予算委員会 第6号
- 発言数
- 243 件
- 登壇者
- 31 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 1985/03/14
会議録
○委員長(長田裕二君) 予算委員会を開会いたします。 昭和六十年度一般会計予算、昭和六十年度特別会計予算、昭和六十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 ─────────────
○委員長(長田裕二君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和六十年度総予算審査のため、本日の委員会に日本銀行総裁澄田智君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、出席時刻等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(長田裕二君) 本日は、お手元の質疑通告表のとおり、財政・経済に関する集中審議を行います。 それでは、これより増岡康治君の質疑を行います。増岡君。
○増岡康治君 では、大蔵大臣に、まず歳出の問題の方から御質疑を申し上げたいと思います。 昭和五十七年であったと思いますけれども、国債の利払いという、いわゆる国債費でございますが、これが公共事業を超えたというようなことで相当深刻な事態だと当時思っておったわけでございますが、もう六十年になりますと、既に社会保障費を超えるという、まあ当時からはそこまではなかなかいかないのではなかろうかなというような楽観的な気持ちもあったわけでございますが、もう歳出予算のトップ事項に挙げられるようになったということで、これだけを見ましても今日の財政改革の必要性というものは国民の中に広く行き渡っていきつつあることは確かであると思います。 こういう厳しい中で公債の発行も一兆円を実行されたということにつきましては、非常に私どもはこれは評価をしておるわけでございます。しかもなお、将来の高齢化社会だとか国際社会の問題とかいろんな問題が控える中で、身動きのならない財政の中でやはり何かめり張りをつけなければいけないという御努力もあったように思います。我々政府・与党の立場からも、昨年はもう六、七、八月ごろから概算要求基準等という新しい言葉の中で何か一緒に悩んできたような気がします。長い歴史、もう十年間も続いているような感じの歳出カットの中で、歳出圧力というものは相当昨年は厳しい中で予算編成を進められたわけでございますが、この中において、この三年間マイナスという事態の中で財政力が十分に発揮できないと言いながらも、私どもから見れば各項目についてめり張りのきいたものをやはりお出しになっているなと、こういう気もします。 この点について大蔵大臣の方から昭和六十年度の予算の特色といいますか、この数年の中における六十年度あるいはまた将来にわたる中においての六十年度の予算の特色といいますか、意義づけというものについて改めてひとつ御明示を願いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 今増岡さんから御指摘がありましたように、確かに厳しい財政事情の中での予算編成でありました。特色といたしましては、今、五十七年の例をお挙げになりましたが、五十五年度予算から厳しいと言いつつもいわば一〇%増までの概算要求基準であります。そして五十六年が七・五%増すまでは結構だと。それからいわゆるゼロ、これが五十七年度予算になるわけであります。そうして五十八、九、六十といわば一般歳出で前年度減額、こういうことがやっぱり大変な作業であったと思います。それから、やはり歳入面では税制改正のほかに税外収入の可能な限りの確保をした、その両者相まっていわば御指摘のとおり一兆円減額、こういうことが、国債発行額の一兆円減額というものができた。したがって、なおこの土台の上に立ってさらに各方面にわたる不断の努力を続けていかなければならぬというのが現状の認識であります。 めり張りという問題も御指摘がありました。極めて厳しい財政状態のもとで、そして非常に選択の幅の少ない中で、やっぱり真に恵まれない方々に対する施策、そういうところにきめの細かい配慮を行うということが必要であったと思います。予算の費目の中であえてめり張りと申しますならば、一つは、いわゆる我が国の国際的立場からい たしまして一般会計の政府開発援助、いわゆるOD援助、これは伸び率で一〇%、対前年度一〇%でございますから五百二十九億円という、全体が五千八百十億円でございますから、これが一つの目玉ではなかろうか。公共事業は、これは胸を張って言えるとは私は思っておりませんが、国費を減額する中で、すなわち国費を二・三%抑えて、いわゆる一般公共事業費については三・七%増、これがそれなりの景気に対する配慮ということになるではなかろうか、しかし、ここには地方団体の大変な協力があって初めてできたことではなかろうかというふうに思います。 それから三番目の社会保障関係費でございますが、これは伸び率で二・七%、伸び額で二千五百二十五億円で九兆五千七百三十六億円ということになるわけでありますが、中身で議論をしていただくといたしますならば、やはり社会保障関係費は今後の高齢化社会の進展等、社会経済の変化に対応してこれを長期的に安定させていくという必要がありますので、この苦しい中に生活扶助の基準額そのものは十五万二千九百六十円から十五万七千三百九十六円、それなりのアップを見ておるところであります。その他ホームヘルパー派遣事業の拡充でございますとか、在宅障害者対策でございますとか、老人デーサービス事業でございますとか、そういうものを安定的にやっていかなければならぬ、また、厚年、国年、福祉年金につきましてもそれぞれその改定率三・四%ということで、予算編成を配慮の上にやってきたというようなことが中身ではなかろうかというふうに考えます。
○増岡康治君 今大臣からそういう不断の努力を今後とも続けていきたいという話がございましたが、私もこの六十年度予算について、今大臣からも地方公共団体の協力のたまものであったというお話がございました。私も今回の高率補助の一律カット問題については、これはよく手を組んでいただいたなと。 一つには、地方の財政と国の財政のバランスが昔のようなとは逆になりまして、地方財政の方がまだまだ窮屈な中においても国ほどではないという客観的事実がございますが、各府県におかれても財政のいい県と悪い県がいろいろあるわけで、国は一つでございますが、その中におきましてこの高率補助の一割カット問題というのが大きく、例えば我々公共事業等に興味のある人間といたしましては、これは大変な英断だなと思っております。こういうようなことが、単年度の問題とはいえ引き続き今後の重要な問題になってくるであろうと。殊に社会保障関係については、この問題はいわゆる国と地方の問題にかかわってくる。これはよくもう予算委員会あるいはいろんな委員会に出ておりますように、国と地方の機能分担の問題、どういう負担にしたらいいだろうかという問題のきっかけを大きくつくったような年ではなかろうかと思っております。 そういう意味でこの三年間連続の伸び率ゼロの中で、また将来を見渡しても、非常に不透明なものがあります。まあ昭和六十五年度云々というものは、我々はそう頭にすぐどうなければならないということも言えないほど、私どもはまだ不透明さを持って将来を見ておるわけでございますが、その中において国と地方がやはりこの分担の問題、分権問題も中には入ってくるのかもしれませんが、根本的な見直しの上に立って早く議論を開始されていただいて、六十一年度以降の予算編成にも臨んでいただきたい。こういたしませんと、いろんなこういう問題がお互いの立場で混線のままで国民が受け取ってしまうというようなことがありますので、お互いに筋道を立てた中で議論された中で、国と地方のこの補助率の問題等について、いろいろ我々が国民に説明しやすいようにしていただきたいなという中においての、また見直しをやってほしいという希望が実はあるわけでございます。 こういうような問題について、国と地方の問題についての抜本的な見直しの時期が到来したという中においての、大蔵大臣と自治大臣の御意見、御見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 行政が総合的、効率的に行われますためには、国と地方の団体がそれぞれの機能と責任を分かち合いながら、まさに相互協力をしましていわゆる公経済を支える車の両輪である、こういう考え方の上に立って、国と地方との財政は税源配分、交付税交付金、補助金等、まさに密接な関係を有しておるという状態にあります。国と地方の機能分担と費用分担のあり方の問題につきましては、やっぱり国と地方の財政状況等も踏まえて幅広い見地から議論を尽くしていかなければならぬ。私どもとしましては、もとより地方におかれても歳出の徹底した節減合理化等、行財政の減量化を進めていただくことが肝要であると基本的には考えておりますが、今度の問題で私どもとしてやはり議論をいたしますときに、まずは公共事業の問題になりますと、過去も公共事業の補助率というのは地域特例等も含め、その都度の財政事情において変化がもたらされておるわけであります。 しかし、社会保障関係、なかんずく生活扶助の問題等について見ますと、昭和二十一年、もとよりGHQの間接統治下にある時代でありますが、その間接統治下において、それまで国と地方の、戦争中は五分五分ということであったものを、当時の安井誠一郎さんが事務次官で折衝されたような文献を見てみますと、当時厚生省は大体八億円程度でおさまるのじゃないか、それから大蔵省は二億円、こういうような議論をしておったようでありますが、占領軍から三十億円というものを生活扶助で組むべきだという、いわば当時の占領軍命令というような形で三十億になってきて、そのときにいわば費用負担のあり方として、予期せざると申しますか、かなり大きな額が示されたというところから八割、二割というものが出発したわけであります。 そうしてそれが二十二年、制度としていろいろ議論が行われ、さらに二十六年でございましたか、議論が行われて、今日まで八対二というものが言ってみれば定着しておって、公共事業とは違って一遍もその間に変化がない。したがって、この問題はやっぱりそういう前提の上に立てばさらに議論を尽くすべきじゃないか、こういう議論もたびたび重ねてまいりましたが、現下の情勢にかんがみ、では最終的には暫定措置として一年限りでもって、その一年の間にもう一遍関係方面と協議していこうという申し合わせのもとに、暫定措置としての補助率というもので、全部が全部一割カットではございません。八割が七割になったり、あるいは三分の二が六割になったり、いろいろな多少のバランスの相違はございますけれども、そういう形で、いわば今日暫定的に社会保障関係の補助率のあり方はこれで理解を得るようにしようと、こういうことで予算編成作業を終えたわけであります。したがって、本来、国と地方との役割分担と費用負担のあり方というものについての議論は、国会の論議等を承りながらさらに詰めていかなければならない問題だという問題意識を持ち続けておるところであります。 〔委員長退席、理事梶木又三君着席〕
○国務大臣(古屋亨君) 増岡委員の御意見でございますが、国庫補助率の一割カットの問題につきましては、御承知のように、国と地方団体の考え方が大きな食い違いがございまして、予算編成直前まであったのでございますが、国の非常に厳しい財政状況のもとにおきましてこういうような補助率の一割カットというのは大体一年限りでの暫定的なものにしよう、特に今大蔵大臣から話しました社会保障の問題につきましては、一番国の基本的責務ということもありまして、この問題は特に自治、大蔵、厚生の三省におきまして六十一年度をどうするかということは六十年内に十分検討していこうという覚書がつくられまして、そして同時に、この一割カットに伴います貸借につきましては、国でとにかくそれを補てんするということを建前といたしまして、その結果、経常費つまり社会保障その他につきましては二千六百億、それから投資的経費であります公共事業その他につ きましては三千二百億、合わして五千八百億というものを補てんすることに話がつきました。それで、五千八百億のうち、補てんの方法としては、一千億は地方交付税の上積みということでやる、あと四千八百億は建設地方債によって賄っていき、その事後の処理につきましては交付税で措置をするということになったわけでありまして、地方には負担をかけないということで一応話し合いがつきまして、その線で進んでおります。 ただ、先生、私どもは補助金の整理合理化ということは、やはり地方の公共団体といたしましても、行革の点からも、あるいは事務分担と費用負担のあり方ということからかんがみまして、補助金の見直しということは私どもも必要であると考えておりました。ただ、一割カットについて今申し上げましたような経過をとったわけでございます。私どもといたしましては、やはり国と地方の役割分担、費用の見直しというものの検討に当たりましては、行政が果たすべき役割あるいは国と地方との機能分担の見直しを行い、そうして地方自治の確立という点と地方財政の健全化を図る方向で対処したいというふうに考えております。特に、社会保障関係につきましては、国の基本的な責務が貫徹されることを基本として検討さるべきものと考えております。
○増岡康治君 今、両大臣からお話しのように、ことしはそのとおり非常に大切な議論をされる年だと私ども期待をしております。しかしながら、国も地方も団体もいろいろ協力をしながらも、歳出カット問題については、私個人の意見ですが、だんだんもうリミットに来つつあるなという感じがひしひしと実はしておるわけでございます。もうこれ以上ことしは何か、もう六十一年度あたり見ましてもめり張りのきく予算ができるのかなというような、非常なそういう危機感を持っておりまして、いわゆる公共サービスの限界点というものを感じながら、なおかつ、この負担については十分な負担ということを頭に置きながら公共サービスを考える、国民への浸透ということを非常に願うという現在の気持ちであるわけでございます。 したがって、こういう中において、今度歳入面について、わずかな時間でございますけれども、御質問申し上げたいのは、先般たまたま梶木委員からの質問に総理が税制改革の柱に減税も入れてみよう、活力だというような言葉が出ました。そのときにほとんどの国会議員すべてでしょうが、こういう問題の背景にあるのは、いわゆる米国財務省が昨年の十一月末に出しました税制改革提案というものの中にいろんな言葉が出てくるわけでございます。公平かつ簡素で経済効率を高めるような税制改革やるぞということで数々の直接税的な、米国ではあるもののいろんな提言が出ておりました。 これ今や我が国はその税制改革の直前に私どもはある時期ではなかろうかと思いますが、この米国財務省の税制改革案について学ぶべきところがあるのかないのか、どういうような評価をされているか、大臣からこの評価についてお聞きしたいと同時に、また、こういう中において思い切ったことをやっておるなという私ども感心をしている面もある。まあ実行できるかどうか別問題でございますが、いわゆる政策税制を思い切って整理したり、いわゆる現行の十四段階税率を三段階に分けてしまうとか、思い切ったことをやってひとつ対応しようという、こういうことについては、国情が違うとは言いながら、今度税制の大きな改革を夢見ておられると思いますので、これについての評価等もお聞かせいただければありがたいなと思っております。よろしく。
○国務大臣(竹下登君) 今おっしゃいますように、米国財務省の税制政正提案は、公平、簡素そして経済効率を高めるような税制改正を目指したものと、こういうような評価がございます。総理は、公平、公正、簡素、選択、それに先般の梶木さんの御質問に対して、いわば経済効率を高めるというような米国財務省の提案の考え方を活力という言葉でこれを表現いたしたわけであります。これは財務省が大統領に対して今後の税制改正の方向を示したものでございましょう。 それと、私はリーガン財務長官ともう長いつき合いになりますが、これは私見でございますけれども、幾らか環境が違う点は、私どもは歳入、歳出、みんな大蔵省が担当しておる、アメリカの場合は、財務省は金融はもちろんでございますが、いわば歳入省であります。歳出は大統領府の行政管理予算局が持っておるわけでございますので、したがって、その点はときにはみずからの立場に比べるとアメリカの方が財務長官に対する負担が日本の大蔵大臣より歳出の面だけが除外されるから少し楽じゃないかなと、こんな感じを持つこともございますが、これは私見であります。したがって、どういうタイミングで実現されるのか、どういうふうな帰趨になるかというのは、今おっしゃったとおりいまだ未知数であると思っております。 ただ、おっしゃったとおり連邦税収の九割を占めるのが個人及び法人所得でございますから、その基本的考え方を、仕組みを変更するという点は確かに興味のある提言でございます。俗に、今もおっしゃいました、今アメリカは十四段階、一一%から五〇%でございますが、それを一五、二五、三五の三段階、これをモディファイド・フラット・タックス、いわば修正フラット税制と、こう呼んでおるようでございます。我が方も大体基本的な考え方として、先般の五十八年十一月の税調答申を読んでみますと、「所得水準の平準化の動向等にかんがみ、中堅所得階層の負担の緩和にも配慮しつつ、全体として、若干なだらかな累進構造とする方向で見直しを行うことが適当である。」と。そこで、五十九年度税制におきまして、言ってみれば一九を一五ということにしていただいたわけであります。 アメリカの提案は、個人所得に対する所得税の負担水準については、今回の提案によれば現行水準より低下すると説明されております。所得税だけで見ました場合は確かに低下をいたしますが、我が国の現行の所得税の負担水準に比べますとなお高い水準にとどまるということに読めるではないかなと、こんな感じがしております。しかしモディファイド・フラット・タックスという三段階、あるいは日本でも五段階というような議論がいろいろなされますけれども、これらこそまさに国会の今のような議論を正確に報告した、まさに税調で御議論をいただく点ではないかというふうに思っております。評価の方向は私は余り変わっていないのじゃないかなと、日本の税調の指摘もそう大きな逆行するものじゃないというふうには思っておりますが、大変興味ある指摘であります。 それから、いわゆる設備一般を対象とする広範な投資税額控除、あるいは加速減価償却制度、これはむしろ我が方がそれらの提案に対して、現実問題としてそれはさらに租税特別措置というのはその体系そのものから見ますとやっぱり一つの特別措置によってゆがみをつくるわけでございますから、非常に消極的であったのじゃないか。その意味においてはそれらはむしろ廃止、縮減すべきものというふうに提言されておるというのは、私どもがいわば投資税額控除とか、加速減価償却制度についてお答えしておった方にアメリカの税制がいささか近づきつつあるのじゃないかと、こんな感じでもって見ておるわけであります。 そうしてもう一つは、いわば我が国の税制調査会におきましても、法人の基本的性格や経済に対する中立性から法人税率は基本的には単一の比例税制であるべきである、こういう指摘がされておりますが、アメリカの今回のこの提言というのは、確かに現行は法人税も一五%から四六%という五段階税率をアメリカはとっておりますので、それを三三%一本にしようというのは税調の答申に大体近い答申になっておるのじゃないかなと、そういう感じがいたしております。ただ、この提案は、アメリカの現行税制から見ると十四段階を三段階にする個人所得といい、そして法人税の段階税率をやめて単一にして、しかも特別措置を廃止する、現行の税制から見れば大変なドラスチッ クな提言だなと、こんな感じをもって見ておるところでございます。 したがって、総理が指摘を受けて、さらに活力という点を、公平、公正、簡素、選択。公平というのは垂直的公平と水平的公平があるそうでございます。所得の多い者がそれだけ税負担が多いというのが垂直でございますか、水平というのは同じ所得のある者が特別措置等でゆがめられないで公平な税を払うという意味において水平的、垂直的、あるいは公正というのはそれに多少の倫理観が加わったものじゃないかと思いますし、簡素というのはできるだけわかりやすいということでございましょう。選択というのは、最終的には国民の合意と選択が得られなければ税制はもたないという意味で使われておるわけでございますし、さらに活力というものを加えられたということが、いわば重税感とかというようなものに対する活力を失う方向に作用するものに対して、活力を生み出す方向を念頭に置いていなければならぬという意味でおっしゃった言葉だと思っておりますが、アメリカの提案は実現性とか、これからのプロセスは予断ができませんけれども、大変興味のある指摘であるというふうに理解をいたしておるところであります。
○増岡康治君 最後は要望にとどめます。 今、大蔵大臣非常によく米国の税制改革提案、たとえドラスチックであれ非常に興味深く勉強なさっております。日本との比較も随分おやりになっているということは相当やはり所得、資産、消費の部分においていろいろなことを今お考えになっておるなということを伺わしていただいておるわけでございますが、先ほど申し上げますように、歳出カットもだんだんとリミットにきそうな感じになってきておりまして、やはり国民全体の将来を考えたときに、それなりの負担をしていくという準備がだんだんと整ってきつつございますので、どうかひとつ、せっかく長く大蔵大臣を務められておるわけでございますので、国民のためになるような税制改革を思い切って出してほしいという要望を申し上げまして質問を終わります。
○理事(梶木又三君) 以上で増岡君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○理事(梶木又三君) 次に、安恒良一君の質疑を行います。安恒君。
○安恒良一君 まず、資料を配付したいと思います。 〔資料配付〕
○安恒良一君 私は、まず最初に、政府の経済見通しの実現性の問題について関係閣僚に質問したいと思いますが、政府は五十九年度の経済見通しを当初四・一%から、これは実質ですが、五・三%へと上方修正をされましたが、主要需要項目についてその中身を説明していただきたいと思います。表をいただいていますから、実績のところだけ簡単に、当初これだけだったのをこう変えた、こういうふうに御説明願えれば、時間がありませんので結構ですから、何%に変えたと、こういうふうにお願いします。
○政府委員(赤羽隆夫君) 御説明申し上げます。 五十九年度の経済見通しの当初見通しと現時点で見込んでおります実績見込みの違いを申し上げます。まず、項目別に見まして、民間最終消費支出、これは当初四・一%実質で見ておりましたのを現時点では三・一%、民間住宅建設五・二%が三・一%、設備投資、民間企業設備を五・一%と見ておりましたのが一〇・一%、政府支出〇・二%が一・八%、それから国際収支の見通しでございますけれども、経常収支二百三十億ドルの黒字と見ておりましたのが現時点では三百四十億ドル、主要な項目を申し上げますと以上でございます。
○安恒良一君 答弁をひとつ大臣にお願いします。 ところで、政府は経済問題あるいは経済課題になりますと、常に内需主導ということを繰り返されますが、内需主導とは何を指すのか、何をどうすることか、具体的にひとつ大臣から御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(金子一平君) お答えいたします。 内需主導型の経済に六十年度を持っていきたいというのは、五十九年度の経済見通しでは米国に対する輸出が中心の経済でございましたけれども、アメリカ経済が御承知のように六十年度にはある程度スローダウンをいたしますものですから、やはり民間の経済の伸びを中心に持っていく必要がある。そういう意味合いにおきまして、幸いと輸出に依存しない設備投資が今着々と拡張いたしておりまするし、また住宅投資、民間の消費も緩やかではありまするが、着実に伸びつつありますので、こういった民間主導型の経済を中心に経済を伸ばしていきたい、内外需のバランスをとりたいという意味においての民需主導型ということを申し上げている次第でございます。
○安恒良一君 大臣、正確に聞いてください。私は民需主導と言ってお聞きしたのじゃないんですね。内需主導とおっしゃいますが、内需主導とは何でしょうかということです。今の大臣の御説明をこういうふうにとっていいわけでしょうか。国内の投資を増大させる、それから国内の消費を高める、こういうふうにとっていいですか、今の御答弁。
○国務大臣(金子一平君) そのとおり御了承いただいて結構でございます。
○安恒良一君 しかしながら、GNPの約六割を占めますところの民間の最終消費支出、つまり消費は、今GNP全体が上方修正される中で、下方修正されていますね、これは五十九年度実績見込みで。そこで、その要因は何でしょうか。
○国務大臣(金子一平君) お話の個人消費でございまするけれども、御承知のとおり、五十九年度は輸出の増加が非常に大きく伸びましたために、ある意味において相対的に国内消費が低下した、こういうふうにウエートの置き方に相違ができたというふうに御了承いただきまして結構だと思います。
○安恒良一君 どうも大臣は私の質問を的確にお聞きになっておらないと思うんですが、民間の最終消費支出、消費が下方修正された原因は、五十九年度の経済白書において、消費低迷の要因は家計収入の伸び悩みが大きな要因であるというふうに、おたくの出されているところの白書に書いてあるんですが、そのとおりじゃありませんか。おたくの出された白書にそう書いてあるんです。
○国務大臣(金子一平君) そういう問題と同時に、個人消費が盛り上がりを示すためには、ある程度のタイムラグが出てくるものですから、それがずれているというふうに御了承いただきたいのでございます。一般に景気回復の効果が家計に出てくるまでにはやっぱり三月なり半年の時期的なずれがある、それが一番大きな要素というふうに私どもは見ておるわけでございます。
○安恒良一君 いずれにしましても、五十九年度経済白書の中において、今私が述べたことを政府は五十八年度の個人消費の増加が緩やかになった原因ということでいろいろ挙げられていますから、そのことを、まさか自分で発表された経済白書を否定されるはずはないと思います。 そこで私は、少し中身を詰めていってみたいと思いますが、家計収入の伸び悩みというのが一つの原因であるということは政府の経済白書に大きく取り上げられています。内需拡大の柱であることも、これは事実だろうと思います。そこで、今度は消費を高めるという政策努力がなされたかどうかということでありますが、その一つとして五十九年度減税、これは景気浮揚に役立つ減税、こういうことでやられたわけです。しかし、この数字を見る限りにおいては必ずしも効果が十分でなかったと、こういうふうに私は思うわけです。そこで今度は、問題は六十年度でありますが、六十年度の消費動向を政府はどのように考えられていますか。
○国務大臣(金子一平君) 安恒先生御指摘のとおり、五十九年度におきましては相当大幅の所得税減税もやったわけでございますから、可処分所得が現実問題としてふえておるわけでございまする けれども、八月くらいまでの家計消費を見ておりますると、必ずしも伸びておりません。それは将来に対する経済の見通しの問題、あるいは教育費その他を考えながらの、何というか、懐勘定をしながらの支出の減少というものが大きく響いておるのであろうと思います。しかし昨年の暮れから冬のボーナスも相当上がっておりますし、また農村の所得全体が上がったというようなことで、昨年の暮れからことしの初めにかけまして消費は相当伸びております。そういうような状況を見ておりますると、今日の景気拡大によりまして消費マインドに明るさが増してきたということははっきり言えるのではなかろうかと思うのでございます。また、住宅投資も着実に、緩やかではございますが伸びておりますし、設備投資も輸出に関係のないものにどんどん波及効果が出てまいっております。ハイテク中心に伸びてきておりまするので、こういった点から個人消費は確実に伸びるものと私どもは期待しておる次第でございます。 〔理事梶木又三君退席、委員長着席〕
○安恒良一君 個人消費が確実に伸びるものと期待しているということですが、少し中身を科学的に検証してみる必要があるんじゃないでしょうか。というのは、六十年度は名目で六・九%、実質は四・一%、それはここにもう既に五十九年度当初見通し、実績見込み、それから昭和六十年度の見通しとの比較の資料をいただいていますから、この資料を見ますと、六十年度のGNPの伸びが五十九年度の実績見込みの数字を下回る、すなわち全体としては景気の拡大傾向が鈍る中で消費がより伸びるという環境は本当に整っているのかどうか。少なくとも五十九年度より消費が伸びるということについて、数字はここにいただいていますが、少し具体的にその理由を述べてみてください。
○政府委員(赤羽隆夫君) 先生仰せのとおり、GNPの成長率というのは六十年度は五十九年度よりも下がる、こういうことになっておりますけれども、この内容をもうちょっと検討いたして説明を申し上げますと、まず成長率が下がる分というのは、いわゆるげたと言っておりますけれども、このげたの下がる分に対応してございます。したがいまして、年度の中での、つまり四月一日から三月三十一日までのこの勢いというのは五十九年度とほぼ同じと、こういうふうな状況で六十年度の経済成長率を想定しているわけでございます。 そうした中で消費の伸び率が五十九年度よりも六十年度の方が高まると見ておりますのは、先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、景気の動きというものが家計部門、消費に及んでくるまでにはタイムラグがある、こういう理解でございます。五十八年度から景気の回復が始まったわけでありますけれども、これは輸出が先導して景気の回復が始まった、それが次第に内需にバトンタッチされましたのが五十九年度でございますけれども、主として設備投資という形で企業部門にその効果が及んできた、六十年度にかけましてそれが家計部門へ及んでくる、こういう見方のもとで、全体的な景気の勢いとしては五十九年度の状態が維持される中で今度は消費の方に伸びが移ってくると、こういう考え方で六十年度を見通しているわけでございます。
○安恒良一君 今の見方に私は若干の異論はありますが、これは後からおいおい過去の実績の中で論争していきたいと思います。 そこで、角度を変えまして、私は個人消費が伸びるためには労働者の所得がふえるということを考えざるを得ないのであります。どうしてもこの要素が要ると思います。そこで労働大臣に御質問したいのでありますが、労働者の所得がふえる要素というものにどんな中身があるでしょうか。
○国務大臣(山口敏夫君) 先生の御指摘のように、私は労働者の雇用の安定、また労働者の所得の向上、こうしたものが国民経済、日本経済に非常に大きな貢献をするというふうに考えるわけでございますし、現在も春闘その他で労使において、その配分をめぐっていろいろ協議しておるところでございますが、政府も一つの経済見通しを立てておるわけでございますので、あくまでそうした賃金の問題は労使で優先的に協議いただくべき問題でございますけれども、その成り行きについては十分関心を持ってこれを見守っておるというようなところでもございます。
○安恒良一君 私がお聞きしたことは、労働者の所得がふえる要素は何と何があるでしょうかということをお聞きしたんですが、そのことについてお答えください。
○国務大臣(山口敏夫君) これは当然その年度における経済の環境の問題でございますとか、いろいろ消費者物価の安定でございますとか、賃上げの問題、そうした諸要素が関連して、そして実質的な労働者の所得の向上につながるというふうに考えております。
○安恒良一君 もちろんそういう諸要素の関連がありますが、端的に言うと、労働者の所得がふえるというのは、一つは基本給等の賃上げじゃないでしょうか。二つ目は景気好転による時間外手当の増加、こういうものがありますね。あとは今言われた政府の施策としての減税であるとかインフレの抑制であるとか、そういうのはありますが、直接的なものとしては私が挙げた二点じゃないかと思いますが、大臣、どうですか。
○国務大臣(山口敏夫君) そうした御指摘の要素の中で労働者の実質的な所得が向上するというふうに考えます。
○安恒良一君 それでは、果たして労働者の所得が実質的にふえていくのかどうかということについて少し聞いてみたいと思いますが、まず時間外手当の最近の動向から、最近の伸び率が鈍化しているのではないか。これも資料をいただいています。ですから、今後の時間外労働手当による労働者の所得増加について政府の見解を述べてください。
○政府委員(小粥義朗君) 時間外労働の状況につきましては、最近の景気の動向を反映しまして高い水準を保っておりまして、対前年比で申し上げますと、五十八年は二・三%増でございましたが、五十九年は六・三%増というようなことでございまして、実数で申しますと、例えば六十年一月時点では十三・五時間というような水準になっております。
○安恒良一君 もう少し私の質問に的確に答えていただきたい。 このあなたが出された資料を見てそういう読み取りができるんでしょうか。例えば対前年の伸び率を見ますと、五十九年の一—三は九・〇、四—六は七・六、ここらは、五十八年からの資料をいただいていますが、上昇傾向にありましたね。しかしながら、その後、例えば十月は対前年で三・五、十一月は二・八、十二月は三・五、一月は三・一ということで低下の傾向にあるんじゃないですか。低下の傾向にあるのに一月を挙げて十三・五時間だから伸びるなんて、よくもこの資料をそういうふうに読み取れますね。今後それほどこれは期待ができないんじゃないか。私はこの傾向をずっと五十八年からあなたから出していただいた資料に基づいて読み取っているんですが、大臣、この読み取り、どういうふうに読み取られますか。大臣、答弁してみてください、この資料の読み取り。
○政府委員(小粥義朗君) お答えします。 先生御指摘のように、月々あるいは四半期別に見ますと、最近の傾向としては増加率がほぼ横ばいみたいな形で、一種頭打ちみたいな傾向が出ておるわけでございます。それだけ高い水準にあるという意味で先ほどお答え申し上げたわけでございますが、月々の推移を見ますと御指摘のような点はございます。
○安恒良一君 大臣、このところを覚えておっていただきたいのですが、時間外労働手当は、残念ながら、上昇期が五十八年度の四—六ごろから五十九年度の九月ごろまではある程度ずっと続いたんです。ところが、それ以降ずっと低下の傾向にあるということは、これは具体的数字ですから間違いありません。ですから、今後これで労働者の所得が大きく伸びるという期待は難しいのじゃな いかと、こういうふうに私はこの数字を見る限りにおいて思います。そこで次の問題を一つ一つお聞きしたいのですが、次はやっぱり賃上げの問題であります。 まず経企庁にお聞きをしたいのでありますが、かつて経企庁の経済研究所長であった高橋毅夫さん、その後民間の研究機関に行かれたり今は大学の教授等をされておりますが、その方が、賃上げが内需喚起のかぎを握っている、こういう見解を述べられておりますが、こういうことを知っておられますか、またこうした見解について経企庁長官はどのようにお考えでしょうか、お考えを聞かしてください。
○国務大臣(金子一平君) 安恒さん御指摘のとおり、春闘が大きなウエートを占めておることはこれはもちろん言うまでもないことでございましょうけれども、私どもの経済見通しでは雇用者所得全体についてどう伸びるかということを中心に見ておるわけでございまして、特に六十年度につきましては一人当たりの雇用者所得が前年に比べて五%増、雇用者数が一・八%増というようなことで全体として六・八%程度前年度に比べて伸びるというふうに見ておるわけでございます。これは経済成長率が六十年度においてどうなるか、それからもう一つは労働の需給状況がどんなふうに動いていくか、あるいはまた消費者物価がどういう動きをするかというような、いろいろな要因につきましてマクロ的な推計をしておってこういう数字を出しているわけでございまして、春闘は御承知のとおり労使の話し合いで決まることですから、経済企画庁の出しております経済見通しにつきましてはその点については触れていないわけでございます。
○安恒良一君 大臣、聞かないことを答弁してもらう必要はないんですよ。私はあえて春闘という言葉も使ってないんですよ。賃上げが内需喚起へのかぎを握っているという見解をかつて経済企画庁の経済研究所長であった高橋さんもとられているが、こういうことを知っているのかどうか、それから賃上げというのが内需喚起の一つのかぎであるということについての認識はどうかと聞いているのであって、要らぬことを言うことないんですよ。時間がもったいないのだから、先回りして聞きもしないことをあなたに答弁してもらう必要ないんです。その点についてどうかというお答えをいただければいいわけです。
○国務大臣(金子一平君) 当初に申し上げましたとおり、一つの大きなかぎになっていることは事実であると考えます。
○安恒良一君 私は、今お認めくださったように賃上げというものが所得増加に大きな関係があると思います。 そこで、私は一つの数字をここに示しております。これを見ていただきますと歴然と関係があると思うんですが、まず、今経企庁長官もおっしゃったように、これは経企庁長官、労働大臣、それから河本総理代行にもお聞きをしたいのでありますが、春の賃上げ、これは雇用者所得、雇用者数の伸び、消費の支出、これらの過去の数字を用いて計算をしてみました。そうすると、この数字で見る限り政府の消費支出六・九%を実現するのには相当の春の賃上げが必要だという結論が出ていると思いますが、こういう点について今皆さんのお手元に差し上げました私どもで計算しましたこの計算値を見てどのようにお考えくださるのか。例えば五十八年度における政府の当初予測は民間最終消費支出は七・四でありました。その場合に私どもの計算では七・四にするためには賃上げが七・四ぐらい必要だと思っておったのでありますが、これは労使で自主的に決めることでありまして四・四で決まった。そういう場合に、民間の消費支出は五十八年度の実績は実際は四・七で実は終わっているわけです。 こういうふうにこの一覧表を民間の最終消費支出、雇用者所得、それから今おっしゃった雇用者数の伸び、春季賃上げ率、こういうことを最小自乗法による推計方式によってこれは過去の数字を全部計算をしてみるとこういうふうになっておりますが、これらについて関係大臣としてどうお考えになるか、それぞれ関係大臣からお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(金子一平君) 大変難しい推計方式をお使いになりましての計算でございまして、高く評価いたしておる次第でございますが、いろいろな民間消費支出の推計の仕方につきましてはやり方があると思うのでございまして、多少その点は私どもの見方と違っておるかもしれませんけれども、現実の問題として五十八年度、九年度、九年度はまだ済んでおりませんけれども、大体こういうことになっておることは、これは事実であろうかと思います。
○国務大臣(山口敏夫君) こういった国民経済と賃金との関係について計量的に分析いただくということ、大変私ども参考にさしていただきたいと思うわけでございますが、いずれにしましても経企庁長官からも御答弁ございましたように、賃上げ決定のいろいろな諸要因というものは、消費者物価の問題でありますとか、労働需給の問題、企業収益等の問題、いろいろな普遍的な問題を兼ねて、現場で責任をとられる労働者、経営者双方の公平、公正な分配というものが我々としては雇用の安定にもつながるわけでございますし、そうした上に立って、さらに国民経済の上でその内需につながるような一つの方向づけができるということをさらに期待しておるところでもございます。
○国務大臣(河本敏夫君) 現在の日本経済の大きな特徴は、政府の月例報告でも示しておりますとおり、経済は全体として回復の方向に進んでおりますけれども、いろいろな分野でばらつきが残っておると、こういうことが指摘されております。そのばらつきの一つが、私は、個人消費は伸びておりますけれども比較的これが弱い、ここに一つの大きな特徴があるのではないかと、こう思っております。なぜ個人消費の伸びが比較的弱いかといいますと、それはやはり国民の実質所得の伸びが低い、ここにあると思います。なぜ実質所得の伸びが低いかといいますと、それはやはり全体としての所得の伸び率が高くないということが一つと、それから我が国の税制が累進課税になっておる、所得がふえても税金がうんとふえる、ここにあると思うのであります。GNPの六割を個人消費が占めておりますから、この問題につきましてやはり明確な展望を持ちませんと、本当の意味の経済力、内需の拡大というものは出てこないのではないか。 最近アメリカあたりで我が国に言っておりますことは、市場の開放はもちろん必要である、しかし日本でもう少し内需の拡大をしっかりやってもらわないと、どうもこの経済摩擦は本格的な解決ができないのではないか、アメリカにはドル高という責任もあるけれども、しかし日本には内需の拡大ということについてもっと積極的な配慮が必要であると、こういうことを最近盛んに言っておりますので、これからの経済運営については総合的にいろいろな角度からこういう問題について分析し、検討を加えていく必要があろうと、このように思います。
○安恒良一君 総理代理の河本さんからやはり個人消費を伸ばすためということのいろいろの見解を伺いましたので、それはそれとして承りまして、そこで続けて少しお聞きをしたいのですが、いわゆる五十年以降、政府の経済見通しの中で、民間消費支出当初見通しと実績を比較をしてみるとそれがいかに誤っているかということが、いただいている資料でわかるのでありますが、この点はお認めになりますか。
○国務大臣(金子一平君) 五十年度以降、御承知のとおりの石油ショックが相次いで起こりまして、各方面に大きな影響を与えておりますので、政府の経済見通しも年によってはある程度狂わざるを得なかったというような問題もございますので、御指摘の点はまさに我々としても今後十分注意をしながら、これからの見通しを立てていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○安恒良一君 それでは、六十年度の民間最終消費支出の見通しを作成されるに当たりまして過去 の誤りをどう反省し、修正をした上で今年度のやつをお決めになったのですか。過去の誤りがずっとあったことは事実で、これはもう具体的な数字で出ていますから、それをどのように反省をし、どのような点を修正をして今年度はこうしたということについてお答えください。
○政府委員(赤羽隆夫君) 先生御指摘のように、これまでの見通しと実績の間にかなり乖離があったということは事実でございまして、私どもの見通し能力の研さんにおきましてなお至らない点があったと、こういうふうに反省をしております。その反省に基づきまして、できるだけ経済の流れ、経済の理屈に沿った見通しを立てるべきである。これは従来もそういう考え方でやってまいったわけでございますけれども、さらに一層の研さんをしなければいけない、こういう反省とともに、先ほども御説明申し上げましたように、経済の流れというものをどういうふうに理解をするのか、景気の回復というものがどういうステップを経て家計の部門まで及んでくるのか、こういったようなことを、過去の例を改めて分析をした上で見通しを作成した次第でございます。 先ほどの繰り返しになりますけれども、まず今回の景気の回復から拡大の局面というのが輸出を主導として始まったということは事実であります。それが企業部門に及んできた。それがさらには家計部門に及んでくるのについて過去の例を分析をいたしますとかなりのタイムラグがある、こういったような点を認識した上で六十年度の経済見通しを作成をする。特に消費部門についてはそのような考え方に基づいて見通しを立てたと、こういうことでございます。
○安恒良一君 河本総理代理にお聞きしますが、今いろいろ言われましたけれども、私わかりません。政府が発表をしたことが十年間同じような誤りが繰り返されておるわけです、これは十年間全部そうですから。当初見通しと実績がかなり乖離しておるわけです。河本さん、経済の専門家として、総理代理としてどこに理由があったのでしょうか。十年間も同じようにいつもああいう答弁をするんです。一年たって今度予算委員会になるとまた違っているんですよ。私まだ国会議員七年ですが、同じような話を聞いてくるんです。毎年そうなっている。この点、河本さんはどういうふうにお考えでございますか。
○国務大臣(河本敏夫君) 過去十年間の経済の一番の特徴といいますと、この十年の間に二回にわたって石油危機が起こったということだと思います。その石油危機によりまして安定しておった世界経済が大混乱に陥る。回復するのに数年かかる。回復したところでまた石油危機が起こってさらに混乱に陥る。現在は第二次石油危機からの回復過程緒についたところだと、このように理解をしておりますが、こういう世界経済が大混乱に陥っておったということが、日本のみならず、各国経済の見通しが毎年相当狂ってくる、ここに私は最大の原因がある、このように理解をしております。
○安恒良一君 私はそれも一つの原因だと思いますが、それだけで過去十年間のこの大きな乖離を説明されることは大変残念です。しかし時間がありませんから、これはまた改めてゆっくりやらしていただくということにいたします。 そこで、どうも今政府の説明を聞いておりますと、六十年度政府の消費見通しが今のような御説明では到底実現できるというふうに私は考えられないのです。そうしますと、また、六十年度は本当にこの内需主導に転換できるのだろうかどうか。いろいろなことを言われておりますが、またぞろ経済は外需依存型と、こういうことにして、それでやっと政府の経済見通しが達成できるのじゃないかと、こんな心配を今までのやりとりで私は心から感じるものであります。 そこで、そのことについてはまた改めて今度総括なり一般の中で詳しくやりたいと思いますが、私はその中で何としても内需主導とするためにはGNPの六〇%を占めるこの個人消費の拡大が非常に重要だということは、これはもうどの大臣もお認め願うところだと思いますから、そういう意味からいって、私はことしのやはり賃上げがどういう方向で決められるかということは、非常に注目をしなければならぬ一つの要素だと思います。そういう意味で、総理代行の河本さんにことしの賃上げの問題についての政府としての期待なり考え方をひとつお聞かせを願いたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) ベースアップの問題は、これは個人消費とも裏腹の関係にございますので、経済がどれくらい成長するかということに対して非常に大きな影響があることは事実でございます。しかし、この問題は労使双方で協議をして合理的に決められるという、こういう慣例になっておりますから、政府としてはその交渉の推移を見守っておるということでございますが、ただ、交渉の前提として考えられますことは、これは労使双方にとって考えられますことは、当然現在の経済状態がどうであるか、あるいはこれからの展望がどうであるか、それから個々の企業の状態がどうであるか、こういうことをそれぞれ皆さんがお考えになって労使交渉を進められるのだと思います。したがいまして、これからの経済展望が明るいか明るくないかということが一つの大きな決め手になるのではなかろうかと、このように考えております。
○安恒良一君 今いろいろ言われましたが、河本さんのお考えは、労使が経済の実態を十分に認識して国民経済的視野に立って十分議論を尽くせ、そして円満かつ合理的に解決が図られるようにと、こういう趣旨のように受け取れるのですが、そういうことでいいのでしょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) そのとおりであります。
○安恒良一君 そこで、私は突っ込んでさらにこれは労働大臣とそれから河本氏にお聞きしたいのですが、言葉の後ろで言っておられることはわからぬわけじゃないんですが、どうも円満かつ合理的になんて言われても、ちょっと私よくわかりかねますが、少なくとも今のやりとりの中から、いわゆる内需主導型で経済成長をやりたいというのは、これはもう総理以下皆さんのお考えだし、これより以上外需を伸ばすとまた貿易摩擦ができるということで、どうしても内需主導だ、その中の個人消費の占める割合は非常に重要だ、個人消費の中の一つの大きいウエートは何といっても労働者の所得がふえることだということでありますから、少なくとも政府としては、自分たちがお考えになっているところの成長率を達成する、それがため、また来年の予算委員会でこんなに乖離があったじゃないかと言われないようにするためには、やはり賃金が前向きに決定されることについて期待をされているというふうに思いますが、そのように私受け取っておっていいでしょうか。労働大臣、それから総理代理の河本さんに、そのように政府としてはできるだけ前向きに決定されることを期待すると、こういうふうに受け取っておっていいでしょうか。
○国務大臣(山口敏夫君) 国民生活の安定あるいは国民経済の立場からの内需の問題、私はこれは労働省の立場で申し上げれば、まず何といっても雇用の安定が第一であり、そして次に今先生の御指摘の所得の向上、こういうことであろうと思います。そういう意味で、この春闘がどういう結末をつけられるかというところにつきましては、政府も当然経済見通しの中で諸情勢を勘案して一つの計数を出しておるわけでございますので、その動向を期待して注目しておる、こういうところでございます。
○国務大臣(河本敏夫君) 私は、政治の原点というものは国民生活の充実向上にある、こう思います。国民生活を充実向上させるためには、国民の所得がふえないとこれはどうにもならない。それはもう政治の原則であり経済の原則でございますが、先ほど申し上げましたように、ベースアップの問題は労使間の問題でございますから、労使間で大局的見地に立って、そして経済の現状と展望について正確な分析をされまして、合理的な結論が出ることを期待しておる、こういうことでござ います。
○安恒良一君 これより以上申し上げてもあれだと思いますし、河本総理代理の立場もあると思いますが、積極経済拡大論者でもあります河本さんのことでございますので、私はあなたが答えられた円満かつ合理的にと、こういう言葉の中に、賃金はできるだけやはり前向きに決定されることを期待するとお考えになっておるというふうに私自身として思わさしていただきます。 そこで次に参りますが、やはりこれも非常にこのことと関係しますが、貿易摩擦の拡大と内需の拡大の必要性についてお聞きをしたいのでありますが、昭和五十九年度政府経済見通しの改定に関連して、貿易収支の見通しが上向きに改定された。内需、特に民間最終消費支出の落ち込みのかなりの部分が輸出増大によって埋め合わされていますが、日本の経常収支拡大ペースが遠過ぎることに関してどうお考えになっているか、これが貿易摩擦を拡大する心配はないのかどうか、このことについて関係大臣の御答弁をお願いします。
○国務大臣(金子一平君) 安恒先生御指摘のとおり、輸出入の動向を見ておりますると、五十九年の四月から六十年の一月までの累積値で、輸入の方を先に申し上げますと、国内需要の増加を反映して七・七%の輸入増になっております反面、輸出の方はアメリカ経済の拡大によって一五%の増となっております。その結果、四月から六十年の一月までの貿易収支の黒字は三百八十二億ドルと見込まれるのでございまして、前年同期の二百七十二億をかなり上回るものと考えておるような次第でございます。したがって、五十九年度の貿易収支の黒字は、前年度が三百四十五億ドルでございましたけれども、五十九年度は四百四十億ドルくらいになりまして、やはり一つの大きな貿易摩擦の原因になっていることは事実であると考えます。
○安恒良一君 日本からアメリカに向けてを中心とする純資本流出は昭和五十九年中に約五百億ドルに達すると見積もられていますが、この国内要因は何であり、またそれは貿易問題緩和にプラスかマイナスなのか、これも関係大臣からお答えください。
○国務大臣(金子一平君) 資本の流出が依然として大きく御指摘のように続いておりますのは、やはり何といっても一番大きな原因はアメリカと日本との金利差が大きく響いておるわけでございまして、もうドルの独歩高が日本経済のみならず世界経済をひっかき回しておる。私どもといたしましては、日本の経済パフォーマンスは悪いわけじゃないのでございますから、できるだけ早く為替レートの正常化を期待しておるわけでございまして、事あるごとにドル高に対する注意をアメリカ側に喚起しておる。先般行われましたG5のアメリカにおける会議におきましてもこの点が問題になっておりますし、来るべき四月に行われるOECDの閣僚会議あるいは五月のサミットの会議におきましても、この点につきましては私どもとしては十分日本側の態度を鮮明にしてまいりたいと考えておる次第でございます。
○安恒良一君 これも私の質問に的確にお答えになっていない。 要因については言われましたが、それは貿易問題緩和にプラスになると考えているのかマイナスになると考えているのかということですから、何も大臣は経企庁長官だけじゃなくて、通産大臣ほか関係大臣おいでになると思いますから、お答えを願いたい。 それと同時に、アメリカのボルカー連銀総裁が三月の初めに、日本からの資本の流出の拡大は問題がある、もっと日本は内需拡大を図るべきだとの談話を出していることは政府の関係閣僚御承知だと思います。ですから、やはり私は民間の最終消費支出を中心とする内需の拡大を除いて貿易摩擦の緩和の方策は立たないのではないか、こういうふうに今の資本の流出問題等から考えられますが、これらについてのお考えをひとつそれぞれ関係大臣しゃべってください。
○国務大臣(竹下登君) まず資本流出の問題でございますが、この問題は今経企庁長官からお答えがありましたように、二つだけ例をとってみますと、内外長期金利差の問題が、五十八年が百六十億ドル、五十九年が三百八億ドルであります。それから、内外の金融環境や四月から円建て対外貸し付けの自由化がございましたので、これが八十四から百十九になっておりますから三十五億ドルぐらいになりますか、そういう問題があるでございましょう。したがって、これは市場メカニズムに沿った自然の資金移動であるというふうに、これは市場メカニズムだけから考えればそういうことが言えると思います。 しかし、私どもの立場で申しておりますのは、結果として世界経済の中で借款等の形で資本不足国の経済開発に必要な資金を供給しておることになるのじゃないか。よく私が言う資本提供国、こういう言葉でございます。それから、それがあるからこそ米国金利の上昇圧力をそれだけ緩和したという間接的な役割を果たしているのじゃないか、こういうことを言っておりますので、その角度から見ますと、なるほどいわゆる金融、資本の市場の自由化が行われております今日、資本流出を抑制するという政策をとるということは、市場メカニズムからは、その角度から見たときは反するじゃないかという議論を、これは先ほどございましたG5等でも私が主張しておる論理展開の背景にそれがあります。しかし、内需振興ということが大事なことはもちろんでございますので、いろいろなことが考えられますが、もちろん利子平衡税とかそんなことはなかなかとれません。 私いつも悩みますのは、いわゆる貿易問題にどう影響があるかというときによく言われますが、五兆円の減税で七億ドル、それから三兆円の公共投資で十三億ドルという輸入が増加するという一応の指標がございますが、したがって、なかなかこれだけで対応するということは困難な問題だ。別途、内外金利差の問題等に対してはこの思いをいたさなければならぬ数々の問題があるというのが今の経済企画庁長官の、あるいはOECD、ボンサミットにつながっていく課題じゃないか。難しい問題でございますので、一生懸命議論していきたいと思っております。
○安恒良一君 竹下大蔵大臣が言われる半面は一応あると思います。しかし、それにもかかわらずボルカー連銀総裁から、日本の資本流出拡大は問題がある、もっと内需を拡大すべきだと、こういう指摘がされていることは事実なんですから、そこのところをしっかり受けとめておってもらわないと、私は貿易摩擦問題は解決しないと思います。この問題でさらに貿易の摩擦、自由化で厚生大臣に薬の問題や、法務大臣、関係大臣全部考えていましたが、もう時間が八分しかありませんから、また改めて貿易摩擦問題については時間をとってやらさしていただきたいと思います。 そこで、最後になりますが、労働時間短縮問題の国際的広がりについて聞きますが、日本の長時間労働についてこれまでの政府の答弁は余り前向きでないというふうに思います。 そこで、労働大臣にお聞きしますが、この問題は単に国内問題にとどまるというふうにお考えでしょうか。その点について労働大臣の所見を承りたい。
○国務大臣(山口敏夫君) 労働時間短縮の問題は、国内における労働者福祉、労働条件の改善の問題でありますけれども、同時に国際的な立場から、日本の長時間労働が失業を輸出しておる、こういう批判や問題提起がここ一両年非常に各国間で高まっておるということも事実でございます。
○安恒良一君 今度OECDの閣僚協議会が四月の十一日、十二日、それからボンサミットが五月の二日—四日行われますが、ここでは労働時間問題が問題となると考えられていますか、問題とならないとお考えでしょうか。
○国務大臣(山口敏夫君) 私自身も、政労使の国際ミッションを派遣して、こうした労働問題を国際レベルでいろいろ議論をする、日本の事情もわかっていただくと同時に日本の改善すべき点もただしていくというふうに考えておりますが、サミ ットにおきましてはそうした問題が取り上げられるかどうか、また資源のある国ない国、いろいろ諸条件も違いますし、首脳間でどうした議論になるかということについては、私最終的な点の把握をまだしておりません。また、そのボンサミットとあわせて労働界における国際的な労働サミットというものも開かれるようでございますし、いろんな形でこうした問題が議論される傾向にあるというふうに承知しております。
○安恒良一君 欧米では日本の長時間労働を公正競争、公正貿易の観点から取り上げられているというふうに私は思いますが、そのことを御承知でしょうか。 それから、OECDの労働組合諮問委員会、お手元に資料を配らせていただきました。TUAC、先進国労働組合の大半をカバーしていますが、この問題で例年にない動きをしていることを承知をされておりますか。
○国務大臣(山口敏夫君) いろいろ議論されておることは承知をしておりますし、また日本の立場からいいますと、お隣の韓国でございますとか香港、台湾、こうした国が二千七、八百時間の長時間労働で日本の絹織物、そうした伝統産業等が非常に生産的に圧迫を受けている、こういう現状を裏表で考えますれば、欧米諸国の日本の労働時間問題に対する指摘、批判の状況もそれなりに一つの主張的根拠もあるというふうにも考えます。
○安恒良一君 今、皆さんのお手元にOECD閣僚協議会やボンサミットに向けてのTUACの声明の素案、これはあくまでもまだ素案でございますし、文責は、例えば「(日本のこと)」などというのはこういう種の会議は特定国を名指しませんから、これはこちらで入れさしてもらったことですから、それはお断りしておきます。その構成の中の、四部構成になっていますが、そのうちの一部、労働時間と労働標準問題に充てられています。 その内容が、残念ながら日本からも会議に出席したのですが日本向けとなっています。時間短縮問題は、今や日本が積極的な処置を打ち出さねばならぬ緊急事態になりつつあることをひとつぜひ認識をされてもらいたいと思います。でないと、私はボンサミットでもこの問題が出てくる公算が非常に強いだろうと思います。この点につきまして、最後に労働大臣それから河本総理代理の御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(山口敏夫君) 先生の御指摘のように、労働時間短縮の問題はそうした国際的な側面と同時に、高齢者時代における労働人口の増加というものが、ここ数年で五百万規模で労働力人口が増加すると、こういう問題もございますし、また家庭内における家族関係、教育の問題、企業教育の問題、あらゆる面で非常に今日的な問題でございますし、資源のない日本が勤勉性をもって今日あるという伝統と実績と、同時に新しい意識革命の中で、こうした問題を国際世界の中の日本としてのいろいろな問題からもひとつ最優先課題として取り上げ、検討すべき、改善すべき問題であるというふうに私考えております。
○国務大臣(河本敏夫君) 我が国の労働時間短縮問題というのは国際的にも今大きな問題になっております。そこで、山口労働大臣はこの問題に非常に熱心に取り組んでおられまして、その具体的な取り組み方については今詳細をお述べになりました。私も同意見でございます。
○安恒良一君 最後に労働大臣、少なくとも今問題になっているところのいわゆる緑の連休、かなり大臣、意欲的なようであったのですが、最近ちょっと新聞見ると、何も必ずしもことしじゃなくて来年とか再来年とかなんとか、談話が一部出ていましたが、こんなに大きい問題になっていますから、せめて中曽根総理がボンサミットに行かれるときには、もう緑の週間なんかうちは全部休むのだと、こんなことを胸張って言えるような政策をやっていただきたいということを申し上げて、あなたの見解を聞いて終わりにしたいと思います。
○国務大臣(山口敏夫君) 先生の御趣旨に沿って、ひとつ実行を果敢に進めていきたいという御答弁を申し上げたいところでございますが、冒頭、先生のいわゆる内需喚起の問題、そうした国民経済の問題におけるいろいろ流通あるいは中小零細企業、そうした問題もございますので、ひとつ着実に一歩一歩労働条件の改善、時間短縮の問題の実を御協力いただいて上げていきたいと、かように考えております。
○安恒良一君 終わります。
○委員長(長田裕二君) 以上で安恒君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(長田裕二君) 次に、久保亘君の質疑を行います。久保君。
○久保亘君 今回の補助金一括法案に絡めて、義務教育費国庫負担制度に踏み込んで補助金の削減が行われようといたしておりますが、これは臨調による行革の考え方を教育の分野に実現しようとするいわゆる教育臨調の考え方に基づくものであるか、この点について文部大臣と大蔵大臣のお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(松永光君) 今回の義務教育費国庫負担の中で教材費、旅費について一般財源化したことにつきましては、旅費、教材費とも昨年の水準を下回らないように地方財政計画で措置がなされております。特に教材費につきましては昨年度の水準を若干上回るような地方財政計画上の措置がなされておりますので、実質上は地方公共団体にも父兄にも影響は及ばない、こう考えております。 なお、補助率をカットされた分につきましても、それぞれ地方財政計画で所要の措置がなされておるわけでありまして、そのことは実際上教育水準を低下させるものではないというふうに考えております。
○国務大臣(竹下登君) 文部大臣からお答えがございましたが、私の立場から申しますならば、いわゆる今、久保さんおっしゃいました臨教審というものを念頭に置いて予算折衝したという立場には私どもはございません。強いて根拠を申しますならば、臨調答申の第三次答申に、「地方財源の総体の在り方を含め、今後、検討を行う必要がある。」という指摘があるわけでございますので、かねがね国と地方の財政負担のあり方に関する検討の一環として、今の制度のあり方につきまして種々の観点から議論を行ってきたことは事実でございます。 したがって、私どもといたしましては、これらが教育制度の大幅な後退となるものと考えないという最終認識に立ってこの結論を得たわけであります。
○久保亘君 この制度は、その長い沿革から見ましても、またこの制度が国庫負担制度としてでき上がっていく節目節目で、文部省や大蔵省が評価をされておりますその経過を見ましても、国の義務教育に対する責任を明らかにしたものであって、単なる財政上の理由でもって国と地方の負担区分の線引きを変えるというような性格のものではない、私はこう思っております。したがって、今度の義務教育費国庫負担制度の改革を補助金一括法案の中で出してきていることは、明らかにこれは教育改革の一環としてとらえなければいけないのじゃないかと思うのですが、これは文部大臣、そうお考えになっておりませんか。
○国務大臣(松永光君) 今回、臨時教育審議会が設置されて、教育改革に関する検討をしていただいておるわけでありますが、それは言うなれば二十一世紀を展望した日本の教育はどうあるべきかという長期的な展望に立った教育改革の論議であるわけであります。一方、義務教育費国庫負担制度の中から教材費及び旅費等につきまして一般財源化の措置がなされたわけでありますが、先生よく御承知のとおり、私は義務教育費国庫負担制度なるものは、義務教育に関しては日本全国どこに住んでおっても望ましい水準が維持されるような措置をしなければならぬということで、従来から義務教育費国庫負担の中核をなすものは実際教育に当たってくださる先生の給与費でありますの で、この二分の一を国の方で負担するというのが中核をなしておるものと考えております。 教材費、旅費等につきましては、かつて地方公共団体等で十分な支出をしないということもございまして、それが父兄負担に転嫁されておったこともございます。そういった状況を改善するために、そしてまた一方においては国と地方の財政状況等も考えまして、教材費等が義務教育費国庫負担の中に入ってきたというふうに理解をしておるわけであります。今日におきましては地方公共団体で所要の教材を整備する、そのための支出をするということが定着をしてきておるわけでございまして、そういう実情等も考えまして、財政当局と協議の上、教材費及び旅費につきまして一般財源化の措置をした。ただし、所要の地方財政計画による措置だけはきちっとやってもらわなければなりませんので、その措置を六十年度につきましてはなされたわけでありますが、今後ともそういう措置がきちっとなされて、我が国の教育水準が低下しないように、向上するように努力をしていきたい、こう考えておるわけであります。
○久保亘君 政府としてこのような改正案を提案された後で文部大臣がそうおっしゃるのはよくわかるのですが、あなたは去年の予算編成の段階では、このような義務教育費国庫負担制度に手をつけると文教行政の立場からは大変困るということで、文部省は大蔵省と接衝されてきたはずです。例えば旅費の問題について、旅費は教育活動、研修、人事異動等に不可欠の経費であるが、これを国庫負担の対象外とすれば、専ら各県の財政力等によって差異が生ずることとなり、その確保に支障が生ずるおそれが強い、これが文部省の見解です。それから、教材費に関しても同じようにやっぱりこれは国の責任として二分の一負担をしておくことが、教材費を、あなたがさっき言われた全国の水準を均等化していく、そういう意味で必要なことなので、これを国庫負担から外すということは非常に問題が多いというのが、これは文部省の見解だったと私は思うのであります。さらに大蔵省は、この義務教育費国庫負担制度については、今回六十年度の計画で出されている問題だけではなくて、大幅な改革を検討されているのじゃありませんか。
○国務大臣(竹下登君) まず、今おっしゃいました義務教育費国庫負担法の観点から申しますならば、私も、久保さんの議論の根底にございます法律、いわば義務教育無償の原則からの展開された議論というものは、私ども予算編成、予算調整の過程においてあった議論であるということは、私もこれは承知をいたしております。したがって、私どもといたしましては、強いてよりどころを求めますならば、先ほど申しました第三次の臨調答申の中の「義務教育国庫負担金については、地方財源の総体の在り方を含め、今後、検討を行う必要がある」というので、年々これが検討をして、御審議いただいているような結論に到達したわけであります。 今後の問題につきましては、やはり原則としての地方と国との役割分担あるいは負担調整の問題は、今後とも引き続き検討を重ねていかなければならないわけでありますが、それはその都度の予算編成時における教育所管官庁であります文部省等の考え方との調整をとっていくという方向で対応しなければならぬというふうに考えております。
○久保亘君 教材費の二分の一負担の制度を決められましたときの大蔵省の文教担当の主計官は衆議院におられる相沢さんですね。その相沢さんがこの評価について大蔵省の見解を物の本で明らかにされておりますが、そういう中では、これはやっぱり日本の義務教育の制度に関しては非常に画期的な前進である、こういう評価をされております。そうすると今度は、当時の大蔵省の立場からすると、これは画期的な後退です。しかも、私は先ほどからこれは教育改革の一環ではないかと申し上げたのは、臨教審が出されたこの「臨教審だより」の中で審議経過の概要が明らかにされております。この審議経過の概要で、諮問等に関運する審議事項の範囲というのは何かということを論議されて決められた。その中に、さっきあなたが言われたようなことで、二十一世紀に向けて、教育全般について自由な議論を願いたいと考えており、教育と国の行財政とのかかわり、国と地方の役割分担などについても議論をすることになったと書いてあるんです。 そうすると、この問題はこれから教育改革の非常に大きな課題としてやっていかれる問題なんじゃないでしょうか、官房長官どうですか。
○国務大臣(藤波孝生君) 臨教審が出発するためにいろいろ御審議をいただきました国会での御論議の中でも、従来の臨調路線でいろいろ考えられてきたことと、新たに臨教審で論議をしていくということとの間に矛盾は出ないだろうか、そこでもし対立するというようなことになった場合に政府はどう考えるのだといったような、いろいろな御質疑はいただいてきたところでございます。 先ほど来文部大臣からお答えがありましたように、臨教審では中長期に、二十一世紀に向かってどのように日本の教育を持っていったらいいか、いろいろな角度から御検討をいただくということで臨教審の御論議が進められておるところでございます。 一方、大蔵大臣からお答えがございましたように、従来臨調の中でも御指摘がありましたような、中央と地方とのいろいろな役割の分担などについての見直し等について検討が進められてきて、そして今次改正をお願いをするというような運びになっているという今御答弁があったところでございます。あくまでも、文部大臣がお答えをいたしましたように、教材費や旅費については地方自治体でこれを支出をしようということについての考え方が定着をしてきておるということの上に立ちましてとられた措置だというふうに私どもも理解をいたしておるところでございまして、それなりの理由を持って改正をお願いしてきておるところでございます。 これからも臨教審の中では広い角度からいろいろなテーマにわたって、教育をさらによくしていくためにいろいろな論議が進められていくことになろうと、このように考え、かつ期待もいたしておるところでございますが、今次の改正と、これから臨教審でいろいろ論議をされていくだろうということにつきましては矛盾はしないというふうに考えておりまして、また臨教審でいろいろな問題について御論議がむしろ深まっていけば、非常に大きなそれはまた意味があるというふうに考えるわけでございまして、むしろそっちは中長期的な立場に立っての論議が進められていくことになろう、このように考えておるわけでございます。その間には矛盾はないというふうに考える次第でございます。
○久保亘君 矛盾がないとお考えになることは、既に教育改革についての一定の方向をあなた方自身がもう決めておられる、こういうことなんだと思う。この義務教育費の国庫負担の制度に基本的に触れていくということは、これはもう明らかに義務教育そのものの根幹に触れて国と地方とのかかわり合い、それからこの国庫負担制度ができた一つの原因になりました父母負担の問題であるとか、そういう義務教育無償の問題にかかわるそんな問題ともかかわっておるのでありますから、これをもうこういう形に定着しておるからこの制度は抜本的に変えても何ら教育改革の方向とは矛盾しないのであるということは、それはもうあなた方が既に臨教審の論議をまつことなく教育改革の一定の方向を決めておられる、こういうことになりませんか。
○国務大臣(藤波孝生君) 国と地方との負担の見直しなどにつきましては、先ほど大蔵大臣からお話がありましたように、臨調でも指摘をされてきておるところでございまして、したがいまして、従来その見直しのためのいろいろな作業が積み上げられてきておるところでございます。臨教審はこれからいろいろな論議が深まっていくことになるかと思いますが、事前に政府の方でそれを想定をして、予測をして今回の措置をとったというこ とよりも、むしろ審議会での自主的ないろいろな運営、そして自主的ないろいろな御論議が深まって、その結果、政府に対して答申が出るものと、このように考えておる次第でございまして、政府で勝手に臨教審の中でのこれから進んでいくであろう論議を予測をして、勝手にその路線を敷いておるということではありません。これはあくまでも臨教審の自主性を尊重して論議を見守っていかなければなるまい。こちらは、それはそれなりに私どもはそういう気持ちでこの御論議の深まっていくのを見守っておると、こういうふうに考えておる次第でございます。
○久保亘君 それはおかしいじゃないですか。臨教審に教育と国の行財政とのかかわり、国と地方の役割分担などについても論議をして考え方をまとめてもらいたいということを諮問しておきながら、そして一方ではそれに先立って制度の根本的な改革をやる、公教育制度の基本に触れるような改革を財政上の理由を大義名分にしてどんどん進めていくということ、これはおかしいじゃないですか。文部大臣はこういうことをやられてもあなたの責任を果たせると思っているんですか。
○国務大臣(松永光君) 臨時教育審議会でどういう事項について審議をし、検討をしていただくかということは、先生よく御承知のとおり、教育に関連するあらゆる分野について検討していただきたいということでお願いをしたわけでありますが、具体的な検討事項というものは臨時教育審議会の方で自主的に課題を決めて検討していかれておるわけでございます。そして、先ほど先生がお読みになったような事柄も検討の対象になっているということは、私も承知いたしております。 今回のこの義務教育費国庫負担制度の中から教材費及び旅費について、これを外して一般財源化したということは、これは六十年度の暫定措置でございまして、六十一年度以降につきましては、これまた国と地方の財政事情、その他諸般の状況を検討して、そして決められるべき問題だというふうに私は考えております。先生御承知のとおり、義務教育費国庫負担の中身というものは大変多うございまして、私、先生とお会いしたときにも申し上げたわけでありますが、何といっても絶対死守しなければならぬものは、やはり実際教育なさってくださる教員の給与費と、それから栄養職員もあるぞと、それから事務職員もありましょうと、そういうことでいろいろなものがその後の経過に基づいて義務教育費国庫負担の中に入ってきたわけでありまして、先ほど先生御指摘のとおり、教材費、旅費等の問題はそのときそのときの財政事情やあるいは父母負担とのかかわりもありまして、そして教材費等は二十八年から組み入れられたと、こういうことなのでありますが、先ほども申し上げましたとおり、現在では教材費等各地方公共団体で支出する、一般財源化しても教材の整備が滞ることはないということが定着をしてまいりましたから、財政当局とも相談をして、国と地方の財政状況等もありますので、所要の措置がなされたと、こういうことでございます。 なお、つけ加えて申し上げますが、教材費の中でも新しい教育方法を開発するための教材等につきましては、別途二十億円の予算が計上されておると、こういうことでございます。
○久保亘君 今、文部大臣にお答えいただきましたことで非常に重要なことが二つございます。官房長官、政府の統一した考え方として確認しておいてもらいたい。 一つは、この義務教育費国庫負担制度の改正は一年間の暫定措置である、今後どうするかについてはこの一年間かけて検討するものであるということが一つ。それからもう一つは、教材費、旅費の問題はことし一年間の暫定措置として一般財源化したが、文部省としては、教職員の人件費、それから栄養職員、事務職員の人件費等については文部行政の立場から死守すべきものである、こういうことを言われて、私もまことに同感であります。この点については政府として、今の文部大臣の見解についてはまとまった同じような考え方に立って今度の改正案は提出されているものと、こう理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(松永光君) 六十年度限りと申し上げたのは、これは実は高率補助の一割カット分でございまして、教材費それから旅費等につきましては六十年度限りというふうに先ほど申し上げたとすれば、それは私の言い間違いでございますので、訂正をさせていただきます。 なお、私が先生に申し上げたのは、予算編成前に先生の方からいろいろ有益な陳情をいただきましたので、予算編成前ということでございましたので、大変ありがたく、かつ力強く陳情を受けたわけでありますが、そのときの私の考え方として、義務教育費の基本は、まず教員の給与費、それから事務職員や栄養職員があります。それから、いろいろありますが、根幹をなすようなものはあくまでも私は守っていくよう最大限の努力をすると、こういうふうに申し上げた次第でございます。 なお、教材費、旅費等につきましては所要の財源措置がなされることになりましたので、低下にはならぬということで、先ほど申したとおり一般財源化を私どもも了承し、そういう措置がなされたと、こういうことなんでございます。
○久保亘君 ちょっと労働大臣の方からお申し出もございましたので、それで私の方でも了といたしておりますから、質問の一番最後に一言。お聞きしようと思っておったのですが、お答えを簡単にいただいておきたいと思うのです。あす私がこの委員会で質問をいたします場合にぜひ念頭に置いておきたいと思いましたものですから。 文藝春秋四月号に新自由クラブ幹事長である山口労働大臣がお書きになりました記事の原稿は、これはあなたが直接お書きになって、内容についてはあなたはこれを真実であると、こういうふうにお考えになっているかどうか、お認めいただけるかどうか、それだけ聞かせてください。
○国務大臣(山口敏夫君) 大変拙文でございますが、自分で書かしていただきました。
○久保亘君 それで、今の問題について私も深い関心を待って読ましていただきましたので、あす改めてお尋ねいたします。 それから、先ほどの問題に戻りますが、今、文部大臣が、私が確認をしましたら大変慌てて引っ込められた。慌てて引っ込められたところに義務教育費国庫負担制度の根本をやっぱり変えようとする考え方がおありになると私は言うのです。補助金一括法案は、高率補助の問題などは一年限り、六十一年度からはどうするかは別の問題だということなんだから、当然にことしの概算要求を各省がお出しになる前にはどうするかという方針が決められなければならないはずだ。そして、その原則は財政上の理由による異例の措置だと自治省が言っておるのだから、自治省の何かにそう書いてありますね。異例の措置だと言っているのだから、異例の措置を異例でない状態に戻すというのがこれが原則です。だから、当然そういうことでこの補助金一括法案は出されていると思うのだけれども、文部省に関するこれだけが明らかに制度改革として出されているところに問題があるのであって、しかもこれを補助金一括法案の中に絡ませて、国会における文教行政の立場からの議論を封殺する形でこの法案が処理されようとしているところに私は非常に重大な問題があると思っているんです。こういう点について大蔵大臣はどう思われますか。
○国務大臣(竹下登君) 非常に財政的見地からだけのお答えになろうかと思っておりますが、昭和六十年度の予算編成に当たりましては、国の財政収支の改善を図る見地からとられる国の歳出の削減に資する、すべてこの一括の中のものはいわゆる歳出削減に関する措置であるということにおいては、共通項を有しておるわけであります。それからそれに伴って見直しを、いわゆる負担、補助等の見直しを行ったわけであります。したがって、その限りにおいてはまさに共通の目的を有しておるわけであります。 このように立法の趣旨、目的が共通の場合は、一括法として立法することはその立法の趣旨を明 らかにする上と、そしてまた立法の趣旨に沿ってとられる措置を総合的に把握して、多数の措置をばらばらに個別法で立法するよりも総合的に把握して御審議いただくわけでありますから、我々としてもこれを総合的に把握してとった措置でございますので、一括法ということでお願いすることにいたした次第であります。
○久保亘君 共通の目的で、共通の考え方でやられるならば、なぜこの国庫負担だけが恒久的措置として考えられ、ほかは一括してこれは一年限りの措置である、先ほど文部大臣が間違われたのは当然であって、訂正される以前の主張が文部大臣として私は言いたい本音だと思うんですよ。こんなに重大な問題をそんなに簡単に賢明な文部大臣が間違うはずないんです。だから法律を専門とされる人がこんな間違うはずはないんだから、私は、この問題はやっぱりそこは文部大臣の言いたかった本音だ。私もそこを言いたいわけです。それで、この問題も私は簡単に財政上の異例の措置として一括して、そして恒久的な改正という形にしないで、当然この問題についても検討すべきで、大体こういう措置を予算を先行させて、そして補助金のカットにしても、補助率のカットにしても国庫負担法の改正にしても、この負担法や補助率のカットにかわる法案の審議を行わずにおいて予算の方が先来ておるというのが大体おかしい。そういうことを政府がどんどんやっていくところに、臨調の答申が出されたときに、ある県の知事は国がだめなら地方があるさというような考え方はファッショである、こういうことを言われた方もありますが、私も全くそのとおりだ。今の政府のやり方というのは、予算を先行させておいて、そして後から理屈をくっつける、そういうようなやり方であって、これは全く民主的な立法府の権限を奪うものだと、私はこう思うんですよ。だから、そういう意味でもこの国庫負担法の改正については十分な審議が行われる必要があると思うのです。 先ほど文部大臣が言われたこと、一つは、この改正も暫定措置である、それから、この改正をさらに人件費に及ぶところまで拡大するということは文部省としてはとても承知できない。こういうことについては財政当局も、義務教育の根幹に触れる問題であり、今日教育改革の論議が進められているという前提に立ってそういう考え方に同意すべきだと私は思うんですがね、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) これは、久保さんの議論の原点というのは、いわゆる義務教育費国庫負担法、この一条の「この法律は、義務教育について、義務教育無償の原則に則り、国民のすべてに対しその妥当な規模と内容とを保障するため、国が必要な経費を負担することにより、教育の機会均等とその水準の維持向上とを図ることを目的とする」と、これが基本にあっての御議論であろうと私も推察をいたします。 二十八年、今、相沢さんの談話を引用しての御発言がありましたが、確かに当時はいわば父兄負担に転嫁しておった。それがまさに今日定着してきたということが大きな状況の変化である。それだけにまた国民の理解の度合いも進んできたということであろうかと思うわけであります。したがいまして、私どもは今度、先ほど申し述べましたいわば予算に関する同質の課題として財政の面から御議論をいただくということからすれば、一括する方が我々としても適当であるという判断の上に立ちまして、いわゆる今御指摘のありました義務教育の問題、それから農協等の検査事務費の問題あるいは離島等における保健婦等の問題、それから公営住宅監督指導事務費の一部補助の恒久化の問題等々は恒久的措置としての三本の柱が、柱というか、三つの類型が国庫補助等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案という中に含ましていただいたと、こういうことであります。
○久保亘君 時間がありませんので、文教問題についてもう一つ文部大臣に聞いておきたいのは、行革特例法で大枠としてストップがかけられたような状態になっておりました四十人学級が、六十年度から一部計画が進められることになりました。これは大変いいことでありまして、文部大臣の御努力に感謝もいたしますが、しかし第五次のこの計画は六十六年度、予定どおり完成できることになるのかどうか。四十人学級は六十六年度には完結するのかどうか。それから、完結するということになれば次の計画、これは、四十人学級というのは最終の目標ではなくて、先進諸国家に比べて非常に立ちおくれている日本の場合に、当然にまた新たな計画に向かって進んでいかなければならぬわけでありますから、文部省としては六十六年度完結を目指すとともに、次の計画に向かっての検討を開始される御予定があるのかどうかですね。これだけを伺っておきたい。
○国務大臣(松永光君) いわゆる四十人学級というのは、先生御承知のとおり、標準法改正法という法律に基づいてその年度その年度で具体的には財政当局とも相談しながら、政令でその年その年を実施をしてきたわけでありまして、五十七、五十八、五十九は抑制型で措置がなされたわけでありますけれども、六十年度から御承知のとおり着実に歩み始めたわけでありまして、法律にありますとおり、六十六年度に計画どおり実現するよう私どもはやっていくわけであります。 その後のことをどうするかということでございますが、まだ検討いたしておりませんけれども、大いに勉強してみたいと、こういうふうに考えております。
○久保亘君 時間がありませんので、次にもう一つだけお伺いいたしたいのは、大蔵大臣も自治大臣も文部大臣も、いずれも今回の補助金一括法案に見られる国と地方との負担のあり方にかかわる改正というものは地方財政に対して影響を与えないと、こういうふうにおっしゃっております。また、その根拠には国と地方の今日の財政のあり方についての私どもとは少し違う見解に基づく根拠をお持ちのようでありますけれども、私は影響が地方に及ぶと考えております。また、教育だけに限ってみるならば、今回の義務教育費国庫負担の制度の改正は、明らかにこれは地方の段階に影響を及ぼす、学校にも影響を及ぼす、こう考えておりますが、そういう面について全体的に地方や国民生活に及ぼす影響をどういうふうにお考えになっておりますか。大蔵大臣、簡単にひとつ答えてください。
○国務大臣(竹下登君) これは久保さんおっしゃいますように、地方がそれなりの自主財源を持っておるときに、それのいわば負担区分が変われば、仮に変わらなかったら、それはもっとほかの単独事業とかがやれたのじゃないかと、そういう議論はいつまでも私はある議論であると思いますが、単年度単年度ごとの地方財政計画等でこれに迷惑をかけないような措置を別途行っていくということで我が方と自治省との合意は成り立ったものであるというふうに御理解をいただきたいと思います。
○委員長(長田裕二君) 志苫裕君の関連質疑を許します。志苫君。
○志苫裕君 ちょっと時間がないので一問ぐらいになるかもしれません。 厚生大臣、あなたこの間、生活保護費等の地方負担転嫁に関連しまして、私が昭和二十九年の故事を引き合いにして厚生大臣に制度を守るように激励を兼ねて決意を促したところが、二十九年に比べて今は地方財政に余裕があると、こういうまことに心琴にさわる発言をなさったのですが、時間切れだったんで追及できなかったんです。あなたは大分地方財政に詳しいようだが、僕は地方財政を三十年やっているんだけれども、地方財政に余裕があるという実感に触れたことはない。あなたが地方財政に余裕があると言う根拠を述べてください。
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のことにつきましては、私は、今よりか二十九年の方がよほど苦しかったろう、そういう意味合いで申し上げたわけでございまして、今がうんと楽になったという気持ちでは毛頭ございません。
○志苫裕君 ですから、今と二十九年のどういう 指数をとって余裕論を言うんですか。
○国務大臣(増岡博之君) この間の答弁で財政的な国と地方との関係だけで申し上げましたけれども、本来は生活保護のことが厚生行政の中で大変大切なことでございますから、そのこと以外に、今回とりました措置が暫定的なものであり、国と地方の負担と役割というものの検討の中で今後もその施策が後退しないようにというお答えを申すべきところが、時間切れでございましたのであのような答弁になり、説明不足であったことは認めます。
○志苫裕君 答弁の訂正ならまたいずれ訂正を求めますが、あなたは、今聞いておるとまるきり素人のようだな。国の財政というのは一つの財布なんですよ。地方財政というのは三千三百の寄せ集めを地方財政計画で表現しているだけなんで、はやり言葉で言えば三千三百にはマルビもあればマル金もある。その上、地方財政というのはそのほとんどの経費が国の法律等で支出が拘束されておって政策選択の幅はほとんどない。したがって、公債発行率のようなものを比べても国と地方財政を論じたことにならない。ここのところに着目をしないで余裕論を論ずるというあたりがあなた閣僚としては不適格だ。しかも問題にしたいのは、二十九年の故事を引きましたけれども、二十九年の争点というのは大砲かバターかの政策選択の問題だった。地方財政との兼ね合いで論じたのではないんですね。厚生省が守ったのは、大臣が首をかけたのは社会保障の根幹的な制度だった。ここのところをあなたに激励かたがた決意を促したら、制度論を論じるかと思ったら、一番あなたの不得意な知らない財政論を論じるとは一体何事だ。もう一遍所見を求めますよ。
○国務大臣(増岡博之君) 当時の故事を引用されまして職を賭してやれという御激励の意味でおっしゃったのを私どもは逆に考えたわけでございまして、したがって今後、本来の任務であります生活保護のことにつきましては、これからもおっしゃるとおり御激励にこたえて十分やってまいりたいと思います。
○志苫裕君 終わります。
○委員長(長田裕二君) 以上で久保君の質疑は終了いたしました。 午前の質疑はこれまでとし、午後一時三十分に再開することとし、これにて休憩いたします。 午後零時二十五分休憩 ─────・───── 午後一時三十分開会 〔理事梶木又三君委員長席に着く〕
○理事(梶木又三君) 予算委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き質疑を行います。 これより鈴木一弘君の質疑を行います。鈴木君。
○鈴木一弘君 最初に、産業投資特別会計初め特別会計のあり方について、財政問題で伺いたいと思いますが、これは大蔵大臣だと思いますが、特別会計のあり方について臨調の答申、それに基づいた行政改革の具体化方法、方策の閣議決定、これによりまして予算、会計の制度、それから運営の合理化を言い、特別会計制度についてもその合理化を言っておりますが、この姿勢については、現在も中曽根内閣としては変更がないかどうかをまず確認をいたしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 基本的には五十八年五月二十四日の閣議決定、それで臨調答申の趣旨を踏まえ、特別会計制度の合理化に努めてまいりたいという方針は今日も続いております。 〔理事梶木又三君退席、委員長着席〕
○鈴木一弘君 そこで、行政の簡素合理化という行政改革の趣旨からすると、発足当時の役割をもう十分に果たした、そして使命が終わった、こう考えられる特別会計については、これを当然廃止して一般会計の方に入れてしまうべきだ、こう思うわけです。いわゆるサンセットということになるわけでありますけれども、この点についてはいかがでございますか。
○国務大臣(竹下登君) 最近におきまして、かつて五十年、五十一年、五十二年といわゆる廃止をしたことがございます。その後は言ってみればスクラップ・アンド・ビルド、こういう形になっておりますので、その必要性については常に検討を行って、まさに区分経理の必要性が乏しくなったものはこれはやっぱり廃止するという方向でこれからも抑制に努めていかなければならぬ、基本的にはそのとおりであります。
○鈴木一弘君 産業投資特別会計についてですが、昭和二十八年に設立された。その目的は「経済の再建、産業の開発及び貿易の振興のために国の財政資金をもって投資を行う」、出資と貸し付けと両方ありますが、それを行うためにつくられた、こういうように産業投資特別会計法の第一条にあるけれども、この目的は現在ではもはや達成されたのではないか、こういうふうに思うんですが、この点はいかがでございますか。
○国務大臣(竹下登君) 御承知のとおり、昭和二十八年、いわばガリオア、エロア基金が終息しまして、それで産役会計でこれが生かされてきたわけでありますが、今おっしゃいましたように、我が国の経済社会の変化に対応して、産業の開発及び貿易の振興のための資金供給に重点を移しかえて、現在ではいわば地方の産業開発の役割を果たしておる、こういうことに中身は変化してきております。六十年度におきましては、産投会計法それから輸開銀法の改正によって産投会計の原資の充実が見込まれることからして、科学技術情報センター、基盤技術研究促進センター、それから奄美群島振興開発基金を新たに対象機関に加えたわけであります。 なお、六十一年度以降は、今後の産投会計法の改正によりまして、その会計の所属となります——これは売らなければ所属にならぬわけでございますが、配当は所属になるわけでございますが、電電株式の配当金収入等を財源として技術研究促進等の産業開発を推進するということにしておるわけであります。したがって、今日一兆七千億円に上ります出資金及び貸付金の管理を行うという役割を果たす必要があるではないかというふうに、中身は変化しておりますが、私どもはこれを理解しております。
○鈴木一弘君 その中身の変化の問題なんですけれども、発足当時には電源開発等に対しての出資等もありまして、今はもうございません。こういうように見るというと、当初は経済の再建、産業の開発、貿易振興ということでやった、これは私は間違いないと思う。そうして二十八年以降やってきたことは大変効果はあったと思うんです。ですが、それから以降もはや経済大国と言われるし資本の輸出国だというふうにまで言われておるわけですから、そういうふうになってきているのに、まだそういうことをしなきゃならないのか、つまり特別会計の役割というのは十分にもはや終わったというふうに我々思うんですけれども、それをなくそうとしないで、今回の法改正の中で「経済の再建」というのを削って「国民経済の発展と国民生活の向上に資する」というものを追加した、これははっきり申し上げると、どこまでもこれは当初の目的とは違って拡大できる、無限に出資先は拡大できるようなそういうものにしてしまったというふうにしかとれないわけです。一般会計の中に私は吸収ができると思うんですね。一方の方の目的、当初の目的は終わったのだから、今言ったような新しい「国民経済の発展と国民生活の向上に資する」なんということは、これは一般会計の方で十分できることでありますので、私はそういう点でこれはどうして一般会計に吸収しないのか不思議でならないのですが、御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる性格が変わっておることは鈴木さん御指摘のとおりでございます。やっぱり私は経済の再建というような資金供給はこれは終わったと思うのであります。が、今の場合、私はその重点が移しかえられて、そうして出資先を見ていただきましても、まさに中小企業金融公庫とか、公営企業、北東公庫、沖縄それ から奄美、これは今度追加するわけでございますが、そうしてあとは科学技術センターとか情報処理とか、そういうふうに今時代の推移に適応して変わってきておりますが、私どももあのガリオア、エロアから変化したときから見ればおっしゃる意味は私わかりますが、新しいそういうニーズに対応するところの区分経理というものがより明確にされるという点においては産投会計そのものの果たす意義はあるなと、特に今度いわゆる電電株式の問題等議論しますときに、やはりこれは一つの何と申しますか受け皿として適切な受け皿だな、こんな感じを持ってそういう処置をとることにしたわけでございます。
○鈴木一弘君 私は、先ほど申し上げたように新たに追加されたつまり目的、「国民経済の発展と国民生活の向上に資する」というのは、これは何も特別会計にしなくても十分だということがあるわけですけれども、何か特別の、今の話だと電電の売却益とか、そういったものについてどうしてもそういうものから存続させなきゃならぬというような考えがあるようでございますが、何か大蔵省独自の権益を守るためにこれがあるのかという、極端な言い方をすれば、そういうふうにもとれるような感じがするんですが、この点改めてもう一度伺いたいのですが。
○政府委員(吉野良彦君) ただいま大臣から御答弁ございました電電の株式の処理に関連しての問題でございますが、御案内のように政府が保有を義務づけられております三分の一につきましては、今回法律改正をお願いいたしまして、産投会計に株式を帰属させる、そうしてその配当金収入を活用しようというわけでございますが、この配当金収入も、もとはと申しますと、やはり国民全体の貴重な財産が根源にあるわけでございます。したがいまして、この配当金収入といえども一般のいわば毎年度使い切りになってしまうような経費に充てるよりは、産投会計は御存じのように出資あるいは投資という形で運用されるわけでございますので、そういった永続性のある出資あるいは投資というようなものに活用していくことが妥当であろうというような考え方を基本にいたしましてお願いをしているわけでございまして、決して御指摘のような、大蔵省の権益云々というような考え方は全くございません。
○鈴木一弘君 産投会計の投資先である開発銀行、輸銀の融資状態、これを具体的に見れば、開銀の融資総額の実に六四・五%は上場企業が対象です。それから輸銀も四六・六六%ということでありますが、上場企業という信用の高い会社で、資金も株式とか社債を発行することができますね。転換社債からワラント債から何でも出せる。そうして資金が調達できる。そういう会社にもはや国の資金を貸す必要は余りないのじゃないかというふうに思われるんですね。そういう点では、私は何かぴんとこないところがあるんでございますが、どうでしょうか。とにかく開発銀行は六兆九千三百六十六億円の融資残高がある。そのうち上場企業向けが四兆四千七百三十七億円という大変な比率に上っているわけです。これは五十九年三月末でありますが。こういう点からも、この産投会計については考え直す必要があるのではないかと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 輸開銀の資金は、これはリスク性ないし低採算性を伴います政策プロジェクトにつきまして民間企業を補完する、そしてこれを誘導するという性格のものでございますか‐ら、どうしても対象プロジェクトの性格上、大企業の借り入れのウエートが高くなるわけでございますが、事業を誘導するためには低利、長期の安定した政策融資は依然として必要であろう、したがって、そういう点からいうと、勢い巨額の資金負担を要する事業が大半でございますから、したがって、その負担にたえ得る経営基盤を持ったということになると、大企業に対する融資のウエートが高まっていくということはある程度はこれはやむを得ないことだなと思っておるわけであります。いわば商業採算ベースの金融、資金調達方法とは別の目的で存在する役割を果たしてきておるわけであります。ただ、いろいろな御指摘がございますので、量的補完から質的補完への転換を図ろうということと、それから金融自由化の進展等もございますので、今国会に法律の改正案を提出するように今準備を進めておるところでございます。
○鈴木一弘君 この問題で最後に、六十年度に新たに投資先になったものに、先ほどのお話のように、基盤技術研究促進センターとか、日本科学技術情報センターとか、情報処理振興事業協会とか、こういうところに出ていくわけでございます。その新たなところでは三百十四億円の科学技術部門の投資金額のうち百四十九億円が通信情報というような部門に回るわけですけれども、これなんかは私は一般会計からでも十分間に合うのじゃないかという感じがするんです。この辺は一般会計からの直接投資で済むのではないかと思うのが、こういう格好になるというのはどういうわけかという、先ほどからのいわゆる電電の株の利益ということもございましょうけれども、それだけじゃなく考えるべきではないかと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 電電株の問題は先ほど主計局長からお答えしましたが、売れる分はいわゆる国債整理基金特別会計へ直入し、売れない分はと申しますか、政府保有の分の配当金は産役会計で、これは私は私の私的な感じで言うと、いい受け皿があったなと、そんな感じで対応したことは事実でございます。やっぱりそこのところが、いわゆる出資と融資、こう見ました場合に、一般会計でこれを行う以上に区分経理は明確であるし、この方が目的意識ははっきりしておるではないかなと。新たに国民の、経済社会の変化のニーズにこたえて通信機とかそういうものを加えたわけでございますが、奄美大島も一つございますけれども、私はそれなりに区分経理した場合に、おっしゃる意味を私は否定しておるわけじゃございませんけれども、この方がよりベターだなと、こういう認識を受けたことは事実でございます。
○鈴木一弘君 一般会計分の方の伸び率を抑えていく、場合によれば見通しよりも減らしているわけでありますから、その効果は認められるのですが、その分を特別会計へエスケープしてしまって、そちらの方でもってやればいいではないかという、そういう行き方がどうしても考えられる。特許特別会計にしても、今回出てくる登記特別会計にしても、同じような発想が私はあるような感じがしてならないわけです。そうすると、一般会計で行革の上でもって増税なき財政再建ということで締め上げていきましても、一方へ抜け穴をつくって安心できるという格好にしていたのでは、これはだれが一番苦しむかといえば、その特別会計の独立採算ということになってくれば、どうしたって国民全部にしわ寄せがいくだけですからね。何かその辺の感覚というのは、増税なきじゃなくて、逆に税外収入の方の増税みたいな格好になるわけでありますから、その点はどうお考えでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 恐らく今の今年度の特許特会、それから今度の登記特会等に対するいろいろな経過等からする御意見を交えた御批判だろうと私も思います。形の上では、あれは一つは機械でございましたか、それで今度はあへん特会というので、スクラップ・アンド・ビルドはきちんとやっていこうと、こういうことになりますが、特許の場合にしても登記特会の場合にしても、この独立採算制の中で、より中長期に安定する形では、いろいろな議論をしましたが、私はこの際、今度御審議いただくのは登記特会でございますが、これは一歩前進した措置じゃないかというふうに考えて御理解をいただきたいものだというふうに思っております。
○鈴木一弘君 では、次に移りたいと思いますが、本年度の経常収支のことでありますが、これが一月までに三百十億ドルになって累積されております。恐らく三百四十億ドルを超えるのではないかと私どもそう思っておりますが、そういう点からすると、来年度の経常収支の見通しも、現在 は三百四十億ドルになっている、本年度が三百四十億ドルなのに来年度三百四十億ドルとなっております。この経済見通しの前提となっている円レートですね、これは一体幾らぐらいに見ていらっしゃるのですか。
○国務大臣(金子一平君) 円レートの算定の根拠は技術的な問題でございますので、政府委員から答弁さしたいと思います。
○政府委員(赤羽隆夫君) 六十年度の経済見通しの算定の前提となっております為替レートは一ドル二百四十三円ということでございます。
○鈴木一弘君 二百四十三円を前提として検討したと。ところが、この二月、三月、この円レートを見ますと、二百六十円前後になっております。つまり政府の来年度経済見通しの前提となっている円レートよりも約二十円ぐらい円安ということになっておりますが、この円安についての要因はどういうふうにお考えですか、企画庁では。
○国務大臣(竹下登君) 最近の為替相場を見ますと、欧州通貨、これもドルに対して大幅に軟化しておりますので、まあ表現の仕方としては円安というよりもドルの独歩高、こういうことでございましょう。円は欧州通貨に対してはこれは確かにむしろ上昇しておるわけであります。このドルの独歩高の要因としては、一つは一昨年来の米国経済の持続的拡大、それによってドル選好の強まりがますます出てくるわけであります。もう一つはいわゆる巨額な財政赤字を背景とした米国の高金利、それからもう一つは、同じ金利でございますが、金利の先高感、これがあるというふうに考えます。 〔委員長退席、理事梶木又三君着席〕 私どもはいつでも申しますのは、我が国経済のファンダメンタルズは良好でございますから、いわゆるアメリカにも高金利に対する懸念も出ておりますので、いつまでもドルの独歩高が続くものではない、したがって自国通貨の評価を通貨当局者が申し上げる限界を踏まえて申し上げても、私はなお円高基調にいずれは行くであろうという期特を持っておるというところでございます。
○鈴木一弘君 円高基調にいずれはなるという期待を持っているという話ですが、当面の間はこれは円安は続くだろう、こう思わざるを得ないと思いますね。そうしますと、この円安が是正されない限りということになれば、政府が六十年度の見通しで出した三百四十億ドルといういわゆる経常収支の黒は、これを上回る可能性というのは出てくるのではないか、この点いかがでございますか。
○国務大臣(金子一平君) ただいま大蔵大臣から話のございましたように、日本経済のファンダメンタルズが悪いわけじゃないのでございますから、いずれはこの円安基調が是正されるものと考えておりまするけれども、仮に現在の円相場の水準がある一定期間定着した場合におきましても、輸出については数量の増加が見込まれても、いわゆるJカーブの効果によってドルベースの輸出金額が減少するようになりまするし、また輸入につきましては数量の減少が見込まれるというような点から、この程度の円安でございましたならば、六十年度の経常収支に与える影響は少ないのじゃなかろうか、見込みどおりで是正の必要はないと考えておる次第でございます。
○鈴木一弘君 去年の今ごろは円が二百二十六円だったと私は思うんです。それで、この委員会で質問いたしました。現在既に見通しを上回るようなところへ行きそうでございます。ということは、現在の二百六十円がまだ上がる可能性もあるということですから、二百二十何円で見越して三百四十億ドルになってきたんですから、今度その辺はどうも六十年に行ってしまうのではないか、それを突破するようなことになるのではないかというふうに私は思わざるを得ないんですが、その点は企画庁長官、もう一度答弁をいただきたい。
○国務大臣(金子一平君) 十分今後の円ドルレートの推移を見守る必要はあると思うのでございまするけれども、物価その他の状況等、経済全般の動きを見ておりますると、大体経済見通しのとおりの結果になるのだろうと我々は見ておるわけでございまして、しばらくこのまま推移を見続けたい、しかも必要な場合には必要な手を敏速に打つように持っていきたいと考えておる次第でございます。
○鈴木一弘君 現在は、大幅な経常収支の黒字を資本収支の赤字でバランスをとっているというのが現状であります。御承知のように、この資本収支の大幅な赤字というのは資本の流出があるわけでありますが、この資本の流出が主にアメリカへ行ってしまうということから、これが逆に円安を招く、円安を招くと輸出の拡大ができる、そうすると経常収支の黒字がさらに拡大する、またそれを資本流出ということになると、これは完全な悪循環をどんどん繰り返していくということになるわけですが、この基本的要因は、先ほどはひとえに米国の財政赤字とそれに伴うドルの独歩高にある、こういう話がございましたけれども、米国の財政赤字というのはこれは当分続くだろう、そうすると、米国の金利も今後ともやはり高金利が続くだろうというふうに思わざるを得ないんですが、この点はいかがでございますか。
○国務大臣(金子一平君) 御指摘のとおり、資本の流出が大幅に続きまするために円安となり輸出が増加するという悪循環を繰り返していることは事実でございますので、我々はそれを是正するためには、アメリカの高金利、ドル高の是正をすることがやっぱり基本的に必要ではなかろうかということで、従来あらゆる機会をとらえて政府もこの点について主張を繰り返しておる次第でございます。 また、先般連邦準備銀行のボルカー総裁がこの点について議会で証言したことも既に御高承のとおりでございまして、アメリカ政府自体としても、やはり基本的な問題としてはアメリカの財政赤字の圧縮に問題があるということは十分認識しておるわけでございます。一九八六年でございますか、五百億ドルの歳出削減の提案をしておることは御高承のとおりでございまして、私どもはアメリカ自身が歳出の削減を実行することによって高金利、ドル高の是正に持っていくようにこれからも一層働きかけたい、特に今度のOECDの会議、あるいは五月のボン・サミット等におきましては、この問題が一つの大きな世界各国の政治課題の一つになろうかと考えておる次第でございます。
○鈴木一弘君 企画庁長官からは円安傾向が当面続くことについての政府としての対策というものも今お話があったんですが、これは大蔵大臣と、それから金融当局としての日銀総裁おいででございますが、ひとつ御答弁をいただきたい。このまま放置するかどうか。
○国務大臣(竹下登君) これは先ほど来、ドル高の要因としての米国経済、それから高金利問題、がしかし我が国のファンダメンタルズが良好だから、そう長続きするものではない、こういう趣旨のお答えをいたしたわけでございますが、やっぱりこの具体的な手の打ち方といたしましては、先般の五カ国蔵相会議等でお互いが議論したわけでございますけれども、相場の乱高下に対してはやっぱり適時適切に介入するという方針はこれからも続けてまいりたいということでございます。その他のいわゆる財政金融上の措置、これは鈴木委員、あるいは我が国の金利政策等を念頭に置いていらっしゃるかもしれませんが、現状においてその必要はないではないか、こういう感じでお答えをいたします。
○参考人(澄田智君) ただいま時点におきます円相場といたしましては、さすがにドル高がここまで参りますと、市場においてドル高警戒感、それから介入に対する警戒感等が出ておりまして、このところ三月に入ってからは二百六十円前後のところで小康状態、こういう状況でございます。もちろん円安がさらに加速をするというようなことになり、あるいはこれが長期化するというようなことになりますれば、貿易摩擦を激化させるという問題もございますし、また物価に対する悪影響ということも当然に警戒しなければならない、こういうことでございます。私どもの立場といたし ましては、相場の不安定、そして特に乱高下をするというような場合においては、これは積極的、機動的に協調介入も含めまして介入をしていく、こういうふうな考えでおります。今も大蔵大臣も仰せられましたように、五カ国の会議等でこの方針は国際的にも主要国の間で確認されているところでございます。 なお、今のところは幸いにいたしまして国内の物価面等には悪い影響はまだ出る段階には至っておりません。ただ、円安が加速し長期化するということになりますと、輸入インフレの懸念というようなこともございますので、その辺のところは今後十分注意深く対応をしてまいりたい、かように思っております。もし事態によりまして金利面の措置等が不可欠である、あるいは適切である、こういうような場合においては遅滞なく金利面の措置ということも考えなければならない、そういうふうなことでございますが、しかし現状におきましては、ただいまも申しましたとおり、全くそういうような事態というようなことはございませんで、幸いにして物価もなお落ちついている、こういう状況でございます。
○鈴木一弘君 今の大蔵大臣から適時適切に介入をしていく、また日銀総裁からは乱高下のときには協調介入を含めて介入をすると、こうあったんですけれども、ヨーロッパ等では一生懸命協調介入をやっても焼け石に水みたいな状況に現在なっていることは御承知のとおりだと思うんです。わずかばかりの介入では市場がでか過ぎてどうにもこうにもできないというのが現状じゃないかと思うんです。そういうことから考えますと、今、日銀総裁から、極度の円安が続けば物価面の影響、経常収支の黒字増大によるこういうものが起きてきたときには金利上のことをしなければならない、つまり金利を引き上げるか、あるいは基準外貸し出しを輸出について行うか、どっちかだろうと私は思うんですけれども、その点はひとつ日銀からの御答弁をいただきたいと思います。 我が国経済の安定成長に対してブレーキがかかるということが、これは恐ろしいことですが、高金利が続けば、円安が続けば将来これは必然に出てきます、極端な円安がずっと続きますと。そうなったとき物価は上がる、貿易摩擦は激化する、経済は拡大できない、こうなると財政、金融上全部の措置を考えなければならなくなるだろうと思うんです。今すぐやるということじゃないのでございますけれども、この点について金融上の措置は先ほど日銀総裁から話がありましたが、基準外貸し出し等も考えていらっしゃるのか、検討されるのかどうか、それから税及び財政上の措置として輸出課徴金であるとか、あるいは金利平衡税のような措置はお考えになっていないか、大蔵大臣から。それから、通産大臣の方からは、貿易決済について、これはもう円決済というものを拡大していかなければ円は強くなりませんので、この点についての検討ということを伺いたいのです。
○参考人(澄田智君) 現在の時点におきましてそういった事態であるというふうには全く考えておりませんが、今後の状況において必要な場合というときには、今基準外貸し出しということを言われましたが、基準外貸し出しを含め金利面の措置については、そのときの状況によってどういう措置をとるのが適切であるかということはその時点において考えるべきことである、こういうふうに思っております。繰り返しでございますが、そういう事態に至った場合のことでございますし、そういう事態の場合にはちゅうちょなくそういう措置をとらなければならない、そういうふうに考えております。
○国務大臣(竹下登君) 鈴木さんと従来為替問題話しておりますと、されば変動相場制にかわるべき措置はないかとかいうような議論までしたことがございますが、大体において変動相場制というのは外的ショックを吸収して経済の均衡を回復する上では有用な役割を果たしてきたということと、もう一つは変動相場制にかわる制度は現実問題としてはないではないか、私はこういうことをよく申し上げておるとおりでございます。 もう一つ私が特に最近考えておりますのは、為替相場というのは、貿易等の経常取引よりもいわゆる金融資本取引の自由化が進展しますと金融資本取引に影響されるようになってきておる、こういう感じが率直に今私はいたしております。これはドルの独歩高が続いておるということについては先ほど申し上げたような理由でございますけれども、私どもとしてはやっぱり現状においては、いろいろ議論いたしましたが、介入は適切にやる、そうして協調介入の問題も当然議論したわけでありますが、協調介入ということになりますと、問題はやっぱり自国通貨で結論はやらなければならぬから、用意ドンで、じゃヨーロッパ通貨だけをどうしようかというのは、現実問題としては保有量の問題からしても難しい問題でございますが、規模がどれだけ行われておるかということになりますと、これは想像の域を出ないところでございますけれども、私はやっぱり最近のヨーロッパ通貨の動きを見ておりましてもそれなりの効果は上げておる、特に協調介入というのは、これは私が時々言う持論でございますけれども、いつやるかやらぬかわからぬところに市場に対する警戒感を与えるというものであるから、演説しておればそれで効果があるという意味で申しておるわけじゃございませんが、やっぱり介入の持つ一つのメリットというのは、そういういつやるかやらぬかわからぬところに、いわば投機に対する抑制が働いておる、これは多少私の個人的私見も交えながらよく五カ国蔵相会議などで話すところでございます。
○国務大臣(村田敬次郎君) お答え申し上げます。 我が国の輸出の円建て比率は約四〇%であります。それから輸入の円建て比率は御承知のように二%ないし三%という非常に低率であります。これは輸入の円建て比率が低いということは、国際市況商品としてドル建てで取引をされておる原燃料等が輸入の大宗を占めておるということで、貿易構造上の事情によるものでございます。 委員御承知のとおり、貿易取引においていかなる通貨を選択するかというのは、基本的には取引当事者間の問題でございます。しかしながら、貿易取引の円建て化を進めることは円の国際化に寄与するとともに、我が国企業の為替リスクの回避にも資する、また特に輸入取引の円建て化は、御指摘のように円高要因ともなりますので、政策的にも非常に重要でございます。こうした観点から通商産業省といたしましては、貿易、金融の円建て化を進めるために円建て銀行引受手形市場、いわゆる円建てBA市場と申しますが、これの早期創設を提言していたところでありますが、この市場は新年度に入ってから早い時期に発足の運びとなると承知をいたしております。通産省といたしましても、この市場が円滑に機能をいたしまして輸入の円建て比率向上の環境整備が図られることを強く期待をいたしておるところでございます。
○国務大臣(竹下登君) もう一つ、落としましたが、いわゆる利子平衡税とか、あるいは従来イギリスでやりました為替管理の問題とか、あるいは日本におきましては新外為法が一九八〇年から施行されておるわけでございますが、いわば金融資本取引の自由化という波の中で、今までこれらのその中でとられた措置というのは、資本流出を規制いたしましても実効が結論からいうと上がらない。これは米国の利子平衡税の経験に照らしましても、取引が今度はユーロ市場へ行きましたり、したがって、そういう意味においては金融資本市場の健全な発展にとっては有害であったではないか。そして米国の当局者もやっぱり資本規制には反対という立場を表明しておりますので、仮に日本が——仮にでございますが、資本流出規制などが仮にとられたとしたならば、それは新たなもう一つの大きな摩擦の種になる危険性は十分ある。言ってみれば、よく議論するところですが、いわばアメリカの金利の抑制作用に今日本の資本流出が結果としてではございますが働いておるというようなことを考えるならば、別の面における大きな摩擦要因が出てくるというような考え方に立っ ております。
○鈴木一弘君 今の御答弁等伺っていてわかることは、アメリカの高金利が全部悪いみたいな言い方になるんですが、そうじゃなくて、我が国としても円安傾向を改めるための努力というものは全部しなきゃならないということを、これはもう本当に検討していただきたいと思うんです。それから、このままでいきますと、今の大蔵大臣の答弁のように、金融資本の自由化、国際化が進めば進むほど、アメリカの金融政策の決定によって日本が直撃をされて年がら年じゅう動くということになるわけですから、この点は少し本当に考えないとえらいことになるじゃないか、こういう点を申し上げておきたいと思います。 それから、昨年の通商白書、それから経済白書、この両方で経常収支の黒字は経済発展段階の高度化によるものだ、ですから資本の供給を通じて世界経済の発展に寄与すればいいんだということで、そういう資本輸出論を展開している。こういうことは経常収支の黒字というものを肯定したものとしかとれないわけですが、通産大臣と企画庁長官、お伺いいたします。 〔理事梶木又三君退席、委員長着席〕
○国務大臣(村田敬次郎君) 御承知のように、鈴木委員御指摘になりました通商白書では経常収支の黒字ということを挙げておるわけでございますが、例えば昭和五十八年度は二百八億ドル、昭和五十九年度は三百五十億ドルの黒字、こうした黒字は日米両国の景気回復局面のずれだとか、先ほど来から議論にございますような米国の高金利などに起因をするドル高等の要因によるところが大きいわけでございますが、一方、我が国の国内産業構造、それから貿易構造等の要因による面もあるわけでございます。 通商白書に述べておりますのは、二十世紀初頭の英国、それから二十世紀中葉のアメリカと同様に、ある程度の資本供給を海外に対して行うということは世界経済の均衡ある発展に貢献すべきものだという指摘をしておるわけでございます。それと同時に、通商白書は経常収支黒字のもとで我が国が一層の市場開放、内需拡大に努力をすべきであるという必要性を強調しておるのでございまして、このことは新ラウンドの開始でございますとか、自由開放体制の推進でございますとか、内需の拡大ということがもちろん基本であるという前提でございます。
○国務大臣(金子一平君) 鈴木先生も御承知のとおり、現在日本では国内貯蓄を国内で活用する余地はまだまだ相当あるわけでございます。中長期的な観点から申しますると、民間の投資比率を高めていく努力が必要であるかと考えるのでございますが、一方、我が国は現在貯蓄供給能力がなお国内投資を上回っております。それを海外に供給する経済発展の段階に今日あると見ておるわけでございまして、そのために我が国の供給する資本がそれを本当に必要とする地域へ効率的に、しかも安定的に供給されまして、発展途上国を含めた世界経済の発展にプラスになることが重要であるという点を、昭和五十九年度の年次経済報告で資本供給国日本の役割をということで強調しておるというふうに御理解いただきたいと存じます。
○鈴木一弘君 言葉はいいですが、結局経常収支黒字だから、それを肯定しなければできないわけでございますので、それはわかりました。 それから、この大幅な経常収支の黒字について、経済白書の中で円安の進行、米国経済の予想以上の景気の拡大、原油価格の低下、こういう短期的な要因もあるけれども、今も御答弁ありましたが、中長期的な、構造的な要因もあるとして、国内貯蓄とそれから投資との間に構造的なギャップがあるということを言っております。これが資金余剰をつくって、こういうような経常収支の黒字ができたという言い方になるわけでございますが、そこで伺いたいのですが、これは日銀総裁と大蔵大臣ですが、変動相場制に求められた機能としては当初は国際収支の調整機能が期待されていたはずじゃないかと思います。つまり経常収支の黒字が円高をもたらして、そうして輸出を抑制して輸入を促進する、そして国際収支を調整する、こういうようなことがあって変動相場制というものが期待されたのだと思うんですが、これがうまく作用していない、こういうふうに理解してよろしいかどうか伺いたいんです。
○参考人(澄田智君) 変動相場制のもとにおきましては、確かに経常収支の黒字がふえますればその国の通貨の価値が上がって、そうして調整作用が働く、こういうことが期待されていたわけでございます。しかし現在の世界経済におきましては資本収支の動きというものが非常に拡大をしております。これは資本取引の自由化が進んだというようなこともございます。殊にアメリカの金利が高いというようなことが原因になっておりますが、それだけではなくて、経済成長率あるいは政治情勢、そういったようなものも反映されて資本が動くというような形が非常に大きくなってきているわけでございます。こういうようなことで、資本収支の動きによって為替相場が影響されるという面が大きくなってまいりまして、貿易収支、経常取引、それによって左右される面と、そういった資本取引の面によって左右される面とが両方働いて、そのために変動相場による均衡回復というような機能が必ずしも働かない、こういうふうになっている面は否定できないところであろうかと思います。 この原因はやはりアメリカの高金利、そうしてその背景にあります財政赤字という点によるところが大きいことは御指摘のところでございまして、それだけを犯人にするというわけではございませんが、しかしそれが大きいというのも現実でございます。その点はアメリカにおきましても非常に問題になっているということであって、財政赤字の削減に対する着実な措置がとられていくということが、そのときの金利のみならず金利の先高感というものを是正するという意味において非常に大きく働くわけでありまして、そういう点からいたしましてもアメリカの財政赤字削減の努力というものを強く要請をいたしたいと、かように思うわけでございます。
○国務大臣(竹下登君) 今、澄田総裁から大体お答えがあったとおりでございます。 私も先ほども申しましたが、変動相場制というものはいわば貿易等の経常取引という点からいたしましたならば、十二年になるわけでございますけれども、あの間に石油ショックもありながらそれなりに有用な役割を果たしたと思います。が、傾向として先ほどの議論にもございましたように、金融資本取引に影響される面が多くなっておるということは現実そうだと私も思うのであります。したがって、これの問題の変化も私は出てくるのじゃないかな、こういう感じもしないわけでもございません、別の変化でございます。すなわち資本流出は即自国通貨安につながるということじゃなく、その資本流出が果たしておる役割がむしろ世界全体のいわば資本提供ないし金利の抑制の方に働いておるとなった場合における通貨価値の判断というのもまた別の意味において出てくるのじゃないかという、これは期待も皆無ではないわけでございます。 したがいまして、今考えられるのは、やっぱり現実の問題としては、もう一つ御指摘なさいました原油価格、すなわち第一次産品価格が低位に安定しているという理由もございますので、これらが急にまた高くなってもいけませんし、高くもならぬだろうと私は思いますが、そうすると、当面は我々として議論するのは米国のいわゆる財政赤字の問題がありますが、この問題で一番いつも会合の際に私どもが懸念を感じますのは、さればおまえのところの財政赤字はどうだと、これはまさに他国の内政干渉というおのずからそこに限界があるということは事実でございます。その点からいろいろ議論しますと、結局主要国がまずはコンバージェンスとかいっておりますが、極端に言いますと可能な限りインフレなき持続的成長の調和のとれた政策をだんだん一緒にしよう、そして、それを促進するためにいわゆる多国間のサーベーランスをやって、それによって相互牽制をしなが ら調和のある経済政策にしようというのが最大公約数の結論になっていく、こういう傾向であることを率直に申し上げておきます。
○鈴木一弘君 今の大蔵大臣の答弁は、この三月六日と七日にパリで開かれた十カ国蔵相代理会議で、そのとき今まで二年間にわたって変動相場制初め、今言ったサーベーランスの問題、そういうことの見直しとか、いろんな研究をやられているわけですけれども、そういうことについて、この変動相場制の影響については米国もこれを考慮する用意があるという発言をアメリカはしているということが伝えられておりますが、この会議におけるところの論議はどうだったんでしょうか。
○政府委員(行天豊雄君) お答え申し上げます。 御指摘のとおり去る三月の六日、七日に十カ国蔵相代理会議が開かれたわけでございます。御承知のとおり一昨年のウィリアムズバーグで行われましたサミットでの合意に基づきまして、目下この十カ国蔵相代理会議におきまして国際通貨制度の改善について議論を続けておるわけでございます。 この議論のポイントと申しますのは、一つが今御指摘の変動相場制の機能、それから二番目が政策協調、それから為替相場の安定を促進するためのいわゆる相互監視、サーベーランスと呼んでおりますが、これの強化の方法、三番目が国際流動制の運営管理の問題、四番目がIMFの役割と、こういう主なポイントについて今代理の間で議論が続けられておるわけでございます。これがまとまりますと当然のことでございますけれども、この十カ国蔵相会議に報告をするということになりますものですから、まことに申しわけないのでございますけれども、この報告がまとまりますまでの段階でちょっとその議論の内容につきましてそれぞれの国が独自に内容をお話し申し上げるというのは差し控えさせていただきたいと思うのでございますが、先ほど大臣からもお話がございましたとおり、変動相場制につきましては、各国とも現状では昔のような固定相場制に戻るのは無理であろう、したがって現在の変動相場制というものを受け入れて、それの運営をどうやったら改善できるだろうかということに議論の焦点が置かれておるというふうに感じております。
○鈴木一弘君 じゃ、話を戻しますが、先ほど白書で過剰貯蓄と投資の間のギャップがあるということを指摘して、そうして、これははっきり申し上げれば国民総生産の中で、その水準に比べて消費、投資、輸入の水準が低迷しているということを意味しているわけでありますが、そこで政府の内需拡大策の効果はもう限界があるということを政府みずから証明したものとしか経済白書の上では考えられないわけでございますが、そういうことを隠すために資本輸出国なんということを言い出したのかどうか。
○国務大臣(金子一平君) 決して内需拡大がもう行きどまりになったと我々は考えていないのでございまして、むしろ今までいろいろな面での法律的なあるいは行政的な規制の網が民間の活動に対してかぶせられておる面が多うございました。それを一つずつ着実に取り払って、いわゆるレギュレーションでございますけれども、そういうことによって民間活力がもっともりもりと活動できるような環境づくりをしっかりやっていけば大分違った様相ができるのじゃなかろうか。例えば都市開発にいたしましてもあるいは住宅の建築にいたしましても、住宅宅地への規制等につきましては御承知のとおり建設省も自治省もあるいは農林省もそれぞれ規制の網をかぶせ過ぎております。そういった点を一つずつ取り払うことによりまして、すそ野の広い住宅投資をもっと活発にやらしていくことができないかと、こういった問題が幾つかあるのでございますけれども、やはり着実に粘り強く一つずつ片づけていかなければなりませんので、一遍にそれじゃすぐこれをやればこうなるというわけにはいきませんけれども、そういった面を今大いにやろうということで努力を政府全体としてやっておる最中であることを申し上げておきたいと思うのであります。
○鈴木一弘君 資本輸出には債券投資とそれから直接投資がありますけれども、直接投資を拡大していくということは日本が多国籍企業の道を目指していくということになるわけでございますが、その際にはどうしても国内の方が、その生産拠点というものが相対的に彼らに対して弱化する、そういう問題が一つあります。これは通産大臣から聞きたいです。 もう一つは、海外へ進出していった方がもうかるということになるというと、海外に租税が流出する。大分この委員会でも議論がされておりますけれども、つまり海外への直接投資によって我が国に本来帰属すべき租税というものが海外へ漏れるという現象が起こらないかどうか、この二つ、これは大蔵大臣から伺いたいのです。
○国務大臣(村田敬次郎君) 大変重要な御指摘でございます。我が国の国際収支構造の変化というのを数字的に見てみますと、一番近い八一年から八四年の年平均は貿易収支が二百八十四億ドルプラス、そして鈴木委員が御指摘になりました長期資本収支、いわゆる直接投資や証券投資などの流出の部分が二百二十二億ドルの出でございます。それから、その前は七六年から八〇年は入る方が百十一億ドルの黒字で、出る方が五十三億ドルの流出ということになっておりまして、御承知のように貿易収支の黒字の方がずっと多いわけでございます。 そして、通商白書によれば、こういった黒字が欧米先進国との摩擦の背景になっておるということは十分認めておるわけでございますが、先ほど金子経済企画庁長官からも御答弁がありましたように、国内に十分な投資機会があるわけでございます。住宅でもそうでございますし、あるいはその他いろいろな投資の機会はたくさんありますし、そしてまた投資需要も莫大であるということを考えますと、国内における資本蓄積や国内における投資というもの、それから国際的貢献という意味で海外投資をするということ、いずれも重要でありますが、これを適切に配分して、有効に活用をしていく道を見出す努力が求められていると言えようと通商白書も指摘しておりますが、先ほど御答弁申し上げましたように、私はやはり国内の開放体制をさらに進め、新ラウンドを進めていく、そしてまた内需を拡大していくというのが基本的な方向であろうという信念を持っております。
○国務大臣(竹下登君) 御指摘がありましたように、長期資本輸出、これは証券投資が中心でございまして、大体九対一ぐらいになりましょうか、直接投資が六十億ドルで、全体が五百六十九といたしますと、まあまあ九対一ということでございましょうが、この直接投資については、その税収に与える影響については一概に申し上げることはできませんが、いつも御指摘がございますのは、日本企業が進出した場合のいわゆる直接税税額控除制度、間接税税額控除制度等についていろいろな批判がありますが、しかし一方において投資先の国に対してはまず雇用の創出をいたします。それから、技術、経営ノーハウの移転等を通じまして相手国との産業協力関係が一層緊密になって、そういう意味において大変に寄与をしておるということを相手国が評価をしてくれるわけであります。それによって貿易摩擦問題等が減殺されまして、いわば我が国の置かれておる国際経済社会における立場に対する理解を受けるための環境が熟してくるという意味においては、私は直接投資のメリットというものも大いに評価すべきものではなかろうかというふうに考えております。 それで、税の問題については、いわば二重課税の廃止ということでございますから、それによって不正が行われるのはいけませんが、論理的には国民の皆さん方にもそれを理解していただける努力は、やっぱり私どもとしてもしなければならぬ課題だというふうに考えております。
○鈴木一弘君 経常収支の大幅な黒字の背景に米国の税制と日本の税制との間に開きがあるのではないか、つまりアメリカの税制が消費、投資、そういう優遇税制、つまり内需喚起の優遇税制にな っておるのに対して、我が国の税制は貯蓄であるとか資産の優遇税制になっている。アメリカでは大規模な所得減税を実施し、投資減税も実施した。それで住宅ローンに対する利払いについては所得控除をやっている。そういう税の優遇制度をとられておる。そういう点が日本の資産優遇税制とははっきり違う。これが私はアメリカへの日本の投資になってくるのだと思いますが、そういうことで、税制も内需喚起という、そういう経済運営に伴う形にすべきではないかと思いますが、この辺いかがでございますか。
○国務大臣(竹下登君) ここのところが大変議論のある問題でございますが、そこで私もいささか我が意を得たりというと評価はちょっとおかしゅうございますけれども、今後のリーガン前財務長官の提言というものが、税制の中でそういう投資を奨励する意味における各種優遇措置、なかんずく設備投資等、そのような租税特別措置を法人税の方ではむしろやめるべきじゃないか、どの程度実行に移されるかどうか別といたしまして、そういう提言がなされております。したがって、税の問題というのは、やっぱり最終的には我が国の国民の合意と選択によって決まるべきものでございますので、現在は税制でもって民需を刺激していくという環境にはないじゃないか。大きく考えた場合には、やっぱり税制というのは、今の議論はわかりますが、いわばそれらの措置は米国においてもいわゆる特別措置、優遇措置としてとられ、それらはむしろ原点に返るべきだという議論があるというところにも私は今度のリーガン提案には本当は興味を持っておるというところでございます。
○鈴木一弘君 労働大臣、海外投資をやっていくと、先ほどありましたけれども、直接投資を充実するということになれば国内投資の方が落ちてくるわけです。それは結局雇用面への不利な影響が出てくるわけでございますが、そういう点で類例を見ないような高齢化社会を迎える、しかも公的年金を頼むというには心もとないというような状況になりますというと、雇用の確保ということが非常に大事になるわけです。経常収支の黒字からどんどん直接投資が増大するというと、そういう雇用面についてえらい不利な状況に置かれるということになりかねないわけでありますが、これは労働大臣と企画庁長官から御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(山口敏夫君) 先ほど来からの御論議いただいておりますように、非常に国内における産業投資が停滞いたしますと、現状は別といたしまして、中長期的には高齢化時代で数百万の労働人口が膨張する、こういう状況もございますので、これはぜひとも国内における産業投資政策がそういう仕事をふやすという意味においては緊急不可欠な労働経済市場の条件にあるというふうに私ども考えておるわけでございますし、たまたま安恒先生との御論議の中での労働時間短縮の問題も、そういう高度成長無理からぬ状況も一面ございますので、二本立ての一つの問題として労働時間短縮、ワークシェアリングの問題というふうに言っているわけでございますけれども、何といいましても仕事をふやしていただく、こういう必要条件にあるということで、我々も政府部内でいろいろ論議を高めていきたいというふうに考えております。
○国務大臣(金子一平君) 鈴木先生御指摘のとおり、高齢化社会を迎えて、これから高齢化社会を支えるのは、やっぱり日本経済の活力でございますから、この活力をどうやって維持するかということが、経済官庁として私どもに与えられた一番大きな課題ではないかと考えております。そういう意味におきまして、今後も内需の振興につきましては十分配意してまいりたいと考えておる次第でございます。
○鈴木一弘君 総理大臣代理に対しての質疑通告をしたんですが、時間がなくなって大変申しわけございません。
○委員長(長田裕二君) 以上で鈴木君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(長田裕二君) 次に、上田耕一郎君の質疑を行います。上田君。
○上田耕一郎君 ことしの日本の財政経済問題を考える上で、世界経済、特にアメリカ経済の見通しが非常に大きいわけです。昨年は唯一の機関車と言われてアメリカはかなり大きな役割を果たしたのですけれども、例えば実質成長率を年率で第一・四半期一〇%、第二・四半期七%というのが第三・四半期では後で訂正されて三%ということでかなり陰りが出たわけですね。ことし八五年は、この陰りがさらに大きなアメリカの景気局面の転換あるいは後退になるのではないかと危惧されているわけです。レーガン大統領も予算案で、ことしじゅうに対外純資産がマイナスに転じ、債務国に転落するという見通しを示しました。この原因は、よく双子の赤字と言われます二千億ドルを超える財政赤字、一千億ドルを超える貿易赤字、さらに高金利、ドル高という四つの構造的要因が原因になっているわけですけれども、こういう問題について政府はどう見ているのか、金子経企庁長官にまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(金子一平君) 上田さんから御指摘のございましたとおり、アメリカの八三年度末の対外債権の残高が八千八百七十五億ドル、対外債務の残高は七千八百十五億ドルでございまして、対外の純資産は千六十億ドルというふうに発表されております。しかし、アメリカの昨年の経常収支の赤字は一千億ドルと見込まれており、また当面経常収支赤字が継続すると見られておりますような状況でございますので、ボルカーも先般指摘しておりまするとおり、年末にはアメリカも純債務国に転ずる可能性が強いのではなかろうかと私どもも見ておる次第でございます。 ただ、御承知のとおり、アメリカは今双子の赤字という大きな問題を抱えておりまして、一方において財政赤字がふえると同時に、一方においては貿易赤字がどんどん拡大しておる。特に財政赤字を片づけませんことには今日のアメリカの高金利もなかなか下がりませんから、今アメリカの高金利が日本を含めて世界経済を振り回しておるわけでございますので、私どもとしては一日も早くこの高金利政策を是正してもらいたいと考えておる次第でございますが、それには何といってもやっぱり大事なことは、アメリカ自身が財政赤字の削減に積極的に手をつける意欲を示すことであろうかと思うのでございますが、先般の予算教書におきましては、大統領自身も来年度は五百億ドル程度の歳出削減に踏み切りたいという意思表示をはっきり示しておりますし、それから各種の先進国の首脳の会議におきましても、常にアメリカの高金利の問題が大きく取り上げられております。 最近でも、四月のOECDの会議はもちろんでございますが、五月のボン・サミットにおきましてもやはりこれが政治的な一番大きな問題の一つではなかろうかと考えておるのでございまして、一日も早くこの問題が片づいて、アメリカが今世界を心配させるような債務国転落というような見通しは少しでも杞憂であるようにひとつ印象づけてもらいたいと我々は考えておる次第でございます。 幸いと昨年の半ばには、一時アメリカの景気が急激に落ち込みそうな心配があったのでございますが、暮れにはまたそれが持ち直しておる。最近のアメリカ経済全体の動きといたしましては、非常に設備投資も伸び、民間消費も伸び、住宅も伸び、一時心配されたような大幅の急落というようなことは心配はない。新年度におきましてはソフトランディングするのではなかろうかというのが大方の見方でございます。ただ、全体として債務超過国になるという心配があること自体は事実であろうかと考えるのでございます。
○上田耕一郎君 どうもやっぱりかなり楽観的な見通しを、そういうデータを集めて言われているように思うんですね。三井銀行の試算だと債務国に転落するのはことしの六月未だ、純資産残高はマイナス八十六億ドルという試算が既に発表されていて、一九一九年以来六十六年ぶりにアメリカが債務国に転落する、この債務累積はもっと物す ごく高まるであろうと言われているわけです。ボルカーFRB議長はもう一年前からこの問題で警告を発していて、最近もアメリカの国会で何回も警告をしているわけですね。ボン・サミットもアメリカは債務国として出席することになるんじゃないかと、そう言われているような状況で、金子さんは今アメリカの国内、第四・四半期から少し持ち直したと言われるけれども、例えば住宅需要もピークは去年の二月です。自動車もピークは去年の五月です。それからドル高、高金利で機械とか電機とか、そういうところも国際競争力がどんどん落ちて大変心配されておりまして、アメリカ経済の実力が今金子さんがおっしゃるように強い、債務国転落を乗り切り得るであろうという見通しは私は極めて甘いと思うんですね。 こういうことを言うのは私ども左翼、マルクス主義のエコノミストだけではありません。私、ここにNEXTの十一月号を持ってきておりますけれども、野村総研の林経済調査部長が一九二五年から三一年までのイギリスのポンドの崩落、あれと比べて、インペリアルサークルという言葉があるんだそうですが、帝王循環といって世界じゅうの物と金を全部集めて収奪して繁栄したイギリスポンドが惨めに崩壊していった現象が今またアメリカのドルを中心に起きていると。当時ポンドで十現象が起きたそうですが、今そのうち五つが起きている。ドル高、高金利、財政赤字、貿易赤字、それから債務の急増ですよ。ですから、このままいきますと債務国転落は不可避で、恐らくさらに増大していくだろうというふうに言われているわけですね。 河本総理臨時代理にお伺いしたいんですけれども、もしそういう状況が生まれた場合、世界経済はどうなっていくのか。例えば累積債務国、これ八三年末で債務高八千百億ドルで軍事費と同じぐらいあるわけですね。去年IMF、世界銀行がリスケジュール問題で何とかやって小康を保っていると言われておりますけれども、こういう状況になると、まず衝撃をまともに受けるのは累積債務国です。日本に対しても要求がますます強くなってくることは明らかで、日米諮問委員会報告にあるような市場開放要求がますます強くなるだろうというふうに言われておりますけれども、世界経済への影響、日本経済への影響を河本さん、どうごらんになっておられますか。
○国務大臣(河本敏夫君) アメリカが債務国に転落する危険性、可能性についてはアメリカの金融の総元締めであるボルカー議長が警告しておるわけでありますから、その可能性は十分あると思いますし、現在の数字がそれを示しておると思うんです。ただ、アメリカが計算上の債務国に一応なったといたしましてもアメリカの経済は私は急変はしないと、このように思います。 と申しますのは、昨年はアメリカ経済は実質で約七%弱、名目で一一%見当の成長をいたしましたが、ことしから一九八九年までは、先般の教書を見ますと実質おおむね四%成長、名目でほぼ八%成長を続けられると、こう言っておりますが、私は現在の情勢から見ればそれはほぼ可能であろうと、こう思うんです。第一次石油危機からアメリカが立ち直りまして、第二次石油危機の直前には二、三年非常にいい状態が続いておりました。私どももうしばらくアメリカのいい状態が続くのではないかと思っておりましたが、第二次石油危機が起こりましてマイナス成長に落ち込んでしまった。ただ、私はむしろ第三次石油危機というふうなことが起これば、これはもうアメリカ経済は非常に大きな変動を来すであろうと思いますけれども、そういうことがなければ急激に債務国に転落したということだけで大きな変化はないと、このように思います。
○上田耕一郎君 ことしの見通しについてはアメリカ政府見通し四・三%、ただ多くのエコノミストは三%というふうに見ているという数字がありますが、この問題をいろいろ議論するといろいろなことになりますけれども、では日本経済にどういう影響が来るかというところに絞っていきたいと思うんですね。 竹下大蔵大臣にお伺いしたいのですけれども、債務国転落ですぐドルの信認が崩壊してドル急落ということには、河本さんもおっしゃるように、確かにならぬだろうと思うんですね。いろいろ手を打つでしょう。もう既に手を打ちつつあるのだが、こういうぐあいに矛盾が激化していると、本格的な解決をしないで、手を打てば打つほどソフトランディングが不可能になって、いつかはハードランディング、もっと非常にショッキングな状況になるのではないかというふうに見られているわけで、そういうかなり矛盾の深まる時期が債務国転落を一つの契機にして進んでくる。 日本に対する市場開放要求等々、責任分担要求ですね、これは軍備拡大も含めて、強まってくるだろうと思うんですけれども、まず考えられるのは、日本の輸出ですね、これもどうしても下がってくる。アメリカのFRB関係者も、日本はもっと内需拡大に力を入れてくれという発言などもしておりますが、それで竹下さん、やっぱり今までの日本経済のある程度の景気回復というのは輸出主導型だったわけですね。これは今の論議にもありましたが、こういう状況の中で、内需主導型にどうしても変えていかなければならぬ、そういう転換期を今迎えつつあると思うんです。ところが、この内需主導型と言うんだけれども、どうも中曽根内閣の内需主導は、いろいろなこれまであった規制を緩め、あるいは撤廃して、民間活力、これを中心にして、つまり我々の指摘する大企業擁護型の内需拡大、民間活力という方向に行っているように思うんですね。そうではなくて、やっぱり個人消費、これが一番シェアが大きいわけなんで、この個人消費主導型の内需拡大、つまり国民の購買力もふやす、大幅賃上げも必要だし、それから貯蓄率もアメリカの三倍もある。これはみんな老後が困ったり、子供の教育やら自分が病気になったらという心配ばかり多いので貯蓄率が多いわけなんだから、やはり社会保障も厚くすればそうめちゃめちゃに貯蓄しないでもいい、物を買うのに回せるという、そういう内需拡大型に切りかえなければならぬ時期がますます迫っているのじゃないかと思うのですが、お伺いします。
○国務大臣(竹下登君) 私は、米国の経済の問題については今河本臨時代理からもお答えがありました。それは上田さんおっしゃったように、いきなり債務国になったからといって帳づらが、それはいわゆる多国籍企業の蓄積もありますし、ストックそのものから見てドルの信認が崩壊するという状態にはならないと思っております。 今の論文に似たような論文で、一つの論理としてありましたのは、かつてポンドがそういう道を通り、そしてドルがその道を通り、次は円がその道を通ると、こういうことでございますけれども、そんなことには私はならないと思っておるわけでございますけれども、私はその日本の貯蓄というものは、それは非常に大ざっぱに言って一人頭にすればアメリカの三倍貯蓄率があると、こういうことを言われますのは、それは老後の不安とかそういうものだけではないと思うんです。むしろ、制度上はアメリカよりもよくできた制度もございますし、やはり、少し古い言葉になりますけれども、いわゆる私どもの先輩たちは勤倹貯蓄という思想を非常に植えつけてきたのじゃないかという考え方が一つと、それから金融機関は倒れないものであると。アメリカはしょっちゅう倒産したりしますが、これはアメリカは銀行が一万四千五百ありますし、日本は相互銀行を入れたって百五十六しかございませんから、そういう非常にサウンドバンキング、そういうこともあろうかと思うのでございます。だから、このことがあったからこそ、かつてのドルショックも、あるいは第一次石油ショック、第二次石油ショックも、これは国民の貯蓄を国債という名でお借りしてこれをしのぎ得たというふうな分析も私は成り立つのじゃないかなというふうに思っております。 しかしながら、内需拡大ということを考えなければいかぬのは事実であります。そうすると上田さんおっしゃったように、個人消費を拡大するためには一つは減税じゃないか、こういう問題が出 てきます。しかしながら、今日、いわば今年度本格減税をやったばかりでございますので、政府税調等の答申から見ればその余地はないと言わざるを得ない。しかし別途、先般衆議院で幹事長、書記長会談で政策レベルで引き続き検討するということは、十分私どももその結論は尊重しなければならぬという政治的課題は持っておることも事実でございますが、ただいたずらにその論法だけでいった場合に、せっかく世界一超物価安定とでも申しましょうか、そういうところにインフレをもたらすような政策選択は、これはやはり一番慎まなければならぬ問題ではなかろうか、こういうことになろうかと思うのであります。 それで、財政の点から出動することによって内需拡大をやるかと、こういうことになりますと、おのずからそれには限界があると言わざるを得ない。またそれによって金利を押し上げてもなりませんし、また私は貿易問題でいつも考えるのでございますが、これは粗っぽい計算ですが、五兆円の減税をすることによって七億ドルの輸入が伸びるだろうとか、あるいは三兆円の公共投資をやることによって十四億、十三億ドルでしたか、輸入がふえるではないかという、そういう与える影響というのは、それだけでもってないよりいいという議論はできますけれども、私は大きな期待を持つことはできない。 そこで、やはりこのデレギュレーション等を行うことによる環境、まだ進んだばかりでございますから効果をあらわしておるとは私は申しませんが、いわば河本大臣を特命大臣として、これからそういう意味の民間活力活用というようなことによって、日本にあるその貯蓄も、そしてまた知恵も、頭は一番いいわけですから、まあほかの国が悪いというわけじゃございませんが、そういうノウハウからすべてを集結していくならば、私は内需主導型の成長というのは国民の理解と協力を得て進み得る環境は逐次整いつつあるというふうに考えております。
○上田耕一郎君 この問題を議論するとたくさん問題はあるんですけれども、我々の立場が正しいのか。我々は軍拡・臨調路線をいよいよ切りかえるときに来ている。今、大臣言われましたけれども、非常に高い教育レベル、すぐれた力を持っている日本国民のあらゆる階層が参加できるような、日本の国内市場を本当に豊かに発展させるような方向が今求められている。そのためには政府のこれまでの路線を切りかえる時期に来ていると思っているんですが、それはことしこれからの世界の経済情勢、日本の経済情勢等々によって証明されると思います。 もう時間が少ししかありませんので、先ほどちょっと取り上げました民間活力問題の個別問題についてあと幾つかお伺いしたいと思うんです。 ここに建設省がつくった「民間活力の活用について」、十二月二十日付で、これは閣議でも了解されたものだというのですが、ここで建設省がいろいろな問題を挙げているわけですが、その中で首都圏中央連絡道路、いわゆる圏央道も民間活力で挙がっているのですが、石本環境庁長官にお伺いしたいのですけれども、この圏央道問題というのは、例の都民のメッカと言われる高尾山に幅十メートル、長さ千二百四十メートルのトンネルを二本ぶち抜こうという計画が入っていまして、今自然保護団体が関東地域の最大の環境破壊だと。高尾山の貴重なイヌブナの林、それから昆虫、鳥、植物、それから地下水の水脈ですね、こういうのが取り返しがつかなくなるのじゃないかというので大きな運動が起きて、私もパンフレットまでつくってやっているんですけれども、あそこは国立公園じゃなくて国定公園なので都知事の管理になっておりますけれども、環境庁の通知に、国定公園であっても第一種特別地域に係る車道の開設その他、これは都知事が自然保護局長と協議するということになっている通知が出ておりますね。環境庁長官として、今の中曽根内閣は緑の問題を重視しておりますので、ぜひこの高尾山問題についても環境庁として自然保護の観点でぜひ関心を持ち、強い御指導をいただきたいと思っておりますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(石本茂君) ただいま先生のお言葉にもありましたように、高尾山は明治の森高尾国定公園ということに指定されております。しかも東京の近郊でございますし、お話にありましたように自然の状態が非常に良好に保たれておるところでございますし、また、自然に親しむためのレクリエーションの場所としてもみんな非常にそこを活用さしていただいているところでございます。 この圏央道につきましては、聞くところによりますと、高尾山をトンネルで通過するという計画と聞いておるところでございまして、自然環境に及ぼす影響を避けますために特に慎重な配慮が必要であるというふうにただいま認識をしているところでございます。
○上田耕一郎君 そのトンネルが大問題になっておりますので、ぜひ石本さんも自然環境保護の見地で仕事をしていただきたいと心からお願いします。よろしいですね。 次に、建設大臣にお伺いしたいんですが、この民間活力問題等々で大きな問題になっているもので、例えば電電公社の民営化問題が一つあるんですが、先ほど引用しましたこの「NEXT」にこういう記事があるんですね。「田中角栄元総理「日本のNEXTを語る」」というインタビューなんです。その中に驚くべきことが書かれている。国債残高百二十二兆円になってもということで、それをどうやって解決するかというと、「電電公社の次は、住宅都市整備公団の資産を売却するよう提案したい」、まあ二割程度は公団が確保しておく。二割というのは、「厚生用住宅に一割、転勤用として一割残す。」、あと全部売ってしまえというわけです。「帳簿価格十兆円、実質価格は百兆円だから、二割を残し、他は比較的安く売っても、これだけで数十兆円の売値になる。」という提案をしているんですけれども、住宅・都市整備公団についても指導責任を負っておる建設省、こういう田中角榮氏の提案について、まさかこれお乗りになるようなことはないでしょうな。
○国務大臣(木部佳昭君) 私ども建設省といたしましては、大都市地域における良好な住宅や宅地をいかにして供給するか、そういうところに住宅・都市整備公団の使命があるわけであります。したがって、前からこの保有する資産の一部を売却したらどうかというような御指摘もなくもないわけであります。しかし、今賃貸住宅の需要動向というものは非常に逆に強くなりつつあるわけでございまして、そういう中にあって円滑な運営というものをどうして図っていくかということが基本的な大事な仕事だろうと、そう考えております。未利用地も一部実はございますが、そういうものについての売却というようなことのあれもございますけれども、これは地域の住宅状況とか、土地利用とか、そういう考え方をよく踏まえながらやはりやっていかなければならない。今後とも適切な処置はしてまいりますけれども、今申し上げましたような基本方針には変わりありません。
○上田耕一郎君 竹下さん、創政会問題で田中角榮氏とはいろいろ緊張関係にあるようですが、まさかこの田中角榮氏の住宅・都市整備公団、これを民間に払い下げて百二十二兆円の国債残高、これに充てるというようなことには賛成なさらないでしょうな。
○国務大臣(竹下登君) 住宅・都市整備公団のあり方の問題については、やはり今建設大臣のお考えをサポートする立場にあると私は思います。
○上田耕一郎君 さて次に、これはやっぱり建設省のこの「民間活力の活用について」の中に「東京湾横断道路」、これがあるわけです。「第九次道路五箇年計画期間内(六十二年度まで)に調査を完了し、建設に着手する方針」だと、こうなっているんですね。あと二年で調査完了して建設するというのが建設省の方針なんです。その前提となるのには「船舶航行の安全確保、環境の保全、地元のコンセンサス等残された課題の解決を図る。」と書いてあるんですけれども、この航行安全問題というのは非常に大変な問題です。私も去年建設委員会で取り上げましたが、建設省は昭和四 十年からもう二十年道路公団とも協力し、日本海難防止協会などと協力して、これを調査しているわけですよね。それで、私去年問題にしたのは、この航行の安全問題で二つです。一つは、元東京都の公害研究所次長の田尻宗昭氏が「海と乱開発」で問題にしている世界一の過密の浦賀水道、東京湾、年間二千隻の巨大タンカーが通るようなところで、液化天然ガスまで積んだタンカーが来るわけですね。一度海難事故が起きたらもう大変なことになるという問題が一つ。それからもう一つは、船のいかりをおろす仮泊地です。今、東京湾のいかりをおろす仮泊地は本来二百三十五隻分必要だ。本来二百三十五必要なのに今使えるのは百二十六隻分で、半分しかない。ところが、橋を真ん中に通しますと南北二海里は仮泊地として使えないので、わずか七十三隻、必要分の三分の一から四分の一になってしまうという問題があるのです。ここに関東地建と日本海難防止協会の昭和五十年度に発表された調査報告書があるのですが、この報告書の議事録を読みますと、わずか七十三隻分の仮泊地しか残らないというのを聞いて、運輸省の当時の染谷企画課長は、これは驚くべき小さな数字で、これじゃ東京湾が使えないというのと同じことになるという発言をしているんですよね。私、その問題を指摘したら、水野前建設大臣は、確かにそういう問題は大変なんだということも答えられた。それで、これは調査委員会がつくられてずっと調査しているというのだが、こういうタンカーなどの大事故の問題、あるいは仮泊地がわずか七十三隻分しかなくなって東京湾が使えなくなるというような問題について、これまでの調査で結論出ているんですか。その点、運輸省にお伺いします。
○国務大臣(山下徳夫君) 十年前の五十年に、これは日本海難防止協会が委託を受けて報告書をまとめまして、まとめる前の段階において、運輸省も質疑に参加したいきさつもございます。なお引き続き今日まで建設省に協力してずっとやってまいりました。 そこで私どもは、二律背反的な面もあるわけでございまして、一つは大東京都市圏の再開発に伴う経済の浮上というような面で、橋の持つ意義も大変大切でございますし、今御指摘の航行の安全も大切でございますが、問題はこのキャパシティーの問題でございますけれども、御指摘のとおりに、一応橋ができる前に百二十六から百五十三という数字が出ておりますけれども、実際に昭和五十八年の八月に台風が起きたときには、そう言いながらも三百二十五隻ここに仮泊しているんですよ。したがって、そこらあたり非常に大きな誤差があるものですから、今日なお建設省と密接な連絡をとり、お互いにいろいろ連絡をとりながらさらに詰めておる段階でございます。
○委員長(長田裕二君) 上田君、時間が参りました。
○上田耕一郎君 事故の問題、災害の問題、答えがないじゃないですか。タンカーなどの衝突事故その他。
○国務大臣(山下徳夫君) 今申し上げましたように、いわゆる都市再開発という一つの大きなプロジェクトとして行われる、これといわゆる安全航行との一つのバランスをとるという面について今いろいろ検討を行っておりますが、仮泊地のキャパシティーの分だけそこに仮泊いたしましても、それは安全航行ということ、安全だということが言えると思うんです。
○委員長(長田裕二君) 時間が参りました。
○上田耕一郎君 問題ありますけれども、もう時間が来ましたので終わります。(拍手)
○委員長(長田裕二君) 以上で上田君の質疑は終了いたしました。 ─────────────
○委員長(長田裕二君) 次に、柄谷道一君の質疑を行います。柄谷君。
○柄谷道一君 まず大蔵大臣に率直にお尋ねをいたしますが、大臣は昨年末の記者会見で、一般歳出の伸び率ゼロは六十一年度予算でももう一度やらなければならないと述べられたと報道いたしております。そのとおりかどうか。さらに、今後、特例国債依存体質脱却の目標年次である昭和六十五年度まで、毎年一般歳出伸び率ゼロの方針を予算編成の際貫くことが可能と考えておられるのか。さらに、そのような緊縮財政だけで膨大な要調整額を解消し得ると考えているのか。 以上三点をお伺いします。
○国務大臣(竹下登君) まず第一点でございますが、昨年十二月末の記者会見におきまして、私が、記者との一問一答に当たって私なりに感想を述べております。そのときに、半年後には六十一年度予算編成が始まるが来年も同じような方式でやることが可能かという質問がありまして、私の感想として、予断をもって言うことはできないが、もう一年はやってみたいと思うと、こういう表現をしたことは事実でございます。それは、その前日やっぱり記者から感想を求められまして、もう歳出削減の限界だという声が強いということに対して、絞っても水一滴出ないような感じがするということを私申しました瞬間に、まさにアズ・スーン・アズ反省をいたしまして、そういう言葉を吐いた瞬間に、歳出圧力に対する私の努力は放棄したことになりはしないかという反省に基づいて申し上げたわけであります。 それから、その次の問題につきましては、仮定計算例で確かに〇、三、五というのを出しております。それは、六十五年まで一般歳出をゼロでやるというのは、これは現実的であるとは言えないなと思っております。ただ、〇も三も五も、政策的意図を持ってお示しした数字ではないということは御理解をいただいておきたいと思うわけであります。 それから、そういう歳出削減だけで要調整額について、それを埋める自信があるかとおっしゃいますと、そこのところ、私どもはまず第一期として六十五年までに赤字公債依存体質からの脱却をしようというときに、何よりもまず念頭に置かなければならないのは、いわば制度、施策の根本にさかのぼるところの歳出削減ということをまず念頭に置かなければならぬということをかねがね主張しておるわけでございますので、いずれ柄谷さんから議論があろうと思いますが、現在は、いろいろ工夫しましたが、要調整額を示すことによって、柄谷さんと私がここで問答するごとく国民と問答しながら、いかに埋めていくかというのをこれから真剣に構えて、コンセンサスのあるべき姿を私ども自身が見定めていかなければならぬという考え方であります。
○柄谷道一君 後藤田総務庁長官にお伺いいたしますが、あなたは一月二十一日本院決算委員会で、どんなに歳出削減をしてもそれだけで財政再建ができるとは考えられない、こうお答えになっております。それではどういう方法で財政再建を図ろうとお考えなんですか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 私の決算委員会での発言は、臨調答申の趣旨を踏まえてお答えをしたつもりでございます。行政改革だけで財政の再建はできるはずがないじゃないか、だからもう行政改革はほどほどにしたらどうだという一部の議論がございます。それは間違いである。やはり今、大蔵大臣が言ったように制度、施策の基本を洗い直すということは、これはすなわち行政の改革でもありますから、したがってそういう一部の意見は間違いである。 もう一点は、増税なき財政の再建、これはできないことはわかっているじゃないか、ならば増税だという短絡した議論がある。これも私は間違いである。ならば、増税しただけで一体財政の再建は可能であるか、国民の負担はどうなるのだということを考えれば、こういった短絡的な議論は間違いであるという基本に立って、やはり私はこの際やるべきはまず制度、施策の基本を見直して、厳しい歳出削減、これは厳しいと思いますよ。しかしそれもやりながら、同時にいろいろな施策を講じて、総合的な対策の中でこの問題は解決をすべきではないのか。それにはやはり財政当局を中心にして政府全体で私は取り組んでいくことが必要だ。いずれにいたしましても、直ちに増税論議 が出てきたり、いろんな短絡した一つの政策だけを取り上げてやることは間違いだと、こういうことを言ったつもりでございます。
○柄谷道一君 大蔵大臣にお伺いしますが、私かつて、奇術だとかいうものには種か仕掛けがあるんですよ、種も仕掛けもなくてあっと人を驚かせるのは魔法じゃありませんかと、こういう質問をした記憶がございます。政府提出の仮定計算は一応その前提条件にはいろいろ問題があることは承知をしております。しかし仮にその前提のまま推移したとしても、毎年要調整額は三兆円ないし四兆円、五年間の要調整額の合計は実に十七兆八千七百億円に及ぶという仮定計算の結果が出てきておるわけですね。そこで常識で考えても、今、総務庁長官が言われましたように財政削減という、歳出削減という一つの方法をもってこの膨大な要調整額が埋められるとはだれも考えられないわけですね。 そこで、今総務長官はいろいろの施策を講じて総合的にと、こう実に含みの多い御答弁をされたわけでございますが、この際確認いたしておきますが、政府は、赤字国債脱却の目標年次を繰り下げるという方法、増税なき財政再建と言われているわけですから、大きく租税負担率を引き上げるという方法、この二つは、いろいろの施策を講じてという中に含まれていないと明確に御確認を願いたいと思うのですが、いかがでしょう。
○国務大臣(竹下登君) 今六十五年脱却を延長しようという考え方は全く持っておりません。それを考えた途端にやっぱりだれてしまうのじゃないかなと、こういう事実認識です。 それから二番目の問題につきましては、いろいろな施策の組み合わせというものでもちろん要調整額は埋められていくわけでございますが、いわゆる臨調答申にございます租税負担が大きく変わるような新たなる措置をとってはならぬぞよというお諭し、お諭しといいますか、そういう方針がございますので、それをやっぱり堅持していかなければならぬ課題だというふうに思っております。
○柄谷道一君 私は、積極経済政策の展開によって税の自然増収を増していく。この具体的な方法については、きょう質問の時間がわずかでございますから、改めて私は文書をもって私なりの経済運営に対する提言をいたしたいと考えております。それはきょう横に置きまして、要調整額の解消、特に歳出削減の手法を考えていく中で、財政の中期展望に立った主要経費別内訳を明らかにするということは私は避けられない、欠かせないと思うわけです。これなくして、我々に増税なき財政再建の手法をお互いに議論せよと言ってもこれは無理でございます。私は一昨年末これを要求してきたわけでございますが、昨年四月五日本委員会の席上、大蔵大臣は私に対して、要求している先生方の意見も聞きながら一年間検討さしていただきたい。どのような形になるかは今の時点では予見できないとしても、精いっぱい努力して少しでもその要求に沿うものを提出したい、こうお答えになっているわけでございます。 一年経週いたしましたが、私は一回も意見を聞かれたことがございませんでした。あわせて本予算委員会にもこれにかわるべき資料は提出されず、従来の手法による仮定計算しか提出されておりません。これはちょっと国会答弁、私に対する軽視の姿勢ではないかと思うわけでございます。この主要経費別の提出は二月二十五日、社、公、民、社民連の四会派が当面の重要政策として要求いたしておる資料でございます。これが提出できなかったことについて何らかの政治的理由があったのか、それとも本予算委員会で予算審議中の期間に、五十六年並みの資料とは申しませんが、昨年御確認いただきましたこれにかわるべき、我々が議論できる資料を提出することが御確認願えますか。以上御質問します。
○国務大臣(竹下登君) 確かに昨年柄谷さんに対して何とか将来提出する工夫はできないものか、精いっぱい努力してみたい、そういうことを申しました。先生方の意見も聞きながらということも申しました。そういう経過もありますので真剣な検討を重ねてまいりました。まことに難しいいろんな問題がありますので、結論から言いますと、今回もそれは提出をしなかった、こういうことになるわけであります。 何が困難か。一つは後年度負担推計という推計方法の問題がございます。これは主要経費別には分けていない、結論から言うとそういうことになるわけであります。それからもう一つは、五十六年のときからの反省でございますが、いわゆる各経費別の正確な姿は必ずしも反映されていないものでございましたが、実態とやや異なった大変な誤解を生じやすい姿となったということ、これは反省でございます。そういうことから考えまして、結局中期展望における計数は一定の前提のもとで、将来へ向けての財政の全体像を示す一つの参考資料ということで同じような手法で提出さしていただいた。私どもが工夫した結果は一般歳出の中の二つの大きな項目であります社会保障移転支出と公共投資について将来推計の数値を資料として提出をさしていただいたということで御容赦をいただこうということでございます。したがって、確かに私ども今でも言えることは、いろいろな前提を提示してもらえばそれに基づいてできる可能な限りの推計なり作業は、私どもにお手伝いをさしてください。結局私どももいろいろ工夫しましたが、そこまで到達し得なかったということでございます。 私なりに考えたのは、去年、おととし出したものがどういう施策、制度の組み合わせで変化してきたかというようなことをもう一度振り返って議論をするのも一つの手であるのかなと、今後の見通しよりも、昨年よりことしはこうなった、そしてお出ししたものは同じものでありますが、いわばその背後には、例えば年金の問題でございますとか、あるいは補助率の問題でございますとか、あるいは電電株の帰属の問題でございますとかいうようなものが参考として並べられておる、そういうふうに理解していただかざるを得ないではないか、こういう感じでございます。
○柄谷道一君 今のままの提出資料で増税なき財政の再建を与野党で真剣に語り合え、こう言っても議論は極めて抽象的な議論に終始せざるを得ないわけでございます。 今の御答弁はこういうことなんですか、もう少し検討さしてくれということなんですか、もうこれからもだめだというのですか、どっちなんですか。
○国務大臣(竹下登君) これは引き続いて具体的な問答の中で検討の端緒を見出して進めていかなければならぬ課題だという事実認識は私もございます。ことしの場合、昨年度の場合お願いしたものはこのような結果になりましたとかいうような制度、施策の根本の問題は議論の対象になって、逐年要調整額の裏側に存在する具体的な施策というものはそれぞれ法律なり予算書なりでお示ししておるが、将来にわたってのものは、逐年その背景となる諸制度の問題が明らかになりますが、要調整額を算定する際に、いわゆる後年度負担推計というものをより正確なものにしていくというのはなかなか難しい課題があるのではないか。しかし、それも問答の中で誤解を生まないように環境を整備しながら示すような努力はこれからも続けなければならぬ検討課題だというふうに思っております。
○柄谷道一君 私はこの問題だけで議論する時間がないのでございますけれども、大臣、ひとつお約束いただきたいわけです。我々も財政再建の道を真剣にこれは考えておるわけです。今後いろいろ政策協議をやるにしても、これは基本的な資料ということになっていくわけです。したがって、この問題について改めてどういう資料が必要なのか、そういうことを、少なくても大蔵省と我々が話し合う機会は持つということだけはお約束願いたいと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) これはどういう場が適当かは別といたしまして、あるいは政策担当者会議というものもあるでございましょう、それでなく して、国会の問答の後から御議論していくこともあるでございましょう。だから今の場合は、いわばそれらのこういう仮定、前提のもとのものを作業してみるとかいうことに対しては可能な限りの努力をしよう、政府がこのような前提のものでいかがかという議論を相互が詰めていく努力は私もいいと思っております。
○柄谷道一君 減税問題につきましては所得税と住民税、これは与党、野党間の書記長、幹事長会談で話し合いがなされました。政策減税についてはこれまた実務者、政策担当者の会議を持って話を詰めるということになっておりますから、この点は本日取り上げずに、ひとつ非上場同族会社の事業承継税制についてまず通産大臣にお伺いいたしたいと思います。 非上場の同族会社における事業承継の際、株式相続に伴う税負担というのが余りにも過重である。後継者が相続税を支払い、かつ事業を継続することは現実に困難であるという深刻な問題は今日までいろんなところで取り上げられてきたところでございます。このために、我々の要請もありまして、五十七年には税調の中に相続税財産評価に関する評価問題小委員会が設置されました。五十八年四月に基本通達の改正が行われたことはよく承知いたしております。しかし、この改正通達は相続税、すなわち財産の相続というところに基点が置かれまして、事業承継という視点を欠いていると私は認識するものでございます。財産であればその財産を処分して税金を納めればいいということでありましょうけれども、事業は継続するものであって、承継を妨げるような税制は、私は本質的な問題があると考えざるを得ません。 今、中小企業が世代交代の時期に差しかかっております。財産相続という視点に立って財産の評価を行い、相続税を課すという現行の仕組みの中で円滑に事業の承継が行われるとお考えなのか、非上場同族会社の場合は株式には換金性がありません。評価というのは税法上の課税の基礎額を算定するだけでございまして、評価額による株式の物納も認められておりません。とすれば、事業を閉鎖ないしは縮小して資産を売却して税金を納めるか、それとも承継ができないということであきらめてしまうか、こういう現状に追い込まれていく。まさに逃げ道のない、逃げ口のない現行制度であろうと思いますが、通産大臣の御所見をお伺いします。
○国務大臣(村田敬次郎君) 柄谷委員にお答え申し上げます。 今御指摘のあった同族会社の承継税制でございますが、現行の同族会社の株式評価方法というのは二つ方式がございます。一つは、企業の有する個々の事業用資産を時価で評価する純資産価額方式、これは柄谷委員御指摘のとおり。それからもう一つは、上場類似業種の株価を重要な評価要素として、評価に当たってはさらに類似業種の配当金額、それから利益金額、純資産価額を加味して評価会社の比準価額を求める類似業種比準方式というのがあるわけでございます。二種類あります。 昭和五十八年度の税制改正におきまして、中小企業の事業承継の円滑化のために、まず一つ類似業種比準価額方式の適用割合を拡大する、それから類似業種比準価額方式の改善合理化などの改正を行ったわけでございます。この改正によりまして、今御指摘になりましたような承継の際に地価が高騰しておるというようなことで、相続税評価額が高騰をして相続税が過大なものになっておるというようなケースにつきましては、事業承継の円滑化にかなりの効果があるものと期待をしておりまして、本税制改正の効果等を見守っているところでございます。 なお、納税義務者にその納付すべき相続税額を金銭で納付することが困難である理由等があります場合は、物納による納税も認められておる、こういうシステムになっておるわけでございます。
○柄谷道一君 後でまた触れますが、通産大臣、夫婦間の遺産相続、これは妻の貢献が認められておりますね。中小企業同族会社の承継というのは、これは棚ぼた式に親から子に譲られてくるわけではないわけです。後継者もまた相続の時点まで会社の業績向上や事業拡大のために父親の片腕として貢献しておる、これが通例の中小企業の実態ではないか。ところが、貢献度は全く見られておりませんね。これは矛盾とお考えになりませんか。
○国務大臣(村田敬次郎君) お答え申し上げます。 妻の場合、配偶者の場合は、大体その被相続、つまり亡くなられた方と年齢が非常に近いということから、特別なそういう有利な条件が認められておるということだと思いますが、御指摘のとおり子供等の承継の場合はそういう承継税制はないわけでございます。先ほど申し上げました税制の改正では、個人事業者、小会社、中会社、大会社等に区分をいたしまして、そして類似業種比準価額というのを、従来の純資産価額のうち五割まではそれで見てもいいとか、そういういろいろな納税者に有利な制度を認めたということでこの承継税制の先行きを見守っておる、そういうことなんでございます。
○柄谷道一君 通産大臣は見守ると言われるんですけれども、もう現実にこんな姿は幾らでも事例が出ているわけですね。 これは昨年十月、東北の新聞に掲載されまして全国的に反響を呼んだ問題でございますけれども、ある建設会社で、もちろん非上場同族会社でございます。額面五十円に対して十五倍に当たる七百七十五円という評価が下され、納税が命ぜられてきた。小さな会社ですよ。ところが、昭和六十年一月二十一日の株価を見ますと、大成建設二百一円、大林組二百十二円、清水建設二百三十円、佐藤工業百九十円、鹿島建設二百七十七円、フジタ工業二百三十一円、超大手企業の株の評価はいずれも二百円台でございます。中小の同族会社に七百七十五円の評価が下されて納税が命ぜられてきた。株の価格では三千三百万円の資本金でございますけれども、それがこの方式によりますと約四億の資産と評価され、納税額は億単位になるわけですね。これで土地の売却もせずに、株は売れないわけですから、事業の承継できますかね。 私は事業用の土地の周辺が市街化して地価が上がる、経営努力を積み重ねて中小企業としての業績を上げる、しかも節税対策も行わずにまじめに納税に協力する、こういう会社は今の評価方式をとる限り事業をやめてしまうかどうかという局面に追い込まれるという実態が既にあらわれているわけです。私は、このような相続倒産すら招きかねないという税制についてはこの際抜本的に見直して、中小企業の立場を守るというのが通産大臣の職務ではないかと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(村田敬次郎君) 柄谷委員が今御指摘になりました事例につきましては、実は私の方も中小企業庁の方で調べておりまして、それを検討いたしました。そして、御指摘のように中小企業の事業承継について非常に問題があるということは承知をいたしております。したがって、できるだけこれを有利に相続ができるようにしなければならないということで、同族会社の株式評価方法の改善ということは先ほど来申し上げておりますが、なお詳しく申し上げますと、小会社の株式評価方法、中会社の株式評価方法、そういった場合にできるだけ中小企業に有利になるように、そして事業が承継できるように現実的に考えていくという建前でございます。
○柄谷道一君 官房長官にお伺いいたしますが、通産大臣も現行のシステムにおいて問題があるということは今言われたわけですね。これから税調に諮問して今後税制全般の見直しをやるというのですから、これはやはり我が国の産業の九〇%を占める中小企業が果たして事業の承継が可能なのかどうか。農業等に対してはそれを実行されておるわけですから、公平の原則も踏まえてこの問題については真剣かつ前向きに取り組んでいく、政府全体が取り組んでいく、この姿勢をぜひ本日はお示しをいただきたいと思いますが、お約束願え ますでしょうか。
○国務大臣(藤波孝生君) 大蔵大臣からお答えいただくべきことかと思いますが、御指名でございますので私からお答えを申し上げたいと思います。 中小企業者の相続税につきましては、先ほどお話がございましたように、昭和五十八年度の税制改正で答申の趣旨に沿って円滑な事業承継に資するという観点から特別の措置を講じてきたところでございます。中小企業者の事業用土地について、農地におけるいわゆる納税猶予制度と同様のような措置を講ずるべきではないか、こういうふうな観点からの御趣旨が多分にあるのではないかというふうに思うのでございますが、中小企業者の事業用の財産は農地と事情が異なりますので、農地と同様に取り扱うべきものではないというふうに従来考え方を統一してきておるところでございます。いろいろな角度から税制について見直しをすべきである、そういう上に立ってこの問題についても再検討すべきではないかという御趣旨かと思うのでございますが、今申し上げてまいりましたようなことで従来は取り組んできておるところでございます。 なお、税制につきましては、総理からお答えを申し上げておりますように、公平、公正あるいは簡素、選択、さらに活力、こういった物差しでひとつ思い切っていろいろな角度から検討を加えていただこう、こんなような段取りを考えておるところでございますが、今の御指摘につきましては今申し上げたようなお答えを申し上げざるを得ませんけれども、税制全体についてはいろいろな角度からの御論議がまた出てくる、そういった御論議の行方を見守りたい、こう考える次第でございます。
○柄谷道一君 時間がありませんので、この点は私は中小企業の存続にとって極めて重大な問題でございます。この点については従来の政府の姿勢をよしとするのではなくて、真剣に我が国の中小企業の前途を考えて、深く検討されるべきであるということを申し上げておきたい、こう思います。 その他貿易問題、いろいろ質問を準備しておりましたが、時間が参りました。改めての機会に質問することとし、私の質問を終わります。(拍手)
○委員長(長田裕二君) 以上で柄谷君の質疑は終了いたしました。 ─────────────
○委員長(長田裕二君) 次に、青木茂君の質疑を行います。青木君。
○青木茂君 既に御承知のように、同志社大学の大島正教授がお亡くなりになりましたけれども、生涯かけておやりになりましたサラリーマンの必要経費訴訟ですね、これがこの二十七日に最高裁の判決がようやく十八年かけて下るわけでございます。今回はその追悼の意味を含めまして、サラリーマンの必要経費の問題につき絞って御質問を申し上げてみたいと思います。 ここに一つ資料があるわけなんですけれども、これは国税庁が各週刊誌にいわゆるPR欄をつくってやったものなんですね。昨年の十一月十六日のこれは「週刊朝日」だと思いますけれども、こういうのがあるんですよ。「サラリーマンの給与所得控除 諸君、「サラリーマンには必要経費がないからなあ。」と嘆いているのではないかナ。しかし、サラリーマンにも必要経費などに相当する給与所得控除というものがあって、年収に応じて計算して」とあって、まあ数字が出ています。そして、「サラリーマン諸君、決して嘆くには及びませんゾ。」と書いてあるんですね。嘆くには及ばないどころか怒っています。 そこで伺いたいんですけれども、「サラリーマンにも必要経費などに相当する給与所得控除というものがあって、」この「など」というのはどういう意味でしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) 御質問は給与所得控除の性格論だと思いますけれども、これは毎度申し上げておりますように、いわゆる給与所得者の収入に伴う必要経費の概算控除という性格がある。そのほかに、要するに給与所得者、これは勤労性の所得でございますから、その他の所得との担税力の観点からその調整を図るという意味でございまして、具体的には、例えば給与所得者は源泉徹収を受けているという問題もございましょうし、体一つで働く所得でございますので、一般の、特に財産性の所得等に比べますと、その担税力の減殺要因を加味しなければならない、そういうことで定められておる。「など」というのは、ただいま私が申し上げたようなことに当たるかと思います。
○青木茂君 そういたしますと、給与所得控除の内容ですね、内容は必ずしもサラリーマンの必要経費のみではない、こういうことになると思います。その場合、当局といたしましてはその中で、その給与所得控除の中でサラリーマンの必要経費に相当する部分が一体どれぐらいあるんだろうかということについて何か目安というようなものをお持ちでございましょうか。
○政府委員(梅澤節男君) 税制の中には給与所得控除のほかにいろいろな控除の制度もございますけれども、これは通説といたしまして、その控除の額を具体的に算定する正確な基準はない、つまりそれは税体系の中で、控除体系全体の中でおのずからバランスで決められていく問題であるということをまず前提にさせていただきまして、ただ何を給与所得者の必要経費と見るかというのはいろいろさまざまな議論がございます。ただ、私どもは毎国会提出させていただいておるわけでございますけれども、家計調査の中から、例えば背広とかネクタイとかワイシャツとか靴とか、そういう身回り品のほかに、散髪代とか小遣いとか、そういったものを洗い出しまして御参考に供しておるわけでございますけれども、年収の大体一〇%ぐらいのものがそういったものとして拾い上げられる。ただし、私どもはそれがサラリーマンの必要経費であるとは申し上げてないわけでございますけれども、御検討の一つの指標としてそういうものを提出申し上げているわけでございます。
○青木茂君 そういたしますと、給与所得控除は必ずしもサラリーマンの必要経費のみを示していない、しかしながら、その中で一体どれぐらいかということをあえて試算をすると一〇%内外ではないか、こういう御見解だと思います。 そういたしますと、この二つの御見解ですね、これを担保に一つとらしていただきまして、総括質問のときに果たしてそれが正しいかどうか続けさしていただきたいと思うわけでございます。 そこで今度は大蔵大臣にお伺いを申し上げたいんですけれども、総理が公平、公正、簡素、選択ですか、その四つ、活力というのがにわかに出てきたんですけれども、そういうふうに総理がおっしゃっていた。その中で仮にサラリーマンの必要経費をいわゆる概算控除と実額控除の二つの選択制にした場合、これも一つの選択だし、それから公平という観点においてサラリーマン層が一番不満に思っているのはこの必要経費というものが極めてあいまいであるということだと思うわけなんですね。だから職業的平等、そういう意味におきましてもサラリーマンの必要経費というものを大蔵大臣としてはどういうふうにお考えいただいているかということ、これは単に中曽根内閣の大蔵大臣の竹下さんという意味をもうちょっと越えていただきまして、もう一つ仮に上に行くことがあるとするならば、竹下財政ビジョンですね、税制ビジョンという意味で、このサラリーマンの税制問題についてどういう御見解を、特に必要経費の問題についてどういう御見解をお持ちになるか、竹下財政ビジョン、税制ビジョンをひとつここでお聞かせをいただきたいと存じます。
○国務大臣(竹下登君) 私には竹下税制ビジョンというものを今とりたてて言うほどのものはございません。むしろ国民の方が私より賢いから、国民の意見を聞いてその中でコンセンサスをどこに求めるかというのが、これだけ近代化した国家ではその方が手法として正しいんじゃないかな、こんな感じがしております。それだけに青木博士の本院における議論等は私にとって大変ありがたい 議論であると思っておりますが、私なりに承知しておりますのは、確かにサラリーマンの皆様方がいわば公平、公正の確保から不公正感を感じていらっしゃるといたしますならば、いわゆる一つには源泉徴収によって節税の余地がないということ、そしていま一つはやっぱり必要経費問題が観念的に存在するだろう。ただ必要経費というのは五十八年の答申等にもきちんと出ておりますように、いわゆるこれを的確に区分することは困難であるということを御理解いただくならば、現在の税制の方が一番いいんではないか、妥当ではないか。 さらに、選択という意味につきましては、私は思いますのは、総理の言っている選択とは最終的には国民が選択するというのであって、いずれかを選択するという意味で申し上げておるわけではございません。がしかし、確かに選択分離課税というのがあるわけでございますから、選択の制度そのものを私は否定するものではございませんけれども、この選択ということになった場合のそれこそ基準というのは大変ではないか。それは平素青木さんとこの議論をしながら、いささか気楽に話していただくならば、青木さんがサラリーマンのいわゆる経費についての教科書でもお出しになれば、それは議論の対象にはなりますが、本当に、私は税調の議論を聞いておりますと、これは基準をつくるというのは難しいなという感じは私もひしひしと持っております。
○青木茂君 教科書と言うほど大げさなものではございませんけれども、今度の総括質問のときには私なりのサラリーマンの必要経費の計算表式は出させていただきたいというふうに思っております。 それから、今大蔵大臣に伺いまして、やはりビジョンというほど大それたものはないというお答えでは少し物足りないんで、もちろん国民と相談をなさるということは大変デモクラシーのもとで結構だと思いますよ。思いますけれども、国民との相談が政府税制調査会との相談で事終われりということでは、本当の意味の国民との私は対話にはならないと思うわけなんです。だから、そういう意味におきまして、国民と相談するということは、どういうそれじゃ手法、方法において国民と相談なさるのかということをちょっと念を押して聞いておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) やっぱり、国民と問答するというのは、私は第一義的には国会における問答が一番ティピカルなものではないかなと思っております。その問答を正確に、例えば教科書という表現は適切でなかったかもしれませんが、そういう議論を正確に税調の中へ持ち込むこと、そこで税調の議論というものがまたなされ、そして選択は、最終的には国民の合意が那辺にあるかを見定めたら、法律として出す場合は、これは政府の責任で出さなければいかぬと、それをいかに扱うかというのはまた国民の代表たる国会の場と、こういう論理になるのじゃないかなと、こういうふうに思っております。その他いろんな税制座談会を開いたり、財務局でお集まりいただいたり、そういう機会もございますが、第一義的には国会の論議というものではなかろうかというふうに私は認識をいたしております。
○青木茂君 税制の改正というような非常に大きな、しかもシャウプ以来というようなことの中で、サラリーマン税制問題というものをお取り上げになるということを国民に相談するということになれば、最もはっきりした相談のやり方というものは私は選挙だと思いますけれども、そう考えるのは短絡ですか、飛躍ですか。
○国務大臣(竹下登君) まあ、短絡と飛躍が半分ぐらいあるのかなという感じがしますのは、税というものが私は元来選挙のテーマという、ワン・オブ・ゼムにはなったとしても、ザ・ビゲスト・テーマと言うには、やっぱり参議院の通常選挙ならいわば実績評価という意味もございましょうし、必ずしも私は適切ではないというふうな、私なりの、これは政治家竹下登としてそんな感じを持っておりましたが、まあ半分ぐらいというのはちょっと適当でございませんから、表現は取り消させていただきます。
○青木茂君 戦後しかし三十年ないし四十年続いてきたこの税制、特にシャウプ税制の改悪、そういうものを考えていくとすれば、それをここで見直すということになれば、私はビゲスト・テーマだと思うんですけれども、まあここら辺のところの見解はどうしても違うわけなんですね。ただ、例えばアメリカの下院議員の、予算委員長か歳入委員長をやっていたアルマンさんですか、あの人が消費税を導入しろ、導入しろと主張したために選挙で落っこっちゃいましたわな。だから、どうも政治家の頭の中に、税の問題をいじるとこれは選挙に落っこちるぞというような変な恐怖がありまして、そこら辺のところがぴしっといかないと。私は、とにかく脱税の摘発と歳出カットと資産課税で減税をやりながら財政再建することは十分可能だと、そんな間接税間接税言うのはまだ早いというふうに思っております。 それにつきまして、最後に大蔵大臣の御見解を伺いまして、それを担保にして、第三の担保にして私は総括質問に臨みたいというふうに考えております。
○国務大臣(竹下登君) これは税調の答申に、根本的な検討を始めなさい、それは直接税、間接税によらずと、こう書いてありますが、現実、その後の論議というのは、間接税偏重論議がずっと、これは国会の論議というのみでなく続いてきておりますが、あくまでもいわゆる戦後税制のゆがみ、ひずみ、これは当然また総括のときに議論があるでしょう、そういうことに対しての見直しでありますので、間接税によって増収を図ろうとか、あるいはそういう形のものであってはならぬと、今度税調で御審議いただくテーマとしては、そういうふうに考えております。
○青木茂君 これ以上質問しますとまたしかられますから、これで終わります。
○委員長(長田裕二君) 以上で青木君の質疑は終了いたしました。 ─────────────
○委員長(長田裕二君) 次に、田英夫君の質疑を行います。田君。
○田英夫君 日米経済摩擦の問題でありますが、私も今月初めに日米議員連盟という形でワシントンを訪ねまして、ここにおいでの鳩山委員も御一緒でありましたが、この超党派の議員団で行きましても、ブッシュ副大統領、ブロック通商代表といった政府側、あるいは上下両院の議員の人たち多数と議論をしたんでありますが、全く怒濤のごとくといいましょうか、強烈な対日批判にさらされまして実は驚いたんでありますが、東京で考えているのとは全く空気が違う。これは政府の当事者の皆さんはもうお感じでありましょうが、たまたま対外経済問題諮問委員会の座長の大来さんが開戦前夜のようだと表現をされたのは、あながちオーバーではないというふうに私も思いました。 そこで、中曽根総理がおいでならば直接伺うところでありますが、四月のOECDあるいは五月のボン・サミット、六月のASEA Nとの閣僚会議ということを控えて、対外経済問題の対策を早急につくり上げるというふうに指示されたということを伺っておりますが、対外経済問題の担当の責任者として、河本さん、どういう段取りで、これをどういう方向でおまとめになるおつもりなのか、まず伺っておきたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 来月には、中旬にOECDの閣僚理事会がございますし、五月初旬にはサミットもございます。その席では、当然貿易摩擦問題あるいは新ラウンド、こういう問題が非常に大きなテーマになろうか、こう思いますので、その日程に合わせまして最終の方向を打ち出したい、こういうことで目下作業を進めております。 今、大来さんのお話が出ましたが、私も、今週初め大来さんがニューヨークとワシントンで先方の意見を聞かれまして、大変厳しいということを詳しく承知をいたしております。また、今週は、御承知のようにアメリカからウォリス国務省の事務次官以下数名の方々が来られまして、連日のごとく会議を開いております。作業は大変熱心に進 んでおりますので、先ほど申し上げましたようなスケジュールに間に合わせたい、こういうことで今進めております。
○田英夫君 そこで、新春早々総理がロサンゼルスで大統領と会談をされて、その結果で通信機器を初め四つの分野で話し合いをしようという一つの合意ができた。それに従って、今河本さんおっしゃったとおり、日米政府間の高級事務レベルの折衝が行われているわけですけれども、私はこのやり方でよかったのかなということでいささか疑問を感ずるんですね。こういう具体的な分野を四つ決めて、ターゲットが絞られたという感じがしまして、アメリカの方はそこへ向かって強烈に攻めてくるといいましょうか、そういう状況に今さらされているのではないか。この点、私はいささか疑問を持ちますが、河本さん、いかがでしょう。
○国務大臣(河本敏夫君) 四つの分野に絞りまして、次官クラスがそれぞれ責任者になりまして今作業を進めておりますが、もう既にこれはスタートしたことでございますから、そのやり方については意見は申し上げません。ただ御承知のように、貿易問題というのは市場の開放だけで問題が解決するものではございません。やはり最大の問題はそれぞれの国の通貨問題、例えば日本とアメリカであればドルと円の関係、これが非常に大きな問題だと思います。したがって、アメリカ大統領の教書などを見ましても、貿易赤字の責任はアメリカにあるということは大統領は認めておるわけです。それから、向こうから来ております次官クラスの方々も、一月にはアメリカ側に通貨問題その他で七割の責任があると、そういうことを言われておるのですが、一月の為替と現在の為替は相当違いますから、責任問題から言えばもっともっとあると、私はこう思っております。ただしかし、それは理屈でございまして、金額が余り大きな赤字になりますと理屈抜きにいろんな議論が出てまいりますので、その点も考慮しなければならぬと思いますけれども、市場の開放とあわせまして、やはり機会あるごとにこの通貨問題、為替の問題を強く私どもも主張をしております。 ところが、最近になりましてアメリカ側は、どうも日本などの景気の回復がアメリカよりもはるかにおくれておるからそこに問題があるんだと、だからもっと内需の拡大をやれというようなことを厳しく言うようになりまして、先般は大来さんにボルカー議長などは大変厳しい話をしたようでございます。そういうことを受けまして、四つの分野での市場の開放を事務的には進めなければなりませんが、同時にやはり今申し上げました我が国の内需の問題、それから通貨の問題、市場開放の問題、この三つの分野を並行していろいろ最終的には議論しなければいかぬ、こう思っております。
○田英夫君 私も全くおっしゃるとおりだと思いますので、もっとグローバルな全体の視野の中で日米間の話し合いをすべきじゃないか、それにしてはその場がどうもないのじゃないか。同時に、日本の対応ということでも、せっかく対外経済問題諮問委員会があって、大来さんを中心にやっておられるのですが、河本さんの方からは、四つの分野についてはここに諮問をされておらないということで、緊急の対応ということからするとこれは何か分離されて、それぞれ四つの分野で事務当局で折衝しているというような、その辺に非常に疑問を感じます。 時間がありませんので、郵政大臣がおいでになりますが、そのうちの一つの、一番先に皮切りになってやっておられるわけですが、小山次官も向こうへ行かれていろいろ苦労されたこともよく向こうでも聞きましたが、なかなかうまく進まないと。時間がありませんので、現在の状況の印象だけ一言お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(左藤恵君) 今お話のようなことで、年頭の首脳会談を受けまして、日米次官級の協議というものが続けられておりまして、昨日も外務省で電気通信分野のセクター別の会合が行われたわけでありますけれども、一応私が伺っております、報告を聞いております問題につきましては、アメリカ側からは未解決事項は九項目残されているけれども、ぜひ解決を図られたいということで強い線を持ってきて、それにつきまして優先度はどれがどうだというふうなことの差はなくて、全体として解決してほしい、こういうようなことで、強い折衝の態度を持ってきております。これに対しまして、郵政省として案をまとめまして、明日見解を申し述べたいと、こう思っておりますが、今お話のございましたように、この問題につきましてはなかなか完全な理解を得るということは非常に難しいので、とにかくやれるだけやってみて、努力をしてみたい、そういうふうな感じを持っているということを御報告申し上げたいと思います。
○田英夫君 実はブロック通商代表と会いましたときにも、この通信機器のことを具体的に取り上げまして、非常に不満を述べていたわけでありますが、私は、アメリカの方にも極めて、何と言いましょうか、反省してもらわなければいけない問題もたくさんありますし、相当勝手な言い分もあると思います。例えばある議員などは、特に議会の方の発言にそれが多いんでありますが、日本はオーストラリアや中国から石炭を買うぐらいなら、少し高くてもアメリカから買いなさいとか、それで我々の方からアラスカの石油を日本に売ったらどうかと言いますと、それはだめなんだと、こういうようなやりとりもありまして、詳しいことは申し上げませんけれども、アメリカ側にも大いに問題があることは事実であります。 そこで、日本の方の問題を振り返ってみますと、今郵政大臣がおっしゃったとおり、非常に小山次官以下苦労して話をされても、向こうにはどうも誤解があるのじゃないかという印象を私は受けました。つまり、日本の官僚、お役所の皆さんの通常の感覚で、例えば日本の国内でいわゆる行政指導というような形でいろいろおやりになる、そういうようなことをアメリカ側から見ると、それが何か貿易をいわゆる非関税障壁的な働きをしているのじゃないかという、そういうところに誤解が積み重なっていって今日のような状況を生んでしまったんじゃないか。 そこで、一つ具体的な問題で通産大臣に伺いたいんですけれども、ライオンズ石油というのが昨年の十二月にシンガポールから三千キロリットルの精製されたいわゆるガソリンを輸入しようとした。これを通産大臣は勧告という形でおとめになりましたね。この理由といいましょうか、どうしてそういう勧告を出されたのか伺っておきたいと思います。
○国務大臣(村田敬次郎君) ライオンズ石油のストップの問題をお聞きいただいたわけでございますが、実は石油業法に基づきまして消費地精製方式というのがあるわけです。そして、原則としては原油を輸入をして、それを国内で精製をする。そのときにガソリン、ナフサ、灯油、軽油、重油というようないわゆる連産品が出てまいるわけでございまして、それを連産品で処理をしていくという建前でございます。ところが、こういった一発物の輸入というのは、そういった消費地精製方式、それから連産品主義というようなものに非常に大きなショックを与えるということで、私の方では石油審議会に諮問をいたしまして、その上で、その答申を得て通産大臣の勧告を行った。そして、同社の輸入計画の中止を求め、円満に勧告を受諾していただいて、ガソリンの輸入を中止するという旨の連絡があったと、こういう非常に民主的な手続に基づいた方法で御了解を得たと、こういうふうに考えております。
○田英夫君 ところが、これがアメリカ側から見ますと、事実私ども向こうへ行きましたときに話題になりました。非常に具体的に出てきましたのは、ニューヨークで商工会議所の皆さん、つまり日本の企業のトップの皆さんと懇談をする機会がありましたときに、ぽっとライオンズ石油という名前が出てきまして、私は発言された方に後でちょっと確かめてみたわけです。こういう政府の対応がアメリカ側から見ると貿易の一つの障壁の働きをしていると見られているんだと。日本のお役 所の感覚からすれば、また法律の裏づけもあることであって、当然のことかもしらぬけれども、それは非常に困る。現に、今消費地精製方式ということを言われましたけれども、これとても実は中東の産油国自身の中で精製をやっていくという方向に今急速に進みつつある。その延長線上ではやがて原油を買う場合に、需給の状況にもよりましょうけれども、そうした現地で精製したものを抱き合わせで買わなければ原油を売らないぞというような商売も始まってくるかもしれない。消費地精製方式自身も実は永久的なものではないということさえ言えるわけであります。その一方で、アメリカではそんな誤解をされるようなこういう政策というものはこの際再検討する必要があるのじゃないか。具体的にはそのことですが、もっと広く言えば、これはもう河本さん中心におやりいただきたいことですが、日本の官庁で、特に通産とか農林とかいうところが多いでしょうけれども、日本の常識としてやっている行政指導的なそうした対応が、外国から見ると非関税障壁に映る、こういうものがかなり多いのではないか。こうしたことを政府部内で総点検をされるというようなことも私はこの際必要じゃないだろうか、こういう気がいたしますが、最後に河本さんからお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 確かにそういう傾向がございますが、行政指導といいましても法的な根拠なしにやっておるわけじゃありませんので、問題は、戦後四十年の間大変たくさんの経済上の公的規制がたまりたまって今五けたになっておる、こういうところに問題があると思うのです。それで、行革審が中心になりまして、経済上の公的規制はもう全廃するというそういう意気込みで今取り組んで作業しておられますから、私どもの特命事項担当室でもそういう方向で今取り組んでおります。できるだけ早くそういう方向を打ち出しましてこの問題をやはり解決しませんと、経済にも力が出てまいりませんし、内需の拡大にもならない、また貿易障害にもなる、このように理解をしております。
○田英夫君 終わります。
○委員長(長田裕二君) 以上で田君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして、財政・経済に関する集中審議の質疑は終了いたしました。 明日は午前十時に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時十三分散会