予算委員会 第2号
- 発言数
- 604 件
- 登壇者
- 45 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1985/02/12
会議録
○委員長(長田裕二君) 予算委員会を開会いたします。 昭和五十九年度一般会計補正予算、昭和五十九年度特別会計補正予算、昭和五十九年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して議題といたします。 ─────────────
○委員長(長田裕二君) まず、理事会における協議決定事項について御報告いたします。 審査を行うのは、本十二日及び明十三日の二日間とし、審査方式は総括審議方式とすること、質疑割り当て時間は総計百六十九分とし、各会派への割り当て時間は、日本社会党七十一分、公明党・国民会議四十四分、日本共産党及び民社党・国民連合それぞれ十八分、参議院の会及び新政クラブそれぞれ九分とすること、質疑順位及び質疑者等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。 右、理事会の決定のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(長田裕二君) 次に、参考人の出席要求に関する仲についてお諮りいたします。 昭和五十九年度補正予算三案審査のため、本日の委員会に日本銀行総裁澄田智君、税制調査会会長小倉武一君及び日本国有鉄道再建監理委員会委員長亀井正夫君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認めます。 なお、出席時刻等につきましてはこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(長田裕二君) それでは、これより順次質疑を行います。和田静夫君。
○和田静夫君 五十九年度の補正予算について、千三百億ぐらいの節減ということになっているわけであります。財政危機を認識されて各省庁節減の努力をされたのか、あるいは当初の積算査定に甘さがあったのか、よくわからないのでありますが、それぞれの省庁、その理由、内容についてまず御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) まず私から概要を御説明申しあげます。 今和田委員御指摘のとおりでございます。五十九年度予算につきましては、御承知のとおり、すべての経費につきましてその節減、合理化に最大限の努力を払いまして、経費の圧縮に努めたところでございますが、その執行に当たりましても、この厳しい予算をさらにぎりぎりの節約努力を払って執行をすることとしたわけであります。今回の補正予算は給与改定それから義務的経費の追加等やむを得ざる追加財政需要に対処するものでごいますが、その際少なくとも特例公債の増発はぜひともこれを避けようという考え方に立ちました。 まず、このような執行面のぎりぎりの節約努力の結果を財源として捻出いたしますとともに、節約というと四百三十五億でございます。当初予算成立後の種々の事情の変動によって必ずしも年度内に支出を要しないいわゆる不用となった経費、不用が八百六十七億円でございます。これらを合わせて財源とするということにしたわけであります。いわゆる経常事務費につきましては、既に五十二年度以降八年間にわたりまして前年度同額以下とするという方針をとっております。五十九年度予算がなお甘かったというふうには私どもは考えておりません。それから不用額は、事柄の性格上、あらかじめこれは不用になるだろうという判定をすることはなかなか難しい問題でございますので、今ごろになりますと結果としてそういうものが出てくるというふうに御理解をいただきたいと思います。
○国務大臣(嶋崎均君) お答えいたします。 法務省の予算につきましては、御承知のとおり、人件費が八三%を占めるというような予算に相なっておるわけでございます。したがいまして、今後の財政の運行というようなことを十分配慮をしなければならぬ、また政策の優先順位というものを十分判断して、事柄を整理されるというようなことに相なると思うのでございますけれども、そういう基本的な方向の中で適切な処置を講じて、対応していかなければいけないというふうに思っておる次第でございます。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 御質問の追加財政需要は、国際的ないわゆる分担金の支払いに必要な経費並びに外国為替相場の変動に伴う既定経費増額に必要な経費となっております。
○国務大臣(松永光君) お答えいたします。 給与改善等の追加需要に対処する必要もありまして、執行面において物件費を中心にした節約及び不用分もありましたので、文部省関係では合計百二十五億の節減になっておるわけであります。
○国務大臣(増岡博之君) 厚生省関係は九十六億円の減額となっておりますけれども、そのうち主なものは健康保険法の国会修正によるもの、また児童扶養手当法案が不成立に終わったこと等で約六十億円でございます。そのほか、健康管理手当の件数減あるいはベトナムからの収容委託人員が減少したこと等、合わせまして約七十四億円でございます。残余が節約の結果でございます。
○国務大臣(佐藤守良君) 和田先生にお答えいたします。 農林水産関係におきましては約百六十億でございまして、一般既定経費が百十億弱と、あと食管会計四十五、六億ということでございます。そんなことで、施策の推進には支障がないものと考えております。
○国務大臣(村田敬次郎君) 和田委員にお答え申し上げます。 通産省関係の補正予算は四十一億二百万円の追加でございまして、内訳は石炭並びに石油代替エネルギー対策特別会計へ九十七億円、これが一番主でございますが、これは最近の中国における石油開発プロジェクトの動向にかんがみまして、本年度において石油の探鉱投融資事業に追加的な実施を図るものでございます。その他は、昨年の給与法改正に伴う当然増五億余円、それから節約が六十一億余円でございまして、総計四十一億余円の追加となっております。 よろしくお願い申し上げます。
○国務大臣(山下徳夫君) 今回の純正予算では執行面でのぎりぎりの節約努力による削減を行うとともに、当予算成立後の種々の事情の変動により、いわゆる不用となった経費を洗い出し、運輸省関係では合わせて三十五億五千万円の削減を行うこととしたものでございます。
○国務大臣(山口敏夫君) 労働省といたしましては、五十九年度一般会計補正予算における削減額は二億八千八百万円でございまして、これは各省庁と同じく経費の節約により生じた削減額でございます。なお、労働省といたしましては雇用保険国庫負担金等の増要因がございますので、全体としては百六億三千八百万円の増となっております。
○国務大臣(木部佳昭君) 建設省といたしましては補正予算で約十一億の節約、減額をいたしたわけであります。その主な理由は公営住宅の家賃の補助率が減少した、こういうことでございます。
○国務大臣(古屋亨君) 自治省関係は、既定経費の減少額は九億一千三百万円でございます。 なお、お許しを得まして国家公安委員会関係についても申し上げさせていただきますが、警察庁関係におきましては六億六千万円でございます。
○国務大臣(藤波孝生君) 総理府関係の補正予算では三億一千六百万円既定経費の節約をいたしまして減額をし、政府職員の給与改善に必要な経費として二億三千七百万円を追加するという措置をお願いいたしております。
○国務大臣(後藤田正晴君) 私のところは給与改善賞が七億一千七百万円の増、既定予算の節約額の修正減少として三億七千三百万円、差し引き三億四千四百万円の増加となっております。
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 国土庁の行政実施に当たって支障のないよう最小限の程度の節約額でございますが、国土庁といたしましては四億七千七百万円でございます。北海道開発庁といたしましては約一億円でございます。
○国務大臣(加藤紘一君) 防衛庁といたしましては、節約などにより四十九億円を捻出し、不用により三十五億円、合計八十四億円を捻出いたしております。
○国務大臣(金子一平君) 企画庁といたしましては総額で一億六千百万円、すべて既定経費の節約でございます。
○国務大臣(竹内黎一君) 科学技術庁といたしましては約三十四億の減額となっておりますが、これは一般行政事務費を中心にぎりぎりの節約であったと思います。
○国務大臣(石本茂君) 環境庁の削減額は五億三百万円でございますが、これは節減のためぎりぎりの努力を行いまして捻出したものでございます。決して当初予算が甘かったというわけではございません。
○国務大臣(河本敏夫君) 節約額と不用額を合わせまして一億四千七百万円でございます。
○和田静夫君 初めての予算委員会でありますから、初めての大臣のすべてにお答えを願いました。 防衛庁長官、武器、車両購入で十一億、航空機購入で二十七億、装備品等整備で十六億円節減した。このことによって日本の防衛が著しく後退したということは言えない。
○国務大臣(加藤紘一君) お答えいたします。 節約した部分につきましてはそれぞれ理由のあるもので、その分につきましてはそれによって著しく後退したというものではないと思います。
○和田静夫君 総理、昨日行われた建国記念の式典でありますが、かつて総理が述べられたメーデーのように国民こぞって祝うものにしたいということから見ると極めて私は疑問であったのであります。そもそも二月十一日を建国記念日とすることに問題が残るからであります。総理は、ニュースによれば、建国記念の日は国民一人一人が遠く我が国の成り立ちをしのびつつ国のいやさかを願う意義深い日と述べられました。問題は、総理が遠く国の成り立ちをしのんだときに、今日生きているこの国の子供たちは教わっている日本の歴史に疑問を抱いている。一体国の成り立ちの時点はいつなのですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 子供たちが国の成り立ちの歴史に疑問を抱いているということは私はないと思います。神話は神話として尊重さるべきものであると、そういう立場はやはり科学的であると思っておりまして、そういう立場で現在の歴史は編まれていると思うんです。その点は戦前の歴史と今日の学校における歴史の教科書は非常に変わっておる。 なお、きのうの祝典につきましては、前から私のところへ電話があったりして、自分も参加したいんだけれども切符はどうして手に入れるのかとか、中学生あたりからも電話が随分ありました。そして、あの式の状況全般を見ておりますと、労働組合の代表の方もおいでになって万歳を三唱される音頭をとられたり、やはり全国民を挙げてのお祝いの縮小版であると、そういうふうに私は受け取って非常によかったと思っておるわけであります。
○和田静夫君 二月十一日を建国の日とすることは単に神話、伝承の話ではないと私は思うのであります。それは明治以降の近代日本の中で用いられた特有の歴史性を持っているからであります。つまり八紘一宇の精神によってアジア解放の美名のもとに侵略をした、植民地化をしていった、そういう歴史の中に神武建国があり、紀元節があるのであります。そうした歴史の重み、つまり二月十一日を建国の日とする思想が侵略の道具に使われたという重みを忘れて酔うわけにはいかないわけであります。しかも、その建国神話は戦後、歴史学、考古学の蓄積の上に立って全く非科学的であります。このことを否定をされるとは思いません。総理は、天皇御自身が公式の席において我が国の国家形成期は六—七世紀を規定されたということを一体どうお考えになるのでしょうか。総理はよもや皇国史観に基づいて国の成り立ちをしのんだわけではないでしょうね。
○国務大臣(中曽根康弘君) 天皇が全斗煥大統領がおいでになったときの晩さん会で今のようなお言葉を述べられたことは私は承知しております。 日本の国の始まりについては学者によっていろいろな説があると思いますが、多数説は今の大和朝廷の原始と申しますか始原というようなものは六—七世紀ごろではないかというのが多数説になっております。もっとも三—四世紀という説もなきにしもあらずであります。いずれにせよ、しかし国の始まったというときについてはこの法律をつくるときにもいろいろ議論がありましたが、例えばクリスマスという場合にキリストが生まれた十二月二十四日というものが果たして科学的にそうであるかという議論もある。やっぱり神話というようなものはある意味において民族の夢である、また現実の理想化でもある、そういう性格があると私は思うのでありまして、長い間の伝承というものを尊重するということは、どの国でもやっていることではないかと思います。
○和田静夫君 神武建国のこの神話は科学性を持ち得ない。大和王朝の正当性を示すための神話であって、それが朝鮮や中国侵略の正当性に使われた、その歴史を踏まえるならば政府は二月十一日は再検討すべきだと私は考えている。あなたは朝鮮や中国の民衆に向かって、神武東征を初めとする二月十一日の歴史的意義を誇らしく語ることができますか。幾ら中曽根さんが心臓が強くても、あるいは外交に卓越をしていらっしゃっても、そんなことは言えないと思う。日本がアジア諸国、太平洋諸国と仲よくやっていこうとするなら、二日十一日はやっぱり再検討されるべきだというふうに考えますが、いかがでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは国権の最高機関である国会で成立した法律に基づいて行われているものでありまして、これを再検討して日を変えるという考えはありません。
○和田静夫君 先ほどの答弁のような姿勢であるならば、私はやはりこの機会に、多くの日本の歴史学者などが求めています天皇陵の発掘というものをこの機会に許すべきだろうと思うのですが、文部大臣いかがですか。
○国務大臣(松永光君) 建国記念日が二月十一日ということに関連しての御質問と思いますが、今総画もお答えになりましたように、この国会で建国記念日は二月十一日と定められ、そしてその法律には「建国をしのび、国を愛する心を養う。」という意味で式典が設けられたわけでありまして、私は結構なことであると思って出席をしたわけであります。 天皇陵の発掘の問題につきましては、文部省の問題ではなくして、宮内庁の自主的な御判断で決められることであると承知しております。
○国務大臣(藤波孝生君) ただいま文部大臣から、それは一つ一つの宮内庁の判断だと、こういうふうに御答弁申し上げました。全くそのとおりだと思います。一つ一つの御陵をどうするかという問題につきましては、その都度と申しましょうか、ケース・バイ・ケースで宮内庁は判断をされるものと、こういうふうに考えております。政府としてはその宮内庁の判断に基づいていかなければなるまいと、こう考える次第でございます。
○和田静夫君 そうすると、その判断は。
○国務大臣(藤波孝生君) その都度どういうふうに判断するか、あるいはどういう全体としての方針でこれを御質問に対してお答えをするかということは、宮内庁を中心としてやっぱり考えざるを得ないというふうに思うのですが、宮内庁とよくただいまの点は相談をいたしまして、後刻答弁さしていただくようにいたしたい、お時間をいただくようにお願いを申し上げたいと思います。
○和田静夫君 きょうは一九八四年度補正予算を含めて、現在財政が抱いている諸問題について八〇年代の後半を展望する、あるいはもっと大きくタイムスパンをとって二十一世紀を展望する、そういうときに現在のような財政危機をどういうように克服していくのか、これは今日の最重要課題でありまして、政府にも、もちろん我々国会にもこのことは問われていると、こう考えています。 そこで、まず総理、一九九〇年度には赤字国債新規発行をゼロにするという目標を堅持されますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 昭和六十五年度までに赤字公債依存体質から脱却する、そういう具体的目標を掲げまして、今懸命なる努力をしておるところでございます。今回の予算におきましても、一兆円の国債減額をやりました。そのうち、赤字国債が約七千何百億円に上ると思います。赤字国債全体で一兆までいかなかったのは遺憾でございますが、ともかくぎりぎりの努力をしておるわけでございます。なおまた、今回の予算におきましても、電電公社あるいは専売公社の可能なる株式売却金は国債整理基金特別会計に入れまして国債償還に向けるという思い切った担保措置をやりまして、国債を減額することにこれまた大きく前進したところでございます。 なお、六十五年の目的を達するために、やはり歳出歳入構造全般にわたりまして点検を行い、そしてその目的を達する方向に向かって歳出歳入構造を改善していくように努力してまいりたいと思っておるわけでございます。
○和田静夫君 総理、増税なき財政再建の方、どうでしょう。増税なしに私は昭和六十五年度赤字国債脱却、一体できるのだろうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 増税なき財政再建は臨調から示された御方針でありまして、政府もこれを大事な理念としてとらえる、これあるがゆえに財政を再建するためのてことして有効にこれが機能をしている、そう思ってこれを守るために今後も努力してまいる予定でおります。
○和田静夫君 大蔵大臣、この両方、両立できると明言できますか。
○国務大臣(竹下登君) やっぱり増税なき財政再建というのは、この理念を一度失ったら限りなく歳出圧力に応じ切れなくなる、したがって私どもはそれは理念として堅持していかなきゃならぬ。一方、六十五年までに脱却するためには、お示ししております中期試算あるいは仮定計算等の要調整額等をごらんになれば、これは容易じゃないなというお感じをお持ちになりますことは、私とてそう感ずるわけであります。そこで、それをてことしながらも、歳入歳出両面において、むしろその要調整額、仮定計算とはいえそういうものを示しながら、その間、国会等の論議を通じながら、しょせんは負担するも国民、受益者もまた国民でございますから、そこにコンセンサスを求めていかなきゃならぬ、大変選択の幅の狭さの中で苦悩しながら続けていかなきゃならぬ課題だ、だから理念として増税なきという理念を放棄するわけにはいかないというふうに考えております。
○和田静夫君 大臣、ある会合で国債残高のGNP比を財政再建のめどにするという考え方を確認されたというのですが、そうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これはやっぱり第一期としては六十五年赤字公債依存体質からの脱却、そこでその後が私は対GNP比に対する残高の議論が行われる一つの時期ではないか。しかし、それまでの間にも諸外国の例等々をも勉強し、そして国会等の議論を通じながら、およそ対GNP比に対する国債残高というものの確実にあるべき姿というのが示されるということは非常に難しいと思いますが、何らかの目標値というものを考えていかなきゃならぬ。そこに、先ほど総理のお答えにもありましたように、電電株でございますとか、専売株でございますとかいうようなものも私どもとしては好ましい一つの期待を持ち得る措置ではあるなという考えはあるわけでございます。
○和田静夫君 総理、くどいようですが、これ本当に両立できるとお思いになっていますか。中曽根内閣が存立する限り公約としてこれを明言されるんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 六十五年赤字国債依存体質から脱却するというのは、私が今全力を尽くしてやっている目標でございまして、国民の皆さんも御支持いただいておると思いますし、臨調や行革審の皆様方も強く御支持していただいていると思いますので、これを全うするように努力してまいるつもりでおります。
○和田静夫君 両立です、両立。
○国務大臣(中曽根康弘君) 両立するように努力するのが政治家としての務めでございまして、そのように今後とも努力してまいるつもりです。
○和田静夫君 ところで総理、増税というのは、八十四年三月十四日、私に答えられましたように、「租税負担率というものをGNP比におきまして変えない、そして、ただ基本的にそれを維持しつつ、新しい税目を起こしたり新しい措置を行わない範囲内においていろいろ措置することは認められると、」、これは私に対する答弁です。ここ少し厳密にきょう議論しておきたいんですが、政府は国税の対国民所得比が何%になると増税ととらえるのか。租税負担率といっても国税、地方税合わせてということになるわけですが、国税のみの負担率ですね。これは何%超えれば増税になるんですか。
○政府委員(梅澤節男君) ただいま御審議願っております六十年度の予算では、国税の負担率は一五・九でございまして、前年度の五十九年度に対しまして〇・二%ポイント引き上げを見込んでおるわけでございますが、この内容は、適正公平という観点から税制を見直しました結果、なおかつ税の自然増収の圧力がむしろ強くて負担率は上がるわけでございます。 なお、先ほど来お話しございますように、租税負担率を幾らにすれば増税であるかということではございませんで、新たな措置によってしかも税負担が上がるというのがいわゆる増税であるというふうに規定されておるわけでございまして、計量的に何%まで上がれば増税であるとかないとかということを私ども作業概念としても租税政策を考える場合に用いるべきではなかろうというふうに考えております。
○和田静夫君 そうなんですか、大臣。そうなんですか。
○国務大臣(竹下登君) やっぱり過去の統計でも、いわゆる名目成長率に対してこの一・一の弾性値というのが結果として出ておるわけであります。したがって、自然増収というようなものによっていわゆる増収になるということでございますので、いわゆる何%までかというのが、今梅澤局長からお答えしましたように部内でも議論したことがございますが、作業概念としてそれが成り立つものではないじゃないかと、こういう考え方に落ちつきました。議論をした上でのことでございます。
○和田静夫君 ここ私がしゃべり過ぎると時間がなくなるのだけれども、大蔵省のこの財政展望ですね。このベースとして、議論では、つまり成長率六・五%でしょう。税収の弾性値が一・一でしょう。それをベースとして六十五年度の国民所得に対する国税負担率一六%。そういうふうにずっと見ていきますと、六十一年度一五・六%、六十二年度一五・七、六十三年度一五・八、六十四年度一五・九、六十五年度一六%、こうなるわけですね。増税なきの限界と私はこれ考えるわけですが、税収弾性値、多少のぶれがある。せいぜい一・二だということにしても六十五年度の税負担率一六・五、こうなりますね。つまり臨調答申に基づく増税なき財政再建をとるのであれば一九八〇年代後半の国民所得に対する国税負担率は一六%台前半である。これ大臣とやりたいんですが。
○政府委員(梅澤節男君) これは先ほど大蔵大臣の御答弁にもございましたように、ただいまお示ししておりますものは、過去の十年間余りの平均値に基づきまして弾性値一・一としてお示ししているわけでございますけれども、この一・一というのはあくまで仮定計算でございますので、一・一ではじかれた六十五年度の断面が増税なき財政再建という場合の委員がおっしゃる租税負担率の計量的な水準であるというふうには必ずしも言えない、あくまであそこで差し上げてございますのは仮定計算例でございますから。
○和田静夫君 その仮定計算がだめだということを言おうとしているわけです。
○国務大臣(竹下登君) 仮定計算はあくまでも仮定計算でありまして、昨年度の予算委員会等におきましても、本委員会においてとにかく仮定をいま少し確定にしろ、もっと定量的な形で示されないかというもろもろの議論をいただきました。一年間勉強したわけです。何かもう少し近いものが出ないかと。私どもといたしましては、その間に先ほど御指摘になりました私がもう一つの計算として公債残高の対GNP比というようなものを念頭に置くべきじゃないかと、こういう議論もいたしました。だが、結局今年度税制調査会で、いわば直接税、間接税と言わず、その根本的な議論をすべき時期に到達したと、こういう答申ももらい、そして、さて予算委員会にどういう資料でお示しするかということになりますと、今のところ可能な限りの御参考に供する資料とすればあの試算であり、そして仮定計算ということになったと。 そこで、仮に和田さんから、おまえ、これを一・〇五にして計算してみろとか、あるいは地方税と同じように弾性値一・二でやってみたらどうだという議論もございます。それから成長率大体六・五というのが、中には七・五でやってみたらどうだと、こういう議論もある。そういうのはやっぱり昨年どおりのものを出して、そういう一つの前提は、むしろこの国会審議等で委員の皆さん方から出したものに対して我々は作業をしてお答えしようという結論に最終的には到達したので、昨年同様の試算と仮定計算を出して、その要調整額等について国会のもろもろの議論を通じながら来年度によりどこまでの正確なものが出せるかということを、やっぱり毎年毎年の努力の積み上げというもので六十五年目標達成に近づいていく努力をしようと、こういうことに相なったわけであります。
○和田静夫君 税収弾性値、確かに振れはある。しかし近年の傾向値はこれは低下ぎみですね。
○政府委員(梅澤節男君) ただいま委員の仰せのとおりでございまして、実績、統計で見ますと、昭和四十年代の高度成長期に比べまして、特に五十年代に入りまして長期的に弾性値の水準は下がっております。
○和田静夫君 したがって一・二ということに見込んで私は過小でなくて、これは近年における弾性値の上限であると考えてよいと思っているんですが、大臣いかがでしょう。
○国務大臣(竹下登君) 確かに下がってきておりますね。ですが、いわゆる五十九年度自体の実績から見ても上限ということは断定できないのじゃなかろうかなと、こういう感じがしております。
○和田静夫君 それじゃ、せっかくの大臣の答弁でありましたから、私の方から一・二ならどうだとかいろいろ提言をしますので、本予算までにひとつ資料として出してもらいたい。その作業をしてもらいたい。
○国務大臣(竹下登君) 和田委員のお示しになる前提に基づいた作業を可能な限り正確にいたしまして、補正予算審議後、委員長を経由して提出をいたします。
○和田静夫君 総理がおっしゃった増税の定義をもってして、一九九〇年度までに増税なき財政再建は不可能であると私は考えているわけです。もう率直にお認めになった方がいいんじゃないかと思うんですが、そういう率直な現状認識に立ってこそ私は有効な財政論議が実はできると考えているからなんです。私は、具体的に臨調の言う増税なき財政再建が不可能であることを証明したいと思います。 大蔵省の仮定計算例には、一般歳出を〇%、三%、五%、三つの財政支出試算がある。まず〇%の場合、これは物価上昇率を低目に二%と見ても、実質歳出額はマイナスとなるわけです。昭和六十三年度には六十年度と比較して六%の実質歳出の削減になる。そうすると、六十五年度には一〇%、一割の実質歳出削減です。向こう五年ゼロを続ければ確かに増税なき財政再建は可能です。だが、そういうような予算編成が可能でしょうか。まず農水大臣どうですか。
○国務大臣(佐藤守良君) 和田先生にお答えします。 今は先生、仮定計算例というのは中期的な財政事情を私たちは機械的な手法により試算したものだと考えております。そんなことで、計算の便宜のためあえて単純な仮定を置いたものと理解しております。そんなことで、ただ一つわかりますことは、財政事情が中期的に見てもまことに厳しいものであるということがわかるわけでございます。
○和田静夫君 一言でいいから質問に答えてもらいたいな。
○国務大臣(佐藤守良君) 和田先生にお答えします。 先ほど申したようなこと、まことに厳しい状況でございますが、予算を確保しまして、農林水産省の使命でございます食糧の安定供給には全力を尽くしたいと、こう考えております。
○和田静夫君 予算委員会ですから、各大臣、総理や大蔵大臣に遠慮する必要ないと思うんです。できないやつはできないと言ったらいいと思うんだ、僕は。 厚生大臣、社会保障関係費を実質マイナスで組むことができますか。高齢化社会に突入する見通しで、どうですか。
○国務大臣(増岡博之君) お尋ねのように、高齢化社会を迎えるわけでございますから、社会保障関係費は漸増をいたすことはある程度やむを得ないことであろうかと思います。しかし、今先ほどからお尋ねのような長期的な問題につきましては政府部内各省庁のいろいろな折衝もあろうかと思うわけでございますから、そういう意味で必要な予算は確保してまいりたいというふうに考えております。
○和田静夫君 建設大臣、公共事業は実質マイナスを五年間続けられますか。的確に答えて。
○国務大臣(木部佳昭君) 公共事業、大変厳しい財政の中にありまして非常に努力はいたしておりますけれども、その中にありましても、私の希望的観測を申し上げれば、社会資本というものは内需の振興その他にも影響がございますので、許される範囲で進めていきたい、そういうふうには考えております。しかし、先ほど来仮定計算の話ですから、私どもこの仮定計算というものが予算編成にずっと拘束を受けるものじゃない、そういうふうに理解をいたしておるわけでありますが、そうした行革審や今大蔵大臣の御答弁の趣旨に沿って、苦しい厳しい中でも効率的、効果的に国民の動向を見ながら対処してまいりたいと、こう考えております。
○和田静夫君 本当に答弁にならなくて困りますがね。 金子長官、久しぶりですが、一般歳出を五年間実質マイナスで続けるとしますね。そうすると、日本経済にどういうような影響を受けるんですか。
○国務大臣(金子一平君) これはもう釈迦に説法でございますが、デフレ効果がある程度生ずることはやむを得ないと思います。しかし同時にまた景気の働きもございますし、彼此勘案して全体としてどうなるか、また今後の世界経済の働きがどうなるか、そこら辺を十分見きわめて見ていかなきゃいかぬと思っております。私どもは、中期の経済展望では四%くらいの成長はずっと今後できるだろうという見通しを立てて、物価の安定その他経済成長を考えておるわけでございますが、そういった中にあって財政が極力削減をしながら、同時に必要な方面に重点的につぎ込むことによって全体としてどう動くか、これはそのときどきの動きによってまた変わってこようかと思います。
○和田静夫君 大蔵大臣、いろいろお聞きしましたが、あなたのお出しになった資料で一般歳出を実質マイナス、名目伸び率ゼロを五年間続けるというのは本当に可能でしょうか、これ。
○国務大臣(竹下登君) 仮定計算例、確かに今のような財政改革を進めるに当たって、今のような御議論をちょうだいするための仮定計算を出したわけであります。したがって、それに対しての今のような御議論が中心になって、その後歳入、歳出、しょせんはそれらの組み合わせによって予算はできるわけでございますから、そういうことのまさに議論をちょうだいする仮定計算として、参考として出した、こういうものでございます。 そこで、臨調でよく言われる、臨時行政調査会の提言の中に適度の経済成長率が維持されていることを前提に、国の一般会計歳出の伸びは名目成長以下という一つ提言がありますね。それに基づいたのを五にしてみたわけであります、名目成長を六ないし七として。それからもう一つは、まさに今御指摘なさっているゼロ、それからゼロと五、ゼロは無限大であると同時に無限小でございますが、そのちょうど真ん中の数字というのでひとつ三というものを御参考のために出しておるというわけであります。 それで、この〇%とする場合は、それは五十八、五十九、そしてこれから御審議をちょうだいします六十年度、三年にわたって一般歳出を横ばい以下としたことに続けて、なおこれからまた六十五年まで単純に伸び率をゼロとして仮定したものでございますが、これは一般歳出、いわゆるこの想定そのものに大変困難な問題が含まれておるということは、現状の施策、制度そのままに置いた場合は私はそれは明確に困難な問題が含まれておると言わざるを得ないと思うわけであります。 したがって、今代表的に御指名なさいました各大臣の所感など、まあ農林水産省というものは食管会計を抱えておりますので、予算から言えば大きくマイナスが続いてきたわけであります。社会保障も、今度またいわゆる補助率、言ってみれば国と地方の分担の変化等によってやっと支えてきたという感もございます。いわゆる高齢化だけはこれは何の状況の変化もなく進んでいくわけでございますから。それから、公共事業におきましても、中身の工夫によって建設大臣の方で事業量の確保ということを精いっぱいやってこられて、それで三年やったということでございますから、現状の施策、制度そのまま考えたら大変困難な問題が包蔵されておるということは、私は御指摘のとおりだと思います。 したがって、さて、現状の施策、制度そのままというものをどのようにして制度、施策の根源にまでさかのぼって、これは個人に帰属すべきものである、これは地方だ、これは国だという役割分担を、今までもやってまいりましたが、なおそれを続けていく努力がどこまでいくかということで、この結論的な数字が出てくるものになりはしないだろうか、こういう考え方に立っておるわけでございます。
○和田静夫君 大臣述べられましたように、三%問題をやってみると、もっと決定的だと私は思うんですよ。三%の伸び率を組みますと、年々三兆円から四兆円の要調整額になるんです、私の計算では。歳入不足額が出てくる。これを税収で賄おうとすれば、国税の国民所得に対する負担率は、六十一年に一六・六ですよ。六十二年一六・九、六十五年一七・二ですよ。これは先ほどの増税の定義からして増税なき財政再建じゃないですよ。臨調答申に違反ですよ。要するに増税なき再建は不可能なんですよ。それは精神論としてはともかく、あるいは理念としてはともかく、財政は数字、金額の話ですから、具体的な数字を挙げ展望を描かないとすれば、これは速やかに増税なき財政再建の旗をおろされるべきだ。それは総理、そう思いませんか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 仮定計算例に基づいて機械的に数字を検索すればそういうことになるかもしれませんけれども、経済は生きておるもので、小さな政府のもとに民活をさらに拡大するという場合もありますし、あるいは国際経済がさらに変動して上昇に向かうという場合もありますし、いろいろな複雑な与件がまだたくさんあると思います。そういう中に機動的な財政政策、経済政策を行うことによって、一方において小さい政府を実現しつつ、その目的に向かって進むことは必ずしも不可能ではない、そう思います。
○和田静夫君 一般歳出の伸び率を〇%に抑えたとしましても、六十一年度一兆六千六百億でしょう。六十二年度一兆三千八百億の要調整額が出てくるわけでしょう。これを税収で賄おうとすれば六十一年度の税収は四十二兆九千五百億ですよ。一一・四%の税収の伸び率を確保しなきゃならぬ。名目GNPが六・五%の伸びなら税収弾性値は一・七ですよ。大蔵大臣、この一・七というのは空想でしょう。
○国務大臣(竹下登君) これは一般論として考えて、一・七というものを前提に、たとえ仮定計算例とはいえ、計算例として租税弾性値一・七というのを傾向的に使う数字ではないと私も思います。
○和田静夫君 本予算に向かって少し詰めますが、総理、今お話がありましたけれども、どんな状態を想定して、数字をいろいろはじき出しましたが、その想定が現実的である限り、私は増税なき再建というのは、中曽根流歳出削減再建方式は限界に来ている、限界だ、そういうふうに思うんですがね。
○国務大臣(中曽根康弘君) 仮定計算例を当てはめて機械的に数字を検索すれば、あるいはそういうお考えをお待ちになることもあり得ると思いますが、しかし、先ほど申し上げましたように、一方においては電電や専売公社の株式の処分の問題もございますし、あるいは民活というやり方によって政府を圧縮して民間活動をさらに膨らませる、そういう考え方もありますし、あるいは国際経済の変動その他いろんな与件がありますから、絶望視することは私はどうかと思います。やはり我々としては財政の健全化へ向かって一つの旗をちゃんと持っておって、そして国民の皆さんにも御協力を願う、そういう意味において旗がなければそれは難しいのであります。この旗はあくまで我々としてはかち取るつもりで努力してまいりたいと思っております。
○和田静夫君 総理、どうしても私は納得できません。もし私を納得させようというなら、具体的根拠を示してもらいたい。私は本音の議論を展開してかみ合わせていきたいと常々思っているわけです。財政の実像と展望をこの論議を通じて国民に明らかにしたい。そのことが私は国会の任務だと思っているからです。いかがでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 仮定計算例は前も大蔵省から出していただきまして、去年あるいはおととしおのおのの仮定計算例を見ますと、やはり二兆とか三兆とかいう大きな要調整額が出てきておったわけでございます。そういう中においてもあらゆる努力をいたしまして、ともかく予算編成をずっと去年もことしもやってきておるわけでありまして、将来の課題といたしましてもいろいろな変動要因もございますから、今申し上げた旗をおろさないでしっかり頑張っていけば私は必ずしも不可能ではない、過去の実績がある程度それを物語っていると、そう思っております。
○和田静夫君 補正だからちょっとぐあい悪いんですが、本来ならここはとまるところです。政府は今後こういうような方針で財政運用を行っていくんだという展望を、大臣、それでは出してくれますか。
○国務大臣(竹下登君) これは財政改革の進め方についてというのは、歳出歳入両面にわたってという一応の考え方というのは、昨年財政改革に当たっての考え方というのでお出ししておるわけでありますが、和田委員の御指摘なさいますのは、初年度はあるいはそれでも不足だが仮定計算も一つの参考資料だろう、次年度ともなればその中に例えば例として国債整理基金、いわゆる減債制度というものを半分にした計算も出してみてもいいんじゃないか、そういうもろもろの施策の中でだんだん議論の幅も狭まってくるんじゃないか、こういう考えで仮にあるとしますれば、そういう議論が出てくることは私どももあり得る議論であろう。その際、要請に基づいてそういうようなもろもろの資料を御協力して出しながら、それを議論の土台として参考にしていただいたらどうか。ただ、我々から初めから半分にしたものを出すとか、あるいは三分の一にしたものを出すとか、そういうことは、やっぱり現状の施策、制度そのままというところから論議に入るのが至当だろうということで、現状の施策をそのままにした前提で積み上げたものを出しておる。 今のようなかみ合うために和田さんがこのような前提のものを出せということに対しては、最大限の御協力をしながら、それを議論の資料としてお互いが持っておることも、私は議論の幅を狭めていくためにも必要なことであろうという事実認識は持っておりますが、私の方から初めからある種の政策転換を前提としたもので資料を出すという立場にはなかろう、こう意識統一を一応部内では行っておるわけであります。
○和田静夫君 先ほどの約束もありますから、本予算に間に合うように要求しますから出してください。
○国務大臣(竹下登君) 承知しました。
○和田静夫君 これから税制に入るんですが、調査会長が十一時半だそうですから、金融問題にちょっと触れておきたい。 総裁、御苦労さんです。アメリカの財政赤字、金利高によって円安が続いているわけですが、ファンダメンタルズから見た円レートの水準ですね、どの程度と見ますか。
○参考人(澄田智君) 為替相場の水準は、これは変動相場でございますのでいろいろな要素で動くわけでございます。私どもとしては、為替相場の動きの傾向は注視いたしますが、相場自体どの水準でということで考えるということはいたしておりません。もう少し円が高い方向でできるだけ安定するということを望んでいることはそのとおりでございますが、しかし幾らであるということは申し上げることはできません。
○和田静夫君 市場介入についてはボルカー連銀議長も余り期待できないとしているし、総裁もそういうお考え方のようでありますが、そうすると金利引き上げ政策が必要になってくるということになるわけですか。
○参考人(澄田智君) 最初に、介入について余り効果が期待できないということは、私は決してそういうことは思っておりません。その点のお断りをさせていただきたいと思います。介入によりまして、為替相場の乱高下を防ぐという目的で随時協調介入を含む介入を行っているわけでございまして、乱高下、そしてその相場の行き過ぎというものを防ぐ意味におきましては介入は今までも効果はございますし、これからも効果があると、こういうふうに思って今後とも機動的かつ積極的に行ってまいりたいと、かように思っております。過般の五カ国の会議におきましても、そういうような意味の合意ができておるわけでありますし、その点については今後とも対処してまいりたい、そういう方向で対処してまいりたい、かように思っております。 金利面の対応でございますが、現在のところ、まだ相場は非常に不安定でございますし、現在の状況をもってすぐ金利面の措置を考えるというようなまだ段階ではないと思っておりますが、今後円安が非常に加速をする、あるいは長期化をする、加速して長期化をする、そういうような場合には介入だけでなくて金利面の措置というようなものにも検討をする、そういう必要があるだろう、こういうふうに考えている次第でございます。
○和田静夫君 アメリカの大幅な金利低下が望めないとすると、日本の金利を引き上げる以外に円安を防ぐ手だては当面のところないということでしょうか。
○参考人(澄田智君) 円は現在ヨーロッパ通貨に対しては強い状態を維持しております。むしろヨーロッパ通貨の方がもっと安くなっているというような状況でございます。したがいまして、これはドルが非常に強いという今の為替市場の働きであるわけでございます。今後とも、現在、日米の金利差というものは長期金利で見ますると五%前後の差があるわけでございまして、こういう差を、日本側からさらに拡大するようなことはこれは厳にするべきではなく、そういう方向で常に対応してまいりたいと、こういうふうに思っておりますが、為替相場は今非常に不安定な状況でございますので、決していつまでも今のような円安の状態が続いていく、こういうようなものでもない。その辺は今後の動向を十分注意していかなければならないと、かように考えている次第でございます。
○和田静夫君 市場実勢からいいますと、長期金利は低下傾向に今あるわけでしょう。そういう状態で、例えば公定歩合の引き上げというのはできましょうか。
○参考人(澄田智君) 昨年半ば以来、長期金利が低下をいたしました。これは内外長期資金の需給の状況というようなものを反映いたしましたし、それからその期間にアメリカの金利が若干下がりました。そういうものを先取りしたというようなこともあって長期金利が下がったわけでございますが、現在は、このところの為替相場の非常な不安定、円がまた一段と安くなった、こういう状況によって長期金利もむしろ、日本の長期金利でございますが、下げどまって、あるいは債券の利回り等から若干反騰をしている、こういう状況でございます。
○和田静夫君 公定歩合の引き上げ問題はどうでしょうか。
○参考人(澄田智君) 公定歩合につきましては、これはその他の金利の政策ともあわせ、また内外の情勢というものも十分に総合的に勘案、判断をいたしまして動かすべきものでございます。現在のところ、全然そういうふうな点につきまして考えを決めているわけではございませんが、十分内外の情勢は注意していかなければならない、かように考えているわけでございます。
○和田静夫君 基準外貸出制度の運用というのは考えているわけですか。
○参考人(澄田智君) これも現在具体的に考えているわけではございません。今後、為替相場の動向いかんによっては基準外貸出金利の引き上げを含む金利面の措置も考えなければならない。そういう意味で、検討は常時しているけれども、しかし現在の段階が直ちにそれであるというふうにはまだ見ていないということを申した次第でございます。
○和田静夫君 アメリカの金利が低下して他国との金利差が縮小する、アメリカへの資本流入が逆転してドルが暴落する、そういう懸念が一部で表明されているんですが、総裁のお考えは。
○参考人(澄田智君) 最近はそういう説も少なくなってきているわけでございますが、一時言われたことがございます。そうしてドルが高過ぎるという状態ではありますが、ドルが暴落するということは、これは世界経済の非常に大きな混乱の原因にもなりますし、これは非常に望ましくないと、こういうふうに考えます。アメリカの政策当局におきましても、ドル高の行き過ぎということに対しては、これは抑えるということを考える、そういう対応を考えるということではありましても、ドルの暴落、ドルが下落をする、甚だしく下落をする、あるいは急激に下落をする、そういうことについては、これは極めて望ましくないということで、そこは慎重な対応をしております。目下のところそういうおそれは現実ではないと思っております。
○和田静夫君 円安の傾向がずっと続きますと一層貿易黒字が高まることが危惧されますが、総裁としてはどう考えますか。
○参考人(澄田智君) 円安が続いた場合の問題でございますが、第一には、これは輸入物価を引き上げ、そして国内の消費者物価にもだんだん波及をしてくるおそれがある。こういう意味合いにおいて円安というものに対してはこれを警戒するわけでございますけれども、今おっしゃいました貿易面におきましても輸入を抑え、輸出を促進する、そういう影響を持つものでありまして、それだけ貿易摩擦も高まる、そういうおそれがあるわけでありまして、その面からも円安ということは望ましくない、こういうふうに考える次第でございます。
○和田静夫君 そこで総理、貿易摩擦についてアメリカの通信機器その他の要求が出ていますが、何をどうするか、具体的に総理、示してください。
○国務大臣(中曽根康弘君) 正月のロサンゼルスの会談に基づきまして、先方からは事務次官クラスが参りまして、当方も事務次官クラスで応対をいたしました。そして四つの分野につきましていろいろ具体的な話し合いに今入っておるところでございます。 先方が一番重要視しているのはテレコミュニケーションの分野の重視であります。村田通産大臣が三極の会議を終えて、私も報告を聞きましたが、やはりテレコミュニケーションの分野を一番重要視していると。その分野については今郵政省において新電電の発足に伴い、三月末までの間に省政令をつくり、基準・認証の問題の政府としての基準をつくるという段階になっておりまして、これらをつくるにつきましても、民間の意見もよく聞き、また外国の会社等の意見もよく聞いて、内外無差別、透明性の確保という面について努力してまいりたいと思っております。
○委員長(長田裕二君) 澄田参考人には大変御苦労さまでございました。ありがとうございました。
○和田静夫君 経済援助をちょっとやっておきますが、日本の援助はさまざまな問題を抱えています。内容に入る前に、我が国の援助行政にはそれに見合う体制がない。それなのに予算だけが年々膨らんでいっている。第一に主務官庁が明らかでないんですね。経済援助の主務官庁が自分のところだと思われる大臣がいたら手を挙げてもらいたいんですがね。——わかりました、それならわかりました。 どうもはっきりしないですよ。外務大臣ね、外務省だと思われたからお立ちになった。それじゃなぜ通産省が経済協力白書を出しているんですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは四省で相談しながらやっていることでありますが、外務省がその中にあって対外的な折衝その他の調整、そういうものを受け持っております。したがって、主としてそういう面では外務省が中心になってこれは推進していかなければならない。これは対外的にもそういう責任を感じておるわけです。
○和田静夫君 官房長官、それでよろしいですか。
○国務大臣(藤波孝生君) 各省庁連絡をとり合ってそれぞれの責任を果たしていく、全体としては政府として一つの考え方にまとまっていくということでいいかと思います。
○和田静夫君 主務官庁は外務省ですか。
○国務大臣(藤波孝生君) 主務は外務省であります。各省庁が連絡をとって相談をしてやっていくということでいいかと思います。
○和田静夫君 官房長官も自信がないように私も実は自信がないんですよ。外務大臣、おたくが主務官庁なら、資料要求すれば即座に援助の全貌がわかるんですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは四省で相談して調整しながらやっておるわけであります。ですから予算その他も四省にまたがっておりますから、外務省で取りまとめるというのは、外務省だけで提出するという点はなかなか困難な点もありますけれども、しかし御要求があれば四省とも相談をとりまして、これは国会の御要求なら出さなければならぬと、こういうふうに思います。
○和田静夫君 御要求をしても出てこないんです、一年たっても出てこないのだから。本予算でも去年やったことですからね。 それじゃ、ODAからNGOに出されている補助金の総額幾ら、どの団体に幾ら出されているかというのをすぐ出せますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これも各省庁にまたがっておる予算ですから、今ここですぐと言われても困難ではありますけれども、しかし御要求があれば国会の御要求ですから、外務省として各省庁にもお願いをして提出をしたい、しなければならぬと、こういうふうに思います。
○和田静夫君 それじゃ今のを要求しますので、委員長からぜひ出すように言ってください。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今の和田さんの御要求でございますが、国会の御要求ということになれば、これは外務省の方で各省庁とも相談をいたしまして提出をするべく最善の努力をいたしたいと思いますし、またこれは何とか提出をしたいと、こういうふうに思います。
○和田静夫君 私、別に外務大臣を困らせるためにやっているのじゃなくて、今まではっきりしなかったんですよ。 総理、日本は経済援助途上国と言われますが、私をして言わしめれば、どうも援助低開発国だというような感じです。受け皿がないというのが致命的だなと考えてきたのですよ、きょうははっきりしましたがね。 そこで、援助根拠法、専門省庁、制度的な評価システムを整備する、そのことが早急に必要ですが、どうでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 主務官庁という形になりますと、農業なら農林水産省、あるいは企業関係なら通産省、あるいは運輸関係ならば運輸省、そういういろいろ中身の実態に応じて各省庁が担当して、対外的総括は外務省がやっておる。したがいまして、一般的に全部をまとめておるのは外務省ですから一応外務省と、そう言って差し支えないと思うんです。そういうことでまず御了知願いたいと思います。 それから額につきましては、なるほど日本は何しろGNPが大きい国でございますから、〇・七%といっても膨大な数字になる。予算上の制約もございますが、その中でも実は努力をしておりまして、アメリカあたりもGNPが多いものですから予定の線にはなかなかいっていないようであります。GNPの小さい国々はちょっと努力すると割合にいきやすい。そういう面がございまして我々も非常に苦労しておりますが、しかし、去年は予算に対して九・七%、ことしは一〇%、そういうわけでできるだけ線に近づけようと思って努力をしております。六十年というものを境に、五十五年から六十年にかけてのこのベースと、それから五十五年前のベースと、これとを比べてみて倍増しようという目的で努力してきたわけですが、大体本年度予算をもちまして九十何%ぐらいまでは一応いっている。基準数値にもよりますが、大体大まかに言えば目的は一応概成したと、そういう段階に来ております。次の五年をどうするかという問題になりまして、これも真剣に検討してまいりたいと思っております。
○和田静夫君 根拠法の問題はどうなんだ、援助根拠法。
○政府委員(藤田公郎君) 対外援助の根拠法とおっしゃいます場合にどのようなことを念頭に置かれての御質問か必ずしもよくわかりませんが、過去昭和五十年に一度そういう案が出たことがございますけれども、その当時の政府側の答弁といたしましては、援助につきましては各省庁のそれぞれの設置法で決められておりますし、それから援助の細目につきましては、各国の例を見ましても、細目まで決めている国、法律で決めている国というのは、アメリカが予算と同じような形でやっておるだけでございまして、余りそういう例もない。むしろ外交上の弾力性というものを失わせるのではないかというのが従来政府側の答弁でお答えしてきたところでございます。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は今いろいろと海外援助について御批判もあるわけですけれども、今日本がやっております海外援助については、今の制度で十分国際的な約束といいますか、国際的な責任を果たすことができるのではないか、こういうふうに思っております。ただ、これからの評価とか、あるいは果たして援助がどこまで行き届いているかという点についての監視、そういう面についてはいろいろとフォローアップして態勢を強化していかなければならぬ。そういう点は感じておるわけですが、全体的な制度は今の制度で十分やれるのではないか、こういうふうに判断しております。
○和田静夫君 生体腎ですが、去年十一月以来社会問題化しています生体腎の売買問題。新聞報道によりますと、アジア系外国人や金に困っている人々から腎臓を買う、腎移植を仲介した、そういう人物がいる、私も知っている。厚生省、事実関係は。
○国務大臣(増岡博之君) 生体腎の売買が行われたという報道がございましたけれども、私どもの調査ではそのような事失はなかったということでございます。なお今後も、移植学会で各移植に対してそのようなことをしないようにという通達が出ておりますし、また厚生省としましてもそのようなことがないように監視をしてまいりたいというふうに思います。
○和田静夫君 警察庁、この件に関して当然関心をお持ちだと思うのですが、いかがでしょう。
○国務大臣(古屋亨君) マスコミでこういう問題が報道されておることはよく承知しておりますが、御案内のように、生体腎の移植に関しましては、現在のところは法規制がありませんので、例えば移植の段階において刑法の傷害罪、あるいは業務上の過失傷害致死傷罪、こういうものに当たる場合にはそれによって措置をしなければならぬということでございます。現在のところはそういうように対処しておるところでございます。
○和田静夫君 私は、生体腎を売買することは社会的にもゆゆしい問題だと考えているわけですが、警察庁としては今後も強い関心を持って対処されるべきだと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(中山好雄君) 腎臓を売買の対象とすることなどは道義的にも許されないことだと存じて関心を持って対処してまいりたいと存じます。
○和田静夫君 厚生大臣のお言葉がありましたから、私は事実関係についてちょっとずつ詰めていきます。 そこで、病院に腎臓を売りたいといっているケースがかなりの数に上っているんですが、その実態は把握されていましょうか。
○政府委員(大池眞澄君) 昨年十一月に報道されたことをきっかけとしまして、厚生省におきましても、各都道府県の衛生主管部局に事実関係の掌握、そのような情報を得た場合にはしかるべき関係団体、関係機関と連携をとりながら、その事実の掌握に努められたいということでございますが、これまでのところ、そういったような直接の報告は入っておりません。ただ、病院に関しましては、移植学会におきましても、今回のことを契機としましてチェックをしておるわけでございます。そちらのお話を聞いておりますと、そういうような報道に喚起されまして、そういうようなことがあるかないかというような照会のような電話はかなりきておるようでございます。
○和田静夫君 ばかげた話ですが、この中から政治献金までうわさされているというようなことでありますから、かなり私たちははっきりさせなければならぬ、それは与党だけじゃない、野党まで含んでの話であります。 そこで、今後も腎臓を売りたいというケースも含めて調査を引き続き行うというふうに承ってよろしいでしょうか。
○政府委員(大池眞澄君) 私どもの立場といたしまして、このようなこと、すなわち生体腎の売買というようなことは、もとよりあってはならないことと強く考えておるわけでございます。この点十一月に発しました通達でも、その点は明示しております。各都道府県の衛生部におきましても、今後何らかの情報、動き等がキャッチされましたら、その時点で適切な対応を迅速に行ってもらうという仕組みで調査の体制は組んでおるところでございます。
○和田静夫君 最後ですが、厚生大臣、今後腎臓に限らず臓器移植が盛んに行われるようになりますと、当然金目当ての仲介業者が出てくるですね。それに暴力団が絡むといったような事態も予測されないわけじゃない。ところが、現行の法制はその点の規制が十分でないように思うのですね。今の実態からすれば法制上の整備は急がれる必要があると考えるのですが、大臣の認識は。
○国務大臣(増岡博之君) 生体腎の問題につきましては、私は生命の尊厳が言われておるこの時代に、その一部である臓器を提供するということは、やはり倫理的に何か引っかかるものを覚えるわけでございます。したがいまして、生体腎を扱う法律をつくるということは、一面には規制すると同時に、それを認知し奨励するような印象を与えてもいかがかと思っておるわけでございます。ただ、今日でも現行法ではいろいろそういう場合に対しての取り締まりの措置もとれるように伺っておるわけでございます。刑法、民法あるいはそれを扱った医師に対する医師法その他で厳正に対処してまいらなければならない、そういうふうに考えております。
○和田静夫君 グリコ・森永事件で若干お尋ねしますが、警察庁、これまでの捜査で警察の失態が取りざたされているのですが、見解。
○政府委員(金澤昭雄君) これまでの捜査状況でございますが、大阪、兵庫、京都の府県警を中心といたしまして、現在全国の警察が態勢を整えて捜査しておるという状況でございます。残念ながら約一年近く経過をしておりまして、現在まで犯人逮捕に至っておりませんが、できるだけ全力を挙げまして早い機会に逮捕したい、こういうことでやっておるわけでございます。
○和田静夫君 この事件、一日も早く解決されなければならない反社会的事件だと考えるのですが、どうも犯人グループの中に元警察官がいるのではないか、それぐらい緻密じゃないかというような観測が流れていますが、警察としてはコメントされることがありますか。
○政府委員(金澤昭雄君) 確かに今回の犯行は非常に計画的でありまして、また緻密に行われているという感じがいたします。しかし、そうでありましても、それでいきなり警察官がというふうなことには、これは到底ならないと思いますし、私の方はもちろんそういうことはないというふうに信じております。
○和田静夫君 法務大臣、与党内部で特別立法を検討しているようですね。私は現行法でも十分対応できると考えているんですが、個別の事件に関して特別立法をつくるというのは、罪刑法定主義の原則からいって私は問題があるというふうに思っています。いかがでしょう。
○国務大臣(嶋崎均君) お答えいたします。 自民党において食品流通の安全確保を図るというような目的のために総合的な対策を検討しておるということを聞いておりまして、罰則の問題も含めて立法の問題を検討中であるというふうに承知をしておるわけでございます。罰則の問題については、法務省としても意見を求められたらお答えをしたいというようなのが現段階であるわけでございます。 しかし、御承知のように、罪刑法定主義の建前があるわけでございますから、現在までに起きた事案につきまして遡及的に罰則を適用するというようなことは当然ないわけでございますが、ただ、この種事件につきましては、刑法に特別の規定がないというようなことも含めて、総合的な対策の一環としてこの問題が議論をされておるんだろうというふうに思っておるような次第でございます。
○和田静夫君 大臣、一言でいいんですが、大臣は、法務省は現行法でいけると判断されているわけでしょうか。
○国務大臣(嶋崎均君) お答えいたします。 お尋ねのいわゆるグリコ・森永事件につきましては、現在警察当局において捜査中であるので、現段階でいかなる罰則が適用されるかについて断定的に申し上げるということはできないと思います。しかし、今日までの報道等により承知している事実関係を前提としてこの問題を考えてみますと、刑法の二百二十五条ノ二の身の代金の目的の回収、あるいは身の代金要求の罪のほか、監禁致傷、強盗致傷、放火、それから恐喝未遂、殺人未遂、業務妨害等の罪の成立が考えられるわけでございます。 したがいまして、同事件が検挙の上は、証拠関係いかんにもよりますけれども、現行法の罰則を全面的に活用して、その範囲内で適正な処分がなされるように努力をしていかなければいけないというふうに思っております。したがって、法務当局としましては、今までの事件を見る限り、検挙してみなければ実態はよくわかりませんけれども、現行法で対処し得るのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○和田静夫君 法務大臣、あと二問ばかりです。 帝銀事件の平沢さん、元被告についてでありますが、死刑確定からことしの五月でちょうど三十年になるわけです。平沢元被告は何度も再審請求、恩赦出願を行ってきているという経過がこれまでもある。最近では三十年時効説も出ている状況にもある。九十二歳になる老齢のこの元被告に対する人道的な立場からして、これは法務大臣、もうそろそろこの辺で元被告の釈放、出所問題に前向きの姿勢で取り組まれるべきだと思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(嶋崎均君) お答えいたします。 お尋ねの平沢氏の問題につきましては、現在東京高等裁判所において再審請求がなされており、また現在同裁判所において審理中であるわけでございます。また、恩赦につきましても、中央更生保護審査会において上申がなされているというふうに聞いております。過去調べてみますと、再審については今係属中のものが十七回、それから恩赦については四回目というような状況に現在なっておるわけでございます。そういう状況でありますから、現段階においてこの問題について私から意見を申し上げるというのは適当ではないというふうに思っておるわけでございます。しかし、御承知のように、司法権が独立をしており、その裁判の中で死刑の判決がなされ、今日まで経過をしているという実情があるわけでございます。そういうことを十分念頭に置いて、私もこの問題については深刻に問題を判断していかなければならぬというふうに思っておる次第でございます。
○和田静夫君 物事をはっきり割り切られる法務大臣ですから、私の意見があなたによって満たされますように求めておきます。 梅原龍三郎画伯の「北京秋天」が美術品ブローカーから吉井画廊に戻されたのは、検察当局が介入して二千二百万円の買い戻しだったとされているんですがね。これは法務省、この事実関係どうなんです。
○政府委員(筧榮一君) 現在まで調べましたところでは、当該事件を扱いました主任検事があっせんをしたというような事実はございません。ただ、双方の弁護士が会うのについて、何時に会うというようなことをお互いに伝える仲介に立ったという事実はあるようでございます。それ以上にこれをどうしろ、こうしろということではないと承知しております。
○和田静夫君 弁護士間の仲介に立った、そしてそこに出したところの金額的なものについて耳打ちをした。事実だとすれば、私はゆゆしい問題だと思うんですが、これはきちんと調査されて報告を求めたいのですが、いかがでしょう。
○政府委員(筧榮一君) 突然のお尋ねでございましたが、さらに詳しく調査いたしまして御回答申し上げます。
○和田静夫君 税調会長お見えになりましたが、ちょっと二、三残っていますので、お待ち願うとして、総理、衆議院の定数是正問題の論議がずっと進んでいますが、総理は私に対しては、衆参の定数について前の国会に出すとお約束になった。参議院地方区の定数是正についてどういう方針をお持ちなんでしょうかね。一言。
○国務大臣(中曽根康弘君) 衆議院につきましては、まず自民党の党議をまとめて、できるだけ早期に今議会に提出して成立を図ろうと思っております。参議院につきましては、考える会におきましていろいろな御研究が進められておるようでございまして、これらの考える会の御意見の推移を見守りつつ検討してまいりたいと思っております。
○和田静夫君 前国会では、前国会にお出しになると私に答えられたんですが、そこのところはどうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 全国区比例代表制の問題と、それから地方区の問題、地方区の問題でもブロック制とかいろいろな案もあったわけでございます。それ全体を含めまして、みんな牽連関係を持っておるわけでございますから、考える会におかれまして、大体比例代表制そのものをどういうふうに処理するか、それに伴って地方区の制度、ブロック制の問題も浮上してくると思いまして、その推移を見守っておるところでございます。
○和田静夫君 総理、核廃棄物の海洋投棄について、太平洋諸国歴訪で総理は凍結すると約束されたと言われていますが、よいですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先般オセアニアへ参ります前後に、また現地でも申したのでございますけれども、関係国の懸念を無視して日本が一方的に、独善的に投棄をするというようなことはやりませんと申してきました。
○和田静夫君 何か理事の打ち合わせで、税制を先にやれという話になりましたから税制に入ります。 総理、昨年十二月三日、中曽根内閣の後半の課題として税制改革に取り組むと言明された。その後同趣旨の発言を繰り返されている。よく公平、公正、簡素、国民による選択を原則にして取り粗むとおっしゃるわけで、それらの原則はある意味では当然のことであります。むしろ当然過ぎると思うんです。私は、原則論としてお示しになるのであれば、それらに加えて応能負担の原則を明示されるべきだな、こう思うんですが、応能負担の原則に立って所得階層間の税を通じた所得再配分機能に十分留意する、こういうことでないかと思うんですけれども。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、シャウプ税制以来、現在施行しておる税体系というものは、戦後長い時間の間にゆがみであるとか、ひずみであるとか、そういうものも生じてきている、今や根本的、総合的に見直すことを課題とする段階に来ました、こう申し上げておるわけです。その中には税における所得配分機能という問題も一つございます。私は前から申し上げているように、これは増税とか増収を目的にするのではない、今申し上げた四つの原則を徹底して、そして簡素な、公正な、公平な、そして国民が選択する、そういう諸原則に基づいた税体系に改めたい、そういう考えに基づいて行わんとしておるものであります。
○和田静夫君 原則的な問題を幾つかやりたいんですが、きょうは時間がありませんからあと一つだけです。 私は、税制改革の課題というのは何よりもまず不公平税制の是正であると考えているわけです。これまでも繰り返し主張してまいりました。総理の原則の冒頭に公平とあるわけです。これは不公平税制の是正を優先させると理解してよろしいでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先生おっしゃいました応能負担という原則も、例えば現在の所得税の刻みを見まして、そして二百万から六百万ぐらい、特に三、四百万ぐらいのところに非常に比重がかかっておる、そういうようなものもひずみの一つとして考えてもいいんではないか、そういうことも含まれておるわけであります。
○和田静夫君 総理、前にもお答えいただいたのですが、不公平税制とは具体的にどういうことでしょうか、もう一遍確認したいんです。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる不公平税制という言葉は、使う人によりましてさまざまな意味を持っております。確かに今例示としてお出しになりました応能主義、あるいは応益主義、いろいろあるでございましょう。だから、公平、公正という言葉を総理が使っていらっしゃいますが、公平というのは垂直的公平と水平的公平とある。それはいわゆる応益主義、応能主義も一つのこれはその類型の仕方でございましょう。したがって、不公平税制という言葉そのものは観念的にはだれもとらえておりますが、大蔵省としてこれをどういうふうに見るかということになると、これはいわゆる租税特別措置というものを一応指して見る必要はあるというふうに考えておるわけであります。 これについては、社会経済情勢の推移に応じましてそれぞれいろいろな変化を今日までもたらしておるわけでございますが、この際、今総理から申されましたように、税制調査会等からの御答申によって税負担の公平化、適正化を推進する観点に立って、直接税、間接税を通じた税制全般について広範な角度から論議、検討する必要があろうというふうに考えております。だから、公平とは何ぞや、不公平とは何ぞやということを定義づけることは、使う人によっての相違もございますので難しい。強いて大蔵省がその範疇の中で求めれば、租税特別措置ということではなかろうか。公平、公正というのは、おっしゃった応能主義、応益主義、垂直的公平、水平的公平というようなものを包含してなお公正という言葉でより倫理性を高くして表現されたのが総理の公平、公正ではなかろうかというふうに考えております。
○和田静夫君 総理は前のときに具体的に四つぐらい述べられていますから、あえてこれ以上問いません。 そこで、その不公平税制是正として、大蔵大臣、具体的に何に取り組まれますか。
○国務大臣(竹下登君) まず、具体的にということになりますと、年々の問題としては、大蔵省が取り上げた場合は、いわゆる租税特別措置というものが、まさに特別措置でございますから、これはいつでも心がけていなければならない。これは社会経済情勢の推移に応じて今日までも見直してきておりますが、さらに整理合理化を進める余地は、かなり限られておる状況にはございますけれども、六十年度においてもその縮減を行うこととしているところでございますので、今後とも税負担の公平確保の観点から必要な見直しを行っていく必要があるというふうに考えております。租税特別措置というものを念頭に置いて答弁するというのが、税制当局から言えば一番具体的ではないかなというふうに考えております。
○和田静夫君 総理、大蔵省及び国税庁は実は不公平税制の是正はおろか、その存在すら認めてこなかった。私も何遍も大蔵委員会で過去ずうっと十何年間やってきました。ところが、最近はようやく今竹下さんの答弁にあるようになったし、総理はもっと具体的なことを前の国会で言われたんですが、そこで、不公平はきちんと解決されるというふうに約束されますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 公平、公正、簡素、それから国民の選択という原則を掲げておるのでありますから、これはそういう趣旨に沿って税の見直しをやっていただき、成案を得たらその線に沿って実行したいと考えております。
○和田静夫君 税調会長、税調も昨年十二月の答申において税制の抜本的見直し、本格的改革を提唱されました。この提唱の背景をお聞かせください。
○参考人(小倉武一君) 税制調査会で政府に御答申申し上げました抜本的な見直しということの背景の御質問でございますけれども、どうやらどうも今日の税制はいろいろ難点もございまするけれども、このままでは、例えば必要なときに増収を図るといってもなかなか難しい、あるいは必要な減税を図るといってもなかなか難しい、そういうようなことにもなってしまっておるというようなことが、根本的にひとつ見直したらどうかというふうに調査会で各委員がおっしゃった背景じゃないかというように思います。
○和田静夫君 私の考えでは、税制改革の最優先課題を不公平税制の是正に置く、その点は会長いかがでしょうね、不公平税制の是正に重点を置く。
○参考人(小倉武一君) ちょっと聞き漏らしたのですが。
○和田静夫君 不公平税制の是正を最重点に置くということについてはどうでしょうか。
○参考人(小倉武一君) 抽象的にはごもっともなことでございまして、ただ具体的になりますと、何が不公正か、不公平かということは各人各様な議論がございまして、これはなかなか簡単ではないと思います。先ほど大蔵大臣がお話しになりましたように、恐らく税制当局としては税制全体としては国会の御審議も得てちゃんと法律になっているのだから、そんなに不公正な、不公平なものがあるはずがないというふうに形式的には言えるわけですが、その中でもその原則に対して例外としていろいろな減税措置、あるいは免税措置をとっている特別措置が不公平というふうに言うこともできるでしょうが、また税制調査会もそういう趣旨で毎年租税特別措置の見直しをするということが、いわば慣例みたいなことになっておりますから、まず第一にということであれば、いわば政策税制がイコール不公平とも言えませんけれども、政策税制の法律的な表現である特別措置について見直しをするということかと思います。
○和田静夫君 不公平税制を是正することによって、私はかなりの税収増が見込まれると考えているし、不公平税制の是正あるいはアングラマネーの吸収によってかなりの歳入不足額は解消することができる。例えばマル優の不正使用一つとってみましても、これで潜在的には二兆円程度の税収を見込めることになろうと思うんですが、この辺はいかがでしょう。
○参考人(小倉武一君) 税の公正の問題につきましては、お話しのように、税制という法律上の問題、立法上の問題と、もう一つ徴税上の問題と両方ございまして、普通、税制上の公平ということであれば、制度としての法律の問題がありますけれども、徴税まで含めますというと、今のお話のようなマル優の悪用その他、これはほかにもいろいろございましょう。しかし、それは主として徴税上の、行政上のことに属しておりまして、税制調査会では個々のそういう問題についてはほとんど触れておりません。ただ、税制を改正するに当たりまして徴税上の公正を確保するということも必要である。したがって徴税上の公正を図るためには制度の上でどういう措置が必要であるかということになりますと、税制調査会の問題になりまして、そういう趣旨で例えば自営業者の記帳義務をどうするというようなこともそういう観点から討議したことはございます。
○和田静夫君 直間比率の是正が必要であると言われるわけですが、現在の直間比率、本年補正予算で七一・四対二八・六、昭和六十年度本予算で七三・四対二六・六なんです。確かに言われるように直接税に私は偏っていると思うんです。私は直間比率は結果の議論だと思うんです。初めに制度論としてどういうような税制をとるのかという問題が議論されなければならぬと実は考えているのです。直間比率はその結果の話であるにすぎない。私は今の直間比率是正論議は話がどうも逆立ちしてまして、ラストシーンから始まるドラマという印象を受けるんですが、税調会長、どうですか。
○参考人(小倉武一君) 大体においてお話しのように私も思います。そういうふうに言いますと、直間比率の是正というのがどうも世の中の通り言葉になっておりまして、そういうことができるというように思っている方が大変多いようでございますので、失礼に当たりますからあれですが、いわば比率というのは結果に出てくるものだというのは大体そうだと思うのです。ただ、結果が現在どうなっているか、その結果を見まして、これは少し直接税に重みがかかり過ぎているじゃないか、どこかひずみがあるじゃないかというようなことから税制改正に着手するという、そういうようなことにはなるかと思います。
○和田静夫君 会長は直間比率は言ってみれば何対何が理想的な比率だとお思いになっておりましょうか。
○参考人(小倉武一君) ただいま申しましたように、直間比率をてんからどの程度がいいというようなことが論じられることができ、また結論が出るならば、そういうことは意味があって論ずることも必要と思いますが、私はどうもここの制度を離れまして、てんから直間比率はどれぐらいがいいのだというようなことは考えたことが実はありません。したがって、ちょっとお答えもしにくいのでありますが、しかし税制調査会の中ではあるいはそういうお考えの方もありまして、例えば何割と何割がいいのだというお考えがあるかもしれませんが、今までそういう議論は余り税制調査会ではなかったと思います。
○和田静夫君 総理、自由民主党の幹事長代理は六、四がいいと、こう言っているわけですね。総理は税制改革の一環として直間比率の是正に取り組まれましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) たしか臨調答申の中におきまして、直間比率の是正も含めてというような言葉があったように思います。そういうものが税調の委員の皆様にも影響しているのではないかと拝察しております。しかし、これはやはり具体的な税の体系というものが出てきて、そうしてその中でどれが公平であるかとか公正であるかという議論が出てきて、最終的に調和のとれた税体系というのはどういうものかという、結論として直間というものが出てくるんだろうと思って、初めから何%にしようという計画的なものではないと思います。
○和田静夫君 大蔵大臣は。
○国務大臣(竹下登君) 私もいつもお答えしておりますように、今総理からお答えのあったとおりであり、そして、確かに今総理からもお答えありましたように、臨調の答申に直間比率という言葉が使われております。これは和田委員御承知のとおりでありますが、あれがひとつの契機となって直間比率というものが言葉としてひとり歩きしている。本来直間比率というのは、あらかじめ直間比率はいかにあるべきかというものでなく、各種税制の組み合わせの結果として出るものであるという事実認識だけは、いつも税制論議をします中においてしていなければならぬ問題だ。でございますから、所得の段階、資産の段階、そして消費の段階、しょせん担税力を求める三つの段階というものに結果としてどういうバランスになっていくかというようなことが総合的に今後検討さるべき課題ではなかろうかというふうな考え方であります。
○和田静夫君 直間比率見直しなど改正すべき点が多いと外務大臣は述べられたそうでありますが、何対何がよろしいですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私も臨調の答申を拝見しまして、また今総理、大蔵大臣のお考えのとおりに考えております。
○和田静夫君 どうも逆の質問になっちゃった、まいったな。 河本さん、いかがですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 臨調答申にも直間比率の見直しをしなさいと、こういう趣旨のことがございまして、今回税制の抜本改正に取り組むことに方針が決まったわけでございますが、これは私は、進め方いかんでは財政や経済に非常に大きな力が出てくる、そういうことにもなろう、こう期待しております。
○和田静夫君 金子長官は大蔵大臣のときにいろいろ述べられたんですが、今どういうふうにお考えになっていますか。
○国務大臣(金子一平君) 基本的には、先ほど来総理、大蔵大臣からお話しのとおりでございますけれども、今御承知のとおり、戦後所得税に重点がかかり過ぎておりまして、特に累進税率が高い。やはりこれはある程度軽減してやらなければいかぬ。そうなると、一方においては所得税を軽減しながら間接税の方に重点を移す、そういうことが必要だろうと思うんです。ただ、今すぐそれじゃ戦前のように七、三にすぐ落とせとか、それは現実の問題としてそう簡単にいかぬと思うのでございまして、現状の流れを見ながら考えていくべき問題であろうと考えております。
○和田静夫君 会長、六十年度税収額で、ベースを合わせて計算し直すと、直間比率を置きかえてみたんですが、そうすると、六・五対三・五で大体三兆三千百億円の間接税増。それから六対四で渡辺さんが言うような形だと五兆二千八百億円必要になるわけです。そうすると、その見返りに直接税減税が行われるわけですが、それにしても大幅な間接税増税になるということに私の計算じゃなる。そうすると直間比率の是正とは大幅な間接税増税を意味する。仮に時間をかけてやるとしましても、年々の間接税増税はかなりの規模になるということなんですが、そういうふうに認識しておいてよろしいでしょうか。
○参考人(小倉武一君) 私ども承知している範囲ではまだ、間接税に重きを置いて、そして直接税、すなわち所得税のウエートを減らしてという方向が決まっておるわけでもありませんし、したがいまして、具体的にどういう税をどの程度のウエートをもって税収を考えるかというようなところまでは考えていませんので、今の御質問についてどうこうという御意見ですか、御返事を申し上げるわけにはちょっとまいりません。
○和田静夫君 総理、今、金子長官言われましたように、直間比率の是正ということは、それに見合う直接税の減税が行われるとすると、間接税は大規模な増税を行うということになる、考えてみれば。そうすると大型間接税の導入以外にはあり得ない。直間比率を是正するということは大型間接税を導入するということに通ずるような感じがするんですが、これはいかがでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 直接的にそういうふうに結びつくものではないと思うんです。先ほど来申し上げましたように、具体的な、現実的な案というものをだんだん持ち寄ってみて、そしてその調整を図り、調和を図りつつ最終的に直間ということが結果的に決められていく。その中で公平、公正が何であるかということを委員の皆さんがいろいろ論議し合いながら組み合わせが決まっていく、そういうことになると私は思っております。
○和田静夫君 六対四で五兆二千八百億円の直間の移しかえが必要です。これだけ巨額の間接税導入ということは、これは大型間接税ですよ。 主税局長、EC型付加価値税を税率五%で導入すると、幾ら税収見込めますか。
○政府委員(梅澤節男君) ただいまおっしゃったようなモデルで直截の計算をいたしておりません。
○和田静夫君 前国会の本予算の論議のときに、EC型付加価値税についてはもう既に勉強済みだと大蔵大臣明確に私に答えられているんです。
○政府委員(梅澤節男君) 前国会で大蔵大臣が御答弁になりましたのは、税制調査会等におきまして、過去、制度の仕細みとしての各種の類型の間接諸税の検討が行われた、そういう意味で申されたわけでございまして、ただいま和田委員がおっしゃいましたのは、具体的にこれこれの税目をとった場合に、一%ということでございますけれども、EC型と申しましても、課税範囲をどうするか、免税点をどうするかというふうなこともございますので、その意味で具体的に一%幾らという計算をしておりませんというふうに申し上げたわけでございます。
○和田静夫君 大蔵大臣、これアバウトな話でいきましょうか。私は大体四兆円ぐらいのことを考えているんですが、その辺でよろしいですか。
○国務大臣(竹下登君) EC型間接税といわず、いわゆる間接税についての勉強というのは、私は論理的には済んでおる。が、それじゃ範囲をどうするか、税率どうするか、免税点をどこに置くか、こういう問題になりますとこれからだ、こういうことであります。したがって、まさにこれからの論議のもとに、まだ比率どころか、それによってもたらされる増収などというものは計算したことはございません。和田さんが、こういう前提で計算してみたらどうか、こうおっしゃれば計算の手伝いは幾らでもさせていただきます。
○和田静夫君 じゃ、そこの計算はひとつ今度の本予算に向かってやりましょう。 総理、昨年の二月の二十三日のこの席で、私の補正予算の論議の質問で、国会としては初めて中曽根内閣では大型間接税を導入しないと明言をしたわけです、各種報道は最近変わっていますけれども。その後衆議院にこの答弁は受け継がれていった。また、大型間接税の導入というものは考えておりません、何回もこれを申し上げているとおりでございますと、私に二、三回その後の予算の論議で答えられたわけであります。したがって、今衆議院の論議を見ていますと、どうも私と中曽根内閣総理大臣との間で約束をした一年前の約束というのが動揺しているという印象を受けるのでありますが、いま一度、中曽根内閣では大型間接税導入を絶対にしないということをお約束になりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) いわゆる大型間接税という概念にもよるのでありますが、先般衆議院予算委員会において矢野書記長の御質問に対して御答弁申し上げました。そのところの急所を申し上げてみますと、税制調査会の答申について現段階で予見を持つべきでないと思います。ただ、私がただいま申し上げたとおり、EC型付加価値税といってもいろいろの態様が考えられますが、多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を、投網をかけるようなやり方はとらないという立場でございますので、これに該当すると考えられるようなものは中曽根内閣としてはとりたくないと考えておりますと、こう申し上げました。私が矢野さんにお答えしたとき私の頭にありましたのは、まず第一に取引高税があったわけです。これは昭和二十三年ごろでありましたが、惨敗いたしました。それから一般消費税がございました。一般消費税の定義もいろいろあると思いますが、これも大平さんが選挙でやっぱりやられました。ああいう経験を私しておりまして、ああいう型のものはやらぬと、そういうふうに考えておって整理して申し上げたのがただいま申し上げたような考えであります。
○和田静夫君 大型間接税の定義が総理によって問題提起されているんです。その点の不安が私あのときあったんですね。不安があったものだから、それにおっかぶせるように昨年二月二十三日、大蔵省の一般消費税の五類型を出してもらって、一つ一つ竹下さんにお尋ねをした。竹下さんは、EC型付加価値税と小売売上税以外は我が国になじまないと否定をされたでしょう。特にこのEC型に含みを残されたわけであります。さっきの答えは、総理はその問答もお聞きになった上でもう一遍答えられたんです。一般消費税、大型間接税を導入しないとされたわけですね。そうすると、この論議の経過を踏まえるならば、この五類型すべてを否定され、導入をしないというふうに私は承ったわけですが、違っていたのでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 昭和五十四年の暮れ、当時私が大蔵大臣でございました、そのときにいわゆる一般消費税(仮称)というものを財政再建の手法としてはこれはとらないという国会決議をいただきました。その際も、各党の代表の皆さん方に私も出向きまして、さはさりながら消費一般にかかる税制そのものが否定されたらちょっと学問的にもおかしくなる、こういうことでいろんな議論をいたしました。そこで先般は、では今度はいわゆる大型と言わないで課税ベースの広い間接税の類型はどういうものがあるか学問的にそれを出してこい、そこで六類型を本当はお出ししたわけです。六番目はいわゆる一般消費税(仮称)。そこで五類型をお出しいたしまして、それについていろいろ問答がありまして、私も今答弁を読み返してみますと、やっぱり慎重に言葉を選んで、いわゆる一般消費税(仮称)の六番目の類型は国会決議からいえば否定されると言わざるを得ないが、理論的にはあとの五つはみんな一応残っておるというふうな理解のもとでお答えをしてきております。ただニュアンスで見てみますと、これは日本の今の税制になじむと思うかというような和田さんの誘導質問、いや誘導質問とはあえて申し上げませんが、そういうことに若干乗ったような感じはございますが、よく調べてみますと大体節度を心得てお答えをしておるなと、こう思っております。
○和田静夫君 正直言って私は同じ論議の繰り返しやりたくないんですが、どうも総理の本心がわからないのであえてお尋ねするんですが、流通の各段階に投網をかけるというのは多段階方式の消費税ですからね、これは導入しないということを意味するんでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私がかねてから多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるようなやり方でやりはしないと申し上げてきている、これが私の言ってきていることなのでございます。それを整理して私の頭の中にあることを申し上げると先ほど急所だと申し上げたような形になるわけです。
○和田静夫君 それでもはっきりしないんですが、公明党の矢野さんに答弁されたEC型にもいろんな態様があると述べられているんですね。これはどうなんだろう。確かにEC諸国の付加価値税は、私も調べましたが、税率、免税点あるいは免税対象品目について多様です。しかしそれはいずれも多段階方式である。これ大臣間違いないですね。
○国務大臣(竹下登君) 多段階でございます。
○和田静夫君 そうすると、総理、もう一度伺うんですが、多段階方式でも税率が低いとか、あるいは免税対象品目を広くとれば総理の定義される大型間接税には入らないというお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は参議院でもたしか申し上げたと思いますが、大型、中型、小型、そうすると中は大にあらずと。そうすると大と中の中間というのはどの程度であるか、さまざまな組み合あせなり内容が考えられるわけであります。そういう意味において税調の皆さんがいろいろ御検討になる余地は十分残しておく必要はある、そう思って注意深く申し上げておるのであります。
○和田静夫君 注意深いのはいいんですが、いかなる形態であれ多段階方式はとらないというお考えなのかどうかということです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今申し上げましたように、多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるようなやり方、全部ひっ絡まっておるのでただ多段階だけではない、全部絡まっております。
○和田静夫君 私、総理とこの間接税論議を繰り返してきまして、どうも総理の分類では大蔵省の五類型のうち単段階のもの、蔵出し、あるいは卸売売り上げ、あるいは小売売り上げ、これが大型間接税ではなくて中型である、あるいはその中間にあるという御認識があるのではないかという印象を持つんですが、いかがでしょう。別に誘導しておるわけじゃありませんよ。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今申し上げたとおりが正札でございます。
○和田静夫君 済みません税調会長、私は、大蔵省の五類型というのは私の考えではいずれも一般消費税であり、大型間接税であると思うんですがいかがでしょう。
○参考人(小倉武一君) 私五類型なるもの、よく存じませんけれども、覚えていませんけれども、普通、これは言葉の問題でございまして、私どもは一般消費税というものが大体五類型か六類型か知りませんが、みんな入ると思うんです。ただ、一般消費税というのが固有名詞にいつの間にかなりまして、そして国会で否認されたのは、固有名詞としての税制調査会で答申されたものが一般消費税の否認されたものである。そのほかに一般消費税的なものはたくさんございます。四類型になりましょうし、五類型あるいは六類型というようなことにもなるのでしょう。大蔵大臣のように言われますと六類型というようなことになるのでしょうけれども、総理の御答弁について私かれこれ解釈を申し上げるわけにまいりませんけれども、国会決議との関係からいけば、税制調査会が答申申し上げて政府も立案に着手したあの一般消費税という非常に特殊なものかと思います。
○和田静夫君 一般消費税だと言われたので私はそこのところはすっきりしたと思うんですね。総理、ことは谷中の全生庵ではないんですから、禅問答というわけにいかないのですよ、いかに総理言われてもね。大蔵省の一般消費税の五類型のすべては一般消費税、大型間接税、中曽根内閣ではこれは導入するつもりはない、こういう明言なんでしょう、あのときは。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど来申し上げており、また先般申し上げたと思いますが、私の頭には取引高税とか、あるいはいわゆる一般消費税(仮称)、こういうものが頭にあって申し上げているのであります。
○和田静夫君 これは納得できないところなんです。これは今本予算じゃないものですからあれですが、もっともっと詰めなければいかぬと思いますが、後日やりましょう。 会長、税調はこれまで十分に時間をかけて大型間接税導入問題を検討されてきた。その経過は多段階方式で特定業者に負担をかける、サービス課税において問題がある、時代おくれになってきている、まとまった税収を期待できない等々の問題があるというようなことでずっときた。多段階方式の方が業種間で公平を確保できる。これまでの多段階方式でいえば、旧取引高税は重複課税が排除できないからこれは税制として不合理である。すると、残りはEC型付加価値税、一九七九年に見送られた一般消費税のいずれかになる、こういうことになっている。そうすると、税調の論議は、そのような推移をずっと考えていきますと、これから一般消費税(仮称)が否定されている今日最も合理的な消費税とはEC型というのが税調での論議の大筋だということになっていきましょうか。
○参考人(小倉武一君) これは御想像のお話かと思いますけれども、税制調査会では一般消費税が打ち切りになりましてといいますか、政治的にだめになって、その後一般消費税的なるのについてはほとんど審議をしておりません。審議するとすれば今後のことになろうかと思います。したがいまして、大型間接税と申しますか、一般的なほかの消費税といいますか、そういうものについてどういうものがよろしいというようなことに大方の考え方が煮詰まっているかということにはなっていないわけです、まだ審議を始めていないわけですから。そういうわけで付加価値税といいますか、EC型付加価値税にどうも収れんしそうだというふうなことを申し上げるわけにもまいりません。
○和田静夫君 これは二日四日の日経ですが、小倉会長、「いまとなればEC型付加価値税がいいのではないか。物だけでなくサービスにもかけられるし、税の理屈の上では一番いいだろう」というふうに述べられている考え方は。
○参考人(小倉武一君) これは少し私の発言は早まり過ぎたことでして、と申しますのは、その前段の質問がありまして、大型間接税を導入するとすればどういうのがよろしいかという、導入するかどうかが今基本問題、先生のさっきからの御質問であります。したがいまして、前の質問とあわせて考えますと、すればという前提がついておりまして、大型間接税を導入すべしというふうなまだ結論にもなっておりませんし、ましてやその中でどういう間接税がいいか、消費税がいいかというようなことについては先行き全然どういうふうな審議をするのかすらもまだ決まっておりませんので、ことで私見を申し上げるわけにもまいりません。
○和田静夫君 大蔵大臣どうでしょう、今の質問。
○国務大臣(竹下登君) やっぱり税制調査会の答申がございまして、これから御審議していただけるという段階におきましては予見は一切申し述べるべきではないのではなかろうか、だから、やっぱり答申が出まして、熟読玩味してもろもろの政策方針の整合性をも考慮しながら答申の趣旨が生かされるように努めるべきものであって、やっぱりまだ今の段階で予見を申し上げるべきものではないというふうに考えます。
○和田静夫君 税調会長、御苦労さん、最後にしますが、仮に税調が今後も間接税を検討するとしますとEC型付加価値税は当然有力な検討対象になると承っておいてよろしいですか。
○参考人(小倉武一君) 今後の研究過程においてはEC型付加価値税も当然重要な研究参考資料になるかと思います。
○委員長(長田裕二君) 小倉参考人には御多忙のところまことにありがとうございました。 和田君の残余の質疑は午後に行うこととし、午後一時二十分まで休憩いたします。 午後零時二十分休憩 ─────・───── 午後一時二十二分開会
○委員長(長田裕二君) 予算委員会を再開いたします。 昭和五十九年度補正予算三案を一括して議題といたします。 ─────────────
○委員長(長田裕二君) この際、午前中の和田君の質疑に関し、藤波官房長官から発言を求められておりますので、これを許します。藤波内閣官房長官。
○国務大臣(藤波孝生君) 午前中御質問のございました陵墓の発掘につきまして、その後宮内庁と打ち合わせをいたしましたので、その結果をお答え申し上げたいと存じます。 陵墓は、御承知のとおり、皇室用財産として指定をされております国有財産でございますが、天皇及び皇族を葬る場所として祭祀が行われているところでございます。したがいまして、一般の墳墓に相当するものでありますので、基本的には発掘調査の対象にはなじまないものと考える次第でございます。 なお、宮内庁が行います陵墓の保存工事の際に、埴輪及び葺石などの遺存状況を調べますために調査を行っておりますが、この際には研究者などに見学をしていただいておるという措置をとっておるところでございます。また、その結果につきましては、宮内庁におきましていろいろな機会に公表をいたしておりまして、このような方法によって、学術的にも協力をしているところでございます。 どうか深い御理解を賜りますようにお願いを申し上げます。 ─────────────
○委員長(長田裕二君) それでは、休憩前に引き続き、和田君の質疑を続けます。和田静夫君。
○和田静夫君 今のせっかくの官房長官のお答えではございますが、なお釈然といたしませんし、これをそのまま了とするわけにはまいりませんので、本予算の論議に継続をさせていただきます。 さらに、午前の質疑の関連でちょっと詰めておきたいのは、大蔵大臣、増税の定義なんですが、私は、せっかく前国会で総理がお答えになったとおり読み上げまして、それで増税の定義としたのですが、どうも明確を欠くような向きがあるようにも考えられますので、こういうふうに考えてよろしいですか。増税とは税制改正なき場合の自然増収の額を超える税収を期待する税制の手直しである。よろしいでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 既存税制の手直しということになりますと、それは例えば今年度でございますが、あの所得税減税は見合う法人税の税率の引き上げを行いましたね。あれもあるいは和田さんのおっしゃる範疇に入るかもしれませんので、そのとおりでございますとは言えない。とっさのことでございますので、今おっしゃったことを正確に、学問的に勉強さしてもらいます。
○和田静夫君 それでは、こちらへ本予算が来るまでの間にはお話し願えるということでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 専門家が先生を訪れ、その意図を聞き、それでどこまで可能な定義が出せるか、やらしてみたいと思っております。
○和田静夫君 これは主税局長、一般消費税(仮称)とEC型との違い、ちょっと説明していただきましょうか。
○政府委員(梅澤節男君) お答え申し上げます。 昭和五十四年の税制調査会の答申でまとめられましたいわゆる一般消費税は多段階、前段階控除型でございますが、控除の方法が売り上げから仕入れを引く、いわゆるアカウント方式によって控除するという点でございますが、EC型の場合はこの控除の方式が、インボイスを義務づけることによって税額控除の格好で前段階の税額を控除するというところが大きな骨組みの違いでございますが、なお具体的な税制の形になりますと、例えば免税点の範囲をどうするとか課税範囲をどうするかとかいうことで、いろいろ具体的な税類型になりますと個々の相違点が出てまいりますが、基本的な点はただいま申し上げた点になろうかと思います。
○和田静夫君 したがって、大臣、このインボイスをつける、つけない、それから控除方式が違う、これで仮称とEC型、基本的に仕組みが違わないということになりますね、そこのところを除けば。
○国務大臣(竹下登君) 多段階ということでは一緒の類型に入りますが、インボイスあるなしは大きな違いだというふうに思います。
○和田静夫君 そこで、昭和五十四年の国会決議は、今の論理でいくとEC型を排除していないと解釈されませんか。
○国務大臣(竹下登君) 五十四年の際の国会決議は、あの際意図しておったいわゆる一般消費税(仮称)であって、学問的類型で御提示したものを対象にしてはいないということでありましょう。
○和田静夫君 大臣、私はいろいろ検討してみますと、基本的な仕組みというのは、このEC型も仮称も同じなんだと思うんです。EC型はインボイスをつけるので納税義務者の負担が過重になるということ、これは多少違いますが、基本的には違わない。したがって、国会決議はどんなに狭く解釈しても内容としてEC型まで含まれると解釈すべきですが、そうじゃありませんか。
○国務大臣(竹下登君) 私は、やっぱり付加価値税方式の一類型であって、EC型付加価値税もこれまた付加価値税額型の一方式であるということでありますが、あのときの議論のぎりぎりした議論で、財政再建の手法としてこれをとるなと言われたのは、あのときの答申に基づくいわゆる一般消費税(仮称)であったと。あの税も名前がつけられていない前に国会決議があったわけですから、いわゆる一般消費税(仮称)というふうに、私も五十四年以来約五年数カ月、ばかの一つ覚えのようにそういうお答えをしておるということであります。
○和田静夫君 総理も同じお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大蔵大臣と同じであります。
○和田静夫君 これは解釈ですから、法制局長官いかがでしょうか。
○政府委員(茂串俊君) ただいま問題にされておるいわゆる一般消費税(仮称)の問題につきましては、これは国会決議の問題であると私承知しております。したがいまして、国会において有権的な解釈をされるべきであるし、また当時のいろいろのやりとりを踏まえて、そうして解釈が適正に行われるべきであると思いまして、私がこの場でより具体的な御答弁を申し上げることは差し控えたいと思いますので、御了承をお願いいたします。
○和田静夫君 わかりました。国会決議でありますから、有権解釈は国会ということですから、委員長、お取り扱いは。
○国務大臣(竹下登君) 「政府が閣議決定により昭和五十五年度に、導入するための具体的方策として、これまで検討してきたいわゆる一般消費税(仮称)は、その仕組み、構造等につき十分国民の理解を得られなかった。従って財政再建は、一般消費税(仮称)によらず、まず行政改革による経費の節減、歳出の節減合理化、税負担公平の確保、既存税制の見直し等を抜本的に推進することにより財源の充実を図るべきであり、今後、景気の維持、雇用の確保に十分留意しつつ、歳出、歳入にわたり幅広い観点から財政再建策の検討を進めるべきである。右決議する。」と、こういうことでございますので、私が申しておりますのも、この文章を丁寧に読んだ上のことであります。
○委員長(長田裕二君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(長田裕二君) 速記をつけてください。 ただいま和田君要求の件につきましては、その取り扱い方を後刻理事会で協議することにいたします。
○和田静夫君 大蔵大臣、一般消費税(仮称)も、あるいはEC型付加価値税も次のような難点を持っておる。一つは所得に対して逆進的である、ここは論議のあるところ。二つ目は最低限税率相応の物価上昇を招くだろう。あるいは納税義務者の業務負担を招くだろう、これは三番目。四番目は税収の弾性値が低いというふうに四つに分けると、どういうふうにコメントされましょうか。
○国務大臣(竹下登君) いわゆるデメリットと申しますか、そういう点は今おっしゃったような論議がなされたことは事実であります。
○和田静夫君 その中で逆進性の論議というのは前国会では随分やらしていただきましたが、これはOECDのレポートやアーロンの著書もあのとき問題にしたのですが、EC諸国の経験的データは国によって違う。フランスは逆進的、イタリアは比例的、しかしこのデータをもってEC型付加価値税が必ず逆進性を免れるわけではないと私は考えている。フランスでも免税品目があるわけですから、免税品目を設けさえすれば逆進性を免れるわけではない。したがって、私は大型間接税を安易に導入すべきではない。中身の議論というのはさらに本予算でやりますがね。 そこで総理、私は初めの方でも申しましたし、大臣ともある意味では合意できたように思うんですが、総理ともそうですが、直間比率の是正は結果問題、そこで臨調答申に従って直間比率を是正するのであれば、間接税の増税分はそっくりそのまま直接税の減税とならなければならないということになると思うんですね。これが臨調原則であると言ってよいと思うんですが、総理、確認できましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは臨調の御意思が那辺にありや推測の域を出ないのでございますけれども、正確に直接税五〇減らして間接税五〇ふやす、必ずしもそういうものでもないのじゃないかと思うんです。あの中には不公平税制の是正もございますし、あるいはいわゆる租税負担率を変えない範囲内において基本的に新しい脱目その他を起こさない、新しい措置をやらないという形で表現している点もございますから、総合的に臨調答申に関する限りはそういう範囲内においていろいろな組み合わせが考えられることではないかと思います。
○和田静夫君 大蔵大臣、大型間接税を検討する前には不公平税制に手をつけるべきであると私は主張して、午前中はこの部分は税調会長も大臣も含んである意味の合意が成り立ったように思うんです。 そこで、きょうは若干の問題提起にとどめますが、例えば企業課税について言いますと、企業会計原則を駆使した脱税、節税が後を絶たないわけですね。使途不明金についても五十八年事務年度で総額四百二十四億円、これは資本金一億円以上企業の二三%の調査結果にすぎない。単純計算しますと総額で千八百四十億円。千四百二十億円が取りこぼしになっているわけです。外国税額控除についても二百三十五億円の水増しが明らかになっている。東京国税局だけでこれだけあるとすれば、これもかなり取りこぼしがあると推測される。赤字会社についても同機の指摘が可能だと思うんですが、大臣、これらは六十一生度に向かって手直しされますか。
○国務大臣(竹下登君) これも今まで議論があっておりますが、恐らく抜本改正で議論のあるところであろうと思います。ただ、今おっしゃいました問題は、主として徴税サイドから出てきた統計でございますね。その統計がそのまま当てはまるとは私も必ずしも思いません。どちらかといえば、いろいろな情報収集の中で問題のありそうな企業に向かって調査をしたりするわけでございますから、その統計数字そのものが拡大されて現実問題としてなっておるとは必ずしも思いませんけれども、そういう徴税上の問題でそういう問題が指摘されておることは事実でございますから、それらは念頭に置いて取り組むべき課題である。徴税段階で処置できる問題もあるいはあるかもしれません。法自体にまで手をつける必要もないかもしれませんが、今御指摘なさったような問題こそ、いわば定義はなくても観念的に不公平感というものをあおる事実でございますから、当然念頭に置くべき問題であろうという理解に立っております。
○和田静夫君 マル優の不正利用についても今回の措置で一体うまく捕捉されるのかどうか私には疑問なんですよ。大蔵省はまずマル優不正利用でアングラに流れているマネーがどれくらいあるのかちゃんと把握すべきだと思うんですが、どうなんですか。
○国務大臣(竹下登君) アングラマネーというのは二種類ありまして、一つは麻薬とか、そういう行為そのものが違法の中でどこへ動いておるかわからないものと、それからもう一つは、今おっしゃいました税の問題から、いわば現在認められておる商行為その他の中で税の捕捉から故意に逃げたものと二種類あると思います。それらの後者のものがどれぐらいあるのか、どうして把握できるのかということになりますと、私の答弁の能力の限界を超しますので、事務当局からちょっと答弁をさせます。
○政府委員(梅澤節男君) お答えを申し上げます。 現在、個人貯蓄の六割ぐらいがいわゆる民間のマル優あるいは郵便貯金ということで非課税貯蓄になっておるわけでございますが、委員が御指摘になられましたように、例えばサンプルの税務調査等の段階でその非違が発見される事実がございます。一般的に必ずしも厳正に利用されていないということでございますけれども、それでは一体乱用されているものは計量的に幾らかということはなかなかお答えしにくい問題でございますが、いずれにいたしましても六十年度の税制改正で現状よりももう少し厳正に行われるという観点から、ただいま税制改正の御提案を申し上げているところでございます。
○和田静夫君 梅澤さん、それで十分に捕捉されるというふうにお思いになっていますか。
○政府委員(梅澤節男君) 非課税貯蓄の問題につきましては、これは従来も御議論申し上げておりますように、名寄せのいわば非常に技術的なシステムの問題もあるわけでございまして、税制上いかに完備した制度をとりましても、そのシステムがそれについていけるかどうかということでございますが、この点につきましても、六十年度、国税庁並びに郵政省におきまして、きちんとした名寄せのシステムの技術的な勉強をするという意味での予算化もされておりますので、政府といたしましては全体としてそういう努力はしていく、その過程で税制上どういうふうな制度が最終的にいいのかということが検討されるべき問題であろうかと思っております。
○和田静夫君 名寄せのシステムの勉強などを含んで、衆議院から予算がこっちに回ってくるまでに一定の論議の素材になるようなものが私のところに出ますか。
○政府委員(梅澤節男君) どういう資料が取り整えられますか、委員の御満足のいただけるものが調整できるかどうか存じませんが、今の御要望に従いまして検討させていただきたいと思います。
○和田静夫君 次に移りますが、逗子の池子弾薬庫跡地、総理は一昨年九月二十一日、この席で私に、住民の皆さんによく御理解いただくように進めたいと述べておられるわけでありますが、立場は変わりませんか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今も変わりません。
○和田静夫君 その後、御存じのとおり市長選挙が行われて、米軍住宅建設反対派の市長が誕生しました。前市長は条件づき賛成であったわけでありますが、これで逗子市の住民の意向が建設反対であることがはっきりしました。にもかかわらず、施設庁は行政の継続性を盾にとって、前市長との合意文書が生きているとしてボーリング調査を強行した。また市庁舎内に模型展示を申し入れた。これが拒否されると、市庁舎隣接の神社に、主婦らが抗議をしているにもかかわらず機動隊を入れて、そして展示を強行した。これはわずか二日か三日前、二月九日のことです。こういうような態度が住民の皆さんの理解をいただくために進めている態度でしょうか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。 市長選によりまして三島前市長がおかわりになった、その継続性の問題は議論の余地があろうかと存じます。しかしながら、駐留軍に対する施設の提供は防衛庁設置法五条の二十五号というのがございまして、これは国の事務でございます。それから、いわゆる環境アセスメントでございますが、これは県の環境予測評価条例によりまして県の事務でございます。市は、じゃ、全然行政事務がないかと申しますと、河川の使用であるとかあるいは汚水、下水の処理とか、こういう問題について市条例あるいはその他でもって所管をしている問題はございますけれども、私どもといたしましては、昨年六月の時点におきまして三十三項目の条件つきの賛成の回答をちょうだいをいたしまして、それに基づきましていろいろな事務手続を進めておったところでございます。 直ちに継続性は法的にはないかもしれませんけれども、信義則から申しましてそれを信頼申し上げて私どもいろいろな措置をとっておりましたことについては、私どもにも市民の御理解、御協力を得て何とか進めたい、こういう姿勢をとりましても、それは決して国がごり押しに無理をやっているということではなかろうと存じます。市民の協力を得、御理解を得るためにこそいろいろな展示物あるいはリーフレット等によりましてこの問題の御理解を賜りたい、こういう努力を続けております。 先ほど機動隊を導入してどうのこうのというお話がございましたが、これにつきましては、市長に対しまして再々市庁舎内に市民に御理解をいただくための模型を展示をいたしたい、と申しますのは争点が緑と子供を守るということでございました。今の富野市長さんも、その後言っておられますように、市長という立場では安保条約の是非を論ずる立場にはない、また反米でもない、市民の御理解さえあれば私も考えてもよろしい、現時点においては白紙撤回と、こういうことで緑が問題でございます。 緑は、もう再々御説明を申し上げておりましたように、二百九十ヘクタールの池子弾薬地跡の八十ヘクタールを開発し、さらに環境アセスメントの結果の県条例の基準によりましてそれをまた緑にいたしますので、六分の一程度しか緑は損なわれない、こういうことを何とか市民に御理解をいただきたいということでつくりましたのがその模型でございます。その模型を市庁舎の中に何とか置いていただきたいということを再々お願い申し上げたのですが、これも市長の御了解が得られませんので、市長に御通告を申し上げた上で、亀ケ岡八幡宮という神社の責任ある方の御了解を得、協定を結んだ上で展示をしようとしたものでございます。 機動隊が来て排除をしたということはございませんで、工事の最中に速乾性のセメントを流し込むための板仕切りをいたしましたところへ男の方が三人、女の方が三人座り込んでしまった、そのために約三時間工事が遅延をいたしましたが、説得によりましてお立ち退きをいただいて工事を無事に行った、こういうものでございます。
○和田静夫君 自治大臣、私は、地方自治の本旨からいって住民過半数が反対するものをこういうふうに強行することについてどういう御見解か。 環境庁長官は、池子の緑、生態系というものについてどういうふうにお考えか。 防衛庁長官は戦後派であります。新憲法下において育ったあなたとしてどういうふうにお考えなんですか。
○国務大臣(古屋亨君) 本件につきましては、防衛施設庁としてもただいまお話がありましたように緑の保全には十分留意して計画を立てていると聞いております。私どもといたしましては、関係住民との間でやはり相互に理解をして円満に解決することを期待しておる次第です。
○国務大臣(石本茂君) ただいまお話がいろいろございましたように、私どもの方としましては、この跡地につきましてはできる限り自然を守りながらということは防衛庁の方におかれましても配慮されていることだと思っておりますが、でき得る限り緑を残していくということには御理解がいっているのだというふうに現在考えておるところでございます。
○国務大臣(加藤紘一君) 池子の弾薬庫跡地の住宅の問題でございますが、米海軍の住宅不足という観点もありまして進めておった事業でございます。この点につきまして、日米安保条約そのもののよしあしが議論されないで今日までいろいろ論議されていることは私はありがたかったと思っております。 そこで、緑が大切であるということは私たちも全くそのとおりだと思います。ですから二百九十ヘクタールのうち、実は宅地という形になりますのは六分の一の四十八ヘクタールに限ったということも、私たちその地元の住民の方の意向を十分に考えなければならないからというつもりでございます。したがって、この六分の一に限定したということが過去の経緯の中で十分おわかりいただけなかった部分があるのかなというような感じもいたしますので、今後その点を市民の方にわかっていただくように最大の努力をしていかなければならないのではないかと思います。 和田委員御指摘の二、三日前の機動隊の問題につきましては、住民の方々との間で直接衝突するようなトラブルなしにお互いに話し合いでいけたことは非常によかったことだと思っております。
○和田静夫君 地方自治の本旨を掲げた憲法下で育ってこられた大臣に私は期待したいのでありまして、できる限り住民と話し合う、その結果、計画の再考もあり得る、そういうような姿勢に今の答弁をしっかり聞きとめておきたいと思います。 さて、最後ですが、先ほどいろいろなことがあったので途中になりましたが、総理大臣、核廃棄物の海洋投棄については先ほど御答弁いただきました。問題は、今月中旬にサイパン島から代表団が来日をするということになっていますが、その子供を含めた代表団にはっきりと白紙撤回しますと約束されるべきだろうと私は思うんですね。彼らは依然として不安を持っているから来日するわけです。総理がもし今のような形で現地の支持を取りつけたいというようなことで経済協力をいろいろお考えになっているとすれば、そこで凍結解除を図るというようなことを考えるという、これはもう太平洋の連帯をぶち壊すものになるでしょう。したがって、総理がそういうふうにお考えになっているというふうに私は思いませんが、きっぱり白紙撤回というプレゼントを太平洋のこれらの人々にする必要があると考えますが、いかがでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) オーストラリア、ニュージーランドの首相あるいはパプアニューギニアあるいはフィジーの首相に申し上げたとおりのことを申し上げるつもりでおります。
○委員長(長田裕二君) 以上で和田君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(長田裕二君) 次に、太田淳夫君の質疑を行います。太田君。
○太田淳夫君 それでは、最初に補正予算につきまして若干の質問をさせていただきますが、第一点、先ほど同僚委員からも質問がございましたが、既定経費の節減の問題でございますけれども、これは例年既定経費の節減につきましては当初予算の切り込み不足を示すものとして再三この委員会でも指摘をされているわけです。今回でも千三百二億円が計上されているわけでございますけれども、このようにいつまでたっても当初予算に補正用として水増しをされているんじゃないかという疑念がぬぐえないわけですけれども、これはもっと当初で抑制できたのじゃないでしょうか。その点、大蔵大臣、どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは毎年行われる議論でございまして、私どもも可能な限り当初でいわばぎりぎり切り込んだものが経費節減の対象になることそのものがおかしいじゃないか、こういう議論にこたえるように年々やっておりますが、諸物価の高騰等がございましても、ここのところ五十二年以降八年間にわたって前年度同額以下ということで圧縮に努めておるわけであります。したがいまして、その中でなお節約の努力の結果、財源として捻出されたというのが、これがいわゆる節約によるものであります。 それからもう一つの不用額につきましては、事柄の性格上あらかじめ見込むというのは困難でございます。が、年々五十二年以来物価が上がりましょうとも今まで以下でずっと来ておりますので、そういう点がより厳しくなっておる。だから、初めから本当に節約なんというのはかけられないだけの厳しい予算を予算査定しろとおっしゃる気持ちはよくわかりますが、なかなかそこら辺難しいことでございますので、ぎりぎりの線の継続がなおぎりぎりと続いておる、こういうふうに御理解をいただきたいと思っております。
○太田淳夫君 大蔵大臣はそのように言われますけれども、これは毎年毎年議論を呼んでいるところでございますし、聞くところによると、各省庁に対してあらかじめ節減額を努力しろというような大蔵省からの指示が来ているというお話もよく聞きますが、各省庁もそれぞれの節減の努力をしているわけです。先ほど各大臣から御答弁がございましたけれども、やはりそのように各省庁ともに努力をされているわけですから、そのような節減は各省庁の努力にこたえるような効果ある使用法を考えるべきじゃないか、このように思うのですが、これは例えば国債の減額に回すとか、その点どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) とにかく五十二年の当初が千四百十八億円、これを今日まで最初は三角の〇・一%で五十三年を組みまして、その次は一%、〇・四、〇・九というふうにずっと組んでまいりまして、その結果が今のような状態になっておるわけであります。が、今太田委員の御指摘なさいました例えばでございますが不用額、不用額はもうそのまま国債整理基金の方へ直入したらどうかというような御意見は、いわば財政再建、財政改革というものを第一義として取り上げている我々としては非常に建設的な御意見であるというふうに受けとめます。が、予算技術上そのものを国債整理基金特別会計に直入するということについてはいささか勉強してみないとわからないのじゃないかなと、こういうふうに思います。
○太田淳夫君 次は、予備費についても近年取り崩しが行われているわけですけれども、これもやはり当初計上額が大き過ぎるのじゃないかということでいろいろ指摘を受けてまいりました。ここ数年、当初計上額が三千五百億円、こういうことで据え置かれておるわけですけれども、五十七年も千二百億円、昨年度は千四百億円、そして今年度は千八百億円、こういうふうに取り崩しが増加しているんです。六十年度予算を見ますと、やはり三千五百億円ということで相変わらずそれが続いているわけですけれども、これは過去の反省に立ってやはりその点もいろいろと考慮する必要があるんじゃないでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) この予備費というものは、いつも太田さん御指摘がございますように、いわば予備費として相当と認める金額がどの程度であるかということについては、予備費が予見しがたい予算の不足に充てるという性格上、もともと特別の基準があるわけではありません。したがって、一般会計の予算規模に対する計上の割合とかあるいは流動的な諸般の情勢等を総合的に勘案して相当と認める金額、これを計上してきたわけです。したがって、今おっしゃいましたように、三千五百億円がここのところ続いておりますが、三千五百億円になってから申し上げましても五十五年度は全体の当初予算の〇・八二%、その次五十六年が〇・七二%、五十七年が〇・七〇%、五十八年が〇・六九%、五十九年が〇・六九%、六十年は総予算規模からすると〇・六七%というふうにずっと比率は減ってきておるわけであります。 そこで、やはり年々の出入りを見ていただきますと、どっちかといえば災害が集中されたときにいわば少なくなる、こういう性格でございますので、おっしゃる意味は非常によく理解できることでございますが、予備費というものは総予算の何%が適当か、〇・何%が適当かという議論になりますとなかなか難しい問題でありますが、これも将来の課題として、総予算に対しては年々減っておるわけでございますけれども、予見しがたいものが可能な限りないような努力はそれはしていかなければならぬと思っております。
○太田淳夫君 次は税収についてお伺いしますけれども、法人税は法人企業の申告所得が増加するものと見込んで三千三百五十億円の増収を見込んでいるわけですけれども、これは昨年度の増収三千二百七十五億円、これから予想された数字が加えられているのじゃないかと思うんですけれども、五十九年度の十二月の収入額調、これが発表されておりますけれども、それの法人税の進捗割合どうでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) 昨年の同月末の進捗状況に比較いたしまして〇・七%ポイント上回っております。
○太田淳夫君 今言われましたけれども、この実質経済成長率も五十八年度の三・七%に対しまして、今年度は経企庁の見直し試算でも五・三%、こういうふうに見込まれていますし、これから見ましても法人税収というのは昨年の数字よりも超えると思いますが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 三月期の法人税の決算、これが大体三割ございます。したがいまして、これが一番大きな対象になるわけでございますが、従来から見ますと、大体収益が上がってまいりますと、要するに赤字企業が黒字企業に頭を出す。そしていま一つは、従来は黒字決算、配当を確保するために土地、財産処分等をしながら黒字決算をした、かたがた今度は財産処分はしないで黒字決算して配当が保たれる、こういうようなことになりますので、とにかく景気上昇期の最初の段階は収益増よりは税収の入る比率は少ないわけでございますので、私はよく、これは定かに決まった数字じゃございませんけれども、一%は誤差のうちなんて言いますけれども、御審議いただいておる税収は確保されて、そしてそれで大きな誤差が出るだろうなんということは今全く考えていないところでございます。
○太田淳夫君 いずれにしても法人税は昨年を上回る増収ということは確実ですね。
○国務大臣(竹下登君) 補正後予算額の達成は可能であると、こういうふうにお答えした方が正確かもしれません。
○太田淳夫君 次は酒税についてお伺いしますけれども、酒税は二千四百五十億円の減額補正を行っているんですけれども、十二月の収入額調まででどの程度の進捗割合になっていますか。
○政府委員(梅澤節男君) 前年度の進捗割合が六七%ポイントでございますが、現在判明いたしております本年度の税収、昨年十二月末で五一・九でございますので、約一五%ポイント進捗割合は去年の同期に比べて悪いということでございます。
○太田淳夫君 その理由はどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) これは五十九年度の当初の各酒類ごとの課税数量の見積もりを、業界のヒアリング等を加えまして見積もりを立てたわけでございますけれども、今日までの推移を見ますると、いわゆるしょうちゅうブームという現在の酒類の消費動向から見まして、ビールそれからウイスキーの当初の私どもの立てました見通しを、特にウイスキーについて少なからず見通しが下回っておるというふうな状況を反映しているわけでございます。
○太田淳夫君 五十九年四月五日ですか、大蔵委員会で局長は増税しても五十九年度のビールの消費量は前年度の二%伸びるだろう、こう答弁しているんですけれども、五十九年一月から八月までのビールの消費量は、前年同月比で六・八%マイナス、とのように落ち込んでいるわけですけれども、どのようにお考えですか。
○政府委員(梅澤節男君) 先ほども申し上げましたように、五十九年度の当初予算の税収見積もりに際しましては、各酒類ごとに私ども業界個別にヒアリングを行いまして、五十九年度にお願いいたしました各酒類ごとの税率の引き上げ額が小売改定として値上げが行われるという前提で各酒類ごとに見通しを立てたわけでございますけれども、率直に申しまして、この見通しが予想を大きく下回っておるというのが現状でございます。
○太田淳夫君 嗜好のいろんな変化があったにしましても、このように酒税の比率、進捗割合で一一・一%と、一〇%を超えるような見込み違いを行ったということは、これは財政当局の責任が重いのじゃないかと思いますし、またビールが増税によって値上げした、そういうものに対する庶民の反発もあったのじゃないかと思うんですが、間接税の場合ですと、そのように税率と消費の相関関係、やはりそれもきちんと押さえておかないと、やはり税率を上げただけではそれに見合う税収というものが見込めない、こういうふうに私も思うわけですけれども、今回のこのことをどのように反省をされていかれようとしていますか。この点どうでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) 消費課税でございますから、税率を引き上げました場合にそれが価格に転嫁される、それがマーケットにどういう影響を及ぼすかということを慎重に見きわめて私ども作業をしなければならないというのは御指摘のとおりでございます。五十九年度につきましては、先ほど来再々申し上げておりますように、私ども独断でこの見積もりを立てたわけじゃございませんで、各業界とのヒアリング等も行いました結果積み上げたものでございますが、これは委員が御指摘になりましたように、今回の情勢を見てまいりますと、従来も税率の引き上げを行いまして価格の改定が行われますと、その前に仮需要が起こりまして、改定後需要は下がりますけれども、時を移さずしてまたもとへ戻るということでございました。 ところが、今回の場合は、特にビールにつきましては昨今かなりの消費水準に戻ってきておりますけれども、ウイスキー類の消費の低迷が目立つわけでございます。したがいまして、この根本にある我が国の酒類の動向の構造変化が起こっているのかどうか、例えば一九七〇年代に起こりましたアメリカのようなものが日本にもあらわれ始めているのかどうか、そういう兆候として現在の状況を断定するのはまだ早計かと存じますけれども、私どもは今回のこの状況を貴重な教訓といたしまして、今後の動向を慎重に見守る必要があると考えております。
○太田淳夫君 もう一つ、所得税についてお伺いしますが、所得税はどのような進捗割合になっていますか。
○政府委員(梅澤節男君) 所得税につきましては源泉と申告と両方税目があるわけでございますが、申告所得税は、これは三日十五日の決算になりませんと、年度の動向を年度途中で云々するわけにいかないわけでございますが、御質問を源泉所得税の進捗状況ということでお答えを申し上げますと、十二月現在で前年同期の進捗割合に比べまして源泉の場合は利子所得がかなり好調でございますので〇・五%ポイントほど上回っております。
○太田淳夫君 申告分はどうでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) 申告分につきましては、先ほど申し上げましたように、年度途中は前年度の課税実績を反映いたします予定申告で税収が動いておりますので、今年度の実勢というのは三月十五日の確定申告を終わりませんと、年度途中でなかなかこの数字をというのは余り意味を持たないというふうに考えております。
○太田淳夫君 今余り意味はないとおっしゃいましたけれども、対前年同月比で、累計で十二月調べでマイナス二・七ポイントとなっておりますし、最近は節税意識が高まっているせいですか、年々この申告所得の伸びが鈍っているように思うんですが、今後の所得税の動きが注目されるわけですけれども、これは今確定申告等を待つということでございますけれども、大蔵大臣もきのうどこかへ御出張のときに一生懸命新聞を読んでお見えになりましたね。あの新聞にやはり節税という名の脱税に近い行為が横行しているんじゃないかというような趣旨の記事があったように思うんですけれども、自由業など、最近のいろんな報道を見ましても、目に余るような状態にあるわけですけれども、その実態をやはり国会にもきちんと提出をして、その是正に努力をしていただきたい、このように思うんですが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) いわばそれらの問題を把握するのは、徴税段階の税務調査というのがそういう実態を把握するわけであります。これらは言ってみればいろいろな情報等によってそれがありそうなところをよけい調査いたしますから、必ずしもその比率どおりではなかろうかと思いますが、そういう問題はそれぞれ、いわばあった事実として公表してしかるべきものは、これはどういう形で国会へ御報告申し上げますか、十分検討さしていただきます。
○太田淳夫君 次へまいりますけれども、財政再建の問題、先ほど同僚委員からいろいろと質疑もございましたけれども、六十年度予算におきます特例公債減額は七千二百五十億円、これにとどまったわけでございまして、二年連続で一兆円の赤字公債減額は失敗に終わったわけですが、六十五年度の脱却のためには国債費減額幅がふえまして、今後毎年一兆一千四百六十億円ずつ減額していかなければならない。一方、十兆円を超えましたところの国債費というのは、これは社会保障費を抜きまして歳出項目のトップになっておりますし、その圧迫からか一般歳出は先細るばかりですね。これは財政が硬直化しているし、景気安定あるいは所得再配分等の本来の機能を財政が果たせなくなっているのじゃないかと思うんですが、総理、あなたのとってこられました財政政策の失敗、これを意味しているんじゃないかと思いますが、財政政策の行き詰まり、その点はお認めになりますね。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私が政権担当をいたしましたときに既に膨大な国債を抱えておりまして、五十九年赤字公債依存体質脱却からは非常に難しい状態になり、それを六十五年度を目標に改定しまして、自来あらゆる面で歳出歳入構造の見直し、そのほか諸般の政策をやってきておるところであります。この道は当然当初から予想された険しい道でございまして、その道を懸命に今ひた走っているということでございます。
○太田淳夫君 六十年度の予算はこれから参るわけでございますが、それを見ますと、いろんな負担の先送りあるいは特別会計へのツケ回しが行われているわけですが、その点はまた本予算が参りましてからいろいろと議論したいと思いますけれども、やはりあなたのおっしゃってみえた増税なき財政再建というのはもう行き詰まってしまって、このままではもう財政再建できない、これは明らかになっているんじゃないかと思うんです。しかし総理は戦後財政見直し、こういうことを主張しておりますが、行政改革にしましてもあるいは教育改革にしましても、その目的と内容をはっきりとおっしゃらない。そういうところが一つの悪い癖ではないかと思うんですけれども、本当に財政再建のための増税ということは考えていないと、このようにあなたは今までおっしゃっているわけですけれども、その戦後税制見直しということを具体的に内容をはっきりとやはり国民の前にお示しいただきたいと思うんですが、その点はどうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは財政再建あるいは増収を目的にしてやろうというのではございません。前から申し上げているように、シャウプ税制以来三十五年もたちまして、日本の税体系全体の間にひずみとかゆがみとかがかなり出てきていると考えられるのでございます。現に不公平税制あるいは所得税が重い、そのほか国民の皆様方からは不満が常に聞かれるところでございます。そういう状況を踏まえまして、公平、公正、簡素、それから国民の選択、こういうような原則に基づいて、シャウプ税制以来の税制の見直しを根本的にもうやるべきときに来たし、そういう課題を政治はもう持ってよろしい、そういうふうに考えまして申し上げておるところなのでございます。もとよりこれは増収やあるいは財政再建のためよりも、むしろゆがみを是正し、国民の納得のいく、国民の満足するよりベターな税制に近づこう、そういう考えからやって持ってきておるものなのでございます。そういう点で御理解をいただきたいと思っております。
○太田淳夫君 総理、鈴木前総理はみずから公約をされたところの増税なき財政再建、これの破綻の責任をとって辞任をされたわけですね。それを引き継がれた中曽根内閣でございますが、やはりこの増税なき財政再建というものも、ほぼ財政の硬直化を招きました現状から見ましても、失敗をしていくのじゃないかという感じがするわけです。しかも財政支出の先送りをしている。そういう表面上の歳出抑制、これによってツケがこれから回ってくるわけですから、ある人に言わせますと財政を生けるしかばねにしたと、こう言う評論家もいるわけでございますが、その責任者はやはり総理でございますから、やはり総理は鈴木前総理と同じような心境を持って責任をとられるのかどうか、その点ちょっとお聞きしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 財政は生けるしかばねにはなっていないと思います。そして、今これを活力を入れるために、結局は国民経済全体が活力化することが基本でもございましょう。そういう面も含めまして今懸命なる努力をしている最中でございまして、ぜひ御協力願いたいと思っております。
○太田淳夫君 次は私的諮問機関につきましてお尋ねしますけれども、この問題につきましては本会議におきましても、衆議院の予算委員会でも取り上げられました。そのときのいろんな答弁を伺っていますと、昨年の予算委員会で我が党の峯山議員からいろいろ指摘をされました。そして政府側としましては善処すると、このように約束、答弁されていたんですが、その後も全然改まっていない。やはり私的諮問機関というものは違法と思われる行為を行っている。こういうふうなことが次々と明らかになっているわけでございますけれども、昨年四日十日の本委員会の席上で、官房長官、審議会と懇談会のあり方につきまして政府見解を述べてみえますけれども、この趣旨は今日も変わっていませんか。
○国務大臣(藤波孝生君) 従来も本会議あるいは予算委員会などで種々御指摘をいただいてきておりまして、特に国家行政組織法第八条の審議会との運営の差につきまして明確に区別して進むべき必要性について、いろいろ御指導いただいてきておるところでございます。その精神を踏まえて政府としては運営をしてまいりたいというふうにお答えをしてまいりましたし、今日もそのように考えておる次第でございます。
○太田淳夫君 総理は峯山委員の質疑を踏まえましてどういう答弁をされましたか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国家行政組織法の建前を踏まえて、そういうものに該当しないように注意してやりたい、そういう意味で特定の委員会というような機関という性格を避けて、委員個々の御意見を承る、したがってそれは答申というようなものじゃなくて意見書を出してもらう、あるいは意見書を聞かしていただく、それを一人一人からお聞きするのが筋でしょうけれども、便宜上皆さん方の議論をいろいろやっていただいて、そしてそれらの筋を、あるいは皆さんの得意な御意見を聞かしていただく、そういう考えに立って今まで注意深くやってきたつもりでございます。ですから、答申というのもございませんし、またそういう機関を特別に設置する、そういうものよりも、自由に懇談していただいて皆様方、先生方の意見を聞かしていただく、そういう趣旨でやってきておるのでございます。
○太田淳夫君 昨年の四月十日の総理大臣の答弁によりまして、例えば文化と教育に関する懇談会の報告、これにつきましては今までと違った方法でこれはやっていますということで、共通意見とかあるいは個別意見が確かに併記をされておりました。しかし昨年の十二月十八日に出されました平和問題研究会、この報告につきましては個別の意見は一切添付されていませんけれども、これはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは高坂座長が中心になって委員の皆さんの御意見、大筋を素案として書いて、皆さんがそれに賛成されたという、そういう結果であるだろうと思います。
○太田淳夫君 そしてあなたはその平和問題研究会の報告については非常に評価をしてみえるわけですけれども、このような国論を分けるような大問題、やはり大綱の問題あるいは一%問題等々ですが、これにつきましては、やはりそれに参加された委員の方々が同じ意見だったとはこれは考えられませんね。したがいまして、これに対してはいろいろな論議もあったと思うんですけれども、それは併記されないのですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は時折その会へ出席さしていただいて意見を聞かしていただいたので、最終の詰めの段階がどういう情勢であったかよく知悉しておりませんが、皆様方の御意見の大体の枠を高坂座長はとらえて、そして素案を書いて、皆さんが御異議がなかった、みんな同じ方向であったと、そういう結論ではないかと思います。
○太田淳夫君 同じ方向だったとおっしゃいますけれども、これが一つのあなたの政治的な手法であるということが言われておりますね。この平和問題研究会の討議に至るまでの間に、あなたの意見を座長のもとに伝えにいったりというような方のことも報道されておるわけでございますけれども、やはりこういう懇談会につきましては、今まで論議されておりましたように、ややもすると同じような意見の人、あるいはあなたが好まれる方々を集めまして、それによって一つの世論というものを形成したのだということで、あなたはそれを行政の面にこれから生かそうとされる、一つの大きな国会軽視に当たるようなこれが手法ではないかと思うんですが、その点どのようにお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり国民皆さんの御意見をよく虚心坦懐にお聞きして政治の参考にするということは、民主政治をやっていく上に官僚独善を排するためにも非常に大事なやり方ではないかと思っておるんです。そういう趣旨でやっておるのでございまして、いやしくも世論操作のためにやったというような意図は毛頭ないのでございます。
○太田淳夫君 この懇談会につきましてはあなたは答申はないと、このように本会議でも答えられておりますけれども、平和問題研究会についてもこういう報告書はございます。あるいは官房長官の私的諮問機関でありますところの戦後処理問題懇談会、あれでも一つの報告書、答申、そういうものを出しておるわけでございますが、この答申あるいは報告書を出すということにつきましては、この予算委員会でも再三再四これは違法であるということで追及をされ、論議もされてきたわけですけれども、総理みずからがそのような国家行政組織法に違反するような行為をされているということは重大な問題じゃないかと思うんですが、その点どのように認識されておりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は峯山議員からもよく注意されておりましたから、注意深くやったつもりでございまして、答申というようなものではありません。委員の皆さんの御意見が一致したところをそのまま記述してもらって、そうして意見書として拝読したと、そういうことであります。
○太田淳夫君 これは昨年の七月から国家行政組織法が改正されて、審議会等につきましても法律だけでなくて政令でこれが設置できるようになっているわけですけれども、やはり組織管理、あるいは昨年峯山議員に答弁されたように、それはもう峯山議員に対する答弁といっても国会に対する答弁でございますから、きちっと今後守っていただかなければならない、このように思いますし、それはやはり総務庁できちんと掌握をして、今後そういう一切の疑いのないように運んでいかなければならないのじゃないかと思いますが、その点総務庁どうですか。
○国務大臣(後藤田正晴君) いわゆる八条機関による審議会といわゆる私的懇談会、これの乱用はしないようにということで、政府部内に徹底をさしていただいているわけでございます。そしてその趣旨に沿って内閣としては対応をしておるつもりでございまして、同時にまた私的懇談会というのは、行政庁が仕事をしようというときに専門家の意見を聞くということはこれは極めて私は有効な手段であろうと、こう思っているんです。ただ、混同したり、あるいは隠れみのになるような運営はこれは慎んでもらいたいということで内閣としては守っておるつもりでございます。
○太田淳夫君 今総務庁長官からお話がありましたけれども、隠れみのにする、どうも国民の目から見ますと、総理の行っている今回の平和問題研究会にしましても、あなたの意見の一つの隠れみのだと、このようにしか思えません。その点で十分に今後も違法のないようにきちんと注意をしてやっていただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今後も法律に違反しないように注意深くやってまいるつもりでおります。
○太田淳夫君 次に、防衛問題に入りますが、この防衛費の一%枠の問題につきましては衆議院の予算委員会等でもいろいろ論議されてまいりました。いよいよGNP一%のすき間も八十九億円というふうに狭まってまいりました。本年度の給与改定、これがわずか一・六五%改定されたとしましても防衛費GNPの一%枠は突破する、こういうことで国民的にも大きな関心を呼んでいるわけでございますけれども、こういうような事態をいよいよ迎えようとしておりますが、やはり国民への公約を守る、こういう決意で総理として臨んでみえますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は衆議院におきまして、矢野書記長にお答えをしましたとおりの考えでおります。すなわち政府はGNP一%を超えないことをめどとする方針を今後も守りたいと考えているので、現時点では、たとえ仮定の問題としても一%を超えた状態でいかなる措置をとるかは決めておりません、仮にそのような状況になった場合には、その時点において矢野委員御指摘の考え方等、国会における各般の御論議や、過去の政府の答弁等を踏まえて慎重に対処いたしたいと存じますと、こういう考え方で臨みたいと思っております。
○太田淳夫君 総理はよく国民のコンセンサスを得てと、こうおっしゃっておりますけれども、これはいろいろと世論調査ございますけれども、ある新聞社の調査によりますと、年々やはり一%の枠を堅持するという国民の声が高まっていくということがよくわかるわけですけれども、総理はやはり国民のコンセンサスを得てと、こうおっしゃっているわけでございます。この一%の枠を守るということが国民のコンセンサスを得るやはり重要なことではないかと思います。あるいは国民の支持を受ける、こういうことになろうと思いますが、やはり今までの防衛のことにつきましても、国民のそういう支持があって初めて防衛というものも達成できるし、今まで国民の皆さん方も一%という枠があるから防衛予算が増加してもその枠までは認める、そういう立場でみえているんじゃないかと思います。その点どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国民の考え方はあくまで尊重していきたいと思います。私もただいま申し上げましたように一%は守りたいと申し上げておるのでございます。
○太田淳夫君 防衛庁長官は一月二十一日日本記者クラブで、防衛計画の大綱、これは国民のコンセンサスの中核になっている、このようにおっしゃって大綱を堅持する姿勢をはっきりさしてみえますが、その点どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(加藤紘一君) 五十一年に制定されました防衛計画の大綱は、節度ある防衛力整備につきましての政府の現在の考え方をはっきりと示していると同時に、防衛力の整備がどこまでいくのかという当時国民の間にありました不安にこたえるという形、またそういう必要性もあってつくられた大綱でこざいます。したがいまして、現在の内外情勢等を考えますならば、この大綱の考え方に従いまして防衛力を整備していくことが今一番妥当だと思っておりますので、大綱を、これを見直していくことは現在考えておりません。
○太田淳夫君 総理も防衛庁長官と同じ考えですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) ともかく大綱の水準にできるだけ早く到達したいというのが私の考え方であり、国会でも累次申し上げてきたところでございます。
○太田淳夫君 大綱の水準につきましては、規模的な面につきましては五十二年の防衛白書におきまして既にほぼ達成していると、このように防衛白書には書いてございますが、規模的にはもう達成したと総理もお思いになっていらっしゃると思いますが、あと質的な変換ということを意味してみえるのですね。
○国務大臣(加藤紘一君) 御指摘のように、五十二年の防衛白書にも書いてありますように、五十一年の防衛計画の大綱を設定したときの水準、つまり四次防の最後の段階における水準は数量的には大綱の水準にほぼ近いものと申していいと思います。ただ、その後、質的な改善は今委員御指摘のように必要なことでございますし、また古いものがリタイヤしてまいったりするものですから、実はその後、五十二年、五十三年、ずっと経るに従って若干四次防の最後の段階より数量面においては減っている部分もありまして、それを持ち直すということもまた重要な今の要素となっていると思っております。
○太田淳夫君 防衛庁長官は大綱の考え方は変えない、こういうことでございますし、総理もそれをお認めになっていらっしゃると思いますが、私はやはり防衛計画大綱、これは我が国の防衛政策の中で根幹をなすものだと思うんです。これはいわゆる防衛力の肥大化を抑える考え方としての歯どめではないかと思うんですね。そして一方、防衛力の際限のない増強、これを予算とかあるいは財政の面から抑制しようとする歯どめが一%の枠だと、このように思います。ちょうどコインでいいますと両面のこれは働きがある。したがいまして、大綱の決定あるいは一%枠の決定という我が国の防衛力の整備方針のコインの両面のうち、当時ではむしろ大綱の方がいろいろと論議をされた経過があるわけでございますが、現在は、振り返ってみますと、防衛費がもうその当時から比べても倍増するような勢いでこれがきているわけでございます。 その点で国民としても大きな心配をしているわけでございます。私は、一%枠の軍事理論上の根拠というものはこれはあくまで大綱である、予算面からの歯どめと考え方としての歯どめ、この両者が両方あって初めて無限定な防衛力の増強ということが防いでいける、新憲法の精神であるところの専守防衛、それはやはりこの考え方の中に込められているのじゃないかと思うんです。したがって、今大綱の見直しあるいは一%枠の見直しということがいろいろと声が高くなっておりますけれども、やはりそれだけに防衛力肥大化の歯どめとしての財政上の考え方でありますところの一%の枠の重み、これはますます軽くなるどころか重くなっているのじゃないかと思うんです。だから国民もこれが崩れることは今後の防衛力の肥大化を招き、あるいは福祉の切り捨ての危惧感、そういうものを持っているということがはっきりと世論調査の上にあらわれているのじゃないかと思うんですが、その点でやはり総理としても一%の枠の厳守につきましては憲法を守るという立場からはっきりと述べていただきたい、このように思うんですが。
○国務大臣(中曽根康弘君) 初めに大綱ありき、次いで一週間たって一%の閣議決定があったというのが歴史的事実でございます。やはり四次防の後にいろいろな構想がありまして、そしてある程度の歯どめが必要でもあろうというようなところから大綱という考え方で基盤防衛力という思想でできたのが今日の大綱であります。それをつくってから、一週間たってから、やっぱりある程度のめどをつくって努力する必要があるということで、次いで一%というものが方針として閣議決定で出てきた。ですから、やっぱり大綱というものが中心にあるわけなのでございます。それはおっしゃるとおりのことであったと思います。我々はそういう意味におきまして大綱というものを中心に据えて、この達成に今懸命の努力をしておる、そういうことであります。 一%につきましては、ただいま申し上げましたような矢野書記長に対する答弁、あの考え方でやっておるわけでございます。
○太田淳夫君 次の問題に入りますけれども、ただいまおっしゃったような大綱が先に決まって一週間後に一%枠が決まったから、大綱が主で一%枠が従であるというような考えは、これは当時いろんなやっぱり議論があったということも私たち承知いたしておりますし、決してそのように後から決まったから従ではない、このように申し上げておきたいと思います。 次に、公取委員長に、五十二年の独禁法改正によりまして金融会社の株式保有というものがいろいろと制限されましたけれども、その理由あるいは法改正当時の背景について伺いたいと思います。
○政府委員(高橋元君) 独禁法上金融会社の性格でございますが、その金融力と相まって株式保有をいたしました場合、他の公社の支配が容易になる、こういう特質があるというふうに考えております。その特質に着目いたしまして持ち株比率による株式保有制限を設けておりまして、事業支配力の過度の集中を未然に防止するというのが独禁法十一条の規定の趣旨でございます。 昭和五十二年の法改正で、昭和四十年代以降、金融会社による株式保有が急速に進んできた、数字で申しますと、三十年に全体の発行株式の中で金融会社の持っております株式は二七・四%であったわけでありますが、それが五十年に三五・八%になった、そういうふうに株式保有が急速に進みつつあったこと、また株式の分散化の傾向の中で金融会社の持ち株比率が低い場合であっても、その資金力と相まって、相手会社に支配的な力を及ぼすおそれが強まってきたというふうに考えまして、株式保有を通じての企業集中の進行や企業集団の形成に歯どめをかけるため、二十八年以来一〇%保有限度であったのを五十二年改正で五%に引き下げたわけでございます。ただしその際、保険会社につきましては二十四年以来ずっと一〇%でございましたので、改正は加えておりません。
○太田淳夫君 五十九年の十一月に第二回目の調査をされていますが、その概要はどうでしょうか。
○政府委員(高橋元君) 五十九年三月三十一日付で当委員会で調査をいたしたわけでございますが、昭和五十二年改正法の施行当時、五%を超えて金融機関が持っておりました株式、これ十年間経過的に保有を許しておるわけでありますけれども、五%を超えて所有しております株式が会社数で申しまして二千二十七社、帳簿価格で千百四十二億円でございます。昭和五十二年の十二日二日現在、つまり改正法施行日と比較いたしますと、発行会社数で千百十、約三分の一、それから帳簿価格で千百五十二億、約二分の一を減じております。経過措置期間の経過に比べまして六年三カ月たっておるわけでございますから、株式の処分の方は必ずしも順調でないというふうに考えております。昭和六十二年十二月一日までに本則に戻るわけでございますので、あと残された日にちが三カ年でございますから、全国銀行協会連合会、それから全国相互銀行協会、日本証券業協会その他関係の団体を通じて金融機関に対して処分の促進を要請いたしております。今後も適宜実態調査を進めてまいりたいというふうに考えております。
○太田淳夫君 この経過期間も、今お話のありましたように、あと三年で期限切れになるわけでございますけれども、現在の状況としましては余り処分が進んでいないということですが、地方銀行とか相互銀行等では処分が進んでいるところもあるようですが、その点は何社ぐらいあるのですか。
○政府委員(高橋元君) 五十九年三月に調査をいたしました金融会社は総計で百七十八でございます。その中で都市銀行、長期信用銀行、信託銀行、これらにつきましては全数調査をいたしまして、経過措置該当は全金融機関でございます。地方銀行の中では六十四行中五十八行について該当、相互銀行は六十九銀行中四十八銀行該当、証券会社は二十二社中十九社該当でありますから、調査対象金融会社百七十八社全体につきまして申しますと、三十社について所有持ち株が全部処分されておるわけでございます。
○太田淳夫君 都市銀行上位行はこの三年後に期限切れとなる経過措置を延長するよう働きかけているというような報道もございますけれども、この運動の理由は何とお考えですか。
○政府委員(高橋元君) 先ほども御報告をいたしました五十三年三月末現在の保有状況の調査の際に、意見があれば提出してくださいということを申し上げたわけですが、その際にも猶予期間の延長を特に要望するという御意見が多かったとは思っておりません。また、具体的に団体または金融機関としてそういう経過措置延長の御要望があったということはないわけでありますが、お尋ねのような事態があるといたしますと、それは金融会社に対する株式保有の規制の強化改正の際に、株式発行会社の事業運営に支障を与えてはいけない、また一時に大量の株式が市場に放出されてはいけない、それによって株式の市場に混乱が生ずることはいけないということで、十年間という長い猶予期間を設けたわけであります。 それで、なおその十年間のうちで三分の二経過いたしまして、今申し上げましたように、二分の一の株式の処分があったわけでございますが、いろいろな理由があると思います。例えば簿価でさっき御報告したわけでございますけれども、簿価と時価の差額が処分益になってしまうとか、金融機関の資産の資力が薄弱になるとか、いろいろな理由があると思いますけれども、十年間という長い期間を法律上認めて、それによって経過期間中に処分をしていただくようにしておるわけでございますから、各金融会社の自発的な努力と株式発行会社の増資などによって株式保有比率が下がる、そういうことと相まって、今後昭和六十二年の十二月までに本則にはまるようにしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
○太田淳夫君 公取委員長としては大体三年間のうちにある程度の見通しが立てられるのじゃないかというお考えのようでございますけれども、この独占禁止法は昭和二十八年以来の改正を行ったわけでございまして、これはちょうど高度経済成長から安定経済成長に移行する中で、経済の一層の発展のために国民の理解の得られるルール確立と、公正な、かつ自由競争を促進し、経済に活力を与えるための改正だと、このように要旨にもあるんですが、したがいまして、やはりこの問題につきましては、独禁法の改正の趣旨に照らしても厳正な実行というものが必要じゃないかと思うんですが、大蔵大臣あるいは総理としてどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 独禁法の大改正は山中総務長官のときでございますから昭和四十五年改正でございましたか、確かに戦後の長いいわば自由主義経済を守りつつも、そこにおのずからなる秩序を置かなければならぬということで、いろいろな議論がなされました。そうして今のような独禁法の改正が行われ、しかも絶えず公取当局におかれても、あるいは関係省庁におかれても、それが運用が適正にいくようにということで今日までなされておる。だから、私はその精神は金融機関、大蔵省が所管しておりますもろもろの分野から考えましても、それが守られるべきものであるというふうに考えております。
○国務大臣(中曽根康弘君) 独禁法は非常に重要な法律でありまして、これが守られるように我々は常時注意深く法を運用していかなければならぬと思っております。
○太田淳夫君 そこで、次に政府関係金融機関の出資のことをちょっとお聞きしたいんですけれども、現在出資業務ができるのはどこでしょうか。あるいはその出資額及び出資先あるいは出資比率、そういうものがわかりましたら御答弁願いたいと思います。
○政府委員(吉田正輝君) 現在出資できますのは、北東公庫、沖縄公庫、それから中小公庫でございますが、中小公庫の場合は中小企業投資育成会社に限っておるわけでございます。 その出資の額、制限につきましては、ただいまちょっと手持ちにございませんので、後ほどお答えさせていただきます。
○太田淳夫君 あと、開銀と沖縄公庫はどうですか。
○政府委員(吉田正輝君) 開銀が現在出資できますのは産業の開発の程度が低い地域における大規模工業基地の建設事業、それから沖縄につきましては沖縄地域の振興開発事業でございまして、それについては業種を列挙しておるわけでございます。
○太田淳夫君 従来このような政府関係金融機関につきましては出資業務を厳しく抑制してきた経緯があるわけですが、その理由は何でしょうか。
○政府委員(吉田正輝君) 政府金融機関全般について申し上げますと、私の理解しておるところでございますが、民間の補完で、かつ国民経済に貢献する事業に活動を制限するということでそういうことになっているというふうに認識しております。
○太田淳夫君 今回開銀法改正案が今国会に提出をされる予定と聞いておりますけれども、その中で新たに出資範囲を拡大する方針とありますけれども、これはどのような出資対象でしょうか。
○政府委員(吉田正輝君) 四つほどございまして、一つは都市再開発事業、それから地域冷暖房事業、核都市拠点整備、地熱開発事業等が例示として挙げられると思います。
○太田淳夫君 新しく技術開発事業とかあるいは都市開発事業に出資の道を開く、このように聞いていますけれども、その理由及び背景、あるいは新分野での民間との競合はないか、あるいは民間出資との出資比率はどうか。その点どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 太田委員の御心配というのは、開銀というのは従来地域開発枠とかいろいろなのがございまして、いわば民間金融機関が出動するに至らない前の若干のリスクを伴うところに政府金融機関、そのまた出資というのがあった、それがだんだん産業の実態というのが変わってきた、それにもかかわらず開銀の出資拡大を行うではないかということであろうと思っております。 したがいまして、対象となりますものは、まさに先ほど銀行局長から申しましたように、出資機能の整備というのは緊要の国民経済的課題でありながらも初期段階においてリスク性、低収益性等から民間のみでは適切な対応が困難な技術研究開発、都市再開発等の分野において民間を補完、誘導してこのような分野における公共性のあるプロジェクトを適切に遂行するとの観点から行うものでございます。したがって、考え方によりますならば、従来の量的な補完から質的な補完への転換を図っていこうと、こういう考え方でございますので、もとより民間の貸し出し先をはねのけて自分らが貸し出し先をつくろうとかいう考え方ではなく、初期段階のリスク性などというものがなくなりましたら、当然のこととしてこれは逐次民間の方へウエートが余計かかっていく、こういう考え方に立つわけでありますので、従来の産業開発とは質的な変化が出ておりますが、民活とかあるいは基礎技術研究とか、そういうところであるべき姿を生かしていこうと、こういう趣旨でございます。
○太田淳夫君 臨調答申では、この政策金融につきましては民間にゆだねていい分野については縮小あるいは撤退せよと、こう言っているわけですね。あるいはその臨調答申の基調、これは民間活力の活用、これを金融の分野でも推し進めようと、これが趣旨でございますね。そうした臨調答申の趣旨、あるいは過去に開銀が民間融資分野に過剰介入融資をしていた、いろんな批判もあった時代もありました。そういうことを考えますと今回の出資のための法改正は適当じゃないのじゃないかと思うんですね。 先ほど公取委員長からもありましたように、独禁法を改正して、民間というのはだんだんとその出資の分野というものが低下するように法改正をやってきている。しかし政府系金融機関、これはやはり民間の補完的立場でなければならない立場でありながらだんだんとその分野を拡張していく。これは非常に問題ではないかと思うんですけれども、その点どうでしようか、もう一度。
○国務大臣(竹下登君) おっしゃる心配は臨調の議論の中、またはよく国会の議論等にも行われるわけであります。言ってみれば日本が今日のような経済社会状態ではなくして、輸出競争力にいたしましてもあるいは地域開発にいたしましても、追い越せ追いつけと、こういう段階の物の考え方であったものが、民間が全部これを引き受けるようになった。そこで、やっぱりこれはそれに対応していかなければいかぬということで、先ほど申しましたように、初期段階におけるリスク性、低収益性等から民間のみでは事業遂行が困難なものを対象として民間資金を誘導して事業の円滑な遂行を図ることを目的とするものでありまして、いわゆる独禁法で言う経営支配、これを意図するものでは全くございません。したがいまして、事業が軌道に乗った段階では取得株式を処分するということにこれはしておるわけであります。 開銀出資というのは本来独禁法の適用対象外ではございますけれども、先ほどおっしゃいましたような物の考え方で、やっぱり政策目的が達成された後はそういう独禁法の考え方もあるということを十分認識の上に立ってやっていくべきものでございますので、今度の改正そのものはそういうリスク性、低収益性、公共性そして初期段階と、こういうことでございますので、独禁法の考え方と矛盾するものではない。これからまた法案を提出いたしまして御審議を賜る課題であろうというふうに考えております。
○太田淳夫君 それではちょっと納得できない点がありますので、二、三お聞きいたしますけれども、やはり輸銀法あるいは開銀法改正になりますと、いろんな問題が後から発生をしてきている例がロッキード事件でございますし、あるいはだんだん拡大解釈をされてくるのが今までの政府系金融機関のあり方でもあります。 今大臣の御答弁のありました低収益性とか民間が手を出せない、そういうような困難な事業を対象とするということになりますと、これは出資者としては大きなリスクを覚悟しなければならないということだと思いますね。そうなりますと、今回の出資機能の拡大ということは、何としても償還の確実性、それから金融機関としての健全性、こういうものをやはり開銀は特に要求されているのじゃないかと思うんですが、それと矛盾をするのじゃないかと思うんですけれども、その点どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これはやっぱり開銀の本来持っておりますところの性格、臨調答申の趣旨に沿いまして、量的抑制しなさい、融資比率、融資分野の見直しをしなさい、財政協力等を行う一方、経済社会の新しいニーズにこたえるとの観点から必要な機能の整備を図りなさいと、こういう考え方に基づきまして事業内容、融資対象の見直しという方向に沿うものではないかというふうに考えますので、行革大綱においてそのような考え方は明らかにされておるところであります。したがいまして、これは法律を提出いたしました段階でいろいろ御議論をいただかなければなりませんが、開発銀行という政府関係機関ができまして、あるいは国際競争力をつけるとか、そういう面においてその責めを果たしてきたでございましょう。それが大きく変化しておることは事実であります。 そこで、いま一つの御議論のあるところは、例えば地域開発枠などは民間と競合するようなところへ貸し出し先を探してやっているのじゃないかと、こういうような御議論もいただく。そういうのは極力抑制をいたしまして、そして将来性は我々は信じつつも、初期段階において民間が融資するその信用を補完するという形のものでございますので、運営よろしきを得なければならないことは委員の御指摘のとおりであろうと思っておるところであります。
○太田淳夫君 やがてはだんだんと拡大解釈されていくのじゃないかと思うんですが、このような政府系金融機関の出資機能というのを拡大されてまいりますと、衆議院でもいろいろ問題になりましたが、原資の利払いと償還というものを常に前提として考えておかなければならないところの財投、これにも大きな影響を与えてくるのじゃないかと思うんですね。財投のあり方に重大な変更をもたらす危険がないか、そういうようなことを私たちは考えます。今後このような出資するところの企業、法人がふえてきますと、中曽根総理が死守しようとしております臨調路線と逆行していくのじゃないか、こういうおそれも我々は感ずるわけですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 行革路線すなわち臨調答申の趣旨を体してこのたびの改正を行う、こういうことでありますので、それが将来また民活と都市開発あるいは基礎研究技術等が十分充実していった場合はその株式等の処分もすることにしなければなりませんし、やはり政府関係金融機関の果たすべき役割の範囲というのは、十分私どもも今後とも念頭に置いて対応していかなければならない課題であるということは十分認識しておるつもりであります。
○太田淳夫君 成功をするばかりじゃなくて、大きなリスクがあるところに乗り出す可能性もありますね。もしも失敗したときはどうするのですか。出資金は返ってきませんね。
○国務大臣(竹下登君) これは若干のリスク性があるからこそ民間がそれに積極的に対応しないものの補完の役割を果たすという意味でございますから、若干のリスク性はございます。そして財投全体の問題では、今おっしゃいましたように、言ってみれば安い金利で貸した場合、その利ざやを一般会計から補給していくということになれば、いわゆる財政自身にも影響を与えることでありますだけに、この財政投融資全体を絶えず見直していく中で、今年度も、まあ初めてと言っていいぐらい額としては前年度を下回るような査定をいたしまして、あるべき姿を、あるべき方向を十分基本に置いて運用していかなければならぬ課題であるというふうに思っております。
○太田淳夫君 今お話がありましたように、財投のあり方を見直す中でこれは出てきたとおっしゃっているわけですけれども、政府系金融機関のあり方、そして財投のあり方ということは臨調でも大きなテーマでございましたね。この総合的なやはり検討ということがこれは要求されておりましたね。そういう中であなたは今出てきたとおっしゃいますけれども、我々としますと、国会でもあれだけの論議を生んでいるわけでございますから、やはり全体的な総合的な立場からこれを改正を行っていく、見直しを行っていく、それから個々のいろんな問題につきましては改正を重ねていく、そういうふうになってまいりませんと、ぽちぽちやってばかりいたらかえって矛盾があり、問題点がある。それが拡大するだけで、結局将来の財政あるいは金融行政に大きな禍根を残していくのじゃないか、そういう心配をするわけです。その点、総理大臣、蔵相、どのようにお考えですか。
○国務大臣(竹下登君) 政府関係金融機関、それはこの財投、そして資金運用部資金ということ、あるいは政保債もございますが、そういう全体を見直すべきであるということは私どもも同感でございます。財政投融資のあり方そのものを検討すべきでありますが、このたびの問題は、言ってみれば開発銀行の従来置かれた日本の社会経済上の立場の中で果たし得る機能を充実するわけでございますので、いやしくも民間金融機関等と競合するとか、そういう性格のものではあってはならない、そして財政投融資というものも第二の予算とも言われ、また各政府関係金融機関が時には財政負担を大きく背負ったりしておるわけでございますから、そういうものの見直しというのは、これは絶えずやっていかなければならぬ問題であるというふうに考えます。さらに太田委員の議論を進めていけば、資金運用部の原資たる年金とか、そういう問題にまで恐らく議論は展開していくでありましょう。そういうことも予測しながら、我々も絶えず検討をしておるという状態であるわけであります。
○国務大臣(中曽根康弘君) ただいま大蔵大臣が申し上げましたように、幅広くしかも建設的に金融を充実していく方向で行くべきであると思います。
○太田淳夫君 何かわかったようなわからないような答弁でございますけれども。 総理、やはり私たち心配しておりますのは、開銀、輸銀の改正が行われると何か大きなそれに絡まった事件が今まであったわけですね。そういった点と、あなたが先ほどおっしゃっていました民間活力の活用、そういう面ともぶつかるのじゃないか、あるいは臨調がおっしゃっているような総合的な金融財政総合対策、金融政策あるいは財投の見直し、そういうものがきちっとできてからやはり個々の問題の解決をするべきじゃないか、それがやはり優先していくのじゃないか、こう思うわけですけれども、国民の疑惑を招かないようなそういう方向に進めてもらいたい。この点どうでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国民の疑惑をいやしくも招くことがないように慎重に進めてまいるつもりでおります。
○太田淳夫君 せんだって衆議院の予算委員会におきましても、財投の見直し、あり方につきましては、その見直しを大蔵大臣は理財局長の私的諮問機関である資金運用審議会に諮問をする、このように答弁されておるわけですけれども、やはり財投の運用の合理化あるいは財投事業の見直しということは総合的にこれは行っていかなければならないのじゃないかと思うんですが、やはりきちんとした機関で、私的諮問機関でなくて、やはり行政組織法にのっとった、法的にきちんとした、整備されたそういう審議会等でこれは論議されていくべきじゃないかと思うんですが、その点どのようにお考えですか。
○国務大臣(竹下登君) ちょっと正確な名称を、間違っておるかもしれませんが、理財局長の私的諮問機関というものでかなりいろいろな問題詰めて議論をいたしております。が、正式には総理府、事務局は私どもの方の理財局が担当しておりますけれども、総理府に置かれる諮問機関の資金運用審議会というものがございますので、それで従来の指摘されながら反省してみますと毎年毎年のあり方を相談しておったという傾向があります。だからもう少し深いところで、権威ある機関でございますから、相談してもらうという努力が私どもの方に欠けておったかなというある種の反省も含めながら、その権威ある審議会がございますので、そこで十分議論してもらおうという大体心を固めたというのが現時点でございます。
○太田淳夫君 総務庁長官。
○国務大臣(藤波孝生君) 大蔵大臣の今お答えしました線で総理府本府で進めてまいります。
○委員長(長田裕二君) 馬場富君の関連質疑を許します。馬場君。
○馬場富君 太田議員の行政改革についての関連質問をさしていただきます。 六十年度の超緊縮予算によりまして、予算編成過程では歳出削減はもはや限界であるという声が高まってきております。そして財政再建のためには増税もやむを得ないという空気もまた強くなりつつあります。そのためにやはり行革は六十年度で終わるのではないかという疑問が国民の中に強くなってきておりますが、これに対する、行革に対する総理の御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 六十五年赤字国債依存体質から脱却というのは、行革の我々が設定した大事な一つの目標でございます。しかし現在の国債の累積度合い、それから将来の情勢等を踏まえますと、 〔委員長退席、理事梶木又三君着席〕 やはりこの行革をやってきた精神はあくまでその段階における内閣においても堅持されて進められるべきであると思います。
○馬場富君 ここで私は特殊法人の蚕糸砂糖類価格安定事業団について質問いたします。 両事業団の統合前と現在のおのおのの役員、職員の数、あるいは経理の推移とあわせまして、蚕糸会計にあっては在庫数量、借入金、損益の推移について説明されたい。
○政府委員(関谷俊作君) 蚕糸砂糖類価格安定事業団でございますが、これは五十六年十日一日に日本蚕糸事業団、糖価安定事業団が統合したわけでございます。合併前の五十五年度、それから合併後五十八年度末、これを比較いたしますと、役員数については合併前十七名でございましたが、合併後は十二名に減少しております。職員数につきましては前が百二十七名、合併後が百二十四名でございます。経費につきましては五十五年度が十一億八千二百万円でございまして、五十八年度は十一億九千六百万円で、この総額においては横ばいでございますけれども、御承知のようにその個人件費はもちろん諸経費の高騰等もございますので、事務所の統合等の効果といたしまして全体の経費が横ばいというような推移になったわけでございます。 損益につきましては、蚕糸関係では中間安定という勘定がございますが、ここでは大体五十五年度には損益の発生はなかったのでございますが、その後の在庫の増加、管理経費の増大等のため、五十八年度九十五億円損失の発生を見まして、累積損失額が五十八年度末で百三十八億円に達しております。なお、砂糖関係につきましては五十八年度末の累積のいわば損失額が五百八十億円、とういう数字になっております。 なお、借入金についてのお尋ねでございますが、事業団在庫の増加によりまして五十五年度末千二百六十八億円でございましたが、逐次増加してきまして、五十八年度末千九百三十億円、今年一月末で大体二千百十億円、こういうような推移でございます。
○馬場富君 十二日末現在の累積赤字もあわせてお願いします。
○政府委員(関谷俊作君) 損失でございますが、五十八年度末、ただいま申し上げましたが、百三十八億円ございましたが、五十九年度中の発生損失がその後売り渡し等によって出てまいりましたので、今年度、五十九年度末の決算をいたした段階での累積損失額は大体三百二十億円を少し超える、この辺の数字になると見込んでおります。
○馬場富君 今、当局から御説明のあったように、人においてもまた経費におきましても、あるいはまた累積赤字やあるいは借入金額、在庫等については五十五年度の合併以前よりもなお悪くなっております。このような二つが一つになったという形のみの統廃合で行革本来の仕事減らしやあるいは人減らし、金減らしは一向に進んでおらぬのが実情ではないか。統合前よりもかえってこのような悪い状況を呈しておりますこの蚕糸の会計につきましては、総理はどのようにお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 両事業団を合併しまして、今御報告がありましたように経費においても人員においても節減がされておると思います。しかし現在の状態を勘案いたしますと、やはり寒心にたえないような経理状態にあると思いまして、今後ともあらゆる面で改善努力をしていかなければならないと思います。
○馬場富君 人員が減っておると言われますが、三名減っただけですよ。まして蚕糸の会計については経費は少なくなっていません。これどうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 両方総合して申し上げたわけでございますが、役員数においてはかなり減っておると思います。今後とも蚕糸の会計あるいは糖価の関係におきましても、やはり寒心すべき状況にあるのでございまして、それらのバランスを回復するために今後とも努力していかなければいかぬと思います。
○馬場富君 農水大臣に、このような実は蚕糸事業の会計についてはパンク寸前の状況にあると私は思います。このような状況で日本の蚕糸業者を守るためにはどのように大臣はお考えか、御説明願いたい。
○国務大臣(佐藤守良君) 馬場先生にお答えいたします。 今おっしゃったようなことでございますが、一つは、価格が非常に下がったという点があるわけでございますが、事業団の財政は在庫生糸の管理費の増大で非常に悪化している、これは先生の御指摘のとおりでございますが、今度の法案で実は特別勘定をつくりまして、そういう生糸の買い入れ繭等については別経理をする、また実は今度六十年度予算において損失補てん交付金として四十四億八千八百万円出るようになっております。これも同勘定に繰り入れるというようなことで、法改正後においても三つの点に注意して実は蚕糸事業に努力したいと思っております。 その一つは、現行の中間安定措置をもととして繭及び生糸の価格安定を図る、これが第一番でございます。第二番目には生糸の一元輸入を現行どおり行う、第三番目には蚕糸業の振興のための助成事業を行う、こんなことで今後とも蚕糸業の経営の安定と生糸需要の増進を図ってまいる所存でございます。
○馬場富君 その今の法改正に対する答弁については納得できませんけれども、これは後にしまして、ここで実は大蔵省に正規の繭の昭和四十七年から昭和五十九年までの年ごとの輸入量を説明していただきたい。
○政府委員(矢澤富太郎君) お答え申し上げます。 昭和四十七年から、昭和四十七年が三百五十二トン、四十八、四十九が六百四十四トン、百九十四トンと推移いたしまして、五十年以降、五十年が二千五百五十トン、五十一年が三千七百三十七トン、五十二年二千七百七十三トン、五十三年三千九百三十六トン、五十四年三千百二十一トンと相なりまして、その後五十五年に千二十八トンに減っております。以降は五十六年九百九十五トン、五十七年九百六十一トン、五十八年千三十四トン、五十九年六百十三トンという推移でございます。
○馬場富君 ここで農水省に日本の生繭の四十七年度から五十九年度までの年ごとの生産量を説明いただきたい。
○政府委員(関谷俊作君) 四十七年度からの収繭量でございますが、四十七年度十万五千トンでございます。その後、四十八年以降年を追って申し上げますと、四十八年十万八千トン、四十九年十万二千トン、五十年九万一千トン、五十一年八万八千トン、五十二年七万九千トン、五十三年七万八千トン、五十四年八万一千トン、五十五年七万三千トン、五十六年六万五千トン、五十七年六万三千トン、五十八年六万一千トン、五十九年が約五万トンでございます。
○馬場富君 続いて、農水省が日本の繭の減産指導をした年月日と数量を説明願いたい。
○政府委員(関谷俊作君) 繭の生産につきましては、大変需給事情が厳しくなってまいりましたので、五十六年度から生産者団体が中心となりまして毎年繭の全国生産目標を定めまして計画的な生産を推進しております。特に五十九年度でございますが、大変需給事情が厳しくなりましたので前年対比二五%減という繭の減産を指導したところでございます。
○馬場富君 今説明を聞いておりますと、輸入の生繭というのが四十年代には一けたであったのが五十年代に入ると二けたに増加されております。そして、日本の繭の生産は、かつては四十年代に十万トン以上あったものが、五十年代の後半になってきますと五万トンに減産されております。その上五十六年度から毎年減産指導がなされておりますが、結局輸入品は先ほど説明のあったように少々しか減っておりません。私は、ここでこういう問題が、一つは日本の農家やあるいは日本の蚕糸を守る立場からこんなことでいいのかどうなのか、何のために事業団があるのかということに疑問を持つわけです。ここで私は、かつてくず繭と称して生繭が輸入されておる点を私は五十八年の予算委員会のこの場で指摘いたしました。このために早速大蔵省は通達を出されました。その内容をもう一度ここで説明してくださいまして、あわせまして最近くず繭の輸入の中で、またこのような問題を税関で指摘しているその実例を件数とあわせて御説明願いたい。
○政府委員(矢澤富太郎君) お答え申します。 繭の関税につきましては、今お話がございましたように、良繭とくず繭に分けまして、その基準は繰り糸に適するか否かということでございますが、良繭は有税、くず繭は無税ということに相なっております。 ところで、昭和五十五年五月に輸入貿易管理令に基づきまして、良繭の輸入につきましては通産大臣の事前確認制が必要ということに相なりました。しかしながら、昭和五十七年でございますが、この良繭に係る通産大臣の事前確認規制を免れるために、くず繭と称しまして良繭を故意に混入してくず繭として輸入される事例が出てきたわけでございます。そこで、五十八年一月から繭に対する通関チェックを厳格にするために、関税上の分類の見直しを行いまして、さらに五十八年三月二十六日、当委員会におきます委員の御指摘もございましてこの取り扱いを文書によって徹底させたところでございます。 その内容を一言で申し上げますと、昭和五十七年までの繭の輸入基準は、くず繭と良繭が混入して輸入された場合に、どちらのウエートが高いかということで、良繭にあるいはくず繭にと決めていたわけでございますが、五十八年一日一日以降の扱いは、くず繭と良繭は原則としてそれぞれ分離して分類し審査あるいは関税の課税を行うということにいたしたものでございます。私どもの検査の非違事例でございますが、昭和五十八年に八件、昭和五十九年に四件の非違事例が発見されております。
○馬場富君 今その内容について一、二事例を説明していただきたい。
○政府委員(矢澤富太郎君) 最近の事例といたしましては昨年の暮れに神戸税関で二件の非違事例がございました。この内容は、くず繭として合計五トン輸入申告をしたものでございますが、いずれも良繭が混入されていたという事例でございます。一件につきましてはこの良繭の積み戻しを行い、その他の一件については近く積み戻しを行う予定であると聞いております。
○馬場富君 今説明されたように、五十七年には大量のこの種の輸入繭が出回って、大蔵省の対策によって一時は非常に減量されました。先ほど税関でも指摘されているように、最近この種の、くず繭と称してまたこの外国繭が日本市場へ出回っております。ここで大蔵当局からは、五十七年度のくず繭の大量輸入量とあわせまして、五十九年八日から十二日まで多量の輸入がなされておりますが、その量を説明していただきたい。
○政府委員(矢澤富太郎君) 中国からのくず繭の輸入量でございますが、五十九年八月が五十二トン、前年の同月が四トンでございます。九月が二十七トン、同じく前年同月八トン、十月が百トン、昨年の同月が百三十五トン、十一月が百九十三トン、前年同月が九十五トン、十二月が四十六トン、前年同月が百七トンという数字でございます。
○馬場富君 このように実はくず繭と称して糸が引ける繭が税関の網をくぐって日本に輸入されておるということは、そういうものが事実としたらこれは関税法違反であり、密輸であると考えられますが、大蔵省の見解をお聞かせ願いたい。
○政府委員(矢澤富太郎君) 良繭をくず繭として偽って輸入をいたしました場合には、関税法第百十条によりまして偽りまたは不正の行為として罰則を受けることになります。
○馬場富君 警察にお尋ねしますが、このような問題が実例があるとしたら捜査の対象になりますか、どうですか。
○政府委員(中山好雄君) お尋ねの点につきましては、法に抵触する違反事実がございますれば、警察の捜査の対象としまして税関当局とも緊密な連携をとりながら厳正に対処してまいる所存でございます。
○馬場富君 法によって、日本の蚕糸業者やあるいは日本の国民生活を守るために法がありますが、このような抜け穴があったのでは行革も底抜けになってしまうわけです。そういう点で農林大臣はこういう問題に対してどのように対処されるか。特に危機に瀕しておる事業団、あわせましてこれによって影響を受ける日本の養蚕家たちをどのようにお守りになるお気持ちか、再度お尋ねいたします。
○国務大臣(佐藤守良君) 馬場先生にお答えします。 先ほど言った、国内的には法をつくりまして最大限価格安定とともに養蚕事業の育成に努めたいと思います。また、輸入につきましては、先ほどからお話ございましたことでございますが、現在事前確認制という制度をとっております。これは御承知のように、昭和五十五年五日から繭の輸入が急にふえたということで、輸入貿易管理令に基づいてつくっております。そんなことで、この措置を通じまして生糸の需給働向あるいは国内繭生産の動向等を勘案の上、必要最小限の数量の輸入を行うこととしており、逐年輸入量は減少してきておるのが現況でございます。また、蚕糸業者への非常に厳しい状況にかんがみまして、需給事情等をきわめて、いろいろな問題に適切に対処したい、このように考えております。
○馬場富君 農林大臣、先ほどのような実は不法な問題等が横行しておる事実があって、そういうものをやっぱりしっかりやることが私は行革の上から大切だと思うんです。それは今一般会計から繰り入れして赤字を補てんすればいいというそれだけの問題では済まされぬと思うが、どうですか。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。 先生の御指摘のようなことでございまして、関係省庁とよく協力しまして、その方向で全力を尽くしたいと、こう思っております。
○馬場富君 最後に総理にお尋ねいたします。 先ほど総理もお聞きのように、四十年代には十万トンも生産されておりました日本の繭です。諸問題があって今や四万トン台まで減産して追い込まれてきております。このような蚕糸業者を守る立場から、この問題をどのように今お考えになりますか。今のような、結局インチキな問題やそういうものをあわせまして、五十六年の行革国会のときに、私はここで当時行管長官であった総理に、蚕糸と糖価の統合は蚕糸の莫大な在庫と借金により生ずる今後の赤字を一般会計から補てんするための統合ではないのかと念を押したことがあります。そして、よもやそのようなことはありますまいと念を押して私は質問をいたしました。そうしたら、総理は抜本的な対策を考えるとおっしゃっていましたが、この点につきましてもあわせ御答弁願いたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 蚕糸業の振興は非常に重要でございます。特に、養蚕農家を守っていく、彼らに働く意欲を続けさせて拡充していくということは非常に大事な政策であると痛感しております。しかるところ、生糸、繭の価格が低迷いたしまして、そういうようなかげんから事業団も採算性が逆ざやになってまいりまして、相当な滞貨、金融難を抱えておりますことは甚だ遺憾でございます。これらに対するいろいろな対策を今回も講じたところでございますが、やはり一番大事なことは消費の増大であるだろうと思うんです。そういう意味においてまだ少し努力不足がかなりあるのではないかと思います。 例えば、我々着ているワイシャツや何かにいたしましても、絹のワイシャツの場合はかなり肌ざわりもいいし、保温もいいし上品でもあります。ところが、この間聞いてみましたら、余り絹のワイシャツをつくってないと言うんです。あるいは女性の下着にしても同じではないかと思うんです。日本人は古来絹というものに対する大きな愛着を持っておるので、それをくすぐって、そして大いに絹の消費を増大させる、そっちの努力が甚だ不足している。いろいろな中間的な金融措置を講じたって、消費が増大していかなければ結局はまた同じところへ戻ってしまうわけであります。昭和四十年代にいろいろ苦労して努力いたしましたが、一番ポイントの消費の増大、これはもう官民を挙げて大々的にやるということが必要ではないかと考えております。
○馬場富君 再度質問しますが、総理、先ほどくず繭と称してよき繭が日本に流れている。 〔理事梶木又三君退席、委員長着席〕 そのために繭や糸の相場を乱す。そして結局これが在庫にもつながってくるということがあるとしたら大変な問題ですが、総理、その点についてはどのようにお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり自由経済の中で生きていながら、しかも安定措置を政府は講じてやっているという現状でございますが、一番のポイントは、末端は消費は自由経済の国民の選好性に頼っておるところでございます。その一番最後の最終段階を抑さえないで中間過程を幾らいじってもだめだと私は思うんです。そういう意味において、消費の増大ということを農業団体、政府ともども、また国民の皆さんの御協力を得てするようにすべきであると考えております。
○太田淳夫君 それでは、石油製品の問題について通産省にお尋ねしますけれども、日本では石油製品の輸入、例えばガソリンの輸入は可能なんでしょうか。
○政府委員(柴田益男君) 現在のところ石油製品につきましてはナフサ、重油等の輸入を認めております。
○太田淳夫君 ガソリンについてはどうでしょうか。
○政府委員(柴田益男君) ガソリンにつきましては法律制度上禁止しておりませんけれども、行政指導によりまして関係業界の御理解を得て輸入を現在していない状態にございます。
○太田淳夫君 それは石油業法に基づいて届け出を行えば自由に輸入できるということでしょうか。
○政府委員(柴田益男君) 石油製品の輸入を行う場合には石油業法に基づく輸入の届け出が必要でございます。届け出を行えば製品の輸入はできるわけでございますけれども、現在のところガソリン輸入につきましては我々の行政指導方針としてこれを行わないよう業界に要請しているところであります。
○太田淳夫君 法律上はできるけれども行政指導によってできないようにお願いをしているということでございますが、昨年、神奈川県の一業者から石油輸入業の届け出及び輸入計画が提出されましたけれども、一カ月後にその輸入を断念されたということが報道されておりますが、その事実関係、あるいはその間に通産省として何か圧力をかけたようなことはないでしょうか。
○国務大臣(村田敬次郎君) 太田委員にお答えをいたします。 ただいま御指摘の問題でございますが、これはライオンズ石油株式会社という、社長佐藤太治さんといわれますが、そのライオンズ石油株式会社が、ガソリン輸入に関しまして昨年の十二月三日に同社が石油輸入業開始等の関係書類を通産省に持参をいたしました。本件については国内の輸入製品の安定的かつ低廉な供給に重大な支障を生ずるおそれがあるということで、昨年の十二月二十四日に石油審議会に諮問をいたしました上で、十二日二十七日、通商産業大臣、つまり私の名前で勧告を行いまして、同社の輸入計画の中止を求めたところでございます。 この輸入計画の内容は、昭和五十九年度石油輸入計画について十二月に揮発油三千キロリットル、六十年の一月から三日までに九千キロリットルを輸入したいというものでございまして、通産大臣の勧告の内容は、石油供給計画及び石油の需給事情等から見て届け出に係る石油の輸入は行わないことという勧告でございます。それ以後、本年に入りまして一月八日に同社から当省に対し、勧告を受諾しガソリンの輸入を中止する旨の連絡があった、こういう一連の経過でございます。
○太田淳夫君 石油製品の輸入というのは可能であるにもかかわらず、前回のサワラビ石油を中心とする石油自主輸入の会、そして今回の事件と、さまざまな経過の中でいずれも断念というような形になっているわけでございますけれども、安い石油製品、特にそういう安いガソリンの輸入ということは、消費者の立場から見ますと、これは非常に恩恵があるのじゃないかと思うんですが、その点、消費者から見ますと納得しかねるような案件であると思います。その点どのようにお考えですか。
○国務大臣(村田敬次郎君) 非常に重要な御質問でございます。石油製品は特定油種だけを生産できないという、連産品という特色を持っております。つまり御承知のように石油業法にございますが、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油、それからA、B、Cの重油というものが連産品として出てくるという特徴を持っておりますが、各国の石油製品の価格体系は、連産品という特性でございますので油種別の需要構造等の相違がございまして、ある程度これが異なっておるわけでございます。例えば我が国においては生活必需物資である灯油価格が相対的には低位になっておる、比較的安く手に入れることができる、その分をガソリン価格で回収をするというような構造になっておるわけでございます。 こうした中でガソリンの輸入が行われますと、灯油など揮発油以外の油種の価格の高騰を招くといったようなさまざまな問題も伏在をしております。石油の安定的かつ低廉な供給の確保を図るということで策定された石油供給計画の実施に重大な支障を生ずるおそれがあるということが認められるわけでございまして、またその大半が中小零細業者でございます。五万九千軒の全国のガソリンスタンドの経営の悪化を招来するというようなおそれもございますところからこうした勧告を行い、そしてライオンズ石油株式会社に御納得をいただいた、こういう経緯でございますので、ひとつ御了承をいただきたいと思います。
○太田淳夫君 今回のライオンズ石油の石油製品輸入問題につきましては、一方においては我が国の非関税障壁、これを浮き彫りにしたようなことじゃないかと思うんですけれども、その点に対する通産省の御意見どうでしょうか。
○国務大臣(村田敬次郎君) ガット協定、まあ当然のことながら政府といたしましてはガット協定その他国際法上の義務はこれを誠実に遵守していかなければならないということは当然でございます。 一方、石油業法に基づく勧告というものは罰則の適用はございません。したがって強制力はないのでありまして、あくまで相手側の理解と協力ということが前提でございます。今回のケースにつきましては、先ほど申し上げましたように昨年の十二月に石油業法に基づきます勧告を行ったところでございます。相手側は自主的に判断して輸入を見合わせたものでございまして、したがって通産省としてはこうしたことからガット上は問題がない、こういうふうに認識をいたしておりまして、このことは国会からの御質問に答えて閣議でも決定をしておるところでございます。
○太田淳夫君 外務省としてはこのガットとの関連あるいは貿易摩擦との関連でどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) この問題は通産省が主管をしておられるわけでありますから、通産大臣としても十分慎重に現在国際経済情勢等を踏まえて対応された、こういうふうに思っております。 なお、この石油製品につきましては、我が国に対しまして一般論として製品の輸入拡大の要求が強まっていることは御承知のとおりでございますが、石油については今通産大臣も述べましたように、その安定供給ということも我が国にとって極めて重要な問題であります。したがって、外務省としてはこの両面の必要を踏まえて国際経済関係における秩序の確保のため、責任のある姿勢で対応をしていくということが基本的な立場でございます。 なお、今具体的な問題については、先ほどもお話しのように、相手側が自主的に判断して輸入を見合わせたものであると聞いておりますし、そういうことであれば、その限りではガット上問題とされるには当たらないだろうと、こういうふうに考えております。
○太田淳夫君 外務省としては、この石油製品輸入自由化に対する三原則をまとめたと、そういうような報道もされておりますけれども、これはどのような考え方に立っておるのですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 別に外務省として三原則をまとめたということではなくて、今新聞に出ていることは一応常識的なことを言っているわけで、いわゆるこの石油については安定供給、さらにまた国際化の方向で対応することが必要だと、こういう趣旨を述べておるわけであります。
○太田淳夫君 いずれにしましても、今回のこの問題は石油行政のあり方に対しまして大きな転換を追っているのじゃないかと思うんですが、今石油行政に求められていますことは、民間活力を引き出す条件整備、これであると思いますし、あるいはこれからどうしても国際化へのいろいろ具体的なプログラム、そういうものもやはり責任を持って提示しなければならない、そのように思うわけですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(村田敬次郎君) お答え申し上げます。 石油は我が国一次エネルギー供給の六割以上を占める経済社会の基礎物質でございます。そしてまた、国家社会安定のための極めて重要な物質でございまして、今後ともその安定供給の確保を図ることが極めて重要な課題であると認識をいたしております。 昨年六月の石油審議会の報告書でも指摘されておりますように、石油の安定供給を図るために最小限の介入はこれを行っていくことが必要でございますが、一方において、石油の安定供給の担い手である石油産業の自主的な対応によって安定供給基盤の構築を図っていくことが必要でございます。したがって、消費地精製方式の今後の方向といたしましては、同報告に述べられているとおり、今後ともこれを基本としつつも中長期的には基礎的な条件の整備を図りながら、漸進的に、今太田委員の御指摘になりました国際化の方向に極力持っていくことが必要だと私も認識をいたしております。このために具体的には早ければ五十九年度の年度内に石油審議会石油部会に特別のこのことのための小委員会を設けまして、漸進的な国際化のための基盤整備制度改革その他の問題の検討を開始してもらう所存でございまして、このことは御指摘の御趣旨に沿うものと考えております。
○太田淳夫君 今通産大臣からお話しありましたように、石油製品の消費地精製主義、これも限界に来ているのじゃないかと思うんですが、確かに石油も国家安全保障上欠かすことのできないこれは大事なものでございますけれども、そういった意味で、通産省の立場もわかりますけれども、今までどちらかといいますと石油を政治的な産物にしてきた、そこに問題があるかと思うんですね。いろんな行政を通しながらやってきたと思いますけれども、やはり業界にとりましても十分な蓄積のできないぐらいにこれは疲弊をしているような状態です。それに対するいろんな手も打たれているようですけれども、先ほどお話にありましたガソリンスタンド業界にしましても、乱売で非常な苦境に陥っているところが多いわけです。海外のいろんな情勢を見ましても、あの石油ショック以来、ガソリンスタンドにつきましてもいろんな点で整理をされてきているわけですけれども、我が国だけはその点の手がなかなか伸べられていない。しかも政治的な産物になってきてしまった。消費者の立場から見れば、高いガソリンを売られるという、いろんなことがあるわけです。こういうことは、もう政府全体でこれは取り組んで解決をしていかなければならない問題にもなっているのじゃないかと思うんですが、その点、総理どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 石油の問題につきましては、消費者の利便も一面において考えなければなりませんが、やはり長期的安定供給ということもまた考えて、業界の秩序がある程度維持されながら消費者の需要にも合うように措置していく必要があると思います。そういう意味におきまして、今の業法を適切に運用していくことが当面大事ではないかと思います。
○国務大臣(村田敬次郎君) ただいまの中曽根総理の御答弁で尽きておるわけでございますが、総理の御指示のもとに、また先ほど外務大臣からも適切な御答弁がございました先般の佐藤太治社長のライオンズ石油輸入の問題につきまして、私どもも外務大臣ともよく御相談を申し上げ対応したわけでございますが、現在の段階では、消費地精製主義、また一連の産品という関係で、石油乗法に基づく行政を適切に運営をしておるところでございます。今後、先ほど申し上げましたように、本年度中にもこのためのプロジェクトチームを設けまして、先生御発言の御趣旨に沿って長期的なビジョンをひとつ運営してまいる所存でございますので、御了承をいただきたいと存じます。
○太田淳夫君 最後に、この問題に対しましていろいろと業界の方々の陳情もございますが、ガソリンスタンド業界の方々からの陳情も来ております。そういった意味で、スタンド業界の皆さん方の苦境をやはり救済するような方途もあわせて考えていただきたい、このように思いますが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(村田敬次郎君) 石油業界の不況の状況、また経営の非常な苦しさというものもよく承知をしておりまして、実はいつも資源エネルギー庁長官とともにこの問題については真剣に検討をいたしております。そして現在まで進めてきた行政方向は正しい方向であると信じておるのでございまして、今後とも総理の御指示のもとに、またガット協定その他の問題につきましては外務大臣と御協議を申しながら、適切に進めていく所存でございます。
○太田淳夫君 次に、じゃ、国鉄の総裁にお尋ねします。 最初に、今回国鉄は運賃値上げを申請されましたが、学割につきましてはどの程度の申請率でございますか、値上げ率でございますか。
○説明員(仁杉巖君) 学割につきましては、今まで七一%の割引をいたしておりましたが、今回申請する内容では、一%上げまして七〇%にするということでございます。
○太田淳夫君 この通学定期の割引の問題につきましては、かねてから政府部内でもよく検討されていると思いますが、これは関係閣僚会議等でよく検討するという答弁がありましてからもうほとんどこれは進んでいない。特に学生割引につきましては、これは文教政策上の問題を国鉄が引き受けざるを得ないというような状態でございますが、この点についての閣内における討議、そして国鉄救済という立場から、この学生割引につきましてもやはり所管の長がきちんとすべきだと思うんですが、大蔵大臣、総理大臣、どのようにお考えですか。
○国務大臣(竹下登君) 社会保障関係は厚生省、あるいは文教関係は文部省、そういうところがいわば学割に見合うものを国鉄に対する助成として検討すべきではないか、こういう趣旨ではないかと承ったわけでありますが、やはりいわゆる教育なり社会保障の問題を国鉄の運営そのものとリンクさせて考えるということは私どもとしてはとらないところでございます。あるいは私が答弁するよりも担当相からの答弁が適切かとも思いますが、財政当局としては、そうリンクさせた物の考え方でこれに対応するという考えはとらないという考え方で今日まで至っております。
○国務大臣(藤波孝生君) この問題につきましては、衆参予算委員会でもいろんな御指摘も従来もいただいてきており、また総理の命を受けて内閣官房から関係各省庁に対しましていろいろ協議する努力を重ねてきておるところでございます。しかし、なお議論が煮詰まるということになりませんで、結論を得ておりませんことは大変申しわけないと思いますが、さらに関係省庁でよく協議をしてこの問題に対処していく努力を重ねてまいりたいと思いますので、いましばらくお時間をいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。
○太田淳夫君 努力、努力でもう十何年たっているわけでございます。もういいかげんにしていただきたいと思いますよ。 それから、総理は施政方針演説で、いよいよことしは国鉄の抜本的改革に取り組む、こういうことをおっしゃっておりましたけれども、総理の国鉄再建への意気込み、これは監理委員会の答申の完全実施にあるのかどうか、その点をお伺いいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 法律で尊重すべきものと規定されております。したがいまして、監理委員会の答申が出ましたときによく検討を加えまして、監理委員会の趣旨に沿うように具体的に実行してまいりたいと思います。
○太田淳夫君 ということは、答申の内容を政府部内で取捨選択をして、政府の都合のよい分だけをつまみ食いする可能性もあるということですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) 尊重と書いておりますから、言わんとする趣旨を最大限採用して実行していくと、そういうことであるだろうと思います。
○太田淳夫君 運輸大臣は去る一月十日に国鉄総裁にお会いになって、国鉄再建への協力を求められた、このように聞いておりますが、大臣の真意はどこにあるのでしょうか。
○国務大臣(山下徳夫君) ただいま一日十日に会ったというお話でございますが、国鉄から意見が出ましたのが一月十日でございまして、私はそれを受けて一月二十二日にお会いをいたしております。 それで、かねがぬ監理委員会から国鉄の意見を求められておったといういきさつもございますし、国鉄から出されること自体これは結構だと思います。また、経営形態の変更につきましても、特殊法人によって云々ということは御承知のとおりでございまして、これはそれなりに評価すべきでございますが、一貫して臨調以来、どうして今日ここまで追い込まれたかというと、これは一つはやはり全国一律という運営に問題があったということでございますから、そういう観点からいたしますと、この一月十日に出されました国鉄の意見は、分割問題に全く触れておられないという点、その他いろいろございますけれども、私どもとしてはまだ納得のいきかねる点があると、かように理解をいたし、総裁をお呼びしてその点についてお尋ねもし、また私どもの意見も申し上げたのでございます。
○太田淳夫君 国鉄として今回検討されて自主再建案を出されましたけれども、これは当然の措置だと思いますが、総裁、この案の基本点は何でしょうか。
○説明員(仁杉巖君) お答えいたします。 先生御承知のとおり、国鉄を取り巻く情勢が非常に厳しくなるということでございまして、この状態の中で国鉄の将来がどういうふうになっていくかということをまず想定をいたしました。これは余り長いこともどうかと思いまして、大体六十五年度程度を目標にいたしましていろいろと分析をしてみたわけでございます。しかし、いずれにいたしましても現在の体制のままでまいりますと大変なことになるという認識を持っておりまして、これを何とか変えなければいけないということは、臨調初め監理委員会も言われていることでございます。 そういう点を頭に置きましていろいろと検討をしてみたのでございますが、まず第一になすべきことは、国鉄が自分でなすべきことをするということが前提にならなければいけないということが認識でございまして、そのために、前から問題になっております職場規律の問題であるとか、あるいは増収努力というような問題もございます。また、大きい問題といたしまして、私鉄と比べた場合に効率化をもっとすべきであるという御議論もございます。またこれに絡むかと思いますが、経費の節減というような問題点もございまして、それにさらに膨大な累積債務を持っております。こういうものに対してやはり土地を売るべきではないかという御議論もございます。それらを踏まえまして、私どもといたしましては、まず自分のなすべき事柄として、これらの問題についてできるだけの努力をしたというつもりでおるわけでございます。しかし、その中でもやはりどうしても我々の手に負えない、国鉄としてもどうにもならないと思われるものに長期債務あるいは年金負担、あるいは地方交通線のいろいろな構造的な問題というような点がございます。これらにつきましても分析をいたしまして、こういう点につきましては、まことに申しわけないとは思いますが、国民の皆様方に御負担願えないだろうかというような基本の立場に立っておるわけでございます。 経営形態につきましては、そういう中で御指摘がありますように、今までのような公社というものが親方日の丸的であるという御批判が非常に強くございます。我々といたしましては、これに対してやはり民営化というような立場をとってまいる、それによりまして今までの親方日の丸的な経営者あるいは職員ともどもでございますが、そういう意識を取り去りたいということもございましょうし、機動的に社会経済の変動に対処するというような必要もございます。また、関連事業ももう少し自由にやりたいというようなことを考えて昭和六十二年四月を目途にして民営化をするということにしたわけでございます。 分割の問題もいろいろ検討をいたしたのでございますが、実は職員の効率と申しますか、減少をさしていくテンポが十八万八千、これは六十五年が目当てでございますが、十八万八千というような、現在三十二万おります人をそこまで減らすというような考え方をしておりまして、自然減耗と並んでまいりましても大体二十五万五千ぐらいにしかならないというような点を考えますと、また累積債務の問題も年金の問題にいたしましてもなかなか簡単にいきそうもないということも考えまして、私どもといたしましては、とりあえずそれらの対策を逐次やっていくために六十五年まで一本の形でやらしていただけないだろうかという案を出したわけでございます。これにつきましては、もちろんいろいろな御批判もあると思いますが、六十五年度までにそれらの問題も見直しまして、分割も含めてさらに検討を進め、きちっとしたものにしてまいりたいというようなことが基本的な考え方でございます。
○太田淳夫君 再建案を見ますと非常に努力をされたことがわかるのですが、総理はこの国鉄自身の自主再建案につきましてまことに甘いものだというような評価をされたとも伝えられているわけですけれども、今後国鉄にどの点でその甘さを脱却するように総理としては望まれているのでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) まず国鉄は国民全体の財産であって、国民の財産をお預かりしているという観念が国鉄内部になければならぬと思います。そして、今日のこういう状態に至った経過を考えてみると、国鉄だけの責めに帰すべからざる理由もございますけれども、国鉄にある部分も大いにあるとも思っております。そういう面からこの間の国鉄の意見を読んでみますと、これは各方面から非常に大きな批判を浴びたとおり、依然として親方日の丸主義が改まっておらない。そして、政府にすがり、あるいは大蔵省にすがって、今までと同じように二兆円ずつぐらいお金をもらわなければやっていけないというような泣き言みたいなことが書いてありました。国民から見れば泣き言にとられたのではないかと思います。やさしく言えばそういうことじゃないかと思うのです。私はそういうことでは、これはおよそ臨調がつくられ、また今の審議会がつくられましてやっているのと筋が違う。厳しく批判すべき点は批判をし、また、いざというときに国が支えてやらなければならぬある意味における長期債務とか、あるいは人員の問題とか、そういう問題については政府全体で取り組んでやらなければならぬと思いますが、一番の基本は何といったって国鉄自体がしゃんとしなければだめなんだと、そういう考えを持って申し上げた次第なのであります。
○太田淳夫君 今、国鉄自身の自助努力ということでお話がありました。国鉄としては、資産充当につきましていろいろと考えてみえますが、どのようにお考えですか。
○説明員(仁杉巖君) 今までも資産は、年間最近では千六百億程度のペースで売却さしておりますが、これは大体損益勘定の方に入れまして赤字を埋めるというような方向でいっているわけでございますが、今度の基本方策におきましては、そういう形では、やはり年間二兆円近い赤字が出てくるというような形になりますので、もし六十二年の四月という時点を考えましても二十五兆ぐらいの累積債務が累積するというような計算になりますが、この中で我々といたしましてやはり持っていくものは持っていかなければいけないというふうに考えまして、投資に見合う分といたしまして大体九兆六千ぐらいを考えたのでございますが、そのうち我々としましてはかなり努力をしたつもりでございますが、三兆円ぐらいのものは土地を売ってこれを埋める、あとの六兆六千は長期にわたってお返しをするというようなことで、資産の売却については大体そういうような考え方を基本方策の中では持っておるわけでございます。
○太田淳夫君 総理、何といっても最大の課題は、長期債務の問題等あると思いますが、前大臣は、長期債務の処理なくしては民性化はあり得ないと、こうおっしゃっていますし、長期債務につきましては、国鉄自身の経営のまずさ、それも当然あったでしょうけれども、あなたが先ほどおっしゃいましたように、政治的に発生したものもこれは八〇%以上あるのじゃないかというのが国民の大方の見方です。 さらに再建委員会ではその処理は国民に負担を仰がざるを得ないと、このように指摘されておりますし、今審議中でございますので、あとは答申の結果を待つことになろうかと思いますが、国鉄の再建案、これでは六十一年の末に二十五兆円の長期債務のうち、減価償却相当分と増強改良工事相当分を除くところの九兆八千億円について政府に処理を求めているのですけれども、この点については総裁どのような処理を要望されていますか。
○説明員(仁杉巖君) この問題は、私どもも行政当局でございませんので、なかなか名案を出すということではございませんので、政府の方で額がどうなるかということは監理委員会の御答申の中で示されると思いますが、それに関する処理に関しては、政府の御方針に従いまして我々もできる限りの御協力をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
○太田淳夫君 運輸省は、かねて長期債務プロジェクトを設けて検討をされたらしいのですが、この長期債務の処理についてどのようなケースを考えておりますか。
○国務大臣(山下徳夫君) ただいま先生御自身から具体的な数字を挙げての御質問でございますけれども、私は一応概括的な立場から申し上げて、不十分な点はまた事務当局から御答弁をいたさせますけれども、基本的にはこれはとにかく長期債務をどうするかということが国鉄再建の一番大きなかなめになっておることはあえて私から申し上げる必要もございません。 そこでこの問題につきましては、再建監理委員会の第二次緊急提言におきましても、まずできるだけのことは自分のところでやりなさい、つまり現在持っておられます財産等をまずこの財源に充てなさいということが明記されておるわけでございまして、政府としましてもこの緊急提言を最大に尊重しなければならぬことは当然のことでございますけれども、やはりこれから民営等にいたしました場合にはいろいろとまた事業の拡大等も考えられますので、この際、企業みずから行うところの一つの企業用と申しますか、事業用ですか、あるいは非事業用と、そういう一つの分類を今急いでおられるというふうに承っておりますし、基本的には監理委員会の御決定を待って私どもは監理委員会の意見を尊重しながら作業をいたしたい、かように思っておる次第でございます。
○太田淳夫君 先ほどの国鉄の用地売却につきましても、いよいよ監理委員会の答申も提出されて、政府としての結論も得る段階に来ているわけでございますから、やはり国鉄のサラ金体質の売り食いにも等しい方法で、こういった用地の売買が行われるということではなくて、国民の納得のできるような再建がいよいよ達成できる、そういう方途が確定してから効果的にこれが売買される方がむしろ国民にとってプラスになるのじゃないか、このように私たちは思うわけです。 長期債務、これは何かの形でもって国民の負担で処理しなければならない部分が多いかと思いますけれども、その国民の理解を得るためにも、負担を軽くするためにもやはりきちんと再建ができる、そういう段階で私はやるべきじゃないかと思いますが、その点どのように総理お考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 具体的には、監理委員会の答申を待ちまして政府としても検討の上これを実行していくということでございますが、やはり一番基本的なものは国鉄がみずからこれを正してやるという気概を持ち、実行することであり、それなくして国民の支持を得ることはできない現状にあると思っております。そういう答申が出てきましたら、政府といたしましては政府全体としてこの問題を取り上げる、そういう姿勢をもちまして努力してまいりたいと思います。
○太田淳夫君 政府全体の問題であるというお言葉をいただきましたけれども、あと余剰人員対策の問題があるわけですが、これもやはり私は国鉄だけの問題ではないと思うのです。国鉄の自主再建案でも、国鉄再建監理委員会のいろいろな御提案の中でも余剰人員は合理化の推進によって六万ないし七万人も発生すると言われております。これは国鉄労使の当然大きな協力によって、これはいろいろな面で解決策ということも検討されているかと思いますけれども、このような大量の離職者が発生しないことが一番望まれるわけです。そのための努力を当然国鉄労使、これが中心になってされると思いますけれども、やはり先ほど総理からお話がありましたように、国鉄の問題はこれは大きな政府全体の問題です。したがいまして、こういった大勢の皆さん方が余剰人員として、離職者として発生しないように、やはり国がいろいろと民間企業に対して再就職のあっせんをしたり、あるいはいろいろなアイデアを出していく、それで少しでも国鉄の従業員の皆さん方が安心して職場で再建に努力できるような、例えば昭和三十四年の炭鉱離職者救済制度、このような救済制度の特別立法ということが必要になろうかと思うのです。 国鉄の再建が論議されてから長くなるわけですから、もう既にそういった手が打たれてなければならないのじゃなかったかと思うのですけれども、先だっての参議院の決算委員会でも、亀井委員長は我が党の委員の質問に対しまして、再雇用を後押しするため、炭鉱離職者のときと同じような法的処置をとることも考えられる、このように御答弁されているわけです。総理も本会議の答弁で強力な支援をする、このようにおっしゃっておりますんですが、このような救済方法を、やはり強力な支援となると思いますが、その点どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 人員処理の問題は、これはやはり政府全体の仕事として取り組んで応援してやらなければならぬと考えております。
○太田淳夫君 立法処置についてどうお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 立法処置の問題は、監理委員会の答申が出た時点におきましていろいろ検討してみるべき問題であると思います。
○委員長(長田裕二君) 以上で太田君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(長田裕二君) 次に、穐山篤君の質疑を行います。穐山君。
○穐山篤君 監理委員長の御都合もあるようですから、順番を変えて、監理委員長から逐次お願いをいたします。 一月十日に国鉄側から国鉄再建についての一つの案が提出をされたわけですが、これについてどういうふうに分析をして、さらにどういう評価をされているか、その点まずお伺いします。
○参考人(亀井正夫君) お答えいたします。 一月十日に国鉄から監理委員会に対しまして、国鉄の基本方策なるものをちょうだいいたしましたのですが、これにつきましての私どもの判断は当日委員長談話という形で出しましたわけでございますが、結局あの改革案は今までの延長線上の解決案である。昭和四十四年以来数回にわたって同じような改革案が出てきましたが、いずれも失敗をしている。今回のがたしか第五回目と思いますが、五十六年から六十年の間で、六十年は既にもう目前に迫っておりますけれども、これでだめだということでございますので、基本的には抜本的な改革案ではない、こういう評価をしたわけでございます。
○穐山篤君 今もお話がありますように、昭和四十四年以降幾つか再建法が出ました。ところが失敗をしているわけですが、その再建法が当初予定しておりましたように再建できなかったという点について、監理委員会ではどういうふうに分析をされたのですか。
○参考人(亀井正夫君) これは、非常にいろいろな原因の複合原因だと思います。例えばモータリゼーションの発達とか、航空機の発達、こういうものが予想以上に伸びた、それによって鉄道が左前になってくるというような原因もあったと思いますけれども、私どもが民間経営者の観点から見た場合には、やはり一番大きな原因は、経営責任というものが、非常に公社の仕組みというところが不明確であるという点と、第二に労使関係というものがどうも非常にぎくしゃくしてうまくない、こういうようなところが一番の根幹の原因ではなかろうか、こういうふうに判断しておる次第でございます。
○穐山篤君 昭和五十五年、それから昭和五十八年の五月に、いずれも再建のための法案が出たわけでありますが、私ども国会には、昭和六十年までに三十五万人体制にする、そして幹線では助成後百億円の黒字を出す、そういう説明をして法律が成立をした経緯があるわけです。その点について総裁はどういうふうに過去の状況を分析をされていますか。
○説明員(仁杉巖君) 昭和五十六年に、「後のない計画」と言われる国鉄経営改善計画というものができております。それを昨年変更をいたしております。この変更を見ますと、大きい問題として、輸送収入でございますね、収入が非常に減っているという問題がございます。しかし、同時に経費もかなり減らしているということがございます。いずれにしても、この辺になりますとやはり計画当初の数字と合っていなかったということが言えるかと思っております。 そういったことでございますが、御承知のとおり、三十五万人という効率化を三十二万にするというように計画変更をしたというようなことによりまして、この計画はもともとそうでございますが、幹線系ではどうやら収支が償うという計画は達成できるわけでございますが、地方交通線、地方バスあるいは特定人件費というようなものを見てまいりますと今までより悪化をしているということでございまして、これはその間の退職人員がふえたとかいろんな問題点があったためでございますが、そうしたことによりまして、全体として最初の計画では六十年度二千七百億の一般損益で黒のつもりが二百億に減ってしまったというような結果になっているわけでございます。 これら、いずれも当初の見通しが必ずしも当たらなかった、しかし、その間において努力をして経費を削ったことによってある程度改善はできたんだけれども、当初の目的ほどに達成されていないというふうに理解しているところでございます。
○穐山篤君 組合にも世間にも国会にも、三十五万人体制でいけば再建ができると、ところが、無残にも失敬をしたわけですね。国鉄の部内では、その責任について議論をしたことがありましょうか。
○説明員(仁杉巖君) この辺のところが一つ非常に親方日の丸と言われるところだと思いますが、当時の立案者と現在おる者との間に必ずしも同じでないというようなこともございまして、必ずしも今この責任をとるとかとらないとかいう議論をしているわけではございません。 ただ、今後立てますことにつきましては、将来ともにきちっとした形をとるようにしてまいりたいというふうに思っております。
○穐山篤君 運輸大臣、国鉄側から毎年経営改善計画というのが出るわけです。一部手直しもありましたが、承認をしているわけですね。ところが、今も指摘をしますように見事に失敗をしたわけです。そのことについて省内ではどういう責任の議論をしたことがありましょうか。
○国務大臣(山下徳夫君) 過去幾たびかの経営改善計画がそのとおりに実施できなくて今日赤字の累積になっているということは御指摘のとおりでございまして、その原因につきましてもただいま監理委員長並びに総裁からこもごもおっしゃったとおりでございます。 一口で言うならば、人員計画はそのとおりに進捗しても収入が伴わなかったということが最大の原因であろうかと思いますので、ここらあたり私どもは原因をさらに深く過去の実績等を検討しながら、つまり鉄道の特性を生かし切れなかったとか、先ほどもお話がございましたモータリゼーションについていけなかったとか、いろんな問題がございますけれども、そういう点も深く我々も過去を振り返って見ながら、また再建監理委員会はこれからこの問題を中心として作業をしていただくわけでございますから、その結果を待って再建監理委員会とよくお話しをしながら、これらの問題についてさらに善処してまいりたいと思っております。
○穐山篤君 総理、今もお話がありますように、国会に法律を出して、こういう案でいけば再建ができます、こういうものを過去出しているわけですね。ところが、ことごとく失敗をしているわけです。そこで、親方日の丸とか、あるいは輸送構造の変化に追いついていかない、こういう説明だけで事が終わろうとしておるわけです。私はこれは許せないと思うんです。その点、総理の御感想はいかがでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 何回かいろいろな構想が出まして改革に努めましたけれども、結局は、今から反省してみますと抜本的な改革案ではなかった。それは、一つは経営に対する甘さ、あるいは労使関係に対する正常化への努力の不足、これは労においても使においても、両方者うべき問題があったのでございましょう。そういうようないろいろな問題に対するやはり抜本的な決断、方法の不足という面が今から考えると反省されるのではないかと思います。
○穐山篤君 それだけではちょっと答弁にならぬですよ。これからはこういう事態が起きないというふうに内閣としては責任をお持ちになりましょうか。計画が十分に実践をされないために計画が見事に失敗をした、そういう場合の責任の所在はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) でありまするから、臨調及び臨調答申に基づく監理委員会設置ということをやりまして、今度はもう根本的な改革を考えていただき、その答申を得まして、政府はそれを検討して実行しようとするのであります。最終的にはこれは政府の責任に帰することであります。
○穐山篤君 国鉄が運賃の値上げを申請をいたしました。その中身は後で審議しますが、監理委員長としては、この四・四%の運賃の値上げについてどういう御感想をお持ちですか。
○参考人(亀井正夫君) 昭和六十年度予算計画が国鉄から出まして、運輸大臣から私ども意見を求められたのでございますが、まあ運賃の値上げというのはなるべく避けた方がいいと考えたわけです。そこで、金利負担が非常に大きいということは、借金が多うございますから、せめて金利を一千億減らせば四%ぐらいは我慢できるのじゃないかということで検討をしていただいたのでございますけれども、いろいろな仕組みでどうしても金利が減らせないということで、やむを得ず、それでは仕方がないという意見を申し上げた次第でございます。
○穐山篤君 運輸大臣はこの運賃の値上げの申請についてどういうふうな御感想をお持ちですか。
○国務大臣(山下徳夫君) 過去におきます赤字の累積等の原因の一つとして、やはり公社制度という立場から運賃の値上げが適切に行われなかった。つまり、非常に時期的にずれたり、いろいろな問題があったわけでございますから、やはり今後健全なる運営に転化していくためには、適切なる運賃の値上げということも要件の一つであろうと理解をいたしております。ただ、どの程度の運賃の値上げが適切であるかということにつきましては私の方も事務的に随分詰めたわけでございまして、一応一千億円程度は、今年度は、ひとつ利用される方々に御負担いただかねばならないだろう。そのためには、運賃を値上げすることによってまた乗客が若干減るかもしれないから、そこらあたりの目減りも計算に入れながら終局的には一千五十億円程度はお願いしなければならぬだろうと、こういう結論に達して、私どもはこれを了承したわけでございます。
○穐山篤君 臨理委員長、新聞では中間答申が何月ごろ出るとか、あるいは本答申が何月ごろ出るというような報道がされているわけですが、監理委員会としては正式にどういうふうにお考えですか。
○参考人(亀井正夫君) 監理委員会のスケジュールといたしましては、本年の七日に本格答申を総理の手元に提出するということをお約束をしておる次第でございまして、目下鋭意検討中でこざいます。ただ、中間の答申といたしましては、昨年の八日に第二次答申というものを出しまして、大体私どもの考え方、スタンスを明確にした、これからいよいよ具体的作業で、現在詰めておる段階でございます。
○穐山篤君 中間答申なり緊急提言というのはよくわかっていますが、本答申の中で重要な柱が幾つかあると思うんですね。その点についてはどういう作業をなされているのですか。
○参考人(亀井正夫君) 本格答申にいろいろな問題がございますけれども、私どもは、法律に定められましたように、まず今の鉄道事業の効率的な経営形態の確立ということが第一でございます。第二には、適正な運用の確保、それから長期債務等の処理の問題がございますが、それに関連いたしましてやはり余剰人員対策といいますか労働問題の問題、この三つが大きな三本の柱になるということで現在作業を進めておる次第でございます。
○穐山篤君 国鉄は言うまでもなく国有、国民の財産ですね。どういう案をつくろうとも、どういう計画を立てようとも、国民が納得しなければそれは絵にかいたもちだというふうに思うのです。国民合意の案を作成するためにはいろいろな方法をとる必要があろうと思うんです。そういう手順についてはどういうふうにやられてきたのか、あるいは本答申までにどういうことをお考えなのか、その点をお伺いしたいと思います。
○参考人(亀井正夫君) 御指摘のとおり、これは非常に難しい問題でございます。同時に、いろんな人があらゆる意見を言い得る可能性のある問題でございます。そこで、先生の御指摘のとおり、やはり大多数の国民の方々がなるほど改革はこれより方法がないなと御納得のいく案をつくりたいということで現在非常に苦労しておるわけでございますが、今までも、それぞれの関係の鉄道事業についての造詣の深い方とか、あるいは労働組合の代表の方であるとか、地域の代表の方であるとか、いろいろとあらゆる機会に耳を傾け、また北海道とか全国各地、九州の端までそれぞれ我々委員が現地にも行きましていろいろお話を聞いたり視察をするということで努めてまいった次第でございます。
○穐山篤君 特にいわゆるローカル線を持っているところの住民の意見というものについても掌握をされていると思いますが、その点はどうなんでしょう。
○参考人(亀井正夫君) 一次、二次予定線がございますが、そういうところからいろいろ各個に私どものところへお話しに来られる方には伺っておりますが、全部聞くわけにいきませんで、既に転換をしたところがその効果がどうであったか、例えば北海道の白糠線であるとか、新潟県の赤谷線とか、バス転換をしたために非常に地域の住民の方は喜ばれておると、こういう実情もつぶさに見てきておる次第でございます。
○穐山篤君 まあ私の意見とは多少違いがありますけれども、そのことはまた別に議論をしたいと思うんです。 総理、国鉄再建については常に、監理委員会の答申が出れば出ればというふうにずっと基本的な考え方を明らかにせずに来ているわけですね。監理委員会の答申というものが唯一絶対のものであるかのような印象を受けるわけですが、私は必ずしもそうじゃないと思うのですね。たった五人の先生方の考え方です。したがって、政府としても国民の合意を得るために何らかの手順を踏む必要があるし、また、手順を踏まなければならぬというふうに考えますが、その点いかがでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国民代表である国会の議を経て成立した法律に基づいて監理委員会が設置され、その人員の選定につきましても国会の御同意を得て人員の選定が行われ、そして今審議が進められておるわけです。したがって、ここで出てきました答申というものは、やはり国会の御承認を得た権威のある答申であると私は考えます。それが出てきましたら、今度は政府は政府としての立場でこれを検討して、そしてその答申が出てきた場合にはいろいろ賛否両論、いろいろな議論が出てくるでしょう。特に今度の問題は具体論になりますから、利害関係者も多いことでありますし、いろいろ出てくるでありましょう。それらの世論の反応というものを政府は適切にくみ上げながら、そして実行案を作成する。それらは、いずれまた国会へ提出するという形に必ずなるわけです。予算についても国会の御承認をいただくという過程を経る。国民代表の目の届くところでいろいろな御議論をいただくということでありますから、私は現在の憲法下における制度としては非常に民主的な、何回か手数のかかったやり方でこれが行われていると承知しております。
○穐山篤君 一昨年、五十八年の八月の二日に監理委員会から緊急提言が出されました。それについて、国鉄側は、どこまで提言については実行されたというふうに見ているのか。また、監理委員長として、この緊急提言がどの程度まで評価されるものであるのか、その点引き続いてお伺いしたい。
○説明員(仁杉巖君) 御承知のごとく五十八年八月にいろいろな御提言をちょうだいいたしております。そのときの管理機構の見直し、職場規律の確立、地交線の整理促進、貨物輸送体系の転換、荷物、自動車の合理化、工場の合理化、病院の合理化、要員の縮減、物件費の節減、運賃の適正化、関連事業の増収、設備投資の抑制、資産の売却の促進というようないろんなテーマが出ております。第二次でも同じよう——同じようと申しますか、要員対策、用地の取り扱い、地交線、貨物輸送、自動車、管理機構の見直し、職場の改善、関連事業というようないろんな点が出ております。 これらにつきましては、私どもといたしましては、できるだけ現状を改革するような努力をいたしたつもりでおります。例えば管理機構の問題にいたしましても、地方の組織もかなり大幅に縮減する、あるいは北海道、九州、四国等の組織を一元化するというようなこと、あるいは自動車等の事務所を管理局に統合するというようないろいろなことをやっております。また、職場規律の改善につきましてもいろいろ努力をいたし、まだ十分ではございませんが、ある程度効果が上がったのではないかというふうに思っておりますし、第一次地交線につきましては既にほとんどが転換を終えるというようなことで、これから第二次にかかり、来年からは第三次もやるというようなことで努力をしてまいっておりますし、要員のことにつきましては、先ほど触れましたとおり、将来の見通しとして十八万八千というような数字も出して、この御提言に沿って努力をしてきておるつもりでおります。
○参考人(亀井正夫君) 私ども一次、二次と提言を出しまして、ただいま総裁からお答えがありましたように、その線に沿って大変努力をいただいておるわけでございますけれども、私ども委員会としての率直な感想を申し上げますと、組織が巨大であるために非常にスローモーションだということであります。民間企業であったらもっともっと適切、迅速に処理ができるのが、非常に遅い、こういう感じは持っておる次第でございます。
○穐山篤君 監理委員長はもう結構です。
○委員長(長田裕二君) 亀井参考人には大変御多端の中を遠路わざわざおいでいただいて、まことにありがとうございました。
○穐山篤君 要員が相当縮減をしたというふうに言われているわけですが、現在は定員、それから実員ですね、いわゆる過剰人員というのはどういう関係になっていましょうか。
○説明員(太田知行君) 現在員は三十三万七千人でございまして、所要人員と比べまして約二万四千五百名の余剰人員でございます。ただし、五十九年度初でございます。
○穐山篤君 この三月にまたダイヤ改正を行うわけですが、この場合でも多分余剰人員が出るであろうというふうに思いますが、それは何人ぐらい予定していますか。
○説明員(太田知行君) 五十九年度、本年度の合理化予定数は二万五千人でございます。これは今お話がございましたダイヤ改正ももちろん入っておりますが、そのほかにも検修部門でございますとか、電気の部門でございますとか、あるいは営業部門でございますとか、業務運営の全般にわたりまして所要人員の見直しをするという結果として出てきたものでございます。三月のダイヤ改正の分は少なくとも一万人以上を予定している次第でございます。
○穐山篤君 ということは、六十年度、ことしの四日当初は約三万五千人ぐらい過剰人員が出ると、こういう意味ですか。
○説明員(太田知行君) 余剰人員の見込みは、現在員がどうなるかということと、実際に仕事をするために必要な、私どもこれを所要人員と言っておりますが、その所要人員との差で決まってくるわけでございます。 そこで、一番大きな要素でございますところの現在員の推移でございますが、毎年国鉄では年度末に特別退職を実施しております。当該年度五十五歳になった職員が勧奨により退職していくわけでございますけれども、年々多少その率に変動がございまして、今の時点でまさに募集中でございますので、的確な数はお許しいただきたいと存じますが、通常の五十五歳の職員の退職が実現できて、かつただいま余剰人員対策として、五十六歳以上の者が約一万名ちょっとおるのでございますが、その職員に対しましても特別な退職を勧奨しておりますので、これがある程度実績が上がってまいりますれば、例年よりは現在員の減少はかなり多いように期待できるかと存じます。 一方、所要人員の削減は合理化の方でございますが、これもまた一番大きな要素でございますダイヤ改正を三月に控えておりまして、今鋭意団体交渉をやっておりますので、今の時点で的確な数はお許しいただきたいと思いますが、私どもの予定しておりますような二万五千名程度の合理化が実現できますれば、六十年度初におきましては、退職人員の方が期待どおりであれば合理化を上回りますので、二万四千五百名を押し上げる、少なくする方向に作用するのではないかと期待しております。二万名を少し割る程度の六十年度の初におきまして余剰人員になるかと推定をしている次第でございます。
○穐山篤君 その余刺人員対策についてはどういうふうにお考えですか。 それから、現に山下運輸大臣のあっせんで労使がテーブルに着いたようでありますが、これは当然再建並びに当面の余剰人員対策問題に集中するだろう、こういうふうに思いますが、その成り行きはどうなんでしょう。
○説明員(太田知行君) 余剰人員対策はただいま二つの方法に分けて推進しております。 一つは、私ども活用策と言っておりますけれども、現にかなり大勢の余剰人員が組織内に存在しているわけでございますので、この諸君を組織内において有効に活用するということでございまして、例えば教育でございますとか、あるいは特別セールスでございますとか、あるいは売店や喫茶店のような直営部門を拡大するとかという形でこれを活用する、これが一つでございます。しかしながら、これだけでは全般的な解決にははるかに及びませんので、調整策ということで全体の数の調整を行うという方式を推進しております。 ただいま行っておりますのは、大別しますと四つございまして、先ほどちょっと申し上げましたように、五十六歳以上の職員が一万人ちょっとおりますので、この職員に対しまして本年度末をもって特別に退職するようなシステムを慫慂している、これが一つでございます。 それからその次には、全体の特別退職制度の見直しでございまして、五十五歳の職員が、さっきちょっと年によって率が違うと申し上げましたが、かなりな高率で本年度末やめてもらえるように、五十五歳のところのいろんなシステムは変えませんけれども、五十六歳以上のシステムは、これはいろんなインセンチブを考えておりますが、それは本年度限りでなくしていきたい、こういうのが二番目でございます。 それから三番目に、いわゆる派遣、出向でございますけれども、関連企業その他に職員の身分を保有したままで出向する、こういう方式でございます。 それから四番目、最後でございますが、復職前提の休職、職員の身分を保有して二年か三年後にはまた職員に戻るけれども、その間休職をして、例えば大学へ行って勉強し直すとか、あるいは海外への青年技術協力隊に応募してやってくるとかといったような方式を進めているわけでございまして、都合四つの調整策でございます。
○穐山篤君 去年の二月、いわゆる五九・二ダイヤ改正がありました。そこで余剰人員が出たわけですが、活用策、調整策というお話がありました。しかし私は全国を調べてみましたところ、数カ所で、朝職場に出勤をして点呼をとって、夕方五時まで何も仕事をさせずに一つの部屋に閉じ込めて、五時になったら点呼をして帰す、こういう職場が若干あるわけです。その点国鉄は掌握していますか。
○説明員(太田知行君) 余剰人員は、五十八年度は、昨年度でございますけれども、四、五千名おったかと存じますが、全体の中で活用が図られておりましたので、そう大きな問題にはならなかったのでございますが、今御指摘のありましたように去年の、五十九年二月一日の大変大規模なダイヤ改正、特に貨物部門におきまして大幅な減量をやりました結果、所要人員が減りまして、一挙に今申しました二万人を超す余剰人員が発生したわけでございます。当初、何しろ初めての経験でございますのでかなりな戸惑いがございまして、その活用につきましても必ずしも十分ではなかった面がございますが、それぞれの地域、それぞれの管理局で大変工夫をいたしまして、現在においては、もちろん十分とは言いかねますけれども、いろいろな方式で活用を図り、一方また調整を進めている次第でございます。 それから先ほど私答弁落としましたんですが、余剰人員にかかわる労使の交渉の成り行きでございますけれども、五つの組合それぞれに主張があり、対応が異なっておりますので、なかなか一線に足並みをそろえるところに至りませんで苦慮をしている次第でございますけれども、やはり出向、派遣でありますとか、休職あるいは特退制度の見直しというのが余剰人員対策の基本でございますので、当局の責任、当局の主導のもとに実施している面がございまして、多少組合との間の足並みのそろわないのが持ち越しになっている面がございます。年度末も近いことでもございますし、また三月のダイヤ改正も近づいてきたことでもございます。何とか足並みをそろえるべく努力をしておりまして、先般もトップ会見をやりまして、胸襟を開いて問題点を話し合ったということでございます。 それからまた、ある事案につきましてある組合との間では公労委に提訴されている面もございますので、それらについても誠意を持って対応している次第でございます。
○穐山篤君 一つの職場に余剰人員が出て、それを転換教育をするなり、あるいは助勤に使うなり、いろんな活用の道があるわけですが、朝点呼に来て夜の点呼まで同じ部屋に閉じ込めておく、何も仕事をさせない、本人たちからどこかの職場に欠員がないか、仕事がないでしょうかと提案をしても、それは知りません、わかりませんという答弁なんです。これは本社の指示ですか、それとも地方の局長の指示ですか、あるいは現場長の指示でそういうことをさしておったんですか、具体的に答弁してください。
○説明員(太田知行君) 要員の操配は原則として、私どもは機関長と言っておりますが、管理局長でございますとか工事局長が責任を持って操配をする、こういうことになっておるわけでございます。 しかし、今御指摘になりましたように、朝出勤して、もう一切仕事をさせないで閉じ込めるといったような事例は、私どもの知っている限りではそれはないわけでございまして、先ほど申しましたように、当初においてはふなれでありましたんで、必ずしも十分な対応ができない面がございましたけれども、その後はそれぞれ創意工夫を凝らしまして、またローカルカラーを生かしながらいろんな努力をやっておりますし、また職員の側からも積極的な申し出があって、本当にこんなやり方もあったのかと驚くような知恵も出てきているという次第でございます。
○穐山篤君 私は全国を全部回ったわけじゃありませんけれども、数カ所そういう職場がある。本社はそれを御存じないんですか、それとも知っていて言えないのですか、具体的に答弁してください。
○説明員(太田知行君) 本社としまして全部の職場の状況をもちろん知悉しているわけではございませんが、それぞれの地区の判断、責任において有効な活用なり調整策を進められておるものと確信しておる次第でございます。
○穐山篤君 労働問題で大切でありますので、くどいようですがもう一度お伺いします。 去年の三月から余剰人員が大分出たわけです。本人たちはどこか欠員があればそっちに行きたいと、そういう職場はないでしょうかと聞くわけです。いや、それは知りませんというのが現場長の答弁です。一年間ほっておいて急に転勤の希望を聞くというふうな無謀なことが現に行われているわけです。総裁、その点についてどういう御感想をお持ちですか。
○説明員(仁杉巖君) ただいま太田常務から御答弁いたしましたように、私どもとしてはそういうふうな扱いをするということでなしに、余剰人員そのものが発生いたしておりましても、ダイヤを組みながら、ダイヤと申しますか工程を組みながらだんだん回転していくというようなことも考えるようにというふうに言っておりますので、私も全国を全部承知しているわけではございませんが、先生の御指摘もございますので、今後さらに注意をいたして検討させることにいたします。
○穐山篤君 総裁、この特定な職場だけが一切仕事をさせないんですよ。特定の職場だけが一年後に初めて本人の希望を聞く、こういうばかばかしいことがあるわけです。余剰人員を活用してサービスをする、安全対策をとる、これは当然ですよ。これは非常に嫌らしい労働対策だと思いますが、いかがですか。
○説明員(仁杉巖君) ただいまお答えいたしましたように、私どもとしてまことに申しわけないと思いますが、気づいておりませんので、さらによく調査をいたします。
○穐山篤君 運賃値上げの申請がされて、きょう聴聞会があったそうでありますが、この値上げの内容は何でしょうか。どういうものが柱になっているのでしょうか。
○説明員(仁杉巖君) 先ほど運輸大臣からも御答弁ございましたが、今度の六十年度の予算を組みますときに、国鉄の財政状況をいろいろと勘案いたした場合に、運輸省ともいろいろ御相談したのでございますが、やはり実収三・六%、名目四・三%、千五十億ぐらいの運賃値上げをお願いしたいという結論になってこういう形になったのでございますが、私どもとすればできるだけ避けたいという気持ちは持っておったのでございますが、収入の減その他いろいろな事情がございまして、やむを得ずそういう結論になったということでございます。
○穐山篤君 そうしますと、国鉄としては千五十億円の増収ということなんですが、運賃の値上げをしないで増収なり増益を図る、あるいは節約をするというのは限界と判断をしたのでしょうか。
○説明員(仁杉巖君) いろいろと検討をいたしましたし、運輸省とも御相談いたしたのでございますが、利子がふえるというようないろいろな事情もございまして、やむを得ないかなということでございます。
○穐山篤君 運賃値上げによる増収は千五十億ですね。それから借金の利息が五十九年度に比べ千四百億円もふえておるわけですね。運賃値上げ、国民に負担をかけても利息よりも増収できない、こういう事態はどういうふうにお考えですか。
○説明員(仁杉巖君) いろいろ人件費の節減、経費の節減、その他予備費の削減等あらゆる努力をしてみたのでございますが、どうも千五十億ぐらいの運賃値上げは必要だという運輸省とのお話し合いのといいますか、折衝の中でそういう形に落ちついたということでございます。
○穐山篤君 今皆さんのお手元に私の資料を提出しました。これは運賃の値上げをしないでも千五十億円は捻出ができる、こういう提案であります。今お配りをしただけですからなかなか御答弁難しいと思いますけれども、国鉄の自助努力というのは国鉄側に関するものでありますので、まず国鉄側から見解をお伺いしたいと思います。
○説明員(仁杉巖君) 急にちょうだいをいたしましたのですが、増収対策、これは二百億程度でございますが、この辺につきましては、実は私ども五十九年度の収入予算でも少し足りない、実収が足りないというような状況でございまして、今度も、実はきょうの役員会でも言ったのでございますが、六十年度の予算の中で組んでおります収入が一〇〇%いくだろうか、もちろん努力は重ねますが、というような点が一つございます。 その次の資産の売却、これは先ほどから申しておりますように、今度の基本方策の中で三兆円売るということでございまして、六十一年まで千六百億という今までのペースを続けております。これはよく御承知のとおりでございますが、これは余り売ってしまいますと、将来の累積債務の返済の財源に充てたいという希望がございまして、このところそれでも五十六年、七年と随分ふやしてまいりまして千六百億にしておりますので、まあ一応今度は千六百億という数字にしたということでございます。 関連事業収益の拡大は一応百億出してございますが、さらに百億ということでございましょうが、努力はいたします。 それから資材の購入その他、これにつきましては、今度も経費をかなり切っております。おりますが、さらに努力をする必変があろうかと思います。 それから転換交付金の問題と公共負担の問題でございますが、これは私からお答えするわけにもまいりませんけれども、どうもなかなか難しい問題のように思いますが、これらについてはむしろ政府の方から御答弁をいただかなければいけないというふうに思います。
○穐山篤君 Bの政府の助成の問題について二つ提案をしてあるわけですが、これについて運輸大臣いかがですか。
○国務大臣(山下徳夫君) 先生御自身おっしゃいましたように、ただいまちょうだいいたしました先生のこの提言をすぐ私が即答できるだけの私も知識がまだ到達いたしておりませんので、特にこれは数字等が記載してございますから行政当局からかわって答弁をさせたいと思います。
○政府委員(棚橋泰君) お答え申し上げます。 先生御指摘のまず最初の転換交付金の件につきましては、恐らく御指摘は、国鉄が赤字線を転換する際に一キロ当たり三千万地元に対して交付をいたしますが、その交付したものを政府が五年間の分割で国鉄に渡す、したがって、その差額の利息と申しますか、そういうようなものについては結局国鉄の負担になるではないか、そういう御指摘だと思います。これにつきましては、国鉄の方も必ずしも転換に際して一回で全額を払うわけではございませんで、地元がそれに要する経費を支出した分に見合うものを交付する、こういう形になっております。予算の方は、そういうことでございますので、これを五カ年に分けて払う、こういうことになっておりますので、現実には若干の誤差が出るということにつきましては御指摘のとおりかと思いますけれども、赤字線転換は国鉄にプラスになるというようなことを考えますと、ある程度やむを得ないことというふうに考えておるわけでございます。そういう意味での助成制度でございますので御理解をいただきたいと思います。 それから二番目の閣議了解による公共負担の問題という件につきましては、これは非常に長い御議論のある問題でございますけれども、先生御指摘のような金額が一応公共負担だということで議論の対象になっておることは事業でございます。ただ、特にこのうち通学定期の分につきまして法定割引率と通学定期の割引率との差がすべて公共負担であるかどうかということにつきましては、例えば私鉄もかなり高い割引率で通学定期を割り引いておるわけでございまして、そういうような観点からこの四百五十億というものをすべて国鉄の公共負担として国が助成すべきだということについてはいろいろ御議論があろうかと思います。また、身障者、戦没者遺族等の割引につきましては、政府部内において従来いろいろ御議論が重ねられておるところでございますが、まだ結論を得ていないということでございます。
○穐山篤君 昭和五十四年十二日二十九日「日本国有鉄道の再建について 閣議了解」というのがあるわけです。ここでは、運賃上の公共負担の軽減対策について所要の措置をとる、こういうふうになっているわけですが、所要の措置をとっていない理由は何ですか。
○政府委員(棚橋泰君) お答えいたします。 五十四年の閣議決定にそのような事項がございまして、その後引き続き政府部内におきまして関係省庁との間で種々連絡会議等を設けまして協議を重ねておるわけでございますけれども、問題が非常に複雑な経緯のある問題でもございますので、ただいままでのところまだ結論が出ていないという状況でございます。
○穐山篤君 総理大臣、この所要の措置をとりましょうという閣議の了解があって五年もほったらかしなんですよ。これはどういうわけですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) そのたびごとにいろいろ検討して、その時点において政府は可能な措置をいろいろ努力してきたと思っております。
○穐山篤君 この閣議決定はかなりの部分について実践がされています。そのことは評価します。しかし、この公共負担につきましては棚上げされているわけです。これを閣議了解事項のとおりに実施すれば国鉄の経費はかなり節約ができるわけです。運賃の値上げをしなくても済むわけです。その点いかがですか。
○国務大臣(藤波孝生君) 昨年の予算委員会の席上でも強い御指摘がございまして、早速に従来積み上げてきております検討会議を、さらに検討を加えるということで会議を重ねてきておるところでございます。なお今日解決に至っておりませんことはまことに申しわけのないことだと存じますが、昭和六十年度の予算案編成の際にも、この問題が予算委員会でも大きな問題点として御指摘をいただいているというそういう自覚の上に立ちまして、関係省庁で話を詰めようと思いまして努力をしてきたところでございますが、なお意見の一致を見ておりません。早急にひとつさらに努力を重ねまして、関係省庁の意見が煮詰まるように努力をしてまいりたい、このように考える次第でございます。
○穐山篤君 私は、今の答弁では納得できないんですよ。政府の責任を果たす、国鉄にも自助努力を要求する、これでなければ国鉄再建は不可能だと思うんです。今の答弁じゃ納得できないですよ。閣議了解の性格までも問題にせざるを得ないんですね。いかがですか。
○国務大臣(山下徳夫君) 総理並びに官房長官から御答弁がございましたように、これは五十五年の五月に国鉄公共負担軽減対策検討会議というものが設けられまして、それから御承知のとおり長いいきさつを経て今日に至っておるわけでございます。したがいまして、今後とも私どもは慎重にこの問題に対処し、なるたけ早くひとつ適当な結論を得るように今後とも努力を重ねてまいりたいと思います。
○穐山篤君 今年度内に、五十九年度内に結論が出れば六十年から実施はいたしますか。
○政府委員(棚橋泰君) 公共負担の問題で各省間でいろいろ議論のこざいます問題はかなり根が深い問題でございまして、そのために例えば公共負担とは何かという中身についても十分詰めなければなりませんので、直ちに結論を得て六十年度予算には難しいというふうに考えて今日予算をお願いしているわけでございます。
○穐山篤君 ほかの問題ならともかくとして、閣議で了解をして所要の措置をとりますと言って五年たっているわけですよ。そんな答弁じゃ納得できません。
○委員長(長田裕二君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(長田裕二君) 速記を起こして。
○穐山篤君 政府は、今私が指摘をしましたこの閣議了解を必ず実施をする、そういう態度で検討をしているのかどうかはっきりしてください。
○国務大臣(藤波孝生君) 閣議了解で、措置する、こういうふうに決めてあります線に沿って従来も検討会議を重ねてきておるのでございますし、その方針は変わっておりません。なるべく早い機会にこの解決のめどを見出すように努力をしてまいりたい、このように考えております。
○穐山篤君 早い機会というのは、めどはどういうところに置いているのですか。
○国務大臣(藤波孝生君) 関係省庁たくさんございまして、運輸省はもちろんでございますが、この問題の直接関与いたします文部省とか厚生省とか、さらに大蔵省がこの問題をどう考えるかというようないろんな問題がございますので、日を切っていつまでということはなかなか申し上げるのが厳しゅうございますけれども、昨年度の予算委員会でも強い御指摘をいただきましたし、ことしまたこういう御指導をいただいておりますので、検討会議を重ねて鋭意結論を得るようにさらに努力をいたしてまいりたいと存じます。
○穐山篤君 国鉄の申請は四日二十日からになっているわけです。当然予算が成立をするまでの間に結論を出さなければこれは答えにならぬと思うのです。その意味では、四日二十日あるいは予算の成立までというのがめどだと私は思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(藤波孝生君) 御指導のように、なるべく早く結論を得るように努力をいたしてまいりますが、この場でいつまでにという明確な日時を申し上げて、そのことがまた遵守できないようなことになりましても申しわけのないことでございますので、関係省庁を督励をいたしまして、速やかに結論を出すように会議を重ねてまいりたい、このように存じますので、どうか深い御理解をいただきますようにお願いをいたします。
○委員長(長田裕二君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(長田裕二君) 速記を起こしてください。
○穐山篤君 いつまでに結論を出すように政府部内としては考えておるんですか。
○国務大臣(藤波孝生君) 政府がこの問題について閣議了解をしてみずから決定をした方針でございますし、国鉄の再建問題がこれだけ大きな問題になってきておって、各方面にいろいろ御心配をかけてきておる経緯等も考えなければなりません。ただ、具体的にこの問題を考えてみますると、なかなか関係省庁の意見というのが根深い、長い間の複雑な、意見の対立と言っては失礼でございますが、そんなようなことで推移をしてきておりまして、先ほど少し政府委員からお話を申し上げましたように、それじゃ私鉄はどうなるんだというようないろいろな問題もありまして論議を重ねてきておるところでございます。しかし、ただいま先生から一体いつをめどとして解決しようとするのかという御指摘でございますので、あえてそのことにお答えを申し上げるといたしますと、昭和六十一年度以降どういう期間になるかわかりませんが、運賃改定をするという機会がありますれば、それまでに必ず解決をして対処させていただくということをめどにさせていただきたい、このように考える次第でございます。
○穐山篤君 その政府の態度には賛成はしがたいわけです。しかし方針ですから理解はしましょう。 さて、そこで国鉄ですが、政府もひとつ決断をしてみよう、一歩踏み込んでみようというふうに助成の問題が今明らかになったわけですね。国鉄側の自助努力をするのは当然だと思うんです。 そこで、私が具体的に提案したものについて努力をすれば必ず出ると私は計算をしているわけですが、総裁いかがですか、もう一度お伺いします。
○説明員(仁杉巖君) お答えいたします。 国鉄の自助努力の中で、先ほどもお答えいたしましたが、増収対策の二百ないし二百二十億ということでございます。これについてはもちろん増収の努力はいたしますが、今の六十年度予算に組み込んでおります運賃収入に上乗せできるかどうかということについてはちょっと難しいのではないかというふうに思っております。 それから、先ほど2の問題の不用地資産売却の問題でございますが、これもさっきお答えいたしましたが、こういう予算の組み方の中で売却をしてまいりますと毎年の赤を埋めるようなことになって累積債務の方に回っていかないという問題がございまして、しかも私どもとしては実務的にもとりあえずは千六百億くらいが限度ではないかというふうに思っておりますので、この点も二百億積むということがなかなか難しくはないかと思っております。 三番目の関連事業収益の拡大も、先ほど申しましたように来年度百億は積んでございますが、さらに努力はもちろんいたしますが、これを予算に盛り込むということはかなり難しくはないか。五十九年度の決算見込みを見ておりましても、どうも思うほど増収、運賃収入も伸びてないという状況の中でございますので、いずれも先生の御提案はよく理解をいたしますが、予算としては今の予算ぐらいのところで頑張ってまいりたい。しかし、できるだけ先生の御指摘のあるような点については努力をしてまいりたいというふうに考えるわけでございます。
○穐山篤君 国鉄は体を動かすと腹が減る、だから汗はかかない、どうもそういう方針のように受け取れるわけです。私は具体的に、例えば新幹線の高架下をどこがどれだけ利用しておって、どこがどれだけ利用されていないか、一応全部調べてみてください。私は目の子勘定でこういう数字を出しておりますけれども、一応の計算は持っているつもりであります。既に国鉄側に対して、私ども社会党としてもこういう増収、増益の仕事がありますよというふうに具体的に提案をしてあるわけです。そういうものがみんなこの中に入っているんです。これを実践をすることによって増収、増益ができるわけです。監理委員会の答申が出る前に安易に運賃の値上げをしようという態度は絶対に私どもは認めるわけにいかぬと思うんです。 そこで、運賃値上げの問題について修正をするおつもりはございませんか。
○説明員(仁杉巖君) 私どもといたしましては、先生の御指摘ではございますが、政府関係機関として予算も提出してございますし、御承知のとおりもう申請もいたし、きょう聴聞会も開かれているという状況でございますので、運輸審の方でいろいろ御示唆はあると思いますが、我々としては現在の申請案を引き下げるとか修正するという考えはございません。
○穐山篤君 運輸大臣いかがですか。
○国務大臣(山下徳夫君) 御承知のとおり、これは政府から既に予算として提案をいたしておるわけでございますから、その行政の担当の責任者としてこの段階において私からこれを修正するということは考えておりません。
○穐山篤君 私は具体的に提案をしているわけです。運賃値上げの修正も可能だと、こういうふうに指摘をしているわけです。したがって、私どもとの間に十分話が進むまでこの申請について一時取り下げをするつもりはありませんか。
○説明員(仁杉巖君) 今、大臣からもお話がございましたように、政府の提案でございますので、私どもから取り下げるというようなことをするわけにはまいらないというふうに考えております。
○穐山篤君 それでは、私が具体的に提案をしているわけですから、これを具体的に相談をして話がまとまるまで延期をするという気持ちはございませんか。
○説明員(仁杉巖君) 私どもといたしましてはございませんが、運輸審議会等の御議論等がどういうふうになるかということはまだわかりませんが、私どもといたしましては四日二十日、すべて予算をその線に沿ってつくってございますので、それを延期するという考えもございません。
○穐山篤君 国鉄が本当に血みどろの節約あるいは増収対策をすれば国民に運賃の値上げを要請しないで済むと、私はこう申し上げているわけです。したがって、今行っております作業は修正なり、あるいは延期なり、あるいは撤回ということを私は主張したいと思うんです。総理大臣この点についていかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 社会党の御案としてそういう案が出てくれば、我々は国会において相対処すると、そういうことになると思います。
○穐山篤君 総理の答弁でいきますと、私の提案を積極的に受けとめていただいている印象なんですよ。そういう感じでいいでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 対処するという意味は処理するという意味でありますから、したがって、社会党の案に対して我が党が賛成できなければ反対すると、そういうことになると思います。
○穐山篤君 国鉄が本当に節約の努力をすると、増収増益の努力をする、開拓をする、余地がたくさんあるわけですよ。総裁はないと言っておりますけれども、そこが私は親方日の丸の最たるものだと思うんです。 そこで、政府としては修正も延期もできないということでありますが、時間が時間でありますから後日に本格的な論争は回します。きょうここで議論をされていることを十分に踏まえて、当面は運輸審と対応してもらいたいと、こういうふうに思いますが、運輸大臣いかがですか。
○国務大臣(山下徳夫君) 繰り返し申し上げますけれども、政府の責任者といたしましては、予算編成で御提案申し上げる前に慎重審議の結果、最善の策、最良の予算としてこれをお示しいたしておるわけでございますから、これを修正するということは、残念ながら全く考えておらないことを繰り返し御答弁申し上げます。
○穐山篤君 今の答弁は全く不満であります。 次に大蔵大任、国債の管理政策についてお伺いをしますが、昭和六十年以降の国債の管理政策、これは基本的にどういうことを念頭に置かれていますか。
○国務大臣(竹下登君) 昭和六十五年以降でございますか。
○穐山篤君 昭和六十年以降です。
○国務大臣(竹下登君) わかりました。国債管理政策につきましては、恐らく穐山委員は、まずはこの六十年度予算で定率繰り入れからやっておるという現状認識での御質問であろうと思っております。六十年度においても定率繰り入れを停止することは、これはまことにやむを得ないものと考えますが、六十一年度において公債の償還財源の問題はもはや猶予を許さない状況となっておることにかんがみまして、公債の償還財源の充実につきましては、これは最大限の努力、工夫を行うよう強く要望するというのが、いわゆる財政審からの建議でございます。したがって、この建議の指摘を踏まえまして対処していくということになるわけであります。 なお、今回政府に無償譲渡される電電株式及びたばこ株式のうちの売却可能分については、国債整理基金特別会計に帰属させて公債の償還財源の充実に資することとなると、これはまた法律もお願いするわけであります。 したがって、いずれにいたしましても、まず六十一年度以降の定率繰り入れの取り扱いについては、そのときどきの財政状況、すなわち国債整理基金の資金繰り状況、これらを考慮する必要がありますが、基本的には、いつも御議論申し上げますように、現行の減債制度の仕組みを維持するという基本的な考え方を踏まえて、六十一年度の財政事情等を見まして、また株の問題は今日まだ議論の対象にすべき問題ではなかろうと思いますが、それらを総合して適切に対処していかなければならぬ課題だというふうに考えております。したがって、試算とか仮定計算というものは減債制度を維持するという基本方針でお示ししておるということになるわけであります。
○穐山篤君 その定率繰り入れにつきましてはそのときの状況を判断をしたい、こういうふうに言っているわけですが、政府提出の参考資料によりますと、明年六十一年は定率繰り入れを行うと、こういうことで計算例が出ているわけですね。それはそのまま理解をしてよろしゅうございますか、定率繰り入れは行うと、仮定でなくて。
○国務大臣(竹下登君) 現在問われれば、私は、やっぱり国債の減債基金の基本は維持しろということでございますので、そのような基本を維持する形で、そのときの事情で工夫をしてみたいと、こういうふうにお答えするのが限界ではなかろうかと思います。
○穐山篤君 昭和五十九年までの国債管理政策、言いかえてみますと、建設債それについての借りかえはできる、特例債は借りかえはできないと。これは五十九年までですね。したがって、その五十九年までの国債の管理政策と、借りかえが特例公債でもできるということになった現状とは、管理政策もおのずから変わるべきだと、こう思いますが、その点いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) それは議論として私はあり得る議論だと思っております。ただ、借りかえをお認めいただくことになったわけでありますが、借りかえにいたしましても償還期限分もあるわけでございますが、言ってみれば、今日の国債を金融機関なり個人なりが持っておりますが、借りかえというものも、その原資の中で工夫さるべきものであって、新たなる国民の預貯金を対象にするものは新規債と、こういうことで、言うならば、そのトータルではその中へ埋め込むことができるという算術は成り立つだろうと思います。が、やはり借りかえをいたしますと、それもすべて新たなる原資という形で見たときには今度はそれだけのものがふえるわけでございますから、ふえた場合は、今おっしゃいますいわゆる国債管理政策というものをその都度適切に運用する、新しい措置としては、いわゆる株式が直入されることになったとはいえ、やっぱり国債管理政策というのは、基本は減債制度を認めるといたしましても、現実に対処したきちんとした政策を行っていかなければならぬというふうに思っております。さらに敷衍いたしますならば、いわゆる借換債の短期国債というような問題をも、広く言えば国債管理政策の中へ入るべき課題だろうというふうに考えております。
○穐山篤君 去年の十二月二十一日に国債の償還などについての財政審の答申がございましたね。これは私もそれなりに読ませてもらいましたが、これを受けて、どういうふうに今年度以降国債の償還をしていくか、その点いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) この問題につきましては、まずは、第一義的には特例公債の発行をゼロにしていく、こういうことを考えなければならぬことは当然のことでございます。そこで二番目には、可能な限り残高をなくしていくという、目標が二つあるわけでありますが、当面ことしの場合は、御案内のように、いわば今おっしゃいましたように、十二月二十一日の建議で、「六十年度の国債の償還についていえば、国債整理基金の資金状況からみて、定率繰入れを行わなければ償還に支障をきたすという事態にはなお至ってはいない」、こういうことが書かれてございます。したがって、「六十年度においても定率繰入れを停止することはまことにやむを得ざるものと考えるが、六十一年度において公債の償還財源の問題はもはや猶予を許されない状況となることにもかんがみ、公債の償還財源の充実について最大限の努力、工夫を行うよう、強く要望する」。その一つが、法律はこれから御審議いただくわけでございますが、私は日本たばこ産業株式会社及び日本電信電話株式会社の株式の一部の国債整理基金特別会計への帰属の問題が一つはあるであろうと思っておりますが、これはいわゆる売却可能性の問題等もございますだけに、まさにその都度私どもとしてはこれに適切に対処していかなければならぬ問題であるというふうに考えております。 したがって、これを正確に申し上げますならば、電電株の売却収入等は、将来の償還財源充実のため極めて大きな支えになるものと考えるが、実際問題として電電株売却収入を今後どの程度見込み得るかは全く不明であり、これを当てにしてあるかじめ例えば三十年償還といったように一定の特例公債の早期償還についてのルールを立てることは、これは困難であるというふうに考えます。したがって、国債管理政策につきましては、やはり先ほど申しましたように、翌年度における国債の整理または償還のため、国会の議決を得た額を限度額としての借換債を行うということが一つございます。そして、いま一つは、いわゆる特別会計に帰属させるという電電株の問題等が新たな工夫の一つではないかというふうに考えております。
○穐山篤君 午前中も答弁があったわけですが、特例公債一兆円ずつ減じていく、そういう方針が崩れていますよね。 そこで、特例公債は六十五年までに解消するようにしたいといいましても、現実は六十五年以降まで続くものと私は判断しますが、その点いかがでしょう。
○国務大臣(竹下登君) これはやっぱり財政改革の第一目標でございます。昭和五十九年ということを申し上げておって、五十六年、五十七年の世界同時不況によりますところの予期せざる事態で、いわゆる五十九年というものをギブアップせざるを得なかった、そこで新たに設定したものが六十五年であります。確かに五十九年度予算、そして五十六年度予算、これで当初一兆円ずつという、これはまさに平均した一定の数字でございましたが、これはできておりません。しかしながら、五十九年度予算よりもまた六十年度予算へというふうに私どもは努力を重ねることによりまして、そしてこれから平均的にやりますと、去年の一兆七百億が今度は一兆一千幾らにふえていくわけでございますけれども、それは今後の歳入歳出両面の努力によって、私どもは六十五年というめどを、今、旗をおろすという考え方はなく、突っ走らなければならぬ課題であると考えております。
○穐山篤君 意気は盛んでありますが、現実はそういうように運んでいませんよね。 それで、六十五年に脱却したいということは、六十五年まで特例公債を発行していくということに裏返しになるわけですね。そうなりますと、特例公債が六十五年で残高はどのくらいになりましょうか。
○政府委員(吉野良彦君) 先般国会に御提出申し上げました仮定計算例に従いますと、昭和六十五年度末におきます特例公債の残高は六十七兆一千億という計算になってございます。
○穐山篤君 建設債の場合につきましては六十年という償還目標があるわけですが、特例公債につきまして昨年の改正で借りかえができると、こういうことになったわけですね。この特例公債につきましては満期保有者に必ず現金で返しますと、こういう約束があるわけです。そうしますと、かなり借りかえをしていかなければならぬというふうに思いますが、将来的にどの程度の時間がかかるであろうか。計算をされていると思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる特例公債発行をゼロにできる具体的時間と、こういうこと、これは特例公債の大量償還を行いながら、一方で新たに特例公債を発行せざるを得ないような財政事情のもとでは、まず一般会計が特例公債に依存しております体質から一刻も早く脱却して、財政の対応力を図ることが何よりも重要だ。そこで、政府は六十五年までに特例公債依存体質から脱却すると、これは努力目標を示し、この達成に、意気盛んという表現がありましたが、まさに全力を尽くしておると。この努力によって一般会計によります特例公債の新規発行がゼロになった後においては、建設公債を含めた総公債残高についてできる限り速やかに減少させていくように努力すると、こう申しておるわけです。 なお、特例公債につきましては、本来その残高をできるだけ早く減少させるよう努めるべきものであって、償還年限を六十年間と、建設国債と一緒ということは、最低限ということであの法律改正のときにお願いしたわけでございますが、固定的に考えないで、可能な限り早くこれは償還しなければならぬ。今正確に主計局長からお話がありましたが、私は平素非常に大ざっぱに考えると、昭和六十五年で約百六十五兆になるなと。それで、昭和六十五年百六十五兆、百兆が建設国債、六十五兆が赤字国債、それが実際は六十七兆ぐらいになりますけれども、そんな感じで受けとめておりました。 それを何年でやるかと、こういうことになりますと、これは大変難しい問題でございます。少なくとも、今おっしゃいましたが、要するにこれを機械的計算をちょっと最初しますと、気の遠くなるような話でございますけれでも、いわゆる六十年償還ルールによって、仮にこのルールで将来とも借りかえを続けていけば、昭和六十五年度に特例公債依存体質から脱却するという前提のもとでは、すなわち今言ったようなのが残った前提のもとでは、昭和百二十五年度に特例公債の残高がゼロになるという計算になります。私が百二十六歳、穐山先生が百二十二歳でございます。相当なものでございます。 そこで、建設公債を含めた総公債残高が完全にゼロになるめどにつきましては、これは極めて長期的な行政運営をどのように行っていくかにかかわる問題でございますので、何とも申し上げることは難しいと思っております。それだから、要するに昭和三十九年までは国債の残高のない財政、四十九年までは建設国債だけで九兆七千億だけを抱えた財政、その後こういう体質でございますから、いわゆる国債の残高を抱えない財政というものは考えられなくなっておるだろうと思うんです。したがいまして、今度はそうすると残高をどこでチェックするかというと、一つはGNP比を極力低くとどめることが肝要であると考えます。ところが、それはGNPに対して残高が幾らぐらいが適切かと、こういうことになりますと、かつての財政論を振り返ってみておりましても、公債依存度が一けたならいいだろうとか言っておったのがずっと上がってきたわけですから、今幾らぐらいが適切ですと言うわけにはまいりません。しかし、いずれにしてもいろんな工夫をしながら、少なくともやっぱり穐山委員の考え方も、まず六十七兆の赤字国債、借りかえてしまえば色はついていないわけでございますけれども、観念的にはあくまでも存在している六十五兆を何年で返していくかというところがいわゆる赤字国債を財源とする財政から脱却した後の一番議論しなければならぬ、それまでに議論しておかなければならぬ問題だという問題意識は持っておりますが、今二十一世紀までですとか、昭和百二十五年でございますとか、これは気の遠くなるような話でございますが、そういう点についてはこれから本気に議論していかなければいかぬ問題だというふうに考えております。
○穐山篤君 この国債の残高、これは額面で計算をするわけですが、昭和四十年で対GNP〇・六%なんですね、四十五年で三・八%、五十年で九・八%、五十五年で二九・一%。GNPがいろんな問題についての基礎にあるいは目標になっているわけですが、どの程度ならば限界であるというふうに大蔵大臣はお考えですか。
○国務大臣(竹下登君) これは、まずは公債残高のGNP比の上昇テンポを落として、次いでできる限り早くGNP比を引き下げていくということが肝要と考えられます。したがいまして、今幾らか、諸外国の例もいろいろございますけれども、GNP対比幾らの公債残高を抱えた財政が運営可能かということは、にわかに私が断定するには余りにも難しい問題だなと、こう思っております。
○穐山篤君 後世代に結局ツケを回すわけですね。 そこで総理、後世代というのは今の国債の償還なり、財政再建のテンポからいってみて、どの程度までのことを後世代というふうに考えられているんですか。
○国務大臣(竹下登君) これは、一国の行政の最高責任者、そして財政担当の私も、どの程度が後世代かと言われますと、これはなかなか難しい問題だと思います。確かに今のような御議論を承りながら感じますのは、仮に一兆円で六十年で見ますと、七%の金利なら三兆七千億、七・三%なら三兆八千億を六十年間にわたって後世代の納税者に負担を回すことになりますが、百六十五兆で計算して大体五百十兆、それから百三十三兆で六十年度末で計算いたしますと恐らく四百十兆、多少の違いはあるかもしれませんが、そういうことでございますので、まずは私なりにはいろんなことも考えてみます。三十九年まではなかった、三十九年から公債を抱えた財政になった、それから二十年たった、そうすると、その二十年というものでどこまで返せるのかというようなことを、これはまだ私のまさに私的な観念上の遊戯に近い勉強だなと、そういう程度でございますが、本当にこれは真剣に考えていきませんと、その中ですぐインフレ率ということも掛けていったならば、建設国債のときは何%ぐらいまでなら均等かとかいう議論もあるでございましょうが、これは本気にこれから勉強さしていただいて、およそこの程度までは努力目標としてどこまで何年間で示せる数字だというようなところは詰めてみたいと思いますが、現在それだけのことを公式の場で申し上げる自信は私にはございません。
○穐山篤君 それで、長い時間がかかるわけですが、経費の節約、言いかえてみますと、一般歳出の圧縮だけで国債の償還とか財政再建というのは全く不可能ですね。これだけではできないと私は思いますが、その点はどうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは第一義目標である赤字公債依存体質からの脱却というところはやっぱり増税なき財政再建をてことして、いわば歳出削減というものに全力を傾注しながら進んでいかなければならぬ私は問題ではないか。ただ、先ほど来問答しております残高全体を考えた場合、私は残高処理問題と経費の削減問題というのはかなりかみ合わない議論になりはしないか、言ってみるならば、毎年発行します建設国債だけになりましても、建設国債の発行額よりも利払いが多いという状態の財政をある時期抱えなければならぬわけですから、それを考えてみますとこれは容易なことじゃないなと思いますだけに、今の問題も確定的な、その段階に至った場合、歳出削減だけを主眼とした残高削減というものがどういうふうに考えられていくのか。税外収入、いわば株の問題もございますけれども、株だけに期待感を持っちゃいけませんし、大変なこれは議論をしなければいかぬ問題が残される。だから今は第一期を、何とか六十五年脱却への努力目標を達成したいということで一生懸命御議論を承っておる、こういう段階でありましょう。
○穐山篤君 昭和五十年度の予算でいきますと、一般会計に占めます一般歳出の割合というのは七四・四%、昭和六十年、これが六二・一%です。従来の方式で圧縮をしますと、六十五年脱却のときには一般歳出は四六、七%に落ち込むわけです。半分以下になる。公共サービスが低下をする、新規の政策は全くできない、こういうことになろうと思いますが、その点はどうでしょうか。
○政府委員(吉野良彦君) 六十五年度の数字でございますが、先生御高承のとおり、この仮定計算例におきましては、歳出とそれから歳入とそれぞれ別の計算になっておりまして、歳出と歳入との間にギャップがございます。これを要調整額としてお示ししているわけでございますので、六十五年度におきます一般会計の規模、これは一義的には出てまいらないわけでございます。ただ、この計算におきます歳出のトータル、これが一般歳出を六十一年度以降ずっと横ばい、つまりゼロで行ったと仮定しますと、その場合の歳出総額は六十二兆一千六百億ということになるわけでございまして、その場合の一般歳出は三十二兆五千九百億、約五割強ということになるわけでございます。逆に六十五年度におきます歳入の方の数字で申しますと、歳入総額が六十三兆四千二百億でございますから、この歳入総額に対しまして先ほど申しました一般歳出の三十二兆五千九百というものを比較をいたしますと約五割と、こういうことになるわけでございます。
○穐山篤君 総理も今お話を聞いておったと思いますが、一般歳出が五割を割るということは、何にもできない、何にもしないということに結果的になると思うんですが、そういう政策はとれないでしょうね。いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 何はともあれ六十五年までに赤字国債依存体質から脱却する、それが財政を立て直し、国民経済の基礎をつくっていく根本的な大事なことでありますから、それにのみ今は眼を向けて努力を集中していくと、そういう姿勢でやっております。
○穐山篤君 そうしますと、経費の節減ということも、やるにしてみても限界がある。そうなりますと、今度は別の角度から成長政策というものを、長期にわたって景気をよくして増収を図ると、こういう方法が理屈の上では考えられますが、そういうことがこれから政策としておとりになれるでしょうか。その点はいかがですか。
○国務大臣(竹下登君) あるいは経済企画庁長官からもお話があるかもしれませんが、八〇年代後半、平均的でございますけれども、よく申しますように七、六、五抜きの四、三、二、一と、すなわち六ないし七%の名目成長率、四%程度の実質成長率等々で来ておりますが、これが時に五・三になったり三・幾らのこともございますが、今後の後半ということになりますと、ことしも四・六を実質で見込んでおる。平均してそういうのが「経済社会の展望と指針」の中に書かれてあります。これはそれこそ世界経済全体、そしてかつては追いつけ追い趣せの状態であった日本ではなくして、今日の経済大国という形の中の日本として将来位置づけした場合に、いわゆる景気に対する対応力を財政が持たなければいかぬということはありますが、その対応力というのは、恒久施策の中でなく、いわば不況時に対して財政が弾力的に対応できるというような力を取り戻していこう、つけていこうというのが私は今日限界ではないか。したがって、かつての高度経済成長にお互いなれておりますが、その夢を捨てて、今がいわば世界最高の当たり前の姿だというある種の意識転換をお願いしてもいかなければならぬ時代ではないかなと、こういう感じを持っております。したがって、とかく同じような年輩でございますと、時として公債政策に対して調整インフレなんということを言いがちでございます。大体我々のおやじどもは戦時公債を買って、あれがパアになった悲劇を承知しておりますが、我々は、あったことは知っておりますが、買ったことがございませんものですから、あの悲劇を必ずしも知らないところに我々の世代が調整インフレなどということにとかくなじみやすいことがありはしないかといって我と我が身に毎日言い聞かしておると、こういうことでございます。
○穐山篤君 経費の節減も限界がある。二つ目に、高度成長もこれもまた問題がある。そうなりますと、三つ目に、理屈上は増税という道がとられます。これは和田委員の議論がありましたからそこは省略をしますが、そういう道があるということは理屈上成り立つと思います。 それから、国債の償還のために国債を持っている人に協力を求めるという方法が理屈上もあり得ると思うんですが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) やっぱり、現在の国債の所有者に返済期間を延ばしてくださいとか、あるいは金利を半分にしてくださいとか、仮にモラトリアムみたいなことを言った途端に、私は金融界に衝撃を与え、国債は売れなくなってしまうと思います。全くそれは考えてはいけないことじゃないだろうか。いわゆる国の持つ信用のもとに負って立つ国債でございますから、それといわゆるインフレ、なかんずく政策的インフレとでも申しますか、それは全く考えてはいけない。そこで総理が絶えず我々に対して指示をされるのが、いわゆる知恵と工夫を出してデレギュレーション等をやった民間活力の中で、安定成長の中においてもなお工夫をして、デレギュレーション等を行うことによる民間活力によって少しでもいわゆる自然増収が伸びる政策を行うべきであるということが、絶えず我々に対して御指示のある点であります。
○穐山篤君 国債の所有者に協力を求めるというのも、これもまた困難である。そうなりますと、理屈の上からいきますと、今も触れました政策インフレの道ですね、戦時中と同じような、これも絶対にとらない。日本の自主的な立場では、よそからの影響ということは別にしてみて、日本の政策としてはとらない、こういうふうに確認してよろしゅうございますか。
○国務大臣(竹下登君) これは、国債所有者に協力を求めるということは、先ほど申し上げましたとおりであります。私がいささか、おやじどもなどと言いましたが、私どもの先輩は確かに買った経験を持っております。すなわちそのことは、インフレーションによる通貨価値の下落による、その実質価値が著しく下落するという問題でございます。このことは今日の我が国のそういう歴史的教訓というものを踏まえてみますと、やっぱり我が国がこれだけの公債が発行できたというのも、私は他の国に数層倍するいわゆる貯蓄率というものがあったからそれの消化もできたのじゃないか、その貯蓄心自身を失わしめるようなことはやってはならぬ。歴史的教訓を踏まえながら、やっぱり公債発行額の減少と、そして節度ある財政金融政策によって物価の安定を維持していくということと、そして次、残高を減していくということに営々たる努力を捧げるというのが私は本筋の考え方ではなかろうかというふうに考えます。
○穐山篤君 これから特例公債を発行しないように努力するといいましても、今の趨勢から言えばあと五、六年は依存をせざるを得ないわけですね。そうしますと、中曽根内閣、鈴木内閣、大平内閣、福田内閣の時代に特例公債を含む国債の発行が大量に出たわけです。これを返還をしていくのは二十一世紀中かかる。先ほどそういうふうに説明をされました。 そこでお伺いをしますが、法的に二十一世紀まで、後代の人に義務を負わせるということが法律上成立するでしょうか、法制局長官。
○政府委員(茂串俊君) 大変に難しい御提案でございまして、必ずしも御質問の御趣旨がはっきりしないのでございますけれども、強いて言いますと今のお話は、我が国の憲法の解釈としてそういうことができるかという、そういうようなお話かと思いますが、これはいわば立法政策と申しますか、財政政策と申しますか、そういった政策上の問題であって、それをいかに合理的に仕組みをつくって、そうしてそのようなことを実現していくかということにつきましては、どうも私も、御質問がありましたけれども、ただいますぐに頭に浮かんでまいりません。まいりませんけれども、そのような問題が恐らくいろいろとまた出てくるかと思いまして、そういった点は所管の各省庁におきましていろいろと知恵を出してそうしてこなしていくほかはなかろうと、かように考えておるのでございます。
○穐山篤君 憲法十一条には基本的人権、十三条には幸福追求に対する点、十四条は政治的、経済的、社会的な差別はしないと、こういう法律があるわけです。今やっている政治、政策によって二十一世紀中、言いかえてみますと、今後生まれてくる人たちに全部義務づけをするわけです。法的にそれは成立しましょうか。もう一遍お答えをいただきたいです。
○政府委員(茂串俊君) 確かに、ただいま先生のお挙げになりました十一条あるいは十三条とか、いろいろといわゆる第三章の基本的人権の規定がございますけれども、それが直ちに今お示しのような問題にすぐに適用になるかどうか、その辺はどうも非常に失礼な言い方でございますが、漠然たる話でございまして、どのような形でそれが一体、そのような考え方が法律とかあるいはその他の形に実っていくのか、その辺がもう少しはっきりいたしませんと、私も何とも御返事をする能力がございませんので、御了解をお願いいたします。
○委員長(長田裕二君) 穐山君、時間です。
○穐山篤君 今の答弁では全く不十分でありまして、私どもの時代の仕事を、例えば建設国債を六十年で償還をしましょうという部分は法的に整備されています。しかし、特例公債もむちゃくちゃに借りかえができるということになったわけです。したがって、二十一世紀中にまで今の政治が借金の支払い、利払いを義務づけるわけです。そういうことが政治的に可能かどうか、法的に可能かどうかということを私はお伺いをしておるわけです。今の答弁では答弁にならぬと思いますね。
○国務大臣(竹下登君) これは、法律家じゃございませんが、まあいわば公債発行の際の議論として、建設国債は今穐山さんおっしゃったように資産が残っていく。赤字国債の場合も、本当は無形の資産という議論はあるんです。今、教育等に金を出したからいい頭の子孫が残るからとか、そういう議論がいろいろあります。それをとっちゃいけないと思っているんですが、そういう議論もございますので、純粋の法律論で論ずるだけの私にも能力はありませんが、私なりに勉強はさせてもらいます。
○委員長(長田裕二君) 以上で穐山君の質疑は終了いたしました。(拍手) 明日は午前十時に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時十二分散会