科学技術委員会 第6号
- 発言数
- 318 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1986/04/08
会議録
○大久保委員長 これより会議を開きます。 科学技術振興の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塚原俊平君。
○塚原委員 きょうは、科学技術政務次官と郵政政務次官、ありがとうございました。私が一番最初国会に当選して質問させていただきましたのが農林水産委員会でございまして、当時、羽田孜農林政務次官に質問をいたしました。そのときの質問は今そのまま大臣に質問しても使えるというようなことでございますので、政務次官も恐らく近い将来大臣になられることを期待をいたしまして、本日はいろいろな質問をさせていただきたいと思います。 郵政政務次官、せっかくお見えでございますので、論題を宇宙開発につきまして要求させていただいたのでございますが、質問要求から外れますが、郵政政務次官は核融合について非常に御熱心であるというふうに伺っております。核融合議員連盟、自由民主党の中にもできておりますけれども、私もそのメンバーの一人にさせていただいておるわけでございますが、その事務局長として核融合推進に御尽力をいただいているわけでございます。よく中曽根さんに対して野党は、内閣総理大臣じゃなくて党の総裁として答えるというような言い方をしますが、あなたも党の核融合推進の責任者の一人であるわけでございますので、政府高官になられたお立場とあわせまして、核融合にどういうお考えを持っていらっしゃるのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
○田名部政府委員 お答えをいたしたいと思います。 何といっても、我が国のエネルギーの開発は大変重要な問題であります。わけても、石油資源の乏しい日本がこれから生き残る道というものはやはり未来のエネルギー、核融合であろうということで、議連もつくりまして鋭意努力をいたしておるところであります。 御承知のとおり、アメリカ、ソ連、ヨーロッパ、日本の国が今競ってこの開発を進めておるわけでありますが、先生方の大変な御理解をいただきながら、これが着実に進展をしておるということでありまして、平素の御支援に心から感謝を申し上げる次第であります。何としても原子力発電につきましては、いろいろな意味で私どもはウランの購入問題、将来的に考えますとこれも有限のものでありますから、いずれこの核融合を進めまして次の世代にしっかりとしたエネルギーというものを私たちが残してやるというのが政治家としての使命であろう、こう思うわけであります。
○塚原委員 政務次官はそう長くはやられるわけじゃないので、一年あたりで首にはなるのでしょうけれども、これから恐らく政党人として御活躍なさるわけでございますので、精いっぱいこの件につきましては今後とも御活躍をいただきたいと思います。 最初、宇宙開発につきましてお伺いをいたしたいと思います。 先般、放送衛星ゆり二号bが打ち上げられたわけでございますが、両政務次官はたしか打ち上げに行かれたと思うのですけれども、現地に行かれたときの御感想を科学技術政務次官と郵政政務次官にお伺いをいたしたいと思います。
○前島政府委員 お答えいたします。 先般、ゆり二号aの方がふぐあいが生じまして、慎重な検査と研究を宇宙開発事業団でいたしまして、二月に田名部郵政政務次官ともども種子島へ参りまして、中には禁酒禁煙までして祈るような思いでこの二号の打ち上げに尽力している人たちに接しまして大変感動したと同時に、私たちはちょうど天候のぐあいなども芳しくなく、実際打ち上げる機会は目の当たりにはできなかったのでありますけれども、その後順調に今試験飛行を続けておりまして、五月にいよいよ本格的な形になるという経過はたびたび伺っておるにつきましても、その推移を見守っておる、こういう状況でございます。スペースシャトルのああいう事故がありましたので、そういう意味では大変熱心に皆さんが取り組んだことに敬意を表しているところでございます。
○田名部政府委員 種子島に参りましての感想でありますが、私もああいう緊張の状態というのを初めて目の当たりにいたしたわけでありますが、前回のゆり二号aが先生方の大変な御指摘もいただいたということで、慎重な上にも慎重に取り扱っている、そういう感じを実は率直に受けました。私も実際に拝見しておってさらに感じましたことは、失敗をいたしますと、国民の貴重な税金を使っているということでの責任というものを現地の皆さんは非常に強く感じておる。しかし、余り失敗を恐れると何事も改革というものはできないものだな、一生懸命やっておるわけでありますから、失敗することによってかえって消極的になるということ、そんな感じを実は何となく感じたわけであります。しかし、私どもは失敗を恐れない、そして人類のためにこうしたものを打ち上げる努力というものに本当に敬意と尊敬の念を持って、現地で二日間私も祈るような気持ちで成功してほしいなと、率直にそう感じたわけであります。 以上であります。
○塚原委員 今科学技術庁の政務次官の方から、非常にまめに状況がどういうふうになっているというふうな御報告を受けていらっしゃると伺いました。お話にあったように、ゆり二号aが中継器のふぐあい等で試験放送にとどまっておるということですが、何といいましても放送衛星は難視聴地域の解消等重大な使命を持っているわけです。国民の期待も大きいわけでございますけれども、ゆり二号bに大変興味を持って途中経過の報告を聞いていらっしゃるということを伺いましたので、果たして信頼性というものは万全なのかどうか、ちょっと御見解をお伺いをいたしたいと思います。
○前島政府委員 お答えいたします。 そういう意味では、信頼性というのは、これは目の当たりにして、手にとってゆり二号bの状況を把握するのは難しいわけでありますが、今現実にはテストパターン的なもので非常にいい調子である、こういう形でありますので、いずれにいたしましても宇宙のかなたでありますが、私どものゆり二号bの信頼性というものはぜひ御信頼をいただいて結構だ、このように思います。 詳細は、今どういう状況であるかというのは事務方の方から御説明申し上げます。
○内田(勇)政府委員 ゆり二号bの現状について御報告申し上げます。 御案内のように二月十二日に打ち上げまして、現在は暫定的な静止軌道、これは百十七度でございますが、二号aは百十度にございまして、混信しないように百十七度で衛星の機能確認試験を行っております。中継器につきましても、現在非常に正常に作動をいたしておるところでございます。百十七度での試験が終わりました後に百十度に移しまして最終的な確認試験を行い、七月の初めに宇宙開発事業団の方から通信・放送衛星機構の方へお引き渡しをするという予定にいたしております。
○塚原委員 そうしますと、今後の運用の見通しなんですけれども、それにつきまして郵政政務次官、答えていただきたい。
○田名部政府委員 お答えをいたします。 今。お話にありましたように暫定的な静止軌道にあるわけでありますが、五月下旬には最終的な軌道位置百十度に静止されて、七月中旬の、初めごろになるわけでありますが、機能確認試験を行ってNHKに引き渡す、こういうことであります。郵政省といたしましても、BS2aの経緯も踏まえながら、BS2bによる放送は試験放送によって開始をいたすわけでありますが、安定性、継続性を十分確認した上で実用放送とする必要がある、こう考えておるわけであります。 BS2の利用については、二チャンネルが利用可能となれば、NHKのテレビジョン放送の難視聴解消を図ることを基本としながら、新しい放送技術の開発実験、これは高精細度のテレビジョン、画面が非常に鮮明なテレビジョンでありますが、あるいはPCM音声放送、アナログを数字に置きかえて今放送がされておるわけでありますが、そういう放送等も行う。衛星放送の普及に資する利用についても今後研究してまいりたい、こう思っております。
○塚原委員 非常に専門的な御答弁をいただきまして、大変に政務次官の優秀さをまた目の当たりに見たわけでございますけれども、これは今お話にもございましたように、衛星放送もいよいよ本格化をしてまいります。そういうことになりますと、通信、放送等の分野における宇宙の利用がさらに将来拡大をされていくわけでございます。今かなり細かい点につきましてのお話をいただいたわけでございますが、さらに通信、放送衛星等の今後の展望がどのようになるのか。これは政治家としての御意見。 それから、恐らくこれから核融合を一生懸命やっていただく以上に郵政関係も一生懸命政務次官は御努力をなさると思いますので、政務次官の方から今後の展望につきましての御答弁をいただきたいと思います。 〔委員長退席、平沼委員長代理着席〕
○田名部政府委員 今後の展望でありますが、通信衛星二号はもう既にNTTでありますとか警察庁において利用されておるわけでありますが、通信需要に対処する等のために、CS3を昭和六十二年及び六十三年に打ち上げることを目標に今開発中であります。 放送衛星の方でありますが、BS3を昭和六十五年及び六十六年度に打ち上げることを目標に、既に開発に着手したところであります。NHKのほか、日本衛星放送株式会社の利用も予定されておるわけであります。 これに続いて、二十世紀末から二十一世紀の初めに、通信、放送衛星についてはさらに大型がつ高度なものが要求される。このため、大型ロケットHⅡ及び大型静止技術試験衛星ETSMの開発等が進められておるわけであります。これは、今打ち上げております衛星は三百五十キロ、もう既にアメリカでは二千キロのものが打ち上げられておるわけでありまして、ヨーロッパでも間もなく二千キロのものが打ち上げられる、こういう時代で、この分野につきましてはまだまだ日本の研究を進めていかなければならない分野と、こう思うわけであります。大型化によって、地上の受信をする方でありますが、今パラボラアンテナは金額も非常に高いということでありますから、送る電波が強くなってまいりましてそれだけ簡易なアンテナで受信ができるということになりませんと、全体の難視聴の皆さん方に普及するというのが困難であります。 〔平沼委員長代理退席、委員長着席〕 そういうこと等も含めましてこの衛星開発をさらに進めていかなければならない、こう考えておるわけであります。 今後の通信、放送衛星については、このような開発等を通じて高度な技術を習得するとともに、何といっても信頼性と国際競争力のある宇宙開発利用が可能となることを期待しておるわけであります。日本はこの分野では何としても世界のトップに立っていかなければならない放送通信事業というものに、さらに国民の皆さん方の期待にこたえながら全力を挙げて取り組んでいきたい、このように考えております。
○塚原委員 頑張ってください。郵政省、結構でございます。 それでは次に、我が国におきます創造的、基礎的な研究の強化方策及びこれに関連いたしまして、つくば科学万博の記念事業等に関しまして御質問をいたしてまいりたいと思います。 政府は、科学技術振興に関する国としての基本方針を明らかにするために、三月二十八日に科学技術政策大綱を閣議決定されたわけでございます。我が国が二十一世紀に向けて科学技術立国を目指していく上には、科学技術政策大綱においても強調されるように、創造的、基礎的な研究の強化が重要であるわけでございます。しかも、研究者の独創性、創造性の発揮を重視した新しい研究システムが必要である、こう考えられます。科学技術庁では、そのようなシステムの先駆的な試みとして昭和五十六年度に創造科学技術推進事業を開始したわけでございますが、同事業は発足以来四年余りを経過しているわけでございます。多くの独創的な研究成果が生み出されていると伺います。 そこで御質問でございますが、創造科学技術推進事業の現状と今後の方向についてお伺いをいたしたいと思います。
○藤咲政府委員 御指摘のように、昭和五十六年度に私ども新技術開発事業団を実施機関としまして創造科学技術推進制度をスタートさせたわけでございますが、この趣旨は、将来の革新技術の芽を生み出すために基礎的な研究をこの制度で推進しようということでございまして、組織の壁を越えまして産学官、各方面の研究者を一定期間結集し、いわゆる流動研究システムということで推進してきておるわけでございます。五十六年度に四テーマがスタートして以来、年々プロジェクトを増加させてきておりまして、現在、超微粒子だとか完全結晶あるいは特殊環境微生物というようなプロジェクトが九つ進んでおりまして、今年、六十一年度予算ではさらに三プロジェクトを新たに発足させるというような状況でございます。 基礎的な研究ではございますが、このようなシステムとしては私ども非常に成功しているのではないかと思っておりまして、研究成果等も着々とこの五年足らずの間に出てきておりまして、例えば特許出願などにつきましても、この三月末現在で二百九十一件というような数に達しておりますし、さらに学会等へもこの研究成果が発表されているというような状況でございます。そういうことでございますので、今後とも新しいプロジェクト等も追加しながら、この制度の発展を図っていきたいと考えておるところでございます。
○塚原委員 昭和五十六年度に発足をしました超微粒子等四プロジェクト、これは六十一年度半ばで終了するというふうに伺っております。我が国は、前から言われるのですが、みずから生み出した基礎的研究の成果を育てていく点が弱いというふうに従来から繰り返し指摘をされているわけでございます。 そこでお伺いをいたしますが、科学技術庁といたしましては、これらプロジェクトから生み出された研究成果を今後どのように発展させていくのか、お尋ねしたいと思います。
○藤咲政府委員 創造科学技術推進制度が一つの例でございますが、そのほかにも我が国の基礎研究で現在非常に重要な研究成果が次々生み出されておりまして、これをフォローアップしまして、具体的な科学技術の振興に結びつけていくということは非常に重要なわけでございます。 そういう趣旨で、私どもいろいろな方法でこの成果を現実の産業界等に結びつける努力はしておりますが、新しい制度といたしまして、本年度の予算ではいわゆるハイテクコンソーシアム制度というのをスタートさせることにしております。これは、基礎的な研究成果の中でも特に将来の波及効果が大きいだろうと思われる、例えば基本特許のようなものをまずつかまえまして、これを新技術開発事業団が中心になりまして、この基本特許を開発した国立の試験研究機関の研究者あるいはこれに関心を持つ民間企業等の参加を得ましてコンソーシアムのようなものをつくる、そのコンソーシアムに参加する企業の活力を利用いたしまして、必要な試験費等はできるだけ民間に負担していただくというような形で、この基本特許の周辺特許等なんかも確立いたしまして、将来の技術発展につなげていくというような制度をスタートさせることとしております。こういった方法を通じまして、基礎研究の成果がより活用されるように努めてまいりたいと考えるところでございます。
○塚原委員 ぜひともすばらしい成果がおさめられるように、せっかく皆様方知恵を絞って始めたわけでございますから、私どももできる限りの応援をいたしますので、頑張っていただきたいと思います。 科学技術庁では、より基礎的なレベルの研究を強力に推進していきますために、昭和六十一年度からフロンティア研究として新しい研究事業を発足させるというふうに伺っております。フロンティア研究の目的及び内容についてお伺いをいたします。
○藤咲政府委員 フロンティア研究も、創造科学技術推進制度と同様に基礎研究を推進しようというシステムとして私ども考えたものでございますが、特にまたこのフロンティア研究につきましては、本当のといいますか、非常に基礎的な分野の研究を特に進めようという期待を持って進めておるわけでございます。我が国の場合、従来基礎研究が非常に弱いと言われておりましたが、これを強化するためには、特に現在のように科学技術が非常に高度化、複雑化しておる状況におきましては、多くの学問分野にまたがりましたそういう領域を対象とすることがこれから特に必要であろうということで、そのような多分野にまたがります研究者を結集するということと、それからもう一つ考えておりますのは、国際的にも開かれたシステムで進めようということで、外国人研究者に積極的に参加してもらうような形で進めようということを考えております。具体的には、理化学研究所に国際フロンティア研究システムという新しいシステムを設けまして、約四十名ぐらいの研究者、その三分の一程度は外国人研究者に入っていただくということで考えております。 また、研究分野につきましては、今非常に注目されておりますライフ分野でいわゆる生体ホメオスタシス、植物等がいろいろな環境変化にもかかわらず恒常性を維持しているという機能に注目したホメオスタシスの研究という分野と、それからもう一つ、非常に基礎分野で注目されております材料分野に着目いたしまして、私どもフロンティア・マテリアルの研究と呼んでおりますが、新しい機能材料等を見出すための基礎的な研究、こういった二分野を対象に進めたいということを考えております。六十一年度の予算といたしましては、十一億二千万円を計上しておる次第でございます。
○塚原委員 我が国科学技術政策の当面する大きな課題の一つといたしまして、基礎的・先導的科学技術の強化並びにこれを支えます研究開発基盤の整備が重要であるわけでございます。とりわけ、最先端の研究推進には世界各国における最新の科学技術情報の迅速な入手、そして有効活用が欠かせないものになっているわけです。諸外国でも科学技術情報の流通、利用を促進するためにデータベース化等に積極的に取り組んでいる、こういうふうに伺っているわけですけれども、科学技術立国を目指す我が国にとって、科学技術の情報の円滑な流通はほかの国以上に重要と考えられます。科学技術情報の流通に関しまして、我が国の現状と今後の推進方策を問うということでございます。これは政務次官がな、一応事務方の方で。
○藤咲政府委員 今各国では、日本を含めまして非常に大規模な研究投資が行われているわけですが、その研究成果を非常に効率的に利用していくということは、今後の研究をさらに進める上で非常に重要なわけでございまして、従来から科学技術情報流通の円滑化というのは科学技術会議等でも強く指摘されておるところでございます。我が国の場合には、科学技術情報センターがその中心になる総合センターといたしまして重要な役割を果たすとともに、各省庁等でもそれぞれ専門分野での情報センターの整備ということを行ってきておるわけでございます。 その中心になっております科学技術情報センターに関しましては、現在特に六十一年度予算等におきまして重点を置いておりますのは、一つには、いろいろな研究分野での多様なニーズにこたえるため、いわゆるデータベース、あるいは文献データベースとかファクトデータベースとかいうデータベースの整備拡充を引き続き図るということが一つ、それからそのようなデータベースを必要とする研究者に情報を提供していく際の提供システムをより改善していくということ、それから第三には、特に最近の問題といたしまして、我が国の科学技術情報に対する海外でのニーズが非常に高まっておりますので、そういった国際的にも提供できるようなシステムを確立する、こういった三点を中心に予算等も拡充して整備を図っているという状況でございます。
○塚原委員 今までのところで政務次官にちょっとお伺いをしたいのですが、科学技術庁としまして、網の目のように上手に、割に基本的なことをお伺いしたと思うのですけれども、すべてにとって実に見事に御答弁できるように完成されたシステムになっていると思うのです。形はいつもこういうふうにしっかりつくってあっても、それが実践になりますと時として諸問題が出てくると思うのです。そういう面につきましては特に政治家、大臣、政務次官の大きなお力添えというものがこれからさらに必要になってまいると思いますが、そういう点につきましてちょっと決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
○前島政府委員 お答えいたします。 塚原先生御指摘のとおり、今までの科学技術ですべて事足りるということではないと思います。しかし、これからの科学技術ということを考えていきますと、まさしく情報化時代にふさわしく、そしてまた産官学といいましても、産は産、官は官という割合狭い範囲で一つの研究が考えがちでございましたが、科学技術庁としますと、筑波にこうした一つの科学技術都市を目指すというふうな形で、今大学が二つ、それから国の研究機関が約四十四ぐらい、それから民間の研究機関が三十六ぐらいあるわけでございますけれども、これをいわば壁を取っ払うような形にして、研究開発ということにやはり積極的に取り組むことが必要だというふうに思います。科学万博を一つの契機としまして、筑波研究学園都市というものは東京から非常に遠いという感じでございましたが、昔は水戸街道は車だと嫌がるというような状況が、今常磐自動車道も非常にスムーズに流れるようになってまいりまして、非常に至近距離の中でこれから国際交流、研究交流というものを目指しつつ、産官学共同体で二十一世紀に向かっての科学技術の研究、そして推進を図っていくことが大切であるし、また私たちもそれに向かって一生懸命尽力をしていきたい、このように思っております。
○塚原委員 今科学万博のお話を出していただいたわけでございますが、ポスト科学万博というようなことにつきましてちょっとお伺いいたしたいと思います。 「人間・居住・環境と科学技術」ということをテーマにいたしまして筑波研究学園都市で開催された科学万博が、半年間の会期を終えまして昨年の九月十六日に閉会をいたしました。この科学万博には国内のみならず海外からも多数出展をしていただきまして、また内外から二千万人を超える観客を迎えて、成功裏に終了できたと思います。特に茨城県も大変いい目を見さしていただきましてありがたかったわけでございますが、これはただただ関係者の御尽力のたまものと改めて敬意を表する次第でございます。 本博覧会を通じて科学技術庁に対する国民的な理解の向上、科学技術を通じた国際親善への貢献、特に福島総館長なんか一生懸命頑張りまして、大変な評価があったわけでございますが、ただいま政務次官のお話にもありましたように、筑波研究学園都市の育成等の面でもこれは多大な成果を上げたと思います。この科学万博についての総評というようなものをどのような形で評価をしているのか、これをまずお願いいたします。
○長柄政府委員 お答え申し上げます。 科学万博の成果につきましては、ただいま先生も申されましたとおりでございまして、内外から二千万人を超える観客の方に来ていただき、また、会場運営とか観客の輸送等につきましても特段の事故もなく順調に運営された、こう考えております。本博覧会の開催によりまして、多数の国民の方に科学技術に親しんでいただく、しかも楽しみながら親しんでいただいたというふうなことで、国民の理解を高めるために大いに役立ったと考えております。さらに、御承知のとおり海外から四十七カ国、三十七の国際機関の出展も得られたということでございます。これに加えて、多数の外国の要人の方に来ていただいたとか、外国の入場者も非常に多かったということで、この博覧会を通じて国際親善にも非常に役立った、こう考えております。また、この博覧会を契機に常磐自動車道が開通し、筑波研究学園都市も都市としての基盤が充実いたしまして、世界の科学技術の中心地としての位置づけが固まった、こう考えております。 このように本博覧会は、その目的としておりました科学技術に対する国民的理解の向上、二番目に科学技術を通じた国際親善への貢献、さらに筑波研究学園都市の育成、この三つの目的を十分に達成したというふうに評価している次第でございます。これもひとえに国際科学博覧会協会の職員の皆様、また地元の皆様の絶大なる御支援によるものというふうに考えておりまして、非常に感謝している次第でございます。
○塚原委員 私も今まで広告代理店に勤めていまして、大阪万博、海洋博と、二つ自分自身の体験で見てきたわけですけれども、少なくとも悪い後遺症というのが今回は非常に少ない。皆無に近いとまでは言えないかもしれませんけれども、私は後に悪いものが残らないというのは何といっても大変な成果だと思うのですね、会期中も大変よかったわけですけれども。そういう意味では、科学技術庁は特に自信を持って、別の役所がやったときよりはるかに科学技術庁がやったときの方がよかったわけですから、これは本当に自信を持ってこれからいろいろな活動をしていただきたいと思います。 科学万博は多大の成果を上げて終了したわけでございます。科学万博開催の趣旨を広く定着させ、後世に誇り得るものとするためには、本博覧会を永く後世に伝え、その成果をさらに発展させるために記念事業を実施することが重要であるというふうに考えております。このような記念事業を一元的に実施することを目的に、財団法人つくば科学万博記念財団が三月末までに設立をされたというふうに伺っているのですけれども、記念財団の果たすべき役割は物すごく大きいと思うわけです。このつくば科学万博記念財団が今行おうとしております事業内容につきまして、ちょっとお伺いをいたしたいと思います。
○長柄政府委員 つくば科学万博記念財団は、この三月末に設立されたものでございます。 その目的は、科学万博の成功を永く後世に伝えるということとともに、科学万博の開催趣旨を定着、発展させるという目的でつくられたものでございまして、その記念事業といたしましては、つくばエキスポセンターを中心に科学技術に関する普及啓発活動を行うというのが当面の事業でございます。これに加えまして、科学技術の分野の国際交流を促進し、国際親善に貢献するということで、青少年を外国に派遣するとか、外国の若い方方を招聘するというふうなことで、国際親善に役立てようと考えております。また、筑波の研究所に関しまして政府がやるには非常にやりにくいような仕事がいろいろございますが、こういうことにつきましてこの記念財団が、例えば産官学の研究者の交流を図るとか、筑波研究学園都市の研究開発機能の充実に役立つというふうな事業も考えております。 この事業の基金でございますけれども、今回の博覧会の剰余金、約八十数億円見込まれておるわけでございますが、この剰余金を一括して記念財団が受け取り、これを基金といたしましてこの事業に充てたいというふうなことで、現在記念財団の理事会等で事業計画が詰められている段階でございます。
○塚原委員 大分アバウトな感じの御答弁でしたけれども、いずれにいたしましても、あれだけの博覧会を成功裏におさめた科学技術庁が御一緒になっていろいろとやっていただくことでしょうから、安心をしてお任せをいたしたいと思います。何といいましても八十数億の基金を出すためには血の出るような努力があったわけでございまして、どうぞ有効に、なおかつ、ただいま言った目的が十分達せられるように御努力をいただきたいと思います。 ここで終わろうと思ったのですけれども、せっかく筑波の地元の中村代議士もお見えになりましたので、研究学園都市につきまして一問お伺いをいたしたいと思います。 筑波研究学園都市は多数の国立試験研究機関、大学等を擁する頭脳都市に今なっております。今後筑波における研究開発能力をより活発化させることは、我が国における創造的、基礎的な研究の強化を図る上でも大きな意義を有するというふうに考えております。筑波研究学園都市は科学万博を契機に一層の研究環境の整備が進んでまいったわけでございますが、政務次官、先ほど大分大まかには触れていただいたのでございますが、今後筑波研究学園都市における研究機関の発展を図っていく上でも、基本的な考え方につきまして再度お伺いをして、質問を閉じたいと思います。
○前島政府委員 お答えをいたします。 今後筑波研究学園都市における研究機関の発展を図っていく上で基本的な考え方ということでございますけれども、筑波研究学園都市はさまざまな分野の研究、これは科学技術だけじゃございませんで、教育機関が世界にまれなスケールで集中立地されているわけでございますが、今後とも我が国の研究開発の中核的な役割を果たしていくことを私どもは期待をしたいと思っております。そのためにも、研究交流センターを中心として、日本の科学技術が筑波にあり、そういうふうなスケールで今後国際交流科学都市というものを目指して、私たちも努力をしていきたいと思っております。先ほど申し上げましたが、今は二つの大学、四十四の国立研究機関、三十六の民間研究機関がございますけれども、これで一〇〇%終わったとは思っておりませんで、今後も鋭意努力をしていきたい、このように思っているところでございます。
○塚原委員 終わります。
○大久保委員長 与謝野馨君。
○与謝野委員 ただいま塚原委員からつくば万博を大変高く評価するという御質問がありましたけれども、科学技術庁は科学万博関係でこの数年間どのくらいの予算を使われたですか。概略で結構です。
○長柄政府委員 科学万博に使いました政府の資金は、約五百六十億円でございます。
○与謝野委員 その五百六十億円というのは、国民の科学技術に対する理解を啓発することに大いに役立ったという評価をされておりますけれども、啓発だけということでは科学万博の評価はできないわけでございまして、やはり何か残っていないといかぬというふうに思うわけでございます。今の財団等も、予算が足りないで科学技術に携わる人々が大変苦労されている、そういうものにも少し援助をしたらどうかと思いますが、いかがでしょう。
○長柄政府委員 つくば万博の開催趣旨を、この半年だけで終わるということではございませんで、永久にこの趣旨を残し、それを定着させるということで科学万博記念財団がこの三月末にできた。その事業基金といたしましては博覧会の剰余金を、八十数億円ございますが、充てまして、この基金をもって、つくばエキスポセンター、これは恒久的な施設として筑波研究学園都市の中心につくられたものでございますけれども、これを買い取り、さらにその土地も購入いたしまして、その他の基金を果実として事業運営に当たるということを考えております。八十数億円という金額は大変多くの金のようでございますけれども、これを基金として、その果実を事業資金といたしますと年間六億円とかいう程度の金額でございまして、一非常に財政逼迫の折でございますけれども、我々としてはこの記念事業が永遠に発展的に続くように見守っていきたい。もしもどうしてもこの果実だけではなかなか運営ができないというような場合には、政府からの援助ということも考えていきたい、こう考えております。
○与謝野委員 大臣は所信の中で、低レベルの廃棄物の貯蔵のために新たな原子炉規制法改正を行いたいと言っておられたわけでございますが、まず、低レベルの廃棄物は原子力発電を運転してまいりますと当然発生するわけですが、その発生する低レベルの廃棄物の量そのものを抑えるということも大事なわけでございます。 それで、原子力局長にお伺いしたいわけですが、低レベルの定義を書きかえて発生量そのものを抑えるという工夫は一体どの程度進展しているのかという点についてお伺いしたい。
○中村(守)政府委員 お答えいたします。 放射性廃棄物の発生量の抑制というのが、まず処理処分の基本でございます。今先生から最後に御指摘ございました低レベル廃棄物の定義を変えてどの程度発生量が減るようにしておるのか、こういう御質問につきましては、言葉は悪うございますが、いわゆるすそ切りというような形で、自然界にも存在する程度のごく微量の汚染しかない、あるいは汚染されているかされていないかもわからないというようなもの、こういったものにつきましてどこに線を引いて整理していくかということは、昨年来原子力委員会でも勉強いたしましたし、安全委員会でも勉強いたしておりまして、その基本的な考え方は決めておるわけでございますが、具体的な数量につきましては、現在安全委員会の方でいろいろ勉強していただいておりまして、まだ幾らという数字が出ておりません。 そういう意味で、そのことによって発生量がどのくらいになるかということは今ここでお答えできないわけでございますが、当然のことながら、今まで技術的な面で発生したものをいかに減量化するかということで、可燃性のものにつきましてはこれを燃やして灰にする。そして安全に処分するためには、これを固化体にする必要がありますから、セメント固化にする。セメント固化ということでは満足いたしませんで、これをさらに減量するということでプラスチック固化、これで数分の一になるというような技術も開発してまいりました。 そういうことで、発生量の抑制というのは、技術的な面でかなり低減しておりまして、技術的にも確立しているわけでございますが、それをさらに低減するために、例えばイオン交換樹脂という不燃性のものがございますが、こういったものにつきましては湿式の処理によってさらに減容を図る、あるいは不燃性のもので金属性のもの等につきましては、高温にして溶融して固めてしまうということで減量するというようなことで、引き続き容積の減少ということについて技術開発の努力をいたしておりまして、その面での民間の技術開発についても政府としても支援をするということで、補助金等を交付するなどの施策を講じておるところでございます。
○与謝野委員 今回初めて原子力発電所のサイト外で貯蔵するという考え方が法律上出てきたわけでございますけれども、サイト内に低レベルの廃棄物の入ったドラム缶がありますときには、所有権は当然発電所側あるいは電力会社側、需要者側にあるわけでございますが、こういうものがサイト外の貯蔵施設に移転される、その場合の若干の法律の問題をお伺いしたいわけです。 サイト外に貯蔵する場合に、所有権を事業者側が持ったまま預けるという場合もありますし、いや、そうでないのだ、サイト外の貯蔵施設を持って、それを事業として営んでいく者が所有権も引き取ってしまうのだという考え方と、二つあるわけですが、現在科学技術庁はどちらの考え方をとっておられるのでしょうか。
○中村(守)政府委員 今先生の御質問につきましては、まさにそういう二つの考え方があるわけでございます。ただ、廃棄物という事の性格上、財産価値をどう考えるかということで所有権の問題が検討されることになろうかと思いますが、現在、その所有権を移転しなければいけないとか、あるいは電気事業者側で所有権を保持したまま渡さなければいけないとか、そこまでのことを私どもとして一方的に考えるというところまで至っておりません。これは事業者が契約段階においていろいろ御検討なされることかと思っておりますが、まだその点について、私どもとしてこうすべきだという強制をするというようなことを今考えておるわけではございません。
○与謝野委員 これはしかし非常に重要な点で、貯蔵施設の運営をしている会社が所有権も引き取った、こういうことであれば、永久的にそり百分の所有するものに対する責任を持ち、また、それから生ずるいろいろなことについても責任を持つということですが、預かっているという話では、一つは返すことができるという話でもありますし、また何か起こったときには、私の方はただ預かっているだけだ、持ち主は別にいるのだ、こういう話になるのですが、その点は整理をされておらないのでしょうか。
○中村(守)政府委員 お答えします。 一つは、規制法工事業を許可する段階におきまして、電気事業者からの廃棄物の引き取りについてどういう条件を付して運営をしていくかということにもかかわってくるわけかとも思いますけれども、それからもう一つは、事業者間の契約をどういうぐあいにしていくか。例えば今先生おっしゃったように、預かりという形で一定期間の経費を単に最初一括してぼんと最後まで払いっきりで永久に保管してもらうという意味でありますと、実質上財産権を移転したような形になりますでしょうし、それから、当面十年間分の維持費も含めてという形で契約をやって、後ある期間ごと期間ごとその費用を払っていくという形になるとすれば、そういう意味では実質的には預かりという形になろうかと思いますし、そこら辺も含めて今事業者も検討しておるというように承知しております。
○与謝野委員 そこで、発電所のサイ下内で貯蔵されている廃棄物、これがどうしても発電所のサイ上内で貯蔵できない量に達した、施設を持っているところに渡そうという話になったときに、発電所のサイトを出て当然施設まで行くわけですが、その施設までの輸送の責任は一体だれが持つのか、その点をお伺いしたいと思います。
○辻政府委員 現在の規制法では、輸送については輸送の際に内閣総理大臣の確認を受けるという規定になっているわけでございますが、現行の法令では、運搬を委託する者でもよろしゅうございますし、これを委託された者でもよろしいというようなことで、いずれにしろ、その容器なり積みつけ方法なり運搬の仕方全般について、内閣総理大臣の確認を受けた上でやるというような法体系になっております。
○中村(守)政府委員 今の先生の御指摘につきまして、原子力損害賠償法上の責任という点から申しますと、これは送り側でございますので電気事業者サイドが責任を持つ。ただ、これは特約を設けまして特別な契約をすれば別でございますが、法律上は原則的には発生者、送り出し側、こういうことになっております。
○与謝野委員 それで、ドラム缶がとにかく貯蔵施設に到着しました。ここの玄関から中に入りますと、そのものに関する責任は一体だれが持つのだろうか。
○辻政府委員 現在のところ、現行法では事業所外廃棄というものは海洋投棄以外は省令段階において認めておりませんので、具体的にはその辺の規定はむしろ禁止という状況でございます。これを改正法でどうするかという問題でございますけれども、その場合は、今私どもの考えでおりますのは、移された後は安全規制については廃棄事業者の方が責任を持つ、また、原子力損害賠償法についても責任を持つということでいくことを考えております。
○与謝野委員 前回もほぼ同じ質問を申し上げたのですが、それでは、発生者責任とい三言葉を前回大臣も使われたわけでございますが、大臣が前回御答弁のときに使われた発生者責任という概念は一体どういう概念だったのか。公健法という法律がございますが、これなどは発生者の責任ということで、大気汚染をしたであろうと思われる企業がお金を出して、公害によって健康を損なわれたであろう人たちに補償する制度をつくっているわけです。発生させた汚染物と実際に健康を害した人との間には因果関係は立証されないけれども、概括的に発生者がそれについて責任を持つ、こういう考え方でありまして、発生者責任という言葉は必ずしもこの場合には適当でないというふうに思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。
○辻政府委員 御質問の趣旨を必ずしも的確にとらえているとは思いませんので、あるいは御答弁が食い違うかもしれませんけれども、発生者責任の原則の根拠といいますか、由来といいますか、これには幾つかの点があるのではないかと思いますが、主要なものとして二点あるのではないかというふうに考えております。 第一には、みずからの自由意思で行う自由活動から生ずる大気の汚染であるとか水質汚濁、それに廃棄物などは、責任を持って他人や社会に害や迷惑を及ぼさないようにしなければならない、このことはまさに自由な経済、社会活動を維持していくために必要不可欠であるという点でございます。 第二には、これらのものを処理するというのは経済的にはマイナスでしかないわけでありますけれども、これらの費用は事業者が自分の製品やサービスのコストに織り込んで市場に反映させる。したがって、処理に多くの費用がかかるようなものについてはその分コストが上がり、市場により淘汰されていく。こういったことにより自由主義経済のもとで資源の最適な配分に役立つというような考え方から出てきたものではないかというふうに考えております。
○河野国務大臣 前回の先生の御質問の際に、私、発生者の責任ということを申し上げたわけでございますが、これは、ことしの三月四日の原子力委員会の決定の中に「放射性廃棄物の処理処分が適切かつ確実に行われることに関しては、原則的には、放射性廃棄物の発生者の責任であると考える。」こういう原子力委員会の決定があるわけでございます。ここで原子力委員会はさらに、ちょっと長くなりますが、「発生者以外の者が、今回の法改正により」この法律が成立すれば「法改正により創設される規制の適用を受け、廃棄事業者として放射性廃棄物の処理処分を行う場合には、廃棄事業者は、処理処分の安全確保に関する法律上の責任及び原子力損害賠償責任を負うこととなるが、その際、発生者は、放射性廃棄物の処理処分に必要な費用を負担することはもちろんのこと、その処理処分が確実に実施されるよう、廃棄事業者に対し適切な支援を与えていくことが重要である。」こういう点で発生者の責任というものをきちっと明確にしろ、こういうことを原子力委員会が決定している。これを受けて私、発言したわけでございます。
○与謝野委員 そういう意味での発生者の責任というのはあると思うわけですが、法律上は業として低レベル廃棄物の貯蔵を行うわけですから、電力会社の方の責任というのはどこかで断ち切らなければおかしいと思うわけです。どこで断ち切るかということでございまして、それはどういうふうにお考えですか。
○辻政府委員 この点につきましては昨年の原子力委員会専門部会でいろいろと議論されたところでございますが、原子力委員会の報告書の中にもございますように、廃棄物を集中して管理するような事業が行われる場合には、むしろそちらの廃棄事業者の方に安全規制なり原子力損害賠償なり、そういったものの責任をきちっと負わせるということの方がより適切であるという結論に達しておりまして、私どもその線に沿って物事を考えていこうと思っているわけでございます。
○与謝野委員 海外の例をお伺いしたいわけですが、海外では低レベルの廃棄物はどのようにして貯蔵しておりますか。
○中村(守)政府委員 お答えいたします。 アリメカ並びに欧州諸国におきましては、低レベルの放射性廃棄物についての処分は既にかなり長い経験を持っておるわけでございます。 具体的に個々の例を見ますと、米国におきましては一九六〇年代の初めから大きな素掘りの穴にドラム缶などをそのまま埋設するという浅地中埋設処分施設が商業用に操業されておりまして、これまでに非常に多くのドラム缶が既にそこに埋設されておるわけでございます。現在も三カ所の商業用処分施設におきまして年平均約八万五千立米、二百リッタードラム缶に換算いたしまして約四十二万本に相当いたしますが、こういった低レベル放射性廃棄物が陸地処分されておるというぐあいに聞いております。そのほか、これは民営ではございませんで、連邦政府所有の研究施設や軍事用施設等から発生する低レベルの放射性廃棄物がございますが、こういったものを処分するために連邦政府が浅地中の埋設処分施設を約十四カ所ほど運営いたしておりまして、こちらの方にも相当量の放射性廃棄物の陸地処分が行われていると聞いております。 それから、フランスにおきましてはラマンシュというところに貯蔵センターがつくられておりまして、一九六九年以来コンクリートピットにドラム缶等を入れまして、そのすき間をセメントで充てんし、その上に粘土とか一般の泥を盛り上げまして処分する浅地中埋設処分が行われておりまして、これまでに約三十万立米、二百リッタードラム缶に換算いたしますと約百五十万本に相当いたしますが、この放射性廃棄物の埋設処分の実績がございます。今、毎年約三万立米の放射性廃棄物が受け入れられておるわけでございますが、今後この廃棄物の量の増大に伴いまして、フランスにおきましては一九九〇年の操業開始を目指してさらに新しい処分場を設けるということで、昨年九月、新地点を新しい候補地として選定したというふうに聞いております。 そのほか西ドイツ、イギリス等におきましても、十年以上にわたる低レベル放射性廃棄物の陸地処分の実績があるわけでございます。 海洋投棄の処分につきましては、一九八二年まで、OECDの原子力の専門機関でございますNEAという機関がございますが、ここの監視制度のもとでイギリスとかスイスなどの欧州各国が海洋投棄を実施してまいりましたが、一九八三年以降は、国際的な情勢などによりこの海洋投棄を休止しているというふうに承知いたしております。
○与謝野委員 現在政府が国会に提出されている廃棄事業に関する規制法の改正が仮にこの国会で成立したといたしまして、この事業の方のスケジュールは一体どういうふうになっているのでしょうか。
○中村(守)政府委員 青森県六ケ所村に低レベルの廃棄物の最終貯蔵所を設けるという計画でございますが、現在陸域の立地環境調査を進めております。これは昨年六月から進めておりまして、現在がなりな進展を見ておりますが、昭和六十一年度末ごろにはこれを終了する見込みというぐあいに聞いております。一方、海の方の立地環境調査につきましては、既に同意の得られております二漁協に加えまして、三月二十三日に泊漁協においても最終的に総会の合意が得られたということで、現在海域の調査にも着手できるように、早期に着手するということでいろいろな段取りを進めておるようでございます。 具体的なプラント自身の設計につきましては、現在基本的な設計を進めておるところでございまして、この陸域及び海域の立地環境調査と相まちまして、六十三年度中には工事に着手したいということのもとに、現在諸準備を進めておるところでございます。
○与謝野委員 長官も先般六ケ所村に御視察に行かれたと思いますが、長官の御視察の御感想などを伺いたいと思います。
○河野国務大臣 先週初めて六ケ所村へ行ってまいりました。非常に広大な土地が予定地として準備されているわけでございまして、その土地の中で現在陸地調査が進んでおります。百五十メートルの高さの、気象といいますか、天候調査の塔などもできて、調査が進んでいるというふうに拝見をしてまいりましたけれども、ああいう地域に十分なスペースをとってこうした施設ができるということは、地元の方々の御理解と御協力の上に行われるということであれば、大変結構なことではないかというふうに思いました。 なお、県知事あるいは地元の村長さん、村議会の議長さんにもお目にかかっていろいろお話をざっくばらんに伺ってまいりましたが、地元の方々は、現在の地元の経済的な状況等を考えて、早期にこうした施設をつくってほしいという御意見でございました。かねがね地元の理解と協力というものを大事にしながらこうした施設ができ上がることが大変いいと思っておりましたので、地元の方々のお話には大変心強く思った次第でございます。もちろんまだまだ異論を唱えておられる方々もおられるということも私も承知をいたしておりますので、事業にかかわる方々にはそうした点にも十分配慮して、できるだけ多くの方々の理解の上で仕事をきちんと進めてほしいということもお願いをして帰ってきた次第でございます。
○与謝野委員 そこで、廃棄物を預かる事業が新たに規制法上明確にされる。こういう場合に、発生者たる電力会社は資金的にもあるいは技術的にもそういう会社を応援していくだろうと思いますし、それが発生者たる電力会社の責任だ、こういうお答えだったわけですが、それでは科学技術庁はこういうものに対して一体どういう支援をしていくのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○中村(守)政府委員 青森県の下北におきます核燃料サイクル施設の建設につきましては、まず科技庁としては、住民の皆様方の御理解を得ることについての支援ということで、事業者が行う広報活動について助成いたしますとともに、私どもも直接いろいろな広報関係のデータを提供するというようなことで支援をしてまいりたいと思っております。 それから、具体的なプラントの建設に当たりましての技術的な支援といたしまして、動燃事業団におきます技術的蓄積がございますから、当然この動燃事業団からの技術的支援を円滑に進めるということもございます。さらには地元における立地交付金の交付等による地域振興、こういったものに対する支援ということも政府として考えていくことでございますし、それから、これは私どもが直接ということでなくて、通産省が直接はおやりになることになるわけでございますが、建設資金等につきましての資金調達についていろいろ配慮をしていくというような形での支援もあろうか。そのほか各面にわたりまして事業者にいろいろな面で協力し、円滑に推進してまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
○河野国務大臣 今局長申し上げたとおりでございますが、地元に参りまして地元の方々とお話をしてみますと、地元の方々が期待をしておられるものは、一つは、新しい時代が来たのだ、その新しい時代にふさわしい教育であるとか技術であるとか、そういうものをぜひ地元にも持ち込んでほしいということが一つと、それから今申し上げましたように、地域振興という観点から公共施設その他も充実をしたいし、ぜひ新しい時代にふさわしい地域を建設していくために支援をしてくれ、こういうことをおっしゃっておられました。そうした点が我々期待をされているなというふうに感じた次第でございます。したがいまして、今申し上げましたように、立地交付金その他についてもできるだけそうした期待にこたえるように、これは通産省の関係でございますけれども、私どもといたしましてもできるだけお手伝いを申し上げたい、こう考えております。
○与謝野委員 そこで、低レベルの貯蔵というのは技術的には全く問題もありませんし、むしろ技術的には発生量を抑えるということを今後も重点的に科技庁にやっていただきたい。先ほど局長のお話がありましたけれども、数分の一になるということはトータルとしても貯蔵のドラム缶数が数分の一になるわけでございまして、これは非常に重要な今後の検討課題でございますし、こういう面で制度の問題としてもしっかりやっていただきたいと思いますし、技術の問題としても今後十分これに対応していっていただきたいと私は思うわけです。 そこで、もう一つの高レベルと定義される廃棄物、これは返還廃棄物と皆様方呼んでおられるようですけれども、返還廃棄物を日本として恒常的に受け入れを開始しなければならないと考えている時期は、科技庁はいつとお考えですか。
○中村(守)政府委員 お答えいたします。 現在、フランスと電気事業者との間の契約では一九九〇年以降というぐあいになっておりますが、現在までのところ、その仕様等についてまだ正式に決まっていないというような状況にございます。こういったガラス固化体の仕様等をきちんと決めた上で、そういったものを製作して日本に送り返してくるというようになろうかと思っております。
○与謝野委員 そこで、科技庁のガラス固化体にするという研究開発も相当やられているわけでございますけれども、幌延で動燃をして高レベルの廃棄物貯蔵のための研究開発をしてもらおう、こういう方針で科技庁は進んでおられるわけでございます。この研究開発というのは非常に重要でございまして、長官として今後幌延問題にどう取り組んでいかれるのか、その姿勢をお伺いしたいわけです。
○河野国務大臣 先生御指摘のとおり、高レベル放射性廃棄物の確実な処理処分が行えなければ日本の原子力利用開発というものが完成しないと私は考えております。よく多くの方々が御指摘になりますように、トイレなきマンションなんと言われることを、一日も早くそうした批判を受けないような体制をつくるためには、どうしてもこの高レベルの放射性廃棄物の確実な処理処分が必要だというふうに考えておりまして、私自身この立場に立っております現在、この問題を処理することが私にとって極めて重要な課題だというふうに思っております。したがいまして、貯蔵工学センターの受け入れについて、幌延町を初めとする御関係の皆様方の御理解をいただくべく全力を挙げたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○与謝野委員 そこで、北海道知事がいろいろ発言をされているわけてございますが、こういうものをつくるについて北海道知事というのは何か法律上の権限を持っているかどうかという問題ですが、その点についてお伺いしたいと思います。
○中村(守)政府委員 お答えいたします。 貯蔵工学センターそのものは、原子力施設であるということのゆえに知事さんが特別な権限を持たれておられることはございません。建築基準法であるとか農地法とか、そういった一般的な法律で立地をし、建設を進めていくという過程においては、知事の権限にかかわるものもあるわけでございますが、原子力施設であるという特有のことについての権限はございません。
○与謝野委員 長官にお伺いしたいのですが、動燃あるいは政府委員等の一連の幌延問題に対する答弁は、知事を初めとした地元の理解を得ながら進めたい、こういうことですが、今御答弁にありましたように法律上の権限は全くないというときに、理解を得られなかったら一体どうするんだ。理解というのは非常にあいまいな概念でございまして、おれは理解していないという場合には、長官としては一体どういう姿勢で進まれますか。得られなかったらやめてしまうのか、得られなくてもある程度努力をしたらそれで進むのか、その辺をはっきりしていただきたいと思います。
○河野国務大臣 かねてから国会で御答弁を申し上げておりますように、まず立地の前提として調査を行う、この調査は御理解をいただく上で極めて重要だ。つまり、現在知事さんには知事さんのお立場があって、こうした問題については極めて慎重な発言を繰り返しておられますけれども、私どもは、この問題は科学的に安全なのか安全でないのかということを知事さんに御判断をいただく上でも、あるいはまた貯蔵工学センターを立地することが、周辺の方々にとって現在一部で言われるような不安があるのかないのかを科学的にあるいは現実の問題としてはっきり解明をしていくということが、理解を得るためにどうしても必要だと考えているわけでございます。現在私どもは、立地を決定する前の段階、まず調査をさせてほしいということを考えているわけでございまして、この調査に当たっては少なくとも誘致に極めて積極的な幌延町の皆さん、とりわけ調査をさせていただく土地の地権者の方々がどうぞ調査をしてくださいとおっしゃっていただけるなら、それは調査をさせてほしい。そしてその調査結果をできるだけ多くの方々に正確にお知らせして、理解を求めていくということが私どもの手順として正しいのではないか。 私が必ず理解をしていただけるものと確信をいたしておりますのは、この問題はもちろん人の心、一人一人いろいろ思いがあろうかと思いますけれども、まずは基本的に、科学的に見て、あるいは一つ一つの事実を示すことによって、これが今言われているような極めて危険なものであるのかどうなのかということを明確にして、その上で知事の理解もさらに求めたいと考えているわけでございまして、まずは調査については今申し上げたような姿勢で臨みたいと思っておるわけでございます。この点については、私はかなり理解はいただけているものと考えております。
○与謝野委員 今の長官の御発言は、理解を得られるように最善の努力はするけれども、最悪、理解を得られなくても国の政策としてこういうものは推進していくのだ、そういう御決意の御表現ですか。
○河野国務大臣 私はまず調査について申し上げているわけでございまして、調査については既に町当局からは理解をいただいておりますし、地権者の方々からの理解もいただけているものというふうに聞いておるわけでございます。そうした点をさらにきちっと整理をいたしまして、一部に、いろいろと混乱があるのではないか、何かあるのではないかというようなことが言われておりますけれども、そうしたことをできるだけ御納得をいただいて、調査をまずさせていただく。その調査については、一定の条件が整いつつあるというふうに私は考えております。その調査の結果を知事さんを初めとする方々によく見ていただきたい、こう考えているということを申し上げております。
○与謝野委員 政治家河野洋平先生にお伺いしたいわけですが、逗子と北海道というのは非常に似たような状況になっておりまして、逗子の方は、市議会は米軍の住宅推進の方が昨日勝って、議会と市長側の意見が完全に対立してしまった。北海道も、道議会は早く促進すべきだという強い意見でございます。知事はだめだ、だめだと言っているわけですが、その場合、政治家河野洋平先生は首長さんの方に重点を置いて物を考えられますか、議会の意思を重点に置いて考えられますか、どちらでしょう。
○河野国務大臣 幌延町におきましては、町長も町議会も一致して誘致に御賛成でございます。先生御指摘のとおり、知事さんと道議会との意思が食い違っているわけでございます。私はこの食い違いができるだけ一致してほしいと念願いたしておりまして、今申し上げましたような手順、手続を踏んで知事さんの御理解をいただけるべく全力を挙げたい。これは知事さん及び道議会が一致して賛成してくれることが一番いいわけでございまして、私はその一番いい方向に向かってまずは努力するというのが現段階だと思っております。
○与謝野委員 返還廃棄物はいずれ返ってくるわけでございまして、日本は日本としての責任でこういうものを長期的に貯蔵しなければならないわけでございます。実際の技術の研究開発も今後相当重点的にやっていただかなければならないことですが、幌延の計画をスケジュールどおりやっていただくということも非常に大事なことでございまして、長官の一層の強い御決意のもとで手順を踏んでやっていただく。いたずらにむだな時間を過ごすということは、日本の原子力発電計画全体からいってマイナスだと思うわけでございます。そういう意味で、知事初め地元の御理解を得るために最善の努力をしていただきたいとは思いますけれども、理解を得られなかったらこの計画が挫折するというようなことにならないようにやっていただきたい、こういうことを申し上げて、質問を終わります。
○大久保委員長 小澤克介君。
○小澤(克)委員 高速増殖炉の開発問題等について、通産当局あるいはまた科学技術庁から順を追ってお尋ねしたいと思いますが、その前に、何か最近通産省の方で二十一世紀ビジョン研究会ですか、ちょっと正式な名称かどうかわかりませんが、そういうものをつくったというようなことを伺ったのですが、そのとおりでしょうか。
○林説明員 二十一世紀のエネルギービジョンの検討についてお答え申し上げます。 我が国のエネルギー需給はここ数年緩和状態が続いておるわけでございますけれども、国内資源に乏しく、極めて脆弱なエネルギー供給構造を有する我が国としましては、長期的視点に立脚したエネルギー政策を推進するということが重要だと考えております。また、需給関係が緩和している現在は、長期のビジョンを策定する好機であるとも考えております。 我が国のエネルギーをめぐる情勢を見ますと、二度にわたる石油危機を契機としまして、省エネルギー型の産業構造への移行、あるいは情報化社会の着実な進展、あるいは国民生活の快適性志向の増大、その他いろいろ需要面での変化が顕著になってくるものと考えられております。また、技術開発の進展によってエネルギー間の競合が現実の問題になりつつあるわけでございます。さらに、国際的なエネルギー需給安定のための日本への期待が非常に増大しておるという実態もございます。 こういった点を踏まえまして、二十一世紀初頭の日本のエネルギー情勢を展望し、各エネルギーの位置づけを踏まえつつ、二十一世紀に向けてのエネルギー政策の方向あるいは各エネルギー産業のあり方等を明らかにするために、現在、資源エネルギー庁に有識者に集まっていただきまして検討会を設けまして、昨年十一月から鋭意検討しているところでございます。したがって、その検討の内容は、国際エネルギー需給の見通しあるいは国際協力の方向、そして需給構造の変化と対応、技術開発の方向、そして二十一世紀エネルギー需給構造とエネルギー政策の方向といった点が中心でございます。
○小澤(克)委員 質問をよく聞いてください。そういう研究会を設けましたかと聞いたのですから、設けたのなら設けたと、それだけ答えていただければ。後で伺うはずだったのを全部答えられてしまったから、聞くことがなくなってしまったのですが……。 昨年十一月ごろから発足したということですが、これはいつごろまでに一応の結論を得る予定でしょうか。
○林説明員 私どもの予定といたしましては、本年秋ごろまでに結論を得た上で、国際的な照会を含めまして、できればことしいっぱいに仕上げたいという予定で考えております。
○小澤(克)委員 それで、既におっしゃった部分もありますけれども、現状、何が一体問題点か。つまり、どういう問題意識からこういう研究会を設けたのか。繰り返しになるかもしれませんが、もう一遍教えてください。 もう一つ、これは正式名称は何と言うのでしょうか。
○林説明員 正式名称でございますが、二十一世紀エネルギービジョン検討委員会でございます。なお、その下に二十一世紀エネルギービジョン企画小委員会という組織を設けておりまして、具体的な検討はこの小委員会の方で進めさせていただいております。 具体的な検討内容でございますけれども、先ほどお答え申し上げましたように、基本的には、需要構造の変革というのが相当急速に二十一世紀に向けて進むのではないか。そして、技術開発がエネルギー需給に相当インパクトを与えているのではないか。それから、エネルギー分野における国際協力等については、日本に対する期待が著しく高まっておるという現状でございます。これらの点を含めまして、各エネルギー源の位置づけ、そして望ましい供給構造というのはいかにあるべきかという点を、需給の緩和しつつある現時点において明らかにしていこうという問題意識でございます。
○小澤(克)委員 ちょっと抽象的なんですが、まず最初の需要構造の変化というのは、具体的にはどういうあたりが問題なんでしょうか。
○林説明員 需要構造の変化の非常に大きな部分は、産業構造の変革でございます。情報化社会に向けまして、どちらかといいますとエネルギー多消費型の産業のシェアの低下、そして情報化産業の進展ということ、例えば瞬時の停電でも非常に大きな影響を社会に及ぼすというのが一つの例でございます。こういった停電をなくすといったような、エネルギー供給構造というものを考える必要があるという点も一つでございます。 さらに国民生活、これはどちらかといいますと快適性志向、あるいはエネルギー需給にどのようなインパクトがあるかという点は現在検討中でございますけれども、女性の外で働く機会の増大、その他いろいろな社会構造の変革というものが実際のエネルギー需要あるいはエネルギー供給のシステムにどういった期待と影響を与えるかというような点が、もう一つの要素でございます。 技術開発の点を申し上げますと、例えば現在アメリカでも……(小澤(克)委員「需給だけまず聞いたのだから、そこでいいです」と呼ぶ)そういう点が検討の中心ということになります。
○小澤(克)委員 結局どういうことですか。今一つ出たのは、瞬時の停電なども困る。情報機器あるいは電子機器等が大幅に使われることによって、瞬時の停電などが非常に困るというお話があったので、要するにエネルギーの質、電力に関して言えば質の高い電力を供給しなければならぬという意味だろうと想像がつくのですが、産業構造の変化というのは量的な面でも当然需給に変化がある、こういうことでしょうか。結論としてどうなんですか。減るのですか、ふえるのですか。
○林説明員 産業構造の変革によってエネルギー需要の構造が変革してくるということでございますが、御質問のように、恐らく特定のエネルギーについてはその需要量が相当減っていく、同時に、例えば電力のようなエネルギーについては着実にふえていく可能性もあるといったような、いろいろな量的、そして質的な変革が予想されているという点が考慮の対象でございます。
○小澤(克)委員 あと、技術開発が大きなインパクトを与えるだろうというお話がありましたが、具体的にはどんな技術を念頭に置いているのでしょうか。これは後で時間があればお尋ねしようと思いますが、分散型の電源装置なども最近いろいろ話題となっているようですが、そういったことにも関連するのでしょうか、いかがでしょう。
○林説明員 技術開発の変革の内容につきましては、まず供給面での一次エネルギーに関連する技術開発、需要面での技術開発、そして需要面でも最終需要、すなわち最終段階のユーザーの段階における技術開発、それぞれの段階で多数の技術開発のシーズがありますので、これらの技術開発要素、シーズについて、私どもといたしましてはできる限り客観的な立場からあらゆる芽を検討していくという立場でございまして、御指摘のような新しい分散型電源の発展、アメリカなんかでも相当発展しておりますけれども、そういった供給内容も検討の対象でございます。
○小澤(克)委員 最後に、国際協力というのはどういったことでしょうか。
○林説明員 国際協力で私どもが検討の対象にしておりますのは、現在、エネルギーを取り巻く客観情勢はひところと大変にさま変わりの様相を呈しておりまして、むしろいろいろなエネルギーの分野において、日本が引き取り要請をある程度断っていかざるを得ないというような状態にさえなっておるのが現状でございます。しかしながら、長期に展望いたしますと、石油についても需給は逼迫化する要素もあり、私どもは、短期的なこういった日本の置かれているエネルギー情勢の中で、いかに長期的にエネルギー産出国との関係を強固なものにしていくかという点が一つの視点でございます。
○小澤(克)委員 なかなか抽象的でよくわからない面が多いのですけれども、これから検討していくということでしょうから、ある程度抽象的にならざるを得ないのはやむを得ないだろうと思います。少し中長期的に今後の産業構造の変化等も見据えながら一つの見通しを、あるいは方向づけをするということは、科学技術の開発の方にも重要な影響があろうかと思いますので、ひとつ掘り下げた議論が展開されることを期待するわけでございます。 それから、きょうは実は大蔵省さんにも来ていただいて、最近大蔵省さんの方で出された「ソフトノミックス・フォローアップ研究報告書 エネルギーシステムの新しい展開」、ことしの一月十日ですか、これについても御説明いただこうかと思ったのですが、何か大蔵省さんの御担当の方がきのうから海外出張だそうですので、きょうはそれは質問いたしませんけれども、財政当局もこういった比較的長期に立った展望、そういう研究をやっておられるというようなことも聞いております。各省庁でそういった基本にさかのぼった研究をされているというのは、先ほども言いましたように、科学技術政策を常に見直す上で大変結構なことではないだろうかと考えているわけでございます。期待をしております。 そこで、引き続いて通産省さんにお尋ねしたいのですが、先月の二十八日に総合エネルギー調査会原子力部会、この総合エネルギー調査会というのは通産大臣の諮問機関であるというふうに理解しておりますが、その原子力部会の報告書が出まして、軽水炉技術高度化戦略という、戦略といいますか、方法が唱えられているわけでございます。これについて少し伺っていこうと思うのです。 この戦略を打ち出した背景として、まず最初に高速増殖炉の実用化時期について、「実用化に必要な経済的条件の制約等から二〇一〇年よりも更に先になるものと見込まれる」という表現があるわけでございますが、これをもう少し具体的に、わかりましたら教えていただきたいのです。まず、その高速増殖炉の「実用化に必要な経済的条件の制約」というのは、具体的にどのようなことを指しているのでしょうか。
○上村説明員 先生御指摘の報告書中の表現でございますが、その背景につきましては、現在のFBRの開発状況、またそれへの取り組みを御説明すべきものかと考えておりますが、FBRの開発につきましては、昭和五十七年六月の原子力委員会の原子力開発利用長期計画に、発電しながら消費した以上のプルトニウムを生成する画期的な原子炉であり、ウラン資源を最大限に利用し得るので、核燃料資源問題を基本的に解決でき、将来の原子力発電の主流となるものと位置づけられていると述べられております。また、このエネルギーセキュリティー上の意義にかんがみ、FBRはできるだけ早期に実用化されるべきものと述べられております。 この基本方針に従いまして、現在、動燃事業団、それから電力業界におきまして積極的な開発への取り組みが行われているところでございますが、先生御存じのとおり「もんじゅ」は昨年秋着工いたしましたが、それに引き続きますFBRの実用炉につきましては、電力業界が軽水炉の一・五倍の建設費を目標に現在その設計の合理化に努めておるところでございまして、将来軽水炉に次ぐ原子力発電の主流と考えますときには、FBRの実用化のためには軽水炉並みの経済性の確保が今後の課題でございます。現在、電力業界におきましては軽水炉の一・五倍の建設費の目標で検討を続けておりますが、その後実証炉に引き続きまして実用炉に至るまでには、それを軽水炉並みの経済性に近づけるべく、その段階では革新的な技術の採用等々が必要なわけでございまして、今後とも着実にその開発努力を継続するといたしましても、その技術開発には長期な期間を要する問題でございますので、ヨーロッパ等におきます開発状況の進展を踏まえまして、「もんじゅ」に引き続き着実に研究開発を継続するといたしましても、従来考えられておりました二〇一〇年ごろの実用化という点につきましては、技術的には経済性を度外視すれば可能とは考えられますが、軽水炉並みの経済性を考えますと、その開発にはなお長期間を要すると考えられる、こういう判断からこのような表現がとられたものでございます。
○小澤(克)委員 質問に端的に答えてください、余計なことは要らぬですから。経済的条件の制約とは何かと聞いたのですから。 そうすると今のお話だと、「もんじゅ」はともかくとして、当面の目標が軽水炉の一・五倍、つまり経済的な意味で実用に達するには、軽水炉並みが達成されない限り経済的に制約がある、こういうことになりましょうか。 そこでもう一つお尋ねするのですが、実用化は「二〇一〇年よりも更に先になるものと見込まれる」というふうにありますが、具体的にはいつごろというふうに見ておられるのでしょうか。
○上村説明員 その報告書の過程で通産省で検討いたしましたのは、「もんじゅ」に引き続きまして実証炉以降電力業界を中心に着実な研究開発を継続するといたしますと、経済性目標を一・五倍から実証炉の後の炉で一・三倍程度、それからその後の炉で一・一倍程度、順次経済性の向上に努力するというシナリオを仮定いたしますと、二〇二〇年代初頭に実用炉に到達できる段階が来るというシナリオを想定したわけでございますが、これはあくまでも技術開発の面で着実な努力が「もんじゅ」以降続けられた場合にこういうシナリオが達成できるという一つの前提に基づいて検討しておるものでございます。
○小澤(克)委員 報道されているところによりますと、軽水炉の一・一倍の発電コストになると試算されるのが大体二〇三〇年くらいではないか、総合エネルギー調査会原子力部会の検討した資料ではそのようになるというようなことが報道されておるのですが、このとおりなんでしょうか。
○上村説明員 その点につきましては、現在まだ検討中の段階でございます。電気事業者におきましても、長期的な開発計画を現在検討中でございます。今の段階で技術開発の将来見通しについて、いつごろということを一概に申し上げることは非常に難しい問題でございますが、私先ほど申し上げましたように、着実な技術開発を継続して経済性を向上させるとすれば、二〇二〇年代初頭ぐらいに実用炉一号炉に到達できるものという見通しといいますか、シナリオを検討しているわけでございます。
○小澤(克)委員 質問に答えてくださいよ。報道されているところによれば、原子力部会で検討した資料では、二〇三〇年に軽水炉の一・一倍となると試算された、とういうふうに報道されておるのですが、これが事実なのかそうでないのか、端的に答えてください。
○上村説明員 現在まだ検討中の段階でございまして、前提条件のとり方によりまして、二〇二〇年代初頭あるいは二〇三〇年代実用化といういろいろなシナリオがあるわけでございますが、今の時点では一概にいつごろと言うことは、今後の技術開発努力いかんにかかっている問題でございますので、現状では難しいと考えております。
○小澤(克)委員 見通しを聞いているのではなくて、こういう資料でこういう検討をしたかと聞いているのです。事実を聞いているのですが、どうなんですか。
○上村説明員 現在、通産省の総合エネルギー調査会原子力部会におきまして、長期的な原子力開発の見通しにつきまして検討中でございます。したがいまして、現段階では先生御指摘のような結論は得られておりません。しかし、検討はやっております。
○小澤(克)委員 そうすると、今のお話からだとこの報道は根拠がないということになりますが、それでいいのですね。 そこで再び報告書に戻りますが、この報告書に「ウラン需給については、現在は、世界的な原子力開発計画の遅延によるウラン需要の低迷を背景として緩和基調にある。」こういう記述があるのですが、この「世界的な原子力開発計画の遅延」というのは、実態としてはどのように認識しておられるのでしょうか、あるいはその原因についてはどうお考えなんでしょうか。
○上村説明員 世界的な原子力開発の遅延という点につきましては、これはヨーロッパ、アメリカにおいて非常に顕著でございまして、特にアメリカにおきましては最近新規発注がなく、キャンセルが相次ぐという状況にございます。これは原子力発電の安全性とか技術的問題ではございませんで、電力需要の停滞に伴いまして、原子力のみならず石炭火力についてもキャンセルがなされているものでございますし、アメリカの電気事業の場合には、日本と異なりまして小さな電力会社が共同で原子力発電所を建設するというような実態から、この需要の停滞に伴う建設資金調達面での困難のために建設費を負担できない、また、規制当局がアメリカの場合には州の公益事業委員会でございますが、需要の実態に、需要の伸びの停滞に合わせまして電力会社に建設の遅延あるいは取り消しを指導しておる、このような実態に照らしてのものと聞いております。 また、ヨーロッパにおきましても、電力需要の停滞に伴いまして、フランス等では過去には大きな開発計画を持っていたところでございますが、最近は年間一程度の発注ということで、事態が変わってまいってきております。この辺は、ひとえに電力需要の伸びの停滞と理解いたしております。
○小澤(克)委員 今御説明を受けましたようなことで、ウラン需給が非常に緩和基調にある。そこで今後のウラン需給を見通しますと、軽水炉ワンススルー戦略をとっても二〇一五年前後あるいは二〇二〇年、これは何ドル以下のコストで開発可能だということで試算がされているわけです。そうしますと、先ほどのお話にあった高速増殖炉が二〇二〇年初頭あるいは二〇三〇年にならないと実用化しないであろうということとあわせますと、少なくとも通産省のお考えでも、二〇二〇年前後まではとりあえずは軽水炉でワンススルーでやるしかない、そういうふうに読めるかなと思うのですが、そういうことなんでしょうか。
○上村説明員 報告書に記載されております世界のウラン需給につきましては、一九八三年の十二月、それから八四年の六月にそれが一部訂正されたOECDとIAEAの共同の報告書の中に記載しているものをそのまま書いておるわけでございまして、OECDとIAEAでは、軽水炉でワンススルーで、いわばウラン資源をむだ遣いした場合でも、二〇一五年前後あるいは二〇二〇年ごろまでのウラン資源の需要を満たすに可能な量があると試算されているものでございます。これにつきましては、あくまでもOECDとIAEAが一定の前提条件を置いて試算したものでございますから、今後の先行き、すなわち原子力発電の先進国におきます建設が回復した場合、あるいは発展途上国で原子力発電へ新規参入が相次いだ場合には、中長期的にはウラン需給のタイト化あるいは価格の上昇を招来する可能性は大きいと理解いたしております。
○小澤(克)委員 そうすると、結論としてどういうことになるのでしょうか。当面、軽水炉を高度化をしていく、要するに軽水炉時代がなお続くということであれば、当面はワンススルーということにならざるを得ないと思うのですけれども、そういうことになりませんか。
○上村説明員 先生御指摘の点につきましては、先ほど御説明したとおり、原子力委員会におきましても高速増殖炉は可能な限り早期に開発を行うという方向が示されておりますし、また再処理につきましても、我が国は再処理して得られたプルトニウムあるいは回収ウランを積極的に利用していくという基本方針が示されておりまして、その基本方針を踏まえての軽水炉の技術の高度化でございまして、軽水炉につきましては、原子力委員会の長期計画においても、民間が中心となってその経済性、信頼性の一脳の向上に努力するとされております。その基本方針を受けまして具体的な開発目標、開発課題を検討したのがこの報告書でございます。
○小澤(克)委員 結局どういうことなのか、よくわからないのですけれども。 それでは、ここで科学技術庁の方にお尋ねしたいのですが、原子力開発利用長期計画というのが出たわけです。これについて改定の予定があるというふうに聞きましたが、事実でしょうか。
○中村(守)政府委員 お答えいたします。 現行の原子力開発利用長期計画は昭和五十七年につくられたものでございまして、この長期計画は大体五年ぐらいを一つの区切りにして見直しをしてくるというのが従来からの考え方でございます。そういう意味でいきますと、六十二年、来年がその時期に当たりますので、私どもとしてはそろそろ準備に入らなければいかぬということで勉強してまいりまして、今月中ぐらいには正式に専門部会を設けて検討に入る、そういうような段取りを現在考えておるところでございます。
○小澤(克)委員 そうすると、この四月から検討に入って、六十二年度に間に合うくらいのタイムテーブルで改定作業をやる、こういうことになろうかと思います。この四月からということですから、すべてはこれからということなんでしょうが、問題点としてはどの辺が問題点になろうかというふうに考えておられますでしょうか。
○中村(守)政府委員 お答えいたします。 まさに今先生御指摘のように、これから多くの方々の御意見を入れながら検討してまいるわけでございますので、そういう意味で、何がポイントかということは私として今の立場で非常に言いにくいわけでございますが、今先生から御指摘いただきました需要動向の変化等を踏まえて、今後の原子炉の開発路線にしても核燃料サイクル問題にしてもどのように取り組んでいくか、あるいは現在まで開発してまいりましたウラン濃縮技術とか、そういったものを実用化に持っていくといったことの戦略、その技術移転をしていく場合の問題、そういったようなことが今後の議論になろうかと思います。 それから、原子力の分野におきましても、いわゆる創造的な技術開発ということが今後の課題でございまして、従来はどちらかといいますと外国に追いつく、いわゆるキャッチアップというような形でのプロジェクトのつくり方というのがいろいろあったわけでございますが、核融合の例にも見られますように、核融合は今や世界の最先端を我が国も走っておるわけでございます。そういう意味での新しい方向に向けての技術開発戦略といったものも、今度の長期計画においてはいろいろ議論の対象になろうかと思います。
○小澤(克)委員 私の承知しているところでは、この現行の長期計画では高速増殖炉の実用期を二〇一〇年こると想定をして、その二〇一〇年ころまでの間は新型転換炉等でプルトニウムを使っていこう、こういう内容だったと承知しておりますが、先ほど通産省の方から伺ったところでは、どうも高速増殖炉についてはもう少しおくれそうだということのようでございますので、この辺についても当然長期計画では見直していこうということになるのでしょうか。いかがでしょうか。
○中村(守)政府委員 高速増殖炉の実用化時期につきましては、今まさに先生御指摘ありましたように、我が国のみならずヨーロッパ等においてもいろいろな議論のあるところでございます。そういう意味で、現行の計画では二〇一〇年ごろと言っておりますが、これがどうなるかということも一つの検討課題であろうかと思います。軽水炉から高速増殖炉へという基本的路線は恐らく何ら変わるところはないと思いますし、高速増殖炉が実用化されるまでの間、プルトニウムをいわゆるプルサーマルという熱中性子炉で使っていって、我が国の高速増殖炉が実用化する段階においてはプルトニウムの利用技術が円滑に高速増殖炉にも適用されていくようにという意味で、そういったプルサーマルの技術を確立していくということも重要な課題でございますので、高速増殖炉が実用化されるまでの間、熱中性子炉においてプルトニウムを利用していくという考え方も恐らく変わらないのではないかと私どもは考えております。
○小澤(克)委員 再び通産省にお伺いしたいのですが、先ほど示しました総合エネルギー調査会原子力部会の報告書によりますと、今後の「新型軽水炉の開発」というところで、開発目標として「ウラン資源の節約及び燃料費の低減」ということが目標に掲げられておりまして、技術開発課題としては高燃焼度の技術を開発するというような記載がございます。これは新型沸騰水型についても新型加圧水型についてもほぼ同様の目標としての記載があるわけです。そうしますと、高燃焼度ということになりますと、その限りでは燃料資源の節約になるのですが、再処理をしてプルトニウムを抽出してまた使おうという考え方からすれば、必ずしも適合しないのではないか、こういうふうに思うのですが、技術的にはそのとおりなんでしょうか。いかがでしょうか。
○上村説明員 軽水炉の技術高度化につきましては、今後の原子力発電へのニーズといたしまして、経済性の向上と並びましてウラン資源の有効利用を大きな開発課題といたしております。 この背景は、我が国は現在原子力発電規模が世界の約一割でございまして、これをウラン資源面で考えますと、世界のウラン資源の一割を消費しているわけでございます。原子炉の場合には、今後の技術開発によりまして発電コストの低減はもちろんでありますが、ウラン資源の有効利用、特に我が国の場合にはウランを全量海外に依存しておるという観点から考えますと、このウラン資源を少しでも有効利用していこうという面で、技術的な努力をしていこうというところでございます。その一つとして燃焼度を上げるということでありますが、この点につきましては、第一に安全性の問題もございますし、また、運転性能といった点も絡んでくる問題でございまして、いろいろな観点から検討がなされるべき問題、でございます。この軽水炉高度化の中では、大きな方向として燃焼度の向上ということを挙げてございますが、その具体的な進め方については、これから安全性の確保を大前提に検討がなされる問題でございます。したがいまして、やみくもに高燃焼度化ということを進めるということではなくて、段階的にこれから進めるものでございます。
○小澤(克)委員 全然そんなことを聞いてないですよ。高燃焼度がいいとか悪いとか言っているのじゃなくて、高燃焼度化を図るということは、再処理の上プルトニウムを抽出するという路線とはやや方向が違うのではないか、そこをお尋ねしたかったわけです。素人ですけれども、私の知識では、高燃焼度化をすると、同じプルトニウムでも非分裂性の、要するにプルトニウム239でないものの占める割合が多くなってくるし、それからまた再処理そのものも技術的に非常に困難になってくるというようなことから、高燃焼度化を図るということはプルトニウム再利用路線とはやや方向が違うのではないかというふうな認識があるのですけれども、そのとおりなのかどうなのか、技術面を教えていただきたい、こういう質問なんです。
○上村説明員 先ほども御説明いたしましたが、原子力委員会の基本方針は再処理路線が明確でございます。したがいまして、高燃焼度につきましてもこの再処理の基本方針を踏まえて行うことは当然でございます。したがいまして、この取り出されましたプルトニウムの取り扱いの安全性の確保、あるいは再処理施設での設計面等々につきましても配慮しつつ高燃焼度化を進めていくという基本方針を明らかにしているものでございまして、いつごろどれぐらいというような具体的な検討はこれからでございます。
○中村(守)政府委員 今先生御指摘なさいましたように、高燃焼度化するということは、再処理技術の面では確かに条件が厳しくなってまいります。しかしながら、私どもがプルトニウムの本格的利用を考えておりますのは高速増殖炉のケースでございまして、高速増殖炉におきましては燃焼度八万メガワットデーというような非常に高い数字になるわけでございまして、それを目指して私ども再処理技術の向上ということを図っておるわけでございます。そういう意味で、高燃焼度化ということがプルトニウムを利用していくという戦略と矛盾するということにはならないわけでございます。高燃焼度化するためには、最初のウランの濃縮度を高めまして、ウラン期をたくさん入れたような形で燃やすわけでございまして、結果としてプルトニウムは出てまいります。 それから先生今御指摘の、プルトニウムの中に非核分裂性のものが多くなるのじゃないかという御指摘もございます。しかし、相対的に確かに多くなるわけでございますが、プルトニウムの絶対量というものはふえてまいりまして、核分裂性のプルトニウムが減るわけではございませんので、それを再処理して取り出しましてプルトニウムを利用していくということで、我が国のプルトニウムの利用の戦略と高燃焼度化との間が矛盾をするというぐあいには私ども理解をしておりません。
○小澤(克)委員 技術面についてのお答えがやっとあったわけですけれども、私の知識とは大分矛盾するところがありまして、必ずしも納得できるわけではないのです。 高速増殖炉の場合は、要するにブランケットの方では確かに分裂性のプルトニウムができてくるわけですが、高燃焼を図れば、燃えている燃料それ自体の中ではやはり非分裂性のプルトニウムの比率が増大することは間違いなかろうかと思うわけです。その辺につきましては、私も技術面は素人ですので、もう少し私自身勉強したいと思います。 それからさらに、先ほどから指摘しております報告書の「次世代型軽水炉の開発」というところで、「技術開発課題」としてやはり「省ウラン型炉心技術の検討」というのがありまして、「水対ウラン比を可変としてプルトニウムの生成・燃焼をより多く行わせる等の改良を加えた省ウラン型炉心について検討する。」こういうものがあります。これはちょっとわかりにくいので、具体的にどういうことなのか、技術面をまず教えてください。
○上村説明員 省ウラン型炉心という目標を達成するための技術開発の方向としては、幾つかの方向がございます。 ここで例示として考えておりますのは、現在開発中で、六十一年度で開発の終わります新型軽水炉の中のPWRの方でも一部採用しているものでございますが、最初に水対ウラン比を小さくしておきまして、中性子の速度が遅くなるのをやめまして、いわば速い中性子でウラン238からプラトニウムをつくる。そこでできましたプルトニウムを、今度は水対ウラン比を大きくしまして、できたプルトニウムを燃やすというような一つの技術的なアプローチでございます。
○小澤(克)委員 そうしますと、燃料棒の密度を変化させることによって、高速中性子を利用する形態から、程度の問題でしょうが、やや低速中性子を利用する方向へずらせていく、こういうことでしょうね。そしてこの場合は、燃料棒の中に生成したプルトニウムを再処理等のプロセスを経ないでそのまま引き続いて燃すというか分裂させる、こういう理解で間違いないでしょうか。
○上村説明員 技術的なアプローチは、今建設中、逆転中の軽水炉に若干燃焼の初期の段階で水対ウラン比を小さくしておくという考え方でございまして、現在の軽水炉におきましても、燃料の寿命の間に発生します熱の三分の一はプルトニウムからてきておるわけでございます。その割合が若干大きくなるという考え方でございまして、プルトニウムを炉内で全部燃すとか再処理が不要になるとか、そういう技術ではございませんで、いわば現在の軽水炉の炉心技術の改良でございます。
○小澤(克)委員 再処理が不要になるかどうかというところまでは聞いていないのですけれども、要するに再処理をしないままで分裂に使われるプルトニウムを多くしていこう、比率を多くしようという技術であることは間違いないわけですね。 そうしますと、これはやはり基本的には再処理をした上でプルトニウムを抽出してまた使おう、再利用をしようという方向とは、方向としてやや違うのではないかと思うのですが、そうじゃないのでしょうか。
○上村説明員 先ほど御説明いたしましたとおり、この軽水炉技術の高度化は原子力委員会の基本方針を踏まえての具体的開発目標、開発課題の検討でございまして、再処理という基本方針を踏まえての検討でございますし、また、個々の技術の問題につきましても再処理を前提といたして検討しているものでございます。
○小澤(克)委員 だから、再処理を前提としているかどうかはいいのですけれども、実際には生成したプラトニウムをその場でなるべくたくさん燃してしまおうという技術ですから、再処理をしてプルトニウムを抽出する場合には、どうしても抽出されるプルトニウムの量としては減る方向の技術であることは、これは否定できないですね。そうでしょう。
○上村説明員 その辺は個々の燃料設計によって決まってくる問題かと思いますが、この省ウラン型の炉心と燃焼度を上げるという設計とあわせて検討されることを考えますと、プルトニウムの生成量も大きくなる、また炉内での燃焼量も大きくなるということで、厳密な数字は手元に持ち合わせておりませんが、現状の燃料と量的にはそれほど大差ないものと考えております。
○小澤(克)委員 どうもよくわからないのですが、本当にそうなるのかなという感じを受けるのですけれども、この技術というのは高転換軽水炉の技術とは別物なんですか、それとも一定のつながりのある技術なんでしょうか。
○上村説明員 先生御指摘の高転換炉といいますのは、これは軽水炉とは全く違った概念でございまして、いわばFBRと軽水炉の間の技術でございます。その最たる違いは転換比でございまして、転換比一以上がFBRでございます。軽水炉は、改良努力を続けましてもその転換比は〇・六程度であります。高転換炉という考え方、これはヨーロッパで現在まだ基礎的な研究段階でございますが、この場合には転換比を〇・九五でありますとかあるいは一近いところまでねらうということでございまして、いわば現在の軽水炉の概念とは若干異なるものでございます。
○小澤(克)委員 質問は、先ほどから指摘している次世代軽水炉においてプルトニウムの生成、燃焼をより多く行わせるという一つのアイデアが示されているわけですが、この技術というのは高転換軽水炉とは全然別系統ということになるのでしょうか。それはそれでいいわけですか。
○上村説明員 先生御指摘のとおり、この省ウラン型の水対ウラン比を可変とするという考え方とそれから高転換炉の炉心設計の考え方は、炉心設計技術の考え方としては別のものでございます。
○小澤(克)委員 切りがいいので、あとは午後に回して、この辺で終わりたいと思います。
○大久保委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時三十一分休憩 ――――◇――――― 午後二時五分開議
○大久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。小澤克介君。
○小澤(克)委員 午前中に引き続いてお尋ねいたします。 通産大臣の諮問機関である総合エネルギー調査会原子力部会の報告書についてこれまでいろいろ伺ってきたのですが、ここで軽水炉の高度利用化戦略という戦略を打ち出したわけでございます。そうすると、当然軽水炉の利用時代がいましばらく続くという認識だろうと思うわけですけれども、その場合に使用済み燃料はどうする方針なのか。再処理をするのか、あるいはプルトニウムの本格的な需要が出てくるまでそのまま保管するのか、その辺についてはどういうお考えなのか、通産省に伺いたいと思います。
○上村説明員 総合エネ調の原子力部会の報告は軽水炉の技術の高度化でございまして、技術を向上させることによって経済性の向上あるいはウラン資源の有効利用、あるいは廃棄物の発生量を低減し、作業者の受ける線量を低減しよう、あるいは新しい立地方式を開いていくための耐震設計技術の開発、いわば原子炉の設計、建設、運転の技術的な向上でございまして、再処理でありますとか、その辺を直接検討しているものではございません。しかしながら、原子力委員会の基本方針を踏まえて検討しているものでございまして、使用済み燃料につきましては、今後とも既定の基本路線であります再処理をし、そのプルトニウムをFBR、あるいはそれまでの間はプルサーマル、あるいはATRで使っていくという方針に変わりはございません。
○小澤(克)委員 再処理をする方針だとおっしゃいましたが、直ちにするということなのか、あるいはしばらくプルトニウムの需要が生ずるまで見合わすというようなことも政策としてはあり得ると思うのですが、その辺はいかがでしょう。いずれ再処理するというのはわかりましたが……。
○上村説明員 原子力委員会の基本方針が、再処理を行い、得られたプルトニウムは積極的に活用していくという基本方針が示されておりますので、その線に従いましてプルサーマルあるいはATRの開発にも努力しているところでございます。
○小澤(克)委員 そうしますと、原子力委員会の方針に従うということに尽きるわけですか。
○上村説明員 原子力委員会の原子力開発利用長期計画は、原子力委員会決定をもって決められているものでございます。我が国の原子力開発利用の基本方針でございますので、通産省としましてもその基本方針に従って諸般の技術開発等々の努力をいたしているところでございます。
○小澤(克)委員 ただ、長期計画自体これからまた見直すということのようでございますので、通産省としてのお考えあるいは方針があってしかるべきかなと思ったのですが、これ以上聞きましても同様の答えしか出ないだろうと思います。 そこで、高速増殖炉についてお尋ねをしたいのです。 今度は科学技術庁に伺います。 高速増殖炉については、先ほども既に若干出ましたけれども、現在「もんじゅ」の建設に取りかかっているわけですが、今後の開発の見通しはどのようにお持ちでしょうか。
○中村(守)政府委員 お答えいたします。 我が国の高速増殖炉の開発につきましては、現在原型炉の「もんじゅ」の建設に取りかかっておるところでございます。フランス等ヨーロッパに比べましても、既にかの地では実証炉が運転をしているというようなことで、その点で日本は立ちおくれたわけでございますが、幸いなことに、実用化の時期等についてはそもそも開発を始めた当初よりはおくれておりますので、開発にそういう意味での優位度が出ておるわけでございます。この原型炉「もんじゅ」というのは、高速増殖炉の基盤になる技術でございます。しかも建設を始めたわけでございますので、これはきちんと一日も早く完結して、運転を開始するというのが計画の進め方としては一番妥当だと思っておりますので、現在は「もんじゅ」の建設に一生懸命取り組んでおるわけでございます。 その後の実証炉の開発計画につきましては、現行の原子力委員会の長期計画におきましては一九九〇年代の初めに実証炉に着手をする、こういう形になっておるわけでございますが、現在実証炉の進め方等につきましては、当庁のみならず通産省も含め、かつ電力業界も含めまして、どういうやり方でやっていくかということを検討しておる段階でございまして、今後長期計画の見直しをするわけでございますので、その段階において、いろいろな環境も含めまして検討をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
○小澤(克)委員 「もんじゅ」については、これはいつごろ完成の予定でしたか。それからまた、費用については今後どのような見通しを持っておりますか。
○中村(守)政府委員 高速増殖炉「もんじゅ」の建設の仕上がりでございますが、現在六十七年度に臨界に達するということをめどに建設を急いでおるわけでございます。 資金につきましては、五千九百億という資金を見込んでおりまして、そのうち千三百八十億円を民間から拠出をいただく、こういう形で計画をいたしております。
○小澤(克)委員 「もんじゅ」は当初の予定では四千億円と聞いていたのですが、これが五千九百億に上がったのはどういったことからでしょうか。
○中村(守)政府委員 お答えいたします。 計画時とその後の計画のおくれ等もございました。物価の上昇等もございます。さらには県の方の環境審査とか、その後の安全審査に対するいろいろな検討等々から計画を見直したりした面もございまして、そういった面から結果的に、当初四千億と予定しておりましたのが五千九百億円になったという状況にございます。
○小澤(克)委員 民間負担分でございますが、当初四千億のときには民間負担分はどれだけという予定だったのでしょうか。
○中村(守)政府委員 当初のお話し合いでは、四千億の二〇%に相当する八百億円ということでプロジェクトを始めたわけでございますが、先ほど申しましたような諸般の事情から全体の計画の資金がふえました。一方、電源開発特別会計の方の財源事情等から、やはりその増額分につきましてはさらに民間の御協力を仰ぐのが適当かということで、民間ともいろいろお話し合いをしてそのように変更したわけでございます。
○小澤(克)委員 五千九百億中の千三百八十億というと、二〇%を超えるわけですね。これは、どういうことからその負担率まで上がったわけでしょうか。
○中村(守)政府委員 お答えいたします。 二〇%という比率に当初からこだわっていたわけではございませんで、電力業界と当初の計画では、ヨーロッパ等における民間負担等々も勘案し、当時アメリカのクリンチリバー等でもいろいろ民間の協力関係もございました。そういったことを参考にしながら、一応八百億という数字にしたわけでございますが、先ほど申しましたように電源開発促進特別会計の方の財源事情等もございまして、そちらの方で手当てをするよりも、民間が積極的に拠出という形で御協力をしていただいた方が総合的にはよろしいのではないかということで、民間の関係者ともいろいろ御相談申し上げて拠出をふやしていただいた、こういう状況にございます。
○小澤(克)委員 民間負担の、正式には出資金というのでしょうか、千三百八十億円、これについては既に合意がなされている、こう伺ってよろしいわけでしょうか。
○中村(守)政府委員 千三百八十億円のお金の拠出の仕方につきましては、必ずしも全部出資という形ではございませんで、出資金もございますし、寄附金もございますし、出損金という形のお会もございまして、三通りのお金の拠出のされ方があるわけでございます。千三百八十億については、科学技術庁と民間との間で話が決着いたしておるわけでございます。
○小澤(克)委員 それで、原型炉は六十七年度臨界ということで今後もつくるのだ、その後の実証炉についてはもう一遍検討するということでしたが、これはもし建設をするということになりますと、どの程度の金のかかるものなのでしょうか。
○中村(守)政府委員 まだ実証炉の規模とか、そういったものも決めておりませんし、まさにそういう意味では額がどのくらいということも決めておりません。現在の「もんじゅ」の計画の単純な延長線上で実証炉というものを考えるか、さらにはもう少しいろいろアイデアを出しまして実証炉の設計をするか、そこら辺も含めまして検討中でございますので、今額がどのくらいということを申し上げるような段階にございません。
○小澤(克)委員 これは通産省の方ですね。先ほど午前中から質問しました総合エネルギー調査会原子力部会が試算したところでは、今後一兆四千五百億円の開発費を見込んでいるというようなことが報道されていますが、これはこのとおりなんでしょうか。通産省の方、いかがでしょうか。
○上村説明員 先ほど御説明いたしましたとおり、実証炉以降につきましては電力業界が建設、運転の主体として現在検討中の段階でございまして、その建設資金等につきましてはいまだ検討の段階でございます。私どもとしましてはこの報告書の検討の段階で、今後軽水炉並みの経済性を確保するための実証炉以降の開発につきまして、幾つかのシナリオで幾つかの前提条件を置けば計算はできるわけでございますが、しかしその前提条件は今後さらに検討されるべき問題でございますので、先生御指摘の数字につきましては、これは一つの試算の段階でございまして、まだ確たる数値として結論を得ているものではございません。
○小澤(克)委員 あくまで一つの数字ということで一兆四千五百億円という数字が出ているわけでございますが、もし今後も開発を進めるということになると、この費用はだれがどう負担することになりますか。
○中村(守)政府委員 実証炉の資金の拠出をどういう形でやるかということについても、まさにこれからの話でございますので、今ここでお答えするのは適当でないかとも思いますが、新型転換炉の実証炉の建設の例を御参考までに申し上げますと、技術開発途上の発電所でございますので、かなり割高にはなるわけでございます。そういう意味で、その原発から出ます電気を電力会社がどの程度の料金で買い上げいただくかということを、石炭火力とかいったものといろいろ比較しまして「ある数字を置きまして、その数字で電気を売ったとしたら収支償う範囲のお金、建設資金は借入金によって賄い、その余、すなわち割高になる部分につきましては民間と政府との間で折半で分担して補助をしよう、そういうことで新型転換炉の場合は資金拠出が組み立てられておるわけでございます。
○小澤(克)委員 そうすると、いずれにせよ今後も民間負担、それから政府からの出資ということで、その比率はともかくとして、そういう形でやっていくことになりましょうか。新型転換炉の例ということで参考というふうにおっしゃったのですが、この前例にならうことになりましょうか。
○中村(守)政府委員 お答えいたします。 資金分担のことも含めまして全くこれからの検討でございますので、先取りするような発言は差し控えなければいけないのかとも思いますが、基本的には官民で共同して実証炉の建設、運転をして、開発の実を上げていくということになろうかと思います。
○小澤(克)委員 海外の状況を少し教えていただきたいのですが、アメリカではクリンチリバーの開発を中止して、現在は高速増殖炉については基礎研究のみ行っている。ごく最近のニュースでは、何かモジュール方式による高速増殖炉の新たな概念設計をしている向きもあると聞いていますが、クリンチリバーを中止したのはどういった事情からと認識しておられますか。
○中村(守)政府委員 米国がクリンチリバー計画を中止いたしましたのは、一つには、アメリカは比較的エネルギー資源に恵まれておりまして、早急にそういう炉の必要性がアメリカ自身としては弱いということ。それから核不拡散政策をアメリカが世界にいろいろ主導的役割を果たして、プルトニウムの利用についても非常に各国に利用を制約するような方針をとっているわけでございまして、アメリカの核不拡散政策からも二局速増殖炉の開発はアメリカとしては差し控える必要があるだろう。そういう事情もあり、かつまた財政支出が非常に多くなり、型が古くなったということ等もそれに加味されまして、中止という段階になったわけでございます。 アメリカは、御承知かと思いますが、非常に大型の実験炉を多数持っておりまして、そういう意味での技術的な基盤は非常に高いわけでございまして、今後また必要に応じ高速増殖炉の開発を進めていく姿勢は崩しておりませんで、我が国の動燃事業団あるいは電力業界に対して高速増殖炉についての協力をアメリカの方から積極的に申し入れてきておりまして、そういった協力の進め方等についての話し合いも行っているところでございます。
○小澤(克)委員 次いで、フランスについてはどうなっておりますか。比較的最近、スーパーフェニックスが臨界に達して、試験レベルではありましょうが、現実に電力を供給するに至ったということが報道されておりますが、フランスの開発状況について、いかがでしょう。
○中村(守)政府委員 フランスにおきましては、既に「もんじゅ」に相当するフェニックスという炉、これは二十五万キロワットでございますが、これの運転経験をもとに実証炉のスーパーフェニックス、電気出力百二十四万キロワットのものを建設いたしまして、昨年九月に臨界に達したわけでございます。現在試運転中でございまして、本年の夏ごろには商業運転を開始する予定と聞いております。これに続く大型のスーパーフェニックスⅡ、これは電気出力百五十万キロワットでございますが、こういう計画もフランスは持っておりまして、現在これの設計を進めている段階と承知しております。
○小澤(克)委員 報道によりますと、今出ましたスーパーフェニックスⅡ、百五十万キロワットについては一たん中止したということのようですが、これは事実でしょうか。
○中村(守)政府委員 私どもは、スーパーフェニックスⅡをフランスとして中止したということは聞いておりません。今後のスーパーフェニックスⅡの次の実用炉につきまして、革新的な設計を必要とするというような報告書、フランスの新型炉概念研究合同チームで勉強した結果としての報告が一部新聞等で報道されたということは承知いたしております。
○小澤(克)委員 多少違うようでして、今おっしゃった新型炉概念研究合同チームでは、高速増殖炉設計を根本的に変更する研究を行うんだ、なぜならば現在の技術の延長では実用化は難しい、実用化するには革新的な設計が要る、何らかのブレークスルーが必要なんだという認識だと報道されているのですが、そうじゃないのでしょうか。
○中村(守)政府委員 そのような報道は承知しておりますが、スーパーⅡの計画をしたがって取りやめたということは、私ども公式にもフランス政府の方からそういう話だということはまだ承知しておりません。
○小澤(克)委員 そうしますと、百二十四万キロワットのスーパーフェニックスを建設したフランスで、このままでは実用化は難しい、何らかのブレークスルーが必要なんだということであるとすれば、そのフランスの経験を踏まえて、先ほど原子力局長、我が国では少しおくれている、我が国でいえば「もんじゅ」に相当するものがフランスではフェニックスですが、これは既にできているということで、おくれているという話があったわけですが、おくれているということは、逆に言えば、先に進んだものの経験に学ぶという非常に有利な立場でもあるわけですから、そういう考慮があってしかるべきじゃないかと考えるのですが、いかがなんでしょう。
○中村(守)政府委員 先生御指摘のように、我が国はおくれておりますので、幸いにして先を走っておる国の技術開発の状況を見て、それを参考にして今後の開発計画を進めることができる状況にあるわけでございます。現在までも、動燃事業団で開発を進めてきておりますのが原型炉「もんじゅ」でございまして、これはいわゆる配管型、パイプタイプのものでございますが、フランスで開発しておりますスーパーフェニックスはタンク型のものでございます。西ドイツでは日本と同じパイプタイプの型のものを開発しているということでございまして、日本でも電力業界ではこのタンク型のものをいろいろ勉強しております。 〔大久保委員長退席、塚原委員長代理者席〕 そういうことで、実証炉の計画をどういう形で進めていくかにつきましては、我が国におきましても今後検討するわけでございまして、その際にどういう型のもので考えていくか、その際には当然のことながら、今フランスでそういう貴重な経験なり貴重な勉強結果が出ておるわけでございますので、そういったものも情報入手しまして参考にしつつ、今後の計画を検討させていただきたいと考えておる次第でございます。
○小澤(克)委員 スーパーフェニックスは発電コストが軽水炉に比べて約二・五倍ということが報道されていますが、これも事実でしょうか。
○中村(守)政府委員 大体そんな数字と聞いております。二・三倍という話もあるようでございます。大体そこら辺の数字でございます。
○小澤(克)委員 それから「もんじゅ」につきましては、これは原型炉ですからある程度高くなるのは当然という面もあるでしょうが、出力当たりでいいますと軽水炉の六倍の建設費である、こういう報道もなされておるのですが、これも間違いないでしょうか。
○中村(守)政府委員 「もんじゅ」につきましては、何分にも技術的実証をするという段階の炉でございます。しかも一カ所に一炉だけ建設するというようなことで、どうしても割高になりますが、先生御指摘のように建設費だけで単純にまいりますと、これは軽水炉の建設費のとり方いかんにもよりますが、約六倍というぐあいでございます。
○小澤(克)委員 フランスのスーパーフェニックスについては建設費が出力当たりではどのくらいになったか、数字は持っておられますか。
○中村(守)政府委員 先ほど私、二・三倍と申し上げましたが、これは建設費で二・三倍ということでございます。
○小澤(克)委員 そうしますと、何というのですか、キロワットアワー当たりの発電コストではどうなりますか。
○中村(守)政府委員 キロワットアワー当たり幾らかについて、ちょっと私ども手元に資料を持ち合わせておりません。恐縮でございます。
○小澤(克)委員 一月十八日付の日経では「スーパーフェニックスの発電コストは軽水炉に比べ約二・五倍」と書いてあるのですが、ここで発電コストというのは、日経の記事について皆さんに聞いてもわからぬとおっしゃるかもしれませんが、常識的に判断して、これは何のことなんでしょうかね。
○中村(守)政府委員 大変恐縮でございますが、燃料コストだとか人件費、そういったものについては向こうも特にいろいろな資料を出しておりませんので、私どもとしてどのくらいということをちょっと推測できませんので、恐縮でございます。
○小澤(克)委員 いずれにしても、このFBRについては実用化が大分先になりそうであるというお話、それからまた建設費が非常に高い。アメリカではやめてしまった。フランスでは、私が承知しておるところでは、スーパーフェニックスⅡの方は一たんストップしたというふうなことを聞いておりまして、実用化にはほど遠い状況であろうかと思うわけです。 恐らくそういったことを反映してだろうと思いますが、電力中央研究所という財団法人ですが、私の認識ではこれは電力業界のシンクタンクのような性格の団体であろうと思います。そこの経済研究所主任研究員であられる山地憲治さんという方が、雑誌「エネルギーフォーラム」の一月号に論文を書いておられまして、これは私、過日の予算委員会でも若干取り上げたのですが、余り時間がなくて細かい議論ができなかったわけです。この論文で「使用済み燃料を再処理してプルトニウムを回収し再利用することは、現在の条件下では経済的でない。」こういうふうに言い切っておられるのですが、この点について通産省あるいは科学技術庁の御認識はいかがでしょうか。
○中村(守)政府委員 お答えいたします。 現在ただいまの状況で、再処理をしてそのプルトニウムを軽水炉で燃やしたら、再処理しないでやるものとの採算性が合うのか、こういうことをただいま時点の状況でなにすれば、経済性は合わないと思います。しかし、今後の技術開発とか再処理コストの低減あるいは燃料資源の価格の高騰、いろいろなものが考えられるわけでございますが、一つの試算といたしまして、現在の状況で世界各国からいろいろデータを持ち寄りまして、CECDの原子力専門の機関でございますNEAという機関がございますが、そのNEAという機関で試算しました結果がございまして、再処理をしてプルトニウムを再利用するのと、再処理しないで使用済み燃料をそのまま地中に処分してしまうというものとのコストを比較いたしたものがございます。その数字では、再処理した方が燃料コストで一〇%ほど割高になる、こういう結果が出ております。燃料コストは発電コストの三〇%程度でございますので、そういう意味では三%ほど割高になるという数字が出ております。 現在試算しましてもその程度の差でございますし、今後の技術開発等によりましてコストの減少は図られるわけでございますし、何分にもこのプルトニウムの利用というのは、短期的な問題ではなくて相当長期的な展望のもとに進めなければならないわけでございまして、我々としては、経済性を追求しつつプルトニウムを再利用するという方向で、我が国のエネルギー資源の状況から考えましてもぜひとも進めてまいらなければならないと考えておる次第でございます。
○上村説明員 ただいまの原子力局長の御答弁のとおりでございます。再処理して得られましたプルトニウムは電力会社の資産でございますし、自分の資産であるプルトニウムを有効に利用していくということで、我が国のエネルギーセキュリティーを確保していくという点から重要でございます。このプルトニウム利用のコストにつきましては、再処理費に加えましてプルトニウム燃料の加工コスト等々のコストが影響する問題でございます。技術進歩あるいは民営加工工場等々の事業が本格化すれば、その時点で経済性につきましても軽水炉同様のレベルが確保できるものと確信いたしております。
○小澤(克)委員 先ほど指摘した論文で、こういうことも言っておられるのですね。 世界の原子力開発規模想定が大幅に縮小したことで、天然ウラン需給条件が長期的に緩和する見通しになったことに加えて、再処理価格やプルトニウム燃料加工費の高騰、高速増殖炉建設費低減の困難さ等、プルトニウム経済の成立に不利な条件が次々に明らかになってきた。プルトニウム経済という虚像を実像に変えるための開発戦略検討は政策判断を要する重大な課題である。 こういう指摘もあるわけです。こういう指摘に対して、科技庁それから通産省、それぞれどのようにお考えでしょうか。
○中村(守)政府委員 いろいろな考え方がございまして、この研究者はどの範囲のビジョンを持ってこのように言っておられるか定かじゃございませんが、これは一つの御意見でございます。我我、今後の我が国の原子力政策を考える場合におきまして、もちろんこういう意見もあるということを念頭に置きまして検討しなければならないわけでございまして、もうすべてがうまくいって、経済性も合うというような楽観的なことで我々も原子力政策を考えるつもりはございません。慎重に検討してまいりたいと思っております。 〔塚原委員長代理退席、平沼委員長代理 着席〕
○上村説明員 先生御指摘の点につきましては、先ほど御説明いたしましたとおり、再処理の商業化の本格化段階あるいはプルトニウム燃料加工の本格化段階に向けまして着実に技術開発を継続すれば、原子力の場合には技術力によりましてその経済性の向上を図ることが可能でございますので、通産省としましても、今後とも着実に民間の事業化に向けまして支援をしてまいりたいと考えております。
○小澤(克)委員 科学技術庁も通産省も、原子力委員会の計画もありますものですから、使用済み燃料については再処理をするという方針を堅持しておられるということは、恐らくその立場からすればそうだろうと思います。ただ、政策としては慌てて再処理をする必要はないではないか。現実にプルトニウムの経済的な利用方法が出てくるまではとりあえずは、これはなくなるものではないわけですから、使用済み燃料のまま保管しておけば足りる、こういう議論が先ほど指摘した論文の結論になっているわけですけれども、これは非常に傾聴に値するといいますか、最終的にワンススルーでいくということかどうかはともかくとして、とりあえず何も慌てて再処理する必要はないというのは非常にもっともなように聞こえるのですが、その点について通産省それから科技庁、いかがでしょう。
○中村(守)政府委員 お答えいたします。 先生御承知のように、原子力発電所が今日七十数%という安定した稼働率で運転してございますが、ここに至るまでには、発電所が実際に商業化されてから非常に長い年月の経験と技術開発の蓄積があるわけでございます。この技術開発は、単に実験室の中でやっていて問題が解決するというわけではございません。エネルギー資源のない我が国におきましては、究極的にはプルトニウムの利用を図っていかなければならない。それは、あるいは十年、二十年の間にその全量再処理をして、プルトニウムをどんどん使わなければにっちもさっちもいかないという状態にあるとは私どもも思っておりません。しかし、高速増殖炉の実用化時期、かなり先になりますけれども、それに向けて再処理技術、あるいは安全上問題ないわけでございますが、単に経済性のことを考えますと、やはり再処理技術もある程度の規模の工場で運転して、その中での技術が蓄積されていくということ、それからプルトニウムの利用につきましても、MOXという燃料に加工するわけでございますが、燃料の加工技術につきましても、ある程度の規模のもので加工して、産業技術を育成していくということがどうしても必要なわけでございます。原子炉の開発は定常化するまでに非常に長い年月を要するものでございまして、そういう意味で、今そういう再処理が経済性が合わないからやめちゃって、必要が出たときにやればいいじゃないかというような泥縄的なことではとても間に合わないわけでございます。我々としては、そういう基盤になるベースの再処理とかMOX燃料の加工とか、そういったものを続けて開発をしてまいりたい。 もちろん、将来におきましてそういう規模を超えて、なおかつそのときの燃料の需給状況等から見ましてプルトニウムを使う必要性があるかどうか、そこら辺は、そういう場合には一つのオプションとして、使用済み燃料を何らかの長期的な貯蔵をして再処理を一時見合わせる、そういうことも必要な時期も来ようかと思いますが、それがどの辺であるか、それから、それでは貯蔵をするにしましても、そのための貯蔵技術を開発していくわけでございますので、貯蔵技術の開発をどう進めるか、ここら辺も含めまして、今後、ちょうど長期計画を検討する段階でもございますので、そういうことも含めて検討をしていくのがよいのではないかと考えておる次第でございます。
○上村説明員 ただいまの原子力局長の御答弁のとおりでございまして、再処理工場につきましても下北で民営再処理工場をこれから建設に入るところでございますので、長期的な観点からこれから判断していく問題でございまして、現時点でまだ方向を出す時点には至っていないと考えております。
○小澤(克)委員 お聞きしていますと、最初の原子力局長のお答えは、いろいろ研究やある程度の実績を積んでいかなければならないという趣旨でしょうから、そうなりますと、全量再処理をもう即やっていくということにはどう考えてもつながらないわけですね。その試験研究は別として、どうでも再処理をどんどんやっていかなきゃならぬということには、どう考えてもならないように聞こえたわけです。 そして、使用済み燃料の貯蔵について技術開発が必要だというお話があったのですが、現在ではプールにつける方式だろうと思いますけれども、空冷方式ということも検討の対象に入っているわけでしょうか。あるいは、既に技術的な検討等を始めているわけでしょうか。
○中村(守)政府委員 私が先ほど申しました意味は、実験室的な、あるいは実験室に毛の生えた程度の研究をしていたのでは技術の改善、町上というのはなかなかに進まないわけでございまして、やはり産業技術ベースでの技術開発というのが必要でもございますし、それの経験、そういうものを実際にコマーシャルベースで建設し運転していくという経験、そういったものの積み重ねというものが必要だということでございます。小規模のことではなかなか将来の実用化に結びついていかないわけでございますので、現在下北に計画しております再処理工場程度のものは少なくともこれを完成して、そこから出てくるプルトニウムをMOX加工するということで加工技術を実用化に向けて開発をきっちりしていく、将来の本格的実用化といいますか、高速増殖炉等の実用化時期に備えてきちっとしていく、産業基盤を確立していくという意味からもある程度めものが必要なわけでございます。 それで、今貯蔵技術について乾式のものを検討する対象にしているのか、こういうことでございますが、私先ほど申し上げましたのは、具体的に今どういう貯蔵技術を開発するとかしないとか、そういうことを言っておるわけじゃございませんで、先ほどのような観点から長期計画を検討する段階において、その一つのオプションとして使用済み燃料を貯蔵するというような可能性についても検討の対象に置いて検討するということでございますので、それをさらにブレークダウンした形での具体的にどうするこうするというところまでは考え及んでおらないわけでございます。
○小澤(克)委員 今のお話の中で、少なくとも現在電事連を中心に、あれは原燃サービスでしたか、下北で計画している程度の再処理は行わなければならないというのが科学技術庁原子力局長のお考えのようですが、先ほど、現在通産省あるいは業界を含めて今後の方針について検討中であると言うのには、そうするとこの下北の計画は含まれないということになりますか。これはもう当然やるのだということになりますか。通産省、いかがでしょう。
○上村説明員 原子力委員会の長期計画におきましても「使用済燃料は再処理することとし、プルトニウム利用の主体性を確実なものとする等の観点から、原則として再処理は国内で行う。」と明記されておりまして、この具体的な進め方につきましては今後時間をかけて検討さるべきものと考えますが、下北の民間再処理工場につきましては、これは現在の長期計画に沿いまして電気事業者を中心として進められているものでございまして、あれは確実に推進する必要があると考えております。
○小澤(克)委員 予算委員会のときにも若干指摘したのですが、雑誌「選択」というものにかなり電力業界の内情を書いたような記事がございまして、これによりますと、電気事業連合会が昨年の夏に高速増殖炉推進会議というものを高速増殖炉対策会議に名称変更したということが書いてあるわけですけれども、まず、これは事実なんでしょうか。このこと自体事実かどうか、御認識はどうでしょうか。
○中村(守)政府委員 事実でございます。
○小澤(克)委員 推進を対策に変えだというのは、どういった意味だというふうに理解しておられますか。これは通産省になりますかね。
○中村(守)政府委員 これは名前をどうして変えたのかということまで私も探索しておりませんが、従来連合会の中に高速増殖炉の開発準備室みたいなものがございまして、そこにある程度のスタッフを置いていろいろ高速増殖炉問題を検討しておりましたが、その高速増殖炉の開発についてはもっとしっかりした組織で取り組むべきだという電気事業連合会の考え方で、原子力発電会社の方にその部門を移しまして、原子力発電会社が専門的にこの問題に取り組むという形になって、そういった意味の組織がえもあったわけでございます。 〔平沼委員長代理退席、委員長着席〕 そこら辺との関連もあろうかと思います。名前がどう変わったから電気事業者の高速増殖炉に対する取り組みの姿勢が変わったというようなことではないと考えております。
○小澤(克)委員 通産省も同じような御認識でしょうか。
○上村説明員 私どもが電気事業連合会から聞いておりますところでは、FBRの原型炉の「もんじゅ」が着工に至る段階になりました。したがいまして、その次の実証炉の建設、運転主体であります電気事業者として、FBRの確実な推進のために取り組み体制を強化したという説明を受けております。すなわち、実証炉のRアンドDにつきましては、昨年の十二月一日をもちまして日本原子力発電の中に高速炉開発部が設置されました。電気事業連合会は政策検討決定機関でございまして、ここでFBRの実証炉の開発に向けて本格的取り組みをするために、新たに高速炉対策会議を設置したと聞いております。
○小澤(克)委員 同じく先ほど言いました雑誌の記事によりますと、電事連の中にこれまでの原子力開発対策会議とは別に戦略委員会というのをつくったということも記載があるのですけれども、これは事実このとおりなんでしょうか。
○中村(守)政府委員 そのとおりでございます。
○小澤(克)委員 この戦略委員会というのは何の目的で、どういったことを検討するためにつくったというふうに聞いておられますでしょうか。
○上村説明員 私どもが聞いております範囲では、原子力問題を一般的な広い範囲にわたりまして、電力として今後の原子力開発につきましていわば高いレベルでの、業界全体としての検討の場としてこの戦略委員会を設置したと聞いております。
○小澤(克)委員 きれいごとはどうか知りませんけれども、この雑誌によりますと、これは電力業界の内部から取材をしたとしか思えないわけでして、電力業界の本音がかなりあらわれているように思うのです。 これによりますと、とにかくFBR、高速増殖炉などというのは金食い虫でつき合い切れない、今後も民間負担金を取られるのほかなわないというようなことから、しかもなかなか実用になりそうにないし、なるにしてもえらい先であるというようなことから、高速増殖炉推進会議というのを対策会議というふうに名称を改めた。名称を改めたということは、それはそれなりの意味があるわけでしょうから、あるいはさらに戦略委員会において今後の戦略をいろいろ検討し、そのことを通産省あるいは科学技術庁に率直に物申していくんだというような記載があるわけです。恐らくこれは本音だろうというふうに、仮に私が電力の経営者だったとしても同じような発想に立つだろうと思いますから、本音だろうと思います。これらの状況全体を見ますと、何もここで高速増殖炉あるいは核燃料サイクルという路線を突っ走らなければならない理由はどこにもないのではないか。 引き合いに出して恐縮ですが、原子力船「むつ」の場合は、とにかく船を一隻つくろうというような形でつくってしまったためにいろいろな問題が後で生じたわけですけれども、そこへいきますとこの高速増殖炉などについては、きちんとステップを踏んで研究をしておられるということは間違いないようでございますので、ある時点で研究の進め方をスローダウンしても、それまでに得られた知見というものはきちんと残るわけでございまして、決してむだになるわけではない。そういったことを考えますと、いま少し経済的な状況など、あるいは海外の諸国の経験などを踏まえて、技術開発の必要性あるいはその優先順位について見直しをするということが、貴重な税金を使うにしろ民間の拠出金をいただくにしろ、むだなことがあってはまずいわけですから、そういうことが必要ではないかなということを痛感するわけでございます。 幸いといいますか、原子力委員会でもこの長期利用計画についてちょうどこの四月から検討を始めるということでございますし、あるいは実証炉についてどうするかということについては、通産省、業界、科学技術庁を含めて検討し直すということでございますので、この機会に従来のいきさつにこだわらない柔軟な見直しがあるべきではないかというふうに思うわけでございます。 私は基本的には、軽水炉それ自体も決して現在の社会にフィットした技術じゃないというふうに思っております。そこまで言いますと議論がもうすれ違ってしまいますので、その議論はきょうは言いませんけれども、高速増殖炉に関しては十分見直す時期ではないかなという感じを強く持ちます。この辺につきまして、大臣、せっかくきょう来ていただいておりますので、突然で恐縮ですが、御見解を伺いたいと思います。
○中村(守)政府委員 ただいまの先生の御指摘の中で、電力の取り組みがどうもあの記事によると後退している、それが実際じゃないかというお話がございましたが、これはある意味で我々には逆でございまして、むしろ電力の方が非常に実証炉につきましては積極的に取り組むというポジションでございます。これは電力自身、電源特会の財源というのはもともとは電気料金から出るわけでもございますし、そういう意味で資金の使い方について電気事業者自身非常に監視の目を光らせてきておりまして、そういう意味での上に立って、電力としてもぜひとも自分たちも積極的にこの問題に取り組みたいという姿勢で今対応しておるわけでございまして、ある意味で我々の方がちょっと面食らっているぐらいな感じのところもあるわけでございます。 スローダウンしたらどうかということにつきましては、我が国が、今大変税金を使って申しわけないことですが、多額のお金を高速増殖炉に使っておりますのは「もんじゅ」の建設費でございます。この「もんじゅ」の建設をいたずらにだらだらするということは、お金の使い方からいっても技術開発の効率性からいっても決して得策なものではないわけでございまして、この基盤技術となる「もんじゅ」はきちっとした形で、むしろ計画どおり進めるということでございますし、それから、フランス等から比べましても、もう既にフランスは実証炉を建設し、運転し終わっている。フランスだけではございません。先ほどスーパーフェニックスⅡの話がありましたが、ドイツにおきまして別途その実証炉の計画がございまして、欧州全体で共同して開発していこうじゃないかというような動きもあるわけでございます。日本の方はそういう意味では立ちおくれているわけでございます。この開発が非常に時間がかかるものであるということから、我々も無理して急ぐというつもりはさらさらございませんが、諸般の事情を勘案しながら着実に開発を進めてまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
○河野国務大臣 高速増殖炉の問題につきましては、小澤議員御指摘にもなりましたけれども、経済性の問題でございますとかウラン資源の状況など、いろいろな観点からの御議論があってしかるべきと思っております。しかし、いろいろ議論はございますけれども、私といたしますと、国内にウラン資源を持たない我が国においては、ウラン資源を軽水炉に比べておよそ六十倍に活用することができる高速増殖炉において、使用済み燃料から回収される国内エネルギー資源とも言えるプルトニウムを積極的に利用していくことが極めて重要だ、こういう考え方もあるというふうに申し上げていいと思います。したがいまして、軽水炉から高速増殖炉へ移行するという原子力開発の基本路線、これは原子力委員会でも十分御討議をいただいておりますし、恐らくこの考え方はこれから先も基本路線として残っていくのではないか、こう考えるわけでございます。 もちろん、高速増殖炉を本格的に導入をしていくためには、経済性が非常に重要なポイントになるということは間違いのないことであろうと思うわけでございまして、軽水炉に拮抗し得る経済性を達成していくという高い目標を掲げて、関係者がそれに向かって努力をしていくということが必要になろうかと思います。ある人の話を伺いますと、ウラン価格が上昇してくれば経済的に優位な状況が出てくるから、そういうときまで待った方がいいのではないか、こういう御意見も聞くことができますけれども、そういう考え方ではなくて、むしろ安全性とか経済性を含めて軽水炉利用にまさる技術体系として高速増殖炉をつくり上げていく、プルトニウム利用体系を確立していくことを考えるということの方がより重要なのではないか、こんなふうに考えているわけでございます。 ただいま局長からも御答弁を申し上げましたけれども、フランスのスーパーフェニックスなどに比べますと立ちおくれでもあるわけでございます。我が国といたしましては、長期間の研究開発努力と技術蓄積というものを必要とするプロジェクトでございますから、おっしゃるように巨額な資金も必要といたしますけれども、長期的な視野に立ってこのプロジェクトには取り組んでいく必要がある、こんなふうに考えておるわけでございます。
○小澤(克)委員 この問題についてはこれでおしまいにしたいと思いますが、最後に通産省、ちょっと聞き漏らしていたのですけれども、総合エネルギー調査会原子力部会の報告書で軽水炉技術高度化戦略というものを打ち出したわけでございます。この軽水炉の高度化というのは、開発体制あるいはその資金については、若干最後のところに触れておられますが、具体的にどういうやり方を考えておられるのでしょうか。
○上村説明員 この報告書の中では、開発目標、それからそのための技術開発課題を整理してございますが、あわせて技術高度化計画の推進体制と資金についても整理されております。 軽水炉は実用炉でございますから、その高度化は基本的には民間主体で行われるものと指摘されております。ただし、安全確保上重要な技術につきましては、安全性の確保を大前提とする国の責任の観点から、国が支援あるいは必要があれば国みずからが実施するという整理をいたしてございます。したがいまして、これからその計画の具体的内容が検討されるわけでございますが、開発資金の分担につきましては、原則として民間が中心という考え方が明確に示されているのでございます。
○小澤(克)委員 これについての質問はもう終わりにしますが、この報告書にも「既存型軽水炉の技術高度化のために約六百億円、次世代型軽水炉の開発のために千億円前後の資金を要する」というようなことが記載されておるわけです。今のお話でもこれは結局民間ということでございますので、電力会社等がそれを負担することになろうかと思います。そうしますと、私は別に電力会社に何の義理もないわけですけれども、結局は消費者の電力料金に最終的にはかかってくるわけでございますので、こういう軽水炉の高度利用化戦略と高速増殖炉開発の負担という、何か二兎を追うことを電力業界に強いるということは、政策としてもう一つ整合性がないのではないかという感じを持つわけでございます。 ちょうど通産省からこういう戦略が出ましたし、私は決して軽水炉を認めるということではありませんけれども、それはともかくとして、こういう考え方も打ち出されたわけでございますので、この機会に高速増殖炉の開発をどうするのか、その時間軸の問題も含めて、方向はともかくとして、時間軸を少しスローダウンするとか優先順位を考えるとかいうようなことも政策としてあり得るわけですから、過去のいきさつにとらわれないで冷静な判断がなされてしかるべきだと思うのです。 きょうは、さきの予算委員会でも時間が足らなくて余り御説明いただけなかったので大変残念に思っていたものですから、最近非常に脚光を浴びております燃料電池につきましてぜひ御説明をいただきたいと思うわけです。 これは通産省の方になろうかと思いますけれども、そもそも燃料電池というのはどういうものなのか。残り時間が少なくなりましたので、その特性であるとか現在の開発状況、あるいは今後どういった発展をするのであろうかという見通し等について、簡単に教えていただきたいと思います。
○田中説明員 御説明申し上げます。 今御質問の燃料電池でございますが、燃料電池と申しますのはこれまでの電気の起こし方と逆の考え方、発想の転換と申しますか、そういうところがございます。例えば電気分解で水を酸素と水素にいたしますけれども、逆に水素と酸素で電気をつくるというような考え方でございまして、それのもとといたしまして、天然ガスあるいは石炭ガスというようなものを改質しまして得られます水素あるいは空気中の酸素を電気化学的に反応させまして電気を発生させるというものでございます。 この特徴といたしましては、そういうことで電気を発生させるもとのエネルギーといたしまして、いわゆる石油代替エネルギーというものを燃料とするというのが一つ。それから、これまでの燃料に比べまして発電効率が高い。例えば石油火力で申しますと四〇%ぐらいと言われておりますが、燃料電池の場合は技術が進みますれば四〇%ないしは六〇%、効率をさらにそれ以上上げることも理論的には考えられるというようなものでございます。それから三番目に大変特徴的なのは、もちろん低公害であるということがございます。それからもう一つは、需要の形態といたしましては、大量の供給ということでなくて、需要地ごとに供給システムというものができるというような特徴もございます。 そういうことで、通産省は、代替エネルギーの主要なものあるいは省エネルギーにも資するということで、ムーンライト計画というのを発足させまして、それにのっとって昭和五十六年度からフロントレベルの研究開発というのを始めておりまして、本年度その実証プラントを運転するという段階になっております。 今後のこういうものの実用化の見通してございますが、まだ多少そういう技術開発要素がございますのと、あるいはもともとコストの問題もまだ解決されておりません。それからさらに、電気の供給システムといいますか、制度面も含めましていろいろ検討しなければならない課題が多うございます。そういうことで、直ちに導入が始まるというようなことでございませんけれども、九〇年代に入りますれば、業務用でございますとか、あるいはそのほか先ほどの分散型と申しますか、そういう形でもって導入が始まっていくということを期待しております。
○小澤(克)委員 非常に低公害型であるということと、それから小規模でも効率がいいということから、これまでとはかなり違った電力の供給形態が予想されるわけです。これは社会的にもかなり大きなインパクトを与えるものではないかというふうに考えるわけですけれども、将来的な見通しとしては、どうなんでしょうか、現在の既存の火力といいますか、いわゆる汽力発電に取ってかわるようなポテンシャルを秘めたものなんでしょうか。そして、将来的には三千五百万キロワットぐらいまではいくのではないかというようなことも、これは通産省から出た数字だと思いますが、聞いておりますが、その辺の見通しはいかがでしょうか。
○末廣説明員 燃料電池につきましては、先ほど説明ございましたようにまだ技術開発段階ということで、将来電力系統の中でどういった形になるかというのは、まだ私どもとしても明確にビジョンを描いている状況ではございません。技術開発の状況を十分見きわめながら、その点につきまして今後検討していくという段階でございます。
○小澤(克)委員 確かに開発中ということではございますが、最近かなりの急進展を見せているようでございます。第一世代と言われている燐酸型については、もうこれは実用化間近というふうに聞いておりますし、最近の報道では第二世代と言われる溶融炭酸塩型燃料電池で、これはメーカーの名前を出してもいいでしょうけれども、三菱電機で連続一万時間運転を達成したというようなことも聞いておりますし、特に将来十兆円市場というようなことも言われまして、いろんなメーカーあるいは電力会社、ガス会社等も含めて、盛んに開発競争をしているというふうに承知しております。そうしますと、これをどういう形で、こういうせっかくのすぐれた低公害型の技術でございますので、社会に受け入れていくかということを検討することも、決して早過ぎはしないというふうに思うわけでございます。 これに関連いたしまして、これは燃料電池に限らないのですが、コジェネレーションというのがまた最近いろいろ話題となっているようでございます。これは私が言うまでもなく、電力を発生させると同時にその廃熱を利用して熱を供給する、これで暖房や冷房あるいは給湯等を行おうという、非常に省エネルギー型の技術だと聞いております。また、このコジェネレーションは最終的には燃料電池との組み合わせが最適であろうというふうにも聞いているわけですけれども、このコジェネレーションに関しまして、これは通産省でしょうが、どういう御見解といいますか、将来的にどういうふうに取り組んでいかれるお考えなのかをお聞かせ願いたいと思います。
○末廣説明員 コジェネレーションにつきましては、適切な運用が図られます場合にはエネルギー効率上のメリットがあるというふうに私ども認識しておりますが、一方、一般電力系統の中での導入に伴いまして、他の一般電気消費者に影響を及ぼすという可能性も予想されるところでございます。したがいまして、これらを総合的に勘案して、十分な調整を図りつつ導入すべきものというふうに考えております。こういった観点から、現在通産省におきましても、特に制度面の整備ということにつきまして検討会を設けまして、いろいろ検討を進めているところでございます。
○小澤(克)委員 既に通産省で検討会を設けて検討中であるということで、大変結構なことだろうと思うわけでございます。 その点で一つだけ伺っておきたいのですが、電気事業法の十八条でしょうか、ここで電力の供給義務が規定されているわけですけれども、極めて抽象的な基準だけ書いてあるわけですね。「一般電気事業者は、正当な理由がなければ、その供給区域における一般の需要に応ずる電気の供給を拒んではならない。」こうなっておるわけです。コジェネレーションが本格的に導入されてきますと、既存の配電網からの電力と並列につなぎまして、そのバックアップを受けなければ効率的な運転ができないだろうと思うわけです。そうしますと、この系統をつなぐところで何かトラブルが起こりはしないか。一般電気事業者から見れば、粗雑な装置に自分のところの電気をつなぐと逆にいろいろな影響を受けて困るから、それはやめてくれという話になりますし、コジェネを備えている需要家の方は、そんなことはない、立派な施設を備えているんだからぜひバックアップしてくれというようなことで、ややその辺が技術的あるいは手続的に問題が起こってきはしないか。 そうしますと、この十八条のような余りにも抽象的な規定、つまり「正当な理由」というだけでは賄い切れなくなるのではないかというような、やや杞憂かもしれませんが、私持っているのです。その辺についてはいかがでしょうか。法制面まで検討の対象となっているのかどうか、ひとつお答え願いたいと思います。
○末廣説明員 コジェネの設置に当たりましては、自家用電気工作物としての保安の確保が図られるということは当然でございますが、系統に併入されます場合には、先ほど先生から御指摘ございましたように、いろいろ適切な技術上の措置をとることが必要であるというところでございます。一方、電気事業法第十八条におきまして、一般電気事業者は正当な理由がある場合には電気の供給を拒むことができる旨規定してございますが、こういった系統の併入に伴いまして保安確保等の問題がある場合にも、これは適用されると判断しております。 それで、法律上は正当な理由がある場合という表現になっておりますが、具体的には供給規程におきまして、需要家に保安上の問題がある場合には需要家の負担において必要な保護装置等の設置を求めるということになっておりますし、それが行われない場合には供給を停止することができることになっております。そういった中で、当事者間で争いがあります場合には、これは司法上の問題ではございますが、電気事業法上、第百十一条の規定によりまして苦情の申し出をすることができますし、通産省としてはこれに対して誠実に処理すべきことが明記されております。したがいまして、現行の法体系で十分対応できるというふうに今のところ考えております。
○小澤(克)委員 時間が参りましたので、今の点については私なお若干疑問があるわけでございますが、その程度にとどめます。 最後に一つだけ伺いたいのですが、最近一方で円高になり、他方で原油価格が下がっているということから、これが今後の電力開発等にどういう影響があるかということを伺っておきたいと思います。基本的に、原油価格が非常に乱高下をしているようなときに一喜一憂するのは恐らく間違いだろうと思いますけれども、長期的に何らかの影響があることは間違いありませんし、またそれに関連して、今も触れました燃料電池にも関係あるのですが、最近、複数のエネルギーをそのときどきによって使い分けをする技術を開発しようというようなことを、特に通産省の方で考えておられるというようなことも聞いております。そういった技術面への影響等も含めまして最後に御説明いただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
○末廣説明員 差益のお話等ございましたが、電力、電気事業を取り巻きます環境というのは絶えず変化しております。そういった中で、私どもといたしましては、絶えず設備投資計画あるいは技術開発計画等につきまして長期的計画を策定させまして、また国としてもそれを十分チェックした上で、電力のいろいろな設備投資あるいは技術開発を進めているところでございます。今後とも、そういった方針で対処するということにしております。
○小澤(克)委員 終わります。
○大久保委員長 遠藤和良君。
○遠藤委員 きょうは、午前中以来かなりきめの細かい議論が続きまして、答弁される皆さんもかなり神経をお使いになってお疲れではないかと思いまして、大変恐縮でございますが、私はアバウトな質問でございますから、どうぞゆっくりした御気分でお答え願いたいと思います。 科学技術上の基本的な問題を数点お伺いいたしたいと思いますが、最初に、この間、三月二十八日に科学技術政策大綱を政府はお決めになりましたが、このねらいというものは一体どこにあるのかという点を確認をいたしたいと思います。 科学技術関係の政策といたしましては、初めて閣議決定をされたと伺っております。この閣議決定というものは、いわゆる科学技術の振興というものが国家の政策として大変重大な政策であるという重みを加えたのではないかとか、あるいは日本は資源の少ない国でございますが、科学技術振興への強い決意表明ではないかとか、科学技術立国宣言ではないかとか、こういうさまざまな認識があるわけでございますが、長官御自身はこの政策大綱の閣議決定をどのように認識されますか。
○河野国務大臣 先生御指摘のとおり、科学技術の振興は国家的な極めて重要な政策課題でございます。そういう認識に基づきまして、科学技術の振興について政府として基本方針を明確にして、関係省庁が一丸となって体系的に科学技術政策の推進を図ることが必要だ、こういう認識で大綱を決定をしたわけでございます。 なお、この大綱は科学技術会議の答申を踏まえて定められたものでございまして、私といたしましても、本大綱に基づいて基礎的研究を中心とした創造性豊かな科学技術振興に全力を傾注してまいりたい、こう考えております。
○遠藤委員 私も全部読ましていただいたわけでございますけれども、まず最初に基本方針といたしまして三つのことが強調されているのではないかと考えます。まず第一点は創造性豊かな科学技術ということでございまして、第二点は人間及び社会のための科学技術、第三点は国際性を重視した科学技術、こういった三つを基本方針として掲げているように思われます。 その中でも特に重要研究分野といたしまして、(ア)から(キ)まで七項目挙げられております。特別に明記をしておるわけでありますが、一番目が物質・材料系の科学技術である、これが(ア)同でございます。(イ)は情報・電子系の科学技術である、(ウ)はライフサイエンス、(エ)はソフト系科学技術、(オ)は宇宙科学技術、(カ)は海洋科学技術、(キ)は地球科学技術というふうに、これからかなり発展が期待されるであろうという基礎的な、あるいは先導的な科学技術を例記しているわけでございますが、特にこういった分野を指定をいたしまして(ア)から(キ)まで明記した理由というものは一体どのように考えていらっしゃいますか。
○長柄政府委員 科学技術政策大綱におきまして、第一の「新しい発展が期待される基礎的・先導的科学技術」の分野として、先生のおっしゃいましたように(ア)から(キ)までの七分野を重要分野として指定したわけでございますが、本件は実は五十九年の十一月にできました科学技術会議の第十一号答申を踏まえて作成しております。十一号答申を作成する段階で、基礎研究分野はすべて重要でございますけれども、その中で特に将来の新しい発展が期待されるような分野ということで専門家の方にお集まりいただき、いろいろディスカッションしていただいて、特に将来性があるということでこの七分野を指定したわけでございます。
○遠藤委員 ほかの項目は一、二、三となっているのです。ここのところだけ(ア)、(イ)、(ウ)になっているのですね。これは重要度順に並べたのであれば一、二、三ではないかと思うのですが、(ア)、(イ)、(ウ)というのは特別な意図がありまして、どれもこれも重要であるからパラレルな感覚で並べられたのでしょうか。
○長柄政府委員 この七分野につきまして特に優先順位があるわけではございませんで、すべて同じ程度重要だということで挙げております。
○遠藤委員 確かに七分野はいずれも二十一世紀に向けましていわゆる時代の花形技術でないかな、こういうふうに仄聞するわけでございますが、ちょっと総花的過ぎるのではないかという印象もあるわけでございます。国の科学技術の根本施策として総花的に力を分散させるのがいいのか、ある意味では優先順位をつけて集中的に推進する方がいいのではないか、こういう意見もあるかと思いますけれども、その辺の御認識はいかがでございますか。
○長柄政府委員 このいずれも基礎的研究分野でございまして、正直申しまして、基礎研究というのは実際に研究をやってみないと成果はわからないというふうな性格を本来持っております。そういう意味で科学技術会議といたしましては、この七分野が最も有望そうであるということで指定したものでございます。 それで、これは総花的ではないかという御指摘でございますけれども、この大綱の基本方針にも書いてございますように、国際協力ということもまた一つのウエートを置いております。したがいまして、基礎研究といえども今後はいろいろ大規模な研究も必要になってまいります。そういうことで、日本の非常に特徴を持っておるところ、またヨーロッパ、アメリカの特徴を持っておるところというふうなことで、また、国際協力によってある分野につきまして日本の持ち分を決めるとかいうふうなことで、一種の国際分業というふうなことも考えていきたいと考えている次第でございます。
○遠藤委員 こういう重要分野を指定するということは、この基本的な姿勢でうたっております創造性豊かな科学技術という面とある意味で相反する問題があるのではないかなという印象を僕は受けるわけでございます。 といいますのは、創造的な科学技術、創造性というものは一体どこから生まれるのかといいますと、決して重要分野を指定したからそこから生まれるものではないものが多いわけでございます。創造的あるいは基礎的な科学技術のシーズというものはどこから生まれるかと申しますと、例えば、これは有名な話でございますが、イタリアのカルバーニというお医者さんがおりまして、その方がカエルの足を使ってメスを入れましたらぴりりと電気が走った。動物電気というものを発見されたわけでございますが、それを聞いておりましたボルタという方が異種の金属の間に電圧が生じるのではないかという考えを持ちまして、金とか鎖とかあるいは銅とか、そういうものを食塩の中につけて実験をしたところ、たまたま電流が通りまして電池というものが発見された。電気の起こる原因は、食塩と化合いたしまして化学変化によって起こるわけでございますが、カルバーニのカエルの足がボルタの電池を生んだ。 こういうふうに、ある意味で全然関係のない分野で一生懸命やっていた研究というものがヒントになりまして画期的な新しい科学技術というものが出る、こういう可能性も十分にあるわけでございますね。ですから、独創的なもの、基礎的なものを重視すると言いながら、片一方でこれが重点研究分野でございますよと指定するのは、何かちょっと相反するような印象を受けるわけでございますが、その点はどういうふうにお考えになっておりますか。
○長柄政府委員 例えばの話でございますが、ライフサイエンスの基礎を一生懸命やろうということを指定するわけでございますが、これは生命現象、いろいろな細胞なり個体なりの持っている生命現象などを追求していきまして、その現象を利用して新しい技術革新の芽に結びつけていこう、こういうねらいでございます。今先生のおっしゃいましたように、例えば生命現象をやるような場合でも、これは単にお医者さんとか生物屋さんだけがやるというのではございませんで、例えばエレクトロニクスの方、機械の方、生物の方、また化学の方、こういういろいろな専門の方が集まって、学際的な研究を進めていくということが必要だと思います。そういう意味で、同じ生命現象を扱うのでも、在来のような生物学者だけでやるということを考えているわけではございませんで、学際的、さらに国際的な面で大いに振興してシーズの探索に向けていきたい、こう考えております。 〔委員長退席、平沼委員長代理着席〕
○遠藤委員 それであれば私も納得ができるわけでございますが、企業の間ではこのごろよく異業種交流というようなことが言われるわけでございますね。学者の間もそういった全く違った分野の研究者がいいアイデアを交換し合って一つのものをつくり上げていく、これがシーズの探索につながるものではないかなと思うわけでございます。日本の科学技術は昔から、何かシーズが外国にありまして、それを日本に輸入いたしまして、それを加工して第二次的にそれに付加価値をつけてやっていくというものが多かったわけでございますが、今や日本の国もかなり大きい科学技術大国になったわけでございますから、二番手から一番手に走らなければならない、こういう課題もあるわけでございますね。そういった意味で、ぜひ異なった学者の方々が学際的にお集まりになって創造的な研究体制を組まれるように、ちょっとその辺が科学技術政策大綱の中の文面としてあらわれていないような気がいたしたものでございますから、お伺いしたわけでございます。 それからもう一点気になるのでございますが、基本方針の中では人間及び社会のための科学技術というものを大変重視されているわけでございますが、どうもこういった重要研究分野の視点というものが表に出過ぎまして、人間という視点が欠落しているのではないか、こういうふうな印象を持つわけでございます。何か将来お金のもうかりそうな分野ばかり重点的にいくような感じでございまして、もっと大事な、科学技術はそもそも人間のためである、あるいは社会のためになる、こういった視点というものがどういうふうに盛り込まれておりますか、お伺いしたいと思います。
○長柄政府委員 第一部の「基本方針」にございますように、今後の科学技術はあくまで「人間及び社会のための科学技術という原点に立ち、人間そのものに対する理解を深めながらこれと調和ある科学技術の発展を図る」というのが基本方針に書いてあるわけでございます。 具体的には、重要研究分野のライフサイエンスというようなところで、そこは一行しかございませんけれども、その意図するところは、生物系の科学技術を振興するというのにあわせて人間系、人間自身の研究、理解をしようということで、例えば脳の研究、人の免疫系の研究、こういうことによって人間そのものの理解を深めようということを考えております。さらに重要研究分野の(3)でございますけれども、「社会及び生活の質の向上のための科学技術の推進」ということを挙げておりまして、これはいずれも人間中心の科学技術を考えようということで、そこで「快適で安全な社会の形成」というのがございますが、ここでは健康の問題、例えば老化の制御の問題、こういうことが対象になっておりまして、今後の科学技術政策というのはあくまで人間中心に考えていきたいという線は、重要研究分野についても貫いているつもりでございます。
○遠藤委員 長官にお伺いしたいのですけれども、「プロメテウス」という雑誌の巻頭に長官の抱負のようなものが載っておりました。私も拝見させていただきました。この中で長官は、特に科学技術というものは人間と社会のためにあるのだというのが持論である。そして生活環境を改善し、生活の快適度を高める科学技術であるとか、テクノアメニティという言葉をお使いになっておりますけれども、そういったものを科学技術の考え方として取り上げていきたい。具体的には、例えば下水の処理をどうするかとか、あるいは騒音とか振動の防止などを考えたい、こういったことを言われているわけでございます。 基本的には科学技術政策大綱の中にうたわれている方針に沿っていると思いますけれども、具体的な施策としてそういうものを科学技術庁は音頭をとって呼びかけられるお考えがおありなのかどうか、お伺いしたいと思います。
○河野国務大臣 私は、科学技術の目指すものは一体何なのか、こういうことを考えますと、科学技術が目指しているものは人間といいますか、生きとし生けるものの生活をより快適にしていくということが科学技術の目指すものであって、科学技術だけがひとり歩きしてしまって、科学技術に人間が追いまくられるというようなものは科学技術の目指すものではないと思っているわけでございます。科学技術政策大綱の中には、むしろもっと根本的な問題について書かれておりまして、今先生が御指摘のような基礎的研究にもっともっと力を入れようとか、そういったことは書かれておりますけれども、今先生が御指摘になりました、人間及び社会というものを考えた科学技術ということにアクセントを置いてみたいと私自身は考えておるわけでございます。 科学技術庁でいろいろな試験研究機関を見て歩きましたけれども、例えば航空宇宙技術研究所などを見てみますと、例のファンジェットSTOLの「飛鳥」の研究というものは、私は非常にいい研究をしているというふうに感じたわけでございまして、騒音の問題でございますとか安全性の問題でございますとか、さらには省エネルギーという観点でございますとか、いろいろやらなければならない観点がたくさんあるわけですから、そうしたものの中から可能なものを育てていくということも非常に重要だ、私はこう考えた次第でございます。
○遠藤委員 長官はいみじくもおっしゃいましたけれども、科学技術がひとり歩きをしてはならないとおっしゃることは、私はこのように理解をいたします。科学技術というのは、やはりある意味ではもろ刃の剣でございますね。ですから、人間のために科学技術があるのであって、科学技術のために人間が使われてはならない、こういう意味ではないかと思うわけでございますが、確かに科学技術は巨大な、あるいはまた化け物的なものもあるわけでございまして、よく人間がコントロールをし、人間のために利用できる、人間の幸せと福祉につながるといった観点を忘れてはならないと思うわけでございます。 この政策大綱の中で、今後の科学技術の振興にとって大事なものは何かといったところで、特に人材がかぎであろう、人間というものがかぎであるということが書かれているわけでございますが、全く私は正しいと思います。特に基礎的、創造的な研究分野においては、その中心的な担い手になっている方は若い研究者です。これは特に文部省の方にもお伺いしたいわけでございますが、大学院の博士課程を修了したのだけれども、教授にもなれない、助教授にもなれない、いわゆるオーバードクターとして残っていらっしゃる方がたくさんいるわけでございます。この方々に研究費をどう出すかとか処遇をどうするかという問題があるわけでございますが、こういうオーバードクターの方々がある意味ではそういう創造的な研究の担い手になっているわけでございますし、しかも環境的には大変厳しいものがあるわけでございますが、オーバードクターの処遇というものをどのようにお考えになっておるのか、お聞きしたいと思います。
○佐藤説明員 お答え申し上げます。 先生今御指摘をいただきましたように、独創的、先端的な基礎的研究を推進するに当たりましては、それを担う若手の研究者の養成確保という点は大変重要な課題というふうに考えておるわけでございます。そういう意味で、文部省におきましても、大学院の博士課程修了者等の若手の研究者を対象にいたしました新しいフェローシップでございます特別研究員制度というのを昭和六十年度より発足させまして、日本学術振興会の事業として現在実施をさせていただいているところでございます。 この制度は、大学院の博士課程の修了者に加えまして、大学院の博士課程在籍者も含めました若手の研究者に二年間、例えば大学院の博士課程修了者にありましては助手の初任給に相当する月額二十万九千円を研究奨励金として支給をいたすとともに、科学研究費の補助金から毎年度百二十万円以内の研究費を交付いたしまして、若手の研究者が自由な発想のもとに主体的に研究に専念できる、こういう本格的なフェローシップを始めさせていただいたところでございます。六十一年度の予算におきまして、大変厳しい予算でございましたが、その中でもこのフェローシップの問題については最大限私ども重要課題として取り組みまして、新規の採用者数の枠を、六十年度は百四十四人でございましたが、百人増の二百四十四人、総数で申しますと二百四十四人増の三百八十八人に拡充をさしていただきますとともに、研究奨励金も増額を図るなど、この制度の充実を図ったところでございますが、先生御指摘いただきましたように、なお今後ともその拡充に努めさせていただきたい、かように考えております。
○遠藤委員 今、初年度と今年度で合わせて三百八十八人と伺いましたが、オーバードクターはかなりの数、もっとたくさんの救いらっしゃるわけでございまして、この事業が始まりましたことを心から歓迎するものでございますけれども、引き続いて強力に推進をしていただきまして、何といっても日本の科学技術の最先端を担っている若い人材の処遇ということが大変重大な課題ではないかと考えますので、鋭意努力を心からお願いを申し上げたいと思います。 話は変わりますけれども、先般、昨年の八月でございましたが、日本航空の飛行機が事故を起こしまして以来、金属疲労の問題が世間的にも大変クローズアップをされておりますが、この金属疲労の研究というものは我が国ではどの程度進んでいるのでしょうか。
○藤咲政府委員 我が国での金属疲労の研究はいろいろなところで行われておりますが、例えば大学とか国立試験研究機関等におきましては、疲れ現象の解明というような基礎的な研究、あるいは新しい材料を開発するとかいう場合に必要な応用を目的といたしました疲れ特性の評価研究とか、そういう研究をしております。それからさらに、材料関係の民間企業でも、各方面で実際のそれぞれの会社の製品に使用するための材料に関する各種の研究をやっております。 ただ、これらの中で特に中心になっておりますのは、私どもの所管しております金属材料技術研究所でございまして、ここでは従来から疲れに関する研究を総合的に推進しておりまして、さらに各種の材料に共通いたします現象の解明、さらにはいろいろな機械とか構造物の設計あるいは検査、さらには現在使われているものの寿命予測に必要ないろいろな基礎的なデータの取得のための試験というものを、長期間をかけて実施しているというようなことでございます。また、この長期間かけて取得しましたデータは、いわゆるデータシートというような形で関係者に御利用いただいておるということでございます。 現状はそのようなことでございます。
○遠藤委員 先ほどお答えを賜りました文部省の佐藤学術課長さん、質問終わりましたから、どうぞお帰りになって結構でございます。お忙しい中、ありがとうございました。 材料の研究のことでございますけれども、今金属疲労の話をちょっと伺いましたが、昔は重厚長大型産業と言われておりまして、スチール、鉄が主役であったわけでございます。今は軽薄短小の時代と言われまして、その主役は新素材が担っているように思われるわけでございます。材料研究というのは大変地味な学問でございまして、しかし、これはあらゆる産業の基盤になる大事な研究分野でもございますが、我が国の材料研究の現状というものは、ほかの諸外国に比べましてまだ予算も人員も少ない印象を受けるわけでございます。我が国の材料研究の現況といいますか、研究開発状況ですね、それからこれに対して科学技術庁としてはどのように認識をされておるのか、材料研究全般にわたってお答えを願いたいと思います。 〔平沼委員長代理退席、小宮山委員長代理着席〕
○内田(勇)政府委員 お答え申し上げます。 材料の科学技術と申しますのは、宇宙、航空、原子力、海洋、情報・電子技術といったあらゆる科学技術の基盤となるものでございまして、これは民間におきましても積極的な研究開発を推進しておりますが、国におきましても、先生今御指摘ございました新素材といったような基礎的な、先導的な分野を中心として活発な研究開発を進めておるところでございます。私ども科学技術庁におきましても、昭和六十一年度の予算におきましては、前年度に比べまして八・四%増の九十二億三千万円という予算を計上しておりまして、その積極的な推進を図っておるところでございます。 それで、材料科学技術の我が国の研究水準が外国と比較してどうかというお話でございますが、材料科学技術と申しますのは非常に広範な分野にわたっておりますので、一概にこれを評価するのは大変難しいことでございますけれども、五十九年十一月の科学技術会議の十一号答申におきまして、材料につきましては、先進諸国が生み出した素材をもとに、その改良による性能向上及び低コスト化のための製造技術の確立に中心が置かれてきたというような評価、指摘をしておるところでございます。このため、今後は基礎的なレベルからの研究開発をより一層充実していくことが課題であろうというふうに考えております。
○遠藤委員 新素材の開発というのはかなり膨大な資金と時間がかかるわけでございまして、リスクも伴うわけですね。これをどういうように乗り越えていくかというのが課題になるわけでございますが、科学技術庁所管の新技術開発事業団が行っております委託研究の中で、この新素材に関連するものはどのくらいございますか。また、どのような研究を行ってまいりましたか。
○藤咲政府委員 新技術開発事業団におきましては、先生御指摘のように委託開発制度というのを実施して、民間企業だけでやるには非常にリスクの大きい研究開発につきまして、それが成功した場合には五年年賦で返済していただく、それから不成功となった場合には返済しなくて結構ですというような制度を実施しております。 この制度で見ますと、素材関係につきましても従来から非常に積極的に課題を取り上げてきておりまして、例えば過去三年間の開発課題で申し上げますと、材料以外のものも含めて全体では五十一課題、委託開発契約額で言いますと百四十六億円ということになっておりますが、そのうち新素材関連のものが十七課題、契約額で四十六億一千万円ということでございまして、課題数で見ましても契約金額で見ましても、大体三分の一程度は新素材関連のものに使っておるわけでございます。十七課題もございますので、具体的に申し上げるのはなかなか難しいのですが、二、三最近の課題例を申し上げますと、例えば電力の変圧器の鉄心用に非常にすぐれた性質、磁気特性を持ちますアモルファス、結晶構造を持たない金属でございますが、こういうものを開発課題に取り上げたとか、あるいは炭化珪素繊維、非常に強いという特性を持ったものでございますが、こういったものの開発を取り上げるとか、いろいろやっておりまして、非常に好成績を上げているということでございます。
○遠藤委員 こうしてつくられました新素材をどういうふうにして試験をするかということなのでございますが、これは通産省に関係すると思いますけれども、新素材をJIS化、工業規格化する段取りをどういうふうにお考えになっているのか。やはりJISの体系の中に組み込んでいかなければいけないと思うわけでございますが、スチールを中心に組み込まれているのが現在のJISの体系でございまして、試験方法なんかも随分考えていかなければいけないのじゃないかと思うわけでございます。その辺はどのようにお考えになっておりますか。
○久禮説明員 新素材のような技術革新の激しい分野におきましては、そこで使用いたします用語を統一するとか試験方法、評価方法を統一いたしまして、お互いに概念を明確にいたしまして、いろいろなデータを比較検討できるようにすることが非常に重要でございます。昨年七月に日本工業標準調査会から通産大臣に建議がなされておりますが、その中で、技術革新の激しい分野におきましては技術開発のいわば支援基盤と申しますか、テクノロジーインフラストラクチャーというような言葉で言われておりますが、そういうために標準化が積極的になされなければならないと言われておりまして、私どももそういう意味で新素材の研究開発、標準化に取り組んでおるところでございます。 具体的に申しますと、今まで既に行われております研究ではファインセラミックスの標準化に関する調査研究、それから有機複合系の新素材に関しまして標準化の研究を進めております。また、本年度から新たに金属系の新素材の標準化に関する調査研究を進めておりまして、今後も新素材の分野におきまして標準化を進めてまいりたいと考えております。今御紹介しました中でファインセラミックスにつきましては、既に幾つか成果が出て、一部JIS化を進めたところでございます。 〔小宮山委員長代理退席、平沼委員長代 理着席〕
○遠藤委員 お聞きいたしておりますところでは、新素材の開発、それからいわゆる試験評価体制づくりを進めるために、通産省の中で金属新素材研究開発財団を、これは仮称でございますが、設立する構想を持っていると伺っております。この財団というものはどういうふうな目的、性格でございますか。
○久禮説明員 この財団は、現在考えておりますところでは、先生御指摘の新素材の試験方法、評価方法につきまして統一的な標準化を行っていこうということを考えております。
○遠藤委員 科学技術庁にお伺いしますが、新素材研究のためにデータバンクをもっと充実強化する必要があると思いますが、こういう考え方はお持ちでしょうか。
○藤咲政府委員 科学技術関係の情報センターとしてJICSTがございますが、JICSTにおきましては従来からいわゆる文献情報をデータベース化いたしまして、最近では年間大体五十万件ぐらいずつデータベースに繰り入札できておりますが、この中で新素材といいますか、材料関係のデータは相当のウエートを持っております。全体を一緒に入れておりますものですから、具体的にそのうちどれくらいが新素材関係かというのはちょっと私どもは明確には申し上げられませんが、相当のウエートを持っておることは間違いございません。 それからさらに、こういう文献情報以外のいわゆるファクトデータと呼んでおりますが、研究成果としていろいろデータが出てまいりますが、こういったデータをデータベース化するといいますか、これも最近、昭和六十年度くらいから手がけ始めておりまして、その中で新素材に関連あるものといたしまして、一つは金属材料データベース、もう一つは結晶構造データベース、この二つの新素材関係のファクトデータベースの整備に現在取り組んでおるところでございます。まだスタートして間もないものですから、今のところ件数的にはそれほど多くございませんが、予算的に年々ふやす方向で現在努力しておるところでございます。
○遠藤委員 確かに官民協力と申しますか、民間が手をつけない分野があるわけでございます。そういった基盤整備というものはやはり国がやっていく必要があるわけでございまして、今科学技術情報センターの中にもたくさんの情報があるようでございますが、それを機能的に生かすためにも、新素材の研究者がそこに参りますと情報が直ちに出てくるというふうな情報の整理ですね。新素材関連のプロジェクトをおつくりになるとか、何かそういうお考えで十分に研究者が活用できるような情報センター、データバンクを充実していくことが大変重要ではないかなと考えますが、そういう方向性を持って御検討、推進を願えますか。
○藤咲政府委員 ただいま申し上げましたとおり、私どもとしては意図的に材料関係の研究をより円滑に進めるという趣旨で、今文献データバンク及びファクトデータベース双方の拡充に努力しておるということでございまして、引き続き今後ともそういう方向で努力してまいりたいと思っております。 〔平沼委員長代理退席、委員長着席〕
○遠藤委員 新素材関連につきまして、最後に長官の所見をお伺いしたいのです。 私ども公明党は、昨年の八月七日でございますが、昭和六十一年度の科学技術関係予算の要望を大臣に出しました折に、十一項目目に材料科学技術の振興をうたいました。すなわち「新材料は、あらゆる分野の技術開発に関連し将来の科学技術の発展を左右する重要なものである。そして、新材料の開発は過去においては、伝統的、経験的技術によっていたが、二十世紀物理学の発展により理論的に把握できる時代になっている。したがってこうした時代に対応するような材料科学技術を推進すること。」と、その重要性を指摘しているわけでございますが、特にあらゆる科学技術振興の基盤となります材料研究について、長官の所見を賜っておきたいと思います。
○河野国務大臣 一昨年十一月の科学技術会議第十一号答申におきましても、その重点的推進の必要性が指摘されているわけでございます。 この分野におきます具体的な推進方策につきまして、航空・電子等技術審議会におきまして、昭和五十九年九月に材料設計による新材料の創製のための推進方策を取りまとめ、さらに本年三月には、新材料研究開発の基盤的技術である計測技術等についての推進方策を取りまとめたところでございます。先生御指摘のとおり、この分野におきます研究開発は、さまざまな分野がございます中で極めて重要と心得ております。こうした分野に対します研究というものをでき得る限り科学技術庁としても支援をしてまいりたい、こう考えている次第でございます。
○遠藤委員 国立の老化研究所の設置について、私この委員会でもたびたび御要望させていただきましたが、ちょっとこの問題にお答えを願いたいと思います。 科学技術会議のライフサイエンス都会がこの三月に老化研究のための科学技術をどういうふうに研究開発するのかという基本方針をまとめまして、来月でございますか、本会議で決定するように伺っております。この辺、既にライフサイエンス部会の基本方針はまとまっているように伺っておりますが、ここではどういう検討状況になっておるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○長柄政府委員 先ほども御答弁を申し上げましたが、科学技術会議では、人間中心ということで人間に関する科学技術をやろうということで、実は昨年から人間系科学技術分科会というのを設けでいろいろな研究、検討を行ってきています。その中で検討をやっております項目は三つございます。第一が高齢化社会対応の科学技術、第二番目が脳とか神経、第三番目が免疫系の科学技術ということで、三つの分野についての検討を今やっておるところでございますが、ライフサイエンス部会における検討はこの三月でほぼ終わりまして、現在最終取りまとめという段階でございます。それで我々といたしましては、五月には科学技術会議の本会議を開き、そこでこの報告書を正式に承認していただき、その結果を内閣総理大臣に対して提出するという段取りを考えておりまして、最終段階に至っているということでございます。 その内容につきましては、まだ検討中でございますが、生理的老化機構に関する研究、また老年病の成因、予防、診断、治療等の研究、さらに看護、リハビリテーション等の研究、健康の維持増進に関する研究、さらに高齢者の生活、活動を支えるような研究というふうなものが柱になっておりまして、それぞれについての研究目標を定め、かつ、その目標を達成するための研究開発の推進方策と申しますか、そういうことについても触れていくということでございます。五月には正式に決定し公表したい、こう考えている次第でございます。
○遠藤委員 厚生省にお伺いいたしますけれども、厚生省では天皇陛下の御在位六十年記念事業として、いわゆる長寿科学研究組織に関する調査検討事業を本年度から始めましたね。ことしは大体どういう計画をしておって、将来はどこまで計画を完成させるのか、その辺の見通しはどうでしょうか。
○岸本説明員 長寿科学の研究組織でございますけれども、私どもは長寿を明るく健やかに全うできるようにするために、幅広く長寿科学の研究を進めることが極めて重要な問題だと考えているわけでございまして、六十一年度の予算でこの研究を進めるという予算が認められましたので、早速各方面の有識者の方々にお願いいたしまして、検討委員会を設けて長寿科学研究組織のあり方についそ御議論をいただきたいと考えておりまして、あわせて国内外の長寿科学の研究体制についても調査を進めていきたいと考えているわけでございます。早速このことに取りかかりたい、こう思っておりますけれども、これから専門家、有識者による検討を進めるという段階でございまして、今後どういうふうになるかを今はっきりと申し上げる段階には至っていないわけでございます。何らかの体制の整備が極めて重要だという認識は持っているわけでございます。
○遠藤委員 日本の国は、老化の速度と申しますか、これが待ったなしで進んでいるわけでございまして、ちょっと遅いような印象が強いわけでございますが、老化の研究の基幹となる国立老化研究所が日本にはないのですね。アメリカには国立老化研究所がありまして、大体四百三十人ぐらい研究員の方がいらっしゃる。ソ連にも国立老年学研究所がありまして、約二百人ぐらいいらっしゃるわけです。日本の中心的な研究機関は、財団法人ですか、東京都老人総合研究所というのがございますが、国立のものは全くないわけでございまして、研究員も約七十人、予算も少ないわけですね。 こういう問題は科学技術庁もしっかり認識をして推進をしていただきたいということで、私は前の長官のときにも御要望いたしまして、東京都老人総合研究所に一遍御視察に行ったらどうでしょうかと申し上げましたら、長官もまた厚生大臣にまで声をかけていただきまして、現地に行かれたわけでございます。そして、老化の研究をメーンとして行う国立の老化研究所を日本にもつくりたい、こういう方向で御努力を願ってきたわけでございます。また、国務大臣も大変御多忙とは思いますけれども、こういう国立老化研究所がないということは大変残念なことでございますので、そういった認識を深めていただきたいと思うわけでございます。御要望にとどめておきますが、お答え願えますか。
○河野国務大臣 先ほど局長も御答弁申し上げましたが、現在、科学技術会議におきまして長寿社会対応科学技術推進の基本方策について検討が進められておりまして、五月をめどに内閣総理大臣に意見具申ということになっております。私といたしましては、長寿社会対応科学技術を推進する上で中心的な役割を果たす研究体制が必要だということをこの意見具申の中ではっきり書いてもらいたいものだ、これは私の希望と申しますか、そういうことを期待しているわけでございます。そういうことがはっきり出てきますと、動きが少しはっきりするのじゃないかと思っておるわけでございますが、これは何せ今御検討中でございますから、ここではっきり申し上げるわけにはいきませんが、科学技術庁長官として期待をしておるということだけは申し上げていいと思います。科学技術庁としては、今後こうした考え方を踏まえまして、調査検討を行うこととしている厚生省などと御連絡をとりながら、老化研究の推進体例の整備に努めてまいりたいと考えております。 この問題、かねてから先生大変御熱心に推進をしていただいております。予算委員会でも正木委員からも御質疑がございまして、厚生大臣ともども前向きの御答弁を申し上げたところでございます。
○遠藤委員 つくば博の記念財団につきまして、少々お伺いいたします。 四月一日にこの財団が発足をしたと承知しております。この財団の目的、今後の事業についてはどういうふうなものを考えているのか。 あわせまして、新聞の報道によりますと、同財団の目玉事業としまして日本宇宙少年団結成の構想が発表されているわけでございます。これは何かアメリカでは、二年前に既に二十万人の団員を持つ少年宇宙飛行士計画、YAPでございますが、この実情に即して日本版をつくろうという計画のようでございますが、この辺につきまして科学技術庁はどういうふうな認識をしておりますか。
○長柄政府委員 つくば科学万博記念財団の件でございますけれども、その目的は、昨年行われました科学万博の成功を永く後世に伝えると同時に、その精神を、開催趣旨を定着させるという目的で三月末に設立されたものでございます。 事業内容でございますけれども、当面はつくばエキスポセンターを中心に科学技術に関する普及啓発事業を実施するということでございますが、そのほか科学技術分野の国際交流を促進する、また国際親善に貢献する、内外の青少年の派遣とか外国からの招聘、さらに海外の科学者と我が国の科学者との交流、こういうことを事業として考えております。また、筑波研究学園都市の育成のためにこの財団がいろいろな事業をするということも考えておりまして、我々としてもこの財団の健全な育成発展ということに努力してまいりたいと考えておる次第でございます。 それから日本宇宙少年団の件でございますけれども、本件は、現在つくば万博記念財団で検討されているという段階でございまして、具体的な内容はまだ決まっておるわけではございません。我我としてはその構想が固まり次第その内容を聞き、科学技術庁としての対応を決めていきたいと考えておる次第でございますが、いずれにいたしましても、青少年たちが宇宙とかいろいろ新しい科学技術に親しむということは非常に結構なことではないかというふうに考えておる次第でございます。
○遠藤委員 私も同感でございまして、特に宇宙のことにつきましては、やはり子供のころから宇宙に親しむような環境づくりというのが大変重要なことではないかと思うのです。先ほどの科学技術政策大綱の中にも「次代を担う青少年の科学技術への関心を深める等の対策を講ずる。」と明記してございます。私、この間種子島に参りまして、宇宙開発事業団の宇宙の展示館でございますか、あれを見せていただいたわけでございますが、修学旅行の生徒なんかもたくさんいらっしゃるようですね。種子島でございますからなかなか遠いところでございまして、ああいうものが東京や大阪にあれば、随分子供さんに宇宙の理解を深めるいい機会なのではないかなという考え方を持っているわけでございます。日本が宇宙の開発を進めるに当たりましても、やはりロマンと夢を子供たちに今の時代からつくり上げていくような、そうい三展示館なり資料館のようなものをおつくりになる計画を持ったらどうか。これは長官、どうでございましょうか。
○河野国務大臣 宇宙の開発利用というものを正しく進めようと思えば、子供のころから正しい宇宙観というものを持つ必要があると思うのです。昨年のつくば万博、そしてことしのハレーすい星と、子供たちには宇宙に関するさまざまな情報が提供されたというふうに思います。こういう時期に子供たちにより正しく、より強い宇宙への関心を持ってもらうことが、日本の宇宙開発を将来しっかりと進めていく上で大きく役立つというのは、先生の御指摘のとおりでございます。現在、例えば筑波にエキスポセンターを今月中に再開をいたしますが、エキスポセンターにございますプラネタリウム、これは世界でも有数のプラネタリウムということでございまして、またさらに筑波研究学園都市にございます宇宙開発事業団にお立ち寄りをいただけば、そこには宇宙ロケットの関係の展示品も相当展示されております。 先生御指摘のとおり、東京とか大阪とか、なるべく都会の真ん中にそういうものがあればということは理想だと思います。なかなか現実そう簡単にまいりませんが、近ごろはテレビでございますとかあるいは書物でございますとか、そうしたことで情報を提供することもだんだんしやすくなっておりますから、まずはそういうものに工夫を凝らして子供たちへの正しい情報を提供していきたい、こう考えておる次第でございます。
○遠藤委員 時間でございますが、最後に一問だけお願いをいたします。 東京サミットの参加国に対して、中曽根総理が日米欧の共同基礎研究の国際機構をつくろうという提唱をされるというふうな新聞の報道がございました。科学技術庁の中にヒューマン・アンド・アース・サイエンス計画というのがあるようでございますが、これがこの計画の基軸になっておるように私は理解をしておるわけでございます。これは、人間地球科学財団というものを日本が大部分のお金を出資して共同でおつくりになって、関西文化学術研究都市にセンターを置いて、海外にも共同研究センターを置くというような夢のある構想でございますが、この財源が一兆円ほどかかる。これをどうするかということで、円高差益を還元したらどうかとか、あるいは油益ですね、これを還元したらどうか、あるいは科学技術国債を発行したらどうかというような案もあるようでございます。こういうふうな科学技術国債というのは、私はある意味でおもしろい発想だとは思うのですけれども、国民の合意と大蔵省の理解が必要なわけでございますが、その辺の見通しを含めて、この構想についてどういうふうなお考えを持っておるのか、お伺いしたいと思います。
○河野国務大臣 かねてからヨーロッパにございますユーレカ計画でございますとか、アメリカのSDIでございますとか、つまりそういう国際的に相当広がりを見せる牽引力を持った大型プロジェクトを持って、それによって世界の英知を集める、あるいはそれによって思い切った技術開発、科学技術の進歩を促そうという、そういう動きがございます。 日本もまた、どれに参加するかということとは別に、そういう大型の国際大型基礎研究構想といいますか、そういうものを日本がむしろ提唱してみたらどうか、こういう考え方はかねてからあるわけでございます。これは総理官邸周辺にもございますし、科学技術庁にもございますし、また通産省にもそうした考え方があるわけでございまして、それぞれそうした国際的な広がりを持つ大型プロジェクトを提唱し、それを実行することによって牽引力を持とう、こういうアイデアを持っておりますが、その中身につきましてはまだ詰まっておらないところでございます。科学技術庁には科学技術庁といたしまして、今先生御指摘いただきましたヒューマン・アンド・アース云々という考え方が固まりつつございますし、通産省にもまたそうした考え方があるということも聞いております。 いずれにしても、あれもこれもというわけにはいかないわけでございますから、まず一つの考え方というものを見つけ出す、つくり上げることが何よりも先ではないか。そして今先生おっしゃるように、それを国民的な合意と同時に、財政の裏づけのあるしっかりとしたものにつくり上げられるかどうか、私どもとして今いろいろな作業を計画中でございます。まだここで申し上げるほど具体的な動きになっておりませんけれども、考え方としては、そういうものが将来日本の科学技術を支え、あるいは引っ張っていく上で極めて効果的なものであろうと考えておる次第でございます。
○遠藤委員 SDIとかユーレカ計画に比べますと、平和目的に限るという日本の国是に合った方向であるし、夢のある話ではないかな、こういうふうに私は考えるところでございます。 時間でございますので、質問を終了させていただきます。大変ありがとうございました。
○大久保委員長 小渕正義君。
○小渕(正)委員 我が国の科学技術開発の中で国際水準としてかなり優位にあるようなもの、例えば半導体の技術とか発酵の技術などは国際水準の中ではかなり高いところにあると言われておるわけでございます。ユーザーに最も期待されているようなものに対する技術は高いけれども、非常に大きなリスクを背負うような宇宙開発の人工衛星とか航空機、こういった研究開発、技術水準はやや立ちおくれていると言われているわけであります。 そういう意味で率直にお聞きいたしますが、国際水準の中でおくれていると思われるような分野はどういうところがあるのか。あわせて、それらに対して今後どのような取り組みを進めていこうとしておるのか、この点についての御説明をいただきたいと思います。
○長柄政府委員 全般的に、日本の科学技術水準というのは大変進んでまいりました。しかしながら、総体的に言いまして米国とヨーロッパの中間ぐらいということでございます。その中で日本が特にすぐれているのは民間企業が中心になって技術開発を進めるような分野で、特に大量生産するような分野については非常にすぐれている。例えば半導体の回路とか半導体の製造技術とか産業ロボットという分野では非常にすぐれているわけでございますが、先生御指摘のとおり、非常にリスクのあるような航空機とか宇宙というふうな分野については、かなりおくれているということでございます。それからまた、最先端の科学というふうな点でも非常におくれておりまして、世界の科学分野に貢献するような論文は、国民所得ないし人口割合に比べて劣っているということは言えようかと思います。 そこで、これに対する取り組みでございますけれども、科学技術政策大綱にもございますように、革新的かつ独創的な技術、基礎研究に重点を置くと同時に、その研究のもとになります関連経費の充実、また独創的な人材の発掘育成、国立研究所の研究運営の改善、また国と産業界、大学との連携の強化というふうな対策を講じまして、日本が弱いとされております基礎的な分野、非常にリスクの高い分野、こういうものに努力をつぎ込んでいきたいと考えております。
○小渕(正)委員 今御説明のありましたような分野について一つの目標を持って、例えば年次的に何年後ぐらいには少なくともこういった水準に達しようとか、そういうスケジュール的なものをお持ちの中で取り組まれているのかどうか、その点はいかがですか。
○長柄政府委員 特定のどの分野を何年後には例えば米国の水準に持っていくとかというふうな目標は特に持っておりませんが、抽象的ではございますけれども、先ほど申し上げましたように基礎的なもの、先導的なもの、リスクの高いもの、こういうものを国としては重点的に投資していく、そして民間企業の分担すべき開発応用ないし開発部門は民間企業にゆだねて、国は日本が弱いとされております基礎の方に重点を置いていくということを考えております。
○小渕(正)委員 弱い部門を国が重点的に取り組んでいきたいということですが、こういうものはやはりある一定の目標をどこかに置きながらやらないと、ただ重点的、重点的ということでは結果的には中身が薄いものになってしまうのじゃないかという気もします。したがって、少なくとも三年後ぐらいにはこれぐらいの水準まで到達しようとか、何年後にはそこまでいこうという一つの目標値を設けながらやるべきだと思います。これは意見でありますので多くを言いませんが、ただこれから重点的に取り組むということだけではなしに、一つの目標値を設定しながら取り組んでほしいということを申し上げておきます。 それから、研究開発の投資額は五十九年度では約七・二兆円、これは総額的に見たわけでありましょうが、対国民所得比で二・九九%となっている、こういう数字が資料として出ておるわけでありますが、科学技術会議の第十一号答申では、官民全体として投入すべき研究開発費の対国民所得比を長期的には三・五%にすべきである、このような提言がされているわけであります。この長期的に三・五%にすべきであるという提言は、大体長期的といいますとどの程度のものの中でこういうようなものが言われておるのか、これに対してどのような対応をなさろうとされておるのか、そのあたりの状況についての御説明をいただきたいと思います。
○長柄政府委員 科学技術会議の十一号答申で、長期的な研究投資目標として三・五%を挙げております。この長期的という意味はおおむね十年間ということを意味しておりまして、昭和六十九年、あと八年間ほどの間に三・五%を達成しようという目標でございます。 それで五十九年度の統計やございますけれども、先ほど先生もおっしゃいましたように七・二兆円、国民所得比二・九九%まで上がってきたわけでございます。これは過去三年間ほどを見ますと、民間企業の研究開発投資意欲が非常に盛んで、民間企業の投資が名目でございますが一〇%を超えておる。政府の方の投資はそれほどでもございませんでした。三%か、そのくらいのオーダーでございます。そしてトータルとして一〇%を超えたというふうなことで、過去三年間は非常に国民所得比が上がってまいっております。でございますが、政府としても大変厳しい財政事情でございますが、ゼロシーリングというふうな中で、例えば六十一年度の予算におきましては、科学技術予算、これは大学も含めてすべてでございますけれども、トータルで一兆六千億ということで、前年度に比べて四・八%の増を図っていただいたというふうなことで、他の分野よりはいろいろな面で優遇措置を講じてもらっていると考えております。こういうことで、民間投資につきましては例えばいろいろな税制の優遇措置等も引き続き講じまして、その水準の向上に努めてまいりたいと思っておりますし、政府においても、科学技術立国というふうなことから、科学技術関係予算については特段の増額要求をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
○小渕(正)委員 十年計画ということで、長期的な六十九年度までということのようでありますが、今のペースでいきまして、これは民間の投資もすべて含めた総額でしょうけれども、率直に言ってこれらの提言に十分対応できるようなところに到達するというふうに思われますかどうか、そのあたりはいかがですか。
○長柄政府委員 これは、毎年の国民所得がどう伸びるかということにもかかわっておりますと同時に、毎年の科学技術投資額がどうふえるか、このバランスの問題でございますが、過去三年間ほどの実績でございますと、毎年国民所得比が〇・一%を超えております。現在国民所得比は約三%でございますので、従来のスピードで民間投資がふえ、政府投資もふえるといたしますと、この目標は今後五年間か六年間ぐらいのうちに達成できるものというふうに考えております。
○小渕(正)委員 それでは次に移りますが、今回の予算の中で、エネルギー対策費としての研究開発費が、通産省関係では約三十四億四百万ですか、計上されているわけでありますが、これは具体的には大体どのようなテーマに取り組んでおるのか。この中身について概略説明をお願いしたいと思います。
○山家説明員 通産省の昭和六十一年度の一般会計費におきますエネルギー対策の研究開発費三十四億四百万の内訳について、御説明を申し上げます。 通産省といたしましては、石油代替エネルギーといたしまして、太陽、地熱あるいは石炭の液化、ガス化等の新エネルギー開発を行います。私ども、サンシャイン計画と言っておりますけれども。そのほか、高効率ガスタービンですとか燃料電池等の省エネルギー技術開発を行っておりますムーンライト計画、これを推進しているところでございます。その推進に当たりましては、一般会計では主に国立試験場、大学等を中心に基礎研究、シーズ研究、それからいわゆる特別会計におきましてプラント物等、実用化を目指した研究開発を行っているところでございます。 先生御指摘の三十四億四百万につきましては、そのうちの一般会計分でございまして、内訳といたしましては、サンシャイン計画分が二十三億七千八百万円、ムーンライト計画が十億二千六百万円となっております。その主な内訳といたしましては、サンシャイン計画二十三億七千八百万円のうち、太陽エネルギー関係が五億四千九百万円、地熱エネルギー関係が六億三千五百万円、石炭エネルギー関係が四億九千九百万円、水素エネルギー関係が二億二千八百万円、それから海洋、風力等の総合研究として三億五千万円を計上しているところでございます。ムーンライト計画の分の十億二千六百万円の内訳でございますけれども、いわゆる高効率ガスタービンですとか、新型電池電力貯蔵システムですとか、燃料電池あるいはスターリングエンジン等、いわゆる大型の省エネルギー技術会計分、これが合わせて六億五千三百万でございます。そのほかシーズ開発といたしまして、先導的、基盤的な省エネルギー技術開発費として二億九千五百万円が計上されております。一以上でございます。
○小渕(正)委員 要約いたしますと、石油代替手ネルギー関係の開発費と省エネルギー関係ということの中身でありますが、今年度までこれらに投資された総額、概略で結構ですから、代替エネルギー関係では今年度までどの程度のものが累積総額として投資されてきたか、省エネルギー関係と代替エネルギー関係について、それぞれその数値をお示しいただきたいと思います。 あわせて、それぞれの分野ですから、まだ所期の目的達成までの過程にある部門と、かなりもう進んだ部門とありましょうけれども、それらの進捗状況について、大まかで結構ですから。ひとつ状況を説明いただきたいと思うのです。
○山家説明員 サンシャイン計画とムーンライト計画のこれまでの研究開発費の総額でございますが、一般会計それから特別会計画方合わせてという数字になりますけれども、サンシャイン計画ではこれまで約二千七百億円、それからムーンライト計画につきましては七百四十億円ばかり使っております。
○小渕(正)委員 中身はどうですか。
○山家説明員 中身につきましては、サンシャイン計画につきましては、いわゆる太陽熱温水器といいますか、ソーラーハウスといいま一すか、そういったものは既に実用化の段階に入っております。その他のものについては、何しろエネルギー開発でございますので、これからいよいよプラン十開発といいますか、そういった実用化を目指した本格的な研究開発の段階に入っていくというのが現在の実情でございます。
○小渕(正)委員 今の総額の中では、一般会計と特別会計でありますが、これを含めた中身かどうか。その点、別ですか。
○山家説明員 ただいまの数字は、一般会計と特別会計の合計の数字でございます。
○小渕(正)委員 新エネルギーの技術開発について、特に先ほど太陽発電関係については実用化の段階に入ったと言いましたが、その他の部門でこの新エネルギー技術研究開発について今どういうものが研究されておるのか。大きな要点のみで結構です。それから、石炭の生産の利用技術についてもどの程度進んでおるのか。概要で結構ですから、この二つをちょっと。
○田中説明員 御説明申し上げます。 新エネルギーの中で特に力を入れておりますのは太陽エネルギー、地熱エネルギー、それから石炭の液化などの石炭エネルギー、さらには風力その他自然エネルギーなどがございます。 太陽エネルギーにつきましては、サンシャイン計画に基づきまして、太陽熱については国の予算での研究というのはほぼ終了の段階でございます。現在、太陽光発電につきまして研究をしているところでございます。それから、ソーラーシステムにつきましても研究中でございます。地熱につきましては、既に蒸気の利用というのはできておりますけれども、現在、熱水の利用について研究中でございます。石炭につきましては、褐炭液化それから歴青炭液化、両方進めておりますが、褐炭液化につきましては実証プラントの運転に入ってきているところでございます。歴青炭につきましては、これからプラン下の建設ということでございます。それから風力につきましても現在実証中でございまして、それもかなり進んできてございます。 そういうことで、当初計画いたしました新エネルギーの研究開発につきましては、総体としてはほぼ当初の予定の範囲といいましょうか、そういうことで進んでいるかと思われます。なお実用化につきましては、先ほども御議論ございましたように、個別のエネルギーごとに解決すべき問題というのはたくさんあろうかと思います。 それからもう一つ、石炭生産利用技術というのが特別会計の中で計上されておりますが、これは石炭そのものの生産あるいは利用技術というのをやはり開発あるいは研究しておくべきであるということで、国内だけでなくて海外でもいろいろな石炭開発がございますので、それに備えまして、例えば急傾斜層あるいは緩傾斜層、それぞれ態様に応じました開発技術、採炭技術というものを研究しております。それから石炭の利用技術につきましては、例えば中小企業の方などが石炭をそのまま使用するためにボイラーをどういうふうに変えるか、あるいは石炭をスラリー化して使うというようなこと、さらには石炭のハンドリンクの技術などがございまして、例えば規格化して一定の範囲で融通して使う、石炭をそのまま利用する技術というものの開発を進めている次第でございます。
○小渕(正)委員 一つだけ具体的なものをお聞きしますが、六十年度の実施課題の中で緊急な研究及び機動的対応として、炭鉱の深部の採炭区域の水圧破砕法による異常ガス湧出災害防止技術に関する研究というテーマが挙げられているわけであります。これは非常に緊急性のあるテーマだと思いますが、現在どの程度の具体性を持ってどういう状況にあるのか、ちょっと具体的になりましたが、ひとつこの点を特にお伺いいたしたいと思います。
○内田(勇)政府委員 ただいま御質問のございました深部採炭区域の水圧破砕法による異常ガス湧出災害防止技術に関する緊急研究、これは科学技術振興費におきまして、科学技術会議の方針によりまして、年度途中の緊急事態の発生に機動的に対応するということで、昨年五月の北海道南大夕張炭鉱におけるガス爆発事故により、深部炭鉱の保安技術の早急な確立の重要性が再認識されたことにかんがみまして、との緊急研究として取り上げたものでございます。この研究は、南大夕張炭鉱事故の原因となった異常ガス湧出対策として有力と考えられる水圧破砕法について、その導入手法を深部採鉱区域の環境下に恥いて実証的に開発しようという目的でございます。 本研究の具体的な実施は通産省の工業技術院が責任を持って担当しておるところでございますので、その実施状況につきましては通産省の方からお答え申し上げます。
○島説明員 今科学技術庁の方から御答弁ございましたように、この研究は、公害資源研究所の北海道にございます北海道石炭鉱山技術研究センターで実施しているところでございます。現地に大学の研究者等にも参加いただきました研究推進委員会というのを設けまして、それの指導あるいは管理に基づき現在行われているわけでございまして、今も御答弁ございましたように、水圧破砕法の導入の可能性とその有効性の確認のための基礎実験ということでございます。 その成果でございますが、実験、研究結果の解析と評価にまつ必要があるわけでございますが、ガス突出事故を未然に防止するためのもろもろの方式のために大変期待できるのではないか、こう考えているところでございます。
○小渕(正)委員 この点、特に緊急的なテーマですし、大きな期待が寄せられておりますので、よろしくお願いしておきたいと思います。 次に、時間もありませんのでテーマを移しますが、我が国の海洋開発関係の現状について少しお尋ねしたいと思います。海洋開発審議会では西暦二〇〇〇年の我が国の社会経済を描き、二九九〇年代の具体的目標課題を示した「長期的展望にたつ海洋開発の基本的構想について」というのが昭和五十四年八月に答申され、さらに「長期的展望にたつ海洋開発の推進方策について」ということで、昭和五十五年一月に第二次の答申が行われたと承っております。 しかしながら、このように審議会が海洋開発体制の抜本的なあり方等について提言しているにもかかわらず、歴代の科技庁の長官の所信表明の中では、これらの海洋開発に対する決意表明は二言も触れられてないという現状であります。したがって、この答申に基づいた国の基本的な海洋開発体制の確立という提言に対して、答申後、提言から七年も経過しているわけでありますが、これについて、例えば海洋開発基本法の制定とか海洋開発委員会の設置等といった具体的な対応体制がいまだに全然なされていないわけであります。この点については現在どのように思われておるのか、その点をまずお尋ねをいたします。
○河野国務大臣 先生御指摘の海洋開発基本法あるいは海洋開発委員会の設置等の提案は、昭和五十五年になされたということを承知いたしております。海洋開発は広範多岐な分野にわたっておりまして、各省庁においてその推進が図られていることから、総合的に推進することが極めて重要だ。このために、海洋開発の推進については現在内閣官房に海洋開発関係省庁連絡会議を設けて、関係省庁相互間の事務の緊密な連絡を図って、総合的な施策の推進に努めておるわけでございます。 海洋開発審議会の答申に述べられている海洋開発基本法を初めとする海洋開発体制のあり方につきましては、二百海里時代の到来、海洋科学技術の進展等、海洋開発をめぐる環境が現在なお極めて流動的であるということから、現時点において海洋開発基本法という形で体制を固めることが妥当かどうかという議論がございまして、今後内外の情勢を見つつ海洋開発関係省庁連絡会議におきまして検討を続けることが必要だ、こういうことになっているわけでございます。
○小渕(正)委員 今の御答弁からいきますと、まず海洋開発関係の予算から見ましてもここ数年来伸び悩んでおり、特に今回は減額されておるわけでありますが、それはやはり、今海洋開発と口ではいろいろと言われておりながら、具体的なものというとまだまだ政府としてのきちっとした対応する方針がないということがこういうような予算関係として出ているのではないかと思います。今回特に海洋開発が予算面からも非常に制約されておることについてはどのようにお考えなのか、お尋ねいたします。
○内田(勇)政府委員 海洋開発関係の予算でございますが、科学技術庁の昭和六十一年度の海洋開発関係予算は、昭和六十年度に比べますと二億三千万ほど減になっておって、充実されてないのではないか、こういうような御質問かと思います。 科学技術庁の海洋開発関係の予算は、昭和六十年度に海中作業実験船「かいよう」を完成させるということで、六十年度予算におきまして五十九年度から大幅にふえまして、六十一年度はその海中作業実験船「かいよう」の建造が完了いたしまして、その建造費二十五億円が減額になるということでございまして、総額では前年度より二億三千万余りの減ということで六十六億五千万円を計上しておるわけでございます。その内容といたしましては、百二十五億円をかけまして四年間で建造するという六千メートル級潜水調査船の建造に着手する、あるいは日中共同の黒潮調査を開始するといった新規の予算を計上いたしておりまして、私ども内容的にはかなり充実が図られていると考えております。 なお、海洋科学技術の推進は極めて重要だという認識を持っておりまして、今後ともさらにその額並びに内容につきまして充実を図っていきたいと考えております。
○小渕(正)委員 六千メートル級の深海の潜水調査船の建造ということが今言われましたけれども、これは大体当初予定どおりの状況で推移していくというふうに見ていいかどうか、それが一つ。この六千メートルの「しんかい」の建造という問題は、まさにこれは材料からその他あらゆるものが自主技術の開発によってしかやられないような性格のものだと思います。非常に難しい問題もありますが、そういうことも含めて大体ほぼ計画どおりのスケジュールで完成可能、かように思われているかどうか、その点いかがでしょう。
○内田(勇)政府委員 お答え申し上げます。 六千メーター潜水調査船、先生御指摘ございましたように我が国の二百海里水域の九六%の海底まで調べることができるということでございまして、非常に重要なプロジェクトだというふうに考えております。 それで、これの開発でございますが、私ども既に「しんかい二〇〇〇」という二千メートル級の潜水調査船を開発いたしまして、これにつきましては十分な経験を得たわけでございます。この開発経験を踏まえましてさらに五十九年度から、何せ深海でございますので、高耐力の潜水調査船システムに関する研究、あるいは六十年度におきましてはその具体的な設計研究、さらに実物大の模型試験あるいは耐圧殻の疲労破壊試験といったような一連の研究を行いまして、建造に必要な基礎的なデータはすべて得られております。したがいまして、六十一年度にはこれらの試験結果を十分踏まえまして基本設計を行い、建造に着手いたしまして四年間で十分完成できると考えております。
○小渕(正)委員 時間があと五分しかないので、はしょりますけれども、あと一つ、深海底の鉱物資源の開発調査、この状況についてであります。 いろいろ取り組まれておるわけでありますが、特に五十九年五月の熱水鉱床の調査報告の中で、日本近海の二百海里経済水域内にも存在する可能性が高い旨が報告されておりますが、これらの状況について現在探鉱等の現況はどの程度行われておるのか、その概略を御説明いただきたいと思います。
○木村説明員 お答え申し上げます。 まずマンガン団塊につきましては、公海上にあるということで、いわゆる準国内資源としまして極めて重要であるという観点から、昭和五十年から五十四年まで、これは白嶺丸という船でございますが、それから五十五年からマンガンの専用探査船、これは第二日嶺丸という船でございますが、これを運航しておりまして、現在ハワイ東南東沖、いわゆるマンガン団塊という非常に優良鉱区が密集している区域につきまして、我が国として国際的な優良鉱区を確保するという見地から鋭意調査を実施しているということで、これが現在三航海実施しております。 それから、今先生御質問ございました熱水鉱床につきましても、我が国の経済水域内あるいは公海上で広くこの賦存が予想されているという状況にかんがみまして、昭和六十年度から初めて一航海、マンガン団塊に並びまして熱水鉱床も調査を開始するということでございまして、昨年九月に初めて我が国としまして熱水鉱床の採取に成功したということで、これはメキシコ沖の公海上でございますが、我が国として初めて米国等に並びまして熱水鉱床の鉱床の一部を確認したということでございます。
○小渕(正)委員 最後になりますが、海洋の自然エネルギー利用の技術開発はどの程度現在進んでいるのか。例えば潮流利用の発電とか、いろいろ言われておる。波を利用したエネルギー、こういう新しいエネルギーを活用した発電機とか温度差の発電とか、名称はいろいろ言い方はありますが、要するに海洋の持つ自然のエネルギーを生かした技術開発ということが現在行われておるわけでありますが、この点は現在どの程度まで進んでおるのか、その状況を概略御説明いただきたいと思います。
○内田(勇)政府委員 お答え申し上げます。 海洋には非常に膨大なエネルギーが存在しておりまして、これを利用することは非常に重要であるというふうに認識しております。しかし、このエネルギーは季節変動等、いろいろこれを利用するときにはまだ問題がございまして、経済性におきまして今後克服しなければならない問題が非常にたくさんあるわけでございます。したがって、それぞれのエネルギーの形態に応じた基礎的な研究を積み重ねていくということが重要であるというふうに考えております。 私ども科学技術庁では、このうち主に波力発電についての研究開発を実施しておりまして、国際エネルギー機関の国保際共同プロジェクトとして波力発電装置「海明」という大型の装置をつくりまして、これを五十四年度から五十五年度にかけまして一度実海域実験をいたしまして、さらに現在また六十年度から六十一年度にかけまして山形県の由良沖で実証試験を実施いたしております。これは海外からの発電機も搭載いたしました国際共同研究でございまして、多くのデータが得られておりまして、これらのデータをもとにさらに研究を進めていきたいというふうに思っております。そのほか、温度差発電であるとか潮流発電であるとか固定式波力発電であるとか、それぞれ通産省、運輸省等におきましてもいろいろ研究開発をされておられるわけでございます。 以上でございます。
○小渕(正)委員 要するに、現在の段階ではまだ実用化のめどは立たない、基礎的研究段階だ、こういうようなところで認識していいですか。
○内田(勇)政府委員 そのように理解しております。
○小渕(正)委員 では、これで終わります。 〔委員長退席、与謝野委員長代理着席〕
○与謝野委員長代理 山原健二郎君。
○山原委員 問題は二つですが、一つは核燃料再処理の問題、それからもう一つは放射線被曝線量基準の問題、二つについて質問をいたします。 この間、三月二十七日にこの問題で質問をしておりますが、それに引き続きまして、イギリスとフランスと日本の東海再処理工場の放射能海洋放出許容値の比較についての原子力安全局長の答弁の中で、東海が年二十六キュリーで英仏に比べてけたが違うという説明がありましたが、この比較ではトリチウムが除外されております。東海の場合ではトリチウム年五万千百キュリーが許容値だと思いますが、英仏の場合はどういう状態になっておりますか。確認をしたいのです。 〔与謝野委員長代理退席、委員長着席〕
○辻政府委員 先般年間二十六キュリーという御説明を申し上げましたのは、東海再処理工場におきます液体廃棄物中のトリチウムを除きますベータ放射能核種の放出基準値でございまして、御指摘のとおりトリチウムは含まれておらないわけでございます。これは放射線被曝を考える場合に、最もこれに寄与するところのベータ放射能をもって比較したわけでございます。 したがいまして、さらに詳しく申し上げますなれば、東海再処理工場、フランス・ラアークの再処理工場あるいはセラフイールドの工場について主要核種について申し上げますれば、液体廃棄物の放射能でございますが、全アルファ核種につきましては東海〇・一一、ラアーグ四十五、セラフイールド六百、こういう数字でございます。全ベータは、先般申し上げましたように東海二十六キュリー、ラアーグ四万五千、セラフィールド二十万という数字でございます。トリチウムにつきましては、東海五万一千百キュリー、ラアーグ百万キュリー、セラフイールドについては規制がないということでございます。 なお、ついでに申し上げておきますと、この二十六キュリーのベータ核種の貢献が被曝線量評価においてどの程度であるかということを申し上げますと、二十六キュリーのベータ核種につきましては、周辺住民に対する影響といいますか、その評価値が〇・五三ミリレム・パー・イヤー、これに対しましてトリチウム五万一千百キュリーの寄与は〇・〇四五ミリレム・パー・イヤー、こういう数字でございます。
○山原委員 このトリチウムについては、原子力安全委員会でも、呼吸器、皮膚からも吸収されるという、ほかにも余り見られない特徴を有すると指摘をされておりますね。それから水素の同位体で酸素と結合して、水と同じような挙動をするため、容易に人体に入る。そのため遺伝的障害も心配されているということで、科学的に究明されていない部分があると思うのです。そういう点から見まして、このトリチウムの問題はそういう点では厄介な核種ではないかと思いますが、それはどんな御認識でしょうか。
○中村(守)政府委員 お答えいたします。 トリチウムにつきましては我が国でもいろいろ研究していますし、諸外国における研究でも、空気中に存在しますトリチウムにつきましては何分にもベータ線のエネルギーが低いわけでございますので、そういうことで空中に存在することでは直接皮膚等に対する障害、いわゆる外部被曝というものは起こさないと言われております。ただ、先生今御指摘されましたように、確かに皮膚を通して入りやすいとか、そういった問題はあるわけでございますが、体内に入りましたトリチウムの影響がどうなるかということにつきましては、いわゆるガス状のトリチウム、これは水素と結合した水でない状況におきますトリチウムにつきましては、水となりましたトリチウムに比べまして体内に取り込まれにくいという性格がございまして、ICRPの報告によりますと、水の場合に比べて二万五千分の一というぐあいに言われております。したがいまして、一般に人体に対する影響を考える場合には、水という形でのトリチウムを考えればよいのではないかと言われておるわけでございます。 それでは、水という形でトリチウムが体内に取り込まれた場合にどういう作用をするかということでございますが、何分にも水と同じようなビヘービアをするわけでございますので、したがいまして特定の組織などに沈着するということはございませんで、一様に分布する、それで水分とともに排せつされるわけでございますので、人間が後でトリチウムの入らない水をどんどん飲めばどんどん薄まっていくということでございまして、平均いたしまして十日ごとに二分の一に減少するというような状況でございます。したがいまして、百日たつと約千分の一になってしまうというようなことでございます。 一方、どの程度の濃度であったらいろいろ遺伝的障害とか身体的影響を与えるかということにつきましては、マウスを使いました実験を行っておりまして、ICRPが定めました許容水中濃度、これは三掛ける十のマイナス二乗でございますから〇・〇三マイクロキュリー・パー立方センチという数字がございますが、この許容水中濃度の十倍の濃度のトリチウム水をマウスに一年間飲料水として与えた場合におきましても、身体的影響とか遺伝的影響というのは特段認められなかったという報告が出ておりまして、トリチウムの人体に対する影響はそういう状況にございます。 我が国としまして、こういった研究の成果も含めまして、原子力安全委員会の環境放射能安全研究専門部会におきまして定めました年次計画に従って、放射線医学総合研究所を中心にして今後ともトリチウムの研究に取り組んでまいる所存でございますが、大体今のような状況でございまして、このトリチウムの問題で、さしあたって再処理において特段問題があるというぐあいにはならないのではないかと思っておるわけでございます。ただ、トリチウムにつきましては、その後一方におきましては工学的に閉じ込めるというような非常に難しい問題なんかもございまして、核融合の研究なんかにおきましては、このトリチウムを閉じ込めるという技術についてのいろいろな研究はまた別途行われておるところでございます。
○山原委員 安全基準値を見ました場合に、日本の場合は英仏に比べてけた違いに厳しいということをおっしゃいました。それは逆に見ますと、英仏は日本に比べけた違いにルーズだということになると思います。日本の安全規制の立場からすれば、これは認められないものですね。 原子力局長は、日本から再処理委託された使用済み燃料は、今トラブルを生じている工場とは別な新しい、THORPのことだと思いますが、新しい工場で再処理される予定だから問題はないという趣旨の説明をされましたが、ルーズな放射能放出許容値が変わるわけではありませんね。だから、日本が委託した再処理によって深刻な環境汚染あるいは海洋汚染が広がる危険性はないのか。現在でも第三国、アイスランドあるいは魚の場合はスウェーデン海域まで影響をもたらしているという事態が生じておるわけでございます。この点からも再処理の海外委託政策というのは見直されるべきではなかろうかと思いますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
○中村(守)政府委員 お答えいたします。 イギリス等におきまして、フランスでもそうでございますが、経験を積みながら、新しい技術をくみ上げて新しい事態に対応しておるわけでございます。例えば環境の汚染問題につきましても、先ほど英国の委員会の方から報告されましたような指摘も受けておるというようなことからいいましても、こういった面での改善というものは新しい工場等では十分になされていくと我々は考えておりますし、技術的には工場の中でいろいろなトラブル等のたぐいのものにつきましては、過去の経験を踏まえて改善されております。こういったものにつきましては、我が国では、もちろん民間で再処理工場をつくるという際には、当然これらの最新の技術を使いまして、いろいろ調べた上で事故、トラブルのないものをつくるわけでございますが、イギリス、フランスにおきましても、新しい工場をつくるときには当然そういったことで設計、建設、運転されるということであろうと我我は信じております。今までの工場が悪かったから今後も悪いだろうとは我々としては考えておりませんで、再処理委託につきましては引き続き従来の線で対応してまいりたい、このように考えております。
○山原委員 経験を積んでさまざまな対策や研究がなされておるということはわかりますけれども、同時に、放射能排出基準は変わってはいないわけですね。日本よりけた違いにルーズだ、そのことは残っているわけでございます。しかも、そのことを日本の方は承知しているわけですね。再処理委託に伴いまして、日本の放射性廃棄物によって周辺環境などの汚染が広がる可能性も予想されるわけです。しかし、その責任は日本にあるわけではなくて再処理工場にある、それを所有している英仏にあるということになってきますと、国際的な立場から見るならば、これは法律用語で言いますと未必の故意に当たるのではないかと思うのでございますけれども、これはどういうふうに解釈をされるでしょうか。私の言い方が間違いかもしれませんが、考えを伺いたいのです。 それからもう一つは、フランスやイギリスの再処理工場が一定の実績を上げていることが再処理技術は商業用としても確立していることの根拠になっているわけでございますけれども、その実績というのも、こうした環境汚染を代償として成り立っているという見方もあります。また、これを見た場合、やはり再処理技術はまだ未確立であって、環境影響を大幅に低減するなどの技術にチャレンジする基礎的、試験的研究開発が求められていると言わざるを得ないと思います。 しかも、フランスやイギリスの再処理工場の実績、稼働率はそれほど順調なものではありません。ここへ持ってきておりますが、「原子力工業」の昨年十二月号に、動燃の再処理部長の要職にある小泉さんが世界の再処理の動向について書いています。そこでは、日本の東海工場とフランスのUP2・HAOという再処理施設の稼働率を比較しまして、「略同じ傾向を示している。」と指摘をしています。結局、フランスの再処理工場は順調だといっても、東海工場並みだということが明らかにされているわけてございます。こういう点から見ましても、再処理技術が商業用として確立したなどとは言えない状態ではないかと思いますが、この点をどのように把握されているでしょうか。
○中村(守)政府委員 まず第一に、英国の基準が非常に緩くてというお話がございました。過去においては、そういったことでセラフイールド再処理工場の運転等が我々から見ればルーズな運転がなされたという実態はあろうかと思いますが、先ほどの英国議会の報告書でも認めておりますように、最近は非常に努力しまして、放出量を大幅に低減しつつあるということでございまして、全ベータ放射能で現在の規制値が二十万キュリー・パー年という値を、八千キュリー・パー年に下げることを目標にしているということを聞いております。このように放射能の放出量につきましても新しい工場については大幅に引き下げることを考えておりますし、従来のセラフイールドの再処理工場につきましても総点検をして、今後はきちんとした形でやっていくという格好になろうかと思うわけてございます。 これらの技術につきましては、現在民間の再処理工場建設のために、事業者におきましても英国、西ドイツ等の技術を調査しておりまして、我が国の基準に適合した施設が十分にできるという見通しのもとに、こういった国々での新しい技術を取り入れ、我が国の経験を踏まえたもので再処理工場を建設しようとしておるわけでございます。過去におきましては外国の再処理工場もトラブルがあったことは事実でございますが、近年成績も非常によいようになってまいっておるわけでございまして、こういった長年の経験、技術の蓄積といったもので商業用の再処理工場というものが建設されるものと我々は確信しておる次第でございます。
○山原委員 私は基準値の問題を申し上げたのですが、次へ移りたいと思います。 この問題だけでなくて、海外への再処理委託は、当然そこから生じましたプルトニウムなどの核燃料物質や高レベル放射性廃棄物の長距離にわたる輸送を伴うわけでございます。この輸送というのが核物質の事故を引き起こす最大の契機になっていることは御承知のとおりでございまして、もう例を挙げるまでもなく、アメリカでも陸上輸送中の事故が多いわけですし、またモン・ルイ号の沈没の問題、さらにはこの間の日航ジャンボ機の事故の場合でも、これは医療用でありますけれども、放射性物質が積まれていたことも報道されておるわけでございます。こうしたさまざまな点から考えまして、海外への再処理委託は非常に厄介な問題を伴うものでありまして、やめるべきだということを改めて指摘をしたいと思います。 この点についてはまた折を見てお伺いをしたいと思うのですが、一言御答弁いただければと思うのです。簡単にお願いします。
○中村(守)政府委員 現在使用済み燃料の再処理につきましては、外国へ委託する場合は船で送っておるわけでございますが、この船につきましては、当然のことながら耐衝突性あるいは耐座礁構造等について十分注意を払い、かつ二重船殻構造にするというふうな形で、極めて沈みにくい安全性の高い専用船を使用し、運輸省の承認を得てこういった使用済み燃料の輸送が行われておるわけでございます。確かに国内に再処理工場があれば、こういった遠距離を運ぶということはないという点でそれはベターでございますが、現実の問題といたしましては現在海外に再処理を委託しておるわけでございまして、こういった輸送の技術につきまして安全性の万全を期したい。飛行機に載せて送るというような場合におきましても、その飛行機に載せる場合の容器につきまして、たとえ落下しても十分に安全が保たれるような容器をつくるというようなことで、災害が生じないように十分注意してやっていくつもりでございます。
○山原委員 二つ目の放射線被曝線量の見直し問題でございますが、昨年の国際放射線防護委員会、ICRPのパリ声明に沿って、一般公衆の放射線被曝線量の上限を年間百ミリレムにすることについて、放射線審議会でも検討することになったとお聞きしております。我が国の放射線防護安全基準はこれまでICRPの勧告等に沿って定められてきたという経緯を考えますと、この検討は基準改定に向けての前向きのものだと考えてよろしいかどうか、この点を伺いたいのです。
○辻政府委員 先生御指摘のように、ICRPは昨年の三月、パリにおきまして会議を行いまして、公衆の構成員に関する実効線量当量等の声明を発表したわけでございます。この声明は一九七七年の勧告、すなわちバブリケーション26と言われているものでございますが、その内容に関するものでございます。公衆の構成員の実効線量当量限度について、次のように言及しておるわけでございます。 まず第一番目は、原則として実効線量当量限度は年〇・一レムとする。二番でございますが、しかしながら、その人の生涯にわたる平均の年実効線量当量が一年につき〇・一レムを超えないようにするならば、その人の生涯の何年間かについては一年につき〇・五レムという線量を用いて差し支えない、こういうのがパリ声明の骨子でございます。今後、各国におきましてその取り扱いについては検討されていくものと考えられるわけでございます。 ちなみに、このパリ声明が公表されました以降、イギリスではこのICRPの七七年勧告、パブ26を踏まえまして放射線防護基準の改正が行われまして、これがことしの一月一日に施行されております。またアメリカにおきましても、この勧告に基づきます放射線防護基準の改正案が公表されまして、これはパブリックヒアリングにかけられている。これはことしの一月九日に公表されたもので、まだ案でございまして成案になっておりませんけれども、この内容はいずれもまだパリ声明の内容が含まれたものではございません。我が国といたしましては、今後のICRPの動向、諸外国の対応等を見きわめながら、放射線審議会で十分御審議をしていただくというふうに考えているところでございます。
○山原委員 大体いつごろをめどに検討結果を出される予定でしょうか。
○辻政府委員 ただいま申し上げましたようにまだ各国が検討中の段階でございますし、諸外国の状況も見きわめつつ慎重に審議するということになっております。放射線審議会で具体的な日程はまだ話題に上っておらない状況でございます。
○山原委員 スリーマイル島の原発の事故では、千数百万キュリーの放射性希ガスが環境に放出されたとされていますが、あのとき最も深刻な被曝を受けた人の推定値はどの程度のものであったか、おわかりでしょうか。
○辻政府委員 御質問の数字につきましては、これはペンシルバニア州知事が避難勧告をしたときに考えられていた数字とは違うわけでございますが、事故後何週間がたって後に正確にいろいろな調査をやった結果の推定値でございますけれども、例えばTMIの発電所の北の門付近におきまして事故発生から数日間連続して屋外に裸で立っていた、こういったような仮定をいたしますと、約百ミリレムの被曝線量ではなかったかというようなことが報告されております。
○山原委員 スリーマイル島原発事故のときは、放射性沃素など人体に強い影響をもたらす放射性物質が余り環境に出なかったことが幸いしたことは確かだと言われています。しかし、今おっしゃったように、周辺住民の避難までに発展した重大事故のときでさえ百ミリレム・パー年ということで、今お答えになったとおりです。この点からいいましても年間五百ミリレムという基準値は非現実的であり、もっと引き下げられるべきだと思いますし、またそうすることは可能だと考えられますが、この点についてひとつお伺いしたいと思います。 それから、時間の関係でついでに幾つか御質問したいのですが、原発労働者など職業人の被曝基準は、現行年間五千ミリレムでございます。一般公衆の基準年五百、ミリレムの十倍に当たるわけですね。一般人の被曝上限値を年百ミリレムにすることが検討されているとしますと、職業人についても引き下げを検討すべきだと思いますが、この点ほどのようにお考えでしょうか。例えば千ミリレム・パー年というようなことも考えられるのではないかと思いますが、どうでしょうか。仮に一般公衆が年百ミリレムになり、職業人が現行のままということになりますと、その比は十倍から五十倍に拡大するわけでございまして、一般人の安全基準を五分の一にすべきだというのが科学的検討の結果ならば、職業人についてもそれに見合った引き下げをすべきだと思いますが、どうでしょうか。 この数点についてお伺いします。
○辻政府委員 先ほどもちょっと申し上げたわけでございますが、百ミリレムというのが最終結果であったわけですが、それは後からわかった数字でございまして、現実にペンシルバニア州知事が避難勧告をしたときには、もっとはるかに大省な被曝線量が起こるかもしれないということを恐れるような現象があったからであるというふうに報告を聞いているわけでございます。これには、緊急事態だったものですから、いろいろな間違いといいますか、誤報といいますか、そういったようなものがあったわけでございます。 例えばTMIの二号炉で排ガスの貯蔵タンクが満杯になったときに、この全量が放出されるという場合に、そのときには敷地境界では毎時千二百ミリレントゲンという大量のものが出るかもしれないということをNRCは推定を行っていたということがございます。そういったような情報を知事が持っていたというふうに考えられます。 また一方、これは全然別の話なんですが、補助建屋の排気塔の上空四十メートルのところでヘリコプターがモニタリングをやっていた。そのときにはかった数字がたまたま偶然千二百ミリレントゲンというものと一致したということでございまして、こういったNRCの予測値とヘリコプターの計測値とは全然関係のないことをはかっているわけでございますが、たまたま数字が一致したので、これは大変だというような話が出た模様でございます。 そのほか、TMI二号炉の中に水素が充満して、これも後にはNRCの担当者の計算違いであったことが判明しているわけでございますけれども、原子炉容器が爆発するのではないかというようなこともいっときNRCが情報として流したこともあるというふうな状況があったようでございまして、こういったような情報を踏まえまして知事がその避難勧告をしたということでございまして、先ほどの最終結果として百ミリレムということとは全く関係がないわけでございます。 先生御指摘のような周辺住民の許容被曝線量を下げるという点につきましては、先ほど申し上げましたようにICRPのパリ声明、それを含めた各国の対応等を慎重に検討しながら、放射線審議会の御議論の結果を待つという考え方でございます。 それから、もう一つ御指摘ございました。それでは職業人の被曝線量についても同様な対応をすべきではないかという御指摘でございますが、今回のパリ声明は公衆の線量限度についてだけ言及しましたもので、職業人の線量限度につきましては今回の声明では全く触れていないところでございまして、ICRPのパブ26では、公衆の線量限度は公共の輸送機関、例えばバスとか地下鉄とか、そういったものなどのリスクと比較考量いたしまして、原発従業員の想定されるリスクを勘案して設定された限度でございます。そもそもこの限度を算定したところのクライテリアが両方で全く違っておりますので、周辺環境の数字に引きずられて職業人の数字も改定するというような論理的な帰結はないわけでございまして、現にICRPでもその辺のところまでは検討は行われておらないという現状でございます。
○山原委員 時間が参りましたのでこれでおきますが、厚生省の横尾課長においでいただいておりますので、実は広島、長崎の原爆の放射線量改定問題でお聞きをしたいと思っておりましたけれども、時間の関係で失礼します。ありがとうございました。 長官に最後に。一連の放射線被曝についての研究は、全体として被曝基準を厳しく見直すべきではないかという方向に向かっておると思います、例えばパリ声明あるいは広島、長崎の改定の問題を含めまして。こうした中で、ことし出されました再処理施設安全審査指針では、原発などで決められている一般公衆の線量目標値年五ミリレムが示されておりません。これは問題ではないか。厳しい基準を設けるべきだと私は思うわけでございますが、この点についての科学技術庁長官の御見解を最後にお聞きいたしまして、私の質問を終わります。
○河野国務大臣 基準を設ける場合には正しい基準を設けるということが一番重要だ、こう考えております。
○大久保委員長 次回は、来る十日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時四十七分散会