本会議 第2号
- 発言数
- 23 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1985/10/16
会議録
○議長(坂田道太君) これより会議を開きます。 ――――◇――――― 永年在職議員の表彰の件
○議長(坂田道太君) お諮りいたします。 本院議員として在職二十五年に達せられました佐々木義武君、中村重光君、上村千一郎君、細田吉藏君、金子一平君、藤井勝志君、澁谷直藏君、小沢辰男君、田澤吉郎君、田川誠一君、亀岡高夫君、宇野宗佑君、海部俊樹君及び八木昇君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。表彰文は議長に一任せられたいと存じます。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 これより表彰文を順次朗読いたします。 議員佐々木義武君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められたよって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する 〔拍手〕 ………………………………… 議員中村重光君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められたよって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する 〔拍手〕 ………………………………… 議員上村千一郎君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められたよって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する 〔拍手〕 ………………………………… 議員細田吉藏君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められたよって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する 〔拍手〕 ………………………………… 議員金子一平君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められたよって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する 〔拍手〕 ………………………………… 議員藤井勝志君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められたよって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する 〔拍手〕 ………………………………… 議員澁谷直藏君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められたよって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する 〔拍手〕 ………………………………… 議員小沢辰男君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められたよって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する 〔拍手〕 ………………………………… 議員田澤吉郎君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められたよって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する 〔拍手〕 ………………………………… 議員田川誠一君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められたよって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する 〔拍手〕 ………………………………… 議員亀岡高夫君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められたよって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する 〔拍手〕 ………………………………… 議員宇野宗佑君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められたよって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する 〔拍手〕 ………………………………… 議員海部俊樹君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められたよって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する 〔拍手〕 ………………………………… 議員八木昇君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められたよって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する 〔拍手〕 この贈呈方は議長において取り計らいます。 ―――――――――――――
○議長(坂田道太君) この際、ただいま表彰を受けられました議員諸君の登壇を求めます。 〔被表彰議員登壇、拍手〕
○議長(坂田道太君) 表彰を受けられました議員諸君を代表して、佐々木義武君から発言を求められております。これを許します。佐々木義武君。
○佐々木義武君 ただいま私ども十四名が本院永年在職議員として御丁重な表彰の決議を賜りましたことは、まことに光栄至極であり、感激にたえません。 顧みますと、私どもが初めて選挙に出たときは池田内閣のときで、安保大騒動の後であり、所得倍増計画、高度成長の時代で、日本の地位も世界的に高まっているときでございました。その後、第一次、第二次石油ショックを日本は無事切り抜けましたが、最近では、経済摩擦等国難が引き続いて、苦難の時代に入っております。 日本は現在、電子関連産業を中心にますます伸びていきつつありますし、今後も伸びなければならぬと思いますが、ひとり電子関連産業のみならず、技術面ではいろいろな変革が起こりつつあります。 例えば、一例をエネルギー問題にとりますと、まず初めに太陽光電池、燃料電池などが起こっております。特に燃料電池は天然ガスが主なので、生じた電気は立地、送電、公害等に大きな変化が起こるでありましょう。また引き続いて、高温岩体発電はただいま日米独で研究しておりますが、最近明るい見通しがついてきております。日本はさらに、より一層完成したものをつくりたいというので、独自の研究を続ける予定です。これが完成いたしますと、恐らく一つのエネルギー変革になることでありましょう。これに引き続いて、高速増殖炉、核融合の時代に入っていくだろうと思います。 ということで、これは一例でございますが、その他バイオテクノロジーとか素材産業とかもどんどん進んでおります。しかし、電子関連産業が日本の中心で伸びていくことは間違いないと思います。 さて、他面、精神面においては、潜在意識の研究がスイスのユング研究所を中心に行われ、無意識社会の広大な分野への研さんが進みつつあるやに聞いております。これこそまさしく精神革命に向かっての歩みと言えるでしょう。したがって、物質面から見ても精神面から見ても、大変な変革の起こりつつある時代と思います。まことに多難な時代を今後は迎えることと存じます。 終わりに、米国の詩人が、青春とは年齢の一定期間を言うのではなく、精神面を言うのである、創造と向上の希望を持ち、困難に立ち向かう勇気を持っている人は、何歳になろうと青春であります、こう言っております。(拍手)私どもも、まさしく青年のつもりで今後も進んでまいる所存でありますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ありがとうございました。(拍手)
○議長(坂田道太君) 本日表彰を受けられました他の議員諸君のあいさつにつきましては、これを会議録に掲載することといたします。 ――――――――――――― 中村重光君のあいさつ このたび、本院議員として在職二十五年に及びましたことに対し、院議をもって永年在職議員の表彰の栄を賜りました。まことに光栄この上もなく、感謝にたえない次第であります。 四半世紀にわたり、引き続いて本院に在職し、今日この栄誉に浴することができましたのは、ひとえに郷土長崎の皆様の深いご理解と変らぬご支援の賜物であり、また、諸先輩同僚議員各位の一方ならぬご厚情、ご鞭撻によるものでありまして、ここに改めて衷心より御礼申し上げます。 顧みますと、私がはじめて本院に議席を得ましたのは、昭和三十五年、安保の年の総選挙によってであります。以来我が国は、高度経済成長期に入り、二度の石油危機を経験して低経済成長期を迎え、今日、内外ともに困難な多くの課題を抱えております。この間、私は、微力ながら我が国が直面した国政上の課題に真剣に取り組んで参りましたが、常に「愛と正義と平和」、「谷間に光を」ということを政治信条として肝に銘じて参りました。これは、幼少の頃からカトリックの信仰に生きてきたことに根ざすものであり、また、あの長崎原爆によって、十数万の尊い命がうばわれ、私も、父と妻、五人の子供や兄弟、あわせて十二人の肉親を一度に失った体験に基づく信念であります。私にとりましては、平和と民主主義を守り、戦争は悪であり、破壊であり、死であるという考え方に立つカトリックの信仰と、原爆の痛烈な体験こそが政治活動の原点であり、戦争のない平和な世界を築き上げることが、私の政治活動の目標であります。 私は、この信念に基づき、多くの同志に支えられて活動して参りましたが、しかし、平和の問題についてみれば、なおる地戦争は跡を絶たず、米ソを中心とする核保有国の軍拡競争による核戦争の脅威は依然として大きく、核廃絶と軍縮による戦争の絶滅には、まだまだ一層の努力が必要であります。また、最近の内外社会経済の大きな変化の中で、弱者を守り、公平な政治を保障することの必要性は、今日の政治情勢において益々大きくなっていると思います。 この二十五年の風雪を顧み、二十一世紀を展望するとき、永年本院に議席を得ている者の一人として、一層の精進と努力を重ね、次の世代のために選択を誤まらないよう最善を尽さなければならないと自戒するものであります。 重ねて皆様のご厚情に感謝申し上げ、御礼の言葉といたします。 ………………………………… 上村千一郎君のあいさつ このたび、永年在職議員として、院議をもって御鄭重な表彰の御決議を賜りました。誠に身に余る光栄であり感謝に堪えません。 二十五年の永きに亘り本院に在職し、本日のこの光栄に浴することができましたことも、ひとえに、諸先輩ならびに同僚議員各位の温かい御指導御鞭撻と、愛する郷土東三河選挙民の皆様の変わらぬ御支援御協力のおかげでありまして、ここに改めて心から厚く御礼を申し上げる次第であります。 私は、明治の末年に、旧伊勢領でありました愛知県渥美半島の先端で生を享け、幕末の先覚者渡辺崋山先生ゆかりの成章校で学び、昭和九年に早稲田の杜で学業を終えました。学問の世界から政治の道に入りましたのが昭和三十五年であります。 私が本院にはじめて議席を得ました昭和三十五年は、例の安保騒動の年で、五月の衆議院での日米新安保条約の承認から六月の批准書交換までを山場に、国内騒然となった年でありました。第二十九回総選挙の行われた十一月には、この騒ぎも次第に鎮静化に向いました。岸内閣が池田内閣に替わり、「寛容と忍耐」「所得倍増計画」が提唱され、国政のテーマが「政治」よりも「経済」に移った時期でもありました。其後、高度経済成長の時代に入り、第一次産業従事者の激減、第二次、第三次産業従事者の増加、人口の都市への集中、所得向上と車や電化製品の普及、余暇の増大などにより、経済社会の基本構造と人々の生活様式が大きく変貌しました。それと同時に、日本の国際的地位も大きく上昇し先進国としての実質を備えはじめました。しかし一方、公害問題、過疎問題、格差問題等色々と歪みも生じて参りました。私共は相協力して経済的、社会的激変を乗り越えて参りました。 わが国も、過去二十五年の間には色々なことがありました。その中で、私にとって終生忘れることの出来ないことは「沖縄返還」であります。恩師大浜信泉先生と共に沖縄返還問題に取り組んだ当時のことが昨日の様に思い出されます。 今日、わが国の内外情勢は極めて多事多難であります。二十一世紀に向けて果すべき政治課題は山積しております。私は微力ではありますが、「真実一路」を座右銘とし、誠実に議員の職責を果すことを専心心がけて参りました。今回の栄誉と感激を深く心に刻み、初心を忘れず一層の精進と努力を傾ける決意であります。 何とぞ変らぬ御支援、御教導を賜ります様、切にお願い申し上げ、謝辞とします。 ………………………………… 細田吉蔵君のあいさつ ただいま、永年在職議員として、院議をもって御丁重な表彰の御決議を賜わりました。まことに身に余る光栄であり、感謝に堪えません。二十五年の長きにわたり、引き続き本院に在職し、本日この栄誉に浴することができましたのは、ひとえに先輩、同僚議員の御指導と御鞭撻、また郷土島根県の皆様の渝らない御理解と御支援の賜物であります。ここに改めて心からの御礼を申上げる次第であります。 顧みますに、私が初めて本院に議席を得させていただきましたのは、昭和三十五年十一月の第二十九回衆議院議員総選挙でありました。昭和三十五年は所謂一九六〇年安保の年でありまして、安保問題の騒然たる状況の終ったあと、池田内閣が誕生じ、「寛容と忍耐」「所得倍増計画」の掛け声の下で選挙が行なわれました。尓来選挙を重ねること九回、連続して当選の栄に浴し、その間本院においては運輸常任委員長、議院運営委員長、安全保障特別委員長を、また内閣においては行政管理庁長官、防衛庁長官、運輸大臣の夫々要職を勤めさせていただきました。この二十五年間、精一杯の誠意と情熱を持って終始し、悔いなぎ政治生活を送らせていただきました。 この二十五年間に、日本は一貫して平和であり、繁栄を続けて、今や世界の人たちがいろんな意味で注目するような経済大国になりました。これは偏えに日本国民の叡智と努力によるところでありますが、われわれ政治家もそれなりの任務を果たして来たことを確信し、いささかの誇りを感ずるところであります。 然し、今や我が国は国際社会の中で、新しい方向を模索しなければならない、極めて困難な時代に直面しています。今後の政治の方向を誤ったならば、これまでの栄光を台無しにし、我が国と国民とを不幸に陥れることになりましょう。 二十一世紀を十数年後に控えて、まさに正念場ともいうべき時を迎えています。この時に当り、私は本日の栄誉と感激を肝に銘じ、心を新たにして国民の負託にこたえ、粉骨砕身の努力を続ける所存であります。 同僚先輩各位と郷土の皆様の渝らない、絶大な御支援と御鞭撻をお願い申上げ、私の御礼のごあいさつといたします。 ………………………………… 金子一平君のあいさつ このたび、院議をもって永年在職議員として表彰のご決議を賜りましたことは、私にとりまして身に余る光栄であり、まことに感謝にたえません。 二十五年の永きにわたり、ひき続いて本院に在職し、今日この栄誉に浴することができましたのは、これひとえに先輩、同僚議員各位のご指導、ご鞭撻と、わけても郷土の皆様方から今日まで賜りました変らぬご支援、ご厚情のお蔭でありまして、ここに心から厚くお礼申し上げます。 私が昭和三十五年の総選挙ではじめて議席をえましたのは、安保騒動の直後でありまして、世上まことに騒然たるものがありました。 しかし池田元首相の所得倍増政策の施策宜しきをえて、日本はいち早く世界ではじめての全国民の中産階級化に成功しました。 その後日韓、日中平和友好条約等の締結により、日本は着々と国際的地歩をかため、この間再度にわたる石油ショックの影響をうけたにも拘らず、国民各位の英知と努力によって、今日わが国は自由世界で第二位の経済成長をとげると共に、世界一の長寿国にまでなりました。顧みてまことに感無量のものがあります。 しかし同時に、今日わが国に課せられた国際的責任はまことに大きなものがあります。自由貿易主義の基盤の上に今日あるをえた日本は、今や世界各国に対し進んで市場開放の実をあげ、世界の繁栄と経済の活性化をはかることが喫緊の急務といわなければなりません。 あと十五年で二十一世紀を迎えます。私たちは今こそ次の世代のために、国民のすぐれた英知と創造力を結集して、物心両面ともに真に豊かで希望にみちた国家社会の基礎をかためなければなりません。 政治家としてのその重責を果すために、私は今回の栄誉と感激を深く肝に銘じ、今後更に一層の精進を重ねたいものとかたく決意しております。 どうかこの上ともの暖く、かつ力強いご指導とご鞭撻を賜りますよう衷心からお願いして、私のお礼のご挨拶といたします。 ………………………………… 藤井勝志君のあいさつ このたび、永年在職議員として、院議をもって御鄭重な表彰の御決議を賜わりましたことは、議会人として誠に身に余る光栄であり、感謝にたえません。 二十五年の長きに亘り本院に在職し、この栄誉に浴しましたのは、ひとえに郷土岡山の皆様の変らない深い御理解と温かい御支援の賜物と、そして諸先輩ならびに同僚議員各位の御指導、御鞭撻によるものと改めて衷心より御礼申し上げる次第であります。 私がそもそも政治を志すことになったのは、昭和二十年十月初旬、復員帰郷を決意した私に対して、東大の恩師矢部貞治先生から「祖国再建の地下水となれ」という励ましの言葉をいただいたのが原点です。 昭和三十五年、初当選させていただいた当時は池田内閣の時代で、いわゆる所得倍増計画などを掲げ本格的な復興への途についた時でした。この日本経済の高度成長期に、私は福田蔵相のもとで大蔵政務次官、椎名通産相のもとで通産政務次官として日本経済発展に微力を尽させていただけたのは、政治家として幸運なスタートであったと思います。 この二十五年間に日本は高度成長から二度のオイルショックを経験し、低成長時代へと大きく変化いたしました。そしてその波をくぐりながらも日本は敗戦のどん底から立ち上がり、戦前では思いも及ばなかった世界の経済大国へと大きく前進したのです。そうした時代の中にあって「国と地方を結ぶかけ橋となる」という私の第一の信条は、郷土の関係者皆様の御鞭撻と御協力によって微力ながらある程度の役割を果たせたのではないかと自負しています。しかしいま一つの目標、政界の浄化刷新は遺憾ながらいまだ道遠しの感があります。 今や世界は未曾有の変革期に際会し、わが国の政治経済社会もまた、日米貿易摩擦や防衛費のGNP一パーセント枠をめぐって大きな試練に直面しております。防衛力は国を守るための手段の一部であって決して全部でないことに思いをいたし、強大な核武装をした米ソ超大国の間に位置する日本は平和憲法の精神に徹し、米ソ両国の対決を防ぐ防波堤になることこそ、日本の安全と世界平和に通ずる大道と信じます。 今、この様な歴史的な大事な局面を迎え、政治家の一人としてその使命の重大さに身の引き締る思いがいたします。政治に志した原点をふまえて祖国日本のため、また瀬戸大橋時代、郷土岡山の発展のため渾身の努力を捧げる決意でございます。 どうぞ今後とも皆様の変らざる御指導、御鞭撻を賜わりますよう心からお願い申し上げまして、御礼の言葉といたします。 ………………………………… 澁谷直藏君のあいさつ このたび、永年勤続議員として、院議をもって表彰のご決議をいただきましたことは、まことに光栄のきわみであり、感謝、感激にたえません。 満二十五年の永きにわたり、引き続き本院に在籍し、本日、身に余る栄誉に浴することができましたのも、ひとえに郷里福島の皆さまの深いご理解と変わらぬご支援、そして先輩諸賢、同僚議員各位のご指導、ご協力のおかげであります。ここに、改めて心から厚くお礼を申し上げます。 顧りみますと、私が本院に初めて議席を得ました昭和三十五年の第二九回総選挙のころは、六〇年安保騒動の余韻が尾を引き、世情いまだ不安定なところがありました。立候補の直前まで、労働行政に携わっていた関係から、労働者の地位向上を図り、安定した労使関係を築いて、日本の発展の基礎にしたいとの信念に燃えていたことをきのうのことのように思い出されます。 以来、わが国は、国民が力を合わせ、高度経済成長を達成しました。ドルショック、オイルショックなどの政治的、経済的危機も国民の英知と勤勉さで乗り切り、いまや世界のトップクラスの繁栄を享受するにいたりました。 私は、まことに微力ながら、本院及び内閣、さらに党におきまして、与えられた任務に対し精一杯の努力を尽くし、国家的命題の解決、前進にいささかなりとも参画できたことを秘かに誇りに思い、喜びとするものであります。 それにつけましても、内外の情勢はきわめて複雑かつ多難であります。わが国は、国際的な経済摩擦問題に直面し、早急な解決に迫られております。世界的には核軍縮の促進が、人類の生き残りをかけた喫緊の課題になっております。 二十一世紀に向けて歩み続けるわが国が、この重要な時期に当たり、政治の選択を誤まることは許されません。この難局に不退転の決意、確乎不抜の信念と勇気をもって立ち向かい、誤りなきを期すのが、いまに生きる政治家の責務と痛感せざるを得ません。政治家が政治生命を賭して先頭に立って初めて、賢明な国民の総力を結集でき、道も必ずや開けるものと確信しております。 私自身、このたびの栄誉と感激を胸にしっかりと刻み込み、自らに課せられた責務を果たすため最大限の勇気をもってまい進したいと、決意を新たにした次第です。 どうぞ、こんごとも皆さまの厳しくも温かいご指導、ご鞭撻を心からお願い申し上げ、謹んでお礼のごあいさつといたします。 ………………………………… 小沢辰男君のあいさつ このたび、永年勤続議員として、院議をもって丁重な表彰の御決議を賜わりましたことは、私にとりまして、身に余る光栄であり、感謝にたえません。 二十五年間の永きにわたり本院に在職し、きょうこの栄誉に浴することができましたのも、ひとえに、諸先輩、同僚議員各位の暖かい御指導、御鞭撻、わが郷土新潟の皆様方の計り知れない御支援、御協力のたまものであります。心から御礼を申しあげます。 私が、国政に参画する決意を固め、本院にはじめて議席を得ましたのは、昭和三十五年十一月の総選挙であります。〝所得倍増〟〝寛容と忍耐〟を掲げて池田内閣が発足し、我が国は、戦後の混乱期を脱して、高度成長に向けて大きく羽ばたこうとしている時でありました。 その後、四分の一世紀、私は議会人として微力を国政につくし、今日まで、国民生活の安定と向上、郷土新潟の発展のために邁進してまいりました。この間、我が国は驚異的な経済成長をとげて、国民生活も非常に豊かになり、日本の国際的地位は飛躍的に向上しました。 しかし現在、我が国をとりまく内外の情勢は誠に厳しいものがあります。国際社会において果すべき役割は、否応なく拡大しつづけています。一方では、必らずやって来る高齢化社会への適確な対応、物より心の豊かな平和な社会環境の確立など、来るべき二十一世紀を、明るく、展望のあるものにするために、私たちが克服すべき課題は山積しています。政治には、一瞬の停滞も許されません。二十一世紀への橋渡しを国民の皆様から託された私達の責任は、重大であります。 今こそ、私は、今回の栄誉と感激を深く胸に刻み、初心に立ち返って新たな出発をしたいと、決意を固めております。我が身に課せられた責務の重さを日々思いおこしながら、粉骨砕身、全力を尽すことこそが、皆様方の御負託に報いる唯一の道であると確信いたしております。 郷土新潟の皆様の一層の御支援、御協力、先輩、同僚各位の御指導、御鞭撻をお願いして、私の御挨拶といたします。 ………………………………… 田澤吉郎君のあいさつ このたび、院議をもって永年勤続議員として表彰のご決議を賜わりましたことは、議会人としてこの上ない光栄であり、まことに感謝にたえません。 昭和三十五年に、はじめて本院に議席を得まして以来、連続当選九回、二十五年の永きにわたって在職し、今回の栄誉に浴することができましたのは、ひとえに先輩諸賢、同僚議員各位のご教導、ご鞭撻の賜ものであり、わけても、郷土青森の有権者の皆さまの変ることなきご理解とご支援のお力によるものであります。いま、私の胸中は、ただただ感謝の念でいっぱいであります。 顧みますと、私が初当選した当時は、池田内閣成立の直後であり、六〇年安保闘争の後をうけて、「所得倍増」から「高度経済成長」へのスタートを切ったときでありました。それからの二十五年間、わが国は、世界の驚異といわれる経済成長を遂げ、いまや、世界第二位の経済大国といわれるまでになり、まさに国家、民族の一大興隆期でありました。このときに当って、諸先輩の驥尾に付して国政の場に参画し、前後三回にわたって議院運営委員長をつとめさせていただくなど、いささかなりとも微力を尽くし得た私は、まことに倖せものと申すべく、人生の冥利に尽きるものと感激にたえないところであります。 この四半世紀といえども、わが国にとって幾多の試練がありました。ドルショックやオイルショックなどによって国民生活に大きな不安が生じた危機も、国民の皆さまの賢明な対処と努力の結集によって、これを切り抜けることができました。しかし、最近の貿易摩擦に見られるように、わが国の国際的責任の遂行に対する要請はいよいよ強まっております。一方、高齢化社会への対応や行財政改革、教育改革など、内政面の課題もまた山積しております。わが国は、いままた一大変革期の試練に直面していると申さなければなりません。浅学菲才の身ではありますが、国民の皆さまとともに、全力を振りしぼって難局打開に粉骨砕身する覚悟であります。 私は、国民の皆さまと共に歩むことを政治信条とし、終始一貫「汗を惜しまぬ政治」「心のふれ合う政治」をモットーとして参りました。この初心を忘れず、今日の栄誉をいただいた感激を銘記し、今後、一層の努力を尽くすことをお誓い申し上げ、先輩同僚各位並びに郷土の皆さまの一層のご指導、ご鞭撻をお願い申し上げて、謝辞といたします。 ………………………………… 田川誠一君のあいさつ このたび表彰を議決していただき、ありがとうございました。 私は在職期間の長いことが必ずしも、良いとは考えておりません。短い期間でも立派な仕事を成し遂げた先輩もおられます。本当の評価は、長さや地位よりも議員として、なにをしたか、ということの方が大切であると思っています。その意味から、私の二十五年にわたる議員生活を振り返ってみますと内心、忸怩たるものがあります。 初当選から十数年間は、恩師松村謙三先生の指導のもとに日中国交正常化の実現に政治生命をかけ、きびしい環境の中で、努力してきました。ために国会での地方行政や社会労働、科学技術などの担当委員会で、果たして十分に自分の職責を全うできたかどうか、心もとない気がしています。 ただ現在の日中両国の友好関係をみますと私たちの努力が多少とも役に立ったのではないかと、ほのかな自負を抱いています。 私は、これまで国会の内外で、自分の考えや思っていることを率直に表明し、かつ行動してきました。とくに政治の倫理を確立し、政治に対する国民の信頼を回復するために、仮借なき批判や見解を披瀝してきました。ある時は脅迫や中傷にさらされ、あるときは孤立の状態に置かれたこともありましたが、自分の主張を貫き通して行動できたことは政治家冥利に尽きることだと思っています。これもひとえに、党派を超えて声援して下さった先輩、同僚の議員の皆さんと、全国から寄せられた激励、神奈川県の選挙区の強固な支持などのお蔭であると感謝しています。 内外の情勢は、なかなかきびしい時であります。私は永年勤続の表彰に報いるためにも、今後、全力を尽くして国政に精進していく決心です。ほんとうにありがとうございました。 ………………………………… 亀岡高夫君のあいさつ 私がこのほど、衆議院議員在職二十五年に及びましたことに対し、院議をもって表彰の決議を賜りました。議会人として身にあまる光栄であり、感謝にたえないところであります。 これは一重に、郷土福島第一区の皆様の今日までの変わらざるご声援と、さらに先輩、同僚議員各位のご厚情、ご鞭撻の賜であります。ここに心から厚くお礼申し上げます。 私が本院に初めて議席を得ましたのは、昭和三十五年秋であります。議会人として「権力、全力、暴力」に左右されず、「故郷の発展なくして国の繁栄はない」との信条をもってその任務の達成に全力を尽くして参りました。 その間、日韓条約の締結、沖縄の祖国復帰、日中平和条約の締結、さらには食管法の改正、電々公社の民営化等の実現など、忘れ得ぬ思い出も数多くあり、感無量なものがあります。 顧みますればこの二十五年間、外交面では北方領土問題だけが継続中ではありますが、全般に戦後処理の時代でありました。一方、高度成長期の波にのって、もちろんそこには勤勉にして賢明な国民の努力がありましたが、我が国は明治以来の念願であった「西洋に追い付き、追い越せ」を実現、豊かな国づくりの揺るぎない基盤を築きあげました。そうした意味でこの四分の一世紀は歴史に残る躍動の二十五年だったと思います。 さらに今後の二十五年を展望した場合、私は二十一世紀へ向けての基盤づくりも兼ねて、「新しい挑戦の時代」「創造の時代」であるべきだと思います。 わが国は二十一世紀初頭には、四―五人にひとりが六十五歳以上という高齢化社会を迎えます。老・壮・青三世代の調和のとれた生活、社会環境の整備、豊かな老後保障体制の確立、老人の生き甲斐に通じる職場の確保、さらには、高度情報社会を体しての調和のとれた列島改造の推進――勇断をもって政治がチャレンジすべき課題は多々あります。 また、日米摩擦に集約される貿易摩擦は国際社会での平和的共存を目差す上でも、好ましいものではありません。日本の産業構造を精密機器など知識産業型へ徐々に変えていくのもひとつの方法だと思います。そして、そのターゲットはバイオサイエンスであり、IC産業の本格的育成だと思います。さらに、宇宙工学、海洋産業と新分野への転進施策が大事だと思います。 いずれにせよ、今回の表彰をひと区切りとして、さらに国政のために全力を尽くす覚悟であり、これまで通りの変らぬご指導、ご鞭撻を心からお願いいたします。 ………………………………… 宇野宗佑君のおいさつ 本日、院議をもって永年勤続議員としての表彰を賜りましたことは、議会人としてこれに過ぐる名誉はなく、謹んで先輩同僚議員諸賢に感謝申し上げる次第であります。 またこの間、変らざる御支援を頂戴いたしました滋賀県の皆様方に対しまして心より御礼を申し上げます。 私が始めて国会の議席を得ましたのは昭和三十五年の秋でありました。当時、所得倍増計画は漸くその緒に就き、我が国の経済路線は大きく発展しようと致しておりました。それだけに私達と致しましても、国家の将来に輝かしき曙光を見出しつつ、全力を挙げて議会活動に取組んだ時代であります。 特に私は、当選時におきまして、与野党を通じ第六番目の若年者でありました。それだけに青年議員として何を為すべきかにすべてをかけた事を今も誇と致しております。現にこんにち世界的評価の高い青年海外協力隊も、その当時与党の青年部の責任者であった私達が構想を練ったものでありました。いよいよ国際化する日本のため、青年に海外雄飛の門戸を開き、善隣友好の実を挙げしめる――これが青年隊設立にかけた私達の悲願でありましたが、始めて予算が計上され、首相の所信表明の中でその条がうたわれました時、私は思わず本院議席の最前列において滂沱たる涙に双頬を濡らした事を想出します。 所得倍増計画は順調に進みました。しかしその後、我が国はドルショック・石油ショック等々幾多の困難な時代を迎えましたが、それも見事に克服し、世界百六十九ケ国中、国民総生産第二位としての地位を築くに至りました。同時に貿易摩擦解消という重大な局面に立たされていることも事実であります。 当然、本院におきましてもそうした矜恃と責任の下、幾多の重要法案が審議されて参りましたが、内外の要請に応えるためには凡そ時代の進展に相応しい発想の転換と新政策の創設を怠ってはならないと思います。 私は若き頃「時代は青年を考験し、青年は時代を創建する」という言葉をおのが信条と致しました。これは不朽の金言であり、今後も若き世代に伝えねばならない哲理だと思います。ためには今後も更に自らを厳しく陶冶し、国家国民のため良き議会人として努力致したいと存じます。重ねて本日の表彰決議に対し、謹んで厚く御礼申し上げます。 ………………………………… 海部俊樹君のあいさつ ただいま永年勤続議員として、院議をもって表彰の御決議を賜りました。誠に身に余る光栄であり、感激いたしております。 私が二十五年の長きに渉り引き続き本院議員として在職し、昭和世代初めての栄誉に浴し得ましたのは、ひとえに郷土愛知三区の皆様の変らぬ御理解と御支援、先輩、同僚議員各位の御指導と御交誼の賜物であり、ここに改めて心より御礼申し上げる次第であります。 思えば第二十九回総選挙で初当選、本院に議席を得ました昭和三十五年は、ようやく国際社会に復帰した日本が、貿易の自由化を決定し、日米安保条約の改定をし、国民所得倍増計画がスタートし、国際収支は黒字基調となり、高度成長時代の幕明けの時でした。 自由と民主主義の尊さをかみしめ乍ら、「国家の安全と国民生活の向上をはかる」ことを旗印に、初心を忘れることなく、国政のため精一杯の努力を続ける毎日を重ねると共に、郷土の繊維産業をはじめとする中小商工業や、濃尾平野に展開される農業の発展をひたすらに願い、社会資本の充実による住みよい郷土づくりに取り組んで来ました。 欧米先進諸国に追いつけ、のスローガンと各界の皆さんの御努力で、日本は豊かな国になりました。ひたすらに豊かさを求める時代は過ぎ去りました。今日、心ある人々は、物で栄えて心で滅びるな、と警鐘を打たれます。行政改革、財政再建、教育改革、更に来たるべき長寿社会に備える医療、年金、福祉の改革も必要です。私もこの諸改革を大切に考えています。 本年は内閣制度百年。天皇陛下御在位六十年。戦後四十年。自由民主党立党三十年。それぞれ意義深い節目の年であります。 私も提案者の一人として情熱を注いで取り組み、今日内外の高い評価をうけている日本青年海外協力隊も、創設二十年の記念式典を挙行しました。 今日までの幸運とも言える国際秩序の中で活力を発揮し成長して来たわが国には、二十一世紀に向って、国際社会に貢献すべき役割と責任が求められ、新らしい試練が待ちかまえております。この試練をのりこえ、国民皆様の要望に応えてゆくことが議会政治の責任であります。 このたびの栄誉と感激を心に刻み、日本の議会政治の健全な発展のため微力の限りを尽すことをもって私の生涯のつとめと心得、一層の努力研鑽を重ねるべく決意を新たにしています。 郷土の皆様、先輩同僚各位の変らない御指導を改めてお願いして、私の感謝の御挨拶といたします。 ………………………………… 八木昇君のあいさつ このたび、院議をもって、永年在職議員として表彰のご決議をいただきましたことは、私にとってこのうえない光栄であり、感謝にたえません。 私としましては、衆議院議員在職通算二十五年に及ぼうとは、思い及ばなかったことであり、永年に亘る郷土佐賀県の皆さんのご支援と、先輩、同僚議員のご指導とご鞭撻に対し、厚く御礼申し上げます。 私は、これまでに、衆参両院の選挙に十四回立候補し、うち衆議院選挙で二回、参議院地方区選挙で三回、合計五回の落選をしましただけに、この度の受彰は、ことのほか感慨深いものでございます。 顧みますれば、大戦に際し、フィリピンの戦場で文字通り九死に一生を得、私がモンテンルパの収容所から母国に帰国してから、早や三十九年が過ぎました。 私が帰国後、いち早く大衆運動や政治運動に積極的に参加したのは、戦争の惨烈さ、全体主義、国家主義の怖さを身に泌みて痛感したからであります。 爾来、一貫して、私は、非同盟中立、非武装の日本をめざし、また、民主主義の徹底と国民生活優先の政治確立のため、国会の内外を通じ、懸命に努力して参りました。とはいえ、私個人の力は微力であり、私の果した役割などは、物の数ではありません。 翻って、近時の内外情勢を見るとき、私は憂慮に堪えません。 米ソ両超大国を中心とする核軍拡競争と国際緊張の激化。わが国に於ける再度の軍国化傾向と民主主義の抑圧。 忌憚なく申して、終戦四十周年の記念すべきこの年、お互いは党派を超えて熟慮し、今こそ国政の方向を誤ってはならない重大な時だと考えるものであります。 最後に、私は本日を期して、今後も終生初心を忘れず、反戦平和と民主主義擁護のため、身を挺する覚悟を新たにしている次第であります。意を尽くしませんが、これをもって、ご挨拶とさせていただきます。 ――――◇――――― 議員請暇の件
○議長(坂田道太君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。 奥田幹生君から、海外旅行のため、十月十八日から三十一日まで十四日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。 ――――◇――――― 国務大臣の演説に対する質疑
○議長(坂田道太君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。田邊誠君。 〔田邊誠君登壇〕
○田邊誠君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、我が国が当面をする重点的政治課題について、中曽根総理に質問を行います。 質問に先立ち、過日の日本航空の事故により亡くなられた方々とその遺族の皆様に哀悼の誠をささげ、負傷された方々に心からお見舞い申し上げると同時に、このような事故の絶滅を期すよう政府に強く求めるものであります。(拍手) 私がまず質問いたしたいのは、我が国のいわゆる防衛、安全保障にかかわる施策についてであります。 総理の積極的なリードによって、先月、総額十八兆四千億に上る中期防衛力整備計画が政府方針として本決まりとなり、これによって、三木内閣以来の政府公約である防衛費の対GNP一%枠が破られることは必至となりました。この一%枠は、いわゆる専守防衛の原則、非核三原則と並んで、政府みずから、我が国が軍事大国にならないための最低限度の歯どめとしてきたものであります。それをなぜ今になって、中曽根内閣の手で投げ捨てなければならないのか、最初に国民に向かって明確な説明を求めます。(拍手) 私は、統計で示されるコンマ幾つかの数字のことだけを問うのではありません。目先の数字は、簡単な技術的操作でごまかされるかもしれない。だが総理、あなたが本年一月の日米首脳会談で、レーガン大統領に日本の防衛力増強を約束して以来、一%枠の撤廃に躍起となり、慎重論の閣僚を抑えて事実上その主張を貫いた経緯は、白日にさらされています。小手先の細工で、いつまでも国民の目を欺くことは断じてできません。 しかも総理、あなたが国民の福祉より何より重いとされる「防衛計画の大綱」とそれに基づく新防衛力整備計画は、一%枠の歯どめだけでなく、専守防衛の原則をも大きく踏み外す内容となっています。整備される兵器、兵力の機能は、総理が唱えてきた三海峡封鎖、シーレーン防衛などの作戦目的に沿うものであり、従来の専守防衛から、日米安保条約の範囲すら超える広域防衛戦略への転換を裏づけているのであります。 総理、西欧諸国に比べても二倍以上の伸び率という猛スピードで軍備拡張を急ぎ、F15、P3Cから大型潜水艦を含む最新兵器の整備に狂奔するのは何のためですか。核戦略の今日、いかに増強しても独自では無力なことは承知の上で、総理は、自衛隊を米太平洋軍の作戦支援に充てよう、その補完部隊に仕立て上げようとしているのではありませんか。自衛隊の規模と機能と作戦範囲が拡大すればするほど米国の負担が軽くなることを見込んで、レーガン大統領はあなたへの要請を重ねています。それに迎合を続ける限り、自衛隊はますます自国のための自衛力ではなくて他国のための戦力となり、我が国の運命は、米ソ対立の成り行きに完全にゆだねられてしまいます。これがいわゆる集団防衛の帰結でありますが、総理は既にそこに大きく踏み込んでいるのではありませんか、はっきりとした所見を伺いたいと思います。(拍手) 総理は、前回の訪米で、レーガン大統領の戦略防衛構想、SDIに対し、西側諸国に先んじて理解の意を表明されましたが、この十月の訪米では、積極的な支持または参加に進むのではないかとの観測があります。SDIについては、既に米国議会の権威ある機関が、それによって核戦争を回避するのは不可能という判断を公にしていますが、総理は、それにもかかわらず、あくまでもレーガン構想に追従し、地球人類の存亡にもかかわる宇宙戦争の道を開くために、我が国のME技術等を提供、協力しようとお考えか、この点も明確にしていただきたいのであります。 総理、三海峡封鎖、日本列島不沈空母化、そして一%枠問題に至るあなたの一連の言動は、戦争放棄、戦力不保持を明記した平和憲法の精神に全く逆行するばかりでなく、曲がりなりにも憲法の制約を意識して、軍事を経済に優先させないという姿勢を保ってきた歴代自民党内閣の施策、いわば保守本流の政策路線からも大きく逸脱しています。現に、一%枠突破をうかがうあなたの強引な態度に対して、三木さん、福田さん、鈴木さんといった自民党の総理経験者が、一斉に深い危惧の声を上げられたはずであります。 私は、ごく最近、新聞雑誌等を通じて次のような発言を知る機会がありました。「日本は軍事力はさほどでないが、経済力は大きい。軍事力に精力を使わなければ、そこにおのずから余力ができる。その余力で世界の貧しい国々のために奉仕する。そうした立場で日本の政治を運営しなければならない。もう再びあの暗い戦前の道を歩んではならない。」これはごく最近、福田元総理が自民党員を前にして講演されたときの結びの言葉だと言われていますが、これが真実の政治哲学であるとすれば、私は福田さんの発言に同感の意を表したい。(拍手)総理は、国を憂うるこれら先輩の声をいかにお聞きか、率直な所見を伺いたいのであります。 確かに、日本の経済力を飢餓や貧困に苦しむ発展途上国への援助に役立てることは、軍拡のために浪費するよりもはるかに国際関係の安全に役立ち、平和と安全のための好ましい環境をつくり出すことになります。ところが、現在のODA援助は、GNP比〇・七%という国際目標の半分足らずにすぎず、しかも、その内容は、政治的選別の色彩が強い戦略援助の性格を帯びています。質量ともに途上国に対する援助の大幅な充実強化を断行し、当面の国際的責務を果たすべきだと考えますが、いかがでしょうか。(拍手) さらに加えて言えば、今日の日本は、大きな経済力に伴う大きな影響力と発言力を持っています。いつまでも我が国と世界人類の運命を米ソ両国の応酬にゆだねることなく、その間に割って入って、対話と共存の機運を育てる積極的なイニシアチブを発揮すべきではないでしょうか。もちろん、そのためには、まず我が国自身が平和中立の外交姿勢に徹し、軍縮の大道で率先する必要があります。その決断さえあれば、平和憲法のもとで、非核三原則を掲げ、軍備優先を退けてきた日本として、実証済みのメリットを世界に訴え、軍縮、核廃絶の時代をリードすることができるのです。受け身でずるずるとレーガン戦略に追随し、世界戦争の破局に引き込まれていくのか、それとも、日本の自主的行動で平和共存の新しい時代をつくり出すのか、総理、いずれが日本の国際的責任に忠実な道でしょうか、所見を伺っておきたいと思います。(拍手) 再び繰り返してはならない戦前の暗い道を、中曽根政治は臆面もなくなぞろうとしているのではないか。そう考えざるを得ないのは、例えば、前国会で国家秘密法が強引に提出されたことに深刻な驚きと不安を感ずるからであります。本来、平和憲法のもと、開かれた民主主義の日本において、死刑を含む重罰で対処しなければならないような国家秘密が存在するはずはなく、存在させてはならないのであります。もしも国家権力がその必要を感ずるとすれば、それは、戦争準備を想定した場合にほかならないことを、戦前の苦い教訓が示しています。また、平常時でも、このような法律を権力が一たび手中にすれば、国民一般の知る権利は圧殺され、言論、報道、研究交流の自由も奪われることは明らかです。国家秘密法案の即時撤回の決断を中曽根自民党総裁に求めたいのであります。明確な答弁をいただきたい。(拍手) 総理の所信表明演説であえて言及されていなかったけれども、中曽根内閣は、憲法に背いて靖国神社への公式参拝を強行したという点でも、歴代内閣が守ってきた最低限の規範を踏み破っています。かしわ手を打つとか打たないとか、玉ぐし料を供花料と言いかえるとか、いかに小細工を用いても、靖国神社という宗教法人に国を代表する閣僚が公式に参拝することは、これまで政府みずからが認め、国会に対し政府統一見解として示してきたように、その違憲性は明らかであります。(拍手)それによって、国民の信仰の自由が奪われ、信仰を持たない自由も否定されるではありませんか。だからこそ従来、政治にはかかわらなかったような広範な宗教団体までが決起して、靖国公式参拝に抗議しているのであります。 そればかりではない。靖国神社には、幾百万、幾千万国民の生命財産を戦争の業火に投げ込んだ張本人、東条英機以下の戦争犯罪人も合祀されているのです。閣僚の公式参拝は、戦争の悲惨な被害者と憎むべき加害者との間にけじめをつけない、独特の価値基準を国家の名において国民一般に押しつけることを意味します。だが、国民の多くは、一片の令状によって肉親、同胞を戦争に駆り立て、その命を奪った旧支配層の前に、再びどんなことがあってもぬかずこうとは思っていません。総理、あなたはそれを強要するのですか。それがあなたの言う新国家主義ですか。戦争犠牲者に対する国家、国民の慰霊は、フランスのそれのように、本当に犠牲になった方々だけを対象として、宗教とは関係なしに行うべきでありますが、総理はいかにお考えか、靖国神社への公式参拝を取りやめる意思はないか、伺いたいと思うのであります。(拍手) 次に、私は、我が国の財政経済の運用について質問をいたします。 今日の日本経済は、対外貿易摩擦への対応を迫られ、膨大な財政赤字克服の方途を問われ、さらに、輸出主導から内需主導型成長への転換を求められております。いずれも密接に関連し合うこれらの課題が、我が国経済の当面の展望を左右するかぎとなっていることについては、総理にも御異論はなかろうと存じます。 そこで、これに関する政府の対策を見ますと、貿易摩擦に対しては市場開放政策と円高誘導策がとられ、財政赤字には緊縮予算と行財政改革の推進、内需拡大については住宅投資や民間設備投資の促進などが考えられていると言われるのであります。だが私は、そうした政府の対策はいずれも一面的で、公正を欠き、効果の面から見ても必ずしも抜本的対策とはなり得ないと見ております。 貿易摩擦については、特にアメリカ筋から、日本だけが加害者であるかのような非難が寄せられていますが、これにひるんだり、受け身の姿勢に終始する必要はないではありませんか。日米間の貿易摩擦は、貯蓄と投資の不均衡といった構造的要因を背景にしていると同時に、アメリカ政府の経済運営のあり方にも大きな問題があります。今日、アメリカは、債権国から債務国に転じ、世界経済の安定を損ない、国内経済の見通しをみずから混迷させているではありませんか。その中で、アメリカ経済における資金不足のかなりの部分を日本からの資金で支え、均衡を保たせているという事情もあり、そうした面を配慮せずに日本だけの責任を問うのは、的外れと言うべきであります。市場開放についても、OECDの機関が指摘したように、日本の開放の度合いは、他の先進諸国に比べて決して引けをとっていません。 政府は、この際、米政府に対して、ドルの高金利を抑え、また、政府支出の圧縮、とりわけ軍事費削減等の努力を強めるよう、堂々と物を言うべきであります。とりわけ、軍拡から軍縮への転換が、経済の面でもその安定と成長を助ける決定的要因となることは、既に国連報告を初め、世界の識者の常識であります。重大な米ソ首脳会談に先立って訪米されるのなら、総理は今こそ、レーガン大統領に直言し、歴史的転換の実現をリードするよう求むべきでありますが、いかがですか。(拍手) そうした根本の努力をなおざりにして、現在以上の一方的な、しかも、急激な市場開放と円高誘導策に走るならば、我が国経済と国民生活は、深刻な打撃を避けられないことになります。現に、農林畜産業、輸出関連中小企業を初め、石油、電力部門等を除くほとんどの産業分野で、国民は円高デフレがあらわれるのではないかと戦々恐々、局面を見詰めております。総理は、いかなる対策、保障の措置をお考えですか、具体的にお聞かせいただきたい。 財政赤字克服のために、政府はかねて、昭和六十五年度までに赤字国債を解消するという公約を掲げてこられました。総理もこの公約を堅持してこられたはずでありますが、現時点で、公約達成に向け、いかなる見通し、計画を立てておられるか、国民に向かって報告を願いたいと思います。この際、総理の腹づもりがあれば率直にお伺いしたいと存ずるのであります。(拍手) 我が党は、財政再建と行政効率化の必要性を認め、積極的に協力したいと考えていますが、ただしそれは、公正に行われ、民主的に進められることが前提でなければなりません。ところが、中曽根内閣による行政改革の推進は、福祉や教育、医療といった国民生活の中核部門の抑圧に熱心なばかりで、国民経済上の最大の浪費ともいうべき防衛費削減には手をつけず、それどころか、防衛費は聖域扱いとして、年々急速に膨張させているのであります。これでは、中曽根行革は、国民生活を犠牲にした軍拡のための行革だと言っても決して過言ではありません。(拍手) 軍事優先、国民生活抑圧の中曽根行革の悪影響は、ここ数年来の国の予算に最も集中的、具体的にあらわれてきました。防衛費の四年連続特別増額の扱いに反比例して、国民生活関連予算は軒並み切り縮められてきたのであります。来年度予算についても、政府は既に、経常部門マイナス一〇%、投資部門マイナス五%の歳出削減方針を明らかにしていますが、総理、国民の我慢にも限度があります。 例えば、老人保健医療制度の改定によって、外来一カ月四百円の本人負担を千円に引き上げると言われますが、その実施によって、体のぐあいがおかしいと思っても、家族に気兼ねして病院への足を鈍らせるお年寄りがどれだけふえることか、総理は親身に考えをめぐらされたことがありますか。また、中小企業は戦後最高の倒産を記録しているというのに、その対策費は逆に年々削減され、F15戦闘機のわずか十三機分しか手当てされないと言われますが、総理、そんなことであなたの言う内需拡大の効果が本当に期待できるとお考えですか。来年度予算編成は、各省庁に指示した概算要求基準をこの際、抜本的に練り直し、国民生活安定、内需の積極的拡大の見地から組み直すべきであると思いますが、総理のお考えはいかがでしょうか、所見のほどをお伺いしたい。 これまで総理が口にされた内需拡大の方策は、主な柱をいわゆる民間活力の導入に求める、便宜主義的なものしか見当たりません。減税をやると総理はおっしゃったが、その裏には、直間比率の見直しを口実とした大型間接税の導入の意図が潜んでおり、結果として内需拡大の効果は期待できないと思われます。 そもそも間接税は、低所得者ほど税金の負担率が高くなる逆累進性が特徴であり、直接税との比率を現在以上に高めることは、それだけ弱い者いじめの税制改革となるざるを得ません。総理は、直間比率についてどうお考えか、大型間接税導入の意図は本当におありかどうか、率直なお答えをいただきたいと思います。また、財政赤字克服のためにどうしても税収をふやしたいとおっしゃるなら、大型間接税のような大衆増税ではなく、ここ数年、異常な高収益を上げている大企業の内部留保に目をつけ、応分の負担を求めるのが筋ではありませんか。総理、いかがですか。 今断行すべき内需拡大の第一の方策は、まず国民の可処分所得増大策を徹底することであり、そのため、人事院勧告の完全実施による公務員賃金の引き上げ、思い切った所得税減税、各種公共料金の凍結をてことすべきであります。総理にその観点からの決意がおありか、これもあわせてお伺いしておきます。(拍手) 内需拡大の第二の課題は、住宅、学校、下水道、そのほか国民の生活環境整備の施策を積極的に強めることであります。 政府の公共投資もその立場で進めるべきであり、民間活力のためと称して、国公有地の払い下げを考えたり、大型プロジェクト中心の公共投資だけに偏るのは、本末転倒と言わなければなりません。住宅建設にしても、幅広い住宅困窮者のニーズを満たすには、まず公営住宅の整備を優先すべきで、国公有地もそのためにこそ活用すべきでありましょう。また、総理はこの際、国民の切実なニーズにこたえて、社会生活環境整備のためのミニマムを定め、中長期の計画を立てて推進する決意をお示しになりませんか。いかがでしょうか。(拍手) 内需拡大の見地から重視すべき第三の課題は、地域経済振興の施策であります。 これまでの輸出主導型成長の過程で、経済の地域間格差は目に余るほど拡大しています。テクノポリス構想等の拠点主義だけでなく、広く日本列島の全域にわたる産業配置、施設配置のレイアウトを考え、各地域の緑の環境と文化の保全に意を用いながら、しかも、資本と労働力の偏在を是正する政策構想力が今問われているのであります。政府がもしもこのような構想を探求したいと言われるなら、我が党は、積極的な参加、協力を惜しみません。 その際、人と文化と経済の地域間交流を活発化するために、全国ネットワークの交通システムの確立が絶対に必要であります。とりわけ、国鉄の果たす役割は重要であります。総理は、批判的な国鉄幹部の首をすげかえてまで、しゃにむに国鉄の分割・民営化を強行しようとされているが、目先の採算主義にとらわれたこのような国鉄解体策は、国家百年の大計から見れば取り返しのつかない禍根となるのではありませんか。国鉄の累積債務は、国の責任も大きいだけに、その処理については、政府と国鉄の役割分担を明確にして、再建の責任を分かち合うべきであります。いずれにせよ、この大問題を総理の恣意で独断するのではなく、各地域の関係者を含めた十分な協議を積み重ねて、将来のあり方をめぐる国民合意の形成に努めることが何より大事であると考えますが、総理にその意思はおありか、お尋ねをいたします。(拍手) 最後に、総理、この臨時国会には、最高裁判所の判決に基づいて本院定数の是正を行うべき課題がかかっています。自民党のいわゆる六・六案は、既に我が国の政治風土に定着した中選挙区制を崩し、一党独裁のための小選挙区制に道を開く二人区案を含んでいると同時に、今月実施された国勢調査結果ともそぐわないものがあります。このような不合理かつ時宜を逸した提案は取りやめ、改めて与野党一致の定数是正に努むべきでありますが、この際、自民党総裁としてのあなたの所見を伺いたい。また、違憲の現状が持続する限り当然、総理の解散権は制約されるとする定説をどうお考えか、念のため、この点も所見を伺っておきたいのであります。(拍手) 最後に、一言申し述べておきたい。 「戦後政治の総決算」を唱えられてきた中曽根総理は、不覊奔放、憲法の規定も野党の批判も、与党内長老の戒めさえも無視した、暴走に次ぐ暴走の政治を進めております。だが、その前途に何があるのか。既に、一衣帯水の中国は日本軍事大国化の危険について警戒の声を上げ、我が国民もまた深刻な先行き不安から、大きな政治不信に陥っているではありませんか。私ども現代に生きる政治家に最も要求されるものは、二十一世紀に生き続ける次の世代の国民が、平和と民主主義を享受し、安定した暮らしを営むことが可能な礎を築くことにあります。そのためにも、対話の世界への扉を閉ざし、独断の政治への扉をこじあけようとしている中曽根政治に、終止符を打つべきであることを国民とともに強く求めて、私の質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 田邊議員の広範、綿密な御質問に対しましてお答えを申し上げます。 まず中期防衛力整備計画と一%の問題でございますが、我々は、平和憲法のもとに、専守防衛の理念を堅持して他国に脅威を与えるような軍事大国にならず、文民統制を確保し、総合的安全保障のもとに、節度あり、かつ有効な防衛力の整備を図るというこの方針は、歴代内閣堅持してきている大方針でありまして、我が党も今日、これを堅持しておるのでございます。 今までのいわゆる五六中業と言われるものは、防衛庁の予算要求のための内部資料にすぎなかったのでございますが、防衛の問題につきまして、防衛庁の内部資料というようなもので予算が要求されるということは文民統制の趣旨に反する、そのように考えまして、今回は、それからさらにこれを正式に政府決定にいたしました。国防会議を経、閣議の決定を経まして、そして、国会にこれを報告するというように前進させまして、文民統制をさらに全うするという方策を講じたのであります。(拍手) そして、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」に示されました実質成長率四%等を前提にして仮に試算すれば、全期間の中におきましては、GNPの累積額の一%を若干上回るという可能性もございます。しかし、このGNP一%に関する三木内閣の閣議決定は、御存じのように、次のような文章になっております。「当面、各年度の防衛関係経費の額が」、「当面、各年度」と、こう言っているわけでありまして、毎年度の予算要求のときの心構えとしてこれは指示されていると考えるわけでございます。 それで、あの当時の防衛に関する決定は、「防衛計画の大綱」水準の達成を、これを目的とする、これが中心でございます。そして、これを達成するための運用上の歯どめとして一%というものが、一週間後にこれが追加された、こういう経緯でございまして、やはり防衛というものは、中身が大事であり、計画自体、大綱自体というものが中心であるということは否定できないのであります。しかし、できるだけ防衛費は少ない方がいいし、あるいは他の経費との調和を保つ必要があるから、一%というめどが設定されて、それを守ってきたというのが今までの経緯でございます。我々といたしましては、他の諸施策との調和を図りながら、毎年度の予算要求に対しまして、この精神、この趣旨を尊重しつつ、今後も努力してまいりたい、このように考えるものでございます。 大体、GNP自体が非常に不確実でございます。また、予算がどういうふうに変動するかということも、将来のことで不確実でございます。したがいまして、今日の時点におきまして、このGNPとの対比がどうなるかということは、やはり不確実であると申し上げざるを得ないのでございます。 また、我が国の防衛は、みずから自分の国を守るというそのかたい決意のもとに、日米安保体制のもとに、必要な範囲で、最小限の必要な範囲内において効率ある防衛力を整備する、そういう方針でございまして、やはり日本防衛が中心であります。こういうことを特に御認識願いたいと思うのでございます。(拍手)アメリカの防衛力に対する補完的なものであるということは、全くそういう認識はございません。 次に、SDIに関する問題でございますが、アメリカのSDI研究を理解するという立場には変化はございません。この問題につきましては、非常に慎重に対処しておるところであり、現在検討中でございます。 次に、防衛力整備の考え方でございますが、先ほど来申し上げましたように、総合的な安全保障政策を推進することを基本として、日米安保条約を堅持する、そして、自衛のため必要な限度において質の高い防衛力の整備を図る、そういう考えに立って、平和憲法を守り、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならない、非核三原則や文民統制を堅持する、こういう方針は不動でありますので、どうぞそのように御理解願いたいと思うのでございます。 防衛に関しまして、党内でもいろいろ御議論があると言われましたが、それは政党でございますから、いろいろな御議論がありますが、保守本流も保守主流もないのであります、あるのは自由民主党があるのみである、このように申し上げたいのであります。(拍手) ODAにつきましては、政府開発援助、これは我が国の重要な国際責任の一端である。したがって、相互依存と人道的考慮を基本として、開発途上国の経済社会開発に対する自助的努力を支援する、こういう考えに立ちまして、今後ともODAの拡充に努力してまいります。今回、六十一年を初年度とする七カ年の計画で、四百億ドル以上を目標とすることを決定いたしましたが、これは非常に国際社会において高い評価を受けておるところでございます。今後、これらの質的内容の充実にも努めてまいるつもりでおります。一次に、東西関係における我が国の役割の問題でございます。 この点につきましては、社会党と若干立場が異なりまして、我々は非同盟中立政策をとっておりません。やはり現在の国際関係は、遺憾ながら均衡と抑止によって平和が維持されておる。その現実の前に立ちまして、平和を維持していくためには、やはりある程度の均衡と抑止が必要であり、自由主義陣営の一員として、我々は、このような観点に立った平和の確保を努力してまいりたいと思っておるところでございます。(拍手)しかし、東西間の対話、緊張緩和は非常に重要であり、両方の防衛力というものをレベルダウンをして、できるだけ軍事力あるいは軍事費を減らして、その費用を発展途上国の方に向けていくということは、もとより同感でありまして、我々もその線に向かって努力してまいりたいと思っておるところでございます。 次に、秘密保護法の問題でございます。 日本は、スパイ天国とよく言われまして、日本の国家機密保持の状況は、実は寒心にたえない面もございます。しかし、これらの法律化につきましては、やはり自由や人権や知る権利等の立場もありまして、極めて慎重を要するところであります。自由民主党におきまして長年にわたって準備、検討した案が、今提出されておるわけでございますが、広く国民諸君の御意見あるいは野党の御意見等も承りまして、慎重にこれを成立させるように努力してまいりたいと考えておるところでございます。(拍手) 靖国神社の問題でございますが、これは国民や御遺族の多くの要望にこたえたものであり、国家のため戦争の犠牲になった戦没者の追悼を行い、あわせて、我が国と世界の平和への決意を新たにする目的で、今回これを行ったものでございます。(拍手)憲法との関係につきましては十分考慮いたしまして、宗教色を排除した形で行ったものでございます。八月十五日に官房長官の談話を発表いたしましたが、これは現在も存在しているものでございます。我々は、戦没者の追悼ということを申し上げているのでありまして、これは戦争で倒れた犠牲者を追悼している、こういう意味であるということを御理解願いたいと思うのでございます。今後の問題につきましては、その機会のたびごとに、これを慎重に検討してまいりたいと考えております。 次に、日米首脳会談における貿易問題への対処でございますが、御指摘のように、我々はアメリカに対しましても、アメリカの高金利、高い利子、あるいは高いドル、あるいは輸出努力、こういう問題については、いつもアメリカ側に対して善処を要求してきたところでございます。一方において、我々自体も努力をしなければならないというので、アクションプログラム以下の努力をしており、今回も内需拡大の政策を発表したところでございます。今後も日米首脳会談におきましては、双方が努力し合って、そして、繁栄と安定に向けて同じように協力していくようにしてまいりたいと思っておるところでございます。 市場開放、円高誘導と国内産業の問題につきましては、この御指摘は我々も同感の点がございます。円高の定着を図りつつ、内需拡大をさらに努力をして、そうして対外不均衡の是正に取り組むと同時に、為替の変動が国内産業に及ぼす影響についても十分注意をしつつ、適切な処置をしていきたいと思っております。この点は、私は前からも言明しておるところであり、今回の内需振興の政策もその一環であると御認識願いたいと思うのでございます。 六十五年度赤字国債脱却、この方針は我々はあくまで堅持してまいるつもりでございます。しかし、この達成はなかなか容易なものではございません。経済の弾力的な運営、予算編成における慎重なる配慮等々を通じまして、最終的には国民の選択というものも考えながら、決めていきたいと考えておるところでございます。 行財政改革につきましては、臨調答申あるいは臨時行政改革推進審議会の答申を尊重いたしまして、徹底的に努力していくつもりでございます。高齢化社会の進展あるいは社会経済の変化に対応して、今後とも各種施策を安定的に維持する、世代間の公平を失わないようにする、こういう配慮も必要でありまして、合理化、効率化に今努力しておる点でございます。老人や心身障害者に対する福祉政策の充実にも、細かく努力していくつもりでございます。防衛予算につきましては、他の施策との調和を図りながら、必要ぎりぎりの経費を計上している、このように御理解願いたいと思うのでございます。 また、人生八十年時代に備えまして、これにふさわしい老人保健制度を確立して、長期安定を確保する、そういう観点からも、幅広い老人保健制度の見直しを行わんとしているのでございます。老人医療の一部負担につきましても、この見直しの一環として、先ほど申し上げた世代間の公平、あるいは健康に対する自覚と適正な受診、あるいは制度の長期的、安定的持続、こういう点から、今御指摘になったようなことも検討の対象としておるところなのでございます。御理解をいただきたいと思います。 中小企業対策につきましては、総枠は少しばかり圧縮されてきておりますが、内容的には、財源の重点配分を行うことにより、中小企業の近代化、構造改善等のためのきめ細かい配慮をしております。基盤技術の強化であるとか、あるいは、さきには承継税制の改革等も行ったところでございます。今後とも中小企業をめぐる環境の変化に対応して、従来同様、充実、重点化に努めるつもりでおります。 次に、概算要求基準の見直しの問題でございますが、これは臨調答申の線に沿いまして財政改革を推進している建前から、また現在の国家財政の状況からして、まことにやむを得ざる事態であり、措置なのでございます。この基準の範囲内におきまして、要求内容の合理化、重点化を各省庁ともやっていただきたいと思っております。これを撤回する考えはございません。 次に、直間比率の問題でございますが、税制の見直しにつきましては、税制調査会に対して、公平、公正、簡素、選択並びに活力という理念に立脚した望ましい税制のあり方について諮問をいたしました。直間比率とかあるいは間接税の問題というのも、この税調の中におきまする広範な検討対象の一つに入ることはあり得ると思っております。しかし、最終的におきましては、この税制調査会の答申を見まして、政府としては慎重に対処したいと考えておる次第でございます。 大企業の負担の問題でございますが、日本の法人税というものは、外国と比べますと、やや高目な水準にあることは否定できません。今回、レーガン大統領の税制改革を見ましても、所得税や法人税の思い切った減税をやっておりますが、我々もこれを大いに参考にしたいと思っておるわけでございます。法人税の負担のあり方等も含め、税制の抜本的見直しについて、税制調査会の答申をお待ちいたしたいと思っております。 所得税につきましては、前から申し上げておるとおり、重税感あるいはひずみというものがもう長い間ございます。したがいまして、できるだけ所得税の減税も行いたいと念願しておるわけであります。特に子持ちのサラリーマンの皆様、特に住宅ローンや教育の費用で負担のかかっておる層、二百万から八百万円程度の所得の方々については考えなければならぬと私は心得ております。現在、税制調査会におきましていろいろ検討していただいておるわけでございます。 公共料金につきましては、物価の安定を確保しつつ、内需拡大の努力をしていく等、一方におきましては徹底した経営の合理化を図りまして、これを抑制していくという努力を続けてまいりたいと思います。 生活環境の整備につきましては、社会資本の整備等についてさらに努力してまいりたいと思います。御指摘の住宅や下水道等につきましても、あるいはこれらの関連公共事業につきましても、長期計画に基づきまして計画的な推進を図ってまいりたいと思います。今回の内需振興の中におきましても、地方単独事業を拡充することによって下水道等の社会資本の充実を期しておる次第なのでございます。 地域経済の振興の問題につきましては、第四次全国総合開発計画を今検討を進めておりまして、国土の均衡ある発展を図る観点から、国土基盤の整備、工業の分散、農林漁業の振興、そのほか多面的な各地域地域に応ずる地域振興政策を検討しております。花と文化の政策については、私も同感でありまして、自民党もかねてからこれを訴え、推進しているところでございます。 国鉄の改革につきましては、御指摘のように、やはり我が国の交通ネットワークの中で適切な役割を果たしていくようにやらなければならぬと思います。それと同時に、効率のよさ、サービスのよさという点も、国民がひとしく求めておるところでもございます。したがいまして、再建監理委員会の答申を尊重いたしまして先般、閣議で対処方針を決定したところであり、国民の皆様の御支持、あるいはさらに国鉄職員の皆様方の御理解と御支持を得たいと思っております。 次に、国鉄につきましては、御指摘のとおり一面において、長期債務の問題と雇用問題が大問題でございます。雇用問題につきましては、政府を挙げてこれが解決に努力するという意味におきまして、その対策本部も設置をし、また、長期債務の問題につきましても、慎重に検討をして、新しい鉄道体系が過重負担を持たずに独立採算制がとれるような工夫を、今懸命に努力しておるところでございます。 次に、定数是正の問題でございますが、自民党から提案されておる案が継続審議になっております。野党の皆様方の御提案も継続審議になっております。自民党といたしましては、これは今の緊急的な事態に備えまして、ある意味におきましては、緊急避難的措置であるとも考えざるを得ないのであります。最高裁によって違憲状態とされているこの事態を一日も早く解消しなければ、立法府としての責任を果たすことができない、こういう考えに立ちまして、野党の皆様方の御協力もいただいて、全力を振るって立法府としての責任を果たしたい、このように考えております。なお、現内閣は、小選挙区制を導入することは考えておりません。 さらに、六十年の国勢調査の結果につきましては、いずれ公式な結果が出ましたときには、やはり野党の皆さんと相談いたしまして、それらの新しい事態に対する対策を講じなければならない、このように考えております。 解散権の問題につきましては、最高裁判決によりまして現行の定数配分規定が違憲とされている以上、国会も政府も最大限の努力を払って、早急な法改正が実現されなければならぬと思っております。定数是正前の衆議院解散権の行使につきましては、前から申し上げているとおり本来、解散権は、憲法が国政の重大な局面において民意を問う手段として内閣に付与した基本的に重要な機能でございます。憲法上、解散権の行使を制約する規定はございません。なお、解散権の行使とこれに伴う総選挙の施行とは、それぞれ別の規定に従って行われる別個のものである。こういう理由によりまして、法律的には制約はされません。 最後に、政治姿勢でございますが、私はあくまで謙虚に、まじめに国民の皆様方の声に耳を傾けまして、公約を果たすために全力を尽くすつもりでありますので、よろしくお願いをいたします。(拍手) ―――――――――――――
○議長(坂田道太君) 小渕恵三君。 〔小渕恵三君登壇〕
○小渕恵三君 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表して、中曽根総理の所信表明に対し、当面の重要課題について質問を行います。 質問に先立ち、去る八月十二日、空前の犠牲者を出した日航機墜落事故によって、とうとい生命を亡くされた方々の御冥福をお祈りし、御遺族の方々に対し、心からの哀悼の意を表するものであります。また、負傷された方々の一日も早い回復を祈念いたします。 この事故に際し、猛暑の中、我が身の危険を顧みず、連日にわたり捜索、救助の任に当たられた自衛隊、警察、地元消防団その他各位の御労苦に対し、深く敬意と感謝の意を表せずにはおられません。とりわけ、墜落事故現場の群馬県上野村及び藤岡市等の方々の献身的な御協力は、真に日本人としての一体感、また心の温かさを物語るものであり、強い感銘を覚えた次第であります。去る十日、秋空のもとで上野村で村民運動会が催されましたが、テレビで放映された村民の方々の姿に接し、悲劇の場となった村にも、ようやく静かな山村がよみがえってきたことを知って、ほっとした思いがいたしました。 総理、我々は今後、二度とこのような惨事を引き起こしてはならないのでございます。政府は、事故原因の徹底的な調査研究はもとより、航空機の安全確保についてどのような対策を考えておられるか、明確にお示しをいただきたいのであります。 次に、政治姿勢についてお伺いいたします。 まず、中曽根内閣のキャッチフレーズである「戦後政治の総決算」についてお尋ねいたします。 このたびの所信表明では、この表看板が消えております。いかがなりましたのでありましょうか。一方、最近、宮澤先生の「戦後政治の継承」という主張も拝見いたしております。あわせて、総理の御見解を改めてお伺いいたしたいのであります。 総理御就任以来三年、今日各種の世論調査は、中曽根内閣に対し極めて高い支持率を示しております。まさに人気絶頂の感がいたすのであります。総理御自身、このことに関しどのような御感想をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。 総理は、「一栄一落是春秋」という菅原道真の漢詩を引用され、世論調査の結果に必ずしも一喜一憂するものでないと申されておるとの由、まさにそのとおりであると存じます。時には、百万人といえども我行かんという気概を持って進まなければならないのも、リーダーの宿命でありましょう。しかしながら、国民の理解と協力を得て民主政治が成り立っている以上、また世論調査の結果を重視せねばならないのも当然であります。今日の高い支持率は、中曽根総理のきょうまでの実績、わかりやすい政治手法への評価等によるものと存じますが、同時に、我が党の堅実な政治が国民に深く理解された結果ではないかと思うのであります。(拍手)決意を新たにして、国民の期待にこたえていかなければならないと思います。 ここで、特にお示しいたしたい最近の調査の結果があります。それは、総評傘下の鉄鋼労連における意識調査の結果であります。それによりますと、組合員の皆さんの支持政党の第一位が何と、我が自由民主党であるということであります。とかく、経営者は自民党、労働者は他党との固定観念のある中で、働く人々も自由民主党に対し、このような最高の支持を示しておることを示す数字であると思います。(拍手)まさに我が党が、国民政党としての面目を示しておると言っても過言ではありません。総理、心を新たにして、善良な働く皆さんのための政策をなお一層遂行する決意を、ここに改めてお示しをいただきたいのであります。 政治姿勢に関連して、靖国神社への公式参拝について承りたいと思います。 本年八月十五日、中曽根総理は、戦後初めて、内閣総理大臣の資格で靖国神社を公式に参拝されました。この参拝は、長期にわたり多くの国民、とりわけ、戦没者の御遺族、我が党が常に希望し、期待し続けてきたところであります。この素朴な国民感情を重んずることこそ、政治の原点と言えましょう。この意味からして、私は、このたびの総理の御英断に対し、深甚なる敬意を表するものであります。(拍手) この機会に、一言触れておきたいのでありますが、過般、私は、総理に随行して欧州各国を公式訪問した折、訪問国のそれぞれにおいて英霊の墓地に参拝いたしました。伝えられるところによりますと、去る九月、訪ソされた石橋委員長を団長とする社会党代表団も、第二次大戦の戦没者の眠るピスカリョフ記念墓地を訪れ、花輪を供えられたとのことであります。当然のことだと思います。にもかかわらず、なぜ我が同胞の眠る靖国神社への公式参拝に異論を唱え、恥ずべき行為とまで極論されるのか、まことに理解に苦しむのであります。 もとより、他国に誤解があれば理解を求め、いたずらに刺激することを避けることは当然のことながら、その批判のみにこたえてちゅうちょ逡巡することはいかがでありましょうか。総理、国政多忙の身であることはわかりますが、この際、昨年も参られました例大祭に参拝され、公式参拝のけじめを一層明確にしていただきたいと存じますが、いかがでしょうか。(拍手) 次に、外交、防衛についてお尋ねいたします。 当面の外交問題の焦点は、日米問題であります。米国側より見れば、貿易収支が五百億ドルにもなんなんとする大赤字、また防衛費分担における日本側の努力不足、またフリーライダー論など不満のあることは理解するものの、米国議会の一部に見られるようなヒステリックな反応は、真に遺憾とするところであります。四十数年前、日米開戦という高価な代償を払って多大な教訓を得た日米両国は、必ずやこの危機を乗り切れるものと信じておりますが、両国ともさらに冷静な理解と行動を必要とすることも当然であります。我が政府も、アクションプログラムの前倒しや関税の引き下げ等、努力を積み重ねてきたことは認めますが、さらに加えて、いかなる対策をお持ちか、御返答いただきたいのであります。 先般来、石橋代表団、塚本代表団、そして今、我が党の二階堂ミッションが訪米し、我が国の立場の理解を求めておりますが、政府としての安倍外務大臣の懸命の対米工作を高く評価するとともに、外交は政府の専権事項と限らず、議員外交と相まって進められることを希望いたします。(拍手)この際、議員外交に対する評価につきましてもお伺いしておきたいと思います。 なお、日米経済摩擦の要因が、米国側の高金利、ドル高に起因していることにかんがみ、その解消のためにとられた一連の努力に対しては、高く評価するところであります。ドル高は限界に達しており、まさに触れなば落ちんがごとき状況であったことでありましょうが、この時期に急遽、G5の主役としてドル高是正のために対処された竹下大蔵大臣の決断と絶妙のタイミングには、率直に敬意を表しておきたいと思います。(拍手)しかし、急速な円高傾向は、国内輸出関連産業等にもかなりの打撃を及ぼすと予測されます。その対策についてもお伺いしておきたいと存じます。 いずれにしても、両国の絶えざる対話が望まれることであり、今回の総理の訪米、国連への出席を通じ、なお一層の対話を積み重ねられることを希望いたすとともに、いかなる対応をいたすか、お伺いいたしたいと存じます。 外交問題のもう一つの重要な課題は、戦後処理として残されている日ソ平和条約の問題であります。 先般来、中曽根総理とソ連のゴルバチョフ書記長との間に親書の交換が行われたと報道されております。我が党は、日本と隣国ソ連との間に善隣友好の関係を増進されることは、アジア・太平洋地域のみならず、世界にとっても、平和維持のため極めて望ましいことと考え、こうした動きを心から歓迎するものであります。 しかし、北方領土問題は依然として、日ソ間の最大の問題であります。私は、現在、その北方領土がソ連の軍事基地として増強されており、我が国の、特に北方地域の人々の安寧を脅かすものとなっていることを重視いたしております。ゴルバチョフ書記長が提案してきたアジア総合安保構想が、北方領土についての現状凍結を意味するものであるならば、我々は到底これを受け入れるわけにはいきませんが、総理のお考えをお聞かせ願いたいのであります。(拍手) 次は、我が国の防衛問題についてであります。 私は、これまでの国会論議が、ともすればGNP一%枠をめぐる数字の議論に傾き、肝心な防衛の意義、中身についての議論がないがしろにされてきたではないかと反省しております。私は、過日、西独のウェルナー国防相と会談した際、一%問題について御説明申し上げたが、御理解いただくことが極めて困難であったように感じました。すなわち、国際常識から見れば、防衛計画は基本的には、国際的な力関係に基づいて作成されるべきものであり、これを抜きにして、不確定なGNPを基準に防衛予算が一%を超えるかどうかの議論に血道を上げることは、普遍的には理解しにくいのであります。 事はさらに、防衛費の中身であります。一口に防衛費と言いますが、そのうち、約二分の一が人件費、食糧費、約四分の一が施設対策費、残るわずか四分の一程度が正面装備として使われているにすぎません。このような内容で、果たして国の平和と安全、国民の生命財産を守り得るものなのかどうかということが問題なのであります。(拍手)我々は、それをこそ議論しなければならないのであります。 かかる意味において、先般、政府が昭和六十一年度以降、五カ年にわたる中期防衛力整備計画を決定し、中期的な防衛力整備の内容と経費を明らかにしたことは、高く評価すべきものと考えます。中曽根総理、我々は、初めにGNPありきという防衛論争を脱却すべきときに来ているのではありませんか、御所見をお聞かせください。 なお総理は、一%問題については今回、自民党の決定に従い政治決着を図られましたが、今なお、それが最善の帰着てあると考えておられるか、お伺いいたしておきたいと思います。されど真理は我にありと信じておられるのではありませんか。 次に、重要な内政問題の幾つかについてお尋ねいたしておきたいと思います。 まず、行革に関し、電電、専売の民営化の実は着々と上げられております。しかし、正念場はこの国鉄改革にあります。中曽根行革の成否は、まさに国鉄問題であります、 しかし、その改革内容は、二十二兆円余の膨大な長期債務返済のための財源の確保、九万三千人の余剰人員の整理等、困難な問題ばかりであります。特に余剰人員対策は、最大の難事でありましょう。我が国においては、外国に見るごときレイオフや解雇など、いわゆる生首を切るようなドラスチックな方法をとることは許されません。過去にも諸外国にも見ることのできない偉大なる実験に取り組まなければならないのであります。勇断と高度なテクニックを必要とする難事業であります。改めて総理の御決意と、具体的お取り組み方についてお聞かせ願いたいのであります。 次に、教育改革についてであります。 総理は、所信表明の中でいじめの問題を取り上げられました。昔もいじめはありました。しかしそれは、子供同士のけんかの一種であって、やがては仲直りもしたし、今日のように陰湿で、計画的かつ集団的ではなかったと思います。ましてや一国の総理が、所信表明の中にこうした問題を取り上げるなどということは、考えもしなかったことだと思います。それだけ、今日のいじめは深刻な社会問題となっていると言えます。この問題を解決するためには、家庭や地域の努力や協力も大切でありますが、学校で起こっているという現実を考えますとき、学校や教師にも大きな責任があると言わざるを得ません。単に知識を教えるだけでなく、子供たちの迷いや心の問題をつかみ、導ける先生であり、学校であってほしいと思うのであります。(拍手) 総理は、いじめについてどういう認識をお持ちか、お伺いいたしたいと思います。また、いじめをなくすためにどんな対応を考えておられるかを、お聞かせ願いたいのであります。 次に、税制改革についてお尋ねいたします。 財政改革はつまるところ、税制改革に帰着するのではないでしょうか。シャウプ勧告に基づいて我が国の税制が確立されて以来、既に三十五年、国際化や高齢化社会の到来などによって我が国の経済社会は大きく変化しており、税制についてもさまざまなゆがみやひずみが生ずるに至っております。かかる観点から総理は、先般、税制調査会に大勢の斬新な人材、いわゆる暴れ馬を新たに任命し、この点に関し大胆な答申を行うよう諮問されました。私もその成果を強く期待するものであります。 自民党においては、いわゆる村山調査会が、本年三月以来の検討を踏まえ、このたび「税制改革に向けて」と題する中間報告を発表し、税制全般にわたる詳細な現状と問題点の分析を行いました。この村山調査会の中間報告について、総理は、分析論ではあるが、政治論でないと述べられたと伝えられておりますが、もしそうであるとすれば、村山調査会の答申を分析論としてはいかに評価するか、お伺いしておきたいのであります。また、一昨日の所信表明においては、減税を先行されるお考えのようにお見受けいたしましたが、その真意をお聞かせ願いたいと思います。そして、もしそうであれば、一体裏づけ財源やいかにとお尋ねいたしたいのでございます。 なお、政府税調の答申は来年十一月と聞いております。そうなれば、答申に基づく税制改正は、早くとも六十二年度からとならざるを得ません。ところで、中曽根総裁の任期は六十一年の十月であります。さすれば、この税制改正を含めた三大改革を自分の手で実現されるためには、何としてでも三選して、公約を果たしていかなければならないのではありませんか。もしそうでなければ、抜本的税制改正は次の内閣に譲るが至当ではありませんか、お尋ねをいたしたいのであります。 次に、内需拡大についてお尋ねいたします。 米国を初めとするこれまでにない経済摩擦を解消するためにも、もちろん国民経済、国民生活の健全な発展のためにも、内需拡大政策の推進が現下の急務であります。私は特に、豊かになったと言われる我が国において、住宅を初め社会資本が欧米に比べ、いまだ見劣りしている現実は、早急に解決すべきだと存じます。道路をとってみても、日本列島を横断する高速道路は、さきに全面開通を見た関越道一本だけであり、これは、自由世界第二位の経済力を持つ日本としては、余りにも寂しい限りではないかと思うのであります。 自民党は、九月十日、藤尾政調会長を座長とするプロジェクトチームを発足させて鋭意検討を行い、十月三日、社会資本整備の推進を中心とする内需拡大のための政策課題重点項目を決定いたしました。そして、政府も昨日、総額三兆円に上る内需拡大策を決定されましたが、その実効が期待されるところであります。総理の主張される民間活力の導入を刺激し、促進する意味からも、財政投融資等の積極的発動を検討されますよう、お願いいたしたいのであります。 今日、高齢化社会や国際化時代の到来の中で、私は、科学技術、各種ソフトウエアの開発、さらに文化のための投資を増強していくべきだと考えます。こうした新しい内需の発掘とその振興こそ、我が国の未来の有効需要を構成する重要な要因と考えるのでありますが、総理の御所見はいかがでありましょうか。 次に、衆議院議員の定数是正についてお尋ねいたします。 選挙制度は議会制民主主義の基本であり、とりわけ選挙区制、定数配分の問題は、国権の最高機関たる院の構成に関する最重要事項であり、民主政治の根幹にかかわる問題であります。衆議院議員の定数配分に大きな不均衡を生じていることは、ひいては、衆議院の国民代表としての側面に陰りを生ずることになりかねず、その不均衡を放置しておくことは許されません。 我が自由民主党においては、定数是正について数年来、広い角度から真剣な論議を重ねてきたところであり、特に責任政党としての立場から、早急に定数是正を実現することが必要であると認識し、さきの国会において六増・六減の改正案を提出いたしましたが、その成立を見ないまま閉会を迎え、国民から厳しく批判されているところであります。 さらに最高裁において、現行の定数配分規定が憲法の選挙権の平等の要求に反し、違憲であるとの判決が下されました。この判決は、議会制民主主義の我が国にとって、極めて異例、異常な状態と言わなければなりません。政府はもとより、国会を構成する各党、各議員は、この判決を厳粛に受けとめ、直ちに定数是正を実現する責任を負わされたものと考えます。定数是正こそ、今国会最大の課題たるゆえんはここにあります。総理は、さきの最高裁判決をどう受けとめ、また定数是正の進め方についていかなるお考えをお持ちか、改めてその所信をお伺いするものであります。 なお念のため、国会の解散につきまして、定数是正なくして解散なしと理解しておいてよろしいでしょうか。すなわち、定数是正前の憲法第七条による解散権の行使はあり得ないと思うが、そのように考えておいてよろしいか、お答えをいただきたいと思います。 以上、当面する諸問題について総理にお伺いしてまいりましたが、最後に一言申し上げます。 本年、我が自民党は、立党三十周年を迎えるに当たり、新綱領に名誉ある国際国家をうたうと聞いております。私は、この夏七月、本院より派遣され、スリランカ、モルジブ両国を訪問してまいりました。そこにも我が国の海外協力隊の青年たちが、厳しい環境の中で、現地の人々と起居をともにしながら、それぞれの国の開発のために汗を流している姿に感動させられたのであります。とかく今の若い者はと批判ある一方、今日、なお世界のために献身している多くの青年のおることに誇りを覚えたのであります。時あたかも、青年海外協力隊創立満二十周年のことしであります。内閣総理大臣より彼らに一言御激励をいただきたいのであります。(拍手) 国徳国家という言葉があります。耳なれぬ言葉でありますが、経済界の長老、松下幸之助氏の言葉と聞いております。人間に人徳のあるように、国にも国徳、国の徳がなければならないという意味と思います。なるほど、我が国は経済大国になりました。しかし、世界じゅうより真の信頼と尊敬を必ずしもから得ているとは思いません。今こそ我が国は、名誉ある国際国徳国家を目指していかなければなりません。中曽根総理の力強いリーダーシップを御期待申し上げて、私の質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 小渕議員の大変鋭い、図星をついた御質問に対しましてお答えを申し上げます。 まず、日航機墜落事故についてでございますが、まことに遺憾なる事態でございまして、謹んで哀悼の意を表し、傷を負われた皆様方の御回復を祈る次第でございます。政府といたしましては、安全対策につきまして今後、万全の施策を講じたいと思っております。 なおその際に、自衛隊や消防団や地元の市町村あるいは各種団体、特にボランティアの方々が大変奉仕をしていただきまして、涙ぐましい御努力に対しまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。(拍手) 政府といたしましては、航空事故調査委員会を設定いたしまして、原因の究明、それから、各航空会社に対しまして直ちにボーイング747型の一斉点検を指示するとともに、日本航空の整備業務の改善を勧告したところでございます。今後とも、事故原因の究明を徹底的に行いまして、さらに安全運航に万全を期してまいりたいと思っております。 次に、「戦後政治の総決算」になぜ触れないかという御質問でございますが、もう何回もこの議場で申し上げているので皆さんも御了知のことである、そう思って、臨時国会でもございますから、所信表明を短くしたという次第でございます。しかし、よりよきものを、これを継承していく、欠陥は改革していく、これがやはり政治家の正しい姿勢ではないかと思うのでございます。 日本は戦後、新憲法を制定いたしまして、民主主義、平和主義、基本的人権の尊重あるいは国際協調、こういう面において著しい前進をいたしました。なおまた、富の平均化、中央と地方の格差の是正、教育の普及等々、世界でまれに見るぐらいな大きな成果を上げたことは、やはり戦後政治の大きな成果であり、我々の誇るべきものであると考え、これらはまさに継承していくべきであると考えております。しかし、その経過の中には、欠陥もまた露呈してきております。例えば、行政の肥大であるとか、教育における先般のいじめの問題のごときは、その一つの例でございます、したがいまして、二十一世紀を控えまして、二十一世紀に向かって正しい政治の軌道を設定するということは、今日の政治家の責任でございます。 我々は、そのような考えに立ちまして、常に現状を見直しながら、正しい建設的な改革者になることが必要であると考えておるのであります。先輩の遺産に安住して現状維持を毎日の仕事としているというようなことでは、政治は前進していきません。我々は、あくまで自由民主党は、いわゆる革新的な保守として、建設的な改革者として前進を続けていくものなのでございます。(拍手) 支持率について御質問をいただきましたが、私のような不敏な者が総理大臣に任命されまして、なすところもないのに支持率もいただきまして、ただまことにありがたいと思うのみでございます。ますます国民の皆様の御期待に沿うように、戦々恐々として身を慎み、公約を実行して御恩におこたえしなければならないと思っております。なおしかし、このことは実は、自由民主党の党員の皆様、議員の皆様方の強固な団結のしからしむるところでございまして、党員の皆様方にも心から感謝申し上げる次第でございます。(拍手) 労働者のための施策でございますが、日本経済が今日のように発展した背景には、労働者の皆様方の偉大な貢献があることは周知の事実でございます。今、外国から日本に、日本の労使関係の調査に来る方が相当多くなっております。また、日本企業を海外に誘致している向きも、そこにおける労使関係を勉強してそれを広めたいという趣旨で、日本企業を誘致している向きも非常に多いのでございます。我々は、このような日本の労働者を誇りに思うものでございます。しかし、このような労使関係も、労使双方の長い間の努力の積み重ねの結果、これができたのでございまして、我々は、この成果を尊重してまいらなければならないし、今後とも、税の問題あるいは労働者の労働時間の問題あるいは福祉政策の問題、さまざまな問題について、労働者の御期待におこたえしなければならないと考えております。 靖国神社の問題につきましては、これは既に、八月十五日の官房長官声明で、我々の趣旨を申し上げたとおりでございまして、この声明は存続しておると申し上げたとおりでございます。我々は、過去の戦争におきまして戦没された戦争の犠牲者を追悼する、それが念頭にあるということを申し上げて、それで戦没者という言葉を使っておるのでございます。例大祭に出席するかどうかという問題は、目下検討中でございます。 日米関係の問題でございますが、我々は、これはあくまで相互的な問題であって、日本とアメリカは、ともに努力しなければならない問題であると思っております。我々も市場を開放するために、アクションプログラムを懸命に、誠実に実行してまいります。あるいはまた、ODAの拡充につきましても、中期目標を設定いたしました。また先月、先進五カ国蔵相会議が開かれまして、為替レートの適正化のための適切な協力を得ることができました。この協力をさらに前進せしめまして、為替レートの安定持続に今後も努力してまいるつもりであります。なおまた、経済の拡大均衡を通じて摩擦解消を図る必要もございます。昨日、内需拡大に関する対策を決定したところでございます。今後、これらの措置を着実に前進させてまいります。 なおまた、中期的な見通しといたしまして、日本の今の輸出に非常に重点が入っておりまする産業構造というものを適切に見直して、バランスのとれた産業構造にしていくということ、あるいは、日本が適切な在外正貨あるいは外貨を保有する、そして、外国から非難されないような適切な外貨保有量にとどめるという問題も、国際的に生きていく上からも大事な問題でございます。そういう意味におきまして、国際経済に調和させる日本の社会経済の構造のあり方、あるいは国際的な金融通貨の安定維持、そのための協調政策等につきまして、中期的な検討をしていただく研究会をつくらしていただきまして、この研究報告をいただきまして、施策に大いに重用してまいりたいと考えておるところでございます。 次に、議員外交の問題でございますが、議員外交は非常に大きな成果を上げていると思います。さきに石橋委員長が訪ソされました。竹入委員長が訪中されました。塚本委員長が訪米をされました。それぞれ大きな成果をもたらしたものと敬意を表する次第でございます。現在、二階堂副総裁が訪米中でございますが、アメリカの政府及び議会筋と懸命な、精力的な会談を続けておりまして、日本側の言い分も十分申していただき、先方の意見も聞き、十分意思疎通を図っており、さらに、地方にも参りまして地方の知事等とも会いまして、我々の趣旨を先方によく説明していただいて、成果を上げておるところでございます。このように我々は、議員外交を高く評価いたしまして、今後とも活発に御努力願いたいと思う次第でございます。 次に、円高に伴う輸出関連産業への対策でございます。 現在の円高の進展は、大きな流れとしては望ましいものであります。ただ、円高の進展によりまして、一部の業界等への影響が出てくることも考えられます。円相場の動向、その影響については十分注意をし、特に中小企業、関連産業等の動向については十分注意をして、政策を用意してまいりたいと思う次第でございます。 日米首脳会談の問題やございますが、まず第一に、米ソ首脳会談を控えての東西問題、特に軍縮、核軍縮等の問題が話し合いの中心になると思います。さらに、経済摩擦の問題、あるいは通貨の安定の問題、あるいは私の方からしますれば東京サミットに関する意見拝聴、そういうようなさまざまな問題がございまして、成果を上げてくるように努力してまいりたいと思います。 次に、アジア安保構想と北方領土問題でございますが、この点については、小渕議員と全く同感でございます。ソ連がいわゆる欧州安保構想と同様に、アジアにおける国境の現状固定化をねらっているものであるとするならば、北方領土問題を抱える我が国としては、これは受け入れられません。しかし、善隣友好あるいは対話の強化、懸案の解決、そういうことで我々と対談、対話を強化するというのならば、我々は、大いに歓迎し、積極的に取り組んでまいりたいと思うものでございます。我が国は既に、日米安保条約を基軸とする安保政策に立脚して対処しておるのでございまして、このことは先般、ゴルバチョフ書記長あての私の親書の中で、明らかに示しているところでございます。 次に、防衛問題でございますが、数字ばかりでなく、防衛の意義や中身が大事だという御指摘でございますが、これはまことに傾聴に値する御発言であると評価するものでございます。(拍手)やはり防衛で一番大事なことは、一体それで守れるのかどうか、相手がどういうふうに動いているかどうか、大丈夫か、むだはないか、そういうようなことがまず第一に防衛の中心であると思います。したがって、戦略とか計画が非常に重要であります。 しかし、また一面において、防衛には国民の支持が必要であり、あるいは他の諸経費とのバランスも政治的には必要でございます。したがいまして、国民の支持、それから防衛に関する有効な実力、それから他の経費とのバランスやあるいは防衛経費をできるだけ節減する、そういうことを中心にいたしまして、予算編成のたびごとに適切に調和させていくのが政府の責任である。一%はそれなりに、いわゆる歯どめとしての役割を果たしてきたことを私も評価しておるものであり、この閣議決定の趣旨を尊重するよう努力するということも、申し上げているとおりなのでございます。 国鉄改革への取り組みの問題でございますが、去る十月十一日閣議決定を行ったところでございます。国鉄改革につきましては、余剰人員の問題と長期債務の問題が最も大きな、大事な問題でございます。余剰人員問題については、政府に対策本部を設けまして、政府全体としての責任として誠実に取り組んでまいります。長期債務の問題につきましても、財政当局ともいろいろ相談をいたしまして、的確なやり方を今調査研究しているところでございます。 いじめの問題でございますが、新聞を読みますと、関係者のお母さんがお亡くなりになったという記事を読みまして、非常に胸が痛む思いがしたのでございます。小中学校を通じまして、あるいは高校にもございますが、このいじめが生徒の健全な人格形成に影響を及ぼす深刻な問題であると考えております。しかし御指摘のとおり、いじめはやはり学校で起きている問題でありますから、まず第一に学校の責任の問題であって、学校の先生がまず真剣に取り組んでいただくべき問題である、そう考えております。しかし、先生だけで解決できる問題ではございません。したがいまして、政府といたしましては、父兄や地域団体や市町村みんなで、総がかりでこれは解決すべきものであると思います。先般、文部省を通じまして、各教育委員会ごとに、教師や学校も交えて地域ごとに対策を協議するよう指示したところであり、連絡したところでございます。 税制改革に関する村山調査会報告の評価の問題でございますが、私は、その御見識について非常に敬意を表するものでございます。また、その長い間の御努力に対して感謝を申し上げる次第でございます。確かに拝読いたしますと、分析において非常にすぐれておると思います。しかし政策論は、自民党なりあるいは税調におきまして、みんなで組み立てる問題でございまして、今後の問題であると考えております。しかしいずれにせよ、いろいろな議論が出てきて、税制に対して国民の関心が高まって、自分たちで自分たちの独自の判断を国民の皆様がおつくりになりますように、そういう機会をふやしていくということは、私は適当な施策であると考えております。 減税につきましては、重税感の軽減、ひずみの是正等の適正化、そういう考えから諮問をしているところであり、しかしこれは、財源措置も含めて一体としての包括的な指針を来年秋ごろまでにいただきたい、そう考えておるのでございます。私のあいさつでも明らかにいたしましたが、審議の取りまとめの手順を示しまして、やはり何といっても、ひずみの是正あるいは公正、公平あるいは重税感の解消、そういうようなことが今国民の一番の関心でございますから、それに対する方策をまず明示していただく、そして最終的には、これは財源措置と一体的にバランスのとれたものでなければならぬことは当然でございます。そういう手順を申し上げておるのでございます。これは財政収入の増加を目的にしているものではないということは、前から申し上げたとおりでございます。 次に、三選問題でございますが、党員としては党則に従うことは当然でございます。私は、仕事師内閣と言われているように仕事に徹してまいりたい、そう考えておるところでございます。自民党には人材は雲のごとくございまして、私の後継者については御心配は要りません。 次に、内需拡大の問題でございますが、政府は、内需拡大に関する対策を昨日決定いたしました。公共事業分野への民間活力の導入、規制緩和、それぞれの政策を展開しようとしております。特に住宅金融公庫の特別割り増し貸付制度の実施、貸付枠の追加、なお、住宅減税を行う場合にはさかのぼって適用されるということも指示したところでございます。電力、ガスにおける設備投資追加努力の指導、それから国庫債務負担行為の活用、災害復旧工事等の速やかな実施、地方債の活用による地方の公共事業の拡大、これらの施策を通じまして内需の拡大を促進してまいります。政府の一試算によれば、三兆以上の需要拡大が見込まれるという計算になっております。今後の予算編成や税制改正の過程におきまして、今後予算や税制措置に関するものは検討していくということでございます。 さらにまた、内需の問題につきましては、科学技術、各種のソフトウエアの開発、あるいは文化のための投資、これらは御指摘のとおり、国民のニーズへの対応及び内需振興の芽として新しい成長の原動力となると思います。特に情報化時代への対応のいろいろな施策、あるいは発明や開発というものは、次の経済成長、新しい経済成長への大きな牽引力になるものである、そのように重視しておるところでございます。 定数是正の問題につきましては、七月十七日の最高裁の判決がございまして、立法府としてはその責任を果たさなければならないと痛感しており、先般来、いわゆる六・六増減案というものを国会にお願いしておるところでございます。野党の案も同じように継続審議になっておりますが、今回、臨時国会におきまして、ぜひともこの是正ができるように念願しておるところでございます。 衆議院の解散の問題でございますが、最高裁判決により現行の定数配分規定が違憲とされている以上は、国会も政府も最大限の努力を払って、早急な法改正が実現されなければならないと思います。定数是正前の衆議院解散権の行使については、先ほど申し上げたとおり、本来、解散権は、憲法が国政の重大な局面において民意を問う手段として内閣に付与した基本的に重要な機能であり、憲法上解散権の行使を制約する規定はありません。解散権の行使とこれに伴う総選挙の施行とは、別の規定に従って行われる別個のものであり、法律的には制約されないと考えております。政治的な制約はいかんという御質問でございますが、それはそのときの政治情勢によるものである、そのように考えております。 最後に、青年海外協力隊の問題でございます。 私も先般、二十周年に皇太子、同妃両殿下の御臨席を得まして式典に参加いたしましたが、戦後六千名の青年海外協力隊員がもう海外に出、帰ってきております。現在、各国におられる方が千五百名おります。しかしうれしいことは、この募集に対する応募率が、七倍から八倍にわたって日本の多くの若者が志願しているということであり、三十数カ国に今行っているところであり、各国から来てくれという要望が非常に強いのでございます。これらを見ますと、日本の青年海外協力隊が国際的に非常に高く評価されている証左でありまして、協力隊員の皆様の御苦労に対して心から敬意と感謝を払い、我々も全力を振るって御支援を申し上げたいと思う次第でございます。(拍手) ―――――――――――――
○議長(坂田道太君) 稲葉誠一君。 〔議長退席、副議長着席〕 〔稲葉誠一君登壇〕
○稲葉誠一君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、総理の所信に対し質問を行います。 本会議の質問とか答弁というものが非常に形骸化をいたしておりまして、何と申しますか、どういうふうに言ったらいいんでしょうか、結局、形骸化と言う以外にないのでしょうけれども、それではいけないというふうに私は思います。ですから、答弁については、それをその後の予算委員会等につなぐ、こういう意味でお尋ねをするわけでございますので、どうか率直に。そして、総理はいろいろ考えておられると思います。あなたは非常に能弁な方でございますけれども、能弁で結構でございますから、どうか十分にお考えのところを述べていただいて、そしてそのかわり、それはその後のいろんな委員会の中で質問の材料にされる、こういうふうなことでございますけれども、そういうような意味での率直な答弁を期待をいたしておる次第でございます。 第一に、総理が声を大にして唱えられておりますのは、「戦後政治の総決算」ということでございます。私も予算委員会等でたびたび質問をいたしておるのでございますけれども、どうも要領を得ません。今、小渕さんの質問の中で出てきたことでもございますけれども、一つには、戦後政治を前向きに評価し、これを発展さすべきとの意見がございますけれども、これとあなたの言われる「戦後政治の総決算」とは同じものなのか、それとも違うのか、これを明らかにしていただきたいというふうに思うわけです。今、お聞きいたしておりますと、一つのものについて、片方は片面だけを見、片方はまた片面だけを見ているというふうに聞こえたわけでございますけれども、私はそうではないというふうに考えますので、それを、どういうふうに違うかということについて、あるいは同じなら同じ、そういうような形ではっきり明らかにしていただきたいというふうに思うわけでございます。 第二は、総決算と言うからには当然、この決算されるべき対象というものがなければならぬわけです。こういう対象があって、それを総決算するというのですから、それでないというと、対象物というものが明確になっておらなければ、これはもう質問にもならないわけなんですが、そういうようなことをいろいろ聞きましても、何かこう要領を得なくて、ただ、二十一世紀を展望するということを中心に言っているわけでございます。 そこで、私がお尋ねをいたしたいのは、総決算の対象物は一体何なのかということであります。四十年間を支えてきたものは、日本国憲法でございます。それは何人も否定し得ないところでございますが、そういうようなことからして、あなたは憲法改正論者でございますか、そして同時に、自主憲法制定論者でございますか、まず明らかにしていただきたい、こういうふうに考える次第でございます。 そして、その憲法というものも総決算の一つの対象となるのですか。答えは、政治日程にのせる気はございませんという答えでございましょう。ところが、それでは答えになっておらないのであります。対象になっておるかどうかということと、日程にのせるとかのせないということとは、別個の問題であります。対象になっていて初めて、政治日程にのせるとかのせないとかという議論が出てくるわけでございます。だから、憲法自身もあなたの言われる総決算の対象になっているかどうか、こういうことについて私はお尋ねをいたしておるわけでございます。(拍手) 衆議院の第一議員会館の一階のところの入った部屋に、自民党のでしょうか、憲法調査会の部屋がございますが、そこには「憲法改正こそ戦後政治の総決算」というポスターが張られておりまするが、それは、「戦後政治の総決算」というのは憲法改正であるということを、総理自身もお認めになっておられるのではなかろうか、こういうふうに私は考えておるのでございますが、いかがでございますか。 第三に、私はこの所信表明をいただき、読んでおりました。そうするというと、教育のところで「思い切った教育改革」という、「思い切った」という言葉が出てまいります。そうするというと、「思い切った」ということを言われたということは、どういうことを意図してそれを言われたのでしょうか。そしてまた、「思い切った教育改革」ということの、「思い切った」ということの具体的内容は何かということを明らかにしていただきたいし、同時にまた、なぜ教育改革を必要とするに至ったのか。今までの四十年間の教育がいろいろなひずみを生じてきたということになれば、それは占領政策がそういうふうにさせたのか、日本国憲法がそういうふうにさせたのか。こういうふうなこと等を含めて御答弁をお願いをいたしたい、かように存ずる次第でございます。(拍手) 特に私が総理にお尋ねをいたしたいのは、国家と個人との関係を非常にあなたは重視をされておられるようにお聞きをするわけでございます。過去における日本の歴史が、国家のために、国家の名誉のために、国家の発展のためにという美名のもとに、いかに個人が犠牲にされてきたかということについては、日本の歴史をひもといてみればおわかり願えることだ、こういうふうに私は考えるわけでございます。 総理は、現在の日本において、国家主義を台頭せしめる必要性を感じられるのでございましょうか。総理に対して、新国家主義者なる名称を提供する方もいらっしゃいますが、それを総理は、栄光をもってお受け取りになりますか、あるいは抵抗感をもってお受け取りになるのでございましょうか、お伺いをさせていただきたい、かように存ずる次第でございます。(拍手)国家と個人の関係につきまして、日本の現状、国際社会を目指した中での観点からいろいろ御見解を承りたい、こういうふうに考える次第でございます。 その次にお聞きをいたしますのは、重大な問題は、日本の防衛費の拡大の問題なり、防衛費の異常な突出の問題でございます。 過去において、防衛費はGNPの一%以下に抑えられてまいりました。これは、三木内閣の五十一年十一月五日の閣議決定によって始まったものではないのであります。四十八年二月一日、田中内閣の増原防衛庁長官は、平和時の防衛力についての防衛庁見解を発表をいたしまして、今まで閣僚答弁等で散発的に出されておった一%以下の歯どめが、公式見解として登場いたしてまいりました。「平和時の防衛力については、憲法上や政策上の制約があるほか、特に、経費がGNPの一%の範囲内で適切に規制されることを予想しことあるわけであります。 でありまするから、総理が本年二月七日、予算委員会で我が党の上田哲議員に対しまして、「まず大綱ができまして、そしてそれから一週間後にあの一%をめどとするという閣議決定が行われた。やはり大綱というものが中心にあって、そしてこれを運用していく」、そういうようなことから「注意が必要だというので、次いであれが追加的に行われた、私はそういうふうに解釈しております。」こう述べておられます。前述の経過に照らし、この答弁は間違っておるのではございませんか。初めに一%以下ありきというのではございませんか。 また、五十年の九月に坂田防衛庁長官が、国民の良識を聞くために設けました防衛を考える会の報告「わが国の防衛を考える」にも、「防衛費の物差し――GNPの一パーセント以内」というタイトルが明記をされておるのでございます。一%以下ということは、国民の間に深く定着をし、我が国が平和主義国家であることのシンボルとして、国の内外に深く受けとめられておるのでございます。だからこそ、総理大臣が一%枠を取り外すとの発言をした瞬間に、国民は本能的に総理の姿勢の危険性を感じ、察知し、あなたの内閣の支持率は大幅に、急速にダウンをいたしたのであります。(拍手)これは、決してアップダウンクイズのようなものではないのでございます。その国民に深く定着をしておる一%以下を、あなたはそれが多数、ほとんどの国民の声だと認識をされるのか、されないのか、お聞かせ願いたい、かように思う次第でございます。 昭和四十七年五月十六日に、衆議院の内閣委員会で、我が党の横路孝弘議員は次の質問をいたしたのでありまするが、当時の防衛庁長官は江崎真澄さんでございますが、江崎真澄さんに対してお尋ねをした。「江崎防衛庁長官にちょっとお尋ねしておきますが、この中曾根防衛庁長官の当時の防衛庁原案の戦略構想というものは、装備は別にして、江崎さん自身はどのようにお考えですか。」こういう質問です。 答え。江崎国務大臣。「後段の質問でありますが、中曾根君の場合は、やはり十年を視点にして、四次防、五次防でその十年の間に相当積極的に日本の防衛力を強化していこう、一口に言うとそういうことだったと思います。」こういうふうに言われて、その後のところでまた、「「国防の基本」というところに書いてあります」云々を説明をされましたところで、こういうふうに答えておられるのであります。「これは、国防の基本方針を変える、こういう前提に立った当時の中曾根案と、国防の基本方針は昭和三十二年策定のままこれで推し進めようとする今度の四次防構想とでは、全然違うわけであります。」こういうふうに答えておるわけでございまして、ここに問題がいろいろございます。 私は何も古いことを取り上げて言っているわけではなくて、中曽根防衛庁長官の物の考え方と、現在のこの新しい防衛計画の中に流れておる思想的な脈絡なりその問題点というものが、おおむねにおいて同じものが多くあるからこそ、将来の大きな問題として、今の問題としてお聞きをするわけでございます。(拍手) 一つは、国防の基本方針を変える、こういう前提に立った当時の中曽根案の内容であります。そして第二、それはなぜ四次防の名称をつけなかったのか。第三、江崎さんが全然違うと言われるのでありますから、その違う点を――江崎さんといったって……(「江崎さんの話は江崎さんに」と呼ぶ者あり)わかった、わかった。防衛庁長官として答弁しているのであって、個人が答弁しておるのではない。そこで、江崎防衛庁長官が全然違うと言われたので、その違う点を詳細に説明をされたい。第四、自民党安保調査会における原案説明の際、自衛隊の負っている十字架を取り除く必要があると説明されたと報ぜられておるのでありまするが、事実かどうか。これは「世界」の十一月号二十五ページ参照。五の点でありまするが、事実とすれば、自衛隊が負っておる十字架とは一体何を指すのか。六、右原案、新防衛力整備計画は、いかなる反響を国の内外に生ぜしめたか。七、その結果として、右中曽根案はどうなったのか。つぶれたのか。 さらに重要なことは、総理が防衛力の限界に経済的粋をはめることに否定的であった、今もってこう言われておるのじゃないかと思われることで、総理が防衛力の限界に対しまして経済的枠をはめることに否定的であったと考えられるのではないかと思われるのであります。 第一回の防衛白書の三十六ページ、三十七ページを見てまいりまするというと、これは中曽根白書と言われるものでございまするが、ここに書いてありますることは、その結論的な部分を見まするというと、「防衛力整備のための国家資源の配分についても、単に経済力の増大に比例し、国民総生産や国家予算との比率によりきめることは、必ずしも適切ではない。」こういうふうに書いてあるわけでございます。これは明らかに、GNP一%以下論の否定的な見解ではないでしょうか。総理はこういうように、現在でもこの白書の考えられたことを支持されるのかどうか、お尋ねをいたしたいのであります。(拍手) 中期防衛力整備計画が九月十八日の閣議で決定をされました。この内容につきましては、予算委員会等におきまして逐次検討、追及することになると思うのでございまするが、防衛庁設置法第六十二条で、国防会議の検討を必要とするというふうにあります。この場合の国防会議は、各省次官と事務局長の幹事会、あるいは各省課長等を中心とする参事官会議を含めたものでありまするが、ここで問題点が整理をされまして、閣僚レベルでの会議で決定されるのが従来の例でございます。ところが、今回のものにおきましては、この点について省略をされまして、その防衛庁案、そして約十時間ぐらいを、ただその実際の総額だけの問題についてやられてきた。こういうふうに考えてまいりますというと、真剣にその内容について論議がされたということが考えられないのでございまして、この点については、この経過を明らかにしていただきたい、こういうふうに考える次第でございます。 そこでまた、私どもがわからないことのありまするのは、日本の軍事費がどんどんふえていくのについて、アメリカの軍事費は上下両院の決議の中で削られておるのでございますが、こういうふうなことを考えますというときに、アメリカの上院、下院で防衛費が、政府提案が削られておる、日本だけがどんどん伸びておるというのは、これはいかにもおかしいし、了解しがたいことである、こういうふうに考えざるを得ないのでございます。(拍手) そこで、お尋ねをいたしますることは、総理が泥をかぶるということをこの問題について言われたと言われております。その意味についてお尋ねをいたしまするし、そのことは、「戦後政治の総決算」ということの一環として言われておる、「戦後政治の総決算」の仕上げとして一%枠の撤廃を言われており、目指されておるのかどうかをお尋ねをいたしたい、かように存ずる次第でございます。(拍手) 私は、そういうふうな中で、国民の生活の問題に移るわけでございまするが、総理は、所得税減税、サラリーマン減税ということを非常に強く言われましたけれども、しかしそのとき、一体いつから、どのような層を中心として、どのくらいの減税をやるかということについては明言をされなかったのでございます。こういうことを考えてみますると、選挙のときにはそう言っていて、減税だけをどんどんどんどん出しておいて、実際にはそれとのつり合いの増税をどういうふうにやるかということについて明言をされない。このことについては、私は非常に残念に思う。はっきりと国民の前に明らかにされたいというふうに思うわけでございます。(拍手)そういうような中で、人気取りだけの政策を行う、こういうことではなくて、これこれの減税をやるならば、それに見合うところの当然増税が考えられるとするならば、その増税の内容というものも国民の前に明らかにして、国民の審判を仰ぐべきであるというのが、私の基本的な考え方なのでございます。(拍手) いろいろ税制の問題について申し上げたいことがございまするけれども、そういう中で、日本の貯蓄優遇税制なりそうしたものをどういうふうにしていくか、こういうふうな問題もございまするし、総理自身が今度の所信表明の中で言われておりまするのは、従来は、公平、公正、簡素、選択ということを言っておりました。ところが、選択というのを省いておるわけでございますが、それは一体どうして省いたのか。「一体としての包括的な指針」云々ということを言っておるわけでございますけれども、一体そのときに増税のラインをどこに求めようとするか。こういうふうなことについてもお尋ねを申し上げたい、こういうふうに考えておる次第でございます。 今、私どもの一番大きな問題は、国民生活の問題でございますが、そういう中で、下水道等の生活環境の基盤を放置をしてはいけないわけでございまするし、住宅をしっかりとして建設をしなければいけないわけでございますが、今、最低居住水準未満の住宅が一一・四%もあり、三百九十五万戸もあるのでありまするが、これを一体どういうふうにしてやっていくのかということを明らかにしていただきたいし、下水道は、ヨーロッパに比べて日本の場合は極端に低い、わずか三四%でありまするし、イギリスは九七%、西ドイツでも九一%の下水道がされておるわけですから、そういうふうな意味において、その下水道なり住宅なり、そういうふうなものを十分に整備をするということ、あるいは労働時間短縮をする、そのことによって初めて欧米と同じスタートラインについていって、そこから出発するわけであります。欧米は、そういうような意味において、日本がそういう国民生活を犠牲にして、そして貿易ばかりやっているからということで、アンフェアだと言うのでありまするから、こういう点についてしっかりとした対策を立てていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。(拍手) また、旧日本人台湾兵の処遇、あるいはシベリア抑留者等に対する各一万人、合計三万人のアンケートを出しておるのでございまするが、これらの人に対する補償をどういうふうに考えるのか、これをお聞かせ願いたいし、日本人で米英に抑留された者に対しては、日本でもお金を出していると言われておるわけでございますので、シベリア抑留者の問題についてもこれを当然補償すべき、こういうふうに考えておる次第でございます。 また、難病対策等につきましては、いろいろお骨折りを願って感謝をいたしておるのでございまするが、現在、どういう問題があり、これに対してどう今後対処していくか、前向きの御答弁をお願いを申し上げたい、かように存ずる次第でございまするし、文化、芸術の振興等に対しての総理の見解をまた、お伺いを申し上げたい。 また、日米貿易摩擦が日本農業に及ぼす影響について、最大限これを守らなければなりませんし、円高の被害から日本の中小企業を守らなければならない。これらに対する方策等についても御説明をお願いをいたしたい、かように存ずる次第でございます。 最後にお伺いをいたしたいのは、これは皆様方にも関係のあることですから、どうぞお聞きを願いたいと思うのでございまするが、それは、衆参同時選挙の政治上の問題点でございます。 これは同時選挙の方式そのものが正常でなく、国会の機能に悪影響を与えるおそれがあるのであります。憲法第五十四条二項では、解散の場合のことを規定をいたしておるのでございますけれども、ここに参議院予算委員会で……
○副議長(勝間田清一君) 稲葉君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
○稲葉誠一君(続) 五十七年三月十五日にこういう答弁がございます。鈴木総理大臣は、「五十五年の衆参同時選挙についてのお尋ねがございましたが、これは全く当時大平内閣としても意図してああいうことをやったわけではございませんで、たまたま不信任案が通過をした、わずか二週間足らずの間に二度も投票日に国民の皆さんに足を運ばさせる、煩わすというようなこともどうかというようなことでああいう結果になったわけでございます。いろいろそれにつきまして一長一短、御批判があるわけでございます。私どもは今後そういう御意見を十分踏まえまして慎重に扱っていかなければならないものと、こう考えております。」こういう答弁が鈴木前総理からございました。中曽根総理は、この鈴木前総理の御答弁を尊重をされますかどうか、これを最後にお尋ねをいたしまして、時間が経過をいたしましたことをおわびを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。(拍手) 〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 稲葉議員の綿密な御勉強に対して、敬意を表する次第であります。 その前に、先ほどの田邊議員の御質問に対する答弁漏れがありますので、御答弁申し上げます。 靖国神社の問題でございますが、靖国神社の公式参拝は、国民や御遺族の方々の多くの御要望にこたえたもので、祖国や同胞等を守るために一身を犠牲にされた戦没者の追悼を行い、あわせて、我が国と世界の平和への決意を新たにする目的で実施いたしました。特定の価値基準を国民に押しつけるとの御指摘は、考えてはおりません。 次に、国鉄事業の問題でございますが、国鉄事業の再建については、機会をとらえ改革の意義を広く訴え、国民の理解と協力を得られるよう可能な限り、国民の合意形成に向けて御意見も拝聴して努力してまいりたいと思う次第でございます。 次に、戦後政治の継承と総決算の問題でございますが、私は、新しい憲法のもとに展開されたこの四十年の戦後政治というものは、日本歴史に誇るべき成果を得た、そう申し上げておるものなのでございます。それは、前から申し上げておりますように、平和主義、民主主義、基本的人権の尊重、あるいは国際協調、平和、こういうことによりまして今日の繁栄が築かれたのでございます。そういう意味において、それは憲法の果たした役割も非常に大きいと思っておるのでございます。その意味において私は、歴史的にこの憲法も評価しているものなのでございます。 しかし一体、対象の中に憲法が入るのかどうかという御質問でございますが、私は、二十一世紀を目指して日本を、さらによりよき日本にしていくためには、憲法も常に見直しと勉強の対象である、そう考えておるものなのでございます。 じゃ、どういうところが欠陥なのかという御質問でございますが、やはり日本の国の閉鎖性、あるいは行政機構の肥大化、あるいはいじめの問題、こういうようなことが我々の目の前に見えている欠陥である、二十一世紀に向かって我々は改革者として努力してまいりたい、そう考えるものであります。 次に、国家と個人の関係でございますが、やはり新憲法のもとにおきましては、主権在民でございまして、個人が主権者として国家の重要な構成員であります。それと同時に、個人は、共同社会を形成する一員として、その権利を享受すると同時に、義務と責任も負わなければならない。そして、健全なるナショナリズムは、民主政治を発展させる上に必要不可欠であると思うのであります。これが戦前のような極端なナショナリズムは非常に有害なものでございますけれども、イギリスやアメリカやその他の国に見られるような健全なナショナリズムは、民主主義のバックボーンである、健全なナショナリズムのない民主主義は、これはクラゲのように漂うものになってしまう、そう考えるものであります。 次に、「思い切った教育改革」の「思い切った」とは何だという御質問でございますが、これは、教育及びこれに関連する分野に係る諸施策に関しまして深く、広く、かつ総合的に検討を加え、現下の最重要の政策課題として取り組んでいきたい、こういうことで「思い切った」ということを申し上げたのでございます。六・三・三制にまつわるその後の日本の教育の沿革というものの中には、よみすべきものもありますが、改革すべきものもあります。それらのものをよく踏まえまして、検討してまいりたいと考えるものであります。 次に、「防衛計画の大綱」の問題でございますが、防衛費のGNP一%の閣議決定は、大綱のもとにおける防衛力整備に当たっての各年度の経費の当面のめどを示したものでありまして、大綱策定一週間後にこれは閣議決定されたものであります。すなわち、大綱というものが中心にあって、これを運用していく上について、こういう注意が必要であり、めどが必要だというので、GNP一%の枠が追加的に一週間後に行われたという、そういう趣旨の答弁をいたしておるものなのであります。 平和時の防衛力については、昭和四十八年二月一日、衆議院予算委員会において、防衛庁における検討の結果として説明したものでありますが、政府としての決定ではなく、その後撤回されているものなのであります。撤回の理由は何であるかと申し上げますと、防衛庁の検討は、多くの前提や条件の上に成り立っているもので、政府の施策として決定すべき性格のものではない。第一に、本来、流動的なものである国際情勢を二足の方向にあるものとして固定化しておる。第二に、内政諸施策とのバランスに配慮すべきものであるが、これらの諸条件を捨象して、主として防衛上の観点から検討している。こういう理由で撤回したものでございます。 なお、上記の基本方針のもとに、GNP一%の閣議決定は、我が国の防衛力整備について、内外の理解を得る上で一定の役割を果たしてきていると思います。政府としても今後とも、GNP、一%の閣議決定の趣旨を尊重してまいりたいと思うところであります。 次に、いわゆる四次防に関する問題で、私の考えについて御質問をいただきましたが、昭和四十六年に防衛庁が作成した新防衛力整備計画案は、当時見通し得る十年間の長期的展望に立って防衛力の整備を推進していくとの考え方に立って、その前半段階のものとして計画されたものであります。このような観点に立って、四次防と言わずに新防衛力整備計画案と称したと承知しております。同計画案は、日米安保体制を堅持しつつ、十年後の目標に向かって自主防衛体制の整備を積極的に推進していくとの考えに立っていたことから、その意味で「国防の基本方針」についても検討の対象にしたと考えております。 私は、当時責任者でございましたが、「国防の基本方針」の中で、他の諸施策との調和ということが必要である、そういうものを入れる必要はあるんじゃないか。「国力国情に応じ」という言葉になっておるのですが、やはり社会福祉や教育とのバランスというものを考える必要があるんじゃないか。それから第二に、日米安保条約を基調として日本の防衛を行うというふうに書いてありますが、むしろ、みずから自分の国を守る気概を中心にして日米安保条約でこれを助ける、そういう考えが正しいのではないか、そういう議論を出したのでございます。 しかし、最終的に決定された四次防の防衛構想は、積極的に自主防衛体制の整備を推進することが強調されていた新防衛力整備計画案と少し異なりまして、三次防の考え方と同じく、米国との安全保障体制を基調としつつ、有効な防衛力を保持する、そういう考えになっておるのであります。私は現在は、この大綱に定められた情勢判断及びそれに対する政策基準に従っておるものなのでございます。 次に、防衛力整備に関する問題で、防衛白書に関する問題がございました。 昭和四十五年の防衛白書は、高度経済成長期にあった当時の我が国の高い経済成長率を踏まえて、防衛費を国民総生産や国家予算との比率だけにより決めることは、限りない防衛費の拡大をもたらすものであり、必ずしも適切でないと述べたのであります。当時は、経済成長は二〇%近くなったこともあります。そういう意味において、一%というGNPに頼ることは、将来危ないことがあるんじゃないか、そういう意味の疑問を述べたことはあるのであります。政府は従来から、総合的な安全保障政策を推進するとともに、「国防の基本方針」にのっとり、国力国情に応じて防衛力の整備を進めてきておるところです。今後ともこの立場を堅持して、そのときどきの経済財政事情を勘案して、他の諸施策との調和を図りつつ、節度のある、かつ有効な防衛力の整備を図る考えであります。 次に、国防会議の下部機構は、国防会議を補佐するため置かれたものであり、従来もまた今回も適切に機能しております。その活動の具体的内容は、公にすることは差し控えたいと思いますが、そのときどきの案件に応じて、十分補佐しておるのであります。これを踏まえて、国防会議では広い見地から討議を重ねて、今回も八回も国防会議を開催いたしまして、計画案策定に当たったものなのであります。なお、国防会議につきましては、臨時行革推進審議会からの答申もございまして、これを総合的な安全保障会議に改組するようにという意見が出ておりまして、政府は、これを参考にして目下検討しているところであります。 次に、米国と日本の防衛努力の問題でありますが、米国における一九八六年度国防予算の議会審議において、国防予算の伸びを抑制しようとしている動きがあることは、事実であります。しかし、現下の国際軍事情勢が、ソ連の一貫した軍事力増強により厳しさを増大させておる中で、米国がその抑止力の信頼性の確保のため過去五年間、その国防予算を名目で九割程度増加する等防衛努力を行っており、また、かかる努力を続けていく旨明らかにしております。我が国としては、そのときどきにおける財政経済事情等を勘案して、国の他の諸施策との調和を図りながら、日本の防衛を考えていきたい、必要最小限の防衛力の水準を維持していきたい、日本の防衛は日本がみずから決めるものである、こういうことを申し上げたいのであります。 次に、税金の問題でございますが、マクロの租税負担率等は、我が国は欧米諸国よりは低いのであります。しかし一方、税のゆがみ、ひずみに加えて重圧感が指摘されている。これは、やはり不公平とか不公正感というものが先に立つから、重圧感とかひずみとかということが出てくるのだろうと思います。そういう意味において、不公平や不公正というものを是正するということが必要ではないか、そう思っておる次第なのでございます。租税につきましては、原則あるいは理論に合致したものといったそういう意味において、この公平、公正あるいは選択という言葉を申し上げたのでございます。 住宅の整備に関しましては、今回、住宅投資の促進策として、住宅金融公庫の特別割り増し貸付制度の実施を初めとする各種の措置を行いました。住宅は国民の生活の基盤であり、家庭の団らんの場であるとの認識に立って、住みよい、ゆとりのある住宅を供給するため、今後とも政策を推進してまいります。 下水道につきましても、五カ年計画を推進しておりますが、今回も、約三四%の普及率にとどまっておりますので、積極的に進めてまいるつもりです。地方に対する起債を拡充いたしまして、今回は特に下水道の整備に努めたいと思って、内需振興策に入れておるところです。 労働時間につきましては、週休二日制の普及等による労働時間の短縮は、勤労者福祉の観点から、さらに内需中心の持続的成長を図る上からも、重要であります。経済対策閣僚会議で決定した内需拡大に対する中でも、週休二日制の普及、年次有給休暇の取得促進等の対策を挙げているところであります。 台湾人元日本兵やシベリア抑留者問題につきましては、いわゆる台湾人元日本兵問題については、関係省庁間で、この問題についてどう考えるか、鋭意検討しているところでありますが、種々難しい問題があるので、短期間に結論を得ることは困難であり、慎重に行っております。戦後強制抑留者問題、恩給欠格者問題、在外資産問題を中心とするいわゆる戦後処理問題については、さきの戦後処理問題懇談会において、二年半にわたり検討を加え、「これ以上国において措置すべきものはない」とするとともに、関係者の心情に深く心をいたすという趣旨から、特別の基金を創設することを提唱しております。政府といたしましては、この戦後処理問題懇談会の報告の趣旨に沿って、特別基金の検討に関連して、関係者の実情、基金に関する希望等について調査を行うものであります。 貿易摩擦と農業、中小企業の問題でありますが、私は、農は国のもとであり、農業は生命産業であると申し上げております。国土、自然環境の保全等極めて重要な役割を発揮しており、地域社会における就業機会の提供など、地域経済の発展にも極めて重要であります。そういう意味におきまして、関係国との友好関係に留意しつつ、国内農産物の需給動向を踏まえ、我が国農業の健全な発展と調和のとれた形で行われることが重要であると思います。アクションプログラムも、そういう趣旨で我々は策定したところであります。また、中小企業につきましては、円高の進展によりまして一部の業界等に影響が出始めることも懸念され、円相場の動向、その場合の中小企業の対策等を検討しておるところでございます。 衆参同時選挙のことでございますが、御関心の衆議院の解散問題は考えておりませんので、衆参同日選挙についても考えておりません。(拍手) ――――◇―――――
○長野祐也君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明十七日午後二時より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
○副議長(勝間田清一君) 長野祐也君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(勝間田清一君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。 本日は、これにて散会いたします。 午後三時五十分散会 ――――◇―――――