予算委員会 第5号
- 発言数
- 442 件
- 登壇者
- 29 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1985/03/12
会議録
○委員長(長田裕二君) 予算委員会を開会いたします。 昭和六十年度一般会計予算、昭和六十年度特別会計予算、昭和六十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 それでは、これより総括質疑を行います。桑名義治君。
○桑名義治君 冒頭に御質問申し上げたいことは、通告外でございますけれども、昨日、突如といたしましてソ連のチェルネンコ書記長の死亡が報道されたわけでございます。私もこの場をかりて深く哀悼の意を表したいと思います。 そこで、ソ連のチェルネンコ書記長の死亡に当たりまして今後の対ソ政策に変更が生ずるかどうか、あるいはまたソ連の対日政策に変更があるかどうか、その点についての総理の御所見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) ソ連のチェルネンコ書記長の急逝に対しましては、日本政府、日本国民を代表して心から哀悼の意を表しておるところでございます。 チェルネンコ書記長は御在任が短うございましたけれども、非常に弾力的な現実主義的な平和主義者であると私たちは考えておりました。そして、レーガン大統領との間にことしの一月、核軍縮を中心にする軍縮討議が開始されまして、三月十二日にはいよいよその第二回の具体的交渉が始まろうとするやさきの御長逝でありまして非常に残念至極であります。しかし、ソ連の指導部におかれては、この書記長の遺志を引き継がれて、このジュネーブ会議を円滑に実りある会議として有終の美を飾っていただくように心から念願しておるものでございます。 ソ連の内部につきましてはわかりませんが、五十歳代の若い新しい指導者が現出いたしまして多少国内の空気も変わってくるのではないかと想像されます。しかしソ連は個人の力で動くよりもむしろ組織の力で動いておる国でございます。特に新しい政権が出た当座は従来の組織の力の延長線上で動くという傾向が見られるところから見まして、私は当分の間はソ連の政策に大きな変更はないし、対日政策も変更はないであろうと、そう確信しております。しかし、当方といたしましては今までの既定の政策に基づいて粘り強く対話を続け、そしてその領域を広げまして友好を強化するという政策を追求してまいりたいと思っておる次第であります。
○桑名義治君 そこで、総理みずからが葬儀に参列をされるというようにけさ報道されておるわけでございますが、けさの閣議でどういうふうに決定なさったのか。あるいはまた、前回外務大臣であったが、総理の対ソ積極政策を展開してきたことからも総理みずからが葬儀に参列をされまして、グロムイコ外相の訪日要請等をすべきではないかと、こういうふうに考えるわけでございますが、この点はどういうふうにお考えでございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) ソ連は日本の隣国の大国でございまして、経済問題そのほかいろいろな問題について日本と関連のある重要な国の一つでございます。そういう意味において、隣国の元首が急逝されましたということについては、やはり国民を代表してソ連国民及び指導部に対して哀悼の意を表するということは人間の礼儀でもあり、国家間の礼儀でもあると思いますから、でき得べくんば私及び外務大臣が直接モスコーに行って哀悼の意を表し、葬儀に参加したいと念願しておったところでございますが、今、国会で、参議院段階におきまして予算審議という重要な時期でございますので、参議院の、特に予算委員会の皆様方の御了承を得なければそれはできないと思っております。したがいまして、自民党筋の皆様方に参議院の皆様方の御感触をよく尋ねて、そしてもし御了承を得られれば私及び外務大臣は今夕でも出発したいと、そういうことでお願いを申し上げまして、参議院の各党の皆様方の御了承を得べく努力してきたところでございます。
○桑名義治君 先ほどちょっと御答弁ございましたが、今回のチェルネンコ書記長の死亡によりまして、米ソの新軍縮交渉が行われている現今、軍縮会議への影響が多少懸念されるわけでございますが、新聞紙上によりますと、この軍縮会議はそのまま継続をするというような報道がなされております。しかしながら、この交渉の段階で多少影響があるのではなかろうかと、こう懸念するわけですが、その点についての総理の御所見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は当面何らの影響はないと思っております。それは先ほど申し上げましたようにソ連は組織の力で動いておる国家だと考えております。そういう意味と、それから新しい指導部が形成されましてもそれが独自の性格を発揮するには時間がかかると思います。したがって、当分の間は今までの延長線上ですべては動いていくであろうと、そういうように考えておりますから、三月十二日にジュネーブで行おうとしたことは今までの延長線上においてすべて処理されていくであろうと、そのように考えておりますので変化はないと、また変化がないように期待していると考えておるものであります。
○桑名義治君 次に、防衛費の一%枠の問題につ いて伺っておきたいと思いますが、GNPの一%枠問題につきましては、過日、自民党の金丸幹事長の野党の約束は守るために最善を尽くすということに関して中曽根総理の考えもそのとおりであるか、伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 過般、与野党の書記長、幹事長間で交されました合意につきましては、政府はそれぞれの手続を経た結果につきましては尊重していきたいと思っております。一%問題につきましても、金丸幹事長の発言というものについては尊重してまいりたいと思います。
○桑名義治君 再度お尋ねしますが、総理自身も守るために最善を尽くす、こういう御決意であられるということを確認してよろしゅうございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は衆議院段階においては守りたいという願望を表明してまいりました。その態度で一貫してまいりたいと思います。
○桑名義治君 与党の幹事長が職を賭して約束をと公言した重みをどういうふうに認識されておられますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 幹事長は予算を速やかに成立させる、そして与野党の協調をうまく達成していく、そういう考えに立ちまして、幹事長の所見に基づいてあのような発言をしたものと考えております。その立場は尊重いたしたい、そう考えて申し上げたとおりであります。
○桑名義治君 そうしますと、金丸幹事長の発言のとおり、守るために最善を尽くすという事柄は、そういうお気持ちは総理はお持ちにならないわけですね。ただ願望だけですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 衆議院段階におきます発言の延長線上で参議院でもお答えしておるのです。衆議院段階におきましては各党からさまざまないろいろな御質問がございまして、その集約として今申し上げたようなことも申し上げておるのでありますので、そういう考えで申し上げたいと思っておるのであります。
○桑名義治君 守りたいという願望と、それから最善を尽くすという、この言葉の差というものは非常に大きな重みがあると思うんですが、格差があると思うんですが、その点は総理はどういうふうにお考えになられますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は政府の中におりまして行政のトップにある人間であります。幹事長は党の職務を執行しておる当面の責任者でございます。政府と党と立場はやっぱり若干違うと思っております。そういうような観点も私の頭の中にありまして、そうして内閣総理大臣としての立場としては今申し上げたような考えにある、そう申し上げる次第であります。
○桑名義治君 そこで、我が国政府もGNPのいわゆる一%枠については日本の平和路線を守る上の非常に重要な歯どめとして五十一年から閣議決定を堅持してきたわけでございますが、このような重大課題を金丸氏個人が約束したということに認識するにはこれは余りにもどうか、いかがかと、こう思います。そこで、官房長官、大蔵大臣と協議した上での回答ではないかと、こういうふうに思うわけでございますが、この点はどうでしょうか。官房長官、大蔵大臣のお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(藤波孝生君) 野党各党から予算案に対する修正要求が出まして、これに対してどのように対応するかと、与野党の幹事長、書記長会談が行われることになったわけでございます。一連のその対応ぶりにつきまして幹事長から政府に対していろいろお話がございまして、それを承らせていただいたところでございますが、与党の幹事長としての責任におきまして書記長とのいろいろな話に臨む、こういうことで、中身については十分政府に御連絡もいただいたところでございます。
○国務大臣(竹下登君) 官房長官から申し上げたとおりでありまして、与野党の調整過程におきまして幹事長からこの旨をしかと承ったわけであります。
○桑名義治君 そこで、御相談があって、その後に幹事長の発言があったわけでございますが、この幹事長の御発言について、個人的にもあるいは政治的にも大変につながりの深い大蔵大臣はこの発言に対してどのようにお考えでございますか。
○国務大臣(竹下登君) これは与党の幹事長の発言でございますから、我々としてはやっぱり重々しくこれを受けとめて最大限尊重すべきである、そういう認識を持っております。
○桑名義治君 藤波官房長官にお尋ねしたいわけですが、衆議院の予算第一分科会で、政府と党の考え方が常に一体ということはない、幹事長の約束は必ずしも拘束されない、こういうふうに発言をなさっているが、この御真意はどういうことですか。
○国務大臣(藤波孝生君) 一連の幹事長の御発言に対してはこれを承知しており、政府としてはこれを尊重してまいりたい、まずこのように申し上げたところでございます。防衛費につきましては、総理が国会におきまして防衛費一%問題について発言をしてまいられました中で、特にこれからも一%を守っていきたい、こういうふうに発言をされたところを特に力点を置いて幹事長は強調されたものと受けとめておりまして、幹事長の発言を重々しく受けとめて尊重してまいりたい、このように申し上げたところでございます。 再三にわたりまして政府と党とは常に一体か、こういう御質疑が何回も何回もございました。そこで、政府と党とは一体であるという気持ちで進んでおりますけれども、常に一体であるとは限らない場合もございます。それは自民党で党議決定をしておるけれども、同じ政策が政府の方で決まっていないというような場合もありますし、あるいは党の方で一つの方向が決定をしておりましても、政府の方でそれを少し形を変えて決定をするというような場合もありますし、したがいまして、常に一体で動いているということでは必ずしもありません。ですから、常に一体だというふうに受けとめていただくと、少しいかがかというふうに思わなければならぬ部分もございます。しかし、今般の金丸幹事長の御発言に対しましては、これを尊重して進んでまいりたいと考えております、こういうふうに申し上げまして、一般論として政府と与野との関係について御質疑にお答えをしたところでございます。 繰り返すようでございますけれども、与党の幹事長の発言を重々しく受けとめてこれを尊重してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○桑名義治君 そこで、防衛庁長官にお聞きをしたいわけでございますが、長官はこの内閣総理大臣の意思を受けて、それに沿う行動をとるのかどうか、この点についてお伺いをしておきたいと思います。
○国務大臣(加藤紘一君) 総理大臣がお答えになったとおり私たちも考えております。
○桑名義治君 そうしますと、六十年度予算は補正も含めてGNPの一%を超えることはあり得ない、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
○国務大臣(加藤紘一君) 六十年度の当初予算では一%の枠は守ったわけでございます。今後のことにつきましては守ってまいりたいと思っております。
○桑名義治君 そうしますと、防衛庁長官もいわゆる補正の段階におきましても一%枠はもう最大努力をして守る、守りたい、こういうふうに重大なる決意をなさっているわけですね。こう確認してよろしゅうございますか。
○国務大臣(加藤紘一君) 衆議院段階で政府側、総理を初め累次申し上げましたように、今後のことにつきましては、御承知のように、GNP見通し、それから人事院勧告がどうなるのか、それからその勧告を受けて政府がどう取り扱うか、GNPの一%問題は分母と分子双方があるわけですけれども、双方につきまして不確定な要因が幾つかございます。したがって、今は明確なことを申し上げられる段階ではございませんが、いずれにいたしましても守っていきたいと、こんなふうに考 えております。
○桑名義治君 それじゃおかしいじゃないですか。今の御発言はGNPの動向によっては一%枠を外れることがあり得るという発言と同じですよ、それは。どうなんですか、その点は。
○国務大臣(加藤紘一君) GNP一%枠の問題は、御承知のように、分母と分子で決まってまいります。それで、累次御答弁申し上げておりますように、GNPの動向が、昨年度の場合もそうでございましたけれども、途中で実績が変わってまいったりする場合もございます。そういうわけで、分母、分子とも不確定な要素を含んでおりますので、現在のところ明確なことは申し上げられない。しかし、いずれにしましても一%の枠は守れるようにしてまいりたい、こんなふうに思っております。
○桑名義治君 前の答弁と同じことをおっしゃっているじゃないですか。私はそんなこと言っていませんよ。GNPが動くから補正の段階を含めてというふうにお互いに国会の決議でなっているわけじゃございませんか。閣議決定がなっているのじゃないんですか。いわゆるGNPが確定したものではないから補正の段階を含めてGNPの枠におさめる、こうなっているんでしょう。だったら、そういうふうな最大の努力をすべきじゃないですか。だから、現段階の試算では〇・九九七、これはもう完全に人勧の動向によってはオーバーしそうなんです。だから、その中で抑え込むという努力、これが必要になってくるわけですよ。これが初めて努力というものじゃございませんか。そのことを私はお聞きしているんですよ。
○国務大臣(加藤紘一君) 繰り返しになりまして非常に失礼ではございますけれども、GNPの動向も不確定でございますし、最大の問題はやはり人事院勧告がどうなるか、それは経済の動向や人事院の勧告を見ないとはっきりいたさないわけでございます。したがって、今その補正の問題も含めて明確なことを申せと言われましても、なかなか私たちの手に余るところがございます。
○桑名義治君 確かにGNPは動きますよ。だけれども、動いた段階でも一%を守るというのが閣議決定ではございませんかと、こうお聞きしているわけですよ。だから、その中の努力が必要じゃございませんか。今行革行革といって総理が先頭切って行革に取り組んでいるわけですよ。そのいわゆる行革の中で、防衛行革というのをなさったことがございますか。検討されたことがございますか。どうですか。
○国務大臣(加藤紘一君) もちろん私たちも防衛費の分野が聖域であるというふうには思っておりません。行政改革の面から聖域であるとは思っておりません。したがいまして、現在私たちが提出しております政府原案のそれぞれの予算は現在の段階で絶対必要なものであり、それぞれしっかりとした根拠がある、こう思っておりますけれども、執行の段階では昨年の予算でもいろいろな国際的な要因で不用額が出たり、それなりの節約はいたしたことは事実でございます。しかし将来この問題とGNP一%の問題がどうなるかにつきましては、それぞれ今の段階で明確なことを申し上げられることではございません。したがって、今後の動向につきましては経済とかベアとかそれぞれ見ながら考えて、そしてできるだけ守っていきたい、こんなふうに思っております。
○桑名義治君 いずれにしましても守りたいという総理のお言葉、それを受けて、防衛庁長官はそれに向かって最大の今度は努力をしていく、全力を尽くす、これがやっぱり指揮官の指揮に従う姿勢ではないかと思うんですが、どうでしょうか。
○国務大臣(加藤紘一君) できるだけ守ってまいりたい、こう思っております。ただ、その際に今から不用額がどうなるか、それからどのような予算の節減になるかというようなことは私たち申し上げられませんし、昨年並みの努力はいたしますけれども、現在私たちが提出しております予算は、それなりにむだなものはないと確信を持って出しております。そういう前提での答弁とお聞きいただければありがたいと思っております。
○桑名義治君 そうなってまいりますと、当初予算で組んだ防衛予算というものが一%枠というものを完全に無視してつくったと、こういうふうに言われてもやむを得ないと私は思うんですよ。自衛隊法の七条では総理大臣は最高の指揮監督権を有する、こういうふうにあるわけです。その最高指揮官が国権の最高機関の公式の場において、したいと思う、守りたいと思う、この言明は自衛隊にとっては最高の服従すべき指針である、こういうふうに私は思うわけでございますが、あなたもこの総理の言葉をまねてしたいと思うと。これじゃ指揮官の指揮に従う防衛庁長官としてはこれはおかしいのではないかと、こういうふうに思うわけでございますが、もう一度この点について御意見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(加藤紘一君) 委員御指摘のとおり、総理大臣は我が自衛隊の最高指揮官でございます。したがいまして、総理大臣が申したこと、それの総理大臣のおっしゃられたことの趣旨は当然防衛庁長官も防衛庁も全員守ってまいります。私たちの考えておりますことと、総理が御答弁されたこととは差異がないと確信いたしております。
○桑名義治君 いずれにしましても、これは私たちにとりましては満足な御答弁ではございませんが、守りたいというこの総理の御発言、これを強く受けとめて見守っていきたい、こういうふうに思う次第でございます。 次の問題といたしまして、米国の戦略防衛構想、すなわちSDIにつきまして日米首脳会談におきまして、年頭でございますが、中曽根総理はレーガン大統領の戦略防衛構想に理解を示したと、こう伺っておりますが、この御真意を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) ロサンゼルス会談におきましてレーガン大統領からいわゆるSDI戦略防衛構想について説明がございました。その趣旨は、これは防御兵器である、それから非核兵器である、それから核兵器の廃絶を目標としているものでありますと、そういう趣旨の説明がありました。私は、防御兵器であり非核兵器であり、かつ我々が念願している核兵器の絶滅を目標としている、そしてソ連に対しても十分よく話し合っていくという話でありましたから、その趣旨はよく理解できましたから、それは理解できると、そういうふうに申し上げたのです。しかし、これは長期間を要する研究でありまして、そしてどういうふうに展開していくかということは今のところまだ必ずしも十分予測できないところでありますから、随時情報を供給してくれることと、それから協議をしてほしいと、そういうふうに申し入れて了承されたものなのでございます。
○桑名義治君 これも、この問題は今総理の御答弁にもございました。長期にわたる構想であるので今後どういう推移なのか、あるいはソ連との対応がどうなのかという意味の御発言があったわけでございますが、総理にここでお尋ねしておきたいことは、いわゆる核兵器のもたらす危険を科学あるいは技術で封じ込めることができるというふうにお考えになっているのかどうか、この点についての御見解を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) これはどういうふうにこれから発展していくかということにかかっておるので、今から予断はできません。 ここで一つ参考になるのは、軍縮大使のニッツェ氏が二月二十日に講演しておるわけです。彼は、SDIは「短期的には、米国として、ABM条約の下で許されているSDIの研究を推進するが、ソ連もかねてより行っている同様の研究を続けることとなろう。防御システムの導入を通じてのより安定した関係への移行につきソ連と話し合って行く。」と、つまり研究している過程においてもソ連と話し合っていくと。防御システムの導入を通じてのより安定した関係への移行についても、つまり今ICBMでにらみ合っておる。それが今度は非核の防御兵器の体系に兵器体系が切りかわっていく。そうすると、このICBMはどうなるのか。これは廃棄していくだろう、しかしその過程においてもアンバランスが生じるという と危険性が出てくる、その間に誤解とか猜疑心とかアンバランスが生じないように話し合っていこうと、こういう考えを持っておると思うんです。 それから、非核防御兵器、非核防御に対する依存度を高めていくという点について、「過渡期においては、一方が他方に先制攻撃を加えることのないように慎重に配慮して行く必要があり、このためソ連との間で協調的努力を続けることが必要であり、軍備管理が決定的役割を果す」、つまり攻撃核兵器の削減、これが軍備管理という意味だそうですが、それが「決定的役割を果す。(戦略核、INFのみならず、他の核兵器の削減交渉も必要)」である、こう言っておるのでありまして、この研究の過程、その見通し等に応じてソ連とも話し合って、そしてバランスが崩れないように、偶発戦争を生まないように、猜疑心を生まないように十分情報を研究しながら現在の均衡体系から次への均衡体系へ移行する話し合いを十分していこうと、そういう配慮がこれにうかがわれるのでありまして、私もレーガン大統領と話しているときに、ああ、そういうようなことかなと。言いかえれば、両方が錯誤による不測の事態を避けるためにカードの出し合いというもの、ある意味においてはゲームですね。均衡を達成して不測なことを避けるためのそういうような交渉の過程というものを想定しているなと考えておるので、私はこれは非常に健全ないい考え方であると思っておるのであります。
○桑名義治君 今、総理は、新しいいわゆる兵器への移行の段階であって、お互いにソ連との話し合いを進めていこうと、こういう意味のお話あったわけですが、ソ連は米国がSDIを進めれば対抗処置をとる、また完璧な戦略攻撃兵器の開発に乗り出す、こういうふうに新聞紙上で言明をされておるのを読んだことがございますが、この点についてはどういうようにお考えになりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) ソ連はSDIを非常に嫌っているようであります。理由はよくわかりませんが、新しいそういう兵器体系への移行のアンバランス等も心配しているのではないかと思います。そういう意味において、SDIをやめさせようという意味においてソ連はその強硬的な態度を示している、SDIをやめさせるための一つの戦略的な発言ではないかとも考えられます。しかし、そういうふうになるかもしれません。将来のことは予測できませんが、しかし今のこのジュネーブの軍縮交渉は世界じゅうが心配しているこの問題について両方が核兵器を削減していく方向に努力すべきである、核兵器を増強していく方向に努力することは適当でないと私は思うし、世界の人もそう思っているのではないかと思うのです。
○桑名義治君 いずれにしましても、レーガン大統領のSDI構想というものはいわゆる米ソの激烈な軍拡競争の新段階を迎えたと、簡単な言葉で言えばそういうふうに表現もできるのではなかろうかと、こういうふうにも思うわけでございます。そういった意味から申しますと、総理は再三口ではいわゆる軍縮を唱えておられます。あるいはまた被爆国の総理として核廃絶へ向かっての努力を続けていく、またいっている、こういうふうに言われているわけでございますが、いわゆる核兵器の問題を考えてみましても、米ソはお互いにここまでいけば相手の攻撃を抑えることができる、一方の国がそこまで拡大をしていけば一方の国はそれに負けないようにだんだんとエスカレートしていっているというのがいわゆる今までの私は事例だと、こういうふうに思うわけでございますが、こういった事柄に、SDIのようなこの新しい言うならば新兵器でございますが、こういう構想に対する発言に対して同意を述べるということは、私はどうしても納得がいかないわけでございますが、その点はどうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 少し長期的な観点で見ますと、今までの兵器体系より、より精密な、より科学的な有効的な兵器体系が出てくれば、今までの兵器というものはこれは用はなくなってくるわけであります。そういうことで今までの兵器は進歩してきたわけです。今まで弓、やりでやったのが、鉄砲が出てきたら弓、やりというのはもう要らなくなってしまう。織田信長が長篠の決戦で武田の軍勢を破った話のようなものであります。そういうようなわけで、この新しいより精密な、より科学的な、より有効な科学的兵器が出てくると前のものはだんだん要らなくなる、そういう過程にこれがなるのかならないのか。そして、その新しいものが出てくるというものが、ICBMのような核爆発あるいは核汚染というような惨害をもたらさないようなより科学的なやり方でやり得るのかどうかという問題が非常に興味のあるいは焦点になっておるわけです。したがって、それをすべて否定するということは、やはり世界の平和や安全にとっていかがであろうか。 人類は常に新しいものに挑戦して、そしてよりよきものへ前進しつつあるわけであります。今の状態でいくと核兵器というものは業の兵器だと私申し上げており、この業の兵器からいかに人間が脱却できるかということは現世紀の課題であると今まで申し上げてきた。それは、ああいうような形の兵器である場合には攻撃力による恐怖の均衡で平和が維持されておるわけです。この攻撃力による恐怖の均衡で維持されているという場合には、相手が持ったらというので増殖していく危険性が出てきて、現にそういう情勢になってきておるわけです。この今までの旧兵器というか、現兵器体系にかわる新しいそういうものが出てくる可能性が少しでもあるならば、それがよりよきものへ移行するという可能性があるならば、私はそっちに対して理解を示すということは文明に対する我々の理解であり、文明というものを我々がよく利用する方向であると思っておるのです。したがって、一切だめだ、だめだという態度はとらない。しかし、もしそれが我々が考えているようなものでなければ、これはノーと言うべきであります。私はそういう留保をつけてきておるわけです。理解をすると言ったのはそういう意味であって、留保をつけてきておる、そういう意味で私の立場もよく御了解願いたいと思うのであります。
○桑名義治君 竹やりと鉄砲の戦国時代のお話が出てきたわけでございますが、それ以後、鉄砲という大量殺りくの武器が主眼になって人類の破滅の方向へ破滅の方向へと流れていったわけでございまして、この事例は私は余りいただけないのではないかと思います。それと同時に、一言で言うならば陸上の戦争が今や宇宙戦争に取ってかわる、そういう時代がやがて来るというようなまた一面理解もできるわけでございまして、私はそういう意味で、もうこれ以上深くは申し述べませんけれども、今までの積極的な姿勢をもう一歩変化をさして、その留保事項を大いにいわゆる活用をし、そういう方向で私はさらに検討を続けていくという姿勢を明快にしておく必要があるのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、最後にこの点についての総理の御答弁を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) この留保事項をつけているということは非常に大事なポイントでありまして、これらの事態の推移をよく冷静に見ながら価値判断をしていきたい、そして平和と軍縮の方向に前進するということ、それを守っていきたいと、そう思っております。
○桑名義治君 大蔵大臣に伺っておきたいと思います。 三日六日に衆議院の大蔵委員会におきまして竹下大蔵大臣は、五十四年十二月の国会決議を踏まえて、今後導入しないとされている一般消費税(仮称)について、当時、導入に当たって国民の理解を得られなかったためあの決議となったが、決議も読み方によっては逆に国民の理解が得られるならば今後の税制改革の過程で導入検討をやってもいいのではないかということになると、こういうふうに答弁をされたようでございますが、この御真意をまず伺っておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 私が去る六日の衆議院大蔵委員会におきまして申しましたのを正確に申し上げますと、国民の理解を得ることができなかっ た、よって財政再建の手法としてこの手法はとらない、いわゆる一般消費税(仮称)はこういう決議があるわけでございますから、あれは読み方によっては国民の理解を得られたらやってもいいじゃないかという読み方にもなりますので、したがってその辺は、社会経済情勢において税制というのは国民のニーズも変化してきますから、随分いろいろなことを考えてあの決議案はつくってちょうだいしたものだなというふうに私自身は当時印象を持っておりましたと、こういうことを出し上げたわけであります。 確かに衆参両院とも一字一句違わない決議でございまして、私、当時大蔵大臣でございましたから、その決議案をつくる過程にたびたび顔を出させていただいておって、いろいろな議論でそういうことになって、当時ひょっとそんな印象を持ったことがございましたが、後から考えてみて、たとえ当時の印象だとはいえ、有権解釈は国会で行われるべきものを行政府の私が感想を述べるのもやっぱりこれは当を得ないと思って、次の大蔵委員会でそのことを申し上げまして議事録から削除してもらいたいとお願いしましたが、それほどはっきり答弁したから削除はせぬでもいいじゃないかと、慣例上そのようでございますので、したがってそういうことととらしていただいたわけでありますが、今でも私自身、やっぱり国会に有権解釈のあるものを行政府が感想を、たとえ昭和五十四年の感想を申し述べるのも適当じゃないじゃないかというふうに思っております。 私の頭にこびりついておりましたのは、これは税制といわずあらゆる政策は国民の理解と協力が得られなければ実行に移せないのだということがしっかりと頭の中にあったものですから、したがって正確に弁明の機会を与えていただいて、いわば今申し述べましたような趣旨を述べることによって、削除をすることなく前言を否定したという形で処理をしていただいたわけであります。
○桑名義治君 削除をしたしないは別にしまして、発言を一応取り消されたということになるわけでございますが、やはりその取り消されたということは一般消費税の導入の検討もしないという意思の表明、こういうふうに受け取ってもよろしゅうございますか。
○国務大臣(竹下登君) これは総理も財政再建の手法としてこれはとらない、そしてまたそれは将来とも自分は考えていないと、こういうことをおっしゃっておりますので、そのとおりお受け取りいただいて結構でございます。
○桑名義治君 今も大蔵大臣から御答弁がございましたように、衆参両院におきまして五十四年十二月二十一日に財政再建に関する決議がなされております。この中には「一般消費税(仮称)によらず、まず行政改革による経費の節減、歳出の節減合理化、税負担公平の確保、既存税制の見直し等を抜本的に推進することにより財源の充実を」云々と、こういうふうに決議がされているわけでございます。この決議に対しましての、今さらながらと思われるかもしれませんが、総理大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国会決議は尊重してまいりたいと思っております。
○桑名義治君 そういった意味で、きょうは要するに「脱存税制の見直し等を抜本的に推進することにより」というこの項目、こういった立場から私は現税制に対するいわゆる議論を少し進めていきたい、こう思います。 そこで、中曽根総理は本会議代表質問あるいは予算委員会を通じまして税制の抜本的改正を言明されているわけでございます。その中身については必ずしも国民の前には私は明らかになっていない、こう思います。ただ、国民の認識というものは、専ら大型間接税導入の意図による増税感のみが表に出てきているような気がしてならないわけでございます。現税制のひずみを是正することによる抜本改正を考えるべきではないかと私は思います。 そこで、我が国税制の基本であるシャウプ勧告が今日の我が国の税制に果たした役割、さらに反省すべき点はどこにあるかというふうにお考えになっていらっしゃるか、総理、大蔵大臣の具体的見解を求めておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 確かに我が国の現行税制は、いわゆる高度経済成長期以後の社会経済等の顕著な構造変化に伴いまして、今日各方面から種々の問題が指摘されるに至っております。したがって、税制調査会の六十年度答申というものも「既存税制の枠内での部分的な手直しにとどまる限り、所得、資産、消費等の間で適切な税負担のバランスを図るという観点からは税体系に歪みを生じさせ、また、税制を一層複雑化させることとなる。」、だから「既存税制の部分的な手直しにとどまらず、今こそ国民各層における広範な論議を踏まえつつ、幅広い視野に立って、」「税制全般にわたる本格的な改革を検討すべき時期に来ている」、異例のことながらと、こう言って答申をちょうだいしたわけでございます。それに基づいて、国民各般の意見というのはまず国会の議論ありきということを私はいつでも申しておりますので、それらを正確に税調にお伝えして、そして議論をしていただこうという基本的考え方に立っておるわけであります。 そこで、それはやっぱりおっしゃいますとおりシャウプ税制以来の大改革と、こういうことになりますが、シャウプ税制の柱というのは、やはり私は公平と財政民主主義という観点から、所得再配分機能を基本とする所得税を日本の税体系の中において、基幹税とでも申しましょうか、そういうことに置かれておるというのは今日も私は生きておると思っておりますが、その後いろいろな社会経済の構造変化に伴って、それに対していろいろな手直しをしながら今日に来ておる、その手直しされた中からいわゆる公平化、適正化の点からやっぱりもう一度この際原点に返って見直したらどうかというような議論が展開されてきたわけであります。 したがって、それは、これも簡単に申し上げますと、一つには所得課税の所得再配分機能のあり方、二つ目には所得の捕捉の問題、それから三つ目には課税ベースの浸食の問題、それから間接税の課税ベースや税率構造、これらが指摘されてきておりますので、私どもからどのような形で御議論を進めてくださいとは言えませんが、そうした問題が税調の審議の過程において指摘されておりますので、それらがまさに検討の対象になっていくのではなかろうかというふうに考えます。
○桑名義治君 総理の認識はどうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) シャウプ税制は戦争後日本の税体系をどういうふうに立て直すべきかというポイントについてアメリカ流の考えを導入いたしまして、まず第一に租税民主主義あるいは財政民主主義というポイントをまず確立しようといたしました。それから、直接税を重要視して、それと間接税とのバランスをある程度考えつつ、しかしどっちかといえば直接税というものを重要視した体系である。それから、中央と地方との税配分の問題についてもその当時これが適当であると思われるような配分関係を確立いたしました。大体そういう点が特色であったと思います。しかしその後、今の大蔵大臣のお話のように、いろいろなひずみやゆがみが出まして今根本的な改革をすべきときに至ったと、そう思っておるわけです。
○桑名義治君 そこで、総理の税制改革の中で、いろいろな御答弁の中でございますけれども、直間比率の格差拡大の見直しも大きなウエートを占めているように私は思うわけでございます。総理としては現在の直間比率をどの程度にしたいというふうにお考えになっていらっしゃるのか、この件についてお伺いをしておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) これはたびたび議論するようでございますが、直間比率というのは、実は臨調の答申に一遍直間比率という言葉が使われておりますが、直間比率というのは結果的に出てくるものでございますので、本来は税体系のあり方と言うべきだそうでございます。これは税調の先生方の議論はそうなっております。したがって、 これをあらかじめ七、三がいいとか六、四がいいとか、そういう形で決めるべき性格のものではない、むしろ税体系そのものを議論して、結果としてそれは出てくるという認識の上に立つべきであるというふうに考えております。したがって、私は直間比率が幾ら幾らということはやっぱり税論議の中では結果として出るものであるということからいうと、あらかじめ決めるというのは非常に難しいことではないか、こういうお答えにならざるを得ないと思っております。
○桑名義治君 一時期、直間比率が高過ぎるという議論があった場合があるわけでございます。そして、しかるがゆえにこの直間比率を直さなきゃならぬ。どの程度がいいかというこの事柄は一応結果にまたなきゃならぬというふうに御答弁になったわけですが、直間比率が高いから悪いということには私はまたこれは議論にはならないと、こう思います。問題は、所得税について言うならば所得の把握体制が十分でない。それが国民の税に対する不公平感を生み出し、さらに負担感を生じさせ、さらにそれを増幅させている、こういうふうに思うわけでございます。そういった点からこの点を解決しない限り、仮に間接税のウエートを現在よりも高めたとしても問題が解決しないのではないか、私はこういうふうにも思うわけでございますが、この点についてはどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(竹下登君) 確かにおっしゃいますとおり、いろいろな議論を見てみますと、やっぱり直接税というのはいわば重税感、税の重みをじかに感じるわけでございますから、そういう重みに対して、言ってみれば間接税等についても見直していくべきじゃないか、直接税偏重ではないかとかという議論は確かにあることはございますが、それそのものが私も不公平だという考え方に初めから立っておるものではございません。 今もおっしゃいましたように、一般的に言われるクロヨンというような言葉もございますが、そういう不公平感があるということは、これは事実でございます。ただ、言われるほどに所得の捕捉の格差は必ずしもないと思っておりますが、課税の公平確保は重要な問題でございますので、今後とも各般の対策を進めていかなければならぬ課題である。適正公平な課税の実現をしますためには、やっぱり税務調査の充実でございますとか、そうして執行面における納税環境の整備でございますとか、あるいは徴税当局並びに税理士会とか関係民間団体等の協力関係と同時に、やはり内部体制の整備など、これからもなお可能な限りの努力を続けていかなければならぬ課題だという認識の上に立っております。
○桑名義治君 総理も税制改革の一つとして公平の理論を挙げておられます。この点について総理は今の問題についてはどういうふうにお考えでございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回我々がやろうとする抜本的改正については、公平、公正、簡素、選択、それにきのう梶木さんの御質問のときに活力、そういうことを申し上げましたが、やはり公平ということは税の上に一番第一原則に当たるような大事な原則であるだろうと思っております。じゃ、今のどこが公平でないかと、こう言われますと、今大蔵大臣が御答弁いたしましたような捕捉の問題であるとか、あるいはそのほかの各部面におきまして不公平ではないかと考えられるような面があります。いわゆる不公平税制と言われるものもありますし、いわゆる優遇税制という問題についてもいろいろな議論が指摘されております。そういうような面を考えてみても、必ずしもなきにしもあらずであると、そう思っておるわけです。
○桑名義治君 そうしますと、そういった捕捉の問題等は、これは十二分に今後対処していくというふうに伺っておいてよろしゅうございますね。
○国務大臣(竹下登君) 捕捉の問題等、最近毎日のように新聞に出ます。それはいろいろな情報等によって問題のありそうなところを対象にしますので、比率は非常に高くなっておりますが、大部分の納税者は善良な納税者であるといたしましても、やはり捕捉の問題に対してはなお一層の努力が必要であるという考え方は同感でございます。
○桑名義治君 そこで、国民、とりわけ勤労所得者の税に対する不公平感をもたらすものは、いわゆる国税庁などの徴税当局から発表される実態調査の脱税額や脱税範囲の広がり、それから最近は毎日のように脱税記事が報道をされております。ない日がないくらいでございます。さらに法人調査においても五十八年事務年度では、調査の四社に一社が意図的な税逃れをしていることも明らかにされておるわけでございます。税の実調率は、法人税で一〇%、個人ではわずか四%であり、源泉徴収をされるサラリーマンはいわば実調率は一〇〇%とも言えるわけでございまして、我が国の税制は申告納税を建前とし、源泉徴収は特例的なものであるはずでございます。その特例的なものが一〇〇%厳正に運用されて、本来の制度が十二分に機能しないということになれば、これは我が国の税制は根本から崩壊をしかねない、こう思うわけでございます。その改善がなされた上で初めてその後税負担云々のいろいろな論議がなされるのが当然なことではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、総理、大蔵大臣の御答弁をお願いをしておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 確かに申告納税を行っております法人、それから事業所得者につきましては、業種や業態等によりまして所得の把握に難易があることは事実であります。また、税務調査の結果によりますと、申告漏れ所得の割合は、営庶業所得者の場合は二〇%程度となっております。ただ、先ほども申しましたように、この調査結果につきましては、税務署が各種の資料でございますとか情報等に基づいて厳密に対象を選定した上で、申告内容に特に問題があると認められるものに的を絞って行っているということのほかに、税務調査による増差額の中には税法に対する理解が十分でないことや単純な不注意とか、あるいは計算の誤り等に起因するものも含まれておりますので、いわゆる税務調査による増差額のすべてが積極的に過少申告をしようというふうに指摘するわけにもまいらない点がございます。大多数の納税者は誠実に申告しておるわけでございます。 したがって、過少申告を行う不誠実な納税者がいることもしかしながら事実でありますので、これからもこの問題はいわゆる制度改正によらず、絶えず捕捉の正確を期していくという努力と、それからいわばタックスペイヤーの方々の御協力を願っていくという姿勢は取り続けていかなければならない課題であるというふうに考えております。
○桑名義治君 シャウプ勧告は直接税中心主義をとっておるわけでございますが、また総合累進課税を基本としております。そこで、これは資産性所得を含めた総合課税でなければならない、こういうふうに思うわけでございます。これは最近の国会の動きから見てみますと、大型間接税導入の批判を和らげるために、いわゆる所得、法人税の減税の方向を明らかにしているような御発言があるようにも感じられるわけですが、その場合、所得税の最高税率を引き下げる意向が非常に強いようにもまた反面思われるわけなんです。我が国の所得階層から見て、最高税率のいわゆる該当者はほとんど皆無である、こういうふうにも思われるわけでございますが、なぜ最高税率の引き下げが必要なのか、この点伺っておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) これは一般論として申し上げますと、税調の答申をちょうだいして五十九年度答申の場合も、いわば日本の刻みが多過ぎるというので十九を十五段階にして、ちょうだいしたわけでございます。そして極めて可能な限りフラットな形に持っていこうというので、十九を十五にしてもらったのがこの五十九年度税制として今歩いておる税制になったわけでありますが、これはやっぱり引き続き検討すべき課題だというふうな税調の指摘もございます。最高税率というのは七五を七〇にして、ちょうだいいたしたわけでございますが、これも世界的にないだけに高い。 やっぱり税の刻みの問題になりますと最低税率と最高税率というところに着目いたしまして、そこにいわば一つのラインを引いて行うわけでございますから、元来フラット税制というものを念頭に置きますと、いわばこれもまた税調の答申等にいろいろ議論されております中堅所得者とでも申しましょうか、その辺のお方が一番実態として減税感を余計受けられるという形の税制からすると、やはり技術的にも最高税率が下がっていくのが、そういう線がとりやすいということ。それからもう一つは、やっぱり最高税率が余り高うございますと、いわゆる自由主義経済の原則でございます努力と報酬の一致という原則から外れてくるという議論はもとよりございます。
○桑名義治君 総合累進課税につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、直接税主義で総合累進課税を基本とする、そういった立場で組み上げられているわけでございますが、例えば昨年の利子配当税制の見直しの際に、政府税調でも従来の総合課税が望ましいと、こういう主張をされたわけでございますが、それを源泉分離課税を恒久化する方向で存続をしたということは総合累進課税を放棄しようと考えているのではないかと、こういうふうにも受け取れるわけでございますが、その点はどうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これもやや正確に申し上げるために税調の答申の中身を簡単でございますから読ましていただきますと、今おっしゃいましたとおり「所得税は、本来、担税力に応じた公平な負担を求めるものであり、利子・配当所得についても、包括的な総合累進課税の対象とすることが望ましいとの考え方は、基本的には今後とも維持されてよいとする意見が多く述べられた。」、これは六十年度税制のときの答申でございます。それから一方「税制の簡素化。効率化や今後の金利自由化の展望を踏まえれば、すべての利子」に対して「中立的である一律分離課税方式も中長期的な選択肢として検討に値するという考え方が少なからぬ委員から表明」された、こういう表現になっております。このような諸論議を踏まえまして六十年度答申におきましては「源泉分離選択課税制度を併置することは、利子・配当所得の特異性等を考慮すれば、実質的な公平を確保する見地から十分評価されてよい、あるいはやむを得ない」とされたところであるわけでございます。これらを総合的に勘案いたしまして、源泉分離選択課税制度を存置することとしておるものであります。 いずれにいたしましても、六十年度税制改正におきまして今申しましたような措置を講じたところでございますが、今後における利子配当課税全体のあり方につきましては、やっぱり利子配当所得の持つ特異性、それから今盛んに進んでおります金融の国際化、自由化の進展といった新しい状況を踏まえながら所得税制全体の見直しとの関連の中でさらに検討されていくべき問題だというふうに、これは我々は認識をいたしておるところでございます。
○桑名義治君 いずれにしましても、このいわゆる総合累進課税制度というものも今後どういう方向に持っていくかということも、これは非常に大きな問題だろうと思います。その中の一環、一こまとしていわゆる利子配当税制の見直し等の問題も含まれるわけでございますが、この問題もやはり今後とも大きな課題として検討をしていかなきゃならぬ、こう思います。 そこで、税調に対して政府が諮問をするということになってたびたび諮問するわけでございますが、現実は白紙の状態で税調に諮問するということは私はないと思います。政府はあらかじめ持っているその考え方あるいは具体的な方針を提示した上で検討していただく、こういう方法をとっていると思うわけでございますが、どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) この問題、政府税調というのは三年に一度委員の方の任命がえをするわけでございます。その冒頭に国税、地方税のあり方についてと、こういう諮問をしておるわけでございます。したがって、その後は言ってみれば問題が起きますと以心伝心のような形で特別部会等を自主的におつくりになったり、小委員会をおつくりになったりして問題点を詰めていただく、こういう仕組みになっておるわけであります。 ただ、今度は総理から、やっぱり税調自体から検討すべき時期に来たという御答申をいただいたのですから、今度はされば検討していただきたいという改めて諮問をした方がいいじゃないか、こういう御判断でございましたので、どういう形で諮問するか、いつ諮問するか、まずは国会の論議を見きわめながらその仕方と時期は決めていこう、ただ、この問題、この問題、この問題と、必ずしも羅列すると、三年に一遍国税、地方税のあり方についてという諮問をしておりますだけに、その辺は今の意見等も承りながら我々部内で検討さしていただくべき問題じゃないか、ただ、そういう議論が出たこと自身が正確な報告書になっていくわけでございますから、その辺は税調の専門の方々でございますから、審議そのものは羅列してお示ししなくてもそう軌道の外れた御議論は行われないだろうという感じでございます。
○桑名義治君 その逸脱した御議論が行われない、心配をしているわけではないのです。ただ、そうでなければ財政当局としての租税政策の責任を問われることになるのではないか、一切税調税調ということになれば。そういう意味で私は申し上げているわけでございまして、そういった立場から考えた場合に大蔵大臣はどういうふうにお考えになられますか。
○国務大臣(竹下登君) 今のお考えも一つのお考え方だと私も思います。 そこで、税制の抜本対策、その中にこういうような検討項目があるということは答申の中で示されておるわけでございます。だから、それらが当然検討の対象になろうと思われますが、当然これは減税の議論だって行われるでございましょう。だが、今政府の基本にありますのは、一番近いところでは五十八年の中期答申という一つちょうだいしたものがございます。それから六十年度答申、それらを土台にした上に立って税論議を展開してきておるわけでございますから、今さら改めて政府はかく思うということを必ずしも言う必要はないのかなと。もう一つは手法の問題でございますけれども、あれだけの専門家の議論で、しかも国会の論議等を忠実に伝えて議論をしていただいて出てくるものがむしろ私は国民のコンセンサスに非常に沿ったものになるのじゃないか。我が方から一つの税のあり方というようなものを示すこと以上に国民のコンセンサスを余計吸収した議論がしていただけるのじゃないか、こういう感じがないわけでもございません。
○桑名義治君 そういう議論もあるかもしれません。しかし、いろいろ国会の答弁をお聞きしておりますと、いい面は税調がこう言っているからやった、都合の悪い面は税調はそう言ってない、こういう議論が繰り返されるわけです。だから、そういった立場から考えますと、やはり一定限度の政府の考え方というものを示してお願いをするということの方がむしろベターではなかろうかと思います。そうなってくると、やはり政府と、いわゆる国会の中で一つ一つの税改正の理論についてはそこで討論を交わしながら、その意見をこの税調で検討していただく、そして答申をいただく。私はこれが最も基本的な姿ではなかろうかとも思うわけでございますが、その点についてはどうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 一つのお考え方として私は否定をいたすものではございません。 もう一つ、これはいささか私見になりますけれども、私自身いつも税制の論議をするときの手法として、むしろ問題を投げかけて、いかなる政策といえども国民の理解と協力を得なければ実行に移せないわけでございますから、その問答の時間が多少長くなっても、その方がよりコンセンサスを得たものが実行に移せるのじゃないか。こんな考え方が私個人の政治手法の中に幾らかあり過ぎる傾向はあるかもしれませんが、今おっしゃいました議論は十分尊重さしていただいて、我々どういう形で具体的に諮問していくかという場合の参 考にさしていただく課題だと思います。
○桑名義治君 私がなぜ今ここでこの税調のあり方についてお話を申し上げているかと申し上げますと、総理のきのうの御発言の中にもございました、いわゆる戦後の政治の総決算だ、大きな曲がり角に来ているというその中にもこの税の問題が入っているわけでございます。抜本的な改正をするとするならば、しょせんは国会の中の論議、大枠の論議でもいいんですよ、基本的な問題でもいい、それを踏まえて、それを税調に調べていただく、意見をいただく、それをもう一遍国会に持ち込む。こういう手法というものが最も大事である、また、これが最もコンセンサスを得たいわゆる抜本的な税改正につながるのじゃなかろうか。私はこういうふうにも思うわけでございますが、この点については総理にお願いをしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国民代表である国会におきまする税の御所見を正確に税調に伝えまして、税調の審議の重要な参考にしていただくということは非常に大事なことであり、大蔵大臣もこの席上をおかりして逐次そういう方針でお伝えしているということは申し上げたとおりでございます。将来あり得る根本的な改革に際しても、この国会でいろいろやりとりのありました税の御所見等を正確に税調に伝えて、与野党の考えが那辺にあるかということを税調委員の皆様方によく認識していただくという努力は今回もやるべきであると思っております。 それからもう一つ大事な点は、私はきのうも、所得税、法人税の減税をやりたいのですと梶木さんにお答えをいたしました。これは私は前から実は考えておることで、ゆがみとかひずみの大きな要素にはやはり所得税、法人税関係の問題もあると自分は考えておるわけです。それからこの間の与野党を通ずる書記長・幹事長会談での第一項目というものも大型減税をやれという項目でございまして、野党の皆様方の大きな関心も減税という問題に、特に所得税減税という問題にあると私は認識しておるわけです。そういう野党側の皆様方の御議論も踏まえて、我々が税調に対していろいろこれからお願いをするという場合には、そういう野党側のお考えも十分踏まえてやるべきである、これが筋であると私考えておったわけです。そういう意味において、まず第一に所得税、法人税の減税はいかにあるべきかというような問題を取り上げていただく、それが大事なポイントではないかな、そういうふうに思っておるのでございます。まだ決めたわけじゃありませんが、そういう考えに基づいて梶木さんにお答え申し上げたのだということもこの際申し上げておく次第であります。
○桑名義治君 今後、税改革の見直しの中で資産性の課税を織り込むべきであるというふうに私は思うわけでございますが、先ほどからの御答弁の中では、税調ではいろいろな論議があるということで現在のように決めた、こういうふうにおっしゃっておられますが、これが税の公平を確保する道筋の一つではなかろうか、こう思うわけでございますが、今後の御見解を伺いたいと思うのです。
○国務大臣(竹下登君) これは税調の答申の中にも、所得と資産とそれから消費、その段階にそれぞれ担税力を求めておる、そのバランスについてやはり検討する時期だというので、資産に対して担税力を求める問題につきましても、この六十年度答申後さらに継続的な審議をする中で公正、公平の確保から検討を続けるべきであるという答申もございますので、今おっしゃった方向の議論が展開されていくであろうというふうに私も思います。
○桑名義治君 ことで利子配当所得の課税についてもう一度伺っておきたいわけですが、グリーンカードが三年間凍結をされた、そのまま廃止をされたわけでございます。そこで、限度額管理の方法で利子配当所得の課税の適正化を図ることになったわけでございます。衆議院の予算委員会で小倉政府税調会長は不十分との見解を示しているようでございますが、政府は本当に非課税貯蓄の限度額管理ができるというふうにお考えになっておられますか。
○政府委員(冨尾一郎君) 執行にわたる技術的な問題が含まれているので私の方から御答弁をさしていただきます。 御審議いただいております少額貯蓄非課税制度、いわゆるマル優制度の改正案に基づく執行の具体的な方針につきまして、国税当局としては一応次のように整理をして考えてございます。 まず、本人確認でございますけれども、今回の改正案に基づきますと、金融機関等に対する本人確認義務の強化措置がとられておりまして、すべての貯蓄者は公的書類による本人確認をしていただくことになっておりますし、金融機関はこれを確認した旨の証印を預金通帳等に押すということになっております。これによりまして本人確認義務がかなり前進するというふうに考えておりますので、私どもとしては、金融機関及び貯蓄者に対しましてこの制度の改正内容を周知徹底するとともに、またこの措置が厳正に行われるようにチェックしていきたいというふうに思っております。したがいまして、この本人確認義務が各金融機関において適切に履行されているかどうかにつきましては、現在行っております金融機関に対する臨場調査の際にあわせて調査を行いますとともに、税務署に提出されます非課税貯蓄申告書につきましても、後日住民票との照合などを行いまして本人確認制度の適正な運用を図っていくということにいたしております。 このように本人確認の制度が前進してまいりますと、次にこれを名寄せをし限度管理を適正にしていくという問題が起きるわけでございますが、私どもとしては、現在の非課税貯蓄の枠三百万円が守られているかどうかにつきましては、今後これを効率的に行うための非課税貯蓄の限度管理システムということを検討してまいりたいというふうに思っております。大量な処理でございますので、コンピューターを使った処理等を中心に具体的な案をこれから検討してまいりたいというふうに考えております。 また、郵政当局におきましては、郵便貯金の限度管理システムにつきましてこれから御検討なさるということでございますので、私どもとしても十分連絡をとりながら必要な御意見は申し上げていくということにしております。 また、それまでの当面の対応といたしましては、現在行っております金融機関の店舗及び各金融機関間を通じた限度超過の把握及びその限度超過分の是正のための名寄せにつきましては、いろいろ人員や予算の面の制約がございますが、さらにこれを一層充実を検討いたしまして適正な運営に努めてまいりたいと思っておりますし、また金融機関に臨場いたしまして、源泉徴収義務の観点からの限度超過、マル優制度の不適正利用の是正につきましても努力をいたしたいというふうに思っております。また、これらの制度につきましては、金融機関の理解と御協力がぜひとも必要でございますので、従来どおり私どもとしても十分に呼びかけてまいりたいというふうに思っております。
○桑名義治君 今の御説明にございました、最後の郵政金融機関への協力要請、これが非常に重要になるというふうなお話もございました。本人の確認に加えまして、この郵政金融機関、それから税務当局での名寄せ、こういった問題が十二分にできた上で初めて適正ないわゆる限度管理が可能になる。こういうふうになるわけでございますが、名寄せに向けての準備状況、その達成目途、さらに郵政省が今どういう検討をなさっているか、どこまで進んでいるのか、この件もあわせてこの協力要請状況をお話しを願いたいと思います。
○国務大臣(左藤恵君) 郵便貯金の限度額管理につきまして、従来から全国一本の名寄せを行っておるわけでございますけれども、昨年の三月に全国オンラインネットワークが完成いたしましたので、これを一層効率的に活用して名寄せをこれか ら進めていきたい、このように考えております。 ところで、今お話ございましたが、所得税法の改正法を今回提出をさせていただいておりますが、その際に住民票等の公的証明資料の提示が義務づけられておりますので、本人確認という問題が確実になってまいります。今までそういうことであったのじゃないかと言われております架空名義によります貯金をこれによって排除する、このようにできると考えております。 名寄せにつきましては、これまで住所、氏名をキーとして行っておりましたけれども、これに不変の要素であります生年月日を加えまして、そしてそうしたシステムを今郵政省として検討いたしておりますが、その検討に際しまして、大蔵省と国税庁、こういったところとも十分連絡をいたしまして限度額管理の万全をこれから期していきたい、このように考えておるわけでございます。
○政府委員(冨尾一郎君) ただいまお答えいたしました金融機関の間の名寄せをいたします名寄せの効率的なシステムにつきましては、これから私どもとしても鋭意開発をしてまいりたいと思っておりますが、どのような方法で、どのような内容のシステムにするかにつきましては、これからの検討課題でございまして、早急に結論を得たいと思っておりますが、まだ具体的な方法につきましては結論を得ておりません。
○桑名義治君 だから、質問の中で、いつを目標になさるのですかというふうに句切ったはずですが、いつを目標にそういう方法が考えられるのか、その点どうですか。目標をいつにしていますか。
○政府委員(冨尾一郎君) 制度の改正が六十一年からスタートいたしますので、私どもとしても早急に結論を得たいというふうに思っておりますが、まだどの程度のことができるのか、それからこれをやってまいりますためには、私ども国税当局だけでなくて、関連をいたします金融機関の御協力をいただける体制、そのほかもございますので、それらを見きわめながら、ただしできるだけ早急に結論を得たいというふうに思っております。
○桑名義治君 私が一番危惧している問題は、これはいわゆる奨励で強制力がないということですね。いわゆる金融機関への協力要請、ここが私は一番問題だと思うんですよ。義務づけられている事柄でさえも、先ほどからたびたび議論しておりますように脱税という問題がたくさんあるわけです。そういった意味からいいますと、この民間に対する協力要請ということになるわけですが、これでうまくいきますかと、こう聞いているわけですね、特に。ここに力点があるわけですが、大蔵大臣、この問題はどう思われますか。
○国務大臣(竹下登君) 民間金融機関の場合は、言ってみれば、源泉徴収義務者になっておるわけでございます。したがって、協力要請、もとよりそういう姿勢が最も大事なことでございますが、源泉徴収義務者に対する調査を行う権限がございますので、その限りにおいては連絡は濃密にとり得る。ただ、いかにも税務署が入って源泉徴収の方で協力要請、それをてこにして協力要請をしておるという印象は好ましくございませんので、やはり平たく協力要請と、こう言っておりますが、別途そういう立場にもございますので、私はこれはやり得ることだというふうに理解しております。
○桑名義治君 以上、いろいろな個々の問題についての質疑を行ってきたわけでございますが、現税制の不公平につきましては、総理も、あるいは大蔵大臣もお認めのようでございます。 そこで、財政再建に関する国会決議につきましても、総理は、これを尊重していくと、こういう御発言があったわけでございますが、その中で、いわゆる既存税制の見直しを抜本的に推進するということと、一般消費税(仮称)、こういう導入は一応踏みとどまる、こういうふうな中身になっているわけでございますが、そういう立場で今後政府は税改正に臨むと、こういうふうに理解をしてよろしいかどうか。この点についての最後の御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 今のような御意見を我々の立場でもとりつつ、それを税調の方へ御報告し、議論をしていただく、こういうことになろうかと思っております。
○桑名義治君 税調も結構でございますが、先ほど言いましたように、都合のいいことは我が方、都合の悪いのは税調、こういうことではなくて、政府としての意思をきちっとした上で検討していただかなければ意味がないと思うんですが、どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 今桑名さんのおっしゃったのは、これは政府の意思というふうに理解していただいて結構なことではないか。私どもが非常に気を使っておりますのは、あらかじめ税体系の中へ予見を与えるような諮問はしたくないという気持ちがあるいは出過ぎておるかもしれません。しかし、おっしゃる意味は十分理解できます。
○桑名義治君 先ほどから現税制に対する問題点、この問題点についていろいろ議論をさしていただいたわけでございますが、現今、経済の国際化、あるいはまた金融の自由化ということから、我が国の国際社会においてそれなりの責任を負うべきそういう立場が増大してきたと、こういうふうに思うわけでございます。と同時に、多国籍企業と申しますか、そういった企業の広がりがだんだん大きくなってまいります。なお一層加速的に大きくなるのではないかと思いますが、この点についてのいわゆる税制面の問題点、これをきちっとしておかないと、これは大変なことになると思うのですが、この点に関してタックスヘーブン問題について伺っておきたいと思います。 まず、租税特別措置で大蔵省が告示したタックスヘーブン国の名前をまずお知らせ願いたいと思います。
○政府委員(梅澤節男君) 三十三カ国ございますが、全部……
○桑名義治君 全部じゃなくて結構です。
○政府委員(梅澤節男君) 三十三カ国、地域を今大蔵大臣が指定し、告示をいたしておりますけれども、類別からいたしますと三つのグループがございまして、全所得に対して軽課をしている国といたしまして、アンドラ、アンギラ等十七カ国、地域ございます。それから国外源泉所得だけ軽課している国といたしまして、コスタリカ、パナマ等五つの地域あるいは国を指定いたしております。それから特定の事業所得だけ軽課しておるという国、地域がございまして、これは十一ございますが、ジブラルタルとかジャマイカとかいう国、地域を指定いたしております。
○桑名義治君 今代表的な国の名前が挙がったわけですが、アンドラ、アンギラ、ジブティ、余り聞きなれないような国でございます。昭和五十三年度の税制改正のときにこの制度が導入をされたわけでございますが、導入することによって税逃れに厳しく対処することに一応なったわけでございます。 そこで、海外の留保所得がいわゆる課税対象になってから現在までどう変化してきたか、どう効果があったかお知らせを願いたいと思います。
○政府委員(村本久夫君) お答えをいたします。 タックスヘーブン対策税制が昭和五十三年に施行されまして、これが実際に適用されます日本側の親会社の法人の事業年度ということになりますと、五十四年の四月以降ということになります。五十四年度がそういった特定外国子会社等を有する親会社が二百二件、課税対象留保金額が百十億円ございました。五十五年度が二百九十九件、二百十二億円、五十六年度が三百六十五件、百八十八億円、五十七年度が四百二十五件、百七十四億円、五十八年度が四百二十八件、三百十四億円、これが資本金一億円以上のいわゆる国税局調査課所管法人のこれらの年度におきまして申告がなされました数字でございます。
○桑名義治君 タックスヘーブン国に日本の親会社が子会社をつくる、そとで海外留保をされた所得の申告状況はどうなっていますか。五十八年度時点でどうでしょうか。
○政府委員(村本久夫君) お答えいたします。 昭和五十八年四日決算から昭和五十九年三月決算の法人で、このタックスヘーブン税制の適用があるとして申告がございました資本金一億円以上の国税局調査課所管法人の親会社、つまり日本にございます親会社の法人数が四百二十八件、そこで課税対象留保金額として申告をされました金額が三百十四億円、そういった状況でございます。
○桑名義治君 今おっしゃった会社は親会社といわゆる合算課税しているわけですね。
○政府委員(村本久夫君) タックスヘーブン税制の適用ありとしてタックスヘーブン国に所在いたします特定子会社の留保所得金額を合算して申告をいたしている、そういう法人及び金額でございます。
○桑名義治君 大法人の海外取引にかかわるいわゆる不正所得について四十九年度から五十一年度と五十六年度から五十八年度の三年間を比較してみますと、摘発された金額に余り差は認められないが、国税当局はどのように認識しておられますか。
○政府委員(村本久夫君) 御指摘のとおり、昭和四十九年度、これは私どもの方の事務年度七月から六月をとっておりますが、昭和四十九事務年度から昭和五十一事務年度の三年間で海外取引にかかわる不正所得として発見をいたしましたものの合計額が二百二十五億円、それから最近三カ年間、昭和五十六事務年度から昭和五十八事務年度までの三年間の合計額が百八十億円ということで余り変化してない、こういうような数字になっております。 ただ、これを若干分析をいたしてみますと、昭和四十九事務年度から昭和五十一事務年度の海外取引にかかわる不正所得金額が非常に大きかった、こういう理由といたしまして考えられますことは、当時日本経済の国際化というのが一時的に非常に急激に進展した。一方でそうしたものに企業の税務処理がついていけないといいますか、不十分な点があったというようなこと。また、この間におきまして、昭和四十九年度でございますけれども、特定の企業で非常に大口なそういう不正所得の把握があった。こういうようなことによるのではないかというふうに見ております。その後の経緯を見てみますと、その後は若干減少をいたしておりますが、最近また企業の海外取引が一層増大をしてきている。そういうようなことに伴いまして海外取引にかかわる不正所得というのは、傾向といたしましては増加傾向にあるのではないか、こういうふうに認識をいたしているわけでございます。 私ども国税庁といたしましては、今後とも大法人に対する調査体制を整備いたしますとともに、調査手法等にさらに工夫を加え、特に海外取引関係に重点の一つを置きまして徹底した調査を実施してまいりたい、このように考えております。
○桑名義治君 そこで、これがことしの元旦の新聞報道でございますが、一社で「百億円課税回避 海外にプール、運用」、こういう新聞記事が元旦の新聞に出ておりました。タックスヘーブン国を舞台として発覚したわけでございますが、この記事についての御説明を願いたいと思います。
○政府委員(村本久夫君) ただいま御指摘がございました新聞報道のことについては承知をいたしております。 ただ、中身が個別にわたりますことでございますので、それを具体的な内容ということについて御答弁いたすことは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般的に申し上げまして、いわゆるタックスヘーブン国にその子会社でなくて孫会社をつくり、その中間段階にタックスヘーブンでない国にそれの親会社、日本の法人から見れば子会社をつくる、そうして孫会社でこれが留保されますと、親法人の所得に合算をされまして課税をされるわけでございますが、孫会社はそこに配当をする。一方、その子会社が二重課税回避のために海外の配当について非常に低い税率で課税するとか、あるいは課税をしてない、そういうようなケースがございました場合には、そういうような報道されておりますようなこともあり得ようか、こういうふうに考えているところでございます。
○桑名義治君 通産大臣、どういうふうな御所見をお持ちでございますか、この件について。
○国務大臣(村田敬次郎君) お答え申し上げます。 今調査査察部長の方からの御答弁にもありましたが、一月一日の記事もよく読んでおります。親会社は日本のトップ、その種の関係ではトップ企業でありまして、子会社そして孫会社、ひ孫会社というふうにあるわけでございますが、もちろんこの種のことは大変不当なことだと存じますので、大蔵省とよく連絡をとり、そしてこの国会において改正案を準備、提出をしておるところでございます。
○桑名義治君 大変に悪質としか言いようがないわけで乙ざいますが、この問題につきましては今や氷山の一角であろう、こういうふうにも私は認識をするわけでございますが、この把握体制についてどういうふうな方策を考えておられますか。
○政府委員(村本久夫君) 海外に子会社を持って事業を行っているような大法人あるいは海外取引のウエートが非常に高いような法人、そうした大法人に対します調査という場合におきましては、相当の調査日数を投入しまして調査をいたしているところでございます。その際、必要に応じまして調査官を海外に派遣をし、実態の把握に努める、そういうようなことも行い、海外取引関係に重点を置いて徹底した調査をいたしております。また、さらに国税庁といたしましては、各国税局に国際取引を専門に担当する調査官を配置するというようなこと等を通じまして、海外取引調査体制の整備を図りますとともに、租税条約に基づく情報交換制度、これを活用し、相手国の税務当局に事実関係等を調べてもらう、そういうようなこともやっておりますし、また例えば環太平洋税務長官会議、これは日本、アメリカ、カナダ、オーストラリアの税務長官の会議、そういうような国際会議の場等を通じまして多国籍企業の実態の解明を行うというような、外国税務当局との連携の強化というようなことにも努めているところでございます。今後とも海外取引体制の整備になお一層努力をいたしまして、遺漏のないように期してまいりたいと考えているところでございます。
○桑名義治君 それと同時に、一般にいわゆる移転価格行為による留保策、この行為につきましては現在税務当局の対策が全くない、こういうふうに思うわけでございますが、この対策をどういうふうにお考えでございますか。
○政府委員(梅澤節男君) いわゆる移転価格税制の問題でございますけれども、現行の税制の中にも低額譲渡の場合とか、あるいは同族会社の行為計算の否認の規定があるわけでございますけれども、今日先進諸国は何らかの格好で全部移転価格税制を整備しております。OECDの租税委員会へも私ども参加いたしておりましてこの作業をしております。 そこで、我が国の税制を今後どうするかということでございますが、従来内部でいろいろ検討してまいりました。昨年十一月から実務家あるいは学識経験者を入れまして内部の検討を進めております。これは非常に技術的な問題もございますので、もし検討が一応まとまりましたら、早い機会に税制調査会で御議論をいただいて、我が国も早く制度化を図らなければならないというふうに考えております。
○桑名義治君 めどはいつですか。
○政府委員(梅澤節男君) まだ大臣とは御相談いたしておりませんけれども、この秋ごろまでまだ作業が進むことになりますので、その作業が終わりました段階で大臣の御判断も得て早急に成案化したいと考えております。
○桑名義治君 この問題は、今後の日本の経済あるいは財政という立場から見たら非常に重要な問題でもございますし、あるいはまた不公平税制感というものをなくするためにもこれは非常に重要な問題でございます。そういった意味で大臣はこの問題に鋭意取り組んでいただきたい。大臣の御 所見を最後に伺って、この問題は終わりにしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 今最終的におっしゃいましたいわゆるトランスファープライシングという問題も含め、このタックスヘーブン国の問題は、実際問題としてこれだけ国際化しておりますと、それが新聞等に出ますとますます不公正感というものを誘発することになりますので、今申しておりますように、可能な限り早い機会に、これは技術的な問題が多うございますが、結論を出しまして成案を得たい、積極的に取り組みたいと思っております。
○委員長(長田裕二君) 中野鉄造君の関連質疑を許します。中野君。
○中野鉄造君 私は、ただいまのタックスヘーブンに関連いたしまして、今日、商社、企業等が外国で収益を上げ、外国で課税されたものはそれだけの額を我が国の課税額から控除されることになっている外国税額控除制度の現況についてお尋ねいたします。 まず初めに、昭和四十七年、五十七年、五十八年の三年度別に外国税額控除額をお尋ねいたします。
○政府委員(村本久夫君) 税務統計から見ました法人企業の実態、これによります外国税額控除額でございますが、昭和四十七年分が四百八十億円、それから昭和五十七年分が四千百億円、五十八年分が四千五百五十三億円、このようになっております。
○中野鉄造君 今の答弁でもわかりますように、十年の間に約十倍増大しているわけですが、ちなみに五十八年度における日本の代表的九つの大商社を例に引いてみますと、その中でわずか二社だけ法人税の申告納付がありまして、ほかの七社は法人税がゼロでございます。これは制度がそのようになっているからそうなったのであって、確かに違法ではないかもしれません。もっとも、中には水増し等の内部操作で、その結果ゼロになっているということもあり得ると聞いておりますが、とにかくこういう理解しがたい現象を大蔵大臣はどのように受けとめておられますか。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる外国税額控除制度というのは二重課税控除措置として国際的には確立した制度でございますが、国民の受ける印象としまして、今中野さん御指摘のような印象を受けておることも事実でございます。 これだけ経済の国際化が進展してまいりましたので、したがって五十八年度に実態調査を踏まえた所要の整備を図ったところでございますけれども、したがって当面は現行制度の適正な運用を図っていこうということにしておりますが、さらに整備すべき点があるのじゃないか、こういうような意見も、今の御意見のようなものも確かにございますので、これは引き続き検討すると同時に、今までは政府税調に余りなじまない問題でございましたが、技術的なことは我が方でやるといたしましても、税調にもやっぱり正確に報告した方がいいのじゃないか。今せっかく御意見が出ましたので、そういう手法をとらしていただこうというふうに考えておるところでございます。
○中野鉄造君 確かに、今のお答えのように、五十八年度税制改正によってそうした多少の手直しが行われたわけですけれども、これまた五年間の繰り越しを認めているというようなことで即効的な効果は余り望むべくもないと思いますが、それではこの現行制度の乱用、悪用で過年度において摘発された不正件数とその金額をお願いいたします。
○政府委員(村本久夫君) 昭和五十七事務年度、それから昭和五十八事務年度、この両年度にわたりまして外国税額控除にかかります、これは大法人についてでございますけれども、その調査を行いました結果、対象外国法人税として計上しておりましたものを控除対象の外国法人税にならないということで否認をいたしましたものが、五十七事務年度で百八十四億円、五十八事務年度で五十二億円。そうしたことに伴いまして控除外国法人税を否認した、つまり日本で控除しておりましたものとして否認をいたしましたものが五十七事務年度で九十八億円、それから五十八事務年度で十二億円、合わせて百十億円、こういうことになっております。
○中野鉄造君 私は、この現行の制度そのものを否定するものではありませんが、しかし一方では、月ごとにそれこそ記録を更新するような中小零細企業がばたばた倒産していっている。その一方では、世界に冠たる大企業また総合商社が、やれ開発だ、やれ投資だと、それこそ世界のひのき舞台で豪華に振る舞いながら、自分の国に対する税金を納めていない、つまり、国庫歳入への寄与度はゼロである。これは制度上そうなっていると言われましても、素朴な国民感情からいたしますと、これは理解どころかむしろ税に対する不信感が募るばかりではないかと思いますが、この点について最後に総理の御見解をお尋ねいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 新聞で時々拝見いたしまして、国民の皆様方は実態あるいは税の体系というものをよく御存じないですから、そういう制度があること自体も余り御存じないのではないかと思うのです。しかし、脱税とか節税とかということで大会社が不正をやっているのではないかという疑いが国民の間に持たれることは非常に残念なことでございまして、法の運用を適正に行いまして、いやしくもそういうことがないように今後とも厳重に監督してまいりたいと思っております。
○中野鉄造君 終わります。
○委員長(長田裕二君) 午前の質疑はこれまでとし、午後一時に委員会を再開し、桑名君の質疑を続けます。 これにて休憩いたします。 午前十一時五十一分休憩 ─────・───── 午後一時一分開会
○委員長(長田裕二君) 予算委員会を再開いたします。 昭和六十年度総予算三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、桑名義治君の質疑を続けます。桑名君。
○桑名義治君 最近、日米間におきまして貿易摩擦問題が大きな懸案事項になっているわけでございますが、昨今、市場重視型個別協議方式、いわゆるMOSS方式で個別に協議が進められている段階でございます。今まで包括的な開放方式で我が国は対処してきたわけでございますが、このMOSS方式に移行されてきた米国の要求のその背景はどういう背景でございますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日米の経済問題を解決するために今おっしゃるようなMOSS方式が今度とられておるわけですが、これはことし初めのロスにおける日米首脳会談におきまして、日米の経済摩擦を解消するために日本も努力する、そしてアメリカも努力すると、こういうことが中曽根・レーガン会談で合意をされました。 その際、これまでの日本の経済摩擦解消、日本の市場開放においていろいろと成果があったわけですが、特に竹下・リーガン、大場・スプリンケルというような金融問題について個別的なアプローチがとられて、それが非常に成果を上げたというふうなこともあって、アメリカ側が四つの分野についてのこれから話をしたいということで、一つはテレコミ、それからエレクトロニクス、それから木材製品、それから医療器具、こういう具体的に名前が挙がったわけで、これらの分野を、それぞれ関係各省も違うわけでありますし、アメリカ側とそれぞれの分野で分けてそして協議をしていこう、しかし、もちろん全体的にはこれは総括してやるわけでありますし、最終的には対外的には日本の外務大臣とアメリカの国務長官で総括して話し合うということで、このMOSS方式という新しい形で四つの分野に分けて委員会をつくりまして、日米間で、きのうも開きましたし、またあしたも開くのじゃないかと思いますが、連日協議が繰り返されておるわけであります。 これはこの後の成果を見ないとわかりませんけ れども、今までの状況からいきますと、ある程度の成果を上げておるのじゃないかというふうに思っておりますが、さらに日米双方とも努力をしていかなければならないと思っております。
○桑名義治君 外務大臣のお話はMOSS方式に交渉の形態が変わりましてややうまくいっているというお話でございます。ところが、去る三月八日、米側の対日貿易問題をめぐる米上院財政委員会国際貿易小委員会、この公聴会が開かれまして、このときにいろいろな非常に激しい発言が出ているわけですね。例えばこの公聴会の最初にダンフォース委員長が「貿易赤字の大きさ、日本の保護主義政策に注意を向けない米政府の変わりばえしない交渉姿勢は間違っている」とか、「日本の貿易慣行に報復する時がきた」とか、このような非常に激しい発言が続いているようでございますが、この問題に対しまして、こういう発言に対して外務大臣はどういうふうにお考えですか。また通商産業大臣はどういうふうにお考えでございますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) おっしゃるように、ダンフォース委員会でダンフォース委員長を初めとしまして各委員が口をきわめて日本の市場開放に対して批判をいたしたわけでありまして、これまでの日米間でやってきた努力は全く評価しないで、ああいうやり方は間違っている、日本に対してはちゃんときちっとした膺懲政策といいますか、もうそれ以外ないのじゃないかというふうなことで、上院議員の中ではイノウエ議員一人が頑張って自由貿易を主張したと、こういうことで、あとの委員は非常に批判的であったということですが、これは今の恐らくアメリカの議会における対日空気を率直に反映していると言っても過言ではないかと思います。 これまでもアメリカの議会は日本に対しては非常に厳しい姿勢でありましたが、最近は特に四百億ドルに近い対日赤字が累積している、こういうことになってしまって、このことが何か日米間が努力してないという一つの証拠だと。この原因としては、日本の市場開放だけに限定されるということは我々としては全く了解できないところでありまして、この大きな原因というのはやはりアメリカ経済の状況に相当な要因があるのじゃないか。例えばアメリカの財政赤字とか、あるいはドル高だとか高金利だとか、そういうところにも大きな原因があるわけですが、やはりもうそうした理屈を超えたアメリカの一つの空気といいますか、日米関係でこれだけ赤字が増大している、このやはり理屈を超えた一つの心理的なものが対日批判となって噴出したのじゃないかと思います。 これに対して、今アメリカ政府の方はやはり自由貿易体制を守っていかなければならぬということで、とにかく今行われておるMOSS委員会を何とか成功させることがアメリカ議会のそうした批判的な動き、あるいは保護主義への動きを鎮静化させることにつながるのだということで、アメリカ政府はむしろ冷静な態度で今の日米のこの交渉を成功させるために最大の努力をしようという態勢にあるわけでございます。日本としましても、こうした恐らく議会の動きはますます強くなってくるのじゃないか、風当たりが強くなってくるのじゃないかと思います。 最近も大河原大使が離任のあいさつでレーガン大統領に会いましたときに、レーガン大統領も、このアメリカ議会の動きを非常に心配しておる、自分は自由貿易主義者で何とか日米間で話し合って問題を解決していきたいと思っているけれども、今の議会の動きはなかなか容易でない、こういうことを言っておったようでありますし、まさにそういう点で、このアメリカの議会、そして議会が背景としている世論、そういう点を考えるときに、やはりこの日米間の委員会、MOSS委員会を何とか成功させるというか成果あらしめなければならない、それも三月、四月という段階で成果を上げなければならない、そういう状況になってきておると、こういうふうに判断をして、政府としましても全力を挙げて取り組んでいかなければならない、こういうふうに総理を初め我々も決意をしておるわけであります。
○国務大臣(村田敬次郎君) ただいま安倍外務大臣からつぶさにお答えがあったとおりでございますが、通産省といたしましても貿易全体に関係を持っておりまして、中曽根総理の御指示に基づいて、いわゆる開放体制、そしてまた新ラウンドの開始といった大きな目標に向かっていかなければならないと思っております。先ほど先生が御指摘になったMOSS方式による四分野の問題、それから自動車の対米輸出自主規制問題、鉄鋼もそうでございますが、非常に広範にわたっておりますが、これらの貿易上の摩擦はこれはアメリカにももちろん原因があると思います。高金利であるとかドル高であるとか財政赤字とかいろいろあると思いますが、日米双方が協力し合って越さなければならない関門でありまして、総理の御指示に基づいて本当に真剣に対応してまいるべきものと思っております。
○桑名義治君 そこで、五十六年から我が国は現在までに六回にわたりまして包括的な対外経済政策を打ち出してきたわけでございます。今回は、先ほどから論議をちょっとしておりますように、MOSS方式がまた再び頭をもたげてきたが、今までの包括的ないわゆる対外経済政策を政府としてはどういうふうに評価をし、効果を考えているか、この点について伺っておきたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 我々は日本政府全体としまして自由貿易体制を守っていかなければならぬ、こういうことで日米間の経済摩擦あるいはまた対世界全体の問題というものを踏まえて市場開放を六度にわたって積極的に進めてきたわけです。具体的には関税の引き下げであるとか、恐らく鉱工業製品の関税は世界で最も低いレベルに達しておると私は思っておるわけであります。あるいはまた基準認証制度の改善であるとか、あるいは輸入のアクセスの改善であるとか、そういう点で具体的に目に見える改善措置をこれまで六度にわたって行ってきております。 これは私は確実にそれなりの成果を上げておると思っておるわけですが、しかし何分にもアメリカの方の景気がよくなっちゃって、そして赤字がどんどんふえているものですから、何かそうした成果というものが減殺されるというふうなことで、今までやったことは意味がないことであったのじゃないか、成果がないじゃないかということをアメリカの議会等は指摘しておりますが、実際には関税にしても基準認証制度にいたしましても相当な具体的な措置を我々は講じたわけでありまして、法律の改正等も行ったわけでございますので、私たちとしてはできることは大いにした、ただ残っている問題があることも事実ですから、それは現在MOSS委員会、あるいはその他の問題についても政府間で話を進めておる、こういうことでありまして、問題は赤字ということで、そういう理屈を超えた一つの批判といいますか非難というものが日本に集まっている。これは大変残念なことであると私は思っておるわけでございます。
○桑名義治君 そこで、今後のいわゆる開放政策といたしまして、包括的な今までの従来どおりの方法と、それから新たに四分野というのが加えられたわけですから、この二本立てで走っていくのか。その点はどうでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは日本政府としては今対外的には四分野に分けて走っておりますが、しかし同時に先ほど通産大臣も述べましたように自動車もやっておりますし鉄鉱もやりましたし、その他いろいろな問題について日米間で話し合っているルートも随分あるわけでございますが、それをやはり総括して対外的には私がシュルツ国務長官と話をする、対内的にはそうした四つの委員会のいろいろの成果といいますか経過を踏まえながら河本大臣のもとで関係閣僚のいわゆる委員会、M9と言っておりますが、これをつくっておりまして、そこで調整をして、そして進まないところはどんどん河本座長のもとで進めていただく、そういう体制でこれからやっていくわけですから、具体的にそういう個々にはやっております が、最終的にはやはりこれは包括した形で日米間で話を取り決める、こういうことであります。
○桑名義治君 現在、アメリカの経済がこういうふうに順調に動きながらも、先ほどからの御答弁にありますように、いろいろな要因を含みながら、なおかっこのようないわゆるぎくしゃくした状況にあるわけでございますが、果たしてアメリカの経済が悪くなった場合にはまたこれはなお一層これに拍車がかかってくるのじゃないか、こういうふうに心配されるわけでございますが、アメリカの経済をどういうふうに見ているか、これが一つ。それからもう一つは、そういった意味で思い切ったここで市場の開放政策をさらに一段と強硬に打ち出していく必要があるのではなかろうか、こういうふうに思うわけですが、その点の両面の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) アメリカ経済がどういうふうになるか、正確なお答えになるかどうかわかりませんが、今の状況でいけばアメリカ経済はことしも成長を続けるのではないか、OECD等もそういう見方をしておるわけであります。これはアメリカがあれだけの財政赤字を抱えながら、しかしまたドル高というのはむしろアメリカには有利に作用している点もあるわけでございますし、日本の資本等も随分アメリカに集まっておる、世界の資本が集まっておる、こういう資金が集まっておる、こういうことでありますから、今の状況ではアメリカの成長は続いていくのじゃないか。しかし、これはいつごろその反動がくるといいますか、いつまでも続くものじゃありませんし、その辺のところは経済学者とか政府関係で見解も違っておる、いろいろな見解があるようでありますが、当分の間は続いていくのではないか、こういうふうに見ておるわけでございます。 そういう中で、やはり日米間の、アメリカの全体の赤字もふえていくでしょうし、あるいはまた日本の赤字もふえる。しかし全体の赤字千二百億ドルの中で占める日本の赤字は四百億ドルに近いわけですが、まだそこまでいっておりませんけれども、しかし比率としては日本の赤字は三分の一から四分の一に落ちていることは事実なんです。ですが、しかし全体としてはふえていくのじゃないか。しかし、このやっぱり赤字に対する非常に批判が出ておりまして、これはもうむしろ理屈というものを超えた非常にもう気分的なものとして出てきていることも事実であるわけで、ドル高なんかうんと是正されると、あるいはアメリカの高金利が是正されるということになれば、為替レートが違えば随分この輸出入の関係、バランスは変わってくると思うわけですが、しかし反面、またやはり象徴的に言われておりますこの日本の市場開放の方も、残っている分野をこれまで一生懸命にやりましたが、残っている分野でやっぱり指摘される面は、日本のできる限りのことはやらなければならないと、私はそういうふうに思っておりますし、そのために現在MOSS委員会等で努力をしておるわけでございます。 しかし、どうしてもできない、なかなかそう早急にできないといいますか、困難な例えば農産物の分野なんかは、これは日本は農産物の世界一の市場、アメリカからの市場でありますし、それから、やはり農産物についていろいろとアメリカから指摘を受けておりますけれども、ヨーロッパ、EC等の農産物に対する保護政策というのは日本以上のものがあるわけでありますし、その農産物について一概にただ市場開放を全面順に迫られても、それは日本の今の農業の立場からいってそう簡単にはいかないわけです、世界が保護主義をとっているわけですから。そういう点についてはアメリカに理解を求めながら、日本は日本なりに国際化を徐々にといいますか、国際競争力に耐える農業というものをこれからはつくっていく以外にはないのじゃないか。その辺のところはこれから話し合って、できるものとできないというものを仕分けしながら、できるものは徹底的にこの際やって、そして日本としてはこれだけやりましたということをやはり世界に対して明らかにする必要があるのじゃないかと、そういうふうに思っておるわけであります。
○桑名義治君 四分野で相当思い切った処置をとったとしても、六十年には四百億ドルも見られる米国の対日貿易赤字をどれだけ解消できるかということは非常に大きな疑問があるわけです。実際にアメリカの方では四分野の市場開放が成功すれば約百億ドルの貿易収支の改善ができると、こういうふうに踏んでおるようでございます。しかし、競争力の問題やあるいはドル高の問題やいろいろな赤字の問題等を含めて考えるとちょっと無理じゃないかと、こういうふうに思うわけでございますが、その点はどういうふうに大体積算されておられますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはアメリカも恐らく積算して言っていることじゃないと思います。ボルドリッジさんが言ったとかいろいろと言われておりますが、百億ドルというのは、何か腰だめで言っているように思うわけでありますし、今の四分野が解決したからといって、それは到底そんなことが解消できるわけではありません。今おっしゃるような為替レートとか、いろいろと経済の競争の問題とか貿易の競争の問題とか、いろいろとほかに要素が組み合わさるわけでありますから、今の四分野だけで解消できる、百億ドルも解消できるというのは到底考えられないわけで、象徴的にもうアメリカが言っていることじゃないか。これはやっぱり日米間でそういう問題についてはよく説明をして、アメリカでも、何かアメリカの国内にこれやれば百億ドル赤字解消されるなんてアメリカ国民に信用されても困るわけですから、それはそれなりにこれからもよく話し合っていく。しかし、日本ができることはやっぱりやっていかなければならぬというのは、これはもう大前提にあるわけであります。
○桑名義治君 現在、郵政省が四月一日から電電改革三法案に対して政省令づくりを進めているわけでございますが、この問題に対して米国側からは大変ないろいろな要求が出ているわけですが、今交渉の段階ですが、その中身と対応についてお知らせ願いたいと思います。
○国務大臣(左藤恵君) お答え申し上げます。 本年四月一日から電気通信事業法の施行ということになっております。そのことに関連いたしまして、今お話ございましたようなことで、日米間の貿易インバランス、非常に大きいものがある。特に電気通信分野についてそういうことでアメリカ側では非常に強い関心を持っておりまして、ただいまお話がございましたが、会合の中におきまして、アメリカ側の要求といたしましては、一つは電電公社の資材調達というものが何%あるかというふうな、そういった調達問題がございました。これにつきましては大体昭和六十一年度末までとりあえず現行の協定を延長するということについて両者で今話し合って大体合意を得ているところでございます。 あと電気通信の事業法につきましての政省令につきまして、これはいろいろな問題がございますが、機器の認定の基準の問題とか技術基準の問題とか、あるいはまた第二種の特別と一般の切り分けの問題、こういった問題について両者の間でいろいろ意見の交換が行われておるところでございます。 それから、さらにもう一つ、電電公社の今度新しい会社になりましたときに、経費の問題につきまして補助金を出すようなことになりはしないかというような、そういった問題がございます。それからもう一つ、これは経営区分の問題だと思います。いま一つ、通信衛星購入ということを、これはまだ具体的な大きな話にはなっておりませんけれども、大体こういった問題につきまして、アメリカ側が今回の電気通信改革という問題との関連におきまして、日本側に閉鎖的になるのじゃないかということについての疑念を持っておるわけであります。 郵政省といたしましてはあくまで内外無差別で、簡素透明、市場開放の原則にのっとって今回の改革を進めていくということでアメリカ側の理解を求めて努力をしておるところでございます。
○桑名義治君 この問題は我が国にとりましても非常に大きな問題だと思います。これはもう先端産業でございますので、日本の経済の動向という面からとらえてみても非常に重要な問題でもあるわけでございますが、それと同時に、この貿易摩擦の今から先、象徴的な姿でこの問題がやっぱり浮かび上がってくるのじゃなかろうかと、こうも考えられますし、現在のように国際間の相互依存体制というものが強まってまいりますと、しょせんはやはり外国からの要求事項というものを内政干渉という言葉でぽんとける、等閑視するというわけにはいかないと思います。やはりもう思い切ったいわゆる開放すると同時に十二分な理解を与えていくということが非常に重要な要素になってくると思うわけでございますが、その点についての新たなる対応というものをお考えになっていらっしゃるならばその点を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(左藤恵君) 特に新たな対応ということではございませんで、今までも申していましたとおり、市場が閉鎖的にならないように、先ほど申しました原則というものを十分理解してもらう努力をさらに積み重ねていきたいと、このように考えておるところでございます。
○桑名義治君 次に、自動車の問題を伺っておきたいと思いますが、三月一日にレーガン大統領が日本側に米国向け自動車の輸出自主規制の延長を要請しない、こういう声明を発表されたわけでございます。このまま放置しておきますと、もう自動車は輸出自由になるわけでございますが、米国に対しては自由になるわけでございますが、しかし、そうなってきますと集中豪雨的なまた心配が生まれてくるわけでございます。そこで政府の対応、これは非常に難しいと思うんです。余りにもまた規制をしてしまいますと従来と変わらないということになってくるわけでございまして、だからといって放置をしてしまうと、これ集中豪雨的になって貿易摩擦が拡大していく。この政府の対応はどういうふうにお考えになっているのか、その点をよろしくお願いします。
○国務大臣(村田敬次郎君) お答え申し上げます。 今、桑名委員御指摘になりましたように、三月一日にレーガン大統領の声明が発表されまして、三月二日に藤波官房長官と私から総理の御指示のもとに政府としての対応を発表いたしました。これは非常にはっきりしておりまして、レーガン大統領の今回の決定を歓迎する、そしてまた政府としても今回の決定を踏まえて諸般の情勢を十分見きわめて対応を固めていく所存である、それから、これは非常に重要だと思いますが、いずれにしてもいわゆる集中豪雨的輸出が好ましくないことは明らかであり、日米両国の自動車企業それぞれの良識のもとに節度ある自動車輸出が行われることが重要である、そしてまた全般的に引き続いて市場開放のための努力を行うと、こういう趣旨のものでございます。 これは三月末でありますから、したがってまだ二十日足らずの期限がございます。それから今まで四年間続いた自動車規制を一遍に撤廃するとなれば、今申し上げたようなどしゃ降り輸出が行われるとこれは大変好ましくないことになる。その辺のことについていろいろ全般の情勢を眺めておりまして、なお慎重に検討をしてまいる所存でございます。
○桑名義治君 三月末でこれが切れるわけでございますが、それまでに対応はもうきちっとしますね。
○国務大臣(村田敬次郎君) その予定で今鋭意努力を進めておるところでございます。
○桑名義治君 そこで、レーガン大統領の声明の中の一番最後に、こうした処置をとることに当たって、私は両国間で向こう数週間、数カ月間に行われるハイレベルの討議では日本から互恵の待遇が得られることを期待すると、こういうふうに結ばれているわけでございます。そこで、現在は四分野における交渉が行われているわけですが、これに対して見返りが欲しい、見返りを必ず日本はするであろうと、こう期待と要求が含まっているように見えるわけでございますが、その点どういうふうに解釈されていますか。これは重大な問題ですから大臣やってくださいよ。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今のレーガン大統領の談話に今お話しのようなことが書いてあるわけですが、私どもはこの四分野の問題とそれから自動車の問題というのは関連していないというふうにとらえておりますし、またアメリカ政府もこれを絡めて処理しようということではないと私は思っております。四分野は四分野でやっていかなければならぬ、自動車は自動車、しかし全体的にアメリカのやはり政府としては、そういう中でアメリカ自身がいろいろのアメリカに起こってくる保護主義的な考えを排して、自動車の輸入の自由化を大統領の決断でやるのだから、日本はやっぱりそれなりにアメリカの要求する市場開放に努力してほしいという気持ちが込められていることはこれはもう間違いないと思いますけれども、しかし交渉とかそういうあれにおいては、もうきちっとそれなりに関連のない形で、これを何か一緒に関連さして処理していくということで今の四分野の協議を続けておるわけではありません。これはもう日米両国ではっきりしております。
○桑名義治君 私もそう思います。独立したものとして考えていかなければならないと、こういうふうに思っておりますが、しかし交渉の段階で恐らく私は頭をもたげてくると思うんです。そのときどう対応していくかということがまた一つの問題になるんじゃなかろうか、こう思うわけですが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは確かにアメリカとしてはそういう願いが込められておるわけでしょうから、しかし口に出して言っているわけじゃありませんし、例えば日米貨物交渉なんかもありますし、これなんかもまだ今難航しておりますが、こういうのがまた四委員会との関係でいろいろと関連されるとそれはもうおかしいことになるわけで、それはアメリカ政府も承知しておりますし、日本はもちろん日本の立場からいけばそれぞれの交渉でそれぞれ成果を上げていくということで、絡めて処理していこうということではございません。私たちはそういう姿勢で今後とも取り組んでいく考えです。
○桑名義治君 次の問題は、先ほどちょっと御答弁の中にもございましたけれども、いわゆる通信衛星購入問題でございますが、日米通商摩擦を拡大させないために通信衛星を民間ベースで早期に購入させる方針を閣議で決定もしておられるようでございますが、これは事実かどうかということと、それからこれはある程度政府が業界の方に圧力をかけたというような面があるかどうか、この点はどうでしょうか。
○国務大臣(左藤恵君) お答え申し上げます。 特に、この通信衛星の問題で閣議でどうだとかいうふうなことはございません。政府はただ昨年の四月二十七日の対外経済対策において、民間企業については電気通信事業法の成立を前提として外国の通信衛星の購入の道を開く、それから日本電信電話株式会社については宇宙開発政策との整合性を確保しつつ、同社独自の判断による内外からの購入の道を開く、こういう方針は今の会合で決定はされておるわけでありますけれども、郵政省としては今そうした基本的な方針に基づいて今後対処していきたい、このように考えておりますが、特にただいま日米間において郵政省に対してこの通信衛星の問題について具体的な交渉に入っておるということではございません。
○桑名義治君 報道によれば、一基は早急に購入をするような具体的な話し合いが進められているというようなことが報道されているわけでございますが、これは事実に反するわけですか。どこまで進んでいるんですか。
○国務大臣(左藤恵君) 特に具体的な話が進んでおるということではございません。
○桑名義治君 そこで、そういう閣議が行われたというふうに承ったわけですが、ことしの一月の中曽根・レーガン会談でこの問題が扱われたとい うふうな意味の報道があるわけでございますが、総理どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 具体的に衛星を買ってくれというような話はありません。しかし四つの分野の中の通信機材という包括的な名前で言われたということは考えていいと思います。
○桑名義治君 そこで、いろいろと通信摩擦問題を、個々の問題を取り上げてまいったわけですが、最近アメリカを中心にしまして保護主義の動きが非常に強くなってきたわけでございますが、これに対しまして経団連が提言をしております。「政省令等の立法過程において、原案を一定期間内外に公開して意見を求めることを制度化するとともに、公聴会を開くなど、内外の関係者の意見が十分反映されるようにすべきである。」、いわゆる政省令の段階で、立法の段階で原案を一定期間内外に公表して意見を求めたらどうだと ここまで提言をしているわけでございますが、この提言に対しては総理どのようにお考えになられますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本とアメリカでは省政令を制定する手続が違うのであります。アメリカ側が要請していることは、まず政令原案あるいは省令原案の内容を先に示しなさい、それに対して自分たちは意見を言う。日本側はその案をつくる前に業界や関係者の皆さんに意見を聞いてそれから素案をつくる、そして素案ができてから今度は一般にお見せをする、意見を聞く、そういう日本が手続を非常に複雑といいますか、念を入れたやり方をやっておる。アメリカの方は、ともかく先に案を出しなさい、政令案を出しなさい、省令案を出しなさいと、そう言ってきておる。その手続の差がありました。しかし日本側も、アメリカ側がそう言うのならば、ともかく早目に省政令の案をつくりましょうというのでつくりまして、それを先方に見せたようです。それに対して若干の意見がありましたけれども、大体において誤解は解けつつある。しかしその場合でも、例えばVANの場合の二種と特別二種の分界点、あるいは登録とか届け出というものに対する透明性や安心度の問題、そういうような問題について疑念や何かかまだ残っておる、そういうものをクリアするという段階に来ていると思います。
○桑名義治君 そこで、この経団連の提言に対しての総理の御意見はどうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 問題点を指摘したいい提言だと思っております。ただ、今まで日本には日本のそういうしきたりがありますからうまく調和させてやる、アメリカと文化が違いますから、誤解を解くということは日本側の大事な仕事であると思います。
○桑名義治君 そこで、最近米国議会ではローカルコンテント法案、それから輸入課徴金の導入を求める声も非常に強く上がってきているわけでございますが、これにはどういうふうに対応をされるおつもりでございますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) ローカルコンテント法案もこれまで日本でも随分アメリカの議会の動きを見ながらいろいろと議論されたわけでございますし、政府としましてもアメリカの議会、あるいはまた日本の議会関係者の皆さんもアメリカの議会の皆さんと会うたびに、ローカルコンテント法という保護主義的な立法はやめるべきであるということを要請し続けてまいりました。幸いにして、下院は通りましたが上院で通らないということで日の目を見ておらないわけでございますし、課徴金は、これもアメリカの議会の中で動きがあるわけでございますが、しかしアメリカの議会全体で一挙にそういう方向に行くのかどうかということは、これはこれからの日米関係、今の日米の委員会が成功するかしないかということも大きな分かれ目であろうと思いますし、あるいはまた、今の日米間に横たわっておる貿易の赤字の問題、アメリカの赤字の問題がこれからどういうふうに伸びていくかというふうなこと等も、これからいろいろとアメリカの議会を左右する要素になると思いますけれども、しかしアメリカの大統領を初め政府関係者はこうしたアメリカ議会の保護主義的な動きは何とか抑えたいということでありますし、また大統領は場合によっては拒否権も使うことを辞さないというふうなことまでも言っておられるわけでございますが、しかし決して安心できる情勢ではない。 アメリカの議会の動きはしばしばこういう保護主義的な立法が出ては消え出ては消えをしておりますが、中には通っておる法案もあるわけですし、そしてまだ依然として、上院ではつぶされたとしても、アメリカの議会の中では、ローカルコンテントにしてもあるいは課徴金の問題にしても生きておるわけでございますから、いつどういう形でこれが出てこないとも限らないということを、我々は十分注意をしながらこれからの日米交渉に臨んでいかなければなりませんし、あるいはまた、対米的な世論工作といいますか、議会工作といったものもこれはやらなければならない。そして、日米手を握って世界の自由貿易体制を守っていくというために努力を傾けていかなければならない、こういうふうに思っておりますし、そういう意味でニューラウンドなども我が国でいわば提唱しておるわけでございますが、これを今度のサミット等においてもぜひともひとつこれから準備を開始するというようなところまで持っていくことが必要じゃないかということを私は痛切に感じておるわけであります。
○桑名義治君 対外貿易摩擦問題はなお一層大きく広がってくるおそれが十二分にあるわけでございますが、これは対外に対する政策と同時に、国内的に内需をやはり拡大していかなければおさまりのつかない問題でございまして、これは車の両輪に私はなると思います。この点についてどういう対策をお考えになっているのか、これの対外経済摩擦に対するキャップであられる河本大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) この対外貿易摩擦を処理するのには、私は三つの柱が必要だと思います。一つは今いろいろ御議論のございます市場の開放の問題、それからもう一つは内需の拡大の問題、それから第三はやはり為替問題、この三つの問題を並行して対策を考えませんとなかなか思うように前進はしないと、こう思います。 先般、対外経済問題関係閣僚会議の諮問委員会の座長の大来さんがアメリカへ行かれまして、アメリカ政府、それからアメリカ財界、産業界の各方面といろいろ意見交換をされましたが、アメリカの政府要人の特に一部の方々は、もう少し内需の拡大をやってくれないか、アメリカは現在これだけの国内に購買力がある、それでアメリカの輸入が拡大をしておるのだ、だから日本もやはり総合的に考えてもう少し内需の拡大が進むようなそういう方策について積極的に検討してもらいたいと、こういう要請があったようでございます。そういうこともございますので、これからやはり政府部内で今の三本立ての対策をどう進めるかということについて寄り寄り協議をしていかなければならぬと、こう思っております。
○桑名義治君 この問題に対する最後に総理の御意見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) この問題は日米間のみならずヨーロッパも、あるいは発展途上国、特にASEANの諸国等も注目している問題でありまして、理由はいろいろありますけれども、この現実自体をどう打開するかということが政治の大きな要請に登場してきております。そういう意味におきまして、今河本さんが申されましたような点について今懸命の努力をし、かつアメリカ筋に対しても、誤解もありましょうし、また場合によっては議会筋あたりでは非常に冷静を欠いたエモーショナルな議論もあります。そういうような面もよくわきまえて、冷静に、そして一歩ずつこれを解決して両国の友好関係を損なわない、そういう趣旨に立って努力してまいりたいと思っております。
○桑名義治君 次に、これは質問通告してないわけでございますが、原研の大洗の事故について御説明を願いたいと思います。
○政府委員(辻栄一君) お答え申し上げます。 本件の事実関係につきましては次のとおりでございます。 ことしの二月十五日、日本原子力研究所大洗研究所におきまして、同所の材料試験炉で生産いたしましたイリジウム192約六千五百キュリーを輸送いたしますために、同所のホットラボという施設におきまして輸送容器に収納作業を行っておりましたところ、作業員二名が被曝を受けたわけでございます。被曝線量は、一人について着用していたフィルムバッジを緊急現像をいたしました結果、二・九レム、他の一人についてはフィルムバッジを着用していなかったため、作業分析を行い評価を行いましたところ二・六レムでございまして、この数字はいずれも規制値の三レムを下回る数字でございます。原因は、イリジウムを運び出しますための輸送容器にイリジウムを移す作業を行っておりましたところ、操作を誤りましてイリジウム192が露出してしまったというために生じたものでございます。 事の態様は以上のとおりでございますが、この点についての報告についての経緯がまた次のとおりでございます。 二月十五日におきましては、当庁は作業者の被曝線量はともに二・九レムとの報告を受けていたわけでございますが、しかし翌日、日本原子力研究所から、そのうちの一名につきましてはフィルムバッジを着用していなかったということ及び当該作業員の被曝は作業内容から二・九レムよりも明らかに低いという訂正の数字がございまして、報告がございました。 当庁といたしましては、原子力研究所に対し二月十五日の報告に間違いがありましたことについて厳重注意をいたしますとともに、フィルムバッジを着用していなかった作業者にかかわる被曝線量についてはさらに詳細な調査を行うように命じまして、三月六日に、評価結果が多目に見積もりましても最大二・六レムであるという報告を受けておるところでございます。 本件によります被曝線量は、このように二・九レム、二・六レムと法令の許容線量よりも低いものではございますけれども、安全管理上不適切な面があったということなどから、かかる事態が再び起こりませんように総合的な対応策を講じてその内容について報告をするように指示していたところでございますが、今朝、原研の理事長から私に対しましてこの対応策に関する中間的な報告があった、その際に私からこのような事態が再び生じないように原研に対して厳重に注意するとともに、本件に対する対応策を早急に取りまとめるよう命じたところでございます。
○桑名義治君 一番問題なのは、原研の職員が法律で規定されている事故防止のいわゆる規定に沿った装備をしていなかった、これが一つ。それから事故に対するうその報告をやった、これはやっぱり私は非常に重大な問題だと思うんですが、これ長官どうですか。
○国務大臣(竹内黎一君) お答えいたします。 今御報告申し上げましたように、原研大洗研究所の被曝事故の発表が事実と相違したことはまことに残念であり、私として遺憾の意を表明する次第でございます。原研は、非公式ではありますけれども、こういうような事故の再発がないように検討グループをつくって対策を検討しておりまして、けさほどその中間報告が安全局長にあった次第でございますけれども、私もこの一連の経過を報告を受けまして一番懸念しておりますのは、本件の事態が、たまたま個人がフィルムバッジを装着するのを忘れたといういわば個人のミスなのか、あるいはいわばそれは氷山の一角として原研全体の放射線管理にたるみがあったのではないか、もし後者であるとするならば、これは大変な信頼を失うことになるわけでございまして、そういう立場から、こういう事故を二度と起こさないよう局長を通じて私からも厳重注意をしたところでございます。 また、発表をめぐりまして報告の訂正がありながら直ちにこれを行わなかったということ、これも明らかに重大なミスでございまして、重ね重ね遺憾の意を表する次第です。
○桑名義治君 次に、国際森林年の取り組みについて林野庁に伺いますが、どういう対応をしてまいりますか。
○政府委員(田中恒寿君) ことしの国際森林年が、世界各国のこれ以上の森林の荒廃は見過ごすことのできないという大変な深い危機意識に裏打ちされまして、大変準備期間はないのにもかかわらず急遽決まったというような経緯がございますので、私どもも、これまで森林関係につきましては随分と既存の実行してまいったものも実はございます。例えば各県で行っております植樹祭でありますとか、あるいは全国営林局署で行っておる植樹祭、そういうものをも下敷きといたしまして、特にことしは森林林業に関します国民の理解を深めることが第一でございますので、まず国際森林年記念の森を造成する、これに取りかかりたい、二番目には国際的な記念シンポジウム、これは森林の減退で悩んでおるようなところの国を中心に考えてはどうかと思っております。そういう方に来ていただきまして、シンポジウムあるいはグリーンフェスティバル、仮称ではございますけれども、こういうものとか、あるいは次代を担う中学生を対象にしまして副読本とかあるいはビデオとか、そういうものを配付すること、こういうことを中心に考えているところでございます。
○桑名義治君 本年度の予算はどうなっていますか。
○委員長(長田裕二君) 答弁はなるべく簡明に願います。
○政府委員(田中恒寿君) 新規につきましたのは三千三百万円でございますが、その他既存の経費等を合わせまして約六億五千万を動員することとしております。なおまた、民間に協力推進会議ができておりまして、これもいろいろ募金活動をするというふうに承知しておりまして、それらをあわせて大いに意義あるものといたしたいというふうに考えております。
○桑名義治君 この国際森林年に対しまして、総理も大変に意欲的な御意向を述べていらっしゃいます。「地球環境の保全は、人類生存の基礎となるものであり、我が国は、これに積極的に貢献していきたいと考えます。本年は、国際森林年の年でもあり、地球森林資源の保全、涵養に、積極的に取り組んでまいりたいと存じます。」と、こういうふうに総理は本会議場で述べられたわけでございますが、中身を見てみますと、ODA、国連関係機関、国際熱帯木材機関に五千万円の拠出金、それから記念事業委託費として三千三百万、こういうふうになっているわけですが、ちょっとお粗末な予算じゃないか、こう思うんですが、総理、どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) そちらの予算はシンポジウムだとかなんとかというPR系統の予算であります。最も大事なことはもっと林政を充実させる実際政策が大事なのであります。そういう面から、例えば間伐をどんどん促進するとか、あるいは資源の維持、培養のためのいろいろな林道であるとか、あるいは土砂を崩壊するのを防止するとか、そういうようなもう少し積極的に林政が進行するようなていの積極策をもっと持ったらどうかと私林野庁にも申しまして、そういうような新たなる展望に立った施策を持ってこい、そう言って命じておるところであります。そういうところで積極的に努力していきたいと思います。
○桑名義治君 いずれにしましても、もう少しやっぱり現代はお金がなければ動けないわけでございまして、やはりそれに見合うだけの、総理の思われている事柄に見合うだけのやはり積極的な対応をなすべきであろう、こういうふうに思っておるわけでございます。 そこで、環境保全の問題がやはり同時的に行われていかなければならないわけでございますが、林野庁長官、昭和四十六年四日六日に全国の営林局長へ出された三百三号通達、同じく四月十九日の通達百七十号の内容について御説明願いたいと思います。
○政府委員(田中恒寿君) 最初の三百三号通達と 申しますのは、当時国有林で使っておりましたいわゆる2・4・5T系の除草剤、ウィドンとかブラシキラーと言っておりましたが、これが当時欧米では一般的に使われておりました除草剤でございますが、我が国では四十二年ころから使っておったものでございます。これが四十五年ころ催奇性に疑問があるということでいろいろ論議がございまして、そういう疑わしきものにつきましては国有林においては使用を中止するということを長官名で通知いたしたものが三百三号でございます。 それから百七十号と申しますのは、使用を中止した手持ちの在庫につきまして、これがやはり黙って持っておきますと使われる、あるいは盗まれる等の危険もありますので、かぎのかかる倉庫に厳重に保管するようにということを指示したものでございます。
○桑名義治君 そうすると、四十六年十一月の五百四十六号、これをお伺いしたいんですが。
○政府委員(田中恒寿君) これにつきましては、保管しておりました除草剤を最終的にどういうふうに処理するかということにつきまして指示をしたものでございますが、いろいろ厚生省等の関係機関とも打ち合わせをいたしまして、まず土中に埋没処分するというのが基本でございまして、まずはどういう場所を選ぶべきか、なるべく峰筋の乾いた粘土質のところがいいとか、地下水のわかないところがいいとか、もちろん人が来ないところとか、そういうふうな場所の選定の考え方、あるいは一カ所についての最大限度の処理数量三百キログラムとか、そういうことを細かく指示したのがこの文書でございます。
○桑名義治君 そのような2・4・5T除草剤、これにはダイオキシンが入っておるわけですが、ダイオキシンの人体に対する影響をお話し願いたいと思います。
○政府委員(田中恒寿君) 当時はダイオキシンが私ども入っておるとは実は承知をしておらなかったわけでございますが、その後いろいろ最近では随分知見もふえておると存じておりますが、いろいろな種類がある。ダイオキシンの中でも大変猛毒の2・3・7・8ダイオキシン、これは非常に猛毒だと伺っております。そのほかは大体無毒である。これは2・4・5T系で問題になりましたのは、製造過程でごく微量にこれが混入するおそれがあるというので問題になったというふうに承知をしております。
○桑名義治君 このダイオキシンの人体に対する影響はどうですか。
○政府委員(関谷俊作君) ただいま林野庁長官がお答えしましたとおり2・4・5Tを主成分とします薬剤、除草剤の中にダイオキシン、これはいろいろな形態のものがあるわけでございますが、これが入っておるということで、ちょうどこの四十六年の措置をとりましたころの問題は、催奇形性、つまり子供に奇形が出る、これは猿等でそういうような事例がアメリカ等で報告されたということで、先ほど申し上げましたような使用中止の措置をとったわけでございます。
○桑名義治君 要するに猛毒であったわけでございます。そういったことでこの2・4・5T除草剤の使用した期間、量、それからまた残っていた量についてお知らせ願いたい。
○政府委員(田中恒寿君) 四十二年度から四十五年度まで使っておりますので、有効成分で申し上げますと七十四トンの2・4・5Tが使用されております。また最終的に手持ちしたもの、使わなかったものは約五トンでございます。したがいまして、国有林では七十九トンを使用もしくは手持ちしておったということになります。
○桑名義治君 その中で林野庁が処分をした分と、それから業界に引き取った分があるわけでございますが、この量はそれぞれどういうふうになっておりますか。
○政府委員(田中恒寿君) 乳剤と粒剤に分けておりますが、メーカーに返還した乳剤は四・九キロリットル、これは全体の手持ちの七〇%を返還しております。粒剤は四十二トン、全体の六四%を返還しておりまして、その残りのものは国有林内で営林局長の責任におきまして埋没等の処理をいたしたわけでございます。
○桑名義治君 そこで、先ほどから通達の中にも埋没するようにという通達が出ております。それで私の方でそれぞれ埋没したところを調べてみました。七カ所調べたわけですが、確かに時間的な経過等もあって、ありますけれども全くどこに埋没したのかわからないというようなところがいまだにあるわけです。そうかと思えば、きちっと処理されているところもございます。これは私は重大な問題だろうと思うんです。猛毒であればこそ、人体に重大な影響があればこそ、こういう処置をしなさいということですから、何年たてば役所の処理は要りませんよという、このことでおさめられてはいけないと思うんです。やはり次々に言い渡していく、こういう書類の保管が私は最も大事だ、こういう細かい配慮が行政には必要じゃないか、こういうふうに思うわけでございます。 方向づけとしては、指示どおり、通達どおりに一応されているということは言えるわけでございますが、民間が、いわゆるメーカーが引き取った分はどういう処理をしたんでしょうか。
○政府委員(田中恒寿君) メーカーにおきましては高温の焼却炉で焼却をしたという報告を当時受けております。
○桑名義治君 さあ、ここが大変な問題でございます。いわゆる高温処理をすることが可能であるとするならば、処分をする有効な手段とするならば、わざわざ農林省が引き取って、林野庁が引き取って土中に埋没させる必要は何にもないわけです。燃してはいけない、高温処理はしてはいけない薬物であればこそ埋没させたんでしょう。ところが、行政通達の農林省の処置と、それからいわゆるメーカーの処置と全く違う方法でしている。こんなずさんな処理の方法がありますか。農林大臣どう思いますか、これは。
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えいたします。 今のお話を聞いておりまして、私の聞いている範囲は、埋没箇所については必要な水質及び土壌の調査を実施するとともに、昨年十一月に専門家による検討会を催して、十二月十三日に通達を出しまして、そして埋没箇所への立ち入り禁止、埋没箇所のコンクリートによる地表面の被覆等の措置を講ずることとして、実は積雪地帯を除いて年度内には完了する見込みと、このように聞いておるわけでございますが、仮にそういう事実があればもう一遍再調査させまして、厳しくいたしたいと思います。
○桑名義治君 あなた、聞いていないんだよ。 メーカー引き取りの分は高温処理をしたと言っているから、片一方では土の中に埋めろと、それからメーカーが引き取った分は燃したと、こんな中途半端なことがありますか。これに対してあなたはどう思っていますかと、こうお尋ねしているんですよ。
○国務大臣(佐藤守良君) それはもう厳しく、これもう一回よく再調査してみたいと思っております。そして指示どおりやらしたい、このように考えております。
○桑名義治君 指示どおりできるわけないじゃないか。燃したものを指示どおりどうしてやれますか。
○政府委員(田中恒寿君) その間の多少統一されていない経緯につきまして御説明申し上げたいと思いますが、当時使用を中止いたしましたときは、まだ薬の登録としては有効であったわけであります。ですから、役人の考えと思われるかと存じますけれども、会計法上と申しますか物品管理上と申しますか、なかなかこれを返すということについてもいろいろな意見もあって、その辺なかなか統一した処理につきましては当時の当局者も考えあぐねておった、ただ絶対使わないということはもう当時決まっておったわけでございますので、個別にメーカーと話していて、焼却の設備等、化学会社といいますのはいろいろな廃棄物が出ますので、それを安全に処理する設備などがあ ると聞いておりますが、そういう処理をしたところと、それからまた当時有機塩素系の農薬等も大変問題になっておりまして、一般的にそういう手持ちの農薬はどうして処理すべきかということなども営林局も研究をいたしておりました。で、手持ちの農薬の処理としてはどうすべきかということをいろいろ県とか保健所と相談いたしまして、その当時の知見としてはやはり最も適当な方法をとったところもある。二通りの方法がありましたけれども、それぞれに頭を絞りましてそういう処理方法を考えまして、今となりますと二通りでございますけれども、当時はそれなりに非常に苦労しまして考えついたというのが実態でございます。
○桑名義治君 いずれにしましても、先ほどから大洗町の原研の問題、それから今指摘をいたしましたいわゆる除草剤の問題、これみんな通達が中途半端になっているんです。全部通達の処理が中途半端になっている。ここら辺に人間の命を軽視したいわゆる行政の姿勢が私は端的にあらわれていると思うんですよ。これはもう非常に遺憾であります。この点について総理の御意見を伺ってこの問題は終わりにしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 確かに森林管理について除草剤とかそのほかの管理が必ずしも厳密に科学的、精密なものでない、そういう点は御指摘のとおりであると思います。その点については、今後とも大いに注意していきたいと思っています。
○桑名義治君 ちょっと御答弁おかしいですよ。原研の問題も言っておりますが、これは御答弁おかしい。もう少し教えてやってくださいよ、大蔵大臣。
○国務大臣(中曽根康弘君) 原研の問題については、被曝線量の問題とかそういう問題について必ずしも万全でない、報告も十分でなかった、そういう点は今後とも大いに注意したいと思います。
○桑名義治君 違いますよ。原研の問題は、うその報告をしているということなんです。
○国務大臣(竹内黎一君) 先ほども申し上げましたように、事実が判明した段階でそれを発表しなかったというのは私どもの大きなミスでございまして、この機会に国民の皆様におわびいたしたいと思います。
○桑名義治君 十二分に御注意を願いたいと思います。 次の問題でございますが、老人問題でございます。 二十一世紀は、我が国におきましても急速にいわゆる高齢化社会になっていくわけでございますが、いわゆる我が国の寝たきり老人は四十八万人、また痴呆老人は五十七万人、こういうふうに推定をされておりまして、昭和百年ごろには老人の半数以上が七十五歳以上のお年寄りになる、こういうふうに推定をされているわけでございます。この対応は今現在は大変におくれている、こういうふうに言わなければならないと思うのでございますが、これはまた大変にお金もかかる問題でございますが、これは年次的に対策を立てて、きちっと対応をしていくことが重要な問題だと思うのですが、この点についての総理の認識をまず伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本といたしましては世界に類のないような高齢化社会を迎えようとしておるときでありまして、そういうときに老人問題、特に寝たきり老人とか、かわいそうな老人たちに対する手当て、看護というものは必ずしもまだ万全とは言いがたい、そういう点についてあらゆる面で総合的な施策を盛り上げていきたいと思っております。
○桑名義治君 そこで、社会保障制度審議会が老人福祉のあり方について建議を出しているわけでございますが、「これまでのような政策努力では拡大するニーズへの対応がますます困難になり、容易ならざる事態が生ずることは必至」とした上で、「これを緊急課題として優先的に取り上げるべき社会的責務は、いまや極めて重かつ大である。」と、こういうふうに建議はうたってあるわけですが、この問題についてはどういう認識がありますか。
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、我が国の高齢化は急速に進んでおりまして、諸外国に比べますと二倍ないし三倍、四倍というスピードでございますので、これまでもいろいろ対策を立てておりますけれども、ともかく大勢のお年寄りが虚弱であるということ、それから介護をされる家族の方々が大変介護疲れをされる、同時に介護人である家族の方がまた高齢化になっておるということでございますから、したがって、その対策が緊急であり、それぞれの家庭、地域社会だけに任しておいていいかどうか、いわば社会全体として取り組んでいかなければならない緊急な課題だと考えております。
○桑名義治君 考えているだけではだめでございまして、相当ないわゆる努力と決意が必要になってくると、私はそう思います。 そこで、この対策に対するいわゆる老人福祉、老人介護についての公的責任はどういうふうにお考えになっていますか。
○国務大臣(増岡博之君) 私どもといたしましては、いわば先ほど申し上げた在宅のお年寄りに対する対策と、それから施設に入って保護をして差し上げる施策、この両面やっておるわけでございまして、これまで社会福祉施設の中でもここ数年はほとんど特別老人ホームに重点を集中いたしております。それから在宅の場合でも家庭奉仕員でありますとか、あるいはまた短期に施設に入って保護をして差し上げる、あるいはまた日帰りでサービスを受けられる、もろもろの施策を今後やはり全面的に先ほど先生がおっしゃいましたようにかたい決意でもってやらなければならぬと思っております。
○桑名義治君 そこで、介護施設の計画的整備、いわゆる全入の希望がかなえられるような介護設備を整えていかなければならない、計画的に整えていかなければならないと思っておりますが、この点についてはどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(増岡博之君) 先ほど申し上げましたように、福祉施設の中で最重点的にやっておるわけでございまして、毎年大体百カ所前後の特養がふえておるわけでございまして、この数年間、昨年はちょっと数字が落ちておりますけれども、それ以前、大体年間八千人ぐらいの収容施設が新規に出ておる、今後もそのような状態でもう少し馬力をかけてやってまいりたいと思います。
○桑名義治君 それで、これ問題がいろいろあると思うんですが、既存の施設を活用するとか、あるいは中間施設の建設の実施時期をいつにするとか、あるいはまた介護費用の社会保険負担という問題が上がっておりますが、我々はそういう転嫁をしてはならないという、集合住宅のさまざまな問題をいわゆる建議は提言をしているわけでございます。こういうそれぞれの問題についてきめ細かく今から先は対策を立てていかなければならないわけでございますが、その点についてはどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(増岡博之君) これまでの病院と福祉施設、これだけでは対応し切れなくなっている。というのは、お年寄りの痴呆性にしましても寝たきりにしましてもいろいろの態様がありますので、ニーズが複雑になったということでございまして、そのことから中間施設をつくれという御指摘でございます。私どもは昭和六十年じゅうにはそれに対するある程度の意見はまとめてほしいということで検討会を開いていただいておるところでございまして、その結論が出次第、速やかにそのような新しい仕組みも考えてみたいと思うわけでありますけれども、なお先ほど申し上げました家庭奉仕員の制度等につきましてもこれからいよいよ必要が高まると思いますので検討してまいりたいと思います。 それから費用の点でございますけれども、御指摘のように一応社会保険の中で救済しろという御指摘もあるのですけれども、これから先のことを考えますと、大変そのことによって社会保険制度自体にかなりの負担がかかるように思うわけであ ります。それはどこにあるかといいますと、病院における看護と中間施設における福祉、介護というものとこれは相当費用の差があると思うのでございます。そこらのところ、あるいは生活費をどういうふうに考えていくかということが今後の課題であろうかと思います。
○桑名義治君 高齢者の就労対策というものも非常に重要になってくるわけですが、労働大臣、この問題についてはどうお考えですか。
○国務大臣(山口敏夫君) 御承知のとおり二十一世紀に向けて六千万労働人口が約六千五、六百万、その五、六百万ふえる労働人口の八割近くが五十五歳以上の高齢者と、こういうことでございまして、今、厚生大臣から御答弁がございましたが、したがいまして、社会保障面からの高齢者対策というのも大事でございますが、私は人生八十年時代ということになりますと、やはり高齢者の雇用問題というものが一番大事である、そういう意味で六十歳代の定年の延長、あるいは六十蔵前半層の雇用の延長等の問題につきましても、労働省として一生懸命取り組んできたところでございますけれども、特にそうした問題のための雇用審議会、中央職業安定審議会をことし開かれる予定のものを昨年開きまして、この六、七月までにひとつ審議会の方針を出していただきまして、法制化等の問題も含めて国会で御論議いただけるような就業対策をひとつ方針を出していかなければならない。 それからいま一つは、シルバー人材センターのような形での雇用面の確保、特に地方自治体等の提携の中で各主要都市にそういう高齢者の就業のための窓口を設置いたしまして、そうしたニーズにこたえていくということが非常に大事なことだということで、今積極的に進めさしていただいておるというところでございます。
○桑名義治君 総理御存じかとも思いますが、我が党としましても老人対策緊急百億円プランというものを政府に提出をしておりますが、この件についての総理の御意見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 公明党の百億円プランを前に私拝見したことがございますが、非常に周到に網羅的に対策が講ぜられておるように思います。相当部分は政府も実施していることで、その深度を深めよ、あるいは手当てを厚くせよ、そういうような御趣旨の内容であると考えておりますが、その線に沿いまして一つ一つ充実していきたいと考えております。
○桑名義治君 次に、民活の問題がこれは総理の施策の大きな柱としてあるわけでございますが、河本大臣、国有地開放は内需拡大の面で効果が薄い、民間活力導入の最大の課題は公的規制の緩和だと、こういうような御意見を述べられているわけでございますが、この点についてはどうお考えですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 効果が薄いというのはちょっと誤解でございまして、私の言っておりますのは、広い意味で民間活力の導入というのはやはり抜本的な税制の改革にある、それからもう一つはやはり政府の中期的な経済政策、それによって民間の投資が出てくるわけでありますから、明るい展望の開けるような中期的な経済政策の展望が必要だ、それからさらにもう一つはやはり経済上の規制緩和を抜本的にやることだ、これがこの民活の前提条件だと、こう言っておるわけでございます。ただ、この国有地の開放はそれなりに効果はありますけれども、今候補地に挙がっております国有地というものはそんなに多くはございませんで、さらに数年先でないと開放できないものもございます。そこで、この問題が我が国経済全体を動かすほどの現状においては力がない。だから事の大小というものを考えなければいかぬ、そういう趣旨のことを言ったわけでございます。
○桑名義治君 では、河本大臣は、それにかわるべき方法と方策はどういう事柄が、どういうことをするのが、現在の日本の経済の活性化につながるというふうにお考えになっておられますか。
○国務大臣(河本敏夫君) 財政がこういう事情でございますから、財政の力をかりて景気浮揚対策をやるというようなことにつきましては、これはなかなか国民的な合意を得ることは難しいと、今の段階はそう思います。そこで急がば回れということでございますけれども、やはり私は税制の抜本改正というものを急ぐ必要があるのではないか、こう考えております。きのうも質疑応答の中で総理が税制の抜本改正はこの活力を生み出すのだ、こういうことを目標にしたいということを言われておりましたが、やはりアメリカなどのやり方を見ておりますと、税制の抜本改正から非常に大きな活力が生まれております。 それからもう一つ、アメリカなどを見ておりますと、やはり一九八九年までの相当高い成長が続くという、そういう背景のもとに大規模な民間投資が進んでおるんだと、こう思います。それと、やはり戦後四十年の間に非常にたくさんの経済上の公的規制がたまっておりまして、それが自由競争を阻害しておる、そこで経済の活力が失われておるという面もございますので、この三つの分野を総合的に進めるということが、財政の問題を抜きにしますと当面の急務ではなかろうかと、こういう感じがいたします。
○桑名義治君 現在民間活力の活用が叫ばれているわけでございますが、現段階では目玉は国公有地の活用ということになるわけでございますが、ところが、なかなか土地の洗い出しがおくれているということで総理が督促をしたと、こういうふうなお話も伺っておるわけでございます。総理、この洗い出された土地、これをどういうふうに利用するのが最も有効であるというふうにお考えになっておられますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 原則として国有地は公共団体等にまず優先権を割り当てる、それに適しないもの、あるいは公共団体がまた別に考えてやるという場合には民間に渡す、そういう順序が一応の原則になっていると思います。この原則はやはり尊重さるべきであると思います。と申しますのは、公共団体が都市計画を持っておりますから、その都市計画との関連においてそれらが生かされていくべきものであると思うからです。しかし、必ずしもそういう配慮をする必要のない小さなもの、小規模のもの等は、これは直接的に民活に、業者あるいはコンソルショムのようなものに公正に使わせるということもこれは大事であると、そう思っております。そういうようないろいろな組み合わせを考えまして、臨機応変に民活に役立つことをどしどし実行していきたいと、そう考えております。
○桑名義治君 この土地の問題は、これはまた非常に重大な問題でございまして、それぞれの各省の思惑もある、利用計画等もございましてなかなかそこら辺はスムーズにいかないものだろうと思います。また、財政が非常に厳しいからといって、急激にこの土地を売るということは国民の財産を勝手に売るということになってしまうわけでございまして、十二分にこの点は配慮しつつこの問題と今後も取り組んでいっていただきたいことを要望し、質問を終わりたいと思います。
○委員長(長田裕二君) 安倍外務大臣から、桑名君に対する先ほどの答弁に関し発言を求められております。この際これを許します。安倍外務大臣。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 先ほど貿易問題の私の答弁の中で、ダンフォース委員会のイノウエ議員と言いましたけれども、マツナガ議員の間違いでございましたので、訂正をさせていただきます。
○委員長(長田裕二君) 以上で桑名君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(長田裕二君) 次に、矢田部理君の総括質疑を行います。矢田部君。
○矢田部理君 予定の質問に先立ちまして、山口労働大臣に最初伺いたいと思います。 それは労働者の時間短縮及び休日等に関する問題でありますが、衆議院の予算修正の問題の重要な課題の一つとしてこの問題が出されました。最 終的には自民党の方から、時間短縮並びに連休等休日の増加の問題については各会派責任者で予算成立までに協議機関を設置し、今国会中にその実現を図るよう努めるという自民党の提案がありました。これを契機に国会は正常化したわけでありますが、その舌の根も乾かないうちに、昨日の新聞によりますれば、財界と自民党首脳が会談をした結果、休日等をふやすことは好ましくないという財界の指摘に対して、自民党もいろいろな理屈をつけてそれに同調したという報道がなされているのですが、担当大臣としていかがお考えでしょうか。労働大臣のお考えを聞いた上で総理からも一言コメントをお願いしたいと考えております。
○国務大臣(山口敏夫君) 労働時間の短縮は、勤労者の労働福祉、労働条件の改善あるいは国際摩擦における問題あるいは高齢者時代におけるワークシェアリング的な問題、あらゆる点から、働き好きの、また働くことによってある今日の日本の勤労国民の中で、一つの大きな意識変化とともに検討すべき大事な問題である、こういう立場から労働界初め各界でこの問題が時短元年ということで取り上げられているわけでございまして、さきの衆議院の予算の成立過程におきまして、与野党の幹事長、書記長会談でこの問題を誠心誠意協議、検討するということで、その結論を非常に注視して、動向を期待し、見守っておるところでございます。 私も昨日のそのニュースを聞きまして、けさの閣議後の会見で、国民を代表する国権の最高機関で、与野党の幹事長、書記長会談で検討すると、こういう一つの結論が出ておるわけでございますので、できるできないは別といたしまして、その検討の誠意が出る前に国会以外のところで、これができるできないという議論があったとすれば大変与党の幹部としては不謹慎な話であると、こういう意味の発言を申し上げたわけでございますが、いずれにいたしましても、これは国会において各党の責任者でしかるべき御議論をいただいて、その中身を十分協議していただき、国民の皆様にとっても国民経済にとっても有効な一つの結論を出していただくということを期待しておるところでございます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 与野党の書記長、幹事長会談の結果につきまして、協議機関を設立するということでございますから、協議機関のその協議の結果の内容等を静かに見守りまして、その結果についてはこれを尊重してまいりたいと考えております。
○矢田部理君 協議機関の協議の結果を静かに見守るのではなくて、協議機関もつくらないうちに否定的な発言を与党首脳がやるという姿勢が問題ではないのか。その点は総理、総裁としてしかと改めさせる、与野党幹事長、書記長会談で幹事長から出された提案についてはきつく約束を守るというお約束はできませんか。労働大臣、できるかできないかは別としてではなくて、この政党の動きとあわせて、担当大臣としても努力をするという決意を明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(山口敏夫君) 時期の問題また中身の問題は、今お話し申し上げましたように、与野党の政策責任者の協議でこれから検討されるわけでございますが、それが労働立法のような形で検討されるか、あるいは祝日のような形で検討されるかという協議がこれから始まるわけでございまして、我々労働省といたしましては、労働時間短縮の問題については極めて熱心にこれに取り組んでいきませんことには、将来の雇用の問題、労働福祉の問題等にとりましても大事な問題だと、こういう認識がございますので、一層その動向を見守りつつ、我々も当事者の一人として努力をしたい、かように考えます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 新聞の報道は必ずしも一〇〇%正確にその話の内容を反映したものではないと思います。いろいろのやりとりのニュアンスというものは必ずしも出ていないと思いますが、いずれにせよ、党の執行部においてこの協議機関の協議の内容がどういうふうに出るか、それを静かに見守るように、雑音を排するように注意しておきたいと思います。
○矢田部理君 最近日米間の軍の共同演習が質量ともに強化、拡大をされています。昨年末には日米共同作戦計画の策定もなされました。そういう中で大変幾つかの訓練や演習で問題だと思われるものが行われているわけでありますが、その代表的な例として、フリーテックス85の問題点を少しく論議をしてみたいと考えております。 外務省でしょうか、フリーテックス85の内容について、これは米海軍の第二次大戦後最大規模の演習だと言われているわけでありますが、できるだけ詳しくまず報告をいただきたいと思います。
○政府委員(大高時男君) 教育訓練局長でございますけれども、お答えいたします。 フリーテックスと申しますのはフリートエクササイズの略称でございまして、米海軍の第七艦隊あるいは第三艦隊等が実施する艦隊演習の一つでございます。対空、対潜等の脅威のもとにおきまして複数の空母群を含みます第七艦隊あるいは第三艦隊の艦艇、航空部隊が長期間、広大な海域にわたって各般の演習をする高レベルの艦隊演習であるというふうに承知をいたしております。 お尋ねのフリーテックス85でございますが、私どもが承知いたしておりますのは、昨年の十月中旬から十二月一日までの間でございますけれども、第七艦隊司令官が演習計画官になりまして、参加部隊は五個空母群、バトルグループでございますが、これを中核とする艦艇六十五隻、それから航空機が約五百機、それから人員約三万四千五百人、これが第三艦隊及び第七艦隊の担当区域を実施海域といたしまして、第三、第七艦隊の共同要領、それから米海空軍間の調整連携要領の演練、それから空母部隊の指揮管制、各種の演練を行ったと、こういうふうに承知をいたしております。
○矢田部理君 具体的にどんな海域でどんな演習をしたのかを明らかにできませんか。
○政府委員(大高時男君) このフリーテックス85につきましては、自衛隊——海上自衛隊でございますけれども、これは参加をいたしておりませんので、私どもが承知をいたしておりますのは、このフリーテックス85の演習に参加いたしました空母部隊から十一月の二十七日から三十日の早朝にかけまして支援を受けております。これに必要な範囲におきまして承知いたしておるわけでございますけれども、この演習は当初第三艦隊の艦艇、航空機によりましてカリフォルニア仲で開始され、十一月中旬に第七艦隊の担当海域に移行をいたしております。海上自衛隊と合流——合流と申しますか、支援を海上自衛隊に対して行いましたのは我が国の東南方海上でございまして、十一月二十七日から先ほど申し上げましたように三十日の早朝までの間、こういうことでございます。
○矢田部理君 アメリカの空軍も参加したと言われたんですが、その概況はいかがでしょうか。
○政府委員(大高時男君) フリーテックス班にアメリカの空軍が参加いたしておることは承知いたしておりまするが、詳細につきましてはつまびらかにいたしておりません。
○矢田部理君 在日米空軍は参加したでしょうか。したとすれば、その内容。
○政府委員(大高時男君) その点につきましても承知いたしておりません。
○矢田部理君 フリーテックスの具体的な演習の内容はともかくとして、このシナリオ、演習の目的、どんな行動を、世界各地、地球の半分の海域で演習したと言われるわけでありますが、展開したか、全くわかりませんか。
○政府委員(大高時男君) 先ほど来先生に申し上げておりますように、海上自衛隊としてはこのフリーテックス85に参加をいたしておるわけではございませんので、そのシナリオの詳細を承知しておるわけではございませんけれども、先方から少なくとも特定の地域あるいは特定の国からの攻撃を前提とするような想定はないというふうに聞いております。
○矢田部理君 インド洋ではどんな行動が行われたでしょうか。
○政府委員(大高時男君) 詳細についてはつまびらかにいたしておりません。
○矢田部理君 詳細じゃなくてもいい。
○政府委員(大高時男君) 先ほど来申し上げておりますように、海上自衛隊としては日本東南方海上におきまして支援を受けたのみでございまして、広範な海域にわたります訓練の内容についてはつまびらかにいたしてないということでございます。
○矢田部理君 十一月三十日から十二月一日の両日にわたって、三沢でエンプラやカールビンソンの艦載機が数十機、対地訓練の大爆撃の演習をしたというのですが、その詳細はいかがでしょうか。
○政府委員(大高時男君) 海上自衛隊が実施いたしました対潜特別訓練でございますが、これは十一月十五日から三十日早朝まで行っております。先ほど来申し上げておりますように、この間におきまして十一月二十七日から三十日早朝までの間、空母部隊の方から支援を受けておりますが、それ以降の空母部隊の行動あるいは航空機の動きについては承知をいたしておりません。ただ、後にこの航空機が三沢の射爆場におきまして演習を行ったというのを承知いたしております。
○矢田部理君 内容は。
○政府委員(大高時男君) つまびらかにいたしておりません。
○矢田部理君 運輸省に聞きましょう。このフリーテックス85の期間の中で、日本の近海にアメリカの艦隊があらわれた時期に米空軍は日本からどの程度出動したでしょうか。飛び立ったでしょうか。運輸省に聞きましょう。
○国務大臣(山下徳夫君) どうも突然の御質問で承知いたしておりませんが、何でございましたらすぐ呼びまして答弁させます。よろしゅうございましょうか。
○矢田部理君 いや、突然じゃないんです。外務省、防衛庁含めて政府としてきょうまでに整理をしてくるようにというのは、きのうきちっと運輸省にも話をしてまとめてきなさいと言っているわけですから。
○委員長(長田裕二君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(長田裕二君) 速記を起こして。
○矢田部理君 フリーテックス85の大演習が日本の東海上ですかに向かって行われようとしているときに、海上自衛隊を中心に日米共同で対潜特別訓練をやっておりましたが、その状況について報告をいただきたい。
○政府委員(大高時男君) お尋ねの五十九年度の第二回対潜特別訓練でございますが、これは十一月十五日から十一月三十日の早朝まで行っております。場所は先生御指摘のように本州の東南方海域でございまして、参加艦艇といたしましては海上自衛隊が艦艇十六隻、中身を申し上げますと護衛艦十二隻、補給艦一、潜水艦三、航空機が延べ百四十七機でございます。それから、米海軍でございますけれども、艦艇十隻、巡洋艦等五隻、補給艦一隻、潜水艦四隻、航空機が延べ百三十機でございます。このほか米海兵隊の航空機若干が防空戦訓練に対するターゲットサービス、目標支援を行っております。また、空自の戦闘機若干が防空戦訓練に支援参加をいたしております。この演練の項目でございますが、対潜の訓練、防空戦訓練、それから電子戦訓練といったようなものを行っております。 先ほど来御説明申し上げておりますように、対潜特別訓練の終盤でございますが、十一月二十七日から三十日の早朝にかけまして、米海軍の実施いたします先ほど来のフリーテックス85でございますが、これに参加中の米空母部隊がこの対潜特別訓練実施海域周辺を行動いたしました際に、対潜特別訓練に効果的な状況を現示するために支援を受けております。 以上が状況でございます。
○矢田部理君 対潜特別訓練は年に二回ぐらい日米共同でやられているようでありますが、今までの規模に比べてどうですか。
○政府委員(大高時男君) 期間あるいは参加隻数とも過去にこれより大きいものがございます。しかし、これも大きい方でございます。
○矢田部理君 私がもらった資料、この五年間ばかりでありますが、最大規模の訓練なんですね。通常だと、例えば飛行機も十機か二十機ぐらい、極めて少数でありますが、日米合わせて三百機近い飛行機が延べ出動している、艦艇もかつてない規模の艦艇が出動している、こういう規模のものありましたか。ほとんどないでしょう。
○政府委員(大高時男君) 五十七年、中部日本海におきまして八月十一日から二十五日、これは二つの期間に分かれておりますけれども、ここでミッドウェーも参加いたしまして対潜特別訓練を行っております。この両期間を通じますと、例えば後期の訓練でも航空機が両者で延べ四十八機でございましょうか。それから両期間を通じますれば艦艇が十八の十六でございますから三十四隻でございましょうか、そういう大きな規模の訓練も行っております。
○矢田部理君 その大きい規模も、ミッドウェーが来たときですね。飛行機三十五機というのが今まで最高なんです。あるいは三十六機というのが一回あります。米側では三十六機が最高、日本側では三十五機というのが最高です。今度は日本が百四十七機、アメリカが百三十機、こんな規模の訓練はかつてありませんでしょう。
○政府委員(大高時男君) ただいまのは米側、それから日本側、全部で延べ機数でございますけれども、対潜特別訓練でございますので、米側のP3C、P3B、それから日本側のP3C、P2J、こういうのがいわゆる潜水艦の捜索探知あるいはまた水上艦艇との連携ということで出たわけでございまして、数は確かに多いわけでございますけれども、効果的な訓練を行うことができたというふうに考えております。
○矢田部理君 そこで、問題を私の方からむしろ積極的に明らかにした方がいいと思いますが、このフリーテックス85というのは、アメリカの第七艦隊を主力に第三艦隊も参加をして、五つの空母機動部隊、ミッドウェー、カールビンソン、エンタープライズ等々を含めて五つの空母機動部隊がアメリカの西海岸から太平洋、インド洋、そして最後は日本海、世界の半分の海域で演習をした戦後最大の演習なんです。演習の目的は何か、想定は何かというと、もう明らかなのであります。すべての新聞が報じておりますように、対ソ戦を想定して実戦並みの大軍事演習だったという指摘が共通の指摘であります。 そして最初には中東有事を想定してインド洋に展開をした。ペルシャ湾で抑止行動に出た後、レーガンの同時多発戦略に基づいてアジアに第二戦線を開く。沿海州を恐らく想定したものと思われますが、急遽反転して太平洋を北上する。三空母であります。カールビンソン、エンタープライズ、ミッドウェー——ミッドウェーは横須賀から出港してこれに合流するわけであります。カムラン湾を威嚇してさらに北上し、フィリピンのクラークから支援を受ける。グアムからB52が飛び立つ。折しもというのでありますが、日本では最大規模の対潜訓練をさっき指摘しましたようにやっておった。この大空母部隊を言うならば迎え受けて護衛しながら北上し、三陸沖まで共同演習を行った。 単なる情報等の支援を受けたというふうに説明をするわけでありますが、形は別個でもありますが完全な共同演習だ。三陸沖で分かれた後、三沢の射爆場で艦載機が数十機飛び立って連日にわたって射爆演習をやった。これ知らないと言うのであります。そして夜半津軽沖を渡って日本海に出、ウラジオ沖九十キロのところで数日間にわたって極めて挑発的、威嚇的な大演習をやった。ミッドウェーとカールビンソンがここに入るわけであります。ソビエトも第二次大戦後最も激しい反応を示した。百機とも百五十機とも言われる爆撃機、ミグなどが飛び立って一触即発の危険な状態が続いたと言われているわけであります。 その後、カールピビソンとミッドウェーは日本 海を南下して再びミッドウェーは横須賀に戻り、カールビンソンが初めて首都圏に姿をあらわすということになるわけでありますが、これだけの大演習、対ソ戦を想定した大演習に自衛隊が参加するとは一体どういうことなのか。その全貌もつかまずに参加をしたとするならば、大変な事態になってきているということをひとつ認識しなきゃならぬと思うんですが、総理いかがでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは海上自衛隊の対潜訓練を行う過程において米海軍の協力を、その期間、ある特定の期間だけ受けて、こちらの対潜訓練上の技能の向上あるいは通信情報連絡の練度の向上等に資するためにやったものでありまして、いわゆるフリーテックス全般の中に組み込まれて日本がその目的のために協力してやったという問題ではなくして、部分的な、日本近海の場所で局部的に日本の技術向上のために相手方力を利用し協力を求めた、そういうことであると理解しております。
○矢田部理君 全体の戦争の中で一部だけ参加した、一部だけ護衛した、情報だけを受けただけだということで戦争に巻き込まれる心配は全くないものでしょうか。単に訓練だとか部分的に参加しただけだという説明では説得力はないのでありまして、とりわけこれは完全にソビエトを仮想敵国とした訓練である。日本のとってきた政策とは全く違うわけでありますが、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(加藤紘一君) 海上自衛隊に限らず、自衛隊がアメリカ側と共同演習するときには二つのことを頭において、参加すべきかどうか、その演習の内容をどうすべきか考えております。一つは、集団的自衛権についての疑義を差し挟まないようなものであるべきだと思います。それからもう一つは、我が方の業務の必要上、と申しますと、これによって練度が向上するとかそういう観点を十分わきまえて参加しなければならないことだと思っております。したがって、今度のフリーテックスの場合もそこを十分見ながら、フリーテックス自体全体に参加しているものではございません。したがって、局長等の答弁でその全容がよくわからないじゃないかと言われる今委員の御批判を受けましたけれども、そのもの自体に私たちの方が参加しているわけではないので、その点については御了解いただきたいと、こんなふうに思っております。 それから、対練訓練としての支援を受けたわけですけれども、それも限定された時間の中でございますので、その点については、さっき言いました二つの原則の面から抵触しないという自信で、細心の注意を払って、どこまで参加すべきか参加すべからざるべきか考えながらやっていましたし、今後もそんな注意を払いながらやりたいと思っております。
○矢田部理君 今、防衛庁長官は語るに落ちたと思うのですが、これは先ほども指摘しましたようにレーガンの同時多発戦略なんです。そして柔軟作戦に基づくものである。米独自の対ソ戦を想定した訓練だ、大演習だと言われているわけでありまして、日本有事は全くこのシナリオにはないんです。日本有事がないシナリオに訓練たりといえども参加をすることは集団自衛権そのもの、沿海州に第二戦線を開くということでありますか。攻撃すらもない状況のもとで日本が参加をするというのは専守防衛の逸脱そのものだというふうに指摘せざるを得ないのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(加藤紘一君) 我が海上自衛隊等が演習に参加するときに一番注意しますのは、御承知のように今集団的自衛権の範囲に及ぶかどうかということはリムパック以来いろいろな国会等で御議論になったところでございます。したがって、その点につきましては私たち十分注意しているところでございます。それから、フリーテックスがどういうものであったかということにつきましては、私たち参加しないのですから詳細には存じておりませんけれども、特に仮想敵国をつくってやったというような筋合いのものではないと承知いたしておりますが、詳細については存じません。
○矢田部理君 フリーテックスの性格やシナリオを全くわからないで、ただ支援を受けただけである、ちゃんとフリーテックスの旗艦のところにも日本の責任者行っているじゃありませんか。共同演習なんですよ、演習の方法はいろいろ密度や部分かどうかはありましょうが。そんないいかげんなこと言っちゃだめですよ。防衛庁長官。局長の問題じゃない。
○政府委員(大高時男君) 内容の部分です。
○矢田部理君 いやいや、内容じゃない、演習の性格の問題だ。
○政府委員(大高時男君) いや内容の部分が若干絡みますから先に。 先生ただいま御指摘の対潜特別訓練に関連いたしまして、こちらの幹部が船に行っておるということでございますけれども、対潜特別訓練、各種の訓練におきましては、お互いに佐官、尉官クラス、リエゾンとして調整のために出すことがあるわけでございます。したがいまして、今回の対潜特別訓練に参加しております各艦艇の間では当然交換しておる。また支援をいただきました米の空母部隊でございますが、これにつきましても連絡の佐官、尉官は出ております。これ以外に米空母に将補が一名参っておりますけれども、これは表敬訪問という格好で参っておるわけでございまして、いわゆる訓練参加ではございませんので、調整のためのものではないということを申し上げておきたいと思います。
○矢田部理君 防衛庁長官。
○委員長(長田裕二君) 加藤防衛庁長官、お答えになりますか。
○国務大臣(加藤紘一君) ただいま政府委員御答弁申し上げたとおりでございます。
○矢田部理君 情報を共通にするとか提供を受けるとか、これはもう通信衛星がインド洋から太平洋、日本海まで全部管理して、差配をしてやっておるわけでありますから、インターオペラビリティーという議論もあるわけでありますが、そういうかかわりでやっているのですから、単なる情報の提供を受けた、それは訓練でないなどと言うのは、これはまやかしそのものなのだ。そんな話はだめですよ。
○政府委員(大高時男君) ただいま私が申し上げました支援でございますけれども、フリーテックス85に参加しております米空母群は独自の訓練のシナリオを持ちまして行動をいたしておるわけでございます。しかしながら、訓練に支障のない範囲におきまして若干針路を変更してくれまして、この空母群と申しますのは非常にすぐれた情報能力を持っておるわけでございまして、対潜訓練に参加しております潜水艦あるいは航空機、水上艦艇等は、その動きを見まして非常にリアルな形で訓練ができるわけでございますし、また情報収集能力も非常にすぐれておりますので、この情報をとることによりまして広い海域にわたります対潜訓練が非常に効果的に行うことができたというふうに評価いたしております。
○矢田部理君 訓練そのものじゃありませんか。
○政府委員(大高時男君) 私が訓練が効果的に行うことができたと申しましたのは、対潜特別訓練が情報支援を受けることによりまして効果的に行うことができたということでございます。
○矢田部理君 情報を発したりもらったりすることも訓練なんですよ、今はそういう時代になってきているんだ、それは訓練と別だなんていう議論はないと言っているのです。
○政府委員(大高時男君) 訓練の参加であるか、あるいは支援であるかということでございますけれども、通常訓練でお互いに対等の当事者になりまして、相互にその訓練の結果利益を収受する場合に私どもは訓練と申しておりまして、今私が申し上げました支援と申しますのは、一方的に対潜特別訓練に参加しております艦艇が情報を受けることによりまして訓練は非常に効果的に行うことができたと。一方のフリーテックス参加の空母群でございますけれども、これは独自の訓練で、別にこの対潜特別訓練に情報を提供することによってプラスとかそういう問題は出てこない。したが って、私どもでは支援を受けたと、こういうふうに考えております。
○矢田部理君 これはもう説明すると時間がなくなるからあれですがね、米第七艦隊が北上をする、それを対潜哨戒をやって、あそこの制海権、制空権を握る。制海権を握るために百里基地からファントムも飛び出しているわけでありますから。そこでお迎えをしてウラジオに送り込む、こういう客観的な役割を担っているんですよ。それを追及されるとまずいから、情報を受けただけだとか、情報等の支援を受けたのだと。これだって私は訓練の一つだと思いますよ。これだけの客観的な役割を持たせられた危険な訓練に参加したことについて厳しく防衛庁は反省すべきだと思います。いかがですか。
○国務大臣(加藤紘一君) 私たちは安全保障条約に基づいて日米双方が綿密な連携はとることになっておるわけでございます。したがって、相互に訓練し合うこともございます。しかし、そのときに私たちが注意しなければならないのは、それが日本の防衛政策の基本から見て背馳していないか、例えば集団的自衛権に及んではいけないというその原則に背馳していないかよく考えてやらなければならないと思っております。その綿密なチェックは防衛庁の内局を中心にそれこそ委員御指摘のようにしっかりと注意を持ってやらなければならないことだと、こう考えておりますし、長官になる者もそこはしっかり見ておかなければならない部分だと思います。今度のフリーテックスの場合もその点については十分に注意をいたしまして、そして諸般の面から見て大丈夫であるという範囲のことをやっている。それからまた、別個の訓練になっておりまして、今大高局長が申しましたように、途中で針路を変更したりいろいろな形で別個の形になっているということもまた御理解いただければと思います。 詳細につきましては、また政府委員より御質問があればお答えいたします。
○矢田部理君 シナリオを知らずにやったとは思わないんですが。知っているとなったらこれは大変な事態になるのであります。わざわざ別個を装って、アメリカでも戦後最大の演習、日本も恐らく対潜訓練では今までの四倍ぐらいの規模でやっているわけでありますから最高最大の演習、対潜訓練だったと思います。これを偶然を見せかけてドッキングさせ対ソ戦を仕組んだ。その演習をやったのがこの事態だと私は思うんです。とりわけ、ウラジオ沖で数日間にわたって極めて挑発的な、国連憲章や日本国憲法でも禁止をされている威嚇的な演習すらやっているわけであります。これについて日本政府が、どんなことになっているのかといって問い合わせたという報道がありますが、いかがでしょうか、外務省。
○政府委員(栗山尚一君) そのような問い合わせは行っておりません。
○矢田部理君 ここにアメリカ太平洋軍の機関紙扱いとされているパシフィック・スターズ・アンド・ストライプスという新聞がありますが、ニューヨーク・タイムズも同趣旨の記事を載せておりますが、日本当局者複数が米政府に対して、ソ連領海と軍事施設に極めて近接してなぜそのような演習を実施したかと質問を提出したとありますが、いかがですか。
○政府委員(栗山尚一君) 御指摘のようなニューヨーク・タイムズの報道がございましたことは承知しておりますが、政府としては別にアメリカがそういう挑発的な行動をやったというような懸念は有しておりませんし、したがいまして新聞報道のような照会は一切いたしておりません。
○矢田部理君 このシナリオは日本有事を想定していましたか。
○政府委員(栗山尚一君) 先ほど防衛庁の方より御答弁申し上げましたとおりに、シナリオにつきましてはアメリカは一切発表しておりませんので私どもは承知しておりません。ただ、一般的に、フリーテックスそのものの性格につきましては、アメリカの空母を中心とします艦隊の練度向上のためということでございまして、アメリカの国防政策は従来から一貫して抑止を旨とするということで内外に明らかにされておりまして、その基本政策の枠の中での演習というふうに認識しておる次第でございます。シナリオの具体的中身につきましては、繰り返しになりますが、政府としては承知しておりません。
○矢田部理君 これは防衛庁にしかと承っておきますが、日本有事を前提としない、しかも対ソ戦を明確にしたようなシナリオ、それは演習であっても参加してならない、参加すれば集団自衛権そのものになるというふうに思いますが、その点いかがですか。
○政府委員(大高時男君) 先にお答えいたします。 フリーテックス85のシナリオでございますが、私どもが承知しております85のシナリオにつきましては、米空母部隊の艦隊レベルの練度の向上を図るためのものである。必要な訓練想定はそれぞれのフェーズについてございますけれども、特定の国からの攻撃を念頭に置いたような戦略想定はない。また、通常戦を前提にするものであるというふうに米側から承っております。 それから、ただいま先生一般的に訓練の問題お話がございましたですけれども、当方といたしましても、常に日米共同対処を念頭に置いてやる訓練、すなわち、憲法において規定されております集団自衛権の行使、これを前提とするような訓練、あるいはその訓練の内容から見まして必ずしも戦術技量の向上のためにそれほどのプラスはないというようなもの、あるいは政治的に見てこれが妥当であるかどうかといったようないろいろな角度から具体的にその訓練計画を検討いたしまして、参加するかどうかを従来から慎重に判断をしてやってきておりまして、集団自衛権の行使にわたるようなことは控えておるということでございます。
○矢田部理君 質問に答えてないですよ。私が設定した質問に全く答えていません。
○国務大臣(加藤紘一君) 訓練の際に、特定の国を仮想敵国とするシナリオで我が国の自衛隊が訓練するということはございません。
○矢田部理君 我が国の有事を前提としない訓練も参加しない。
○国務大臣(加藤紘一君) もちろん訓練は、我が国を有事と想定する場合もあるでしょうし、有事としないときもあるのではないかと思いますが、それは、具体的な訓練の内容については政府委員より答弁させます。
○政府委員(大高時男君) 訓練の中には先生御承知のように種類がございまして、日米共同対処、すなわち日本有事の場合を前提にして行う訓練、これは御承知のように日米安保条約を結んでおります米国とのみ行うことができる。そのほかの訓練といたしまして、いわゆる親善友好のための訓練、あるいは戦術技量向上のための訓練、これがございますが、これにつきましては、私ども所掌事務の遂行に必要な範囲におきましては、いかなる国のいかなる軍隊、いかなる場所にございましょうとも訓練をやることができるというふうに考えております。
○矢田部理君 私が伺っているのは、対ソ戦を前提とし、日本有事を前提としない、対ソ戦をにらんだ訓練に参加することの是非を言っているわけです。
○政府委員(大高時男君) ただいま先生御指摘の訓練は私が申し述べました三つの範疇に入らないと思いますので、そういう訓練は参加できないというふうに考えます。
○矢田部理君 フリーテックスは、私が先ほどから指摘しておりますように、まさにそのための訓練なんだ。これはもう周知の事実と言ってもいい、後でアメリカの説明を紹介しますけれども。その訓練にこれから政治のお許しをいただくならば全面的に参加をしたいと吉田海幕長の談話がありますが、これはどうしますか。
○国務大臣(加藤紘一君) フリーテックスに今後参加するかどうかというのは、そのたびごとにその訓練の内容をお聞きして、そしてそれが先ほど 言いましたように我が方の基本的な原則に合致するかどうか、それを一つ一つチェックしながら参加するかしないか決めるべきことであろうと思います。現在のところ、フリーテックスに参加するということを検討していることは今のところはございません。
○矢田部理君 フリーテックス85のような演習が再び行われるとしたら、それに参加することの是非はどうですか。——政治判断だ。訓練局長の問題じゃないよ。防衛庁長官、答えなさい。
○国務大臣(加藤紘一君) 85のようなものということに参加するかどうかという御質問でございますが、先ほどから申しましたように、85というものの基本的な性格、シナリオを私たちはつまびらかにしておりませんので、その御質問にはお答えできない立場にあります。
○矢田部理君 先ほどは内容をつまびらかにして参加したんだ、支援を受けたんだ、今度はつまびらかにしていないから何とも言えぬというのはおかしいじゃありませんか。
○政府委員(大高時男君) フリーテックスが次にいつ行われるかということにつきましては、私ども現在つまびらかにいたしておりません。したがいまして、この米海軍の行うフリーテックスに現在のところ海上自衛隊が参加するという計画は持っておりません。 将来、仮に行われた場合にどうするかということでございますけれども、先ほど来御説明いたしておりますように、所掌事務の遂行に必要な範囲内であるのかどうか、政策的に妥当であるかどうか、訓練上効果があるのかどうかといったような各般の点から慎重に判断をして決定すべきであろうというふうに考えております。
○矢田部理君 その答弁が同じ答弁だからだめだと言って聞いているんです。
○国務大臣(加藤紘一君) フリーテックス本体、フリーテックス85、それにつきましては、先ほど来私たちもそれから外務省もお答えしておりますように、それはアメリカの訓練でございまして、私たちそれについて、例えばフリーテックスは一般にそういう仮想敵国を想定するものでないという程度のものは存じておりますが、それ以外に詳細は存じておりませんということは繰り返し申し上げているところでございます。私たちは、その過程にある米海軍から我が方の第二回対潜訓練のために支援を受けたり、情報の提供を受けたりしたその範囲においては、私たちもその第二回対潜訓練等の詳細は、もちろん私たちも参加している訓練でございますから詳細に存じております。 将来のことでございますけれども、それは局長も私も同じ答弁でございますけれども、それぞれの私たちの原則に従って合致するかしないか、それで慎重に判断すべきものであろうと思います。
○矢田部理君 演習に参加するかどうかは、米海軍のものであれ、全体を知らすに部分的なところならいいのだということにはならぬでしょう。その演習の性格、ねらい、シナリオ、これがどうなっているかをまず判断した上で考える。それが仮想敵国を持ち、日本有事を前提としない、沿海州に攻め込もう、ここを威嚇しよう、こういうようなシナリオであったら、それは参加すべきじゃないでしょう。明らかじゃありませんか。
○国務大臣(加藤紘一君) 先ほどから私たちと矢田部委員との議論、若干かみ合わないところがあるような感じがいたす原因は何かと思って考えておるのですが、それは矢田部委員の場合にはフリーテックス85に全体も知らないで一部参加したという認識でおられると思うのですけれども、私たちはフリーテックスに部分参加してはおりません。そのフリーテックスに来た米海軍の一部から、その針路を変更してもらって、それで私たちの第二回対潜訓練に支援を受けた、別個の訓練として行った、そこが話の違いなのじゃないだろうかという気しますが、違うでしょうか。
○矢田部理君 私が質問を受けても困るんだが、そういうのを今は相互運用と言うんだよ。
○委員長(長田裕二君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(長田裕二君) 速記を起こして。
○国務大臣(加藤紘一君) 我が方の海上自衛隊が米軍のフリーテックス85に参加したことはございません。そして、別個の訓練として独自の対潜哨戒訓練に支援を受けたことはございます。
○矢田部理君 全く了解できないので、参加したかしないかという問題の評価の問題はありますが、要するにフリーテックス85を知った上でかかわったのか、知らない中でかかわったのかという点ではあなたの答弁は時折違うんですよ。知っていてやったんだとか、検討した上でかかわったんだとか、いや検討しない、知らないんだと言ってみたり、そこがはっきりしないから答弁がごちゃごちゃになって私に質問するようなことになってしまう。やり直しです。そこをはっきりして、それから運輸省の問題も含めて統一してくださいよ。したがって、私は質問を留保する。
○委員長(長田裕二君) 検討した部分がどこであるかということをはっきりさしていただければと思います。
○矢田部理君 ちょっとそこの見解をきちっとしてください。それまで私、質問を留保します。
○国務大臣(加藤紘一君) フリーテックス85の内容がどの程度知っていたかということにつきましては、外務省も防衛庁も、先ほど栗山北米局長が申したとおりでございます。詳細については存じておりません。 そこで、私たちは対潜哨戒訓練に米海軍の支援を受けましたけれども、この程度の支援を受けることであれば、別個に行われているだろうものと、フリーテックスと切り離されたものになるだろうという限度内に支援を受けた事実はございます。
○矢田部理君 ちょっと今の答弁では納得できません。
○委員長(長田裕二君) 矢田部君の残余の質疑は後日に行うことといたします。 ─────────────
○委員長(長田裕二君) 次に、上田耕一郎君の総括質疑を行います。上田君。
○上田耕一郎君 ことしは被爆四十周年で、今度の国会も核問題が大きな焦点の一つになりました。 きのうソ連共産党のチェルネンコ書記長が急逝されまして、私どもも深い哀悼の意を表しております。きょうの二時、不破委員長、金子書記局長が葬儀に参例に参りましたが、首相も参列の表明と言われておりますが、チェルネンコ書記長は、去年の十二月十七日に日本共産党の宮本議長と日ソ両党の共同声明、核廃絶の歴史的な共同声明を合意された方で、その意味で、きょうから米ソのジュネーブ交渉も始まりますけれども、私どもも被爆国の党として、また被爆国の国民として核廃絶の実現のために努力していきたいと思います。 きょう、どうやら五時までという質問なので、核問題について衆議院でもかなり議論がありましたし、やや詰めた議論をしたいと思います。 まず、首相が抑止力それから抑止と均衡とよくおっしゃいますけれども、どういう意味なのか、まずきちんとお聞きしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 第二次世界大戦後の一つの防衛思想として出てきているものではないかと思っております。戦争を起こさせないで平和を持続さしていくという点につきまして、現実問題として核兵器なり、あるいは通常兵器を持っておる、そういう状況が現出してきて、しかもそれがかなり巨大な兵力にもなり、あるいは核兵器のような被害甚大をもたらすような大きな兵器にもなってきている、こういう段階におきまして、お互いがある程度の均衡を持って、そしてそれによって、もし使えば相当な報復を受ける、あるいは壊滅的打撃を受ける、そういうような危険性を両者が認識しているという状態が現出している場合には両方とも手を出さない、そういうことによって平和が維持されている、これが現実であり、また、その現実を負って戦略としてそれが防衛の体系をなしている、それが今も申し上げた抑止と均 衡という現実であり、戦略であると思います。
○上田耕一郎君 ただ、なかなか静かにそういう状態ではなくて、抑止と均衡という立場をお互いにとることによって物すごい核軍拡になってきたというのが悲しい現実なんですね。 それできょうから始まるジュネーブ交渉で宇宙、それから戦略核兵器、中距離核兵器、三つの分野でまずやろうというわけですね。今までの、従来型の均衡と抑止という首相の言われるその立場で言うと、これはなかなかまとまらないということは明白だと思うのですけれども、首相どうお考えになりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私はよく申しますように、核兵器は業の兵器であって、そして残念ながら相手に対する懐疑というものから、お互いが負けないように、破壊をされないようにという形で増大してくる可能性がある。つまり増殖性を持っている。これは前から申し上げているとおりで、そういう状態が遺憾であると申し上げておるのであります。
○上田耕一郎君 そうしますと、増殖性のある業の兵器だと言うのじゃ、今度のジュネーブ交渉でも中曽根さんの立場ではまとまりっこないということは明らかだと思うのですね。 安倍外務大臣、今度の米ソ交渉は、交渉の最終目的として核廃絶、これに合意したという点では初めてだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) この米ソ両国が従来とも全面完全軍縮ということを究極的な目標とする旨を明らかにしておりまして、したがって、一月八日の米ソ共同声明でも同目標を念頭に置いて米ソ軍備管理交渉を行うことが再確認をされたものである、こういうふうに考えております。したがって、米ソ両国はこれまで全面軍縮あるいは全面完全軍縮ということをはっきり言っておりますから、そういう意味では今度が初めてとは私たちは思っておりません。
○上田耕一郎君 ちょっと外務大臣、そういう認識じゃ困るんですね。全面完全軍縮というのは、通常兵器も核兵器も全部なくすというんですよ。核軍縮というのは、通常兵器は一応おいて、最優先で核軍縮をやろう。この二つ、違うということを御存じないのですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 核の全面軍縮というのは、結局核を撤廃するということにつながっていくわけですから、米ソのやはり戦略軍備管理交渉というのは、最終目標としては米ソ両国ともそこに焦点を置いておるということは、これはもう明らかだと私は思います。
○上田耕一郎君 全く御存じない。全面完全軍縮というのはすべての軍備撤廃というので、これこそ空想的なんです、首相の言うような。そうではなくて、今度の交渉で核兵器廃絶、これを実現しようというので、通常兵器じゃないんです。ここが大事なんでね。そういうことも御存じなくて、今度の交渉で空想的な軍備撤廃をやるんだと、その一つとして核廃絶だという程度の認識では外務大臣務まらぬですよ。 それで、米ソ共同声明で今度の交渉の最終目標は核廃絶と決めたのは三十年ぶりなんです。ここの点をしっかり認識してほしいのだが、戦後四十年のこの軍縮問題の歴史、厳粛な事実から教訓をどうしても引き出す必要があるのです。最初の十年は一応核廃絶を米ソとも言って、いろいろ査察問題なんかありましたけれども、十年は一応それで交渉していたんです、十二人委員会とか軍縮委員会とかね。ところが、一九五五年に転期が来るんです。詳しいことは申し上げませんけれども、前年の米英の覚書に対して、ソ連が五五年五月十日、全く譲歩しまして、この譲歩がいいか悪いか別ですけれども、完全に基本点をのむんですよ。それで、ノーベル賞をもらったノエルベーカー氏は、「希望の瞬間・一九五五年五月十日」というのを著書の章の題名にしたぐらいです。ところが、ソ連が全部西側提案をのんじゃったので、アメリカはこれはむしろ困って、それまでのアメリカの提案をすべて保留する、ジュネーブ会談までの提案をすべて保留するという態度に出て、これがパアになる。それで、そのときのアメリカの態度は、これは軍縮交渉史、詳しくいろいろどの本にも書いてありますけれども、核廃絶ではなくて核の管理だと、核廃絶はできない、今後は管理、部分的な措置にするという態度表明をした。この経過について、外務省、大体事実でしょう。
○政府委員(山田中正君) お答え申し上げます。 先生御指摘のように、戦後、つとに一九四六年ごろは、アメリカのいわゆるバルーク提案などがございまして、核の国際管理という形での核廃絶の提案があったわけでございますが、約十年間……
○上田耕一郎君 グロムイコ提案もある。
○政府委員(山田中正君) それに対するグロムイコ提案もございますが、約十年間は進展がございませんでした。それから、経緯的には、先生御指摘の一九五五年ごろからそのような包括的な核の軍縮が進まないということがございまして、個々の具体的な軍備管理の方向に進んていくという歴史的な経過はございます。
○上田耕一郎君 この五五年のアメリカの、それまでの提案すべて保留、棚上げというのには、スウェーデンのサンドラーという前外相は、このアメリカの留保は根本的変更だと言って国連演説で嘆いているんですよ。それ以後三十年間核廃絶は、空想的な全面軍縮の宣伝合戦は別として、国連の舞台でも、米ソ交渉でも問題にならないで、部分的措置だけの追求が続いてきたんです。この三十年間にどういう部分的措置の条約が結ばれましたか。
○政府委員(山田中正君) お答え申し上げます。 多数国間の交渉の場では、部分核停条約、核不拡散条約、海底核禁条約等がございます。また、米ソの二国間の問題といたしましては、SALTI、ABM、SALTII等々がございます。
○上田耕一郎君 いろいろできましたけれども、じゃ、この三十年間核弾頭、核兵器はどのぐらいふえましたか。
○政府委員(山田中正君) 核の弾頭を論じます場合に、数と質の問題がございますのでなかなか難しいのでございますが、もともとなかったところから出発したわけでございますから、現在では戦略核が双方に約一万、戦術核まで入れると四万から五万というふうに言われております。
○上田耕一郎君 それは、ないのからは四十年だけれども、私は、だから三十年と言った。この三十年間に二千発から五万発です。二十五倍です。この三十年間に二十五倍で、広島原爆の百万倍、一万五千メガトン、これだけふえてきたんですね。それこそ首相の言う増殖性のある業の兵器であるかのような現状になったわけですね。その点では私は、レーガン大統領が、歴代の大統領の中で、これまで核廃絶はアメリカは棚上げにして言わなかったのに、言い始めたという点では新しい発言をしていると思いますが、レーガン大統領は核廃絶についてどういう発言をしておりますか。
○政府委員(山田中正君) 先ほど外務大臣が申しましたことを少し補足いたしますと、五五年以降にも、例えば一九六一年の米ソの合意がございます。これは軍縮に関する多国間交渉の基礎となる諸原則を定める合意でございますが、その中でも核兵器の貯蔵の廃棄、生産の停止というふうなことを申しておりまして、外務大臣申しましたように、究極的な目標としては米ソとも核兵器の廃絶という立場で臨んできたと思います。 なお、核廃絶の問題につきましては、レーガン大統領、一昨年の国連総会におきまして、核戦争には勝者がいない、核戦争は戦われてはいけないということを申し述べておりますし、同大統領が訪日されました場合にも、国会で同様の御発言をされております。
○上田耕一郎君 今の六一年のは、マクロイ・ゾーリン声明・合意といいまして、五九年のフルシチョフの全部軍備撤廃しようという宣伝的提案とケネディ提案とがあって六一年にこの合意ができただけで、核廃絶の合意じゃないんですよ。すべて軍備撤廃しようという空想的な問題について今後どういうことをやるかというので、検証その 他で合意ができたというものですから、私の質問に反論したつもりでそういうことを言っても、それは違うんです。 レーガン大統領は、そういうふうに、核兵器をなくすのが人類の夢だと日本の国会に来たときも発言された。これは歴代の大統領の中で、いろいろ問題あるけれども、核兵器なくすということを掲げたという点ではやっぱり新しいんですよ、アメリカの大統領の中で。 共産党の宮本議長はこの点に着目して、レーガン、アンドロポフに書簡を去年の一月に送って、アンドロポフ書記長から手紙が来て、日ソ間で一年間予備会談を行い、十二月十七日にあの歴史的な日ソ両党共同声明が生まれたわけだ。これは首相、何回も言われているんで、そろそろ御認識はあるでしょうな。ところが認識してないんですね、何が言われたか。ここで何が言われたかというと、すべての軍備をなくそうというんじゃなくて、核兵器全面禁止、核廃絶もやろう。ソ連はアメリカと並んで一方の核保有大国です。その核保有大国が核兵器の全面禁止のための国際協定を結ぶ可能なあらゆる努力を払う、核廃絶は今の世界の政治の中心問題だという認識のもとに、核兵器廃絶の全面禁止協定を結ぼうということ。その問題を、国際政治の場でも、国連でも、二国間交渉つまり米ソ交渉でも、国際会議でも第一義的に提起する、その実現のために一貫して奮闘するということを約束したんだ。これは大変なことですよ、米ソの核軍拡で悪循環が生まれているんだから。その一方のソ連の首脳が、核兵器廃絶を、人類の死活にかかわる当面の緊急の課題だ、その問題をあらゆる場所で協定を結ぶために第一義的にやる。そういうことを約束したんだから、もしレーガン大統領も、じゃ、核廃絶やろう、妙なことを言わないでやろうということになれば、これは中曽根さんも口では望まれる核兵器全面禁止が実現することになるんですよ。いよいよ米ソ交渉がきょうから始まるわけです。その米ソの外相会談の共同声明にははっきりとこう書かれている。今度の交渉が最終的にあらゆる領域での核兵器の完全廃絶をもたらすべきであると信じると第五項目でうたっているんですから、私は、共産党の宮本議長が亡くなられたチェルネンコ書記長と核廃絶の合意に達したように、中曽根首相もレーガン大統領に、今度の交渉で核廃絶を本当に実現しようということを進んで意見を述べるべきだ、被爆国の首相として。ロン・ヤス関係というのはこういうときに使うものだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大いに使ってますよ。私、レーガン大統領に会いましたときにも、核兵器は廃絶さるべきだ、地上から追放すべきである、そこへ持っていくために我々はこれこれのことをしよう。つまり、抑止と均衡に基づいてまず漸減していく、そしてこれを終局的にはなくすところまで持っていこう。そういうところへ持っていくためにはソ連をテーブルに着かせなければだめだ。ソ連をテーブルに着かしてそういう談判を開始するにはどうしたらいいか、そういうことで一連の外交活動をやってきておるので、そういう具体的な措置が伴わないで演説だけやったのでは、これは科学的であるとは言えない、そういうことをかねてから申し上げているとおりである。
○上田耕一郎君 それは、あなたの例えば立木質問への答えでは、五万発を一万発にする、それから千発にする、だんだん下げよう、三発からゼロ発にする。三万発に減らす協定ひとつ結ぼう、それから一万発も結ぼう、こういうことをやるつもりですか。そうではなくて、今の状況の中で、核兵器廃絶協定を今結ぶ、こういうことが大事なんですよ。その協定を結ぼうというのを、一方のソ連がそういう意思表明しているんだから、アメリカがそういう政治的意思をはっきり持てば実現できる。ところが、あなたの方は、そういうことをやらないで、だんだんだんだんした方がいいですと。そういうやり方の均衡と抑止の理論ではもうふえるばっかりだということが明白なんですよ。だから、今度の米ソ交渉でも中曽根首相お好みの均衡と抑止の理論では絶対まとまらないんだ。そういう均衡と抑止の理論を捨てて、核兵器廃絶を、被爆国の首相としてはっきり主張する、その基礎に立って初めて今度の米ソ交渉も成功する、そう私は思うんですね。そういう立場にどうしても立てないのですか、唯一の被爆国の首相であるにもかかわらず。結論の出ている均衡と抑止というまことに非科学的な、空想的なそういう立場にあくまでもお立ちになるおつもりですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) ソ連側の立場はやっぱり力を信仰していると思うのです。そして、やはり均衡と抑止というものを維持しつつこれを減らしていこうと、そういう立場にある。自分は今まで読んだ限り、あるいは聞いた限りにおいては思っておる。一遍に全廃して、全部御破産にしましたというような、我々が願っておることであるけれども、今から考えてみると、そういう思い切ったような措置には両方ともいけないのです。なぜいけないかといえば、それはやっぱりお互いに疑惑が残るからです。なぜ疑惑が残るかといえば検証がないからです。現に行って確かめるという行為がないからです。そういう確かめるという行為があって、安心できて初めてそれが行われる。そういう意味において、そういう行為を伴って、そして行うようにしていかなければ、それは空想的なことであると共産党の方々に申し上げているとおりであります。
○上田耕一郎君 検証とおっしゃいますけれども、先ほどの六一年のマクロイ・ゾーリン合意でも検証問題、基本的に合意が成立している。SALTについては自国の手段で検証と、人工衛星ありますからね。ですから、あと地下核実験ですけれども、これはもう地震学者の意見でも、ほぼ完全にわかるというんですよ、基本的に解決している。問題は政治的意思なんです。我々も検証は否定しない。核廃絶協定を結んで、本当に廃絶できるかどうかを検証する必要がありますからね。廃絶協定結んでからの話なんだ。あなた手順を取り間違えている。あなたの言う検証というのは、核兵器廃絶協定を結ばないために持ち出している口実なんですね。 それから、ここに「核兵器の包括的研究」というワルトハイム事務総長の八〇年の文書がありますが、日本も参加しているんでしょう、外務省どうですか。
○政府委員(山田中正君) 仰せのとおりでございます。
○上田耕一郎君 日本も参加している。これには均衡と抑止の理論というのは、いろいろなシナリオに基づく虚構であると、そういうことを書き、均衡抑止によって世界の平和をもたらそうというのは最も危険な集団的誤謬だと、そうワルトハイム事務総長の結論に書いてある。そして、核抑止の均衡という概念に信頼を置き続ける限り、将来の展望はいつまでも暗く、脅威に満ちたものだ、政治的意思が大事だと。核大国に政治的意思が欠如しているところに問題がある、その意思を生み出すために運動が必要だということを国連の報告まで書いてあるんですよ。ところが、そういう最も危険な集団的誤謬にどっぷりつかっているのが悲しいことに我が中曽根首相だ。 それで、あなたはそういう誤謬にしがみつくだけでなくて、さらに危険な核兵器の先制使用まで衆議院の予算委員会ではどうも言い始めているようですね。例えば有事の際、米軍の核使用を排除する立場にないと、そう言われた。そうしますとこれは、どういうことなんですか。もし日本が、まあ有事の場合だから通常兵器で攻撃されているとすると、通常兵器の攻撃に対してもやむを得ない場合には核兵器使っていい、核報復はあり得ると、そういう立場ですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 衆議院におきまして共産党の議員から質問がありまして、これこれの状態ではどうかという質問がありました。そこで私は、条件をつけて、日本が侵略されて、そして本土が侵されているとか爆撃を受けているとか、そういう危急存亡の大事な段階において日本の救 援に来る米軍の艦艇というものがあると、そういうものが日本に救援のためにあるいは日本の自衛隊の艦艇と一緒に行動している。日本の領域内ではない公海上において、そういう場合において、日本の防衛目的のために、あるいは自分の船の生存のために、これも日本の防衛の目的の中へ入ります。そういう場合において、他に手段がないという場合には、アメリカ軍がやることについて日本がこれを排除する立場にはない、権限もない。第一、公海上のことでありますし、そしてそのアメリカが兵器をいかに使うかということはアメリカの行為でありまして、国際法上も日本がとどめる権限はないのであります。そういう法解釈、安保条約の解釈等を私は申し上げたのであります。 しかし、それをやる場合においても、日本側としては、それはそのときの情勢等を、全般をよく考えてみて、果たしていいのか悪いのか、そういう場合にどういうふうにするかということは慎重にその場合対応する必要があると、そういうことも申し上げておる。 しかし、日本がアメリカに対してやってはいかぬとか何とかということを法的に強制する権限は国際法上ないのだと。それを衆議院段階におけるそういう特定の条件に対する質問に対して答えたのであります。
○上田耕一郎君 前、日本のある方が中国から法匪と言われたというんだけれども、今の首相の答弁も法匪ですよ。唯一の被爆国でしょう。広島、長崎の被害も知っているわけでしょう。「核の冬」ということもあるでしょう。そのときに、国際法上アメリカが核兵器を使うことに何も言えない、被爆国の首相なのに核兵器をアメリカが先に使う、つまり向こうは通常兵器なんだから、アメリカが核兵器使ったら核戦争になるんですよ。それに対してやめてくれと言えないんですか、それで被爆国の首相ですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本が侵されているという、そういうときの情勢において、通常兵器であるか核兵器であるか、先方が使っている兵器については特に限定していない。核兵器の場合もありますし、あるいは情勢によっては通常兵器で甚大な損害を国民が受けているという場合もありましょう。そういう意味で、それは特にどっちであるかということは限定はしておらないです。 私が申し上げたのは、共産党の人がそういうふうに、この場合はどうじゃ、この場合はどうじゃという突っ込んだ質問をしてきますから、それは法的にはこうだと答えざるを得ないのです。黙って逃げたら、なぜ逃げたとこう言われるわけでしょう。したがって、ここまではやれますというちゃんとした解釈を、つまりガードレールはここまで行けるんだということだけははっきり言っておかなければ、これは日本の立場や日本の法的解釈に誤解を生じますからそういうことを申し上げたので、質問しなければ言いませんよ。
○上田耕一郎君 どう質問されても答えればいい。例えば法的にあなた排除できないと思っても、法的には排除できないかもしれないけれども、世界の運命、被爆国の首相として、使うなということを言いますというように答えればいいじゃないですか。今それは言えませんか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 核兵器というものはもうなるたけ使わぬ方がいい、終局的には廃絶するのがいいと、これは前から言っていることでありまして、それはレーガン大統領にも、核兵器は廃絶すべきである、日本国民の願いである、そういうことは申し上げておるところなのであります。また、この国会においても、国民の皆様方にも世界の皆さんにも申し上げておるところなんです。
○上田耕一郎君 岡崎議員があの質問をして首相がああいうふうに答えたのは、首相のタカ派的体質もありますけれども、非常に重大なのは日米間に文書により約束があるからだと思う。 これは外務省にお伺いしますが、これは私、去年も予算委員会で聞いたし、それからおととし私も聞いたんですけれども、五十七年の二月十九日の衆議院予算委員会で当時の櫻内外務大臣は、通常兵器による攻撃であっても、その場合アメリカが日本を守るために核兵器使うということについては昭和五十年八月六日の三木・フォード日米共同新聞発表、こういう日米合意があるんだと、そういう答弁をしているのですね。これは私は重大問題だと思う。NATOでは、アメリカは東からの通常兵器の攻撃に対しても通常兵力じゃ弱いので核兵器を使いますという先制使用の政策をとっているわけですね。ところが、アジアでも通常兵器の攻撃があっても必要な場合には核兵器使うんだと、それが核抑止力だと、この三木・フォード日米新聞発表にそう書いてある、解釈はそうだという答弁を櫻内さんがやっているわけです。私も後で質問したら、宮澤、当時は官房長官でしたけれども、やっぱりそうだというお答えですが、外務省、そういうNATO並みの先制核使用を日本側が文書で承認したと、そういうことになるんですか。
○政府委員(栗山尚一君) 御指摘の文書は当時の三木総理、昭和五十年におきます三木総理訪米の際に日米間で作成されました共同新聞発表のことだろうと思いますが、そこで述べられておりますのは、「大統領は、総理大臣に対し、核兵力であれ通常兵力であれ、日本への武力攻撃があった場合、米国は日本を防衛するという相互協力及び安全保障条約に基づく誓約を引続き守る旨確言した。」と、こういうことでございまして、核兵力であれ通常兵力によるものであれ日本への武力攻撃があった場合にはアメリカは安保条約に基づきます対日防衛義務を果たすと、こういうことを大統領が述べたということでございまして、別にアメリカの核先制使用を文書によって認めた、こういうことではございません。
○上田耕一郎君 いや栗山局長の答弁違いますよ。おととしですか、これは三回質問になっているんですから。今読み上げた前にこういうのがあるんですよ。「両者は、さらに、米国の核抑止力は、日本の安全に対し重要な寄与を行うものであることを認識した。これに関連して、」と今のが続くんですよ。だから核抑止力だということを認めて、核兵力であれ通常兵力であれ武力攻撃があった場合は防衛する。この防衛の中には核抑止力の使用も含まれているんでしょう。
○政府委員(栗山尚一君) 御指摘のように先ほど私が読み上げました文章の前には委員御指摘のようなアメリカの「核抑止力は、日本の安全に対し重要な寄与を行うものであることを認識した。」という文章が確かにございます。御承知のように日米安保条約は核を含むアメリカの抑止力というものに依存しているわけでございまして、ここの文章はまさにそういう安保条約の実態をそのまま日米最高指導者の認識として表明したものであろうと思います。したがいまして、もちろん核抑止力に依存するということでございますから、究極的にアメリカによる対日防衛義務履行のための核の使用というものが排除はされておらないわけでございますけれども、先ほど委員御指摘のようなアメリカの核先制使用をこの文書によって認めたということではございません。 〔委員長退席、理事亀井久興君着席〕
○上田耕一郎君 ちょっと栗山さん、もうちょっと今のところ大事ですから。それでは通常兵力による攻撃に際しても核抑止力の使用があり得ると、これは排除してないんでしょう。
○政府委員(栗山尚一君) 先ほどから申し上げておりますように、この文章でそういう通常兵力による攻撃に対して核を使うかどうかということはこの文章では特に触れられていないというふうに理解いたします。
○上田耕一郎君 排除されていないんでしょう。はっきり答えて。
○政府委員(栗山尚一君) 一般論として申し上げますれば、核の抑止力に依存するという場合に、いかなる場合に、通常兵器による攻撃の場合には絶対に核兵器を使用しないんだということを明確にする場合にはその限りにおいて非常に抑止力が制約をされまするので、そういう意味において核兵器の使用を一〇〇%排除することはしないとい うのが一般的な抑止の考え方であろうと思います。その限りにおきまして、この日米共同新聞発表もそういう考え方が背後にあろうかと思いますが、別にここで通常兵器による攻撃に対して核兵器の使用を認めるとか認めないとかいうことをこの日米共同新聞発表で論じているわけではございません。
○上田耕一郎君 排除されていないのですよ。櫻内外務大臣のあのときの予算委員会の議事録では核先制使用についての合意としてこれを明白に述べている。日米間の取り決めであるんですよ。だからこそ中曽根首相は岡崎さんの質問に対して、向こうが通常兵器であっても他に手段がない場合は核兵器使うことを排除できないと答弁するんですよ。これは私は唯一の被爆国として本当に許せないことだと思うんですね。核兵器使ってよろしいというのは核戦争になって結構だということなんですから。みんな死ぬと、「核の冬」まで起きて。そういうことを国際法上排除できませんからどうぞと、どうぞとまでは言わないかもしれぬけれども、国際法上は排除できませんと、アメリカが使うことについて何も言えないと、勝手でございますという態度をとることは私は絶対に許せないと、こう思うんですね。中曽根政権はそういうふうにアメリカが核兵器を使うことについても先制使用の可能性も排除していないわけで、それを認めるという極めて重大な危険な態度をとっております。 次に、私は日米安保条約に基づく米軍がそういう危険な核戦争に日本を巻き込むだけでなく、自衛隊も核戦争の問題について極めて危険な状況にあるということを取り上げたいと思います。 その前に、自衛隊の核使用、核保有あるいはそのための教育、訓練、これについては政府の基本方針はどうなっておりますか、首相にお伺いします。
○国務大臣(加藤紘一君) 非核三原則によって私たちはみずからが使用するということ、つくるということ、持ち込ませることは絶対あり得ない。これは国是でございますし、自衛隊もきっちり守りますし、将来も絶対に守る国是でございますが、ただ防御の際にどういうことになるかという意味で若干の訓練、攻撃された場合にどうして体を守るかという意味での教育、訓練は若干ございます。詳細は政府委員よりお答えいたします。
○上田耕一郎君 防衛庁長官、じゃこれまでかつて核使用の教育、訓練はしたことはありませんか、また今後も絶対いたしませんか。
○国務大臣(加藤紘一君) ちょっと驚くような御質問でございますが、使用の訓練でございますか。
○上田耕一郎君 研究、教育、訓練。
○国務大臣(加藤紘一君) それは絶対にありません。
○上田耕一郎君 過去も今後も。
○国務大臣(加藤紘一君) 過去もありませんし、今後もございません。非核三原則、国是を守ります。
○上田耕一郎君 ついでにもう一つ確認しておきます。海外派兵、他国の占領、また集団自衛権に基づく例えばNATOのような共同防衛条約の締結、また仮想敵をつくるなどなどについては、日本政府の態度はどうですか。また、こういう想定に基づいて研究、教育、訓練、これについてはどうですか。
○国務大臣(加藤紘一君) 今五つほどおっしゃいましたけれども。
○上田耕一郎君 海外派兵。
○国務大臣(加藤紘一君) ありません。
○上田耕一郎君 占領。
○国務大臣(加藤紘一君) ありません。
○上田耕一郎君 集団自衛権に基づく軍事同盟。
○国務大臣(加藤紘一君) ございません。憲法上許されておりません。
○上田耕一郎君 仮想敵。
○国務大臣(加藤紘一君) 仮想敵の設定もいたしておりません。以上でございます。
○上田耕一郎君 そういう絶対にないという想定に、先ほども大分フリーテックスで問題になりましたけれども、そういう日本政府がとらない、方針に反する研究、教育、訓練、これもありませんか。
○国務大臣(加藤紘一君) 我が国の防衛の基本政策にもとるような研究や教育は自衛隊はいたしておりません。
○上田耕一郎君 確認しておきます。
○理事(亀井久興君) 内藤功君の関連質疑を許します。内藤君。
○内藤功君 そこで伺いますが、海上自衛隊に第二術科学校——二術校という略称ですが、この学校で「応急教科書」というのがあります。「CBR戦防御」という名前がついております。これには非常に詳細に具体的に核兵器対策が書かれているのですが、その内容を御説明いただきたい。
○政府委員(大高時男君) お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘の海上自衛隊第二術科学校の「応急教科書」「CBR戦防御」でございますが、これにつきましては、海上自衛隊の艦艇におきますCBR戦の防護の基本的な事項を理解させるために、CBR戦に関します一般的な武器等の性格、それに効果並びに防護方法について記述されたものでございまして、当校の校長がつくりまして、学校教育に使っておる。これはあくまで核の攻撃を受けた場合の万々が一の防護のための教育ということでございます。
○内藤功君 具体的に爆発点ではどういう対策をとるか、爆発時に艦艇の中ではどういう号令をかけて、どういう号笛が鳴るか、そこのところをちょっと説明してください。
○政府委員(大高時男君) 爆発点におきます被害と対策でございますが、これはいろいろ書いてございますけれども、爆発点付近の艦艇、これは沈没あるいは重大な損害を受けるおそれがあるから、爆発点付近から早急に退避するというような要旨のものが書かれてございます。
○内藤功君 艦艇の中。
○政府委員(大高時男君) 艦艇の中でございますが、この際に例えば警報が鳴ります。警報が鳴りますと、それぞれ部署が決まっておりますので、その緊急部署で回避をいたしましたり、あるいは汚染に対する配慮とか、あるいは被害の探知、それから測定、こういうことをやるというようなことを書いてございます。
○内藤功君 極めて具体的に書いてある。 次に、陸上自衛隊の大宮の化学学校、ここでは核兵器の対策についてどんな研究、教育をやっておりますか。
○政府委員(大高時男君) 陸上自衛隊の化学学校でございますけれども、ここにおきましてはCBR、今、先生お尋ねの核につきましては、その性能、効果について一般的な知識、これを付与いたしますとともに、偵察とかあるいは検知の要領、それから各個人がどういう形で防護を行うか、あるいは装備品の防護の要領、それから防護用の装備品、防護マスク等がございますが、これの取り扱い操作、あるいはこういった品物の補給整備要領でございますが、こういったものについて教育を行っております。 それから研究でございますけれども、研究につきましては線量率計でございますが、こういうものを新たに関発すべく試験をやっておりますし、また、各種の核の防護要領でございますが、こういうものの研究あるいは外国の資料の収集、分析というようなものを行っております。
○内藤功君 実は二月六日に、私は瀬長、柴田、吉川、各国会議員と一緒に同校を視察して、校内にあるいわゆる核シェルター、掩体と称しておりますが、この中に入りました。これはいつつくったものですか。
○政府委員(大高時男君) ただいま先生御見学賜りました化学学校の掩体部でございますけれども、これは核シェルターというものではございませんで、一般部隊が野戦におきまして砲撃、爆撃から隊員を防護するための陣地、あるいは指揮所用として保有しております構築材料、コルゲートメタルでございますが、これをある程度の核攻 撃に耐えられるような能力を付加した防護掩ぺい部、すなわち地下ごう的なものでございます。これは、当学校が特殊武器防護に関する教育訓練を任務といたしておりますので、学生にこういったモデルを見せるということで五十九年の一月に学校自体がつくったものでございます。
○内藤功君 去年ですね。
○政府委員(大高時男君) 昨年の一月でございます。
○内藤功君 ある程度と言いましたが、どの程度の核爆発、何キロトン、どのぐらいの距離、高度に耐え得るんですか。
○政府委員(大高時男君) この防護掩体部をつくります際に参考にいたしましたのは、米国の国防省で編さんをいたしております核兵器の効果、ザ・エフェクト・オブ・ニュークリア・ウエポンズというものがございますが、これを参考にいたしまして、文献の諸元をもとにして計算をしたということでございまして、これは文字どおり机上の計算でございますので、どの程度耐え得るかということは別問題でございますけれども、一応理屈の上では約二十キロトンの核爆発、すなわち広島型の原爆と同じような威力でございますが、この爆発地点から八百五十メートル離れた地点であれば、この掩体部が約二メートルの土に覆われておりますので、まずその瞬間はいいのではないか。ただ、この掩体部は自家発電装置がございませんし、それから生活関連の設備もございません。シャワー、便所、炊事設備等もない。それからまた、生活物資等の貯蔵できる設備もない。それからまた、換気装置でございますけれども、この換気装置も市販の換気装置を二台つけておりまして、電源は商業電源をとるということでございまして、少なくともシェルターというような長もちするようなものではないということでございます。
○内藤功君 その一個の価格、それから収容人員数、これはどのぐらいですか。
○政府委員(大高時男君) 収容人員数は、ここが指揮所みたいな形になりますので、大体二十名ちょっと、二十二名ぐらいというふうに考えております。 この製作に要しました価格でございますけれども、材料でございますコルゲートメタルというのは、これは一般の部隊に野戦の際の言うなれば防護された指揮所の材料として使っているものでございまして、約百十万、そのほかにコンクリートでございますとかいろいろ材料がございますので約八十万、両者合わせて百九十万ぐらいというものでつくっております。 〔理事亀井久興君退席、委員長着席〕
○内藤功君 今の核シェルター、この施設の資材を各部隊に逐次提供して配備するということをその学校で聞きましたが、いつごろどんなレベルの部隊に対してこの資材を提供をされるのですか。
○政府委員(大高時男君) 先ほど来申し上げておりますように、防護掩ぺい部でございますが、これにつきましては核防護能力を有する構築要領、これを教育するための一例としてやったものでございまして、いわゆる核シェルターではないわけでございますけれども、こういった核シェルターと言われるものも現在部隊ではもちろん持っておりませんし、将来これをつくるという計画もございません。 今先生お示しの材料の問題でございますが、後で担当の方から申し上げると思いますけれども、原料になっておりますコルゲートメタル、これはいろいろな形で野戦の陣地築城のために使用いたしますので、これを配付する計画について述べたものであるというふうに考えております。
○内藤功君 空気清浄器、それから密閉用のドア、こういうものを各部隊に配備する計画があるんじゃないですか。私、部隊で聞きましたが、いかがですか。
○政府委員(大高時男君) お答え申し上げます。 そういうものを配付する計画はございません。
○内藤功君 核シェルターではないと言いながら、二十キロトンに八百メートルで耐えられる、こういうごうをつくっている。これは文字どおり核シェルターをつくるということではないでしょうか。核シェルターを試作とはいえ、研究とはいえ化学学校でつくり始めたということは、これは我が国土における核戦争というものを想定しているという疑惑を国民はぬぐい得ないと私は思うのであります。防衛庁長官並びに総理のこの点についての御認識を伺いたい。いや大臣でしょう、これは。大臣はこういう答弁のためにあるんだからね。
○政府委員(大高時男君) 先ほど来申し上げましたように、防衛掩ぺい部というもので学生が入ります、この学生にサンプルとして見せておるものでございまして、将来これを建設していくとか、そういうものではございません。 それから、自衛隊は、先ほど来大臣が申し上げておりますように、核兵器を保有しないという政府の方針に基づきまして、核兵器を使用する意図を持った教育訓練は一切行ってはいない。それから、我が国に対する核の脅威につきましては米国の核抑止力に依存する、その抑止効果が有効に機能しておるものと考えておりますけれども、万一の攻撃を受けた場合を考慮いたしまして、これに対処するための防護のための教育訓練だけは怠っていない、これがまた抑止力を高めることになるのではないか、こういう考えでやっておるわけでございまして、決して核を使用するとか、あるいは所有するとか、そういうものを前提とした訓練ではないということをぜひ御承知いただきたいと思うわけでございます。
○内藤功君 防衛庁長官、この兵器の研究、軍事施設の研究というのは研究でとどまるわけがないので、必ず開発から実施、配備の段階にいくものなんです、そういうことです。 それから、今、核兵器を保有するということじゃないと言ったけれども、日本が核戦場になるということを想定をしているものだ、こういうふうに国民は見ざるを得ないと思うのです。この点について長官、後からいろいろ材料出てきますけれども、まずこの段階でのあなたの御認識を伺いたい。
○国務大臣(加藤紘一君) 万々が一我が国がという前提で理論的にいろんな意味での研究をしているということは、私は必要だろうと思います。御質問のその点が、私たちの国が核兵器を使うのではないかとか、その方向の研究に一歩進んでいくんではないかという御質問でありますけれども、そんなことは私たちの国是から絶対にあり得ないことであります。国民を守るために万々が一のためのいろいろな研究、教育をしておくことは、またこれ万々が一に備えての若干の研究はあり得ることだと思っております。
○内藤功君 核戦場になるんじゃないかという質問ですよ。
○上田耕一郎君 今の問題は、私が受けたレクチャーではコルゲートメタルというものはすべての部隊が持っておる。そこに今開発中の空気清浄器、それから気密のドア、これができましたら、それを配備すれば各部隊がこの核シェルターをすぐつくれるようになりますというレクチャーを受けたんだけれども、今の御説明では各部隊に配備する計画はないとのことですね。今後一切やりませんね、確認しておきます。
○政府委員(大高時男君) コルゲートメタルにつきましては、これは陣地構築のため必要でございますので配付いたしておりますけれども、ただいま先生お示しの他のものにつきましては配付する計画というものは持っておりません。
○上田耕一郎君 次に、市ケ谷の陸上自衛隊幹部学校、この教育目的についてお伺いします。
○政府委員(大高時男君) 市ケ谷の陸上幹部学校でございますけれども、ここにおきましては、陸上自衛隊の上級の指揮官あるいは幕僚として必要な知識及び技能を付与するための教育並びに陸上自衛隊の業務の運営に必要な研究等を行わせるためにあるわけでございます。
○上田耕一郎君 教育課程はどうなっていますか。それから、入学する学生の階級はどうです か。
○政府委員(大高時男君) 教育課程でございますけれども、課程として四つございまして、幹部高級、指揮幕僚、技術高級、補給管理ございまして、人員は、一番最初に申し上げました幹部高級が二十名、それから指揮幕僚が八十、技術高級が十五、補給管理が二十でございます。 期間は、一番長いものが指揮幕僚課程、CGSと称しておりますが、これが約九十週でございまして、次に技術高級課程が四十五週、それから幹部高級課程が二十九週、それから補給管理が十二週というふうに分かれておりまして、このうち幹部高級でございますけれども、これは師団以上の部隊運用に必要な識能を修得させるものでございます。指揮幕僚でございますけれども、これにつきましては他のものと異なりまして試験によって出てまいるわけでございまして、上級の指揮官及び幕僚としての資質を養うわけでございますけれども、主として師団等の部隊運用に必要な知識技能というものを修得させております。それからまた、技術高級課程でございますけれども、これは技術の研究開発あるいは行政等の職務に従事する上級指揮官及び幕僚としての資質を養う、これに必要な知識技能を修得させることにいたしております。それから、補給管理でございますが、これは方面隊以上の司令部あるいは機関等の補給管理者につきまして必要な知識技能を修得させるということでコースを設けてございます。
○上田耕一郎君 学生の階級。
○政府委員(大高時男君) 階級でございますけれども、幹部高級の場合ですと一佐から二佐でございますが、一番下のところでは一尉までにわたるというわけでございます。非常に幅がございます。
○上田耕一郎君 ちょっと待ってください。ちょっと資料を配付します。 〔資料配付〕
○上田耕一郎君 ここに私が積み上げましたのは昭和三十三年から三十八年の五年間に今の陸上自衛隊幹部学校、これは昔の陸大です、ここで使用された教科書で、三十二冊あります。二千七百七十七ページあります。地図など百三十二点入っています。このうち過半数の十七冊が核戦争のための教科書であります。これ一々説明しておりますともう本当に大変なんですけれども、例えばここに「国土防衛作戦」陸上自衛隊幹部学校三十四年六月、「別冊基礎資料」、きょうは時間がありませんのでこの二冊について取り上げます。文書番号四五一八G—4となっておりまして、内容はまことに恐るべきもので、先ほどの防衛庁長官の政府方針全くうそだということが明らかであります。もう憲法なんか全く眼中にない。例えば五八年に太平洋防衛条約を締結する。米、日、韓など十三カ国で太平洋軍事同盟をつくる。これは皆さん方に差し上げた資料の十二番、これ皆さん方に差し上げたのはまた抜粋のそのまた抜粋ですが、余り厚くなりますので、十二番見てください。ここには太平洋防衛条約の抜粋まで載っております。日本自衛隊は在日米軍とともに日本方面軍をつくります、作戦指揮はシンクパック、これは太平洋防衛総司令部、それによって作戦指揮を受ける。首相も長官も作戦指揮はできない。ただ統括するだけだそうです。 仮想敵国はないと言われたけれども、相手の侵略国、これは資料十一を見てください。アグレッサー各国、国の名前は「ヤクーツク」です。国土は「エニセー河以東のソ連領土」。政治経済、「政治的、社会的、経済的諸条件は現在のソ連に準ずる。」と。もう明白にソ連を相手に目指しております。例えば、地図も物すごいのがありまして、百何十点あるんですけれども、これは青焼きのためでしょうね、こういうトレーシングペーパーで地図がありますよ。これ、ソ連、中国、北朝鮮の全部地図があって、陸海空軍部隊の配置図が赤できっちり書かれてあります。このほかにレーダー基地その他の地図もあります。この地図も皆さん方にお配りした資料の三にコピーを載せてあります。それから、これは配置だけじゃなくて攻撃目標の地図もあります。これは皆さん方の資料の四に入れてありますが、これは「海空軍航空攻撃目標」と。千島、樺太にもどういう軍事基地がある、レーダーがあり海軍基地があると。ウラジオだとかコムソモリスクだとかペトロパブロフスクだとか、全部どういう軍事目標があって、そこをどの部隊で攻撃するか、全部印がつけております。 だから、集団自衛権を持てない、仮想敵国は持たない、そういう想定に基づく教育訓練はしないという答弁、かつてしたことがなかったと言うけれども、しているじゃありませんか。ちょっと首相と防衛庁長官、これは私が何もつくったのじゃない。確認できますね。(資料を示す)陸上自衛隊幹部学校の教科書。防衛庁長官、見てごらんなさい。あなた、なりたてだけどね、あなたが指揮している自衛隊というのは一体何をやっているところか、これは知っている必要がある。(「古いな」と呼ぶ者あり)古いですよ。笑い事じゃないんです、本当に笑い事じゃない。 最も重大なことは、自衛隊の核保有、核使用の教育が体系的に行われているということです。この教科書は、資料をめくっていただくとありますけれども、四AGSの学生に対し、国土防衛上の問題点を研究させるために編集したものです。AGSというのは先ほど言いました一佐から二佐です。師団長候補です。今二十名だ。当時は一年の教育課程だったんですね、今は半年だそうだけど。一佐から二佐の師団長候補を集めて、その師団長に教育する教科書なんです。 「一般状況」という想定があって、それから「特別状況」、その想定があります。「特別状況第一」、これは資料の二十五番を見てください。「全般戦略」と書いてある。極東アグレッサーが侵略してくる。「爾後要すれば、大陸中枢部に進攻の上、これを占領し、敵陣営を瓦解に導く。」大陸侵攻から占領まで書いてある。「当初は、局地制限核戦争とするが、随時全球、無制限核戦争に移行しうる如くする。」「全球」というのは全地球という意味ですよ。当初制限核戦争だが随時全地球、無制限の核戦争に移行するのだ。下の方に、「地上作戦には小型核兵器を戦術的に使用するか、爾余の核兵器はその使用を準備」とこう書いてある。こういう特別状況を設定して師団長候補に問題を出して研究させるんですよ。答案を書かせるんです。 核戦争の教育はしていない。真っ赤なうそじゃないですか。全面核戦争の準備をしているために、この資料の方の医療のところを見ますと、五十四番見てください。五十四番の左の方、やけど、放射能、血液、延べ十億人分と。これは兵たん見積もりの一つです。延べ十億人分の放射能、やけどの注射液などを準備すると、そういう計画なんですよ。どうですか、防衛庁長官。核戦争を想定した研究、訓練、教育、一切やっていない、やっていたじゃありませんか。
○国務大臣(加藤紘一君) その資料がどういうものか、後でお見せいただいてからでないとコメントできないと思っております。
○上田耕一郎君 首相どうですか。あなたも元防衛庁長官だった。
○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛庁長官と同じであります。
○上田耕一郎君 さらに、「特別状況第二」というのは、つまり最初の第一というのは、向こうが攻めてくるけれども撃滅して、大陸に進攻して千島、樺太まで占領すると、自衛隊はそれをやるというとんでもない計画なんだが、「特別状況第二」というのは東北に上陸されるという状況想定なんですね。 お配りした資料の四十七番を見てください。四十七番の左、「この際敵をして原子ポケットに導入する如く考慮する」と、原子ポケットに導入するように秋田県に上陸させるというわけだ。これは原子ポケットだと。右の方を見てください。「核戦力は攻勢時まで保存する」と。「ただし一部小型原子弾を火砲によって使用し第二線陣地の保持を支援することがある」と、こうなっているんです。これには地図もついています。この地図に師 団長候補たちに書かせるわけですよ。これは東北地方の地図です。青森からずっと東北地方の地図がついていて、この左の方に文章が書いてある。これは皆さん方の資料にもちょっと拡大して文章を読めるようになっています。一〇〇一GMは五所川原地区及び秋田地区に陣地をつくる。これはアメリカ軍のオネストジョン部隊のことです。その後「また八吋各約一中は岩木山付近、能代、秋田付近に陣地を占領し原子攻撃を準備」というものです。これはだから東北に上陸してくると、それに対して米軍はオネストジョンを撃つ、陸上自衛隊は八インチ砲——二百三ミリりゅう弾砲です、これを撃つという計画がここに書かれているんです。ただの研究じゃないですよ。体系的にこれ師団長候補に教育しているのですから。 しかも、私調べまして非常に驚いたことは、当時の校長先生は井本熊男陸将です。委員の方にはこの名前記憶がある方もいらっしゃるかもしれない。この井本熊男陸将は、昭和三十三年十一月にアメリカへ行って、日本は自衛のため原子兵器が必要だと、ペントミック師団を将来持たなければならぬ、そういう発言をしまして、AP電で日本で報道されて、昭和三十四年三月十三日国会で問題になったんです。当時岸内閣のころ、岸内閣というのは、憲法上は核兵器を持てると物騒なことを述べた内閣ですけれども、背景に私はこういうのがあったと。当時の防衛庁長官は伊能繁次郎さんで、井本君に聞いてみたが、自分はそういう発言はしていないと、そう国会で述べて、防衛庁は核兵器を持つことを前提とする調査、諸般の研究一切しておりませんと国会で答弁しているんです。私は議事録を調べました。ところが、三月十三日にそういうふうに国会で答弁をして、それから四日後にこの陸上自衛隊幹部学校の校長になったんです。この教科書全部調べてみますと、自衛隊がこういう驚くべき教育を始めたきっかけは、まずスタートは、昭和三十二年、三岡健次郎一等陸佐がアメリカのペントミック師団に十四カ月留学するんです。留学報告が一冊あります。それから始めるわけだ。それで、この中には米軍のNATO用の核戦争の教科書の全部、翻訳が七冊あります。これが三十三年七月から三十四年十二月まで逐次翻訳されて教科書になっている。この中には今示した地図が全部入っている。おまえは師団長になったつもりで、例えば、フランス、ドイツにソ連が攻めてきて核戦争になったと。そのときおまえは師団長としてこう攻めていって、原子砲をどうやって撃つか、その全部の答案を書かせるんだ。だから、アメリカが使って核戦争になったときに自衛隊が何かをしなければならぬというんじゃなくて、自衛隊の師団長に、自衛隊自身が核兵器を持って、どういう想定でどういうふうに使うか、気象条件がどうだ、森がどうだ、全部頭に入れさせた上で自分で使う教育をやっているんですよ。この中には「教育課目表」もあります。今はないようだけれども当時の準指揮幕僚課程、当時半年だそうで、一番短いところでZ作戦、これは原子兵器のことですが、六十時間教えている。恐らく高級課程はもっと多いでしょう。一番短い半年のところで六十時間、約三週間教えているんです。 それで、私はそうなりますと、三十四年の国会での伊能防衛庁長官の国会答弁は真っ赤なうそだということ。既に三十二年からアメリカに十四カ月留学して、アメリカの核戦争の教科書を翻訳して教え始めているんだから。私がさっき言った六十時間というのは三十七年の教育課程ですよ。もう安保が改定されて三十七年にもZ作戦を教育しているんだ。どう思いますか、こういう事実を。まず防衛庁長官。
○国務大臣(加藤紘一君) 先ほど申しましたように、大分三十年ほど前の資料のようでございますが、どういう資料か後ほど見せていただいてからコメントしたいと思いますが、いずれにしても内容も何もわかりませんし、どういう種類のものかもわかりません。コメントする状況にはございません。
○上田耕一郎君 見なければわからぬというけれども、一番エッセンスを差し上げましたから。共産党が書いたものじゃないですよ。この古さ見てごらんなさい。私はこれ全部読んだんだから、三十二冊全部。問題点全部これ紙を挟んである。きょうは追及し切れませんけれども。そうなりますと、とにかく私が確認しただけで三十二年から三十七、八年まで自衛隊が幹部学校でひそかに、これが例えば、国土防衛作戦は、「この想定は秘密ではないが、事柄の性質上用済後回収し、摩擦の生起を防ぐこととした」と書いてある。天網恢恢疎にして漏らさずで、使用済み後回収したものが共産党の手に入ってきちゃった。国民の協力によるものだと私は思いますけれども。そうなりますと、伊能防衛庁長官の国会答弁は真っ赤なうそだということですよ。三十三年に国会で何もしてない、研究してないと。研究、教育を体系的にやっていたんですから。とにかく、当時習った人もいっぱいいるわけだ、教えた人もいるわけだ、資料も恐らくあると思うんですね。調査を要求します。
○国務大臣(加藤紘一君) 先ほど申しましたように、その資料をお貸しいただいて、どういう種類のものか私たちも勉強さしていただきます。
○上田耕一郎君 これは二つのケースがあり得ると思うんですね。 一つは、首相、防衛庁長官が国会と国民を欺いてきた、とにかく私が確認しただけでも三十年代にあるんですから。それから昭和四十年代には今度は陸幕の資料があります。統合幕僚会議が作成した「昭和四十年統合年度、戦略見積——資料」、この中にも「核脅威のあとに行われる非核の局地戦形態の作戦に対処することを主眼として実施するが、核戦に対処することを併せ考慮する。」という方針が明確に書かれている。「作戦実施の間、必要な場合、核戦力の支援を得るものとする」、これは米軍のことでしょうけれども、昭和四十年度の統合幕僚会議の戦略見積もりにもはっきり書かれている。そうしますと、ただ研究、教育だけじゃなくて統幕がその年の戦略見積もりにも核戦争を想定して書いてあるんだから、そういうことを首相、防衛庁長官は一切国民にそういうことはしておりませんと欺き通してきたこと、これが一つの想定です。今でも欺き続けているのだろうと私は思うんです。なぜなら、当時防衛庁長官が否定しても、現にやっておるわけだから、今やっておりませんと幾ら言っても証明できないじゃないですか。一体この陸自の幹部学校でいつまでZ作戦の教育をしていたのか、いつやめたのか、はっきり出してもらわなければ、私は今はもっとすごいのじゃないかと思いますよ、核戦争、核技術はるかに発展してるんだから。 二番目は、中曽根首相をもし私が信頼するとして、加藤防衛庁長官を私が信頼するとして、歴代の首相、防衛庁長官がまさか国会、国民にそんなに大うそはつかないだろう、そういう最低限の良心はお持ちであろう、たとえ党派は違っても。そういう想定に立つと、勝手に陸幕が、幹部学校が首相や防衛庁長官の知らないうちに核戦争想定のこういう教育をやっていた、今でもやっているかもしれぬと、それが私の第二の想定です。 シビリアンコントロールなんというのはもう全くこれではなくなってしまう。私はこの質問をするんで防衛庁の教育訓練局の方三人に来ていただいていろいろ聞きました。そうしたら、陸上自衛隊の学校担当はたったお若い方でお一人でした。陸上自衛隊には学校どのぐらいありますか。
○政府委員(大高時男君) ただいま数を正確に調べておりますが、十幾つであったというふうに考えております。
○上田耕一郎君 十幾つあるんですよ、いろいろね。それが担当はお一人なんです。だから、私がこの陸上自衛隊の幹部学校でどういう教育課程ですかと聞いたって御存じないんですよ。何を教えてるんですか、それもわかりませんと。それはそうでしょう、お一人で十幾つの陸上自衛隊の学校全部お持ちなんだから。それで、あなたが知らないことは防衛局長も防衛庁長官も首相も知らないでしょうなと言ったら、私が知らないんだから知 らないでしょうねと言うんですよ。 そうなりますと、それは陸、海、空の幹部学校で一体何を教えているか。シビリアンコントロール全く効きません。内局はだれも知らないんだ、防衛庁長官も知らない、首相も知らない。ところが陸幕と幹部学校で、幹部学校というのは研究と教育と両方やってるんですから。先ほど言われましたけれども教育は八十名一佐がやっている、研究は四十名一佐がやっているんです。恐らく国土防衛作戦、こういう研究も、そのときの私どもへの説明では、陸上自衛隊の最高の戦術研究のグループがあそこにいると言っている。一佐を百二十名集めて一体何を考えているか。私はこれは大変なことだと思うんですね、シビリアンコントロール大変なことになる。もう時間もございませんので、最後に首相と防衛庁長官にこの問題の徹底的な調査、私のものを貸してくれという、そうじゃなくて、調べればあるはずですよ。資料を国会に提出してほしい。それから、現在のこの陸海空三軍の幹部学校の教育課程、教育内容、特にZ作戦と言われる核使用の教育をやっているのか、やっていないのか。それも資料を添えて国会に提出してほしい。 もう時間がございません。私は最後に、憲法違反の自衛隊をあたかも合憲であるかのように育成し続けてきたその結果が日米安保体制のもとでどういうことになるか、私の言う第二番目の想定で言えば、軍部の独走がどうなるかという危険があるんですよ。一九三一年の柳条溝事件、関東軍の独走だったじゃないですか。それが日本をあの戦争に引きずり込んだんです。今も憲法違反の自衛隊ですね、こういう状況をほっておくと一体何があるかわからない。最後に、私がきょう提起したこの問題について、防衛庁長官と首相、誠実に、大きな問題なので国民が納得いくような調査と資料提出、それから責任の所在を明らかにしていただきたく答弁を求めたいと思います。
○国務大臣(加藤紘一君) 防衛政策推進に当たって一番重要なのは、私たちもシビリアンコントロールであろうと思っております。ただいま委員御指摘の古い資料、それがどういうものか私たちわかりませんので、それをぜひ貸していただければ私たちなりにコメントいたしたい、こう思います。 それから、先ほどの学校における教育等は、教育訓練局におきましてシビリアンコントロールに基づいて内局が随時調整いたしておるところでございます。一つ一つの細かなところまでわからないところは、人数の関係であろうかと思いますけれども、基本的なところは内局で押さえております。したがって、シビリアンコントロール等につきましては今後とも遺漏のないようにしっかりやっていく所存でございます。
○国務大臣(中曽根康弘君) その資料がどういう内容の、どういう角度の資料であるかわかりませんか、よく調査さしてみたいと思います。私の想像では、ともかくそういうものが幹部学校で使われたと、もし万一仮にそういう想定した場合でも、それは昭和三十五年の安保改定以前の古い安保時代のもので、恐らく廃棄処分になっているものではないかと思います、仮にあったとしても。その後、佐藤内閣のときに至って非核三原則を確立いたしまして、そういう点については厳重に自衛隊について監督をしておるわけであります。したがって、現在そういうような教育が行われているということは絶対ないと私は確信しております。それでともかく、いずれ調査してみますが、自衛隊に対しましてやはり我々の目の届かないところで逸脱したことかないように、それはシビリアンコントロールの上からも非常に重要な点でありまして、今後ともそういう点はさらに戒心して努力していきたいと思っております。
○委員長(長田裕二君) 上田君、時間がありません。
○上田耕一郎君 もう終わりました。 資料要求はぜひ理事会で協議していただきたいと思います。
○委員長(長田裕二君) 以上で上田君の質疑は終了いたしました。
○上田耕一郎君 資料要求、ちょっとはっきり言ってください。資料要求理事会でちゃんとやると、大事な問題なのでやってください。
○委員長(長田裕二君) 資料については理事会で協議いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十四分散会