社会労働委員会 第13号
- 発言数
- 300 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1986/04/17
会議録
○山崎委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及び森井忠良君外十三名提出、原子爆弾被爆者等援護法案の両案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小渕正義君。
○小渕(正)委員 まず初めに、厚生省からいただいた原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の参考資料の三ページのところに被爆者健康手帳の交付の数が出ておりますが、ここ二、三年の被爆者健康手帳交付者の申請件数がどの程度で、実際に認定されたり、交付されたのはどの程度か。ここ二、三年の状況についての説明をひとつお願いしたいと思います。
○仲村政府委員 被爆者健康手帳の交付件数の最近の推移ということのお尋ねでございますが、全国ベースで申し上げますと、五十九年が五千三百件くらいでございます。五十八年が四千四百件くらいでございます。 特に長期にわたる交付件数の過半を占めております広島、長崎両県市について見ますと、ちょっと細かい数字になりますが、五十五年度が三千百二十件、五十六年度が三千百八十八件、五十七年度が三千八百六十四件、五十八年度が二千七百四十五件、五十九年度が三千百五十一件ということでございまして、平均して毎年三千二百件程度の交付という状況でございます。
○小渕(正)委員 今お話しありました、大体毎年三千件程度新たに交付しているということで理解していいわけですか。
○仲村政府委員 ただいま申し上げました数字につきましては、広島、長崎両県市の数字でございまして、全国でいいますと五千件くらいということで御理解いただければと思います。
○小渕(正)委員 それでは、大体年五千件くらい交付がされて、現在総数が、これは六十年三月現在で三十六万七千三百四十四人、こういうふうに理解していいわけですね。
○仲村政府委員 御指摘のように、そういう結果、六十年三月三十一日現在で三十六万七千三百四十四人という方が健康手帳を交付された数字でございます。
○小渕(正)委員 申請されながらなお認定されないで、現在また申請のままで、受け付けられたままで認定されていないものが大体どの程度ありますか。まあ申請されてから長いのは何年くらいになるかわかりませんが、大体そこらあたりどのような形で処理されているか。その状況を簡単にお願いします。
○仲村政府委員 申請件数と交付件数の比率で申し上げますと、七五%から八〇%は交付をされているという状況でございます。
○小渕(正)委員 七五%程度は申請されたら認定されて交付されているということでありますが、これはどうなんですか、申請されて認定できなかった場合、却下ということはみんな一応本人に返す、それでなおまた再度申請が出てくる、こういうことの繰り返しになっているかどうか。その点いかがですか。
○仲村政府委員 同一人が繰り返しということではなくて、新しい方も含めた数字でございます。新しい方が申請されて交付される率が七五から八〇%、こういうことで御理解いただきたいと思います。
○小渕(正)委員 それでは、これはちょっと事前のあれに申し上げてなかったのですが、新しく申請されて認定されるというケースと、数回にわたって申請しながら認定されない——まあ認定されるケースもありましょうが、大体そこらあたりの実情はどうなんですかね。いまだに新しく申請されるケースというのは大体どういうケースが多いのか、その点を含めて状況をもう少し説明していただきたいと思います。
○仲村政府委員 まことに申しわけございませんが、個々のケースについては、ちょっと私どもとしては実情を把握しておりませんので、御勘弁いただきたいと思います。
○小渕(正)委員 新たに申請として出されてくるケースというのは大体どういうケースが多いのですかね。今ごろになってまだそんな、どんどん出てくるということ自身が、どういう状況でそういうことになるのか、ちょっと理解できない面も一部あるのですけれども、そこらあたりの状況はどうなんですか。
○仲村政府委員 個々のケースについて、先ほど申し上げましたように統計をとっておるわけではございませんけれども、今お尋ねの点につきましては、例えば子供さんが結婚したから新たに手帳を申請されるとか、そういう個々の事情で大分違うようでございます。
○小渕(正)委員 この問題、また別の機会にもう少しいろいろ議論をしなければいけないかもしれませんが、とりあえずきょうは時間がございませんのでやめておきますが、この皆さんの出された資料の中で「医療特別手当等の支給実績」の中の健康管理手当、これの支給対象人員が昭和五十六年、七年、八年、九年というふうに微増といいますか、逐次ふえている数字になっているわけであります。一般的な概念として私たちが理解しておったのは、被爆者の方はだんだん高齢化していって、だんだんお亡くなりになっていくケースがあるので、どちらかというと数は縮まって減ってくる傾向にあるんだということを一応一般的には理解しておったわけでありますが、そういう傾向からいきますならば、こういう健康管理手当が少しずつでもふえていくという傾向は一体何を意味しているのか、その辺についてはどのように判断されておりますか。その点のお考えをお聞きしたいと思います。 〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕
○仲村政府委員 おっしゃるように、一番ふえておりますのが健康管理手当でございますが、これは御承知のように、中身といたしましては幾つかの疾患グループがございますけれども、特に数が多い疾患グループを申し上げますと、循環器の機能障害、高血圧でございますとかそういうもの、あるいは運動器の機能障害、関節とか骨とか。したがいまして、こういういわゆる老人性と申しますか慢性の疾患でございまして、そういう疾患はある意味では完治しにくいわけでございまして、被爆者の方が高齢化してまいりますとどうしてもそういう形で疾病の数としては累積をする傾向にある、こういうことで私ども理解しております。
○小渕(正)委員 この数字は明らかに被爆者の方たちが年を召されるというか高齢になるに従ってほとんどこういった症状が出てきて、全員がそういう対象になるような一つの傾向を示しているのではないかというふうに思います。だから、先ほど申し上げましたように、大体被爆者の方たちもだんだんお年になりましてお亡くなりになるケースが多いわけでありますが、そういう中でも、逐次逆に若い人が年をとるに従ってどんどんこういう症状になって対象人員がふえてくるということが一つの傾向を示しておるというふうに私は思います。 そういう点からいきますならば、やはり被爆者に対するこれらの手当のあり方といいますか、健康管理手当、保健手当、特別手当がありますが、ともかく被爆者の中には、結果的にはお年を召されればこういうもの全部が対象になっていくというふうな状況を示しているということは何を物語っているかということを考えますならば、当然もう少しここらの手当の状況についてももっとメスを入れて充実させるようなことが考えられてしかるべきじゃないかと思いますが、そこらあたりについての御見解をお尋ねいたします。
○仲村政府委員 いわゆる高齢化に伴うこういう疾患の増加ということで私どもとらえておるわけでございますけれども、健康管理手当をとりましても今おっしゃいましたようなことがあるわけでございますので、私どもといたしましても、こういう病気をお持ちの方々、例えば循環器と運動器を両方合わせまして六十年の三月現在で申し上げますと約八割弱でございますけれども、かなり多い疾患グループを占めておりますので、こういう方々に対してより適切な治療が行われるように私どもとしても期待しておるところでございます。
○小渕(正)委員 次に移りますが、毎年この社会労働委員会で原子爆弾被爆者に対する特別措置に対する議決の中で附帯決議が行われるわけであります。今回も一応それぞれ内容的に準備されたものを拝見いたしましたが、大体ことしの分と昨年度の社労委で決議された中身はほとんどが大差ない、中身が同じでありまして、一と十一が新しく変わったようでありますが、大体ここに附帯決議として、社労委員会の中で附帯決議されていることが毎年毎年同じ内容をそのままというような状況で極めて残念なことであります。昨年のこの附帯決議の趣旨に沿って厚生省行政当局としてどのように具体的にその実現その他のために前向きに努力されたのか、昨年の附帯決議の項目ごとの中でそれぞれ個々の取り組みの状況をひとつ示していただきたい、かように思います。
○仲村政府委員 昨年のこの委員会で御採択いただきました附帯決議でございますけれども、私どもといたしましてもその取り扱いについては誠意を持って検討したつもりでございます。 内容的に申し上げますと、まず、特に昨年御強調いただきました死没者調査でございますけれども、この実施については被爆者実態調査に合わせて実施するということのほかに、いわゆる埋没しております資料を収集するための関係者による委員会を設けるなどいたしまして、現在死没者調査についてはその作業を実施中でございます。 それから、六十一年度の予算におきましては、広島の原爆病院の改築に要する費用に対する補助を行うことを決定いたしました。 また、いわゆる原爆臨調でございますけれども、これにつきましては十七億円を計上させていただいております。 それから、いろいろの手当の改善につきましては、現在ここで御審議をいただいておるとおりで、その手当の改善についても努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。 そのほか、原爆放射線の研究体制の整備充実でございますとか家庭奉仕員派遣事業あるいは相談事業の充実等についても引き続き努力をしてまいりたいと考えております。 御指摘ございました全体の附帯決議の内容につきまして、私どもといたしましてもその趣旨を十分尊重いたしまして個別の問題につき検討を加えてその実現に努力してまいりたい、このように考えております。
○小渕(正)委員 被爆者の実態調査については六十年度の国勢調査と同時に行うということで、これはそのまま前向きに取り組まれたことはわかります。しかし、その後の問題で、五の原爆病院の整備改善の中で病院財政の助成に十分配慮すること等については、今回六十一年度予算で広島関係の病院については十七億の新しく予算措置を講じたということが一つですね。 あとは被爆者に対する諸給付について努力されたと言うが、これは全体的な老人福祉その他生活保障福祉の手当の恩給その他の関連の中で自動的に上がるだけの内容であって、その中身が改善され努力されたということではないのではないですか。被爆者に対する諸給付についてはそうでしょう。要するに、これは率先してそういうことで具体的に取り組んだのではなしに、全体の恩給その他あらゆるそういうものの国のあれが上がるのに準じて、ただそれを上げただけであって、その中身の改善その他そういうものはされていないのではないかと思いますが、これは私が理解不足かどうか、その点をまずはっきりしていただきたいと思います。 それから放射線影響研究所その他、これらの対策について前向きに取り組みをされていると言うが、具体的に六十年度予算よりも六十一年度予算でどのように措置されてきておるのか、それはただ精神論だけでなしにそういう中身のものについて具体的なものがあれば示していただきたい。 それから、先ほど言われた家庭奉仕員制度その他、これは具体的に、では前年度よりどれくらい充実した措置としての対策が盛り込まれたのか。精神論だけでなしに具体的な事実関係、そういった一つの裏づけ的なものの中で少しお示しいただきたいと思います。
○仲村政府委員 先ほどちょっと申し上げた広島の原爆病院につきましては、先生十七億とおっしゃいましたが、これは老人のいわゆる臨調、臨時調整交付金の方が十七億円でございまして、広島の原爆病院の改築に要するものについては、六十一年度分として三億円を計上しております。 それから施設関係で申し上げますと、原爆ホームの運営費については総額で三・四%の増額を図っておるところでございます。 それから手当でございますけれども、これは公的年金の方が上がることによって私どもの被爆者の手当についても上げるということで努力しておりますし、所得制限につきましても支給率を維持するということで私どもとしても努力したということでございます。 そのほか、原爆被爆者の保健福祉施設の運営費について申し上げますと、十億六千九百万円が十一億六百万円、それから、家庭奉仕員につきましては月額十一万九千三百三十円のものを十二万六千五百四十円に上げまして、全体の額を八百十一万四千円から八百六十万五千円にということで増額をしております。相談事業につきましても、二千九百九十九万五千円から三千三百十四万円に増額をいたしております。
○小渕(正)委員 細かい数字で恐縮ですが、奉仕員の金額が上がったのはわかりますが、増員はされたのかどうか。 諸経費が上がっていくわけですから、金額が上がるのは、言い方はちょっと雑ですが、当たり前のことと言えばそれまでです。だから、先ほど言った被爆者の諸給付の問題と、今の奉仕員関係は、充実させてくれということは要するにもっと増員して中身の濃いものにしてくれということです。 そういう意味で、細かい点になりますが、この二点についてもう少し御説明いただきたいと思います。
○仲村政府委員 家庭奉仕員の派遣事業でございますが、先ほどお答えいたしましたように、これは月額の単価が上がったための予算全体の増額でございまして、増員についてはことしは実現しておらないわけでございます。 手当でございますが、これは六月実施を四月に繰り上げるというようなこともやりましたけれども、今お尋ねのような趣旨で申し上げれば、公的年金と一応連動してと申しますか、そういう形での引き上げを図りたいということでございます。
○小渕(正)委員 六月実施を四月に引き上げるという意味での努力をされていることはわかりました。 これは小さなことでしょうけれども、家庭奉仕員なんかの問題は、金額もでしょうが、そういう相談員の人たちをもっとふやしていただいて遺憾なきを期すようにというのがこの附帯決議に盛られた内容だと私は思います。そういう意味では、ことしもまた同じような内容が附帯決議の中に盛り込まれる予定のようでございますので、ぜひそういう角度からもっとよく取り上げていただきたい、かように思います。 次に移ります。 昨年の、六十年の国勢調査と同時に実施されました被爆者実態調査ですが、調査した結果、現在いろいろ集計がされていると思います。これは、ほぼ対象になられる人たちからの協力を得られて、一応所期の目的の中で現在解析、集計等が行われておるのかどうか、そこらあたりの状況を御説明いただきたいと思います。
○仲村政府委員 被爆者実態調査の進捗状況についてのお尋ねでございますが、生存者調査につきましては六十年十月三日に実施させていただきました。 その後私ども、この委員会の先生方の御指摘もございまして、当初決めました締め切りの期日も繰り下げまして、御返答いただいた情報についてはできるだけ調査の中に繰り入れるということでやったわけでございますが、おかげさまをもちまして八六・七%ということで非常に高い回収率であったと私どもなりに評価しておるわけでございます。 その作業の現在の状況でございますけれども、個々の調査票からコンピューターの方へ入力しておる段階でございます。今後のスケジュールといたしましては、これらの調査票の集計、解析を行った後、被爆者の実態調査委員会でさらに分析を行っていただくというような手順を経まして、できますれば六十一年度中にはその結果報告を取りまとめたいというふうに考えております。 一方、それと並行して行いました死没者調査でございますけれども、生存者調査の項目の中に調査項目として含めた事項についての情報につきましては現在取りまとめ中でございまして、これを広島、長崎両市にございます動態調査とチェックするというような作業をする予定でございます。 また、先ほどもちょっとお答えの中で触れましたけれども、死没者調査の一環として、埋没しておる関係資料等につきましては、昨年末に私どもと広島、長崎両県市で協議の場を設けておりまして、そこで、どういう埋没資料が考えられるか等いろいろ協議をしていただいておると同時に、広く国民一般の方々にも情報提供を呼びかけるというふうなことでできるだけの資料の発掘、収集を行いたいということで現在作業を行っているところでございます。できるものから順次収集に取りかかっていきたいと考えております。
○小渕(正)委員 そうしますと、生存者調査が取りまとめられ、発表できる段階は六十一年度中ということは来年の三月ごろまでということですね。死没者関係についてもそのくらいのところになりますか、もう少しずれていきますか、その辺のめどはいかがですか。
○仲村政府委員 生存者調査につきましては、六十一年度中をめどにまとめる方向で努力しております。 死没者調査につきましては、資料の発掘、収集の状態にもよりますので、六十一年度中というよりもう少しずれると思いますけれども、できるだけ資料を収集するという目的に沿って作業を進めてまいりたいと思います。
○小渕(正)委員 次に移ります。 現在の被爆者諸対策の中で、特に爆心地二キロ以内の直接被爆者対策ということについてもう少し重視して考えるべきではないか、そういう関係者の方からの非常に強い御意見等が寄せられておるわけであります。 当初スタートしたときは、爆心地から二キロ以内というのが被爆者手帳交付の一つの大きなめどになっておりましたが、こういう非常に総括的な被爆者ということではなしに、爆心地から二キロ以内くらいにおられた人たちについてはもう少し特別な配慮が必要ではないか、昨今はこういうような非常に強い要望が出されているわけでありますが、この件についてどのようにお考えなのか、お伺いいたします。
○仲村政府委員 近距離被爆者の対策についてのお尋ねだと理解いたしますけれども、御承知のように、いわゆる基本懇の答申におきましても、その点、重点を置くべきであるという御指摘を受けたわけてございます。私ども、これを受けまして、認定疾病患者に対する医療特別手当を手厚いものにすること、それから原爆小頭症の手当を設けること、それから、二キロ以内の被爆者に対しまして疾病の有無にかかわらず保健手当を支給するということで新しくその制度を行ったところでございます。これらの手当の額につきましては、先ほどもお願いいたしましたような形で今回引き上げをお願いしているところでございます。
○小渕(正)委員 特に、この近距離被爆者と言われている爆心地から一・五キロないし二キロ以内の人たちについては、今の状況のいろいろな諸手当の実施状況等から見るならば、もっともっとそういう点では特別な配慮があってもいいんじゃないか。私も、当時の状況を実際に知る者としてはそう思います。したがいまして、これは、これからもそういう強い期待があるということでぜひひとつお酌み取りおっていただきたいと思います。 それから、これは前にも申し上げたのですが、今、数はわずかでございますが、小頭症の方ですね、この方たちは、現在この数字でいきますと、五十九年度は二十四名ということになっております。まだ御家族がおられるときはいいわけでありますが、御家族がというよりも、御両親、親族の方たちが高齢化していっておらなくなった場合に、だれが一体面倒を見ていくかということで、この人たち、数はわずかでございますけれども、非常に将来に対する不安が実はあるわけであります。こういう点については、国としてきちっと一つの方針を出して最後までお世話するということがはっきり出されないものかどうか、その点についてのお考えをお聞きいたします。
○仲村政府委員 お尋ねのように、二十四名という方が現在原爆小頭症ということで手当を支給されておる数字は私どもも把握してございますが、おっしゃるような事態も起こり得るわけでございますので、私どもといたしましては、福祉施設を御紹介するなりいろいろの形で援護できるような工夫をさらに考えてみたいと考えております。
○小渕(正)委員 時間がございませんので、次に移りますが、所得制限撤廃の問題は、毎回毎回機会あるたびに言われているわけでありますが、どうなんですか。どこまで本当に真剣に行政当局としてはこの問題について取り組まれたのか、そこらあたり状況を少し詳しく御説明いただきたいと思います。
○仲村政府委員 各種手当の所得制限の関係でございますけれども、御承知のように、医療特別手当等放射線障害の程度の大きい方々につきまして支給される手当については、所得制限は設けておらないところでございます。障害に対する給付という性格がございますので、現にそのような状態にない方々についての所得制限を撤廃するということは、私どもとしてはちょっと無理ではないかと考えております。 現在の所得制限は、本年で申し上げますと、標準四人世帯で八百七十八万円という所得制限の額でございまして、これは先ほどもお答えいたしましたけれども、支給率を維持するという観点で、特にこういう形で上がっているわけでございます。そのような形で私どもとしても努力をしておるつもりでございます。
○小渕(正)委員 それから、これはいつも毎年予算編成のときに問題になるわけでありますが、特に広島、長崎両県市がいつも強い要望をしているわけでありますが、要するに老人保健法が制定されましてから、老人保健法に関係する被爆者の医療費の問題についてそれぞれが地方負担になって、地方の県市の実は大きな負担になっているわけであります。この点は老人保健法がなかった場合には、そういうことは一切なしにすべて国の負担でやられておったわけでありますが、老人保健法が施行された結果として、結果的にこういう老人の被爆者の医療費が県市の地方負担になったわけであります。その解消のために再三予算編成時にお願いしておるわけであります。なかなか地方財政、特に長崎、広島にしてもそれぞれ財政は余り裕福でないわけでありますが、そういう中でまだまだ解消されないで負担が強いられておるわけであります。 そういう点で、これは本来ならば法律的な中できちっとすべきだと思いますが、現在は一つの特例措置みたいな形の中で予算化されておりますが、この点、根本的な解消策についてひとつ前向きに考えていただけないものかどうか、その点、いかがでしょうか。
○仲村政府委員 老人保健法が施行されました際に、おっしゃるようなことが起きたわけでございまして、財政負担が急に増加する広島、長崎の四県市、それからその周辺の市町村について、先ほどもちょっとお答えさせていただきましたけれども、老人保健の臨時財政調整補助金というのを交付しておるわけでございます。おっしゃるように予算措置でございまして、先ほどもお答えいたしましたけれども、六十一年度におきましては、対前年度に比較いたしまして一億五千万を増額させていただいて十七億円の予算を確保いたしたところでございます。 現在、私どもといたしましては、当面この予算措置で対応してまいりたいと考えております。
○小渕(正)委員 時間がもう来ましたので、これだけにかかるわけにいきませんので、次に移ります。 今井厚生大臣は、前からこの社会労働委員会でずっと筆頭理事をなさっておった関係からも、これらの問題、ほとんど知り尽くされておると思います。特に今長崎の場合を例に出して申しわけございませんが、被爆地域の是正問題、これは非常に長い間の懸案でございますね。大臣も御承知のように、行政区域で仕切ったものだから、東西、南北、六キロと十二キロと非常に大きな地域差がございまして、結果的には非常に不均衡になっておるわけでありまして、この点だけはもう最後の一つの是正としてぜひやってもらいたいということは、もう再三再四それぞれ機会あるたびにやっておるわけでありますが、残念ながら前向きになかなか取り組まれてないわけであります。 どうなんでしょうか、これはもう、この原爆医療関係のこういった議論をする際は必ず、この被爆地問題が消えない限りこの問題は消えないわけでありますので、もう大体何らかの形での前向きな決着をお願いしたいと思いますが、その点、大臣いかがでしょうか。
○今井国務大臣 この問題は、私も当委員会に長くおりましたからよく存じておるのですが、これは、当初やりましたときに要するに既存の行政区画の範囲に合わせて考慮したものですから、あの長崎という町が、先生御案内のように南北に長いものですから、そういう形になってやっておるわけでございます。その後、いろいろまた、残留の放射能調査とかなんとかを調べてみましたが、やはりどうしても、今先生おっしゃいますお気持ちはよくわかるのですが、新たにこの地域を拡大するという根拠はなかなか得にくいものですから、これはひとつ御勘弁をいただきたいなというふうな気持ちでございまして、先生のお気持ちはよくわかりますが、ひとつ御了解をいただきたいと思うものでございます。小渕(正)委員 拡大じゃないんです。是正なんですよ。間違わぬようにしてもらわぬといかぬ。何も広げていこうということじゃない。東西六キロ、南北十二キロと余りにも不均衡なことですから、しかも科学的な根拠は一切ない、だから、何でも決める場合にはそういう問題点が非常にありますが、わずか五メートルか十メートル離れておる地域によって、片一方は対象地域になっている、片一方はなってない、しかも同じ住居の中で。そういうことですから、特にこれはもうどなたが見ても納得性のある問題でありますので、そういう意味で、あきらめるんじゃなしにぜひ前向きに取り組んでいただきたいということを強く申し上げておきます。 それで、時間がございませんので、最後に、大臣、原爆記念日にはそれぞれ広島、長崎にも必ずお見えになられておるわけでありますが、もう今さら私が申し上げるまでもなく、世界唯一の被爆国でありますから、政府自身が、原爆の被爆の実相というものを全世界にもっとわかってもらえるような、そういう意味での努力をしてほしい。単なる広島市とか長崎市だけのそういう運動じゃなしに、やはりこれはほかの国がやろうとしてもできない問題ですから、この問題については、政府自身に、もっと真剣に積極的に原爆の実相をもっと世界の皆さん方にわかっていただくような努力が欲しいと思います。 核兵器反対だとかいろいろやっていますが、その出発点は、何といいましても被爆の実態を皆さん方によく知ってもらうことからスタートしなければいかぬと思いますので、そういう意味で、これは政府としてもっと積極的に取り組む姿勢を示してほしいわけでありますが、その点に対する大臣の御所見をお聞きいたしまして、私の質問を終わります。
○今井国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、被爆の恐ろしさというのを本当に実際に身をもって体験したのは日本しかないわけでございますから、私はいつも申し上げるのですが、広島に行きまして、あの原爆の慰霊塔の中に書いてあります言葉、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」というあの言葉、私は極めて心にしみるものがございまして、そういう気持ちで今後ともやっていかなければならぬ、そのように思っております。
○小渕(正)委員 政府も大いに努力されることを期待いたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
○浜田(卓)委員長代理 浦井洋君。
○浦井委員 昨年の法改正の審議の際に、当委員会で恒久平和への決意及び被爆者対策充実の特別決議をされておるわけであります。その中で、それに答えて当時の大臣である増岡厚生大臣は、「政府といたしましても、その御趣旨を十分理解し、原爆被爆者対策の充実に取り組んでまいる所存でございます。」こういう発言をしておられるわけであります。 その恒久平和というためにどのように取り組んでこられたのか。厚生大臣としてあるいは中曽根内閣の国務大臣としてどう取り組んでこられたのか。ひとつ今井厚生大臣に、今井国務大臣にお伺いをしたいと思います。
○今井国務大臣 言うまでもなく、我が国が第二次大戦のときに受けました広島、長崎の原爆による悲惨さというものは、私だけじゃなくて、全国民一様に重く心にのしかかっているものでございます。したがいまして、六十年の五月三十日に、恒久平和への決意及び被爆者対策充実に関する件の決議がなされておるわけでございまして、こういう決議の趣旨そのものが本当に私の気持ちでございますし、「一度とあのような惨禍に見舞われることのないよう改めて恒久平和への決意を表明するとともに、政府は、死没者を含めた実態調査を行い」云々ということでございますので、この決議を重々しく心に受けとめておるものでございます。
○浦井委員 重々しく受けとめておられるという、言いたくても言えないという苦悩が非常ににじみ出ているのだろうと思うのですが、去年は被爆四十周年でありました。ことしは四十一周年ということでありますけれども、考えてみますと、一九四六年一月二十四日にロンドンで第一回の国連総会が開かれて、そこで、原子兵器及び大量破壊に応用できるその他一切の主要兵器を国家の軍備から廃棄すること、これを内容にした第一号の決議が満場一致で採択されて、それからちょうどことしは四十周年になるわけであります。 ところが、現実には米ソ超大国を中心にしてもう際限のない核兵器の拡大が繰り返されておる、そういう道をたどっておる、私は非常に残念に思っておるわけであります。既に五万発の核兵器がこの地球上にあるという、人類の生存さえ脅かすような存在になってきておる、こういう現状について国務大臣としての今井厚生大臣はどう考えておられるのですか。
○今井国務大臣 私は、原爆というまことにむごい被害に関します行政を所管するものとしても、また私個人といたしましても、核の惨禍というものが二度と繰り返されてはならないというふうに心から願っておるものでございます。 特に広島や長崎の原爆の被害を私も実際写真等で拝見をいたしておりますが、こういうものを拝見するにつけても、力を合わせて平和を求めていくということに努力をいたさねばならないと思っておりまして、我が国の国是である非核三原則というものを堅持して、核の廃絶を目指して外交努力を傾注していくことが極めて肝要なものだと考えております。
○浦井委員 大臣は非核三原則、核兵器の廃絶ということを言われるわけでありますけれども、それは個人としてのような感じがするわけなんですね。今、個人としても個人としてもというお言葉が出てくるのでありますが、やはり政治家として、日本の政治を担当しておる中曽根内閣の国務大臣として責任のある発言をしていただきたいというように私は思うわけであります。 事実、核戦争の阻止であるとか核兵器の廃絶、これを願う声が全国的に高まっておる。自治体でいいますと、非核平和都市宣言あるいはそれを決議した議会を持っておる自治体の人口は日本の全人口の過半数を突破しておるわけであります。六千七百万人であります。そういう大きな高まりがある中で、恒久平和のために核戦争の阻止、核兵器の廃絶ということで具体的に中曽根内閣としてそれにこたえていかなければならぬのではないか、私はそういうふうに思うわけなんです。そういう点で、重々しくとか個人的にとかということで逃げるんじゃなしに、真っ正面から国務大臣として答えていただきたいと思う。
○今井国務大臣 私が個人としてということを申し上げたのは、私の感想を核の惨禍が二度と繰り返されてはいけないという意味のことで申し上げたわけでございまして、閣僚としては我が国の国是でございます非核三原則、これをかたく守りまして、核の廃絶を目指して外交努力を傾注していく。これは一人の閣僚としての私の努力の決意のもとを述べたつもりでございます。
○浦井委員 そこでお尋ねをしたいのですけれども、いわゆる原爆二法、医療法と特別措置法、ここには原爆の惨禍を再び繰り返してはならないという核廃絶の精神が盛り込まれておるんでしょうか。これはどうですか。事務当局で結構ですよ。
○仲村政府委員 ただいまお尋ねの原爆など核による惨禍が二度と繰り返されてはならないということは、我が国国民すべて、あるいはさらにもっと広く人類共通の願いだと私ども考えておるところでございまして、現在の原爆二法の制定の背景といたしましてはそういう考え方があったと考えますけれども、具体的に法律に規定されているものではないというふうに理解しておるところでございます。
○浦井委員 大臣、今の仲村局長のお話がよくおわかりだろうと思う。背景には核廃絶の精神は盛り込まれておると思うけれども、具体的にはない。だから原爆二法という格好になっているわけですね。だから、去年まで野党各党が一致をして提出してきておる被爆者援護法案というものをやはり一刻も早く被爆者の立場に立って制定をしなければならぬ必要性がここに出てくるわけなんです。大臣の御所見を伺いたい。
○今井国務大臣 この問題については、さきの委員会でも申し上げましたが、被爆者援護法につきましては二つの点で問題がありまして、政府としてはこれを制定するということは考えていないのだということを私は申し上げたわけでございます。 その一つは、繰り返しますが、原爆で亡くなられました方の遺族に対しまして、遺族であるという理由で補償を行いますことは一般戦災者との均衡上問題があるということでありまして、第二点は、国に戦争を行ったなどの不法行為責任があり、これに基づく国家補償を行うというこの二点でございます。 〔浜田(卓)委員長代理退席、高橋委員長 代理着席〕
○浦井委員 大臣、よく考えていただきたいのですが、きょうは被爆者の方もたくさん傍聴に来ておられる。被爆者援護法制定を願って我々の審議を見詰めておられる。そこで厚生大臣が被爆者援護法の制定は考えておらないと言うことは、これはこんな無残なことはないと思うわけであります。 それで、次の質問ですけれども、今も同僚議員から発言がありましたが、もうここ数年ほぼ同じ内容の附帯決議が行われておる。附帯決議というのは、それを受けて政府はその実現のために努力をしなければならぬ。これは当然のことであります。昨年は特にそういう特別決議も一緒についておるということで、被爆者対策の充実をやはり積極的にやらなければならぬと思うのでありますが、去年どことしと比べて一体どういう充実を具体的にされたわけですか。
○仲村政府委員 昨年の五月に特別決議をいただいたわけでございまして、そこで指摘されました被爆者実態調査につきまして全国的規模でその実施をいたしまして、現在、先ほどもお答えをいたしましたけれども、集計の途中にあるところでございます。 それから附帯決議につきましては、昨年特に強調されました死没者調査の実施でございますけれども、被爆者実態調査とあわせて実施するという調査の方法のほかに、埋没されております資料を収集する等のために関係者による委員会を設けて、さらに資料の収集に努めるということで現在作業をしておるところでございます。 それから六十一年度の予算でございますけれども、広島の原爆病院の改築に要する費用に対する補助を行うということを決定いたしておりますし、いわゆる原爆臨調、老人医療費の増高分についての市町村負担の軽減ということでございまして、これについては十七億円を計上いたしておるところでございます。 それから、いろいろな手当の改善につきましては、現在法律案として御審議をいただいておるところでございますし、所得制限につきましても、支給率の維持という観点からその引き上げを行う予定にしておるところでございます。 その他、原爆放射線の研究体制の整備充実、あるいは家庭奉仕員派遣事業あるいは相談事業の充実等についても努力をしたと考えておるところでございます。 今後とも附帯決議の趣旨を十分に尊重いたしまして、個別の問題につきまして検討した上でその実現に努力をしてまいりたいと考えております。
○浦井委員 いろいろ羅列をされたわけでありますけれども、二・七%のアップというのは、これは年金横並びで当たり前のことであって、我が党としては去年のような積み残しかないので賛成はいたしますけれども、これは当然のことであります。死没者調査が、これは後で質問をしたいと思うのですが、これが去年どことしにかけてやられる、こういうことであって、私は去年の附帯決議や特別決議に必ずしも十分にこたえておるというふうには思えないわけであります。 私、ここに「原爆犯罪」という本を持ってきておる。これは「被爆者はなぜ放置されたか」という副題がついておりまして、椎名麻紗枝という婦人弁護士が書かれたものです。非常によく事実を調査されておるし、弁護士として理論的にも新しい分野を切り開かれておる。私も読んでみて教えられるところが多かったわけであります。 質問として、まず基本的なことをお伺いしたいのですが、アメリカの八月六日、九日の原爆投下というのはやはり国際法に違反する行為ではないか、これについてはどうですか。
○仲村政府委員 核兵器を使用しますれば、大きな破壊力あるいは殺傷力があるわけでございまして、国際法の根底にございます人道主義の精神には反するというふうに私ども考えますけれども、国連憲章を含みますいわゆる実定国際法で核兵器の使用を禁じているかといいますと、そこまではいえないということで、従来から政府が見解として申し上げているところでございます。
○浦井委員 例年同じような答えが返ってくるわけなんですが、反人道主義的ではあるけれども実定法では決められておらない、禁止されておらない、こういうことでありまして、これが政府の言い分、やはりことしも繰り返したということを確認をしておきたいと思うのです。 そこで、その原爆を投下したアメリカが、原爆投下直後からの被爆者の救援を一体どうしたかという問題を私は取り上げたいわけであります。 この「原爆犯罪」という本をずっと読んでみますと、昭和二十年九月八日に医薬品を一回運んだきりなんです。それから長崎へは医療班の派遣はしておらない。広島にも、組織的にはしておらない。それから、医療救援をしなかったばかりか、むしろ逆にこれを妨害したというような事実がだんだんわかってきておるわけなんです。被爆直後あるいは敗戦直後に至るまで十分な医療救援が行われておれば、一九四五年九月以降数万人の被爆者のとうとい命が救われていただろうというふうに言われておるわけなんです。 それで尋ねますけれども、こういうような事実を確認できますかどうか。それからアメリカの妨害というものに対して日本政府はその当時一体何をしたのか、今から四十年前、このことについてお尋ねをしたいと思うのです。
○仲村政府委員 何分にも四十年前ということでございまして、私どもといたしましても資料を持ち合わせておらないのが実情でございます。日本政府がどのような対応をしたかということについての具体的な内容については、私どもとしても現在お答えする材料がないわけでございます。
○浦井委員 ないわけでしょう。 それで、こういう事実をどう考えるかということについて、ひとつ大臣にお答えを願いたい。
○今井国務大臣 先ほど局長が御答弁申し上げましたが、私は現在時点におきまして、その間の事情について正確な判断を下すのは極めて困難であろう、これが実情であろうと思います。 しかしながら、いずれにいたしましても、当時の混乱の状況、事態については私も深く胸の痛む思いがするものでございます。
○浦井委員 こういう事実を大臣は知っておられるだろうと思うのです。原爆報道、これをプレスコードだということで、日本語でいえば新聞遵則、原爆の災害の秘匿をやっておる、一九四五年の九月の十九日に。それから、原爆の被害の模様を映したフィルムを没収しておる。あるいは、数年前に私この委員会で取り上げましたけれども、ここにも持ってきておりますが、大佐古一郎さんという方がずっと綿密に聞き取り調査をやっておられる中に、ICRC、国際赤十字から派遣されたマルセル・ジュノーというお医者さん、この方が医療救援活動をやろうということで大わらわの奮戦をされるわけでありますけれども、国際赤十字まで連絡の電報を打つのに占領軍が妨害をしたというような事実がここに書かれております。 それから、原爆の資料はアメリカ軍が取り上げる、あるいは医学的な研究の公表を禁止するとか、あるいはこれは証拠がもう一つはっきりしませんけれども、一九五一年にイタリア政府が企画をいたしまして原爆に関する国際医師会議を開こうとしたところが、これがなぜか知らぬけれども、その明くる年に中止に至っておるというような事実がある。だから、こういうことで原爆の実態が知られずに、むしろ、もう死ぬべき人は死んでしまった、残っている人は健康なんだというような、そういう世論誘導が行われておる。当然、いろいろな治療法の究明がおくれるとか、助かるべき人さえもみすみす亡くなられておる。こういうようなことを、大臣、御存じですか。
○今井国務大臣 今、米国の、本のお話をもとにして言われておりますが。私、まだその本を読んでいないものですから内容についての熟知はいたしておりません。したがって、そういういろいろなお話の中身については私は熟知してない、こう申し上げざるを得ないわけでございます。
○浦井委員 厚生大臣、この本で初めてわかった事実ではないわけですよ。本を読まなかったから熟知していないということでは、世界で唯一の被爆国である日本の厚生大臣としては、これは極めて遺憾だと私は言わざるを得ないわけなんです。こういうことはちゃんと知っておいてもらわなければいかぬ。 きょうは厚生省だけですから、余りこの国際法違反の問題について質問する予定はないのですけれども、この中に、被爆者救援の活動に対する妨害までもあるわけです。例えばこの「原爆犯罪」、ここの百三十六ページに、大原先生おられるからよく御存じだろうと思うのですけれども、「被爆五周年を迎えた一九五〇年八月六日当日は、市警広報車がサイレンをならして走りまわり、県警本部の応援もあって約三〇〇〇人の警察官、機動隊が市の中心部に配置された。また、日本共産党広島県委員会の天適正人氏、三菱広島造船労組委員長は、CICによびだされ軟禁状態におかれた。八月六日を迎えた広島市は、あたかも戒厳令下の様相を呈したという。」そういう中で峠三吉という詩人などは二万枚のビラを準備して、「朝鮮で、原爆を使わせるな」ということを合い言葉に、広島駅前と福屋デパート前の二カ所で集会を開いた。そういうような実態があるわけであります。 そういうような中で、それでは一方日本の政府はどうなのか。日本の政府は、大臣は否定されたけれども、やはり戦争を引き起こした責任がある。そしてその結果としてアメリカが原爆を落としたということで、やはり責任があると思う。同時に、原爆被害についてアメリカ政府に対しサンフランシスコ条約で請求権の放棄をやっておる、こういう責任があるわけであります。それであるのに、その当時の日本政府の対応の仕方というのは非常に不十分である。被爆者の救済も十分に行わぬ。大佐古さんの武器なき勇者ドクター・ジュノーの話、この本を読みますと、助かると思われた人が五万人ぐらいおられるだろうというような報告さえもあるわけであります。 そこで質問いたしますけれども、原爆の被災直後どういう救援措置をとられたのか、これが第一点。 それから、戦時災害保護法に基づく戦災救急医療というものがなぜか二カ月で打ち切られておるわけなんです。だから、広島であれば昭和二十年の十月五日、長崎であれば十月八日以後は一体どうしたのか。 それから第三点は、そういう被爆者の皆さん方の非常に血のにじむような努力の中で昭和三十二年に医療法ができた。医療は何とかいけるようになった。ところが特別措置法ができたのが四十三年でありますから、この十一年間生活保障というような面で一体どういうことをしてきたのか。その三点についてお尋ねしたい。
○仲村政府委員 先ほどもお答えいたしましたけれども、第一点につきましては、私どもといたしましても現在資料を持ち合わせておりませんので、政府がどのような措置をとったかということについては掌握いたしかねておるところでございます。 それから戦時災害保護法の適用の問題でございますけれども、この法律は昭和十七年に制定されまして、戦災被災者あるいはその家族、遺族に対する救護、救助等を行うために定められた法律でございまして、広島、長崎の被爆当時にも恐らくその適用があったと考えられますが、昭和二十年の十月以降、お尋ねの法の適用期間終了後でございますけれども、その後どのような取り扱いになったかについては現在のところ不明でございます。その後、昭和二十一年に生活保護法が制定されておりまして、被爆者への救助もこれらの一般法の体系の中で実施されたというふうに理解しておるわけでございます。 原爆医療法ができましたのが昭和三十二年、御指摘のとおりでございますけれども、それまでの間に原爆被爆者ということに着目しての特別な制度はなかったわけでございまして、ただいま申し上げました昭和二十一年の生活保護法でございますとか身体障害者福祉法等、一般の社会保障制度の中で各種の措置がとられたのではないかと考えております。原爆特別措置法ができましたのが四十三年でございまして、この精神は、御承知のとおり被爆者の原爆被爆による放射線障害という特別の犠牲に着目して行ったものでございまして、その形で私どもといたしましても特別な援護をしてまいるということで施策を展開してきておるところでございます。
○浦井委員 極めて不十分であります。生活保護法に埋没さしてみたり、あるいは原爆被害を放射能に矮小化してみたり、熱線、爆風というようなものを考えておらぬ、こういう点で極めて不十分であります。 そこでお尋ねしますけれども、去年私がこの委員会で死没者調査をどうするのかというふうに尋ねたら、当時の大臣は白書というような形で結果を発表するというような答弁があったわけでありますけれども、今もお話がありましたが、一体死没者調査がどのように進んでおるのか、もう一遍体系的に簡潔にお答え願いたいと思います。
○仲村政府委員 昨年実施いたしました第三回目の被爆者実態調査でございますけれども、先ほどお答えいたしましたとおり、かなり高い回収率で情報収集できましたので、これの集計、解析に全力を注いでおるところでございます。このような被爆者の方々の調査に対する御熱意を考慮しながら、さらに私どもといたしましては、原爆被爆に関します各種の調査等既存の資料もあわせまして集大成するようにいたしてまいりたいと考えております。 この集大成した結果を私どもが白書という形で公表するかどうかは、さらに検討させていただきたいと思いますけれども、幾多の観点から資料を収集、解析してそれを集大成いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
○浦井委員 どうもあいまいであります。 日本被団協の昭和五十七年から五十九年の死没者調査によると、昭和二十年八月六日、九日に広島、長崎で直爆死された方が三四・二%、それから昭和二十年の暮れまでを直後死ということにすると、それが一八・八%の方、それから昭和二十一年以降に亡くなられた方が四六・三%という数字が出ておる。この直後死とその後の死亡の方、もう過半数でありますけれども、こういう方は私の今まで述べてきた中で、医療体制の中での適切な治療が行われたならば、私は命は救えたというふうに思うわけであります。 そこで、大臣はこの前の週のこの法案の審議の中で、死没者に対し何らかの弔意を表することを真心を持って考えるというふうに答弁されておられる。その弔意というのはわかるけれども、具体的にどういうことをされるわけですか。
○今井国務大臣 ですから、どのような形で弔意をあらわすことができるかということを考えますというふうに申し上げましたので、まだ、その内容についてはどうだというふうに言われましても、今、目下のところどういうふうにすべきかということをいろいろ考えておりますという以上は出ないわけでございます。
○浦井委員 その具体性がなければ被爆者の方も御安心できないということでありまして、例えば被団協の方々が要求しておられるように、一番よいのはやはり死没者の遺族の方に弔慰金をお出しすることではないかというふうに思うわけであります。 仮に弔慰金をここで試算してみますと、弔慰金をお受けになる方が十万人として、援護法で要求している特別給付金、その額を大体お一人で年平均でほぼ二十万ということにすれば二百億円になるわけなんです。今の原爆予算がほぼ一千億でありますから、これを削って二百億を捻出するというのでなしに、今井厚生大臣は建設省の御出身でありますから公共事業のことはよく御承知だと思うのですけれども、二百億円くらいは今の国の予算の中で十分に捻出できるのではないか、こういうふうに私は思うのですが、大臣、やる気はございませんか。
○今井国務大臣 原爆で亡くなられた方の遺族に弔慰金を支給するということにつきましては、金がかかるかということだけではなくて、一般戦災で亡くなられた方の御遺族との均衡という問題もあるわけでございますから、私はそれで極めて慎重な御答弁をしているわけでございます。
○浦井委員 だから、弔慰金をつくるのが一番よいのだということを私は申し上げて、そういう答えが返ってくるだろうと、大臣の態度からそう予想はしておったわけであります。だが、そういうようないろいろな矛盾せざるを得ない答弁をしながら、全体として今井大臣もやはり被爆者援護法というのは必要なんだ、こういうふうに思われておると思うわけなんです。 もう一冊、私は本を持ってきております。「私の被爆者運動」、斉藤義雄さん、これも非常に詳しい本であります。 被爆者援護法制定運動がどういう経過をとってきたかというその一節を、私、書き抜いてまいりましたので読んでみますと、病気を持った被爆者が戦後四十年どのような思いで生きてきたか、被爆者援護法の制定を目指し、どんな苦しい活動を粘り強く続けてこられたか、非常にリアルに書かれておるわけです。 そういう中で、一九七三年、運動の高まりの中で厚生省に座り込みをする。十一月なので、しかも激しい雨が降っておる。中庭にテントを張ろうとするが厚生省は認めない。ずぶぬれになって、凍るような冷たさに耐えて頑張る。五日間座り続けて、とうとう当時の総理大臣である田中角榮が、「私も友人を広島で失った。考えてみましょう」、こういう表明をせざるを得なくなってくるわけなんですよ。で、時の厚生大臣にも会えて、野党も協力を約束をするというような事態になる。こうして被爆者援護法案づくりの機運が高まってくるわけです。 今の被爆者援護法案の歴史について言うならば、昭和四十八年に日本被団協が原爆被害者援護法案のための要求骨子を発表した。そこから始まる。八月に私ども共産党がまずこの要求骨子の支持を表明して、私ども共産党は原子爆弾被爆者等援護法案(要綱)を発表した。それで、九月に日本被団協は社会党さんとも話し合って、現在の社会党が考えている防空従事者関係法には遺族年金等が入っていないため不充分な施策となるので、国家補償の立場を徹底するよう、こういうことで日本被団協の要求骨子をとり入れるよう要請して、そういう大行動の中で社会党さんも要求骨子を支持し、従来の社会党案を改め国家補償に基く被爆者援護法案要綱を発表された。民社党さんも公明党さんもそれぞれ被爆者援護法案を発表し、野党の足並みがそろってくるわけであります。 そして私も、ここにおられる大原さんも、これに一二月十九日に衆議院の議員会館で野党四党共同案の法案審議作成会議が開かれて、日本被団協からも代表が参加され、それから衆議院の法制局の課長さんも来られて一条ごとに被団協の要求を踏まえて、各党も意見を出して、そして検討して、難問にぶつかったときは積極的に被爆者の利益を擁護し、被団協の意見を優先させて、その結果、今の被爆者援護法案というものができたわけです。 だから、斉藤さんも、多年の念願の援護法を各党と共同でつくり上げた喜びと感激は大きかったというふうに書いておられるわけです。そして一九七四年三月二十九日、野党四党共同提案になる被爆者援護法案が衆議院に対して提出された。 だから、振り返ってみますと、やはり被爆者の要求をもとにして被爆者援護法案というのは野党共同でつくり上げられておる。私は、決して一党一派の自由になるものではなく、その中に被爆者の方々の多年の苦しみ、それから粘り強い闘いが反映しているというふうに考えるわけです。この問題は決して軽々しく取り扱ってはならぬというふうに思うわけです。そういう被爆者援護法案を共同提案をした歴史がもう十年を超えるわけです。これだけの大きな運動、被爆者のお一人お一人の思いを込めてここまで来たのを何で政府・与党は放置をしておるのか。 今井厚生大臣、この辺で援護法案をつくるという表明ができませんか。
○今井国務大臣 これはあなたの最初の御質問に答弁をしたことをまたここで繰り返さざるを得ないのでございますけれども、援護法につきましては、政府としては、まず一般戦災者との均衡上の問題、第二点は国に戦争を行ったというふうな不法行為の責任があって、それに基づく国家補償を行うというふうな点で、どうしても私どもは援護法についてこれを制定するということは考えられないということを再度御答弁せざるを得ないわけでございます。
○浦井委員 非常に残念であります。 ここ数年、被爆者援護法案に対して与党の方は採決を避けてきた。それが被爆者に対する良心の踏み絵のような格好になってしまったものですから、そういう中で採決を避けてきた。今理事会が開かれておって各党から修正案が出されておりますけれども、今の政府案に対する修正案として出されておる被爆者援護法案に対する与党の態度が非常に問われるというふうに私は思うわけであります、これは議事録にも残るし、永久的に残るわけでありますから、その点を十分に考えて事に処されることを私は強く要望させていただきまして、ちょうど時間が来ましたので、私の質問を終わらせていただきたいと思います。 以上であります。
○高橋委員長代理 大原亨君。
○大原委員 いよいよ最後の質問者ですが、今浦井委員から話がありましたことで、そのこと自体は共産党中心の動きであると思いますが、その前にも経過があるのでありまして、これは議事録に残りますから、一言申し上げておきます。 私が初めて衆議院に出ましたのが昭和三十三年であります。三十四年の社会労働委員会で、これは岸内閣の当時でありますが、外務大臣の藤山愛一郎君、この方の御出席をいただきまして二時間余り質疑応答をしております。これは今日想像できないことですが、当時の状況です。 国際法の議論をしたわけですが、藤山外務大臣は、毒ガス以上の非人道的な兵器で、無差別爆撃であることを承認いたしましたが、実定法の議論がございます。そこで、国際法の精神に違反をする言うなれば不当な行為である、こういうことについての政府・外務省としての見解は述べたわけです。そういうのを背景にいたしまして、当時、俗に言う五五年体制ですけれども、社会党は昭和三十四年に被爆者援護法案の提案をしておるわけであります。 その当時の議論は、昭和三十二年に医療法ができましたから、医療法では足りないではないか、生活上のカバー、援護が必要ではないかという議論がずっと続くわけであります。そして、昭和四十三年に特別措置法ができたわけであります。ですから、それをめぐりまして今日いろいろ議論がある。その中の一こまを浦井委員が話をした、こういうことでございます。 さて第一は、原爆被災白書をつくれということなんです。 これはずっと各委員からも話がありましたが、昭和五十九年六月二十一円の衆議院社会労働委員会で渡部厚生大臣、あそこに今いた、本人を確認しましたけれども、ちょっといなくなったな。この人は歴代の厚生大臣と少し変わりまして素人というか非常にフレッシュな厚生大臣でありました。今、占領時代の話がございましたけれども、プレスコードの話もありました。それは事実のとおりでございまして、ビキニの水爆実験以来、国民感情が爆発いたしまして、日本は唯一の被爆国、こういう主張をするように歴史的になったわけであります。それで、国会決議がどんどんありまして医療法ができた。それまで死没者の調査をするということは、援護法を制定する上にとってはやはり大蔵省側の主張からいいましても非常に重要な課題であったわけであります。しかし、それは援護法につながるということでなかなかこれを取り上げなかったわけであります。しかし、五十九年六月二十一日に、渡部厚生大臣のときに、やはり唯一の被爆国である日本において被爆の実相というものを科学的にも実際的にも周知徹底しなければならないし、このことを政府として確認し合う、こういうことになったわけであります。これは一つの政治的な決断であります。増岡厚生大臣も、あなたも、引き続いてこのことについては当然であるということを主張されまして作業が進んでおるということでございます。 〔高橋委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、私がいろいろな議論を踏まえて今井厚生大臣に要望いたしますことは、いろいろな経過がございましたが、今度の被爆四十周年、昭和六十年の国勢調査を踏まえての議論でございましたが、実際の方向については今日答弁があるような状況でございます。この被災白書について、厚生大臣としては死没者の調査を含めて、今、日米ワークショップ等のいろいろな議論が出ておりますが、生物学的にも疫学的にも医学的にも、それらを含めて、唯一の被爆国にふさわしい原爆被災白書を集大成してもらいたい、こういう各委員からの強い要望であり、私も経過を踏まえましてそのことにつきまして厚生大臣の見解を聞きたいと思います。
○今井国務大臣 おっしゃいますように、原爆被爆に対します各種の調査を集大成しようということはまことに私もそうであるべきだと考えております。 そこで、今までの原爆被爆に対しますいろいろな調査の既存の資料を集めましてそういうものをまとめたいと考えております。また、今お話がありました被爆者の実態調査についての集計作業に入ったところでございますが、今後、これについての解析を行いまして取りまとめを行いました後、死没者調査の進捗状況を見ながらできるだけ早期に行いたいと思っておるものでございます。
○大原委員 今まで、原爆死没者調査で公的な機関で死没者の発表をいたしましたのは、広島市が昭和二十一年八月に発表いたしましたのが十一万八千六百六十一人、長崎市が昭和二十五年四月に発表いたしましたのが、原爆資料保存委員会の調べで七万三千八百八十四人であります。広島では十三万人余、長崎市では六万人余が慰霊碑に出ておるわけでありまして、これはいろいろな時点でいろいろな角度からのデータをその当時集約したものであります。これ以外に警察が被爆直後に発表したものもございます。それらは、資料集約の時点あるいは条件、機関の立場により違っているわけでございますから、例えば広島市、当時政令都市でない、狭い、市町村からもいろいろな動員をいたしましたり、勤めたり、そういうものが出生地でわかっているわけでございますし、各団体、企業等の資料もありますし、今はコンピューターもございますので、時間的なもの、場所的な問題というものを含めて十分補強して被爆については集大成をしてもらいたい。これは可能な限りという条件がつくと思いますが、そういう点でその点を利用してもらいたいということでございます。簡単にお答えをいただきたい。
○仲村政府委員 原爆による死没者の数につきまして、幾つかの推計がなされておりますのは先生御指摘のとおりでございます。これまでのところ、政府といたしましての推計は、技術上の困難もあり行われていなかったという経緯がございます。 昨年の本委員会におきましても、大原先生を含め各委員から、原爆被害の全体像を明らかにし、その悲惨さについて理解を深める上にも死没者数の把握を行うべきであるという御指摘があったわけでございますが、私どもはその御指摘を受けて今回死没者調査をやっているわけでございまして、俗に言われております埋没資料等各種の資料を発掘、収集いたしまして、御趣旨に沿うような作業をしてまいりたいと考えております。
○大原委員 この作業を進めるに当たりましては、私が一つの経験に基づく意見を申し上げたいと思います。 というのは、私が一昨年、科学技術関係の現地調査でワシントンに参りましたときに、これは日本と比べものにならぬわけですが、国立公文書館、国会図書館、ペンタゴン、それからABCC、放影研に委託をされて経営いたしました学士院、学術会議、そういうところを訪れたときに、こういう問題が一つありました。マンハッタン管区計画、マンハッタン管区調査団の報告、日本の被爆状況について集めた資料が公文書館にあります。膨大な資料であります。 マンハッタン管区計画というのは、御承知のとおり初めてアメリカが原爆を開発してテニアンからB29で日本の広島、長崎を攻撃する、そういうアメリカ側の研究開発から製造、使用に至るまで、その莫大な資料がそこにあるわけであります。日本の国会図書館にも一部リストが来ております。これは公文書館で集約してなくても民間会社が主なものをちょちょっとピックアップいたしまして、二十一ベージぐらいのものでありますが、それをアメリカの国会図書館側に出すような仕組みになっておりますから、日米の国会図書館の交流計画の中で一部が日本に入ったのであります。 長い話は別にいたしまして、民間の文献、十二番目のリールなのですが、その中に一九四五年九月五日から十月二十一日、マンハッタン管区調査団が日本に来たわけであります。これは戦争直後であります。いろいろな調査団、戦略調査団等あるわけですが、当時日本は陸海軍がありましたから、陸軍、海軍で原爆の専門関係と、文部省で東大、ずっとあるわけですが、全部の大学のこれに関係いたしました者、医師等を含めまして、これは都築正男博士等の名前も出ておるわけであります。百十九の機関、団体に占領軍が命じまして、この短期間にデータを集めたのであります。集めてアメリカに持って帰りまして、十一月二十七日に、こういうものを収集してきたということを報告として出しておるわけです。ただし、マンハッタン管区の調査報告は、これは公文書館において整理されていないということを私は現地で確認いたしました。一部だけが出ておるわけです。 そこで、広島の原爆関係でそういう生の資料があるということはわかったわけですが、これはマンハッタン管区計画全体で言いますと膨大な資料でありますが、この部分だけで言いましてもかなり膨大なものでありますが、これは占領軍が原爆を使用いたしました被害の実相を含めてデータを集めまして帰ったわけであります。これについては、私が調査した限りは、厚生省も入手しておりませんし、国会図書館も全体としては入手しておりません。しかし、現地へ参りますと、情報公開についてはアメリカはルールが確立しておりますから、それぞれ二十年、三十年たちますと、一部の秘密的な部面は除きましてデータを調査することができるわけであります。マイクロフィルムに入れることができるわけです。集大成を全力を尽くしてやりたいということでございますので、そうたくさんの人は要らないと思いますが、専門家を入れましてそのデータを、手続をとりますときちっとやってくれますし、厚生省のアタッシェも承知しておりますから、私の調査に協力してくれておりますから、ぜひこれを入れてやってもらいたい、こういう私の希望を申し上げまして、大臣の見解を聞きたいと思います。
○今井国務大臣 今、先生のお話をじっと聞いておりまして、まことにありがたいことでございます。せっかくの先生のそういった、こういうものがあるよ、向こうへ行けばあるのだというお話でございますので、私ども連絡をとりまして御指摘の資料についても十分に検討させていただきたい、こう思っております。
○大原委員 第二の問題ですが、これは今までも森井委員などから質問が出ておりますが、ことしの三月十六日と十七日に広島の放影研、ABCCで行いました日米の専門家の間における合同のワークショップの問題であります。 これはマンハッタン管区調査団の延長線上にある問題です。つまり、研究開発から製造、使用、全部の作業についてマンハッタン管区はやったわけですが、さらに被爆者の後遺症を追求するということで占領軍命令でABCCを設立いたしまして、その後に放影研で日米共同研究ということになったわけです。当時は、占領命令でABCCだけだった。だから、被爆者はモルモットであるという非難を受けたわけであります。私も当時の科学技術の特別委員会で、平泉君が長官をしておられましたが、二時間余り研究調査のことについて議論をいたしたことがありますが、その直後、日米共同研究になりまして、広島放影研、長崎の放影研支所、こういうことになりました。しかし、この調査の中で、軍の秘密にかかわる問題でもございましたので、アメリカ側においても開発については十分縦横の連携がとれていなかった。 だから、今後日米のワークショップにおきまして、アメリカ側は、長崎については見直しの必要はないけれども、広島の原爆については洗い直して、原爆の理論上、構造上の問題について一定の修正の研究結果を出しをして、二十一年前の六五年調査で問題提起をいたしました暫定値の見直しをして確定値を出してきたわけであります。その結果、例えばキロトンでいいますと、広島のは十二・五キロトンというふうに今までは暫定値でずっと言っておったわけですが、その後、アメリカ側は構造上の問題で十五キロトンというふうに発表いたしました。非常にエネルギー、威力が大きかったわけでございます。 それと、大切な点は、今まで話がありましたように、そういう測定値を改めなければならなくなって、当時予測しておりましたものの十分の一である、アメリカの学士院のザルツ委員会の責任者はそういう発表をいたしました。原爆の弾頭、筒ですが、その壁の構造から、原爆が爆発すると中性子が壁に当たりまして、同時にガンマ線を出す、そのガンマ線は逆に二キロの地点で四倍の威力を発揮したという、構造上、理論上の原爆の傷害作用、威力について修正があるわけです。これは専門家の間で公表されたわけですから、被爆者の立場に立ってみますと、広島にはがんとか白血病——白血病は血液のがんですが、がんとか白血病が多い。それは中性子の影響であるというふうに言われたわけですが、しかしそういう理論的な問題についても、これは原爆を受けた被害者の立場からいうと、あるいは日本の立場から見れば、修正しなければならない。 また、認定制度については、認定基準があるかないかの議論がずっと出てまいりましたが、因果関係があるものについて線引きをするときに、認定基準がないというのもおかしい話であります。そういう問題を含めて、放射能と障害との間における因果関係やあるいは関連疾病等含めていろいろ問題がありますが、そういう問題については、もう四十年過ぎたんだからほおかぶりということではなしに、これは原爆被害の実相ということを含めて、唯一の被爆国であるということを含めて、原爆の理論上、構造上の問題は、アメリカのザルツ委員会がここで発表したわけですから、それを受けて、日本側は的確な科学的、医学的な見直しをするということについてはっきりした態度を表明すべきであると思います。 これにつきましては、順次御答弁いただきます。
○仲村政府委員 六十一年三月十六、十七日の両日、御指摘のように日米両国の研究者による合同ワークショップが開催されたわけでございますが、そこでいろいろ案が出まして、その案につきまして検討いたしておるというふうに私ども聞いております。その内容につきましては、ことしの末、本年じゅうには最終案として発表されるというふうに聞いております。 一方、私ども、今おっしゃいましたような形で、今度は、その計算方式に基づきまして、生物学的な影響につきまして放射線影響研究所でいろいろな作業をするということもあるわけでございますが、いずれにいたしましても、原爆によります線量の評価検討委員会の最終報告、あるいは放射線影響研究所での計算解析結果が出された後、手順といたしましては、国連科学委員会あるいは国際放射線防護委員会等でまだ検討されるというふうに聞いておりますが、私ども、このプロセス、結果については十分にフォローをしてまいりたい、このように考えております。
○大原委員 国連科学委員会等でやると、例の国際的な防護基準についても影響があるということなんですが、原爆として使ったのは広島と長崎だけなんですね。いろいろな実験その他はあるわけですが、戦争に使ったのはここだけです。そして、人間に対するあるいは周辺の建築物等に対する影響も、全面的な問題はこういうことであります。もちろん社会的な影響もここだけであります。ですから、広島、長崎の原爆の理論的な構造上の見解については、アメリカも、長い間軍事機密との関係がございましたけれども、だんだんと条件が変わってきたわけでありますから、申し上げましたような一定の結論を出したわけでありますから、それを受けて、今、戦後ずっと広島、長崎で約九万人の人、被爆者を対象にして、被爆者と非被爆者を対置しながら生物学的な、実証的な大研究、大調査をやってきたわけですね。これはもう世界で一つしかないデータなのであります。 被爆者のことについてはマンハッタン管区調査団が、直後、ぱっと持って帰った資料もありますけれども、日本側は、ABCCの後の広島、長崎の放影研もあるし、それから政治的にできましたけれども、千葉市稲もの放射線医学総合研究所もあるし、それから広島大学、長崎大学の研究機関もそれぞれ予算を組んであるわけですね。このように被爆された側の実証的な研究はかなりあるわけです。また原爆病院もあるわけでありますし、検査もあるわけです。落とした側の原爆の性能については、広島、長崎を対比しながら、差があるのですから、それに基づいて、被爆者にどういう影響を与えているかということを実証的に、客観的に決めて、それで対策を練ることが必要である。 従来は、ABCCについては非常に反米感情があって反対でありました。しかし、放影研で日米共同研究になりました。そしてガラス張りに一応なりまして、アメリカも学士院が中心に純学理的に対応しております。私は、少なくともずっと関係しておりましたから、一定のイデオロギー的な議論をする意思はありません。したがって、それだけに貴重なデータでありますから、被爆者のために、唯一の被爆国として、生かしていただきたい。そういう点についてはごまかさないで、今までの制度の見直しについても十分考えるべきであるというのが私の考えですが、今ちょっと大臣が出ておりますが、これは大臣が答弁することですが、あなた、大臣になったつもりで答えてください。
○仲村政府委員 僭越でございますけれども、答弁させていただきます。 御指摘のように、生物学的な資料につきましては、動物実験のほかには、放影研が持っております資料というのは非常に貴重なものでございます。したがいまして、この新しい線量計算方式で作業を放影研でやるということになっておるようでございまして、一部の臓器に限定いたしました試算の作業、すなわち、自由空気被曝線量並びに遮へい歴を有する被爆者の特定臓器におきます推定線量の算出、これは客体数は一万六千人というふうに聞いております。それから寿命調査集団、これは客体数七万五千人でございますが、これにつきましての新しい計算方式を適用いたしました際の線量推定を行うという作業があるようでございまして、秋ごろまでに個別の線量計算あるいは死亡率、疾病の発生率等特定の資料について比較解析を行うという作業の手順になっておるようでございます。来年早々にはその結果を取りまとめたいということと聞いております。 第二段階といたしましては、日米合同委員会の最終報告を見た上でさらに全体的な詳細な検討を行いまして、来年末にまとめて発表したいということで意向を聞いております。
○大原委員 原爆被爆者であるという認定をする因果関係がある。そして医療費は全部国が持つ、医療特別手当も全部国が持って出す。これは国家補償的な問題ですね。私が言っておるのは、審議会があるけれども、認定制度についてもこの際因果関係を十分追求していくという観点から、基準の見直しを含めて考えるべきであるということです、私の質問は。それは局長は専門家としてよろしいね。
○仲村政府委員 先ほどから申し上げておりますが、放影研の計算、解析というのはこれから始まるところでございまして、現時点でどのような影響を及ぼすかは不明でございます。しかしながら、私どもといたしましても、この一連の作業につきまして、被爆者行政を行う立場から十分慎重に対応するように今からそのプロセスをフォローしてまいりたいというふうにお答えするわけでございます。
○大原委員 それっきりだろう、あなたでは。 第三、現行二法案で国家補償的なものであるということをしばしば政府も説明いたしました。それを一歩進めなさい、国家補償にしなさいということが議論でありますが、国家補償的なものとして現在の原爆二法案で考えられる施策を列挙してごらんなさい。
○仲村政府委員 御指摘のように、現行の原爆二法による被爆者対策につきましては、全体として広い意味におきます国家補償の見地から、被爆者の福祉の向上を図るために行われているというふうに私ども位置づけておるわけでございます。 今御指摘の列挙せよということでございますけれども、被爆者対策の中で認定疾病医療、医療特別手当、原爆小頭症につきましては、所得制限を設けずに全額国費で実施しておるということでございまして、これは放射線を大量に浴び、これにより健康被害を生じている障害の実態に配慮したものというふうに考えておるわけでございます。
○大原委員 それ以外に国家補償的なもので社会保障の水準を超えるものがあるでしょう。それを列挙してごらんなさい。——私が指摘しましょう。それでノーかイエスか答弁しなさい。 今話がありました以外に、健康診断という制度を設けておいて、これは全額国の負担でやっておる。それから、一般疾病を被爆者手帳をもらっている人が受けた場合に、これはインチキなんですけれども、保険のもとからやるべきだという考えだったのですが、財政上の都合で保険の残りを国が見ている。これも上積みで国家補償的なものでやる。それから、小頭症手当は所得制限がないから当然に国家補償的なものでやる。それから、所得制限が一般の生活保護、社会保障よりも緩和されておって、約九六%の人が対象で給付を受けているから、これも上積み分は国家補償的なものである、この点までについてノーかイエスか、判断の基準を示してください。
○仲村政府委員 先生御指摘のとおりでございます。
○大原委員 そこで、もう一つある。もう一つあるのは、弔慰金制度に関係することですが、これは葬祭料であります。 葬祭料は、健康保険法等は、これは保険料を出しているのですから所得制限はありません。この原爆の特別措置法による葬祭料は、御承知のとおり昭和四十四年から出しておるわけですが、本年十一万三千円ですから、これは生活保護の葬祭料を基準にしておるわけであります。 ただし、生活保護については、これを適用する場合においては所得制限があります。もう一つは、民事テストがあります。財産制限がございます。しかし、原爆被爆者特別措置法の葬祭料は、所得制限も財産制限もありません。ですから、その上積み分は国家補償的なものであるというふうに理解ができるわけでありますが、いかがです。
○仲村政府委員 先ほど御指摘いただきました三点に並びまして、この点につきましても、先生の御主張については大方そのとおりだと考えております。
○大原委員 その点の認識は一致したわけですが、そこで私が言うのは、今度初めて死没者調査をするわけですから、このことが順次わかってまいりますから、中間報告等含めて実相が明らかになってくると思います。 そこで、昭和四十四年以降は、若干国家補償的なものを上積みいたしました葬祭料を出しておるわけでございますが、これは今度資料を出していただきまして、私の手元にもございます、昭和四十四年以降。そこで私が主張するのは、昭和四十三年から昭和二十年にさかのぼりまして、そのときの死没者に対しましても葬儀をやりましたり、遺族や周辺の人が法要を行ったりいたしたわけでありますから、昭和四十四年に実施する以前の死没者が漸次明確になってまいりますると、中間報告を含めまして国として弔意を表するという一つの論拠になるのではないかという点を指摘いたしますが、これに対する理解の程度についてお答えをいただきたいと思います。
○仲村政府委員 大臣からお答えすべき部分もあろうかと思いますが、私ども、葬祭料につきましては、先ほど先生が御指摘のように、原爆被爆者に全体として広い意味の国家補償の見地から行われているということが背景としてはあるわけでございますけれども、葬祭料だけを取り上げて国家補償と考えるかどうかというふうなことの認定は非常に難しいというふうに私どもは考えております。 葬祭料に所得制限が設けられておりませんのも、遺族等の所得にかかわらず確実に支給されるものとして被爆者の方にお約束できる給付とすべきであるという政策判断が入っておるわけでございます。 そういう背景はございますけれども、今先生が御指摘のように、昭和四十四年に制度化された葬祭料につきましては、遺族に対する弔意という趣旨とは離れておりまして、私どもといたしましては、身寄りがない被爆者の方が死亡されるときにどうなんだろうかという不安をお持ちになるわけでございますけれども、そういう不安を少しでも和らげることを目的としたという、あくまでも現存する被爆者のための措置というふうに考えておりますので、その意味からいいまして、遡及して給付することは非常に難しいと考えておる次第でございます。
○大原委員 それは詰めて考えてないで、現状を役人的に強弁をしたということになります。しかし、厚生大臣、私が指摘した点はこういう点ですから、簡単に申し上げておきます。 つまり、国家補償的なものは、認定医療を初めずっとあるわけです。かなりあるのです。今挙げましたのは七つぐらいあります。これは一致いたしました。最後に私が言いました葬祭料は、大臣御承知のとおり、本年は十一万幾ら出ておりますね。これは生活保護基準の葬祭料を基準にしたわけです。しかし、生活保護基準には所得制限や財産制限があるわけですね。制度自体にあるわけです。しかし、特別措置法で昭和四十四年から出ました葬祭料というのには、そういう制限がないわけです。それはその上積み分であって、国家補償的なものであるということについては政府委員との間において認識は一致したのですが、しかし、今理屈を言っておるのは、これは遺族に対して出すのではないんだ、生きておる人が、自分が死んだときに葬式をやってくれるだろうかという不安があるから出しているんだ、こういうことなのですが、これは典型的なへ理屈であります。 そういうことはともかくとして、政治的には亡くなった人に対しまして遺族がお葬式をする、法要をするというのは当然のことであるということからいうならば、昭和四十四年以降は特別措置法で出ておるわけですから、それ以前のものについて死没者の実態が出たならば、当然、国としては、国家補償とは言わないが、国家補償的な弔意を表することは当然ではないかということでありますから、私の方も時間はありませんが、賢明な大臣は、私が申し上げましたことについて今後十分検討してもらいたい、こう思います。いかがですか。
○今井国務大臣 ここで今政府答弁を繰り返すつもりはございませんが、お気持ちはよくわかりますが、この制度化されたもとを考えますと、先生のおっしゃるようなことには一体できるのだろうかなという感じもせぬでもありません。しかし、せっかくの先生のお気持ちでございますから、なお検討させていただきますが、私は、遡及して給付するということには非常になじみにくいものだという感じを持っておりますことを率直に申し上げざるを得ないと思います。
○大原委員 つまり法律的には、実際上葬儀を行うのですから、やってくれるかということと葬儀を行うということとは表裏一体なのですから、そういうことは関係者にとっては権利の侵害にならぬことで、プラスになることでございますから、法律からいいますとこれは遡及できるわけであります。あなたが法律を習ったのは——遡及(そきゅう)あるいは遡及(さつきゅう)と言ってもいいですが、これはできるわけであります。法律的には不可能ではないのです。利益になることですから、バランスの問題ですから、そういう制度ができる以前のものにさかのぼってやるということは法律的に可能なわけでありますから、これは死没者調査等を含めましてこれから前向きに十分取り組んでいただきたいと思います。 あなたはうんと言っているが、よろしいんですね。
○今井国務大臣 いや、まあ先生のお気持ちはよくわかるのですけれども、なかなか——また同じことを言うといけませんから、よく検討させていただきます。
○大原委員 被爆二世の問題については、健康診断の問題については、ずっと各委員からいろいろな議論がございました。財団法人の公衆衛生協会に設置されている被爆者二世の健康に関する研究班員がこれらの資料については管理をしておるようであります。それを被爆二世関係者の方々は公開してもらいたいということが一つ希望がございます。その意図は、結論がどうであれ、疑わしい場合には引き続いて制度として健康管理をしてもらいたいし、治療ができる措置をとってもらいたい、こういう限定的な意見も入っておるわけであります。 一方、ABCC、広島の放射線影響研究所も、今、二世の問題について引き続いて生存者の影響調査と一緒にやっているわけですね。 それで、今までの答弁によりますと、二世に対する影響について有意の差がないという答弁でありました。しかし、これについてはいろいろなケースを考えて、放射能障害の中に、後遺症があるだけでなしに染色体や遺伝子関係に影響を及ぼしているという問題点があるわけであります。だから、アメリカが半分参加している放影研も、学士院も、この研究は続ける、こう言っております。私も、一昨年アメリカで学士院の責任者と会いました。科学研究については、アメリカは日本どころではない膨大な構えで研究をいたします。日本の研究所というのはたくさんありますけれども、予算が非常にちゃちでございまして、スタッフもちゃちでございまして、対象も非常に矮小化してやりますから、本当の研究になっていないのですが、このことについては、アメリカは最初は軍事的な目標でマンハッタンの計画はやったのですけれども、しかしこれが漸次内容が公開されて、情勢が変わってまいりましたから、被爆者の側からも貴重な経験であるという点を私どもも指摘をいたしているわけでありますから、この二世の問題については、議論を踏まえて、ひとつ政府としても前向きに取り組んでもらいたい。いかがですか。
○仲村政府委員 二世健診につきましては、原爆二世の方々が健康面での不安を訴える声にこたえる目的で希望者に実施しておるという仕掛けは、先生も先ほど御指摘のとおりでございまして、このために個々の健診結果につきましては本人に御通知を申し上げているところでございます。したがいまして、これまでの個々の健診結果を研究のために総合するというような形で取りまとめはされておらないわけでございます。 それから、遺伝影響の研究でございますが、これは引き続き放影研の方でやっていただいているわけでございますけれども、同時に、放影研の重要な研究の柱の一つだと考えておりますけれども、過去の幾つかの研究成果によりまして、被爆者、非被爆者群の間に有意の差は認められておらないというふうな研究成果が出ておるわけでございます。 なお、現在、新しい遺伝学的な影響調査研究といたしまして、白血球のDNAの異常を直接調べる方法等がございますが、それによる方法で研究に着手しようとしているところだと聞いておるところでございます。 そういう形で、なお私どもといたしましても十分対応をしてまいりたいと考えております。
○大原委員 私が言っているのは、有意の差はないというふうな一応の中間的な所見であるにしても、これは学問的、医学的にも問題があるということで調査を続けているのですから、調査の中身を公表しないということになると、経過も公表しないということになると、かえって不安を助長するわけですから、むしろ調査の現段階についてはそれを報告しなさい、こういうことを私は言っているわけでありますから、そういう官僚的な秘密主義を排除すべしという意見ですので、この点に留意してこれからの対応をしてもらいたいと思います。 それからその次に、在韓被爆者の渡日治療の問題で今までずっと質問があったわけです。質問がずっと続きました。 そこで方法としては、日本と韓国の両国政府の間において意思疎通をすることが必要です。私もそれは認めます。認めますが、現在の制度は、韓国側が旅費を負担をしているということであります。約二万人在韓被爆者の方々がおられるということでありますが、やはり経験のある日本で治療を受けたい、こういう希望があるわけでありますし、今まで森井委員その他から指摘がありましたように、日本が徴用とか徴兵とかいうことで強制的に連行した人々がたくさんおるわけですから、日本人と同じような気持ちで被爆者に対する施策をやるべきであるという考え方で引き続いて話し合いを進めてもらいたいということですが、韓国の政府が旅費を負担する以外に、日本の政府が旅費を負担する場合があってもいいのではないか。双方協議してやってもいいのではないか。それは、昭和四十年に、沖縄の返還前に沖縄の被爆者につきまして判決が出まして、日本の政府が旅費を負担したことがございます。 それから関係者の間で、やはりいかにも人道的な立場、日韓友好、日朝友好の立場から、韓国の被爆者の方々が日本に渡日をして治療される費用を基金としてお互いに募集し合って、そしてその中から出してはどうかという案があります。その三つの制度を合わせてやるということもあり得るわけでございますから、具体的な問題についてはできるだけ便宜を図るということで、日本に来られましたならば、原爆医療法の手帳ももらって、適用できるわけですから、これらの問題を含めましてひとつ前向きに善処してもらいたいと思います。
○今井国務大臣 今、中座いたしましたのもその韓国の方とお会いすることでございます。したがいまして、私は、渡日治療というのは、先生おっしゃいますように、韓国は韓国側の主権がございますから、韓国側の意向がございますれば継続したいと私は考えております。 したがって、今後、合意書の延長問題に関します韓国側との協議の中で、いろいろ先生がおっしゃいましたような問題も含めて十分検討させていただきたいと思っております。
○大原委員 前向きに検討するのですね。
○今井国務大臣 十分検討させていただきます。
○大原委員 五分前の通告がしばらく前に来ておりますから、最後ですが、これは時間のある限りですが、最初から今井厚生大臣は、国家補償の精神による原爆被爆者援護法をつくることには二つの難点がある、その第一は戦争責任論である、第二は一般戦災者との関係であるということであります。これは軍人、軍属、準軍属でない一般被爆者は国との関係において特別権力関係といいますか身分関係がなかった、命令、服従の関係がなかったということであります。 しかし、そのことについては、援護法審議のときも、今までもずっと一貫して私どもが言っているのは、戦争責任論の問題は、これはヘーグの陸戦法規には毒ガスだけではなしに一般的に非人道的な兵器を禁止しておるのです。それから軍事目標以外の無差別爆撃も国際法違反であるというふうにやっているのですから、それを適用いたしましても、日本が唯一の被爆国であるということで世界に訴えるのであるならば、これは戦争責任論が成立するというふうに私どもは主張してきたわけであります。 第二の身分関係論につきましては、これもずっと追求いたしましたが、昭和二十年三月二十三日、国民義勇隊に関する件を閣議で決定いたした経過がございます。政府は二十二日というふうに間違って初め法律を出したのですが、私が原文を出しましたら、二十三日しか閣議がなかったので直しました。しかし、それは東京空襲を受けて、それからテニアン、サイパンから直接B29がやってくること、あるいは沖縄で四月に敵前上陸が始まりまして、六月に手を挙げたのです。そういう情勢を踏まえまして一億全国民の戦闘協力体制を意図したものでありますが、その後、閣議決定を見てみましても、四月には国民義勇戦闘隊に関する件ということがあるわけであります。そしてこれでは、閣議決定ではいけないということで、これは国際法上の遠慮もありまして閣議決定にしたのですが、そこで六月九日から十二日まで臨時帝国議会を開きまして、そして国民義勇兵役法に関する件ほかというのは、陸軍刑法、海軍刑法の適用の問題を含めまして有事に即応する総動員体制をとったわけであります。 日本の外務省や法制局はへ理屈をつけまして、そういう法律ができて公布、実施されたけれども、しかし、個々具体的に召集令状が出ていないということでありますが、それはそうではないということを当時の議事録は示しておりまして、既にあったいろいろな義勇隊や警防団や愛国婦人会や青年団、全部、職域の組織等を含めまして一覧表を出させて、判こをついて、それで出てこいと言えばすぐ出てくるという仕組みになっておったわけでありまして、有事即応体制でありますから、権力関係は、戦闘員と非戦闘員の境というのは昭和二十年六月の臨時帝国議会の法律によりましてないということになっておるわけであります。そういう考え方を持っておるわけであります。 そこで、二つの点について反駁する政府側の答弁や資料は今までなかった、こういう点を指摘しておきまして、この問題は引き続いて議論をするということを宣告いたしまして、私の質問を終わります。 —————————————
○山崎委員長 この際、お諮りいたします。 ただいま審査中の原子爆弾被爆者等援護法案につきまして、提出者全員より撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○山崎委員長 内閣提出、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する質疑はこれにて終局いたしました。 この際、本案に対し、稲垣実男君外一名提出の修正案及び村山富市君外四名提出の修正案が、それぞれ提出されております。 両修正案の提出者から順次趣旨の説明を求めます。稲垣実男君。 ————————————— 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律 の一部を改正する法律案に対する修正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○稲垣委員 ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党・新自由国民連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。 修正の要旨は、原案において「昭和六十一年四月一日」となっている施行期日を「公布の日」に改め、昭和六十一年四月一日から適用することであります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○山崎委員長 村山富市君。 ————————————— 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律 の一部を改正する法律案に対する修正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○村山(富)委員 私は、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党・革新共同及び社会民主連合を代表いたしまして、本法案に対し、修正の動議を提出いたします。 本来なら、先ほど撤回いたしました私たち四党提出による原子爆弾被爆者等援護法案は、政府提出の本法案の対案として本委員会で同時に審議してきたものであり、質疑終局とともに、国会運営のルールに従って、対案から先に採決に付されるべきものであります。 我々の法案は全被爆者の切なる要求を入れたものであり、この際、すべての政党の態度を明確にすべきであると考えますが、協議の結果、やむを得ず、政府案の対案としての我々の法案は撤回することといたしましたので、ここに改めて本修正動議を提出した次第であります。 次に、本修正案の内容について御説明申し上げます。 その基本的な考え方でありますが、政府提出の本法案は社会保障の枠内にあると説明されておりますが、われわれは国が戦争責任を認め、国家補償による援護措置を行うよう修正するものであります。 以下、具体的内容について御説明申し上げます。 第一は、健康管理及び医療の給付であります。健康管理のため年間に定期二回、随時二回以上の健康診断や成人病検査、精密検査等を行うとともに、被爆者の負傷または疾病について医療の給付を行い、その医療費は、七十歳未満の被爆者については現行法どおりとするとともに、老人被爆者についても、老人保健法にかかわらず、本人一部負担、地方自治体負担を国の負担といたしました。なお、治療並びに施術に際しては、放射能後遺症の特殊性を考え、はり、きゅう、マッサージをもあわせて行い得るよう別途指針をつくることにいたしました。 第二は、医療手当及び介護手当の支給であります。被爆者の入院、通院、在宅療養を対象として月額三万円の範囲内で医療手当を支給する。また、被爆者が、安んじて医療を受けることができるよう月額十万円の範囲内で介護手当を支給し、家族介護についても給付するよう措置したのであります。 第三は、被爆二世または三世に対する措置であります。被爆者の子または孫で希望者には健康診断の機会を与え、さらに放射能の影響により生ずる疑いがある疾病にかかった者に対して、被爆者とみなし、健康診断、医療の給付及び医療手当、介護手当の支給を行うことにしたのであります。 第四は、被爆者年金の支給であります。全被爆者に対して、政令で定める障害の程度に応じて、年額最低三十二万六千四百円から最高六百六十六万五百円までの範囲内で年金を支給することにいたしました。 障害の程度を定めるに当たっては、被爆者が原爆の放射能を受けたことによる疾病の特殊性を特に考慮すべきものとしたのであります。 第五は、被爆者年金等の年金額の自動的改定措置、すなわち賃金自動スライド制を採用いたしました。 第六は、特別給付金の支給であります。本来なら、死没者の遺族に対して弔意をあらわすため、弔慰金及び遺族年金を支給すべきでありますが、当面の措置として、それにかわるものとして百二十万円の特別給付金とし、五年以内に償還すべき記各国債をもって交付することにいたしました。 第七は、被爆者が死亡した場合は、二十万円の葬祭料を、その葬祭を行う者に対して支給することにしたのであります。 第八は、被爆者が健康診断や治療のため国鉄を利用する場合には、本人及びその介護者の国鉄運賃は無料とすることにいたしました。 第九は、原爆孤老、病弱者、小頭症その他保護、治療を必要とする者のために、国の責任で、収容・保護施設を設置すること、被爆者のための相談所を都道府県が設置し、国は施設の設置・運営の補助をすることにいたしました。 第十は、厚生大臣の諮問機関として、原子爆弾被爆者等援護審議会を設け、その審議会に、被爆者の代表を委員に加えることにしたのであります。 第十一は、放射線影響研究所の法的な位置づけを明確にするとともに必要な助成を行うことといたしました。 第十二は、日本に居住する外国人被爆者に対しても本法を適用することにしたのであります。 第十三は、厚生大臣は速やかにこの法律に基づく援護を受けることのできる者の状況について調査しなければならないことにいたしました。 以上が、この修正案の提案の理由及び内容であります。 最後に、この法律の名称を原子爆弾被爆者等援護法と変更することといたしました。 何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださるようお願いいたします。(拍手)
○山崎委員長 以上で両修正案についての趣旨の説明は終わりました。 この際、村山富市君外四名提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。今井厚生大臣。
○今井国務大臣 ただいまの修正案につきましては、政府といたしましては反対でございます。 —————————————
○山崎委員長 これより原案及びこれに対する両修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。 まず、村山富市君外四名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山崎委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。 次に、稲垣実男君外一名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山崎委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。 次に、ただいま可決されました修正案の修正部分を除いて、原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山崎委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 —————————————
○山崎委員長 この際、稲垣実男君外五名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党・革新共同及び社会民主連合六派共同提案に係る本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。大橋敏雄君。
○大橋委員 私は、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党・革新共同及び社会民主連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 国家補償の精神に基づく原子爆弾被爆者等援護法の制定を求める声は、一層高まってきた。また、原爆被爆者対策基本問題懇談会の意見書も、被爆者の援護対策は、広い意味での国家補債の精神で行うべきであるとの立場をとっている。 政府は、昨年、被爆四十周年に当たり本委員会において死没者への弔意をこめて採択した恒久平和への決意及び被爆者対策充実に関する決議を尊重するとともに、原爆被害者が高齢化し、事態は緊急を要するものであるという認識に立ち、可及的速やかに現行法を検討して、次の諸点についてその実現に努めるべきである。 一 死没者を含む実態調査が行われたが、速やかに解析を行いその集大成を図るとともに、被爆者対策の充実に努めること。 二 被爆者の障害の実態に即して所得制限を撤廃すること。 三 放射線影響研究所、広島大学原爆放射能医学研究所、科学技術庁放射線医学総合研究所など研究調査機関相互の連携を強化するとともに、研究体制を整備充実し、その成果を被爆者対策に活用するよう、遺憾なきを期すこと。 四 放射線影響研究所の運営の改善、移転対策を進めるとともに、被爆者の健康管理と治療に、より役立てるため、原爆病院、財団法人原爆障害対策協議会との一体的運営が行えるよう検討すること。 五 原爆病院の整備改善を行い、病院財政の助成に十分配慮するとともに、その運営に当たっては、被爆者が必要とする医療を十分受けられるよう、万全の措置を講ずること。 六 被爆者に対する諸給付について、他制度との関連も検討のうえ生活保護の収入認定からはずすこと。 七 原爆症の認定については、被爆者の実情に即応するよう、制度との運営の改善を行うこと。 八 被爆者に対する家庭奉仕員制度を充実するとともに、相談業務の強化を図ること。 九 被爆者とその子及び孫に対する影響についての調査、研究及びその対策について十分配意し、二世の健康診断については、継続して行うとともに、その置かれている立場を理解して一層充実を図ること。 十 健康管理手当の認定については、制度の趣旨が生かされるよう地方自治体を指導すること。 十一 本年は覚書による在韓被爆者の渡日治療の期限切れとなるが、制度発足の趣旨にかんがみその継続を図るよう努めること。以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
○山崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 稲垣実男君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山崎委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。 この際、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。今井厚生大臣。
○今井国務大臣 ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたす所存でございます。 —————————————
○山崎委員長 お諮りいたします。 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○山崎委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時三十分休憩一 ————◇————— 午後二時四十六分開議
○山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 内閣提出、廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。今井厚生大臣。 ————————————— 廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正す る法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○今井国務大臣 ただいま議題となりました廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 廃棄物の適正な処理は、国民の生活環境を保全し、公衆衛生の向上を図る上で必要欠くべからざるものであり、廃棄物処理施設の着実な整備を図ることはその中心となる施策であります。このため、昭和三十八年度以来五次にわたり廃棄物処理施設の整備計画を策定し、その計画的な整備を図ってきたところでありますが、なお緊急かつ計画的な整備が必要であることから、現行の整備計画に引き続き、昭和六十五年度までの第六次廃棄物処理施設整備計画を策定することとした次第であります。改正の内容は、厚生大臣は、昭和六十五年度までの間に実施すべき廃棄物処理施設整備事業の実施の目標及び事業の量について計画を策定し、閣議の決定を求めなければならないこととすることであります。 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○山崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○山崎委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山富市君。
○村山(富)委員 今、大臣の趣旨説明にもございましたように、廃棄物の処理というのは、国民の生活環境を保全し、公衆衛生の向上を図る上で必要欠くべからざるものである、言うならば国民が快適な生活をする上においても欠かせない大事な仕事であるというふうに思うんです。 今回提案されました法案は、さらに新しく五カ年計画をつくるという中身になっておると思うのですが、これは三年目に見直しをするということになっているのです。この事業の重要性から考えて、三年目に見直しをする厚生大臣の姿勢というのはむしろ積極的に拡充充実をしていくということでなければならぬと思うのですが、この事業に取り組む大臣の姿勢についてまずお尋ねいたします。
○今井国務大臣 まず、三年後の見直しでございますが、これは廃棄物処理施設の整備計画のみならず、下水道の整備計画であるとかあるいは港湾、都市公園などの他の公共事業計画、これはただいま八本ありますが、それと横並びで社会資本の整備の観点から検討せらるべき問題であると考えております。 そこで、三年後の見直しにつきましては、施設整備の進捗状況であるとか、経済あるいは財政の動向などを勘案しながら調整費の額とか計画の総額などにつきまして検討することとなると考えております。 厚生省といたしましては、今申し上げたような生活環境の改善、公衆衛生の向上という見地に立ちまして廃棄物処理施設の緊急かつ計画的な整備に必要な事業費をどうしても確保してまいりたいということを基本としてこの問題については取り組んでまいりたいと考えております。 〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕
○村山(富)委員 積極的な姿勢を期待しながら、以下、主として清掃事業に関連をした労働災害の防止について、若干お尋ねをしたいと思うのです。 労働省の調査によりますと、八一年から八五年の過去五カ年間に八十六名の清掃労働者が死亡いたしております。昨年だけでも十八名が災害の犠牲者となって死亡しておるわけでございますが、この十八名のうちの半数の九名は、ごみ収集車のテールゲート落下または回転板への巻き込まれによって死亡しておるのであります。 こうした死亡災害の発生に対して、その労働安全対策として、自治省は八五年五月二十三日付で「市町村等の清掃事業における安全衛生管理の徹底について」、厚生省は廃棄物処理事業における事故防止対策について八五年十二月九日付で「廃棄物処理事業における労働安全衛生対策の充実について」、労働省は八五年十二月十六日付で「清掃事業における労働災害防止の一層の推進について」、こういった通達を各都道府県あてに出しておるわけでありますが、なおまた労働基準局にも出しておるわけであります。 しかし、現地の実際を調査してまいりますと、この通知が都道府県段階でとどまって市町村にまで徹底されないといったような実情があるかと思うのです。こうしたことがまた事故や災害が発生をする一つの原因にもなっているというふうにも思われるのですが、こうした災害防止に対する通知、通達等の徹底方についてはどのような現状になっておると理解をしておるか、また、その徹底方について今後さらに検討する必要があるとお考えかどうか、その点についてお尋ねします。これはそれぞれの各省に見解をお聞きします。
○森下政府委員 厚生省の方からお答え申し上げます。 労働災害防止に関しましてそれぞれの市町村で対策を講じておるわけでございますが、都道府県を通じましての指導は、ただいま先生仰せになりましたいろいろなマニュアルなどを示しまして、全国衛生主管部局長会議あるいは担当課長会議などの場を通じて行っておるところでございます。 ただ、歴史的に申し上げますと、この清掃事業での災害と申しますのは、従来は、プラント施設の中で酸欠を起こしたとか硫化水素を吸ったとかいうことで事故が起こったわけでございます。当初は、まずそういうことで施設の改善をしようということで構造の基準をつくりまして、これは周知したわけでございます。その後、仰せのとおり路上で収集の段階で事故が多いというものでございますから、ただいまのような会議の場を通じまして周知徹底を図っておるところでございますが、幾つかの市町村を調べまして、もちろん県を通じてこういった私どもの指示が行き渡っているところもございますし、あるいは仰せのとおりそれが少し足りないというところがあることはまことに遺憾なことでございます。今後、さらに十分実態を調査いたしまして、必要な県につきましては所要の指導をしてまいりたいと考えております。 また、あわせまして、これは役所ベースの流れでございますが、こういった都道府県を通じての指導のほかに、市町村の全国団体でございます社団法人全国都市清掃会議というのがございまして、こういったところで既に研修を行っておりますので、特に安全の問題についてやれと。それから、清掃の場合は業者の方も直接携わっているわけでございますので、清掃業者の全国組織であります全国環境整備事業協同組合連合会とか日本環境保全協会、こういった団体を通じまして、今後趣旨の徹底を図るなど、研修会の開催につきましても努力をしてまいりたい、このように考えております。
○長谷川説明員 労働省からお答えいたします。 今、厚生省の方からもお話しございましたが、労働省といたしましても清掃事業は労働災害防止の重点業種として取り上げまして、ただいま進行しております五カ年計画の中ですとか、先ほど先生御指摘の通達ですとか、そういうことで労働災害防止を進めているわけでございます。 なお、通達について周知されているかどうかという御質問でございますが、労働省といたしましては、都道府県の労働基準局、監督署、これを通じまして直接指導する。また、先ほど出ましたが、環境衛生主管部局と連携して指導に努めるというようなことで現実に指導を進めておりまして、通達もそういう意味では十分周知されていると一応考えております。 しかし、先生御指摘もございます。そういう意味からも、今後ともなお一層周知徹底を図るとともに、指導を強化してまいりたい、こういうように考えております。
○石川説明員 自治省といたしましても、都道府県の主管課を通じまして市町村にまで指導が及ぶように通達を発しておるところでございます。昨年の十二月二十四日付でも、労働省の通達を受けまして通達を発したところでございます。したがいまして、市町村も通達を了知する状況にあるものと考えておりますけれども、手違い等によりまして市町村にまで通達がおりていないようなことがあれば極めて遺憾なことでございます。今後、厳重に注意、指導を行うようにいたしたいと考えております。
○村山(富)委員 こういう質問をすれば、完全に徹底をしているとは言い切れないから、一応とかいろいろ言葉を使っておるわけでしょうけれども、これは主として監督指導は労働省がしていると思うのですね。 実際に現状を調べてみますと、例えば仙台の労働基準監督署なんかを見ますと、三万一千六百の事業所があるわけです。その三万一千六百の事業所に対して、監督官はわずかに八名ですね。それから、先般私は品川、渋谷の方の現状を調査に行ったのですけれども、ここでも大体三万の事業所があるのに対して監督官は十名くらい。これはそれぞれの地区の事情に応じて、一律にはいかぬと思うのですけれども、しかし、それにしても監督指導に当たる監督官の数が、事業所が非常にふえてしかも社会環境が複雑になっているこういう状況の中で、徹底して監督指導が——まあ、あなた方が考えている範囲で、監督指導が行き届いてできると思っていますか、どうですか。
○征矢説明員 ただいま御指摘ございましたが、全国規模で申し上げますと、御指摘のように事業所が現在約三百五十万あるわけでございますが、監督官が総数で三千二百名余でございます。これは、昭和二十三年当時の制度発足時に比べまして事業所の数が約六倍に伸びているわけでございますが、監督官自体は約一・三倍ということでございまして、三割程度の伸びにとどまっておる状況でございます。ただ、監督官制度の重要性等もございまして、非常に厳しい最近の情勢の中で、六十一年度で三十二名でございますが、増員が図られてきておりまして、そういう意味で、厳しい定員事情の中で伸びてきておるのも事実でございます。 そういう中で、私どもといたしましては、重点を絞りまして、特に人命にかかわる災害防止について重点的に監督指導をしてきているわけでございまして、今後ともそういう重点で実施いたしたいと思いますが、あわせて今後さらに増員につきましても積極的に最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
○村山(富)委員 これは、人の命は地球よりも重いという言葉がありますけれども、大事な命が犠牲になるわけですから、私は何よりも災害の防止とか、それから安全衛生とかという面はもっと重視して考えていただいて、そしてそういう部面に遺憾のないように努力していただく必要があると思いますから、これは監督官等の増員については今後一層努力していただきたいというふうに強く要望いたしておきます。 それからその次に、これは労働省にお尋ねをいたしたいのですが、ごみ収集車というのは安全衛生法等から見た場合にどのような機械の扱いに位置づけられておるのですか。例えば機械によって違いますね。その点についての御説明を願いたいと思います。
○長谷川説明員 ごみ収集車を安全衛生法令上は車両系荷役運搬機械と一応位置づけまして、その中で、このごみ収集車につきましては貨物自動車ということで一応規則を適用しております。 規則の中身と申しますと、一つは、テールゲートの下に労働者を立ち入らせないというのがございます。しかし、実際修理作業、点検作業その他について立ち入る必要が出てくる、そういう場合におきましては安全支柱とか安全ブロックを使用させる、そういう条件つきで立ち入りができるという規定になっております。 それからまた、今申し上げましたような修理作業を行うときには、指揮する者を定めて、その者に今申し上げました安全支柱、安全ブロック、そういうものの使用状態を監視させるということが定められているところでございます。 ごみ収集車におけるこれらの災害は、これらの基準を確実に実施することによって大体防げるというふうに考えておりまして、今後ともこれらの事項が盛り込まれている清掃事業における安全衛生管理要綱、これの周知徹底に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○村山(富)委員 これは車両系荷役運搬機械等としての一般基準、こういう基準がありますね。この基準がやはり適用されるわけですか。——適用されるわけですね。 そうしますと、この基準は各市町村に徹底していますか。どういう徹底の方法をとっていますか。
○長谷川説明員 ただいまちょっと最後に申し上げましたが、これらの基準につきましては清掃事業における安全衛生管理要綱、これに非常に細かい具体的な安全対策、それから管理組織から始まりまして今の機械の整備ですとか、そういう自動車の運行ですとか、そういうところまで細かく手順を決めておりますが、それを地方に通達いたしております。これは厚生省さんの方からもそういう意味で周知を図っていただいておるわけでございますが、この中に全部盛り込まれておりますので、それを現在も周知徹底しているということでございます。
○村山(富)委員 各市町村にこういう基準が周知徹底して、実際にこの基準が守られてやられているというふうにあなたの方は思っていますか。どうですか、現状は。
○長谷川説明員 一般的な事項につきましては、我々の方としては周知徹底されていると思っておりますが、先ほども申し上げましたように、十分でないという面につきましては今後一層努力していきたい、こういうように考えております。
○村山(富)委員 これは現実を調べたことがありますか。
○長谷川説明員 全部について当たっているわけではございませんが、昨年来事故が起こっておりますが、その事故の起こっている労働基準局管内ですとか監督署管内、これについては一応そういう意味でチェックしております。先ほども申し上げましたように、それで十分とは言えませんが、周知はされていると考えております。
○村山(富)委員 せっかく立派な基準がつくられているわけですから、この基準がそのまま実行されていけばある程度の事故は防げる、災害は防げるというように思います。もうこれ以上申し上げませんけれども、やはり災害や事故が起こらないことが一番大事なんですから、そういうことについてはもっと積極的な御努力をいただきたいと思いますよ。 それからその次に、先ほど申しましたごみ収集車に関連する一連の死亡事故についての原因を調べてみますと、架装部分の構造的欠陥が一つは考えられるわけですね。昨年十二月、世田谷の清掃事務所で発生したごみ収集車の回転板への巻き込まれによる死亡災害を起こした事故がありましたね。これを調べてみますと、東京都の仕様書では一回転に要する時間というのは十秒から十三秒くらいとなっている。ところが実際には八秒から九秒くらいで回転した。したがって、仕様書どおりの速度で回転しておれば、あるいはこの死亡災害は防げたかもしれない、こういうことが指摘をされているわけです。現在、労働安全衛生法に基づいてフォークリフト及び車両系の建設機械は年一回の定期点検が義務づけられておる。このごみ収集車等についても架装部分、特に回転板の速度や油圧系統について定期点検を実施する必要があるのではないかと思いますけれども、この定期点検の扱い方は現状はどうなっているのか、これからどうするつもりか、御説明いただきたいと思うのです。
○長谷川説明員 ごみ収集車によって起こった事故のうちテールゲートに挟まれるもの、これにつきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、修理作業ということでございまして、修理作業の場合は通常の作業と異なりますので、非定常に行われる場合にはその危険を防止するために定期点検の実施よりは作業面の対応、例えば、先ほど申し上げました安全支柱を確実に入れるとか、そういう方がより効果的じゃないかということで、この面に関しましては、特に点検が有効じゃないだろう、こういうふうに考えますが、今先生御指摘の回転板の速度とかそういうようなことにつきましては必ずしもそういうことは言えないわけで、機械そのものの危険性をもう少し検討しなければいけないということがございます。 実は我々の方といたしましても、現在メーカー団体に構造の検討をお願いしております。一部は出てきたわけでございますが、まだユーザー段階とか、それから学識経験者の意見を聞いてございませんので、その辺を十分聞いた上でどういうふうにしたらよいか、この辺について今後検討していきたい、こういうふうに考えております。
○村山(富)委員 この作業の仕様書ですね。作業の段階でいろいろ点検をして間違いのないようにするということと、それから車両について一年に一回定期検査をするとかということは必要ではないかというように思うのです。今までの事故の発生の状況から見て、構造的欠陥がもしあるとするならば、その構造的欠陥で車を使っている間に何らかの間違いがあって事故が起こるということもあり得るわけです。したがって、これは点検をするほかないので、やはりそういう必要はあるのじゃないかと思うのですね。 これは厚生省にお尋ねしますが、架装部分なんかの改良、これはむしろ厚生省の方が関係が深いかと思うのですけれども、こうした架装部分の改良等に対する取り組みはこれからどういうふうになさっておるか、またするつもりか、お尋ねしたいと思います。
○森下政府委員 これから扱います機械類はできるだけフエールセーフといいましょうか、二重にも三重にも安全装置が組み込まれているということが望ましいわけでございます。特にごみの収集車の場合は、普通の自動車なんかに比べますと非常に厳しい条件で扱われるということでございますから、それだけに傷みも激しい。走向している部分については通常でございますけれども、後ろでごみを送り込むという部分については大変な力が常時かかっておるということですから、これは普通の車両と同じかあるいはそれ以上に入念な点検が必要じゃないかと思っておる次第でございます。 これをどういうふうにやるか。自己点検というやり方でやるのか、法定点検にするのか。それから点検すべき項目が油圧部分だけに限るのか、もっと機械的な部分にまで入っていくのかどうか。あるいは点検をする工場が地方なんかの場合どんなふうに配置されるのだろうか。いろいろなことを検討しなければならぬと思いますけれども、とにかく事これ一つ間違いますと人命にかかわる問題でございますから、今後労働省などと御連絡をとりながら、収集車について点検制度がどのように具体的にできるかということについて前向きに検討してまいりたい、このように、考えております。
○村山(富)委員 これはやはり労働省にももっと検討していただいて、法定検査をきちっとする必要があるのじゃないかというように私は思いますからね。今、厚生省の側からも答弁がありましたけれども、十分連携を取り合ってそういう点についても検討していただきたいというふうに思いますから、お願いしておきます。 それから、ごみ収集車の状況を見てみますと、今二人でやっているところが多いのですよね。そうすると、東京なんかみたいな非常に交通の激しいところで、車両の安全運転から何から気を使わなければいかぬ、そしてごみはどんどん一人でやらなければいかぬ、そういうところにやはり無理があって、気は焦るし、いろいろあって事故の原因につながるのじゃないかというように思うのですね。 これは調べてみますと、交付税の配置基準というのは二・六人になっていますね。今の市町村の実態からしますと、交付税の配置基準というものが、積算根拠というものが大体市町村がやる仕事の枠になるわけですね。ですから、この配置基準を三人にしてもらえると、やはり市町村も皆三人にするのじゃないかと思いますし、そういう傾向がありますから、そこらの点は十分御検討いただけると思うのです。事故が発生している原因を見ますと、この二名の乗車体制が非常に多いのですね。したがって、三名の配置をすれば事故が防げたのではないかというようなことも当然考えられるわけですし、この三人乗車体制というものをぜひ各地方自治体に指導して実現できるようにしてもらいたいと思うのです。この問題に関して、そのような立場からそれぞれの見解があると思いますから、厚生省、労働省、自治省、三者のひとつ意見を聞かせていただきたいと思うのです。
○森下政府委員 ごみの収集車で三人乗車させろということでありますが、これは市町村の状況によって一律にそうであるかどうかということは、またいろいろ問題があろうかと思います。 私どもはごみを収集する部分については、これはもう二人でやれ、これは先ほど先生も引用されましたけれども、「廃棄物処理事業における事故防止対策マニュアル」というのがございまして、この中で「収集作業は二人以上で行う。」ということでございますから、仮に運転手と集める人と一人ずつの場合には、集めるときには運転手さんはおりていただいて一緒に集めるということになるわけでありますが、そういうことができるのは非常に人家がまばらなところだと思います。ですから、一般の大都市については三人乗車ということが私どもの「収集作業は二人以上で行う。」ということに合致するのではないかと思っております。 なお、交付税では今のところ一台当たり二・六人とされておりますけれども、私ども厚生省といたしましては、これはぜひ三人の乗車体制ということで積算していただけるように要望しているところでございます。 それから、ちなみに大きな都市の例でございますけれども、十一大都市の実態をちょっと調べてまいりましたが、広島市の委託事業を除きますと、それ以外の都市は直営、委託ともすべて三人乗車になっております。
○長谷川説明員 労働省といたしましては、清掃業の災害防止、これは先ほども申し上げましたが、清掃事業における安全衛生管理要綱、これの周知徹底を図っていくということが基本である、こういうふうに考えております。したがいまして、要綱どおりに作業が実施できるための必要な人員、こういうのはおのずと出てくるのじゃないか、こういうふうに考えますが、ごみの種類ですとか作業量ですとか、そういうようなものによってそれぞれ違うのじゃないか、こういうふうに考えますので、やはり実態に応じて適当にこの要綱が守っていただける人数ということで考えていきたい、こういうふうに思っております。
○遠藤説明員 お答えを申し上げます。 交付税の算定基礎ですけれども、これは毎年算定基礎を、実態その他を見ながら中身を改善していくという任務が我々にはあるわけでございます。実はごみの収集経費を算定する場合に、交付税では清掃費で算定をいたしておりますが、昭和五十八年度に全市町村にわたって直営、それから委託の方式等につきまして車の台数、乗車人員について実態調査をしたわけであります。 その結果、直営でごみの収集業務を実施いたしております団体が千二百七十三団体ありますが、これの平均をとりますと、保有車両一台当たり平均職員数が二・六人ということになったわけであります。先生御承知のとおり、交付税というのは財源措置をする部分でございますので、私どもの方も三人でそれまで計算をいたしておりましたが、過大算定になる、二・六人ということで計算をすべきだということになりましたが、一度に二・六人で計算をいたしますと激変を生ずるということで、五十九年度、六十年度二年間かけまして一台当たり三・〇人を二・八人、二・六人と落として計算をして、現在二・六人といたしておるところでございます。
○村山(富)委員 今お話がありましたように、各市町村条件が違いますし、それから直営でやっているところもあるし、委託をしているところもありますし、これは国の指導もあるかと思うのですが、だんだん委託がふえつつある。委託をしますと、これは民間に切りかわるわけですから、相当採算を重視しますから、無理から無理をする、それがまた事故につながっていく、こういうことになりかねないような傾向にあることは、これは率直に認めざるを得ないと私は思うのですよ。 それだけにやはり災害防止やら安全基準の徹底やらなんかが必要なので、それが完全にできて、これはもうどこから考えても本人の過ちがない限りは事故が起こりませんと言い切るならばいいけれども、そうでない条件があるわけですから、どこの市町村も全部三人ということは必要ないかもしれませんけれども、しかし、そういう条件の必要なところについては三人体制をつくっていく、こういう方向で指導していただくことが大事ではないかというように思いますから、これも時間が余りないものですから、ひとつ今後十分徹底してやってもらいたいと思うのです。 大体、関係する三省の考え方はわかったのですけれども、今この問題については労働省、自治省、厚生省の三者で、労働省が主管になって協議をしていますね。その協議の成り行きといいますかはどういうふうに考えているわけですか。
○長谷川説明員 清掃業の労働災害防止対策関係省庁連絡会議、こう申しますが、最近事故が多くなりまして、関係省庁が集まって連絡をとる必要があるという認識をいたしまして、五十九年の二月でございますが、設置要綱なども定めて第一回を開催したわけでございまして、その後六十年の十二月二十五日まで六回にわたって会議を開催しております。中身は、災害事例の報告ですとか管理体制の強化その他につきまして必要なことについて連絡をしている、こういう状況でございます。
○村山(富)委員 もう自治省はいいですよ。 先ほど労働省からも説明ありましたけれども、昨年十一月からことし三月にかけて起こった死亡災害を調べてみますと、例えば神奈川県葉山町、それから宮城県の名取市、東京都の品川区と世田谷区、岩手県の盛岡市等々について自治労が調査しておるわけですけれども、その調査の結果共通して言えることは、さっきあなたもちょっと説明していましたけれども、作業手順が徹底してない、確立してないというところにやはり原因があるように思われる面もあるわけです。 したがって、この作業手順の徹底というような問題については、例えばさっき言いましたように、車両について、これは特殊な車両ですから、したがって十分点検をしてもらう必要がある、それから、できれば三人乗車をして、そして遺憾のないような作業ができるようにしてもらう、同時に作業手順もしっかり確立して、そしてやはりきちっとやってもらう、こういうことが必要だと思うのですね。そういう意味から申しますと、作業手順の徹底や指導なんというものはどういう方法でやっているわけですか。
○長谷川説明員 地方の段階におきましては、関係の市町村に集まっていただいて集団指導とかそういうようなことでやっているわけでございますが、実は作業指揮者の安全教育、これが必要であろうということで昨年からでございますがトレーナーの養成、研修というのを我々の方で考えまして、中央労働災害防止協会の方で一応トレーナー研修を実施しているところでございます。残念なことにまだたくさん来ていただけないので、そういう意味では今後さらにその面について努力をしていきたい、こう考えております。
○村山(富)委員 さっき一度触れましたように、直営でやっていればある程度責任体制が明確になっていますから、それほど心配しないのですよ。だけれども、民間にどんどんどんどん委託されていく傾向の中でやはりこういう点がルーズになりがちじゃないかと思いますから、そこはひとつ十分実態を把握して、徹底して安全が確立されるように、災害防止できるようにしてもらわなければならぬと思うのですね。同時に、これは厚生省の見解を聞きたいのですけれども、ごみの出し方もやはり適正にしてもらう必要がある。例えば回転板なんかは角材が挟まったりベニヤ板の厚いのが挟まったりすると機械がとまってしまうわけですね。そこでそれを取り除こうとして巻き込まれたというような事故があるわけです。ですから、ごみを出す場合に、やはり区分けして、そして回収がしやすいように、収集がしやすいような出し方をしてもらうというようなことも必要ではないかと思うのですが、そういう意味の指導といいますか協力というものを今後十分やってもらう必要があるし、徹底してもらう必要があるのではないかというふうに思うのですが、こういう点については厚生省どういうふうにお考えですか。
○森下政府委員 市町村が行います清掃事業に住民が協力しなければならないというのは廃棄物処理法にも定められた住民の義務でございまして、古くから可燃物と不燃物を別の容器に入れて出せとかあるいはもっと分別の徹底をしろとかいうふうなことも市町村の方でお決めになったルールに従ってやる、やらなければならない、こういうことになっておるわけでございます。 ただ、その周知徹底が町内会を通じてやるとか区民便りを通じてやるとか、多少地域によっては十分でないところもあるかと思います。ごみの場合は、水道と違いまして、水道ですと蛇口で少し節水をすればいいというふうな協力の仕方くらいでございますけれども、ごみを分けて出す、あるいは危険なものは出さないとか、決まった日に決まったものを出すというふうな協力の仕方で清掃事業が非常に円滑にいくわけでございますから、私どももいろいろな行事、例えば環境衛生週間、これが九月二十四日を中心にいたしまして一週間の清掃の行事の日でございますが、こういった日に住民の方々に御理解を深めていただくような啓発活動をやったり、あるいはテレビとか政府の広報番組を通じまして御理解をいただくようなことを考えてやっておるところでございます。
○村山(富)委員 以上でごみの関係、収集車の災害の問題については質問を終わりますけれども、次に廃乾電池の収集処理について若干お尋ねをしたいと思うのです。 昨年七月に発表されました厚生省の適正処理専門委員会の報告が出されておりますけれども、その報告書によりますと、廃乾電池の分別収集の必要がないというふうに言われているわけです。その根拠として、厚生省が実施した水銀調査の結果、例えばごみ最終処分場での表土の平均水銀濃度〇・三一ppmを挙げているわけです。 しかし、東京都環境科学研究所が八四年に実施した調査では、東京の市街地の地表から自然環境の六、七倍の濃度の水銀が検出されておる。これは清掃工場が廃乾電池を焼却していることに基づく長期的環境汚染の結果ではないか、こういう説があるわけですけれども、こういう説に対する関連として厚生省としてはどういう見解をお持ちですか。
○森下政府委員 電池の中の水銀の問題は、これは古くは一般消費者向けの雑誌の記事が契機となりまして問題になったわけでありまして、厚生省では、廃棄物処理施設などから水銀がどんなふうに出てくるかあるいは施設の周辺の環境の実態についてどんなふうになっているかということについて調査をいたしたわけでございます。その結果は昨年七月に生活環境審議会の廃棄物処理部会に設けました適正処理専門委員会の方から御報告されたわけでございますが、この御報告では、使い捨ての乾電池とほかのごみとを合わせて処理をいたしましても現行の法令で定められた処理処分が適正に行われるならば現在直ちに水銀について問題となるような状況にはないという判断がここで示されたわけでございまして、これが即分別収集そのものを否定したというわけではございません。これは仮に分別を行わなくても今の処分の仕方を適正にやれば生活環境保全上には水銀について問題を生ずることはないという認識を示したわけでございます。 今先生が御指摘になりました東京都の研究所の方でお調べになった結果でございますが、これは私どもも六十年の十月に毎日新聞の方で報道されたものを読んでおりますので恐らくこれのことだと思いますけれども、この研究所で測定が行われました都内の三カ所の地点で地表で水銀濃度が高かったということにつきまして、御研究をされた学者先生は都市活動の影響を受けているというふうな表現をされておりまして、乾電池そのものについてはお触れになっておらないわけでございます。また、その後私どもも間接的ではございますがこの研究者にこのお考えをお尋ねいたしましたところ、特に乾電池との関係ということで問題を提起したということではなく、むしろ都市活動ということで何かの影響があるんだろうから、さらにこれについて詳細な研究が必要であるというふうなコメントでございました。私ども、もちろんそういうことで七月、専門委員会から御報告いただきましたけれども、引き続き埋立場その他周辺の水銀等の挙動についてはモニタリングを進めるところでございまして、こういうことで全体として廃棄物が適正に安全に処理されるということを今後も続けてまいりたい、このように考えております。
○村山(富)委員 この報告書もある程度の専門家が調査した結果として出していると思いますし、それから、東京の研究所が出しているものもそれなりのやはり見識、見方はあると思うのです。ですから、決定的にどうだということは言えない面もあるのではないかと思いますね。 そういう理解をした上で私は申し上げたいと思うのですけれども、この報告書で、そうした全体の動向の中で生活環境の保全の確保が一層図られる見通しであるというようなことを結論づけて言っているわけですね。その根拠としてアルカリ乾電池の水銀含有率の低減化、つまり八三年当時の製品に比べて八七年九月には従来のものの六分の一とする、こういうことが言われているわけです。 しかし、過去十年のアルカリ乾電池の生産量を見ると、年率二〇%ぐらい伸びているわけです。この傾向が続きますと、四年を待たずして量は倍になる。十年もしますと六倍にも量がふえていく。したがって、乾電池の水銀含有率が仮に低減しても、量全体がふえていけばやはり水銀の環境負荷は低下しないわけです。したがって、その点を考えた場合にやはり問題があるのではないかというふうに心配されるわけです。 そこで、六分の一の低減というのは現実に守られておるのかどうか、どういうふうになっておるかということが一つと、それから、今申し上げましたような量がふえていくという状況に対して、環境汚染に対する将来見通しというものについてはどういうふうにお考えになっているか、その二点についてお尋ねしたいと思うのです。
○森下政府委員 アルカリ乾電池の中の水銀量を二段階に分けて下げていく。最初三分の一にして、次がそのまた半分、つまり最初の六分の一にするということでありまして、三分の一にするということはもう既に済んでおりまして、現在、六十二年の秋を目標に社団法人日本乾電池工業会でいろいろと研究しております。その研究というのは、つまり技術的には可能でありますが、商品として十分耐久性があるかとかコストがどうだろうか、商品としての性能をテスト中であると伺っております。目標の六十二年の秋、つまり来年の秋までにはこれを達成できると私どもは考えておるわけでございます。もちろん、それがただお話だけでは困るわけでございますから、乾電池工業会での検討の状況を定期的にお話を伺うなど、あるいは必要に応じまして通産省と連絡をとりながら指導し、場合によっては督促といいましょうか、急いでいただくということもやってまいりたいと考えております。 〔浜田(卓)委員長代理退席、委員長着席〕 それから、全体に水銀の量は非常に急激に単体としては減るわけでありますが、これがまたじわじわと全体の使用量がふえていくことについていかがかという先生の御懸念でございます。 確かに、最初の段階で三分の一に減ります。それから来年の秋にはまたその半分に減るということで、一年間の環境への水銀の放出量としては、例えば五十八年の六十一トンというものに比べまして、全体に水銀量が六分の一になった場合には三十トン、半分程度にはなるというふうに推算できますけれども、これが全体の量がふえていくということについてはやはり注意しなければならぬということで、当面、今のやり方は続けますが、あわせまして埋立処分場、ごみ焼却場その他の周辺の水銀のモニタリングは続けて万全を期していきたい、このように考えております。
○村山(富)委員 それから、その廃乾電池の対策の基本方向として、事業者に対してアルカリ乾電池の識別が容易になるようなことを徹底させるということが求められておるわけですけれども、現在市販されているアルカリ乾電池は水銀含有量が従来の三分の一となっているというふうに言われているわけですが、現実にこの乾電池の水銀含有量が三分の一になっておるかどうか、これはどういう方法で確認をされているのか、あるいはこうした識別が容易になるような業界への指導というものはどういうふうにされておるかという三点についてお聞きしたいと思うのです。
○森下政府委員 まずアルカリ乾電池の中の水銀の量でございますが、昨年の六月の末に工場を出る段階で三分の一に削減した、これは正式な報告を受けております。工場からそういう水銀量を減らした電池が出荷されますが、市中の販売店に出回るまでの時間は、これはいろいろ流通経路がありますから、三カ月ほどずれがある、このずれを考慮いたしましても、現在市中に流通している乾電池の水銀含有量は、アルカリについては三分の一になっているということだと思います。 そこで、これを実際に私どもは確かめなければなりませんから、いろいろな方法がありますが、まず通産省の方の認可団体でございます社団法人日本乾電池工業会の方でお調べいただきました。これによりますと、三分の一になっているという旨の資料をいただいております。それから、私どもも昨年の八月に、これは私どもの所管しております財団法人日本環境衛生センターというのがございますが、ここでサンプルを持ち込みまして分析させておりまして、その結果からも水銀の含有量は三分の一になっているということでございます。 それからもう一つ、これはちょっと余計なことかもしれませんが、この乾電池の水銀問題を最初にお取り上げになった消費者向けの雑誌がございますが、この雑誌でも、たしかことしの一、二月特集号で御調査された結果が出ておりましたが、ここでもやはり三分の一だというふうに発表されております。 それから、アルカリ乾電池のとにかく識別をしやすくするということにつきましては、昨年の七月の専門委員会の報告にもございますが、これをどういうふうにやるかということでございますが、まず日本語でアルカリ乾電池という表示はしております。さらに色分けなどをしてもっと見やすくしたらどうだろうかというふうなことも考えまして、また私どもも業界の方で検討させておりますが、まだはっきりは決まっておりませんが、近々業界といたしましては、金色を基調とするという線で、線というのはそういう方向でアルカリ乾電池の塗色について統一化が図られる、このように通産省を通じて伺っております。
○村山(富)委員 一般消費者が判別できるように、できるだけこれをわかりやすくされるように指導を願いたいと思うのです。 それから、冒頭に申し上げましたこの報告書によりますと、分別収集の必要がない、こういうふうに断定しているわけですが、現実に各市町村では相当分別収集が行われているわけですよ。そうすると、この報告書が、せっかく各市町村で分別収集をしておるのにそれに水を差すような結果になったのでは問題があるのではないかというふうに思うのですが、そういう面における今後の指導というものはどういうふうになさるつもりですか。
○森下政府委員 一口に安全宣言とか分別回収は不要だとかいうふうにお取り上げになる向きもあるのでございますけれども、私どものいただきました報告書は今の処理の仕方、焼却とか埋め立てとか、これを定められた基準に従って適正にやれば環境への問題はない。しかし、もっと環境をよくするという観点から水銀の入った電池を別にお集めになるということは市町村の御判断でおやりになってこれは別に差し支えないということでございます。その辺は県の方の自主性にお任せしておるわけでございます。 ですから、あの報告が出ました後に県の清掃担当の部門の責任者を呼びまして、報告書の内容につきまして詳細に説明いたしましてこの旨を十分に伝達いたしましたから、これを受けてそれでは直ちに、せっかく今までやっていた分別をすぐにやめろとか、そういう動きがあると私どもは考えておりません。あくまで市町村が今までやってきたやり方が一番市民の共感、協力を得やすいし、また、その方が少しでも世の中の心配が少なくなるのだということでおやりになるのなら、それは市町村の御判断でおやりいただくことについて何らそれを妨げるものてはないという趣旨でございますし、そのことは、間接的ではございますが、国の方へ都道府県の責任者を集めまして昨年御説明したところでございます。
○村山(富)委員 これはやはり断定的なことは言えないわけですからね。したがって分別収集をして、そしてより安全な方向で処理をしていただくということが必要ではないかと思いますから、その点は十分配慮して今後の指導なり対処をしてもらいたいと思うのですね。 それから、現実には分別した収集が行われているわけですから、この分別して回収をしたものをどこで処理するかということが問題になっているわけですね。現在、日本には北海道に一カ所、処理場があるだけですけれども、聞いてみますと、北海道は年間六千トンぐらいの処理能力がある。現実に各市町村の分別収集したものが大体五千トンぐらいある。ですから、処理能力はあるわけですけれども、しかし、北海道まで運ぶなどということも大変なことですし、私はどこかに処理センターというようなものを計画的に考えていく必要があるのではないかと思うのですが、そういう問題についてはどういうふうにお考えですか。
○森下政府委員 処理の効率性という問題、それから地方の方々の気持ちという問題からしましても先生の仰せのとおりだと思います。 昨年の適正処理専門委員会の報告でも全国に数カ所こういうものをつくれということでございますが、何せ市町村でも既に分別して集めたものがたくさんたまってしまいまして、そういうことで市町村の状況が大変逼迫したということでとりあえず北海道のイトムカからスタートをしたということでございまして、もちろんこれ以外に効率的な処理ができるところを引き続き探しているというのが現状でございます。
○村山(富)委員 これは、冒頭に申し上げましたように大気汚染の問題やら土壌の汚染の問題やら、いろいろ環境を保全するという意味からすると大きな問題もあるわけですから、したがってそういう点も十分配慮しながら積極的な取り組みをしていただきたいということを特に要請しておきたいと思うのです。 それから、今のごみ収集体制、ごみ処理の体制の中で一番欠けている点は、すべてごみとして処理してしまうというところにも若干問題があるのではないか。その中には十分リサイクルできるようなものがあるのではないかと思うのですけれども、そういう点の活用指導というものはどういうふうにされていますか。
○森下政府委員 まず廃棄物の処理につきまして今後の一つのポイントでございますけれども、これはやはり廃棄物をできるだけ減らすということだと思います。これは減量化、資源化というふうな言葉で言われておりますけれども。でございますから、もともと資源化できるような家庭ごみについてはこれを分別する、東京でも月曜日に集めるごみと火、木、金に集めるごみは違うごみでございますが、こういうことでこれは台所の方、一般住民の協力がなければできないわけでございますから、こういう一般住民の協力のもとに資源化、減量化を推進していくというのが新しい方向だと思います。 それともう一つ、清掃事業にとって、非常に処理のしにくい廃棄物がたくさん出てくるということは大変困ることですから、これは物をつくった人は必ずそのものはやがて廃棄物になるという考えのもとに、つくったものが廃棄物になった段階で処理しにくくなることのないように、廃棄物処理法の第三条第二項にある規定でございますけれども、それをさらに具体化するために一つのガイドラインというものを用意いたしまして、製造側でこういう物差しを見て、こういったものをつくってしまっては清掃のサイドに大変な迷惑をかけるんだなということで差し控えていただくというふうなことを誘導していきたい。そういうことで、つい先月でございますが、専門委員会でございますがスタートさせまして、廃棄物の減量、それから処理のしにくい廃棄物をつくらないことというふうな方向で今後進めてまいりたい、このように考えております。
○村山(富)委員 もう時間が参りましたから、これで終わりたいと思うのですけれども、最後に大臣にもう一遍ひとつお尋ねしておきたいと思うのです。 今のこのやり方というのは、排出されたごみの処理のあり方について対策を講ずる、言うならば対症療法ですね。そうではなくて、やはりどうして環境の保全を確保していくか、住みよい環境をつくり上げていくか、こういう積極的な面があっていいのではないかという気がするわけですね。単なるごみの収集処理といった問題だけではなくて今は非常に世の中の環境が変わって多様化しているわけです。したがって、変わった多様化した環境に対応できる、しかも非常に住みよい環境が保全されていく、こういう意味で総合的な見地からもっと積極的な取り組みが必要だというように私は思うのです。そういうことについてひとつ大臣の見解を承って終わりたいと思います。
○今井国務大臣 お説のとおりでございまして、その前に、担当部長が答弁いたしましたが、まずごみを減量化すること、それをまた資源化できるものはそれを再資源にするということと同時に、やはり廃棄物として処理ができにくいようなものはなるべく製造業者の段階で処理しやすいようにするということを申し上げましたが、そういうことがこれからの大きな問題でございますと同時に、やはり環境をうまく保っていくためにいろいろなごみ処理についての対応策を積極的に考えていくということは先生のおっしゃるとおりだと思います。ひとつ積極的な行政を進めてまいりたい、このように思っております。
○村山(富)委員 終わります。
○山崎委員長 大橋敏雄君。
○大橋委員 この法案の審議に先立ちまして、私ども公明党の社会労働委員会のメンバーで廃棄物処理施設を見に行こうではないかということで、四月の初めに参りました。 代表的な施設三カ所でございましたが、非常に印象的な見学だった、参考になったということでございますが、まず一般廃棄物関係では千葉市の北谷津清掃工場でございましたが、外見から見た感じも非常に近代的な建築と申しますか、いい感じの建物でございました。施設面では最新の技術が導入されたと申しましょうか、大体一般的にはごみの集積場周辺は嫌な悪臭が漂うものでございますけれども、ここはそういうことはなかったですね。悪臭が全部焼却炉の中に吸い込まれていくようなシステムがとられておりまして、また入り口のところもエアカーテンといいまして空気で隔離されるようになっていまして、においが外に出ないわけですね。非常に公害対策には万全が期せられていたということでございます。 また、焼却の熱エネルギーを活用しましてまず自家発電をしておったのですね。自分の工場の中の運営はその電力でやっているというようなものでございましたし、また余熱利用では温水プールあるいは共同のおふろが隣接して設備されておりまして、地域の住民福祉には多大なる貢献を果たしているという立派なものでございましたが、私はこのような施設に全部切りかえていくべきではないか、こういうふうに直観したわけでございますが、生活環境の向上につながるこういう施設に次々と建てかえられていく方針でいくのかどうか、まず厚生大臣の基本的な考え方をお尋ねしておきたいと思います。
○今井国務大臣 今の御提案、全く同感でございまして、私どもも廃棄物処理施設を建設する際には周辺地域の住民の理解と協力が不可欠でございますし、またせっかくの廃棄物処理施設をつくるときには、先生おっしゃいますように多量のエネルギーが出るわけですから、それをうまく利用するということについては私、全く同感でございまして、厚生省といたしましても、各省の補助制度の活用を含めまして、そして今後とも地域の住民の福祉にも貢献をし、また周辺の環境とも調和した廃棄物の処理施設ができるようにひとつ督励をしてまいりたいと思います。 私も実はこんなことを考えまして、先日でございましたが東京湾の中央防波堤の埋立地に参りました。またその帰りがけ、日本一の規模を持ちます江東の清掃工場をつぶさに見てまいりました。先生と全く同じような気持ちを持ってまいりましたので、ひとつただいまの御意見を極めて率直に尊重して今後の清掃行政を進めてまいりたい、このように思います。
○大橋委員 今もお話しありましたように、こういう施設にはやっぱりお金がかかるわけでございまして、そのためには各省庁の補助金等が活用されるように連携をとって云々という今御答弁があったわけでございますが、その三カ所のもう一つは市川市にある株式会社市川清掃センター関係の施設でございましたけれども、ここには通産省関係の補助金が多額につき込まれている最近の技術を導入した資源開発利用処理機器の設備をされたところでございまして、日本でただ一つとまで言われるくらいの廃棄物の資源再利用処理機器でございました。これはもう既に今ではフル回転操業がなされているのではないかと思うのですけれども、ちょうど参りましたときにはまだまだ試運転の段階でございました。 もう一つ見ましたのは、これは建設汚泥等を固化処理するという江東区の京葉興業の廃棄物処理センターでございましたけれども、この建設汚泥が見事に固化されて適正処理されていくシステムがあるわけでございます。それもつぶさにこの目で見てまいりましたが、このように建設汚泥の固化処理といいあるいは廃棄物の資源再利用の実際といい、現実に見てきましたが、これはすばらしいものだという実感でした。これには特殊な知識といいますか、あるいは技術等の習得が大変だろうということはありますけれども、こういう姿でどんどんと施設整備がされていかなければならぬな、こう思った次第でございます。 先ほども大臣みずからおっしゃったように、関係省庁との連絡をとりながらそういう補助金等を投入していきたいというお話でございましたけれども、このような内容についてやはり通産省とは特に連携を深めていただいて所要の整備を確立していっていただきたいという要望があるわけでございますけれども、この点についてはいかがでございますか。
○今井国務大臣 ただいまの御意見、また全く同感でございまして、御指摘のとおり廃棄物の資源化といいましょうかあるいは効率利用及びリサイクルということを積極的に図りますことは、廃棄物の適正な処理とか減量化を図るという観点はもとよりでございますが、省エネルギー、省資源という観点からも極めて大事だと思っておるわけでございます。 そこで厚生省としましては、従来から廃棄物の減量化、資源化という問題をとらまえまして自治体を指導しておるわけでございますが、同時に効率的な処理技術の開発研究だとかあるいは廃棄物の処理施設の整備にかかわります補助制度の一環として減量化、資源化に資するものに補助を行っているところでございます。今後とも関係各省、特に今通産省のお話がございましたが、そういうところと密接な連携をとりながら廃棄物の資源化あるいは有効利用というものを積極的に促進してまいりたい、このように思っておるものでございます。
○大橋委員 とにかく本来ならば廃棄物として処理されるものがいわゆる資源化されるわけですね。実際問題として、燃料ができたりその他いろいろなものが技術で再生されていく現場を見たとき、本当に技術革新の鋭さを感じますとともに将来に明るい期待が持てる感じでございました。 ところで、廃棄物の処理問題についてお尋ねしたいと思うのでございますが、特に建設産業廃棄物といいますか、この不法投棄の問題は、これを重視し、適切な対策を確立して環境の破壊を防止していくべきだと思うわけでございますが、実はここに私たくさん資料を持ってきております。 これは五十九年から六十年の関東近県で発生した不法投棄等の社会問題を扱った新聞報道の記事でございますが、十五枚ほどあります。大変驚いたわけでございますが、その見出しだけでもこういうことがあります。「不法処理十トン車で五千台分」それから「ダンプ百台分不法投棄」次に「モグリ産廃物処理業者 住民同意へ買収作戦 三万円の小切手配る」あるいは「建設汚泥を不法投棄新幹線工事 無許可業者の手で 多量に水分を含む 生き埋め事故の危険も」あるいはまた「汚泥処理ボロもうけ 無許可で四万トン」それから「産廃物を不法投棄 鉛、基準の十五倍も 大手会社幹部ら三人逮捕」等々、とにかく枚挙にいとまないわけでございます。 そこで、こうした環境汚染防止のために私は一段と行政の指導監督を強化すべきではないかと考えるわけでございますが、厚生省としてはどのような対処をなさるおつもりか、お伺いをさしていただきたいと思います。
○森下政府委員 産業廃棄物の処理でございますから、これはまず事業者責任というのが大原則になっております。それで、流れに沿って申し上げますと、まず排出事業者に対しまして十分法の趣旨を徹底させる、つまり排出事業者に対しましては、自分で処理をしないでこれを委託する場合には処理の基準、委託の基準、こういったものを遵守させるということがまず第一だと思います。 次に、今度はその廃棄物を引き受けまして処理をする産業廃棄物処理業者というものがございますが、こういうものに対しましては、処理業者の団体などを通じまして、処理業者がそれぞれ法に定められました基準に適合するようなきちんとした処理をしていただくよう意識の高揚を図るなど指導育成を図ってまいりたいと思っております。 それから次に、今度はこれらの排出事業者、処理業者、あるいは処分をする場所などを横断的にチェックいたします都道府県あるいは保健所設置市に環境衛生指導員がおりますが、こういった者によります立入検査、報告徴収等の指導監督を強化する。これには人間も必要でございますが、人的充足とあわせましてこういった専門家に対する教育訓練も強めてまいりたい、このように考えております。 それから、これと並行いたしまして、さらに適正な産業廃棄物処理ができるように、あるいはできない問題があるとすればどういうところに欠陥があるのだろうか、それは制度の上だろうか、実際の物の流れだろうかというふうなことで、要因の解析あるいは分析なども実は別途研究しておるところでございます。
○大橋委員 産業廃棄物の不法投棄を防止するためには、何といいましても環境衛生指導員の適正配置ということが非常に大事なことだと思います。あるいは広域的な監視体制の整備等地域の実情に応じた監視、指導の強化に努める必要があると私は思います。 その上で、今の御答弁に関連してまたお尋ねしたいと思うのですが、建設業そのものの性格がどうも適正処理を難しくするものがあるのではないか、私はこう考えるわけです。というのは、建設業は受注産業なんですな。それから、工事の発注の時期とか場所というものは自分自身でなかなか予測をすることが難しい。あるいは事業計画は発注者が行うものでございまして、建設業者みずからが決定するものではないということですね。それから、工事現場は常に移動しているわけでございまして、自分の所有地あるいは管理地ではないということから、その敷地内で勝手に処理できないという事情があること。それからもう一つは、大部分が零細中小企業者であるということで、廃棄物を保管したり処分する用地そのものの確保が難しいという状況にあるというようなことでございますけれども、では、そういうことでほっておっていいのか。 つまり、放置していれば公害発生あるいは環境汚染となるわけでございます。したがいまして、力のある元請業者が責任をとって適正処理を行っていくことが非常に望まれる問題ではないかと思うのでございますが、この点はいかがでございますか。
○森下政府委員 結論から申しますと、先生の仰せのとおりでございます。 建設工事の場合は、廃棄物の排出事業者は工事を受注する元請業者だと考えるのが最も妥当であるというふうに判断いたしまして、昭和五十六年の三月に厚生省の方から都道府県あての通知によってこの趣旨を伝えまして、関係の事業者に周知徹底させるよう指導しております。 お話がありましたように、元請業者というのは全体の工事について管理監督ができますし、かつ下請業者を指導する責務を有しておるということ。それから、仮に今度は下請業者を排出事業者というふうにしてしまいますと、一つの工事の中にいろいろな工事があって、しかも孫請とか、またその孫々請とか非常に重複した重層的な構造になってしまうことでございますから、責任の所在も不明確になるということで、五十六年の通知をちょっと読ませていただきますと、「建設工事を発注者甲から請け負った者乙が、建設工事に伴って生ずる産業廃棄物の処理を自ら行わず他の者丙に行わせる場合は、乙は産業廃棄物の排出事業者に該当し、」元請が排出事業者になるということを明らかにいたしまして通知いたしたところでございます。
○大橋委員 よくわかりましたが、その元請責任については昭和五十六年に明確に指示が出ているようでございますけれども、それがきちっと守られていけば問題はないわけですが、問題はもう一つあるわけですよ。その廃棄物のいわゆる判定基準に私はあいまいな点があるのではないかと思うのです。 と申しますのは、従来は有償か無償かで廃棄物か有用物かを判断する方法があるわけでございますが、こういう方法では建設工事等に伴って出てくる汚泥というようなものは、土砂なのかあるいは廃棄物なのかの判断が非常に難しいと思うのでございます。したがいまして、この点が自治体でもあるいは業界でも見解がばらばらに分かれたりいたしまして対応もあいまいというのが現状ではないかと思うのでございますが、そういうことから産業廃棄物の汚泥でありながらこれは土砂なんだと考えて許可もなく処分したりして不適正処理ということで検挙される例が少なくないわけでございますが、そういうことで私は汚泥の定義を国の方で明確に示す必要があるのではないかと思うのでございますが、いかがでございますか。
○森下政府委員 観念的には極めて明確になっていると思うのでありますが、現場に参りますと、この品物を見て、これが汚泥になるか土砂になるかという判断を迫られた場合に、間々非常にその判断に苦しむ場合が少なくないという事実は承知しております。 ちょっと長くなりますけれども、まず定義の方から御説明申し上げますと、廃棄物処理法の体系では、土砂と申しますものは一般には有機物ということで埋め立て用の材料に使われるというものでございます。これは専ら土地造成に用いられる土砂に準ずるものと一緒に廃棄物処理法の対象外ということとなっておるわけでございます。 それから、汚泥でございますが、これは廃棄物処理法の解説書などを引用いたしますと、「工場廃水等の処理後に残るでい状のもの、及び各種製造業の製造工程において生ずるでい状のものであって、」「有機性及び無機性のもののすべてを含むもの」として定義される、これは課長通知でございますけれども。こんなふうな書き方になっております。 物理的には、汚泥と申しますのはそれを構成しております粒子の粒形が非常に小さくて水をたくさん含んでいる、含水率が高いというふうなものを汚泥というふうに言っておるわけでありまして、法律の方から見る限りにおいては土砂と汚泥というものは区別しておるわけでありますが、先ほど申しましたとおり、現場に行って、それではこれは一体どっちだという場合に非常に判断しにくい面があろうかと思っております。また、これが実態だと思います。 そこで、私ども最近特にまた現場の話としていろいろと伺っておりますのは、土木の技術が進んでまいりまして、従来ですとシールド工法というのになりますと必ず泥水が出る、汚泥が出てくる。ところが、泥水の少ないシールド工法が開発されたとか、あるいは今までの工法では施工できないような軟弱地盤のところにどんどん仕事が入っていって、そこから掘り出した土は、まさに出たところは土なんでありますが、地上に出してみるとどうもどぶどぶの汚泥みたいなものなんで、これもまた非常に困る。つまり汚泥か土砂かというのは、それを環境中に放出して処分した場合に、それが流れ出したり崩れたり、ほかの方へ何か物を溶かし込んだり流し出したりというような悪い影響を与えるというふうなことで土砂と汚泥というものは二つに区分したわけでありますから、そういうことで今後現場で、しかも環境のサイドから判断して、これは土砂として扱って差し支えないもの、これは汚泥として扱わなければ将来にわたって問題があるものというものを迅速に判断できるような、こういう技術を開発していかなければならないのではないかと私は思っております。 当面、どういうところから出た汚泥というのは一般的にこういう性状だから、これは汚泥として扱いなさい、これは土砂に準じて扱いなさいというふうな個別の指導を県を通じてやっておりますけれども、やはり技術も進歩しておりますから、そういう土木技術の進歩に合わせた廃棄物の多様化に備えて、今後とも現場で混乱の起こらないようなそういう研究を至急にやりたい、このように考えております。
○大橋委員 廃棄する業者が、これは汚泥であるかあるいは土砂であるかで、その判断によって捨て方が変わるわけですけれども、たまたま自分は土砂だと思っていたんだけれども、もともとこれは産業廃棄物の汚泥そのものから出てきたものじゃないか、見た目は土砂であってもと言ってみても、その判断が非常に難しく狂って、検挙されて罪に落ちていく人もたくさんいるわけですね。だから汚泥の定義をもう少し明確に、なるほどこれは汚泥なんだ、これは土砂なんだとわかるようなものを例示をしていかないと、自治体やあるいは業者等に指導を徹底できないと思うんですね。 今読み上げられたのは、恐らく厚生省の通達の中にある汚泥の説明の内容であろうと思うのですけれども、私も拝見をいたしましたが、細かくずっと書いてはありますけれども、何となくぼやっとしている感じですね。だから、私が今言いたいことは、もう一歩掘り下げてその汚泥の定義をやはり示していただきたいということでございます。 そこで、迅速かつ何とかということで今御答弁がありましたけれども、まさに明確にそれが判断できる基準を将来必ず示していただきたいことを強く要望いたしておきます。 そこで、建設業界でも、産業廃棄物とは一体何かと、定義などをめぐりましてこれを明確にしたいという動きが出てきたんですね。五十九年の十二月でございますか、建設業界の代表二十二名と、オブザーバーとして建設省あるいは厚生省からも行っておいでのようでございますが、そうした構成メンバーによる、すなわち建設廃棄物の適正処理に関する調査研究というのが発足をしておるようでございます。その初年度においてはいわゆる建設汚泥について、また二年度目には建設廃材についての研究成果がまとめられるということでありまして、非常に期待されていたわけでございますが、オブザーバ一として行かれている厚生省の立場から、この経過がどうなったか御説明願いたいと思います。
○森下政府委員 スケジュールにつきましては、先生のお述べになったとおりでございまして、初年度の中間報告書が先ごろ、昨年の十二月でございますが、まとまりました。その中では、建設汚泥の取り扱いについては引き続き検討するということになって、もう一年かかるということでございます。 非常にいろいろな分野の方々が関与されて研究しておりますから、実際に現場での御苦労、あるいはこれを適正に処理する監督の立場にある都道府県の方々の意見なども聞きながら、細心の技術の知見を集めながらやっていきたいということでございまして、私は、詳細はまだ申し上げるほど勉強もしておりませんけれども、例えばその汚泥を一遍何かの形で処理して、いかにも土のような形になっている、つかんでみれば、ぱらぱら砂のような形になった、これを埋立材料に使った、そこへ雨が降ったらまたもとの泥になってしまった、これでは何にもならないわけでありまして、やはりそういう一つの加工されたものの可逆性とか不可逆性とかそういったものも含めて検討しないことには、建設の汚泥の問題というのは片づかないのではないかと思っております。 また、これとは別でございますが、厚生省プロパーのお話といたしまして、昭和六十一年度にちょうだいいたします予算で、大量発生廃棄物の埋立処分技術調査ということをやりたいと考えております。この中で、今お話があります建設汚泥というのは、まさにその大量発生廃棄物の代表的なものでありますから、これは私ども自前の方でごく科学的といいましょうか、技術的なものについて、今申しました、一遍固めたけれども雨が降ったらまたどろどろではだめだよ、そういうふうなところを含めて、基本のところをこれは私どもの自前の予算で勉強したい、このように考えております。
○大橋委員 もう一つ、確認の意味も含めまして、建設工事の低公害工法ですね、それからシールド工法等から発生しております含水率の高い流動性のあるいわゆるベントナイト泥水といいますか、これなどは廃棄物処理法で言う汚泥と考えでいいのかどうか、これが自治体によって必ずしも見解が統一されていないような気がしてならぬものですから、ちょっとお尋ねしたいと思います。
○森下政府委員 特に地下鉄工事の現場などから出てまいります先ほど申しました粒子が細かくて水分を多量に含む、つまり含水率の高い汚泥、しかも排出された時点で泥状になっているもの、大体あれは現場に真空ポンプ車が行ってタンクで吸い取ってまいりますから、これは液状で、泥状で吸い上げるということでございますが、こういったものは無機性の汚泥ということで産業廃棄物の方で取り扱っております。
○大橋委員 そういうふうに明確にお答えになったわけでございますので、こういうのはやはり自治体等にもきちっと見解をお示しになる必要があるのではないかと思いますので、これもひとつ強く要望をしておきます。 次に、建設工事等から発生するこれらの廃棄物につきましては、発注元と申しましょうかその事業主あるいは元請業者が当然みずからの責任において処理すべきものであると、これは先ほどの通達にも明確に示されているように伺ったわけでございますが、したがいまして、その事業主がみずから処理できない状況にある場合、それはそれぞれの基準に従いまして専門の処理業者に適正価格で処理させるということも極めて重要なことだと考えるわけでございますが、いかがなものでございましょうか。
○森下政府委員 それは当然のことと存じます。
○大橋委員 そういうことを事業主あるいは元請業者に対して適切な指導を行っていただきたいということでございます。というのは、発注者は、これだけの仕事からこの程度の廃棄物が出てくるだろうということは案外予測されるわけです、また、予測しなければならぬわけですから。それを適正処理をさせるためには、その予算も前もって準備をし、そしてその関係業者にきちっと処理をお願いするということでなければならぬと思います。 そこで、次にお尋ねしたいことは、今建設業界から、廃棄物処理にたくさんの経費がかかるということから、例えば固化した、あるいは脱水土といいますか、そういう状況になったのは、廃棄物処理法に規定されているものからいわゆる規制の対象外に除外していただきたいものだということを通産省等を通じて働きかけているという話を時々聞くわけでございますが、この点について何か情報はつかんでおられますか。
○森下政府委員 産業廃棄物の汚泥ということになりますと、管理型の処分場に処分しなければなりませんから、そのための処分場の管理のコストがかかるということでありまして、もっと経済的にやるためには、今仰せのように、多少前処理のようなものをして、泥状ではないから汚泥扱いにしないでほしいという御要望が一部にあることは存じておりますが、私どもの方にまだ直接はお見えになっておりません。またそういった処分基準の問題になりますと、厚生省と環境庁両省で所管している部分もありまして、また微妙な問題もありますが、今のところ私のところまでは正式にお話は上がってきておりません。
○大橋委員 これはあくまでも厚生省所管の重要な仕事でございますので、業界のわがまま的な内容からの要望等には安易に同調することのないように強く要望しておきます。 それから、先ほどもちょっと触れたのですけれども、不適正処理の要因の一つに、工事発注者の廃棄物の適正処理意識が非常に薄い、欠如していると言っても言い過ぎではないと思うのでございますが、自分が発注した工事からどの程度の廃棄物が発生するかについては大いに関心を持つべきだと思うわけでございますし、また環境保全の立場からは十分予測した上で設計上積算して施工業者に適正処理を指示するというようにならなければならぬと私は思うのでございますが、廃棄物処理の発注者責任を明確に打ち出す必要はないかどうか、この点についてひとつ。
○森下政府委員 先ほど、廃棄物としての処理責任が元請業者にあるということを申し上げたわけでありますが、それでは、この元請業者がその責務を完全に果たすためにはお金がかかるわけでありまして、その費用は、実は発注者が費用を正じく見積もって工事費の中に積算することが絶対必要なことだと考えております。ただ、これが、元請責任論までのところは大分徹底してまいりましたが、そこへの費用の支払いが実は発注者にあるのだということについて若干意識の徹底が進んでないという感じがいたします。 それはどうも私どもが直接都道府県の衛生部局などを通じてこういった指導をしていることにも一つの原因があるのではないかとも思っております。ただいま先生もお話しになりましたけれども、建設の八団体がこういった問題を研究しております。これはことし、来年と続くわけでありまして、ここでは確かに元請業者責任論というのが出てまいりましたが、同時にこれは発注元の費用負担という形で物事が整理されるべきものだと思います。こういった議論が整理された段階で、十分趣旨が徹底されますよう、これは恐らく建設省その他、そういった事業を所管される省庁にもお願いしながら、そういう考え方の徹底を図ってまいりたいと考えております。
○大橋委員 非常に前向きな答弁でございましたので、私もこの辺で質問を終わりたいと思うのですが、とにかく廃棄物処理の発注者責任を明確に打ち出して、自治体あるいは業界等にも指導を徹底していただきたい。先ほど申しましたように、一般廃棄物処理の問題については今最新の技術が取り入れられて非常に見事な体制ができつつありまして、これはこのままどんどんと進展させていただきたい。 それから、廃棄物の資源利用の問題です。これも非常に期待したいところでございますが、問題は、今言った、特に建設関係の汚泥等の産廃問題が大きな問題点として出てくるような気が私はしてなりませんし、その廃棄物処理の問題、これは非常に大事でございますので、今細かいことを随分とお尋ねしましたけれども、そういう点が明確に示されていけばその判断も明確になりますし、処理も的確になっていくと思うのでございます。 以上で終わります。
○山崎委員長 塩田晋君。
○塩田委員 ただいま今井厚生大臣から趣旨説明が行われました廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案につきまして、大臣並びに関係局長に御質問いたします。 今回のこの法律案の中身を見ますと、昭和六十年度までの間の計画を昭和六十五年度までの間の計画に改めるというものでございまして、それ自体問題があるというものではございませんが、この中に盛られる計画、廃棄物処理施設の整備計画、整備方針全般につきまして幾つかの問題点を質問したいと思いますので、簡潔に御答弁を願います。 廃棄物処理施設整備計画は、これまで昭和六十年度まで五次にわたりまして計画を策定してきておられます。そして廃棄物処理施設の整備の促進に当たってきておられるのでございますが、一般廃棄物、産業廃棄物処理施設それぞれにつきまして基本的な整備方針はどのようになっているか、大臣の所信をお伺いしたいと思います。
○今井国務大臣 お説のように、これまで五次にわたって計画を進めて廃棄物処理施設の整備を推進してまいりました。今度の具体的な整備方針の基本は何かということでございますが、まず一般廃棄物につきましては、焼却することの可能なごみのほぼ全量が焼却処理できるようにすること、またし尿などのほぼ全量が衛生処理できるようにすることを目標に施設を整備することであります。 また産業廃棄物につきましては、事業者の処理責任の徹底ということとあわせまして中小企業対策等のために必要に応じまして地方公共団体による施設整備を進めていくことであります。 さらにまた廃棄物の資源化あるいは再生利用を促進すると同時に最終の処分場の先行的な確保あるいは整備を図りまして、将来とも生活環境の保全上支障が生じないようにするように対処するというのが基本的な考え方でございます。
○塩田委員 それでは今回、すなわち昭和六十一年度から五カ年計画策定ということになりますが、その計画を策定するに当たりまして、どのような目標を立て、またこれを実現するためにどのくらいの事業規模を予定しておられるか、金額等その事業計画内容につきましてお伺いいたします。
○森下政府委員 廃棄物処理施設整備計画は昭和三十八年以来五次にわたる計画に基づきまして鋭意整備をしてまいりまして、六十年末で可燃ごみの八八%が焼却できる能力を持っております。また、し尿あるいは浄化槽の汚泥につきましては、その八九%が衛生処理できる状態になっております。 新しい計画でございますけれども、本緊急措置法の改正を待ちまして政府部内の調整を行いまして、できるだけ早く成案を得て閣議決定という運びになることを考えているわけでございますが、現段階で厚生省の予定しております計画の概要を申し上げますと、まず目標でございますが、計画の目標は六十五年度末で可燃ごみの九二%が焼却できるように施設を整備したい。し尿などにつきましては九二%が衛生処理できるよう施設の整備をしたい。あわせまして資源化、原料化を推進することを予定しております。最終的に出てきたものにつきましては埋め立てなどをいたしますが、その最終処分場につきましては、およそ六年分の最終生成物、残渣を埋め立てるキャパシティーを用意したいというふうに考えております。 新しい計画の投資規模でございますが、この規模全体につきましては、先般この法案の閣議決定の際にあわせて閣議了解がされておりまして、総額といたしまして一兆九千百億円、うち一般廃棄物処理施設分として一兆四千二百九十億円、産業廃棄物処理施設分として千十億円、調整費が三千八百億円という予定になっております。
○塩田委員 従来五次にわたって計画をしてこられましたが、その整備計画第一次から第二次、第三次、第四次、第五次までの事業規模、それから達成の進捗率、それについてどのような状況で推移しているか、お伺いいたします。
○森下政府委員 まず第一次の計画でございますが、三十八年度から四十二年度まででございまして、計画額一千百億円に対しまして実績が千六十九億、達成率が九七・二%。第二次が、四十二年がダブりまして四十二年から四十六年度までになっておりますが、計画額が千三百三十億円、実績が千五百九十六億円、達成率が一二〇%になっております。第三次でございますが、四十七年度から五十年度までの計画でございまして、計画額が四千二十億円、実績が六千三百四十二億円ということで、一五七・八%になっております。第四次でございますが、五十一年度から五十五年度までの計画でございまして、計画額が一兆一千三百億円、実績が一兆六百六十六億円、達成率が九四・四%。これに対しましてただいまの第五次でございますが、五十六年度から六十年度までの計画でございまして、計画額一兆七千六百億円、実績が一兆三千四百二十六億円、達成率七六・三%、このようになっております。
○塩田委員 この状況を見ますと、かなり大きな規模になってきており、また進捗率も時には一〇〇%を超えて、第三次計画の場合ですが一五八%となっておったり、あるいはまた九四%といったものがありますが、一番最近の第五次につきましては一兆七千六百億円に対しまして七六%という低い水準の進捗率でございますが、この七六という低い水準がどのような理由によって起こってくるのでございますか。
○森下政府委員 それなりに市町村、国とも努力をしてまいったわけではございますが、第五次計画の計画期間はあいにく財政再建期間の厳しい財政状況下にありまして、毎年度の予算編成に当たりまして大変予算が厳しかったということでございます。そういうこともございまして、結果として七六%にとどまったわけでございますが、それぞれの年度に当たりましてはそれなりの努力はしたつもりでございます。 こんなことを言ってはいささか繰り言になるかもしれませんけれども、他の類似の公共事業を見てまいりますと、今回期限切れになります八本のうち、例えば港湾整備につきましては六七・七とか、空港六二・四とか、下水道七一・〇とか、都市公園七一・六とか、廃棄物に比べてこれを下回る計画もかなりあるというふうに見ておるわけでございます。
○塩田委員 この事業自体の仕組みでございますが、補助事業として、国から各市町村に交付される補助事業でございますが、ごみ処理とし尿処理の場合の補助率は違いますね。補助率はどういうふうになっておりますか。
○森下政府委員 まず基準でございますが、ごみ処理施設につきましては国庫補助対象額の四分の一を国で補助いたします。それからし尿処理施設でございますが、これも国庫補助対象額の三分の一を補助いたします。ただ特例といたしまして、公害防止計画地域、大体大都市が中心になりますけれども、かつて公害のひどかった地域を中心に公害防止計画を定めておる地域がございますが、こういうところで新たにごみ処理施設、し尿処理施設をつくります場合には、ただいまの三分の一、四分の一ということではなくて、いずれも二分の一の補助をするということになっております。
○塩田委員 若干細かくなりますけれども、大都市中心に公害防止地域については、基準の補助率にかかわらずいずれも二分の一という御説明がございましたが、それは全国的なベースで事業全体からいいますとほぼ何割くらいのウエートになりますか。
○森下政府委員 人口規模で換算いたしますと約四〇%でございます。
○塩田委員 この補助率が四分の一、あるいは三分の一、公害防止地域については二分の一、そのように四〇%だというお答えでございますが、市町村の持つ義務負担といいますか、これはどのようにして賄われておりますか。
○森下政府委員 国庫補助金の裏側といいましょうか、補助金以外の部分につきましては特別地方債が充当されます。その率は、市町村によりますけれども、七〇%とか八〇%というのが特別地方債で手当てされることになっております。
○塩田委員 七六%という達成率でございますが、毎年度厚生省が大蔵省と折衝して、この五カ年計画を一応のめどにしながら事業量を決めていかれるということで、これも厚生大臣の実力いかんで一〇〇%を大きく上回ったり、あるいは一〇〇%を下回るということではないかと思うのですが、厚生省を初めとする政府の努力、これに相当かかっておると思うのですが、いかがでございますか。
○今井国務大臣 この第五次の達成率が七六・三でございます。これは先生御案内のように、特に公共事業等については厳しいのでありますが、マイナスシーリング、要するに天井をきちっと抑えられるものですから、せっかく五カ年計画がありながらなかなか伸び率が悪いということもありますが、おかげさまで私どもの五カ年計画については、補助率の問題等々もありますものですから、他の五カ年計画に比べて少し達成率も若干高いというようなものもございます。しかしながら、どうしても廃棄物処理というものは、これは計画的にやっていかなければなりません。極めておくれているものでございますから、最大限の努力を払いまして、いろいろ皆さんのお知恵もかりながら、お力もかりながら、微力ではありますが、一生懸命頑張ってまいりたいと思いますので、ひとつ最大限の御支援をいただきたい、このように思うものでございます。
○塩田委員 この達成率が悪いという背景に、財政事情の悪化、特にマイナスシーリングといった問題あるいは公共事業の抑制という予算編成方針等がかかわっておるものだと思うのでございます。そうだとすれば、財政状況が悪いという状況は今後とも続くと思うのでございますが、そのような中で計画をつくりましても、言葉は悪いかもわかりませんが、絵にかいたもちになるのではないかというふうに思います。 大臣は、建設省で公共事業、土木関係をやってこられましたし、厚生大臣になられまして両方がよくおわかりだと思います。また、建設委員会等でも活躍をしてこられた御経験からいいまして、ぜひともこういう事業について関係の各省と連携をとりながら、できるだけひとつ一〇〇%を超える予算を十分に取っていただきたい、このように思います。大臣、お考えをお聞きしたいと思います。
○今井国務大臣 微力ではございますが、最大限の努力をいたしたいと思いますので、重ねてひとつ御支援をいただきたいと思います。
○塩田委員 ありがとうございました。ぜひともその整備を推進するために予算の確保を図っていただきたいと思います。 ところで、今回の計画と従来の計画を比べてみますと、調整費の割合が従来五%程度でありましたものが二〇%にもなっておる。この調整費というのはくせ者でございまして、言うならば一つの底上げといいますか、あるいはまた、予備費的なものなのか、あるいは計画はあるけれども二〇%の調整費ならばそれを下回ってもよろしい、許容範囲というか、そういう性質のものなのか。なぜ一挙にこのように調整費を大きく見積もっておられるのか、お伺いいたします。
○森下政府委員 今回の計画におきまして、投資規模の総額に占める調整費の割合がただいま第五次の計画などに比べまして高いというのは、これは御指摘のとおりでございます。これは、今日がまさに我が国経済社会の大きな転換期に直面しておりまして、将来に向かっては大変流動的な要素が多いということだと思います。こういうことを背景にいたしまして、今までの計画にも増しまして、今後の社会経済の動向あるいは財政事情、それからそれぞれの整備事業の進捗状況などに弾力的かつ機動的に対応する必要があるからだと考えております。 同様の趣旨から、今後の経済の動向、財政事情等を踏まえまして、三年後に調整費の取り扱いを含めて計画の見直しを検討するということが先般この計画にかかわる閣議了解の中でも明らかにされておりまして、三年後にこういったことで、さらに全体の計画を前進させていきたいと考えております。 また、これも余談でございますけれども、今回期限切れになります他の公共事業の計画におきましても、約二割程度の調整費がそれぞれ計上されていることを御参考までに申し添えます。
○塩田委員 調整費の取り扱いを含めまして新計画について三年後に見直すということを言われました。確かに財政、経済情勢も変わってまいりますし、また、先般も中曽根総理がレーガン大統領とアメリカで会談をされ、伝えられるところによりますと、日本の経済は輸出型から内需型に持っていくんだということも約束されたように思われますし、その内需経済を盛り上げていくためには、減税はもとよりのこと、公共事業の大幅伸長といったものがなければならず、また民間の設備投資等も発展しなければならない。こういった観点から廃棄物行政をなお一層進めてこの整備を促進する必要があると思います。 そういった観点から、厚生大臣といたしまして、三年後に見直すということでございますが、どのような態度で臨んでいかれるか、所信をお伺いいたしたいと思います。
○今井国務大臣 三年後の見直しといいますのは、廃棄物処理施設の整備計画だけではなくて、下水道整備計画等々の公共事業万般が横並びで論ぜられている問題ではございます。そこで、三年後の見直しにつきましては、施設整備の進捗の状況だとかあるいは経済とか財政の動向なども見ながら、調整費の額あるいは計画の総額などにつきましても検討することになると私は考えているものでございます。 そこで、厚生省といたしましては、生活環境の改善だとかあるいは公衆衛生の向上という見地に立ちまして、廃棄物処理施設の緊急しかも計画的な整備に必要な事業費をぜひ確保を図りたいということを基本にして、一生懸命頑張ってまいりたいと思っておるものでございます。
○塩田委員 大臣の力強い所信の表明がございましたので、これを了といたします。 続きまして、廃棄物処理行政の推進に当たりまして、幾つかの問題についてお伺いいたしたいと思います。 まず、一般廃棄物につきましては、生活環境の保全を図り、廃棄物の適正な処理を実施するためには施設整備は必要であると思うのでございますが、ただ単に排出された廃棄物を焼却し処分地に埋め立てるということだけでは国、地方を通じて財政負担が過重になってくるのではないか、このように思われますので、いわゆる資源化あるいは原料化、こういったことを積極的に進めて、むだのない社会——かつては使い捨て時代あるいは消費することはいいことだという時代もありましたけれども、やはり省資源、節約の美徳、こういった経済、社会慣習というものをつくっていくべきじゃないかと思います。こういった問題につきまして、厚生省はどのような努力をしておられるか、今後どのように対処していかれる方針か、お伺いいたします。
○森下政府委員 廃棄物の中の有価物を取り出しましてこれをさらに使おうとか、あるいは燃やした場合に焼却の余熱を活用するということで、廃棄物を物としてあるいはエネルギーとして活用する、そういうことによって全体として最終的に捨てなければならぬ廃棄物の量を減らしていくということは、まことに今後ねらっていかなければならない方向だと考えております。そのことがとりもなおさず埋立処分場を長もちさせるということにもつながりますし、また、環境への負荷を少なくするということにもつながるわけでございます。 厚生省といたしましては、従来から廃棄物処理施設に関連いたします余熱の利用の施設とか、不燃物処理の施設に対する資源化装置をつけ加えるとか、あるいは粗大ごみの再生施設をつくるとか、こういったものについて補助をやってまいりました。 具体的に申し上げますと、焼却場が発電をいたしますときには発電等余熱利用整備事業というものを昭和五十六年度からやっておりますし、それから燃えないごみ、不燃物の処理資源化施設の整備を五十七年度から、それから燃えて終わった灰をさらに固めましてある種の地盤改良材などに使うというふうなもの、これを灰の固型化施設と言っておりますが、五十七年度から、それから粗大ごみの再生利用施設を五十八年度から、それぞれ補助対象の施設の中に取り込みまして、普通の焼却施設などとあわせてこういったものを建設するということをやっております。もちろん今回の六十一年度からの計画の中でもそういったものは取り組んでまいるつもりでございます。 さらに市町村レベルのリサイクルプラザ推進事業といいましょうか、廃棄物処理のシンボル的な事業ということで五十八年度から市町村に対して呼びかけまして、廃棄物を資源化したり原料化したりしてできるだけ減らしていこう、そして廃棄物処理事業を地域社会の中に融和させていこう、そのための必要な施設をつくり、あるいは再生利用品の交換をしようという一つのシンボルプラザをつくるというふうな事業もやっておりまして、全体の量を資源化することによって減らそう、そして環境を保全しよう、それから適正な処理ができる完全な施設を、長もちのする施設を整備していこうというのがこれからの方針と考えております。
○塩田委員 資源化、原料化、いろいろ工夫して推進をしておられるということがわかります。なお一層知恵を出していただいて、例えば資源化ですけれども、空き缶あるいはビニールの包装された缶といいますか箱がありますね、こういったものは再生をしていろいろな別の用途に使うことがかなりなされております。それから、原料化という点では、過剰なというか不必要なというか、包装が余りにも二重、三重、四重、五重までなって、包装が物すごく大きい、中身は小さい、そんな傾向もあるわけですね。こういったものは、そんな必要ないのではないか。本当に実利的に必要なものだけにすればいいじゃないかと思うのでございます。こういった資源化、原料化をなお進めて、廃棄物そのものが少なくなるように、そして省資源、節約、これが行われるようにひとつ今後とも進めていただきたいと思います。 最後に一問お願いいたします。 私の選挙区でございますが、鐘化の高砂工場に液状のままでPCBが非常に危険な状態のままで置かれておるわけです。処理の方法がないということですね。危険といいましても、もちろんちゃんといろいろな設備はしてありますけれども、地震その他が起こったらどうなるのかという心配もするわけでございます。 このPCBの焼却廃棄につきまして、その方法、場所、時期等、関係機関、関係者の方々が検討してきておられると思います。その経過と現状並びに今後の見通しはどうなっておるか、お伺いいたします。
○森下政府委員 液状のPCBにつきましては、昭和四十七年に生産の中止の措置がとられたわけでありまして、これが相当部分鐘淵化学の工場に保管されております。その処理についていろいろ通産省などが中心になって検討がされてきたわけでございます。詳細はちょっと省略させていただきますけれども、そこで実際集めたPCBが現在の技術できちんと処理できるかどうかという実験がなされました。この辺からちょっとお話しさせていただきたいと思います。 昨年の十二月に環境庁が中心になりまして液状PCBの高温熱分解の実験をされました。これは非常に厳しいいろいろな条件を設定しまして、しかも入念なモニタリングをあわせて行いながら実施したものでありまして、もう既に実験は終わっております。近々その結果がまとめられるというふうに伺っております。 私どももこの結果には大きな期待を寄せておるところでございまして、今後はこの実験結果を踏まえまして鐘淵化学会社が自己処理という形で本格的処理の検討をされると思いますが、その段階になりまして関係省庁と協議しながらPCBが適正に処理されますよう兵庫県を通じて指導してまいりたい、このように考えております。直接実験にタッチしたサイドではございませんが、いろいろ専門家のお話などを伺いますと、かなりいい結果であったというふうに伺っております。
○塩田委員 ありがとうございました。終わります。
○山崎委員長 小沢和秋君。
○小沢(和)委員 まず大臣にお尋ねしたいのですが、産業廃棄物処理の大原則は何かということであります。私は、排出事業者が直接処理する責任があるけれども、処理業者に委託する場合も、委託したらそれで終わりということでなく、最後まで見届ける責任があると思いますが、いかがでしょうか。
○今井国務大臣 私は、この問題につきましては、まず排出事業者に対して事業者の処理責任の徹底を図るということが第一。それから産業廃棄物の処理等につきましては処理業者の不適正な処理の防止を図ると同時に、都道府県によります監視体制を強化すること、この三つの点が極めて大事だと思っております。
○小沢(和)委員 産業廃棄物には有害なものが多く、これによって生活環境を汚染された場合には地域社会全体に長期にわたって深刻な被害を与えるわけであります。それだけに私は排出事業者も、また処分業者もその責任を十分に自覚してもらいたいと思うのでありますけれども、残念ながら、近年、産業廃棄物をめぐってその処理についての違反事件が急増しているというふうに聞いておりますけれども、どんな状況でしょうか。
○森下政府委員 これは警察庁のお調べの結果でございますけれども、廃棄物処理法に関しまして違反事例は、大変残念でございますが年々増加しております。昭和五十九年度では、公害事犯六千九百二件のうち廃棄物処理法に関する違反事例が六千百七十七件ございました。 廃棄物処理法の中でどんな違反事例があるかということでございますが、その中では、無許可で処理業をやったとか排出事業者がきちんとした相手に委託しなかったとか、あるいは不法投棄をしたとか、そういうものが主なものでございます。その中で産業廃棄物だけ取り出してみますと、昭和五十九年度の産業廃棄物の不法投棄件数は九百六十七件ということでございます。これは有害産廃も合わせて申し上げましたが、有害産業廃棄物だけ取り出しますと、五十九年度には三十八件ということでございます。
○小沢(和)委員 私は、このように違反がむしろ激増するという傾向にあるその大きな原因は、今の廃棄物処理法が非常に甘くできているからではないかと思うのです。具体的な事例を持ち出しながらその点をお尋ねしてみたいと思うのです。 私の地元で福岡県鞍手郡に小竹町というところがありますけれども、ここでは五十八年の四月に産業廃棄物の不法投棄などによりまして町民の上水道の水源がフェノール系の物質で汚染され、ついに水源を別に求めざるを得ないという事件が起こっております。そのために、産炭地で財政困難な小竹町が約二億円の出費を強いられました。一体、この原因はどういうことだったのか、それに対してどういう対策を講じたのか、お尋ねします。
○森下政府委員 小竹町の事件でございますが、昭和五十八年四月に同町の上水道水源のうち深井戸から取水している部分で悪臭が出たということで、これを中止いたしました。 県が原因を調査いたしましたところ、水源の近くの産業廃棄物の最終処分場から石油缶が三個出てまいりまして、この石油缶にどうもフェノール臭が残っているというところから、ここに何かこういうものが入ったまま捨てられたのではないかというふうに推定がされたわけでございます。県は、同五十八年九月に処理業者に対しまして廃棄物処理法第十九条の二に基づく措置命令をかけまして、これによって処理業者は処分場にたまった汚水についてきちんと処理して始末できるような汚水処理槽をつくるということでこの産業廃棄物処理業者に対して措置をとったわけでございます。
○小沢(和)委員 私は、その原因についての説明は到底納得がいかないのです。 地下からくみ上げている水が臭くなってしまって飲めないわけでしょう。それがそこの廃棄物処理業者が埋め立てたわずか石油缶三個の中に残っておったフェノール系の廃液による汚染だなどと言えるでしょうか。石油缶三個の中から流れ出るといったらごくわずかなものじゃないですか。
○森下政府委員 でございますから、石油缶三本の水を処理するということではございませんで、処分場には当然雨も降りますし、降った雨がしみ出してまいりますから、そのしみ出してきた水を処理して公共用水域に放流する、そういうことのできる汚水処理槽をつくらせた、こういうことでその後の汚染が広がらないようにしたということでございます。
○小沢(和)委員 しかし、あなた方がずっと探ってみたら、たどり着いたものは廃棄物処理場に埋め立てた容器の中にフェノールの廃液が残っておったということなんでしょう。だとしたら、その程度のものでは地下水が汚れてもうそこを上水源として放棄しなければならぬというような事態になりっこないのじゃないですか。
○森下政府委員 水道のサイドから申しますと、フェノールというのはごく微量でも感知されますし、そういうことで一たんにおいのつきました水源というものは放棄せざるを得ないというのが定石ということになると思います。
○小沢(和)委員 そこのところはどうしても納得がいかなかったので、その汚染源だとされました富士開発の藤丸社長という人に私も会ってみたのです。そうしたら、非常に重大な発言がそこで飛び出してきたわけであります。 というのは、その富士開発は当時から、そういう埋め立てなどとは別に日本化薬とか明和化成などの産業廃棄物を焼却する仕事を請け負っておったわけであります。そこから何回ももっと処理量をふやしてもらいたいというような要求も出されたけれども、自分のところではもうこれ以上燃やせないからと言って拒否しておった。ところが最近になって、どんどん自分のところへ持ってきても持ち込めないものだから、問題になっているその隣接地に捨てて帰ってしまっておった、こういうことを告白する当時の運転手などもあらわれたと言うのですよ。タンクローリーなどで持ってきて、山の中へ持っていって捨てて帰った。それがずっと長期にわたって行われたのだから、これならばなるほど地下水も汚染するなということがわかるのですが、これが事実なら、日本化薬とか——これなんか特に大きな会社ですね、それから明和化成などというようなところの責任は非常に重大だということになってくるのではないかと私は思うのです。 こういう重大なことを、加害者だと言われている社長が責任を持って私に言う以上、もう一度調べてみる必要がありませんか。
○森下政府委員 小竹町の事実関係については、私が申し上げましたところまでしか県から聞いておりませんが、さらに先生がおっしゃるようなことがあるとすれば、私どもといたしましてもそれにつきまして別途調査をしなければならぬと思います。
○小沢(和)委員 それでは、ぜひ調べていただきたいのです。 この五十八年の事件に続いて、今名前の出ました日本化薬とか明和化成などの大企業がその産業廃棄物を今私が申しました富士開発の隣接の山林に大量に捨てておったということが発覚して処分、処罰を受けたという事件が出ております。これは一体どういうことなのか。私は初めこれはばらばらの事件かと思ったのですが、今申し上げたように、もう既に引き取りを拒否された分をそこにぶちまけておった。それが、余りにも低い価格で廃棄物の処理を請け負えと言うので、富士開発は赤字になるからもうやめたと言ってやめてしまった。そうしたら、それまでは一部投棄であったのを今度は全部投棄するようになってしまった。それが発覚してこの第二の事件になったのだということが私大体理解できてきたのです。 これは既に裁判にもかけられ、処罰もされております。時間も余りありませんから、この事件の内容についていろいろ御説明を伺おうとは思いません。端的に、関係者が一体どういうような処罰を受けたかということをお尋ねします。
○森下政府委員 直方市廃酸不法投棄事件に係る処分ということでありますが、刑事事件として、排出事業者、明和化成が罰金五万円、日本化薬が起訴猶予。それから収集運搬を行った者、西日本メンテナンス工業所、これは有限会社でありますが、法人に対して罰金十五万円、代表者に対して罰金十五万円。それから処分を行った者、捨てた人ですね、一つは富士開発株式会社北九州事業場、これは個人の方で無許可でありまして罰金十五万円、それから有限会社福智開発、これも無許可でありまして法人に罰金十五万円、代表者に罰金十万円、それから西綜開発株式会社、法人に罰金二十万円、代表者に罰金十万円。このほかに行政処分がございまして、有限会社西日本メンテナンス工業所は三十日間の業の停止、西綜開発株式会社につきましては許可の取り消し、こういう処分がされております。
○小沢(和)委員 地域の住民にもいろいろ被害を与えたというので、被害の補償ということも当然問題になると思いますが、その方はどうなっておりましょうか。
○森下政府委員 地域の住民の方あるいは自治体の方々がこれによって大変損害を受けたということで、この件につきましては、福岡県などが中に入りまして、原因者であります企業あるいは処理業者と被害者の間で今後の対応について今話し合いがされているというふうに伺っております。
○小沢(和)委員 今までは小竹町の事件は別だということになっておりましたけれども、私が今申し上げたようなことが事実関係としてはっきりしてくれば、当然、私は、この小竹町の被害についても日本化薬とか明和化成などに対して補償をさせるべき関係にあるということをここで指摘し、ぜひその点についても実現するように国としても努力を願いたいと思います。 私はさらに質問を申し上げたいと思いますのは、今どういう処罰を受けたかということを伺いました。大体みんな罰金で、中には日本化薬でしたか起訴猶予というようなお話だったように思います。これだけ住民に被害を与えておきながら、一つの大企業は起訴猶予、そして関係者は罰金、こんなことで、これだけ大きな被害を与えたことの罪の償いとしては余りに軽過ぎるのじゃないですか。今の廃棄物処理法の仕組みそのものにその点で問題はないのか、どうお考えですか。
○森下政府委員 今それぞれの処分の内容についていかがかというふうなお尋ねありましたけれども、排出事業者、処理業者について与えられました処罰の軽重につきましては、これは裁判所の御判断でありますので、これにつきまして私どもが言及いたしますことは差し控えたいと存じます。 廃棄物処理法の中にいろんな罰則がございますが、この罰則の内容につきまして一般論として申し上げれば、これはいわゆる公害十四本とか言われるように類似の法律があります。公害の防止、環境の保全を目的とするいろいろな類似の制度、法律がありますが、これらの罰則と比較した場合に、必ずしも均衡を失しているということは言えないとも思いますが、また別の面から、先生もそうでございますが、罰則の引き上げを図るべきであるというようなお話もございます。こういったことがございますから、これが一体不法投棄の防止に役に立つのかどうか。私どもは、やはりこれは未然防止ということで、最初大臣が申し上げましたような流れで不法投棄を防止したいと思っておりますけれども、こういった罰則を変えるということが不法投棄の防止の上で大変効き目があるのかどうかということもあわせて検討してまいりたいと考えております。
○小沢(和)委員 この廃棄物処理法の第十二条では、「事業者は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。」と定めているのですけれども、これでいけば、委託するときには相手がどういう事業をやる資格を持っているか確かめなければならない。しかし、それを確かめさえすれば、後はその処分業者の責任になる、こういう仕組みになっているように思います。 ですから、どんなひどい事件が起こっても、責任を問われるのは、この排出事業者の場合には、せいぜい、ちゃんとした資格を持った業者に頼まなかった、こういう形式的な責任しか問われないという仕組みになっているんじゃないですか。これでは、もう極端に言うと、罰金をちょっと覚悟しさえすれば、こういう産業廃棄物などは委託してしまいさえすればもう後はやり得、こういうことになりはしませんか。この辺の仕組みを根本的に改める必要があるのではないか。私、これは大臣にお尋ねをします。
○森下政府委員 そもそも産業廃棄物につきましては事業者処理責任の原則というのがありますから、法律の流れだけから申し上げますと、まず委託する場合に委託基準を遵守しろ、しない場合には措置命令がかかるということで、その頼んだ業者が法的責任を追及されることがまずあるわけでございますね。 次に、では、ちゃんとしたところへ委託すればこれはその責任は切れるわけですが、そのことはまた、先生はどうもけしからぬじゃないかというふうなお感じのことをお述べになりました。しかし、現行制度のもとでは、この処理業者というものを、ちゃんとした資格を持った許可業者、許可制度に係らしめているわけでして、これがやはり独立した責任の主体として位置づけられているということもありますから、ここに頼んだ者がまたさかのぼって事業者まで責任が及ぶというのはいかがかということは考えられると思います。 しかし、やはり全体の流れとしては、事業者責任の原則というものがございますから、事業者は、委託した廃棄物がその相手の業者によって適正に処分されたことを、やはり自分の廃棄物だということで確認するなど、こういった面から不適正な処理の防止に最大限の努力をする必要はあると思います。これは法的ではございませんが、道義的と言ってよろしいかと思いますが、やはり流れからいって、それはあると思います。
○小沢(和)委員 私が富士開発の社長に聞いてみたところでは、自分がこの日本化薬とか明和化成などというような会社と契約していた期間にほとんど、記憶する限りでは一度も、どういうような処理をやっているかということについてこれらの会社から見に来たこともないと言うのですね。だから、とにかくもう頼んでしまいさえすれば、後は野となれ山となれと言うと言葉が悪いけれども、今の仕組みはそういうことじゃないんでしょうか。これでは本当に排出事業者を余りにも甘やかす構造になっておりはしないか。この点、大臣として今後ぜひ改善するように取り組んでいただきたい問題点ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○今井国務大臣 最初に私、御答弁申し上げましたように、この問題、確かにいろいろな問題を含んでいることは事実でございます。したがいまして、やはり排出事業者に対しましてその事業者の処理責任の徹底を図ることがどうしても必要でございます一方、産業廃棄物処理業者の不適正な処理の防止というものをどうしても図らなければならないから、都道府県などによります監視体制を強化して、やはり先生のおっしゃいますようなことのないように、これはきちんとしていかなければならぬと思っております。
○小沢(和)委員 終わります。
○山崎委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○山崎委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山崎委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○山崎委員長 この際、稲垣実男君外五名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党・革新共同及び社会民主連合六派共同提案に係る本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。池端清一君。
○池端委員 私は、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党・革新共同及び社会民主連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について格段の努力を払うべきである。 一 廃棄物の適正な処理が生活環境の保全上必要不可欠であることにかんがみ、地方公共団体の財政負担の軽減に配慮しつつ新五箇年計画の完全達成を期するとともに、三年後の見直しの検討に際しては、整備の進捗状況等を勘案しつつ、事業費の確保に努めること。 二 廃棄物の減量化及び再生・資源化を促進しつつ、最終処分場の確保を図るとともに、効率的な処理技術の研究開発を推進すること。 また、環境保全に留意しつつ廃棄物処理施設の耐用年数の延伸に努めるものとし、その整備に当たっては、地元住民との調整に十分留意すること。 三 廃棄物処理事業における近年の労働災害の発生状況にかんがみ、関係省庁間の緊密な連携のもとに、車両の構造改善等の技術的検討、安全衛生教育の推進等労働災害防止対策の徹底に努めること。 四 産業廃棄物の不法投棄を防止するため、環境衛生指導員の適正配置、広域的な監視体制の整備等、地域の実情に応じた監視指導の強化に努めること。 また、産業廃棄物に関する事業者処理責任の一層の徹底を図るとともに、中小企業に対しては、公共的な施設の整備等所要の措置を講ずること。 五 廃棄物となった場合に適正な処理が困難となる製品、容器等の製造、加工、販売が行われないよう、また、必要に応じこれを回収、処理させるよう、事業者に対する指導の徹底を図ること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○山崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 稲垣実男君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山崎委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。 この際、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。今井厚生大臣。
○今井国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。 —————————————
○山崎委員長 お諮りいたしまう。 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○山崎委員長 次に、内閣提出、老人保健法等の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。今井厚生大臣。 ————————————— 老人保健法等の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○今井国務大臣 ただいま議題となりました老人保健法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 人口の高齢化が急速に進む中で、老人医療費の増加は避けられないところでありますが、最近著しい伸びを示している老人医療費を適正なものとし、国民がいかに公平に負担していくかということは、老人保健制度を長期的に安定したものとしていく上で不可欠の課題であります。 また、人口の高齢化に伴い、今後急増すると予想される寝たきり老人等の要介護老人に対し、保健・医療・福祉を通じた総合的な施策の展開が求められております。 こうした状況等を踏まえ、老人保健制度を幅広く見直すこととし、この法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。 第一は、一部負担の改正であります。現在、外来の場合一月四百円、入院の場合二カ月を限度として一日三百円となっておりますが、これを改め、外来については一月千円に、入院については期限を撤廃して一日五百円に改定することとしております。増大し続ける老人医療費の負担の現状にかんがみ、健康に対する自覚と適正な受診、さらには世代間の負担の公平という観点から、被用者保険本人や在宅療養者とのバランスも勘案して、定額制を維持しつつ、一部負担金の額の引き上げをお願いするものであります。 第二は、加入者按分率の引き上げであります。昭和六十一年度の六月一日以降八〇%、昭和六十二年度以降は一〇〇%に引き上げることとしております。老人医療費につきましては、一人当たりで他の世代の五倍となっているため、老人加入率の高い保険者ほど老人医療費の負担は重いものとなっており、各保険者間の老人医療費の負担の不均衡は一層拡大しております。このため、加入者按分率を引き上げ、どの保険者も同じ割合で老人を抱えるようにし、負担の一層の公平化を図ることとしております。 第三は、老人保健施設の創設であります。寝たきり老人等の要介護老人にふさわしい医療サービスと生活サービスを提供する施設として、老人保健施設を創設するとともに、この施設を利用する老人に対する新たな給付として、老人保健施設療養費を支給することとしております。 これらの施策を講ずることにより、国民が安心して老後を託せる老人保健制度を確立しようとするものであります。 以上のほか、医療保険各法に準じて特定療養費制度を導入するとともに、老人保健施設の創設に伴う医療法、社会福祉事業法の改正なども行うこととしております。 また、医療保険各制度を通ずる老人医療費の公平な負担を図るため、国民健康保険法を改正し、正当な理由がないのに保険料を滞納している者に対し、給付を一時差しとめる等の措置を講ずることとしております。 なお、この法律の施行期日は、本年六月一日からとしておりますが、老人保健施設に関する事項は公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から、また、関係審議会への諮問に関する事項は公布の日からとしております。 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○山崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○山崎委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。谷垣禎一君。
○谷垣委員 ただいま大臣より提案趣旨を御説明いただきました老人保健制度の改正について、賛成の立場から御質問をさせていただきます。 当委員会にとりまして今国会で最重要の法案と思われます。厚生大臣初め厚生省の皆様方、性根を入れた御答弁をお願いしたいと存じます。 まず最初に、高齢化社会に向かっての社会保障政策の進め方、一般論からお伺いしたいと思うのですが、今後我が国は諸外国に例を見ない急速なスピードで人口の高齢化が進行していく。七十歳以上の老人をとりますと、現在総人口の七%程度でございますけれども、昭和七十五年には総人口の一〇%、昭和百年には一六%になると言われているわけでございまして、二十一世紀には超高齢化社会を迎えると予想されているわけでございます。こうした本格的な高齢化社会の到来に備えて今後どのような社会保障の諸施策を進めていくのか。先般厚生省の中に高齢者対策企画推進本部をつくっていただいて、その報告もまとめていただいたようでございますが、そういったことを踏まえまして、大臣の基本的なお考えをまず伺いたいと存じます。
○今井国務大臣 ただいまの高齢化社会に向かっての今後の社会保障政策の進め方でございますが、この点につきまして私は大事な点が二つあると思っております。 本格的な高齢化社会を控えまして、年金であるとかあるいは医療といった基盤的な制度を揺るぎのないものとしていくことが第一点でございます。人口の高齢化によりまして経費の増大の見込まれますこういった制度について、給付と負担の両面から公平を図りまして国民の信頼に足るものとしていきますことは極めて重要な課題と考えているからでございます。 それから第二番目でございますが、寝たきりであったりあるいはまた体に障害を持つ恵まれない方々に対しまして思いやりのある温かい施策を講じていくことであります。これは福祉の原点でありまして、今後とも重要な課題と考えているものでございます。
○谷垣委員 そこで、今回の老人保健制度の改正でございますが、高齢化社会に向かってこれは極めて重要な施策でございます。五十八年の二月にこの制度が創設されてから現在まで三年を経過したところでございます。そして、その三年というのは長いのか短いのか、これはいろいろ議論もあると思いますが、今まで三年間この制度が実施されて、この制度をつくられたときの趣旨から見て一体どういう総括になっているのか。それで、今度の制度の改正を見ますと、単に手直しというわけじゃなしに、これからの高齢化社会に向かっての相当本格的な改正である。そうすると、今の時期に、三年たった今の時期にこういう本格的な改正をやらなきゃならない理由というのは一体どの辺にあるのか、この辺をまず伺いたいと思います。
○黒木政府委員 老人保健制度の見直しについてのお尋ねでございますけれども、直接的には今回見直しました理由といたしまして、御案内のように、老人保健法の附則四条におきまして、三年以内を目途に拠出金の算定方法について見直しを行うこととされているところでございます。しかしながら、この間三年を経過したわけでございますけれども、老人医療制度を取り巻く諸情勢というものは大きく変化を見ておるわけでございます。まず、老人医療費につきまして、最近に至りまして再びかつてと同じような著しい増高を示していることでございます。その他、老人の加入割合の違いによります医療保険間の負担の不均衡も拡大をいたしております。こういったことから、世代間の負担の均衡を含め、老人医療費の負担の公平化が求められているということが一つでございます。 二つ目には、寝たきり老人等の介護を必要とします老人が増加を見ておりまして、こうした方たちに対します保健、医療、福祉施策の総合的な推進が求められているところでございます。 三つ目には、老人保健制度を支えます医療保険制度が、全制度を通ずる給付と負担の公平を目指す改革が実施されたところでございまして、老人保健制度につきましてもその方向に沿った見直しが求められている現状でございます。 このような課題にこたえまして、御指摘のように高齢化社会も踏まえまして私どもとして老人保健制度の長期的な安定を図っていく必要がある、そして二十一世紀におきましても安心して老後を託せる制度を確立する、こういう観点から幅広く制度全体を見直すことにいたしまして今回の改正案を御提案申し上げた次第でございます。
○谷垣委員 二十一世紀においても安心して老後を託せる安定的な制度をつくりたい、これが今、制度を見直そうという理由だ、こういう御答弁でございましたけれども、この老人保健制度だけじゃなしに、先ほど大臣がこれからの社会保障政策についての基本的な考えをおっしゃったわけですが、その社会保障政策の基本的な方向づけの中で今回の老人保健制度の改正はどういうふうに位置づけておられるのか。
○今井国務大臣 まず、本格的な高齢化社会に対応いたします社会保障制度を確立してまいりますためには、やはり医療が適切に供給されまして、その給付と負担の公平化が図られていきますことが不可欠の要件だと思っております。こういった方向を目指しまして、これまでも老人保健制度の創設やあるいは健康保険法の改正あるいは医療法の改正など、第一段階の諸改革をやってまいったところでございます。 今回の老人保健制度の改正というのは三つございますが、第一は、加入者按分率の引き上げあるいは一部負担の見直し等によります老人医療費の負担の公平化でございます。それから二番目は、老人保健施設の制度化などによります保健医療あるいは福祉施策の総合的な推進、こういったものを組み合わせまして制度の長期的な安定を図ろうとするものでございます。こういったものは、今までの第一段階の改革に対しましてその総仕上げというふうな感じでございますと同時に、将来の医療保険制度の一元化、すなわち全制度を通じます給付と負担の公平化を目指す第二段階の改革への橋渡しになるものと私は思っておるものでございます。
○谷垣委員 今大臣から、これは第一、医療制度改革の総仕上げである、それから医療保険一元化への橋渡しである、こういう位置づけを伺ったわけでございますが、今までの御答弁の中にも老人医療費が最近に至って大変増高を示してきているという御指摘がございました。今後、老人医療費の負担の公平というようなものを考えていきます場合にも、その動向がどうなっているのかということをきちっと把握しておきませんと議論ができないわけでございます。 そこで、老人医療費の動向というものがどうなっているのか、もう少し詳しく厚生省の見方を伺いたいですし、それにあわせまして、増高してくるということになりますと、さらに人口の高齢化に伴って今後とも医療費の増加というものは避けられないわけですから、長期的にどのように見込んでいるか、相当先の方の見通しも立てていかなければならない、その辺の見通しをお伺いいたします。
○黒木政府委員 まず最近における老人医療費の動向でございますけれども、六十年三月から九月の平均で見てまいりますと、対前年同月比で一二・五%という著しい増加となっておりまして、五十八年度あるいは五十九年度の八%台の伸びに比べまして、伸び率にしまして一段と大きな傾向を示しているわけでございます。 さらに長期的な見通しについてでございますけれども、大変難しい推計になるわけでございますけれども、一応過去の趨勢を基礎にいたしまして一定の前提のもとに私どもとして試算を行っておりますけれども、昭和六十一年度で約四兆二千億の老人医療費が、二十一世紀になりますと、昭和七十五年度におきましては約十五兆五千億ということで三・七倍ぐらいに増加するのではないかというふうに見込んでおります。
○谷垣委員 大変な将来の見通しを今お示しいただいたわけでございますが、この老人医療費はいろいろな負担の仕方があるわけでございますけれども、結局、最終的には国民が負担していかざるを得ないわけです。この老人医療費の増加という問題にどういう見通しを立てて厚生省は対応していこうとされているのかお伺いしたいと存じます。
○黒木政府委員 先ほどお答えいたしましたように、人口の高齢化が進んでおりまして当面の医療費も増加いたしておりますし、将来ともかなりの規模で増加していくということは避けられない事実だと認識をいたしております。この増加いたします老人医療費を今後どのように適正なものにしていくか、そしてまた、その増加します医療費を国民がどのように公平に負担していくかということが私どもに課せられた老人保健制度の長期的な安定を図る上でも重要な課題だというふうに考えております。 このため、どのように適正化するかという点につきましては、まず従来からも実施いたしておりますけれども、市町村におけるレセプト点検とかあるいは医療費通知といった行政努力を格段に強化してまいりたいと思っております。 それから二つ目には、やはり健康づくり、健やかな老後を迎えるための老健法の一つの柱であります老人保健事業というものを今後ともますます推進してまいりたい。 三つ目には、これからは在宅医療というものを促進していく必要があろうというふうに見ておりまして、診療報酬の合理化等を通じましてこの面の促進を図りたい。 四つ目には、大臣からも答弁がありましたように、新しく老人保健施設を制度化いたしまして、そういうことを総合的に組み合わせまして老人医療費の適正化を進めることにいたしたいと考えております。 さらに、どのように負担を公平にしていくかという点につきましては、一つは、世代間の公平を図るための一部負担の見直し、それから、保険者間の公平を図るための加入者按分率の引き上げということを行うことにいたしておりまして、そういう施策を実施することによりまして老人保健制度の長期的な安定を図ってまいりたいというふうに考えております。
○谷垣委員 今の御答弁で、医療費の適正化対策を総合的に推し進める、そして負担の公平を図っていくということですが、世代間の公平を図るため一部負担を見放しをする、そういう位置づけをいただきました。 今回の一部負担、今まで一月四百円だったのをさらに今度は千円ということにしていただく、そして入院費の方も三百円、二カ月までだったのを五百円で青天井ということで、老人の方々に負担を引き上げていただく、今度はこういう案を出していただいておるわけですね。これはどういう考え方なのか、伺いたいと思います。
○黒木政府委員 一部負担についてのお尋ねでございますけれども、現在、老人医療費は四兆円を超える大きな規模になっているわけでございますけれども、その中で老人の方が負担されている一部負担の額は約六百億でございまして、割合にして一・六%でございます。残りのほとんどは若い世代が負担をしているというのが実情でございます。こういったことから、今後高齢化社会を迎えるに当たりまして、お年寄りの方も、それから現役世代も力を合わせて老人医療費を公平に負担していかなければならない、こういう観点に立ちまして今回の改正をお願いしているわけでございまして、改正後におきましても、六十一年度で三・七%、満年度でも四・五%にとどまるものでございます。 さらに、今回の改正におきましては、老人の方が払いやすいように定額制を変えることなく、また外来につきましては、月の初めに一回支払えば後は支払わなくてもいいという現行の仕組みを堅持することにいたしております。額につきましても、年金の充実あるいは高齢者世帯の所得の実態から見ましてお願いできる額ではなかろうかというふうに考えているわけでございまして、ぜひとも御理解をいただきたいというふうに考えております。
○谷垣委員 若い方々、現役世代にも医療費がふえていくから負担をしていただこう。そうすると、老人の方々にも今のところ一・六%しか負担していただいていないから、もうちょっと負担していただいてもいいじゃないか、そういう考え方、それなりによくわかるのです。それからまた、定額制は変えないで、外来の最初に払って、払いやすいようにしよう、予測がつかない、お医者さんに行ったら幾ら取られるかわからないということはないようにしよう、この点も私は評価できるのです。 ただ、今まで四百円だったのが一回千円となった。一カ月千円で済むというのは必ずしも高いとは思いませんけれども、御老人の方々がよく心配されておりますのは、一つの医療機関で一カ月千円なら、まあそのぐらいのことは仕方がないかもしれない。しかし、年をとってくると必ずしも一つの病気だけで済むわけじゃない。風邪も引くかもしれない、あるいはひざが痛いということもあるかもしれぬ。幾つかの医療機関にかからなければならない。一体その負担はどうなるんだ、こういう御不安を、私なんか地元へ帰りまして聞くわけでございます。その辺のところは厚生省としてはどのように考えておられるのか。余りお年寄りに不安をかけないようなことで大丈夫なのかどうか、お考えを伺いたいと存じます。
○黒木政府委員 御指摘のような心配も言われておるわけでございまして、老人の方は三つ四つ病気があるので、千円に上げますと三千円、四千円にもなる、こういう御指摘がございます。 そこで、私どももいろいろと実態を調べておるわけでございますけれども、平均して申しますと、老人が一カ月に通う医療機関の数というものは一・五弱でございます。さらに、一つの医療機関に月どれくらいかかっておられるかを見ますと、三・七回かかっておるというのが実態でございまして、総じて申し上げますと、お年寄りの方は一つの医療機関でじっくり診てもらっている、かかりつけのお医者さんにじっくりおかかりになっているというのが実態ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。 したがいまして、こういったお年寄りは今後改正によりまして月千円の負担ということになるわけでございます。お年寄りによっては、月二回と申しますか月二つの医療機関に行かれる場合には二千円になるわけでございますけれども、重ねて申しますが、実態は一・五弱程度の医療機関の回数になっておるということでございます。
○谷垣委員 今の点も大変お年寄りから不安を伺う点なんですが、もう一つは、この前、五十八年に四百円になった。今度は千円になった。これは一体将来どうなるんだろうか、こういう不安が非常にあるわけですね。だから、先ほどから長期的に安定した制度にしなければならぬという御説明で、こういうことをやれば長期的に安定できるんだ、こういう御説明でしたけれども、一体、将来的にこの一部負担の水準というのはどうなるのか、そこのところをある程度めどをつけてやっていただかないと大変な社会不安を巻き起こすのではないか。その辺、厚生省はどうお考えでしょうか。
○今井国務大臣 確かに、この老人保健法の今回の改正というのは、先ほどから政府委員が答弁いたしましたように、制度を安定的に、しかもまだ二十一世紀においても安心して老後を託せるようにしようということでありますから、一部負担につきましては、世代間の負担の公平という観点からその改定をお願いしているわけでございますが、今回の考え方は、一部負担の総額は満年度で老人医療費の四・五%程度になるものと私どもは見込んでおります。 そして、じゃ一体将来の一部負担の水準はどうなるんだろうということでございますが、これはこれからの老人医療費の動向にもよりますが、現段階におきまして、私としては老人医療費の五%程度の負担というものが一つの目安ではなかろうかと考えております。
○谷垣委員 やはりこういう見通しがしっかり守っていけるように、今回の改正もその一環でしょうけれども、努力をしていただかなければいかぬと思うのです。 それと、先ほど負担の公平化を図る施策としてもう一つお挙げいただいたのが加入者按分率の引き上げの問題でございます。二年間でこれを一〇〇%に引き上げる、今まで五〇%だったのを一〇〇%にするということでございますが、この考え方、どういうことなのか、伺いたいと存じます。
○黒木政府委員 加入者按分率の引き上げの考え方についてのお尋ねでございますけれども、現在、各医療保険制度の老人の加入状況を見てまいりますと、サラリーマンも退職されれば国保に入られるというようなことから国保の加入率が非常に高くなっておりまして、国保は加入者千人当たりで百二十五人加入されておりますけれども、これに対しまして健保組合は千人当たり二十九人の加入状況でございます。したがいまして、国保と健保を対比しますと、四倍国保がたくさん老人を抱えられている状況になっているわけでございます。また、老人一人当たりの医療費は若い人の五倍かかるという状況でございます。したがいまして、国保のように老人を多く抱える保険は非常に老人数が多い、その医療も五倍かかるというようなことで、国保には非常に重い負担になっているわけでございます。 今回の改正の考え方でございますけれども、老人保健制度を高齢化社会に対応した安定した制度にいたしますためには、老人の少ない保険制度も、そしてまた老人の多い保険制度も、公平に老人医療費を負担していくことが非常に重要であろうというふうに考えておるわけでございます。 今回、加入者按分率を段階的に引き上げることにいたしておりますけれども、これはどの医療保険制度も同じように千人当たり六十九人の老人を抱えることによりまして老人医療費の公平な負担の実現を図ろうということでございます。
○谷垣委員 国保に老人の加入率が高い、それから健保組合というのは割合若い方である。これはそれぞれの努力でどうなるというのじゃなしに構造的な要因ですから、負担の公平を図るために加入者按分率を見直していこうというのは、これはわかるわけです。 そこで問題は、加入者按分率、今までの五〇%は、実際、今四四・何%ですか、なっておりますね。それが二年で一〇〇%になっていく。相当急激な拠出増になりはしないか、こういう意見を私なんか地元に帰りましてまた聞くわけです。特にそれとあわせて、国保の方がやはり老人が多くて苦しいから、要するに若い方から助けよう、こういうことですけれども、国保自体の経営努力がどうなっているのか、国保自体いろいろまだ収納率が悪いというような問題があったり、今回もいろいろ改正を考えていただいているわけですけれども、やはりここのところで相当経営努力をしていただかないと、若い方から老人を助けようという気持ちになりにくい面があるのじゃないか。 二つあわせて御質問するわけなんですが、健保組合の負担というものはこれでどうなるのか。健保組合はちゃんとやっていけるのかどうかという点が一つ。それからもう一つは、国保の経営努力ということについて、さらに厚生省お考えになっている点があったら、お伺いしたいと思います。 それで、ちょっとつけ加えますけれども、健保組合も多分財政状況はいいんだというお答えをなさるのだろうと思うのですが、先取りしてなんですが、健保組合の中にもいろいろな健保組合があって、全部が全部構造的に楽だというわけじゃない。私の地元なんかでも相当年寄りばかりの健保組合もあって、財政的に苦しいところもあるわけですね。その辺のところが一体どういう対応になるのか、あわせて伺いたいと思います。
○幸田政府委員 健康保険組合がこの按分率の引き上げによってどうなるか、それから健康保険組合の中にはかなり経営の苦しいところもあるのではないか、こういう第一の御質問の点でございますが、今回加入者按分率を引き上げることによりまして健康保険組合には拠出増をお願いをいたすわけでありますが、御指摘にもありましたように、健康保険組合の財政は、これは健康保険組合全体でありますけれども、ここ数年二千億を超える黒字であります。昭和五十九年度が一番新しい決算の状況でありますが、五十九年度の単年度だけで二千六百億円を超える黒字を健康保険組合は出しているわけでありまして、積立金も五十九年度末の推計では一兆七千億ということになっておりますから、健康保険組合のこういった安定的な財政基調から見まして、ほとんどの健康保険組合では、この按分率を引き上げましても保険料率の引き上げは必要でない、私どもはこう判断をいたしております。 現に、昭和六十一年度の健康保険組合の予算編成に際しましてそれぞれの健康保険組合から意見を聴取をいたしましたところ、保険料率の引き上げをしたいという健康保険組合の数は六十一年度三十組合、それから保険料率の引き下げをしたいという組合がその三倍以上の九十七組合、こういうことになっているわけでありまして、ほとんどの組合は現在の保険料率を変更しないで十分やっていけるものと判断をしているわけであります。 それから個別の健康保険組合で非常に困ってくるものがあるのではないかという御指摘につきましては、確かにそういった健康保険組合がないわけではありません。そういった健康保険組合につきましては、昭和六十一年度と六十二年度の両年度にわたりまして、特に大幅な拠出増となる組合につきましていわゆる激変緩和の経過措置を講じたい、こういうことで私どもはこの法案の中にもお願いをいたしているわけであります。こういった措置をとることによりまして健康保険組合についての適切な対応策がとれると考えているものであります。 それから国民健康保険の経営努力の問題、第二の御質問でありますけれども、御指摘のとおり、健康保険組合その他被用者保険に拠出をお願いする以上、国民健康保険サイドに一層の経営努力が必要であるということは、私どももそういった観点でさらに努力を重ねていきたいと思っております。 具体的に申し上げますと、レセプトの審査体制の強化あるいはレセプト点検の充実、それから医療費通知などの徹底といったような一連の医療費適正化対策、それから保険料収納率は確かに被用者保険に比べますと若干劣っております。これは源泉徴収の被用者保険と異なりまして、賦課方式が異なりますので、そういった点からやむを得ない点がありますけれども、特に保険料収納率の低い市町村を対象にいたしまして特別対策を実施をいたすことに。いたしております。 なお、この法案では、特に悪質な滞納者に対する特別な措置をお願いをいたしているわけでありまして、こういったいろいろな施策を講ずることによりまして国民健康保険サイドの経営努力をさらに徹底をさせたい。私どももできる限りそういった方向で一層の努力を払う決意であります。
○谷垣委員 今、一部負担と加入者按分率を伺いまして、次に今回この制度改正で創設されます老人保健施設についてお伺いをしたいと思うわけでございます。 こういうふうに人口の高齢化が進んでまいりますと、やはり寝たきり老人対策というのは大変重要な問題になってくると思うのです。個人的なことになりますが、私自身も身近に老人が何人もおりまして、昨年まで寝たきり老人が私のすぐ身近にいたわけでございますが、家族にとりますと大変深刻な問題でございます。私なんか外に出ておりますけれども、特に家庭におります女性にとってはまことに大きな負担になっております。 そういうことを考えますと、これから核家族化がどんどん進んでくる、そして女性も外に出ていくということになると、一体、自分の老後はどうなるのか、寝たきりになったような場合どうなるのかというのは、もう多くの御老人のまことに心配の種でございまして、私の祖母なども、口を開くと人様のお世話にならないように死にたいということを言っているようなことでございます。人の不安というものを解消する、国民の不安を解消するというのが政治の役割であるとするならば、そういったことに対して適切な施策をしていくということが極めて大事だろうと思うわけでございます。 そういう点で、今までいわゆる特別養護老人ホームなどがあったわけですが、そこではちょっと医療というようなものは十分ではない。また、老人病院というのは生活の場として必ずしも適切ではない。そういうことで、今度老人保健施設というものをつくっていただく、私は大変結構なことだと思います。 それで、この制度のねらいは一体どういう点なのか、どのような点で寝たきり老人等にふさわしいサービスが提供できるのか、お伺いをいたしたいと存じます。
○今井国務大臣 今先生がお話しになりました御家庭の状況等の解消をねらう、御苦労を解消したいというのがまさにずばり今回の施設をつくるねらいでございます。すなわち、申し上げれば、これからの人口の高齢化の進展に伴いまして寝たきり老人というものが非常にふえてまいります。そういうことへの対応が目下の大きな政治の急務であり、課題だと私は思うのです。 そこで、こういった寝たきりのお年寄りについて手厚い看護であるとか介護といった医療サービスあるいはまた日常生活面でのサービスというものをあわせて提供する施設がどうしても欲しいというお声にこたえまして、私どもは今回老人保健施設を創設しようとしているわけでございます。現在はこうした施設がありませんために、おっしゃいますように介護を必要とするお年寄りあるいはその家族の方々の御苦労は大変なものがあると察せられますし、また長期に入院するお年寄りがふえているわけでございます。こういった方々の切実な要望にこたえますために、今回の老人保健法の改正におきまして老人保健施設を制度化しようというふうに思い切って考えたものでございます。 そこで、老人保健施設におきましては、症状が安定をいたしまして入院治療の必要がないといった寝たきりなどの介護を必要とするお年寄りに対しまして、その人それぞれのニーズに応じた看護であるとか介護をするサービスあるいは機能訓練、その他必要な医療のサービスを提供することがもちろん大事でありますが、あわせまして日常生活のサービスも提供しまして、こういうことによって要介護老人の多様なニーズにこたえたいというのが今回の老人保健施設の大きなねらいでございます。
○谷垣委員 今回こういう制度、今までの行政の姿からすると医療でもない、福祉でもない、その中間的なものを全く新しくつくられるわけで、今回の法案を見せていただきましても、全く新しい制度をつくるせいか、どういうものなのか私自身もまだはっきりイメージがつかめない点がたくさんあるわけでございます。そういう点でどういうふうに御質問しようか甚だ迷ったわけではございますが、まず利用する立場に立った場合には、一体、費用はどうなるのかということが極めて切実な関心事になると思うのです。その辺はどういうことになっておりますでしょうか。
○黒木政府委員 寝たきり老人の方等の要介護老人の方が老人保健施設を利用された場合の利用料はどうなるのか、あるいは費用負担はどうなるのかというお尋ねでございます。 私どもとしては、法案で御提案申し上げておりますのは、利用された方の医療サービスあるいはそこで行われます療養についての経費はすべて老人保健法に従いまして国、地方の負担及び保険者の拠出金で見てあげるということでございまして、正確に申し上げれば、市町村長から老人保健施設療養費という形で老人の方に給付をされるわけでございます。したがって、医療サービスにつきましてはその経費が要らないということでございますけれども、家庭におきましても必要とされる食事代等については利用者の負担でお願いをいたしたいというふうに考えております。 ただ、この利用者負担の額でございますけれども、老人の方はいろいろなニーズを持っておられると思うのでございますが、そういうニーズに対応できるように原則として食事代等の利用者負担につきましては施設の方で料金等を定めるという形をとっております。しかしながら、その負担額、利用料金が老人にとって過重な負担とならないように、私どもといたしましては老人保健施設の運営基準におきましてガイドラインを示しまして指導していきたいというふうに考えておるわけでございます。
○谷垣委員 それから、老人保健施設の整備というのはどのように進めていくおつもりなのか、これを伺いたいと思います。
○黒木政府委員 老人保健施設の整備につきましては、やはり何といっても地域における要介護老人の実態を踏まえまして、私どもとしては医療とか福祉資源の有効活用という観点から病院の病床転換あるいは老人ホームへの併設、そういったものを重点にいたしまして段階的な整備を進めていきたいというふうに考えておりますが、その整備に当たりましては医療法人とか社会福祉法人といった民間活力を重視した形でお願いをしてまいりたいというふうに考えております。
○谷垣委員 これは将来的な整備の計画ということになるのかもしれませんけれども、私どもの地元にも過疎地がございまして、やはり過疎地の老人というのは大変心細いわけでございますね。それで、病床転換や老人ホーム併設などで重点的に段階的にやっていく、あるいは民間活力を活用していくということを今おっしゃったわけですけれども、そういうことになりますと、今までそういうところが十分あったところは割合やりやすいけれども、どうも過疎地はなかなかいかないのじゃないかな、これはいつも過疎地の住人の希望なわけですね。ですから、これは全部国で建てるわけじゃないですから、民間の力もかりるということになりますと、国が全部指導してうまく全部そのとおりいくというわけじゃないでしょうけれども、将来の整備計画でぜひそういうことにも御留意をお願いしたいと思うのです。 それから、こういう老人保健施設を整備していくと老人医療費の適正化という点では一体どうなのか、大変金がかかったりするのじゃないかという御指摘も一部にある。その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
○黒木政府委員 まず、施設の整備について過疎地等についても配慮をという御意見でございますけれども、私どもといたしましても、この老人保健施設が全国にあまねく均等に整備されていくことが非常に重要だろうというふうに考えております。私どもとしては、先般発表いたしました高齢者対策企画推進本部の報告書にも示されておりますように、特別養護老人ホームあるいは新しくできます老人保健施設につきまして緊急に整備計画を策定しまして計画的に整備を図りたいというふうに考えておりまして、その際、御指摘のようなことのないよう、地域的にも均衡のとれた形で整備ができますよう十分配慮して指導していきたいというふうに考えております。 二つ目は、老人保健施設の整備に伴います老人医療費の関連でございますけれども、老人保健施設を段階的に整備いたしますことに伴いましていわゆる社会的入院の解消というものが図られていくであろう。そういたしますと、中長期的には老人医療費の適正化と申しますか、国民の老人医療費の負担が何がしか軽減されるのではないかというふうに考えております。 試算でございますけれども、仮に昭和七十五年度までに二十六万ないし三十万床のベッド整備を図るということを前提に長期的に推計をいたしておりますけれども、老人保健施設を整備しない場合と比べまして老人医療費の伸び率は約二%下がり、老人医療費に換算いたしまして約三兆円ないし三兆五千億円が昭和七十五年時点において低下すると見込んでおる次第でございます。
○谷垣委員 寝たきり老人対策でこういう中間施設をつくっていただくのは大変結構なことだと思いますが、もちろん施設対策だけで済むものではないわけでございまして、私の申し上げました身内の例でも、例えばときどき入浴をさせるために居宅サービスに来ていただくというのは大変助かりまして、老人本人も喜ぶ。だから、デイサービス、ショートステイサービス、訪問指導等の在宅福祉対策を充実していただいて、ノーマライゼーションと申しますか、できれば家族などと一緒に過ごせるように手助けをしていただく。これは最近厚生省も大変力を入れていただいているわけですけれども、中間施設をやっただけではなしに、こういうことも積極的に推進していただくことがさらに必要だと思うのです。その辺どのようにお考えか、伺いたいと思います。
○小島政府委員 確かに御指摘のように、現在、五十九年の調査でございますが、寝たきり老人の総数は四十八万でございます。そのうち、特別養護老人ホームに入所されている方が十一万、病院に入院されている方が十万、残りの二十七万が在宅の状態でいらっしゃいます。 在宅の寝たきり老人の方々、その家族の意識を調べてみました。これは全国調査ではございませんで、百万程度の都市、三十万程度の都市、いわゆる農村部を調べてみましたが、全部を平均いたしますと、寝たきり老人御本人の場合、寝たきりになってもできれば家にいたいという方が九割、施設に入りたいという方が一割でございます。都市の規模によって、多いところで一四%、少ないところでは七・八%と差がありますが、大部分の方はやはり家族と一緒に住みなれたところにいたいという御希望が強いように見受けられました。 一方、家族の方の意識を調査してみますと、平均いたしますと約四分の一の方が、そういう寝たきり老人を家庭で抱えておりますと施設に入ってほしいという意識を持っていらっしゃいます。そういう意味で、寝たきり老人御本人の希望もさることながら、家族の負担が大変だということは十分察せられるところでございます。しかし、そういう状態にありながらも、家族の大多数は何とか自分で面倒を見たいという意思も強いようでございますが、一面、日本の老人との同居の状況等を見ますと、息子さんのお勤めの都合とかもあって同居率がだんだん下がっております。それと同時に、御婦人の就労も増加しておりますので、家庭における介護機能というのは相対的に低下の傾向にあると見ざるを得ないと考えております。 そういたしますと、老人の福祉を図り、できるだけ御希望に沿えるような老後の生活を送っていただくためには、御指摘のような家庭介護の支援システムを充実していく必要があろうと考えまして、従前は緊急の課題として入所施設の整備に力を入れてきましたが、これも大体めどが立ちつつありますので、今後は在宅サービスの強化に重点を置いてまいりたいと考えておりまして、六十一年度におきましても、デイサービス施設を従来の九十六カ所から百十四カ所増加いたしまして二百十カ所に持っていく、あるいは家族が御旅行とか仕事の都合とかで家庭で介護できない場合に施設に短期間お預かりするショートステイの事業につきましても、従前の二万七千八百四十五人の対象を約一万人増加するというような強化を図ることにしておりまして、このデイサービス事業とショートステイにつきましては、国庫補助率が従来三分の一でございましたが、これも二分の一に引き上げて制度の整備を促進してまいりたいと考えておるところでございますし、ホームヘルパーの派遣事業につきましても、これも適切な人を得るということでなかなか急速には進まない面もありますが、六十一年度は約二千人増加して二万三千五百人体制に持っていこうというような整備を進めておるところでございまして、何とか家庭における介護機能の支援システムを早急に整備して、本当に寝たきりの御老人の希望に沿える生活が家族とともにできるような施策をさらに充実してまいりたい。 なお、施設に入所なさった方につきましても、リハビリとかである程度回復できますれば家庭に帰りやすくするためにも在宅の支援システムづくりが重要だと考えておりますので、御指摘のとおりこれには十分力を入れてまいりたいと考えております。
○谷垣委員 大変積極的にやっていただいて、ますますこれを進めていただきたいと思います。 今回の老人保健施設ですけれども、先ほど申し上げたように医療と福祉の中間でこれからどういうことをやっていくのかいろいろ詰めていかなければならないことがたくさんあろうと存じます。モデル事業をやっていただく中で精力的に議論を詰めていただかなければならないわけですが、こうして病院、こういう中間施設、特別養護老人ホーム、いろいろな選択肢ができてくる。これはそれぞれ目的が違うわけですけれども、国民が実際使うときどれにしようかという話になると、魅力的なよいところに行きたいと思うのは当然のことだと思うのです。だから、老人保健施設は、これから詰めて議論をしていただいて、そういう国民の要望にこたえるもの、利用しやすいものにならなければいけないと思うのです。 例えば、今病院なんかで社会的入院ということがよく言われますけれども、年寄りを抱えた者からすると、寝たきりで自分の家で支えていくのも大変だ、そこで病院に入れておくと、うちの年寄りは体が悪いのでということで入れておけば社会的な体面も立つというような現実もあろうかと思うのです。中間施設というようなものが、言葉は悪いですけれども、うば捨て山のようなものであってはならないので、あそこの老人保健施設に入れたということが非常に明るいイメージといいますか、何かよいところに入れているなというようなイメージを国民に持っていただくように厚生省も御努力いただかなければいけないと思うのですが、その点いかがでしょうか。
○今井国務大臣 老人保健施設についてはまさに御指摘のとおりでございまして、まず国民がだれでも利用しやすいものにしなければなりません。同時に、その機能が十分発揮できて、しかも国民のいろいろな要望にこたえられるようなものにすることが極めて大事だと思っております。 そういったことから、その整備につきましては、病院であるとか老人ホームというものにまず併設するということなどを考えまして、まず住民の身近な場所に置くということ、同時にその施設の利用につきましても、面倒な手続をするというようなことでなくて、申し込めば入れてもらえるという手軽に利用できるような施設にしていきたい、私はこう考えております。したがって、今後モデル事業の実施をいたしますが、そういう状況や各方面の御意見を踏まえまして具体的な施設とか給付の基準などを検討することになりますが、先生の御意見を十分踏まえまして考えてまいりたいと思っております。
○谷垣委員 ぜひそういう推進をお願いしたいと思います。 今、老人施設のことを伺ってきたわけですけれども、高齢化対策の基本、これは結局健康な老人づくりだと思うのですね。その意味で、この制度には老人保健事業というものもあるわけで、老人保健事業の推進が極めて重要だと思うのです。それで、その実施状況はどうなっておりますか。
○黒木政府委員 御指摘のとおり、本格的な高齢化社会の到来を控えまして、健やかな老後を迎えるための施策、あるいは壮年期からの健康づくりを初めとします特に保健事業というのは極めて重要であると認識をいたしております。保健事業につきましては、五カ年計画に基づきましてこれまで段階的かつ計画的に事業の拡充を図ってきたところでございまして、私どもとしては着実な成果を上げているというふうに考えております。 保健事業の実施状況についてのお尋ねでございますけれども、五十九年度の実績で見ますと、健康教育、健康相談、機能訓練、訪問指導につきましては、予算で見込みました水準を上回った実績を上げております。また、健康診査につきましては、受診者数が、五十九年度におきまして千六百万人を超えるという状況でございまして、これも着実な成果を上げているものと考えておりますが、予算に対比しまして、一般診査で七割、胃がん検診が五割程度の実施率になっておりまして、残念ながら予算対比では実施率が下回っているということでございます。しかしながら、健康診査の受診率につきましては、国の予算を上回っている市町村が多数あるわけでございますけれども、都市部におきまして低くなっておるということでございまして、これが全体の受診率を引き下げている原因になっているものと考えております。 私どもとしては、六十一年度予算におきまして、老人保健事業の計画的な推進ということで、厳しい財政事情のもとでありますけれども、総額三百五十八億円、対前年度比で三五・八%増と、大幅な伸びの予算の確保を見ているところでございますし、内容的にも総コレステロールあるいは肝機能検査といったようなものを一般診査へ追加しておりますし、寝たきり老人等に対します訪問指導も全員を対象にする等の保健事業全般にわたる充実を図っているところでございます。
○谷垣委員 今実施状況を伺ったわけですが、老人保健事業の計画は、六十一年度で終了するというふうに伺っているのです。しかし、この事業は息の長い取り組みをしていくことによって初めて成果が上がってくるわけですから、六十一年度でおしまいというのでは困るので、またさらにその先の計画を立ててやっていただくことが必要じゃないか。その意味で、第二次計画というものをおつくりになるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○今井国務大臣 御指摘のように、保健事業の成果というのは長期にわたりまして着実に事業を積み重ねるということによって達成されるわけですから、第一次計画に続きまして、昭和六十二年度を初年度とします第二次計画を今策定しょうと思いまして、現在公衆衛生審議会の老人保健部会におきまして御審議をお願いしているところでございます。 おっしゃいますように、健やかな老後の実現のために、さらに施策の前進を図ろうと思いまして、今後、同審議会の御提言を待ちまして具体的な計画の策定を検討してまいりたい、このように思っておるものでございます。
○谷垣委員 いろいろ伺ってまいりましたが、今回の制度改正、私も地元に帰りましていろいろな御意見を伺っております。御老人の方からは、四百円を一挙に二・五倍に上げる、千円に上げるというのは随分急な負担増じゃないかという御意見もあります。また現役世代の方々からは、按分率を変えていくということは実質的な増税じゃないかという御意見もあります。それぞれ伺っておりまして、まことにごもっとも、血の出るような御発言だと思います。 先ほど来いろいろ御答弁もいただきましたように、この老人保健制度というものを長期的に安定させていく、そしてその中で負担の公平を図っていくという立場から見ますと、若い方々、現役世代の方々にそういう形で拠出率を上げていただいている、またお年寄りには、そういうことで一部負担を上げていただいている、そういうように協力していただいてやっていかないと、どうしてもこの制度はうまくいかないと思います。また、こういう中間施設をつくっていただくということ、これをよいものにしていただいて、そうして、これからの高齢化社会への国民の不安を解消していただくということでこの制度はぜひきちっとやっていただいて、これからの高齢化社会の乗り切りをやっていただきたい、これをお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○山崎委員長 次回は、来る二十二日火曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時二十六分散会 ————◇—————