予算委員会 第15号
- 発言数
- 430 件
- 登壇者
- 47 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1985/03/27
会議録
○委員長(長田裕二君) 予算委員会を開会いたします。 昭和六十年度一般会計予算、昭和六十年度特別会計予算、昭和六十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 ─────────────
○委員長(長田裕二君) この際申し上げます。 先般鈴木一弘委員から御提起のありました予算の空白の問題につきましては、理事会でも協議してきたところでありますが、この際、その協議を踏まえ、委員長から一言申し上げます。 昭和六十年度予算につきましては、これまで委員長としても鋭意十分な、充実した審査をいただくべく全力を挙げるとともに、政府に対しても、円滑な審議のため最大限の協力を求めてきたところであります。 しかしながら、本日の段階において、若干の予算の空白の可能性が生じてきておりますことは、適切な事態ではなく、遺憾なことと考えます。 本委員会としては、今後、従来からの論議や本年度の経緯等を十分に踏まえ、政府においては、速やかにかかる事態を生ぜしめないよう、暫定予算の提出等、国民に迷惑をかけないための諸般の対策に万全を期することを改めて強く求めます。 なお、この旨、委員長報告にも盛り込みたいと思います。 ─────────────
○委員長(長田裕二君) それでは、これより久保田真苗君の一般質疑を行います。久保田君。
○久保田真苗君 大蔵大臣、きょう午前中、いわゆるサラリーマンの税金訴訟について最高裁の判決がございました。判決は、結局現在の税制は合憲だという結論のようでございますけれども、判決の内容につきましては、見逃せない点が幾つかあるように思います。 この判決文の中で、特にサラリーマンの不満になっております所得の捕捉率の格差について、事業所得などの捕捉率が相当長期間にわたり給与所得の捕捉率を下回っているとしておりまして、なお、租税公平主義の見地から是正努力が必要であるとも言っておるわけでございます。御存じのとおり、現実には給与所得者の納税額は平均二十一万円、自営業者は十六万円、農業所得者は九万円と言われております。大蔵省はこの判決について、この点についてどういう努力をなさるか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) きょう参議院本会議に出ておりましたときに判決が出たわけでございます。したがいまして、この判決の内容につきましては詳細を検討するという立場に至っておりませんので、現段階でコメントをすることは差し控えさしていただきたいと思いますが、現行の給与所得控除制度の合憲性あるいは合理性が司法的に是認されたという受けとめ方は一般論としてあろうかと思いますが、今御指摘なさいましたように、いわゆる補足意見として述べられております捕捉率の問題、これは引き続き今後の課題として謙虚に受けとめていかなければならぬ課題であるというふうに考えるわけであります。 まあいろいろな議論が本委員会においても行われましたことは御承知のとおりでございます。例えばいわゆる給与所得者の必要経費問題、概算控除と実額控除と選択制をとったらどうかと、こういうような議論もございましたが、いずれにいたしましても、この給与所得控除の水準を維持する限り、実額控除との選択制を採用することは、今までの税調の答申は、実益に乏しいと。したがって、現行制度を維持して、その中でいわゆる所得控除の水準とも関連してこれから検討をしていくということになろうと思います。きょうの段階で明確に先生にお答えすることができることは、今回の判決文を我々ももちろん精査をいたしますが、司法の言ってみれば一番新しい判断材料として、税制調査会等に報告すべき課題だというふうに考えております。
○久保田真苗君 しかし、捕捉率に格差があるということは認められておりますので、なお一層の御努力をお願いしますとともに、補足意見なんですが、格差が著しくなった場合は違憲になり得るとされていると言われます。これはこの立法府、それから税務当局に対する大きな警鐘ではないかと私は考えますが、大蔵大臣の御所見はいかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) まさに最新の判断として、これは謙虚に受けとめなければならぬ問題であります。今、久保田さんの読み方からすれば、まあそういう読み方もできるでございましょうが、この問題につきましては私もまだ判決骨子という程度でございますので、いましばらく熟読した上で御返答をするのが至当ではなかろうかと思います。
○久保田真苗君 次に池子弾薬庫への米軍住宅の建設に関連して、まず環境庁長官にお伺いしたいんですが、御就任以来大変御努力いただいておりまして、窒素酸化物の規制につきましても非常に率直な宣言をしていただいております。目的達成は年度内には困難ということでございますが、大都市圏における排ガス対策、その他空気を浄化する上から首都圏の自然環境の整備ということが非常に大事だと思いますが、これについて環境庁長官の御所見をお願いいたします。
○国務大臣(石本茂君) お答えいたします。 ただいま先生申されましたように、緑と申しますか植物と申しますか、これが大気汚染を浄化する機能を、正確に把握しておるわけではございませんが、しかし豊かな緑は市民生活に潤いと安らぎをもたらすことはもちろんでございますが、大気の汚染を軽減する上でも大きな役割を果たしているというふうに評価はいたしております。首都圏の緑は都市化の進展によりまして減少する傾向にあります。緑の果たしているこの重要な役割にかんがみまして、できる限り緑の保全とその創出ということに努めることが望ましいというふうに考えております。
○久保田真苗君 ぜひ今後とも御尽力をお願いいたします。またこれに関連して、排ガス対策等につきましてのもっと克明に状況のわかる調査等もお願いしたいと思います。 さて、環境庁長官は最近池子弾薬庫跡への非公式の訪問をされておるわけでございますけれども、御感想はいかがでしたでしょうか。
○国務大臣(石本茂君) 昨年の暮れに行ってまいりました。非常に短時間でございましたし、弾薬庫の中は見ておりませんけれども、都市近郊にあります非常に大きな森林だという印象を受けて帰りました。
○久保田真苗君 環境庁では池子の自然について、特にその自然の生態系について状況を把握していらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(加藤陸美君) お答えいたします。 お尋ねのありました地域についてでございますが、概要を申し上げますと標高が大体十メートルぐらいの平たん部から百三十メートルぐらいの丘陵性の山地となっております。平たん部に弾薬庫が散在するほかは森林で覆われている状況でございますが、これらの森林は尾根部等にウラジロガシ、アカガシ等、また山腹部分にはケヤキなどの高木林がありますほかは大部分がコナラなどの二次林であると承知いたしております。先ほど大臣からも申し上げましたとおり、近隣の森林と一体となりまして大都市の近郊にあっては比較的規模の大きい森林になっておると承知いたしております。
○久保田真苗君 私自然の生態系と申しました。つまり植物のほかに鳥類、動物を含むのでございますけれども、その点はいかがですか。
○政府委員(加藤陸美君) お答えいたします。 植物につきましては今、木のことを申し上げましたが、動物について申し上げますと、これは主なものでございますけれども、鳥類ではメジロ、ヒヨドリ、ゴイサギ、ホオジロ等と承っております。それから哺乳類関係は余り大きなものはもちろんあの地域でございますからおりませんが、アズマモグラとかノウサギ等と承知いたしております。それから昆虫類はチョウ類、トンボ類等比較的各種いるように承知いたしております。
○久保田真苗君 今の御説明は環境庁の調査に基づいたものですか、それともどういう資料に基づいたものですか。
○政府委員(加藤陸美君) 環境庁の調査というわけではございませんでして、実は各都道府県あるいは市町村を通じまして状況を集めておるものでございまして、直接の調査は現地の神奈川県あるいは逗子市で行われておるもののピックアップで申し上げております。
○久保田真苗君 防衛庁長官に伺いますが、防衛庁は最近事業アセスの調査を終えられたところですが、自然の生態系についてはどれだけおつかみになりましたでしょうか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。この池子の森における動植物の生態系の調査につきましては、先生よく御承知のように、神奈川県の環境アセスメント条例の要求項目の一つに入っておりまして、防衛施設庁といたしましては、五十八年の一月から十二月の間約一年間の通年調査を、各季節ごとに哺乳類、鳥類、植物について実施をいたしました。 御承知のように、池子の弾薬庫は、戦時中は旧海軍、その後米軍の施設として長い間提供をされて、その上非常に自然性が高く、保護されたと。周辺は御承知のように大変開発をされまして、この環境といたしましては、三浦半島至るところにございますところの自然林の中でも比較的自然性の高いものでございます。ただし、周辺が大変開発されました結果、そういう平たん部に見られる人為的な影響を受けてそれが混在をしておる。例えば周辺のスズメや何かがみんな逃げ込んでおる。こういうようなことで、それぞれ動植物、昆虫等について調査をいたしております。 ただいま環境庁の方から御説明がございましたが、私どもといたしましては、環境アセスメントを担当しておる専門の会社がございます。これはもう九十何件やっております会社でございますが、ここにお願いをいたしまして、動物、哺乳類等の例えば足跡であるとかふんであるとか、季節ごとにその生態を把握いたし、それに基づいていろいろな住宅建設計画、さらには近く提出を予定しております環境影響評価書案の作成をいたしたところでございます。
○久保田真苗君 防衛庁は、この池子地区のどのくらいの面積に対して調査をされたのですか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 御承知のように、池子弾薬地は二百九十ヘクタールでございます。この弾薬地跡を対象として二百九十ヘクタールについて調査をいたしました。
○久保田真苗君 この池子についての学術調査は極めて少ないのでございますけれども、横浜大学の宮脇教授が池子についてわずかばかりの時間で調査をされましたところ、非常に自然の生態系が強く残っている。例えばイモリのような日本の風土で生態系の高さをあらわすこういったものがおりましたり、また爬虫類でマムシがおるとか、あるいは野鳥の会の方たちの調査では、オオタカ、ハヤブサ、オジロワシといったような絶滅に瀕している鳥あるいは天然記念物等が把握されているのでございますが、この点はいかがでございましたか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 いろいろ調査をいたしましたが、天然記念物あるいは特別貴重保護動物等は、オジロワシが何か何年か前に上空を舞っておったという報告があるやに承知をいたしておりますが、これが住んでおるということは確認をされておりません。また、いろいろ珍しい昆虫、ゲンジボタルなどがいるということも承知をいたしておりますが、何分環境アセスメントの一項目でございまして、近く県条例に基づきましてこれを提出する予定になっておりまして、私ども国の行った調査は資料として当然提出をいたします。十八項目のうちの十六項目、二項目だけはちょっと関係がございません、日照権の問題と、地下水をくみ上げませんので地盤沈下とか、そういう問題はないのですが、その一つに、動植物の生態というのがございますの で、これは私どもが承知した限りのことを提出させていただこうと思います。ただ、これは県条例による県の事務でございますので、この席でまだ提出もしないうちから調査結果を具体的佐御報告することは差し控えさしていただきます。
○久保田真苗君 私どもはこれについて文化財それから埋蔵文化財と池子の自然体系についてぜひ学術調査をという希望をしてきたところでございますが、もしこのような希望が今後あれば、これを許可されますか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 ただいまお尋ねの件につきましては、実は五十八年十一月二十五日、当時の逗子市長さんからも、この良好な環境確保の観点からそういう問題をやってもらいたいという御要望がございますし、現在の市長さんからも学術調査の御要望が出ております。私どもといたしましては、御承知のように、県条例の五条でもってこれは義務づけられております。正確に申しますと、事業主は調査等が終了したときは環境影響予測評価書案を知事に提出しなければならない、こうなっておりますので、県にこれを提出いたしまして、御質問のような件については県にお願いをいたしたいと考えております。 文化財の問題が御質問にございましたのでお答えをいたしますと、この計画区域の中には国、県あるいは市が指定しております史跡、名勝、天然記念物は存在いたしません。埋蔵文化財としてそれに該当すると思われますものが一カ所、横穴式やぐら、これは鎌倉時代の武家の墓場と承知しておりますが、これが存在していることは承知をいたしております。なお、こういう文化財の保護につきましては、この環境アセスメントをやっていただく段階で県がその権限においておやりになることでございますので、私どもといたしましては特に学術調査を国としてやることは考えておりません。
○久保田真苗君 つまり、県が希望すれば、あるいは県がそれを認めれば学術調査も可能だと、こういうふうに見ていいですね。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 学術調査という先生のお考えになっておられる、程度の問題であろうかと思います。学術調査、何年も何年もかかる調査ということになりますと、私どもは御承知のように日米安保条約に基づきまして横須賀地区で大変不足をしておる米海軍将校、下士官の家族住宅を建設して提供をいたしたい、第六条による私どもの義務というふうに考えて、なるべく早くこれを提出いたしたいと考えておりますので、何年にもわたる調査ということになりますと、私どもちょっと賛成しかねますが、通常アセスメントの必要上県がおやりになる調査、これは結構だろうと思います。
○久保田真苗君 それじゃ、そういう調査もできるというふうに承りました。 それから、実は地元の市民の方々は非常に自然度の高い池子の丘陵を二十一世紀の子孫たちにこのまま伝えたいことを強く希望しております。また、特に首都圏の中にあるということから、私はこのようなものがここにこのまま残っていることが首都圏の汚染を浄化するという意味でも非常に大事だと思うのですが、防衛庁長官とされましては、米軍の住宅を提供することと、それから池子の自然を守ることを両立させる方法があるとお考えになるのじゃありませんか。
○国務大臣(加藤紘一君) この池子の住宅問題でございますが、私たちとしても池子の自然を守ることは大切なことだと思っております。ですから、今度の計画案でも二百九十ヘクタールあるうちに、対象地域となっておりますのは八十ヘクタール。そして、具体的に住宅宅地として使うのは、その六割ですから六、八、四十八で四十八ヘクタール、全体の六分の一ということになりましたのも、地元との話し合いの経過でそういう中層住宅をふやすようにいたしたのも、私たちも自然が大切であればと思ったからこそでございますし、それから、特に最近の池子問題の議論を聞いておりまして、ちょっと御理解いただいておいた方がいいと思いますのは、委員おっしゃいますように、自然の一番大切な深い部分、その部分はほとんど手つかずにおりまして、どちらかというと里山といいますか、もう現在住宅地が近くなっているような部分を優先的にといいますか、そっちの方を対象に六分の一ということになっているわけでございます。 私たちとしては、ただいま施設庁長官が申しましたように、私たちの国の安全のためにともに働いてくれております米軍に対してちゃんと住宅は供給しなければならぬと思っておりますし、地元の反対の方々もその部分については、そう日米安保がどうのこうのという御議論ではないように思うんですね。したがって、そこをどう接点を見つけるかということは私たちも苦労して現在の案をつくっているわけですけれども、その部分について一生懸命こちらも配慮しているという部分がどうも十分御理解いただいていなかったのじゃないかなと、何となく奥山の大変な自然林があるところまで全部土足で、ブルドーザーを持っていくようなイメージでとらえちゃっているのではないか。そういう意味でもぜひ私たちの考えを、説明を聞いてもらいたいという気持ちでいっぱいでございます。
○久保田真苗君 私は池子の、逗子の市民がそのような誤解をしているとは全然思わないんです。どれだけの面積か、あの方たちは非常にインテリジェントな方たちでして十分わかっていらっしゃる。しかし、長官と私の間で当事者がどう思っているかというようなことを言い合っても仕方がないんです。それには当事者がここへ来てもらわなければわからないことなんです。ですから私は参考人として逗子の市長の出席を求めたわけです。 しかし、私が思いますのは、両立させる最もよい方法は他に適地を求めること。いろいろな提案がなされております。分散させること、他に適地を求めること、開発済みの遊休地も多い、某議員が防衛庁へ持ちかけたお話もございますわけでしょう。そのように開発された遊休地が多いわけでございます。このことはどうしてお考えになりませんか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 他に適地があるではないかとおっしゃいますのは、例えば横浜の海浜住宅地区であるとか、あるいは長井住宅地区のお話であろうかと存じますが、これは先生御承知のように、リロケーションの結果横須賀地内の米軍施設内は住宅をリロケートいたしまして、それぞれの日米合同委員会の結果によりましてこれを返還する、こういうことになっておりまして、海浜住宅地域も長井地区も再提供というわけにはいかないであろう。それぞれの市がそれぞれの開発計画をお持ちになってリロケートを要望し、私ども実施をしたわけでございます。 次に、分散の問題でございますが、確かにあいた土地はございます。しかしながら、私どもいろいろ調査をいたしましたが、新たに土地を購入して提供をするというようなことは、今の厳しい財政状況では非常に困難でございまして、弾薬庫として提供をしておる現在の施設、これはより平和な米軍の将校、下士官の家族住宅になる。それから、大臣お答え申し上げましたように、緑の保護あるいは自然の動植物の生態系の保護につきましても万全を期してこの地を選ぶのが最適である、かように考えて実施をしたわけでございます。なお、要望は千三百戸という要望が米側から出されておりますが、私ども交渉をいたしまして、これを九百二十戸と自主的な判断で縮小をし、池子弾薬地跡の約六分の一を使ってこれを提供しよう、こういう結論に達したものでございます。
○久保田真苗君 先ほど局長は、周辺開発のための人為的影響を既に受けているところもあると言われたのです。今回の開発が二百九十ヘクタールの自然全体に影響を及ぼさないはずがないんです。私は、いろいろ配慮されるとおっしゃいますけれども、八十ヘクタール、三分の一をいじって既にブルドーザーを入れることも確か、木を切ることも確か、水が出てくるのでそれに対して調整池をつくるという計画もある、このような状態でどうして自然の生態系が守られるでしょうか。私は、できるだけ配慮なさるといってもそれはできない相談だと思うのです。自然の生態系は破壊されます。そして、人が住むようになればあそこにいるヤブカ、マムシ、イモリ、こういったいろいろのものに対しまして恐らく殺虫剤、そういったものの散布が行われるでしょう。それは結局、非常に敏感な自然を殺すことになると思うんです。ですから、私はそれはできないことだと思います。よりベターな方法というのは他に適地を求めること、そしてこの森を守ること、こういうことだと思うのですが、防衛庁長官いかがでしょうか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 まず、事務当局からお答えさしていただきます。 確かに、八十ヘクタールを開発いたしますので生態系が一時乱れることは間違いないと思います。しかしながら、またこの緑比率を四〇%以上ということでまたもとへ戻します。開発された本当に住宅が建つのは四十八ヘクタールにとどまるわけでございますが、この環境アセスメントの結果、いろいろな動物あるいは昆虫の分布状況等を調べまして、昆虫、動物の生態あるいは繁殖、これを妨げないような自然環境をまた確保するということも可能であろうかと考えております。 また水の問題、これはむしろ逗子市民の大きな御要望でございまして、雨が降るたびに水害の問題があるので調整池をつくってもらいたい。こういう周辺住民、これは例の三十三項目、前市長さんではございますけれども、昨年の六月の御同意をいただいたときの条件の中に調整池も入っておりますので、これはむしろ治水という意味で周辺住民のお役に立つのではないかと考えております。
○久保田真苗君 まず、まさにこのことを争点として市長がかわったということをお忘れにならないでいただきたいのです。私はこのような配慮が本当にできるものかどうか、これが自然を破壊しないでいられるものかどうか、こういうことについて、もっと客観的、公正な判定をどこかに求めなければならないと考えます。 次に、法外な面積ということです。八十ヘクタールだけと言われるんですが、これは逗子の自然と子供を守る会がワインバーガー国防長官から八三年の五月に受け取りました手紙には、池子のたった八ないし一〇%で用地は間に合うのだ、こういうことが書いてあるわけです。また、東逗子団地というのが近くにございまして、これは四百六十四戸の団地に対して用地は道路を除き三・八ヘクタール、道路を入れて四・五ないし四・八ヘクタールで間に合っている。これよりは大分大きくつくるといたしましても、せいぜい十ないし十五ヘクタールあれば十分ではないか、なぜこのような法外な面積を開発されるのか、そのことについて非常に疑問があるわけですが、長官いかがでしょうか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 この米軍家族住宅は、御承知のように駐留支援——ホストネーションサポートということで、私どもが安保条約に基づいて日本を守ってもらっておる米軍に対して住宅を提供する、こういうことでございまして、米国防省の住宅の基準というのがございます。しかしながら、日本の狭隘なる国土にそれをつくることにつきましては、私ども米側と交渉いたしまして、例えば戸数千三百戸、二階の低層住宅というような御要望もあるわけですけれども、交渉の結果、六階建ての中層にするとか、あるいはそれぞれの余り日本の住宅事情に合わない米側の要望というのには私どもは自主的な判断でもってこれに修正を加えて、この本案作成となったものでございます。家族から離れて異境の地へ赴いて日本を守ってもらっておる、そういう米軍に対する私どものある程度の配慮というものも必要であろうかと考えて本計画と相なったものでございます。
○久保田真苗君 ですから、仮に二倍ないし三倍にと考えたって十五ヘクタールもあれば十分じゃないかと申し上げている。これは非常に法外な面積で、このようなぜいたくといいますかは、やはり郷に入りては郷に従い、日本の非常に狭隘な状況を考えてもらわなければならないと思うわけです。したがって、もっと狭い面積で他に用地をまず探せないかどうかということ、この点について御努力をお願いしたいと思うのです。 ところで、アセス調査でございますが、これは逗子市からも県からもアセスを強行しないように望むと、まず市民の理解を得てほしい、話し合ってほしいと、こういう要望が出ておりますが、長官いかがでしょうか。
○国務大臣(加藤紘一君) この環境評価は、県の条例を尊重いたしまして、事業をやるものはその事業によってどう環境が変化されるか、それを調べて提出しなければならないということは委員にわざわざ申し上げることは失礼なような話でございますが、そういうことに基づいて私たちとしてはやらなければならない、こう思っております。いろいろ地元で御意見があることも私たち承知いたしておりますけれども、今ここでの論議がございましたように、どのような事業をやったらどの程度の影響が出るかということは私たちしっかりと調べて、私たちとしてはこんな形になると思いますということは県にちゃんと提出しなければならない、こう思っております。
○久保田真苗君 アセス調査の提出を強行されるのですか、されないのですか。
○国務大臣(加藤紘一君) 住宅建設をめぐって環境にどういう変化があるのか議論をされているときですから、だからこそしっかりとしたアセス調査を私たちやりましたし、その結果をできるだけ早く県には御提出申し上げなければならない、こう思っております。
○久保田真苗君 いつ提出されるのですか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 今、強行というお言葉がございましたのですが、これは先ほど申し上げましたように、県条例第五条に従いまして提出しなければならないということになっておりますので、私どもは調査が終わりましたのでこれを提出するということでございます。 いつ出すかということにつきましては、本年度内、つまり三月末日までに提出をさしていただきたいと考えております。 なお県からもやめてほしいという要請があったではないかという御指摘でございますが、これ文書ございますけれども、やめてほしいということではございませんで、長洲知事のお立場としては、国の政策であり、これは地方自治体としては協力せなければいかぬだろう、またアセス提出は県条例が義務づけているので受け取らざるを得ない、こういう記者会見なんかやっていらっしゃいまして、ただ市が反対をしておる、市民が反対をしておるという状況だから、国も市と十分話し合って地元の理解を得て進めたい旨国も言っておられるのだから、諸般の情勢を十分把握され慎重に対処されるよう要請いたします、よく話し合って仲よくやってください、こういう趣旨の要請と承っております。
○久保田真苗君 当然よく話し合っていただかなければならないのですが、そのようになさるわけですね。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 逗子市とは先ほど申し上げましたように二、三年にわたりまして十数回にわたってお話し合いをしてまいりました。御承知のように、前市長さんも市議会もまだ十分御理解がない段階では、池子が全部緑がなくなってしまうのじゃないか、動植物どうするんだ、あるいは米軍宿舎というような話だったものですから荒くれの海兵隊が住みついたりすると治安状況が悪くなるじゃないか、こういうような御反対があったのです。十分御説明をした結果、また地元の体育施設、さっき申し上げました四十八ヘクタールの中には実はスポーツ施設なんかも入っておりまして、これを市民にも使っていただく、こういうものも入っておりまして、米軍との共用ということも我々考えておりますし、市民との共用、それで御納得をいただいて三十三項目の条件づきの応諾をいただき、私どもは二十七項目は誠実に実施いたしますという回答をしたわけでございます。ただ、市民に対して直接の広報活動を私どもやっておりませんでしたので、模型の展示であるとか、あるいはビラの配布であるとか、こういうことで御理解を賜るように努力をしておるところでございます。 この環境アセスメントがいよいよ調査が始まりますと、施設から周辺一キロ以内の住民に対しては説明会をやることが義務づけられておりますので、私ども誠心誠意、地元の皆様にお集まりをいただいてこの趣旨を御説明する機会をうんと持ちたい、よく聞いて理解をしていただきたい、かように考えております。
○久保田真苗君 要領を得ないんですが、県の要望に沿って市民とよく話し合い、市長とよく話し合い、そして慎重に対処されるのですね。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 環境アセスメントの中にはかなり長期間の調査がございます。最低九カ月ぐらいはかかりますので、その期間、機会あるごとに私どもは説明会を持たせていただいて、市当局とも市議会当局とも市民の皆様ともお話し合いをさせていただきたいと考えております。
○久保田真苗君 最後に土地問題ですが、土地問題について係争点があると考えますが、これについてどう対処されますか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 先日、所有権確認の訴訟提起があった未登記国有財産の御質問かと存じます。この二百九十ヘクタールのうちの九九・九%は国有地でございましてあと〇・一%は民有地でございますが、これは長期の賃貸借契約によりまして平穏に借料をお払いして使わせていただいておるところでございます。 その未登記財産につきましては二つございました。逗子市名義の土地が国の名義になっていなかったのが百八筆の一万九千百平方メートルございました。このうち逗子市名義になっておりましたのが十五筆の二千三百平方メートルございました。五十九年三月十七日から五月十五日まで監査請求がございまして監査が一回行われ、その結果未登記の国有財産、こういう確認をされまして、直ちに登記をいたしましてこの問題は片づいております。現在、またこれについて二月十四日から監査請求が出ておりますが、四月十五日までには監査委員会の結論が出るであろうと承知しております。 個人名義の九十三筆一万六千八百平方メートルがございますが、これは旧海軍の買収した国有地でございまして、その後、戦後大蔵省に引き継がれ、さらに国から米軍に対して提供施設になっておるということでございます。この間訴訟提起はございませんでしたし、平穏公然国が所有をし、かつ占有をしておりましたので、私どもは国有財産であると確信をいたしております。この件について三月十六日、八筆五千八百平方メートルについて所有権確認明け渡し等の訴訟が提起されたことは承知いたしております。裁判係属中の問題でございますので、この問題については裁判所の判断にお任せをいたしたいと考えております。
○久保田真苗君 それまでは待つと、こういうわけですね。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 その逗子名義だったものについての再度の監査請求につきましては四月十五日には結論が出るだろうと思っております。 あとの土地の問題でございますが、私どもは四十年以上平穏公然あれしておりましたけれども、未登記であることは事実でありますので、施設庁におきまして現在その相続人を探し出しまして国有財産としての登記の手続をとっていただくよう調査を進めております。しかし、もう何十年の間のことでございますのでどの方が相続人で何人いらっしゃるのか調査に時間はかかると思いますが、その間別にずっと待っているわけではなくて、この調査を進め何とか登記がえに応じていただくようお話し合いをしたい。これは国有財産であることは私ども間違いないと考えておりますので、そういう手続の瑕疵は修正をいたしたいと考えております。
○久保田真苗君 もともとこの土地は海軍が買収するまでは全部民有地だったんです。そのときには強制的な立ち退きが行われたんです。全部おっしゃる土地が未登記の国有財産であるかどうかということについては何の証拠もない。だから訴訟が起こっているわけでしょう。また、私は公然平穏に占拠したとそのような論理を持ち出されるとはまさか思わなかったのですね。大変残念です。私は、ともかくこの問題が処理されるまでは本当に行動を差し控えていただきたい、このことをお願いしてこの質問を終わります。 次に、外務大臣にお伺いします。 けさの新聞で拝見したんですが、SDIへの参加の意思についてワインバーガー国防長官がNATOの国防相会議で、日本を含む西欧諸国側に積極的な参加、技術協力を呼びかけ、六十日の期限つきで回答の有無を要求しているという書簡を発表したとありますが、この事実とその書簡があれば内容について伺います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私もその報道見まして、早速外務省当局等に聞いてみたところが、まだ何らアメリカからは、あるいはワインバーガー国防長官からは連絡がないということでありますし、もちろん書簡等も受け取っておらないということであります。
○久保田真苗君 SDIにつきましてはアメリカでもまた西欧でも日本の中でもいろいろな疑問と異論が提起されております。その効果、宇宙軍拡への道を開くこと、またとてつもない経費がかかると。このようなことについて外務大臣は十分御存じと思いますけれども、軽々しい対処は、この際そういうコミットメントは、このひどい財政事情の上になおかつこういうことへのコミットメッントは絶対に軽率にやっていただきたくないとお願いしたいのですが、いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 政府の態度は、ロサンゼルスの首脳会談で中曽根総理が述べましたように、SDIの研究については理解する、こういうことでございまして、それ以上でもそれ以下でもございません。
○久保田真苗君 しかし、ここでもしこのような書簡が来るとすれば、これは理解を示すどころの騒ぎではないわけでございます。これについて外務大臣の慎重な対処を求めたいと思います。いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 新聞には出ておりますが、そういう書簡が日本あてに発出されたということならばそういう連絡等あるはずですけれども、全く連絡もありませんし受け取ってもいませんですから、この際今の書簡というものを対象にして申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
○久保田真苗君 次に、外務大臣、婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃条約、これの批准の運びはどうなりますでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは何とかしまして七月のナイロビの会議までにはぜひとも間に合わせたいということで各方面にお願いをいたしております。
○久保田真苗君 条約批准に当たって残された問題がございますか。
○政府委員(山田中正君) 本条約に我が国が昭和五十五年に署名いたしまして以来、関係各省の御協力を得まして、国籍法の改正その他国内法制、またその他の諸条件の整備に努めてまいりました。その結果、いわゆる男女雇用均等法案の成立が得られれば条約批准のための諸条件の整備が整うと考えております。
○久保田真苗君 批准する場合に留保などすることを考えておられますか。
○政府委員(山田中正君) この条約につきましては留保は考えておりません。
○久保田真苗君 留保する場合としない場合の効果の違いについて御説明ください。
○政府委員(山田中正君) 一般的に申しまして、留保とは、ある国が多数国間条約の特定の規定につきまして、自国への適用上その法的効果を排除するか変更することを目的といたしまして一方的に行う意思表示でございます。多数国間条約に多くの国が入りまして一つの条約社会を構成するわけでございますが、その締約国の中で留保していない国同士では条約の全規定の適用があるわけでございますが、留保いたしました国についてはその条約の規定が留保を限度として変更された形で適用されるということになります。
○久保田真苗君 ところで、皇室典範の第一条に「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」とありまして、婦人に対する排除が行われているのですが、この点、外務省としては条約との関係でどうお考えになりますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 皇位継承資格が皇室典範におきましては男系男子の皇族に限られておるわけであります。この点につきましては、本条約第一条に定義されております女子に対する差別には該当しない、こういうふうに条約の解釈として判断をいたしておるわけでございます。といいますのは、本条約に言うところの女子に対する差別というのは、性に基づく区別等によりまして女子の基本的自由及び人権を侵害するものを指しております。ここで言う人権及び基本的自由とはいわゆる基本的人権を意味するわけでございまして、皇位につく資格は基本的人権には含まれているものではないのでございまして、皇位継承資格が男系男子の皇族に限定されていても、女子の基本的人権を侵害されるということにはならない。したがって、本条約が撤廃の対象としている差別には該当しない、こういうふうに考えております。
○久保田真苗君 世襲的な地位からの排除でございますから、私は女性であることによる排除は排除だと思いますが、そもそもなぜこれを男系男子に限らねばならないのか、この点についてお伺いします。
○政府委員(小和田恒君) 皇室典範の考え方の問題と条約の問題と一応区別して考えていく必要があると思いますが、条約との関係について申しますと、先ほど外務大臣から御答弁申し上げましたように、この条約が対象にしておりますのは第一条に規定があるわけです。つまり女子に対する差別というのは何であるかということについて第一条に規定がございまして、それは性に基づく区別、排除または制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他の分野で、男女の平等を基礎として、人権及び基本的自由を認識し、享有しまたは行使することを害しまたは無効にするような効果または目的を持つものと、こういう定義でございますので、その中に入るか入らないかということで条約との関係は検討しているわけでございます。その見地から申しますと、確かに性に基づく区別ではございますけれども、ここで言っているような人権及び基本的自由を認識、享有、行使することを害し、無効にするような効果ないしは目的を持つものではない。したがって、性に基づく区別だという意味では一つの区別でございますけれども、条約の対象にしている第一条の定義に言うところの女子に対する差別には当たらないと、こういう考え方で条約との関係は成立しているわけでございます。 他方、皇室典範において男系の継承権というものを規定しているのはどういうことかというお尋ねでございますれば、これは憲法ないしは国内法の問題としてお考えいただく。条約との関係におきましては私が先ほど申し上げたようなことであるというふうに御理解いただきたいと思います。
○久保田真苗君 私が質問したのは、そもそもなぜ女子を排除しなければならないか、男子でなければならないかと、条約から離れて伺っております。
○政府委員(山本悟君) 御案内のとおり、日本の皇室の制度では男系の男子が皇室を継がれるということになっておりますが、これはまさにこの日本国憲法あるいはそれに基づく皇室典範が制定されました際にも大変に議論になったことでございますが、そのときの審議の経過その他を伺っておりますれば、これは我が国のまさに古来の伝統に従っている、それを採用するということによるの一言に尽きるわけでございまして、その点の変更のない限りまさにそういう制度であるというように存じております。
○久保田真苗君 この問題で時間を費やす気はありませんが、伝統と言われるけれども、皆様が一生懸命参拝なさる伊勢神宮の神様は天照大神という女神なんですね。女帝もたくさん存在したんです。まさにはっきりと制度として女子を排除したのは明治以来のことなんです。ですから、私は今の御説明は御説明になってないし、日本の文化的伝統というものが非常に狭い意味で考えられるということは日本文化にって嘆かわしいことだと思います。 希望だけ申し上げておきます。天皇の地位は国の象徴でありますから、私は女性が排除されるということについては私の国民感情は許したくないのであります。また国民統合の象徴であれば、二分の一以上を占める女性、国民の統合の象徴である地位に対して女性を排除する理由は何らないと思います。今すぐに問題が起こるわけではございませんが、私は将来の課題として御検討願いたいと思います。
○政府委員(山本悟君) 確かに日本の歴史上、歴代天皇という中に十代、八方女帝がいらっしゃいます。これは事実でございます。しかしながら、その女帝が即位をされました事情と申しますのは、これはあくまでも男系という格好でのつなぎをするために、そのときに適当なる男系の方が小さなお子さんであるとかそういうような事情でもって女帝が継がれたというのがまさに実際の姿でございます。これは歴史上明らかだろうと思います。ということは、要するに男系であるということは一歩も歴史上崩れたことはございません。そうして男系であるということをとっていく限りにおいては、女帝というものを認めましてもそこから続くのであればこれは女系になってしまうのですから、全く男系というものと外れてまいります。したがって、過去の歴史上に女帝がいらっしゃったということと、現在の制度的な格好で、近代法としてのはっきりした格好での男系男子という格好で続くということはまさに余り本質は違わないことでございます。 先生御案内のとおり、摂政の場合には皇后でも摂政の資格はあるわけでありまして、しかし摂政に皇后がなられたからといって女系になるわけじゃないわけであります。そういうような点は歴史上の問題でございまして、伝統がどうであったかということによるわけでございまして、日本国憲法及びそれに基づく皇室典範が制定されましたときの各種の御議論、国会におきます御議論等も拝見をいたしましても、やはり古来の日本の伝統に従うということが唯一最大の理由であろうと存じております。
○久保田真苗君 非常に強い伝統解釈をなさるので、私も時間が惜しいんですが、突っかからないわけにいかないんですね。宮内庁次長の伝統論によってこの問題を律することはできないんですね。それはこの国会と国民がどう思うかということに律すべきなんです。そうじゃありませんか。
○政府委員(山本悟君) したがいまして、皇室典範制定のときの御議論がそういうことであったと。これはもちろん国会でも御議論には出ているわけでありまして、私どもはそれを拝見して、そういう事情でもってでき上がったものというぐあいに理解しているところでございます。
○久保田真苗君 その後いろいろな異論も出ておるのです。このことを強く申し上げておきます。この問題はこれで終わります。 高齢化社会の問題なんですが、まず大蔵大臣に伺いたいのですが、我が国社会の抱える一大問題が高齢化であることは確かです。穐山委員が一昨日、紀元二〇〇〇年についての各種推計を質問をされましたけれども、現在の六十五歳以上の人口比一〇%が十五年後一五%を超え、二〇二五年には二〇%を超えるという急速な高齢化の過程にあります。先進諸国よりは比較的人口の若いうちに、今世紀中がその準備をする勝負どころだと言われているのです。ところでこの準備について日本は非常に大きな挫折をしたのではないかと私は考えております。年度末の国債残高百三十三兆という額、後世代への借金の押しつけ、六十年度予算に社会保障費を上回る国債利払いに要する経費十兆円、このようなことが高齢化社会への対応を今や絶望的なまでに圧迫しおくらせているのではないかと思いますが、この二点について大蔵大臣の御認識はどうでしょう。
○国務大臣(竹下登君) 現状の財政状態、これは今久保田さんおっしゃったとおりでございます。ただ、なぜなったか、こういうことを振り返ってみますと、昭和三十九年までは御案内のように一銭も国債発行しておりません。オリンピックの翌年、四十年に初めて発行いたしまして、それでも四十九年までは建設国債だけでありました。五十年、赤字公債の発行に踏み切らざるを得なかった。四十九年までは九兆七千億しか残高がございません。それがこういうふうな状態になって、それの一番大きな要因というのは、ドルショックの後は建設国債で対応できたと、結局第一次、第二次石油ショックによりますところの世界同時不況というところに国民のサービスの水準を落とさないままにこれに対応していくということは、幸いにして他の国に比較して大きい貯蓄率というものに支えられてこの制度をやりました。私はそのときどきの財政状態の中にとられた措置というものがすべて間違いであったというふうには思っておりません。 しかし、今重圧にあえいでおることは御存じのとおりであります。そこへ、今おっしゃいました今後の高齢化社会、年齢構造等から考えますと、お互いのことを考えてみましても、また後世代の負担のことを考えましても、今からその準備を行っていかなければならぬ。それが制度上の問題としては、あるいはこの五十九年に御議論いただきました医療保険のあり方もその一つだったでございましょう、そしてまた、審議をそれぞれいただいております年金の仕組み等もそれらの準備の一つであると、そういうふうに理解をいたしておるところでございます。
○久保田真苗君 そうしますと、大臣、この日本の戦後経済のいわゆる成功物語、それは一体どうなってしまったのでしょうか。日本人は世界でも際立って長い労働時間で働いて高い貯蓄率を維持して経済発展をさしてきたのです。だけれども、今私たちの前にあるのは、少なくとも一般国民の前にあるものは、その子孫に及ぶ赤字、大増税の予想、年金給付水準の切り下げ、支給の繰り延べ、福祉を中心とする補助金の一律カット、それから細かいことまで言いますと、厚生年金への国家負担の繰り延べ、社会保障の水準を先進国よりかなり低い水準にとどめるというような、こういったことだけが残っているんです。 私が伺いたいのは、大蔵大臣の財政演説の中でも、非常に高齢化社会へ向かっての明るいイメージ、積極的姿勢は何一つ感じられないのです。まず歴代の為政者の頭に、安定成長に入ったそのかじ取りが欠けていたんじゃないでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 確かに私の財政演説は高齢化社会に対応する部分を読んでみましても、ほのぼのとしたプラスイメージというような文言はございません。私もこの財政演説をするときにはいつでも考えますのは、大蔵大臣でございますから、やっぱり現実そのものを素直に国民にお伝えする、したがって、客観的な見方でこれを述べるということに努めておるつもりでございます。 しかし、そういう中にありましても、今おっしゃっているとおりでございます。女性の年齢を口にするのは非礼だと言いますが、私も久保田さんも一九二四年、この中に一九二四年の方を今探してみたら七人ぐらいいらっしゃいますが、いわばある意味においてこの世の働き盛りかもしれません。しかし、いずれ高齢化社会の範疇に入っていくわけでございますから、そういうことも考え、その際の後世代の負担というものを考えたら、まさに今からその対応というものを、財政改革を進めながらやっていかなければいかぬな、そういう責めを感じて、短い政治生活でございましょうが、みずからの身を燃焼し尽くさなければならぬじゃないか、こんな感じで御高見を拝聴さしていただきました。
○久保田真苗君 はっきりしているのは、百二十六歳になるまで脱出ができないというような、その数字だけでして、本当は高齢化社会というのは、これほど定量的にはっきりと推計できるものはない。何年も前からこの状況、今日はわかっていたんです。それなのに赤字国債の方の負担だけははっきりして、必要な対応についての定量的な計数が何一つあらわされていない。それは展望と指針の中でもそうなんです。この点について、私、やはり大蔵大臣と経企庁長官がもっとこれは何とかはっきりしたイメージを打ち出して、それに向かって前進しなければ、これはもうずたずたになっちゃうのじゃないでしょうか、これが一番影の部分になってしまうのじゃないでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 財政の問題、先生のおっしゃるとおりでございます。したがって、今お出ししております試算というものも一定の過程を経てこのような状態になりますと、それを、国民に対する必要なサービスの財源をどうして埋めていくか、その手法を明らかにしていないわけです。それは私は、やっぱり日本国民というのは世界に冠たる国民だから、いわばそういうもろもろの資料を提出しながら、国民の代表であります皆さん方との議論の中でおのずから負担するのも国民、また受益者も国民ということで、コンセンサスが徐々に出ていくであろう。そこの中の手法として法律改正でございますとか、あるいは将来の問題としては新しくできます電電の会社の株が売れたときに、それは借金に充てましょうとか、そういうものを仮定計算の裏側にお示しして議論をちょうだいしておるところではなかろうかというふうに思っております。 ただ、久保田さん御指摘になりましたように、勤勉の問題でございますとか、高い貯蓄率の問題でございますとか、それが今日支えてきたことは事実でございます。お互いの終戦直後のころから見ますならば、それは今いわば消費者物価の安定度といい、失業率が世界でまたずば抜けて少ないし、一人当たり所得とて、世界の先進国と言われる国民が四十八億の中の大体七億ぐらいでございましょうか、その中に冠たる位置づけもしておるというところに、やっぱり財政というものがそういう経済の発展におくれをとってきたという、その埋め合わせを財政改革の中でこれからやっていかなければならぬではなかろうかというふうに感じております。
○久保田真苗君 ついでに失業率のことが出ましたが、私は日本が失業率がそんなに低いとは思わないんです。というのは、日本は五十五歳以下に掃き寄せているわけです。そこへ大変な不安定雇用、低い賃金、また失業、そういうものを生んでいるわけで、どこへそれを寄せているか、高年者と女性の若年定年なんです。こういう形であるということを今指摘しますとともに、大臣のおっしゃった貯蓄率について、大臣、率直に言って今日本の貯蓄率というものと消費のパターンとの関係などにおいてどういうふうにお考えになっているのでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) よく言われますアメリカと比べれば大体貯蓄率は三倍じゃないか。だから、言ってみれば一人当たり所得がとんとんにまでまだ行っておりませんけれども、人口が向こうが倍としましても年々ふえていくのは一・五倍までなりません、一・三倍ぐらいふえていくのじゃないか。これはなぜそういう貯蓄率が高いかというと、いろいろなことがあると思いますけれども、一つはやっぱり精神的支えの問題があろうかと思います。昔からいわゆる勤倹貯蓄という思想は日本国民の根底に私は根づいておる問題だ、その他いろいろございますけれども。したがって貯蓄がむしろ消費に回るならば内需拡大にそのまま生きてくるじゃないか。 この間ある論文を見ましたら、レーガン大統領のレーガノミックスの中で、言ってみれば減税して、それは貯蓄は向かうであろう、それが企業のまたいわゆる資本調達の場として生きるであろうという傾向でレーガノミックスを考えたら、結果としては減税分が全部消費の方へ回った。したがって、そこの景気といいますか成長といいますか、そういうものに資したけれども、結局貯蓄不足は日本等からの資本の流入に求めなければならないようになった。だから、失敗したか成功したかこれは判断の分かれるところであるというような論文をこの間読んでみましたが、私はそれはやはり貯蓄というものは基本的には大事なことではなかろうかというふうに思っております。そこで、物価が安定したり、そういう施策と相まって、また消費も別の面においてふえてくるというようなスタンスで物を考えた方がいいのではなかろうかなと、極めて常識的なお話をして申しわけありませんけれども、私経済学者ではございませんので、この辺でお答えといたしておきます。
○久保田真苗君 ただ、私客観的なことを見ますと、貯蓄に回ってしまうから減税をやってもはかがいかないのだとか、それから少額貯蓄にも課税をするというような案が出たり引っ込んだりする、こういうところを見ますと、どうも貯蓄というものが余り歓迎されていないのじゃないか、そういうふうに思わざるを得ないし、私どもの側から見まして、貯蓄が高いということによって非常に安易な財政運営を助けたのじゃないかという、そういう深刻な反省があるわけで、もし高齢化社会に向かって必要ならばそういう生活態度をこの際改めなければならないのじゃないか、そういう運動を起こさなければならないのじゃないか、そんなことまで今の抱えている難題を見ると思わざるを得ないんです。いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 確かに貯蓄の問題につきましては、今御議論がありましたが、高齢化社会を迎えるに当たってできるだけ高い水準が維持されることが望ましいという一般的な意見と、消費拡大がまず先だ、貯蓄率は低下することが望ましい、乱暴な議論はそういう議論もございます。だから、一義的にどの水準が適当かといいますと、これはなかなか難しい問題でございます。したがって、やっぱり国民全体がその稼ぎをためるばかりで一切使わないということがありますならば、これは国民経済は立ち行きません。とはいえ一方、宵越しの金は持たないとか、あるいはサラ金で首が回らなくなるほど消費するとかいうこともまた健全な国民経済とは言いがたい。 だから、今おっしゃいましたように、それに安易にすがり過ぎたという批判は、これはある意味においては、その角度から見ればそれは一つのポイントだと思いますが、日本経済の一つのやっぱり強みという点でまた貯蓄率というものが高い。だから、現行の水準をこの公債政策なしに守ろうとしておったら、国民の大変な負担増をあのとき求めるべきであったかという議論もまた一方にあるわけでございます。だが、先進国の傾向から見ますと、中長期的には自然に低下するというようなことが言われる向きもありますし、いや日本の場合は大体一定水準におのずと落ちつくものだという議論もありますので、明確にこうであると言うことは非常に難しい問題でございますけれども、恐らく久保田さんの、それは老後の備えとかそういう政策ががっちりしておればもっと消費に回るじゃないか、そういう御議論はまた御議論としていただける議論である、そういうことを調和して今行っておるのが経済運営の一部でございます財政運営であり、かつ今それに伴う六十年度予算を御審議をいただいておる、こういう現状認識でございます。
○久保田真苗君 じゃ、大蔵大臣、高齢化社会に対応して基本的姿勢というのをひとつ話していただけますか。
○国務大臣(竹下登君) 高齢化社会に臨む基本的な姿勢、確かに前回も申し述べましたように、私が国会議員になりましたときからでも平均寿命は男女ともにほぼ十一歳延びております。高い方から申しますと、日本、アイルランド、スウェーデン、ノルウェー、オランダ、イスラエル、デンマーク、スイス、ギリシャ、カナダ、これがベストテンとよく演説のときに使わしていただいております。一つ、二つ違うかもしれませんがそれはお許しをいただくといたしまして、ところがそれが急速であったために、先般穐山先生との御議論のところに出ましたような状態が将来出るわけでございますので、その問題についてはやはりきょうも御指摘なさいましたことを予測して、今から財政改革の中で安定的にそういう老後問題を論ずることのできるような基盤の整備をしておかなければいかぬ。だから、あるときはつらかろうとも、将来の人口構造等を見た場合に国民の皆さん方に理解と協力を求めていく必死の努力をしていかなければならぬではなかろうかというふうに考えます。
○久保田真苗君 経企庁長官お願いいたします。 先ほど、高齢化社会に向かっての定量的な計画ということを申し上げたのですが、そういうことをお願いできますでしょうか。
○国務大臣(金子一平君) 久保田さんのおっしゃる定量的に二〇〇〇年、二二〇〇年、あるいは二五〇〇年にどうなるかというのはなかなかこれは正直言って難しいと思いますが、できるだけの努力をいたしてみます。ただ、やっぱり今お話を伺っておりまして、政府の方では「一九八〇年代経済社会の展望と指針」の中で、高齢化社会に対応して就職機会の確保をしたり、適切な水準の年金の給付やあるいは医療保険制度の改革等を進めることの必要性を強調しておりまして、関係各省庁とその打ち合わせをやっておるのですが、一番やっぱり大事なことは、先ほどもちょっとお触れになりましたけれども、二〇〇〇年に至るまでの、二十一世紀に至る期間が一番やはりそれに備える基盤になるわけでございますので、今、政府で取り上げております行政改革あるいは財政改革をしっかりやって、極力来るべき社会に備えられるような基盤づくりをやるということが一番大事なことではなかろうかと、大蔵大臣もそういう趣旨の発言をしておりましたけれども、まさにその一語に尽きると思います。今お話のございました定量的なものは簡単になかなかできませんけれども、できるだけのひとつ努力をしてみます。
○久保田真苗君 これほどはっきりしている数字、問題の数字ばかりがはっきりしていて計画の数字は一つもはっきりしない。前の七カ年計画と比べてこの展望と指針というのはやはりそういう意味で非常に劣っていると思うんですね。国民は何らここに積極的な前向きの明るさというものを見出すことができないのです。どうぞよろしくお願いします。 次に、厚生省ですが、厚生大臣、厚生省の分野は最も定量化できる分野であり、しかも欠くことのできない分野なんですね。何か高齢化のピークに向かっての社会保障、社会福祉サービスについてその姿を打ち出していただきたいと思うし、どういうことを最も不可欠と考えておられるか、その辺のことをちょっと伺いたいと思います。
○国務大臣(増岡博之君) 大変長期的なかつ広範なお尋ねでございますけれども、現在考えてやろうとしておりますことは社会保障の分野で制度が長期的に安定しなければならぬ、これが健康保険であり、年金であるわけでございます。その中でも給付と負担の公平化を図っていかなければならぬという、安定と給付と負担の公平化と二大支柱として考えておるわけでございます。しかし、御指摘のように長寿を本当に意義あるものにすることでなければならないと思います。 そのためにはまず健康の問題でありますけれども、これは若いときから、壮年期から健康づくりをしなければならぬ、あるいはまた地域ぐるみでそういうことを考えていかなければならぬということでございまして、老人保健事業の計画的な推進を図ることも大事でありますし、地域医療体制の整備も大事でありますけれども、その中でも老人保健事業の中では十年間を目途といたしまして、胃がん、子宮がんの死亡率を三割減らそうという目標を持っておるわけでございます。また同じく脳卒中の発生率を半減をしようという目標を持っておるわけでございます。さらに、今後は痴呆性老人対策につきましてもその予防について着目しなければならないと思います。痴呆性老人の中には約四〇%は脳血管障害によるものがあるわけでございまして、その半減を図るということは、すなわち二〇%は確かに予防ができるはずでございます。そういうことのための研究の推進等を考えなければなりませんけれども、しかしそうはいいましてもやはり痴呆性老人、寝たきり老人が皆無になるわけではございませんから、そのことによっていろいろな社会的なゆがみ、特に家庭の破壊等があってはならないわけでございますので、福祉の分野におきましても特に老人介護、在宅の方々のためのホームヘルパー、デーサービス等を全国的に、まだ不足ぎみでありますけれども、これから十分力を尽くしてまいらなければならないと思います。またそれらの手当てをいたしましてもなおかつ介護を要します老人のための特別養護老人ホームの整備等に今後も努めてまいらなければなりませんし、また高齢化に伴ういろいろな老人の方々からのニーズの多様化に備えて中間施設につきましても今検討いたしておるところでございまして、大体かいつまんで申したわけでございますけれども、御理解をいただきたいと思います。
○久保田真苗君 時間がなくなりまして文部大臣に一つだけお願いしたいんですが、きのう公述人の方が女性の三つの老後ということを言っていらしたんです。しゅうと、しゅうとめ、夫、そしてその後自分がひとり暮らしの十年、その最後は余りにも哀れである、私こういうことを考えまして、今現在この寝たきり老人の介護というのが九割以上女性、つまり妻、娘、嫁、特に嫁ですね、の手にゆだねられていることを見ますと、やっぱり高齢化社会に向かってひとつ教育の中でこれに対応する必要が非常にあるんじゃないかと思うんです。私は何も女性がこれをやるのはけしからぬなんというつもりは全くありません。しかしなぜ男性は自分の親に対して介護を手伝う、こういう姿勢が余りにもなさ過ぎるんでしょうか。私、この間離婚の父の養育料の支払いの問題を問題にしました。大臣、学校教育でやるとおっしゃってくださいました。ひとつ高齢化社会に向かってぜひこれも自分の親、知っている老人、せめてその範囲の介護ぐらいはやっていただけるような知識と理解と技術をひとつ教えていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
○国務大臣(松永光君) 先生御指摘のように、現在ではお年寄りの介護は主として御婦人の方がやっていらっしゃるように思います。しかし中には、お下の問題等は別として、その他の問題については男の人もそれなりにやっていらっしゃる方も私も承知いたしておりますが、大体から言えば、先生御指摘のとおり御婦人がその苦労に耐えてやっていらっしゃるというふうに思います。しかし今先生もおっしゃいましたように、男女を問わず自分の親が介護を要するというような状態になった場合には、男たると女たると、やはり平らな立場でその可能性を持った人が、能力を持った人が積極的に介護していくということが大事なことであるというふうに思います。したがって、現在も学校では家庭科や社会科あるいは道徳などの時間で男女を問わず老人介護の重要性についての指導をし、またそれなりの学習指導要領等にも記載がしてありましてやっていることにはなっておりますけれども、必ずしも十分ではないと思っておりますので、今後一層充実をしていくように努めてまいりたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
○久保田真苗君 来るべき家庭科の新しい内容を考えるときにぜひお願いしたいと思うし、教育課程審議会にはこういった面の専門家を入れてほしいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(松永光君) 教育課程審議会の委員の人選の問題だと思いますが、御承知のとおり初等中等教育の教育課程を検討する場合には教科の専門家、それから教育研究者、現場の教員、学識経験者等の中からお願いをしておるわけでありますが、特定の分野の専門家についても従来から必要に応じてお願いをしてきたところでございます。今後教育課程審議会をスタートさせ、委員を任命する場合には右申し上げたような考え方でお願いをしていくことになろうかと思います。
○久保田真苗君 ところで、高齢化社会に向かっては、生活安定のための生活の原資がまず何よりも必要です。この原資を得るために、展望と指針の中では、十五歳から六十四歳までを生産年齢人口として、六十五歳以上を老年人口と一応しております。それでも将来社会では四人に一人が老人を支えるという図式が示されるわけです。だから、働ける人には働いてもらうという、そういう角度から見ておられると思うのですが、企画庁長官、これについて雇用を確保することと、また年金などの保障でもって生活を見るということとの間にどういう線引きを考えておられるのか。企画庁長官、それから厚生省、労働省、各大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(金子一平君) 御指摘のとおり、生産年齢の層が非常に狭まりますから、やはり雇用問題につきましては従来以上に重点を置いてやっていかなければいけません。同時にまた、後の年金その他のことにつきましては十分関係方面と連絡しながら、生産の増強につながるような、あるいは経済の活性化につながるような方向に努力することが一番大事なことと考えております。
○国務大臣(増岡博之君) 長寿を有意義に過ごすためには、先ほど健康の問題を申し上げましたけれども、私はもう一つそれに働くということが入ってくると思います。元気で長生きしておるわけでございますから、働くといいましても若い人と同じように一週間五日というわけにはまいらないかもしれませんけれども、二日とか三日とかいう勤務形態も考えられるわけでございますから、そこで現在そういう年齢に到達しようとしておられる方々が何歳まで働きたいかという調査がございますけれども、ほとんど六十五歳まで働きたい。また、元気だったら七十歳まで働きたいという方も三割近くいらっしゃるわけでございます。そういう意欲のおありになる方が、しかも経験と知識を持っておられる、この両面を生かすということが私は今後大きな課題であろうと思っておるわけでございます。 したがって、そういう観点から申しますと、元気な間は働く、これはもちろんその健康の度合いに応じての話でございますけれども、そうしてそのようなことができなくなった後は年金ということでございます。したがって、今後の対応といたしましては、高齢者の雇用の状況がどのように変化していくかを十分見きわめながら、雇用と年金保障の適切な組み合わせを考えていかなければならない、そういうふうに対応してまいりたいと思います。
○国務大臣(山口敏夫君) 高齢化時代を迎えまして、財政の問題、年金の問題、先生御指摘の問題、いろいろあるわけでございますが、私はやはり寝たきりとか、ぼけ対策等いろいろ考えましても、健康な高齢化時代というものをつくるためには、どうしても元気で頑張れるうちはやはり仕事を持つという環境をつくることが一番大事なことじゃないかというふうに考えております。特に労働省としては、六十歳の定年の延長というものを御承知のとおり行政指導で徹底して進めておったわけでございますが、ようやっと五割を超えまして、近いうちに三分の二近い企業が六十歳定年を実施していただけるという状況でございます。しかし、まだまだ残った企業の認識を一層改めていただくといいますか、そういう姿勢を持っていただくために、今雇用審議会、中央職業安定審議会等で六十歳までの定年の延長の問題、それから六十歳から六十五歳までのいわゆる雇用の延長の問題ということで、逐次雇用の拡大、就業対策等を真剣に取り組まさせていただいておる、こういう ところでございます。
○久保田真苗君 大変な立ちおくれなんですね。六十歳定年がやっと五割になった、五十五歳もまだ三割もあるのですね。殺人的な定年なんですよ。これで長い年月やってきたのです。結局、私さっき申し上げましたように、失業がないのじゃなくて、失業を五十五歳以上に掃き寄せているという、そういう状況があるのです。ところが、厚生省の方では今度の厚生年金の基礎年金部分を将来六十五歳に持っていくというような動きが出ておりますし、企画庁の方では六十五歳以上を老年人口とするという見方をしていらっしゃる。こうなると、この間に五十五から六十五までの間が非常にギャップになりまして、不安定なところなんです。そこの辺のジョイントを三省でどういうふうにしていただけるかということを伺ったので、もう一回お答え願います。
○国務大臣(増岡博之君) 今度の年金法の改正をお願いしているわけでございますけれども、一応六十五歳ということを掲げてございますけれども、雇用の状態がそこまで行きますまでの間はそのような措置はとらないつもりでおります。
○国務大臣(山口敏夫君) 年金の問題と高齢者の雇用の問題は連動するわけでございまして、厚生大臣から御答弁ございましたけれども、労働省も厚生省といわゆる二省間協議をいたしまして、高齢化時代に備えての諸施策の連携、連帯を深める必要があるということで、定期的な協議機関を設けた段階でございます。
○国務大臣(金子一平君) 今両大臣からお話がございましたけれども、六十歳定年の一般化に私どもとしては極力努力いたしますと同時に、六十歳代の前半の層に対して同一企業あるいは同一企業グループ内の六十歳以降への雇用延長の促進をさらに進めるとか、雇用職業情報の積極的な提供をやるとか、あるいは職業相談に乗るというようなことで、高年齢者の転職、再就職の円滑化に極力努めていくことが大事でございますので、今後関係省庁と連絡を緊密にして、そういう方面に重点的にやってまいりたいと、こう考えております。
○久保田真苗君 ところで、日本の労働時間が長いということです。一生懸命貯蓄してもこういうことになってしまう。しかも、一方で貿易摩擦を激化させています。諸外国よりも端的に言って一割から三割労働時間が長い。つまり、長いということは、もし賃金が同じならばその分だけ低賃金だということなんです。このような形で国際競争力をつけていることが非難されてくるのは当然じゃなかろうかと思います。四百億ドルにもなろうとする貿易黒字が日本に集中している、こういう状況でこのままの態度を改めないでおりますと、結局は自分で自分の首を絞めることになるのじゃないか。やはり適正な労働時間の実現、ゆとりのある生活、そして高齢者へのワークシェアリング、そういうことを時短で実現していただきたいと思うのですが、外務大臣、この辺についてどういう御意見をお持ちでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 我が国の労働時間が外国に比べまして長いということは、これは事実であろうと思います。したがって、労働時間を短縮するということは、それ自体が望ましいだけでなくて、今おっしゃるように対外的なイメージの改善につながっていくのじゃないかと思いますし、同時にまたそうした労働時間を短縮することによって消費生活を高めて、そして我が国の内需をまた高めていくということにもつながっていくわけであります。まさにおっしゃるように国際的にも、あるいはまた対外経済的にもこれは望ましいと私は考えております。
○久保田真苗君 通産大臣、労働大臣に同じことをお伺いしたいんですが。
○国務大臣(村田敬次郎君) 労働摩擦ということについて考えてみますと、さまざまな要因があると思われますが、中でも技術革新の進展、設備の近代化等によるわが国産業の国際競争力が優位であるということもやはり貿易摩擦の一つの原因であると思います。 今、久保田委員御指摘になりました労働時間についてのことでございますが、労働条件の改善について、通産省としてその重要性は十分認識をしております。「一九八〇年代経済社会の展望と指針」という五十八年八月に閣議決定を見ました指針の中は述べておりますのは、労働時間短縮のための環境整備の問題であります。「政府としては労働時間の短縮についての国民一般の理解をより深めつつ、各産業・企業の実情を踏まえて、労使の自主的努力を援助・促進し、さらには適切な経済運営を通じ労働時間の短縮を容易なものとする経済環境を整備していくことにより、」云々という表現がありますが、労使の自主的な話し合いというものは極めて重要でありますが、政府としてはこの指針に述べられておりますような労働時間短縮のための環境整備をやっていかなければならない。通産省は職場に働いている人々のこういった点についての環境整備を関係各省と相談をしながら進めていきたい、このように考えております。
○国務大臣(山口敏夫君) 労働時間短縮の問題は、単に労働者の労働福祉の改善のみならずに、高齢化時代を迎えた日本の基本的な文化的な課題にもこれが連動するというふうに私ども考えております。そういう意味で、雇用の延長等を図りますと六千万労働人口が六千五百万から六百万規模に拡大をする。一方においては、省力化あるいは女性の職場進出等を考えますと、久保田先生御指摘のようなワークシェアリング的な考え方を今から一歩一歩取り入れていきませんと、数年後には非常に大きな労働市場の混乱が危険視されておるという現状であろうと思います。そういう意味からも、労働時間の問題というのは、単に国際摩擦のみならず日本の国内経済の立場から、国民生活の安定のためからもひとつ早急にこの対策に取り組む必要があると私ども考えております。そういう意味で、週休二日制の問題も、遅まきではございますけれども、何らかの形で週休二日制を取り入れ始めた企業、労働者の割合が七七%まで一応いった。これをさらに定着拡大する。それから連続休暇の問題がございますね。それから所定外労働時間と基本労働時間との兼ね合いの問題等々をすり合わせをしながら、ひとつ労働時間短縮の問題、ワークシェアリングの問題に取り組んでいかなければならない、かように考えております。
○久保田真苗君 大変大事なことだと思いますので、経企庁長官、大蔵大臣にもコメントいただきたいのですが。
○国務大臣(金子一平君) 一番大事なことは、集中豪雨的な輸出によって、ある国の一定の業界の失業者をふやすというようなことになりますると、やっぱり問題だろうと思うのであります。日米の貿易関係を考えてみましても、輸出で稼いでおるものは全部対外投資をして向こうの財政を支えておるのですけれども、それは取り上げてくれないのです。それでどうして失業を輸出するかというおしかりをいただいているのが今の現状でございますから、やっぱりある程度規律ある輸出によって失業を回避するということが一番大事なことになろうかと考えておりますので、そういう方向で極力今後も努力してまいりたいと考えております。
○国務大臣(竹下登君) 基本的にはこれは労働大臣からお答えがあったとおりであろうと思っております。時間短縮というのは、労働者の福祉の向上、あるいは今御指摘なさっております国際協調等の確保のためからも、これは長期的に見て雇用の維持また確保、そういう面からも大変有意義なことであると思っております。私どもの時代で、私もこれはまさに個人的な意見になりますが、あしたに霜を踏み分け、夕べに星をいただくというようなところにある種のノスタルジアを感じておりますだけに、やっぱりそうなった場合の余暇をどうするかというようなことを、これはまさに私なりの自問自答の問題を繰り返しております。
○久保田真苗君 勤勉であることと労働時間を短くすることは十分立派に両立することだということを申し上げておきたいと思います。 次に、これに関連して一月二十八日、長野県のスキーバス事故がございました。まず、運輸省とそれから警察庁にお伺いしたいのですが、法律にあります過労運転、この過労運転の判定基準をどこに求めるかということですが、お聞かせください。
○政府委員(服部経治君) お答えいたします。 過労防止に関する問題は、申し上げるまでもございませんけれども、安全運転を第一の責務としております自動車運送事業者にとりましてはもちろん、そういった自動車運送事業を監督指導する立場にございます運輸省にとりましても極めて重大な意味を持った問題でございます。道路運送法はその第三十条におきまして、輸送の安全確保のため自動車運送事業者が遵守すべき事項は運輸省令で定めるとしまして、さらにこれを受けまして省令におきまして、「自動車運送事業者は、過労の防止を十分考慮して、事業用自動車の乗務員の勤務時間及び乗務時間を定めなければならない。」といったような各種の規定を置きましてその遵守方を義務づけているところでございます。ただ、しかしながら、過労を防止するための基本的な条件でございます運転者の労働時間、拘束時間あるいは休息時間とか連続労働の問題、そういったものはこれは基本的に労働関係法令の定めるところによるべきものでございまして、運輸省といたしましてはそういった労働関係法令を遵守するように関係の事業者を指導監督する立場にあるというふうに考えているところでございます。したがいまして、私どもといたしましては、運転者の勤務時間あるいは乗務時間の適正化につきましては、労働省と緊密な連携を保ちまして、相互通報制度なども活用いたしまして労働省の指導、通達の遵守を徹底するように指導してきているところでございます。
○政府委員(太田壽郎君) 道路交通法六十六条にいいます過労とは、精神的または肉体的な相当程度以上の疲労、こういうものが重なりまして「正常な運転ができないおそれがある状態」ということに解釈をいたしております。「正常な運転ができないおそれがある状態」とは、単に正常な運転能力に支障を来すという抽象的な可能性一般を言うだけでは足らなくて、その可能性というものは具体的に相当程度の蓋然性がある場合というふうに解釈をいたしております。
○久保田真苗君 運輸大臣、労働大臣に伺いたいのですが、今度の事故の再発防止のための最大のポイントというのはどこだとお考えになりますか。そして、どんな対策をとっていただいたでしょうか。
○委員長(長田裕二君) 簡明に願います。
○政府委員(服部経治君) このたびの事故をもたらしました背景の事情につきましては、先般私ども三重交通を対象にして行いました特別監査結果によりましてその概要を把握いたしておりますが、例えばその事故を起こしました運転者を含めまして長期連続勤務者が数名見受けられたといったようなこと、あるいは運行経路中の要注意箇所につきましての事前の適切な指示ということが行われていなかったということ、あるいは当時の異常気象の状況等についての把握が十分でなかったというようなこと、数点がございますけれども、そういった監査結果を踏まえまして、そういった点の改善を求めるための安全確保命令というものを出して、その詳細な実施状況につきましての報告を求めることといたしておるところでございます。
○政府委員(寺園成章君) 自動車運転者の労働時間の改善等につきましては、かねてから行政の重点課題として取り組んできたところでございますが、労働基準法の遵守はもとより、労働基準法に定めのございません運転時間、拘束時間、休息時間など、自動車運転業務の特性を踏まえました細かな基準、いわゆる二七通達というものを定めまして、それに基づき行政指導を行っておるところでございます。 今回の三重交通の事故につきましては、事故後、三重交通につきまして基準法違反あるいはこの二七通達違反の有無につきまして調査、捜査をいたしました。その結果、三重交通につきましては、当該運転者につきましては基準法違反の事実はございませんでしたけれども、全体としての基準法違反がございましたので、書類送検をいたしましたし、また同種事故の再発防止という観点から、三重交通のみならずバス協会等につきまして、再発防止について強く行政指導をいたしておるところでございます。
○久保田真苗君 いわゆる法違反はないのですが、指導通達の違反といいますと、具体的にどういう勤務状態が指導通達の違反になりましたか。
○政府委員(寺園成章君) 改善基準におきましては、二週間に一回の休日を設けるというのが例えばございます。事故を起こしたと推測をされます運転手につきまして見ますと、事故発生いたしました以前の二週間につきまして休日をとっておらないということでございますので、それは改善基準に違反をするということでございます。その他若干のものもございます。
○久保田真苗君 問題は、一勤務の拘束が三十二時間半もあって、これで法違反にならないんですね。二週間の拘束時間が普通のケースの倍もあっても法違反にならない。二週間休日なし、これでも法違反にならない。ここにあるのだと思うんです。再三繰り返されたとき、指導通達でどうやってこれを防止することができるのでしょうか。
○政府委員(寺園成章君) 三重交通におきましては、休日につきましては変型休日制、労働時間につきましても変型労働時間制をとっております。また、労使間におきまして時間外協定、休日労働協定を締結をいたしております。そのような勤務割あるいは労働協約と申しますか、その三六協定の条項等から照らしまして、当該運転手の勤務を見ました場合には基準法違反ということを断定できるような事実はなかったということでございます。 そういうことではございますけれども、基準法をいわば上回る改善基準というものを定めておりますので、そのような基準に基づいて今後の時間管理をするように強く指導をいたしておるところでございます。
○久保田真苗君 改善基準それ自体非常に緩いものであって、しかもこれについては強制力がないんです。私は、労働大臣は五月連休のために非常に努力していただいているのですが、利用する公衆のためにも、観光バスなんかに乗るときの最大限の拘束時間というのは法をもって規制していただかないと、これはおっかなくてバスも乗れないということになると思うのですが、どうお思いになりますか。
○政府委員(寺園成章君) 再三申し上げております改善基準につきましては、従来、ハイヤー、タクシー、トラックを重点業種として行政を行ってきたわけでございますが、今回の事故にかんがみまして、バス事業につきましても重点業種に指定をいたしました。特にスキーバス等臨時季節的な業務にバスを運行する場合、そういう場合につきましては特にこの改善基準を厳格に守るように強く業界を指導いたしておるところでございます。
○久保田真苗君 運輸大臣、再発防止についてのひとつ御所見をお願いしたいのですが。
○国務大臣(山下徳夫君) 先生御案内のとおり、道路運行に関する行政というのは非常に多元化をいたしておりまして、私ども運輸省、それから建設省とか国家公安委員会、あるいは今御指摘のような今度の事故等につきましては労働省というふうに、それを内閣の交通安全対策室でおまとめいただいているのでございますけれども、なかなか一省だけで解決つかない問題も非常にあることは事実でございます。 しかし、それはそれといたしまして、私どもに与えられました職務権限の範囲内において、フルにひとつそれを活用しながら、再発が起きないようにやらなければならぬということでございますが、さらに具体的に若干申し上げますと、すべての自動車に対しまして保安基準というものを設けまして、これは今後ともさらにこの基準を整備いたしましてやるということ、あるいはまた特に今度の場合は運行事業者ということでございますから、やはり運行事業者といいますか、運送事業者の非常にハードな指示等があるようなこと、これはもうとにかく大いに私どもとしても目を光らしていかなければならぬということで、今回も事故の直後に特別監査をいたしまして、運行停止とかいろいろの厳しい行政処分を行ってまいりましたけれども、今後ももちろんそういうことでございますけれども、転ばぬ先のつえで、運行経路の緊急調査とか、あるいは運行管理の適正化、あるいは安全運転の徹底、こういったところに主眼を置きましてさらに厳しくまた指示をしながら、とにかく私どもがやっておりますことを総点検、全部見直してもう一回やってみるということを私は指示してまいりたいと思っております。
○久保田真苗君 労働大臣いかがですか。
○国務大臣(山口敏夫君) 先ほど基準局長からも御説明申し上げましたように、行政通達、指導等を徹底いたしまして、そうした事故を起こさないよう十二分に事前管理といいますか、それを進めたい、かように考えております。
○久保田真苗君 労働省、年次有給休暇に関する三十年十一月三十日、五十三年六月二十三日の両通達について御説明願います。
○政府委員(寺園成章君) 長い通達でございますが、趣旨は、年次有給休暇を取得したことをいわば欠勤扱い、あるいは欠勤と同じように扱って賞与、精皆勤手当等に不利益な取り扱いをすることは、基準法違反にはならないけれども趣旨として好ましくないという趣旨のことを申し上げた通達でございます。
○久保田真苗君 両通達とも生きていますね。
○政府委員(寺園成章君) 生きております。
○久保田真苗君 労働大臣、時間がありませんから聞いていただきたいんです。 この両通達をよく御検討ください。これは年次有給休暇の取得は六割しか日本はないのです。物すごく抑制的な通達なんです。後の方はちょっとましですけれどもね。 それから道路運送業の労働時間、所定外時間は他の産業より著しく多いんですよ。四十何時間なんです。こういう状況で、大臣は労働省を希望されて大臣になられて、そして一生懸命やっていらっしゃるけれども、こういうものが法規によって規制されないで、立法まがいの指導通達、指導基準みたいなものでやられているということ……
○委員長(長田裕二君) 時間が参りました。
○久保田真苗君 したがって、抑えがないということ、こういう状況を御自身でよく御検討ください。さもないと、大臣、ブレーキかけながら自転車踏んでいるようなものですよ。大汗かいて何にもならないんです。ぜひひとつ御精進をお願いしまして、私の質問を終わりますが、最後は御感想をお願いします。
○国務大臣(山口敏夫君) 人命を預かる大事な業種でございますし、仮にも過重労働でとうとい人命を事故に巻き込むことのないように、今、久保田先生の御指摘いただいた点につきましても、私も十分勉強さしていただいて、次の機会にまた答弁をしかるべくさしていただきたいと思います。
○委員長(長田裕二君) 以上で久保田君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(長田裕二君) 次に、板垣正君の一般質疑を行います。板垣君。
○板垣正君 まず靖国神社の問題について官房長官にお願いをいたします。 現在閣僚の靖国神社参拝問題に関する懇談会がいよいよ本格的な論議に入ったと伝えられておりますが、その成り行き、これからの見通しについてまずお答えいただきたい。
○国務大臣(藤波孝生君) 閣僚の靖国神社参拝問題に関する懇談会、靖国懇談会と申しておりますが、昨年の八月に第一回の会合を開きまして以来、現在までに十回会合を重ねていただいておりまして、経緯といたしましてはまず事務局から靖国神社の概要等について説明を行いました後、自由討議、自由に御意見をお述べをいただいて回を重ねていただいておるところでございます。 従来の懇談の中で触れられました問題点といたしましては、例えば靖国神社公式参拝の意義、靖国神社の性格、憲法二十条の解釈、さらに国民感情、諸外国の実情など多岐にわたって意見が述べられてきておりまして、今後の自由討議の中では、これらの問題点がさらに一つ一つのテーマというような形で浮かび上がって、それに対して委員の方々がいろんな角度から御意見を述べていただくというようなことで、さらに会合が重ねられていくということになるかと思うのでございます。 時期的には、第一回の会合をお願いをいたしましたごあいさつの中で、一年間ぐらいの見当でということを申し上げておりまして、大体去年の八月に出発をいたしておりますので、ことしの夏前後にはという感じで回を重ねていただいておる次第でございます。
○板垣正君 従来の経緯についてはもう十分御承知でありますから、ここでくだくだ申し上げません。これは白紙でできた懇談会ではなくして、重大な流れの中から生まれてきた、政府としても相応の決意を持って生み出した懇談会であります。なるべく速やかに誤りのない結論を出し、また政府としても終戦後まさに四十年を迎える本年、懸案である公式参拝問題について必ず決着をつけていただきたい。官房長官の御決意を承ります。
○国務大臣(藤波孝生君) この問題につきましては国民の皆さん方の間にもそれぞれのお考えがございまして、いろんな意見があることは私どもよく存じておるところでございます。それらの中でこの懇談会を通じましていろいろな角度から御意見を述べていただくということで、政府といたしましても勉強させていただいておるところでございます。さらに、これらの回を重ねていただきます中で御議論、意見を深めていただく、同時に政府といたしましてもよく勉強をしてまいりたいと、このように考えておる次第でございます。
○板垣正君 次に、戦後処理に関連して官房長官に伺います。 まず第一は台湾の旧軍人軍属の問題であります。この問題はいわゆる政治問題ではない、全くの人道的な道義的な問題であります。そうして、この問題につきましては、我が党のみならず超党派的に速やかな解決を期待して、要望してまいったところであります。今回初めて政府がこれを取り上げ、調査費を計上されたということは極めて意義のあることであり、ぜひこれは解決をしてもらいたい。関係者も非常に期待をしておりますし、逐次亡くなっていく人も多いわけであります。彼らが安らかに眠れるように、後の一代一代は恨みを残さないで死なせてほしいという切実な思いも寄せております。このことについて官房長官、ひとつぜひ解決をしていただきたい。 第二点はシベリアの抑留者、恩欠者等々の問題であります。これもいろいろな論議を積み重ねられてきたものでありますが、それぞれの当事者、これまた切実な思いでこれからの成り行きを注目しているわけでありますが、これについてのお考えも承りたいと思います。
○国務大臣(藤波孝生君) 台湾人元日本兵の問題につきましては国会でもいろいろな御意見が出されまして、政府としてもぜひこれを検討するようにという強い御意見がございまして、それに基づきまして昭和六十年度予算案の中に五百万円の検討費をお願いいたしたところでございます。予算が成立をいたしました段階でこれをどのように進めていくか、各省庁ともよく相談をいたしまして真剣に検討を進めていくようにいたしたい、こう考えておる次第でございます。 また、今お話がございました軍人恩給欠格者の問題を初めといたしまするいわゆる戦後処理問題につきましては、これまた懇談会で回を重ねて意見をいろいろお述べをいただいてまいりまして、国としてこれ以上措置することはない、関係者の方々の心情に深い思いを寄せて特別に基金の創設を御提案になったところでございます。 政府といたしましては、この懇談会の報告を受けまして、一億五千七百万円の予算の計上をお願いいたしまして、検討並びに調査を進めていくようにいたしておるところでございます。予算が成立をいたしました後、総理府に検討のための室を設けまして、各省庁とも連絡をとりながら検討、調査を進めていくようにいたしたい、このように考えておる次第でございます。 また、この検討の中で、従来いろいろと切実な御意見をお述べになってこられましたそれぞれの団体の方々の御意見などもよくお聞きをして、基金の活用を中心にいたしまして、どのようにこの仕事を進めていったらいいかということにつきまして誠心誠意検討を進めていくようにいたしたい、このように考えておる次第でございます。
○板垣正君 次に厚生省に申し上げますが、六十年度の予算におきまして、遺族にとりましては待望でありました遺族年金月額十二万円をようやく達成をしていただいて大変感謝をいたしております。また特別弔慰金の継続増額もできまして、これまた関係者は喜んでおるところであります。今後もこの国家補償の充実あるいは引き上げ、そして高齢化をしていく戦没者遺族の福祉、医療、そういった点について御配慮いただきたい。これは要望であります。 厚生省にお伺いしますが、戦没者の遺骨収集についてであります。戦後行われてきた現在に至るまでの経過及び現況、これからの方針について承りたいと思います。
○政府委員(入江慧君) 戦没者の御遺骨の収集につきましては、昭和二十七年から五十年度にかけまして、三次にわたりまして計画的な収集を行ってまいったわけでございますが、五十一年度以降も残存御遺骨があるという情報等に基づきまして、引き続き鋭意実施しておるところでございます。 これまでのその結果でございますが、御遺骨の送還概数は約百二十万三千柱、これは、海外戦没者概数は約二百四十万人ということでございますので、約半数ということでございますが、このうち政府派遣によります遺骨収集によって送還されました御遺骨は二十七万二千二百二十九柱ということになっております。ただいま申し上げましたように、今後も引き続き確度の高い御遺骨についての情報が得られますれば、その地域について収集をやっていきたいと考えておりますが、六十年度は特に終戦四十周年ということでもございますので、従来より実施地域をふやしまして遺骨収集を実施していきたいというふうに考えております。
○板垣正君 遺骨収集について、三点要望いたしたいと思います。 第一点は、日本領土以外の地域の遺骨収集でありますが、これをぜひ計画的に事前の調査を十分にやって、遅くも昭和六十五年度ぐらいまでには一応の見通しをつける。中国とかソ連の場合はまた特殊な事情がありますが、それ以外、現在まで遺骨収集の行われた地域であります。遺族会の青壮年部等も毎回積極的にこれに協力をいたしております。そうした報告等を聞きますと、どうも事前調査が十分でない、あるいはやり方が非常に場当たり的である、こういうやり方ではいつまでたっても解決がつかない。もっと計画を立て、そして必要な人間も投入をして、年次計画でやっていただきたい。 第二番目は、硫黄島の遺骨収集であります。硫黄島は日本国土であり、またこれは東京都の一部でありますが、現在ここにまだ多くの御遺骨が残されておる。しかもこれはごうに埋没をしておる。作業に従事する人々は大変な苦労をしているわけでありますが、なかなか進捗しないわけでありますが、そこで、ここは自衛隊の今訓練基地になっております。そして将来も自衛隊のさらに基地として整備されていくであろう。したがいまして、この際自衛隊の力で、機械力も人間も思い切って動員をしてやっていただきたい、そうしたことについてお願いをぜひしたいわけであります。 第三番目は、沖縄県の遺骨収集であります。沖縄県は、これまた軍人、非軍人、住民の方々、たくさんが戦没しているわけでありますが、六十二年の沖縄国体までには全部これを決着つけようと、西銘知事を先頭にして県民挙げてこれに取り組もうという動きがいろいろ出てきております。結構なことでありますが、これに対してやはり厚生省としても、国としても積極的に協力をして、ぜひ埋没遺骨等も含めて六十二年までに沖縄は終わるという方針で進めていただきたい。 以上三点、要望いたしますが、それについてのお考えを承ります。
○政府委員(入江慧君) 御遺骨の収集につきましては、日本遺族会あるいは戦友会等各団体の御協力を得ましてこれまで実施してまいっておるわけでございますが、現在の遺骨収集は先ほどもちょっと申し上げましたように在外の、要するに各地におられる方からの御遺骨があるという情報に基づきまして実施しているというような実情でございますし、そういう情報が得られました場合にも、たまたまその地域の治安が悪いために収集ができないというような事情で、それが中止のやむなきに至ることもございます。そういうようなわけでございまして、最初の御質問でございました終期を設定して、例えば昭和六十五年度ぐらいまでに計画的に終えたらどうかということにつきましては非常に難しい状況にございますが、できるだけ早く御遺骨の我が国への送還を果たすべく努力していきたいというふうに考えております。 次の沖縄及び硫黄島の問題でございますが、御指摘のとおり両方とも現在の御遺骨は埋没ごう等非常に難作業を重ねながら収集をしているという実情でございますが、沖縄につきましては、四十三年小笠原諸島が返還されましてから本格的に遺骨収集が始まったわけでございますが、四十三年度以降防衛庁の御協力を得てこれまで二十三回にわたって遺骨の調査あるいは収集をやってきておるわけでございます。それで、現在のところ大体硫黄島の北部については収集を概了したというふうに考えておりますので、今後南部地区を中心に今後とも防衛庁の御協力を得ながら、できるだけ早い機会に収集を終わるという方向で努力していきたいというふうに考えております。沖縄につきましては、ただいまお話にありましたように六十二年国体というのがございますので、県あるいは関係者の団体からそれまでに終わるようにという要望が寄せられておりますので、沖縄につきましてもやはり南部地区にかなり多くの御遺骨が残っているという情報が寄せられておりますので、南部地区を重点にしまして国体が開かれます六十二年度までにできるだけの成果が得られるように努力していきたいというふうに考えております。
○板垣正君 防衛庁長官にお願いしますが、ただいまの硫黄島の遺骨について従来も自衛隊の御協力をいただいていることは承知しておりますが、従来のやり方をもっと超えた本当に徹底的な作業をやっていただきたい。これは厚生省が担当でございますから厚生省の方から正式にお話をしなければならぬと思いますけれども、そうした場合にはひとつ取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでありますか。
○政府委員(西廣整輝君) 硫黄島の遺骨の収集に関しましては、先ほど厚生省の方からお答えがありましたように、現在厚生省で遺骨収集団を編成をして派遣をされておるということでございますが、私ども、何せ硫黄島というのは離島の訓練基地でございますので、非常に限定された人員ということで必ずしも十分なことはできないわけでございますが、遺骨収集団の輸送等についての航空機、船舶の支援、さらに遺骨収集団の硫黄島における宿泊、休養等の支援、さらには遺骨収集そのものにつきましても、悪性ガスの検知であるとか、あるいはまた不発弾処理、機材の操縦その他につきまして、現在持てる能力の中ではできる限りの御協力をいたしておるつもりでありますし、今後ともそういう点につきましては精いっぱいの御協力をいたしたいというように考えております。
○板垣正君 もう一点厚生省にお願いしますが、これも今度の予算で厚生省の調査費の計上をされております平和祈念総合センターの建設についてであります。この経緯等についてはもう省略をいたしますが、厚生省側ではこれについて懇談会を設けて、日本遺族会から提示されている構想について検討されるということでありますが、懇談会を設けられるとするならば、やはり従来検討されてきた方々も含めた懇談会にしてもらいたい、あるいはその人選についても十分考慮していただき、なるべく早くこの問題については結論を出し、具体的に進めていただきたい。この点について厚生省のお考えを聞きたいと思います。
○政府委員(入江慧君) 遺児記念館の問題でございますけれども、昨年十月日本遺族会の方からただいまお話のありましたように平和祈念総合センターという形で基本構想をいただきました。この問題につきましては、日本国内あるいは国外に対する影響また我が国の現在の財政状況等いろいろ難しい事情もあるかと思いますが、今お話のありましたように、六十年度には厚生省に有識者から成ります懇談会を設けましてこの遺児記念館のあり方というものを検討したいというふうに考えておりますが、何分この種の施設は我が国で初めての施設でございますので、遺族会から御提案の案も含めまして、各方面から幅広い検討が必要だというふうに考えております。したがいまして、人選等につきましては今お話しのような点に留意いたしましてできるだけ早い機会に懇談会を設けて結論を早く得られるように努力したいというふうに考えております。
○板垣正君 次に、外交・防衛問題の基本的なことについて承りたいと思います。 まず現在の国際情勢の、特に国際軍事情勢の認識であります。 これについては既に政府の立場からも極めて厳しいそうした認識も出されておりますし、ただその厳しさというものは極めて深刻なものがあるのではないか。要するに六十二年以降のソ連のまさに一貫した軍事力の増強、今日ただいまも続いておる軍事力の増強と、それを背景にしたアジア、アフリカ、中近東、中米等々に対する勢力の拡大であります。あるいはもう既にカムラン湾、ダナン、ここにも支援作戦基地ができる。あるいはインド洋においてもスリランカ島西南のモルジブ島に基地をつくろうという動きも伝えられるというふうに、こうした状況というのはまさに数年前には考えられなかったさま変わりの姿ではないか。既に日本海も日本も飛び越えてソ連の前方防衛線というのはもう太平洋まで、インド洋まで来ておる。こういう情勢は極めて厳しいものがあるというふうに考えますが、その辺の御認識について外務大臣、防衛庁長官、承りたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 確かにおっしゃいますように、ここ近年来のソ連の軍事力増強につきましては非常に目覚ましいものがあると言っても過言ではないと思います。極東における空海陸にわたっての増強、特にシベリアにおけるSS20の展開、あるいはまた北方四島に対するミグの基地化等、さらにまた海軍におきましては、ウラジオストクの艦隊の強化、あるいはカムラン湾の基地の強化といった非常な増強ぶりが目立っておるわけでございまして、これは日本に対する潜在的な脅威、こういうことも意識せざるを得ないわけでございますが、こうした軍事力の増強というものと相まって、同時にまた、一方におきましては米ソの間で一時中断をしておりました核軍縮交渉というものも再開されるという状況にあるわけでございまして、我々としましては、一方におきましてはこうした軍事力の増強に対しましてそれなりの認識を持たなければならぬと思いますが、同時にまた、米ソの軍縮交渉というものが何とかこれが進んで、米ソ間の緊張が緩和をされ、そして軍縮が大きく前進するということを一面においては心から期待をいたしておるわけであります。
○国務大臣(加藤紘一君) 国際軍事情勢につきましての判断はただいま外務大臣がおっしゃったことと全く同一でございます。 最近、ソ連の軍事力増強、その蓄積効果は非常に顕著なものがあって、それを背景とした第三世界、周辺諸国に対する勢力の拡張というものはやはり私たちよく注意しておかなければならない部分であろうと思っております。また極東におきましても、外務大臣おっしゃったような幾つかの事象があって、従来に比して状況は厳しくなっているということは、全く委員御指摘のとおりであろうと思います。私たちとしてはそれに対処するためにもできるだけ早く防衛計画の大綱に定めた防衛力水準の達成を期したいと考えております。
○板垣正君 それで外務大臣にお伺いしますが、そうしたソ連の意図、本質をどう見るのか。そしてまた、この間お会いになってこられたわけでありますが、ゴルバチョフ以後のソ連は変わっていくのかどうか、その辺を伺いたいと思いますが。
○国務大臣(安倍晋太郎君) この前、チェルネンコ前書記長の葬儀で総理と私一緒にモスクワを訪問いたしまして、新しい指導者でありますゴルバチョフ書記長とも一時間にわたりまして会談をいたしました。これまでの最高指導者と違いまして非常に若い、また非常に何といいますか、行動力といいますか、そういうものを持った、恐らくこれからのソ連の長期安定政権を築き上げる人物であろう、こういうふうに思うわけでございますが、しかし、新しい指導者ができて、それなりに世界的に一つの新しい雰囲気が出ておりますけれども、ソ連そのものの実体というのがそれでもって大きく変わるかと言えば、それはそういうことはあり得ない。確かに新しい指導者は出ましたけれども、果たして権力が集中しているかどうかということにつきましてはまだ問題が残っておるようにも思いますし、本格的にゴルバチョフ書記長の判断でもって事態を進めていくという時期はまだまだ先の話ではないだろうか、こうも思うわけでございます。 いずれにしてもソ連という国、これまでの長い歴史の中から判断をいたしまするに、指導者がかわったからといって、その本質というものがもちろん変わったわけではありませんし、我々もそうした判断のもとにソ連との間については腰を据えてこれは取り組んでいかなければならぬ、ただ、一時のそうした何か雰囲気だけに酔ってしまうといいますか、目がくらむというようなことで事態の判断を誤まることがあってはならない、こういうふうに私は思っております。
○板垣正君 今外務大臣のおっしゃったことは、私も全く同感であります。私はソ連の世界戦略はアメリカを孤立化させること、また、海洋を支配すること、これを根本にしているというふうに考えております。そうした一貫した政策を取り続けておる。ゴルバチョフ書記長は五十四歳、若いと言われますけれども、あの亡くなったブレジネフが書記長になったのは五十七歳であります。そうして十七年間ブレジネフ時代が続いたわけでありますが、このブレジネフ時代というのは一言で言ってみれば大軍拡の時代であります。継続の時代。アメリカに追いつき追い越せ、しかもそれをなし遂げた。そして内には反体制を抑圧をして、国民の経済的犠牲のもとであの大軍拡をなし遂げたのがブレジネフ時代であった。ゴルバチョフ書記長も五十四歳と言われておりますけれども、この長期政権もそうした方向にいかないとは言えない。 いずれにいたしましても軍事専門家の見るところ一致しているのは、ソ連が自由化するとか簡単に変わるとか、あるいは経済的に行き詰まって崩れるとか、そうした期待は全く幻想である。二十年でも三十年でもこの軍拡を続けられる、そういう体質であり、国の本質を持っておる。そういう点においてまさに外務大臣おっしゃるとおりに、粘り強く、息長く進めざるを得ない。それにしましてもグロムイコ外務大臣が来るとか来ないとか、余りグロムイコ、グロムイコと、向こうが来るのが当然であって、来ることを何かいかにも歓迎をする、向こうが来てやるんだというふうな雰囲気というものは私は非常に危険であろうと思う。そういう点で、これは要望でありますが、今おっしゃったとおり毅然として国益を貫く、そういう方向をとっていただきたいと思うのであります。 そうして、これに対応する西側の防衛戦略でございますが、特徴的なことは、最近特に通常戦力の評価が改めてなされているのではないか。あくまでアメリカに依存するだけではなく、いわゆる徹底的な戦争抑止をする、そのために十分な抑止力の維持を図っていくというのが西側陣営の一致した方向であろう。そういう中で核に依存をしない、核に対する敷居を高くする、そういう面でこの通常戦力の増強が改めて評価されているし、そうした努力がなされているのではなかろうか。あわせて紛争の早期解決なり、そうした国際機能あるいは情報の把握、軍備管理の交渉等も進めていく、あるいは自由主義社会の安定、南北問題の解決、こういう中で粘り強く頑張っていくほかない。 その中でソ連の変わるのを期待するよりも、一つの方向として戦略を根本的に変える、いわゆるSDI、防衛戦略構想であります。これは従来の恐怖の均衡という双方の戦略思想を根本的に変えて、いわゆる防衛戦略、そうした今までの先端技術の発展の中で新しい画期的な構想が生み出されつつある。まだまだこれは研究段階でありますが、これをなし遂げることができるならば、これは自由世界こそなし遂げられる。ソ連のような全体主義、言論統制のところでは、到底こうした先端技術においては及ばない。そうであるならば、ソ連が変わるのを待つよりは、こうしたSDIに表現されるような新しい戦略構想を西側陣営一致して進めていくということは画期的な意義のあることではないか、我が国としても積極的に取り組むべきではないか、この点について外務大臣、見解をお聞きします。
○国務大臣(安倍晋太郎君) ソ連との関係につきましては、先ほどから申し上げましたように新しい指導者ができたからといってそう大きく変わるわけではないと思います。しかし、ゴルバチョフ新書記長も、我々見るところではやはり米ソの核軍縮交渉には非常に意欲を持っておるようでありますし、またやはり、現実的に国際情勢に対応しようというふうな、非常にフレキシブルな姿勢も見受けられるわけでありますから、我々としては、ソ連そのものの本質は変わらないとしても、この米ソ間の対話が進んで軍縮が進んでいくということを心から期待をいたしております。 今のSDIにつきましては、これはもう中曽根総理からもしばしば申し上げますとおり、アメリカ政府は、レーガン大統領またシュルツ国務長官から私も直接聞いたわけでありますが、SDI構想というのがいわゆる非核の兵器であり、弾道ミサイルを無力化するものである、そして、この構想はまさに防御的なものであって、最終的にはこのSDI構想によって核が絶滅をしていくことにもつながっていく、こういうことでございます。問題はただ、研究が今始まったばかりでございますから、これからの研究がどうなるかということは今後の課題でありましょうし、また膨大な資金も要するということでございます。日本としましては、このアメリカの説明を受けましてその構想に対して理解を示したわけでございますが、これからどうなっていくかということでございますから、これについても注目しておりますし、この研究が進む段階において情報もいただきたい、同時にまた、場合によっては協議もしなければならぬということで日米間で話がまとまっておるわけでございます。このSDI構想につきましては、アメリカの内部におきましてもいろいろと批判もあるようであります。あるいは西側の諸国におきましても、これに協力する、あるいはまた支持する、あるいは保留する、いろいろと考え方に落差があるようでございまして、それはSDI構想というそのものがはっきり姿をあらわしてないというところにあるのじゃないだろうか。同時に、ソ連におきましてもこうしたSDI構想的なものが進んでおるということもアメリカも言っておるわけでございます。 いずれにしても、日本としては核軍縮が進みまして、そして最終的にはやはり核がなくなる、そういう世界を夢見ておりますし、そのために日本も努力していかなければならない。世界から戦争がなくなるということが日本の目的でございますから、努力をしていかなければならぬ。そういう意味で世界が動いていくことを歓迎をするわけでございますが、同時にまた、現実の世界はまさに力の均衡によって成り立っておる、この現実も無視することはできない。そういう中で日本は、日本なりの防衛の努力あるいはまた外交の努力というものを重ねていかなければならないことは、これはもう現実的に当然のことであろう、こういうふうに思っております。
○板垣正君 次に防衛庁長官に伺いますが、国を守るために、平和と安全を守るために防衛には三つの要素がある。第一が国民が国を守るという意思であります。第二番目が有事に即応できる国の体制であります。第三番目が真に戦い得る自衛隊の整備であります、存在であります。この三点についていかがお考えですか。日本の現状をどういうふうに受けとめておられるか。
○国務大臣(加藤紘一君) 私たちの防衛政策は、御承知のように、適度な防衛力を整備した自衛隊の存在と、それから日米安保条約による日米安全保障体制の信頼性を確保することによってその抑止力に依存するという両輪で成り立っておることは御承知のとおりでございますけれども、その際にこの二つだけではもともと機能はしないのであって、委員御指摘のとおり、国民自身が自由で、立派な我が国の体制を守り、独立を守るという気概を十分に持つこと、それから平時からこれに防衛力を十分に発揮できるような防衛関連諸施策というものをしっかりと基盤確立しておかなければ、いかなる自衛隊もいかなる日米安保体制も十分に発揮をし得ないものだというふうに思っております。その意味では委員御指摘のとおりだと思っておりまして、その現状という点から申せば、私たちのところはいろいろな意味で最近防衛に関する状況はよくなっておりますし、国民の防衛意織も従前に比してしっかりとしたものになってきているとは思いますけれども、例えば民間防衛の面はどうであるかといったら全く見るべきものがまだございませんし、また防衛関係諸施策を遂行するに際しましてまだまだ至らないところがあるということは事実だろうと考えております。 〔委員長退席、理事梶木又三君着席〕
○板垣正君 それで、国民の国を守る意思に関連して、三十二年に決められました「国防の基本方針」、この第二項に、「民生を安定し、愛国心を高揚し、国家の安全を保障するに必要な基盤を確立する。」とうたわれているわけでありますが、国家の安全を保障するに必要な基盤をというのは一体どういうことなんでしょうか。このことについて伺います。
○国務大臣(加藤紘一君) 私、防衛庁長官になりましてから「国防の基本方針」というのをじっくり読ませていただいたのですけれども、昭和三十二年に私たちの先輩の指導者が設定されたこの基本方針というのは非常に現代、この時点におきましてもちゃんとした、価値のある、立派な先見性のある四項目をお立てになって私たちは残してくれたものと考えております。私たちの防衛政策もその基本に乗って今進められておりますが、その第二項にまず、「民生を安定し、愛国心を高揚し、国家の安全を保障するに必要な基盤を確立する。」という基本方針が書かれておりますけれども、これはかなり基本的な原則を述べたものであろうと思います。その中には、我が国が、国民が守るに値すると考えるほどしっかりとした社会的、経済的な基盤を持ち、またそれに国民が自信を持って守りたいという意識を持つようなこと、そういう防衛心、愛国心というものもその中に入っていると思います。 それから、私が先ほどちょっと申しましたように、平時におきましても常にその防衛力のすそ野に値するようなものをしっかり確立しておくこと、例えば科学技術をしっかりと高度なレベルのものにしておくことも必要でしょうし、それから私たちの基地関連の施設をしっかりとつくっておくことも必要でしょうし、それから備蓄をしておくことも必要でしょうし、交通体系もしっかりとしたものにしておく必要がある、いろいろな意味のかなり幅広い概念がここに含まれていると思います。しかし、その一番基本はやはり社会的、経済的にこの国がしっかりとして、守るに値する基盤を確立しておくことということになるのではないだろうか、こう思っております。
○板垣正君 世論の動向、いろいろ世論調査のデータがあるわけでありますが、そうしたものを総合的に見ますと、国民の多数の方々は、自衛隊の存在なり、あるいは日米安保条約の存在は過半の方が認めておると思います。ただ自衛隊の規模ということになりますと、今程度がいいのだ、だからふやすのは反対だ、もちろん一%超えるのは反対だという意見が過半を超えるでありましょう。その反面また、戦争の不安あるいは武力攻撃を受ける不安があるかないかということについては、やはり過半数を超えた人が不安があると答えておる。北海道の場合はこれが七割近い数字がありますが、そうした心配がある。そして、かつそれでは侵略があった場合にどうするのだと。これに対しましては、これはいろいろなデータのとり方があると思いますけれども、ある資料によりますと、ともに戦う、抵抗する、これが約二割、あとは逃げるか降伏するが七割。防衛白書には別のデータもございますけれども、必ずしも積極的なものと言えない。これは、自衛隊を認めながら不安感を持っておる。しかし、つまりは国民は極めて無関心、さらに言うならば思想的に国を守るという意思の希薄さといいますか、一つの敗北思想といいますか、そういう懸念を感ずるわけでありますが、その点どういうふうに受けとめられますか。
○国務大臣(加藤紘一君) 現在の我が国の国民の防衛意識、それから特に、仮に万が一有事になったときにあなたはどう対処しますかといったことについての国民の回答というものは、委員御指摘のとおり、本当に今ばらばらという感じになっているのではないかと思います。幸いなことに自衛隊というものを認めるか、それを信頼するかという意味におきましての世論調査いたしますと、七〇から八〇%は存在を認め、そして信頼していただいている、その数値が上がってきているということは私たち防衛庁としては非常にれしいことでございます。また、日米安保条約の有効性につきましても、最近その支持率は上がってきていると思っております。 ただ、委員御指摘のように、万が一私たちの国が有事になったときにあなたはどう対処しますかということにつきましては、調査する設問の仕方もあるでしょうし、そのタイミング、言い方もあるのでしょうけれども、ある調査では一二%、ある調査では七〇%ぐらいのところが、あえて抵抗しないで私は逃げていきます、降参しますという敗北主義的なデータも出てきている。そのデータが十数%ぐらいのところから七〇%まで振れるというのは、やはり国民もまだ防衛の問題については迷っているということなのではないだろうか。 例えば、五十九年五月の朝日新聞の調査によりますと、降参する、安全なところへ待避するというのが七〇%でございますが、それから読売新聞になりますと、案外、対抗して自衛隊とともに戦う、ゲリラ的に抵抗して戦うというのを足すと五四%という感じになりまして、これは本当にばらばらという感じでございます。したがって、私たちとしては、自分たちの国が、自分たちの社会が守るに値する立派な社会なんだという意識をしっかりと持っていただき、そしてそのためにはできる限りの努力をしていただくという意識をしっかり持っていただくために、今後とも精いっぱいの御説明、それから広報等を続けていくことが、委員御指摘のとおり、防衛問題の一番の根っこの重要な部分だろうと思っております。
○板垣正君 防衛の基本はやはり侵略を未然に防止する、抑止する、しかもその一番の支えは国民の世論であろう、決意であろうと思うのです。 そこで、冒頭の国際情勢のさま変わりと言われるような変化、アメリカの絶対的な優位を今までは前提にしてきたわけであります、戦後。しかし、その状況が大きく変わってきておる。そういう中で一九六〇年の安保改定、あの時点をとらえても、あの当時のGNPはアメリカを一〇〇として日本が八、つまり八%ですね。その時代の意識、それが今なお抜け切れないでいるのではないか。今日、アメリカの半分近いGNPを持つ、いわゆる経済大国として相応の責任分担を果たさなければならない、そうした中で意識の変革というものがおくれているのではないか。これは、もちろん防衛庁だけの務めでありません。国を挙げて取り組むべき、また政治の責任でもあるわけでございます。 そうした点で、二十四万の自衛隊だけで一億二千万のこの国を守るわけにはいかないわけであります。やはり国民自身にいかにして今の厳しい事態に対する認識、つまりいろいろ日本独特のといいますか、見解がいろいろございますけれども、そうしたものが国際的に余り常識外れな、受け入れられないような、かえって日本の孤立を招くということであってはならない。そういう面で、やはりある意味における大きな発想の転換を迫られているのではないか。その点についてはいかがでしょうか。
○国務大臣(加藤紘一君) 戦後、私たちの国は四十年間平和を享受してまいりました。これにつきましては、戦後この国会でも大変な防衛論議があって、また基本的な外交論議があったと思いますけれども、しかし、四十年間私たちが一人の若者をも戦火で犠牲にすることなく、この国を守り通し、諸外国と交流を続けてこられたということは私たちの外交防衛政策が正しかったことを証明しているのではないか、そういう点については自信を持っていいのではないかなと、私は率直に考えます。 ただ、そういう中におきまして、委員御指摘のとおり、私たちの国は経済力をつけてまいりました。社会的な安定度も深めてまいりました。そういう日本を見て、諸外国がみずからの防衛の問題につきましてはもっと自分のコストシェアリングをしてもいいのではないかというような世論が出てきていることは事実だと思います。したがって、私たちは諸外国から言われるということではなくて、アメリカがいかなる期待をしているということも十分頭には入れますけれども、自分たちの国自身の判断として私たちが国際的な責任をより果たさなければならない時期に来ているということは事実だと思います。 それにつきましては、私は国民の間にもだんだん広く御理解は深まってきていると思いますけれども、その点につきましても私たちは今後とも努力を続けていかなければならない、そういう時代に来たのでないだろうかなと、こう思っております。
○板垣正君 そこで、いわゆる一%問題でありますが、私は一%という問題は極めて日本の防衛努力について阻害をしてきたと考える一人であります。防衛計画の大網すら完成にほど遠い、これが具体的に装備されるのは、さらに十年ぐらいかかるわけですね。つまり、政治が本来決めるべき防衛政策を一%という数字が規制をして、その枠の中におさめるがゆえに対外的ないろいろな脅威もこれを不当に軽く見る、低く見る、あるいは情勢の変化に対して極めて鈍感に過ごしてきたのではないか、あるいは後方が非常にバランスを失するくらいにどうしても前方装備に重点が行ってしまう。そうした計画性の喪失、あるいは硬直化をもたらす、つまりは欠陥だらけの自衛隊の体制、こうした姿というものが、あわせてまた国民の立場から言うならば、そうした情勢について自衛隊が現状どういうことにあるかというようなことについては無関心で、一%を守っていれば国の平和が守られるというようなこと……
○理事(梶木又三君) 板垣君、時間が来ました。
○板垣正君 そういう点で、はっきりこれは政府としても一日も速やかに見直し、その態度を明確にすべきだし、防衛計画大綱についてもその後の情勢の変化を踏まえてぜひこの見直しに踏み切るべきである。以上申し上げまして、防衛庁長官、そして大蔵大臣、将来総理たらんとする大蔵大臣のこの問題についての御見解も承って、私の質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(加藤紘一君) GNP一%、それから大綱の見直し等の問題につきましての政府の見解は累次申し上げておるとおりでございます。 いずれにいたしましても、私たちは防衛論議をするときにはより内容を御議論いただき、そして我が国の防衛戦略がどういう形であるべきか、より高度の議論をすべきではないかという御議論には私たちも全く同感でございます。私たちもその御議論にこたえるべく、内部で政策論議を高めながら、国会の場でまた私たちの考え方をしっかりと言っていかなければならないのでないだろうか、そんなふうに考える次第でございます。
○国務大臣(竹下登君) 当面お答えをいたしますならば、政府の方針をただ正確にお述べするにとどまるということになろうかと思います。 大蔵大臣とはいえ国防会議の一員でございます。したがって、今加藤防衛庁長官から御発言がございましたように、広く国民の中に防衛論議というのが活発に、かつ真剣に行われる環境ができていくということは私は好ましいことであるというふうに考えます。
○理事(梶木又三君) 以上で板垣君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○理事(梶木又三君) 次に、馬場富君の一般質疑を行います。馬場君。
○馬場富君 私はまず最初に、行政改革についてお伺いいたします。 中曽根内閣の基本姿勢の一つである行政改革について、担当大臣である総務庁長官の基本的認識をお伺いいたします。
○国務大臣(後藤田正晴君) 行政の改革はこの内閣の基本的な政治課題の一つであり、同時にまた国民の多くの方も、ぜひこの肥大化した行政についてメスを入れて、一口で言えば安い政府といいますか、そういうものを目指してやるべきである、こういう国民の期待もあるわけでございます。私どもとしては第二臨調からちょうだいしておる答申の趣旨に沿って、その完遂に向けて最大限の努力をしていきたい、かように考えております。
○馬場富君 ではここで、行政改革の一つとして会計検査院にお尋ねいたしますが、五十八年度報告で蚕糸事業団について指摘した事項の趣旨、概要について御説明願いたい。
○説明員(磯田晋君) 農林水産省では繭及び生糸の価格安定の制度を設け、この制度を実施するための業務を蚕糸砂糖類価格安定事業団に行わせております。 そして、事業団の昭和五十八事業年度末の生糸在庫は十七万六千二百七十二俵、借入金総額は千九百二十九億九千九十七万円となっていて、在庫量が増大し在庫期間が長期化することによって多額の支払い利息、保管料等を生じ、繭糸価格中間安定等勘定の損失額累計は百三十八億四百五十五万余円の多額に上っていて、事業団の財政面に大きな悪影響を及ぼしております。 このような事態となった背景には生糸の需給の不均衡があります。すなわち需要面ではいわゆる着物離れの傾向などから絹の国内需要は減少を続け、一方供給面では繭の生産調整等が需要の減退に見合うまでにならなかったことから、近年における生糸の需要は供給過剰基調が続くこととなり、これを反映して糸価は低迷を続けており、この間にあって繭糸価格安定制度は制度本来の機能を失っていると認められます。 以上のことから、繭糸価格安定制度及びこれを運営する事業団の財政の現状は危機的様相を呈しており、このまま放置しますとただいま申し述べた多額の累積欠損はますます増加することになります。制度がこのような状況にありますので、これについて問題提起を行い事態の進展を図る必要があると認めたものでございます。 以上でございます。
○馬場富君 事業団の最近の借入金、在庫量、累積赤字等、財政状況について説明していただきたい。
○政府委員(関谷俊作君) 蚕糸砂糖類価格安定事業団の借入金、財政状況等でございますが、生糸の買い入れ、保管等に要する資金の借入金が五十八年度末において千九百三十億円でございましたが、五十九年十二月末では二千百二十四億円となっております。 また赤字でございますが、最近年、借入金の増加と在庫生糸の長期化によります金利等の増加によりまして五十六年度以降は欠損金を出しておりますが、五十八年度末の累積欠損金百三十八億円でございまして、五十九年度末においては大体これが累積で約三百二十四億円になると見込んでおるところでございます。
○馬場富君 ただいまの報告によりますと、事業団の経営はまさに危機に瀕しております。結局、統合以来その効果は上がらず、統合前よりも悪く、最悪の状況になっております。まさに国鉄、米、健保の三Kに匹敵して、繭糸の繭を入れて四Kと言われるような現状が実は今言われております。これでは何のための行革なのかさっぱりわからなくなってしまうわけですが、農水大臣と総務庁長官にこの点のひとつ見解をお伺いいたします。
○国務大臣(佐藤守良君) 馬場先生にお答えいたしますが、先ほど会計検査院からも御報告がありましたことで、また我が省といたしましては、昨年十一月、基準糸価につきましては二千円の引き下げを断行しました。 また、各種の需要増進対策を初めとする需給改善対策等の推進により事業団在庫の軽減を図っているところでございます。さらに今般、異常変動防止措置を廃止するとともに、在庫生糸の特別予約制の道を開き、そして事業団に特別勘定を設けこれまでの在庫生糸とか、借入金等を整理する等を内容とする繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案を国会に提出しまして今御審議願っているところでございます。
○国務大臣(後藤田正晴君) 蚕糸事業団は御指摘のように大変な在庫を抱えて財政状況がまことに厳しい状況にございます。そこで、第二臨調も蚕糸事業団についてはこの制度の根本的な見直しが必要であると、こういう御指摘を受けておりますので、そこで政府としては事業団の在庫処理及び損失補てんの円滑化を図るとともに、今後再びこういった事態が生じないように蚕糸価格の安定制度というこの制度の根幹を維持しながら所要の改善を図るということを目的にして、今回法律の改正案をつくって国会の御審議を願っておるところでございますが、この御審議で成立をお認めいただければ、新しく改正せられた法律案の趣旨に従って、この健全化に向けて努力をいたしたいと、かように考えております。
○馬場富君 農林大臣にお尋ねいたしますが、今の法改正によりまして、蚕糸事業団に約四十五億の一般会計からの投入もありますし、法改正も行われますけれども、これによって先ほどから挙がっております二千百億からの赤字並びにこの累積赤字、そして十七万俵に及ぶ滞貨等につきまして解決できるお見通しでございますか。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。 先ほど総務庁長官からお答えしたとおりでございますが、実はこのたびは御存じのように膨大な生糸が事業団に累積し、その保管経費が増大したということでございまして、実はこの事業団の在庫が大体十七万俵ちょっとあると思いますが、この処置をどうするかということでございますが、生糸の価格安定を図るという立場で、実は国内生産、輸入、それから事業団の在庫をどう扱うかによりまして価格をどう安定させるかということが一番基本だと思っておりますが、できるだけ早く在庫の生糸を処分いたしまして、財政負担を少なくいたしたいと、このように考えておるわけでご ざいます。ただ、その場合大切なことは、現在の生糸の価格に影響を与えないという点に留意しながら処置いたしたいと、こう思っております。
○馬場富君 今の農林大臣の説明によりますと、日本の養蚕農家やまじめに頑張っておる製糸工場等は大変心配しておるわけです。この事業団の多量の結局糸が一時的に放出されたり、そういうようなことが行われてきたならば、これは大変な価格暴落にもなりますし、あわせまして今まで農水省が養蚕農家やそういう蚕糸関係の対策として打ってきた手におきまして、減産をしながら輸入をふやし、そして価格を低下させてきたと、こういうあり方においてみんなもう農水省の手の打ち方については信用していません。そういう意味で、私はこれだけの対策だけで果たして完全に解決できますか、はっきりしてほしい。
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えします。 大変難しい問題の一つでございます。というのは、今先生がおっしゃったようなことでございますが、まず第一に国内生産をどうするかという問題、そういう形で輸入をどのように規制していくか。できるだけ縮減していく。そういう形の中で、事業団が抱えている在庫十七万俵余をどのように処分していくかという問題でございますが、実は昨年大蔵大臣の御決断によりまして、特別勘定を設けて赤字を整理資金で解決いたしました。今、先生がおっしゃいました四十五億弱のお金が一般会計から入ったということは、これは全くの異例のことで、大蔵大臣の決断だったわけです。そんなことで、基本的には先ほど言ったようなことでございますが、現在の糸価に影響を与えないような形で事業団の在庫を処分する、こういう方針を持っております。
○馬場富君 前回私はここで補正予算のときに中曽根総理にも質問しましたが、輸入のストップもあるいは減少もなかなか難しい、それから結局日本の生産状況をコントロールすることも難しい、そういうような状況でまず考えられるのは、結局販売ルートの開拓だけだとおっしゃっていましたね。総理自身がそうおっしゃっておる中で、私はそんな安易にこれだけの借財があれば解決しないと思うんですね。重ねてお聞きしますが、農林大臣自信を持ってこの法改正だけで完全に解決できすか。
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えいたしますが、実は基本的には総理が言ったようなことで、いかにして販路を拡大するかということでございます。ちょっと私恐綿ですが、私大臣になりまして実は絹の洋服を着ております。これは三割の混紡でございます。これで約三百ぐらい使っているというようなことでございまして、そんなことで、どうして売るかという問題の中に、一つは価格が高いという点がある。例えば絹のワイシャツにいたしましても、下着にいたしましてもそうでございます。そんなことで、どうしてこの価格を下げるかというようなことで、実は主産地経費をどうするかという問題があるわけでございます。そんなことで、養蚕農家の方も合理化に努力してもらいたい。そしてできるだけ価格を下げる努力をしてもらいたい。そういう形の中でどうして売るかということにつきましては、もう皆さん挙げてお願いしたい。 特に私が残念に思いますのは、養蚕農家の方あるいは養蚕地の県の方々が私に陳情にお見えになりますが、ほとんど絹製品を着ておりませんね。これは非常に残念なことだと思う。そんなことで私は農林水産業約八百万ございますが、家族入れて二千五百万、一致団結して絹を守るという立場でぜひ使用をお願いする、そういう形でいけば必ず解決し得ると、このように考えております。
○馬場富君 その答弁では私は日本の養蚕農家や製糸業者を代表いたしましても納得できません。 そこで、ここで私はその解決策の一つとして、まだ今政府が法改正をする以外に、法改正が悪いというのじゃないんです。法改正をする以外に、もっともっとやはり今までのあり方について考えなければならぬ何点かを指摘します。 最初に、前回も私はここで補正予算のときに、くず繭と称して正繭を密輸しているという点を指摘しました。その後、関税当局の活躍で、市場関係へ流入が一時ストップしてきておりますが、大蔵省、その摘発状況とあわせまして、五十六年度からのくず繭輸入量についてここで御説明願いたいと思います。
○政府委員(矢澤富太郎君) お答え申し上げます。 繭につきましては、良繭にくず繭を混入いたしまして、くず繭として輸入しようとする例がございます。現在税関においては厳しいチェックを行っているところでございます。さきに五十八年三月、当委員会において委員から御指摘されたこともございまして、関税分類を一段と厳しくするというような措置もとっておりますし、今お話がございましたように、本年二月における委員の御指摘もございまして、これを踏まえて、私どもといたしましても各税関に対して十分その趣旨を徹底さしているところでございます。 お尋ねの最近の非違事例でございますが、昭和五十八年に八件ございました。五十九年に四件でございます。本年に入りましても一月に二件、二月に三件ということで、まだ依然としてそういった非違が絶えないということでございますので、私どもといたしましては、さらに厳重に検査をして対応をしていく必要があろうかと思っております。 それから昭和五十六年以降のくず繭の輸入量でございますが、昭和五十六年が千二百三十トン、昭和五十七年が三千四百七十七トン、昭和五十八年が二千三百五十一トン、昭和五十九年が二千七トン、本年に入りまして一月二百十五トン、二月百八十二トンというような実績になっております。
○馬場富君 今説明されましたように、今摘発を受けたものは私は氷山の一角であると思います。私どもの調査では、日本の市場に出回っているもののほんの一部にすぎない。その点の調査の状況は関税当局どうでございますか。
○政府委員(矢澤富太郎君) お答え申し上げます。 非違の事例からいたしまして、このくず繭の輸入は非常に問題の多いものでございますので、私どもとしては重点検査対象として、例えばサンプル調査の率を上げるとか、あるいは良繭が入っている場合で、良繭はこれは滅却をさせて、くず繭だけを通関させるというような措置をとっておりますが、その場合には当然のことながら滅却の事実を税関職員立ち会いのもとで確認をするというようなこともいたしております。今後とも重点的にこのくず繭の輸入につきましては現物検査を徹底してまいりたいというふうに考えております。
○馬場富君 いや、私の尋ねておるのは、その調査され摘発されたのは、全部を調査されたのか、一部の抜き取り調査であるか説明していただきたい。
○政府委員(矢澤富太郎君) 税関にも人員の限りがございますもので、私どもといたしましては標準的なサンプルを抽出した上で良繭が含まれているかいないかチェックをいたしているのが実情でございます。
○馬場富君 だから、ここで私は問題なのは、そういう密輸してくず繭と称していい繭が入ってきた。それで日本の製糸工場で引けばこれは結局日本の糸になります。そのために、これが余れば事業団の買い入れになってまいります。そういうことで、これを取り締まらなければいつまでたったって、私は幾ら行政改革をやると言ったって始まらないと。そういう点でこのやみ繭の輸入は大いにやはり事業団の経営に悪影響を及ぼしておる現状から見まして、この際やはり人員等に今問題があると言っておりましたけれども、そういう点も配慮して真の行革のために徹底的な調査摘発を行って、これはやはり本当に根絶するという手を打たなければ、いつまでたったって私は直らないと思いますが、大蔵大臣いかがでございましょう。
○政府委員(矢澤富太郎君) 定員の確保につきましては私どもとしても日ごろ努力をいたしているところでございますが、国全体が厳しい行財政改革を進めているもとでございますので、その増員につきまして限界があることも事実でございます。したがいまして、私どもといたしましては限られた定員の範囲内において事務の重点化あるいは機械化を図るというようなことによりまして、そのもって生まれた余力で、ただいま御指摘のあったようなくず繭等の検査につきましてはさらに厳格な調査をしていきたいというふうに考えております。
○馬場富君 農水大臣も今のことをよく御理解いただきたいと思います。そして幾らあなたが手を打たれたとしても、ざるに水でございます。裏からこういう形で入ってくればどうしようもありません。五十六年から五十九年までに日本に輸入されたくず繭だけでももう何千トンとございます。この点農林大臣どのようにお考えですか。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。 外国産の繭というのは一般的に品質が非常に悪く、その多くは事業団買い入れの対象になっておりません。普通すそ物と言われております。そんなことで、我が省としてはくず繭の輸入動向と、それから国内の使用状況について注意を払っており、今後その一層の防止のため、製糸業界等に対する適切な指導あるいは先ほど関税局長おっしゃいましたが、税関等関係当局とも一層の連携の確保を図ってその防止に努めたいと、このように考えております。
○国務大臣(竹下登君) 具体的なこの問題詳しくなかったものでございますから、まず関税局長からお答えをいたしましたが、問題の所在、私なりに整理をいたしてみますと、いわゆる税関の水際におけるチェック機能が重要である。これが万全に果たせていないではないか、それにつきましては、機械化とか、効率化とか、あるいは基本的には定員の確保とか、そういうことが重大な私どもに課せられた責務であるという観点から、御要請に答えるような引き続いての努力はしなければなぬ課題だという問題意識だけははっきりいたしました。
○馬場富君 農水大臣、先ほどの答弁では私は理解ができませんが、日本の繭というのは非常に織度がいいことはあなた本職だからよくわかると思います。輸入繭というのはうんと質が悪いんです。だから、これは輸入繭だけで糸を引くならば絶対に事業団の検査に通らないから大丈夫なんです。ところが、日本の繭に外国産の繭をまぜて引いて事業団に通すという、そういう事実が業者の間で公然と言われておるんです。この問題についてどう思いますか。
○政府委員(関谷俊作君) 事業団の買い入れ対象につきましては、国産生糸ということになっておりますので、先生御質問のとおり、外国産繭をいわば混合しましてつくったものも合格をすると、こういうようなことになるわけでございます。ただ、私ども事業団の買い入れ対象生糸につきましては買い入れ基準というものを決めておりまして、これを厳格に適用しまして、生糸検査に合格しましたものの中でも大体七割程度ということになりますけれども、検査合格品の中のまた一部分ということでかなり品質基準を厳しく適用しておりますが、こういう点の厳格な適用によりまして、御指摘のような事態についてはできる限り防止をするということで、この制度の運用に支障のないよう対処してまいりたいと考えております。
○馬場富君 農水大臣、先ほどあなたは外国繭は悪いから通らないからいいとおっしゃいましたが、まざって入ってきた場合に仕分けがつかない場合にどうするか、お答え願いたい。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。 私は外国産とまぜてできた生糸につきまして、もしそれがわかれば、事業団買い入れはストップしたいと思います。
○馬場富君 じゃ、次に、事業団はどのようなときに業者から糸を買っておるのかお尋ねいたします。
○政府委員(関谷俊作君) 買い入れになる場合でございますが、これは繭糸仙格安定制度の趣旨から、安定価格帯というのを設けておりますので、現在の改正前の制度でございますと基準市価の少し下に決まっております中間買い入れ価格で買い入れることになっておりまして、市価が基準市価を下回る場合に製糸業者の申し込みに応じ買い入れが行われることになっておるわけでございます。 なお、その前の問題恐縮でございますが、外国産繭の混合しました生糸につきましても事業団の買い入れ基準に適合するものがありますれば、一般的にはそういうものは私どもないと考えておりますが、買い入れ基準に適合するということになりますと制度上は買い入れざるを得ないと、こういうような関係になっておるわけでございます。
○馬場富君 じゃ、事業団が糸を買い取ることのできる業者の資格というのはどうなんですか。
○政府委員(関谷俊作君) 事業団の買い入れ対象は法律によって決まっておりまして、繭糸価格安定法、現在の条文で第十二条の四におきまして、事業団への出資者であります製糸業者、それから第二としまして出資者たる製糸業者が直接または間接の構成員となっている商工組合等の団体、こういうふうに定められております。
○馬場富君 事業団が業者から買い取る糸の量の枠はどのようにして決められておりますか。
○政府委員(関谷俊作君) 買い入れる生糸の枠でございますが、これは総体全体の枠につきましては、繭糸価格安定法施行令におきまして一事業年度三万俵と定められております。これは従来時によりこの総体の数量をいわば上乗せしたこともございますが、総体数量はそういうことでございますが、製糸業者別にどういうふうにしているかということにつきましては、実は法令にはその買い入れ枠のいわば割り当て的なことについて特別の定めはないわけでございますが、事業団の先ほど申し上げました買い入れ対象者の資格の規定の趣旨等を体しまして、製糸団体別、これは日本器械製糸工業組合、日本生糸販売農協連合会、それから全国国用器械製糸工業組合連合会、全国器械玉糸工業組合と、四団体がございますが、法律が出資者またはその出資者の構成する団体といっておりますので、出資割合を基準として買い入れ数量枠をただいま申し上げました四団体に出しております。 なお、業者別にはどうなっているかということでございますが、これはそれぞれの今申し上げました団体が団体内部で割り当ての範囲内で業者別の数量を配分をしているということでございますが、これは団体内部の自主的措置ということでございます。
○馬場富君 今説明されたのは、いわゆる農水省の筋書きであると私は理解しております。私どもの調査によれば、次のような事実がございますので、以下、何点かこの問題について指摘いたします。 まず最初に、買い入れの状況でございますが、事業団の五十七年、五十八年、五十九年、六十年度、これまでの各業者別の生産実績と納入実績並びに出資比率とその枠量について説明していただきたい。
○政府委員(関谷俊作君) まず、業者別の資料の中の第一点の出資比率でございますが、これは出資額によって決まっておりまして、これは業者数かなり多いものですから、資料として御提出申し上げまして、業者別の資料はそれによって明らかになるわけでございます。 次に、生産数量等でございますが、これは法律に基づきます調査規則によりまして、業者の協力によりいわゆる業務統計として調査しておりますが、実はこの調査の趣旨としまして、統計目的以外に公表しない、ほかには使わないということを言っておりますので、この関係の業者別の数量については御答弁を差し控えさせていただきたいと思います。 さらに、買い入れ数量でございますが、これは繭糸価格安定制度のもとで余剰生糸を市場から買い入れますので、実は事業団の在庫内容が業者別に明らかになるというようなことによって、今後の安定制度の運営上の支障がございますので、個個の業者別の資料については公表というか、申し上げられないわけでございますが、ただ、御指摘の趣旨のような、大体どういう動向であるかと、こういう点につきましては、この買い入れの実績の調査をいたしまして、先生の方にまた関係資料について御説明申し上げたい、かように存じております。
○馬場富君 私は、この場で説明していただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) これは、実は、特に問題になるのは買い入れ数量でございますが、これはただいま申し上げましたように、事業団が買い入れまして、これが在庫となっておりますので、在庫のこれからの放出という点を考えますと、どういう業者にどのくらいのものがあるかということを名前入りで出しますことについては、なかなか安定制度の運営上大変苦しい事態になりますので、こういう点から、全体の動向等につきましては、大体どんな動向にあるかという点については、調査の上資料によりまして御説明申し上げたい、このように考えております。 〔理事梶木又三君退席、委員長着席〕
○馬場富君 では、今即答ができなければ、この予算委員会中に、今私の質問しました何点かにつきまして資料をもって提出願いたいと思いますが、いかがですか。
○政府委員(関谷俊作君) 先ほどの三点の資料のうちの業者別出資額、これにつきましては、先ほど申し述べたように御提出いたします。 それから、製造数量につきましては、この調査の性格からいたしまして、統計目的でございますので、公表は差し控えさせていただきたいと思います。 買い入れ数量については、実は先ほど申し上げましたような事情で、業者名入りの資料については御勘弁いただきたいわけでございますが、ただ、全体としてどんな大どころの業者があるかというような、まあ名前を入れません重立ったところの買い入れ実績については、例えば五十七年から五十九年度、三年間程度について調査をしまして御提出したい、かように考えております。
○馬場富君 つけ加えまして、全業者でなくてもいいから、今何社かを指定するとおっしゃいましたが、生産実績もあわせて、その程度なら農林省はつかめると思いますから、提出願いたいと思います。
○政府委員(関谷俊作君) 個別の業者の名前の入りました生産数量につきましては、これは一般に商工業の統計などでも、個々の業者の個別の生産数量等が明らかになる場合には、統計を集めました目的から公表していないというような実態でございますので、この点につきましては、調査の性格から御理解をいただきたいと思います。
○馬場富君 もう時間がございませんので、今の資料は提出していただきたいと思います。私は、提出がありませんので、我々の調査の資料に基づいて質問を続けます。 五十八年度においては、実は数社の製糸会社においては、その会社の生産量の五割以上、多い会社に至っては七割以上も事業団に納入しておる会社がございます。まさに事業団に納入するために糸を引いておる製糸工場があるような事実がございます。また、納入額に至っては製糸協会の割り当て量の八倍あるいは二十四倍というふうな業者もある、こう言われておりますが、これはどうですか。
○政府委員(関谷俊作君) 事業団の業者別の買い入れ数量が、先ほど申し上げましたようなことで、一応団体の中での出資者比率に応じた団体内部の自主的な対応措置として枠が配分されているわけでございますが、その後の運営が、これは事業団の価格安定制度の性格から、買い入れということについては、先ほどの三万俵の範囲内では買い入れに応ずるという制度になっておりますので、結果的に、特に価格の低落時になりますと、簡単に言えば、需要者側から人気のない、余り引き取り手のないような関係の業者のものが事業団に比較的多く持ち込まれるということから、先ほどお尋ねの中にございましたような生産数量に対する相当の高い割合での売り渡しをしたり、あるいは出資比率から見ますとかなり大きい、こういうものが結果的に出ております。こういう問題については、実態的は安定制度の趣旨からはもちろんやむを得ないという面がございますけれども、ただ、品質の面から申しますと、確かに一つの問題になるわけでございます。
○馬場富君 ではここで、農水省が五十九年二月に一部製糸業者を呼んで事情聴取を行ったと聞きますが、その呼んだ業者名とその内容はどうであったでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) 五十九年二月の指導の趣旨でございますが、これは先ほども申し上げましたように、生糸需給が緩和しておりますので、ューザー方面から品質選別、そういうものが非常に厳しくなっております。また、クレーム処理に対しまして、需要者がそれを出しましたときになかなかそれに応じない、こういうふうなことになりますと、どうもそういうものが市中に滞留をするということで、このときの指導は、そういうような傾向がいわば業界の中の声としまして見られますような製糸業者に対して、需要に見合った生産規模とする、また需要者のニーズに合った、実利に結びついた品質の生糸の生産を行うようにという指導をいたしたわけでございます。 なお、この対象企業名については、実は個別に話し合いまして協力を求めたという趣旨でもございますので、この名前については答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○馬場富君 じゃ、名前は結構ですが、そういう行き過ぎた業者があったということは事実ですね。
○政府委員(関谷俊作君) 価格安定制度の趣旨から申しますと、市中にある在庫については、最低基準、品質基準に合致すれば買うわけでございますが、その結果としてこういう偏在がある、偏りがある、また事業団に対する非常に依存度が大きいものがある、これは事実としてありますので、これはまことに品質確保という面からすれば非常に望ましくない、よろしくない事態であるというふうに考えております。
○馬場富君 ここで大臣にお尋ねいたしますが、先日も私は保管倉庫を見に行ってまいりました。今指摘のように、保管倉庫の中には大変偏った業者の品物が多く保管されております。大臣はこの保管倉庫を見られたことがございますか。
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えいたしますが、私自身は直接見たことはありません。写真等による報告を受けた程度でございます。
○馬場富君 大臣、一度視察して、神戸、横浜の両倉庫の中にある業者が、特定業者が非常に多いということだけはよく認識していただきたいと思いますが、どうですか。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。きょう御指摘を受けた点につきましては一度私も、今、国会開会中でございますから、時間ができ次第一遍現地を見てみたいと思っております。
○馬場富君 次に、事業団の在庫の糸の質についてお尋ねいたします。 事業団が買い入れておる糸の検査はどのようにして行われておりますか。
○政府委員(関谷俊作君) 事業団の買い入れ糸の質の問題でございます。 生糸検査につきましては、蚕糸業法十六条に基づきまして、品位検査、重量検査等を行っているわけでございます。それの中で、事業団のいわば買い入れ対象にする糸、これにつきましては、ただいまでは一定の繊度、いわゆる太さに適合するもの、それから一定の品位に適合するものということで買い入れ基準を決めておりまして、それにより限定をしております。 最近の実績で申しますと、大体、検査数量の中ではおおむね七割程度のものがこの基準に合致するということになっておりまして、大体、いわゆる適品率、これは検査数量の検査結果からわかるわけでございますが、三万七百七十四俵、これは五十九年九—十一月の調査でございますが、そのうち事業団買い入れ対象となり得る品質規格を備えたものは二万二千六百三十俵、適品率七三・五%ということで、品質をチェックされたものを買い入れ対象としております。
○馬場富君 農水省が今年八月に生糸の検査基準を改正すると聞いておりますが、なぜでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) この問題は、実は、きょうお尋ねのあったような問題とも若干関連をするわけでございますが、先ほど申し上げましたように、非常に需要者方面の要求が厳しくなっている、そういう実態でございますので、この際、事業団の買い入れ基準も直そうということで、これは御承知のように生糸の取引所に上場されておりますので、そちらの、いわゆる受け渡し品の規格を直すということと両方あわせて実施をしようということで、今回におきましては、繊度範囲の変更、再繰切断、繊度最大偏差及び節点、そういうようなものの限度の引き上げを行う、また伸度成績の基準を新たに厳しくすると、こういうようなことでございます。 なお、新しい八月から適用されます買い入れ基準を現在の検査実績に適用してみますと、先ほど七割以上と申し上げましたが、この適格品割合が大体四割強はなるということで、現在の生産されたものからいたしますとかなり厳しくなるわけでございますが、反面、こういう買い入れ基準の改正に対応した、製糸業者にいわば品質のいいものをつくってもらう、これは将来に向かった効果を改正のねらいとして私ども考えているところでございます。
○馬場富君 だから、先ほどから指摘したように、やはりこの改正も、一つは今までの基準が甘かったということも言えると私は思うんです。 そこで、私たちがずっと調査して回りますと、糸を使う機屋さんでは、事業団の在庫の糸には糸の質の悪いものが多いと、そういう点で買えないものがあると、このようにも言われておりますが、このような在庫が多い状況で、今後二千二百億円の借入金や、あるいは十七万俵の行方が大変まじめな関係者からは心配されておりますが、この点はどうでしょうか。
○政府委員(関谷俊作君) これまでの在庫として買い入れたものは従来の基準で買い入れておりますが、その中に、いろいろ従来のことから見ますと多少品質面で懸念のあるものがあるのではないかということは私どもも大変気にしておる点でございます。ただこれは、いわゆる買い入れ時点における一定の品質規格を備えたものとして検査で合格しておりますので、いわゆる粗悪品ではございませんけれども、これらの売り渡しにつきましては、用途の面でそれなりの向いたような用途に向けていくというような、売り渡し面での多少きめの細かい配慮も必要であろうかと思っておりますが、いずれにしましても、この膨大な在庫、それから多額の借入金の今後の処理につきましては、今持っておりますものの売り渡しにつきましては、今後、品質面についても十分気を配りまして対応してまいりたいと考えております。
○馬場富君 これは会計検査院にお伺いいたしますが、これまでの質問で明らかなように、事業団の経営のあり方については先ほど指摘がございました。また、今何点かの問題点を私は指摘しておきました。こういう関係業者ばかりでなく、多くの国民からこの点について、事業団の問題については大変大きい疑問が投げかけられております。そういう点では、検査をして、健全化を図るためにも私は検査院がぜひこれを調査すべきであると思いますが、いかがでしょうか。
○説明員(磯田晋君) ただいま種々御指摘の点がございましたが、その点を十分念頭に置いて今後の検査に取り組んでまいりたいと考えます。
○馬場富君 私はここで最後に、事業団を含む蚕糸行政の改革については、ただ単に、総理の言われたように消費者を拡大すればいいということと、それから農水大臣が言われたように法改正をすればいいと、こう言うだけでは済まぬと思います。今、皆さんお聞きのような指摘の何点かがございます。くず繭の密輸の問題あるいは事業団の買い入れの量、質を正常化させるとともに、事業団が在庫の調整ができるまで、今繭あるいは生糸、製品等で十万俵余も輸入されておりますけれども、こういう調整等も行いながら私はまじめな養蚕家や製糸業者を守らなければならぬと思いますが、農水大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えいたします。 先ほど聞いておりまして、実は私初めてのことが随分多かったわけですが、在庫の質、これは局長が答弁したようなことでございますが、ことしの八月に買い入れ基準を変えて、いいものを買うということでございます。それからまた、くず繭、特に外国産の悪い繭が入ってきて国産として糸を引いたものがあると。これにつきましては、実は局長は、一定の基準に合えば買い入れざるを得ないということですが、もし、これはできればそれを変えまして私は買い入れをストップしたいと、こう思っています。そんなことを含めて、それから会計検査院の指摘も含めて、ひとつ最大限の努力をいたしたいと思っています。
○馬場富君 行革担当の総務長官も今いろいろ何点かの指摘を聞かれたと思いますが、事業団の行政改革については相当やはり突っ込んだ考え方を持って根底的に改革しなければ、私は四Kになってしまうと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(後藤田正晴君) まず、今国会に御提案申しておる法律案をぜひ成立させていただき、その後も、実態をよく踏まえながら御趣旨の線に沿って改善措置を講じてまいりたいと、かように思います。
○馬場富君 次は外交問題に移りますが、日ソ関係で、さきにチェルネンコ書記長の葬儀に出席した際、十二年ぶりに日ソ首脳会談が開かれたわけですが、日ソ関係について二、三点お伺いいたします。 最初に、グロムイコ外相の訪日についてゴルバチョフ書記長は肯定的に対処したいと明らかにしたというが、外務大臣は、今年中の実現を目指すつもりでいるのかどうか、見通し、具体的な方針をお伺いいたします。
○国務大臣(安倍晋太郎君) グロムイコさんの訪日の問題ということでありますが、首脳会談でゴルバチョフ書記長から中曽根総理に対しまして、グロムイコさんの訪日を肯定的に考えるということでございまして、その前後のいきさつからゴルバチョフさんもグロムイコさんの訪日について十分な理解を示したと、こういうことであろうと思います。 グロムイコさんの訪日につきましては、私も昨年の国連総会の際にグロムイコ外相と会いまして、今度はグロムイコさんが訪日する番であるということを申し上げまして、これに対してグロムイコさんも訪日が私の番ですということを言っておりまして、その後の日ソ間のいろいろと対話の中でグロムイコ訪日というのがだんだんと可能性を帯びてきた、そういう中でのソ連の最高首脳の発言でございますから可能性は十分出てきておると思っております。モスクワの大使館に指示をいたしまして、今外交ルートでその時期等につきまして詰めようということでやっておるところであます。
○馬場富君 今年中の実現を目指しているかどうかということがあったんですよ。
○国務大臣(安倍晋太郎君) せっかくですからことし中に来てもらいたいものだと思っておりますが、これは相手の事情もあるわけでございますから、その辺はこれからの外交ルートを通じての折衝ではっきりしたい、こういうふうに思っております。
○馬場富君 もう一つ、第二点はゴルバチョフ書記長が中曽根内閣の防衛政策に疑念を示したというが、この件に関する事実関係はどうか。またソ連側の疑念をどのように受けとめているのかお尋ねいたします。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 首脳会談におきまして中曽根総理から日本の防衛政策の基本についての説明がありました。日本の防衛の基本が専守防衛である、また日本は非核三原則を守っていくのだ、あくまでも日本は最小限度の防衛力であって外国に対して攻撃的なものではないと、こういう説明がありまして、これに対してゴルバチョフ氏から、日本の最近の様子を見ておるとどうもNATOと接近している、NATOのいわば戦略に組み込まれておるのじゃないかというふうな疑念を表明されました。同時にまた、日本の非核三原則について疑問が提示されまして、核の問題についても沖縄に核があるという情報がある。あるいはまた日本の港湾に核積載艦が入港しておるのではないかと、こういうことでございまして、これはかねてからソ連がずっと言い続けておることをゴルバチョフ書記長もこれを繰り返して述べたということでございます。
○馬場富君 次に外務大臣にお伺いいたしますが、ソ連は戦争不可避論をとっているとお考えですかどうですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) ソ連の公式の立場としては、第二十二回党大会で採択されました現行のソ連邦共産党綱領は、「党は、帝国主義が存続する限り侵略戦争の危険は残るであろうということから出発している。」という旨述べておりますが、一九七七年に施行されました現行のソ連憲法には新しく「社会主義祖国の防衛」と題する第五章が設けられ、祖国防衛は国家の最重要の任務に属し、全人民の事業である旨を規定いたしております。また、最近のソ連国防相や参謀総長の著作、演説等におきましても、帝国主義が存在する限り戦争の危険が回避されない趣旨のことが述べられております。これらを総合すると、防衛白書に述べられておるとおり「帝国主義が存在する限り戦争の危険は回避されない」、こういう認識がソ連の国防政策の基本としてうたわれておることは事実であろうと、こういうふうに思います。
○馬場富君 毎年の日本の防衛白書では、ソ連は、帝国主義が存在する限り戦争の危険は回避されないとの認識で軍事力の増強を最優先課題の一つとしてきたと述べておられますが、これはイデオロギー的な問題なのか、それとも戦略防衛上の認識なのか、防衛庁長官。
○政府委員(古川清君) お答え申し上げます。 何よりもまず、ソ連は共産党の国でございまして、したがってイデオロギーが国の政策の基本にあるわけでございますけれども、ただいま外務大臣から御答弁ございましたとおり、イデオロギーの基本というものは党の綱領というものがあるわけでございまして、現在の綱領は一九六一年、フルシチョフ時代の第二十二回党大会で全会一致で採択をされた綱領でございますけれども、その中に「党は、帝国主義が存続する限り侵略戦争の危険は残るであろうということから出発している。」と、戦争がある、あり得るということから出発をしておるということを極めて強くここで言っておるわけでございまして、これがイデオロギー的な基礎だと私どもは考えておるわけでございます。実際の戦略的な国の施策から申しましてもおおむねGNPの約一五%というのが西側の通説でございますが、これだけの資源というもの、国家資源というものを軍事力に振り向けておる、しかも一九六〇年代から一貫してこの軍事努力を続けておりまして、デタントの時代にも、アメリカが国防費を減少させた時代におきましても国防費を全然減少させないで今日まで来た、こういうことからイデオロギー面におきましても、あるいは戦略面におきましても国防力を最重要の問題として取り扱っていると考えている次第でございます。
○馬場富君 ソ連はイデオロギー的に戦争の不可避論をとっているとは言いがたいという意見もございます。 昨年九月、国連総会でのグロムイコ外相の演説では、我々の信念によれば国際情勢の発展における不安な傾斜を正し、軍拡競争を停止し、下降線をたどらせ、戦争の脅威を減らし、次いで完全に排除することは可能であると述べておりますが、これも一つの論拠ではないかと考えますが、外務大臣いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 確かにグロムイコ外相はそのように述べております。しかし、これはソ連としての最近の考え方を申し述べたのじゃないか。マルクス・レーニン主義の立場からいえば、いわゆる帝国主義が存続する限り戦争は不可避である、こういうことでしょうが、しかし、その後フルシチョフの時代の平和共存路線というのがありましたし、その後の世界情勢の変化、あるいはソ連のイデオロギーの微妙な現実路線との調和といったものから、やはりソ連の今の考えは、帝国主義が続く限り戦争の起こる可能性はあるということはソ連としてはしばしば言っておるわけでございますが、しかし、いわゆる不可避論ということを今もその基本的な姿勢にしておるということについてはちょっとそうではないようにも思います。いわば今日までのソ連の路線というものを拝見すると、相当現実的な考え方にもなっておるのじゃないかと、私はそういうふうに見ております。
○馬場富君 外務大臣、やはり日ソ関係を改善しようとするならばそれなりの環境づくりは大切だと思います。そういう点で、レーガン大統領も対ソ認識は大変変わったようでございますけれども、やはり私はそういう点でこの防衛白書等の問題につきましてはよく考えた方がいいのではないかと、こう思いますが、外務大臣と防衛庁長官のもう一度見解をお尋ねいたします。
○国務大臣(加藤紘一君) ソ連の外交政策の基本とその防衛政策の基本がどういうことであるか。それは表明された言葉と、それからその実際の意図はどういうところにあるのかというのは実は非常に難しい課題であろうと思います。しかし、私たちとしてはソ連の方が党の綱領に明確に述べていることはやはりその党の政策を明確に示しているものではないか、そんなふうに考えております。 御指摘の点につきましては、私たちもこれから研究し、また日本の防衛政策を担当する立場としては当然いつでも研究してなければならないテーマであろうと思いますが、現在のところは防衛白書の私たちの記述はソ連の文書もあることでもあり、正しい記述であろうと思っております。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今防衛庁長官の申されたとおりであろうと思います。いわゆる戦争不可避論ということではなくて、帝国主義の存続する限りは戦争の可能性はあるということでありますから、これは率直にソ連の基本的な考え方を防衛白書に述べたということであろうと思います。
○馬場富君 次に、防衛の五九中業関係について質問いたします。 五九中期業務見積りが現在その策定のための作業が行われておると思いますが、防衛庁長官はいつごろまでに作成されるつもりでございますか。
○国務大臣(加藤紘一君) 中期業務計画は防衛庁内部の資料でございまして、各年度におきます防衛関係費の概算要求の基準、そのめどとなるものでございます。今度の五九中業というのは六十一年から六十五年度までの期間を対象にいたしますから、やはりこの夏の概算要求のときまでには作業を終えておかなければならないのではないか。そして、その後夏ごろに国防会議の議を経たいというような気持ちで今鋭意作業を急いでいるところでございます。
○馬場富君 この五九中業は防衛大綱水準の達成ということが前提になっているのかどうか。
○国務大臣(加藤紘一君) 昨年五月栗原前防衛庁長官が指示を出しまして、五九中業の策定に際しては防衛計画の大綱の達成を期する、そういう基準をもって作業を進めるようにということを指示いたしておりますので、大綱の水準の達成を期するということは事実でございます。
○馬場富君 航空自衛隊の森幕僚長はこの五九中業に空中給油機導入の希望を表明しておりますが、防衛庁長官は空中給油機の導入に対してどのようなお考えを持ってみえますか。
○政府委員(矢崎新二君) お答え申し上げます。 五九中業につきましては現在まだ防衛庁内で種種検討を行っている段階でございまして、具体的にどういった事業が計上されるかといったようなことについて確定的なことを申し上げられる段階にはございません。 なお、御指摘の空中給油機についてどういうふうに考えているかということについて補足的に中業の問題と別に申し上げますと、これは前々から申し上げておりますが、近時の航空技術の進歩には大変顕著なものがございまして、従来に比べて低高度進入能力でございますとか、高高度の高速進入能力が大変向上してきているということがございます。したがいまして、空中給油の機能を活用するようになりますと、これらに対して空中警戒待機をする時間が延伸できる、延ばせるというような利点がございます。そこで、こういった低高度進入とか高高度高速進入に対してより迅速に対応することができるということになろうかと思っております。 それからまた洋上防空の問題を考えましても、航空自衛隊の戦闘機は我が国周辺の空域で可能な範囲内で防空作戦も行うということを考えておるわけでございますから、そういった面でも一段と効果的になるのではないかなと、そういった認識は持っておるわけでございます。こういった点も踏まえまして空中給油機について研究をしていることは事実でございます。しかしながらその導入ということになりますと、運用構想でありますとか、あるいは後方支援体制をどうするかといったような検討を要する問題が多々ございまして、いまだ結論は得ていないというのが現状でございます。
○馬場富君 次に、やはり五九中業中で焦点となっております支援戦闘機F1の後続機である次期支援戦闘機のFSXの選定については基本的にはどのようにお考えですか。
○政府委員(矢崎新二君) 現在、航空自衛隊が持っております支援戦闘機の機種はF1型機でございます。このF1型機がいつごろまで使えるかということがかねて懸案になっておりまして、そういった点をはっきりさせるために昭和五十七年から五十九年にかけまして疲労状況等の調査を実施してきたわけでございます。その結果がまとまりまして、このF1型機の耐用年数は従来三千五百時間だということで仮に置いておりましたのが、四千五十時間まで延長することができるという結論を得た次第でございます。 こういうことによりましてこのF1の後継機の取得を要する時期というものが若干延びることになったわけで、約十年のリードタイムが生ずるというような状況に現在なったわけでございます。そういうことを背景に考えますと、F1の後継機につきましては外国機の導入という考え方だけではなくて、国産開発の可能性もあり得る、そういうことも検討の対象になり得るという判断ができるようになったわけでございます。 こういったような観点から、防衛庁といたしましてはまだ具体的な機種選定の作業に入っておりませんが、その機種選定を行う前段階の一種の検討作業といたしまして、果たして国産開発が技術的に可能であるかどうかという点の検討を現在始めているところでございます。ただ、これはあくまでも国産が可能かどうかという検討でございますから、F1の後継機を国産開発に絞ったというようなことは全くございません。 いずれにいたしましても、今後具体的な機種選定を行う場合にはいろいろな選択肢があるわけでございますから、外国機の導入案あるいは国産開発案、種々の構想があり得るわけでございますので、そういったような選択肢を幅広く公正かつ慎重に検討をして詰めていく所存でございます。
○馬場富君 次に、国産通信衛星のCS3が打ち上げられる予定になっておりますが、現在の「さくら」二号よりもかなり精度がよいということで、五九中業中で本格的に利用したいという考えがあるようですが、この点はどうでしょう。
○政府委員(山田勝久君) 先生おっしゃいましたようにCS3は現在昭和六十三年に打ち上げの予定で作業が進められると聞いております。その容量は現在のCS2の約五割増しと聞いているわけでございます。しかし五九中業の各種事業につきまして、防衛局長も答弁いたしましたように現在庁内で検討を行っている段階でございまして、具体的に計上される事業につきまして申し上げる段階ではございません。しかし防衛庁といたしまして必要な通信体制を向上させるという観点の検討は現在行っているところでございます。 特に現在のアナログ通信というものからディジタル通信への技術変化がございます。これによりまして従来よりも同じ回線で高速、大容量あるいは多様な情報を同時に送れるなどのメリットがございます。この要素といたしまして、超LSIあるいは光通信、あるいはディジタル化技術とともに通信衛星の利用というものが有効ではないか、こういうふうに考えておりますので、その利用あるいはあり方につきまして現在庁内で検討を行っているところでございます。
○馬場富君 これは防衛庁が、一般化して汎用性を持った衛星は自衛隊も利用できるということは、四十四年の国会決議等に対して問題があるのではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(加藤紘一君) 国会決議とそれから衛星を自衛隊がどこまで利用し得るかという問題は衆議院段階でも大分御議論いただきました。私たちといたしましては国会決議の有権的な解釈は立法府にあるというふうに思っておりますが、行政を進めていく際に私たちなりの解釈を持ちながら進めてまいって御理解いただきたいと、こう思ったわけでございますが、私たちとしては一般に殺傷力、破壊力を持つそういう衛星は国会決議との関係で自衛隊が使うことは許されないであろう。しかし、ごく一般に使われております汎用性のある、一般社会でも使われております段階になりました衛星というものを自衛隊が使うことは許されるのではないか、また一般化してないものはその使用が制約されるのではないか、そのような基準を持ちながら考えていきたいと、こう考えております。しかしいずれにいたしましても、一つ一つ慎重にやりながら、国会決議の趣旨を十分考えながら対処してまいりたい、こう考えておりますので御理解をいただければと、こう考えておる次第でございます。
○馬場富君 次に、安保と核の問題についてお尋ねいたします。 ニュージーランド政府が核を積むことのできるアメリカ艦船の寄港を拒否しました。それで、これは非核三原則を持つ日本としても大変関心のあるところでございますが、核の有無を明らかにしないのはアメリカの政策であり、安保の事前協議がない限り日本への持ち込みはないという政府の見解は極めて疑問であります。 そこで私は、法制局長官にお伺いしたいのは、我が国が国会で核兵器の持ち込みの疑惑のある船の入港は認めないということを内容とする立法措置について、これを立法することが安保条約とは矛盾するものではないかどうかという点と、あるいは日米安保条約違反でできないことなのかどうかということをお尋ねいたします。
○政府委員(茂串俊君) お答えいたします。 申し上げるまでもなく、我が国への核兵器の持ち込みは非核三原則の一つとして一切禁止されているところでありまして、日米安保条約及び関連取り決めに基づいて、米国側から我が国への核兵器の持ち込みについて事前協議が行われた場合におきましても、政府としては常にこれを拒否する所存であるということを繰り返し申し述べていることは御承知のとおりでございます。このように核兵器の持ち込み禁止を含む非核三原則につきましては政府において堅持するという立場をとっているのでありますが、他方、国会におきましても決議が行われておるわけでありまして、内外に広く周知されているわけでありますし、また実際にも遵守されているところでもありますので、政府としましてはこれを立法化する必要はないという見解を繰り返し答弁しておるところでございます。 それはそれといたしまして、米軍艦船の我が国の港への入港は、日米安保条約第六条及び地位協定第五条に基づき、一般的に条約上の権利として認められているのでありますから、米国政府より事前協議がないのに核兵器を搭載している疑いがあるという理由で米軍艦船の入港を拒否することはできないのではないかというふうに考えております。
○馬場富君 核持ち込みの疑惑の艦船の寄港を認めないという内容の立法は、日米安保条約の運用、権利義務関係には何ら支障はないと思いますが、もしあるとすればどういう点なのか説明されたい。
○政府委員(茂串俊君) ただいま申し上げましたとおり、政府としては御指摘のような立法化の必要はないと考えているのでありますが、いずれにせよ先ほど申し上げました意味におきまして、米軍政府より事前協議がないのに核兵器を搭載している疑いがあるという理由で米軍艦船の入港を拒否するということはできないと解されますので、したがってまた、安保条約の運用、権利義務関係に支障が生じないということは到底言えないと考えております。
○馬場富君 次の質問に移りますが、次はきょう本会議でも問題になりました退職者医療制度が大変地方自治体で問題になっておりますので、この点を質問いたします。 まず最初に、ここで昨年十月の健康保険法改正は合わせてスタートした退職者医療制度についてお尋ねいたします。初めに退職者医療制度の創設の目的と意義、きょうまでの経過を説明していただきたいと思います。
○政府委員(幸田正孝君) お答えを申し上げます。 被用者のOBでございますサラリーマンOBにつきましては、高齢になりますと医療の必要性が高まりますのに退職後の給付水準が国民健康保険に入りますために下がると、こういう矛盾があるわけでございます。昨年、健康保険法の改正で制定さしていただきました退職者医療制度はこういった不合理を是正をいたしたものでございまして、退職者につきまして給付率を八割に引き上げるということとともに、こういった方々の医療費につきましては被用者保険全体で負担をする、こういうことにいたしたものでございます。 退職者医療制度の必要性につきましては昭和四十年代からいろいろと御論議がございまして、私どもの社会保険審議会等におきましてもいろいろな指摘がございました。また国会におかれましても老人保健法の制定の際に附帯決議等でその創設を急ぐべきであると、こういう御指摘があったのでございます。こういった御指摘を踏まえまして、私ども制度の基本的な性格、対象者の範囲等につきまして先ほど申し上げましたような形で、特に医療保険制度間の給付と負担の公平を図る、こういう見地から制定をさしていただいたものでございます。
○馬場富君 退職者医療制度は五十九年八月七日の健保法の改正によりまして成立して、同五十九年十月一日から施行されたわけでございますが、その半年前、すなわち五十九年二月十三日に各都道府県に対しこの退職者医療制度に伴う留意事項を通知していますが、その内容を説明していただきたいと思います。
○政府委員(幸田正孝君) 御指摘の通知は、五十九年度予算案の閣議決定後に市町村に対しまして国民健康保険特別会計の予算の組み方等につきまして基本的な考え方を示したものでございます。 その中で、国庫補助金につきましては現在の医療費の四五%プラス臨時財政調整交付金から給付費の五〇%となりますので、全体として補助額は減少するということ、しかし退職者医療制度の創設によりまして被用者保険からの交付金が交付をされますことから、各市町村における徹底的な医療費適正化あるいは保険料の収納率向上等の諸対策を前提とすれば、全体として保険料の負担水準には変化はない、こういうことでございます。ただ、個々の市町村につきましては退職者数にばらつきがございますので、退職者医療制度の創設の影響はそれぞれ異なります。そういった問題につきましては、財政調整交付金の枠を拡大をいたしまして調整機能の強化を図りたい、こういうこと等を明らかにしたものでございます。
○馬場富君 そのときに、局長名で各都道府県知事へ通知の中で制度改革の三本柱が示されております。一つは医療費の適正化、二には保険給付金の見直し、三には制度の再編合理化による負担の公平化でございます。さらに、負担水準の上昇はないとはっきり通知している。そのところをひとつゆっくり読んでもう一遍説明をしていただきたいと思います。
○政府委員(幸田正孝君) 五十九年二月十三日の通知でございますが、今御指摘のところは、「今回の医療保険制度の改革は、医療費の適正化、保険給付の見直し、制度の再編合理化による負担の公平化の三本柱から成り立っているが、国保においては、医療費支出の徹底的な合理化を図るとともに、保険料の収納率の向上は最大限の努力を行うという前提に立って、保険料の負担水準は、従来見込まれる水準以上に上昇するものではないものとなっているものである。」と、こういうことでございます。
○馬場富君 まずここで問題になりますのは、制度改正後も負担に変化はないと明言されました根拠をお示しいただきたいと思います。
○政府委員(幸田正孝君) 昨年の制度改正におきましては、退職者が国民健康保険の被保険者総数の約一〇%に相当する四百六万人いるということを前提にいたしまして、これを先ほど申し上げました医療費適正化対策の効果等も勘案いたしまして、国庫補助制度の合理化を行ったものでございます。比較的高齢で医療費のかかる退職者、すなわちサラリーマンOBが国民健康保険から抜けますので、国民健康保険財政によい影響を与えると、こういうことで、そういう前提に立ちまして、これらの制度改正によっても保険料の負担水準の伸びは全体としては医療費の自然増による伸び率を上回るものではない、こういうことを見込んだものでございます。
○馬場富君 ここで実は問題が出てきたわけです。現実にはここに二つの問題点が生じております。一つは、退職者一〇%の確保というのは現在の各市町村では不可能に近い状況でございます。二つ目には、一〇%の退職移行者があっても財政負担は増加する、これが現実となってあらわれておりますが、この点はどうでしょうか。
○政府委員(幸田正孝君) 全国三千余の市町村でございますので、御指摘のとおり、一〇%以上の退職者が把握をされました市町村でも財政負担が増加をしているところがあろうかと思います。国民健康保険では、被保険者の老齢化の状況あるいは受診の状況、さらには高額な医療費がどの程度の頻度で発生をするかと、いろいろな状況の変化によりまして財政に及ぼす影響がさまざまでございますから、退職者の把握状況が高いところでも、特に町村のように比較的小集団のところでは御指摘のような事態が起こることもあり得るものと考えております。 なお、四百六万人の当初見込みに対しまして、現在把握をしておりますのは二百六十二万人でございまして、おおよそ三分の二程度にとどまっておりますけれども、私どもできる限り退職者の把握に努めるということで市町村の督励を行っております。と同時に、特に本年度新しく年金を受けられるお年寄りを対象に、おおよそ四十三万人の方がおられますけれども、そういった方を対象にいたしまして、現在さらに努力をしている最中でございます。
○馬場富君 将来のことをお話しになっていますが、私は今現場で各市町村が困り果てておる問題をお尋ねしておるのです。結局は四百万人見込んだのが二百六十万人しかなかったということでしょう。これまで私どもの調査によりますと、特に二つ目の一〇%が確保されても財政負担が増加するという事実は、私が住んでおります愛知県だけでもはっきりしているのです。例えば愛知県下に 八十八市町村のうち一〇%以上の退職移行者がいるのは四市町村だけでございます。その四市町村が全部数百万円から数千万円の負担増に悩んでおりますが、この点はどうでしょうか。
○政府委員(幸田正孝君) 先ほどお答えを申し上げましたとおり、町村によりましては非常に高齢化の状況あるいは受診の状況、さまざまなものがございますので、あるいはその中には一〇%以上、当初見込み以上の退職者数を把握いたしましても、財政的な好影響が少ないという町村は確かにあろうかと思うわけでございます。
○馬場富君 話をもとにもう一遍一戻しますが、この数字が五十九年二月、そして法改正が五十九年の八月七日、そしてその八月二十五日は厚生省保険局長名で各都道府県知事に対する通知の中で、退職者医療制度の創設に伴う財政影響があると触れている、そのところをもう一遍説明していただきたいと思います。
○政府委員(幸田正孝君) 昨年の八月、健康保険法の改正後に保険局長通知で申し述べておりますのは、退職者医療制度の創設に伴う財政影響につきまして、一つは、財政調整機能の拡充強化を図るために、財政調整交付金の総額を医療給付費の百分の十に拡大をしたこと。それから二番目に、保険者が収入支出面において適正化対策等を最大限に行うことを前提として財政調整を行うということ。それから三番目に、退職者医療制度の創設に伴う各保険者間の財政影響のバランスを是正するために、財政調整交付金の中で特別の調整措置を講ずることを明らかにいたしたものでございます。
○馬場富君 さらに同年の八月二十五日付の保険局国民健康保険課長名で各都道府県への通知の中で、この点については何と言っておりますか、読んでいただきたいと思います。
○政府委員(幸田正孝君) 御指摘の通知におきましては、退職者医療制度の創設及び国民健康保険の国庫補助制度の変更に伴う市町村国保財政への急激な影響を緩和するために、退職者医療制度の創設による財政負担の軽減と国庫補助制度の変更に伴う国庫補助の減少とを相殺をしたマイナスの財政影響分につきましては、経過的にその七割程度を調整交付金の中から特別調整交付金として交付することを明らかにいたしたものでございます。
○馬場富君 ここで大臣にお尋ねいたしますが、今私の質問をずっとお聞きになっておわかりと思いますが、これはちょっとおかしいじゃございませんか。法改正前の事前の説明では、局長名で負担の変化はないと明言されました。法改正とほぼ同時に財政影響がありますと通知されました。またそのすぐ直後に、負担の変化はあるけれども、その七割はこちらで持ちましょう、こういう通知を課長名で出されました。これはどうなっているんですか。
○国務大臣(増岡博之君) お答えいたします。 この退職者医療制度に伴いましての退職者の把握は、まだ現在進行中でございます。しかし、御指摘のように、一月現在での数字でございますから、これから相当な努力もしなければならないわけでございます。したがいまして、私どもは一応昭和六十年三月という区切りをつけておりますけれども、その後におきまして退職者が把握された分については、五十九年にさかのぼってその手当てをいたしますという姿勢でおるわけでございます。したがって、今後のそのような作業の推移を見なければならないと思うわけでございますけれども、先ほど局長が、退職者が満杯に把握されても云々というくだりは、そのほかの事情、国民健康保険は高齢者が多いわけでございますから、そのような観点からそのような原因で医療費がかさんで赤字がふえておるという説明を申したのだと思います。
○馬場富君 そこで、さらに追い打ちをかけるように、六十年一月二十三日は同課長通知で、五十九年度七割の交付金を六十年度今度は三分の一程度とし、さらに半減して翌六十一年についてはゼロとなるというような話が各市町村に伝わっておりますが、これをどう説明されますか。
○政府委員(幸田正孝君) 先ほど御答弁申し上げましたように、退職者特別調整交付金はいわば普通調整交付金の不交付団体を中心にいたしまして、国庫補助制度の変更に伴う激変緩和といいますか、そういった考え方で考えているものでございます。先生御案内のとおり、国民健康保険の調整交付金の総額は医療給付費の一〇%ということが法律で決められているわけでございまして、退職者特別調整交付金の交付をふやしますと、それだけ普通調整交付金の財源が下がる、こういう仕組みになっております。退職者医療制度の創設と国庫補助制度の変更によるマイナスの財政影響分のうちの一定割合を特別調整交付金で配分をするというのは、急激な財政影響を受ける団体を念頭に置いたものでございまして、徐々にその財政影響をならしていくということで、御指摘のとおり、五十九年度はマイナス分の三分の二、六十年度は三分の一を対象にいたして交付をいたしたいと思っているわけでございます。本来、調整交付金は市町村間の財政力格差を是正するということがそのねらいでございますから、できる限り特別調整交付金は解消いたしまして、早い機会に普通調整交付金に一本化をするのが筋ではないかと私どもは考えているわけでございます。
○馬場富君 私は、今いろいろ説明されましたけれども、現実に愛知県の場合だけでも、五十九年度には三十億円前後の赤字が出ます。六十年度は百数十億円の赤字になります。六十一年度は百五十億から二百億になるような調査が出ておりますが、これはどのように理解されますか。
○政府委員(幸田正孝君) 御指摘の愛知県の数字は、昨年の十一月現在で県が調査をしたものというふうに私ども承知をしておりますが、国全体としてはまだ把握をいたしておりません。厚生省といたしましては、今回の制度改正による影響を含めまして、できる限り早く市町村の財政状況を全国的に調査をいたしまして、その実態把握をすることといたしたいと考えておりまして、四月、明年度早々この調査に着手をする考えでございます。
○馬場富君 私どもの計算によりますと、このままの推移で計算すれば、日本全国で一体幾らぐらいの負担増になるかということを考えてみたときにびっくりしました。五十九年度が数百億円でございます、六十年度、六十一年度とすれば数千億円に及ぶという結果が私たちの計算から出ておりますが、これをどう御理解されますか。
○政府委員(幸田正孝君) 現在、私ども退職者数の完全な把握ということで鋭意努力を行っている最中でございます。この努力を積み重ねることによりまして国保財政への影響というものは相当に好転をするのではないか、こう考えておりますが、いずれにいたしましても、国保財政の状況がどういう状況になるか、五十九年度分につきまして早急に調査をいたしたいと考えておるわけでございます。
○馬場富君 私は、いろいろ今までの実情をよく局長も大臣も理解されたと思いますが、退職者医療制度の創設の意義を尊重しつつ早急に財政措置の再検討に私は入るべきだと思いますが、大臣いかがでございましょう。
○国務大臣(増岡博之君) ただいま局長が説明申し上げましたように、現在まだ対象者の把握に努めておるところでございます。しかし、その間一時的に国保財政の負担が増大するということはもちろんのことでございます。したがいまして、今後実態を十分に把握し、それを踏まえて安定的な運営に支障が生じないような方策を検討してまいりたいと思います。
○馬場富君 大臣に再度お尋ねをいたしますが、やはり市町村国保への影響を必要最小限度にとどめるべく対策を講ずるべきだと私は考えますが、いかがでございましょう。
○国務大臣(増岡博之君) 先ほど申し上げましたが、今後も市町村国保財政の実態を把握するとともに、自治省を初め関係省とも十分連絡をとりながら、市町村国保への影響を最小限にとどめるよ うな方向で適切な方策を鋭意検討してまいりたいと思います。
○馬場富君 ここで一言自治大臣にもお尋ねいたしますが、全国市町村からはどこでも陳情やそういう声が上がっております。その点自治大臣はどのようにこの負担増について対応されるつもりかお尋ねいたします。
○国務大臣(古屋亨君) 国庫補助制度の変更に当たりまして、退職者医療制度の適用者は四百六万人程度見込まれるものとしておりましたが、所管省の説明では。本年一月末現在で、先ほど申し述べましたように、二百六十二万人程度と見込みよりも少なくなっておる、これはもう先生御承知のとおりであります。適用者数の見込み違いによる国民健康保険に及ぼす影響は非常に大きいものが予想されまして、全国町村長会を初め、地方団体から国保財政の急激な悪化を懸念する向きが大きく出ておるのが現在の状況でございます。国保財政が健全かつ安定的に運営されることが自治省にとりまして最も重大な関心事でありますので、現在国民健康保険財政の状況について抽出調査をしているところでございます。退職者医療制度の創設等の制度改正によりまして、市町村国保の全体として大幅な保険料水準の引き上げを余儀なくされるような事態が生ずることがないよう所要の措置を講ぜられるべきものであると考えておりまして、健全な国保財政の運営が確保されるよう所管省と十分協議をしてまいりたいと思います。 自治省としては、国民健康保険事業は、本来保険料と国庫支出金で賄われるものでありまして、一般会計から国民健康保険事業会計の繰り出しにつきましては、一般住民を対象とする保険施設に係る経費を除きまして行うべきものではないということを、従来から一貫して地方団体に指導してきたところでございます。なお、今回の制度改正により、市町村国保全体として大幅な保険料水準が上昇する場合には、所管省の責任において所要の措置が講ぜられるべさものであると現在のところ考えておるわけでございます。
○馬場富君 最後に、中部の新国際空港建設について地元から強い要請が出されておりますが、当局はこの問題についていかに御理解されておりますか。
○政府委員(西村康雄君) 中部新国際空港の建設につきましては、地元の県、市あるいは経済団体からいろいろと要望を受けております。また、先ごろは中部新国際空港建設促進期成同盟が設立され、さらには地元選出の国会議員、超党派で構成されました中部新国際空港建設促進議員連盟が先般設立されまして、地元で非常に新国際空港の実現に向けて御努力されております。運輸省といたしましても、これらの問題について十分に皆様の御意見を承ってこれから対処していきたいと考えております。
○馬場富君 運輸大臣の御意見もお伺いしたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) ただいま政府委員から答弁申し上げましたとおりでございますけれども、今先生の御質問にはございませんでしたけれども、時間もないようでございますが、この問題について若干の私の所見を申し上げておきたいと思います。 こうやって盛り上がって、特にことしになりましてから今申し上げましたように、一月と三月と相次いでこういった期成会ができている。大変結構なことでございます。ただ、まだ現段階におきましては、これらの団体から調査費を計上しろという御意見もございますけれども、まだ率直に申し上げてそこまではいってない、現在まだ候補地等も決まっていないことでございます。しかしながら、経済団体からの陳情にもございますように、二十一世紀にかけてのビジョン、そのとおりでございまして、まだ現在の空港に余力はございますけれども、実際に新しい空港を建設するとなりますと、気象観測から、あるいは実施設計、そして着工開始後の一定期間、少なくとも十年以上かかるわけでございますから、今から御協力をいただきながらこれらの問題に取り組んでいくということは私は大変結構なことだと思っております。
○馬場富君 大臣、もう一言。地元のやはり整備環境が整えば早く前向きで検討する用意があるかどうか、その点をもう一点お願いします。
○国務大臣(山下徳夫君) その整い方でございますけれども、私ども、調査費を計上するような条件が整えばもちろんそのとおりにいたしたいと思っております。
○馬場富君 この間の陳情につきましては国土庁長官も立ち会われたと聞いておりますが、御見解をお尋ねいたします。
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 昨年十二月でございますが、国土審議会の中部圏開発整備特別委員会、この席でも地元から非常な要望がございました。長期的な観点から、地元の意見をやっぱり尊重して私は検討すべき時期に来ているのじゃないかという発言をいたしましたが、地元の先生方超党派で議員連盟をつくられまして、先生もメンバーに入っていただいておるようでありますが、前向きに努力しようということでございます。 今、運輸大臣の答弁されましたとおり、やはり二十一世紀に対する中部圏の国際空港はぜひ必要だという見解を持っております。
○委員長(長田裕二君) 以上で馬場君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(長田裕二君) 次に、安恒良一君の一般質疑を行います。安恒君。
○安恒良一君 最初に、ちょっと自治大臣にお伺いしたいんですが、きょう本会議で同僚議員から、最近の警察官ないし警察をやめた方の不祥事件について質問がありまして、総理が大変丁重に頭を下げ、わびられておったんですが、国家公安委員長である自治大臣から何か一言あったらと思ったんですが、ありませんでした。どういうお気持ちなんですか。
○国務大臣(古屋亨君) 私は、担当の国家公安委員長としまして、自分の身を切られるような痛さと、警察の退職者が相当多数の方は健全な、健康な生活をしているにかかわらず、こういうような一部の退職警察官が制服を着て、こういうような非常に社会的道義あるいは法律に反するような行為をなされることは、まことに遺憾でございます。今後警察官の採用、教育、それから生活相談、そういうものにつきまして見直しを行いまして、そういうような不祥な事件の絶滅を期するよう警察当局に十分私は指示をしたところでありまして、本当に申しわけない次第だと思っております。
○安恒良一君 二十一世紀の高齢化社会を目指して、また人生八十年時代を迎えますが、私はどうも政府の対応が非常に不十分で、甚だ心もとないような感じがいたします。総理は、これは所信表明の中でこのことについていろいろ触れられておりますが、そこで、高齢化社会での課題は何であるというふうに心得ておられますか。全大臣にお聞きしたいんですが、時間がありませんので、主要な大臣にお聞きいたします。全体を代表して官房長官、それから労働大臣、厚生大臣、文部大臣、経済企画庁長官、それから、老人対策室をお持ちであります総務庁長官、ひとつお考えを、同じであれば同じということで結構ですから。
○国務大臣(藤波孝生君) 先生御指摘のように、我が国の社会がさらに急速に高齢化が進んでいるという状況にありまして、これに対する政治の対応が急がれておるところでございます。従来も真剣にそれぞれ施策を講じてきておるところでございますが、課題は何かということの御質問に対しては、私の今やっております仕事から申しますと、これらを総合的にやはり進めていくということではないだろうか。各省庁のそれぞれの施策をできる限り横の連絡を取り合って、一人一人の高齢者に対して政治の恩恵が行き届くように進めていくということであると、このように考えておる次第でございます。
○国務大臣(山口敏夫君) 人生八十年時代は、二十一世紀を待たずして人生一世紀時代も日本人は可能なのではないかと、そういう展望の上に立って高齢化時代を考えますと、やはり健康な高齢化時代を築かなければならない。そのためには、働ける健康に恵まれているうちはやはり雇用面におけるひとつ職場を提供するということが非常に大事な問題だと認識しております。
○国務大臣(増岡博之君) 私は、すべての人が長くなった人生を明るく健康でかつ充実して過ごすことができるようにすることが肝要だと思っております。そのためには、政府のみならず、地方公共団体、民間挙げて社会保障の推進に取り組むことが必要であり、その諸制度の改革につきましても、現在も御審議をいただいておるところでございます。
○国務大臣(松永光君) 高齢化社会を迎えて文部省の取り組むべき施策は、お年寄りの方々が生きがいを感じていただきながら暮らしていただけるような施策を進めることが一つ。それから、若者がお年寄りをいたわり思いやる、そういう心を持った若者に育て上げていくということが一つ。この二つが大事なことではなかろうかと、こう思っております。
○国務大臣(金子一平君) それぞれ各大臣から御発言がございましたけれども、社会福祉、雇用の面での政策を充実いたしまして、生活に心配のないようにしてやると同時に、やはり生きがいを感じさせるような社会づくりをしっかりやることが一番大事なことではなかろうかと考えております。
○国務大臣(後藤田正晴君) 官房長官の御答弁と私も同じような考え方でございます。
○安恒良一君 まだ関係大臣ありますが、それぞれ答えられました。 ところが、官房長官これ見てください。最近だけでもこれだけ各省からの提言があるんです。これ時間がありませんから読み上げません。このほかにも、社会保障長期展懇、それから社会保障制度審議会、私これ目を通すのに数日かかりました、率直に言って。そういう提言があるんでありますが、私はもう議論よりも実行のときではないかと思うのですね。でありますが、これらの諸提案を総合的に政府としてとらえ、施策を生かしていく手法をどういうふうに考えられていますか、また具体的にどうされていますか。
○国務大臣(藤波孝生君) 各省庁におきまして、いろいろな審議会、懇談会などを設置いたしまして、いろいろな御意見を伺いながら、それぞれ省庁の施策を進めてきておるところでございます。先ほども申し上げましたように、やはりそれらが総合性を持つ、そして横の連絡を取り合って真に生きたものに老人対策を持っていくということが非常に大事ではないかというふうに常々考えてきておりまして、政府の中に老人対策本部を設置いたしまして、その施策のいろいろな連絡調整を行いながら仕事を進めてきておるところでございます。 また、縦割りの各省庁の中で、それぞれの立場からのいろいろな提言やあるいはいろいろな政策がつくられてきておるところでございますけれども、御提言そのものを総合性を持った立場で、政府に対していろいろお教えをいただくというようなことが大事かと、このように考えまして、老人問題懇談会という場を設けまして、そこからも累次にわたっていろいろな答申もいただきまして、今申し上げてまいりましたようなことに特に留意をいたしまして、我が国の高齢者対策の施策が進んでいくように努力をしてきておるところでございます。今後とも鋭意その努力を重ねてまいりたい、こう存ずる次第でございます。
○安恒良一君 この際、それではそういうふうにうまくやっていると言われていますが、私は、各省の対策はばらばらである、それからせっかくの提案も提案しっ放しが現実の姿ではないか。でありますから、この際それを少し検証してみたいと思いますが、今御発言をされた大臣は諸政策を総点検されまして、既に実行に移されたもの、それから直ちに実行可能なもの、もしくは検討を要して中長期に考えるべき課題、こういうものについて資料をいただいておりますから、資料を細かく読み上げる必要はありませんが、重点的に説明してみてください。実際やっておったのかやってないのか。
○国務大臣(増岡博之君) 厚生省としてこれまでに手がけておるもののうち、老人に対する直接の保健事業、福祉センター、家庭奉仕員、特別養護老人ホーム、あるいは老人クラブへの活動の助成等については実施済みあるいは現在実行中でございます。中長期的にはガン対策の推進、ボランティア活動の推進。今後の問題といたしまして、中間施設の検討を始めようといたしております。 また、社会保障制度にいたしましては、退職者医療制度の創設が実施済みといいますか、現在進行中でございます。近く実施をお願いいたしておりますような年金法の改正による給付と負担の適正化でございます。 そのほか、老後の問題につきましても、老後生活の充実のための施策等各種ございますけれども、主として健康、福祉あるいはその背景になります各種保障制度そのものの改善を行い、またはこれから行おうとするものでございます。
○安恒良一君 時間節約するために、そういう施策のことは資料いただいているんです。例えば老人家庭奉仕員派遣事業の拡充とか、特別養護老人ホームの整備、こう書いてあるだけです。これでは今までどれだけやったのか、それから近く実施するものは数字的に幾らなのか、金額的にどう考えているのかということを言ってもらわぬと、施策のことは私よく存じておりまして、資料もいただいてますから。私が言ったのは、実施済みのもの、近く実施予定のもの、それから中間的、長期検討課題、これは数量出てないと思います。そういうものについて数量を付して自分の省で特徴的にやったことを言ってください、こう言っているわけです。
○政府委員(長門保明君) 数多くございますので、若干の例を挙げて申させていただきますが、例えば老人福祉センターの整備につきましては、五十八年十月現在で全国に千五百九十一カ所ございます。これは全市町村設置を目標に大体毎年百カ所ぐらいのテンポで新設をいたしているところでございます。それから、老人クラブにつきましては、全国で十二万六千クラブ、これの会員になっております老人は八百万人でございます。これは昨年の三月現在の数字でございます。これに対して総額二十二億円の助成を行っております。それから家庭奉仕員の関係でございますが、現在一万九千九百人ほどおりますが、新年度におきましては千七百五人増員いたしまして二万一千六百十三人にしたい。大体家庭奉仕員が千五百名ちょっとの増員をこのところ行っているところでございます。このほか、家庭奉仕員につきましては新年度からチーフヘルパーと申しまして、主任家庭奉仕員をつくりまして、家庭奉仕員の中のチームリーダーというふうな形で新年度百八十人ふやしたいというふうに考えております。それから特別養護老人ホームでございますが、これは五十八年の十月現在千四百十カ所ございます。これは五十九年では大体千五百二十二カ所になる見込みでございますが、これもなお整備を要するものとして増設ほ努めたいと考えております。 重立った数字としては大体以上でございます。
○国務大臣(山口敏夫君) 資料は先生の方のお手元にも御提出しておりますが、労働省といたしましては、既に実行に移しておるものといたしましては、高年齢者雇用確保助成金の活用による同一企業グループにおける多様な形態による雇用の確保、拡大、高齢者向けの訓練科の増設による職業訓練機関のメニューの多様化、高齢者の特性に照らした安全、健康対策の充実、そして近く実行するものはいわゆるシルバーロボット等高齢者向けのME機器の研究開発による高齢者に適合した機械や設備等の作業環境への改善、職業能力開発サービスセンターの開設による生涯訓練の進展に対応した職業訓練情報の提供、充実強化、さらにはマーケットの開拓、人材の育成確保、退職準備計 画に関する個別企業の枠を超えた相談体制の整備等でございまして、基本的には高齢化社会問題研究会の論議や研究を踏まえていろいろ諸施策を進めさせていただいておるところでございます。
○国務大臣(松永光君) 文部省の施策としては、四十八年から高齢者教室を開設し、五十三年から高齢者人材活用事業に対する補助を行い、五十五年から高齢者スポーツ教室の開設をしてきたわけでありますが、五十七年度から高齢者スポーツ活動推進指定市町村設置事業というものを始めてまいりましたが、五十九年度からはこれらの事業を総合いたしまして、高齢者の生きがい促進総合事業、こういう形で事業を行っておりまして、六十年度の予算は二億五千万でございます。そのほか、これは高齢者だけではございませんけれども、生涯スポーツ推進事業ということで、高齢者を含む地域の人々のスポーツを推進するという立場で、五億二千七百万の予算で高齢者を含むスポーツを推進して、そしてますます元気にお年寄りになってもらいたいと、こういう事業をやっているところでございます。
○政府委員(及川昭伍君) 経済企画庁といたしましては、人生八十年時代の国民生活を生涯を通じて安定し心豊かなものにするために、政策を、総合的に各省の施策を調整する立場にあるわけでございますが、現在、国民生活審議会総合政策部会におきまして、人生八十年時代の社会システムづくりの総合政策のあり方を検討いたしております。 検討の視点といたしましては、まず生涯の生活時間が労働の時間についてどうなるか、余暇時間についてどうなるか、学習のあり方がどうなるか。さらに生活パターンとしては、それがライフステージごとに教育の時期をどのように考えていったらいいか、あるいは老後の時期をどう考えていったらいいか等について検討いたしておりますし、さらに就業と年金とのかかわりについて、定年制の動向、賃金カーブ、年金の支給開始年齢、年金の基準と負担のあり方、さらには所得と消費につきましても、消費と所得がどのような関係に人生八十年時代においてなっていくのか。さらには住宅、居住の環境、コミュニティーサービスをどう考えたらいいのか。教育についても、大学教育等が生涯の中でどのようになっていくのか、リカレント教育をどう考えていったらいいのか。そのとき公的負担とみずからの役割と、あるいは地域の役割がどうなったらいいか等について、関係省庁の幹事も含めて総合施策を現在検討中でありまして、中間的には新年度に入りましてから一、二カ月の間に生活時間のフレームはおおむねまとまるかと思っておりますし、さらに中長期の課題でもありますので、一年ほどをかけて最終的な取りまとめをしていきたいと考えております。
○安恒良一君 もう私途中でよしたのは、時間がもったいないですから、これはどうそ各省もう一遍私が言ったことで、実施済み、近く実施予定、中長期の検討課題について数量を付してひとつ。でないと、施策だけをここで述べられるのはもう時間がお互いもったいないですから、後から資料としてお出しを願いたい。官房長官、よろしゅうございますね。 それじゃ、今度は建設大臣にお伺いしますが、建設大臣、高齢化社会での対応に建設行政とのかかわりをどういうふうに認識されていますか。
○国務大臣(木部佳昭君) 基本的には高齢者が生きがいを持ちながら安全で快適な生活を送れるような、これが基本的な私どもの考え方でございます。
○安恒良一君 住宅行政として、建設大臣として聞いている。 そこで、じゃ聞きましょう。経済企画庁総合計画局が昨年十一月に提出しました「高齢社会への課題と対応」、これ御存じですか。
○政府委員(吉沢奎介君) お答え申し上げます。 承知しております。
○安恒良一君 では、その中で住宅行政についてはどう述べられていますか。また、昭和六十一年度を初年度とする住宅建設五カ年計画策定の作業を進められていますが、それの中でどう提案を受けとめられるつもりですか。
○政府委員(吉沢奎介君) 企画庁のこの「課題と対応」につきましては内容がいろいろたくさんございます。例えば同居、隣居、近居等の多様な選択に対応できる住まいの整備を行うこと、あるいは高齢者単独世帯、高齢核家族世帯の居住の安定を確保すること、あるいは高齢者の心身機能の低下に対応した住宅の普及と適切な介護システムを導入すること、高齢者にとって魅力ある再開発を推進すること等たくさんございます。それで……
○安恒良一君 質問に答えなきゃだめだよ。それを受けとめてどうするんだと聞いているんだよ。
○政府委員(吉沢奎介君) それで、これらにつきまして私ども例えば同居、隣居、近居の問題につきましては、先生御存じのとおり、公営住宅におきまして老人同居世帯向き公営住宅でありますとか、あるいはペア住宅を供給している、あるいは公団におきましても大型住宅を建設し、あるいは老人向きに入居者の優先入居方式をとっているとか、金融公庫におきましては老人同居割り増し貸し付けを行うとか、あるいは高齢者単独世帯、高齢核家族世帯の居住の安定の確保につきましては、公営住宅におきまして単身入居を認めるとか、あるいは老人世帯向き公営住宅を供給するとか、各般の施策をとっておるわけでございまして、今後の住宅政策におきましても、こういうことにつきまして配意しながら進めてまいりたいというふうに考えております。
○安恒良一君 建設大臣にお聞きします。大臣答えてください。いいですか。公営住宅の例をとられましたが、毎年たった五百戸しか老人向けは建ってないんですよ。だから私が聞いたことは、六十一年度を初年度とする住宅建設五カ年計画の中で、この提言を受けとめてどう実行していくのかと聞いているのです。大臣答えてください。あんな人、答えたってだめです。人の質問に正直に答えない。大臣、答えてください。大臣だよ、大臣。
○委員長(長田裕二君) 事務当局にまず答えさせます。
○政府委員(吉沢奎介君) 先生おっしゃるとおり、公営住宅につきましては実績としまして五十八年度で五百戸程度でございます。これをどのようにふやしていくかということにつきましては、各公共団体等が公営住宅を建てていくわけでございまして、各公共団体とも話し、相談しながらふやしていくように努めてまいりたいというふうに考えております。
○安恒良一君 今後の五カ年計画でどういうふうにしていくかということを聞いているんです。人の質問には正確に答えてください。
○国務大臣(木部佳昭君) 建設省といたしましては住宅宅地審議会で今検討中でございまして、具体的には六十一年度からもう少し具体的に実行できるような、そういう諮問をして今審議中で、お願いいたしております。
○安恒良一君 それじゃ大臣、企画庁がせっかく提案をしていますから、この五カ年計画策定作業の中ではこれを受けとめて十分反映されるように作業を進めてくれますね。どうですか。
○国務大臣(木部佳昭君) ただいま答弁申し上げましたような趣旨を十分反映できるように努力をさしていただきます。
○安恒良一君 次に、厚生大臣にお聞きしたいのですが、厚生大臣に就任されるとまた何か各界の権威者をお集めになって、人生八十年型社会のあり方について広く国民の英知を集める懇談会を発足させられたということを聞いていますが、もうそんな私的諮問機関や懇談会をつくる段階は過ぎているんじゃないでしょうか。もう少し地味に今まで提案をされたことの推進をやるべきだと思いますが、この点どうでしょう。 それから後藤田長官に聞きたいんですが、こういうふうに大臣が次から次に懇談会、もうこんなにたくさんあるのです、あるのに次から次にまたつくって提言だけ受けるということは、どうも私は行革の精神に全く反対していると思いますが、長官、どう考えられますか。
○国務大臣(増岡博之君) 私の考えておりますのはお年寄りの対策だけではございませんで、今までいろいろ申し上げましたことは既に高齢化された方々に対する対策であります。しかし、昔は人生五十年でありましたから、一生懸命働いて、ぷっ倒れてそれでおしまいということでありました。八十年ということになりますと、また労働時間の短縮の問題もあります。長く働き、一年当たりの時間も短い。そういう余暇を高齢になった場合にいかに有効に生かしていくかという事前の対策まで含めて、人の生まれてから死ぬまでの一生涯の間を考え直してみよう。確かに人生五十年で一億人がおりますのと人生八十年の人が一億二千万人おりますのとは、個人個人も違いますし、社会も変わってくるであろう、そこに着目した懇談会でございます。
○国務大臣(後藤田正晴君) 先ほど来関係省庁の大臣がお答えしておりますように、この問題は大変幅が広くて関係省庁が多いわけです。事柄の重要性にかんがみまして関係省庁それぞれやっているわけですよ。そのやっておる基本となるいろいろな施策を立てるために審議会等を、あるいは研究会をやることは、私はこれはそれなりに有効だ、こう思っておるんです。問題は、たくさん答申が出ますから、だから、それらを総合調整して、どのように、これ金のかかる仕事ですから、そこに書いてあることを全部やるというのは、これは大変なことになるわけですから、そこらを取捨選択しながら財政面とも絡み合わせて、そして一番必要なところから漸次進めていく、こういうことが一番肝心なことであろう、こう思います。
○安恒良一君 後藤田長官、それから厚生大臣、あなたが言っているようなことはもうレポートが全部出ているんですよ。今から諮問しますと言っているけれども、そんなことはみんな書いてある、みんな。全部書いてあるんですよ。今さら何のレポートを求めるんですか。むしろレポートよりも実行の段階でしょう。それを大臣、一遍自分で読んでみなさい、政府のやつを、全部これを。あなたが今言ったことより以上に詳しく全部書いてあるが、何をこれから諮問するんですか。
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、これまで提案されておることが実行の段階であることはそのとおりだろうと思います。なお、またそれ以外の問題につきましても、いま一度人生八十年というものを、生まれてから死ぬまでの間をよく考えてみようというつもりでございます。
○安恒良一君 これはもうらちが明きません。 官房長官、そこで、やたらに審議会を大臣が自分のお好みでつくられることをやめさせられまして、むしろ政府部内に、二十一世紀の高齢化社会を目前にして、全体が横に連携をする、そういう機関をつくって、そこで総合的にやる、そしてリーダーシップを総理みずからが発揮をしてもらいたいと思いますが、このようなことについてお考えありませんか。私はこれぜひ必要だ、でないと、やたらにレポートだけ出るというふうに思いますが、どうですか。
○国務大臣(藤波孝生君) 省庁によりまして、それぞれの立場から、そこにそれぞれの省庁の所管事項を重点にした見方というのはあるものですから、高齢者対策、高齢化社会にどう対処するかということについて、ここ数年いろいろな角度から取り組んできておるという事実があるわけでございます。問題は、それらがただ縦割りの行政で、かえって実際に実効が上がっていくのが阻害されているとか、あるいは横の調整ができていないとかというようなことになりますと、ただそれぞれ熱心だからということではない問題が出るわけでございます。 先ほどお答えを申し上げましたように、政府の中に老人対策本部といった機関も設置をいたしまして、総合調整しながら進んでいくという構えができておるところでございます。きょうは強い御指摘もちょうだいをいたしましたので、従来取り組んでまいりました事柄などをよく整理をいたしまして、さらに総合調整を進めていくように努力をしてまいりたい、そして実際にこの高齢者対策が実効が上がっていくように一層努力をしてまいりたいと、このように考える次第でございます。
○安恒良一君 今の老人対策室というのができていますが、それは総合調整の任務を全然果たしておりません、私が見たって。資料一つすらようつくりません、そこに聞いても、各省が持ってこなければ。ですから、もう一遍私はやはり総合的な施策を全体でやる機関を総理ないし官房長官の指導のもとに全部縦横つなぐ、そしてたくさんのレポートを着実に実行していく、こういうことが必要だと思いますから、その点についてもう一回考えを聞かしてください。
○国務大臣(藤波孝生君) 老人対策本部は内閣総理大臣が本部長になりまして、副本部長に総務庁長官、厚生大臣、本部員といたしましてそのほかの関係省庁の長官や次官などを網羅をいたしましてこの本部を構成をいたしておるところでございます。問題は、そういう機関をつくるかどうかという問題でなしに、現にこういう機関があるわけでございますから、そこで実効を上げるようにさらにひとつ督励をせよと、こういう先生の御指摘であろうかと、このように考える次第でございますので、さらにこの本部の機能、十分発揮をしていくように、従来取り組んでまいりましたことを点検いたしまして、一層これを強化していくということで取り組んでまいりたいと思う次第でございます。
○安恒良一君 官房長官、あなたは老人対策と高齢化対策を混同されているんじゃないですか。イコールじゃありませんよ。高齢化対策の中に老人問題ありますが、高齢化対策というのは大変広範な問題ですから、そこのところの認識を誤らぬようにしてもらいたいと思いますが、どうですか、その点の認識は。
○国務大臣(藤波孝生君) 御指摘のとおりでございます。広い角度から、例えば教育の問題であれば生涯教育であるとか、あるいは労働省の場合にはお年を召してからでも働けるような職場を準備するための施策であるとか、あるいは厚生省でもいろいろな施策が必要でありまして、我が国の社会全体が高齢化をしていくということに対して、広い角度から検討を加えていくということが広い立場では大事である、こういう認識を持っておるわけでございます。 さらに同時に、その高齢者自身の問題につきましては、老人対策としてきめ細かく一つ一つ施策を講じていかなければならぬ、こういうふうに考えておる次第でございまして、おっしゃるように、二つの意味合いがあるということを十分認識いたしておるところでございますが、それら全体をやっぱり通じまして、施策の総合性を持っていくということが非常に大事であるというふうに考えておりますので、きょう御指摘をいただきました御趣旨を踏まえまして、政府が今行っておりますいろいろな施策を一層点検いたしまして、総合性を持たせて進んでいくように努力をしてまいりたいと、こう考える次第でございます。
○安恒良一君 次に、最近民活論が盛んになりますと、社会保障の分野でも民間活力の導入が言われ、社会福祉制度の進展を抑制するとかブレーキをかける、こういう状況が見られますが、私はこの際、高齢化社会を目指しての政府は社会福祉における公私の役割を分ける基準を設ける必要があると思いますが、その基準について明らかにしてください。
○国務大臣(増岡博之君) お答えいたします。 社会福祉の基本的な部分はやはり公的部門が対応しなければならないと思います。特にとりわけ寝たきりなどに対する対策は積極的に取り組んでいかなければならないと思いますけれども、しかし、近年高齢化に伴い国民のニーズに多様化あるいは個性化等があらわれてきておるわけでございまして、そのすべてのニーズに対して社会保障制度だけで対応することは必ずしも十分でない場面も出てくるわけでございます。したがいまして、そのような場合、例えば老人ホームの場合には有 料老人ホーム等、公的部門との役割の分担を考えながらやらなければならないと思いますけれども、しかし、しょせん民間活力を活用するとは申しましても公的部門からの十分な指導のもとに行われることが妥当であると考えております。
○安恒良一君 時間がありませんから、この中の一つとして、いわゆる老人の介護サービスに対するニーズが飛躍的に拡大していると思いますが、これをひとつどの程度要るのかという計量化をして、そして今あなたがおっしゃったように、それを支えるのはどの程度だと、公的でどういうふうにするのかと、こういうことを計量化し、長期展望を示すという試みをぜひしてもらいたいと思いますが、どうですか。
○国務大臣(増岡博之君) 御趣旨に沿って鋭意取り組んでまいりたいと思います。
○安恒良一君 次に、お年寄りの問題としてちょっと歯科の問題について一、二点大臣に触れたいんですが、お年寄りは非常に歯が傷む、そういうことで歯科問題に非常に関心を持っていますが、歯科における歯科技工士の重要性を認識して、診療報酬の点数表において技工料金を別掲し、適正に評価すべきでないかと思いますが、こういう点についてどう考えますか。
○国務大臣(増岡博之君) 技工士につきましては、その仕事がいろいろございまして、歯科医師がみずから行う場合、あるいは病院、診療所において技工士が行う場合、あるいは歯科技工所、いわゆる技工士の作業所において技工士がみずから行う場合等がございますので、その技工料をどういうふうに評価するかということが技術的に検討を要する問題であり、現在中医協で継続審議になっておるわけでございます。その審議が進むよう努力をいたしたいと思いますけれども、しかしこの問題の解決につきましては、やはり歯科医師会と歯科技工士会とがまずみずからよく御相談いただくことが必要であると思いますので、私といたしましてもできるだけの努力はいたしたいと思っております。
○安恒良一君 次に、歯科医療においてメタルボンド冠、金属床義歯、ポーセレン冠などが広く普及していますが、今実際私費にされています。これだけ普及しておりますから保険適用の方向に踏み切るべきだと思いますが、これについてのお考えを聞かしてください。
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のことにつきましては、広く普及しておることは事実でございますので、これを保険給付とするかどうかということについては中医協で御審議を願う事項でございまして、現在検討項目の一つとして取り上げられておるわけでございます。せっかくの御指摘でもございますので、この点につきましても中医協における検討が進むよう努力してまいりたいと思います。
○安恒良一君 次に、産業用ロボットの関係でいろいろ聞きたかったのですが、時間がありませんから一つだけお聞きしますが、御承知のように、ロボットがどんどんふえてきて人減らしになる、こういうことであります。ところが、保険料、年金なら年金を掛ける数が減ってくる、出生人口も減っていますから。そこで、私はロボットというのは相当の付加価値を生んでおりますから、このロボットをやはり人とみなして、保険料をロボットから取る。そうすると、このロボットは年金は要らないわけですから大変一挙両得だと思いますが、こういうことについてもう研究すべき段階にきていると思いますが、大臣どうですか。
○国務大臣(竹下登君) いわゆるロボットが生む付加価値に対する税という角度から今までも議論したことがございますので、簡単にお答えいたします。 産業用ロボットの増加が雇用や経済にどういう影響を及ぼすか、これは一概には言えません。しかし、基本的には産業構造が高度化いたしますし、そして労働生産性の向上等を通じて国民所得の増加につながる、これが企業になった場合はいわば所得の増加につながり法人税収等に反映されてくるということになろうと思うのであります。そこで、そのロボットの持つ付加価値だけを取り出して課税する必要があるという議論はしてみましたが、それはなるほどそうだという結論にはなりませんでした。 いまひとつ、ロボットの問題では、言ってみればある意味において雇用を減らしているんじゃないか。それで罰金——罰金というと表現が悪いのですが、そういう意味における何かかけ方はないかと、そういう議論もいたしましたけれども、実際問題としてロボットはそれは飯を食いませんし、冷暖房も要りませんし、そういう面はございますけれども、その付加価値に対する税の議論、これはしました。これは私が興味を持ったから特にしたわけでございますけれども、これについては税としてはなかなか難しい問題だなと、こういうことがございます。だから、ロボットそのものの付加価値を対象にすることについては、これからもまだ勉強してみませんと、幅広く広がってOA機器そのものというような問題の角度からも議論をしなければならぬだろうというので、今のところそれをずばりで罰金的感覚とか、あるいは付加価値的感覚で税をかけるということは今現在は私どもは否定的な結論を出した、こういうことであります。
○安恒良一君 厚生大臣、保険料のことで。
○国務大臣(増岡博之君) ロボットの問題はよく年金制度とあわせて御議論があるわけでございますけれども、従来の年金制度は人に対する給付を行うものでございますので、人を使わない企業の負担が使う企業に比べて相対的に小さくなっておるのは、ある意味では自然であろうと思います。 今御提案の保険料をかけるということは、大蔵大臣からもお話がございましたように、企業に対して新たな税を課することと同じような意味合いを持つわけでございまして、年金の給付自体と直接関係のない新たな負担を課す、そういうことに対して合理的な理由があるかどうかということで疑問に思うわけでございますけれども、将来に向けての検討すべき課題ではあると思っております。
○安恒良一君 続いて、今度は予算の計上繰り延べの欺瞞性についてお聞きしたかったのですが、時間がありませんから、その中でどうしても我慢ならない健保の問題だけをお聞きしたいと思います。 まず、政管健保の国庫負担の規定は現行法ではどういうふうに規定されていますか。
○政府委員(坂本龍彦君) 健康保険法によります政府管掌健康保険の国庫の補助について、現行法の御説明を申し上げます。 健康保険法の第七十条の三という規定がございまして、要点を申し上げますと、国庫は政府管掌健康保険の療養の給付その他特定療養費、療養費、家族療養費等々の給付に要する費用に「千分ノ百六十四乃至千分ノ二百ノ範囲内ニ於テ政令ヲ以テ定ムル割合ヲ乗ジテ得タル額ヲ補助ス」というのが第一項でございます。それから第二項につきましては、老人保健の拠出金についても同様の規定を置いております。 そのほかに、昭和五十五年に改正がございまして、その際の改正法の附則の第二条といたしまして、第四項でございますが、「この法律による改正後の健康保険法第七十条ノ三第一項に規定する国庫補助の割合は、同項の規定にかかわらず、当分の間、千分の百六十四とする。」と書いてございまして、先ほど申し上げました「千分ノ百六十四乃至千分ノ二百ノ範囲内ニ於テ政令ヲ以テ定ムル割合ヲ乗ジテ得タル額」という本則に対しまして、当分の間その割合は千分の百六十四とするという規定がございます。そのほかに第五項といたしまして「前項の国庫補助の割合は、保険給付の内容の変更又は国の財政状況の変動その他特別の事情が生じた場合には、速やかに検討されるべきものとする。」と、こういう条文がございます。
○安恒良一君 五十九年度政管健保の黒字九百三十九億を減額して、六十年度国庫負担を計上した理由はどこにありますか。また、それは妥当と考えていますか。厚生大臣、続いて大蔵大臣。
○国務大臣(増岡博之君) このたび政管健保から一般会計へ会計間の操入措置を行うことにいたしておるわけでございますけれども、これは私どもの立場からいいますと、当然政管健保の運営に支障があってはならないということがまず第一の着目すべき点であろうと思います。幸いここ一年間の状況で、そのようなことはないということでございますので、制度そのものは変更することなく、会計間の繰り入れを特例的に認めたわけでございまして、今後政管健保の財政状況を勘案して、なるべく速やかに繰り戻しを行うこととして、今後の適正な運用を図ってまいりたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) これは御案内のように、今日の財政下においていろいろ工夫をいたしまして、それが一つは補助率問題、それから今のような問題、すなわち財政力の調整、あるいは今度は平準化と、こういうような三つの観点からぎりぎりの工夫をいたしました措置でございます。確かに、政管健保は五十九年度においては、いわゆる種々の要因から近年単年度収支差を生じたということから、結論から言いますと、六十年国庫補助所要額六千四百八十七億円から積立金見込み額の九百三十九億円を引いた五千五百四十八億円ということを国庫補助計上額として計上をさせていただいた、結論から言うとそういうことになります。したがりて、それの背景となりますいわゆる一括法ということについて、国会でまた御理解を得なければならぬ課題だという現状でございます。
○安恒良一君 厚生大臣、大蔵大臣と違ってあなたを先に聞いたのは、あなたに妥当かどうかということで聞いたんですよ。運営に支障を来さなければとか、法律はそのままと、当たり前じゃないですか。法律を改正されたらそれは法案で出さなければいけない。 そこで、少しその中身を聞きたいんですが、九百三十九億を控除したことによって国庫の負担率は幾らに下がりましたか。
○政府委員(坂本龍彦君) 直接国庫補助率そのものは私どもは全く変えてはございませんけれども、今お尋ねの趣旨といたしましては、逆算をした場合に結果的にどういう割合になるかというお尋ねかと存じます。予算上の数字に基づきまして計算をいたしますと、一三・七%相当になると思っております。
○安恒良一君 何%引き下げですか、計算すると。
○政府委員(坂本龍彦君) 一六・四%から見ますと二・七%に当たる数字でございます。
○安恒良一君 厚生大臣、健康保険勘定が黒字になったら、保険料率を引き下げるか給付改善を第一義的に考えるべきじゃないかと思いますが、どうですか。
○国務大臣(増岡博之君) この黒字が生じましたのはほぼ一年間の単年度でございますので、今後ともそれが継続するようであれば、そのようなことも考えなければならないかと思いますが、いましばらく時間をかけて見きわめることが必要であろうと思います。と同時に、将来的には高齢化によりまして、あるいは医学、医術の進歩等によって医療費は増加の傾向にありますので、このような事態に対処することもできるようにしておきたいというふうにも思うわけでございます。
○安恒良一君 そういうことを言われますが、じゃ、どの程度の収支残があったら保険料を引き下げるんですか。その基準となるべきものは何でしょうか。
○政府委員(坂本龍彦君) 保険料率の引き下げにつきましては、私どももいろいろな観点からいかに考えるべきかと検討をいたしておることはおるわけでございます。しかし、例えば現在の九百三十九億円でございますけれども、歳出の規模に比較してみますと三%に満たない、二・五%前後という数字でございまして、現在約四兆円の歳出規模からいたしますと、いろいろ医療費でございますとか、あるいは賃金の伸びとかの変動によってかなり将来この程度の額についてのまた変動もあり得るのじゃないかという気もいたすわけでございまして、数字的にまだどの程度幅があれば大丈夫かという点については確たる……
○安恒良一君 答えになっていない。
○政府委員(坂本龍彦君) 信頼が持てる段階にはなっておりません。そういうようなことで、確かに具体的な数字としてお示しできないのは大変残念でございますけれども、今の段階ではまだ保険料を引き下げて将来とも安全であるというはっきりした見通しが持てる状況にないということでございます。
○安恒良一君 委員長、納得できません。私は九百三十九億のことを聞いているんじゃないんですよ。どの程度収支残があったら保険料を引き下げるのか、それから基準となるべきものは何か、こう聞いていますから、今のは答えになっていません。
○政府委員(坂本龍彦君) 九百三十九億は……
○安恒良一君 じゃない、九百三十九億のことは聞いてないんだよ。大臣が九百三十九億じゃだめだと言ったから、それならばどの程度収支残があったら下げるのか、その基準は何なのか、こう聞いている。だれも九百三十九億のこと聞いてないよ。正確な答弁できなければかわれ。
○政府委員(坂本龍彦君) 先ほど申し上げましたように財政規模がかなり大きくなっておりますので、やはりある程度の幅がないと将来ほ向かって不安であると考えておるわけでございます。その際に単年度の収支の黒字の額だけでこれを見るということが適当かどうか疑問がございますので、今後とも少なくとも千分の一とか千分の二とか、そういう保険料の一定の額に相当するような黒字が継続して出るという見通しが立った場合には、これをそれ相応に引き下げるということも考えられるのじゃないかと思っております。 それと同時にもう一点追加して申し上げますと、現在政管健保は御承知のように赤字がずっと続いておったものでございますから積立金というものを全く持っておりません。今後の医療費の変動等を考えました場合に、ある程度の積立金なり準備金のようなものもこれからは持っていくことが必要ではなかろうかと考えておるわけでございまして、その辺もあわせて何らかのそういう財政的な準備、これもどの程度必要かについても検討しつつ、今後の料率のあり方を検討する必要があろうかと考えておる次第でございます。
○安恒良一君 また答弁矛盾しています。大臣、積立金がない、だから引き下げられないという、それ積立金になぜ九百三十九億しないんですか。あの人の答弁そういうことになります。それやってください。答えてください。答弁矛盾しています。——大臣、大臣、大臣だよ。おまえさんじゃない、大臣だって。あなたのような矛盾した答弁の人は嫌いだから。
○政府委員(坂本龍彦君) いや、矛盾した点はちょっと訂正さしていただきます。
○安恒良一君 だめだよ、大臣だよ。三百代言のような矛盾した答弁するな。
○国務大臣(増岡博之君) 私どもはこの九百三十九億円につきましては将来のための準備金の頭でおるわけでございます。それと同様の役割を大蔵省に預けることによって果たしておるものと考えております。
○安恒良一君 大臣、いずれにしても今回のように収支残があったら国庫負担を減額する、国が当然出すべきものを減額しているのですよ。それがだめだったら、何のために被保険者、事業主等が一生懸命経営努力をしたのかということがなくなるじゃないでしょうか。これじゃ一生懸命経営努力しても意味がないんですが、こういう点について大臣、どうお考えになるんですか。あなたは厚生大臣だからむしろそんなことは困ると言ってやるべき立場じゃないんですか、どうなんですか。
○国務大臣(増岡博之君) お話を承っておりますと、従来からのこの保険料の算定につきまして一定のルールがございます。そのことに関連してのお尋ねかと思うわけでございますけれども、私はそのルールというものは今日でも精神的には死んでいないと思っております。園田厚生大臣の時代に国の財政状態がこういうことになりましたので、その間、政府の方だけはということでございますから、政府の財政状況がまた健全になりました場合にはそのときの時点においてもう一遍考え直してみなければならない問題だと思っております。
○安恒良一君 大臣、あなたの考え、ちょっと間違っているんですよ。現在の法のもとでは、短期健康保険ですから、一定額以上の黒字が出たら、その一定額の比率は言われました、そしたら保険料を引き上げるのをやめてそして引き下げるとか、それからもしくは給付を上げるとか、どっちかにするのが短期健康保険制度なんだ。年金じゃないんですよ。そうでしょう。そこのところの基本をきちっと踏まえて答弁してもらわぬと困るんです。でないと、あなた、厚生大臣の資格はありませんよ。どうですか。短期健康保険制度の本来的なあり方について私は聞いているんですから。
○国務大臣(増岡博之君) もちろん、年金とは違いまして短期でございますけれども、健保組合の方ではかなりの積立余裕金を持っておられるようでございます。したがいまして、そのパーセンテージから国が負担しますものを差し引いた程度のものが本来健全経営に資するものと思いますけれども、健保組合の方で積み立てておられます、これは被用者と使用者と両方でございますから。政管健保の場合にはそれに国が入るわけでございますので、その国分を差し引いたぐらいのものは持ちたいと思いますけれども、またまた現在の情勢では到底そこまでは参らないと思っております。
○安恒良一君 そうじゃないんですね。あなたがそういうことを言われるなら、後日健康保険勘定の収支状況を勘案して繰り入れるのでなくて、もう六十一年度には、はっきり今度九百三十九億立てかえているわけですから、それは繰り入れてもらうべくあなたは努力しますか、それとも六十一年度もまたこういうことをするんですか。
○国務大臣(増岡博之君) これは今回限りのことと思っておるわけでございまして、できるだけ早く繰り戻しをしてもらいたいと思っております。
○安恒良一君 それでは、この点については大臣からそういうふうに努力するということですから、ぜひやってください。お手並みを拝見いたします。 次は、この前の新宿西戸山問題について聞きたいんですが、総理は西戸山開発株式会社の設立に関与した官房副長官をキャップとする小委員会だったと答弁をされました。そこで、副長官おいでになりませんから長官にお聞きするんですが、昨年九月の全国知事会の席上、総理が西戸山問題で報告した内容には間違いありませんか。またその際に、八十社以上の申し込みを二十七社ぐらいに切るのに苦労した、こう言われていますが、その苦労した経過を報告してください。
○国務大臣(藤波孝生君) 総理は昨年九月十二日の全国知事会議におきまして、新宿西戸山に関連をいたしまして、株式会社方式でこれを民間に委譲して民間にやってもらおうという発想を持っていろいろな手続を経て進めたところ、約八十社以上の申し込みがあり、二十七社ぐらいにするのに苦労したようです、こういう発言をいたしておりまして、総理みずからが八十社以上の申し込みを二十七社ぐらいにするのに苦労したというような受けとめ方を各方面でいただいておるようでございますが、そういうことではなくて、その会社の方が苦労したようだ、新会社の設立に携わる民間の発起人の方々が苦労された、こういう趣旨の発言であるというふうに私どもはそばにいて理解をいたしておるところでございます。
○安恒良一君 前回の総理と私のやりとりの議事録を見てください。私がつくらせたわけではなくして、あれは官房副長官が中心になっておるたしか小委員会があったと思います、あそこの結論で、これでよろしい、そういうことでつくることになったと思いますということであなたが言っている。それから総理がしゃべったことも全文差し上げてありますから、もう一遍よく読んで答えてください。
○国務大臣(藤波孝生君) 新宿西戸山開発株式会社は、大蔵省理財局長の私的研究会であります公務員宿舎問題研究会の中間報告の趣旨に沿って民間が自主的に設立した会社でございます。昭和五十八年十二月に設立をされております。他方、国有地等有効活用推進本部企画小委員会、こちらの方はこの会社設立後に設置されたものでございまして、昭和五十九年二月三日に設置をいたしております。企画小委員会の結論で当該会社が設立されたというものではないのでございます。少しやりとりの中でよく説明していなかった部分があるように思いますけれども、今申し上げたような経緯で進められておりますので、企画小委員会によってこの会社が設立されたというものではないというふうに御理解をいただきたいと存じます。
○安恒良一君 そしたら、総理がしゃべられたことの前言をやっぱりこれは訂正してもらわなければいけませんね。これは公の雑誌に載っているんですから訂正してもらわなければ。 それからいま一つは、それならば環境影響調査は会社が自主的にやったのでしょうか、大蔵省の委託でやったのでしょうか。
○政府委員(中田一男君) 環境影響調査につきましては、大蔵省から専門の調査研究機関に委託をしましてやりました。また、会社は会社で同じ機関に委託をしてやりました。それぞれ独立の契約を結んでやっておるものでございます。
○安恒良一君 環境影響調査及びその報告文の作成にかかった費用、それからその分担を、共同支出行為等があればその中身を知らしてください。
○政府委員(中田一男君) 環境影響調査の中身は、私どもがA地区と呼んでおります新宿住宅地区、それからB地区と呼んでおります公務員宿舎建設事業の地区、これの複合的な影響ということでございまして、私どもその調査機関に複合影響を調査するのにかかる総額をお聞きいたしまして、そのうち面積割合で我々が負担してしかるべきだという金額を独自に支払っております。したがいまして、共同支出というふうなことはいたしておりません。私どもが支払いました金額は九十万円でございます。
○安恒良一君 数字を正確に言ってください、全体の費用に幾ら要ったのか、そしてそれがどうなったかということ。私は費用のことを聞いているんですよ。
○政府委員(中田一男君) 全体の調査費は二百五十万円、そのうち私どもが調査費として面積割合で八十五万五千円負担いたしました。そのほか印刷、製本代として私ども四万五千円負担いたしましたので、合計九十万円負担いたしております。
○安恒良一君 大臣、いずれにしたって、まだその事業認可を得ていないんですね。都市計画の事業認可の決定を得ていないのにこういうことをやったということですから、私は前回、連名文書を撤回してもらいたい、こういうことを申し上げていましたが、その処置はどうされましたか。
○国務大臣(竹下登君) 三月十八日の予算委員会におきまして、環境影響調査報告書を連名で提出したことについての御指摘がありまして、私からもこれは適切な措置をとる方向で検討するという趣旨の御答弁を申し上げました。いろいろ調べてみました。ちゃんと報告書は連名になっておりますが、向こうへ送った封筒は単名でありました。しかし、それとて別に免責されるものではありません。したがって、整理して申し上げますならば、新術西戸山開発株式会社と連名で環境影響調査報告書を作成したことによって、この会社が既に事業認可を受けているかの誤解を与えたとすればこれは遺憾のことだという認識は今も持っております。 したがって、一つには、この環境影響調査報告書は連名でなく単名で提出した方がベターであったこと、それから二つには、新宿西戸山開発株式会社はまだ事業認可を受けていないこと、三つ目は、この事業は関東財務局と新宿西戸山開発株式会社が共同で行うとしているものではないこと、これをはっきりさせる文書を配布するという措置をとることといたしたいというふうに考えております。
○安恒良一君 その問題はそういうふうに処理をされるそうですが、またまたこれは疑惑が出てきているんですが、東京都に対して五月中に都市計画事業を早く決定しろという強く要求をしているそうですが、要求しているのは官房長官のところですか、建設大臣のところですか、聞かしてください。
○政府委員(松原青美君) この新宿西戸山の再開発の問題につきましては、私が全般的な東京都との連絡に当たっております。現在のところ、新宿区と会社との間では計画のおおよその枠につきまして合意ができております。したがいまして、なるべく早期に都市計画決定をしていただくように東京都にお願いしている段階でございます。
○安恒良一君 都市計画事業の認可も何もまだ受けてないのに、今も言われたように連名でやったらいかぬのに連名でやった、こういうところでいろいろ問題が起こっているのに、どうしてあなたの方は東京都にそんな圧力かけるんですか。何で会社の先棒を担ぐのですか。
○政府委員(松原青美君) 御承知かと思いますが、この地区は新宿区にとっても東京都にとっても避難地としての位置づけをされておりますところで、その土地利用というのは極めて重要な問題でございます。今回公務員住宅を建てかえまして、民間による住宅建設が行われる場合に、避難地としての空地を確保しました、また市街地としての環境を確保しました土地利用がなされることが望ましいわけでございまして、それをきちんと担保するという意味から都市計画決定を行うことが望ましいと考えておりまして、そういうふうな御意見を申し上げているわけでございまして、決して圧力をかけるとか、そういうわけではございません。
○安恒良一君 この問題は、これで時間とれませんから、官房長官聞いておってほしいんです、大蔵大臣。私はやっぱりこういうものに圧力をかけたり、いろいろなことを言うべきじゃない。なぜかというと、これの認定をもらうと随意契約ができるんですよ、あの広大な土地が。そのことに対して問題はありはしないかという疑惑は残るわけですから、政府がしゃしゃり出るべきものじゃありません。このことを申し上げておくと同時に、きょうは時間ありません。この問題についてはこれからも私は厳しく追及していく、こう思います。いいですか、官房長官。
○国務大臣(藤波孝生君) 御指摘の意味合いは十分理解をしておるつもりでございますので、万々取り運びについては十分注意をして進んでまいりたいと存じます。
○安恒良一君 次に、地方バスの問題についてお聞きをしたいんですが、もう時間が六分しかありませんので、今日の現状等がどうなっているかなどということについては、また改めて運輸委員会なり委嘱審査のときにやらしていただきたいと思います。 そこで、端的にずばりお聞きをしたいのでありますが、大臣に、地方バスを維持するために労使が大変な努力をする、自治体もいろいろ補助をしていますが、もう限界に達しています。そこで、これはやはりどうしても今後、そうかと言って地域の国民の最後の足としてのバスの維持、整備が必要なのですが、今は予算補助になっているわけです。でありますから、これをやっぱり立法化をして法律に基づく補助をしていく必要があるんじゃないかと思いますが、政府として立法化する気があるのかないのか、このことについて述べてください。
○国務大臣(山下徳夫君) 地方バスを含めまして地方交通の維持、整備につきましては、これはもうどうしても助成が必要であるということは私もよく理解をしております。助成をするためには、安定した助成を行うためには安定した財源がまた必要であることも当然のことでございます。 今御指摘いただきましたことにつきましては私ども大変心強く思うわけでございますけれども、何せ、やっぱり今の国の税体系の中において一つの目的税みたいなものを見つけ出すことは容易にこれはできないことでございますし、税以外に負担をどのように求めていくかということが一番大きな問題だろうと思っておりますし、このことにつきましては私どもも今後とも努力をしてまいらなければならぬと思っておる次第でございますが、いずれにいたしましても、運輸省といたしましては地域交通に対する助成ということは大変大きな課題である。したがいまして、今年度も私どもは予算の折衝の段階におきましても、例えば過疎バス等につきましては、これは大蔵当局もよく理解してもらったのでございますけれども、苦しい中に昨年度の予算よりもかなりこれはふえておるわけでございますけれども、私どもは予算の段階、あるいは予算だけでなく、今御指摘ございましたように、一つの法制化するということにつきましても、今後とも十分ひとつ検討をさしていただきたいと思います。
○安恒良一君 大臣から検討と言われましたが、ちょっとこの中身を詰めてみたいと思いますが、ネックはどこにあるんでしょう。大変難しいいろいろな問題、一つは財政を挙げられましたが、その他、私はぜひとも立法化をしてバスを国民の足として守っていかなければならぬと思いますが、そのネックは何にあるんでしょうか。
○政府委員(服部経治君) 大変端的な御質問でございますけれども、この法制化の問題に関しましてはいろいろな角度からのいろいろな御意見のあるところでございまして、あえて端的に申し上げますと、先生もこれはもう既に御承知のところでございますが、補助を規定した法律というのは幾つもございますけれども、そのほとんどは、補助制度は定めておりますけれども大きな制約がついておりまして、予算の範囲内でということになってくるわけでございます。そういうことを考えますと、いかに補助制度というものを立法化いたしましても、結局のところはそのときどきの財政の状況というものに大きく左右される、制約を受けるということが一つあろうかと思っております。
○安恒良一君 そういたしますと、これも余り知恵のない話だと思いますが、財政だ財政だと、ネックは何があるかと言ったら、どうもネックは財政だということである。もちろん立法化に当たりましては私は財源を考えなければならぬことは問題であると思いますが、これについても今までいろいろな委員会でも議論したし、諸説紛々といいますか、いろいろな提言がありますね。例えば、あなたたちがおつくりになった八一年運政審答申の中でも財源対策については触れられているわけですが、あれから四年間たっています。何を検討されておりますか。例えばヨーロッパの例などを参考に挙げられ、いろいろ研究されているように思いますが、その中身をお聞かせください。
○委員長(長田裕二君) 答弁は簡明に願います。
○政府委員(服部経治君) 先生御指摘の過疎バス財源を含めましての地域交通というものを維持していくための安定した財源措置を講ずるということの重要性は、私ども御指摘をまつまでもなく十分認識しておるところでございますけれども、そして先ほど先生御指摘のように、運政審の五十六年答申の中で幾つかの具体的な御提言もいただいておりまして、私どもそういうものも踏まえまして、いろいろと時間をかけまして勉強も続けてまいってきておるところでございますが、ともかく問題はどこに財源を求めるかということをめぐりまして非常にいろいろな困難があるところでございまして、そういった問題の解消を図るためには何よりも広い国民的なコンセンサスを取りつけるということが重要でございまして、私どもそういった基本認識のもとに今後ともさらに検討を深めましてこの問題に取り組んでまいりたい考えでございます。
○安恒良一君 大臣、これは大臣から答弁してもらいたいんですが、答申の中身の効率や採算、企業性、こういうところだけはどんどんやられておるわけですね。その結果、バスで働いている労働者に大きな犠牲がかかっています。そういうところだけは一生懸命積極的にやるんですが、最も大切な政策課題であるところの財源のところ、それから税体系のあり方、こんなところは非常に消極的なんですね。 そこで、私があえて大臣にと言ったのは、昨年の機構改革で今度は政策省に運輸省は脱皮をされたわけですね、政策省だと。そう言うのなら、それだけこの政策の重要な課題についてやっぱり実行してみる、おれの時代に実行してみると、そういうお考えはございませんか。
○国務大臣(山下徳夫君) 実は、過去のことについて申し上げたいのですけれども、先生御承知のとおり、陸上交通特会というのがございましたね、特別会計。当時私は全国自家用自動車協会の会長をしておりまして、自家用から召し上げてこっちに持ってくるのはけしからぬと言って、これは私は大いに反対した一人なんです。ですから、一つの問題を解決するにもやっぱりいろいろと反対の立場もあったりしまして、私は今度は攻守ところを変えてこういう立場にありますので、さはさりながら、とにかく先ほど申し上げたように地方輸送、公共輸送と申しましょうか、こういう問題については何とかしなければならぬということを、今先生御指摘のように、私も今の立場からすれば、法制化の問題、税の問題、ひとつ一生懸命取り組んでまいりますから、どうかしばらく見ておっていただきたいと思います。
○安恒良一君 大臣が政策省の大臣にふさわしく税制問題なり法制化なり財源問題について一生懸命取り組みたいと、こういうことですから、しかと承って、ぜひその実現に御努力を願いたいと思います。 続いて、新交通システムについてお聞きをしたいのでありますが、最近新交通システムが問題になっております。交通がより利便性が高いものになることは私は結構だと思いますし、そのこと自体に異論を唱えるものではありません。ただ、利便性、経済性、安全性、環境、低廉、安いということ、効率化などの各要素がバランスよく調和されて、その地域の交通網が形成されていなければならないと考えるのであります。その中で何を中心に交通を維持するのかということが大切なことではないかと思いますが、そしてそこにある公共交通をより生かして使う、こういうことを考える必要があるというふうに思いますが、最近の地方の中核都市で新交通システムの計画が取りざたされているようでありますが、全国の計画はどうなっていますか、どの都市ではどんなことを進めようとしていますか、まず状況を説明してください。
○政府委員(服部経治君) まず、現在開業中のものでございますが、これは神戸新交通のポートアイランド線、大阪市の南港ポートタウン線、それから埼玉新都市交通の伊奈線等の四路線がございます。それから現在工事中の路線としましては、桃花台線、それから金沢のシーサイドライン等の四つの路線がございます。それから、現在調査が進められているそういった新交通システム構想というものがございますが、これは全国でざっと三十五都府県に及んでおります。
○安恒良一君 三十五都道府県の資料はいただいておりませんので、それは後から資料でいただけますか、調査中のもの。
○政府委員(服部経治君) 至急に提出させていただきたいと思います。
○安恒良一君 そこで大臣にお聞きしたいんですが、私は六年ほど前にこの問題をお尋ねいたしました、あり方について。当時、森山運輸大臣とこのことで予算委員会でやりとりしたことを記憶しておりますが、森山運輸大臣の答弁は非常に私は納得に値するものだというふうに当時受けとめましたし、また大臣もそれを実行していただきました。あのときの大臣の答弁は今も生きていると思いますが、その方向で行政指導なされるというふうに信じていいでしょうか。この点について大臣のしかとしたお考え方をお聞かせ願えれば幸いだと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) 新交通システムにつきましては私も深い関心を持っておりますし、先般神戸のポートライナーにも私は参りまして乗ってもみましたし、すべての施設、全部つぶさに調査をしてまいりました。言うなれば、こういうのは一つの従来の鉄道とバスの中間的なものであり、地方の中核都市あるいはまた大都市の周辺においては手ごろなものだと実は思いました。したがって、今後交通工学の急速な発達によって次々に私はこういうものができてくる。できてくるたびに既存の輸送機関が脅かされるということは、これはゆゆしい問題であるということは全く先生と同感でございます。したがいまして、これらとの調和と申しましょうか、今後そういうものが次々に開発され、実施段階におきましては調整をひとつ図っていくということ、この点においては森山大臣が先生に対して答えられたのと今日何も変わっておりません。今後ともそういう方針でまいりたいと思います。
○安恒良一君 まあ森山大臣が明確に答弁されたことを確認をし、それで行政をやっていくということでありましたから、この点はわかりました。 そこで、最後ですが、広島におけるシングルモード計画というのが今建設計画中であるということでありますが、この点については運輸省はどの程度関知をし、かかわりを持っているんでしょうか。
○政府委員(服部経治君) 広島におきます先ほど先生御指摘の計画につきましては、先般広島市の方から私どもの広島運輸局の方に話が上がってまいりまして、そういった状況を踏まえまして、先般広島運輸局長の方から陸上交通審議会の方に諮問をしたというふうに承知いたしております。
○委員長(長田裕二君) 以上で安恒君の質疑は終了いたしました。(拍手) 明後二十九日は午後一時に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時三十八分散会