外務委員会 第10号
- 発言数
- 163 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1986/04/25
会議録
○北川委員長 これより会議を開きます。 雇用政策に関する条約(第百二十二号)の締結について承認を求めるの件及び人的資源の開発における職業指導及び職業訓練に関する条約(第百四十二号)の締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河上民雄君。
○河上委員 このたび、ILO第百二十二号条約と第百四十二号条約の批准に関する件が提出されているわけでございますが、大臣に初めに概括的なことをちょっとお尋ねしたいと思います。 御案内のとおり、第百二十二号条約は昭和三十九年ですから、これは一九六四年になりましょうか、第四十八回総会で採択されまして、また百四十二号条約は昭和五十年、つまり一九七五年、第六十回総会で採択されておるわけでございますけれども、今日まで批准の提案がなされなかったのはどういうところに理由があるのでございましょうか。
○安倍国務大臣 この条約が昭和三十九年に採択されて以来、政府としましては雇用対策法の制定、これは昭和四十一年でございますが、新職業訓練法の制定、昭和四十四年など、雇用に関する施策の充実に努めてきたところであります。 昭和五十年ごろから、石油危機以後の経済情勢、雇用状況の変化を踏まえて、ILOにおいてこの条約を改正しようとの動きがありました。政府としては、改正が行われるか否か結論を見きわめる必要があったところ、昭和五十九年に至り改正は行われないこととなったので、条約の解釈、国内法制との整合性につき検討を行い、右を終わりましたので、今回批准の承認を得ることとした次第でございます。
○河上委員 今いろいろ御説明がございましたが、第百二十二号条約はもう二十数年たっておりまして、本来なら採択即批准が当然だと思うのでございますけれども、どうも日本政府はILO条約の批准に関しては消極的に映らざるを得ないのでございます。国際化が非常に進展する中でございますので、ILO条約に関しましては、条約批准についてこのあたりで積極的に転ずべきではないか、そのための条件整備を速やかに進めるべきだ、こう思うのでありますけれども、外務大臣、この問題につきましてこれからの積極的な態度を示していただければ幸いでございます。
○安倍国務大臣 政府としましては、批准することが適当なILO条約につきましては、国内法制との整合性を確保した上で批准すべきものと考えておりまして、今後この方針にのっとりまして、ILOの未批准条約につきましての検討を進めてまいりたいと存じております。
○河上委員 それでは労働省の方に伺いたいのでありますが、今日ILO条約の批准についての現状を御説明いただければと思います。
○佐藤説明員 ILOでこれまでに採択された条約数は百六十一ございますが、我が国はそのうち三十七を批准をいたしております。 なお、加盟国一カ国当たりの平均批准数は三十五となっておる次第でございます。
○河上委員 アメリカを除きますと、先進諸国の中では平均値だというような御判断かもしれませんが、今一つ一つ当たってみますと、やはり国内条件の整備を理由に批准が非常におくれているように思うのでありますけれども、ひとつそういう点は今後これを機会にもっと積極的に進んでいただきたい、こんなふうに思います。 雇用政策に関する条約、百二十二号に関連しまして、我が国の国内の雇用政策について若干質問をさせていただきたいと思います。 この雇用政策に関する条約、百二十二号の第三条を見ますと、「この条約の適用に当たっては、とられる措置により影響を受ける者の代表者、特に、使用者の代表者及び労働者の代表者の経験及び見解を十分に考慮し並びに雇用政策の立案及び雇用政策に対する支持の獲得に当たってこれらの代表者の十分な協力を確保するため、」次が大事だと思うのでありますが、「雇用政策に関しこれらの代表者と協議する。」こうなっております。この第三条と今回の国鉄改革法案特に第十九条との関連について、労働省の御見解を承りたいと思います。 今回提案されております国鉄改革に関する法案を見ますと、第十九条に、現在国鉄に勤めておる人が現在の国鉄の承継法人の方に身分が移る過程についてのいろいろな取り決めがなされております。これを読みます限りにおいては、その一連の手続の中に労働組合の名前は全く出てこないのでございます。つまり、今回の国鉄改革法案では、ILO百二十二号条約第三条に述べられておりますように影響を受ける労働者の代表者が意見を述べる機会というものが全く保障されていないのであります。この点は、労働省としてどのようにお考えでいらっしゃいますか。
○井上説明員 お答えいたします。 国鉄の改革問題につきましては、これは国鉄の危機的な経営状態の改善のために、国の行政改革の一環といたしまして改革方策が検討されました結果、今回の分割・民営化を基本といたします国鉄改革案が提出されたものでございまして、それ自体は雇用政策条約とは直接のかかわりを持つものではございません。 なお、この国鉄の改革に伴います余剰人員問題につきましては、希望退職者の募集を初めといたしまして、再就職のあっせんを含めて国鉄自身が最大限の努力をすべきものでございますが、これにつきましては労働者側の意見も反映されることが望ましいと考えております。
○河上委員 今のお話でございますけれども、今批准に関して提起されておりますILO百二十二号条約によれば、協議することになっておるのですね。今回の国鉄改革法案では、国鉄職員の意思が尊重されるのは退職するという意思についてだけ確認を求められておりまして、対等の立場で協議することには必ずしもなっていないと思うのです。もちろん、民間企業の整理、解雇の場合を考えますと、今お話がありましたように国を挙げてというのですか、国鉄が再就職の面倒を見てやるんだから文句を言うなというお考えかもしれませんけれども、民間の整理、解雇の場合でも、やはり労働組合と誠実に協議したかどうかということが一番重要になるのです。ところが今回のは、国鉄から承継法人へ移る場合に一方的に計画案が示されて、それに従わなければならない。そこには今回のILO条約の第三条にありますような、使用者の代表者及び労働者の代表者と協議するという規定から見ますと、到底この協議が十分に行われているとは考えられないのでありますが、その点労働省はどういうようにお考えでいらっしゃいますか。
○井上説明員 先ほどお答えいたしましたように、国鉄の改革の問題はまず一義的には国鉄自身の問題でございまして、これにつきましては国鉄内で労使で十分話し合っていくことが望ましいと考えております。
○河上委員 労働省としてはそのことは対等の立場で協議することが望ましい、こういうように考えているというように今の御答弁を理解してよろしゅうございますか。
○井上説明員 労使の間で十分話し合っていくことが望ましいと考えております。
○河上委員 ただ、政府が提出している国鉄改革法第十九条を見ますと、一方的に運輸大臣が基本計画を決めて、国鉄職員を何万人削減するかと勝手に決められるようになっております。これは、国鉄の問題であるといいましても運輸大臣がその計画を決めるわけでございますから、国鉄が勝手にやればいい、望ましいというだけでは済まないのじゃないか、そんなふうに思うのでありまして、その点、今ここでは、国鉄の人員整理の問題について余り深くかかわることは避けたいと思いますけれども、基本的に今の御答弁ではちょっと実情に合わないのじゃないかと思うのでありますが、いかがでございますか。
○井上説明員 お答えいたします。 国鉄の改革の問題につきましては、関連法案が国会に提出されておりまして、その場でも十分議論が行われるものと思われますし、国鉄内におきましても、労使の間で十分話し合いが行われることが望ましいというふうに考えます。
○河上委員 今政府がILOの百二十二号条約批准を提案されているわけで、これが国内法の整備のために提出がおくれていたというお話でございますので、提出する以上は、やはり国内法といいますか、国内のあり方とこの条約が示している一つの原則と合致するように努力すべきだと私は思うのであります。特に今回の国鉄改革法案は、運輸大臣が基本計画を決める、こうなっております以上、もう少し国として責任を持って当たってもらわないと、今回批准提案の意味というのは非常に薄くなるのではないか、こんなふうに思うのでありまして、その点は、先ほどの望ましいということが協議を意味するかどうか、もう一度御答弁いただきたい。
○井上説明員 お答えいたします。 これは労使の間で話し合われるということでございますので、協議というふうに考えてもよろしかろうと思います。
○河上委員 ILO条約との関連でございますが、一九八四年、つまり二年前でありますが、ILOの第七十回総会においていわゆる時間短縮の問題も論議されているやに聞いているわけでございます。御案内のとおり、最近の貿易摩擦の解消の手段といたしまして、国内需要の創出と並んで、労働者の切実な要求は言うまでもありませんが、労働時間を短縮する課題というのは、その角度からも今国の内外から要望されているわけでございます。今回の雇用政策に関する百二十二号条約の批准に当たりまして、ひとつ労働時間短縮について政府がどのようなお考えを持っておるか、伺っておきたいと思います。一九八四年にILOで一つの勧告が出ておるようでありますけれども、これにつきまして、政府は今回の百二十二号条約との関連においてどういうお考えを持っておられるか、伺いたいと思います。
○村田説明員 お答え申し上げます。 労働時間の短縮は、労働者の健康の確保と生活の充実、そして経済社会や企業におきます活力の維持増進、国際化への対応、それからさらには長期的に見た雇用機会の確保の観点に加えまして、消費機会の増大を通じまして内需拡大を図るという観点からも必要だと考えるわけでございます。 昨年十月には、経済対策閣僚会議におきまして「内需拡大に関する対策」が決定されまして、週休二日制など労働時間短縮対策を政府全体として進めていくこととされまして、また十二月には、経済審議会から閣議に報告されました経済計画の見直し報告におきましても、その必要性が強調されたわけでございます。このように、現在、積極的に取り組んでいくべき課題だと考えているわけでございます。
○河上委員 一九八四年ですか、ILOの会議におきまして時間短縮の問題がいろいろ論議されましたが、そのとき、各国の政府代表の中にこの点について消極的な態度を示したグループがあったと伝えられ、我が国政府もその一員であったというような報告が、総評あたりの文書によりますと出ているのでありますけれども、政府は一体どういう態度をとられたのですか。
○村田説明員 ただいま、当時どういう態度をとったかにつきましては的確にお答え申し上げられませんが、いずれにいたしましても現在の政府の立場は、先般、労働サミット代表者が総理を訪れまして、そこで二時間にわたる会議をした際にも総理から、積極的にこの問題に取り組むという意見の表明があったわけでございまして、そういう意味では、現在の政府は積極的であると申せるのじゃないかと考える次第であります。
○河上委員 それでは、今後大いに時間短縮に政府も積極的に乗り出す、こういうふうに理解してよろしいわけでございますか。
○菊地説明員 労働時間の短縮の問題でございますが、労働基準法が制定されて四十年近く経過してございます。今日の社会情勢に対応し、かつ労働時間の短縮という観点から、現在、公労使三者構成の関係審議会におきまして基準法全体の検討をお願いしております。今後の労働時間法制のあり方につきましても、その審議結果等を踏まえながら検討していきたい、かように考えているところでございます。
○河上委員 その場合の労働時間の短縮の目標というのは、どの辺に置いておられますか。
○菊地説明員 具体的な法制度の改正の中身につきましては今後の議論にゆだねるところでございますが、私どもの基本的な視点は、現在一週四十八時間となっております法定労働時間の短縮、それから年次有給休暇の最低日数の引き上げ、それから休日労働の割り増し賃金率の引き上げ等が、労働時間短縮にかかわる中心課題であるというふうに考えております。
○河上委員 それでいきますと、今有給休暇というのは、一年を通じまして我が国では幾らになっておりますか。
○菊地説明員 現行の労働基準法では、第一年目の一年間の継続義務と八割以上の出勤を要件にいたしまして、二年目から六日、三年目以降はそれに一日ずつ加算する方式で、最高二十日までという制度になっております。
○河上委員 一年間を通じて一労働週、つまりそこで六日ということになるんだろうと思いますが、国際的には三労働週というのがレベルではないかと思うのでありますけれども、その方向に向けて労働省としては今後努力をする、指導をする、勧告をする、そういうお考えでございましょうか。
○菊地説明員 御指摘の年次有給休暇制度のあり方も含めまして、今後の我が国における労働時間の法制全体について関係審議会の意見を踏まえつつ検討してまいりたい、かような考えでございます。
○河上委員 では、労働省にお伺いいたしますけれども、日本ではいわゆる残業というのが非常に多いわけでございまして、働く方も何か残業が収入の一つの不可欠なファクターみたいになっておる、残念ながらそういう傾向なきにしもあらずと、言わなくてはならないと思うのであります。 労働省では、残業という概念をどういうふうに規定されておりますか。
○菊地説明員 労働基準法上の時間外労働は、一日八時間、一週四十八時間を超える時間を時間外労働と定義してございます。 一般に世の中で残業と言われておりますのは、労使が協約あるいは就業規則で定めましたそれぞれの企業における所定内労働時間、それを超えた部分を残業と称しているわけでございます。
○河上委員 現在、労働基準法の改正案というのは研究されているわけでございますか。
○菊地説明員 昭和五十七年の五月以来、労働基準法研究会に労働基準法の問題点と対策について調査研究をお願いいたしまして、昨年の十二月に最終報告をいただいたわけでございます。 その報告の中に、我が国の「今後の労働時間法制のあり方について」も盛り込まれておりまして、それを一つの議題といたしまして、審議のテーマといたしまして今後関係審議会の中で御議論をいただき、その結果を踏まえて正式の政府案をお諮りする、そういう段取りでございます。
○河上委員 今の労働省のお答えによりますと、何か量的な時間を超えたものだけを残業と言っているようでございますが、どうも国際的には、つまりILO的な観点からいいまして、国際的に残業というのはもう少し質的な要素が規定の中に入っているんではないか、こんなふうに思うのであります。それを今後少し明らかにしないと、いつまでたっても一年間のうちで病気による休みを減らすために年休をとっておくとか、そういう本来の有給休暇とは違う使い方がなされる、こういう状況はなかなか変わらないんじゃないか、こう思うのです。したがって、労働形態からいいますと、残業は概念上はどうも周辺部分に追いやられておるわけですが、日本の状況からいいますとこれがかなり重要な意味を持っているだけに、もう少し質的な内容についても今後取り組んでいくということがどうしても必要だと私は思うのでございます。 伝えられるところによりますと、今お話のありました労働基準法研究会ですかでいろいろ検討されておる改正案というのは、時間外労働について、単に量的な規定だけではなく、質的な規定もしようとしておられるように聞いておるのでありますが、例えば業務の特殊性によるものとか、季節によりまして忙しいあるいは服とか、そういう季節、繁閑に基づくものとか、幾つかそういうことをいろいろ研究しておられるように聞いておるのでありますが、大体そういうふうに理解してよろしいのでございますか。
○菊地説明員 法定労働時間の短縮とあわせまして、我が国の企業、業種、規模の実態等を踏まえまして、より時間短縮が可能になるような労働時間の枠組みの弾力化といいますか、メニューを幾つか提言してございます。そのうちの一つが、お話にありましたように、季節の繁閑によってある程度長い期間の変形制を設けたらどうかとか、比較的規模の小さい商業、サービス業などについて換算的な措置を設けたらどうかというような点についての提言をいただいております。
○河上委員 労働省は、その提言を大体受け入れていく方向でこの改正案の作成に取り組むお考えでいらっしゃいますか。
○菊地説明員 労働省の正式な改正の内容は関係審議会の意見等を踏まえて確定する運びでございますが、目下のところは基準法研究会の考えておりますより労働時間の短縮に向けて、実効の上がるような弾力的な制度、それを認めるべきであるという立場で臨んでおります。
○河上委員 いずれにせよ、残業というものの概念規定、またそれに伴う法改正というのは、日本の労働の実態、特に中小企業の労働の実態から見まして私は非常に重要だと思いますので、ひとつその点は心して取り組んでいただきたい、こんなふうに思います。恐らくそこが変われば日本の労働の質というのは本当に変わっていくんじゃないか、こんなふうに思っているわけでございます。 それでは、第百四十二号条約の方に移りたいと思いますが、第四次職業能力開発基本計画というのはどうなっておりますか。
○大月説明員 お答えいたします。 第四次職業能力開発基本計画でございますが、現在検討しておりまして、五月ぐらいまでには策定いたしたい、こういう予定でございます。
○河上委員 昨年の職訓法改正で有給教育訓練休暇制度というのが法律に取り入れられたわけでございますけれども、その運用状況はどうなっておりますか。
○大月説明員 お答えいたします。 昨年の法律改正で、労働者の自己啓発を助長する条件整備ということを規定いたしたわけでございます。具体的な施策としまして有給教育訓練休暇給付金制度があるわけでございますが、昭和六十年度の実施状況は、約五千九百人ほどの方がこの適用を受けておるわけでございます。
○河上委員 今の御報告で大体わかるのでありますけれども、これは事業主にその研修のための費用が助成金のような形で政府から出ている、こういうふうに理解してよいと思うのでありますけれども、その現実と、今回の百四十二号条約第一条第五項に書いてあります文言でありますが、「自己に最も有利にかつ自己の希望に従って職業能力を開発し及び活用することをこというふうになっておりまして、これこそまさに本当の自己開発が求められておるのじゃないか、こんなふうに思うのであります。 ところが我が国の場合は、企業が企業にとって最も有利に、企業の希望に従って労働者の職業能力を開発し及び活用するということに読みかえてもいいような実態になっておるように思いまして、本来、労働者の請求権としてそれを保障するように奨励するというのがこの第百四十二号条約の精神ではないかと思うのでありますが、この点はどのようにお考えになりますか。
○大月説明員 お答えいたします。 職業能力の開発を通じて労働者の職業の安定なり福祉の向上を図っていくためには、企業内教育とともに御指摘のように労働者の自己啓発による職業能力開発が必要である、こう考えておりまして、先ほどもお答えいたしましたように、昨年の法律では「訓練を受ける労働者の自発的な職業能力の開発及び向上のための努力を助長するように配慮して行われこういう精神が盛り込まれたわけでございまして、これに基づいてこういった自己啓発の助長、条件整備ということに努めてまいりたい、こう考えております。
○河上委員 それではこのあたりで質問を終えたいと思いますけれども、こういうILOの精神から見まして、我が国でも非常に盛んな企業内の職業訓練というか、そういうものとはやはり質の違った労働者のみずからの希望による自己開発というものを保障するという精神でぜひやっていただきたい、このことを強く希望いたしまして、私、きょうの質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○北川委員長 次に、土井たか子君。
○土井委員 ただいま河上議員から御質問がございました点に重複することを避けながら、私は質問させていただきたいと思います。 まず、今回二件ございますILOの、百二十二号条約について申しますけれども、二十年間ほったらかしにされていて、的確に言うと二十二年ですか、早期批准を、また速やかに一刻も早く批准をということがしきりに説明書の中にも書いてあるのですけれども、二十年間、卑俗な言葉で言うとほったらかしにしておいて、急に慌てて早く早くと迫られるのはどういうわけでございますか。
○安倍国務大臣 この条約が昭和三十九年に採択されまして後に、政府としては雇用対策法の制定、新職業訓練法の制定等、雇用に関する施策の充実には努めてきたわけです。 昭和五十年ごろから、石油危機以後の経済情勢とか雇用状況の変化を踏まえて、ILOにおいてこの条約を改正しようという動きがあり、政府としては、改正が行われるか否か結論を見きわめる必要があるということであったわけですが、昭和五十九年に至りまして改正が行われないということになりましたので、条約の解釈、国内法制との整合性について検討を行った結果、今回の批准の承認を得る運びといたした次第であります。
○土井委員 それは、ILO機関の歴史的な経緯の中での事情だと思うのです。日本の方はそれをずっと見守ってきて、どうしようかどうしようかというふうに考えながらの二十二年であった、こういうことであろう、つづめて申しますと今の外務大臣の御答弁はそうだろうと思うのです。 これはしかし、先ほどの河上議員への御答弁を承っておりますと、女子差別撤廃条約を当委員会において審議いたしますときに、私は、ILOの批准に対しての促進方を要請する質問を幾たびかいたしました。そのときにもやはり百二十二号条約、ただいま審議をいたしますこの条約が出てまいりまして、そのときにどう外務省はお答えになったか、もう一たびここできちっと思い出していただいて、的確に正確に御答弁いただきたいと思うのですが、どうでした。
○中平政府委員 お答え申し上げます。 これは昨年のあれでございますけれども、雇用政策に関する条約につきましては雇用政策の範囲というものがはっきりしないということでございまして、この雇用政策の範囲について昨年以来鋭意努力してまいったわけでございます。確かに先生おっしゃるように、今まで様子を見ておったということでございますけれども、先ほど大臣からお答えいたしましたように、五十九年に至りましてILOの方で条約の改正をいたさないということがはっきりいたしましたので、政府といたしましても、ILO条約をできるだけ積極的に検討してまいりたいという願望のもとに昨年以来やって、雇用政策の範囲につきまして積極的に検討した結果でございます。
○土井委員 それは、条約審議のときとただいまの御答弁との間に少し違っている点がありますから、その点を追及したいと思うのですが、時間の方が大変和気にかかりますので、もう最小限度のどうしても聞かなければならない問題にいたします。 この百二十二号の条約をちょうだいして読んでまいりますと、今、積極的にILO条約についても批准を進めるという決意のほどもほのめかしながらの御答弁でございますから、それをひとつ含めて聞かせていただきたいのは、ページからいいますと二ページに書かれているところでございます。つまり前文の箇所に当たる部分であります。「雇用政策に直接に関係のある現行の国際労働条約及び国際労働勧告の規定ことございまして、その次に「特に、千九百四十八年の職業安定組織条約及び千九百四十八年の職業安定組織勧告ここの職業安定組織条約、これは八十八号だと思いますが、批准しているのですね。どうですか、外務省。
○中平政府委員 批准しております。
○土井委員 そうですか。そうするとその次の、「千九百四十九年の職業指導勧告、千九百六十二年の職業訓練勧告並びに千九百五十八年の差別(雇用及び職業)条約」とこう書いてございます。この千九百五十八年の差別条約はいかがでございますか。
○中平政府委員 いまだに批准しておりません。
○土井委員 いまだに批准しておりませんでしょう。(中平政府委員「はい」と呼ぶ)いまだには大きく聞こえたのですが、終わりの方が聞こえにくかったのです。 それで、この百十一号だと思うのですが、批准をしていない条約というのはここに明記されているわけですね。しかし、その次にこの前文のところを見ますと、その条約の規定に留意して「これらの文書が、完全雇用、生産的な雇用及び職業の自由な選択を基礎とする経済拡大のための」云々とあるわけですから、日本としてもこの条約を批准するためには、百十一号条約を批准するということを前提に考えて、そしてそれに留意しながら、このただいま審議をいたしております百二十二号に対しても実施していくという姿勢がこれは問われているのですよ。百十一号条約、なぜ批准できないのですか。
○中平政府委員 確かにおっしゃいますように、百二十二号条約で百十一号条約等を引用されておりますので、御疑問の点は理解するところでございますが、この百十一号条約と申しますのは先生御存じのとおり、締約国が雇用及び職業につきまして人種、皮膚の色、性、宗教、政治的意見、国民的系統または社会的出身に基づく差別をなくするために、雇用または職業についての機会及び待遇の均等を国内事情及び慣行に適した方法によりまして促進するというための方針を明らかにするとともに、その方針の実施のために措置をとっていくということも規定するものでございます。我が国におきましても、基本的には憲法第十四条におきまして、一般的に法のもとの平等が規定されておりますし、雇用、職業の分野におきまして、労働基準法、職業安定法等に基づきまして差別に対する施策が講ぜられておると考えておる次第でございます。 しかしながら、ここは重大な点であると私たちは思っておるわけでございますが、この百十一号条約と申しますのは、雇用及び職業に関する広範な差別を対象としておるわけでございまして、非常に範囲が広いことによりましてこの批准に当たりましては、国内法制との整合性について非常に慎重に検討する必要がございます。そのために、いろいろな時間がかかるという点につきましては御理解いただきたいと思いますし、我々といたしましても、今後とも御指摘のとおりできるだけ一生懸命この検討を行っていきたい、こう考えるわけでございます。
○土井委員 一生懸命これからこれを批准する方向に向けて努力をするというお答えでございますから、こちらとしたらそのことをさらに要求します。 さて、大臣いかがなんでございますか、今回の条約というのは雇用政策に関する条約でありますけれども、雇用問題というのはやはり失業をなくするという方向で考えていかなければならない。失業があってはならないということで、失業をなくするということがまず問われると思うのですよ、雇用政策を説く大前提としては。今日本は、失業率が諸外国、特に欧米に比較しまして非常に少ないということも言われたりいたしておりますけれども、しかし昨今の円高の問題で、中小企業や輸出関連企業の中には倒産がどんどんふえてまいっております。このままで参りますと、いよいよ深刻な状況になっていくと思う。中小企業や輸出関連企業の中での失業者対策も、早急に考えなければならぬような事態にもなってきていると思われるわけでありますけれども、どういうふうにこの状況をお考えになりますか。まず大臣から御意見を承って、関係の局にも御出席願っていますから後で聞きます。
○安倍国務大臣 確かに最近の急激な円高は日本の産業界、特に中小企業界、特に輸出に関係している業界に深刻な影響、打撃が出ていることは事実でございます。統計的に倒産続出というふうなものは出ておりませんけれども、しかしこのまま続いていけば状況としては、可能性としては出てくるのではないかということを私も心配をいたしておるわけでございます。 そういう中で国内対策としては、この円高がどういうふうに進むのか、これは国際環境、特に日本自身も相当介入をしてドル買いをやっておりますけれども、何か今のところでは全く効果があらわれていないということでございますし、国際的にどれだけの協力が得られるか、これもなかなか疑問の点があるわけでございまして、そういう点についてはこれから状況を見ながら、しかし同時にまた深刻な影響が出る、そしてこのままの状況が続くということになれば国内的に、特に中小企業等の救済対策といいますか、そういう点には政府として配慮していかなければならないと考えております。
○土井委員 昨年九月のG5蔵相会議のときの、前の円に対してポンド、マルク、フラン、ドル、その当時の一円が一体どれくらいの値打ちであったか、また一ドルが円に直すとどれくらい、一ポンドがどれくらいであったかということを考えて、現在は比較してみるとどれくらいアップしていると考えていいのですか。もう一度申し上げますが、ポンド、マルク、フラン、ドルというのが、円高ということでどのくらい値打ちが変わってきていますか。
○国広政府委員 今、手元に数字を持っておりませんので極めて正確ではないかと存じますが、私の頭にあることを申しますと、九月二十二日現在と今と比較しまして四〇%強、円がドルに対して強くなっているというのが私の認識でございます。マルクの場合は、恐らく三〇%ぐらいかと思います。
○土井委員 ポンドにしてもフランにしても、それぞれ同じように深刻な状況を持っておりますけれども、これは局長、急なことで今お手元に資料をお持ちでなければ、後で正確な数字をひとつ御指摘いただきたいと思います。 いずれにしましても、昨年九月に比較いたしましても、これは異常としか言いようがない、しかも大変な速度で円高になってきたということであります。これはもう天変地異ではございませんで、ほかの力が加わらないと実はこうはならないということなんですが、G5そしてことしの四月のワシントンで行われたG10は、大蔵省だけが日本としては出席なさったのですか、それとも外務省も同道されて、その場所にもちろん出席されておったのですか、どうなんですか。
○国広政府委員 これは従来の慣例といいますか、よその国の参加方式等も同様だと理解しておりますが、これは金融関係者のみの会議でございまして、我が外務省からはこれに出席しておりません。
○土井委員 そうすると、大蔵省からいろいろと連絡を受けるというお立場にある。いろいろ相談も受けられる場合もあるかもしれませんが、大蔵省からは円ドル安定ということで、アメリカとの間にもおおよその合意ができたというふうな連絡を外務省は既に受けられていたのではないのですか、どうなんですか。そういうことはありはしませんか。
○国広政府委員 恐らく今の御質問は、竹下大蔵大臣御訪米の直後に新聞で伝えられましたことについてかと思いますが、私どもはそのことについては、竹下大蔵大臣がワシントンにおける記者会見でお述べになった以上のことは聞いておりません。
○土井委員 そうすると、それに対して外務省としてどういうふうに考えていったらいいかというような目安というのは、もうひとつ不確かだというふうに受けとめられるように私は思います、大蔵省からのただいまの連絡の程度では。そのように受けとめてよろしゅうございますか。
○国広政府委員 当時、それからその後の円ドル関係の変転を見まするに、今私ども、日本経済及び日本経済の対外的かかわりに関しまして一番重要なことは安定であろうと思います。したがいまして、竹下大蔵大臣が安定ということを非常に強調されたということは私どもも大変賛成でございますし、記者会見の質問に対して大臣が、安定とは安んで定まることであるとお答えになったことも、まさにそのとおりだと思います。その後も大蔵省の金融担当者と私どもと、その点は意見が一致しているわけでございますが、より具体的に、どういうふうに米国その他の国との間で話をするかというようなことにつきましては、私どもも余り詳しいことは聞いておりませんし、また聞いても、恐らく大蔵当局は大変答えにくいのだろうというふうに私は解しております。
○土井委員 今、円ドルの安定の問題だということをおっしゃいましたが、先日、中曽根総理と安倍外務大臣がアメリカに赴かれました。アメリカに安倍外務大臣がいらしたときには、中曽根総理はアメリカに対して、円ドル安定のために積極的に話をされたのですか、どうですか。そして、特にこれはいろいろ円ドル安定についてお考えがおありになると思いますけれども、G5のときには、ドルに対して協調介入をするというふうなものに対するいろいろな同意とか話し合いが行われたという経緯もございます。そういうことからすると、一体どの程度の円高になったら協調介入の対象になるというふうなことも、読みとして持って臨まれていたのか、そのあたりの経緯なども含めてお話しになったのかどうかも、少しお聞かせをいただきたいと思います。
○安倍国務大臣 G5の経緯については、私から申し上げるまでもなく御承知かと思いますし、そのG5によりまして、いわゆる為替の調整が行われて円高傾向になってきたわけでございます。その後、やはり円高が急激に進む、そうした急激な変化というのはよろしくない、安定する必要があるということで、竹下大蔵大臣も今回訪米をされてアメリカのベーカー財務長官にも強調したということを私も聞いておりますし、他の国々に対しても、これは安定ということについて強調したことを私も承知しております。 そういう中で日米首脳会談が行われまして、私も中曽根総理に同行しまして、レーガン大統領と中曽根総理との間でいろいろと意見の交換がございましたが、その一つとして今お話しのように、為替相場の安定について中曽根総理からお話があったわけです。それは、要するに急激ないわゆる為替相場の変化というのは、経済を安定するものでなくてむしろ不安定にするのだということで、最近の日本における急激な円高は産業界等に相当な苦痛を与えておる、中小企業等にも相当な打撃を与えておる、そういう中でやはり今必要なことは何としても為替が安定をすることであるということを、中曽根総理はレーガン大統領に強く言われたというふうに私は記憶しております。今確かな言葉を覚えておりませんが、とにかく為替の安定、円ドル関係の安定ということを強調されたことを覚えておりますし、私自身もまたシュルツ国務長官との会談の際、このことをシュルツさんに述べたという経緯もございます。
○土井委員 中曽根総理が強く訴えられたというのを横におられたということでありますが、どういうことを強く訴えられたのですか。伝えられるところによると、百七十円台の円高は行き過ぎだというふうなことを訴えられたということも伝えられておりますが、それに対してレーガン大統領の方は、相づちも打たずただ聞きおくだけであったということもこちらの方に伝わってくるということであります。どうなんです、これは百七十円台では行き過ぎだというふうなことも言われたのですか、どういうふうにしていこうということも提案されたのですか。強く訴えられるのも、それは中身によりけりであります。相手方に対して強く響くか響かないかという問題もありますし、相手の反応が、どれだけこっちが強く言ったってのれんに腕押しみたいなときもございます。どうでございますか。
○安倍国務大臣 これは首脳会談の中身で、表にすべて申し上げられることではございませんけれども、しかし私が申し上げましたように、とにかく中曽根総理としては円ドルのレートの安定化というものを強く訴えられた、こういうことでありまして、具体的に私が承知しておる限りは、百七十円だとか百八十円だとかそういう具体的な数字を挙げてというふうには私は承知しておりません。とにかく、今の状況そして急激に変化するというふうなそういう事態というものは、これは避けなければならぬということを強く訴えられた、こういうことであります。
○土井委員 ただしかし、それでもアメリカの方の姿勢というのはどうもまだはっきりいたしておりませんで、むしろそれはある見方からしますと、円高進行というのは仕方がない、これでいいんだというふうな向きですら受けとめられるような姿勢も、かいま見えているわけであります。自民党の宮澤議員あたりは、ベーカー財務長官にもっと強い立場で言えるはずであるということを、具体的にもうテレビなどの画面を通じてでもはっきり言われているわけでございますけれども、これはやはりベーカー財務長官などにもっと強い立場で具体的に言えば大蔵大臣も臨めるはずだし、中曽根総理を初めとして政府閣僚も臨めるはずであるということを言われることに、外務大臣も同感であるとお考えですか。
○安倍国務大臣 アメリカ政府に対しては、日本の立場は十分説明をいたしておりますし、これは当然その責任者であります竹下大蔵大臣とベーカー財務長官との間ではじっくり話し合いが行われておる、今日においてもそういう関係は続いておる、こういうように私は思っておりますし、総理大臣も随分これは心配もしておられる。こういうことで、中曽根・レーガン、そういう仲で今後ともこの問題について話し合うということも場合によってはあり得ると私は思っておりますが、いずれにしても今度の首脳会談においてこの問題を取り上げて、中曽根総理から日本の立場をはっきり述べられたことは事実でございます。 ただ、これは何といいますか、一種のファンダメンタルズを反映するという形の中で、今アメリカにおいてもヨーロッパにおいてもこの日本の円高進行については、アメリカの中には相当、私は感じたのですが、政府の内部においても意見が多少、ボルカー氏とその他の人たちとの間の意見の違いもあるように思いますが、日本の円高というものに対しては、むしろそれに対してこれを否定するといいますか、もとへ戻すということじゃなくて、これも結構じゃないか、これはファンダメンタルズを反映しているんだからという見方もある感じは受けるわけで、OECDでは特にヨーロッパ諸国、イギリスを初めとしまして我々は安定を非常に強く述べたのですが、これに対して彼らはむしろいわば冷淡ともいうべき姿勢で、日本の円高を歓迎するというふうな感じが出ておったように私は思います。 しかし、これは日本としてもこれ以上の円高が続いていくということは、日本経済に非常に大きく打撃を与えるだけじゃなくて、これはもう世界経済の混乱にもつながっていくんじゃないか、私はこういうふうに思っておりますし、日本はそういう立場から堂々と主張するところは主張していかなければならない、こういう意味で政府も対応しているわけでありますし、今後とも対応しなければならぬ、こういうふうに思っております。
○土井委員 堂々と主張すべきは主張するというのは基本だと思うのですが、百八十円台で協調介入してくれるであろうというふうな思い込みがもともとあったんじゃないですか。こういう考え方が非常に甘かったというのは、今にして思わなければならない事情も私はあると思うのですが、これは外務大臣、そうお考えになりませんか。
○安倍国務大臣 やはりこれはなかなか、私たち金融当局という立場でありませんし、非常に微妙な為替相場といいますかレートの問題ですから、大蔵大臣が一言言えばそれで随分変化する、変わっていくというのが今日の実態でございますから、その辺のところは金融当局がお互いにどういうふうな判断を持っておったのか、我々としてうかがい知るところではありません。とにかく安定をしなければならぬ、そういう基本的な方向については我々も承知しております。
○土井委員 その安定せねばならないという基本的方向というのは、それはよくわかるのですけれども、サミットまであとわずかです。その間、百六十円台から百五十円台になるかどうか、状況の推移は本当はわからないですよ。大変深刻な方向に事が動いていっているということだけは、はっきり言えるのですね。 そうすると、安定させる策として今何をお考えですか。特にサミットに臨むに当たって、百六十円台で協調介入するという約束を話し合いとしてつけようとお思いになるのか、それともどうも日本が円高で悲鳴を上げて、アメリカに泣きつく形で目先の通貨安定という問題に走ろうとすると、サミットでは、これはすなわち日本問題ということに議題としてはなってくるという側面も持っておりますから、これは非常に大事であると同時に難しい問題というのもはらんでいるわけですが、安定させるということに対してきめ細かなことは、これは言っていただくことはなかなか難しいでしょう。だけれども、外務大臣とすれば心づもりとして何をお考えです、それを承りたいと思います。
○安倍国務大臣 その辺のところはまさに大変難しいことでありまして、私もやはり政治家としまして政府の閣僚として、これ以上円が上がることは日本の経済界、特に中小企業、先ほど失業という関係で御質問があったわけですが、大変な事態になって、これはもう日本経済だけが混乱するだけじゃなくて、世界経済全体に非常に悪い影響を与えてくるのじゃないか、こういうふうに思いますし、これ以上どんどん上がっていくということは何としても避けなければならない、そういうふうに思うわけでございまして、どういう形であるかということになると、これはもう外務大臣が所掌している範囲じゃないわけですから、通貨当局がこの点に対してどういうふうに判断をしてやるかということは、そちらの方でやはりやっていただく以外にない。ただ、閣僚として言わせていただくならば、これ以上上がるということは非常に危険である、やはりもっと安定した方向にこれを早くとどめなければならない、こういうことだけははっきり言えるわけであります。
○土井委員 このことについてさらにお尋ねを進めたいと思いますけれども、あと百四十二号の条約について簡単に質問することが残っておりますので、せっかく労働省からもおいでをいただいておりますから、このことを少しお聞かせいただきたいと思うのです。 この百四十二号条約に言うところの職業指導とか職業訓練の中には、私企業が行う、企業が行う職業訓練も含めて、つまり訓練ということの範囲を広く考えて理解をしてよろしゅうございますか、どうですか。
○佐藤説明員 この百四十二号で言っております職業訓練につきましては、職業訓練を実施する主体が何であるかということは特に条約の中で限定をされておりません。したがいまして、公共の職業訓練のほかに、企業内で行われる職業訓練も含まれるというふうに解しております。
○土井委員 結構です。 それで、この条約の一条を見ますと、その五のところに、「すべての者が社会の必要に考慮を払いつつ自己に最も有利にかつ自己の希望に従って職業能力を開発し及び活用することを、」その次です、「平等の基礎の上にかついかなる差別もなく、奨励し及び可能にするものとする。」と、こうなっているのですがね。 さて、ここで、労働省の局長もお見えになっていらっしゃいますから言いただきたいのですが、この四月の一日から施行されました男女雇用機会均等法の指針、省令の中身の中に、訓練ということについて、特にOJT、オン・ザ・ジョブ・トレーニング、業間訓練というふうに日本では訳していると思いますが、これから女性を全部排除しております。これはやはりここにひっかかってくると思うのですね。指針、省令というのは、法律を超えるわけにはいかないとおっしゃるかもしれませんが、法律自身はオン・ザ・ジョブ・トレーニングに対して、女性もともに男性と同様に、同等に取り扱うということを否定しておりません。したがって、願わくは、この省令、指針からすれば、これをつくり変えて考え直していくという努力を、この条約の批准に当たって、もう一たび私は決意のほどを承っておきたいのです。どうですか。
○佐藤(ギ)政府委員 先生おっしゃいますように、省令、指針ではオン・ザ・ジョブ・トレーニングは含まれないということになっておりますが、今先生御指摘ございましたように、法律の上で既にオン・ザ・ジョブ・トレーニングは入っておらないということから、法律の委任を受けました省令、指針には含まれておらないわけでございます。 ただ、先生もたびたびおっしゃっておられますように、オン・ザ・ジョブ・トレーニングというのは、教育訓練としては非常に重要なものでございますので、私どもでは既に解釈例規も出しておりますが、その中で、機会均等法の四条の理念から見れば、オン・ザ・ジョブ・トレーニングも男女に均等な機会が与えられることが望ましいということを言っておりまして、私どもも、説明会その他あらゆる機会をとらえて、企業には、オン・ザ・ジョブ・トレーニングにつきましても均等な機会を与えるように指導しているところでございます。
○土井委員 そう取り扱うことが望ましいということを言われ、そういう指導をおやりになる、これはいいことだと思うのですがね、それがないよりもいいことだと思うのですが。しかし、やはり法律の条文を見ると、今おっしゃったように、女性をオン・ザ・ジョブ・トレーニングから締め出すといいますか、その対象として考えないということを、これ、はっきり規定しておりませんよ。やはりそこのところで決まったのは、指針、省令の中身でありますと私は理解します。だから、そういうことからすれば、法律改正を待たず指針、省令の中身についてつくり変えていくということは、私は作業として可能だと思う。そして、それは法律に抵触しないというふうに理解しますが、この点はどうですか。
○佐藤(ギ)政府委員 オン・ザ・ジョブ・トレーニングは、先生御存じのとおり、上司あるいは先輩が部下に職場でいろいろ教育的な配慮を加えながら仕事をさせる、あるいは配置転換をするというようなことでございまして、その性格上、なかなかその中身を特定するということが難しいわけで、そういう意味で法律上の規制にはなじまないということから除いているわけでございまして、決して、オン・ザ・ジョブ・トレーニングというものは入れない方がいいという考え方から除いているものではございませんので、そういう意味で、なかなか法律的な規制は難しいのではないかと思います。 そのことから、私どもとしては、何とかして均等な機会が与えられるように、そのことが定着するようにいろいろな形で努力をいたしているところでございますし、これからは先生のお言葉も十分頭に入れて、さらに努力してまいりたいと思っております。
○土井委員 本来、各職場でケース・バイ・ケースという問題についてまで法律で規定していくということは、これは難しいし、法律自身にそういうことを要求しても無理であります。けれども、法律で決めるところは、オン・ザ・ジョブ・トレーニングというのも含めて、訓練の中において男女の中に差別があってはいけない、女性をそこから疎外してはいけないということを決めることが大事なんでありまして、それに従ってどう取り扱うかということは、省令でやったり指針でやったりいろいろ行政指導でやったりする場合もあるだろうと思いますけれども、だから今言った法律ということからしたら、もっと法律を確固たるものにしていくための努力は我々にも問われています。と同時に、今お答えになったところというのを大事にしていただいて、前向きでしっかり御努力のほどを、さらに私たちとしたら期待と要求を申し上げたいと思います。 最後に一問だけ。私は、女子差別撤廃条約を審議するときに、百五十六号条約というのを一日も早く批准をするのが当然ではないかということを言いましたら、外務大臣も、それはできたら今国会に提案できるような努力でこれに臨みたいということをおっしゃいました。残念ながら、ただいま審議をいたしております二ILO条約は百五十六号ではございません。百五十六号条約について、もしこの国会に提案できない場合でも報告するということをお約束をいただいておりましたが、現状はどう相なっているか、そして、次期の国会には必ずこれを提案されるであろうということを私たちは信じてやまないわけでありまして、そこのところもはっきりおっしゃっていただいて、きょうの質問を終わりたいと思います。
○安倍国務大臣 ILO百五十六号条約に関しましては、その審議経過の検討及び各締約国に対する調査を一通り終わっておりますが、本条約の幾つかの問題点につきましては、これら調査結果や審議経過に照らしても必ずしも明らかでない点がございます。したがって、政府としては、現在主要問題点について、その審議経過あるいは各締約国の解釈等をも参考にしながら解釈を固めるべく努力をするとともに、国内法制との整合性等についても検討を行っているところでありますが、まだ最終的な結論を得るに至っていないという状況であります。したがって、現段階で具体的な批准時期につきまして申し上げることはちょっと困難でございますが、しかし、今後とも本条約批准のための努力を重ねてまいりたいと思います。
○土井委員 どうも今の御説明では、もう一つ何が肝心な問題点になってひっかかっているのか、はっきりしないんですよね。何が一番問題になっているんですか、そこだけを今言っておいてください。
○中平政府委員 昨年の国会で御報告申し上げるということでございまして、我々としては御報告する用意がございます。ごく簡単に申し上げますと、四つばかり大きな問題がございまして、一つは第一条、第二に第八条、第三に第十条、それから第四に第十一条でございます。 第一条につきましては、本条約が適用される労働者の範囲といたしまして、被扶養者である子及び保護または援助が明らかに必要な他の近親の家族に対して責任を有する男女労働者であって、当該責任により当該労働者の経済活動が制約される者と定められておるわけでございますが、ここでその経済活動に対する制約を受けている者がどのような形でこの条約の対象になるかというところが、第一条に関する問題でございます。(土井委員「よくわかりませんな」と呼ぶ)ですから、もしあれでございましたら、文書にいたしまして提出する用意がございます。
○土井委員 そういう御説明を今ここで賜っていても、どうも承りましてすぐにはっきり理解できるような御説明でもなさそうですから、それじゃ文書にして提示してください。(中平政府委員「はい」と呼ぶ)それじゃ結構です。ありがとうございました。
○北川委員長 次に、塩田晋君。
○塩田委員 私は、雇用政策に関するILOの百二十二号条約並びに人的資源の開発における職業指導及び職業訓練に関する百四十二号条約につきまして、外務大臣並びに外務省の関係局長、労働省の担当者にお伺いをいたします。 まず最初に、この条約を、国内法が既に整備をされておるにかかわらず今日まで批准をしなかったのはどういう理由が、アメリカはこの二条約につきましてどのような態度であるか、批准をしない方針とすればその理由は何か、アメリカとの関係が日本の批准についてあるのかどうか、まずお伺いいたします。
○中平政府委員 お答え申し上げます。 先生御存じのように、アメリカは連邦国家でございます。労働関係の施策は各州ごとに独自に行っているようでございまして、したがいまして、連邦政府がILO条約の実施のために国内的措置を講ずる権限を必ずしも有しておらないということでございまして、そういう理由からこの二つの条約をアメリカは批准しておらないわけでございます。 この条約を、過去二十二年間放置しておいたのではないかという御指摘が先ほど来ございました。確かにこれは一九六四年に採択されまして、百二十二号条約につきましてはもう二十二年たっておるわけでございますが、これは先ほど来申し上げましたように、国内的に労働省、政府といたしましていろいろ法律をつくってまいりましたし、他方、この百二十二号条約につきましては、一九五〇年以来改正をやろうじゃないかという動きがILOにございまして、その動向を政府といたしましては見守っていたわけでございまして、昭和五十九年に至りましてもう改正は行われないということがほぼ確定したわけでございまして、自来鋭意検討をいたしまして今回提出させていただいた、こういう経緯でございます。
○塩田委員 アメリカが批准をしないということと我が国が今まで二十年間批准をしなかったということとは、直接に関係はないという御説明のようでございますが、アメリカにおきましては、雇用法というのが連邦法としてあるはずでございます。この百二十二号条約は昭和三十九年に採択され、四十一年に発効いたしておりますが、この条約につきまして、少なくともアメリカはそういった連邦法を持っていたと思うのですが、いかがでございますか。そしてまた、この条約の内容自体が非常に宣言的なもので、各州法と抵触するような内容のものではない。非常に簡単明瞭な宣言的なものでございますので支障はない。アメリカは、確かにILOの条約を批准している数が少ない。最も少ない国ではなかろうかと思うくらい、七個しか条約を批准してないようでございますが、アメリカの事情につきましてお伺いをいたします。
○佐藤説明員 ただいまアメリカの雇用法との関係での批准の問題をお尋ねになりましたけれども、雇用法の内容、ただいまここでつまびらかにはいたしませんが、アメリカの場合に、この条約のみならず一般に条約の批准件数が非常に少ないというのは、先ほどの外務省からのお答えにもありましたような事情によるものでございまして、この条約をアメリカが批准していないということと先生御指摘の問題と直接関係があるのかどうかということについては、現在の段階で確定的なことがお答えできないのはまことに申しわけないことでございますが、批准が少ないということにつきましては、アメリカが連邦制であること等の理由によるものと考えております。
○塩田委員 労働省にお伺いしますが、アメリカの雇用法は研究しておられますか。
○井上説明員 お答えいたします。 アメリカの雇用法でございますが、これは一九四六年に制定されまして、主な内容といたしましては、政府の雇用政策の目的とか目標を宣言している、それから大統領が毎年経済報告書を作成する、それから大統領経済諮問委員会、経済報告書合同委員会の設置等を定めておるものと考えております。
○塩田委員 アメリカに雇用法があり、一九四六年、戦後直ちに制定をされ、その内容は完全雇用の達成を目指しての各種政策の調整、整合的な政策の推進、これを図るべくつくられたものであり、連邦法として各州に及んでいるわけでございます。今回の百二十二号条約は、それと全くと言ってよいほど符合しておるものでございまして、何ら支障はない。各州にそれぞれ労働法が定められておって、各州間がないの差があることは承知いたしておりますが、連邦法としてこのように雇用法があるということの上に立って考えますと、アメリカがなぜこの条約を批准しないか、非常に解せないところでございます。 この雇用政策に関する条約は昭和三十九年に採択をされましたが、そのころに我が国におき象しても、こういったものをつくらなければならないということでアメリカの雇用法を勉強し、またそれが最終的には昭和四十一年の雇用対策法に結実をしたわけでございます。したがいまして、その時点で直ちに批准をすべき内容のものであったと思うのでございますが、その後条約についての修正の動きがあったということでございますが、それはどういう点でしょうか。余り聞かないことでございますが、具体的にどのような動きがあって、その結果どうなったか、お伺いいたします。
○村田説明員 お答え申し上げます。 一九六四年の百二十二号採択以来でございますが、工業国と開発途上国で悪化しました構造上の問題などを考慮いたしまして、それから一九七〇年代に世界経済が経験いたしました重大な不均衡問題、こういった問題に照らしまして、一九七九年の第六十五回ILO総会はILO理事会に対しまして、百二十二号条約の改正の問題をなるべく早く総会の議題とするように要請したわけでございます。先ほど申しましたような、このような世界的な情勢の変化に十分即応し得るよう、条約の規定につき検討を加えるべく審議を続けたわけでございますが、一九八四年に至りましてILO第百二十二号条約を補足する雇用政策に関する勧告、第百六十九号でございますが、これが採択されたことによりまして結局条約の改正は行わないということになったわけでございます。
○塩田委員 この問題につきましては、まだまだ問題が残っておるように思います。大臣にお伺いをしたいと思いますが、その前に、最近のILOの米、ソ、日本等主要国の分担金はどのようになっておりますか。そして、最近の活動の状況は主なものはどういうものがあるか、ILOの活動それ自体について御説明をいただきまして、あと一問大臣にお伺いしたいと思います。
○村田説明員 まず分担金の問題でございますが、分担率の高い方から申し上げますとまずアメリカでございまして、二五%分担しておりまして三千百六十四万ドル、続きましてソ連、一〇・四五%、千三百二十三万ドル、続きまして日本、一〇・二三%、千二百九十五万ドル、それから続きまして西独、千七十二万ドル、分担率は八・四七%、続きましてフランス、六・四六%、八百十八万ドル、続きましてイギリス、四・六三%、五百八十六万ドル、これが一九八六年のILO主要国の分担状況でございます。 なお、最近のILOの主要活動でございますが、ILOは、労働者の労働条件の向上という主たる目的を達成するために四つのことを行っております。一つは、ILOの条約、勧告の採択を通じまして、国際的労働基準の設定並びにその実施状況に関する監視的作業でございます。二番目は、各国の労働条件、生活状態に関します調査研究並びに資料の収集及び配付でございます。三番目に、世界の労働社会問題に関する意見交換の場の提供、そして四番目に、各国に対する労働分野における技術協力、これらを主として行っているわけでございます。従来ILOにおきましては、条約及び勧告の採択が伝統的に重要性を持っていたわけでございますが、第二次世界大戦後におきましては、多くの開発途上国の加盟に伴いまして、技術協力に次第に大きな努力を払うようになっているわけでございます。この点が、最近の特徴点だと言えると思います。
○塩田委員 ILOの分担金でございますが、アメリカの二五%、ソ連の一〇・四五%に続きまして、日本が第三位一〇・二三%という御説明がございまして、日本は非常に大きな分担をしている。しかも、最近の活動の中で、アメリカがILOの活動に対して非常に批判的であり、一時は脱退をして最近また復帰したわけでございますね。そういった観点から、ILO自体の機能について、アメリカがそのような行動をとらざるを得なかったという背景に何があるのか、日本はこのILOの活動そのもの、現実的な活動、憲章とか表面的なものだけではなしに実際の動きについて、ILOを日本の外務大臣としてどのように評価しておられるか、非常に大きな分担金を持って大きな役割を果たしておるはずでございますが、現状でいいのか、どのようにお考えか、お伺いいたします。 聞くところによりますと、ポーランドに対して、あるいはチェコに対しての最近の動きもございまして、いろいろな摩擦も起っております。大体、労使公益という三者構成でありながら、共産圏は自由主義諸国における労使公益という三者構成の概念と本当に合うものかどうか、そういった観点からかなり異質のものがあるのではなかろうか。ソ連圏でどのようなILOの提訴が行われ、またどのような査察が行われ、どのような勧告がなされたか、こういったことも後ほど聞きたいと思いますが、外務大臣、総括的に日本のILOの評価についてお伺いいたします。
○安倍国務大臣 ILOは、条約及び勧告の採択を通じまして国際労働基準を設定するほか、開発途上国に対する技術協力等広範な活動を行っておりまして、労働条件の改善のための国際協力及び労働条件の改善を通ずる社会正義の実現に向けて重要な役割を果たしておる、こういうふうに考えております。 我が国は、このILOの趣旨に賛同をいたしまして、ILO創設とともにその加盟国となりました。先ほど御答弁申し上げましたように、拠出金にいたしましても、世界の中で米ソに次いで三位という重要な地位を占めておるわけでございます。また、理事国の一員として、非常に重要な役割を果たしてきておるところでございます。これはILOの歴史をひもとけば明らかでございますが、非常に重要な役割を果たしてきておると思います。今後とも、国際社会に占める我が国の地位の重要性を考慮いたしまして、ILOの諸活動には引き続き協力してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。いろいろと国際情勢等変化もあるわけでございますが、そういう中でやはりILO成立の原点というものを失わないで、これに対応して、これが発展のために努力をしていくことが日本の役割である、こういうふうに思っております。
○塩田委員 一般的な御見解はお伺いしてそれを子とするものでございますけれども、どちらかといいますと、ILOの今までの活動状況は自由主義諸国に対して厳しいものが出ておる。共産圏に対しては、労使公益三者構成が本当にそうなっていないのではないかということをむしろ考える。というのは、一党独裁政権でございますから労使公益三者といったって全部党が支配している。こういう中で、本当に自由主義諸国における労使公益という観念は成り立たないのではないか。その中で過去の実績は共産圏に非常に甘い、そのような動きであったのではなかろうかという観点から私は申し上げておるわけでございまして、これは国際的な問題でございますから、外務大臣が答弁なさるのにはかなりの慎重な御発言になると思いますので、一言ございましたらおっしゃっていただきたいと思います。
○中平政府委員 先生御指摘の点は、確かにそういう面もなきにしもあらずという感じもいたすわけでございますが、御存じのようにポーランドがこのたびILOを脱退するということになったわけでございます。先生御存じと思いますけれども、一九八一年十二月に国際自由労連それから国際労働組合連合が、ポーランドにおきまして、戒厳令布告が行われたわけでございますが、そのときに労働組合権を侵害するというようなことでILOに対して申し立てを行ったわけでございます。 一九八三年三月に至りましての二百二十二回の理事会におきまして、ポーランド政府がILOの質問に対しまして全然回答しないということ、それからまた事務局長の特使を受け入れない、そういう場合には憲章二十六条に基づく審査委員会の設置はやむを得ないというような結社の自由委員会の報告がございましたが、その結社の自由委員会の報告をこの二百二十二回理事会が採択したわけでございます。 ポーランド政府は、このようなILOの措置につきまして全然何ら措置をとらなかったということでございまして、八三年五月に第二百二十三回理事会におきまして審査委員会の設置を決定したわけでございます。この審査委員会が八四年五月に、逮捕されております労働組合指導者、組合員の釈放要請等を内容といたします報告を取りまとめたわけでございまして、この報告は一九八四年十一月の二百二十八回理事会においてテークノートされたわけでございます。これに対しましてポーランドが、これは内政干渉であるということで、同年の十一月十七日にILOの脱退を通告したわけでございます。 確かに先ほど申し上げましたように、先生御指摘のような点もなきにしもあらずと思いますけれども、このポーランドの情勢に関しまして国際自由労連、それから国際労働組合連合等が提起いたしました問題に対しまして、ILOは適切な行動をとったのではないか。もちろん、いろいろな面から、ILOが非常に完璧な行動をとっているということは必ずしも言えないと思いますけれども、自由世界に辛く社会主義国に非常に甘いというようなことにつきましては、この行動を見回した限りは、それはやや是正されておるのではないか、こういうふうに感じております。
○塩田委員 今のはちょっと逆じゃないですか。自由主義国に対しては辛い、共産圏に対して甘い、私はこう言っているんですが、逆を言われたですね。
○中平政府委員 自由主義国に対して辛く、社会主義国に対して甘いというような御判断につきましては、そういうところもなきにしもあらずと思いますけれども、ポーランドでとった措置等から考えまして、多少是正されておるのじゃないか、こう考えておる次第でございます。
○塩田委員 共産圏に対するILOの活動としては、今の説明がありましたポーランドの問題、それから以前にプラハの春と言われたチェコ事件、あのときにも一つあったのじゃないかと思うのですね、強制労働の問題。これは時間がございませんので……。 ところが、そういった状況にかかわらず、我が国でも前に八十七号条約の問題あるいはドライヤー委員会等の報告があったり調査にも見えて、いろいろな問題がありましたが、自由主義諸国に対してはそのようなことが頻繁に行われておる。ソ連圏に対しては今の二つぐらいじゃないかと思うのです。一番御本尊のソ連が一体どうなっておるのか、調査すらしていない、できない、こういうようなILOでいいのかどうか。ところが非常に奇妙なことに、最近ソ連がILOは西側に偏向した活動をしているという非難声明をしたと聞いておりますが、いかがでございますか。
○村田説明員 お答え申し上げます。 昨年二月、ILO理事会におきましてソ連の政府理事が記者会見を行いまして、ポーランドの脱退通告に関連しまして社会主義国の主権に対する侵害はILOに根をおろし成長しつつある、ILOはそのユニバーサリティーについて危機に直面しているなどと述べまして、ILOが社会主義国の利益に反して途上国労働者への配慮を欠いているなどといったILO批判を行ったことは事実でございます。ただこの報道は、分担金を支払わないなどの発言があったというふうに報ぜられたわけですが、その点までの、分担金に関する発言はなかったと承知しております。
○塩田委員 イデオロギーも政治体制もすべて違う共産圏のことでございますから、そういう論理が成り立つかもわかりませんが、それと同じようなことを言えば、日本に対していろいろな調査に見えたりいろいろなことを言われた、それだって内政干渉の疑いは十分あると思われても仕方ない問題かと思いますが、アメリカのILOの評価はどうなっておりますか。一時脱退しましたね、二年二カ月。どういう経緯でどういう考えで、また復帰しましたが、どのようないきさつで復帰しましたか、お伺いいたします。
○村田説明員 まず経緯でございますが、アメリカは、ILOの活動が本来の目的から離れた、特に政治化の傾向でございまして、これはイスラエル非難決議などに見られる政治化傾向を強めている、これを理由といたしまして、昭和五十二年十一月六日にILOから脱退したわけでございます。アメリカはその後、ILOの動きを見守ってまいりましたが、ILOにおける政治化傾向が減少するなどILOが本来の姿に立ち戻りつつあるという判断に立ちまして、昭和五十五年二月十八日に再加盟したわけでございます。 再加盟後のアメリカは、主要産業国の一員としまして理事会の常任的議席を認められるなど、脱退前と同等の地位を与えられるに至っておりまして、ILO活動にも積極的な姿勢で臨んでいるのが現状でございます。なお、最近シュルツ国務長官は議会におきまして、ILOの活動はアメリカの再加盟以来改善されているという指摘をしておりまして、ただ、予算の一層の抑制及びILOに無関係な政治問題の討議の回避などにつきましては、さらに改善する必要があるという発言を行っております。
○塩田委員 ILO活動の予算の使用の状況でございますが、我が国は行政改革の推進を言っておりますが、国際的に相当大きな分担金をしておるわけでございますが、むだ遣いはないのかどうか。各種の会議をあちこちでよく開きますね、そういうところに出てくる人は、大抵途上国の人たちはほとんどかけ持ちで同じような問題について同じような人が出てきて、あっちでもやりこっちでもやりというような状況で、果たしてそれで本当に世界各国を集めてのILOの活動になるのだろうかということも疑問に思うわけです。 それはそれといたしまして、建物にしましてもジュネーブにあるILOの本部というのは、かつては国際連盟の建物にあって小さいところでしたが、そこから出まして今大きな建物をつくっていますね。行ったら閑散としていますけれども、会議が開かれていないときは閑散としておりますが、あんな本部が要るのかどうかという疑問を率直に感じたわけでございます。 相当な分担金でございますから、予算の使用についてちょっとずさんというか、むだ遣いがあるんじゃないかと思うのですが、そのようなことはないでしょうか。そして、我が国の、邦人の職員というのはどれくらいいるのか、分担金に比べて非常に少ないじゃないかといった問題、外務省、今後どのように対処しようとしておられるか、お伺いいたします。
○村田説明員 まず行財政の問題でございますが、ILOの予算につきましては、一九八四年、八五年の通常予算は対前年比四・四%増となっていたわけでございますが、一九八六年、八七年の通常予算は前年に比べまして〇・六%城となっておりまして、不要不急の事業の整理、節約など、経費抑制に営々努めているとある程度言えるわけでございます。 なお、このILOの行財政問題につきましては、一般に国連、そして国連専門機関すべてについて、特に専門機関についてでございますが、ジュネバ・グループというものがございまして、これは大口拠出国の西側の十三カ国から成っているグループでございますが、ここにおきまして、関連諸機関の財政状況を厳しくチェックしているわけでございまして、六年ほど前にも実質ゼロ成長という方針はここで打ち出されたわけでございますが、私どもこういう観点から、この行財政問題につきましては厳しく見守っているということでございまして、賢人会議を昨年安倍大臣が提唱された背景にもそういう視点があったわけでございます。 次に、ILOの邦人職員の問題でございますが、現在、一九八五年十二月末現在でございますが、十九名でございます。そして、そのうち幹部ポストとしましてはアジア・太平洋地域担当事務局長補、これはADG、アシスタント・ディレクター・ジェネラル、バンコクでございますが、これが一名。それから使用者活動局次長、これはD1のポストでございまして、ジュネーブ本部にいるわけでございますが、これが一名。それからILO東京支局長、これはDポスト、Dに相当するポストでございますが、この三つが幹部ポストでございます。 ただ十九名につきましては、私ども、まだ不十分であるという強い認識を持っておるわけでございまして、国連関連機関一般について言えるわけでございますが、分担金に見合った邦人職員が十分活躍していない、そういう現状を認識しておりまして、邦人職員を今後一層ふやしていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
○塩田委員 今言われましたように邦人職員が非常に少ない、しかも地位が最高の人が事務局長補というところでとまっておるわけでございまして、世界第三位の分担金の大国としては極めて不十分な邦人の職員採用だと思います。全体で何千人かでしょう、その中で十九人というのはまことに寂しい状況でございます。外務大臣が先ほど言われましたように、我が国としてILOを重視していく、その活動、機能については評価している、こういうことでございますならば、なお一層これに相当な力を入れて邦人職員を送り込むということ、また地位を上げていくということにもっともっと力を入れていただきたい、このことを要望いたします。 そして委員長、最後に一問だけお願いします。 この条約につきまして見ますと、雇用政策あるいは人的資源の活用についての宣言的文章ばかりでございますが、その中に海外技術協力の関係が出ておりません。もちろん、ILO自体の使命、任務の中に技術協力の関係がうたわれておりますから、当然その本務としてやっていることだと思いますが、やはり雇用政策に関しましてもあるいは人的資源の開発にいたしましても、非常に技術協力が必要だと思うのです。現在までは二国間で、海外技術協力が日本の場合でも行われておるわけでございますが、もっともっとILOというものを活用し、そしてILOを通じまして、我が国の進んだ雇用政策、かなり雇用対策として進んでおります、労働行政の経験もある、これを開発途上国に対して貢献できる道があるんじゃなかろうか。ILOを通して完全雇用政策の策定、推進だとか、あるいは労使関係の安定の経験あるいは職業訓練、職業指導等のそういった経験等を大いに途上国に対して貢献できるように、そのような積極的な技術協力の推進を図っていただきたい。物や金だけでない協力を、人の面での協力をぜひとも推進をしていただきたいと思います。 以上要望をいたしまして、質問を終わります。何かございましたら、お答えいただきたいと思います。
○中平政府委員 先生御指摘のように、ILOは開発途上国の経済開発における技術者の質の向上、いわゆる技術協力において果たすべき役割には大きいものがあると思います。私もこの間、一カ月弱前でございますけれども、ILOの事務局次長がこちらへ来られましてその問題で討議いたしましたのですが、もちろん日本は二国間で、いわゆるバイで技術協力は大いにやっておるわけでございますけれども、それとともにやはりILOが持っておりますエキスパーティーズといいますか専門的経験、知識、それらを大いに活用させていただいて、彼らと力を合わせて開発途上国のために技術協力をやるべきであるという意見を私が申し上げましたところ、彼も非常に喜んでおりまして、今後とも日本と協力してそういうことをやっていきたい、こういうことを言っておりましたので、そういう方向で、そういう認識を持って今後やっていきたい、こう思うわけでございます。
○塩田委員 ありがとうございました。
○北川委員長 この際、暫時休憩いたします。 午前十一時五十二分休憩 ————◇————— 午後二時二十六分開議
○北川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。玉城栄一君。
○玉城委員 金曜日でありますけれども、与党の先生方もひとつ熱心に審議に参加をしていただきたいと思うわけです。 それはさておきまして、きょうは外務大臣に一言お祝いを申し上げたいと思いますが、きょう正午からの衆議院本会議で大臣が永年勤続議員として表彰され、院議をもって決議されたわけであります。心からお祝い申し上げます。おめでとうございます。議員にとりまして大変名誉なことでありますが、二十五年という本当に長い間国政に御尽力されたことについて心から敬意を表しますとともに、また大臣にとりましてはきょうは新しい出発ではなかろうか、こう思うわけでありますし、本会議での大臣のごあいさつを承っておりまして、非常に決意のかたい、またすばらしいごあいさつもあったわけであります。どうか大変御期待を申し上げておりますので、御健闘をお祈りしております。 それでは、雇用政策に関する条約並びに人的資源の開発における職業指導及び職業訓練に関する条約について、あわせて御質疑を申し上げたいと思います。 この条約はILOの主要条約でもありますし、我が国にとりましても、経済あるいは雇用政策に非常に意義のある条約だ、こう思うわけであります。ところが、午前中の御答弁を伺っておりましても、どうもわかりにくい点があったことの一つは、これだけ大事な条約であるにもかかわらず、国会提出が大幅におくれてきた。その理由については、国内法との調整とか整合性とかいう問題、あるいはこの条約そのものの改正という動きがあって、それを見守る、こういうことが理由であるように承ったわけであります。ところが、この百二十二号条約は昭和三十九年ILO総会で採択されておりますし、百四十二号については昭和五十年、それぞれ二十二年と十一年経過をしておるわけであります。 改めて、この外務省の出されました二つの条約について早期批准を求めるというところをもう一回読ましていただきますと、「我が国として、早期にこの条約を締結することにより、経済の成長及び発展、生活水準の向上、労働力需要の充足、失業克服等を目的とする雇用政策に関する国際協力に貢献することが望ましい。」これが百二十二号条約ですね。それから百四十二号条約も同じように、「我が国として、早期にこの条約を締結することにより、職業指導及び職業訓練の分野における国際協力に貢献することが望ましい。」こういうふうにもっともな理由がついているわけであります。しかし、何せ二十二年あるいは十一年という極めて長期の間これが出されなかったという理由については、非常に説得力がない。 それで、具体的に国内法との調整とか整合性といったものは、どういうところにそういう時間的な手間暇がかかったのか、その点を御説明いただきたいと思います。
○村田説明員 お答え申し上げます。 まず、一般的な条約批准の態度といたしまして、我が国は、批准した条約を世界で最も誠実にかつ厳正に履行する、そういう見地から、条約の批准の際には極めて慎重な検討をしているのが一般のこれまでの立場でございます。 そこで、このILO二条約の批准のための国内法制との整合性にどういう問題が検討されてきたかの点でございますが、まずILO第百二十二号条約につきまして一例を申しますれば、雇用政策の範囲などにつきましてこの条約の解釈を固めるとともに、国内法制との整合性につきまして慎重に検討してきたという経緯がございます。それから、ILO第百四十二号条約につきまして問題になりました一つの例は、職業指導、職業訓練の政策、計画の範囲の問題でございまして、この点につきまして条約の解釈を固めますとともに、国内法制との整合性につきまして慎重に検討してきたわけでございます。
○玉城委員 いや、ですからそういうお話は午前中も伺ったわけですね、雇用政策の範囲が明確でなかったとか。そういうのは、十年あるいは二十何年というふうにおくれたという理由にしてはちょっとわかりにくいわけですね。もっとわかるような説明をいただけませんか。 それでは、国内法との調整といいますと、これは労働省の方に伺いましょうかね、例えば雇用対策法、これはできたのは昭和四十一年ですね。職業安定法が昭和二十二年ですね。職業能力開発法というのが昭和四十四年、雇用対策基本計画、これは五年更新で五十八年ですか、こういうふうに国内法というのはもうある意味でずっと昔からできているわけですね。ですから、具体的にどういうところで調整あるいは整合性という点があったのかということをお伺いしたいわけです。
○佐藤説明員 ILO条約を批准いたしますにつきましては、国内法制とその条約の内容とそごのないように整合性を十分確保してそれを確認した上で批准をするということは、ただいま外務省の方から御答弁があったわけでございますけれども、今回御審議をいただいておりますこの両条約につきましてもこういった方針のもとで、これらの条約の締結により我が国が義務を負うことになるわけでございますが、そういった義務が今先生がお挙げになりました雇用対策法、職業安定法、職業能力開発促進法といった一連の雇用対策に関する法律制度により十分カバーされているのかどうかということ、あるいは、条約の批准に関連して新たな国内立法措置が要るのか要らないのかということについて検討してきた、こういうことでございます。
○玉城委員 もっとほかにも言えない理由もあるのではないかという感じもいたすわけでありますが、これはここで議論している時間はありませんので……。 労働省の方に伺いたいのですが、現在の我が国の雇用失業の状況、それから今後のこの見通し、それに対する対策、それを御説明をお願いします。
○井上説明員 お答えいたします。 最近の我が国の雇用の状況でございますが、御承知のように円高の進展等を背景に景気動向等にばらつきが見られまして、景気の拡大テンポが緩やかな状態となっております。そのような中で雇用失業情勢でございますが、現在地域的なばらつき等も見られまして、足踏み状態で推移しているという状況でございます。 例えば、安定所の求人の状況等を見ましても製造業を中心に減少しておりまして、有効求人倍率、求人者と求職者の比でございますが、それは最近徐々に低下してきておりまして、六十一年二月には〇・六五倍と求職者が求人者を上回るという状況でございます。完全失業率の状況を見ましても、最近の状況ですが、六十一年二月には二・六%、完全失業者は百六十四万人という状況でございます。今後とも当面、最近の円高等の状況を勘案いたしますと、このような状態がしばらくは続くのではないかと考えております。 対策の面でございますが、労働省としても今後とも業種とか地域の雇用動向を注視いたしまして、適切な経済運営とあわせまして雇用調整助成金の活用によりまして、失業の予防とか不況業種、不況地域の雇用安定対策等の策を機動的に行うことによりまして、雇用の安定に努めてまいりたいと考えております。
○玉城委員 午前中も、あなたもいらっしゃったから外務大臣のお話も伺っておられたと思うのですが、今完全失業率二・六とか二・七とか、ことしはしばらくこういう状態で推移していくのではないかというような非常に甘いことを労働省としてはおっしゃっているわけですが、そういう認識でいいのかどうか。確かに六十一年度の経済成長率四%と政府が言っているわけですけれども、民間のいろいろな機関ではもう二から三、あるいは一・五、いわゆる急激な円高、そしてそれがいろいろ関係する中小零細企業へのしわ寄せという、そういうものを含めて完全失業率というものは、あなたがおっしゃるような状況でことしも推移するというふうに受け取っていいのかどうか、その辺はいかがでしょうか。
○井上説明員 お答えいたします。 今後の見通してございますが、これは円高等の問題もございますが、六十一年度に関しましては政府といたしましては、四%程度の経済成長を達成いたしまして、完全失業者は大体百六十万人程度、完全失業率二・七%と、前年度と同水準の状況というふうに見込んでございます。
○玉城委員 ですから、あなた方はその四%という前提を置いてやっているわけですから、そういうことはことしの場合はそんな生易しいものではない、こう思うわけであります。 そこで、これは大臣にお伺いしたいのですが、これは午前中も土井先生もお話がありました円高の問題なんですけれども、大臣のお話を伺っておりまして非常に厳しい認識を示しておられました。これは申し上げるまでもなく、こういうふうな急テンポな円高ということは、通常では考えられない異常な状態ですね。ですから、この受ける打撃というものはもう現に出ているわけでありますので、したがいまして、大臣のお話を午前中承っておりましても、そういう厳しい御認識は示しながらも、さて、これはあるいは大蔵省、金融所管の方がやるものであるという、何か逃げのような感じも私としてはするわけであります。 それで、そのとき大臣おっしゃっておられましたけれども、この前の日米首脳会談に行かれたときにシュルツ国務長官ともこの問題も含めて話し合いをした。そのシュルツ国務長官が、十日後ですか、東京サミットに、きのうか何か報道を聞いておりますと、この円高というのは本来金融市場のそういうものであって、いわゆる協調介入する意図はないというようなことをはっきり言っているわけですね。ですから大臣とされては、東京サミットでこういう為替問題が話し合われるということは伺ったわけでありますが、現在のこういう急激な円高の状況について外務大臣と国務長官がお話し合いをされるということ、これは当然だと思うのですが、いかがでしょうか。
○安倍国務大臣 まず、先ほど私の永年勤続表彰につきまして、身に余るお言葉をいただきましてありがとうございました。 今の円高の問題ですが、これは急激に行われて、日本の経済に大変問題を起こしつつあると言ってもいいんじゃないかと思います。このままさらに円高が続いていけば、思わざる波紋といいますか、打撃が出てくるんじゃないか、そしてこれは日本経済だけじゃなくて世界の経済にも影響が及んでくる、こういうふうに言わざるを得ないと私は思っております。そういう中で今大事なことは、やはり円が安定をしていくという一つの方向性が出てくることじゃないだろうかと思います。これは私だけじゃなくて、中曽根総理を初めとして竹下大蔵大臣も、政府の関係者はともにそういう認識をいたしておると考えております。そのための努力も実は通貨当局でも行っておられると私は見ておりますし、あるいは日米間、あるいはまたG5といいますか、その他の国々との協調関係も依然として続いておるわけでございますから、そうした協調関係の中での一つの雰囲気といいますか、協調の体制というものは崩れてないわけですから、そういう中でこれからの動きというものも出てくる可能性は十分ある、やはり協調ということが必要で、そういう一つの方向は決して失われてはいない、こういうふうに私は思っております。 第一には、こうした安定性をこれから高めていくために日本が努力をするということだろうと思います。これは、もちろん私が責任逃れで言っているわけではありませんが、そういう問題を処理していくのは、これは非常に微妙な問題ですから、主として通貨当局が行うわけですし、それをバックアップするのが政府全体の立場だろうと思います。そういう中で、中曽根総理もそれなりに判断をされて対応をしておられるであろうと思いますし、サミットも刻々迫ってまいっておるわけでございますし、サミットでは当然こうしたG5以来の協調問題、今後どうしていくかといったことについての話し合いが行われますし、あるいは通貨制度そのものについてもレーガン大統領も主張しておりますし、これも一つの議論の対象になっていくのではないだろうかと思います。 私もシュルツさんとの間で会談もいたしますし、シュルツ国務長官も財政、金融の専門家でもございます。もちろん、当面の責任者はベーカー財務長官ですけれども、シュルツ長官も専門家でございますし非常に関心を持っておられる。そういう意味では、私もこの問題について日本の立場というものも率直に話し合いながら、日米協調あるいは日米欧協調の体制を今後維持していくことが大事である、そして、為替の安定という方向を続けていくことがこれからの世界経済の安定につながっていくということで、大いに議論をしたい、自分の考えも申し上げたい、こういうふうに思います。 また、さらに国内対策としては、これからの様子を見なければわかりませんが、これからいろいろと問題が出てくれば、それに対応した政府の対策というものもこれまた政府の責任として必要になってくるだろう、こういうふうに考えております。
○玉城委員 午前中も大臣おっしゃっておられましたけれども、いわゆるOECD閣僚会議の雰囲気も非常に冷淡なものを感じた、アメリカ・サイドにしても円高は別にどうするということもない、そういうことからしますと、結果として今考えますときに、去年の九月のG5、大蔵大臣あるいは総理も非常にうまくいったという、感じとしては有頂天のような感じがしたことをおっしゃってこられたわけですけれども、今現実にこういう事態になりますと、そういう考え方は非常に甘かったという感じがするのですが、結果として大臣はそう感じませんか。
○安倍国務大臣 私は、決して甘かったというふうには思っておりませんし、基本的にはG5は当時の世界の経済の状況の中で、あるいはまた金融の状況の中でああした為替調整を打ち出していったということは正しかったと思います。そしてまた、ある意味においては成功したと思うわけでございますが、しかし、この勢いがとどまるところを知らないで円高という形で進んでいった、それも急激に行われたというところに問題が出てきたわけであります。その辺は、まだ依然として協調という体制は主要国には残っておるわけですから、そういう中でまた話し合いというものがおのずから生まれてくるだろう、こういうふうに思うわけでございます。 しかし、私はG5にしても、その基本の考え方はファンダメンタルズを反映させるべきじゃないかということが一つの基本になったと思うわけで、そういう意味では、日本の強い経済の反映として円が強くなったということは言えるのではないだろうか。そして、今依然として日本の経済はあらゆる面において、指標物価にしても経済の成長にいたしましても失業率等にいたしましても最も安定をしておる。そして、外貨の黒字はまさに八百億ドル、こういうふうにOECDで言われるほど膨大なものになりつつある。そうした状況、一つの日本の強さというものがこの円高にも反映をしてくる。また、アメリカの経済の情勢がドル安にも反映をしてきた、こういうことであろうし、それはそれなりにファンダメンタルズが反映してきたということが言えるんじゃないか。 ただ、日本の場合に困るのは、この勢いがさらに進んで円高がこれ以上に出てくるということになると、これは日本の経済あるいは特に中小企業、輸出関連の企業等に非常に大きな打撃を与えてくるということを、我々としては恐れておるわけであります。その辺のところを踏まえながら、一方においては国際協調の中でのこれからの対応策を進めながら、一面においては国内の経済が急激に打撃を受けて、それでもって政治的な問題が起こらないように、これは政治の課題として対応していかなければならぬ、こういうふうに思っております。
○玉城委員 こういう状況というのはひとり我が国の経済だけではなくて、大臣、世界の経済に悪影響を与えるということですから、この安定ということなんですけれども、今百六十円台に円高になっているわけですから、大臣のおっしゃる安定ということは、今の御認識からしますと、今の百六十円台での安定ということは好ましくないというふうに受け取れるわけですね。したがいまして大臣の御認識からしますと、円の安定というものは今の百六十円よりは上の方での安定、これはさらに困りますね、さらに上がった安定というのは。今の百六十円台よりは多少下がった段階での安定が望ましいというふうな感じを受けるのですが、いかがでしょうか。
○安倍国務大臣 私も政府の閣僚で、外務大臣が言ったからといってすぐそれが相場にはね返るわけじゃありません、大蔵大臣と違いますから。ですから、割合言いやすい方かもしれませんが、しかし何としても政府の閣僚で外交を担当しておるだけに、どの辺に水準を置くという一つのはっきりした数字を挙げて言えるという立場にはないし、それはひとつ御容赦をいただきたいと思うわけでございますが、とにかく今このような状況では、百六十円台なんというのは困ったことだ、それは安定には入らないと私は率直に言って思うわけです。
○玉城委員 これ以上時間もございませんが、ただ先ほど大臣が、シュルツ長官がサミットでいらっしゃるときに話し合いたいというお話がありましたので、シュルツ長官御自身がいわゆる金融市場の実勢を反映したものである、したがってそれに介入する意図はない、これはレーガン大統領もそういう意向のような報道もあるわけです。したがいまして、協調は崩れていないということもおっしゃるわけですけれども、やはり東京サミットに長官が見えたときには、長期的な為替の問題が当然テーマとして決まっているわけですから、現実に日本の今のこの急激な円高の問題について、お互いに協力してくれということをきちっと話すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
○安倍国務大臣 これからの情勢を見ながら、話し合うところはきちっと話さなければならぬと私も思いますし、協調しなければならぬというのは、これは日本だけではなくて、アメリカだってヨーロッパだって同じような認識を持っておると思います。ですから、話は円満に、十分協調的な姿勢の中で討議ができる、そして安定した方向に持っていくような一つの枠組みというものは崩れることはない、私はそういうふうに確信をいたしております。
○玉城委員 したがいまして、こういう急激な円高による特に輸出関連の中小あるいは零細業者の打撃は、深刻なものがこれから予想されるわけです。さらにまたその上に、我が国の経済構造を輸入主導型に大転換しようということがかぶさってきますと、この条約にもあります失業、雇用問題というのは、これからさらに深刻な事態が予想されるわけであります。 そこで、さっき全国的な失業問題について伺ったわけですが、労働省の方に伺いたいのですが、その中でも特に沖縄の場合は全国一、失業というのは長い間高水準できているわけです。沖縄の場合になぜ失業がこういう高い水準できているのか、それについて労働省としてはどういう対策をやってこられているのか、その辺を御説明いただきたいと思います。
○井上説明員 お答えいたします。 沖縄県における雇用情勢でございますが、失業率が七・九%を示した五十二年五月を底としまして、その後若干改善状況を示しましたが、本土と比較いたしますとなお厳しい状況にございます。六十年平均で完全失業者数は二万五千人、失業率五%でございまして、全国平均二・六%に比べるとほぼ倍近い高さでございます。 安定所の求職者の状況を見ますと、月間有効求職者で一万六千五百、月間有効求人倍率で〇・二五倍、全国平均の〇・六八倍に比べますとその半分以下という状況で、失業者の滞留が見られる状況でございます。このような情勢は、今後とも続くものと見込んでございます。 このような情勢に対処いたしまして、その改善を図るためには、基本的には沖縄県における産業の振興による雇用の場の確保が必要でございますが、労働省としてはこれら施策と緊密な連携を図りつつ、同時に雇用対策面におきましても、沖縄県の失業者の特性を考慮いたしまして、きめ細かな施策の推進を図る観点から、昭和五十九年八月に第二次の沖縄県の労働者の雇用の促進及び職業の安定のための計画を定めまして、各種の施策を講じているところでございます。今後とも沖縄県の失業者の特性を踏まえまして、職業の安定と雇用の促進に努力してまいる所存でございます。
○玉城委員 沖縄の高い失業率、その中で特徴は非常に若年労働者が多いわけですね。ことしの新卒者の就職率等についても既に発表されておりますが、それは労働省知っておりますか。中学を卒業して、あるいは高校を卒業して、あるいは短大を卒業して、あるいは大学を卒業して、それが他県といいますか、全国平均と比べてどういう状況なのか、それを簡単に御説明いただきたいと思います。
○井上説明員 お答えいたします。 沖縄県の新規学卒者の状況でございますが、例えば六十一年三月の高校卒に見ますと、求職者は五千四百七十三人でございまして、一方求人者は一万二千でございます。求人倍率は二・二倍ということになってございまして、就職者は三千二百三十七人でございます。ただ、求人、就職者について見ますと、求人の一割程度が県内でございまして、あと県外からの求人ということでございます。就職者数につきましても、約三割程度が県内の就職でございまして、あと六割強が県外からの求人という状況でございまして、全国のほかの状況と比べますと沖縄県は少し変わった状況にございます。
○玉城委員 そこで心配になるのは、そういうふうに県外に若い人が就職している。また、相当Uターンするわけですね。そうして、結局そのまま滞留する。そういう若い方々が今度中高年になっていった場合にどうなるのか、あるいは高齢化していった場合にどうなるのか、これは非常に深刻なことが予測されるわけです。 それで、きのうも労働省からいろいろな資料をいただきましたけれども、いろいろな職業訓練、たくさんあるのですね、これを見ますと。いろいろな技術を与えることをやっていらっしゃるわけですね、高校を卒業したそういう若い人々に。ですから、徹底してそういう職業にきちっと対応できる能力を身につけさせる意味で、技術訓練、職業訓練というものを非常に力を入れていただきたいと思うのですね。やはり技術を身につけないでほかに行っても、どうしても帰らざるを得ないという状況が出てくると思うのですね。それでぶらぶらする、あるいはそれがまた非行問題の温床になる、こういうことの繰り返しであってはいけない、こう思うわけです。それで、東南アジアあたりからも、皆さん方の職業訓練なりいろいろな技術を身につけた若い人がどんどん欲しい、こういう要望等も非常に強いわけです。ですから、そういう技術を身につけて、さらにまた語学力を身につけていけば、この条約で言う人的資源の云々ということにもなってくるのではないか、こう思うわけであります。 そこで大臣、これまたちょっと話が変わりますが、お聞きいただきたいわけですが、外務省の六十一年度の予算というのは全体で四千二百億くらいなんですが、その中でいわゆる文化交流で使う予算というのは幾らぐらいであるか、御存じですか。大体三十五億なんです。四千二百億のうちの三十五億、これは全体の百二十分の一、〇・八%なんですね。その三十五億のうち、三十二億は国際交流基金に補助金として出て、残る三億を本庁で文化関係の予算に使うわけですね。その三億のうちの半分の一億五千万は、百六十くらいの在外公館のお茶だとかお花だとか日本文化を紹介するために使う。あとの残っている一億五千万で外国の外交官や外国の青年を日本に招聘して日本語を教えるとか、そういうふうに全体のうちで文化関係に使う予算というものは極めてお粗末な状態であるわけですね。 さっき円高問題が出ましたけれども、日本人というのはエコノミックアニマルである、こう酷評されて久しいわけです。ですから、本当に日本という、あるいは日本国民という、文化を通して世界じゅうの方々に正しく知らしめるという努力というものは、こういう文化関係に力を入れて予算を手当てしていかなくてはいかないと私は思うのですが、大臣いかがでしょうか。
○安倍国務大臣 その御意見は全く私も同感です。私も外務大臣になりまして、全体、今財政再建の真っ最中ですから外務省予算についても厳しい制約がありますが、そういう中で外務省全体の予算もできるだけ伸ばすために努力をしてまいったわけでございます。これだけ国際的な関係が広くなりますと、やはり日本の外交体制というものを充実することが必要でありますし、それには人員の問題もあるわけで、そうした定員の拡充、それから足腰予算といいますか、外務省の自治体制、外交自治体制の強化ということに重点を置いて、全体がマイナスシーリングという中で外務省はそれなりの充実はしてきたと思っております。しかし、もちろん十分でない。そういう中でもやはり文化は非常に大事であることは、もう言うまでもないわけでございます。 その辺も、文化外交の必要性というものについても、外務省だけじゃなくて多くの皆さんから御支援をいただいて、交流基金等を初めといたしまして、外務省自体の予算の充実にも多少の成果はあったと思いますけれども、もちろんまだ世界に誇れるようなものではおよそないわけでありまして、これはこれからも大きな目標の一つとして取り組んでいかなければならぬ。これは長い将来というよりは、これからのまさに新しい、来年にしても再来年にしても、当面取り上げて充実していかなければならない課題であろう、私はこういう認識は持っておりますし、いろいろと頑張ってみたい。日本語学校等も今度始めることにいたしておるわけでございますが、これなんかも、予算の獲得では随分苦労もいたしたわけですが、一つのそうした芽も出てきたわけでございますから、さらにそういうことを契機にして充実を図ってまいりたいと思っております。
○玉城委員 大臣も御存じだと思いますが、参考のために申し上げます。これは「国際交流基金の概要」という報告書なんですけれども、その中に海外の先進国と比べて我が国がどれほど少ないかということであります。例えば、これは昭和五十八年時点でのものですが、西ドイツは予算額が百九十億に対して日本は六十三億ですね。これは西ドイツの約三分の一。イギリスは五百三億に対して日本は六十三億ですから、日本は八分の一です。それから人員を申し上げますと、西ドイツは二千四百二十四名、日本は百三十二名ですから十八分の一ですね。イギリスが四千百六十六名に対して、日本は百三十二名ですから三十二分の一。比べてみるとこういうことで、本当に日本の正しいあり方を知らしめるということは不可能だと思うのですね。非常にこういう面はおくれていますね、外務省の方は特に。ですからそのことを指摘して、実は六月に東南アジア、いわゆるインドネシア、マレーシア、タイに沖縄の民族舞踊団公演を国際交流基金が派遣するわけですね。その内容と目的をちょっとお知らせください。
○波多野政府委員 国際交流基金は、沖縄県国際交流財団と協力いたしまして、ことしの六月から七月にかけて沖縄舞踊の公演団を東南アジアに派遣する予定でございます。この沖縄舞踊団は、由緒ある沖縄文化の真髄を紹介することによりまして、日本と東南アジアの文化交流の増進を図ることを目的としておりまして、本年六月二十五日からちょうど一カ月間、インドネシア、タイ、マレーシアの三カ国で、六カ所十四回の公演を行うことになっております。 公演の内容といたしましては、沖縄における伝統的な古典舞踊、演劇等を中心といたしまして、舞踊団も沖縄の最も活動的な舞踏家、音楽家で構成されております。 それから、ちょうどいい機会でございますから、私は、こういう公演の機会に現地でワークショップと申しますか、研究会、勉強会のようなものを開きまして、現地の専門家の人、それから学生さん、そういう人との肌での触れ合いを持って、当方がお見せするだけでなくて現地の舞踏、舞踊等も吸収してきたいというふうに考えております。
○玉城委員 大臣、お疲れでしょうけれども、最後に、関係する方々からお話を伺いますと、非常に日本の文化、日本を正しく知らしめるという資料が、まず海外には少ないと言われているわけですね。ですから、そういう基礎的な段階から力を入れていかなくちゃいけないと思うのです。今、一つの民族舞踊を通していわゆる地域文化を知らしめながら、日本はそういう経済的なものだけやっているんじゃないですよということを知らしめるということは非常に大事だと思うのです。今のお話について御所感がありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
○安倍国務大臣 文化交流基金も相当活発にやっております。今沖縄の舞踊等派遣をするとか、歌舞伎であるとかあるいは相撲であるとか日本の伝統芸術一般につきましても、海外へ日本の文化を紹介するという意味でこれがまた海外との国際交流につながっていくわけですし、また一つの親近感が生まれてくるわけです。私は、そういう意味では経済交流も大事ですけれども、文化交流はさらに重要な要素である、こういうふうに思っておりますし、この点には力を入れてまいりたいと思っております。これは東京を中心にした文化だけではなくて、今の沖縄とか、あるいは先般も人形芝居というよう有地方の文化的な催しを外国でやるとか、いろいろとそういう日本の地方の文化も外国等に派遣をするという試みも行われておりますし、そういう点はひとつ予算を充実しながらこれからひとつ拡大をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
○玉城委員 終わります。
○北川委員長 次に、田中美智子君。
○田中(美)委員 ILO百二十二号条約、これは完全雇用、性差別に始まりすべての差別をなくして雇用されるようにという条約ですし、また百四十二号条約も、雇用と非常に密接な関連を持った職業訓練、職業指導という意味で、この条約を批准されることはいいことだというふうに思いますが、これが二十二年もほっておかれたというので、二十二年間待たされたというふうな声も出ているわけです。そういう中で先ほどからの質疑の御答弁を聞いておりますと、我が国はどこの国より忠実に条約に沿うように検討して批准しているんだというようなお話がありまして、言葉としては結構なことですけれども、忠実に条約に沿うような状態に今の雇用の状態がなっているか、批准をするということはやはりその状態に少なくとも近づけなければならないんだというふうに思います。 その中で特に私が質問いたしたいことは、先月の三月三十日に、ILOで男女賃金格差の調査の結果が公表されています。それは御存じだろうと思いますけれども、そこには世界的に男女の賃金格差は縮まる傾向にあるんだ、しかし日本だけが拡大していると、名指しで報告されているわけです。これについて、サミット参加国の中でも男女の格差の最も多い日本がさらにこの十年間というものは非常に格差が広がっている、私は唖然としたわけです。意識としては非常に高まっておりますので、こういう話は多少聞いておりましたが、これだけ鮮やかに日本だけが突出して拡大されているということに唖然としたわけですけれども、この状態について安倍外相はどのようにお考えになるでしょうか、どうしてこのようになったのか。外相にお願いします、きょうは外相少ないですから。お答えになれませんか。
○中平政府委員 事実関係に即しまして、まずお答え申し上げたいと思います。 まず、対象となります労働者の範囲が我が国と欧米諸国とが異なっておりまして、特にパートタイム労働者につきましては、我が国では含まれておりますのに対しまして欧米諸国では含まれておらない、そういうことでございます。 それから第二に、賃金の定義が違っておりまして、我が国におきましては月間の実質賃金に基づいて数値を提供しておるのに対しまして、欧米諸国は時間当たりの賃金率によっているというようなことでございます。 それから第三には、賃金慣行が異なっておりまして、我が国にはいわゆる年功序列賃金の慣行がございますために女子の平均勤続年数が男子に比べ短いというようなことがございまして、男女間の賃金格差の大きな要因になっていると思われる次第でございます。 それで、我が国がILOに報告しております毎月の勤労統計調査によりますと、男女の平均賃金の差は近年若干拡大はしておりますが、これは、パートタイム労働者が増加していること、女子の就業が相対的に多い中小企業の賃金の伸びが大企業に比較して小さいことというような要因がございまして、以上の情勢をもたらしているものと思われるわけでございます。
○田中(美)委員 今の弁解を伺いまして、この弁解は、後はおっしゃいませんけれども、拡大していることは必ずしも悪いことではないんだ、日本の状態からすればやむを得ないんだというふうに私は聞こえるわけですが、今後これを縮めていく努力というのはどのようにしていこうというお考えでしょうか。簡潔にお願いしたいと思います。
○佐藤(ギ)政府委員 先ほど外務省からもお話ございましたように、パートタイムがふえているということは確かに要因でございます。ただ、私どもは、この賃金格差を縮小していくためには、やはり女子がよりよい賃金を得られるようなポストにつけるような機会を拡大していくということが重要なので、そういう意味で、四月一日からは機会均等法も施行されましたので、よりよい場所に女子がついていけますように、さらに均等が促進されますように努力してまいりたいと存じます。
○田中(美)委員 婦人局が努力していらっしゃることは、私も長いこと見ておりますので、精いっぱいの努力をしているという感じは持っておりますけれども、やはり外務省も、なぜ日本だけが男女の格差が広がるのか、パートが多いからだというのは、結局、女はパートしか働けないんじゃないか、こういう状態をつくり出しているからこの格差が広がっているのではないか、女子の雇用についてはまだ非常にたくさんの問題があるというふうに思います。そういう点で、パートが多いからということだけでは問題は解決しないのであって、どうしてちゃんとした本採用で働きたい人が働けないのかというところが問題だと思います。 均等法ができたのでよくなるかもしれないという婦人局長の話ですが、これは本当に婦人局長もそう思っていらっしゃるかどうか、私は非常に疑うところです。日本リクルートセンターがこの四月十七日、ついこの間発表したのをごらんになったと思いますけれども、来年度の女子の大卒の就職がどうなるかというのを予測して調べた。均等法ができたからこれはひょっとしたらよくいくかもしれない、イギリスなどは性差別禁止法ができてから一気に女性の賃金が男性に比べて一割くらい男に近づいていく、その後また後退というふうな経過はありますけれども、あったわけですが、そのような多少速効的なものがぱっと出るかというふうなことは、出てみないとわからない、出ない状態が出るか、これはわからないわけですが、一応この調査を見ますと、時間がありませんので、数字はそちらの方が御存じだと思いますので略しますが、やはり女子は横ばいだというふうに見られているわけです。 労働省の方から、この均等法については指針が出ておりますけれども、これは指針というふうになりますと、こうやればいいんじゃないかというふうに受け取られがちで、均等法が必ずしもすべて努力し、そして禁止されなければならないというものがいくのかというとそうではなくて、例えば募集というのが一番の入り口なわけですけれども、女子を排除さえしなければいい、男子のみと書かなければいいということは、例えばパート女子だけという採用は許される、そして女子一名、男子九十九名という百人の募集も許される、これは均等法では許されないわけです。その精神は許されないわけです。まずここで努力せよということになりますと、これは実際には女性というものは、今婦人局長が言われたように、いい職業についていくという道はやはりこの指針では少なくとも、いつまでこの指針が生きるのかわかりませんが、望みが余り少ないのではないかというリクルートセンターの調査などの予測と似ているのではないかというふうに思います。そういう点で、こういう指針の中身というものをできるだけ早く改善してほしい、非常に不十分だというふうに思いますが、これについて婦人局長、いかがでしょうか。
○佐藤(ギ)政府委員 指針につきましては、法律で使用者に努力義務としている部分の、具体的な使用者に努力していただくものは何かということを明らかにするためにつくったものでございますが、これからこういうものを使いまして使用者を指導していって、その状況なども見ながら、もし必要があれば見直しをしてまいりたいと思います。
○田中(美)委員 先ほど局長が、パートが多いからということを言われましたけれども、今のような指針では、結局女性はパートにならざるを得ないのではないかというふうに思うわけです。そういう点でこの指針というのは、できるだけ早く少なくとも今の不十分な均等法に沿ったものになってほしい、それをもっと緩めるもののように感じられるような指針というものは、非常に女性をがっかりさせた指針だということを申し上げておきたいというふうに思います。今局長が言われました、パートが多いとか女性の勤務年限が短いからだとかいろいろ言われましたけれども、結局日本は世界に類を見ないほどの長時間労働が要求されているところから、やはり女子が実際には働けないということがあるわけですね。ですから、それを直していかなければ本当に女子を雇用することもできないし、また、男子さえもこれからはパートに落ちていくということになるのではないかと思います。 これもついこの間の問題で、四月二十一日から二十三日に東京労働サミットがやられました。この中の労働時間の問題で、声明の一部ですけれども、これまで日本は生産性が非常に上昇しているわけですが、その上昇が労働者の労働条件や生活水準の改善に十分反映されていない、労働時間を短縮することが必要だということを言っているわけです。特に日本の労働時間は、欧州に比べて二五%も長いと言っています。 これは各国の、五カ国でしたか、労働者の代表が話していましたけれども、フランスの民主労働総同盟の書記長が、日本はフランスに比べて年間五百時間も長く働いている、これが貿易摩擦の一つの起因になっているんだ、それから劣悪な住宅、不十分な下請労働者の社会保障などなど、先進国にふさわしくなるために解決すべきことが非常に多いと言っていることは、まさに日本は先進国ではないではないか、こういうことまでも言われているわけです。こういう点で、労働時間を短くしていくということが、男子労働者にとっても緊急のことですけれども、女子がパートではなく本採用で働いていくためにも急務だというふうに私は思っております。これについての労働省の御意見をお聞かせください。
○松原説明員 御指摘のように、先般の労働サミットで、日本の労働時間について種々言及がなされていることは承知いたしております。ただ、労働時間の国際比較は、統計上の違い等がございまして一概には比較できない。製造業の生産労働者をとりまして推計いたしました数字が、そのようなことになっております。ただ、日本と欧米とでは、雇用慣行の違いあるいは欠勤率の差、そういったこともございまして、必ずしもそのまま直接比較するのは適当ではないと思います。 ただ、週休二日制の普及状況あるいは年次有給休暇の取得状況等につきまして、まだおくれているといいますか、問題があることは事実でございます。そういったことから労働省におきましては、昨年「労働時間短縮の展望と指針」をつくりまして、行政指導を進めているところでございます。具体的には、今後五年間で週休日等を十日程度ふやすこと、あるいは年間総実労働時間を二千時間に短縮すること等を目指しまして、労使の自主的な努力の援助促進あるいは国民的、社会的な合意の形成促進に努めているところでございます。また、そういったことの一環といたしまして、労働基準法の改正につきまして、中央労働基準審議会の議を経まして今後検討するということにいたしているところでございます。
○田中(美)委員 今のようなことを言っていいんでしょうかね。日本がこれだけ世界から働きバチと言われて、時間もきちっと出ていても、統計の仕方が違うんだから一概に言えないなどということを労働省の課長が言っていいのだろうか、ちょっとずれているんじゃないかと思います。しかし、一応努力はしていこうということで、五年間で二千時間に近づけたいとか、休暇をふやしたいという努力をしていくんだというふうにお聞きしました。 これはきょうの新聞で見ましたが、国民生活審議会の意見が出ております。「長寿社会の構図」、これは簡単に言ったものですが、その中で、二〇〇〇年までに千八百時間に短縮して個人の生活を充実させるべきだ。それでも千八百時間というのは、ヨーロッパの平均より多いくらいですね。西ドイツなんか千六百時間台ですからね。ですから、労働省としては、二〇〇〇年までに千八百時間にいくという見通しはあるでしょうか。
○松原説明員 御指摘の国民生活審議会の報告の中にそういったくだりがあります。二十一世紀初頭の一つの姿としてそういったことを描いて、念頭に置いて経済社会の構造を変換していくべきだ、こういう趣旨というふうに理解しております。見通しにつきましては、二十一世紀のことでまだ何とも申し上げられませんが、当面、先ほど申しましたように、今後五年間を目途に、現在二千百時間を超えておりますが、それを二千時間に短縮することを目指して、せっかく努力していきたいというふうに考えておるところでございます。
○田中(美)委員 外相にお聞きします。先ほど企画課長から労基法の改正ということもありましたけれども、ILOの四十七号条約は週四十時間ということを言っております。これを批准するという努力はどのようにしていただけるでしょうか。
○村田説明員 お答え申し上げます。 この条約は、生活水準の低下を来さないようにしながら、一週四十時間制の原則を採用することを定めていることは、先生御承知のとおりでございます。政府としましては、このILO条約につきましては、国内法制との整合性を確保した上で批准することとしているわけでございますが、労働基準法では週四十八時間制を採用しているわけでございまして、この条約と相違しているわけでございまして、こういうことから批准するに至ってないわけでございます。また、労働基準法の法定労働時間を週四十時間に改正することにつきましては、我が国の労働時間の現状は企業規模などによりましてかなりの格差がございます。そして、特に中小零細企業では大きな困難が予想されることもございまして、慎重に検討しなければならない問題があると考えるわけでございます。
○田中(美)委員 慎重に検討するだけでなくて、このILO四十七号条約を批准する努力というのはぜひしていただきたいと思いますが、外相にお聞きしたいと思います。
○安倍国務大臣 今事務当局がお答えしましたように、やはり条件を合わせる、国内法との整合性を見つけていくというのはなかなか難しいような気がいたしますね。努力はするとしても、一致点を見出すということはなかなか困難なような感じがいたします。
○田中(美)委員 外相がそんな弱気なところでは、世界から袋だたきになっております日本の長労働時間というのを直すことはなかなか難しいのじゃないかなという印象を受けるわけです。経企庁でも、いろいろな研究会の意見書などを三月二十五日にも出しております。こういうのを見ましても、日本の企業が海外に進出していく、これは黒字減らしになるんだということで、それがいい悪いは別といたしまして、その結果日本の失業者というのが三百六万人は出るのであろうというようなことが経企庁の予測として出されております。それにこのところの円高、これは日本の大蔵大臣とか中曽根さんがレーガンに会ってくると円高になるのじゃないかというような、非常に素人的な言い方ですが、一般の庶民は最近そう言っています。中曽根さんがアメリカに行くとその後すぐ悪いことが起きるというので、最近の円高というのは物すごいという形で、悲鳴どころか自殺者も出るのではないかというような、日本の経済が大混乱を起こすのではないか。そうしますと、こうした大きな企業が海外に出て日本の採用が減るということと、そして中小零細企業がばたばた倒れていく、そこからまた失業者が出てくる。こういう失業問題というのがヨーロッパは非常に大きな問題になっております。西ドイツなどが労働時間を非常に縮めたということは、失業者を救うため、失業者を出さないようにということで、労働時間を縮めている面もあるわけです。ですから日本は、やはりそう大失業者が出る前に、労働時間を縮めて採用、雇用をふやしていくということが大事だ、そのためにも四十七号条約を一日も早く批准できるような実態をつくっていく努力をぜひしていただきたいというふうに思います。安倍さんはなかなか難しいというお答えでしたので、時間がありませんのでもう一度お願いすることはやめにします。 お願いしたいことが二つあります。 一つは、男女差別苦情処理委員会という東京都がつくっているところがあります。これは、労政事務所九カ所と労働経済局一カ所、計十カ所で、婦人のもろもろの相談をしているということは、婦人局長はよく御存じだと思いますが、これをつぶせという圧力をかけているのかどうだかわかりませんけれども、要らないのではないかと労働省が言っているというような訴えが私のところにあったわけです。これは、均等法が施行されることによって調停委員会ができるから重複するというのかもしれませんが、調停委員会の人数は非常に少ないし、今度の人員の増にしたって、全国で十七名くらいのことでは一県に一人もいないということですと、それがたった一つ東京都にあったのでは、婦人がちょっと相談に行くところもない。そういう点では、やはり機会均等調停委員会が十分に機能するまで、これは当分残してほしいということが一つのお願いです。 時間がありませんので、もう一つ一緒に言いますので、お答えいただきたいと思います。 もう一つは、愛知県の東海銀行の出張所に起きていることなんですが、ぜひこれを大至急調べていただきたいと思います。大府市にあります大府支店共和出張所、それから名古屋にあります星ケ丘支店高針出張所、それから名古屋の港稲永出張所、それから愛知県の安城支店新安城出張所、こういう出張所が今私のところに名前が挙がってきているわけですが、昼休みの一時間、十一時三十分から十二時三十分までの昼休みがほとんどとれていないということです。これは労基法三十四条に違反しておりますし、また、労働協約にも違反している。十一時半にお客がいる間にシャッターをおろしてしまうわけですから、そのお客の処理やまたキャッシュカードのトラブルなどやっていますと、三十分くらいすぐつぶれてしまう。二十五日以降は特にひどくて、お昼を食べる時間もないくらいな状態で働かされている。これは明らかに労働基準法違反です。もう一人、人数をふやせば交代で休むことができるわけですし、こういう点を考えましても、なぜこんな状態を許しているのか、これも至急調べていただきたいというふうに思います。この点、いかがでしょうか。
○菊地説明員 御質問の第二点目の休憩時間の関係でございますが、御承知のように労基法では、労働時間が六時間を超えて八時間までだと四十五分、八時間を超えますと六十分の休憩時間を与えなければならぬというふうに書いてございます。御指摘のような場合に、他の時間に休憩時間を補うなどしていなければ基準法の違反が成立するわけでございまして、所轄の監督署を通じまして実態を把握してみたい、かように考えております。
○佐藤(ギ)政府委員 御質問の第一点でございますが、東京都の苦情処理委員会は東京都の機関でございまして、私どもがその存続についてあれこれ言うということはございません。 ただ、法律に基づきまして、非常に機能の類似しました機会均等調停委員会ができておりますので、類似した機関が併存することによっていろいろな混乱が起こりませんように、今後とも東京都とは御連絡を十分とってまいりたいというふうに思っております。
○田中(美)委員 それでは、混乱が起きないように存続して連携してやっていっていただくということで、大変結構だというふうに思います。 それから東海銀行の出張所の問題、早速調べまして、私も現状知らないわけですから、結果がどうなっていたか、もし私が今申し上げたことが事実であるならば、これは厳しく改善するような御指導を願いたい、その御報告を私のところにしていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
○菊地説明員 調べまして、違反の事実があれば厳正に対処したいと思いますし、結果については御報告いたしたいと思います。
○田中(美)委員 質問を終わります。
○北川委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時三十五分散会