社会労働委員会 第6号
- 発言数
- 251 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1986/03/25
会議録
○山崎委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案並びに第百二回国会村山富市君外九名提出、定年制及び中高年齢者の雇入れの拒否の制限等に関する法律案の両案を議題といたします。 なお、定年制及び中高年齢者の雇入れの拒否の制限等に関する法律案についてお諮りいたします。 本案は、第百二回国会において既に趣旨の説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 定年制及び中高年齢者の雇入れの拒否の制限等 に関する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○山崎委員長 これより両案について質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永井孝信君。
○永井委員 法案の審議に入る前に、労政を担当する労働省に対して若干一、二の問題についてただしておきたい問題がありますので、ひとつ誠意のある答弁をお願いしたいと思うのであります。 実は、例の国鉄のこれからの余剰人員対策ということに関連する問題でありますけれども、御承知かと思いますが、広域配転ということが今行われようとしているわけでありますね。この広域配転に関連をいたしまして、実は三月七日の衆議院の第七分科会におきまして社会党、我が党の五十嵐広三委員がこの問題について質問をしているわけであります。その質問の趣旨は、国鉄が広域異動ということで事実上の広域配転を行うことについて、強制するとかあるいは強要することはないかとただしているんです。これに対して国鉄が、きょうは緊急のことでありますから国鉄を呼んでおりませんけれども、国鉄当局は、あくまで本人の希望によって決める、そのような強制とか強要にわたるような懸念はございませんと答えているわけです。 ところが、現実に三月二十日からその広域配転に関する募集行為が行われているわけであります。時間の関係で、もう一方的に申し上げますけれども、国会でそういう答弁をしているにもかかわらず、実は全国的にかなり広範囲な地域におきましてまさにこの強制、強要が行われているんです。これは今の国鉄の労使、とりわけ国鉄当局と国鉄労働組合との関係においては雇用安定協定も結ばれていないという異常な状態が続いていることは御承知ですね。これは今の国鉄の労使の関係を端的にあらわしているのではないかと私は思うのですが、例えばこういう問題があります。北海道の旭川の電力区の問題でありますが、これは一つのサンプルとして申し上げるのです。 どういうことかというと、この広域配転について、君は広域配転を受けるということを業務命令を出しているのですね。本人が、この国会答弁もありまして非常に関心の高い問題でありますから、国会で国鉄当局が強制、強要は一切行いません、そういう懸念はございませんという答弁をしていることは組合員は知っているのです、全部情報で流れていますから。だから、私はその広域配転の希望に応ずる意思は持っておらない、こう答えたら、業務命令だ、業務命令だから、おまえは行くように返事をしろ、こういうことを強要しているわけですね。これは、業務命令に違反すると直ちに処分というのが今の実態なんですから、業務命令を出されたらこれを拒否することではできないのですね。 こういう事実がありますから、きょうは国鉄当局ここにおりませんけれども、労政を担当する労働省としてどのようにこの問題を認識されるか、あるいは国会でそういう答弁まで出てきているということだけではなくて、本来この種の問題はあくまでも本人の希望を尊重するということが第一条件でなくてはならないと思うのでありますが、大臣と労政局長からお答えいただけますか。
○加藤(孝)政府委員 国鉄当局が現在実施しております広域異動につきましては、条件を提示いたしますとき、既にはっきり希望者について行うというものとして提示をされておるところでございますし、また、既に国労以外の三組合と締結しております協定においてもその旨が明らかにされておるというふうに聞いておるわけでございます。そういう意味で、国会でも国鉄当局がそういうことを言明しておる、あるいはまた、そのことがその協定においても明らかにされておるということであるわけでございまして、そういう約束しておることをしっかり守っていくというのは当然のことであろうと思うわけでございます。 今お示しのようなそういうような具体的なケースについては存じませんが、実際問題としてそれが業務命令というような形で行われて、その業務命令に従わなかった場合に業務命令違反という形で本当にそれが行われたならば、それはこの協定の履行の問題はどうなるのか、あるいはまた、そういう国会での説明との関係はどうなるということで大変問題になる話であろうと思うわけでございます。そういう意味で、これは国鉄当局に対しては協定どおりあるいはまた国会答弁どおり行われるように期待をいたしております。
○永井委員 大臣にはまとめて後でお答えいただきますが、もう一つ具体的な例を申し上げておきましょう。 釧路局でありますけれども、希望を聞かれて、まだ自分自身、家庭のこともありますから広域配転に希望を出すかどうかということは答えられない、こう職員が言いましたら、区長室に連れ込んで、答えられないで済まされないと言って軟禁状態に置くわけですね。 だから、国鉄本社の意向が伝わっていないのか、表向きはそうであっても事実そういうふうに強要させるような指導をしておるのか、ここらは定かでないのでありますが、現実にそういう強要にわたっている例は枚挙にいとまがないと言われているのです。だから、今労政局長がお答えになりましたように、労使の確認あるいは国会答弁、こういうものからいって、この種の問題で強要することは今後の余剰人員対策にむしろ大きなブレーキ、マイナスになることは間違いないわけでありますから、むしろそういうことのないように、労政担当の当局として労働省は責任を持ってひとつ指導してもらいたい。 また、片方でこの問題が団交事項であるかどうかが争われているわけでありますが、国鉄労働組合は、既に御承知のように団交事項として明確にして対応しろということで、団交についての仮処分申請までしているのですね。そういう状況がありますので、ここは時間をとりませんから、ひとつ大臣の方で、今労政局長が答弁されましたように、こういう問題は放置できない、国会答弁に反するということもありますから、ひとつ強力に国鉄当局をたしなめるなり指導なりしてもらいたいということをお願いしたいと思いますが、どうでございますか。
○林国務大臣 先ほど、具体的な例につきましては労政局長の方からも御答弁ございましたし、今重ねて先生の方から釧路での事例についてのお話もございました。私どもといたしましては、あくまでもこれは協定に基づいてやっていくものという認識を持っております。もしそういうことに反するような事態がございましたならば、私どもといたしましては、国会でもこういったような議論がなされたのだということを国鉄当局にも伝えまして、そういったことのないようなことに指導もしなければいかぬ、このように思う次第でございます。
○永井委員 この問題はこれで終わりますけれども、いずれにいたしましても、一切希望をさせないとか、そんなことを言っているのじゃないのですね。本人の家庭の生活基盤の関係もあるわけですから、あくまでも公式どおり、本人の希望に基づいて対処するということを重ねて指導されるよう要望しまして、本来の法案の中身の問題に入っていきたいと思います。労政局長、ありがとうございました。 さて、今度の高齢者の定年制に関する法律の関係でありますけれども、現在、我が国の社会の高齢化は急速に進展をしているわけですが、今回もこの法律案はその高齢化の社会に対応しようとするものであろうと私は思うわけであります。そこで、まず最初に、高年齢者の雇用の現状とか今後の見通しについてどのような認識をお持ちなのか、お答えをいただぎたいと思います。
○白井政府委員 お答えいたします。 先生御指摘のとおり、高齢者の雇用の情勢は依然として厳しいものがございまして、統計によりますと、労働力の需給の動きを年齢別の有効求人倍率、六十年十月の調査でございますが、これによって見ますと、年齢計、全体では〇・六七倍であるのに対しまして、五十五歳以上の高年齢者は〇・一二倍となっております。それからまた完全失業率は、六十年平均で年齢計が全体で二・六%でございますが、五十五歳以上の層では三・二%というふうに高くなっております。このように高年齢者をめぐる雇用の現状は非常に厳しいものがございますが、このための改善が急務であるというふうに思っております。 これに加えまして今後の見通してございますが、労働力人口の高齢化の波が急速に進んでまいっておりまして、特に六十歳代前半層に移行するという状況でございます。労働力人口に占めます高年齢者の割合で見てまいりますと、六十年の一八・〇%から七十五年、西暦二〇〇〇年には二三・〇%と、全体の約四分の一を占めることが見込まれるようになっております。 これらの状況から見まして、急速に労働市場が高齢化していくということでございますので、高齢者の雇用問題はますます深刻になってくるということが懸念されるわけでございまして、中長期的に高年齢者の雇用就業問題に全力を傾注していかなければならないというように考えている次第でございます。
○永井委員 今御答弁ありましたように、高齢者の雇用状況は極めて悪いわけですね。これでは、これからの高齢化社会を迎えて、社会保障制度を政府の責任でどんどん後退させてしまっているという現状の中で、生活を安定させることは極めて難しい状況になっていくと思うのであります。そういう立場で、これからの高齢者の雇用とか就業の場の確保ということは極めて重要な課題だと思うのでありますが、中長期的視点に立った高齢者に対する雇用あるいは就業対策を確立し、高齢者に対して将来の生活に一定の展望を持たせなくてはいけない、こう思うのであります。 そこで、政府はこの高齢者の雇用の確保について今までどのような施策を講じてきたのか、そして、今まで講じてきた施策の上に立って今回の法案の整備を図ろうとしてきたと思うのでありますが、今まで進めてきた政策を検証する意味において、今まで進めてきました政策について具体的にお答えをいただきたいと思います。
○白井政府委員 お答えいたします。 高齢者の雇用対策は、先ほど申しましたように非常に厳しい情勢にあるわけでございますが、労働省の雇用施策としましては、まず高齢者に対します一般的な定年の延長ということで六十歳定年の延長を行政指導で進めてまいっております白これは着実に成果を上げていると思っておりますが、この問題につきましてはさらに今回の法制化によりまして今後の進展を図っていきたいというふうに思っておるわけでございます。そのほか高齢者のためのいろいろな助成金、それから高齢者の特別の求人開拓等を進めてまいってきたわけでございますが、先ほども申し上げましたような状況でございますので、これらを総合的に確立するための法律を今回提出させていただいた次第でございます。
○永井委員 大臣、今私が申し上げましたように、あるいは局長がお答えされているわけでありますが、これからの高齢化社会に向けて就業機会を拡大するとか、雇用就業環境を保障するとか、こういうことについて大臣としては今後の基本方針をどのようにお持ちなのか、大臣の政治家としての決意も含めてお答えいただけますか。
○林国務大臣 本格的な高齢化社会を迎えるということでございますので、その高齢者の職場の確保というものは何としても国民的な課題の一つになってきているわけでございます。従来から六十歳の定年ということに努力を尽くしてきたわけでございますが、それでは具体的にはどういうことを持っているかという先生の御質問でございますが、六十歳定年を基盤といたしまして六十五歳程度までの企業における継続した雇用を推進してまいりたいということ、あるいはまた再就職を希望する高年齢者のための早期再就職の促進、定年退職後における臨時あるいは短期的な就業の場の確保、こういったものに重点を置いて施策を充実強化してまいりたい、このように考えているところでございまして、今後は今回のこの法案をもとに高齢者のための総合的な雇用就業対策をさらに強力に推進してまいりたい、このように思う次第でございます。
○永井委員 もう一つ具体的に聞いてみたいと思うのでありますが、定年制の現状についてちょっと調べてみました。労働省の昭和六十年の雇用管理調査結果の概要というのが出ていますね。これによりますと、定年年齢六十歳以上が五五・四%、改定が決定している企業を含む場合は五八・七%、改定が決定及び予定がある企業を含む場合は六八・七%という数字になっています。企業規模別に見ても、三百人から九百九十九人は四四・二%、これから改定が決定している企業を含めますと五二・六%、予定している企業まで含めますと七二・八%、こういう数字が出ています。百人から二百九十九人という中小の例をとりますと、既に定年制が決定されておるところが四六・八%、これから改定が決定されているものを含めて五一%、予定するものを含めて六二・五%、こういう数字になっているわけです。 この数字でいきますと、百人から二百九十九人という規模の企業は全体の平均よりもあるいは大企業よりもかなり低いわけです。低いけれども、いずれも過半数を超えているわけでありますが、この過半数を超えているという現状から六十歳定年制というのは一般化しているという認識を持つべきではないかと思うのですが、大臣の見解をお伺いしておきたいと思います。
○白井政府委員 六十歳定年の一般化ということを言われたわけでございますが、一般化というのはどの程度のことを言うのかということはいろいろ議論がございまして、その立場立場で今の程度までいっていれば一般化ではないかという御意見もございますし、それから、さらに強く希望される人は九〇%を超えていなければ一般化とは言わない、いろいろな御意見がございます。今、先生御指摘になりました労働省の調査による資料によりましても、五千人以上では九七・一%に改定を含めますといっておりますので、かなりのところにいっておるのじゃないかと思いますが、御指摘ありました百人から二百九十九人のところは現状では四六・八%、改定を含めましても六二・五%ということで、一概に全体が一般化しているかどうかということについては必ずしも言い切れない面があるのではないかと思っているわけでございます。
○永井委員 大臣、大臣は労働大臣として、今局長はそうお答えになっていらっしゃいますけれども、六十歳定年の実情が全体の平均は過半数を超えている、しかも予定まで含めるとかなり高い数字になっているが、これから労働行政を統轄されみ立場からいって、大臣は一般化されているという判断をお持ちなのかどうなのかをお答えいただきます。
○林国務大臣 数字につきましては先ほど局長の方から御答弁ございましたし、大企業におきましては九十数%あるいはまた中小企業の方におきましてもこれから予定をされておるところまで入れますと六十数%の率になっておるということでございますので、私といたしましては、六十歳定年というのはやや定着をしてきておるわけでございますから、さらにこういったことを私ども指導をしてまいりたいと思っておるわけでございます。一般的に申しまして、私といたしましては、こういったことをさらにさらに強力に進めることによっていわゆる六十歳定年というものがますます比率も高くなってくると考えているわけでございます。
○永井委員 もう一つ御答弁が私の胸にすっかり入らないのでありますが、大臣の答弁されておるところを聞きますと、みんなの努力で六十歳定年制というものはおおむね定着してきたというふうに受けとめていらっしゃる、このように聞こえるわけですが、そういうことでよろしゅうございますか。
○林国務大臣 今、先生御指摘のように、六十数%ということはほぼ定着したように私は思うわけでございますが、さらにこの率を高めるための努力もしていかなければならない、このように思うわけでございます。
○永井委員 そこで具体的な中身に入っていきたいと思うのでありますが、我が党はこの十年来六十歳定年制ということを法制化しろということを要求し続けてきたわけです。当委員会でも何回かごの問題について私も質問したことがあるのですが、歴代の労働大臣は昭和六十年には六十歳の定年制を法制化したいと答弁してきているわけです。昭和六十年に六十歳定年制ですから数字的にも非常にいい数字なんでありますが、現実は六十年には法制化することができなかった、今までずれ込んできているわけであります。もっと法制化を早くやればむしろ高齢者の雇用の確保ということはもっと前進しておったのではないかと私は思うわけです。だから、今回出されてきた法案もそういう意味で考えますとむしろ遅きに失したのではないかという気がするわけです。 そこで、この法制化の中身を見ますと、約束よりも一年おくれで六十一年に法制化しようとするわけでありますが、現実はこれは強制力を持っていないわけですね。努力義務になっているわけです。努力義務で六十歳の定年制を果たしてもっと実効あらしめることができるのかどうなのか、あるいは実効性そのものを期待することができるのだろうか。今までの労働省の指導というのも、法制化されていなくても六十歳定年制を昭和六十年に実現させるのだということで強力に指導をしてきたはずであります。今までの国会の答弁を聞きましても、強力に指導すると言ってきたわけでありますから、強力に指導してきたはずであります。 私たちは一般化されたと考えるのでありますが、それでもなお平均して六〇%少ししか伸びていない、そして、むしろ中小零細企業はまだまだそういう状況に置かれていないということから考えると、努力義務だけでその実効性を期待することはむしろ難しいのではないかと私は考えるのですが、大臣は後、参議院の方に予定があるそうでありますから、大臣のいらっしゃる間にその辺の関係について大臣の見解だけはきっちりと聞いておきたいと思うわけであります。
○林国務大臣 六十歳定年の指導につきましては、労働省挙げて極力今日まで来たわけでございます。 それで、六十歳定年はもう少し法的にしっかり規制をしたらどうだというような意味も含めての先生の御質問だと思いますけれども、この問題につきましては、過去におきまして種々議論がなされました。そして、その中に雇用審議会における全会一致ということで、今回、六十歳定年の努力義務を課せられているわけでございます。私どもといたしましては、社会的コンセンサスが得られる現実的な妥当な考えであろうかとそれを受けとめているわけでございます。 いずれにいたしましても、六十歳定年が法律上の社会的責任として明確にされたと私どもは受け取っておりまして、これの推進のための行政措置が法律に明確にされたということで、六十歳定年の推進には極めて大きな効果があると考えております。そういったことを考えながら企業労使がこの問題に積極的に取り組んでもらいたい、私どもはこのように期待をするものでございます。
○永井委員 絶大な効果があるという御認識のようでありますが、もし絶大な効果があるとするなら、歴代の労働大臣は昭和六十年に六十歳定年制が達成できるようにしたい、そしてその実績を踏まえて法制化をしていきたいと言ってきたわけです。もし強力な行政指導だけで六十歳定年制が本当に全体的にでき上がっていくものであるとするならば、私は一般化と言いましたけれども、本来はもっと高い数字になっておらなければいかぬわけですね。ところが、現実はそうなっていないのです。だから、私はあえて大臣にお聞きしているわけであります。 では、大臣にもう一つだけお聞きいたします。 この努力義務ということでまとめられた法律案が具体的に施行されたときに、労働省はこの法律によってどのような行政指導をされるかわかりませんけれども、大臣の言葉や局長の言葉をかりれば、積極的に強力に行政指導する、こうなっていくのです。では、中小零細も含めて全体に六十歳定年制を定着させてしまうという目標年次は大臣としてはどこに置いていますか。
○林国務大臣 具体的に六十年度に六十歳定年というものをずっと考えてきたわけでございますが、先生御指摘のように、これはそのとおりいかないような状況になっております。それならあと何年後にこういったことが具体的にできるかという御質問だと思いますけれども、私どもといたしましては、何年後ということを確たることは今申し上げられないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、審議会で全会一致ということで御答申いただいたわけでございますから、その方向にのっとりまして本当になるべく早く皆さんが、企業全体が六十歳定年というものをやっていただければそれにこしたことはございません。それぞれの日本の中小企業の企業形態から申しましてもできにくい面も多々あるやに私どもは聞いておりますが、私どもといたしましては、この六十歳定年というものに今まで以上に努力を重ねながら六十歳定年というものを指導してまいりたい、このように思うわけでございます。
○永井委員 向こうの関係もありますので、大臣にもう一問だけお伺いいたします。 今、大臣は明確にお答えにならなかったわけですが、これが強制力を持った法律であれば目標年次は何年かということを聞く必要はないのです、もうすぐにできなければいかぬわけですから、もう法律に基づいて実施するわけですから。努力義務だから、強力に指導した場合でも一体いつごろに完全な六十歳定年制を実現できるようにするかという目標はなければならぬと私は思う。努力義務の法律を施行した、しかし、全体の六十歳定年制がいつ達成できるかわからぬままでは法制化の価値はないと私は思うのです。だから、私はあえて目標を聞いているのです。法律を政府が提出するなら、少なくともその目標年次ぐらいは労政担当の大臣として決意として持ってもらって、そこに全体がぐんと全力を挙げて進めていくということがあっていいのじゃないですか。 審議会では全会一致だと言われておりますが、審議会の過程では強制力を持たせるという議論もあったのです。最終的に全体をまとめるために今のような努力義務で全会一致になっておりますけれども、初めから努力義務でいいと言っているわけではないのです。だから、努力義務であるだけに目標を明確にして、その目標年次に向けて労働省挙げて、政府挙げて、あるいは企業にも努力してもらうということが必要になってくるのじゃないか、そこのところだけ答えてください。
○林国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、審議会の中にはいろいろと御意見もございました。その御意見が集約されて全会一致という形でそういう答申がなされたということでございますから、私どもといたしましては強力な指導と申しますか、先生にはそれは大変物足りないとお感じと思いますけれども、あらゆる企業に六十歳定年という方向に向かっての最大の努力をしてもらうと同時に、労働省といたしましてもそういった方の強力な指導をしていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
○永井委員 大臣、目標年次ぐらい明らかにしなさいよ。法制化する以上は、五年先にはこの程度までいきたい、十年先には六十歳定年制が完全にできるようにしたいとか、そのくらいの目標を大臣が持たないでどうやって法律を施行するのですか。そこだけ答えてもらわないと大臣を放すわけにいかないですよ。
○白井政府委員 大臣が先ほどから法律をもって強力に指導してまいりたいと申しておりますように、現在まで行政指導で強力に進めてまいったわけでございますが、その間法制化については長い、昭和五十四年から雇用審議会でいろいろと審議がありまして、経営者側、それから労働者側の意見の鋭い対立があったわけでございます。しかし、今回やっと雇用審議会におきまして、この高齢化が急速に進んでいる波の中で国民的課題としてのコンセンサスを得まして、全会一致でこの六十歳定年についての努力義務を法制化することにつきまして答申を得たわけでございます。 そういうことで今回法案を出してきているわけでございますが、今後どういう目標で全部を六十歳定年にできるかどうかということにつきましては、行政指導よりも、この法律によることによりましてさらに進めていくことができるというふうに思いますけれども、しかし、目標を設定することは、この法律自体のそういう努力を進めることの方が先でございまして、目標を設定してそこまでやればいいということではないわけでございまして、我々としてはできるだけ早くその目標に到達したいと申し上げる以外に今のところないのではないかというふうに思っておるわけでございます。
○永井委員 大臣、答えて行ってください。
○林国務大臣 先ほど私からも何回も御答弁申し上げました。また、ただいま局長の方からも御答弁申し上げましたように、現在の段階では、私どもといたしましては、六十歳定年をすべての企業ができるような強力な指導をしてまいりたいということで、何年何月から法制化をするというようなところまでには今考えが至っていないというような状況でございます。
○永井委員 大臣、結構です。どうぞ。
○山崎委員長 それでは、労働大臣の退出を認めます。
○永井委員 局長、どうやっても労働省は目標を立てることができないのですか。今まで六十歳定年制という法律がないときでも、昭和六十年には六十歳定年制を実現できるようにしたい、そしてその時期に法制化を図りたいというふうに歴代の大臣は答えてきているのです。私の質問に対しても歴代の大臣は答えているのです。 それで、いよいよ法制化するときに、今、大臣も局長も言われておるように、審議会では全会一致、確かに答えは全会一致なんだ。しかし、あなた方はその経過を次々抜いてしまうんですよ。全会一致に至るまでの経過の中では、あくまでも強制力を持たすべきだという議論もかなりあった。最終的に、審議会の答申をまとめる段階でお互いがそれぞれ譲り合って今のような答申になったんです。だから、その経過を無視して答えだけですべて事足れりということでは法律には本当の魂がこもらないと私は思うのですよ。 しかし、全会一致の答えというものがあるわけだから、それを絶対だめだと私は言っているわけじゃない。それに基づいて努力義務ということで法制化されたんだ。しかし、努力義務で法制化するんだけれども、本来はみんなが六十歳定年制をしくように法律で縛れば本当は一番事は手っ取り早いわけですよ。働く人々もそれによって安心できるわけだ。 少なくとも、努力義務であるとするならなおさらのこと、労働省としては、何年ごろまでにこの程度は進捗させたい、この時期には全部が六十歳定年制が完全に定着するようにしたいというぐらいの目標は持ってもらいませんと、こんなもの、法律の審議に魂が入りませんよ。そこはどうですか。
○白井政府委員 先生の御指摘もよくわかるわけでございますが、先ほどから申し上げておりますように、法制化することによってさらに六十歳定年への推進力になりまして、相当進んでまいるというふうに思うわけでございます。しかし、これは努力義務ではございますが、一応法制化されているわけでございますので、事業主は全体として六十歳定年に努めなければならないということになっているわけでございますから、何年に何%、何年に何%という目標を定めてやっていくことがこの法律の推進上いいのかどうかという法律の施行を進める場合の問題がございますし、もちろんそういう目標が内部的に考えられるということはあるわけでございますが、それをこういう公の席で公表してまで進めていくのがいいのかどうかという問題が逆にございます。 それからもう一つは、先ほど一番最初に先生御指摘いただきましたように、二十一世紀に向けまして非常に高齢化が進んでまいるわけでございますから、それの重圧をはねのけて定年延長を含めました総合的な高齢者の雇用対策を進めていくということにつきまして、これをどういうふうに進めていけばいいかというような問題もあるわけでございまして、先生のおっしゃるように、むしろ行政指導の場合の方が目標を定めてやっていくということが公の場合にはできるんじゃないかというふうに我々としては考えるわけでございます。
○永井委員 公の席上でそういう目標の中身を公表することはかえって問題があるのじゃなかろうかというお話でありますけれども、公の席上でそういう目標を定めないで、じゃ労働省はどこでその目標を定めるのか。労働省の内部だけで目標を定めるのですか。労働省の内部だけで目標を定めて、そこに積極的に企業を指導するのですか。そこのところは非常に微妙なところでありますから、そこのところは明確にしてもらいませんと質問が前にいかれぬわけです。
○白井政府委員 これは今目標を定めるのが難しいということの例で申し上げたわけでございまして、今労働省が内部でそういう目標を持っているということではございません。
○永井委員 ちょっと聞き取りにくかったのですが、労働省の内部で目標を持っていないということですか。
○白井政府委員 現在持っているわけではございませんというふうにお答え申し上げたわけでございます。
○永井委員 執拗にお聞きして恐縮でありますけれども、じゃ労働省が行政指導を積極的に進めるためにどのように企業を指導されるのですか。その指導、ことしはこのくらい進捗させにゃいかぬとかいうようなことについてはこれから定めるんですか、どうなんですか。
○白井政府委員 労働省としましては、この法律を国会で通していただいた暁には、この法律にございますように、努力義務に伴いましてそのほか行政措置がいろいろ規定してございます。定年の引き上げについて特段の事情がないにもかかわらずその引き上げを行わない事業主に対しましては、定年引き上げの計画の作成命令、その他適正実施勧告、正当な理由なくこれに従わない場合の事業主名の公表と一連の行政措置があるわけでございまして、これを段階的に進めることによって定年へ延長を進めていくということを実施するわけでございます。
○永井委員 この問題だけでやりとりしておったのでは前へ進みませんので、適当なところで一たんは終わりますけれども、しかし行政指導であるがゆえに、明確な目標を労働省自体が持って積極的にそれを実施に移させるように進めるべきだというふうに私は思うのですわ。だから、これはここで幾らやっても答えは出てきそうもありませんけれども、法律さえつくればいいというものではないことは先刻御承知のはずでありますから、行政指導そのものを本当に実効あらしめるために、私は労働省に具体的な毎年毎年の目標くらいは定めてやってもらいたいということを強く要望して、この問題、理事さんもいらっしゃいますけれども、どうもちょっと私の質問に対する答弁、満足できませんので、その辺の関係について後で御相談いただきたいと思います。委員長、よろしゅうございますか。 そういうことを前提にして次に入っていきたいと思うのですが、次に、この法第四条の二の「定年の引き上げの要請」というのは、政令で定める基準で行うことになっているわけですね。それで、この中職審の答申の中職審の意見を聞いて定める基準というのが改められているわけでありますが、なぜこのようになったのかをお答えいただきたいと思います。
○清水(傳)政府委員 お答え申し上げます。 今般の法案のもとになりましたのは、雇用審議会における御答申でございます。いずれにいたしましても、六十歳定年の法制化ということを実現をさせていくためには、当然のことながら社会的なコンセンサスが得られる形で進めていかなければならないわけでございまして、雇用審議会の中におきましてもさまざまな御議論がありまして、先生既に御承知のように、経緯から見ましてもなかなかその結論を得るに至らなかった、そういう経緯がございます。 そうした中でともかくまとめていこう、こういうふうな形になりましたのは、現在、定年制の進捗状況は、六十歳定年五五・四%でございますか、そうした残りの企業の中でどうしても難しいというふうな企業もある、しかしまた、なお努力をしてやっていかなきゃならない余地のある、そういう分野もかなりある、そういうものも一切ひっくるめてともかく六十歳定年を法制的な根拠を持ちながら進めていく枠組みをつくっていこうじゃないか、こうした形で合意を見たわけでございます。そうした中におきまして、そういうただ単なる努力義務ということだけではなしに、これを支える意味での一定の行政措置を行っていける根拠づくりをやらなければならない。そうしたことで定年延長の計画の作成命令、勧告、あるいはその勧告に正当な理由なく従わない場合にはその旨を公表する、こういう段階的な措置を講ずることといたしておるわけでございます。 その行政措置の対象となる基準という点につきましては、具体的には、法律にもございますように、法案成立後中央職業安定審議会で御検討をいただく、こういう建前でございますので、どういうような基準にすべきかということを現段階で明確に申し上げることはできないわけでございますが、ただ、そうした場合におきましても、今までのそういう場面における御議論の経過というものがございます。 そういうところから申し上げますれば、いずれにいたしましても、特段の支障がないにもかかわらず相応の努力をしないものについてそれなりの行政措置を講じていく、こういうことが基本であろうかと思うわけでございまして、中央職業安定審議会で御議論いただく場合におきましても、このような観点から、例えば経営事情が特段に悪い、定年延長あるいはその雇用、どっちをとるかというふうな場面だって場合によっては、企業によってはあり得るだろうということもあろうかと思いますし、あるいはまた、その業種、業態等に応じまして六十歳未満定年ということについて、労使がその業務の内容等から見て未満ということであってもやむを得ないような形での合意というふうなものがあり得るような場合もあるかもしれませんし、あるいは形として六十歳定年には至っていないにいたしましても、勤務延長とかあるいは再雇用とか、こういう形で実質的に六十歳までの雇用が保障をされているような場合もあるいはあるかもしれませんし、そうした事柄等につきまして行政措置の対象とすることが適当かどうか、そういう観点から検討がなされることになるのではなかろうか、このように考えております。
○永井委員 そこで、一つは要請基準の中に産業とか業種、地域の特性というものがありますね。この特性について、当該の労使の中では協定などが存在をしているわけですね。例えば六十歳に延長することが健康管理上問題がある。この場合、延長することがむしろ好ましくないという職種もあるわけですね、例えば坑内夫のような職種などについては。こういうものは労使の協定などを勘案して定めることが法の趣旨からしていいのではないか、いわゆる一定の限定を加えるべきものがあっていいのではないかと思うのですが、それはどうでございますか。
○清水(傳)政府委員 御指摘のようなケースというのもこれは確かにあり得ると思いますし、またそのほか、例えば高所作業でございますとか、そういう高齢者に不向きな職種というふうなものもあるいはあるかもしれないわけでございます。そうしたことを含めまして御議論を、御検討をいただいて適正な基準を作成をいたしてまいりたい、このように考えます。
○永井委員 今言われたように、そういう特殊な職種については厳密に審査するということでやっていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。 さて、その次に、この定年延長に伴う労働条件の問題であります。 六十歳の定年延長に伴って賃金などの労働条件が不当に切り下げられるという例が、今までの実態からいってもこれから見られてくるのではないかということを非常に危惧するわけですね。したがって、もしそのようなことになってきますと、定年延長をすることがかえって労働者にとって不利であり、好ましくないということにもなってくるわけであります。例えば定年延長に伴って賃金体系、退職金などについても企業は見直してくると思うのですね。労働力の実際の能力の関係も勘案をして、そういうことは起き得る話なんですね。しかし、そういう場合にも一定の制限というものがあってしかるべきだと私は思うのです。 例えばプロ野球の選手で言いますと、今度プロ野球にも労働組合ができまして、今かなり交渉らしきものがやられているようでありますけれども、プロ野球などは、前の年の成績によって厳しく査定をされるのですね。その厳しく査定されるときに、まあいわば当初年俸を決めたときにその年俸どおりの仕事ができなかった、シーズンを通してけがのために休んだとか、いろいろなことがありますね。そういう場合でも今のプロ野球では二五%減額することが減額の最高限度として定められているのですね。 ああいう本当に一般の労働者と違う職業の人でもそういう状態でありますから、六十歳の定年制をしくことによって賃金体系上、あるいは退職金なども含めて、過酷な労働条件の切り下げがなされたのではこの法律の趣旨にもとると思うのです。この関係について労働省はどのように指導されようとしているのか、お考えを聞きたいと思います。
○清水(傳)政府委員 定年延長の実施に当たりまして、これを円滑に進めていくために、賃金とか退職金のあり方あるいは年功的な人事処遇制度、こうした面についての見直しが、労使双方がいろいろな工夫、努力をされている例が今までにもたくさんあるわけでございまして、現実に労働省の方の調査によりますと、そうした関係において賃金体系の見直し等を行っている企業が約三分の一あるというような状況になっております。 いずれにいたしましても、定年延長を進めていく上に当たりましてはこの問題というのがやはり避けては通れない現実の課題であるというふうに思いまして、共通の問題として労使がこれについてその企業の実情に応じて工夫、努力をしていくということが極めて大切なことである。また、雇用審議会の答申におきましてもその面の工夫というものについて労使の積極的な取り組みが望まれる、このようなことも述べられているわけでございまして、私どもといたしましても、やはりこのような工夫、努力がなされなければ前へ進んでいかない。これを促進をするためのさまざまな情報の提供あるいは相談援助、そうしたことを行ってまいりましたし、今後ともそのための体制整備を図っていくことにいたしております。 ただ、この労働条件の問題というのは、申し上げるまでもなく、基本的には労使双方が自主的に努力をし決定をしていくべき性格のものであろうと思うわけでございまして、したがいまして、そこに一定の基準を設けるということ等につきましては労使問題の介入ともなりかねない。そういった意味で必ずしも適当ではないのではないかというふうに思います。もちろん、御指摘のように、そうした見直しの中身が不当であるかどうか、こういうふうな問題もあろうかということもございますが、そうした具体的な問題の当不当、こういう点につきましては、やはりしかるべき機関において判断をされるべき事柄ではないか、一般的に労働省として直接、基準によって指導するということは差し控えるべきものではないか、このように思っております。
○永井委員 確かに、今お答えになりましたように、この種の労働条件の問題は基本的には労使間で協議すべきことであります。しかし、今の不況が続いている中で、六十歳定年制について、たとえそれが努力義務であっても法制化しようというわけでありますから、企業の側が定年延長について積極的に協力するにしてみても、思い切った合理化をこの際やっていこうということも想定できるわけです。 例えば賃金が二分の一以下になるというようなことがあれば、これはもう許されぬことだろうと思うのですね。そういうことになっていかないように、むしろ定年延長の法制化ということが過酷な合理化を押しつけるという根拠にされていったのでは、法律を制定する意味がなくなってしまうと思うのですね。そこのところを私は非常に危惧するから申し上げているのですが、ひとつ労働省としても労使間の交渉の中に介入はできないまでも、当然そういう不当なことが便乗的になされないようにさせるための一定の指導というものはきちっとやってもらわなければいかぬ、このことは非常に大事だと私は考えているのです。 だから、そういうことについて細かい説明は時間の関係で要りませんから、そのようなことについて指導を強力にするおつもりなのかどうなのか、そこのところだけ明確にしてくれますか。
○清水(傳)政府委員 非常に難しい、微妙な問題であろうかと思うわけでございます。もちろん賃金が半分ぐらいになるとか、こういうやり方、さまざまな態様のものがあろうかと思います。そうしたことが、例えばそれまでの労働契約なり雇用契約上見て、どんなふうな位置づけになるかとか、いろいろなケースがあろうかと思いますし、そうした中でしかるべき機関の判断にゆだねざるを得ない、こういう局面もあろうかと思うわけでございます。 いずれにいたしましても、定年延長に伴いましての賃金なり退職金制度のあり方、人事労務管理制度のあり方、こうしたものについてやはり今後さらに企業労使が工夫をしていかなければならないわけでございまして、そうした工夫の手助けを私どもといたしましても適正な形でやれるような体制づくりということは進めてまいりたい、このように思います。
○永井委員 それでは次に入っていきたいと思います。 その次に、高年齢者の雇用率制度の廃止問題でございます。 現行法では、百人以上の企業に五十五歳以上の高年齢労働者を六%以上雇用するようにという義務づけがなされているわけですね。これは義務づけはされていますけれども、今までも何回か指摘されてきましたように、例えば身体障害者の方々の雇用率などは、これは達成しなかった場合、いわゆる雇用すべき人一人に対して四万円の納付金制度があるわけですね。これとてもペナルティーではないという労働省の見解が今まで貫かれてきているわけでありますから問題があるのです。 だから、雇用率の達成ができないという現状があるのですけれども、この高齢者の六%の雇用率の問題については全く何にも強制力がないわけですね。強制力がないけれども、長年の労政当局の御努力もありまして、六%の達成をしている企業はかなりふえてきたことも事実であります。そういうことから、今までの経過あるいは六%以上雇用させなくてはいけないという制度の目的から考えまして、今回高年齢者の雇用率制度を廃止するということについてはやはり問題があろうと私は思うわけであります。 仮に、六十歳の定年制ということになったとしても、御案内のように、例えば年金でいいますと六十五歳給付開始という問題もあるわけです。したがって、六十歳ですべてリタイアして自分の生活をエンジョイするということには今の制度はなっていないわけでありますから、そう考えていくと、この雇用率の制度というものは引き続き存続すべきではないのか、こう思うのですが、どうでございますか。
○清水(傳)政府委員 お答え申し上げます。 高年齢者の雇用率制度がそもそも設けられ、また、それに基づいて労働省といたしまして高齢者対策指導を進めてまいりましたゆえんのものは、六十歳への定年延長を行政として推進をしていくための手段として創設され、また活用をされてまいったものでございます。今回、雇用審議会の答申に基づきまして六十歳定年の立法化を行うことに伴いましてこれを廃止する、こういうこととしたわけでございますし、また、そうした形での審議会の御答申もいただいておるわけでございます。 ただ、これを単に廃止するということだけにとどめておるわけではございませんで、今後の対策の重点と申しますのは、先生御承知のように、六十歳代前半層に高齢化の波が現に移ってまいってきておりますので、こうした六十歳代層の雇用就業機会を確保していくために高年齢者の雇用割合を高めていく、そういう意味合いにおいて、今までございました雇用率制度の考え方を生かしまして、六十歳代前半層の雇用割合が一定以上である事業主に対して助成措置を講じていくということで、誘導措置に切りかえてこの考え方を生かしていこう、こういうことといたしておるわけでございます。 また、現行の雇用率制度につきましては、申し上げるまでもなく一律六%、こういうふうになっておりまして、企業におけるさまざまな業種、業態あるいは年齢構成が多様になっていること、そうしたことも一切ひっくるめまして一律に一定割合の雇用率を求める、こうしたことに現実的には無理が多く、現実的ではない、こういう問題も指摘をされていたわけでございます。 今回、法改正によりまして六十歳定年を立法化する、それを基盤として六十五歳程度までの雇用の確保ということをいろいろな形で進めていく、そういうための法的整備を図ろうといたしておるわけでございます。従来の雇用率制度を今のような形で転換をさせましても、決して高齢者対策が後退するとかいうような性格のものではなくて、むしろその考だ方を生かしながら誘導方向へ持ってまいりたい、こういうことにいたしておるところでございます。
○永井委員 むしろ高齢者の雇用を確保するために、拡大していくために誘導していきたい、こういうのでありますが、この雇用率というものが廃止をされてしまって、どうやって実際行政指導したり誘導したりすることができるのだろうか、私は小首をかしげざるを得ないのですね。むしろ、仮に今回の六十歳の定年制の法律案ができたとしても、努力義務でありますから、企業によっては本人の希望による退職だからやむを得ない。もちろん現在でもそうであります。三十歳でも二十歳でも、もちろん本人が希望すればいつでも退職できるのですが、その本人の希望による退職ということで、いわゆる選択定年制になっていく可能性も片方で残されているわけであります。 そして、片方で雇用率の六%ということが今度は撤廃をされてしまうということになりますと、この法律が有効に機能しないのではないかというふうに危惧するわけです。だから、あえてこのことを執拗にお聞きしているのでありますが、そういう危惧を果たして認識としてお持ちか、あるいはもしお持ちになっているとすると、その危惧を解消するために労働省としては目的意識的に指導するということなのか、その辺のところをもう一回お答えいただけますか。
○清水(傳)政府委員 今までの調査によりますと、定年制を定めている企業のうち、先生御指摘の選択定年制を設けている企業の割合は、これは五十七年一月時点でございますけれども、四・一%という状況でございます。 この選択定年制をどのように評価をするかということであろうかと思うわけでございますが、これが労使合意の上で適正に行われるものでございますならば、高年齢者と申しますか勤労者の全体としての人生設計、そうしたもののあり方、そうしたことの選択の範囲を広げて、人によりましては高年齢者の能力活用に役立っていく、こうした面も持っているものであろうかと思うわけでございまして、そういった意味合いにおきまして選択定年制というもの、それがあくまで選択であり任意に基づいて行われるものであるならば、これはやはり一定の評価もされてしかるべきものであろうかと思います。したがいまして、選択定年制の乱用を防止する、こういうような見地から雇用率制度と結びつけて考えるということは必ずしも適当ではないのではなかろうかと思うわけでございます。 いずれにいたしましても、私どもといたしまして、二十一世紀を迎えて五十五歳以上の労働力人口に占める比率が四分の一になる、こうした重圧に対処をしていくために、ともかく六十五歳程度までの雇用の場の維持確保ということをこの六十歳定年を基盤としつつさまざまな総合的な形で進めてまいりたい、このように思っておるわけでございまして、もちろん、一定の企業を退職後新しい分野においてその能力を活用していく道ということもまた進めていかなければならない事柄でございますので、総合的な形で進めてまいるべきであろう、このように思っております。
○永井委員 可能量大限、今私が申し上げましたように、そういう選択制が仮に労使間でしかれたとしても、そのことが後々法制化されたものが骨抜きの状態になってしまわないように特段の配慮をして行政指導を強めてもらいたいということを特に御要望申し上げておきたい。 その次に、六十歳代の前半の人たちに対する対策であります。 御承知のように、国民年金は六十五歳から支給される、厚生年金も国民年金との関連において給付開始年齢が実態的に引き上げられていこうとしている。法律改正はされておりますけれども、一応現状は六十歳ですね。しかし、これは六十五歳にしていこうということでありますから、六十歳の定年制がしかれたとしても、六十五歳の年金が完全に受給できる状態になるまでの間というものはやはり年齢的に乖離があるわけですね。そう考えていくと、今までの五十五歳から六十歳といっておった関係の年齢層の就職に対する状況というものは六十歳代の前半に移動していくわけですね。 そう考えますと、話がもとへ戻って恐縮でございますけれども、この定年制の法制化というのは、むしろ六十歳の定年制というものは強制力を持たせて、そして六十五歳までは努力義務というのが本来のあるべき姿ではないかと私は思うのです。これは私どもの年来の主張でありますが、これについて局長、お答えいただきましょうか。
○白井政府委員 お答えいたします。 従来六十歳定年の推進に重点を置いてきたことは確かでございまして、今先生御指摘のように、今後高齢化の波が六十歳代前半層に移行するというふうに見込まれている中で、今後の高齢者対策の重点もこの六十歳代前半層の継続雇用の推進に向けていく必要があると思います。 しかし、この定年の問題につきましては、先ほどから申し上げておりますように、六十歳定年ということにつきまして今やっと社会的なコンセンサスを得て、今回、努力義務として定年の場合は六十歳に引き上げるということをやらせていただいたわけでございますが、さらに六十歳を超えてまいりますと個人的にいろいろと差があるわけでございまして、健康の面におきましても体力その他、個人的な就労の意欲その他につきましてもかなり差が出てまいります。 したがって、雇用に対する意欲のある、また体力的に健康な人につきましては、企業におきます六十五歳程度までの雇用の場の確保が重要なわけでございます。これを一律に定年延長で進めていくのがいいのか、現段階におきましては再雇用、勤務延長、それから高齢者会社の設立等の多様な形態でこの年齢層の就業ニーズに応じた雇用の場の確保を図っていくというのがより現実的なのではないかというふうに我々としては考えた次第でございます。
○永井委員 ちょっと資料が古くなって恐縮なんですけれども、労働省の高年齢者就業等実態調査報告というのが一九八一年版で出ています。一番新しいのがあるのかどうかちょっと確かめてないのですが、これでいきますと、高齢労働者の就労理由というのは、例えば自分と家族の生活を維持するためにぜひとも必要だということを考えて、そういう実態から就労している人は六十歳から六十四歳までは七六・四%にも上っているのです。これは数字的には今も余り変わっていないと思うのですが、こういう実態だからこそ六十歳の前半層に対する対応も極めて大事だと私は思うのです。これは数字上の問題でありますから、もちろん一番最近の数字がどのように変化しているかわかりませんけれども、傾向的には変わってないと私は思うのです。 そういうことを踏まえて高年齢者雇用開発協会ということについて労働省としてはこれを積極的に活用していきたいというふうに言われているわけでありますが、この協会の運営そのものにもこの問題は一つの大きな問題として関連があると思うのです。したがって、この高年齢者雇用開発協会の運営については労働組合の意見も反映できるようにすべきではないか、そのことによってより具体的に、より実態的に対応できると思うのですが、これについてどうでございましょう。
○白井政府委員 お答えいたします。 先生先ほどおっしゃいました数字は五十六年とおっしゃいましたが、五十八年の数字もございますが、実態はそう変わっておりません。就業されている高齢者の方はやはり経済上の理由とされる方が非常に多数を占めているというのが現状でございます。 今、その次に御指摘の高年齢者雇用開発協会でございますが、高年齢者の雇用機会を確保していく上で、先ほどから申し上げておりますように六十歳定年を基盤としながら六十五歳程度まで、今数字でも御指摘がございましたように、継続雇用の促進を図っていくことが重要な政策課題だというふうに考えております。そして企業が六十歳を超えて継続雇用の実施やその地先ほど申し上げましたようにいろいろな雇用を行っていくという場合には、これもいろいろ問題になっておりますが、賃金・退職金制度や人事管理制度の見直し、それから施設や設備の改善等いろいろな問題が必要となり、今後これらにつきまして相談援助体制を拡充していくことが重要であるというふうに考えております。 今回の法律でもそういうことを整備いたしているわけでございますが、このような場合の条件整備その他につきましては企業経営や労使関係に直接かかわる問題であったり、また高度な専門技術性が要求される問題であることが多いわけでございまして、これら事業主に対する相談援助を国が直接行う場合も必要でございましょうが、それよりもむしろ従来から企業における高年齢者雇用問題について自主的に取り組んでおりますこの協会を中核として活動していただくというのがいいのではないかということでこの高年齢者雇用開発協会に専門的に弾力的にきめ細かな対応をさせていこうというふうに考えている次第でございます。 今、先生御指摘のこの協会の運営につきましてはそういうことでお願いするわけでございますが、いろいろな仕事も今回お願いするので、法律的にも明確にいたしまして、そしていろんな監督指導ができるようにいたしているわけでございます。さらに、いろいろな関係者の御意見を反映させるという点につきましては、この高年齢者雇用開発協会の活動状況を労使が入っております中央職業安定審議会において報告してまいりたい、そういうふうに考えている次第でございます。
○永井委員 時間がなくなりましたので、端的にあと残った問題を幾つか御質問しますので、端的にお答えいただきたいと思うのです。 一つは、シルバー人材センターの関係でありますが、これは六十歳以上の人は非常に頼りにしているのですね。しかし、シルバー人材センターをより有効ならしめるために、一つは設置基準を緩和すべきではないのか。原則は現在人口十万人以上になっているわけであります。そして就業機会の確保に対する援助の充実ということが問題になってくるのでありますが、しかし、本来はこの就職あっせんというのは公共職業安定所が第一義的に行うべきであって、このシルバー人材センターをより活用することが片方で職安の機能を低下させることがあってはいかぬと思うのであります。ですから、その辺のところは十分配慮して、このシルバー人材センターの設置基準の緩和を初めとしてより有効に活用できるようにしてもらいたいことがまず一つ。 もう一つは、シルバー人材センターに働く人々にも労災保険を適用すべきだと考えるのですが、これは何とかならないものだろうかということを二つ目にお聞きをいたします。 まだたくさんあるのですが、時間の関係で、もう質問時間がなくなってしまいました。三つ目の問題は、これは既に昨年、年金の法改正がなされているわけでありますが、最初に私もちょっと触れましたように、本則においては六十五歳の支給開始が示されて、附則において当分の間六十歳支給ということになっているわけであります。しかし、この高齢化社会を迎えて、定年制も六十歳ということでたとえ努力義務であってもそういう法制化ができるということになりますが、だから六十五歳でいいのだということになっていかない。年齢の乖離というものがあってはならないと思います。したがって、本来定年と年金受給開始年齢とは当然一致されなくてはいけないと思うのでありますが、どうでございましょうか。この三つを端的にお答えいただけますか。
○白井政府委員 シルバー人材センターも、今回、先生の御指摘のように基準を緩和いたして拡充してまいりたいというように第一点については考えております。 それから第二点につきましては、シルバー人材センター、これも御存じのとおり本来は臨時、短期的な就業の場を求める高齢者対策でございまして、本来雇用を目指しているわけではないわけでございますので、その点では安定所とこのシルバー人材センターの役割分担は明確に区分してまいりたいというふうに考えているわけでございます。 第三点の労災保険につきましては、これは今申し上げましたようなことでございますので、本来労災保険の適用が理論的にも行われないということになるわけでございますが、一部雇用関係等にある者につきましては労災保険の適用がなされることになるというふうに考えている次第でございます。 第四点につきましては、政務次官の方からお答えをいたします。
○松尾(官)政府委員 お答えさせていただきます。 雇用と年金の関係につきましては、基本的に両者が相まって将来高齢者の生活の不安を招くことがないようにすることが何より大切であると考えるわけでありまして、雇用政策と年金政策の有機的な連携を図ることが必要であると考えるわけであります。このため従来から雇用政策と年金政策の関係につきましては厚生省と協議してきているところでありまして、今後ともこの問題の重要性にかんがみまして両省の連携を密にしてまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、今後の本格的な高齢者社会の到来に的確に対応していくためには、雇用審議会の答申にもあるように、当面六十五歳程度までは雇用就業の場の確保を図っていくことが必要であると考えておりまして、今回の法案に基づきましてそのための施策の充実強化に一層努めてまいる所存でございます。
○永井委員 時間が来ましたからおきますか、ひとつせっかく法制化するわけでありますから、今申し上げましたように、私こだわって恐縮でありますけれども、努力義務というのは私はどうもいただけないと思うのであります。たとえそれが努力義務であっても、それが実際に実効あらしめるように、労働省、機能を挙げてひとつ対応してもらいたい。 そしてその六十歳定年制が、一番危惧することでありますが、むしろ高齢労働者の労働条件の低下のための道具に使われてはならぬわけでありますから、その辺のところは特段の配慮をしていただくことを特にお願い申し上げまして、準備した質問が全部できませんでしたが、やむを得ませんので、これで終わりたいと思います。
○山崎委員長 河野正君。
○河野(正)委員 今回、審議をいたします法律案は、中高年齢者の雇用の促進に関するものということであります。もちろん、我が国の人口の高齢化が急ピッチで進んでまいっておるわけですから、そういう情勢に対応する施策を早急に行うことはこれは当然の理だろうと思います。特に今も御質問があっておりましたが、二十一世紀初頭におきましては労働人口の四人に一人を五十五歳以上の高齢者が占める、そういう状況があるわけでございます。 でございますから、問題のかぎというものが、今後この法律案によって解決されるということが非常に望ましいと思うわけでございますが、それらの点については基本的にはまず労働大臣にお尋ねをして、その後進行していきたい、こう思っておりましたが、労働大臣、今退席でございますから、私は、この際本論に入るに当たりまして雇用に関する政策、そういうものにまつわります一、二の点だけを先に御質問して、午後まとめて法案に対しまする質疑を行ってまいりたいと思っております。 そこで、本法の改正は中高年齢者に対する改正でございますが、しかし、何といっても今雇用状況というものが一般的に非常に厳しいという状況でございます。でございますから、中高年齢者の雇用関係というものはさらに厳しい、だから、それに対応する対策というものを早急に立てなければならぬ。と同時に、やはり一般の雇用というものが厳しいわけですから、したがって、そういうもろもろの厳しい情勢に対応する諸政策というものがそれぞれ展開されなければならぬ、これはもう当然のことだ。 そこで、時間がございませんから多く申し上げることはできませんが、具体的に一、二を申し上げます。 一つは、何といっても今社会で大きな関心を寄せられておりまするのが国鉄の改革の問題でございます。これが雇用問題に対しまして非常に大きな問題を提起をいたしておるわけでございますが、この国鉄が発行いたしておりまするこのパンフレットによりましても、今度の改革によって約九万三千人の余剰人員が発生する、そのうち約三万二千人は新事業体へ所属させる。六十五年度までに鉄道外へ転出することになる六万一千人、これの再職というものが非常に大きな問題だ、こういうふうに、これは国鉄のパンフレットに書いてあります。 そこで、私がここで一つ取り上げてみたいと思いますのは、一月十四日、三塚運輸大臣は国鉄に赴きまして杉浦総裁以下に異例の訓示を行った。その異例の訓示の中で、鉄道事業の再生には分割・民営化以外に道はない、考えるだけではなく着実にこまを進めなければならない。そこで経営方針として三塚運輸大臣がそういう方針を示されたことは別として、それは鉄道事業の再生のためにそうであるとしても、実際国鉄が発行いたしておりまするパンフレットを見ましても九万三千人の余剰人員を生ずる。それならその九万三千人の余剰人員に対してはどういう方針で臨むのか、こういう問題を含めての訓示ですね、これはマスコミによりましてもこういうことは異例の訓示だと言われている。異例の訓示であるとするならば、こういう余剰人員に対しても我々はこう考えておる、だから御協力願いたい、こういう温かい血の通った訓示というものが当然異例の訓示として行われるべきじゃないか。 ところが、残念ながらこの職員問題については全然触れられていない。これについてまず国鉄から、御出席だと思いますから御見解を承りたい。——これはまず運輸省。
○高橋説明員 お答え申し上げます。 国鉄の余剰人員対策につきましては、国鉄改革における最重要の課題というふうに考えておるわけでございますが、去る一月十四日国鉄において行われました運輸大臣の訓示の中におきましても、このような認識のもとに雇用の場の確保について運輸大臣に与えられた最大の仕事である、これに一生懸命取り組む、そういう旨訓示をしているところでございます。 国鉄改革に伴って生じます九万三千人の余剰人員のうち、旅客鉄道会社が引き受けることになります三万二千人を除いた六万一千人の余剰人員につきましては、政府としては昨年十二月の閣議決定に基づきまして国鉄自身の最大限の努力を前提としまして強力な支援措置を講ずるということにしているところでございます。雇用の場の確保につきましては、まず当事者でございます国鉄自身が関連企業におきまして二万一千人の雇用の場の確保を行ったほか、公的部門につきましては、昨年十二月の閣議決定の際に、官房長官の談話といたしまして、政府として国等の公的部門におきます採用目標数は三万人とし、その達成に政府全体が一丸となって全力を挙げて取り組む所存であるというふうな談話を発表しております。 また、民間部門におきましても一万人以上の雇用の場の確保を行うということにいたしておりまして、これらにつきましては総理みずから去る二月二十四日には経済団体の方々に、去る三月十七日には地方公共団体の代表者の方々に協力要請を行っております。 また、国鉄改革に先立ちます昭和六十一年度におきまして、希望退職促進のための特別給付金を支給するための措置を定めました法律案を既に二月十二日に国会に提出いたしておりますし、さらに三月三日には、国鉄改革法案とあわせまして国鉄改革に伴って生じます余剰人員の再就職の機会の確保と援助などの特別措置を定めました法律案を国会に提出したところでございます。運輸省といたしましてはこれらの法律案を一日も早く御承認いただきまして、国鉄職員を路頭に迷わすことのないよう余剰人員対策に万全を期して全力を挙げて取り組むという所存でおるところでございます。
○河野(正)委員 非常に貴重な時間ですから、そういう経過報告だけしてもらっては困るんだ。やはり今おっしゃいますように九万人からの余剰人員が出てくるわけでございますから、今日の雇用不安というものが非常に厳しい中でそういう莫大な余剰人員が出てくるわけですから、それに対する温かい血の通った方針というものがまず運輸大臣から示されるべきじゃないか。あなたは今経過報告をなさいました。ですけれども、私どもは経過報告を聞いているんじゃない、これはちゃんとここに書いてあるのです。聞く必要はないのです。 だから、私どもが言っているのは、そういう方針というものをやはり自分たちの問題として温かい気持ちで推進してもらわなければ困る、こう言っているわけですね。しかも先ほどの国鉄における運輸大臣の異例の訓示、その中で運輸省としては最も重要な課題としてやっておる——最も重要な課題としておるなら当然第一に雇用問題についてはこういたしますよということが述べられてしかるべきなんです。そこで私は異例の訓示の中の意義というものが出てくると思うのです。私どもはそういう誠意の問題を言っているんです。今日まで地方公共団体とかあるいは民間にも受け入れに対する要請をなさった。しかし、受け入れる方も何年間で何人ですよ、すぐ受け入れますじゃないですよ。 でございますから、あなたの方の今の経過報告は経過報告としてございましょうけれども、それを推進するに当たってはやはり——余剰人員に当たる人は大変なんです、後で若干述べますけれども。今のような経過報告、事務局の報告、そういうことではやはり納得できないですよ。当事者にとっては深刻な問題ですね。だからもっと異例の訓示なら異例の訓示らしくとにかく職員の皆さん方安心しなさい、こういうような訓示が私は本来の異例の訓示だと思うのであります。今申されたことが異例の訓示だとするならば、それは事務局の経過報告でしょう。これは全部ここに書いてありますよ。そういうことでは、我々は納得できないんです。ですから、もう大臣おられませんからいたし方ございませんけれども、あなたの方から篤と大臣にひとつお伝えをいただきたい、そういうように思います。その点どうですか。
○高橋説明員 先生御指摘のとおり、大臣が国鉄に赴いて国鉄改革に関する大臣の所感を述べられた、その中でいろいろと分割問題も触れる中で余剰人員については最大の問題である、運輸大臣としての最大の仕事であるということをお述べになりまして、それに取り組む決意を述べられているところでございます。したがって、運輸省あるいは政府といたしましても、この問題については温かい気持ちで一生懸命になって努力するというようなことでやってまいりたいと考えております。
○河野(正)委員 あなたの報告は経過報告ですから、それじゃ納得できないわけですよ。だから大臣にその旨を伝えなさい。あなたがやるんじゃないですよ。大臣に対してそういう声のあることを十分伝えなさい、こう言っているわけですから、伝えますなら伝えますと、こう言わなければ。
○高橋説明員 先生御指摘の点、その旨大臣にお伝えいたします。
○河野(正)委員 時間がございませんので、この国鉄問題についてはいろんな委員会その他で議論されておりますから、新しいところ一点だけきょう提起をいたしたいと思っております。 それは、今現場で非常にショックを受けておられますのは、いわゆる広域異動の問題ですね。特に九州でも九百人ということで、それは組合は組合でこれに対するそれぞれの立場があるようですね。でございますけれども、私どもはそこを問うのではない。私どもが言っているのは、果たしてこの広域異動に基づいて今深刻な状態ということが現場に出ておる。ですから、時間がございませんからここで端的に申し上げますが、その際、実施方法として幾つかの具体的な条件が出ておるようです。 それを申し上げますというと、異動先の地区を将来とも生活の場として希望する者、これはもう今九州で国鉄に骨を埋めたいと思った人がその次の希望する地区はそこで有終の美を飾りたいという気持ちがあることは当然ですから、ですからこういう条件を改めて提示する必要はないので、そこで私ども問題にしておりますのは、勤務成績が勘案される。それから異動先で教育訓練するのは、これは職種が違ったりしましょうから、あるいはそのとおりかもわかりません。それから将来の配属希望に可能な限り優先的に配慮する、こういうことが条件として出されておるわけです。 そこで、一つは、希望したら必ずそちらに行けるのかどうか。と申し上げますのは、この希望する人は非常に深刻な状況があるわけですね。例えば住宅を持っている人はその住宅を始末して行かなければならない。それから子供たちの教育の問題。あるいは家族で奥さんがパートに行っておるとか子供が既に就職しておるとか、そういう家族とも一体どうなるのか。いろいろ家庭なりの事情がある。ですから、私ども承ってまいりますと、できるなら行きたくない、しかしやむを得ぬだろう、こういう二つの意見があるわけです。 そこで、私どもはここで指摘をいたしておきたいと思うのは、労働条件その他があるから国労の方ではちょっと待てというようなこと。それから勤労その他は一応やむを得ぬだろうという意見がある。その辺についてはそれぞれの立場ございますからそれぞれの立場にお任せをするとしても、やはり広域異動に従おうとする場合には、今申し上げますように個人的にも非常に複雑な問題がある。それからもう一つは、やっぱり年齢的な不安があるようです。特に四十前後。こういう方々は、もう四十前後ですから、今から広域異動に従ってどうだろうか、また向こうで採用してくれるだろうかというようないろいろな不安があるようです。 ですから、私どもがここで指摘したいと思いますのは、広域異動をしなければ再建ができぬというのは当局の方針でしょう。でしょうけれども、今度は実際それに従う場合の労働者の立場からいうといろんな複雑な、深刻な事情というものが取り巻いておるわけですね。だから、それらの点についてもこの際きちっと誠意を示していただかなければ、これはやっぱり立場はそれぞれあるとしても、いずれにいたしましても非常に深刻な問題ですから、そういう問題に対しまする当局側の御見解をひとつ承っておかなければいかぬと思っておりますが、これは国鉄の方でしょうね、答弁は。
○葛西説明員 お答えいたします。 先生御指摘のとおり、北海道あるいは九州から東京、大阪、名古屋というところに出てくるという職員は、いろいろな意味で大変複雑な心境あるいは問題を乗り越えて決意をしてまいるわけでございます。そこで我々の方としましては、そういう職員に対して宿舎の問題あるいは教育の問題、その他もろもろの問題について十分相談に乗ってあげられるよう体制を整えておるところでございます。また、非常に遠隔の地からなれないところに家族を連れてまいるということでございますので、我が方といたしましては、そういう職員がきちっと仕事につけるように、本務に入れてきちっとした仕事をさせるという体制をとっておりますし、また、なれないところへ出てくるわけでございますので、本人の配属等についての希望につきましては優先的に可能な限り配慮をしていくということを明らかにして募集を行っておるところでございます。
○河野(正)委員 一つ、私はきょう非常に不満なのは、別に葛西さんに対していちゃもんをつけるわけじゃございませんけれども、職員がそれほど深刻な気持ちを抱いておるにかかわらず、ここでは次長が来て、誠意を示すということには相ならぬと思う。私も長年やってまいりましたけれども、大体こういう問題で国鉄が出てくる場合、常務理事が出ておいでになりますよ。昔私どもがやった当時は、総裁か副総裁が出てきてお答えになっていましたよ。きょうは飛車角落としでしょう。これほど深刻な問題に対して、まああなたが次長だからどうだとかいうわけじゃないけれども、私どもの見解としては、やっぱりこういう深刻な問題については、私は正直に言って昔の社労委では総裁が出てきましたよ。副総裁が出てきました。きようはあなた、次長でしょう。飛車角落としておるでしょう。それで誠意があるのかどうか、私は誠意をまず疑います。 それから、いろいろ希望に応ずると言っておられるが、今度説明の中でも勤務評定とか、そういう問題があるわけでしょう。ですから、希望したけれどもおまえは成績が悪い、おまえは何じゃ。その中身は私は言いません。言いませんが、そういう状況もこれあるでしょう。ですから、そういういろんな苦悩と不安というものが現場の職員には今渦巻いておるわけですから。だから、やるならやるで、やっぱりそういうところに対してはあなた方がとにかく温情ある方針というものを、態度というものを示してもらわなければ困る。そうしないと、この苦悩と不安というものは除去できませんよ。そういう意味で私は正直に言って、あなたには申しわけないけれども、この私どもの苦悩と不安に対してお答えいただくことが、きょうは次長が出てきてお答えになった、この誠意というものについては私は疑わざるを得ない。 私も長年の経験ございますけれども、大体国鉄は総裁、副総裁あるいは常務理事がおいでになってお答えになっている。今度の国会だってそうでしょう。国鉄問題については大体常務理事が出てお答えになっている。何で社労だけは次長が出てこぬならぬのですか、あなたに申しわけないけれども。そういう国鉄の姿勢に対して私は非常に不満がある、あなたに対する不満よりも。そういう国鉄の姿勢に対して不満がある。そういう広域異動に基づいて今何千人かの方が不安におののいておるわけでしょう。そういう場合にあなた方が誠意を持ってここで答えるということが極めて私は重要な役割を持っていると思う。 今、各委員会ではほとんど常務理事が来てお答えになっていますよ。何でこの社労だけでは次長が出てこなければならぬのか、申しわけないけれども、あなた、このごろ課長から次長になられたばかりでしょう。まあそれは国鉄ですから説明員には間違いないけれども、私が言っておるのは、国鉄が方針どおりに実行していこうと思うならば、できるだけ国民に対しても従業員に対しても誠意を示していく、これがなければこういう問題はスムーズにいかないですよ。残念でございますけれどもね。きょうはあなた個人に責任があるわけじゃないけれども、あなたをこの委員会へ出席させたそういう国鉄の姿勢に私は問題があると思います。でございますから、きょうあなたお帰りになったら、はっきり総裁に対して、そういう忠告を受けましたよ、こういうふうに伝達していただきたい。できますか。
○葛西説明員 帰って復命いたしたいと思います。
○河野(正)委員 もう一度。ちょっと今……。
○葛西説明員 先生のおっしゃった旨、帰って復命いたします。
○河野(正)委員 これはうちの方の村山理事からも後で要求があろうと思いますが、私どもは、今申し上げますように、当然こういう深刻な問題については国鉄のしかるべき幹部の方が出てその誠意をお示しいただける、こう思っていたわけです。あなたが出てこられることは夢にも考えなかった。ですから、お伝えじゃなくて、少なくとも——ある意味においては社労委員会を軽視したということになりますよ。ですからお伝えだけではなくて、今後はこういう諸問題については国鉄は誠心誠意、委員会で対応する、このことを約束してください。
○山崎委員長 河野委員、その問題は理事会で語らしていただきたいと思います。説明員からちょっと答弁しにくい問題だと思いますので、理事会で語らしていただきます。 河野正君。
○河野(正)委員 よその委員会では常務理事がおいでになっているわけですから、社労委員会がある意味では軽視されたということになると思うのです。私個人の問題ではない。ですから、後で理事会で、今委員長御指摘のとおりにお話し合いがあるそうですから、委員会としての勧告なり忠告なりがあろうと思います。 そこで、もう時間がございませんから、続いて福岡銀行のデータ事件、これをなぜ私が取り上げたかといいますと、御承知のように労働者派遣法案というものが出てまいって、新しい制度として労働者が派遣企業から他の企業に派遣される、こういう制度になったばかりですね。そして今度、私が指摘いたしましたように、いわゆる福岡銀行のデータ事件が起こりました。もう時間がございませんからひっくるめて申し上げますから、警察庁の方でお答えをいただきたい。それでその後、労働省からこの派遣事業に対する今後の指導といいますか、そういうものについてお答えいただきたい。 この福岡銀行におけるデータ事件、派遣会社から派遣されましたプログラマーが、預金者七人からにせ通帳をつくってそうして千二百万円を盗み取った、こういうことです。 そこで、金でしたからこれは判明したと思いますよ、預金通帳から金がなくなっているのですから。ですけれども、例えば企業秘密とかそういう資料については、今、プログラマーが抜き取りましてもわからぬ。コピーするだけだからわからぬ。そういういろいろな問題がある。 それと、私が言いたいのは、労働者派遣法案が成立をして、そして労働省の認可を受けなければならぬ。そうしてその後でいろいろな人間を集めて、それで認可を受けて派遣をする、そういうところからやはり今度の問題が出てきたのではなかろうか。 この派遣法はもう既に成立をしておるわけですが、今後コンピューターの管理化が急速に進んでいく。そういう意味で今度の福岡銀行における盗み事件というものは一つの警鐘を与えたと思うのです。ですから、この点は今後労働省としても十二分な指導を加え、また認可する場合も十分な審査をしてそういう誤りのないように——今度は金の問題だからよかった、わかりました。企業秘密というものは抜き取ってもわからぬですよ。ですから、この点、そういうことが起こらないようにという対応ができたかというとできぬという話もありますけれども、このコンピューター管理化というものが急速に進むという情勢でございますから、午前中、警察庁の方からも見解を聞くということでございますから、警察庁お答えいただいて、その後、労働省から所見を述べていただきたいと思います。
○上野説明員 お答えいたします。 ただいま先生御指摘のございましたように、コンピューター犯罪は一たん発生いたしますと社会に重大な影響を与える、また取り返しのつかない損害を与えることが多いわけでございまして、このため警察庁といたしましては、コンピューター犯罪につきましては事後に被疑者を検挙するのみならず、そのような事態の発生を防ぐ対策を重点的に進める必要があるというふうに考えるところでございます。 こういう観点から、まず事業者が講ずべき安全対策の目安といたしまして、中間報告という形ではございますが、先般、情報システム安全対策指針というものを公表しているわけでございます。こういうことによって諸般の施策を進めてきているところでございます。 この指針の内容につきまして若干触れてみますと、情報システムの安全対策というものは、何といいましても第一義的には民間事業者を主体として進めていかなければならないということでございます。また、今後におけるセキュリティーの方向といたしましては、それぞれの企業において内部統制の強化、あるいは異常事態発生時の対策の策定、セキュリティー関係の教育訓練の実施あるいは監査体制の充実等の対策を講ずべきであるということを提言しているわけでございます。 なおまた、今般の事件のようにコンピューターの操作に携わる者が問題でございますので、そういう人たちのモラリティーの向上を図る、あるいはコンピューターに関する国民のモラリティー向上のための教育の実現を図るべきである、こういうことを提言して、各省庁とも連携を図りながら対策を進めているところでございます。 なお、具体的な事件が発生いたしました場合には、過去におきましても、背任罪であるとか窃盗罪あるいは詐欺罪等を適用して検挙に努めているところでございまして、今後ますますこの種の問題が重要になることが考えられますので、今後ともそういう観点から積極的に取り組んでいきたいと考えております。
○白井政府委員 労働省の方からお答えいたします。 労働者派遣法は、先生御存じのとおり前国会で通過させていただいたわけでございますが、施行は七月一日からということになっております。 今回のような事件は、この派遣の問題が野放しになっているというようなことをとらえて、むしろ労働者派遣事業が適正に運営され、また派遣労働者の就業条件が整備されるよう、派遣元や派遣先について種々の規制措置を設けているのがこの法律でございますが、せっかくの法律の運営に当たりましては、この法律が的確に運営されて、この派遣事業における労働者の資質の向上はもちろん、派遣事業自体が適正に運営されるように指導を進めてまいりたいと考えております。
○山崎委員長 この際、暫時休憩いたします。 午前十一時三十八分休憩 ————◇————— 午後二時二十四分開議
○山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 両案について質疑を続行いたします。河野正君。
○河野(正)委員 午前中の冒頭に、法案審議ですから当然労働大臣の基本姿勢をお尋ねをして質疑に入りたい、こういうふうにも考えておったわけですが、残念ながら御出席なかったものですから、これから本格的に入らなければならぬが、時間が非常に制約をされます。ですから、極めて簡単に一つ一つお尋ねしたいと思いますが、やっぱり何といっても、まず今回の法律改正に臨む大臣の姿勢については当然お答えを願っておかなければなりません。 特に二十一世紀の初めには労働力人口の四人に一人は五十五歳以上が担当する、こういうことに相なるわけです。したがって、今後一般的な雇用情勢も非常に厳しいわけですが、とりわけ今申し上げますように五十五歳以上の高齢者が二十一世紀においては四人に一人、こういう状況ですから、高齢者に対しまする労働市場の状況というものは一般よりももっともっと厳しいということであろうと思います。 そこで、そういう基本的な情勢を踏まえて、大臣が今回の法案を提出されたそういう基本姿勢についてまずお尋ねをしてまいりたい、かように思います。
○林国務大臣 本格的な高齢者社会の到来を迎えまして、活力ある社会を維持していく上で、高齢者の雇用就業の場の確保が早急に対処していかなければならない極めて重要な国民的課題であろうかと思っております。このため、従来より六十歳定年の一般化の早期実現を中心といたしまして高齢者の雇用就業対策に努めてまいってきたところでございます。今後高齢化の波が六十歳代の前半層に移っていくなど、高齢者についての雇用就業対策はますます重要となってくるわけでございますので、今回、中長期的観点に立ちまして抜本的な対策を見直したいということでこの法律案を提出をしたような次第でございます。 今回の法案につきましては、六十五歳程度までの雇用就業の場の確保を図ることを基本といたしまして、具体的には六十歳の定年を基盤として六十五歳程度までの企業における継続的雇用の推進、再就職を希望する高齢者のための早期再就職の促進、そして定年退職後等におきましても臨時あるいはまた短期的な就業の場の確保、こういった点に重点を置きまして施策の充実強化を図っているところでございますが、今後、今回のこの法案をもとにいたしまして、高齢者のための総合的な雇用就業対策を強力に推進してまいりたい、このように思っているような次第でございます。
○河野(正)委員 言葉の上では非常にきれいごとが言えるわけですけれども、しかし実態というものはかなり厳しいですね。 そこで、この法案一つ一つに入る前に、一つ二つ私どもの所見を述べておきたいと思いますが、その一つは、今回は六十歳ですね、そこに向けて行政指導の中で努力をするということでございますが、最近経済企画庁から「長寿社会へ向けての生活選択 国民生活選好度調査」こういうものが発表されたわけですが、その中で一、二の問題点の指摘がございます。それは今回六十歳定年ということでございますが、今申し上げました「国民生活選好度調査」経済企画庁の調査によりますれば、五十歳から六十四歳の、まあ中年後期、こういう方々に対する調査に対して、これは意識調査ですが、六十歳代後半でも働きたいということをお答えになったのが五九・八%。 そこで、それならば実態は一体どうなっているかというように考えてまいりますと、現実の有職率は六十五歳から六十九歳で五五・八%、希望よりも下回っていますね。これは言葉の上ではそうですけれども、実態は非常にアンバランスがあるわけです。例えば若い者のように八時間働こうというのではなくて適当に働きたいということで仕事についておるということですから、一般の有職率とは中身が非常に違うわけです。パーセンテージで言えば五五・八%の有職率があるけれども、一般の有職率と内容が違うという状況がございます。 それからもう一つは、時間がありませんからはしょって言いますが、厚生省がまとめた国民生活実態調査の中では、高齢者世帯の就業率は三〇%を割って二九%台ですね。先ほど申し上げましたように、経済企画庁の調査によれば、これは有職率といいましても六十五から六十九までが五五・八%ですけれども、厚生省の調査では実際に高齢者の有職率は三〇%を割っているということですから、なかなか数字は当てにならぬが、非常に厳しいということは判断できると思うわけです。 それからいま一つは、高齢者が年金、恩給に——年金というのは午前中の質疑の中でも出ておりましたからくどくど申しませんが、後ほどちょっと触れますけれども、そういうように年金、恩給に頼るといいますか依存する世帯が四一・九%、約四二%ですが、そしてこの数字がどんどんふえていく。ということは、なかなかまともに仕事がない、ないから年金や恩給だけに頼っている。しかも、その数字がだんだんふえていくということは、就業がますます厳しくなってきているというふうに申し上げても過言ではないと思うのです。 そういう状況を踏まえて、要するに今度は六十歳定年ですから、その上の方がそういう状態ですから、それについてはなぜ六十五歳まで目標を立てないかという質疑も午前中あったようでございますが、それはさておいて、状況がだんだん厳しくなるということになれば、そういう状況も踏まえながら六十歳定年というものが考えられておらぬと、結局六十歳を超して大変な苦境に陥っていくという問題になる。そういう現況を踏まえて大臣は先ほどお答えになりましたような答弁を行われたのかどうか、それに対する御見解を承りたいと思います。
○白井政府委員 お答えいたします。 今、先生いろいろ御指摘なさいましたように、確かに高年齢者と申しましてもその年齢の層によりましていろいろあるわけでございまして、実態といたしましては、六十歳程度までは一般壮年と変わらない働きができると一般的に見れるわけでございますけれども、六十歳を過ぎてまいりますと、生活状態、それから体力、意欲の問題その他、それぞれ非常に多様化してまいります。また、六十五歳以上につきましても、それがさらに多様化してまいると思っているわけでございます。 いろいろな数字をとらえられましての御説明でございますが、確かにこれも先生のおっしゃるとおり、その数字のとり方によっていろいろあると思います。例えば厚生省の国民生活実態調査では、男六十五歳以上、女六十歳以上の者のみで構成するか、またはこれらに十八歳未満の者が加わった世帯について調査したものでございまして、そういう層におきましては、年金に頼る割合が確かに高くなっているということがあろうかと思います。 労働省といたしましては、今回の法案におきましては、先ほど大臣が詳しく御説明申し上げましたように、それらを三段階に分けまして、まず六十歳定年の一般化、それから六十歳を超えて六十歳代前半層に対する雇用継続を含めた雇用の場の確保、それから引退過程にある人々に対するシルバー人材センターを核とした臨時的な就労の確保等を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、高年齢者の中でもさらに常用雇用を望む者につきましては、公共職業安定所等においてその機会の提供に努めていかなければならないと考えておる次第でございます。そういうような全体を含めまして、それで個々に現実に対応しました施策を総合的に実施してまいりたいというのが今回の法律の考え方でございます。
○河野(正)委員 今次の法改正の考え方はそのとおりでしょう。ですけれども、先ほど来申し上げますように、六十歳以降の情勢は非常に厳しくなるわけですから、その辺を踏まえて例えば六十歳定年制の実施に向けて努力してもらわぬと、それは後ほど触れますけれども、この中身がいろいろあるわけですが、再就職あるいは嘱託制とかいろいろな形で職場は保障しておるけれども中身が非常に違う、そういうようないろいろな問題があるわけですが、午前中言われておったのは、その辺をきちっとしておかぬと六十歳以上になったらますますきつくなるぞ。しかも、厚生省の調査によりますれば四二%、四一・九%が実数でございます。そういう方々が恩給、年金額みである。それから、就業率がだんだん減少といいますか落ち込んでいる。先ほど申し上げましたように、六十歳以上のお年寄りの就業率が三〇%だったわけですが、それがこの五年間で三・五%落ち込んでいるわけです。ですから、就業率が三〇%と今言っておるけれども、今の状況ではそれがだんだん落ち込むという傾向にあるのではなかろうか。これが一つです。 もう一つは稼働所得です。有職率の中に入って仕事はしておるけれども、稼働所得がこれまた下降線をたどりつつある。五年前に比べて十三万五千円減少になっている。それで、有職率が悪くなる、そして年金、恩給に頼る数が多くなる、そして稼働所得が下がるということですから、もうよかとこなしです。 ですから、その辺を考えておかなければならぬと思うし、考えると、六十歳定年というのをきちっと行政指導してもらっておかぬと、一応形の上では六十歳まで保障されておるけれども、後ほど申し上げますが、二〇%から四〇%も賃金がダウンするとか、そういういろいろな問題があるわけですね。あるけれども、一応嘱託とかいろいろな形で六十歳まで保障されておる。だから、それは本法では許されるわけでございますから、午前中の話ではないけれども、やはりその辺はきちっとやっておかぬと、それから先が大変だと私は思うのですね。 労働省にしてみれば、まずここで、そして第二段階としてはこう、こういう考え方だと思うのですけれども、後の情勢の厳しさというものを十分頭の中に入れて本法の行政指導に当たってもらわないと困るぞ、こういうことを私は指摘をいたしておるわけです。話はわかるでしょう、どうです。
○白井政府委員 お答えいたします。 先生御指摘のとおり、だんだんに高齢化するに従ってそういう傾向が見られるわけでございますし、年金の成熟と相まちまして雇用の場と年金の連携と申しますか、そういうことで高齢者対策全体が進められていかなければならないというふうに考えられるわけでございますが、その雇用の面におきましては、先ほど申し上げましたように今後高齢化の波が、これも先生御指摘のとおり六十歳代前半層に移ってまいります。ここが大きな波になってまいりまして高齢者がふえてくるわけでございますが、これらに対します施策を今のうちから打っておかなければ、先生のおっしゃるような非常に重要な問題になってくるというのが今回の法律の提案の考え方でもあるわけでございます。 日本の雇用形態からいきますと、企業におきます六十歳代前半層の継続雇用が一番望ましいわけでございますけれども、しかし、先ほど申し上げましたように、六十歳を過ぎてまいりますと健康その他いろいろなニーズも変わってまいるわけでございまして、これに対応した雇用の場の確保を図っていかなければならないということで、今回それらに対する取り組み体制を整備するということも法律の中にうたっておりますし、そういった条件整備に対しましてきめ細かな企業に対する相談援助等の施策の拡充等も図ってまいりたいと考えているわけでございます。 その中で一、二具体的に申し上げますと、個別企業におきます継続雇用のための条件整備に対する高年齢者雇用開発協会を主体といたしました相談援助体制の整備拡充、それから企業におきます高年齢者の継続雇用を推進するために、六十歳代前半層の労働者を一定割合を超えて雇用する事業主に対する助成制度を新たに創設する等のいろいろな制度を充実させることによりまして、これらに対する対応を図っていきたいというふうに考えている次第でございます。
○河野(正)委員 そこでもう一言、これはもう午前中の質問でも若干関連があったところですけれども、大臣も御出席じゃなかったし、多少持ち越したことになるわけですが、今ME化が急速に盛んになりつつあるわけです。そして今一部ではME化と雇用の問題が非常に重大な関心を持たれつつあることは御承知のとおりであろうと思うのです。 そこで、特に高齢者に対してME化と雇用という点との関連ですね。一つはME化によって失業者が増加しておる。これはそういう調査結果が出ておる。そうしますと、やはりそのしわ寄せは高齢者に来ることが多いと思うのですね。ME化というのは新しい技術革新ですから、どうしても高齢者がその被害をこうむる。それから、そういう技術革新という問題もございますから、高齢者の不適応、そのために労働条件の低下が来るわけです。それからもう一つは、ME化、合理化によって下請企業を非常に圧迫するというような点も今いろいろ注目をされておるところでございます。これは単に私どもが一般論としてME化と失業その他と関連して申し上げるのではなくて、そのことによって高齢者が非常に大きな影響を受けるであろうということで取り上げておるわけです。 そこでひとつ、ME化に対します労働省の対応、特に高齢者に対する対応、これを御見解をお聞かせいただきたい。
○小野説明員 お答え申し上げます。 先ほど来先生が御指摘のように、これからの高齢化社会にありましては、高齢者の高い就業意欲を生かしてその能力を有効に発揮させていくこと、これが重要であろうと思います。しかし、一般的には高齢者は技術の変化への対応が容易でない、こう言われておりますので、御指摘のように、ME化を中心とする技術革新が進展する中で高齢者がこれに対応できますようにすること、これが喫緊の課題であろうと思います。 そこで、職業訓練の充実強化に加えまして、六十年度から労働省の関係機関が相互に連携を持ちながらこの発展するME技術を活用しまして、一つは加齢により低下いたします高齢者の機能や能力が補完できるようなME機器、あるいは高齢者が操作しやすいようなME機器を開発して高齢者の職場を拡大していこうということ。それからもう一つは、高齢者がME機器の技術や技能の習得を容易にするための教育訓練プログラムを開発していこうということで昭和六十年度から計画的に現在事業を進めているところでございますので、御理解を賜りたいと思うわけでございます。
○河野(正)委員 それが直接ではございませんけれども間接的に高齢者との関連が出てきますから、あえて取り上げたわけです。 そこで、いよいよ本論に入りたいと思いますけれども、余り時間がございませんから、端的にお尋ねをして端的にお答えをいただきたいと思います。 今回の法律改正は、御承知のように従来「中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法」、今回は「中高年」の「中」がなくなっているわけですね。そうしますと、何か適用範囲が狭められるのではなかろうかという印象が与えられぬわけでもない。別に「中」を削除しなくてもよかったであろうと思うのですが、なぜ「中」があえて削除されているのか、ひとつ端的にお答えいただきたい。
○白井政府委員 「中」を残すかどうかという議論はいろいろあったわけでございますが、全体的には、今回の法律は、本格的な高齢者社会の到来を迎えまして労働力人口の急速な高齢化、五十五歳以上の高年齢者の労働力人口が、現在は千七十六万人でございますが、昭和七十五年には千四百八十五万人、約二三%で四分の一になるというような前提をとらえまして、高齢化の波に対応する雇用就業の確保対策ということで構成いたしましたので、高齢者としたわけでございます。 中年者の場合には、確かに一般的水準からは若干低くなっておりますけれども、有効求人倍率は〇・四九とやや高齢者より高目でございますし、完全失業率は一・七と低い水準にございます。これらと比較いたしますと、一般の労働市場では高齢者と若干差があるのではないかというふうに考えているわけでございます。そういうことで高年齢者に重点を置くということでこういう名前にさせていただいたわけでございます。 しかし、今回の法改正におきましても、従来の法律にございました中高年齢失業者に対する手帳制度等は存続することとしておりまして、中年者に対する再就職の促進については従来どおりの施策を講じているところでございます。そういうことで高齢者とさせていただいたわけでございます。
○河野(正)委員 時間がございませんので、深追いもできません。 そこで、次々に話を進めてまいりたいと思っておるわけですが、定年制延長については、いろいろな企業の中で今日の実情を見てまいりますと、いろいろな形があると思うのです。ですから、それは午前中の議論にもありましたが、なぜからっと六十で整理しないのか。そして、それができなければ、目標を置いて何年までにはというふうになぜしないのかという議論があったことは大臣も先刻御承知のとおりだと思います。 そこで、せっかく六十歳定年ということで法制化されるということになるならば、それなりに六十歳定年ということで積極的な行政指導が行われ、そしてまた実際に六十歳定年というものが完全に実行されることが望ましいと思うし、またそうでなければ法律の実効性がないでしょう。つくったことはつくったけれども、そういう事情があるならばそういう事情も聞こうということであれば、法律の実効性がなくなる。せっかく六十歳定年にはなったけれども、中身的にはいろいろな問題が起こってくる、こういうことになるわけでございます。 そこで、特に中堅企業でそういう事例が多いわけですが、それなら一体、具体的にどういうケースがあるのか。六十歳定年が企業の事情によって完全に実施されない。そうすれば、その事情はどういう事情があるのか。その事情の幅を広げていけば法律の実効性がなくなるわけです。ですから、どういうケースがあって、それらに対しては当面いたし方なかろうということになるのか、その辺の具体的な事例を挙げてひとつお答えをいただきたい、こういうように思います。
○清水(傳)政府委員 お答え申し上げます。 御承知のように、定年延長の進展状況を見ますと、大企業につきましては格段に進展をいたしてまいっているわけでございますが、百人から千人未満の規模、いわゆる中小企業におきましておくれが見られるところでございます。その具体的な事情といたしましてはさまざまあると思うわけでございますが、集約いたしますと、中小企業の場合は、大企業に比して一般的に定年延長に伴います人件費コストの増大を吸収することが比較的難しい。それから、大企業の場合にはいわゆる企業内労働市場と申しますか、そういう幅があるわけでございますが、中小企業の場合にはどうしても職域が限られまして、高年齢者に適した職場が少ないものがあるということ、こうしたことが集約すれば主な原因であろうかと思うわけでございます。 したがいまして、こうした規模につきまして、定年延長を推進していくためにはどうしても賃金・退職金制度の見直しあるいは高齢者向けの職場の開発、改善、これを解決していくことが重要な課題でございまして、それへ向けての企業に対する相談援助の体制を強化していく必要がある、このように考えておりまして、今回の法案におきましても、こうした個別企業に対する継続雇用なり定年延長の前提となる条件を整備していくことに一つの重点を置きまして、そういうものについての相談援助体制を整備すると同時に、またそういう企業のそうした面への自主的な取り組みをより促進するための各種の助成措置なり職場改善のための融資制度、こうしたものを設けて取り組んでいこう、こういう考え方でございます。
○河野(正)委員 行政指導のいかんによっては、要するに六十歳までの職場を保障するということと、それから実際に、定年制ですから今まで持っておった権利がそのまま六十歳までいくわけですね。ですから、行政指導のいかんによっては、六十歳までは首は切らぬ、しかし中身的には五十五歳くらいから嘱託で六十歳までを保障するとか、これは大企業にも最近出てきておりますね。いわゆる窓際族ですよ、こういう事例が出てきているわけです。 特に、日本の場合は年功序列賃金が大部分ですから、長くなれば長くなるだけ賃金が高くなるし、退職金も多くなるし、そういう問題があるから、とにかく今度の労働省の指導いかんによっては、六十歳までは首は切りません、整理しません、会社に置いておきます。しかし、中身はもう随分違うのですね。私が承知する範囲でも、大体五十五歳ごろから賃金が上がらない。中には賃金カット、賃金を抑制する。もう二割から四割くらい落としているところがありますね。しかし、そういう高年齢者の再雇用は難しいものですから、そう言われても、そうやられてもやっぱりしがみついて、六十歳まで雇ってくれるなら六十歳まで辛抱しよう、こういう事例は非常に多いと思うのですね。 問題は、企業側がそういう弱みにつけ込んで、そういう現在やっておるような方法を続けることができるならば続けていこうという、まあ企業というのは何といっても利潤を追求するわけだから、そういう傾向が出てくると思うのですよ。ですから、六十歳定年です、要するに六十歳まで同じ条件でずっと上がっていって六十歳定年、それから、六十歳までは職場は保障しておるけれども、中身的には今申し上げますように窓際族で、仕事をさせぬけれどもそのかわり賃金が安い、そういうような二つの種類が出てくると思うのです、指導いかんによっては。 だから、せっかく法律をつくって法律の実効性を上げていくということであれば、職場の保障じゃなくて、きちっと定年制という形で御指導なさらぬと、法律の実効が上がりませんよ。私は、実を言いますと今申し上げるようにいろいろなケースを知っていますので、あえてそういうことを申し上げておるわけです。ですから、それは今後の労働省の指導いかんにある。私が申し上げたような形で指導するのか、あるいはなし崩しでとにかく六十歳までの生活だけを保障すればよろしいというような格好でいくのか、これは非常に重大な点だと思うのですよ。 この点に対して、これは決意ですから、ひとつ大臣からお願いします。
○林国務大臣 六十歳定年ということで、今回いろいろなことでお願いしておりますが、先生おっしゃるように、企業の中でいろいろな問題も中にはあろうかと思いますけれども、労働省といたしましては、先生おっしゃるような方向で今後も企業の方を指導してまいりたい、このように思っているような次第でございます。
○河野(正)委員 時間のことが気になるものですから、なかなか議論が深められぬわけですが、そこで、先ほどもちょっと出ておりましたが、技術革新、先ほどME化の問題等々も考え合わせてお尋ねしたわけですが、それに対して職業訓練とかあるいは高齢者向けの作業機器の開発、それから作業環境の改善、こういう形で高齢者向けの今後の指導をやるということによってME化の犠牲者が出ないように努力するとおっしゃったが、言葉ではそうですけれども、それなら高齢者の範疇に入って若い者のように職業訓練ができるのか、あるいは作業機器の開発あるいはもろもろの技術革新に沿うような技術の改革ができるのか、言葉では容易ですけれども、実際にはなかなか難しい点があろうと思いますが、一例を挙げればどういうことがあるのか、私もいろいろ考えてみて、なかなかこれは難しいぞという感覚しかないものですから、こういうことによって高齢者であるけれども克服し得るという事例があれば、ここで一例でも二例でも結構ですが、ひとつお示しをいただきたいと思います。
○野見山政府委員 高齢者が新しい技術に適応していくという面で若い人に比べて差があるということは事実でございますし、そういう意味で、これから行います技術の習得のための教育訓練の場におきましては、例えば若い人たちに比べて、同じ科目を教えるにしてもより時間をかけて行っていくとか、あるいは繰り返しの訓練をふやしていくとかいうようなことで訓練の中身について工夫をしていくという面があろうかと思いますし、現に私どもが行っております能力再開発訓練の場面におきましては、特に高齢者向けの訓練の場面においてはそれぞれの工夫を行っているということでございますし、さらに現に職についている在職労働者の向上訓練の場面につきましても、高齢者が適応しやすいあるいは働きやすい職場への職種を中心に訓練を行っていくというような面で、高年齢者が新しい技術への適応をより容易にしていくというための教育訓練についてさらに工夫を重ねていきたいというように考えております。
○河野(正)委員 先ほどちょっと触れましたけれども、時間が足らぬものですから深入りができないでちぐはぐになりましたが、例えば今度六十歳定年になりますね。そうしますというと、今までは五十五歳だった、これを六十歳に延長するというような、これは一例ですが、そういう場合もあろうと思います。それから、今度六十歳定年になるから一応退職さして、そして再就職させる、これはそういう問題では、高齢者に対しまする賃金その他労働条件というものが非常に異なってくると思うのですよ。 ですから、先ほど申し上げましたように、今は五十五歳です、今度は六十歳の法制化ができたから六十歳をやります。定年制延長ですね。そういう問題。それから、今まで五十五歳だったけれども今度六十歳になるので一応やめて、六十歳までは職場の保障をしますというようなことで再就職という形をとる、そういういろんなケースが今度の法制化によってあろうと思います。そういった場合に、労働条件なり賃金なりというものがそのために下がる、こういうケースが出てくると思うのです。ですから、せっかく六十歳定年ということは、現状のまま六十歳までは保障されていく、こういう意味での定年制の延長でなければならぬし、労働省もそういうことを意図して法制化されたと思うのです。 ところが、今申し上げますように、今まで五十五歳だった、それを今度六十歳にする、その場合に、今から延びる者については賃金が低下する。それからまた、一遍おやめなさい、今度六十歳だから六十歳までやりましょうということだけれども、今度の労働省の本法によれば、とにかく六十歳までやればいいわけだから、ですから、そういうような労働条件、賃金面でも企業によっては非常に犠牲をこうむるというようなケースが出てくると私は思いますよ。そういう点についてはどういう指導をなさるのか。今までの五十五から六十になったのだから、あと五年間は別な形で、とにかく六十歳まで雇用を保障すればいいわけだから、そういう形で結果的には労働者が賃金、労働条件その他で不利をこうむるというようなケースもかなり出てくると私は思うのです。そういう面についてはどういう御指導をなさるのか、ひとつ承っておきたいと思います。
○白井政府委員 お答えいたします。 先ほども清水部長の方からいろいろな指導その他について御説明申し上げたわけでございますが、定年延長の実施に当たりましては、その円滑な実施のために賃金、退職金などのあり方や年功的な人事、処遇制度について見直しを行う、今先生がおっしゃったようないろいろな見直しが行われるというふうに思います。企業労使で各種の工夫と努力がなされているわけでございまして、労働省の雇用管理調査によりますと、定年延長後、賃金体系の見直しや役職の変更を行ったと回答した企業が三分の一ということになっております。定年延長が円滑に実施されるには、この問題を労使双方が共通の問題として企業の実情に応じましてその実施方策について工夫、努力していくことが必要でございますし、雇用審議会の答申におきましても、そのような工夫、努力が労使に積極的になされることを希望しているところでございます。 そこで、労働省としましては、このような労使の取り組みを促進するために、先ほど申し上げましたようないろいろな体制の整備を図りまして、人事管理制度や各種条件についての情報の提供、相談援助を行ってまいりたいし、またまいっているところでございます。しかし、基本的にはこの問題は労使が自主的に決定すべきものでございますし、それを側面から援助していくというのが行政の果たす役割ではないかというふうに考えている次第でございます。
○河野(正)委員 そこで、要は行政指導、それを的確に実施をしていただきたい。もう時間が終了したようですから、あと一つだけ。これはまだたくさんあるわけですが、あと御質問申し上げる機会もなかろうと思いますので。 職安でいろいろな求人申し込みをしますね。その際に、中高年齢者を拒否する、そういうのは要りませんと。私はなぜそういうことを取り上げたかといいますと、最近いろいろな雇用を見ておりますと、とにかく年とっておりますと扶養家族が多いでしょう。だから、年寄りは扶養家族が多い、家族手当を出さなければならぬから拒否する。それは細かいことを言いますと、遠距離から通勤するのは交通費を余計払わなければならぬ、だからそれだけで拒否するような企業もあるのですよ。現実にあるのですから、私、そういう事例知っていますから、やはり職安でも、窓口でもそういう指導をしてもらわぬと——求人の場合に年寄りは要らぬのだ、そういう拒否するという問題、あるいは年とっておりますというと扶養家族が多いから家族手当を余計出さなければならぬ、遠いところから通勤する者には交通費を余計出さなければならぬ、そういう本当にみみっちいことだけれども、今の企業というものが非常に厳しいということなんですよね。 そういうことでなかなか就職が困難という事例もございます。ですから、末端の方のことですけれども、やはり今後機会あるごとに、そういう中高年齢者の求職に対して事業所が拒否をする、そういう場合に職安における指導、それをひとつできれば積極的に果たしてまいるように御指導いただきたい。私はそういう事例をたくさん知っていますから、細かいことですけれども、それについては一言お答えをしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○白井政府委員 お答えいたします。 高年齢者の再就職状況は非常に厳しいということは、先生御指摘のとおりでございます。ただ、高齢者はだんだん扶養家族その他は一般的には減ってまいるわけでございますけれども、今先生が例としておっしゃいましたような、通勤距離とか扶養家族が多いとか、そういう高齢者が就職するということは、特にその高齢者にとっては重要な問題でございますので、重点的に安定所としては対応していかなければならないというふうに考えております。 高齢者向けの求人を確保するための積極的な求人開拓、それから今後いろいろと予算措置もいたしておりますが、求人開拓強化に伴いまして求人情報の収集のための体制整備、さらに求人を受理する際のいろいろな年齢条件の緩和や賃金についての条件、その他健康管理等についての指導、これらを強力に推進してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○河野(正)委員 終わります。
○山崎委員長 橋本文彦君。
○橋本(文)委員 最初に大臣に伺いたいのですが、大臣、我が公明党が定年制は六十五にすべきだという主張をしてきているのですが、いつごろから我が党がその主張をしているか御存じですか。
○林国務大臣 一応五十二年ごろであろうかというふうに私は思っております。
○橋本(文)委員 約十年前からやっておるわけなんですが、その後、昭和五十四年に我が党が単独で六十五歳定年を実施すべきであるという法案を出しました。それから前回、五野党が一致で五十九年に六十五歳を主張したわけでございますけれども、この定年制の問題を見ていますと、労働省はいつでも雇用審議会の答申待ちという形で推移しているように思うのです。労働省が独自で諸外国等の例を見たり、今後の高齢化の社会を想定したりしてどう対応するかというような姿勢が欠けておる、こういうふうに思うのです。 今回の雇用審議会の答申を見ましても、この法案の中身はもうすべて雇用審議会の考えそのまま、どこにも労働省固有の考え方はない。一体、労働省と雇用審議会はどうなっているのだ、まずその関係を聞きたいと思います。
○白井政府委員 お答えいたします。 この定年制の問題につきましては、今先生御指摘になりましたように、先生のところから五十二年からお話がございましたし、五十四年には与野党の国会におきます話し合いによりまして、政府のしかるべき審議会においてこれを立法も含んで審議していただくということになって現在に至ったわけでございます。 この審議会での現在までの経過は、非常に長い時間かかったわけでございますが、これにつきましては、労働側、経営者側、いろいろ意見の鋭い対立がございましてなかなか一致を見なかったわけでございますけれども、やはりこの定年延長という問題は、社会的に一般的なコンセンサスを得まして立法化を図っていくということが適当ではないかというふうに我々としては考えたわけでございまして、この審議会の場におきますいろいろな審議の経緯等を踏まえながら、また周辺整備その他、労働省としましては、行政指導によります定年延長の推進等を図ってその背景をだんだん固めていくというようなことをやりながらここに至ったというふうに考えている次第でございます。 また、法案の中身につきましては、審議会のいろいろな御意見の中で細かいところまでいろいろ御議論いただきました結果がこの立法の中に取り入れられたという形になっているわけでございますが、いろいろな施策その他につきましては、各労、使、公益側からのいろいろな御意見が出てくる過程の中で、その問題については行政側としてはどういうふうな意見を持っているかというようなことを審議会への答弁に含みながら、そういう長い時間の議論の上組み立てられてきたものでございまして、その結果がああいう雇用審議会及び中央職業安定審議会の建議になってあらわれたというふうに我々は考えている次第でございます。
○橋本(文)委員 雇用審議会と労働省の関係というのを聞いたのは、その答弁でわかりますけれども、私が考えるのは、事雇用問題、特に定年に関する限り雇用審議会の答申を待たなければ何もできないという感じを受けるのです。一体、この件に関しては労働省よりもむしろ雇用審議会の方が力を持っておるという関係なのかというふうに聞いたわけなんです。
○白井政府委員 労働省としましては、もちろんこの定年延長問題一つをとらえましてもその前進を望んでいたわけでございますが、先ほどちょっと御説明申し上げましたように、この六十歳定年という問題はやはり社会的に全体のコンセンサスを得て出てくるということが立法の上で必要であるというふうに考えましたので、雇用審議会の審議を待っていたわけでございます。しかし、待っていたということだけではなくて、五十四年を含めまして、五十四年以降いろいろな場での行政指導ということで、定年延長を行政指導の形で進めてその背景をつくってきたというふうに考えているわけでございます。 雇用審議会の方が上なのかどうかということでございますが、繰り返しになりますけれども、今申し上げましたように、この定年延長の立法化はやはり全体の御意見が一致したところでなすべき問題であろうというふうに考えていたのでこういう結果になったというふうに思います。
○橋本(文)委員 今人生八十年だとか、未曾有の高齢化あるいは我々がかつて体験したことのない高齢化、こういう表現を使って高齢化対策が叫ばれていますけれども、そんなことは十年前からわかっていたわけですよ。 そこで聞きたいのは、労働省として今回は雇用審議会の答申も待って六十歳定年制に踏み切ったわけですけれども、では、この六十歳定年になるまで高齢者の雇用をどうするかという問題につきまして、例えば高齢者の能力は一体今後どうなるのだろうか、ただ単に、再三言われているように、年をとれば人間の能力は低下する、あるいは企業にとってみれば収益性が低下する、あるいは知識も大分不確実性を持ってくるとか、いろいろな意味で高齢化即若い者に比べてだめというイメージが大きいわけですね。そういう発想のままでは到底高齢化社会を迎え切れないし、乗り切ることもできない。 そこで、労働省としてこの高齢化問題にどこまで取り組んでおるか。例えば、高齢化、高齢化と言うけれども、六十五歳になっても能力が落ちない面もあるのだ、そういうような研究をしているかどうか、あるいは労働省で一番問題になっている労働災害の分野ではいわゆる中高年と若年層ではどちらの事故率が多いのかとか、あるいは業務上の疾病に関してはどの辺の年代層が一番かかりやすいのか、そういうようないろいろなデータを取りそろえておりますか。
○白井政府委員 お答えいたします。 高齢者の労働能力についての調査研究の問題でございますが、労働省では五十六年に加齢と職業能力に関する調査というものを行いまして、これによって従業員の働ける意向、職種や作業内容による高年齢者の作業の条件、そういう調査をいたし、またどの程度配慮すれば六十歳以降も働けるかというようなことも検討いたしておるわけでございます。 労働災害につきましても、私、直接所管でないのでちょっと記憶があれですが、高齢と労働災害の問題につきまして現在検討を進めているというふうに記憶いたしております。 そういうことで、本格的な高齢化社会を迎えまして経済社会の活力を維持発展させるために高齢者がその能力を十分発揮するようにする必要がある。そのためのいろいろな調査研究は今後も進めてまいりますし、現在いろいろと進めている過程にあるというのが現状でございます。 なお、高齢者の場合には一般の場合と違いまして、特に年齢が上になるに従いまして個人的な能力の差がいろいろ出てくるわけでございまして、年齢の刻みだけで一般的な評価ができるかどうかという点に非常に困難な点がございます。それらを含めました調査研究を今後も進めていかなければならないというように考えております。
○橋本(文)委員 そうすると、労働省としてはまだ調査研究の段階で、そういうデータ的なものは持ち合わせていないと理解せざるを得ませんが、そう理解してよろしいですね。 そうしますと、抽象的な高齢化、高齢化だけで幾ら定年制を論じても空理空論にすぎないと思うのです。やはりきちっとした調査研究を進めた上で、例えば六十歳あるいは六十五歳というのはかく能力があるんだ、こういうことをきちっと踏まえた上で対応しなければ、活力ある経済社会の発展だとかということは出ないのですよ。現在は、高齢化即引退、後は年金で暮らせというようなイメージしか持っていないわけですから。そういう意味で、労働省の高齢化対策は非常に立ちおくれている感じがするのです。 データがなければ仕方がありませんので、諸外国の例を引きまして質問したいと思います。 労働省が出しております「労働問題のしおり」の三百八ページに年金の受給開始年齢と公務員の定年年齢という表があります。これで見ますと、イギリス、西ドイツ、フランスが六十五歳定年。我が国は国家公務員、地方公務員の六十歳定年が来月から施行されますけれども、欧米諸国では六十五歳になっている。アメリカではなしとなっていますね。そして注目すべきことは、公務員の定年年齢よりも年金の受給開始年齢の方が若いかあるいは同時である。年金受給と定年が極めて連動しておる。我が国の場合には、定年の方では六十歳、年金の方では六十五歳となっております。これは公務員なんですけれども、諸外国では一般企業の定年制がどうなっているのか、データがありましたらお答えいただきたいと思います。
○清水(傳)政府委員 諸外国の定年制の状況でございますけれども、我が国のように一定の年齢に達したことによって労働契約が終了する、こういう意味の定年制は欧米諸国には存在しない、このように聞いております。いずれの国におきましても、年金の支給開始年齢をもって退職するということが一般的でございまして、そういった意味合いにおきましては事実上年金の支給開始年齢が退職年齢というふうな形になっておると承知しております。
○橋本(文)委員 我が国の場合には五十五歳定年とかありまして、年金の受給開始と随分差があったわけですけれども、欧米諸国では年金が受給できる年まで企業の方で受け入れているということなんですか。
○清水(傳)政府委員 一般的にはそのように承知をいたしております。アメリカ等におきましては企業年金制度等が非常に発達をいたしておりまして、そういった意味合いで事実上六十二、三歳ぐらいでそちらへ移行して引退するというふうな事例が一般的であると承知しております。
○橋本(文)委員 今回の法律改正の方法なんですけれども、第一条関係、第二条関係と二段構えに分かれまして、それぞれ施行期日が違っておるわけですが、これは法改正の極めて技術的なものだと思うのです。思うのですが、どうしてわずかの間に法律の目的が変更するのか、変更するといっても新たに加わってくるわけですがね。 端的にいいますと、第一条による法律の目的の改正の段階では、「高年齢者等の職業の安定その他福祉の増進を図るものとなるよう改める」となっている。そして、第二条による改正関係では、「高年齢者等の職業の安定その他福祉の増進を図るとともに経済社会の発展に寄与するものとなるよう改める」。ここに突如として「経済社会の発展に寄与する」とあるのですね。非常に大きな目的が出てきたわけですけれども、中身を見ますと、いわゆるシルバー人材センターくらいしかない。 むしろ、定年退職者は自助努力をしなさい、「労働者は、自ら進んで、高齢期における充実した職業生活のため、その能力の開発、向上及び健康の保持、増進に努める」。これが経済社会の発展に寄与するのか、活力ある社会に寄与するのか。なぜこのような回りくどい改正をしたのか。これは本来なら、時間があればもっと議論したいのですけれども。もともと六十五歳定年を決めておいて、そして当面の間は六十歳というやり方でもいいんじゃないか、そのようにすればこのように第一条による改正関係、第二条による改正関係と分けなくてもいいと思うのです。その辺いかがですか。
○長勢説明員 お答え申し上げます。 大変わかりにくい法律になっておりますけれども、先生御案内のとおり、施行期日につきまして、この法律中、高年齢者雇用安定センターに関する部分につきましては四月一日から施行し、その他の定年の法制化を含めまして継続雇用の促進あるいは再就職に関する規定の整備あるいはシルバー人材センターに関する部分は十月一日からということにいたしております。その関係で法技術的にこの改正方式をとらざるを得ないということで、法制局の審査を経ましてこういう形になったものでございます。 目的について申し上げますと、第一条といいますか、四月一日の施行部分につきましては、安定した雇用の確保の促進あるいは再就職の促進の部分を書いておりますが、こういう形でようやく高年齢者雇用安定センターの部分が読み込めるようになります。ただシルバー人材センターについては四月一日から施行になりませんので、それを読み込むために第二段階で目的でその部分が読み込めるように改正をするというのが法技術的に必要であるということでこのようなやり方になりました。 なお、「職業の安定その他福祉の増進」と「経済及び社会の発展に寄与する」といった表現について御指摘がございましたが、特別に他意はございませんで、高年齢者雇用安定センター部分の施行のみを含めた第一段階の改正においては従来どおりの内容にし、定年延長の法制化を含めました総体的な高齢者部分を全部盛り込んだ段階でこの高齢者対策法の位置づけとしてこのようなものとして規定をするということにいたしたものでございまして、極めて法技術的なものというふうに御理解をいただきたいと思います。
○橋本(文)委員 そこでまた雇用審議会の答申に返るわけですけれども、先ほどからも議論がありましたが、六十歳代前半層という言葉がしきりに出てきまして、これを単純に読みかえると、六十五歳というふうにすれば極めてさっぱりしたものに読めるのですね。 ところが、答弁の中では、六十歳以降六十五歳までの間は極めて多様化しているのであって、あるいは短時間の勤務を希望するとかいうような主張がありましたけれども、答申を見ている限りでは、どうもこれからの時代は少なくとも六十五歳までは働かざるを得ないであろうというようなニュアンスが出てくるわけです。それを六十歳代前半層という表現で六十歳と六十五歳の間に一つの垣根を設けた。この法改正も六十歳で一応定年になっているわけですけれども、なぜ労働省は一歩踏み込んで六十五歳定年にまでいけなかったのか、その辺のところをもう一度お聞かせください。
○白井政府委員 今、先生からもお話がございましたが、定年延長の問題は長い経過を経て現在に至っているわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、社会全体のコンセンサスを得て立法化を図っていくということが重要であるというふうに考えている次第でございます。したがって、定年を設ける場合は六十歳以上にするということが現在の企業、それから社会の現状から見ますと最も妥当な線ではないかと考えた次第でございます。もちろん六十歳以上の前半層の問題につきましても答申を含めましていろいろな施策をもって日本の現状からすれば継続雇用が望ましいという形をとっているわけでございますが、それらについては再雇用や勤務延長等のいろいろの形をとりましてその就業のニーズにこたえていくのが現実としては妥当であろうと考えた次第でございます。 〔委員長退席、高橋委員長代理着席〕
○橋本(文)委員 六十歳代前半層という表現が私にはどうしても六十五を目指しているとしか読めないものですから質問したわけなんです。先ほど「労働問題のしおり」で見ましたように、一応公務員の定年としては六十五歳というのがあるわけですね。それに連動して、例えばスウェーデンの場合ですと六十五歳で年金の支給がある。ところが、六十歳から六十四歳の者がいわゆるパート雇用に移った、今我が国で見られるように六十歳代前半層の問題ですね、こういう場合には減少する賃金の五〇%を補助するといういわゆる部分就労、部分年金という考え方がスウェーデンではもう既に行われておる。このように六十五歳年金支給となっておりまして、しかも部分就労、部分年金とありますと、現在のような我が国の六十五歳年金支給、六十歳定年というような法制のもとでは、このスウェーデンのような例を一つの参考として我が国においても部分就労、部分年金という考え方を労働省は取り入れる気持ちはございませんか。
○白井政府委員 お答えいたします。 部分就労、部分年金の問題でございますが、ちょっとこれは労働省の所管とは離れるわけでございますけれども、現在公務員の場合は六十歳定年で年金支給は六十歳からとなっているのが現状でございます。さらに早くやめた場合には減額支給ということもあるわけでございまして、今後の問題としていろいろ検討をする場合に厚生省その他との話の一つの問題点かというふうに考えております。
○橋本(文)委員 済みません、今の最後の方聞き漏らしたのですけれども……。
○白井政府委員 我が国の場合は六十歳定年で年金支給も今六十歳になっております。それから、今の点は今後の問題として検討すべき一つの課題ではありましょうが、労働省の所管を離れますので、厚生省その他との話し合いの中で問題を話し合っていきたいということでございます。
○橋本(文)委員 確かに当分の間は年金の支給も六十歳から行われる、その限りでは例えば国家公務員の場合、地方公務員の場合あるいは今回の法体系においてもそれは六十歳でいいのですけれども、現実に法律の面でははっきりともう六十五歳というのがあるわけですね。だから、当分の間は現実的には今六十歳でも支給されるのだからいいのではないかと言われますと、では逆手をとりまして、それならば定年そのものも六十五歳でいいではないか、そして逆に当分の間は六十歳定年をしばらく続ける、そういう考えたって十分成り立つと思うのです。 なぜそれをとらなかったのか。いずれこれがまた五年後、十年後になれば高齢化が深刻になりまして、やはり定年制が六十ではもうだめだ、六十五にすべきであるとかあるいは七十になるかもしれない、そういう状況が早晩来ると思うのです。そうなれば、いつまでも雇用審議会の答申を待つのではなくて労働省が独自に高齢化社会の先手を打つ、そういう姿勢をぜひとも示してもらいたいという気持ちで実は質問しているのです。
○白井政府委員 お答えいたします。 もちろん労働省は責任を持って高齢者対策を進めていかなければならないわけでございまして、基本的に今後どうあるべきかということも検討していかなければならないというふうに思っております。ただ定年の問題につきましては、今先生は公務員の問題に絞っておっしゃいましたけれども、公務員は公務員制度の問題があるかと思いますが、先ほどから申し上げておりますように、六十五歳まで定年延長で持っていくのがいいかどうか、先ほどからいろいろ議論されておりますように、いろいろな高齢者の生活状況、それから能力、体力、いろいろな面から見まして、また、企業側の業種の問題もございますでしょうし、いろいろな問題もあるわけでございまして、そういう面から見て定年延長で持っていくのがいいか、それとも継続雇用その他多角的な就労の場を求めていくのがいいのか、その辺もまた議論の余地のある問題ではないかというふうに考えている次第でございます。
○橋本(文)委員 では、最後に大臣に一つだけ。 大臣、高齢化あるいは高齢者問題、これからの我が国の社会が活力ある社会になるためには、どうしても高齢者そのものが高齢者になってから人生に夢が持てるとか、あるいは生きていてよかったなという実感を持てなければ意味がないと思うのですよ。今のままでは、高齢者即もうおしまいというような感じのする社会です。そこで、高齢者対策、大臣はどのようにお考えですか。定年制も含めて、高齢者の雇用の確保、それから働く生きがい、そういう問題にどう取り組むつもりか、お答え願います。
○林国務大臣 高齢化社会というものはそこまで、足元まで来ておるわけでございます。それで、高齢者が過去を振り返ってみて、今日まで自分たちが生きていてよかったな、それからまた、これから先自分たちの今までの経験してきたこと、あるいはまた、これからの社会にどうやって貢献するかといったような問題を含めまして、高齢者の方々もこれからはいろいろと御自分でもお考えになることでもあろうと思いますけれども、労働省といたしましては、そういった方々が本当に仕事の場において、継続したお仕事をされるような立場にあられる方はまだその立場において、あるいはまた、体力的にもそういったお仕事のできない方は短期的あるいは断続的なお仕事の場を持ちながら、そして、自分たちが今日までこうして生きてきてよかったなといったような雇用の関係の環境づくりを私どもとしてはしていかなければならないと思います。そういったことを念頭に置きまして、今後急速に展開してまいります高齢化社会に対して労働省としては真剣になって取り組んでまいりたい、このように思う次第でございます。
○橋本(文)委員 人生の総仕上げができるような社会の実現に、ぜひ大臣頑張ってください。お願いいたします。終わります。
○高橋委員長代理 森田景一君。
○森田(景)委員 いろいろな経過がありましたけれども、今回、六十歳定年制が法制化されるようになったことにつきましては、私も評価をしているものでございます。 昭和六十年一月の雇用管理調査によりますと、定年が六十歳以上の企業の割合は五五・四%であり、今後定年を六十歳以上にすることを決定または予定している企業を含めると、その割合は六八・七%に上るというふうになっているわけでございますが、今回六十歳定年制の法制化に踏み切ったわけでございますけれども、これは言ってみれば追認ではないか、このように私は考えているわけでございます。しかも、この六十歳定年制が努力義務ということになっているわけでございます。どうして努力義務にしたのか、その辺のところについてお答えをいただきたいと思います。
○林国務大臣 六十歳定年の法制化の内容につきましては種々議論のあったところでございますが、今日御提案申し上げております内容は雇用審議会におきまして全会一致の結論を得たものでございまして、現段階では社会的コンセンサスが得られる現実的な、そしてまた妥当なものと私ども考えているわけでございます。 いずれにいたしましても、六十歳定年が法律上の社会的責任として明確にされ、そしてそれを推進するための行政措置が法律に明確にされることが六十歳定年の推進に極めて大きな効果があると考えられます。この法律を踏まえまして、企業労使が積極的に取り組まれることを期待をいたすものでございます。
○森田(景)委員 雇用審議会の十九号答申というのがございますが、その別紙というところに「今後の高年齢者の雇用・就業問題について」というのがございます。この内容を見ますと、先ほども同僚の橋本委員から話がありましたけれども、これは六十五歳定年を示唆するものだ、こういうふうに私は受けとめているものでございますけれども、労働省としてはどのようにお考えでございましょう。
○清水(傳)政府委員 お答え申し上げます。 御指摘のように、十九号答申におきましてのこれからの高年齢者の雇用就業のあり方の方向といたしましては、当面、六十五歳程度まで雇用就業の場の確保が図られるような社会を目指すことが最も適切であり、現実的である、そのためには、まず、我が国の雇用慣行等から見まして、同一企業あるいは同一企業グループにおいて継続して雇用就業の場の確保が図られるよう努力をしてもらう必要がある、こういうふうに指摘をいたしておるわけでございます。 ただ、その場合におきまして、一般に六十歳程度までは壮年期に比して大きな変化はないと見られるのに対しまして、六十歳を超えると個人によって健康状態あるいは生活状態さまざまであり、どういう方向へ就業していきたいか、こういうことも多様化をいたしますので、こうしたものに対応をした雇用就業の場の確保が図られる必要がある、こういう観点から、六十五歳程度までの雇用就業の場の確保を図っていく上におきまして一律に定年延長ということは適当じゃなく、六十歳の定年を基盤としながら、企業の実情に応じながら定年延長なり再雇用なり、あるいは勤務延長あるいは高齢者会社の設立、こうした多様な形によりましてニーズに応じた対策をとっていくことが適当である、こういうふうにも指摘をいたしておるわけでございます。 こうしたところから、私どもといたしましては、現時点において今般御提案を申し上げておりますような形で社会的コンセンサスの得られる施策の方向に向かっているのではないか、このように考えているところでございます。
○森田(景)委員 いろいろと審議会でも論議されたようでございますけれども、日本は世界に類例を見ない超スピードで高齢化社会に突入している、こういうふうに言われているわけでございまして、それはもう十分御存じのところでございますが、それでは人口高齢化速度、これを国際的に比較してどんなふうな状況であるか、その辺をまずお聞きしたいと思います。
○清水(傳)政府委員 人口の高齢化のスピードにつきまして、一つの指標といたしまして六十五歳以上の人口比率が七%から一四%になるまでどれだけの期間を要したかということを国際比較をいたしてみますと、例えばフランスにおきましては一八六五年から一九八〇年までの間の百十五年、スウェーデンにおきましては一八九〇年から一九七五年までの八十五年、アメリカは一九四五年から二〇二〇年までの七十五年ということになっておるのに対しまして、我が国の場合には一九七〇年から一九九六年までのわずか二十六年で人口比率が七%から一四%に到達するということで、世界に類を見ないスピードで高齢化が進展をしているという状況でございます。
○森田(景)委員 今御答弁ありましたように、日本は七%から一四%になるのにわずか二十六年だというわけですね。だから、この辺のところをやはり大臣以下皆さんが認識をしていらっしゃるんでしょうけれども、もっと深刻に受けとめてもらわなければならないと思うのです。 先ほども話がありました人生八十年時代、日本の国はかつて昭和二十二、三年ごろですか、この時期ではまだ人生五十歳時代であったわけですね。それが急速に長寿社会になってきまして、今平均寿命が、男性は七十四歳、女性が八十歳を超した。これはもう世界で初めて八十歳を突破したと言われているわけであります。そういう急速な高齢化社会を迎えるのですから、労働省はそれに対応してもっと取り組みをしっかりしてもらわなければいけない、このように私は考えているわけでございます。 なぜかといいますと、衆議院の社会労働委員会でかつてこの法案を審議したときに、昭和五十二年だったかと思いますが、附帯決議がございました。間もなく十年になる。十年間かかってやっと六十歳定年制ができたわけです。 それで、いわゆる高齢化の進み方が、六十五歳以上の方が一四%になるまでに、もう一九九六年には突入すると見込まれておるわけでございます。これから六十五歳定年なんということを審議しているうちに、もうそういう時代になってしまうわけです。委員会の附帯決議というのがいろいろとあるのですけれども、これを一体大臣初め皆様方はどのように受けとめていらっしゃるのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
○林国務大臣 国会での決議あるいは委員会での附帯決議、こういったものにつきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、これを最大限に生かしていくように努力をしなければならない、このように思います。
○森田(景)委員 いつも決まってそういう答弁なんですね。いつも同じ答弁、私は何回も聞いております。恐らく十年前も同じことだったと思うのです。大臣はその当時は大臣でなかったと思いますけれども。そういうことを繰り返されていったのでは、高齢化社会に対応した十分な労働政策ができないのじゃないか。今は何とか六十歳定年で間に合っている。十年後、十五年後、二十年後には、もう今のままではしようがない、こういうふうになるのではないかと思うのです。 では、労働力人口の変化についてはどのように認識していらっしゃるでしょうか。
○清水(傳)政府委員 お答え申し上げます。 最近における労働力人口の人口構成の動きを見ますと、人口で見ますと、昭和五十年から六十年の間に、十五歳以上人口に占める五十五歳以上の年齢層の割合は二一%から二六・一%と上昇をいたしまして、これに伴いまして、労働力人口におきましても高年齢者、五十五歳以上層の割合は一五・一%から一八%へ上昇をいたしております。 また、今後の見通しにつきましても、六十年から昭和七十五年、西暦二〇〇〇年までの間に、十五歳以上人口は千九十一万人増加をいたしますが、五十五歳以上の人口におきましてはそれを超える千百四十九万人の増加、またその割合も二六・一%から三四・二%と高まると見込まれておりまして、労働力人口の面におきましては、同じ期間に五百四十万人増加をし、その約八割に当たる四百十万人が高齢者の増加によるもので、労働力人口に占める高齢者の割合も、一八%から二三%へと上昇すると見込まれているところでございます。
○森田(景)委員 昭和七十五年には二三%になるであろう、こういう推測があるわけでございます。二三%といいますと約四分の一ということでございますね。四人のうち一人は高齢者である、こういう時代を迎えるわけですから、何回も繰り返すようですが、労働省の対応をもっと敏速にしてもらわなければならないのじゃないか。 その点、厚生省の方は、人生八十年時代に対する取り組みというのが非常に早くなっているように私は思うのです。年金も基礎年金——今までの共済年金も厚生年金も、基礎年金という考えを導入されまして、この基礎年金は六十五歳から、こうなってしまった。そういう対応をしている厚生省と比べて、同じ我々社労に所属している労働省がどうも一テンポも二テンポもおくれているのじゃないか、こういう感じがするわけでございます。そういうことで、今まで御答弁いただきました高齢化のスピードであるとか労働力の変化、これらのことを考えていきますと、どうしても六十五歳定年制が必要であるという結論に達するわけでございます。 労働省も、高年齢者対策ということで六十歳以上の方に対する対策もいろいろときめ細かくやってはおられますけれども、先ほども申し上げましたように六十歳定年制が努力義務規定であるということから考えれば、やはり六十五歳定年を法制化して、その中でいろいろと措置を講じていくべきではないだろうか、私はこう思うのですが、大臣いかがでしょう。
○白井政府委員 お答えいたします。 先ほどからの先生の御指摘によりまして、昭和五十二年に附帯決議をいただいてから長い経過を経ているわけでございますが、労働省としてもその間、座して待っていたわけではございませんで、先生冒頭におっしゃっていただきましたように、定年制の進捗状況につきましては、行政指導によりますかなりの進捗は図られたのではないかというふうに思っております。五十一年には、五十五歳以下が四七・六%という定年制であったものが、六十歳以上はそのとき三五・九%でございましたけれども、六十年には六十歳以上が五五・四%、五十五歳以下は二七・一%というふうになっておりますし、今後改正予定まで含めますと、六八・七%と七割強まで参っているわけでございます。その間、いろいろと御指摘の面もあったかと思いますが、我々としては努力を重ねてきたというふうに考えているわけでございます。 しかし、この定年の立法化という問題は、先ほどから御説明申し上げておりますように、企業での対応の問題、労働側の意見、さらには社会的なコンセンサスということが重要であるというふうに考えております。今回、審議会では全会一致の答申を得まして、こういう形で出すことができたということでございます。 六十五歳定年の問題につきましては、これも先ほどから御議論がございましたように、定年延長で六十五歳まで持っていくのがいいかどうか。高齢者は六十歳を過ぎてまいりますといろいろと個人的な差もあるわけでございますので、その辺を十分議論しなければならないわけでございますが、現実としましては、六十歳定年、さらに六十五歳程度まではいろいろな施策を総合的に実施することによりまして雇用の場の確保ができるようにやっていくことがこの際重要なのではないかというふうに考えた次第でございます。
○森田(景)委員 先ほど本会議がありまして、安全保障会議設置法案の趣旨説明がありまして、各党からの質問がありました。総理大臣がその中で答弁しておりましたのは、やはり政府は先見性があって指導的でなきゃならない、こういう答弁をされたと記憶しておりますが、大臣、いかがでございますか。
○林国務大臣 先生の御指摘のとおりだと思います。
○森田(景)委員 ですから、やはり総理大臣もそういう姿勢ですし、労働大臣も、あるいは各省の皆様方も同じ姿勢であると私は理解するわけでございます。 そういう立場からいきますと、先ほど申し上げましたように、高齢化のスピード、労働人口の構造の変化、もうこれは全部高齢化ということになっているわけでございますから、どうしても六十五歳定年を労働省主導でやってもらわなきゃいけないと私は思っているのです。確かにいろいろな意見を聞くことも大事でしょう。大事だけれども、委員会の附帯決議をやって十年たってからやっと法制化、これでは間に合わなくなるじゃありませんか。 しかも、話を聞きますと、六十歳を過ぎると途端に人間は体調の変化があるような答弁ですけれども、そんな失礼なことありませんよ。私の知っている人では八十三歳でも町の発明家として一生懸命特許を取っている人もいますし、あるいは後でまたお話しするつもりですけれども、シルバー人材センターなんかで働いていらっしゃる方、皆さん非常に元気だし、活力を持っていらっしゃるわけです。そういう六十歳を過ぎると途端に何か人間が老衰するみたいな答弁ですけれども、その辺はそう思っていらっしゃるのですか。
○白井政府委員 もちろん先生御指摘のとおりでございまして、何歳になられても非常に健康で壮年時代と劣らない方もおられるわけでございまして、すべて六十歳を過ぎた途端にそういうふうになると我々理解しているわけではございません。ただ、だんだん年を経るに従って個人的な差も出てまいりますし、それから要求されるニーズにおきましても、常用雇用よりも短期的な雇用がいいとか、老後は趣味的な生活に入った方がいいとか、いろいろなことがあるわけでございまして、それらが六十歳を過ぎてまいりますと多様化してくるということを申し上げておるわけでございます。 それからさらに、企業の面におきましては、日本のような年功序列型になっておる企業におきましては、人事管理面その他から見まして、変化に対応してそれに的確に人事管理を変えていかなければ企業は対応できないわけでございますので、そういう面で高齢者に対するいろいろな対応の仕方というものも分かれていく。特に高齢になってくるといろいろな問題を生じてくるというようなことを含めまして、現実として直ちに定年延長だけで進めていくのがいいのか、それぞれの能力、ニーズに対応した形での雇用の場を確保していくのがいいかということでございまして、恐らく現実としては、六十歳を過ぎた場合には、今申し上げました後者での対応が現実にかなっているのではないかというふうに申し上げた次第でございます。
○森田(景)委員 先ほどの質問のやりとりを聞いておりまして、外国では六十五歳年金支給だ、その年金支給の時点で退職だ、こういうお話があったんですね。日本は、スピードこそ違いますけれども、これから世界的に高齢化社会の仲間に入っていくわけですよ。そうでしょう、一四%。外国では六十五歳まで働けるのに日本が六十五歳まで働けないという理屈はどこにあるのですか。
○清水(傳)政府委員 外国の場合と我が国の場合と社会の風土なり雇用慣行なり、これはもう大きな違いがあろうかと思うわけでございまして、非常に大きな違いと申しますのは、我が国の場合には年功序列の賃金体系をとっている。外国の場合にはそれがない。むしろ職務給と申しますか、仕事の内容と賃金がストレートに直結した形になっております。したがいまして、そういった意味合いで、我が国の場合に高齢者雇用ということが通常勤務というふうな形で高齢者について進みにくいということは、こうした賃金コストの面の支障、障害というのが非常に大きな要因になっているというふうに思わざるを得ないわけでございます。この点をどのような形で改善をし、また高齢化社会が進むその条件整備をどうやっていくか、これこそ本当に高齢者雇用を進めるために真剣に取り組んでいかなければならない、こういう問題だと思うわけでございます。その辺のところをひとつ御理解をいただきたいと思います。
○森田(景)委員 今の答弁をよく考えてみますと、日本では六十五歳定年制はやらない、できない、こう理解していいんですか。
○清水(傳)政府委員 私どもといたしましては、六十五歳程度までの雇用の場の維持確保ということについては、これからの最大の国民的課題として取り組んでいかなければならない、そういう問題だと思っておりまして、そういう方向へ向けて最大の努力をいたしてまいる所存でございます。 ただ、定年制立法化ということを含めましての形につきましては、やはり先ほど来御答弁を申しておりますように、六十歳という形が現時点における社会的なコンセンサスが得られる姿ではなかろうか。それを超える層につきましては、多様なニーズに応じた形で雇用就業の場の確保ということ、しかも同一企業なり同一企業グループ内における継続雇用の推進ということに一番の眼目を置きつつ対策を進めてまいりたい、このように存じております。
○森田(景)委員 今回のこの六十歳定年法制化まで時間がかかったのは、企業の方でいろいろ問題があったわけですね。そういう問題がありながらなおかつ法制化になったというのは、先ほど申し上げましたように、大部分の企業が六十歳定年制に向けて実施されている、あるいは近いうちにそうなる、そういう状況が整ってきたのでこういう結果になってきたのだ。それでもなおかつ法制化するというのは、そういう法制化しておかなければなかなかできない中小企業に対してどうするかということが大きな問題だったと私、理解しておるわけです。 だから、それは同じ理屈でして、これからの日本の将来に向かって、もう六十五歳定年は絶対にやりませんというのなら別ですよ。だけれども、六十五歳の雇用の場を、就業の場を確保するんだ、こういう答弁なのですから、六十五歳定年制に向かってやはり努力して、二十六年間で高齢者が一四%になるという高齢化社会を迎える日本ですから、もうこの六十五歳定年ということは必ず大きな課題になってくるはずだと思うのです。今まで我々が、我が党やあるいは野党の皆さん方と一緒になって提出した法案というのは六十五歳定年というのが主張だったはずでございます。 そういう点について、もう時間が迫ってまいりましたので、大臣に、この六十五歳定年制については検討課題なのか、労働省としては将来とも六十五歳は絶対やらないというのか、その辺のところを明確にしていただきたいと思います。
○林国務大臣 ただいまの現状では六十歳定年の法制化を進めているわけでございますが、先生御指摘のように、六十五歳の定年というのはやらないのかというような御質問でございますけれども、現段階におきましては六十歳定年というものを十分に周知徹底の上に法制化をして、各企業ともそういった問題に取り組んでもらいたい。それから六十五歳の定年ということになりますと、まだ現在の時点ではその手前の六十歳定年という法制化を今進めているさなかでございますので、ここでやらないとかやるとかいうようなことははっきり申し上げる段階ではないと思います。
○森田(景)委員 最後の質問といいますか要望といいますか、とにかくもう私が申し上げるまでもなく、日本の高齢化という問題についてはみんなが苦慮といいますか非常に心配をしているところでございますから、ぜひとも大臣、先ほど総理が答弁されたと同じように、先見性、指導性を持って労働省主導型でこの六十五歳定年制に向けて早い対応をしていただくようお願いしたいと思うのです。 あとシルバー人材センターにつきまして若干お尋ねしたかったのですけれども、時間が参りましたので、以上で質問を終わります。
○高橋委員長代理 大橋敏雄君。
○大橋委員 引き続いて質問を申し上げますが、中高年齢者等の雇用促進法の改正案の主なねらいというものは、六十歳代前半層、いわゆる六十五歳未満に対する雇用拡大を目指したものと私は思うのでございますが、今回のその対策の中で、高年齢者多数雇用者報奨金の支給制度が発足すると思うのでございますが、この点についてはまず内容を説明をしていただきたいと思います。
○清水(傳)政府委員 お答え申し上げます。 考え方といたしまして、六十歳から六十五歳層の労働者の人たちを一定雇用割合以上雇用をしている企業に対しまして、その割合を超える人につきまして報奨金を支給していこう、こういうものでございまして、具体的には六%、全国平均が三%でございますので、そうしたものをより高めるという意味合いにおきましてそういう目標を掲げまして、それを超える人一人につきまして月額二万円、年間二十四万円の報奨金を支給していこう、こういう内容で考えているところでございます。
○大橋委員 確認を申し上げますと、六十歳以上六十五歳未満の従業員を六%を超えて雇用している場合は、六%を超えた高齢者一人当たり二万円の報奨金が支給される、こういうことでよろしいですね。
○清水(傳)政府委員 今の御指摘のとおりでございます。
○大橋委員 実は高齢者多数雇用の趣旨といいますか精神に基づきましてもう既に対応している企業の実例があるわけでございますが、私、この問題を具体的に取り上げまして若干の質問をしてみたいと思います。 この会社は昭和五十四年に中高年齢者雇用について労働大臣の表彰を受けている事業所でございます。私の手元に「労政だより」というパンフレットがあるわけでございますが、これは久留米市の民生労働部労政担当が発行しているものでございまして、ことし、昭和六十一年一月三十一日付の「労政だより ナンバー70」というパンフレットでございますが、その中に紹介されている内容でございます。一 〔高橋委員長代理退席、浜田(卓)委員長代理着席〕 ここでちょっと読み上げさしていただきます。 事業所訪問記(1) 今回は第一回目に、昭和四十八年に定年制そのものを廃止し、昭和五十四年には中高年齢者の雇用について、労働大臣表彰を受けられた木下株式会社をお訪ねし、木下勇社長にお話しを伺いました。 以後は問答形式になっております。 ——まず経営理念についてお聞かせください。 木下氏 私は人間尊重の経営を心がけており、日頃社員に対し、「信仰に立って経営方針を創り、人事管理を行う」と表明しています。 ——定年の”延長”でなく、全国的にもまれな”廃止”に踏み切られた理由は何ですか。 木下氏 定年制の廃止は昭和四十八年の五月に実施しましたが、その理由は四つあります。第一に、会社と社員を名実ともに運命共同体とし、愛社精神を昂揚させ、企業の活力を生み出すためです。第二に、人間愛の精神から「職を奪うことはその人を死に追い込むことを意味する」と考えたからです。定年の”延長”と”廃止”の概念はここで根本附に違います。第三に、人件費の増加は年次、企業努力で克服できる、第四に、年齢別構成に対応した業務内容の開発は可能であると考えたからです。 ——定年制廃止の成果はいかがですか。 木下氏 現在八十歳を最高に五十五歳以上が四十七名(全従業員の二二%)、身障者が四名(同一・八%)おりますが、再就職や老後の不安は解消され、企業活力の源泉となっております。また、全社が運命共同体となったことにより、雇用管理上の問題(給与・人事等)解決の施策も力強く推進できるし、高齢者、身障者も含め、社員間の調和も育成しやすくなりました。 ——定年制廃止に伴う社員の老齢化による弊害はどうなさるのですか。 木下氏 会社の老化現象に対し、人事の面で思い切って若いリーダーを起用することにより、若さと活力を吹き込む人事構成を断行しています。 こういうことになっているわけでございますが、これは五十四年の表彰のころの話でありまして、五十九年度におきましては、この会社の従業員総数は二百十四名なのです。そこで六十歳以上の従業員数を調べてみましたら二十八人おります。一三・一%となります。ところが六十歳から六十五歳までという報奨金の規定を見ますと、十六人になるわけですね。十六人になりまして、七・五%ということになるわけでございますが、十六人中六%を超える人数と見てまいりますと、三・二人ということになるわけでございまして、報奨金の対象は三・二人分、六十六歳以上が十二人おりまして五・六%、これはむしろ高齢者多数雇用の趣旨からするとより対象にならなければならぬ対象者ではないかと思うのでございますけれども、今回の法案の内容からすれば、これは該当しないという状況になるのではないかと判断されるわけでございますが、このような事業所に対しては労働省としてはどのような扱いをなさるのか、お尋ねをしてみたいと思います。
○清水(傳)政府委員 定年制を廃止をして、その前の定年が何歳であったか、ちょっと今聞き漏らしましたけれども、高齢者雇用に意欲的に取り組んでいただいておるという企業につきまして、私どもとしても敬意を表したいと思うわけでございます。 ただ、具体的な高齢者の多数雇用報奨金の仕組みにつきましては、先ほど私が申し上げましたように、六十歳から六十五歳未満の方々の雇用比率でもって進めていく、こういう考え方をとっておりまして、それを超える方につきましては支給の対象にならない、こうした面での一つの矛盾として御指摘をいただいたことだと思うわけでございます。 そういう今般の制度の考え方と申しますのは、政策的に見まして六十歳代前半層の雇用というものをできるだけ底上げをしていこう、こういう誘導措置としてこの制度の仕組みを考えております。もちろん企業によりましては、今先生御指摘のような企業はほかにも七十近くまで雇用しておられるところもあるいはあるかもしれないわけでございますが、現時点におきまして、私どもの政策的な重点としてはその層に置きましてこの制度を考えておるところでございまして、その点につきましてひとつ御理解をちょうだいいたしたいと思います。
○大橋委員 今も申し上げましたように、この企業は昭和五十四年に労働大臣表彰を受けたわけですね。高齢者、身障者を積極的に雇用しているということでの表彰でございまして、この企業が今回の法改正の趣旨に合致したといいますか対応、対策をとっているのに対して、六十五歳以上の者は対象外として切り捨てられるという事実を知りましたときに、非常に割り切れない思いがするわけですね。なぜ六十五歳ということでその線を切ったのか、その理由は何ですか。
○清水(傳)政府委員 一般的に高齢者雇用対策をこれから進めてまいる場合、従来からもさようでございますが、私ども労働省といたしまして、高齢者の六十歳代層のさまざまな体力状況、就業希望の状況、いろいろな事情がございまして、そうした中で財政的な措置を含めまして政策的に雇用を進めていく対象層としては六十五歳までだ、こういう考え方で施策の整理をいたしておりまして、重点的に今後雇用対策を進める対象としては六十歳から六十五歳というふうに考えておるところでございます。
○大橋委員 今、高齢者を多数雇用するということで報奨金が出る、この趣旨からいくと、六十歳以上に引き上げていこうという政策の措置ですから、私は当然これも含まれていいような思いがしてならないのでございますが、予算的な措置もこれありという話もありましたが、恐らく福祉事業の立場での予算からの支出であって、六十五歳以上になるとその対象から外れるということでの除外であろうかと私なりに判断するわけでございますが、これは血の通った行政措置をさらに期待したいところでありまして、後でまとめて労働大臣のお気持ちを聞きたいと思いますので、一応意識の中にとどめておっていただきたいと思います。 時間の関係もございますので、次に移ります。 この会社は退職金の扱いにつきましてもユニークな発想で実施しているわけでございますが、先ほどの「労政だより」にこの件も述べられております。 ——退職金および給与制度はどうなったのですか。 木下氏 まず、退職金制度の見直しを行い、従来の制度は廃止し、新たに「豊かなる人生積立資金」規定を創設しました。この新制度は退職金に見合う金額を毎月給料とは別に支給する、いわば退職金の分割前払制度です。次に、給与体系についても属人給、職能給と合理的に個人差を評価して、会社への貢献度を公平に査定するよう努めているところです。 また、「最後に一言お願いします。」ということで、木下氏の答えは 私は定年制を廃止した時の所信表明で「杖をついて出勤してくださる正社員を持つことを会社の誇りにしよう」と申しました。高年齢者、身障者を吸収できる雇用管理を推進するならば、定年制を踏襲する会社では到底得られない活力が必ずや生まれ、企業存続の源泉が強固になるものと確信しております。即ち社員の安定欲求を充足する、精神衛生を大切にする企業が生き残るのは天の摂理でありましょう。もし、定年制廃止をご検討の事業主の方がおられたら、ご連絡くださればそのすすめ方、展開等拙い私の経験からご一緒に考えさせて頂いても結構でございます。 ——ありがとうございました。で終わっています。これは「労政だより」という公式なパンフレットの中に出されているものでございます。 私もその積立金の「豊かなる人生積立資金」規定というものを拝見しました。時間がございませんので細かいことは割愛させていただきますけれども、こういう退職金の扱いにつきまして新しい考えで行っている企業の姿を見た場合、私はこれもすばらしいことだな、こう思うわけでございますが、退職金に対する税制上の優遇措置があるわけでございますけれども、このような毎月、毎月の給料に上乗せして退職金の前払いをするような形をとった場合はその税制上の優遇措置を受けられなくなるわけですね。したがいまして、私はここで労働大臣にお願いしたいわけでございますが、先ほどの件あるいはこの件につきまして前向きに検討していただいて、大蔵省等にもぜひ交渉していただきたい、こういう思いでございますが、いかがでございましょうか。
○若林説明員 先生ただいまお話しございましたように、退職所得は一時に支給されるものでございますことや、あるいは給与所得者にとって老後の生活保障的な所得でありますこと等から、現在の税制では給与所得とは別に退職所得として特別の軽減の方途を講じているわけでございます。今お話しございましたように、個別の企業が従前設けておりました退職金制度を廃止いたしまして、それに伴ってそれに相当する部分を前払いとして毎月の給料に一定額上乗せして払う、こういうことでございまして、こういった給付は退職したことに起因して支払われるものということにはならないわけでございますので、給与所得とされているわけでございます。これを御指摘のような退職所得扱いということは難しい問題を含んでいると存じているわけでございますが、御指摘の木下株式会社は、今お話しのように二百人のうちで三十人ぐらい六十歳以上の方を雇っていただいているわけでございまして、私ども、こういった御努力は高く評価いたしたいと考えているわけでございます。 こういう高齢化社会の中で高齢者の方の雇用を広げていくということになりますと、当然賃金とか退職金とかいった面でいろいろな工夫をしていかなければならないということでございまして、事業主の方々なり労使の皆さん方、大変いろいろと工夫をしていただいておるわけですが、今お話しのようなケースというのはまさにそういったものの一つでございます。今のお話はそういった御努力、御工夫の一つであると私どもも受けとめている次第でございます。
○大橋委員 今の企業などは、高齢者雇用について大変熱心な対策を施し、また退職金制度等もユニークな考えを持ちまして前向きの対策を講じている会社でございまして、こういう会社が将来どんどんふえていかなければならない、私はこう思うのであります。 そこで、もう時間もわずかになりましたので、最後にまとめて大臣にお答えしていただきたいのですが、今言うように、高齢者を雇い入れようという職場を開発する、あるいはまた職場の改善をする、これも大事ですけれども、まず高齢者そのものの能力あるいは技能を教育訓練して、それが生かされるようにしていくことも大事だと思うのですね。 先般私どもが荏原高等職業訓練校というところを視察に参りましたときに、平均年齢五十八ということでございましたが、その研修生の皆さんは無遅刻、無欠勤、一人も休む人もないし遅刻もしないのだそうです。最後まで熱心に研修を受けられて、その課程を終えて就職なさっているわけでございます。私は、それを見ながら胸が熱くなる思いでございました。こういう体制といいますか設備といいますか施設もどんどんふやして、高齢者の再就職に向けて対応していくべきだろうと思いますので、それもこれも含めて大臣から御答弁いただいて終わりといたしたいと思います。
○林国務大臣 先ほどの木下さんのお話、私も伺いまして感銘を受けたわけでございますけれども、労働省といたしまして、現在の法案の中では雇用政策は六十五歳までを対象といたしておりまして、それから上の方には、いろいろなそのほかの制度との関連もございまして、助成金をつけるというような問題につきましては大変な困難が伴おうかと思います。そこで、先生御指摘のような、このような非常に心温まる思いを持った企業でございますので、私どもといたしましては、長い目をもってこれを検討してまいりたいと思います。 また、先ほど荏原の訓練校の中でのお話もございました。私どもといたしましては、そういった方々が本当に次の職場で十分喜びを感じながら働いていただけるというような訓練施設と申しますか制度と申しますか、そういったものをこれからも十分に充実してまいって、そこで働く人たちのために少しでも役に立つような方向に進んでまいりたい、このように思っておるわけでございます。
○大橋委員 終わります。
○浜田(卓)委員長代理 塩田晋君。
○塩田委員 中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御質問申し上げます。 この改正法律案によりましてこれからの法律の題名が高年齢者等の雇用の安定等に関する法律となるわけでございます。今回の改正法案、条文をいただきまして見ましたところ、かなり大部といいますか、文書で五十三ページにわたる法案の資料をいただいておるわけです。これを見ますと、第一条の改正と第二条の改正とこの二つに分かれておりまして、ちょうど半々になっているわけですね。これは普通に見ますと、何かダブっているような感じがする法律の形式になっております。これにつきましては労働省の担当課におかれまして法制局と十分に打ち合わせをされたことで、これ以外になかったからこのような法形式になったと思うのでございますが、どうもわかりにくい。これ以外に技術的に方法はなかったのか。 非常に常識的な考え方になりますけれども、第一条で四月一日から実施される部分について改正をされて第二条で十月一日以降施行の部分についてやっておられるわけですが、最終的には、十月一日以降になりますとそれだけになるわけですね。ですから、その形をまず前面に出して、そして四月一日施行の分については附則か何かでやっておけば、半年のことですから、それでわかりやすくいくのじゃないか。この資料にしても半分で済むのじゃないか、条文もボリュームが半分で済むのじゃないかと考えるわけでございます。 法制局と十分に技術的に詰められた結果として出てきたものと受けとめますけれども、こういうわかりにくい法律案というのは労働省がいまだかつて経験されたことのない法形式だと思うのです。労働省が設置されてからもう間もなく四十年になろうとしておりますが、こういう形式のものは初めてじゃないかと私は思います。これ以外になかったということではございますけれども、なお法制局とも——法制局全体の問題だと思いますが、国民の立場から見ますと、わかりやすく、技術的に他の方法が工夫できなかったものか、このことをひとつ御検討をいただきたい。これは宿題でございます。まずそのことを最初に申し上げておきます。これは回答は要りません。 法律案の中身につきまして御質問を申し上げます。 大臣も御指摘のように、我が国の高齢化の進展は非常に急でありまして、その対策も急がれておるところでございます。日本人の平均寿命は、大正十年には男四十二歳、女四十三歳であったわけでございますが、御承知のとおり今では男七十四・八歳、女八十・七歳、世界で一、二の長寿国になったわけでございます。六十五歳以上の老年人口は総人口の一〇・三%でございますけれども、三十年後にはこれが二一%にまでなると見込まれております。まさに五人に一人。またその後も、五人に一人が四人に一人になり、あるいは三人に一人になっていくことも考えられるわけでございます。 老齢人口が人口全体の七%から一四%と倍になるのにアメリカでは七十五年かかり、フランスでは百十五年もかかりまして緩やかに高齢化が進んできたわけでございますが、日本におきましてはわずか四分の一世紀でそうなっていくわけでございます。まさに世界一のスピードで高齢化が進んでおると思われます。昔は人生五十年と言われておりましたが、今や人生八十年という社会に急速に移行しておる。そして、五十あるいは六十以上の方々も非常に心身ともに活力に満ちていてまだまだ働ける、こういう状況にあるわけでございます。 このいわゆるオールドパワーをどのように生かしていくか、これは大きな問題でございます。高齢者に対しましては、福祉対策と並びまして特に生きがい、生活の安定あるいは健康といった面から見ましても、雇用対策、働く場を与えるということが非常に重要になってくると考えます。 まず労働大臣に、このような問題につきまして基本的にどのようにお考えか、お伺いいたします。
○林国務大臣 本格的な高齢化社会の到来を迎えまして、活力ある社会を維持していく上には高年齢者の雇用就業の場の確保は国民的課題というふうに私どもは受けとめております。このため、従来から六十歳定年の一般化の早期実現を中心といたしまして高年齢者の雇用就業対策に努めてまいったところでございます。今後も高齢化の波が六十歳代の前半層に移っていくなど、高齢者についての雇用就業対策がますます重要となってまいりますので、これに対処するために、今回、中長期的観点に立ちまして抜本的な対策の見直しを行いまして法案を提出したところでございます。 今回の法案におきましては、六十五歳程度までの雇用就業の場の確保を図ることを基本といたしまして、具体的には六十歳定年を基盤といたしまして六十五歳程度までの企業における継続雇用の推進、再就職を希望する高年齢者のための早期再就職の促進、定年退職後などにおける臨時、短期的な就業の場の確保、こういったことに重点を置きまして施策の充実強化を図っているところでございますが、今後、今回の法案をもとに高年齢者のための総合的な雇用就業対策を強力に推進していくことにいたしております。
○塩田委員 職業安定局長にお伺いいたします。 全生産年齢人口の中に占める完全失業率はどのように推移しておりますか。
○白井政府委員 失業率の推移で申し上げますと、昭和五十五年が二・〇、昭和五十八年が二・六、五十九年が二・七、六十年が二・六という状況になっております。
○塩田委員 五十五年の二%に比べれば昭和六十年の二・六%は大分上がってはおりますけれども、諸外国に比べますとかなり低い水準である、完全雇用に近いと言われる数字だと思うのです。 ところで、これを年齢別に見た場合、現在六十歳から六十五歳までの失業率は三・三%、六十五歳以上の失業率は四・九%、若年の方でも十五歳ないし二十九歳の場合は失業率が四・一%と若干高くなっております。このように年齢に従いまして失業の度合いは違うわけです。いわゆる高年齢者は他の年代に比べまして相対的に高い失業傾向を示しているということは言えると思います。高齢化社会を迎えまして高齢者の労働力率、すなわち就業希望あるいは就業参加率が高まっていった場合、労働者全体の失業率の増加が懸念されるのではないか、この辺の見通しはいかがでございますか。
○白井政府委員 お答えいたします。 この辺は先生お詳しいわけでございますが、今の昭和六十年の失業率は先生御指摘のとおりでございます。 それで、失業率は、経済全体の状況とか今おっしゃいました労働力率等がございまして、将来の率を予測することは非常に困難な点があるわけでございますが、仮に今先生のおっしゃいました各年齢層別の失業率が今後とも一定であると仮定した場合、労働力人口を推計いたしまして、その高齢化によりましてどの程度全体の失業率が影響を受けるかということを計算いたしますと、昭和七十五年の推計労働力人口に基づきまして計算した場合、七十五年全体の率は二・七%というふうになりまして、昭和六十年の二・六%と〇・一の差ということで、ほとんど変わらないと見込まれるわけでございますが、この場合、現在の高齢者の失業率が現状維持で保たれるということでございまして、その辺での雇用努力が必要であるというふうに思われます。
○塩田委員 これは労働力調査の完全失業率という数字だと思うのですが、これは各国大体共通の尺度で、国連等におきましてもILO等におきましても調整をして、定義をできるだけ一緒にし、また調査方法も同じようにしていく努力をした結果、いわゆる完全失業率という、いろいろな制約条件がありますけれども、一定の定義による率がはじかれておる。そういう点から見ますと、我が国の場合は、全般的には、今言われましたように二・六%ないし二・七%といった低い水準であると思います。しかし、これもいわゆる完全失業率という定義によるものでありまして、このほかにも不完全就業だとかあるいは全部就業あるいは短時間就業とか、いろいろな形の半失業的な観念を入れますとまた違った状況になってくると思うのです。これは、所得なりあるいは労働時間の関係が入ってきての状況をこれに加味しないと本当のものはわからないと思うのです。 いずれにいたしましても、我が国の場合は完全雇用を目指して終戦後鋭意努力をしてまいりました。そして今日の経済の発展のもとに良好な状況にある、完全雇用に近い状況にある。もちろん年齢別あるいは地域別あるいは業種別等には大きな失業なりあるいは就業の不安定性等の問題はありますけれども、全般として今の状況はまずまずのところだというふうに評価されるわけでございまして、労働省がそれに全組織を挙げて完全雇用政策、政府の他の関連の施策とあわせまして努力をされた結果の大きな成果だと私は思います。 前回も申し上げましたが、マルコス政権が崩壊しましたその背景、その社会の不安定性あるいはアメリカ、東南アジア、ヨーロッパ諸国を見ましても、やはり失業問題というのは非常に重大な問題と考え、これを経済政策、労働政策、すべての政策の最重点、最高の目標にしておる、こういうふうに思われるわけでございます。そういう点からいいますと、全般的には良好であり、他の国のような社会不安というものに対する、社会的緊張あるいは不安といったものに対するかなりの措置ができておるというふうに我々考えるわけでございます。 そこで問題は、高年齢者の失業率が五%近い、すなわち平均からいうと倍近いものになっているというのはやはり問題でございまして、そしてその総体の人口がふえてくるということ、そして戦後の経済の発展なり、日本経済が世界的にも大きな力を示すに至りましたその担い手といいますか、生産力というのはまさに勤労者であり、サラリーマンであるわけでございます。そういった方々が年が経過するに応じまして高齢化していく、その人たちはまだまだ心身ともに働く余地がある、活用できる、また活力がある、こういう状況であれば、なおさら高齢者の規模自体がふくらむ中で高い失業率というものは放置されてはならないと思うのです。非常に重要な問題だと思うのです。 ところで、一方また高齢者が対策をされて生産に携わる、あるいはサービス産業にも携わる、いわゆる労働人口として残っていく場合には、やはり高齢者が対策をして多くなればなるほど就業者というものの全体の高齢化というものが進んでまいります。その場合には、やはり高齢者の対策につきまして、高齢の方の活力の低下というものも一方ではあると思うのです。定年制をしいた意味というのは、やはり活力なりあるいは仕事の面での一定の水準を維持しようという目的もあったと思うのです。これが延びていくわけですから、心身ともに活力は残っており、昔とは違うとはいえ、全体的には生産力が、よほど活力を生かすようにしないと今までのままの状況では全体的に活力が低下するという面も片方で出てくるのではなかろうか、このように思うわけでございまして、それがまた景気の低迷とかあるいは雇用情勢あるいは生産性にもいろいろ響いてくるのじゃなかろうか、このように思うわけです。そういった一面があるということをどのように見ておられるかお伺いいたします。 〔浜田(卓)委員長代理退席、委員長着席〕
○白井政府委員 お答えいたします。 今、先生御指摘のように、今後の我が国労働市場の問題としまして高齢化の波が大きく押し寄せるということが大きな問題でございますが、全体的に見まして、今御指摘いただきましたように、まず需要面から見ますと、産業構造の変化、それからME化の推進その他で大きく変わってまいりますでしょうし、また、供給の面でも女子労働力の労働市場への進出、それから今の労働力全体が高齢化していくという問題等を抱えております。したがって、経済全体の発展、これは一番重要なことでございますが、それと相まちまして需要供給の間のミスマッチが起こらないように需給を調整していくということが非常に重要だと思います。 特に高齢者問題をとらえてみますと、労働力全体が高齢化していくわけでございますから、社会に活力を与えていくためには、二十一世紀には四人に一人が労働力人口の中で高齢者になっていくというような状況を踏まえまして、高年齢者の能力や技能が十分発揮していけるというようなことが施策として実施されなければならないというふうに考えている次第でございます。 このため、継続雇用の推進にあわせまして、その前提としていろいろな施策を推進しなければならないわけでございますが、一つは、技術革新や職務内容の変化に対応して高齢期においても能力を発揮できるようにするための能力開発体制の整備拡充を図っていかなければならない、それから二つ目には、高齢期における肉体的能力の低下に対応できるよう、職場環境の整備の促進を図り、具体的には高齢者が働きやすいようにするための職務再設計や作業施設等の改善、それからそれに対する相談援助体制の充実を図っていかなければならないというふうに考えております。 それからさらに、高齢者のニーズに対応した働きやすい、先ほど先生おっしゃいましたけれども、短時間勤務を希望する者についてはそういう勤務制度の導入、それから弾力的な勤務形態の導入等雇用管理面においての研究、さらには相談援助体制の整備を図っていかなければならないというふうに考えております。 これらの施策を推進するために、いろいろな行政指導、さらには融資制度、その他助成金制度を伴いました援助措置を講じて誘導していかなければならないというふうに考えている次第でございます。
○塩田委員 今言われましたことを具体的に、着実に実効あらしめていただきますよう要望いたします。 次に、昭和五十二年四月にこの衆議院社会労働委員会におきまして、また、同年五月には参議院の同じく社会労働委員会におきまして、定年延長の促進に関する決議というものがなされております。政府は、その後定年延長の促進のためにどのような施策を進めてこられましたか、お伺いいたします。
○清水(傳)政府委員 お答え申し上げます。 労働省におきまして昭和六十年度六十歳定年の一般化ということを目標といたしまして、御決議をいただいてきて以来、企業の実情に応じましたきめ細かな相談援助を中心といたしました指導を積極的に講じてまいってきたわけでございます。 具体的に申し上げますならば、定年延長の取り組みのおくれている三百人以上の企業に対しまして、計画的に個々の企業に対しまして個別指導を実施していく、あるいは業種別に定年延長の労使会議を開催いたしまして、労使共通の課題としてこれに取り組んでもらうような機運の醸成を図っていく、あるいは定年延長研究会を企業の中で開催をし、その問題の解決指導に当たっていく、こうした行政指導の分野におきましての施策の推進を図りました。 また、こうした行政指導を進めるに当たりましては具体的な問題の解決ということがぜひとも必要でございますので、定年延長アドバイザー、こうした仕組みを設けまして、それを積極的に活用いたしまして企業に対しますきめ細かな相談、指導に当たる、あるいは何と申しましても定年延長の最大のネックでございます賃金コストあるいは退職金、年金、こうしたものにつきまして、高年齢者雇用開発協会におきまして個別企業の具体的な中身に応じて一定の答えが出していけるようなサービスを提供していく、あるいは定年延長奨励金制度の積極的な活用を図っていく、その他定年延長につきましての従来の企業のノーハウを集約いたしまして手引として提供していく、こうした各種の指導をきめ細かに実施をいたしてまいったところでございます。
○塩田委員 昭和六十年度六十歳定年の一般化ということを目標に政府は定年延長を進めてきたということでございますが、現在の定年制の状況から見てその目標は達成されたと考えておられますか、お伺いいたします。
○清水(傳)政府委員 先生既に御承知のとおり、労働省の雇用管理調査によりますと、昭和六十年一月現在で六十歳以上の定年制を採用する企業の割合は五五・四%、半数を超える状況になっておりますし、五十五歳以下の定年制を採用する企業の割合は二七・一%、これを約三〇ポイント上回っておるわけでございます。また、既に引き上げを決定また予定している企業につきましては六八・七%と、七割近くになっておるところでございます。 これらの数値をもちまして六十歳定年の一般化の目標が達成されたかどうかということにつきましては、一般化という言葉自体が具体的な数字ではございませんで、数値をもって表現することが困難でございますし、評価もいろいろあるところだと思うわけでございます。ただ、六十歳定年というものが今や企業における主流になってきた、六十歳以上定年にすべきだ、こういう総論的な認識というものは定着をしつつある、このように考えておるところでございます。
○塩田委員 六十歳以上の定年制実施企業が五五・四%、半数を超えたとはいえ、まだ六〇%を切るような状況であるわけでございまして、一般化されたという状況には残念ながらなってない、このように思わざるを得ないわけでございます。 そこで、六十年度六十歳定年の一般化という目標が達成されなかった以上、六十年を過ぎました現時点、六十一年度におきまして、特に今回の法制化を機に新たな目標年度を設定すべきではないかと思うのですが、いかがでございますか。
○白井政府委員 お答えいたします。 今回の法制化によりまして六十歳定年が法律上の社会的責任として明確にされたわけでございまして、行政措置を伴います法律によりまして格段の進展を図っていくものと考えているところでございます。 労働省としましては、この法制化を踏まえまして、定年延長のための指導、援助に全力を尽くす方針でございますが、新たな目標年度を設けてはどうかというお話でございますけれども、今申し上げましたように、六十歳定年に引き上げることについて特段な事情がないと認められる企業につきましては、目標年度を設定するまでもなく早急に引き上げるよう指導していく方針で臨んでまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○塩田委員 新たな目標年度を設定はしないということでございますか。もう全然そういった目標を掲げないのですか。
○白井政府委員 目標年度、何年までに何%という新たな目標年度を設定する考えは、先ほどもいろいろ議論ございましたが、とるべきではなく、むしろ早急に引き上げるようこの法律に基づいて指導を進めていくというのがこの法律の建前ではないかというふうに思っている次第でございます。
○塩田委員 今までは六十年度六十歳ということで、非常にキャッチフレーズとしてはわかりやすく、努力目標としては非常によかった目標ですね。これが、法律ができたからもうそういうものはないという状況で、努力をします。努力をされることは結構だし、ぜひともやっていただきたいと思うのですが、何か目標が達成されないままに目標がなくなってしまったという感じになるのです。 大臣、いかがでございますか。これはひとつ大臣、省内いろいろ相談されまして、督励をされて、目標を新たに設定されてはいかがでございましょうか。
○林国務大臣 現在、六十歳定年ということの法制化をお願いしているわけでございまして、こういったさなかで、六十五歳くらいまでの定年を法制化してはどうかというようなお話でございますけれども、私どもといたしましては、現在、六十歳というものが本当に定着をいたしまして、多くの企業でこういったものがそれなりに対応できるようなことを大きな期待を持っているわけでございますから、この状況その他を今後見ながら、またこういった問題、六十五歳定年が何年ぐらいになるのが適当であるかといったようなことも含めまして検討してみたいと思いますけれども、現在の段階では、いつ六十五歳が定年というようなことをちょっと申し上げられる段階ではない、こんなふうに思っているわけでございます。
○塩田委員 労働政策は労使間の問題が多いものですから、それはその労使の自主的な交渉あるいは協約によって実現していく、これが一番よしとされているわけですが、今の定年制につきましては、六十歳六十年度達成という目標を掲げられたときはかなり大胆な目標であったと思うんですね。今や半数を超え、先ほどの局長の御説明では七〇%を超えていくような勢いで今は進んでいる。これはわかるのですけれども、この時点で、大臣も新しくなられたわけでございますから、これぐらいのものは何か具体的にわかるように示されることが国民にとってわかりやすい労働行政になると思うのです。これはぜひとも御検討をいただきたいと思います。 雇用審議会の答申及びこれを踏まえてつくられました今回の法案では、六十歳定年を基盤に六十五歳までは多様な形態によりまして雇用就業の場を確保するということを基本的な考え方としておるわけでございますが、これは当面の対策として考えておられるのかどうか、お伺いいたします。
○白井政府委員 お答えいたします。 六十歳定年を今回答申いただいたわけでございますが、先ほどからいろいろ議論もございましたように、現実の我が国の社会情勢から見ますと、この六十歳定年というのが最も妥当な線だというふうに考えている次第でございます。当面の対策として、先ほど申し上げましたように、この法律をもって早急に六十歳定年に引き上げていきたいというふうに考えている次第でございます。
○塩田委員 将来的には六十五歳定年の確立が必要であるが、当面は無理だ、こういうことでありますれば、経過的に六十歳を法律でもって実行していくということもやむを得ないと思うのでございますけれども、原則は六十五歳であることを法律上明らかにすべきではないかと思うのですが、いかがでございますか。
○白井政府委員 今申し上げましたように、この長い経緯の中で定年六十歳ということが立法化されるところまで来たわけでございますが、今先生おっしゃいます六十五歳定年につきましては、いまだ社会的コンセンサスが十分得られていないという状況ではないかと思うわけでございます。 それから、先ほどからいろいろ申し上げておりますように、企業側におきます人事管理、それから賃金その他の問題、さらには高齢者側の、労働者側の高齢化するにつれての個人的ないろいろな差等を考えてみますと、果たして定年だけで進めていくのがいいのかどうかという問題もございまして、その点は今後十分議論がされなければならない問題じゃないかと思っている次第でございます。
○塩田委員 定年の年齢と年金の受給開始年齢を連動させないと本当は整合性がないと思うんですね。労働省と厚生省の所管は違うとはいっても、やはり受ける側の勤労者、サラリーマンは一体ですから、定年と同時に年金を受けられるというふうに連動しないとおかしいと思うんですね。 厚生年金あるいは国民年金の改正によりまして、年金の受給は六十五歳になったわけですね。厚生年金につきましては、御承知のとおり六十歳から、暫定的とはいえ当分の間、相当額の特別支給が行われる。しかし、原則は六十五歳からの支給になっているわけです。定年の年齢をやはり六十五歳に合わせないと整合性がないのじゃないか、これと連動すべきだと思うのですが、いかがでございますか。
○林国務大臣 雇用と年金の関係につきましては、基本的には両者が相まって将来、高年齢者の生活に不安を招かないようにすることが必要であろうかと思います。雇用政策と年金政策の有機的な連携を図ることが必要であろうかと考えるものでございます。このため、従来から雇用政策と年金政策との関係につきまして厚生省と協議をしてきたところでございますが、今後ともこの問題の重要性にかんがみまして連携を密にしてまいりたいと思っております。 いずれにいたしましても、今後の本格的な高齢者社会の到来に的確に対応していくためには、雇用審議会の答申にもございますように、当面、六十五歳程度までは雇用就業の場の確保を図っていくことが必要であろう、こんなふうに考えますので、今回の法案に基づきましてその施策の充実強化に一層努めてまいる所存でございます。
○塩田委員 次に、定年延長、雇用延長の場合に、労働条件が低下する場合があることが間々見られるわけでございますが、労働省はどのように考えておられるか。また企業の中には、現在六十歳定年制を原則としながらも、いわゆる選択定年制を導入しているところもあるわけでございますが、その現状をどう評価しておられるか。また、本法施行後、こうした企業に対してどのような指導を行っていかれますか。 また、この円高デフレによりまして、せっかく定年延長してまいりましたところが足踏みをする、あるいは計画的に何年かに一年ずつ延ばしてきた定年を、また逆戻りするような深刻な企業経営に陥ったところにおきまして、労使が賃上げまで自粛しようとかあるいは定年延長は逆戻りはやむを得ない、こういったことも聞くわけでございます。これはまことに重大な事態だと思いますが、いかがお考えでございますか。
○清水(傳)政府委員 定年延長、雇用延長を行うに当たり、何と申しましても非常に重要な問題というのは賃金・退職金制度、いわゆる賃金コストをどのように吸収をしていくか、年功序列の賃金体系の中で高齢者雇用を進めるに当たって、この点についてどのような解決を図っていくか、これが極めて重要な問題であり、この問題を解決しないと高齢者雇用はなかなか進まない、そういった意味合いにおきまして、企業における労使でさまざまな工夫、努力が行われておるわけでございますし、そうした中の一つとして、賃金カープのスローダウンとか退職金制度の見直し、そういったことが採用されているケースが多いと思うわけでございます。私どもの調査によりましても、そうした面の見直しを行った企業が約三分の一というふうになっております。 労働省といたしまして、定年延長の問題、高齢者雇用の問題というのは、企業の労使がそれぞれ共通の課題として、共通の問題としてこれを考えていってもらわないと前進をしない、そういう意味合いにおきまして、この点についての創意工夫というふうなものがより進められるようにさまざまな形での事例の提供でございますとか相談援助、こうしたものを行いながらその条件整備を図ってまいる必要がある、このように考えておるところでございます。 それから選択定年制につきましては、現在これを設けている企業の割合は五十七年の調査によりますと四・一%でございます。勤労者の高齢期を含めました職業生活の設計ということを考えますと、主流はやはり同一企業なり同一企業グループにおきまして継続雇用が図られることが一番望ましいことであると思うわけでございますが、しかし、その人のそれぞれの能力あるいは人生観その他によりまして、早期に他へ転出して新たな人生の道を開いていくことがよりその人の能力活用につながっていくというケースもあろうかと思います。そうした勤労者の高齢期を迎えでのさまざまな選択の幅を提供する、こういった意味におきまして選択定年制ということもそれなりの評価、意義があるのではなかろうかと思うわけでございまして、労使の合意によりましてそういう制度が適正に運営されていくということもございますし、私どもといたしましても必要に応じて事例の収集等踏まえながら相談援助に努めてまいりたい、このように考えております。 それからまた、最近の円高等によりまして、定年延長、高齢者雇用はコストの伴う問題でございますので、そうした面における進捗ということについて、ただいま御指摘がございましたような形での足踏みというような傾向もあろうかと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、この問題につきましては雇用の問題と企業の存立の問題、そうしたこととも深くかかわりがある問題でございますので、労使双方が十分に話し合いをして妥当な形での解決が図られることを私どもとして期待いたしているところでございます。
○塩田委員 先ほども申し上げましたように、今後六十歳代前半層が急増いたします。またその雇用就業対策をしっかりやらなければならないということを申し上げたわけでございますが、六十歳代前半層の雇用につきましては、これまで以上にいろいろな特殊な事情を考え、賃金、人事管理、施設設備等の条件整備が必要だと思います。これに対応した指導、援助措置の充実が必要と思いますが、どのような対策を講じようとしておられますか、お伺いいたします。 それとあわせまして、この法案の中にございます高年齢者雇用推進者、これは結構なことだと思うのですが、具体的にどのように役割を果たさせるようにしようと考えておられるかお伺いいたします。
○白井政府委員 お答えいたします。 今、先生御指摘のとおり、企業が六十歳を超えて継続雇用を実施するに当たりましては、賃金・退職金制度や人事管理制度の見直し、それから施設設備の改善等が必要でございまして、今後これらについての相談援助体制を拡充していくことが重要であるというように考えております。 このために、法律上高年齢者雇用開発協会を規定いたしまして同協会の組織を拡充するとともに、次のような業務の拡充を図ることといたしております。 高年齢者雇用アドバイザーの設置等による相談体制の強化、それから個別企業における条件整備のための調査研究、企画、立案援助事業の実施、雇用施策モデルの開発研究の実施、好事例等各種情報の収集、提供体制の強化等を図りますとともに、職務再設計コンテスト等の開催による啓発活動の実施、それから高年齢者雇用推進者に対する講習、研修事業、継続雇用に関する給付金の支給業務の実施等を図りまして、民間におきます自主的な、高年齢者雇用開発協会を核とした活動を利用しながらそういう面での施策を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。 今ちょっと申し上げましたが、高年齢者の雇用推進者につきましては、そのような研修その他を実施いたす予定にいたしておりますが、企業におきます高年齢者の継続雇用を推進するための自主的な取り組みの中心的な役割を担うものとして活躍していただくということで、継続雇用のための賃金・退職金制度、人事管理制度の見直し、作業施設の改善、高年齢者の能力の開発及び向上、その他条件整備を図るための業務を行っていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
○塩田委員 最後にお伺いいたします。 高年齢者の再就職は非常に困難な状況にあるわけでございますが、このような状況を改善していくためには何よりも求人の確保が重要でございます。今回の法案におきましても、公共職業安定所は高年齢者の雇用の促進を図るため求人開拓に努める、こうなっております。そのためにも公共職業安定所の機能強化が重要でございますが、それだけでなく、今後、民間機関の活用をも含めまして需給調整体制を強化することを検討すべきだと思います。いわゆる民活を図るべきだと思います。その中でも特に労働組合、これは現在の職安法でも無料の職業紹介ができますし、また労働者供給事業も許可を得てできるということになっております。この現状についてお伺いいたしますとともに、今後こういった活用をどのように図っていかれるか、お伺いいたします。 さらに、定年退職者等で任意就業を希望する者も増大してまいりますが、その対策といたしましてシルバー人材センター、これは非常に結構なことだと思っております。これをどのように運営を多様化し弾力化していかれるか、方針を最後にお伺いいたします。 そしてなお、事業主の退職準備援助、こういったこともひとつ国としても積極的に考えていただきたいと思うわけでございますが、いかがでございますか、まとめてお答えいただきたいと思います。
○白井政府委員 お答えいたします。 非常にたくさんの御質問だったわけでございますが、一つは、高齢者の再就職のための公共職業安定所の雇用促進に対する具体的対策でございますが、御指摘のように、離職した高年齢者の再就職は非常に厳しい状況にございますので、このための再就職の促進を図るための体制整備が急務であるというふうに考えております。高齢者に対する再就職の促進のためには求人の確保が重要でございますので、今回の法案におきましてもそのための公共職業安定所等の機能の強化を図ることとしているところでございますが、具体的には高年齢者のための求人開拓を強化するために高年齢者職業相談室の活動を強化するとともに、求人開拓を専門に行う高年齢者雇用促進員の設置を図っていくこと。 それから二審目には、企業の求人情報を収集するため、企業の雇用情報を収集しやすい立場にある者の高年齢者雇用協力員への委嘱。それから三番目には、求人求職情報の有効活用を図るための求人求職情報誌の発行。それから四番目には、求人求職の結合の促進を図るための自己紹介ビデオ制度の拡大実施等の措置を講ずるということにいたしている次第でございます。 それから組合の行っている労働者供給事業と職業紹介の状況でございますが、職業紹介につきましては現在許可事業所はゼンセン同盟と電気通信情報産業労働組合連合(電通労連)、この二つとなっております。 それから労働者供給事業の方は、六十年三月末で三十七が許可になっております。先生おっしゃるとおり、労働組合を含めまして、先ほど申し上げました民間での情報収集等、民活も大いに図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。 その他の点については、部長の方からお答えさせていただきます。
○清水(傳)政府委員 シルバー人材センターの機能強化なり機能の多様化という点につきましては、まず従来の設置基準を大幅に緩和いたしまして、人口十万人以上を原則といたしておりましたものを、会員数なり就業延べ人員から見まして一定の行政効果が見込める地域に設置できる、このような形に改めますとともに、シルバー人材センターが自主事業の実施なり、あるいは会員の能力開発、こうしたことを十分に行ってやっていけるような財政的な面での裏づけ措置の実施、あるいは任意就業に類似いたします臨時、短期の雇用のあっせんも行う機能を付与する、こうした形でその強化を図ってまいることといたしております。 それから、退職準備の面でございますけれども、いわゆる高齢者の雇用問題というのは、やはり勤労者の高齢期における全体としての生活の中の一部分というふうな理解のもとに、さまざまな形での例えば年金なり税金なり、いろいろな生きざまの問題も含めましての高齢期に入る準備ということ、これらをやっていくということは非常に重要なことだと思うわけでございまして、現在も企業においてそうした退職準備プログラムを実施をしているところもございますが、こうしたことにつきまして、この法律上、企業に対しての努力義務を課しますと同時に、高年齢者雇用開発協会を通じまして退職準備プログラムのモデルを開発し、そうしたものを提供することによってそうした機運の促進、普及ということに努めてまいる所存でございます。
○塩田委員 ありがとうございました。
○山崎委員長 小沢和秋君。
○小沢(和)委員 まず初めに、大臣にお尋ねをしたいと思います。 今回、六十歳定年を各企業に対して努力義務を課するということになるわけでありますけれども、私は、完全にこの六十歳定年を実現するという立場に立つのであれば、法制化をすることこそがむしろすっきりするのではないか。私たち、野党が共同提案をしているものは六十歳の法制化という立場に立っているわけで、このところが一番違うと思うのです。何で努力義務というようなことになったのか。私の感じでは、どうも企業に遠慮したのではないかという感じがするのですが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 六十歳定年の法制化の内容につきましては、種々議論のあったところでございますけれども、今日、提案いたしております内容は、雇用審議会におきまして全会一致の結論が出ておるわけでございまして、現段階におきましては社会的コンセンサスが得られる現実的な、そして妥当なものと考えているわけでございます。いずれにいたしましても、六十歳定年が法律上の社会的責任として明確にされ、そしてまたそれを推進するための行政措置が法律に明確にされていることは、六十歳定年の推進に極めて大きな効果があるというふうに考えております。この法律を踏まえまして、企業、そして労使が積極的に取り組んでまいることを私どもとしては期待を申し上げているところでございます。 それで、先ほど先生御指摘のような使用者側に遠慮しているのではないかというようなお話でございますけれども、そういったことはさらさら私どもは考えておりません。
○小沢(和)委員 そうすると、六十歳定年は努力義務という形だけれども、徹底的に指導を強めることによってごく近い将来に一〇〇%まで持っていく、こういう趣旨で提案されたというふうに理解していいのでしょうか。
○白井政府委員 お答えいたします。 今、大臣御答弁申し上げましたように、定年制の問題につきましては、長い経緯の中で社会的なコンセンサスを得て今回立法化に踏み切らしていただいたわけでございます。したがいまして、これに伴います行政措置等の規定もございますが、これを有効に活用をすることによって今後の六十歳定年に向けての促進を図ってまいりたいということでございます。 一〇〇%とおっしゃることにつきましては、企業それぞれのいろいろな事情もあるわけでございまして、それらの点については中央職業安定審議会の審議を経ながら、その基準に基づいて行政措置を進めてまいるということになっているところでございます。
○小沢(和)委員 やはり今の答弁を伺っても、これはかなり将来にわたっても一〇〇%になっていかないんじゃないかという感じがして仕方がないのです。特に、定年の引き上げの要請を大臣がすることができる定めなどを見てみても、「特段の事情がないものと認めるものに対し、」「要請することができる。」ということになっている。そうすると、「特段の事情」というのを認め出したら、これはどこまででも定年などというのは先延ばしにすることができるのではないかというふうに考えざるを得ないわけですが、この点重ねてお尋ねします。
○白井政府委員 「特段の事情」と申しますのは、その行政措置の対象として、企業が非常に景気が悪くて倒産に瀕しているとか、それから労使の話し合いの上で定年についてのほかの取り決めがあるとか、それから実質的に雇用延長を図っているとか、いろいろなそういう事情でございまして、これは先ほど申し上げましたように中央職業安定審議会の議を経まして、これは労使の委員おられるわけでございますが、公正な立場で基準を定めていくということでございますので、これによってこれが緩んでいくということではないというふうに我々は考えている次第でございます。
○小沢(和)委員 それから、大臣が六十歳定年を実施するように要請し、計画をつくらせ、それについてまたいろいろ勧告もし、なお従わない場合には「公表することができる。」という手法になっているわけであります。今までのいわゆる高齢者雇用率を達成するための手法とこの公表をするというところが違っている。ここだけ強化をしたということになるのじゃなかろうかというふうに私は読んだわけですけれども、しかし、それならば「公表することができる。」という伝家の宝刀を本当に抜くのか。 今までこの種のやり方としては、身体障害者の雇用率というのがやはりいよいよ言うことを聞かない場合には「公表することができる。」ということになっておりましたけれども、私が知る範囲では、これは公表したことなかったんじゃないですかね。ありましたかね。ないと思うのですよ。結局、これもそういうふうなことになるのであれば、「公表することができる。」と書いても余り大して圧力にならないんじゃないか。実際、身体障害者雇用率というのはここ三年ぐらいはほとんど足踏み状態じゃないですか。だから、私は、そういうような事例から見ても、この「公表することができる。」ということについて、本当に抜くのかという点で不安、不信を感ずるわけですけれども、いかがですか。
○白井政府委員 お答えいたします。 今、先生おっしゃいましたように、この行政措置は段階的に持っていくわけでございまして、最後の手段として公表の制度があるわけでございますが、法律にある以上、どうしても公表まで持っていかなければならないということであれば公表していかなければならないというふうに考えております。 しかし、身体障害者のお話が出ましたが、この身体障害者の場合は、私の記憶では、この法律ができる前に一度公表をしたことがあるような記憶がございますけれども、実際には現在身体障害者は非常に障害が高度化しているというような面とか制約の問題とかいろいろございまして、むしろ勧告、指導を進めていくことの方が効果があるということで、現在そういう形で進めているところでございますが、この高齢者問題についてもそこまでいかないように努力を進めていくということが最も重要だと考えている次第でございます。
○小沢(和)委員 だから、今あなたも認められたように、法律ができてからは公表したことがないわけでしょう。一度も公表しないということは、「公表することができる。」という規定があっても、結局、労働省は企業に遠慮してやらないんだなというふうに企業になめられてしまったら、こういう条文を置いても圧力にならないのじゃないかと言っているわけですよ。そうすると、あなたは今の身障者雇用率がもうほとんど伸びないで、未達成企業がむしろ若干ふえるぐらいの状況にあるというような今の状況のもとでは、やはり自分が担当者なら抜くがな、それぐらいの決意でこの「公表することができる。」というのを運用しようというふうにお考えになっていると私が理解してよろしゅうございましょうか。
○白井政府委員 今申し上げましたのは、公表にいかないように努力していかなければならないということを申し上げたわけでございますけれども、どうしても公表しなければならないというところまで来れば、もちろんこの法律の規定に基づいて公表してまいりたいと考えているわけでございますが、今まだその法が施行される前に必ず公表するということを振りかざすことを申し上げるところに来てはいないと考えている次第でございます。
○小沢(和)委員 だから、必要があれば公表するという確固たる立場に立ってくれなければだめだということです。それは、そういうふうに私の考え方を申し上げて、先に進みたいと思います。 次に、私がお尋ねしたいと思いますのは、六十歳の定年制を会社としてあるいは労使として決めるというのはここ数年の間にかなり進んでいると思います。そういう意味では形式的には私は定年制の六十歳への延長というのはある程度ずつ進んでいると思います。 ところが、一方で高齢者雇用率というのがありますが、こちらの数字の方を見てみると、余り伸びていないのですね。つまり、形の方は六十歳定年制がだんだんにしろ進んでいっているが、実際の中身を示す高齢者雇用率というのは伸びていってない。これも未達成企業などというのはほとんど横ばいだ、改善されていない、こういうような状況でしょう。形は整っていっているけれども、実質的には進んでいないというこのギャップというのは一体どうして生まれるのでしょうか。
○白井政府委員 お答えいたします。 雇用率は、先生の今の御指摘ではございますが、最近かなり上がってきております。
○小沢(和)委員 いやいや、雇用率が上がっていないとは私は言ってないのですよ。しかし、あなたの方からいただいた資料でも、五十八年六月が七・一%、五十九年六月が七・三%、六十年六月が七・五%ですよ。この程度でどんどん上がってきているというふうに言えるのですか。
○長勢説明員 雇用率の状況は先生御指摘のとおりでございますが、未達成企業の状況を見ますと、特に大企業におきまして最近著しく急速に改善を見てきております。これは六十歳定年がここ四、五年の間に急速に伸びた効果であろうと思っております。ただ、定年制ができましても、企業における人員構成が若い場合でございますとかあるいはその他の事情等もありまして、直ちに早急にこの未達成企業がなくなるということでないことも先生御指摘のとおりでございますけれども、六十歳定年の進捗のこのような効果があらわれているという事実は、今後ますますその効果を大きくしていくということが当然予測されるわけでございまして、私どもとしては六十歳定年の進捗が高齢者対策に非常に大きな役割を果たしてきた、このように考えておるわけでございます。
○小沢(和)委員 あなたの方は改善されていると言うけれども、特に大企業で顕著だと言うけれども、千人以上で依然として高齢者雇用率の未達成は六四・二%、三分の二近くは未達成なんですよ。それから実雇用率で見ても、千人以上というのは何かえらい伸びているように言うけれども、これも六・二%でしょう。中小企業なんかどうですか、二百九十九人までのところだったら九・八。確かに伸び率とかそういうふうに言えば大企業の方が高いということは私認めないわけじゃないけれども、実態は一つもそんな急速に改善をしているとか効果が特にあらわれているなどと言えるような代物じゃないということははっきりしていると思うのです。 私は余りそこにばかりかかずらわっていると先の質問ができないからお尋ねするのですけれども、今、大企業では確かに形の上で六十歳定年というのは整えていっているけれども、しかしその一方で、さっきもちょっと問題が出ました四十五歳の早期の選択定年制などといってもう早々と出ていかせるというようなこともあるでしょう。それから例えばよく私がすぐ例に出しますけれども、新日鉄などでは、もう五十歳となると定期昇給を七〇%もカットをする、五十五歳ともなれば役職を取り上げてしまう、こういうようなことで職場にいづらいようにして、大体そういうような中高年はもう五十を過ぎたら出向あるいは派遣の対象にして出ていけ出ていけというふうにしむけていっている。だから、そういうことで出ていく結果が、形は整うけれども、高齢者の雇用率が案外改善されていかないという結果になって出ているのではないかということを言いたくてさっき言ったわけですよ。こういうふうに職場の中から高齢者を出していこうというふうにしむけていっていることは事実でしょう。あなた方はそれをどう評価しますか。
○長勢説明員 先生御指摘のような大企業におきましては、その親企業といいますか元企業だけでの人事管理ではなくて、企業グループ全体としての人事管理が行われている例が多いやに聞いております。そういう中で、六十歳定年制を持っておる大企業におきましては、その企業グループあるいは関連企業等を含めまして六十歳まで雇用保障をするという考え方での人事管理が行われている結果、その元企業において高年齢者の割合が比較的少なくなるという事実はあるかと思います。 この問題をどのように評価をするかについては、あるいは先生と見解が違うかもしれませんけれども、六十歳まで雇用を確保していくという意味では、それなりに、労使が高齢化社会に対応する工夫の一つというふうに我々としては評価もできるのではないかと思っております。 いずれにしても、従来の雇用慣行が高齢化社会の中でいろいろな面で変革をせざるを得ないという部分があるわけでございまして、労使が自主的にそのような取り組みをなされることは非常に好ましいことであり、労使御意見の一致の中でいろいろな工夫、努力をしていただきたい、このように期待をいたしておるところでございます。
○小沢(和)委員 今あなたが企業グループ全体で人事管理をしている傾向が大企業にはあるというふうに言われましたけれども、まさにそうだと思うのです。つまり、親企業にはそういうもう五十前後くらいからおられないようにして、そういうところへ出していくということなんですね。その系列企業に出ていくだけで実際に労働条件などが下がってくるのですよ。 私、きょうこの質問をするために若干新日鉄などの人たちから話も聞いてみたけれども、親企業だったら四直三交代をやっているけれども系列企業だったら三直三交代だ、だから、そうするというとまた年とってから連動をしなければならなくなるとか休日の日数が減るとか、そういうようなことに早速ぶつかるのですね。 しかも最近では、今企業グループで人事管理と言ったけれども、もうそこだけでも親企業が人減らしをしていく上で受け皿が足りないというので、どうなってきたかというと、もうとにかくどこでもいいから出していくという状況に既になってきているのですね。 これも一つの事例として申し上げたいと思いますけれども、やはり新日鉄のある工場で、工場長は下級職制の人たちを集めて何と言って訓示したか。君たちは定年までこの職場におられると思うな、これからは自分でいわゆる出向先を探してこい、それが町のうどん屋であろうとあるいはふだんからつき合いのある魚釣りなどをやっているような店であろうと、とにかく見つけてこい、見つけてきたら会社が出向の手続をする、こういうふうにまで言って、もうとにかく親企業の中から出そう出そうということで物すごい露骨なことをやっているのですね。そのために、その受け入れをさせられた側でも、無理やり押しつけられるものだからもうそういうような人たちが来ても歓迎しない。中には玉突きでそこの企業の人たちがやめさせられているというような事例もあるから非常に冷たい。で、いたたまれないでやめるというような事例も一私、今度調べてみて随分あるということがわかりました。 こんなような状況で、どんどんどんどん親企業がこういうような定年ちょっと前の人たちをやめさせていっているというような状況でも、あなた方はこれは六十歳定年制が確かに実現していっているというようにお考えになりますか。課長じゃなくてもっと責任のある人が答弁してください。
○白井政府委員 お答えいたします。 今、先生いろいろ具体的な例を御指摘になりましたが、大企業におきます高年齢者の出向状況等につきましてはなかなかつまびらかにはできない点があるわけでございますが、六十歳定年制のもとでもとの職場で定年を迎えるようにすべきであるという意見につきましては、労使の合意のもとに派遣、出向等により企業の責任におきまして六十歳以上で雇用を保障するという仕組みになっておれば、あながち不合理なものと断ずることはできないのではないかと一般的に考えております。 もちろん、今先生御指摘になったように、高年齢者を追い出すことを目的としてそのような労務管理が行われているとすれば好ましいこととは言えないと思うわけでございますが、そういう事例についてはその状況が把握されれば指導を行うような必要性もあるかと思いますが、そういうような事態の生じないように高年齢者の雇用の安定に配慮した労務管理が行われるようなその面での企業に対する啓発を行ってまいりたいというように考えている次第でございます。
○小沢(和)委員 そうすると、私が今挙げたような事例というのはあなた方はいろいろ調べて承知をしていらっしゃってそういう答弁をするのですか、それともそんなことは初めて聞いたという話なんでしょうか。 私はこういうような傾向というのが最近全国的に非常に出ているというふうにあちこちで耳にするから具体的な一つの事例を挙げたわけですけれども、本当に高齢者の人たちが大事にもされ、安心して六十歳まで働けるような状態を保障していくように、実態の調査もし、今、必要があればいろいろ企業などに対して指導したいというように言っていただいたと思いますけれども、積極的なそういう調査と指導をこの機会にぜひ要請したいと思いますが、いかがでしょうか。
○白井政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、全体的にその企業の実態を調査するということは甚だ困難でございますし、調査しても必ずしも先生のおっしゃるような結果が出てくるとは限らないと思います。個々の事例で、もしそういう陳情その他がありましたらそういう調査を実施して指導してまいりたいというふうに思っております。
○小沢(和)委員 それでは、今現に私が一つの事例も挙げましたし、これからも、そういうようなことがある場合には積極的に皆さんの方に持ち込んで指導していただくようにしたいと思います。 さて、もう一つこの機会にお尋ねをしたいと思いますのは、先ほどもちょっと話が出ましたけれども、最近経済的に非常に厳しいというようなことを理由にして定年制の実施をストップさせたりあるいは逆転させたりするというような事例が起こっております。一つ二つ例を挙げてみれば、例えば日立造船などが合理化対策として六十歳定年を五十八歳に繰り上げ、そして五十七歳以上を自宅待機させましたね。石川島播磨も六十一年四月から六十歳に定年延長を予定していたものを当分の間見送るというようなことを打ち出しているわけであります。 私はここに新日鉄八幡の「労働ニュース」という会社が出しているものを持ってきましたけれども、これを見ると、今私が言ったことが赤字でわざわざ印刷してあるのですよ。それで、いかにもうちの会社も苦しいからこういうようなことをそのうち考えるぞと言わんばかりの記事になっているわけですが、経営が苦しいかもしれないけれども、苦しいから一つの合理化策だというようなことでこういうようなことをどんどんどんどん認めていったら、六十歳定年をこれから本格的に努力義務として課して進めていくというようなことがもう吹っ飛んでしまうのじゃないかと私は思うのです。 こういうような点についてもやはりもっと厳しく監督の目を光らせて定年は定年としてあくまで推進させていくという指導を貫いていく必要があるんじゃないかと思うのですが、この点いかがでしょうか。
○白井政府委員 お答えいたします。 造船業、非常に不況の苦しい中で労使非常に苦しい立場での協定を結んで対応しているというふうに、今先生おっしゃった情報も我々としては把握いたしております。 我々としましては、六十歳定年を進めていくわけでございますので、非常に望ましいものだとは考えませんが、労使それぞれ双方話し合いの上で企業の存立のために一定の期間そういう立場をとるというのもやむを得ない事情があるというふうに思います。しかし、潜在的にはできるだけ早くもとの定年制に戻っていっていただきたいというふうに考えている次第でございます。
○小沢(和)委員 今のお話しのような姿勢では、もう少し経済情勢が厳しいというようなことになってきたらもう間違いなくストップかあるいは定年延長が逆転するということになりかねない、だから、その点についてはもっともっとしっかり取り組んでいただきたいということを私は強く申し上げておきたいと思います。 時間もありませんから、あと若干の点をさらに質問を進めたいと思いますが、六十歳以上の雇用についても常用雇用、それから短期的あるいは臨時的な雇用、どちらも積極的に推進するということになっている。それはそれで結構なんですけれども、その六十歳以上の常用雇用を推進していく主な手法になっているのは企業に対する助成金ではないかと私は思います。今、本当に高齢者をそこで雇用している労働者の率としては非常に高いものがあると思われます零細企業などに対してもこの助成金が出るようにしていくべきではないか。ある程度以上の企業でないと今のところ対象にしないという考え方なのでしょう。大体どの辺で線を引いているのですか。私はもっとそれを下げていっていただきたいという気持ちを含めてお尋ねをしますが。
○清水(傳)政府委員 高齢者多数雇用報奨金につきましては、六十歳代前半層の雇用についての事業主の意欲を喚起する、それをまた奨励をしていく、そのためにそうした形で六十歳代前半層の雇用について社会的に貢献しているというふうに認められる事業主に対して報奨金を支給をしよう、こういう趣旨のものでございまして、このような趣旨から、一定割合を超えて雇用するという要件にあわせまして、相当数の方々を雇用していることを要件とする、こういうふうな考え方でおりまして、具体的には率としては六%、それから六十歳代前半層の高齢者を五人を超えて雇用している、これを要件として考えておるわけでございます。 そうした結果、零細企業につきましては率だけでは対象にならない、こういうケースも起こり得るわけでございますけれども、今申し上げました制度の趣旨に照らしまして不公平という性格のものではない。なお同様の趣旨の制度でございます身体障害者の報奨金におきましても同じような要件を課しているところでございます。
○小沢(和)委員 身体障害者の報奨金についても私たちはできるだけ零細企業も含めていくべきだということを主張しているわけですけれども、特に高齢者の雇用という点で見るならば、先ほども若干申し上げたように、大企業よりは中企業、中企業よりはさらに小、零細といくほど高齢者の雇用割合はどんどん高くなっているわけですよね。だから、高齢者を一番たくさん抱えているのは零細企業じゃないですか、そういう意味で言うなら。だから、客観的に見て一番高齢者の雇用に貢献しているところに対してもっと施策の手が伸びるようにしなければ片手落ちじゃないかと私は思うのです。その点については、もう時間も余りありませんから、要望ということにしておきます。ぜひ検討してください。 それで、もうあと二、三点お尋ねしたい点があるのですが、シルバー人材センターですね。ここでいわゆる引退過程にある人たちの短期的、臨時的な就労をさせるということになっているわけであります。いわば生きがい対策だというふうに言われているけれども、この人たちが日本の労働市場の一角をそういう形で形成することは間違いないわけですよ。だから、当然賃金などについては地域最賃以上、そしてそういうところで働く人たちに対しても社会保険などはちゃんと適用するというようなことがどうしても必要ではないかと思うのですがね。この点、今どうなっておりますか。
○清水(傳)政府委員 シルバー人材センターにつきましては、いわゆる雇用という形ではなしに任意的な形での就業、つまりある程度仕事につきましての自己管理もできるような、そういうふうな形で地域社会にも貢献しつつ、なお自己の能力というのを社会的に生かしていこう、こういう形で短期的な臨時的な就業を希望するそういう方々向けの施策として進めておるわけでございます。 したがいまして、請負なりあるいは委任というふうな形で会員に就業機会を提供する、そうした場合、センターと会員との間、発注者と会員との間につきましては雇用関係はなく、雇用関係を前提とする最低賃金なりあるいは労災保険なり、こうした関係は生じない形になっております。しかしながら、シルバーの会員につきましても、その引き受ける仕事の対価なりあるいは就業中の事故についての補償なり、こうした面について問題が生じないようにしていく必要があることはもう十分承知をいたしておるわけでございまして、そういった意味合いにおきまして、対価の面につきましても地域における類似の仕事の対価に比べて著しく低くなることのないように指導をいたしておるわけでございますし、また仕事中にこうむった災害につきましては、その就業の実態に即しました傷害保険制度を設けましてその活用を促進しているところでございます。 なお、今回新たにシルバー人材センターが臨時的あるいは短期的な雇用のあっせんを行う機能も付与する、そういう形に法案の内容ではお願いをしているわけでございますが、そうした雇用のあっせんを受けて就業する場合には、当然、原則として最賃法なり労災保険法の対象になる、このような格好になると思います。
○小沢(和)委員 それでは最後にもう一、二お尋ねをしたいのは失対事業の問題であります。 御存じのように、ことしの八月からいよいよ六十五歳以上の人たちを線引きしてやめさせていく、その第一段階として七十歳以上の人をやめさせるということで全国的には二万人からの人が今度やめさせられるというふうに聞いております。そのかなりの部分は私の地元であります筑豊などにいられるわけです。そういうような人たちの中には実際に自分が元気な限り働いて生活を守っていかなければならぬというような状況にあるような人たちが随分おられるのですよ。そういうような人たちに今後一体どうしろというのか、こういう形でもう元気な限り何とか働きたいと言っている人をやめさせてしまうということになったら、その人たちは生きていく道をふさがれてしまうではないかという点で私たちは非常に憂慮しているわけですが、この点どうかということが一つ。 それからもう一つは、失対事業の補助率が今度二分の一に下げられる。それから、あなた方がいわゆる受け皿として任意就労事業というのを認めるというふうに言っておられる。これも三分の一の補助率。そうすると、対応するものが非常に大きくなってきます。筑豊の市町村のように、もう財政的には全く無力に近いような状況のところでは、この負担というのは非常に大きくてどうにもならぬというような声が私たちのところに寄せられているのですけれども、こういうようなことについて労働省としてはどういう対策を打っておられるのか、以上二点お尋ねして終わります。
○清水(傳)政府委員 まず失対事業の今回のいわゆる改善措置の後処理対策と申しますかフォローの問題でございますけれども、まず第一は、生活の激変の緩和を図るために引退をされる方に百五十万の特例給付金を支給する、それからまた引退後もなお就業を何らかの形で希望される方もおいでになろうかと思いますが、シルバー人材センターという直接の形ではございませんけれども、一面においていわゆる第二失対ということにならないように十分な配慮を行いつつ、シルバー類似の任意的な就業を希望される方々に対しまして、今お話がございましたように国として三分の一の補助を行いながら、市町村を通じて請負等の形で、仕事を出していく。そういうものにして補助をする制度を仕組みまして、これらをあわせましてそれらの対策というふうな形でやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。 御指摘のように、今回の措置によりまして、特例給付金も含めまして市町村におきましてはこれは相当な財政負担になり得るという面がございます。また、いわゆる補助率の引き下げ問題、失対事業につきましては二分の一というふうな形に今回の予算ではなっておるわけでございますが、まず特例給付金につきまして、従来の国及び県、市町村の負担割合はそれぞれ三分の一、三分の一、三分の一というふうな形で五十五年等においても実施をいたしてまいりましたが、この点について国の負担率を二分の一という形に引き上げますとともに、それらの裏負担につきまして地方行政担当省とも十分に協議をしつつ、裏づけ措置が講じられるような方向で対処をさせていただいておるということでございます。 また、任意就業の問題につきましても、これまた財政窮乏の地域におきましてはなかなか容易ではない問題ではございますが、しかしながら、全体として失対事業就労者の数が激減をしていくという側面がございまして、そうした中において、それらの負担にたえられるような性格の事業という形で私ども仕組んでおるわけでございます。いずれにいたしましても、全体的にはそういう市町村につきましていろいろな配慮は行ってまいりたい、このように考えております。
○小沢(和)委員 終わります。
○山崎委員長 菅直人君。
○菅委員 中高年齢者等の雇用促進に関する特別措置法の一部改正案の質疑が私で一応終わるわけですが、基本的に、定年制の延長ということについてさらに努力しようということについては、方向としては十分評価できるわけです。しかし、努力義務という形で今回の法案がつくられているわけですが、果たしてそれで十分なのかどうかという点では、かなり疑問を持たざるを得ないわけであります。こういった問題についてはもうかなりの議論が尽くされておりますので、私は、その定年制の延長問題と並んで、いわゆる定年退職後の職業開発、開拓を目的としているシルバー人材センターの問題について幾つかお尋ねをしたいと思います。 今回の法案で、シルバー人材センターのいわゆる拡充を目指す内容が含まれているわけですが、シルバー人材センターが現在どういうふうな活動をしていて、今後どういうふうに活動を拡大していこうとしているのか、まずその点についてお伺いしたいと思います。
○清水(傳)政府委員 シルバー人材センターにつきましては、六十年度におきましては全国で二百六十団体、それから六十一年度につきましてはさらに三十団体ふやしまして二百九十団体、こういった形で全国的に展開いたしておりまして、さらに今後ともその設置箇所につきましては拡充を図ってまいりたい、このように考えております。 具体的な運営の内容につきましては、市町村が一定の補助を行いましてそれに国も補助を行う、そうした形での管理面の助成措置を講じつつ、地域における高齢者が会員として登録をいたしまして、シルバー人材センターが市町村なり企業、あるいは個人、家庭、そうしたところから高齢者に向いた仕事を請負の形でもらってまいりまして、それらをさらに会員に公正に請負わせる等の形によりまして、地域社会に密着しつつ、かつ、高齢者の今までのそうしたキャリア等を生かした形で能力を社会的に発揮させていこう、こういうニーズにこたえる形のものとして運営をいたしておるところでございます。
○菅委員 具体的な職種などについて調査等をされたことがありますか。
○長勢説明員 毎年調査をいたしております。ちょっと資料が手元にございませんが、やはりどうしても事務的な職種は比較的少のうございまして、清掃でございますとか、事務所の管理でございますとか、いわゆる肉体的な軽作業が主たるものとなっておりますが、そのほか例えば自主的事業といたしまして、ふすま張りでございますとか、あるいはあて名書きでございますとか、あるいは特殊な例といたしまして経営管理、会計帳簿の帳づけといったようなもの、あるいは自転車のリサイクルを行うとか、いろいろ地域地域によりまして工夫されておられるように聞いております。
○菅委員 大体一人当たり年間どのくらいの収入になるというような調査もやっておられますか。
○長勢説明員 ちょっと手元に資料がございませんので、大ざっぱな表現で失礼でございますが、大体平均いたしまして月に三、四万程度というのが通常の形態だというふうに聞いておりますので、そういうことでいきますと、三、四十万というくらいが平均的な会員の姿であろうというふうに御理解いただいて結構だと思います。
○菅委員 これは調査室がつくっているわけですからもちろん労働省の統計ですが、五十九年度のデータを見ても、今言われたのよりやや少な目ですが、十万人の会員数に対して二百二十五億円というのが契約金額というふうに出ていますから、単純に割りますと、年間二十万ちょっとということになるのでしょうか。 これは大臣にぜひ今の二つの労働省の担当者の返答をよくかみしめていただきたいのですが、つまり今シルバー人材センターでやっている内容というのはどの程度のことか、大部分がいわゆる屋外の肉体的な労働に近い、あるいはそれに類するものだということで、しかも月に今二万円とか三万円程度の、本当に小遣い銭稼ぎ程度のことになっているのが現状なわけです。 例えば私の地元の武蔵野市には高齢者事業団、いわゆるシルバー人材センターがあるわけですけれども、先ほど例示された自転車のリサイクルなんかも実際にやっているわけです。しかし、武蔵野市に住んでいる定年退職後の人たちで自転車のリサイクルに向いた人もおられるかもしれませんけれども、もっと知的な職業をこれまで経験をされて、ある場面においてはそういう仕事にも十分適性を持っておられる人もいるわけですね。しかし、残念ながら現在のところでは、そういう職業について必ずしも対応ができていないのじゃないか。量的な拡大ということはもちろん必要ですけれども、六十歳以上あるいは六十五歳以上の定年退職後の職業の適性というものを単に肉体労働的なものに限るのではなくて、例えば子供たちの教育の場面でも、塾という形ではないにしても、放課後の子供たちに対するいろいろな学童の問題なんかをやっているグループもありますし、何かもっとやれることがたくさんあるのじゃないか。こういう点でのシルバー人材センターの内容的な、いわゆる職種における質的な拡大をぜひ期待したいのですが、そういう点について大臣いかがでしょうか。
○林国務大臣 先生御指摘のようにシルバー人材センターは、機能としては最近相当な成果を上げているように私どもも思っておりますけれども、事務的な仕事ということになりますと、まだまだ思うようなところにいってないというのが現状であろうかと思います。ただ、私どもの把握しておりますところでは、公共的な調査の実施とか図書の整理、文書の整理等の仕事といったほかに、経営相談あるいはまた会計処理といった仕事を受けておるという例や、また学習塾などもシルバー人材センターの自主的事業として実施している例もございます。 私どもとしては、シルバー人材センターができる限り会員の希望に沿った仕事が提供できますように、今後ともシルバー人材センターの経験交流を強化いたしまして、事務的仕事の受注の開拓にさらに力を注いでまいりたいと思っております。
○菅委員 もうそろそろ時間ですし、大臣の方からこの問題について積極的な御返答をいただきましたので、これで終わりにしたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、高齢化社会というのは、ただ単にお年寄りがふえるというような見方ではなくて、ある意味では、私たち、ここにおられる皆さん全部含めて、ある年になれば当然老人になるわけですし、そうなったときに、必ずしも限られた職業ではなくて、もっとそのときに合わせた自分の能力を生かせるような仕事があることの人間としての幸せというのは非常に大きいと思うわけですね。そういう点で、今の大臣の御返事を実際に具体的な形でぜひ生かしていただくように重ねてお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。 —————————————
○山崎委員長 この際、お諮りいたします。 ただいま審査中の定年制及び中高年齢者の雇入れの拒否の制限等に関する法律案につきまして、提出者全員より撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。 —————————————
○山崎委員長 内閣提出、中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、ほかに質疑の申し出がありませんので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山崎委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○山崎委員長 この際、稲垣実男君外五名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党・革新共同及び社会民主連合六派共同提案に係る本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者より趣旨の説明を求めます。村山富市君。
○村山(富)委員 私は、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党・革新共同及び社会民主連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 急速な労働力の高齢化の中で、高年齢者の雇用就業機会の確保を図ることが極めて重要であることにかんがみ、政府は、次の事項を含め、高年齢者の雇用就業対策の拡充強化に特段の努力をすべきである。 一 高年齢者の雇用就業対策について、今後の高齢化の進展、高年齢者の雇用就業の状況等に適切かつ効果的に対応できるよう、雇用政策と年金政策との関係のあり方を踏まえつつ、その充実、強化等について引き続き検討を進めること。 二 六十歳未満定年の事業主に対する定年の引上げに関する行政措置について、その実施基準の制定、具体的運用に当たっては、六十歳定年の進展に十分効果的なものとなるようにすること。 三 高年齢者雇用安定センターについて、企業における継続雇用の推進に適切かつ効果的な役割を果たすよう、その事業の実施に関係者の意見が十分反映されるようにする等、適切な指導を行うこと。 四 シルバー人材センターについて、定年退職者等の就業ニーズに応じた就業機会の確保のために所期の役割を果たすよう、増設等一層の拡充を図るとともに、適切な運営について十分指導を行うこと。 五 雇用環境が厳しい状況にある中高年齢者について、その再就職の促進体制を強化するため、公共職業安定所の組織、機能について一層の拡充強化を図ること。 六 企業における雇用管理のあり方について、現実に高年齢者に雇用不安をもたらすことのないよう、また、積極的に高年齢者の雇用維持に取り組むよう、一層の普及啓蒙に努めること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○山崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 稲垣実男君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山崎委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付すをことに決しました。 この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。林労働大臣。
○林国務大臣 ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力してまいる所存でございます。 —————————————
○山崎委員長 お諮りいたします。 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、 さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○山崎委員長 次に、内閣提出、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。林労働大臣。 ————————————— 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○林国務大臣 ただいま議題となりました中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 中小企業退職金共済法は、中小企業の労働者の福祉の増進と中小企業の振興に寄与することを目的として、昭和三十四年に制定されたものであります。この法律に基づきまして、現在、中小企業の常用労働者を対象とする一般退職金共済制度と、建設業、清酒製造業及び林業に期間を定めて雇用される労働者を対象とする特定業種退職金共済制度の二種類の制度が設けられております。 これらの制度に加入している事業主の数は約三十七万、加入労働者数は約三百六十万人に達しており、本制度は、中小企業の労働福祉対策の主要な柱の一つとなっております。 ところで、我が国における退職金制度の現状を見ますと、大企業ではあまねく普及を見ているものの、中小企業、特に、小規模企業においては約半数の企業において普及を見ているにすぎません。 我が国が今後本格的な高齢化社会を迎えるに当たり、退職金制度は、老後生活の安定を図るため、一層重要なものとなってきており、本制度に対する期待はいよいよ高くなってきております。 このため、本制度をさらに充実強化し、その積極的な普及を図ることが要請されております。 政府は、このような観点から、本制度について所要の改善を行うこととし、先般、中小企業退職金共済審議会に諮問し、その答申をいただきましたので、ここに中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。 第一は、掛金月額の範囲の引き上げであります。 現行制度では、掛金月額の最低額は千二百円、最高額は一万六千円となっておりますが、退職金給付の大幅な引き上げを図るため、掛金月額の最低額を三千円に、掛金月額の最高額を二万円にそれぞれ引き上げることとしております。 第二は、掛金納付月数の通算制度の拡充であります。 現行制度では、被共済者である労働者が転職をした場合には、その時点で退職金が支給されることとされ、事業主都合による退職のように例外的な場合に限って転職前後の掛金納付月数が通算されることとされておりますが、転職率が高い実態にある中小企業労働者にも職業生活からの引退時に、ある程度まとまった退職金が支給できるようにするため、転職前において掛金納付月数が二十四月以上である場合には、退職の理由のいかんを問わず、その被共済者の申し出により掛金納付月数を通算することができることとしております。 第三は、加入促進等のための掛金負担軽減措置の新設であります。 事業主が本制度へ加入すること及び掛金月額を増額することを促進するため、中小企業退職金共済事業団は、掛金負担軽減措置として、一定の範囲で掛金を減額することができることとしております。 また、特定業種に属する事業を営む事業主が本制度へ加入すること等を促進するため、特定業種退職金共済組合は、掛金負担軽減措置として、一定の範囲で掛金の納付を免除することができることとしております。 第四は、余裕金の運用方法の範囲の拡大であります。 現行制度では、中小企業退職金共済事業団及び特定業種退職金共済組合の業務上の余裕金の運用方法は、預金、信託、有価証券等とされておりますが、資産の一層の効率運用を図るため、生命保険を加えることとしております。 第五は、掛金の負担軽減措置に要する費用に対する国庫補助の新設及び退職金給付に対する国庫補助の廃止であります。 本制度への一層の加入促進と掛金の増額の促進等を図るため、さきに述べました中小企業退職金共済事業団等が行う掛金負担軽減措置に要する費用を国が補助することとし、現行の退職金給付に対する国庫補助は廃止することとしております。 なお、退職金給付については、現行の水準を維持することとしております。 この法律案の主たる改正内容は以上のとおりでありますが、この法律の附則におきましては、施行期日を、余裕金の運用方法の範囲の拡大について公布日とするほか、昭和六十一年十二月一日とすることとしております。また、この法律の施行の際被共済者である労働者に関して、最低掛金月額までの掛金月額の引き上げについて一定の猶予期間を置くこと等の経過措置を定めるとともに、その他これらの改正が円滑に実施されるよう所要の経過措置を規定しております。 以上、この法律案の提案理由及びその内容につきまして御説明申し上げました。 何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○山崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ります。 次回は、明後二十七日木曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時三十四分散会 ————◇—————