人として出席されたので遠慮して少しと言われたと思うのですが、医療、福祉関係者が願っておる中間施設と、今厚生省が出しておる入所型の中間施設なるものはかなり違うと私は思うのです。 吉田先生にお伺いいたしますけれども、例えばこの入所者は、特養ホームなどでも平均八十歳ぐらいです。ここで、厚生省の考えでは、百人ぐらいの入所者があった場合、優者は常勤医一人が必要で、できたら二人、看護婦十人、介護人二十人という数字が出ておるわけなのですが、こういうようなことで果たして本当の意味での中間施設になるのかどうか、この辺繰り返しになるかもわかりませんけれども、先生の御意見をもう一度お尋ねしたいと思います。
○吉田参考人 私もそれは全く考え方が同じでございまして、果たして医療というものが軽度にしろ行い得るのかどうかということについては、甚だ疑問に思っております。 また、厚生省の方等では、アメリカのいわゆるナーシングホーム的なものを考えているのかもしれませんけれども、私は、ああいう営利事業によって行われているナーシングホームは日本の場合には持ち込むべきではないと考えておりますし、今申しましたように、これでは果たして医療施設なのか福祉施設なのか全く理解に苦しむ、こういうところであります。
○浦井委員 結構でございます。どうもありがとうございました。
○山崎委員長 菅直人君。
○菅委員 きょうは四人の参考人の方から貴重な御意見を伺っておりますけれども、私の方から最後の質問ということでお願いをしたいと思います。 まず、拠出金について廣瀬参考人にお伺いをしたいのですけれども、今回のこの議論の中で、負担の公平という言葉を、いろいろな立場でいろいろな解釈のもとに使われているというのが実際だと思うのです。政府案は加入者按分率を一〇〇%にすることそれ自体が制度間の公平だと主張されているようですけれども、この点について、特に加入者一人当たりの負担という考え方に立った場合にいろいろな見方がある。特に事業主負担と本人負担をどう考えるか、あるいは国保の場合の国庫負担と本人負担をどう考えるか、それぞれの見方で公平だ、いやまだ十分じゃないとかいう議論があると思うのですが、廣瀬参考人の御意見として、現在の拠出金あるいは政府案の八〇、一〇〇の拠出金がどういう見方で、何と何を比較した上で現在公平であるか公平でないか、そのあたりを聞かせていただきたいと思います。
○廣瀬参考人 私どもも、この老人医療費の負担につきまして公平に負担しようということは、そのとおりに思っております。ただ、問題はどういう方法が公平な負担であるかということにつきまして、それぞれ関係者大分意見が違うようでございます。 厚生省は加入者按分率を一〇〇%にすると負担が公平になるとおっしゃっておられまして、現在確かに国保と健保組合とは老人の加入割合は違いますが、全制度を同じように全国平均の老人がおると仮定して拠出金を出すのが公平だとすれば、イコール加入者按分率を一〇〇%することだ、そうしますと、全国平均が千人当たり六十九人だそうでございまして、加入者按分率を一〇〇%とすると六十九人ずつ国保も健保組合も出すことになるから公平だという説明を聞いておるのですが、先ほど申し上げましたように、国保の方の拠出金というのは保険料部分と国の補助金部分と両方あるわけでございまして、むしろ国の補助金の方が五割五分ぐらいで多いわけでございます。したがいまして、その両方合わせて六十九人出すとおっしゃいましても、本当に国保の保険料で負担しておられるのはその四五%、三十一人分じゃないか、我々は全部保険料で六十九人分を負担することになるので、公平どころか倍以上の負担になって不公平になるのじゃないかという考えを持っております。 それに対しまして、国の補助金を除くのなら、健保組合も事業主負担があるからあれも除いたらどうだという議論も承知はしております。ただし、国の補助金と事業主が負担している保険料とは相当性格が違うと思います。したがいまして、私どもは一つの考え方として、それぞれの制度の加入者が自分で保険料として拠出する分が等しいということが一つの公平の基準ではないかなと思っておりますが、そういう点から見ますと、一〇〇%にすると、かえって大きな不公平になるということを言っておるわけでございます。これは人数で申し上げましたが、金額でも同じような結果になるわけでございます。
○菅委員 それに加えて、政府の今回の提案を見ますと、最終的には国保への国庫補助が六十一年度ベースで約一千億減る。被用者保険からの拠出金が二千億程度増加する。もちろん国保の国庫負担以外の部分からもさらに一千億減る。合わせて二千億減るわけですけれども、結果的な数字だけで見ると、国庫補助が一千億減って被用者保険からの拠出金が二千億程度ふえるということで、結局は税金を保険料に振りかえているだけではないかという見方がありますけれども、これについてもう一度廣瀬参考人の方から御意見がありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
○廣瀬参考人 先ほど、厚生省の方が加入者按分率一〇〇%だと公平だとおっしゃるから、そうならないという反駁をしているので、我々はそういう理屈を振り回しておるだけじゃございません。 反対の理由はもっといろいろあるのですが、今度の社会保障費の当然増が十分に確保できなかった、そこで政府としてもやむを得ず国の補助金を減らさなくてはならぬ、その分の穴を被用者保険に肩がわりさせておるんじゃないか、我々はそういうふうに受け取らざるを得ないわけです。数字を見るとそうなっております。税金を保険料に肩がわりさせても国民の負担率は変わりがないじゃないかというようなことで、そういうのはやはりおかしいという問題もありますし、それから先ほど申しました附則の第四条を見ますと、法律施行後三年間の状況及び諸事情の変化に応じて再検討するということになっておりますが、現在の加入者按分率を一挙に八〇なり一〇〇にする、そんなに急激に引き上げなくちゃならぬ事情の変化は、どう考えてもない。これはどうしても納得できないというふうに考えております。
○菅委員 それでは、続いて国保について加地参考人と永田参考人の方にお伺いをしたいのですが、国保の現状が非常に厳しいということは、私たちも地元の各自治体の議員あるいは市長の皆さんとの話でよく承知をしております。きょうの議論の中でも出てきましたけれども、国保の場合、老人加入率が高いとか所得水準が低いとか、あるいは所得把握そのものが非常に難しいとか、そういったいろいろな矛盾が混在をしていて、逆に問題点が、何が原因で何が結果なのかが非常にわかりにくい形になっている。あるいはそのために、改革案が、根本的な改革案になっているのか単なる対症療法的改革案になっているのかわからないというのが、これは私たちの責任も含めて考えなければいけないところだと思うのです。 永田参考人に、市長という立場も含めてお伺いをしたいのですが、老人保健法の本来の目的であるヘルス事業があるわけですけれども、本来市長という立場は、老人保健法ができるできないにかかわらず、全市民を相手にしてヘルス事業をやっておられるという側面が一つあると思うのです。それからもう一つは、国保の保険者として、国保の被保険者に対してのみのヘルス事業というものが、市長のところの場合に実際にこれまであったのか。 何をお聞きしたいかといいますと、これは以前もある参考人の方にお聞きしたのですが、市町村が国保の保険者であるという現状の中でヘルス事業を考えた場合に、多分、全市民を対象にしたヘルス事業はやっておられても、国保の被保険者だけを対象にしたヘルス事業を市長の立場でやることは、逆に矛盾を起こしているのじゃないかというふうにも思うので、その点、永田参考人の市の場合どういうようになっているかお聞かせいただければと思います。
○永田参考人 ヘルス事業につきましては、おととしの健保法の改正案の社会労働委員会の御審議の際も、御質問をいただきましてお答えを申し上げたところでございますが、私の方は、老人保健法ができる前に市民の総健康づくり、これを市民総参加の中で進めてまいっております。そして、その過程において老人保健法が実施されたわけでございますが、その全体的な健康な市民づくりの中におきまして、老健法にかかわるものにつきましては、国の援助を受けながら、より充実した健診等を行っておるというのが実情でございます。
○菅委員 今の永田参考人の御意見をベースにして、加地参考人にお聞きしたいのですが、先ほど、前の委員の質問へのお答えに、国保の保険者を都道府県にするというような考え方が政府あるいは厚生省から一部出ていることに対して、地域医療という考え方で、やはり市町村がやる方が適切ではないかというような御意見も拝聴いたしました。 個人的な考え方としては、今の永田参考人の話も、またはほかの市長にもいろいろ聞いてみたのですけれども、ヘルス事業を基礎自治体である市町村がやられることは、大いに重要な要素ですし、これは政府、厚生省あるいは自治体も含めて、もっともっと頑張っていただかなければいけない。ただ、保険者の単位として市町村が果たして適切なのかということは、国保の担当者の皆さんとしても十分考えられる必要があるのじゃないか。これが都道府県がいいのかあるいは国、政府という形がいいのかという問題はあると思いますけれども、ヘルス事業と保険事業というものを分けて考えて、保険者を市町村ではない形にするということについて、もう一度加地参考人の御意見を伺いたいと思うのです。
○加地参考人 先生御承知のように、こういう議論があるのですね。今の医療保険は、まさに医療費保険である。しかし、医療保険というのは、今お話しになりましたように、住民の立場から見ますと、医療費の支払いの問題のほかに、御指摘のような保健事業であるとかリハビリテーション、そういう医療全体を総合的にやっていくようなシステムが理想である、こう言われておるのですね。そういう意味では、国民にとりましてこれは一番重要な問題であり、しかも身近な問題でありますから、包括的に総合的な医療制度をやっていくのはやはり市町村であります。そういう意味で、国保サイドでは、昔から、医療保険というものは一元化すべきである、一元化するならば、それは医療費保険でなくて、そういう保健活動なりリハビリを含めた総合的な地域医療をやる市町村が一番適当である、こういう考え方が基本にあるわけであります。 今御質問の保健事業というのは、まさに今回御議論いただいておる老人保健法が取り上げた画期的な内容であります。制度間の財政調整的な機能で加入者按分率を設けると同時に、国の制度として保健事業を推進すべきだ、これが老人保健法の画期的な制度であったわけですね。そういう意味におきましても、もちろんそういう法律に基づいて市町村がやっておりますよ。住民のことを考えれば、これはやはり市町村がやっていくのが一番いいというのが老人保健法の判断であると思います。そういう意味も含めまして、地域保険、地域医療の経営主体は市町村が一番ベターである、私はこういうことを申し上げたわけであります。
○菅委員 最後に、もう一度加地さんの方にお尋ねをしたいのですが、ことしの正確な数字を知りませんけれども、今国保にトータルで大体二兆円近い国庫補助が出ていると思うのです。それから、国保からの老健法に対する拠出金が、六十年度を見ますと、一兆四千億ぐらい出ているわけですね。これは単純に足し引きはしにくいのですが、非常に単純にしてみますと、国庫補助を全部拠出金に回しても、国庫補助はまだ数千億は国保に残っておるわけですね。 何を申し上げたいかといいますと、国保のいろいろな矛盾がある中で、老人加入率が非常に高いということは重々承知をしておるわけですが、加入率が高いことを低くしろと言っても、それは国保の皆さんの力で、そういう形ができることでないことは重々承知の上で、それ以外にもっといろいろな面での改善の余地というものが国保についてないのか、先ほど来保険料徴収の問題もありましたけれども、あるいはこれまでの医療費の適正化の努力などを含めて、健康保険組合などがかなり努力をしている面で、国保についてまだまだ努力をすべき余地がないのか、その点について最後に御意見を伺わせていただきたいと思います。
○加地参考人 国民保険におきましても、医療費の適正化のためのいろいろな努力はいたしております。特に、これは行政当局が積極的にそういう指導をいたしておりまして、それには補助金もつけたりそういう形の推進もやっておるわけであります。 ただ、そういう意味の推進をやっておりますけれども、やはりそういう推進をやりながら、いかに国保の財政を安定化させていくか、これが国保にとっては大変な負担になっておる。努力はいたしております。今後も当然医療費の適正化なり努力はすべきだと思っておりますけれども、例えばその結果をマクロで申し上げますと、健保組合がいわゆるレセプト審査等々で相当の附せんを返しておるとおっしゃいますが、被用者保険の審査は、これは支払基金がやっております。それから国保の審査は国保連合会がやっております。このマクロで見た場合の支払基金の査定率と国保の連合会の査定率は同じであります。これは達観論として申し上げればそういうことでありますし、その間にいろいろな努力が払われておるということであります。
○菅委員 どうもありがとうございました。
○山崎委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼申し上げます。(拍手) 次回は、来る十三日火曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時三十二分散会