社会労働委員会 第10号
- 発言数
- 151 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1986/04/08
会議録
○山崎委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池端清一君。
○池端委員 私は、まず最初に、基本的な問題について若干お尋ねをしたいと思います。 日本の雇用労働者数は現在約四千三百万人、そのうち中小企業に従事している労働者の数は実に八一%の多きを占めているわけでございます。日本の経済はまさに中小企業とそこに働く労働者の皆さん方に支えられていると言っても言い過ぎではないと思うのであります。 しかし、労働条件等の格差の問題は、一般に言われておりますように、賃金は七〇%、一時金は四〇%、福利厚生関係は三〇%という状況でありまして、労災は逆に三倍というような現状でございます。要するに、中小企業労働者の労働条件や福祉の水準は大企業との間に大きな格差が存在しているという状況ではないかと思います。いや、その格差はむしろますます拡大をしているのではないかと考えますが、労働省はこの格差の現状をどのように押さえられておるのか、また、この格差解消のためにどのような対策を今後講じられようとして。おるのか。 特に、この際、労働省サイドのみならず関係省庁、とりわけ通産なり中小企業庁といったところとの連携を密にして中小企業労働者の労働条件の改善に取り組んでいかなければならないと私は考えるわけてありますが、それについての見解を承りたいと思います。
○小粥(義)政府委員 お尋ねの企業規模間格差の現状でございますが、いろいろな数字がございますけれども、労働条件の基本でございます賃金について申し上げますと、毎月勤労統計によって見た実情は、六十年の場合、五百人以上の規模を一〇〇といたしますと、現金給与総額ですから、これは一時金、定期給与を両方含めた数字でございますけれども、三十人から九十九人の規模では七四・一%という状態になっております。労働費用全体を比較したものがございますが、賃金労働時間制度総合調査による数字ですけれども、労働費用全体では、五千人以上規模を一〇〇とした場合に、百人から二百九十九大規模は六六・四、三十人から百人までは六〇・五というようにかなり開いた格差がございます。 また、お尋ねのございました労働災害の現状ですけれども、私どもは度数率という指標で比較をしておるわけですが、千人以上の度数率は一・〇六という数字でございますけれども、企業の規模が小さくなるほど度数率が高くなる、つまり災害の発生率が高くなるということになっておりまして、百人から三百人規模では四・四八ですから約四倍、三十人から五十大規模になりますと八・五五という数字が出ております。 そういう意味でかなりの格差があるということでございますが、こうした格差が時系列的にどう変化してきているかという点は、賃金に関して申し上げますと、高度成長期の労働力需給の逼迫を背景にしましてこの規模間格差は縮小の傾向にあったわけでございますが、第一次、第二次オイルショックを経まして、最近はむしろ若干拡大の傾向にあるというのが現状でございます。 労働省として、今後こうした企業規模間格差に対してどういう対応をするのかという問題でございますが、こうした企業規模間格差が生じます原因としては、基本的には企業の生産性の開きとか経営基盤の問題といったことがあるわけでございますけれども、同時に、中小企業の場合、企業の人事労務管理について必ずしも適切でない面もある、あるいはそうした問題意識はあっても実際にやる場合にその対策を講ずる経費がなかなか捻出しにくい、こういった問題もございますので、今後の対応としては、そうした人事労務管理についての必要な知識なり技術を国として、行政として提供していくような体制をつくっていく、同時に、実際に企業として安全衛生その他の面で改善をしようとした場合に資金不足といった面があるとすれば、安全衛生融資あるいは中小企業に向けての安全衛生のための助成制度の拡充といったようなことを今後進めていきたいと思っております。 最後にお尋ねのございました、単に労働省だけではなくて関係省庁、なかんずく通産省等との連携が必要ではないかという点はまことにごもっともでございまして、実は私どもも従来から通産省との間に政策協議の場を設けておりますけれども、その場に限らず、今後、関係省庁との連携をさらに密にして中小企業の労働条件の格差の縮小なりひいては解消に向けて努力してまいりたいと思っております。
○池端委員 格差はむしろ拡大の傾向にあるということでございますが、この中小零細企業の場合、労働条件の問題は労使での交渉といってもそれは非常に難しい問題ではないか、とりわけ今日、日本の労働組合の組織率は二八・九%、中小零細の場合は一〇%を切っているという現況の中で、労使交渉で解決をといってもそれは絵にかいたもちに等しいと私は言わざるを得ないと思うのであります。 賃金については、不十分な形ではありますが、最賃法というものがございます。それと同じように、各種の労働条件の問題については法的な規制によって対応していく、そういうことによって対処していくことが今日緊急の課題ではないかと私は思うのでありますが、これについての見解を承りたいと思います。
○小粥(義)政府委員 御指摘のように、労働条件のうち一番基本となります賃金については最低賃金法がございます。それ以外の労働条件の主要な項目といたしまして、労働時間の問題あるいは安全衛生基準の問題は、それぞれ労働基準法あるいは労働安全衛生法で一応最低の基準は決められているわけでございます。今御指摘がございましたように、中小企業で労使の話し合いに任せればいいじゃないかというのは必ずしも現実に即していない面があるように私どもも感じておりますが、それは、最低基準をいかに決めるかよりもむしろ最低基準を超えてさらに労働条件の改善に尽くすべきことは労働基準法にもうたわれている大原則でございますが、それじゃ世間相場的なものを労使の話し合いで中小企業の場合に実現できるのかというところにむしろ一番の問題があるのではないかと思っております。 例えば先ほどお尋ねのございました最低賃金の問題でも、地域的な最低賃金、地域最低賃金が全国的に各都道府県単位に一応しかれているわけでございます。それが世間の相場になっては、これは問題であるわけでございまして、実は最低賃金制度はその上に産業別最低賃金というものがあるわけでございます。こういうダブルスタンダードがいいか悪いかの議論は実はあるわけでございますけれども、いわゆる世間相場的な賃金というものが、産業別最低賃金が決められていることで一応の役割を果たしているというふうに見れるわけでございます。 同じようなことが他の労働条件の面でも可能かどうかという点については、確かにその部分の労使による労働条件決定の仕組みというものは相当部分欠けているのじゃないかというふうに私どもも考えております。したがいまして、その面については、今後中小企業のいわゆる生産性向上なりあるいは経営基盤の強化といったものはそれぞれ産業政策とのタイアップが必要でございますけれども、労働行政自体として人事労務管理面でのいろいろないわゆる指導援助業務、そうしたものが今後充実を求められるでございましょうし、さらに労使関係、これは基本的には労働協約の拡張適用といったことが大筋の方向にはなろうかと思いますけれども、そうはいっても組合の組織率が低い現状ではそれも早急に望めないとすれば、それにかわる何らかの決定機構というものをどういうふうにつくり上げていったらいいか。これに今直ちに具体的にお答えをできる段階にございませんけれども、そうした方向に今後行政としても研究なり検討を進めていかなければならないというふうに考えております。
○池端委員 それでは具体的に退職金問題についてお尋ねをしていきたいと思います。 本年の二月、総評の中小闘争対策本部がまとめましたアンケート調査によりましても、退職金問題で賃金や一時金に次いで非常に多くの不満を労働者がお持ちである、こういう実態が数字になってあらわれております。七三%の方が非常に退職金が少ない、非常に問題がある、こういう指摘があるわけでございます。我々の調査によりましても、その実態を調べましたが、大企業を一〇〇とするならば百人以下の事業所では退職金の実態は二四・五%、こういうような大変な格差になっておるわけでございまして、退職金問題の是正といいますか、改善というものが非常に大変急務になっていると思うわけであります、 そこで、実態をお尋ねいたしますけれども、一般の退職金共済制度及び特定業種退職金共済制度のおのおのについてその加入の状況がどのようになっておるか、お伺いをしたいと思いますし、また商工会議所等でも行っております特定退職金制度の加入の状況について承りたいと思います。
○若林説明員 お答え申し上げます。 中小企業退職金共済制度には、今御指摘になりましたように常用労働者を対象といたします一般の退職金共済制度と建設業、清酒製造業、林業の各業種に就労いたします期間雇用者を対象といたします特定業種退職金共済制度がございますが、六十年の十二月末現在での数字でございますけれども、一般の退職金共済制度につきましては、加入企業数が二十五万三千、加入の労働者数が百九十七万三千となっております。また、特定業種の退職金共済制度でございますが、建設業の退職金共済制度につきましては加入企業数が十一万七千、加入労働者数が百五十四万九千人でございます。清酒製造業退職金共済制度につきましては加入企業数が三千、加入労働者数が四万一千人でございます。それから、林業退職金共済制度につきましては加入企業数が三千、加入労働者数が五万六千でございます。したがいまして、全体を合計いたしますと加入企業数で三十七万六千、加入労働者数が三百六十一万九千人、こういうことになります。 次にお尋ねの商工会議所や商工会などが税務署長の承認を受けて特定退職金共済制度というものをやっておるわけでございますが、その実態の詳細は承知いたしておりませんけれども、一般的には団体数が約千弱、加入労働者数は約百五十万程度というふうに言われております。この特定退職金共済制度につきましては、一般に制度加入後数年間の給付率が比較的高くなっておりまして、主に短期勤労者を対象とするものが多いわけでございますが、この中小企業退職金共済制度は民間の一般の企業がとっておりますと同じような退職金カーブを採用しておるわけでございますので、ある程度長く勤続した勤労者に重点を置いたそういう運営を行っているわけでございます。
○池端委員 今、一般並びに特定業種の共済制度の加入状況をお聞きしたわけでありますが、それでは普及率は一体どうなっておりますか。普及率についてお尋ねをいたします。
○若林説明員 加入労働者数はただいま御説明申し上げたようなことでございまして、これはもう確定をしているわけでございますけれども、普及率の方につきましては分母をどういうふうにとるかということでございまして、これはなかなか御説明が難しいところでございますが、一般の退職金共済制度につきましては、自前の独自の退職金共済制度を持っている企業に雇われている労働者、そういうものを全部含めてそれを分母にいたしますと約一割ということになります。 それから、特定業種退職金共済制度のうちで建設業の退職金共済制度の普及率は約四割でございます。それから、清酒製造業退職金共済制度でございますが、これは約十割と言っていいかと思います。それから、林業の退職金共済制度の普及率でございますが、これは約三割、大体その程度というふうに考えております。
○池端委員 一般の退職金共済制度の普及率、今お聞きしますと一割程度だ、こういうことでございますが、実は私、昭和五十六年の第九十四国会でこの法案を審議した際にお尋ねしたときの普及率は大体一割弱、九・四%、こういう数字でございました。今お聞きしますと、それが一割程度、こういうのですから、ほとんど前進を見ていない。分母も変わりますから、多少同じように比較はできませんけれども、ほとんどこの普及状況は変わっていない、前進を見ていない、こう言っても決して言い過ぎではないと思うのであります。この制度ができましたのが昭和三十四年でございます。既に二十七年間経過をしている。にもかかわらず普及率がまだ一割弱、これは一体どうしてこの普及が進んでいないのか、浸透していないのか、その原因は那辺にあるというふうにお考えになっておりますか、お尋ねをしたいと思います。
○小粥(義)政府委員 普及状況、御指摘のような実態でございます。私どもとしても、なぜそうした普及率の向上が図れないのか、いろいろと分析をいたしておるわけでございますけれども、いろいろな要素が複合されてそうした結果があらわれているものというふうに考えておりますが、その中の主要なものを挙げてみますと、一つには、まず企業の経営体力の弱さというものが基本にあろうかと思います。また、中小企業、特に零細中小企業の場合、いわゆる家族主義的な労務管理という面のよさは一方にあるのでございますけれども、他面、必ずしも従業員の生涯福祉という問題についての理解が十分でもないという企業もあるわけでございます。 それからもう一つは、いわゆる退職金制度が元来終身雇用慣行といったものをバックにしましてつくられてきた経緯があるわけでございます。中小零細企業の場合、従業員の移動といいますか、転職が大企業等に比べますとかなり激しい、そういう実情にもあるものですから、そういう面で退職金制度が必ずしも浸透していないという面も率直に言ってあろうかと思っております。と同時に、二十数年たつわけでございますが、行政としてのこの制度のPR、そうした活動についても決して十分じゃなかった面もあるのではないかという反省も私どもいたしておるわけでございます。そうした点が総合されて、必ずしもまだ普及率が上がっていない、こういう状況になっているものというふうに考えております。
○池端委員 それで、加入促進対策というものが今日大変急がれるわけでございますが、どのような加入促進対策を今日まで進めてこられたのか。また、今後どういう実効ある方策をとっていこうというふうに考えておられるのか、その点をお尋ねしたいと思います。
○小粥(義)政府委員 従来のいわゆる加入促進対策は、どちらかといいますと関係機関によります広報活動が主体でございまして、具体的に申し上げますと、毎年十月には加入促進月間を設けてそうした活動を集中的にやるほかに、この中小企業退職金共済制度を運営しております中小企業退職金共済事業団の手によります資料の提供であるとか、加入相談あるいは説明会等の活動、それから、いわゆる報道機関あるいは事業主団体によります広報活動、それから一部の地方公共団体でございますけれども、いわゆる掛金の一部助成といった制度を導入している地方自治体もございますが、そうした地方公共団体によりますいろいろな広報活動、それと中小企業退職金共済事業団が業務を委託しております。その業務の受託金融機関によります活動あるいは労働基準監督機関によります広報活動、こうしたいろいろ各機関による広報活動がございます。 総じて言いますと、広報活動が主体であるというふうに言えるわけでございますが、その効果は必ずしも十分でないというところに私ども反省もいたしておるわけでございまして、今後、これからはそうした従来の広報活動に加えまして、新しく制度の仕組みを変えて、加入奨励のためのいろいろな助成制度を新設したいということを考えております。これは今回の法案にも盛り込ませていただいているわけでございますが、新たに制度に加入する事業主あるいは掛金月額の増額を図る事業主に対して掛金助成制度というものを新設したい、それによって相当の加入促進効果というものを期待できるのではないかと考えております。 と同時に、いろいろな事業主団体がこの制度に関連して存在するわけでございますけれども、従来、どちらかといえば単なる広報活動に終始していたわけでございますが、そうした事業主団体は、これは個々の企業と直接接触する機会も一番多いわけでございますので、そうした事業主団体の手による加入促進活動をもっと幅広くするために、いわゆる掛金の収納業務等をこの事業主団体にも委託をしまして、その委託業務を通じてさらに加入促進を図っていく、あるいは相談体制を広めていくといったようなことも考えたいと思っております。 と同時に、今回の法改正で資産運用の弾力化の一環として、生命保険の保険料の導入を図ろうと考えておりますが、生命保険各社のいろいろな活動もまた今後の加入促進にそれなりの効果が期待できるのではないか、そうしたことを従来の加入促進策に加えて新しく実施をしていきたいというふうに考えております。
○池端委員 いろいろ新たな加入促進対策を考えられておるようでありますけれども、しかし、従来の経験からいいますと、なかなかそれを達成することは難しい問題ではないか、こういうふうに考えるわけですね。 そこで、本年の一月に中小企業退職金共済審議会の労働者側委員が一致して要望を出しております。「本制度が、将来すべての中小零細企業に全面的に適用されるよう、段階的処置を含めて検討を行うこと。」こういう要望が出されているわけでありますが、私も、一挙にとはいかないまでも、段階的にこういった全面適用ということが考えられてしかるべきではないか、そういう方法をとらなければ百年河清を待つということになるのではないか、こう思うのですが、その辺についてはどうでしょうか。
○林国務大臣 退職金制度は事業主が自主的に決めるということが基本であろうかと思いますけれども、この制度への加入につきましても、これを強制するということはなかなか困難であろうかと思います。そこで、私といたしましては、この制度の充実を図って、この制度が一層魅力あるもの、こういったようなことでその周知、広報に努めることが制度の普及に資するものであるというふうに考えているわけでございます。 今回の法改正におきましては、新たに事業主に対する掛金助成制度を設けるなど、この制度の一層の充実を図ることといたしておりますし、さらに加入促進対策といたしましても幾つかの新しい方策を設けることとしております。これらを十分に活用いたしまして、この制度への加入促進を強力に推進するように最大限の努力を払ってまいりたいと思っている次第でございます。
○池端委員 もう一つの大きな問題は、中退金の制度は包括加入を原則としておりますけれども、期間雇用者あるいは短時間労働者等についてはその例外という扱いがなされているわけであります。しかしながら、御案内のように今やパートタイマーは五百万人にも上っておる大変な数でございまして、しばしばこの委員会でも討議されておりますように、そのうちには一般の労働者と同じような就労実態にある者も非常に多い、こういう現状でございます。したがって、パートタイマーあるいは臨時あるいは派遣労働者、こういう方々等についてもこの制度に包括加入させるべきだ、こういうふうに私は考えるわけでありますが、これについてはどうでしょうか。
○小粥(義)政府委員 御指摘のように、現行の制度では包括加入の原則をとっておりますので、必ずしも臨時、パートタイマー等の方が当然に入るということにはなっておりませんが、しかし、その就業の実態が常用労働者と同じようなものである場合、具体的に申し上げますと、パートタイマーの場合でも所定労働時間の三分の二以上勤務しているようなパートタイマーの人については、包括加入の原則に基づいて本制度に加入するように、これは行政としての指導は進めているわけでございますが、必ずしも実績、十分だとは思えません。むしろこれは、先ほどもお答えいたしましたが、退職金制度がいわゆる終身雇用慣行といったものを背景につくられた経緯もございますので、そうした性格的な面があるいはあらわれているのかと思います。 ただ、派遣労働者につきましては、この七月から新しく労働者派遣法も施行されるわけでございますけれども、その中でのいわゆる常用的労働者である派遣労働者であれば、これは派遣元企業においての常用労働者として当然中小企業退職金共済制度にもなじむものというふうに考えておりますが、ただ、いわゆる登録型の派遣労働者になりますと、なおパートタイマー等と同じような問題があろうかと思いますので、そうした点はなお今後の検討を要する問題であろうかと思っております。
○池端委員 我が党は、パートタイマー労働者の状況を改善するために、既に三年前の一九八三年十月にいわゆるパート等保護法案を衆議院に提出をいたしました。また、八四年三月に再提出をいたしておるわけであります。ぜひこの法案について御審議の上、御賛同をお願いしたいと思うわけでございます。 このパートの問題につきましては、御承知かと思いますけれども、大阪の摂津市におきまして昭和六十年度から全国で初めてパートタイマー等の退職金制度を創設いたしました。その創設の際の議会におきまして、摂津の井上市長はこう述べておるわけであります。「パートタイマーで働く女性たちの労働条件は極めて悪く、とりわけ退職金制度の整備がおくれております。解雇や再就職について絶えず不安を募らせているパートタイマーたちの切実な声にこたえるため、私は、この制度を創設いたすことにいたしました。」こういうふうに述べておるわけでありまして、また答弁の中で「今後、この共済制度が全国に広がることを願ってもおりますし、さらには国の制度になることを私は願っております。」こう述べられておるわけであります。 私も井上市長と同様に、これは地方自治体の問題ではなくて国の責任の問題であると考えるわけでございまして、パートあるいは臨時の皆さん、そして派遣労働者の皆さん方の加入問題は極めて緊急の課題であると考えるわけでありますが、重ねて所見を承りたいと思います。
○林国務大臣 パートタイム労働者の退職金につきましては、摂津市におきまして六十年四月からパートタイマー等退職金共済条例というものが施行されているということは承知いたしております。これにつきましては、一つの貴重な試みとして注目をいたしているところでございます。 労働省におきましても、パートタイム労働者の雇用管理のあり方につきまして研究会を設けて学識経験者による調査研究を進めているところでもございますし、御指摘の退職金に関する問題も含めましてさらに研究してまいりたいと考えております。
○池端委員 私は、ぜひともパートタイマー等の労働条件あるいは生活実態というものを十分踏まえて、この中退金制度における包括加入という原則に十分留意をして、これらの労働者に対しても本制度が適用されるように十分検討することを強く要望しておきたいと思います。 そこで次の問題に入りますが、この法律の第九十八条では「少なくとも五年ごとに、」「検討するものとする。」こう規定をされておるわけであります。前回の改正からことしは五年目でしょうか。私が計算をいたしますと六年目に当たるのであります。「検討するものとする。」という文言は、法令用語辞典なんかもいろいろ調べてみますると、検討しなければならないということと同義語であると言われておるのであります。なぜ法第九十八条の規定に反して、五年目に当たる昨年昭和六十年に法改正の提案をしなかったのか、その状況について承りたいと思います。
○小粥(義)政府委員 御指摘のように、中小企業退職金共済法には五年ごとに検討を行うものとすると規定されているわけでございます。私ども、その規定の趣旨を受けまして、昭和五十九年に関係の審議会に検討をお願いし、さらにその後審議会から建議をいただいた上で労働省当局としての検討もいたしたわけでございます。しかしながら、その検討の過程におきまして、掛金あるいは退職金の額の問題、さらに国庫補助を含む中退制度の今後のあり方、さらに社会経済情勢の変化あるいは財政経済の実態や見通しなど、そうしたいろいろな変化が激しい時期でもございますので、さらにいいものにするためには一層掘り下げた形の検討を進めることが必要であるということを考えまして、昭和六十年時点での法改正は見送らざるを得なかったということでございますが、引き続き中退審議会にも検討をお願いし、その結果の建議を昨年もいただきまして今回この法律案を取りまとめた次第でございます。
○池端委員 確かに、今局長が言われましたように審議会は昭和五十九年の八月七日に建議を行っております。そういう意味では、法第九十八条に言う検討を行ったのであり、法に違反するものではない、こういうふうにおっしゃるのかもしれませんが、私はこれはやはり法第九十八条が求めている法の精神に違背しているのではないかと考えるわけであります。特に、実態論からいっても、この六年間に物価の上昇率は約一五%という上昇で、この六年間据え置いたという政府の責任というのは、私は決して軽くはないと思うのですね。五年ごとに見直すという条項に反して今回提案をされた趣旨について改めてお伺いをしたいと思います。
○小粥(義)政府委員 法律の五年ごとに検討を行うものとするという意味では私ども検討をいたしたわけでございますが、それが直ちに法改正の案に結びつかなかったという点でずれが生じたこともまた事実でございます。 そういう点では、法律の規定の趣旨からしますと、同じタイミングで改正ができなかったことは率直に申し上げまして私ども遺憾に感じているわけでございますけれども、ただ法律の規定の趣旨からしますと、必ずしも検討即改正ということにもなってないといったような面もございますので、ここで今言いわけめいたことを私申し上げる気持ちはございません。むしろ今回の改正案がそうした五年目の検討を引き継ぎましてつくられてきたものであるということ、かつ、よりよいものにするためにさらに時間をかけて今回の改正案を取りまとめたという点をむしろ御理解願えればと存ずる次第でございまして、今後ともこうした現行の法律にございます五年目ごとの検討の趣旨はもちろん十分踏まえて私ども対応してまいりたいと考えております。
○池端委員 よりよいものにするためにさらに掘り下げる検討をしたんだから許されてしかるべきではないかというのは少し牽強付会の説ではないか、こういうふうに思うのであります。五年というのも、これは少なくとも五年ごとにという規定があるわけでありますから、私は行政府としてこういうような措置を行ったことは非常に責任がある、こういうふうにあえて申し上げておきたいと思います。 そこで、退職金給付を合理的な水準に維持するために今回は制度改定あるいは加入促進対策等も考えておられるわけでございます。したがって、この制度改定や加入促進対策が現実にどういうふうに生かされていくのか、実効を上げていくのかということを検討するために、私は今後必ずしも五年ということにこだわらないで、せめて三年後ぐらいにはいま一度見直す必要があるのではないか、果たしてこういった対策でよろしいのかどうかということも含めて見直す必要があると思うのでありますが、これについてはどうでしょうか。
○小粥(義)政府委員 五年目ごとの検討の一番の問題といいますのは、いわゆる共済制度の基礎でございます脱退率などの共済数理の動きというものがどうなるかといったところにポイントがあるわけでございますが、そうした共済数理の見直しを行うことになりますと、これはある程度の期間を見ないと必ずしも的確な判断ができないということがございます。したがって、法律も五年目ごと、こういうふうに規定をしたものと理解するわけでございますが、しかし、それは少なくとも五年目ごとであるわけでございますから、必ずしも五年たつまでは何もしないといったことにこだわるものではもちろんございません。 したがいまして、今回御審議をいただいております法案が成立をしました場合に、関係審議会の御議論においてもなお引き続き検討を要する問題も実はあるわけでございます。そうした問題を含めまして、今回の新しく織り込みます制度の推移等を見守りまして、これは適切な時期にさらに見直しの検討をすることについては私ども決してやぶさかではございません。そういう趣旨に御理解を願えればと存じます。
○池端委員 今回の改正で幾つかの前進面も見られるわけでありますが、しかし、問題点もまたなきにしもあらず。特に、今回の改正で国庫補助については給付費補助を廃止をした、そして掛金助成を新設する、こういうふうになっておるわけでございますが、現在平均退職金支給額が三十七万円、こういう低水準の状況の中でこのような給付費補助を廃止することは、ますます中小企業労働者の労働条件の格差拡大に道を開くのではないだろうか、給付費補助を廃止して掛金助成とした理由は一体どこにあるのか、そこに私は疑問を感ずるわけであります。これは端的に言うならば国庫負担減らしではないか、こういうふうに危惧するものでございますが、これについての見解を承りたいと思います。
○小粥(義)政府委員 この中退制度ができましてもう二十数年たつわけでございまして、元来、退職金制度というものは企業の任意でつくられるものでございます。にもかかわらず、従来給付についての補助が制度として仕込まれていたわけでございますけれども、ただおのずから限界がございまして、それが、御承知のように、掛金月額の最低額に対応する一定率という形で給付に対する国の補助というものが定められてきたわけでございます。 現在の中小企業退職金共済制度によります退職給付が、先ほどお話しございましたように、三十数万円という低い額である。それにとどまっている理由としましては、一つには掛金月額が低いということ、もう一つは、いわゆる従業員の在職期間が短いといった両面があるわけでございますので、その両面について今回法改正の中で所要の対応をしたいというふうに考えているわけでございますが、給付について国庫補助があること自体は、それは給付の改善にそれなりの効果を上げてきたと思いますけれども、逆にそれが最低ランクに凍結されていた、そのためにむしろ、国の補助のメリットのある掛金月額といいますと相当低いランクでしかそれが効いてこないといったような面も逆の効果としてありまして、そのためにかえって掛金月額の引き上げが必ずしも思うようにいかなかったという面も率直に言ってあろうかと思います。 したがって、今回の改正におきましては、むしろ掛金月額の引き上げあるいは在職期間の延長につながるような点にストレートな形での国の助成なりあるいは制度の変更をしていきたいということで考えたわけでございまして、決して国庫負担減らしということではなく、いわゆる掛金助成を含めますとそれなりの国の方からの補助というものも考えていかなければならないというふうに考えているわけでございます。そうした点については、六十一年度の予算としましても前年同額のものは少なくとも確保するようにしているわけでございます。御理解を願いたいと存ずる次第でございます。
○池端委員 国庫負担減らしではないと局長は言い切ったわけでありますが、この中小企業退職金共済事業団から出ているパンフレットによりましても、「この制度は、退職金制度をもつことが困難な中小企業に、国の援助で、大企業と同じような退職金を支払うことができるようにすることを目的としています。」こう書かれているわけであります。 こういうふうに中小企業における退職金制度の普及のために国が事務費等を負担、補助することによって本制度への加入の促進を図る、これが本制度の趣旨であると私は思うわけでございます。この趣旨を踏まえるならば、むしろ国庫補助は今後さらに拡充拡大すべきではないだろうか。今回の法改正の経緯を見た場合、今局長は答弁をされましたけれども、今後、国庫補助が減額される心配があるのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、今後絶対にそのような措置はない、減額される心配はない、それは池端、おまえの単なる杞憂にすぎない、こうおっしゃるのかどうか、減額されることは絶対ないと確認していいのかどうか承りたいと思います。
○林国務大臣 この制度は、我が国が今後ますます高齢化社会を迎えるに当たりまして重要なものとなってくると考えられますし、中小企業労働者の福祉と生活の向上を図るためには、この制度に対します補助については特段に配慮していかなければならないものと考えております。 私といたしましては、制度の安定的運営を確保するために必要な事務費補助が確保されますよう、今後とも最大限の努力を払ってまいりたい、こう思っております。
○池端委員 今後、国庫補助が減らされるということはない、こういうふうに確認をいたします。むしろこれは拡充強化すべきものであるということも重ねて申し上げておきます。 そこで、新設される掛金助成制度の問題であります。その経費が今度は労働保険特別会計から支弁をされることになっておるわけであります。これは私は、労働保険制度の目的、すなわち労災保険事業及び雇用保険事業の目的に反するのではないか、こういうふうに思うものであります。労働保険特別会計から支弁することは、この制度の趣旨からいって筋が違うのではないかというふうに私は考えるわけでございますが、見解を承りたいと思います。
○小粥(義)政府委員 労働保険特別会計、御承知のように雇用勘定と労災勘定に分かれております。 雇用勘定につきましては、雇用保険の保険給付に要する費用とは別に、使用者の負担によりますいわゆる雇用保険の四事業の経費が使用者の負担によって拠出をされ、それに基づく各種の事業を行っております。中小企業の退職金共済制度、先ほどのお答えの中でも触れましたけれども、いわゆる従業員がその企業にできるだけ安定し、定着をしてもらう、そうしたことも目的の一つとして、そこで退職金価額もそうしたようなことを踏まえて決めてあるわけでございます。そういういわゆる雇用の安定という面はこの掛金助成制度の持つ効果として十分期待をできるところでございます。その面では、特別会計の目的にも十分なじむものではないか。 一方、労災勘定におきましても、既に賃金不払いの場合の立てかえ払い事業に対する経費を支弁いたしております。これは退職金を含めて立てかえ払いをいたすわけでございますが、こうした中小企業退職金制度の普及が進むことがそれだけ退職金を含めた未払いを防止することにも効果を持つわけでございます。そういう観点からは、労働保険特別会計、両勘定ございますけれども、それぞれの目的、範囲で読めるものではないか。 と同時に、退職金の原資そのものは、従来から、制度に加入していない企業も含めて考えた場合に、使用者の責任とされているわけでございまして、一義的には使用者の責任ということでございますから、そうしますと、労働保険特別会計の先ほど申し上げました雇用勘定の使用者拠出分あるいは労災勘定分というものは、使用者の拠出による資金であるという面においては、むしろなじむものではないか。そうした点をいろいろ総合いたしまして、この労働保険特別会計の目的に反するものではないというふうに私ども考えてこういうような予算の構成にさせていただいたわけでございます。
○池端委員 労働省設置法の第三条に「労働省の任務」というものが規定されております。ここでは、「労働省は、労働者の福祉と職業の確保とを図り」云々と規定をされているわけですね。したがって、労働省の施策の基本はどこにあるかといいますと、労働者の福祉の向上と雇用の安定、こういうところにあるわけであります。 今の局長の論法をもってすれば、労働省の施策のすべては労働保険特別会計で実施することができる、こういうことになるのではないか、こう私は思うのです。すべてこの労働保険特別会計、ここでやるんだ、一般会計がだめなら特別会計があるさ、こんな発想があるんじゃないかと私は思うのですね。今日まで、この委員会でも、労災保険法あるいは雇用保険法の改正の際にこの問題がしばしば議論されている。私は、過去十年間の会議録をいろいろひもといてみましたが、これは大変論議されている問題であります。古くて新しい問題なんです。 こういう問題をきちっと整理しないで労働保険特別会計、特会に依拠する、依存するという姿勢は安易ではないか、また、筋が違うのではないか、こう私は思いますが、改めて見解を承りたいと思います。
○小粥(義)政府委員 労働省の予算の構成、御指摘のように、特別会計のウエートは相当高いわけでございます。ただ、これはいわゆる保険事業としまして、保険事故の予防にその保険事業の経費をもって充てるという形が従来行われてきたところからこうした予算の構造になっているわけでございますけれども、もちろん、一般行政経費等一般会計で負担すべきものも現にあるわけでございますし、また、今後もそうした面は堅持をしていかなければならない面があるわけでございます。 ただ、率直に言いまして、景気が悪くなると労働省の予算が大きくなるというような、いわゆる雇用失業対策に一般会計の経費が相当使われていたという面からしますと、むしろ予防に力をいたすために一般会計のウエートが相対的に低くなってきたことは、これは否めない事実であると思いますけれども、要は、この一般会計、特別会計の負担区分についてはかねがねいろいろ議論があったことも私ども承知をいたしております。いずれかに偏してどうこうということではなくて、両面を有機的に連携をさせながら予算を編成し、また執行していかなければならないというふうに考えております。 そういう面では、先ほどお答えいたしましたように、重ねてになりますが、今回の退職金共済制度の掛金助成もそうした予防的な効果もあるということも考えまして、その特別会計の目的に反しないということで組ませていただいたわけでございますので、その点は重ねて御理解を願いたいと思うわけでございます。
○池端委員 これは、これまでの附帯決議の中でも何回か取り上げられているわけですね。この問題は十分整理、検討すべきである、こういうふうに附帯決議でも取り上げられ、我が党もかねてからこの問題点を指摘してきたとおりであります。失業保険制度あるいは労災補償制度の本来の趣旨に照らしてこれはなじむものではない、こういうふうに思うわけでございますが、今回また中退金の共済制度にまで労働保険事業が絡められようとしている。私は、非常に問題があるというふうに感じざるを得ないのであります。こういう状況がますます進むならば、すべて労働省の労働行政というものが財政上労働保険事業に支えられる、こういうことになりはしないか。その結果、ついに労働省は労働保険庁に変質するのではないか、こんな危惧すら私は持つわけでございます。 こういう状況にならないように、十分今後とも労働省においても慎重な検討をお願いしたいと思いますが、大臣、いかがですか。
○林国務大臣 一般会計の中での扱いといいますか、そういった中で特別会計などにしないということに私どもは考えていっているわけでございます。
○池端委員 議論を次に移したいと思いますが、特定業種の退職金共済制度の問題でございます。 これについては、掛金の日額が建設業では現在百八十円、清酒製造業では二百円、林業では百五十円、こうなっております。これは長いもので六年、林業では五年でしょうか、据え置かれたままに今日まで来ております。この問題につきましても、一般の退職金共済制度と同様に速やかに大幅な引き上げを図るべきだというふうに考えますが、この点はいかがでしょうか。
○林国務大臣 特定業種の退職金共済制度の掛金日額は、法で定められております範囲内でその共済組合が定款で自主的に定めるということになっておりまして、この掛金日額につきましては、昨年十二月の中小企業退職金共済審議会の建議でも「賃金・退職金水準、業界の実態等を勘案して、適正な額となるよう検討すること。」こうされているところでございます。私といたしましては、特定業種退職金共済組合におきまして掛金日額の引き上げについて早い時期に検討するように期待をするものであり、また組合に対しましてこれを要請したいと考えております。
○池端委員 先ほどのお答えでは、建設業の退職金共済の普及率は約四割程度ということでございました。必ずしも十分な数字ではございません。この制度は現場を転々と移動する労働者を対象としているのでありますから、企業者が制度に加入して初めて制度の実効が上がる、こういうものでございますので、この制度への加入促進、そのための具体策を労働省、建設省はどのようにお考えか、お尋ねをしたいと思います。
○若林説明員 建設業退職金共済制度は、ただいま先生御指摘のように建設業の期間雇用者を対象にいたしておるわけでございまして、その勤続期間を通算して建設業から引退する際に退職金がもらえるということになっておる、いわゆる業界の退職金制度でございます。したがいまして、この制度が本当に効果が出てくるためには、制度そのものは任意制度でございますけれども、ただいま御指摘のように、建設業を営む大部分の事業主にこの制度に入っていただくということが極めて重要なことでございます。そういった面では、先ほど申しました四割というのはまだまだ低いわけでございまして、その加入促進には私ども今後ますます力を注がなければならないという認識でおるわけでございます。 これまで労働省では、建設業・清酒製造業・林業退職金共済組合、これが直接の担当でございますけれども、ここはもとより、建設省、都道府県の労働関係はもとより、土木関係のところにも協力を要請してまいりました。その他関係の行政機関とも連携を図ってまいったわけでございまして、公共工事につきましては、入札参加者の資格審査に当たりまして建退制度の加入状況等を考慮することにいたしておるわけでございます。先ほど局長から申し上げましたように、毎年十月に実施いたします加入促進強化月間、ここでも集中的に加入促進の要請をしてまいっておるところでございます。 先ほどの御指摘のように、まだまだこの加入促進を図っていかなければならないわけでございますので、今後ともこれらの関係機関とも連携して強力に進めてまいりたいと存じますが、今回改正をお願いいたしております中で、特定業種の退職金共済の手帳を初めて発給する事業主につきましては、掛金の助成をするという制度を改正の中に盛り込んでおるところでございまして、この制度が実現いたしますと、そういった加入促進の面でも大きな効果が期待できるというふうに考えている次第でございます。
○林説明員 建設省でも、この建設業退職金制度への加入を促進することが必要だと考えております。 まず、業界に対しまして通達によりましてこの共済制度の加入促進を指導いたしておりますとともに、昭和五十三年に元請・下請関係合理化指導要綱というものをつくっておりますが、この要綱におきましても、下請企業の方がこの制度に加入していただくことと、元請が下請をこれについて指導することを明記いたしまして指導いたしております。 それからまた、所管の建設省の直轄事業の発注に際しまして、予定価格にこの掛金相当額を算入すること、それから、先ほど労働省の方から話がございましたが、入札資格審査の際にこの制度への加入状況を考慮いたしますこと、それから、工事を受注いたしました請負業者に対しまして掛金収納書を提出していただくこと等の措置によりまして加入促進を図っておるところでございます。
○池端委員 ここに北海道の季節労働者白書というのがございます。これは一九八三年版で、ここでその実態が出ておるのでありますが、建設業の男子で手帳をもらっている人はわずかに二七・九%、女子は三五・七%、約六割ないし七割の人はこの制度とは無関係、利用を拒否されている、こういう状況でございます。林業になるともっとひどくて、男女ともに手帳をもらっている人は一〇%程度にすぎない、こういう状況であります。したがって、先ほど手帳の問題が出ましたが、労働者の皆さんに必ず手帳を交付する、こういう指導を強めることが今、非常に急がれていると思います。 同時に、証紙貼付の履行確保が図られるようにすべきではないか、こう思うわけでありますが、これについての見解、対策を承りたいと思います。
○若林説明員 手帳交付の問題でございますとか証紙貼付の履行の問題、これはもう、かねがね御指摘を受けている点でございまして、私どもも幾つかそういった実態についての調査をしてみたわけでございますが、手帳の交付という観点から申し上げますと、比較的規模の大きいところは交付の率は高いわけでございますけれども、下請の方にまいりますと交付の状況が悪くなるというのが現状でございます。 しかし、手帳を交付されますと、貼付というのは比較的進みやすいわけでございまして、そもそも、手帳をもらってないので世の中にこういう制度があることを知らない、したがって貼付をしてくれということを要求もできないといったようなケースも少なくないのではないだろうかと思います。したがいまして、この制度を普及してまいりますためには、ただいま先生御指摘のように、できるだけ手帳を発給してもらうということが一番大切なことではないかというふうに私ども認識をしておるわけでございます。 この点につきましては、私ども行政といたしましても、会議のたびごとに手帳の交付及び証紙の貼付というものの履行を進めるように現場で指導するように言っておるわけでございますが、公共工事につきましては、先ほども申し上げましたもののほかに、工事費の積算に当たり、建設業退職金共済掛金相当額を含めるということになっておるわけでございますし、それから、工事を受注した建設業者からは、発注官庁等に対して共済証紙の購入状況の確認に必要な書類を提出させることになっておるわけでございます。受注業者が下請契約を締結いたします際には、掛金相当額を下請代金の中に算入するか、または下請業者に対して共済証紙を現物交付することを勧奨をいたすことになっております。こういったことで、関係各官庁とも連携をとりながら指導を進めているわけでございます。 先ほど申しましたように、今回の改正で、初めて手帳を交付する事業主には掛金の助成をするということになったわけでございまして、手帳が交付をされますと、働いている方々はここに押してくれということになってくるわけで、おのずから貼付の方も促進されるのではないかと期待をしているわけでございます。 いずれにいたしましても、特定業種の退職金共済制度の加入促進、手帳の交付、証紙の貼付の履行確保ということは極めて重要なことでございまして、私ども全力を挙げてこれに取り組みたいと考えております。
○池端委員 今、公共工事の問題について、労働省と建設省からそれぞれお答えがあったわけでありますが、ちょっとより具体的に建設省にお尋ねをしたいと思うのであります。 公共事業についての工事費の積算に当たって証紙の購入代金を算定しているわけでありますが、これは建設省直轄の工事以外についてもきちんと積算されているのかどうか、その点を確認したいと思います。また建設省は、建設省以外の公共事業の発注機関に対して、この積算について具体的にどういう指導をなさっておられるのか、その結果についてどういう確認をなされているのか、その点もあわせてお伺いをしたいと思います。
○豊田説明員 建設省の直轄土木請負工事につきましては、工事費の積算におきまして、建設業退職金共済制度に基づきます事業主負担額、こういったものを土木請負工事工事費積算基準に基づきまして請負工事費の中で現場管理費という項目の中で法定福利費として組み入れております。 所管公共土木工事の発注機関であります関係公団、地方公共団体に対しましては、土木請負工事工事費積算基準の改正の都度、これを参考とされるよう送付しているところでございまして、直轄工事の積算基準を準用しております地方公共団体等につきましては、建退共掛金の事業主負担額は予定価格に反映されておる、こういうふうに考えております。
○池端委員 ただいま答弁ありましたように、証紙購入代金は公共事業においては積算をされている、こういうことでありますが、実際に現場に行きますと、そうはなっておらない。下に行くに従って実際には購入をされていないという点がこの白書でも大変指摘をされておるわけであります。この点、私はやはりもっと強力な指導、これはもう毎回言われているのです、この話は。改正の都度言われているが、実効を上げていない、こういう問題でありますので、この際、本当に本腰を入れて強力な指導を行うべきではないか。証紙の貼付について、そのチェックも含めて具体的な措置を講じてほしい、こう思いますが、いかがでしょうか。 〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕
○豊田説明員 公共工事の予定価格の決定等の執行方法につきましては、地方公共団体がそれぞれ個別に、固有に決めることでございまして、建設省としてこれを強制する権限はないわけでございます。しかしながら、建設省直轄工事の積算基準につきましては、先ほども申し上げましたように、変更の都度、所管工事の発注者に対しまして参考とされるよう送付しているところでございまして、機会あるごとにこれを遵守するよう徹底してまいりたい、そういうふうに考えております。
○池端委員 確実な証紙貼付が履行されますように、ひとつ強力な御指導をお願いをしたい、こう思います。 次に、林業退職金共済制度についてお尋ねをいたします。 この制度の加入状況も、先ほど答弁ありましたが、約三割程度、こういうことであります。この制度についても、業界挙げて参加することによって建設業と同じように初めて制度の趣旨が全うする、こういうものでございます。したがって、私は、労働省もあるいは林野庁も、林業を営むすべての事業主に強制加入させるくらいの強い構えで指導を行う必要があるのではないか、そうしなければ真の実効は上がらないのではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、林業における加入促進対策をどういうふうにお考えになっておるか、これも労働省と、あわせて林野庁にお尋ねをしたいと思います。
○若林説明員 林業の退職金共済制度につきましても、これは勤続期間を通算いたしまして、林業から退職するという場合に退職金を支給するものでございます。業界の退職金制度でございますから、先ほどの建設業の場合と同じように、任意加入ではございますけれども、大部分の事業主にこれに加入してもらって、働いている方々が職場を変えても十分に通算されていく、どこへ行っても手帳が交付され、そして証紙が貼付されるという体制にすることが重要であることは申すまでもございません。これについての加入は、先ほど申し上げましたように、なかなかこの分母のとり方でいろいろ数字はあるかもしれませんけれども、建設や清酒に比べますと率が低いというのが現状であろうかと存じます。 これにつきましては、私ども、建設業・清酒製造業・林業退職金共済組合、ここがやはり主管でございますので、ここが中心になって加入促進をやっているわけでございますけれども、さらに林野庁等の関係行政機関とも連携をし都道府県とも連携をとりながら、加入促進、履行確保を進めているわけでございますが、また、毎年の加入促進月間を中心にいたしまして、全国の森林組合連合会等の林業関係団体の協力もいただきまして、この制度への加入促進を図っておるわけでございます。 これも先ほど建設業の場合で申し上げましたように、やはり手帳を交付していくということが何よりもまず重要でございますので、今回改正をお願いいたしております特定業種の退職金共済制度の一番最初の一冊目の手帳を交付した事業主に対して掛金の助成をしていくという、これをてこにいたしましてさらに加入促進を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○堤説明員 林野庁といたしましても、林業退職金共済制度への加入ということが林業従事者の福祉を図ります上で非常に重要だという認識を持っております。したがいまして、従来から労働省とも連携をとりながら、都道府県、それから林業関係団体、さらに全国の営林局署を通じましてその啓蒙普及を行ってきたわけでございます。さらに、都道府県におきます巡回指導というのがございますが、そういうものを使いまして、直接林業事業主に対しましてその加入促進に努めてきたところでございます。今後におきましても、こういった方向でさらに一層努力をしてまいりたい、こういうように考えております。
○池端委員 林業の制度は昭和五十七年に発足をしてまだ日浅いわけでございます。その上、林業労働者の年齢が非常に高齢化をしている。その年齢構成は五十歳以上が約五割を占めているという状況でございます。したがって、せっかくこの制度に加入しても、加入期間が短いということから、受け取る退職金も極めて少額だ。 例えば現行では百万円の退職金を受け取るのには二十年の年数が必要でございます。十年では四十万円足らず、こういう状況でございますが、長年林業に貢献しながら高齢のためにわずかばかりの退職金しかもらえない、こういう人たちを何とか救済できないだろうか。一定の助成をして、さかのぼって証紙代を納めるというような方法等は講じられないものかどうか、その辺の見解を承りたいと思います。
○若林説明員 林業の退職金共済制度は発足が遅いわけでございます。昭和五十三年に中退制度への加入を志向いたしまして自主的な制度が発足したわけでございます。そしてそれがある程度数がまとまりましたものでございますから五十七年から国の制度として発足したということでございます。したがいまして、ただいま先生御指摘のように、掛金の納付期間がまだ短いということがございまして、この現在の退職金の支給の平均額は大変低い水準にとどまっております。建設業等に比べますとかなり低い水準でございます。これは何よりもこの掛金の月数が少ないということによるわけでございます。 ただいま、先生、これは政府が助成をしてさかのぼって証紙を納めて救済できないか、こういうような御指摘でございますけれども、この制度は基本が事業主の掛金による業界退職金制度でございますから、あくまでもこの共済の制度は事業主の出される掛金によって運営しなければならない、これはもう大原則だろうと存じます。そういった面で、ただいま御指摘のような助成ということは難しいと申し上げざるを得ないと思います。 また、この林業の退職金共済制度、これは比較的短期間に複数の多数の事業主の間を転々と移動する期間労働者の方々を対象とする制度でございまして、したがいまして、さかのぼるということ自体も、これは証紙の貼付ということでその日その日を処理していく制度でございますから、さかのぼるという点もまたこれは確認という点でなかなか難しいというふうに考えます。 しかし、冒頭申し上げましたように、現在の退職金の水準が低いということは事実でございます。この点につきましては、退職金の増額が図られますように、先ほど申し述べました建設業・清酒製造業・林業退職金共済組合に対しての掛金日額の増額ということを要請するなどいたしまして対応してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○池端委員 確かに難しい問題だと思いますけれども、ひとつ今後十分検討をお願いをしたい、こう思います。 そこで、林業における一人親方の問題でございますが、昭和五十六年四月二十三日の参議院の社労委員会におきまして、労働省は、林業における一人親方の実態をよく調べ、建設業の取り扱いを参考にしながらそのような措置をとってまいりたい、こう答弁をされているわけでありますが、その後の検討状況を端的に承りたいと思います。
○小粥(義)政府委員 先生御指摘のように、五十六年、国会の場においてそうした答弁も担当者はいたしておるわけでございますが、率直に申しまして、その後の検討は必ずしも進展を見ていないというのが現状でございます。 理由は実はいろいろあるわけでございますけれども、五十六年当時お答えしましたように、建設業については運用面での取り扱いをいたしております。それは言うならば労災保険におきます一人親方の特別加入制度のやり方を援用して退職金共済制度でもそうした取り扱いをしているというふうに私ども理解をしているわけであります。 問題は、その一人親方の従業上の身分といいますか、自営業者と見るのかあるいは雇用されている労働者と見るのか、そうした点が必ずしも一定してないというところから、従来その一人親方に対する労働関係の法規の適用が必ずしも進んでいないという面があるわけでありますけれども、建設業の場合には、雇用される労働者である一人親方、そうした人も相当数いるということで、これは運用上そういう取り扱いをいたしておるわけであります。 問題は、林業の場合に林業の一人親方について同じような取り扱いができるかどうか。それは結局、林業の一人親方の実態がいわゆる請負を受ける側の自営業主的なものであるのか、あるいは雇用される労働者であるのか、あるいは両方を行ったり来たりするにしてもそのウエートはどうであるのかといったような実態の把握がまずは必要で、あるわけでございますが、正直言いまして、その実態の把握はまだ必ずしも十分にできておりません。と同時にもう一つは、現在のいわゆる労災保険の特別加入制度、これが中小事業主としても特別加入制度の対象になり得まずし、一方、一人親方としても特別加入の対象になり得るわけでございます。林業の場合にいわゆる中小事業主としての特別加入と一人親方としての特別加入、これがどうなっているか、これは私どもも実態を調べたわけでございます。それぞれに約二千人弱の一人親方あるいは中小事業主の方が労災保険の特別加入として林業の場合でも入っているわけでございます。 そうした面をあわせ考えますと、今後いわゆる労災保険の場合と中小企業退職金共済の場合が果たして同様に取り扱えるものかどうかという問題が実は出てまいったわけでございまして、ちょうど労災保険の制度の検討も並行して行われておりまして、その中では特別加入制度のあり方についての議論も種々ありましたものですから、その間この中退制度について林業の一人親方の加入をどういう取り扱いをするかの検討がその後の進展を見てない、こういう状況になっているわけでございます。いろいろ事情があったわけでございますが、そうした現状にあります点はひとつ御理解を賜りたいと存じます。
○池端委員 しかし、国会答弁してから五年の歳月が経過しているわけですよ。現状はこうでございますということだけではどうも納得できませんね。どうするのですか。具体的な検討の今後の日程を明示してもらいたい。早急にこの問題は結論を出してもらいたいと私は思うのですが、重ねて。
○小粥(義)政府委員 林業労働の問題につきましては、実は私どもの行政としてこの退職金共済制度のほかにいわゆる労働災害の問題でも各業種の中で最も災害発生率が高いといった問題も抱えている業種でございます。したがって、そうした林業労働全般の問題についての検討あるいは体制づくりもしていかなければならないと私ども思っております。ちょうど今年度から災害防止の面では、特に労災補償の面では労災の指定団体制度を林業関係についても適用していくというようなことも実施をいたすことにしております。したがいまして、そうしたこととあわせまして、林業の一人親方に対する退職金共済制度の適用については、今まで確かにおくれておりましたけれども、今後早急に関係省庁とも連携をとりながら検討を進め、実現の方に向けて検討を急ぎたいというように考えております。
○池端委員 ひとつ積極的に前向きに早急に検討をし、結論を出してもらいたいということを強く要望しておきます。 時間が参りました。まだまだあるのでありますが、最後に林野庁に、この法案と直接関係ありませんけれども、せっかくの機会でありますので、一点お伺いをしたいと思います。 先般の健康保険法及び国民年金法等の改正によって、従来非適用業種でございました林業等の業種についても本年の四月一日から、当面五人以上の従業員を使用する法人という段階的な実施ではございますけれども、健康保険、厚生年金が強制適用となりました。これは画期的なことであると言わなければなりません。 そこで、これを実効あらしめるための方策でありますが、林野庁にお尋ねをしたいのであります。 具体的にお尋ねをします。「素材生産及び造林を請負で実行する場合の社会保険等の取り扱いについて」という昭和六十年四月十六日付林野庁業務第一課長名の文書がございますが、この中の社会保険料の積算について、六十一年四月から強制適用になることを受けて当然変更されるものと考えますが、どうでございますか。二番目は、林業労働者の健保、厚年の全面適用に向けては、まず国有林の請負、立木販売、または森林組合が率先してその見本を示すべきだと考えますが、どのような指導をしていくのか。この二点を承りたいと思います。
○杉原説明員 お答えいたします。 御指摘のように、六十一年四月から健康保険、厚生年金保険の強制適用がございました。私ども、国有林野事業といたしまして、請負で実行する場合も、健康保険、厚生年金保険の取り扱いにつきましては、この法改正の趣旨を踏まえまして適切に対処してまいりたい、御指摘の通達につきましてもその趣旨で検討させていただきたいと考えております。 また、林業労働者の健康保険、厚生年金保険の指導という問題でございますが、まず国有林野事業といたしましては、これまでも請負事業体等の労働者の社会保険の加入促進につきましては力を入れてきたところでございまして、今後も契約時等いろいろな機会を通じまして社会保険等への加入につきまして指導してまいりたいと考えております。特に、今回の健康保険、厚生年金保険につきましては、制度改正の趣旨を踏まえまして加入促進の通達等を出し指導したい、このように考えております。 さらに、民有林の施策としましても、森林組合を初めとしまして林業事業体に対しての制度の周知徹底等を図ることにつきましてさらに指導してまいりたいと考えております。
○池端委員 どうもありがとうございました。 冒頭申し上げましたように、今日の不況の中で文字どおり歯を食いしばって頑張っておられる中小企業、零細企業に働く労働者の皆さん方の労働条件の改善というものは本当に今日緊急の課題であると私は思います。この労働条件の改善に向けて今後とも労働省は積極的に取り組んでいただきたい、このことを強く要望して私の質問を終わります。
○浜田(卓)委員長代理 森本晃司君。
○森本委員 今回、中退金共済法の改正になるわけでございますけれども、資料をいただいたわけでございますが、果たしてこの制度改善の趣旨に沿ったようになっていくかどうか甚だ疑問であり、また心配もしている点がございますので、その点をお尋ねしたいと思います。 まず、「掛金月額の大幅な引上げ、事業主が掛金を納付することに対するインセンティブの強化、一般的な通算制の導入等を行うことにより、本制度への一層の加入促進を図り労働者がより充実した退職金を受給できるようにする」という趣旨でありますけれども、一般的に考えまして、掛金月額が大幅な引き上げになるということで、今までよりも掛金を多く掛けなければならない、それではちょっとやめておこうかというふうな懸念も事業主の中には出てくるところがあるかと思います。 特に「掛金を納付することに対するインセンティブの強化」ということがございますけれども、今回の制度改正で果たしてどれほどの実効があると考えておられるのか。まずその点をお伺いしたいと思います。
○小粥(義)政府委員 先生御指摘のように、今回の制度改正におきましては、今までの退職金共済制度によります退職金額が極めて低い水準にとどまっていた、それは二つの理由があり、一つは掛金月額が低い、いま一つは在職期間が短いために勢い退職金額そのものも低くならざるを得ないということにあったことに着目をいたしまして、その掛金の引き上げを進めていきたい、そのための助成制度も新しく設ける、こういう仕組みにいたしたわけでございます。 正直言いまして、この新しい掛金助成制度がどれくらいの成果を今後もたらすかということは、今の段階では予測の域を出ませんので確たることは申し上げられませんが、私どもとしては、加入促進のいろいろな措置、掛金助成制度はもちろんその大きな柱の一つでございますけれども、それ以外の加入促進のための従来やっておりました対応策、あるいは新しく六十一年度以降やることにしております。そうした対応策をあわせまして、少なくともこの掛金助成制度によりまして今後加入企業なり加入労働者数が現行の二ないし三割ぐらいの増加を期待したいと見込んでいるわけでございます。 したがいまして、従来もそれなりの国庫補助はございましたけれども、実は掛金月額の最低線に対応するものでしかなかったということで、それがかえって掛金引き上げの意欲をそぐような効果も一面に持っていたことも、私ども否定できない面があったと思っております。したがいまして、今回の掛金助成は、期間は限られますけれども、掛金の高い場合でもそれなりの助成をしていくという仕組みに考えたいと思っておりますので、そういう面で、今後掛金助成のための国の補助額は平年度化しますともっと膨らんでまいると思っております。そうしたことによりまして、掛金月額の引き上げあるいは加入促進の面の効果はそれなりに相当期待できるのではないか、こう考えているわけでございます。 具体的な数字は今の段階でちょっと明確には申し上げられませんが、加入促進の効果としては少なくとも二ないし三割程度の加入増加を期待したいというふうに考えておるわけでございます。
○森本委員 これからスタートする段階でございますので、労働省として正確な数字が出せないということでございますけれども、いずれにしても二割か三割の増加という御答弁をいただいたわけでございますが、この増加程度では中小企業の退職金制度が充実していくとは限らない。二、三割増を達成することは当然として、さらにそれ以上の多くの人たちが加入するように、それは労働省の熱意によって、またどれだけ真剣に取り組むかによって決まってくるのではないかと私は思うわけです。したがって、今二、三割程度の増と御回答をいただきましたけれども、三割ぐらいは確実に達成していただきたいし、同時にまたそれ以上の成果が上がるようにやっていただきたいと思うわけでございます。 今、増加の分は、五年間で二、三割程度ということでございますけれども、五十九年度における脱退状況を調べてみますと、共済契約者一万五百十八、被共済者二十二万八千八百八十四、相当の脱退者が出ておるわけでございます。これは、中小企業が大きくなったから脱退した、あるいは企業そのものをやめたからとか転職があったからというわけでございますけれども、それにいたしましても相当な脱退者がある。したがって、私は、増を図ると同時に、この脱退者を減らすための努力というのがさらに必要ではないだろうか。そうしないと、二、三割をふやしても脱退者がふえればもとのもくあみになってしまうということです。 これだけの多くの脱退者の内訳、今、項目的に私の推測で申し述べましたけれども、労働省としてこの脱退者のこれだけの内訳はどのように考えておられるのか、それから脱退を減らす努力をいかにしていかれるかという点をお伺いしたいと思います。
○若林説明員 中退制度の新規共済契約者とかあるいは被共済者の伸びにつきましては、最近は頭打ちの傾向にございますけれども、この中で、加入促進を進めている中で、ただいま先生御指摘のような脱退というものがございます。被共済者の脱退、五十九年度は二十三万ぐらいでございますけれども、これはほとんどが退職して退職金をもらう脱退でございます。 問題は共済契約者の一万の脱退でございまして、私どもも、この数は決して少なくないものでございますので、これまでもいろいろと分析をしてまいりました。これはそのほとんどが実は従業員を一人とか二人雇っている事業主の場合に、そういう一人なり二人の従業員がやめて退職金をもらって脱退してしまったということになりますと、もう従業員おりませんものでございますから共済の掛金を納付しない月が多くなってくるというようなことでございまして、そういう中で契約を解除していくというものがほとんどでございます。 しかし、中にはやはり景気の動向等に左右されまして掛金を納付するのが非常に困難になってくるというようなところもございますし、その他の理由で退職金制度、中退から脱退するというものもございます。そういう従業員がいなくなったから脱退というのじゃないケースは、これは私ども極力事業主の方とコミュニケーションを図りましてその脱退を防いでいくということがネットの共済契約者をふやすことになり、被共済者をふやすことになるわけでございまして、これはもう先生の御指摘のとおりでございます。これにつきましては、今後とも、そういう事業主の方に一番近くにいるのは金融機関でございます。したがいまして、私ども、金融機関からそういった情報をよく集めて内容をチェックして、引き続き契約を進められるようお勧めすることでございますし、また私どもの方といたしましても、そういった相談の体制というものは強化をしていかなければいけないというふうに考えている次第でございます。 今回、改正をお願いいたしておりまして、新規加入者及び掛金の増額につきまして掛金助成をするということで、その分だけ事業主の方々の負担が軽減されるわけでございますので、こういった点も十分PRをいたしまして脱退の防止を図っていきたいというふうに考えている次第でございます。 そういったことを含めまして、私ども、先ほどおっしゃいました六十五年までに何とか、今は頭打ちの状態でございますけれどもこれを上昇傾向に上げてまいりまして、六十五年までに何とか三割ぐらいまで伸ばしていきたいというふうに考え、そのために一生懸命努力をしてまいりたいと考えている次第でございます。
○森本委員 共済契約者の方の脱退状況、今お伺いいたしましたが、ほとんどが一人から二人という企業で、もう掛金をする人がいなくなったのでやめていくということについての理由はわかるわけでございますけれども、ちょっとさっき話が出ました景気の動向によって契約者が脱退していくということがあり得るわけでございますね。その場合に、ちょっとこれは私お尋ねしたいわけで、それは何割か私はあると思うのです。 その場合、せっかく掛けてきた共済掛金ですから、やめるにしても事業主も大変これはもったいない話だと思いながらやめていかざるを得ない。特にこのように円高で突然不況が襲ってくると、そういった掛金を掛けることができなくなってやめていくという場合があるわけですけれども、掛金を納めることができなくなった場合、例えば一年なら一年脱退するのをとめて、しばらく見てあげましょうという形になっているかどうか、ちょっとお尋ねしたいんですが、その辺はいかがでしょう。
○若林説明員 まず掛金につきまして、掛金は本来減額ができないわけでございます。しかしながら、そういったような経営の事情で万やむを得ず掛金を減額をしたいという御相談はあり得るわけでございまして、これは一定の基準で非常に経営が悪いという場合には個別のケースについて減額をして掛け続けていただくということができるようになっております。私どもはそう簡単にこの制度で減額ということは認めておりませんけれども、万やむを得ない場合にはそういうふうにしてでもつないでいただくということができるようになっておるわけでございます。 もう一つは、もうそれもできない、全然払えないということになりました場合には、これは一年間掛金を払っていただきませんと解約をしなければならない、こういうことになっているわけでございます。その範囲までは私ども猶予申し上げて、何とかつないでいくようにというふうにしたいと思っておるところでございます。
○森本委員 その辺は経営者としてはもう退職金の掛金を云々するというどころじゃなしに、我が生きていくことで大変になってくる。そういうときの相談というのはよほど懇切丁寧にやってあげないと、もうそういったことじゃなしに、あす飯を食べるのが大変だというところへ労働省の偉い人がやってくるということだけでも経営者にとっては大変でございますので、どうかそういった減額とかあるいはしばらく掛金ができない中小企業の経営者に対して、本当に懇切丁寧にやはり相談に乗っていってあげることが必要かと思いますので、今後一年間の期間もあるようでございますので、その間なぜ納めないのかという借金取り的な形でいくと、まず向こうも相談してこない。むしろ何らかの形で、あなた方にとって有利ですよ、しばらく待ちますよ、あるいは減額に応じますよというふうに懇切さが必要かと思いますので、さらにその辺を努力し、よろしくお願いしたいと思うわけでございます。 〔浜田(卓)委員長代理退席、委員長着席〕 次に、退職金給付にかかわる国庫補助は今回廃止されるわけでございます。そして掛金助成に切りかえられるわけでございますけれども、この国庫補助分が今度事業主のインセンティブになるような制度全般の充実に向けていかないことにはその国庫補助分——労働省からいただきましたパンフレット、退職金共済事業団のパンフレットを見ますと、この中に一ページ目に特色が漫画で書いてありまして、事業主が金融機関に渡す、そして事業団がそれをもらう、事業団に国庫補助がある。国会議事堂の絵がかかれておりまして、相当多くの金が、この漫画だけ見ますともう国庫補助金がいっぱい事業団に行くような漫画になっておるわけですけれども、実態はわずかだと思うのです。この少ない国庫補助金、今後補助分が掛金助成に変わるわけでございますけれども、どのようにしようと考えておられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
○小粥(義)政府委員 この中小企業退職金共済制度に対します国の補助、従来は、先生御承知のように、給付費補助とそれから事務費についての補助と両方あるわけでございます。今回の改正案では、そのうちの給付費補助は廃止をいたしますけれども、それに見合う分は当然事務費補助の充実を図ってまいりたいと考えております。と同時に、別途掛金助成制度を新しく設けたい、こういう考え方でございまして、したがって、事務費補助といいますのは、実は中退事業団が行いますいろいろな加入促進のための業務活動費、あるいは事業団と業務の委託関係を持っております金融機関に対するいろいろな対応の問題、そうした面で従来必ずしも事務費が十分でなくてできなかった、やりたくてもやれなかったような問題も、今後給付費補助に肩がわりする事務費補助の充実という面で、私どもかなりのことが対応できるのではないかと考えております。 同時に、もう一つの新しく設けます掛金助成制度、これは六十一年度予算としては改正案の施行を十二月一日から予定いたしておりますので、掛金助成のための補助額というものは初年度、しかも一部でございますかう七億強の金額になっておりますけれども、これが平年度化されました場合には、額が相当大きくなってくるものと考えております。現在のところ、これはまだ試算の域を出ませんけれども、六十一年度四カ月で七億ぐらいの助成額でございますが、平年度にすれば、これが七十ないし八十億ぐらいの額に達するものではないかというふうに見込んでいるわけでございます。 これはもちろん、加入促進の効果がどう上がるかによって相当左右される面もございますから、端的に数字でぴしゃっと申し上げるわけにはまいりませんけれども、私ども、先ほどお答えしました加入促進の目安といったものをにらみながら、この掛金助成制度もそれぐらいの規模には当然大きくなっていくものというふうな期待を持っているわけでございまして、そういう面では、これは事業主の掛金の負担に対する直接的な助成でございますから、事業主に対するインセンティブとしてかなりの効果を発揮できるのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
○森本委員 そこで、事務費に回される中でございますけれども、私はこの制度の広報宣伝というのに力を注いでいかないと、こういう制度があるということを中小企業の経営者は、特に二百人ぐらいの中小企業の経営者であれば相当わかっているわけでございますが、一般の人には、十人ぐらいの中小企業の経営者にはわからないと思うのです。しかも、これに入ることが福祉の増強になり、また中小企業に勤める人、中小企業の経営者もこれに加わることは非常に得なんですよという広報宣伝活動をしないと、総務部長とかそういう人がおるようなところであればじっくりと書類を見たりすることができるわけですが、今のところそうはいっていないと私は感ずるわけです。 この間の土曜日、ちょうど私、中小企業の経営者と懇談する機会がございまして、特に十人未満の経営者に退職金制度があるかということを聞きましたら、その半分は、いや、あれは入って得ですかねという答えですね。まず半分は知らない、半分は入って得ですかね、中小企業の経営者はすぐに損得で考えざるを得ないので、そういう回答になってくる。 きのう、また、そういうところで働いている何人かと懇談しましたが、働いている人で共済制度があるということを知っている人は極めて少ないというところですね。だから、働いている人は知らないから親方に加入してくれということも当然言わない。私は今回の国庫補助分が事務費に相当回ると伺いましたけれども、その点、そういう制度があるのだということを浸透させていく、働いている人にも浸透させていって、こういう制度がありますよ、うちも考えてくださいよと親方に言えるようなものにしていかなければならないと思います。 大体、各省庁から発行されますパンフレットですが、これも共済事業団からのパンフレットで、表はチョウチョウの絵が入って非常にセンスよさそうなんですが、中を見ましたら、十人ぐらいの中小企業のおやじさんが読み始めるだけでまず頭が痛くなる。それから、その後にいただいたパンフレットなんか、もう数字と活字の羅列でございまして、これではおやじさんたち、まず読む前に抵抗を感じますね。しかも金を出さなければならないということですから。この事務費がふえた機会に、今後もう少しセンスのいいパンフレットとかポスターをあちらこちらに張るように考えていただいて、もう少し身近にこういう制度があるんだということを教えていく必要が、啓蒙していく必要があると思うのですが、いかがでございますか。
○若林説明員 先ほど脱退の関係で、きめの細かい相談をすべきではないかという御指摘がございまして、私ども全く先生の御指摘のとおり、そういった相談の体制を充実しなければならない、相談活動を強力に進めなければならないと考えております。これも加入促進の輪を広げていくための一つの活動だろうと思っております。その他、中小企業の集団をとらえましてこれに対してPRをいたしますとか、ラジオ、テレビ等を活用するPRでございますとか、そういったものを今後さらに強化をしていきたいと思っておりまして、今回、事務費の方の助成を強化するということでございますので、こういった加入促進につきましては、倍というわけにはまいりませんが、相当思い切った予算の強化を図ってまいりたいと考えている次第でございます。 予算がございましてもその使い方でございまして、今先生御指摘のように、何と申しましても零細企業の事業主の方々なのでわかりやすくしなければならない、パンフレットもそういうものをつくらなければならないのは当然でございまして、私ども、つい、正確ということを頭に置きまして、間違えるといけないということばかりを気にするわけでございますが、そういうことも十分注意しながら、できるだけわかりやすい、皆さんのお目にとまるような広報活動を進めてまいりたいと考えております。
○森本委員 ぜひその点をやって、従業員の人にもその制度があるということをわかるようにしていただきたいと思います。 特に今度、こういう制度が変わりまして、非常に有利ですよという場合に、張られるのがほとんど役所の建物の中だけに限られる場合が非常に多いわけでございまして、そんなところへ足を運んでいくことも極めて少ない。ですから十分な啓蒙にならない。ちょっとした街角にもセンスのいいポスターがあって、ああおれたちにも国は退職金制度を考えてくれているのだなという印象をまず持つ、それから先ほどおっしゃったような正確なパンフレットがある。まず印象を持つための広報をぜひ充実していっていただきたいと思うわけでございます。 次に、この制度は中小企業に限るというところでございますが、ということは、従業員が三百人までのところというわけでございます。三百一人になりますと、今度は中退金から抜けなければならない。ところが、抜けてもすぐにまた景気の動向で二百八十人くらいになってしまう、あるいはすぐにまた三百十人くらいになるということがあります。私も中小企業に勤めていた経験がございますが、とにかく春になりますと新入社員を多く採用いたしますので、むしろ余分にまで採用する。そうすると、そのときは、春の季節は人数が非常に膨れ上がってまいりますが、まず三カ月ぐらいすると人数が急速に減っていくことになってきます。 この三百一人という範囲に対して、どれほどの幅を持ち、どれほどの期間を認めていくのかというところについてお尋ねしたいと思います。
○小粥(義)政府委員 中小企業退職金共済法で決めておりますいわゆる中小企業の定義でございますが、従業員の数が一つのメルクマールでございますけれども、実はもう一つ、資本金の額もメルクマールになっております。したがいまして、従業員が三百人以下あるいは資本金が一億以下、商業の場合少々違いますけれども、そのいずれかの要件を満たしていれば中小企業としてこの中小企業退職金共済法によります制度の対象になるわけでございます。 ですから、確かに従業員の数は年々新規採用、それが自己都合でやめていくというような形での変動がある程度あるわけでございますけれども、資本金の額は必ずしも年間の中で簡単に動くものではございませんので、従業員の数が若干、三百人を超えたとしても資本金の方の要件が該当していれば、これは引き続き中小企業として対象になるわけでございます。 従業員の数だけで見た場合に、これは常時使用するいわゆる常用労働者の数をとらえているわけでございます。景気の変動によりまして臨時の人であるとかあるいはバートの人を雇い入れ、それがために従業員の数が三百人を超えるということもございますけれども、そういうカジュアルな労働者の場合は必ずしも人数の要件の対象にならないわけでございますから、いわゆる常用労働者の数として見た場合にある程度固定した推移をたどれるのではないかと思っております。しかしながら、現実には三百人のところをちょっと超えだというようなケースもあり得るわけでございまして、それがその状態がずっと続くのかあるいは短期的なものであるのか、この辺も一つの判断要素になろうかと思います。 いずれにしても、資本要件、それから従業員の数の要件、いずれか該当すればいいというようなところで、一人超えたから途端にだめだというようなことではなくて、できるだけ安定的にこの制度が運用されるようにしていきたいという気持ちで私ども対応したいと思っております。
○森本委員 特に景気変動の激しい時期でございますので、弾力を持って対応をお願いしたいと思うところでございます。 それから一般の中退制度における加入企業九・四%、加入従業員が七・六%でありますけれども、これは非常に少ないわけでございます。中小企業退職金共済法の第一条「目的」には「この法律は、中小企業の従業員について、中小企業者の相互扶助の精神に基き、その拠出による退職金共済制度を確立し、もってこれらの従業員の福祉の増進と中小企業の振興に寄与することを目的とする。」このように書いてあるわけでございますが、中小企業の振興に寄与するために、また福祉の増進を図るために、労働省として積極的に普及及び加入活動を進めるべきであると私は思う次第でございます。 さらに次の問題に行きますが、六十年十月に行った建退共の実態調査によりますと、元請業者から証紙が現物交付される場合が非常に多いわけでございます。しかし、下請業者が建退共に未加入であったり、加入しているが共済手帳を持っている従業員がいないという場合が多いわけでございます。手帳交付、証紙を張ることにいろいろな問題点があると私は思いますけれども、その履行確保についてどのふうな指導をされているのか、また今後どのような指導の仕方をされていくのかということ、これはきょうは建設省もお見えいただいておりますので、労働省の考え方、建設省の考え方をお伺いしたいと思います。
○若林説明員 私ども、建設業における加入状況あるいは手帳の交付の状況、証紙の貼付の状況につきまして若干の調査をしたわけでございますけれども、そこで明らかになっておりますことは、下請にいくほど加入企業が率が下がってくるということが一つでございます。もう一つは手帳の交付でございますが、やはり下請の方に参りますと、加入していても手帳の交付の率が悪くなってくるということが言えようかと思います。一たび手帳を手にいたしますと、それに対する貼付の割合というのは比較的いいのではないかと考えられます。したがいまして、問題は加入であり、特に手帳の交付ということが一つのポイントになるのではないかと考えております。 建設業の退職金共済制度は、通常の退職金共済制度になじみにくい建設業の期間雇用者を対象にいたしまして、その勤続期間を通算して建設業から最終的に引退するときにまとまった退職金を渡すという制度でございます。業界の退職金制度でございますから、これは任意加入ではございますけれども、大部分の建設業の事業主の方に入っていただく。そして働いている方が転職をいたしましてもどこに行っても手帳をもらえ、そして証紙を貼付してもらえる、こういうことがいわば制度の前提になっておるわけでございますので、その加入促進ということは極めて重要なことでございます。 この建設業の加入促進あるいは手帳交付、証紙貼付の履行確保ということにつきましては、私どもはかねてから建設省、都道府県——都道府県も労働部だけではございませんで、土木関係の部にも協力を要請いたしまして履行の確保に努めておるわけでございますが、公共工事につきましては、入札参加者の資格審査に当たりまして建退制度加入状況等を考慮するということになっております。 それから、工事費の積算に当たりまして掛金相当額を含めるということになっております。 それから三番目といたしまして、工事を受注いたしました場合には、その建設業者から発注官庁等に対しまして退職共済証紙購入状況の確認に必要な書類というものを提出していただくということになっております。 それから、発注業者が今度は下請に仕事をおろしていくという場合でございますが、下請契約を締結する際には掛金相当額を下請代金の中に入れるか、あるいはその下請業者に対して共済証紙そのものを現物で交付するということを勧奨いたしておるわけでございます。 こういったことを中心にいたしまして、もとより毎年十月に加入促進月間をいたしておりますが、こういうところで関係官庁や関係の業界団体の皆さんの御協力を得まして加入促進、履行確保を努めておるわけでございます。 今後ともこういった活動は強力に進めていかなければならないと存じておりますけれども、今回、改正をお願いしております中で特定業種の共済制度の場合、事業主が労働者に第一冊目の手帳を交付したという場合には掛金の助成ができるという内容を盛り込ませていただいておるわけでございまして、これによりまして、最初の手帳を交付してもらいますと、当然それを持っておりますから証紙を張ってくれということになるわけでございますし、第一冊目の手帳をもらえば世の中に手帳があるということがもうわかるわけでございますから、一冊目が終わりますと二冊目を欲しいということになっていくわけでございまして、何よりもスタートは第一冊目の手帳でございます。これが発給されるようにこういった助成制度をつくらせていただきたいということでお願いを申し上げているわけでございまして、これが実現をいたしますと、私どもそれをてこにいたしましてさらに加入促進あるいは手帳の交付の促進というものを進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○林説明員 建設省におきましても、先ほど労働省から御説明がございましたように、まず下請の加入を促進する必要がございますので、これにつきましては、繰り返しになりますが、まず下請契約を結ぶ際に、掛金相当額の算入をすること、それから下請業者が加入事務の処理が十分にできない場合につきましては、元請がこれを受託しまして加入手続をいたしまして加入すること、また必要な場合には証紙を元請が買いまして下請に現物交付する、これらによって下請の加入促進を図りたいと思います。 それからまた、昭和五十三年につくりました元請・下請関係合理化指導要綱というのがございますが、この要綱につきましても下請が建退共制度に加入するように指導いたしております。それから、証紙の手帳への貼付につきましても、通達で業界、発注機関について指導をいたしております。さらにこれらのことを徹底いたしまして、下請の加入促進、証紙の貼付を促進するように指導していきたいと思っております。
○森本委員 今度、一冊目の手帳交付がどうなるかということがポイントでございますので、これに力を入れていただきたいと思います。 それから、建設省にさらなるお願いでございますけれども、今日までそういう方向で来ておられるにもかかわらず、なかなかそうはいっていないというところでございます。これが実態でございまして、今日まで恐らくそういう答弁が幾たびか繰り返されてきたのではないだろうか。しかし、実効は極めて低かった。今度の一冊目の手帳交付からの状況、それから下請業者への、特に建設省からも強烈な指導、推進を図っていただきたいと思うわけでございます。 最後に、もう時間が参りましたので、労働大臣にお伺いしたいわけでございますけれども、退職金制度の普及状況、先ほどからいろいろと、特に零細企業はそういったことを企業自体も、また従業員も知らないということを私は申し述べてまいりましたけれども、企業規模一人から九人の企業では五三・八%加入である、そのうちの一割が中退の加入者であるわけでございますけれども、四六・二%の人たちが今そういう退職金制度なしで働いているわけでございます。 今、世界に冠たる経済大国と言われている日本の実情が中小企業で働いている人たちに決して即していない。またその人たちが一生懸命日本の経済を支えているわけでございますので、どうかそういった黙々と働いている人たちにそういう制度を与え、充実をしてもらいたいと思いますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○林国務大臣 いわゆる中退制度というものは、独力では退職金制度を設けることが困難である中小企業でも容易に退職金制度を設けることができるように、こういった趣旨から設けられたものでございまして、退職金制度の普及率の低い、御指摘のような零細企業にはぜひ利用してもらいたいと考えております。今後ともこのような零細企業に重点を置きまして、この制度の周知、そして加入の促進に最大限の努力をしてまいりたいと考えております。また、このような零細企業におきましては、退職金制度ばかりでなく福利厚生の面でもいろいろと立ちおくれが見られるところでございますので、今後とも労働省といたしましては、これらの零細企業労働者の福祉向上に格段の努力を払う所存でございます。
○森本委員 質問を終わります。ありがとうございました。
○山崎委員長 沼川洋一君。
○沼川委員 既に森本委員から我が党の考え方がいろいろ述べられたわけでございますが、私も何点かお尋ねしたいと思います。 我が国の企業構造を見ますと、大企業は一握りでございまして、ほとんどが従業員三百人未満の中小企業でございます。また、そこで働く中小企業労働者は全人口の八割を占めておりまして、中でも従業員規模が三十人未満のいわゆる小規模事業においては全就業人口の四割以上の労働者が働いておる。これは大臣もよく御案内のとおりかと思います。 問題は、そこで働く人々の賃金、労働時間等の労働条件や福祉の水準が大企業と比べて著しく格差がある、ここが一番大きな問題でございますが、今回審議されておりますこの退職金の問題につきましても退職金水準に相当の格差があるわけでございまして、制度そのものの普及状況にもまた著しい格差がある。大企業と中小企業の格差是正のためにもこの中小企業退職金共済制度への加入の促進、また同制度での退職金給付の水準の引き上げというのは、これはもう必要な当面の課題である、私もそのように思うわけでございます。 しかしながら、御案内のように中小企業退職金共済制度におきます退職金額ですね、平均大体三十八万円弱と極めて低い水準にあるわけです。このように中小企業の退職金共済制度におきまして実際に支給されている退職金がいかにも低い。この原因は一体どこにあるとお考えなんでしょうか。よかったら大臣にも一言お答えいただぎたいと思うのです。
○小粥(義)政府委員 現在の中小企業退職金共済制度によります退職金額は、御指摘のように三十八万円弱という平均の額になっております。大企業に比べて極めて低い額にとどまっているその直接的な理由としましては、一つには掛金月額が低いということがあるわけでございまして、三千円未満の掛金月額の方々が約三六%もいるということにもあらわれているかと思います。と同時にもう一つは、勤続年数が長くなるほど有利になるような仕組みになっておりますが、先ほどの三十八万円弱の退職金をもらわれた方々の平均の勤続期間は約七年ということでございますから、これも一般大企業のいわゆる終身雇用を前提とした在職期間に比べますとかなり短い、こういったことになろうかと思います。 問題は、むしろそうした掛金月額が低いあるいは在職期間が短い、それはどこからそうなってくるのかという問題がもう一つあろうかと思います。 まず、掛金月額が低いということは、基本的には中小企業の経営基盤の問題だろうと思うのでございます。いろいろ統計を見ますと、我が国の中小企業を国際比較をした場合に、生産性の格差、これを大企業と比べた生産性の格差以上に実は賃金は払っているわけでございます。賃金それ自体、大企業と中小企業で格差はございますけれども、生産性の格差の方がさらに大きくなっているという面では、かなり中小企業は努力をして退職金を含めて賃金を払っている、こういうことになるのでございますが、外国の場合はいわゆる生産性それ自体も大企業とそれほど遜色のないレベルにあるし、したがって賃金も下がってもせいぜい七割どまりであって、日本のように六割とか五割になるようなことはない、こういうような実態にあるわけでございますから、やはりまずもって経営基盤の問題が基本にあるのですが、もう一つの在職期間が短いということは、やはり転々とかわる従業員の方が大企業に比べれば多いという面があろうかと思います。 これはやはり今後中小企業が生産性を上げていくためにも人材の確保がどうしても必要なわけでございまして、そういう面からしますと、同じところに引き続き働く、働けるというような条件をつくり出していくことが当然必要であろうと思います。不幸にしてかわるにしても、通算できるような形にすれば在職期間も長くなるといった面は、今後対応を十分考えていかなければならない問題だというふうに考えております。
○沼川委員 今おっしゃる意味、よくわかるわけでございますが、そこでこれは大臣にちょっとお尋ねしたいと思うのですけれども、結局さっきも制度の広報宣伝が足りないということで、いろいろとパンフレットの内容まで含めて質問がございました。 そこで、さらにちょっとこれはお尋ねしたいのですが、この退職金共済制度の適用拡大を図る中で特に地方公共団体との連携といいますか、この辺の協力要請といいますか、そういう面もちょっと弱いような気がいたしますし、また相談体制の整備などそういう問題も含めて、ただ単なるパンフレットからの宣伝だけじゃなくて、こういう協力体制も進めていく必要があるんじゃないかと思うのですが、大臣、この辺どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○林国務大臣 御指摘のとおり、労働省といたしましても都道府県に強力に要請をして、今こういったものを進めているところでございます。
○沼川委員 先ほどの、掛金月額がやはり低い、それから加入期間が短い、こういういろいろな理由を挙げられたわけでございますが、今回の掛金の問題を見ますと、掛金の種類がたしか十三種類となっているようです。今回最高金額を一万六千円から二万円に、最低金額を千二百円から三千円に引き上げられておるわけでございますけれども、このように決められた根拠といいますか、理由はどういう理由からでございますか、お尋ねしたいと思います。
○若林説明員 御審議をお願いしております改正法案におきまして掛金の水準を引き上げますために、ただいま先生御指摘になりましたように、現在は千二百円から一万六千円という幅になっておるわけでございますけれども、これを三千円から二万円という幅に引き上げるということで改正案をつくっておるわけでございます。 このように最低掛金を大幅に引き上げることによりまして、従来の契約の掛金の水準を引き上げるという効果も期待できるわけでございます。現在の掛金の状況を見ますと、千二百円のところに一五%ぐらいあるとかあるいは二千円ぐらいのところに一一%ぐらいあるとかということでございまして、三千円未満のところに三分の一ぐらい集まっているわけでございます。したがいまして、これが千二百円から三千円になりますと、その分だけ直接的にまず上がってくるわけでございますけれども、さらにそれの間接的な効果といたしまして三千円以上のところもだんだん上がっていくということになろうかと思います。 こういう水準を上げた理由でございますけれども、一万六千円から二万円まで上げましたところにつきましては、最近の賃金やあるいは退職金等の引き上げの動向を見まして、二五%程度引き上げたというのが一万六千円から二万円に上げた理由でございます。千二百円の方はやはり給付水準を思い切って上げていくべきだということでございまして、こういうことと関係なく最近の掛金の状況その他を勘案いたしまして千二百円から三千円に大幅な引き上げを行ったということでございます。
○沼川委員 確かに加入者の退職金水準をいわば民間水準まで引き上げるためにはどうしても最低掛金額を引き上げて加入者全体の掛金水準を押し上げてやる、こういったことは私もよく理解できるわけでございますが、先ほどもちょっとこの問題に我が党の森本委員が触れておりましたが、問題は制度に加入するか否かを決めるのは事業主であるわけです。そこで、この事業主が制度に加入しようと思ってたまたま検討したところ、掛金が高くて加入を見合わせるというようなケースが起こりはしないか、こういう問題もちょっと心配するわけですが、もしそうなりますと、掛金の引き上げが、今度はもう一歩拡大をやらなければならぬという面で、これが加入の阻害になるという一面も含んでおるわけでございまして、この辺についてはどのような見通しを持っていらっしゃるのでしょうか。
○若林説明員 先ほど申し上げましたように、千二百円から三千円に最低の掛金は相当大幅に上がったわけでございまして、私どももこの最低掛金の引き上げをどの水準にするかということに当たりましては、今先生御指摘のような点も含めていろいろ議論をしたところでございます。 現在、この制度への新規加入者の平均の申込金の実情を見ますと、小規模企業ほど高い掛金を払っているというのが現状でございまして、二十人未満の企業の平均では四千円を上回っておるわけでございます。そういう面では、こういう零細の企業で四千円ということでございますので、今回の掛金の月額の引き上げがそういった面で新規の加入の阻害要因にはならないというふうに判断をした次第でございます。 また、今回の改正によりまして、この制度に新たに加入する事業主につきましては、掛金月額の三分の一について加入後二年間助成するということになっておるわけでございまして、こういった面でも加入促進を阻害する要因というものを省いているのではないかというふうに考えている次第でございます。今三分の一の掛金月額を加入後二年間助成すると申し上げました。最低掛金月額を三千円に引き上げることとなりまして、そういたしますと、この掛金助成によりまして最低掛金の三千円で加入する事業主の実質的な負担額は、最初の二年間につきましては二千円ということになります。最初の二年間は千二百円から二千円に上がった、こういうことになるわけでございまして、こういった面でも加入促進を阻害するということはないというふうに判断をした次第でございます。
○沼川委員 時間がないので次々進めたいと思いますが、次に一般的通算制の導入についてでございますけれども、今回の改正で掛金を二十四カ月分以上納付した者については退職事由のいかんを問わず通算を認める、このようにしたということについては私もこれは適切な対応であり、率直に評価したいと思うのです。 それでは、この通算制度がどの程度利用されると見込んでいらっしゃるのか、また、その通算制度によりどの程度退職金水準が向上すると見込んでいらっしゃるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○渡邊説明員 中小企業のうち本制度に加入しております企業の割合は約一割でございますので、この制度に入っていて通算するという労働者の確率も約一割ということになるかと思います。現在、加入労働者で退職をしていきます者は年間約二十二、三万人ですが、一年未満の方につきましては退職金は支給しないということにしておりまして、このうち実際に退職金の支給を受けている労働者は約十七万人程度でございます。この十七万人の人が転職をしまして再度この制度に入る確率は、単純に推計しますと約一割で二万人弱かというふうに思っております。二年以上の加入期間が必要だということにしておりますので、このうち二年以上の期間を満たしております人は約一万五千人程度で、年間一万五千人くらいの利用があるのではないかというふうに現在推計をしております。 また、その退職金水準の向上の問題でございますが、七年、七年で例えば月五千円で二回掛けますと、それぞれ五十五万円ずつくらいの退職金が支給されます。この初めの五十五万につきましては、例えば五・二五くらいの運用をいたしますと七十九万円になります。この五十五万と七十九万を足しまして、約百三十四万円の退職金ということになるわけでございます。一方、これを十四年間通算をいたしますと、このカーブは長期にいればいるほど有利だというカーブになっておりまして、十四年目に達したところで約百六十五万円くらいの退職金になります。したがいまして、これは単純に比較をしてみますと、約三十万円程度有利な退職金が受けられるのではないかと考えております。また、この退職金は転職する都度ぽつんぽつんともらうのではなくて、職業生活から引退するときにまとまってもらうという方が老後生活の設計の上でも大変有利になるのではないか、こういうふうに考えております。
○沼川委員 さらに掛金助成の導入がなされるわけでございますけれども、改正法案には、第十八条の一として加入促進等のための掛金負担軽減措置が新設されております。「中小企業者が退職金共済契約の申込みをすること及び」「掛金月額の増加の申込みをすることを促進するため、」「共済契約者の掛金に係る負担を軽減する措置として、」「掛金の額を減額する」このようにある、いわば助成の問題でございますが、では具体的にどの程度の額を減額するとしているのか、さらにその助成期間はどの程度か、こういうことについて具体的実施方法についてお伺いしておきたいと思います。
○若林説明員 お答え申し上げます。 助成の具体的な内容は省令で定めることにいたしておるわけでございますが、現在考えておりますことは、第一に新規加入事業主に対します掛金助成、これは一般の退職金共済制度でございます。新規加入事業主に対しまして掛金総額の三分の一について加入後二年間助成をするということにいたしております。 二点目といたしましては、これも中退制度、一般の退職金共済制度でございますけれども、掛金月額を変更、つまり掛金の月額を引き上げてくれる事業主に対する助成でございまして、こういった事業主には掛金月額を変更した場合における増額に要する費用の三分の一について変更後一年間助成をする。例えば月額三千円を六千円にしてくれるという場合には差の三千円分につきまして三分の一を一年間助成する、こういうものでございます。 三点目は、これは特定業種の退職金共済制度に関する助成でございますが、初めて手帳を交付する、第一冊日の手帳を交付いたします事業主に対しまして最初の一年間証紙の貼付に要します費用、これは業種によって違いますが五十ないし六十日分について助成をするということにいたしております。 以上でございます。
○沼川委員 時間がそろそろ参りましたので、最後に一問だけお尋ねして終わりたいと思います。 現在、退職金制度のある企業では退職金の年金化を図る傾向にあることはもう御承知のとおりだろうと思いますが、企業年金の導入というのが規模の比較的大きい企業を中心に進んでおるわけです。そこで、中小企業退職金共済制度においても一時金だけではなく年金払いができるような制度を考えたらどうだろうか、こういういろいろ意見がございます。 確かに、平均退職金が三十八万円程度ではこれは年金原資になり得ないのじゃないかという心配がございます。しかしながら、中には四百万円もの退職金を受領している者も出ているわけでございますし、中小企業労働者の退職後の生活の安定を図る意味からもやはり年金制度についても本格的に検討を始めるべきじゃないか、こう考えるわけでございますが、この点についてはいかがでございますか。
○林国務大臣 今回の改正によりましていわゆる中退制度への一層の加入促進、そして退職金水準の向上が図られるものと私どもは期待をいたしておりますけれども、昨年十二月の審議会の建議におきまして引き続き慎重に検討すべきとされた年金制度の導入などの問題や、あるいはまた制度改正後の運営の中で新たに生じる問題等につきましては、必要に応じまして適宜審議会を開くなどして検討を行いまして、今後ともこの制度の一層の改善充実に努めてまいりたいと思います。
○沼川委員 時間が参りましたので、以上で終わります。
○山崎委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時三十五分休憩 ————◇————— 午後二時二分開議
○山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。塚田延充君。
○塚田委員 中小企業退職金共済制度へ加入している労働者数は二百万人を超えておりまして、中小企業労働者の福祉水準の向上に大きな貢献をしているものと私は評価しております。しかし、制度適用の対象者の加入率で見てみますと一割にすぎないというデータとなっております。加入率を見る場合、既に自社独自で退職金制度を持っている企業もあるわけでございますから、必ずしも制度適用の対象者に対する加入率でそのまま評価するわけにはいかないと思いますけれども、それでも結果的にはかなり低水準であると言わざるを得ないと思います。加入率が低い理由はどこにあるのか、ずばりお答えいただきたいと思います。
○小粥(義)政府委員 御指摘のような加入の状況でございますが、その理由としては幾つかのものがございますけれども、重立ったものを挙げますと、一つには、中小、なかんずく零細企業が本退職金共済制度の対象となる割合が多いのでございますが、大企業に比べまして、当然のことですが、いわゆる企業の経営基盤が弱い、そのために掛金の負担に耐えられないということで、必ずしも加入をされないという向きが見られる、これが第一でございます。 それから二番目に、中小企業の場合、どちらかといいますと従業員が比較的短い期間でやめていかれるケースが多い。ところが退職金は、実は発生の経緯からしましても、終身雇用制といったものをバックに生まれた面もございますので、企業のサイドでこうした退職金制度について従業員に全部適用していこうという面の理解が必ずしも十分じゃないといったような面があろうかと思います。 それと同時に、この制度ができてから二十数年たつわけでございますが、私どもそれなりに加入促進のPR活動等をやっておりますけれども、まだまだ十分じゃない面があるのではないかといった反省もしているわけでございます。
○塚田委員 今の御答弁の中にも、制度に対するPRが十分じゃなかったんではなかろうかという反省があったようですが、私もそのとおりだと思います。事業主はもちろんのこと、いわゆる中小企業の従業員も、そもそもこんな制度があるということすら知らないというような方々が非常に多いということは、先ほどまでの各委員の指摘でもあったとおりだと思います。 このように、制度の周知が徹底しておらなかったというわけですが、労働省としてはそれなりに努力はされておったと思います。 そこでお伺いしますけれども、今まで労働省としては加入促進の対策として具体的にどんなことを講じておられたのか、御答弁いただきたいと思います。
○若林説明員 先生御指摘のように、この制度への加入率がまだ低い状況でございまして、加入促進対策は極めて重要なものであるわけでございます。 これまで講じてまいりました加入促進対策でございますが、まず第一は、毎年十月に加入促進強化月間というものを設けまして、全国的、集中的な加入促進運動を実施いたしております。これは関係都道府県とか中小企業の団体、業界団体、こういうところにも協力を要請いたしまして月間の促進活動を進めているわけでございます。また、加入促進に功労のあった方々に対する表彰といったようなこともこの時期に行っております。 それから、中小企業退職金共済事業団等が資料でございますとか、あるいは加入相談、説明会なども随時開催をいたしております。 三としましては、テレビ、ラジオ、新聞、それから都道府県、市町村、事業主団体の機関紙をお願いいたしまして、こういったところでこの制度のPRをお願いをいたしております。 四点目といたしましては、地方公共団体にいろいろ助成をしてほしいということをお願いしておりまして、現在、二百近い地方公共団体で掛金の一部助成等の助成制度を設けていただいております。 それから、金融機関が窓口で中小零細企業の皆さんにこの奨励、勧奨をしてくれておるわけでございまして、これら金融機関に対しても、計画的に加入促進をするように要請をしてきておるところでございます。 それから、私どもの出先の労働基準監督機関、こういったところで、退職金の支払い確保の観点から、この制度についてのアドバイスなりあるいは説明会といったものも開催をいたしております。 以上が、従来私どもが講じてきております加入促進対策の内容でございます。
○塚田委員 加入促進のためにいろいろ対策を講じておられることは理解できますが、結果が悪いということは、その促進対策の仕方に何らかの根本的な欠陥があるのじゃなかろうかと思わざるを得ないわけでございます。あの手も打った、この手も行っているといっても、結論が悪いというのは、仕方がまずいと指摘されても仕方がないと思うのです。 私はかつて民間の会社にいたわけですが、何事がやろうとする場合、はっきりとターゲットを決める。となりますと、私はこの中退制度においてもターゲットを絞ることがまず第一に有効な方法になるのじゃなかろうか、このような気もするわけでございます。そうした場合、いわゆる自力で退職金制度ができるようなところはそれなりにやっておられる。面倒くさい思いをしていわゆる政府のお世話になるというのは、どうしてもそれをせざるを得ないような零細企業が多いわけでございます。となると、やはりこれについては零細企業にずばりとターゲットを絞って、その上であの手この手とやることが必要ではなかろうか。それを労働省の方はとにかくターゲットなしにあの手この手をやっておるからひっかかりが鈍い、こう私は思っております。 そういうことで、例えばこの制度によって恩恵を受ける、メリットを享受する可能性が強いと思われる零細企業に思い切り焦点を合わせて徹底的に対策を講ずるべきだと思っておりますが、その辺、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○林国務大臣 この中小企業退職金制度は、独力で退職金制度を設けることが困難な中小企業でも容易に退職金制度を設けることができるように、こういった趣旨から設けられたものでございまして、退職金制度の普及率の低い御指摘のような零細企業にはぜひ利用してもらいたいと考えております。また、今後ともこのような零細企業に重点を置きまして、この制度を周知徹底し、そして加入促進に私どもといたしましては最大限の努力を払ってまいる所存でございます。
○塚田委員 この中退制度をつぶさに検討してみますと、確かに零細企業などにおきましては、入っておった方がよかったと思われるような有利な面が多い制度だと私は評価しております。しかしながら、加入促進がなかなかうまく進んでおらない、そして労働省としてはPRはPRで徹底してやっておられる。となると、やはりこのPRの仕方などにマンネリ化があるのじゃなかろうかというような気もいたすわけでございます。 と同時に、やはりそのPRの方法もしくは加入促進の具体的な手段でございますけれども、この事業団にも地方には支部がないわけですから、言うなれば地方公共団体に頼むとか、金融機関に頼むとか、結果的にはあなた任せにならざるを得ないようなシステムになっておる。そんな中でいかに効果を上げるかということになりますと、それなりに知恵を絞らなければ私はうまくいかないのじゃないかと思うのです。 そうした場合、例えば各地域には商工会とか商工会議所であるとか、または業界の団体であるとか、そういうような事業主団体がたくさんございますし、その辺のところとうまく提携する。今までも提携していると思うのですけれども、頼むというような程度の窓口機関に指定するのではなくて、もっと実のある取り組みの仕方をしたらいかがかと思っております。そして、そういう事業主団体以外にも金融機関があるでしょう。政府系の金融機関もございますし、そういうところと何かもう少し具体的な加入促進をお願いして、そしてそのために実績を上げた場合には見返りがあるようなシステムをはっきりと確立すべきでなかろうかと思っております。 そうした場合、一生懸命やってくれた事業主団体であれ、金融機関であれ、メリットとしてはやはりそろばん勘定になってまいりますから、手数料が入るとかというような、直接持ちつ持たれつになるようなシステムをつくり上げるべきと考えておりますが、その辺いかがでございましょうか。
○小粥(義)政府委員 今の先生いろいろ御指摘がございました点、まさに私どももこれから中退制度の加入促進のために取り入れていかなければならぬ方策の一番主要なものだと思っております。 これは中小企業退職金共済制度に限りませんで、私ども労働行政、基準行政を展開していく場合に、どうしても中小企業、なかんずく零細企業の数が多いだけになかなか手が届かない、目が及ばない、こうした面があるわけでございますが、そうした場合にやはり企業の集団というものをとらえて進めていくというのが非常に効率がいいというふうにもされているわけでございます。 従来、この中退制度についてそうした企業の集団を介してPRはやっておりました。ただ、PRだけでございますから、これはやはり効果が中途半端になるわけでございまして、そこで今もお話もございましたような商工会議所であるとか、あるいはそれ以外の業種別の企業集団がございます。そうした集団がやはり個々の企業と一番接触の回数も多いわけでございますから、そこでそうした事業主の団体に対して、単にこういう制度がありますよという広報活動だけではなく、じゃ入ることにして申込金の収納事務ですね、こうしたものもあわせ行えるような委託関係というものをつくっていきたい。それは当然、団体の業務を必要とするわけでございますから、それに対する相当の見返りといいますか、手数料というものも考えていかなければいけないというふうに考えております。そうしたことでもって、個々のそうした事業主の団体がさらにこの制度の適用拡大に関しましてそれなりの力を出していただければ、今までよりは相当強力な加入活動というものになっていくんじゃないか。 それから、やはり同じように御指摘ございました金融機関、これは金融機関は事業団と委託関係がございますので、これも従来それなりの加入促進をやっていたわけでございますが、さらに今回資金運用の弾力化の一環として生命保険の保険料を運用対象として加えたいと思っておりますが、生命保険各社のいろいろな活動というものもこの加入促進にそれなりの効果を持ってくるものというふうに私ども考えておりますので、そうしたことをいろいろと、一つだけではございません、今申し上げたようなことを複合して実施をしていく中で御指摘のような加入促進の効果というものを上げるように私どもとしてもぜひ進めていきたいと思っております。
○塚田委員 この中退制度が中小企業経営者にとって確かにメリットのあるはずだというところまでは、私ども、研究した結果としてはわかるのですけれども、それぞれの事業主そのものにおいては何か強制的に言われるからやってみようか、しかし、金回りの関係から千二百円たりとも納めていくのが継続となるとなかなか大変だというようなことになってしまう。堂々めぐりしていると思うのですよ。すなわち、いわゆる零細企業になればなるほどそろばん勘定でこうこうこういう得がありますよ、メリットがありますよというのが、もう一分か二分かの説明、もしくは一行か三行のキャッチフレーズで、あっ、これはそろばん上得だから入っておこうというものがなければ、私はついてこないと思うのです。 そこで、これだけメリットのある制度のはずですから、局長、ひとつ整理の上で何と何がメリットなのか、全国の中小企業者に整理した上でここでずばりPRしていただけませんか、わかりやすく。
○小粥(義)政府委員 御指摘のメリット、いろいろな面があるわけでございますが、端的に申しまして、その中でも主要なものを四つほど挙げてみたいと思うわけでございます。 一つは、この制度は国の法律に基づく制度としてつくられているわけでございますから、極めて安全確実かつ簡便であるということでございます。 それから二番目に、事業主が負担をいたします掛金ですが、例えば社内留保をいたします場合は退職給与引当金の社内留保の損金扱いを受ける限度額というのは四〇%、こういうことになっておるわけでございますが、しかし社外へ積み立てます今回の我が中小企業退職金共済制度は掛金全部が損金扱いとして取り扱われる、こういうことになるわけでございます。つまり、必要経費扱いになるわけでございます。 それから三番目に、自前で退職金制度を維持していくとなると、これはその退職金制度の運営のためにそれなりの事務も必要となりますから、事務員その他の人手もやはりかかるわけでございますが、これは中小企業退職金共済事業団がかわってそうした運営をやるわけでございますから、その運営については国の補助も行われているということで、納められた掛金というものは運用利息を含めてすべて退職金給付の方に充てられる、こういうことになるわけでございます。 それから四番目に、加入企業に対して従業員の福利厚生施設をつくるために必要な資金の低利融資をいたしております。資金が長期に低利で借りられるということになるわけでございますから、加入した場合のメリットはその場合にも及んでくる。 重立ったものを挙げますと、以上のような点があるわけでございます。 さらに今回の制度改正によりまして、新しく掛金助成の制度が設けられる。これは新しく加入する場合とまた掛金額を引き上げる場合、両方について国からの助成制度の適用を受ける。さらに一般的な通算制度といいますか、従来は非常に制約された形でしかなかった通算制度もぐっと幅を広げて適用されることによって在職期間が長く計算されますから、それだけ退職金額も効率よく引き上げられる、こういう効果を持つわけでございます。そうした点を私どもこれから大いにわかりやすくPRをしたいと思っております。
○塚田委員 四つほどメリットを挙げていただきましたが、その中に安全であるとか確実とかというようなことも挙げられておりましたが、中小企業者などにとりまして最も敏感なのは、有利かどうかというような面もいわゆる入るか入らないかの決定的な要素になってくると思うのです。 そこで、お尋ねしますけれども、この中退の給付というのは本当に有利なのでしょうか。例えば五千円ずつ毎月掛金で掛けていくわけですけれども、それを、今各信託銀行とか何かでビッグとかワイドとかいうようなあれで集めておりますね、そして五年なら五年たって元利合計が幾らになるというのと比較して、じゃ事業主が五千円ずつ払っていって五年後なら五年後そういう信託銀行のいわゆる元利合計と比べて有利なのか不利なのか、この辺、お伺いしたいと思いますし、またこの中退制度について労働省大変ポイントを置いておりますのは、少しでも従業員の定着を長くするためにこの制度がバックアップしたいという親心もあってでしょうが、長期になればなるほど有利なようにこの制度は運用されていると思います。 しかしながら、個々の従業員にとってほんのちょっとぐらいこの退職金制度によってもらう率が多くなるから七年勤めようと思ったものを八年にするとか九年にするとか、私はこれは幻想だと思います。しかし、早くやめた場合ぐっと有利になった場合には目先の利にとらわれてあと一年勤めようかというのを一年早くやめるということはあり得るかもしらぬけれども、逆もまた真なりということは言えない。幾ら将来的に有利だからといってそれによって長期に縛りつけることはまず絵にかいたもちだと思うのです。 となると、実態的には従業員の定着率、年限が平均七年というならば、五年とか七年の方が不利にならぬような制度にすることも現実を見詰めた制度になるのじゃなかろうか。長期勤めれば有利ですよと言ったって、長期に勤めるチャンスが少なかったならば、結局多くの方々がそのメリットを受けられないで恨みながら退職するような形で、国は何をやっているのだという形になると思うのです。 そういう面で、二つ、今の五千円ずつ五年間やったのと、それからもう一つの私の提案は、確かに長期になれば有利というようなやり方をされているようだけれども、果たしてそれでいいのであろうか。私は、特別なカーブを上げなくても、かえって実情に合わせて、五年目とか七年でやめる方々が不利にならないようにするのも恩情あるやり方というか、常識的なやり方と考えますが、その辺、いかがなものかお伺いしたいと思います。
○若林説明員 この中小企業退職金共済制度の考え方は、今先生御指摘ございましたように、いわゆる退職金カーブというのを採用いたしておりまして、民間の企業の退職金制度と同じように在職期間が長くなると有利になってくるという格好になっております。これから高齢化社会を迎えるわけでございまして、退職金の持つ意味はますます大きくなってくるだろうと存じますし、そういう場合の退職金というものはある程度まとまったお金として入ってくるということが大切なことではないかというふうに考えております。 確かに、先生おっしゃいますように一、二、三年でやめたときに退職金をもらいたいというケースもあろうかと存じますけれども、今後の高齢化社会というものを考えますと、長く勤めてまとまったお金をもらうということではないかというように考えております。しかし、中小企業の現状から申しますと、在職期間が非常に短いということでございまして、短い期間ですとまとまったお金にならないということでございますので、この点につきましては、今回通算制度というのをとらせていただきまして、比較的短い期間で転職する人についても退職金カーブが適用されるようにということでこういう制度をとるようにいたしております。これは民間の一般の金融機関へお金を預けた場合とは違う効果でございまして、私ども中退制度の有利な点の一つでございます。 なお、今お尋ねの、仮に五千円を民間の金融機関と中退制度とに入れた場合にどうなるかということでございます。これは民間の場合を定期の預金利率ということで計算をいたしまして、二年物でありますと四年くらいのところが分岐点になるわけでございます。四年くらいのところで千円とか二千円くらいの差になってくる。それまでは民間の金融機関の方が有利でございますけれども、それを越えますと断然中退制度が有利になるわけでございます。 ただいま申し上げましたものは今回の掛金助成ということは考慮してないわけでございますが、これに掛金助成というものを考慮に入れますと、この分岐点はもっと前になってまいります。仮に事業主が新規に加入をいたしまして、従業員全体に五千円の掛金をするということになりますと、それは五千円の三分の一について二年間助成をするということになるわけでございますから、この分だけはいわば掛金を増額して、事業主が五千円に上乗せして掛金ができるわけでございます。そういったものを要素に入れますと、さらに中退制度の方が有利であり、民間の金融機関が有利な期間というのはほんのわずかであるというふうに私どもは考えている次第でございます。
○塚田委員 中退制度の退職金の支払いは申し出てから支払いを受けるまで期間がかかり過ぎるんじゃなかろうかという不満をこの制度を利用されている方から耳にすることが多うございます。一日でも早く支払うことが加入者に対するサービス向上につながるわけですし、そのようなことができればそれが中退制度の魅力そのものにもなるわけでございますので、もっともっと支払いが早くなるよう迅速な処理に努力すべきだと思うのですが、この件につきまして改善の方向について答弁をお願いします。
○若林説明員 現在とっております退職金の支給事務のやり方でございますけれども、まず従業員が退職をいたしますと、退職をした旨の通知が事業主から来るわけでございます。そして相手方に支払いの通知書を送付いたします。本人がそれを金融機関に持ち込んで初めてその退職金を受ける、こういうシステムになっておるわけでございまして、現在は退職金の請求を受けたときから二週間くらいの時間を必要としておったわけでございます。 こういう点につきましては、先生御指摘のような問題点の指摘がございましたものですから、今回、制度を改善することにいたしまして口座振り込み制というものを採用することにしたいというふうに考えております。この口座振り込み制を採用いたしますと、一週間程度で退職金の支払いが可能になるのではないだろうかというふうに考えております。もとより退職金事務の迅速化という問題は振り込み制度だけの問題ではございませんで、私ども一つ一つの事務の節目で処理の迅速化を図らなければならないことでございますけれども、今回口座振り込み制を採用いたしますと今申し上げたような期間の短縮ができるということでございまして、今後とも支払い事務の迅速化にはいろいろな面で努力してまいりたいというふうに考えております。
○塚田委員 中退制度への加入促進を図るためには、退職金の給付の内容のほか、この制度に加入します事業主にとっても何らかのメリットがなければ、事業主が喜んで進んで入ってくるというようにはなかなかならないと思います。現行制度におきましては、事業主が労働者のための福利厚生施設をつくるときに限ってそのための建設資金を融資する制度があるわけでございますけれども、中小企業の場合、労働省が考えるような福利厚生施設まではなかなか手が出ない、絵にかいたもちに終わっているケースが多いのではないかと僕は思うのです。 それよりも中小企業の事業主が欲しがっておるのは運転資金だとかその他の製造設備などに関するいわゆる事業資金そのものだと思うのです。そういうことで、福利厚生施設というような限定をつけずに、難しい面はございましょうけれども、一般的な事業資金の融資を行いますというような制度も付加した場合には、それこそ、私が冒頭に申し上げたように、かねや太鼓でPRせずとも、向こうからどんどん加入者が出てくると思うのです。そういうことで、事業資金の融資を行う意思がおありかどうか、ぜひ前向きに検討するという方向でお願いしたいのですが、いかがでしょう。
○小粥(義)政府委員 現在実施しております労働者の福利厚生施設の融資ももちろんそうでございますが、この中退事業団が融資のために運用いたします資金は、当然のことながらいずれ将来の退職給付の支払いの原資になるわけでございます。したがって、その運用は、一方で効率性が求められますけれども、他方、安全性というものの十分考えなければいけないという要請があるわけでございます。確かに個々の中小企業の事業主からは、困っているのは運転資金なので、福祉施設もいいけれども、実はそっちの方を、こういう声も私ども耳にいたしております。ただ、そうなりました場合に、今申し上げた安全性をどうやって担保していくかといった問題も満たさなければいけないわけでございます。 となると、やはり担保というものをちゃんととってやらなければいけない。中退事業団は果たしてそうしたことが直ちにやれる体制にあるのかということになりますと、率直に申し上げて、今すぐというわけにはいかない問題もございます。むしろ、そういう事業資金等の融資の声に対しては、今間接的な手法でやっているわけでございます。先生御承知かと思いますけれども、商工中金の商工債を購入したり、中小企業金融公庫の政府保証債を購入したりといったような形で、それが中小企業に向けての事業資金の融資の原資に充てられていくという間接的手法をとっているものですから、結果的にメリットになるけれども、直接的には個々の企業としてはなかなか感じられないという点は御指摘のとおりかと思います。 ただ、今申し上げたようないろいろ難しい問題がございますので、私、率直に言って、今胸を張ってすぐやりますとお答えできる問題ではございません。しかし、何らかのメリットを加入事業主につけていく一つの考え方ではあろうかと存ずるわけでございます。私どもの研究課題にさせていただきたいと存じます。
○塚田委員 退職金の前借りなんという言葉をお聞きになったことがあると思うのですね。一般サラリーマンで、子供の結婚資金だとか家のあれだとかいう場合、もらうべき退職金を担保にするような形で会社から融資を受ける、これは余り勧められないといいましょうか、堕落するとか失敗する一つの例として挙げられますね。退職金を前借りするようでは大変なことになってしまうということでございますけれども、私が申し上げたいのは、この中退制度について、従業員の方もこういう制度があることを余り知っておらない。だから事業主に対して入ってくれというような要望、要求も出せないでいる。これをポスターなりパンフなりいろいろなことでもって周知徹底することも必要でしょうけれども、もしも事業主がやってくれた、それで事業団が計算してくれる予期される、平均で三十八万とか非常に少ないですけれども、その範囲内で郵便局のゆうゆうローンなんかで事業団が保証人のような形になって従業員が困ったときに五万とか十万とか借りる、サラ金に行かなくても済むような制度がもしできれば、これは事業主どころか従業員の方からこういう制度に入ってほしいという要望がわあっと燎原の火のごとく起きてぐると思うのですけれども、このような方法はいかがでございましょう。
○小粥(義)政府委員 今非常に闊達なアイデア、御提言がございましたのですが、実は私ども余りそうしたところまで考えていなかったものですから、今そうした案をお示しいただいてすぐ対応はできるかどうか、ちょっと研究をしてみなければならないと思います。 ただ、先ほど私お答えいたしました間接的な融資方法、これは個々の企業にとってメリットはないという点はあるのですが、同時に今退職給付の対象になる労働者自身のいろいろな資金需要にどうこたえるかという問題もございます。これも先ほどのでんでいけば、例えば労働金庫にいろいろな融資をし、間接的にやるということも可能なわけでございます。その場合、いずれも間接的手法であって余り直接的なありがたみがないということであれば、そうした加入事業主あるいは加入労働者については、例えば事業団が購入した一定の金融債の枠の中で優先的なひもをつけるとかいうようなこともアイデアとしては十分考えられるのでございます。ただ、こうしたものを実際に実行に移すとなりますと、それぞれ関係機関と十分な意見の調整もしなければなりませんので、今ここでにわかに実施をいたしますというふうにはお答え申し上げられないわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、一つの有益な研究課題として私どもこれからも研究させていただきたいと思います。
○塚田委員 直接的に事業主もしくは従業員に対して何らかの融資的なメリットを与えてほしいということは難しい面があろうかと思いますけれども、その辺、金融機関との提携的なことで何らかの方法がとれるのではなかろうか、ぜひ御研究いただきたいのですが、局長の答弁の中でいただけないのは、商工債を買っておるからそれによって間接的にプラスになっておるなんて、幾ら間接的でも遠過ぎる。私はたばこを吸うけれども、たばこを吸えばこれによって税金を納めるのだから国家に対して大変な貢献をしておるとか、国債を買っておるから国に対して融資をしておるのだ、それに近い御説明だと思うのですよ。間接とはいってももう少し込みのある間接じゃないと論拠が薄過ぎると思いますので、御注意申し上げておきたいと思います。 最後に、特定業種退職金共済制度の件でございますが、この給付率は一般の退職金共済制度に比べて低く設定されているわけですね。ところが、建設業の退職金共済制度においては、最近の収支状況を見てみますと、かなり良好になっていると報告を受けておるわけでございます。すなわち、毎年利益を計上するに至っておるということでございますが、これらの利益というのは本来加入者に還元されるべきだと思います。少なくとも建設業につきましては、既に審議会の建議におきましても「建設業の退職金カーブを改善するよう検討すること。」とはっきりと言われておるわけでございますから、給付の改善を行うべきだと思います。この件について御答弁を求め、私の質問を終わります。
○若林説明員 特定業種退職金共済制度のうちで清酒製造業と林業につきましては、これまでの加入脱退状況とか収支状況から、現時点で改善を行うことは困難でございますが、建設業退職金共済制度につきましては、これまで毎年利益剰余金を計上してきておるわけでございまして、この利益剰余金と今後得られると見込まれます実際の利回りから生じる収益を財源といたしまして、現行の給付水準の平均二ないし三%程度の給付改善が可能と考えられます。今御指摘のように、審議会の建議でも言われていることでございます。本法の施行時期に合わせまして検討を進めたいというふうに考えております。
○塚田委員 これで質問を終わります。
○山崎委員長 小沢和秋君。
○小沢(和)委員 まず、本法の改正に至る経過を見ますと、中退金共済審議会から五十九年に一たん建議が出されましたのに、これが差し戻され、昨年末もう一度建議を受けてようやく提案という状況になっております。こういう異常な経過となった原因、問題点がどこにあるのか、まずお尋ねをします。
○小粥(義)政府委員 御指摘のように、五十九年に一たん中退審議会から建議をいただき、さらにその後一年かけて掘り下げた御検討をいただいて、また昨年建議をいただいたわけでございまして、それは一昨年いただきました建議にのっとって私どもとしてもいろいろ検討いたしたわけでございます。 ところが、いわゆる年金的な問題にどう対応したらいいかとか、あるいは金利情勢等もいろいろ動き出しつつあるような時期でございました。そうしたものをにらんで将来の見通しをどう立てるかといった問題、さらには、今後の国庫補助を含めたいろいろな助成制度のあり方についてもっと効果的なものはないのかといったような問題、そうしたものがいろいろとその検討の中で出てまいりましたので、それ以前の建議はもちろん前提にしつつ、さらにそれらの諸点についての検討を深めていただくということで、さらに一年審議会での検討をいただいて昨年建議をいただき、それをもとにして今回の改正案をまとめ、国会に提出申し上げた、こういう経緯でございます。
○小沢(和)委員 ずばり言ってしまえば、一番最後の方であなたが言われた国庫補助、これをもっとふやしていくような案ではだめだということで大蔵省がけったために、もう一度審議をやり直すという状況になったのではないのですか。 そして、よりよいものにするために再度審議をお願いしたというけれども、実際どういうふうによりよいものになったかということもちょっとお尋ねをしたいと思います。
○小粥(義)政府委員 五十九年の建議については、今先生は国庫補助の問題だけが問題だったのではないかと言われたように聞こえましたけれども、決してそうではございません。もろもろの問題があったわけでございまして、よりよいものにするためにさらに一年かけたということはまさにそのとおりでございまして、例えばそれは通算制度、当初考えておりました五十九年当時のものはもうちょっと幅の狭いものであったわけですが、それを何とかもっと幅の広いものにしたいといったようなこと、さらに国からの助成制度についても、助成の効果がもっと直接的にあらわれるような形にした方がいいのではないかといったような点、それは前からございましたが、さらに資金運用の弾力化の問題等、いろいろ関係機関との調整にも時間のかかる問題でございましたから、そうしたものを調整した上で今回の案として御提出しているわけでございます。
○小沢(和)委員 しかし、最大の問題は、私はやはり国庫からの助成の問題ではないかと思うのです。それで、国の一般財源から今度雇用保険、また労災保険などから助成の財源を出すということになるわけでありますけれども、先ほども労働省は、最近はこの保険からお金をいろいろ引っ張り出す傾向があるという話が出ましたけれども、私もそのとおりに思うのです。中小企業の退職金にまでこの保険から金を出すということが法律的に見て問題がないのかどうか、この点お尋ねをします。
○小粥(義)政府委員 中小企業退職金共済制度に労働保険特別会計から経費を支弁いたします点につきましては、こういうことで考えております。 一つには、中小企業退職金共済制度の充実を図ること、これはこの中退金制度自体が中小企業における雇用の安定をねらいとしているわけでございまして、また同時に、そうした退職給付の充実を図ることが中小企業における必要な人材確保にも大きな効果を上げるものという面からしまして、雇用保険でのいわゆる雇用保険四事業の目的に十分かなうものである。一方、労災勘定におきましても、既に従来から退職金の不払いの場合の立てかえ払い事業についての経費を支弁いたしているわけでございます。 こうした中小企業退職金共済制度に加入が進むことが、不払いを起こさせない、事前にその増高を防止する効果は当然持つわけでございます。と同時に、それらの前提にまた一つございます問題は、確かに既存の制度として退職給付についての助成、補助がございましたが、その助成は極めて限られた形でしか行われておりませんでした。それはどうしてかといいますと、やはり退職金はもちろん賃金の一種と理解されるわけでございますが、賃金の支払いはやはり使用者の責任という建前が原則としてあるわけでございます。 したがって、その線に乗っかっていった場合に支払い原資そのものに国の補助というものを大きく期待することはなかなか難しいという面が率直に言ってあるわけでございます。特に、この退職金制度自体が任意加入の制度になっておりますから、任意制度について一般会計で給付補助をするということは極めて異例のことでございます。 そうした面をもろもろ考え合わせますと、まさに賃金支払いの責任を有する使用者の負担する特別会計の資金をもって充当するということはそれなりになじみ得るものというふうな面もございますので、私ども今回の掛金助成については特別会計の資金をもって充てるというふうに考えたわけでございます。
○小沢(和)委員 私たちの党としては、医療や年金などで、今、国庫負担をどんどん削って国民の負担に転嫁をしていくようなやり方が盛んに行われておりますが、これには強く反対をしておるわけであります。しかし、今回の場合は、国庫補助はやめるけれども、それに肩がわりをする財源が事業主の負担で出る雇用保険または労災保険だという点に着目をして、私たちもあえて反対はしないということを決めたわけであります。一言、その点は考え方を申し上げておきたいと思うのです。 この機会にさらに確認をしておきたいと思うのですが、掛金助成になると、一般的には今までよりも助成の率などは有利になるであろうというふうに思います。据え置いたきりでほとんど上げ切らないようないよいよ零細な業者などの場合には余りメリットがない、あるいはマイナスになる場合さえあると思いますけれども、一般的には大体有利になるだろうと思うのですが、この助成額がどういうふうにふえていくか、今までの制度に比べてどうふえるというのを数字的にひとつこの機会にお示しをいただいておきたいと思うのです。 その助成の水準が若干にしろそういうふうに改善をされると、退職金の水準もややにしても上がってもいいのじゃないかと思うのですが、これは現行水準を維持すると書いてあるのですが、なぜ上がるところまではね返らないのかもちょっと一言お尋ねします。
○渡邊説明員 現在、退職金の給付に対します一般会計からの助成がつけてございますが、これは現在六十年度で二十三億円の助成になっております。これは将来どのくらい伸びていくかというのは、はっきり推計はできないのですが、一応の推計をいたしますと、六十五年度ぐらいに約四十億円ぐらいにふえていくのではないかと推計をしております。一方、今回新たに行うこととしております特別会計からの掛金助成の方は、初年度、六十一年度は十二月分からの四カ月分なので七億一千万円程度でございますが、六十五年度ぐらいにはこれが七十億円から八十億円ぐらいにふえていくのではないかというふうに推計をしております。 これがかなり大幅な補助金の増加になっておるわけですが、なぜ退職金の給付の方に響かないかと申しますと、従来の助成は労働者の受け取る退職金に上乗せをするという助成方式でございましたが、今回これを事業主の納める掛金の方に助成をする。例えば一万円納めていただくところは三割引きで納めていただく、こういうことになりますので、直接給付の方にはね返らないわけでございます。従来の給付に対します助成分は、事業団が自力で運用を効率的にやることによりまして補てんをしていく、こういった考え方に立っております。
○小沢(和)委員 その今あなたが言われた有利な運用という点を次にちょっとお尋ねをしたいのですが、私が懸念しているのは最近の金利の低下傾向であります。あなた方が今度預託する予定にしている生保などにしても、最近円高・ドル安の中で国内の生保業者二十三社が一兆円からの外国債を買っておって損をしたというような記事が載っているでしょう。こういうような有利運用の見込み違いなどが起こる心配はないのか、そういうようなことが起こった場合にどこの責任でどういうふうに補てんされるか。 それから、ついでですから、もう一つお尋ねしますが、有利運用に力を入れる余り、これまで中小零細業者の福利厚生の資金などとしてこれが活用されておりましたが、そっちにしわ寄せがいくというような心配はないか。 以上、お尋ねします。
○若林説明員 運用の方法につきましては、今回の法律改正で運用範囲の拡大を図って生命保険の保険料を新たに運用対象に加えていただくということで改正案を出しておるわけでございますが、中小企業退職金共済法の基本的な考え方は、まず何よりも効率、安全に運用する。そのことによって当然労働者の退職金の水準を上げていくということでございますので、安全、効率に運用するということが基本でございまして、この効率、安全を妨げない限りにおいて中小企業の事業資金に融資するという建前になっております。 この効率、安全のことでございますけれども、生命保険につきましては、企業年金保険の活用を予定しているわけでございまして、企業年金保険は、制度発足後二十数年経過しておりまして、この間に随分低金利の時代を経てきているわけでございますけれども、そういった中でも常に八%以上の配当を続けているわけでございます。そういった意味で、もとよりこういう金融商品というものは時代の流れがございますので、いろいろなそのときそのときの有利、不利というものはあろうかと思いますけれども、今日までのこういった動向を見てみますと、現在の運用対象の中では安全性を配慮した運用としては最も効率的な運用であるというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、こういう資産の運用につきましては、今後すべて生命保険で運用するということではございませんで、預金、信託、有価証券、不動産等のいろいろな運用方法を有機的かつ弾力的に組み合わせて運用していくわけでございまして、今お話しのような事態がないように運用をしなければならないわけでございます。 今、万が一にというお話でございますけれども、何よりも私どもはそういった事態が生じないように安全、効率に運用をするということでございまして、今回こういうように生命保険でお願いをいたしておりますのも、現時点で判断いたしまして、これが効率、安全であるということで、従来ない運用方法、時代に合ったものとしてお願いをしている、こういうことでございます。
○小沢(和)委員 いや、あなた長々と答弁したけれども、結局、私の質問には答えてないのですよ。私は、万が一それでも見込み違いを生じたら、どこの責任で補てんするのですかということを聞いたのですよ。しかし、あなた答えられないのだから、それはそれでもういいです。答えられないというふうに見ておきましょう。 それで、加入促進の問題についても今後大変力を入れてほしいところだと私も思っておりますが、そういうことになると、機構や人員などについてももっと充実する必要があるのではないかということを感じます。事業団の機構が東京にしかない。だから、あとはみんなよそにお願いをしてやっているという仕組みになっているわけですね。これでは、今後非常にそれだけ力を入れてやっていくという上では体制上余りに貧弱ではなかろうかというふうに思うのですね。今、行政改革とかいろいろ声がかかっているけれども、しかし、必要なところにはちゃんと手当てをすべきだという意味では、この点、お尋ねをしたいと私は思います。
○小粥(義)政府委員 行政改革の要請が非常に強いという情勢の中にあることは御指摘のとおりでございますが、もちろん必要なところに必要な体制をつくっていくことも、また私ども考えなければならぬことであると思っております。 加入促進のためにこれからやっていこうとしております内容、これが従来の、いわゆるPR中心の活動だけではなくて、いろいろな外部の団体の力もかりてやっていきたいというように考えております。それは事業主団体であるとかあるいは受託金融機関の手をかりるとかいうようなことがその内容でございますけれども、これ自体は特に事業団そのものの体制強化と直接結びつく問題ではないと思いますけれども、ただ、今回、掛金助成の問題であるとか、あるいはさらに事業団自身のいろいろなPR活動であるとかいうものも、あるいは相談業務も強化していかなければならないということになってくると思います。 したがって、今後の推移をなお見なければならない面がございますけれども、必要な体制づくりについては私ども今後も力を入れていきたいと思いますが、冒頭申し上げました行政改革の趣旨も一方ではございますから、できるだけ効率的な体制づくりをしていかなければならない、こういう観点で進めていきたいと思っております。
○小沢(和)委員 では次に、建退共の問題でお尋ねをしたいと思いますが、この建退共に加入を促進し、建設労働者の退職金制度を普及していくために、国や地方公共団体あるいは公団とか事業団などが公共工事を行う場合には、単価の中にこの建退共の費用を積算しておる、これは私も承知をしております。これは大変いいことだと思います。問題はその厳正な実施であります。実際には金を受け取りながら労働者を建退共に加入もさせない、あるいはさせても手帳に証紙を張らずに放置しておるというようなケースが間々見られる。これは国や地方公共団体などがそれをちゃんと出しているのにそういう状態にしておるということは、事実上その分を猫ばばしているようなものではないかということで、これは昨年三月の建設委員会で我が党の瀬崎議員がその改善を強く求めたところであります。 伺っておりますところでは、それに基づいて調査をしたとかいろいろ改善も検討されているとかいうように聞いておるのですけれども、それがその後どうなっているか、お尋ねをします。
○若林説明員 建退制度につきましては、従来から証紙貼付の履行確保が問題となっておるわけでございます。証紙貼付、手帳の交付、あわせて問題になっているわけでございまして、私どもの方でヒアリングの調査をいたしたわけでございます。第一次下請では加入対象従業員百五十三人に対して被共済者八十三人ということでございます。雇用する従業員を加入させて被共済者とする割合が低くなっております。それから手帳の交付も証紙の貼付も行われる割合が低いわけでございますが、一たび被共済者として手帳を交付いたしました場合には、証紙の貼付が比較的よく行われているというのが私どものヒアリングの結果でございます。したがいまして、何よりもまず従業員に対して手帳を交付していくということが重要であると考えた次第でございます。 そこで、今回の改正法案におきましては、こういったようなヒアリング結果も踏まえまして、第一冊目の手帳を交付する事業主に対しましては一定の日数分につきまして証紙を印字しておきまして、一年目に事業主が納付いたします掛金の負担を軽減する、こういう形の掛金助成制度を設けることにしたわけでございます。今後はこういう制度を活用いたしまして、まず何よりも第一冊目の手帳が交付される、これを促進してまいりたいと存じます。一回手帳が交付されますと労働者はそういう手帳があるということがわかるわけでございますので、それが全部証紙が終わりますと二冊目が欲しい、こういうことになるわけでございますし、手帳を持っていればその手帳に証紙を貼付してほしい、こういうことを事業主に言うわけでございますから、そういった形で証紙の貼付の促進というものが図られるというふうに考えておる次第でございます。
○小沢(和)委員 私もその実態調査の内容を先ほど資料でいただきました。これを見てみたのですけれども、率直に言ってやったというだけのかなりずさんな調査じゃないかという感じがするのです。 例えばこの中で証紙の購入枚数が一万三千十三枚、第一次下請に六千五百四十六枚現物を交付したというふうになっているのですが、その一方では、請負代金がその工事は六十二億九千三百万と書いてあるのです。さっきこれくらいのお金だったら建退共のお金をどれぐらいと見込んだらいいかと言ったら、大体千分の三で計算すればいいでしょうと言うから、千分の三でざっと計算してみるというと、これは延べにしたら十万枚くらい証紙を買わなければならないという工事の規模じゃないですか。それに対して証紙の購入枚数が一万三千十三枚。 そうすると、これはどうして一万三千十三枚というのが出てきたのか、あるいはそのうちの六千五百四十六枚になぜそうなるのか、せめてそのくらいのところはなぜそうなるかと言って押さえるくらいのことはしておかなければ、ただここに書いてある——なぜそうなりますかと聞いたけれども、さっき説明された方はわからないと言うわけですね。ただそういうふうに聞きましたと言うのです。ただ聞きましたじゃ子供のお使い程度の話にしかならぬと思うのですね。こういう調査をやる場合はもうちょっとその辺きちんとやっていただきたいのです。この調査の中にも、加入をしている企業の中でも実際には未加入のままの労働者をそのままにしてある。これは包括加入ですから、そういうこと自体が許されないはずなのです。 ところが、そういうような状況で放置をしてあるということもわかった。だから、今後特に下請関係など努力をしていっていただかなければならないと思いますけれども、私、一つの提案でもありますけれども、元請がこれだけちゃんと建退共のお金を保証されて受けるわけでしょう。だから、自分のところから下請に出す場合にも、その下請の業者にも必ずこれは加入をしているような業者でなければ発注しないというくらいにそこのところをびしっとやらせるというくらいの強い指導をしていただきたいと私は思うのですが、そこのところを本当にしっかりやらないと、これはいつになってもこういう状態じゃないですか。そこのところをどう改めていただくか、考え方があれば示していただきたい。
○小粥(義)政府委員 御指摘のとおり、元請が公共事業の発注を受ける場合には必要な証紙の経費は請負代金の中でカバーされるわけでございますから、それを下請に出す場合、どこかへそれが逃げていってしまうということではなくて、一番下の下請までそれがちゃんとおりるような形で私ども今後とも、これは建設省の指導とも大いに関連のあるところでございますけれども、建設省とも連携をとりましてさらに徹底を期してまいりたいと思います。
○小沢(和)委員 それでは今後その点はさらに努力をしていただくということで見守っていきたいと思います。 この際、この建退共の掛金日額の改善のことについても申し上げておきたいと思うのです。 この掛金日額は今百八十円ですね。これは大体五年ごとに見直すということで今まで引き上げられてきたと思います。その五年というのは去年だったはずでありますが、これはどうしてそのままになっているんでしょうか。
○若林説明員 特定業種退職金共済制度の掛金日額につきましては、法律で百二十円から四百五十円という幅がございまして、その法律の範囲の中で組合の定款で決めることになっておるわけでございます。何よりもこれはまずそれぞれの業種別の組合がこの掛金の日額を決定するという仕組みになっておるわけでございます。 これまでの経緯で申し上げますと、一般にこの掛金の日額は法律の改正のときを機としてこの金額が改定されるというようなケースが多いわけでございます。金額の日額そのものが五年といったようなことでは必ずしもないと思いますが、従来は法律の改正の時期に日額が上げられているといったのが過去のケースでございます。
○小沢(和)委員 だから、今度こういうような法改正が行われるのを契機にして、従来大体五年ごとにやってきたが、ちょっとおくれるけれども近いうちにやるという姿勢で労働省としては取り組んでいくというふうに理解をしていいんでしょうか。
○林国務大臣 この特定業種の退職金の共済の方におきましては、掛金の引き上げということにつきまして、私どもといたしましては早い時期に検討するように期待をいたしております。そしてまた、組合に対しましてもこれを要請する所存でございます。
○小沢(和)委員 それでは時間も来たようですから、これで終わりますけれども、今最後に大臣もそういうふうな要請をしていきたいということですから、ぜひそうしていただきたい。先ほどもこのことについては話があったように思いますけれども、建設労働者の場合は、一般の中小企業の労働者も退職金は決して恵まれているとは言えないけれども、それよりさらに水準は悪いのですね。私が聞いたところでは、二十年くらい働いた人でようやく百二十万くらいじゃないかというふうに聞きました。もっと魅力のあるものにぜひしていっていただきたいのですが、今まで二十円が六十円、そして百二十円と上がってきたということですね。前回は二百四十円に上げる予定だったところがいろいろな圧力があって今日の百八十円で抑えられたというようないきさつもあるんだというようなことも私は聞いております。だから、なおさら今度は一もう五年を過ぎている、だから、ぜひ前回そういうようなことだったということも考えていただいて、大幅に引き上げていただくようにとりわけ指導を強めていただきたい。このことをお願いして、きょうの質問を終わります。
○山崎委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○山崎委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山崎委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○山崎委員長 この際、稲垣実野君外五名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党・革新共同及び社会民主連合六派共同提案に係る本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者より趣旨の説明を求めます。池端清一君。
○池端委員 私は、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党・革新共同及び社会民主連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、中小企業労働者と大企業労働者との労働条件格差を縮小する必要があることにかんがみ、中小企業労働者の労働条件を改善するための施策を総合的に推進するとともに、中小企業退職金共済法の改正施行に当たっては、退職金制度が高齢化社会において労働者の老後保障の機能をもつものとして今後一層重要な役割を果たすことに十分留意しつつ、次の諸点について適切な措置を講ずるよう努力すべきである。 一 中小企業退職金共済制度の適用拡大を図るため、地方公共団体への協力要請、相談体制の整備等加入促進対策を積極的に推進すること。 二 中小企業退職金共済事業団等の資産運用については、その安全の確保に留意しつつ、効率化を図るとともに、共済融資制度の一層の改善に努めること。 三 中小企業退職金共済制度の運営に当たっては、関係労使の意見を十分反映しうるよう一層の配慮を行うこと。特に受益者である労働者の意向が反映できるよう所要の措置を検討すること。 四 建設業及び林業等特定業種退職金共済制度についても加入促進策を強化し、掛金日額の改善を図るととに、共済手帳の交付及び共済証紙の貼付の履行確保に必要な措置を講ずること。また、建設業退職金共済制度については、給付の改善を行うよう検討すること。 五 林業退職金共済制度については、発足後の期間が短いため、退職金額が低いこと等にかんがみ、本制度の一層の充実を含め、林業労働者の福祉向上に努めること。 六 今後とも、中小企業退職金共済制度の安定的運営を確保するため、所要の財源措置を講ずること。 七 増大するパートタイマー等の労働条件及び生活実態を踏まえ、中小企業退職金共済制度における包括加入の原則に留意し、これらの労働者に対する本制度の適用等について早急に検討を進めること。 八 新制度施行後の本制度の普及状況を的確に把握し、五年目ごとの見直し検討にこだわることなく、適宜本制度の見直しを行うこと。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○山崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 稲垣実男君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山崎委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。 この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。林労働大臣。
○林国務大臣 ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。 —————————————
○山崎委員長 お諮りいたします。 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 御異議なしと認めます。よって。さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○山崎委員長 次に、内閣提出、労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。林労働大臣。 ————————————— 労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の 徴収等に関する法律の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○林国務大臣 ただいま議題となりました労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 労働者災害補償保険制度については、高齢化社会の進展等最近の社会情勢の動向を背景として年金受給者の累増、年金受給者の高齢化等新たな状況の変化が生じているところであります。 このような実情を踏まえ、労働者災害補償保険制度の改善について、かねてから労働者災害補償保険審議会において検討が行われてきたところであります。 同審議会における検討の結果、昨年十二月、制度面において公平を欠くと考えられる点、均衡を失していると考えられる点の改善を中心に当面措置すべき制度の改善について労使公益各側委員全員一致による建議をいただきました。 政府といたしましては、この建議を尊重し、法律改正を要する部分について改正案を作成し、これを労働者災害補償保険審議会及び社会保障制度審議会に諮問し、それぞれ了承する旨の答申をいただきましたので、ここに労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案として、提案をいたした次第であります。 次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。 まず、労働者災害補償保険法関係の改正についてであります。 第一は、年金たる保険給付に係る給付基礎日額について、労働者の年齢階層別の賃金の実態を基礎として労働者の年齢階層ごとに最低限度額及び最高限度額を定め、その給付基礎日額が、労働者の年齢の属する年齢階層に応ずる最低限度額を下回りまたは最高限度額を超える場合には、当該最低限度額または最高限度額を給付基礎日額とすることとしたことであります。 第二は、休業補償給付及び休業給付の額について、現行では一日を単位に算定されているが、労働者が所定労働時間の一部について休業したときは、休業による賃金喪失分の六〇%とすることとしたことであります。 第三は、休業補償給付及び休業給付について、社会保険における取り扱い等を考慮し、監獄等に収容されている者に対しては支給しないこととしたことであります。 第四は、通勤災害に関し、労働者の通勤経路からの逸脱または通勤の中断後の往復が通勤とされる行為の範囲を拡大することとし、現行の日用品の購入等の行為のほかに労働省令で定める労働者の一定の行為を加えることとしたことであります。 第五は、事業主が故意または重大な過失により労災保険の手続を怠っている期間中に生じた事故について、保険給付を行ったときは、その費用の全部または一部に相当する金額を事業主から徴収することができることとしたことであります。 次に、労働保険の保険料の徴収等に関する法律関係の改正について申し上げます。 第一は、事業場ごとの災害率により保険料を増減させるいわゆるメリット制度について、継続事業のメリット制度の対象事業場の規模を使用労働者数が現行は三十人以上であるものを二十人以上とし、収支率の算定期間を現行は三暦年間であるものを三年度間とするとともに、有期事業のメリット収支率について所要の改正を行い、労働災害の防止努力が的確に反映できるようにしたことであります。 第二は、労働保険の保険料の納付の手続について、口座振替による納付の方法を導入することとしたことであります。 以上のほか、この法律案においては、その附則において以上の改正に伴う経過措置を定めております。 なお、施行期日は、年金たる保険給付に係る給付基礎日額の改正につきましては昭和六十二年二月一日、継続事業に係るメリット制度の改正につきましては同年三月三十一日、労働保険の保険料の納付の手続に係る改正は昭和六十三年四月一日とし、その他の改正事項につきましては昭和六十二年四月一日としております。 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
○山崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ります。 次回は、明後十日木曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時二十二分散会 ————◇—————