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104回国会衆議院1986/05/09

外務委員会 第12号

発言数
147
登壇者
17
会派数
5
開催日
1986/05/09

会議録

北川石松自由民主党・新自由国民連合

○北川委員長 これより会議を開きます。  原子力の平和的利用における協力のための日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林進君。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 きょうは原子力協定の批准のための質問ですから、そっちの方に主力を置いて質問したいと思いますが、それにしても、けさのテレビを見ておりますと、チェルノブイルの事故の現場をIAEAの事務総長が視察をされて、まだ何か煙が出ているというふうなことをテレビで流しておりました。その後の状況はどうでございますか。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 委員ただいま御指摘の、ブリックスIAEA事務局長の現場ヘリコプター視察というのが最も新しい動きでございますが、報道ではまだ煙が出ているということを事務局長が記者に語っております。局長がウィーンへ戻りまして、詳細な内容を私どもに話をしてくれるのは多分来週になろうと思います。諸報道ではまだ煙が出て鎮火がされていないと聞いておりますが、他方汚染の方は、一昨日のWHO欧州本部での会合等の記録を見ましてもおおむね低下しつつある、そのように聞いております。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 何か火勢が衰えだということですが、その原因が、どうして起きたかということについては、どうも目を皿のようにして見ているが明らかじゃない。同時に、関係官庁ここに皆来ているけれども、外務省にも通産省にも科学技術庁にも聞いてみるけれども、事故はこんなものではないかという推定の話だけは聞いているけれども、それ以上の詳しい報告は何にもない。こういう問題に対して、いま少し本腰を入れて事実をつかめないかという、私はこの点非常にもどかしさを感じる。  そこで、今そんなわけで国際原子力機関の事務総長が初めてヘリコプターに乗って見られたというが、日本政府は一体何をしている。日本政府は一体、現場なり現地なり、そういう視察を、行動を起こしたのか起こさぬのか。あるいは、現地を見るために対ソ連交渉をやったけれども、ソ連はここへ入っていくことを断ったとか、だからその近くの現地にいる出先機関を督励して、もっとそういう現状調査のために努力をしたとか、そういうようなことをひそかに期待をしているけれども、何にもそういうアクションが出てこないんだね。僕は非常に不満だ。その点は一体どうなんだ。よその国にばかり他人ごとに、あの国がどうだ、あの機関がどうだなんとかという人任せの情報を集めて我々のところへ持ってくるような、そんな意気地のないことじゃだめだ。一体、なぜみずから行動しない。これが私の言いたいところだ。どうですか。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 事故の発生を承知いたしました直後、すなわち四月三十日でありますけれども、安倍外務大臣がアブラシモフ在京ソ連大使に対し、事故原因の徹底究明と関連情報の速やかな提供を求めました。また、必要があれば医療その他の面でできるだけの協力をする旨の申し出もいたしました。また同時に、同じ三十日の午後、中曽根総理大臣もアブラシモフ大使に対し、同様の真相究明、情報提供の要望を出した次第でございます。  さらに翌五月一日には、モスクワにおきまして鹿取駐ソ大使よりソ連外務省第二極東部長に対し、状況の説明、情報の提供、キエフ方面の邦人の保護等々につきまして強い申し入れをしております。  これに対しましてソ連側は、なお真相究明には時間がかかる、判明し次第しかるべきチャネルで情報を提供する用意があるが、ただいまのところ、協力に対しては感謝を持って受けとめるが、特にお願いすることはない、こういう状況が我が国とソ連との関係でございます。  なお、スウェーデン、西ドイツ等々近隣諸国も同様の申し出をしておりますが、先ほど先生御指摘のIAEA事務局長の訪ソ以外には、外国政府からのそういった現地での視察等についてはソ連はまだ応じておりません。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 いや、その最後の言葉なんですよね。外国の使節とか代表の視察をソ連が受け入れていないという、その言葉なんだ。具体的にこちらが積極的に、例えば外務大臣が四月三十日ですか、時期を失せずすぐちゃんと申し込まれてソ連代表に会われた、これは時期を失せず非常にタイミングはよかったけれども、そこをいま一歩進んで、我々はやはり我々の目で現実を見たいから、少し現地へ調査に行くことを許可せいとか許せという、それくらいの積極的な申し入れがあってしかるべきじゃないか。あなたも、西ドイツやスウェーデンもそのとおり、いろいろ日本に準じて申し入れはしたと言うけれども、現状を見せるという申し入れを一体したかしないかということなんです。  ソ連大使の鹿取君だってそのとおりだ。何もモスクワにばかりいて、のこのこしているのが目的じゃない。早速現地に乗り込んでいって見たいがという積極的なアクションがあって、それをソ連の社会主義がおれの国は秘密だからそれは見せるわけにいかないと明確に断られた、こういうようなやりとりがあったかないかということ、ここがやはり外交に対する重大な問題なんだ。それを知りたいと思って、今私は質問しているんだ。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 事故発生以来約十日余りを経たわけでありますけれども、現場近く、周辺三十キロ程度は、外国人のみならずソ連の人たちも立入禁止、避難の地域になっておりまして、現在、救護、消火、汚染除去という緊急対処の特殊な方々だけがそこで仕事をしている状況でありまして、当該地方には外国人の立ち入りはもとより禁止されております。また、事故の真相、経緯等も十分判明しておらず、ソ連側としても懸命の究明努力はしているものと思います。したがいまして、外国の専門家の受け入れを可能ならしめる状況がまだ、危険であるとかそういった点を含めてできていない、これがソ連が私どもに一般的に言っていることであって、要するにまだその期には至っていない、こういうことでございます。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 こういうところで一つ議論を繰り返していちゃいけないけれども、あなたの答弁は一般の外国人とか地域の住民に対する一つのソ連側の態度であって、我々だってそれぞれの専門機関を持っているんだから、そういう専門の機関の専門員が、こういう大きな歴史的事故を現実に即して見ておきたい、研究もしておきたい、調査もしておきたいという、そういう専門員の派遣に対してサウンドをするということは私はむだではないと思って、まああの国ですから、あるいは申し込んでも入れないかもしれないが、私はその点を言っているわけだ。その点を言っているんだが、どうもこれは行ったり来たり、だめだけれども、いま一回、遅まきでも申し込んでみたらどうかね。  サミットでもこの事故の問題は出てきたけれども、サミット自体も、だれかこういう原子力に対する各国代表の専門員を編成して、現地の調査をするほどの話し合いはできてなかった。中曽根君も余り頭よくないから、そういうところまで頭が回らなかったかもしれないけれども、これは今やはりお互いに現実を見ておくということが一番大切なんだな。それをソ連に無理に受け入れさせるというくらいの交渉をしなくちゃだめだ。これはひとつ、あなた方にできる、できないは別として、要求いたしておきます。時間がありませんから、この問題は要求しておいて、次に移ります。  きょうは順序、序列なしに言いますが、今度は、条約の問題ですから、この原子力協定の問題についてひとつお伺いします。後でまたお伺いしますけれども。  今、日本がここでこの協定を批准をしたとしたら――それは批准しますよ。批准したとしたら、それに対して、それに基づいて中国がどういうアクションを起こすのか。日本の批准を受けた後の中国の行動をひとつ具体的に教えてもらいたい。

斉藤邦彦外務省大臣官房審議官

○斉藤(邦)政府委員 この条約は批准を必要としておりませんで、十条に書いてございますとおり、国内法上必要とする手続をそれぞれ完了したことを確認する外交上の公文が交換された日に、効力を生ずるということになっております。したがいまして、日本国内で必要な手続を完了し、それから中国側で必要な手続を完了した後に、両国間で公文を交換するということになります。  我が国におきましては、国会の御承認をいただきました後に、内閣においてこの協定を承認する閣議決定をするということが予想されております。中国側におきましては、国務院の承認、これで十分だという説明を受けております。したがいまして、中国側は現在国会におきますこの協定の審議状況を見守っているところだと存じますけれども、我が国の方で国会の御承認が得られまして内閣の決定をすることができる状況になりましたらば、中国側と連絡をとりまして、中国側の手続も我が国の手続に合わせて間に合うようにとってもらうよう要請いたしまして、両方で手続が完了した後に公文を交換するという次第になるかと存じます。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 そうすると、日本が一つの手続をやるとそれを見て中国が国務院の承認を求める、こういう順序ですか。今私がお聞きしたいのはそれが一つ。いま一つは、中国はIAEA、いわゆる国際原子力機関に加入しておりませんね。加入しておりますか。この問題を聞いておきたい。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 御質問の第一点の先方の手続でありますが、国務院の承認というのは比較的短時間に決定、実行できるそうでございまして、我が方の国内手続を下しましたら、双方で打ち合わせいたしまして早急に向こうの手続もどって、それが終わった後で私どもからの公文の交換ということをしていきたいということでございます。  第二点でございますが、国際原子力機関、IAEAに対して、中国は二年前に加盟いたしました。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 それでは、条約の問題はひとつまた後でゆっくり質問さしていただきますが、一体、このチェルノブイル原子力発電所の事故に関連をして、今この日中の協定に影響ありませんか。この事故を横目に見て、ひとつ協定を思い直すとか、あるいは加減乗除するとか、何らかの手続の変更をする、そういう問題の必要があるのかないのか。それはそれ、これはこれで、一向関係ありませんというのか。私は、ほんのニュース程度のものですけれども、どうもヨーロッパではこういうソ連の事故を眺めて、あるいは発電を中止したとかあるいは計画を変更したとか、そういう近隣の諸国にいろいろな変化があらわれているようだ。我が日本には何も、あれはあれ、これはこれという、日本の原子力発電その他には何ら影響はない、そういうような新聞発表だけなのだが、それを一体信用していいのかどうか。これは条約に関連してちょっとお伺いしておきましょう。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 過去二年にわたります中国側との交渉の過程で、安全性問題はるる論議されてきたところでございます。中国はこれから商業用といいますか、民生用の原子力発電を初めて行うわけでございまして、いろいろな技術的な知識を吸収していく過程で安全性の問題も当然大きな問題として考えております。それでありますので、第三条に日中間で協力する分野の中に、この軽水炉、重水炉の安全上の問題も日中間の協力のテーマとすることを明記した次第でございます。したがいまして、この事故がございました、中国側としては現在手をつけております原子力発電の建設につきましても、従来以上に安全の問題を諸外国から知識吸収したいと思うことは当然でございましょう。その分野では、この協定が成立いたしますならば、私どもも第一番にこの分野をまず取り上げて、中国側の求めに応じて協力を進めたいと考えております。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 中国とソ連の間には原子力協定はないようでありますな。ありますか。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 古い時代にございましたが、廃棄されてそのままになっております。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 それで、きのうもこの衆議院の科学技術委員会で同じ質問が繰り返されたと思うので、なるべく重複を避けたいと思うけれども、どうもこの一点が私はわからない。いわゆる黒鉛減速軽水冷却型炉というのと、日本等が使っている軽水冷却型の炉と一体どういう、構造が違っていることはこれはもちろんわかりましたが、どれだけの有利、不利の問題というか、ソ連は特に黒鉛型の炉が大宗を占めていますが、その理由は一体どこにあるかということです。黒鉛型、これをソ連が重視している、これを優秀だと言っている、その理由はどこにあるのか、これを我々素人にもわかるようにひとつ教えてもらいたいと思う。

中村守孝科学技術庁原子力局長

○中村(守)政府委員 お答えいたします。  実は我が国では、黒鉛減速軽水冷却型炉というものを採用しておりませんし、そういう意味で過去における調査におきましても、深く突っ込んで調査しているわけではございません。ソ連側のパンフレット等から見まして、いわゆる原子炉の核分裂を起こしてエネルギーを取り出すためには中性子のスピードを落とす必要がございまして、その中性子のスピードを落とす材料として黒鉛減速炉の場合は黒鉛を使っております。日本の軽水炉の場合には、そのスピードを落とす材料として軽水、普通の水を使っております。  それから当然、その燃料体から熱を取り出してやらなければいけないわけでございます。その熱を取り出すものといたしまして、これは冷却材と言っておりますが、冷却材にはソ連の黒鉛減速型におきましても普通の水を使っておりますし、日本における軽水炉でも普通の水を使っております。それで日本の場合には、軽水炉の場合には、中性子のスピードを落とす材料もそれから熱を取り出す材料もともに普通の水でございます。これがソ連の場合には、中性子のスピードを落とすのに黒鉛というものを使っているわけです。  それから、この大きな違いは、日本の場合には大きな圧力容器といって、燃料体とかいろいろなものを詰め込んで、頑丈な非常に厚い鉄でつくられました圧力容器の中に入っております。それに対して向こうは、黒鉛の練炭の穴の中に、非常に細いパイプの中に水を通すということで、パイプが細いということがございます。それで基本的には、日本のような軽水炉をつくりますには非常に十分な工業力が必要でございます、非常に頑丈な圧力容器をつくるというようなことがございますから。そういったことで、ソビエトの場合には、比較的小さな部材を組み上げるということでできるということが一つ大きな特徴になっております。  それから、これだけ事故を大きくした原因の一つとして言われておりますのが、格納容器がなかったのではないかということが言われております。日本の場合には……(小林(進)委員「そこまで聞いていないからいいです」と呼ぶ)よろしゅうございますか。そういうものでございます。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 まだ格納庫の問題や外壁や多重防御の問題は、後で私が質問しようと思っているんだから、何もちゃからゃか余分なことを言わぬでもいいんだよ。質問したことだけ答えていればいいのであって、ただ私の言いたいことは、君は科学技術庁の局長だというんだから専門家だろうからあえて聞くけれども、一体黒鉛方式がいいのか軽水方式が優秀なのか。後でも聞くけれども、世界の国で一体ソ連方式の黒鉛方式、まあ黒鉛といったって、僕も質問するからにはやってきたんだが、それは燃料棒がな、中心があって、その両側には軽水、ソ連もやはり軽水で冷却をしている。その外郭を今度はずっと黒鉛でカバーをしながら減速をしたり冷却をしたりという、だからソ連方式は黒鉛と軽水の二重方式と言っていい。あとはみんな軽水で、水だけで、黒鉛なんてものは余り利用しない。  後で茨城の東海のことも聞くだろうけれども、あれにはガスか何か別の冷却方式でやっているようだけれども、私のお聞きしたいのは、単純無比でいいんだよ。その黒鉛方式を一体世界でソ連以外にどこでやっているか、それは優秀なのか優秀でないのか、軽水だけでやっている方と黒鉛と軽水と二つの方法をやっている方と、どっちが有利か有利でないかということだけ聞けばいいんだよ。あと、余分なことをしゃべらなくたっていいんだよ。その点だけひとつ。

中村守孝科学技術庁原子力局長

○中村(守)政府委員 まず黒鉛減速軽水炉というのは、ソ連以外の国においては、アメリカのハンフォードに古い型の炉が一つあるだけでございます。日本で使われております軽水炉は、今や世界におきます商業用発電所の主流をなしておるものでございます。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 君はアメリカに一つあると言ったが、日本にも一つあるだろう。

中村守孝科学技術庁原子力局長

○中村(守)政府委員 先ほど先生も御指摘いただきましたように、東海村に黒鉛減速炉というのがございますが、これは水冷却じゃございませんで炭酸ガス冷却でございます。これは英国において開発された炉でございまして、英国の原子力発電所にはこの型が従来から使われております。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 黒鉛方式であることは間違いないが、その軽水でやるところを東海は炭酸ガスと言ったか、それでやっているというだけの違いがあるわけだな。けれども、やはり黒鉛方式はあることはある。十六万キロワットだな、それで一つだけつくった。それを一つにして、後続かなかった理由は一体どうなんだ。

中村守孝科学技術庁原子力局長

○中村(守)政府委員 黒鉛減速炭酸ガス冷却炉は非常にずうたいがでかくなりまして、全体の建設費がかさむという問題がございます。それで、その後非常に軽水炉というものの技術が進歩いたしまして、経済性の点において軽水炉の方がすぐれているということから、黒鉛減速炭酸ガス冷却の炉はその後は日本では採用していないわけでございます。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 これはちょっと私は異なことをお聞きすると思うんだが、ソ連が一体何で黒鉛方式を原子力の中心に据えているかというと、いろいろの説はあるけれども、経費が安いということが重要だ。黒鉛方式は軽水炉方式よりも経費が安い、ソ連は国力から見でなるべく安い方がよかろうということでこの方式をとった、そういう説をなす者があるが、ではこれは間違いかね。あなたの説を聞いてみると、かえってむしろ高くかかるような話になるけれども、これはいかがですか。

中村守孝科学技術庁原子力局長

○中村(守)政府委員 お答えいたします。  安くなるかどうか、そこの経済性のことまでは承知しておりませんが、パンフレット等によって拝見する限りいろいろ小さな部材を組み上げてできる。そこへいきますと軽水炉の場合には、圧力容器というような頑丈なものを必要とするということを初めとしまして、高度な工業力が必要とされる、そういうことで黒鉛減速水冷却炉の方がソ連の国情からいってつくりやすかったということが、一つあるのではないかと思っているわけでございます。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 つくりやすかったということが一つね。  そこで、あなたの言う安全性の問題だ。ソ連はこの今のソ連方式というか、黒鉛と軽水炉と二つの方式でやっていく方式が非常に安全だ、安全の面において非常に確信を持っていると言うんだな。そのために、あなたが先ほど言われた二重防御というか、あらゆる場合を想定をして安全のためにもろもろの設備を持つ、外壁というか格納庫というか、そういうものをつくる面においてソ連は何も手を打ってなかった。そういう格納庫などという設備を使わないで、むき出しと言っちゃなんだけれども、そういう形の黒鉛方式の炉で機構をつくり上げていた、そういう説をなす者もある。しかしまた一方には、いややはりそれは格納庫を持っていた、あるいは日本が持っているような完全なものではないにしても二重防御の方式は持っていた、最初は持たなかったが、後ではだんだんそういう格納庫方式に変わってきたという説をなす者があるんだが、これは実情はどうですか。

中村守孝科学技術庁原子力局長

○中村(守)政府委員 先ほど来の御質問が専ら黒鉛減速軽水炉の話でございましたので、その点について申し上げたわけでございますが、ソビエトにおきましても日本と同じような軽水炉が使われておりまして、最近では計画中あるいは建設中のものの数からいいますとむしろ軽水炉のものが多くなっております。それから、東欧圏にソ連が輸出しております炉も軽水炉でございまして、この黒鉛減速水冷却炉というものは国外には出しておりません。  それで、格納容器があるかどうかということにつきましては、先生御指摘のように、当初のものはなくてこのごろのものはあるんじゃないかという御指摘につきましては、これはどうも軽水炉の方についてはそういうことが言えるようでございまして、東欧圏に輸出されているものも初めのころのものはないものがあるようでございます。  一方、黒鉛減速水冷却炉について格納容器があるかどうかということにつきましては、私どもが知り得ている範囲ではどうもないというのが実情のようでございます。ただ、最終的に確認しておりません。そこを視察した方がパンフレット等で見ておるだけでございますので、正式には確認しておりません。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 私の決められた時間が迫っているから、余りここだけでくどい質問をしているわけにはいきません。まだ質問たくさん用意してありますからここでいいかげんにやめますけれども、あなたの話を聞くと、やはり格納設備というものはなかったという説がどうも強そうだという意見ですね。これは私もそうなんです。  それからいま一つは、今度の事故はどうも軽水炉の水が漏れたんじゃないか、そういう説をなす者がある。ところが、我が日本の多重防御の方式では、仮に軽水炉の水が漏れても、漏れた分を直ちに自然発生的に補充する設備があるというんだな、ヨーロッパ諸国も同じかもしらぬけれども。だから、一たん漏れてもすぐその水は補給される。自然に補給されるから、水がかれるとか過熱するとかそのために溶融するとかあるいは爆発が起こるとかという危険はない。常に水は補充されている。しかしソ連にはそういう補充方式はない。だから、その軽水炉の水が漏れちゃったら漏れたっきりでからからになっちゃったものだから、過熱して爆発してしまった。  こういう二つの見方があるが、そういう点も単なる推定の域なんだよな。今のあなたの説明もみんな推定なんだよ。水が漏れて事故が起きたんじゃないかということも推定なんだ。何にも現実をつかんでないのだよ。だから、そういう推定や架空でこっちは論陣を張っていることがいかにもばかばかしい。それだから、早く事実を確かめてくれということを言っているんだけれども、今の問題はどうですか、水が漏れたという問題どこの問題。

中村守孝科学技術庁原子力局長

○中村(守)政府委員 お答えいたします。  今回のソ連の事故につきましてはソ連側では、炉の外で何か爆発が起こりまして、それによって炉壁が壊れて空気が中に入って炭酸ガスが燃え出し、中の燃料体を保護しているそういった種類のものが溶けだというような情報がございます。  それで、水がなくなるということでございますが、先生がおっしゃるように、日本ではもし万一そういう水を供給するパイプが破れて水が漏れちゃったというようなときには、緊急炉心冷却装置というのが働きましてさらに水を補給するわけでございますが、ソ連側の説明、そのほかの説明しているところによれば、ソ連でもそういう漏れた場合にもその水を補う非常用の冷却装置というのはあるようでございます。ただ、その供給の系統が日本のように三重、四重という形で供給できるようになっているのか、単純な系統になっているのか、そこら辺は詳細わかりません。  それで、先ほど来先生からも御指摘がございますように、我々としてもそこら辺の状況を早く見きわめて、我が国の炉と違うなら違うということを見て国民の皆さん方に安心していただこうと思うのですが、なかなかに事情がつかめない状況でございます。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 だから私はくどいようだけれども、早く実態をつかんでいただいて、そして国民に安心感なり被害を比較対照するなりしてもらいたい。いずれにしても、数年前にスリーマイル島の事故があった、しかし今度の事故はあれに比較して問題にならぬくらい大きいぞという、これが一般の見方なんですよ。  しかし、国民の中にはこういう見方もあるのです。参考までに申し上げますけれども、これは某政党と言っておきましょう。原子力発電所に対する政党の見解がここにあるのです。こういうことを言っているのだな、国民に対して。「ソ連では「基礎的実験、研究に、日本とは比較にならないほどの時間と費用をかけているのです」「大型化は小幅で、ステップ・バイ・ステップに、しかも一つ一つを相当期間運転して問題点を十分に掘り起こし、解決策を確立してから、極めて慎重に次の段階に進んでいます。このように、原子力問題でも、体制の違いをぬきにして考えることはできません。原子炉が独占資本の利潤を生むための資本であるのと、勤労国民の生活向上のための国民の共有物であるのとではまったくことなるのです」」と言って、これが責任ある政党の公式文書なんです。これであるから、今、ソ連の原子力は安全だ、資本主義国家の原子力は実に不安定きわまる、こういうことを国民の中に浸透させているのだ。だから国民は、今のこの問題に対して直ちに解明してくれなければ、まだこういう宣伝に、あるいは主張に踊らされている者がなきにしもあらず。こういうこともあるから私は先ほどからしつこい質問をしているのです、後でまた申し上げましょうけれども。  ですからここら辺ひとつ明確に、我々だって今、ソ連のみならんや、お隣の中国も社会主義国家なんだ、それで原子力協定を結ぼうとするんだ。社会主義国家の原子力はみんな安全なんだ、勤労国民のために一〇〇%間違いないんだというような宣伝にそのまま乗っていっていいのかというような重大なポイントだから今質問している。いかがですか。ちょっと外務大臣、お眠いでしょうけれども、いかがでございましょう。こういう原子力の安全性には、国の体制その他が一体影響してくるかどうかという問題なんです。国家の体制が安全、不安全にどう影響してくるかということを聞いているのですよ。あなたはちょっと眠たいかしらぬけれども、どうだろう。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 大変難しい御質問でございますが、原子力発電所であれ、いかなる科学技術の分野における事業であれ、安全、進歩ということを考えるのは社会体制、国情とは別個にどこの国も考える、国家として政府としての責任でございましょう。したがいまして私どもは、そういった表面的な記述ではなくて、やはり真実に迫って実相を知って初めて判断したいと思います。その意味で、先ほどから委員御指摘の実情把握に最大の努力をすべしという点には、今後政府としても十分に国際的な歩調をとりつつ、我が国としての努力を続けたいと思っております。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 これは非常に重要な問題でして、ソ連で起こったからといってソ連だけで済まされる問題ではありません、世界で大きな影響が出ておるわけですから。我が国も早速ソ連大使を私は呼びまして、情報も提供してほしい、またこちらから協力するものがあったら協力も何かします、いずれにしてもこういうことは密接な情報の交換というのが必要じゃないかということを強く述べたわけでございます。また、サミットでは非常に大きな議論になりました。だんだん放射能の影響が広がってくるということで大変各国とも心配して、これはソ連とかヨーロッパとかじゃなくて、まさに世界人類の問題だということで声明まで発出をいたしました。やはりIAEAなんかの報知をする義務規定、そういうものに多少問題があるんじゃないかという点等も議論をされまして、あのような声明の発出ということになったわけでございます。  今、IAEAの事務総長が行っていろいろ見ているようですが、その報告は、詳細は依然としてまだ受ける段階ではございませんけれども、日本政府としてもソ連から協力を求められれば、日本にできることはしなければならぬと思います。残念ながら、政府にはソ連はなかなか言ってきておりませんが、民間にはぼつぼつソ連側からいろいろと接触もあるように聞いております。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 私はまだいろいろ質問がありますが、時間を見ながら最後の結論、サミットのお話もありましたから、私の最後にお願いしたいことを申し上げたいのですけれども、今、世界の原子力の運転中のものが三百五十基あるそうですな、それで現実に二億五千万キロワット。二億五千万キロワットというのは、これは大変な量をやっているわけです。なお、今後の見通しとしては、五億五千二百万キロワットまでこれを伸ばしていくという計画が今世界じゅうで進められている、こういうことなんですね。だから、三億キロワットがまだ建設途上の計画中にある。こういう状態の中に、現在三百五十基、その中の一つのソ連に事故が起きたという。きのうも科学技術庁長官が本会議場で答弁をしておりましたが、そこから日本まで八千キロ。地球を一回りすると四百五十万とか五百万キロとかなんとか言うんだが、直線距離でいけば地球で八千キロもあるということは大変な遠距離だな。まずまず遠距離だ。もっと距離の遠いのはどこだか私はわかりませんけれども、あったら教えてくれればいいけれども、八千キロというのは大変遠距離だ。それが、放射能はいわゆる気流に乗って一秒間に百メートルとかといって、そして日本へ流れてきて、いわゆる放射能の濃度とかは別としても、日本の国内の三十五、六の都市の中にみんな影響があらわれているということは、原子力の事故は、三百五十のうちの一つがどこであろうと事故が起きればまず世界がその被害を受ける、影響を受けるということは、これによっても事実が証明されていると私は思うんだ。  そんな中でまだ古典的な問題にとらわれて、社会主義国家の原子力は安全だとか資本主義国家のは危険だとかといって、そういう体制国家間に屏隔を設けてつまらない議論をしていたのじゃ、とても人類の安全なんというものは守り得ない。  そこで、この三百五十のいわゆる原子炉を持っている関係国あるいは関係者と言ってもいいが、これがひとつ強固な機構といいましょうか機関を設けて、これは今も外務大臣おっしゃったように、サミットでも相当公開の原則だとがいろいろなことをおっしゃったけれども、この規定ではまだ少し緩慢過ぎるのではないか、もっと強固ないわゆる統一機関というものを設けて安全防止のためにいま一歩努力をする、できれば日本がその指導力ぐらい握って、サミットでせっかく話ができたのですから、あれをいま一歩進んで強固なものにするぐらいの具体的な行動を起こしてもらえないかどうか、実はこれが私の結論なんです。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 まことにごもっともな御指摘でございます。原子力発電がここまで普遍化してまいりまして、国際原子力機関、IAEAが現在百十二の国を加盟国といたしまして、一つには不拡散のための仕事をしておりますが、あわせて安全性確保のための努力もしております。国際原子力機関憲章の中にも、安全性の向上を使命とする旨が明記されておりますし、IAEAの中にも安全局という局があってその専門の仕事をしております。御指摘のサミットの声明におきましても、この事故を教訓として原子力施設の安全性の向上のために国際的努力を結集すべきものを訴えましたが、この訴えの提唱者は我が国自身でございます。日本政府、中曽根総理、安倍外務大臣が各国を説いて、この声明を出すに当たっては安全性の強調にポイントを置こうということを提唱し、賛同を得た次第でございまして、ただいま委員御指摘の方向で我が国も今後とも各国と協調し、主としてIAEAの場におきまして努力を傾けていきたいと思っております。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 中曽根さん、安倍さんが、サミットの中で指導力を握って国際的な安全のために努力してもらった、今お伺いしまして、これは私は大変よかったと思いますよ。それは大変御苦労さまでございました。ただしかし、安全のために協力をするという抽象的な言葉だけに終わらぬで、それを具体的な強固な国際機関なり設けて、あなたはIAEAのお話をなさったけれども僕はその活動を見ているのです。見ているが、それは私どもが期待するほど一体強力な――査察もやっているだろうし、安全もしているだろう。だから中国も、日本の提案に基づいてIAEAの査察も受けることを了承したというのでしょう。この協定文については、相当中国は日本に譲った。あなた方の交渉も成功したということになるのだろうけれども、それにしてもIAEAの今までの努力は、私は決して完全じゃないと思っている。まだ完全ではないと思う。これがもっと強力な力を発揮すれば、あるいはソ連のこういう事故も起きなかったかもしれないということも考えられる。二度と再びこういうような事故が起こらないためには、IAEAを中心にしてもいいし、別個の機関でもいいが、いま少し具体的な安全対策を練る必要があるのではないかということを私は先ほどから言っている。どうですか、この点は。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 この事故を前にしての私どもの教訓は、基本的には安全性の向上追求でありますが、あわせて、事故時の緊急通報制度の確立あるいは事故時、緊急時の相互援助の体制の確立という、この三本の柱があろうかと思います。このうち、緊急通報と相互援助は早急に国際的な仕組みをつくろうということで、IAEAの場で今後動きが出てまいろうと思いますが、安全性の向上は非常に奥の深い広範な問題でございまして、直ちに目に見える効果が出るというよりは息長く仕事をする必要があろうかと思いますが、いずれにしてもこれらの三問題は、ことしの秋、九月のIAEA総会で取り上げられることは当然かと考えております。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 あなたの方は三点挙げられましたね。おっしゃるとおりだ。通報とか相互援助とかというのは、これは起きた後の話なんであって、それは私は余り興味ないのです、それもいいだろうけれどもね。最初に言われた安全性の確保の問題ですね、そのためにことしの秋から具体的にその方針が進められると言われたから、それに期待しましょう、ことしの秋とおっしゃったから。ただ、サミットのいわゆる最高首脳部の協議がどう具体化するか。ことしの秋とおっしゃるなら秋に期待しますが、この安全性確保のためにいま少しシビアなものができてこなければ、人類が安心して寝ていられないというのが私の考えです。何か言いたいことはありますか、あるなら言ってください。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 特に言いたいことがあって出てきたわけではございませんが、ただいまの御指摘の、秋、IAEAの総会でこれらの問題が提起岩れて、これから国際的にどういう活動が起こるか、まさに秋の総会の場から大きな仕事が始まろうと思っております。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 あなたも外務省にいてそれを専門にやっているのだから、ひとつ外務大臣のアシスタントになって、そういう秋のIAEAの総会には、日本が提案国になって具体的な案を指導して出すように今から工夫してくださいよ。そういう具体案をちゃんとつくって、そうしてその会議に臨まれるという姿勢を持ってやられると言うなら、私はこれでこの質問を終わりますよ。どうですか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 これは当然、今回のサミットで日本が議長国として提案もいたしましたし、そしてまた議論の結果あれだけの声明を発出したわけでございますので、したがってその責任においても、IAEAで日本は重要な地位を占める国としてこの秋の総会にはこの声明も踏まえ、また日本独自の考え方といったものの上に立って積極的に、先ほどから事務当局が申し上げました安全性の確保その他について、IAEAを強化していくということで努力をしなければならぬ、またその成果を上げなければならぬ、こういうふうに思っております。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 外務大臣の御答弁を非常に私は高く評価しておりますが、ぜひひとつこれは日本の指導力で、これは人類の安全の問題ですから、そこへ日本が具体的にちゃんと提案をして具体的な策をつくるということは、これはだれが見ても非常にいいことですよ。大変いいことだから、こういうところに日本の政治といいますか、きちんとしたものをひとつ示すようにしていただきたい、これは私は心からお願いをいたしておきます。  時間もないから、いろいろ飛び飛びにやりますけれども、今度は話は小さくなりますが、日本には今稼働している原子力が三十二基、約二千五百万キロワット。今建設途上にあるのが十六基、一千六百万キロワットの予定で動いている。これに対して今の日本の検査の問題ですが、どういうふうな安全確保のための努力をされているかということを私はお聞きしたいわけなんでありますが、その定期点検、これは今までは九カ月だったのが運転期間十二カ月に延ばした、それで三カ月の定期検査をする、こういうことをおやりになったようだ。検査なんというものは短い方が一番安全なんで、何でこの期間を延ばしたのかということが一つ。それから、定期検査は諸外国では一体どんなぐあいになっているのか、特にソ連なんかはこれはやっているのかどうか、こういうこともお聞きしておきたいと思います。

逢坂国一資源エネルギー庁長官官房審議官

○逢坂政府委員 日本の原子力発電所につきまして、安全対策、特に定期検査につきましてどういうことをやっておるかというお尋ねでございます。  日本の原子力発電所の規制につきましては、原子炉等規制法及び電気事業法によりまして厳重な規制をやっております。特に、建設の前の段階から安全審査をやりまして、検査を建設中に行うあるいは詳細な設計の認可を行うというようなことでチェックをいたします。運転に入りましてからもいろいろな規制がございますが、その中で大きなウエートを占めますのが先生御指摘の定期検査でございます。これは、法令によりまして一年に一遍ということになっておりますが、その頻度につきましては、現在十二カ月プラス・マイナス一カ月の範囲内での運転をしましたらとめて検査をする、その定期検査の期間は、それぞれの発電所のそのときに行います定期検査の中身によりまして変わるわけでございます。  それから、諸外国の例ということでございますが、定期検査のときには、安全の問題のチェックのほかに燃料取りかえを行います。ですから、燃料取りかえのための制度は、当然各国ともあるというふうに考えております。ただ、法令でやっているかと言われますと、私ども承知している範囲では、法令ではやっておらないというふうに聞いております。これは日本だけというふうに聞いております。では、どれくらいの期間やっているかということでございますが、炉によって短いの長いのございますけれども、日本は三カ月前後でございますが、西ドイツは四、五十日というふうに聞いております。それから、ソ連につきましてはちょっと情報がございませんので、どれくらいの期間やっておるかということについてはお答えできないわけでございます。  以上でございます。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 日本では六十年度、三十二基の原子炉の事故は何ぼ起こりましたか。

逢坂国一資源エネルギー庁長官官房審議官

○逢坂政府委員 昭和六十年度、原子炉等規制法及び電気事業法に基づきます事故報告は十九件ございます。十九件の事故報告といいますと、大変なことが起こっておるというように思われるかもしれませんが、誤解のないように御説明いたしますと、大部分は定期検査中に発見した故障箇所、それからリレーの誤動作、運転中にパッキンなどからの微量の水漏れで手動停止したというふうなものがほとんどでございます。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 私が問わぬうちに答弁したが、日本に原子力発電所ができてから今日まで、人命が失われた事故が一体あるかどうか、放射能が漏れた事故が幾つあったか、人畜に及ぼした被害の程度はどんなものか。概数でいいです。

逢坂国一資源エネルギー庁長官官房審議官

○逢坂政府委員 まず、安全の基本でございます外部に対する被害というのはもちろんゼロでございます。それから、発電所の外に漏らした、放射性物質を敷地外に漏らしたというのは、有名なものですが、敦賀発電所で液体廃棄物のごく微量が一般の排水路に流れ込み、そこから外へ出たというのが一件ございます。それから、管理区域というのがございまして、それぞれ発電所の中に放射線を管理する場所を決めておりますが、福島で二件、もちろん外には関係ないですけれども、発電所の管理区域外に液体のものを漏らしたというのがございます。それから、人に対してはどうかというお尋ねですが、定期検査中に転落などして亡くなった方が四人ございます。これは定検作業中ですので、放射線とは関係ございません。それから、放射線について許容線量を超えた件数というのが二件ございます。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 その説明によると、日本の原子力については大した被害はないぞというふうな、どうもやや楽観的な御答弁のようだが、将来はどうでしょう。スリーマイル島とかソ連の今のような大きな事故が起きる可能性は、日本の原子力発電所に関する限りは絶対ないかどうか、どうですか。絶対心配ないと、あなたはここで断言しますか。

逢坂国一資源エネルギー庁長官官房審議官

○逢坂政府委員 原子力の安全規制の最終目的は、周辺の方に放射線障害を与えるような事故を起こさない、こういう観点から厳しい規制をしているわけでございます。私ども、そういうことがあってはならないということでこれまでもやってきましたし、これからもやっていきたいと思います。先ほど申しました事故の傾向がどうかということで申しますれば、私どもが見ておりますところでは、一炉当たり、今の事故、故障は大体毎年一つの発電所で一件ぐらいに相当いたしますが、これもだんだんと減ってきている実情でございます。私どもは、そういう安全確保の政策は効果を上げておると思います。  それから、絶対起こらないかという先生の御質問でございますが、これは何事にも絶対ということはない、そういう気持ちで日ごろ引き締めて運転管理その他をやっていかなければならない。規制当局であります私どもも、そういう気持ちで安全に万全を期していかなければならない、そのように思っております。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 結構です。今ここで絶対安全だなんて言われたら、私は大いに啓蒙しなければならぬと思ったけれども、先に絶対ということはあり得ないと言ったから、私の言いたいことまであなた答弁してくれたから、それ以上は言いません。ひとつ、そういう気持ちでやってもらわなければならぬ。何しろ、人類の滅亡に関する大変な問題ですから、もっともっと厳重にやっていただきたいということを言いたいが、時間がないから先に急ぎます。  中国との原子力発電の協定、これは日本と中国だけの問題ではありません。世界を横目で見て、一体どういう利益があるかということを明確にしておいてもらいたい。例えば、あなたおっしゃったように、中国はIAEAには二年前に加盟した、これは非常に結構だと思います。けれども、核不拡散条約には中国はまだ加盟しておりませんね。中国は恐らく日本との核協定は結ぶが、しかし、これは別個の問題ですから、不拡散条約には中国は将来とも入らぬと私は思います。私は、日本が入ったこと自体に対して今でも疑問を持っている。ここにいる河上委員が一生懸命に入ろう入ろうとおっしゃったから、私もやむを得ず――今まで二つの超大国は、拡散防止のためにみずからの責任を全うするような行為は一つもしていない。持たないような国ばかりいじめているのが不拡散条約ですから、私は甚だ不満を持っているのだけれども、それも含めて中国がこの問題等にどういう考えを持っているか、あるいはまた、日中の協定が世界に核安全とかその他の問題でどういう影響をしていくか、できれば明確にしておいていただきたい。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 お尋ねは二つの側面に触れているものと理解します。  一つは、この協定を通し、中国が原子力分野でこれからどのように進もうとしているのかという点でございましょう。中国は近代化の一環として、経済向上のためにはどうしてもエネルギーの問題解決、その一環としての原子力発電の導入を国策としておりまして、中国が国際社会の中で信頼ある原子力発電国として育つことに協力するのは私どもの責務ですし、またそれによって中国が大きく飛躍するものと期待しております。  第二の不拡散の分野でございますが、御指摘のとおり、中国は不拡散条約は差別条約としてこれには絶対に入らないと言っております。しかし、核の拡散には当然反対であって、中国が、この協定を通すものあるいはその他の分野で、いかなる意味においても第三国の核への道は協力しないということを種々の形で断言しておりますので、これもまた今後の方向としてそうあらねばならないと私どもは考えております。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 もう時間も来ましたから、対中国との関係で一つ。  中国はウランの生産力が将来大いに期待されるというのですが、そういう原料を中国から買い得る面において日本も非常に利益を得るのではないかと思われるが、この点が一つ。それから核廃棄物の処理機関、これは将来この原子力協定を中心にして、日本と中国との間にこの問題が一体どんなぐあいになっていくか、あるいは今でも何か中国に対しては、ヨーロッパやどこかそこら辺の国からも将来廃棄物を中国にお願いしたいなどというような、そういうサウンドもあるかに聞いているのですが、その問題も将来一体どうなるのか、お聞かせを願いたいと思う。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 中国のウランの扱いにつきましては、あるいは関係省庁からの御答弁もあろうかと思いますが、相当の埋蔵量を持っておりましてまだ未開発の状況にございまして、その探鉱探査につきましては、私どもも先般来動燃事業団の専門家の派遣等を通して協力しておりますが、ただ、将来の我が国のウラン需要全体の中で中国がどういう地位を占めるかは、また別途御答弁を期待いたします。  それから廃棄物の問題でございますが、中国は私どもとは、将来の廃棄物のことを具体的に話したことはございませんが、西ドイツといささかの話をしたように聞いております。その考え方は、中国はよその国の核のごみを引き取ることはしない、もし可能性があるとすれば、中国が輸出したウランがどこかで使われて、その始末に困るときは輸出国として何がしかの協力はできるかもしらぬ、こういう非常にはっきりした政策でございますが、他方、西ドイツとの話がその後続いておりませんので、今具体的には御指摘のような話は出ておりません。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 どうも中国では、まだ原子力発電所で稼働しているものがない。具体的に建設途上なのが、何か北京近郊に秦山というのがある。そこで、時間もないから私はくどく言いませんが、今原子力発電所を建設中であるというその建設の資材を数カ国から入れているね。よその国からみんな部分的な機構も建設も違うものを幾つも寄せ集めて、寄せ木細工のようなやり方で中国は建設を進めているが、こういうやり方は一体将来いいものかどうか。中国は、今世紀末までに一千万キロワットですか、計画をしているというから、相当の大きな資材をそれぞれ協定を結んだ英国や西ドイツやフランスやあるいはアメリカ等から購入する、恐らく中国の原子力発電所を目がけて相当多くの国が売り込みに狂奔する形が出てくると私は思う。日本ももちろん売り込みに努力されると私は思うが、将来ともこういう寄せ木細工のような建設方式を中国は持っていく考えなのかどうか、これもやはり対原子力協定の問題として私は非常に注意をしておかなくちゃならぬと思う。いかがでございますか。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 上海の南にあります秦山で三十万キロの比較的小型の炉を自力開発中でございますが、主要部品は各国から輸入して、それを彼らがアセンブルしているのは御指摘のとおりでございます。別途広東の計画では、九十万キロという大きなものをフランスから輸入するということになっております。したがって中国は、現状では比較的小型のものは自力開発をする、比較的大型のものは丸ごと輸入するという二つの道で進んでおりますが、今後の方向としては、丸々買うよりは少しずつ自分でできる炉の大きさを上げていきまして自分の製造能力を向上させたい、そういう方向に進むように最近では重点が移っているようでございます。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 時間も来ましたが、私はやはり政党所属ですから、我が党はこの日中原子力協定にどういう態度をおとりになるのか、まだ私はわかりませんからとやかくのことはなにですが、ただ日中の長い間の友好親善の面からいっても――イギリスはサッチャー、これは趙紫陽がわざわざロンドンまで行って協定を結んでいる。あとは八三年ですか、フランスの今の大統領が中国へ行って原子力協定を結んでいる。西ドイツもコールが行って、レーガンさんも八四年の一月ですか、中国へ行って原子力協定を結んでいる。その協定に比較して、やはり日本が相当中国にきつい注文をしているが、日本も被爆国であるということで日本には特別中国が譲歩をした形で、非常に日本の意見が通った協定を結んでもらったわけでありまするから、そういう中国の好意的な出方等もやはり勘定に入れる。国際条約ですから、対国の関係ですから、私はやはり気持ちよくこの条約を今批准をしていただく――これは私個人の意見になりますが、ひとつ希望いたしまして、外務大臣の御意見を。日中親善のために有効ならしめるように、ひとつ結んでいただきたいということをお願いしておきたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 今お話がございましたようにこの交渉はなかなか難交渉でございまして、日本の立場が原子力の平和利用という基本的な立場もありますし、非常に難交渉でありましたが、お互いに努力の結果合意に達したわけでありますし、この協定を契機にいたしまして多年にわたります日本と中国の関係が、特にこの原子力の平和利用という問題をめぐってさらに進んでいくということはまことに好ましいことである、こういうふうに確信をいたしておりますし、ぜひともそういう意味でひとつ御支援のほどをお願いを申し上げる次第であります。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 時間が来ましたからこれで私はやめますが、これは委員長に要求するのです。ちょっと時間を一分ばかりもらいますが、私はこの前はここで、日ソのこれからの協力が外務大臣に対しては一番重大問題だと思っているんだ。まだおいでにならないようでございますけれども、その問題について私はヤルタ協定等を含めて随分質問したんだ。そのときに資料も要求している。ところが、まだ外務省から出てこない。これは、私は非常に怠慢だと思っているんだ。それで今またここで申し上げます、一分で。  一九五六年七月から八月にかけて、鳩山一郎内閣の全権大使重光葵、松本俊一外務次官とソ連との間で国交回復交渉が行われた。日ソ平和条約締結次第、日本に歯舞、色丹を返還するという条件を出した。この提案を受け入れるべきか、あるいは国後、択捉を返還せよと食い下がるべきか、結局二人はモスクワで、ソ連の提案は受けざるを得ない、二島返還を受けざるを得ないという覚悟を決めて鳩山首相に連絡した。そうすると、松本俊一氏の著書によれば、二人が日本へ帰ってこいと鳩山さんに言われて日本へ帰る途中、ロンドンでアメリカの国務長官ダレスにつかまって、重光がダレスに呼びつけられて、日本が南クリルに対する主張を取り下げるなら、沖縄返還は永久にないものと思えと脅迫された、そこで重光は真っ青になった、ここで日ソ平和条約は流産した。こういう松本俊一さんの本もあるというのだから、その本もあわせて、並べて私の方へ資料として提供してくださることを、委員長、特に外務省に厳重に申し入れてくださることをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

北川石松自由民主党・新自由国民連合

○北川委員長 外務省に申し入れておきます。  委員への資料提出については、真剣に、可及的速やかに提出をお願いいたします。

小林進日本社会党・護憲共同

○小林(進)委員 どうもありがとうございました。

北川石松自由民主党・新自由国民連合

○北川委員長 次に、遠藤和良君。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤委員 私は、最初に外務大臣にお聞きしたいわけでありますが、今回の日中原子力協定は、我が国が現在までに原子力協定を結んでおりますイギリス、フランス、アメリカ、カナダ、オーストラリアと変わります点は、今までは日本は核燃料物質あるいは原子炉の資材とか設備などを受領する側の締結国であった。しかし今回は、日本が供給締結国となるであろうと推察される最初の条約になると思います。そこで、大変重大な意味があると私は認識するわけでありますが、今回の日中原子力協定の持つ意義、並びに、これに盛られましたいわゆる平和利用の保障についていろいろと御苦労があったと思いますけれども、その点について御報告をお願いしたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 この協定につきましては、非常に難しい交渉を経てやっと合意に達したわけでございますが、中国は自国の経済開発を最重要課題の一つとしておるわけであります。この関連で、原子力エネルギー開発計画を推進して、諸外国との原子力平和利用分野での協力を積極的に進めんとしております。したがって本件協定の締結は、現在の良好な日中関係を原子力分野に広げることを通じて、日中関係を長期にわたりより安定的に発展させることを意味するもの、こういうふうに考えております。  また、NPT非締約国であって核兵器国たる中国との間で、IAEAの保障措置の適用に関する規定を含む協定を締結しましたことは、核不拡散に資する点で国際的にも高く評価をされるべきである、こういうふうに考えておるわけでございます。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤委員 IAEAの査察を中国が受け入れるということでございますけれども、合意された議事録を読みますと、第三項に「自発的に提起することによりできる限り速やかに国際原子力機関との間で同機関による保障措置の適用のための協定を締結することを確認する。」という文言があるわけでありますが、中国政府が例えば自発的にIAEAの査察を受け入れないという事態が起こった場合は、日本国政府としては中国政府にどのような働きかけができるとお考えなんでしょうか。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 御指摘のとおり、中国がIAEAの査察を受け入れるかどうか、これがこの交渉の眼目でございました。そして、るる交渉の結果、中国は全面的に私どもの考え、すなわち輸入を受けた機材は査察の対象とすることを受け入れたわけでございます。そして、受け入れだということを協定上いろいろな形で約束事にしたわけでございます。したがって、中国がこの協定に基づく義務であるIAEAの査察の要請をしないということは、これは国同士の信義の関係上あり得ないことだと思いますが、万一理論的にそのようなことがあり得るとすれば、合意議事録にもございますとおり、そういう査察が行われることが協力の条件であるというふうに歯どめをかけておりますから、私どもは査察が行われるというIAEAと中国との取り決めがない限り、いかなる輸出もいたさないということで担保していく考えでございます。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤委員 最近、ソ連のチェルノブイル原子力発電所の事故がありまして、世界じゅうの皆さんが大変心配したわけでございます。これは仮定のことでございますが、例えば中国がこの協定によりまして日本と技術協力をした、あるいは日本の設備を使った原子力発電所が事故を起こした、こういった場合が仮定されるわけでございますけれども、その場合、もしIAEAの査察を中国が自主的に受け入れないというふうな状態があれば、日本国政府としてはどのような措置をとれると考えますか。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 お尋ねの趣旨は、この協定が発効し、中国とIAEAが査察に関する取り決めを結んで順調にいっていたが、ある段階で何らかの事情で中国が、もはやIAEAの査察を受け入れない、そのように態度を変えた場合の御質問かと思います。  国家間で協定を結びますには、信義誠実の原則でこの諸規定を遵守するという大前提があるわけでございますし、もしそれが将来の予見されざる事情で変わることがあれば、それはもはや協定そのものを通ずる協力関係が存続しないことを意味しますから、何らかの形で協力が壊れていく、協定が壊れていくということもあり得ようかと思いますが、現時点でこれから協力を打ち立てようという日中間にそのようなことは実は全く想定しておりません。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤委員 念のために申し上げますと、私はこの協定に反対の立場から申しているのではありません。ただ、確認をしておきたいという意味から質問をさせていただいているわけでございます。  協定本文の第八条に、いわゆる協定に違反する事態が起こった場合どうするかということが書かれているわけでございます。「適切な措置をとる。」という言葉が出てまいりますが、この「適切な措置」というのは具体的にはどういうふうな内容になるのでしょうか。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 この違反があったときの対処措置、これはどのような違反といいますか規定に合致しない状況が起こるかによって、それを是正するための措置というものも変わってこようかと思います。したがいまして、一般的に前もって特定の措置とはこのようなものであるという例示は、私ども到底なし得ないところでございますが、中国との交渉の過程では、そういう違反自体が想定されない以上は、万一あったときはそれぞれの違反の態様に応じてこの協定の本旨にのっとって必要なあらゆる可能な措置をとるということを決めておりまして、御質問ではございますが、この特定措置の例示は現時点ではいたしかねる次第でございます。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤委員 一つ確認をしておきたいわけでございますけれども、いわゆる返還請求権ですね、これはこの「適切な措置」の中には含まれているのでしょうか。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 返還を受けるという形で事態が改善されるということは、理論的にこの中に入っております。しかし、今御質問は返還請求権、権利としてのお尋ねでございましたが、条約上の権利としての返還請求は規定されておりません。したがいまして、あくまでも話し合い、協議によって、それを今返すことが一番妥当な是正措置であるということになれば、返還ということを排除されないことは日中間で確認されております。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤委員 中国という国は、その国民性等を考えまして大変に信義に厚いお国柄でございますから、こういうふうな条約を締結するときにわざわざ返還請求権を明示するというのは、ある意味では失礼にもなるかなという感じでございますけれども、「適切な措置」の中に返還されるということもあり得る、こういう状況でございまして、この条文がほかのイギリスとかフランスとかアメリカとかオーストラリアとの原子力協定と比べると明示がないので、ちょっと緩やかではないかという議論もあるようでございますけれども、そうではないんだ、信義を重んじた上、そういうものも中には含まれておるんだ、全く放棄したものではないんだ、このように理解してよろしいですか。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 御言及のとおりでございます。実はこの点も、中国は中国的論理の問題として、これから協力しようというときに、それがだめになったときどうするかということを非常に細かく議論するのは、中国の物の考え方に合わないし、委員御指摘の、中国の体質としての信義誠実の遵守というものはひとつぜひ信頼してほしいという非常に強い信念が向こう側にございまして、それこれを勘案し、交渉の結果として、御指摘のように、返還ということも含めた「適切な措置をとる。」ということを合意した次第でございます。  なお、返還請求権という権利が明定されていない原子力協定は日本とカナダの場合がそうでございまして、必ずしも中国にだけここで初めて落ちたというものでもございません。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤委員 あと具体的に、今中国に原子力発電所の計画というのが出ておるわけでございますけれども、中国の国内でもいろいろ議論があるようでございます。例えば、エネルギー政策を四倍ぐらいの規模で行いたい、二〇〇一年までに一千万キロワットを原子力で賄いたい、こういうふうな計画がございまして、今四地点七基の原発計画があるようでございます。この計画が順調に遂行されるものなのかどうか、これは日本としても関心のあることではないかと思いますけれども、中には、中国の一部の方々の御意見でございますが、広東の原発、中国最初の大型原発でございますけれども、これをもって中国最後の原発にした方がいいという意見もあるようでございます。こういった中国の事情というものを、外務省としてはどのように認識をされますか。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 中国政府が、近代化の一環としてエネルギー供給を拡大する、そのために今世紀中に一千万キロワットの原子力発電を目標とするという計画を立てておりますことは御指摘のとおりでございまして、その時点では総電力の五%を占めることが計画されております。この目標自体は現状でも維持されておりまして、先般来のいろいろな要人の政策発表の中でも、今後とも原子力発電を推進するという大方針には変更は加えられておりません。  しかしながら、五年ごとに策定しております五カ年計画では、そのときどきにおける計画に一張一弛がございまして、ただいま御言及の広東、九十万キロ二基の建設は決定済み、着手済みでございます。着手と申しますのは、フランスとの間で商談をまとめたという意味で、建設はこれからですが、そういう計画がございます。そしてその後、実は上海にも同様な大型の計画がございましたが、これは若干手直しをして、少し規模を下げて、かつできるだけ自力更生の方向をもたらす、そういう形で上海地区の電力需要を賄うということでございますので、全体の流れとしては、進み方に若干の微調整はございますけれども、原子力発電をやっていくという方向は動きませんし、今動いておりますのは、外国に丸々依存するか、かなり自分の力でやることに力点を置くかという、そういう政策選択の面では若干の変動を見ております。  以上でございます。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤委員 これは通産省に聞きたいのですけれども、中国の原発計画の受注を日本の原子力産業が受ける、こういった可能性があると思いますけれども、どの程度見込まれるのかについて、どのように考えられますか。

石海行雄資源エネルギー庁長官官房国際原子力企画官

○石海説明員 中国におきます原子力発電所の建設計画は、今まで議論がなされたとおり、二〇〇〇年までに一千万キロワットという目標を持っておると承知しておりますが、現在、具体的に建設または計画が進んでおりますのは、このうち秦山原子力発電所の三十万キロワット一基、それから広東原子力発電所九十万キロワット二基でございますが、これらについては、おおむね資機材の手当ては済んでいるというふうに聞いております。  このほか、秦山原子力発電所に六十万キロワット・クラスの二基を建設したいということが言われておりますが、この秦山の新たな二基につきましては、今松田審議官の方からも御説明がございましたように、中国側は自主開発を原則に、必要に応じて海外からの機器を調達したいというような考えも持っていることもございまして、現時点で我が国企業がこれらの資機材のうちどの程度受注できるか、これを予測することはまだ困難な状況にございます。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤委員 中国はいろいろ計画はあるわけでございますけれども、いわゆる外貨が不足をしている実情にあると思われます。  そこで、原発建設の資金の集め方ですけれども、巷間言われますのは、中国に豊富にありますウランを提供してバーター取引をしたいとか、あるいは原発の使用済み燃料や廃棄物の貯蔵を引き受けるから原発建設資金を出してもらいたい、これは巷間の話でございますが、こういうことが伝えられるわけでございます。日本としては、中国のそういう意向というものを今まで聞いたことがありますか。

石海行雄資源エネルギー庁長官官房国際原子力企画官

○石海説明員 現在のところ、日本企業が中国の原子力発電所の資機材輸出を進めている時点で、中国側から、資機材の輸出と交換にウラン資源等を日本側が輸入してほしいというような取引を具体的に要請してきているとは承知しておりません。  ただ、将来、中国からそういった面での協力をしてほしいという要請があった場合でございますが、通産省としても、そういう要請を受けた企業から必要があれば話を聞いてみるということになると思いますが、基本的には商業ベースで個々の企業が対処していく問題ではないかというふうに考えております。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤委員 これは、今廃棄物の貯蔵というものを下北にやるかどうかという話が出ておりまして、大変問題になっているわけでございますが、商業ベースで、例えば中国が日本でつくられた廃棄物の貯蔵を引き受けるというお話が進むという可能性もあるのですか。

石海行雄資源エネルギー庁長官官房国際原子力企画官

○石海説明員 先ほども申し上げましたように、現時点では中国からそういった具体的な要請は出てきておりません。したがって、出てきた段階で検討することになると思いますが、ただ、廃棄物の処理につきましては、現在電力業界を中心に、青森県において最終貯蔵施設の建設計画が進められておるところでございますので、海外に陸地処分を委託するというような計画はございません。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤委員 先ほど小林議員の質問の際にも若干出てまいりましたけれども、西ドイツの企業と中国との話し合いでございますが、西ドイツの企業と中国との間で、ゴビ砂漠に使用済み燃料の貯蔵を引き受ける、そのかわりに原発建設を推進してほしいというお話し合いがあったようでございますけれども、最終的には西ドイツの政府が承認をしなかったという経過があるようでございますが、この事実関係については外務省は承知していますか。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 おおむね、ただいま委員お話しのとおりでございまして、当初は西ドイツの原子炉の輸出をする会社あるいは電力会社、つまり民間ベースで中国の当局といろいろな話をする過程で話題になったようでございます。しかしながら、こういう処理の仕方は西ドイツ政府の現在決めております政策には合致いたしませんし、西ドイツ政府としてはこういう考え方をとらないということを私ども確認してございます。  他方中国も、さっき私も触れましたとおり、外国の処理をただ引き受けるということはやらないというふうにはっきりしておりまして、可能性があるとしてもそれは自分が輸出したものの回り回っての処理だけである、こういうことでございましたところ、西ドイツの会社との商談が現在そもそもなくなっておりますものですから、現状においてはこの話は全く進んでおりません。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤委員 中国と日本の貿易でございますけれども、ここのところ日本側の出超が目立っているわけですね。一九八五年の実績で大体六十億ドルの出超でございますが、日本円に換算すると大体一兆円くらいですか。今のところは経済摩擦の問題、政治問題にはなっていないわけですが、長い日中の友好というものを考えた場合は、一つの火種になる心配があるわけですね。今後も、日本の出超というのは拡大していく気配なのかどうか、この辺御答弁願いたいと思います。

福田博外務省大臣官房審議官

○福田(博)政府委員 御承知のとおり、ただいま先生もおっしゃいましたように、八四年、八五年とも日中の貿易はインバランスが拡大する傾向にございました。昨年につきましては、先生御指摘のとおり約六十億ドルの我が国の出超、中国側の統計でも四十七億ドルの入超ということになっております。この点につきましては、すぐには問題にならなくても、多年にわたってそういうことが続けばいろいろ日中間の不都合な問題が起こり得るということについては、日本と中国との間で両者の認識の一致がございまして、例えば四週間前に行われました安倍大臣と呉学謙外相、外交部長との会談でも先方から、毎年絶対にバランスをとらなければいけない、そういうことは言わないけれども、発展的にバランスを保つように努力すべきであると考えるので協力をお願いしたいということを先方が申しまして、安倍大臣の方からも、拡大均衡の方で考えていくべきであって、我が国も努力するので中国側も努力してもらいたいということを言っております。  ことしに入りましてからの情勢を申しますと、一―三月の大蔵省通関統計によりますと約七億ドルの我が国の出超になっております。これを単純に年率に計算すれば年間三十億ドル、あるいはそれをちょっと欠けるというところになるわけで、昨年の大幅な赤字幅に比べれば大分減ることになるとは思いますが、この主たる原因は大体のところ、例えば消費物資、特に電気製品等の輸入について、先方が若干抑えぎみに輸入を行っているというようなことがかなり影響しているものと思われます。もちろん、輸入がふえているものもございますが、総じてことしの見通しを現時点で質問されれば、昨年の六十億ドルよりは大分減ることになると思いますが、相変わらず日本の出超傾向は続いているということでございます。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤委員 答弁ありますか。じゃ、どうぞ。

横田捷宏通商産業省通商政策局経済協力部経済協力課長

○横田説明員 一言だけ、通産省から補足させていただきたいと思います。  ただいまの外務省の説明のとおりでございますけれども、長期的に対日輸出をふやしていただくということはもちろん大切なことでございまして、昨年、当時の村田通産大臣が中国に行かれまして四項目の提案をいたしております。その一環といたしまして、近く百五十人から成ります官民の貿易拡大ミッションを中国に出しまして、いろいろ御相談してまいるということにいたしております。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤委員 日中間の貿易の拡大均衡を求めるということであれば、我が国の輸入をふやす以外にないと思うのですね。中国が売れる物というのは、今のところ限られておるわけでございますけれども、例えば石油でございますね。石油は大体全輸入の三三・九%を構成しておりますが、これは日本のエネルギーの長期安定あるいは安全保障という観点からいいましても、イラン、イラクにばかり頼るのではなくて、輸入先をふやすということは大変重大なことでございますが、日本が中国からもっと石油を買えないか、こういう工夫というものはもっとできないものでしょうか。

田辺俊彦資源エネルギー庁石油部計画課長

○田辺説明員 遠藤委員御指摘のとおり、私どもも非常に不安定な石油情勢の中で、供給源の多様化ということを目標といたしまして、さまざまな石油政策の展開をしているわけでございます。  中国からの原油輸入を歴史的に振り返りますと、七三年に始まりまして、ごくわずかでございましたけれども、基本的には非常に順調に推移していると見ております。例えば、七九年は日本の全輸入の中でシェアが三・一%であったわけでございます。約七百四十五万トンくらいでございますが、八五年の段階でシェアが全体の中で六・五%と倍増しておりまして、これは日中長期貿易取り決め、それからスポット輸入を含めまして千九十万トン程度、こうなっております。  そこで、今御指摘の貿易不均衡問題を踏まえまして、昨年新たな日中貿易取り決めのもとでの石油の輸入拡大について、中国側から強い要請を受けたわけでございまして、日本側の業界は精いっぱいの対応をいたしまして、八六年から五年間で毎年八百八十万トンから九百三十万トンの範囲内で増量をしていく、これは日中貿易取り決めベースでの輸入でございます。その前の五年間が、つまり八五年までは八百から八百六十万トンというのが取り決めベースの数字でございますので、かなりの増量をいたしました。その意味で両者が、中国側も大変満足していると私どもは思っております。当今の原油情勢は大変不透明で、かつ低迷している中でございます、需要の方も。その中での増量であったと理解しております。  以上でございます。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤委員 何で私がこういう問題をお聞きするかと申しますと、日中原子力協定ができたわけでございますけれども、これは有効的に作用していくために中国の経済というものを日本が応援する必要があるのではないか、こういう観点から申し上げているのでございます。  日本の中国に対する経済協力のありさまでございますけれども、八五年度で有償資金の協力が七百五十一億円、無償資金の協力が五十八億円程度でございまして、合わせて大体八百億円程度でございます。一方、日本の出超は大体一兆円ですね。これと比較するのはどうかと思いますけれども、貿易で一兆円もうけておりまして、開発援助はその大体十分の一程度である、こういうような感じでございますけれども、開発援助をこの際ふやすという方向に持っていけないものか。あるいはこれは理論的にどうなるのでしょうか、例えば原発建設を念頭にした円借款というものがプロジェクトとして組めるのでしょうか、その辺をお尋ねしたいと思います。

藤田公郎外務省経済協力局長

○藤田(公)政府委員 中国に対します経済協力は、ただいま委員御指摘のとおり、我が国の援助対象国としては第一位の地位を占めておりまして、八五年度で円借款が約束額ベースでございますけれども七百五十一億円、無償援助が五十八億円、技術協力はまだ集計ができておりませんが、約三十億円程度の額に達するのではないかと思われます。  円借款が今後増大をする可能性いかんというのが第一の御質問かと存じますが、この点は委員も御承知のとおり、先般、一九八四年中曽根総理の御訪中の機会に、中国の港湾、鉄道、通信等の七案件に対しまして、ほぼ七年間ぐらいをめどにいたしまして円借款の供与を年次ベースで行っていくという合意を見ております。この合意に従いまして、五十九年、六十年と大体六、七%ずつぐらいの伸びを円借款で見せているというのが現状でございます。こういう形で七案件に対しまして一九九〇年ぐらいまでは、こういうインフラストラクチャーの建設というものに対して協力をしていく態度で臨んでおるというのが現状でございます。  それから、原子力発電所に対する円借款の供与の可否いかんという御質問でございますが、この点もよく御高承のとおりと存じますけれども、この原子力発電計画につきます資金協力のあり方ということにつきましては、先進国間でいろいろ議論がございまして、その結果、一九八四年、一昨年の八月にOECDにおいて「原子力発電所向け信用供与に関するセクター了解」というものが採択をされまして、この了解によりまして、原則としてソフトな条件、緩和された条件での信用供与は先進国が相互に慎むということになっております。この対象となります金融はタイドの援助信用、混合借款、ODA借款、贈与その他合意された条件よりも緩和された条件でのあらゆる種類の信用供与ということになっておりまして、今御指摘の円借款はこの中のいわゆるODA借款というものに該当することになります。したがいまして、原子力発電所建設案件について我が国の円借款、すなわち経済協力基金の行います直接借款、この供与はできないという形になっております。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤委員 国際的な紳士協定でそのようになっておるようでございますけれども、具体的に天生橋水力発電計画等については円借款事業をやっているわけですね。水力発電ができて原子力発電ができないというのはどういう理由かなと理解に苦しむところもあるのですけれども、同じエネルギー政策でございますから、つくられた電力は同じく国民に等しく分けられるわけでございまして、この辺もお考え願いたいと思いますが、要は中国がこの日中原子力協定を結びました後、この条約が十分に機能し一段と日中友好が促進をされる、そのためにやはり考えなければいけない問題、経済問題が多いと思いますけれども、たくさんあるわけでございます。  最後に、ちょっと大臣に確認をしたいわけでございますが、ただこの条約を結んだから終わりというのではいけないわけでございまして、特に外務省として、この条約を生かす方向で具体的にお考えになっている事項があるかどうか、またその御決意というものを伺って終わりたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 これは、多年にわたる日中の友好関係の一つの成果として生まれた協定でございますし、特にこれからの原子力の平和利用にとりまして、日中両国がお互いに手を組んで進んでいくことは非常に大事なことであろう、こういうふうに思います。  そういう中で、日本も御協力できる点は随分ある。特に技術協力。今のお話のようないわゆるODAの援助といいますか資金協力は困難でございますが、しかし技術協力の点については、日本の技術は御承知のように非常に進んでおりますから相当な協力ができるのではないか、またこれはしなければならない、こういうふうに考えております。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤委員 確かに日本は原子力発電では、国内の総発電量の二六%を超えまして今石油火力を抜いて第一位になって、しかもかなり安全な運転をしているということで世界的にも評価が高いわけでございますが、そういった技術協力がどんどん進むことをこいねがいまして質問を終了します。ありがとうございました。

北川石松自由民主党・新自由国民連合

○北川委員長 次に、渡辺朗君。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 中国は米国、英国、西ドイツ、ベルギーなどと原子力協定を結んでいると聞いておりますけれども、特にその際の協定の中で、平和利用の担保についてその保障措置がどのように講じられているのか、ひとつその協定と日中原子力協定との違い、そこを説明していただきたいと思います。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 中国と原子力協力を話し合ってまいりましたすべての国は、協力が平和目的に限定されることでは意見の一致を見ておりまして、それぞれの協定の中で、冒頭にこの協力が平和利用に限定されるということを明記してございます。しかしながら、我が国のただいま御審議を願っております協定案では、この平和利用限定の原則だけで満足せず、これが実体的に担保されることを規定してございます。かつ、具体的にはIAEAの保障措置を要請し、それが行われることが我々の協力の前提となる、条件となるというところまで決めてございますが、この最後の平和利用を担保する方式の部分がよその協定にはないという点が違いでございます。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 その点で日本側としては他の国々と違って大変努力されたこと、これは認めます。その点では評価をするにやぶさかではございませんが、合意された議事録によれば、一定の分野、これは恐らくこういうふうに理解していいのだろうと思うのですが、中国が受領国となって、例えば核物質だとか資材だとか設備だとか施設だとかあるいはプルトニウムみたいなもの、こういうふうなものに関しては一定の分野ということになるのだろうと思いますが、この分野における協力という問題を進めていく際には、IAEAと保障措置のための協定をできるだけ早く結ぶことになっておりますが、その点はどうでございますか、実際に進められているのでございますか。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 この母体となります日中協定がまだ発効しておりませんし、中国としては我が国の早期批准を期待するという状況でございますので、具体的にいまだIAEAとの話し合いには入っていないと承知しております。これからの問題であろうかと理解いたします。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 これから交渉されるということになると、その協定ができるまではあるいはできない限り、日本からの原発の機材というようなものは輸出などもできないことになるわけですか。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 そのとおりでございます。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 さて、平和利用ということが非常に強くうたわれ、そしていろいろな条件がきつくつけられたということはわかるのですが、それは中国の現在の核戦略というものの実態をよくわかっていないと、どこからどこまでを平和利用といい、どこは軍事的利用というのか、ここら辺のけじめがつきませんので可能な限り教えていただきたいのですが、中国は、たしか第一回目の核実験をやったのは一九六四年でございましたが、それから今日までどのような核実験が何回ぐらい行われ、そしてまた現在核兵器というものはどのようなテンポで開発が行われているのか、教えていただきたいと思います。

福田博外務省大臣官房審議官

○福田(博)政府委員 まず、核実験の回数でございますが、ロンドンにございます国際戦略研究所がいろいろな資料を発表しております。それによりますれば、核実験につきましては、一九六四年以来総数で二十九回行われております。  他方、核戦力につきましては、同じく「ミリタリー・バランス」によれば、大陸間弾道ミサイル、ICBMですが、現在中国はそれを六基所有している。また中距離弾道ミサイル、IRBMというのでございますが、これを六十基。それから準中距離弾道ミサイル、中距離よりちょっと短いわけでございますが、MRBMと申しますが、これを五十基持っていると言われております。また現在、潜水艦の発射弾道ミサイル、SLBMと申しますが、これは現実にはまだできておりませんが、鋭意開発に努めていると承知しております。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 原水爆の保有量はどのくらいなものでございましょうか。

福田博外務省大臣官房審議官

○福田(博)政府委員 これは諸説ございまして、率直に言って正確な数を把握するというところに至っておりませんが、いろいろないわゆる弾道弾の数その他から推定いたしますと、数百発になるのではないかと思っております。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 今、数百発とおっしゃいましたけれども、これは大変な数でございまして、その材料といいますか、原爆、水爆のプルトニウムなり他の核分裂を起こす物質、これはどこからどういうふうに入手したものでございましょうか、独自に開発したものですか、どこからか輸入したものでしょうか。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 発電のための原子炉は今回秦山で初めて手がけておりますけれども、その他の分野での核の開発は中国は以前から相当高いレベルにございまして、核物質の生産炉は従前から若干のものを持って稼働させて、それで自力でそういうものを得ております。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 そうすると、これはもう一遍原点に返ってみたいと思うのですが、私どもが平和利用ということを非常に強く主張し、協定の中に盛り込まれているのも、これが軍事転用されないということですけれども、どうなんでしょう、これ本当に大丈夫なんでしょうか。大変素人的にお聞きをいたしますけれども、片一方では数百発を自力で生産するだけのそういう施設も持ち、また能力も持っているとするならば、こちらの方だけは平和的なものですよというふうなことで、何かどうも釈然としないのですけれども、そこら辺のところはどのように説明されます。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 まさにそのような可能性が理論的にございますものですから、各国とも中国との原子力協力に当たっては、平和利用に限定するという約束を交わしているわけでございます。私どもの場合は先ほど申し上げましたとおり、条約上の約束は極めて有用、重要であるが、その約束が実証的に担保される、すなわち検証されることが重要であるということにこだわりまして、そしてその結果、IAEAによる我が国からの将来の輸出された物資に対する的確な査察の制度を導入することとしたわけでございます。この査察は、当然のことながら、私どもも受けておる、あるいは世界の平和利用施設が受けているIAEAの査察方式によることになろうかと思いますが、これをもってすれば、軍事転用があり得ないということは明確になるものと確信いたしております。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 この問題について外務大臣、どのような確信をお持ちでございますか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 この点につきましては、いろいろと交渉の中でも我々も注意をいたしまして、日中関係、中国は特に核保有国ですから、そういう点でいろいろと注意いたしまして交渉を行いましたし、いろいろと議論もあったわけでございますが、我々は、中国の姿勢、態度からしてこれが転化されることはない、軍事利用に転用されることはない、こういうふうに確信をいたしております。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 外務大臣がそのように確言をされましたので、それを信頼していきたいと思います。  科学技術庁の方、おられますか。おられたらもう一つの角度からお尋ねをしたいのですが、それは安全性の問題でございます。  どうなんですか、中国ではそのように数百発の原水爆を持つというところまで来ているのですが、安全性の問題で事故があったというようなことはいまだかつて報道で見たことがないのですが、その点は事実関係どうなんでしょう。  また、関連しましてちょっと教えていただきたいのですが、中国側は安全の問題ということに対してはどういう認識を持っておられるのか。私どもは非常にセンシティブでありますけれども、中国の場合はどうなんだろうかな。核保有国でございます。その国においてどういうふうな認識を持っているのかな、かつまたどういう措置が講じられているのかな。例えば法令的には何かあるのでしょうか、どこが担当して安全の問題をやっているのでしょうか。そういうところをおわかりでしたら聞かせていただきたい。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 中国の原子力安全に関する組織の点だけまず御報告いたしますと、中国が原子力開発を開始いたしましたのは五十年代でございますけれども、この安全性及び放射線防護は非常に大きな政策目標としておりまして、最近の動きを申し上げますと、一昨年十月に国家原子力安全局というものを設置いたしまして、民間原子力施設に対する安全法規の整備に努めていると聞いております。

今村治科学技術庁原子力安全局原子力安全課原子力安全調査室長

○今村説明員 お答えいたします。  まず、事故につきましては、私ども残念ながら、今までのところ実際に事故が起きたかどうかということはちょっと情報を得ておりません。  もう一つの点、安全規制で体制あるいは基準等が十分整備されているかどうかという点につきましても、必ずしも現時点においてつまびらかではないわけでございますけれども、先ほど御説明がございましたように、五十九年に原子力安全局が発足したということで、聞くところによりますと、諸外国の制度を参考にして、現在体制の整備でございますとか審査指針あるいは安全基準、こういったものの準備を鋭意進めているところであるというぐあいに聞いております。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 これは科学技術庁にお聞きすべきか、どちらに聞くべきかわかりませんが、私は、日本という国は安全の問題では先進国のうちに入るだろうと思うのですが、この分野において日本は今後中国と協力していくというようなお考えはお持ちでしょうか。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 交渉の過程でも、安全性を今後の日中協力の一つのテーマとするということは話がたびたび出ておりまして、これを取り込みまして第三条(d)号に、協力の分野として特に「安全上の問題」ということを記述した次第でございます。  なお、追加の御説明をさせていただくわけでありますが、七日の北京の放送によりますと、先ほど私が御紹介いたしました原子力安全局の姜聖階安全局長は、このソ連の事故の事態には真剣な注意を払って見守っているが、この事故が中国の発電計画に影響を及ぼすことはない、この事故から引き出す最も重要な教訓は、原発建設に当たって設備の性能のよさと安全を第一にしなければならないということであって、中国としては原発建設を決定するに当たっては、国外の各種のタイプの原発について詳しい調査と研究を行っており、そして、原発の安全を確保するために一連の厳しい安全基準を定め、それを守っているし、今後とも守っていく、このような見解を表明しております。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 科学技術庁の方にもう一遍ちょっとお尋ねしたいのです。今の問題について、もし実際にそういう検討を進めておられるなら教えていただきたい。それからもう一つ、中国の持っている技術水準というものが、例えばパキスタンなんかに原発の技術を提供するというような報道が行われておりますけれども、どの水準にあるのかということについてもひとつ聞かしていただきたいと思います。

今村治科学技術庁原子力安全局原子力安全課原子力安全調査室長

○今村説明員 お答えいたします。  御承知のように、我が国はこれまで原子力発電につきまして十分な運転経験を積んでおりますし、また安全規制につきましても原子力安全委員会のダブルチェック、こういったものを初めとしまして非常に厳格な安全審査体制を確立し、また指針類あるいは基準類の整備についても、知見の蓄積に基づきまして十分整備が行われております。こういったことから、中国との関係におきましては、今後の安全研究あるいは各種の指針、基準、こういったものを含めまして、規制に関する情報交換を内容とする日中間の協力を拡充強化して、できる限り協力を行っていきたいと考えております。  それから、もう一つの御質問がございました技術水準につきましては、具体的にどのくらいの水準にあるかということは、ちょっと現在のところ承知しておりません。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 さらに、私、これは外務省か通産省が、あるいは両方に聞いた方がいいと思いますが、まず外務省のおつくりになった協定の説明書を読みましたら、日本の原子力産業は輸出産業として、中国に資材あるいは機材等を輸出することがこの協定を結ぶことによって可能になるというふうに経済上の意義を述べておられます。中国の原子力発電所、これの計画はエネルギー計画の中で大変大きな比重も占めているのだろうと思いますし、我が国の企業が参入しょうといろいろしているということも伝え聞いておりますが、同時に、中国は外貨の不足であるとかあるいは方針の転換であるとかいうことで、自力更正に切りかえるあるいは自主開発に切りかえるというようなことで、商談や何かというものも白紙還元されるというような可能性もあるのじゃなかろうか。事実関係でそういうことは起こっておりませんのでしょうか。この原子力の発電所計画についてでございますけれども、まずそういう事実関係はありませんか、どうですか。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 第一点として、長期目標、今世紀末までに一千万キロワットの原子力発電をするというターゲットは変更してございません。そこへ進んでいく道程につきましては、いろいろと時宜により変動があるようでございます。当初は、かなりの分野を外国からの輸入に依存するという方針でございましたけれども、諸般の事情から、自主開発を中心とし、外国依存を従とするような重点の移動が最近ございまして、広東におきます九十万キロ二基という大型計画は外国の輸入に依存する、しかしながら、上海の南、秦山の上海地区の発電計画については、可能な限り自主開発を中心としてそれに輸入を加えていく、このような形で進むということが当面の目標であると聞いております。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 日本の企業が商談を行っていて、既に何か成約しているということはございますか。

石海行雄資源エネルギー庁長官官房国際原子力企画官

○石海説明員 中国の秦山原子力発電所に関連いたしまして、日本の企業が原子炉圧力容器その他若干の資機材、部品でございますが、輸出契約を結んでいるということはございます。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 私、ちょっとお聞きしたいのですけれども、中国のこのような原子力の発電所設立計画というようなものは、これはまた日本と欧米の間で激烈な受注競争の火種になりはしないだろうかという点であります。新たな経済摩擦の火種になる可能性がありはしないだろうか。その際に、特にイギリスやらあるいはフランスやらそういうところは、私の受ける感じでは、こういうようなプロジェクトがあるとすると、何か国策的なスタンスでもってこの問題に取り組んでいっているのではなかろうか。そうすると、日本がこうやって原子力協定というようなものを結んで、中国は将来原子力機器の輸出産業の大きなマーケットだという発想もここに盛られているのですけれども、実際上にはフランスであるとかイギリスであるとかいうところにみんな持っていかれてしまうという結果にもなっていくのではなかろうか。ここら辺は、事実関係はどうでございましょう。

石海行雄資源エネルギー庁長官官房国際原子力企画官

○石海説明員 現在までのところ商談といった形で進んでおります案件は、先ほど申し上げました秦山それから広東でございまして、この二つのサイトにつきましては、日本もそうでございますが、先生おっしゃるとおりフランスであるとかイギリスであるとか、それぞれ機器の輸出を予定しておるところでございます。ただ、中国の原子力発電の計画が、二〇〇〇年までに一千万キロワットということで大きなものでございますから、各国が中国市場を目がけて過当な競争を起こすのではないかという御心配につきましては、まだ中国の具体的な計画が必ずしもはっきりしておらない、あるいは中国政府としてはできるだけ自国の製品でつくっていきたいというような考え方もございまして、まだその辺が明らかになっていないこともありまして、御懸念のような状態にはまだなっていないというふうに承知しております。  また、今後仮にそうなったらどうなるかということでございますが、輸出に対する金融につきましては、先ほどもお話が出ましたけれども、OECDの場で一応国際的な紳士協定がございますので、各国ともそれを遵守してファイナンスを供与していくということではないかと考えております。

北川石松自由民主党・新自由国民連合

○北川委員長 先ほどの中国、パキスタンの点について外務省の答弁を求めます。松田審議官。

松田慶文外務省大臣官房審議官

○松田政府委員 先ほどの渡辺委員の中国、パキスタン関係についての御質問に答弁申し上げておりませんので、時間をちょうだいいたします。  インド及びパキスタンは、ともに核不拡散条約に加盟しておりません。したがいまして世界からは、この両国の核開発の可能性についての問題提起がつとになされております。パキスタンにつきましても、ひそかに核開発を進めているのではないかという声、疑いというものは、時に触れ話題となってきております。そして、中国が伝統的に種々の分野でパキスタンと協力関係にございますものですから、中国のかかわり合いというのも問題提起となってきたことは御指摘のとおりでございますが、中国は、いかなる国、いかなる分野においても、核兵器の第三国への拡散に協力することはない、これをたびたび明言しております。  一、二の重要な政策表明を御紹介いたしますと、八四年の五月、第六期全国人民代表大会第二回会議における趙紫陽首相の政府活動報告の中で、中国は、核の拡散の主張もしなければ、核の拡散もせず、他国の核兵器開発に協力することもしない。これを受けまして、例えば八五年一月の李鵬副総理談話によりますと、我々はIAEAに入り、すべての国との協力を平和目的に限って行う、パキスタンとの協力も同様であるとはっきりと述べております。私どもは、中国が平和目的以外の分野で、パキスタンであれどの国であれ、軍事分野での協力を行っているとは全く信じておりません。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 時間が参りました。ありがとうございました。

北川石松自由民主党・新自由国民連合

○北川委員長 次に、岡崎万寿秀君。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員 日中原子力協定を見る場合、最も懸念するのは安全性の問題です。けさのニュースによりますと、ソ連の原発事故からオランダは二基ないし四基計画していた原発を凍結するという話だし、ユーゴも無期延期だということであります。日本は世界第四位の原発先進国でありますし、特に人口欄密な地域でありますので、ソ連の原発事故から重大な教訓を酌み取る必要があろうと思うのです。どんな対応をされましたか、簡単にお願いします。

神田淳資源エネルギー庁公益事業部原子力発電安全管理課長

○神田説明員 我が国のとった対応でございますが、通産省のとった対応を申し上げますと、この事故の重要性にかんがみ、なお一層注意して安全運転するように、口頭により厳重に電力会社に指示したところでございます。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員 口頭による指示というのは少し足らぬように思いますね。ほかの国では、政府自体が凍結したり無期延期をしたりするくらいの慎重な態度で臨んでいるわけです。その辺では、政府の姿勢はこの問題についての対応という点でも弱いということを指摘しておきたいと思うのです。  昨日、通産省の方から資料をいただきましたけれども、日本の原発の事故と故障の件数、一九六六年から八四年までで二百九十八回、一基当たりの平均事故件数は一・三なんですね。相当な数なんです。この中には、敦賀の原発事故のように、放射能漏れのような重大な事故も含まれているわけなんです。これで安全と言えますか。放射能汚染という問題がありますので、万一を許されないのがこの原発事故なんです。どうでしょう。

神田淳資源エネルギー庁公益事業部原子力発電安全管理課長

○神田説明員 我が国の原子力発電所における事故、故障につきまして、電気事業法及び原子炉等規制法に基づいて電気事業者から報告されている件数は、先生おっしゃったとおり一年、一基当たり大体一件程度でございます。その内容につきましては多様多種でございまして、ポンプ、バルブの水漏れとかございますが、いずれにせよ、今までの例で発電所周辺に放射能影響を及ぼしたような事故はございません。事故、故障が発生した場合には、徹底的にその原因を究明いたしまして必要な措置をとり、また、いわゆる水平展開と申しまして、類似の箇所あるいは類似のプラントにそれと類似のものがないか十分点検を行って、必要な措置を行って安全確保に努めているという状況でございます。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員 万一を許されない原発事故だけに、安全性の問題についてどうかと聞いたわけですが、今の対策だけでは不十分だと私は思うのです。アメリカでもスリーマイル島の原発事故がありましたし、今回はソ連で起こっています。二つとも核大国なんです。そこでも炉心事故が起こっているわけなんです。原発の事故といいますと、単に原子炉だけではなくて核燃料の再処理問題から放射能廃棄物の処理まで、核燃料サイクル全体の安全ということを見なければいけないと思うのです。これについてはまだ技術的には未完成だ。そういう点では、安全性をもっと十分確かめなくてはいけないというのが多くの科学者の意見なんです。これについてはどういうふうに考えられますか。

今村治科学技術庁原子力安全局原子力安全課原子力安全調査室長

○今村説明員 お答えいたします。  我が国の原子力施設の安全性でございますけれども、我が国におきましては、先ほど先生の御指摘もありました米国スリーマイルアイランド原子力発電所の事故も含めまして、内外の原子力発電所の事故、故障の経験を十分踏まえ、格納容器、緊急炉心冷却装置等の安全対策に万全な措置が講ぜられております。さらに、入念に定期的な検査を実施するなど、その運転面においても十分安全性、信頼性が確保されています。  このようなことから、我が国の原子力発電所あるいは再処理工場等におきましても、その安全性は十分確保されると考えておりますけれども、安全性について万全の上にも万全を期すという観点から、今回の事故を警鐘と受けとめまして、今後事故原因等について安全委員会におきましても調査を行いまして、必要があれば我が国の安全規制に取り入れるといったことをいたしまして、我が国の安全規制の一層の充実を期してまいりたいと考えております。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員 安全のためにも大いに努力することはより必要だと思いますけれども、今の技術水準、工学的に見ても技術的に見ても、まだ原発そのものが未完成品だということ、多くの科学者の警告なんです。そういうときに日本はどんどん原発をふやしていく、そういう政策をとっているわけなんで、私たちはそこにも十分考えなくてはいけない問題があろうというふうに思うのです。  これが、なぜまだこのような未完成品として我々に安全性の問題を提起しているかというと、軽水炉が多く使われているのですが、もともとそれ自身が原子力潜水艦の動力炉として開発された、非常に軍事技術の申し子としてスタートしたといういきさつがあるようですね。原子力の平和利用という問題にも、今の核開発競争、軍事面が大きく影を落としているように思うのです。  そこで、私はそういう問題についてもちょっとお聞きしておきたいのですけれども、一月十五日にソ連共産党のゴルバチョフ書記長が期限つきで核兵器廃絶の提案をして、二月二十四日にレーガン大統領が回答をしたわけです。その中には、ヨーロッパだけではなくてアジアからSS20を廃絶する、こういうことが提案されていたわけですが、これについて日米首脳会談の際に中曽根首相は大きく評価し、これを支持する旨を表明されておるわけですね。外務大臣にお聞きしますけれども、これはソ連のSS20とともにアジア全体の核兵器をなくしていきたいという日本政府の意思を示すものでしょうか、どうでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 極東ソ連軍は、一九六〇年代の半ばより一貫して増強されております。とりわけ一九七〇年代後半以降、SS20、バックファイアの配備、増強、太平洋艦隊の増強等、極東地域における質、量にわたる増強が顕著になっているわけです。特にSS20の配備に関しては、例えばF16三沢配備の決定に数年先立った一九七七、八年ごろよりアジア部に配備をされ始めまして、八三年には百八機、八四年には百三十五機、八五年には百七十機前後と、一貫して増強されておる状況にあるわけです。  米国は、こうしたソ連の一貫した全般的な軍備力増強の趨勢に対応して、みずからの抑止力確保のために努力をいたしております。核、非核両用の巡航ミサイル・トマホーク等の配備もかかる努力の一環であると承知をしておるわけですが、SS20はこうした米国の努力に対抗するものとのソ連の主張でございますが、これはまさに今申し上げましたように、少し筋道が違っておるのではないかと思うわけでございまして、客観的事実にも反する。SS20削減のためには米国の核の削減が必要であるという主張は直ちには受け入れられない、こういうふうに思っております。  SS20にしても、米ソ首脳会談等も行われまして、核の廃絶ということでお互いに努力しよう、核軍縮交渉を積極的にやろうということで両首脳が合意されたことは大変我々は期待を持つわけですが、しかしその後の両国の軍縮交渉というのが期待どおり進んでいないということについては、非常に心配もしております。この点はサミットでもお互いに意見交換をして、やはり米ソの首脳が第一回会談を早く始めるべきだ、そしてまた、軍縮交渉は積極的にこれを進めていかなければならぬという点については、強い意見が各国から出たということでございます。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員 どちらが先か後かということでは話は進まぬと思うのです。ソ連のアジアにおけるSS20を廃絶させる、そうするためにはやはりアジア全体のすべての核を廃絶するという、そういう強い姿勢がないとだめだと思うのですね。日本政府にそういう姿勢がございますか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 アジア全体といいますか、日本には核がありませんから、日本について言えば問題はないわけなんですね。しかし、我々としては、世界の核が廃絶するということに一つの大きな理想があるわけですし、そのために具体的には米ソがまず超大国として核の削減、そして廃止に向かって進んでいく、さらに、核保有国がやはり核の軍縮、さらにまた廃絶というものに向かっていくことを心から期待をし、そのために、日本は非核三原則を持っているだけに、日本の外交をそこに焦点を置いて努力をしていかなければならぬ、そういう外交を展開していかなければならぬというふうに思ってやっておるところです。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員 日本にはないと言っても、日本と軍事同盟の関係にあるアメリカが日本周辺に核を配備しているわけなんですね。今言われたように、三沢へのF16の配備とかあるいはソ連まで届くトマホークの極東配備とか、それに対して非常にソ連は懸念を表明しているわけです。今のソ連のSS20の配備の問題、日ソ外相の定期協議のときでも外相は要求されたと思うのですけれども、単に言葉だけでなくて、これを具体化するためにはやはりソ連が懸念しているアジア全体の核の廃絶の問題、撤去の問題、そこまで踏み込んでいかなくてはいけない、そういう問題を持っているわけだというふうに思うのです。SS20の配備の問題、要求するだけで、ソ連が懸念しているF16やトマホーク、そういうことを抜きにしてソ連がオーケーする、つまり交渉が進むというふうに外相はお思いでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 中距離ミサイル、INFについては、米ソの交渉によって行われておるわけですね。今、残念ながらソ連の主張というのはやはり欧州主力といいますか、INFにつきましても欧州主力で、これの縮小あるいは撤廃していこうということであって、アジアが抜けておる。ですから日本はかねてから、SS20等INFについては、アジアもヨーロッパも含めたグローバルな形で対応していくべきだということを強く主張している。INF等は非常に機動性が高いですから、幾ら欧州で話がついてなくなったとしても、それはアジアの方に移動される可能性が非常に多いわけですから、全世界的にこれは考えてもらわなければ困るということを主張しておりまして、幸いにしてアメリカは日本の主張も受け入れて、グローバルな形の中でINF交渉を進めていこうということになって対応しているわけですが、残念ながら米ソがまだかみ合わないということであります。これが現実の姿でございまして、我々としてはあくまでもグローバルな形の中でこのINF問題が決着をするといいますか、縮小そして全廃されることを心から念願して、これからもやはり努力をしていかなければならぬ、こういうふうに思うわけです。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員 INF交渉が米ソ間で、主としてヨーロッパを中心に展開されたことは言われるとおりなんです。グローバルにアジアに目を向けるということも必要だと思いますし、私たちも、ソ連のSS20の撤廃ということについては強く要求しているものなんです。しかしソ連としては、F16の三沢配備やあるいはトマホークの極東配備等を問題にしてきているわけですね。今後具体的にアジアからSS20を撤去させるためには、やはり日本としてもそういう問題に目を向けて交渉もしていかなくてはいけないときに来ているように思うのです。そこで、ソ連との外交折衝をする場合、SS20を撤去することを論議するかわりに、その条件として三沢のF16やあるいはトマホークの極東配備等についても、日本としてはアメリカに要求してでもなくすようにやってくれ、それが一つのSS20撤去の条件だ、そういうふうな話に発展してきた場合に、日本はそういう方向でアメリカに要求されますか。そういう姿勢をお聞きしたいと思うのです。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 三沢のF16の配備は、これは何も核を配備しているわけじゃないわけですからね。日本は非核三原則を持っておりますし、それからアメリカが核兵器を配備する場合は事前協定があるわけですから。ですから、アメリカも事前協定を無視して配備ができない。そういう意味では、三沢のF16の配備というのはあくまでも通常兵器であるわけなんで、これが配備されたという背景には、長年にわたるところのソ連のSS20を初めとする極東における軍事力の増強というものが背景にあって配備されたその中で、日本が安保条約を効果的に運用し、そしてこれを執行して、安保条約体制を確保しなければならぬということでやってきておるわけでございまして、本来的にいわゆる米ソの中距離核兵器の核交渉の対象に三沢の問題というのはなるべき筋合いのものじゃないわけでございまして、あくまでも米ソにおいてはそういう問題を離れた形で、それとは別な形でこれは中距離核の問題として論ぜられておるわけですし、またこれは論じられるのが当然のことであろう、こういうふうに思っておるわけでございます。  SS20がアジアから全然なくなっていく、そして極東におけるソ連の軍事力が非常に大きく削減をされる、あるいはなくなっていくというようなことになれば、日本の安保体制に大きな影響が出てくるということは当然のことでありまして、その辺は私が申し上げるまでもなくよく御理解はいただける、こういうふうに思っておるわけであります。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員 双方のINFが対峙しているヨーロッパとの違いがアジアにあることは当然なんです。しかし、三沢のF16やトマホーク等がアメリカの核戦力であることは事実だし、ソ連がそれに懸念を表明してSS20をより増強していることも事実なんですね。そういうときにソ連のSS20を廃棄させようとするんだったら、当然ソ連の懸念しているもう一方の方も縮小、撤廃するという努力も必要だろうというふうに思うのです。アメリカのアジアにおける核戦力はそのままにしておく、ソ連のSS20だけの撤廃を要求する、これでは交渉にはならぬと思うし、国際世論の支持も得られないと思うのです。  アメリカの核戦略の片棒を担ぐといいますか、それに追随するような姿勢では、私はアジアから核の脅威を一掃することはできないというふうに思いますけれども、もう一度外相に、アジアから核の脅威を一掃するためにはソ連のSS20の撤去を強く要求すると同時に、日本周辺でのアメリカの核戦力に対してもやはり撤去を要求する、そういう姿勢こそが今日本国民の意思ではないかというふうに思うのですが、いかがでしょう。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 INFにつきまして、私も詳細な交渉の内容については十分承知しておりませんけれども、しかし、米ソのINFの同時的な縮小とかあるいは撤廃ということに向かってお互いに合意を進めていくわけでしょうから、それはソ連のINFの縮小、撤廃、それにまた対応するアメリカのINFの縮小であるとか、あるいはまた最終的には撤廃であるとか、そういうものは両国間の関係において進められるものであろう、こういうふうに思っております。  そういう中で三沢の関係というのは、今お話がありましたようにパージングⅡとかそういうものとは違いまして、まさに日米安保条約体制のもとで当然これを運用し、あるいは確保するための一つの日米間の協力としてここに合意を見た上で配備をされるわけでございますし、これは核の配備じゃございませんから、そうしたINF問題と関連をする、あるいはまた何か関係をするというものでは全くないということは、はっきり申し上げられるわけであります。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員 そうしたアメリカの核について批判的な姿勢、これを撤去させる姿勢がなくしては、アジアの核の脅威は一掃できないということを強く主張して、時間が来ましたのでこれで終わります。      ――――◇―――――

北川石松自由民主党・新自由国民連合

○北川委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  国際情勢に関する件、特に円高問題について調査のため、参考人の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北川石松自由民主党・新自由国民連合

○北川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北川石松自由民主党・新自由国民連合

○北川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十六分散会

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