予算委員会 第8号
- 発言数
- 350 件
- 登壇者
- 37 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1985/03/16
会議録
○委員長(長田裕二君) 予算委員会を開会いたします。 昭和六十年度一般会計予算、昭和六十年度特別会計予算、昭和六十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 ─────────────
○委員長(長田裕二君) この際、久保君に申し上げます。 岡本臨時教育審議会会長の参考人としての出席の件については、理事会で引き続き御協議をいただくことになっておりますので、御了承のほどお願いいたします。 ─────────────
○委員長(長田裕二君) それでは、これより久保亘君の残余の総括質疑を行います。久保君。
○久保亘君 私は、教育改革の問題はすべて臨教審に任せられているという考え方は誤りであると思っております。国会は臨教審の答申待ちになっているのではなくて、臨教審に立法府の権限を委譲しているわけでもありません。また、文部省は必要な当面の教育に関する改革等を臨教審の設置によって先送りしているわけではないと思うのであります。そういう意味で、国会はみずからの責任で教育改革に関する調査、審議を行うことも必要でありますし、さらに臨教審についても教育基本法に基づいて審議が行われているか、審議の方法、公表の仕方などが国民的合意を得るような十分な努力を払って進めるれているかなどについて関心を持ち調査をすることは国会の任務であろうと思っておりますが、臨教審に諮問をされた総理としてはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 臨教審は法律で定められました政府のいわゆる諮問機関でございますから、諮問に答えあるいは建議する、こういう形にあると思います。したがいまして、政府及び国会が自由に教育問題について論議をすることは適当でもありますし、かつまた最終的には答申が出てきても政府あるいは国会においてこれは決せられるべきものである、そのように考えております。ただ、政府側といたしましては、諮問をいたした状況でございますから、なるたけ臨教審が自由な論議、闊達な論議が行われるように見守ることが私は臨教審に対する礼譲としても必要であり、諮問の趣旨にも合う、そう考えまして、政府といたしましてはこれを見守る、こういう考えをとっておる次第でございます。
○久保亘君 国会が臨教審のあり方や審議の状況などについていろいろと調査、審議を行うということは、これは総理大臣としてはやるべきことではない、こういうふうにお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは国会は国政調査権もお持ちでございますし、臨教審も広い意味における行政各部の内部に属することでございますから、国会が御論議なさることは自由であると思います。
○久保亘君 私は、今総理も同様の御見解をお持ちなんでありまして、必要として臨教審の会長に御出席いただくようお願いをしているわけでございまして、臨教審の会長の方に御事情があって出席できないということなら私もわかりますが、そうではなくて、理事会において一つの政党がこれに賛成しないという理由でこの参考人の出席を拒否されるということについてはどうしても納得がいかないのであります。この問題については、私は引き続き委員長の積極的な御努力を強く要請をいたしておきます。 仕方がありませんから、政府の側に少しお尋ねをいたしますが、今審議会でおやりになっておりますものを、私どもも審議経過の概要や「臨教審だより」、あるいは新聞の報道等を通じて知るわけでありますが、どうも臨教審の基本的な立場というものが国民にわかりにくいのではないか。特に教育改革の目標、理念が明らかにされないまま改革の方法論だけがどんどん論議をされているのではないかという点で大変戸惑いを感ずるのでありますが、臨教審に諮問されております総理大臣としては、教育改革の目標や理念は統一され、明らかにされているとお考えになっているのでしょうか。
○国務大臣(松永光君) 今回の教育改革のあり方につきましては、臨時教育審議会設置法にありますように、「社会の変化及び文化の発展に対応する教育の実現の緊要性にかんがみ、」云々というふうに臨時教育審議会設置法に明記されておるわけでありますが、教育に関する現在の諸課題を踏まえながら二十一世紀を展望して教育のあり方について検討を加えていただきたい、その場合には教育基本法の精神にのっとって改革をするという大前提があるわけでありますが、そういうことで教育改革を進めてまいりたい、これは臨時教育審議会設置法に明らかにされておるというふうに私は理解をいたしております。
○久保亘君 いや、私聞いているのは、臨教審としては教育改革の目標、理念というのはまとまったのかとお聞きしているんです。
○国務大臣(松永光君) その問題につきましては臨時教育審議会の第一部会を中心にして、今鋭意検討が進められておると承知いたしております。
○久保亘君 それでは、教育改革の目標も理念も今第一部会を中心に検討中というその中で、目標も理念も決まらないのに方法論がどんどん打ち上げられる、これは臨教審の審議の進め方としては問題があるとは思われませんか。
○国務大臣(松永光君) 今次教育改革の目標は「社会の変化及び文化の発展に対応する教育」を実現するというのが教育改革の目標でありますし、それを受けまして、臨教審第一部会を中心にして検討が進められておるというふうに承知しておるわけでございます。
○久保亘君 それでは、今度は具体的にお聞きしましょう。 一つは、諮問の目的が教育における戦後政治の総決算ということにあるとするならば、これは中曽根総理大臣、教育における戦後政治の総決算というのはどういうふうに理解したらいいのですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 戦後教育が六・三制から始まりました。六・三・三制をつくるについては戦前教育に対する反省やら検討の上に立ってスタートしたものと思われます。その後六・三・三制及び大学制度等は長い過程の間にいろいろな発展を見ました。その間において非常に成功した部分もありますし、ひずみが出てきた部分も多々あるように思います。そういうような事態を踏まえて、もはや二十一世紀があと十五年で来るという状態にもなって、そこへ高齢化社会とかあるいは高度情報時代というものが訪れて、戦後考えもしなかったような新しい社会が今あらわれようとしておるわけであります。そういうような段階に立ちまして過去の教育を検討し、いいものは残し、また発展させ、未来に向かってあるべき教育の姿というものを探求すべきときに来た、そういう意味において臨時教育審議会が設置される必要が出てきて実行されつつある、このように考えております。
○久保亘君 大変抽象的ですね。それで、それなら戦後教育をどう評価するかということを聞きたいのですが、私は、終戦のときまだ小学校にも上がっておられなかった方がここに二人いらっしゃるので、完全に戦後の教育を受けられた労働大臣と防衛庁長官に戦後教育を体験的にどう評価されているかお聞きしたいんです。
○国務大臣(山口敏夫君) やっぱり先輩の御努力の経過の中で、我々自由で民主的な教育環境のもとで学ぶことができたことを大変幸せに存じておる次第でございます。もっと勉強しておけばよかったという反省も含めまして、大変感謝しておるということでございます。
○国務大臣(加藤紘一君) 私は昭和十四年生まれでございますから、小学校に上がったのがたしか昭和二十年であったと思います。教科書がございませんで、ザラ紙にガリ版刷りで初めての言葉というものが印刷されたのを田舎の小学校で勉強させられたのが初めてでございます。そこで、そういう世代でございますから、私たちは戦後の新憲法に基づく民主主義の教育というものにはごく自然に入りましたし、したがって今それは私たちの発想の根源になっている。そういうことで、戦後の教育というものに余り抵抗なく育っている世代でございまして、私は評価いたしております。
○久保亘君 それでは、戦後の教育に体験的には全く関係をお持ちにならす、そして今、日本の義務教育に非常に大きな責任も持っておいでになります自治大臣にお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(古屋亨君) 私は戦前の教育でございまして、小学校の先生の教育方針というものと、母親の非常に厳しいしつけのもとで勉強をさしていただきました。したがいまして、戦前の教育でありますから、家庭、母、そして社会、こういうような環境で勉強をさしていただきましたことを私は感謝しております。戦後の問題につきましては、私は勤め人でございますので、教育のことにつきましては意見はありますけれどもここで申し上げるのはいかがかと思っております。
○久保亘君 大変際立って対象的なような感じもいたしますけれども、そういうふうに戦後教育に対する評価というのは世代間においても非常に違いがありますね。そういう中で、戦後教育の総決算の一つの手段として、今臨調審が提起いたしました自由化とか個性主義とかいうようなことが問題となってきているのでありますが、この自由化、あるいはその自由化を統一する概念として生み出された個性主義というものを、諮問者の側としてはどういうふうに受けとめておられますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、個性主義、あるいは多様化、あるいは国際化、こういうような方針は、私個人といたしましては非常に適当な方針であると考えております。
○久保亘君 そうすると、その自由化とか個性主義の中に、総理がおっしゃっております競争のない社会は堕落するという考え方も入るのですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 適切な競争という意味において、そういうふうに考えております。
○久保亘君 教育における競争とは何ですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) やっぱり一生懸命勉強し合い、あるいは体力を強くし合い、あるいは徳性を磨き合う、そういう子供たちが精進する気持ち、それを尊重し合いながらそれを励ましていく、そういう関係が競争関係というふうに自然になっていくであろうと思います。みんな平等に子供たちが同じような扱いを受けるというやり方は適当ではないので、その子供たちの性格あるいは特性、環境、それぞれに応じたやり方が望ましい。ちょうどいろいろな病人に対していろいろあらゆる手当ての方法やら違うように、子どもに対しても違い得る部分もあるだろうと思います。
○久保亘君 前の方は少し私もわかるような気がするんです。私は競争という言葉はふさわしくないと思いますけれども、学校というのは友情とか連帯とかいうものを育てるという意味において非常に大きな役割を持つものだと考えておりますが、今一般に言われる受験競争的な意味での競争、あるいは友だちよりも自分がすぐれるという競争、友情を破壊するような競争というものは、これは排除せられなければならぬ問題だと思っておりますが、それはそう考えられますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) ですから適切な競争と申し上げました。負けじ魂というものは非常に大事であると思います。
○久保亘君 その負けじ魂というのは自分にかつということであって友だちに勝つということではないと私は思うのですが、そこのところが競争のない社会は堕落するという総理の発言の非常に私と見解の分かれるところなんですが。
○国務大臣(中曽根康弘君) やっぱり負けじ魂という場合には、自分にかつという面もありますけれども、しかし、体操においてもあるいは音楽においてもあるいは国語においても友だちに負けまいと、そういう克己奮励する気持ちというものが人間を伸ばしていく根源ではないか、また人間としての存在の自然な姿ではないか、そういうものがあるから文明が発展していくのではないかと私は思います。
○久保亘君 またその議論をすることはありましょうが、しかし、どうも今競争のない社会は堕落するという考え方を自由化論でずっと詰めていきますと、やっぱりエリート教育の行程、それから教育に経済合理主義を持ち込む、こういうようなことが教育臨調的な考え方でもって非常に強く印象づけられていくという意味において私は大変問題が多いと思っております。これは差別、選別の教育に通ずるからなのでありまして、不用意に、今の受験競争で子供がみんな苦しんでいるときに、親がみんなそのことで悩んでいるときに、競争のない社会は堕落するという言い方で今の教育に対面していくということは非常に問題があるのじゃないか、こう思います。 それから、その自由ということの場合には、教育制度の自由、教育内容の自由、二つの面があると思うんです。そのいずれも自由化というのはその自由を保障していくべきだ、こういうふうにお考えになっているのでしょうか。
○国務大臣(松永光君) いわゆる教育に関する自由として臨教審で議論されておる内容につきましては、まだ明確な結論が出ているわけでもありませんし、まさしく臨教審で議論をなされておるわけでありますが、その自由の中には、私の承知しているところでは、学校を選択する自由が認められないものか、あるいは教育の方法等につきましても余りにも画一的過ぎはしないか、それがもう少し自由にする余地はないものだろうか。こういうような議論がなされておると聞いておりますが、いずれも議論中のことでございましてはっきりした結論が出ているわけではありませんし、また議論をする人がそれぞれみずからの考えで議論をしていらっしゃるわけでありまして、論者によって自由の内容、程度、それぞれ違うようでございますが、いずれにせよ議論が深まっていくことを私どもは見守っておるという状況でございます。
○久保亘君 今のような状況であれば、臨教審自体が、自由に関する論議がそういうような状況であれば、その中から制度や内容に関する方法論というのは大変生まれにくいですね。その論議が先行したのでは、私たちはこの百年の大計ということに合致するような改革の道を見出すことが難しいのじゃないでしょうか。
○国務大臣(松永光君) いわゆる自由化論が出てきたという背景は、私なりに次のように実は理解をしておるわけであります。といいますことは、先生もよく御承知と思いますが、日本の教育には余りにも画一的なやり方が多過ぎやしないか、硬直化してはいないか、そういった画一性、硬直化、これを打破することが必要であるという考え方のもとにいわゆる自由化論が出てきた、こういうふうに私は理解をいたしております。したがって、画一、硬直というある意味での弊害、これは弊害を打破するための議論だ、その議論が深まっていって、いかなる制度、仕組み、方法がよりよいものであるかということが議論の結果として出てくるのじゃなかろうか、そういうふうに私は期待をいたしております。それは部会の議論でありまして、それを踏まえて今度は総会において最終的には臨教審としての意見として取りまとめられるというふうに承知しておるわけでございます。
○久保亘君 今のこの画一、硬直という教育の弊害があるというふうにお考えになれば、これはやっぱりそういうことについて特に教育の自由、創造的な雰囲気というものをつくるという意味では戦後の文部省の教育行政のあり方にも大変大きな問題があったとお感じになっておりますか。
○国務大臣(松永光君) 文部省の考え方というよりは、私は、戦後の教育の一つの特徴として大変な教育の量的な拡大がなされたと。先生御承知のとおり、かつては中学校、それに相当するものを現在の高等学校と考えれば、かつては進学率が二〇%か二五%というのが戦前の状態でございましたが、今では九四%が進学をしておることでございます。その結果、戦前と同じような考え方では現在の実情に合わない、そういう面が私は出てきたということだと思います。大学についてもしかりでございまして、戦前は一〇%以下の進学率であったものが今は短大等を含めるならば三五・五%の進学率、その大学がほとんど同じような仕組みあるいは同じようなやり方で教育をしているというふうな面もあるように私には思われます。そういった点を実情に合わせて改革をしていかなければならぬのじゃなかろうかというふうに私は考えておるわけでございます。
○久保亘君 それでは、今のその画一、硬直の弊害というものについて、基本法の四条の義務教育九年、それから六条の公教育における学校の法定主義、こういうものは画一、硬直化の中で考えられるものではない、こういうふうに理解しておいていいですか。
○国務大臣(松永光君) 臨教審設置法に明記されておりますように、今回の教育改革は教育基本法の精神にのっとってこれを行うわけでございまして、今申された教育基本法の条文というものは言うなれば教育に関する基本原則の一つでございます。したがって、それも私は教育基本法の精神の中に含まれるものと思いますので、それは守っていくべきことだと。すなわち義務教育の九年あるいは学校教育の公共性といいますか、そういったものは維持しながら、それは変えないでその上での改革でなければならぬというふうに考えるわけであります。
○久保亘君 次に、これはちょっと自信家の中曽根さんが余り怒らずに聞いてもらいたいんですが、理念が統一されないまま方法論が非常に先行していっている状況というのを見ておりますと、何か中曽根政権の政治日程といいますか、そういうものに臨教審の一次答申の時期というものが合わされてきているんじゃないか、それで非常に無理があるんじゃないかという感じを持つのですが、それは総理の意図のいかんにかかわらずそんな感じがするんですが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 別にこちらから催促したというようなことはございません。ただ、臨教審側におきましてもいろいろ御研究になって、そして入学試験の問題あるいは共通一次テストのような問題、こういうものは受験生の側でどういうふうになるのか早くまとめてくれと、あるいは父兄の側におきましても、あるいはそれらをやっておる受験産業の方々の側におきましても、宙ぶらりんの状態で長く続くというのは一番嫌がるのじゃないかと恐らく委員の方々はお考えになるし、関係者もそうお考えになっているのじゃないでしょうか。そういう意味からそういう要所要所の問題についてはタイミングというものもお考えになって検討は進めるれているのではないかと、私はそのように拝察しておりまして、こちらからどうこうということは一切申し上げておりません。
○久保亘君 内閣と臨教審との関係で一番気になることは、今のことは総理のおっしゃったことを私率直に聞いておきましょう、後は臨教審が自主的に判断されることだと思いますが、この専門委員の任命について、これは文部大臣、この専門委員というのは何の専門委員ですか。
○国務大臣(松永光君) その点も実は臨教審設置法に書いてあるわけでありまして、「専門の事項を調査審議させるため、」の委員を専門委員というふうになっておるわけでありまして、言うなれば、事項事項につきまして審査に加わるというのを専門委員というふうに私は理解しておるわけであります。
○久保亘君 いや、だから臨教審は何の専門の事項のために専門委員を任命したんですか。
○国務大臣(松永光君) 教育に関する全般にわたる審議をし検討をしていただくのが臨時教育審議会でございまして、それに当たる方が委員なわけでございますけれども、委員会の審議の進め方として四つの部会をつくられて、それぞれその審議する事項を実は自主的にお決めをいただいたわけであります。その事項ごとに審査に加わっていただくという、その学識経験等々をお持ちの方を審議をスムーズにあるいはより深く進めるための担当者として、あるいは委員に加わっていただく方として選ばれた、あるいは選ぶということになったと、こういうふうに私は理解をしておるわけであります。
○久保亘君 それじゃ、二十名の専門委員をこれはこの専門、これはこの専門というふうに説明してください。
○国務大臣(松永光君) 専門委員の任命は総理大臣がなさるわけでありますが、私は意見を述べた立場でございます。そこで、意見を述べるに当たりましては、専門委員の分野といたしましては、高等学校教育の現場関係者、それから教育学及び教育行政の学識経験のある人、それから人文社会科学関係の学識経験のある人、それから社会と教育との関係等について経験あるいは学識のある方、それから今度の教育改革は文部省だけでやれる問題でなくて、他の行政ともかかわりがあるということも考えまして、文部省に関連のある行政の分野の行政に関する学識及び経験者、それから一般的な学識経験者と、大体六部門ごとに考えまして、そして、それぞれ結果的に任命された専門委員の方のほかに少しつけ加わる人もありましたけれども、そういう方について適当ではないでしょうかという意見を申し上げたと、こういうことでございます。
○久保亘君 審議会の会長とは事前に相談されましたか。
○国務大臣(松永光君) 当然のことでございますが、私が総理に意見を申し上げる前に、審議会の意向を尊重するということも大事なことでございますので、会長さんの意見を聞いて、その上で意見をまとめて、私自身の意見を取りまとめて、そうして総理に具申をしたと、こういうことでございます。
○久保亘君 審議会の会長の意見と文部大臣の意見は完全に一致していますか。文部大臣がつけ加えましたか。
○国務大臣(松永光君) 結果としては意見の調整をした上で具申をしたわけでございます。
○久保亘君 文部大臣の具申した意見は、内閣総理大臣によってそのまま受け入れられましたか。
○国務大臣(松永光君) 最終的には私の意見と総理の意見とは合致したわけでありまして、その意味では私の意見は皆通ったというふうに私は思っております。
○久保亘君 最終的に一致したというのは、最初は一致しなかったということですね。
○国務大臣(松永光君) 最終的に任命された委員よりも余計ふさわしい人の数を出しておきましたから、その中から総理が選ばれたわけでありますから、私の意見も全部通ったという結果に実はなるわけであります。
○久保亘君 それはおかしいんですね。専門委員というのは、専門の事項の調査のために必要な人を推薦されるはずです。大体、こういうのを大ざっぱにこんな人がおりますがというのを出して、それでお選びくださいというようなやり方をするんですか。
○国務大臣(松永光君) 専門委員として選ばれた数をそのまま意見を言ったわけではありませんから、それよりもちょっと多い程度の数を申し上げまして、その中からお選びになったということなんでございまして、私が最終的に選ばれる人の数だけを持っていけば、何といいましょうか、イエスかノーみたいな話になりまして、やはり総理が総合的な立場からお選びになるということでございますので、私の方で申し上げる意見というものは、実際に選ばれる方よりもやや多い数を持っていくのが私はいいやり方だというふうに思いまして、実際に選ばれた数よりも少し多いのを持っていったわけでございます。
○久保亘君 専門委員を二十名とした根拠は何ですか。
○国務大臣(松永光君) これは会長の意見等もございまして、余り数が多いのもいかがなものかなという意見もありまして、そこで正委員を下回る数字として一応二十名程度というのが出てきたわけでございます。
○久保亘君 これ以上細かくやってもあなたも大変だと思うので、ただ私この専門委員の選び方なんか見ても、審議会が論議を通じて、この専門の事項についてこういう人たちを専門委員で入ってもらいたいという希望があって初めてでき上がってくるものだと思うんですよ。それを二十名ぐらいというので、ざっと何人か持っていって、この中からどうぞというようなそんな決め方で、しかもさっきあなたが言われた専門の条項に合致するような人を必ずしも選んだとは見えない。むしろ臨教審の委員にしたかったが、どうも二十五名の枠に入らなかった、だから準臨教審委員のような形で登用しようという形になったんじゃないかという、そういう疑問を持っている人はたくさんいるんです。だから、そういうところにも臨教審というものに対して政治的な権力の介入というのが徐々にあるんじゃないかということについて私は指摘したかったのであります。 それで、時間がないので、最後に、文部省が当面やればできるような教育改革を先送りしているんじゃないか、入試制度の改革とか、指定校制の廃止とか、大学間の格差、予算の上でもはっきりしております。国立間の格差もあれば、国立と私立の大学の場合には、学生の数では八対二で私立が多いが公費を投ずるということになれば一兆数千億と二千数百億というまるで逆転した状況になっている。こういう問題についても大学間の格差を埋めるためにやらにゃならぬことがある。また大規模校の解消の問題とか、四十人学級の推進の問題とか、幼保の関係をどうしていくかというような問題は、これは臨教審の論議とは別に文部省がやらにゃならぬ問題じゃないですか。政府がやらにゃならぬ問題、どうですか。
○国務大臣(松永光君) 現在の教育をよりよいものにするために、あるいは現在の教育に関する諸般の事柄で改革をしなければならぬ問題につきまして臨教審の答申待ちという、それに、それ一色になっているわけじゃもちろんございません。 先生も御承知のとおり、大学の教員に、一般人で深い知識を持った人が大学の教員になれるような、そういう改革は先般文部省の責任において省令を改正して実施いたしました。また高等学校の入学試験制度の改革につきましても、これは実際的には各都道府県教育委員会でなさるべきことでありますけれども、文部省としては指導、助言するという責務があることにかんがみまして、各都道府県の教育委員会に高等学校の入学試験制度の改革についての指導を実はして、そしてその改革を進めるようにという措置も実はいたしたわけであります。四十人学級の問題も大変厳しい財政状況でありますが、六十年度から着実に歩みを続けるという措置も実はいたしたわけであります。幼保の問題は実は厚生省との関係等もございまして、文部省だけの問題としてはなかなかやりがたい面もございますので、それは着手できていないことは残念なこととは存じます。また大学間の格差の問題、これは非常に大事な問題でありますので、これもやらなければならぬことだと心得ておりますけれども、非常に難しい問題でありますので、各方面の協力を得て、応援を得て、また臨時教育審議会でもこういった問題についていい意見を出してもらえば大変勇気が出てまいりますので、将来の実行すべき課題としてとらえて、今後とも一生懸命努力をしていきたいと、こう考えているわけでございます。
○久保亘君 このほかちょっと国籍条項の問題とか、教育減税の問題でお尋ねしたかったのですが、時間がありませんし、なおまた今申し上げてきたような、お尋ねしてきたような問題を通して、私は臨教審の会長にぜひお聞きしたいと、こう思っておりますので、会長の御出席を重ねてお願いをいたしておきます。 きょうお尋ねします最後には、政府の提出する予算というものの権威について、総理大臣どうお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 予算は憲法あるいは財政法上認められておる政府が行うべき重要な職務、職責であります。国家を運営していく上についての物的側面、それに裏づけられた政策的側面、そういうものが網羅されておる政府の重要施策の展開であると、そのように考えて、一番重要な施策の一つとして考えて、まじめに真剣に努力しておるものであります。
○久保亘君 その予算が政府や内閣によって党内の覇権争いの道具に使われるというようなことをどうお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) そういうようなことはよくないと思いますし、またそういうことはないと思います。
○久保亘君 それでは山口労働大臣がお書きになっております文春四月号、「田中六助の戦死」という大変立派な文章です。この中に安倍外務大臣が官房長官のときに野党の国対委員長だった山口さんのところに「何度もアプローチして予算案に反対してくれと説得に来た。」、「安倍さんの動きも相当なものだった」、こういうことが書かれておりますが、その安倍さんどうですか——安倍さんに聞いているんだ。いやいや、向こうに聞いているんだ。
○国務大臣(山口敏夫君) ちょっと待ってください。 私が書きました文章は、政界の先輩としての田中さんを追悼する意味で依頼されて寄稿したわけでございまして、大半はノンフィクションでございますが、やはりフィクションの部分も多少入れませんと、やはり商業雑誌でございますので、いわばどちらかというとフィクションとノンフィクションの中間のノンフィクションノベル、こういう部分もございますので、その点だけ事前に御了解いただいておきたいと思います。(「今の発言は不謹慎だ、国会に向かって」と呼ぶ者あり)
○委員長(長田裕二君) 速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(長田裕二君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(山口敏夫君) 田中六助さんを追悼する気持ちを持って書いたということを事前に私申し上げておきたいと存じます。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私も山口労働大臣の文章を読ませていただきましたが、思い出しますと、当時ちょうど福田内閣のときでありまして、補正予算案をたしか審議していただいておったときのことではないかと思いますが、私は官房長官をしておりまして、当時補正予算案の修正をめぐりまして政府と党の方に相当の食い違いがあったわけでございます。そのときのことはよく承知をいたしておりますが、しかし予算案を通さないでくれなんというようなことは、少なくとも野党、公党でありますし、政府がそういう立場で物を言える筋合いではございませんで、そうしたことは言った覚えはございません。ただ党内におきまして補正予算案の修正をめぐりましていろいろの議論がありまして、そういう中で私と当時の国対の故田中六助筆頭副委員長との間でいろいろとやりとりがあったことは、これは事実として私は覚えております。
○久保亘君 国民をないがしろにして予算案を党内の政争の具に供したなんということになれば、これはもう政治不信、議会不信の最たるものだと私は思うんです。このような事実がないのに、しかし非常に生々しく、もう本当にその情景を見るようにうまく書いてありますよ。こういうものがないところからこんなものが書けるのかな。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 当時私は政府の官房長官として、野党に正式に予算案を通してくれなんという、そういうことを言ったらもう当時でも大問題になるに決まっておりますし、(「通してくれじゃない、否決してくれだ」と呼ぶ者あり)通さないでくれ、そんなことを言いましたら、これはもう天下がひっくり返るような騒ぎになるわけで、党内において予算案の修正をめぐりまして政府としてはなるべく修正は阻止したいという考えでありますし、しかし当時は与野党伯仲といいますか、野党がむしろ優位というような状況にありましたから、修正はある程度のまなければならぬ、その修正の幅をめぐりまして当時政府と我が党との間で大きな議論があったことは、これはもう事実でありまして、政府が修正を全然のまないというふうなことになれば、それは国会がどうなったかわからないという状況があったことは今思い出すわけでありますが、しかし官房長官として、のこのこ野党のところへ行って予算案を通さないでくれなんというようなことを言いましたら、これはもう天下の大事でありますから、そんなことを言った覚えはこれはありません。
○久保亘君 労働大臣はこういうものをお書きになって、しかもこれは「予算成立に最大の努力をすべき官房長官が否決を頼みにくるというのは随分おかしな話だが」という解説つきなんです。だから相当あなたもこれはそのことを直接携わった者として自信を持って書いたんじゃないですか。
○国務大臣(山口敏夫君) その年の予算に限らず、毎年予算の修正問題をめぐっては与野党の激しい政策要求のぶつかり合いの中で解散直前にまで政局の機運が緊迫するという場面はあるわけでございまして、私もそういった一般的な状況を踏まえ、そのときは特に逆転委員会という経過もございました。昨日の多賀谷先生の追悼演説の中にもございますように、田中六助さんは大平内閣を誕生させ、あるいは鈴木内閣、中曽根内閣の成立にも最大の努力をした、そういう一文がございましたけれども、私もそういう側面を象徴的に印象づけたく、多少筆害の部分があったのではないかということで反省をしております。
○久保亘君 総理大臣、一般論としては最初にお聞きしましたが、今のやりとりを聞いてどういうふうに思われますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私はその文章を読んでおりませんので的確なお話を申し上げることは適当でないと思います。ただ一般論といたしまして、予算の編成あるいはこれが成立を図るというようなことが党利党略、派利派略の対象になるということは好ましくないことであると思います。
○久保亘君 いや、好ましくないじゃなくて、許されないことなんじゃないですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 議会制民主主義あるいは政党政治というような建前から見ると、これは正しいやり方であるとは思いません。
○久保亘君 労働大臣、これは事実でないということですか。
○国務大臣(山口敏夫君) 予算案をめぐって国対の筆頭副委員長たる田中六助さんが修正の部分に対して大変熱心に修正によって賛成の協力を求めてきた。で、私が当時の安倍官房長官の部分に触れましたのは、政府としてはこれ以上の与野党の修正要求には応じられない、もしこれでのんでくれないのならば、これはもう解散も辞せずと、こういう心境にあった、こういう私なりの解釈と経過分析の上でそうした原稿の中にそれを記載さしていただいた、こういうことでございまして、今久保先生が御指摘になったような部分については、私はそのときの経過としての事実だけを申し上げさしていただきたいというふうに思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いろいろと当時のことを、今突然の質問でございまして、思い出しておるわけですが、今山口労働大臣が言われたことは私もそのように思います。 というのは、当時逆転委員会で、新自由クラブが野党の側で、新自由クラブの向背で予算が通るか通らないかが決まるという状況にあったわけです。もちろん補正予算ですから通さなければならぬということで政府は出しているのは当然でありますし、その予算を通すために私も政府の官房長官として動いたわけでありますが、しかし野党側から大幅な修正の要求が出た。これに対して党の方は、どちらかというと何とかスムーズにこの予算案を上げたいということであったわけですが、政府の方はそこまではもうのめない、ある程度はのんでもそこ以上はのめないという限界があったわけで、そこで私は政府を代表して、のめませんということを当時の大平幹事長あるいは田中六助筆頭副委員長との間で随分論議をした覚えがあるわけです。 そういう論議の内容がいろいろと表に出たことは事実ですね。そしてそのときに、解散とかなんとかいう、そういう声がマスコミなんかで、外で、いろいろと政府と党がぶつかっている、政府がこれをのまなければ解散になるというふうな声もマスコミにあったように思いますが、そこまで思い込んだ状況じゃなくて、結局党と政府の、何といいますか、議論といいますか、これはいつでもあるわけです、これはもうやりとりですね。そして、それが表に出るには相当シリアスな形で表に伝えられたようなことになったことは、これはもう事実ですけれども、しかし予算案を通さないと——政府が出したものに対して官房長官が通すという努力をしたことは事実ですし、ただ余りにもやっぱり今と当時の状況では開きがあった、野党との間の開きというより党と政府との間の開きが相当あり過ぎて、そして私もそのときは相当駆け引きもしたということは、これはもう事実ですけれども、予算案を通すとか通さないとか、野党に対して通さないでくれなんということを言った覚えはないので、党と政府との関係でいろいろと駆け引きをしたということは、これは事実で、そういうことは、当時の新自由クラブの山口国対委員長はその辺の党と政府との動きの中を十分承知しておられて、当時田中六助筆頭副委員長が、恐らく当時の福田内閣は我々の党の方の考え方とうまくいかなければ解散するんじゃないかというようなことで、当時の筆頭副委員長田中六助、おしゃべり六助とも言われておりましたし、故人を批判するわけじゃなくて、私は親友ですけれども、盛んに外に対していろいろなことを言いましたから、その辺は彼も相当野党対策としていろいろなことを使ったのじゃないか。私が直接言ったのじゃなくて、それはそういうことで山口労働大臣がそれを非常におもしろく書いたのじゃないか。真相は、そういうふうに今実は思い出しておるわけですが、実際のところはそういうことであります。
○委員長(長田裕二君) 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(長田裕二君) 速記を起こして。 山口労働大臣から答弁の補足がございます。
○国務大臣(山口敏夫君) 冒頭のいわゆるフィクション、ノンフィクションの部分につきましては、多少表現が適当でなかったと思いますし、私は私なりに当時の状況を踏まえ、さらに亡くなられた田中六助先生の追悼の意味を込めまして、いかに田中さんが保守政権の安定のために努力されたか、こういうことを書いている経過の中で、今、久保先生から御指摘いただいたような部分で多少私の、何といいますか、状況について問題認識の浅さというものがあって、いろいろそういう問題を提起されたという点も含めまして、私の多少の筆の足らざるを反省さしていただきたい。よろしくお願いいたします。
○久保亘君 昔、文芸春秋で政権の座を離れた人もおられるのでありまして、安倍さんがこれでニューリーダーの地位を失うことがないようにこれは善後措置を講じなければいかぬじゃないですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今我々二人が出まして、率直な話で、権威のある国会の予算委員会の場で真相を言っているわけでございますし、その辺についてはひとつ御理解をいただきたいと思います。 いろいろと当時のことを私も振り返っておるわけでありますけれども、少なくとも政党政治という本義に立って、私もそうですし、当時の山口国対委員長も努力をしておった。ただ党利党略といったような面が、それは政党政治ですからいろいろな面で出ることは事実でございますが、基本的な本義は失わずに我々政治家はやってきておるし、また今後ともやらなければならぬということは肝に銘じて考えております。
○久保亘君 私もこの問題は興味本位に言っているのじゃなくて、国民の政治不信を増幅するようなことになってはいかぬ、こう思って申し上げたのであります。 なお、残余の質問について私、会長の出席を求めた上で行いたいと思います。
○委員長(長田裕二君) 久保君の残余の質疑は後日に行うことといたします。 ─────────────
○委員長(長田裕二君) 次に、山東昭子君の総括質疑を行います。山東君。
○山東昭子君 一九八五年、ことしは御承知のように国連婦人の十年の最終の年でもあり、七月にはケニアにおいて今までの業績の見直しと評価のための世界会議が開催されることとなっております。この十年の間、世界各国は婦人の地位向上のため各種の政策推進に努めてきているところでございます。我が国でも第二次中曽根内閣で久方ぶりに婦人大臣を誕生させるなど、多くの人たちが高く評価しております。しかし、一九七九年の国連総会で採択された女子差別撤廃条約を日本はいまだに批准しておりません。現在この条約の批准が重要な政治課題となっており、本日私はこの問題から質問に入りたいと思います。 政府は、国連婦人の十年の間における目標として国内行動計画を策定し、その中で、政治、教育、労働、健康、そして家庭生活などについて憲法が保障する権利を女性も男性と等しく享受し、かつ国民生活のあらゆる領域に男女がともに参加、貢献することが必要であり、それを可能にする社会環境を形成することを掲げていますが、まず国連婦人十年間の成果をお尋ねしたいと思います。 〔委員長退席、理事梶木又三君着席〕
○国務大臣(中曽根康弘君) 内閣に推進本部をつくりまして、私がたしか本部長になっていると思いますが、この間におきまして諸般の催しを行い、あるいは内閣としても施策を推進することに努めてまいってきております。 一番大事な大目標は、やはり婦人差別撤廃条約に加入し、批准することである、これがまず国際的な目標でございました。そこで先国会以来男女雇用平等法の成立に努めて今努力しているところでございます。これをできるだけ早く早期に成立せしめまして、ことしの国連における場に間に合いますように努力してまいりたいと思っております。 そのほか婦人の政府関係機関に対する進出等につきましても、今まで努力してきておるところでございますが、まだ目標どおりいっておりません。たしか最近目標の五割二分程度まで達成したと、そう思いますが、一〇〇%まで目標達成率がいってないのは甚だ遺憾でございます。 そのほか婦人の栄誉に対する問題等もございまして、勲章あるいは栄誉等につきましては、政府も格段の考慮をいたしまして、隠れている婦人の功労者等をできるだけ日を当てるようにして、皆さんで称賛するチャンスをつくりたいと思って、この点も実は努力をしておるところでございます。
○山東昭子君 女性が政策決定の過程に参加することは国民生活や地域社会の発展の上からも大切なことは言うまでもありません。政府は、今総理もおっしゃいましたけれども、国の審議会の女性委員の割合を一〇%にするという計画でございましたけれども、残念ながら目標達成にはほど遠いようでございます。私は各審議会のリストをざっと調べたのでございますけれども、数々の審議会の中で兼任している人が何人かございました。これは昭和三十八年の閣議了解で審議会のメンバーは四つまで兼任は可ということになっているそうでございますが、皆さんそれぞれの分野で立派な見識を持っている方たちでございますけれども、余りダブるのもちょっとどうかなというような気がいたします。もっと能力のあるそれぞれのいろんな分野の方たちもいらっしゃるわけでございますから、男女ともなるべくダブらぬよう、そして年齢的にも若い人たちももっと入れて、幅広く選んでいただきたいと思います。それから一人でも女性を入れればお役御免だなどということではなく、総理に注文でございますけれども、閣議で各大臣に所管の審議会に能力のある女性を何人も積極的に登用していただくようにお願いできませんでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 閣議でやるのが適当であるか、あるいは官房長官からその旨を各大臣にお願いするのが適当であるか、御趣旨は賛成でございますので、積極的に御協力申し上げたいと思います。
○山東昭子君 安倍外務大臣にお伺いしたいのですが、女子差別撤廃条約の批准を世界会議に間に合うように行うとのことでございますが、そのための国内における整備状況をお知らせいただきたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 女子差別撤廃条約につきましては、七月にケニアで世界婦人会議が行われるわけでございますが、何とかそれに間に合うように批准をしたい、こういうふうに政府としては考えております。今条件整備を行っておるわけでございます。例えば男女雇用平等法も参議院で審議していただいておるのじゃないかと思いますが、ああした重要な内容の法案もぜひともひとつ今国会で成立をしていただいて、そして堂々と批准をしたいというのが私どもの念願であります。
○山東昭子君 今おっしゃられました七月十五日から二十六日までのケニアのナイロビでの世界会議の概要と会議に臨む日本の準備についてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(山田中正君) お答え申し上げます。 先生御指摘のナイロビの世界婦人会議は二つの大きなテーマがございます。第一点は、国連婦人の十年の成果の検討と評価でございまして、第二点が西暦二〇〇〇年に向けての婦人の向上のための将来戦略及び国連婦人の十年の目標達成のための障害を克服するための具体的措置でございます。 我が国は、昨年アジア地域のこの会議に臨むための会議を主催いたしました。そこでこの会議に向けてのアジア地域の要望の取りまとめをいたしました。また、先ごろウィーンにおきまして準備会議が開催されておりまして、この会議に臨む最終的な打ち合わせが行われております。 これらの成果を踏まえまして、これから関係各省と連絡をとりまして、この会議の重要な二つのテーマに対しての我が国の立場、これを作成していきたいと思っております。
○山東昭子君 具体的な会議の中身についていろいろとお聞かせをいただきたいと思うのですけれども、まだ内容はそんな明確なものはないのでございましょうか。
○政府委員(山田中正君) お答え申し上げます。 現在定まっておりますところは、先ほど述べました二つの大きなテーマでぐざいますが、先ほど申し上げましたアジア地域の取りまとめにつきましてちょっと補足させていただきますと、アジア地域といたしましては六つの提案をまとめております。第一点は、アジア地域の各国が、先ほど先生御指摘ございました女子差別撤廃条約の早期批准をすること。第二点といたしましては、国連婦人の十年の諸目的達成の行動プログラムを二〇〇〇年まで延長すること。第三点といたしましては、国連婦人の十年基金を十年終了後も継続すること。第四点といたしましては、婦人の大義を推進するためにマスメディアを効果的に使用すること。第五点といたしましては、国内的ないろいろな機構、特に非政府団体と政府の密接な連携を確保すること。第六点は、開発途上国、先進国ともに援助プログラムの策定において婦人のためのプログラムに優先度を与えるということでございますが、私どもといたしましては、このナイロビ会議におきましてもこういう点が実現するような努力をいたしたいと思っております。
○山東昭子君 さて、男女雇用機会均等法案は現在参議院で審議中でございますが、この法案の基礎である昭和五十三年の労働基準法研究会から報告が出されて七年間、私も働く婦人の一人としてこの問題について検討してまいりましたが、何とか早期成立を願っております。 そこで、総理にお願いがございます。四月になると、不安と希望に胸を躍らせながらたくさんの女性が新生活のスタートを切ってまいります。大学に進む人、就職する人、そして結婚する人、さまざまでございます。そうした道を歩む人たちに苦言なり励ましの言葉を送っていただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 隣の国の毛沢東さんが、婦人は天の半分を支えている、そう言われておりますように、日本におきましても婦人の使命というものはますます重要になってきているだろうと思います。我々は、ややもすると戦前の古い婦人観というものを、まだ痕跡を残しておりますけれども、最近、戦後におきましては婦人の社会的活躍は非常に目覚ましくなりまして、婦人としての個の自覚、独立性への要望というものは非常に熾烈になりまして、そして社会に対する貢献あるいは日本の社会を支えている力というものは目をみはるばかりに大きく強くなってきていると思いまして、非常に結構なことであると思います。 それらはいずれも、家庭における婦人も、子供を育てあるいは家庭を整えるという大事な第一義的仕事をおやりでございますが、それ以上に、時間があれば自分の教養のために精を出すとか、あるいはボランティア活動でいろいろ働いていただくようになりまして、家庭にのみ閉じこもっている婦人ではなくなってきて、むしろ社会性を待ったよき母という形に変わってきつつあります。第一線のオフィス等でお働きになっておる若い女性の方々はまさに日本の経済を支えている大事な仕事をおやりになっております。特に秘書関係の仕事をおやりになるとか、コンピューターのソフトウエアの開発をおやりになっているとか、あるいは化学の研究、医学やあるいは生物学等においては特に顕著でございますが、そういう第一線の研究におきましても男に負けない立派な業績を出してこられております。 大学や学校におきましても、今の男女関係というものは、昔のような観念とは変わって、全く対等な友達という関係になってまいりまして、むしろ中学校あるいは高校等におきましても女性の方が成績がいい、公務員試験なんかでも一番は女性が占めるというような現象がふえてまいりました。国家公務員等におきましても、女性の方々が官庁にお入りになるという率もふえてきて、非常にいい現象であるだろうと思っておるのでございます。二十一世紀にかけて御婦人が日本の社会を支え、あるいは世界の平和、日本の平和を支えるという点においても非常に大きな役割を果たす分野は広がってきていると思いますが、そういうところを十分にお考えいただいて御健闘くださるようにお願い申し上げる次第でございます。
○山東昭子君 もう一かた、キャリアウーマンの大先輩として石本環境庁長官からも、御経験に即して、社会参加していく女性にお言葉をいただきたいと思います。
○国務大臣(石本茂君) 先生のお尋ねに対しまして、年配者としてやや口はばったいことを申し上げるかもわかりませんけれども、私は、まだまだ我々女性が社会的な地位を確保するということには多くの困難がつきまとっているように思っております。みずから求めた職務あるいは他から与えられた職能、いろいろあると思うのですが、いずれにいたしましても、全力を投じてその道に専念するということが第一の条件だと思います。しかし、そのためには非常な勇気と努力がつきまとっていくわけでございますけれども、それを乗り越えていかなければならない。そこが第一の条件じゃないかと思っております。 それからもう一つ、職務の場といいますか、そういうところで、私は女だからという甘えの心情、これは許されないのではないかというふうに考えております。 いずれにいたしましても、自信を持って、そして自覚と認識を日々に新たにしながらあしたに向かって頑張っていっていただきたいという気持ちでいっぱいでございます。 〔理事梶木又三君退席、委員長着席〕
○山東昭子君 最近の地道なウーマンパワーはとても力強いものがございます。アフリカの援助に関しましても、我が党の婦人党員はもとより多くの女性が大活躍をいたしました。環境問題につきましても、総理府の調査では七五%の婦人が環境を守るために気をつけていると答えており、男性の七一%より高い数字となっているなど婦人の関心は高いのです。地域社会の中で女性が環境保全に向けて建設的に活動していくことの意義は大きいものと言えましょう。女性の社会参加を考える上で環境分野は大事な分野と考えております。 そこで、私としては、緑や水の問題など環境保全のために婦人の行動を呼びかけたらどうでしょうか。特定の人だけの活動ではなく、一般家庭の婦人も参加できるように層を広げていったらどうかと考えるのですが、長官のお考えはいかがでございましょうか。
○国務大臣(石本茂君) ただいまの先生の御提言、ごもっともだというふうに考えております。 そこで、就任いたしましてから多くの婦人の団体の皆さん、あるいは婦人の方々ともお会いいたしまして、いろいろ御提言をちょうだいいたしました。そして多くの皆さんが、この緑を守るということとか、あるいは水をきれいにするということに非常に高い関心をお示しになっておりますし、また実際に活動していただいておるわけでございますが、環境庁といたしましては、特に今までも緑の問題に取り組んできましたのですけれども、今後考えておりますのは「母と子の森づくり」の企画を今している最中でございまして、これには国民の皆様に御参加いただきたい。もちろん婦人の方々もそうでございますが、そうして都市の中に少ない緑をふやし、また小鳥のさえずるような場所をつくっていきたいというようなことを今考えておるところでございまして、このことにつきましては早々とそうした企画に対して賛同します、協力しますというような声もちょうだいしておりますので非常に心強く思っているところでございまして、なおこのことにつきまして、もう少し企画が煮詰まりましたらまた御報告をさせていただきたいと思っておりますが、御提言ありがとうございました。
○山東昭子君 緑について婦人の関心が高いということでございますけれども、緑の問題は婦人が取り組むのにふさわしいものだと思っております。今長官からもお話がございましたので、後日の発表を楽しみにしたいと思っております。 今度は税制上の見地から申し上げたいと思います。 環境保全の分野で広く国民の社会参加を進めていくという観点では、六十年度からナショナルトラスト活動に対する税制上の優遇措置が認められたことは大きな意義を持つと考えております。この活動は、御存じのように、幅広い国民の浄財を得て良好な自然の土地を買い取って管理しようとする民間の自主的な活動であり、既に長い歴史を持つイギリスの活動を範として日本でも大変な盛り上がりを見せてまいりました。六十年度の税制改正に当たり、ナショナルトラスト団体に対する寄附について所得税、法人税における寄附金控除の特例が認められ、また地方税である固定資産税や不動産取得税についてはその減免について自治省が指導するということになりました。実はナショナルトラスト活動に対して寄附を行った人々の性別を見ると、女性が約五四%を占め、これもまた男性を上回っております。私自身も党の環境部会長としてこの税制の創設に参画いたしましたし、石本大臣も就任早々大変努力をされました。このような意義深い税制改正を行った財政当局の英断を心から評価をいたします。 しかし、残念ながらまだ課題がございます。それはナショナルトラスト団体に対して相続財産を贈与した場合の相続税の免除でございます。所管されている大臣の御見解を伺いたいのでございますが、本家のイギリスでも、相続税の免除がナショナルトラスト活動を大きく進めた歴史もあり、今すぐにとは申しませんけれども、多分緑を愛しておられるであろう竹下大蔵大臣にぜひ前向きに御検討いただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(竹下登君) 今山東さんから御指摘がありましたように、六十年度税制改正におきましては、税制面からもそうした自然環境の保全に資するという趣旨から、所得税の寄附金控除、法人税の別枠損金算入の対象となります試験研究法人等の範囲に、自然環境の保全を主たる目的とする特定の公益法人、これを加えるという措置を行ったわけであります。 相続税についてもその当時から御議論がございました。相続税についても同様の措置を講ずべきではないか、こういう趣旨の御意見でありましたが、いろいろ検討いたしましたが、本年度の改正に際しての検討の結果を申し上げますならば、相続税というのは、何といったって、一生に一度だけ課される租税でありまして、寄附財産を相続税の非課税とすることによる恩典が大きいという問題があることから、消極的な対応を今年度税制においてはせざるを得なかったというのが実情であります。したがって、この問題は、今も御指摘がありましたように、今後どういうふうに自然環境の保全を主たる目的とする公益法人の行いますところの自然保護運動が進展していくかというようなことの状況を十分に見きわめながら、引き続き検討を進めていくという課題としての位置づけを行うというのが、今日現在におけるお答えの限界ではなかろうかというふうに考えます。
○山東昭子君 美しい自然を守るという意味で、日本の国の財産をつくることでございますので、どうぞひとつ限界などとおっしゃらずに積極的に御検討いただきたいと思います。 今度は労働界の立場から労働大臣にお伺いしたい。 現在、我が国の婦人雇用労働者の数は一千五百十八万人と言われております。一番多いのが四十歳から五十四歳まで五百十八万人、二番目が二十から二十四歳の二百五十五万人と続いております。それでは職場において女性労働者が信頼されるためにはどのような要素、どのような条件があるとお考えでしょうか、大臣、幾つか挙げていただきたいと思います。
○国務大臣(山口敏夫君) 先ほど石本環境庁長官からも御答弁ございましたが、ああした一つの心構えを持って職場におられるということでございますと、周囲の方のまた御協力、仕事も大変はかどるのではないかと思いますが、具体的には職業人としての自覚とまた不断の努力ということがやはり女性の就業者としても必要な条件ではないか。特に女子労働者が労働に従事する者としての自覚のもとに、みずから進んでその能力の開発及び向上を図り、これを職業生活において発揮するよう努めていただく。こういう精神を今度の男女雇用法の中にもうたっておるところでもございますし、また現行の勤労婦人福祉法の第三条にも同様な規定をされておるということでもございます。そういうことで、職業人としての大いなる自覚と能力開発への努力という中に、これからの雇用の激動の中にも十分女子雇用者の領域が拡大するのではないかというふうに理解をしております。
○山東昭子君 労働省では女子に対して職業訓練を行っているようですが、どのような内容かお聞かせください。
○政府委員(宮川知雄君) 女性の職場進出はもう非常なものなのであります。単に量的なものだけでなくて、勤務年限の延長、それから就業分野の拡大等大変なものがございます。したがいまして、女子の新しい技術、知識、技能、こういうものを身につけたいという意欲は大変高まってきていると思います。 私どもといたしましては、公共職業訓練施設の、例えば更衣室を整備するというようなことを通しまして、また母子家庭のお母さん方に訓練手当を差し上げるというようなことを通しまして、そうしたニーズに積極的にこたえるべく努力しているところでございます。現在のところ、いわゆる養成訓練、これは学卒者の教育訓練でございますが、そこでは女子の占める割合というのが一割三分程度でございます。能力再開発訓練、これは離転職者、あるいは中高年になってから新しく仕事を求めたい、こういう人たちの教育訓練でございますが、こうした分野では三割六分ほど、大変な割合を占めております。 そうしたことで、今申し上げましたように公共職業訓練施設の整備に努めておるところでございますが、特に人口の多い大阪、東京、こうしたところにおきましては、都道府県立の職業訓練校で七校女子専門の訓練校がございます。そうしたところでは、一般あるいは経理事務、あるいは理美容、それから和文タイプ、英文タイプ、それから家政、給食等、こういった女子に人気の高い訓練をしておりますが、最近は特にまた情報処理関係あるいは電子計算機関係等への入校の希望者もふえておりますので、そうした面も今後ますます強めてまいりたいと、かように考えております。
○山東昭子君 私は俳優出身でございますので、特に女性の接客に対しての声や態度が気になるわけでございます。外国人からもよく指摘されるのでございますが、日本女性はどうしてあのように高い声でべたべたしたこびを売るようなしゃべり方をする人が多いのかという質問を受けたことがございます。仕事で女性に接したとき、私たちは瞬間的にこの人は信頼できるかどうか判断をいたします。大きな声ではっきりしゃべり、落ちつきがあるかどうかなどでございます。労働省の行っている訓練も、単に技術や知識の吸収だけではなく、それを明確に伝える自信ある態度、これを指導してくださることを期待しております。 さて、法案の中身に戻りますが、内容が不十分であるという議論もたくさんございますけれども、これは過去の歴史からくるもの、また今までの女子労働者の実績があらわれていると思います。もちろん真剣に働き、能力もありながら、なかなか実力が認められない女性もたくさんおります。しかし、中には我々が肩を持ちたくてもとても持てぬような勤務態度の女性が多いのは残念です。そうした一部の人たちがまじめに働く女性たちの足を引っ張ってきたと言っても過言ではないでしょう。やはり実績で女性が勝負していくためにまず法律をスタートさせる、そして女性労働者は使い捨て、職場の花だ、あるいは若い子しか雇わないなどという理解のない男性にも、あるいはプロ意識の欠如している女性にも心の革命を起こさせる必要があると思います。目先の字句にとらわれておりますと、アメリカの社員募集広告のように、女性を雇いたくない場合には、社員三十名募集、ただし上半身裸で仕事のできる人などと企業側も知恵を絞ってくるようです。 この法律案が通ったとしても、どう運用していくかが私は問題だと思います。将来一部法改正をして中身を充実させることもできますし、そのためには、尊敬され信頼される労働者になるように努力を積み重ねていかなければならないと思います。そして、職場の環境をよりよいものにするために長く女性がエネルギーを持ち続けることが大切ではないでしょうか。山口大臣はどのようにお考えになりましょうか。
○国務大臣(山口敏夫君) 今男女雇用機会均等法案を参議院で御審議をお願いしておるところでございますけれども、今山東先生のいろいろ御指摘の部分、大変率直なまた直言でもございまして、私もそのとおりというふうに認識をしながら傾聴しておったところでございます。
○山東昭子君 ここで将来の労働力需要について伺います。 近年、マイクロエレクトロニクスやオフィスオートメーション、こうした機器が広範な分野に導入され労働力の需要構造にも大きな影響を及ぼしつつあります。これまでの労働省の調査によると、現在はともかく、今後、女性が一層職場進出することによって、一つの職場を男女が争うことが予想されます。こうした場合、一つのパイをみんなで分けなければなりません。最近のアメリカの様子は、賃金の頭打ちの傾向が強く、共稼ぎをしても余り大きなメリットがないなどとも言われておりますが、将来の労働力需要という観点から労働大臣の御見解をお伺いいたします。
○国務大臣(山口敏夫君) 御指摘のとおりでございまして、私もその点、これから数年先の労働市場というものは大変厳しいものがあるということを心配しておるわけでございますし、そのための有効な手だてというものに今から取り組んでいく必要がある。特に山東先生の御指摘の、女性の職場進出という傾向がこれから大変強くなっていくわけでございます。既に千数百万の女子労働者の七割が既婚者、こういう現状でございますから、これから一層そうした女性の職場進出というものが広がっていく。そこへ加えまして、高齢者時代における雇用の延長の問題、そういう両面で約五百万から六百万規模の新たな労働人口の増加が見込まれておる。こういう実情でございますし、一方においては、今お話がございましたようなオフィスオートメーションでございますとかME化の問題で省力化もともども考えていかなければ国際競争力も立ち行かない、こういう現状でございます。現に女子高校生や何かの雇用の面で、求人倍率といいますか、他の求人倍率が非常に上向きな中に、女子高校生の雇用が若干減少しているという傾向が、まさに今先生の御指摘の部分、心配されておる部分であろうと思います。 そういう意味で、先ほど能力開発局長からも御答弁申し上げましたけれども、多様な女子職業人としての職業訓練、また機会を広げるという法律の国会の御審議を踏まえて、ひとつ各企業が率先して、女性の労働者にも職業人にもその働く場所を提供していただくような不断の努力、準備を今から早急に進めていかなければならない。こういう気持ちを込めまして男女雇用法案の御審議もお願いをしておるところでもございます。
○山東昭子君 続いて文部大臣にお伺いいたしますが、家庭科問題について、文部省は検討会議を設け、昨年暮れに報告が出されました。その内容は、高校の「家庭一般」の履修について、男女とも「家庭一般」を含めた特定の科目の中からいずれかの科目を必ず履修させる、すなわち選択必修が適当であるということでございました。この選択必修が具体的に実施される時期はいつごろでございましょうか。
○国務大臣(松永光君) 文部省としては、家庭科の履修の仕方について、それが問題で女子差別撤廃条約の批准の妨げとならないように速やかにしなければならぬという立場で、今先生御指摘のように検討会議をスタートさせて検討をお願いして、先ほどおっしゃったような報告をいただいたわけであります。 この報告に基づいて具体的にそういう仕組みにするためには教育課程の改定をしなければならぬわけでありますが、教育課程の改定をするのには教育課程審議会を開いてそこの審議をいただくことになるわけであります。現在、御承知のとおり、社会の変化、文化の発展に対応する教育の基本問題について臨教審で審議もお願いしておるわけでありますので、その審議の動向等をにらみながら、近いうちに教育課程審議会をスタートさせたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○山東昭子君 私はこの法案をきっかけに、家庭科の内容についてもっとメスを入れるべきだと思います。今までに中学あるいは高校生を持つ親や現場の先生方からもお話を聞きました。私自身も教科書を読んだり授業も見てまいりました。感じたことは、男女が一緒に学ぶ時間が余りにも少なく、物足りない気がいたしました。家庭生活というもの、家族が協力し合って幸せな生活を営むには何が必要か。そうした家庭生活や社会生活の変化に対応して家庭科の内容も見直す必要ありと報告にもございますけれども、大臣の御見解はいかがでございましょうか。
○国務大臣(松永光君) 私は、家庭というのは夫婦が幸せに暮らしていくための拠点であると同時に、二人の間でできる子供を立派な人間に育て上げるという、言うなれば教育の場でもございますから、ぬくもりのある、そして堅実な家庭をつくっていくということは極めて大事なことだというふうに考えております。そのためには、女性だけじゃなくして男性も家庭を立派に運営していく上での基本的な事項は身につけて、そして夫婦で協力し合って、先ほど言ったような家庭をつくっていかなければならぬというふうに考えます。そのためには、小中学校はもちろん高等学校等におきましても、いろいろ範囲はございますが、家庭科の内容を充実をして、そして将来いい家庭がつくれるような知識を身につけさせることが大変大事なことであるというふうに考えております。
○山東昭子君 ただいま家庭の問題が出ましたが、家庭と地域社会とはできるだけ一体となり、触れ合っていかなければならないと思います。ところが、女性の中には家庭を守るという意識は強くても、余りにも自由で平和な世の中のせいかどうか存じませんが、やはり幸せな国あっての個人、そしてその国を守るという意識というものを日ごろは余り考えないようでございます。 そこで、婦人と防衛ということで、それぞれの地域で一般家庭の御婦人たちにわかりやすく防衛問題というものをレクチャーする機会を考えたらどうかと思うのでございますが、加藤長官の御意見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(加藤紘一君) 山東委員御指摘のとおり、防衛問題というのはやはりなかなか女性には関心を持っていただいたり理解していただくことが難しい分野のようでございます。ですから、世論調査、いろいろな世論調査ありますけれども、大体男性の場合には、防衛問題に関心がある、少しはある、こう答えられる方を足しますと常に六〇%から七〇%になるのですけれども、女性の場合には大抵三〇、多くて四〇%近くまで行けばいいというような世論調査になっております。したがって、防衛庁といたしましても、いろいろな雑誌にPRをするためのいろいろな努力をいたしておりまして、特に女性雑誌の中にもそういう政府広報を入れる。しかし、女性雑誌の中に防衛庁の公文書みたいなものを入れましたらそれこそ理解していただけませんから、入りやすいようにするとか、委員御指摘のように、各地の駐屯地で現状を見ていただきながら話し合いの会をするとか、音楽祭にお招きするとか、いろいろなことをやっております。 特に最近は自衛隊独自のPRパンフレットもつくりまして、これ持ってきたのですが、「ラブ・アンド・ピース」というのですけれども、これはちょっと見たら、我が自衛隊、防衛庁のPR誌とは見えないような取っつきやすいものにしております。もちろん、内容を読んでいただきますと取っつきやすいけれども、内容はシビリアンコントロールの問題とか、憲法と防衛とか、かなり難しい、そう程度を落としてないものなんですけれども、そんなことをやりながら精いっぱい防衛のPRに努力していきたいと、こう思っております。 なお、このパンフレットの中にもちょっと出ておりますが、PRさしていただきますと、防衛庁の場合には婦人自衛官が三千四百人もおりまして、最高のポストの方は一佐でございます。お若い山東先生にはこの一佐という重みが御理解いただけないかと思いますが、一佐というのは大変な高いランクでございまして、また男女ともに同じ試験を受ければ同じように昇任するように自衛隊ではいたしておりますので、入隊の試験受験率はかなり高いことになっております。よろしく御理解をいただきます。
○山東昭子君 加藤長官はまだお若いし、親しみの持てる方でございますから、どうぞみずから先頭に立って御婦人たちのコミュニケーションを図っていただきたいと思います。 女子差別撤廃条約には社会保障の分野の事項も数多く含まれておりますが、批准に当たって社会保障の分野で障害となるような問題があるのかどうか、厚生大臣にお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(増岡博之君) 女子差別撤廃条約につきましては、その際社会保障の分野で問題になるものはないと考えておりますけれども、しかしやはり批准上の問題とは別にいたしまして、婦人対策の充実に取り組んでおるところでございます。 その二、三を申し上げますと、まず現在参議院で御審議いただいておりますけれども、国民年金法等の改正法案におきまして、婦人の年金権を確立したい。これは従来サラリーマンの奥さんは御主人の年金の附属物のような格好でございましたけれども、確固たるものにいたしたいという考えでございます。 また、現在同じように御審議いただいております雇用機会均等法案におきまして、健康保険に関しまして出産手当の期間の延長ですありますとか分娩費等の改善措置、あるいはまた場面は変わりますけれども、生活保護におきましても男女格差是正ということを心がけておるところでございます。
○山東昭子君 男女差別の撤廃という観点からすると、特に女性の年金権の確立という課題がございます。現行年金制度のもとでは、サラリーマン世帯の家庭婦人については国民年金の加入が任意になっているために、夫の傘のもとで未加入のケースが多かったようでございます。しかし、もし障害に遭ったり離婚した場合には年金がゼロになっていろいろ問題が生じているようでございます。ですから、今回の年金制度の改正案においては女性の年金権を確立することに重点を置いているようですが、女性が精神的にも経済的にも自立するために極めて重要な改正点だと私は考えますが、大臣の基本的なお考えをお聞かせください。
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のとおりのように私ども考えておるところでございます。今回の改正法案によりまして婦人の年金権が確立するということは名実ともに婦人の立場というものを確立いたすわけでございまして、特に先ほども申し上げましたけれども、サラリーマンの奥さんの場合につきましては、その御本人の名義の基礎年金が確定いたすわけでございます。このことが女性の年金保障の面で大きな前進になることは間違いないと存じておるところでございますので、御指摘のように、年金権が確立することによりまして、離婚の場合でありますとか、障害の場合とか、そういう場面でも保障されることになりますので、どうか年金法改正案の早期成立をしていただきますようによろしくお願いを申し上げます。
○山東昭子君 今大臣も述べられましたが、この法案は二十一世紀の日本において活力のある福祉社会が建設されるためにも必要不可決なものだと思います。大臣初めしっかり頑張ってこの法案を通していただきたいと思います。 国連婦人の十年はことしで一応区切りはつくのですが、これで婦人問題すべてが解決したわけではございません。今後とも推進していかなければならない問題がたくさんあると存じますが、政府の今後の取り組みについてお伺いいたします。 一部では、婦人問題企画推進本部がなくなるとの声がございますけれども、これはちょっと時代に逆行していくのではないでしょうか。積極的に婦人政策を推進するためにも本部の存続はもとより、活動にばらつきのある地方の婦人少年室もよい人材を置き、体制を充実させていかなければならないと思います。やはり何よりも大切なのは人だと思います。労働省の対応もございましょうが、ここは推進本部長である総理にお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) この点は行政改革との関係がございまして、行革の理想からすると、できるだけ機構を整理する、仕事の終わったものはやめていく、そういうのが行革の理想でございますが、また一面においてやはり婦人の政策を推進するという時代的な要請もございます。その間をよく見きわめてよく検討していきたい。私はどっちかと言えばフェミニストですから、婦人政策を推進する方向で持っていきたいと思いますが、政府内部の意見、まだ調整をしたこともございませんので、その点について官房長官にしかるべく調整させてみたいと思います。
○山東昭子君 どうも政治家は選挙になりますと、女性のおかげで当選をさせていただいておりますとか、あるいは女性が政治を動かしていくのですとか、そのたびに婦人の問題を何とかしなければということをおっしゃるのでございますけれども、どうも何となく婦人問題には関心が薄いのではないかというような気がいたします。これをきっかけにひとつ総理大臣以下、閣僚の皆様方もしっかりと婦人問題をお考えをいただきたいと思います。 いろいろお聞きいたしましたけれども、婦人問題というものはとても奥が深いものだと考えます。現在、我が国の女性がどのように生きていくのか、これはみずから選択できる時代になってまいりました。 昨年、アメリカで雇用平等委員会の幹部とも話し合いをしてまいりましたが、あちらでは離婚が多いために子供の精神状態が非常に乱れて、五年ほど前の数字でございますけれども、精神医のカウンセリングを受けた子供の数がアメリカ本土で二十五万人と言われております。ですから、職業を持つということ、あるいは子供の教育ということ、こうした問題に対してはどんなふうに考えているのかと私も質問をいたしましたが、あちらの女性たちも、この問題は非常に大きな問題で私どもも原点から今考え直さなければならない問題であるということを言っておられました。やはり今までアメリカの女性というものはどうも自己主張が強かった、自分だけ幸せになればいいんだと、夫に愛情がなくなったから自分は去っていくんだと、そういうことで家庭と子供の問題、そういうことに関して非常に問題があったというようなことを言っておりました。 最近、米国でも離婚というものが減少しているというようなことも言われております。我が国も、いい意味でも悪い意味でもアメリカナイズされてきたようでございます。しかし、働かなければバスに乗りおくれるというような安易な風潮で大切な家庭生活を崩壊させることのないようにしていかなければならないと思います。 総理が戦後総決算のときだとおっしゃっておられますが、日本の女性たちも自分たちの生きる道を今こそ冷静に見詰め直すときが来ているのではないでしょうか。幸せな国づくりを男女が一体となって協力し合う、そのような環境づくりを政府がお考えくださることを期待いたしまして、私の質問をこれで終わらせていただきたいと思います。 ありがとうございました。(拍手)
○委員長(長田裕二君) 以上で山東君の質疑は終了いたしました。 午後一時三十分に委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。 午後零時二十五分休憩 ─────・───── 午後一時三十六分開会
○委員長(長田裕二君) 予算委員会を再開いたします。 昭和六十年度総予算三案を一括して議題といたします。 それでは、これより鈴木一弘君の総括質疑を行います。鈴木君。
○鈴木一弘君 初めに、これは委員長にお伺いしたいのでありますが、昭和五十七年六月十五日、総理大臣臨時代理としての中曽根大臣が、我が党の田代富士男君に対しまして提出した質問に対しての答弁がございます。その中で、暫定予算が必要になるのは、本予算が年度開始前までに成立することが期待できない、しかも国政の円滑な運営に支障を生ずる、そういうおそれがある場合に内閣が出すということがございます。今回の予算の審議を見ておりますと、途中の空白もございましたが、このままでいきますと自然成立は七日の日曜日であります。七日までやるかやらないかはわかりませんけれども、前の日の六日となりましても六日間の空白が起きることになるわけです。これは史上空前の空白ということになってくるわけでありますが、このことに対して私はどうしても暫定が必要じゃないかと思うんですが、委員長いかがお考えでございましょう。
○委員長(長田裕二君) 委員長としても従来からの本委員会での論議等を承知しております。六十年度予算についても鋭意十分な充実した審査が行われるよう御協力をいただいてきているところでございますが、今後とも各位の御協力を得て努力してまいりたいと存じております。政府においても、円滑な審議のため最大限協力するようお願いをいたします。
○鈴木一弘君 予算編成権というのは政府にしかない。そこで、適当に政府の裁量で暫定をするもしないも決められる、こういうおそれがあるのじゃないかということを私は思うわけでございますが、予算なしではたとえ一日もやっていけないというのが当たり前でございます。それが幾日もいられるというのは、これは財政民主主義の上からも大変おかしいと思うんです。これは大蔵大臣から御答弁をいただきたいと同時に、予算委員会としての態度の決定を私ははっきりとしていただきたい、こう思うのでございます。
○国務大臣(竹下登君) それじゃ、私から先にお答えを申し上げます。 これは、いささか鈴木さんと私の問答はおさらいになる点もございますけれども、御案内のとおり大日本帝国憲法第七一条では「帝国議会ニ於テ予算ヲ議定セス又ハ予算成立ニ至ラサルトキハ政府ハ前年度ノ予算ヲ施行スヘシ」と、これがいわゆる旧憲法時代の憲法の条項そのものでございます。しかし、新しい憲法になりましてその矛盾ということが各般から指摘されて、そこで暫定予算という制度ができたわけであります。 これは申すまでもなく財政法第三十条、「内閣は、必要に応じて、一会計年度のうちの一定期間に係る暫定予算を作成し、これを国会に提出することができる。」、そして「暫定予算は、当該年度の予算が成立したときは、失効するもの」とするということでございます。それでまた御指摘なさいましたように、予算の提出権はこれは内閣に与えられておるわけであります。したがって、暫定予算につきましても、今読みました条文によりまして「内閣は、必要に応じて、」「暫定予算を作成し、これを国会に提出することができる。」、すなわち提出権は政府にあるということになるわけであります。そこで財政法第三十条は、ある年度の予算が当該年度開始前に成立を見ないという事態に伴う国政運営上の支障を回避するため、その予算が成立するまでの期間に支出することを必要とする経費等について支出を行い得るよう一定期間のいわばつなぎ、こういうことになるわけでございます。 したがって、暫定予算が必要となるというのは、本予算が年度開始前までには成立することが期待できず、国政の円滑な運営に支障を生ずることになる場合でありまして、その必要につきましては予算提出権が内閣に与えられておりますところから、そのような事態が見込まれるかどうかについて、本予算を審議する国会の状況等を勘案して内閣の責任において判断を行わざるを得ない、こういう筋になろうかと思うわけでございます。しかし、いずれにしても今日までいわば予算の空白が生じた例はございます。したがって、これはやむを得ず生じたものでございますけれども、本来は鈴木さんが御指摘なさいましたとおり、この予算の空白はあるべきものではないというのがおよそ本筋でございます。 ただ、六十年度予算と、こういうことになりますと、現在本委員会におきまして鋭意審議を願っておるというところでございます。したがって、国会におかれての予算審議の進みぐあいに物すごい期待を持って、そして円滑な審議に我々としては最大限協力するということが財政法に沿い得る、いわゆる予算の空白という事態が生ずることのないよう政府として今日の段階でとるべき姿ではないかと。したがって、期待権という難しい言葉じゃございませんが、ひたすら物すごく年度内に成立さしていただける審議を期待し、なおそれに最大限の御協力をするというのが今日の時点における私どものお答えになるではなかろうか。 いささか長くなりましたが、お答えといたします。
○委員長(長田裕二君) 委員長としてお答えいたします。 私から先ほど申し上げましたように、まず本委員会において鋭意十分な充実した審査をいただき、その推移を見ながら本問題について理事会で御協議の上、適切に対処してまいりたいと存じますので御理解をいただきたいと思います。
○鈴木一弘君 今の答弁からすると、これは大蔵大臣の答弁からすれば、期待権に沿い得るということになれば、どうしても三十一日までということが筋でございますけれども、これはなかなか難しいような感じがいたします。委員長において今これについての予算委員会の態度の決定をされるということですから、この問題は委員長のもとにおいて取り計らっていただくようにお預けをいたしておきます。 次に行政改革について伺いたいのですが、総理に昨年の三月十九日もここの予算委員会の席上で確認を申し上げたことでありますが、中曽根内閣は行革内閣である、こういうことを言っておられる。これに対して不退転の決意で推進していきたいということを言われておりました。その決意については今もお変わりございませんか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 決意は全く変わっておりません。
○鈴木一弘君 また、第二臨調答申をフォローし、それからチェックをしていく、そういう件についてもさらに足を突っ込んで具体的に進めますと、こういうことの御答弁をいただきました。しかし、何か今回の国会を見ておりましても、六十年度予算については行革を何か総理が全く口にしなくなったというような印象を私は受けてならないのでございますが、六十年度予算における行革の位置づけについてどうお考えでございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) まず、予算編成におきましてマイナス五%シーリングということで各省庁の経費を厳格に査定もし、効率的にこれを編成したということが申し上げられると思いますす。それから人員の問題につきまして、実員の削減を四千人ばかりやりました。これも今までにない画期的な数字でございます。それから機構その他の問題につきましては、今、年金の法案の御審議を願っておりまして、厚生年金、国民年金、いずれ共済組合の法案も今議会に提出いたしまして、来年の四月一日からそれらの統合、さらに七十年を目途に大統合を目指して進む予定でございます。いわゆる基礎年金という構想を出しまして、その実践に入ってきたわけでございます。 それから、国鉄の問題につきましては今国鉄再建監理委員会におきまして鋭意努力していただいておりますが、これもことしの前半ぐらいには一部答申が提出されると思われます。先般、既に大体の概要、方向について見解の表明がございましたが、その裏づけとなるべきものがこのことしの上半期には出されるであろう、それを待ち受けてこれを消化していくということでございます。さらに、ことしは地方行革を熱心にやろうというので、地方行革大綱をつくりまして、各三千に及ぶ市町村あるいは都道府県等について自治省を通じて指導すると同時に、これが励行に努めるということで努力しておるところでございます。あとはいわゆる特殊法人の問題がございます。これらは今鋭意検討中であり、さらに中央と地方との関係におきまして機関委任事務あるいは必置義務の問題、あるいは権限移譲の問題等について今鋭意努力しておるところでございます。 大体行革大綱を政府として閣議決定をしまして、その線に沿って着実に努力を続けつつあり、今後も続けてまいりたいと思う次第でございます。
○鈴木一弘君 総理の六十年度予算においても、今の御説明からですと、行革の理念は十分反映され尊重されていると、こういうふうに受け取れるのでございますけれども、幾つかの反行革、逆行革と言うべきものが私はあるのではないかということを思わざるを得ないんです。 例えば、一たん着工したらその完成に五兆円を超えるという莫大な資金が必要になる例の整備新幹線予算の問題、あるいはこれはもう国鉄の負担ではなく、一般会計の建設国債の発行で行うとなるとなれば、財政再建に対しての影響は避けられないということで、大変おかしなことになるわけであります。今までの答弁を伺っておりますと、地元の要望でやむを得ないというようなことがあったり、あるいは国鉄再建監理委員会の答申を待って行うものだから歯どめはかかっている、こういういろいろな御答弁ございますけれども、私はこれはやはり逆行革という方向へ行っているのではないか、財政再建に反対の方向の問題でございますのでそう思わざるを得ないんですが、この点は、総理、いかがでございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 整備新幹線につきましては、臨調の答申を受けまして閣議決定におきましても「当面見合わせる。」と、そういう表現になっておるのでございまして、その点について、今回の予算編成における決定というものは若干それに抵触するやの印象も持たれております。しかし、党とのいろいろな交渉の過程におきまして、国鉄再建監理委員会との調整を行うということが明記されておりまして、この監理委員会の御意向等も十分承って調整しようと。予算の執行は八月以降、多分そのころになると思います。そういう条件つきで予算がそういうふうにつけられておるということでありますので、今後の我々の努力にかかっているという点もあると考えておる次第でございます。
○鈴木一弘君 五つの条件については、この間もこの委員会でやっておりましたが、大蔵大臣はその条件に対して、これは六十年度予算に与える影響をどのように評価しているんですか。
○国務大臣(竹下登君) 今、総理からもお答えがありましたように、建設の着手に当たっては、所要の立法措置を講じて並行在来線の廃止を決定しますとともに、いわゆる国と地方負担等事業実施のあり方、国鉄再建監理委員会の答申等との関連について調整を進めて、その結論を待って六十年八月をめどにこれを行う、こういうことにしておるわけでございます。したがって、この国鉄再建監理委員会におきますところの国鉄の経営形態のあり方等に関する検討と密接なかかわりの絡む問題でありますので、同委員会の答申を待って対処するという立場でございますので、現在どういうふうに六十年度予算に、どういうふうに今後進めていくかということについては、私の段階ではそのお答えが限界になるであろう、御承知のように、このいわゆる予算措置は、建設費五十億、五十億、そして調査費の十四億、十四億というものをただいまは計上しておるという段階でございます。
○鈴木一弘君 国鉄の負担でなく一般会計への負担にしたという理由は何でしょう。
○国務大臣(竹下登君) 今日の時点におきましては調査費は全額国庫補助金、これは従来どおりでございます。それから、いわゆる工事費につきましては今後どういうことになるかということが決まっておりませんので、したがって、いわば資金運用部資金、財投と利用債ということで措置をしておいて、そして結論が出た場合にその予算を移しかえをする、こういうようなことに恐らくなろうかというふうに考えられます。
○鈴木一弘君 そういう点で、整備新幹線、私どうも逆行革のように印象を受けるわけですが、それにもまさるとも劣らないというのがいわゆる揮発油税の特別会計への直接導入ということでございますが、これは総務長官、特定財源について臨調答申ではどういうふうに述べておりますでしょうか、言っていただきたいのでございますが。
○国務大臣(後藤田正晴君) 第一次答申の中に、特定財源については「道路その他の特定財源(自動車重量税を含む。)の在り方について幅広く検討する。」ということは事実でございますが、今回のは予算編成の過程で財源等の関係もこれあり、一般会計を通さないで直接に道路整備特会法の中に繰り入れてそれを地方に交付する、こういうことになったわけでございます。これは私は専ら予算編成に伴う財源上の問題をいろいろ考えての措置であろう、それだけにこの措置はたしか臨時の措置になっておる、かように理解をいたしております。
○鈴木一弘君 これは臨調答申では、今御答弁がございました「幅広く検討」という言葉でございますが、幅広く検討されたのなら、その検討機関とか検討内容というのは出てくるだろう。今、臨時の措置ということは、三年間という期限のことでしょうと思いますけれども、この検討内容と検討機関が幅広くあったのかどうか、これをお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) この特定財源問題については、今、後藤田大臣からお答え申し上げたとおりの臨調第一次答申によって「幅広く検討する。」と指摘がなされておることは御指摘のとおりでございます。したがって、やっぱりそうなれば、これをいわば財政関係のそれぞれの場所で議論していただいた方がいいじゃないか、こういうことから、財政制度審議会と、それからもう一つは税制調査会、この場で審議をお願いいたしたわけであります。 それで、種々の議論を重ねてきておりますが、この問題は一方で受益者負担的な性格を有することに留意すべきであるという意見もありますし、他方、資金の効率的な配分を阻害するおそれもあると、二つの意見がいつもなされる議論でございます。特定財源制度の問題は、財政需要の優先度等を含めて、財政資源の配分機能を有効に生かす見地から幅広く検討をして、そして今日の時点ではそれぞれやむを得ないとか、あるいは当を得ておるとかという御意見に基づいて、もろもろの措置をしてきておるわけでありますが、なおいつも指摘されるのは、今後なお引き続き検討をしていく課題であるということは、これはいつも指摘されておるということでございます。
○鈴木一弘君 今のことでよくわかりましたけれども、受益者負担の問題と資金の効率運用の阻害の問題と、二つのことがぶつかり合っているということで、今後もずっと検討すべき課題ということは、つまり簡単に申し上げれば答えが出なかったということですね。そういうことからいいますと、これはどうしてこういう会計ができてしまったのか。そういう措置ができたのか。やはり「幅広く検討する。」という意味が、政府部内で、出す方ともらう方と、これを両方でもってうまく話し合いがつけばいい、今言われたのは、財政審とか税制調査会等でよい結論が出なくても、それでもいいではないかというふうになったら、これは今後なあなあということにずっとなっていってしまうわけですね。臨時と言うけれども、臨時がそのまま続いている例は幾らでもございますので、この点私はどうもこの「幅広く検討する。」の意味がぴんとこないので、果たしてそうだったのかどうかという点でもおかしいと思うんですが、これは総務長官、再答弁していただけませんか。
○政府委員(吉野良彦君) 先ほど両大臣から御答弁がありましたとおりでございまして、臨調答申では「幅広く検討する。」という御指摘をいただきまして、財政制度審議会あるいは税制調査会でもいろいろ両様の御議論もございまして、いまだそれぞれの審議会での御結論をいただいているわけではないというような状況になっているわけでございます。ただ、この六十年度予算編成に関連いたしましてお願いをいたしております揮発油税の一部を道路整備特別会計に直接繰り入れるという措置は、いわゆる特定財源問題のあり方そのものの検討の問題とは別個に、従来から特定財源として位置づけられております揮発油税を、つまり新たに特定財源を創設をするということでは決してございませんで、従来ございます特定財源の一部を特別会計に直接繰り入れるという措置、これも臨時の措置でございますが、臨時の措置としてお願いをしているわけでございまして、特定財源問題についての幅広い検討という課題とは直接関係のない措置でございます。
○鈴木一弘君 どうもおかしいね。これは臨調答申でははっきり「道路その他の特定財源の在り方について幅広く検討する。」というぐあいにあるわけでしょう。これが検討の結果が出ないうちに、臨時の措置だけれども、まあもともと揮発油税というのは道路に使われるものだから道路の方へ持っていったと、こういうような、簡単にわかりやすく言えばそういう答弁です。そういうことになったら、今度はトランプ類税というのはトランプ業者のために使うようにお使いになるのか、酒税は酒業者のために使うのか、こう言いたくなっちゃうわけです。そういう点で、非常にぴんとこないような、おかしな答弁なんですけれども、これは総理、どうお考えでございますか。
○国務大臣(竹下登君) これは私からいま一度お答えした方が適切であろうと思いますが、一般に特定財源制度というのは、特定される公共サービスの受益と負担との間にかなり密接な対応関係が確認される場合においては合理性を持ち得るというのが、この議論の中に一番強く出る議論の一つでございます。しかしながら、一定の合理性はあるが、一方、それが資源の適正配分をゆがめていく場合もありはしないかと、これがいつもある議論でございます。したがって、今日の段階では、特定財源問題ということについては、いわば引き続き検討という状態にあることは、これは御指摘のとおりであります。 したがって、今、吉野局長から申し上げましたのは、いわば特定財源論議とは別として、今日現存する特定財源の中で、今回のいわゆる地方道を対象にしたこの臨時交付金をいわば特会へ直入して、そこから交付金を出すということを、いわば今日の道路行政の政策的見地からこれを考え出したということでございますから、特定財源問題の議論は議論として継続し、既存の特定財源の中から道路行政としていわゆる特会への直入という手法をとらしていただいたと、こういうことであるわけでございます。
○鈴木一弘君 旧来のものを除くとか新しいものについてとかということは臨調答申にはどこにもないんですよ。だから、今回のこの措置は臨調の答申に真っ向から反している。それだけじゃなくて、財政全体の姿をゆがめている、こういうふうにしか思えないわけです。その点では近来まれに見る悪法であると、こういうふうに言わざるを得ないわけですけれども、この内容がさらに私は問題だと思うんですが、この道路整備緊急措置法及び道路整備特別会計法の一部を改正する法律案についての内容を若干建設大臣から説明していただきたいんです。
○国務大臣(木部佳昭君) 道路整備緊急措置法及び道路整備特別会計の一部改正を国会にお願いいたしておるわけでございますが、この法案は、まず道路整備の緊急性、措置法の一部を改正し、第九次の道路の五カ年計画を計画あるバランスのとれたものに推進するために、地方公共団体に対して昭和六十年から三カ年間、県道並びに市町村道というものに対して三年間に地方の道路を整備していただく、そういう意味で、揮発油税の収入の一部を道路整備特別会計に、歳入に組み入れさしていただくと、こういう中身でございます。 先生も御承知のとおり、道路整備というものは、国道から有料道路から高速道路から府県道から市町村道というものに、体系的にやっぱり整備しなければならぬ、特に地方の市町村道が非常におくれておりますから、そういう意味でバランスのとれたものにお願い申し上げたいと、こういう趣旨でございます。
○鈴木一弘君 それは県道、町村道となってバランスのとれた整備をしたい、バランスのとれた整備には反対じゃありませんけれども、何か、じかに入れたということは、一般会計の規模を小さく見せるという、そういうことが一つ大きなねらいがあったのじゃないかというふうに思うんですけれども、この点は大蔵大臣、どうですか。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる今日までも譲与税の形で地方へ道路関係の財源が入っております。ただ、その場合、地方へ参りました場合、いわばこの分はこの譲与税の分だ、この分は何々だと書いてあるわけでもございませんので、必ずしもそれが計画的な道路整備事業に使われたのかどうか、これはなかなかはかりがたい点がございます。それで、このたびは道路特会へ直入することによりまして、まさに体系的な整備の中へこの金が流されていくということと、そうしていま一つは、三年間ではございますものの、いわば財源そのものが固定されておるわけでございますから、その辺が大変わかりやすいという点がございます。 今おっしゃいます議論を詰めてみますと、恐らくそのまま一般会計の予算で道路予算をふやして、そしてその中の地方道分がふえれば一応の目的を達するんじゃないか、それをわざわざ直入さしたというのは、一般会計をゼロ以下に抑えたいという目標を何とか守るためにそういう直入というバイパスをつくったのじゃないかと、こういう御批判であろうと思っておりますが、私どもは、この問題はあくまでも地方の独自性において、しかも体系的な中の一環としてやるためには、地方への交付金制度という方が、地方道というものを対象にする限りはより合理的ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
○鈴木一弘君 これは大蔵大臣らしくない御答弁をいただいたと私は思います。今までの財政のことにこれだけ通じていらっしゃる方が随分おかしな答弁をするなと思って私は聞いていたんですけれども、それは地方の方は国と同等の権限を持つというのが現在の憲法の定めるところの地方自治の本旨でございますから、それは道路に使うかどうかわからないという不信感を持ってすべてを見ていってはいけないのであって、やはり私はそういう点では体系的整備の中に全部入れなければならないからというような、そういう無理に強いてくっつけたという感じの御答弁では私は満足できません。 ここで総理、大蔵大臣、建設大臣、最後に総務庁長官の見解を求めたいんですが、この法律の中にあるのを見ますというと、地方道路整備臨時交付金をもらうために地方は計画を出さなければならない、それは建設大臣に出すわけです。それで、その建設大臣が、これを建設省は審査、つまり認可、許可ということになるわけでございますが、これが行革になるでしょうか。私は許認可は減らすというのが普通なときに、再びもう一遍こういうような計画を提出するなんということになると、何か逆行もいいところじゃないかというように思うんですが、御答弁をいただきたいと思うんです。
○国務大臣(後藤田正晴君) 財政措置をする以上、その執行の適正化を図るという意味においてやはりきちんとした私は手続が必要であろう、かように考えるわけでございます。ただ、こういう手続をめぐって大変いろいろな事務が煩雑になるという非難はいろいろあるわけでございますが、今回のは、したがって道路の管理者が計画を立て、その計画に必要な金の一部を交付金として交付をする、ところが、従来こういうものは個別に一つ一つ補助金の交付手続ということがあるわけでございますから、従来のそういった手続よりは今回のやり方の方がより簡素化して行政改革の目的に沿っておる、反しているどころじゃない、沿っているのじゃないかなと、私はさように考えているわけでございます。
○国務大臣(木部佳昭君) 今、後藤田長官から御答弁がありましたように、道路管理者が計画的に実施計画というものを上げてもらうと。今までは今申し上げましたように一件ごとの審査でありますけれども、そうでなくて交付金を一括して我々も交付することにより、また同時に計画を実施する方の市町村側が一括してこれを計画を立てるということになっておりますから、私は、今、後藤田長官からもお話がありましたように、行革の精神に反するものではなくて、むしろ合理化、簡素化というものにつながっていくであろう、私は特に今までの日本の行政を見ておりますと、上から下へと投げる、そうじゃなくて下から上へというような、そういう簡素化の方向の臨調の精神の思想というものが大変大きくこの制度にはにじんでおると、そう考えております。
○国務大臣(中曽根康弘君) 冒頭に申し上げましたように、予算の各方面について精査を加えまして、まず第一に予算全体の膨張を防ぐこと、つまり小さな政府ということに徹すること、第二番目に各項目について効率性を考えてむだな浪費を起こさないようにすること、こういうようなことごとをとりあえず大きな目標として努力してまいりたいと思います。
○鈴木一弘君 私は時限的な措置であろうともやはりこの問題については今後将来大きな問題を残していくというような気がしてならないんです。先ほどから指摘申し上げたような一般会計のごまかしのような感じもするし、膨らみを減らすためのそういう見せかけの行事のような感じもするし、いま一つは地方に対しても余りいい影響を与えないのじゃないか。つまり許認可事務の整理と言いながら逆になっているのじゃないかという心配があるわけですが、私は、こういう逆行革のような法案については、これは思い切って、総理自身が行革の看板を掲げていらっしゃるだけに、この法案の撤回を含めて御検討するということはあり得ないんでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり政府は許された環境の中で最大限の努力をして与党とも話し合ってつくったものでございますから、撤回することは考えておりません。
○鈴木一弘君 総理はそういう与党とも話し合ったことであるし云々ということで、手続を踏んだということで撤回すべき考えはないと言うのですけれども、どうも私はその答弁納得できない。やはり何か行革じゃないような法律であるという印象が強いんですけれども、総務長官どうお考えですか、総理の今の答弁について。
○国務大臣(後藤田正晴君) 総理のお答えのとおりに私も考えております。
○鈴木一弘君 私はこういうような悪法は直ちに撤回すべきだと考えています。また、いかに逆行革かということはこれでわかるわけでございますし、臨調答申の違反であるかということがそれで指摘できるからです。私は中曽根内閣にはもう行革の熱意がないのじゃないかと疑わざるを得ないような、こういうふうに思わざるを得ないわけでございますが、これからが本当の私は行革になるのだろうというふうに思うんですけれども、今までの行革の内容や進行状況を見ておられてどういうふうに今は思っておられるのですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 政府は臨調から五回にわたる正式答申をいただきまして、その都度閣議決定をもちまして行革大綱を決めまして、こういうような軌道をつくりつつ行程表によって今まで一つ一つ進めてきておるところでございます。鈴木さんの目から見れば御不満の点が多々多いと思いますけれども、現在の環境下におきましては最大限の努力をしてきていると自分では考えておるわけでございます。何しろ最初にゼロシーリング五十七年、それからマイナスシーリング三回、四年目になります。相当経費も引き締めまして各省庁も苦しんでおる状態でございます。そんなところへ目をつけないでもっと大きいことをやれと、こうおっしゃるかもしれませんが、片一方におきましては公社の改革とか年金制度の改革とか補助金の問題であるとか手がけておりまして、現在の政治力をもっていたしましてはこの程度がいっぱいであると考えざるを得ないのであります。
○鈴木一弘君 今までの行革で、例えば十やるべきところをどのぐらいまでおやりになったというように思っておられますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは臨調の方で評価をしていただきまして、五〇%程度というような、これは非公式のお話でございますが、評価をいただいております。五〇%いっているかなと、少しは励ましの意味でそう言ってくだすったのかなと、そういうふうに思いますが、大きな重要な問題が国鉄以下まだ残っておりまして、いよいよこれからだと思っております。
○鈴木一弘君 私も、行革については総理が今熱意を示されておりましたけれども、まさるとも劣らぬほどそれについては大賛成です。ただ、これまで行革として総理がやってきたことをいろいろ見てみますと、まだこれでは本当の行革に入ってないのではないかという感想を持っています。というのは、これまで行ってきたのは行革というより行政整理という感じじゃなかったか、むしろ不要になってしまっているものを整理した、あるいは不急なものをなくしたと、こういうふうにしかとれない。そういうふうにしか思えないんですが、本当にやるべき行革はこれからじゃないかと思っております。この点については御決意はいかがでございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私たちは臨調の答申というものを中心にして展開してまいりまして、臨調の答申は非常に立派にできていると思うし、その重要な部分もこれにさわって懸命に努力してきていると思うのでございますが、制度の改革ということを御指摘になられますならば、それは確かに大きな仕事はあると思います。例えば中央官庁の整理統合の問題から始まりましていろいろな点があると思いますが、現在の諸般の情勢から見まして、この程度が今我々として与党と一体になってやり得る最大限であると、そういうふうに考えざるを得ないのでございます。
○鈴木一弘君 これは総務長官ちょっと伺いたいのですが、五十八年度に出された行政事務の簡素合理化及び整理に関する法律、これは行革の法律というんですけれども、当然それまでに整理すべきものを一括してやったものだと、こういうふうにしか受け取れないのでございますが、どう思っておりますか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 今日までの行政改革の評価についてはいろいろ御批判もあろうと思いますけれども、その点については精いっぱいの努力をし、昨年の秋、行革審からの御評価もいただいておりますが、さらに厳しい段階に入っておりますので全力を挙げてやるつもりでございますが、御質問の第百国会で成立しました行政事務簡素化合理化法、これはどのような位置づけなのか、こういう御質問のようでございますが、これは一つは許認可等の整理合理化の問題でございましたが、当時は第五次答申の指摘事項、それの具体化したものでございまして、六十八事項のうち三十五事項一括整理をいたしております。もちろん許認可についてはその前にも整理をいたしておるところでございます。 いま一点は機関委任事務ですね。機関委任事務の整理合理化、これをやったわけでございますが、これは第三次答申、これは当面二年間に一割程度の整理合理化を行うべし、こういう御提言があったわけでございますが、これらについて関係法律三百九十八本中四十四本の法律改正、なおそれに伴う必要な政令の改正、これらを含めまして五十五件の整理合理化をこの法律の改正の際に実施いたしたわけでございます。もちろん機関委任事務についてはこれは地方と国との機能分担、そういった基本的な問題がございますが、これは非常に重要事項でございまして、これは踏み込んでやらなければならぬということで行革審にさらに御審議をお願いして、大体六、七月ごろに御答申をいただけると思いますから、それを受けて本格的な取り組みをいたしたい、かように考えているわけでございます。
○鈴木一弘君 総務庁では、もうそろそろ六十年度の行政監察計画を発表すると思うんですけれども、新聞等にだけ報道されておりますが、まだ公式なものは出ていないようですが、計画のポイントはどういうものでございましょうか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 行政監察というのは、やはり毎年度計画を立てまして、それによって実施をするのですが、しかし臨時的に重要事項について監察をするということもございます。今鋭意検討をいたしておるわけでございますが、近くまとまれば公表をいたしたい、こう考えております。 そこで、最終まとまったものではございませんが、今一応頭の中にある監察テーマは、共通分野についての行政改革を推進する、そういう意味合いからの監察が一つ。いま一つは、主要な行政分野に係る制度、施策の改善、こういう観点から幾つかの項目を取り上げたい。例えば、それには郵便事業とか、自動車の検査であるとか、森林資源の整備であるとか、海岸保全とかいろいろ考えておりますが、これはまだ最終決定をいたしておりませんから。いま一つは、国民生活の安全と利便の確保という観点からの監察をいたしたい。それからいま一点は、新規の行政施策が講ぜられた場合には五年ごとにその実績を評価して見直すということがございますので、それを、五年目ごとの見直しに該当するものを監察したい。それからもう一つは、総務庁は御案内のように総合調整の役所でございますから、その総合調整に資するための実態調査をしたい。 大体そういう項目についてやる予定でございますが、細部はいましばらくお待ちをいただきたい、かように思います。
○鈴木一弘君 新聞等の報ずるところでは、今森林の云々と言われましたが、国有地の有効活用で民間活力の導入を促すとか、補助金の事務手続の簡素合理化の問題とか、特殊法人の事業計画の見直しとかというようなことが載っているのでございますが、そういうことは既に今まで臨調答申の中で一、二うたわれてきたものでございますが、こういう点について、これからいよいよ補助金の統合メニューをつくるとか、それをしていくのでしょうけれども、統合メニューが進んでも、交付する側もされる側も少しも事務の簡素化にはならなかったのが今までの実態でございます。これを今もし事務の簡素化というところまでいかれるということであれば、これまでとは全く違ったものということになるわけでございますが、総務庁長官、御決意はいかがでございましょうか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 今お挙げになったような事項はことしの監察調査の対象にしたい、かように考えておりますが、今いろいろな手続が大変厄介だ、これはやはり当然補助金その他の整理というものの中の一環に、今いかにも厄介な手続をとっておりますから、これはそれに伴う人もたくさんいるわけですから、そこらは重点的に調査もさせていただいて簡素合理化をしたい、かように考えております。
○鈴木一弘君 これは総理にお伺いしたいのですが、行革について再確認をいたしたいんですが、臨調が五次にわたって示してきた答申、これについてはすべてこれを実行する、こういうことは確約をしていただきたいのでございますが。
○国務大臣(中曽根康弘君) 一〇〇%完全にということが果たしてできるかどうかはちょっとお約束しかぬますが、ともかく重要な問題についてはことごとくこれを実行したい、そういう考えでおります。
○鈴木一弘君 毎年政府が行政改革の実施方針というものを閣議決定してやってきている、これもよく存じております。しかし、答申の中で主なものということになってしまうと、つまみ食いということができてくるわけです。つまみ食いはこれはやっちゃいけないだろうというふうに思うんですけれども、この点はお約束いただけますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) つまみ食いのようなことはやらない方針でおります。
○鈴木一弘君 前回ここの委員会で、昨年の三月十九日の委員会で、予算委員会の前までには必ずどこまで実行したかを出していただきたいということで申し上げて確約をしていただきました。今回ほとんどの省そろっておりますけれども、これを拝見いたしまして、一生懸命やっているなというところと、まだまだやらなければいけないなというところというふうに感じるわけでございますが、今後もこれは毎国会必ず御提出をしていただきたい。また、それ以外に特殊法人とか、あるいは出先機関の整理とか、こういった問題についてもちゃんと資料を今後提出していただきたいし、特殊法人の役員の推移等についても出していただきたいと思うんですが、お約束していただけるでしょうか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 必要な資料は提出をさせていただきます。
○鈴木一弘君 総理に伺いたいのですが、先ほどの民間活力の導入の問題からちょっと伺いたいんです。特に行政監察の中でも民間活力の導入ということ、この点のことは検討しているところだという話がございましたので、なお伺いたいんですが、総理は施政方針の中で公的規制の抜本的見直しということをうたっておられる。これはぜひやるべきだと思います。レーガノミックスに見られるような自由経済市場の活性化、活性化というのは自由経済を抑えるような各種の認可とか許可とか、あるいは各産業に対する既得権益の保護になるようなことを取り外すということです。そういうこと以外に本当に自由経済をどんどん伸ばして活力ある経済社会をつくることはできないと思うんです。店ごとに定価が違うし、だれもどんな職業でも開店できるし、やれるというふうでなければ、これは民間の一人一人にやる気を起こさして、そうして民間活力をどんどん起こさせるということは、これはでき得ないことだと思うんです。この点についての総理の御見解を伺いたいと思うんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 規制の解除は非常に重要な項目であると思っておりまして、今まで多少許認可の廃止等々やってまいりましたが、産業関係等についてはまだまだ非常に不徹底な点があるように思います。そういう意味におきまして、行革審において一々これを今点検していただいております。また、中央と地方の関係で、地方に対する権限の移譲等の問題も検討していただいております。なお、産業関係の規制解除等については、行革審と相ともに、河本長官のところにおかれましても今いろいろ点検さしていただいておるわけでございまして、成案が出ましたら実行してまいりたいと思っておるところであります。
○鈴木一弘君 国民の方は、私は物すごくこれ潤うと思うんです。一例を挙げますと、例えばお酒屋さんの場合でありますが、現金仕入れをすればこれは安く入るわけです。そうして、これを半値で売っても利益が出てくる。これはお客は当然集まってくるわけです。ところが、そういうことをしてはならぬ、現金仕入れはいけないというような指導がされたというようなことの陳情を受けたこともあります。そういうようなところまで行政が入っていってしまったりするということは余り好ましいことではないと思うんです。これはそういう例がたくさんあるという意味で私は申し上げたわけじゃありませんけれども、そのようなことがあったのでは、これは国民に幾らいわゆる民間活力を伸ばせ、出せと言われても出なくなってしまうというふうに思うんです。この点いかがでございましょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は全く同感でございまして、産業活動に対する介入というのは極力排除しなければならぬと思います。
○鈴木一弘君 私、臨調で指摘された特殊法人の役員の削減のことですが、これは六十年三月末でほぼ達成できる、こういうふうに言われておったわけでございます。特殊法人総覧によって五十七年一月一日から五十九年一月一日までの役員の削減状況を見てみますと、常勤の職員が減る、その常勤役員が削減されていても、その分非常勤の役員がふえている、こういうケースが多いんです。これではどうも完全な底抜けになるし、逆にまたかえって役員がふえているのもございます。やむを得ないためにふえたのもあるかと思いますけれども、これについては一体どこがチェックし、ちゃんとやっているかということは非常に大事なことだと思うんです。これをひとつ法人別に提出していただきたいという質問をする予定でしたが、出てまいりましたものですから、先ほどからずっと見ていたのでございますが、きょうのきょうもらったばかりなので十分なチェックがまだできておりませんが、こういうようなしり抜けをやっていいのだろうか、常勤は減らして非常勤をふやす、これはちょっとぴんとこないのでございますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 特殊法人の役職員の、何といいますか、調整といいますか、これは実は内閣が担当しておるのですが、きょうちょうどいらっしゃいませんので、私かわってお答えいたしますが、法律によってこういうものを設けるといったときは、これは私の方に審査権がございますから、それによってチェックはいたしております。それ以外のものについては内閣において第二臨調からも二割削減しなさい、こういう御答申がございまして、その数が大体百六十ぐらい整理しなさい、それが五十九年度末、この三月末までに、こういうことになっているわけですから、この趣旨に沿って内閣としては、各省庁で所管していらっしゃるわけですが、各省庁と相談をしてできる限り整理をしております。今日まで大体百名、増減がございますから、新しくできた特殊法人がありますから、それらを入れまして百人ぐらいの整理で、後一息努力をしなければならぬ実情にあると思います。 御指摘の、そういったときに常勤の削減をした場合に非常勤に回す、これは肩がわりみたいなことはこれは認めるわけにはまいりません。ただ、私は非常勤の役職員そのものを否定する必要はない。これは人によってやはり置いておいた方がよろしいということがございますから、一概に非常勤否定はしませんけれども、おっしゃるように常勤が仮に八名あった、一名整理しなさいということで七名になった、ところが非常勤が今まで二人だったのが三人になる、こういう例が私は絶無とは考えておりませんけれども、これが肩がわりみたいなやり方でやっていると思いませんけれども、もしそれであればそれはやはり各省で適切に処理をしていただかないといけない。もちろん、そのときの非常勤の待遇がどうなっておるかといったような点もあわせて勘案すべき筋合いのものであろう、かように考えます。
○鈴木一弘君 行革の最後でございますけれども、整備新幹線については土光会長は財政再建までの凍結を言ったのだ、こういうふうに言っておりました。それから、先ほどの特別会計の問題もそうでございますし、今の常勤、非常勤の問題等もあって、これはなかなか一歩一歩進めていくのは容易じゃないことは十分わかるのでありますけれども、異常な決意をもって行革だけは取り組んでいかないと、これは日本自身がおかしくなっていくという私は認識を持っておりますが、改めて総理のもう一度御決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 行革は厳粛なことでございまして、国民の皆様に対する重大なる公約でございますから、臨調答申の線に沿いまして今後とも誠実に実行してまいりたいと思っております。
○鈴木一弘君 次は、財政再建の問題について伺いたいと思いますが、既に世間では中曽根内閣が公約をされてきたいわゆる増税なき財政再建というのは崩壊したと言われております。どうも先日以来の御答弁を伺っておりましても、増税なき財政再建の達成に対するかたい決意は私は変わらないような感じがしているんですが、総理はどう位置づけておられましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 増税なき財政再建の理念を堅持して懸命な努力をし続けている、そう思っております。今後も懸命な努力を続けてまいりたいと思っております。
○鈴木一弘君 そこで、大蔵大臣、大蔵省が提出した財政の中期展望、それから中期的な財政事情の仮定計算例、との二つを検討してみると、国債費については六十年度はついに定率繰り入れが停止された。六十一生度については定率繰り入れの扱い方はどういうケースがあり得るとお考えでございましょうか。
○国務大臣(竹下登君) 具体的なケースどれがあるかと聞かれますと、これは大変お答えにくい問題でございますが、この六十年度予算編成に対する財政審の建議は「六十年度においても定率繰入れを停止することはまことにやむを得ざるものと考えるが、六十一年度において公債の償還財源の問題はもはや猶予を許されない状況となることにもかんがみ、公債の償還財源の充実について最大限の努力、工夫を行うよう、強く要望する。」、こういう指摘を、ことしはいいが来年はもう許されないぞ、「強く要望する。」というこの建議に基づきまして、財政当局としてもこれを踏まえて適切な対処をしてまいろうということを申し上げておるわけでございます。なお、これは直接直ちの関係と申す意味で申し上げるわけじゃございませんが、今回政府に無償譲渡されます電電株式及びたばこ株式のうちの売却可能分について国債整理基金特別会計に帰属させて公債の償還財源の充実に資するということを一つの法律としてお願いしておりますが、それが一つあるわけであります。 いずれにしましても、六十年度以後の定率繰り入れの取り扱いは、そのときどきの財政状態と国債整理基金のいわゆる資金繰り、これを考慮する必要がありますので、この前も建議でいただいております減債制度の仕組みそのものを維持するという基本的考え方は、これは踏まえていなければならぬぞということになっておりますので、まさに今日の時点で、例えばよく先生方との議論のときに、半分繰り入れした場合はどうなるかとか、あるいは三分の一の場合はどうなるかとか、いろいろな議論が行われますが、いまだそういう議論を詰めて対処する方針を決めておるというわけではございません。
○鈴木一弘君 これはどう見ても定率繰り入れをやめるか、やめないとすれば予算繰り入れをしなければならないという、どっちかに私はなるというふうに思うんです。もし定率繰り入れを停止して予算繰り入れを実施したとして、これはどのぐらい国債費が節約できるんでしょうか。
○政府委員(吉野良彦君) 既に御提出を申し上げてございます「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」というのがございますが、その計算におきましては、六十一年度のいわゆる定率繰り入れの所要額、これは二兆八百億円という計算になっているわけでございますが、一方、同じこの仮定計算によりますと、もしも仮に六十一年度に償還財源の繰り入れを全然しないということにいたしますと、いわゆる整理基金の基金残高がゼロ以下、マイナスになってしまうというような姿になっているわけでございます。 そこで、これを計数について申しますと、もしも全然六十一年度に繰り入れをしないということになりますと、マイナス約六千億ということになるわけでございます。したがいまして、この定率繰り入れの本来の所要額でございます二兆八百億円とただいま申し上げました六千億との差額が一兆四千八百億ということになるわけでございまして、裏返して申しますと、六千億円を入れればかすかす基金残高が六十一年度末ゼロになってしまう、まあマイナスにはならないで済むというような計算になっているわけでございますが、いずれにいたしましても、先ほど大臣から御答弁がごいましたように、来年度どうするかということは来年度の財政の事情、それからこの基金におきます資金繰りの状況、そういったものを総合的に判断して最終的に決めていかなければならないわけでございますが、いずれにいたしましても、基本的には減債制度の基本は維持するというような基本的な考え方はやっぱり踏まえて対処していかなければならないであろう、こういうふうに考えております。
○鈴木一弘君 予算繰り入れを停止して、それが今の話だと二兆八百億の定率繰り入れをやめた場合、九千九百億円の国債整理基金の余裕金がある、それを引くと一兆四千八百億ということになるというお話でございましたが——九千九百億じゃございません。足らない分の借換債もございますから、それを抜くと六千億円だけ入れればいいということになるわけです、余裕金を抜けば。私は、だからそういう点を見ると、片方であれば定率繰り入れ二兆八百億入れるところを六千億入れるだけで済めば一兆四千八百億円の節約になる、こういうことですね。しかし、これは今の答弁からすると減債基金ゼロにしてしまうということは現実問題としてできないのじゃないかということが思われるわけでございますが、これは滅債基金をゼロにするということは可能なんでしょうか不可能なんでしょうか、大蔵大臣に伺いたいんです。
○国務大臣(竹下登君) これは先ほど建議がございましたと申し上げましたように、定率繰り入れは現行の減債制度の基本である、いわば六十年償還ルールを担保するものであるということを重ねて建議の中でも指摘されておるわけであります。したがって、この減債制度の意義は、そうなりますと公債政策に対する国民の理解と信頼をこれがあるから得ることができる、それから財政の膨張、ひいては公債残高の累増に対する間接的な一つの歯どめにもなる、そして財政負担を平準化する効果も期待できる、そしてまたもう一つは、これは国債整理基金に滞留する資金を国債の市価維持のために活用することができる、こういうようなことが挙げられておるわけでございます。だから国債整理基金の残高が幾ら必要かという見地からではなく、やっぱり減債制度の仕組みは維持するという基本的考え方を踏まえて対処しなければならぬ。したがいまして、これを空っぽにしておくというようなことは実際問題としてはとり得ないことではなかろうかというふうに考えます。
○鈴木一弘君 今私の言ったのは、本来ならば二兆円を超える金を入れなければならないところが六千億で済む、こういう手法を使えばお金は出てくるわけですね。だから、そういう手法をまた使うのじゃないか。本来ならその次の年もかなり入れなければならないところも少なく済むということになるわけでありますから、私はそういう点で、いつも大蔵省というのはお金がないお金がないと言いながら、手品のようにどこからか金を出すという、そういうふうにだれもが思ってしまうわけでございますが、これは今のようなやり方をすると六十一年度予算は編成ができるわけでございますが、この点は、六十一年度予算編成ができるケースはどういうケースがあるのか、ちょっとお答えいただきたいんです。
○国務大臣(竹下登君) これは先般提出いたしましたいわゆる財政の中期展望、これをごらんいただきましても、六十一年度予算編成を取り巻く環境というのは大変厳しいものでございます。現在六十年度予算を今審議していただいておる段階でございますので、具体的に念頭に置いているものがあるわけじゃございません。例えば今鈴木さん御指摘なさったいわゆる定率繰り入れをゼロにする、六千億で済ますとか、そういう予算繰り入れで済ますとかというような具体的なことを念頭に置いておるわけではございません。が、やっぱりこれは歳入歳出両面においてぎりぎりの工夫をしなければいかぬ、大筋言えばその言葉に尽きてしまうわけでございます。 ごらんいただきましても、ことしから来年にかけての試算で要調整額をお示ししたりしておりますが、五十八年度予算のときの六十年度予算の試算、五十九年のときの六十年度予算の試算、それを工夫しながらこの要調整額を歳入歳出両面にわたる制度、仕組みの根幹にさかのぼりながら縮めていったわけでございますが、今の段階で、このようなことが今念頭にございますと言う状態ではまだないということを残念ながらお答えせざるを得ません。
○鈴木一弘君 私は、六十一年度予算編成に対しては定率繰り入れを停止して、そうして予算繰り入れにする、予算繰り入れの六千億だけで足りるようにするという——一兆四千八百億も節約するわけですね。そういうようなやり方をとらない限り非常に難しいのではないかということを指摘しておきたいんですよ。そうでなければ税の増収でもしなければならないわけでございます。問題は、今度六十二年度の国債費は定率繰り入れを停止しても同じ程度の予算繰り入れになるわけでございますが、この点はいかがでございますか。
○国務大臣(竹下登君) いわば鈴木先生の、六十一年度がまあ何とかなったとしてもと申しましょうか、六十二年度になると定率繰り入れを停止しても同程度の予算繰り入れが必要となって国債費の節減はほとんどできないじゃないか、こういうことのお話でございますが、したがって、六十一年度に定率繰り入れを停止して六十一年度末基金残高がないという前提であるいはお考えになっているかとも思います。 確かにいわゆる六十一年度に国債整理基金への繰り入れを節減して予算編成を行ったら整理基金の残高がなくなって、六十二年度以降はいよいよ国債の償還費繰り入れが歳出の大変な重圧となって、このままでは予算が組めないという認識に立ってのものと思われますが、今六十一年度予算編成が具体的にどのようなものになるかによって事情が相当違ってくる問題でございますので、御指摘のような状況を前提としてその先の六十二年度の議論に入りますと、いわゆる要調整額の解消策というものに入りますというのは難しいことでございます。だが、中期的に見た財政事情が非常に厳しいものであるという点は、これはおっしゃるとおりでございます。だからこそ、引き続き歳出歳入両面にわたっての懸命な努力をしなければならぬということになろうかと思いますし、六十一年度以降においてもいわば国債償還財源のための電電株式等を帰属させるという問題はございますけれども、やっぱり歳出歳入全般的な積み重ねというものに懸命に取り組んでいかなければならぬ。だから、さらに国と地方との役割分担とか費用負担のあり方とかいう議論も詰めていかなければならぬ課題だというような認識でございます。
○鈴木一弘君 今の御答弁を伺っていまして、私は計算してみて、今大蔵大臣言われたように六十一年度のときに余裕金全部を入れてしまった、そうすると国債整理基金における残高ゼロになるわけでございますが、そういうふうにした場合、六十二年度で全額予算繰り入れをしたとした場合も、定率繰り入れに比べてたった一千六百億円しか節減にならないわけですね。そういうことでございますから、さらにそこで一般歳出の伸びをゼロにする、こういうことになると、これは伸び率ゼロに抑えることができるかできないか私わかりません。しかし、今までの政府の方の試算そのほかを見ますというと、その六十二年には一兆二千二百億円程度の要調整額が必要になる、こういうことになってくるわけです。 この一兆二千二百億円の要調整額の解消方法について、今大蔵大臣は今後の課題のように言われたのですけれども、一つだけ地方と中央との問題と言いました。それは地方へのしわ寄せということを意味していると私は思ったんですが、そのほかに理論的に形式的に考えられる要調整額をどうやって解消するかという方法についてお答えをいただきたいと思うんです。
○国務大臣(竹下登君) 私が今いわゆる制度、施策の根本にさかのぼって地方と国との分野調整のようなお話をしました。それももとより念頭から去ってはならぬという問題でございます。それからさらには、なおそういう負担区分の問題そのものでなくして、やはりいわば歳出削減努力というものもなおしていかなければならないというふうに思っております。 したがって、私どもも要調整額で考えられるもの、今お示ししておりますとおりに、また鈴木さんの試算での要調整額のお示しがある、その中身をいわば歳出削減でこれだけ、あるいは国民の負担増においてこれだけ、あるいは歳出削減は地方への負担も含めこれだけ、そういうことが的確にあらわされる状態になるということは私は好ましいことだと思っておりますが、今日の段階では、言ってみれば今度お出ししております試算そのものもそういう具体的方針を織り込んだ試算ではなく、いわばその中で、過去の経緯の中でどれだけの努力がなされ制度改正がなされたかということも読んでいただきつつ、将来のその要調整額のあり方も、こうした鈴木さんと私の、あるいは国会におけるもろもろの問答の中で国民のコンセンサスを求めていこうと、こういう姿勢を今日なお貫いておるわけであります。 いささかでも、半歩でも進んだ具体的な裏づけというものを出したいと思っていろいろやってみますが、やはり制度改革にいろいろお願いしておる、あるいは昨年で言いますならば健康保険の、あるいは年金のそうしたもろもろの政策が裏づけになって、結果として昨年示したものよりもこれだけ少なくなっておる、したがって、さらにその努力で今船木さんの試算のものをどのようにやっていくかということを、この議論の中でコンセンサスを見出していこうという姿勢で対応しておるということであります。
○鈴木一弘君 大蔵大臣、仮定計算例では一般歳出の伸び率ゼロと、現在までの水準にとどめておけば昭和六十五年には特例公債脱却ができるということになっているんですけれども、しかし、その間に必要な要調整額があるわけです。それを一体どうするか、この辺の議論が少ないわけでございます。だから、これはもう本当に何というのか、このとおりやれば何とかゼロになりますよなんという紋切り型ではいかない問題になってくるわけです。 そこで、私、政府税調が、今歳入の六割程度に税収は落ち込んでおりますが、この税収を八割程度に引き上げれば財政の対応力は上昇すると昭和五十五年十一月に述べておりますが、そういう考え方、方法は考えておるんでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) おっしゃいますとおりでございまして、昭和四十年代は八〇%ないし九〇%、それで五十年代に入りましてから六〇%代となって急激に低下して、そして財政再建の努力によりまして徐々に回復して、今六十年度予算では七〇%を超える水準、七三・四でございますが、諸外国と比べますと依然としてまだ低うございます。五十五年十一月の税調中期答申には今御指摘なさいました税収比率を八〇%程度まで引き上げることができれば財政構造の健全化は進むことになるが、健全化の度合いとしてどの程度の水準を目途にするかについては一義的な数字をもって示すことはなかなか難しい、こう書かれてあります。 そこで、六十五年度までに特例公債依存体質からの脱却と国債依存度引き下げに努めるという目標に向けて、いわばそういう定性的な目標に向けて今進んでおるということで、今の七三・四というところまで来ておるわけでございます。これはいわゆる五十五年の中期答申というのは、まあ五十五年のことでございますから、四十年代における我が国の水準とか主要諸外国の水準を参考にされた大まかな目安として示されたものであって、これが定量的な必ずしも目標値というところまでの指摘ではなかったろうという感じでございます。
○鈴木一弘君 私は、ここで二つの点を挙げたいのですけれども、仮定計算例における税収割合というのを見てみました。今答弁のように、昭和六十年度は七三・四%ですが、これが一般会計の伸び率ゼロ、こうした場合でも六十一年に七三・九となっていって、昭和六十五年には八七・五%までいかないとだめと、これは増税ということです。 それからもう一つは、八割確保という観点から計算をしてみました。これは政府の中期展望ということの中に入れて皆さんのお手元にも渡してございますが、六十一年度、六十二年度においても大きな差があります。六十年度の政府の税収見通し、それについては三十八兆五千五百億になっておりますが、これを八割程度の税収確保というと、〇%の伸びとしても四十五兆要る、約七兆円の差だ、同様に六十一年度は四十六兆必要だということになりますから、六十一年度と二年度の間には五兆円も差が出てくるということで、どうしても大幅な税収増をどこかで図らなければならないということになるんじゃないですか。この点はいかがでございましょうか。
○国務大臣(竹下登君) 今の私はそういう議論がありがたい議論であって、いわば鈴木さんは八〇%というのを非常に念頭に置いて自分の試算を分析し、我々もそれを、そういう前提を置いた試算を双方が出して議論の土台にしていくという手法は私は大変好ましい議論の展開だと思っておりますが、いわばそういう問題、確かにしたがって六十五年度まで一般歳出伸び率をゼロとして六十五年度には特例公債依存体質から脱却するとなっておりますが、途中年度においてなおこの要調整額が残っております。その解消のためには増収措置が必要であるということであると思われますが、したがって我が国財政を取り巻く環境がこういう状態でありますし、高齢化社会とかあるいは国際社会の責任の増大とかいうことになりますと、やっぱり私どもとしてはいついかなるときでも財政が対応できるだけの力をつけておかなければいかぬということになると、これはもとへ返って申しわけないのですが、お互いのべースを置いた議論の中からその手法についてはコンセンサスを求めていく努力をしていかなければならぬ。 だから、今日なお私どもは今度は税制改正の問題につきましても抜本的な検討をお願いすることにしておりますが、それもいわば財政再建の手法としてということではなく、まずいわゆる公平、公正、簡素、選択ありきという形でひずみ、ゆがみを議論していただくところから始めようということでございますので、年々詰まった論議になっておる、同じ人間が同じように議論しておるわけでございますけれども、毎年少しずつ距離が縮まってきているのじゃないか、こんな印象は私自身も持っております。
○鈴木一弘君 総理大臣にお伺いいたしますが、先ほど大蔵大臣は要調整額の解消方法について三つのことを言いました。一つは中央、地方を通じての削減、これは二つに分ければ一般歳出の削減と地方への肩がわりということでしょう。いま一つは国民への負担の増ということを言われた。これは税以外の歳入の増加、あるいは増税による歳入の増加、この二つだということになるわけでございますが、そういう答弁を私はいただいたわけでございますが、総理、こういうふうに見てきますと、やはり増税なき財政再建というのはもう破綻をして、はげかかっているというか、はげてきちゃったのじゃないか。この前はそんなことはないというふうに言っておりますけれども、これは増税による財政再建という道をもう歩いているのじゃないんでしょうか。いかがでございましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり増税なき財政再建の路線を歩みたいと思いますし、歩んでいると思います。歳入構造の改革、歳出の削減等々を今懸命にやっておりますし、電電あるいは専売の公社の株式売却金等も公債償還に充てるというような大きな措置もかねて進めておりまして、今後とも増税なき財政再建の理念に従ってやっていきたいと思います。ただ、国民所得に対する租税比率云々という臨調答申を守って、自然増とか、でこぼこ調整とか不公平税制の是正とか、こういうものは許されていると、そういうふうに理解をしてやっていきたいと思うのであります。
○鈴木一弘君 最後になりますから、総理、大蔵大臣にお伺いしたいのですが、総理の考えよくわかりました。しかし、総理がそういうふうに増税なき財政再建、こう言われておりますけれども、これは建前論だけを言っているように思えてならないんです。財政の現状からいくと、もう建前論では通らないところへ入りつつある。とても建前論では乗り切れないというところへ来ております。この点は大蔵大臣も、先ほどの答弁ではっきりしたように、一番よく知っているでしょう。総理は財政の実態を素直に私は認めるべきじゃないか。しかし、お認めになっていながらやっぱり先ほどのような建前論に終始しているのは、私は政治責任を逃れるものではないかというふうに思うんです。どうしても増税なき財政再建を貫くということは、これは今後戦後税制の見直しが仮に行われて間接税が導入されたとしても、毎年毎年その間接税による増収分を必ず見合い減税をするということが行われることを意味しているというふうに私は思うんです。そういう増税なき財政再建ということを貫くならばそういうことになるわけでございますが、これについて大蔵大臣と総理に最後の答弁を求めたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) これは、鈴木さんの御意見というのはもう一歩先の御議論になるんじゃないかなと、こういう感じで承りました。 と申しますのは、今度いわゆる総理に対して、とにかく「既存税制の部分的な手直しにとどまらず、今こそ国民各層における広範な論議を踏まえつつ、幅広い視野に立って、直接税、間接税を通じた税制全般にわたる本格的な改革を検討すべき時期に来ている」という答申にこたえて、総理からいわゆる公平、公正、簡素、選択並びに活力という基本的な考え方に立っていわば見直しをしていただこうと、こう言っているわけです。その見直しされた議論の中で、いわばこの間接税問題というものも出てくるわけでございますから、まず間接税の議論をしてくださいという姿勢を持ってはならぬという考え方に立って私どもは諮問をして答申をお願いする立場になるわけでありますが、したがって、こういう問答を正確に政府税調に伝えていくというのが議論をしていただくための一番土台になるのじゃないかなと、こんな感じで今の御意見を承っておるわけであります。
○国務大臣(中曽根康弘君) 膨大なる国債の累積あるいはこれから毎年生じてくる国債費の支払い等を考えてみますと、なかなか難しい道ではあるとは思います。しかし、今までの既定路線に従いまして懸命なる努力を行い、あらゆる総合的な仕組みを考えてまいりまして、これを実行してまいりたいと考えておる次第でございます。
○委員長(長田裕二君) 以上で鈴木君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(長田裕二君) 次に、安恒良一君の総括質疑を行います。安恒君。
○安恒良一君 通告をいたしておりました質問の順序を若干変えまして、四番の労働者派遣事業問題についてまずお聞きをしたいと思います。 政府は、昨日三日十五日、閣議でいわゆる人材派遣法案を今国会に提出することを決められました。そこで、この法案を国会に提出しなければならない理由について簡単に説明してもらいたい。
○国務大臣(山口敏夫君) 労働者派遣事業法の必要性につきましては、近年、経済社会の活動の変化等に伴いまして、特に高齢化の問題、女子の職場への進出、雇用の拡大の問題、また若年労働者の就業のニーズにおける多様化の問題等々ございまして、労働者派遣的な形態の事業が増加をしておる。こうした需給の迅速かつ的確な結合機能を有する反面、現行法との関係等で、労働者の保護と雇用の安定確保の観点から早急にルールを定める必要がある。特に労働者が派遣されておる事業の業務の範囲の問題、派遣事業のタイプに応じた規制の問題、定期的な事業報告、事業の改善命令等、さらには労働基準法の適用に関する特例、労働者の保護のためのそうした特例等を盛り込んでこの労働者派遣事業的な労働環境の整備をしていきたい、かように考えておるところでございます。
○安恒良一君 本来、労働者派遣事業は、労働組合が労働大臣の許可を得て無料で行う以外は職安法第四十四条で禁止されている。したがって、現在の労働者派遣事業はこの禁止の網の目をくぐり、労働者派遣ではなく請負契約だとしているが、実態が明らかに私は違法であると思います。そこで、摘発し、取り締まるのが当然だと思いますが、これまでどの程度摘発をしたのか、どういう取り締まりをしたのか、その中身について説明してください。
○政府委員(加藤孝君) 今まで職安法四十四条の労働者供給事業違反という形で、抵触をしておるというふうなことで是正指導を行っております件数は、年間約六十件前後でございます。この是正の対象になった事案の大部分が労働者派遣的な形態の請負事業と、こういうことでこざいます。 ただ、これまでやってまいりました指導の面では、いわゆる労働者供給事業というものを禁止いたしております本来の趣旨でございます強制労働であるとか、あるいはまた、いわゆるタコ部屋的な形での問題、あるいは賃金のピンはね、こういうような形態というよりは、むしろこれがはっきり請負なら請負という形ならばできる形態のものが、必ずしも請負ということではなくて、そこに労働者供給事業的な構成要件に該当するようなおそれあり、こういうようなことでの改善指導というものが大部分でございます。そんな意味で、それがはっきり請負の形で行われるように、こういうような形での指導をしてきたというものが大部分でございます。
○安恒良一君 いや、いただいておる資料の中身を説明してくれなきゃ。このいただいた資料、これ説明してくださいよ。
○政府委員(加藤孝君) これまで職安法四十四条の労供違反ということで指導いたしてまいりました件数は、昭和五十年度で六十九件、五十一年度六十四件、五十二年度百十一件、五十三年度五十七件、五十四年度三十九件、五十五年度六十六件、五十六年度三十三件、五十七年度五十九件、五十八年度六十七件、こんな件数につきまして違反指導をいたしております。 このうち特に労働者派遣的なものではないか、こういう観点からのものについて五十八年度分の六十七件について申し上げてみますと、これまで労働者派遣法案に言う労働者派遣、こういうものに該当する概念というのが必ずしも区別がなかったために明確な区別はできませんが、とりあえず派遣元と労働者の間に雇用関係ありと、こういうものについて派遣事業的なものである、こんな観点で区分けをいたしてみますと、六十三件がこういう労働者派遣的な事業形態のものである、こういうことでございます。
○安恒良一君 本来、労働者派遣事業は労働組合が労働大臣の許可を得て無料で行っているものであります。ところが、それすら御承知のようにこれは労働大臣の許可制になっています。中間搾取がない労働組合ですらそういう状況になっていますが、労働力のリース業とみなされる派遣事業に対し、たとえ常用型であったとしても届け出制を認めることは職安法の体系上おかしいのではないかと思います。 そこで、いわゆる派遣事業はあくまでも例外的な措置でありますので、これらはすべて許可制にすべきだというふうに思いますが、この点は労働大臣と総理の御見解を承ります。
○国務大臣(山口敏夫君) 今、安定局長からも御答弁申し上げましたが、職安法の第四十四条の、先生の御指摘のように強制労働でありますか、中間搾取等の防止というのが中心でございまして、現在派遣事業で行われている部分は、請負という形の中でかなり現代社会の中における労働側のニーズも含めてこれが定着化しておる、こういうことでございますので、今度の法案におきましても届け出制と許可制に分けておるわけでございますが、この業種の指定も御承知のとおり政令でこれからいろいろ協議をする、こういうことでもございますし、この許可制、届け出制の分類につきましては、それぞれの事業の形態、雇用の形態等を十分把握しながら、労働者の保護、また使用者側の責任というものを明確にしつつ、最終的なその二つの分類の中で仕切っていきたい、かように考えております。
○国務大臣(中曽根康弘君) 労働大臣が申し上げたとおりでございます。
○安恒良一君 いや、労働大臣、私が聞いているのは、労働力のリース業とみなされる派遣専業に対し、たとえ常用型であっても許可制にすべきじゃないか。というのは、中間搾取がない労働組合がやる事業については全部許可制に現行法なっているんです。法的にも矛盾がありはしないかということを聞いているんです。
○政府委員(加藤孝君) その点につきましては、この問題を論議いたしました公労使三者構成の中央職業安定審議会においてもいろいろ論議がございまして、その結果、こういう常用雇用の型によって派遣する形については特に問題が少ないであろう、こういう形で届け出制ということにする、そしてまた、そういう派遣元との関係において常用雇用の形態のないものについては許可制にする、こういう形にしたわけでございますが、労働組合の派遣をする形式について言えば、これは労働組合とこの労働者との間には雇用関係というものはないわけでございます。そういう意味では労働者の保護という面で、確かに中間搾取であるとか、強制労働とか、そういうものはございませんが、一方、労働者のいろいろ身分の安定、こういう面においては、常用雇用という形では労働組合との間にない。結局仕事のあるときだけ労働組合としても派遣する、こういうような形になっておりますために、これについては今までどおり許可制と、こういうような形に割り切りをいたしておるものでございます。
○安恒良一君 大臣に聞いているんです。そういう技術的なことじゃないんです。バランス上、法の精神から大臣に答弁してもらいたいと、こう言っているんです。
○国務大臣(山口敏夫君) 組合の場合は、組合同士のいろいろ連携なりまた関係で、これが許可制ということでございますが、派遣事業の場合は、もう先生御承知のとおり、使用者側と労働者側との雇用関係という問題等が発生しているわけでございますので、これが届け出制でという一つの認可のもとで、派遣事業というものの適正かつ公正な運営が行われているかどうかということの一つの点検といいますか、その中で十分それをフォローすることが可能であると、こういう考え方の上に立っておるわけであります。
○安恒良一君 大臣もう一遍私が聞いたこと答弁してみてください。答弁になっていないと思いますよ、私は労働組合のやつは許可制になっていますよと、常用の場合に。今度はいわゆる届け出制というのは、どこにその法律的なバランスがありますかと聞いたんですよ。大臣に聞いているんです。
○政府委員(加藤孝君) その前に若干審議の経過をちょっと申し上げさせていただきたいのですが、労働組合の行う労働者供給事業につきましても、いろいろ御論議を職安審議会でいただいたわけでございます。そういう中で、労働組合の範囲につきましても、これは現在の労組法上の労働組合だけではなくて、さらに職員団体であるとか地区労のような形のものについても広げて認めるようにしよう。あるいはまた、現在許可制の許可の連続の形になっておりますが、これを更新制にする、こういうような形での労働組合の労供も非常にやりやすい形というふうな形での配慮をしながら、先ほど申し上げましたような基本的な労働者の雇用の安定度というような観点から、この許可制と届け出制との区別を審議会としては割り切りをされた、そういうものを受けて今回法案を御提出をしたい、こんなふうに考えておるわけでございます。
○国務大臣(山口敏夫君) 安定局長からも御答弁申し上げましたように、組合の場合には、組合と組合ということでございまして、使用者と労働者側という関係にはない。したがって、支払いの問題でございますとか、あるいは労働条件が守られているかどうか、こういうことのいわゆる組合が組合に対してそういう法律的な制約というものを受ける立場にないわけでございますけれども、派遣事業の使用者側と労働者の雇用関係というものは、雇用者側の雇用責任その他でいろいろ法律的な規制もございます。そういう意味で、必ずしも許可制でなく届け出制であっても、十分労働者の権利、立場を保護することもできますし、雇用者側の責任をきちっと規制し守らせることもできる、こういう立場から、この許可制と届け出制の二つの分類をさしていただいた。また、審議会等でも御議論いただいた上での結論も含めて、そういう一つの方向をまとめさしていただいたと、こういうことでございます。
○安恒良一君 大臣に再質問しますがね、労働組合と組合員の関係ですよ、でありますから、労働組合が行う供給事業には中間搾取というのはないんですよ。片一方はあなたがおっしゃったように使用者と労働者になるんですよ。それがたまたま常用であるからということで、この点について、届け出制でいいことの説明になってないじゃないですか、あなたの言い方は。なぜそれでいいんですか。
○国務大臣(山口敏夫君) 常用労働者の場合には雇用が安定しているという基本的認識に立つわけでございますし、また、派遣事業の場合も、先生の御指摘ではございますけれども、いわゆる労働者側のニーズによってあえて派遣事業に参加しておる、また、そういう事業が今日的に非常に増加をしておるという、まあ労働市場における一つの必要条件の中でこうした業種がふえておるわけでございまして、その実態を踏まえた審議会等の御論議の中で労働省としては一つの成案をまとめさしていただいた、こういうことでございまして、許可制、届け出制の二分類が必ずしも先生の御指摘のように労働者の労働条件が守られないおそれがあるのではないかと、こういう危惧の点も含めて十分規制その他の措置で、これがそうした諸条件を守ることができるというふうな考え方の上に立って一つの法律案をまとめさしていただいたわけでございます。
○安恒良一君 大臣、大分まだ不勉強ですから、改めてこれやらせていただきます。これで時間を使うともったいないですから。 そこで、委員長、税制問題、民間活力、予算の計上、繰り延べ等をやるのに当たりましては、どうしても各大臣、総理以下臨調を事例に引かれますので、私は土光会長の参考人出席をお願いしました。土光さんは無理だから大槻さんという話でありました。そうしたら、きのうの晩になったら、今度は瀬島さんと、こうなったんです。ところが、きょうになったら瀬島さんも出ておいでになりません。 そこで、この事態の打開について、ひとつ理事会の方で打開をしていただきたい。そうでないと、次の質問に入りにくいわけです。
○委員長(長田裕二君) 速記をとめます。 〔午後三時二十七分速記中止〕 〔午後四時速記開始〕
○委員長(長田裕二君) 速記を起こしてください。 安恒君の残余の質疑は明後十八日に行うことといたします。 ─────────────
○委員長(長田裕二君) 次に、高桑栄松君の総括質疑を行います。高桑君。
○高桑栄松君 私は前国会の予算委員会の総括で、大臣諸公が拘束時間が余り長いからコーヒーブレークが必要ではないかと労働大臣に提案をいたしましたけれども、私の経験によりまして大分ちょくちょくブレークがあるようでございますから、この提案は撤回させていただきます。 ところで、教育改革の問題についてまず総理にちょっとお伺いしたいと思います。 国民合意の形成ということは国家百年の大計に立つ教育改革においての基盤だと思いますが、現時点において総理大臣はこれをどのように受けとめておられますか、改めてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 現在の日本ほど老若男女、地域を問わず教育に大きな関心を持っておるときはないと思います。そういうことも考えてみますと、教育の改革は国民の御支援なくしてはできませんし、またそれは適当でもありません。そういう意味において、いかにして国民の御協力を得た形で教育改革を実行するかということは政治家の責務であると思います。 私たちはそういう考えを持ちましてこの臨時教育審議会を設置いたしまして、民間の方々に御出馬を願い、全国各地で公聴会を行うとか、場合によってはアンケート調査等も行っていただいたりして、国民世論を吸収しながらまず立派な案をつくっていただく。そして合意形成の上でそれを進めていただく、それを国会へ出していただいて皆さんでまた御議論をいただく、そういう形にしたいと思っておるのでございます。
○高桑栄松君 それでは文部大臣に伺いたいと思いますが、その国民合意形成のアプローチの方法論がいろいろあるかと思いますが、今日までの実績についてお伺いをいたします。
○国務大臣(松永光君) お答えいたします。 先生の御指摘のように、教育改革を進めていく上では国民の理解と協力を得ながら進めていくことが大事なことであると私どもも思っております。臨教審の方でもそういう考え方に立ちまして、先ほど総理から話がありましたように、数回にわたる公聴会もお開きになり、また教育関係団体五十数団体から意見を求めるという会合も開かれたわけでありまして、そういう意味で国民の合意を求める努力を臨教審の方でも精力的にやっていただいておるというふうに理解をいたしております。
○高桑栄松君 新聞によりますと、地方公聴会等の意見が臨教審に反映しているように私は拝見しまして、大変大事なことであると思っております。また、国会での議論も国民合意形成のアプローチとして大事なことであろうかと思います。 ところで総理にまた伺いますが、そういう実績を積み重ねていくことが必要でありますが、臨教審の設置期間が三年ということになっているかと思いますが、それで結論を得るのに十分でしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 三年が適当であると思います。二年では短過ぎますし、四年、五年では長過ぎます。やはり教育の改革のスピードと、それから国民との密着ぐあい、それから時代の必要性、こういうものを考えてみますと、まず三年が適当であると思います。
○高桑栄松君 これにつきましては私は若干意見を異にいたしますが、次の質問に移らせていただきます。 臨教審で問題になっている二、三の点について、今日まで文部省当局ではどのように受けとめてきたか伺いたいと思うのですが、まず個性主義教育と教育の自由化ということが同義語であるかどうか、伺いたいと思います。
○国務大臣(松永光君) 個性主義というのは、既に先生も御承知のことと思いますが、先般第一部会が埼玉県の国立婦人教育会館で合宿をされまして、集中審議をなさったわけでありますが、その際、今次教育改革の方向の一つの考え方として打ち出されたものが個性主義でございます。 そして、第一部会の御意見によりますというと、個性主義というのは個人の尊厳、個性の尊重、自由、自律、自己責任の原則の確立ということでございます。一方、教育の自由化につきましては、今までいろいろな方がさまざまな意見を述べていらっしゃるのでありますけれども、必ずしもその意味するところが明確ではございません。学校を選択する自由の問題として発言なさっている人もあれば、あるいは教育方法等についての自由を主張していらっしゃる方もありますれば、論者によって種々分かれておるわけでありまして、簡単に私どもの方で、同じか同じでないか言いあらわすことは適当でないというふうに考えておるわけでありますが、いずれにせよ、臨時教育審議会でそれらの問題について、より深められた議論がなされるものと私どもは期待し、それを見守っておるところでございます。
○高桑栄松君 再び文部大臣に伺いますが、義務教育段階に個性主義教育を導入しようということが考えられているのでしょうか。
○国務大臣(松永光君) 先ほど申し上げましたような個性主義の考え方のようでありますが、例えば六十年度の予算でも児童の個性に応じた指導をすることがより教育効果が上がるという問題がございまして、その点について文部省の予算で研究をするということになっておるわけでありますが、義務教育の段階でも、その子供の個性あるいは学習の到達度等々を考えて、いわゆる個性に応じた授業の仕方等が考えられてもよろしいのじゃなかろうかというふうに私は考えております。
○高桑栄松君 それでは、先ほど文部大臣言われておりましたが、学校選択の自由ということがかなり大きく出ておるようですが、学校選択の自由というのは個性主義教育導入と関係があるのでしょうか。
○国務大臣(松永光君) 学校選択の自由という問題につきましても、臨教審の委員並びに専門委員の方々、それぞれ意見があるようでございまして、必ずしも結論が出ているわけではございません。ただ、全く義務教育等につきまして父兄の側に学校を選ぶ自由がない。子供が行っている学校にいわゆるいじめっ子がおって、そして大変な状態になっておるという場合においても、教育委員会の方で定められたその学校にあくまでも行かなければならぬということがあるとすれば、それは問題ではないかという御指摘もあるようであります。もっとも現行法上、その場合には指定変えができるということになっておるようでありますけれども、なかなかそれがうまく運用されていないという問題もあるようであります。それらの問題をとらえて学校選択の自由というものをある程度認めてはどうかという議論があるように私は承知いたしております。
○高桑栄松君 次に、大学九月入学には賛否両論が非常に高まっているようでありますが、私も長い間、大学の教授をしておりましたので、このことに関心が深いのであります。 そこで、九月入学ということがその目的とするところは何でしょうか。
○国務大臣(松永光君) 九月入学という問題も、臨時教育審議会の部会で論議がなされておると承知いたしております。 九月入学が望ましいという議論をなさる方の議論を拝聴いたしますというと、これはいろいろな議論の中身を文章で見たこともあるわけでありますが、一つは、諸外国が四月入学というのは少なくて、九月入学が多い。日本の国際化が進むということになりますれば、その点諸外国と合わせた方が望ましいのじゃないかという、そういう観点から論じられる方もあるようであります。 もう一つは、実際問題として、大学が一番学問をし、勉強しなければならぬところであると思いますが、非常に大学は休暇が多い。夏休みが二カ月以上、冬休みが一カ月、春が案外長いんですね。私立の大学等は大体二月初めか、または中ごろから休みになるようであります。国立等でも三月から休みになるようであります。その理由は何かといえば、入学試験が二月または三月になされる、こういったことで休暇が多い。こういったこともあって、やはり大学の入学試験のために大学の休暇が長いということがあるとすれば、これは学問をし、勉強をしなければならぬ時期としてはいかがなものであろうかという意見もあるようであります。いろいろな意見から、九月入学ということが言われておるようであります。それにあわせていえば、高等学校あるいは大学等の段階で、日本の高校生あるいは大学生が外国に行って外国の家庭に泊まる、いわゆるホームステーをやる。外国の高校生、大学生も日本に来てホームステーをやる。こういったことを通じて国際交流を深めていくということも大変必要なことなんであって、そういったことから九月入学が望ましいのじゃないかなという意見が多いようであります。しかし、これにはデメリットもあるようでありますので、これから大いにそれらの点について議論がなされるものと私どもは期待をし、それを見守っておるところでございます。
○高桑栄松君 今のお話の中で、ちょっと私調べておりませんけれども、休みというのは大学によって自由に期間を決められるのですか。ちょっと伺いたいと思います。
○国務大臣(松永光君) 大学の教育活動等は、大学の自治の原則に基づいて決められておるようでございます。したがって、大学が独自の考え方でお決めになっておるというふうに私は承知しております。
○高桑栄松君 事務当局に伺いたいと思います。 例えば半年休むことができますか。
○政府委員(宮地貫一君) 大学の設置基準がございまして、設置基準で大学の年間の授業時数について定めがございます。基本的にはその基準によることになるわけでございますので、半年休みをとるというような形は原則的には難しいと考えます。
○高桑栄松君 それならそれでもう結構でございます。自動的に休暇の期間が決まるはずなんです。大体三カ月だったかな。 ところで文部大臣に伺いたいのですが、九月入学の目的がいろいろあったようですけれども、私は、小、中、高が連動する場合は問題がないと思うのですが、それは考えに入っているかどうか伺いたいのです。
○国務大臣(松永光君) 九月入学の場合に、先ほどデメリットの話をしようかと思ったわけでありますが、高校卒業が三月で、大学入学が九月ということになりますれば、幾つかの問題点が出てくるかと思います。しかし、高校卒業が六月の中旬とかそういう時期であるならば、高校卒業と大学入学の時期が三月、九月ということで離れることによるデメリットはなくなるというふうに考えられるわけでありますが、いずれにせよ、臨教審の委員や専門委員の先生方がいろいろな立場から議論を深めていただけるものと私は承知しておるわけであります。
○高桑栄松君 国際対応というところが大きくクローズアップされておったようですが、国際対応が主たる目的であるとすると、外国に留学する人のパーセントというのは少ないですよね。私の経験で言うと、例えばむしろ三月に卒業して九月に入るこの半年間というのは、その国へのアダプテーション、例えば会話等々、そのアダプテーションの期間に極めて準備期間としては都合のいい期間ではないかと、逆にそう思うのです。少なくとも、国際対応だけのために、小、中、高が連動しないままで半年あけるということは、非常にデメリットが大きいのじゃないかと私は思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(松永光君) 小、中、高とありますが、私は特に高等学校だろうと思うのですけれども、高等学校と大学とが連動しないまま、大学だけを九月入学という仕組みにすれば、いろんなデメリットが出てくるであろうと、こういうふうに思うわけであります。議論をなさる人は、大学だけを九月にして高等学校は今までのままだという考え方の人は、私は少ないような感じがするわけであります、デメリットが多いものですから。 それからもう一つは、国際化の対応ということを申し上げましたけれども、そのほかに高等学校の教育をより充実したものにしたい、あるいは完結したものにしたい。同時にまた、ある意味では体育その他もきちっとやれるような状態にしたい。高等学校の教育をしっかりしたものに、決して勉強だけしろという意味のしっかりではございませんが、いろんな意味で充実したものにするということのためにもという意見も相当強いようでございます。
○高桑栄松君 文部大臣ばかりで恐縮ですけれども、今の高等学校教育を完結させるというか、充実させるという意味では、共通一次の入試は、科目は今減らす方向で考えておられるようですが、私は科目が多いほど高校教育を充実させることに役立つのではないかと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(松永光君) これは大学入試とかかわってくるわけでございますが、いろんないきさつがありましていわゆる共通一次試験というものが国公立大学で始まりました。五十四年から始まって今七回やったことになりますか、六回ですか、後で調べてみればわかりますが。結局幾つかのメリットも出てきたという評価もなされております。それは難問、奇問がなくなったというメリットを主張なさる人もいます。しかし多くは、受験者に対して過度の負担をかけてはいないか。それからまた、いわゆる国公立の大学の間の格差をつけてしまったではないか。それからもう一つは、受験機会が国公立の大学については一回になってしまったじゃないか。こういったデメリットの指摘がありますし、同時にまた試験の性質からいって、どうしてもマル・バツ式、あるいはマークシート方式ということになりますので、どうも暗記もの中心の試験になってしまいやしないか。その結果、創造的な能力が大事であるのに、単なる暗記的なもの、あるいは受験の技術だけを習得するような、そういうものが出てきてはいないか。こういう非常に厳しい指摘があるようであります。ごもっともな点も私どもは見受けられるわけでありますので、臨教審でもまた国大協でも、それらの点についての改善方策、できることならば、私どもは抜本的な改善方策が答申として出てくればありがたいと、こう思っておるわけであります。
○高桑栄松君 今の文部大臣のお話、私は非常に賛成なんです。というのは、高等学校というところが一番個性を伸ばす大事な時代だと私は思っておりますので、ここに、ある意味では英才教育が入ってくる必要があると、こう思っておりますが、そのためには今の入試一辺倒の勉強本位ではだめなのでありまして、入試を軽くするためには共通一次試験はオール科目でミニマムリクワイアメント、高等学校のレベルをこれで修得したという資格にして、それは点数では数えないで、あと第二次は大学のそれぞれの独自の試験をしてはどうだろうかというふうなことを私は今の文部大臣おっしゃるのと同じ意味で考えておりますが、いかがですか。
○国務大臣(松永光君) 高等学校を卒業したならば大学入学資格が与えられておるわけでありますから、改めて大学入学のための資格の試験をするということについてはちょっと問題がありはせぬかなというふうに考えますけれども、大学というものは、それぞれ自分の大学で学ぶにふさわしい能力があるかどうか、あるいはそれだけの意欲を持っているかどうか、そういったことを大学独自で判断して、そうして入学を許可する許可しないをお決めになるという原則を大事にしながら入学試験制度はなされてしかるべきじゃないかというふうに私も考えます。 特に先生御指摘のように、大学の側で試験の技術がうまいかどうかということじゃなくして、本当に将来これは伸びるなというような生徒であれば、それは大学の判断において、責任において入学を認めるなどということも十分考えられていいのではないかなと。しかし、いずれにせよ先ほど言ったように、臨教審でもあるいは国大協でもこれらの点を含めて御検討していただいているようでありますので、できますならば多くの人たちが納得していただけるような抜本的な、かつ総合的な改革案を出してもらえればありがたい、こう思っておるわけでございます。
○高桑栄松君 受験というのはいずれにしましても受験生に負担がかかってまいりますが、高校教育の充実あるいは完結ということをとらえて、共通一次というのはせっかくできたものでございますし、センターの所長は初代の加藤さん、二代目の小坂さん、私みんな友人でございまして、むしろ共通一次はせっかくできたのだから、もしこれをこのまま継続するとすればミニマムリクワイアメントということで、高校教育の完結ということにしてはどうだろうかといったのが私の考えでございます。いかがですか。
○国務大臣(松永光君) 先生の考え方のもとにあるお考えというものは私にも理解ができます。しかし、制度上、高等学校卒業者は大学入学資格が与えられておるという現在の仕組みがあるものですから、それとの整合性をどうするかなという問題が、これは技術的な問題でありますけれどもありはせぬかと思います。また、大学入学資格だけを与えるテストであるとするならば、高等学校卒業という資格を与えることによってそのテスト自体の必要性はなくなるのじゃなかろうかなという意見も出てこようかと思います。技術的、専門的な問題でありますので、またうちの専門家も来ておりますから、よく細かい点まで議論していただいて結構でございます。
○高桑栄松君 それではこれくらいにしまして、未来科学の育成というポイントで質問をしたいと思います。 一つは科学技術庁に研究費のことを伺いたいのですが、日本とアメリカと西独の研究費総額を実額で比較をしてみたいと思うのです。実額とそれから比率、日本を一としたらどうなっているか、ちょっと伺いたいと思います。
○政府委員(堀内昭雄君) 一九八一年度のデータで比較さしていただきます。 研究費総額、日本は五兆三千六百四十億円、アメリカが十五兆八千五百六十六億円、西ドイツが三兆七千四百二十三億円でございまして、比率で申しますと、日本を一といたしますと米国が三・〇、それから西ドイツが〇・七でございます。
○高桑栄松君 続きまして、今のを伺うとおわかりのように、日本はアメリカの三分の一、アメリカが三倍、西独は日本の七割ということで少し少ないということがわかりました。それで、基礎研究の同じような総額とその割合を示していただきたいと思います。
○政府委員(堀内昭雄君) 同じ年次でございます。日本が七千九百八十九億円、米国が二兆三百億円、西ドイツが七千百億円ということでございまして、比率で申しますと、日本を一といたしまして米国が二・五、それから西ドイツが〇・九でございます。
○高桑栄松君 その基礎研究のうちの政府の投資額について同じような割合を示していただきたいと思います。なお基礎研究費の中で政府のパーセントというのはどうなっているか、これも示していただきたいと思います。
○政府委員(堀内昭雄君) 日本を一といたしまして政府の基礎研究の投資額でございますが、米国が三・二、それから西ドイツが一・三でございまして、そのパーセントで申しますと、政府の投資額、これは基礎研究費総額に対する割合でございますが、日本が五四%、アメリカが六八%、西ドイツが八〇%という数字でございます。
○高桑栄松君 政府の投資額がドイツは八割、アメリカは七割、日本が五割、大ざっぱにそういうことになっておりますが、今、一九八一年ということでしたが、八三年の日本の基礎研究に対する政府の投資額と割合を教えていただきたいと思います。
○政府委員(堀内昭雄君) 総額が、日本の場合でございますが、基礎研究費総額九千四百二十六億円で、うち政府の投資額が四千七百億円、約五〇%でございます。
○高桑栄松君 今、私が御質問申し上げたのは、日本は西独よりも研究費は実額は多いけれども基礎研究費に至ると劣っている。これはパーセントで考えるべきものではなくて、むしろ実額で示すものであろうと思うんです。しかも日本は政府の投資額が基礎研究に対しては欧米に比べてはるかに少ないということが事例で示されたと私は思うのです。創造性の育成というのには基礎研究が最も大事であることはこれはどなたもおわかりのことでありますし、これに対する投資なくして我が国を世界にくつわを並べて科学技術の上でリードするということは難しいのではないか、つまり創造性の育成にはむだな投資と思われるものが必要なのであるということでありまして、この点につきましては総理大臣いかがでしょう、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私も、つとに基礎研究の薄弱性を憂えている一人でありまして、こちらの方面を強化していきたいと思っております。
○高桑栄松君 次に、頭脳流出の問題を私の自分の経験を通じて考えていることがございますが、外国で非常に才能を発揮して、例えば国際的にも非常に高い評価を受けている人たちが、さて日本に帰りたいという気持ちがあっても、我が国の終身雇用制の教授にはポストがないということで、帰ろうにも帰れないという場合があることを私は私の友人等を通じて知っております。その意味で私が提案をしたいのは、せっかくそういった国際的な評価を高く集めている学者につきましては、もちろん資格審査があると思いますけれども、例えば国立の大学等においてはお相撲さんの横綱一代親方制のような、一代親方講座制というものをつくって迎えるような方法はないものか、これは文部省、文部大臣お願いいたしたいと思います。
○政府委員(宮地貫一君) お尋ねの大学、研究所を通じまして効果的な研究体制を確立するためには今後大学、研究所等のあり方について弾力化を図っていくというようなことは必要なことではないか、かように考えております。ただ、教育研究活動の継続性、安定性ということも必要なことでございまして、現在の講座制、部門制につきましてもそういう意味でのメリットというものはあろうかと思っております。いずれにいたしましても今後の全体的な検討の課題であろうかと思いますが、なお、現在、国立大学の附置研究所等におきまして新たに設置する部門にはいわゆる期限を付しているものもございます。いわばその制度をある程度活用すると申しますか、そういうような形で先生御提案のような趣旨を実際に生かしていくというようなことなどは今後の研究課題ではないかと、かように考えております。
○高桑栄松君 大変ありがたいことだと思います。ぜひそういうことをこれから検討していただきたいと思うのでございます。 次に、私、国立公害研究所の副所長をしておりましたので、国立の研究所のことも心得ているつもりでございますが、私が一つ思いますのは、十分資格のある、あるいは非常にすぐれた指導者、こういった方々のおられる研究所を、国立、民間を問わず大学院の単位を取得する研究に開放するという考えはないか。これは研究所側でも非常に期待している部分があろうかと思うのです。これにつきまして文部大臣、それから多分科学技術庁も関係があると思いますので、お願いいたします。 〔委員長退席、理事梶木又三君着席〕
○国務大臣(松永光君) 大学院とほかのすぐれた研究所との連携、協力を深めていくということは非常に重要なことであると認識いたしております。現在でも制度上は博士課程の学生が他の研究所等で必要な研究指導を受ける、そういう仕組みは実はあるわけでありますが、また学位論文の審査に当たって他の研究所の教員等の協力を得るということも実はあるわけでありますけれども、先ほど先生の御指摘になった問題点等につきましては、これから大学院と研究所との連携、協力をさらに深めていく、充実していくという意味で大いに努力をしていかなければならぬ課題であると、こういうように考えております。
○政府委員(堀内昭雄君) 科学技術の振興のためには創造的な人材の育成が非常に重要であるということでございまして、このために先般の科学技術会議の答申におきましてもとの点が指摘されております。特に大学院とすぐれた研究機関との連携、協力に配慮が必要であるという指摘もなされております。当庁関係の研究機関の中でも大学院課程の研修生の受け入れを行っておりまして、今後とも密接に連携、協力の充実に努力していきたいと、こう考えております。
○高桑栄松君 文部大臣ね、単位の互換制等々文部省の中ではうまくいっているのだと思うのです。私が申し上げているポイントは、ほかの国立研究所等においては非常に規則があってなかなか研究に開放してくれないということを申し上げたので、これはぜひひとつ相談をして、その方向でいっていただかないと、我が国の科学技術はどこかでやっぱり制約を受けることになるだろう、そういうことでございます。 次に、これもやっぱり国立研究所の問題なんですけれども、大学の先生と違いまして国立研究所の研究者は、外国に出かけたり、学会に出かけたりするのに非常に大きな制約がございます。私が文部省の大学の教授をしておりまして、ああ文部省はよかったなあと思ったぐらいです。その意味で、これは総務庁ですか、お伺いしたいんですが、国立研究所に例えば教育公務員特例法のような勤務体制に対する柔軟なというか、文部省の教官並みの勤務体制がとれるようなことはできないかということをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(後藤田正晴君) おっしゃるように、現在の制度では、教育公務員の場合は「授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる。」こう書いてあるわけですね。これに右へ倣えにしてくれぬかと、こういう御要望があることは承知をいたしております。学校の先生も公務で行く場合は、これはもう研修が公務と認められれば一般のあれと同じことですね。つまりは公務であり、したがって旅費も出る。この規定でやる場合はこれは旅費はたしか出ていないのじゃないかと思いますよ。これも随分検討の必要があることだなと、こう私は思っているのです。 それから今御質問の研究職の方は、これは一般公務員と同様、服務規律に服している職務に関連する学会等の会議には公務として出張を命ずることができると。これは旅費が出ますね。恐らく出るんだろうと思うのです、公務と認めているんですから。ところがこれは研修制度はないんです、そうしますと、研修に行く場合はみんな自分の休暇になるのです。旅費も全然出ない、これも私は前向きに検討してやらないといかぬなと思う。それは既に第二臨調からも、やはり一番肝心なことは、応用開発の方は民間主力でやっていますけれども、創造的な基礎技術、これはやはり企業だってなかなかやりにくいのですから、公の機関でやらなければいかぬでしょう。そういうようなことで、産、官、学の連携を密にしなければならぬ、それを検討しなさいと、こう出ている。 そうしますと、これは抽象的にはしょっちゅうそういうことを言っているのですが、しからばそれを具体的に人事の交流なり、あるいはお互いの派遣のし合いなり、あるいは今先生が御質問のようなそういったあれを公務として扱うのか扱わぬのか、旅費はどうするのだとか、こういった具体的な検討が必要ではないか。そこで、人事面については人事院総裁とお話ししまして、人事院でもひとつ勉強してくれ、おれの方も勉強するからと、こういうことで今検討課題として取り上げておると思います。 いずれにせよ、これは国の研究機関の年齢が高過ぎます。私は昨年研究学園都市を見さしてもらいましたが、あの平均年齢ではとてもじゃないが創造的な基礎研究というのは無理であろう、それはどっかにひずみがあるんだろう、これらは政府としてこれからの検討課題だなと、こう思っておりますので、御理解をしておいていただきたいと思います。
○高桑栄松君 ぜひひとつ前向きに検討をお願いしたいと思います。 次には、初等中等教育の関係で質問をさしていただきますが、先ほど文部省は省令改正をして大学教員に民間人を登用するということが出てまいりましたが、非常にアカデミズム一本やりであったのがプラグマティズムにも入ってきたという意味で私は大変いいことだと思いますが、初等中等教育にも、任用試験を通った人は正規の職員でありますが、シルバーバンクの人たちを登用できないか。つまり知識、経験、技能等が初等中等教育等には十分生かせるような経験を持っている、そういう人たちをパートタイムというか、契約制度で採用することによってゆとりのある教育に活力が入る。それから児童生徒と教師との交流が別な意味で温かいものが生まれてくるのではないかと、こんなふうに思うのですが、文部大臣いかがでしょう。
○国務大臣(松永光君) 初等中等教育につきましても広く社会からすぐれた人材が教員として加わって、そして学校でその経験を生かしながら教育に当たっていただくというのは大変意味のあることであるというふうに私も認識いたしております。現在でも制度上は教員資格認定試験というのがあって、それによって教員になる道が開かれてはおるのでありますけれども、極めて数が少ないようであります。そこで、先ほどお褒めをいただきました大学の教員につきまして広く各界に門戸を開いたわけでありますけれども、初等中等教育の関係では、すぐれた社会人を教育界へどういうふうな形で受け入れを促進していくかというその方策について、六十年度からいろいろな角度から検討することにいたしておりますが、その際には、先生の御意見もありましたが、大変結構なことであると思いますので、前向きにこれは検討をし、実現するように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○高桑栄松君 次に生命倫理、バイオエシックスの問題なんですが、今脳死の問題についてもバイオエシックスということからいろいろ検討、私もその一員になって議員連盟の方へ入っておりますけれども、それでバイオエシックスの教育は大変重要なものだと思うのですが、現在どうなっているでしょうか、文部大臣。
○国務大臣(松永光君) お答えいたします。 人間尊重、それから人間の生命を中心にした、動物の生命もありますが、生命尊重、これは非常に大事なことでありまして、児童生徒の段階からきちっと教え込んでいくということが大事なことであると思っております。小学校の低学年のときから道徳の時間や社会科の時間などを中心にして人間尊重、人間の生命尊重、それから動物につきましてもそれを愛護する、こういったことを身につけさせるように指導してきているところでありますけれども、これからも極めて大事なことでありますので、一層それが徹底を図ってまいりたい、こういうように考えております。
○高桑栄松君 今の文部大臣の御説明にありましたように、バイオエシックスは人類の生存秩序の基本的な原則でありますので、こういうことを認識することがモラルの向上にも役立つ、そういうふうに思うのです。ですから、小さいときからぜひともこの教育に力を入れていただきたい。建前はそうなっても、なかなか教科の中でどれくらい生かされているかというのは若干私は疑問に思っておりますので、ぜひ低学年から充実をしていただきたいというのが私の要望でございます。 次に、医学教育会議というのを私は機会あるごとに国会の委員会あるいは本会議等でも申し上げてまいりましたが、これは前大臣の森文部大臣、渡部厚生大臣からはそれぞれちゃんと相談をして前向きに取り組みたいというお返事を承っております。文部大臣、厚生大臣は引き継ぎをされておられるでしょうか、伺いたいと思います。
○国務大臣(松永光君) 医学教育の関係で、卒業前から卒業後一貫した教育を実施すべきであるということの御提言が先生からあったということにつきましては、私前大臣から伺いまして十分承知いたしております。今後とも勉強して先生の一貫教育、一貫性を持った医学教育の実施、これにつきましては検討を加え努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○国務大臣(増岡博之君) 私ども学術会議の勧告は貴重な考え方と受けとめておるわけでございまして、したがいまして、勧告の背景となります医学教育あるいは国家試験の充実改善等に努めてきたわけでございますけれども、ただ、今直ちに医学教育会議というものを具体的につくれるかどうかということは困難と考えておるわけでありますけれども、しかし勧告の御趣旨を踏まえまして、文部省ともよく協議しながら今後の検討をさしていただきたいと思います。
○高桑栄松君 この問題につきましては、私はまたさらにお話をさしていただきたいと思っております。 教育関係の最後なんですけれども、実は私は北海道大学に私の名前のついた奨学基金と、それから昨年ですけれども、学術交流奨学金というのを極めてささやかなものでございますけれども、実は持っておるのです。その経験からちょっと質問をさしていただきたいのですが、まず寄附のときに寄附採納願、そんなようなものを出さされて、次に納入告知書というのを出すことになっておりまして、これは寄附する人間にとってはちょっとばかり何だか気分がよくないように思うのですよ。これは太政官時代の書式が残っているのかなと思ったりしておるのですが、まあ答弁というほどじゃないのですが、お考えを承りたいと思うんです。
○国務大臣(松永光君) 一部の大学等で、先生の御指摘のように、善意による寄附者の気持ちを損ないかねないような書式等になっておるような学校もあるようであります。しかし、これはそれぞれの国立学校等で適宜定めて取り扱いをしているようであります。中には、大変丁重に感謝状まで添えて、そして手続をやっておるところもあるようであります。先生の御指摘はもっともなので、寄附者の善意を損なうような、そういう書式等は好ましくありませんので、是正されるように指導してまいりたい、こういうふうに考えております。 〔理事梶木又三君退席、委員長着席〕
○高桑栄松君 もう一つなんですけれども、私、国会等の都合や、私の忙しさがあって納入に二日ぐらいおくれましたら延滞金かな、取ると言ってきたものですから、僕びっくりしまして、これはもうショックだったのですが、現実には取られませんでしたけれども、あの書式はうまくないと思うので、いかがでしょうか。
○国務大臣(松永光君) 先生のおっしゃるとおりでありまして、寄附なさる人は善意に基づいて寄附をしようとするのに、ちょうど納めるべき税金を滞納したのじゃないかみたいな、そういう文字があったようであります。大変不愉快なことであると思いますので、そこらも是正するよう指導してまいりたい、こういうように考えております。
○高桑栄松君 大蔵大臣がにこにこしておられたので、一言コメントをいただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) よく言われる、税務署以上のところがあったと思いました。
○高桑栄松君 次は医療のことでございますが、健康保険の本人一割負担が前国会で通ったということでございますが、その際私の質問は、受診率は本人一割負担によって低下する、時の局長さんは低下しないとおっしゃったのです。その受診率は本人についてはどうなったか伺いたいと思います、厚生大臣。
○政府委員(幸田正孝君) 昨年の十月から健康保険法の改正が実施になりまして、現在私ども把握をしております正確な数字は十月、十一月、十二月の三カ月分でございますけれども、政府管掌健康保険本人の受診率、対前年同月比、前の年の同じ月に比べまして、十月はマイナス五・〇%、十一月はマイナス八・九%、十二月はマイナス八・六%、こういう状況でございます。
○高桑栄松君 その予測モデルは何を使ったでしょうか。
○政府委員(幸田正孝君) 健康保険制度上、給付率の引き下げは初めてでございますので、特にモデルというようなものはございません。 先ほど先生御指摘のとおり、前局長が申し上げましたのは、現在二割なり三割なりの一部負担があります家族と比べまして、家族の受診率と本人の十割当時の受診率とがほとんど差がないということ、それから私どもが実施をしております国民健康調査でございますけれども、その調査によりますと、病気にかかった人のうちで医療機関に受診をした人は、被用者保険本人で八八%、家族でも八八%。それから三割の負担がございます国民健康保険では九二%ということで、ほとんど差がないということから、必要な受診は妨げられない、こういうことで御答弁を申し上げたものでございます。
○高桑栄松君 今のは違いますね。本人の受診率が低下することを論じたんですから、それは私と当時の局長とは完全に違っていたのですね。私の言うとおり下がったのです。もう一度答弁してください。
○政府委員(幸田正孝君) 先ほど申し上げましたように、本人の受診率はこの十月から十二月ほどは下がっておりますが、私ども今後の予測につきましてはもう少し事態の推移を見たい。一時的な三カ月程度の状況でございますので、もう少し見守っていきたい、こう思っておるわけでございます。
○高桑栄松君 その計算の根拠は長瀬計数を使った古い数式だったと思うのですけれども、その結果やはり政策に変更があるべきではないかと、私はそれくらいに思う。あのときの論議は私はそのつもりで相当しっかりやったつもりです。ですから、これについては確かに三カ月ですから、まあ初めだけかという気がしないではないけれども、しかし現実に受診率は明らかに約一〇%低下している、そういうことはもうはっきりしたわけですから、今後の分析結果によりましては再度私は質問をさしていただきたいと思います。 続きまして、一割負担に対しての付加給付が組合別にいろいろあると思うのです。お伺いいたします。
○政府委員(幸田正孝君) 昨年十月の健康保険組合連合会の調査でございますけれども、千七百二十一組合ございますうちで付加給付を実施をいたしておりますのが千二百十六組合、七〇・七%でございます。内容的には、三千円までは付加給付をしない、三千円は本人に負担させるというものが約半数でございます。
○高桑栄松君 今伺っただけでも組合健保七割が付加給付をした。しないのが三割ということになりますね。 政管健保はどうなっていますか。
○政府委員(幸田正孝君) 政管健保につきましては、昨年の健保法の改正で付加的な給付を事業主の組合あるいは事業主と被保険者が結成しました組合が実施ができるということになっておりますが、この実施が本年の四月からということでございまして、現在のところその準備を進めている段階でございます。
○高桑栄松君 今のお話を伺って、これも私は前国会で指摘をしたのですけれども、新たな格差を生ずるだけではないのかというふうに申し上げたので、負担と給付の公平を目指した健保改正には反するのではないかと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、本人の定率負担を導入しましたのは、コスト意識の喚起と同時に給付の公平化を図る面があったわけでございます。そういう観点から見ますと、付加給付は原則的には好ましいものではないと思います。しかし、健保組合等で家族の付加給付を行ってきておるわけでございまして、そういう長年の歴史と健保組合の自主的運営という面等を考えますと、付加給付をやはり認めざるを得ないと現実的な判断をしたわけであります。 このように、給付の公平化とそういう現実的な問題の調整をどのようにしていくかということは大変難しい問題ではありますけれども、ともかく健保組合の付加給付につきましても、政管健保や国保との均衡などを考えまして、一定額以下の場合には付加給付を行わないようにするなどの適切な措置を講じ、また政管健保にもその道を導入したわけでございます。
○高桑栄松君 健保の本人負担は二割負担が前提になっているわけでありますが、私は今のような受診率の予測の違いとか、新しい不公平の格差ができたといったようなことから、これはやはり二割負担については再検討すべきではないかと思っておりますけれども、これは本題として取り上げないで、次の質問に移らしていただきます。 一つはがん対策のことで、総理はがん対策十カ年計画というものに非常に大きなウエートを置いておられましたが、この一年間その進捗状況とか、今後の施策についての抱負がおありでしたらまた承りたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 昨年のたしか六月でございましたか、対がん総合十カ年戦略をつくりまして、幾つかの分野にわたってその戦略攻撃目標を決めまして、その手順に従って研究を進め、政府としてもそれに必要な資金、人材あるいは情報の交流等についていろいろ措置をいたしております。 昨年の秋に中間報告を聞きましたけれども、かなりの分野で活発な活動が開始されておるようでございます。具体的なことは政府委員からお答えいたします。
○政府委員(吉崎正義君) 対がん十カ年総合戦略の進捗状況でございますけれども、厚生、文部両省におきまして十一プロジェクトチーム、六十二班の研究班の編成をいたしております。我が国の第一線のがん研究者約二百八十人が参加をしております。それから、アメリカを中心にいたしまして西ドイツ、フランス等から研究者十三人を招聘いたしております。その他アメリカへ十名の日本人研究者を派遣しております。それからまた、アメリカ三件、スウェーデン一件研究委託をいたしております。そのほかリサーチ・リソース・バンクが活動を始める等々、順調に推移をしておると考えております。
○高桑栄松君 「サイエンス」のボリューム二二七、ことしの二月号でありますけれども、「サイエンス」に米国のナショナル・キャンサー・インスティチュートが中心になってPDQというフィジシアン・データ・クイアリーというネーションワイドのインフォメーションシステムを数年来開発してきて、昨年オンラインに乗ったということを言っております。これは大変いい仕事だなと僕は読んだのですけれども、八十のタイプのがんの治療法についてのそれまでのデータが、治療法をどうするかというのも全部載っていると、パソコンで各開業医がリンクできるということなんですね。がんの致命率を非常に低下させるのに役立つということを期待している。昨年の三月ですか、オンラインになったということであります。 厚生省は、こういったPDQのような組織を、情報システムを考えておられるかどうか。
○政府委員(吉崎正義君) お話にございましたような全国規模のはまだ実はないのでございます。ですけれども、病気別には、例えば造血器腫瘍でございますと全国造血器腫瘍登録委員会、食道がんでございますと食道疾患研究会、学会が中心でございますけれども、胃がん、甲状腺がん、乳がん、大腸がん、肺がん、婦人科がん、骨腫瘍、それぞれ病気ごとにはあるのでございます。 それからまた、お話にもございましたけれども、がんの治療は一方個別性がございまして、集学的治療と言っておるのでございますが、これは五十三年から研究班を組織いたしまして、ある患者のある時期のがんにどういう治療法が最も適当であるか、放射線治療、薬物治療、外科治療それぞれの専門家が集まりましてその時期時期に最も適当な治療をしようと、これはかなり日本じゅうに広まってきておる、こういう方面の努力もしておるのでございますが、先ほどお話のございましたPDQ、確かに腫瘍の分類やステージに応じた治療法、それから治療成績のデータ、それから専門家のリスト等のデータバンクを確かに一年前から稼働しておるようでございますが、まだ実は詳細を承知をしておりませんで、内容、評価等をよく研究をいたしまして今後の政策の参考にいたしたいと考えております。
○高桑栄松君 がんは御承知のようにもう我が国の死亡率のトップに迫っておりますし、年齢別で言えばここにおられる方々の多くはトップががんという年齢でございますから、ぜひひとつ国会議員の大先生の方々のためにもそういうシステムを早くやっぱり検討していただいた方がいいと思いますね。どうぞひとつ厚生大臣、検討していただきたいと思うんです。 それで、その次に行かしていただきたいと思います。 健康安全が私の本職でございますし、私は疲労研究、特に疲労判定法の研究をライフワークの一つにしてまいりました。それで今度の長野県のスキーツアーバスがありましたので、それをもとに、もとにというか、幾つかの事例を洗って、これからどういう対策があるべきかということを少しディスカッションさしていただきたいと思うんです。 まず、長野県スキーツアーバス転落事故、ことしの一月二十八日、その損害状況、原因、対策について、これ運輸大臣並びに労働大臣、お願いいたします。
○政府委員(服部経治君) ただいまお尋ねのございました先般の三重交通の貸し切りバスのダム転落事故でございますが、このときには大変残念なことでございましたが二十五名のとうとい人命が失われまして、また、そのほかに八名の方が負傷されるという結果を惹起いたしておりましてまことに遺憾に存じておるところでございます。本件事故の原因につきましては、走行の速度でございますとか、運転操作の問題でありますとか、あるいはその背後にあると思われます疲労等の各種の事情なり要因が考えられるところでございますが、これにつきましては現在警察当局において捜査を引き続いて行われているところでございます。別途、運輸省といたしましてはこの三重交通に対しまして事故後直ちに特別保安監査を実施いたしまして、その監査結果に基づきまして、先般輸送の安全確保命令を出しますとともに車両の使用停止処分というものを行ってきたところでございます。 私どもがこれまでの監査結果でこの事故の背景となっているのではないかと思われる事情につきまして把握している内容を若干申し上げてみますと、まず、この事故を起こしました当該運転者を含みまして若干名の者が労働省の出しておられます指導通達の中身に違背するような格好での長期連続勤務をしておったという事実はございます。また、運行経路中の要注意箇所につきましての事前の運転者に対する適切な指示が行われていなかった、あるいは現場付近におきます異常気象状況につきましての把握も十分でなかった等の問題がございますので、これらの点を含めまして具体的な安全確保命令を出したところでございます。
○高桑栄松君 私は実は、私事になりますが、昭和四十四年に日本交通医学会で寒地における交通災害の解析という特別講演をいたしました。改めて読み返してみて、随分これにも参考になったはずだなと思うデータが載せてあったことを今思い出して読んだのでございます。 次に、航空機事故について伺います。 まず第一、日本航空のカーゴが五十二年一月十四日アンカレジ空港で墜落事故を起こしました。同じように損害、原因、運輸省の指示、日本航空の対応について伺いたいと思います。
○説明員(星忠行君) 事故原因についてお答えを申し上げます。 日本航空のアンカレジの事故でございますが、貨物便が食肉牛を搭載いたしましてアンカレジ空港を離陸直後、墜落炎上いたしまして死亡者五名を出した事故でございます。昭和五十二年一月十四日ですが、この事故の原因につきまして、米国の運輸安全委員会が事故原因を出しております。 本事故の推定原因は、アルコールの影響を受けまして操縦をしておりました操縦士の操縦操作に起因するものですが、さらに機体着氷によって悪影響を生じて失速をしたと、アルコールの影響と機体着氷であるというふうにしております。 次に、羽田沖の事故でございますが、五十七年二月九日、日本航空の福岡からの便が東京国際空港に着陸進入中、滑走路の手前の海上に墜落して死者二十四名、重軽傷者多数を出した事故でございますが、これにつきまして運輸省の航空事故調査委員会は、精神的変調を来した機長の異常操作によるものであるという結論を出しております。 それから、五十九年四月十九日に、日本アジア航空の定期便が、那覇空港に着陸進入中激しい雷雨に見舞われまして、豪雨の中で者陸復行、やり直しをしたのでございますが、このときに第二エンジンを進入路指示灯にぶつけてエンジンを壊しております。この事故につきましては、現在航空事故調査委員会において調査中でございます。
○政府委員(西村康雄君) ただいまの航空事故につきましての運輸省のとった措置及び会社のとった措置について申し上げます。 アンカレジ事故につきましては、定期航空会社に対しまして、乗務規律の確立等につきまして厳しく指導いたしたわけでございますが、これを受けまして、各社とも飲酒乗務の防止を客観的にチェックする方法について運航規程の整備ということをいたしまして、さらにアルコール感知器を各基地に置くということをしたわけでございます。 それから、羽田沖の事故につきましては、日本航空に対しまして、事故直後、安全運航に万全を期するよう厳重に注意しますとともに、同社に対しまして立入検査を実施いたしました。その結果、同社に乗員の健康管理、乗員組織、乗務管理等七項目の業務改善の勧告をいたしました。そして、他の航空会社に対しましても臨時安全総点検を実施したわけでございます。その後、日本航空から数度にわたりまして改善の結果の報告がなされました。その改善対策の現状を確認するため、日本航空に対し再度立入検査を実施するというようなことをしているわけです。 それから、昭和五十八年十一月に、航空審議会から答申をいただきまして、これによりまして、航空身体検査証明を航空会社から独立して実施するための航空医学研究センターを設置したわけでございます。さらに、身体検査基準を改正してこの四月から実施するということにしております。 それから、先ほどの日本アジア航空の那覇事故でございますが、これについては、申し上げましたように事故原因の現在調査中でございます。この結果を待つ必要があるわけですが、現在事故後直ちに同社に対して安全運航に徹するよう厳重に指示をいたしております。同社は、これに基づきまして、現在運航を注意深く行うという措置をとることになっております。
○高桑栄松君 労働大臣には、もう一つ国鉄事故がありますので、済みましたら労働省としての見解をお願いいたします。 次は、国鉄の事故が、例の名古屋駅でブルトレに衝突をした五十七年三月十五日の事件、それから西明石駅で同じブルトレで脱線事故が昨年十月十九日にございました。同じように損害の状況、原因、運輸省の指示、国鉄の対策について伺います。
○政府委員(棚橋泰君) 各古屋駅のブルートレーン事故は、ただいま先生からお話のございましたように、五十七年三月十五日でございますが、これは停車中の列車に連結しようということで参りました連結列車の乗務員が酒気を帯びて運転をいたしておりましたために速度の判断を誤りまして激突をいたしまして、負傷者四名を出したという事故でございます。 それから、西明石の事故につきましては、これは昨年の十月十九日、山陽本線の西明石駅構内におきまして通過中の特急寝台列車十五両編成の運転手が、これも酒気を帯びて運転をいたしましたために転轍機の制限速度を大幅に超えて運転をいたしました。その結果、ホームに激突をいたしまして、これも負傷者三十二名、うち三名重傷と、こういう事故を起こしたわけでございます。 この事故に対しまして、運輸省では直ちに国鉄総裁、総裁が不在の西明石のときには副総裁を呼びまして厳重に注意をいたしますとともに、この事故が職員の管理の不手際というところから生じたということが明白でございますので、そのような点を中心に改善措置を請じて、直ちに早急に報告をするように、こういうことで指示をいたしたわけでございます。その結果とりました具体的措置につきましては、国有鉄道の方からお答え申し上げます。
○説明員(仁杉巖君) お答えいたします。 今運輸省から御答弁がございましたが、この御注意を受けますとともに、我々といたしましても緊急に運転部長会議を開くということとともに本社の特別監査を行う、重点地区につきまして特別監査をするというようなこと。さらに、全部本社にやれませんので、管理局においても特別査察をするというようなことでございます。 具体的なものを申し上げますと、職員の飲酒事故防止につきましては、局幹部がみずから点検に立ち合うというようなことをいたしましたし、今まで手薄であったと思われます夜間の指導者の添乗ということをきっちりやるように指示をいたしました。また、現場長によります各職員に対する個人面接を通じまして、職員一人一人に注意を促すというようなことをいたしております。また、点呼が非常に重要なことでございますので、その厳正に努めておりますが、この事故を起こしました運転手の岡山におきます点呼は電話点呼になっておりまして、対面点呼をしておりませんでした。早急に、全国で約二千九百カ所一日に電話点呼がございましたが、これは全部解消いたしまして対面点呼に改めたところでございます。それから、出先地における宿泊等の場合におきます管理の問題がございますので、これらに関しましては乗務員宿泊所、食堂等に対する点検、あるいは夜間の巡回、乗泊管理員との連携、要注意仕業の添乗強化等によりまして把握に努めております。また、乗務行路の組み方に遺憾の点があるというふうな点もございましたので、これらにつきましても見直しを早急に行ったところでございます。 これらの査察等につきましては、そのときだけで終わっては何もならないということで今後繰り返して行いますが、特に年末年始に当たりましては、これをさらに本社、管理局等で査察をするというようなことをして事故防止に努めているところでございます。
○政府委員(寺園成章君) 先ほどお尋ねがございました三重交通の関係でございますが、事故が発生いたしましてから、労働省といたしましては、三重交通の自動車運転者の労働時間などの労働条件につきまして、労働基準法あるいは自動車運転者の労働時間等の改善基準というものを定めておりますが、それに照らしまして調査、捜査をいたしたところでございます。 その結果、バスを運転していたと推測されます運転者につきましては労働基準法違反の事実は認められなかったわけでございますが、その他の運転者につきまして時間外労働、休日労働に関する労働基準法違反の疑いがございましたので、三月十二日検察庁に書類送検をいたしたところでございます。また、改善基準に定めております拘束時間、休息期間等につきましては、当該運転者を含めまして違背の事実が認められましたので、これらの是正はもとより、今後運転者に対する適正な労働時間管理を行うように、これも三月十二日三重交通に対しまして厳重な指導を行ったところでございます。
○高桑栄松君 法務大臣に伺いたいと思うのですが、羽田沖事故の結末につきまして、昨年十一月九日に日航幹部六人が全員不起訴処分になっておるようですが、その理由は危険の予見が難しいと書いてありました。したがって嫌疑不十分ということで不起訴である。危険の予見という内容が僕はよくわかりかねますので、説明していただきたいと思います。
○政府委員(筧榮一君) お答え申し上げます。 御指摘のように、羽田沖事故に関しましては日航の運航管理者四名、それから操縦士の健康管理の医師二名、六名の刑事責任が問題となりました。六名につきまして昨年十一月嫌疑不十分ということで不起訴処分にしたところでございます。その理由といたしまして、予見可能性が認められないということでございます。詳しくは、構成要件的結果、本件で言いますと、飛行機が異常操縦によって墜落して人が死傷するという結果の発生を予見する予見の可能性があったと認めるに足るだけの証拠がないという理由でございます。 申し上げるまでもございませんが、過失犯と申しますのは、注意義務に違反して一定の結果を招来した場合に成立するわけでございます。その場合に、注意義務違反があるかどうかという際に問題になりますのは、結果の予見可能性と結果回避可能性の二点でございます。そのいずれか欠けましてもそこに非難の可能性がないということで刑事責任は問われない、過失犯は成立しないという結果になるわけでございます。今、結果の予見可能性でございますが、本件につきまして片桐機長が精神分裂病に罹患しておって、そのまま操縦をさせれば異常操縦等によって墜落等の危険が生じ、多数の人命あるいは人の身体に傷害が発生するということを、機長を復帰させた当時、今の六人の方々が予見し得たかどうか、御本人たちが予見していなかったことは事実でございます。予見していれば当然何らかの措置が講ぜられたわけでございます。予見しなかったということについて、同じような具体的状況に一般の他の人をもって見た場合に一般的に予見の可能性があるかどうかというのが問題で、捜査の結果、いろいろな証拠を調べました結果、その当時の具体的状況を一、二申し上げますれば、片桐機長にその当時は異常な言動はほとんどなかったというようなこと、あるいは医師も十数回も本人に面接して診断をしておりますし、それから三回でございますか、片桐機長の操縦する飛行機に乗って同乗観察というのも行っております。そのような手段をし、その当時の状況であれば一般の他の人をもってしてもやはり予見する可能性はなかったのだと、あるいはあったとは認めるに足るだけの証拠がないということで不起訴になったということでございます。
○高桑栄松君 その件については、以前に何にも兆候がなかったというのは新聞によればうそですね。モスクワに行ったときおかしかったというのが出ておりました。それから、福岡に前の日行ったときにもおかしいことを認めていたと新聞には載っておりましたが、あれはうそでしょうか。
○政府委員(筧榮一君) 今回具体的な事実、今承知しておりませんが、私の記憶でも前にいろいろな症状があり、例えば別の医師が心身症という診断を下しております。そういうことを前提にして、当該の医師の方二名でございますか、十数回も診断をし、三回もこの人たちを含めた数人の人が同乗観察をして、これはまだ大丈夫、まだと言っては変ですが、大丈夫であるという判断をしたわけで、その当時の具体的状況をもってすれば、ほかの一般の人をもってもやはり同様そういう墜落の危険があるということを予見する可能性はちょっと認めがたいのではないかということで、個々の点では今先生御指摘のようにいろいろな事柄があったと承知しております。
○高桑栄松君 心身症という診断が下ったということは精神異常者の場合には極めてあり得ることでありまして、これは医師が通例、あなたは精神分裂症の疑いがあるなんということは言えないですよ。これは言ったら大変なんだから。だから、医師は一般の人が一〇〇%認めた段階でないと診断はしないだろうと思うのです。確定診断を危険の予見と見るのか見ないのか、そこをもう一度伺いたい。
○政府委員(筧榮一君) 心身症については私も全く知識を持ち合わせておりませんので、それが精神障害であり、どの程度危険であるかということはとてもお答えする立場というよりできませんけれども、いろいろな証拠を総合して、もちろん心身症という判断を聖マリアンナほかの医師がしておるということも前提とした上で、本件の場合、当該医師の方は精神障害にはなっていないというふうに、危険はないという判断をされておったわけで、その判断は通常のほかの人であっても、同じ条件であれば同様の判断になるであろうというのが結論でございます。
○高桑栄松君 心身症は精神異常じゃありませんよ。それはそうじゃないので、それは隠れみのだということを僕は申し上げたのでありまして、精神分裂症の診断の一致率というのは、精神料専門医が百人やった結果七割であったと言っているのですね。ですから、確定診断というのは極めて困難なんです。しかし、確定診断になるまでは危険の予見がないとすれば、事故が起きたということは確定的なことなんですから、それに対する責任は全くないというのかというのが私にはやっぱり不思議でならないんです。承りたいと思います。
○政府委員(筧榮一君) 専門的な御判断は、先生の方が御専門でございますので、何とも言えません。ただ、私ども刑事責任の有無という観点からいろいろな、当然その当該医師の方の当時の診断の根拠等も伺いますし、あるいはそれに関連して、そのほかのその方面の専門家の方の意見も伺ってみた上で、やはり一般人をもってしても同じような判断に立たざるを得ないであろうという判断になったということでございます。
○高桑栄松君 日本航空アンカレジカーゴ事件は、機長の遺体から二百十ミリグラム・パー・デシリッターのアルコールが検出されておる。道路交通法では五十ミリグラムなんですから四倍なんですね。泥酔運転ですよ。それがチェックできなかったということは、これはもう大変なことじゃないかと思いますよ。私も月に何回も飛行機に乗っておりますので、本当に危ないと思いますね。それからブルートレーン事件につきましても全部飲酒なわけです。そして、電話点呼のこと言っていましたけれども、最初の方の名古屋駅のときには助役さんが二回見逃した、これは新聞ですよ。対面点呼で見逃しています。そして、アンカレジ事故の後で、ある新聞によりますと時の運輸大臣はJALの社長を呼んで激怒していた、廊下にまで声が聞こえたと書いてあります。テストをしろと言ったら、その次の言葉が私には気にかかるんです。誇り高いパイロットにそういうテストはできませんと。だから何をするか、自己管理、相互点検を厳しく指示した。では自己管理ができたか。片桐機長の場合には、本人に病意識がないのが精神分裂症の症状でございますから、私はおかしいとは言わないはずです。自己管理は不可能です。相互点検はできたか。新聞によれば、おかしいということはみんなが知っていた、分裂症であるかどうかは別として。そういう状況で、相互点検ができなかったということです。なおかつこういうことが起きた。何遍も繰り返して言っていることです。いや、JALだけじゃありません。国鉄もそうです。それをなぜそんなに繰り返すのだろうか。健康管理というものはどういうことなのか。国鉄と日本航空の健康管理体制について、これは運輸省ですか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(山本長君) お答え申し上げます。 チェックの現状と申しますか、日本航空と国鉄について申し上げます。 心身が健康な状態であり、かつそれが乗務するときには正常な状態であるということが事故防止の上から極めて重要なことでございます。そういう観点から、心身の健康状態の管理というものは、国鉄もそうでございますし、日本航空もそうでございますが、二つに分かれてやっております。一つは、通常時における定期的なチェックを厳重にやるということでございます。そういう観点からこれが制度といたしまして、何年間に一遍どういう検査をしなければならない、一年間に一遍だとか、あるいはパイロットの場合は半年に一遍、年に二回やらなければいかぬ、どういう項目をチェックするということが制度としては決められております。国鉄もそうでございます。 それから、その人が乗務する直前に健康状態をチェックするということが重要でございます。これにつきましても、国鉄につきましては管理の立場にある者、これは運転者が属する機関の、通常助役と言っておりますが、管理者が、責任者が、そのチェックをする責任を待っておる者が指定されておりまして、その者が事前にチェックをすると、こういう制度になっております。それから日本航空につきましては、日本航空の運航規程というものの中に、これは運輸大臣が認可をしたものでございますけれども、運航規程の中に、出発前の機長ブリーフィングのときに乗員相互の健康状態を確認するということが決められております。 現状は以上でございます。
○高桑栄松君 健康診断ということが一つ出てまいりましたが、健康診断が年に一回か二回、特殊健診と定期健診がございますが、これの効果、保証期間というのはどれくらいなものか。労働大臣にお願いします。
○政府委員(寺園成章君) 安全衛生法におきまして健康診断についての規定がございますが、常時使用する労働者に対しましては年一回でございます。それから、常時深夜業に従事する労働者に対しましては年二回ということになっております。また、特殊健診につきましては年二回ということは規定をされております。
○高桑栄松君 保証期間のことを聞いたんですけれども、健康診断というのはその時点を言っているのでありまして、慢性疾患のことは出てきましょうが、あす酔っぱらうなんというのは健康診断に出てこないんですよ。睡眠不足も出てこないんです。これはどうチェックしておられますか、労働省としてはどうなさいますか。
○政府委員(寺園成章君) 健康診断をいたしますときには、自覚症状あるいは既往症等に基づいて健康診断をするわけでございますが、健康診断後に先生仰せのように飲酒あるいは健康に害するような行為をこの安全衛生法で積極的に禁止をするというのは難しかろうというふうに思います。一般的な労務管理の問題あるいは当人の自覚の問題であろうかというふうに思っております。
○高桑栄松君 今挙げましたバス、飛行機それからブルートレーンの事件も全部個人の日々の変化なんですね。ですから、これをチェックする方法がなければだめなんですよ。主観はだめなんです。なあなあの世界でおまえは酒飲んだとは言えないと僕は思いますよ。やっぱりこれは客観的なチェック機能を働かせなければいけないと思うのです。チェック機能が働いていなかったから起きたのですよ。働いていれば起きないのだ。西明石のも助手が、居眠りしているのを見たけれども注意しなかったと新聞に出ています。チェック機能は働いていない。それで我々の命を預かるのですから、これはやっぱり客観的なチェック機能を持つべきだと思うんです。いろいろありますよ。例えば風船がアルコールを見るのにいいでしょう。酔っぱらいは動揺度検査があります。集中維持機能が落ちたというふうなストレス、睡眠不足等を見る方法もあります。やろうと思えばやれるはずだ。どうでしょう、運輸省、その点ではそういうのを採用してやってみる気があるかないか、チェックは予防なんですから。どうぞお願いします。
○政府委員(西村康雄君) 今、先生御指摘の問題は、私ども安全に関する基本的な部分だと思っております。非常に事故の原因としてはヒューマンファクターの問題も無視できなくなって、非常にシステム的な予防なり機材の発達がありまして、総体的な安全性が高まっているのですが、最後の壁はやはりヒューマンの問題です。そこで、実際に事故が起きました場合に、私ども今回は特に日航の羽田沖事故の場合などを見ますと、一つは乗員なり何なりの安全意識の問題、これがあるのですが、他方、周りの者が気がつきながら、そこは日常的な人間関係というものに埋没してしまう。そこで、日常的な人間関係の問題と組織的な安全管理の問題と常に拮抗的な関係に立っていることも事実でございます。しかし、両方を調和させながら進んでいくというのが安全管理の基本にあると思います。 そういう意味で、日航事故の後実際に日本航空に対していろいろ指示をしております。それは例えば実際上、組織的には医師、専門家が委員会をつくりまして、疑義のある者について乗務制限をするというのは、これは医師その他の通報等によってやっているわけですね。あるいは内部の乗員に対して安全意識の徹底を図ることもやっておりますが、もう少し具体的には乗員部の路線室というものを細かく分けまして、各乗員の小さなグループに分けているわけです。それで、グループリーダーが一つ一つの乗員を直接日常的なチェックをして、そしてグループリーダーと一緒に各乗員の乗務を、操縦士と副操縦士になりますから、機長と副操縦士との関係で日常的に乗務させるということによりまして、日常的な観察をする、相互に観察をするというようなこともいたします。 それから、全体の乗務の管理でございますけれども、乗務の管理の場合には、実際にぐあいの悪い人をコンピューター等でチェックをさせておりますが、さらにこれが復帰する場合に、復帰の時点でまた先ほどの健康管理委員会等でチェックするということをしております。あるいは、飛行前に、特に相互確認ということを乗務員にさせております。これが先ほど申し上げたことで、特に組織的には運航管理者というものが一々乗員をチェックするという体制をできるだけ徹底するような仕方で、それぞれの運航管理の仕方、現場ではいろんな工夫を今やっているわけでございますが、できるだけお互いの間でそういう人間関係の問題を解決しようというような方向でやっている次第でございます。
○説明員(坂田浩一君) お答えいたします。 国鉄におきましても先ほど運輸省の方から心の管理につきまして御報告させていただきましたが、私どもといたしましても、今回の事故にかんがみまして、やはり個人別管理ということが非常に大事だと、かように考えておりまして、今回も先ほどの点呼の場も従来と違いまして、いろいろ工夫いたしまして、本人の機能なりそういったものを判断して、先ほど御指摘ございました飲酒につきましても対話といいますか、非常に短い距離にいたしまして、直接対話をするといったようなことで防いでまいりたいと、かように考えているところでございます。 今回、国鉄は現在一日に三万四千回の点呼を実施いたしておりまして、そういった意味でかなりの点呼回数がございます。その中で乗務前、乗務後といった中できめ細かい管理をしているところでございます。ただ、いずれにいたしましても疲労度の問題その他の問題につきましても、私どもといたしましては、私どもの機関として労働科学研究所がございまして、そういった中で疲労度、そういったものに対していろいろ研究に努めておりまして、今後どのように進めていくかという点について勉強してまいりたいと、かように考えているところであります。
○高桑栄松君 運輸大臣コメントをお願いします。
○国務大臣(山下徳夫君) 大変な時間を費やして、私からお礼を申し上げなければならぬ。いろいろ交通関係の事故について御質問ございましたけれども、もはや例えば飛行機の整備の状況であるとか、あるいは自動車の車両の問題とかハードではない、御指摘のとおり本人の技術、さらに大切なのは気持ちの持ち方とか使命感、責任感、そういうソフトの問題であろうと思います。その面において欠けている。それが大きな事故につながっておるということは御指摘のとおりであります。 実は、先生私も十二年前ボンベイにおいて飛行機の大変な事故に遭ったのです。滑走路間違えて、わずか千メートルの旧陸軍の滑走路にジェット機がおりて、四週間の重傷で私は済みましたけれども、そんな事故に遭ってみると、本当にこのやろうという気持ちになりますよ、これで殺されてたまるかと思ってね。ですからそういう私も体験も持っておりますし、今のような立場から、特に諸外国の航空会社においては、健康管理室のトップであるお医者さんが社長と副社長の中間の社長代理というような地位を持たされているところもあるわけでございます。この羽田事故以来、私は当時運輸大臣でございませんが、当時の大臣も強くその点も指摘されていたと私は承っております。 それからこのお医者さんの待遇とか地位も、例えば航空の場合、日本航空とかは上がっていると思いますけれども、私は今申し上げました世界最高のそういうレベルまでいかなくても、やはりこれからはそういう先生御指摘のような運航の、操縦士とかそういうものの管理をする、それは一つの精神的な面もございましょう。もう一つは健康の面とそういう管理部門というものはもっと上げなければならぬというふうにこれからも私も指導して、再びそういう事故の起きないように私も一生懸命努力をしてまいりたいと思います。
○高桑栄松君 運輸大臣、全く私の言うことを言ってくださって感謝でいっぱいです。 総理大臣、同じようなコメントを今の問題でひとついただけませんか。
○国務大臣(中曽根康弘君) ますます労働が激しくなり、あるいは交通体系が緻密になってまいりますと、やっぱり知らない間に疲労というのは忍び込みますし、新しい型の疲労も出てくるでしょう。そういう意味において、運航管理者等に対する疲労、就労関係の監査というものは非常に重要な位置に位置づけられてきていると思いますので、今、運輸大臣が御答弁していただいたと全く同じでありまして、我々も厳重にチェックするようにしたいと思います。
○高桑栄松君 あと二点お願いいたします。 防衛庁の衛生局長ポストが昨年から廃止されておりますが、その後どうなっておるか伺います。
○委員長(長田裕二君) 答弁は簡明に願います。
○政府委員(西廣整輝君) 昨年の臨時行政調査会の答申、閣議決定を受けまして規模の小さな部局でございます衛生局が廃止されることになりましたが、我が防衛庁におきます衛生業務の重要性にかんがみまして参事官、参事官と申しますのは防衛庁独特の制度でございますが、局長、官房長含めて十人おりますが、そのうちの一人を衛生担当に充てるということで対応いたしております。
○高桑栄松君 運輸大臣が申されたように、医師が健康管理の上ではラインに上がるべきであるということを私は今主張いたします。 最後に、青函トンネルがどうなるかということで大変気をもんでおりまして、私も札幌にしょっちゅう帰るものですから、できれば新幹線が通ってほしいなと思っている一人でございますが、北海道開発庁長官の御意見を承りたいと思います。
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 北海道新幹線は北海道民の悲願であると承知しております。青函トンネルの問題は北海道の開発とともに大きなかかわりを持っておりますので、関係省庁と連絡いたしまして前向きに検討してまいりたいと思います。
○高桑栄松君 あと一分ありますけれども、一分の質問というのはどうももうしようがないと思いますので、残念ながら一分は返上いたします。終わります。(拍手)
○委員長(長田裕二君) 以上で高桑君の質疑は終了いたしました。 明後十八日は午前十時に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時四十三分散会