本会議 第2号
- 発言数
- 15 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1985/10/17
会議録
○議長(木村睦男君) これより会議を開きます。 この際、お諮りいたします。 岩動道行君から海外旅行のため十四日間の請暇の申し出がございました。 これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。 よって、許可することに決しました。 ―――――・―――――
○議長(木村睦男君) 議員園田清充君は、去る九月七日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。 同君に対しましては、議長は、既に弔詞をささげました。 ここにその弔詞を朗読いたします。 〔総員起立〕 参議院はわが国民主政治発展のため力を尽くされさきに農林水産委員長の要職に就かれまた国務大臣としての重任にあたられました議員従三位勲一等園田清充君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます ―――――――――――――
○議長(木村睦男君) 成相善十君から発言を求められております。この際、発言を許します。成相善十君。 〔成相善十君登壇〕
○成相善十君 本院議員園田清充君は、去る九月七日、熊本県菊池郡の国立療養所再春荘病院において肺炎のため逝去されました。まことに哀惜の念にたえません。 私は、ここに、同僚議員各位の御賛同を得て、議員一同を代表し、従三位勲一等故園田清充君のみたまに対し、謹んで御冥福をお祈り申し上げるとともに、生前の御功績をしのびつつ、心から追悼の言葉をささげたいと存じます。 園田君は、大正八年十月、九州の穀倉地帯、熊本平野の中にある熊本県下益城郡豊野村に旧家の長男としてお生まれになりました。九州学院を経て、昭和十一年法政大学に進まれましたが、同十五年兵役に服されました。戦後復員された君は、昭和二十二年、弱冠二十七歳で豊野村農業協同組合長に就任され、同時に熊本県議会議員にも選出されたのであります。こうして政治家としての第一歩を踏み出された君は、以後十八年間県議会に在職されました。この間、県議会議長の重責を担われるなど県政の発展に力を尽くされ、大きな業績を残されました。 君が国政に参画されたのは、昭和四十年、郷里の人々の熱心な推挙を受けて参議院熊本県地方区の補欠選挙に立候補され、見事当選の栄誉を担われてからであります。以後三回の通常選挙に連続当選を果たされ、二十年二カ月の長期にわたり本院議員として活躍されました。 本院におきましては、農林水産委員会に十一年十カ月在籍され、委員長に就任されたのを初め、建設、法務、地方行政、議院運営、決算、予算、災害対策等多数の常任委員会あるいは特別委員会にも籍を置かれ、幅広く活躍されました。 また、党におきましては、政調国土開発調査会北陸地方委員会委員長、政調奄美振興委員会委員長、政調総合農政調査会副会長、国会対策委員会副委員長、政審農林水産部会長、政審公害対策特別委員会委員長、政策審議会会長等を歴任されるとともに、農林政務次官、次いで国務大臣国土庁長官の要職をも務められたのであります。 園田君は、がっしりした大柄な体を持ち、些事に拘泥しないおおらかな性格でありましたが、同時に、中国残留孤児のテレビ放送にとめどなく涙する人情家でもありました。また、偉ぶることなく、だれとでも分け隔てなく接し、調整役、まとめ役としてもまれに見る資質の持ち主でありました。散大平総理の誠実な人柄を心から敬慕しておられ、総理が亡くなられたときは、はた目にも痛々しいほど悲嘆に暮れておられたと伺っております。 君は、農政について、本院初当選のころから既に独自の見解を持っておられましたが、これは農協組合長と県議会議員としての豊かな経験によって培われたものであったと思われます。君は、その見解を農林水産委員会での質問などでしばしば披瀝されましたが、それは農業と農民を思う真情にあふれたものでありました。 昭和四十五年二月から翌四十六年一月にかけて農林水産委員長を務められましたが、この間開かれた第六十三回特別国会の農林水産委員会は、第五十七回国会以来審査未了を繰り返してきた農地法改正案を初め、それまでに審査未了となった法案が多数再提出されるという異例の事態となったのであります。このため、委員会運営が円滑にいくかどうか危ぶむ声も一部に出たほどでありましたが、その心配は杞憂に終わり、審議は極めて順調に行われたのであります。これはひとえに、君の農業、農政に寄せる情熱、その人柄、そして公平無私な委員会運営などが会派を超えて信頼を集めたためであると思うのであります。 なお、このとき成立を見ました法案の中には、農民の老後の保障や後継者への経営移譲を促進するための農業者年金基金法案もありました。農民にも恩給をという農家の要望にこたえて創設されることになったこの制度の実現のために、君は早くから奔走しておられましたが、農林水産委員長として、みずからの手でこの法案を成立させたときの感激はいかばかりであったでありましょうか。 昭和五十四年、君は、第二次大平内閣の国務大臣国土庁長官として入閣されました。 このとき、君は、まず三全総の柱である定住構想を推進されるとともに、国土調査促進特別措置法を改正し、第三次国土調査事業十カ年計画を策定されました。また、大きな問題となっていた地価の安定のために「当面の土地対策について」を取りまとめられ、さらに、大都市地域の農地について農業上の利用を継続しつつ住宅地等への円滑な転換を図るための農住組合制度の検討にも力を注がれました。いずれの場合も他省庁との調整を要する問題が少なくなかったのでありますが、君は、労をいとわず、率先してその折衝に当たられたのであります。これらの施策は、君の人柄と、農地問題などに関する造詣の深さがあって初めて実現し得たものであったと言えましょう。 このように、閣僚経験を積むなど、君は政治家として大きく飛躍されたのでありますが、終生変わらず最も力を傾注されたのは農業の振興とそのための諸施策の拡充でありました。君は、常々、農村の青年が明るい希望を持って農業にいそしめる日を実現することこそ自分の責務であると口癖のように言っておられました。 国土庁長官を辞されたころから宿痾の糖尿病が悪化の度を速めておりましたが、その情熱は少しも衰えず、農業関係予算の確保、生産者米価対策、肉牛対策、かんきつ対策等に寝食を忘れて取り組んでおられました。こうした精魂を傾けた活動が健康をむしばむ一因になっておられたかと思うと、言いようのない悲しみを覚えるのであります。 あの少しはにかんだような人なつっこい笑顔を残して、君は今、土にかえられました。君を失うことは、御遺族の悲しみはもとより、農業と農政を取り巻く内外の情勢が一段と厳しさを増している今日、国家にとっても大きな損失であり、痛恨のきわみであります。しかし、そのひたむきな情熱と遺志は、必ずや次代に引き継がれ、生き続けていくことでありましょう。 ここに、謹んで、故園田清充君の人柄と業績をしのび、院を代表して心から御冥福をお祈り申し上げ、追悼の言葉といたします。 ―――――・―――――
○議長(木村睦男君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日) 去る十四日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。久保亘君。 〔久保亘君登壇、拍手〕
○久保亘君 私は、日本社会党を代表し、中曽根総理の所信に関して質問いたします。 最初に、航空事故史上最大と言われる日航機墜落事故を初め、長野市の地すべり、国鉄能登線の脱線転落、中央自動車道の二階建て観光バスの転落、そして台風十三号による海難事故など、事故、災害が相次ぎ、多くのとうとい人命が失われたことはまことに遺憾であります。亡くなられた方々と御遺族に対し深く哀悼の意を表しますとともに、負傷者の皆さんに心からのお見舞いを申し上げます。 これらの事故は、総理の「安心、安全、安定」の所信に反し、安全第一主義を忘れた乱開発や営利優先の企業体質と政府の行政監督指導上の責任に負うところが大きいのであります。とりわけ、日航機墜落事故は、徹底的原因究明により事故の再発を防止するため、航空事故調査委員会の体制強化が必要と思われます。政府の行政責任と今後の安全対策並びに日本航空の企業責任について答弁を求めます。 次に、戦後政治の総決算を掲げる総理の政治姿勢についてただしたいのであります。 あなたは、所信表明において、戦後の我が国の発展は、新憲法のもとに確立した議会制民主主義の地盤の上に花開いたものだと述べられました。しかし、現実のあなたの政治姿勢は、憲法の無視、審議会の乱用による議会制民主主義の否定ではありませんか。具体的には、政策においてGNP一%を超える中期防衛力整備計画を決定し、行動においては靖国神社の公式参拝を強行し、法案において国家機密保護法の提案となってあらわれているのであります。 もともと、あなたは、戦後一貫して日本国憲法を敗戦の屈辱のあかしとして受けとめ、憲法を変えて第三憲政の時代を開くことを政治的使命と考え、首相公選論を展開して、総理の大統領的権力を志向する政治家であることはこれまでのあなたの言動が示しているところであります。福田元首相ですら再び戦前の暗い道を歩いてはならないと警告する戦前への暗い道は、まず十八兆四千億の中期防衛力整備計画の政府決定で始まったのであります。 一%枠をめどとする五十一年閣議決定を今後とも尊重するよう努力すると所信を述べながら、同じ手で、明らかに一%を超える新しい政府計画を国会に報告されるのですか。政府計画にすれば文民統制が強化されると言いながら、政府決定の段階で既に一%の政府公約が守れないようでは、文民統制はどこへ行ったのだろうと思われてならないのであります。総理の反論があればぜひお聞かせいただきたい。 また、あなたは、一%枠の撤廃を、「政権担当以来できるだけ早くと思っていたもので、王道を行くとはこのことだ」ともおっしゃっていますが、国民世論の反対と自民党内の事情で王道を行けなくなったあなたが、五十一年閣議決定を尊重するというのは本音でしょうか、はっきりお答えいただきたいのであります。 さらに、総理が、中期防衛力整備計画について、九月三十日、内外情勢調査会年次大会で述べられた、「日本国憲法や国是と国際関係の要請とのぎりぎりの調和だ」「防衛問題で批判が強いようだが、国民がこうした国際関係のすべてを知っているとは限らないので、真意を説明すれば必ずわかってくれる」と言われたその国際関係の要請と真意について、ぜひ教えていただきたいのであります。 次に、中曽根総理によって、これまで自民党政府が説明してきた防衛の基本理念が大きく変えられたのではないかということであります。 専守防衛という憲法との関係での苦しい弁明すら通用しないと思われる兵器の質と量、例えばP3C百機体制など、明らかに専守防衛の枠を超えて経済優先から軍事優先への転換が見られることであります。軍事大国にはならないと言われるが、軍事大国とはどんな状態を言うのですか、お答えいただきたい。 また、日本の防衛力整備がアメリカの太平洋戦略に組み込まれている証拠には、あなた自身が、アメリカが財政赤字で軍事費の削減を強いられている中で日本としても応分の負担をするのは当然と言っておられるのであります。これに呼応するかのように、アメリカの上下両院は、内政干渉とも言える日本の防衛力増強に関する決議や、日本の防衛力増強の実情を報告する義務を大統領に課する法律を可決しているのであります。内政干渉でないと言うなら、一体、日米首脳の岡には日本国民の知らないどんな約束があるのでしょうか、お尋ねいたします。 今や、中曽根内閣の手で日米共同作戦計画は次々に強化され、あなたが望んだ運命共同体、不沈空母の完成を目指す計画が進められているのではないでしょうか。これこそ憲法の精神をじゅうりんする軍事大国への道であります。総理の言葉をかりれば、「日本の防衛は何ができるのか、できないようならやめてしまう方がよい、やるなら有効なものにせねばならぬ」というソ連脅威対抗型の日米共同軍事体制に狂奔することが、本当に我が国の安全保障の道なのでしょうか。 しかも、アメリカの対ソ戦略にがっしり組み込まれた軍備拡張を進めながら、総理は近く国連において平和と軍縮を世界に訴えられると聞いております。みずからは軍拡の政策をとりながら軍縮を説くぐらい説得力に欠けるものはないと思うのであります。また、米ソ首脳会談を成果あるものとするよう訴えられると聞いております。 ゴルバチョフ書記長は、先月、社会党石橋代表団に対して、米ソ首脳会談の成果を期待するのは世界の諸国民の権利であると語りました。その権利を行使するものは、米ソいずれの核戦略にもくみしてはならないと思うのであります。社会党はアメリカの核戦略に断固として反対し、非核三原則を持つ日本が検証することのできない核兵器搭載可能なF16部隊の三沢配備に反対しているからこそ、ソ連のSS20撤去を強く要求し、共同声明にも明文化させたのであります。国連総会での中曽根演説の基調は何ですか、お尋ねいたします。 また、いわゆる緊急サミットにおいて、アメリカ大統領にSDIへの参加要請を受けたらどのような対応をなされるおつもりですか。SDIの中心となるレーザービームは、将来核兵器を超える非核兵器となる可能性を持つと言われていますが、総理はSDIについてどの程度調査なされていますか。SDIの総額と、研究参加した場合日本の経費負担はどのくらいと予想されていますか。西側の数カ国が既に参加を拒否していることをどのように受けとめておられますか、お尋ねいたします。 なお、この際、ソ連外相の訪日に関連して伺いたいのは、北方領土についてであります。 我が党の石橋代表団はゴルバチョフ書記長に対し、歯舞、色丹は北海道の附属島嶼であるから当然として、日本の領土である全千島の返還を歴史的事実に基づいて要求しました。双方の意見は一致しませんでしたが、ゴルバチョフ氏は日本国民の意思は確かに伝えられたと述べ、共同声明において、不一致点は友好の妨げとせず双方で克服のために努力するということで合意しました。そして、この文言は領土問題を含むと我々は理解しているが、シェワルナゼ外相との会談において総理は領土問題についてどのような態度で臨まれるのか、平和条約との関係も含めてお答えいただきたいと思います。 次に、靖国神社公式参拝についてお尋ねいたします。 最初に、一九八〇年十一月、鈴木内閣が国会に示した「公式参拝は違憲の疑いを否定できない」とする政府統一見解は生きているのですか。破棄されたとすれば、議会制民主主義のもとでいかなる手続で破棄されたのか、明確にしていただきたい。官房長官の私的諮問機関が国会で批准されたに等しい政府統一見解をどのような権限で覆すことができるのですか。総理、あなたが違憲の疑いをあえて乗り越えてまで公式参拝を強行された理由は何ですか。 私は、たとえ誤った戦争でも、国家の指導者の命令で家族を残して職業を離れ戦場に赴き一命を失った戦没者を弔い、遺族を援助することは国家の当然なすべきことであると思います。それは兵士と一般人、戦線と銃後を区別すべきでありません。その場合、憲法に違反しない、つまり宗教法人によらない慰霊の方法をとるべきです。全国戦没者追悼式もその一つであり、千鳥ケ淵霊苑もその趣旨に沿うものであります。しかし、戦争を指導した責任者は明確に区別されるべきです。しかるに、なぜ東条英機ら戦争責任者が合祀されているのか。中曽根総理はそのことをどうお考えでしょうか。この際、太平洋戦争をどう評価されているのか、東京裁判の意義をどのようにお考えになっているのかについても、総理のお考えを聞かしていただきたいのであります。 公式参拝に関する官房長官談話によれば、「我が国は、過去において、アジアの国々を中心とする多数の人々に多大の苦痛と損害を与えたことを深く自覚し、このようなことを二度と繰り返してはならない」とされ、外相は北京でこの談話に基づいて中国側の理解を求められたと聞いておりますが、アジアの国々、とりわけ中国において公式参拝に不快感が強く示されたことを総理はどのように受けとめていらっしゃいますか。また総理は、靖国神社に公式参拝されるとき、何を祈り、何を誓われるのですか。私はあなたの戦争に対する考え方に深い疑問を持っております。 総理は、かつて拓殖大学の総長になられたことがあります。その折、学生諸君に告ぐという講演を何回かなさっております。その際、特攻隊について話されたことがあります。国のため自発的に命を捨てるぐらい大きなものはないと語っておられるのであります。このような死生観を青年、学生に説く中曽根さんが、海軍将校になられて、なぜあなたの言う人間として最も大きな道、特攻の道をお選びにならなかったのかもお聞きしたいことの一つであります。 また最近、民放の総理と語る番組で、我々の世代は戦争で鍛えられている、今の若い人にそういう経験がないのはかわいそうだと言われたそうです。このような言葉を聞くたびに、青少年に愛国心の名のもとに再び英霊の道を選ばせようとする総理の靖国公式参拝の意図が感ぜられてならないのであります。日本国憲法によって選ばれた総理の言葉とはどうしても思えないのであります。総理の御所見を伺っておきたい。 最後に、秋の例大祭の公式参拝を取りやめた理由と、今後いわゆる公式参拝について自粛されるおつもりはないか、総理のお答えをいただきたいと思います。 次に、アメリカが貿易赤字のドル高主因論を認め、保護主義防止のために開かれた先進五カ国蔵相・中央銀行総裁会議は、協調介入によるドル高是正を取り決め、円は史上最高の上げ幅を記録しました。同時に、会議は日本の国内経済の振興を強く求めているのであります。 そこで、お尋ねしたい第一点は、円高の目標をどの辺に置いて定着させようとしているのか。また、昨今の動きは政府の円高誘導が成功するかどうか微妙になってきたように見受けられますが、今後の介入方針をあわせて伺いたいのであります。 また、円高によってもたらされる日本経済への影響をどのように見ているのかということであります。円高が定着、持続すれば経済にはデフレ効果をもたらし、特に輸出関連中小企業は深刻な影響を受けると思われるが、そのためにも内需の拡大が重要となってまいります。ところが、政府が進めようとしている内需拡大策の中心は規制緩和と民間活力活用であり、地方自治体による公共事業拡大であります。内需に最も効果的と思われる個人消費拡大のための減税と国の公共投資の拡大が提案されていません。果たしてこれで内需中心の成長が可能なのか、政府の内需拡大策は民間と地方に依存している印象を免れないのであります。それは、大都市中心に傾斜し、財政力による一層の地域格差拡大のおそれも強いと思われるのであります。 もし本気で内需拡大を実行しようとすれば、大幅減税を直ちに実施し、公共投資を抑制している中曽根内閣の節約一本やりの財政再建方式の見直しが必要となってくるのではないでしょうか。つまり、内需拡大と財政再建は一時的には二律背反で二者択一の選択を迫られているのであって、政府の財政再建の基本方針の変更が求められるのではないでしょうか。この点について総理の内需拡大と取り組む決意を伺いたいのであります。 なお、一昨日決定された政府の内需拡大の実施のタイミングはどうなるのか。六十年度予算で措置できるもの、六十年度補正でやるもの、六十一年度予算回しのものを区分してお示しいただきたいのであります。 さらに一点、内需拡大にとって人事院勧告の完全実施が極めて重要な役割を持っていることにかんがみ、政労交渉を通じて完全実施に踏み切るよう強く勧告いたしておきます。 次に、総理がシャウプ税制の改革に積極的に取り組もうとされていることについてでありますが、今日の税制はクロヨンに象徴されるように国民の信頼を失ってきているのであります。また、連日のように報道される法人、公益法人を含む巨額の脱税と滞納、少額非課税貯蓄十兆円と推定される悪用など税金のごまかしは、正直者がばかを見る税制であると国民の目に映るのであります。不公平な税制の改革と制度の公正な運用が望まれるのでありますが、総理が提唱されている戦後税制の見直しの基本的考え方、言いかえれば、今なぜ税制改革かについてお考えを伺いたいのであります。所得税中心の戦後税制の基本を変えようと考えておられるのか、明確にしていただきたいと思います。 次に、総理は、税制改革は増収を目的とするものではなく、国民の税に関する重圧感を除去し、まず国民の理解を得ることが重要とされ、当面、所得税減税を中心に国民の負担の軽減等を最優先させ、その後来年秋までに包括的改革案を答申してほしいと政府税調に諮問されております。また総理は、しばしば所得税、法人税、相続税、さらに地方税等具体的税目を挙げて大幅減税の必要を演説されておりますし、あなたの派閥集団である政策科学研究所は九月に、三兆円から四兆円の減税を提言しているのであります。 そこで、明らかにしていただきたいのは、総理の減税先行論は、来春、政府税調の減税に関する中間答申を得れば、内需拡大策とも関連させ、直ちに減税を先行して実施するという決意を示されたものかどうか。もしそうだとすれば、実施の時期、規模、できれば税目ごとの減税金額のめどとその財源を示していただきたいのであります。財源をぼかした減税論で単なる選挙目当てや東京サミット対策の花火だけを打ち上げるようなことは、責任ある政府の絶対にやってはならないことであります。 なお、包括的税制改革として、村山調査会はネットで増減税なしとして減税の財源を大型間接税に求めていますが、村山調査会報告に対する総理の見解を承りたいのであります。 最後に、税制改革は長期の視野に立って行い、国民の不公平感をなくするものでなければなりませんが、そのような視点に立ては、大型間接税は大衆課税として不公平を拡大するものであり、少額非課税貯蓄の悪用を理由とする一律分離低額課税は高額所得者の優遇税制ともなり、所得税の簡素化が最高税率の引き下げと最低課税率の引き上げを招くならば、結局、金持ち優遇、大衆増税の結果となるおそれの強いことを特に指摘し、総理の御見解を伺っておきたいのであります。 次に、当面する最大の政治課題である国鉄再建についてお伺いいたします。 今日まで政府は、国鉄の危機を招いた政府の責任を避けて、再建監理・委員会任せでありました。特に臨時措置法の成立後、御用的人選で再建監理委員会を発足させ、答申待ちに終始した総理の姿勢は国会軽視そのものであります。総理の意に沿った再建監理委員会は、審議の公開はもちろん、議事録の提出にすら応じていないのであります。その一方で、九州における一日行革審などでは、権限を越えて一方的宣伝を好き勝手に行っています。 このようにして、百年の歴史を持つ国鉄を六分割を中心に二十以上にずたずたに解体民営化し、二千キロ以上もローカル線を切り捨て、十万人の雇用を削減し、その上国民に十七兆円の負担を押しつける提言を行いました。このような方針が一握りの一方的立場の委員によって密室でつくられ、そのまま政府の方針となるのでは、我が国の民主主義は危機的状況にあると言わねばなりません。国鉄を今日の危機に追い込んだ政府・自民党の政策責任を反省し、国民的合意を求める努力をすることこそ今日の総理の責任ではないでしょうか。 そこで、総理に要請したい第一は、再建監理委員会の、再建にあらずして解体につながる答申を見直し、全国民的立場で再建の具体策を検討すること。第二に、国と国鉄の責任分野を明確にし、国鉄の構造的赤字は国の責任で処理し、赤字体質を改めること。第三は、国民生活に深く影響を持つローカル線は存続させること。第四に、国鉄関係労働者と家族の雇用と生活不安を解消することであります。国家百年の計を誤ることのないよう、政府の反省を含めて、総理の誠意ある答弁を求めるものであります。 次に、臨教審の第一次答申を受けた総理は、その直後、東京都議選の街頭に立ち、「私が臨教審をつくったのは共通一次をやめさせるためだ。答申を受けたので六十二年度から共通一次は廃止させる。やると言ったら必ずやります」と言われたそうです。共通一次の改革は必要ではありますが、高校の教育の現場や大学入試の実施主体である国立大学協会の意向も聞かず、教育改革を政治宣伝の具に供したとしか思えない無責任なこの発言こそ、臨教審設置に当たって我々の危惧したことであります。そのような総理の態度がもたらした高校現場の不安と混乱を反省されたことがありますか。教育改革は絶えず学校と子供の立場に立って考えるべきです。御見解を求めます。 いじめの問題についても、転校を認めるなど対症療法に終始することでなく、その原因を確かめ、学校が友情をはぐくむ場となるため積極的な明るい教育環境づくりに努力しなければなりません。もとより教師の責任は重いと思います。しかし、そのために果たすべき政府の責任も明らかにしなければなりません。不当な競争からの解放、四十人学級の早期実現、過大規模校の解消、私学助成、奨学資金の拡充、そして国民の要望の強い教育減税の実現など緊急の課題とどのように取り組むおつもりか、お伺いしたいのであります。 また、文部省が最近になって、学校に暖かさと潤いを持たせるためということで木材の活用を指導しています。林業の振興と内需拡大の上からも異存はありません。しかし、国の補助金カットが行われる中で、ただでさえ補助単価の低い木材利用は自治体の財政を圧迫し、仏つくって魂入れずということになりますが、補助単価を引き上げる用意がおありでしょうか、お尋ねしたいと思います。 また、文部大臣が義務教育の根幹にかかわる制度として守るべきことを再三強調されている義務教育費国庫負担制度、とりわけ事務職員、栄養職員の人件費などに手をつけるようなことでは教育改革を論ずる資格すらないと考えるのでありますが、総理の所見を伺っておきたいのであります。 特に、押しつけの教育改革、金は出さぬが口は出す教育改革でなく、父母と教師を中心に国民みんなが子供の立場で考える教育改革を実現し、管理される教師でなく、みずから使命感に燃えて、愛と知と力で創造する教師に期待すべきだと思いますが、いかがですか。 最後に、南アフリカのアパルトヘイトについて総理にお尋ねしておきます。 既に国連総会もアパルトヘイトを人類に対する犯罪として非難し、その廃止のために経済制裁を呼びかけているにもかかわらず、日本の対南ア貿易は増加し、人権よりも経済的利益を優先させているという非難の声すら聞くのであります。アパルトヘイトに対する日本政府のとるべき対応について答弁を求めます。 質問を終わるに当たって、再びあなたの政治姿勢に触れなければなりません。 あなたの政治家としての資質、機を見るに敏であり、わけてもその演出、宣伝力には深く敬意を表せざるを得ません。今日、確かに中曽根総理への個人的支持は歴代総理のそれに比べて高率を持続されています。しかし、あなたのやろうとしている政策と行動を国民は支持していないことも事実であります。GNP一%の撤廃に七〇%が反対し、靖国公式参拝にも五二%の反対があります。教育改革は望んでも、臨教審に期待する国民は四〇%しかありません。 この政治家個人に対する支持と政策に対する不支持の大きな乖離こそ戦後の政治に例を見ない特徴であり、このような状況のもとで平和と民主主義が脅かされた例は歴史をひもとくまでもありません。軍縮の極致としての非武装中立を非現実的として退け、力による恐怖の均衡を求めて軍拡の道を選択している総理が、国連において平和憲法を人類の至高の価値と位置づけて世界に向けて演説されようとする一方で、実質改憲の先頭に立たれていることに私は強い不信を表明します。今求められているのは、戦後政治の総決算ではなく、中曽根政治の総決算であることを主張して、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
○国務大臣(中曽根康弘君) 久保議員にお答えをいたします。 まず、日航機の遭難につきましては、まことに遺憾な事態でございまして、遭難者の皆様方に心から哀悼の意を表する次第でございます。なお、負傷なさった方々につきましても速やかなる御回復を祈っております。 このような不祥事件が起きないように、航空安全については今後とも万全を期してまいる所存でございます。既に航空事故調査委員会において鋭意調査を進めておりますが、証拠の収集とかあるいは内外の資料の調査とか調査委員会の行動につきましては、政府としては全面的に協力もし努力してまいりたいと思っておるところでございます。 既に政府としては、事故直後に各航空会社に対しましてボーイング式747型機の一斉点検を指示するとともに、日本航空の整備業務の改善を勧告したところでございます。日本航空の遭難者等に対する責任につきましては、事故原因の究明を待って明らかにすべきものであると考えております。 戦後政治に関する御批判につきましてでございますが、私は戦後の政治を高く評価し、また、この間に果たしました現在の日本国憲法の歴史的役割も非常に強く認識しているということは申し上げたとおりでございます。民主主義、平和主義、自由主義、基本的人権の尊重、国際協調主義等の諸価値が強く国民の間に浸透してまいりまして、福祉も充実してきました。これらは戦後政治の我々が日本歴史に誇るべき大きな成果であると考えておるのでございます。しかし、物事はいいことばかりではないのでございまして、光があれば陰も出てまいります。 そういう意味におきまして、伸ばすべきところは伸ばすが、欠陥はこれを是正するというのが正しいあり方であると思います。政府の責任は、国民の平和やあるいは安全や福祉を進めるということでありますが、もう一つ大事なことは、国民の生命財産あるいは社会の安全を守るということが基本的な大きな使命でございまして、そういう意味におきましては、防衛の問題もないがしろにするわけにはいかないということを申し上げたいのであります。 次に、今回の防衛力整備計画と憲法との関係でございますが、今回の防衛力整備計画におきましても、平和憲法のもとに専守防衛の理念を堅持して、他国に脅威を与えるような軍事大国とならず、総合的安全保障政策のもとに文民統制を確保しつつ、節度のある、かつ有効な防衛力の整備を図るという方針は不変でございます。そして、憲法の手続や精神に従いまして、今回はさらに文民統制を全うするために、この計画は国防会議にかけ、閣議で決定し、国会に報告するというように、さらに文民統制を強めた措置をとった次第なのでございます。 しかし、この防衛計画あるいは三木内閣の決定のいきさつを見ますと、やはりまず第一に、日本の独立と平和と安全を守るためにこの防衛計画の大綱というものが最初にあったのであります。防衛計画の大綱というものがまず最初にあって、それからこれを運用するについて、過度の支出はいけない、ほかの政策との調和も必要であるというので、一週間後にその歯どめとして一%の閣議決定が追加された、これが実相でございます。政府は、このような経過も踏まえまして、この両方を守るために努力してきたというのが実情であり、我々もその努力をしてきたところでございます。 しかし、あのときの三木内閣の決定は、当面、各年度の防衛費が一%を超えないように、そういうような当面各年度の防衛費という限定になっておるのでありまして、毎年、毎年度の予算編成に関しての一つの歯どめと考えていいのであります。そして、GNPやあるいは予算の額というものは年度年度によって非常に変動が多いものでございますから、したがってこのGNPと防衛費の関係を確定的に申し上げることは難しいので、不確定な情勢である。我々は、各年度の予算編成につきましては、三木内閣の決定の趣旨を尊重いたしまして努力しているということを申し上げておる次第なのでございます。 次に、国際関係と我が国の防衛努力との関係でございますが、この十年間を見ますと、我々の周囲をめぐる国際軍事情勢はかなり変化しておるのであります。例えばソ連の一貫したアジア・太平洋における軍事力増強というものは、実に目をみはらせるぐらい強いものが出てきております。あるいはバックファイアの増強であるとか、あるいはSS20の展開であるとか、あるいは北方領土に対するほぼ一個師団ぐらいの兵力の増強であるとか、あるいは海上兵力の増強であるとか、十年間を見ますとかなり大きな変化がございます。 我々はやはり世界の安全保障、日本の安全保障を全うするためには、遺憾ながら均衡と抑止の理論に頼らざるを得ない。戦後四十年間大戦が起こらなかったというのは、やはり米ソを中心にする力の均衡と、それによる抑止力によって戦争の勃発が防げた、そういう考えに立っておりまして、我々はそのような考えを基本にしつつ、日本列島防衛を中心にしてその目的のために自衛隊をつくり日米安全保障条約を運用している、こういう考えに徹して、日本列島防衛がまず中心であるということ、そして個別的自衛権の範囲内においてそれは実行するという憲法の趣旨に従って防衛計画を遂行しており、今後も遂行していくということを申し上げ、これは憲法に違反するものではないと申し上げるのでございます。 防衛につきましては、国際情勢やあるいは日本周辺の動きあるいは外交政策、それから国民の支持等ほかの政策との調和、それと同時に日本を守る有効な防衛実力、この三つが必要でありまして、この三つを調和させるように憲法及び今までの政策の原則に従って努力してきておる次第なのでございます。 軍事大国とはいかなるものであるかいう御質問でございますが、私は、自衛の範囲を超えて、そうして民生を著しく圧迫しつつ他国に脅威を与えるような強力な軍事力を保持して、これを威嚇や脅迫の道具あるいは侵略の道具に使うというようなものはもう軍事大国である、そう考えていいと思うのであります。我々は専守防衛の精神に徹して、かりそめにも軍事大国になるようなことはいたしません。 日米安保条約を運用するについて何か秘密の話でもあるのではないかというお話でございますが、安保条約におきましても随時協議の制度があり、あるいは事前協議の取り決めがあるわけでございまして、防衛につきましては日米相互で協議するということは当然のことであり、その間に国民の知らない約束などは毛頭ございませんということを明らかにいたします。 次に、日米間における共同作戦計画の問題でございますが、日米共同作戦計画の研究は、日本に対する武力攻撃が行われた場合に、日本が侵略された場合に、自衛隊と米軍が日本防衛のための整合性のとれた作戦を円滑かつ効果的に行うための研究として、安保条約の運用として「日米防衛協力のための指針」に基づいて進めておるものなのであります。かかる研究の実施は、日米安保体制の目的を達成し、日本防衛の目的を達成するために当然のことである、このように考えておるわけであります。 私が国会の御了承をいただきまして国連に出席させていただきます場合の方針でございますが、何といっても平和と軍縮の推進、それから自由貿易の推進、開発途上国への協力、あるいは世界の文化や文明の発展への協力、あるいは国連への協力と国連の改革、こういうようなことを強調したらどうかと考えております。特に、平和の維持と軍縮の推進につきましては最も重要なことであって、それを強調したいと思うのでございます。 SDIあるいは今回のいわゆる緊急サミット等についての御質問でございますが、SDIの研究参加の問題については今慎重に検討しておるところであり、経費分担等の具体的問題について答え得る段階にはございません。米国の要請を受けた各国の反応はいろいろさまざまでございまして、政府が参加しようという考えを持っておる国もあるようであり、民間だけの参加にとどめようとしている国もあり、おのおのの国が独自の対応を行って、今検討しておるところでございます。我が国も自主的に検討しておるところでございます。 レーザービームにつきましての調査研究も、私自身もしておりますし、政府としてもいろいろ進めておるところでございますが、米国のこの研究進度については必ずしも十分にわかっているという状態ではございません。今後ともいろいろ研究調査を進めてまいりたいと思います。 北方領土に関する問題でございますが、北方領土問題を解決して平和条約を締結することにより日ソ間に真の友好協力関係を確立する、これが基本方針でございまして、先般、ゴルバチョフ書記長あての私の親書におきましても平和条約締結交渉の再開を提案しておるのでございます。今後あらゆる機会を通じまして、この基本方針にのっとりつつ、粘り強く働きかけ、交渉していく考え方であり、かつ日ソ間の対話を強化していくために、幅広くいろいろ対話の機会を広めていきたいと考えておる次第でございます。 さらに、十一月十七日の政府統一見解に関する問題でございますが、これは靖国神社に関して宮澤官房長官が衆議院議院運営委員会理事会において明らかにしたものでありまして、去る八月十四日の内閣官房長官談話において、これを部分的に変更する旨を表明いたしました。これは、宗教とのかかわりの部分について、そのやり方についていろいろ疑義も提出されておるところであります。そこで、そのやり方について、憲法に違反しないような方法はどういうものがあるかということも検討をし、また、閣僚の靖国神社参拝問題に関する懇談会の報告等も徴しまして政府の統一見解を変更するに至ったと、そういう経緯でございます。 靖国神社におきまして総理、閣僚による公式参拝が実施されることを一般国民や御遺族の方々は強く望んでおりました。また、私といたしましては、戦没者に対して追悼し、そうして平和を祈念し、再び戦わず、不再戦を誓うことは極めて意義あることであると、そう考えておるのであります。 戦争責任者の問題でございますが、これは独立の宗教法人である靖国神社が自主的に決定したことでございまして、政府として特に申し上げる立場にはないのでございます。太平洋戦争や東京裁判の評価に関しましては、前から申し上げているように、太平洋戦争はまことに遺憾な戦争であり、起こすべからざる戦争であったと、そのように申し上げておるのであります。特に、外国にも国民にも多大な迷惑をかけまして、再びこのようなことがあってはならないとかたく我々は肝に銘じておる次第でございます。 東京裁判は連合国の戦争処理の一環の行為であると思いまして、私から特に論評すべきものではないと思うのであります。しかし、戦争につきましては、日本人みずからあるいは日本国政府ともども自主的に反省し、これを教訓とするということは大事であると考えております。 次に、靖国神社公式参拝に対する諸国の反応の問題でございますが、我が国は、過去においてアジアの国々等を中心とする多数の人々及び国家に対して、あるいは侵略行為あるいは戦争により多大の苦痛と損害を与えたことを深く自覚し、反省し、このようなことを二度と繰り返してはならない、そのように考えております。中国におきましていろいろの御議論があるようでございますが、中国側の御見解や学生の考え等についても、我々は先方の立場に立ては理解できる面もあるのでございます。また、我が国には我が国の事情もあり、独立国家としての我が国の考え方もございます。これらの関係をよく調整いたしまして、意思を疎通して、お互いに理解し得る方法をさらに対話等によって強めてまいりたいと考えておるところでございます。 次に、なぜ特攻隊への道を選ばなかったかという考えでございます。 私は、拓殖大学の総長をしておるときにしばしば学生に話をいたしましたが、死をもって国を守るくらい厳粛なことはない、生きるか死ぬかというその関頭に立った場合の人間の精神は極めて厳粛である、そう考えておるのであります。人間の生と死というものを学生諸君もよく考える必要がある、そういうことを申してあるのでありまして、このようなことは悲しいことであり、追悼すべきことではあってもあざ笑うべきことではない、そういうことを言ったのであります。 私が特攻隊に行かなかったかという話でありますが、私は海軍の主計科でありまして、航空隊には行かなかったのであります。人間の進退というものはそのときの情勢になってみなければわからぬものである、そう思います。 さらに、民放番組における私の発言でございますが、これは戦争を賛美したものではないのでございまして、対談の相手の方も戦争に参加された方で苦心された方でありました。そこで、回顧談として、我々は若いころやはり戦争というものによって鍛えられましたね、若い人がたくましく成長するためには何かそういう試練というものが必要である、今会社でいろいろ試練を受けておりまして、会社というものはそういう意味においては非常に大きな役目を果たしておりますね、そういう話をしたのでありまして、前後の発言を御検討くだされば十分御理解できることであると思っております。 靖国神社の今後の参拝につきましては、これはこれからも機会のあることに一つ一つ検討していくべき問題であると考えております。 円高の目標につきましては、九月二十二日の五カ国蔵相会議以来ドル高是正が進んでおりまして、各国の基礎的経済条件が為替相場に反映するようになってきたことは御同慶の至りであります。我々としては、これは市場の判断にゆだねるべきものでありますが、今まで円が過小評価され、ドルが過大評価されていた嫌いがあったと思っております。今後ともこの安定状況をさらに定着するように努力してまいりたい、こう考えております。 また、円高の影響によりまして中小企業その他に対する影響が出てくる可能性もありますので、それらの対策については万全を期してまいりたいと思っておるところでございます。 次に、所得減税等の問題でございますが、これは前から申し上げているとおり、戦後、シャウプ税制以来、日本の税体系には大きなひずみやゆがみができておるし重税感も非常に強い、これらの国民の皆様方の要望におこたえするのが政治の責任である。そういう意味において、これらの重税感や不公平感というものを是正するというときに来た、そのためには減税を中心にするゆがみの是正等が必要である。そういう意味において、所得税、法人税あるいは相続税等についても我々は改革する必要がある、ぜひやりたい、そういうことを申して、今でもその考えに立っておるのでございます。しかし、いずれにせよ、税調におきまして今抜本的に調査していただいておるところであり、住民税の問題も実は手がけていただきたいと申し上げておるのでありまして、税調答申をお待ちしているということでございます。 公共投資の問題につきましては、我が国経済は、ばらつきはありますが、やはり拡大は続けております。そして、経済の拡大均衡を通じて対外経済摩擦の解消を図る、それから景気の持続的拡大を図るためにも、民間住宅投資の促進、公共事業の拡大を内容とする内需拡大に対する政策を決定したところでございます。我が国は相当な赤字を抱えておりますから赤字公債を発行するわけにはいきませんし、公債費の負担を大きくするということも我々は慎重でなければならない、そう考えておるわけなのであります。 今回の対策として盛り込まれました住宅金融公庫の特別割増貸付制度の実施、貸付枠の追加、国庫債務負担行為の活用、災害復旧工事の速やかな実施、地方債の活用等による下水道その他の公共事業の推進等については、六十年度中に実施に移す予定であります。また、今後推進する対策として、規制緩和等を着実に実施し、民間活力活用プロジェクトに関する環境整備や住宅建設、設備投資等に関する施策について、今後の予算編成や税制改正作業の過程の中で所要の手続を経て検討を進める考え方であります。 次に、税制改革の必要性に言及なさいましたが、やはり戦後の大きな税体系のゆがみ、ひずみ、重圧感というものを公正に直すということは国民が強く要望しているところであると思います。そして、答申につきましては来年秋ごろまでにいただきたい、そしてそれらの答申につきましては、最終的には財源措置等も含めて一体として包括的な指針をいただきたい、そのように申し上げておるのでございます。手順としては、ともかくひずみを直す、重税感を直すという意味で減税をまず考えてもらいたい。そして、その体系を示した上で今度は収支バランスのとれる包括的な指針をいただきたい、そういうように順序もお示ししておるところなのでございます。 村山調査会の報告については、その御見識と御努力に対しては非常に敬意を表します。しかし、これは分析論を示したのでありまして、これをどういうふうに採用し組み立てていくかということは、党並びに税調等において今後作業して決めていく問題であると思います。 大衆増税や大型間接税の問題につきましては、これはマル優預金、非課税貯蓄利子等に関する問題も含め、すべてこれは広く税調の数多い検討対象の一つとして検討されるであろうと考えております。 国鉄改革につきましては、二つ大きな問題があるのであります。一つは長期債務の問題です。もう一つは余剰人員処理の問題でございます。これにつきましては政府としても真剣に取り組みまして、特に余剰人員の問題については、内閣に対策本部も設けて、各省庁打って一丸となって民間、財界等の協力も求め、地方公共団体の協力も求めてこの対策を進めてまいりたいと思っております。ローカル線を含む地方の実情等につきましては、鉄道としての機能を十分発揮したサービスの提供が得られるように、地方とよく協議して進めてまいりたいと考えておる次第でございます。特に、これを推進するにつきましては、国民の御理解と同時に国鉄職員の御理解、御協力を得ることが大事でございまして、これらについても政府、国鉄挙げて努力してまいりたいと思っておるところであります。 教育改革につきましては、やはり国民の皆さんや父兄の御要望をまず酌み取る必要があります。今までの教育改革は、ややもすれば教育をする方の側からの改革というにおいが強かったように思います。受ける方の子供たちや学生、父兄の立場からの声をもっと強く入れた教育改革、あるいは二十一世紀や日本の国情に即応した教育改革という面が強調されてしかるべきである。そういう考えに立ちまして、特に今父兄が要望して、日本の戦後の教育の大きな欠陥と言われてきたのは、入学試験の問題がございますし、偏差値教育の問題がございますし、暴力やあるいは先般来の不詳事件、特にいじめの問題等がございます。これらは現象面でありますけれども、この現象面の中には大きな病理があるわけであります。この病理を剔抉して現象面を直す、こういうことが大事であるので、今臨教審における研究を我々は刮目して待っておるということなのでございます。 いじめにつきましては、これは何といっても学校に起きている問題ですから、学校がまず第一義的に責任を持たなければならぬ問題であり、校長先生や教頭先生や主任あるいは先生方が、いろいろ教職員会議を開くなりPTAとも相談をするなりしてまず努力していただく、それに対して教育委員会や地域というものが協力し、国家もこれを指導する、そういう形で打って一丸となってこの対策を講じなければならない。したがいまして、政府としては先般来、特に文部省は通達を出しまして、そして各教育委員会ごとに各学校の先生方や地域の皆さんと協議会を開いて、具体的に一つ一ついじめをなくすような措置を講ずるように指導したところなのでございます。 義務教育費国庫負担制度の問題でございますが、義務教育は国民として必要な基礎的資質を養うものであり、国としても責任を負うべきものなのであります。義務教育にかかわる国庫負担制度の重要性は十分認識しておりますが、今厳しい財政事情下にありますのであらゆる分野について見直しをしていただいておりますが、義務教育につきましても慎重に検討してまいるつもりでおります。 学校の木材使用は賛成であります。やはり、ゆとりとか潤いということを考えますと、この点はいい御指摘であると思います。この施策の推進に要する経費については、六十一年度予算において適切に対処していきたいと考えております。 アパルトヘイトについては、我が国は南アのアパルトヘイトに強く反対する立場を堅持しております。各国の対南ア措置の中でも特に厳しい措置をとっております。我が国は、現下の南ア情勢の急速な展開にかんがみ、国際社会が一致してアパルトヘイト反対の立場を明らかにすることが必要であるという観点から、九日に新たな追加措置を発表いたしました。そして、南ア政府に一層の改革努力を促し、今後とも南アのアパルトヘイト政策に対しては毅然たる態度で臨む決意でございます。(拍手) ―――――――――――――
○議長(木村睦男君) 加藤武徳君。 〔加藤武徳君登壇、拍手〕
○加藤武徳君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、当面する内外の重要課題について中曽根総理初め関係閣僚に対し若干の質問を行いたいと思うのであります。 質問に先立ちまして、去る八月十二日、日航機の墜落事故で多くの方々の人命が失われました。亡くなった方々や御遺族に対しまして衷心から弔意を表しますと同時に、再びかような事故が起きてはならないのでありますから、万全の措置をとってまいらなければならぬと思うのであります。 さて、中曽根総理、あなたが政権を担当されてやがて満三年を迎えることになりました。総理は、御就任以来、文字どおり東奔西走され、首脳外交を活発に展開され、世界の平和と繁栄のためにも大きく寄与してこられました。また、内政面においても行財政の改革を強力に進め、国鉄、教育改革にも強い意欲を示しておられ、また、戦後政治の総決算をももくろまれて、例えば国のためにとうとい命をささけられた御英霊に対し尊崇と感謝の念を含めて、また平和も祈願されて靖国神社を公に参拝されました。そして、きょうから秋の大祭が三日間あるのでありますけれども、訪米を目前に控えて極めて御多忙であることはよく承知をいたしておるのでありますが、どうぞ国民の多くが参拝願うことを心から期待をしているのでありまして、私も参拝を心から願う者の一人であります。 そこで、最近の世論調査の結果を見ますと、中曽根内閣や与党自由民主党に対する国民の支持が極めて高いのでありまして、これは政府・与党が一体となって真剣に政治と取り組んでおるからだと思います。かような時期に、我が自由民主党はあと一カ月足らずで立党満三十年を迎えることになります。党名こそ変われ、戦後から今日までの四十年余りのほとんどの期間を我が自由民主党が政権を担当いたし、自由と民主主義の旗印のもとに国民とともに頑張ってまいりました。その成果が今日の日本の繁栄と発展であり、国内はもとより国際的にも高く評価されているのであります。 同時にまた、現在の日本は内外ともに極めて難しい問題を抱えていることも事実であります。これらの諸問題を解決しながら二十一世紀に向かっての体制づくりを進めてまいりますのも、我が党が政権を担当していく以外にはその道はないと思うのでありますが、総理の決意のほどを伺いたいと思うのであります。 次に、私はまず外交問題について伺いたいと思います。 戦後から今日までを顧みて、我が国が内外ともに今日の日本を築き上げることができましたのは、自由主義体制の国々としっかり手を結び、なかんずくアメリカ合衆国と緊密な協調体制のもと、日米安全保障体制を基本政策としてやってきたからにほかならないと思います。もとより、我が国のこの基本政策は今後とも不変でなければならないと確信をいたします。がしかし、日本が平和であり、すばらしい経済発展を遂げている、このことを諸外国も十分に認めてはおるものの、日本がその立場にとどまっている、言いかえれば、日本は日本のみの平和と繁栄に終始しているのではないかとの見方が次第に強まっておることを私は案ずるのであります。 もとより我が国は、我が国の分に応じて国際社会に貢献し、アジア・太平洋地域や開発途上国に対しても大きく協力をしてまいりました。しかしながら、我が国の国際社会に対する貢献度を正当に評価し、十分に理解している国々ばかりではないと思われるのであります。今日、経済摩擦が極めて深刻な問題となり、殊に摩擦を起こしてはならないアメリカ合衆国との間に憂慮すべき状況が生まれておりますことは極めて残念なことであります。私は、その遠因とも見られるべきものの一つに、日本が平和と繁栄の上に安住しているとの意識が潜在しているのではないかと思われます。もし我が国の努力や貢献度について認識や評価が不十分であるとするならば、さまざまなる外交活動によって適正なる評価を得るべく最大の努力を払わなければならぬことはもとよりでありますが、同時に、日本は安住にあらずとの実を上げていくことが極めて重要な課題であると思うのであります。 今日の世界の平和は、残念ながら東西両陣営の力の均衡の上に成り立っており、日本の安全は日米安全保障条約によって保障されているのでありますから、日本の経済的な力を十分に生かして、日本の分担し得る部分に対しては勇敢にこれを分担していかなければなりませんし、このことが日本の責務であろうと思うのであります。 総理は、御就任以来、防衛体制の強化に力を入れ、自分の国は自分の手で守る気概を養うことにも意を用いてこられ、新しい五カ年計画の策定に当たっては、閣議決定を行うことによって文民統制の実を上げてこられました。今後、財政面においてもアメリカの負担を軽減していくことが最大の努力の目標でなければならないと思うのであります。また、国際協力をも強化して、例えば国連を初めとする国際機関にさらに積極的に協力を行い、南北問題解決のためにも積極的に協力をいたし、ODAについても飛躍的な措置をとり、難民問題の処理に当たりましてもさらなる協力を行うなど、画期的な取り運びを行うことが必要であると思うのでありますが、総理の所信を伺いたいのであります。 さて、最近における国際情勢は、米ソ首脳会談や韓半島における南北の対話などの明るい兆しが見られる反面、中東その他の地域においては依然として紛争が続いており、殊にイラン、イラクの間には長期にわたって紛争が続き、我が国も少なからぬ影響を受けているのであります。安倍外務大臣は、中曽根内閣発足以来、外相として既に海外出張三十四回に及んだと伺っており、輝かしい実績を積んでこられました。殊にイラン・イラク紛争を初めとする国際紛争解決のために情熱を傾け、韓半島の緊張緩和と南北対話促進のためにも力を尽くされ、ソ連との対話の道を開くなど、その積極的な努力と成果は国内はもとより国際的にも高く評価されております。これら国際紛争解決のために我が国としてはこれからもいかなる努力と協力を行っていくべきなのか、外務大臣の所見を伺いたいと思います。 いよいよ中曽根総理は明後日訪米の途につかれ、国連で記念講演を行われると承っており、引き誌き世界首脳会談が行われ、レーガン大統領との会談も予定されていると承知をいたしております。総理はその際、世界的諸問題について積極的に対応され、自由貿易主義の堅持と経済摩擦解消のためにも最大の努力を払われるでありましょうが、殊にレーガン大統領との会談は、十一月に行われる予定の米ソ首脳会談を目前にしての会談でありますだけに、その意義は極めて大きく、世界注視の的になっております。ここで、総理の国連四十周年に臨む基本的な姿勢や、世界首脳会談、対米会談に臨む基本的な考え方、さらに軍縮・平和についての総理の所見が例えればありがたいと思います。 さらに、日ソ関係について一言承っておきます。 外務大臣は先般のシェワルナゼ外相との会談で、十年ぶりにソ連外相の来日が決まったようであります。これによって日ソ外相定期協議が再開されるならば、やがて領土問題などの基本問題を含めた意見交換が行われ、本格的な日ソ対話の道が開かれることになり、安倍外務大臣のいわゆる創造的外交の成果として高く評価されるべきものだと思います。願わくは、最大の懸案である北方領土問題を解決して平和条約が締結できるならば、両国関係の進展のみならず、世界平和の上にも大きく寄与し得ると思うのでありますが、外務大臣の所信を承っておきたいと思います。 次に、当面の最大の課題である国際経済摩擦解消の問題であります。 御承知のとおり、最近の世界経済は第二次石油危機後の低迷から脱して、アメリカの経済も拡大いたしており、欧州諸国の経済にも明るさを増しておりますものの、アメリカは巨額の財政赤字を抱えており、欧州諸国はいずれも雇用情勢が不安定なこともあって、世界的な経常収支の不均衡などを背景に強い保護貿易主義が高まっておるのであります。欧州議会では一方的な輸入制限の動きが強まっており、殊に米国において、議会を中心とする保護主義の著しい台頭と厳しい対日批判はまことに憂慮すべき状況であります。 その後、日米両国の対応や、また五カ国蔵相会議の緊急対策などによって一時的小康を得たとの見方もありましょうが、実情は必ずしもそうではないと思えるのであります。もし、さらに深刻化することになれば、戦後営々として築いてまいりました我が国外交の基軸である日米関係に重大な蹉跌を生ずることが恐れられるのであります。資源の乏しい我が国は、食糧やエネルギー・基礎資源材料を初め、諸外国から輸入して加工し、製品化して海外市場に輸出して今日の日本経済を築き上げたことは申すまでもないのであります。いわば日本は自由貿易体制の恩恵を最大限に受けた国であります。今日ある我が国を思うときに、まだこれからの世界経済を思うときに、何としても自由貿易体制を守り抜かなければならないのであります。 今、異常とも言える保護貿易主義の台頭や対日批判に対して、我が国としては、相手国の理解が不足していることや、また誤解のあることや、ドル高の是正も必要であり、諸外国の輸出努力の足らないことも指摘し、また我が国の特異な経済構造などについてもいろいろ反論もし、また説明をしてまいりましたが、事ここに至っては、世界経済における自由貿易体制の堅持のためには、日本がなし得る、それも最大限のことを勇敢、大胆に、誠意を持ってやってのけなければならないと思うのであります。 総理は今日まで陣頭に立って我が党と一体となってこの問題と取り組んでこられました。ガットにおいてニューラウンドの推進を図り、去る七月にはアクションプログラムを策定して、その早期実現のために今国会に法案を予定しておられます。また、一昨日は経済対策閣僚会議において、民間活力を最大限に活用することをねらいとして、住宅の建設や設備投資の拡大による内需拡大策を決定いたしております。我が自由民主党も内需振興プロジェクトチームを発足させ、当面講ずべき十一項目、検討施策六項目を決定いたしまして、二階堂訪米団が携えて我が党の取り組む姿勢を十分に説明いたし、厳しい状況の中で頑張っておられます。このような中での今回の総理の訪米でありますから、まことに御苦労なことであります。保護主義の台頭と対日批判に対して総理はどのように対処されるおつもりであるか、決意のほどを承りたいのであります。 また、もし我が国がアメリカから大量の資源を輸入する道が開かれたといたしますならば、貿易インバランスの相当部分が解消すると考えられます。例えばアラスカの石油や天然ガス、またベルガ炭については既に電源開発会社や日本の商社が調査を行っており、またウランなども大量に輸入して備蓄するのも一方法だと思います。このことは貿易インバランス解消に役立つだけではなくて、我が国の安全保障にもつながることはもとよりでありますから、総理の所見を伺いたいのであります。 また、大蔵大臣は、五カ国蔵相会議の結論を踏まえて円安是正に努めてこられ、一応の成果を上げておられます。円高ドル安が果たして定着するのであろうかどうか。ドル高円安の根源にさかのぼることなく円高誘導のための介入のみではおのずから限界があり、日本や欧米が協力してもっと政策を整備しなければならないと思うのでありますが、大蔵大臣の御見解を承っておきたいと思います。 なお、円高誘導によって中小企業が深刻な打撃を受けることも考えられるのでありますから、その対策と振興策が必要であり、また総理も、農は国の基であると、きのうおっしゃったのでありますが、農林漁業の振興もまた必要であり、アクションプログラムの推進によって打撃を受けることのないよう十分な配慮をいたす必要があると思うのであります。 次に、内需拡大策について伺いたいと思います。 昨年の我が国の貿易黒字は四百四十三億ドルに達しており、今年の黒字幅は五百億ドルを超えるのではないかと見られております。また、ドル高の原因として、貿易黒字の金額を超える我が国の資本が海外に流出いたしておることが指摘されております。外為市場の円高の進展と長期金利の急速な低下を背景に、円建て外債の発行額がふえる傾向が生じたことも指摘をされております。貿易インバランスを是正し、我が国からの資本流出を食いとめるためには、貿易依存体質を改めて内需の拡大を図らなければならないことが当面の大きな課題であります。 そこで、政府はさきに、内需拡大に関する作業委員会を設けて検討された結果、その対策を決定し、当面早急に実施する対策として民間の住宅建設や設備投資の促進などを取り上げ、また今後推進すべき対策といたしましては、民活型大規模プロジェクトの実施、規制の緩和、週休二日制の拡大などを決定し、それなりに評価されているのであります。しかし、問題はその効果であります。住宅建設や規制の緩和は、その方策いかんによっては相当の効果が期待されるのでありますけれども、民活型プロジェクトや週休二日制については内需振興対策としてどのような効果が期待されるのか、伺っておきたいのであります。 また、現下の厳しい財政事情のもとにおいては、もとより民間活力を最大限に発揮することが肝要であり、このために規制を大幅に緩和いたしまして、民間部門が自由濶達に活動できる体制をしっかりつくらなければ意味がないと思います。 また、内需を喚起し拡大していくための即効性のある対策は公共投資の思い切った拡大であると思います。我が国は現在財政再建中であり、赤字国債をゼロにする目標も設定いたしておるのでありますけれども、景気刺激効果が大きく、かつ将来に資産として残る公共事業拡充のために建設国債の増発に踏み切るべきであるとの意見が我が党内には極めて強いのであります。 なお、地方債の増発を行うことによって内需の拡大を図るべきなどの意見もあるようでありますが、地方も内需拡大に努力しなければならないことはもちろんであり、地方単独事業の強化は有効な手法でありますが、地方に行革を求める国が、国の財政再建のために国債の増発は行わず、地方債の大幅な増発によって内需拡大を図れという考え方は本末転倒であろうと思うのであります。 また、民間活力の導入は都会においては有効に作用するでありましょうが、地方ではその導入もなかなか困難でありますので、中央と地方、都市と農村を問わず、その効果を均てんさせるためには公共投資の傾斜配分が極めて重要だと思うのでありますが、総理の所見を承っておきたいのであります。 次に、公共事業の長期計画について伺っておきます。 国土と国民の安全を守り、経済社会の活力を維持するための基盤となる下水道、都市公園、住宅、治山治水、道路等の社会資本の充実は当面の急務であります。公共事業の長期計画は現在十五あり、いずれも進捗率が低く、しかもそのうち八つの計画については、かなりの事業を積み残しながらも本年度で期限を迎えるのであります。この八つの公共事業計画をどのように改定していくか、これが当面の問題であります。 私は、今回の改定に当たっては、単に従来の計画を延長するのではなく、経済社会の変化に適した新しい発想を導入することが必要であると思います。すなわち、近年著しい進展の見られる高度情報化に対応した社会資本整備が必要であり、また民間活力を積極的に活用して社会資本の整備を進めていくことが必要であると思うのであります。私は、こうした点を考慮に入れながら、新たな公共事業計画を策定すべきだと思うのでありますが、政府の見解を伺っておきたいと思います。 次に、行財政の改革について総理の決意のほどを伺いたいのであります。 中曽根総理は、鈴木内閣の行管長官として、また総理に御就任後も一貫して行財政の改革に限りない情熱を注いでこられ、多大の成果を上げてこられました。さきの国会では電電公社、専売公社の民営化を行い、国民年金、厚生年金の改革も行って着実に改革を進めてこられ、今国会においても共済年金関係法案を初め、規制行政の緩和、機関委任事務の整理合理化などが進められようとしており、やがてまた国鉄や教育の改革が重要な政治課題として登場してくるでありましょう。 申すまでもなく、行財政の改革は、不必要なもの、非効率なものを見直して、殊に高度成長時代の惰性や慣行を改めて、簡素にして効率的な政府をつくることに目的があり、次の時代が創造力と活力に富んだ社会となるための改革であります。世界に例のない速度で高齢化社会を迎える我が国といたしましては、行革はいわゆる先進国病に陥らないための予防措置であると思うのであります。かつて我が国が目標とした西欧の福祉先進国では、現在、国民所得の五〇%前後、スウェーデンのごときは七〇%に達する負担のために、個人の自主、自助、自己責任の心構えがなえてしまい、節倹の気風も衰弱していると言われております。 歴史的経験則の教えるところでは、負担率四五%を超えると、勤労よりは失業保険という気風が濃厚になると言われております。これがいわゆる先進国病の一形態ではないかと思うのであります。今国会での関係法案審議に当たってもいろいろな意見が出るでありましょうが、しかし国民にも行財政改革についての必要性をさらに理解を深めてもらう必要があると思うのであります。総理の所見と決意のほどを承っておきたいのであります。 次に、国鉄の改革につきましては、去る七月二十六日に再建監理委員会から意見が提出されております。経営形態の確立、余剰人員対策、膨大なる債務の処理など、いずれも困難な問題ばかりであります。民営分割されたといたしましても、経営の成り立たない、行き詰まりが生ずる会社が出ては大変であります。国鉄の改革に取り組む総理の御決意と今後の改革実施のスケジュールをお示し願いたいと思うのであります。 次に、教育の改革について伺いたいと思います。 私の郷里、岡山の生んだ政治家、犬養木堂先生の遺訓に、「一年之計 不如樹穀 十年之計 不如樹木 百年之計 不如樹人」というのがあります。一年を単位に考える場合には食糧政策が重要であり、十年を単位に考える場合には造林政策を重視しなければならない。人づくり、すなわち教育は百年を単位に考える最も重要な問題であることを教えているのであります。教育はまさに国家百年の大計であります。 我が国は明治以来、否それ以前から、国民の教育に力を入れ、世界でも最高の水準であると言われております。そして、今日の我が国の目覚ましい発展と繁栄の基礎はまさに教育にあったわけであります。しかしながら、戦後の教育改革から四十年を経過した今日、受験競争が激化し、偏差値教育が重視され、学校教育はゆがめられており、学校や家庭における暴力、また青少年の非行、陰湿ないじめなどの問題が大きな社会問題となっておりますことは極めて残念であります。物で栄えて心で滅ぶ国家には断じてなってはならないのであります。二十一世紀を担う青少年が心身ともにたくましく、社会的な連帯感と公共に奉仕する精神を持ち、国際性豊かな人間に育ってもらわなければなりません。 このために臨時教育審議会が設置されて既に一年が経過いたしました。去る六月には第一次答申として、教育の自由化、学歴社会の是正、受験競争の激化防止を初め、個人の尊厳、伝統文化の継承発展、日本人としての自覚などについて基本答申が出されました。引き続き、教育者のあり方、入試中心の偏差値教育の是正を初めとして、学校制度、教育内容、非行対策、生涯教育など教育全般にわたり鋭意検討がなされており、時代の要請にこたえた改革案の提示が期待されておるのであります。 私は、これからの教育は知的教育に偏することなく、スポーツや武道を通じて心身を鍛え、体育や徳育に力を入れ、殊に人間形成の面においては、物質万能で功利主義に走り自己中心の考え方をしがちな人間ではなく、思いやりや助け合いの温かい心の持ち主であり、礼節を重んじ、郷土や国を愛し、正義感に燃えて勇気ある人間形成に力を入れていかなければならないと思います。教育改革に取り組む総理の御決意と、人間形成についての総理の理想像をお示し願えればありがたいのであります。 最後に、税制改革について総理の御見解を承っておきたいと思います。 かねてから総理は税制全般の抜本的見直しの必要性を強調しておられ、去る九月には、総理の諮問機関である税制調査会に対し抜本的な税制改革についての諮問を発しておられ、また去る十四日の所信表明演説においても税制改革の推進をうたい、税制調査会の審議に対し強い期待を表明しておられるのであります。申すまでもなく、我が国税制はシャウプ勧告による税制改正以来三十五年を経過しており、この周しばしば小改正は行われましたものの、抜本的な改正が行われないままに今日に至っております。総理がこの時期に行政、財政、教育の三大改革に続く政治課題として、税制の抜本改正に取り組む姿勢を示されたことは時宜を得たものといたしまして高く評価さるべきだと思います。 申すまでもなく、税制は国民生活と最も密接なかかわりを持つものであり、納税者である国民の税に対する正しい理解と協力なくしては改革は難しいと思います。改革に当たっては、税負担の公平、公正を期さなければならないことはもとよりでありますが、国民に多くの負担を感じせしめない方策による改革が必要であり、直間比率の見直しが唱えられるゆえんでもあります。また、複雑な税制を改めて、できる限り簡素簡明で合理的な税体系であり、国民にわかりやすい税制であることが好ましいと思います。それに、高齢化社会を迎え、二十一世紀に向けての経済社会の変動を展望しながら、将来にわたって安定的な歳入構造を確保することが必要であると私は思うのでありますが、総理の所信を伺っておきたいのであります。 以上、当面する重要な課題の数点について総理並びに関係閣僚の率直な御答弁を期待いたしまして、私の代表質問を終わらせていただきます。(拍手) 〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
○国務大臣(中曽根康弘君) 加藤議員にお答えをいたします。 まず、政権担当に対する決意でございますが、二年有半、国民の皆様方の御支持、党や野党の皆様方の御協力をいただきまして政権を担当さしていただき、まことに感謝にたえないところでございます。私のような微力な者は大したことはできないと思っておりますが、しかし全力を尽くしてこの時の政治家としての責任を果たしたいと思っております。今後とも心を引き締めまして、謙虚に、公約を実行して、そして政治家としての責任を果たす決意でございますので、野党の皆様、与党の皆様、よろしくお願いをいたします。 次に、国際協力の強化の問題でございますが、我が国も自由世界第二の経済大国に上昇いたしまして、国力にふさわしい国際的責任を遂行しなければ国際的にも我々はうまく動くことができない情勢になりつつあります。特に国連は国家間の最大の共同機関でございまして、この国連を支持し国連の行動に協力するということは我が国外交の基本でございます。それと同時に、我が国もかつては発展途上国でございまして、ようやく発展途上国から卒業したような地位にございます。そういう意味において、発展途上国の今後の福祉や安定のためにも全面的に協力する道義的責任があると思います。 かかる意味におきまして、ODAは我が国の重要な政策でございまして、着実な拡充を図るために先般第三次中期目標を設定したのでございます。 難民救済につきましても、国連その他の機関を通じ、あるいは二国間等におきまして資金協力や、そのほか本邦に対する定住あるいは商品の提供その他いろいろな努力をしておるところでございます。 安全保障面におきましても、これは世界的なかかわりを持つ問題でございます。と同時に、日本の防衛自体も国家の独立、平和を維持するために大事な問題でございます。この両者を調和せしめ、憲法に従いまして日本の安全と独立を確保することを基本にしつつ、世界の平和や軍縮、特に核兵器の廃絶に向かって全力を尽くしてまいりたいと思っております。 今回のニューヨークにおきまする先進国首脳会談等につきましては、今までのアメリカからの情報によりますと、やはり米ソ首脳会談を控えまして軍縮や平和の問題、特にジュネーブ会談等を控えたこの推進の問題が一つの大きな中心題目になるものと予想しております。 我々は、かかる観点から、平和と軍縮の問題については慎重な検討を今やっております。フランスにおきまするゴルバチョフ書記長の新しい提案につきましても慎重に検討しておりますが、一見するというと、あれによりましてソ連は何物も失わずできるだけ取りたい、そういうような基本的態度がうかがわれますが、しかし新しい提案も少し出てきております。それは数字が入ってきているという点であります。核弾頭につきまして六千であるとか、あるいは六割であるとか、あるいは三千五百であるとか、そういうような条件つきではありますが、数字が出てきているということは大きな前進でございます。これらの点にもよく注目いたしまして、できるだけ米ソ間におきまして妥当な妥協の端緒をつかめるように私たちも側面から協力してまいりたい、そう考えておるところでございます。 しかし、これにはやはり自由主義諸国、先進首脳国家間の協調と連帯が前提条件であり不可欠でありまして、そもそもジュネーブ会談が開かれたという一つの原因の中には、これはSDIの出現ということもございましょうが、ウィリアムズバーグ・サミット以来の先進諸国の緊密な団結がやはりそれをもたらしたとも考えております。そういう意味におきまして、先進自由主義諸国の協調、団結ということを我々は頭から離してはならぬ、そう考えておるところであります。 米国における保護主義と対日批判につきましては、アクションプログラムの実行その他を通じて、日本側としてやるべきことは全力を尽くしてやっておるのは御承知のとおりであり、今回も国会においていろいろな法案の御審議を願うことにしておるわけでございます。一方、アメリカに対しましては、財政赤字の縮小あるいは金利の低下あるいはドルの過大評価の是正等を強く要望してきておるところであります。最近アメリカ側におきましてはやや潮の変化が見られますが、今までは保護主義法案と言っておったのを、最近は保護主義法案という言葉を使わないで貿易公正確保法案、そういうふうに変えてきておるのであります。これは、アメリカ国内においても保護主義という言葉が不評判になってきている。そういう意味で公正確保という方向に考え方が変わってきておるやに情報を我々は受け取っております。 こういうような動向、変化等も我々はよく注目いたしまして、日本側としては、やるべき市場開放あるいは透明性の確保等についてさらに努力をして、いたずらなる批判を招かないように努力する必要がありますが、また一方におきましては、アメリカ側につきましてさらに要請すべきものは強く要請していく考えであります。 先般、いわゆる五カ国蔵相会議がありまして、通貨の安定維持に関する話し合いができましたことは非常に同慶にたえないところであり、その成果は見るべきものが今出てきておるわけであります。しかし、円の力を見ますと、私は、円は今まで過小評価されてきていると思いまして、これをさらにこの価値を強め、あるいは維持していくという方向に向かって日本も努力をするし、関係各国とも協調してまいりたいと考えておるところであります。 なお、アメリカとの通商関係におきまして、アラスカ原油を日本に入れさしてもらうということを強く要請しております。これは円ドル・バランスを回復する意味においても非常に有効な政策であると思うのでありまして、これらにつきましてもさらに実現に向かって努力してまいりたいと思うところであります。 円高に伴う中小企業対策あるいは農業政策等につきましては万全を期して、いやしくも中小企業の皆様方が円高不況によって破産や倒産等のような悲劇に至らないように十分注意してまいるつもりであり、農業につきましても、農は国の基であり、生命産業であると私は申しておるのでありまして、国際環境と調和しつつ、しかも食糧安全保障とか農村の持っておる社会に対する重要な使命、自然環境、こういうようないろいろな問題についても思いをめぐらしまして妥当な政策を推進してまいるつもりでおります。 次に、民活型プロジェクトと内需振興の問題でございますが、私は、御指摘のとおり、これからの内需の振興、景気の回復維持というような問題につきましては、財政が出動することは非常に困難でございますから、あらゆる知恵を絞って、そして国家が誘導しあるいはインセンティブを与えるというやり方をもって民間活力をフルに発揮させるように全力を注ぐべきときに来つつある、そう思っております。関西国際空港やあるいはテクノポリスあるいは各府県等がいろいろ企画しておりまする地域開発計画等につきましてもできるだけ協力もし、民間の資金、技術的経験、経営能力等を公共的事業分野に導入するように、立法その他を通じて今後とも努力してまいるところでございます。 週休二日制等につきましては、我が国は割合に休日は多いのでありますが、労働者の労働時間につきましては、西ドイツが年間約千六百時間台、それから英国あるいは米国が約千八百時間台です。日本は二千百時間台でございます。これを見ますと、労働時間が非常に多いということは歴然としております。しかし、これは景気の関係とか残業の関係とかいろいろな関係もあって、むしろ労働者が望んでいる点もまたあるわけでございます。そういういろいろな面も考え、週休二日制の普及とかあるいは労働時間の短縮とか、あるいは勤労者の福祉の充実とかあるいは国際的水準への対応とか、そういうような点につきまして今後とも努力してまいるところでございます。 次に、公共投資の問題でございますが、今申し上げたような事情によりまして、公共投資は傾斜配分をしなければならぬことはお説のとおりであります。大体、いわゆる大型プロジェクトと言われるものは都会中心にあるようであります。したがって、大型プロジェクト民活という方式はややもすると原則的に都会向きであります。しかし、地方はそういうプロジェクトもそう出てくる可能性もないし、結局はある意味においては公共事業に頼らざるを得ない、そういう環境にあると思うのです。そういう意味におきまして、傾斜配分あるいは地域の実情に応じた措置ということは必要であり、下水道あるいは公園、住宅、道路あるいはその他の施設等について十分配慮してまいりたいと思っておるところでございます。 行財政改革につきましては、御指摘のとおり現内閣の最大の仕事でございまして、今まで皆様方の御協力によりまして前進してきたことを感謝申し上げる次第でございます。年金制度の改革を今お願いしておるところでございますが、これは高齢化社会の到来、あるいは長期安定制度、世代間の公平、こういう面からぜひとも今国会において成立させていただきたいとお願いするのであります。小さな政府、民間活力の増大、そうして公的負担の適正化、これが我々の目指すところでございます。 国鉄改革につきましては、人員対策の問題と長期債務の問題、これが一番最大の問題でありまして、ともにこれは政府、国家が相当面倒を見なければ解決できない問題であると承知しております。特に人員対策の問題につきましては、政府、公共団体あるいは経済界、地域団体一体となってこの解決に全力を奪うように今後とも政策を進めてまいります。長期債務につきましては、財政当局と合理的な調整を得るようにこれも努力してまいるつもりでございます。国鉄の改革につきましては、次の通常国会におきまして改革実施のための所要の法律案を提出したいと念願をいたしております。いずれにせよ、国鉄の改革は、国民の皆様、地域の皆様、あるいは特に国鉄の職員の皆様方の御理解と御協力がなければできないので、一層の御理解と御支持をお願いする次第であります。 教育改革につきましては、我が国固有の伝統文化を継承し、日本人としての自覚に立って国際社会に貢献する国民の育成を期す。私の基本的考えは、いわゆる人格主義の考えに立ち、さらに国際主義ということも十分考える時代に入っております。言いかえれば、不易と流行という言葉がございますし、和魂洋才という言葉がございます。これらの言葉は明治時代に生まれた言葉であり、あるいは芭蕉のころから使われておる言葉でありますが、しかし今日におきましても我々はこの内容はよく味わうべき内容がある、そう考えております。たくましい文化と福祉の国をつくっていく、世界的日本人をつくることを目標にして教育を改革していきたいと思います。 税制の改革については、やはりシャウプ以来のゆがみやあるいは重税感等々を解決するために行うので、これは増収を目的にして行うものではないと前から申し上げておるとおりであります。税のゆがみというものは、結局、社会のゆがみを引き起こす、あるいは心のゆがみを引き起こす、そういう現象も起こしてきつつあると思います。そういう意味におきまして、先般、公平、公正、簡素、選択並びに活力という観点から税調に諮問したところであり、税調の御答申をお待ちしておるという状態であります。 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手) 〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(安倍晋太郎君) 加藤議員にお答えをいたします。 まず第一に、国際紛争の解決及び朝鮮半島の緊張緩和に関する御質問でございますが、世界の平和と繁栄に積極的に貢献をする創造的な外交を展開していくために、我が国としましては、国際紛争の早期平和的解決に向けての環境醸成等の努力を続けていく考えでございます。私も外務大臣として全力を尽くしてまいっております。 イラン・イラク紛争につきましては、我が国は機会あるごとにイラン、イラク両国に紛争の拡大防止、早期平和的解決の必要性を訴える等、和平への環境づくりに辛抱強く努力を傾けてきております。先般の国連総会に出席をいたしました際も両国の外相とひざを交えてじっくり懇談をいたしました。そしてその際、両国に対しまして紛争の段階的な鎮静化のための働きかけを積極的に行ったわけでございますが、今後とも国連事務総長あるいは志を同じくする国々とも協議を行いながら、このような努力を忍耐強く継続してまいる考えでございます。 朝鮮半島の問題は、第一義的には南北当事者の直接対話によりまして平和的に解決されなければならないというのが我が国の基本的な立場でございます。したがって、我が国としましては、幸い現在進行中でございます各種の南北対話の動きを歓迎いたしておるものでございます。我が国としましては、引き続き、関係国と緊密に協力をしながら、対話の一層の促進のための環境づくりに今後とも貢献をしてまいりたいと考えております。 次に、日ソ関係についての御質問でございますが、戦後未解決の北方領土問題を解決して日ソ間に平和条約を締結することにより、重要な隣国であるところのソ連との間に真の相互理解に基づく安定的な関係を確立することは、従来より一貫した我が国の対ソ外交の基本方針であります。かかる形での日ソ関係の安定と発展は、極東アジア、ひいては世界の平和と安定に貢献するものと認識しております。 昨年来、政府が進めてきましたソ連との対話強化の努力の結果、近くシェワルナゼ外相の訪日を得て日ソ外相間の定期協議が行われる運びになりましたが、政府としましては、この外相間定期協議を初めとして、今後ともあらゆる対話の機会を通じまして日ソ間の諸懸案の解決を粘り強く働きかけていきたいと存じております。(拍手) 〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問は為替レート、なかんずく円高ドル安問題でございます。 御指摘なさいましたように、先般の会議以来かなりのドル高修正が進んでおります。このことは、各国のファンダメンタルズが為替相場によりよく反映されてきたということであると私も思っております。そこで、我が国といたしましては、今後とも、あの会議の際に出しました声明に盛られております合意というものがございます。すなわち、秩序のあるドル高是正基調が定着していくよう各国と協調して、まずは適時適切な介入を行う。しかし、申されましたとおり、基本的にはこれまた会議の声明にも十分盛り込んでおりますように、この五カ国がいわゆる経済政策を協調させていかなければならないわけであります。したがって、いわゆる経済政策協調というものを絶えず意見交換をして行っていく。 そうしてまた、附属声明にございますように、個々の問題としましては、我が国は、インフレのない持続的成長を確保しながら、一方、市場開放そして円の自由化、金融市場の国際化、これらを行い、またアメリカは、財政赤字とそれに伴いますところの金利高、これを極力下げる方向で努力する。ヨーロッパにおきましては、これは雇用確保のための諸施策、そういうようなことをそれぞれの国が着実に実行に努めていく。そういうふうにまさに総合した政策協調のもとに基本的には初めて定着するわけでありますから、私どもも、基本的な経済政策調整、そして適時適切なる協調介入、このようなことで一層円高が定着しますように心がけてまいります。(拍手)
○議長(木村睦男君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ごさいませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時八分散会 ―――――・―――――