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第103回国会衆議院1985/10/29

予算委員会 第2号

発言数
260 件
登壇者
22 名
会派数
4
開催日
1985/10/29

会議録

天野光晴自由民主党・新自由国民連合

○天野委員長 これより会議を開きます。  予算の実施状況に関する件について調査を進めます。  理事会の協議により、大出君、岡田着の質疑は後に譲り、市川雄一君の質疑を許します。市川君。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 私は、公明党・国民会議を代表して、防衛問題について政府の見解を伺いたいと思います。  最初に、総理、昨日のこの予算委員会で、社会党の大出委員と総理のやりとり、非常に興味深く伺っておりました。私も同じ質問を用意しておりましたので、一%枠の問題をお聞きする上で非常に重要な問題ですから、確認をしたいと思います。  ことしの九月の三日の日、自民党の金丸幹事長が自民党の正副幹事長会議で、総理から今年度の防衛費が一%枠を超えるかどうかにかかわらず、日米関係を考え、来月の訪米前にぜひ撤廃の方向で決着させたいとの指示を受けたことを幹事長が明らかにした。首相は泥をかぶるつもりだ、こういう発言が首相からあった、こういうことでございますが、昨日総理はそういうことは言っていない、こういうことでございましたが、そうでございますか。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 撤廃を指示したことはありません。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 来月訪米前にぜひ決着させたいということは、どうですか、これは言っておりませんか。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 その決着という意味はどういう意味か知りませんが、新しい防衛計画を策定したい、そういう意味の決着ならば、策定したいということは育ったと思います。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 自分が泥をかぶるつもりだという、次の後継者のために。そのために泥をかぶるというのは、一%枠を突破させて後継者のために泥をかぶるんだ、そういう総理の発言に対して金丸幹班長は、首相は、衆議院の解散、総選挙をやりたいので一%枠撤廃を持ち出したのではないかとの声もある、こう総理に聞きただしたら、総理は、この問題で解散など考えていないが、窮鼠猫をかむということはあるかもしれない、総理がネズミで野党が猫なのかどうかわかりませんけれども、泥をかぶる、こういう発言、なかったですか。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 そういう泥臭い話はいたしません。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 そこで、要するに一%枠を超える中期防衛力整備計画を閣議で決定したわけです、九月十八日に。一方で、五十一年十一月五日の一%枠を超えないという閣議決定が存在しているわけですね。なおかつ総理は、ことしの予算委員会で一%枠は守りたい、こうおっしゃっているわけですよ。ですから、これは九月のことなんですが、しかし総理は、守りたいと国会で言っていることと、実際自民党の中で作業していること、泥をかぶってでも、おれが泥をかぶるからやってくれ、これは大分話が違うわけですね。これはこれから一%枠の問題を議論するに当たって非常に重要な前提になるわけです。総理が本音の部分で何を考えていたのか。もし、言ってないということになりますと、幹事長は総理の言ってないてとを自民党の正副幹事長会でしゃべったのですか、あるいは幹事長が総理の言ってないことを新聞にしゃべった、あるいは幹事長直言ってないことを新聞が作り話で書いた、こういうことになる。どっちですか、これは。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 私は、幹事長にそういうことを指示したことはないのです。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 委員長一%枠の問題、約一時間後ぐらいに質問したい予定なんです。今総理は言った、幹事長は総理から聞いた、総理は言ってない、こうなっておりますので、自民党の幹事長、非常にお忙しいところ恐縮ですが、委員長におかれまして総理がそういうことを言ってないのかどうか、あるいは幹事長は聞いてないのかどうか、幹事長がうそをついたのかどうか、その辺をぜびお確かめいただきたいと思うのですが、委員長においてぜひお願いしたいと思います。――委員長お忙しいですから、ここを抜けるわけにはいきませんから、委員長のお使いの方でもと思ったのですが、理事会で相談していただきたいと思います。

天野光晴自由民主党・新自由国民連合

○天野委員長 それは理事会で相談をいたします。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 公明党は、領海、領空、領土、領域保全に限定した防衛力、これは合憲である、こういう見解なんです。しかし、こういう見解をもとに政府の今の防衛政策を聞いてもこれは見解がすれ違うだけですから、きょうは政府御自身が決定した「防衛計画の大綱」、これは政府がお決めになったわけですから、これは政府の考えとして今まで述べてきた、こういう考え方を中心にしてどうも最近この中期防衛力整備計画というものの中身を見ておりますと、この「防衛計画の大綱」から非常に逸脱をしているんじゃないのか、そういうことから防衛関係費の方も当初決めた一%枠というものが、非常に突破せざるを得なくなってきているのではないか、こういう観点から、きょうは順次お尋ねをしたいというふうに考えております。  最初に防衛庁長官、この「防衛計画の大綱」は平和時の防衛力である、平時十分な警戒態勢がとれる、すき間のない均衡したものであればいい、なおかつ有事の事態としては、奇襲的に行われるであろう限定的かつ小規模侵略に有効に対処し得るものであればいい、こういうことでございますが、このお考えは変わっておりませんか。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 変わっておりません。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 最近、いろんな雑誌の座談会で元制服のOBの方にお会いする機会が非常に多いんです。元海幕長であるとか陸幕の副長をやっておられたとか、制服のOBの方が我々と座談会で一緒になっていろんな話をする。  話を伺っておりますと、その大綱で想定している限定かつ小規模侵略ですか、しかも突然来る、こういうものはない、そんな事態は起きない、日米安保条約によって抑止されているんだから、そんな事態は起きない、世界で重大な戦争があって、それが波及して日本が戦争に巻き込まれていくのである、そういう想定の方が現実的である、こういうことを盛んに元制服の方がおっしゃっておるわけでございますが、制服の方がOBになるとそういうことを盛んにおっしゃる。防衛庁にそういうお考えがあるんですか、どうですか。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○西廣政府委員 お答えいたします。  大綱というのは防衛力整備の前提になる構想でございまして、これは日米安保条約と相まって、我が防衛力と相まって日本に対する侵略を抑止をしようという考え方でありますから、日米安保体制というものにすき間がない状況にしなくちゃいけない、そのためには、日米安保条約が仮にあるとしても、アメリカの支援のいとまがないような事態、そういったものについては少なくとも日本だけで守れる状況をつくらなくちゃいけない、こういうことで大綱というものの考え方ができておるわけです。それと、そういう日米安保がある、しかも、すき間のない状況がもうできておって、そこでなおかつ何が起きるかといういわゆる対処諭、どういう戦争が起きるかというシナリオとは別のものだというようにお考えいただきたいと思います。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 質問に答えてないと思うのですね。対処論を聞いているわけじゃなくて、私が伺っているのは、長官、世界に重大な戦争が起きてそれが日本に波及してきて日本が巻き込まれる、こういう想定の方が要するに現実的だという、そういう考え方が今の防衛庁にあるのかと聞いているのです。これは、あるとかないとか、こういう返事でいいのですよ。どうぞお願いします、長官。――いや、長官にお願いします。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○西廣政府委員 大きな戦争という場合に、例えば米ソ戦ということでありますれば、私どもは、米ソ戦というのは地球上であれば最後の戦争であろうということで、まずない戦争であろうというように、一番ない戦争であろうというように考えております。日本以外の地域で局地戦のようなものが起きて、それが波及する場合があるかないかということであれば、そういうことは考え得るというように考えております。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 要するに大綱は、奇襲的に行われる限定的かつ小規模侵略の事態、こういう事態に対処できる防衛力でいい、こういう考え方ですよね。今私が伺っておりますのは、そういう奇襲的に行われる限定的かつ小規模事態というのはもう恐らく来ない、そんな事態は。そういう形で日本が戦争状態に入るということはないのだ。もし、日本が戦争というようなものに巻き込まれるとしたら、それは世界の重要な地域で重大な戦争があって、そして、それがだんだん日本に波及してきて日本が巻き込まれていく、こういう形で巻き込まれる事態の方が現実的である、だから、大綱で言っているような限定的かつ小規模事態というのは間違いである、こういうふうに元制服の方が盛んにおっしゃっているわけですよ。防衛庁にそういう考えがあるのかとさっきから聞いているのですよ。まじめに答えてください。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 いわゆる我が国の対処の仕方とか防衛力整備のあり方等につきましてはいろんな議論がありまして、また、制服の方々の中では純軍事的な観点からいろんな個人的な御意見を持っている方もあると思います。そして、その方がOBになられましてからいろんな発言をされることも自由でございます。しかし、私たちはあくまでもシビリアンコントロールのもとに、現役の私たちがシビリアンコントロールに基づきまして内局でその意見をまとめて、そして発表するのが我が国の、我が防衛庁の防衛政策でございますので、どうぞいろんな立場の人が役所を離れていろんな議論をすることがあっても、その防衛庁の考えとしては私たちがこの国会で述べるものが私たちの政策である、そう御理解いただきたいと思います。(市川委員「だめだ、委員長、答弁になっていないよ」と呼ぶ)

西廣整輝防衛庁防衛局長

○西廣政府委員 市川先生御指摘のような点、私も聞いたことがございますが、その種の意見を言われる方は、前提として安保体制、日米の安保体制というものが有効に働いておるならば、こういう前提の話でございますから、私どもの方の「防衛計画の大綱」で定めておるのは、まさに日米安保体制というものが有効に抑止効果を発揮するために何をしなくちゃいけないかということを書いておるわけでございますので、その点を御理解いただきたいと思います。(市川委員「答えていない、だめだ」と呼ぶ)

天野光晴自由民主党・新自由国民連合

○天野委員長 防衛庁長官、すっきりと答えなさい。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 私たちは現在、「防衛計画の大綱」で定めてありますものは、御承知のように、平時における最小限の防衛力の整備ということでございまして、そして、それによって日米安全保障体制が片方にあり、我が国が限定・小規模の侵攻に対処するという形で整備をしているという整備方針でございます。  現実にどのような想定があるかということにつきましては、それぞれのケースがありますから、それを特に特定しているわけではございませんで、私たち、限定的な小規模の想定というものも当然のことながらあり得るし、いろいろなケースがあり得ると思います。したがって、それのどれに重点を置いているというようなことをここで申し上げるべきことではないと思います。(発言する者あり)

天野光晴自由民主党・新自由国民連合

○天野委員長 市川君、もう一回質問してください。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 同じ質問、三回ですよ。時間がもったいないですよ。  だから、制服のOBが言っているような事態は、防衛庁としては考えておりません、こういうことですか。

天野光晴自由民主党・新自由国民連合

○天野委員長 防衛局長、そんなことは明快に答弁しなさいよ。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○西廣政府委員 繰り返すことになると思いますが、防衛庁が防衛力整備をするときの考え方というのは、何度も申し上げますが、日米安保体制というものにすき間がないようにするために、そしてそのすき間とは何かということは、小規模・限定侵略事態に対応できるものをつくるということでございます。  そこでもう一つ、御質問の方は、日本に対してどういう事態の侵略要素があるかというお話だと思いますが、これは可能性としてはあらゆる事態のものがあるということで、防衛力整備のための考え方と、それから日本に対して何があり得るかということは、少し分けてお考えいただきたいというのが私どもの御説明でございます。(市川委員「時間稼ぎしないでくださいよ」と呼び、その他発言する者あり)

天野光晴自由民主党・新自由国民連合

○天野委員長 市川君。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 それでは、同じ質問をいたします。委員長、よく聞いていただきたいのです。  防衛庁が五十一年の十月二十九日に決定した「防衛計画の大綱」、この大綱では、平和時の防衛力である、こう言っているわけですよね。ただ、平和時の防衛力ではあるけれども、防衛力である以上は、有事というものを考えざるを得ない。じゃどういう事態の有事に有効に対処できる防衛力であればいいのか。それは、奇襲的に行われるであろう限定的かつ小規模な侵略事態に有効に対処し得るものであればいいんだ、こう大綱には書いてあるわけですね。大綱の説明にも書いてある。ところが、自衛隊のOBの方は、その大綱の考え方を真っ正面から批判して、そんな想定は間違いだ、そうではなくて、世界に重大な戦争が起きて、波及してきて、そして日本が巻き込まれていくんだ。もっとありていに言えば、米ソ戦があってとかいうことも言っているわけですけれども、重要な地域で重大な戦争があって、それがだんだんだんだん波及してきて日本が巻き込まれていく、そういう想定の方がより現実的である、こういうふうに元自衛隊にいた方がOBになると、大綱の想定を真っ向から批判している。そこで私は、今の防衛庁の中にそういう制服のOBと同じような考えがあるのかないのか、こういう質問をしておるわけであります。よろしくお願いをしたいと思います。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 私たちの現在の防衛庁の政策は、大綱に従ってやっておりますし、それから、限定的・小規模に対処できるような防衛力の整備、この方針でやっておりまして、防衛庁の考えとしてこれが今正しいと思ってやっております。制服のOBの方がいろんなことをおっしゃるかどうかは、それは別、自由の問題でありますが、私たちが今やっていることが正しいし、また、それが我が国の抑止力のために絶対正しいことだと思ってやっております。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 私から敷衍して申し上げますが、市川さんの御質問と防衛庁側の答弁とは、ちょっとダイメンションが違うのです。というのは、防衛庁側の答弁は、守りの側に立って、我々はこういう原則で守りをやります、そういうことで、限定的・小規模云々というのが出てきている。あなたの御質問は、じゃどういう想定の場合のという話になって、そして奇襲でぱっと来る場合か、あるいは方々じゅうに動乱が勃発して、そしてそれが波及する場合か、OBの御設問をなすっておるわけです。しかし我々の方の立場というものは、いかなる場合にせよ、ともかく限定的・小規模というもので我々が独力で排除できるという、そういう防衛力を整備するので、それ以上のものは、米軍の来援により日米安保条約を機能させて全面的に我が国の防衛を全うする、そういう想定になっている、そういうことになっておるわけです。  ですから、あなたの質問あるいはOBがおっしゃるような場合もないとは言えないわけです。しかしその場合といえども、それはやはり限定的・小規模という力で我々は守るのです、そして独力で排除するのです、しかしそれ以上になったという場合については、安保条約を有効にさらに発動させて米軍の来援を求めて守るのです、そういう意味で言っておるということを御理解願いたい。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 総理、半分わかるのですよね、今おっしゃったことは。(中曽根内閣総理大臣「全部わかっている」と呼ぶ)いやいや半分しかわからない。ただ総理、大綱は五つの国際情勢をちゃんと前提に置いているのですよ、総理も御存じだと思いますけれども。米ソは戦わないだろう、中ソは本質的和解に至らないだろう、米中はその後関係調整をずっと続けるだろう、朝鮮半島は現状で推移するだろう、それから日米安保条約は有効に維持されるであろう、こういう前提に立っている。この前提が変わっているんですかと聞くと、この十年間変わっていませんと、こう答える。この米ソ相戦わずという想定ですよ、大綱は。そうすると、総理は、今あり得ると、こう言ったんだけれども、日本が巻き込まれるような戦争が世界のどこかで、重要な地域で重大な戦争が起きた、これは米ソ戦以外にあるんですか、総理、そんな戦争が。総理はそういう国際情勢の御認識ですか。――総理に聞いている、総理が答えたんだから。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 先ほどからの御質問は我が国に対する……(市川委員「先ほどじゃない。今の総理に聞いたことを答えてください」と呼ぶ)いろんな想定があり得ると思います。したがって一概に、どういうケースがあり得るかということは、我々理論的にはいろいろ想定がありますが、それをここで申し上げることはどうかなと思います。したがいまして、私たちとしては、限定・小規模に対処できるようにしておくということでありまして、先ほどからの御質問は、米ソ戦うというようなことによってでないと日本の有事はあり得ないという意見が非常に強いが、そうかということにつきましては、それで限定的な小規模に対処できるような、そういった侵攻状況があるのかということについては、どのケースが、どの可能性が強いというようなことは申し上げないと申し上げているところでございます。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 市川さんも御存じのように、日本は仮想敵国を設けない、そういうことで、そうして、我が国の防衛についてだけはこれだけのものはやっておきます、憲法に従ってそういう防衛方針をとっておるわけでございます。したがって、仮想敵国を設けないという前提にあって、守りに徹して専守防衛という形で言いますから、じゃ、どの国が来るとかどういうふうでどうなるとか、相手の名前が出てくるようなそういう想定については、私たちは言及できないのであります。しかし、今申し上げましたように、あらゆる場合が考えられます。あらゆる場合に備えて我々は防衛も考えておかなきゃなりません。しかし、我が国の防衛に関する限りは、その力は憲法の範囲内ですよ、そうして仮想敵国を設けないで、そうして個別的自衛権の範囲内ですよという、これだけは申し上げておかなきゃならぬと思うのです。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 私が伺っていることが大分ぼけてきました。  大綱が想定しておる事態、これは限定かつ小規模な事態。それに対して制服のOBの人は、要するにそんな大綱の想定は間違っている、そんな形である日突然、日本に、ある国が攻めてくるなんということはないんだ、もし日本が戦争に巻き込まれるとしたら、世界の重要な地域で重大な紛争があって、そしてだんだんにそれが波及してきて巻き込まれるんだ、こう言っておる。これを聞いたわけですよね、防衛庁に今あるのかと。そうしたら、防衛庁は答えないで、総理は、ないとは言えない、そういうこともある、こう総理はお答えになった。そこで総理に私は、それでは総理のいう重大な戦争というのは、米ソというものが全然かまないで日本に波及してくるような戦争事態というものがあるのですかと、こういうふうに伺ったわけです。そうしたら、仮想敵国の話はされましたけれども、私の今の質問には答えてないのですよ。  それじゃあれですか、防衛白書や何かによその国の名前が全然出てこないですか。そんなことはないじゃないですか。アメリカとかソ連とかという名前は出ていますよ。米ソは直接の引き金になるような戦争はしないであろうとか、出ていますよ。私は総理、仮想敵国を聞いているわけじゃない。重大な戦争に波及してきて巻き込まれる、その場合、重大というのは、米ソを除いて日本が巻き込まれるような戦争があるのですかと、こう総理に聞いている、総理はそういう御認識ですかと。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 米ソとかなんとかという、そういう名前を出した、そういうことは、我々は政策としてとっておらない、しかし、紛争の性格によってはいろいろなケースがあり得る、そういうことを申し上げておるわけなんであります。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 じゃ防衛庁長官、もう一度確認します。  私は、防衛庁が委託研究をしている文書なんか拝見しますと、もっとはっきりと書いてあるわけですよ、大綱の想定している奇襲的に行われる限定的かつ小規模事態なんというのは、これはそんなのはないと。あるとすればどういうものかというと、米ソ戦が、米ソの衝突が中東とか向こうの地域であって、それが波及してきて、何らかの形で日本が巻き込まれる、そういう事態の方が現実的である、防衛庁が研究費をわざわざ出して委託研究をしたレポートにも、そういうことがはっきり書いてある。ですから伺っているわけです。そういう考えは防衛庁はとらないのですね。そういう考えは防衛庁はとっておらない、こういうふうに理解してよろしいのですか。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 防衛庁は、いろいろな形で我が国の防衛についての研究を、ある場合には民間の方に、あるいはそれぞれの政府系の研究機関の人にお願いいたします。そしてそのときに、ごくごく自由にいろいろ研究してみてくださいと言っておりますから、その際には、我々の想定しないような意見も出てきます。それは私たち、執務の参考にし、発想を自由にしていくという意味でぜひ必要なことなのではないか。しかし、その中から私たちがどれを妥当なものとしてとるか、それはまた別個の政策的な判断であろう、こう思っております。  そこで先ほど、一部の評論家それからOBの方に、極めて軍事優先的に、とにかく米ソ戦うケースしかないのだ、したがって私たちは、集団的な自衛権に対する制限をも踏み越えて、いろいろなことをやらなければならぬという意見の方もおります。しかし私たちは、それを聞いて、憲法に違反するような防衛政策、防衛力整備をやるつもりはありません。したがって、私たちがぜひ御理解いただきたいのは、私たちがここで申しておりますのが我が国の防衛政策であり、防衛庁の政策であるということを御理解いただきたいと思います。  さあそこで、どういった形のものが一番シナリオとして可能性があるのか、蓋然性があるのかということについては、防衛政策当局者がそれを述べるということは差し控えさせていただきたい。いろいろな理論的なケースはあり得るのだと思います。それは市川先生も防衛専門家ですから、A、B、C、D、先生の頭には五つか七つぐらいのケースがもう入っておられると思いますし、私たちも理論的には幾つかを考えておりますが、そのうちのどれが蓋然性があるかということを言うべきことではないのではないかと思います。そして、私たちがやらなければならないのは、日米安保体制とそれから節度ある自衛隊の防衛力を装備して、そしてその中で間隙をつくらないようにして、限定的な小規模、理論的にも可能性があると思いますので、それには対処し得るようにしておく、これが私たちの政策だと思っております。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 私がなぜここまでこの問題にこだわったかというと、総理が同じことを言っているのですよ、だからなんです。総理が同じことを言っているのです。  ことしの二月二十一日の予算委員会で、総理はこういう答弁をしているのですよ。現在の情勢において、まず大体の予想として、ある国が突如日本に侵略して上陸してくるという可能性は非常に少ないと思っておるのです。もし日本が戦争に巻き込まれるようなことがあるとすれば、世界的にある重要な場所場所等において重大な紛争が起きて、それがだんだんに波及をして、ある国が日本に対してそういう軍事行動を起こす必要を感ずるとか誘惑を感ずるとか、そういうような形で波及的に次第に起きてくる、  ある一カ所に起きたことが次第次第に波及して広がっていく、そういう形の危険性が非常に多い。そういう意味において、ややもすればある国が突如日本に来るであろうというような想定あるいは考えが国民や当局者の中にあるとすれば、それは重大な間違いである、こう総理は断定しておられる。  ところが、「防衛計画の大綱」は平和時の防衛力ですよ。しかも、世界の国際情勢の分析は先ほど申し上げたとおり、米ソは戦ってない、相戦わないだろう、中ソも本質的改善には至らないにしても、中ソ関係はそのままいくだろう、それから米中関係も関係調整が続けられるであろう、朝鮮半島では紛争がなく現状でおおむね推移するであろう、こういう国際情勢を前提にして平和時の防衛力――こんなことまで言っていますよ。自衛隊を保有する意義は、戦うことにあるのではなくて平和を維持することにあるなんということも防衛白書には書いてある。そういう平和時の防衛力だけれども、有事に何にも対処できないということでは意味がない。では、どんな有事に対処できればいいのか、どんな事態までの有事に対処できればいいのか。それは日米安保条約の抑止が効いている、先ほど局長おっしゃった。その安保条約の抑止が効いているので、アメリカの軍事力が安保体制のもとで出ていかれないような形で行われる奇襲的な、限定的かつ小規模な事態に対処できればいいんだ、こういう想定になっているのです。ある日突然、そういう安保条約の網の目をくぐってくるような事態が起きた場合に対処できればいいんだ。平和な中でそういう事態が起きた場合に対処できればいいんだということを大綱は言っているのですよ。  総理の言っているのは違いますよ。地球が騒然としていて、日本が巻き込まれるような重大な戦争が起きて、そしてそれが波及してきて日本が戦争に巻き込まれるのだ。ある国が突如日本に攻めてくるなんという考えが国民や当局者に――あなたは防衛当局者ですよ、もしそれがあるとしたら重大な間違いだとおっしゃる。総理の見解は「防衛計画の大綱」を全く否定しているじゃありませんか。どっちが正しいのですか、防衛庁長官と総理と。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 これは今も市川さんに申し上げたように、我々の防衛計画というものは専守防衛で、そして限定的・小規模、そういうものの力を持つという意味なのであって、想定については千変万化があり得るとさっき申し上げた。防衛庁長官はその中の一つを言うということは適当でない、これは私もそう思います。  しかし、大体の状況判断として、我が方はどういう防衛力を持つかということはもう既に決まっているわけですが、それであくまで日本を守ろうというのが我々の基本方針です。しかし、いろいろなものがあり得るけれども、私個人からすれば、今のように突如という可能性は割合少ないと思いますよ。しかし、そういう情勢の中で突如起こるということはあり得るのです。だから、いろいろな国際紛争が積み重なったり、だんだん変わってくる中で突如起こるという場合はあり得る。これは独ソ不可侵条約を考えればわかるでしょう。そういうようにして、そういうようなものも頭に置いて私は言っているが、全般の環境、情勢というものはそういうことから次第に移ってくるであろう、そういうことを申し上げておるのです。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 今の総理の御答弁、二つの点で納得できませんね。一つは、総理は、ある国が突如日本に来るであろうというような想定あるいは考えは間違いだ、こうおっしゃっておるわけです。これは明らかに大綱の想定の否定ですよ。それからもう一点。安保条約の抑止が効いているので大規模な紛争は起きないだろう、米ソ関係は安定しておるだろう、米ソが直接衝突するようなことはしないだろう、あるいは米ソが直接衝突するような引き金になるようなこともしないだろう、世界はこういう波静かな状況ですよ、総理。いいですか。状況も大綱に書いてあるのですよ。しかも、大がかりな準備をして攻めてくることは安保条約によって抑止されるんだ、そういうことはないんだ、我々が想定として考えなければならないのはそういう事態でいいんだ、こう言っておるわけです。それが重大な間違いだということになると、これは大綱の否定ですし、総理が言うような世界で重大な紛争があって、巻き込まれる場合もあるんだ、そういう場合の小規模侵略もあるんだということになると、大綱の否定ですよ、この考え方だって。世界が波静かだという、そういう前提なんですから。前提が変わったのですか、それじゃ。これはおかしい。答弁になっていません。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 その分析においては、現在の世界情勢はそう動いておる、そう分析は言っているでしょう。しかし、有事ということは、突如起こった場合が有事なんですよ。さもなければ有事じゃないでしょう。侵略というのは突如起こるから有事と言うのであって、だから、我々が防衛力を発揮するというときは、その波静かな状況が俄然変わる、そういう場合が有事、そういうふうに認識していただきたい。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 世界は波静かなんですよね、大綱は。総理のは違うんだよ。総理のは、世界が何か騒然として、ある日突然やられるおそれがある。大綱の想定は、世界は波静かだというんだ。そういう波静かな中で、安保条約の抑止が効かないんじゃないですよ、効いているのです。安保の抑止が効いているんだけれども、だから大規模なものは来ない、こう言っているわけですからね。その網の目をくぐって来るようなものに対しては独力で対処するんだ、こうなっているわけですよ。だから、総理の言っていることと違うじゃないですか。あなたは、世界で重大な戦争があって日本に波及してくる、それで日本が巻き込まれる、そっちの可能性が強いんだ、ある国が突如日本に来るであろうなんというのはないと言っているんですよ、重大な間違いだと。大綱の考えとどう考えても違います。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 先ほど申し上げておるように、大綱というものの基本は、日本の防衛に関する防衛力整備の中身の話あるいは力の話を言っているわけです。それは専守防衛でいくという建前でありますから、今のような大綱の基本的考えに立ってやっておる。あなたは想定の話をおっしゃっておる。想定はいろいろ変化して動くわけであります。しかし、私は全般的に見て、日本がそういうふうに巻き込まれる場合が多いのは、突如として一国が俄然入ってくるというよりも、その前にはいろいろ前兆もあるでしょう。国際紛争というものが次第に拡大していくという危険性、そういう可能性の方が強いと見ておる。しかし、そういう場合にあっても、有事が起こるのは突如起こるわけです。そういう意味において今私がここで答弁しているということを御認識願いたい。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 突如起こると言うけれども、総理は突如起こることなんかないと御自分でおっしゃっている。おかしいですよ。  それから、ほかの角度から伺いたいと思います。これは私は納得していません、総理の答弁には。総理は、突如起こることはない、こうおっしゃっています。大綱の有事というのは、平和時に主眼があるのですよ。脅威の量だけを考えるのではなくて、平和時の防衛力というものを主眼にアプローチしたので、初めて国民の前に防衛力の規模を明示することができたということもこれに書いてあるのです。だから、有事対処というよりも平和時に主眼がある。有事対処は、言ってみれば有事にも対処できる、しかもこういう有事だと限定しているのです。総理の考えと違いますよ、これは。これは、後でまた問題にします。  今回、中期防衛力整備計画を決定したわけですが、五カ年、総額明示、こういうのですね。五カ年で約十八兆四千億。ところが、三年で見直すローリング方式。三年たつと検討する、こう言っているわけです。検討した結果変えるかどうか、これはまだ決めてないわけですよ。しかし中業方式から考えると、どうも三年後に――五三、五六、五九と、中業方式はずっと三年ごとに見直してきた。国民の前に五年間の防衛費の総額を十八兆四千億と示しました、こう総理は胸を張っているのですが、何ということはない、よく見てみると、三年後に見直された場合、十八兆四千億というのは吹っ飛んじゃう、消えちゃうわけです。そうでしょう。六十一、六十二、六十三、六十三年度にもしローリングして見直した場合、六十四、六十五、六十六、六十七、六十八、この五カ年計画が六十三年度に決まっちゃうわけですから、十八兆四千億というのはどこかへ消えちゃうわけです。言ってみれば、三カ年だけが固定しているわけです。三年だけが変わらないわけだ。だから、三年分の予算とあと二年分の見直される予算は、計画としては別々に国民に出すのが私は本来だと思うのです。わかりやすいと思うのです。これが三年分、あと二年分だが、そういう構造にはなっていない、こういうおかしなことがあるのですよ。何か反論しますか。  そこで伺いたいのですが、五十二年の防衛白書を拝見しました。防衛白書というのは、閣議で決定して、私たち国民に向かって政府の考えを述べるわけですけれども、この五十二年七月に出た防衛白書が、防衛計画大綱が決まったのは五十一年の十月二十九日ですから、これは初めて防衛庁としては大綱とはこういうものですと説明した白書です。  この白書によりますと、大綱は、計画方式としては単年度方式を主体とする。今までのような一次防、二次防、三次防、四次防と来た、四次防のような年次防方式はとらない。五カ年方式、計画を五年立てるとか三年立てて防衛費を積み上げてそれでやるというやり方はやりません。こういう理由ですと三つ理由を挙げているわけだ。  何でやらないのか。一つは、オイルショックで経済財政事情が転換期にある。したがって、今後防衛費を大幅に伸ばすことは困難である。もう一つは、四次防の水準と大綱の水準は規模においてほぼ同水準、したがって、今後は量の拡大よりも質の改善である。したがって、五カ年なんという方式で目標に至る過程を示す必要も意義もなくなった。それから、経済財政事情が厳しいので五カ年の総額を積み上げるというのは適当でない。あるいは、諸外国の技術に対応しなければならないので毎年毎年やっていくことが適当である。今までのように、あるゴールがなくてやる場合は一次防、二次防、三次防が適当であった、ふさわしかった。だけれども、もう四次防と同水準、質の改善である。だからこういう年次防方式はなじまない、適当ではない、これにこう書いてある。  しかも、その単年度という方式を採用したがゆえに、今度は、それじゃ防衛関係費は年々幾らになるのだという声があり、防衛費が幾らになるのか、今までは五年間、四次防までは五年間の総額がわかっていたので金額がわかった、今度は、単年度方式ではわからない、だから政府としては、金額に単年度の予算のめどを示すことが重要だと考えてGNP比一%の閣議決定を行ったのであると、こう書いてある。だから、このGNP比一%枠の単年度方式というのは、これは全くセットされた一体の構造になっているわけでございます。防衛白書を読むとそういうふうにしか受け取れない。  ところが、今回は五カ年方式を採用した。これは明らかに一%枠突破の布石、言ってみれば防衛計画大綱の重要な柱を切り取ってしまっている。この白書で言っている、なじまないのだ、適当じゃないのだと。おかしいのじゃないですか。十年間国民に向かって説明してきたことと違うことをやっているのじゃないですか、大綱と今度の五カ年方式というのは。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 市川委員、ただいまの御質問で幾つかの、数多くの論点をおっしゃいましたけれども、一番最初の点につきまして、つまり、ローリングによって新たにまた大きくなるのではないかという問題点についてお答えしたいと思います。  三次防、四次防なども五カ年計画でございまして、これはローリングがありませんでした。それで、三次防、四次防のときも設定した金額からぐっとふえていったじゃないかという御議論がよくございますけれども、計画設定時のときの金額の枠の中におさまっております。もちろん物価がございますからいろいろ議論もありますけれども、いわゆる実質ベースで、そのときの金額で、実質価格で見ますと、三次防の場合には達成率は九五・八%でございます。四次防の場合には九三・二%でございます。  それから、御指摘のありました五六中業が途中で変えられたじゃないか、そして今度五九中業になってまた大きくなるじゃないかという御議論でございますが、五六中業の三年度目は去年であったわけです。ですから、通常ならば六〇%いくべきところでございますが、五二、三%であったと思いますし、正面装備でいきますと四四%、つまり六〇%までかなりの差があるわけですね。したがって、ローリング方式というのは、ふやすためにやるという過去の経緯よりも、どうも計画どおりいかないから途中からやり直すという、ある意味じゃ減額修正みたいなところがあるということをおわかりいただきたいと思います。  それから、いわゆる大綱では単年度主義を言っていたではないか、それと一%とはリンクしていたではないか、今度それが変わったのかということでございますが、三次防、四次防から大綱方式に至った経緯には二つあると思います。  一つは、委員おっしゃいましたように、四十七年、四十八年から始まったオイルショックで、五十一年からの第五次防をやろうと思っても、五年先の見通しというのは、要求する防衛庁の方もとても立てられなかったし、それから査定する財政当局もとても論議ができなかった、そういった経済事情があったと思います。  それからもう一つは、三次防、四次防でだんだん防衛力を整備していって、そして最終点ほどこなのかなということに不安を国民が感じられたものですから、いわゆる最終のあるべき平時における姿としてはこういうものですよという想定をしたわけでございます。  そういう二つの理由から大綱が出てきたわけでございますが、今回の場合に私たちが考えておりますのは、やはりこれからの整備ということをこの大綱の中で今度の中期計画もやるわけですけれども、三年後、五年後の見通しを明確に立てて国会で御議論いただいた方が、より長期的な御議論をいただけますし、また国民のシビリアンコントロールのためにも資するのではないか、そういう意味でお出ししたということをぜひ御理解いただきたいと思います。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 本当はずっと十年間説明してきて、今みたいな説明では全然説明になってませんよ。そんなことを言うんじゃないかなと思って経済企画庁から資料を取り寄せたのですが、五十一年五月三木内閣、昭和五十一年から五十五年度までの経済の五十年代前期経済計画、ちゃんと三木内閣はこういう五カ年間の経済計画を立てていますよ。経済計画が立てられない、そんなことはない。立てていますよ。しかもGNPの実績値で五十一年、五十二年、五十三年、名目値じゃないですよ、実績で五・一%の成長をしていますよ。三木内閣としてはきちっと五カ年の経済計画も立てているし、それからきちっと五%の成長もしています。名目にすると一〇になるのか一一になるのか。これは実質です。計画が立てられなかったなんというのはうそです。立てようと思えば立てられますよ。今は、じゃ経済は安定しているのですか。貿易摩擦とかやはりいろいろな、経済というのは絶えず流動的じゃないですか。流動的と言えば流動的です。だから、中曽根内閣と三木内閣の事情、数字だけで比べてみますと、三木内閣は実質で五%、中曽根内閣は四・二%、GNPの予想です。物価が中曽根内閣の方が三%、三木内閣当時は六%、この程度の違いですよ。防衛力整備計画を立てられないなどというそんな違いじゃないと思う。それは後で取ってつけた理由ですよ。  それからシビリアンコントロール、こうおっしゃるのですけれども、十年間国民に向かって言い続けたこと、単年度方式だ、国会で答弁してきた、それをそんな簡単に変える。国会が防衛庁と約束したこと、防衛庁が国会で答弁したこと、それをむしろ守らせることが我々にとっては国会のシビリアンコントロールなんです。違いますか。あなた方が簡単に、あああの解釈はこう変わりました、あああれはこう変わりました、ああさようでござんすかなんと言っていたら国会のシビリアンコントロールは務まらない、効かなくなってしまう。昔はこう言っていたじゃないか、今こう言っているのはおかしいじゃないかというのはこれは国会のシビリアンコントロールです。何も防衛庁だけがシビリアンコントロールをやっているわけじゃない。総理も、国権の最高機関である国会がシビリアンコントロールの一番重要なかなめである、こうおっしゃっているわけです。だからそんな、シビリアンコントロールがより進みました、では、この十年間シビリアンコントロールに欠陥があるやり方でやってきたのか、こうなってしまう。国会でシビリアンコントロールのことを聞けば、シビリアンコントロールは万全でございます、いささかも遺漏はありません、取ってつけたような理由ですよ、そんなのは。  しかもことしの六十年八月の防衛白書にも書いてある。単年度方式が適当である。ことしの白書まで書いてあるのです。そんな古い、五十二年の白書だけではない。いいですか、ことしはこう書いてあります。「わが国の防衛力整備については、昭和五十一年十月二十九日の国防会議及び閣議において決定された「大綱」によって防衛力整備の目標が明らかにされて以降、政府としては、それまでのような一定期間を限った第何次防衛力整備計画といったものを作成する方法はとらず、年々必要な決定を行ういわゆる単年度方式を主体とすることとしている。」ことしの八月出た白書にもこう書いてある。これは単なる形式の問題だとおっしゃるかもしれないけれども、一%枠と構造的には一体になっているのですよ。だから、いみじくもあなた方は、一%枠は五カ年方式にはなじみません、単年度単年度で予算を組むときに一%枠を念頭に置いてやっていくのですからなじみません、こう言っているじゃないですか。なじまない。一%枠の柱を一本取っちゃったわけですよ。そういう意味において私は問題にしているわけです、これは。十年間、防衛白書で書き、国民に説明し、国会でも答弁していますよ。原防衛局長も言っているし、塩田防衛局長も言っているわけです。国会で答弁していますよ。大綱を決めましたので、その後は年次防方式はやめたんです、何カ年というような方式はやめたんです、代々の防衛局長が国会でこういう答弁しているんじゃないですか。そんな取ってつけたような理由で納得はできません。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 ただいま、昭和五十一年当時の経済情勢と現在とは大差がないじゃないかという御議論でございましたが、それは私は大きな差があったと思います。五十一年というのはかなりの物価が上がっておりましたし、そういうわけで物価の上昇率等で非常に大きな差がありまして、現在は世界の中でも物価の安定した国、卸売物価ではマイナスというような日本の状況と、五十一年の石油ショックの状況というのは違うということは国民の皆様もおわかりいただけるのではないかと思います。  そこで、ああいう状況の中で経済がなかなか判断できなかった。特に防衛力の整備の場合は、注文いたしますと五年、七年かかるものがあるということは市川委員も御承知のことだと思いますが、そういう意味でも単年度方式をとらざるを得なかったという事実をことしの白書も申し述べているのでございます。そこで、私たちとしては、世界諸国も防衛力整備の場合には、単年度をとっているケースよりも中期計画でやっていくケースが多いものですし、それを政府の責任において明示して、そして国会に御報告申し上げればよりコントロールの場になるのではないかということで今回提出したことを御理解いただければありがたいと思います。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 だから、国会に約束したことを守ることもシビリアンコントロールだというのですよ、国会から見れば。そんなのは答弁になりませんと僕は言っているわけです。  それから、経済のことも計画がつくれないほど悪い経済状態じゃないでしょう、ちゃんとここにも、経済企画庁の景気は底入れしたという認識も示しているのです。しかも、年々五%ずつ実質で成長しているのですよ、実績で。冗談じゃありませんよ。計画つくろうと思えばつくれるし、三木内閣は経済計画つくっているじゃありませんか。何を言っているんですか。答弁になっていませんよ、そんなのは。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 あの当時の経済状況と現在の経済状況がどうかというようなことは、防衛庁長官ですから余り議論いたしません、専門家でもありませんので。ただ、五十二年の白書、そのいわゆる五二日書、委員が御指摘の点でございますが、その点にははっきりと、大綱策定時においては我が国の経済、財政事情は石油ショックもあって転換期にあって流動的な要因も多くて、従来のような中期的な政府計画を策定することは財政上の観点からも困難であるからこういうふうにしたという当時の事情を述べておるわけでございますので、その点は御理解いただければありがたいと思います。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 財政上の理由だけじゃないですよ。ほかにも二つ理由を挙げているわけです、これは。四次防と同一水準になったのだ、だから計画を立てる必要がなくなったのだ、こう言っているわけですよ。計画を立てる必要がなくなったから五カ年方式はとらないのだ、こうも言っているし、まして、六十年八月のことしの白書でもさっき読み上げたようなことを言っているのですよ。経済が安定したのは何もこの三カ前からじゃないですよ、あなた。何を言っているのですか。一%枠外しのために取ってつけたような理由をつけるなど言うのですよ。八月までは違うことを言っていた。違うことを。そんなのは理由になりませんよ、そんなの。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 大綱を五十一年設定した後も、もちろん予算としては単年度でやっていくわけでございますが、防衛庁の内部としては、やはり先々の見通し、中期的な見通しを立てなければいろんな装備計画、それからいろいろな業務計画ができませんものですから、内部で中期業務計画というのをつくっておりました。そうしまして、これは内部資料で防衛庁限りの仕事としておったんでございますけれども、やはり国会の方から中期的な見通しがなければおかしいじゃないか、内部でやっております中業というものをちゃんと正式のシビリアンコントロールの場に出すべきではないかという経緯がありまして、これを国防会議にかけるようになったということは、市川委員防衛の専門家でございますから、その経緯は御理解いただけると思います。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 総理どうですか、これ。ことしの白書にまでこんなことが書いてあって、経済事情とかそういうことを理由にするんだったら、もうとっくに変わっておるわけでしょう、経済事情だって。経済事情だってとっくに変わっておるわけですよ。それは第二次オイルショックはありましたよ。そんなの取ってつけた理由ですよ、取ってつけた理由。じゃ、何でこの六十年の白書までこんなことを麗々しく書いているんですか。おかしいじゃないですか、こんなのは。これは間違いですか。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 白書の何ページに書いてあるか、ちょっと教えていただければありがたいですが、こちらの私たちが見ていますところでは、その過去の経緯を、経済事情等がありましてそういう単年度方式になりましたという事実の記述だけでございますけれども、政策的な判断を加えたところがありますでしょうか。(市川委員「百七十一ページ」と呼ぶ)はい。ちょっと見てみます。――五九中業の中期業務見積もりについての説明でございます。そしてその後、「いわゆる単年度方式を主体とすることとしている。」という事実を書いてあるわけでございまして、「これは、内外情勢の変化等を考慮し、各年度の防衛力整備の具体的内容は、その時々における経済財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、柔軟に決定するのが適当である等の考えに基づくものである。」確かにこの点につきましては、従来の五十一年以降の考えを踏襲して客観的に記述してあるものでございます。(発言する者あり)

天野光晴自由民主党・新自由国民連合

○天野委員長 防衛庁長官、もうちょっとわかりやすく……。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 また過去の経緯に戻りますけれども、財政事情が非常に厳しくて、物価も乱高下していて、五年計画はつくれなかった。諸外国は中期計画をするというのが通常であった。そして私たち防衛庁としても五カ年計画はつくれなくなったけれども、やはり私たちとしても内部資料として中期的な見通しをつくっておかなければいけない、とても業務が進められないから中期計画をつくった。そして、それを国会の方でも存在をお聞きになって、そういう内部だけのものにしないで、中期的な見通しがなければおかしいじゃないかということで国会でも中業が話題になり、そして国会の御意向を受けてこれが国防会議において報告されるようになった。そして、ここの国防白書はどちらかというと、当然政策が九月十八日に決定される前ですから、過去の経緯に引っ張られた役所の文章になるのは当然でございますが、私たちとしては中期計画というものを表に出し、そして国会で報告し、御議論いただくという中期的な防衛見通しを立てた方がいいのではないかということで今回踏み切ったということでございます。どの観点から見ても、恐らく単年度単年度で防衛力整備をやっていったら、そんな場当たりなことでいいのか、中期的な見通しを出しなさいということを国会で言われることになるのではないか。私たちとしては、中期的な見通しを立てることがより国会に責任を示すことになるのではないかな、こう思っております。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 今の防衛庁長官の発言は重大ですよ。じゃ、十年間場当たり的な政策をやってきたということですか。十年間防衛力の整備は場当たり的にやってきたということをみずから認めた発言です。冗談じゃない。(発言する者あり)

天野光晴自由民主党・新自由国民連合

○天野委員長 お静かにお願いします。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 単年度より……(市川委員「場当たり約とおっしゃった」と呼ぶ)場当たり的と言ったのは、言われるおそれがないかということでございまして、言われたということではございません。その点は言葉が滑ったかもしれません。しかし、単年度でやるということよりも、やはり中期的に、今後こうしていくんだということを政府の意思として明示し御議論いただいた方が、より防衛力整備についての御議論は中期的、長期的な見通しに立った御議論をいただけるのではないか、そう思った意図は御理解いただければありがたいと思います。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 要するに、その一%枠外しだから問題にしているのですよ、一つは。これは大事なんです。要するに今までは、四次防までは五カ年、五カ年で総額を示した。だから防衛力の額が幾らになるのかということは国民にわかった。「防衛計画の大綱」は単年度方式でいく、そうすると金額が見えない、したがって、その金額がどの程度になるのかということを国民に見せなければいけないと政府は考えたのです。僕が考えたわけじゃない。政府が考えて、国民の疑問に答えることが重要と考えて、当面の防衛力整備については、各年度の防衛費については国民総生産の百分の一相当額を超えないことをめどとする、こういう決定を行ったわけです。そうすると、ああ、単年度方式だけれども、単年度の防衛力の金額は国民総生産の一%以内なんだなという概算が大体頭に入る、こういう意味で、それを示すのが重要ということで一%枠は決まったんです。一体のものなんです、単年度方式と一%枠というのは。単年度方式を外しちゃいますと一%枠というのは外しやすくなる。五カ年で総額を示していますから、総理も本会議でおっしゃっているように、ある意味での歯どめになっているのですなんてことで、外しやすい状況をつくったことは間違いない。そこで問題にしている。  十年間防衛白書で言い続けてきて、ことしの八月まで言い続けた。単年度方式でいくのです、積み上げる方式は適当じゃないのですと。この、ことしの白書だって書いてあるじゃないですか。一定期間を限った第何次防衛力整備計画といったものを作成する方法はとらないんだ、十年間国会でずっと説明してきたことを、そんな簡単に何で変えられるのですか。これがおかしいというのです。納得できませんね。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 市川委員、一%問題は後で論じますということでございましたので、一%との問題については先ほど余り言及しないようにしておったわけでございますが、私たちは「防衛計画の大綱」というものと一%というものは完全同一、セットのものではないと思っております。「防衛計画の大綱」は、ああいったような先ほど言いました経緯からつくられ、そしてこれとは一体のものではないということを意思表示するために一週間延ばして閣議決定をわざわざされておったという過去の経緯がございます。また、ある意味では「防衛計画の大綱」というのは今後の平和時におけるあるべき姿、ある意味ではこういう終着点を持てばいいのではないかというような、そういった発想でやっておるわけでございます。  一方、閣議決定の一%の枠は「当面」という言葉がついております。したがって、本当に基本的な原則というものは「当面」という名がつくものではないと、私はこう思っております。  したがいまして、これは別途のもので、大綱というものが五カ年方式、中期計画というものにあの状況から合わなかったものですから、しばらくの間進めていくスピード、財政のめどとして一%というのが当時「当面」という言葉でついたものだと過去の経緯を理解いたしております。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 ですから、一つは単年度方式を聞いているのですけれども、十年間ずっとやってきたことを、そんな簡単な理由にならない理由で変えられたのでは国会の議論ができないということを私は申し上げている。  それから、GNP一%云々ということですけれども、「当面」は何カ年というものを限ったものではないとその後にちゃんと書いてあるじゃないですか。しっかり読んでくださいよ。「当面」というのは何年とか、三年とか五年という年限を限ったものではございませんと丁寧に書いてあるじゃないですか。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 この「当面」の解釈でございますが、これにつきましては、当階の経緯につきまして、ことしの冒頭の予算委員会でも何度か議論になりました。そして、こちらにいらっしゃる当時の三原長官を初め、いろいろな長官の国会答弁の中に、まあ「当面」というのは四、五年かなというような答弁が幾つかあったということは、中曽根総理大臣からも御紹介があったところでございます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 それは、答弁ではそういう答弁があったかもしれないけれども、政府が責任持って閣議決定して発表した五十二年七月の防衛白書にも「なお、「当面」とあるのは、何らか固定的な期間を予定したものではなくここう書いてある。そういうふうにも書いてあるのですよ。  そんな「当面」がどうのこうのなんということよりも、この十年間ずっと防衛白書で言い続けたことをそんな簡単な理由で変えていいのですかということなんです。我々は納得できないということを言っている。単年度方式、一%枠にも絡んでいる。そんなシビリアン、シビリアンとおっしゃるけれども、国会のシビリアンは、それならどうなるのですか。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 答弁を繰り返すようで失礼でございますけれども、私たちとしては、行政というものは進歩していいものだと思っております。進歩しなければいけないものだと思っております。したがって、やはり防衛政策につきましては、単年度よりも中期的な見通しを立てた方がいいし、またそれでなければ行政内郷的にもできないし、そういう意味で私たちとしては、それを中期的なやり方にして計画を立てるということはより進歩だろう、こう思っております。したがって、白書というのは、そのときそのときの現状を役所の文章というものは出しますけれども、それよりも一歩進んであるものだとするならば、それは正しいことなのではないか。やはり中期的な見通していわゆる防衛政策を明示するということは進歩なのではないかなというふうに御理解いただきたいと思います。(「そんな答弁じゃだめだ」と呼び、その他発言する者あり)

天野光晴自由民主党・新自由国民連合

○天野委員長 防衛庁長官、もうちょっときちっと、ひとつわかるように。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 確かに、八月に発表されました国防白書に……(「国防白書とは言わないんだ、日本は」と呼ぶ者あり)失礼いたしました。防衛白書の中にそういった表現があったことは事実でございます。そこで、その当時の記述は、まだ九月十八日のいわゆる国防会議それから閣議の決定の前でございますから、その現状に合わせた表現になっております。したがって、単年度主義というものに中心を置かれた記述になっておりますけれども、私たちとしては国防会議等で大分議論いたしまして、やはり中期業務計画というものが国会において議論され、そして国防会議に語るようにすべきだといった過去の議論の経緯もありまして、やはりそれは中期計画というものを、より政府部内でもしっかりとした手続を踏んで、防衛庁限りのものではなくて国防会議に上げて、そして政府が責任を持った形の中期計画として出した方がいいのではないだろうか、こう思いまして提出いたしました。したがって、その経緯につきましては、どうぞ私たちの意図を、できるだけシビリアンコントロールの趣旨にのっとるようにという気持ちでやった決定でございますし、国防会議の決定でもございますので、防衛庁限りの決定ではございませんので、ぜひ御理解いただければありがたいと思います。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 何か八月までは正しくて、八月から九月にかけて急に行政が進歩をしたみたいな、日本語としてよくわからない御答弁ですけれども。中業を国会に出せとは言いましたけれども、政府計画に格上げしろなんということをだれも国会では言ってませんよ。おかしいです、これは。ということを指摘しておきます。  次の問題に入ります。  洋上防空、今回の中期防衛力整備計画の目玉と言われているこの洋上防空。これが、私たちの見るところでは防衛費をどんどん膨らましているわけですよね。千海里のシーレーン。千海里といったら約二千キロの遠い広い海を、潜水艦だけではなくて空から来る飛行機も相手に戦うというわけでしょう。そんなことは「防衛計画の大綱」のどこに書いてあるかというと、何かいろんな防衛計画大綱の悪用的、恣意的解釈を重ねてこう答弁なさるんですけれども、これが防衛費をどんどん膨らましてきた。これだけではありませんけれども、これが膨らましてきた大きな原因。P3Cを百機買うとか。  そこで伺いたいのですが、この洋上防空というのは四次防まではないのですよね。四次防まではなかった。四次防までは本土防空という言葉を使ってきた。洋上防空という言葉は四次防まではない。防衛庁の方に確認したら、ありません、こう言った。単純に考えますと、四次防の水準と防衛計画大綱は同水準というのだから、四次防までになかったことは大綱にもないということになるんだ、本当は。単純に考えますとね。だから、四次防までは本土防空で洋上防空はないのだから、その洋上防空のなかった四次防と同水準でいいというのだから、洋上防空というのは大綱になかった。単純に考えてもそういうことになる、あなた方の説明から判断しますとね。  「洋上防空体制」という言葉が新しい中期防衛力整備計画の中に入っているわけでございますが、これは大綱のどこに書いてあるのですか、教えていただきたい。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○西廣政府委員 洋上防空という言葉をちょっと御説明申し上げますが、洋上防空というのは何も海を守るあるいは海域を守るという意味じゃございませんで、洋上で行動する艦艇なりあるいはそれに護衛されている船舶を守るという意味でございまして、前から、もう海上自衛隊発足以来、艦艇を建造いたしますが、それぞれ個艦防空のためあるいは船団防空のために高射砲を積む、あるいは対空ミサイル・ターター等も昭和三十年代からつくっておりますが、そういう形で洋上防空というものはあったわけでございます。したがって、それは従来から、海上自衛隊の固有の自艦防空あるいは船団防空のための機能というのは持っておったわけです。  ただ、私どもが今回洋上防空について改めて検討しようというのは、今までは洋上防空の主体は、例えば北海道なら北海道に陸の増援部隊を送る、そういった内航護衛等をやる場合に相手方の航空優勢下で行動することがあるかもしれない、そういう場合の防空、これも洋上防空でございますが、そういうものを中心に考えておったのが、非常に足の長いあるいはスピードのある航空機が出現してきて、かなり本土から離れた洋上でもそういう航空機からの攻撃があり得るということが予想されるようになってきた。さらに加えますと、その航空機が搭載する対艦ミサイルというものが非常に射程が延びまして、従来の高射砲とかあるいは高射機関砲あるいは対空ミサイルでは届かなくなるということで、そういう新しい問題が出てきた。そういう状況下で、いかにして従来と同じような対潜効果を上げるための艦艇が行動し得る状況を確保するかという点について今後検討していきたいということで五カ年計画に書いてあるわけでございまして、海上で行動する、海上交通保護をする部隊というものが自分の防空機能を持つということは、当然の固有の機能であるというふうに考えておりますので、そのための特別の機能ということで、それは海上交通保護の中に入っておるというふうに御理解いただきたいと思います。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 何かぼそぼそぼそぼそ、よくわかりませんね。  「防衛計画の大綱」ではこういうことを言っているのですね。「防衛計画の大綱」は、陸上、海上及び航空の各自衛隊ごとに維持すべき体制を具体的に示し、この体制から基盤的防衛力としての各自衛隊の規模すなわち基幹部隊や主要装備等の具体的規模を導き出している。この体制と規模との関係は任務とこれを果たすための手段との関係と言ってもよい。こういうふうに書いてある。陸上、海上、航空各自衛隊のまず維持すべき体制を示し、そしてその体制を維持するために基幹部隊はどのくらい、装備はどのくらいということを、そういう具体的規模を導き出したんだ。体制がないと部隊の規模も装備も導き出すことができないのですよ。まず体制を示した。体制と規模というのは任務とそれを果たす手段の関係だ、こう説明しているわけですね。  計画大綱を見ますと、海上自衛隊は四つの体制を示していますけれども、四つの体制の中に洋上防空という言葉もないし、そういう体制も書いてない。体制に書いてないことは部隊もつくれないし装備も見積もれないとこう書きながら、体制に書いてないことをやっていいのですか。だからどこに書いてあるのですかと聞いているのです。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○西廣政府委員 先ほど申しましたように、例えば陸上自衛隊は国土防衛のために着上陸侵攻に対処するために師団がある、その師団が自分のために、行動するために対空火器を持っておる、対空機能を持っておると同様な意味で、周辺海域の防衛を行う、あるいは海上交通保護に当たる海上部隊、それが行動できるようなエアカバーを持つということは、当然海上交通保護なりあるいは周辺海域防衛の機能の中に含まれておるというように申し上げておるわけであります。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 もう一回答弁いただきたいのですけれども、周辺海域の防衛の中に洋上防空が入っているという答弁ですか。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○西廣政府委員 周辺海域の防衛及び海上交通保護、いずれも海上自衛隊の作戦機能でございますが、その中に入っておるというふうに御理解いただきたいと思います。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 これは重大な発言ですよ。いいのですか、その答弁で。本当にいいのですか。海上交通の保護という言葉の中に洋上防空が入っている。海上交通保護の中に洋上防空が入っているのですか、ちょっとおかしいんじゃないですか。

天野光晴自由民主党・新自由国民連合

○天野委員長 はっきり答弁しなさいよ。防衛局長。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 いや、ちょっと待ってください。海上交通保護の中に洋上防空が入っているというこの答弁、これ間違いありませんな。間違いないとすると、これは重大な答弁ですよ。

天野光晴自由民主党・新自由国民連合

○天野委員長 防衛局長、すっきりした答弁しなさい。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○西廣政府委員 海上における船舶の安全を保護するためには、潜水艦からの攻撃からの保護あるいは航空機からの攻撃からの保護、いずれも入っておると考えております。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 大綱にはまず――議論をちょっとごちゃごちゃにされちゃうとかないませんので、大綱にはまず海上自衛隊のやるべき、維持すべき体制を示すと、こう書いてある。体制。その体制に入ってないのですよ、体制には。それを私はまず一つ言っている。  それから、ことしの、六十年四月十日参議院の外交・総合安全保障に関する調査特別委員会安全保障問題小委員会における、これは会議録でありますが、元統幕議長の竹田五郎氏、これがこういうことを言っているのですね。「大綱作成当時の航空自衛隊は、シーレーンの防衛ということについてはそれほど関心を持っていなかったというふうに私は思います。したがって、シーレーンの防衛ということが任務として課せられるならば、ここにそれに応じただけの飛行機の増、さらには空中給油、早期警戒機と申しますか、空中から警戒管制する航空機といったようなものについても必要でありまして、今のままではシーレーンを空から守るだけの力は航空自衛隊にはないと言ってもいいと思います。」こういうようにも言っておりますし、「シーレーン防衛については航空自衛隊はそれほど関心を持っていなかったというのが事実でございます。もちろん、日本周辺の四百キロぐらいのところは守るべきだという考えでありましたけれども、一千マイルというような構想はございませんでした」と言っておるし、だと思います。まあ統幕議長といったら制服の最高位の方ですよね。その方が国会でこういう証言をされているわけです。大綱作成当時にはそんな洋上防空なんというのはなかった。  それでは、お伺いしますが、海上交通の保護の中に洋上防空が入っておるとするならば、それは周辺数百海里、航路帯を設ける場合は千海里、その千海里の洋上防空も海上交通の保護ということになるわけでありますね。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○西廣政府委員 先ほどお答え申し上げましたが、海上交通保護に関連した防空につきましては、従来はそういった洋上遠く離れたところにおける脅威というものは比較的少ないということで、沿岸海域については全般防空の覆域内を航行することによってできるだけカバーする、さらに自艦防衛なりある程度の船団防空のための機能を艦艇が持っておるということで済んでおったわけであります。しかしながら、先ほど申したように洋上かなり離れたところにおいてもそういう脅威が増大しつつあるということは事実でございまして、それをどうするかということはやはり考えておかなくちゃいけない、遠くにいるものは守らないんだということには必ずしもなりませんので、それについてどうするかということを研究をしてみようというのが今回の五カ年計画で決めたところでございます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 どうも質問に答えてないのですけれどもね。こういうちょっとふまじめな答弁というのは困りますね。僕は千海里のシーレーンもそれじゃ入りますねと聞いたのですよ。入りますとか入りませんでいいのですよ。一々一々こうして余計なことを言わないでください、時間がもったいないですよ、時間が。あなたのしゃべっている時間もこっちの質問時間に入っているのですから。  今、防衛局長が安保特で説明している洋上防空というのは、OTHレーダーを買う、それでまあ三千キロぐらい先の物体を見る、飛行機なのかミサイルなのか見る。すぐE2Cを飛ばす、飛行機なのかミサイルなのか識別する、飛行機ならF15が飛び立つ、それでもだめならば今度はAEGIS艦で、ミサイルで相手のミサイルを撃ち落とす、そんなことを洋上防空で考えておりますということを安保特であなたは答弁しておられるわけでございます。私は、こういう洋上防空――洋上防空というのは本土防空と違うわけでしょう。違って使ってますよ。ですから、全国二十八カ所のレーダーサイト、このレーダーが効く約四百キロぐらいの範囲、これを航空自衛隊が飛び立って守る、これは本土防空ですよね。そのレーダーの効かない、本土周辺四百キロからさらに遠く、二千キロとか千キロとか、この空をどうするのかというのが洋上防空の話だと思うのです。  そこで、お伺いいたしますが、五十六年の七月十五日、衆議院の安全保障特別委員会、ここで当時の塩田防衛局長、今たしか国防会議の事務局長をやっておられると思います。私の質問とほかの方の質問、両方の方の質問に答えて、質問の意味は、アメリカが一千海里のシーレーンの洋上防空を要求しているんじゃないのか。それに対して、いや、アメリカは一千海里のシーレーンの洋上防空までは要求していないと思います、もし仮にアメリカが一千海里のシーレーンの洋上防空というようなものを要求しているとしたら、戦闘機の能力、レーダーの能力からいってとても我々はできないわけであります、こういうふうにはっきり答弁なさっているわけです。  「防衛計画の大綱」でちゃんと想定されているならば、当時の防衛局長が、できませんなんて国会で答えるわけがない。違いますか。「防衛計画の大綱」に書いてあることを、国会で聞かれて、できませんなんて言うわけがない。「防衛計画の大綱」に書いてない。書いてないからこそ、一千海里のシーレーンの洋上防空なんということは、防空要撃はできませんということを、我々にそんなこと言われても、できないとこう答えている。当時の防衛局長がそう答えているということは、大綱にはないということじゃないですか。私はそう思う。防衛庁長官はどうお考えですか。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○西廣政府委員 現在でも、仮にそういう要求があっても、自衛隊はできません。  なお、千海里のシーレーンの防空ということはよくわかりませんが、何となく受けるニュアンスは、その海域そのものを守ってしまうというふうにとれるわけでありますが、私どもが申しておりますのは、先ほど来申しているように、我々の艦艇、それから船団等の商船を守る、そういうことをいかにして可能にするかということを考えておるわけでございます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 西廣さん、おかしいですね。あなたは衆議院の安保特で要撃ユニットという言葉をお使いになって、OTHレーダー、要撃戦闘機、空中管制機それから給油機、もしその要撃戦闘機が洋上防空用にさらに別枠でとるなら十数機お金がかかるということも言及しておられる。だから、要するに二十八カ所のレーダーサイトの覆域外のところで要撃戦闘機が飛んで洋上防空をやる、こういう発想と違うのですか、そうなんでしょう。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○西廣政府委員 安保特で私、申し上げましたのは、洋上防空については、そういう必要性が高まりつつあるという前提に立ちまして、それにどう対応するかという幾つかの考え方があろうと思います、一番大事なのは、そういう広い海域における問題でございますので、いかにしてその広い海域における相手方の航空機の状況を把握するかということが第一だと思います、そのためにOTHレーダーというものが有効であればそういったことも考えられます、そのOTHレーダーの能力というものを前提にするならば、その情報によって場合によっては艦艇がそういう航空機の進路から回避をするということもありますし、さらに考えれば、そういう洋上に出てくる航空機というのはいずれにしましても爆撃機のようなものでありまして、護衛戦闘機がついてくるというようなことは非常に少のうございますから、これを要撃する態勢というユニットのようなものがあれば容易に爆撃機が出てくるということはできなくなる、抑止可能であるというようにお答え申し上げております。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 そうすると、千海里のシーレーンの防空要撃はやらないということですか。やるのかやらないのか。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○西廣政府委員 いずれにいたしましても、これから研究し、結論を得たいという問題でございますので、やる、やらないということは申し上げられる段階にございませんが、そういうことができるような方法がもし可能であれば、洋上防空については陸上の防空と違いまして、その海域すべてを守るというようなことではございませんので抑止は可能なのかなということを考えてはおりますが、今後の研究次第でございます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 何か、非常にあいまいで、あいまいのまま何で中期防衛力整備計画にのせるのですか。やるかやらないかわからない、今の答弁は。やるかやらないかわからないようなことが中期防衛力整備計画にのっているのですか。おかしいじゃないですか、そんなのは。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 市川委員、過去の国会論争の中で何度が御指摘になったと思いますが、このシーレーンは大綱の発想の中にあるものでありまして、そしてそのシーレーンの場合に、それぞれの個艦防衛でやってきたことが、科学技術の進歩によってそれだけではなかなか対処できない場合が出てきたということで、洋上の防空という概念が出てきたと思います。  ただここで、先ほど防衛局長が申しましたように、洋上防空といいますと、すべての広い洋上の上空を、もうすべて哨戒し、すべての手を打てるようなという感じてお思いの方が多いわけですけれども、あくまでもシーレーン防衛、海上交通の安全確保に従事しているそれぞれの個艦等についての防空という概念であるということをひとつ御理解いただきたいと想います。  さあそこで、中期防衛力整備計画の中にまだはっきりしてないものも入れてあるではないかという問題点でございますが、私たちはそういう新しい問題点が出てきたので、それをどう対処するかということを、例えばOTHレーダーにいたしましても、それを含めて検討するということでございます。で、もし検討してそれが我が国の防衛のために有効であったという結論が出て、それに応じた対処をとろうとしたときに、中期防衛力整備計画の中に入ってなければ、それをまた手続上の問題も出てきますし、入ってないものを着手するということはけしからぬではないかという御議論もあろうかと思います。そういう意味で、検討する問題も私たち入れておるということを御理解いただきまして、まだ決定には至っているものでないものですから、若干答弁があいまいに聞こえるかもしれませんが、検討中ということでございますので、御理解いただきたいと思います。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 千海里のシーレーン防衛、その洋上防空、安保持では防衛局長はOTHレーダー、それから早期警戒機、要撃機、給油機あるいは艦対空ミサイルシステム、こういうものが洋上防空の要撃ユニットということを言っておるわけです。一方では、航空レーダーが大体周辺二百海里ぐらいしか効かない、すると、F15が仮に飛び立っても、レーダーの効かない範囲ではどうにもならない。ですから、管制機が必要になってくる、こういう説明をしておるわけですよね。私が質問しておりますのは、ですからそういうレーダーの範囲、二十八カ所、これは本土防空ですねというのです。ここからもっと外へ出た千海里、こう言っておるわけですから、二百海里の外、そういう千海里のシーレーンも守る、その洋上防空もまたやりますということなんですかと聞いているわけですよ。千海里シーレーンの洋上防空をやるんですか、やらないんですか。まず長官、はっきりしてください。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 よく本土防衛から今度海に出ていってそして平面的に広がった、そして、それからそのすべて上空に立体的に三次元に広がったという御議論をいただきますけれども、私たちが考えております洋上防空といいますのは、海上交通の安全確保の観点から、それぞれの個艦防空等を考えて、船団防空を考えて、そしてその中からいろいろシステムを編み出していかなければならない。そして、その際に考慮にあるのが、さっき言ったような五つの仕組みでございますけれども、それぞれがどう組み合わさってどういった仕事をできるのか、それぞれの限界もあります、レーダーがどこまで届くかという問題もありますので、それは現在、鋭意検討中ということでございます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 検討中だけれども、OTHレーダー三百五十億、AEGIS艦とは響いてないけれども、契約ベースで千五百億で、大体頭金で三百億、こういう話は安保特で出ているわけですよ、安保特で。それじゃ千海里の洋上防空はやらないのですか。やらないのかと聞くと検討中だと言う。安保持ではその洋上防空用の予算をちゃんと三百億、三百五十億認めているのですよ。全然これじゃ議論になりませんね。中身の議論をやろう、中身の議論をやろう、一%枠だけじゃなくて中身の議論をやろうというから中身の議論をやっているのですよ。まじめに答えてください、まじめに。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 諸外国の科学技術の進歩によって経空脅威が増大しているということは事実で、そういう中で洋上防空をどう考えていくのかという新しい問題点が出たということを申し上げておるわけでございます。そして、その仕組みをどうするかということは今後の検討課題でございますが、例えばOTHレーダー等につきましてはより検討が進んでおる、まだ結論は出てないけれども進んでおるものですから、そうした場合に、これから五年の間に仮にそれを装備するということになった場合に今度の中期計画の中に一つも入ってないのでは、それは手続的にミスになるだろう。なぜなれば、その十八兆四千億は私たちは最高限度と考えておりますから、これを超えちゃいけないと考えておりますから、その中に三百五十億程度だったと思いますけれども、一応計上しておかなければいけない。ただ、これが予算として認められたものではまだないことは御承知のとおりであります。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 要するに千海里の洋上防空をやるのかやらないのかと聞くと、検討中だ、こう言う。ところが、塩田防衛局長は当時、洋上防空、防空というのは二十八カ所のレーダーが効く範囲です、要撃戦闘機の航続距離とレーダーの効く範囲、そこから先は艦対空ミサイルで守るしかない、そこまで要撃機を飛ばして洋上を守るなんということはできません、こう答えているのです。防衛局長ができないということは大綱に書いてないからできないと安心して答えたのです。それじゃ、あなた方は大綱にないことをやろうとしているのですか。そういうことじゃないですか。だから、二十八カ所のレーダーがあって、その二十八カ所のレーダーが届く範囲、周辺二百海里、約四百キロぐらい、三百六十キロ、ここから先の防空要撃は、要撃機を飛ばしたりなんかしてやるのはできません、防空要撃能力なんということはとてもできません、こう局長が言うということは大綱にないからですよ。この当時の防衛局長の答弁と今のあなた方の答弁、食い違っているし、あいまいだし、はっきりしてもらいたい。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○西廣政府委員 当時の防衛局長がお答えしましたのは、現在の防空能力ではレーダーの覆域外まで及ぶような行動は物理的にできない、能力がないということを申し上げたと思いますが、現在もそういうことでございまして、私ども先ほどから申し上げておりますのは、防衛庁長官も申しましたように、洋上かなり離れたところで航空脅威が増しつつあるということは事実であります。それに対してどう対応するかということを我々は考えなくちゃいけない、しかしながら技術的に非常に難しい問題があるということを申し上げております。したがって、まだ結論的に申し上げることはできない、やはり検討の結果によるということでございます。  なお、ミサイルによる対空ということは確かに従来やっていたやり方でございますが、先ほど申したように足の長い対艦ミサイル等に対応するためには、お話に出ましたAEGIS艦のようなものが必要になってまいります。対ミサイル・ミサイルが必要になってまいりますが、そういったものをすべての艦艇に置くということは非常に高価につく、そういった洋上防空のやり方は余りコストエフェクティブではないというように考えておりますので、何かそれにかわるようなもっと効率的な方法はないかということも含めて研究をいたしたいというように申し上げております。よろしく御理解をいただきたいと思います。

天野光晴自由民主党・新自由国民連合

○天野委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ――――◇―――――     午後一時二分開議

天野光晴自由民主党・新自由国民連合

○天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。市川雄一君。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 午前中の質問で、私は、政府が防衛関係費の歯どめである一%枠をなし崩し的に崩していく、そういう要素をそれぞれ端的に指摘をいたしました。午後の質問におきまして、この一%枠の問題についてお伺いをしたいと思います。  議論に入る前に、委員長、私の出した試算の表がございますので、これを資料として配付させていただきたいと思います。

天野光晴自由民主党・新自由国民連合

○天野委員長 いいです。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 政府は、中期防衛力整備計画を発表いたしました。五カ年で総額約十八兆四千億。政府の計算によりますと、中期防衛力整備計画の中に書いてありますが、毎年の防衛関係費の伸び率は、名目で七・九%、実質で五・四%――実質というか、六十年度価格で五・四%。六十年度の防衛関係の当初予算三兆一千三百七十一億円、これに政府の言う数値五・四%を掛けますと、六十一年度は三兆三千六十五億円。その後同じように五・四%ずつ掛けますと、各年度の防衛関係費が出てくるわけでございます。GNPにつきましては、ことしの一月二十五日に経済企画庁が発表した昭和六十年度のGNPの見通し三百十四兆六千億という金額が出ております。これに「展望と指針」で同じく企画庁が発表しております実質で四%、これを掛けますと、GNPが出てまいるわけでございます。すべて、政府が発表しておる数値に基づいて計算されたものでございます。  総理、まあ試算をするまでもないことなんですが、この試算をしてみますと、もう昭和六十一年度、計画の初年度からGNP対比で一・〇一一%、六十二年度が一・〇二四%、六十三年度が一・〇三八%、六十四年度が一・〇五二%、六十五年度が一・〇六六%、防衛費がいつか近い将来に一%枠を超えるのではなくて、六十一年度、初年度から防衛費は一%枠を突破するわけであります。総理は、一%枠は守りたい、こう今も答弁を続けておるわけでございます。しかし、六十一年度から既にもう超えてしまう。また、政府の計画そのものが総額で計算しても、防衛庁の試算によると一・〇三八%、一%枠を超えているわけでございます。  一%枠を守るという昭和五十一年十一月五日の閣議決定、それからことしの九月十八日に決めた中期防衛力整備計画、一%枠を超えた総額を決定した閣議決定、この閣議決定が二つあるわけでございますが、どちらかの閣議決定を優先するのかしないのか、これをはっきりしませんと国民はよくわかりません。一%枠を超える計画を一方で決めながら、一方で総理は一%枠を守りたい。しかし、試算をすると六十一年から、もう既に初年度から一%を超えてしまっている。これはやはり、防衛のコンセンサスとか国会での議論というものは国民にわかりやすくということを考えますと、この際、総理、この閣議決定、どっちが優先するのか、はっきりしていただきたいと思います。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 御答弁申し上げる前に、まず大事なことは、今の二つの閣議決定の御例示がありましたが、これを運営していく防衛の原理、目標というものがまず大事であります。それは何であるかと言えば、「防衛計画の大綱」水準にできるだけ早く近づける、「防衛計画の大綱」を今度は完成したい、そういう大目的であります。これが主文であると我々は考えております。それを実行していく上について、いろいろ注意というものが今のような問題で、ある。これは歴代、最近の政府が国会の施政方針演説等でも述べておる防衛の大方針でございます。そういうような観点から、政府はやはり次の五カ年計画の中において、「防衛計画の大綱」水準を完成したいという目標を追求して全力を尽くしていくという形になるだろうと思います。  しかし、今度は毎年毎年の予算要求に関しては、五十一年に三木内閣の一%の決定がございまして、それは運用上そういうふうに趣旨を尊重して努力していきたい、そういう位置づけになるだろうと思います。それで五カ年計画につきましては、これも閣議決定いたしましたが、予算は単年度主義でありまして、これは先ほども市川さん御指摘になったように、毎年度毎年度要求していくという単年度主義でございます。それから、三木内閣の決定は「当面」云々という言葉が書いてありまして、当面毎年度の要求について一%を超えないことを目途として努める、そういう趣旨のことが書いてあるわけです。そういうようなことを全般的に解釈いたしまして、今申し上げたような運用方針でその趣旨を尊重して努力してまいりたいということでございます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 趣旨尊重とおっしゃったのですけれども、私が伺いたいのは、五十年基準値で計算しますと、六十一年度、計画の初年度から防衛関係費が一%枠を突破するわけでございます。したがって、単年度単年度で考えていくと言うのですけれども、これはいずれ突破するわけですよ。いずれと言っても、もうこの試算だと初年度、六十一年度に突破しちゃうわけです。総理はその場合に、三木内閣の一%以内という閣議決定の趣旨を尊重するとおっしゃるのですけれども、それじゃ尊重するということは一%以内、そういう形の尊重なんですね。一%を一銭も欠けないで守ります、で、五カ年計画を削ります、一%枠に合わせて五カ年計画を削ります、こういう意味ですか。そのどっちが優先するのか。これは矛盾しているのですよ。突破しちゃいけないという閣議決定と、既に突破しちゃった計画を決定しているわけですから、これはどっちが本当の決定なのか、はっきりしなければわからないじゃないですか。それを聞いているのです。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 政治というものは原理原則に基づいて創造的に運用していくもの、これが政治だろうと思うのです。そういう意味でまず原理原則、それは「防衛計画の大綱」水準を達成する、それが大目的である。これはもう最近の歴代内閣が、国民にも国会にも正式に申し上げておる筋でございます。その努力ということがやはり中心にございます。しかし、運用上については、いろいろ社会福祉関係とかほかの経費との調和等も考え、そして毎年度の要求において、三木内閣の決定というのは毎年度の予算要求に際して当面一%を超えないということを目途に実行する、そういうことで、「当面」云々というところは味のある言葉でもあると思うのです。それは、未来永劫それでいくという意味ではないでしょう。じゃ、当面というのはどれぐらいかと市川さん午前中御質問になりましたが、まあ四、五年ぐらいじゃないだろうかと、当時の防衛庁長官が大体そういうふうに考えた節があるし、坂田衆議院議長に私この間お聞きいたしましたら、あの人が防衛庁長官であった当時のことでございますから、それらの資料もいただきました。それを見ると大体そんなことであったというふうに私も感じております。だがしかし、何といってもできるだけこれを少ない額にしておきたい、そういう願望を持って努力し続けてきておる。  しかし、実際GNPというものは非常に動きます。それから、予算編成に際していろいろな状況も勘案しなければなりませんし、党内の各般の事情やら御要求も勘案しなければなりません。非常に流動的でございます。でございますから、いろいろなこれからの運営につきまして、三木内閣の決定したその一%云々という閣議決定の趣旨はこれを尊重してできるだけ努力していきたい、そういう方針を申し上げておるのでございます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 だから、どちらが優先するかと聞いているのですよ。当面というのは云々とおっしゃったけれども、では当面ということを総理おっしゃるなら、総理は変える気でいらっしゃるわけでしょう、当面というのは四、五年だとかなんとかって。防衛白書には固定した年限は予想してない、こう書いてあるのですよ。総理は四、五年だとおっしゃるのなら、総理の今の頭の中には中期防衛力整備計画の方が重要で、三木内閣当時の一%枠の決定は味のある「当面」というのがついているのだから変えよう、それで十八兆四千億という一%枠を突破する中期計画をやることが重要なんだと。そうならそうで総理の見解として聞いているわけですよ。それならそれではっきりする。どっちだかわからないから聞いているのですから、総理、そうならそうだとおっしゃればいい。おっしゃってくださいよ。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 変えたくない気持ちがありますから、できるだけ尊重してまいりたい、そういうことを申し上げております。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 変えたくない気持ちがある、だけれどもこの試算をしますと、六十一年度から超えちゃうのですよ。毎年超えているのです。GNPが動くとおっしゃるのですけれども、新基準値で計算しても六十二年度から超えちゃうわけ。六十二年度から超えるのですよ。いずれにしても超えるのですよ、これは。だから、どっちかということをはっきりおっしゃいませんとわからない。わかりづらい。総理は、王道を勇気を持って進むなんておっしゃった総理にしては随分何かおとなしい感じなんですけれども、これはどっちなのか、はっきりさせていただきたい。そうしないとこれからの質問ができません。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 毎年度の予算要求に際しましては、三木内閣の決定の趣旨をできるだけ尊重してまいりたいという趣旨でございます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 総理、福田総理大臣は、「一%以内という方針はこれを堅持してまいる、そのように考えております。」こういうふうに国会で答えている。福田総理大臣。それから鈴木前総理、「鈴木内閣におきましては、GNPの一%以内、この方針は堅持してまいる考えでございます。」趣旨の尊重なんて言ってませんよ。堅持してまいります。それから大平総理、「当面はGNPの一%を超えないことをめどとするという閣議決定を私ども変えるつもりはないわけでございます。」明確に言っている。それから当時の宮澤官房長官、一%枠というのは一円超えても突破したことになるのだという答弁を国会の内閣委員会でやっておるわけでございます。  したがって、この試算に明らかなように、六十一年から超えちゃうのですよ。新基準値で計算しても六十二年から超えちゃうのです。総理は、歴代総理が国会で明言してきたように、一%枠は堅持します、こうお答えならこれではっきりする。いや、もうあれは当面のことですから、尊重するけれども、超えても、努力した努力を認めてもらいたい、超えてもやむを得ないのです、こういうことなのかどうなのかということを聞いているのです。御答弁がない。  午前中に小規模・限定について伺った。どうも総理の防衛計画大綱の前提が、一総理の意識が違う。単年度方式、外してしまった。一%枠と対になっている。説明がはっきりしない。洋上防空、「防衛計画の大綱」にないということについては答えられない。これは全部一%枠に関連しているのです。今また総理にどっちを優先させるのかと伺うと、答弁がない。こういうことでは納得ができませんね。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 今、大平さんや福田さんあるいは鈴木さんの時代の御答弁がありましたが、あの時代と今日の時代とは情勢が変わってまいっておりまして、そして、実際問題といたしましてベースアップその他もずっとありまして、だんだんGNP一%との間の天井のすき間が少なくなってきている。これはもう事実でございます。したがいまして、できるだけ私たちは守ってまいりたいと思っておりますけれども、しかし、前の鈴木さんや福田さんや大平さんの時代のような答弁をそっくりそのままやるというわけにいかぬ状態にあると私は認識しております。ですから、そのように事情が変わって、答弁も変わってきていると申し上げるのであります。(発言する者あり)

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 それでは簡単に伺います。  中期五カ年計画によりますと、単年度で一%を突破する事態が六十一年に来る、あるいは新基準値だと六十二年に来る、その場合は一%枠を守らないということなのか、あるいは守るということなのか、これをはっきりしていただきたいと思います。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 その間に、守りたいという概念もあるわけです。ですから、趣旨を尊重して、守りたいという第三の概念を申し上げておるわけでございます。(「冗談じゃない、突破するじゃないか」「休憩だ、でなければ撤回しなさい」と呼び、その他発言する者あり)

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 中期計画では一・〇三八%、既にGNP一%を超えた計画を政府は決定した。それで総理は守りたいと言う。歴代内閣の総理大臣はこれを守ります、堅持します、こう答えてきた。ところが総理は、いや、当時と情勢が変わったからそういうふうには答えられないのだ。ということは、何かもう一%は守れないんだということを事実上言っているようなことを言っておいて、今度は、じゃどっちを優先させるんですかと聞くと、守りたいという概念もあるんですなんというわけのわからないことを言っている。  要するに、単年度で一%枠を超える事態が六十一年か六十二年に来る、そのとき一%枠をかっちり守るのか守らないのか、どうするんですかということを聞いているのですが、答弁がない。委員長、これ以上質問できませんね、この答弁がはっきりしないと。

天野光晴自由民主党・新自由国民連合

○天野委員長 市川君の今の総理との質疑応答の問題については、理事会で協議をいたします。  毎回のことでもございますから、すっきりした形にしたいと思いますから、そういう意味で、委員の方々にはまことにお気の毒ですが、このまま少々お待ち願って、暫時休憩して理事会で協議をいたします。     午後一時三十六分休憩      ――――◇―――――     午後二時四十六分開議

天野光晴自由民主党・新自由国民連合

○天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  理事会の協議により、市川君の残余の質疑は後に譲ります。     ―――――――――――――

天野光晴自由民主党・新自由国民連合

○天野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  予算の実施状況に関する件について、本日、参考人として日銀総裁澄田智君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

天野光晴自由民主党・新自由国民連合

○天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――

天野光晴自由民主党・新自由国民連合

○天野委員長 次に、米沢隆君。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 今度の臨時国会は、御案内のとおり、共済年金法の処理の問題や定数是正の問題、中期防衛力整備五カ年計画をめぐる防衛問題、そして対外経済摩擦のための対策、内需拡大、税制改革等々数多くの問題が山積しておる国会でありますが、私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、その中から防衛問題と対外経済摩擦問題、内需拡大対策、税制改革等々について、時間の許す限り政府の見解をただしてみたいと思います。  まず最初に、防衛問題についてお伺いをいたします。  今さら申し上げるまでもなく、我々は自由で豊かな福祉社会をつくることを目指しておりますが、その大前提となるのは、いかに平和を確保するか、こういう問題でございます。平和なくして福祉社会の建設はできません。世の中すべからく平和を願望しない人はおりませんけれども、しかし、我が国におきましては、いかにして平和を確保するか、その方法論において、歴史的な経緯もこれあり、国論が対立しておりますことはまことに残念なことであります。それぞれの主張にそれぞれの真理もありましょうが、しかし、今日までの世界の厳しい情勢を直視しましたときに、やはり平和というものは残念ながら祈りや願いだけでは達成できないというのが歴史の教訓であると思います。  その意味で、私たちは、日本の平和と独立を守るためには、戦争を起こさせない抑止力としての必要最小限度の自衛力を持って、そして専守防衛に徹する、このことが国際社会での責任を果たすことにも通ずる、こういうことを確信いたしまして従来からまじめに安全保障の議論を重ねてまいりました。今後も現実的、建設的な議論を重ねていきたいということをここで明らかにして質問に入りたいと思います。  本題に入ります前に、今度のこの中期防衛計画は国会に報告するというそういう官房長官の談話から始まったのでございますが、いまだにこの中期防衛計画は発表されておりません。一体どうなったのだろうか。予算委員会が終わってから発表されるおつもりか。通常国会の冒頭にされるとするならば、またこれはおかしな話ですね。確かに国会に報告するということは義務ではありませんけれども、約束なさった以上はちゃんと正式にぴしっと計画を報告されるということが私はシビリアンコントロールの出発点ではないか、こういうふうに考えるわけでございます。  その点、官房長官にお伺いいたします。

藤波孝生自由民主党・新自由国民連合内閣官房長官

○藤波国務大臣 政府で決定をいたしました中期防衛力整備計画につきましては、これを国防会議、閣議で決定をいたしまして、国会に報告すると申し上げてきておるところでございます。  本日、午前中の衆議院議院運営委員会理事会に私出席をいたしまして、国会に報告するという手続をとりたい、ついては、政府といたしましては衆議院の安全保障特別委員会に御報告を申し上げるという形をとりたいと思うが、議院運営委員会理事会でひとつ御協議をお願いしたいというお願いをいたしてきたところでございます。  各党間でいろいろお話をいただきました上で御指示があるものと考えておりますので、その御指示を待って国会に報告するという形をとらせていただきたい、このように考えておる次第でございます。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 願わくはこのような予算委員会が始まる前に正式な手続をとられることがやはり順当ではなかったかという意見を付しておきたいと思います。  本題に入ります。  政府は、去る九月の十八日、国防会議と閣議におきまして、いわゆる総額十八兆四千億に上る新防衛五カ年計画を決定されました。この計画は、これまで防衛庁限りの内部資料と言っておりました中期業務見積もり、いわゆる五九中業を原案として、それに意見調整がなされて正式の政府の計画に格上げされたものであると聞いております。そして、この際、総理は中業の政府計画への格上げと同時に、防衛費GNP比一%枠の撤廃をもくろまれましたけれども、党内の意見調整整わず、その撤廃は見送られ、結果的には、三木内閣当時の一%枠の閣議決定の趣旨を尊重するということで決着をされました。  私どもは、従来から、我が国の防衛力の整備は、中期業務見積もりといったような防衛庁の内部資料に基づいて決定されるべきではなく、政府が国会と国民に対して責任を持ち得る政府計画とするよう主張してまいりましたから、その意味では、今回の政府計画への格上げにつきましては、私どもの主張が通ったわけでありまして、これはシビリアンコントロールの徹底にある程度資するという観点から、これを評価いたしております。しかし、その内容については厳しくチェックしていかねばならないという立場でもございます。  また、一%枠については、それを守るとおっしゃるならば、それはそれで結構なことであります。しかしながら、この正式決定に至るまでの経緯を見ましたときに、その目的、意図においてあるいはその内容においていろいろと重要な問題がありますので、順次政府の見解をただしたいと思っておるわけであります。  まず最初に、昨日来議論になっております上限総額十八兆四千億円という新防衛計画とGNP一%枠の関連性についてであります。  昨日来議論になっておりますように、今回政府は一%枠撤廃は見送られて、一%枠は生きておる、こうしながらも、新防衛計画に定められました十八兆四千億円は、GNP基準改定後の見通しにおいても全体としては期間中に一%枠を突破するという矛盾した内容になっておることが争点の一つであります。  この点に関しまして、本会議における我が党の永末質問に対しましては、それは別問題だと言われました。すなわち政府は、一%枠の閣議決定の対象は単年度予算を対象としたものであり、五年間の防衛費総額を直接拘束するものではない、また、基準になるGNPも変動する、こういうことでこの議論を乗り越えようとされておりますけれども、これが実際一%枠を守ることになるのか、あるいは一%枠は努力目標になってしまったのか、あるいは一%枠を撤廃する布石としてこのようなものが出てきたのか、こういうあたりが混乱の原因のように我々は考えるのでございます。  そこで、この際、原則論をはっきりしていただきたい。そして同時にまた、この問題を整理したいと思うのでありますが、まず最初に大蔵大臣と防衛庁長官にお伺いをいたします。  大蔵省は、毎年の予算編成の際には、単年度では一%未満に抑える方針だ、こういうふうに伺っておりますが、その方針で、例えば毎年毎年査定をして、五年間を積み上げてみると結果的には十八兆四千億円に抑え込むことになっているというそういう姿にしたい、こういうふうに大蔵省は思っておられるのか。すなわち、今後GNPの改定後の見通しでも全体計画は〇・〇一六%を超えることになっておりますけれども、毎年度の単年度の査定によってずっとそれを重ねていって、結果的には〇・〇一六%、これは予想でしかありませんが、それを結果的には削り込んでしまう、こういう財政当局の意思が今度は通ったというふうに見ていいのかどうか。この点について、大蔵大臣と防衛庁長官にお伺いしたいと思います。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○竹下国務大臣 今お話がありましたように、所要経費の点につきましては「総額の限度は、昭和六十年度価格でおおむね十八兆四、〇〇〇億円程度をめどとするが、各年度毎の予算の編成に際しては、一層の効率化、合理化に努め、極力経費を抑制するよう努力するとともに、その時々の経済財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、これを決定するものとする。」これが本文でございます。したがって、これに対する一%問題との取り組み方でございますが、防衛関係費の対GNP比、これはおっしゃいますとおり分母も分子もその際いろいろ変わってまいりますので、したがって、いわば予算編成過程において決定されていくわけでございますから、現時点で確たるものを申し上げるという状態にはございません。しかし、総理からもたびたびお答えがありますように、当然のこととしてGNP一%閣議決定の趣旨を尊重しながらそれに対応していく、こういうことになろうかというふうに理解をいたしております。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 今大蔵大臣がお答えになりましたように、GNPの実態が今後どう変化するかもわかりませんし、また、私たちが今度十八兆四千億の五カ年計画の承認をいただきましたけれども、単年度で防衛関係費がいかになるか、その予算政府原案決定のときにはそれなりにいろいろこれからのやりとりもあろうかと思います。分母、分子不明確でございますけれども、できるだけ私たちも守ってまいりたい、こう思っております。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 今の議論は、例えば五年後になってGNPの実績と防衛費の実績をとって計算すると、全体として一%枠の中に入ってしまう、これはGNPいかんによってはでき得ることですね。そうですね。そういう意味で今度問題になりますのは、GNPが下がってきたときにどうなるか、これが次の問題になるはずでございます。  そこで、これは防衛庁長官にお伺いをいたしますが、政府の物の言い方が、一%を守るように努力する、この前の通常国会まではこういう表現でございましたが、これが一%枠の趣旨を尊重するというように変わってまいりました。この言葉の変わりようを考えてみますと、GNPいかんによっては単年度でも一%枠を超えることがあり得るということになったのか、この問題でございます。すなわち、一%枠よりも大綱達成の方に優先順位を置くがゆえにその大綱を達成するためには一%枠の解釈を弾力的に運用することに改める、こういうように政府が説明をされれば、なるほどそういうことに変わったのか、こうなるわけですね。  特に、防衛庁長官の腹の中では、事実上一%粋は可能な範囲での努力目標だ、GNPいかんによっては超えることもあり得る、しかし、それは超えないように努力はするが、超えることもあり得る、そういうように、いわゆる大綱を決定されたとき、例えば九年前の決定は、当面一%未満をめどとするというものでございまして、当面ということで暫定性を示し、めどという表現で運用の柔軟性を表現してわったわけでございますが、しかし一%枠は何となくひとり歩きをしてそれが絶対基準になってしまった、そういう歴史的な経緯がありますね。したがって、大綱の決定のときに決めた当面とかめどとか、そういう方に運用の基準をもう改めるんだ、そういうように我々は理解していいのかということでございますが、いかがですか。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 過去数年間、私たちは二つの政府の方針を守ってまいりました。一つは、「防衛計画の大綱」というものをできるだけ早期に達成しなければならない、それから五十一年度の三木内閣の決定を守っていきたい、この二つがあったわけでございます。そして、この二つは従来守り切れてまいりました。と申しますのは、GNPも非常に大きな成長を示しておったわけですが、最近そのGNPの動向が、昭和五十一年大綱決定のときのような様子ではなくなりました。当時一三・三%の経済成長を見込んでおったわけですが、それがずうっと落ちてきたわけであります。したがって、この二つの矛盾の中で私たちいかにこれから対処するかというのが今回の五カ年計画の決定のときにも最大の問題でございました。  私たちは、今後ともGNP一%の枠をできるだけ長い期間単年度で守ってまいりたい、そしてその精神を尊重するように今後とも努力してまいりたい、こう思っております。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 私は、この政府の一見矛盾する防衛計画でございますが、例えばGNPがいわゆる今考えておる以上に伸びていったならば、一%枠の中で防衛費を充当しながらでも結構十八兆四千億という防衛計画は達成できると思うのですね。ところが、GNPが下がってきたときに、今度はどうしても一%枠を超えないと十八兆四千億は達成されないという時点になったときに、さあ超えるか超えないかということになるわけです。そのときに、今政府の見解は大綱水準を達成する方に優先順位を置くというのですから、超えることは認めるということを言っておるわけですね、これは。もしそうでないとするならば、私は、GNPいかんによってこの一%論議はいろいろ変わっていくわけでございますから、GNPが伸びておる間は一%枠内で悠々と防衛予算を組みながらでも十八兆四千億の最終的な計画が達成されるかもしれない。しかし、GNPが下がってきたときに、さてどうするかというときに、この際今の二つの、防衛計画、トータルとしてはGNP一%枠を超えるような計画、それで単年度は一%を守りたい、この法則だけで今議論して、それがすべてになってしまって、結果的に一%を超える段階で勝手に超えていくということに我々は不満を持つのですね。  したがって私は、もしGNPが下がってきて、その年において単年度一%を超えるような時期になったときには、やはり国会に報告するなり国会に相談をするなり、そういうことをすると総理が言ってくださればこの問題は雲散霧消していくのではないでしょうか。それを何もしないで何となくやっていくということになるから、どうも一%枠の問題が変質してきたな、何かどんどん拡大する防衛計画になってしまったなという議論に発展しておるのではないでしょうか。総理、いかがですか。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 予算の編成は政府の責任において与党と相談をしてやりたいと思います。もちろん、野党の皆さんの御意見を聞く、これは前もやってきておるとおりであります。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 防衛庁長官、どうですか。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 五カ年計画を私たちが検討いたしておりますときに、GNP一%との関係は、当無私たち、問題の意識がございました。  そこで、私たちが現在考えられ得る将来のデータというものは、明確なものはGNPのことですからありませんけれども、政府の「展望と指針」の中に四%程度の実質成長を見込むものとするというものがあるわけでございまして、それと私たちが考えております総額との関係から見ますと、よりすっきりとした理論的な整合性を考え、すべての場合にもうこの問題が生じないようにするためには、この点をよりすっきりとした考えにすべく、新しい枠ということを考えなきゃならぬのじゃないかということを私たちが政府部内で提起したことは事実でございます。  しかし、与党との御相談、また与党の幹部の皆さんが、世論の動向、それから特に与野党の意見というものをじっとそんたくされて、そして国民の簡に一%の枠をできるだけ守っていくということを努力した方がいいという意見の方が強いので、理論的な整合性もそうだけれども、実際GNPがどう動くかわからないし、四%程度という書き方にもなっておるのだし、だから単年度でできるだけ長い期間守れるところまで守る努力をしたらどうかというような御裁定がございました。したがって、私たちはその線に従って努力いたしております。  米沢委員が今お尋ねの、仮にGNPが非常に下がって、そして防衛関係費がそれを単年度でも超えるような事態になったらどうするかということでございますが。そのときになりましたら、当然のことながら、従来におきます政府の答弁、また国会の御議論、そして国民の世論の動向等を踏まえて、その際いろいろ御議論いただいて適切に決定していくのは当然のことだろうと思っております。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 先ほども少し触れましたけれども、大綱の水準を、防衛大綱を決定される際に、GNP一%の関係は当面一%未満をめどとする、こういう表現でございました。この表現は分析をしますと三つありますね。当面という問題ですね。それから以内、未満という問題、そしてめどという問題でございます。以内とめどがこれはちょっと矛盾していますね。ですから、一方では一円たりとも超えたらおかしいという議論もあれば、めどを大事にする人は少々超えても、少々いいじゃないか、めどじゃないか、こういうことで解釈されると思うのですね。したがって、大綱を決定されたときのこの一%に関する議論はまさに玉虫色の問題があった。当面、そして未満。そしてめどという表現ですね。  私は今の議論を聞いておりますと、政府はやはりこれから先はめどというものにウエートを置いた解釈をするんだ、こういうふうになった、そういうように考えられるのですが、総理、そうですか。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 当面、未満、めど、三つを守っていきたい、そう思っております。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 三つは、先ほど言いましたように以内とめどは矛盾するんですね。矛盾しないときもありますよ、それは。しかしながら、以内という問題とめどというのは私は矛盾すると思うのですね。矛盾するものを一緒にやっていくのはどういうことですか。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 当面、それから未満、めど、みんなを総合的に勘案して政治的に決定する、そういうことだと思います。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 めどというのは、やはり一%の、相当超えたらおかしいですよ、一%の少なくとも一・一くらいにならない範囲、それくらいのことをめどだというふうにその当時は考えていたんじゃないのかな、こう思うのですね。逆にそのめどという方向に変えた方が、今提案されておる新防衛計画なんて理解も早いし、よし、国民もわかった、こういうことになるんじゃないですか。めどまで否定されると、やはり以内という、一%以内というのがやはりこれからもひとり歩きするのじゃありませんか。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 従来この一%の問題につきましては、その言葉の解釈で長い長い国会での政府委員との間の討議があったように思います。  当初この案をお考えになった人たちに過去の経緯を聞いてみますと、まああれは当面というのだから四、五年だったなとおっしゃる人が、期間については多数説のように思います。それから比べますと現在はもう九年たっておるわけでございます。  それからめどにつきましては、一%程度であればよかったのだと思って当時提案された方もおりますし^そうではないのだ、財政の面からいったら、これは厳しく考えて一%を超えない金額をというところに重点があるのだとおっしゃる方もおります。そして、その後の国会答弁の中で、これはその金額をぴったり超えちゃいけないのだという政府答弁がありますから、そこは私たち従来から尊重してまいったところでございます。そして、今後私たちとしては、できる限り長い期間単年度で一%を超えない金額に努力してみて、そしてそこでGNPの動向等を考えて、それを超えるような事態になりましたら、先ほど言いましたように、従来の国会の論議等を参考にいたしましてまた適切に処理してまいりたい、こう思っております。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 今回一%枠の趣旨を尊重するとおっしゃる意味が私はわからない、そうなれば。  例えば、今までの議論は〇・九九%であったらオーケーだ、これは。ところが、一・〇〇一%でもなったらこれはおかしい、ノーだという議論ですね。しかし、趣旨を尊重するということは、〇・九九%も、一・〇〇一%ぐらいであったならばそれもオーケーという、そういう意味だというふうにとった方がこれは素直じゃないでしょうか、総理。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 趣旨を尊重するというのは、簡単に申し上げるとその精神を守るように努力する、こういう意味であると思います。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 精神を守るということは、まさに〇・九九%でオーケー、一・〇〇一%では絶対だめだという議論をのみ込むということじゃないですか、精神において。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 大体米沢さんと同じように、あのころの考えた人は程度というのが割合に多かったと思います。ただ、その後のいろいろいきさつがございます。そういう意味において趣旨を尊重するという言葉が一番適切な言葉であろうというので選択した次第でございます。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 歯どめ論には、今生きているのは一%枠というのが歯どめですね。これは定量的な歯どめだと言われます。それから今回の中期防衛計画のように総額を明示する、これも一種の歯どめだと言われます。総理、この一%枠という定量的な歯どめと総額明示方式の歯どめと、どちらがすぐれ、どちらが劣っておると思われますか。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 やはり一長一短があると思うのです。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 一%枠と総額明示のいいところを述べてください、そして悪いところを述べてください。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 一%とか、そういう何%とか定量的なものは非常に国民の皆様にわかりやすいということがあろうと思います。一%についての国民の支持率が高いというのは、防衛論議といっても、P3Cがどうとかパトリオットがどうとか言われてもよっぽどの専門家でないとわからぬ、そしてどんどんふえていくような感じがする。とにかくGNP一%なら安心じゃないかというわかりやすさみたいなものが国民の皆さんにあると思います。しかし同時に、この欠点の方は、ともすれば一%の、GNP一%というのは何の一%だとか、決算期の一%だとか、それから政府見通しのGNPが出たときの一%なのかとか、そういった、ともすれば、どちらかというと財政経済学的な議論みたいな部分が非常に多くなってくる、そういったところが私たち欠点ではないか、それから防衛費の議論の内容に突っ込んでいかないところがあるのではないかと思います。  一方、総額明示の方は、実はこれは四次防、三次防の時代、つまり安保とかそれから自衛隊というものについて国民の支持率がまだまだ厳しくて、国会における防衛論争が今日よりももっともっと厳しかったときに国会でとられた一種のコントロールの方式であったと思います。そのときは、定量的なものがございませんから、防衛の中身について徹底的な御議論をいただき、時にはその手続を御議論いただいて、国会が二十日間もとまるというぐらいの白熱した論議が内容についてなされた時期でなかろうかと思います。欠点といいましては、先ほどの定量的なものの逆でございますけれども、明確に国民一般から何ぼと、将来についても絶対間違いのない、だれでもわかるというような側面からいいますと、パーセンテージ論よりは少し不明確になっていくというところが欠点ではなかろうか、私たちはそう思っております。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 私は、やはりこの新防衛計画というものが、いわゆる一%枠で議論される、あるいは総額を明示されることによって中身を議論する、それぞれ議論の仕方はありましょうけれども、私はこの際、定性的な歯どめと定量的な歯どめ、そのあたりをあわせた新しい歯どめ論というものを政府としてももう少し真剣に議論して、早く決めるべきではないだろうか。そうでないと、いつも歯どめ論で防衛論議がストップしたり、あるいは歯どめ論ですべて終始する、私は、将来の日本の安全保障にとっても大変ゆゆしき問題だろうと思います。そういう意味で、ぜひ定性、定量あわせて新しい歯どめというものをもう一回議論してみる、そのことが大変大事ではないかと思うのですが、総理、いかがですか。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 定性的な歯どめにつきましては、そのときの官房長官の談話、あるいは私が議会でいろいろ申し上げたところで明確に述べておるところであります。つまり、国防の基本方針を守り、あるいは専守防衛に徹し、あるいは非核三原則を守り、あるいは総合安全保障のもとに、必要最小限の節度ある効率的な防衛力を整備する、これがやはり定性的な厳然たるものであると思います。  定量的なものについては、一%というものが今までめどとしてありましたが、これは、GNPというものは非常に変動するものであります。ですから、あの昭和五十一年、三木内閣のときに一%論をやったときに、野党の皆さんの中には、こうGNPが多いときに一%というものは危険じゃないか、一%を設定するのは反対だという議論すらあった。有力な議員さんでたしかそうおっしゃったのを私、記憶に残してあります。そのころは、野党の有力な方は一%に反対だったわけです。事ほどさように、GNPが動くということによって、一%というものをつくっておっていてもこれは危ないじゃないかという議論があるのであって、これだって必ずしもそう安定性のあるものではないのであります。  結局、大事なことは、定性的なものが中心である、あるいは防衛計画の内容をどういうふうに整備していくか、日本を守るためにはどういう内容が必要であるか、どういう戦略が必要であるか、そっちがやはり中心であるべきであると思うのです。それが確立した上で、まず当面、これこれでいこうというようなやり方が出てくべきものである、そう考えておるところでございます。  それで、今回の新防衛計画につきましては、この通常国会、春の国会におきまして、民社党の大内議員が予算委員会におきまして御所見をお述べになりました。それで、その御所見を私は拝聴いたしまして、非常にこれは立派な御所見であって、私はこれを検討に値するものと考えますと、そう答弁しております。そういうような過去の経緯も私の頭にありまして、このようにした次第でございます。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 私は、例えば定量的な歯どめというものは確かに国民にわかりやすい、また安心感もある、表に数子としてちゃんと出てくる。ところが、定性的な歯どめというのは、国民サイドからすれば、定性的な中身を決めるのはみんな政府の方でございますから、一体何が決められるんだと。政府の中では合理的な議論をしてこうこうだと言われても、専門家でない国民の立場からしたら、一体何が決められておるかわからぬぞ、どんどん大きくなるかもしれないぞという意味で、やはり定性的な歯どめというのは弱いと思うのですね。そういう意味で、定性的な歯どめにプラスして定量的な歯どめというのをやはり工夫するという真摯な姿勢が政府には求められておるのだ、そのことを私は申し上げたいのでございます。再度総理大臣の所見を求めたい。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 やはり両々相まって検討していくのが建設的な、妥当な考え方ではないかと思って努力してまいりたいと思います。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 それから、この新防衛計画は三年ごとにローリングをする、こういうことになっておりますね。その際、三年ごとにローリングした後は全然別個の新しい計画なのか、いわゆる五三中業、五六中業となったような方式で新しい計画になるのか、ただ五年計画の印で三年間やってみて、そしてあと二年何をしたらいいか、そういう議論をする見直しなのか、その点まず教えてください。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 現在の中期業務見積もり、いやゆる五三中業とか五六中業と言われておりますのは三年ごとに見直しております。これは、御承知のようにいろいろ科学技術の進歩等がございますので、それに合わせてやるわけでございますけれども、今度の計画でも三年後に見直しをし、新しい計画につくり直すということを検討することにいたしております。つくり直すかどうかはその時点で見ないとわかりませんが、そういうふうにいたしております。  そうした場合に、よく御議論いただくのが、そうするとまた大きな金額になってしまうのではないかという問題点であろうかと思いますが、私たちとしては、その五年の間の十八兆四千億と決定された経緯は、次回ローリングを仮にいたすとしても十分に踏まえてやらなければならないことだと思っております。(米沢委員「新しい計画になるのですか」と呼ぶ)その際には新しい五カ年計画が二年をオーバーラップする形で発足することになります。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 その際、今防衛庁長官が十八兆四千億を踏まえながらとおっしゃいましたけれども、五年間の計画が十八兆四千億、三年目に見直しをして、そこからまた出発して今度はあと二年分先に五年計画ができるとするならば、この十八兆四千億という歯どめは一体どこで担保されるのか、どういう方法があるのか、どういう手法を考えておられるのか、このことをやはり明らかにしてもらわなければいけない、そう思うのです。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 新しい五カ年計画が例えば四年後、五年後をも入れてできていきましても、六十一年からの五年間につきましては、十八兆四千億という金額はそれを拘束するものになります。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 次に、シビリアンコントロールの件に関しまして御質問をさせていただきます。  我々は、今度の中業から政府計画への格上げは、シビリアンコントロールの観点から評価する、こういうことを先ほど申し上げました。  私たちは、御案内のとおり、このようなシビリアンコントロールを強化するために、国会の安全保障特別委員会を常任委員会に格上げするべきではないか、あるいはまた国防会議を改組、強化して、単独立法に基づく安全保障会議としてメンバーの見直しやあるいは事務局体制の拡充等々を考えていくべきではないか、こういうことを主張させていただいております。先般のNHKの討論会における我が党の大内書記長の提案に対しまして、官房長官は基本的に賛成しておられました。ところが、十月十七日の永末副委員長の本会議質問における同趣旨の質問に対しましては、総理大臣は明確にお答えになっておられません。  きょうは二つ、常任委員会への格上げの問題、これは国会の問題でもありましょうが、政府・自民党としてもやはりそれなりにバックアップしていくという姿勢があるのかないのか、あるいは国防会議の改組等についてどういう御見解を持たれるのか、その点を明らかにしてもらいたい。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 常任委員会への格上げの問題は国会がお決めいただくことでありますが、自由民主党としては大勢は格上げに賛成であります。したがいまして、そういうお考えが他の党から出てまいります場合には、自由民主党は多分熱烈に賛成するであろう、そう考えております。  それから、国防会議の改組の問題につきましては、先般行革審から所見が寄せられておりまして、これを安全保障会議という方向に改組するようにという案ができております。それを今、自由民主党は受けまして、政府と一体となってその方向に向かって案をつくるように努力しておりまして、もし間に合えば通常国会にこれを提案したい、そういう考えに立って今努力中でございます。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 問題は、行革審の御提案になっておる中身と今我々が言おうとしておる中身とちょっと違うのですね。  行革審の国防会議の改組、独化という点につきましては、御案内のとおり重大な緊急事態が発生したときにどう対応するか、そこらを国防会議の中で処理できるようにしてわけ、こういうような提案だったと思います。  我々は、現在の国防会議そのものにやはりメルバーの見直しや事務局体制の強化を図って、少なくとも防衛問題に関するチェック機能を強くするとかシビリアンコントロール機能を強化するとか、あるいは総理に対する国家安全保障に関する助言機能等を強化する、そういう意味で、まあ大統領制のアメリカとはちょっと違いますけれども、アメリカの国家安全保障会議的なものに改組されることが必要ではないか、そしてそこで十分のシビリアンコントロールを発揮させる、そういう改組に持っていくべきではないかと、こう申し上げておるわけでございます。いかがですか。

後藤田正晴自由民主党・新自由国民連合総務庁長官

○後藤田国務大臣 先ほど総理からお答えをしましたように、行革審からは、緊急事態に対して適切に対応する必要がある、そのことを含めて、あわせて国防会議の活性化を図って、シビリアンコントロールを一層強化する必要がある、これらをあわせてひとつ政府としても十分検討、改善の処置をとるべし、こういう御意見をちょうだいいたしておりますので、ただいま関係方面で慎重に審議をしておりますが、その審議の中で、米沢さんの御意見、これらも十分参考にはさせていただきたい、かように考えております。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 参考にはさせていただくのじゃなくて、ぜひそれを具体化していただくように私はお願いしたいと思います。  防衛問題まだたくさん抱えておりましたけれども、次の課題がありますので、次に移ります。  次に、日米経済摩擦問題とそれに関連する内需拡大策等について政府の見解をただします。  御案内のとおり、先般私ども民社党は、目下日米間の最大の懸案問題であります、そしてますます深刻化しつつあります日米貿易摩擦問題の実態を現地で把握をし、その打開策を探ろうということで、訪米団を派遣しました。私もその随行員の一人としてアメリカを訪問いたしました。  御案内のとおり、出発する前の情勢は、まさにアメリカの貿易赤字がトータルで千二百三十三億ドル、昨年。そしてそのうち対日貿易赤字が三百六十八億ドル。そしてまたことしはアメリカの貿易赤字も千五百億ドルに膨れ上がって、そのうち対日赤字は五百億ドルになるだろう、こういうような巨額な数字を前にしまして大変アメリカの議会等が吹き荒れておる、そういう情勢を耳にしての訪米でございました。我々が訪米しての印象は、簡単に言いますと、確かに大学の先生方や研究機関あたりの先生方は比較的冷静に物を見ていただいておる、ところが、議会はかなり暴走ぎみである、それに対して行政府は必死になって抑え込もうとする努力をされておる、こういう情勢ではなかったかと私は思いました。  そこで質問に入りますが、その後アメリカでは御案内のとおり新通商政策を発表されたり、あるいはまたその一部が実行される、あるいはまた先般の五カ国蔵相会議以来ドル高是正が出てきておる、そういうような背景もありまして、かなり議会の保護主義貿易に対する高まりも鎮静化しつつあるというふうに伝えられておりますけれども、先般アメリカに行かれて総理大臣の感触はいかがだったでしょうか。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 本質的にはそう変わっていないと思います。それで、厳しい状況はまだ続いていると思います。  ただしかし、ほかの法案が今押し寄せてまいりまして、そちらの法案の方にとられているという面が一つございます。それからもう一つは、最近の情勢から見るとアメリカ議会の内部におきましても、大統領府が積極的に貿易摩擦問題に取り組んで、そして商品別に各国と談判をする、そういう姿勢を示してきたこと、もう一つは、五カ国蔵相会議によりましてアメリカのドルが弱くなってきた、つまりアメリカに輸出力が出てきた、そういうような変化がございまして、そういう意味では現象画では前ほどそう熾烈な情勢ではなくなりましたが、しかし本質的に変わっておるものとは思いません。  我々はなお今後とも我々のやるべきことを全力を振るって努力すると同時に、アメリカ議会の動向を注目していく必要があると思います。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 日米経済摩擦あるいは欧州との摩擦、アジアとの摩擦等々、摩擦だらけで、来年の東京サミットは大変なことではないかなと私は懸念をいたしておりますが、総理として、日米経済摩擦問題というのは一体どのあたりで収束するというふうに思っておられますか。そのために、我が国として基本的にこれだけはやりたいというような話がありましょうか。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 我が国の製品がやはり非常に優秀で、また非常に安い、そういうような我が国の製造工業における特質というものは、かなりまだ続く見込みでございます。そういう面から見ると、日本の円の価値が対外的にどういうふうに評価されるかというようなことや、あるいは日本の国内の景気がどういうふうになってくるかということによって、日本の輸出力が影響されてまいります。そういうものの影響はどの程度受けるかということにもよります。  そういうような点から、我々としてはできるだけ国際経済に大きなタービュランスといいますか、混迷を与えるようなことのないように日本経済を調和させていく責任がこれだけの経済大国になってきますとございますから、そういう意味において、できるだけスムーズに国際経済に調和した日本の貿易収支あるいは日本の資本収支の状況というものを馴致していくことが望ましい、長期的に見てそれが日本のあり得べき姿であると思うのです。  したがいまして、短期的な商品別のけんかというものをうまくおさめることが一面において必要でございますが、また長期的に見ますと、日本の社会経済体質あるいは産業構造というものをよく点検いたしまして、そして国際経済に調和する方向に適切に馴致するということも長期的に見て必要な面があります。また、日本の円の価値の問題、外国の貨幣との調和の問題、そういうような国際通貨体制、国際通貨安定問題という問題も一面ございます。この両面におきまして今後我々は努力していく必要もあり、また外国との協調、協議をしていく必要もございます。  また一面において、外国側に対しましても輸出力をもっとつけるような努力が必要である、また我が国におきましても市場のアクセスとか輸入力を増大するという当面の努力も必要である、そういうような面につきまして、当面の仕事やあるいは中長期の問題について取っ組んでまいりたいと考えております。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 ところで、ことしの日米貿易インバランスはどうなるというふうに推測されておりますか。

村田敬次郎自由民主党・新自由国民連合通商産業大臣

○村田国務大臣 日米貿易のインバランスを解消いたしますために、日本では輸入拡大ということに最大の努力をいたしておりまして、四月と八月に百三十四社の代表者を呼んで通産省で私からお願いをいたしました。これによって拡大する輸入は七十三億ドルというふうに算定をいたしておりますが、今後なお輸入の拡大に最大の努力を払うということで、十月、十一月を輸入拡大月間ということで全国的に輸入バザールの開催等に努めております。  できるだけ貿易インバランスを減らす方に努力をする予定でございますが、これは今後の例えばアメリカ側の輸出努力であるとかあるいは円高がどのように推移するかとか、いろいろな客観的な条件にかかっておる点も多いかと思います。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 年度当初に大体どれくらいの貿易経常黒字があるとか計算しますよね。中途に毎月毎月計算を重ねできますよね。そういう推移からすると、今大体五百億ドルにもなるだろうというところから出発しておるのですが、一体どれぐらいに落ちつくというふうに予測をされておるか。大体でいいのですよ。その数字はわかりませんか。

金子一平自由民主党・新自由国民連合経済企画庁長官

○金子国務大臣 六十年度上期の輸出は三百三十五億ドルで輸入が百二十七億ドルでございまして、二百七億ドルというかなりの黒字が上半期に出そうでございます。これは去年に比べますとある程度減っておるかと思うのですが、しかし、今後におきましては、下期の方は自動車の輸出が落ちますから、しかも輸入の方も漸次増加すると思いますので、五百億あるいはその前後になろうかと思うのでございます。  ただ、Jカーブの効果もありまして、すぐ黒字がぐっと減るということはなかろう、円高の効果が出てきますのはやはり一年、二年かかるのではなかろうかというふうに思っておりますけれども、黒字の削減のために極力今後も努力を続けてまいるつもりでおります。     〔委員長退席、大西委員長代理着席〕

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 今予測値を発表されましたように、そう簡単に日本の黒字がどんどん減っていくという状況は考えられませんね。そういう意味で、特に先ほど総理大臣がアメリカの保護主義の高まりはそう簡単に消えないだろう、私もまさに同感でございます。  特に、この前訪米して感じましたのは、どうも日本をたたいた方が票になるという、まさに中間選挙や大統領選挙をにらんでジャパンプロブレムというのが選挙の争点になっているというそんな感じがいたしました。そういう意味ではそう簡単に議会はおさまらないだろう、そういう印象を私自身も持って帰りました。同時にまた、アメリカの行政の方は、保護主義貿易を抑え込むためにはおれたちだってやれるんだという、そういう意味で、新通商政策等に見られますように、ますます対日輸入要請あるいはまた対日市場開放努力をやれという要請がかなり従来以上に強まってくるのじゃないのかな、こういう感じがするわけでございます。  既に、たばことか皮革製品とかあるいはまた十三品目の農産物等についても何かしらかなり雲行きが険しくなっておるような感じがするのでございますが、こういうような我が国の産業の根底を揺すぶるような問題等にまでこう手を突っ込んでき始めた。そういう意味で、こういう問題について一体どういう対処の仕方を考えておられるのだろうか。例えば、たばこなんというのはもう製造独占なんかをやめてしまえ、そんな議論まで私は発展する議論じゃないかと思いますが、そのあたりどういうふうに見込んで、またどういう対応をしようとされているのか、姿勢論だけでも聞かせてもらいたい。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○竹下国務大臣 まず、例示にたばこの問題がありましたので、それからお答えをしておきます。  御案内のように、ことし四月から八十年余り続きました専売制度を廃止して、輸入自由化を実施して、その後においても我が国市場における国産品と輸入品の公正な競争条件の確保に努力をいたしてきております。この問題につきましては、私も長い間これに関与しておりましたので、米側の理解というものは今度でおおむね満足していただいておる、こういう理解の上に立って法案の御審議等もお願いしたわけであります。したがって、三百一条の適用対象の決定ということは、その限りにおいては遺憾だと思っております。  ただ、どういうアプローチの仕方でこちらへ参られますのか、まだ定かに手の内を承知しておりませんので、いずれにせよ、これは従来のいきさつからして、また相手方も皆生きている、生きていらっしゃるといいますか、その省にいらっしゃる人が大部分でございますので、私はこれは十分理解を深める価値のある問題だというふうに思っております。  製造独占ということも議論の中ではあった議論でございますけれども、我が国はたばこ産業がいわゆる葉たばこの全量買い取りを義務づけた製造独占ということでございますので、製造独占を排除するということは全く困難な問題であるということで、少なくとも当初それは合意に達しておった問題であるというふうに私は理解をいたしております。

佐藤守良自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○佐藤国務大臣 米沢先生にお答えいたします。  先ほど御指摘になりました農産品十二品目につきましては、先生も御存じのとおりでございますが、昨年四月に合意しまして、現在、二年間の休戦となっております。  実は去る九月十八日に開催されました日米貿易委員会の場で、米側から、この秋から話し合いを開始したいとの提案がありました。日本側は、来年春からの再交渉に先立ちまして、現行措置の実施状況のレビュー、評価を含めて、予備約話し合いに応ずる用意がある旨応答したところでございます。話し合いの内容、日程等は、今後外交チャンネルを通じまして米側と詰めていくことになっておりますが、現在のところ米側からは具体的な話は来ておりません。  今後の話し合い、協議に当たりましては、米側は恐らく厳しい態度で臨んでくることが十分予想されますが、私としては、我が国農業の厳しい実情及び十三品目の重要性にかんがみまして、我が国農業に悪影響を及ぼさないよう最大限の努力を払ってまいる考えでございます。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 さて、既に政府は対外経済摩擦対策として例の行動計画、それから円高・ドル安に向けての通貨政策の実施、そして先般、大変小規模なものでございましたが、内需拡大策の発表、一連の努力をされておることは評価をいたします。しかし、アメリカ側が求めておりますのは、こういう従前の小出しの市場開放措置ではなくて、何か目に見える劇的な市場開放策をしてほしい、数字に変化があるような措置をしてほしい、こういう切なる訴えを我々もいろいろなところから聞きました。  そういう意味では、アメリカさんのおっしゃるようにすべてはいきませんけれども、あちらの責任もたくさんあるわけですから。しかしながら、やはりこの際保護貿易主義を何とかして押さえ込もうという立場からはレーガン政権をサポートする必要もあるだろう。そういう意味で、今度の国会におきましても、御案内のとおり、行動計画の前倒し等々の法案が出される予定だと聞いておりますけれども、そのほかに、例えばアメリカの関心品目だとか欧州の関心品目等について行動計画に新たにつけ加えるような検討がなされておるかどうか、あるいは緊急輸入というものに対してどういうような御見解を持っておられるのか、その点を聞かせてほしいと思います。

村田敬次郎自由民主党・新自由国民連合通商産業大臣

○村田国務大臣 お答え申し上げます。  日本としての輸入拡大努力、そしてまた先般発表されたレーガン大統領の新通商政策、この自由開放体制を推進し、新ラウンドを推進する、そしてまた保護主義を断固として防圧するという考え方には全く賛成でございまして、これは先ほど総理が申し上げましたように、今回の日米首脳会談あるいはニューヨーク・サミットでも総理が非常に努力をされたところでございます。  政府としては、日本市場を世界で最も開かれた市場にするという決意のもとで、先般、アクションプログラムの骨格を七月末に策定をいたしまして、関税、基準・認証等の各分野で、各国等の要望を十分配慮しながら思い切った措置を実施したところでございまして、関税等においても千八百五十二品目という戦後未曾有の非常に大規模な関税の引き下げ、撤廃を実施し、また基準・認証その他の具体的な計画を進めておるところでございます。しかもこの国会におきましても、それをさらに具体化し進めていくための関係法案等が準備をされておるわけであります。  また、政府みずからも外国製品調達の拡大に努めるとともに、民間企業に輸入拡大努力の要請を先ほど申し上げたように行いました。また、これを支援するために日本輸出入銀行の製品輸入金融等の金融措置等を講じておるところでございまして、官民挙げて、こうした輸入拡大努力の確実な実施を図りたいということでございます。  皮革製品あるいはその他いろいろな品目にわたって新たな輸入拡大の努力をいたしておるところでございまして、これらの成果はだんだんあらわれてくる、しかもそれは極めて真剣に対応しておるところでございます。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 私が申し上げたのは先般決まった行動計画の内容を聞くわけではなくて、新たにやはり行動計画の追加あたりまで踏み込んで検討がなされておるかどうかということを聞いたわけです。  それから、緊急輸入対策等についてはどうなのか。例えば、この前、二階堂ミッションは日本版マーシャルプランだ、こう名づけて、小麦の買い付け等々についてアメリカ等に打診もしたというような話を聞いておりますが、先般の参議院の外務委員会では、外務省の方はそれは非常に難しいという答弁をなさったやに聞いております。  そういう意味で総理、いわゆる緊急輸入対策、小麦を買おうとかあるいは政府専用航空機を買ったらどうかとか、あるいは政府公共機関においていろいろ使う機械あたり等、海外調達をふやしていったらどうかとか、そういうものについていわゆる検討がなされておるのか、そのことをちょっと具体的に答えてもらいたい。総理、いかがですか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 これまで政府が努力をしましていろいろな計画を進めておるわけですが、新しい分野でアメリカとの間で折衝をするということはまだ何も決まっておりません。しかし、これまで残った分野があります。例えばMOSS委員会等においては、まだ木材の問題等が残っておるわけでございますし、そういう問題についてはこれからも検討していかなければならぬ。さらにまた、アメリカ側としてはこれまで関心品日として挙げて、さらに日本として今検討を続けておる品目等もあります。これは今後の課題として日米間で話し合われる、こういうことになると思います。  アメリカとしても、今お話しのように政府は自由貿易体制をどうしても守っていこうということですが、同時にまた、それなりに三百一条の適用とか、日本に対してもやはり今後とも市場開放をさらに求める厳しい姿勢で臨んでくると思います。それに対応して日本もできるだけのことはする、アメリカもやってもらわなければなりませんが、日本もできるだけのことはするということでこれから日米間で話し合いをしていかなければならぬ、そういうふうに思っております。  同時に、今、緊急輸入についての穀物についてお触れになりましたが、この点については、今我が党においても検討されておりますが、小麦につきましては、日本としてもこれまでアメリカから七万トンぐらいの輸入をして、これは食糧援助に回しておるわけでございますが、今のODAの予算といった面からいきますと、これをさらに飛躍的に拡大させるということは困難です。ただ、今自民党でも検討されておりますが、いわゆる民間の資金を活用した形でアメリカからの穀物の購入、そしてこれを援助に回すということができないかといったようなことについては、これができればこれは大変いいことだというふうに思っておりますが、今検討を続けておる、こういう段階でございます。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 今、外務大臣がMOSS協議等にも触れられましたが、MOSS協議の中でやはり一番問題なのは木材製品の取り扱いだろうと思います。  先般、我々が訪米しましたときにも、ヤイター通商部の代表もあるいは議員の皆さんからも、木材はぜひ何とかしろ、こういう議論がありました。しかし、私どもの塚本委員長は、そうせいてくださいますな、今の山だって、日本だって川上から川下まで大変な状況だ、倒産もあり、失業もあり、あるいは間伐さえできないような状況なんだ、そういうときに安い合板が入ってきたときに一体どうなるかわかりますか、我々だってそういう情勢があるにもかかわらずまじめに関税を引き下げることを考えようと言っておるのだから、そんなに早急に食いつくなと言ってけんかを売ったわけでございますが、そうしたら黙ってしまいました。  そういう意味で私は、今後、木材製品の関税の引き下げあるいはそれの実施時期を早めろなんという議論になっておりますが、一体どういうような決意で臨まれて決着されるおつもりか、そこらをちょっと明らかにしてもらいたい。  そしてまた、入ってきたときの影響等はただならぬ議論になると私は思いますね。今、政府の方で、大蔵大臣と農林大臣がいわゆる一千五百億円ぐらいの山林の活性化対策のために大体合意したとかしないとか伝えられておりますけれども、千五百億ぐらいの金で済むような問題じゃない、そういう影響が出てくるのじゃないかなということを心配しておるのでございます。そのあたり、農林大臣、いかがお考えですか。

佐藤守良自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○佐藤国務大臣 米沢先生にお答えいたします。  MOSS協議における要求等についてでございますが、合板等の関税につきましては、先生御存じのとおり、四月九日の対外経済対策及び七月三十日の「アクション・プログラムの骨格」におきまして、森林林業及び木材産業の活力回復のための措置を特に講じた上で、その進捗状況を見つつ、昭和六十二年四月から引き下げることとしたところでございます。  合板等の関税問題につきましては、林業、木材産業が置かれた厳しい現状から、これらの決定が精いっぱいの対応でございまして、昭和六十二年四月から実施するという考えに変わりはございません。  また、関税を引き下げた場合の影響でございますが、この影響につきましては、国産合板及び板材を中心とする国産製材品の競争力の低下を招き、現在深刻な不況下にあります合板業界、製材業界等に大きな、影響を与えることが考えられます。  具体的に言えば、例えば現在合板を生産しておる会社が百六十社くらいございますが、そういうことになれば、恐らく数十社の合板を製造しておる会社の経営維持が困難になるだろうと言われておるのが現状でございます。また、それとともに間伐等林業生産活動の一層の不振を招きまして、健全な森林の育成とかあるいは森林の公益的機能の高度発揮にも悪影響を与えると考えております。  それから、先ほどおっしゃいました林業活性化五カ年計画の千五百億でございますが、これは七月三十日の「アクション・プログラムの骨格」におきまする木材関税の取り扱いに関連しまして、私及び竹下大蔵大臣、藤波官房長官、三者の話し合いの結果、千五百億の総枠、国費五百億円、融資枠一千億をもって実施することが決定されたわけでございまして、この金額につきましてはいろいろな意見がございますが、財政当局も大変御理解していただきまして、我が林野庁の言うとおり予算をつけてくれれば心配ないと考えております。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 そのような活性化計画が、効果が出てからでないとこれは大変ですよ。そういう順序になっておるのでしょう。効果が出てから関税は下げる、そういうことですね。  次に、やはり経済摩擦を解消する最大の問題はドル高是正をすることだ、これはまさに国際的な共通認識でございましょうが、先般五カ国蔵相会議め決定によりまして、今幸いにしてドルがかなり是正されつつございます。そういう観点から、きょうは日銀総裁においでいただいておりますが、この円高、いわゆるドル安ですね、現在の状況が一体どれぐらいまで続いていくのだろうか、定着化の状態はどう見たらいいのだろうか、これが第一問です。それから人為的な介入はいうまでも続くものであろうか、これが第二問です。第三問は、現在の日本の経済のファンダメンタルズを適当に反映したらどれぐらいの円になるのか。そういうあたりは言いにくい問題でございましょうが、しかしある程度のめどを持たないと、介入するかしないかの方針を決め谷ときにはやはり大事な問題ではないかと思うのです。そのあたりを一体どういうふうに考えておられますか、お聞かせいただきたい。

澄田智日本銀行総裁

○澄田参考人 九月二十二日の五カ国蔵相会議、いわゆるG5以降円相場は短期間の間にかなり顕著に円高・ドル安方向になりましたが、その後おおむね二百十五円を挟んだ水準でもみ合い状態ということになりました。これは円安の方向に対して向かうような場合には介入警戒感が市場に非常にある。これは結構なことなんですが、それから円高方向に向かうようなときには、ドルを売り持ちしているような先、あるいはドルの買い控えをしているような先からそういったポジションの調整をするためのドル買い需要、これがかなり出てくる。こういうようなことで、この両方の動きが相拮抗して不安定な相場状態、こういうようなことでありました。  ただ、先週の終わりごろからインターバンクの短期市場が締まっておりますのを自然体でそのままの状態に置く、こういうようなことをしてまいりまして、その結果、債券の利回り等が上がりました。そうして日米間の長期の金利差が若干縮まった。こういうようなことを市場が受け取りまして、そして円高の方に参りまして、本日は二百十二円のところで動いております。  こういう状況を考えますと、現在の状況でこれがすなわち円高が定着したというには到底まだそう言い切れない、そう判断し切れない、こういうふうに思いますし、ニューヨークのG5におきます合意においては対外インバランスを調整する上で為替レートが十分な役割を果たすべきである、こういうことで合意をしたわけでありまして、為替レートがそういう役割を果たす。すなわち対外不均衝の是正に資するような経済のファンダメンタルズをあらわすような水準であることが望ましい、こういうことでありまして、そういうことに向けてなお円高が定着するように努力をしていく、こういうふうに考えているところでございます。  御質問にはどのくらいな水準ということがございましたが、これはニューヨークのG5においても特定の水準を定めでそれに向かって各国で協調して介入をするというような申し合わせをしたわけではございません。  繰り返しになりますが、対外不均衡め是正に資するように経済のファンダメンタルズ、それを反映するような為替相場ということになりますと、いま少しく円高・ドル安という方向でこれが定着をしていく、安定をしていく、こういうことが望ましい、こういうことに帰すると思います。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 今、円の国際化あるいは円の自由化、これが国際的な要請でございますから、同時にまた、円高をどう定着さしていくのかというのが要請でございますから、公定歩合はそう簡単にいじれないという状況ではあると思います。しかし、これから内需拡大等々先行き景気が不安定だということもありまして、公定歩合をちょっと下げるという議論が出てくるんじゃないかと思いますが、そのあたりについて、公定歩合の下げについて、どういう条件が整えばなんて言うたらまた怒られるかもしれませんが、どういうふうに考えておられるか、簡単に教えてもらいたい。

澄田智日本銀行総裁

○澄田参考人 ただいまも申し述べましたように、我が国の経済の良好なファンダメンタルズを為替相場によりよく反映させていくということは、この際最も重要なことであると考えておりまして、当面の金融政策の運営に当たりましては、従来にも増して為替相場を重視していく考えでございます。こういうような見地から申しまして、我が国サイドから日米間の金利差を拡大するような措置をとるということは、毛頭今考えておらないところでございます。  なお申し添えますと、国内金融面では、マネーサプライの状況あるいは貸出金利の低下傾向等から見まして、景気拡大を支える、すなたち内需の拡大を金融面で支援する、そういう条件は整っていると思います。十分にそういうふうなことに資するように、資し得るように緩和されている、こういうふうに考えるわけでございます。  金融政策の運営に当たりましては、これまでも繰り返し申し上げていることでございますが、為替相場のみならず実体経済の状河、物価動向、マネーサプライ状況、内外の金利差等、そのときの状況に応じてこれを適切に判断をして、総合的に判断し、機動的にこれを運営する、常にこういう心構えで臨む所存でございます。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 次は、内需拡大策について若干質疑をさせていただきたいと思います。  先般政府は、いわゆる事業規模三兆一千二百億円という内需拡大策を発表されました。これによって輸入も年間二十億ドル程度ふえるだろう、こういう予測がなされております。この内需。対策は、七月に決められました市場開放のための行動計画、それから九月のドル高・円安是正策を含めたいわゆる対外経済摩擦緩和のための三本柱の一つだ、こういうふうに伺っておるわけでございますが、中身を検討しますと、率直に言いまして看板倒れ、経済企画庁長官がおっしゃったように、他人のふんどしで相撲をとる的な内容になっておりまして、大変がっかりいたしております。  特にこの政策を眺めておりますと、一体何をねらっておるのかわかりませんね。目的も性格も極めてあいまいという感じが私どもしておるのでございまして、これではアメリカを初めとして、諸外国のいわゆる日本に対する熱い期待に反する。同時に、摩擦解消にとって静まるどころか、むしろ逆に不満の火に油を注ぐようなものではなかったか。あれだけ内需の拡大を求めておきながら、政府が、日本がとった内需拡大策は何だ、こういうことになるのではないのかなと私は心配をしておる一人でございます。  総理は、口を開けば国際的は責任が元文とこう言われますけれども、こういう内需拡大策をとって、これが対外経済摩擦対策でございますと言ったらお笑いぐさじゃないのかな、私はこう思うのでございますが、特にちょうど発表された明くる日に日経の社調子がこう言っていましたね。今日の段階において政府に求められている内需策は特別な性格を持つ必要がある。緊急性、実効性、ドラマ性、創造性。そういう意味では私も全く同感でございますが、全然この三つともないです、今度の内需拡大策は、私はそういう気持ちがしておるんでございますが、一体これは何なんでしょうかね。経企庁長官か総理大臣に聞かしてもらいたいと思います。

金子一平自由民主党・新自由国民連合経済企画庁長官

○金子国務大臣 米沢さんから大変手厳しい御批判をいただいておりまするけれども、御承知のとおり、財政政策、金融政策が今日の段階において十分活用できないような現状にございます。しかも、予算、税制の扱いは十二月に入ってからやることになっておりますから、今日の段階におきましては、財政政策を外したもので内需拡大対策を講じなきゃいかぬところに我々の苦心があったわけでございます。  ただ、それにいたしましても、財政政策が頼りにならぬとなれば、やはり民活の活用を重点に置く。しかも、今までは、第二の予算といわれました財政投融資の金利が高くなっておりまして、例えば中小企業金融公庫や国民金融公庫に金を出しましても七分一厘では使いようがなかった。それを郵便貯金、年金の金利を下げることによって大いに活用させることにいたしまして、第一の柱を住宅政策に置いた。これは、今日御承知のとおり、関連する企業が非常に多うございますので、これを大いに活用することによって、日本の景気振興に大いに活用できると思うのであります。  ただ、これの追い打ちをかける意味においての税制改正の問題がございます。これはやはり十一月、十二月にならないと、政府、党の税調においての議論が進みませんから、これは後回しにいたしておるわけでございます。  それから、住宅宅地政策の活用ですね。今までいろんな面において規制を強くしておりましたが、それを思い切って緩めるとか、あるいは市街地再開発を進めるとかいうようなことによる規制緩和による民活の活用を大いに利用するとか、国公有地の売却をどんどん図っていくとか、そういうことによって、今回事業規模においては三兆一千二百億円、これは第一次石油ショックの後の福田内閣のときの景気対策が二兆何千億でございましたから、最近における最大の景気対策と言っていいと私は思っておるのでございます。  今御指摘のございましたような予算、税制面での裏づけは、今後の予算、税制の審議の際にこれを補うことに持っていきたいというふうに私どもは考えておる次第でございます。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 今度の内需拡大策は、予算編成の段階でまた税制なりあるいは予算措置等を考えて第二弾がある、こういうふうに理解をさせていただきました。先ほどの総理の所信表明演説の中には、拡大均衡を図りながら対外経済摩擦の解消に資するという文面がございまして、私はやはり、対外経済摩擦というものが大義名分となるならば、もっと大胆に内需拡大策をやっていくべきではないか、こういうふうに考えるわけでございます。  その点、後からの議論に、税制改正等々後から、年末に議論するということでございますから、一応この段階で感触みたいなものを探ってみたいと思うのでございますが、例えば所得税減税ですね。内需拡大といいますと、やはり個人消費の拡大のための所得税減税、それから公共事業の追加ですね。あるいは少なくとも名目経済成長率に応じるぐらいの公共事業費ぐらいやってもいいのではないか。あるいは住宅投資の問題ですね。あるいは設備投資の問題等、できればこの段階で、今大蔵省との折衝等が行われておると思いますけれども、例えば建設大臣、私は建設国債ぐらいは名目経済成長率の範囲内ぐらいの建設国債を発行することは、大蔵当局はうるさいわけでございますけれども、決して不健全なものではないというふうに思わないと、これは建設省の仕事がなくなりますね。二十一世紀の社会資本の整備等々、今のような状態でいきますと、これはますます五カ年計画も消化できないという状況ですから、もっと大きな声で、建設国債ぐらいいいではないか、こうやってもらわなければいかぬわけですね。私は建設大臣の所信を聞かしてもらいたいと思うのです。  そして同時に労働大臣、今度の内需対策の中には週休二日制の拡大というようなことがうたわれておる点は私は評価したいのでございますが、日本の年間総労働時間が長いことは、もう海外でも批判が強まっておることは御案内のとおりでございまして、週休二日制がどうだとか、休みを十日何とかして、それがまた内需の、需要の拡大になるなんというそんな議論じゃなくて、もっとまじめに労働時間の短縮のために取り組んでもらいたい。労働大臣の見解を求めたい。  それから、内需拡大のための税制、年末に議論されるわけでありますが、建設省は住宅減税、あるいはまた郵政省はテレコム減税、あるいはまた通産省は設備投資減税あるいは製品輸入のための税制等々、いろいろと議論が重ねられておるというふうに聞いておりますが、今どういう状況でございますか。余り時間をとりますと私の質問時間がなくなりますから、簡単にやってもらいたいと思いますが、よろしく。

木部佳昭自由民主党・新自由国民連合建設大臣

○木部国務大臣 内需の拡大を図っていくためには、公共事業を積極的に推進することが非常に大事でありまして、今御指摘のようなことは同感でございます。  当面の対策といたしましては、国庫債務負担行為の活用であるとか、また財投の追加による事業の推進であるとか、また災害復旧事業の速やかな実施であるとか、それから住宅金融公庫の拡充であるとか、また民間住宅の投資の拡大、そういうものにも全力を挙げて努めてまいりたいと考えております。  なお、明年度の税制の改正に当たりましては、住居水準の向上と内需の拡大を図るために、私どもは、住宅投資の全般的な活用を図るのに、住宅取得費の一%を五年間にわたって控除してもらうとか、それからまた住宅投資税制の創設を図るとか、また民間の住宅ローンの軽減を図りまして持ち家制度の促進を図るとか、また住宅取得の控除制度の適用期限の延長をお願いするとかというようなことを、具体的に昭和六十一年度の予算編成に当たりましても要請をして取り組んでまいりたい、かように考えております。

山口敏夫自由民主党・新自由国民連合労働大臣

○山口国務大臣 もちろん労働時間の短縮の問題は労働者の労働条件の改善、労働福祉の向上、こういうことでございますけれども、同時にやはり生活余裕時間の拡大というものがございませんと、今米沢先生の御指摘のように緊急的な内需拡大、同時に、同時進行でやはり週休二日制の拡大でございますとか連続休暇の拡大等を広げていく必要があるのではないか。世界一の生産力を誇る日本でございますけれども、同時に「おしん」の時代のイデオロギーに支配されているというところが個人消費、内需を停滞させているという部分もあろうと思います。そういう意味で労働時間調整を労使双方にも呼びかけまして、この辺の連続休暇の拡大、労働時間短縮、調整の問題に懸命に取り組んでおる。今回の内需拡大策の中でも、週休二日制の拡大でございますとか、祝日は多いわけでございますけれども、大変休日がまだ少ないわけでございますので、休日の拡大なども進めまして、労働福祉条件の改善と同時に経済政策にも寄与したい。  ちなみに、連続休暇のときに六千二百万人の方が一つの目的を持って家を出、また交通公社などの調べでも、七千億近い内需があり、通産省なども、週休二日制が実施されますと三兆円から四兆円の内需効果がある、こういう試算もあるわけでございますから、労働行政の立場からも一層これを推進していきたい、かように考えておるところでございます。

左藤恵自由民主党・新自由国民連合郵政大臣

○左藤国務大臣 郵政省といたしましては、民間活力によります電気通信分野の発展を図るために、内需拡大につきましてテレコム税制を六十一年度の税制に向けて要求いたしていますが、具体的な内容といたしまして、新規参入事業者あるいはテレトピア推進法人に対する固定資産税の軽減措置とか、あるいは通信機器の耐用年数の適正化とか文字多重放送等の受信機、そういったものの物品税の免税措置とか、あるいは民間の投資を促進するための準備金制度、それから加入者線路の二ルート化の促進のための法人税額の控除、そういった問題につきまして、明年度予算に向けて現在テレコム税制として税制改正を要求いたしておるところでございます。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 今度の内需拡大策は、そういう意味で第一弾として我々は受けとめたいと思うのでございますが、しかし中身にいたしましても、国公用地の活用に関連して四千億も需要があるとか、住宅投資にしましても、ただ貸付枠を追加するぐらいで、一体どれくらいの需要が出てくるのか等々、中身においても非常に疑問があることを申し添えておきたいと思います。  同時に、今度の内需拡大策の中で、例えば線引きの見直しとか、あるいは宅地開発指導要綱の行き過ぎを是正するなどということが従来どおり書かれておりますけれども、何年前からも言って、実際それが宅地開発につながっていないというところに問題があるわけでして、そういう意味では、ただ行政指導をそのままやるとか、通達をそのまま改めて出すとか、そういうことで宅地開発あたりが簡単にできるものではないという認識を本当に政府は持っていただいておるのであろうかということを、私は非常に疑問に思うわけでございます。  もう時間もありませんので、余り細かく議論をしたくありませんが、線引きの見直し等につきましても、やはりある程度の公共的な投資が付随して初めて山は宅地になる、そのあたりをもう一回見直してもらいたいということでございます。  同時にまた、宅地開発の一番の問題は、自治体のいわゆる上乗せ規制と言われる開発指導要綱、これがやはり今ガンなんですね、実際の話。宅地の原価に占める割合が大体平均しますと二〇%前後だと言いますが、大都市になりますと大体六四%ぐらいが宅地原価の中に占めるこのような上乗せ規制だ。開発指導要綱に基づいてしなければならない、本当ならば国か自治体が、公がやらねばならぬことをみんな民間のデベロッパーが受け持って、その分は宅地にすべて上積みされる、こういうことで住宅政策を進めていこうといっても、宅地そのものがこんなことで高くなってどうしようもないんですね。このあたり、もう少しまじめに検討してもらいたいと私は注文をしておきたいと思います。  それからもう一つは、宅地開発の大きな問題として取り上げられますのは、都市計画法とか建築基準法という国の法律やさらに自治体の指導要綱等の規制の綱をかぶせられまして、大変複雑で、物すごく申請に時間がかかるという問題でございます。  手元にある例によりますと、事前協議の段階で、市町村、県あたりを通過します課が大体四十六課通過しなければならない。そしてその段階で大体三年ぐらいかかる。そしていざ許可がおりて、今度は具体的な開発許可申請の段階になりますと、また同じところを戻って、結果的に一年半ぐらいかかる。四年半も五年もかかる。時には七年も八年もかかる。そんなことじゃ宅地は三倍にも四倍にもなるのは当たり前でございまして、そのあたりにメスを入れないで、宅地供給がどうだとか住宅政策がどうだなんて、大体言うこと自体が問題ではないか。それほどまでに我々はもっとこのあたりに議論を進めてもらいたいということを強く注文しておきたい、こう思います。  それから、政府の内需拡大策についていろいろと、けちと言うたら怒られますが、理屈を言ってきましたけれども、私ども今度そのあたりをもっと政府として積極経済運営に変わってもらいたい。我々の言っておる内需拡大策を入れたら来年の経済どういうふうになりますよ、そういうものを一回数字で、シミュレーションで分析してみようじゃないかということで、金のない民社党が金を使いまして分析をした結果がございます。委員長、ちょっと資料を……。  お手元に届いたと思いますが、結局今のような政府がとっておる縮小均衡型経済を続けていった場合、すなわち単純で一律的な緊縮政策を継続する場合、来年の経済はどうなるか。我々は例えば所得税減税二兆円とかあるいは住宅減税あるいは投資減税等々いろいろと言っておりますが、トータル四兆円ぐらいになりますが、そういうものを実現した場合には来年の経済はどうなっていくのか、特に対外経済摩擦の面でどれだけ貢献するか、そういうことを試算したわけでございます。  二ページをお開きいただきますと、その結果が出ておりますけれども、「主な前提条件」というところに書いてありますように、いわゆる縮小均衡型経済運営を踏襲した場合どうなるか。結局さきの内需拡大策をこれは含んでおるのでございますが、それを含み、来年度予算は引き続き財政の景気調整機能を無視した緊縮型となる。大幅な所得減税や投資減税などは全く実施しない。住宅減税は現行制度の若干の拡充にとどまる。また一般会計における公共事業費の縮減など公共投資は抑制される。金融政策は発動されず、公定歩合はそのまま。穀物等の緊急輸入についても冷たい。こういうものを入れた場合どうなるかといいますと、そこに書いてありますように、実質成長率が大体三・九%。ことしの四・七%から三・九%に下がるであろう。そして収支バランス、一番最後でございますが、四百八十億ドルから四百九十二億ドル、結局じりじりと黒字はふえていく。こういう結果が示されております。  それから、まあ手前みそもちょっと入っておりますけれども、拡大均衡型経済運営への転換を図って、我々の主張を酌んでもらったらどうなるか。すなわち、今年度において事業費ベース約一兆円の公共投資を追加する。その財源は建設国債。来年度税制改正において二兆円の所得減税、うち住宅減税二千億。投資減税五千億。そのかわり所得捕捉の徹底なりキャピタルゲイン課税の適正化等で不公平税制の改正ということで五千億徴収する。それから来年度予算において公共事業はいわゆる名目経済成長率と同程度の伸びを確保する。それも財源は建設国債。そして円高傾向の定着を背景として内需拡大の金融政策が発動されて、公定歩合は来年早々に〇・七五%引き下げられる。そして穀物の緊急輸入等、いわゆる民間においても努力を頼み、そして政府においてもやるというあたりを入れました。そして行政改革は断行する。  こういうような前提条件で計算をしてみますと、我々の来年の実質経済成長率は五・一%に上昇いたします。結局、私どもの政策によって、来年度における我が国の実質経済成長率は、いわゆる政府の案よりも約一・二%引き上げられる。そして五・一%成長が確保される。経常収支の黒字は約百十五億ドル減少して対外経済摩擦は大幅に緩和される。さらに税収はいわゆる九・〇%ぐらいの伸びに回復して、大幅な自然増収の確保による「増税なき財政再建」の達成に明るい展望が開ける。なお、政府バランスの差異は、政府バランスというのは、この一般会計ではなくて、国民所得ベースの国、地方、政府公共機関に合わせた財政の収支じりだと言われておりますから、これが大体二兆円出ますけれども、そのうち大体政府の方がこの半分くらい、その分建設国債が発行された部分でいわゆる赤字は一兆円ぐらいふえる。次年度における差異は大幅に縮小することが予測結果として明らかになっております。また今後の公共投資を名目経済成長率と同程度で伸ばして、その財源を建設国債で賄う場合の試算によれば、公債残高の対GNP比率や利払い費の政府支出に占める割合は長期的に収束していくことが示された。  そういう意味で、我々として確かにちょっと我々の要求そのものをすべて入れた議論と政府の縮小均衡そのまま続けたという議論でございますから、少々の数字の狂いはあるかもしれませんけれども、少なくとも対外経済摩擦を解消するとおっしゃるならば、我々が試算したそういうような経済の姿を描いてもいいのではないか。そのために頑張ってもらいたいということを言おうとして高い金を使ったわけでございます。御感想でもあればどうぞ。

金子一平自由民主党・新自由国民連合経済企画庁長官

○金子国務大臣 大変建設的な御意見を拝聴いたしまして、私どもも高く評価いたしております。  ただ、前提としての計算方法、これは技術的な問題があるものですから、私ども十分計算してみないとわからぬと思うのでございまするが、百十五億も黒字が減るのかどうか、それから二兆円の政府のマイナスがこの程度でとどまるのかどうか、そこら辺の問題は大いにやはり議論の余地があろうかと思うのであります。  おっしゃるとおり、私どももできれば大いに財政金融政策を活用して、ある程度幅のある経済運営をやりたいと思っているのですが、与えられた現実が大変厳しい状況でございますので、現実に即した適切な経済運営をやりたいということで、今極力努力しておることを申し上げておきたいと思います。  それから、先ほど来沢さんから御指摘のございました線引きの問題あるいはいろいろな公共団体が宅地開発についてかさ上げをしてきて困るという話につきましては、もうこれは具体的に各地方団体に指令を発しあるいはまた相当の府県におきまして線引きの見直しを今進めておる段階であることを申し上げておきたいと思います。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 総理は、この資料を見ても、ふんというような感じかもしれませんが、ぜひ、こういうシミュレーション分析をした経緯は、少なくともただ単に大蔵省さんにやられっ放しで、ただじわっとして、何しろ借金減らし、借金減らしだとやっておると、政治は一体何をしておるかという議論になってしまう。この際もっとまじめに、国民に夢を与えるようなことも考えてもらいたいということを言いたいのがこの趣旨でございますから、総理、ぜひそれは受け取ってもらいたいと思います。ちょっと御見解を。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 民社党の知力を結集いたしまして、そしてこのような立派なシミュレーションをやっていただいたこと、大いに敬意を表します。  金子企画庁長官が申し上げましたように、我々も大いにこれを参考にさせていただきたいと思います。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 だんだん時間がなくなってまいりましたが、総理、九月の新聞を読んでおりますと、五十九年度民間給与の国税庁の調査が発表されまして、民間のサラリーマンが五十九年に納めた所得税額は空前の六兆九千六百三十八億円で、七年ぶりの本格減税があったにもかかわらず前年よりも二・七%ふえた、所得税負担率も最高だった前年とほぼ同じことがわかった、こういうような記事があります。こういうものを見てもらったらおわかりのとおり、サラリーマンの重税感というものは、まさに税に対する不公平感とともに、もう爆発寸前にあると言っても私はいいのではないかと思います。  総理は、最近、事あるごとに思い切った規模の減税ということを言明されております。その中身も所得税、法人税、相続税、そしてそれに地方税等の減税に大きな関心を持っておられるようでございますが、これは我々とすれば大変結構なことだ、こう思うのでございますが、この種の減税に対する現在持っていらっしゃる総理の構想を具体的にお伺いしたいと思います。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 前から申し上げますように、シャウプ税制勧告が行われ三十五年になりまして、その間にやはり税のゆがみ、ひずみあるいは不公平感、重税感というものはかなりたまってきております。それを解消するということは、政治の大きな仕事である、そう考えまして、思い切ったそのような刷新、改革措置をやろうと思いまして、この間政府税調に諮問したところでございます。その趣旨とするところは、やはり重税感、不公正感あるいはゆがみ、ひずみを是正するということがまず第一で、そういう意味において、それは減税をまず第一に考えてもらいたい、あるいはそういう税の調整措置を考えてもらいたい、こういうふうにまず諮問の趣旨を申し上げまして、それから財源措置、そういうものも考えて一体として来年の秋答申を出してもらいたい、こう言っております。  私は前から国会でも申し上げておりますとおり、所得税、法人税等につきましては、レーガン税制というものは非常に参考になる。その趣旨は、申し上げますように公平、公正、簡素、選択あるいは民活、そういうように言っておりますが、まず、簡素化というものをわかりやすい税制、そういうこと、そういう意味においてレーガン税制におきまして所得税をたしか三段階に減らしてしまっておる。一五、二五、三五でございましたか、十五ぐらいあったのをそう減らしておる。我が国の所得税の刻みも似たようなものでありますが、これもやはり子持ちの中堅サラリーマン、特に住宅ローンや教育費で苦しんでおるその人たちに対して大きく光を当てる考えである税率の構造というものを直したらどうであろうか。あるいはさらに地方税につきましても、国税のみならず地方税の重圧感というものもかなり強いようです。これをどういうふうに改革すべきか。そういうような諸般の問題等につきまして、あるいはきょうの政府・与党首脳会議で話が出たのでございますが、商店街などの相続税制の問題、非常に地価が高いためにお父さんが亡くなるというと分割相続というような形にはなるにせよもう商売ができなくなるというような、そういう訴えがございました。農地についてはかって改正をいたしましたが、そういう点についても検討すべき点もあるのではないかとも考えられます。そういう諸般の点について今度思い切って総点検を加えていただいていい案を出していただきたい、このように念願しておるところでございます。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 その際、やはり大事な問題は減税の財源論だと思いますね。私どもは、もうくどくど申し上げておりますように、現在の税制体系の中でまず不公平税制を是正すること、あるいは捕捉率や実調率を上げて税収を上げること、そして拡大均衡経済に転換して、少なくとも五十四、五年ぐらいのときのような自然増収が確保されるような経済体質に転換すること、そういうことで原資を造成しようではないか、そして一方では行政改革を断行していく、こういう組み合わせの中から減税をやれ、こう申し上げております。  そういう意味で、総理の財源論をこの際聞かしていただきたいのでございますが、まあ大型間接税等が入ってきますと、間接税をふやして所得税を減らすといういわゆる原資は出てきますよね。あるいはこのごろ自民党の方から低率分離課税の導入をしたらどうかという話が出てきておるやに聞いておりますけれども、私はまず、さきに挙げました方法、いわゆる「増税なき財政再建」その中でまず可能性を探ってみる、そしてやはりその他の財源論に発展さしていく、こういうのが順序として筋ではなかろうか、こういう我々は議論を持っておりますが、総理・総裁のいわゆる減税に対する財源論についてどういう構想があるのか聞かしてもらいたい。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 私の考えは、前の大蔵省の古い考えと、古い時代の大蔵省の考えと違いまして、まず減税というものを考えようということ。つまり税のゆがみ、ひずみの是正というものをまず考えよう。それで、どういう層がどういう影響を受けて、どういう恩恵が来るかということを考えて、じゃそれに見合う財源というものはどういうのがいいのか、そういうふうに考えている。したがって、まず減税を出してもらいたい、あるいはひずみ、ゆがみの是正を出してもらいたい、それから次にどういうふうなものがいいかというものが出てくる、そう考えておるので、私の考えは、まず減税を聞いてからそれに見合う財源措置というものを考える。しかし、その中で、今米沢さんがおっしゃった中で大変大事なことをおっしゃっておられます。それは不公平税制の是正ということ、あるいは国有財産あるいは実調率、こういうような点は御指摘のとおり非常に重要な点であるとも考えております。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 それでは、総理の財源論は、まず政府税調等で不公平等について検討を加えて、どこを変えていけばいいのか等々の減税を中心に置いた改革案をまず出してもらって、そしてその後、それならばどれぐらいの財源が要るか、それから財源は考える、この際、大型間接税だとか低率分離課税の導入とか、そのあたりにはまだ思いは至っていない、こういうふうに理解していいですか。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 財源問題についてはまだ白紙でおります。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 大蔵大臣、六十年度の税制改正で御案内のとおりいわゆる非課税限度額の強化というのをやろうということを決めました。これは六十一年の一月一日から実施されるようになっておるわけでございますが、このごろさらに、もう六十一年度改正で非課税貯蓄制度を廃止したり、低率分離課税を導入したらどうだという話が出ていますね。これは限度管理と全然相反しない、同じ趣旨だということで、もう六十一年度から入れたらどうだ、こんな議論が実際行われておるやに聞いております。我々は、六十年改正で決めて、六十一年一月一日から始まろうと――まだ始まってもいないものを、今度はまた新たに低率分離課税を入れるとか非課税をやめるとか、まさに言語道断だと思うのでございますが、そんな腹は一体ないのでしょうね、大蔵大臣には。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○竹下国務大臣 政府税調に総理が諮問をされまして、本格論議が行われてきた。また国会においても税に対する議論が物価の議論をはるかに上回ったという状態の今日、いろいろなところからいろいろな案が出てくるというのは、これは大変参考になることだと思っております。  そこで、具体的に今御指摘なさった低率分離課税ということになりますと、一度政府税調ではその方向が示された問題でありますが、種々検討し選択したのが今おっしゃった六十一年の一月からやろうという限度管理。ただ、これは理論的に言うと、全く別次元のものでは必ずしもないということは言えるのじゃないかなというふうに評価しておりますけれども、それを採用するしないというような問題になりますと、今抜本論議が始まって、さあいつの時点で六十一年度税制のあり方という方へその議論を移していただくか、これがまだそのめどもつけておりません今日、税調を差しおいた予見はこの程度が限界なのかな、こんな感じでございます。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 結論を言えば、今、六十一年の一月一日から限度管理が出発するばかりだから、少なくとも六十一年度にはこういう話は白紙だ、しない、こういうことだというふうに聞いてよろしいですか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○竹下国務大臣 やはり税調に諮問した今日において、これはとらないということを断定する立場にはあってはならないんじゃないかな……(米沢委員「あなたの気持ちは」と呼ぶ)大蔵大臣としては、こう思っております。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 私は、やっと限度管理を決めて、つまりいろいろな議論の末に決めたものが今から出発するのに、今度その先を越して限度管理をやめるとか低率分離課税を導入するとか、そういう話は余りにも早計に過ぎ、またまじめでない議論だなというふうに思っておりますので、ぜひそのあたりは御認識いただいて御検討賜りたいと思っております。  それから、もう時間もなくなりましたが、最後に私ども、所得税の減税という、特に大幅な減税を考える場合に、二分二乗方式というのを導入したらどうかということを秋の政策研修会で勉強して、提案をするに至りました。これはもう長い間政府税調等でも議論が行われてきておりますけれども、いわゆる二分二乗方式とは一体何か、国民の皆さんもわかりにくいだろうと思いますが、物の本を読みますと、「夫の所得は妻の内助の功による部分もあるという考え方から、夫婦を課税単位とし、所得の半分ずつを夫と妻の所得として課税すべきであるといわれることがある。夫婦の一方だけが所得を得ている場合に、その所得額の二分の一に税率を適用し、算出された税額を二倍した額で夫婦に課税する方式は、二分二乗方式と呼ばれる。」こういうふうに解説がしてあります。  結局、内助の功を認めて二分して、そしてまた税率を掛けて二倍する、そうするとがくっと減税になる、こういう方式なのですね。税率が累進税率になっておるからそういう結果が出てくるわけでありますが、この際、私は、事業所得者あたりのいろいろな議論の、クロヨンがどうだとかいう議論になりますけれども、本当の意味でそのようなサラリーマンの不公平感をなくすためには、まさに二分二乗方式しかないんじゃないかなという感じがしてなりません。  しかしながら、この二分二乗方式にいたしましても、いろいろな得失があることは事実でございます。例えば、この方式を導入いたしますと、所得分割による累進課税回避手段を持たないサラリーマンに裁量の余地が与えられ、税負担の軽減も図られることによって、サラリーマンの税に対する不満感、不公平感を解消する決め手になる、これはいいことですね。それから、家庭で働く主婦の、夫に対する貢献がしんしゃくできる。国際婦人年のあらしめるところでございます。それから、パートで働く主婦が配偶者控除の適用を気にしてパート収入を抑える必要がなくなるなどのメリットがございます。この方式は、御案内のとおり、アメリカ、西ドイツ、フランスなどで実施されておるわけでございます、いろいろちょっと方式は違いますが。  これに対して、例えば共稼ぎ世帯や子供さんを有する単身世帯とのアンバランス、徴税執行の困難さ等の問題点があることも事実でございます。しかし、やろうという気になりさえすれば、基礎控除や扶養控除などの控除額を見直すことや、あるいは複数の税率表を採用することでもできますし、あるいは共稼ぎ夫婦の皆さん方に選択制を認めても結構ですし、やろうとするときにはいろいろと幾つかの問題点はありますが、私は解消できる問題ではないか、そう思うのです。  特に最後に申し上げたいのは、クロヨンだとかいって、長い間サラリーマンの皆さん方が税に対する不公平感を持っておる、これを解消する道は二分二乗方式を少なくとも導入する、検討していただくことが大変大事なことではないかな、私こう思うわけでございますが、これは政府税調での議論もあり、それなりの議論もあったと思いますけれども、今度政府税調で議論していただくようになりまして私は大変喜んでおりますが、大蔵大臣としても総理大臣としても、所得税減税の場合には、サラリーマンの不公平税制感を変えるためには、この二分二乗方式をとったらどうかということで、ぜひまじめに検討してもらいたいと私はお願いをするものでございますが、いかがでしょうか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○竹下国務大臣 これは絶えず議論のある問題でありまして、今御指摘がございましたとおり、課税単位の問題を含む所得税制のあり方、これを検討してもらおう、こういうことでございますから、その審議を待って対処することになろうと思いますが、最初にあります議論は、今おっしゃった議論、大別してメリット、デメリットいろいろお述べになりましたが、諸外国においては合算課税方式が採用されているのは、夫婦財産共有制といった財産制度が大きく影響しており、夫婦別産制をとる我が国においては夫婦合算二分二乗課税方式はなじまないものではないかという議論から恐らく始まっていくんじゃないかという感じがしますが、いつもの御主張でございますが、十分まじめに検討さしていただく問題だという問題意識は十分持っております。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 あと二分ありますが、もう一つ、地方税の問題は国税の陰に隠れて余り議論になっておりませんけれども、地方税の重税感は大変強いものがあるという認識は、私は総理と共通のものがあるんじゃないか。特に地方税が大変重いと感じる最大の要因は、地方公務員の給与だとか退職金だとかいろいろ問題になっておりますが、そのあたりを見るにつけ聞くにつけ、納めておる我々は、退職金だって一千万取れればいいぐらいのところを三千万も四千万も五千万もと聞けば、一体何だという感じで、地方税に対する見方が大変厳しくなっておる。  その中で一番問題なのは固定資産税だろうと私は思います。特に大都市における高価な土地、居住用地ですね、これは売ったら確かに土地は高くなるかもしれませんけれども、売らずにただ家だけ乗せて、一生そこで暮らそうという方が、周辺の商業用地が上がったからおまえの固定資産税も上げると自動的に上げられるのは、担税力において大変問題ではないかな、こんな感じが私はしておるのでございます。特にお年寄り、年金生活者に入った皆さん方、そういう皆さんが大都市の中に家でも持っておれば、どんどんどんどん固定資産税が三年ごとに上がっていって、結局おまえはそこにはおれないよ、どこか外に行きなさいと追い出し税的な意味も持っておるという、これは重大な問題だと私は思うのです。確かにその資産そのものは価値があるかもしれないけれども、売って初めてこれは財産であって、ただそこに居住用の家が乗っておるだけで、それが担税力があるのだからあなたの固定資産税は上がりましたなんて議論されると困る。  私はそういう意味で、固定資産税そのものも、居住用の土地についてはいろいろな条件があるかもしれませんけれども、少なくとも担税力担税力という議論ではなくて、やはりそこに住んでいらっしゃる皆さん方の所得という担税力にある程度関連させて固定資産税を考える、こういう議論にしていただきたいな、こう思うのでございますが、自治大臣、御答弁いただきます。

古屋亨自由民主党・新自由国民連合自治大臣・国家公安委員会委員長

○古屋国務大臣 お話のように、固定資産税は今物税でございまして、私どももことしが調整年度であったわけで、三年ごとに調整しておりますが、調整して自分のところにかかってきた税金を見ると、随分高くなった、そういう印象は私どもも確実に持っております。  これに対する対策といたしましては、生活保護者に対する特別措置とかいろいろ講じておりますが、性格的に物税でございますので、これを非常に重いという感じは、今話している私自身も持っておるわけでございますが、可処分所得によってこの物税という性格を考えるという点には若干抵抗があるわけでございますので、今の三年ごとの調整措置の問題、それから生活保護者その他に対する減額の問題等につきましては、ぜひ十分に検討いたしまして措置をいたしたいと思います。

米沢隆民社党・国民連合

○米沢委員 それは軽減税率の問題だと私は思いますね。軽減することによって目的、趣旨は達成できます。そのあたり、ぜひ今後政府の中でまじめに議論を重ねていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。

大西正男自由民主党・新自由国民連合

○大西委員長代理 これにて米沢君の質疑は終了いたしました。  次に、東中光雄君。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 私は最初に、総理がこの間の本会議における我が党の村議員の憲法に関する質問に答弁をされまして、質問自体にまともに答弁されないで、我が党の憲法制定議会における態度について発言されました。この発言は、今の憲法ができるときこれに反対したのは共産党だ、「しかも、そのときの徳田球一君の演説はどういう演説であったかというと、これは占領憲法であり、外国に強制された憲法であり、軍備のない憲法でどうして国を守れるかと演説したのであります。」こういうふうに断定的に、見てきたように述べられたわけであります。  しかし、この憲法制定議会で反対の討論をやったのは、徳田球一議員じゃなくて、野坂参三議員であったわけです。しかも、野坂参三議員はそういうことは一切言っていないし、そのほか、徳田球一議員もそういうことは言ってない。全くこれは事実無根であるというふうに――これはもう事実であります。その当時の会議録を全部見てみました。そういう点で、不当な、共産党の態度に対する中傷的発言だと思いますので、ぜひちゃんと削除されることを要求いたします。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 東中さんの御質問でございますが、徳田球一さんは、調べてみますと、やはり九十帝国議会で演説をしておるのです。その演説の内容を見ますと、私が今そういうことを言うのは、今の憲法ができるときに反対したのはと、そう言っておるのであって、必ずしも今おっしゃるような憲法制定議会と称せられた期間の話ではないので、九十帝国議会、同じ議会の六月二十四日の衆議院本会議で徳田さんは、憲法改正に反対であるとやっぱり演説をしておるのです。それで、全国民が十分な討議をしなければ憲法改正案の提出はまかりならぬ、そういうことを言って、この憲法草案がマッカーサー司令部から与えられたもので、それを議会へ出してくるなどとは絶対反対である、そういう趣旨で、全国民が十分な討議をしなければ憲法改正案の提出はまかりならぬ、そういうふうに発言をしておる、六月二十四日の衆議院本会議において。しかも、「前衛」を読んでみますと、徳田球一氏は、今度の憲法は上から与えられた憲法と書いております。そういうようなことが私の頭にありまして、今のような発言になったということであります。  現に「日本共産党の六十年」を読んでみますと、占領軍が憲法草案を起草して幣原内閣に手交した、こう言っておる。アメリカ帝国主義の意図とも解説しております。これはやはり当時共産党のお考えではないか。共産党は同心一体の政党でございますから、そこでそういうことであると私は解釈して言ったわけで、確かに発言はしているわけです、その議会においても。しかも反対を言っておるわけです。  それから、徳田議員は、六月二十四日の衆議院本会議で、戦争を放棄した後、民族の独立及び安全の保障をいかなる方法においてやるかという質問をしておりまして、つまり軍備が要るんだ、そういうことを反対の意味において言っておるわけです。戦争を放棄した後、民族の独立及び安全の保障をいかなる方法においてやるか。  野坂参三さんは、同年六月二十八日の衆議院で、戦争には正しい戦争と正しくない戦争がある、自国を守るための戦争は正しい戦争だ、そう言って戦争放棄に反対しておるわけなんであります。つまり、自国を守るというためには、正しい戦争をやるためにはやはり軍備は必要である、防衛戦争は正しい戦争である、そういう趣旨のことがここで込められておりますので、私が言った趣旨のことはやはりお二人とも言っておられるということであります。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 全くあなたは片言隻句で趣旨を曲げて、そして言っておる。総理大臣ともあろう人が、公式の場所で、公党の言っておる代表演説について、ほかのところで言った趣旨の違うことをねじ曲げて、こういうことを言って開き直る。私は本当に青語道断だと思います。野坂議員が代表質問をやり、そして反対討論をやった。ここに持ってきていますよ。この中身をあなた、理解する能力がないんだったら別です。まともに読めば、骨子は極めて明瞭です。  我が党があのときに反対した趣旨というのは、憲法前文に主権在民の規定を入れろと。初め日本語でないような文章が出ていましたね、至高のものであるとかなんとか。そういう点で主権在民の規定を入れるということを非常に要求をして、これは入った。しかし、憲法自体で言えば、主権在民の規定は入ったけれども、天皇制が残っている。そういう点で言うならば、民主主義、主権在民は極めて不十分な状態にある、もっと民主主義を徹底させるという要求をずっとやってきた。そういう点でも、基本的人権の擁護の点についても極めて不十分だということを言っています。  そして、日本は外国の戦争に加わるようなことはあってはならないのだ、中立こそが最も重要なんだということを野坂さんは非常に強調をしています。そして、吉田総理があの当時、自衛権も放棄したんだ、野坂さんの質問に対して、そういう自衛権まで放棄したんだということを言っているという状態で、独立国が自衛権を放棄したというふうなことを言うような憲法をつくったんでは、それは日本の独立を侵される、そういう危険が出てくるから反対だ、こう言っているのであります。軍備を持てなんて言ってないのです。国の独立を守るためと言ってない。まともにあの代表演説を読めば、そういうふうに理解できないとすれば、これはそういうことはあり得ないわけなんで、あなたはねじ曲げている、こう言わざるを得ない。  他党のことについて、他党の代表質問を、今度はそれとは全然別の方向にねじ曲げて、占領憲法である、外国から強制された、こんなことはないとあなたは言っていますけれども、あなたの「憲法改正の歌」の中にある言葉じゃないですか、それは。自分が「憲法改正の歌」ということでつくった歌の文句をここへ入れてくる、そして共産党が言ったからじゃないですか、こういうのは言語道断だと私は思います。はっきりとこういう点はもう認めるべきですよ。こういう占領憲法、外国から強制された憲法、軍備を持てと言った、こんな要約というのは絶対あり得ない。もう一回まともに答えていただきたい。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 やはり戦争には正しい戦争と正しくない戦争がある、自国を守るための戦争は正しい戦争である、そういうことを野坂さんは言っておるのです。それで、言いかえれば自衛権及び自衛権を発動する戦争は正しい戦争であるということ、それから、前に言った民族の独立及び安全の保障をいかなる方法で守るか、そういうようなことを考えると、やはりこれは軍備は必要であるということに帰結する。(東中委員「それはあなたが言っている」と呼ぶ)論理的にそういうことになる。そういう意味において戦争放棄の憲法に反対した、これは明らかではないかと私はそう見ておるのであります。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 人の言ってないことを、「こう演説したのであります、徳田球一君は」、そう言った人が、今度は「私はそう見ておるのであります」。これはあなた、明らかに食言じゃないですか。今言うたこと、本会議場で速記にあらわれたことと違うじゃないですか。あなたが勝手にそういうふうに見ているんだ、こういうことでしょう。  私たちは、侵略に対しては断固として国の独立を守る、自衛権の侵犯は許さないということを一貫して主張しています。だから、その制定議会でも野坂さんがそういうことを言うのは当たり前であります。だからといって、軍備を持たないのに反対だというふうな式の論はやっていないということをはっきり申し上げて、余りにも、ちょっとあれですよ、何ぼ権力を持っているからといって、言うたら言っただけでしまいだというふうな姿勢では、私はもう断じて許されぬと思うのです。強く抗議をしておきます。そして撤回を求めておきます。  それで、私はそれとの関連で靖国神社の問題についてお聞きしたいと思うのです。  総理は靖国神社の公式参拝を八月十五日にやられた。初めてであります。その公式参拝は戦没者の追悼だとおっしゃいましたですね。しかし、同じ八月の十五日に、政府は閣議決定に基づいて、日本武道館において、あの全戦没者の追悼式で戦没者の追悼をそれこそ公人として公式にやり、平和祈願をした。それを終わってから靖国へ行かれたのですね。政府がセットした戦没者追悼のあの式典で追悼をして、なお靖国神社へ行って、わざわざ宗教法人靖国神社へ公式に行かなきゃいかぬということは、普通の人間ならだれも理解できぬことだと思うのです。  あなたは、靖国神社の参拝というのは一体どういうことなんだということについて、八三年の九月十三日の参議院本会議で答弁されています。「靖国神社の問題について御質問をいただきました」。こうして、「殉国の英霊に対しまして感謝申し上げ、お慰め申し上げるということ」でありますと。戦没者の追悼じゃないんですね。靖国神社参拝というのは、名誉の戦死を遂げた人、殉国の人たち、その人たちに慰めをする。そして英霊――英霊に対してですよ。戦没者じゃないんです。戦没者は既にもう英霊になっているんです。殉国の英霊、神様に対して、英霊に対しまして感謝し、お慰め申し上げるのでありますと、こう言っているんです。これが、公式に言われた本会議場での答弁であります。  靖国神社について、今度の軽井沢のセミナーであなたは言われましたですね。金丸さんかどう言っているということに関連をして言われて、そしてこの参拝をせぬようなことであれば、さもなくばだれが国に命をささげるか、こういうことを言われた。それはこの自民党の自由新報には出ていない。あなたが殉国の英霊に参拝をする、公式参拝をやるというのは、結局それをやらなければだれが国に命をささげるか。新しい戦争が起こったときに、前と同じようにちゃんと命をささげるようなことをしてもらうためには総理大臣が参拝せにゃいかぬのや、こう言うたということが――私たちはそうとしか理解できないのです。今度の靖国神社の公式参拝は、だれかが今後も国に命をささげるように、そういう殉国の人たちをつくっていくために英霊に参拝をする、こういうことじゃなかったのですか、お伺いをしたい。(発言する者多し)

大西正男自由民主党・新自由国民連合

○大西委員長代理 静粛に願います。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 八月十五日に公式参拝をしまして以後は、私は戦没者を追悼する、そういうことで靖国神社に公式参拝をした、そういうことを言っております。それ以後はそういうふうな表現で一貫して言っておるのであります。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 追悼をするのだったら、追悼式でやったわけでしょう。そして神社へ行って殉国の英霊に対して参拝をされたわけでしょう。神社参拝ということと、戦没者の追悼ということが同じだというようなことを言われても、それこそ本当に国民はだれも信用しませんよ。靖国神社参拝というのは神社の祭神に対して参拝をするのでしょう。もともと宗教法人靖国神社は、その規則の三条で目的を書いていますね。国事に殉じた人々を神様としてお祭り申し上げて、その祭神に対して神道儀式、祭祀を行うのが靖国神社の目的です。明白に、戦没者追悼の施設ではなくて、殉国の英霊に対する、靖国英霊に対する宗教的な施設、そこへあなたが入っていっているのじゃないですか。私はこの点は全くだれも納得できないことだと言わなければなりません。  特に、靖国神社の祭神は、御承知のように一九七八年になっていわゆるA級戦犯十四名、東条英機元首相初め十四名のA級戦犯を合祀をした。そして靖国神社は、その社務所が出しておる説明によりますと、いわゆる戦争犯罪人として連合国側によって一方的に処刑された方々、当神社においてはこれらの方々を昭和殉難者と呼び合祀したのだ、こういうふうに言っています。  そしてこの合祀はこっそりやられたのですが、明くる年になって明らかになった。そのときに大きな世論が出ましたけれども、藤田権宮司さんは、新聞紙上によりますと、「A級戦犯の霊だけを合祀しないのは外国の手によってなされた極東裁判の結果を認めたことになり神社としての責任はまことに大きい、こういうふうに崇敬者総代から意見が出たのだ」ということを述べています。だから、あの東京裁判を認めない。戦死じゃないですね。あの十四名のA級戦犯は決して戦没者でもなければ何でもないのです。しかし、これを祭らなかったらあの極東裁判を認めたことになってぐあいが悪い、だからやったのだ、こういうふうに言っているのですよ。  そういうA級戦犯者も含めて全体の、靖国神社の言う殉国の英霊に対して、この人は別、この人は別というようなことじゃないのですね。全体としての祭神に対して総理が公式に参拝したということになれば、このA級戦犯の戦争責任あるいは戦争犯罪を免罪するということにつながってまいります。そういう祭神が昭和殉難者と称して祭られているのですから、私はこういうことは、総理の参拝は戦没者の追悼では通らないということを申し上げたい。その点いかがでしょうか。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 戦争犯罪人として処刑された方があそこへ合祀されたということは、独立の宗教法人たる靖国神社が独自にお決めになったことです。私はいつもここで戦没者を追悼すると申し上げておりますのは、戦争に倒れた方を戦没者、私はそう考えておるわけでございます。だから戦没者という言葉は特に大きく強く言っておるのであります。そのことをお考え願いたいと思います。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 靖国神社は戦没者だけを祭っておるのではありません。内閣がやられる全戦没者の慰霊追悼式は、戦没者という言葉でありますけれども、戦争に行って戦没した人だけではなくて内地においても戦争で亡くなった人全部を含む、いわゆる戦争犠牲者の追悼になっているのです。靖国神社はそうではないのです。特にA級戦犯というのは戦没者の中へ入ってくるわけがないのですよ。しかし、あなたはあそこへ公式参拝をして、戦没者のあなたの概念の中へ入ってこぬものはのけておるのだというふうなことを神社参拝でやるわけがないでしょう。通用しないと思うのです。私たちはこの中には、靖国神社参拝、その相手方であるA級戦犯の免罪ということを含んでおると言わざるを得ない。  そこで東京裁判というのは、これは靖国神社が合祀するについて述べておるように、これを認めるわけにいかぬという、外国のやった裁判だというふうに言っていますね。この靖国神社のパンフでも、「一方的に処刑された」と言っているのです。東京裁判を否定する立場でやっているのです。あなたは東京裁判というものについて東京裁判史観という言葉を使われて、大東亜戦争史観と違う、この東京裁判史観というのはこれは問題なんだということを言われています。  この間の軽井沢セミナーでも東京裁判について、ああいう裁判のやり方が果たして正しかったかどうかは歴史がいずれ判定する、まだ正しいとは思っていないという姿勢を示しておられますけれども、私ぜひお伺いしたいのですが、東京裁判史観、正しくなかったかもしれぬ東京裁判史観というのは、どういうことを言われているのですか。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 もう一回申し上げますが、いわゆる戦争犯罪人として処刑された方をああいうふうに合祀したというのは、宗教法人たる独立の靖国神社がお決めになったことであって、そして私が参拝をしたのは、戦いに倒れた方々、すなわち戦没者、そういうことでお参りした、そういうことを重ねて申し上げる次第なのであります。中には私の弟も入っております。  それから東京裁判史観というのは、日本の歴史学者やそのほか文明学者等においていろいろな史観があるわけです。皇国史観というのもありましたし、あるいは太平洋戦争史観というのもありましたし、あるいはマルキシズムからくる戦争史観というのもありましたし、その中にまた一つのより分けとして東京裁判史観というのもあったわけであります。それは人によっていろいろ解釈は違います。違いますが、あそこに、東京裁判が行われた判決あるいは起訴した事実、そういうようなものを一つの理論体系にまとめて、そしてそういう考えからこの裁判が行われた、そういう事実に対して一つの歴史観として判定を下した考え方であると思います。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 それが正しかったかどうかまだはっきりしない。東京裁判史観あるいはあなたの言う太平洋戦争史観というものからいけば、太平洋戦争あるいはいわゆる満州事変から後の中国に対する侵略戦争だったいわゆる十五年戦争というものについては、これはもう侵略戦争であるというふうに客観的にはっきりさしてますね。そういうことについてあなたは、太平洋戦争、そして十五年戦争、あれは侵略戦争であったとはっきり考えていらっしゃるのですか。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 私は、いわゆる太平洋戦争、大東亜戦争とも言っておりますが、これはやるべからざる戦争であり間違った戦争である、そういうことを申しております。また、中国に対しては侵略の事実もあったということも言っております。これは変わっておりません。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 あなたはやるべからざる戦争であったというふうに言われるときには、失敗した戦争であった、こういうふうに言われたこともありますね。また、過誤を犯した戦争だ、要するに勝てはよかったけれども負けて失敗した戦争なんだ、こういうニュアンスを持っているんです。私はずっと、拓大総長の就任のあいさつからいろんなものを全部読ましてもらいました。そういう中でそういうことを言われたわけですが、まあ中国に対する問題については、侵略である、客観的に国際的にそういうふうに判定をされておるので、それに対してそれを受容するとこの委員会でもあなたは言われたことがありますね。そういう立場は変わっていない。そうしたら、あの戦犯は当然そういう立場で裁かれているわけですね。  そうすると、靖国神社はそれを否定する、そういう立場で祭っている。宗教法人だから宗教法人の立場でやっているんでしょう。その宗教法人へなぜ総理大臣わざわざ行って――ほかにだって戦没者を祭っているところはたくさんあるでしょう。わざわざ靖国神社へ行って、そして私的じゃなくて、弟がいるからと言う、だったら私的に行けばいいのです。公的に総理大臣として行くというのは、東京裁判に対してのあなたの、世界史的にはそれは正しかったかどうかということはまだ決まっていない、こういう立場が表明されているんじゃないでしょうか。これは結局そういうものの免罪だと言わざるを得ないのですが、どうでしょう。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 靖国神社には、二百数十万でありましたか、二百数十万に及ぶ、戦争に動員されましてそして倒れた、いわゆる戦没者がおります。その方々に対して、国民の大多数、遺族の大部分というものは、総理大臣の公式参拝を強く要望しておりました。そこで、憲法の問題もありますから、靖国神社の問題懇談会でいろいろ御検討願いまして、その御検討の結果を踏まえまして、また我々の法制局におきましても、最高裁の津の先例がございますね、その判例等も研究いたしまして、そして、社会通念に従って、いわゆる宗教行為にかかわることでなければこれはやってもよろしい、そういう判定を法制局もいたしました。  津の裁判判決を見ますと、目的が宗教的意義を有し、そして結果がその宗教、その特定宗教を助長するとか、ほかの宗教を抑圧するとか、そういうことであってはいかぬということに書いてあります。そういう意味におきまして、目的が宗教的意義もなく、かつほかの宗教を弾圧したり、特定宗教を助長するということがないというやり方で行えば、これは憲法違反にならない、しかも社会通念に従ってやればいい、そういう津の判決を踏まえまして法制局はいろいろ検討して、あのように神式や神道を離れて、そして総理大臣として戦没者追悼のために礼拝をするという行為をやったのであって、それは正しいと考えているわけであります。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 私は、それを詭弁というと思うのです。津の地鎮祭の最高裁判決は、私もよく検討しました。地鎮祭と、靖国神社という宗教施設へ行ってそこで二社二拍一礼をやったら宗教行為になるけれども、最敬礼ならならないのだ、こういうばかげた理屈、これはもう全くばかげた理屈だと思いますよ。  靖国神社側はどう言っているかといえば、報道している靖国神社側の言っているところによれば、靖国神社はほかの神社と違うんだ、内務省が決めた二礼二拍一礼というふうなものは靖国神社にはもともと適用ないんだ、最敬礼もあれば捧げ銃もあるんだ、だからこれで立派な参拝の靖国神社方式に基づいたことなんだという。神社側がそう言っているじゃありませんか。  全くのへ理屈、詭弁まで言ってなぜこういうことをやるのか。それは、さもなくばどうして国に命をささげるか、こういうふうにあなたが言われたと報道されている、そういうところがもとにある。これは軍国主義へ、あるいは新しい戦争への日本の精神的な動員をやろうとしている、そういう行動だ、我々はそう言わざるを得ない、そういう点で強くこれに反対をするということを申し上げておきたいと思います。  次に、国家機密法についてであります。  これは、総理は今度の本会議で、自民党が長年準備、検討した案が提出されているが、広く国民の意見、野党の意見を承り、慎重にこれを成立させるように努力していきたい、こうおっしゃいました。  これを成立させるように努力していきたいと言われますので、どうしても総理に聞かざるを得なくなってきたのでありますが、この法律というのは、私も法律家の端くれですけれども、余りにもひどいものです。あの中国への日中戦争が始まった明くる月、八月につくられた軍機保護法の死刑法への改悪、そして太平洋戦争に入る半年前につくられた国防保安法、この二つの法律を合わしたようなものであって、なおそれよりもずっと悪い。秘密の範囲がうんと広い。何をどう取り締まるのかわからない。完全を言論弾圧のファッショ戦時法だと私は言っていいと思うのです。  それで一つだけお伺いをしたいのですけれども、スパイ行為ということは外国に通報する行為、こういうふうにあの法律の一条には書いてあります。ところが、外国に通報するというのはどういうことなのかということについて、長年準備をし、検討してきた案だ、こうおっしゃっているわけですが、長年準備されたその自民党案の解説書が、これは自由民主党の名前で、自由民主党政務調査会編集、自由民主党広報委員会出版局発行の「スパイ防止法案」があるわけです。  これによりますと、外国に通報するというのは、外国に特定の情報を直接渡すことだけじゃない、そういうことをはっきり書いてある。「外国に知らせ、又は外国がこれを知り得る状態に置くことをいいます。」と響いてある。外国が知り得る状態に置くというのはどういうことなのかと言えば、「専ら国内で公表する場合又は外国の報道機関に配信する場合は「外国に通報する」といえるか。」ということを書いて、これについては、「これらはいずれも「外国」に直接通報する場合ではないが、これらの場合には、結果的に外国が我が国の防衛秘密を知り得る状態になることが明らかであり、しかも行為者がこのような状態になることを認識し、そのようになってもよいと認容して行為する場合には、「外国に通報する」に該当するものと解されます。」だから、国内で公表する、そうしたら結果的に外国の人が知ることになるかもしれぬから、これはもう通報したことになるんだ。記者の皆さんが取材して配信をした、これはもうなるんだ、はっきりそう書いてあるのですね。  こういう法律が今出されているんです。これじゃ配信行為、国内で公表するというのは、演説で公表する場合もあるでしょう、あるいは新聞でやる場合もある、あるいはテレビでやる場合もある、ラジオでやる場合もある、全部外国が知り得る状態に置くことになるんだ、こう書いてあるのです。  こうなりますと、文字どおり言論そのものを弾圧することになるじゃありませんか。言論弾圧が主眼だと我々が言うのは、そのことを自民党自身が言っているのですよ。こういう法律を断じて出すことはできない。私は、憲法の言論の自由とかいうふうな点からいえば、もう真っ正面から、配信する行為も専ら国内で公表する場合も該当するんだと書いてあるのですから。こういうものをやはり成立に努める、こうおっしゃるのですか。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 まず申し上げたいのは、日本はスパイ天国であって、こういうような状況をそのままほっておくわけにはいかぬと前から申し上げました。したがいまして、何らかのスパイを防止しあるいは国家機密を守っていくということは必要である、そういうような考えから自民党がいろいろ研究をして一つの案を提出してきた。それについて各党あるいはジャーナリズム、皆さん御意見をお持ちである。自由民主党としては、これは人権にもかかわることでもあり、報道や取材の自由にもかかわることであるから、これは我が党の一つの案として出しておるけれども、いろいろ御議論も承り、もし直す必要があれば我々は十分相談に応じて適切なものにしていくにやぶさかでない、そういうことを私前から国会でも申しておるところでありまして、そういう精神に立ってこの問題を処理していきたい。ぜひあなたのいい御意見も聞かせていただいて成立させていただきたいとお願いする次第でございます。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 それは言論を、国内での公表自体が外国への通報だといって、スパイ行為だということで取り締まっていく。外国に通報する目的をもって収集したものを外国に通報したということになれば、それで危険が起こったというふうに判定を一方的にやれば、死刑か無期懲役しかないのですよ、これは。死刑か無期懲役しかないそんな罰則なんというものは、もう戦時中でさえなかったですよ。死刑、無期懲役以下の懲役というのはあるけれども、死刑か無期懲役しかない。そんなことを書いてあるのですよ。  これは提案をしたといっても、提案している側の説明書にそう書いてあるのですから、これは憲法違反の法律でありますと言って提案しているようなものなんです。だって、公表自体が外国に通報だ、こう言っているのですからね。だから、これが提案されたこと自体が憲法違反を公然とやっているようなものだ。憲法は、すべての公務員、議員も含めて憲法を遵守し、擁護する義務があるのですから。  真っ正面からそう書いてあるのですよね。公表が、配信が、外国に通報で弾圧できるのだと書いてある、そんなものを修正なんかできやせぬじゃないですか。だから私は、これは修正するとかなんとかでなしに、潔く撤回して、こういうものはやるべきじゃない、こう思うのですが、改めて聞きたい。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 それは議員立法で、議員提出でありますから、早く審議に入っていただいて、そういう御議論を趣旨説明者によくして、いろいろ議論をかみ合わして、直すべきところは直すようにしていただきたいと思います。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 こういう法案自体が例えば国家秘密だと言っている秘密の範囲なんというのも、これは国防保安法や軍機保護法と比べたってむちゃくちゃに広いですね。要するに、秘匿することが必要だと思うたものは全部秘密なんだということなんですから、こんな乱暴なむちゃくちゃなものというのはないですね。何が秘匿すべきものなのかということの判断は全部一方的に役所の側が、防衛庁なり外務省なりがやる。しかも、そういうように秘匿すべきものだとしている対象が何なのかということは国民は全くわからない。それを明らかにする必要もない。  こういうようなむちゃくちゃな、だからこういう法案に対して日本弁護士連合会が情理を尽くした反対を言ってますね。あるいは文芸家協会の人たちが、今この法案が出されてきてから、まさかこんなものを出すまいと思っておったが、白昼堂々、幽霊じゃない、大変なものが出てきた。だから、内容がわかればどんどん反対の決議がなされているでしょう。この提案がされてから、促進を言っていた自治体が、内容を見てびっくりしたということで反対になった。スパイ防止という言葉だけで賛成をしてきたけれども、大変なものだといって反対決議をした自治体もありますね。  こういう状態でありますから、だからはっきりと国民の基本的な人権、民主主義の根幹にかかわる、こういうものを弾圧する法案、撤回すべきだと強く要求しておきます。  今度は、最近発表されました中期防衛力整備計画の関係についてお伺いしたいと思うのですが、今度の中期防衛力整備計画で、私は、一つの特徴は、エアレーン、洋上防空という体制をとることをあの中期防衛力整備計画の中へ入れてきた、これが今までの枠を超えた非常に大きな問題だと思っています。  それで総理は、レーガン大統領と再三お会いになって、日本の防衛力の整備については、我が国の防衛力の整備については、八一年の鈴木・レーガン共同声明ですね、日米共同声明にうたわれておるとおり、一層の努力をしてまいる所存でありますと、何回かそう言われておりますね。防衛力整備の方向は、鈴木・レーガン共同声明のあの八項に言われておる我が国本土と周辺海空域の防衛をやる、そういう能力を持ったものに整備をしていく、こういうことでありますが、ここで言われておる周辺海域及び周辺空域というのは洋上防空の対象になっておるところと一緒なのかどうなのか、どういうふうにお考えになっておられるのか。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 シーレーン防衛につきましては、周辺海域数百マイル、それから航路帯を設ける場合に一千マイルということは、防衛計画大綱を定める前から、我が国の防衛努力の一つとして、いわゆる海上交通安全確保の観点からあった概念でございます。今度の「洋上防空」という言葉につきましては、それが何か海域全体の上空を守るような感じてお受けとめになっている方もいらっしゃいますけれども、そういうことではございませんで、シーレーン防衛に携わるそれぞれの個艦等の安全を確保する、その防空能力を向上させるという概念でございますので、その点は御理解いただきたい。  新しい概念かということをよくおっしゃいますけれども、それぞれの個艦は、従来からもその艦艇を守るために、それぞれの防衛機能、装備を持っておりました。これは非常に射程の短いものであったりしたわけですけれども、最近の経空脅威というものが諸外国の科学技術の向上に伴って大きくなりまして、やはりその点については新たな事態として考えなければならないものではないか。つまり、諸外国の科学技術の向上に伴う対処というふうにお考えいただければありがたいと思います。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 洋上防空はシーレーンの上の洋上を防空作戦の対象にする、こういうことですね。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○西廣政府委員 ただいま防衛庁長官がお答え申し上げたように、洋上防空というのは海そのものを守るということではございませんで、海には幾ら爆弾を落とされても余り支障がないわけでございまして、私どもはその海上を航行している、我が国の有事、国民の生存を守るために物資を運んでおる船舶あるいはそれを護衛しております我が方の艦艇、そういったものをいかにして守るかということでありまして、そのための防空機能というようにお考えいただきたいと思います。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 そうすると、一千海里までの間の航行する艦艇がそのどこででも攻撃を受けるということになれば、日本は防空のために、洋上の防空ですね、船はどこへでも動くんですから、シーレーン防衛するというのは一千海里までですから、その一千海里までの地域をどこへでも出ていって防空する、これが洋上防空だ、こういうことですか。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○西廣政府委員 従来シーレーンについてたびたび申し上げているように、我が国の防衛力整備の対象としておりますのは周辺海域、つまり日本海側では石ないし百五十マイルぐらい、太平洋側では三百マイルぐらいの周辺海域と、さらにシーレーンを守る場合には一千マイルぐらいのもの、そういったものを対象にして防衛力整備をしているということはたびたび申し上げているところであります。  なお、具体的に有事どういう船を守るか、またどの海域まで行動するかという問題につきましては、そのときの状況に応じて行うというようにお答えする以外にないと思います。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 私はシーレーン防衛のことを一つも聞いていないのであって、シーレーンの上の洋上、「洋上」と書いてあるんですから、その防衛の話をしているんですから、問題をごまかしたらいかぬと私は思うのです。  じゃ、角度を変えて伺いますけれども、お渡しをいたしましたアメリカの八六会計年度の米国務省予算権限法第八百十二条というのがあります。この原文の英文の方は、これは外務省からいただいたものでありますが、仮訳をしているとかしていないとかでなかなか出さないものですから私たちの方で訳してまいりましたが、これによりますと、この八百十二条の同項、この法律は、ここに書いてありますように、上院、下院の本会議で可決をして、八月十六日にレーガン大統領が署名をして成立している。だから、単なる決議じゃないわけです。もうアメリカの法律なんです。しかも、そこに書いてある内容は、日本の一九八六年から一九九〇年度の中期防衛計画の内容について書いてあるわけです。  (b)項を見ていただぎますと、「日本が、日米安保条約に従い、その自衛責任を果たすため、また、一九八一年に総理が行った国家政策宣言に基づき、一千カイリの空域」、原文ではエアスペース、「及びシーレーン防衛能力を達成するため、自衛隊の弾薬、後方支援及び継戦能力の不備を大幅に是正するために毎年度十分な財源を配分することを含め、一九八〇年代末までに、合意された一千カイリ自衛能力を獲得するのに十分な予算、」そういう計画を立てろ、こうなっているのです。  だから、一千海里シーレーン防衛予算ではなくて、一千海里エアスペース、そして一千海里シーレーン、それを達成する、そういう能力を持った防衛力整備計画をつくれ、そしてその計画を監視をし、大統領はそれを議会に、実際に実施されておるかどうか、進捗状況も含めて報告をせい、こういう法律になっているのです。今、洋上防空という言葉を言いながら、それはシーレーン防衛の中に入っているんだ、こう防衛庁は言いました。ここで言っているのは、明白に千海里のエアスペース及びシーレーン防衛能力というものをつくれと言っているわけであります。  総理は、この決議があったときに、それはアメリカからの期待表明だ、こういうふうに言われましたけれども、この条文を見る限りでは期待表明じゃないのです。それは期待表明かもしれませんけれども、日本がそういうものをつくるようにすると言っているからそれを実際にやれ、こういうことになっていると思うのですが、千海里エアスペース防衛、こういう構想をアメリカ側から法律で突きつけられておって何の抗議もしないところを見ると、これを認めておることになるのじゃないですか。

栗山尚一外務省北米局長

○栗山政府委員 ただいま御指摘のアメリカの国務省の予算権限法の一部になりました八百十二条の条項につきましては、御案内のように、もともと上院の方でバード決議案なるものができて、他方、並行的に下院の方で類似の決議案ができまして、その妥協として両院協議会でまとまったものが最終的にこういう形になりましたものでございますが、その過程におきまして、「防衛計画の大綱」の見直し等々、かなり内容的に不適切なもの、我が国の防衛政策について議会としての理解が不十分、不正確な点が多々あるという私どもの認識に立ちまして、大使館を通じまして直接間接に行政府あるいは議会の関係者等に種々働きかけをいたしまして、我が国の防衛政策の実態についてより正確な知識を持った上で物を言ってほしいということを累次働きかけた経緯がございます。  最終的にこのような条項になりましたことにつきましては、まだアメリカの議会の我が国の防衛政策に対する理解が必ずしも正確でない、不十分であるという点につきまして、私どもとしては非常に残念に思っておる次第でございまして、今後ともいろいろな機会をとらえまして、より正確な理解、知識をアメリカの議会に持ってもらうという努力を続けてまいりたいというふうに思っておる次第でございまして、ここに書いてあるもの自体につきまして、これを正確なものとして我が方が了承をしておるということでは毛頭ございません。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 人ごとみたいなことを言ってもらっては困るのですよ。日本の中期防衛力整備計画、八六年から九〇年までの中期防衛計画について、アメリカはこういう一千海里エアスペース、そして一千海里シーレーン防衛能力、一千海里防衛能力、こういうふうに言っているのですよ。よそのことを言っておるのじゃないです。それを実際に計画をつくったかどうか、実際に実施したかどうか、進捗状況はどうかということを政府は監視せい、監視せいとは言ってないけれども、それをやるように奨励せいということまで含めて、その結果を議会に報告せいと言っているのでしょう。理解が不十分でありますから、日米安保条約に基づいて、同盟国としてやっておるのでしょう。  こういう一千海里エアスペース及びシーレーン防衛能力を達成するというふうなことはとんでもないことだ、勝手に余計なことを言うな、削れということを総理大臣、これは言われてもいいのじゃないですか、もし違うのだったら。いや、やはりそうやって監視してください、我々は独自の道を行きますじゃ、これはおかしいでしょう。総理、どうでしょう。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 日米間で安保条約がありますし、日本が侵略を受けたとき、アメリカは日本を守るという責任があるわけですから、そういう立場において、アメリカやアメリカの議会が日本の防衛に対して重大な関心を持ち、あるいは期待を寄せるということは、これは当然だと思います。  そういう中でこの権限法も生まれたわけでございますが、しかし、これに対しては、日本側としても彼らの間違った点、認識不足の点等については議員にも再考を求めてきております。しかし、これは期待として表明をされたわけです。しかし、日本は日本独自の防衛政策に基づく防衛を進めておるわけですから、これは日本が自主的にやっておるわけでございます。アメリカが期待を表明することは、これはもう自由でありますし、また関心を持つことは当然である、こういうふうに受けとめております。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 こういうときになると、えらい自主性が出てくるんですね。今度の防衛力整備計画ができて、あなた行かれてワインバーガーにも説明した。そして、称賛されたかどうか知りませんけれども、そういうことまで言われているんでしょう。シーレーン防衛のために役立つ、飛躍になるだろうというふうなことを言うたというふうに報道されていましたね。  そういうふうに自分たちの計画を向こうへ行って報告する側が――向こうでは一千海里エアスペースというのですから、だからグアムとグアム以西、フィリピン以北の北西太平洋一千海里全体の空域とそして海域、それの制空、制海、そういうものをやれるような能力を持て、そういうための一千海里防衛能力というふうに言っているわけじゃないですか。それは期待表明として聞いておきましょう。アメリカはそういうことを日本に期待して要求しているわけでしょう。そういうことですか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 私はワインバーガー国防長官に会っておりません。シュルツ国務長官とは会談をしまして、日本の防衛、今回の五カ年計画についても概略は説明をしたわけですが、もちろん詳細にわたっては、専門家ではございませんから説明しておりません。しかし、アメリカ議会が、あるいは政府が日本の防衛についていろいろと期待を表明し、あるいは関心を持って述べてきていることはこれまで何回かありますし、これはもうそのとおりであろう、これは日米安保条約というものがある以上は、アメリカ政府や議会が関心を持つことは当然のことだろう、期待を表明することはこれはもう当然のことであろう、こういうふうに思います。しかし、日本は日本の独自の自主的な立場で防衛政策を進め、また防衛は進めておるということを言っておるわけです。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 今大変なことをお伺いしたと思います。アメリカは一千海里のエアスペースとシーレーン防衛能力を日本が持つことを、それも遠いことじゃなくて今度の八六年から九〇年度の中期防衛計画の中でそういう能力を持つことを期待をし、公式に法律にして表明をした、それは当然のことだと外務大臣がそう言われた、これはもう大変なことですよ。  その前に、私もう一点聞いておきましょう。アメリカがそういうことを言う、そういう期待を表明する、そういう根拠がこの法律の中に書いてあるのですね。それは(a)項の(5)項であります。(a)項の(4)は鈴木・レーガン共同声明のことについて書いてある。ところが(5)項は、本土から千海里までのシーレーン及び空域、エアレーンを防衛する能力を獲得するという日本の政策をアメリカが称賛をした。だから、日本はシーレーン防衛だけじゃなくて、今度新しく一千海里エアレーン防衛を政策として打ち出した。だから、アメリカは単なる評価じゃなくて、鈴木・レーガン共同声明のときは評価したと書いてある。今度の場合は称賛したと書いてますよ。称賛されるような日本の政策、一千海里エアレーン、シーレーン防衛、これは洋上防衛ということを新しく今度言われたわけですね。それと照合しているわけです。そうとしか考えられない。  日本はエアレーンを防衛する、そして同時にシーレーンも防衛するということを言っていらっしゃる。ところが、エアレーンなんというのは、これはもう船でさえ面であるはずのものが、だからシーレーンでさえうんと広い海域になるものでありますから、いわんやエアレーンと言えばアメリカが言っているような、意味としてはエアスペースになってしまう。しかし、日本の政府は日本の政策としてそういうものを出した、それでアメリカは称賛をした。それで「この能力の達成が日米両国の安全保障を著しく改善することになると認識している。」と書いてあるんです。アメリカの安全保障にも貢献している、こういう評価ですよ。こういうことはこれでいいんですね。防衛庁長官、どうですか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 ちょっと、先ほどの御質問でございましたから、私先に申し上げますが、私とシュルツさんとの間にエアレーンとかエアスペースとかそういう話は一切出たことはありません。ただ、私は先ほど言ったのは、アメリカの議会やあるいは政府が日本の防衛に対して非常な関心を持ち、また期待を持つ、そしてさまざまな形で意見を述べられるということは、これは日米安保条約というものを結んでいる以上はそういうことは当然あり得るということを一般的に言っているわけであります。

加藤紘一自由民主党・新自由国民連合防衛庁長官

○加藤国務大臣 このアメリカの決議を見ますと、日本の政策としていろいろな表現がありますけれども、日本の防衛政策当局の人間といたしまして、これはなかなか細かなところを御理解いただいてないんでないかなと思うところがあります。例えばエアレーンという言葉が使ってありましたり、それからエアスペースという言葉が使ってありますね。それで、その定義というのはまだ明確でない。一体、向こうでも定義をどうしているのかということもわからないと思います。  それから、ここの中に、今委員がおっしゃいましたように、千マイルのシーレーンとエアレーンと全部みたいな表現がありますけれども、「エアレーンズ アウト ツー ワンサウザンド マイルズ アンド」という部分ですね。この辺も一体どういうことを意味しているのかわかりません。そしてそれを「ポリシー オブ ジャパン」と書いてあるわけで、したがって、先ほど北米局長が申しましたように、いろいろ関心は持って日本の政策をアメリカの議会筋、特にこれはスタッフが書いておるわけですけれども、そのスタッフはいろいろ研究はされておるようではありましょうけれども、十分なる我が国の政策をしっかりと、例えばこの国会の場に来て聞いていただくほど正確に御理解いただいているようには思いません。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 同盟国のアメリカ側が千海里、エアスペースと言えば、もう明白に距離的にはいわゆるフィリピン以北、そしてグアム以西の北西太平洋地域を指すというのはこれはもう常識ですわね。その常識について、単にシーレーン防衛だけでなくて、エアレーンと言ったり、エアスペースと言ったり、そういうことをわざわざ――この(4)項では鈴木・レーガン共同声明について書いていることはもう明白です。そして、(5)項で改めてこういうものが出されてきている。理解されているかされてないかというような問題じゃないじゃないですか。日本政府がそういう政策を出した、それを称賛したと言っているんです。あなたは称賛されてきたのでしょう。そうじゃないんですか。それじゃ称賛……(「一方的に決めつけるな」と呼ぶ者あり)いや、書いてあるんだ、称賛したと書いてあるから、日本の政策が、決めたものが称賛をされたということになるじゃないですか。しかし、それは向こうは誤解です、そんなことを言って通用すると思いますか。しかも、そのスタッフの認識がどうのこうのという問題じゃないでしょう。それはスタッフのことはあるでしょうけれども、レーガン大統領までちゃんとやっているのです、署名しているのですね。  私たちは、こうして法律を出されておって、そして日本政府はこれに対して期待表明であります、アメリカの、同盟国のアメリカの期待表明でありますということだけ言っておったら、これは全部認めたことになるじゃないですか。だからこそ洋上防衛なんという今までなかった言葉を使い出して、そしてシーレーンの上の要するに空の防衛ということを言い出しているんじゃないですか。そのためにOTHレーダーやあるいはE2C早期警戒機やらあるいは要撃機やAEGIS艦まで準備をする、明らかにこれは一千海里防空体制、制空体制を進めている。ここで言っているのは、あなた方がこれに対して抗議を言わなければいかぬ、これは事実じゃない。だから、事実じゃないことを名指しで書かれているのですよ。日本政府の政策だとか日本政府の中期防衛力整備計画の中身だというふうに書かれておって、期待表明でございますと言っておっただけじゃ、これは許されないと思うのです。そこのところを、これは違うから取り消せということを要求するか、抗議をするか、期待表明としてこれを受け入れるか、どっちかしかないのですけれども、その点総理大臣、ひとつはっきりとしてほしい。

栗山尚一外務省北米局長

○栗山政府委員 御指摘の法律の議会の意見表明の部分は極めてできが悪いということは、私もそう思っております。現実に、先ほど御答弁申し上げましたように、外務省といたしましては、種々の機会に、より正確な知識、理解に基づいた何か法律なり決議なりつくるのであれば、そういうものをつくってほしいということで種々働きかけた経緯がございます。  しかしながら、いずれにいたしましても、この法律の主文というのは、アメリカの議会と行政府との関係で、御案内のように、行政府に対して報告書を提出させるということが法律の主文でございます。したがいまして要は、行政府が我が国の防衛政策あるいは防衛力整備計画について、どのような理解をもってどのように報告を議会に出すかということが結局は問題であろうと思います。  その点につきましては、従来からアメリカの行政府、特に国防省でございますが、国防省は、我が国の防衛政策、シーレーン問題等についての日本政府の考え方というものは十分正確に理解をしておりますので、今後とも私どもは、そのような正確な理解の上に立って議会に報告を出してもらうということを期待をしておりますが、その点につきましては今後とも、私どもといたしまして十分注意をして、アメリカの行政府がきちんとした理解に基づいた議会に対する報告が出るというふうにしたいと考えておる次第でございます。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 アメリカのスタッフは頼りがないんだと日本のスタッフが言っておった。しかし問題は、法律ができているのです。大統領が署名をしておるのです。そんな技術的な問題じゃないんですよ。今度は報告が正確でなかったら困るなんというようなことを言ったって、それは何にもならぬじゃないですか。報告自体は、非公開も含めて秘密会での報告まで言っておるのですね。こういう状態で、法律でつくられている問題について、期待表明として聞いておって、聞き流しておいて、そして報告だけはきっちりしてほしい。それもまた、報告もきっちりしてもらうように期待表明するのですか。  これは総理大臣、北米局長の判断でするような問題じゃありません。法律で、日本の中期防衛力整備計画の骨子を日本政府が説明したのは、一千海里エアレーン及びシーレーン防衛というふうに言っておるのをアメリカが称賛をして、アメリカは一千海里エアスペース、そしてシーレーン、これを防衛する能力をつくれということまで言っている。これは違う、こういうことを法律でつくるというのはもってのほかだと抗議を申し込むべきだと思うのです。これはもう属国扱いしたものだと言わざるを得ません。それを、やはり期待表明として容認をするということか、抗議を申し込まれるか、ここのところをひとつ総理大臣、はっきりしてほしい。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 外務大臣が答弁したとおりです。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 なお、先ほどから北米局長が申し上げましたように、この権限法が成立するまでに当たって、アメリカの議員に対して、日本政府としての防衛のあり方についてもいろいろと説明をしてきたわけですが、このアメリカの議会につきましては、例えば貿易摩擦等につきましてもいろいろな誤解もあって、そして保護主義的法案等も出ておりますし、アメリカはアメリカ議会の独自の立場でやられるわけですから、結局、結論的にはこうした権限法の形になったわけですが、しかし、アメリカ政府は少なくとも、日本の防衛のあり方についてはこれを正確に理解しておりますから、そういう中でこの権限法に基づいて報告が行われる場合においては、そうした日本の立場を踏まえて正確な報告が行われる、こういうふうに我々としては考えております。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 中期防衛力整備計画は閣議決定になっているわけです。しかも、その閣議決定になっておる中期防衛力整備計画について、その内容をアメリカが議会で、千海里シーレーン防衛とエアスペース防衛というふうに言っておる。法律でまで決まっておる。それに対して総理大臣が、閣議決定したいわば代表者である総理大臣が、これに対して結構だという立場なのか、いかぬという立場なのか。外務大臣のとおりというだけですか、総理大臣としての考えをはっきりと明らかにしてほしい。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 日本政府は、日本が大事であると考えたことは、自分の独自の判断でやってまいります。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 そうすると、アメリカ側が一千海里防衛能力整備を、計画を見、その実施を監視をし、そしてその進捗状況を政府が調べて報告をせいという、まさに日本を属国扱いしておる、しかも、大変なアメリカの世界戦略の中に位置づけたような、そういう防衛力の整備を押しつけてきておるという法案に対して、属国扱いされながら何にも言わない、単なる期待表明だ、こういうことでいかれるというのは、私はもう許されないことだと思います。本当に日本の立場でやるんだったら、日本のことについてアメリカ国内で、決議どころか法律までするというようなことは、言語道断だと言うのが当たり前じゃないですか。うちは独自でやるんだから、向こうからいろいろ言うたって、法律上はどうしようが、それは期待表明だなんて、これはあなた、通用しませんよ。その点はひとつはっきりしておきます。  時間が余りありませんので、もう一点申し上げておきます。  私は、この新防衛力整備計画によるエアレーン体制というのを見ておりましても、今度ははっきりとOTHレーダーを設置をする。そしてさらに、シーレーン防衛ということで、例えば対潜哨戒機を百機体制、P3Cを百機体制にした。まさに一千海里シーレーン防衛体制というものをとっておるわけですね。  それで、この間参議院での質問が行われたわけでありますが、防衛庁は、ヨーロッパやあるいは世界の他の地域で米ソ戦が起こった場合、日本はもちろん平時である、こういう場合において、OTHレーダーなどで入手した情報をアメリカに提供できるのかどうかということについて聞きました。そうしたら、集団自衛権の行使ではない、それはできるんだ、こういう答弁をいたしましたが、これは総理、総理もそういうことでしょうか。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 同盟国の間では、情報は相互交換をやっているのが例であります。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 アメリカが米ソ間で戦争状態になっている、そういうときに、今度新しく設置しようとするOTHレーダーがカバーしている地域、アメリカがカバーする地域でない、例えばソ連のサハリンとかあるいはオホーツク海の奥深くとかシベリアの奥深くとかカムチャッカとか、そういうところの情報をキャッチする。アメリカはソ連との戦争状態になっているわけですから、そういう段階で、日本が得た情報を提供することで、アメリカがその情報に基づいて戦闘行動を発起するということになっても、それは同盟国だから当たり前だ、安保条約があるから当然なんだ、こういうふうに言われるわけですか。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 それは、日本の防衛に必要な範囲内において、日本が選択してやることであろうと思います。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 日本が選択をするけれども、情報提供は、戦術情報の提供もこれはできる。アメリカの極東におけるP3Cは、三沢と那覇とフィリピンとグアムまで含めてわずか四、九、三十六機しかない。日本は百機体制だ。完全にこれをカバーするわけですね。そこで得た情報は、米ソ間の戦争になっているときですよ、日本は戦争になっていないのです、そういうときに、そういう情報は全部アメリカに送ってもいい、送ることがあり得るんだ、こういうことなんですね。そうなんですか。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 日本の防衛というものが主眼ですから、我が国の自衛隊、防衛庁のやる仕事は。ですから、それに役立つ、それに必要だ、そういうものに限って、我々は先方に対して情報交換をやるということはあり得るでしょう。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 P3Cなんというのは、一々そういう判断をして、P3Cが得た情報を我が国の防衛上必要であるかどうか、それをどこかで討議をしてやるのですか。もう自動的にいってしまうのじゃないですか。そういうことはよろしいという体制なんですね。総理が言われているのはそういうことなんですか。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○西廣政府委員 先般の私の参議院における答弁と関連したお話であると思いますので、私からお話し申しますが、まずOTHにつきましては、まだ整備するかしないかも検討事項であり、それがどういうように運用されるかということも決まってない、そういった問題。P3Cも同じことでございますが、いずれにしろその種の情報を、いかなる情報をどういう状況下で提供するかしないかといったような問題について、私どもは仮定の問題として論ずるのは適当でないので、それについてはお答えしない。ただ一般論として、情報を提供するしないということは、その一つ一つの事例に即して、我が国の国益に合致するかどうか自主的に判断をして、ケース・バイ・ケースで決めますということを申し上げたわけでございます。したがって、その種の情報交換を行う、あるいは情報提供を行うということは、直ちにそれが集団的自衛権の行使に当たるようなものではないということを申し上げたわけであります。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 日米安保条約があるから、同盟関係にあるから、アメリカが戦争状態になって、極東において米ソが戦争をしているという状況で、P3Cは哨戒活動は、平時という建前で、日本は平時ですから、哨戒活動はやる、百機の哨戒体制で、アメリカの三倍以上の力で哨戒をやって、そして必要があればその情報を出す、それに基づいてアメリカは戦闘行動をやるということになりますと、相手方はその攻撃をすることのそういう体制に対して、反撃をしてくるというのは当然のことではないか。これは安保条約の体制がそうなっておって、それは集団自衛権の行使にならないんだと称してそういう体制でいくということは、アメリカの戦争に日本を巻き込ませていく道順をそこで設定しているということになるので、この根源が安保条約です。総理も、同盟関係にあるんだから、こう言われておる。同盟関係で戦争しているんじゃないんです。日本は侵略をされていない、戦争状態にない段階で米ソ戦があるということはあり得るわけですから、そういう場合に行く、それは集団自衛権ではないんだというのは、これはもう許されないことだと思うのです。  岸内閣のときに、補給ということであっても、日本に関係がない出動に対して、アメリカの戦争に対して何か協力するということは起こり得ないし、またそういうことは憲法上許されておらない、補給についてさえはっきり言っていますね。安保国会です。ところが、今は違うのですね。もうレーダーで相手方をキャッチをして、そこへ攻撃をしなさいというための情報を提供してもいいんだ、これは今までの政府の一内閣が憲法上許されていないといった見解から、大きく踏み出したものだと思うのですが、そういう点は総理はどうでしょうか。戦闘行為でなければいいという問題じゃないと思うのです。戦闘行為の一体となって、P3Cの情報を提供するというのは、これはもう戦闘行為と一体となっていますよ。日本が平時で、そういうことで協力することは、これはもう絶対に許されない、こう思うのですが、どうでしょう。

西廣整輝防衛庁防衛局長

○西廣政府委員 先生の御質問は、情報を交換する、あるいは提供するということよりも、提供する以前の情報をどうやってとるかという、そのとり万の問題のように私は受け取れるわけですが、それらについては先ほど申し上げたように、どういう状況下でどういう行動をとるか、それが集団的自衛権の行使、いわゆる我が国にとっての実力の行使に当たるかどうかという問題でありまして、情報交換そのものとは直接関係のないように考えております。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 これは安保条約の仕組みというのは、そういうふうになっているんです。そして、戦闘行為そのものじゃないからということで、戦術情報を提供しても憲法違反でないなんというようなことを言って、結局、日本を戦争に巻き込んでいく、そういう仕組みが日米安保条約なんです。私たちは、日本を戦争に巻き込んでいく安保条約は廃棄する以外にない、日米軍事同盟というのはそういうものなんだということをはっきり申し上げて、このことを要求しておきたいと思います。  もういよいよ時間がなくなってきたのですが、この間の国連総会で総理、核についていろいろ演説をされました。私たちお伺いした感じでは、核兵器の地球上からの追放、あるいは核兵器の廃絶を日本人は訴え続けてきた、米ソは最終的についに核兵器を廃絶せしむべき進路を世界人類に示すべきである、いわゆる廃絶、追放、いろいろ言われました。我が党の安武議員が本会議で質問をしたときに、核兵器の廃絶なんというようなことは、何ぼ演説したって、演説したからできるというような問題とは違うんだというふうに言われておったのですが、国連総会へ行ったら盛んにその演説をされました。しかし、廃絶をどうするのか、どうしてやるのかということについては、何の提起もされなかったわけですね。  私は、まさに廃絶をやろうと思えば、核兵器の廃絶のためには、核兵器保有国、とりわけ米ソの核兵器超大国、核大国が、核兵器を廃絶しようということについての政治的な合意を取りつける。取りつけたらすぐ廃絶になるかといったら、そう簡単にいかぬでしょう、大変な問題ですから。合意を取りつけて、そしてどういう手順で廃絶していくのかという、核兵器廃絶のための国際協定をつくりなさい、共産党はそのことを提起しているんです。それを総理はやられるべきだということを、ことしの二月の予算委員会で我が党の松本善明議員も申し上げた。総理は、あのときは検討させますというふうに言われたわけです、協定については。  ところが今度は、国連へ行ったら、一切そういうことは言わないで、廃絶の問題は、ハレーすい星がついに帰ってきた二十一世紀の中ごろになったらというような話まで、直接的ではありませんけれども、言われておるという感じを受けたんですが、なぜ、核兵器廃絶についてのそういう国際的な合意をつくるようにやるべきだ、みんなが希望しているんだから米ソもやるべきだ、棚上げすべきじゃないということを強調されなかったのでしょうか、お伺いしたい。

中曽根康弘自由民主党・新自由国民連合内閣総理大臣

○中曽根内閣総理大臣 有効な方法で両者がレベルダウンをして、そしてついに核兵器廃絶まで持っていくべきである、その道筋を示すべきである、そういう趣旨のことを私は申し上げたのです。要するに、例えば検証を伴うとか、そういうようなことも一つの例でありますが、レベルダウンをして廃絶まで持っていくべし、そういうことを言っておるわけです。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 両方がレベルダウンするように、結局期待表明じゃありませんか。具体的な行動を、核兵器廃絶の協定を結びなさい。どういうふうにやっていくかという、その検証なんかもそこでやればいいわけですから。その方向づけを、協定をすることが大切なんだということをなぜ主張されないんだろうか。具体的に言われたことで言うならば、核実験の全面禁止を重視して、それに至る核実験規模の縮小という、外務大臣が言われたことを言われた。それから、核拡散防止条約の未加入国の加入を言われた。これは具体的なことですね。しかし、この具体的なことで言うならば、核実験の全面禁止協定を結びなさいということを提起すればいいものを、核実験の存続を認めるわけでしょう、規模を減らしていけと言うんだから。これからも核実験をやることは認めていく、だんだん少なくしなさい、こういう提起ですから、これは核兵器の廃絶の方向に向かないわけですよ。  核兵器の廃絶が緊急の当面の課題だということになれば、緊急の最重要課題だということになれば、核兵器を廃絶する方向に向くもの、そういう部分的処置をこそ提起すべきなんですね。核実験の全面禁止をやりなさいあるいは核兵器一の使用禁止をやりなさい、こういうことを提起してこそ廃絶の方向へ向くわけです。少しは実験を残してもいいと言ったのでは、これは廃絶じゃなしに拡張の方へ行くじゃないですか。そういう点で、私たちは、ここで提起されている部分的な提起というのは、これはむしろ核兵器廃絶を棚上げする方向のものだということを、過去の歴史がそれを証明しているわけですから、そういうふうに思うのですが、どうでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 日本が核兵器廃絶を強く訴えていることは、これは国連あるいはまた軍縮会議等でよく東中さんも御存じだと思います。我々は、核兵器の廃絶というのが究極の目的である、そのためにあらゆる努力をしなければならぬと思っておりますが、そういう中で核実験の全面禁止もずっと唱え続けてきた。これはやはり、ぜひとも核廃絶の段階に進むためにも核実験の全面禁止というものが行われなければならぬというのがまた日本の目標でありまして、これは決して捨てているわけではない。ただ核実験の全面禁止ということを言うだけで、理想を掲げるだけでちっとも進まないということですが、やはり現実的に核兵器の実験禁止の方向へ一歩一歩具体的に進んでいく必要がある。検証等が伴わないとやはり具体的にこれは進まないわけですから、そういう意味で、ステップ・バイ・ステップ方式ということで、日本政府として軍縮会議でこれは深刻に、真剣に取り上げていただきたい。これは現実的、具体的に全面的な核実験禁止に進む具体的な方法だということで方法を提示しているわけですから、全面的な核実験禁止、そして全面的な核兵器の廃絶、これはもう日本の基本的な方針でありますし、この方針に向かって最終的に努力をしていく、この決意には変わりないわけです。ただ、現実に具体的にどうすればいいかというステップ・バイ・ステップの具体的な方式を提示しているわけですから、お考え違いをされないようにしていただきたいと思います。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 そのステップ・バイ・ステップということで提起をしているそのことが、実はこの三発の核兵器から五万発を超す、こういう核軍拡の悪循環になったわけです。だから、私たちは、そうじゃなくて廃絶の方向を、そこでの協定をやってその上で具体的にどうするか、手順をどうするか、これは大変なことですから、大いにそれをやらなければいかぬ。ソ連はそういうことをやりましょうと言って、共産党との会議では共同声明を出しているわけです。ところが、アメリカの方はそうはいかない、日本の方もそうはいかなかった。そして、レーガンさん支持で行きます、こういうこの間の演説になっておる。私はそれではだめだということを申し上げておきたい。  もう時間がありませんので、最後に日航の関係について一点だけお伺いをしておきたいと思います。  今度の日航事故の問題といいますのは、これは、与圧隔壁の亀裂から破壊に至って、そして、それだけではありませんが、垂直尾翼が破壊をした。こうして、航空史上例のない最大の惨事が起こったわけであります。こういうことが起こるについて、今古くなった飛行機、ハイサイクル飛行機あるいはハイタイムの飛行機というものについては、金属疲労が起こって、そして非常に危険な状態になり得る。一九七七年に英国の707航空機が、これは貨物機ですが、墜落した。水平尾翼が破壊して墜落した。そういうことから国際的に非常に大きな問題になって、そうして一九七九年のICAO、国際民間航空機関で、飛行回数の多いハイサイクル機や長時間使用の老朽機について点検を徹底的にやるようにという方向を出していますね。  日本の飛行機、特に日航が使っておりますボーイング、いわゆるジャンボSR機ですが、これは日本だけが使っている飛行機ですね、SR機というのは。一時間ぐらいで離着陸をやるわけですから、これは使用回数が物すごく多くなるということで、世界じゅうのジャンボの中からいっても、国内で使っているジャンボSR機というのは回数がトップグループになっている。今度、運輸省も認めておるとおりですね。そういう状態になっているその飛行機の機体あるいは隔壁、こういったものの点検整備というものが十分にやられていない、そこから起こってきたことだと思うのです。点検整備が非常に不十分だ、そういう体制上の不備があったということは日航も認めていますね。  私は、この際安全運航ということについて本当に責任を持たなければいかぬ。これは、国策会社である日航について特に政府はそうだと思うのです。ところが、この数年間を見てみますと、臨調が出された、臨調の八三年一月の臨調第四部会報告、これは、効率的な経営を行え、他の航空企業の模範となるようにせよ、こういうことだったわけです。答申も同じことです、三月に出された。それを受けて閣議が決定されたのは、人件費、事務費の抑制措置等を強力に推進して効率的な経営の確立を図れ、これは閣議決定をわざわざされたわけでしょう。その次の同じ年の十二月には、増収に努めて効率的な経営の確立を図れ。閣議が特定の企業に対しての増収と効率化、これを閣議決定で要求をしている。  日航は、これを受けて人員をうんと減らしている。八三年の一月には、高木社長は二万一千六百人体制を二万人体制にする、人を減らすということを決めましたね。それから、整備はどんどん減らされているのですよ。八三年の三月までに、一年間で八十九人の整備関係者が人員を削減されている。それから、ことしの九月までに百四十四人、どんどん減らされていっているのです。機体の整備点検が、事故が起こってみたらできなかった、その体制に不備があったということを日航自身が言わざるを得ないような状態に追い込んだのは、これは臨調と政府の決定そのものじゃないですか。今度の事故の重大な責任というのは、私は中曽根内閣にある。臨調路線にある。事実が示しているじゃありませんか。日航自身は今そう言っているのですよ。正式の改善策についての答弁を見たら、体制を変えなきゃいかぬ、機体の整備点検についての体制を変えなきゃいかぬと言っているでしょう。不足だということなんじゃないですか。しかも、総務庁長官うなずいておられますけれども、総務庁が出された、今度社長になる山地さん、あの人が事務次官のときに出した勧告も、安全対策、安全運航じゃなくて、そのことには一つも触れないで、経営の合理化だけじゃないですか、効率化だけじゃないですか。私は、こういう状態で今度人事問題としてその人を出してくる、本当に政府の安全対策、航空についての安全についての態度が、本当に責任を感じないところか、一層悪い、こういう状態だと思うのです。政府の責任をはっきりとして、安全対策をちゃんとするように強く要求したいと思います。政府の責任、いかがですか。

山下徳夫自由民主党・新自由国民連合運輸大臣

○山下国務大臣 今回、五百二十名の方々がお亡くなりになるという、かつてないような大きな事故が起きまして、まことに私も遺憾に存じております。お亡くなりになった方々に心から弔意を表しますとともに、また、おけがをなすった方々についての一日も早い御回復を祈ってやまない次第でございます。  ただいま御指摘がございました政府の、総務庁の、これは総務庁長官がお答えになる。しかし、私がまとめて申し上げますけれども、これは決して安全を度外視してやっているのではないのですよ。安全というのは一つの土台でございますから、その礎石、土台というものはきちんとして、これについて総務庁は何も一言も言ってない。むしろ安全運航ということは、とにかく航空企業というものが安全を度外視して成り立つわけがないのですよ。それはもうわかり切ったことであります。そこからおっしゃること自体が私はおかしいと思うのですよ。したがって、総務庁が言っていることは、政府が言っていることは、やはりこれも一つの公社公団と同じような企業でございますから、これに対して指導監督するのは当たり前であり、その指導監督についても、むだはこれは省かなければなりません。ですから、むだを省くという意味において言っているのであって、だから安全運航をおろそかにしろということはだれも言っておりません。

後藤田正晴自由民主党・新自由国民連合総務庁長官

○後藤田国務大臣 今山下運輸大臣がお答えしたのにつけ加える点はございません。経営改善の勧告が事故の原因であるというあなたの御批判は当たりません。

大西正男自由民主党・新自由国民連合

○大西委員長代理 東中君、時間が参りました。

東中光雄日本共産党・革新共同

○東中委員 時間だからやめますけれども、閣議決定に基づいて人員を整理をして、整備員を整理をして、そのことによって整備体制に不備があった。これが事故の改善対策だと日航自身が言わざるを得なくなっている。こういう問題について政府が一切責任を感じないということになれば、安全対策については本当に考えているとは思えない、こう思いますので、このことを指摘をしておきたいと思います。  質問を終わります。

大西正男自由民主党・新自由国民連合

○大西委員長代理 これにて東中君の質疑は終了いたしました。  次回は、明三十日午前九時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十四分散会

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