予算委員会 第20号
- 発言数
- 351 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1985/04/04
会議録
○委員長(長田裕二君) 予算委員会を開会いたします。 昭和六十年度一般会計予算、昭和六十年度特別会計予算、昭和六十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 ─────────────
○委員長(長田裕二君) まず、締めくくり総括質疑に関する理事会における協議決定事項について御報告をいたします。 質疑を行う日は本日四日及び明日五日とすること、質疑時間総計は百九十七分とし、各会派への割り当て時間は、日本社会党八十三分、公明党・国民会議五十二分、日本共産党及び民社党・国民連合それぞれ二十一分、参議院の会及び新政クラブそれぞれ十分とすること、質疑順位及び質疑者等につきましてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。 右、理事会の決定のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(長田裕二君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和六十年度総予算審査のため、本日の委員会に日本銀行総裁澄田智君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、出席時刻等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(長田裕二君) それでは、これより志苫裕君の締めくくり総括質疑を行います。志苫君。
○志苫裕君 まず、本委員会の審議を通じまして長田予算委員長は二つの委員長見解を表明しました。その一つは、内閣及び各省庁による審議会等の多用に対する立法府の懸念の表明でありまして、もう一つは、予算の空白によって国民生活に迷惑がかからないように政府の対処を求めたものであります。私は委員長の見識に敬意を表します。実は冒頭の総括質問で、総理がお気に入りのメンバーを集めて政策を誘導する政治手法について私も批判をいたしました。運用を一つ間違いますと議会民主主義を形骸化するのではないかという懸念も表明しましたが、現にその兆候が著しいというふうに私も思います。また、予算の空白は現実に生じておるところでありまして、いろいろの問題もあります。 この際、この二つの委員長見解に対して総理、大蔵大臣からそれぞれ所見を求めます。
○国務大臣(竹下登君) まず、暫定予算についての予算委員長見解について私の所見を中し述べます。 先日、三月二十七日、従来からの本委員会での論議や本年度の経緯等を踏まえ、委員長から御見解が示されたところでありますが、政府としてはこれを重く受けとめ、御見解の趣旨を尊重しつつ最大限の努力を払ってまいりたい、このように考えております。
○国務大臣(中曽根康弘君) 暫定予算に関する点につきましては今大蔵大臣が申し上げたとおりでありまして、国民生活にいささかも不安を与えることがないように政府は委員長発言の趣旨を尊重して対処いたしたいと思います。 それから審議会等に関する点につきましては、委員長発言の趣旨をよく踏まえまして今後対処いたしたいと思います。
○志苫裕君 若干政治問題に入りますが、実は二期目の中曽根内閣は引き続きまして自民党と新自由クラブの連立を選択いたしましたけれども、今日政界では世代の交代であるとか衣がえであるとかの動きが目立っておりますし、政治改革のエネルギーを国民の多様なニーズをくみとる連合に求める志向も強いようであります。この際、総理の連合に対する見解を伺いたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 単独もよし連合もよし、国民が何を欲しているかということを中心に考えていくべきであると思います。ただ、政党政治の本領からしますと、やはりできるだけ純度を保って、公約した政策を純粋性を最大限に発揮しつつこれを実行していくというのが憲政の道から見たら筋のある方法ではないかと思います。
○志苫裕君 新自由クラブの幹事長である山口労働大臣の見解はどうですか。
○国務大臣(山口敏夫君) こうした多様的な価値観の時代でございますから、やはり政権の中に連合の形態の中で広範な民意を反映、実行でき得るような内閣の形態というものは一つの日本の政治の前進ではないかと考えておりますし、率直に言って自民党と新自由クラブの連立の場合は数合わせ的な、私どもの党の世帯からいいまして感なきにしもあらずということでございますが、しかしこれがやがて大きな中連合あるいは政策大連合への布石につながることになるのではないか、こういう期待を持ちながら、自民党内にある一〇〇%に近い連立アレルギーに、一つ一つ意識改革への努力を含めて、微力ながら取り組んでおるところでございます。
○志苫裕君 総理、政治の純度というのはどういう意味ですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 公約を各党はみんなしておるわけでありますし、また立党の綱領、宣言等も持っておるわけで、それを国民は手だてにして政党に対する評価、判断を下しておりますし、また政党の実績を見て評価、判断を下しておるわけでございますが、その国民の公約を実行するという面から見てどの程度の公約実行の度合いがあるか、そういう意味において純度と申し上げたのであります。
○志苫裕君 そうすると、総理は、自民党の幹事長が全国幹事長会議で言ったようですが、連合を「たやすく受け入れるということは、わが党の堕落である」という理解ですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私が申し上げたのは筋論でありますが、現実の政治を運用していくということになると数も要りますし、あるいはさらに国民が何を要望しているかという状況から見て、数はあっても、さらにこれだけの重要政策を遂行するという意味において協力体制をつくるということも考えていい、そういう場合もあり得ると思うのであります。要するに政策というものを中心にして、そして国民が何を望んでいるかということを考えつつ政局運営というものも兼ねて考うべきであると思います。
○志苫裕君 総理、後段にお話がありましたのが、それが連合志向だという説もあるわけですが、そのことはともかく、加藤防衛庁長官、あなたは連合についていかようにお考えですか。
○国務大臣(加藤紘一君) 連合問題にお答えするほど経験のある政治家ではございませんけれども、本質的には、それぞれの党は連合をまず前提に置かないで、自分たちの政党だけで国民の支持を得られるように努力するというのがその筋であろうと思います。
○志苫裕君 あなたは一番若い閣僚だから、若い人は何を考えているかと思って聞いたわけですが、同時に、あなたは中央公論の二月号で、「野党と組んででも政権を守ろうとする発想は、保守本流からほど遠い」という見解を示したのですが、やっぱり今でもそうお考えですか。
○国務大臣(加藤紘一君) そう思っております。
○志苫裕君 新自由クラブの幹事長と自民党の総裁との間には随分開きがあるなと感じましたが、新自由クラブの幹事長である労働大臣にお伺いしますが、河野代表は、GNP比一%枠は平和外交の切り札として堅持すべきである、昨年の連立継続に当たって、総裁声明の遵守、定数是正、非核三原則、あわせてGNP一%堅持、これが守られない場合は重大な決意をするということを代表が表明されておるようでありますが、これは譲れない一線だと。この点についていかにお考えですか。
○国務大臣(山口敏夫君) 大変な国際緊張の中で、特に日本が自由陣営の一員としてその役割分担、また防衛の位置づけというものも政策的にも大きな変革の時期に来ておる、そういう中での一%論議でございますが、我々としてはやっぱり専守防衛、こういう基本的理念、そして一%厳守に見られる平和外交優先、こういう姿勢にこだわる勢力は与党内にもあるいは国会の中においても非常に大事なことなのではないか、こういう考え方に立っております。したがいまして、昭和六十年度の予算の編成の過程におきましても、予算編成時においては一%厳守ということをぜひ守っていただきたいということを自民党総裁たる中曽根総理や自民党のそれぞれの関係者にも要請をした経過もございます。
○志苫裕君 新自由クラブの立場はわかりました。 ところで総理、先ほどもちょっとありましたが、そういう連合を選択する場合は公開の場で国民との対話の中で進める手続が必要であると、このように全国幹事長会議でお述べになっておりました。聞きようによっては、暗に去年の暮れのどたばた劇を批判したようにも受け取れるわけであります。ところで、あなたが推奨されておる田中六助氏の「保守本流の直言」という本によりますと、七十ページに、ちょうどこれはいろいろと新自由クラブとの折衝に奔走しておるころのことなんでしょう。六助氏いわく、「十二月二十五日ごろ、中曽根さんと佐々木さんがこっそり会ったりした。これは外に漏れていない。」と、こういう記述があるのですが、公開の場で国民との対話の中で進める手続とは若干ニュアンスが違うのじゃないんでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) たしかあれは、佐々木さんと私のうちとは家族づき合いをしておりまして、そういう意味で、奥さんもお連れになって、こっちも家内を連れてお会いしたことがあるような記憶があります。そのことではないかと思うので、別に難しい政治の話をしたというわけではありません。
○志苫裕君 なかなかそうでしたとは言わぬでしょうね。 労働大臣、もう一度聞きます。予算ベースの話はわかりました。ここでいろいろと一%議論が議論になったこともよく御存じのとおりで、決算においても一%を超えるべきでない、予算編成の気持ちは新自由クラブとしては貫徹をされる御意向ですか。
○国務大臣(山口敏夫君) 私は、今一%論議の中で、いろいろ補正予算とかあるいは仲裁、人勧の問題との絡みの中で突破するのではないかどうか、こういう議論が盛んに行われております。そういう中で、私はやはり予算編成時における一%厳守の姿勢、これを一%論議の第一義として考えておるということでございますし、労働大臣としては一%論議も大事であると同時に、仲裁、人勧の完全実施という問題についてもこれは責任を果たさなければならない、こういうことでもございます。したがいまして、冒頭申し上げましたように、一%論議というものを論ずる場合、予算編成時における一%論議というものを私は最重点として取り組まさしていただいた、こういう経過にございます。
○志苫裕君 いや、今労働大臣に聞いているのじゃない。労働大臣として大いに労働者の賃上げはやってもらいたいと思っていますが、そうではない。連立を組む前提としてこれは譲れない一線であるという一%枠厳守、これについて新自由クラブの態度を聞いているんです。
○国務大臣(山口敏夫君) 中曽根内閣及び自民党政府の一%の数値に対する基本的な姿勢といいますか、その時点における姿勢また判断というものが、平和外交という立場よりも、あくまで防衛整備というものへのウエートがどの程度のものであるかということは我が党としても相当な判断をしなければならない、また国会においても相当な論議をしなければならない、こういう経過だと思います。その時点において我々が日ごろ主張しておる見解に基づいて政治的な一つの結論というものを出す、こういう考え方でございます。
○志苫裕君 来年参議院選挙があるせいもありまして、事前運動といわれるものも目撃されるわけでありますが、総理に、参議院の本会議における五十八年五月十八日の警告決議についての注意を喚起したいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 公務員が現職のままその地位を利用して選挙運動をやることについては、国会からもときどき御警告を受けております。政府といたしましても、内閣を中心にいたしまして、そのような御警告を受けて通達を出したりあるいは事務次官会議その他においてもそれをお伝えして、万が一にもそういうことは起こらないように相戒めてきておるところでございます。来年はそういう参議院選も近づいてまいりますから、一層引き締めてまいりたいと思っております。
○志苫裕君 官僚出身候補八省十一人と言われて、これはいずれも自民党から立候補するわけでありますが、いろいろな報道のことはともかくとしまして、各省庁に裏選対と言われるものをつくって、関係の業界であるとか地方自治体などにさまざまなアプローチを行う地位利用と思われるものが目立つのがこの特徴でありますが、そのようなことが露見をした場合、国会決議に沿って綱紀の厳正な対処を求めますが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) その侵犯の度合いに応じまして必要な措置をとりたいと思います。
○志苫裕君 若干政治姿勢にかかわるものについて。 外交記録の公開が二年ぶりに行われたんですけれども、実はちょうどこの時期に当たります日韓会談であるとか、フィリピンあるいはインドネシアへの賠償とか、あるいは日米行政協定等々、我我にとっては資料的に価値が高い、また歴史を検証する意味でも非常に大事だ、こういうものが欠落をしておりますが、これはなぜでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 外交の記録については三十年たったら公開するという原則を立てておりまして、これを政府は実施をしてきております。今回の公開は、今おっしゃいましたように、日本が独立期に入った大変広範な記録でございます。整理等で随分時間も要し、人手もかかったわけでございますが、そういう中にあって原則に基づいて公開できるものは公開しておる。ただし、この公開につきましては、国益を著しく害するものとか、あるいはまたプライバシーを害するものとか、そういう問題については公開をしない、こういう立場で基本的にはあくまでも公開の原則ということを貫いて今日も公開をいたしておるわけであります。
○志苫裕君 あなたの言ったとおりになってないから、今言った日韓であるとか、フィリピン、インドネシア賠償とか、日米行政協定、こういうものが全部抜けておるのはなぜかと聞いておる。
○国務大臣(安倍晋太郎君) したがって、まだ国益を害するという判断をした場合においては公開をしないということでありますが、今の行政協定その他についてはまだ整理も終わっていないという面もありまして、その中で公開できるものは、今の公開をはばかるというこの二つの問題を除いて、公開できるものは今してなくても、これから順次公開していくという考えで今整理を進めております。
○志苫裕君 日韓、フィリピン、インドネシア、これは国益を害するんですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 国益を害するという面の中で、記録を発表することによって、両国の関係もあるわけでございますから、そういう点にまだ著しく大変大きな害を与えるという点については、これは外交問題でありますから慎重にやっておるわけですが、順次そういう中で整理して発表できるものは発表するという姿勢でございます。全部これは発表しないということではありません。発表できるものはこれからも順次発表していくということで整理を今急いでおります。
○志苫裕君 これは大臣、公開が大変おくれていますよ。ですから、公開原則だと言っても、公開原則を立法化するとか、あるいは公開の基準を設定するとかなんとかしませんと、外交とか防衛とかいう話は政府が出すまいと思ったら全然出てこないんですよ。国民は情報を探る手だてがないんですね。逆にうその情報でも何でも出して誘導することができるという厄介な代物なんだ。それだけにこれはできるだけ公開する、その公開の基準の設定であるとか、こういうものをやりませんとね。そのときの判断で、いや、これは出さぬようにしようとマル秘の判こを押したら出てこないというのは、これはよくないですよ。もう少しその辺の基準なり扱いを明確にしてください。
○国務大臣(安倍晋太郎君) おっしゃるように公開の原則で、国民の前に外交記録も三十年たったら明らかにしようじゃないかという合意があるわけですから、おっしゃるような公開をできるだけするということが筋だと思いますし、これまでもそれはやってきたと思うのですが、今回の場合は、聞いてみますと、独立期に入って大変膨大な記録ということになっておりますし、外務省も、今ここで言うのはどうかと思いますが、人員等の関係で大変整理に時間もかかっておるという面もあるわけでございまして、今、日韓条約だとか、フィリピンとの賠償条約だとか、あるいは行政協定だとか、そういうものも頭から公開しないということじゃありませんし、私もできるだけその内容は公開しろということを言っておるわけです。 ただ、原則として公開をするが、その判断の基準が今の国益を害するという問題。これは生々しくまだ続いておる外交関係の文書ですから、そうした国益を害するという一つの基準、それからプライバシーを害するという一つの基準、そういうものを基準として外務省で今精査をしながら、しかし基本的にはこれからもどんどん発表していく、できるものはどんどん発表していく、こういう姿勢で取り組んでおります。
○志苫裕君 どうもあいまいだな。公開をするんだけれども、いろいろな作業がまだ間に合わないという意味なら、これから出てくるという意味ですね。しかし出さないものもあるというのであれば、何を出さないのか出せないのかということは、外務省勝手に考えなさんな。もう少しさまざまな人が集まって、これは出せる出せないというようなことを決めるような手続が必要ですよ。いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは私も具体的に携わっておりませんけれども、とにかく公開の原則ですから、これはできるだけ公開すべきだ、国民の目に明らかにすべきだということを私は言っております。 ただ、今、一つはやはり作業が随分手間取っておるということはあります。これは膨大な文書ですから手間取っておるという点がございます。それからもう一つは、その文書を整理する中で出せない部分もあるわけです。これは先ほど申し上げましたような基準という問題があるわけで、そういうものに従って我々としては今後整理されたものから出していく。しかし今の国益につながる問題、国益を著しく害するといった問題、あるいはまたプライバシーを著しく傷つける、こういう問題については、これはやはり原則は原則ですが、これは公開を見合わす。こういうことで今整理を続けておりますから、これからもそうした御指摘の文書については基本的には出していくということで努力を重ねてまいりたいと思っております。
○志苫裕君 いや、あなたが言葉だけで基本的には出すと言っても何も出ておらぬから言っているんでね。そのプライバシー、国益、抽象的なことじゃわかりませんよ。何と何と何で何と何と何という基準を出しなさいよ。
○政府委員(小和田恒君) お答えいたします。 ただいま外務大臣からお答え申し上げましたように、外務省は外交文書の公開の措置をとることを決めましたときに、先ほど大臣から御説明した原則を決めたわけでございます。原則と例外について発表いたしましてその基準に従ってやっております。ただ、大臣から先ほどもお答えいたしましたように、作業が実はかなり大幅に遅延をしておりまして、現在なかなか期限どおりの公開というのができない実情にございます。 先ほど御例示のありました例えば日韓交渉について申しますと、これは御承知のように日韓交渉が妥結いたしましたのは昭和四十年でございますので、時期的にはまだそこまで来ていないということで、まとまって一区切りがついたところでそれを全部洗って出すということでございますので、日韓交渉につきましては作業がまだそこまでいっていないという状況でございます。他方、既に出すべき予定に入っている時期が来ているにもかかわらず、まだその精査の作業が終わっていないというものもございますので、それにつきましては、今限られた人数ではございますけれども、作業を続けておりますので、その作業の過程におきまして、先ほど外務大臣から御説明した原則に従って処理をする、こういうことで御理解いただきたいと思います。
○志苫裕君 大臣、確認しておきましょう。こればかりやってもおれませんが、原則として出す、今若干作業がおくれておる、できるだけ間に合わせてできるだけ出すということでいいですね。
○国務大臣(安倍晋太郎君) そのとおりでございます。今の国益という問題にいろいろと御疑問があるわけでしょうが、国の安全の問題あるいはまた相手国との信頼を損なわないというようなこと等も、そういうことを踏まえてできるだけ出すという方向で最大の努力をしていきたいと思います。
○志苫裕君 いや、アメリカが出しておるものをこっちが出さないんだから、出すまいとして物差しを探すのと、出そうとして物差しを見るのじゃ全然あべこべなんですよ。そういうことでこれは要望しておきます。 次に、ちょっとこれは政治のあれで、会計検査院法の八年越しの改正は結局見送られた。多くは触れませんが、そのいきさつですね。それから肩越しということになるようでありますが、肩越しでも実効は変わらないかどうか、検査院長。
○会計検査院長(鎌田英夫君) お答えを申し上げます。 このいきさつということでございますので申し上げますが、いわゆるロッキード事件発生以来、昭和五十二年以降、その問題に関しまして国会で議決がありまして、こういう事態に対する検査を十分やるべきである、しかし現在の現行法ではやれない、こういういきさつから始まりまして、五十二年度以降毎年両院において検査院の機能あるいは権限の拡充という御決議がずっとあったわけでございます。その間におきまして、五十三年には当時の福田総理が、これは検査院の問題であるから検査院が成案を出すべきであると、こういうお話がありましたので、私どもは五十四年に院法の改正要綱なるものを内閣に持ってまいりました。しかし、こういう問題につきましては高度の政治的判断を要する問題でありますので、内閣並びに国会において高度の政治的な御判断をお願いいたしますと、こういうことでお願いしたわけでございます。 その後なかなか進展を見なかったわけでございますが、五十六年に内閣官房副長官のいわゆる翁通達が出まして、これで、内閣としてはこういう協力の態度をもってするからこの範囲でやってほしいと、こういうことでございましたけれども、この翁通達はそれなりに割合と効果があったわけでございますが、なお非常に難しい、二、三の政府関係機関において全くそれが受け入れられないということがございまして、自後不満を申し上げていたわけでございますが、昨年の当委員会において、御質問に対する官房長官のお答えがありまして、検査院とも意見をよく聞いてより詰めていきたいと、こういうお話があり、その後会計検査院も内閣官房あるいは監督官庁である大蔵省などと鋭意詰めをやってきたわけでございます。その間いろいろ検査も実行していたわけでございますが、その過程におきましては、やはり去年の四月の官房長官のお話もあったせいでございましょう、検査に協力するということがございました。 そういう過程を見ながら、ことしの二月に内閣官房の方から新たな通達が出されました。これは前の翁通達と違いまして、まず原則として、会計検査院が検査上必要であるというときにはいかなる機関も検査を受けるということになっております。当時の翁通達のときは受検側で拒否できるような文章があったわけでございますが、今度のはそういうことはございません。したがいまして、この二月にその通達が出たわけでございますので実効面では我々まだ見ておりませんけれども、この通達、非常に私どもといたしましては前向きの通達であると、こういうふうに評価いたしておりまして、四月以降の実地検査においてこういう面がいかに生かされるかということを期待しているわけでございます。 現在のところそういう状態でございまして、私は、この通達によりまして従来検査ができなかった面がまず七〇%、八〇%までの効果がある、検査上の疑点が解決されるのじゃないか、こういうふうに期待しているわけでございます。
○志苫裕君 七、八〇%の効果が期待できると言うんですが、二、三〇%はだめだと言うんですが、これは長くやっておれませんが、特にこの院法改正というのは、ロッキード事件から出ましたように、最近日本も国際化していますから、いわば、国の外側の資金の動きが非常に大きいわけであります。そうなってくると、当然のことながら検査院の機能にも、例えば国際部を設ける等そういう機能が要求される。その点はいかがですか。
○会計検査院長(鎌田英夫君) これは海外援助のことに関してでございますか。そういうわけではなくて、どういうことでございますか。ちょっと質問の御趣旨がわかりかねますが。
○志苫裕君 国際化をしてきますから、国際的な取引とか海外援助とか、ODAとか、そういう部門がたくさん上がってくるでしょう。おたくの領域もだんだん広がるでしょう。それに対応した機能が必要だろうと、こう言っているんです。
○会計検査院長(鎌田英夫君) 失礼いたしました。 まさにおっしゃるとおり国際化の時代でございまして、会計検査院といえども非常にその国際化のただ中に置かれてあるわけでございまして、検査の面でも、これは海外援助とか技術協力、そういった面もございますし、あるいはまた、皆様御承知のとおり、私どももことしの五月にはアジア地域の国際機構の会議を開く、こういうようなことがございます。もう既に長い間そういう国際協力の中に私どももその一員となってやってきているわけでございます。したがいまして、そういういろいろな国際化の中にあって、会計検査院もそういった必要な部があってはというありがたい御趣旨でございますけれども、一応私どもの方といたしましては国際担当のチームをつくりましたり、あるいは国際協力官というようなものも設置いたしまして、いろいろな面に対応できるような体制になっております。 こういう財政事情のもとでございますので、そういう局か部かというような組織を置くまでにはなかなか至らないと存じますが、極力そういうものを活用いたしましてこの国際化の中で対処していきたいと、こういう姿勢でございます。
○志苫裕君 検査院長ぐらいになったら、院法改正ができないでまことに不満だというぐらいのことを言いなさいよ、あなた。 官房長官、結局八年越しだけれども院法改正しなかった、しかし肩越し検査等の範囲を広げて実効が上がるようにしようということになったそうなので、これは受け入れ側、受検側は協力しなければだめですよ。この点、いかがですか。
○国務大臣(藤波孝生君) 会計検査院の院法改正問題につきましては、御指摘のように数年にわたりまして御論議をいただいてきたところでございます。昨年の参議院予算委員会におきましても大きくこの問題が取り上げられた経緯もございまして、昨年の国会が終わりました段階で、政府が、予算委員会等の御論議を踏まえて頭に置くべき幾つかの宿題につきまして総理から強い指示がございまして、院法改正問題を中心として検討する、それが不可能である場合には、それにかわる会計検査院の業務が十分遂行できるような構えをつくるようにということでございましたので、会計検査院と、特にこの肩越し検査の問題が中心でございましたので、大蔵省、内閣といろいろ協議を重ねてまいりまして、先ほど会計検査院長から御答弁申し上げましたような通達を出しまして、具体的に検査がやりやすいように、しかも政府側はそのことについて全面的に協力をしていくように、その体制をとるための通達を出したところでございます。御指摘のように、この通達の趣旨が生かされてまいりますように、一片の通達を出したからそれでいいということではなくて、十分今後も気をつけて、会計検査院の業務が十二分に達成できるように留意をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○志苫裕君 特に抵抗した大蔵大臣、いいですね。
○国務大臣(竹下登君) 官房長官の通達の精神を体して、きちんとやります。
○志苫裕君 大蔵大臣、言語は明瞭なんですけれども、まああとのことはいいでしょう。 外交問題に入ります。米ソの軍縮交渉が再開、ソ連の新政権への期待、米ソ首脳会談の可能性も報ぜられるような状況です。楽観は禁物なんでしょうけれども、かなりのスピードでデタントに向かっているようにも思います。こういう流れの中で、日本外交は一体これまでのとおりのスタンスでいいのかどうなのか。総理、いかがでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国際情勢の仕組みは基本的には変わっていないと思いますが、しかし平和を求める、そして核軍縮、軍縮へ向かっていこうとする気合いは両方とも入ってきつつあります。このような状況変化を踏まえまして、日本といたしましても、この基本的スタンスの上に立って、状況変化に応じ得るようないろいろな措置、考え方を持っていくべきであると考えております。
○志苫裕君 総理は、この委員会を通じても、西側の結束した力がソビエトをテーブルに着かせた、したがって交渉を成功させるのもその西側の結束が大事だという認識はしばしば申されるんですが、果たしてその論理だけで一体対応できるのかということに、率直に言って私は疑問です。もしそうだとすれば、世界にたくさん国があって、核も持たない国、小さい国、軍も小さい国、どこにも所属しない、グループにも入らない国、たくさんありますが、日本のこういう憲法を持った国、いろいろ国があるわけで、こういう国々の役割を全く自分自身で無視をしたことになるんじゃないか。いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、世界の国際的世論とか、あるいは非同盟中立グループの果たす役割とか、そういうものは正当に評価しているものでありまして、国会における答弁の内におきましても、国際的世論云々という言葉は申し上げておるのであります。ただ、交渉当事者がアメリカとソ連でありまして、両方とも抑止と均衡、力の信奉というものが相当程度政策の中に込められている国柄であります。そういう面もまた無視しては平和の成立は難しくなる、そういうことを申し上げておる次第なのでございます。
○志苫裕君 私が申し上げたいのは、戦後史をそれなりに見ますと、大体十年単位ぐらいで冷戦があったり、緊張があったり、対立があったり、またデタントがあったりというようになっています。それは決して同じことの繰り返しではない。やっぱり絶えず新しい質を伴っておる。一番最初のころは社会主義か資本主義かという価値をめぐるあるいは対立だったのかもしれません。最近におけるのは、むしろそれぞれの陣営における内部の対立、そういうものを含んだままの両陣営というようなことになっていまして、ですから新しいデタントもまた質の違ったものになるのではないかということを考えてまいりますと、西側の一員を強調する余りに、新しいデタントに対する認識がずれてテンポがおくれやせぬかという懸念を表明しておるんですが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国際的な、何と申しますか、構造の枠組みの基礎というものは変わっていないと、先ほども申し上げたとおりであります。したがって、そういう認識を基本にしつつ、我々は流動していく要素についても十分注意を失わずに遺憾なきを期するような政策をしていきたいと、こう申し上げておるのであります。
○志苫裕君 同じ西側と言っても、いわばヨーロッパの西側と日本とでは、同じアメリカを中心にした枠組みといっても、やっぱりその対応のしたたかさが違っているようだという意味で申し上げるのですが、子の心親知らずで、親同士がデタントに向かって、ひとつ置いていかれないようにせっかく対応をお願いしたいと思います。 五月二日からボン・サミットが開かれますが、このサミットの主なテーマあるいは一応日本の対応ですね。報告いただけるものがあれば伺いたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 例年サミットにつきましては、サミットは大体経済が中心ということで開かれておりますが、事前に各首脳の個人代表というのが何回か集まりまして、議題を整理してサミットに臨むということになっておりまして、まだ最終的にはその個人代表による議題の整理が終わってない、大体今月の中旬ごろに最終的な会合をやって整理が終わるであろうと、こういうふうに考えております。したがって、議題についてはまだ何ら確定している議題はないということであります。
○志苫裕君 総理、思い出しますのは、去年のウイリアムズバーグ・サミットではいわゆるINFに関する政治声明を発表して、総理の積極的なコミットが問題になりました。それに味をしめたのでしょうか、アメリカはボン・サミットでSDIの政治声明をまとめたいということも報じられておりますが、研究参加への強引なあの要請のやり方等を見ますと、さもありなんという感じもするんですが、情報はありますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) SDIは今その論議が世界をにぎわしているように思うわけですが、これが果たしてサミットにおいて論議されるかされないか、そういう点については全く今のところ何らの情報も得ておりません。
○志苫裕君 マスコミによりますと、特にレーガンさんは日本の積極姿勢を期待しておるということだそうだけれども、一月の首脳会談でのSDIに対する理解発言から少し踏み込んだなという感じのあった総理大臣も、本委員会あたりでは協力について予断を持った支持ではないということで慎重な発言をなされておるわけで、それはそれで結構だと思いますが、仮にSDIの政治声明が持ち出された場合、どうなさいますか。私は絶対にこれは留保すべきだと考えますが、総理、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 中身を見てから判断いたしたいと思います。
○志苫裕君 そこへ行って判断するんですか。私はやっぱりSDI問題についてはこれほどあって、外務大臣も一般質疑等では大変慎重な発言をなさってもおるわけで、それは西側諸国の支持というのは、SDIそのものよりも西側の結束という意味での政治的態度というふうにとればわからぬわけでもありませんが、本体はこれからだということなんでしょうが、去年の例のサミットでの声明も、総理は戻ってくると少し言いわけするような、人が言ったので何となく相づち打ったみたいなことを言っていますが、これは出てくることが予見されるんですから、もう少し明確な態度を表明してくださいよ。
○国務大臣(中曽根康弘君) SDIに対する我が政府の態度は、今まで申し上げてきたとおりでございます。今までのような基本的態度に立ちながら、どういうような話が出てくるのか、よく話の内容を分析しまして、その場におきまして判断を下してまいりたい、こういう意味であります。
○志苫裕君 まことに失礼だが、あなたはその場の雰囲気に乗る癖があるので、非常に慎重な対応を求めておるんですよ。念を押しますよ。どうでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私はいかなる場合でもクールな人間であると思っております。
○志苫裕君 ちょっと経済摩擦に入りますが、総理、率直に言って、連日のワシントン発のいろいろな報道や日本政府の態度を見ていると、何か大変物騒な慌ただしい雰囲気を感ずる。実は歴代政府が外交の基軸にしていたのはアメリカなんだし、最近ではやれ同盟関係だ、運命共同体だとうたい上げてロン・ヤスの関係を誇示する日米関係に一体何が起こったのだろうというふうに一般国民はキツネにつままれたような思いもあると思うんです。実は政府は、貿易の不均衡から生じた摩擦を防衛力の増強に利用したようなことはあったけれども、しかし事の本質が何であるのか余り国民に語ったことはない。その場限りのことばかりやって根本的な対策をしなかったのじゃないかということをいささか思い当たるというのが最近の状況だと思うのです。この委員会でもしばしば議論されました。しかし、政府の答弁は決して系統的、体系的なものではない、こう考えるので、これは総理になりますか、どなたになるのですか、この機会にひとつ歴史的ないきさつをたどりながら、事の本質は何なのか、あるいはアメリカの言い分、アメリカの国内事情、日本側の立場、主張、問題解決のための国民合意を形成すべき基本的な点は何なのか、こういうことをちょっと系統的に語ってもらえませんか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 事の本質といいますか、やはり両国間で相当誤解があるのじゃないかと思っております。また、理解が足らない点があるのじゃないか。その辺の、例えば政府間においては割合に事の本質というものはお互いにわかり合ってきておるのじゃないかと思いますが、アメリカの議会の最近の態度等を見ますと、ほんの一部分の人はわかってきておると思いますが、しかし大部分の人たちが今日の日米のこれだけの問題について本質を十分理解してない。例えば議会の大半の空気というのは今三百数十億ドルに上るところの貿易の対日赤字が日本のほとんど責任であるという、日本の貿易に臨む不公正な姿勢が今日の三百数十億ドルの赤字をもたらしたのだというふうな非常に短絡的な考え方で特に日本に対して制裁を加えるべきだと、まさにそういう意味では差別的な扱いのように私は感じるわけでございますが、やはりそうした原因の大半というのは、アメリカ自身のドル高と、その背景には金利高あるいはまた財政赤字というのがあるわけですから、そういうところにあるというのをこれはアメリカのマスコミ等も指摘をしておりますが、アメリカの議会というのはもう少し冷静に見てもらわなければならぬ。同時にまた、日本がこれまで努力したという、そうした改善措置につきましてもそれなりの評価をしていただきたいと思います。 もちろん、日本がまだまだ製品の輸入等について彼らに満足を与えてない、あるいはまた日本の貿易におきましてまだ市場開放が足らないという点があることも、これはまた日本自身としての問題としてこれに対して改善を加えていくということは当然で、それなりに日本はやってきておりますが、どうもその辺のギャップというのが、政府間というよりはむしろ今のところはアメリカの議会に大きく存在している。そうして、その議会の力が非常に強いというところにこれからの問題を我々は非常に憂慮いたしておるわけであります。したがって、今やはり大きい問題は政府間の日本の努力というものをアメリカ側に納得させるとともに、四分野等においては、例えば今のテレコム等の分野で日本のとった措置というものは大統領を初めアメリカの政府はほぼ満足をいたしておるということでございますが、やはりそうした日本側の措置、そういうものが議会に反映していくように、その点はやはりもっと日本とアメリカとの間の政府間だけでなくて、議会間あるいはまた国民と国民との間の各層の間の理解を進めていくということが今ほど大事なときはない。この時期を逸してしまえばますますアメリカにおける議会の動きが急激になってきて、保護主義が一挙に浮上していくということになりますれば、自由貿易体制全体が崩れていくわけですから、大変な事態になるのじゃないかと心配をいたしております。
○志苫裕君 余り事の本質はわからなかったけれども、こういうときに総理、やっぱりナショナリズムを背景にしてけしからぬけしからぬということで大分世の中が厳しくなってくるわけで、日本側に原因を求めるとすれば何ですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは、私は原因を求めるとすれば、彼らからいわゆる不公平だ、アンフェアだと言われる日本の措置につきまして、いわゆる彼らの発言に対しまして、日本自身も貿易問題のあり方、市場のあり方等についてやはり率直に反省するところは反省をして、改めるべきは改めていかなければならない。不公正ということを、アンフェアということを盛んに言っておりますから、そういうことを言われる筋合いはないという体制に持っていく努力が必要じゃないかと、こういうふうに思います。
○志苫裕君 通産大臣、アンフェアということで聞きます。フェアにしたら日本の競争力、一対一で競争力はどうなっていますか。通信機器なら通信機器でどれか一つ例にとってやってください。
○国務大臣(村田敬次郎君) 品目によると思います。例えば自動車などは非常に日本の製品がよくてアメリカで好評だということに大きな原因があったと思います。しかし、何と申しましても外務大臣が御指摘になったようなドル高、そしてまた高金利、そういった点、これは日本からいえば円安でありますが、それが言うなれば一割ないし二割のプレミアムがついたような結果になりますから、貨幣上の、通貨の問題は非常に大きいと思います。それと同時に、日本がそういった貿易体制において、例えばハイテク問題などでも非常によく進んでおるわけでございまして、そういった日本の輸出努力が非常に大きい商品においてはそれが顕著な形であらわれておるかと思います。
○志苫裕君 総理、日本人とアメリカ人では価値観もあるいは情感も、あるいは言葉遣いの意味とか余韻とか、こういうものも違うだろうし、当然また受けとめ方の違いも生ずる、これはあり得ることだと思うんです。その最たるものは八一年の鈴木・レーガン声明を勝手に解釈して、それが今日まで尾を引いてしまっているのだけれども、総理、今回くすぶっていた火が一気に燃えたようになったのは、一月の首脳会談における双方の話し合いに、それこそ情感とか受けとめ方の違いがあったのじゃないでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) そういうことはないと思います。 私は、今の志苫さんの御質問を自分で今まとめてみまして、次のように感じます。 一つは、アメリカと日本における統治概念、コンセプションの差があると思うんです。日本の場合は政府が護民官みたいに国民を保護していく責任をしょっているという考えを持っておる。これは律令国家以来千年も続いてきた体制であって、したがって、洪水が起これば政府の責任じゃないかとすぐやられる。また、政府はそういう体系を今までとってきて、それが日本の統治概念であったと思うのです。特に明治以降なんかは、そういう意味においては規制とか統制をずっとやってきたわけです。ところが、アメリカは契約国家で国民が自分の責任で自分が選好したことをやる。選んでやると、それは自分の責任に帰する。ですから、アメリカの場合にはもう国民がばしばし裁判に訴える。弁護士は、日本は一万五千人しかいませんけれども、アメリカは五十五万人もいる。そういうわけで、電気通信の仕事なんかでもサービスをよくするように、音質を下げないように政府はいろいろ規制をして、そして国民の面倒を見て、政府がひっかぶりながら水準を維持するようは今までやってきておるわけです。ところがアメリカ側は、そんなものは国民が勝手に選べばいいので、音質の悪いのを買ったらかえればいい、それは自分の責任でやればいいのだ、この差が一つあるのです。ですから、この間うち電気通信におけるいろいろな問題につきまして基準・認証制についていろいろ話があったときに、日本の郵政省は今までの概念がありますから、できるだけ国民に心配をかけないような規制を続けていこうとする。しかし、アメリカ側はそんなのは国民の選択に任せればいいことで、そんな基準・認証制をごたごたやる必要ないでしょうと、その差が一つはある、私はそのことを、律令国家以来の話をして、シグールさんにも話したです。統治概念の差というものが一つあるんだと。しかし、その場合でも今のような情勢になりますと、私は必要最小限の公共性は維持するが、あとは国民の選択に任せる、そういう方向に変えなさいと、そう小山事務次官に指示したわけなのであります。 それから第二は、景気の上昇速度のギャップがあります。アメリカの方が先にぐっと景気が上がりましたから日本の輸出がぐっと伸びた。昨年の五月がピークでして、対前年比五七%も輸出が伸びました。しかし、最近は三・五%に落下してきておる。それは明らかに景気上昇のギャップというものがここで認められると思うのであります。何しろ五七%も、約倍近いぐらいのものが出たわけですからね、五七%増で。 それから第三番目は、日本の高い生産性とアメリカの高いドルから来ておる。やはり商品、自動車でもその他でも生産性はいいし、それからアフターケアは非常によろしい。日本流の非常にきめの細かいアフターケアもやる。アメリカは高いドルで動きがとれない。ドルの相場は一割ないし一割五分高くなってきている。これは一割五分の課徴金がアメリカの品物はかかっていることになります。ですから、関税を五%下げるとか一割下げるというような大騒ぎを起こすわけですが、現にそれだけの高関税がさらに上がっているという形になるわけです。これがアメリカの品物が出ないという原因になっておる。 それから四番目は、やはり日本が持ってきた今までの伝統的閉鎖性というものもないとは言えない。それは善意でやってきておるわけなんであります。ところが、アメリカの側は売る努力の不足というものが非常にあります。例えてみれば、合板にいたしましても、アメリカ人は日本に合板売ろうとするけれども自分の規格どおりのもの以外つくらない。カナダの方は日本の住居の規格に合ったものに合板のあれを変えるから、だからアメリカから日本へ今輸出している合板というのは六億円しかないが、カナダは輸出を二十億円もしておる。しかし、日本からは合板の輸出は六十億円行っているんです。向こうからは六億円しか買っていないが日本からは六十億円、約十倍輸出しておるんです。カナダから二十億も来ておるというのは日本の規格に合ったものにカナダは変えているわけです。よく自動車のハンドルの例を引きますが、このようにアメリカは広大な市場を自分で持っておるものだから、今まで外国に努力して売るという努力をしないでも国内で済んだわけです。電気通信なんかの場合は特にそうで、日本は四兆円のマーケットです。アメリカは十八兆円のマーケットです。この四兆円の小さいマーケットから十八兆円の大きいマーケットに行くという場合にはよほど研さんをしていい品物をつくって売り出そうという血のにじむ努力をやるわけです。ところが、十八兆円のマーケットから四兆円の小さいマーケットに行くよという場合には、十八兆も売れているのだからそんな四兆の小さいところへまで何も努力していかぬでも国内で済むじゃないかという気分があって、アメリカの会社はそういう改良を怠るという面もあるわけです。このマーケットの広さの差というものも一つは原因にある、一つの例を申し上げますと。 そこで、この間もシグールさん来ましたから、私は日本の商社や企業はアメリカへ行って商売しているけれども、みんな英語を話すよ、しかしアメリカの企業で日本へ来て日本語を話せる重役や職員が何人いますか、この差というものが出てきておるのだから、日本でうんと売りたいと思ったらもっと日本語を習わして、べらべらしゃべれるような人間をもっとよこしてもらわなければだめだ、そう言っておいたのです。こういうような事事が重なってこういうことになったと分析しております。
○志苫裕君 いや、それは中曽根国際経済学博士の話は聞いたけれども、今私はそれにすぐ全部判断加える能力は持っていませんが、やはりこういう問題は事の本質をとらえて系統的、体系的に国民にも説明するし、日本側の悪いところは直さなければいかぬですからね。それはそれなりの合意を形成する、率直に言ってそれがないのだ。 私が聞いたのはそこじゃなかったのだ。あなた、一月に会ったときに受け取り方や言い方の違いがあったので、それで火が燃えたことになったのじゃないか。あなただめだ、長々と話して別のことへ持っていっちゃ。
○国務大臣(中曽根康弘君) いや、一月にああいうことやったから私はこれで済んだ、そう思っておるのです。それは十二月の時点で大統領選挙終わったときに、去年は対日貿易批判は選挙中出なかったのです。それはなぜかと言えば、共和党の方はそういうものを出して何も火をつける必要はない。うまくいっているのだと言うのが選挙に有利ですから。それから、民主党の方はそれをやろうとしたが、AFL、CIOのひもつきだと民主党の候補者モンデールさんは言われておったわけです。そこへもってきて対日批判みたいなことをばばっとやるというと、これは輸出業者のひもつきだ、そういう非難を恐れて民主党も言わなかったのです。しかし、選挙が終わったら今度は次の、来年の中間選挙がありますから、必ず出てくる。一挙に噴き出すだろう、そういう予想をしておったわけです。そこで、十二月の時点からこれをどう解決するかという方式を早く決めないといかぬ、私はそう思ってレーガン大統領に会見を求めた。そのときに、ソフトランディングをやりなさいと言ったのはこの意味が実はあった。そこで、大場・スプリンケルとか竹下・リーガン会談でハイレベルの交渉の場をつくったために、金融の自由化という問題はかなりアメリカが満足いく程度に行われて、しかもそれは日本のために非常にプラスになったということが起きたわけです。そこで、これと同じようなケースを問題のところもやろう、各省の場合は事務次官が事務の最高責任者で実力者でありますから、事務次官のレベルでこれは最終的には交渉した方がいいと、そういうわけで問題の四つの分野についてハイレベルの交渉の場をつくった。それが成功するかしないかということは、アメリカの生産性とかあるいは日本が閉鎖性を除くとか、そういう問題にかかってきているので、その最後まで私は責任を負うわけじゃない、しかし方法は設定しよう。そういうわけで方法を設定してチャネルをつくってこれが始まったわけです。そういうようなチャネルがあって、そうして大体最近アメリカの声明を見ますと、一応これでいいという方向に今落ちつきつつある。それを見ればこういうチャネルをつくってやったことはやはり私は成功であったと思うのです。もしこういうチャネルをつくらないで、そして方法が余り明確でなくしてやったら、この忙しい予算委員会のシーズンに大臣が二人も三人もワシントンに飛んでいかなければ間に合わない事態になったと私は想像しております。これはある程度時間的余裕を得て、下からの積み上げで事務的にずっと折衝してきた結果、こういう結果が出てきたと私は思うのです。それは牛肉、オレンジの場合でも、山村新治郎農水大臣がワシントンへ飛んでいってきりきり舞いをこの前した。そういうことが郵政に起こらなかったかあるいは医療に起こらなかったかということを考えれば、アメリカ議会のフラストレーションのぐあいを考えてみると、これはやはりこういうチャネルをつくって、そうしていわばそういうエネルギーを処理する場所をつくったと、そう思うのであります。そういうことで御理解願いたい。必ずしも一〇〇%うまくいったと私は思いません。国民には随分御心配、御迷惑をおかけしたと思うのです。しかし、事務的に見まして、また政治的な反映等も考えてみまして、こういうチャネルをつくっておいたということは、エネルギーを処理する場所として私はまあまあよかったのではないか、そう思っておるし、今後これからのフォローアップが大事であります。これは政治マターになってきているわけですから、アメリカ議会は来年の中間選挙というものが終わるまでは続いていくわけです、これに対する思惑とかいろいろな反応というものは。ですから、その面も考えてフォローアップを誠実に実行していくということが大事である、そう考えております。
○志苫裕君 この点同僚議員が少し関連で詰めますが、今話がありましたように、それはアメリカの経済の原則であるとか雇用問題とか、選挙を来年に控えているとか、いろいろあるでしょうが、ただ、先ほど総理は日本の高い生産性、高いドルと言いましたが、つけ加えれば日本の高い生産性と日本の低い消費能力ですよ、これを忘れておるとだめだと思うんで、これは指摘だけにとどめて、もう一つ指摘をしてちょっと関連に入ります。 税制改革の論議で、私どもそろそろこれで委員会を終わるわけですが、はたと思い当たることがあるんですね、反省も含めてなんだけれども。総理の施政方針演説の中で、抽象的だけれども、新しい問題の提起は実はこの税制改革だったんです、こちらの理解ではね。しかし率直に言って、その論議が深まらないという原因を思いますと、予算編成の過程からどうも与党の幹部が、もう所持金はこれっきりだから新しい税金を見つけないといかぬ、増税だとか、だれが言ったんだかわからぬけれども、いや今度は大型間接税だと、わあっと前景気をあおりながら予算の審議に入り込むことになりましたので、税制改革の議論というよりは、大型増税だ、増税だという話を食いとめる、チェックするというところに全体が行き過ぎて、肝心の税制改革の議論が進まなかったといううらみのようなものを私自身率直に言って感じています。それは同時に、政府が、特に大蔵あたりは、まあいろいろな議論をしたが一番最後は、ちっとは税金が余計入るくらいの道は残しておきたいと助平根性で思いますから、どうしても税制改革論議に増税というイメージが絡む。したがって、本当の意味の改革議論にならなかったといううらみを率直に言って感じるんですね。それは政府の責任もあるというふうに考えるので、この際、これから税制改革の国民的議論を活発にしていくため次のことを確認してくださいよ。 一つは、税制改革は税に対する国民の不公平感を取り除く、大型消費税の導入など新たな税目を起こして増税をもくろむものではないのだ、これが第一点。したがって、税制改革の結果、自然増とは別にしまして、国民の租税負担率がそう変わることもないのだと。この二つを確認してくれれば、税制改革議論は活発になるし、進むと思うんです。また、そうしなければならない状況なんです。この枠づくりはいいですか、総理。
○国務大臣(竹下登君) 枠づくりは私も大筋それで結構だと思います。私自身の反省からいたしましても、確かに税制改革論議でなくして、間接税是か非かというような形から入った、それに対する対応の仕方も答弁が拙劣であったのではないかなという反省をしております。徐々にそれが今、いわゆる歳入委員会であります、まさに税法の審議をしていただいた大蔵委員会で、言ってみれば、それの何といいますか、具体論という議論が毎日聞かされておるというのが私の偽らざる心境でございます。 したがって、まずは何としても今、不公平感があることは事実でございますから、いわば総理のお言葉をかりますならば、シャウプ以来の税制のゆがみ、ひずみに対して、それこそ公平、公正、簡素、選択、そうして活力という点から見直してもらうというので、初めに新税ありきとか、初めに間接税ありきとかいう問題ではないということは志苫さんと私は意見を等しくします。 それから二番目の、結果としてではあるが、いわゆる租税負担率が大きくぶれていくというようなことも、これは当然のこととして、これは税制論議が出た後の、採択した後の結果かもしれませんけれども、それも留意しておかなければならぬ課題だということに考えをおおよそ等しくします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 反省してみますと、我々の方からすると、大型間接税の幽霊に脅かされ過ぎた、そういう感じがいたします。我々はシャウプ税制以来のよじれた、沈殿した重税感のある、不公平感も残っておる、そういうものを直したいという気持ちをずっと腹の中に持っておったのですけれども、大型間接税是か非かという論争へぐっと巻き込まれて、思わぬ考えてもいない方向への印象を国民に与えたのじゃないかと、そういう感じがいたしました。そうじゃないのだ、我我は基本的には重税感や不公平感を直そうというのが基本なので、ですから増収を目的としない、そういうことを申し上げておるので、そういう意味からは減税をやりたい、所得税、法人税等の減税をやりたい。アメリカのリーガン財務長官が出した減税案というのは非常に参考になるし、あれがアメリカ議会でどういう運命をたどるか非常に注目していきたいということも申し上げてきておるのであります。 と同時に、今租税負担率の話が出ましたが、あれは基本的には新たなる措置をとらないという点に租税負担率がかかってきているわけなんです、新たなる措置にかかってきているわけです。ですから、自然増収とか、あるいは不公平税制の是正とか、そういういろいろな面で許されている部分については、租税負担率は上がっても下がってもこれは関係のないことであると、そういうふうに解釈しております。
○委員長(長田裕二君) 和田静夫君の関連質疑を許します。和田君。
○和田静夫君 今の租税負担率で総括から引き継いで若干のことを総理にお尋ねをしておきたいんですが、前に、財政再建は大型間接税によらず行うべきである、こう総理は申されておる。財政再建は、企業関係の不公平あるいはマル優の不正利用などの執行にかかわる不公平、医師などの特定業種への優遇措置廃止などの是正、これらによって財源を確保する。他方、防衛費に代表されるような不適正な歳出をカットすることによって可能である。これは私が主張しました。そこで、不公平を是正すれば、租税負担率は、今もお話がありましたが、自然増収分よりも上昇するわけであります。そこで、総理は、もう一遍確認したいんですが、税の執行面を含めて不公平税制是正による負担率上昇は臨調定義の増税ではない、こう考えていらっしゃるわけですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) それは今も申し上げましたように含まれていない。臨調答申の際にもそういうことは私も聞いております。
○和田静夫君 そこで、総理、国税の負担率の上昇は、この自然増収によるものと不公平税制是正によるもの以外は認めない。それ以外の負担率上昇の措置はとらない。よろしいでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 臨調答申の際に聞いたのは、これは文章で、当面の財政再建に際しては、GNPに対する租税負担率を上げないように新たなる租税上の措置はとらないことを基本とする、そういう文章になっておりまして、そのときは不公平税制の是正とか、あるいは自然増収とか等々という言葉で代弁されておりまして、そういうものであると私は考えております。
○和田静夫君 直間比率についてですが、臨調は直にウエートがかかり過ぎているという認識です。私は必ずしもそう思いません、アメリカを見てみれば日本よりも高いわけでありますから。しかし、結果として直間比率が動くときに間税のウエートを高めるのであれば、それに応じた同額の直税の減税は行わなければならないわけですが、よろしいでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 今和田さん御指摘になりましたように、臨調では直接税と間接税の比率等について検討するというのは確かにございます。私どももそれはちょっと言葉として適切かどうかとも思いましたが、税調の方で税体系の見直しという言葉になりましたが、観念的にはよくわかる表現でございますから、したがって、いわば直がでこであって間が仮にぼこであったとしますと、でことぼこの調整によって総体的な対国民所得比の租税負担率というのはやっぱり念頭に置いておくべきものだと思います。
○和田静夫君 その念頭に置くというのは、その場合は負担率は上昇しないと、こういうことですね。
○国務大臣(竹下登君) 恐らく私が今気をつけて申しましたのは、いわば微細な点で若干のことがあるいはあるかもしらぬという懸念があったものですから申し上げましたが、精神は和田さんの御指摘と一緒です。
○和田静夫君 そこで総理、直間比率の調整は結果としてでもあるわけですね。それは目的とするものではない、これは御答弁、前にいただきました。しからば、クロヨンなど捕捉率の是正のために大型間接税、つまりEC型付加価値税とか小売売上税は導入しない、これも約束されるわけですね。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる和田さんのおっしゃっておりますのは、EC型付加価値税のインボイス方式だったらクロヨンの一部と言われるいわば売上高とかそういう問題についての節税行為といいますか、そういうことができなくなる、節税という言葉がいいのかあるいはごまかしという言葉がいいのか。したがって、その点においてはこの間接税という、EC型付加価値税というのはクロヨン是正のために結果として役立つからそれをやるべきだという議論には私はくみしておりません。
○和田静夫君 総理もよろしいですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大蔵大臣と同じであります。
○和田静夫君 EC型付加価値税を導入しても、これは弾性値が低いために税収は伸びない。それに相応した直接税減税が行われなければ、デフレ効果が働いて全体の税収というのはさらに私は落ち込むと見る。したがって、EC型とか小売売上税を財政再建の財源とするために導入すべきではない。これは前の再確認ですが、よろしいですか。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる財政再建を目的とする、そういうことを前提としたそのようなことは考えないということです。
○和田静夫君 総理もよろしいでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大蔵大臣と同じであります。
○和田静夫君 総理は、言われましたように、所得税の減税をやりたいと力強く約束をされた。その力強さからすれば、かつてのラーメン減税といった程度のものではないだろう。兆円規模のものと承っておいてよろしいですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は前からこのことを申し上げて、念願としておるということを申し上げてきたのですが、先般与野党の書記長、幹事長会談の結果の第一項目にやはり減税のことがのって、検討課題となっておるように思います。まあそういうことも大体同じようなラインで来ている話かなというふうに考えております。
○和田静夫君 規模が、兆円規模という規模の問題。
○国務大臣(中曽根康弘君) 何千億とか何兆円という数字については私は言及するのは差し控えたいと思っております。
○和田静夫君 大蔵大臣、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 今度は私が、総理のおっしゃったとおりでございます。
○和田静夫君 総理、これはしかし六十一年度にはおやりになる、そういうことですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは適当なときに政府税調にお聞きをしてそして御検討願うということで、いつまたお聞きするかということも決めておりません。したがって、いつからやるということも今のところはまだ決まった状態ではございません。予算でも成立して議会でも終わりましたらよく検討したい、党とも相談したいと、そう思っておる次第です。
○和田静夫君 大蔵大臣としてはどういう展望をお持ちですか。
○国務大臣(竹下登君) これはお答えしにくい一つの前提は、五十九年度は本格減税をやって六十年度は税調答申はいわばその余裕はないと、こう書いてあるわけですが、一方、先般の与野党の幹事長、書記長会談において、経済情勢等を見ながら政策レベルで検討すると、こういう申し合わせがあるわけですから、そうするとその推移というものを見守っていなければならぬという一つの前提が生じたわけですから、したがって政府の立場とすればそれはそれとして見守り、いま一つは、今総理からお答えがございましたように、税調等の審議をまつべきものであって、いついかなる方向でということは今差し控えるべきだろうというふうに考えます。
○和田静夫君 これは総理ですがね。先日も大蔵大臣と一般質問で議論をしましたけれども、所得階層別に見ますと第二分位では去年減税をやったんですがね、しかし、負担が増加しているんです。これはお認めになったんです。私は年収五百万円以下の低・中所得層に十分配慮をした措置をとるべきである。大蔵大臣も同調されましたが、総理もよろしいでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は前から、二百万から八百万ぐらいの間というものに目を注ぐべきだと、そう申し上げておるのであります。
○和田静夫君 委員長、税の論議を終わるに当たって一つお願いをしておきますが、例の国会決議についてですけれども、政府が今言われた税調に諮問をする前に議運として結論を出していただけるように委員長からぜひ督促をしていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○委員長(長田裕二君) 御趣旨に沿うよう委員長としても努力をいたしたいと存じます。
○和田静夫君 総理、先日一点答弁漏れがあったんですが、それは知る権利は現憲法の人権規定からコロラリーとして当然出てくると考えておいてよろしいですか。
○政府委員(茂串俊君) 知る権利につきましては憲法に直接明文の規定はございませんが、委員御承知のとおり、憲法二十一条の表現の自由とか、あるいは現在の憲法がよって立つところの民主主義社会のあり方の問題に直接つながりのある問題として十分に尊重されるべきものであると、かように考えております。
○和田静夫君 先日来、総理、公益法人について休眠法人の早期整理及び天下り公益法人への国庫支出の点検を官房長官に私は要求をしてまいったわけでありますが、行政改革の一環としては総理の指導性に期待をいたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 特殊法人の合理化等につきましては、また民法上の特別特殊法人でありましても政府が監督すべきものにつきましては、御趣旨に沿って行革の目的を達するようにしたいと思います。
○和田静夫君 経済摩擦の関連でございますが、例えば四分野のうち木材ですけれども、三年をめどに国内業者振興策と引きかえに関税引き下げを行う、これ総理のお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは決まったわけではないので、この間政府・与党首脳会議におきまして大体、林政の振興をやってもらいたい。これは前から私は考えていたところで、自民党は「花と緑で人の和を」と、花と緑の運動をやっていますが、その一番の根本はやっぱり山を守るということにあるわけなんです。そういう意味において基本的なところへいよいよ党としても本格的にぶつかってやろうじゃないかと、そういうことと同時に、片一方では今木材関係の外国からの要請もありますから、そういういろんな点も考えて政策を早く確立して必要な措置もやろうと、また一方においては対外関係の要請にもこたえてある程度の時間的な余裕を持って段階的にやっていくようにしたらどうかと、おおむね三年ぐらいを目途に研究してもらったらいいのじゃないかと、そういうことを政府・与党首脳会議で申し上げて、党もそれで研究をしようと、そういう状態で今あるわけであります。
○和田静夫君 国内業者振興策は私は新たな摩擦の種にならぬかというようなことをちょっと思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) この点は繊維の場合でもありまして、私はアメリカに対しても外国に対してもよく理解すればそれは問題にならないように済むのではないかと思っております。
○和田静夫君 行動計画を十一月までは策定すると報道されているんですが、テンポが遅いような気がしますがね。
○国務大臣(中曽根康弘君) これはまだ新聞に報ぜられていることでありまして、政府として正式に決めたことでもないのでありまして、まだ御答弁申し上げるのは早いと思います。
○和田静夫君 その場合、その行動計画というのは、アメリカだけではなくて、EC、東南アジアにも配慮をしたものが望ましいと私は考えますが、いかがお考えでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) それは当然のことであります。
○和田静夫君 総理、先ほど来ありましたシグール特使との会談で何を約束されたのか全容を明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど一部申し上げましたが、簡単に申し上げれば二点ありました。 いろいろなものがありましたけれども、中心になるようなポイントは二点だろうと思いました。一つは基準・認証制の問題で、今申し上げたような政府の責任でカバーすべき分野、国民が自分で選択すべき分野、その分野の概念が違っておったわけです。例えば電話にいたしましても、ネットワークに損傷を与えるとか、通話が漏れるとか、そういうことはいけない、それはもう一致しておる。しかし、それ以外の、音が大きいとか小さいとか、雑音が入るとか入らないとか、どの程度澄んでいるとか、度合いにもよりますけれども、これはもう国民の選択に任せて、悪いものは買いはしないのだから、そこまで政府が規制するのはどうかなと。その辺でいろいろ低迷しておったのを、もうそういう問題について私が判断を示して郵政省に指示をする、そういうことが一つありました。 それからもう一つは、それをいつまでにやるか、郵政省の小山次官が向こうと話したのは六十日というめどでありましたが、何も六十日かける必要はないと。四十五日でも五十日でも早ければ早いにこしたことはないから早めましょう、そういうことと、もう一つは、向こうは法律や政令や規則をつくるときにはまず政府が原案を出して、そしてそれを業者や公聴会やら、みんなの意見を聞いて、意見を言わして、それで政府が直して法令をつくっていく、そういう手続が向こうの手続だと。日本は、まずいろいろな意見を聞いて、それで今度は原案をこっちはつくっていく、それでできたものをまた意見を聞いてみる、そういうやり方なんです。この差があるのです。向こうはまず原案を出しなさいと、政令にせよ、省令にせよ、法律にせよ原案を出さなければ意見を言うわけにいかぬじゃないか、向こうはそういうことなんですね。いや、我が国はそういう制度じゃないんだ、先にまず聞いてから中味をどういうふうにするかという選択をやるのだ、そしてできたものを今度はお示しするんだ、審議会にかけたりして。ところが、それが向こうにはわからないのです。初めから原案を示した方が能率的じゃないかとかというような、そういう問題もあったわけであります。そこで、審議会の委員等々には外国系企業の会社でも日本国籍を持っておる代表者等は入れましょうと、そのときからどんどん入れるようにしましょう、大体そういうことで解決したということであります。
○和田静夫君 その特使との会談、そして九日に決定される、それによって米側の対日報復は鎮静化するとお考えなわけですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 議会の模様はわかりません。しかし、少なくともホワイトハウスと商務省に関する限りは一応理解はした、そして推移を見守ると、そういう態度であると思います。
○和田静夫君 その議会ですがね、議会で対日報復法案本会議上程のストップ、それをもってレーガン大統領がボン・サミットで取引カードに使うという観測が出てますね。そうすると、それに対しては総理はもう対応をお考えでしょうね。
○国務大臣(中曽根康弘君) ボン・サミットでアメリカやEC諸国等がどういう態度に出るか全くこれはわかりません。 しかし、そういうようなことは今までに関する限りはなかったのですからやらないと思いますね。そうであるなら財政赤字から、高金利が出てきますからね。そういう意味においては、ちゃんとみんな考えることは考えておるのじゃないかと思います。
○和田静夫君 私は、総理、経済摩擦は構造問題であると考えているわけです。仮に、米側の要求を一〇〇%のんだとしても解決しないでしょう。問題は、個人消費を先ほど志苫質問にありましたように惹起をして、内需を拡大させることなしに私は解決しないと思う。そこで総理、思い切った内需振興策をとるべきですが、どういうふうにお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) それは賛成であります。ただ、財政資金を使うということは非常に難しくなってきておる。我々が民活を言っているのはそういう意味もあるのでございますけれども、しかし原則的には賛成であります。
○和田静夫君 その一つで私は提案したいのは、公的住宅政策の拡充を内需拡大の軸とすべきだと実は私は考えているんですが、そのためにも早期補正が必要になると考えますが、総理のお考え方は。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今、本予算の御審議を願っているときに補正を言うのは見識がないと思います。
○和田静夫君 大蔵大臣どうです、これは、見通しの問題で。
○国務大臣(竹下登君) ひたすら諸般の諸指標をもとにして国民のために最善なると信じ、今お願いしておる予算、その際に補正という言葉を使うことは大蔵大臣失格だと指摘される危険性がございます。
○和田静夫君 労働問題という観点からすると、労働大臣、時短を推進することは摩擦解消への非常に回り道ですが一つの解決策だと考えますが、どうお考えになっていますか。
○国務大臣(山口敏夫君) 労働時間短縮の問題は、例えば韓国とか香港とか、そうした国の長時間労働で日本の繊維とか織物が非常に圧迫されていると、こういう現状のいわば逆回しでございますから、長時間労働がヨーロッパやアメリカで大変批判を受けつつあるということが現実でございます。そういう意味で、労働福祉条件の改善のみならず、労働経済の立場からも、貿易摩擦の立場からも日本の労働時間問題というのは真剣に取り組む一つの機会に来ていると、かように考えます。
○和田静夫君 それで大臣、ことしの連休は間に合いませんが、来年に向けて立法措置を検討されるというふうに承っておいてよろしいですかね。
○国務大臣(山口敏夫君) 現在は、労働省としてはことし本格的に行政指導に取り組みまして、したがって、昨年までは一般企業の中で五〇%近い数字でありました連休を採用していただく会社が六〇%を超えたと、こういう現状でございまして、労働省としては行政指導しながらその意識啓発に努め、また一方、国会で連休の問題と労働時間短縮を各党間協議にゆだねるということで、今週中ぐらいに各党協議が始まるようでございますので、その動向もぜひ期待して見守っておると、こういう段階でございます。
○和田静夫君 総理、これ最後ですが、今労働時間に関する問題と摩擦の問題を考えてきたんですが、労働時間に関するILO条約、全部で十六あるわけですよ。ところが、第一号条約を初めすべて未批准ですね。批准してない。そうすると、経済摩擦解消の長期策として批准の努力を精力的に私はやるべきだと思うんですが、総理はおやりになりませんか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 原則的に時短には我我も協力すべきであると思います。ただ、政府がやれる限度というものが自由主義国家にはございますから、それをわきまえてやるべきであると思います。 ILO条約につきましては、私は中身を子細に検討しておりませんので、関係方面においてよく検討してもらいたいと思います。
○志苫裕君 これは経済企画庁長官ですかな、アメリカのGNPが急速に一—三月期で減速をしたと、そういう報道がございますが、言うまでもなく、我が国のことしの経済見通しは多分にアメリカの景気がこうなるだろうという読みも入っているわけで、これはどういう影響が出るとお考えですか。
○国務大臣(金子一平君) 御指摘のとおり、一—三月期の暫定の推定値でございますけれども、GNPの伸びが二・一%程度になるという減速状況を呈しそうな発表がございましたが、原因は、輸出の伸びが大幅に落ちましたのと、それから設備投資が多少横ばいになったというような点が問題になったわけでございまして、消費は依然活発でございます。この程度でございますと、ドルのレートも大体回復しつつございますし、やはりアメリカ経済に対する世界各国の信任というものが相当根強いものがあるというふうに私どもは考えておるのでございまして、世界並びに日本経済に対する影響も、去年みたいに大きいというわけにはいきませんけれども、三、四%の成長を続けますから、当初私どもの見込んでおります見通しに比べて大きな差はなかろう。今日の状況でいけば何とか私どもといたしましては予定どおりの成長ができると期待しておる次第でございます。
○志苫裕君 同じように一—三月期のあれを見ますと、いずれそうなるだろうと言われておったんですが、債務国に転落をしたという、商務長官も認めておるようですが、これはドル相場にどういう影響を及ぼして、先ほど言った、長々と貿易摩擦の議論をしましたが、それにまたどんな形ではね返ってくるんですか。
○国務大臣(金子一平君) 最近の状況から申しますと、年内に純債務国に転落することはどうも免れないようでございます。ただ、あれだけの大きな経済力を持ち政治力を持っておる国でございますから、各国のアメリカに対する経済の信任というものはこれはなかなか簡単に揺るがない、また基準通貨としてドルにかわるものもほかに簡単に見つからないわけでございますから、すぐそれじゃドルを売って何に変えようというような動きが急速に起こるとは私どもは考えられないのでございます。したがいまして、アメリカが仮に債務国になっても、債務を返還する意思があり能力がある限りは大きな世界の金融資本市場を攪乱するような結果になることはまずなかろうかと考えるわけでございますが、ただ為替の動きは多少のあれは今後もあると思いますので、その動きを十分注意しながら今後の対応策を考えてまいりたいと考えておる次第でございます。
○志苫裕君 経済摩擦はこれを最後にしますが、総理、一般質問で矢田部委員の質問に河本国務大臣の所見が表明されまして、ドル高、金利問題だけじゃない、日米の経済の基本条件の違い、構造の違いですね。特に圧倒的に日本の場合は個人の分野の力が弱いというふうな指摘がありまして、いわば実質所得を伸ばしていくことが切り札にもなろうかという見解表明もあったんですが、総理の見解は、先ほどは基本的な問題の中にその指摘はなかったようですが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) アメリカと日本との体質の差は日本が貯蓄率が非常に高い。大体一八%ぐらいでアメリカは六%ぐらいだ、それが消費に対して非常な影響力を持つ。やはり日本の場合でも減税したからといって貯蓄は減らないんですね。減税すればまたため込んでしまう。そういう国民性がある。ある程度は使ってもやっぱりため込んでしまうという非常に警戒心の強い国民でもあります。そういう要素もやはり日本経済に影響を与えているところでありまして、それはまた美徳でもありますが、どっちかと言えばアメリカが今貯蓄をうんと持って、日本は消費を強くすると、入れかわるべき立場に一般的に言えばあると思うんです。そういう方向にやはり我々も政策としては誘導していきたいと思います。
○志苫裕君 それはあなた、貯金する癖があると言うけれども、そうしないと先行きが不安だとか、まあいろいろ日本的な風習もあり、また政府に対する信頼度もないのかもしらぬですね。そういう意味では税制改革論議、先ほど言いましたが、その枠組みでせっかくやるんですから、やっぱり個人利子所得が伸びる方向でのまた改革の手だても、我々ももちろん議論に加わりますが、要望しておきたいと思います。 次にちょっと民間活力の問題に入ります。 先国会に続いてのことですけれども、ことしもまた本委員会では国有地の活用に絡む不愉快な問題が論議になりました。開発あるいは建築などのデレギュレーション、あるいは都心の国有地の払い下げ、こういう問題は臨調答申が背景にあるとはいえ、私はいささか常軌を逸したことだという感じが強いし、こういうことは歴代内閣はやらなかったと思うのです。 結論を先に言いますが、今の長いいろいろな議論を蒸し返すことはしません。結論を先に言えば、民間活力の導入による景気効果とかあるいは財政への寄与、こういうことを名目にして国有地を不動産業者あるいは建設業者の目先の利益に供することは、後ほどこれは言いますが、やっぱり国家百年の計を誤る愚考である、乱暴な言葉を使えば共有者たる国民への犯罪行為にも当たるというのが私の認識でありますし、果たして長い目で見た場合に民間デベロッパーのためにもなるとも限らないという認識が強いんですが、まずそこから伺っておきましょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は志苦さんの社会党と自民党の基本的な差があると思います。 我々は行革に示されたとおり規制解除、デレギュレーションということをさらに進めて、そしてできるだけ民間の活力を最大限に発揮するような形で景気回復にも役立たせたいし、政府の規制、統制を解除する方向で政府は身軽になっていくべきである、そういう考えを持っておるわけであります。 国有地の払い下げに関しては不正な事実はないと私は確信しております。いろいろ御質問をしていただいて、煙のないところに火はないんだというようなていの御質問をいただいたことがありますが……
○志苫裕君 火のないところに煙はない。
○国務大臣(中曽根康弘君) 火のないところに煙はないと、そういうような質問をいただいたことはありますが、そういうような、火もないし煙もないと私は思っておる。煙のように言われているのではないかと私は思います。それは我々も非常に注意して心がけてやってきておるところなのでございます。 新宿西戸山のような場合でも、ともかく六十数社が集まって、みんながお互い牽制し合いながら、目をみはりながら公平にやらせようという考えで、一社や二社に払い下げるということはやらない方針できておるのであります。また、住宅公団を介入させるというような場合でも、やはりああいうある意味において公的性を持っておるものを間に入れる方が賢明だろうという、そのときはそういう判断もあったのではないかと私は思います。 しかし、いずれにせよ、このような財政が窮迫してきている時代におきまして、国有地がこれだけあって、そうしてそれが非常に非効率的に使われておる、民間のレベルから見たらまことにもったいないような姿で使われておる。坪一億か二億ぐらい、計算するとそうなる効率性で番町とか東京都心の一等地が公務員宿舎に使われておる。そういうようなところをいろいろ考えて処理すれば、その公務員宿舎を移して、もっと安い土地でつくって、その高価なところをほかに活用すれば国庫収入も莫大に入る、そういう場合もあり得る。 会社が再建する場合は、何といってもまず自分の土地や株式を売って身軽になるというのが再建の方式です。国家もこれだけ窮迫してきた場合には、国民に迷惑をかけないように、増税なんかをやらないように持っておる債券や土地を売る。それがやっぱり民間と同じ手法ではないか。ただ、不正に行われてはならない、それが大事な点で、不正が行われないようにやるならば、適正に行われるならば、私はそれはよりよき方法である、そう考えておる。この基本的な考え方というものはぜひ御理解をいただきたいと思うのであります。
○志苫裕君 いえ、私は、今ここでは不正の問題をやるつもりはないんです。 後ほど申し上げますが、今民間活力シンドロームとでもいうような、そういう兆候があらわれておって、そのうちの一つが、本委員会でしばしば議論になったこの払い下げをめぐる、あるいは利用の仕方をめぐる問題だという意味で、ここでも取り上げられておるんですが、総理、頭からそれは社会党と自民党との違いだというものではないと思う。私は経済上のデレギュレーションの問題を大いに進めることは今異論を言っているわけじゃない。今焦点を絞っておるのは、いわば土地の問題、国有地の問題を言ったわけですね。これは自民も社会もないわけですよ。一体その国公有地というのは、特に今抱えているさまざまな問題の解決を二十一世紀に展望すれば、国公有地を持っておるということは地域の拠点として死活的な意味を持つと思う。そういう意味で私は閣僚の中にも国有地をほいほいと売り払うことに賛成の方ばかりじゃないと思う。 民間民間と言いますが、こんなことにそんなに合意が形成されるものでもないと思うということを結論的に言ったんですが、そういう死活的な影響を持つ土地というようなものを、いわば業者主導でやらせたらどうなるかということは、高度経済成長時代にここまで環境を壊してしまったということで我々は嫌というほど知っているわけですよ。だから、私どももその反省をとらまえて言うんです。 これは大蔵大臣と建設大臣に聞きますが、私はそういう大事な問題なのに、例えば公務員宿舎問題研究会、国有地の有効活用のための公務員宿舎問題研究会ですか、これに一体何で不動産屋と土建屋さんばかりがメンバーになるのか。これは建設省に聞くけれども、国土利用の基本的な指針を決める国土審議会の会長さんが不動産屋の親方なんだね。この辺からまず基本的に問題があるんですよ。いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) まず私の方から、いわゆるこの公務員宿舎問題研究会、これはいわば都市再開発、住宅建設等に高い見識と、もう一つはノーハウをお持ちの方々の御意見を伺おう、こういうことで五十八年八月、理財局長の私的研究会として設けました。したがって、人選は学識経験者ほか民間有識者として建設業界、不動産業界、また日ごろ土地再開発問題に直接かかわっておられる方々で関心度の高い人、社会的活動をしていらっしゃる方々、そういう方々にお願いをしたわけであります。したがって、大事なことは大企業ばかりではいかぬぞよというところで、中小企業の方というような方もお願いをいたしたということでございますので、いわゆる何といいますか、政府関係の審議会のあり方とはその趣を若干異にした点もございますけれども、学者の数なんということにおきましては若干趣を異にしておりますが、もとより学者の先生等も入っていただいておるわけであります。
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 国土審議会の会長は、国土庁設置法第七条第四項に基づきまして審議会の委員の方々の互選により選任されておりまして、現在の安藤会長におかれましても、その職務を立派に務めていただいておるものと考えておる次第でございます。
○志苫裕君 李下に冠を正さずという言葉がありますね。国土の利用計画、こういうものは非常に死活的な意味を持つと言いましたけれども、それがやっぱり、ああこれやったらおれの商売になるかなとか、これやったらもうけるかなというふうな発想が出ないと言ったらうそになりますよ。そういう意味で私は、それは安藤さんという方は立派な方でしょう。いろいろなノーハウを持っているでしょう。しかし、そのことと違うということを言っているのは、姿勢の問題として言うんですがね。 総理にちょっと意地悪質問だけれども、もう一つ聞いてみたいのは、例えば西戸山の開発会社、これは結果的にはいろいろな土建屋さん、不動産屋、みんな集まって一つの会社をつくりまして、それが恐らく土地の払い下げを受けて何かやるんでしょう。私それを見て、どの土建屋さんにもそれで不満が残らないかもしれない。しかしどうなんでしょう。一体個々の企業のビジネスチャンスということになると、それはないわけだ。民間活力というのは一口に突き詰めて言えば企業間の競争なんでしょう。そういうやり方は出てこないじゃないの。これはどういうことなんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 西戸山の仕事は数百億円の仕事だろうと思うんです。公務員宿舎を一方的に隅っこへ移して、そしてあけたところを公園にするとか、あるいは住宅地区にするとか、そういう計画があるようであります。そうなりますというと、相当な金がかかるわけです。それを国家資金を出さないで民間からその金を出させる。そういう意味もあって、かなり多くの会社が参画をして、みんなで金を持ち寄って、国家のお金を使わない、税金を使わないでやるという、そういう一つのモデルとしてあれが登場しておるわけなんで、これは関西の新空港の場合でも、国家資金だけではなくして、たしか二百数十億でございましたか、民間が自分で出す、そういう形で新しい方式をつくった。そういう面もあるわけなので、資金面と運営面と両方において民間の活力をこの際十分に動かしていただこう、こういう発想に出 ておるのであります。
○志苫裕君 どうも、これで入り口なんで、本論に入りますけれども、私は改めてこの民間活力論というものをちょっと問題にしたいんです。いわゆるこの民活論というのは、理念も方法もまだよう定まらないままにひとり歩きを始めて、それに目ざとい便乗組なんかも出たりしまして、先ほど言いましたような民活シンドロームという症状が出ている。ここの審議でもかつてやりましたが、民活論というのは随分幅の広いものですね。類型に分けたら恐らく十も十五もあるでしょう、河本担当相のところでそれを整理なさっているようですが、私は、総理の民活論は概念的には広いことを言うが具体的になると土地を売る程度の話になるものですが、総理の民活論というものを改めてお伺いしましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 民活の思想、哲学については、行革審でこの間、民活の小委員会がその思想、哲学を出しましたが、おおむねあれが妥当であるだろうと思っております。要するに公共性のある場所についても民間の介入といいますか、協力を求めて、そして公衆の利便に供するものをもっと能率的に行おう、それを資金面においても運営面においても民間の知恵と力を活用させよう、一面においてそれが日本の現在の財政的な窮乏状態に対してレリーフの役目をする、そういう面もあると考えておるのです。
○志苫裕君 自由国民社出版、現代用語の基礎知識という本がありますね、こんな分厚いの。よく利用するんですが、それにも民活の定義があります。全体を言いあらわしてはおりませんが、臨調には民間活力の導入というのを抽象的にうたっています。自助努力ですね。自立自助、民間活力の導入というものが大きな柱になっていますが、しかし、その民活論を理念的に明らかにしたり手法を明確にしてはおらぬので、行革審が今やっているんだろうと思う。しかし、それもいろいろありまして、それが余りないのに勝手なひとり歩きをして、総理みたいに国有地を売ることだなんて思い込んでいるのもいては困るので、恐らく行革審がいろいろ整理をしているんでしょうが、まだまとまったものじゃありません。あなた、都合のいいときには中間報告を読んで、あれはおれの言うとおりだということを言っていますが、あれはまだ出てこないわけでね。 これは河本さんにお伺いしましょうか。民活論というのはこういうものだと。少なくとも民活論を言う場合には、じゃ、公共分野と民間との役割調整というようなところまで触れなければ民活論でないと思う。何か御意見ございますか。
○国務大臣(河本敏夫君) 民活という言葉に私は広い意味と狭い意味とあると思うんですが、広い意味から言いますと、やはり民活の最大の柱は減税だと、こう思います。税体系の抜本改正、こういうことだと思います。それから狭い意味ですと、経済上の公的規制の解除、それと土地の有効利用、特に国公有地の有効利用、この二つの分野があると思うんです。 今議論になっておりますのは国公有地の払い下げ問題でございますが、今政府の方で国有地で払い下げ予定をしておりますのは百七十六カ所ございます。別に国鉄用地が十カ所ございますが、これに二つの方法がございまして、第一が競争入札で払い下げるということでございます。現在までは、小さな規模のものは大体競争入札で全部払い下げてまいりました。大きなものも原則として競争入札で払い下げたのですけれども、しかし、中には払い下げを受けたけれども、じっと暖めておって仕事をさっぱりしない。五年も十年も暖めて、その上で土地の値段が上がってきてから何か仕事を始める、そういうケースも相当数多いんです。それでは何のために払い下げたかわかりませんので、そこで最近考えておりますのは、小さなものはその上に仕事をしましても大したことはございませんので、これは従来どおりの競争入札でやりますが、しかし相当大きなもので、その上に社会資本投資などをやりますと相当大規模な経済上の効果が出てくるというものに対しましては、払い下げ方法についていろいろ研究をいたしまして、そこで今のようないろいろな例が出てくるわけでございます。 特に、最近は払い下げを受ければ必ず半年以内とかあるいは短期間の間に仕事を始める、こういう条件で公団等を通じて随意契約をする、こういうケース等も出てきております。だから、一利一害がございまして、せっかく払い下げたのに何の仕事も出てこない、こういうことになりますと困りますので、以上二つの方法を併用していろいろ工夫をしておるというのが現状でございます。
○志苫裕君 どうも河本さんにしては民活論を述べたことにならないな。これをいろいろとやっていれば長くなるんであれですが、私も結論の方に求めていきますが、私も少し民間活力あるいは民間活力論とは一体何かということを勉強さしてもらいましたが、やっぱり民間活力を突き詰めて言えば市場原理のことなんでしょうが、これが正常に発揮をされる前提としては、いわゆる政府あるいは公的部門と民間との関係が適切でなければこれは活力も出ない。この枠組みをはっきりさせないまま国有地の払い下げを先行しておることが問題なんです。私はそのことを指摘している。 それはもちろん公共部門への民間参入は否定しません。しかし民間企業の利益のために国有地を安易に払い下げる、あるいは社会的な規制をやたらと緩めるということは決定的に間違いがある。総理、さっき自民党と社会党の話をしましたが、西欧の都市の歴史というのは公有地拡大の歴史だったのじゃないんでしょうか。我々はヨーロッパへ出ると、ヨーロッパの町づくりの壮大なものに心を打たれます。この歴史をひもとけば公有地拡大の歴史なんですよ。そして一時的に今景気がどうとか、こういうようなことで、じゃ国有地を売って民間が参入して、それで一体GNPを動かすほどの計量測定ができるかといったらできやせぬのだ。いわばそういうものの整わないままに公有地を売ることだけが先行するということに重大な疑問を提起しているんですよ。いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) そこのところがやっぱり社会党と自民党との差があるように思います。今まで申し上げましたように規制解除あるいは土地の有効活用、そして民間手法の導入、そういうことが市場原理というものを尊重して行おうとする我々の基本的立場にあるわけでございます。 それで実際、しかし志苫さんも東京都内の国有地へ行ってみますと、こんな一等地の高いところにこんな粗末な公務員宿舎の低い家のものを置いておいていいのか、もったいない土地の使い方だなと必ず思われますよ。そういうことがかなりある。明治以来持ってきたところが随分あるわけです。特に林野庁なんかが持っているのがありますね。そういうものを見ますと、国民が見たら怒りはせぬかと、そういうふうにすら我々感ずるものがあるのであります。そういうものはもっと有効活用の方向で処理していくのがやっぱり民意に沿うゆえんでもあるし、また国としての限度をある程度整理していく、そして国民レベルの効率性を発掘するように物を持っていくのが政府の責任じゃないかと、そう思うのであります。
○志苫裕君 大分考えが違うんですが、総理はよく二十一世紀を論ずるでしょう。二十一世紀を論ずる場合に、国公有地というものが二十一世紀住づくりの拠点になるということに必ず思い当たりますよ。例えば高齢化社会の対応にしましても、国土の脆弱性を克服する問題にしましても、あるいはまた今ある都市問題の解決にしても、公有地の持つ意味は非常に大きい。 例えばここ戦後だけでも、東京の町づくり一つ考えてみましても、ここは田舎から若いやつが働きに出まして元気で働いているための町づくりになっていますよ。しかし、これからはそうやって出てきた人たちがここに住む、子供をもうける、年をとる、こういう町になっていないんですよ。横断歩道一つ渡るといったって、あるいは歩道橋一つ登るといったって、あんな深い地下鉄を歩いて上がるといったって、年寄りや女子供にはできる町づくりになっていない。二十一世紀には新しい都市設計が要るんですよ。そういうものに必要なのは必ず国公有地なんだ。この間建設省がまとめた——さあ大地震だ、火事だといって今指定してある避難場所に集まったら三百万人も五百万人もあふれるというんでしょう。この問題の解決だったら、建設省に言わせれば要は土地だと、こう言っているんでしょう。 こういう問題一つを考えてみましても、これは後ほどやりますが、福祉だってこれからは恐らくシステムで福祉に対応する以外になくなってくるでしょう。国が何でも金を出す時代じゃないでしょう。地域のシステム、福祉システムというものを考えますと、どうしてもそういうシステムの中心になるのはやっぱり土地ですよ。こういうことを考えますと、今少々銭があるとかないとか、どこぞの土建屋、不動産屋がもうけるとかもうけないということよりも、もっと大きい重みを国公有地に置かなければならぬ。これだけは総理、私は主張しておきたいんですが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私の考えは先ほど申し上げたとおりで、御意見として拝聴いたしておきます。
○志苫裕君 まああなたじゃ二十一世紀はつくれぬな。 ちょっと行政改革問題で、厚生省、補助金の一割カットで私も少し議論をしたいんですが、一体これが財政の緊急避難なのか、制度改正の足場にしようとするのか、あるいは悪い制度があるので直そうとしているのか、このことがはっきりわからぬのですが、ともあれ補助金の公共投資系統でない経常経費系統は厚生省が大宗を占めているので聞きますが、当然新しい制度の検討を始めておるというように伺っておるんですが、その検討の方向はどんな方向ですか。
○国務大臣(増岡博之君) 今後の社会保障に対しましての役割の分担あるいは費用の負担等につきましての相談をしなければならないという覚書もあるわけでございますけれども、それにつきましては、やはり高齢化に向かいます社会保障の役割が一層重要になるわけでございます。特に国民のニーズもその結果多様化することでございますから、それに的確に対応することができるように、長期的に安定して有効な機能を持っていなければならないことが大切でございます。そのような観点から、今後社会保障に係る補助率のあり方についても考えていくことが必要でございますが、まだ現在そのような頭の中の整理をしておる段階でございまして、検討の方法、スケジュール等は目下勉強中でございます。
○志苫裕君 官房長官、報道によると、政府レベルでも閣僚懇、三省と官房でそういう懇談会をつくってこの問題の検討に入りたいということが報ぜられていますが、どこまでいっていますか。
○国務大臣(藤波孝生君) 予算が成立をいたしました後、関係閣僚で相談を始めていくことになるかと、このように考えております。
○志苫裕君 やっていても言わぬから議論にならぬのだけれども、例えば例を引きましょう。二月二十四日の毎日新聞は社会保障見直し案なるものを非常に事細かに報じています。新聞社が勝手に見直し案をつくるわけないでしょう。厚生省、これについてコメントしてください。
○国務大臣(増岡博之君) 先ほども申し上げましたように、目下検討する方法を含めて考えておる最中でございます。したがいまして、具体的な結論とかあるいは一定の指針とか、そういうものが確定しておるわけではございません。
○志苫裕君 これはまさに二十一世紀に向けての福祉の制度づくりのことなんだから、役所の片隅で人にごまかして考えていればいいという問題じゃありませんよ。これはやっぱりオープンにしてみんなが参加しなければだめですよ。そういう意味じゃ、積極的にデータを公表して議論を集めるようにしますか。
○国務大臣(増岡博之君) 検討が始まりましたある一定の段階では、データによりましていろいろな方々に御意見を伺う機会があろうかと思います。
○志苫裕君 総理、言わぬから私も言いませんけれども、やっぱり今度の補助金のカットを足がかりにして、まさに二十一世紀に向かった福祉体系の見直しという大作業にいくのだろうと思いますよ。いい悪いの議論は別にしますが、これはやっぱり総がかりで論議をすべきだ。総理はやっぱりそのことを約束すべきですよ。
○国務大臣(中曽根康弘君) 各方面の御意見を余すことなく吸収して、立派な考え方を生み出していただきたいと思います。
○志苫裕君 厚生省、もうけにならなくなった病院を地方に移譲するという話が出ていますが、どうなっていますか。
○国務大臣(増岡博之君) お尋ねの趣旨は、過日、国立病院、療養所の再編成の指針を出しましたことに関連してであろうかと思います。 私どもの考えておりますのは、単に利益の出ない病院を整理しようとすることだけでございませんで、今後国立病院、療養所が本当にその名前に値するような高度な技術を、あるいは設備を持っていかなくてはならない。したがいまして、そのためには今随分たくさんあります病院、療養所の再編成もやむを得ないという考え方を持っておるわけでございます。したがいまして、その際統合ということも考えられるわけでございますけれども、その一つの方法として経営移譲についても触れておるわけでございます。しかし、この経営移譲につきましては、御指摘のように赤字を他人に押しつけるということは今の世の中ではまかり通る話ではないと思いますので、その際には特別な措置を講ずること等も検討をいたしておるわけでございます。 何にしましても、この具体的な計画につきましては、今後一年間にわたりまして構成をいたしまして、十年間で実行しようとするものでございます。
○志苫裕君 いや、はっきりしたことは言わぬけれども、もうけにならない病院を自治体にでも押しつけようというのでしょう。自治大臣、それに対する見解と、今の自治体病院はどうなっていますか。
○国務大臣(古屋亨君) 病院を持っているのが九百数十の自治体で持っておりまして、赤字を出しておるのが三百二十七ですか、私の記憶が間違っていなければ三百二十七と思っております。 それで、赤字に対しましては、自治省といたしましてもいろいろの措置を講じておりますが、この高度医療、地域医療、救急医療ということをやっております自治体病院といたしましてはなかなか赤字が消えない。前には御承知のように債務の棚上げとか、そういうことをしたこともございますが、現在のところは赤字を救済していくという措置をとり、良質の起債をするとか、いろいろの措置を講じておりますが、ただ、国立病院を整理されることは厚生省の所管でございます。だが、地方団体にもしこれ赤字のところをやれとおっしゃいますれば、これはちょっと、はいと言うわけにもいかないと思うのでありまして、やっぱり地域の事情その他で、厚生省が具体的にリストアップされた場合には、私どもはその地方団体のどこへやる、そういうことを聞きまして、地方の立場というものを十分尊重するような方向において検討してまいりたいと思っております。
○志苫裕君 手持ちが赤字なのに新しい赤字をもらうことはないですね。これは念を押しておきますよ。 防衛問題に入りますが、長官、六十年度予算の復活状況についての答弁をお願いします。
○国務大臣(加藤紘一君) 先般、三月十一日の当委員会において申し上げましたように、六十年度予算につきましては、財政法に基づきまして歳入歳出予算等に関係書類を添付して御審議いただいているところでございます。また、復活折衝は政府部内における調整作業の一部であるという性格上、これについて資料を提出することは差し控えたいと考えておりますが、先般の御説明を整理し、若干の補足を含めましてあとう限りの御説明を申し上げたいと思います。若干ちょっと長くなりますけれども、説明させていただきたいと思います。 大蔵原案は対前年度千五百十一億円、五・一%の増でありまして、三兆八百五十八億円であり、その内容は、人件費については自衛官の再任用の実施、主として現有の装備品の維持など自衛隊の現体制維持に充てられる新規物件費については前年度より大幅に抑制、これらを前提とするものでございました。当防衛庁としましては、財政事情が厳しいことはもとよりとしましても、かかるレベルの歳出では適切な人事管理及び自衛隊の練度維持等は到底困難であるとの考え方から、財政当局と鋭意折衝を重ねたところでございます。その結果、防衛力の着実な維持整備に努めるため適切な人事管理に配意しつつ、特に練度の維持向上、隊員の処遇改善、正常な隊務運営の確保等に重点を置くこととし、一、施設整備費、二、油購入費、三、装備品等整備諸費、四、武器車両等購入費、五、施設運営等関連諸費、六、人件費、七、教育訓練費等に合計五百十四億円を追加配分することになった次第であります。 折衝過程について、どの段階でどのような事業にどのような額が配分されたのかなど、具体的な計数など詳細について申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、経緯とその内容についてできる限り御説明申し上げますと、まず大臣折衝におきましては、退職予定自衛官の再任用についてはこれを見送ることとし、正面装備につきましてはDD三隻、P3C十機、F15十四機、ペトリオット〇・五群程度、車両通信機器等の乙類装備品、後方関連経費につきましては、新自動警戒管制施設等のための施設整備費、油購入費、通信機器、航空機等の維持修理のための装備品等整備諸費、老朽器材の更新等のための武器車両等購入費、住宅防音等のための施設運営等関連諸費、訓練用資材等のための教育訓練費などについて復活することとし、大蔵原案に対し計三百三億を追加配分することになりました。 大臣折衝は二回行ったものでありますけれども、後方関連経費はいまだ不十分であり、防衛庁としては、これでは練度の維持向上、隊員の処遇改善、正常な隊務運営等に重大な支障を生ずるということで、党四役折衝に判断をゆだねたところでございます。党四役折衝において最終的に計二百十一億円の追加配分が決定されました。これは隊舎事業関連施設等のための施設整備費、油購入費、艦船、航空機等の修理等のための装備品等整備諸費、老朽器材の更新のための武器車両等購入費、住宅防音等のための施設運営等関連諸費、訓練場の整備等のための教育訓練費について復活することとなりました。 この結果、六十年度防衛関係費は累次御説明申し上げているとおり、総額で三兆一千三百七十一億円、対前年度で二千二十五億円アップの六・九%増となった次第であります。これについて現在予算を提出し、慎重に御審議をお願いしているところでありますので、何分の御理解を賜りたいと存ずる次第でございます。 以上でございます。
○志苫裕君 個々の額が示されないのは不満でありますが、一応何を目的としてどういうものにというのは示されました。 慎重に配慮をされた答弁ですが、総理ちょっと聞いてもらいたい。三百三億円を上積みするには、それぞれこれこれこれこれで上積みして三百三億円になりましたと書いてあります。二百十一億円は政治折衝でとれたので、これこれこれこれに回しましたと書いてある。二百十一億円は積み上げではないわけです。先に二百十一億円ありきなんです。総理、この根拠はいかがですか。
○政府委員(宍倉宗夫君) 最後の折衝の段階の話でございますが、私どもといたしましては、当時といたしまして七%程度増の金額になる予算が要るということで折衝を続けておったわけでございますが、それがいろいろの結果六・九%ということで、二百十一億円の増の中で何とか防衛庁も我慢をして、工夫をしてやるようにということになりました結果、大蔵省の方とその中身について御相談申し上げ、先ほど防衛庁長官から御報告申し上げましたような中身の配分になった次第でございます。
○志苫裕君 いや、これはあなた、事務方が答えるというのは無理なんだね。二百十一億円が政治判断で決まったということですね。ですから、こういう政治判断は同時に一%を守る、あるいは追加需要も見込んでどれぐらいの空き家を置いておくということができる額なんです。だから総理にそのときの判断を問うたわけだ。もう一度総理どうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 党の首脳部と大蔵省及び防衛庁等で最後の詰めをやっておりまして、そして最終段階で私の意見を求めてきました。そこで、私は六・九%という数字を示してそれで妥結したと、こういういきさつでございます。
○志苫裕君 まあ防衛予算の組み方はそういうものだということがわかりました。 長官、一%問題が随分議論になりましたから同じ繰り返しはいたしませんが、私が指摘したいのは、一%以下というのは実にGNP実績に対する決算ベースで見ますと、昭和三十五年からですから四分の一世紀にわたって一%以下なんです。この間には緊張もあったしデタントもあったし、さまざまな動きがありました。経済も不況も来たり好景気もあったりしました。しかし四分の一世紀にわたって一%と、一%以内という実績があるということは、とりもなおさずこれが国民のコンセンサスの基盤をなしている。この点についてどう思いますか。
○国務大臣(加藤紘一君) GNP比一%の問題の過去の経緯から言いますと、委員御指摘のとおり、一%以内におさまっていた時期もおっしゃるように非常に長いわけでございます。また一方、その一%を超えていた時期もございました。 そこで、ではこの一%というものは過去にどういうものであっただろうかと、こう考えますと、やはり当初の発足は三次防、四次防等で金額で明示されていたものがなかったので、財政上のめどとして当面のものとして出されたということの方が経緯的には正しかったと思います。では、その一%がその後どういう意味を持ったか。それは、委員御指摘のように、いろいろな効果をいろいろな部分で持ちましたし、財政的なめどという効果もありましたし、国民の防衛に関する理解を進める意味もあったことも私たちは事実だと思っております。したがって、ここで大変な多くの議論がなされるのでないだろうかと思います。今後の節度ある防衛力のあり方については、国会等での御意見を十分踏まえながら、私たちも慎重にやっていかなければならぬと思っております。 〔委員長退席、理事梶木又三君着席〕
○志苫裕君 長官、私は率直に言って、例えば〇・九九九九とそれから一・〇〇〇一とどこに差があるかといったら、率直に言って金目の差は余りないと思いますよ。しかし、一%はそういうレベルで論ずるのではない。一%の持つ意味ですね。防衛の理念やさまざまな要素を含めて意味が論じられているわけであって、金目の話ではないということに着目をしないと、一%の重みがわからない。今一%が論じられる背景は何ですか。
○国務大臣(加藤紘一君) 今論じられる背景といいますのは、委員が御指摘のとおり、もちろん金目の問題も十分私たちはあると思っております。あると思いますけれども、それ以外にシンボルとしての意味をどう考えるかとか、国民が防衛についてどう思うか、その不安感をどう思うか、そういうようなことについての効果をどう考えるのかというようなことも含めまして国会で御議論いただいているのだと思っております。その点につきましては、私たちは節度のある防衛力をしっかり守りながら、そして防衛の基本政策を守りながら、そしてできるだけ一%の枠を守ってまいりたいと考えております。
○志苫裕君 私は、そういうこと、それは当然なんですが、防衛庁が一%を論ずる背景は何ですか。
○国務大臣(加藤紘一君) 防衛庁が論じます背景といたしましては、もちろん最近一%の枠との差が例えば八十九億円になっているとか、そういったGNP、これらとの相互関係が厳しい状況に来ているということは一つあるわけでございますけれども、しかし防衛庁の方から議論申しているというよりは、いろいろ御議論いただくので私たちの考えを申し上げていると言った方がいいのだろうと思います。
○志苫裕君 私は、やっぱりそれはたまたま天井ぎりぎりはつかえるところに来たので議論に意味が持ってきたんでしょう。余裕のあるうちはそういう理念論争まで要りませんでしたからね。でしょうけれども、一方に大綱の見直しが論じられる、一方でさまざまな議論が論じられるというのは、やっぱりこの一%を守ってきた、あるいは大綱に盛られておる防衛理念の転換をもたらそうとする衝動が一方の側の背景だと思うんです。どうですか。
○国務大臣(加藤紘一君) 御承知のように、そういうGNP一%と現在六十年度予算における防衛関係費との関係が非常に厳しくなってきたということは客観的な事実としてございますけれども、しかし私たちが防衛政策の基本をここで変えようと思っているということは万々ございません。
○志苫裕君 一体節度のある防衛力とは何かということを実証するために、ゼロシーリングが始まったのが五十六年でしたか、それから六十年度当初までの防衛、社会保障、文教、一般歳出、公共事業、この五項目でいいが、伸び率を示してください。
○政府委員(吉野良彦君) 五十六年度以降の伸び率を申し上げます。 まず社会保障関係費でございますが、五十六年度七・六%増、五十七年度二・八%増、五十八年度……
○志苫裕君 いや、ちょっと悪いけれども、年度要らぬよ、ここから六十年まで幾ら伸びたか。
○政府委員(吉野良彦君) 通じまして五十六年度から、ちょっと今端的にお答え申し上げられる数字持ち合わせておりません。
○志苫裕君 じゃ、私の方から言いましょう。防衛費が三〇・七なんだ。社会保障八・三、文教二・一、一般歳出一・六五、公共事業はマイナス〇・四。これが節度ある防衛力ですか。
○国務大臣(加藤紘一君) 防衛関係費はその年度ごと、日本が置かれました国際情勢、それから我が国の他の諸施策との関連をもってバランスを考えながら決められたものだと思っております。
○志苫裕君 防衛について国民的コンセンサスがなければ防衛にならないということは共通認識のようですね。公共事業がマイナス〇・四、一般歳出は一・そこそこ、このときにひとり防衛費だけが三割も伸びて国民的コンセンサスが得られると思いますか。
○国務大臣(加藤紘一君) 今、政府委員の方が数字の計算に手間取っておりますのは、その期間に応じたデータが取りそろえてなかったからでございますけれども、私たちが取りそろえてありますもうちょっと長い期間をとった防衛関係費で見ますと、案外防衛関係費も長いレンジでは伸びてないわけでございます。そういう意味で、その期間をどう見るかということでございますけれども、我々のような国の立場になりましたならば、それなりに自国の防衛についてのある程度の負担はやっていかなければならない時代に来たのではないかと思っております。
○志苫裕君 とりようだと言うんでしょう。私は、大蔵大臣初め総理大臣も苦労してゼロシーリングと、みんな肩寄せ合ってここのところ生きていこうというときなんだ。国民もそれをいや応なくいろいろな形で犠牲を強いられているわけ。そのときにひとりぬくぬくと防衛費が伸びるということが国民コンセンサスのもとにならないと言っているんだ。いかがですか。
○国務大臣(加藤紘一君) いろいろな御議論がその点にはあろうかと思います。しかし、過去の数年をとってみますと、一番伸びておりますのは海外経済援助、ODAの予算でございまして、防衛関係費は二番目になっております。これは率でございます。それはやはり我々の国が置かれている最近の立場というものをある程度表明しているのではないだろうかなと思っております。また、絶対額でいきますと、委員御指摘の期間中一番絶対額で伸びているのは、私の理解では社会福祉費ではなかったかと思います。絶対額、金額でございます。
○志苫裕君 これはこじつけ合ってもしようがない。あなた、それは素直に認めなさい、まだ若いんだから。 〔理事梶木又三君退席、委員長着席〕 そこで、矢田部委員とのやりとりがありまして、例えば中業を今いろいろおやりになっている。中業は防衛庁の買い物計画ですから、一方一%枠というのは年々の予算を組むときの予算上の配慮だから、一応これは別のものだと、こういうふうに言いたい。しかし同じ政府のもとでさまざまな施策の中で防衛もやるわけですね。ですから予算の全体の大きさとかそういうものと無関係ではない。防衛費にかけられてくるさまざまなコントロールと無関係に、おれの買い物はこれだけ欲しいのだと言って大げさなものを出して、財政上のコントロールをかけられるから、達成率はまだ四割だ二割だと言って、小さいものを組めば達成率は一〇〇にいくので、でっかいものを組んで二割、三割だという言い分はよくないですよ。そういう意味では、中業の経費の総枠を考える場合には、一%枠であるとか経済全体であるとか、そういうものについても当然コンセンサスのあるもので買い物計画を立てるべきだ。いかがですか。
○国務大臣(加藤紘一君) 防衛関係費を考えるときに、またそれが仮に中業、私たちの業務計画、内部のものであったとしても、それは国の財政を考え、そして最近の行政改革等につきましての国の方針も考えて、できるだけ倹約するという発想のもとで考えるべきは当然だろうと思っております。ただ一方、私たちは国民の皆さんからいろいろ防衛関係についての御議論をいただき、ある人たちからはこれは多過ぎるじゃないかと言われ、ある人たちからはこれじゃ足りないじゃないかと言われ、大変御議論をいただいている中で、防衛計画の大綱というのはある種のコンセンサスづくりだと思います。これを何とか早く達成するということがまた一つ大きな必要なことではないかと思います。その意味で中業を策定したいと思っております。
○志苫裕君 ですから、防衛の発想の問題だと思うんですね。防衛というのは大きく考えれば、軍事力を持てば防衛になるわけでもないわけですから、そういう意味では総合安保というようなことを皆さんも言うわけでしょう。念のために、防衛大綱ができたときに当時の久保次官がこう言っています。久保次官が、これは政治家がこういう考え方するのは私正当だと思うんだけれども、軍事力の天井を高くするという考え方は、軍事的な立場からは比較的容易だけれども、目標を低目に抑える物の考え方があり得るならば、政策としてはその方がベターであろう、基盤的防衛力という発想はそれなんだ、目標を低目に抑える考え方ができなければ、大綱以前の脅威対応論に返る以外にないだろうと。これが事務レベルで大綱をまとめた久保次官の発言ですね。どう思いますか。
○国務大臣(加藤紘一君) まさにその点を私たちは強調したいし、申し上げたいと思うのでございます。と申しますと、最近防衛計画の大綱を達成したいということを私たちが強く申しますものですから、そうしますと、防衛計画の大綱というのは何か非常に大きい防衛力の装備を目指したおどろおどろしい感じのものというようなイメージがいろいろな方から持たれてきたのではないかと心配いたしております。しかし、その防衛計画の大綱は、立案当時関与しました今の久保さんが言いましたように、基盤的な防衛力の発想に基づき、そして私たちの国としてはいろいろな条件があるから一〇〇%のことはできないんだ、せめてこの程度、小さくてもコンパクトでもすべてにバランスのとれたものという考えでつくられたものであります。その当時の飛行機の数からまた下がっている状況でございますので、五十一、二年の当時よりもまだまだ戦闘機等の数につきましては逆に減っているような状況でもございますので、私たちとしてはこの達成を急ぐ必要があるのではないかというふうに考える次第でございます。
○志苫裕君 それは発想が違うな。長官、あなたこの間木本委員が質問なすったときに、何でそう急ぐんだと言ったら、ソ連の脅威論、いわゆる潜在的脅威と通常戦の可能性について答弁しましたね。これが脅威対応論なんだ。基盤防衛力というのは、脅威を構成する意図はもちろんわからないから、量に対応しなければならない。ソビエトが択捉へ来たとかなんとか、その量に対応してこちらも上げていくというのが脅威対応論だ。これをやめたんだ。それが基盤防衛力なんだ。そのやめた基盤防衛力を持っておるあなたが、ソビエトがあそこに基地をつくったらしい、SS20持ったらしい、何とからしい、これに日本の防衛力を合わせようという発想は防衛大綱のとらないところなんだ。いかがですか。
○国務大臣(加藤紘一君) 防衛計画の大綱は脅威対応論をとっておりませんし、私たちも現在それをとっておりません。私たちが申しましたのは、防衛計画の大綱、基盤的防衛力の構想というものは、平時におきましてもこの程度は持っていなければならないというものをつくり上げよう、そして、これをある一つの基準として今後の防衛政策を考えようというものでありまして、平時においてもこの程度のものを持とうという発想でやったものがまだできてないというところに、私たちの早く達成したいという気持ちがあるわけでございます。
○志苫裕君 五九中業で盛り込まれようとしておるペトリオットと、ペトリオットはことし頭金組みましたが、SSM1について説明してください。
○政府委員(矢崎新二君) 御説明申し上げます。 まず第一はペトリオットでございますが、これは現在持っております航空自衛隊のナイキのシステムを逐次換装していこうという考え方のものでございます。ペトリオットがなぜ必要かということにつきましては、これは一九九〇年代以降の航空脅威に有効に対処できるような地対空ミサイルのシステムを整備をしようということでございます。航空機の性能とかその搭載している武器というものが非常に進歩してきておるものでございますから、現在の状況は電波妨害も非常に強うございますし、それから高速、高軌道の多数目標がやってくるというような状況も予想される。それからまた抗堪性とか、システムの信頼性といったようなものも十分に配慮しなければいけないという事情にあるわけでございます。 ところが、現在航空自衛隊が持っておりますナイキのシステムと申しますのは、一九五〇年代の技術をベースにいたしまして、一九六〇年代の脅威を対象として設計をされた、こういう経緯のものでございます。したがいまして、増大をしております航空脅威の現状をかんがみますと、性能上の限界がきておるというのが一点でございます。 それからもう一点は、補給整備上もこれまで米国の支援に依存をしていたものでございますけれども、そういったものが打ち切りになるといったような事情がございまして、六〇年代の後半以降長期にわたってこれを維持することも困難になってきている、こういったような事情からペトリオットを導入するということを考えたものでございます。 それから、もう一つの地対艦誘導弾でございますが、これは我が国の防衛構想を考える場合に、基本的には我が国が四面環海の地理的条件にあるという国でございますから、侵略があるとすれば海空経由で来ることになるわけでございます。特に私どもが重視しなければいけませんのは、海からの着上陸侵攻にどう対処するかということでございますが、この点につきましては戦火が国土に及ぶことをできるだけ事前に防いでしまうということがまず第一に必要であろうと思っております。そういう意味で着上陸侵攻対処能力を向上させるということが防衛庁にとっても大変大きな課題でございます。 従来からもいろいろやってきたわけでございますが、その方法の一つといたしまして洋上にあります敵の艦船をミサイルで撃破するということができますればこれは大変有効な防衛力にもなりますし、また抑止力もそれで向上する、こういう考え方に立っておるわけでございます。そのために昭和五十七年度以来、この地対艦ミサイルの開発に着手をしておるわけでございまして、現在のところ六十二年度にはこの開発が完了するだろうというふうに見込まれております。したがいまして、これが順調に開発されますればこの地対艦ミサイルの部隊を整備していきたいということを私どもは考えているわけでございます。
○志苫裕君 ペトリオットは空自という話があったわけでありますが、陸自には導入するのかしないのか、SSM1の切っ先はどこまで届くか。
○政府委員(矢崎新二君) 第一点の、陸上自衛隊はホークの部隊を持っております。これは陸上自衛隊につきましてはペトリオットを整備する考えはございません。現在これを改良することを実施さしていただいているところでございます。 それから、第二点の地対艦誘導弾の何といいますか、射程と申しますか、その点だと思いますけれども、これは約百数十キロということでございます。ただ、この点は、この運用構想と申しますのは、洋上の敵の艦船を撃破するに当たりまして、内陸部からこれを発射するということで、敵から攻撃をできるだけ避けることを目的にして開発をしております。したがいまして、内陸部から洋上に向けて飛しょうさせていくために必要な飛距離というものを確保する必要がございますので、そういう意味から、おおむね百数十キロの射程をこれは持つものとして現在開発を計画をしているものでございます。
○志苫裕君 じゃ、ペトリオットは睦自には入らないと確認していいんですね。
○政府委員(矢崎新二君) この点は、補足いたしますと五十九年度の段階で一度検討した経緯はございます。そのときに航空自衛隊と陸上自衛隊、両方を検討したわけでございますが、航空自衛隊については、五十九年度の段階ではやはり換装が必要であるが、ペトリオットは有力だと判断するけれども、まだ決定するまでに至らないということで保留しまして、一年延ばして六十年度に決めた経緯がございます。それで、その五十九年の段階で、陸上自衛隊のホークで改善がまだ済んでいないのが二つあったわけでございます。二個群あったわけでございますが、それをどうするかということを検討した結論として、これはペトリオットにすることはやめてホークの改良でいこうという方針を決めた経緯がございます。
○志苫裕君 したがって、五九中業には出てこないと、こう言うんですね。
○政府委員(矢崎新二君) 陸上自衛隊については、このペトリオットの問題が五九中業は出てくるということはないわけでございます。
○志苫裕君 SSM1の射程百五十キロ、北海道から発射しますとサハリンのどこまで行きますか。
○政府委員(矢崎新二君) これは内陸部の方にその陣地を設けまして運用しようという構想でございますから、サハリンのどこというのを確定的に申し上げるということでございませんし、距離からいってそこははっきりいたしませんが、もともとこれは機能的に洋上における艦船を識別する能力は持っております。しかし例えば地上にあるものを識別してやるというふうなシステムの設計になっておりませんので、この運用構想からいたしまして、この地対艦ミサイルというものは、洋上における敵艦船の撃破のためにのみ使われるというふうに御理解いただいてよいかと思います。
○志苫裕君 この和製トマホークは地形を読む状況照合システムを持っているんでしょう。それで、あなた盛んに日本の内陸部からと言うんですが、日本の内陸部からそう撃たぬでも、あれはトラックにランチャー積んで走るんでしょう。それよりも、状況を読むのは百五十キロの切っ先を持ってソビエトの領内の状況を読むことになるでしょう。その状況は、しかも資源探査衛星か何かのデータをとって覚え込ましたら、ソビエトの領内の状況を読んで走ることになるんじゃないですか。長いやりは持たないというのがいわば専守防衛の方向じゃありませんか。認められない、これは。
○政府委員(筒井良三君) いわゆるトマホーク、GLCMと申しておりますけれども、あのクルージングミサイルと私どもの開発しておりますところの対艦ミサイルの基本的な差が二つございます。一つは弾頭がGLCM等は核を使っているということ、私どもは通常弾頭であります。それからもう一つ大きく違いますのは、初めのうちは、例えば北海道の山の中から撃っても数十キロの射程で海に出られるように、自分の知っている地形のところをプログラム飛行というやり方をして海の上に出して、あとは海の上を低く飛んでいくという能力しか私どものはございませんが、GLCMのようないわゆる巡航ミサイルは、射程約二千五百キロも奥深く敵の陸上の上を追随していくTERCOMというような装置を持ってまいります。したがいまして、私どものミサイルは、未知の敵の陸上というようなことは、上陸することもできないというのが実情でございます。
○志苫裕君 いや、私は新潟県の粟島につくるか佐渡に発射場をつくるかという話があったんで、これ随分あなたたちも呼んで勉強したんです。うそばかり言っているね、あなた。これ状況、地形読むんでしょう。粟島のようなところで地形読むことはないです。すぐ前海ですからね。ですから、この間衛星の利用の問題の話がありましたが、衛星を利用して、そのデータというふうなものをこのSSMIに覚え込ませれば、北海道から発射してサハリンの陸地に到着してから、インプットされたデータでそこの中の地形を読んで走れるんですよ。飛べるんでしょう。そういう可能性を持つではないかと私は言っている。
○政府委員(筒井良三君) そのような能力は、ただいまのところアメリカにしましても、あるいはよその国にしましても、そういう能力を持たせるためには、TERCOMという、ある独特の地形を読みながら精度を保持して、それに合わせて飛ぶという装置を持っております。私どもは、そういうものを現在のところ一切開発も所有もしておりません。
○志苫裕君 長官、これあなたじゃないんだな。日米防衛首脳会議、五十九年九月、そこで在韓米軍との共同訓練とかオーバー・ザ・ホライゾンというこのレーダーの設置、こういうものが話題になりましたか。
○政府委員(矢崎新二君) 昨年の栗原長官とワインバーガー長官の首脳会談のときにそういった問題が討議されたということはございません。
○志苫裕君 インターオペラピリティーの向上はどうですか。
○政府委員(矢崎新二君) この問題につきましては、インターオペラビリティーの向上ということは、有事におきまして自衛隊と米軍とが共同対処いたしまして日本の防衛に当たるという意味から、そういった共同対処能力を向上させるという意味におきまして、非常に有効なものだという話がワインバーガー長官からもございまして、栗原長官は、これは専守防衛の質を高めるという意味で考えていくべきことだというふうに答えられた経緯がございます。
○志苫裕君 この相互運用性は、装備の互換性を初めC3Iシステムの連携、こういうところまで含むものですか。
○委員長(長田裕二君) 時間が参りました。
○政府委員(矢崎新二君) インターオペラビリティーと申しますのは、日本語では相互運用性ということで言っておりますが、作戦あるいは装備、後方支援等のいろいろな分野におきましての問題でございます。例えば共同で対処行動をとる場合におきまして、敵味方の識別の方法を共通にしておくことであるとか、あるいは航空部隊と水上あるいは陸上部隊との連携の仕方を共通にして、ちぐはぐにならぬような行動がとれるようにしておくとか、いろいろな問題がございます。こういった問題をどういうふうに考えていくかということは今後の大きな問題でございまして、御承知のように、ガイドラインに基づくいろいろな研究が行われることになっております。共同作戦計画の研究もその一つでございますが、それ以外にもいろいろな研究項目がございまして、そういった研究項目の中でこういった相互運用性の向上の問題にも配慮してやっていく必要があるというふうに考えておりまして、現在、逐次その面の作業を進めるように努力をしている途上でございます。
○志苫裕君 そのインターオペラビリティーの向上というのは、システムの連携、技術的レベルから情報判断まで、高度な戦略レベルの問題まで含むことになっていくだろうと思うんですね。そうなってまいりますと、日本の自衛隊と米軍との相互の運用性の向上というのは、米軍の行動と自衛隊の行動、日本の国家とか主権とか、こういうものを分ける垣根さえもなくなってしまうという非常に危険性があるのですね。いわば国家とか主権まで同化されてしまう危険がある。しかも情報判断は瞬間的に行わなければならぬという事態になればなおさらだという点で、非常に慎重な対応を求めたいと思うが、長官どうですか。
○国務大臣(加藤紘一君) 局長が申しましたように、日米両国は日本有事の場合、共同対処をいたすわけでございますから、その際にいろいろな面でインターオペラビリティーが高まっていることはいいことだと思います。インターオペラビリティーといいますと特別のことのように思われる部分もあるのですけれども、お互いに言葉が通じ合うとか、そのときは日米双方の航空機が管制の言葉をお互いに理解し合うみたいなことはしっかりやっておかなければならないし、ある意味では共同に使っているもの、部品は部品番号が同じですぐ融通し合えるようになっていればいいと思います。いずれにいたしましても、そういう日米防衛協力のガイドラインに従って、そして日米双方は有事の場合でもそれぞれの指揮系統に従うという基本に従って、そして専守防衛、そして集団的自衛権にならぬようにしっかりと配慮しながらこの研究を進め、運用していきたいと思っております。
○委員長(長田裕二君) 以上で志苫君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(長田裕二君) 次に、太田淳夫君の締めくくり総括質疑を行います。太田君。
○太田淳夫君 最初に総理、国鉄仁杉総裁のことにつきましては何かお聞きになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 全然そういう事実はありません。
○太田淳夫君 聞いてはいらっしゃるわけですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) 仁杉さんが辞職するとか辞表を出したとかという、そういうことは全くありません。
○太田淳夫君 国鉄総裁にしますと大変な一日じゃなかったかと思うんですね。自民党の中で、ある首脳の方は、まあ、やめた方がいいとおっしゃったのか、やめればいいとおっしゃったのか、その辺ちょっと定かではございませんが、そのような趣旨のことを発言されたようにお聞きしておりますけれども、その点についてどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 仁杉総裁は立派に仕事を果たしておられるので、そんなやめるなんということは考えてもらいたくないし、堂々と仕事を続けてもらいたい。今、国鉄は一番大事なときですから、しっかりやってもらいたい、そう思っています。
○太田淳夫君 私もそのように思います。今大事な場面に到達しておるわけでございますから、総理としてもしっかりとバックアッブをお願いしたいと思います。 それでは最初に、先ほど同僚委員からも質問がございましたけれども、日米経済摩擦の件につきまして、総理の所信を私たちも再度お伺いをしていきたいと思うんです。 これを見ていますと、だんだん深刻さを増してまいりまして、せんだっても、集中審議で我が党の同僚委員からも、渡米をした際のいろいろなアメリカ議会筋の様子につきましては、総理に対して提言がございました。私どもも、これまで過去六回にわたりまして、日本側としましても市場開放対策、これを立ててまいったわけでございますけれども、これほどまでにこの摩擦が深刻化してきたのはなぜだろうかと疑問に思うわけでございますが、総理はこの点どのようにお考えになっていらっしゃるのか、国民にわかりやすく御答弁いただきたいと思うんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) いろいろな原因が累積してこういうふうになったと思いますが、アメリカ側の情報によりますと、一つは自動車の輸出規制の問題で、アメリカ大統領は、これをフリーにする、そういうことをやったのに、日本側が二百三十万台という自主規制をしたと言われてきた。これはそういう自主規制を日本側がやるということによって、通信機器やその他についての閉鎖性を解くのを、解かない手段として使ったのではないか、そういう誤解があったという点が一つと言われております。 それからもう一つは、特に通信機器というものが焦点に上がってきておりますが、これはアメリカがATTを解体しまして、たしか七つの地区の電話会社に分けてしまった。ATTで全国単一の場合にはいろいろな仕事や何かをウェスタン・ユニオンですか、下請一本でいって、それである程度の規制的なことをやっておったために外国の機器は余り入らなかった。ところが、それを七つの会社に解体してやったためにATTとの関係が崩れて、そこへ世界じゅうからだあっと通信機器が入り込んでいって、七つの会社がみんな自由契約、随意契約あるいは一般競争入札で品質その他においてやった。日本の場合は一般競争入札で安いいい機械がうんとあるものですから、どんどん、だあっと一遍に入ってしまった。 ところが、向こうからこっちへ入ってくるのはほとんどない。そういうことでアメリカ側は、これは大変な洪水であって、このままやっていたらアメリカの通信機械というものは日本に牛耳られてしまうという危機感が出てきた。そういうことで、日本は閉鎖性があるから、それがないのだ、アメリカは七つの会社に分けて、そして今までにこれこれのことをやった、日本側は今度は電電公社が民間になるんだからATTの解体と同じような現象が出てきていいはずだ、そういうやさきに郵政省が規制をある程度やって壁を設けるのはけしからぬ。そういう誤解があった。この二つが大きな要素ではないかと言われております。
○太田淳夫君 ここで改めて総理にお伺いいたしますけれども、ことしの一月の首脳会談で、この日米貿易問題につきましてレーガン大統領と総理との間に相当な約束事があったんじゃないか、そういう疑いがどうしても消えないわけですが、その点はどうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 約束というのは、四つのセクターズについてハイレベルで協議して、誠心誠意解決に努力しましょうと、そういう点は約束はいたしましたが、それ以上に何ぼ買うとか、日本側が特別にどうする、ああするという結果まで保証したということはないんで、方法を共同でやろうという約束はいたしましたが、それ以上のことはありません。
○太田淳夫君 これに対しては相当なことがアメリカでも報道されて、現在打開への道が協議されているようですけれども、そういういろいろな心配するような約束がなかったとしましても、やはり国際的な場でございますので、そこで総理が約束をされるというような発言それは相当な重みがあろうと思うんです。したがいまして、このような対外市場開放に関するような問題につきましては、特殊な国内事情もありますし、また自由貿易も堅持する立場もありますし、おのずから限界があることだと思うんです。したがいまして、できることとできないことを明らかにして、相手側にこれは誤解を与えないようにされることが必要じゃないかと思うのですが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今度の措置は私は間違った方法であったとは思いません。あれだけの、先ほど申し上げましたように、十二月からストレスがたまってきておって、これをどういうふうにさばくかということは政治家として考えなければならぬところでありまして、このエネルギーを処理する場所をつくらなかったならば、これはもっと大きな政治問題になる。事務レベルの段階でこれを処理して、余り政治的な大問題に発展させないようにという方法を講じておいたのです。 しかし、四月一日という電電公社の民営化の時点というものが一つの焦点になりまして、そして、特に電気通信機器について上院その他において非常な関心が生まれてきてこういうことになったことは甚だ残念であり、遺憾でございますけれども、しかし結果的に見ればこういうふうに解決しておるのでありまして、今後我々がフォローアップの努力をしていくということになっておるのであって、医療にしてもあるいはそのほかの分野にいたしましても、ともかくアメリカが評価するというような状態にまで来ているというようなことは、私はこういう方法を講じておいてよかったと。もし講じておかなかったら、先ほど申し上げたように、最後の段階になって、予算委員会の忙しいときに大臣が二人も三人もアメリカへふっ飛んでいかなければならぬような立場になったに違いない、そう思っておるので、私はやり方がまずかったとは思っておりません。
○太田淳夫君 過去六回のいろいろな対外経済対策に対しましては海外の評価というのは厳しい。そういった点から考えましても、今いろいろと検討されております対外経済対策につきましては、相当思い切った、効果のある、また新しみのあるものを盛り込まないと、これはかえってまた反発を招くんじゃないかという懸念がされるわけですけれども、総理としてはどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 別に新規の、奇をてらったようなものがあるはずがないのであって、先ほど来この委員会で申し上げているような考えに基づいて、一つ一つを誠実に解決していく、そういう姿勢と方向及び対象というものを誠実に取り上げていくということ以外にはないと私は思っておるのであります。 〔委員長退席、理事亀井久興君着席〕
○太田淳夫君 次に、サミットの問題にちょっと入りますけれども、先ほど同僚委員からもいろいろとお話がございました。やはり経済問題では日本の貿易黒字ということがいろいろと厳しい批判が予想されるわけですけれども、総理はこのサミットに向けて今回の処置をとられているのか、あるいは、アメリカの上院ではダンフォース法案提出につきましては、サミットにおけるレーガン・中曽根会談も保留する、このような報道もあるわけでございますけれども、その点に対して総理はどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) それは正確でない誤伝か何かで、そんなことはあり得ないと思っております。
○太田淳夫君 SDIの問題も、これは政治問題としては東西関係あるいは米ソ核軍縮の問題、それが議題にならうかと思うのですけれども、SDIの問題につきましては、私どももこれはまだ不明確な問題でございますし、フランスやあるいは西ドイツ、こういう各国の立場はそれぞれ違っておりますので、これは今回のサミットでは日本側としては取り上げるべきではないと、このように思いますが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) サミットにおける議題についてはまだ決まったものはないのであります。目下いろいろ各国間において相談が進められているということで、何とも申し上げる段階ではございません。
○太田淳夫君 議題としてまだ固まってないということでございますけれども、私たちから総理に提言するところは、やはり世界の注目を浴びていますところは今米ソの首脳会談の早期の開催の件でございます。これにつきましてはいろいろと新聞報道等もされておりますけれども、こういった点で世界の平和に寄与するような米ソの首脳会談を中曽根総理としてはレーガン大統領に進言をされる方がむしろいいんじゃないかと、このように思いますが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国際関係というものは、基本的な仕組み、取り組みのスタンスというものは変わっておらない、そう思いますが、米ソ間におきましてもジュネーブ交渉等によりまして薄日が差しかけているやに思われると申し上げるような情勢になっておるのですから、これに弾みがつくように、サミットにおきましても平和と軍縮、特に核軍縮の問題が長足の前進をするように我々もあらゆる手段を講じまして努力してまいりたいと思っております。
○太田淳夫君 次は、ことしの秋の国連総会、これがいろいろと話題になっておりますが、特にことしは国連創設の四十周年の記念総会に当たるわけでございますけれども、特にソ連の新書記長ゴルバチョフ氏が出席をされるかどうか今関心を持たれているわけでございますけれども、我が国の総理といたしましても今まで二度国連総会に出席をされているわけですけれども、ことしは総理といたしましては出席をされる予定でございますかどうか、その点お聞きしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) どんな国連総会になるかまだはっきりわかっておりませんから、そういうものは全貌がわかってくるに応じてこっちもいろいろ考えて検討してみたいと思います。
○太田淳夫君 明確なお答えはないですが、次へ進みたいと思います。 日銀総裁お見えになっておりますので質問さしていただきたいと思いますが、今対米黒字は三百三十一億ドルに達して、これが深刻な貿易摩擦を生んでいるわけでございますけれども、この貿易黒字を解消するのが今深刻な政治課題、このようになっていると思います。この貿易摩擦の問題を解決するためには、いろいろと議論はされておりますけれども、内需の拡大あるいは外需依存からの脱却、これが基本となろうと思いますけれども、先日、日銀総裁は、内需の拡大で黒字が減ると考えるのは非現実的であると、このように講演されたと報道されているわけですが、そこで総裁にお尋ねいたしますけれども、総裁はこの貿易黒字解消のための具体的な方策は何であると考えられていらっしゃるのかお聞きしたいと思うんですが、特に先日、第一点は市場開放、第二点は適切な為替相場の実現、これを優先させると、このようにお話しになっているとお聞きしておりますけれども、その点の理由はどのようなものでしょうか、お伺いしたいと思います。
○参考人(澄田智君) 私が行いました講演の一部が報道されたわけでございますが、私は、直接的な財政による景気刺激でありますとか、あるいは金融政策というようなことによって大幅な黒字を、これを解消するということは現在の状態においては現実的でない、あるいは適切でないのではないかと、こういうことを申したわけであります。 その理由といたしましては、現在、日本の経済、非常に輸出競争力の強い経済ができ上がっておりますし、また省資源的な経済体制というものができておりまして、内需拡大によって大幅な黒字を縮小するというのには極めてその効果は限られたものであろうということであるわけであります。それと、財政におきましてはやはり当面財政改革というものに重点を置いて行うべきであると思いますし、金融におきましては既に金融は十分緩んでおりまして、景気が回復する、拡大する、それに金融の面から支障があるとは全く思われない状態でございます。もし金利を下げるというようなことになりますと、かえって円安になって反対の効果が生ずる、こういうような意味合いにおいて申した次第でございます。 そういう点から、私は内需が例えば民間経済の活力によって拡大するということは非常に望ましいことでありまして、これは私どもとしても非常に望んでいるところでございますけれども、やはり現在の貿易摩擦解消の手段といたしましては、日本の市場の開放というものを国際的レベルにおいてふさわしい開放を行う。そうして、さらに為替相場を現在の日本のファンダメンタルズにふさわしいような円高基調にするような努力を粘り強くこれを続けていく。そういうことによって外国からの批判というようなものを少なくする。そういう努力を続けていく以外にはないと思う、こういうことを申した次第でございます。
○太田淳夫君 市場開放あるいは為替レートの問題が解決したとしましても我が国の内需が拡大をしておりませんと、国内に購買力が不足している場合には外国からの輸入は増加しないので貿易黒字は解消しないのではないか、こう思いますけれども、またどのような水準が適正な為替レートと総裁はお考えになっていらっしゃいますか。
○参考人(澄田智君) 現在、日本の経済は、例えば設備投資でありますとか、それから消費も次第に底がたいものになりつつあるというようなところから申しまして、内需に次第にウエートをかけて経済回復過程が徐々に進んでいる、こういうふうに思っております。したがいまして、現在の状態において日本の経済の現状が購買力が足りないというようなそういう事態では全くないであろう、こういうふうに思っているわけでございます。 それから為替レートの問題でございますけれども、これは具体的な水準を示して申し上げることは、これはさまざまなそのときの情勢に応じて水準というものも決まるし、またあるべき水準というようなものも考えられるわけでございますし中央銀行の総裁という立場で具体的な数字を示すということはこれは甚だ適当でない面もございますので、お許しを願いたいと思います。ただ、日本の競争力あるいは国際収支の状況、あるいは物価その他の状況等に照らしてより円高な方向に持っていくための努力ということは、相手方もあることではございますが、我々としては常にそれは心がけていかなければならない最大の現在の問題であろう、こういうふうに思っております。 また、日本の現状におきましては、物価におきましても、対外収支におきましても、あるいは景気の回復の過程におきましても、あらゆる点から円安になるようなそういう要因は日本側にはないわけでありますので、そういう日本の状態というものを市場に反映して、そして円高傾向に為替相場が安定するように粘り強く運営していくということであろうか、こういうふうに思っている次第でございます。
○太田淳夫君 現実には為替相場というのは、米国の経済の動向あるいは財政赤字あるいは金利動向、この影響を受けまして日々円相場は一喜一憂しているような状況ですけれども、そこで貿易黒字を解消するため円相場を円高の方向にやはり粘り強く誘導していくということでお話がございましたけれども、それはどのようにすれば可能であるのか、あるいは総裁言われますところの適正な為替相場、これはどのようにすれば実現が可能になるのか、その点ちょっと御意見を賜りたいと思うのですが。
○参考人(澄田智君) 先ほども申し上げましたように、相手方があることでございますので、日本の一方的な立場においてこれを進めていくということは難しいわけでございますけれども、少なくとも日本サイドにおいて円安になるようなそういうことは絶対にやらない、例えば金利差などについてもその金利差を拡大するということはこれは絶対避けなければならない、こういうふうに考えております。 介入等も機動的、積極的に機に臨んで行うということは必要でございますが、これは乱高下を避けるということで、水準自体を決めるのはなかなか難しいわけでございます。そして、基本的には日本の経済運営が良好なファンダメンタルズを維持している、市場に信頼感を与えるような、そういう経済運営姿勢というのをとり続ける。そして、粘り強くと申し上げましたが、そういう姿勢をとり続けることによって市場が次第に円高になってくる、こういうことを期待している次第でございます。
○太田淳夫君 最近の円相場の動きを見ますと、三月十六日に二百六十円で終わりましたのが二十九日には二百五十円になりまして、きょうのはちょっと私つかんでおりませんけれども、最近のこの円高の傾向というのは定着したと見てよろしいんでしょうか。それとも最近の為替レートの動き、これはどのようなことによって円高傾向が生じてきているんでしょうか。その点どうでしょうか。
○参考人(澄田智君) 三月中旬ごろまでは二百六十円台でございました。それが三月十八日ごろからドル高の修正というようなことが行われてまいりました。その原因は、アメリカのことしの第一・四半期のGNPの速報の数字が二・一%ということで意外に低かったというようなことで、アメリカの経済についてそれまでありました強気感が修正されたような、そういう影響が市場にございました。それからアメリカのオハイオ州の貯蓄金融機関の不安等もございまして、そういうような状態のもとではアメリカの連銀は金融引き締めの姿勢というものを強めるというようなことはないであろうというようなことから金利に先安の感じがあらわれまして若干短期金利が下がった。こういうような状態を反映してのことでございます。 ごく最近、一時二百五十円台あるいは二百四十円台も瞬間的には出たようなこともございましたが、先週末あたりから少しまた修正と申しますか、若干ドルが戻しておりますが、これはイースター前にポジション調整からドル買いが入っている、こういうようなことのようでございます。本日はちょうど終わり値は二百五十四円というところでございますが、こういう状態でこれがどうかという点になりますと、アメリカの景気に対する見方とか、あるいは金利に対する見方等が非常に不透明なことで、市場がそれに非常に敏感に反応しているというようなことから、従来よりはドル高の行き過ぎに対する警戒感というのが市場に強くなってきている、これは事実であろうかと思いますが、しかしまだ現在の状態をもってドル高局面の修正というふうに判断するには早いのではないか、引き続いて注意する必要があるであろう、こういうふうに思っております。
○太田淳夫君 大蔵大臣にお尋ねいたしますけれども、スミソニアン合意によりまして変動相場制に移行したわけですが、当初この変動相場制の導入によりまして国内経済政策の運営が国際収支の制約から解放され、国外の影響を受けにくくなる、こういう期待をされていたわけでございますけれども、その後の政策運営を見ますと、最近の金融政策の運営というものがアメリカの高金利の影響を受けて円相場の動向に大きく影響されているように見えるわけですけれども、そうしますと変動相場制に対する当初の期待というのはほとんど実現されていない、こういうことになろうかと思うんです。現在の日本の貿易黒字を解消する方法といたしまして、固定相場制の復帰あるいはワイダーバンド、あるいはターゲットゾーン、こういった導入など、そういう変動相場制の見直しも考え得るのではないか、こう思うわけですけれども、大蔵大臣の御意見はどうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる主要国が、今おっしゃいましたように、昭和四十六年、スミソニアン・レートというものがあり、そして変動相場制に移ってまいりまして、それから十二年たったわけであります。この間、変動相場制というのは、石油ショックのときも外的ショックを相場で吸収いたしまして、したがって経済の均衡をそれなりに回復するなどで有用な役割を果たしてきたと思っております。他方、変動相場制のもとでの相場の乱高下や相場の行き過ぎが、今御指摘になりましたとおり、貿易や資本取引の安定を損っているという不満、そういう面がございます。 そこで、現在の国際経済環境のもとで現実問題として変動相場制にかわる制度があるか、こういうことになりますと、ちょうどサミットで見ますと、ウィリアムズバーグ・サミットのときもちょっと議論しましたが、国際通貨制度の改正については、今後、蔵相がIMF専務理事とともに検討すること、それから今度はロンドン・サミットでも国際通貨制度改善に関する現行の作業を推進し、さらにIMF暫定委員会で討議することについて合意した。ずっと継続して、議論ばっかりしているわけじゃございませんけれども、確かに検討しておりますが、結論から申し上げますと、変動相場制にかわるべき制度は現実の問題としては見当たらない。こうした変動相場のもとで為替相場の安定を図っていくためにはいつも、先ほど来議論がありましたように、短期的には彼我の金利差、それから中長期的には双方の経済の諸情勢、すなわちファンダメンタルズ、こういうことをよく言いますが、各国が手ごろな成長を維持して物価を安定さして、そして雇用の確保などで経済の健全性を維持するという、そういう経済政策のコンバージェンス、そういうことを言っておりますが、そういうことで結局は対応していかなければならぬ。 〔理事亀井久興君退席、委員長着席〕 しかし、当然のこととして、先ほど日銀総裁からもお話がございましたように、乱高下に際しては協調介入ということは、これは必要であろうと思います。それで、この間の五カ国蔵相会議、それから引き続きIMF暫定委員会の、恐らくまた大蔵大臣同士が集まりまして、それをサミットで首脳さんに経過を報告するというようなことは務めとして行わなければならぬと思っておりますが、現実問題、今おっしゃいましたターゲットゾーンでございますとか、ワイダーバンドでございますとか、固定相場でございますとか、いろいろな議論をしますが、変動相場制にかわるべき制度は目下見当たらないというのが結論でございます。
○太田淳夫君 日本は国債の大量発行あるいは金融の国際化、これはどんどん進んでいるわけでございますけれども、この二つの「コクサイ」によって日本の金融の自由化というのはますますそのスピードが速くなっているわけです。その中で、金融の自由化につきましては大口から自由化をし、最後に小口の自由化、こういうことで検討が進められていると思うのですけれども、現在のところその小口の自由化につきましては何ら具体的な姿というものが示されておりません。そのために、国民やあるいは中小金融機関の中に金融の自由化に対する対応に不安を持っておるところが非常にあるわけです。弱肉強食と申しますか、あるいは企業の格差をつくると申しますか、そういった点でやはり国民や、あるいは金融機関の方が適切にこの金融自由化に対応していけるような政府としての自由化へのタイムスケジュールと申しますか、そういうものを明確にやはりビジョンとして示すことが必要じゃないか、このように思いますが、大蔵大臣どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる金融自由化の今後のタイムスケジュールを示せ、こういうことでございます。 金融自由化につきましては、我が国経済に混乱をもたらすことなく進めていくために、昨年の五月、これに現状と展望、それから日米円ドル委員会報告書を公表して、そこで大蔵省としての基本的な考え方とタイムスケジュールを示して、そうして現在これに沿って着実に今実施は進めておるところでございます。この問題につきましては、今御指摘がありましたように、まず、いわゆるCDとかBA市場とか、そういうところから進んできておりますが、金利の自由化の推進、短期金融市場の整備拡充等、それらは今実施してきておるわけでございますが、当面の主要な措置としては、先ほどちょっと申しました、六月から円建てBA市場の発足を予定しております。 御心配になりました御発言のように、信用秩序に動揺が起こるようなことが自由化を進めていくに従ってありはしないか、小口にだんだん至ってまいります、それこそ農協の預金とかあるいは郵便局とか、そういうことになりますことをいわば御心配いただいておると思うのでありますが、そういうことになると、アメリカの場合は、先日も総理のお答えにもあっておりましたが、いわゆる自己責任主義という、預けたおまえが悪いんだとか、経営者のおまえが悪いんだとか、日本の場合は非常にその点、預金者保護、投資家保護、被保険者保護、それは非常に徹底はしておるわけでございます。したがって、さらに信用秩序の維持、預金者保護ということをいかに図っていくかということで環境整備をしていこう、それにはやっぱり専門家のお集まりであります金融制度調査会の審議等を通じてこの対応措置を出していこうということでございます。 御心配いただいておりますように、円ドル委員会報告書に盛られました事項の実施状態というのは割に順調に進んでおりますが、終局的には今おっしゃいました小口預金とでも申しますか、そういうものの自由化の際の国民が安心して対応できる環境整備というのがこれは一番大事な問題でございますので、目下鋭意検討を続けておるところであります。しかし、それは急にやってくる問題では必ずしもございません。
○太田淳夫君 大蔵大臣のお話を今聞いておりますと、なかなかそこまで行くには日時がかかるような感じがいたしますが、しかし、いずれにしましても預金の金利というものを遠からず自由化されなければならない、こう思うのですけれども、その場合には現在の臨時金利調整法及び日銀のガイドライン、こういうものの見直しというものが必要になってくるんじゃないかと思うのですけれども、この預金金利が自由化をした場合の日銀のガイドライン、これをどうするのかということが第一点と、それから、かつて三カ月と六カ月定期のガイドライン、これを一本化するという考えが報道されましたけれども、その後これはどのように進んでおりましょうか。
○参考人(澄田智君) ただいま大蔵大臣からお話のございました大口預金金利の自由化、そして小口預金金利も今後検討を進めていく、そういう過程におきまして臨時金利調整法に基づく告示もありましょうし、それから、日銀のガイドラインにつきましても、その進展を見ながらこれを見直していくということが必要かどうかということは当然に検討しなければならないことであろうと思っております。しかし、これはその進展状況に応じて検討をしていくということで、今直ちにどういうふうな方向で検討するというような内容について考えを持っているわけではございません。 それから、かつて日銀におきまして三カ月、六カ月定期を一本にする、ガイドラインを簡素化する、こういうことを言ったことは事実でございますけれども、それは当時はまだ預金金利の自由化がどういうふうに進められるかということのめどが全く立っていないときでございました。その後、先ほどお話のありました現状と展望でありますとか、それから円ドル委員会の報告書でありますとかということが示されまして、およその道筋は明らかになったわけでございます。そういうことで、現在は一つの提唱として三カ月、六カ月一本化ということを申しましたが、道筋がだんだんはっきりしてまいりましたので、今後はその進展に応じて進めていくべきことであると思っております。 いずれにしても、しかし、ガイドラインの決め方を簡素化するということは必要ではないか、こういうふうに考えております。
○国務大臣(竹下登君) 我が方は金利、いわゆる臨金法の見直しについてのお答えになりますが、今、日銀総裁からもお答えがありまして、いわゆる譲渡性預金、CDの導入から今だんだんだんだん小口化しておりまして、それからことしの三月からがいわゆる市場金利連動型預金、MMCというやつでございます。 そして、これは要するに、今日のいわゆる臨時金利調整法というのは、「大蔵大臣は、当分の間、経済一般の状況に照し必要があると認めるときは、日本銀行政策委員会をして、金融機関の金利の最高限度を定めさせることができる。」と、こういうことになっておりますので、現時点ではそれに応じて必要があれば見直す、要するに現時点においてはそれの、いわゆる金利調整法の適用を変更することによって着実に実施されておりますので、これを、臨金法そのものの手直しを行うということは、現時点では今その必要を感じておりませんが、将来の進展ぐあいとか、あるいは金融構造の変化とかいうときには、これは見直すこともまああり得るだろうと、今のところは臨金法で対応できるという範囲内でございます。
○太田淳夫君 それでは、金融政策のあり方についてお尋ねいたしますけれども、日本では公定歩合政策、それとマネーサプライ、これを金融政策の中心に置いているわけでございますけれども、既に金利が自由化されております欧米では、公定歩合を市場金利に追従する形で変更したり、あるいは廃止をしていると聞いていますけれども、自由化が進んだ後では日本でも現在の公定歩合政策を見直す必要があるのじゃないか、そういう意見もあるわけです。また、オイルショック以降日銀はマネーサプライを重視した金融政策を行っていると、このように聞いておりますけれども、今後金融のエレクトロニクス化が進みますと、従来のマネーサプライの概念に含まれないような新金融商品が出現してまいります。 今、蔵相からもお話がございましたけれども、あるいはキャッシュレス化の進展によりまして現金通貨の節約、これが行われるためにマネーサプライと名目GNP等との実物経済との間に不安定な関係を生ずる可能性が出てくるのじゃないかと思うのですが、このため金融の自由化が進みますと従来のマネーサプライを重視した金融政策の見直し、これも必要となるのじゃないかと、このようにも言われております。つまり自由化が進みますと、公定歩合もマネーサプライもやはり見直しが必要となるということになるわけでございますけれども、この自由化のもとでの金融政策について具体的にどのように日銀としてはお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
○参考人(澄田智君) 公定歩合はそのときどきにおきます金融政策の姿勢を集約的に示すものとして、自由化が進んでもやはりこれは極めて重要なことであろうと、こういうふうに考えますし、現在多くの国々で自由化が進んでいる国を含めて公定歩合というのはそういう重要性を持っているわけでございます。 ただし、今もお話のございましたように、自由化が進展いたしますと預金金利の主要な部分は規制金利でなくなって、市場の競争を通じて金融機関が自主的に決めるものに変わってくるわけでございますが、そうした場合におきましても、公定歩合は常に金融政策の基本的な姿勢を示すものという立場で、これを変更するというような政策は常に金融政策のポイントになるわけであります。ただ、そうしてさらに金融調節を通じまして金融市場の需給関係が公定歩合変更の趣旨に見合って整合的に変化するように持っていくということが、自由化のもとにおける金融政策として重要であろうというふうに思われますが、繰り返しになりますが、公定歩合自身の重要性というのは将来も変わらない。ただそれに整合性があるように金融調節を行い、金融市場の需給を通じて政策意図が浸透するようにしていく、こういうことであろうかと思います。 それからマネーサプライでございますが、アメリカのように、いわゆる金融革新が急速に進みます場合には伝統的なマネーサプライの概念をもってしてはなかなか流動性の適切な把握が難しい、こういうようなことになりまして、そうしてマネーサプライの定義を頻繁に変更しますとか、あるいは他の金融指標、金利とか銀行の準備でありますとか、そういうものとあわせて総合的に判断する、こういう工夫をしている実情でございます。 我が国におきましては、金融自由化が自主的に漸進的に進められておりますために、今までのところ従来からのマネーサプライ、すなわちM2プラスCDといったようなそういった指標を中心に通貨動向を見ていくということに格別大きな支障はないわけでございますが、そして、これまでもマネーサプライだけでなくてその他の指標とあわせてこれをウォッチするという弾力的な姿勢で臨んでいるわけでございますが、今後はお話のようにキャッシュレス取引が増大するとか、あるいは預金と競合する商品が増加するとか、そういう環境変化が当然予想されるところでございますので、それを踏まえて判断に弾力的に誤りなきを期していきたい、そういうふうに考えている次第でございます。
○太田淳夫君 総裁にまた再度お伺いいたしますけれども、短期の金融市場の整備、これを具体的にどのように進めるようなお考えでいらっしゃいますか。
○参考人(澄田智君) 短期の金融市場の整備という点で、さしあたって重要な課題はやはりオープンマーケットの整備拡充でございまして、それによって日本銀行がオープンマーケットにおいても必要によっていつでもオペレーションができるというそういう体制を整えていくという必要があるわけでございます。このような短期金融市場の中核となる市場は、やはりTBの市場がふさわしいと、こういうふうに考えております。こうした観点で日本銀行におきましてはこれまでも金融調節の必要に応じまして手持ちのTBの対市中売却を実施しておるわけでございまして、今後ともこのようなオペを積極的に活用していくと、そういう方針でございます。
○太田淳夫君 今お話しのように、日銀としましては従来からTBを将来の短期の金融市場における通貨調節の中心としたいと、こういうようにお考えになっていらっしゃるようでございましたし、一昨年ですか、我が党の同僚委員がこの予算委員会でやはり前前川総裁にお尋ねいたしましたところ、前総裁もTBを公募入札すると、そういうことに積極的な姿勢をそのときに示されておりました。 去る三月の二十八日に五十九年度のTBの市中売却を実施されましたんですが、これは通年売却はもちろん、初めて四半期越えのTB売却となったわけですけれども、これによってTB市場づくりに大きく前進したと、このようにお考えになっていらっしゃるんでしょうか、日銀の今回の措置は日銀が本格的にTB市場づくりと公募入札のための前段階に踏み込んだと、このように見てよろしいんでしょうか。
○参考人(澄田智君) 私どもといたしましては、金融調節の必要に応じてTBを売却していくという、こういうことでございまして、その結果として自然にTB市場が形成されていくことが現実的であると、こういうふうに考えている次第でございます。 三月下旬にTBを売却いたしましたのは、そのころから季節的な金融余剰が四月にかけて急速に発生するわけでございまして、そういう情勢を踏まえましてTBオペを併用した金融調節を行うのが適当である、こういうふうに判断をしたわけでございまして、その金融調節のあくまで手段として行い、その結果として市場もできてくるということを考えている次第でございます。
○太田淳夫君 大蔵省はこの国債資金繰りのために一年未満の短期国債を市中で売却できるように所定の法改正を整備しているわけですけれども、将来この短期国債とTB、いわゆる政府短期証券、この関係はどうなるとお考えになっていらっしゃるのかお聞きしたいと思うのです。 また、日銀としましてはこの短期国債を金融調整の手段として用いる考えはあるのでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる今御指摘ありましたとおり、今法律改正をお願いしておるところでございます。これは御案内のとおり、六十年度以降におきまして、五十年度以降大量に発行した国債の満期が参ります。これに伴って昨年お許しいただいて借換債の大量発行が必要となることとなりました。この満期償還というのは傾向的にある日ある時に割に集中しておるものでございますから、したがって、円滑に対処するためには借換債を金融情勢に応じて弾力的に発行し得ることができるようにというので、短期物が必要であるというので法律改正をお願いしておるわけであります。したがって、この借換債自身は短期の借換債の発行によって短期金融市場が今後どのように整備されていくことになりますのか、現段階で確たる見通しを持つことは非常に難しい問題でございます。したがいまして、短期の借換債を金融調整の手段として活用するかどうかというようなことについては、今は全くそれはお答えできる段階にないではないか。 それで今度はTBとの関係についてのお尋ねがございましたが、今までは、要するに大蔵省はいつでも申しますのは、必要なときにいつでも必要なだけ借りられるという、いわば財源調達手段として、という趣旨のことも申し上げておきました。 そこで、日米円ドル委員会でいろいろ議論しまして、昨年五月の円ドル委員会の報告書の結論を申し上げますと、短期の国債市場は検討課題の一つである、検討に際しては、財政、国庫制度と深い関係を持つ点に留意する必要がある、以上議論された点とともに日本の財政制度や金融市場に与える影響を含め、さまざまな観点から検討していく必要になろうというようなことで、言ってみればこの問題については、かつてお答えしたような考え方が大きく変わったという状態にはない、なかんずく短期市場の問題については検討課題になっておると、こういうことでございます。
○参考人(澄田智君) 私どもの立場から申しますと、短期国債、将来発行された場合でございますが、これは発行会計でありますとか、あるいはファイナンスの対象という点では、TBと違っておる場合でありましても金融商品としては本質的には違いがないものになるのではないかというようなふうに考えております。 したがいまして、現在の時点ではまだ全く何も決めておりませんし、大蔵大臣のおっしゃるとおりでございますが、将来、短期国債の発行規模でありますとか、あるいは期間でありますとか、発行方式でありますとか、こういうものが適切にTBと同じように金融調節の手段としてオペレーションの手段になるというふうなようなものである場合においてはこの点は将来の検討事項であろうと、かように考えている次第でございます。
○太田淳夫君 将来の問題でございますけれども、日銀は現在、大体、発行されておりますところのTBを金融調整手段中心と考えていらっしゃるし、また、短期国債のいろいろな発行条件等によりましてはそれも金融商品として考えられるということでございますが、大蔵省の短期国債はどういうような形態で発行されるかちょっとわかりませんけれども、これがやはり公募入札で発行されるということになりますと、大蔵省と日銀、これは相互に金融調整を行うようなことになりかねないのじゃないかと思うのですが、すなわち金融調整二元化、これがされてしまうと思うのですが、その点はどのように調整されるお考えですか。
○国務大臣(竹下登君) 短期借換債は六十年度から発行したいと考えておりますが具体的な導入に当たりましては、既存の金融商品との競合や、それから資金シフトの問題等、いわゆる金融資本市場に及ぼす影響に十分配慮して金融秩序に混乱が生じないようにと、こういうことを基本的に考えていかなければならぬと思っております。 だから、今言えることは、短期の借換債の発行が金融市場等に与える影響ということになれば、発行時の金融市場を取り巻きます環境にもよりますので一概には申し上げられませんが、我が国の短期金融市場の整備に結果としては資することになるかもしらぬと、こういうところまでが今日のお答えの限界ではないかなと思います。
○太田淳夫君 限界までお話しになったわけでございますけれども、私としましては、短期金融市場の整備の仕方につきましては大蔵省と日銀の間で意見の相違があると、このように巷間伝えられておりますけれども、金融調節の点で、TBが金融資産とかあるいは国債との関係から見て政策手段として採用されるべきじゃないかと思います。したがいまして、TBを早く公募入札にしてTB市場を創設し、規模を拡大させることがまず必要じゃないかと、このように思いますが、その点に対する大臣のお考えをお聞きしたいと思うのです。
○国務大臣(竹下登君) これはまさに日米円ドル委員会でも、これは日本の国内の問題としてはもちろんでございますが、国際金融の面からも議論した課題でございますので、これは検討課題だと。したがって、これは他の問題は大体期限がついておりますが、これは期限がついておりませんものの検討課題であるという事実認識は十分持っております。
○太田淳夫君 日銀総裁にお伺いしたいと思います。
○参考人(澄田智君) 私どもといたしましては、先ほども申しましたように、金融調節のために手持ちの短期証券を売却していくということで目下金融調節を行っているわけでございまして、その結果としてそのTBの市場がこうできてくるということは自然なことである、こういうふうに考えているわけであります。 公募の問題につきましては、今までもいろいろ検討事項ではあると思っておりますが、公募がすぐ必要なことというふうに考えているわけではございませんで、今後短期金融市場の整備と、そのためには日銀手持ちのTBの売却というような手段を通じていくことが当面のことであろうと、かように考えておる次第でございます。
○太田淳夫君 お帰りいただいて結構です。どうもありがとうございました。 最後に、総理、金融の自由化、国際化、これは非常にテンポが速くなってきているわけです。したがいまして、日本には日本としての特性もあろうかと思います。この問題につきましては、総理も相当御熱心に取り上げられて促進されたということもお聞きしておりますけれども、やはりいろいろな点で障壁もあろうかと思いますけれども、先ほど大蔵大臣からお話がありましたような新しい金融商品が出てまいりますたびに、中小の金融機関につきましては大きな影響を与えているということでございますし、早くやはり自由化へのタイムスケジュールを明確にして、いろいろな面の混乱をなくすように総理としても推進をしていただきたいと思いますが、御意見を賜りたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 金融の自由化、特に金利の自由化、円の国際化というのは我が政府が今推進している大事な政策でございまして、今後とも鋭意努力してまいるつもりでおります。しかし、金利の自由化の問題等になりますと、零細金融機関の問題もございますから、あるいはまた郵貯との関係も出てまいりますが、これらも円滑に解決するように推進してまいりたいと思っております。
○太田淳夫君 それでは次の問題に入りますけれども、総理はこの予算委員会を通じまして税制改革ということを主張されておみえになりました。公平、公正、選択、簡素、活力ということでございますけれども、その主眼とするところはシャウプ税制見直しということでございました。そこで、総理は財政再建や増収のためではない、こういうことを述べられておりますけれども、その点もう一度確認したいと思いますが、間違いございませんね。
○国務大臣(中曽根康弘君) 間違いございません。
○太田淳夫君 さらに、税制改革を通じて所得税あるいは法人税の減税をしたい、このように述べられておりますけれども、その本意はどういうところにございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点も間違いございません。
○太田淳夫君 間違いないと言われたが、本意はどういうような本意でございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) シャウプ税制が施行されましてから三十年もたちまして、その間にひずみやゆがみやあるいは非常に税の重圧感、不公平感、こういうものがかなりありますものですから、国民の御満足を得るような体系に根本的に改革する必要ありと認めて、その課題に取り組まんとしておるものでございます。
○太田淳夫君 そうしますと、総理は税制改革によりまして減税をしたい、当然その財源的な裏づけが必要になってくると思います。それともレーガン大統領のように減税を一方的に実施をして、その後の経済成長に期待をすると、そういうことでございましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) どういう手順で進めるかは、これから予算も成立し、国会が終わりましたら慎重に検討してまいりたいと思っております。
○太田淳夫君 いずれにしましても、財源的な裏づけなしでは減税はできないと思うのですが、やはり何に財源を求めるかということが問題だろうと思います。総理の言われる不公正、不公平あるいはでこぼこ調整で減税財源ができるのでしょうか、どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) つまり、具体的な組み合わせやあるいは方法につきましてはまだ全く白紙でおります。
○太田淳夫君 例えば、不公平税制ということでございますと、その代表としてよく取り上げられますのは、租税特別措置によります政策税制でございますけれども、その減収額は六十年度の平年度試算で約一兆四千億円、こういうふうになると言われておりますけれども、総理はこの全廃を考えていらっしゃるのでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 不公平税制の是正ということは臨調答申の中にも含められていると思います。一般的にそのような不公平税制を直すということも大事であると思っております。
○太田淳夫君 総理のおっしゃられておりますところの税制改革を通じて所得税と法人税を減税する、そういうことになりますと、間接税の増収ということがやはり問題になるかと思います。特に、所得税と法人税の減税に見合う税収を確保するには大型間接税による増収以外にないんじゃないか、こういうことになろうかと思うのですが、総理が選択という言葉を税制改革の中に入れてみえることは、このことを意味しているんじゃないかと思うのですが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど来申し上げておりますように、税の中身等々についても全く白紙でおります。
○太田淳夫君 次は、六十年度予算に入りますけれども、この六十年度予算の審査が今最後の段階に入ったわけでございますが、その中身を見ますと、どう見てもごまかしの粉飾予算と言わざるを得ない点がございます。それは道路関係予算についての小細工でございますけれども、まず六十年度一般会計ベースでの道路整備事業費の財源の内訳を示してもらいたいと思うのですが。
○政府委員(吉野良彦君) 六十年度予算でお願いをいたしております道路整備特別会計への一般会計からの繰り入れの総額が一兆八千二百六十億円でございます。その財源の一番大きなものは、御承知のように、いわゆる揮発油税でございます。揮発油税が一兆六千六百五十億円、それから石油ガス税、これが百六十億円でございます。残余はいわゆる一般財源でございます。
○太田淳夫君 それでは、特別会計ベースでの道路整備事業費はどうなっておりますか。
○政府委員(吉野良彦君) 六十年度の特別会計での歳出の総額でございますが、総額が先ほど申し上げました一般会計からの繰り入れ一兆八千二百六十億円と、それから道路整備特別会計が資金運用部資金から借り入れます一千二百億円、それから揮発油税のうち千百十億円を一般会計を経由せずに特別会計へ直接繰り入れる措置をお願いしてございますので、先ほど申し上げました一般会計からの繰り入れ一兆八千二百六十億円と、それから資金運用部資金からの借り入れ千二百億円、それから特別会計に直接繰り入れられます揮発油税の一千百十億円、これらの合計額でございます。
○太田淳夫君 それで見ますと、今お話がございましたけれども、一般会計ベースで道路整備事業費は前年度より約四百七十億円減っているわけですね。ところが、特別会計ベースでは約二千四百億円増加しているわけですけれども、これから見ましても、政府は六十年度の道路整備に対して積極的な姿勢で取り組んだのか、抑制的な姿勢で臨んだのか、その点がちょっと判明しないんですが、その点はどうでしょうか。
○政府委員(吉野良彦君) 六十年度予算におきましては、歳出全体にわたりまして厳しい抑制的な態度で臨んだわけでございます。公共事業につきましてもその例外ではございませんで、いわゆる一般会計からの国費ベースではマイナスになってございます。一方、御指摘の道路整備でございますが、特にいわゆる地方道の整備につきましては、従来から特にその整備のおくれが目立っておりまして、いろいろ問題も指摘をされているわけでございます。そういった事情を踏まえまして、新たにこの道路整備特別会計から地方公共団体に地方道路整備臨時交付金というものを支出をすることにいたしまして、地方道の整備に重点を置いて推進をしてまいりたい、こういう態度をとったわけでございます。
○太田淳夫君 今お話がありましたけれども、地方道路整備臨時交付金の財源として揮発油税の一部を一般会計を経由しないで道路整備特会へ直入したと、こういうことでございますけれども、この分は何も臨時交付金制度をつくらなくても、一般会計を経由していずれ道路整備特別会計へ繰り入れられるものじゃないかと思うのですが、なぜこのような臨時的な制度が必要になったのか、その点どうでしょうか。
○政府委員(吉野良彦君) 先ほど申し上げましたように、道路整備の中でも特に地方道の整備が急がれるというような事情も踏まえまして、その財源をいわば優先的に確保していく必要があるというふうに考えるわけでございます。そういった考え方から、先ほど申しましたように地方道路整備臨時交付金というものを地方公共団体に交付をすると。しかも、地方の自主性を高めながら整備が行われるということを期待したいというふうに考えるわけでございます。そういった考え方から、この交付金の財源といたしましては、一般会計のいわゆる財源事情に左右されずに安定的な金額が確保されることが望ましいというようなこと、それからまた、特定の歳入でございますから、この特定の歳入の金額によって特定の臨時交付金という歳出金額に充てているのだということをはっきり法律上も明確にするということが望ましいと、こういうような考え方から、この交付金に相当する財源を特別会計に直接入れるという措置を講じた次第でございます。
○太田淳夫君 いろいろとおっしゃっていますけれども、先ほどから申し上げましたように、何も新たに臨時交付金制度をつくらなくても、従来の地方道路譲与税を増額すればその目的は達せられるのじゃないですか。その点どうですか。
○政府委員(吉野良彦君) 一般的、抽象的な理論といたしましては、そういうことももちろん不可能ではございません。ございませんが、私どもといたしましては、先ほど申し上げました理由によりまして、やはりこの際、特別会計に直接入れることの方が、この交付金の性格なり、あるいは地方道路の整備を進めていく上に妥当であるというふうに考えたわけでございます。
○太田淳夫君 我々は何も、先ほど申し上げましたように、地方の道路を整備する財源を優先的に確保していく、あるいは地方の自主性を高めるということでございますけれども、これは従来の、こういうようなバイパスをつくって一般会計に入れるべきものを特別会計に直入をするような制度を今まで設けたことはないでしょう。
○政府委員(吉野良彦君) 御承知のように、税収の一部分が一般会計を通さずに特別会計に直接入れられているもの、これはほかにも例がございます。例えば原重油関税でございますが、これは御承知のようにいわゆる石特会計に直接繰り入れられる、あるいはまた電源開発促進税でございますが、これは一般会計を経由せずに電発の特別会計に直接繰り入れられているというものがございます。そのほかにも、地方道路税でございますとか、あるいは特別とん税でございますとか、幾つかの税目が交付税特別会計に直接入れられているという例はございます。
○太田淳夫君 今、主計局長から例を挙げられましたけれども、交付税及び譲与税配付金特会の場合、あるいは電源開発促進対策特会の場合、あるいは石炭特会の場合、それぞれこれはもうその法律ができたときから入れているわけですから、このように今まであったものを途中でバイパスをつくって特別会計に直入をするようなこととは性格が違うわけですね、そうじゃないですか。また、せんだっても同僚の鈴木一弘議員からこの問題につきましては大臣に質問ございましたけれども、それに対しまして大蔵大臣は、地方譲与税等の地方道路税を地方に渡すと必ずしも道路整備に使用されない、こういうような発言をされているわけですね。そういう点から見ましても、非常に今回の措置というのはおかしなものになっていると私は思うのですが、その点どうですか。
○国務大臣(竹下登君) 私がお答えするのが適当かどうかとも思いますが、一つは道路整備特別会計で、いわゆるすべて財源は一般会計を通しまして、直轄事業、補助事業がございます。私が鈴木委員に申し上げましたのは、地方道路税、それから自動車重量税、石油ガス税。地方道路税は全額でございます、自動車重量税四分の一、石油ガス税二分の一が一般会計を通さずに交付税特会に直入されて地方の財源となっておると。この譲与税というものはいわゆる道路に充てることは事実でありますが、道路に使われていないというわけじゃなく、それそのものはいわゆる補助裏であろうと維持管理費であろうと、とにかくまさに一般的な道路に使われるものである。今度の場合は第三の道とでも申しましょうか、それぞれ地方においてそれなりの計画を立てられたもので、いわゆる補助事業の分と、そのいわゆる維持管理費等も含め、充てられるものとの中間的な対応策になるなと、これはあるいは私のお答えすべきことではなかろうかと思いますが、そういうふうな区分を観念上私は行いました。
○太田淳夫君 自治大臣にお伺いしますけれども、自治省としては今までそんな地方譲与税等の地方道路税につきましては各地方に勝手な使い方をさしていたのですか。
○国務大臣(古屋亨君) これは予算編成の際におかれまして、地方の道路を拡充する、充実するということからして建設省にこういう費用が加えられたものと思っております。
○太田淳夫君 何かちょっと答弁になっていませんけれども、大蔵大臣がせんだって答えられましたように、地方譲与税等の地方道路税で地方に渡しますと、それは必ずしも道路整備に使われてないのじゃないか、金に色がついてないからというような発言をされているわけですけれども、これは地方道路譲与税法に照らしてもそういうことがあり得るのかどうかということをお聞きしているわけです。
○国務大臣(竹下登君) 私の答弁にかかわることでございますから。 御案内のとおりでございまして、先ほど申しましたように、一般会計を通じないでいわゆる交付税特会に直入される、そして道路財源になると、これを私は疑っておるものではございませんが、譲与税というのは御案内のとおり現在ございます道路の延長、面積という外形的基準で配分が行われておりまして、いわゆる外形的標準で行われるものでございますから、その中身が維持管理であれ、いわゆる補助裏であれ、そういうことで特定することが難しいと、こういう意味で申し上げたわけでありまして、道路以外に使われておるというふうに申し上げたわけではございません。
○政府委員(矢野浩一郎君) 自治省の立場からお答え申し上げたいと存じます。 地方道路譲与税等の地方道路目的財源は、先ほど大蔵大臣からもお答えがございましたように、補助金等とは異なりまして、非常に幅を広く地方の道路費に、各種のものに使えると。必ずしも投資的なものだけではなくて、維持管理あるいは道路に関する起債の償還財源、こういったものまで含めてすべて使えるということになっているわけでございます。したがって、現年度の投資だけを見たような場合に、たまたまその年の道路譲与税等に比べて少ないなというようなことがございましても、これはやはり全体で判断をしなければなりませんし、私どもの方ではそういった地方団体がこういったものを道路以外のものに使っておるということはないと、こういうぐあいに承知しております。もとより地方道路財源をそのような形で地方団体に使わせるのは、これは地方財政のいわば自主性をできるだけ地方団体に持たせるという趣旨からでございますので、御了解を賜りたいと存じます。
○太田淳夫君 ですから、今の自治省のお話のとおり、何も一般会計を通さずに、こういうように特別会計に直入する必要はなかった、こういうふうに私は思うのですが、その点どうですか、再度答弁。
○国務大臣(竹下登君) 先ほど来申しておりますが、補助金は一件別に国が審査するという従来の考え方、それから譲与税は、今お話しがありましたようにまさに道路に使えます。しかし、それは今日投資的なものでなくても、維持管理であっても、かつてのいわゆる起債の償還財源に充ててもいいと、非常に自主的判断によって運営をされる性格のものであります。だから道路以外使われておるとは私は思ったことはございません。 そこで、今度の第三の道というのは、いわゆる道路管理者が策定します計画に基づいて一定の地域において一体的に行われる複数の小規模事業の財源の一部として交付金として一括交付をする、そういう性格の、言ってみれば第三の道というのもこれは別に法律で書いてある言葉じゃございませんが、あえて私が使いますならば第三の道であると、こういうふうに考えておるところであります。
○太田淳夫君 大蔵大臣、総理、結局何だかんだと理由はつけておりますけれども、一般歳出を抑えるために直入制度を設けて臨時交付金制度を設けた、こう言わざるを得ないわけですね。私たちこれ予算を審議しているわけです。国民の前はあからさまに予算の姿、あるべき姿というものを示さずに、このような小手先のからくりをして、一般歳出伸び率ゼロというような手法をやるということはよくないということを私は言いたいわけですよ。その点総理、どのようにお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 地方道路の重要性にかんがみましてストレートに財源措置を講じたと、そういうことでありますが、そういうふうな誤解を受けるとすれば、これは慎重に検討すべきものかもしれません。今後ひとつ大いに勉強してみたいと思います。
○太田淳夫君 そういうことがこの六十年度の一般歳出だけでなくて、五十九年度の補正予算でも実は行われたわけですね。これは五十九年度のやはり揮発油税等の清算分二百六十九億円、この道路整備特別会計に繰り入れがあったわけですけれども、これも本来は六十年度の財源となるべきものが特例法まで出して五十九年度の補正に入れると、こういうようなからくりをやってきているわけです。その分だけ一般会計の歳出が減るわけですから、ですから今までも大蔵省は一生懸命伸び率ゼロということの抑制型予算ということで国民にはPRしておりますけれども、事実はそういうことが、からくりが行われていたということは私たちは許すわけにはいかないわけです。しかも、これは抑制型予算にしなければならないそういう中曽根内閣の使命と、あるいは逆に公共事業抑制に対して反対をしておりますところの圧力団体、それとの妥協の産物でこの予算というものがこういうからくりが行われたということは、予算委員会のメンバーとしてどうしてもこれは私は許すわけにはいきません。そういった点で、この問題につきまして大蔵大臣から再度答弁いただきたいと思うのです。
○国務大臣(竹下登君) これは補正の財源、今御指摘なすったとおりであります。まさに補正、地域バランスの景気対策ということを考えましたときにとった一つの措置であります。そして、先ほど来の議論の問題につきましては、総理からもお答えがございましたが、私どもはただ公共事業をいわば聖域としたわけではもとよりございません。いろいろな工夫を重ねまして、それぞれのニーズに対応した措置であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
○委員長(長田裕二君) 鈴木一弘君の関連質疑を許します。鈴木君。
○鈴木一弘君 今出ていた問題、私はこの委員会で取り上げたんですけれども、実に特定財源は特定に使えるということになれば、酒税は酒屋のために使えるということになってしまうわけでございますので、これは十分考えを直していただかないと本当に予算のごまかしだということになります。 私は、関連として伺いたいのは、先日、予算の空白の問題について委員長から委員会としての見解が出されました。先ほど同僚の志苫議員に対して御答弁ございましたので、さらにもうちょっと詰めたいのでございますが、本年度、残念ながら空白になってしまいました。この本年度のような空白の事態は明年度以降決して繰り返さないということが、これは望まれるわけであります。そのためには大蔵大臣としてはやはり年度内成立を期待するものであろうと思いますが、そうであるとすれば、大蔵大臣としてそのためにどうしたらいいと思っていらっしゃいますか、伺いたいのです。
○国務大臣(竹下登君) まず、この問題、いわば委員長見解からくる一つの宿題として私どもも取り上げておりますが、先般、鈴木一弘委員から御提案のありました予算空白問題についてはと、それで協議して委員長から遺憾なことと考えますと、これは空白の可能性が生じてきておりますことは、まことに遺憾でありますと。ところが、今、現実空白でございます。したがって、私どもといたしましては、いわゆる大蔵大臣としてこれに対応する考え方としては、国民生活と重要なかかわりを持っております予算が円滑に執行できるよう予算を年度内に成立していただくことを強く期待していると。これは期待権は本当にあることはあると思うのです。おのずからの限界もあろうかと私も思いますけれども。委員が御指摘のとおりであります。強く期待しているものであるということは今おっしゃったとおりでありますが、そのためには予算審議が円滑に進められますような最大限の、今度は政府側としてはこれに協力をしていくということを、結局きょうの段階でお答えしますならば従来にも増して協力をすることで努力をしていくべき課題だというふうに申し上げるべきであろうと思います。
○鈴木一弘君 したがって、明年度予算について今のような答弁があったわけでございますが、今言われたように確かに期待権はある、あるかもしれません。しかし極端なことを言うと空白が五日間の場合もあるでしょう。あるいはもっと遅く参議院に衆議院から送られてくる場合もあるでしょう。極端に言えば三月三十一日に参議院が審議開始になると、その場合でも期待権から言えばその日、三十一日のその日のうちに成立させてほしいと期待をするということになるでしょう。こういうことは一般的にはないと思いますが、一般的には政府の期待どおりにはいかない、おくれて来ればそういう蓋然性が必ずあると私は思います。そのときにその結果として予算の空白ということが起きてくるわけですが、そうした惰性を排するた めにはどういう準備を政府としては行っていくのか、これをもう一回伺いたいのです。
○国務大臣(竹下登君) これは確かに、理屈で言えば私も本委員会でかつてそういうお答えをしたことがございますが、そのうちに成立さしてほしいという期待権はあるかもしらぬ。しかし一般的にこれは政府の期待どおりにいかない蓋然性が大きいと。そのとおりでございます。だから、先ほど申し上げましたように、今後とも毎年度国会における御審議について円滑に進められるよう最大限の御協力を申し上げて、ひたすら審議の進捗を強く期待するという立場、これは御理解をいただきたいところでありますが、しかし予算の空白は適切な事態でないと考えられる。これまでにも、各般の事情から結果的に予算の空白が生じた事例があることはまさに遺憾ながら御承知のとおりであります。したがって、今後政府の立場においても不断の努力の積み重ね、そして速やかにかかる事態を生じしめないよう、暫定予算の提出等、国民に迷惑をかけないための諸般の対策に万全を期することを改めて強く求められておる委員長見解の趣旨を尊重して、その段階ごとにまさに適切な対応に努めてまいらなければならないというお答えに尽きるではなかろうかと思います。
○鈴木一弘君 今のその段階ごとに適切な対応と言われたのですが、その適切な対応というのが、一日のために二日間衆参両院で審議というのは、これはまあちょっと異常かもしれませんが、幾日をおっしゃっているのでしょうか、適切というのは。複数日を言っているのかどうなのかということを伺いたい。
○国務大臣(竹下登君) この戦前の制度との、憲法に定められる前年度予算を施行すべしというのがない今日におきましては、いわば、今鈴木さんおっしゃいますのは、惰性に流れて予算の空白が繰り返されていくのではないかということが心配の背景にあらうかと思っております。予算の空白が長期化して、それが繰り返されることといったことが好ましくないということは、これは申し上げるまでもございませんが、ただそこのところで、今の現行制度では予算の空白というのは予定されていないものでございますので、したがって現行制度上予定されていないものを何日までよろしゅうございますと、いわゆる何日までのずれ込みなら暫定予算を提出するとかしないとかといったお答えをすることはやはりお答えいたしかねるということを言うしかない、こう思うのであります。いずれにしましても、その点は先ほど申し上げておりますように、予算の一日も早い成立を強く期待しながら、従来からの論議や本年度の経緯等を十分踏まえ、そして委員長提案、これをまさに踏まえて、適時適切な対応に努めてまいりたい。だから適時適切とは何月何日何時までかということは、やはりお答えはいたしかねるということで御理解をいただくしかないなと、こう思っております。
○鈴木一弘君 最後にこの問題で総理に伺いたいのですが、法的根拠は空白はよろしいということは一言もございません。一日の空白もいけないことになっている。一日がよければ二日もいいだろう、二日がよければ三日もいいだろう、五日がよければ六日空白でもいいだろうとなったら、これはえらいことになってしまいます。この点について総理はどういうふうに今後決意されてまいりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 委員長見解の趣旨に沿しまして、政府として努力してまいりたいと思います。
○太田淳夫君 それでは、公正取引委員長お見えになっておりますのでお尋ねしたいと思いますが、最初に通産省ですね、通産省の石油対策の主要施策の一つに石油産業の構造改善の推進とございますけれども、通産省としましては産業界の自助努力を最優先として、行政改革は必要最小限にとどめたい、こういう見解のようでございますけれども、今後の構造改善の進展についてどのような見通しを立てていらっしゃいますか。
○国務大臣(村田敬次郎君) お答えを申し上げます。 石油の需給につきましては、ホルムズ海峡依存度が非常に高い。エネルギーの安定供給ということから申しますと、何としてもこれは国策上安定供給を確保しなければならないものでございますので、したがって、このことについては従来から非常に意を用いておるところでございます。現在のシステムでは、石油業法に従いまして消費地精製方式、そしてまた連産品といったところに着目いたしまして、石油業法に基づいて処理しておるというところでございますが、先生御承知のように、石油審議会での答申等もあり、また、私どもとしても既に三月、石油審議会の方に今後の中長期的な見通しを諮ったところでありまして、そういった今後の情勢についていかに対応をしていけばよいかということに鋭意研究をいたしておるところでございます。
○太田淳夫君 先般の鶴岡灯油裁判、これについてでございますけれども、元売各社のやみカルテルを生んだ土壌として通産省の行政指導のあり方に問題があるのじゃないか、こう言う向きもあるわけでございますけれども、通産省として一方において消費者行政を所管している、こういうことで、今回の判決につきましては通産省としてどのように受けとめてみえるのか。消費者の立場に立った通産行政というものが望まれているわけでございますけれども、今後の石油製品の流通販売等について業界に対してどのような姿勢で臨まれるのか、お聞きしたいと思いますし、この判決は消費者の立場に立った非常に画期的なことではないかと思いますので、公正取引委員会の見解もお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(村田敬次郎君) 本判決の具体的な論評につきましては、本件は私人間の損害賠償請求という司法上の問題でございますので、この場所でコメントは差し控えたいと思います。 なお、本件は十年以上も前の石油業界における独占禁止法違反事例に係る問題でございますが、今後とも独禁法に違反する事例が生ずることのないよう注意して対処してまいる考えでございます。
○政府委員(高橋元君) 今もお触れになりましたように、三月二十六日の秋田支部の判決、仙台高裁秋田支部でございますが、これは消費者側が損害賠償請求で勝訴した最初の判決でございます。これは民事事件でもございますし、まだ確定しておりませんので、具体的に細かく申し上げるのは控えさしていただきたいと思うわけでございますけれども、一つは、カルテルの事実につきまして、公正取引委員会の勧告審決の事実上の推定力というのが認められた。二つ目には、価格協定と小売価格の上昇の因果関係につきまして、被告が価格協定により元売を引き上げたことと、それから協定の影響のもとにあると認められる時間的、場所的な範囲内において消費者の灯油を購入したということ。それから三つ目に、損害の額は現実に購入した額と価格協定がなければ形成されたであろう小売価格との差額で、具体的に言えば価格協定直前の小売価格との差額だ。この三つのことが判決の内容として私どもは特筆していいのかと思っております。 要約いたしますと、消費者が独占禁止法の違反行為によってこうむった損害の回復、これを容易にするという趣旨であると思いますので、また、もう一つは、こういうことによって独禁法の違反行為の未然防止に役立つことになるというふうに考えますので、今回の判決につきまして、私の所感として申し上げるならば、意義あるものというふうに考えているわけでございます。
○太田淳夫君 終わります。
○委員長(長田裕二君) 太田君の残余の質疑は明日行うことといたします。 ─────────────
○委員長(長田裕二君) この際、お諮りいたします。 本委員会は、昭和六十年度一般会計予算外二案につきまして、内閣委員会外十四委員会にその審査を委嘱いたしておりましたが、各委員長からそれぞれ審査概要について報告書が提出されました。 つきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 なお、このほか、報告書は別途印刷して委員の皆様方に配付することといたします。 明日は午前十時に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時四十二分散会